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アレクサンドル・スクリャービン 『焔に向かって』
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/873.html
投稿者 中川隆 日時 2020 年 1 月 31 日 03:51:24: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: フレデリック・ショパン 『幻想即興曲』 投稿者 中川隆 日時 2020 年 1 月 29 日 17:09:29)

アレクサンドル・スクリャービン 『焔に向かって』


ホロヴィッツ 『スクリャービン 焔に向かって』


Vladimir Horowitz - Scriabin pieces (live 1948, unreleased)


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Scriabin Vers la flamme, Op.72 (Horowitz)




Vladimir Horowitz, 1972


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horowitz plays scriabin vers la flamme - live, 1974


audio only - vladimir horowitz plays scriabin "vers la flamme" - cleveland, 1974, live recording. no commercial recording of this performance was ever released.


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VLADIMIR HOROWITZ PLAYS SCRIABIN "Verse la flamme"


From Vladimir Horowitz " A reminescence"


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VLADIMIR HOROWITZ PART 5/7 - VERS LA FLAMME, POEME OP.72 - SCRIABIN


VERS LA FLAMME, POEME OP.72 - SCRIABIN


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焔に向かって


『焔に向かって』(ほのおにむかって、フランス語:Vers la flamme)作品72はアレクサンドル・スクリャービンの最後のピアノ曲の一つ。1914年に作曲された。


作品の開始に現れる動機(C#-D)が繰り返されるうちに、徐々に息の長い旋律線に成長するよう作曲されており、ラヴェルの《ボレロ》に先駆けて、クレッシェンドが構成原理に利用されている。


当初は「ピアノ・ソナタ第11番」として着想されたが、上記のように、従来のソナタ形式とは大きくかけ離れた楽曲構成法のため、ソナタではなく、スクリャービン自身によって「詩曲」に分類された。


ホロヴィッツによると、スクリャービンは世界の終末を夢に見てから、この作曲を思い立ち、地球が灰燼に帰すという幻影からこのような題名を付けたという。


曲全体がほぼ神秘和音で統一されている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%94%E3%81%AB%E5%90%91%E3%81%8B%E3%81%A3%E3%81%A6
 

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コメント
1. 中川隆[-14022] koaQ7Jey 2020年2月06日 11:33:39 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-691] 報告

クラシック音楽 一口感想メモ
アレクサンドル・スクリャービン( 1872 - 1915)
https://classic.wiki.fc2.com/wiki/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%B3

大作である交響曲、協奏曲、ピアノソナタはいずれも充実した傑作である。

また、大半がピアノ曲の作曲家であると共に、1〜3分の短いピアノ小品をたくさん残した。ピアノ音楽史上最重要な作曲家の一人である。

小品群は前期と後期はハズレがなく、概ねどの作品もはっとさせられる美しさを持っているが、中期は面白くない曲が多いと私は思う。

管弦楽曲・協奏曲

•ピアノ協奏曲 嬰ヘ短調 作品20◦4.0点


ショパンのピアノ協奏曲に魅力が似ている。若い時だけのセンチメンタルでウブな純情をオーケストラの伴奏に乗ってピアノの独奏で吐露していくような、感情に浸って聴く音楽である。特に2楽章はそうであり、瑞々しく恥ずかしくなるほどに生々しいセンチメンタルな美しさは、クラシック史上稀にみるものであり特筆に値する。

聴き映えがするのはやはり3楽章であり、高揚感を保ち進む音楽に心がウキウキする中で感動的に現れる美しい第2主題が心を奪う。ショパン同様に若書きの未熟さが感情面の演出の一つの要素となっている。同時代ではラフマニノフのピアノ協奏曲ほどの総合性を備えてはいないものの、非常に魅力があり私は中毒になった。もっと頻繁に演奏されて良い曲である。

•交響曲第1番 ホ長調 作品26◦3.3点


聴き方が難しい…大仕掛けの多彩な楽章で最後は独唱と合唱が登場する全6楽章。夢のような1楽章など、美しい曲もあれば、スクリャービンの線の細さの欠点が露呈している箇所も多い。後期ロマン派らしい和声やオーケストレーションで、知らずに聴いたらスクリャービン作曲と当てられない人は多いだろう。途中の部分はあまりまとまりが良いとは思えない。独唱と合唱による、最初はプッチーニ似かとおもいきや、だんだんマーラーに似ていく壮大でメルヘンチックでもあり、感動的な最終楽章だけでも聞く価値はある。


•交響曲第2番 ハ短調 作品29◦3.5点


交響曲1番の軽さとまとまりの悪さを克服している。重厚さと力感にあふれた、どっしりとした腰の重さが印象に残る。それでもロシア臭があまりしない洗練されている所がよい。陳腐さも少ない。全5楽章で50分近い大作。内面的な情熱の強さもある種の悪魔的な感覚が上昇する音形の多用により表現されている。ただ、雰囲気の統一感はあるが多様性が少なく、大作のわりに同じ雰囲気が続き、総合性に欠けるのがかなりマイナス。

最終楽章は、締めの音楽として割と分かりやすく演出されているが、1番の素晴らしさはない。


•交響曲第3番「神聖な詩」ハ短調 作品43◦3.3点


中期の作品であり、初期ほどに明快なロマン派音楽ではなく曖昧で神秘的な世界を垣間見せるのだが、調性は明確である。曲が長く楽章に切れ目がない。ピアノ曲では表現しきれない管弦楽ならではの壮大さとスクリャービンらしいロマンを楽しむことが出来るため、長さを気にせずに聴けるならば、音に浸ってなかなか幸せな時間を過ごせる。ピアノ曲はどうしてもせわしなく音楽が展開していくものであるが、スクリャービンにとって必ずしも必須だったわけではないようだ。以前はここに成功作とは思えないと書いていたが誤りだった。とはいえ、このようなお腹が一杯になる大曲は基本的には彼の持ち味を活かすものではなく、この1曲だけだから良いという気もする。


•交響曲第4番「法悦の詩」ハ長調 作品54◦3.5点


交響曲と交響詩の中間のような曲だと思う。神秘和音の響きと、何度も繰り返される動機の醸し出す雰囲気と、何度も繰り返されるエクスタシーの高潮を楽しむ曲。


•交響曲第5番「焔の詩 -- プロメテ」作品60◦3.5点


6番以降の後期のソナタの直前に書かれている。一種のピアノ協奏曲といっても良いピアノ独奏入りの交響曲。神秘和音を中心とする音の作りもピアノ書法も後期ソナタ同様の世界であるが、管弦楽があるため色彩的であり雰囲気のイメージがつかみやすく、少し調性的にも感じられるため聴きやすい。スクリャービンの頭の中のイメージがよく分かるため、彼の後期の音楽の入門に良いかもしれない。曲想は神秘性を中心に超常的なイメージが広がり展開していく感じであり、イメージの多彩さを楽みながら聴ける。

ピアノ曲

ピアノソナタ

•第1番 ヘ短調 作品6◦2.5点


4楽章の大作。激情的な表現の一楽章と葬送的な4楽章がまあまあ。しかし、あまり霊感の強さを感じず、スクリャービンとしては傑作の範疇に入らないと思う。

•第2番「幻想ソナタ」嬰ト短調 作品19◦2.8点


1楽章の中の光の幻影が波を打っているかのような幻想的な夢のようなはかない部分が大変美しい。二楽章の無窮動曲は平凡だが。

•第3番(「心理状態」)嬰ヘ短調 作品23◦2.8点


3楽章ノクターンから暗い情熱を湛えた4楽章への流れはショパンのソナタ3番みたいだ。がっちりとしたソナタを書こうとしたのは分かるが、何だかもの足らない感じが聴いている間ずっと付きまとう。

•第4番 嬰ヘ長調 作品30◦4.0点


神秘的なスクリャービンらしい斬新さが現れ始めているが、まだロマン派の聞きやすさを残していてバランスが良い。ジャズに少し似た複雑な和音を使っている。2楽章の光の粒のようなキラキラした音が飛び跳ねるさまが独特であり、躍動感と推進力を保ちながら、たった4分の中で次々と新しい雰囲気を見せる極めて内容豊富な音楽である点で、ピアノ音楽史上で稀に見る傑作であると思う。最後は和音連打で光の速さで空の果てまで飛んでいくような雰囲気になるのがかっこいい。

•第5番 (ロ長調〜変ホ長調)作品53◦3.5点


4番とは違いドロドロとした雰囲気が現れ始めている。しかしまだ壊れきっておらず、ロマン派らしさも残っている。とにかく静と動の対比が徹底しており、力強さと豪快さがあって聴き栄えがするのと、過渡的に適度なドロドロ感を持っていて初期の綺麗すぎる音楽よりもインパクトが強いのが、人気の理由だろう。特に最後の盛り上がりの部分の高揚感は何度聞いてもスカっとするような満足感がある。一方で、たった6日間程度で書かれただけあって、勢いに任せて半ば即興的に書かれた印象があり、緊密な内容豊富さを楽しむことはできない点で自分は4番よりも物足りなな感じる。

•第6番 作品62◦3.5点


この曲はかなりとっつきにくい。ドロドロとした場面が延々と続く中で、7番のような分かりやすく理解できるような旋律や盛り上がりがない。しかし、後期の後半ほどは旋律の絡みの複雑怪奇さがないが、和声は徹底した妥協のない追求がされており、精神的な集中度は7番と並び素晴らしい。。グロテスクな響きが延々と続いていきながら音楽が進行する様は、慣れてくると妙に気持ち良さすら感じるようになる。

•第7番「白ミサ」作品64◦3.8点


6番以降では最初に完成。非常に鋭角的な鋭い響きがする曲である。神秘的で荘厳な儀式が行われるような雰囲気を明確に感じられるし、とにかく素材もその料理の仕方も内容豊富で構成が複雑で非常に多くの場面が詰め込まれた、非常に重量感のある大変な力作のソナタである。冒頭から非常に印象的で悪魔的な響きが強く心に突き刺さるし、第二主題の深遠さも素晴らしい。後半の爆発的な部分の衝撃的な圧倒性も素晴らしい。

•第8番 作品66◦3.3点


最後に完成されたソナタ。6番に似ているとっつきにくい世界であるが、こちらは複数の動機を組み合わせながら、神秘性な雰囲気が色彩感の豊かさを持って変容していくさまが、とにかく恐ろしく複雑怪奇な音の絡みで表現された究極的な世界を楽しむことができる。薄明かりの中で超常的な神秘的な現象が少しずつ変容しながら発生している様を楽しむ曲と思われる。他の後期ソナタと違い、大きく盛り上がる場面がないため、曲を聴きながら感じる欲求不満がずっと解消されないため、気分が乗らないと聞く気ならない。

•第9番「黒ミサ」作品68◦3.5点


7番と同じく荘厳で悪魔的なイメージが分かりやすい。曲が短く、後半に向けて段々早くなっていき最大の盛り上がりを作ったところで静かに終わる、というシンプルな構造であるため、構成が把握しやすい。しかしその代償として、後期の濃厚で何度聞いても理解しきれない複雑さが足りない。曲の短さもあって悪魔性をとことん極限まで突き詰めて心がお腹いっぱいになる感を覚えられない。そのた、後期ソナタの中では、入門に最適な分かりやすさと聴きやすさはあるのだが、慣れてくるとこの曲だけ物足りなさを感じる。

•第10番「トリル・ソナタ」作品70◦3.5点


執拗なトリルの繰り返しが顕著な、趣向的な曲である。しかしながら、後期ソナタの中でもっとも晴れやかであり、太陽に照らされた大地の壮大さを感じさせる力作である。後期ソナタの中では悪魔的な感じは少ない。展開部最後のトレモロによる盛り上がり部分は、ピアノの限界を見せる名場面であり、大自然の中で大きく息を吸い込んで自然の恵みに感謝するような気分になる。何度聞いても胸が一杯になる場面である。

•幻想ソナタ 嬰ト短調◦2.0点


14歳の作品だそうで、ものすごくショパンぽい。スクリャービンの出発地が分かる。曲の出来は天才少年だと感じさせるが、完全な亜流だから出来たことなのかもしれない。

ソナタ形式によるピアノ曲

•ポロネーズ 変ロ短調 作品21◦2.5点


唯一のポロネーズ。7分。洗練された透明感を魅せながらも泥臭く勇壮なポロネーズだが、曲がどちらに進みたいのか把握しにくい。さまようような印象。

•幻想曲ロ短調 作品28◦4.0点


雄渾で壮大で中身の詰まった大変な力作である。第二主題が素晴らしいメロディーである。初期の曲の中ではピアノソナタと比較してよりよくまとまっている。荘重な悲劇的な雰囲気で始まり、曲の中間に第2主題の感動を爆発させるように再現させる辺りは、ショパンのバラード1番と同じような構成である。実際、10分の時間で多くのテーマを使いながら緊密で濃密なドラマをピアニステックに展開させている点において、ショパンのバラードやスケルツォと完全に同レベルにある数少ない作品の一つである。

•悲劇的詩曲 変ロ長調 作品34◦3.0点


かなり激しい和音の連打で非常に演奏が難しそう。明るく分かりやすいメロディーがあるのに、伴奏が激しすぎて聞こえにくいほどである。悲劇的な感じではないのに何故悲劇的という題名なのだろうか。

•悪魔的詩曲 ハ長調 作品36◦2.8点


ピアニスティックな激しさがあり、まさに悪魔的な感覚が表現されている。規模の大きな詩曲。後期への入り口に入り込んだような音の使い方がある。後半はかなり激しい。

•ポエム・ノクチュルヌ 作品61◦3.0点


後期のソナタ以外の長い曲の一つである。夜というよりは夜明けの薄明の中ようなイメージである。同じフレーズを繰り返しながら少しずつ雰囲気を盛り上げていくのだが、ソナタのような総合性はなく、投入されている素材は多くない。時間の長い小品というイメージであるが、時間が長い分、よい雰囲気があっという間に終わってしまわないのがよい。

練習曲

•12の練習曲 作品8◦作品8-11 5.0点
◦その他 4.0点


作品8-11は悲愴という副題で呼ばれることもある。史上最も情熱的なピアノ曲のひとつであり素晴らしい名曲。他の曲はかなりショパンに似ており、ショパンの曲だと言って知らない人に聴かせたら信じてしまいそうだ。やや芸風の幅が狭いこと、所々にロシアの香りがほんのり漂う所が違うくらいか。ショパンに似すぎとはいえ、耳に残る名曲ばかりで、練習曲集としてかなりの名作だと思う。

•8つの練習曲 作品42◦作品42-5 5.0点
◦その他 3.0点


作品42-5は情熱がほとばしるような美しい主題を素晴らしいピアノ書法で歌わせている。センスのよさと完成度の高さで彼の代表作といえる小品である。その他の曲は、作曲技法の洗練度の高さはすぐに分かるものの、耳を捉えるメロディーが無く鑑賞用の曲としては微妙である。

•3つの練習曲 作品65◦3.8点


後期らしい神秘和音の世界であるにも関わらず、練習曲であるため聞きやすいのがいいところである。1曲目はとても神秘的なキラキラした音がする、他に類を見ないような斬新で画期的な音世界である。コインがチャリンチャリンと鳴っているようでもある。9度の練習曲という特異な練習曲の特徴をこれ以上ないくらい活かしている。穏やかな2曲目を経て、圧巻の3曲目。地獄の業火のようでめちゃめちゃカッコいい。後期が苦手な人にも試しに聴くように薦めたい。


マズルカ


•10のマズルカ 作品3◦3.3点


学生時代の作品であり、基本的にショパンの亜流であるが、その中に新しいピアノ書法やスクリャービンらしい繊細な個性が多少は入っている。

10曲のバラエティーは豊かであり、結構いい曲が多い。マズルカ独特の憂いが素敵。ショパンのマズルカが好きな人は楽しめるだろう。最後の曲は長いうえに面白くなくて頂けないが。

•9つのマズルカ 作品25◦2.8点


作品3と違い、ショパンの亜流ではなく明確なスクリャービンの個性は出ているが、マズルカとしては残り香が漂う程度であり普通の小品に近くなっている。洗練されたスクリャービンらしい小品集だが、憂いや粘りのような濃厚さがなくなり、その代わりに精妙で詩情はあるが線が細く旋律の魅力があまり多くない曲になってしまった。素敵な部分も散見されるが、魅力は全体としては落ちていると言わざるを得ない。

•2つのマズルカ 作品40◦3.0点


この2曲はどちらも濃厚で晩年のショパンのマズルカのような切なさや人生を邂逅するような趣もあって、なかなか印象的な小品である。


詩曲

•2つの詩曲 作品32◦3.8点


1曲目の半音階的な進行により微妙なゆらぎのようなものを表現した柔らかく絶妙で詩情豊かな世界は、達人の技である。この曲は多くの人に広まるべきである。かなりの名曲だと思う。2曲目は激しくて中期らしい複雑さがあり、普通のメロディーのようでありながら耳に残るものがあるものの、1番に比べれば普通の曲。

•詩曲 変ニ長調 作品41◦2.8点


左手の音数が多くて、3分と大きめの規模である。左手の和声から大きく外れたテンションコードの音を徘徊するような旋律は印象である。しかし、いい曲と感じるほどではない。

•2つの詩曲 作品44◦2.8点


1曲目はラフマニノフのように茫洋とした雰囲気の中でなんとなくメランコリック気味な旋律が蠢く音楽である。2曲目はショパンのような旋律であり、時代を考慮すると単なる普通の曲である。

•2つの詩曲 作品63◦3.3点


1曲目は静かな曲で捉えにくいが、スクリャービン らしい詩魂が込められた霊感に満ちた独自世界は面白い。2曲目は、キラキラした珍しく音数の多い作品であり、旋律が1度で覚えられるような印象的なもののため楽しめる曲である。

•2つの詩曲 作品69

•2つの詩曲 作品71◦3.0点


1曲目はミニ版ソナタ8番とも呼びたい。旋律が似ており光や風の揺らめきが表現されていて雰囲気がよい。2曲目はこれといった特徴がなく面白くない。

•詩曲『焔に向かって』作品72◦3.3点


なんともヤバい曲である。同じ動機を繰り返しながら少しずつ音の高さをずらして、音の数を増やしながら、じわじわと音楽が進行する。高音で神秘和音をカンカンと鳴らして、二重トリルで表現される焔が不気味なゆらぎを少しずつ大きくしていく。世紀末的な世界を焼き尽くす焔が少しずつ大きくなっていく様を描いているようだ。最後の作品の一つにふさわしい、スクリャービンの後期の特徴がもっとも純化された曲である。


即興曲

•2つのマズルカ風即興曲 作品7◦2.8点


マズルカのテイストの美しさと心情的な陰影の深さをうまく活用しており、どちらも耳に残るものがある小品。

•2つの即興曲 作品10◦3.0点


どちらも透明感があり洗練された美しさが耳に残る曲である。控え目なショパン風味も効果的。

•2つの即興曲 作品12◦3.0点


1曲目は軽やかな三拍子で華やかさがあり楽しい。2曲目は重々しくて悲劇的でラフマニノフを連想するが、中間は夢をみるような美しさ。どちらも楽しめる。

•2つの即興曲 作品14◦3.0点


1曲目は静かななかで右手が自由に想いを述べるようなメロディーを弾く。2曲目の雰囲気は舟歌のようであり、陰影に富んだ情感的でかつ情景を浮かび上がらせるような美しい作品。

前奏曲

•24の前奏曲 作品11
•6つの前奏曲 作品13
•2つの即興曲 作品14
•5つの前奏曲 作品15
•5つの前奏曲 作品16
•7つの前奏曲 作品17
•4つの前奏曲 作品22
•2つの前奏曲 作品27
•4つの前奏曲 作品31◦3.3点


1曲目はショパンの初期ノクターンに似た世界であり、親しみやすく美しいメロディーを素直に楽しめる。他はごく短い曲であり、断片的な前奏曲である。

•4つの前奏曲 作品33◦2.5点


作品31と異なり、核になる曲がなくて全曲が短い断片である。はっとする部分も見当たらず、あまり聴いて楽しめるような曲集ではない。

•3つの前奏曲 作品35◦2.8点


1曲目はかなりショパンに近い高速の前奏曲。2曲目は同じ調子が続くレティタティーボで長いのだが、変化が少なくて面白くない。3曲目は悪くないが、まあ普通の出来のショパン時代にも生まれていておかしくない前奏曲である。

•4つの前奏曲 作品37◦2.5点


2分の曲が2つあり、前奏曲としては短くはないのだが印象に残る曲がない。面白くない。初期から変貌するにも同等の代替的な魅力を見つけられていない感じだ。

•4つの前奏曲 作品39◦2.5点


この曲集も耳に残るものがなく面白くない。

•4つの前奏曲 作品48◦3.0点


2曲目の静謐な浮遊感と透明感が心を捉えるものがある。他の曲は短いのだが、2曲目がよいためそれを引き立てる曲のように聴ける。

•2つの前奏曲 作品67◦3.3点


1曲目は単音の右手の音の動きと和音を伸ばす左手という構成はシンプルだが、変化のつけ方や和声は良く出来ていて、きちんと力を入れて書いた作品として楽しめる。次の曲に繋がるように終わるのもよい。2曲目はプレストで右手と左手のグロテスクな音のぶつかりが早めのフレーズの中で連続するのがゾワゾワとさせられて楽しめる。

•5つの前奏曲 作品74

3.3

1分程度の断片的な短い前奏曲が並ぶ。後期ならではの音使いで醸し出される独特の詩情は、どれも他では聴けないはっとさせるものがある。なかなか言葉では伝えにくい、ソナタでは出来ない魅力を小品作曲家として見事に見せている。


小品

•3つの小品 作品2

•3つの小品 作品45◦3.0点


1曲目はショパンのマズルカのような旋律であり耳に残る。2曲目はごく短いが後期のような響きが目新しい。3曲目は和声がいつまでも解決しないまま最後までなんとなく音の動きが続く曲であり、実験の曲という印象である。

•3つの小品 作品49◦2.8点


3曲ともごく短い。後期に向けて音楽が壊れていく過程をそのまま切り出したようなものであり、3曲とも独立した作品としての面白さは感じない。

•4つの小品 作品51◦2.5点


わたしには4曲とも特段良いところが見当たらず、面白くない曲集である。後期の世界の模索がスタートしたばかりの習作では、と思ってしまう。

•3つの小品 作品52◦2.8点


3曲とも音の響きは後期になっていないが、曲想は後期そのものである。やりたい事を実現する方法を模索しているのがよく分かる。しかし曲としては面白くない。

•4つの小品 作品56◦2.8点


曲名がプレリュードではなく題名が付いているおかげか、少し耳に残る曲が集まっている。たいした作品ではないのだが、後期を模索するだけでない霊感を多少は感じる。とはいえ習作レベルと思われる。

•2つの小品 作品57◦3.0点


どちらも1分の小さな作品でありアンニュイな雰囲気が強い。後期の世界に変貌しつつもまだ中期の香りを残す過渡期作品として楽しめる。まさに脱皮中という感じだ。

•2つの小品 作品59◦2.8点


1曲目は中期から後期への変貌の過程として面白い。作品57からさらに和声が後期寄りになっている。2曲目はソナタ6番に似ている。力強さがあり、一つの和音にこだわっているように聞こえる。どちらも面白いが観賞用としては旋律の楽しみが少ない気がする。

その他ピアノ曲

•ワルツ ヘ短調 作品1


•アレグロ・アパッショナート 作品4◦2.8点


11分の大作。若書きのソナタの1楽章からの改作。テクスチャーの細かさが印象的。幻想的な雰囲気。初期にしてはショパンに似ていない。モヤモヤとした雰囲気が続き、主題の明確な効果に欠ける。

•2つの夜想曲 作品5◦2.5点


10代の曲で2曲目に至ってはなんと12歳。年齢の割には雰囲気の作り方が凄いと思ったが、印象がモヤモヤしているのも若い時からなのかと思った。

•左手のための2つの小品 作品9◦3.0点


浮遊感のある作風は片手の作品と相性がよい。メロディーが明確の浮き上がっていて、むしろ両手より聞きやすい。知らずに聴いたら片手の曲とは気付かないかもしれないくらい音は充実している。2曲目は盛り上がりもある。

•ワルツ 変イ長調 作品38◦3.5点


夢を見るような素敵な旋律と場面展開が楽しい曲である。スクリャービンらしい詩情があり、ショパンをあまり感じないないのもよい。中期の名作の一つだと思う。

•スケルツォ 作品46◦3.0点


この曲は中期らしい和声とスケルツォの取り合わせの妙があり独立した面白さがあり、短い曲のわりに内容豊富で聞く価値のある内容である。

•ワルツ風に ヘ長調 作品47◦3.0点


テンションコードの音に飛ぶワルツということで、なかなか不思議な雰囲気を出していて短い曲だが面白い。

•アルバムの一葉 作品58◦2.8点


これは断片的なフレーズの集積であり、後期の響きが過渡的でなく完成されているように聴こえる。独立した作品という感じではなく、新しい響きを模索したスケッチに聴こえる。

•2つの舞曲 作品73◦3.3点


ダンスと名付けられているが、後期のドロドロした神秘的な世界であり、とてもではないが踊れるような曲ではない。だがこの2曲は3分と2分で小品の中では規模の大きな曲であり、その分の聞き応えがある。1曲目は洞窟の奥に人知れず輝く神秘の秘宝を音にしたような、とても印象的な曲。2曲目は特徴が少なくて、神秘和音の小さなフレーズを積み重ねて貯めた力を少しずつ解放していき、爆発には至らず終わる曲。

https://classic.wiki.fc2.com/wiki/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%B3

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