★阿修羅♪ > SHO gnKCZ4Ju > 100000
 
g検索 gnKCZ4Ju   g検索 cVuKYKDVsuOXM
 
SHO gnKCZ4Ju コメント履歴 No: 100000
http://www.asyura2.com/acpn/g/gn/gnk/gnKCZ4Ju/100000.html
[ペンネーム登録待ち板7] <エビデンスのない話@医者の喜び> SHO
1. SHO[1] gnKCZ4Ju 2017年3月30日 10:32:57 : 34fRTdsx58 : Czfsf2GtjCY[1]
投稿規定を拝見しました。
http://www.asyura2.com/13/nametoroku7/msg/656.html#c1
[ペンネーム登録待ち板7] <エビデンスのない話@医者の喜び> SHO
3. SHO[2] gnKCZ4Ju 2017年3月30日 13:18:15 : 34fRTdsx58 : Czfsf2GtjCY[2]
ありがとうございました。
http://www.asyura2.com/13/nametoroku7/msg/656.html#c3
[医療崩壊5] <エビデンスのない話@医者の喜び>
■外科医の盲点
医者の喜びとは患者が治ることである。即ち目の前の患者が笑顔で医者のもとを去っていくことだ。これは専門科を問わず、あるいは勤務医、開業医の別なく、何ら変わることがない。その喜びを得るため、これまで整形外科領域においても数多くの目覚しい業績があげられてきた。学術集会では幾多の有益な報告が行われてきたし、今後もそうであるだろう。それらの蓄積が整形外科の発展を通じて大勢の患者の健康に寄与することは全く疑いのないことだ。しかしながら、その集会は、あくまでメスを握る外科医の集いであり、そこで行われる報告も外科医の目線を中心としているため、そこにはいくばくかの盲点がある。

■原因と結果
何事であれ物事には原因と結果がある。当然、病気に関しても原因と結果があり、個々の過程がある。人間の肉体は自然治癒力と呼ばれる神聖な力の働きによって病から立ち直ることができるが、その力の働きが何らかの理由で損なわれたとき、病は重症化し、医者の手助けを必要とするようになる。それが胸腹部疾患の場合、内科と外科、それぞれ専門領域が分かれてはいるものの、それは病気自体が別ものというわけではなく、それを診る病期と治療のアプローチが各々異なるだけである。同じ病気であっても、その初期であれば、内科医が適切にコントロールするだけで病は快方に向かう。そして、内科的なコントロールが困難と判断されたとき、外科医の手が必要になるだけだ。胃潰瘍という病気がその好例である。潰瘍が初期であれば内服薬による治療が可能だが、穿孔してしまえば外科医の治療が必要になるという具合だ。

■整形内科医の不在
この意味では、わが国の場合、整形外科医は外科医であると同時に内科医でもあるわけだ。しかし、一般病院に勤務する整形外科医は多忙を極め、外来で行われるその主な仕事は手術その他の侵襲的治療を要する症例と、そうでない症例との峻別で、専ら外科医として機能することが優先される。そのため、患者は症状の軽重で分別され、治療の対象としても、また研究の対象としても、軽症患者が切り捨てられるという現象が生まれている。開業してメスを握ることのなくなった医者こそが整形内科医といえるかもしれないが、多くの開業医は、もはや学会発表への意欲を失っており、整形内科領域を追究してのける医者は外科手術領域に比較して、はなはだ少ないのが現状である。

■病期の相違
しかしながら、先にも述べた通り、外科医の扱う病と内科医の扱うそれとの違いは病期の違いだけである。つまり、軽症患者の訴えの中にこそ、病状の主たる要因が潜んでいるのであり、そこで適切な治療を施すことができさえすれば、多くの患者は侵襲的治療である手術を必要とせずに済むのである。外科医の本能として、治療が手術中心に傾くのは仕方のないことであるとしても、患者本人は誰であれ、はじめから手術を希望しているわけではない。手術以外の治療に絶望せざるを得ないから手術を選択するだけの話である。ところが、軽症患者が軽んぜられた結果、整形外科領域は、起こってしまった結果の評価方法と、その治療に関しては発展を遂げたが、原因に関する考察においては放置されてしまった感が否めない。ゆえに、侵襲的治療にいたる以前の慢性疾患患者を救うことができないばかりか、患者の「何故そうなったか」という疑問に対しても、せいぜい、歳のせいだとか、使い過ぎだとかいった、まことに非科学的な説明でお茶を濁すことしかできず、余り深くは顧みられないのである。

■外反母趾という難病
実際、外来における軽症患者の原因は、よくわからないことが多い。その最たるものが外反母趾だ。ありふれているにもかかわらず、はっきりとした原因を示すことができない。正書には先細りの靴を履くことが原因であるかのごとく記載されているが、実際には靴を変えてみても病状の進行を止められない場合が多い。手術までは必要でないが、さりとて病状が進行しつつあるのは間違いない症例に対し、専門家であるはずの整形外科医が本当に有用な助言を行うことができずにいるのである。

■決め手にならないエビデンス
さて、西洋からもたらされた科学においては、その見解がどのようであれ相応のエビデンスが求められる。エビデンスとは科学的根拠であり、しかるべき手続きを踏襲した上でもたらされた学術報告である。そこに要求されるのは客観性であり、統計学的なデータである。ところが、統計には作為的な要素の入り込む余地もはなはだ多く、結論に関しては妥当性を欠く場合も少なくない。実際、科学のもたらす見解は、よくよく見れば、五年十年を待つことなくコロコロとその主張を変えており、エビデンスがあるからといって、その見解が真実であるとも限らないし、エビデンスがないからといって、その見解が間違っているという証にもならない。
ここでは、これまで顧みられることの乏しかった整形“内科”領域の代表的な慢性疾患に関する病因について、エビデンスには乏しくとも、町医者の素朴な実感に基づいた得手勝手な考察を試みることにする。それが医者の喜びに寄与することを期待しつつ。


http://www.asyura2.com/16/iryo5/msg/584.html

[医療崩壊5] <エビデンスのない話A膝痛の原因>
■加齢や反復性の負荷が慢性疾患の原因なのか
変形性関節症や腰椎椎間板ヘルニアは慢性疾患の形態をとる。このため、人工関節やヘルニア摘出術といった外科的治療は主に病期の後半、そのエンド・ステージで行われることになるが、それらには必ずそこにいたるプロセスが存在する。この過程の中にこそ原因が潜んでいるのだが、多くは加齢現象や力学的な反復性の負荷が原因として片付けられてしまっている。

■筋肉の弛緩不全という概念
しかし、町医者の素朴な実感からいえば、それは違う。結論を急ぐようだが、自己免疫疾患や遺伝性疾患を除いた整形外科領域における慢性疾患の大部分は、特定筋肉における、必要にして十分な柔軟性と伸展の得られない慢性的な弛緩不全(Disorders of muscle relaxation)というべき状態が直接的な原因で起こっていると推論される。疾患名が異なるのは、原因となっている筋肉(本稿ではこれをキー・マッスルと呼ぶ)の相違や発症する年齢の相違、あるいは病期の相違のゆえである。そして、筋肉の弛緩不全をもたらす要因が各々個別に分かれているに過ぎない。このように考えれば、高齢者の慢性疾患も小児期のスポーツ障害も、ほぼ一元的に理解され得るばかりか、原因となっている筋肉を特定し、当該部位が弛緩にいたる適切な処置を施すことができさえすれば、たちどころに症状は快方に向かうのである。場合によっては外来における数分程度のやりとりだけで、何ら薬剤を用いることなく治ってしまうのだ。

■オスグッド病の病態生理
具体的に症例を考えてみよう。大腿四頭筋の弛緩不全があった場合、膝周囲では力学的に膝蓋骨及び脛骨側の筋腱付着部に持続的な張力が加わることになる。この牽引負荷が構造強度の閾値を越えて若年者の膝に作用した場合、脛骨側の膝蓋腱付着部は成長軟骨であるため、その臨床像は骨軟骨炎を呈し、オスグッド病となる。正書においては、オスグッド病は脛骨粗面にかかる反復性の牽引負荷が原因ということになっているが、そればかりではない。鍛錬によって筋力を増した大腿四頭筋の弛緩不全に伴う慢性的な筋緊張が背景となって引き起こされている症状なのだ。ゆえに、スポーツ活動で生じたそれに対し、患者に少々の休息を促しても良くはならない。仮に休息するよう勧めてみたところで、症状が悪化して歩行に支障を来すようでなければ、患者はスポーツ活動を止めたりはしない。このため、多くの場合、骨端線の閉鎖するまで脛骨粗面における変形は進行し続けることになる。ところが、大腿四頭筋に弛緩を導くだけで、変形それ自体が治癒するわけではないものの、その症状はたちどころに快方に向かう場合があるのだ。

■棚障害と半月板損傷
また、青年期に入って骨格が完成してからは、大腿四頭筋の弛緩不全は、たな障害の原因ともなり得る。なぜなら、筋腱付着部にかかる張力は膝蓋大腿関節にかかる軸圧としても作用するため、高じた軸圧負荷は関節にかかる摩擦力を増大させて滑膜炎を引き起こすからだ。この炎症によって肥厚した滑膜が、たな障害の原因というわけである。そして勿論、その牽引負荷は膝関節でも軸圧として作用する。これにより、スポーツ活動時には半月板にかかる負担が大きくなって半月板損傷を来たしやすくなるのである。のみならず、関節面における軸圧負荷が長期持続すれば、Wolffの法則にしたがって関節は軸圧を強く受ける部位で変形を来たすようになる。中高年にもなれば、特別なスポーツ活動をしていないのに半月板の変性断裂を来たすようになるのは、こうした理由によると考えられるのだ。よって、関節水腫もまた、関節にかかる過大な軸圧負荷によって関節表面での摩擦力が高じた結果、軟骨組織の摩耗粉が増量し、これに伴う滑膜の反応として生じるものだといえるだろう。

■変形性膝関節症に適した治療とは
実際、筋肉の弛緩不全を原因とする膝痛を抱えながら、レ線上、目立った変化のない状態で整形外科を受診する患者は多い。だが、その多くは手術を要する段階ではないために、消炎鎮痛剤の処方や、ヒアルロン酸の関節腔内注射といった治療が選択されるだけで終わってしまうのが通例である。しかしながら、この段階であっても、否、この段階だからこそ、膝関節をまたいで、これに軸圧として作用する筋肉群の弛緩を導くことができさえすれば、将来の変形性関節症を未然に防ぐことができるのではないだろうか。にもかかわらず、整形外科医がそれを怠ることで、最終的に立派な変形性関節症のエンド・ステージができあがってしまうと考えられる。なぜなら、当面の痛みがなくなったからといって、そこにある弛緩不全が解消されたわけではないからだ。そして、そうした整形外科医の怠慢から患者を救っているのが代替医療なのかもしれない。確かに、代替医療では医師の目から見て不適切な処置が施されてしまうケースも少なくない。しかし、筋肉の弛緩を得るテクニックに関しては、寧ろ彼らの側にこそ、我々整形外科医が学ぶべき知恵が隠されているかもしれないのだ。

■大腿四頭筋訓練はナンセンス
さて、日本整形外科学会は変形性膝関節症予防に大腿四頭筋の筋力向上を掲げ、訓練と称してスクワットを推奨しているが、筋肉の慢性弛緩不全が原因ならばナンセンスだという見方ができなくもない。実際、患者はスクワットは勿論、健康目的に自ら課した歩行習慣が原因で膝痛を患い、外来を受診するのである。確かに、大腿四頭筋訓練が奏功する場合はあるが、それはしかし、筋力増強に伴う効果ではなく、後述する別の理由によるものではないだろうか。

http://www.asyura2.com/16/iryo5/msg/585.html

[医療崩壊5] <エビデンスのない話3腰痛の原因>
■筋筋膜性腰痛症の原因
腰痛の原因としてもっとも多いのは筋筋膜性腰痛症である。そして、それを漠然と腰部固有背筋由来の症状だと考えている整形外科医は少なくない。だが、町医者の素朴な実感から言えば、腰痛の原因となっているのは腸腰筋の弛緩不全である。確かに、圧迫骨折などの外傷を契機とする腰痛であれば固有背筋由来の症状を考えてもよいだろう。しかし、そのような場合を除くと、たとえ固有背筋に痛みを伴っていたとしても、それは腸腰筋が弛緩不全を呈した結果、二次的に症状を患ったものである場合が多いといえる。

■腸腰筋の弛緩不全
腸腰筋は、主に腰椎肋骨突起から起こる大腰筋と腸骨内面から起こる腸骨筋とから成り、鼠径靭帯の下にある筋裂孔を通り、内股にある大腿骨の小転子に停止する。その作用は股関節の屈曲であり、姿勢保持においては骨盤の前傾に関わる。また、それはインナーマッスルとしての性格上、その異常が見過ごされ易い上、日常生活においては、そこにストレッチの役割を果たす動作や姿勢が著しく不足しがちであるという特質を有している。
通常、腰痛の原因として整形外科医の治療を要するのは、腰椎椎間板ヘルニアや変形性腰椎症、脊柱管狭窄症などであるが、それらはいずれも慢性疾患であり、そこに至る過程が存在するのだ。そして、そこに難治化をもたらす要因が、この腸腰筋の弛緩不全だと考えられるのである。

■腰椎関連疾患の病態生理
腸腰筋が痛みを生むメカニズムを考察してみよう。腸腰筋の弛緩不全は、骨格における同筋付着部両端に牽引力として作用するため、その作用点で炎症を来たすだけでも痛みを誘発することになるだろう。特に大腰筋由来の張力は、力学的には腰椎に対し、軸圧として作用するだけでなく、腰椎全体を前下方に引き下ろす力としても働く。このため、成長過程にある若年期の骨格にその力が作用すると、椎弓にかかる負担が増大し、同部に疲労骨折を招来する原因となり得る。また、この疲労骨折が癒合不全に陥れば立派な分離症ができあがるというわけだ。この過程で生じる同部の炎症が痛みを生ぜしめるのである。
さらに、高じた軸圧は椎間板内圧を上昇させるため、線維輪を内側から外側に押し広げ、痛みを誘発することになる。椎間板は線維輪と呼ばれるドーナツ・タイヤ状の組織の中心に、弾力性に富んだ髄核と呼ばれる丸いゴムボールがはまり込んだ様な形状をしており、そこにかかる軸圧は、このボールを押し潰してタイヤを外側に押し広げる力として働くわけだ。ゆえに、構造強度の閾値を越えた軸圧がそこに作用すると、若年者では椎間板の線維輪に変性が少ないので、同部の断裂を来す前に椎体終板の破綻を招いてシュモール結節を呈したり、成長軟骨の破綻から隅角解離を呈したりすることになる。そして勿論、腸腰筋それ自体が筋挫傷や筋筋膜性疼痛症候群に陥って痛みを生じる場合もあるに違いない。実際、SLRTでは、下肢拳上時ではなく、その下降時に痛みを生じる場合があるが、これは腸腰筋に伸展負荷が加わるために起こる現象といえるだろう。

■腰椎椎間板ヘルニアと変形性腰椎症の病態生理
この段階以降、適切なメンテナンスを施すことなく腸腰筋の弛緩不全が持続すると、青壮年期に入っても椎間板に軸圧が加わり続けることになる。腰椎にかかる軸圧は椎間板を押し潰し、その膨隆を促すので、膨隆した椎間板が神経根を刺激することで椎間板ヘルニア様の下肢症状を呈する場合も考えられる。この時点で腸腰筋に弛緩を導くことができれば治癒することも期待できるが、弛緩不全が持続すれば、ついには線維輪の変性から断裂を来すことになる。これが椎間板ヘルニアの前病変というわけである。
仮に線維輪の断裂が起きなかったとしても、数十年にわたって継続する軸圧負荷は椎間板の変性を促し、また、Wolffの法則に従って加重部分で骨棘を形成するようになる。これが変形性腰椎症であり、それらは腸腰筋の慢性弛緩不全が招いた形態的な結果に過ぎず、腰痛の直接原因ではない。それはすべり症にしたところで同じことだ。ただ、その変形が脊柱管を狭窄せしめるならば、それが腰痛や下肢痛の原因となってしまう場合はあるだろう。即ち結果が原因となってしまうわけである。そして、そのようにして生じた痛みが、疼痛部位にさらなる弛緩不全を誘発し、新たな病態を生じる原因ともなり得ることだろう。

■弛緩不全という概念が多様な疾患を一元的に解釈し得る
つまり、腰痛の原因と呼ばれる代表的な疾患は、おしなべて腸腰筋の弛緩不全に由来していたと考えられ、疾患の多様性は発症年齢や病期の相違など、個別の要素に依存するだけの話だといえそうだ。
変形性膝関節症も変形性腰椎症も、変形それ自体は膝痛や腰痛の原因などではなく、形態的な結果に過ぎない。本当の原因は特定筋肉の慢性弛緩不全として、一元的に解釈できるのである。

http://www.asyura2.com/16/iryo5/msg/589.html

[医療崩壊5] <エビデンスのない話C弛緩不全の種類>
■疲労性の弛緩不全
筋肉の機能不全をもたらす原因は、大別して筋原性と神経原性に分けることができるだろう。そこで、整形外科領域で扱う疾患のうち、特殊な遺伝性疾患を除くと、筋原性の機能不全の原因の一つとしては反復性の過剰刺激、即ち、使いすぎで生じる疲労性の弛緩不全を挙げることができるかも知れない。
例えば、サッカー少年には分離症が多いといわれるが、この競技においては大腿の挙上を頻繁に繰り返すので、疲労性の弛緩不全が腸腰筋に生じ易いと考えられる。さらに、旺盛な回復力によって腸腰筋筋力それ自体が強化された結果、その弛緩不全が骨格に対する持続的な牽引力となって作用することで、骨盤の前傾及び腰椎前彎が増強する。そのため、伸び上がり動作では同筋による牽引力が過大となり、それが反復することで、ついには疲労骨折を来たすほどに椎弓にかかる負担も大きくなると考えられるのだ。この場合の腸腰筋に起こる弛緩不全は過緊張性の弛緩不全ということができる。

■廃用性の弛緩不全
その一方、同一姿勢の長時間継続という生活習慣を誘因とする筋肉の機能不全もある。例えば、座位をとると股関節屈曲位となり、腸腰筋の起始停止間の長さが短縮すると同時に腸腰筋のたるみを生じ、骨盤の前傾と腰椎前彎を維持する力学的な成分は減弱するが、同様の状態が長時間かつ長期間継続されれば、腸腰筋は萎縮に向かうことになる。これが、姿勢から生じる廃用性の弛緩不全であり、過緊張性に対し、低緊張性の弛緩不全とでも呼べるだろう。
わかりやすく言えば、過緊張性の弛緩不全を呈した筋肉は弾性力を蓄えたゴムのイメージであり、低緊張性の弛緩不全を呈したそれは弾性力の減弱した紐のイメージである。後者では、萎縮に伴う筋力の低下、即ち張力の減衰によって、当面は当該筋肉におけるたるみの影響が優勢となるため、それが腸腰筋に生じた場合、徐々に腰椎の生理的前彎は失われていくことになる。だが、病期の進行に伴い、必ずしもそればかりではなくなってくる。つまり、エンド・ステージにおいては筋萎縮や筋拘縮の進行により、腸腰筋それ自体の短縮を招き、その低緊張性の弛緩不全においても腰椎前彎は増強することが考えられるわけである。

■起立動作は腸腰筋に負担を与える
もともと、座位から立位に移行する動作では、股関節伸展に伴い、腸腰筋は急激な伸展を余儀なくされる。その際、腸腰筋には遠心性収縮が強いられることになり、そこにかかる負担は過大とならざるを得なくなる。このように、起立動作では、ただでさえ腸腰筋に過剰な刺激が加わるわけで、そこに弛緩不全を抱えていると、この伸展強制に対して筋肉が柔軟に対応できない場合があるのだ。急激な起立動作が伸展反射を誘発すれば、筋肉には反射性収縮を生じてしまうため、伸展強制によって腸腰筋それ自体を損傷したり、椎間板にかかる軸圧が高じて線維輪の断裂を来たすことが考えられるわけである。即ち、起立動作で生じる急性腰痛症とは、それらに類するケースがほとんどだと言ってよいだろう。また、そのようにして腸腰筋に何らかのダメージを抱えた場合、患者はSLRTそれ自体では痛みを訴えないが、下肢の下降時に痛みを訴えることになる。

■腸腰筋の弛緩不全に伴う姿勢の変化
いずれにせよ、腸腰筋を伸展させる姿勢が痛みを誘発するのであれば、疼痛を回避しようと股関節を支点として体が前傾姿勢をとり、固有背筋への負担が大きくなるのは必至である。この状態が継続すると、高齢者では円背が進むと考えられるが、比較的若い世代なら、前傾姿勢における股関節の屈曲角度はそのままに、固有背筋にかかる負担を軽減させようとして重心を後方におき、股関節、膝関節の両方で屈曲位を保つことで骨盤を後傾させ、上体を起こして腹筋筋力で立位を維持するようになると考えられる。即ち、結果が原因となる悪循環を呈しつつ、立位における骨盤の前傾及び腰椎生理的前彎は失われていくことになる。このため、重心が後方に移動することで、固有背筋の筋力低下や、それに伴う廃用性変化もまた、避けがたく起こってくるに違いない。のみならず、立位における股関節、膝関節屈曲位の継続は、それぞれ股関節伸展に関わる筋肉群や大腿四頭筋に対して過緊張性の弛緩不全を生ぜしめ、股関節や膝関節周囲に痛みを生じる原因ともなるだろう。時々目にする棘上靭帯の炎症もまた、おそらく、そうした一連の代償性変化によって、横突棘筋など、棘突起に停止する筋肉群に弛緩不全の生じたことを原因とするのではないだろうか。ひょっとすると、肋間神経痛の類も、同様の代償性変化で生じた肋間筋の弛緩不全で以って説明ができるかも知れない。

■脊柱の形態変化は筋肉の弛緩不全がもたらす
ここで特筆すべきは、同じように腸腰筋の弛緩不全を呈していながらも、弛緩不全にいたる過程や年齢、あるいはステージの相違など、個別の素因によって、形態的には腰椎の前彎が増強する場合と、逆にそれが失われる場合、並びに前傾姿勢や後傾姿勢など、相反する状態が起こり得るということである。また、そのように考えると、脊柱側彎症の原因の一つとして、片側に偏った腸腰筋の弛緩不全を想定できるかも知れない。例えば、脚を組んで座る生活習慣などがあった場合、腸腰筋の弛緩不全においては左右に偏りを呈することが考えられる。そして、その力学的な不均衡から、腰椎に形態的な変化を生じ、さらに、そこから代償性の変化が上位脊椎に及んでいくことで、脊柱は側彎を来たすと考えられるわけである。
総じて、スポーツ活動や肉体労働による過緊張性の弛緩不全は疲労性の変化である一方、低緊張性の弛緩不全は同一姿勢の継続という廃用性の変化といえ、高齢者の抱える重度の弛緩不全は、筋萎縮や筋拘縮が主体となる後者の終末像と考えられる。もっとも、実際には、年齢のみならず、体重の軽重、スポーツ歴や職業歴といった個別の素因が関わるので、各々多彩な臨床像を呈することになるだろう。

■種々の要因が弛緩不全をもたらす
この他にも、寒冷刺激や、精神的なストレスが原因で生じる筋肉の弛緩不全が存在する。寒冷刺激にさらされると、体温維持を目的として、反応性に分泌されたアドレナリンの働きで筋肉は収縮し、熱を発生させるが、この際の収縮が持続してしまい、諸症状を誘発するわけである。精神的なストレスもまた、同様な内分泌の働きにより、弛緩不全を惹起してしまう。無意識のうちに肉体が防御姿勢をとろうとして種々の筋肉を収縮させるというわけだ。また、脱水や電解質バランスの失調、代謝の低下も弛緩不全の原因と成り得るだろう。さすれば末梢循環不全も弛緩不全の原因たり得るわけで、喫煙習慣が全身ありとあらゆる部位に弛緩不全を促す誘因となることは自明の理だといえる。そして、おそらくは急激な筋収縮を強いられた外傷を契機とする弛緩不全も多々あるに違いない。

■早期の弛緩誘導が病気を防ぐ
こうして、筋肉を弛緩させる適切な処置(以下、これを弛緩誘導と呼ぶ)を受けることなく筋肉の弛緩不全が長期にわたると、可逆性の機能不全状態から、不可逆性の変化を呈するようになると考えられる。そして、そのようなエンド・ステージに移行してしまえば、治療手段は限られてしまう。そもそも、筋肉の弛緩不全は、単に休息しただけでは回復しない場合があることには注意が必要だ。筋収縮の結果として循環不全を来たしたような場合、弛緩に用いるエネルギーの供給不足から、自然な筋弛緩を得るのが困難となってしまうのだ。結果が原因となるような、ある種の悪循環が生じ、自然治癒力が妨げられてしまうわけである。

■弛緩不全の部位特定と弛緩誘導こそ医師の仕事
ゆえに、慢性疾患として現れる整形外科疾患の場合、その診断においては、症状を引き起こしている筋肉と、その弛緩不全の原因とを特定し、次に筋肉がどういう状態にある機能不全であるかを診断することが重要だ。患者が直接痛みを訴える部位とは異なる場所に原因が潜んでいるわけである。そしてもし、それが筋固縮に由来するなら、他科に治療を譲らねばならない。
もとより、町医者が外来で診る症例の多くは可逆性であり、適切な弛緩誘導を施せば、エンド・ステージへの移行を未然に防ぐことができるはずなのだ。ところが、現状、整形外科医は筋肉の機能不全を弛緩不全としてとらえるのでなく、収縮力の減退ととらえている感が否めない。変形性膝関節症の患者にスクワット等の大腿四頭筋訓練を指導したり、腰痛患者に腹筋運動(腹筋運動は腸腰筋訓練となっている場合が多い)を促したりしているのがその証拠である。しかし、筋肉の機能不全は収縮以前の弛緩不全の故であり、筋力強化を促すエクササイズの多くが症状を悪化させるのは、町医者ならば誰もが実感していることではないだろうか。実際、健康増進目的で自らが始めた歩行習慣やエアロビクスが原因の腰痛や膝痛は少なくないのである。

■反省と展望
これまで、整形外科医の多くは起こってしまった結果ばかりに目を奪われ、原因であるところの筋肉の状態を見過ごしてきたといえるだろう。そして、それは他ならぬ筆者自身の反省でもある。
ここでは、弛緩不全を呈する原因を、素朴な実感から大雑把に述べてみたが、本来は、それらを追究することこそ実り多いはずであり、その成果は整形領域のさらなる発展に寄与するに違いない。

http://www.asyura2.com/16/iryo5/msg/590.html

[医療崩壊5] <エビデンスのない話C弛緩不全の種類> SHO
1. SHO[3] gnKCZ4Ju 2017年3月31日 08:56:26 : 34fRTdsx58 : Czfsf2GtjCY[3]
SLRT:下肢伸展挙上試験
http://www.asyura2.com/16/iryo5/msg/590.html#c1
[医療崩壊5] <エビデンスのない話D解決法>
■腸腰筋の弛緩不全は股関節疾患にも関わる
腸腰筋の弛緩不全が引き起こす疾患には変形性股関節症も挙げられる。力学的に考えれば、同筋の弛緩不全は股関節に対しても軸圧として作用するので、これは当然の帰結である。その前病変となり得る臼蓋形成不全症では、形態的には長期間同じ状態が続いているにもかかわらず、実際に股関節痛を発症するのは30〜40代からで、発症後は将来の股関節変形を見越して骨盤回転骨切り術の対象となる場合が多い。つまり、加齢に伴う股関節周囲筋の筋力低下が原因で痛みを発症し、病状が進行すると一般的に考えられているわけだ。だから、同症に対しては股関節周囲筋の筋力強化が推奨されている。

■筋力低下は弛緩不全の結果
しかしながら、これまでの理屈に鑑みれば、痛みの発症に関与するのは股関節周囲筋の筋力低下というより、その弛緩不全にあることが示唆されよう。筋力低下は弛緩不全の結果に過ぎないというわけだ。ゆえに、股関節周囲筋の筋力維持と、その弛緩とを同時に達成することで、従来の保存的治療より病状の進行をはるかに抑制できるのではないだろうか。
実際、外来では、レ線上、明らかな臼蓋形成不全が認められるにもかかわらず、70代にいたるまで痛みの訴えがないばかりか、ほとんど関節裂隙の狭小化や変形を伴わない症例にでくわすことがある。そのような場合、詳しく問診してみると、体重の自己管理は勿論ながら、日常習慣から、腸腰筋をはじめ、股関節周囲筋の筋力維持と弛緩とに成功していると考えられた。即ち健康維持目的にプール通いを日課としていたのである。

■ダイナミック・ストレッチという選択
なぜ、プール通いが筋肉の弛緩を促すのに役だったか。ここに、治療戦略のヒントが隠されている。もともと、関節の滑らかな動きは、複数の筋肉の収縮と弛緩とが同時にコントロールされたそれらの協調運動で成立しているが、それには神経を介した電気的な信号の伝達が欠かせない。同一姿勢の継続や運動不足の習慣化によって神経伝達機能が衰退すれば、それによって弛緩不全が生じるはずである。ならば、筋肉の収縮と弛緩とを繰り返す簡便なエクササイズだけで、筋肉それ自体にはさほど負荷を与えずとも、神経伝達機能を介した筋弛緩の達成が期待できるだろう。特定筋肉が主動筋と拮抗筋の役割を交互に果たすダイナミック・ストレッチの類が、これに相当するといえそうだ。拮抗筋を演じる際、収縮に対する抑制が働き、弛緩していくわけである。

■Medical Dynamic Stretchingというアイディア
ここでいうダイナミック・ストレッチとは、関節を免荷状態にしておき、その可動域で屈曲伸展、あるいは内外旋などの自動運動を反復するストレッチのことである。これはアシスティブに行っても良いが、神経伝達機能の回復と、その利用とを目的とする都合上、可能な限り自動運動で行うことが望ましい。平たく言えば、身体に力の抜き方を思い出させるわけである。通常、ダイナミック・ストレッチは運動前のウォーム・アップとして重力による負荷を除くことなく行われるが、本稿で推奨するそれは、筋弛緩を得ることを目的としているために、重力による負荷を除きつつ痛みを感じない程度の限定的な可動域でもって自動運動を繰り返すだけの極めて非侵襲的なもので、Medical Dynamic Stretching(以下、MDS)とでも呼ぶべき方法である。例えば、椅子に腰掛けた子供が、行儀悪く足をぶらぶらさせているあの状態が大腿四頭筋のそれに相当する。おそらく、筋肉の弛緩不全は神経伝達機能の衰退期のみならず、その発達期においても生じ易いに違いなく、子供たちの行う、あの落ち着きのない動きには意味があったと考えられるのだ。

■MDSは脱力できるリズムが大事
実際、筋肉の弛緩不全を抱えて来院した行儀の良い子供たちの多くでMDSは奏功する。水中では免荷状態に近い条件が得られるので、そこで“ゆったりと”行うあらゆるエクササイズが、アイソキネティック・エクササイズに通じるばかりでなく、MDSとしての作用も兼ね備えると考えられるわけだ。
ただし、“ゆったりと”とはいえ、このMDSが奏功するか否かは、収縮と弛緩とを繰り返すテンポ、そのリズムにかかっており、各々に時間をかけ過ぎても、また速過ぎても、力(りき)んでしまって良好な結果が得られないばかりか、かえって症状を悪化させてしまう場合があることには注意が必要だ。特に中高年では、熱心に取り組む真摯さが仇となってしまう場合も少なくない。しかも、高齢者においては、教えたはずのエクササイズが、ほどなくして別物にすり替わってしまうことも多く、外来では適切なエクササイズを頻回に確認することが重要だ。また、筋肉の協調運動が滑らかでない間はエクササイズの回数を制限しておく必要もあるだろう。

■スタティック・ストレッチという選択
一方、一点を固定してゆるやかに筋肉を伸張させ、そこで静的にその状態を保つ方法がスタティック・ストレッチである。腸腰筋をストレッチする場合、患者を伏臥位にしてFNSTを行う要領で他動的に股関節最大伸展位をとると良いだろう。固有背筋をリラックスさせた状態で行うことがポイントだ。また、大腿四頭筋のストレッチであれば、同じく伏臥位で他動的に膝関節最大屈曲位で静止するのを繰り返すと良い。弛緩不全が解消されるに従い、徐々に踵臀距離は短くなって行くのがわかるだろう。
ストレッチの間合いは原則として患者本人の深呼吸のリズムで行うのが望ましいが、高血圧症の患者に行う場合は、間合いを短めにして、伸展強制も浅めにしておいた方が無難である。尚、スタティック・ストレッチはスポーツ等で生じた疲労性の弛緩不全にはいくばくかの適応があると考えられるが、低緊張性の弛緩不全や脆弱な高齢者の筋肉には適さない。高齢者の筋肉が抱える機能不全は廃用性の変化が主体であるので、筋肉の過牽引は筋筋膜それ自体を損傷する危険があり、MDSの方が推奨される。

■マッサージという選択
このほか、マッサージによる軽微な刺激も局所的なストレッチとして有効な場合はあるが、弛緩不全状態の筋肉は圧迫によって強い痛みを生じるので注意が必要だ。特に高齢者では圧迫によって筋組織の損傷を来たしてしまい、後々まで痛みを引きずってしまう場合もある。また、誤って腱性部分を圧迫しないよう注意せねばならない。収縮、弛緩の機能を備えた筋肉と比較すると、弛緩不全に陥った筋肉に牽引された腱性部分は可塑性に乏しく、不用意な圧迫は高齢者の筋肉と同様、組織を破壊するだけに終わってしまい、逆効果となる。
ゆえに、臨床では、弛緩誘導としてマッサージを行うのではなく、キー・マッスルの部位特定やMDSの効果判定など、評価の手段として用いるのが望ましい。実際、腸腰筋に弛緩不全のある場合、鼠蹊部に自発痛や圧痛を認めるので、腰痛の原因をつきとめる際に有効だ。

■Medical Dynamic Stretchingこそ最良の解決法
以上より、過緊張性、低緊張性の弛緩不全を問わず、また、若年者、高齢者を問わず、治療として汎用性が高いのは、MDSであるということができる。ただ残念なことに、MDSを行って痛みを生じる場合や、ほとんど効果の得られない症例もある。多くの場合、それらは筋組織内の脱水を原因としているので、そういう患者には適量の水分摂取を促した数日後、再度施術すると良いだろう。また、MDSに加えて、種々の物理療法や、筋肉の疲労回復や弛緩、疼痛緩和を図る薬物療法を併用し、相乗効果を狙う方法もある。
実際、MDSを施術された患者の過半数が「痛みが楽になった」と言って診察室をでていくが、日本整形外科学会の推奨する筋力強化を指導された患者が、「楽になった」と言って去ることはほぼ皆無だ。
筋力強化を目的としたエクササイズは、疲労が蓄積して生じるタイプの関節症には適さないし、エンド・ステージに移行した関節症状にも適さない。そもそも、負荷をかけるということは、運動時における関節の負担や筋腱付着部にかかる牽引力を大きくするので、怪我の元である。ゆえに、愚鈍な町医者としては、日整会が推奨するエクササイズの適した症例を選ぶのに苦慮せざるを得ないのである。

http://www.asyura2.com/16/iryo5/msg/591.html

[医療崩壊5] <削除依頼>
医療に関係した掲示板との認識で、ここまでこちらに書かせていただきましたが、ここは医療崩壊をテーマにした掲示板とのようですので、健康をテーマにした掲示板に書き直しをさせていただきたく存じます。
お手数をおかけして申し訳ありませんが、削除よろしくお願いいたします。
http://www.asyura2.com/16/iryo5/msg/592.html
[不安と不健康18] <エビデンスのない話@医者の喜び>
■外科医の盲点
医者の喜びとは患者が治ることである。即ち目の前の患者が笑顔で医者のもとを去っていくことだ。これは専門科を問わず、あるいは勤務医、開業医の別なく、何ら変わることがない。その喜びを得るため、これまで整形外科領域においても数多くの目覚しい業績があげられてきた。学術集会では幾多の有益な報告が行われてきたし、今後もそうであるだろう。それらの蓄積が整形外科の発展を通じて大勢の患者の健康に寄与することは全く疑いのないことだ。しかしながら、その集会は、あくまでメスを握る外科医の集いであり、そこで行われる報告も外科医の目線を中心としているため、そこにはいくばくかの盲点がある。

■原因と結果
何事であれ物事には原因と結果がある。当然、病気に関しても原因と結果があり、個々の過程がある。人間の肉体は自然治癒力と呼ばれる神聖な力の働きによって病から立ち直ることができるが、その力の働きが何らかの理由で損なわれたとき、病は重症化し、医者の手助けを必要とするようになる。それが胸腹部疾患の場合、内科と外科、それぞれ専門領域が分かれてはいるものの、それは病気自体が別ものというわけではなく、それを診る病期と治療のアプローチが各々異なるだけである。同じ病気であっても、その初期であれば、内科医が適切にコントロールするだけで病は快方に向かう。そして、内科的なコントロールが困難と判断されたとき、外科医の手が必要になるだけだ。胃潰瘍という病気がその好例である。潰瘍が初期であれば内服薬による治療が可能だが、穿孔してしまえば外科医の治療が必要になるという具合だ。

■整形内科医の不在
この意味では、わが国の場合、整形外科医は外科医であると同時に内科医でもあるわけだ。しかし、一般病院に勤務する整形外科医は多忙を極め、外来で行われるその主な仕事は手術その他の侵襲的治療を要する症例と、そうでない症例との峻別で、専ら外科医として機能することが優先される。そのため、患者は症状の軽重で分別され、治療の対象としても、また研究の対象としても、軽症患者が切り捨てられるという現象が生まれている。開業してメスを握ることのなくなった医者こそが整形内科医といえるかもしれないが、多くの開業医は、もはや学会発表への意欲を失っており、整形内科領域を追究してのける医者は外科手術領域に比較して、はなはだ少ないのが現状である。

■病期の相違
しかしながら、先にも述べた通り、外科医の扱う病と内科医の扱うそれとの違いは病期の違いだけである。つまり、軽症患者の訴えの中にこそ、病状の主たる要因が潜んでいるのであり、そこで適切な治療を施すことができさえすれば、多くの患者は侵襲的治療である手術を必要とせずに済むのである。外科医の本能として、治療が手術中心に傾くのは仕方のないことであるとしても、患者本人は誰であれ、はじめから手術を希望しているわけではない。手術以外の治療に絶望せざるを得ないから手術を選択するだけの話である。ところが、軽症患者が軽んぜられた結果、整形外科領域は、起こってしまった結果の評価方法と、その治療に関しては発展を遂げたが、原因に関する考察においては放置されてしまった感が否めない。ゆえに、侵襲的治療にいたる以前の慢性疾患患者を救うことができないばかりか、患者の「何故そうなったか」という疑問に対しても、せいぜい、歳のせいだとか、使い過ぎだとかいった、まことに非科学的な説明でお茶を濁すことしかできず、余り深くは顧みられないのである。

■外反母趾という難病
実際、外来における軽症患者の原因は、よくわからないことが多い。その最たるものが外反母趾だ。ありふれているにもかかわらず、はっきりとした原因を示すことができない。正書には先細りの靴を履くことが原因であるかのごとく記載されているが、実際には靴を変えてみても病状の進行を止められない場合が多い。手術までは必要でないが、さりとて病状が進行しつつあるのは間違いない症例に対し、専門家であるはずの整形外科医が本当に有用な助言を行うことができずにいるのである。

■決め手にならないエビデンス
さて、西洋からもたらされた科学においては、その見解がどのようであれ相応のエビデンスが求められる。エビデンスとは科学的根拠であり、しかるべき手続きを踏襲した上でもたらされた学術報告である。そこに要求されるのは客観性であり、統計学的なデータである。ところが、統計には作為的な要素の入り込む余地もはなはだ多く、結論に関しては妥当性を欠く場合も少なくない。実際、科学のもたらす見解は、よくよく見れば、五年十年を待つことなくコロコロとその主張を変えており、エビデンスがあるからといって、その見解が真実であるとも限らないし、エビデンスがないからといって、その見解が間違っているという証にもならない。
ここでは、これまで顧みられることの乏しかった整形“内科”領域の代表的な慢性疾患に関する病因について、エビデンスには乏しくとも、町医者の素朴な実感に基づいた得手勝手な考察を試みることにする。それが医者の喜びに寄与することを期待しつつ。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/450.html

[不安と不健康18] <エビデンスのない話A膝痛の原因>
■加齢や反復性の負荷が慢性疾患の原因なのか
変形性関節症や腰椎椎間板ヘルニアは慢性疾患の形態をとる。このため、人工関節やヘルニア摘出術といった外科的治療は主に病期の後半、そのエンド・ステージで行われることになるが、それらには必ずそこにいたるプロセスが存在する。この過程の中にこそ原因が潜んでいるのだが、多くは加齢現象や力学的な反復性の負荷が原因として片付けられてしまっている。

■筋肉の弛緩不全という概念
しかし、町医者の素朴な実感からいえば、それは違う。結論を急ぐようだが、自己免疫疾患や遺伝性疾患を除いた整形外科領域における慢性疾患の大部分は、特定筋肉における、必要にして十分な柔軟性と伸展の得られない慢性的な弛緩不全(Disorders of muscle relaxation)というべき状態が直接的な原因で起こっていると推論される。疾患名が異なるのは、原因となっている筋肉(本稿ではこれをキー・マッスルと呼ぶ)の相違や発症する年齢の相違、あるいは病期の相違のゆえである。そして、筋肉の弛緩不全をもたらす要因が各々個別に分かれているに過ぎない。このように考えれば、高齢者の慢性疾患も小児期のスポーツ障害も、ほぼ一元的に理解され得るばかりか、原因となっている筋肉を特定し、当該部位が弛緩にいたる適切な処置を施すことができさえすれば、たちどころに症状は快方に向かうのである。場合によっては外来における数分程度のやりとりだけで、何ら薬剤を用いることなく治ってしまうのだ。

■オスグッド病の病態生理
具体的に症例を考えてみよう。大腿四頭筋の弛緩不全があった場合、膝周囲では力学的に膝蓋骨及び脛骨側の筋腱付着部に持続的な張力が加わることになる。この牽引負荷が構造強度の閾値を越えて若年者の膝に作用した場合、脛骨側の膝蓋腱付着部は成長軟骨であるため、その臨床像は骨軟骨炎を呈し、オスグッド病となる。正書においては、オスグッド病は脛骨粗面にかかる反復性の牽引負荷が原因ということになっているが、そればかりではない。鍛錬によって筋力を増した大腿四頭筋の弛緩不全に伴う慢性的な筋緊張が背景となって引き起こされている症状なのだ。ゆえに、スポーツ活動で生じたそれに対し、患者に少々の休息を促しても良くはならない。仮に休息するよう勧めてみたところで、症状が悪化して歩行に支障を来すようでなければ、患者はスポーツ活動を止めたりはしない。このため、多くの場合、骨端線の閉鎖するまで脛骨粗面における変形は進行し続けることになる。ところが、大腿四頭筋に弛緩を導くだけで、変形それ自体が治癒するわけではないものの、その症状はたちどころに快方に向かう場合があるのだ。

■棚障害と半月板損傷
また、青年期に入って骨格が完成してからは、大腿四頭筋の弛緩不全は、たな障害の原因ともなり得る。なぜなら、筋腱付着部にかかる張力は膝蓋大腿関節にかかる軸圧としても作用するため、高じた軸圧負荷は関節にかかる摩擦力を増大させて滑膜炎を引き起こすからだ。この炎症によって肥厚した滑膜が、たな障害の原因というわけである。そして勿論、その牽引負荷は膝関節でも軸圧として作用する。これにより、スポーツ活動時には半月板にかかる負担が大きくなって半月板損傷を来たしやすくなるのである。のみならず、関節面における軸圧負荷が長期持続すれば、Wolffの法則にしたがって関節は軸圧を強く受ける部位で変形を来たすようになる。中高年にもなれば、特別なスポーツ活動をしていないのに半月板の変性断裂を来たすようになるのは、こうした理由によると考えられるのだ。よって、関節水腫もまた、関節にかかる過大な軸圧負荷によって関節表面での摩擦力が高じた結果、軟骨組織の摩耗粉が増量し、これに伴う滑膜の反応として生じるものだといえるだろう。

■変形性膝関節症に適した治療とは
実際、筋肉の弛緩不全を原因とする膝痛を抱えながら、レ線上、目立った変化のない状態で整形外科を受診する患者は多い。だが、その多くは手術を要する段階ではないために、消炎鎮痛剤の処方や、ヒアルロン酸の関節腔内注射といった治療が選択されるだけで終わってしまうのが通例である。しかしながら、この段階であっても、否、この段階だからこそ、膝関節をまたいで、これに軸圧として作用する筋肉群の弛緩を導くことができさえすれば、将来の変形性関節症を未然に防ぐことができるのではないだろうか。にもかかわらず、整形外科医がそれを怠ることで、最終的に立派な変形性関節症のエンド・ステージができあがってしまうと考えられる。なぜなら、当面の痛みがなくなったからといって、そこにある弛緩不全が解消されたわけではないからだ。そして、そうした整形外科医の怠慢から患者を救っているのが代替医療なのかもしれない。確かに、代替医療では医師の目から見て不適切な処置が施されてしまうケースも少なくない。しかし、筋肉の弛緩を得るテクニックに関しては、寧ろ彼らの側にこそ、我々整形外科医が学ぶべき知恵が隠されているかもしれないのだ。

■大腿四頭筋訓練はナンセンス
さて、日本整形外科学会は変形性膝関節症予防に大腿四頭筋の筋力向上を掲げ、訓練と称してスクワットを推奨しているが、筋肉の慢性弛緩不全が原因ならばナンセンスだという見方ができなくもない。実際、患者はスクワットは勿論、健康目的に自ら課した歩行習慣が原因で膝痛を患い、外来を受診するのである。確かに、大腿四頭筋訓練が奏功する場合はあるが、それはしかし、筋力増強に伴う効果ではなく、後述する別の理由によるものではないだろうか。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/451.html

[不安と不健康18] <エビデンスのない話B腰痛の原因>
■筋筋膜性腰痛症の原因
腰痛の原因としてもっとも多いのは筋筋膜性腰痛症である。そして、それを漠然と腰部固有背筋由来の症状だと考えている整形外科医は少なくない。だが、町医者の素朴な実感から言えば、腰痛の原因となっているのは腸腰筋の弛緩不全である。確かに、圧迫骨折などの外傷を契機とする腰痛であれば固有背筋由来の症状を考えてもよいだろう。しかし、そのような場合を除くと、たとえ固有背筋に痛みを伴っていたとしても、それは腸腰筋が弛緩不全を呈した結果、二次的に症状を患ったものである場合が多いといえる。

■腸腰筋の弛緩不全
腸腰筋は、主に腰椎肋骨突起から起こる大腰筋と腸骨内面から起こる腸骨筋とから成り、鼠径靭帯の下にある筋裂孔を通り、内股にある大腿骨の小転子に停止する。その作用は股関節の屈曲であり、姿勢保持においては骨盤の前傾に関わる。また、それはインナーマッスルとしての性格上、その異常が見過ごされ易い上、日常生活においては、そこにストレッチの役割を果たす動作や姿勢が著しく不足しがちであるという特質を有している。
通常、腰痛の原因として整形外科医の治療を要するのは、腰椎椎間板ヘルニアや変形性腰椎症、脊柱管狭窄症などであるが、それらはいずれも慢性疾患であり、そこに至る過程が存在するのだ。そして、そこに難治化をもたらす要因が、この腸腰筋の弛緩不全だと考えられるのである。

■腰椎関連疾患の病態生理
腸腰筋が痛みを生むメカニズムを考察してみよう。腸腰筋の弛緩不全は、骨格における同筋付着部両端に牽引力として作用するため、その作用点で炎症を来たすだけでも痛みを誘発することになるだろう。特に大腰筋由来の張力は、力学的には腰椎に対し、軸圧として作用するだけでなく、腰椎全体を前下方に引き下ろす力としても働く。このため、成長過程にある若年期の骨格にその力が作用すると、椎弓にかかる負担が増大し、同部に疲労骨折を招来する原因となり得る。また、この疲労骨折が癒合不全に陥れば立派な分離症ができあがるというわけだ。この過程で生じる同部の炎症が痛みを生ぜしめるのである。
さらに、高じた軸圧は椎間板内圧を上昇させるため、線維輪を内側から外側に押し広げ、痛みを誘発することになる。椎間板は線維輪と呼ばれるドーナツ・タイヤ状の組織の中心に、弾力性に富んだ髄核と呼ばれる丸いゴムボールがはまり込んだ様な形状をしており、そこにかかる軸圧は、このボールを押し潰してタイヤを外側に押し広げる力として働くわけだ。ゆえに、構造強度の閾値を越えた軸圧がそこに作用すると、若年者では椎間板の線維輪に変性が少ないので、同部の断裂を来す前に椎体終板の破綻を招いてシュモール結節を呈したり、成長軟骨の破綻から隅角解離を呈したりすることになる。そして勿論、腸腰筋それ自体が筋挫傷や筋筋膜性疼痛症候群に陥って痛みを生じる場合もあるに違いない。実際、SLRT(下肢伸展挙上試験)では、下肢拳上時ではなく、その下降時に痛みを生じる場合があるが、これは腸腰筋に伸展負荷が加わるために起こる現象といえるだろう。

■腰椎椎間板ヘルニアと変形性腰椎症の病態生理
この段階以降、適切なメンテナンスを施すことなく腸腰筋の弛緩不全が持続すると、青壮年期に入っても椎間板に軸圧が加わり続けることになる。腰椎にかかる軸圧は椎間板を押し潰し、その膨隆を促すので、膨隆した椎間板が神経根を刺激することで椎間板ヘルニア様の下肢症状を呈する場合も考えられる。この時点で腸腰筋に弛緩を導くことができれば治癒することも期待できるが、弛緩不全が持続すれば、ついには線維輪の変性から断裂を来すことになる。これが椎間板ヘルニアの前病変というわけである。
仮に線維輪の断裂が起きなかったとしても、数十年にわたって継続する軸圧負荷は椎間板の変性を促し、また、Wolffの法則に従って加重部分で骨棘を形成するようになる。これが変形性腰椎症であり、それらは腸腰筋の慢性弛緩不全が招いた形態的な結果に過ぎず、腰痛の直接原因ではない。それはすべり症にしたところで同じことだ。ただ、その変形が脊柱管を狭窄せしめるならば、それが腰痛や下肢痛の原因となってしまう場合はあるだろう。即ち結果が原因となってしまうわけである。そして、そのようにして生じた痛みが、疼痛部位にさらなる弛緩不全を誘発し、新たな病態を生じる原因ともなり得ることだろう。

■弛緩不全という概念が多様な疾患を一元的に解釈し得る
つまり、腰痛の原因と呼ばれる代表的な疾患は、おしなべて腸腰筋の弛緩不全に由来していたと考えられ、疾患の多様性は発症年齢や病期の相違など、個別の要素に依存するだけの話だといえそうだ。
変形性膝関節症も変形性腰椎症も、変形それ自体は膝痛や腰痛の原因などではなく、形態的な結果に過ぎない。本当の原因は特定筋肉の慢性弛緩不全として、一元的に解釈できるのである。
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/452.html

[不安と不健康18] <エビデンスのない話C弛緩不全の種類>
■疲労性の弛緩不全
筋肉の機能不全をもたらす原因は、大別して筋原性と神経原性に分けることができるだろう。そこで、整形外科領域で扱う疾患のうち、特殊な遺伝性疾患を除くと、筋原性の機能不全の原因の一つとしては反復性の過剰刺激、即ち、使いすぎで生じる疲労性の弛緩不全を挙げることができるかも知れない。
例えば、サッカー少年には分離症が多いといわれるが、この競技においては大腿の挙上を頻繁に繰り返すので、疲労性の弛緩不全が腸腰筋に生じ易いと考えられる。さらに、旺盛な回復力によって腸腰筋筋力それ自体が強化された結果、その弛緩不全が骨格に対する持続的な牽引力となって作用することで、骨盤の前傾及び腰椎前彎が増強する。そのため、伸び上がり動作では同筋による牽引力が過大となり、それが反復することで、ついには疲労骨折を来たすほどに椎弓にかかる負担も大きくなると考えられるのだ。この場合の腸腰筋に起こる弛緩不全は過緊張性の弛緩不全ということができる。

■廃用性の弛緩不全
その一方、同一姿勢の長時間継続という生活習慣を誘因とする筋肉の機能不全もある。例えば、座位をとると股関節屈曲位となり、腸腰筋の起始停止間の長さが短縮すると同時に腸腰筋のたるみを生じ、骨盤の前傾と腰椎前彎を維持する力学的な成分は減弱するが、同様の状態が長時間かつ長期間継続されれば、腸腰筋は萎縮に向かうことになる。これが、姿勢から生じる廃用性の弛緩不全であり、過緊張性に対し、低緊張性の弛緩不全とでも呼べるだろう。
わかりやすく言えば、過緊張性の弛緩不全を呈した筋肉は弾性力を蓄えたゴムのイメージであり、低緊張性の弛緩不全を呈したそれは弾性力の減弱した紐のイメージである。廃用性萎縮を生じる過程では、腸腰筋のたるみから腰椎の生理的前彎は失われていくことになるのだが、病期の進行に伴い、必ずしもそればかりではなくなってくる。エンド・ステージにおいては筋萎縮や筋拘縮の進行により、腸腰筋それ自体の短縮を招き、低緊張性の弛緩不全においても、過緊張性の弛緩不全と同様に腰椎前彎は増強することが考えられるわけである。

■起立動作は腸腰筋に負担を与える
もともと、座位から立位に移行する動作では、股関節伸展に伴い、腸腰筋は急激な伸展を余儀なくされる。その際、腸腰筋には遠心性収縮が強いられることになり、そこにかかる負担は過大とならざるを得なくなる。このように、起立動作では、ただでさえ腸腰筋に過剰な刺激が加わるわけで、そこに弛緩不全を抱えていると、この伸展強制に対して筋肉が柔軟に対応できない場合があるのだ。急激な起立動作が伸展反射を誘発すれば、筋肉には反射性収縮を生じてしまうため、伸展強制によって腸腰筋それ自体を損傷したり、椎間板にかかる軸圧が高じて線維輪の断裂を来たすことが考えられるわけである。即ち、起立動作で生じる急性腰痛症とは、それらに類するケースがほとんどだと言ってよいだろう。また、そのようにして腸腰筋に何らかのダメージを抱えた場合、患者はSLRT(下肢伸展挙上試験)それ自体では痛みを訴えないが、下肢の下降時に痛みを訴えることになる。

■腸腰筋の弛緩不全に伴う姿勢の変化
いずれにせよ、腸腰筋を伸展させる姿勢が痛みを誘発するのであれば、疼痛を回避しようと股関節を支点として体が前傾姿勢をとり、固有背筋への負担が大きくなるのは必至である。この状態が継続すると、高齢者では円背が進むと考えられるが、比較的若い世代なら、前傾姿勢における股関節の屈曲角度はそのままに、固有背筋にかかる負担を軽減させようとして重心を後方におき、股関節、膝関節の両方で屈曲位を保つことで骨盤を後傾させ、上体を起こして腹筋筋力で立位を維持するようになると考えられる。即ち、結果が原因となる悪循環を呈しつつ、立位における骨盤の前傾及び腰椎生理的前彎は失われていくことになる。このため、重心が後方に移動することで、固有背筋の筋力低下や、それに伴う廃用性変化もまた、避けがたく起こってくるに違いない。のみならず、立位における股関節、膝関節屈曲位の継続は、それぞれ股関節伸展に関わる筋肉群や大腿四頭筋に対して過緊張性の弛緩不全を生ぜしめ、股関節や膝関節周囲に痛みを生じる原因ともなるだろう。時々目にする棘上靭帯の炎症もまた、おそらく、そうした一連の代償性変化によって、横突棘筋など、棘突起に停止する筋肉群に弛緩不全の生じたことを原因とするのではないだろうか。ひょっとすると、肋間神経痛の類も、同様の代償性変化で生じた肋間筋の弛緩不全で以って説明ができるかも知れない。

■脊柱の形態変化は筋肉の弛緩不全がもたらす
ここで特筆すべきは、同じように腸腰筋の弛緩不全を呈していながらも、弛緩不全にいたる過程や年齢、あるいはステージの相違など、個別の素因によって、形態的には腰椎の前彎が増強する場合と、逆にそれが失われる場合、並びに前傾姿勢や後傾姿勢など、相反する状態が起こり得るということである。また、そのように考えると、脊柱側彎症の原因の一つとして、片側に偏った腸腰筋の弛緩不全を想定できるかも知れない。例えば、脚を組んで座る生活習慣などがあった場合、腸腰筋の弛緩不全においては左右に偏りを呈することが考えられる。そして、その力学的な不均衡から、腰椎に形態的な変化を生じ、さらに、そこから代償性の変化が上位脊椎に及んでいくことで、脊柱は側彎を来たすと考えられるわけである。
総じて、スポーツ活動や肉体労働による過緊張性の弛緩不全は疲労性の変化である一方、低緊張性の弛緩不全は同一姿勢の継続という廃用性の変化といえ、高齢者の抱える重度の弛緩不全は、筋萎縮や筋拘縮が主体となる後者の終末像と考えられる。もっとも、実際には、年齢のみならず、体重の軽重、スポーツ歴や職業歴といった個別の素因が関わるので、各々多彩な臨床像を呈することになるだろう。

■種々の要因が弛緩不全をもたらす
この他にも、寒冷刺激や、精神的なストレスが原因で生じる筋肉の弛緩不全が存在する。寒冷刺激にさらされると、体温維持を目的として、反応性に分泌されたアドレナリンの働きで筋肉は収縮し、熱を発生させるが、この際の収縮が持続してしまい、諸症状を誘発するわけである。精神的なストレスもまた、同様な内分泌の働きにより、弛緩不全を惹起してしまう。無意識のうちに肉体が防御姿勢をとろうとして種々の筋肉を収縮させるというわけだ。また、脱水や電解質バランスの失調、代謝の低下も弛緩不全の原因と成り得るだろう。さすれば末梢循環不全も弛緩不全の原因たり得るわけで、喫煙習慣が全身ありとあらゆる部位に弛緩不全を促す誘因となることは自明の理だといえる。そして、おそらくは急激な筋収縮を強いられた外傷を契機とする弛緩不全も多々あるに違いない。

■早期の弛緩誘導が病気を防ぐ
こうして、筋肉を弛緩させる適切な処置(以下、これを弛緩誘導と呼ぶ)を受けることなく筋肉の弛緩不全が長期にわたると、可逆性の機能不全状態から、不可逆性の変化を呈するようになると考えられる。そして、そのようなエンド・ステージに移行してしまえば、治療手段は限られてしまう。そもそも、筋肉の弛緩不全は、単に休息しただけでは回復しない場合があることには注意が必要だ。筋収縮の結果として循環不全を来たしたような場合、弛緩に用いるエネルギーの供給不足から、自然な筋弛緩を得るのが困難となってしまうのだ。結果が原因となるような、ある種の悪循環が生じ、自然治癒力が妨げられてしまうわけである。

■弛緩不全の部位特定と弛緩誘導こそ医師の仕事
ゆえに、慢性疾患として現れる整形外科疾患の場合、その診断においては、症状を引き起こしている筋肉と、その弛緩不全の原因とを特定し、次に筋肉がどういう状態にある機能不全であるかを診断することが重要だ。患者が直接痛みを訴える部位とは異なる場所に原因が潜んでいるわけである。そしてもし、それが筋固縮に由来するなら、他科に治療を譲らねばならない。
もとより、町医者が外来で診る症例の多くは可逆性であり、適切な弛緩誘導を施せば、エンド・ステージへの移行を未然に防ぐことができるはずなのだ。ところが、現状、整形外科医は筋肉の機能不全を弛緩不全としてとらえるのでなく、収縮力の減退ととらえている感が否めない。変形性膝関節症の患者にスクワット等の大腿四頭筋訓練を指導したり、腰痛患者に腹筋運動(腹筋運動は腸腰筋訓練となっている場合が多い)を促したりしているのがその証拠である。しかし、筋肉の機能不全は収縮以前の弛緩不全の故であり、筋力強化を促すエクササイズの多くが症状を悪化させるのは、町医者ならば誰もが実感していることではないだろうか。実際、健康増進目的で自らが始めた歩行習慣やエアロビクスが原因の腰痛や膝痛は少なくないのである。

■反省と展望
これまで、整形外科医の多くは起こってしまった結果ばかりに目を奪われ、原因であるところの筋肉の状態を見過ごしてきたといえるだろう。そして、それは他ならぬ筆者自身の反省でもある。
ここでは、弛緩不全を呈する原因を、素朴な実感から大雑把に述べてみたが、本来は、それらを追究することこそ実り多いはずであり、その成果は整形領域のさらなる発展に寄与するに違いない。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/453.html

[不安と不健康18] <エビデンスのない話D解決法>
■腸腰筋の弛緩不全は股関節疾患にも関わる
腸腰筋の弛緩不全が引き起こす疾患には変形性股関節症も挙げられる。力学的に考えれば、同筋の弛緩不全は股関節に対しても軸圧として作用するので、これは当然の帰結である。その前病変となり得る臼蓋形成不全症では、形態的には長期間同じ状態が続いているにもかかわらず、実際に股関節痛を発症するのは30〜40代からで、発症後は将来の股関節変形を見越して骨盤回転骨切り術の対象となる場合が多い。つまり、加齢に伴う股関節周囲筋の筋力低下が原因で痛みを発症し、病状が進行すると一般的に考えられているわけだ。だから、同症に対しては股関節周囲筋の筋力強化が推奨されている。

■筋力低下は弛緩不全の結果
しかしながら、これまでの理屈に鑑みれば、痛みの発症に関与するのは股関節周囲筋の筋力低下というより、その弛緩不全にあることが示唆されよう。筋力低下は弛緩不全の結果に過ぎないというわけだ。ゆえに、股関節周囲筋の筋力維持と、その弛緩とを同時に達成することで、従来の保存的治療より病状の進行をはるかに抑制できるのではないだろうか。
実際、外来では、レ線上、明らかな臼蓋形成不全が認められるにもかかわらず、70代にいたるまで痛みの訴えがないばかりか、ほとんど関節裂隙の狭小化や変形を伴わない症例にでくわすことがある。そのような場合、詳しく問診してみると、体重の自己管理は勿論ながら、日常習慣から、腸腰筋をはじめ、股関節周囲筋の筋力維持と弛緩とに成功していると考えられた。即ち健康維持目的にプール通いを日課としていたのである。

■ダイナミック・ストレッチという選択
なぜ、プール通いが筋肉の弛緩を促すのに役だったか。ここに、治療戦略のヒントが隠されている。もともと、関節の滑らかな動きは、複数の筋肉の収縮と弛緩とが同時にコントロールされたそれらの協調運動で成立しているが、それには神経を介した電気的な信号の伝達が欠かせない。同一姿勢の継続や運動不足の習慣化によって神経伝達機能が衰退すれば、それによって弛緩不全が生じるはずである。ならば、筋肉の収縮と弛緩とを繰り返す簡便なエクササイズだけで、筋肉それ自体にはさほど負荷を与えずとも、神経伝達機能を介した筋弛緩の達成が期待できるだろう。特定筋肉が主動筋と拮抗筋の役割を交互に果たすダイナミック・ストレッチの類が、これに相当するといえそうだ。拮抗筋を演じる際、収縮に対する抑制が働き、弛緩していくわけである。

■Medical Dynamic Stretchingというアイディア
ここでいうダイナミック・ストレッチとは、関節を免荷状態にしておき、その可動域で屈曲伸展、あるいは内外旋などの自動運動を反復するストレッチのことである。これはアシスティブに行っても良いが、神経伝達機能の回復と、その利用とを目的とする都合上、可能な限り自動運動で行うことが望ましい。平たく言えば、身体に力の抜き方を思い出させるわけである。通常、ダイナミック・ストレッチは運動前のウォーム・アップとして重力による負荷を除くことなく行われるが、本稿で推奨するそれは、筋弛緩を得ることを目的としているために、重力による負荷を除きつつ痛みを感じない程度の限定的な可動域でもって自動ないし他動運動を繰り返すだけの極めて非侵襲的なもので、Medical Dynamic Stretching(以下、MDS)とでも呼ぶべき方法である。例えば、椅子に腰掛けた子供が、行儀悪く足をぶらぶらさせているあの状態が大腿四頭筋のそれに相当する。おそらく、筋肉の弛緩不全は神経伝達機能の衰退期のみならず、その発達期においても生じ易いに違いなく、子供たちの行う、あの落ち着きのない動きには意味があったと考えられるのだ。

■MDSは脱力できるリズムが大事
実際、筋肉の弛緩不全を抱えて来院した行儀の良い子供たちの多くでMDSは奏功する。水中では免荷状態に近い条件が得られるので、そこで“ゆったりと”行うあらゆるエクササイズが、アイソキネティック・エクササイズに通じるばかりでなく、MDSとしての作用も兼ね備えると考えられるわけだ。
ただし、“ゆったりと”とはいえ、このMDSが奏功するか否かは、収縮と弛緩とを繰り返すテンポ、そのリズムにかかっており、各々に時間をかけ過ぎても、また速過ぎても、力(りき)んでしまって良好な結果が得られないばかりか、かえって症状を悪化させてしまう場合があることには注意が必要だ。特に中高年では、熱心に取り組む真摯さが仇となってしまう場合も少なくない。しかも、高齢者においては、教えたはずのエクササイズが、ほどなくして別物にすり替わってしまうことも多く、外来では適切なエクササイズを頻回に確認することが重要だ。また、筋肉の協調運動が滑らかでない間はエクササイズの回数を制限しておく必要もあるだろう。

■スタティック・ストレッチという選択
一方、一点を固定してゆるやかに筋肉を伸張させ、そこで静的にその状態を保つ方法がスタティック・ストレッチである。腸腰筋をストレッチする場合、患者を伏臥位にしてFNSTを行う要領で他動的に股関節最大伸展位をとると良いだろう。固有背筋をリラックスさせた状態で行うことがポイントだ。また、大腿四頭筋のストレッチであれば、同じく伏臥位で他動的に膝関節最大屈曲位で静止するのを繰り返すと良い。弛緩不全が解消されるに従い、徐々に踵臀距離は短くなって行くのがわかるだろう。
ストレッチの間合いは原則として患者本人の深呼吸のリズムで行うのが望ましいが、高血圧症の患者に行う場合は、間合いを短めにして、伸展強制も浅めにしておいた方が無難である。尚、スタティック・ストレッチはスポーツ等で生じた疲労性の弛緩不全にはいくばくかの適応があると考えられるが、低緊張性の弛緩不全や脆弱な高齢者の筋肉には適さない。高齢者の筋肉が抱える機能不全は廃用性の変化が主体であるので、筋肉の過牽引は筋筋膜それ自体を損傷する危険があり、MDSの方が推奨される。

■マッサージという選択
このほか、マッサージによる軽微な刺激も局所的なストレッチとして有効な場合はあるが、弛緩不全状態の筋肉は圧迫によって強い痛みを生じるので注意が必要だ。特に高齢者では圧迫によって筋組織の損傷を来たしてしまい、後々まで痛みを引きずってしまう場合もある。また、誤って腱性部分を圧迫しないよう注意せねばならない。収縮、弛緩の機能を備えた筋肉と比較すると、弛緩不全に陥った筋肉に牽引された腱性部分は可塑性に乏しく、不用意な圧迫は高齢者の筋肉と同様、組織を破壊するだけに終わってしまい、逆効果となる。
ゆえに、臨床では、弛緩誘導としてマッサージを行うのではなく、キー・マッスルの部位特定やMDSの効果判定など、評価の手段として用いるのが望ましい。実際、腸腰筋に弛緩不全のある場合、鼠蹊部に自発痛や圧痛を認めるので、腰痛の原因をつきとめる際に有効だ。

■Medical Dynamic Stretchingこそ最良の解決法
以上より、過緊張性、低緊張性の弛緩不全を問わず、また、若年者、高齢者を問わず、治療として汎用性が高いのは、MDSであるということができる。ただ残念なことに、MDSを行って痛みを生じる場合や、ほとんど効果の得られない症例もある。多くの場合、それらは筋組織内の脱水を原因としているので、そういう患者には適量の水分摂取を促した数日後、再度施術すると良いだろう。また、MDSに加えて、種々の物理療法や、筋肉の疲労回復や弛緩、疼痛緩和を図る薬物療法を併用し、相乗効果を狙う方法もある。
実際、MDSを施術された患者の過半数が「痛みが楽になった」と言って診察室をでていくが、日本整形外科学会の推奨する筋力強化を指導された患者が、「楽になった」と言って去ることはほぼ皆無だ。
筋力強化を目的としたエクササイズは、疲労が蓄積して生じるタイプの関節症には適さないし、エンド・ステージに移行した関節症状にも適さない。そもそも、負荷をかけるということは、運動時における関節の負担や筋腱付着部にかかる牽引力を大きくするので、怪我の元である。ゆえに、愚鈍な町医者としては、日整会が推奨するエクササイズの適した症例を選ぶのに苦慮せざるを得ないのである。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/454.html

[不安と不健康18] <エビデンスのない話E肩こりの原因>
■斜角筋の弛緩不全
これまでの理屈は人体の他の部分であっても応用が効く。例えば、腰痛のキー・マッスルは腸腰筋であったが、同じ脊椎である以上、頚椎にも同様なキー・マッスルがあると考えられる。それは斜角筋だ。
斜角筋には、前、中、後の三つがあり、各々第三頚椎から第六頚椎、第三頚椎から第七頚椎、第五頚椎から第七頚椎の横突起を起始部として、前二者は第一肋骨に、あとは第二肋骨に停止する。その作用は吸気時の肋骨挙上であると同時に頚椎の前傾前彎に関わり、片側のみの収縮で同側に頚椎を側屈させる。
基本的に脊柱は頚椎、腰椎を問わず、四方八方から筋肉による綱引きで以って起立しており、後方からの牽引を担う固有背筋のカウンターバランスをとる成分が必ず前方にいくつか存在する。腰椎ではそれが主に腸腰筋であったが、頚椎では斜角筋がこれに相当するというわけである。

■ストレート・ネックの病態生理
肩こりを主症状として来院する患者は、レ線上、頚椎生理的前彎の消失(時に後彎)を呈する場合が多い。これは、目線を下げた頚椎前傾姿勢を継続した結果、腰椎において長時間座位を継続したのと同様な機序で、頚椎に生理的前彎の消失が生じているのではないだろうか。頭部の重量を支える局面での頚椎屈曲位においては、斜角筋の起始停止間の長さは短縮し、斜角筋自体はたるみを呈するため、頚椎前彎を維持する力学的な成分が損なわれてしまう。また、その姿勢を継続すれば、固有背筋や僧帽筋に負担をかける一方、斜角筋には低緊張性の弛緩不全を生じることになるだろう。このため、頚椎伸展位をとって目線を上げようとする際には、斜角筋が伸展強制を受けることで種々の痛みを生じるようになると考えられるのだ。結果、斜角筋に対する伸展強制の影響や後方成分への負担を緩和させるべく、代償性に胸椎後彎は減少し、頚椎の前彎は、結果が原因となる悪循環を呈しつつ、失われていくというわけである。
また、こうした代償性の変化は胸椎のみにとどまらない。斜角筋の付着しない上位頚椎での伸展によって前方視野を確保しようとすることで、頚椎は全体としてS字状のカーブを呈する場合もあるだろう。同様に、前額面でこうした慢性弛緩不全が片側に偏れば、斜頚や側彎を来たすことも示唆される。

■フローズン・ネックと胸郭出口症候群
つまり、頚椎生理的前彎の消失といった形態異常は、肩こりの原因や誘因などではなく、斜角筋の弛緩不全に伴う結果だと考えられるのだ。いわゆるフローズン・ネックとは、この状態が悪化して、斜角筋、固有背筋の双方が重度の弛緩不全に陥り、頚椎にかかる軸圧が高じて不動化してしまった状態ではないだろうか。場合によっては椎間板線維輪に断裂を来たしているかもしれない。もとより、斜角筋の収縮力は頚椎に対して軸圧として作用するので、その弛緩不全は頚椎の椎間板変性や骨棘形成に多大な影響を与えることにもなる。三つの斜角筋による力学的な軸圧が重なり合うレベルで椎間板の変性が著明となるのは当然の帰結といえるだろう。
ゆえに、斜角筋の弛緩不全は頚椎症性神経根症や脊柱管狭窄症の遠因であると同時に増悪因子でもあるわけだ。のみならず、斜角筋が肋骨挙上にも関わることを考慮すれば、その弛緩不全は胸郭出口症候群の原因であるとも考えられる。即ち、前、中両斜角筋の弛緩不全で挙上された第一肋骨により、斜角筋三角が狭小化するため、腕神経叢の圧迫を来たす場合があるに違いない。少なくとも、圧迫型の同症はこれで説明できるはずである。そもそも、生来の胸郭出口症候群など存在しないわけで、形態的な素因は原因とは成り得ない。発症前と発症後の違いとは、斜角筋の弛緩不全があるか否かに尽きるはずである。そう考えると、頚椎に関連した慢性疾患のほとんどで、斜角筋の弛緩誘導は奏功することが期待できる。逆に、斜角筋の弛緩誘導が無効であるなら、他の疾患を考慮する必要があるだろう。

■斜角筋の弛緩誘導
では、この斜角筋の弛緩誘導をどう行えばよいだろうか。腰椎の場合と同様、固有背筋の緊張は頚椎に対しても軸圧として作用するので、斜角筋をストレッチするには、固有背筋由来の軸圧を緩和させた状態で行うべきである。病態の初期であれば、枕の形状や配置を工夫して、就眠時に頚椎前彎を保持させるだけでも効果は期待できるかも知れない。しかし、フローズン・ネックに至った症例では、それすら困難な場合がある。牽引療法はスタティック・ストレッチとして一定の効果は期待できるものの、既に骨性の変化を来たしているような症例では、不用意な牽引は神経症状を悪化させる恐れもある。となると、斜角筋のストレッチとして安全かつ有効なのは仰臥位でのMDSや斜角筋のマッサージということになるだろう。
興味深いことに、斜角筋に重度の弛緩不全を抱えた患者では、頚椎側屈の反復を促しても、仰臥位では回旋運動になってしまい、その運動には介助を要する場合が多い。おそらく、筋肉の協調運動に支障を来たしているのだろう。しかしながら、その弛緩不全の緩和とともに、それも可能となるので、やはり、筋肉の弛緩不全には神経伝達機能の低下が色濃く背景にあるといえそうだ。

■頸椎アイソメトリック・エクササイズは慎重にすべき
これまで、頚椎の疾患といえば、頚椎アイソメトリック・エクササイズ、即ち筋力強化ばかりが推奨されてきたわけだが、筋肉の弛緩不全が原因の疾患に対してそれを行う場合、いくらかの注意を要するのではないだろうか。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/455.html

[不安と不健康18] <エビデンスのない話F五十肩の原因>
■五十肩とは
もともと、五十肩というのは慣用名であり、病態生理を反映した病名ではない。多くは、加齢以外に特別な原因を認めることのできない外傷なき肩痛を指してこう呼ばれ、実際は肩関節周囲炎であるとか、腱板炎などと診断される。鑑別疾患としては結晶誘発性の炎症や頚椎症性神経根症などが挙げられるが、ここでは肩原発の慢性疾患について、その原因を考察してみる。

■腱板の成分
キー・マッスルといえるのは、肩甲骨から起こり、上腕骨に停止する四つの筋肉だろう。それらは棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋であり、肩のインナーマッスルと呼ばれる一方、その停止腱に相当する各々の腱性部分は特別に腱板と総称される。腱板は肩関節の最深部で上腕骨を肩甲骨に結び付け、その構成成分は肩関節における種々の動きの力源でもある。肩関節周囲炎は腱板炎の別名が示す通り、腱板の構成成分に生じた異常を原因とする疾患であるが、その異常というのは、やはり、キー・マッスルの弛緩不全だと考えられるのだ。中でも、棘上筋、肩甲下筋の弛緩不全が著しい。

■投球肩の病態生理
腱板は、上腕骨を肩甲骨に結び付ける水平方向にしか力学的な作用がなく、上腕骨を釣り上げているのは三角筋の作用によるといわれている。事実、腱板が断裂を来たし、機能不全に陥った症例では、三角筋の作用が優位となって上腕骨頭は極端に上方転位する。だが、機能不全は何も断裂ばかりとは限らない。弛緩不全によっても生じると考えられるのだ。実は、野球少年の投球肩に対し、腱板を構成する筋肉群を弛緩誘導すると、たちまち症状が軽減、ないし消失するのだ。少年たちは頻回の投球によって腱板が疲労性の弛緩不全に陥っており、特に、棘上筋の弛緩不全は、その解剖学的な停止位置から、上腕骨頭に対しては、ごくわずかながら上方への牽引成分として働くことが疑われる。そして、それによって生じた動作時における骨頭の軽微な上方転位が、肩峰下腔を狭小化せしめ、インピンジメントを招来するのではないだろうか。いずれにせよ、その牽引力は上腕骨頭に生じる骨端線離開の誘因ともなり得るだろう。

■五十肩の病態生理
このように、少年期の肩痛は腱板の構成成分における過緊張性の弛緩不全が原因と考えられるわけだが、その一方、中高年では低緊張性の弛緩不全が生じると考えられる。というのも、インナーマッスルである腱板の構成成分よりも、浅層にある三角筋や大胸筋といった筋肉群の方が相対的に筋量が豊富で強力なため、作用が重複する棘上筋や肩甲下筋には低緊張性の弛緩不全が進むと考えられるからだ。ゆえに、加齢とともにその傾向が顕著となることで、インピンジメントを来たすのかも知れない。あるいはインピンジメントの事実がなかったにせよ、それらの弛緩不全が腱板付着部に損傷を来たす力学的な要因となるのは、あり得る話ではないだろうか。

■肩甲骨周囲筋に対する弛緩誘導
事実、肩関節周囲炎に対しては、その多くで腱板の弛緩誘導が奏功する。肩甲下筋のマッサージには即効性がある他、肩関節内外転の振り子運動や、内外旋の自動運動は、各々棘上筋、肩甲下筋に対するMDSとして作用するので極めて有用である。ただし、他動的にも可動域をなくしてしまった重度の拘縮肩、いわゆる凍結肩では、その治療手段は限られてくることになる。それは、腱板に生じた弛緩不全のエンド・ステージであり、腱板に生じた痛みのために、患者自らが肩を不動化することで生じる場合と、外傷を契機とする高度な断裂によって力源を失い、それを放置することで否応なく生じる場合の二通りがある。前者であれば、早期に弛緩誘導を行うことでエンド・ステージへの移行を未然に防ぐことができるものの、拘縮が完成してしまえば、肩甲上腕関節での可動性は消失し、最終的に肩甲胸郭関節の動きで代償された可動域を獲得するだけである。無論、それを以って治った、あるいは治したなどと思うことは、治療家として憚られるのは言うまでもない。ゆえに、そうなる前に、可能な限りの手立てを講じておく必要があるだろう。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/456.html

[不安と不健康18] <エビデンスのない話G上肢の疾患>
■反復性の牽引ではなく、持続的な牽引が原因
これまでの理屈から、上腕骨外側上顆炎、あるいは内側上顆炎は、その名から明らかなように、上腕骨外側上顆、内側上顆を各々起始部とする筋肉群の弛緩不全が原因の疾患であるといえるだろう。それらの慢性的な弛緩不全に伴う持続的な筋収縮が牽引負荷となって、同部に炎症を生ぜしめているだけの話だ。
病初期では、せいぜい筋腱付着部周囲に動作時の痛みを感じる程度だが、病態が進むにつれ、当該筋肉のまたぐ関節にかかる軸圧の高値持続が、関節それ自体の炎症や変形を招来する。その負荷が成長軟骨に加われば、上腕骨小頭に離断性骨軟骨炎を来たす誘因ともなるだろう。それらの障害は単に反復性のストレスが原因というのではなく、持続性のストレスが背景にあると考えるべきではないだろうか。慢性的な牽引状態があるからこそ、動作の反復によって過剰な負荷が加わることになるのだ。その結果、構造強度の閾値を越えてしまうのである。

■多関節筋の弛緩不全が上肢の疾患をもたらす
上腕二頭筋及び三頭筋は二関節筋で、その起始、停止の間には肩関節、肘関節の二つの関節が存在し、それぞれの関節に軸圧を生ぜしめる成分となり得る。また、前腕の筋肉群は、その多くが、さらに複数の関節をまたぐ多関節筋であるため、その弛緩不全は肘関節のみならず、手関節、指関節に対しても軸圧を与えることになる。ゆえに、それらの筋肉群に生じた慢性弛緩不全が適切な弛緩誘導を受けることなく放置されれば、Wolffの法則に従い、各々の関節に変形性関節症を来たすのは自明の理なのだ。

■ガングリオンの原因と治療
実のところ、手関節、指関節周辺に生じる種々の疾患は、そのほとんどが前腕筋肉群の弛緩不全によってもたらされているといってよい。尺側手根屈筋の付着部炎を呈する手関節尺側の痛みは日常よくみかけるが、これには同筋の弛緩誘導が奏功するのはいうまでもない。また、手関節ガングリオンは原因不明などといわれているが、おそらく、それは月状骨周囲の関節面にかかる過剰な軸圧負荷と、それによる摩擦で滑膜炎を呈した正常滑膜嚢の成れの果てだ。事実、それらは前腕筋肉群の弛緩誘導で症状の軽減をみるのである。キーンベック病でも同じことがいえるだろう。高じた軸圧が月状骨の血流不全を招くために生じる疾患というわけだ。つまり、月状骨は、前腕筋肉群の弛緩不全に伴う応力を受けやすい部位といえるのではないだろうか。

■へバーデン結節の原因と治療
指関節にしても、同様の考察があてはまる。へバーデン結節は遠位指節間関節に生じる変形性関節症だが、これは深指屈筋の慢性弛緩不全によって生じた終末像と考えられるので、病初期であれば、その弛緩誘導が症状の進行を抑制すると期待できるのだ。実際には、既に変形を来たした症例であっても弛緩誘導は奏功する。変形が治るわけではないものの、弛緩誘導によって、患者の多くは指関節周囲の不快感が軽減、ないしは消失したことを実感するのである。即ち、手関節、指関節等、前腕部での各種自動運動を反復するMDSがその具体的な治療法となる。無論、前腕筋群のスタティック・ストレッチやマッサージも有効であるし、同部の干渉波や渦流浴といった、種々の物療も奏功する。

■腱鞘炎の原因
この他、腱鞘炎もまた、筋肉の弛緩不全を原因として考えることが可能だ。腱鞘炎とは、腱鞘の内腔が狭小化し、その状態が持続することで腱と腱鞘との間に摩擦が生じて起こる疾患だが、腱鞘の内腔を狭小化せしめる原因こそ、そこに作用する特定筋肉の牽引力だと考えられるのだ。ゆえに、腱鞘に作用する牽引力が取り除かれない限り、摩擦は軽減することがないので、やがては腱鞘のみならず、腱そのものにも炎症性肥厚が生じることになる。結果、狭くなったものに対して太くなったものが通過するために弾撥現象を生じるのである。そして、その摩擦は同部にさらなる炎症を惹起する。即ち、結果が原因となる悪循環の存在が症状を難治化させるわけだ。とすれば、この腱鞘に作用する牽引成分を特定し、それに弛緩誘導を施すことができさえすれば、腱鞘炎の多くは、それが病初期である限り、注射も手術も行うことなく治癒せしめることができるはずである。

■腱鞘炎の治療
そして実際、それは可能である。弾撥指において腱鞘を牽引する成分となるのは、中手骨骨間部にある小筋群であり、それらは解剖学的にみて、直接、腱鞘を牽引しているわけではないものの、間接的に腱鞘の牽引成分として作用している可能性が高い。なぜなら、それらを弛緩誘導するだけで、弾撥現象はたちどころに緩和、ないし消失するからである。具体的にいえば、弾撥指では指の内外転を繰り返す自動運動がMDSとして奏功する。無論、他動的に患指と隣接指との間を開かせるスタティック・ストレッチや、中手骨骨間部の圧痛点におけるマッサージも有効だ。そもそも、本症は手指を固く握りこむことを契機として発症するわけで、こうした中手骨骨間部の小筋群に弛緩不全が生じていたとしても何ら不思議はない。骨間筋の持続収縮によって生じた牽引力が、矢状索を介して指屈筋腱腱鞘に作用しているだけの話なのだ。
同様に、ケルバーン氏病なら、手関節近傍の掌側にある方形回内筋が腱鞘を牽引する成分として作用しているのかもしれない。事実、ケルバーン氏病では同部に圧痛を認めるだけでなく、そのマッサージや、前腕回内外を反復するMDSなどが奏功する。

■絞扼をもたらす筋肉を特定せよ
このように、絞扼を病因とする疾患は、その絞扼成分に何らかの牽引力が働くことで絞扼を生ぜしめていると考えられるのだ。こうした理屈から、手根管症候群なら横手根靭帯の牽引成分として作用すると考えられる母指球筋や小指球筋の弛緩誘導が奏功するであろうし、変形性肘関節症に続発した肘部管症候群でも、絞扼靭帯の牽引成分に弛緩誘導を施すことで、その病初期なら保存的に加療できるだろう。おそらく、そのキー・マッスルは上腕骨内側上顆を起始部とする尺側手根屈筋である。さすれば患肢を固定して安静を保つよりは、ダイナミック・ストレッチを施した方が治療として有効であるに違いない。同様に、前骨間神経麻痺や後骨間神経麻痺の類も、それぞれ円回内筋、回外筋などを弛緩誘導すれば症状を軽減できるかもしれない。デュプイトレン拘縮にしてみたところで、軽症例ならば手掌腱膜の牽引成分である長掌筋の弛緩誘導が奏功すると期待できよう。

■弛緩不全が放置されると病気に至る
以上より、これまでバラバラに考えられていた整形外科の慢性疾患は、筋肉の慢性弛緩不全を原因として、一元的に解釈できるのである。そして特筆すべきは、これら慢性疾患の終末像が存在するという事実それ自体が、とりもなおさず、それらの弛緩不全を放置して自然治癒に任せていても、治ることのない場合があるという証なのだ。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/457.html

[不安と不健康18] <エビデンスのない話H下肢の疾患>
■小児における股関節疾患の原因
股関節に軸圧を加えるキー・マッスルは、腸腰筋以外にも大中小の臀筋や、梨状筋、大腿直筋などがある。それらの弛緩不全が幼少期の骨格に作用することで生じる疾患としては、単純性股関節炎やペルテス病を挙げることができるかもしれない。ペルテス病は比較的活発な男児に多いことが知られているが、それが示唆する通り、股関節周囲筋が、高所から飛び降りるなどの小外傷や疲労の蓄積による過緊張性の弛緩不全を呈していると考えられる。ゆえに、それは関節にかかる軸圧が高じて大腿骨頭に阻血性壊死を生ぜしめたことを原因とする疾患ではないだろうか。無論、その弛緩不全は、動作時の負荷をも増強させるので、骨頭の成長軟骨に加わる負担が大きければ、大腿骨頭すべり症を来たす誘因ともなるだろう。

■成人における股関節疾患の原因と治療
そしてもし、本当に股関節周囲筋の弛緩不全が小児でペルテス病を引き起こすのであれば、それは成人で生じる特発性大腿骨頭壊死症の原因と考えることさえできるかも知れない。さすれば、それらの前駆症状に対しては、既に述べた臼蓋形成不全症や変形性股関節症と同じく、股関節周囲筋の弛緩誘導が奏功するはずだ。それは坐骨神経痛を来たす梨状筋症候群にしても同じことである。多くの場合、股関節周囲筋の弛緩誘導には仰臥位で股関節をぶらぶらと回旋させる自動運動が奏功し、それはまた腸腰筋の弛緩誘導としても効果が認められる。このほか、椅子に浅く腰掛けて足を床に固定し、股関節をぶらぶらと内外転させる自動運動にも、股関節痛や腰臀部痛に対する治療効果がある。

■膝関節疾患の原因と治療
一方、膝関節の疾患は、既に論じたように、その大部分が大腿四頭筋をキー・マッスルとして生じる。たとえば、オスグッド病や、たな障害、変形性膝関節症などである。このうち変形性膝関節症については、膝関節に大きな軸圧を与える成分として、大腿屈筋群の存在も見逃すことはできまい。
この他にみられる膝関節周囲の慢性疾患として、腸脛靱帯炎なら大腿筋膜張筋がキー・マッスルだろうし、鵞足炎なら鵞足成分を担う筋肉群がそれだろう。また、ベーカー嚢腫は、手関節におけるガングリオンと同様に、膝関節にかかる軸圧が高じて生じた正常滑膜嚢の成れの果てだと考えられるため、その治療は嚢腫の摘出よりはキー・マッスルの弛緩誘導だといえるだろう。その際、大腿側のみならず、下腿側の筋肉群にも弛緩誘導が必要となることには注意が必要だ。

■足底腱膜炎の原因と治療
下腿には、膝関節と足関節をまたぐ二関節筋の他、前腕と同様の多関節筋があり、疾患ごとに複数のキー・マッスルを有している。踵の痛みであれば、アキレス腱付着部炎や足底腱膜炎が診断として挙げられるが、それらを発症する背景には下腿後面の筋肉群の弛緩不全があると考えられるのだ。
実際、「足底」腱膜炎といわれながら、後脛骨筋や腓骨筋など、下腿筋の弛緩誘導が症状を緩和させる。それらは足底に停止部を持つがゆえに、足底のアーチに関わる成分である一方、足底腱膜の牽引成分でもあるわけだ。加えて、腓骨筋、後脛骨筋の弛緩不全は、各々腓骨筋腱炎、有痛性外脛骨症の原因ともいえるだろう。
よって、レ線上確認できる外脛骨や踵骨の骨棘の存在が痛みの原因ではなく、それらを生ぜしめた筋肉の弛緩不全こそが症状の原因であるで、レ線上の異常所見に対しては全く手術の必要はない。インソールの交換などによるアーチサポートに加え、下腿筋群と足底筋群のコントロールを行えば、大抵の場合、足底周囲の痛みは治癒してしまうのである。

■骨端症やスポーツ障害の原因
ちなみに、後脛骨筋は長腓骨筋と並んで、開張足のキー・マッスルの一つでもある。ハイヒールによる足関節底屈位を長時間続けると、荷重負荷によって足部前方の横アーチを構成する靭帯成分を引き伸ばすだけでなく、後脛骨筋と長腓骨筋に低緊張性の弛緩不全を生ぜしめる。その結果、踵骨は外反し、両筋の機能不全から開張足を来たすと考えられるのだ。頚椎や腰椎において生じた生理的前彎の消失と同様の機序がそこにあるに違いない。また、アキレス腱が断裂を来たす背景として、腓腹筋、ヒラメ筋の慢性弛緩不全があるのはいうまでもない。それらの牽引負荷はまた、小児においてはオスグッド病と同様の機序でセーバー病(踵骨骨端症)を生ぜしめると考えられる。さらに、ここに名前の挙がったヒラメ筋や後脛骨筋は、長趾屈筋とともに、シンスプリント(脛骨疲労性骨膜炎)のキー・マッスルでもある。

■足根管症候群の原因
この他、前脛骨部の筋肉群の弛緩不全が、足背の滑膜嚢に腫大を生ぜしめる場合もある。おそらく、多関節筋であるそれらの牽引力が、足根骨周囲に軸圧として加わることで、小関節嚢に炎症を生ぜしめるのだろう。足背に生じる粘液嚢腫もまた、手関節に生じるガングリオンと同様、正常滑膜嚢の成れの果てだと考えられるわけだ。また、足根管症候群にしても、手根管症候群と同様、屈筋支帯に対する牽引成分となる何らかのキー・マッスルがあるに違いない。そして、おそらくそれは後脛骨筋ではないだろうか。後脛骨筋腱は内果部で、その走行を大きく彎曲させているために、後脛骨筋の弛緩不全が間接的に屈筋支帯の牽引成分として働くと推論できるからだ。ひょっとすると、深横中足靭帯による神経の絞扼が原因といわれるモートン病も、本当は母趾内転筋横頭や骨間筋などに生じた弛緩不全こそが、その本質的な原因だといえるかも知れない。

■休息だけでは良くならない
いずれにせよ、これらの疾患には、一括して免荷状態で行う足関節や足趾での各種自動ないし他動運動が奏功する。なぜなら、それらの運動には下腿筋群や足底筋群のMDSとしての作用があるからだ。そして、これら多くの症例で単なる休息だけでは問題の解決をもたらすことがないために、整形外科医自ら代替医療に活躍の場を提供している場合があるともいえる。

■外反母趾の原因と治療
最後に、外反母趾を考えてみよう。足底は、手掌と相関して考えることができる。手掌においては、母指内転位を持続させることで生じる内転筋拘縮の存在が知られているが、同じことが足趾に起こったものが外反母趾だといえるだろう。即ち、母趾外反は、その内転筋における弛緩不全の結果と考えられるわけだ。ゆえに、きっかけは窮屈な靴の使用かもしれないが、その後、靴を変えても症状が好転しないのは弛緩不全が持続するからに他なるまい。よって、直接的には母趾内転筋の弛緩誘導が最も奏功するであろうが、他の下肢疾患と同様に、本症も複数のキー・マッスルを有していると考えられる。外反母趾は開張足に随伴する場合が多く、外反した踵骨のもとでは、それを起始部とする母趾外転筋の外転作用に支障を来たしていると考えられるため、その治療には足底筋群のみならず、下腿筋群の弛緩誘導も必要となるに違いない。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/458.html

[不安と不健康18] <エビデンスのない話I終わりに>
■町医者の実感
既知の見解もいくらか含まれてはいるが、本稿は概ね町医者の診療経験と素朴な実感のみに基づいた論考である。その内容は既に専門化された複数の領域にまたがる提言であるため、本稿の全体像を一度に公の舞台で報告する機会はないかも知れない。しかしながら、そこに一抹の理が宿るなら、将来、これまでの整形外科の保存療法のいくつかは変更を余儀なくされることだろう。

■筋力強化という治療に対する問題提起
実は筆者には苦い経験がある。以前、腰痛で受診した60代の元気な患者に対し、整形外科の伝統的治療を踏襲して腹筋訓練を指導した際、未確認の脳動脈瘤を破裂させてしまったのだ。幸い、この患者は救命処置が奏功して命を落とすことはなかったものの、障害を残すことは避けられなかった。
無論、それは不可抗力であり、別の理由で破裂しないとも限らなかったわけで、医療機関で発症したことは自宅でのそれより、救命という観点では有利ですらあったかも知れない。
しかし、これをきっかけに、もともと懐疑的だった筋力強化主体の保存療法に対して、さらに疑問を持つようになったことは間違いない。より安全で、より効果の期待できる方法を模索するようになったわけである。本稿でご紹介したMedical Dynamic Stretching(MDS)はその答えでもある。ただ、ここで誤解のないように述べておくが、本稿で論じた治療法は、いずれも可逆的な病期において効果的というだけで、エンド・ステージへと移行してしまった症例には必ずしも有効でない場合がある。

■軽症例を軽んずべからず
今日、患者の医学的知識や健康意識は著しく向上し、慢性疾患においては、そのごく初期に医療機関を受診する患者が増えているのではないだろうか。ゆえに、我慢に我慢を重ねて症状を悪化させてしまったかつての患者たちと比較して、現代の整形外科医が応じる症例は軽症例が増えているのかも知れない。けれども、そこで軽症例を軽んじるなら、整形外科の発展にとっても、また、患者の健康にとっても、決して良いことではないだろう。それは医者自ら、医者の喜びを放棄するようなものである。
多くの整形外科医はエビデンスの有無をとても重要視しているようだ。確かに、生きた人の体に侵襲を与える医者がエビデンスもなく、無暗に独創的な治療法を試すのは憚られる。しかし、エビデンスがないからといって、そこに真実がないとはいえず、赦される範囲で新しい治療は試みられて然るべきではないだろうか。

本稿が患者の健康と医者の喜びにわずかでも貢献できることを心から祈る次第である。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/459.html

[不安と不健康18] <エビデンスのない話Jおまけ>
■関節の捻髪音
時々、患者から関節を動かす際に生じる音の原因を尋ねられることがある。これも、キー・マッスルの弛緩不全という概念がありさえすれば、それに答えるのは容易だ。弛緩不全に陥った筋肉の起始、停止間に横たわる関節では、その軸圧が高じるために、関節軟骨同士が押し付けあって、ある種の結合を生じていると考えられるが、その結合が解かれる際に音を生じているだけの話ではないだろうか。たとえるなら、吸盤をはがす際に生じる音がそれだいえる。裏をかえせば、音の訴えがある関節をまたぐ筋肉には、弛緩不全が存在すると推定されるわけである。

■成長痛の原因
また、小児期特有の下肢に生じる激烈な夜間痛や、生後10ヶ月前後からみられる空腹を原因としない激しい夜泣きの類も、この概念によって理解できるかもしれない。おそらく、日中の活動で生じた下肢筋の疲労性弛緩不全が背景となり、そこに脱水が伴うことで筋痙縮を生じているのだろう。痛みの訴えが夜間に限定されるのは、そうした理由が考えられはしないだろうか。
この他、患者から痺れの訴えがある場合、筋肉の慢性弛緩不全を原因とする筋間での末梢神経圧迫や血流障害を考える必要がある。実際、これまで、神経根症や原因不明の神経痛として片づけられていた疾患の多くで、そうした症例が潜んでいる可能性が否定できない。漫然とした軽微な痺れの場合、種々の薬物療法よりも、キー・マッスルの弛緩誘導の方が、はるかに奏功する場合があるのだ。

■顎関節症の原因と治療
ところで、整形外科の疾患ではないものの、顎関節症の患者がしばしば整形外科を受診することがある。勿論、それらの治療は専門医の手に委ねるべきではあるが、軽症ならば、頬にある咀嚼筋の弛緩誘導が奏功するので、試す価値がある。また、視力低下に関しても、毛様体筋の弛緩不全を原因の一つと考えるなら、視力回復には“テンポ良く”遠近交互に焦点を合わせるダイナミック・ストレッチが奏功すると期待できるだろう。その過緊張性の弛緩不全はチン氏帯を緩めることで水晶体を厚くさせ、近視を促すことになるし、逆に廃用性の弛緩不全は遠視を促すことになる。つまり、老眼とは、水晶体の変性のみならず、毛様体や虹彩における微小筋肉で生じた弛緩不全の終末像ともいえるのではないだろうか。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/460.html

[不安と不健康18] <エビデンスのない話・アフター>
■Medical Dynamic Stretchingという治療の効果
整形外科領域の慢性疾患の大半は、特定の筋肉の弛緩不全によって生じるということを論じた<エビデンスのない話>を最初に著してから数年たった。当初、その内容には筆者自らも半信半疑の部分が少なからずあり、曖昧な表現でお茶を濁していた箇所もあった。しかし、この数年の臨床経験で、そうした曖昧さはほとんど払拭され、町医者の素朴な実感は確信へと変わった。特に、筆者考案のMedidal Dynamic Stretching(MDS)の効用は素晴らしく、オスグッド病やシンスプリントなど少年少女らのスポーツ障害には効果てきめんだった。勿論、MDSはあらゆる年齢層で有効で、他院で大腿四頭筋訓練を指導されて膝痛の悪化した高齢者の変形性膝関節症もまた、外来でのわずかなやりとりだけで、注射を用いることなく症状軽減せしめることができるようになったのである。

■筋組織内脱水が治療抵抗因子
新たにわかってきたこともある。筋肉に対する侵襲の少ないと考えられるMDSではあるが、脱水状態にある患者では、効果がほとんど得られないばかりか、逆に痛みを誘発する場合があるということだ。もし、MDS を試みて痛みを訴えるようであれば、骨折や神経障害がある場合を除き、ほぼ脱水が根底にあるといって良い。よって、数日かけて脱水を補正した後、MDSを再度施すと、痛みの訴えはなくなってしまう場合がほとんどだ。

■既存治療の限界
また、MDS と異なり、スタティック・ストレッチやマッサージの類は、概ね65歳以上には禁忌であるということもわかってきた。この年齢層では、それらの弛緩誘導で後から痛みの訴えが増強する場合が多く、若年者に比べ、筋肉の可塑性が著明に劣化してしまっていると考えられた。故に、牽引療法やマッサージといった治療は、対象を若年者に絞った方が無難であるだろう。しかしながら、若年者であっても、脱水状態にある患者の場合、やはり、それらで痛みの訴えを惹起する場合があることは特記しておかねばなるまい。

■外来での指導
ちなみに、ストレッチの習熟についていえば、外来における患者の再現率、即ち習得能力は極めて低いということがわかった。高齢であればあるほど、知らぬ間に思い思いの運動へと変質し、その再現性は低くなる傾向にあるので、外来での定期的かつ頻回の指導が必要だと考えられた。

■後輩外科医への啓蒙が急務
本論はおそらく整形外科領域の核心を突いており、極めて重要な見解だとは思われるものの、日常、起こってしまった結果をどう手術するかという課題に忙殺されるキャリアを積んだ外科医にとっては、さほど興味をそそる内容でもないようだ。しかし、多くの一般人にとって最大の関心事は、病因と、その予防法である。外科医が一度の手術で救える患者はたった一人でも、正しい病態生理と予防法に関する知識の伝播は、外科医が直接関わることのない大多数を一度に救い得るのだ。多くの外科医がさほど病因に関心を示さない現状では、後輩外科医たちへの啓蒙こそが急務であると考えられた。

■整形外科の患者になるリスク・ファクター
総じて整形外科領域の患者は、喫煙習慣を続け、水分摂取量が少ない上に、カフェインやアルコールを嗜好する人々が多い。こうした方々においては、ふだんの運動量が多くても少なくても、それぞれ筋肉に過緊張性、低緊張性の弛緩不全を招き、その部位に応じた整形外科疾患を患うことになるのだ。そして、もっとも注意すべきことは、喫煙習慣のある家族と同居して副流煙にさらされる少年少女たちほど、スポーツ障害や思春期側弯症を患いやすいということである。おそらく、小児の股関節疾患の類も、本人の運動習慣や飲水習慣、並びに家族の喫煙習慣が深く関わっているに違いあるまい。

■力が抜けない子供と高齢者
人は高齢になるに従い、筋肉の緊張を解く、即ち力を抜くことが不得手になってしまうのだ。それは、神経伝達機能の衰退に伴う現象と考えられるが、同様に、小児期は神経伝達機能が未発達であるが故、弛緩不全に陥りやすいという相似性を有している。両者の違いは前者の筋肉が廃用性、低緊張性の弛緩不全を呈するのに対し、後者のそれが疲労性、過緊張性の弛緩不全を呈するということである。そして、青壮年期はそれらの混合型だと解釈され得る。

■ロコモの予防には脱力を
よって、全年代を通じて、MDSによる力の抜き方の体得が奏功するのは、至極理に適っていると言えるだろう。高齢者の筋肉は、弛緩不全領域の拡大のために、縮みしろが少なくて力が出せないだけなのだ。だから、高齢者の筋肉を鍛えることには治療効果を期待できないばかりか、症状を悪化させる恐れもある。もし、負荷を与える訓練が奏功し続けるなら、60歳代のオリンピック・スプリンターがいてもおかしくはないはずだが、そのようなものは存在しえない。ならば、むしろ負荷を与えるのではなく、縮みしろを増やすべくストレッチを施すことの方が、一定以上の筋力を確保する上でも適しているはずであるし、何より無理がない。にもかかわらず、整形外科医が推奨するのは筋力強化訓練ばかりだ。日整会があの手この手でロコモティブ・シンドロームのキャンペーンを行うのは大いに結構なことだが、肝心の治療法で効果が乏しければ、説得力に欠けるというものではないだろうか。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/461.html

[不安と不健康18] <Medical Dynamic Stretchingの実際@序論>
■既存概念をを疑え
一般的に整形外科医は、変形性関節症の予防や治療法として筋力強化を推奨している。関節周囲の筋力強化で、関節の運動を力学的に安定に保つことができるからというのがその主な理由である。これは、筋力低下と変形性関節症とは互いに関わりが深い(相関係数が高い)ということが学術的に証明されているため、まかり通っている理屈である。確かに、レ線学的に明らかな変形を認める症例が高齢者に偏るのは当たり前で、高齢者においては筋力が低下しているのも当たり前だ。つまり、両者の相関係数は、調べるまでもなく高くて当然の話ではあるのだが、しかし、だからと言って、果たして変形性関節症の原因を筋力低下であると結論づけて良いものなのだろうか。

■ある仮説
ここで、これまで<エビデンスのない話>で論じたように、変形性関節症の原因を、その関節をまたいでいる筋肉に生じた弛緩不全であると仮定する。すると、変形は筋肉の柔軟性の喪失によって、過剰な軸圧が関節に加わることで生じた関節破壊の結果であると説明できる一方、筋力低下は、弛緩不全によって筋肉内の縮みしろが少なくなることで生じた現象だと説明できる。つまり、筋力低下も変形も筋肉に生じた弛緩不全の結果であって、筋力低下を変形の原因だとする結論は間違っているということができるのだ。

■Disorders of muscle relaxation という概念
事実、外来診察時のわずかなやりとりの間に行うMedical Dynamic Stretching(MDS)で関節周囲の筋弛緩を得た患者の関節痛は著明に改善するが、筋力強化の指導を受けた患者の関節痛がその場で改善することは皆無だ。目下、変形性関節症の予防と治療といえば筋力強化が当たり前だと考えられ、階段の上り下りで膝痛を生じている高齢者に対してですらスクワットが推奨されているのが現状だが、これは素人目にも奇妙な話である。
土台、高齢者の体をどうこう鍛えたところで、期待されるほどの筋力改善がみられる前に、症状の悪化を来たすのが落ちである。高齢者の筋肉に対しては、弛緩を促した方が速やかに筋力を回復し、痛みも治まるのである。では、何故かくも愚かな治療が当たり前となってしまったかといえば、それは先述した通り、原因と結果とを取り違えているからだ。筋力低下は結果であって原因ではない。そして、そのような勘違いを引き起こした根本原因は、今日の整形外科学に、筋肉の弛緩不全(Disorders of muscle relaxation)という概念が欠落しているからではないだろうか。今まさに学会は裸の王様のごときである。

■アスリートの怪我
かくして、この世紀の勘違いは患者を量産するのに多大な貢献を果たしているわけであるが、筋力強化が関節に良いとする理屈は、変形性関節症の患者に対してのみにとどまらず、アスリートの怪我の予防法としても取り入れられているので厄介だ。大体、日夜筋力トレーニングを重ねているスポーツ選手の怪我の原因に筋力低下をいうのは的外れも甚だしいのであるが、あれやこれやともっともらしい理由をつけてこの治療がまかり通っている。実のところ、アスリートの怪我の予防に対して必要であるのもまた、筋肉の柔軟性を獲得する適切な弛緩であって、強化を目的として負荷を加えることではあり得ない。高齢者の筋肉に生じた弛緩不全が廃用性であるのに対し、アスリートのそれは疲労性であるというに過ぎない。実際、少年少女の患う骨端症や、スポーツ障害に対しては、MDSによって驚くほどの成果を得ることができる。患者は外来診察時の数分間で劇的に症状が緩和してしまい、時にはそのまま治ってしまう症例もある位だ。罹病期間が短ければ、スポーツを続けながらであっても、三日ないし三週間で、ほとんど治癒してしまうのである。

■スタティック・ストレッチは怪我を予防しない
通常、ストレッチといえば、スタティック・ストレッチと呼ばれる方法が広く行われている。これは、関節の過屈曲、過伸展、あるいは過内外転、過回旋によって、筋肉を牽引して行われるが、残念ながら、このストレッチは怪我の予防に寄与しないという事実が既に報告されている。それは多分、このストレッチが筋膜や関節包を伸長させているだけで筋肉の弛緩に貢献するものではないからだろう。一方、ダイナミック・ストレッチを応用したMDSは筋組織を弛緩させる働きがあると考えられ、怪我の予防のみならず、疲労回復とパフォーマンスの向上においても効果がある。それはまさに革命的で、このノウハウが一般認知されるようになれば、オリンピックでの我が国のメダル数は激増し、将来の変形性関節症患者も激減せしめることになるだろう。よって、次の章ではMDSの基本的なメカニズムと実際について論じてみることにする。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/462.html

[不安と不健康18] <Medical Dynamic Stretchingの実際A膝と腰>
■ダイナミック・ストレッチとMDSの違い
現在、ダイナミック・ストレッチはスポーツ前の準備体操のような位置づけにあって、医療現場でそれほど用いられているわけではない。なぜ、この方法に筋肉に対する弛緩作用があるかといえば、それは筋肉の収縮と弛緩とをコントロールする神経伝達機能の活性化が促されることによると考えられる。例えば、肘関節の屈曲を行う場合、主動筋となる上腕二頭筋には収縮を促す信号が中枢より送られる一方、拮抗筋である上腕三頭筋に対しては、抑制性の信号が送られることで滑らかな屈曲運動が可能となる。よって、関節の屈曲、伸展を交互に行えば、拮抗筋を演じる際に抑制性の信号が蓄積されて筋肉が弛緩すると考えられるのだ。この原理を応用し、より効率よく筋弛緩を得るように改良を加えたものがMedical Dynamic Stretching(MDS)である。MDSでは、主動筋を演じる際の負荷を軽減し、筋肉に疲労を蓄積させない状況で行うことになる。即ち、力んでしまわないよう限定的な関節可動域で、重力負荷を可能な限り軽減した状態で関節の自動ないし他動運動を行うわけである。脱力を目的とすることを徹底した上で、関節の屈曲伸展、あるいは内外転、回旋運動を反復する。この際、自動運動が困難であれば、アシスティブに行っても良い。反復する回数は最低50回からで、50回を行って特に問題がなければ100回以上を行う。適切な脱力のリズムを保つことができるなら、200回、300回と、行った回数の分だけ効果を得ることができる。

■大腿筋群のMDS
具体的な方法を例示しよう。小児のオスグッド病や、変形性膝関節症の治療として有用であるのが、膝関節で行うMDSで、ターゲットは大腿四頭筋だ。まず、膝90度屈曲位で腰かけても両足が床に届かない十分な高さのある場所で、やや深めに腰かけ、膝屈曲120度を行っても踵が触れないだけの十分な後方のスペースを確保する。大人の場合、椅子に腰かけるのではなく、机やダイニング・テーブルに腰かけると良いだろう。この状態で、下腿を前方に30度、後方に30度の振幅でぶらぶらと振り子のように動かすわけである。大体四頭筋をターゲットにする場合、屈曲を意識して動かし、伸展時に脱力を意識する。膝関節においては一秒間に一往復、即ち1ヘルツのリズムが基本となるが、関節の部位や運動の種類によって、それより少し速い場合と遅い場合がある。MDSの施行前に予め筋肉の圧痛の度合いをみておくと、後で治療効果の程を確認できる。アスリートの場合、競技前に500回、競技後に500回繰り返すと良いだろう。アスリートでない場合は、一日トータル500回程度を目標に据えると良い。

■仰臥位で行う腸腰筋のMDS
次に、小児の単純性股関節炎やアスリートの腰痛、鼠蹊部痛、腰椎分離症、成人の変形性股関節症、腰椎椎間板ヘルニア、変形性腰椎症などに対して有用であるのが股関節で行うMDSで、ターゲットは腸腰筋だ。股関節及び膝関節伸展0度(屈曲0度)で仰臥位をとり、両足を肩幅程度に開脚する。その状態で、股関節における内旋運動を反復させる。腸腰筋には股関節の外旋作用があるので、内旋を意識して動かし、外旋時には脱力を意識する。股関節の回旋運動は屈曲伸展運動より少し速いリズム、1.2〜1.3ヘルツで行う。
ちなみに、この運動は大腿部の筋肉群にも弛緩作用があり、鵞足炎には膝関節で行うMDSと併せて行うと効果的だ。最初は50回を行い、動きが滑らかで特に痛みを生じないなら、そのまま100回以上行う。アスリートの場合、膝で行うMDSと同様に競技前に最低500回、競技後最低500回が必要だ。高齢者であっても、一日トータル300〜500回を目指す必要がある。

■座位で行う腸腰筋のMDS
一方、股関節に屈曲拘縮が進み、股関節伸展0度(屈曲0度)をとることが困難な高齢者の場合、先の運動の代わりに足元を肩幅程度に開いて椅子に浅く腰かけ、股関節90度、膝関節90度屈曲位をとり、足元を床に固定した状態で両膝を外側に倒す運動を繰り返すと良い。股関節外転を意識しながら行うのがポイントで、両膝を内側には倒さないようにする。椅子から立ち上がる際に腰痛を伴う患者の場合、この運動をしばらく繰り返してから立ち上がるようにすると、難治性の腰痛を軽減もしくは消失させることができる。旅行者が長時間座位での移動を強いられるような場合、特に推奨される。運動のリズムは、膝関節でのMDSのリズムより少し遅めで、0.7〜0.8ヘルツ程度が望ましい。これは、回旋運動よりも内外転の運動の方が大きくなることに由来する。多忙な者、気持ちに余裕のない者ほど、リズムが速くなってしまい、運動時に力が入って十分な効果が得られない場合があるので、注意が必要だ。
腸腰筋のストレッチを行う場合、上記の運動を両方行うことで、十分な効果が得られるが、腸腰筋の弛緩不全から二次的にタイト・ハムストリングスを生じているような場合は膝関節でのMDSも行う必要がある。

■MDSは組み合わせて用いる
多くの場合、複数のMDSを組み合わせて単一の疾患に対応することになる。例えば、変形性膝関節症であれば、膝関節をまたいでいる筋肉の弛緩不全がその原因であるため、大腿筋群のストレッチと同時に下腿筋群のストレッチが必要になるという具合だ。下腿筋群のストレッチは、仰臥位で足関節の直下に枕を入れ、足関節を20〜30度の振幅で底背屈を繰り返して行う。関節が小さくなると、運動のリズムもそれに応じて速くすべきで、足関節のMDSは2〜3ヘルツで一度に100回以上、一日数回行うと良い。これは足趾におけるMDSと組み合わせて行うことで、小児のセーバー病、アキレス腱周囲炎、足底腱膜炎、腓骨筋腱炎、有痛性外脛骨症、外反母趾などに効果がある。足趾でのMDSは、屈曲伸展運動の他、内外転も有用だ。モートン病や外反母趾には足趾の内外転を行う運動が有効だが、動きがぎこちなくなってしまう場合がほとんどであるため、他動的に行う方が効果的だ。

■筋組織内脱水と線維筋痛症
もし、上記の方法で効果が乏しい場合、あるいは痛みがひどくなるような場合、筋組織内脱水の存在が示唆される。鎖骨のすぐ下にある第一肋間を押さえて強い痛みを生じるようなら、そう考えてまず間違いがない。そのような場合、体重50キロあたり一日1500mlの水分摂取を確保し、カフェインやアルコールなど、利尿作用を含む飲料水の摂取を制限する必要がある。アスリートであるなら、発汗量に応じて適宜増量が必要だし、それは授乳婦でも同様である。かくのごとく飲水習慣を改善して数日後に再度MDSを試みれば、良好な結果が得られるはずである。逆に言えば、筋肉の弛緩不全のリスク・ファクターが、筋組織内脱水であるということができるわけだ。以前にも指摘した通り、線維筋痛症は、この筋組織内脱水が元で全身の筋肉に弛緩不全を生じた状態だと考えられ、その治療は適切な水分の摂取によって成し得る場合がほとんどだ。数日間かけて水分摂取を行った後、症状の強い筋肉に対してMDSを施せば、症状は激減、ないし消失する。難治例に共通するのは、罹病期間が長期化して、あれやこれやとやとクスリ漬けにされていたことだった。そのような症例では、MDSによって筋弛緩を得ても、脳がそれを認識できなくなってしまっているようだった。

■痛みは警報装置
人体の警報装置である痛みに対して、痛み止めで以てそれに蓋をすることばかりしていると、そのしっぺ返しを食らうことになるのは必至なのだ。そういう意味で、今日みられるようなリリカやトラムセットの濫用は、医師の手によって病気を長引かせ、関節破壊を助長せしめる恐れが過分にあり、嘆かわしいことこの上ないといえるだろう。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/463.html

[不安と不健康18] <Medical Dynamic Stretchingの実際B功罪>
■筋力強化が治療になるのか
ここまでMDSの効用と筋力強化の弊害について論じてきたが、脱力が肝心だ、などと言ってみたところで、なかなか理解が得られぬ相手も多いに違いない。多分、その急先鋒は同業者である整形外科医だ。実際、筋力強化を目的とした現行の運動療法でも、それなりの治療効果が認められるからだ。ここでは、何故、既存の運動療法が筋力強化を目的としていても症状を改善させてしまう場合があるのかについて論じてみる。

■歩くことは健康に良いのか
外来で患者からよく受ける質問の一つに、「歩くことは身体に良いのか」がある。簡単な質問のようだが、実は、この問いかけにこそ、なぜ、筋力強化を目的とした運動であっても良くなる患者がいるのかという謎を解く鍵があるのだ。外来では、定年退職後、突如健康に目覚めてウォーキングを始めた高齢者が、ウォーキング開始後ほどなくして膝や腰が痛くなって受診してくるというケースが珍しくない。その一方、同じように、歩く習慣を始めてから膝痛や腰痛が治ってしまったというケースもある。どちらも確実に存在するので、ありきたりの医師ならば、先の質問に対し、歩くことは身体に良いのだけれど、歩きすぎは良くないという返事でお茶を濁すことになるだろう。

■歩行に潜む二面性
そもそも、歩くという行為は自重を運搬する行為であり、体の各関節と筋肉にとっては負荷となる側面がある一方、関節の屈曲、伸展に伴うダイナミック・ストレッチとしての側面もある。つまり、年齢や体重など各々の個別的要因によって、どちらの作用が強く表にでるかで、体に良いかそうでないかが決まると考えられるのだ。例えば、年齢が比較的若く、歩くという行為がさほど負担にならない場合、歩行に含まれるダイナミック・ストレッチとしての影響が強く表れるので、体には良いといえるが、逆に高齢であったり、肥満があったりすれば、ストレッチとしての効果より、負荷としての影響が強く表れることになるので、健康を害する原因になるということだ。

■筋力強化が奏功しているわけではない
即ち、筋力強化を目的とした運動療法であっても、そこにストレッチの効果や神経伝達機能の活性化につながる影響が含まれているから、症状の軽減をみることができるというだけの話であって、筋力強化によって症状が改善するわけではないのだ。とはいえ、こうした運動療法でも症例を選べば、それなりに良い治療成績をあげることができるので、目下、筋力強化が良いと信じられているに過ぎないのである。ゆえに、本当は筋肉にかかる負担を排し、最初から筋弛緩を得ることに徹した運動療法であるMDSを行う方が、治療として効率が良いのである。Medical Dynamic Stretching(MDS)と名付けた理由がそこにある。

■MDSの功罪
MDSには将来の整形外科疾患を激減せしめる可能性があり、整形外科医と製薬会社、そして柔道整復師の利益を損ねることになるだろう。しかしながら、学会でかくのごとく論じようものなら、袋叩きにされるか、無視されるのがオチである。それは、カルト教団に教義の間違いを指摘するようなものだからだ。王様は裸だと指摘するのは厄介な仕事なのである。よって、まずは整形外科医の治療に失望し、本当の治療を求めている気の毒な人々のもとに本稿が届くことを祈るのみだ。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/464.html

[不安と不健康18] <Medical Dynamic Stretchingの実際C肩>
■予防手段としてのMDS
これまで治療法として紹介してきたMDSであるが、筋肉に生じた弛緩不全を解消するという効果に鑑みれば、MDSは怪我や病気の予防法としても効果が高いということが示唆される。実のところ、スポーツ選手が患う肩腱板損傷や膝前十字靭帯損傷、あるいは半月板損傷は、単なる不運によってもたらされているのではない。怪我に至るお決まりの道筋を辿っている場合がほとんどなのだ。故に、その道筋に変更を加えることができさえすれば、それらは全て回避できる可能性がある。

■怪我のきっかけは弛緩不全から
バドミントンという競技を例にとってみよう。バドミントンでは中腰姿勢の反復によって、腸腰筋に疲労が蓄積されやすい。このため、腸腰筋に弛緩不全が生じ、その力学的な負担によって腰痛や股関節痛を患うことになる。仮に、痛みとして腸腰筋の異常を自覚できなかったとしても、腸腰筋にかかる負担を軽減させるべく股関節を軽度屈曲位に保つ姿勢の変化が生じ、その結果、膝関節も軽度屈曲位となって、大腿屈筋群や大腿四頭筋にも過剰な負担がかかることになる。大腿筋群に生じた弛緩不全は、当然ながら膝関節を破壊せしめる力学的な要因となるため、半月板や前十字靭帯損傷の誘因となるわけだ。

■肩を壊すメカニズム
一方、腸腰筋は、シャトルを打つ力の源でもあるため、この筋肉が弛緩不全に陥って筋力を失うと、選手は上肢と上半身の力に頼って球を打とうとする。このため、インパクトの際に上体が早く開いてしまい、肩関節における適切な肢位が崩れて、腱板と腱板を構成する筋肉群に不自然な負担が加わるようになる。これが腱板損傷の引き金になるわけだ。もし、選手が肩に障害を抱えるようになれば、遠くない将来、肘関節や手関節をも痛めることになるだろう。肩関節周囲筋の弛緩不全のため、肩関節の十分な可動域が得られない状態で競技を続けることで、今度は前腕の回内外に頼ったプレーを行うことになるからだ。前腕の筋肉群に生じた弛緩不全が、肘関節、手関節に過剰な負担を加えることになるのである。

■肩だけを治せば良いわけではない
よって、これらの怪我を未然に防ぐ、あるいは治療する場合、本当に必要であるのは関節周囲筋の筋力強化ではなく、弛緩である。即ち、MDSによる筋肉のメンテナンスこそ有用なのだ。アスリートの場合、上記の理由で症状の直接的な原因となっている筋肉を弛緩させるにとどまらず、腸腰筋のストレッチは必要不可欠だ。腱板損傷の場合、腱板を構成する筋肉群のMDSは従来の肩関節の振り子運動に類するが、基本的な運動は次の三種類である。

■肩関節周囲筋のMDS
まず初めに肘関節90度以上の屈曲位で前腕を回外し、手掌を上に向け、脇を開かないように肘を側腹部に固定した状態でワイパーのごとく上腕骨を回旋させる運動を行う。リズムは1ヘルツ、振幅は片側30度程度。最大内旋位から行い、外旋は少なめに取った方が良い。
次に上体を軽度前傾し、上腕骨下垂位から上肢を左右に振る。この際、手掌は内転の運動方向に向ける。これも運動のリズムは1ヘルツで、肘関節及び手関節を象が鼻を振るかの如く柔らかく使うことがポイントだ。
最後に上体を起こし、やや患側に傾けた状態で上肢を前後させる。手掌の向きは前方の運動方向。これも同じく1ヘルツで肘関節を柔らかく使うことがポイントだ。いずれも痛みを伴わない限定的な可動域を用い、最低50回を行う。これを一日に数回以上、競技の前後に集中的に行うと良い。このMDSは五十肩の治療としても有用だが、アスリートの肩痛の治療として、より効果的である。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/465.html

[不安と不健康18] <Medical Dynamic Stretchingの実際D前腕>
■へバーデン結節の治療
ある病気で、手の外科の専門医から大学病院を紹介された挙句、そこでも装具を渡されただけで、歳のせいだから仕方がないと諦めるように言われた患者が当院を受診してきた。患者の病名はへバーデン結節。手指の遠位指節間関節に生じる変形性関節症だ。一般的には女性に多い変形性関節症なので、ホルモンが関係しているだとかなんとか、怪しげな理屈で説明を試みられている病気である。ありふれた病気であるにも関わらず、手術が不要であるため、リウマチと異なり、整形外科の外来では、さほど本気で取り扱われることがない。このため、関節の外固定以外に有効な対策がとられることがなく、患者は泣き寝入りを強いられる羽目に陥る。整形外科医は装具で固定していれば痛みが治まるのでそれで良いと思っているようだが、装具を外して生活をし始めれば再び症状を患うことになるのだ。
しかしながら、筋肉の弛緩不全が変形性関節症の原因であると考えれば、この病気に対する治療もさほど難しいことではない。遠位指節間関節に軸圧を加える力学的成分である深指屈筋に生じた弛緩不全をうまく改善させることができれば良いだけだ。

■前腕筋の弛緩不全が引き起こす疾患
実は、前腕の筋肉群が手指のモーターを担っており、ここを弛緩させるだけで、多くの疾患を治癒せしめることができるのだ。<エビデンスのない話>で詳述した通り、弾発指は隣り合う中手骨の間にある骨間筋を弛緩させることが有効で、肘部管症候群なら尺側手根屈筋、ケルバーン氏病なら方形回内筋、テニス肘なら前腕伸筋群、野球肘なら前腕屈筋群のストレッチが有効だ。前腕の筋肉群をMDSで弛緩させることで、従来なら手術を避け難かった数々の症例が、手術を必要としなくなるのである。先のへバーデン結節の患者もまた、水分摂取とMDSによって、長年患っていた手指の痛みから解放されることになった。無論、変形それ自体が治癒するわけではないのだが、関節可動域を残したまま痛みの消失に至ったわけである。通常、へバーデン結節の症状がなくなるのは、関節破壊が進行して末節骨と中節骨が変形癒合に至った場合であるので、関節軟骨を残したまま、しかも装具なしで日常生活を送りながら症状が軽快するのは実に意義深いことなのだ。

■前腕筋のMDS
では、具体的なテクニックを詳述しよう。まず、上肢を下垂位にし、手関節の掌背屈を振幅30度程度でぶらぶらと行う。リズムは2〜3ヘルツ。次に肘関節を90度以上屈曲させ、前腕の回内、回外運動を行う。リズムは同じく2〜3ヘルツ。そのままの肢位で手指の全関節で、屈曲、伸展運動をふわふわ行う。リズムはやはり2〜3ヘルツ。最後に、肩関節で行った前後方向への振り子運動を行う。弾発指の場合、MP関節での内外転を繰り返す運動を加える必要があるが、これは多くの場合、自動運動が困難なので、他動的に行うと良い。リズムはやはり2〜3ヘルツ。いずれも50回ずつ一日数回を行う。適切な水分量が筋肉内に確保されている限り、ストレッチが著効し、早ければ3週間程度で症状の軽減を実感できるようになるだろう。治癒に至る期間は約3か月から半年。自験例では、ケルバーン氏病のほとんどが手術を要さなくなり、弾発指は過半数が手術不要となった。当然ながら、年齢的に若く、病初期に治療を始めた方が成績が良く、治癒に至るまでの期間も短かった。

■ぶらぶら体操が病気を治す
かくのごとく、MDSは自力で病気を治癒せしめる最良の技術だ。もし、一般的に紹介するなら「ぶらぶら体操」とでもすべきだろう。目下、野球選手は肘の障害を米国で手術してもらうのがトレンドのようだが、本当は手術をせずに越したことはない。前腕の筋肉群に生じた弛緩不全をMDSでコントロールしておけば、肘関節周囲に滅多な怪我を負うことはなくなるのである。MDSはスポーツで生じた疲労を速やかに取り除く効果があり、インターバルに用いれば怪我の防止に役立つだけでなく、競技力の維持にも貢献できる。東京五輪までに、アスリートたちには是非伝えておきたいものである。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/466.html

[不安と不健康18] <Medical Dynamic Stretchingの実際E頸椎>
■フローズン・ネックの治し方
ある朝突然、起床時から首の痛みで頸椎が可動域を失い、借金があるわけでもないのに首が回らなくなってしまう病気がある。フローズン・ネックだ。小児の場合、リンパ節炎を原因とする炎症性斜頸であることも考えられるが、成人の場合、ストレート・ネックや後弯の重症化によって生じている場合が多い。それは斜角筋の弛緩不全によって生じているため、斜角筋をターゲットにしたMDSが著効するのであるが、初診時には筋組織内脱水が高じている場合がほとんどなので、無理やりMDSを試みるべきではない。急性腰痛症の場合も同様に、いったんは多めの水分摂取(体重50キロあたり1500〜2000ml/day)を促し、筋組織内脱水の補正を行ってから、MDSを行う方が良い。筋組織内脱水の補正には最短でも二、三日を要するので、然る後にMDSを行うと良好な成果を得ることができる。その間は消炎鎮痛剤の処方もやむを得ないが、基本的には痛みに応じて安静を保つ必要がある。

■MDSの前に脱水の補正を
実は、フローズン・ネックや急性腰痛症を患う症例では、大抵、線維筋痛症の診断基準を満たしている。これまでにも述べた通り、線維筋痛症は筋組織内脱水によって全身の筋肉に弛緩不全が生じている状態だと考えられ、フローズン・ネックや急性腰痛症では重度の筋組織内脱水が根底にある場合がほとんどなのだ。患者は、たまたま頸椎や腰椎に激痛を伴っているに過ぎず、本当は全身の筋肉に弛緩不全を生じている。よって、それらは、いかなる投薬よりも、水分補給が著効するのである。時折、年齢的に若く、これといった画像上の異常もなく、内科の病気があるわけでもないのに頑固な背部痛や側胸部痛を患う症例に遭遇する。実は、こういう症例もまた、筋組織内脱水を誘因としている場合が多く、脱水を補正して腸腰筋や斜角筋、肩甲骨周囲筋のMDSを行えば短期間に治癒に至るのである。

■頸椎におけるMDS
では、斜角筋に対するMDSの詳細を説明しよう。まず、仰臥位をとり、頸椎の生理的前弯に沿うように頸椎後方に枕を入れ、下顎がやや上を向く軽度伸展位をとる。この姿勢から頸椎の屈曲、伸展運動を繰り返し行う。名前を呼ばれて頷く程度の小さな動きであることが肝心だ。次にいやいやをするように無理のない小さな動きで頸椎の回旋を行う。これはアシスティブに行っても良い。最後に、そうかしらと小首をかしげるかの如く小さく左右に側屈を行う。この動きはできない患者も多いので、アシスティブに行う方が良い。いずれも振幅は5度から15度程度、10回ずつを5回通り行う。これを一日に数回行うと、斜角筋をはじめ、頸椎周囲の筋肉が弛緩する。痛みに応じてできるだけ小さな動きで行うことがポイントだ。運動のリズムは約2ヘルツ。このストレッチは肩こりや、交通外傷である頸椎捻挫の亜急性期以後の治療にも用いることができる。MDS施行の前後で斜角筋を押さえて圧痛の有無を比較してみると、このストレッチの効果が明瞭となる。基本的に神経根症状が強い場合、MDSは禁忌だが、痛みのない可動域で行うなら良いだろう。

■薬物療法の意義
MDSは筋組織内脱水を補正してから施術するのがポイントで、脱水の補正に要するまでの期間は薬物療法でしのいでも良いだろう。しかし、筋肉の弛緩不全を改めずにペイン・コントロールのみに走れば、よからぬ結果を招くのが当然の帰結である。自然治癒力が円滑に働く環境を整えることこそ医師の仕事であって、医師が患者を治しているわけではないという謙虚な姿勢が治療家に必要なのだ。
痛みは生命が長い時間をかけて獲得した警報装置である。警報がやかましいからと言ってこれに蓋をすれば、将来の損失は過大とならざるを得ないのだ。消炎鎮痛剤やリリカ、トラムセットのような薬を安易に処方することは、警報に蓋をしてしまう行為に等しい。ゆえに、筋肉の弛緩不全が病気を招くという概念が全く顧みられることなく、これらの薬剤が用いられるのは大変危険なことだ。よって一日も早く、王様は自らが裸であることに気づく必要があるだろう。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/467.html

[不安と不健康18] <Medical Dynamic Stretchingの実際F注意点>
■本当の治療とは
近年、インターネット上では柔道整復師たちが異口同音に、筋力強化が治療法として間違っていることを堂々と宣言し始めている。彼らは整形外科学に染まっていないので、自分たちの実感に基づいて筋力強化が間違っていることを悟ったのだろう。まじめに治療家として研鑽を積んでいれば、気づいて当然の話。本当は筋力強化ではなく、筋肉の弛緩を促すことの方が治療になるのだ。

■排尿過多でも飲水を
今回のシリーズでは、MDSを有効に用いる条件として、水分摂取の重要性を繰り返し述べた。筋肉内に十分な水分が確保されるようになると、MDSの効果を得やすくなるだけでなく、その持続時間も長くなるのである。しかしながら、患者に水分摂取を促してしばらくすると、決まって「トイレに行く回数が増えて困る」というクレームを頂戴することになる。血管内脱水を生じると、人間の体は筋組織から水分を引き出して循環血漿流量にあてがうホメオスタシスが働く一方、水分を補給して血管内のオーバーフローを招くと、人体は直ちに排尿によってそのバランスを保つようになるためだ。かくのごとく、水分摂取に努めたからといって筋組織内の脱水が直ちに改善されるには至らず、日にちを要することになるので、本当は「トイレに行く回数が増えて困る」くらいでちょうど良いのである。但し、高血圧症を患っている患者の場合は注意が必要だ。頻回の水分摂取によって血圧が上昇してしまう場合があるからだ。このあたり、日本の政治と同じで、あちらを立てればこちらが立たずという具合に、人体のかじ取りをするのは困難を伴うといえるだろう。

■嗜好品の害
また、コーヒーや緑茶のようなカフェインが脱水を招くという指摘に対し、アンダーバランスを補うべく、次々とカフェインを摂取すればそれで良いではないかという意見があるかも知れない。しかしながら、次々に飲み続けても、次々に体から水分を絞り出してしまうのがカフェインの怖さである。結局、眠っている間に水分を補うことができないので、慢性的に脱水が進み、筋組織内脱水に至るわけだ。それは勿論、アルコールの摂取も同じである。
経験的な話で恐縮だが、カフェインの摂取は脱水だけでなく、石灰沈着性腱板炎をも誘発する。石灰沈着性腱板炎の治療にはタガメットが有効であることは周知の事実だが、カフェイン摂取の制限を同時に行わないと難治化してしまう場合があるのだ。ゆえに、石灰沈着性腱板炎の場合、カフェインの制限と薬物療法に加え、二次的に生じた肩関節周囲筋の弛緩不全を水分摂取とMDS で軽減せしめる治療が必要となる。

■生活習慣の改善を
総じて、カフェインやアルコールを嗜好する傾向があり、一日の摂取水分が各々の必要所要量に比して少ないタイプが整形外科の患者になりやすい。そこに喫煙習慣が伴えばなおさらだ。喫煙は筋組織内の血流不全を招くからである。筋肉に生じた弛緩不全が整形外科疾患を引き起こすという視点があれば、それらは至極当たり前の話ではある。しかしながら、今日の整形外科学にはそういう視点が欠けており、このために整形外科疾患を患う整形外科医も後を絶たない。ゆえに、ロコモの予防などと騒いでみたところで、整形外科医が筋力強化を治療だと盲信し続ける限り、今後も患者は順調に増え続けるに違いない。


http://www.asyura2.com/16/health18/msg/468.html

[不安と不健康18] <Medical Dynamic Stretchingの実際G救済>
■引退したアスリートの危機
問診票で患者のスポーツ歴を調べるようになって、過去にアスリートとしての経験が濃密な患者程、引退後に急激な身体的不調を患っている傾向が強いということに気づかされた。おそらく、引退によって急速な神経伝達機能の低下を来し、アスリートとして築き上げた強靭な筋肉が弛緩不全を生じて、通常人よりも過大な負荷が骨格に加わることで、関節破壊を招いているものと考えられた。

■鍛え上げた肉体が仇となる
特に顕著な破壊をみるのは腰椎と股関節だ。アスリートは、その競技能力が高ければ高い程、腸腰筋が発達しており、その弛緩不全によって腰椎と股関節に過剰な軸圧が加わることで、そこに破壊的な変化を来してしまう。つまり、かつて鍛え上げた筋肉が何らメンテナンスを受けることなく放置されている肉体程、骨格の異常を招いてしまうわけである。それは回遊魚が泳ぐのをやめると死に至る様によく似ているといえるだろう。アスリートは、引退後も安易に競技を絶つべきではないのかも知れない。

■筋力強化の意義
さて、今回のシリーズでは、筋力強化が整形外科疾患の予防や治療にはほとんど役に立たないことを主張してきた。しかしながら、筆者が筋力強化を怠っているかと言えば、そうでもない。それは怪我の予防や病気の治療のために行っているのでなく、あくまで筋力強化のために行っているのである。つまり、健康のために筋力強化があるのではなく、健康以上の何事かを追求した先にそれがあるに過ぎない。そもそも、筋力強化は怪我や病気を引き起こす可能性が多分にあるわけで、アスリートなら誰もがそれを知っているだろう。怪我を負ってしまう可能性のある方法が、予防法や治療法として、ふさわしいはずがないのである。

■まずは試すこと
ゆえに、安全性と汎用性が高く、かつ安価で効果的な予防と治療の方法はMDSだということができる。アスリートが肉体を鍛える際には、必ず間にMDSを挟むべきだ。他方、MDSは競技直前や競技中のインターバルに行うのも有用だ。それは速やかに肉体の疲労を取り除き、勝負を有利に運ぶだろう。また、引退したアスリートが肉体の崩壊を予防する方法としても最適である。MDSに関して、議論や躊躇は時間の無駄だ。まずはこれを試し、本稿の正当性を吟味していただくのみである。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/469.html

[不安と不健康18] <アスリートの救済@序論>
■スポーツ障害の予防
スポーツ界で活躍し、脚光を浴びるようになった選手が、その絶頂期に故障して第一線を退くのは、スポーツ界にとって重大な損失である。のみならず、故障さえしなければ、将来トップアスリートとして名を馳せる可能性を宿している少年少女たちが、訓練途上のつまらない怪我でその道を閉ざされてしまうのも同じことだ。この意味で、故障を予防するための方法には極めて重要な意義があるといえるにもかかわらず、意外とそのための方法は知られていない。その理由の一つは、怪我の専門家であるはずの整形外科医が、それら予防的手段に関して無頓着である場合が多いからかもしれない。

■杜撰な整形外科医
実のところ、整形外科医は、既に故障に至った症例をいかに治療するかに傾注している。ゆえに、その外来では患者が症状の軽重で分別され、日常生活に支障を来たさない程度の痛みであれば、治療の対象とはならないことも少なくない。ましてや、それがスポーツ活動時に限定された症状ならなおさらだ。ゆえに、そのような症状に対しては、休養を勧めたり、装具を処方したりするだけで終わってしまい、よくてせいぜい、テーピングの指導が行われる程度なのである。

■病初期に適切な治療を
しかしながら、アスリートにとって致命的となりうる靭帯損傷や半月板損傷、あるいは腰椎椎間板ヘルニアといった症状には、必ずその前段階があり、整形外科的に治療の対象とはなりにくくても、それらの病初期に適切な指導や治療が受けられさえすれば、故障せずに済むのかも知れないのだ。ここでは、整形外科的には異常がないなどといわれながら、それでも多少休んだ程度では軽快しない種々の痛みに対し、これをアスリート自ら症状軽減せしめる方法について、既に論じた<エビデンスのない話>をもとに詳細を述べてみることにする。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/470.html

[不安と不健康18] <アスリートの救済A腰痛>
■腸腰筋の疲労が腰痛の原因
アスリートが慢性的に抱える腰痛は、その大多数が腸腰筋と呼ばれる筋肉の疲労によって引き起こされていると言ってよいだろう。それは主に大腰筋と腸骨筋でできており、前者は腰椎横突起から起こり、股関節をまたいで大腿骨の小転子に停止する大きな筋肉で、後者は腸骨の内面から起こり、同じく股関節をまたいで大腿骨の小転子に停止する筋肉だ。どちらも大腿の挙上、即ち股関節の屈曲を作用とし、姿勢維持に関わる筋肉だが、その大部分がインナーマッスルとして体内に隠れているため、あまり意識されることがなく、その異常も見過ごされやすいという特質を有している。

■腸腰筋の強さが競技能力の高さに反映される
アスリートの患う腰痛の大部分が、なぜ腸腰筋に由来するかといえば、それは、その筋肉が、アスリート特有の非凡なパワーを生み出す源でもあるからだ。例えば、見た目に華奢な体躯をしていても、遠くに球を飛ばせるゴルファーがいるのは、この筋肉が強いからである。細身の投手がなぜ速い球を投げられるかという点においても然り。バドミントンにおいても、スマッシュの速いプレーヤーほど、この筋肉の強靭なタイプが多くなる。つまり、次元の高いアスリートほど、この筋肉が発達しているわけであるが、だからこそ、そこに蓄積される疲労もまた、過大とならざるを得ないのだ。
にもかかわらず、アスリートのトレーニングは、この腸腰筋を鍛えることにばかり専心しており、そのケアが不十分であることが多い。スクワットでは伸び上がり動作時に腸腰筋に対して遠心性収縮が強いられるので、そこにかかる負担は過大となるし、ランニングにおいても、大腿挙上によって求心性収縮が頻回に繰り返されて、そこにかかる負担は少なくないのだが、どちらの場合も、大抵は使いっぱなしにされてしまう。このため、蓄積された疲労によって、のっぴきならない怪我に至ってしまうのだ。

■筋肉の疲労とは何か
では、筋肉が疲労を蓄積させるとはどういうことだろうか。町医者の素朴な実感でいえば、それこそは、筋線維が収縮したまま、十分に弛緩することのない領域が増大することを意味する。本稿ではこれを便宜的に弛緩不全と呼ぶが、その領域が広がると、骨格における筋肉の起始、停止部に持続的な牽引力が加わるばかりでなく、当該筋肉のまたぐ関節にかかる軸圧も増大するため、運動時の力学的負担が過大となる。アスリートの場合、旺盛な回復力に伴う筋力の増強も手伝って、骨格に対する負担はさらに大きくなる。そして、その結果として生じた諸々の変化が、痛みとして認識されることになると考えられるのだ。

■腰痛を引き起こすメカニズム
大腰筋は、腰椎を前下方に牽引する成分を担うと同時に、腸骨筋は骨盤前傾を増大させる成分となるため、腸腰筋が弛緩不全に陥ると、骨格における同筋付着部両端に炎症を生ぜしめるだけでなく、腰椎前彎と骨盤前傾が増大し、椎弓にかかる力学的負担が大きくなる。ゆえに、腸腰筋を収縮させる反復刺激が構造強度の閾値を超えてそこに加わった場合、疲労骨折を来たしてしまう。さらに、それが癒合不全に陥れば分離症となるわけだ。また、腰椎に過剰な軸圧が加わることで、骨格の未成熟な若年者では椎体終板の破綻を招いてシュモール結節(椎体内に髄核が嵌入したもの)を生じることもあるだろう。その軸圧は髄核を押しつぶし、線維輪を押し広げる力として働くため、仮にシュモール結節を生じることがなかったとしても、線維輪の断裂を引き起こせば、後に腰椎椎間板ヘルニアを生ぜしめる原因となり得る。また、腸腰筋それ自体に筋挫傷を生じてしまう場合も考えられるだろう。近年では仙腸関節の異常を腰痛の原因とする考察もみられるが、そもそも、仙腸関節に生じる異常は、そこをまたいでいる大腰筋の弛緩不全が仙腸関節に剪断力を及ぼすために生じるものであるという見方もできるだろう。

■腰痛と下肢痛があっても椎間板ヘルニアではない場合がある
いずれにせよ、腸腰筋に過剰な疲労を抱えた場合、その弛緩不全によって生じる疼痛を回避すべく、立位では股関節において十分な伸展位をとらなくなってしまう。このため、上半身は前傾姿勢とならざるを得ないが、そうなると今度は固有背筋にも負担がかかってしまい、この負担を軽減させるべく代償性に股関節と膝関節の双方をわずかながら屈曲させた姿勢で体幹を起こすようになる。このため、ハムストリングスや大腿四頭筋にも過剰な負担が強いられることで、それらにも弛緩不全を生じると考えられるのだ。これが、股関節や膝関節に対して、さらなる故障を生ぜしめる原因となる。即ち、タイト・ハムストリングスとは、まさに腸腰筋の弛緩不全をきっかけとして生じた結果に過ぎず、腰痛の直接原因ではないといえるだろう。
ここで特筆すべきは、腸腰筋の弛緩不全に端を発し、そのしわよせが下肢筋群に及ぶことで、下肢にも筋膜性疼痛を患う場合があるということだ。つまり、腰椎椎間板ヘルニアによる根性疼痛とは異なる機序で、腰痛と下肢痛を患うわけで、腰痛に伴って下肢痛を生じたからといって、それが直ちに腰椎椎間板ヘルニアを疑う所見とはいいがたいというわけだ。

■グローイン・ペインは腸腰筋由来の痛み
腸腰筋は、唯一、鼠蹊部でのみ、これに触ることができるため、腸腰筋由来の腰痛であるかどうかは、鼠蹊部に自発痛ないし、圧痛があるかどうかで、ある程度判断され得る。とすると、グローイン・ペインと呼ばれて問題にされているアスリート特有の鼠蹊部痛の正体もまた、この腸腰筋由来の痛みだと推論することができるだろう。実際、大腿を頻繁に挙上することで腸腰筋に疲労を蓄積させ易いと考えられるサッカー選手に、グローイン・ペインは多いのである。そして、もし、それが本当に腸腰筋由来の症状であるなら、グローイン・ペインもまた、アスリートの腰痛に対処する方法と同様の手法で軽快するはずだ。要するに、腸腰筋をストレッチできれば良いのである。

■Medical Dynamic Stretching(MDS)という治療法
ストレッチには、スタティック・ストレッチと呼ばれる方法がよく知られている。即ち、牽引によって物理的に筋肉を引き延ばす方法だ。腸腰筋に対してそれを行う場合、具体的には、深呼吸の間合いを保ちながら、伏臥位で他動的に股関節の伸展を行うのであるが、独力では行いにくいという欠点を有している。
そこで推奨されるのが、Medical Dynamic Stretching(MDS)だ。実は、腸腰筋には、わずかながら股関節外旋作用があるため、股関節を内旋させる際には、それが内旋を行う主動筋に対する拮抗筋を演じる関係で、いくらか収縮に対する抑制が働くのである。この原理を利用して、仰臥位で両下肢を肩幅程度に開き、股関節をぶらぶらと内旋させる運動を痛みを感じない可動域で繰り返すと、腸腰筋の筋緊張が軽減するのだ。疲労の度合いにもよるが、100回程度で効果が現れ始め、エクササイズの適切なリズムとテンポを維持して力まずに行えるのなら、200回、300回と、回数を増やすほど、より効果的となる。
もっとも、筋組織が脱水状態であったり、腰椎圧迫骨折や筋断裂などの外傷を来たしているような場合は、MDSで痛みが増強する場合もあるので注意が必要だ。また、足元を肩幅程度に開いて椅子に腰掛け、両足を床に固定した状態で、股関節、膝関節屈曲90度で、股関節をぶらぶらと外転する方法も効果的だ。この運動が奏功するところをみると、未だ報告はないが、股関節外転時には腸腰筋の筋収縮に対して何らかの抑制がかかるのかも知れない。

■症状の増悪因子
以上の方法に加え、当該筋肉に干渉波治療を行ったり、ビタミンB1を摂取したりすると効果は倍増する。逆に、症状を増悪させる因子は脱水、寒冷刺激、喫煙、ストレスなどである。筋肉が弛緩するにはエネルギーが必要であるため、筋肉内の血流維持に不利な要素は、全て症状を増悪させるのだ。ゆえに、アスリートがタバコを吸うなど言語道断であり、喫煙者が腰痛を患うのは、いわば自業自得であるという厳しい見方もできる。少しでも選手生命を延長させたいなら、喫煙習慣とは直ちに縁を切るべきであるのは、言うまでもないだろう。
また、カフェインやアルコールの摂取に伴う利尿作用によって引き起こされる脱水も見過ごせない。アスリートが長距離移動中にアルコールを摂取していると筋組織内脱水が進み、急な起立動作時に腸腰筋の痙攣を来たして急性腰痛を発症しやすくなるかもしれない。

■筋力強化は治療に非ず
このように、腸腰筋の異常を見過ごせば、いずれはそれが椎間板ヘルニアやすべり症を引き起こすことになる。そもそも、腰椎椎間板ヘルニアもすべり症も、腸腰筋の弛緩不全が招いた結果に過ぎず、腰痛の原因ではない。ゆえに、腸腰筋の疲労をコントロールできなければ、どれほど優れた手術を何回受けようが、スポーツを続ける限り、何度でも腰痛を患うことになってしまうだろう。
実のところ、多くの整形外科医は、外科的治療を必要としない痛みに対しては、どこそこを鍛えれば良いという指導しか持ち合わせがない。だが、アスリートの抱える痛みの場合、本当は鍛えることを勧めるのではなく、症状を引き起こしている筋肉を弛緩させる方法をこそ、提案する必要があるのだ。
しかしながら、大変残念なことに、腰痛を引き起こす原因に無頓着な整形外科医は少なくなく、そのため、多くの場合、腰痛を抱えるアスリートに対して適切な指導がとられていない。実際、自らも腰痛に苦しむ整形外科医は多い。整形外科医の指導を仰ぎながら、それでも腰痛を悪化させていくアスリートが絶えないのは、筋力強化至上主義に陥ってしまった整形外科医の責任であると言っても、過言ではないかもしれない。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/471.html

[不安と不健康18] <アスリートの救済B膝痛>
■腸腰筋の異常が大腿筋群に異常をもたらす
既に述べたように、腸腰筋に慢性疲労から生じる弛緩不全を抱えている場合、股関節の伸展位を十分にとることができなくなってしまうため、立位では股関節、及び膝関節で、わずかな屈曲位をとらざるを得なくなる。この結果、ハムストリングスや大腿四頭筋に継続的な負担が強いられることで、それらにも腸腰筋同様の弛緩不全が生じやすくなる。ここに膝屈伸運動に伴う負荷が加わることで大腿筋群の弛緩不全が重度となり、種々の膝痛をもたらす原因になると考えられるのだ。

■膝痛を来すメカニズム
大腿にある筋肉のうち、大腿四頭筋は膝関節伸展作用を有する筋肉で、膝蓋骨、膝蓋腱を介して下腿脛骨粗面に停止するが、膝蓋骨と脛骨には、この筋肉からの牽引力による力学的な負担が加わるため、各々に炎症を来たすことが多い。少年期に特有のオスグッド病は、この原理によって脛骨粗面に生じた骨軟骨炎であるし、ジャンパー膝は同種の原理によって膝蓋骨側に生じた炎症である。一方、この筋肉の弛緩不全は、膝蓋大腿関節と膝関節の双方に過剰な軸圧負荷をかけるので、それぞれ、たな障害、半月板損傷の誘因ともなり得る。さらに言えば、腸腰筋や、大腿にある筋肉群に弛緩不全を有する状況下では、靭帯損傷を引き起こすような危険動作に対する円滑な回避運動が妨げられ、前十字靭帯断裂など、重大な障害を負ってしまいやすいと考えられるのだ。勿論、ハムストリングスの牽引負荷や軸圧負荷で生じる膝周辺の痛みもある。

■反復刺激ではなく、持続的な刺激が原因となる
仮に、腸腰筋の弛緩不全がそれほどでもなかったにせよ、股関節や膝関節の屈曲、伸展を繰り返すスポーツ活動において、ハムストリングスや大腿四頭筋に弛緩不全を生じるのは、よくあることだ。少年期の場合、骨格が未熟であると同時に、こうした筋肉の収縮と弛緩とをコントロールする神経伝達機能が未発達であるため、弛緩不全を来たしやすいのである。結果、膝関節のみならず、身体の多くの部位で、骨端症を患うことにもなる。それらは単に反復刺激が原因というのではなく、弛緩不全に伴う持続的な牽引、ないし軸圧負荷が引き起こす症状であると考えられるのだ。

■大腿筋群にMedical Dynamic Stretchingを
ゆえに、腰痛の場合と同様、膝関節の痛みにおいても、大腿四頭筋やハムストリングスなどのストレッチをすれば良い。ここでも、ストレッチの方法として、Medical Dynamic Stretching(MDS)が推奨される。時折、足の届かない椅子に腰掛けた子供たちが、ぶらぶらと落ち着きなく足を動かしている様を見かけることがあるが、あれこそが膝関節におけるMDSとなる。下腿の下垂位を中心として、膝関節を振幅30〜40度程度で振り子のように動かすわけだ。100回程度で効果が現れはじめるので、アスリートなら、500回程度を朝夕行う習慣をつけると良いだろう。弛緩不全に陥った筋肉には著明な圧痛があるが、その解消に伴い圧痛も軽減するので、ストレッチの前後で内側広筋を押さえて比較してみると、効果の実感が得られやすい。

■大怪我には筋肉の弛緩不全が先行する
このほかの膝痛としては、大腿筋膜張筋の弛緩不全で生じる腸脛靭帯炎や、鷲足成分の弛緩不全に由来する鷲足炎などがある。前者は腸腰筋に対するのと同様の方法で弛緩不全を軽減でき、後者は、それに加えて膝関節で行うMDSを行うと効果的だ。これらMDSは、できるだけスポーツ活動の直前、直後に行い、普段から継続しておくと、ある程度怪我を防止できるはずだ。
前十字靭帯断裂など、選手生命にかかわる大怪我には、必ず、股関節や膝関節をとりまく筋肉の異常が先行しているのである。ところが、多くの整形外科医は、膝関節における怪我の予防手段として、大腿四頭筋強化を指導する。だが、疲労が蓄積することで生じるアスリートの膝痛に対し、この訓練が奏功するかどうかは大いに疑問だ。かの訓練は、外科手術後、一時的に生じた同筋の脱力状態からのリハビリとしては有効かも知れないが、それがアスリートの怪我を防止するという道理については、愚鈍な町医者の理解を超えた話なのである。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/472.html

[不安と不健康18] <腰痛と生活習慣>
■腰痛の8割以上が原因不明という事実
脊椎外科のシンポジウムに参加して驚かされたのは、非特異的腰痛(原因のよくわからない腰痛)は腰痛患者全体の85パーセントにまで達するという報告のあったことだ。とすれば、整形外科医が日常で診る腰痛患者の半数以上は原因が定まらぬまま、適当に薬剤が処方され、やり過ごされていることになるわけだ。それでも軽症例は自然経過で良くなるかも知れないが、中にはそうでないものがあり、整骨院がその受け皿になっていたりもする。始末の悪いことに、整骨院で良くなってしまう症例も少なくないので、専門家としての整形外科医の面子は丸潰れになってしまうことがあるといえるだろう。

■整形外科医は筋肉の異常を見過ごしている
なぜそのようなことが起こってしまうのか。長らく町医者をやっていれば思い当たることがある。それはつまり、整形外科医が骨の異常ばかり診て筋肉の異常を見過ごしがちだということだろう。実のところ、腰痛患者では、そのほとんどで腸腰筋に異常を呈している。疲労の蓄積か、または廃用性の変化によって腸腰筋の滑らかな収縮と弛緩とに異常を来し、それが元になって腰痛を引き起こしているわけである。マッケンジー体操が何故腰痛に奏功するかといえば、それは、あの独特の姿勢が腸腰筋の伸展姿勢、即ちストレッチになっているからに他なるまい。

■仙腸関節の異常は大腰筋の異常がもたらす
こうした筋肉の異常(本稿ではこれを便宜的に弛緩不全と呼ぶ)は、整形外科領域の、かなり多くの疾患で原因になっていると推論され、その詳細は<エビデンスのない話>に著した通りである。腰痛の場合、一方では仙腸関節の異常がその原因であるかのごとき考察も見受けられるが、そもそも、仙腸関節に異常をもたらす直接原因は、腸腰筋を構成する大腰筋の弛緩不全に他ならない。仙腸関節を直接動かす筋肉はないものの、大腰筋が仙腸関節をまたいでいるため、大腰筋の弛緩不全が仙腸関節に剪断力となって働くと考えられるわけである。

■弛緩不全の成因
ここでいう弛緩不全の成因には、筋肉の収縮と弛緩とをつかさどる神経伝達機能の低下が深く関わっていると考えられる。高齢者の場合、廃用性変化に伴い、神経伝達機能の衰退を介して弛緩不全を生じる一方、小児の場合、神経伝達機能が未熟であることから疲労を蓄積させて弛緩不全を生じるという相似性を有している。どちらも力を抜くのが不得手になっており、筋肉内に弛緩不全領域が拡大し易くなっているわけだ。高齢者においては、ただ歩くという行為であっても、十分に過負荷となってしまうため、運動不足解消を目的とした散歩を習慣化した結果、腸腰筋や大腿四頭筋の弛緩不全を生じて腰痛や膝痛を患うことになる。では、歩くことが悪いのかというえば、そういうわけではなく、じっとしていて関節を動かさない方が廃用性変化を助長するので、なお悪いといえる。結局、神経伝達機能の維持改善と弛緩不全の解消が重要なので、歩行後に十分なMedical Dynamic Stretching(MDS)を行うことで、神経伝達機能に刺激を与えるとともに、筋肉に生じた弛緩不全を解消しておけば良いだけの話である。

■筋組織内の脱水と喫煙が症状を増悪させる
さて、筋肉の弛緩不全には年齢の相違のみならず、その生活習慣も深く関わっていると考えられる。その誘因として外来で意識されることが多い原因のツートップは喫煙と慢性の脱水だ。喫煙は筋肉内の血流を低下させ、筋線維が弛緩するのに必要なエネルギーの供給を妨げてしまうし、脱水は筋組織内の保水が不十分となってしまい、全身の筋肉を鰹節のごとく硬化させることになる。高齢者の場合、口渇中枢の機能自体が衰えているため、脱水があっても、のどの渇かない傾向があり、口渇感で水分摂取量を調節していたのでは脱水が必発であることには要注意だ。他方、小児でも口渇中枢が未発達であるために同様の脱水が生じると考えられる。また、口渇中枢の機能が十分であっても、発汗量が多い場合、ナトリウム喪失量過多により、口渇感が低下して脱水を生じやすくなる。実は、繊維筋痛症と呼ばれる難病も、こうした生活習慣を誘因として全身の筋肉に生じた弛緩不全の重症例と考えることができるのだ。

■生活習慣の改善を
ちなみに水分摂取量の多寡を判断する目安としては、発汗の少ない環境下で、体重50キログラムの人に必要な一日摂取水分量を約1500mlと考えればよい。だが、仮に摂取水分量が十分でも、その内分けがコーヒー、紅茶、緑茶、アルコールなど、利尿作用の強いものに偏る患者や、薬物としての利尿剤を内服しているような患者では、やはり筋肉の弛緩不全を誘発しやすい傾向にある。実際、ヘビースモーカーやコーヒー好き、酒好きには肩こりや腰痛持ちが多く、それらの生活習慣の改善だけでも症状は軽減するが、逆に、それらの生活習慣が改まらなければ、MDSもさほど効果を得られない場合がある。皮肉な話、整形外科医の中でも、こうした生活習慣が原因で腰痛を患っている者は数多いに違いない。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/473.html

[不安と不健康18] <線維筋痛症の予防と治療>
■線維筋痛症の正体
近年、有名アナウンサーの自殺によって、線維筋痛症という難病が巷でも広く認知されるようになった。この病気、一般的に診断が難しく、原因も不明で治療困難とされているのだが、これまで<エビデンスのない話>で論じてきた筋肉の慢性弛緩不全という概念で以って理解を試みれば、さほど難しい病気とは言えないかも知れない。町医者の素朴な実感でいえば、この病気の本態は、慢性的な脱水状態をその根本的な原因とする、全身の筋肉に生じた弛緩不全と、脳脊髄液圧減少症との合併症だといえる。

■血管内脱水と筋組織内脱水
通常、臨床的に問題とされるのは急性の血管内脱水であるが、実は慢性に推移する筋組織内脱水もある。この慢性の筋組織内脱水は、日々の水分摂取量の多寡や、嗜好する飲料水の種類といった諸々の生活習慣に起因する。我々の周囲は、アルコール類やカフェイン類など、利尿作用の強い飲み物や調味料、食材で溢れており、それらの過剰摂取に対して無頓着でいると、知らぬ間に脱水が進行してしまう場合があるのだ。また、一部の降圧薬の長期服用に伴う医原性の脱水もある。勿論、脱水は排泄過多に伴うものばかりではなく、発汗や授乳によって、必要とされる水分量が増大しているにも関わらず、それに対して十分な水分摂取が行われないことによっても生じ得る。筋組織内脱水は筋肉の弛緩不全を誘発するので、慢性的な脱水状態は全身の筋肉に弛緩不全を生ぜしめることになる。わかり易く極端な話をすれば、全身の筋肉が、生きながらにして鰹節のごとく硬化、ミイラ化していくわけである。

■Medical Dynamic Stretchingによる治療
実際、外来では、こうした慢性の脱水症を誘因とした症例に出くわすことがあり、そういう患者は全身のあちこちに痛みを患っている場合が多い。だが、それらの症状に対しては、脱水を補正した後、症状のある筋肉に対してMedical Dynamic Stretching(MDS)を施行することで、そのほとんどが顕著に治癒傾向を示すのだ。加えていえば、その種の患者は、ほぼ全例、線維筋痛症の診断基準を満たしてもいるのである。あるいは脱水がその直接原因でなかった場合であっても、筋肉の慢性弛緩不全という概念を受け容れ、そこに至る他の要因を追究することで、この疾患の特徴的な症状や所見の多くを、過不足なく説明し得ると期待されるのだ。

■木を見て森を見ぬ現代医学
現代医学では、やれ遺伝子がどうした、フリーラジカルがどうしたなどと、とかく木を見て森を見ずといった類の研究が行われやすい。だが、そうした研究のスタイルだけでは、線維筋痛症に限らず、個別の素因で多様性を示す病気の根本原因を突き止めるのは難しくなってしまうのではないだろうか。診断の基本は、一元的に病因を考えることにある。そうであるなら、今後の整形外科領域、否、整形内科領域の研究に必要なのは、理論物理学にみられるような研究のスタイル、即ち、より普遍的に病状を説明し得る仮説を打ち立て、これを実験的あるいは臨床的に検証していくことだろう。

■罹病期間の長期化が難治化を招く
結局のところ、線維筋痛症はそのほとんどの場合、筋組織内脱水の補正によって治癒せしめることが可能である。もっとも、これまでに遭遇した難治例に共通していたのは、初診時の段階で罹病期間が数か月以上に及び、前医から眠剤など心療内科領域の処方が施されていたことだった。つまり、この症状の原因が脱水だと見抜かれず、散々検査漬けにされた挙句、心療内科に回されてしまっていた症例に限って、治癒せしめることがかなわなかったというわけである。これらの症例においては、MDSによって症状のある筋肉に筋弛緩を得ても、その変化を脳が認識できなくなっているようだった。長い間、薬物によって症状を欺く治療が行われたため、好ましい変化もまた、脳が認識できなくなってしまっているのかもしれない。

■医師は製薬会社の手先になるべからず
ここ数年、整形外科医は、リリカやトラムセットなど、患者から痛みを取り除くための薬物を次々と手にするようになった。だが、痛みはもともと人間の体が危機管理の手段として獲得した貴重な警報なのだ。にもかかわらず、その警報に蓋をしてしまう薬物を闇雲に使えば、人間の健康にとって、さらなる害悪をもたらすのは自明の理である。そういう認識を持たず、あたかも製薬会社の手先のごとく新薬を濫用することに、医師はもっと慎重になるべきではないだろうか。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/474.html

[不安と不健康18] <アトピー性皮膚炎の原因と治療>
■昔はなかった病気
地元の小学校で行われた就学前検診に医師として携わる機会があった。漏斗胸と側弯の検診ではあったが、その際に痛感したのは、アトピー性皮膚炎の子供がとても多いという事実だ。アトピー性皮膚炎は現代病の一つで、日本が高度経済成長時代を迎えるとともに増加してきた奇病である。実際、ご年配方に言わせると、昔はほとんど見ることのなかった病気なのだそうで、それは生活の利便性の向上とともに増えてきたのだという。またこの病気、小児期から発症するものだけかと思いきや、成人した後、ある日突然発症するケースも多々存在し、成人型のそれの方が、小児のものに比べ、予後もよくないと言われている。

■人間と飼い犬と飼い猫だけがかかる病気
だが、これほど患者が増えているにもかかわらず、アレルギー性疾患であるという以外、その原因に関する考察はまちまちで、医療現場では依然として治療の決め手を欠いているのが現状だ。だから、容姿の美しさを売りにしているはずの芸能人たちの間ですら、患者は少なくない。近頃のテレビは画像が細密になっており、メイクだけではアトピー性皮膚炎の症状を覆い隠すことが難しくなっているため、注意深く観ていれば、それとわかってしまう。原因がよくわかっていないから、治療も対症療法が中心とならざるを得ず、美容に関する技術がいかに進歩しようとも、多くの患者がこの奇病と向き合うことを余儀なくされているのだ。しかも最近では、この奇病、人間だけでなく、飼い犬や飼い猫にも蔓延しつつあるという。このように、アトピー性皮膚炎は著しく増加傾向にありながら原因不明とされる奇病だが、実は、それら既成事実の一つ一つに、この病の本質が見え隠れしているのだ。

■入浴習慣が原因
結論を急ごう。専門外ではあるものの、町医者の素朴な実感で言わせてもらえば、この病気の原因は入浴習慣である。そもそも、野生動物にこの病気は皆無と言ってよい。人間もまた動物には相違ないはずなのに、なぜ人間と、そのペットたちだけがこの奇病に罹患するかといえば、それは、頻繁に入浴する習慣があるからに他なるまい。もともと動物の皮膚は、脂腺からの分泌によって、乾燥他の外的刺激に対し、天然の防護膜を有している。しかし、入浴習慣は大なり小なり、この防護膜を破壊してしまう。それはいかに肌に優しいとされる石鹸を使っていようが、関係がない。石鹸やシャンプーには、程度の差こそあれ、どれも皆、脂を落とす働きが備わっており、且つ、お湯それ自体にも脂を分解する性質があるため、頻回の入浴は、この防護膜を破壊せずにはおかないのだ。そして、防護膜の消失に伴い、皮膚は発汗や衣類との接触をはじめとする種々の外的刺激に対して過敏となり、それがアレルギー反応を引き起こして、掻きむしるという自傷行為を誘発するのである。ただ、皮脂の分泌の度合いや石鹸の用い方には個人差があるため、同じように毎日入浴していても、発症する人間としない人間が出るというだけの話だ。

■風呂のない時代には少なかった病気
さて、そう考えると様々に合点のいくことが多い。例えば、高度経済成長時代以前には何故この病気が少なかったかといえば、それは、当時、人々はそれほど清潔な生活を送っていなかったからだといえるだろう。浴室を持たない家屋に暮らし、入浴は専ら公衆浴場でという人々も多く、ゆえに、その回数も限られていたに違いない。ところが、高度経済成長とともに生活が豊かになるにつれ、家屋に浴室が常設されるのは当たり前の時代となった。しかし、生活が変わったからといって、人間の肉体が急に変わるはずもない。このため、頻回の入浴に耐えられない皮膚を有する人々の間で、この奇病が蔓延してきたのではないだろうか。とすると、この病気を発症する子供たちの親には、几帳面できれい好きなタイプが多いのも頷ける話だ。他方、その逆に放任主義の親元で早くから入浴の自立を強いられたために、石鹸やシャンプーのすすぎが不十分となることで発症する子供たちがいてもおかしくはない。実際、顔面を中心に発症する場合は、単純にシャンプーのすすぎ残しが原因といえるだろう。子供たちは顔にお湯をかけるのを嫌うことが多いのである。にもかかわらず、それらの症例に対し、体質改善と称して種々の投薬を施すのは、ナンセンスの極みと言うより他はない。

■脂腺分泌の多寡が発症を左右する
いずれにせよ、小児期に発症するアトピー性皮膚炎は、知らぬこととはいえ、ほぼその全てにおいて、親に責任があると言っても過言ではないだろう。それはペットのアトピー性皮膚炎に関して飼い主に非があるのと同じことだ。一方、成人後に発症する場合は、加齢やストレスなどにより、皮脂腺に退行現象の生じることを誘因とするのではないだろうか。旺盛な皮脂の分泌が保たれていた年齢では問題なかったはずの入浴習慣が、その分泌の低下とともに、ある日突然、問題を引き起こすことになるわけだ。しからば小児発症に比較して成人発症の方が予後不良であるのも納得がいく。小児の場合は徐々に皮脂腺の働きが活発になることで自然治癒をみる場合もあるだろうが、成人発症の場合、そうはいかないからだ。

■入浴習慣の改善を
結局、この奇病を治療するのに、特別な薬などほとんど不要だ。急性の増悪期は別として、通常の症状なら、自前の脂が分泌されるまで、しばらく風呂に入りさえしなければ良いのである。そうでなくとも、入浴時に石鹸やシャンプーを用いる回数を可能な限り制限して、お湯もぬるま湯を中心にするなど、各々の体質に応じた入浴習慣に改め、自前の脂の代わりになるワセリンなどを塗っておけば良いわけだ。どうしても石鹸を使いたいのなら、ステンレス石鹸がお勧めだが、もともと腺分泌の未発達な幼少時代は少々入浴しなくても、大人のように悪臭を漂わせることはほとんどない。石鹸やシャンプーを用いなければ不潔だというのは、神経質な大人たちの強迫観念でしかないのである。即ち、もとよりアトピー性皮膚炎なる奇病は存在せず、あるのは入浴習慣を誘因とする接触性皮膚炎に過ぎないというわけだ。仮にそうでなかったとしても、現在、アトピー性皮膚炎と診断されている症例に、こうした入浴習慣を原因とするものが数多く含まれている可能性は否定できまい。

■当たり前を疑うということ
何事もそうだが、当たり前になってしまっていることを疑うのは難しい。入浴習慣は、きれい好きを標榜する日本人にとって、当たり前となっている好ましい伝統には違いない。だが、伝統を無批判に受け入れて生活を続けると、害をなす場合もある。アトピー性皮膚炎は、ある意味、その好例といえるのではないだろうか。
とはいえ、アトピー性皮膚炎が入浴習慣を原因とする可能性について医者から説明を受け、それに納得した患者が、ただちに症状の軽快をみるかといえば、実のところ、そう簡単にはことが進まない。なぜなら、それは文字通り“習慣”であるために、これを改めることが難しいからだ。よくてせいぜい、二日に一度の入浴にしてみるだとか、シャンプーを使う回数を二日に一回にしたであるとかの消極的な変更しかせず、本当に治療上必要な措置がとられない場合が多いのである。成果をあげるためには、思い切った改善が必要なのだ。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/475.html

[不安と不健康18] <水虫の画期的治療法>
水虫は白癬菌と呼ばれるカビが原因で起こる皮膚病である。よって入浴後に掻痒感が増悪するのは、適度に水分とエネルギーを吸収した白癬菌が活発化するからだ。
素朴に考えてみれば、相手はカビという生き物なのだから、軟膏などの化学物質による攻撃だけでなく、物理的な攻撃も有効であるはず。

というわけで、入浴後、掻痒感のある部位めがけてドライヤーの熱風を一瞬「熱っ!」と感じるまで浴びせ、熱傷を負わない範囲で二度三度これを繰り返してみた。
するとどうだろう、掻痒感はたちどころに消滅してしまった。
結局、数日これを続け、毎日履きなれた靴下に対しても同様の処置を行うことで、水虫は完治に至ってしまったのである。

カビは乾燥に弱く、過剰な熱エネルギーでタンパク質が変性し、死滅してしまったものと考えられる。
この物理攻撃のメリットは即効性があって確実な上、コストがかからないことだ。
たった一度の施行でも十分な効果が得られたが、難点は末梢の感覚が麻痺した糖尿病患者や脳梗塞の患者、あるいは高齢者の場合は、熱傷を負うリスクが高く、いくばくかの注意を要するということ。
それでも熱傷に気をつけさえすれば、効果はいかなる特効薬をも上回ること請け合いだ。

ひょっとすると、同じ理由で、爪白癬ならレーザー治療も有効であるかもしれない。
いずれにせよ、ドライヤー治療は既にわが身で実証済みなので、水虫にお困りの方は是非お試しを。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/476.html

[不安と不健康18] <エビデンスのない話F五十肩の原因>

初稿を一部訂正

■五十肩とは
もともと、五十肩というのは慣用名であり、病態生理を反映した病名ではない。多くは、加齢以外に特別な原因を認めることのできない外傷なき肩痛を指してこう呼ばれ、実際は肩関節周囲炎であるとか、腱板炎などと診断される。鑑別疾患としては結晶誘発性の炎症や頚椎症性神経根症などが挙げられるが、ここでは肩原発の慢性疾患について、その原因を考察してみる。

■腱板の成分
キー・マッスルといえるのは、肩甲骨から起こり、上腕骨に停止する四つの筋肉だろう。それらは棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋であり、肩のインナーマッスルと呼ばれる一方、その停止腱に相当する各々の腱性部分は特別に腱板と総称される。腱板は肩関節の最深部で上腕骨を肩甲骨に結び付け、その構成成分は肩関節における種々の動きの力源でもある。肩関節周囲炎は腱板炎の別名が示す通り、腱板の構成成分に生じた異常を原因とする疾患であるが、その異常というのは、やはり、キー・マッスルの弛緩不全だと考えられるのだ。中でも、棘上筋、肩甲下筋の弛緩不全が著しい。

■投球肩の病態生理
腱板は、上腕骨を肩甲骨に結び付ける水平方向にしか力学的な作用がなく、上腕骨を釣り上げているのは三角筋の作用によるといわれている。事実、腱板が断裂を来たし、機能不全に陥った症例では、三角筋の作用が優位となって上腕骨頭は極端に上方転位する。だが、機能不全は何も断裂ばかりとは限らない。弛緩不全によっても生じると考えられるのだ。実は、野球少年の投球肩に対し、腱板を構成する筋肉群を弛緩誘導すると、たちまち症状が軽減、ないし消失するのだ。少年たちは頻回の投球によって腱板が疲労性の弛緩不全に陥っており、それによって生じた動作時における骨頭の軽微な上方転位が、肩峰下腔を狭小化せしめ、インピンジメントを招来するのではないだろうか。ひょっとすると、上腕骨頭に生じる骨端線離開もまた、腱板の構成成分に生じた弛緩不全が深く関わっているかも知れない。

■五十肩の病態生理
このように、少年期の肩痛は腱板の構成成分における過緊張性の弛緩不全が原因と考えられるわけだが、その一方、中高年では低緊張性の弛緩不全が生じると考えられる。というのも、インナーマッスルである腱板の構成成分よりも、浅層にある三角筋や大胸筋といった筋肉群の方が相対的に筋量が豊富で強力なため、作用が重複する棘上筋や肩甲下筋には低緊張性の弛緩不全が進むと考えられるからだ。ゆえに、加齢とともにその傾向が顕著となることで、インピンジメントを来たすのかも知れない。あるいはインピンジメントの事実がなかったにせよ、それらの弛緩不全が腱板付着部に損傷を来たす力学的な要因となるのは、あり得る話ではないだろうか。

■肩甲骨周囲筋に対する弛緩誘導
事実、肩関節周囲炎に対しては、その多くで腱板の弛緩誘導が奏功する。肩甲下筋のマッサージには即効性がある他、肩関節内外転の振り子運動や、内外旋の自動運動は、各々棘上筋、肩甲下筋に対するMDSとして作用するので極めて有用である。ただし、他動的にも可動域をなくしてしまった重度の拘縮肩、いわゆる凍結肩では、その治療手段は限られてくることになる。それは、腱板に生じた弛緩不全のエンド・ステージであり、腱板に生じた痛みのために、患者自らが肩を不動化することで生じる場合と、外傷を契機とする高度な断裂によって力源を失い、それを放置することで否応なく生じる場合の二通りがある。前者であれば、早期に弛緩誘導を行うことでエンド・ステージへの移行を未然に防ぐことができるものの、拘縮が完成してしまえば、肩甲上腕関節での可動性は消失し、最終的に肩甲胸郭関節の動きで代償された可動域を獲得するだけである。無論、それを以って治った、あるいは治したなどと思うことは、治療家として憚られるのは言うまでもない。ゆえに、そうなる前に、可能な限りの手立てを講じておく必要があるだろう。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/480.html

[不安と不健康18] <エビデンスのない話F五十肩の原因>
<訂正加筆を行いました>

■五十肩とは
もともと、五十肩というのは慣用名であり、病態生理を反映した病名ではない。多くは、加齢以外に特別な原因を認めることのできない外傷なき肩痛を指してこう呼ばれ、実際は肩関節周囲炎であるとか、腱板炎などと診断される。鑑別疾患としては結晶誘発性の炎症や頚椎症性神経根症などが挙げられるが、ここでは肩原発の慢性疾患について、その原因を考察してみる。

■腱板の成分
キー・マッスルといえるのは、肩甲骨から起こり、上腕骨に停止する四つの筋肉だろう。それらは棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋であり、肩のインナーマッスルと呼ばれる一方、その停止腱に相当する各々の腱性部分は特別に腱板と総称される。腱板は肩関節の最深部で上腕骨を肩甲骨に結び付け、その構成成分は肩関節における種々の動きの力源でもある。肩関節周囲炎は腱板炎の別名が示す通り、腱板の構成成分に生じた異常を原因とする疾患であるが、その異常というのは、やはり、キー・マッスルの弛緩不全だと考えられるのだ。中でも、棘上筋、肩甲下筋の弛緩不全が著しい。

■投球肩の病態生理
腱板は、上腕骨を肩甲骨に結び付ける水平方向にしか力学的な作用がなく、上腕骨を釣り上げているのは三角筋の作用によるといわれている。事実、腱板が断裂を来たし、機能不全に陥った症例では、三角筋の作用が優位となって上腕骨頭は極端に上方転位する。だが、機能不全は何も断裂ばかりとは限らない。弛緩不全によっても生じると考えられるのだ。実は、野球少年の投球肩に対し、腱板を構成する筋肉群を弛緩誘導すると、たちまち症状が軽減、ないし消失するのだ。少年たちは頻回の投球によって腱板が疲労性の弛緩不全に陥っており、それによって上腕骨頭の上方転移が生じてインピンジメントを来たしているのかも知れない。あるいは、もっと単純に上腕骨の腱板付着部に過剰な牽引負荷が加わって炎症を起こしているものと考えられる。ひょっとすると、上腕骨頭に生じる骨端線離開もまた、腱板の構成成分に生じた弛緩不全が深く関わっているのではないだろうか。

■五十肩の病態生理
このように、少年期の肩痛は腱板の構成成分における過緊張性の弛緩不全が原因と考えられるわけだが、その一方、中高年では低緊張性の弛緩不全が生じると考えられる。というのも、インナーマッスルである腱板の構成成分よりも、浅層にある三角筋や大胸筋といった筋肉群の方が相対的に筋量が豊富で強力なため、作用が重複する棘上筋や肩甲下筋には廃用性の弛緩不全が進むと考えられるからだ。ゆえに、加齢とともにその傾向が顕著となることで、腱板の機能不全を生じ、インピンジメントを来たすのかも知れない。あるいはインピンジメントの事実がなかったにせよ、それらの弛緩不全が上腕骨の腱板付着部に損傷を来たす力学的な要因となるのは、あり得る話だといえるだろう。

■肩甲骨周囲筋に対する弛緩誘導
事実、肩関節周囲炎に対しては、その多くで腱板の弛緩誘導が奏功する。肩甲下筋のマッサージには即効性がある他、肩関節内外転の振り子運動や、内外旋の自動運動は、各々棘上筋、肩甲下筋に対するMDSとして作用するので極めて有用である。ただし、他動的にも可動域をなくしてしまった重度の拘縮肩、いわゆる凍結肩では、その治療手段は限られてくることになる。それは、腱板に生じた弛緩不全のエンド・ステージであり、腱板に生じた痛みのために、患者自らが肩を不動化することで生じる場合と、外傷を契機とする高度な断裂によって力源を失い、それを放置することで否応なく生じる場合の二通りがある。前者であれば、早期に弛緩誘導を行うことでエンド・ステージへの移行を未然に防ぐことができるものの、拘縮が完成してしまえば、肩甲上腕関節での可動性は消失し、最終的に肩甲胸郭関節の動きで代償された可動域を獲得するだけである。無論、それを以って治った、あるいは治したなどと思うことは、治療家として憚られるのは言うまでもない。ゆえに、そうなる前に、可能な限りの手立てを講じておく必要があるだろう。
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/482.html

[不安と不健康18] <エビデンスのない話F五十肩の原因> SHO
1. SHO[4] gnKCZ4Ju 2017年4月06日 10:08:04 : 34fRTdsx58 : Czfsf2GtjCY[4]
阿修羅様
重複投稿なので、本稿の削除をお願いいたします。
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/456.html#c1
[不安と不健康18] <エビデンスのない話F五十肩の原因> SHO
1. SHO[5] gnKCZ4Ju 2017年4月06日 10:08:41 : 34fRTdsx58 : Czfsf2GtjCY[5]
阿修羅様
重複投稿なので、本稿の削除をお願いいたします。
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/480.html#c1
[不安と不健康18] <膝痛に大腿四頭筋訓練の摩訶不思議>
■患者を量産する大腿四頭筋訓練
これまで<エビデンスのない話>で述べてきたように、変形性膝関節症の直接原因は、膝関節をまたいでいる大腿筋群や下腿筋群の弛緩不全に相違ないと考えられる。よって、大腿四頭筋に負荷を与える訓練で、治療上、逆効果となるケースが生じても何ら不思議はない。実際、外来ではテレビに出演した著明な整形外科医の指導するスクワットを真似たり、他院で大腿四頭筋訓練を指導されて膝痛を悪化させた患者の来院が後を絶たない。そして、そういう患者に大腿筋群のMedical Dynamic Stretching(MDS)を施すと、その場で患者の痛みは激減するのである。その様はあまりに霊験あらたかで、わざわざ統計をとって、大腿四頭筋訓練と治療効果の程を比較するのが馬鹿馬鹿しい位だ。MDSの効果がかくも絶大であるということが、とりも直さず、大腿四頭筋訓練が変形性膝関節症を予防し、ひいては膝痛を軽減するという理屈が妥当性を欠いており、筋肉の慢性弛緩不全こそが、変形性関節症の直接原因であることを証している。では、どうしてこの大腿四頭筋訓練が、これまで疑われることなく推奨されてきたのだろうか。

■荷重軸の補正という概念
もともと、整形外科学はレントゲンをはじめ、画像診断技術の進歩と歩みをともにしてきた学問である。このため、学会発表も、画像上の異常を解析して薀蓄を垂れるのが手っ取り早い。実のところ、変形性膝関節症のレントゲンを眺めていれば、O脚やX脚がその発生要因になりそうなことは誰でも察しがつく。そこで、整形外科学の黎明期に、それを裏付けるべくレ線所見の解析が行われたのだ。その結果、O脚、X脚では、関節の中央を通るべき荷重軸が、それぞれ内側寄り、外側寄りにずれてしまっていて、関節軟骨にかかる力学的な負担の偏りが生じて変形を生じるという結論が導き出された。つまり、変形性膝関節症を予防するには、膝関節に荷重軸を近づける必要があると結論されたわけである。そこで言われ始めたのが大腿四頭筋訓練だ。膝伸展筋を強化することで、この荷重軸のずれを軽減できるという理屈である。

■歳のせいだと云う代わりの筋力低下
しかしながら、実際には、生来のO脚、X脚を持たず、その骨格が全く正常であっても、変形性膝関節症の患者と同様の症状を訴える患者が多数存在する。即ち、O脚、X脚は、変形性膝関節症に至る個別の素因に過ぎず、直接の原因ではあり得ない。それどころか、そもそもO脚、X脚は、筋肉の弛緩不全のアンバランスに由来した成長障害の一種とみなすこともできるし、高齢者のそれは、筋肉の弛緩不全によって生じた関節破壊の結果だともいえる。ゆえに、骨格に異常のない患者に大腿四頭筋訓練を施したところで何ら得るところはないはずなのだ。ところが、荷重軸の補正に関する理屈とともに、大腿四頭筋の筋力低下が関節の不安定性を招き、それが元で変形性膝関節症が生じるという結論が導き出されたため、O脚、X脚のあるなしに関わらず、膝の治療と言えば大腿四頭筋訓練と、不動の地位を確立するに至ったのだ。
だが、これは先に結論ありきの謬説である。変形性関節症の原因を、歳のせいだという代わりに筋力低下だとのたまってみただけの話なのだ。だから、変形性関節症の原因は、是が非でも筋力低下なければならず、かくのごとき屁理屈が辻褄合わせにこしらえられたに過ぎないのである。

■大腿四頭筋訓練が効く理由
確かに、側副靱帯損傷に起因する側方動揺性が顕著であれば変形は進行するだろうし、大腿四頭筋訓練は、膝関節の安定性の維持に関し、一定の効果はあるだろう。そこに科学的な根拠を見出すことも難しくはない。また、大腿四頭筋の筋力が膝関節の機能にとって、重要なファクターであるという認識そのものに異を唱えるつもりもない。しかしながら、現実的には、目立った側方動揺性がなくとも変形は進行するし、何より、この訓練で多くの患者が膝痛を増悪させてしまう。それらを例外として片づけてしまうにはあまりに高率で、この理屈の矛盾を指摘するための反例としては十分なはずであるが、この大腿四頭筋訓練が功を奏する場合も少なくないから事は厄介なのだ。逆説的なようだが、力を入れる練習の反復は、時として力の抜き方の練習にもなり得る。また、膝関節に動きを与えるエクササイズであれば、筋肉の収縮と弛緩をコントロールする神経伝達機能を活性化させることになり、MDSほどではないにしても、それに近似した効果の得られる場合もある。こうした理由で、大腿四頭筋訓練は多くの矛盾を内包したまま、整形外科の歴史の中で生きながらえてきたと考えられるのだ。

■大腿四頭筋訓練の変遷
さて、この大腿四頭筋訓練、その強化方法にも、いくばくかの変遷がある。もともと日常生活動作が誘因となって膝を患う高齢者に筋力強化を促すことになるので、当初、できるだけ関節に負担の少ない方法が考案されるに至った。それが、免荷状態における膝伸展位で大腿四頭筋に力を入れる等尺性運動である。それ自体は日常生活にはない運動であり、関節に荷重するわけでもないので、その効果や危険については、ほとんど顧みられることなく推奨されてきた。ところが近年、筋力を強化するという目的には、等尺性運動よりも、CKC(閉鎖性運動連鎖)であるスクワットの方が好都合であるというエビデンスが報告された。これにより、日常、階段の上り下りで膝を痛めたお年寄りを相手に、スクワットが指導されるようになったわけである。その結果、膝痛を抱える多くのお年寄りたちは絶望に打ちひしがれることになった。立っているだけでも痛みに耐えかねているというのに、スクワットなど、できるはずもないからである。

■筋力低下の原因は筋肉の弛緩不全
風吹けば桶屋が儲かるという理屈もここに極まれり。素人が考えても奇妙奇天烈、矛盾の明らかなこの治療、賢明な医師なら疑って然るべきであったにもかかわらず、そうはならなかった。何故、それが疑われなかったかといえば、それはやはり、整形外科医が、外科医であるからだろう。外科手術後の患者は押しなべて体に力を入れる方法がわからなくなっており、リハビリは専ら筋力強化とならざるを得ない。ゆえに、外科手術に携わる医師の視点では、筋力強化こそがリハビリであって、筋肉の弛緩を促すことが治療であるなどとは、思いもよらないのである。高齢者の筋力が弱いのは、弛緩不全のゆえに縮みしろが少なくなって力が出せないだけなのだ。だから、筋肉を鍛えるより、その弛緩を促した方が速やかに力が出せるようになるのである。MDSが大腿四頭筋訓練より、はるかに効果的であるのは、そのためなのだ。にもかかわらず、膝痛には大腿四頭筋訓練というこの理屈、学会ではエビデンス・レベルが高い、即ち信頼度が高いなどといわれている始末だ。この方法が無批判に推奨されてきた歴史を整形外科医は大いに反省材料にすべきであるし、遠くない将来、そういう時代が到来することになるだろう。

■原因と結果との取り違えがもたらした過ち
結局、何が間違っているかといえば、変形性膝関節症の原因と結果を見誤っていることにつきるだろう。レ線所見にみられる異常も筋力低下も筋肉の弛緩不全が招いた結果であって原因ではない。にもかかわらず、原因である筋肉の弛緩不全を悪化させる恐れのある方法が治療として選択されていることが問題なのだ。その結果、最終的に明らかな矛盾を露呈してしまったのが、この大腿四頭筋訓練ではないだろうか。筋肉の弛緩不全という概念が整形外科学に存在していないことが諸悪の根源なのである。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/507.html

[不安と不健康18] <Medical Dynamic Stretchingの実際@序論> SHO
1. SHO[6] gnKCZ4Ju 2017年8月05日 14:46:57 : iv29VG23QI : wJda_2wq69o[1]
Disorders of muscle relaxation をFailure of Muscle Relaxationに訂正
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/462.html#c1
[不安と不健康18] <エビデンスのない話A膝痛の原因> SHO
1. SHO[7] gnKCZ4Ju 2017年8月05日 14:50:36 : iv29VG23QI : wJda_2wq69o[2]
Disorders of muscle relaxation をFailure of Muscle Relaxationに訂正
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/451.html#c1
[不安と不健康18] <膝痛に大腿四頭筋訓練の摩訶不思議> SHO
1. SHO[8] gnKCZ4Ju 2017年8月18日 08:46:37 : iv29VG23QI : wJda_2wq69o[3]
荷重軸を下肢荷重線に訂正
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/507.html#c1
[不安と不健康18] <膝痛に大腿四頭筋訓練の摩訶不思議> SHO
2. SHO[9] gnKCZ4Ju 2017年11月17日 11:27:40 : yQuXnr3MXc : QvtpwmCxB2I[1]
■筋力低下の原因は筋肉の弛緩不全の段
6行目
「だから、筋肉を鍛えるより、その弛緩を促した方が速やかに力が出せるようになるのである。」を
「だから、筋肉を鍛えるより、その弛緩を促した方が速やかに力が出せるようになる上、関節にかかる負担も軽減するのである。」に訂正

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/507.html#c2
[不安と不健康18] <水分摂取の重要性>
■口渇感という幻
通常、人体は脱水状態に陥らないため、口渇中枢と呼ばれる脳の働きによって口渇感という幻をつくりだす。しかし、幼少期はその機能が未熟であるためか、体が脱水に傾いていても、さほど口渇感を覚えない場合がある。同様に、肉体の老化に伴い、口渇中枢の機能が衰退することで口渇感が不足し、十分な水分摂取を怠ってしまうようになる。男女ともに30〜40代頃からその傾向が現れ始め、60代以降ではそれが顕著となる。口渇感が不足するということは、喉の渇きを満たすだけの水分摂取では脱水が必発であるということだ。即ち、老化とは体が渇いていく現象だということができるだろう。

■線維筋痛症と心不全
その一方、さほど高齢でなくとも、日常の雑事に追われ、多忙な生活を送る人々の場合、口渇感を満たす飲水行為を後回しにして日々を過ごしてしてしまうため、危険な状態に陥ることがある。喉の渇きを満たすことなく睡魔に襲われて眠る生活が続けば、慢性的な脱水状態となるからだ。たまに喉を潤すことがあっても、それがコーヒーなどのカフェイン類であったり、アルコール類であったりすれば、その利尿作用でさらに脱水傾向は顕著となる。こうして脱水が慢性化することで筋組織内脱水を来して筋肉の弛緩不全を招くと、全身の関節や筋肉があちこち痛むようになる。これが線維筋痛症の正体だ。こむらがえりなどの筋痙縮を生じやすくなるのである。外来では、画像所見や血液生化学所見で明らかな異常を示さない原因不明の背部痛を訴える患者のほとんどが、筋組織内脱水によって症状を来している印象がある。なぜなら、それらはすべからく適量の水分摂取を継続することで治癒に至るからだ。この他、慢性の脱水状態は心機能に影響を及ぼす可能性も示唆される。原因不明の不整脈や心不全は、脱水に伴って電解質バランスが失調し、心房細動や心室細動を生じたものかもしれない。慢性的な脱水状態が存在することで、通常なら問題にならない程度の飲水の不足やアルコールの摂取であっても、急激に致命的な状況を引き起こしてしまうと考えられるのだ。

■慢性脱水症がもたらすもの
四肢の骨間筋に症状を来すほど慢性的な脱水状態が続くようであれば、血液の粘性もまた増大し、血管が目詰まりを起こす心筋梗塞や脳梗塞をも招来する可能性が高くなる。また、慢性的な脱水は便秘症の原因ともなり得る。十分な水分が口から入ってこなければ、人体は大腸の内容物から可能な限り水分を得ようとするので、便が硬化してしまい、便秘を生じるのである。のみならず、摂取水分量の不足は排尿量の低下を伴って尿濃縮を生じ、腎臓にかかる負担が大きくなって腎機能低下を招く。そして、そこから種々の老廃物が体内に蓄積される傾向が生じると、痛風や偽通風、石灰沈着性腱板炎など、結晶誘発性の炎症性疾患を来すようになる。尿道が短い女性の場合、尿流が減少することで易感染状態となり、膀胱炎を生じることが多くなる。そして膀胱炎を患うに伴い、膀胱の内壁が過敏状態となって頻尿や残尿感を生じ、膀胱それ自体も縮小する。授乳婦は水分の必要所要量が増大しており、これに飲水が追い付かない場合は脱水に陥り、線維筋痛症を生じてしまうことがある。また、頭痛薬が効かない難治性の頭痛には、慢性脱水によって生じた脳脊髄液圧減少症に伴う髄膜刺激症状で、いわゆるケルニッヒ徴候に等しいものがある。さらに、慢性的な脱水によって脳それ自体の萎縮をも生じ、びまん性の脳梗塞と相まって認知症の原因となるケースも考えられるだろう。

■水は第一選択の治療薬
かくのごとく、水こそ百薬の長であり、適量の水を飲み続けるだけで、随分多くの病気を未然に防ぐことができるのに、意外とその重要性が強調されることはない。それは、優れた生活習慣ほど医療業界の収益を損ねてしまうからかもしれないが、既に指摘した通り、線維筋痛症の特効薬は水に他ならない。そもそも、生物はすべからく水から生まれ、そこで育まれた後、陸上を生活圏とするものが現れるようになったのであり、水分摂取を疎かにすれば、健康に支障を来すのは当然である。水さえ飲めば治るものを、あれやこれやと症状を抑える薬を飲めば、体はさらに病を患うことになるだろう。水の代わりになる錠剤など存在しないのだから。

■脱水のモニタリング
慢性的な脱水があるか否かを診る目安は皮膚の湿潤状態をみる他に、第一肋間の圧痛の有無が重要だ。重篤な筋組織内脱水を呈しているような症例では、そこに著明な圧痛を示すからだ。体重50キロあたり、1500ml(食物中の水分込み)が一日の最低摂取水分量の目安となるが、個々の生活状況に応じて必要量はそこから増えることになる。屋外で過ごす時間が長ければ必要量は増大するし、発汗量の多い環境なら尚更だ。そういう場合は、尿量と尿の色で脱水状況をモニタリングすればよい。少なくとも二時間前後でまとまった量の排尿があり、尿の色が透明に近ければ問題ないが、数時間排尿がなかったり、排尿があっても少量で濃い色をしているようなら脱水だ。夏季は子供とお年寄りが脱水で死んでしまう季節であり、飲水量に関しては特に注意が必要である。

■水と塩を摂ること
実は、発汗量の多い運動選手にとって最適な飲み物はスポーツドリンクではない。スポーツドリンクは甘すぎる上にナトリウムが不足しているからだ。スポーツ選手は発汗によってナトリウムを大量に喪失するので、スポーツドリンクで水分を補うと血糖ばかりが高くなる一方、低ナトリウム血症を来して必要なだけの水分を摂ることができなくなってしまう。要するに胃にもたれて水分を欲しがらなくなってしまうのだ。人間の口渇感は血中の塩分濃度でコントロールされているため、低ナトリウム血症に陥ると、脱水状態であっても喉が渇かなくなってしまう。ラーメンのスープをすすった後で喉が渇くのは、この逆の現象だ。よって、真水だけで水分を摂ると低ナトリウム血症に傾いて必要なだけの水分を摂る事ができなくなってしまうので、適度に塩分を含んだ飲み物が必要になるわけだ。故に、発汗量の多いアスリートなら経口補水液の摂取が推奨される。食事の際にお椀物をつけると良いだろうし、お茶であれば昆布茶や麦茶を交互に摂るのもお勧めだ。但し、一度に大量の水分を摂取しないこと。急激に大量の水分を摂取すると、下痢をしたり、循環器に過剰な負荷となって血圧の上昇を来す恐れがあるからだ。勿論、利尿作用の強いカフェインを含む飲み物やアルコールは控えた方が良いし、それらを摂取する場合、必要量にその分を上乗せしなければならない。

■タイムラグ
さて、かくのごとく毎日水分摂取に努めたとしても、慢性的な脱水状態が改善されるのには時間がかかる。急性の脱水で問題となる循環血漿流量の減少は水分補給で速やかに回復するが、過剰分がすぐに排泄されて血圧が維持されるため、慢性の脱水を反映する筋組織内脱水の補正には、40歳位で約1週間、70歳位で約2週間程度かかる印象だ。ゆえに、MDS(Medical Dynamic Stretching)も、その間は効果が乏しいが、筋組織内脱水が補正されれば、著効するようになる。厄介なのは、整形外科を受診する初診の外来患者のほとんどが、この慢性脱水状態であるため、MDSの効果が乏しく、なかなかこれで治るという実感を得てもらうのが難しい場合のあることだ。治す方法を伝えることはできても、それを実行してもらう難しさと直面せざるを得ないのである。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/678.html

[不安と不健康18] <どうして線維筋痛症は難病になったのか>
■整形外科学の過ち
線維筋痛症は単純に慢性的な脱水で起こる病気に他ならないというのに、何故難病となってしまったのかといえば、これはある意味、整形外科学の責任だということができなくもない。現在、整形外科領域における変形性関節症は、いずれも筋力低下によって起こるといわれ、どこそこの関節痛には、どこそこを鍛えよ、という治療が一般的だ。例えば、階段の上り下りで膝を痛がるお年寄りを相手に、スクワットをして大腿部の筋肉を鍛えるように勧めているわけである。
実際、素人が考えても、この治療の過ちに気づくことができそうなものだが、そうはならなかった。それは、整形外科医が外科医であり、起こってしまった結果をどう治療するかにばかり傾注して、病気の原因を深く考えてこなかったからかもしれない。
本当は筋力低下が原因で変形性関節症を生じるわけではない。痛めている関節をまたいでいる筋肉が慢性的な弛緩不全を生じることで、関節において過剰な力学的負荷が加わり続けることによって関節破壊を来しているのであり、筋力低下もまた筋肉の弛緩不全によって生じた結果なのだ。筋肉の縮みしろが少なくなることで筋力低下を来しているに過ぎないのである。
つまり、結果を原因だとのたまってしまったが故に、治療があべこべになってしまったというわけだ。本当は筋肉の弛緩を促すことが治療なのだ。
こうした勘違いを引き起こしてしまった原因は、整形外科学という学問の俎上に、筋肉の慢性弛緩不全という概念が欠落していることにある。この弛緩不全は、疲労性と廃用性、どちらによっても生じ得るが、いずれも慢性的な脱水状態が筋組織内脱水を招来するために筋肉のミイラ化を促進してしまい、症状を増悪させるというわけである。
これまで、学会では筋力低下と変形性関節症の相関係数の高さばかりが示されて筋力低下が原因だとされてきたわけだが、これは両者が共に筋肉の慢性弛緩不全に端を発した結果であることを示しているに過ぎない。整形外科学の黎明期に試みられた原因と結果の解釈が間違っていたために、勘違いが勘違いを再生産して今日に至っているのが実情だといえるだろう。

■欠落した二つの概念
実のところ、線維筋痛症患者を最初に外来で診るのは、整形外科医であることが多い。それは慢性脱水による筋組織内脱水は急性腰痛症やフローズンネックを引き起こすケースが多いからだ。
しかしながら、整形外科学という学問に、筋肉の慢性弛緩不全という概念と、慢性脱水による筋組織内脱水という二つの概念が欠落しているため、整形外科医は線維筋痛症の本質を見抜くことができない。
おまけに整形外科領域は、医師の習熟度が進むにつれ、診る対象が専門化されていくので、脊椎を診る医者、上肢を診る医者、下肢を診る医者と分かれてしまい、全身を系統的に診るのは関節リウマチを専門にしている医者だけとなる。このために、全身症状を患う線維筋痛症患者の場合、クリニックから病院に紹介されると、最初に診療を担当する医者が関節リウマチの専門家となる。
ところが、先の理由により、整形外科医には病気の本質がわからないので、患者を膠原病内科や神経内科にふりわけるしか能がないというわけだ。

■患者の悲劇
ここから患者の悲劇が始まったといえるだろう。もともと畑の違う内科医が診るのだから、病気の原因がわかるはずもなく、患者は内科医お得意の検査漬けにさらされる。急性の脱水なら、血液生化学所見上、異常を認めることができるが、慢性脱水は筋組織内脱水を来すだけで血液濃縮を生じないので、検査上は異常を示さない。患者の訴えは激烈を極めるのにも関わらずだ。もっとも、全身の筋肉が痙縮しているのだから痛がるのは当然なのだが、これは何か新しい病気に違いないというわけで、線維筋痛症と呼ばれる病気が誕生した次第である。
若くて有能な医師であればあるほど、患者の生活をみるより血液生化学検査や画像診断に頼る傾向が強く、そのこともこの病気をわからなくさせる要因となった。患者の生活の仔細を問えば、脱水が根底にあることはわかりそうなものなのだが、内科医が普段治療にあたっているのは急性の脱水ばかり、即ち血管内脱水についての知識しか持ち合わせがなかったために、原因不明となったわけである。慢性脱水に伴う筋組織内脱水は全身に症状を来し、しかも髄膜炎と同種の頭痛を伴う上に便秘は必発というわけで、下剤が処方されることで脱水に拍車がかかり、鎮痛薬は次々と劇薬が投与されるという始末。
痛みは肉体が獲得した警報装置であり、肝心かなめの水分補給によって筋組織内脱水が補正されなければ鳴りやむはずもない。かろうじて芍薬甘草湯を飲めば筋痙縮がわずかばかり治まるが、水の不足を薬で補えるはずもなく、難治のまま。痛みのために安静を続ければ関節は拘縮傾向となり、筋肉は廃用性の変化を辿って弛緩不全が増悪する。八方塞がりの内科医は、目の前にいる患者のキャラクターにも疑いの目を向け始め(実際、あらゆる病気において患者のキャラクターは予後を左右する重大な要素となる)、痛くて眠れないという患者の訴えに応えるべく心療内科へと紹介する。そこでは脳に作用する薬が次々と処方され、警報装置そのものに支障を来すようになるという具合だ。

■壊れた警報装置の回復には時間がかかる
かくして線維筋痛症は難病としての地位を不動のものとするに至ったわけである。警報装置の不具合は水分補給だけではなかなか治ることがなく、時間をかけて機能回復に努めるしかない。全身の筋肉に生じた弛緩不全が、水分補給とMedical Dynamic Stretchingによって解消されていることを、自らの筋肉を押さえて確認していく必要がある。硬さがなくなって柔軟性をとりもどすことができていれば、圧痛に変化がなくとも快方に向かっている証なのだ。その状態を保つことで、徐々に警報が鳴りやむのを待つしかない。その間を薬に頼るのは仕方がないのかもしれないが、生活を正すのでなく、体が現す症状を抑える薬ばかり内服してきたことが招いた難病が、この線維筋痛症だといえるだろう。十分な水分補給の継続でも治らない線維筋痛症があるのだとすれば、それは医者がつくってしまった難病であるかもしれない。罹病期間が長期化することで、患者の心的因子をはじめ、多種多様な素因による修飾を受けてしまい、加療を難しくしてしまうのではないだろうか。

■患者に病名を告げるべからず
もし、医師が線維筋痛症を疑う患者を見つけた場合、決して患者に病名を告げてはならない。なぜなら、治らない病気という地位を確立しているこの病名を告げられた患者は、医師の告知によって精神的なダメージを負い、うつ病を発症して益々難治性となってしまうからだ。実は、うつ病それ自体、脱水が誘因となって起こるという報告まである。そうでなくとも、患者がこの病気の専門家を求めてあちこちの病院を彷徨えば、さらに治療は困難となってしまう。ただ水を継続的に飲みさえすれば治る病気であるというのにだ。
故に、この病気を疑う患者に遭遇した医師は、患者の生活の仔細を問い、慢性脱水の証拠を確認したのち、その生活を正すような指導を行うだけで良い。完治した後に病名を告げ、それが難病でも何でもないことを説明して患者に安心感を与えるよう心がければ済む話であり、線維筋痛症なる難病は幻に過ぎないというのが、片田舎に暮らす町医者の揺るがぬ結論なのだ。
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/680.html

[不安と不健康18] <線維筋痛症を患う方々へ>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

■思い当れば今すぐ水分摂取を
筆者の論考をご覧になって、ご自身の発症に思い当たる方々が少なからずおられるはずです。実際、筆者の外来では、線維筋痛症の診断基準を満たす患者さんの全てで、この慢性脱水状態が当てはまり、水分摂取の継続を促すだけで治癒に至ります。勿論、例外はあるかもしれませんが、寧ろ、そうした例外は線維筋痛症とは別の病気である可能性も考えられます。
もし、慢性脱水に心当たりがあれば、今すぐに水分摂取を心がけていただくだけで、数日後には治癒に至る可能性があります。現在、線維筋痛症を診ている医師は、自己免疫疾患を専門としている内科医であり、彼らもまた筋肉の慢性弛緩不全や慢性脱水という概念を知らず、病気に対する追究のアプローチにおいて的を外している恐れがあります。それ故、彼らにできるのは、せいぜい、各種症状に対して新薬を試すことぐらいなのです。
けれども、原因不明で治らないと思われている病気であっても、案外素朴な原因で起こっているものであり、頭の良い医者が、簡単なことを難しく考えすぎているだけかもしれません。

■原因は一つ
疾患において原因が諸説あると医者が患者に言う際、その医者自身、原因に見当がつかないから、そのような説明が行われるのが通例です。ある程度治療経験があれば、独自の見解があってしかるべきなのです。そもそも、諸説あるというのであれば、医者の目の前にいる患者が、どの説に該当するかをいうのが本来の医者の仕事のはずです。患者の生活をつぶさに問い詰め、どの説が当てはまるかを特定して治療が行われるのであれば、患者は何も不安に思う必要がないでしょう。

■線維筋痛症を見逃す整形外科医
ところが、皆様がこれまで受けてこられた治療はどうであったでしょうか。そして、今はどのような状態なのでしょうか。これまで筆者が診療にあたった患者のうち、線維筋痛症の診断基準を満たす患者で難治性だったのはほんの数例。そのいずれも発症後の経過が長く、心療内科領域の治療が長期間にわたって施されてしまっていたケースでした。その一方、他院で線維筋痛症と診断された症例も含め、残る全ての症例で水分摂取と筋肉を弛緩させる独自のテクニックだけで、ほぼ一週間以内に治癒せしめることができました。線維筋痛症患者は顎関節症だけでなく、急性腰痛症やフローズンネックで発症する場合も多々あるので、整形外科医は自ずと線維筋痛症患者に遭遇する機会が多くなるのです。ただ、多くの整形外科医は線維筋痛症の診断基準をいちいち患者に確認していないので、見逃されている場合が少なくないのも事実です。

■本当は治療にお金がかからない線維筋痛症
筆者の場合、患者に対しては、まず慢性脱水があるか否かを診断するところから診療を始めます。治療薬に関しても他の医師に比べて鎮痛薬の類をほとんど用いることがありません。痛みは肉体が発する警報であり、原因を取り除くことができさえすれば、やがては落ち着くものであるからです。筋肉が弛緩不全を起こす原因が各々個別に分かれるだけで、大多数は慢性脱水症が誘因となって線維筋痛症を発症するというのが筆者の持論で、治療の成果はあがっています。問題点はただ一つ。薬をほとんど使わない上に早く治ってしまうので、稼ぎにならないということだけです。

■難治であることが医療サイドの収益となる
現在、線維筋痛症を治すと謳う治療家の多くは、独自の見解に基づいて治療法を提唱し、自らの営利活動につなげています。実際、難病は難病であればあるほど、治療家にとっては利益を上げることができるネタとなります。今や線維筋痛症はその名を冠する学会まで存在し、治療薬を売る製薬会社にサポートされている有様です。このような状況下では、本当に有用な考察であっても、黙殺されてしまう構造的な要因が存在するわけです。なぜなら、線維筋痛症は治らない病気であることが学会の権威を高め、医療サイドの収益につながるからです。

■線維筋痛症は膠原病ではない
勿論、診療に携わる個々の医師の誠意に疑いの余地はありませんが、線維筋痛症は先天的な素因の不確かな病気で膠原病ではありえません。畑の違う医者がいくら治療と研究を試みても、宝を掘る場所が的外れなら、宝にたどり着くことはできません。筆者は自身の診療経験を知識として皆様と共有することが出来さえすれば、全てではないにせよ、かなり多くの線維筋痛症患者を救済できると確信しています。

■町医者の確信
ただ、一介の町医者の確信ごときでは信ずるに足る根拠がない、権威ある医師の発言でなければ価値がないとご判断されるのでしたら、それはそれで結構です。但し、発言した内容については確信があるので、現在受けておられる治療で治癒に至らないならば是非一度試していただきたいと存じます。たとえ心療内科の治療が長期であっても、難治性であるというだけで、治る見込みがないというわけではありません。とりあえず適量の水分摂取を継続していただくだけですから、さほど皆様のご負担にはならないことでしょう。筋弛緩を促すテクニックはMedical Dynamic Stretchingと筆者が名付けた方法で、ここで詳細を公開しています。とはいえ、発症後早期でありさえすれば、そのテクニックを用いるまでもなく、適量の水分摂取に努めるだけで治癒してしまう場合が少なくないことをお伝えしておく次第です。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/681.html

[不安と不健康18] <線維筋痛症を患う方々へ>

■思い当れば今すぐ水分摂取を
筆者の論考をご覧になって、ご自身の発症に思い当たる方々が少なからずおられるはずです。実際、筆者の外来では、線維筋痛症の診断基準を満たす患者さんの全てで、この慢性脱水状態が当てはまり、水分摂取の継続を促すだけで治癒に至ります。勿論、例外はあるかもしれませんが、寧ろ、そうした例外は線維筋痛症とは別の病気である可能性も考えられます。
もし、慢性脱水に心当たりがあれば、今すぐに水分摂取を心がけていただくだけで、数日後には治癒に至る可能性があります。現在、線維筋痛症を診ている医師は、自己免疫疾患を専門としている内科医であり、彼らもまた筋肉の慢性弛緩不全や慢性脱水という概念を知らず、病気に対する追究のアプローチにおいて的を外している恐れがあります。それ故、彼らにできるのは、せいぜい、各種症状に対して新薬を試すことぐらいなのです。
けれども、原因不明で治らないと思われている病気であっても、案外素朴な原因で起こっているものであり、頭の良い医者が、簡単なことを難しく考えすぎているだけかもしれません。

■原因は一つ
疾患において原因が諸説あると医者が患者に言う際、その医者自身、原因に見当がつかないから、そのような説明が行われるのが通例です。ある程度治療経験があれば、独自の見解があってしかるべきなのです。そもそも、諸説あるというのであれば、医者の目の前にいる患者が、どの説に該当するかをいうのが本来の医者の仕事のはずです。患者の生活をつぶさに問い詰め、どの説が当てはまるかを特定して治療が行われるのであれば、患者は何も不安に思う必要がないでしょう。

■線維筋痛症を見逃す整形外科医
ところが、皆様がこれまで受けてこられた治療はどうであったでしょうか。そして、今はどのような状態なのでしょうか。これまで筆者が診療にあたった患者のうち、線維筋痛症の診断基準を満たす患者で難治性だったのはほんの数例。そのいずれも発症後の経過が長く、心療内科領域の治療が長期間にわたって施されてしまっていたケースでした。その一方、他院で線維筋痛症と診断された症例も含め、残る全ての症例で水分摂取と筋肉を弛緩させる独自のテクニックだけで、ほぼ一週間以内に治癒せしめることができました。線維筋痛症患者は顎関節症だけでなく、急性腰痛症やフローズンネックで発症する場合も多々あるので、整形外科医は自ずと線維筋痛症患者に遭遇する機会が多くなるのです。ただ、多くの整形外科医は線維筋痛症の診断基準をいちいち患者に確認していないので、見逃されている場合が少なくないのも事実です。

■本当は治療にお金がかからない線維筋痛症
筆者の場合、患者に対しては、まず慢性脱水があるか否かを診断するところから診療を始めます。治療薬に関しても他の医師に比べて鎮痛薬の類をほとんど用いることがありません。痛みは肉体が発する警報であり、原因を取り除くことができさえすれば、やがては落ち着くものであるからです。筋肉が弛緩不全を起こす原因が各々個別に分かれるだけで、大多数は慢性脱水症が誘因となって線維筋痛症を発症するというのが筆者の持論で、治療の成果はあがっています。問題点はただ一つ。薬をほとんど使わない上に早く治ってしまうので、稼ぎにならないということだけです。

■難治であることが医療サイドの収益となる
現在、線維筋痛症を治すと謳う治療家の多くは、独自の見解に基づいて治療法を提唱し、自らの営利活動につなげています。実際、難病は難病であればあるほど、治療家にとっては利益を上げることができるネタとなります。今や線維筋痛症はその名を冠する学会まで存在し、治療薬を売る製薬会社にサポートされている有様です。このような状況下では、本当に有用な考察であっても、黙殺されてしまう構造的な要因が存在するわけです。なぜなら、線維筋痛症は治らない病気であることが学会の権威を高め、医療サイドの収益につながるからです。

■線維筋痛症は膠原病ではない
勿論、診療に携わる個々の医師の誠意に疑いの余地はありませんが、線維筋痛症は先天的な素因の不確かな病気で膠原病ではありえません。畑の違う医者がいくら治療と研究を試みても、宝を掘る場所が的外れなら、宝にたどり着くことはできません。筆者は自身の診療経験を知識として皆様と共有することが出来さえすれば、全てではないにせよ、かなり多くの線維筋痛症患者を救済できると確信しています。

■町医者の確信
ただ、一介の町医者の確信ごときでは信ずるに足る根拠がない、権威ある医師の発言でなければ価値がないとご判断されるのでしたら、それはそれで結構です。但し、発言した内容については確信があるので、現在受けておられる治療で治癒に至らないならば是非一度試していただきたいと存じます。たとえ心療内科の治療が長期であっても、難治性であるというだけで、治る見込みがないというわけではありません。とりあえず適量の水分摂取を継続していただくだけですから、さほど皆様のご負担にはならないことでしょう。筋弛緩を促すテクニックはMedical Dynamic Stretchingと筆者が名付けた方法で、ここで詳細を公開しています。とはいえ、発症後早期でありさえすれば、そのテクニックを用いるまでもなく、適量の水分摂取に努めるだけで治癒してしまう場合が少なくないことをお伝えしておく次第です。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/682.html

[不安と不健康18] <水分摂取の重要性> SHO
3. SHO[10] gnKCZ4Ju 2019年1月11日 08:33:58 : JFXPHuI0xM : 2SHe7Ks@RNM[1]
脳脊髄液圧減少症⇒脳脊髄液減少症に訂正
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/678.html#c3
[不安と不健康18] <どうして線維筋痛症は難病になったのか> SHO
1. SHO[11] gnKCZ4Ju 2019年1月11日 08:36:42 : JFXPHuI0xM : 2SHe7Ks@RNM[2]
フローズンネック⇒頚椎症に訂正
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/680.html#c1
[不安と不健康18] <線維筋痛症の予防と治療> SHO
1. SHO[12] gnKCZ4Ju 2019年1月11日 08:38:44 : JFXPHuI0xM : 2SHe7Ks@RNM[3]
脳脊髄液圧減少症⇒脳脊髄液減少症に訂正
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/474.html#c1
[不安と不健康18] <線維筋痛症を患う方々へ> SHO
1. SHO[13] gnKCZ4Ju 2019年1月11日 08:46:10 : JFXPHuI0xM : 2SHe7Ks@RNM[4]
フローズンネック⇒頚椎症またはスティッフネック
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/682.html#c1
[不安と不健康18] <線維筋痛症を患う方々へ> SHO
3. SHO[14] gnKCZ4Ju 2019年1月29日 10:02:32 : JFXPHuI0xM : 2SHe7Ks@RNM[5]
コメントありがとうございます。

ご指摘のように、生活を正せば病院に行かずとも治る病気は多いといえます。
もとより、医師の仕事は薬を出すことではなく、患者の生活をつぶさに問い詰めてこれを正すことであると申せましょう。
しかしながら、政策に振り回されるあまり、勤務医、開業医の別なく、利益を上げることが要求される時代ですので、個々の患者の生活の仔細を問う手間が省かれてしまいがちなのかもしれません。
ただ漠然と患者の症状を抑える薬を差し出す医者が多くなってしまい、病気の原因を考えない医者が多くなっていることは嘆かわしいというより他はありません。
これは知識詰込み型の医学教育のなせるわざだともいえます。過去の文献に頼りすぎて、自分で考えることをわすれてしまっているのです。

もし、拙稿ご興味を持っていただいたのであれば、過去にも<Medical Dynamic Stretchingの実際>と題した記事と、<エビデンスのない話>と題したシリーズの記事を掲載しておりますので、ご笑覧いただければ幸いに存じます。
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/682.html#c3

[不安と不健康18] <症例提示@>

29歳女性 職業 調理師
前医の紹介で当院受診。

S)五か月前より右上肢全体に痛みとしびれがあり、前医を受診するも症状は悪化傾向。
症状増悪時は箸が使えないほど右手に震えが生じる。
ADL: 鍋が持てない。箸の扱いに支障が出る。

O)初診時、右上肢に明らかな腱反射の異常や病的反射を認めず、上腕、及び前腕筋には圧痛と硬直あり。
肘関節伸展、手指伸展位で手指の震えを認めた。
第一肋間に著明な圧痛、同時に線維筋痛症の診断基準を満たす全身の著明な圧痛を認めた。
Thomsen テスト陽性。
体重75s、水分摂取量は一日2000ml以上で、水分摂取には気を付けている。
カフェインの摂取は、ほうじ茶が一杯程度。
仕事では重い鍋とPCのマウスを扱う。
前医での加療が奏功せず、不安感が強い。

A)右上腕骨外側上顆炎(テニス肘)と慢性脱水症
前腕伸展筋に圧痛と硬直が著明で、就労により、同部に疲労性の弛緩不全を生じ、上腕骨外側上顆にかかる力学的な牽引負荷が高じて発症したものと考えられた。
第一肋間の圧痛と全身の圧痛所見により、筋組織内脱水が背景にあると考えられたが、カフェイン摂取量は少量で水分摂取量は適量であるため、改めて他に何を飲んでいるかを問診した。
すると、大量のルイボスティーを摂取していることが判明し、ルイボスティーの利尿作用を疑った。

P)前腕筋の弛緩不全を解消するためのMedical Dynamic Stretchingを施行し、これを指導。
ルイボスティーをやめて、麦茶やスポーツドリンク、経口補水液の類へ飲料水を変更することと、就労時のテニス肘装具装着を勧めた。
投薬はテルネリン1錠眠前内服とアリナミンF朝食、夕食後1錠内服。消炎鎮痛剤は用いず、疼痛時は芍薬甘草湯を頓服として処方した。

初診時の段階で、MDSによって手指の震えは消失。痛みはわずかに軽減。
患者の受診後、ルイボスティーに利尿作用があることを確認。
六日後の再診時、疼痛は初診時の十分の一に激減。第一肋間、及び全身の圧痛は消失。
全身のだるさが残るとの訴えあり、テルネリンの副作用を考慮し、これを中止した。

かくのごとく、慢性脱水の痕跡を認めてから、患者の生活の仔細を問診することで、脱水の原因を特定できる場合がある。過去には、健康食品の摂取が原因の症例もあった。
逆に、慢性脱水の知識がなければ、この患者の生活は改まることがなく、状態はより深刻になっていた可能性もある。この症例に限らず、慢性脱水に関する知識と、筋肉の弛緩不全を解消するテクニックがあれば、整形外科の慢性疾患は、適切な処置によって、ほとんど薬物を用いることなく治癒せしめることができる場合が少なくない。逆に、この二つの概念を持たない医師の治療を受けた場合、患者は必要のない注射を打たれたり、鎮痛薬が長期投与されるなどした上、それでも難治性となってしまうのではないだろうか。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/694.html

[不安と不健康18] <症例提示A>

70歳女性 無職 高血圧症にて近医通院中。

S)10年以上慢性的に腰痛があるが、6週間前から誘因なく腰痛及び右臀部痛が増強し当院受診。
両手指に変形があり、変形性CM関節症、ヘバーデン結節、ブシャール結節にて大学病院通院加療中。
O)初診時、第一肋間に著明な圧痛。全身に線維筋痛症の診断基準を満たす圧痛を認めた。
体重48s。一日水分摂取量は1ℓ未満。
カフェイン摂取は一日当たりコーヒー二杯、紅茶二杯、緑茶三杯。
脊柱に叩打痛を認めず、SLRは正常。
鼠蹊部の腸腰筋領域に圧痛と筋硬直を認めた。
腸腰筋の弛緩を促すMedical Dynamic Stretchingで腰痛増強傾向あり、即座にこれを中止した。
レ線上は側弯症及び変形性腰椎症の所見。手指には複数の変形性関節症所見を認めた。
A)腸腰筋及び殿筋の弛緩不全。手指の変形性関節症及び慢性脱水症。
高血圧治療薬の副作用や飲水習慣による慢性脱水症で全身の筋肉に弛緩不全を生じており、この結果、腰椎や手指に関節破壊が進んでいるものと考えられた。
腰痛増悪の原因は季節変化に伴う寒冷刺激が弛緩不全を助長したためであると考えられた。
P)カフェインの制限、血圧に注意し乍らの一日1500ml以上の水分摂取を勧めた。
テルネリン1錠眠前内服、アリナミンF朝食、夕食後1錠内服、ノイロトロピン朝食、夕食後2錠内服を処方した。

初診から三日目。
第一肋間、及び全身の圧痛は消失。
外来でMDSを施行したところ、腰痛は初診時比較で二割六分、手指の痛みは三割まで軽減した。MDSを自宅で励行、継続するよう指導した。

初診から七日目。
腰痛はほぼ消失、初診時比較で一割未満となり、十年以上続く手指の関節痛は平時の二割未満となった。

この女性はインテリジェンスが高く、MDSを少ない受診回数で正確に再現できた稀有な症例であった。
実のところ、高齢者ではMDSを再現できずに間違ったやり方で症状を増悪させる場合もある。あるいは、水分摂取が目標量に届かない場合や、患者がMDSを十分に行わない場合には、当然ながらこれほどの治療効果は得られない。
しかしながら、この症例のごとく、患者自身が理論と方法の正しい理解を得、MDSを正確に再現できさえすれば、ほとんど鎮痛薬の類を必要とせず、自ら症状を治癒せしめることができるのである。
この症例は、慢性脱水と筋肉の弛緩不全という概念を持たない整形外科医が治療にあたれば、例えそれが大学病院のエキスパートであっても、ありふれた慢性疾患を治癒せしめることが困難となってしまう好例だといえるだろう。
へバーデン結節は、よく言われる女性ホルモン低下との関係は全くないのである。

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/695.html

[不安と不健康18] <症例提示A>
70歳女性 無職 高血圧症にて近医通院中。

S)10年以上慢性的に腰痛があるが、6週間前から誘因なく腰痛及び右臀部痛が増強し当院受診。
両手指に変形があり、変形性CM関節症、ヘバーデン結節、ブシャール結節にて大学病院通院加療中。
O)初診時、第一肋間に著明な圧痛。全身に線維筋痛症の診断基準を満たす圧痛を認めた。
体重48s。一日水分摂取量は1ℓ未満。
カフェイン摂取は一日当たりコーヒー二杯、紅茶二杯、緑茶三杯。
脊柱に叩打痛を認めず、SLRは正常。
鼠蹊部の腸腰筋領域に圧痛と筋硬直を認めた。
腸腰筋の弛緩を促すMedical Dynamic Stretchingで腰痛増強傾向あり、即座にこれを中止した。
レ線上は側弯症及び変形性腰椎症の所見。手指には複数の変形性関節症所見を認めた。
A)腸腰筋及び殿筋の弛緩不全。手指の変形性関節症及び慢性脱水症。
高血圧治療薬の副作用やカフェインの過剰摂取による慢性脱水症で全身の筋肉に弛緩不全を生じており、この結果、腰椎や手指に関節破壊が進んでいるものと考えられた。
腰痛増悪の原因は季節変化に伴う寒冷刺激が弛緩不全を助長したためであると考えられた。
P)カフェインの制限、血圧に注意し乍らの一日1500ml以上の水分摂取を勧めた。
テルネリン1錠眠前内服、アリナミンF朝食、夕食後1錠内服、ノイロトロピン朝食、夕食後2錠内服を処方した。

初診から三日目。
第一肋間、及び全身の圧痛は消失。
外来でMDSを施行したところ、腰痛は初診時比較で二割六分、手指の痛みは三割まで軽減した。MDSを自宅で励行、継続するよう指導した。

初診から七日目。
腰痛はほぼ消失、初診時比較で一割未満となり、十年以上続く手指の関節痛は二割未満となったため、ノイロトロピンを中止した。

この女性はインテリジェンスが高く、MDSを少ない受診回数で正確に再現できた稀有な症例であった。
実のところ、高齢者ではMDSを再現できずに間違ったやり方で症状を増悪させる場合もある。また、水分摂取が目標量に届かない場合や、患者がMDSを十分に行わない場合にも、これほどの治療効果は得られない。
しかしながら、この症例のごとく、患者自身が理論と方法の正しい理解を得、MDSを正確に再現できさえすれば、ほとんど鎮痛薬の類を必要とせず、自ら症状をコントロールすることができるのである。
この症例は、慢性脱水と筋肉の慢性弛緩不全という概念を持たない整形外科医が治療にあたれば、例えそれが大学病院のエキスパートであっても、ありふれた慢性疾患でさえ、難治性となってしまう場合がある好例だといえるだろう。
へバーデン結節は、よく言われる女性ホルモン低下などとは全く関係がなく、前腕の筋肉群の弛緩不全が引き起こす変形性関節症に過ぎないのだ。
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/696.html

[不安と不健康18] <症例提示A> SHO
1. SHO[15] gnKCZ4Ju 2019年2月06日 08:41:48 : 39H9XZNPZ2 : 0[399]
SLRは正常⇒SLRは陰性に訂正
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/696.html#c1
[不安と不健康18] <症例提示B>
24歳女性 事務職 

S)1週間前から背部痛あり、徐々に増悪してきたため当院受診。

O)胸椎部の棘突起直上に痛みがあり、圧痛並びに叩打痛を認めた。
上体前屈で疼痛増強。
第一肋間に圧痛を認めたが全身の圧痛は軽微。
腸腰筋に筋硬直を認めるが圧痛無し。
仕事で長時間座位を続ける。
体重51s。水分摂取は1〜1.5ℓ。
カフェイン摂取は緑茶500ml以上(水筒に入れて毎日飲む)。
レ線所見にて胸椎に明らかな異常を認めず。
平背傾向。
腸腰筋を弛緩させるMedical Dynamic Stretchingを行うと、背部痛は直ちに三分の一程度に治まった。

A)慢性脱水症があり、長時間座位を継続することで腸腰筋、及び広背筋に弛緩不全を生じ、その結果生じた力学的負担が高じて胸椎レベルの棘上靭帯に炎症を来したもの。腸腰筋の弛緩不全は廃用性で、棘上靭帯にかかる力学的負担は牽引負荷だと考えられた。

P)水分摂取とカフェイン制限、及びMDSの励行を勧めた。投薬は無し。

初診から5日目。
第一肋間の圧痛及び背部痛は消失した。

本症例も、筋肉の弛緩不全や慢性脱水の概念を持たない医者が診れば、MRIを撮っても明らかな異常が認められず、ただ闇雲に消炎鎮痛剤が処方され、原因不明の背部痛として扱われていた可能性が高かったことだろう。
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/697.html

[不安と不健康18] <Medical Dynamic Stretchingの実際H足関節と趾>
■予防と治療を兼ねるMDS
Medical Dynamic Stretchingを治療に用い始めて7年余り。子供の骨端症、アスリートのスポーツ障害、成人の変形性関節症と、年齢を問わず、また、疲労性、廃用性の別なく、それらの治療においてMDSには明確な効果を認めることができた。この事実が、とりもなおさず整形外科の慢性疾患は、おしなべて筋肉の慢性弛緩不全に由来するという証だろう。
さらにいえば、MDSは治療に有効であるだけでなく、怪我の予防法としても有用であると考えられた。
例えば、アキレス腱断裂には腓腹筋とヒラメ筋の弛緩不全が先行しており、それらの弛緩不全をMDSでコントロールできていれば、防ぎ得る怪我だというわけである。また、膝前十字靭帯損傷なら、腸腰筋や大腿、及び下腿筋群の弛緩不全がメンテナンスできてさえいれば、これまた防ぎ得る怪我だと考えられた。

■怪我の原因は不運にあらず
経験上、外来でよく診る足関節捻挫の類もまた、患者の不運によって起こっているのではなく、下腿筋群の弛緩不全が誘因となって受傷している印象がぬぐえない。弛緩不全の故、瞬時に適切な回避行動をとることが難しくなっているのではないだろうか。実際、足関節外側靭帯を損傷する子供は、手術による加療を行ったとしても同様の怪我を繰り返すので、手術自体に意味を見出せない場合がある。
こうした怪我に対し、MDSによる予防効果を統計学的に証明するのは難しいが、ここでは、下腿部において患うことの多い怪我や骨端症、慢性疾患の類の治療に効果を認めた足関節と足趾におけるMDSの実際を詳述する。

■他動的に行うMDS
治療家によって他動的に施術する場合、術者の右側に患者の両足が向くよう患者を仰臥位で寝かせ、患者の足関節直下に小枕を敷く。この状態で患者には脱力を促しつつ、術者は左手で患者の下腿部にある筋肉群のこわばりを確認しながら、右手で患者の足のMTP関節をつまんで小刻みに底背屈を繰り返して動かす。リズムは3ヘルツ程度。可動域を目いっぱい使うのではなく、半分程度の可動域で行うだけで良い。
100回も行えば下腿筋群は弛緩するので、腓骨筋腱炎、舟状骨の後脛骨筋腱付着部炎、有痛性外脛骨症、足背の前脛骨筋付着部炎、アキレス腱炎、及び踵骨のアキレス腱付着部炎などに奏功する上、ギプスによる足関節の外固定後のリハビリとしても有用だ。次に、左手で患者の足を把持し、右手で患者の足趾をひっかけるように底背屈させる運動を繰り返し100回程度行うと、足底の筋肉群をも弛緩させることができる。これを先の運動とあわせて行うと、セーバー病や足底腱膜炎、フライバーグ病などにも有効だ。リズムは同じく3ヘルツ程度が望ましい。
実際、筋組織内脱水を認めない患者にこれらを施術した場合、その効果があまりに絶大であるため、「まるで魔法のようだ」という感想を頂戴することもしばしばだ。

■独力で行うMDS
一方、患者が独力でMDSを行う場合、両足底を床につけた状態で椅子に腰かけ、膝関節90度屈曲位から少し足を前に出した位置で、踵を支点にしてつま先を二センチ程度小刻みに上下させる。底屈時には、つま先が床につくよう脱力する必要がある。リズムは3ヘルツ以上。連続して行うと、前脛骨筋が硬化してくるので、そうなる前に踵の位置を膝関節屈曲90度に戻し、この位置でつま先を支点にして踵を2センチ程度小刻みに上下させる。これも必ず踵が床につくよう脱力して行うのがポイントだ。どちらも貧乏ゆすりの要領で脱力を意識しながら、互いを数十回ずつ交互に繰り返し行う。前者は下腿屈筋群を弛緩させ、後者は前脛骨筋を弛緩させる。
次に、椅子に腰かけた姿勢のまま膝を伸展し、踵を床につけて足趾を連続して底背屈させると、足底の筋肉群を弛緩させることができる。この運動に加え、足趾を内外転させる運動を行うと、中足骨と中足骨の間にある骨間筋を弛緩させられるので、モートン病にも有効だ。足趾の底背屈と内外転も十回ずつセットで行うと良い。内外転は自動運動が困難な場合、自分の手指を用いて他動的に行っても良い。
この方法は、進行性の外反母趾にも効果があったが、行った回数に効果が比例するので、一日に数百回以上、行う必要がある。

■神経伝達機能の活性化
上記に加え、足関節を支点にしてつま先を時計回り、反時計回りに回転する自動運動を十回ずつ交互に行うと、下腿筋群の神経伝達機能の改善につながり、筋肉の協調運動が滑らかになって、足関節捻挫の予防につながる。ただし、慣れない間は力が入って弛緩不全を生じてしまう場合もあるので、最初は少ない回数で始めた方が良い。筆者は足関節外側靭帯損傷後、靭帯の癒合を得た患者については、受傷後6週から、徐々にこの運動を加えるよう勧めている。そもそも、子供たちにこの運動をさせると、動きがぎこちなくなってしまうケースが多い。つまり、子供たちは神経伝達機能の発達が未熟であるため、下腿に弛緩不全を生じやすいのである。
実際、これらのテクニックを空手道場の師範に伝授したところ、道場の子供たちの足のトラブルが激減したという報告を受けた。筆者自身は、学生時代の足関節捻挫後から続く運動時のテーピング生活を、これらのMDSによって卒業できたという次第だ。

■課題
MDSを行うようになってからの症例は5千を超えた。この間、期待された割に結果が今一つというケースもわずかながら存在したが、顎関節症を含め、理論上、効果の予想された、ありとあらゆる整形外科疾患で概ねMDSは有効だった。
また、MDSは交通外傷後の治療にも有用で、ムチウチと呼ばれる頚椎捻挫の類は頚椎周囲の筋肉に弛緩不全を生じていることが難治化の要因になると考えられた(交通外傷の患者の場合、MDSを指導しても、まじめに取り組まない患者が多かったのだが)。
当然、交通外傷に限らず、他の外傷や術後においても、リハビリの一環としてMDSは有効だったが、高齢者では患者本人がMDSの正しい方法を会得するのに困難が伴うだけでなく、会得できたとしても、短期間で違うことをし始めるので、頻回の通院指導が必要だった。
とはいえ、この方法が広く世間に知られるようになれば、アスリートの多くが選手寿命を延ばせるであろうし、整形外科手術のご厄介にならずに済む患者が増え、将来の医療費削減につながるに違いない。
もっとも、そのためには今日の整形外科学が、自らの過ちに気づく必要があるだろう。
せっかくMDSによって治りかけていたにもかかわらず、テレビの健康番組の影響で筋力強化を行い、症状を増悪させる症例が後を絶たないからだ。
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/698.html

[不安と不健康18] <患者様とお医者様>
二十年ほど前、勤務医時代のある時、接遇改善と称し、患者を様付けで呼ぶよう病院から指導があった。おそらくは浅はかな病院経営コンサルタントの指南に基づく要請なのだろう。同じ頃からお医者様という言葉もまた、死語になったような気がするが、当時から今に至るまで、そういう風習には大反対だ。確かに、患者の側は、様付けで呼ばれれば悪い気はしないのかもしれない。しかし、この風習は患者にも病院にも悪しき勘違いをもたらすことになると思ったものだ。

「お金を払って治療を受けているのに、治らないとは何事か」と、まるで病気が治らないことを医者のせいであるかのように怒り出す患者がたまにいる。そういう手合いほど、外来で待たされれば文句を垂れ、医者の指導にも非協力的で、病院をころころと自分勝手に変えては病気を悪化させていく。要するに、患者の様付けは、もともと勘違いしやすいタイプを勘違いさせてしまうのに役立つだけなのだ。

一方、様付けの悪影響は患者の側のみにとどまらない。病院が患者を様付けで呼ぶ以上、病院側は患者のことを、儲けをもたらすお客様だという感覚に陥ってしまう。これがなぜ問題であるかといえば、お客様を相手にする医者は、患者にできるだけ肉体的、経済的負担をかけないよう治すことを目的とするのではなく、患者の負担など二の次三の次、できるだけ稼ぎになる治療を施すことを目的とするようになるからだ。

実際に、これは現在の大病院の在り方をそのまま反映しているといってよい。保険で許される範囲内で稼ぎにすることが目的に据えられるので、儲けにつながる患者は手厚くもてなされるが、そうでない患者はすぐにお払い箱というわけだ。日本の医療制度がそれに拍車をかけている現実もある。
かくして医者の頭の中は、どれだけ効率よく治療費をふんだくれるかという発想が支配的となっていく。
故に、生活習慣や受診態度について、本来ならば医者に厳しくお叱りを受けるべき患者が甘やかされ、金づるとして珍重される事態を生むのだ。だが、それは結局、患者のためにならないのである。

本来、患者は医者を頼っている立場で、医者は患者に頼られているという責任を負っている立場だ。なるほど商売において、お客様は神様なのかもしれないが、医療においては、医者の側が神様の代理人としての責任を負うのである。ところが、患者を患者様と呼ばせる風習は、この責任の所在を曖昧にしてしまい、病院をして聖域から商店へと堕落させる。患者は、患者様ではなく、患者さんだ。そして医者は、お医者様として、全力で神様を演じなければならない存在ではないだろうか。
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/702.html

[不安と不健康18] <健康になりたければ>
■堕落のわけ
さて、かくある経営コンサルタントが病院に入ってきた理由は、当時、医療費高騰の名のもとに、無思慮な医療費削減が行われていたからだ。20年以上前から、医療費が日本の財政を食い潰すという危機感を煽った一人の厚労省役人の発想に従い、国は無分別に医療費を削減していった。同じころから米国の保険会社のコマーシャルをテレビでみかけることが多くなり、医療業界では国民皆保険の存続が危ぶまれる声をきくこともまた多くなっていたのだ。即ち、国政の故に病院は商店へと堕落せざるを得なかったのである。

■過剰な医療
しかしながら、実際問題、この医療費高騰論にはほとんど根拠がなく、後に、過剰な医療費削減の実態が明らかとされるに至った。とはいえ、一度堕落してしまった医療業界は、商魂たくましく利益を追求する性癖を手放せなくなっていた。この故に、本来、高齢者にはできるだけ自然な形で天寿を全うできる軽めの医療を提案すれば良いものを、過剰に手を加えて利益に還元しようとするわけである。死に至る自然な過程を病気に見立ててしまえば、どんな治療もまかり通ってしまう。皮肉なことに、国が医療費削減を進めた結果、医療費の無用な肥大化を招いてしまったのだ。それが証拠に、過剰な医療を施さない北欧に寝たきり老人はいない。寝たきりになるずっと以前に旅立てるからだ。寝たきり老人がいなければ、その分医療費も安く上がる。そもそも、歩けなくなった老人を無理やり歩かせる必要もなく、食べなくなった老人を無理やり食べさせる必要もないのだ。それらは皆、死に赴く必要な過程の一つに過ぎないのだから。

■稼ぎになる治療
整形外科学においては、手術適応という考え方がある。特定の疾患に対し、患者本人の年齢、職業、社会的背景などに応じて、手術の必要、不必要を判断するのだ。だが、大病院においてはこの手術適応が拡大する傾向が生じる。理由は簡単。手術を行った方が稼ぎになるからだ。かつて、米国で悪名高いロボトミー手術が盛んにおこなわれた経緯も、理由はそこにあった。
もとより、患者は誰もが皆、手術を受けたくて受けるわけではない。それ以外に治る見込みがないと医者に言われるから仕方なくするだけだ。本当は生活を正しさえすれば、時間をかけるだけで自然治癒力が働き、何もしなくて良い場合が多々あるにもかかわらずだ。けれども、それでは稼ぎにならないから、無用な治療が次々と施されるのである。実のところ、末期がんは、医療が過剰に手を加えさえしなければ、比較的安らかに死を迎えられる手段の一つでもあるのだ。

■AIの提言
つい最近、AIからなされた提言は大変興味深いものだった。
「健康になりたければ病院を減らせ」であったという。
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/703.html

[不安と不健康18] <無意識の刺激>
筋肉が弛緩不全を起こし、その状態が持続することで整形外科の病気を生ぜしめるという理屈を説くようになって早7年。当初、弛緩不全にいたる原因について、頻回の酷使による疲労性と、逆に長時間同一姿勢を継続することで生じる廃用性があると考え、慢性的な脱水や寒冷刺激、あるいは精神的ストレスや喫煙習慣が、その状況に拍車をかけるものと推論していた。

この7年間で、それらの推論は概ね正しかったことが確認できた。そして、弛緩不全の原因は、いずれも患者本人には自覚のないことが共通していた。例えば、慢性的な脱水状態や、寒冷刺激は、いずれも患者本人には自覚がなかったのである。それは、口渇や、暑さ、寒さを感じる脳の機能不全が関係しているものと考えられた。

小児や高齢者では、脱水でも喉が渇かず、寒い環境にいても、寒いと感じない。この故に、無意識のうちに長時間の寒冷刺激にさらされることで、肉体は体温を維持しようとして筋肉を収縮させ、そこに弛緩不全を生じるのだ。秋ごろの発症で冬場に治りかけていた多くの患者が、寒気の到来とともに足並みをそろえて症状を増悪させたため、この寒冷刺激の存在を意識せざるを得なかったのである。

この他、神経伝達それ自体の機能不全によって、収縮した筋肉を弛緩に転ずることがうまくできない現象も確認できた。小児では未熟さ故に、一方、高齢者では機能低下の故にである。子供も老人も、体の力を抜くことが上手にできないのだ。おそらく、今後は無意識の精神的ストレスで筋肉に弛緩不全を生じている症例を蓄積させていくことになるのだろう。
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/714.html

   

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > SHO gnKCZ4Ju > 100000  g検索 gnKCZ4Ju

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。