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高齢者の高額療養費見直しは貧困拡大の可能性がある(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/16/hasan114/msg/136.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 10 月 07 日 10:21:35: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


高齢者の高額療養費見直しは貧困拡大の可能性がある
http://diamond.jp/articles/-/103966
2016年10月7日 早川幸子 [フリーライター] ダイヤモンド・オンライン


 2015年1月に現役世代の高額療養費が見直され、2016年4月には入院時の食事療養費の値上げ、紹介状なしで大病院を受診したときの定額負担の義務化など、ここ数年、医療費の負担増が相次いでいる。

「医療費の負担増はやむなし」という流れのなかで、最後まで守られてきたのが高齢世帯だ。

 高齢世帯のおもな収入は公的年金で、現役世代に比べると相対的に所得は低い。その一方で、病気やケガをして医療を必要とする機会は増える。こうした高齢者特有の事情を考慮して、70歳になると医療費の自己負担は現役世代に比べると低く抑えられてきた。

 これまで何度も引き上げの機運は起こったものの、高齢者の医療政策は時の政権の先行きを左右するため、長く据え置かれたままになっていたのだ。

 だが、2014年度の国民医療費が40.8兆円となり、過去最高を記録。2015年度は41.5兆円(概算医療費)となる見込みで、3分の1は高齢者の医療に費やされている。

 現役世代の健康保険から支払う高齢者医療への拠出金が年々増加していることもあり、厚生労働省の審議会では高齢者の負担増を容認する声が多数を占めるようになってきている。

 そのひとつが、これまで据え置かれてきた高額療養費の上限額の見直しだ。たしかに増え続ける高齢者医療費を賄うためには、どこかに財源を求めなければいけない。だが、病気やケガをしたときの自己負担を増やすのは正しい判断なのだろうか。

■激変緩和措置で導入された
「通院のみ」の限度額

 高額療養費は、医療費が家計に過度な負担を与えないように配慮した制度で、現在、70歳以上の人の高額療養費の限度額は、図のように所得に応じて4段階。現役世代とは異なり、70歳以上は「通院のみ」の上限額が設けられているのが特徴だ。



 これは2002年10月に、通院時の自己負担額の月額上限を撤廃し、定率1割負担になったときに設けられた特例で、新制度導入の激変緩和措置として導入された。

「一般」の人の1ヵ月の限度額は、入院のみ、または通院と入院の両方をした場合は4万4400円だが、通院のみの場合は1万2000円になる。

 最近は、がんの治療も通院で行われるのがほとんどで、入院しなくても医療費が高額になるケースが増えている。このところ世間を騒がせているオプジーボ(一般名ニボルマブ)を使った治療もそのひとつだ。

 オプジーボは、「免疫チェックポイント阻害薬」という新しいがんの治療薬で、免疫の働きにブレーキをかけるがん細胞の力を解除して、免疫を活性化させることで、がんの分裂・増殖を抑えるというものだ。

 2014年7月に、皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)に健康保険が適用され、2015年12月に非小細胞肺がんにも追加承認された(いずれも手術できないがんの場合)。

 オプジーボは、患者の体重などに応じた分量を、3週間おきに投与するのが標準的な使用方法で、効果が出ている間は使い続ける。その多くは通院で行われており、肺がんの患者に投与すると1ヵ月の薬剤費だけでひとり250〜300万円にのぼる。

 だが、70歳以上で一般的な所得の人なら高額療養費の外来特例が適用されるので、自己負担するのは1万2000円。1年でも14万4000円だ。

 現役世代で一般的な所得の人は、同じ薬剤を使用するにしても最初の3ヵ月は約9万円を負担する。4ヵ月めからは多数回該当が適用されて4万4400円になるが、1年では67万円程度の負担となる(2年目以降は53万円程度)。

 高齢者医療への現役世代の健康保険からの拠出金の負担が大きくなるなか、世代間の公平を図るためにも、高齢者の高額療養費を見直すべきという意見が大半を占めるようになっている。

 具体的な方法として上げられているのが、70歳以上にだけ設けられている「通院のみ」の撤廃だ。通院・入院の区別をなくし、一律の金額にすることが提案されている。

 また、70歳未満の高額療養費が、2015年1月から5段階に細分化されたのを受け、70歳以上の「一般」「現役並み所得者」の上限も収入に応じて細分化することが検討されている。

■高齢者世帯の医療費自己負担は
現役世代の2倍に及ぶ

 たしかに、高齢者の高額療養費の限度額は、現役世代に比べると低く抑えられているが、実際に家計から出ている医療費の自己負担額は、現役世代よりも高齢者のほうが高い。

 9月29日行われた第97回厚生労働省医療保険部会の資料「高額療養費制度の見直しについて」(P28)によると、20〜64歳の人の年間医療費は3.9万円なのに比べて、75歳以上の人は7.5万円。

 高額療養費の限度額が低く抑えられているのにもかかわらず、高齢者は現役世代の2倍の医療費の自己負担をしているのだ。

 年収に占める医療費の自己負担分は、20〜64歳の人が1.4%だが、75歳以上は4.4%で、家計のなかで医療費が占めるボリュームも大きくなっている。

 これは、複数の疾患を抱えやすい高齢者特有の受診行動からくるもので、自己負担の部分で見ると、すでに高齢者は十分に負担しているといえるのだ。

 今回、高額療養費の上限額の引き上げ対象になるのは、現役並み所得者だけではなく、年収370万円未満の一般所得者にも及ぶとされている。今は年金収入などで暮らせていても、自己負担の増加幅が大きいと、何かをきっかけに貧困に陥る可能性も否定はできない。

 だが、応能負担という社会保険の原則に照らし合わせるなら、それは病気やケガをしたときの自己負担ではなく、保険料を優先するのが筋というものだ。

 高齢者医療の負担増の話し合いでは、75歳以上の人が加入する後期高齢者医療制度の保険料軽減策の特例撤廃も打ち出されており、こちらも「本則通りに見直すべき」という意見が大半を占めている。だが、政治的に見ると、保険料の引き上げはどうも旗色が悪い。

■消費税増税延期によって
保険料引き上げが頓挫

 もともと、後期高齢者医療制度には、法律で決められた保険料の軽減措置が設けられている。ところが、制度開始の前年(2007年)の参院選で大敗した自公政権は、高齢者の票離れを恐れて、本来は行うはずのなかった保険料軽減の特例を導入したのだ。

 後期高齢者医療制度の保険料は、すべての加入者が負担する「均等割り」と、年金などの収入に応じて負担する「所得割り」の2つで構成されている。

 まず、低所得層の均等割り部分は、本則では最大7割引だったところを、特例では最大9割引に拡大。

 また、75歳になるまで自分で保険料を負担していなかった元被扶養者(夫が元会社員や元公務員の妻)は、本則では加入から2年間は均等割り部分を5割引、所得割り部分は全額免除となっているが、特例では所得に関係なく無期限で均等割り部分を9割引、所得割り部分を全額免除としたのだ。

 たとえば、年収80万円の単身者の月額保険料は、本則通りなら1130円だが、この大盤振る舞いの割引のおかげで、現在は380円に抑えられている。

 2016年度は、特例によって保険料軽減の対象となっているのは916万人。特例措置の穴埋めのために投じられる予算は945億円で、2008年の制度開始からの累計は7234億円にも及ぶ。

 この負の遺産を取り払うため、社会保障改革のスケジュールを決めたプログラム法では、後期高齢者医療制度の保険料特例は2017年度から見直されることが決まっていた。

 だが、特例廃止による低所得層対策を、消費税を8%から10%に引き上げることで得られる財源で賄うことにしていたため、消費税増税が中止された今、引き上げの目処が立たなくなってしまったのだ。

■高額療養費の引き上げは
貧困拡大の可能性も

 社会の構造が大きく変化し、一概に「高齢者=弱者」とは言いがたくなっている。行き過ぎた雇用の流動化によって、不安定な暮らしを強いられている若い世代がいる一方、高齢でも高い収入を維持し、高額な資産をもっている人もいる。そうした余裕のある高齢者に、社会保障に必要なお金を負担してもらうこと自体は悪いことではない。

 だが、高額療養費の上限額の引き上げは、お金がないといった理由で治療をあきらめる受診抑制につながりかねない。また、医療費の支払いによって生活が立ち行かなくなり、反対に貧困を拡大させ、生活保護に陥る人を増やす可能性もある。

「能力に応じて負担し、必要に応じて使う」という社会保険の原則に照らし合わせるなら、高齢者への医療費負担は保険料を優先するのが筋というものだ。

 とくに、後期高齢者医療制度で特例対象となっている「元被扶養者」のなかには、低所得ではない人も含まれている。また、同じ年収でも、「元被扶養者」というだけで保険料割引を受けられ、世代内での不公平も生まれている。

 こうした矛盾を解消しないまま、取りやすい高額療養費の限度額だけを引き上げても国民の理解は得られまい。厚生労働省では、高齢者医療のあり方を年末まで議論し、結論を出す予定だ。そこで、どのような話し合いが行われるのか。審議の行方を注視したい。



 

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コメント
 
1. 2016年10月07日 10:53:15 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[2837]

>高額療養費の上限額の引き上げは、お金がないといった理由で治療をあきらめる受診抑制につながりかねない

それが狙いだろ

結果として、自分たちの健康管理に真剣になり、モラルハザードが減れば

夕張のように、健康とコストが両立する

つまり、今後は、高コストの抗がん剤に頼るような延命末期医療ではなく

健康寿命を延ばす予防医学が主流になっていくべきだということだ


2. 2016年10月07日 23:32:19 : 86bGpQzdOw : @ceBE@dGfj8[2]
>結果として、自分たちの健康管理に真剣になり、モラルハザードが減れば
>夕張のように、健康とコストが両立する

夕張?
病人がとっくに逃げ出しただけだろう。

そんなに治療費が上昇することで病気が防げるならば、
保険など止めてしまえばよい。
そうすれば病人はいなくなるはずだが、実際はそんなことはない。

意図的に病気になるのも難しいが、健康でいるのも困難。
そう人間が意識的になんでも変えられるものではない。


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