安倍首相街頭に 有権者「アベノミクスの実感ない」
http://tanakaryusaku.jp/2014/11/00010335
2014年11月28日 23:26 田中龍作ジャーナル

安倍首相は身振り手振りをまじえ、日本の新聞・テレビでだけ通用するアベノミクスの効果を強調した。=28日夕、新宿西口 写真:筆者=
 安倍晋三首相が今夕、新宿駅西口で街頭演説した。事実上の選挙戦がスタートしてから東京で演説するのはこれが初めてだ。
 アベノミクスの是非を問う、とまで言われる今回の選挙。海外の主要経済紙・誌はいずれも「アベノミクスは失敗」と結論づけた。BBCはStagflation(景気後退下のインフレ)と言う恐ろしい経済用語まで用いた。
 日本のマスコミがアベノミクスを持ち上げてきたこともあり、今夕の演説で安倍首相は、アベノミクスがさも順調に行っているかのように強調した―
 「有効求人倍率は20数年ぶりの高い水準になっている」「平均で2%以上給料があがった」「100万人の雇用を作った」・・・いいことだらけだ。
 会社が正規を切って非正規を増やせば、有効求人倍率は増える。給料が上がったのは一部の優良企業だけだ。月給は上がってもボーナスがその分、減っていたりする。
 首相の演説に耳を傾けていた聴衆に聞いた―
 60代の不動産業者(男性・府中市)は「自分は株を買っていないので(アベノミクスを)実感できない」と語った。
 「ニュースでは(アベノミクスが)いいように伝えられているが、景気回復の実感はない」。こう話すのは会社員の男性(20代・正規社員)だ。

東京選出の前衆院議員の再選もかかる。野党共闘しだいで議席を減らす可能性もある。=28日夕、新宿西口 写真:筆者=
 今回の選挙では「集団的自衛権の行使容認」や「特定秘密保護法」も争点になる。
 年金生活者の男性は「(秘密保護法は)困ったものだ。今の若い世代が困るでしょ。言いたいことが言えなくなるから」と顔をしかめた。
 自民党幹部がテレビ局に事実上の圧力をかけた文書を出していたことも、選挙戦を左右しそうだ。
 文書は「街頭インタビュー等で一方的な意見に偏ることのないよう公平中立、公正を期していただきたい」などと要求している。
 たとえば有権者10人にインタビューして、8人がアベノミクスに否定的・懐疑的で、2人が肯定的だったとする。
 
 それでもテレビ局は2対2で扱わざるを得ない。もともとテレビ報道は変な「バランス感覚」があったが、自民党からのお達しでアベノミクスに批判的な街の声は実際よりも少なくなるだろう。
 「安倍官邸」は記者クラブメディア(新聞・テレビ)をフルに使って世論操作を展開するだろう。小泉政権による郵政選挙(05年)が「コミ戦※」と云われたように。
 『田中龍作ジャーナル』は庶民の怒りと悲鳴をありのままに伝えていきます。
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※コミ戦
自民党コミュニケーション戦略本部の略。テレビのワイドショーをフルに利用して「小泉劇場」を演出した。




 私自身は、2年前の衆院選で「TPP断固反対」と全国各地で有権者に訴え当選した議員の責任を問う(下記リスト参照)。その選挙
のわずか3か月後の2013年3月15日、安倍首相はTPP参加を表明し、同年7月に交渉参加国となり現在までの流れが続く。いうまでもなく、これは公約破りである。公約に反してまでも参加をするという
判断をしたいのなら、解散総選挙をして国民に信を問うのはまさにその時だったのだ。秘密保護法も、集団的自衛権も同様。要するに都合がいいときにだけ「信を問う」と解散総選挙をやる安倍政権
は、それだけで不正義という理由で政権失格だ。
 そして個々の議員についても、その言動の不一致を問わなければならない。自民党内には2年前の時点で
 しかしこれは、自民党議員による「勝手な言い訳」に過ぎない。しかも2年前の自民党の公約集には、TPPに関して6項目が挙げら
れていて、農産物の関税だけでなく医療や自動車、食の安全などが守られなければ参加しないこと、また主権を脅かすISD条項には反対、と書かれてある。しかし安倍首相は選挙後に、それらのうち
「聖域なき関税撤廃」の項目以外は「正確には公約ではない」との意味不明でつじつまの合わない見解を示し、有権者を裏切った。










 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。