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中谷巌氏もベーシックインカムを提言へ。
http://www.asyura2.com/09/idletalk35/msg/598.html
投稿者 最大多数の最大幸福 日時 2009 年 2 月 18 日 22:40:48: d1qFhv8SE.fbw
 

 中谷巌氏もベーシックインカムを提言へ。

 中谷巌が率直な「懺悔の書」を、したためたということは、
 阿修羅諸氏の投稿から把握していたが、その書物の中で、
 ベーシックインカムの導入まで提言していたとは知りませんでした。

 着実に仲間は増えつつある。
 BI導入論者たちよ。勇気を持って、もっと、どんどん主張していこうじゃないか。

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今週の本棚:伊東光晴・評 『資本主義はなぜ自壊したのか…』=中谷巌・著
http://www.mainichi.co.jp/universalon/clipping/200902/138.html

◇『資本主義はなぜ自壊したのか――「日本」再生への提言』
(集英社インターナショナル・1785円)

◇米国的市場優位を否定した「懺悔の書」

一九九〇年代、著者は政府委員会で、竹中平蔵氏等とともに規制緩和・民営化の旗をふり、小泉政策の地ならしをした人である。その人が、この種市場中心主義の誤りに気づき、自らの立場を変えたことを明らかにしたという点で、この本は問題の書である。著者自身「懺悔(ざんげ)の書」と記している。

なぜ著者は、アメリカ的市場優位の、この種の考えを持つようになったか。――アメリカ留学である。そこで学んだアメリカの新古典派経済学と、かいま見たアメリカ人の豊かな生活から、もしこの経済学が主張するように、自由な競争が市場で行なわれていれば、このような豊かな社会が実現できるにちがいないと考えるようになったというのである。

ではなぜそれを否定するようになったのか。

なによりもアメリカ社会の変貌(へんぼう)である。レーガンが大統領になり、市場優位の政策が定着した一九八〇年以後、いちじるしい所得格差が生じ、一方で驚くほどの高額所得者、他方で多数の貧困者が生れたからである。

留学時と八〇年代以後のこの大きな社会の落差――それを著者はクルーグマンの『リベラル派の良心』(二〇〇七年)によって説明する。

著者が留学で体験したアメリカは、経済史家が「大圧縮時代」とよんだ戦後社会であった。それはルーズベルトのニューディールが着手し、戦後の共和党の大統領の時代も継承されていたもので、高率累進課税で高額所得者を抑え、他方、低賃金を政策介入と労働組合保護政策で引き上げるというものであり、これが中産階級中心のアメリカ社会を戦後につくり出したと言われている。

それがレーガン以後大きくくずれ、一九二〇年代以前かと思われる大きな所得格差をつくりあげた。市場中心主義的政策によってである。

本書では大圧縮時代と、二〇年代、八〇年代以後との違いを一目でとらえることのできる図を示している。アメリカの個人所得上位一%の人が全所得に占める割合の図である。二〇年代、一七%前後を示しているこの数値が、ニューディールの進行とともに大きく下り、戦後の五二年から八〇年までは九%付近を示し、以後急激な上昇となって、二〇年代と同じ高さに達している。

著者が留学した時代の安定した大圧縮の時代をつくったのは、留学で学んだ市場優位の新古典派の経済学ではなかった。新古典派とケインズを結合したサムエルソンに代表される新古典派総合であったのに気づいた、と著者は書く。

はたしてそうなのであろうか。私が知っていることは次のようなことである。

一九四四年ルーズベルトの一般教書は、雇用の権利、充分な所得をうる権利、まともな家に住む権利、医療を受け、健康を享受する権利、経済的不安から守られる権利、充分な教育を受ける権利など、八つの権利をうたった。福祉社会を目ざす、そのための政府の役割の重視である。サムエルソンの師ハンセンは、再び三〇年代のような不況をおこさせてはならないと、こうした社会をつくるために努力し、市場主義者たちから危険思想の持主として批判された。この師の骨太の社会改革の理念を新古典派総合のサムエルソンは引きつがなかった。――これは中谷さんが学んだ一橋大学の都留重人教授の言である。書くまでもなく都留さんはハンセンに学び、サムエルソンの友人である。

著者は正直である。日本での学生時代、経済学の勉強をしなかった。留学し、アメリカ的教育でしごかれ、テキスト・ブックをものすごく読まされ、新古典派になった、と。それが勝者のためのイデオロギーであるとは気づかなかった、と。

日本で勉強せず、アメリカで新古典派へ――これは小泉改革で旗をふった人の中に多い。竹中氏はどうであろうか。

この本で面白いのは、著者がブータンとキューバという異色の国にひかれている意外さである。ブータンについて書けば、医療と教育が無料、GDPをふやすことではなく、Gross National Happiness(国民総幸福)の増大を目ざし、伝統を重んじている小国である。恐らく著者は、五千万人もの人が医者にかかれないアメリカをこれら小国に対比させ、“安心、安全、信頼、平等、連帯などに価値をおく”ことの大切さに気づいたからであろう。

ではそうした社会をどうして作るか。著者は、北欧と同じく付加価値税で、誰にでも一定の所得を保障するベーシック・インカムの導入を提案する。これによって付加価値税が逆累進にならないことを付言する。

早くから市場主義が格差社会をつくり、不安定を生むことを主張してきた評者としては、この提案に賛成である。ただしその叙述は、スミス理解とともにやや正確さに欠ける。新古典派の理論批判がほしかった。

ブータンについては今枝由郎『ブータンに魅せられて』(岩波新書)を参考としてあげておこう。

[毎日新聞 2009年2月8日]
 

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