<■110行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> 「教育捨てる政策は愚か」研究者の“アメリカ離れ”も…トランプ政権vsハーバード大学【報道ステーション】(2025年4月18日) ANNnewsCH 2025/04/19 https://www.youtube.com/watch?v=cDZkLWCD7toアメリカで最も古い大学、ハーバード大学は、数多くのノーベル賞受賞者を輩出してきた知の殿堂の最高峰でもあります。そんなハーバード大学では今、学ぶ自由が深刻な状況になってきました。原因はトランプ政権です。 ■“独立性放棄せず”介入に徹底抗戦 トランプ大統領は今、関税交渉に躍起になると同時に、アメリカ屈指の名門校を目の敵にしています。 アメリカ トランプ大統領 「ハーバードは恥だ。彼らの行為は侮辱だ」 多くの著名人や世界的な研究者を輩出する、アメリカ最古の大学。トランプ大統領に目をつけられた理由は“反ユダヤ主義”です。去年、全米の大学に広がった、ガザでのイスラエルによる攻撃を非難するデモは、ハーバード大学も例外ではありませんでした。 トランプ大統領にとっては、まぎれもない反ユダヤ主義に基づいた暴力行為。政権は先月、全米の大学に多様性などを重視した学生選考、雇用方針の転換や、反ユダヤ主義の活動に関与した学生への処分などを求め、従わなければ助成金などを見直すと発表していました。 従う方針を示した大学もあるなかで、14日、ハーバード大学の学長が出した声明は…。 ハーバード大学学長の声明(14日) 「大学は独立性を放棄することも憲法上の権利を手放すこともしません。政権の要請は連邦政府の権限を超えています。政府の要請は私立大学として知識の追求と生産、そして普及を目指すという価値観を脅かすものです。私立大学で何を教え、誰を入学させ、誰を雇用し、どのような研究や探求分野を追求するのか。政党を問わず一国の政府が決定するべきではありません」 全米の大学として初めてトランプ大統領に徹底抗戦の構えを見せました。声明を受け、トランプ政権は助成金などの一部、約3200億円を停止。 ホワイトハウス レビット報道官 「反ユダヤ思想が存在する大学に資金を出すなど言語道断です。“大学がユダヤ人学生に謝罪すべき”これが大統領の考えです」 ■侵される“学ぶ自由”留学生に圧力
それだけにとどまらず、不法移民などを取り締まる国土安全保障省が、ハーバード大学に警告を送ってきました。 国土安全保障省 ノーム長官 「4月30日までに学内の留学生ビザ保持者による違法行為、暴力行為をまとめた詳細な記録を提出するか、留学生の受け入れ資格を直ちに剥奪(はくだつ)されるかどちらかだ」 違法行為や暴力行為が何を指すのかは分かりませんが、これまで各地の大学でイスラエルへの抗議デモに関わった学生を拘束してきたトランプ政権。記録をもとに学生が危険にさらされる可能性は否定できません。 “学ぶ自由”が確実に侵され始めています。 来月卒業予定 スウェーデン出身の学生(22) 「団結してホワイトハウスに明確に発信しよう。『学生は引き裂けない』と」 この学生は来月卒業予定です。 来月卒業予定 スウェーデン出身の学生 「とてつもなく怖いです。留学生の友人たちも声を上げることを恐れています。もはやハーバード大生だから強制送還されるかもしれない」 デモを共同主催 経済学部学生(20) 「“自由の国”として誰でも来て希望するキャリアを目指したり、やりたい研究ができる国であってほしい」 全米各地の大学から賛同の声も上がり、抗議デモは広がりを見せています。 アメリカン大学4年 「学生の中には、SNSで“デモ”という言葉を投稿したらビザや市民権が剥奪(はくだつ)されるのではと不安に感じています。彼らには私と同じように市民活動に参加する資格がある。留学生に平等な権利がないのは大問題です」 ■リベラルを目の敵 免税措置も停止に
トランプ大統領を突き動かしているのは、差別などに対する高い意識をもつ人々“WOKE”への反発です。特に大学はその巣窟という認識があるのか、大統領に返り咲く前から並々ならぬ思いを持っていました。 アメリカ トランプ大統領 「極左・共産主義者・マルクス主義者・ファシスト・ペテン師どもが大学を乗っ取った。若者を洗脳し、キャンパスに言論統制と反ユダヤ思想を広めた。トランプ政権下では、大学が保守派・キリスト教徒・ユダヤ人を差別したり言論を統制したら、免税資格や助成金をはく奪する」 アメリカの大学は非営利団体として一定の免税措置を受けていますが、ハーバード大学への免税措置は、今回の騒動を受けて、すでに停止に向けて動き出しています。加えて、トランプ大統領自身は他の大学への拡大も匂わせています。 アメリカ トランプ大統領 「免税資格は特権だ。大変な特権だ。そしてハーバード大学にとどまらず、はるかに多くの機関に乱用された。これらの大学は扱いに細心の注意を払うべきだ」 ■“圧力”の背景に『政権支持層』
トランプ政権は、ハーバード大学以外にも圧力をかけています。ほんの一例ですが紹介します。 ▼コロンビア大学 ガザへの攻撃などに反対するデモの拠点になっていたとして約4億ドル(約570億円)の助成金を取消し ▼ペンシルベニア大学 トランスジェンダーの水泳選手がいたとして約1億7500万ドル(約250億円)の助成金を取消し なぜ大学に対して圧力をかけるのでしょうか。現代アメリカの政治・外交が専門の上智大学・前嶋和弘教授に聞きました。 前嶋和弘教授 「トランプ政権にとって、パレスチナを支援するような大学は反ユダヤ主義であり、多様性などを重視する『DEI』を推し進めているという意味で敵とみなしている。圧力の背景にあるのが、トランプ政権の支持層である『キリスト教福音派』の存在です。福音派は多様性や妊娠中絶を認めず、気候変動対策にも否定的。熱烈なイスラエル支持者でもあります。大学などへの“圧力”は、トランプ政権の岩盤支持層を強く意識しているのではないか」 また、知識人や特権階級への反感を意味する『反知性主義』も関係しているとみられています。 前嶋和弘教授 「福音派と反知性主義を掲げる人たちは大きく重なっている。トランプ政権は反知性主義の人々を満足させるためにエリート大学に圧力をかけている。一方で、福音派の大学は支援している」 ■研究者に広がる「アメリカ離れ」
トランプ政権は研究機関などに対しても圧力をかけています。NASA(航空宇宙局)やCDC(疾病対策センター)、NIH(国立衛生研究所)、USAID(アメリカ国際開発庁)に対し、コスト削減策の一環として、助成金の削減や職員の解雇、部署の縮小などを行うとしています。 (Q.ここまで圧力をかけられたら、アメリカでの研究にも影響があるのでは) イギリスの科学誌の調査によると、アメリカ国内にいる研究者の75.3%が、アメリカを離れることを検討しているという結果も出ています。 前嶋和弘教授 「第2次大戦後のアメリカの科学技術の飛躍的発展は、連邦機関からの莫大な助成金が起爆剤となった。大学教育はアメリカが世界に誇れるものの1つ。その教育が軍事力や工業力などの発展につながった。それらを捨てる政策はあまりにも愚かだと思う」 大越健介キャスター 「このところ、トランプ関税をめぐるニュースを連日取り上げてきて、ディール(取引)至上主義のトランプ大統領を伝えてきました。大学などに対する圧力のかけ方を見ると、自分と違う価値観を持つ組織や人を潰しにかかる非常に強権的な面があったのだと再認識します。優れた人材がアメリカを離れていくことになれば、“アメリカを再び偉大にする”というトランプ大統領のスローガンとは真逆の方向に事態が進んでしまう。そのことを率直に進言できる側近はいないのでしょうか」 (C) CABLE NEWS NETWORK 2025
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