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EL34 を使ったアンプ
http://www.asyura2.com/18/revival4/msg/137.html
投稿者 中川隆 日時 2020 年 10 月 22 日 04:17:42: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

EL34 を使ったアンプ


真空管アンプの存在(ふたつのEL34プッシュプル・その1)
http://audiosharing.com/blog/?p=26032


EL34といえば、ポピュラーな出力管である。
EL34のプッシュプルといえば、
マランツの一連のパワーアンプを真っ先に思い出す人も多い。

私は、伊藤先生のEL34のプッシュプルアンプが、真っ先に浮ぶ。
それからマランツのModel 2、Model 9、Model 8という順番がずっと続いていたけれど、
ある時から、デッカ・デコラのアンプのことが気になりはじめていた。

きっかけは管球王国 Vol.41(2006年夏号)で、
是枝重治氏発表のEL34プッシュプルのKSM41の製作記事である。

KSM41は、デコラのアンプの再現である。
記事最後の音の印象に、
《あでやかで彫りが深く解像度が高い》とあった。

個人的に多極管の三極管接続は好まない。
デコラのパワーアンプはEL34の三極管接続である。
そのことは以前から知っていた。

それでも記事を読んでいて、
そのへんのところが少しだけ変った。

管球王国 Vol.41は買おう、と思ったが、
この記事のためだけに、この値段……、という気持が強くて、買わずにいた。

先日、友人のKさんが記事をコピーしてくれた。
管球王国 Vol.41の記事だけでなく、
その前にラジオ技術(2005年9月号)で発表された記事も一緒に、だった。

EF86が初段、ECC83のムラード型位相反転回路で電圧増幅段は構成されている。
あれっ? この構成、そういえば……と思い出したのが、
ウェストレックス・ロンドンの2192Fである。

サウンドボーイ(1981年8月号〜10月号)で伊藤先生が発表されたEL34のアンプの、
範となっているのが2192Fである。

このアンプもデコラのアンプと同じ構成である。
そればかりか、EF86、ECC83周りの抵抗とコンデンサーの値も同じである。
回路も同じだ。

出力段が2192FはUL接続、デコラは三極管接続という違いと、
電源の違いくらいである。
NFBの抵抗値も違うが、そのくらいの違いしかない。

設計者は同じなのか。
http://audiosharing.com/blog/?p=26032


是枝アンプ
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1090.html  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
1. 中川隆[-10708] koaQ7Jey 2020年10月22日 04:20:44 : aqJrPGiyr2 : dGEwdjFMc0FTbi4=[12] 報告
伝説のデッカ デコラ
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/683.html

真空管アンプの存在(ふたつのEL34プッシュプル・その2)
http://audiosharing.com/blog/?p=26597


(その1)で、EL34のプッシュプルアンプとして、
マランツのアンプを真っ先に思い出す人は多い、とした。

マランツのアンプは、どれもEL34のプッシュプルだ(Model 9はパラレルプッシュプル)。
Model 2、5、8(B)、9。
ここで取り上げるのは唯一のステレオモデルであるModel 8(B)。

出力35W+35W。
アメリカには、もう一機種、出力35W+35WのEL34のプッシュプルのステレオアンプがある。
ダイナコのStereo 70である。

外形寸法はModel 8がW34.3×H18.4×D26.7cm、Stereo 70がW33.0×H16.5×D24.0cm、
そう大きくは違わない。

全体のレイアウトもシャーシー後方に三つのトランス、前方に真空管。
その真空管のレイアウトも、電圧増幅管を左右に二本ずつ配置した出力管で取り囲む。

とはいえ、細部を比較していくと、Model 8とStereo 70はずいぶん違うアンプだ。
まずStereo 70はキットでも販売していた。

Model 8もマランツのラインナップでは普及クラスとはいえなくもないが、
市場全体からみれば、そうではないのに対し、Stereo 70はダイナコの製品である以上、
はっきりと普及クラスのEL34のプッシュプルアンプである。

キットも出ていたStereo 70は、高価な測定器を必要としなくても、
ハンダ付けがきちんとなされていて、テスターが一台あれば完成できなければならない。
ちなみに1977年当時の完成品のStereo 70は89,000円、
キットのStereo 70は69,000円だった。

Model 8Bにもキットはあった。
1978年にModel 7とModel 9のキットが、日本マランツから出て好評だったため、
翌年にModel 8BKが出ている。

同じキットとはいえ、ダイナコとマランツとでは、意味あいが違う。
http://audiosharing.com/blog/?p=26597


オールド マランツ
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/635.html

2. 2020年10月23日 11:27:31 : BRDLYly4u6 : eHhGNHZRMlFLc3M=[16] 報告
オーディオ雑記帳 6
http://more.main.jp/zakkichou06.html

自宅では1日中デコラを鳴らしている。

蓄音機と言っている僕の母がデコラの音を非常に気に入っていて、Mac に繋げてエンドレスで流している。最近驚いたことだが、耳が少し遠い母が音の善し悪しを判断出来るのだ。

一度デコラではなくロジャースで鳴らしていると台所にいた母が、いつもの音で聞かせてと言ってきたのだ。

人間は可聴範囲が狭くなってきても音質の判断は出来るらしいことが分かった。
これなら、あと30年は音楽が楽しめそうだ。


SG520の下の段がPCオーディオ心臓部で、Macminiから無線でデコラと繋いでいる。

Mac → AirExpress → CELLO DAC → DECOLA・・・

この音は麻薬的な音である(2008/10/21)


再びデコラ

ムラードの真空管EL34が逝ってしまった。

2、3日前から電源を入れるとバキバキといやな音。そう、真空管が駄目になるときの特有の音。購入してから2年間もの間、逆に言うとよく持ったものである。購入したときに確認したが、このムラード後どのくらい使えるのだろう?と思いつつも2年間過酷な使用によく耐えた。

しかし現在では良質のムラードを4本集めるのは至難の業。
きっとそれだけで数年費やしてしまうだろう。

EL34はある時期の東欧テレフンケンの音が気に入って同ロットを一気に70本購入し在庫してあるが、ムラードのような音はでない。

きりっと締まったデコラから優しい音のデコラに変わってしまった。

残念であるが、これはこれで母も気に入ってくれているので今後デコラを所有する限り、この音で聞くこととなる。

まぁゆっくりと探して良質のムラードが手に入ったならばもう一度デコラを蘇らせることも出来るので、それまではオーディオは引退できないかもしれない。

真空管といえばダイナミック・オーディオのA氏に EL34 を5、60本引き取ってもらったことがあるが、所有するテレフンケンの前に持っていたロシア製の真空管で、当時売られている中ではまともな音質だったので、やはり同ロットを一気に購入したものだが、同ロットで購入しないと安定して一生同じ音で楽しめない危うさがある現在の真空管。

こういう意味でも真空管アンプ保持には人知れず努力している人は多いと思う。

A氏、・・・現在入手できうる良質の真空管で機器を調教し自分に合わせていく・・・という言葉が身にしみて分かるような気がする(2008/11/19)

贅沢を言うと夜に思いっきり雰囲気のある部屋で音楽を聴きたい。・・・

そして旨い酒と極上の女性
http://more.main.jp/zakkichou06.html

3. 中川隆[-8926] koaQ7Jey 2020年12月26日 12:43:28 : LuTLXYetbM : QUVIL0FpaDhDWU0=[11] 報告

193: 薬漬け :2020/12/11(金) 16:35:02 HOST:sp49-96-14-145.mse.spmode.ne.jp

マランツ7をついに手術しました。
精彩を欠く音で埃をかぶっていた11000番台の個体を、教授のご逆鱗必至でしょうけれども、中の
160Pを全て、大半が新品の(もちろん数値的にリークしていない)バンブルビーに交換しました。
そうした“規格内の”バンブルビーを集めるまでが大変でしたが……。

とりあえず上杉経由でオートグラフ。チェックディスクはベーム=VPOの第9(独DGG、全集版)。
教授が仰るような、厳冬下の霜柱を素足で踏みしめるような、峻厳な高域が帰ってきたようです。
音場の拡がりも問題なさそうです。
それに12000番台で聴いていた音の質感よりも、シャキッとした感じ。バンブルビーがまだ新しい
こともあるのかも知れません。整備したばかりであり、こなれてくると厳しさだけでなく優しさも
併せ持ってくれるようになるかも知れません。

194: RW-2 :2020/12/11(金) 17:04:32 HOST:119.9.52.36.ap.yournet.ne.jp

音色がどうとかハーモニーがどうたらとかじゃなく、ザックザクした音触感、
細部までピントがギッチリ合って、輪郭を浮かび挙がらせる風情が#7の神髄・
真骨頂じゃないかと思っております。下衆な言い方をすれば発振寸前のような。

そんな#7ですと後に続くパワーアンプが球シングルであれppだろうと、ICパワー
パック物であろうが、スピーカーもオールホーン3ウェイだろうと8㌅シングル
コーンだろうとあきらかに#7の音として再現されるのが凄いのです。メデタシ 々。

195: 前期 :2020/12/11(金) 19:06:17 HOST:h219-110-182-217.catv02.itscom.jp
>発振寸前

はワクワクするような音ですものね。
それがないのが安定重視の業務用アンプの音。マニアは満足しないようです。

196: 薬漬け :2020/12/11(金) 22:31:19 HOST:p4109014-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp
「手術しました」は不正確でしたね。「手術してもらいました」でした。私が自分で修理などしたら、
マランツ7は再起不能です。(汗)

それはともかく、アンプはコンポーネントの中ではよく“裏方”に喩えられますが、マランツ7を
はじめとしてプリアンプがシステムの音色に与える影響力は決して小さくないですね。パワーも
影響力のあるものもありますが、プリの方がカラーレーションを出しやすいように思います。
で、マランツ7の音が「発振寸前」……。うーん、拙宅の場合は上杉経由により少し中和されている
かも知れませんね。確かに教授お示しのような風情は十分に感じられますが。これが正妻の座を
マランツ9にしたときにどうなるか……。

197: 薬漬け :2020/12/11(金) 22:46:06 HOST:p4109014-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp
>>195 前期さん、こんばんは。

面白いもので、業務用とはいえ西部は別かもしれませんね。入れ込んでいる人は数知れず。
86や124パワーアンプのような、音に「黄金のシロップ」のかかったような音の魅力もあったりは
しますが、基本的にはその安定重視の律儀な音にマニアは惹かれていると思います。
有名な555ドライバーも、聴いてみると決して奇をてらった音ではなく正攻法の音です。また、
たまたま私が使っている755Aや754Aも、ある意味「普通に凄い」音なのかも知れません。
この「普通に凄い」ところが、業務用、民生用を通じてなかなか無いので、西部の特異性が際立つ
のかも知れませんね。

198: 前期 :2020/12/12(土) 11:00:31 HOST:h219-110-182-217.catv02.itscom.jp
>>197
薬漬けさん、おはようございます。
仰るとおりですね。西部は別格でしょう。経験の深さが半端じゃありません。

199: 薬漬け :2020/12/19(土) 19:23:49 HOST:p4109014-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp
腰の痛みをこらえて?マランツ9をヨイコラショと移動、用意した位置にセットしてマランツ7と
接続。ケーブルはおニューのマイクケーブル。行き先は考えてオートグラフにしました。
早速改造マランツ7との相性テスト。ソースはリヒター=ミュンヘン・バッハo.のバッハ:管弦楽
組曲第3番(独Archiv)

音がシビア目なのは7の性格でしょうが、9の性格も多少重畳しているかも知れません。おまけに
考えたら盤がアルヒーフ。まあそこはそんなもんだろうと思って聴いていましたが……。

改めてこのアンプの「円満ぶり」を再認識しました。透明感はあるし、中高域の主張の強さはやはり
7らしい。それでいて中低域の充実ぶりもなかなか。(リペアマンからは「高域・低域ともトーン・
コントロールを1クリック上げた感じ。周波数特性の改善が著しい」とは聞いていました)。
それで聴きながら他のアンプとの比較をしていましたが、中高域のシビアさはともかく、透明感は
メインのゴールドムンド〜西部124と比べてどうだろうと考えたらどうもメインシステムに軍配が
上がりそうな。また低域の充実感ないし迫力を考えたらLNP-2L〜Exclusive:M5にどうも一日の
長がありそうな感じ。

これをもってマランツ7〜9が“中途半端”だと言うつもりはありません。かなりのレベルでもって
両者の美味しいところを兼備しているという方が正解でしょう。ゴールドムンド軍団からは決して
レビンソン〜Exclusiveの低域の迫力は出ませんし、逆にレビンソン軍団からはゴールドムンドの
精細にして伸びきった高域は苦しい。(その代わり別の色艶があることは確かですが。)
これらをまあ円満にまとめた感じが7〜9なのかなと。(かつて五味康祐氏がマランツのことを、
「マランツはツマラン」と評したのは、その優等生ぶり故かも知れません。)

だから、突っ張って聴くならゴールドムンドかレビンソン(或いは他のそぐわしいプリアンプ)を
選んで聴くのでしょうが、その選択に悩んだら7〜9というのは頼もしい選択肢になりそうです。
ただし9のEL34の寿命にはヒヤヒヤしないといけませんが。(汗)

200: RW-2 :2020/12/20(日) 11:09:07 HOST:105.7.52.36.ap.yournet.ne.jp
>9のEL34の寿命にはヒヤヒヤ

#9は業務機でしたからね。現場の方達の合言葉は「EL34は名前通り9日で交換」だったとか。
マランツは規格ギリギリでの性能狙いですから。ってなこともあって普通よりタフな太いEL
34まで登場。ペントードがビーム管になってたり。KT-88/6550使わないのはマランツの意地。

201: 薬漬け :2020/12/20(日) 13:17:15 HOST:p4109014-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp
>>200

教授、EL34の太管(確かGEだったか)って、やはり持ちが良いんですかね?
ちょっとでもマシかとUL接続でなく3極管接続にしていますが……関係ないか。

202: RW-2 :2020/12/20(日) 16:37:19 HOST:105.7.52.36.ap.yournet.ne.jp
アメリカさんはタフ好きマッチョ好きですから。もう見かけ6L6GBみたいですもんね。
3結は良いですね。出力的には十分でしょ。パラじゃなく普通のppでも15〜20W取れ
ますから。現在EL84/6BQ5の3結pp使ってます。4〜5Wですけど相当な音量が出ます。
無理せず働かせる3結は電流喰わないのでエコなのも宜しい。

203: QS :2020/12/20(日) 18:08:46 HOST:152.net211007085.libmo.jp
太管のEL34/6CA7(GE・Phlips ECC )は自分の感想として、テレフンケン等に比べて音がタイトですね。
4ペア持ってます。

204: 薬漬け :2020/12/20(日) 18:45:15 HOST:p4109014-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp
>>202

ご教示ありがとうございます。
やはり3結は電気食わないんですね。ちょっとは球に優しいのかも。

205: 薬漬け :2020/12/20(日) 18:46:17 HOST:p4109014-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp
>>203

4ペアお持ちですか……。
それが一気に全部使われてしまうのだから、パラプッシュげに恐るべし。
今私が使っているのはテレフンケンのビンテージ管ですが、それより音がタイトですか……。それ、
案外好みかも。

206: 私の息子はEL34 :2020/12/22(火) 17:55:16 HOST:flh3-122-133-65-194.osk.mesh.ad.jp
HEY GUYS

6CA7/EL34の太管ならSOVTEKや旧ユーゴ製にも有りますた。

COMING SOON。

https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/music/11602/1596031365/l50

4. 中川隆[-6118] koaQ7Jey 2021年4月02日 06:16:46 : Ft8UfP6Ll6 : dnpvazRXendDazY=[17] 報告
「音楽&オーディオ」の小部屋
これ以上「道具」を増やしたくなかったのに・・ 2021年03月21日
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/94c1d94a3906e845386b1b9954981b33


前回のブログの末尾で少し触れたように、このところ欲しいオーディオ機器がメッキリと減っている。

50年余りのオーディオ人生の中で、ピンからキリまでいろんな音を出してきたがここ10年余りは自由時間をフルに活用して「音楽&オーディオ」に専念できた結果、自分で言うのも何だがかなりのレベルに到達したような気がする。

ここまで来ると、もうこれ以上望んでも所詮は「五十歩百歩」のような気がするし、人生の残り時間も勘案すると「これ以上オーディオ機器を増やさないようにしよう」と、決めていたのだが、このほどもろくもその誓いを破ることになってしまった(笑)。

これが、その誓いをご破算にしてくれた「EL34プッシュプルアンプ」である。

出力が「プッシュプル型式」のメリットを生かして片チャンネルで30ワットあって、我が家の真空管アンプ群(大半がシングルアンプ型式)の中では一番の力持ち。

ウェストミンスター(改)の低音域(150ヘルツ以下)を担当するアンプとして、このアンプじゃないとどうしても再生できない音楽ソースがあって、のっぴきならなかったのが背景にある。

その音楽ソースとは、以前にも触れた「フラメンコ」の第2トラック「タラント・ソンソンセラ」のフラメンコ・ダンサーが「ドスン・ガツン」と床を踏み締める音。

しゅっちゅう聴く音楽ソースではないが、その時の超ド級の低音が耳に焼き付いて離れずその呪縛からどうしても抜け出せなかった。

そういえば、めったに聴かないジャズの「サキソフォン・コロッサス」で、マックス・ローチのシンバルが忘れられないばかりに「075ツィーター」(JBL)を外せないのと同じことだ(笑)。

オーディオ愛好家の「業」ともいうべき「深い暗闇」がポッカリ穴を開けて待っている。

ただし、このアンプは「中高音域」は蒸留水のようなサッパリした音で、まるでTRアンプみたいに情緒性に乏しくクラシック音楽の再生には明らかに向かないのが残念。あくまでも低音専用である。

このアンプを手に入れた経緯だが、3か月ほど前だったかオーディオ仲間のYさんがこのアンプで聴かせてくださいと持参されたことに始まった。

伺ってみると、オークションで市価の半分程度で落札されたものだが、キット製品のため完成寸前で放棄された新品だったそう。

このアンプを別のオーディオ仲間「N」さんが、ほんのチョコッと手を入れたところ音が出だしたとのこと。

結局、3か月ほど我が家で居候したわけだが、そのうちそろそろ決心せねばとYさんに「譲る気がありますか」と申し出たところ、「ハイ、いいですよ、オークションで落札した金額と同じでいいです」と、ご快諾をいただいた。お買い得品であることは間違いない。

それに、ずっと以前の話だが「ウェストミンスター」にJBLの口径38センチのユニットを容れて鳴らしたことがあり、量感はともかくスピード感に不満を感じて手放したのだが、その時のアンプは非力なシングルアンプだった。

もしかして、この強力なプッシュプル・アンプなら駆動できたかもしれないという憾みが執念深く未だに残っているので機会があればもう一度口径38センチに試してみたい気もする。

Yさんと話が決まってから、さっそく出力管のスペア「4本」(新品:近代管)をアムトランスから購入した。真空管は消耗品なのでスペアの確保は必須だし、低音専用だから近代管で十分だ。

さらに、このアンプは簡単にバイアス調整ができるので「EL34」よりも一回り大きな「KT88」真空管も挿せるとのことなので、そのうち機会があれば試してみたい気もする。

「KT88」といえばハイパワーアンプの代表選手マッキントッシュの「MC−275」に使われているので有名だ。

どなたか「KT88」(4本)余ってないかなあ(笑)。
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/94c1d94a3906e845386b1b9954981b33


仏作って魂入れず 2021年04月02日
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/755d44f32224543af0be729c3275e714


ウ〜ン、口惜しい、口惜しい、口惜しい!

それに「都会のチーム」に負けたのが一層口惜しい。

人間のエネルギーの源は「怒り」「不満」「劣等感」そして「欲望」だと思っているが、このエネルギーをそっくりオーディオに向けるとしよう(笑)。


さて、「仏作って魂入れず」という言葉がある。

その意味は、ご存知の方も多いと思うが「仏像を作っても魂を入れなければ、単なる木や石と同じである」であり、そこから転じて「せっかく良いものを作っても、大事なものが抜け落ちていれば、作った努力もむだになる」とある。

そこでだが、ずっと昔に読んだオーディオ雑誌にこんなことが書いてあった。

「人間にたとえるとスピーカーは容姿にあたり、アンプはそれに魂を吹き込む役割を担っている。」

賛否両論あると思うが自分は賛成派である。何といってもスピーカーとアンプは車の両輪なんだから〜。

何しろスピーカーはアンプ次第で「聖者」になったり「悪人」になったりするし、そういう体験をこれまで嫌というほど味わってきたが、つい最近も得難い体験をしたので記録しておこう。

✰ EL34プッシュプルアンプについて

我が家のオーディオは小出力アンプで能率の高い昔のSPユニットを鳴らすというのが基本的なポリシーである。

したがって、手持ちの真空管アンプ群はせいぜい出力5ワットもあればいい方で中には1ワットクラスもあるほど。

ところが彗星のように現れたこのプッシュプル・アンプにはほんとうに驚かされた。

30ワットのパワーに裏打ちされた力まかせの低音域の鳴りっぷりに、ついフラフラッと誘惑されてしまった。謹厳実直な生活ばかりしていると、たまには浮気心を起こしたくもなりますよねえ(笑)。

このアンプを手に入れた顛末はつい最近のブログ記事「これ以上道具を増やしたくなかったのに」に記しておいた。

その末尾に「(EL34と交換可能な)KT88(4本)余っている方はありませんかね」と、あつかましく記載しておいたが、もとよりダメ元のつもりだったところ快く反応してくれたのが横浜在住のKさんだった。

ときどきメールの交換をする方だったが、「KT88(4本)余ってます。これから使う見込みがありませんので譲っていいです。ただし、真空管の寿命が定かではありませんので、ご自宅で試したうえで好きな値段を付けられてください。」

実に気前のいいお申し出にKさんの「おおらかさ」を感じたが、自分で値段を付けるほど難しいものは無い。もろに本性が露わになるのが怖い(笑)。

そこで、曖昧模糊は悪いのではっきりさせておこうと「破格のお値段で恐縮ですが、4本で1万円ではどうでしょうか。」と、事前に申し出ると「ハイ、それでいいですよ。一応使ってみて納得されたら振り込んでください。ご不満のときはそのまま返送せずに持っていて結構です」

これまた非常にありがたい成り行きとなった(笑)。すぐに丁寧な梱包とともに我が家にKT88が到着した。

そこで、27日にこのアンプの元の持ち主だったオーディオ仲間のYさんに来ていただいてアンプの説明書を見ながら「EL34からKT88」への「バイアス調整」を4本とも行った。想像していたよりも比較的簡単に終了した。

さあ、どんな低音(150ヘルツ以下)が出るか、Yさんともども固唾を呑んで耳を澄ましたところ、荒々しくて雄大な低音に二人とも度肝を抜かれた!

フラメンコ・ダンサーの床を踏み締める音が「ドスン・ガツン」から「ドド〜ン、ガッツ〜ン」と迫力が2倍になった感じ。

「EL34」が分をわきまえた上品な低音だとすると、このKT88はリミッターを外した野放図な低音とでもいえそうで、パワーはおそらく「片チャン30ワット」から「50ワット」ぐらいに増えたように感じた。

新たな「魂」を吹き込まれたウェストミンスターも、きっと「己にふさわしい低音」だと喜んでいるに違いない(笑)。

これでようやく「ワーグナー楽劇」を心ゆくまで堪能できそうだ。

Kさん、どうもありがとうございました。たいへん満足です。すぐにお金を振り込みますからねえ(笑)。
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/755d44f32224543af0be729c3275e714

5. 中川隆[-5886] koaQ7Jey 2021年4月08日 18:15:55 : 7vJmlBbsA6 : YzNyY2VzangxR2s=[5] 報告
audio identity (designing)宮ア勝己

Date: 6月 18th, 2018
真空管アンプの存在(ふたつのEL34プッシュプル・その1)
http://audiosharing.com/blog/?p=26032


EL34といえば、ポピュラーな出力管である。
EL34のプッシュプルといえば、
マランツの一連のパワーアンプを真っ先に思い出す人も多い。

私は、伊藤先生のEL34のプッシュプルアンプが、真っ先に浮ぶ。
それからマランツのModel 2、Model 9、Model 8という順番がずっと続いていたけれど、
ある時から、デッカ・デコラのアンプのことが気になりはじめていた。

きっかけは管球王国 Vol.41(2006年夏号)で、
是枝重治氏発表のEL34プッシュプルのKSM41の製作記事である。

KSM41は、デコラのアンプの再現である。
記事最後の音の印象に、
《あでやかで彫りが深く解像度が高い》とあった。

個人的に多極管の三極管接続は好まない。
デコラのパワーアンプはEL34の三極管接続である。
そのことは以前から知っていた。

それでも記事を読んでいて、
そのへんのところが少しだけ変った。

管球王国 Vol.41は買おう、と思ったが、
この記事のためだけに、この値段……、という気持が強くて、買わずにいた。

先日、友人のKさんが記事をコピーしてくれた。
管球王国 Vol.41の記事だけでなく、
その前にラジオ技術(2005年9月号)で発表された記事も一緒に、だった。

EF86が初段、ECC83のムラード型位相反転回路で電圧増幅段は構成されている。
あれっ? この構成、そういえば……と思い出したのが、
ウェストレックス・ロンドンの2192Fである。

サウンドボーイ(1981年8月号〜10月号)で伊藤先生が発表されたEL34のアンプの、
範となっているのが2192Fである。

このアンプもデコラのアンプと同じ構成である。
そればかりか、EF86、ECC83周りの抵抗とコンデンサーの値も同じである。
回路も同じだ。

出力段が2192FはUL接続、デコラは三極管接続という違いと、
電源の違いくらいである。
NFBの抵抗値も違うが、そのくらいの違いしかない。

設計者は同じなのか。
http://audiosharing.com/blog/?p=26032


真空管アンプの存在(ふたつのEL34プッシュプル・その2)
http://audiosharing.com/blog/?p=26597


(その1)で、EL34のプッシュプルアンプとして、
マランツのアンプを真っ先に思い出す人は多い、とした。

マランツのアンプは、どれもEL34のプッシュプルだ(Model 9はパラレルプッシュプル)。
Model 2、5、8(B)、9。
ここで取り上げるのは唯一のステレオモデルであるModel 8(B)。

出力35W+35W。
アメリカには、もう一機種、出力35W+35WのEL34のプッシュプルのステレオアンプがある。
ダイナコのStereo 70である。

外形寸法はModel 8がW34.3×H18.4×D26.7cm、Stereo 70がW33.0×H16.5×D24.0cm、
そう大きくは違わない。

全体のレイアウトもシャーシー後方に三つのトランス、前方に真空管。
その真空管のレイアウトも、電圧増幅管を左右に二本ずつ配置した出力管で取り囲む。

とはいえ、細部を比較していくと、Model 8とStereo 70はずいぶん違うアンプだ。
まずStereo 70はキットでも販売していた。

Model 8もマランツのラインナップでは普及クラスとはいえなくもないが、
市場全体からみれば、そうではないのに対し、Stereo 70はダイナコの製品である以上、
はっきりと普及クラスのEL34のプッシュプルアンプである。

キットも出ていたStereo 70は、高価な測定器を必要としなくても、
ハンダ付けがきちんとなされていて、テスターが一台あれば完成できなければならない。
ちなみに1977年当時の完成品のStereo 70は89,000円、
キットのStereo 70は69,000円だった。

Model 8Bにもキットはあった。
1978年にModel 7とModel 9のキットが、日本マランツから出て好評だったため、
翌年にModel 8BKが出ている。

同じキットとはいえ、ダイナコとマランツとでは、意味あいが違う。
http://audiosharing.com/blog/?p=26597

真空管アンプの存在(ふたつのEL34プッシュプル・その3)
http://audiosharing.com/blog/?p=26607


ダイナコとマランツの真空管アンプでは、
Mark IVとModel 5の対比も好き、というコメントがfacebookにあった。

Mark IVとModel 5の対比もありだな、と思っていたが、
実はMark IVは実機を見たことがない。
Model 5に関しても、みたことはあるけれど音は聴いたことはない。

とはいえ回路図、外観、内部を含めてインターネット上にはけっこうな数あるから、
特に音について書くわけではないから、
Mark IVとModel 5の対比でもなんら問題ないけれど、
Stereo 70とModel 8Bのほうが、私には身近な存在だけに、選んでいる。

ついでに書いておくと、ダイナコにはMark VIというモノーラルアンプもある。
ステレオサウンド 42号(1977年)の新製品紹介で登場している。

出力管に8417を四本使ったパラレルプッシュプルで、出力は120W。
ダイナコの真空管アンプとして初めての19インチラックサイズのフロントパネルをもち、
バイアスチェックをかねたパワーメーター、ラックハンドルがついている。

マランツのModel 9のプロ用機器版9Rを強く意識したような造りのアンプである。
Model 9は1960年に登場しているから、約20年経っての新製品Mark VIである。

ダイナコは真空管アンプにおいては、マランツの真空管アンプを、
どこか意識していたように感じる。
http://audiosharing.com/blog/?p=26607

真空管アンプの存在(ふたつのEL34プッシュプル・その4)
http://audiosharing.com/blog/?p=26641


キットを出していたということでは、
ダイナコとラックスの対比ではないか、と思われるかもしれない。

私にもそういう気持はないわけではないのだが、
ラックスのEL34プッシュプルアンプというのは印象がとても薄い。

私がオーディオに興味を持ち始めたころのラックスの真空管アンプといえば、
プリメインアンプのSQ38FD/IIであり、登場したばかりの薄型のコントロールアンプのCL32、
パワーアンプではMB3045だった。

そのころキットでA3500がEL34プッシュプルで、出力はUL接続で40W、三極管接続で30Wだった。
1978年にはMQ70も登場した。
出力は45Wだった。
MQ70はA3500の完成品ではなく、レイアウトも違っていた。

どちらも私には印象が薄い、というか、存在が稀薄だった。

日本では真空管アンプを、
トランジスターアンプ全盛時代になっても造りつづけているメーカーとして、
ラックスは知られていた。

ラックス以外にも真空管アンプメーカーはあったが、
トランジスターアンプと真空管アンプの両方、それに会社の規模ということで、
ラックスが日本における真空管アンプの最後の砦的であった。

それでもラックスのEL34プッシュプルは、印象がなさすぎる。
http://audiosharing.com/blog/?p=26641

真空管アンプの存在(ふたつのEL34プッシュプル・その5)
http://audiosharing.com/blog/?p=26856


ダイナコのStereo 70のキットの実物を見たことがないため断言できないが、
電圧増幅檀のプリント基板に関しては、部品が最初から取り付けてあり、
ハンダ付けもなされていた(はずだ)。

キットの内容は穴あきシャーシーに、出力トランス、電源トランス、チョークコイル、
出力管、整流管とそのソケット、電圧増幅管に内部配線材に、入出力端子などに、
完成済のプリント基板のはずだ。

もちろんハンダ付けはしなければならないが、細かいハンダ付けが求められるわけではない。
仮にプリント基板が組み立て済でなかったとしても、部品点数はそう多くないし、
部品の取り付けを間違えずに丁寧にハンダ付けをしていけば、失敗は少ない。

製作の難易度は、高いとはいえない。
完成後の各部のチェックもそれほど多くないし、基本は電圧のチェックである。

つまりダイナコのキットは、誰が組み立てても、ある一定以上の性能を保証している。
ところがマランツのキットは、そういう性格のモノだと思って取りかかると、
痛い目に合うことは必至である。

マランツのキットは、Model 7、Model 8B、Model 9にしても、
プリント基板は一切使っていない。
ラグ端子に部品のリード線をからげてハンダ付けしていく。

しかもひとつの端子に部品一つということはまずない。
複数の部品のリード線をからげ、内部配線材もそこにくる。

どの部品からからげていくか、その順番によって音は違ってくるし、
マランツのアンプはその順番も指定されていた、と聞いている。

ハンダ付けの箇所もマランツは多い。

ダイナコは完成品が隣になくとも、きちんと完成することは大変ではないが、
マランツの場合は、特にModel 7は、
実機を隣に置いて、じっくりそれを観察した上での製作が望ましいだろう。
http://audiosharing.com/blog/?p=26856

6. 中川隆[-5749] koaQ7Jey 2021年4月13日 23:27:16 : 34i32T20cM : VjNnTnE1eGhXTzY=[64] 報告

Date: 8月 12th, 2018
ワグナーとオーディオ(マランツかマッキントッシュか・その1)
http://audiosharing.com/blog/?p=26903


五味先生のタンノイ・オートグラフにつながれていたのは、
主にマッキントッシュのC22とMC275のペアである。
「人間の死にざま」を読むと、カンノアンプの300Bシングルに、
交換しても聴かれていたことがわかる。

コントロールアンプはマランツのModel 7とマークレビンソンのJC2もお持ちだった。
その他にデッカ・デコラのアンプも所有されていた。

マランツのパワーアンプはどうだったのか。
Model 2かModel 5、Model 8Bのどれかは所有されていたとしてもおかしくない。

所有されていないアンプも多数聴かれている。
その結果のC22とMC275である、とみている。

中学生だったころ、
マッキントッシュとマランツの真空管アンプを見較べて、マランツの方がよさそうに思えた。
そのころ、マッキントッシュ、マランツの真空管アンプを聴ける店は、熊本にはなかった。
周りにオーディオマニアが誰もいなかったから、
個人でどちらかを持っている人を探そうとは思わなかった。

ステレオサウンド 51号のオーディオ巡礼に、
ヴァイタヴォックスCN191を鳴らされているH氏が登場されている。

アンプはマッキントッシュからマランツのModel 7とModel 9のペアに交換した、とあった。
このときもまだどちらも聴いたことはなかったし、写真でだけ知っているだけでしかなかった。

それでも、そうだろう、と思いながら、オーディオ巡礼を読んでいた。
アンプとして、どちらが高性能かといえば、マランツに軍配をあげる──、
そういう見方を10代の私はしていた。

なので、五味先生はなぜマッキントッシュなのか、という疑問がなかったわけではない。
正確にいえば、マランツを選ばれなかった理由はなんのか、を知りたいと思っていた。

結局、それはワグナーを聴かれるから、というのが、私がたどりついた答である。
http://audiosharing.com/blog/?p=26903


ワグナーとオーディオ(マランツかマッキントッシュか・その2)
http://audiosharing.com/blog/?p=26909


ステレオサウンド 37号から「クラフツマンシップの粋」が始まった。
一回目は、やはりマランツの真空管アンプである。

長島先生と山中先生の対談による、この記事の最後に、
マランツサウンドは存在するか、について話されている。
     *
山中 製品についてはいま話してきたのでだいたい出ていると思うのですが、それでは実際にマランツの音とはどんな音なのかということですが……。
 全般的な傾向としては、一言でいってしまえば特にキャラクターを持たないニュートラルな音だと思うのですよ。色づけが少ないというか……。特に泣かせどころがあるとか、そういう音じゃないですね。
 よく、マッキントッシュサウンドとか、JBLサウンド、アルテックサウンドという言い方をしますね。そしてこの言葉を聞くだけでそれぞれの音がイメージできるほどはっきりした性格をもっていますね。しかしそういう意味でのマランツサウンドというのはあり得ないと思うのです。事実、マランツサウンドっていう言葉はないでしょう。
長島 俗に、管球式の音は柔らかいとか、暖か味があるとかいいますが、マランツはそういう臭さ≠感じさせませんね。
 マランツの一群のアンプはぼくも使っているのですけれど、球の暖かさなんていうのは、はっきりいえば、少しも感じない(笑)。
山中 ともかく媚びるということがないですね。
長島 まったくその通りですね。
山中 マランツの音について話しているとどうも取り留めなくなってしまうのだけれど、音のキャラクター云々ということが出てこないでしょう。
長島 それでも厳としてあることはある。
山中 あるんですよね、マランツのサウンドというのは……。
長島 あるのだけれど非常に言いにくい……。
山中 それが実はマランツの秘密で、結局ソウル・マランツ氏の目差した音じゃないですかね。
長島 要するに、あまりにも真っ当すぎるので言うのに困ってしまう(笑)。あえてマランツサウンドってなんだと聞かれたら、筋を通して理詰めに追いあげたせのがマランツサウンドだと言うよりないですね。決して神経を休めるという傾向の音ではありません。レコードに入っている音が、細大洩らさず、あるがままの形で出てくるのですよ。
山中 だからこそ、この時代におけるひとつのプレイバックスタンダードであり得たのでしょうね。
     *
ことわるまでもなく、ここに出てくるマランツの音とは、
あくまでも真空管アンプ時代のマランツであり、いまのマランツにそっくりあてはまるわけではない。

そして、真空管アンプ時代のマランツの音に関しては、瀬川先生もほぼ同じことを書かれている。
http://audiosharing.com/blog/?p=26909

ワグナーとオーディオ(マランツかマッキントッシュか・その3)
http://audiosharing.com/blog/?p=26911


1981年夏のステレオサウンド別冊「世界の最新セパレートアンプ総テスト」の巻頭、
「いま、いい音のアンプがほしい」で、瀬川先生はマランツのアンプの音についてこう書かれている。
     *
 そうした体験にくらべると、最初に手にしたにもかかわらず、マランツのアンプの音は、私の記憶の中で、具体的なレコードや曲名と、何ひとつ結びついた形で浮かんでこないのは、いったいどういうわけなのだろうか。確かに、その「音」にびっくりした。そして、ずいぶん長い期間、手もとに置いて鳴らしていた。それなのに、JBLの音、マッキントッシュの音、というような形では、マランツの音というものを説明しにくいのである。なぜなのだろう。
 JBLにせよマッキントッシュにせよ、明らかに「こう……」と説明できる個性、悪くいえばクセを持っている。マランツには、そういう明らかなクセがない。だから、こういう音、という説明がしにくいのだろうか。
 それはたしかにある。だが、それだけではなさそうだ。
 もしかすると私という人間は、この、「中庸」というのがニガ手なのだろうか。そうかもしれないが、しかし、音のバランス、再生される音の低・中・高音のバランスのよしあしは、とても気になる。その意味でなら、JBLよりもマッキントッシュよりも、マランツは最も音のバランスがいい。それなのに、JBLやマッキントッシュのようには、私を惹きつけない。私には、マランツの音は、JBLやマッキントッシュほどには、魅力が感じられない。
 そうなのだ。マランツの音は、あまりにもまっとうすぎるのだ。立派すぎるのだ。明らかに片寄った音のクセや弱点を嫌って、正攻法で、キチッと仕上げた音。欠点の少ない音。整いすぎていて、だから何となくとり澄ましたようで、少しよそよそしくて、従ってどことなく冷たくて、とりつきにくい。それが、私の感じるマランツの音だと言えば、マランツの熱烈な支持者からは叱られるかもしれないが、そういう次第で私にはマランツの音が、親身に感じられない。魅力がない。惹きつけられない。だから引きずりこまれない……。
 また、こうも言える。マランツのアンプの音は、常に、その時点その時点での技術の粋をきわめながら、音のバランス、周波数レインジ、ひずみ、S/N比……その他のあらゆる特性を、ベストに整えることを目指しているように私には思える。だが見方を変えれば、その方向には永久に前進あるのみで、終点がない。いや、おそらくマランツ自身は、ひとつの完成を目ざしたにちがいない。そのことは、皮肉にも彼のアンプの「音」ではなく、デザインに実っている。モデル7(セブン)のあの抜きさしならないパネルデザイン。十年間、毎日眺めていたのに、たとえツマミ1個でも、もうこれ以上動かしようのないと思わせるほどまでよく練り上げられたレイアウト。アンプのパネルデザインの古典として、永く残るであろう見事な出来栄えについてはほとんど異論がない筈だ。
 なぜ、このパネルがこれほど見事に完成し、安定した感じを人に与えるのだろうか。答えは簡単だ。殆どパーフェクトに近いシンメトリーであるかにみせながら、その完璧に近いバランスを、わざとほんのちょっと崩している。厳密にいえば決して「ほんの少し」ではないのだが、そう思わせるほど、このバランスの崩しかたは絶妙で、これ以上でもこれ以下でもいけない。ギリギリに煮つめ、整えた形を、ほんのちょっとだけ崩す。これは、あらゆる芸術の奥義で、そこに無限の味わいが醸し出される。整えた形を崩した、などという意識を人に抱かせないほど、それは一見完璧に整った印象を与える。だが、もしも完全なシンメトリーであれば、味わいは極端に薄れ、永く見るに耐えられない。といって、崩しすぎたのではなおさらだ。絶妙。これしかない。マランツ♯7のパネルは、その絶妙の崩し方のひとつの良いサンプルだ。
 パネルのデザインの完成度の高さにくらべると、その音は、崩し方が少し足りない。いや、音に関するかぎり、マランツの頭の中には、出来上がったバランスを崩す、などという意識はおよそ入りこむ余地がなかったに違いない。彼はただひたすら、音を整えることに、全力を投入したに違いあるまい。もしも何か欠けた部分があるとすれば、それはただ、その時点での技術の限界だけであった、そういう音の整え方を、マランツはした。
     *
ここでも、マランツの音について説明しにくい、とある。
そして、それは言葉で説明できる個性、悪くいえばクセがないからで、
まっとうすぎる、立派すぎる、と。

SMEのフォノイコライザーアンプSPA1HLを聴いたとき、
そういうことなのか、と合点がいった。
http://audiosharing.com/blog/?p=26911


ワグナーとオーディオ(マランツかマッキントッシュか・その4)
http://audiosharing.com/blog/?p=26913


話をすすめていく前にひとつ書いておきたいのは、
長島先生、山中先生、瀬川先生だけでなく、同時代のオーディオ評論家の人たちは、
そして五味先生もそうなのだが、
みな、マッキントッシュやマランツの真空管アンプが現役のころからオーディオに取り組まれている。

つまりみな新品のマッキントッシュのアンプの音、マランツのアンプの音、
真空管アンプではないが同時代のJBLのアンプの音などを聴かれている。

このことは後に生まれた世代にはかなわぬことである。
長島先生、山中先生は1932年、瀬川先生は1935年、
私は約30年後の1963年生れである。

同世代の人たちよりは程度のいいマッキントッシュやマランツを聴いているのかもしれないが、
それでも30年という時間のひらきは、なにをもってきてもうめられない。

完全な追体験は無理なのだ。
完全メインテナンスを謳っていようが、
それがどの程度なのかは、だれが保証してくれるのか。

周りに、マッキントッシュ、マランツの真空管アンプを新品の状態で聴いたことがある、
しかも耳の確かな人がいればいい。
けれど、そういう人がどのくらいいるか。

いわゆる自称は、ここでは役に立たぬ存在だ。

私がこうやって古いマッキントッシュやマランツの音に関することを引用しているのを読んで、
いや、そういう音じゃないぞ、と思われる人もいよう。
そのことを否定しない。

その人が聴くことができたマッキントッシュやマランツの真空管アンプは、
そういう音を出していたのだろうから。

でも、それが新品での音とどのくらい違ってきているのか。
そのことを抜きにして、自分が聴いた範囲だけの音で語るのは、私はやらない。
http://audiosharing.com/blog/?p=26913


ワグナーとオーディオ(マランツかマッキントッシュか・その5)
http://audiosharing.com/blog/?p=26915


SMEのSPA1HLは最初オルトフォン・ブランドで登場した。
プロトタイプというか、プリプロモデルだったのか、
とにかくオルトフォンのSPA1HLを聴いている。

オルトフォンのSPA1HLとして登場した時、このフォノイコライザーアンプの事情は何も知らなかった。
オルトフォンの技術者が設計した真空管のフォノイコライザーアンプだと素直に信じていた。
だからオルトフォンのカートリッジに持っている音のイメージを、期待していた。

鳴ってきた音は、その意味では期待外れともいえたし、
期待外れだからといって、このフォノイコライザーアンプに魅力を感じなかったわけではない。
おもしろいアンプが登場してきた、と思った。

それからしばらくして、今度はSMEブランドで現れた。
ここで初めて、このフォノイコライザーアンプの事情を知る。

SMEのSPA1HLは長島先生といっしょに聴いた。
SPA1HLについて長島先生の詳しいこと詳しいこと。

思わず「長島先生が設計されたのですか」と口にしそうになるくらいだった。
そうなんだということはすぐにわかった。
パーツ選びの大変さも聞いている。

それに長島先生自身、SMEのアンプは、マランツの#7への恩返し、といわれていた。
オルトフォン・ブランドであろうとSMEブランドであろうと、
SPA1HLに、そのオーディオ機器ならではの音色の魅力というものは、
まったく感じなかった。

この点で期待外れと、最初の音が鳴った時に感じても、さまざまなレコードをかけていくと、
SPA1HLの実力は高いと感じてくる。

ただそれでもオーディオ機器固有の音色にどうしても耳が向いてしまう人には、
SPA1HLは不評のようだった。

SPA1HLをある人とステレオサウンドの試聴室で聴いている。
その人は、ほんとうにいいアンプだと思っています? ときいてきた。
その人にとってSPA1HLはどうでもいい存在のようだった。

私はSPA1HLを、何度もステレオサウンドの試聴室で聴いている。
SPA1HLを聴いて、
長島先生がマランツのModel 7をどう聴かれていたのかを理解できた、と思った。
http://audiosharing.com/blog/?p=26915

ワグナーとオーディオ(マランツかマッキントッシュか・その6)
http://audiosharing.com/blog/?p=26917


SPA1HLによって、長島先生にとってModel 7がどういう存在なのかをはっきりと知った。
マッキントッシュ、マランツの真空管アンプを新品で聴くことはできなかった世代であっても、
SPA1HLを長島先生といっしょに、しかも解説つきでじっくりと聴くことができたからだ。

長島先生はステレオサウンド 38号で、
《決して神経を休めるという傾向の音ではありません》といわれている。
確かにそうである。
SPA1HLもそういうアンプである。

同じことを井上先生もいわれていたし、
ステレオサウンド別冊「音の世紀」でも、同じ意味あいのことを書かれている。
     *
 心情的には、早くから使ったマランツ7は、その個体が現在でも手もとに在るけれども、少なくとも、この2年間は電源スイッチをONにしたこともない。充分にエージング時間をかけ音を聴いたのは、キット版発売の時と、復刻版発売の時の2回で、それぞれ約1ヵ月は使ってみたものの、老化は激しく比較対象外の印象であり、最新復刻版を聴いても、強度のNFB採用のアンプは、何とはなく息苦しい雰囲気が存在をして、長時間聴くと疲れる印象である。
     *
決して神経を休めるという傾向の音ではないModel 7、
何とはなく息苦しい雰囲気が存在をして、長時間聴くと疲れる印象のModel 7。

どちらも同じことを語っている。
ただ聴き手が違うだけの話である。
音楽の聴き方の違いが、そこにある。

五味先生はワグナーをよく聴かれていた。
毎年NHKのFMで放送されるバイロイト音楽祭を録音されていたことはよく知られているし、
《タンノイの folded horn は、誰かがワグナーを聴きたくて発明したのかも分らない。それほど、わが家で鳴るワグナーはいいのである》
とも書かれているくらいだ。

ワグナーは長い。
どの楽劇であっても、長い。
その長さゆえ、五味先生はマランツを選ばれなかったのではないのか。
http://audiosharing.com/blog/?p=26917

ワグナーとオーディオ(マランツかマッキントッシュか・その7)
http://audiosharing.com/blog/?p=26920


長島先生はステレオサウンド 37号で、
《レコードに入っている音が、細大洩らさず、あるがままの形で出てくる》といわれている。

五味先生はMC275とMC3500を聴き比べて、次のように書かれている。
     *
 ところで、何年かまえ、そのマッキントッシュから、片チャンネルの出力三五〇ワットという、ばけ物みたいな真空管式メインアンプMC三五〇〇≠ェ発売された。重さ六十キロ(ステレオにして百二十キロ——優に私の体重の二倍ある)、値段が邦貨で当時百五十六万円、アンプが加熱するため放熱用の小さな扇風機がついているが、周波数特性はなんと一ヘルツ(十ヘルツではない)から七万ヘルツまでプラス〇、マイナス三dB。三五〇ワットの出力時で、二十から二万ヘルツまでマイナス〇・五dB。SN比が、マイナス九五dBである。わが家で耳を聾する大きさで鳴らしても、VUメーターはピクリともしなかった。まず家庭で聴く限り、測定器なみの無歪のアンプといっていいように思う。
 すすめる人があって、これを私は聴いてみたのである。SN比がマイナス九五dB、七万ヘルツまで高音がのびるなら、悪いわけがないとシロウト考えで期待するのは当然だろう。当時、百五十万円の失費は私にはたいへんな負担だったが、よい音で鳴るなら仕方がない。
 さて、期待して私は聴いた。聴いているうち、腹が立ってきた。でかいアンプで鳴らせば音がよくなるだろうと欲張った自分の助平根性にである。
 理論的には、出力の大きいアンプを小出力で駆動するほど、音に無理がなく、歪も少ないことは私だって知っている。だが、音というのは、理屈通りに鳴ってくれないこともまた、私は知っていたはずなのである。ちょうどマスター・テープのハイやロウをいじらずカッティングしたほうが、音がのびのび鳴ると思い込んだ欲張り方と、同じあやまちを私はしていることに気がついた。
 MC三五〇〇は、たしかに、たっぷりと鳴る。音のすみずみまで容赦なく音を響かせている、そんな感じである。絵で言えば、簇生する花の、花弁の一つひとつを、くっきり描いている。もとのMC二七五は、必要な一つ二つは輪郭を鮮明に描くが、簇生する花は、簇生の美しさを出すためにぼかしてある、そんな具合だ。
     *
マッキントッシュのMC3500よりも、
マランツのModel 9のほうが、より《簇生する花の、花弁の一つひとつを、くっきり描いている》だろう。

けれど五味先生はMC3500ではなくMC275なのである。
《必要な一つ二つは輪郭を鮮明に描くが、簇生する花は、簇生の美しさを出すためにぼかして》描く、
そういうMC275を選ばれている。

簇生の美しさを出すためにぼかす──、
ここを忘れては、何も語れない。
http://audiosharing.com/blog/?p=26920


ワグナーとオーディオ(マランツかマッキントッシュか・その8)
http://audiosharing.com/blog/?p=26922


長島先生は、最初からマランツのModel 7とModel 2の組合せだったわけではない。
ステレオサウンド 61号で語られているが、
最初はマッキントッシュである。真空管アンプではなくトランジスターアンプである。
     *
長島 つぎにアンプのマッチングを考えました。そのときマッキントッシュのMC2105を使っていたんですが、これはやさしいアンプですが、スピーカーが慣れてくるにしたがって、力量不足がはっきりしてきたわけです。そこでつぎにMC275に切りかえました。MC275でもエイジングがすすんでくるにつれて、こんどは甘さが耳についてきました。その甘さがほくには必要じゃない。だから、もっと辛口のアンプをということでマランツ2になり、ずうっと使ってきたマッキントッシュのC26プリアンプをマランツ7に変え、それでやっとおちついているわけです。
     *
長島先生が鳴らされていたスピーカーは、ジェンセンのG610Bなのはよく知られている。
G610Bの前は、タンノイだった。
GRFだった、と記憶している。

そのタンノイについて、61号では、
タンノイのやさしさが、もの足りなかった、と。
タンノイは、だから演奏会場のずうっと後の席で聴く音で、
長島先生は、前の方で聴きたい、と。

だから長島先生にとってG610Bであり、Model 7+Model 2なのである。

そういう長島先生なのだが、ステレオサウンド 61号の写真をみた方ならば、
マランツのModel 2の隣にMC275が置いてあるのに気づかれたはず。

使っていないオーディオ機器は手離す長島先生であっても、
MC275だけは手離す気になれない、とある。

簇生の美しさを出すためにぼかす甘さを求める聴き方もあれば、
簇生する花の、花弁の一つひとつを、くっきり描いていくため甘さを拒否する聴き方もある。

それによってアンプ選びは違ってくる。
ここで書きたいのは、マッキントッシュとマランツの、どちらの真空管アンプが優秀か、ではない。
こういうことを書いていくと、わずかな人であっても、
マッキントッシュが優秀なんだな、とか、やっぱりマランツなんだな、と決めてかかる人がいる。

書きたいのは、なぜ五味先生がマッキントッシュだったのか、
その理由について考察なのである。
http://audiosharing.com/blog/?p=26922


ワグナーとオーディオ(マランツかマッキントッシュか・その9)
http://audiosharing.com/blog/?p=26926

五味先生はステレオサウンド 50号のオーディオ巡礼で、
森忠輝氏のリスニングルームを訪ねられている。
     *
森氏は次にもう一枚、クナッパーツブッシュのバイロイト録音のパルシファル≠かけてくれたが、もう私は陶然と聴き惚れるばかりだった。クナッパーツブッシュのワグナーは、フルトヴェングラーとともにワグネリアンには最高のものというのが定説だが、クナッパーツブッシュ最晩年の録音によるこのフィリップス盤はまことに厄介なレコードで、じつのところ拙宅でも余りうまく鳴ってくれない。空前絶後の演奏なのはわかるが、時々、マイクセッティングがわるいとしか思えぬ鳴り方をする個所がある。
 しかるに森家のオイロダイン≠ヘ、実況録音盤の人の咳払いや衣ずれの音などがバッフルの手前から奥にさざ波のようにひろがり、ひめやかなそんなざわめきの彼方に聖餐の動機≠ェ湧いてくる。好むと否とに関わりなくワグナー畢生の楽劇——バイロイトの舞台が、仄暗い照明で眼前に彷彿する。私は涙がこぼれそうになった。ひとりの青年が、苦心惨憺して、いま本当のワグナーを鳴らしているのだ。おそらく彼は本当に気に入ったワグナーのレコードを、本当の音で聴きたくてオイロダイン≠手に入れ苦労してきたのだろう。敢ていえば苦労はまだ足らぬ点があるかも知れない。それでも、これだけ見事なワグナーを私は他所では聴いたことがない。天井棧敷は、申すならふところのそう豊かでない観衆の行く所だが、一方、その道の通がかよう場所でもある。森氏は後者だろう。むつかしいパルシファル≠これだけ見事にひびかせ得るのは畢竟、はっきりしたワグナー象を彼は心の裡にもっているからだ。オイロダイン≠フ響きが如実にそれを語っている。私は感服した。あとで聞くと、この数日後アンプの真空管がとんだそうだが、四十九番あたりの聴くに耐えぬ音はそのせいだったのかも知れない。
 何にせよ、いいワグナーを聴かせてもらって有難う、心からそう告げ私は森家を辞したのである。彼の人となりについては気になる点がないではなかったが、帰路、私は満足だった。本当に久しぶりにいいワグナーを聴いたと思った。
     *
40号代のステレオサウンドには、森忠輝氏の連載が載っていた。
オイロダインとの出合い、アナログプレーヤー、アンプの選択と入手についての文章を読んでいた。

森忠輝氏のアンプはマランツのModel 7とModel 9である。
森忠輝氏の心の裡にあるワグナー像を描くには、
森忠輝氏にとってはマランツのアンプしかなかったのだろう。

けれど、忘れてならぬのは天井桟敷の俯瞰である、ということだ。

ここでひとつ五味先生に訊ねたいことがある。
森忠輝氏のオイロダインで、クナッパーツブッシュのパルシファルは、どこまで聴かれたのだろうか。
レコードの片面だけなのか、まさかとは思うが、五枚全面聴かれたのか。

森忠輝氏の音量は、かなり小さい、と書かれている。
小さいからこそマランツなのか、と思うし、
おそらく聴かれたのはレコード片面なのだろう──、とそんなことを考えている。
http://audiosharing.com/blog/?p=26926

ワグナーとオーディオ(マランツかマッキントッシュか・その10)
http://audiosharing.com/blog/?p=26932

ワグナーとオーディオというタイトルなのに、
書いていることはワグナーと五味康祐になっている。

五味先生とワグナーということで、
私と同世代、上の世代で熱心にステレオサウンドを読んできた人ならば、
2号での小林秀雄氏との音楽談義を思い出されるはずだ。

そこで五味先生は、いわれている。
     *
五味 ぼくは「トリスタンとイゾルデ」を聴いていたら、勃然と、立ってきたことがあるんでははぁん、官能というのはこれかと……戦後です。三十代ではじめて聴いた時です。フルトヴェングラーの全曲盤でしたけど。
     *
「勃然と、立ってきた」とは、男の生理のことである。
この五味先生の発言に対し、小林秀雄氏は「そんな挑発的ものじゃないよ。」と発言されている。

そうかもしれない、と考えるのが実のところ正しいのかもしれない。
それに音楽、音、オーディオについて語っているところに、
こういった性に直結する表現が出てくることを非常に嫌悪される人がいるのも知っている。

以前、ステレオサウンドで、菅野先生が射精という表現をされた。
このことに対して、
ステレオサウンドはオーディオのバイブルだから、そんな言葉を使わないでくれ、
そういう読者からの手紙が来たことがあった。

私の、このブログをオーディオのバイブルと思っている人はいないだろうから、
気にすることなく書いていくけれど、世の中にはそういう人がいるというのは事実である。

そういう人にとっては、
小林秀雄・五味康祐「音楽談義」での《勃然と、立ってきたことがある》は、
どうなんだろうか。

《勃然と、立ってきた》とはあるが、その後のことについては語られていない。
だから、かろうじて、そういう人にとっても許容できることなのだろうか。

三十代ではじめて聴いて《勃然と、立ってきた》とあるから、
タンノイのオートグラフ以前のことだ。

五味先生のところにオートグラフが届いたのは1964年である。
五味先生は42歳だった。
http://audiosharing.com/blog/?p=26932

ワグナーとオーディオ(マランツかマッキントッシュか・その11)
http://audiosharing.com/blog/?p=26979


「西方の音」に「少年モーツァルト」がある。
そこに、こうある。
     *
 私は小説家だから、文章を書く上で、読む時もまず何より文体にこだわる。当然なはなしだが、どれほどの評判作もその文体が気にくわねば私には読むに耐えない。作家は、四六時中おなじ状態で文章が書けるわけはなく、女を抱いた後でつづる文章も、惚れた女性を持つ作家の文章、時間の経過も忘れて書き耽っている文章、またはじめは渋滞していたのが興趣が乗り、夢中でペンを走らせる文章など、さまざまにあって当然だが、概して女と寝たあとの文章と、寝るまでの二様があるように思える。寝てからでは、どうしても文体に緻密さが欠けている。自他ともに、案外これは分るものだ。女性関係に放縦な状態でけっしてストイックなものが書けるわけはない。ライナー・マリア・リルケの『マルテの手記』や、総じて彼の詩作は、女性を拒否した勤勉な、もしくは病的な純粋さで至高のものを思わねばつづれぬものだろう、と思ったことがある。《神への方向》にリルケの文学はあるように思っていた。私はリルケを熟読した。そんなせいだろうか、女性との交渉をもったあとは、それがいかほど愛していた相手であれ、直後、ある己れへの不潔感を否めなかった。なんという俺は汚ない人間だろうと思う。
 どうやら私だけでなく、世の大方の男性は(少なくともわれわれの年代までに教育をうけた者は)女性との交渉後に、ある自己嫌悪、アンニュイ、嘔吐感、虚ろさを覚えるらしい。そういう自己への不潔感をきよめてくれる、もしくは立ち直らせてくれるのに、大そう効果のあるのがベートーヴェンの音楽ではなかろうか、と思ったことがある。
 音楽を文体にたとえれば、「ねばならぬ」がベートーヴェンで、「である」がバッハだと思った時期がある。ここに一つの物がある。一切の修辞を捨て、あると言いきるのがバッハで、あったのだったなぞいう下らん感情挿入で文体を流す手合いは論外として、あるとだけでは済ませぬ感情の盛り上がり、それを、あくまで「ある」でとどめるむずかしさは、文章を草してきて次第に私にも分ってきた。つまり、「ある」で済ませる人には、明治人に共通な或る精神の勁さを感じる。何々である、で結ぶ文体を偉ぶったように思うのは、多分思う方が弱くイジケているのだろうと。──なんにせよ、何々だった、なのだった、を乱用する作家を私は人間的に信用できなかった。
 シューベルトは、多分「だった」の作曲家ではなかろうかと私は思う。小林秀雄氏に、シューベルトの偉さを聞かされるまではそう思っていたのである。むろん近時、日本の通俗作家の「だった」の乱用と、シューベルトの感情挿入は別物だ。シューベルトの優しさは、だったで結べば文章がやさしくなると思う手合いとは無縁である。それでも、ベートーヴェンの「ねばならぬ」やバッハにくらべ、シューベルトは優しすぎると私には思えた。女を愛したとき、女を抱いたあとにシューベルトのやさしさで癒やされてはならぬと。
 われながら滑稽なドグマであったが、そういう音楽と文体の比喩を、本気で考えていた頃にもっとも扱いかねたのがモーツァルトだった。モーツァルトの音楽だけは、「ねばならぬ」でも「である」でもない。まして「だった」では手が届かない。モーツァルトだけは、もうどうしようもないものだ。彼も妻を持ち、すなわち妻と性行為はもったにきまっている。その残滓がまるでない。バッハは二人の夫人に二十人の子を産ませた。精力絶倫というべく、まさにそういう音楽である。ベートーヴェンは女房をもたなかったのはその音楽を聞けば分る。女房ももたず、作曲に没頭した芸術家だと思うから、その分だけベートーヴェンに人々は癒やされる。実はもてなかったといっても大して変りはないだろう。
     *
《ある己れへの不潔感》、《アンニュイ、嘔吐感、虚ろさ》、
そういったことをまったく感じない男がいる、ということも知っている。

そんな男にかぎって、ストイックな文章を書こうとしているのだから、
傍から見れば滑稽でしかない、とおもうことがある。

《概して女と寝たあとの文章と、寝るまでの二様があるように思える》とある。
ならば自己への不潔感を感じる者と、感じない者との二様がある、のだろう。

感じない者が大まじめに、ストイックな文章であろうとするのだから、
やはり、滑稽でしかない、と感じる。

ワグナーは、どちらだったのか。
http://audiosharing.com/blog/?p=26979


ワグナーとオーディオ(マランツかマッキントッシュか・その12)
http://audiosharing.com/blog/?p=26983

《何々である、で結ぶ文体を偉ぶったように思うのは、多分思う方が弱くイジケているのだろうと》
そう五味先生は書かれている。
私もそう思う。

いまでは「上から目線で……」と、すぐさま口にする人が増えてきたようだ。
「上から目線でいわれた」と感じる方が弱くてイジケているのだろう、と思う。

弱くてイジケている人は、上の人が自分がいまいるところまで降りてきてくれる、と思っているのか。
弱くてイジケている人は、自分よりも下にいると思っている人のところまで降りて行くのか。

上にいる者は、絶対に下に降りていってはダメだ、と菅野先生からいわれたことがある。
そう思っている。

下にいる人を蹴落とせ、とか、
上に上がってこようとしているのを拒む、とか、そういうことではない。
上にいる者は、目標としてしっかりと上にいるべきであり、
導くことこそ大事なことのはずだ。
http://audiosharing.com/blog/?p=26983

7. 2021年5月08日 10:12:40 : T9gTZXlDWQ : RkJTMjN0eVZLaE0=[18] 報告
「音楽&オーディオ」の小部屋
オーディオ効果の検証実験〜出力管「EL34」と「KT88」〜
2021年05月08日
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/f220fc3266da6768b2b84657b46dfd97


5か月ほど前に仲間から譲り受けた「EL34プッシュプル」アンプだが、ずっと「ウェストミンスター」(改)の低音域専用に使っている。

周知のとおり、真空管アンプには「シングル方式」と「プッシュプル方式」とがある。

知ったかぶりして深入りするのは「生兵法は怪我の元」なのだが(笑)、通説として、さらには自分の経験からも前者の良さは質感に優れた緻密な表現力にあるもののパワー感は望むべくもない、その一方「プッシュプル方式」は質感はイマイチだが「パワー感」に見るべきものがあるので、それぞれの長所をうまく引き出すように心がけている。

取説によるとこのアンプは「EL34」に加えて「KT88」も簡単なバイアス調整(メーター付きのネジ式)で使えるとのことなので、KT88をブログで公募したところメル友のKさん(横浜)からご厚意で(KT88の4本を)譲っていただいたのは先日のブログで記載したとおり。

これが「KT88」を装着した姿で、見るからに頼もしそうな面構え(笑)。

仲間の手を借りてバイアス調整しながら挿し代えたわけだが、今回は「EL34とKT88の音の違いは?」というのがテーマである。

仲間によると「KT88の方がグレードが一段とアップしてます。スピーカーに対するグリップ力というのか制動力が随分違いますよ。」と、一方的に「KT88」の方に軍配が上がった。

中、小型スピーカーの場合にはさほどでもないが、大型スピーカーともなると、アンプがスピーカーを制御している感覚はとても大切になる。非力なシングルアンプだと、とてもこうはいかない。

ただし「EL34」も悪くはないのだが、あくまでも「KT88」に比べればイマイチという話。

この「KT88」は新品同様だったとみえて、毎日使えば使うほどエージングが進み、音がこなれてきて風格が増している印象を受ける。

Kさん、改めてお礼申し上げます。

このアンプで駆動するウェストミンスター(改)の低音は、日頃辛口の仲間が「見事な低音ですね!」と感嘆されるほどで、ぜひ皆様に聴かせてあげたいくらいです〜(笑)。

https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/f220fc3266da6768b2b84657b46dfd97

8. 中川隆[-15079] koaQ7Jey 2021年11月27日 19:47:03 : hdSO61JJFU : amRXTUs4ZG00RnM=[32] 報告
EL34 を使った代表的なアンプ

1960年代から 1970年代に掛けて多数のオーディオ用アンプが出力管に EL34 を採用しました。代表的なアンプにまとめてあります。

1960年代から 1970年代に掛けて多数のオーディオ用アンプが出力管に EL34 を採用しました。

Dynaco Stereo 70
1958年発売。自己バイアスUL接続プッシュプル、7199 を用いた P-K分割型位相反転段。整流管は GZ34(5AR4)。出力35W + 35W。

Leak LT/25 Plus
自己バイアスUL接続プッシュプル、EF86 の初段、ECC81(12AT7)を用いたマラード型位相反転段。整流管は GZ34(5AR4)。出力28W。

marantz model 8
固定バイアスUL接続プッシュプル、6BH6 の初段、6CG7 を用いたマラード型位相反転段。ダイオードによる倍電圧整流。出力30W + 30W。

marantz model 8B
marantz 8 の改良版。出力が 35W + 35W になる。

marantz model 9
パラプッシュによる出力段。6DJ8 による増幅段、6DJ8 を用いたマラード型位相反転段、6CG7 のカソードフォロワ。ダイオードによる倍電圧整流。出力は UL接続時 70W + 70W、三極管接続時 40W + 40W。

TRIODE TRV-35SE
AB級プッシュプル。12AX7 の初段、12AU7 のドライバー段。45W + 45W。

UESUGI U-BROS-32MkII
三極管接続シングル。ECC83(12AX7) による初段。6.5W + 6.5W。

UESUGI U-BROS-30MkII
三極管接続プッシュプル。マラード型位相反転段。16W + 16W。

UESUGI U-BROS-33MkII
三極管接続パラプッシュ。マラード型位相反転段。30W。
http://el34.org/Products.html

雑誌掲載例

MJ無線と実験 2014年9月号(No.1099)
3結プッシュプルステレオ。岩村保雄氏設計。初段12AY7、P-K分割型位相反転段12AU7 を用い無帰還でまとめたオーソドックスな設計。自作初心者でも作りやすい。

出力トランスに染谷電子 A76-8K48P を採用。出力10.5W。

管球王国 Vol.5 2007年夏号?
プッシュプルステレオ。上杉佳朗氏設計。

ウェブ掲載製作例
ウェブでも EL34 を用いたアンプの製作記を書かれてる方がたくさん居ます。見つけたものをピックアップしました。Web製作例にまとめてあります。

その他コンテンツ
勝手に鑑定団
Web で見つかった EL34 の画像を勝手に鑑定します。鑑定結果の真偽はわかりません。
http://el34.org/

9. 中川隆[-15068] koaQ7Jey 2021年11月28日 13:43:53 : buDTBzriJk : RjBUa0dYTlkueS4=[9] 報告
シ ン グ ル 出 力
ステレオパワーアンプ
380,000 円(税抜)
U・BROS-32 MKU
http://www.uesugilab.co.jp/pdf/Uesugi_Catalog_UB30MKII_UB32MKII.pdf

●出力:6.5W+6.5W
●入力感度/インピーダンス
:600mV/約 90KΩ
●寸法/質量
:W312×H199×D223mm/約 14Kg

<U・BROS-32MKUについて>

このモデルはシングル・アンプ・ファンのために開発いたしました。 シングル・アンプは大きなパワーを得るためには不利ですが、プッシュプル・アンプのように波形合成をしないために、一部のオーディオ・マニアの間で強く支持されてい
ます。 過去において上杉研究所では、シングル・アンプ・ファンのために、そして300Bファンのために、 U・BROS-27というパワー・チューブに 300Bを使用したシングル・アンプを発売しておりました。

しかし、良質の300Bの入手が困難となったために、製造を中止することとなってしまいました。
その後継機が U・BROS-32だったのです。 そのようなわけで U・BROS-32では 300Bシングル・アンプを強く意識して誕生しており、私自身納得できるアンプに仕上がったと自負しております。

U・BROS-32MKUも同じ考え方で設計しております。

シングル・アンプの問題点は、前述のようにアウトプット・トランスのコアがプレート電流によって磁化され、優れた低域特
性を得ることが難しいことにありますが、優れた低域特性を得、 かつ高域特性に乱れがないというアウトプット・トランスを使用し、シングル・アンプの問題点を解消しております。

U・BROS-30MKUのように、パワー・ステージを3極管接続とすることも考えましたが、これでは長期の安定性と長寿命化を考えて余裕度の高い設計とした場合に、パワーが小さくなってしまいますので、U・BROS-32MKUでは、U・BROS-32と同じく、EL34をウルトラリニア接続としてパワー・チューブとしての優れた特性を得ています。

回路構成は、トップ・ステージが ECC83による 1段構成NFBアンプ、 ドライバー・ステージがECC83、パワー・ステージが EL34のウルトラリニア接続で、NFBはアウトプット・トランスの 2次側からドライバー・ステージのカソードに掛け、高安定性と高性能を両立させています。

電源部の特徴は、U・BROS-30MKUと同じです。 出力端子も、U・BROS-30MKUと同じく、4Ω、8Ω、16Ωの3系統を備えています。


<2 モデルのパワー・アンプに共通する特徴>

@使用真空管はすべて真空管全盛期に製造された優秀品

使用真空管は、米GE社製、JAN仕様フィリップスECG製、松下電器産業 K.K.電子管事業部製の特別仕様品、西独シーメンス社製、といったぐあいにすべて真空管全盛期に製造された優秀品で、これを上杉研究所特製のエージング・マシーンでエージング後、厳選して使用しています。 共産圏諸国で製造された真空管は一切使用していません。

したがって、 『共産圏諸国で製造された真空管はトラブルが多い』、といった定説はあてはまりません。

こういった現在入手することが困難な真空管全盛期に製造された優れた真空管の大量のストックは、上杉研究所の宝物です。 真空管式アンプにおいて、高性能と高信頼性を両立させるためには、優れた真空管の使用が前提となるか
らです。

Aパワー・チューブはすべて米 GE 社製 EL34を 使用して余裕度高く動作させています

私が知るかぎりにおいて、技術的な知識に乏しく、ヒアリング一辺倒のオーディオ・マニアの方達には、『木を見て森を見ず』、といった近視眼的な物の見方/考え方をする人が多いようです。 今では下火となりましたが、一時期の300B
の神格化された人気は、そういった方達が作ったものといっても決して誇張ではないでしょう。 パワー・チューブだけが良くても優れたパワー・アンプとすることはできません。 優れたパワー・チューブにバランスする優れたアウトプット・トラ
ンスをはじめとする各種構成パーツ、優れた回路設計、などが有機的に絡み合って、初めて優れたパワー・アンプが完成するのです。

米マランツ社が好んで使用したパワー・チューブはEL34でした。 米マランツ社のパワー・アンプのパワー・チューブが、すべてEL34であったことからも、いかにEL34を高く評価していたかがよくわかります。

上杉研究所も同じ考え方で、これまでの上杉研究所のパワー・アンプにはEL34を積極的に使用してきました。 EL34は非常に使いやすくて優れたパワー・チューブということで、大変ポピュラーとなってしまったために、300Bのような神格化された人気を得ることはできませんでしたが、オーディオを愛する知性/理性の優れた真のオーディオ・アンプのエンジニアであれば、EL34がいかに優れたパワー・チューブであるかがおわかりのことと思います。

米GE社製のEL34は、一般のEL34に比べてガラス管が太くなっていることからもわかりますように、同じEL34であっても最大定格が大きくなっています。 3モデルのパワー・アンプは最大定格の大きな米GE/EL34を余裕度高く動作させていますので、長期間にわたって安定した動作を示してくれます。 パワーを欲張らないゼイタクな設計です。

Bパワー・チューブの動作方式はセルフ・バイアスとして長期にわたる安定動作を実現

パワー・チューブの動作方式には大別して、セルフ・バイアス方式とフィックスド・バイアス方式の2種類があります。
大出力を得るにはフィックスド・バイアス方式の方が有利となります。 しかし、パワー・チューブの経年変化によって、バイアス電圧を補正してやる必要があります。 一方のセルフ・バイアス方式では、カソードにバイアス電圧を発生する抵
抗を設けているために、パワー・チューブの経年変化に対して、いつも最適バイアス電圧を保ってくれるというメリットがあります。 したがって、プロフェッショナル・ユースのパワー・アンプでは、セルフ・バイアス方式が好んで使用されてき
ました。MKUシリーズの 2 モデルのパワー・アンプでは、長期にわたっての安定動作を重視して、セルフ・バイアス方式を採用しています。 バイアス回路をパワー・チューブ1本ごとに独立させるというゼイタクな設計としています。


C徹底したシンプル化を図った回路設計

私も大学を卒業したばかりの若い頃は凝った複雑な回路を好んだ時期がありました。 NFB技術を駆使して各種物理特性を一挙に向上させるとか、パワー・チューブをカソード・フォロアー直結ドライブとしてハイ・パワーを得るといった設計は、そういった回路の好例です。 現在の私は、高級料理と同じく、腕に頼りすぎるのではなく、優れた素材を厳選して優れたアンプを設計することを心がけています。 こういった設計法はパーツ・コストが高くなることだけが欠点ですが、それはいたしかたありません。MKUシリーズのパワー・アンプでは、徹底したシンプル化を図った回路設計としています。 こういった回路設計法は安定性/信頼性の向上に結びつきます。


Dパワーを欲張らない設計

これまでの経験から真空管式パワー・アンプを愛用しておられる方のスピーカー・システムの出力音圧レベルは、90デシベル弱から上と考えてよいと思います。 スピーカー・システムとリスニング・ポイントまでの距離や、楽しむ音量によ
っても大きく異なってきますが、電源が強力であればアンプのパワーは10W もあれば十分といっても良いのではないかと考えています。

真空管式アンプとトランジスタ式アンプの聴感上のパワー感に関して、昔から3倍説というのがあります。 これは、真空管式で10Wのパワーはトランジスタ式の30Wのパワーに匹敵するという説です。 したがって、 U・BROS-30MKU、
U・BROS-32MKUの連続最大出力は、16W,6.5W,30Wに設定しています。 パワーを欲張らない控えめな動作として長命化を図っています。


ENFBは14デシベル

前述のように大変優れたアイエスオー製特注アウトプット・トランスを使用して、すこぶる安定に14デシベルのNFBを掛けて、みずみずしくて艶やかなサウンドを得ています。 低域安定度が高いことから、低域のトランジェントが優れており、エネルギッシュでパワフルなサウンドが得られています。

Fアウトプット・トランス付き真空管式パワー・アンプとは思えぬワイドな周波数レンジ

U・BROS-30MKUの周波数特性は、5Hz〜100KHz間が -1dB におさまっています。 それより下と上の帯域は、なだらかなカーブで減衰しています。 これは、優れたアウトプット・トランスとNFBの相乗効果によるものです。 容量
負荷をはじめとする外部負荷の安定性も抜群に高い値を示しています。 U・BROS-32MKUはプッシュプル動作ではなくシングル動作となっています。

シングル動作の場合、アウトプット・トランスのコアがプレート電流によって磁化されるという欠点がありますので、ワイドな周波数レンジは期待できませんが、それでも6Hz〜60KHz間が –3dB におさまっています。 これはアウトプット・トランス付きシングル・アンプとしては大変優秀な値です。


G優れたSN比

残留雑音は8Ω負荷にて、U・BROS-30MKUが 0.15mV以下、 U・BROS-32MKUが0.3mV以下で、残留雑音波形には高調波成分を一切含んでおりません。 したがって、スピーカー・システムにピッタリと耳をつけてもハム成
分を検知することができません。
高能率型スピーカー・システムを使っておられる方に自信を持っておすすめすることができます。



Hベテラン職人による美しい手作業配線

配線は配線歴40年のベテラン職人によるハンド・メイドとなっています。 シャーシ内部をご覧になれば、その美しい配線/芸術的な配線に驚かれることでしょう。 美しい音を求めているのですから、配線もその美しい音を象徴するかのごとく美しくあらねばならない、というのが私の持論です。

I強度補強と制振対策を施した堅牢なシャーシ

1.6ミリ厚SECC(ボンデ鋼板)を折り曲げ加工した後に、溶接部のすべてにハンダを流して研磨し、美しい四隅のアールを出すという、上杉研究所独自の入念なハンド・メイドとしております。
トランス類が重量級ですので堅牢なシャーシとし、さらに制振対策をかねた強度補強板を効果的に使用しています。

全体をメタリック塗装で仕上げ、ハンマートーンのトランス・ケースとの調和を大切にしています。 私は真空管式アンプが全盛期だった、昭和30年代の機能美を狙ったディザインが好きです。 2 モデルのパワー・アンプとも、私の好きなデ
ィザインでまとめてみました。


<最後に>
上杉研究所のアンプは、上杉佳郎のメーカーでのエンジニア歴44年の経験を活かして、真空管をはじめとするパーツに優秀品を使用し、真空管を十分な余裕度を持たせて動作させ、トラブルを発生させないことを前提として設計しております。 アンプは機械物ですから、トラブルをゼロとすることは無理ですが、トラブル発生率の少なさには自信を持っております。 安心して御使用下さい。

MKUシリーズのパワー・アンプで、甘美で、しなやかで、しっとりとした艶やかなサウンドをお楽しみ下さい。 品位が高く躍動感に富むプレイバックぶり、豊かな音楽的表現力、に関してもいささか自信を持っております。
(2008年12月/上杉 佳郎 記)

http://www.uesugilab.co.jp/pdf/Uesugi_Catalog_UB30MKII_UB32MKII.pdf

10. 2021年12月26日 10:41:03 : 2FqwPrinA6 : Q0dpUE44cnh0dGM=[4] 報告
✰ EL34プッシュプルアンプ

低音域専用として仲間から譲ってもらったアンプである。借りて使っているうちに情が湧いたという感じかな(笑)。

我が家では一番力持ちの「出力30ワット」クラスで、WE300Bなどのシングルアンプが数ワット程度だから「パワフル=レーゾン・デートル」といったところ。

たとえばウェストミンスター(100ヘル以下)を駆動するとまったく不満のない低音に恵まれるが、ややチカラ任せのところもあるようで・・(笑)。

これは余談になるがメーカーによると上級管の「KT88」も挿せるというので「EL34」を外して付けてみたところ、あえなくオーヴァー入力のせいで電源トランスが故障して取り換える破目に〜。

余計な出費にホトホト困った一幕だった。

つい最近では前段管の「12AU7」(ロシア製)からノイズが出てきて、4本まとめて取り換えてようやく落ち着いてきたところ。

今後の展望は「EL34」のロシア球を「テレフンケン」や「ムラード」の有名どころに代えて鳴らしてみることぐらいかな。

https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi

11. 中川隆[-14384] koaQ7Jey 2021年12月30日 14:28:54 : Px2cu61Sds : ektmNVFpdEpWdDI=[6] 報告
真空管アンプ基礎講座:「300B」「845」など代表的な出力管を知ろう
飯田有抄(真空管解説:岡田 章)
2021年12月30日
https://www.phileweb.com/review/column/202112/30/1462.html


真空管アンプの魅力といえば、球に灯がともる美しさ。そして、その球によって音が決まる要素が大きいという神秘であろう。ここでは、音の決め手として大きな要素となる真空管アンプの「出力管」に焦点を当てて、主要な球とその先祖のお話と歴史、またそれらの球から真空管アンプを選ぶ指標までを探ってみたい。“球博士”こと岡田 章さんを講師としてお迎えし、“真空管女子”の道まっしぐらのクラシック音楽ファシリテーター/音楽ライター・飯田有抄さんにレポートしていただこう。


■真空管を使えばシンプルなアンプができる

真空管のほのかな光や、薄いガラスの美しさ、どこか温かみのある響き。そうした魅力に、昨今また注目が寄せられている。筆者もその幻想的な佇まいに惹かれ、1年ほど前から真空管アンプを使用している。

真空管愛好家の岡田 章さんによれば、「管球式のアンプは、最小で2本の真空管とトランスを通って音を出せるので、ある種ダイレクトで歪みの少ない響きを楽しめます。そのシンプルで素直な音質が、音楽の心や温かさを伝えてくれると感じる人が多いようですね」とのこと。

今回は入門レベルの筆者でもよく分かるように、代表的な出力管とそれらのご先祖にあたる貴重なヴィンテージ管の歴史、そしてアンプの選び方まで、岡田さんにたっぷりと語ってもらった。その全貌をまとめてみよう。

■直熱型三極管:代表選手は「300B」

真空管にはさまざまな種類があることは、皆さんもよくご存知だろう。球の大きさも形もさまざまだ。まずは大きく2種類に分かれる。三極管と多極(四極・五極)管だ。

三極管はもっとも歴史が古く、「フィラメント」「プレート」「グリッド」という3つの電極から成る。フィラメントから出てプレートへ流れる電子の量を、グリッドが調整するという仕組み。現在も出力管として使用される代表的なものとして、岡田さんが教えてくれたのは「300B」「845」「211」「2A3」と呼ばれる4つの球だ。

三極管の基本構造

「300B」は、真空管アンプといえばだいたいこの形がイメージされるほど、広く知られる“憧れ”の球。比較的柔らかな響きが特徴的で、音楽ジャンルを問わず、真空管の良さを端的に味わうことができる。日頃からクラシック音楽を聴く筆者も、実は300Bの出力管アンプを使用しているが、ピアノソロからフルオーケストラまで、響きをつぶさに再現してくれて満足度が高い。癖がなく、どんな音源も安心して再生できる。

音の良い直熱三極管の代表。特にシングル動作では出力は8W程度とやや小さいが独特の真空管らしい柔らかく繊細で素直な音色が発揮される

「音楽をしっかり鑑賞したい人にとって、間違いのない球。音質の理想的な基盤として知るにはとてもいいですね。でも逆を言えば、真空管の世界を段階的に追求してみたいという人にとっては、いきなりアガリに到達してしまうので、“これ以上”を求めようとすると難しい。コストが100倍くらいかかってしまいます(笑)」と岡田さん。

なるほど、考え方によってはいきなりゴールに到達してしまうので、管球ワールドそのものをじわじわと探訪したい人には、先々のお楽しみ・目標地点としても良いかもしれない。音楽ソースの情報を間違いのない安心クオリティで楽しむことを狙いとするなら、お薦めできる出力管だ。

ウェスタン・エレクトリックが1930年代初頭からWE211Dに替わる自社のトーキー劇場用アンプ(WE86A)の出力管として開発したWE300Aの改良管。内輪な動作の方が音は澄んで良い(編集部注:2018年よりカンザスシティに新工場が設立され、再生産もスタートしている)

■軍事用から劇場用へ。安定した300Bの安定した品質が評価される

なぜ300Bはそこまで安定感があるのだろう。実はこの球のご先祖は、ウェスタン・エレクトリック社が1917年に製造した「VT-2」という球だ。これは軍事用に力を入れて開発されたもので、飛行機からの無線通信や音声増幅のために用いられたものである。軍用だからコストに糸目はつけられなかった。プラチナを使用した大変高価なものだった。岡田さん所有の実物を見せてもらったが、現在の300Bよりも丸くて小さく、可愛らしい形をしている。

1917年、第一次世界大戦末期の米軍用として開発された元祖出力管。WE-300A/Bの先祖。航空機の無線通信機の発振(5W)・変調に使った

第一次大戦後、1920年代にはラジオ放送が開始し、1930年代には劇場でトーキー映画が流行した。また時を同じくしてSPレコードの電気吹き込みも可能になった。ウェスタン・エレトリックはVT-2を土台とし、オーディオ専用の球を総力をあげて開発。それがWE-300A/300Bという球となった。ウェスタン・エレクトリック社の英国系の会社STCは、「4300B」という300Bと見た目もそっくりな球を作った。またRCAでは1920年代末にナス型の「UX-250」を製造し、電蓄や業務用に使用されるようになった。

1930年代半ばにトーキー映画の劇場用として開発されたWE-300Aを改良したWE-300Bの英国STC版。WE-300Bと同様、1970年代まで一般には市販されなかった
1929年、低周波(オーディオ)専用として米国Westinhouse社で理論的に設計された最初の出力管(シングル4.6W、プッシュプル12W)。フィラメント電圧(7.5V)はVT-2の名残

このように、まずは軍備品として誕生し、そして映画・ラジオ・レコードといったエンターテインメント産業の隆盛とともにあった300B系の真空管は、安定した高いクオリティで作り続けられたのだった。

■パワフルな送信管系三極管、「845」と「211」

さて、300Bとともに出力管として活躍している三極管に「845」と「211」がある。姿形は300Bよりも大きく、フィラメントの材質が異なるため、かなり明るく光を放ち、音質もパワフルだ。845も211も見た目はそっくりだが、どちらかといえば211は無線用として米軍で大量に使用されていた。

211をオーディオ用に改良したのが845である。845は1000V近い電圧が必要になるため、扱いは易しくないが、三極管でそれだけのパワーを持つ球は他にない。もともとは放送局で使用されていたが、現代はオーディオ用として普及している。岡田さんによれば、211の方が歪みの少ない素直な音として感じられる場合があるそうだ。

煌々と輝くトリエーテッドタングステンフィラメントが特徴。使用には高度の技術が必要だが、直線性が素晴らしくシングルで最大30Wも得られる

この2本の真空管のご先祖にあたるのが1918年頃に作られた「CW-1818」という球で、元祖中型出力管として地上無線局で使用されていた。

1918年、ウェスタン・エレクトリック直熱型三極管VT-4、WE-211A。元祖中型出力管(750V、50W級)、地上無線局の出力・変調用。後のVT-4C/211(GE)、UV-845(RCA)の直系の先祖(フィラメント電圧10V、ベースが同じ)

三極管ではもうひとつ、「2A3」という球もよく知られている。こちらも300Bと同時期に誕生したが、比較的安価で、電蓄やラジオに使用されてきた。RCAが最後に手がけた三極管である。300Bに比べれば、多少高音域が出しにくいとのこと。

RCA系の音の良い直熱型三極管の代表。シングルで3.5W、プッシュプルで15Wが得られ、フィラメント電圧は2.5Vと低く、交流点火でもハムが出にくい
https://www.phileweb.com/review/column/202112/30/1462.html

■多極管:より高能率なビーム管、五極管
https://www.phileweb.com/review/column/202112/30/1462_2.html

さて、シンプルな構造の三極管に次いで後から登場してきたのが四極管や五極管といった多極管である。現代のアンプで活躍している代表的なものにはビーム管「KT88」と五極管「EL34」がある。

英国系キンクレス四極管(KT)シリーズのビーム管。米国系ビーム管に比較し、豪快さに加え、伝統の渋みが特徴。現行管のペア精度は高い

ビーム管は、四極管にビーム形成電極を加えて、電子の流れをビーム状に集め効率をあげた球。イギリス生まれのKT88はその代表的なもので、見た目は太くて音質も元気。マッキントッシュなどアメリカのゴージャスなアンプで使用し、それをJBLのスピーカーと組み合わせるのはまさに王道。出力を強めたKT90、KT120、KT150などがあり、現在はロシア等で製造されている。出力がKT88の半分程度の「6L6-GC」も有名。

2010年頃にロシアのTUNG-SOLブランドが発表したプレート損失60Wに耐えるように設計されたKT88系の増強版。音色は英国KT88を踏襲
2013年末に発表されたKT88系のプレート損失70Wの高出力管。斬新な縦長の卵型バルブと電極構造で、ビーム管特有の低出力時の歪みも改善

KT88のご先祖にあたるのは、なんと黒い金属製真空容器に収まった元祖6L6。岡田さんに見せてもらったが、ひんやり冷たくずっしり重い。劇場での連続使用に開発されたのが1622。これらは1930年代半ばに誕生している。この系統は当初からパワフルで高能率、大出力なのだ。

RCAが開発したオリジナルビーム管の直系で、豊かでパワフルな音色で、プッシュプルで最大55Wだが、ウルトラリニア接続など30W以下を推奨
1930年代半ばに開発されたビーム管(四極管)の元祖6L6の劇場用連続使用管。高効率、大出力、金属製真空容器が特徴。のちに同一電気特性でパワーアップした5881や6L6-GC、2倍容量の6550及びその英国版KT88も製造された

五極管は、三極管よりも2枚多くのグリッドを持ち、安定した電流特性を得られる球である。その最終型と言えるのがEL34だ。こちらも劇場用やモニター用に改良が重ねられ、その後オーディオメーカーが製造を続けてきた。やはりこちらもパワフルで高性能。ご先祖にあたるのは、オランダのPhilipsやドイツで1940年代末に開発されたEL60である。9本のピンを持った脚が特徴的。

欧州系5極出力管の最終形となった高性能管。プッシュプルでは歪みが少なく正確でクリアな音色が特徴。優れた構造設計によりばらつきが少ない
1926年にドイツPhilipsが発明した五極管の直系となる五極出力管で、1940年代末に電子の流れをもとに設計された高性能管。五極出力管の最終形となるEL34の先祖。9ピンロクタル管で、多用途に使用するためG3が別に引き出されていた。それをEL 34も踏襲している

多極真空管には他にもラジオ等でも使用される「6BQ5」や、テレビ用あるいは自作派の入門用として安価に売られた「6BM8」などが誕生するが、真空管の開発は1960年初頭には一旦終わりを迎えた。60年代には33回転のLPレコード、ステレオ録音が登場し、時代はトランジスタへと移行して、さらにハイファイを目指すようになっていったのだ。

EL34と同じ頃に同一思想でEL34のほぼ2分の1の出力管として設計され、音質傾向も似ていることが特徴。6BQ5は米国名。欧州、米国、日本で大量に製造された改良品も多い
ヨーロッパ設計のTV用で、1960年頃に開発・市販され、米国、日本でも多用された電圧増幅用三極管と小出力五極を一緒にした複合MT管。その後オーディオ用の小出力用としての適性が認められ、1970年頃には、日本の自作派の入門用として知られるようになった

■球とアンプ選びのポイント

さて、代表的な球と歴史が分かったところで、実際に球やアンプを選ぶ際のポイントについてもまとめてみよう。

Point1.生産国による球の特徴

例えば同じ300Bの球でも、メーカーによって音の特徴が異なる。岡田さんによると、生産国別にも特徴があり、ロシアはバランスがよく忠実な音質、比較的安価。チェコは豊かな響きを実現する。中国は高音域が得意で綺麗に鳴らす。アメリカは迫力のあるサウンドが得意とのことだ。

Point2.シングルアンプかプッシュプルアンプか

アンプにはシングル/プッシュプルの形式がある。シングルアンプは、出力管が2本ついており、ステレオのLとRに1本ずつ。出力は小さいが、小さな音から大きな音まで、素直で繊細な響きを生むことがメリット。出力は小さいため、高能率型スピーカーの方が好相性と言われるが、リスニング環境が甚大でなければ十分。

真空管とアンプの回路方式の組み合わせ。それぞれの球の特質を生かし、三極管はシングルアンプに、多極管はプッシュプルアンプに採用する傾向がある。しかし近年は、三極管を使った先進設計の大出力アンプも見られる

一方、プッシュプルアンプはLとRでそれぞれ2本ずつ使用。2つの増幅回路を逆方向につないで歪みを打ち消す仕組みを持っている。ただしバランスが崩れると逆に歪みの原因となるため、設計力が問われる。出力が大きくとれるため、現代の低能率型スピーカーも鳴らしやすい。多極管を使う場合は、プッシュプルによってその性能がより良く引き出される。

Point3.出力トランスとの相性

アンプには出力トランスと電源トランスという大きく重い箱がついているが、出力トランスと球の相性はもっとも大切で、音質の大きな決め手になるそうだ。鉄製のコアに、コイルが巻きつけられている仕組みだが、コアの素材や、コイルの巻き方によって音質が異なる。アンプビルダーによって球に合わせた設計がなされている。現代のアンプは、2Hz〜20kHzの幅位広い帯域に対応できる設計だ。

球の差し替えやヴィンテージ管は要注意

トランスとの組み合わせは非常に重要なので、球を差し替えたい場合は念のためメーカーに確認するのが安心だ。基本的に同じ名前の真空管であれば差し替えは可能だが、同じ300Bでも出力に改良が加えられたものもあるという。場合によっては真空管の寿命が縮まったり、トランスが焼けてしまうこともあるので要注意。

その意味で、ヴィンテージ管には簡単には手を出さない方が賢明だ。この取材で貴重なヴィンテージ管を見せてくれた岡田さんだが、それぞれ寿命が不明であること、プッシュプルアンプではバランスがとりにくいことなどから、現行品を使うことが最善だと教えてくれた。

最終的には、自分がどんな目的で、どんな好みで使用したいのか、自分の耳で判断することが一番大切だと岡田さんは言う。
https://www.phileweb.com/review/column/202112/30/1462_2.html


■試聴で音の違いを体験! 三極管の艶やかさと多極管の余裕
https://www.phileweb.com/review/column/202112/30/1462_3.html

実際に球とアンプ形式の違いを音で確認してみた。使用したスピーカーは、 低能率型84dB(ソナス・ファベール「Lumina I」)と、高能率型93dB(クリプシュ「R-51M」)の2種類。

低能率タイプのスピーカー
Sonusfaber「Lumina T」能率:84dB(価格:108,900円/ペア税込)
高能率タイプのスピーカー
Klipsch「R-51M」能率:93dB(価格:39,800円/ペア税込)

アンプは出力管に多極管6BQ5のシングルアンプ(トライオード「Ruby」/出力3W)、300B使用のシングルアンプ(トライオード「TRV-A300XR」/出力8W)、そして多極管KT88のプッシュプルアンプ(トライオード「TRV-88SER」/出力35W)の3種類である。試聴した音源はコダーイ作曲の「ハーリ・ヤーノシュ」組曲第4曲「合戦とナポレオンの敗北」で、打楽器や金管楽器の活躍する華やかなオーケストラ作品である。


【低能率型スピーカー+6BQ5】(Lumina I+Ruby)
一番軽やかな組み合わせ。晴朗でクリアな響きが思いのほか心地よい。若干低音の弱さと、高音のシャンシャンするような響きは気になった。

【低能率型スピーカー+300B】(Lumina I+TRV-A300XR)
低音がグッと感じられ、全体的に太く滑らかな印象。音場が一気に広がった。

【低能率型スピーカー+KT88】(Lumina I+TRV-88SER)
金管楽器の華やかさなど、全体的に作品の派手なキャラクターが生きる。ひとつひとつの音の輪郭がはっきりするような印象で、定位がクリアになった。300Bアンプと比べると余裕はあるが、音質のテクスチュアはやや大味な印象に。

「三極管アンプ、シングルアンプは出力が小さいといっても、ひ弱に聴こえるわけではありませんね」

【高能率型スピーカー+6BQ5】(R-51M+Ruby)
スピーカーの違いがはっきりと分かった。金管楽器やタンバリンの響きが鮮やかに。やはり低音にやや物足りなさを感じたが、気分転換に音楽を聴くには申し分のない音質。
【高能率型スピーカー+300B】(R-51M+TRV-A300XR)
楽器ごとの音色の違いが鮮やか。特に木管楽器と金管楽器のキャラクターの違いが見事に再現される。エレガントで立体感に溢れ、音楽鑑賞として楽しい時間が過ごせる。
【高能率型スピーカー+KT88】】(R-51M+TRV-88SER)
能率の低いスピーカーよりも余裕が出たため、耳に刺さるような強さではなく、ふくよかで豊かな音になった。太く派手なキャラクターは変わりなく、明るく強めの響きが好きな人にはたまらないだろう。

高能率型スピーカーと組み合わせると、音がラクに鳴る印象

奥深く魅力満載の真空管の世界。まずはご自分の耳と感性で、好みのものを選んでみてはいかがだろうか。

本記事は『季刊・analog vol.73』からの転載です。

https://www.phileweb.com/review/column/202112/30/1462_3.html

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