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秘密のアッコちゃん lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx コメント履歴 No: 100062
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[政治・選挙・NHK297] 国難に内心ニンマリ? 万博ではしゃぐ石破首相に国民の絶望(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
22. 秘密のアッコちゃん[1469] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月18日 13:25:34 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[907]
<△29行くらい>
<独自>ロシアが北海道近海で軍事演習を通告、「無害通航権」停止も 日本政府は抗議
2025/4/18 10:53
https://www.sankei.com/article/20250418-RBSIO27HDFIFZPHDYA54B3MBUU/
ロシアが北海道近海を含む広範な海域で軍事演習を行うと通告し、日本政府が抗議したことが2025年4月18日、分かった。
外務省などによると、演習の指定地域は北方領土も含む海域で、近年では異例の広範囲という。
ロシアは2025年4月16日、同じ北方領土の周辺海域で日本船舶を含む各国の
「無害通航権」
を停止しており、日本政府は動向に警戒を強めている。
外務省によると、ロシア側は2025年4月17日、北海道近海や北方領土を含む海域で同日から2025年4月22日まで、射撃訓練を行うと通告した。
外務省は2025年4月17日、外交ルートを通じ、ロシア側に
「今回の射撃訓練を含む北方四島におけるロシアによる軍備強化の動きは、わが国の立場と相いれず、受け入れられない」
と厳重に抗議した。
演習の指定地域には北海道東方に加え、歯舞群島、国後島、色丹島などの海域が含まれており、政府関係者は
「これほど日本に近接し、広範囲の演習通告は近年なかった」
としている。
北方領土をめぐってロシアは2025年4月16日、周辺海域での各国船舶の
「無害通航権」
を停止すると通告。
国連海洋法条約では沿岸国の安全を侵害しない限り、他国の領海を自由航行できる
「無害通航権」
を認めており、日本政府は外交ルートで抗議したが、外務省によると無害通航権停止の理由は説明されなかった。
一方、ロシアは2025年4月17日、2025年6月に自衛隊が北海道で実施予定のミサイル発射訓練を巡り、外交ルートで日本側に抗議してきた。
ロシア側は日本のミサイル訓練を
「挑発的軍事活動」
などと批判したという。
外務省は
「今回のロシア側の北方領土での射撃演習との関連は不明」
としている。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/153.html#c22
[政治・選挙・NHK297] <立花孝志やN国信者から激しい誹謗中傷>岩井清隆さん、亡くなる 「みんなでつくる党」のボランティアスタッフ(チダイズム) 赤かぶ
64. 秘密のアッコちゃん[1470] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月19日 07:06:59 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[908]
<■213行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
「誰が声をかけたのか」自民・萩生田氏、渡部カンコロンゴ氏の参院選擁立調整に疑問
2025/4/18 22:29
https://www.sankei.com/article/20250418-C7A6535DLFH5BI7UEA3PPVERC4/
自民党東京都連前会長の萩生田光一元政調会長は2025年4月18日夜、インターネット番組「言論テレビ」でジャーナリストの櫻井よしこ氏と対談し、都連が夏の参院選東京選挙区(改選数6)でNPO法人前代表理事の渡部カンコロンゴ清花氏の擁立を調整したことについて疑問を呈した。
渡部氏が過去に安倍晋三元首相を強く批判していたことなどに言及し、
「違和感がある。誰が声をかけたのか」
と述べた。
萩生田氏は、都連は新執行部で運営しているため、自身は
「参院選の候補の選考のプロセスに入っていない」
と説明。
「報告を受けたのは、最終的にはひとりに決め切れなくて、井上信治都連会長に一任した、と」
「(公認候補は)一人が武見敬三参院議員会長で男性だから女性が望ましいのではないか、という声が多かったということで終わっている、ということだった」
と述べた。
渡部氏の擁立調整については
「報道で知って戸惑った」
と語った。
批判を受けて都連は渡部氏擁立を断念したが、櫻井氏が
「多くの候補の一人にすることだけでもとんでもないことだ」
「『昔のことだ』と渡部氏は言うが、安倍氏を罵詈雑言、言っていた」
「こういう人を最終選考の段階まで残したことが意外だ」
と述べ、自民の人材不足に危機感を示した。
萩生田氏は一連の経緯について
「多様性など色々な違う尺度を持ち込んでいるから出てきたのかもしれないが、率直に申し上げて違和感がある」
と断言。
「後で聞いた話だが、SEALDsの活動に参加していたとか、ネットでは安倍氏に非常に批判的な発言が多かった」
と指摘し、渡部氏が自民党の公募に手を挙げたことに疑問を呈した。
その上で、仮に公募ではなかったとしても
「誰が声をかけたのかな、というのは極めて疑問だ」
と述べた。

<主張>自民党の公認騒動 劣化の度合いが甚だしい
社説
2025/4/18 5:00
https://www.sankei.com/article/20250418-FJBCTP2KOJNP7IYEHXZEHUZ2QI/
自民党都連は夏の参院選の東京選挙区に難民申請者を支援するNPO法人前代表理事、渡部カンコロンゴ清花氏を擁立することを検討したが、最終選考の段階で断念した。
渡部氏が自民の政策や政権運営に批判的な言動をしていたことが明らかになり、党内で反発が相次いでいた。
SNSでも話題を呼び、批判の声が出ていた。
都連幹部は
「自民批判をしていたことは知らなかった」
と釈明している。
党の政治理念や政策に合致する候補者になり得るかを十分調べずに選考作業を進めていたことになる。
政党として劣化していないか。
自民は綱領で
「日本らしい日本の確立」
を掲げている。
都連は保守の理念を蔑ろにしたとも言える。
木原誠二党選対委員長、井上信治都連会長らは猛省しなければならない。
渡部氏はかつて自身のSNSに
「『バカに権力を与えるとどうなるか』という見本が今の安倍(晋三)政権」
と投稿したとされる。
山田宏参院議員は
「ボロカスに貶(けな)していた自民党から立候補する訳を、まずご本人に聞きたいものだ」
と問題視し、松山政司参院幹事長も擁立の動きを批判した。
有村治子参院議員が
「正統な選挙を経て選出された総理大臣を、小馬鹿にし、民意を軽んじ、捨て台詞を吐くような人が、意見の異なる相手にも敬意を払って粘り強く合意形成を図らねばならない国政の場で信頼され、活躍できるとは思えない」
と指摘したのも、もっともである。
渡部氏は約10年前、SNSで
「戦争法案反対抗議運動に足を運んできた」
と書き込んでいたという。
戦争法案とは集団的自衛権の行使を一部容認した安全保障関連法のことだろう。
渡部氏は最近のSNSで
「今思えばかなり偏っていた」
「自分の視野の狭さに気づけていなかった」
と説明し、
「声をかけて頂いたのが自民党だった」
と明かしたが、都連が選考過程に乗せたこと自体、疑問だ。
左派政党ならともかく自民が声をかける相手ではない。
政党は理念や政策をともに実現していく人物を候補者として擁立しなければならない。
理念などが真逆だった人物を擁立するのは、有権者に対する背信行為になると知るべきだ。

「自民批判をしていたとは…不用意だった」 参院選東京選挙区の候補者選びで自民迷走
2025/4/16 20:33
https://www.sankei.com/article/20250416-XBH7I62YYZIV7PPPAFYPAH63TE/
夏の参院選東京選挙区(改選数6)を巡り、自民党の都連が検討していたNPO法人前代表理事の女性の擁立を断念したことが2025年4月16日、分かった。
女性が過去に自民への批判的な活動をしていたことに、党内から反発の声が相次いだ。
参院選が迫る中、首都決戦の候補者選びは迷走している。
都連が擁立を調整していたのは、難民申請者らと企業のマッチングを支援するNPO法人の前代表理事、渡部カンコロンゴ清花氏(34)。
関係者によると、渡部氏は複数の都連幹部らと親交があり、参院選東京選挙区の公募に手を挙げたという。
自民は、同区で既に武見敬三参院議員会長(73)の公認を決めており、公認されれば渡部氏は2人目の候補者となるはずだった。
だが、渡部氏は過去に自民の政権運営に批判的な人物として報道番組などで活動。安倍晋三元首相らを侮辱するような表現を用いていたため、党内からは懐疑的な声が上がった。
松山政司参院幹事長は15日の記者会見で、渡部氏について
「わが党の批判を繰り返してきた方と聞いている」
「こういう方が上がってきているのを疑問に感じている」
と指摘した。
閣僚経験者も
「自民は当選させる気がないのか」
「保守層が票を入れるわけがない」
と語気を強めた。
事態を重く見た都連幹部は、渡部氏に候補者選考から外すことを伝えた。
渡部氏も2025年4月16日、インターネットの投稿プラットフォーム「note(ノート)」を更新し
「最終選考に臨みましたが、公認には至りませんでした」
と説明した。
都連幹部は
「自民批判をしていたことは本当に知らなかった」
「不用意だった」
と肩を落とした。
一方、都連の選考過程を疑問視する声も上がる。
別の閣僚経験者は
「過去の発言やネットの投稿を知らないまま決めようとしたのかもしれないが、少しでも身体検査をすれば分かったのでは」
と首を傾げた。
都連は2人目の候補者擁立を急いでおり、都連幹部は
「今月2025年4月下旬の都連会合で候補者を披露できれば」
と語った。
ただ、これまでのところ有力な候補者の名前は上がっておらず、自民幹部は
「声をかけた芸能人らは断られた」
「本当に厳しい」
と話した。

自民都連が参院選擁立調整の渡部カンコロンゴ氏「公認至らず」 過去の投稿は「深く反省」
2025/4/16 10:05
https://www.sankei.com/article/20250416-5OTTJTKV65HDZI7PSURZ6J3PNM/
自民党東京都連が夏の参院選東京選挙区(改選数6)への擁立を調整していたNPO法人前代表理事の渡部カンコロンゴ清花氏(34)は2025年4月16日、インターネットの投稿プラットフォーム「note(ノート)」を更新し、
「最終選考に臨みましたが、公認には至りませんでした」
と明かした。
自民党から出馬を志した理由は
「現実に政策を動かす力を持っている」
と説明した。
極めて不適切な言葉遣いがあった
渡部氏は浜松市出身。
NPO法人を設立し、難民申請者らと企業のマッチングを支援する一方、自民党の政権運営に批判的な論客として知られる。
過去に安倍晋三元首相を侮辱するような表現を用いており、擁立を疑問視する声が上がっていた。
渡部氏はnoteで
「10数年前の自分の投稿には、極めて不適切な言葉遣いがあったことを深く反省しています」
と釈明し、
「なかったことにするつもりはありません」
「『当時はそう考えていた』という事実を否定せずに受け止めた上で、自分の思考がどう変わってきたのか、説明できる状態でいたい」
と書き込んだ。
■「100点満点」は分断深める
自身の生い立ちを振り返って、
「実家では『自民党は解体を』『安倍政権NO』といったスローガンが日常にあり、『憲法改正反対』と書かれたシールが車に貼られていた」
という。
大学院進学を契機に上京するなどして、
「実際に政府が取り組んでいる政策も完璧ではないものの、その時点での最善の選択である場面があることに気づきました」
と綴った。
自身の専門分野でもある令和5年に成立した外国人の送還や収容のルールを見直す入管難民法の改正案の審議を巡っては
「理想の『100点満点』を目指すが故に、現実的な妥協点に至れず、分断や対立が深まっていく状況を多く目にしました」
と指摘した。
■時代の変化に柔軟に見直し
自民党については
「伝統を尊重しながらも、時代の変化に応じて柔軟に見直しを行い、多様な価値観の中で議論を重ねる」
「そうした姿勢が、自分の思い描く『変化の仕方』に近い」
と説明。
渡部氏は
「まだまだ狭い視野からの『左寄り』の思考・思想を持っていたことは否めません」
とし、
「私自身も、これから先もまた変わってゆくと思います」
「学び、考え、行動し続け、変化できる柔軟性を持ちながら成長していきたい」
と書き込んだ。

「疑問に感じる」自民松山参院幹事長、安倍氏侮辱の渡部カンコロンゴ清花氏擁立調整に苦言
2025/4/15 15:27
https://www.sankei.com/article/20250415-YPA3LQKFNNP2DGXSDVA2UYJFQE/
自民党の松山政司参院幹事長は15日の記者会見で、夏の参院選東京選挙区(改選数6)を巡り、自民東京都連がNPO法人代表理事の渡部カンコロンゴ清花氏(34)を擁立する方向で調整していることついて
「自民党政権、わが党の批判を繰り返してきた方と聞いている」
「こういう方が上がってきているのを疑問に感じている」
と述べた。
渡部氏は過去に、自民の政権運営に批判的な論客として報道番組などで活動してきた。
安倍晋三元首相らを侮辱するような表現を用いてきたとされ、党内の保守系議員からも懐疑的な声が上がっている。
同区を巡っては、丸川珠代元五輪相が昨年2024年10月の衆院選に出馬したため都連が候補を公募し、今月2025年4月11日の選考委員会で井上信治都連会長に一任。
近く党本部に上申する。
公認が決まれば同区では、武見敬三参院議員会長に加えて2人目の自民候補となる。
渡部氏は浜松市出身。難民申請者らと企業のマッチングを支援するNPO法人「WELgee(ウェルジー)」を設立し、代表理事を務めている。

安倍氏侮辱の渡部カンコロンゴ氏、自民都連擁立調整 党内から疑問の声「強烈な違和感」
2025/4/14 12:20
https://www.sankei.com/article/20250414-KWIXX3DPTZBSVJFIKBLZKBC6GI/
自民党東京都連(会長・井上信治元万博相)がNPO法人代表理事の渡部カンコロンゴ清花氏(34)を夏の参院選の東京選挙区(改選数6)に擁立する方向で調整していることについて、党内の保守系議員から懐疑的な声が上がっている。
渡部氏が報道番組などで自民党の政権運営に批判的な論客として活動する上、過去に安倍晋三元首相らを侮辱するような表現を用いたとされることが背景にある。
■安倍政権は「バカに権力与えた」
「私たちの多くが今もなお、誇りに想い、敬意を抱く安倍元総理を公然と侮辱する人を公認候補にするほど、自民党は落ちぶれていませんし、保守の矜持を捨ててはいないはずです」
自民党の有村治子元女性活躍担当相は2025年4月13日、X(旧ツイッター)で、渡部氏が過去に投稿したとみられるXの画像を示して、こう書き込んだ。
画像は渡部氏が平成26年2月に
「『バカに権力を与えるとどうなるか』という見本が今の安倍政権」
と投稿したとされるもの。
渡部氏のアカウントは現在非公開とされている。
■有村氏「民意軽んじた人」
有村氏は
「どのような立場を取るにせよ、正統な選挙を経て選出された総理大臣を、小馬鹿にし、民意を軽んじ、捨て台詞を吐くような人が、意見の異なる相手にも敬意を払って粘り強く合意形成を図らねばならない国政の場で信頼され、活躍できるとは思えません」
と渡部氏の資質を疑問視した。
山田宏参院議員も2025年4月13日、Xで渡部氏の同じ投稿を挙げて
「こんなにボロカスにけなしていた自民党から立候補する訳を、まずご本人に聞きたいものだ」
と書き込み、
「石破茂総理は、この方の発言にはどのような感想を持たれるのだろう」
「これこそ、私には『強烈な違和感』しかない」
と強調した。
都連は令和元年の参院選に擁立した丸川珠代元五輪相が昨年2024年10月の衆院選に出馬したため、候補を公募し、今月2025年4月11日の選考委員会で井上氏に一任した。
近く党本部に上申する。
公認が決まれば東京選挙区では武見敬三元厚生労働相に加えて2人目の自民候補となる。
渡部氏は浜松市出身。
難民申請者らと企業のマッチングを支援するNPO法人「WELgee(ウェルジー)」を設立し、代表理事を務めている。
また、TBS系「サンデーモーニング」でコメンテーターとして活動している。

難民支援NPO代表を自民東京都連が擁立で調整 渡部カンコロンゴ清花氏、今夏の参院選に
2025/4/11 21:07
https://www.sankei.com/article/20250411-LOIENWXJNNNHNOCJYG5CXBPGTU/
自民党東京都連は夏の参院選東京選挙区(改選数6)に、難民申請者を支援するNPO法人代表理事の渡部カンコロンゴ清花氏(34)を擁立する方向で調整に入った。
近く党本部に上申する。
公認が決まれば武見敬三氏に加えて2人目の自民候補となる。
石原伸晃元幹事長も公募に手を挙げていたが選ばれない見通しとなった。
関係者が2025年4月11日、明らかにした。
都連は2019年参院選で擁立した丸川珠代氏が昨年2024年10月の衆院選に出馬したため、候補を公募していた。
2025年4月11日に都内で開いた選考委員会で井上信治都連会長に一任した。
渡部氏は浜松市出身。
難民申請者らと企業のマッチングを支援するNPO法人「WELgee(ウェルジー)」を設立し、代表理事を務めている。
石原氏は2021年の衆院選で落選。
昨年2024年の衆院選に立候補せず、参院選出馬を模索していた。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/157.html#c64

[政治・選挙・NHK297] 国民民主、泉房穂氏に対抗馬 参院兵庫、元官僚の40代女性(東京新聞 TOKYO Web) 達人が世直し
12. 秘密のアッコちゃん[1471] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月19日 11:08:34 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[909]
<▽37行くらい>
「徴用工」教科書にはこう書かれている《朝鮮人が徴用され、中国人も連行》(山川出版社)
2025/4/19 9:00
https://www.sankei.com/article/20250419-E3JPMX5ZGNKNJFRMRTN33AFH3Y/
いわゆる元徴用工問題などで、日本の朝鮮半島統治期に徴用された朝鮮人労働者を軍や官憲が無理やり連れていったかのような
「強制連行」
という表現。
旧国家総動員法に基づく国民徴用令では、日本人も同様に徴用されていたが、戦後の日本人の贖罪意識を反映するように多くの教科書でも使われてきた。
転機となったのは、菅義偉政権下の令和3年4月に閣議決定された答弁書だった。
朝鮮人労働者の日本本土への移入の経緯は様々だとした上で、
「『強制連行された』『強制的に連行された』『連行された』と一括りに表現することは適切ではない」
と指摘。
これを受け、同年9月には各教科書会社が訂正申請する事態となり、
「動員」
などに改められた。
しかし、完全に
「強制連行」
という記述が中学の教科書から消えたわけではない。
山川出版社の歴史教科書にはこう書かれている。
«多くの朝鮮人が日本に徴用され、占領地の中国人も強制連行されて、鉱山や工場などで過酷な条件の下での労働を強いられた»(第6章「二つの世界大戦と日本」247ページ)
この記述では、統治下にあった朝鮮人は
「徴用」
とする一方、占領下にあった中国人は
「強制連行」
としている。
政府見解に基づくため、検定基準には反しないが、
「中国人も」
と並列に扱うことで、朝鮮人の徴用についても
「強制連行」
を想起する書きぶりとなっている。
帝国書院の歴史教科書では、その点は
「動員」
と記述することで配慮している。
《日本は国民徴用令に基づき、企業で半ば強引に割り当てを決めるなどしながら朝鮮人を徴用し、占領地の中国人なども動員しました》(265ページ)
ただ、
「強引に」
などと強制性を示唆するような表現は残ったままだ。
他でも
《意思に反して日本に連れてこられ、鉱山や工場などで劣悪な条件下で労働を強いられました》(東京書籍・235ページ)、
《動員をこばんだ者に刑罰が科されるようになりました》(日本文教出版・248ページ)
などと、検定基準をかいくぐるように強制的なニュアンスが文中に紛れ込んでいるのが多くでみられる現行の教科書の実態だ。
※教科書の記述は見本本から引用。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/155.html#c12
[政治・選挙・NHK297] 公明が自民に提案…物価高対策に「マイナポイント」活用案で国民の怒りに“火に油”(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
20. 秘密のアッコちゃん[1472] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月19日 14:55:25 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[910]
<■506行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
「南京大虐殺記念館」のある中国へ修学旅行 維新西田氏「行かせられない」岩屋外相は反論
2025/4/19 11:45
https://www.sankei.com/article/20250419-JAD3REBOQJDYHBCK5UYUWJDX3U/
日本維新の会の西田薫衆院議員は2025年4月18日の衆院外務委員会で、昨年2024年12月に岩屋毅外相と中国の王毅外相が修学旅行の相互受け入れ促進で合意したことについて、中国の南京市内にある
「南京大虐殺記念館」
などを理由に、
「修学旅行生は行かせられない、と中国側に言っていい話だ」
と批判した。
岩屋氏は
「見解を異にする」
と反論し、日中の相互往来の重要性を強調した。
■西田氏「促進は違う」
西田氏は同委で、
「警備が必要な場所に修学旅行に行かせてよいのか」
という従来の問題意識に加え、修学旅行生が記念館に行って
「自虐史観」
を植え付けられることへの懸念を語った。
西田氏は、日中戦争時の1937年に旧日本軍による南京占領で起きたとされる
「南京事件」
をめぐり
「30万人が被害にあったと中国が主張しており、記念館の横の壁にも『30万』と書かれている」
「日本政府と見解が違う」
と指摘。
岩屋氏と王毅氏の会談の約2週間前に
「南京事件」
から87年を迎え、安全面を考慮した現地の日本人学校が休校やオンライン授業という臨時措置を取ったことも紹介した。
これらを理由に
「(会談の際に)『日本の修学旅行生は行かせられない』と中国側に言っていいような話だ」
「日本政府と見解が違う施設に行ってしまう危険性を考えれば、相互の修学旅行を促進するのはまだまだ違うんじゃないか」
と述べた。
■岩屋氏「見解を異にする」
「反論があれば」
と答弁を求められた岩屋氏は
「そこは残念ながら見解を異にする」
と明言し、
「若い人がお互いの国に行ってみて理解が深まるということは大いにあると思う」
と述べた。
また、
「個々の学校に中国に行ってくれと政府が言うということではなく、中国を見てみたいという学校があれば、安全確保の観点から外務省は支援する」
と改めて語った。
記念館については
「過去5年間に(修学旅行生が)行ったという情報は入っていない」
「殊更そこに行く選択はあまりないのではないか」
との見解を示した。
これに対し、西田氏は
「純真無垢な子供たちがそういった施設に行く危険性がある、自虐史観を植え付けるような教育の一環になるのはよくない、と指摘している」
「国交断絶しろという論点で言っているのではない」
「大きく認識が違うと更に感じた」
と強調した。

「南京事件」否定しない外務省HP変更を 「記述の根拠ない」阿羅健一氏が要望
2024/4/3 12:52
https://www.sankei.com/article/20240403-WCKGNSPOPNCZTNG2MKEXY4ZQWQ/
日中戦争時の1937年に旧日本軍による南京占領で起きたとされる
「南京事件」
を巡り、近現代史研究家の阿羅健一氏は2024年4月2日、外務省を訪れ、同省ホームページ(HP)の記述を変更する必要性を主張した。
HPには同事件について
「日本軍の南京入城後、非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できない」
と記載されている。
阿羅氏は
「記述の根拠は全くない」
「外務省HPは英文でも世界へ発信されたまま、様々な著作に引用されている」
と訴えた。
■事実に即した形に
阿羅氏が代表を務め、ジャーナリストの西村幸祐氏らと設立した
「外務省のホームページの変更を要望する会」
の活動。
同会によると外務省のHPは平成17(2005)年8月から
「(旧日本軍による)南京市民の殺害を否定できない」
という趣旨で記述されているという。
同会はその後、国会内で記者会見し、西村氏は外務省の南京事件を巡る記述について
「曖昧でいい加減だ」
「事実に即した形で変更してもらいたい」
「組織的な軍命令による虐殺は確認されていない」
「(HPの記述を根拠に)とんでもない本がこれからも出てくる可能性がある」
と語った。
中国政府は南京事件を巡って30万人が虐殺されたとも主張しており、西村氏は
「30万人を日本軍が虐殺した(ことを裏付ける)学術論文はどこにもない」
と指摘した。
■公式文書に記述なく
阿羅氏は当時の南京にいた高級将校や下士官、記者、画家、写真家ら300人以上への聞き取り調査や国内外の歴史資料の検証などを通じ、一般市民の虐殺はなかったと判断している。
外務省も令和4(2022)年1月、南京事件に関するHPの記述について
「根拠となった資料」
の公開を求めた阿羅氏に対し、
「該当文書を確認できなかったため、不開示(不存在)とした」
と通知したという。
令和5(2023)年4月には林芳正外相(当時)が国会答弁で根拠となった政府機関の作成資料について、昭和50(1975)年に出版された防衛庁防衛研修所戦史室(当時)の戦史叢書
「志那事変陸軍作戦」
第1巻を挙げたことがある。
しかし、同書の該当する記述を巡っても
「日本軍が意図的に住民を殺害したという文脈で記されているのではない」
「政府の公式文書からは日本軍の意図的な住民殺害についての明確な記述はない」
(自民党の和田政宗参院議員)
との反論がある。

外務省 谷野作太郎の罪 外務省ホームページ「南京虐殺」はなぜ消えない 外務省ホームページの変更を要望する
WiLL2024年5月号 南京事件研究家 阿羅健一
■南京事件の既成事実化
2023年4月3日、林芳正外務大臣が外務省ホームページに記載されている南京事件の根拠を問われ、
「外務省が作成したものは確認できておりません」
と答え1年が経過する。
しかし、ホームページはそのままである。
1982年に教科書誤報事件が起きた時、外務省は根拠を示さず検定なしで南京事件を教科書に書けるようにした。
その時、鈴木善幸総理大臣秘書官として総理大臣に助言していたのは外務省から出向した谷野作太郎(たにのさくたろう)氏である。
1994年5月16日、羽田孜(はたつとむ)総理大臣が参議院本会議で南京事件は否定できないと述べた時、それらの事項を担当する内閣官房内閣外政審議官の室長に就いてたのが谷野氏だ。
2000年1月26日、
「20世紀最大の嘘、南京大虐殺の徹底検証」
という集会が大阪で開かれた時、駐中国大使であった谷野氏は中国の唐外交部長にこう述べた。
「一般市民や非戦闘員を含む犠牲者が出たという事については否定できない」
外務省の中で中心となって南京事件の既成事実化を推し進めてきたのは谷野氏であり、林外務大臣の発言を受け、それなら谷野氏はどんな根拠から南京事件を事実と見做しているのか尋ねた。
「その場には外務省の担当者もいたはず、いくら何でもお手紙にあるような単純な回答だったのか、信じ難い気持ちです」
と述べ、南京事件の根拠を4つ挙げた。
@「戦史叢書(そうしょ) 支那事変陸軍作戦(1)」
A「証言による南京戦史」
B「南京虐殺現場の心情」
C「証言による南京戦史」の歩兵第9連隊旗手
D秦郁彦『南京事件』
E「日中歴史共同研究報告書」
F松本重治『上海時代』
これらを見ると、検定なしで記述させた時の根拠は@とAだけなのに驚くが、他を併せても事件を根拠立てるものはない。
これらのうち、これまで議論されなかったのは
「C歩兵第9連隊旗手」
であるが、それは次のような証言である。
第16師団命令として
「支那兵の降伏を受け入れるな」
「処罰せよ」
と電話で伝えられたという証言があり、それに対し歩兵第9連隊の連隊旗手・中村龍平がこう証言した。
「中島中将は、北支から中支戦線に転進するに当たって、次のように注意されたました。
”中支の戦闘は、北支のような呑気な戦闘ではない”
”住民の抗日意識は北支とは比較にはならぬ”
”中国軍と一体になって、頑強に抵抗するであろう”
”たとえ住民と言えども、警戒を怠ることなく行動せよ”
「果たせるかな、白卯口上陸後の迫撃作戦間沿道の住民によるゲリラ的襲撃をしばしば受け損害を出しました」
「遂には住民に対しても敵兵同様に警戒せざるを得ない状況になっていったように思います」
「歩38連隊副官児玉氏が
『師団司令部より”俘虜(ふりょ)を認めず、処置せよ”』
と述懐しておられますが、師団長はどうも、そのような気持ちでおられたのではないでしょうか」
この証言を谷野氏は証拠としているのだが、激戦の戦場では勝利を確実なものにするため敵が降伏を申し出てきても攻撃を続行し、師団命令のようなものが出されることがある。
この場合、相手は戦闘員である。
市民がゲリラ活動を行えば、国際法の保護を受けられない。
証言が市民殺害の証拠とならないのは明らかである。
■公開された外交文書
外務省で中心となって南京事件を進めてきた谷野氏の挙げる証拠がこういうものであるから、ホームページに記述された頃から、外務省関係者の間から南京事件を事実と見做すことに反論が出されたのは当然である。
外務事務次官を務めた村田良平氏は2008年にこう記述している。
「南京事件については東中野修道氏らの地道な調査のお陰で、中国の主張は悉く虚偽であり、証拠写真なるものも全て偽造であることが明らかとなった」
それでも、ホームページは変わらない。
そんな昨年2023年の暮れ、1992年10月の天皇陛下訪中に関する外交文書が公開された。
中国では1989年6月に数千人もの学生や市民が殺される天安門事件が起き、欧米は一斉に中国の人権弾圧を批判、中国は国際的に孤立した。
ところが日本は翌年の1990年に制裁を解除、更に1991年には海部俊樹首相が中国を訪問する。
外務省が進めたのだが、そういった日本に中国は狙いを定め、欧米の制裁を解こうと天皇陛下御訪中を持ちかける。
日本への執拗な働き掛けは成功し、天皇陛下御訪中により中国は国際社会に復帰し、経済力を強めるきっかけを掴む。
以来、中国はまっしぐら、海外からの投資が拡大、やがてアメリカに次ぐ経済大国となり、その利益を軍事と弾圧に投じ、今やアメリカに次ぐ軍事大国となり、覇権主義を強めている。
現在の中国を見れば、日本だけが解除に向かい、御訪中を決定したことが間違いであったことは明らかである。
御訪中を進めていることが分かると様々な反対の声が高まったが、反対の1つは
「日本に敵対する中国をなぜ支援するのか」
である。
そういった反対が起こる最中の1992年2月25日、中国は領海法を制定して尖閣諸島を中国領と記載した。
御訪中を日本に哀願しながら、日本に敵対する姿勢を変えようとしない。
反対のもう1つは御訪中が謝罪のためと見做される危惧である。
この危惧に対しても、1992年2月21日に中国の駐日大使が天皇陛下御訪中に触れ、
「両国の不幸な一時期の歴史に対して1つの態度表明が行われれば、中日両国の人民とも大変自然なことと感じると思う」
と都内で述べ、天皇陛下の謝罪が杞憂でないことが分かる。
更に1992年3月には全国人民代表大会で賠償請求の動きが起きている。
指摘されている問題が目の前で繰り広げられ、反対の声は現実のものであった。
他に人権抑圧も危惧された。
この時も御訪中推進の中心となったのは外務省で、中でも谷野アジア局長は、
「天皇陛下御訪中をやりたい」
と、慎重論もあった中国課を御訪中でまとめていたことは知られていたが、公開された外交文書によれば、それを遥かに超えるものであった。
谷野氏は国内で反対する人たちの説得に当たり、中曾根康弘元首相、NHK解説委員長、産経新聞編集局長たちに面会して説得すると共に、中曽根元首相には、
「読売あたりでもう少し声を出してくれると有難いのだが、渡辺社長に働き掛けて頂けないか」
と要請する。
またNHK解説委員長には、
「是非本件の積極的意義を認識し、実現の方向で風を起こしてもらえまいか」
と要請、NHK解説委員長は福田赳夫元首相へ働き掛けてをしている。
産経新聞編集局長への要請に対しては編集局長から、
「中国は陛下の御訪問を契機に日本から更に多くの経済協力を引き出そうとしている」
と指摘されるが、逆手を取るように反対の声も聞く形を取るため編集局長が官房長官から意見聴取されている。
それらの危惧は、尖閣諸島への侵犯、愛国主義運動の開始、チベットやウイグルへの弾圧など直ちに現実となった。
谷野氏は先を見通そうともせず、ただただ中国に迎合していたのである。
■定義を広げた谷野氏
谷野氏について知られていることを挙げれば、1993年、慰安婦を強制連行したという声が内外から挙がるが、政府が調べても証拠は見つからない。
すると1993年3月、谷野外政審議室長は強制の定義を
「単に物理的に強制を加えることのみならず、脅かし、畏怖させて本人の意思に反してある種の行為をさせた場合も含む」
と広げ、1993年8月、谷野室長が中心になって河野談話を作成する。
その際、韓国と擦り合わせが行われたが、2代後の審議室長たちに対し
「韓国政府と一言一句を詰めたということは絶対なかった」
と語り、隠蔽する。
1995年8月、
「植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました」
という村山談話が作成された。
それに対し、2015年3月、我が国が行ったどのような行為を指すものか、具体的に明示されたい、とする質問主意書が出されると、政府は
「お尋ねについてお答えすることは困難である」
と答える。
このような談話の実務責任者も谷野室長で、この作業に谷野室長は心血を注いで当たったという。
そのことを村山談話の原案を起草した松井孝治内閣副参事官はこう言う。
「自分が起草した文章が谷野さんに直されてガラリと変わった」
「賛否両論はあるが『国策を誤り』などという表現は胆力がなければ書けないし、味も素っ気もない”官庁文学”では作成し得ない出来栄えだ」
日本を代表し日々外国と折衝している外務省高官が、何年にも渡り様々な面で日本を貶めていたのである。
■ホームページの変更を要望する
村山談話についてお答えすることは困難であるとの政府答弁書が出された1カ月後の2015年4月、参議院予算委員会で、
「定義できない文言を使っているのは問題ではないかと思います」
と質問されると、外務大臣に就いてた岸田文雄現総理大臣は、
「ご指摘の答弁書におきましては、
『植民地支配』

『侵略』
といった言葉については様々な議論があることから、我が国が過去に行ったどの行為が
『植民地支配』

『侵略』
に当たるのか、また当たらないのかについて、明確な答弁を行うことが困難であることから、そのような趣旨のお答えをした次第であります」
「他方でこの定義について様々な議論があり、お答えし難い文言であっても、その趣旨は十分にご理解頂ける文言であることから、問題であるというご指摘は当たらないのではないかと考えています」
改めて説明できないと答えている。
その上で外務省ホームページに
「日本は、過去の一時期、植民地支配と侵略により、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた」
と記述する。
そのため
「『植民地支配と侵略』という文言は回答文から削除すべきと考えるが」
と質問主意書が出される。
すると、
「『植民地支配と侵略』という文言を削除する考えはない」
と答えホームページはそのままである。
2023年4月3日、ホームページに記述されている南京事件について質問された時、林芳正外務大臣は
「平成19(2007)年4月24日に閣議決定された質問主意書への政府答弁、これを記載したもの」
と答えたが、ホームページは2005年8月から記載されており、2007年のものを記載することはできない。
谷野氏が根拠もなく南京事件を認めたため、外務省の後輩は取り消すこともできず、辻褄を合わせようと林外務大臣に証拠とならないものを証拠として虚偽の答弁をさせざるを得ない。
そしてホームページに載せ続けている。
こういった余りの姿勢からだろう、2024年1月26日、参議院の神谷宗幣(そうへい)議員が改めて
「戦史叢書 志那事変陸軍作戦」
が証拠となるのか、質問主意書を提出し、こう質問した。
「戦史叢書 『志那事変陸軍作戦』に日本軍が一般市民を意図的に殺害したという明確な記述がないとされていることから、外務省ホームページの現在の記載内容には根拠となる資料が欠けており、誤解を与えている可能性があると考える」
すると政府は2024年2月6日、ホームページは2007年の政府答弁書を記載したもの、と間違いを繰り返している。
神谷議員は引き下がらない。
2024年2月28日
「『戦史叢書志那事変陸軍作戦』には日本軍が一般市民を意図的に殺害したという記述は見当たらない」
とする再質問主意書を提出する。
すると政府は
「戦史叢書」
にこう記述されていると回答する。
「『遺憾ながら同攻略戦において略奪、婦女暴行、放火等の事犯が頻発した』
『これに対し軍は法に照らし厳重な処分をした』
『たとえ少数であったとしても無辜の住民が殺傷され、捕虜の処遇に適切を欠いたことは遺憾である』
等の記述がある」
これは既に2023年4月23日、和田政宗議員に答えたもので、その際、和田議員から、
前段は
「これは略奪等について記したもの」、
後段は
「日本軍が意図的に住民を殺害したという文脈で記されているのではなく、非戦闘員や住民が巻き添えを食らって死亡したとの記述に続く文脈の中で記されいるもの」
と明確に否定されている。
外務省は近隣諸国条項を設けて教科書に書き込ませ、南京事件は事実という空気を作り上げ、そのため国民の多くが利用するウィキペディアでも南京事件は歴史的事実となっている。
林外務大臣が答弁した2023年4月3日から1年経過する今年2024年4月2日、
「外務省ホームページの変更を要望する会」
はホームページの変更を求めて外務省に面会し、集会を開く。
外務省はホームページを直ちに変更しなければならないし、台湾有事を迎えている今、日本は中国の言うままにならないという姿勢を見せなければならない。

満州事変
世界恐慌の少し前の昭和3年(1928)、満州を実効支配していた張作霖が列車ごと爆殺されるという事件が起きたのです。
元は馬賊だった張作霖は権謀術数に長けた人物で、日露戦争後に日本陸軍の関東軍と手を結び、軍閥を組織して満州を実効支配し、徴収した金を全て自分の物としていました。
当初、張作霖と関東軍の関係は良好でしたが、大正の終わり頃から、物資の買い占め、紙幣の乱発、増税などを行い、関東軍と利害が対立するようになっていきます。
更に欧米の資本を入れて、日本の南満州鉄道(満鉄)と並行する鉄道を敷設したことで、両者の衝突は避けられなくなりました。
満鉄は鉄道事業が中心として満州全域に広範な事業を展開する会社で、日本軍による満州経営の中核たる存在であっただけに、関東軍としても見過ごすわけにはいかなかったのです。
張作霖爆殺事件はそんな状況下で起こりました。
事件の首謀者は関東軍参謀と言われてきましたが、ソ連の関与があったとする説もあり、現在も論争が続いています。
ただ、この時、
「張作霖爆殺」
に関しての陸軍の調査と、彼らを庇うかのように二転三転する内閣の報告に関して、昭和天皇は不快感を顕にし、田中義一首相(元陸軍大臣)の内閣は総辞職しました。
天皇は自分の言葉(それを首相に伝えたのは鈴木貫太郎侍従長)が内閣に影響を与えてしまったことを反省し、以後は内閣の決定には拒否権を発動するなどの
「親裁」
は行わないようになりました。
それをやれば日本は専制君主国家になってしまうという思いからです。
張作霖の跡を継いだ息子の張学良はこの後、満州に入植してきた日本人と朝鮮人の権利を侵害する様々な法律を作ります。
また父の張作霖が満鉄に並行して敷いた鉄道の運賃を異常に安くすることで満鉄を経営難に陥れました。
そのため満鉄は昭和5年(1930)後半から深刻な赤字が続き、社員2000人の解雇を余儀なくされたのです。
日露戦争でロシア軍を追い出して以降、日本は満鉄をはじめとする投資により、満州のインフラを整え、産業を興してきました。
そのお陰で満州は大発展したのです。
この頃、清では戦乱が相次ぎ、日本は満州の治安を守るためにを置いていました。
そのため清から大量の難民が押し寄せることとなります。
そうしたこともあって日露戦争が始まった明治37年(1904)頃には約1000万人だった満州の人口は、20数年の間に3000万人にも増えていました。
同じ頃、蒋介石率いる中国国民党政権と中国共産党による反日宣伝工作が進められ、排日運動や日本人への脅迫やイジメが日常的に行われるようになりました。
日本人に対する暴力事件も多数発生しました。
代表的な事件は
「南京事件」
と呼ばれるもので、これは昭和2年(1927)3月に、蒋介石率いる中国国民党が南京を占領した際、中華民国の軍人と民衆の一部が、日本を含む外国領事館と居留民に対して行った襲撃事件です。
暴徒は外国人に対して、暴行・略奪・破壊などを行い、日本人、イギリス人、アメリカ人、イタリア人、デンマーク人、フランス人が殺害されました(この時、多くの女性が凌辱された)。
この暴挙に対して、列強は怒り、イギリスとアメリカの艦艇は直ちに南京を砲撃しましたが、中華民国への協調路線(及び内政不干渉政策)を取る幣原喜重郎外務大臣(「日英同盟」を破棄して「4カ国条約」を結んだ全権大使)は、中華民国への報復措置を取らないばかりか、逆に列強への説得に努めました。
更に日本政府は国内の世論を刺激しないように、
「我が在留婦女にして凌辱を受けたる者1名もなし」
と嘘の発表をしたため、現状を知る南京の日本人居留民を憤慨させたのです(政府は居留民たちが事実を知らせようとする集会さえも禁じている)。
この時、報復攻撃をしなかった日本に対し、中国民衆は感謝するどころか、逆に
「日本の軍艦は弾丸がない」
「張子の虎だ」
と嘲笑したと言われています。
事実、これ以降、中国全域で、日本人に対するテロ事件や殺人事件が急増します。
満州でも、中国共産党に通じたテロ組織が、日本人居留民や入植者を標的にしたテロ事件を起こすようにもなりました。
しかし被害を受けた日本人居留民が領事館に訴えても、前述の通り、時の日本政府は、第2次幣原喜重郎外交の
「善隣の誼(よしみ)を淳(あつ)くするは刻下の一大急務に属す」(中国人と仲良くするのが何より大事)
という対支外交方針を取っていたため、訴えを黙殺しました。
それどころか幣原喜重郎外務大臣は、
「日本警官増強は日支対立を深め、ひいては日本の満蒙権益を損なう」
という理由で、応援警官引き揚げを決定します。
そのため入植者たちは、満州の治安維持をしている関東軍を頼り、直接、被害を訴えるようになっていきます。
それでもテロ事件は収まらず、昭和5年(1930)後半だけで、81件、死者44人を数える事態となりました(負傷者は数えきれない)。
この時、中国人による嫌がらせの一番の標的になっていたのが朝鮮人入植者でした。
これは多分に両者の長年の確執と性格による所もあったと考えられます。
韓国併合により当時は
「日本人」
だった朝鮮人は、何かにつけて中国人を見下す横柄な態度を取っていたと言われ、中国人にしてみれば、長い間、自分たちの属国の民のような存在と思っていた朝鮮人にそのように扱われのが我慢ならなかったものと考えられます。
中国人から執拗な嫌がらせを受けた朝鮮人入植者は、日本政府に対して
「日本名を名乗らせてほしい」
と訴えます。
最初は日本名を名乗ることを許さなかった統監府も、やがて黙認する形で認めることとなります。
日本政府の無為無策では南満州鉄道や入植者を守れないという意見が強まる中、関東軍は昭和6年(1931)9月、奉天(現在の瀋陽)郊外の柳条湖で、南満州鉄道の線路を爆破し、これを中国軍の仕業であるとして、満州の治安を守るという名目で軍事行動を起こしました。
政府は不拡大方針を取りましたが、関東軍は昭和7年(1932)7月までに満州をほぼ制圧し、張学良を追放しました。
いわゆる
「満州事変」
です。
「事変」
とは、大規模な騒乱状態ではあるが、宣戦布告がなされていない国家間の軍事的衝突を意味します。
以後、日本は中国大陸での泥沼の戦いに突入していくこととなります。

盧溝橋事件から支那事変
昭和12年(1937)7月7日夜、北京郊外の盧溝橋で演習していた日本軍が、中華民国軍が占領している後方の陣地から射撃を受けたことがきっかけで、日本軍と中華民国軍が戦闘状態となります。
ただこれは小競り合いで、4日後の昭和12年(1937)7月11日には現地で停戦協定が結ばれました。
しかし東京の陸軍本部は派兵を望んでいて、最初は不拡大方針だった近衛文麿首相はそれに押し切られるように、昭和12年(1937)7月11日の臨時閣議で派兵を決めます。
盧溝橋の発砲事件に関しては、中国共産党が引き起こしたという説もありますが、真相は不明です。
異常な緊張状態の中、その月昭和12年(1937)7月の29日、北京東方で、
「通州事件」
通州事件(2) Sさんの体験談
https://nezu3344.com/blog-entry-6033.html
が起きます。
この事件は、
「冀東防共自治政府(きとうぼうきょうじちせいふ)」(昭和10年【1935】から昭和13年【1938】まで河北省に存在した自治政府であるが、その実体は日本の傀儡政権であるとされる)
の中国人部隊が反乱を起こし(中国国民党や中国共産党が使嗾【しそう:そそのかすこと】したとも言われる)、通州にある日本人居留地を襲い、女性や子供、老人や乳児を含む民間人233人を虐殺した事件です。
その殺害方法は猟奇的とも言うべき残虐なもので、遺体のほとんどが生前に激しく傷付けられた跡があり、女性は子供から老人までほぼ全員強姦された上、性器を著しく損壊されていました。
これらの記録や写真は大量に残っていますが、まともな人間なら正視に耐えないものです。
この事件を知らされた日本国民と軍部は激しく怒り、日本国内に反中感情が高まりました。
また昭和12年(1937)8月に上海の租界で2人の日本の軍人が射殺された(大山事件)こともあり、日本人居留地を守っていた日本軍と中華民国軍が戦闘状態に入りました(第2次上海事変)。
この時、ドイツの指導と武器援助を受けていた中華民国軍は屈強で、日本軍は思わぬ苦戦を強いられます。
当時、上海の租界には約2万8000人の日本人が住んでいましたが、実は大山事件前にも、日本人を標的にした中国人によるテロ事件や挑発的行為が頻発していました。
昭和6年(1931)、商社や商店、個人が受けた暴行や略奪は200件以上。
通学児童に対する暴行や嫌がらせは約700件。
殺害事件だけでも、昭和7年(1932)から昭和12年(1937)までの間に何件も起きています。
犠牲者も軍人だけでなく、托鉢僧や商社員、新聞社の記者など民間人が多数含まれていました。
第2次上海事変は中華民国の各地に飛び火し、やがて全国的な戦闘となりました。
ただ、日本がこの戦闘を行ったのは、そもそもは自国民に対する暴挙への対抗のためでした。
「暴支膺懲」(ぼうしようちょう)
というスローガンが示すように
「暴れる支那を懲らしめる(膺懲)」
という形で行った戦闘がいつの間にか全面戦争に発展したというのが実情です。
当時、日本は中華民国との戦闘状態を総称して
「支那事変」(あるいは「日華事変」)
と呼んでいました。
支那事変は大東亜戦争が始まるまでの4年間、両国とも宣戦布告を行わずに戦い続けた奇妙な戦争でした。
その理由は、
「戦争」
となれば、第3国に中立義務が生じ、交戦国との交易が中立義務に反する敵対行為となるからです。
従って両国が共に
「事変」
扱いとして戦い続けたため、国際的にも
「戦争」
とは見做されませんでした(実質は戦争)。
装備に優る日本軍は僅か3カ月で上海戦線を突破し、その年昭和12年(1937)の12月には首都南京を占領しました。
日本軍は、首都さえ落とせば、中華民国は講和に応じるだろうと見ていたのですが、蒋介石は首都を奥地の重慶に移して抵抗します。
中華民国には、ソ連とアメリカが積極的な軍事援助を行っていて、最早戦争の早期終結は望めないこととなっていました。

昭和12年(1937)12月、日本軍による南京占領の後、
「30万人の大虐殺」
が起きたという話がありますが、これはフィクションです。
この件は日本と日本人の名誉に関わることですから、やや紙幅を割いて書きます。
「南京大虐殺」
は、日本軍の占領直後から、蒋介石が国民党中央宣伝部を使って盛んに宣伝した事件です。
例えば、南京大虐殺を世界に最初に伝えたとされる英紙マンチェスター・ガーディアンの中国特派員であったオーストラリア人記者のハロルド・ティンパリは、実は月1000ドルで雇われていた国民党中央宣伝部顧問であったことが後に判明しています。
その著作
”What War Means:The Japanese Terror in China"(邦訳『外国人の見た日本軍の愚行ー実録・南京大虐殺ー』)
の出版に際しては、国民党からの偽情報の提供や資金援助が行われていたことが近年の研究で明らかになっています。
また『南京大虐殺』を世界に先駆けて報じたアメリカ人記者ティルマン・ダーディンも『シカゴ・デイリー・ニューズ』記者のアーチボルド・スティールも南京陥落直後に南京から離れています(つまり伝聞)。
当時、南京には欧米諸国の外交機関も赤十字も存在しており、各国の特派員も大勢いたにもかかわらず、大虐殺があったと世界に報じられてはいません。
30万人の大虐殺となれば、世界中でニュースになったはずです(捕虜の処刑は別)。
また、同じ頃の南京安全区国際委員会の人口調査によれば、占領される直前の南京市民は約20万人です。
もう1つおかしいことは、日本軍が占領した1カ月後に南京市民が25万人に増えていることです。
いずれも公的な記録として残っている数字です。
仮に日本軍が1万人も殺していたら、住民は蜘蛛の子を散らすように町から逃げ出していたでしょう。
南京市民が増えたのは、街の治安が回復されたからに他なりません。
当時の報道カメラマンが撮った写真には、南京市民が日本軍兵士と和気藹々と写っている日常風景が大量にあります。
占領後に捕虜の殺害があったことは事実ですが、民間人を大量虐殺した証拠は一切ありません。
20万人という数字は安全区だけのもので、それ以外の地区は含まれていないという主張もありますが、安全区以外の地域にはほとんど人がいなかったという外国人の証言が多数残っています。
もちろん一部で日本兵による殺人事件や強姦事件はありました。
ただ、それをもって大虐殺の証拠とは言えません。
今日、日本は世界で最も治安の良い国と言われていますが、それでも殺人事件や強姦事件は年間に何千件も起きています(近年の統計によれば、殺人は900〜1000件、強制性交等はそれ以上)。
ちなみにアメリカでは毎年、殺人と強姦を合わせると数十万件も起きています。
ましてや当時は警察も法律も機能していなかったことを考えると、平時の南京では起こらないような痛ましい事件もあったとは思われます。
また南京においては
「便意兵」
の存在もありました。
便意兵とは分かり易く言えばゲリラです。
軍人が民間人のふりをして日本兵を殺すケースが多々あったため、日本軍は便意兵を見つけると処刑したのですが、中には便意兵と間違われて殺された民間人もいたかもしれません。
こうした混乱が起きるのが戦争だとも言えます。
例えば戦後の占領下で、アメリカ軍兵士が日本人を殺害したり、日本人女性を強姦したりした事件は何万件もあったと言われます。
これらは許されることではありませんが、占領下という特殊な状況において、平時よりも犯罪が増えるのは常です。
要するに、南京において個々の犯罪例が100例、200例あろうと、それをもって大虐殺があったという証拠にはならないのです。
30万人の大虐殺と言うからには、それなりの物的証拠が必要です。
ドイツが行ったユダヤ人虐殺は夥しい物的証拠(遺体、遺品、ガス室、殺害記録、命令書、写真その他)が多数残っており、今日でも尚、検証が続けられています。
しかし
「南京大虐殺」
は伝聞証拠以外に物的証拠が出てきません。
証拠写真の大半は、別事件の写真の盗用ないし合成による捏造であることが証明されています。
そもそも日中戦争は8年も行われていたのに、南京市以外での大虐殺の話はありません。
8年間の戦争で、僅か2カ月間だけ、日本人が狂ったように中国人を虐殺したというのは余りにも不自然です。
とりわけ日本軍は列強の軍隊の中でも極めて規律正しい軍隊で、それは世界も認めていました。
「南京大虐殺」
とは、支那事変以降、アメリカで蒋介石政権が盛んに行った反日宣伝活動のフェイクニュースでした。
日本軍による
「残虐行為」
があったとアメリカのキリスト教団体とコミンテルンの工作員が盛んに宣伝し、
「残虐な日本軍と犠牲者・中国」
というイメージを全米に広めたのです。
このイメージに基づいて、後年、第二次世界大戦後に開かれた
「極東国際軍事裁判」(東京裁判)
では、日本軍の悪行を糾弾する材料として
「南京大虐殺」
が取り上げられることになります。
実は東京裁判でもおかしな事がありました。
この裁判では、上官の命令によって1人の捕虜を殺害しただけで絞首刑にされたBC級戦犯が1000人もいたのに、30万人も殺したはずの南京大虐殺では、南京司令官の松井石根大将1人しか罪に問われていないのです。
規模の大きさからすれば、本来は虐殺命令を下した大隊長以下、中隊長、小隊長、更に直接手を下した下士官や兵などが徹底的に調べ上げられ、何千人も処刑されているはずです。
しかし現実には、処刑されたのは松井大将1人だけでした。
東京裁判で亡霊の如く浮かび上がった
「南京大虐殺」
は、それ以降、再び歴史の中に消えてしまいます。
「南京大虐殺」
が再び姿を現すのは、東京裁判の4半世紀後のことでした。
昭和46年(1971)、朝日新聞のスター記者だった本多勝一が
「中国の旅」
という連載を開始しました。
その中で本多は、
「南京大虐殺」
を取り上げ、日本人が如何に残虐な事をしてきたかを、嘘とデタラメを交えて書いたのです。
これが再燃のきっかけとなりました。
この時の取材、本多の南京滞在は僅か1泊2日、
「南京大虐殺」
を語った証言者は中国共産党が用意した僅か4人でした。
後に本多自身が
「『中国の視点』を紹介することが目的の『旅』であり、その意味では『取材』でさえもない」
と語っています。
本多の連載が始まった途端、朝日新聞をはじめとする日本の多くのジャーナリズムが
「南京大虐殺」
をテーマにして
「日本人の罪」
を縦断する記事や特集を組み始めました。
そうした日本国内での動きを見た中国政府は、これは外交カードに使えると判断したのでしょう。
以降、執拗に日本政府を非難するようになったというわけです。
本田勝一の記事が出るまで、毛沢東も周恩来も中国政府も、1度たりとも公式の場で言及したことはなく、日本を非難しなかったにもかかわらずです。
それ以前は、中国の歴史教科書にも
「南京大虐殺」
は書かれていませんでした。
「無かった事」
を証明するのは、俗に
「悪魔の証明」
と言われ、私がここで書いた事も、
「無かった事」
の証明にはなりません。
ただ、客観的に見れば、組織的及び計画的な住民虐殺という意味での
「『南京大虐殺』は無かった」
と考えるのが極めて自然です。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/162.html#c20

[政治・選挙・NHK297] 統一教会は解散命令もどこ吹く風 収奪マネーで新宮殿、トランプ政権要人の陰 鈴木エイト カルトな金曜日(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
35. 秘密のアッコちゃん[1473] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月19日 15:09:49 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[911]
<■2525行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
新型コロナの起源は「武漢の研究所」 トランプ政権が強調「WHOは中国の圧力に屈した」
2025/4/19 13:29
https://www.sankei.com/article/20250419-EHWNRBBEIFIB5LVH6DVDKJBP6A/
トランプ米政権は2025年4月18日、新型コロナウイルスについて、中国・武漢のウイルス研究所が起源だとする説を強調した新たなホームページを公開した。
研究所での事故が起源である可能性が
「最も高い」
と明記。
バイデン前政権や世界保健機関(WHO)が世界的大流行への対応に失敗したと非難した。
ホームページは
「研究所からの流出 COVID19の真の起源」
と題し、トランプ大統領の写真を掲げた。
WHOが
「中国共産党の圧力に屈し、国際的な義務より中国の政治的な利益を優先させた」
と批判。
米国が離脱を表明したWHOの加盟国が合意した感染症流行対応の新たな国際ルール
「パンデミック条約」

「米国に害を及ぼしかねない」
とも言及した。
新型コロナウイルスには
「自然界に存在しない生物学的な特徴がある」
とし、自然起源の証拠があれば既に見つかっているはずだとした。
中央情報局(CIA)は第2次トランプ政権が発足した今年2025年1月に、声明で研究所起源の可能性を訴えた。(共同)

新型コロナ起源「中国・武漢ウイルス研究所の可能性高い」 独連邦情報局が米CIAに共有
2025/3/13 11:32
https://www.sankei.com/article/20250313-KONAKQ3OE5BENA435K7S4R7AVU/
新型コロナウイルスの起源について、ドイツ連邦情報局(BND)が2020年、中国湖北省の武漢ウイルス研究所から誤って流出した可能性が高いと分析していたと2025年3月12日、ドイツの2紙が報じた。
分析結果は米中央情報局(CIA)に共有されたという。
2紙はハンブルクに本拠を置く全国週刊紙ディー・ツァイトとミュンヘンに本社を置く日刊紙の南ドイツ新聞。
BNDの情報を入手したとしている。
BNDの分析は独首相府に報告されたが、当時のメルケル首相は
「極秘扱い」
とし、公表しなかったとされる。
ロイター通信によると、ショルツ首相は2025年3月12日の記者会見でこの件を質問されたが、コメントしなかった。
現地からの報道によると、BNDは、武漢ウイルス研究所がウイルスをヒトに感染しやすいように改変する
「機能獲得実験」
を行っていたと分析。
研究所から誤って新型コロナウイルスが流出し、パンデミック(世界的大流行)に繋がった可能性があるとしている。
BNDの分析結果がCIAに共有されたのは昨年2024年秋という。
CIAは今年2025年1月、新型コロナの起源は
「自然発生よりも研究関連である可能性が高い」
と流出説を支持した一方、この評価の確信度は
「低い」
と留保を付け、自然界からヒトに広がった可能性も含めて分析を続けるとした。
中国外務省の郭嘉昆(かく・かこん)報道官は2025年2月、武漢ウイルス研究所は
「新型コロナウイルスの機能獲得研究を行ったことはなく、その設計にも作成にも流出にも関与していない」
と強調。
流出説の真実性は
「極めて低い」
と改めて主張した。
新型コロナ感染症は、中国の武漢市当局が2019年12月に
「原因不明の肺炎」
として公表した事例が最初とされ、その後、世界中に感染が拡大した。

中国で「新たなコロナウイルス」発見 武漢の研究所調査 「ヒトへの感染は未確認」も疑念
2025/3/9 14:00
https://www.sankei.com/article/20250309-QKCUKBVPK5KWJNFD65KYQ5LKX4/?115270
中国湖北省武漢の武漢ウイルス研究所の研究者らが2025年2月、ヒトに感染する可能性がある新たなコロナウイルスがコウモリから検出されたとする論文を学術誌に発表した。
論文では
「現時点でヒトへの感染は確認されていない」
として平静を呼びかけている。
ただ、武漢ウイルス研究所はCOVID19の起源を巡る
「研究所流出説」
で疑惑の目が向けられている施設。
今後の拡大などを不安視する声が上がる。
■研究チームに名を連ねた「コウモリ女」
発表されたのは、コウモリ由来の新たなコロナウイルス「HKU5―CoV−2」。
過去に中東で流行した中東呼吸器症候群(MERS)と同じ系統のウイルスで、COVID19と同様にヒトを含む哺乳類のタンパク質と結合し、細胞内に侵入できるという。
発表したのは、広東省広州や武漢の中国科学院傘下組織や大学の研究者で作るチーム。
チームを主導した1人には
「バットウーマン(コウモリ女)」
の異名を持つ武漢ウイルス研究所の石正麗氏も含まれる。
コウモリ由来のウイルスの研究者で、COVID19の流行を巡って度々、研究所流出説を否定する発信を行ってきた人物だ。
新たなコロナウイルスについて、研究チームはヒトに感染する可能性は認めつつ、感染を引き起こすウイルス結合の効率はCOVID19ほど高くないとしており、感染拡大の危険性には触れていない。
米疾病対策センター(CDC)もCNNテレビ(電子版)の取材に
「現時点で公衆衛生に懸念を抱かせる理由はない」
とコメントしている。
■「感染性を高める実験」への懸念漂う
だが、パンデミックの可能性がゼロだと断定されたわけではない。
英紙テレグラフ(電子版)は2025年2月26日、論文の結論部分にウイルス株の
「更なる調査」
や、ヒト遺伝子組み換えマウスを用いた実験の必要性が提案されていることに言及。
研究チームが今後、更に追加で
「感染性を高める実験」
を行う恐れがあるとして
「不吉だ」
と指摘した。
COVID19の
「研究所流出説」
を唱えてきた米ブロード研究所の分子生物学者、アリーナ・チャン氏は同紙に対し、論文の結論に書かれた追加の実験は
「COVID19のパンデミックの引き金になった可能性がある実験と類似している」
と懸念を示した。
交流サイト(SNS)では
「COVID19は何度も変異して違う型が発生して感染が拡大した」
「なぜ今回だけ危険ではないと言い切れるのか」
などと不安視する声も上がっている。
■米で支持増える「研究所流出説」
COVID19の起源を巡っては、動物を介して人に感染したとする
「自然発生説」
と武漢ウイルス研究所からの
「研究所流出説」
が議論されてきた。
自然発生説では、コウモリ由来のコロナウイルスが武漢の海鮮卸売市場のタヌキを
「中間宿主」
として感染を拡大させた、との説がある。
世界保健機関(WHO)は2021年、武漢での現地調査後に自然発生説を有力視していたが、後にテドロス事務局長は研究所流出説を排除するのは
「時期尚早」
だと態度を変化。
2024年末には中国に改めてデータと調査対象へのアクセス機会を求める声明を出している。
米国では最近、研究所流出説を支持する動きが相次でいる。
米下院特別小委員会は2024年12月、武漢ウイルス研究所の事故が起源とする最終報告書を出した。
ウイルスが自然界にない特性を持っており、2019年秋に複数の同研究所職員がCOVID19に似た症状を発症していたことを根拠に挙げ、
「自然界で発生したのなら既に証拠は表面化しているはずだ」
とした。
■トランプ政権、中国追及の姿勢
米中央情報局(CIA)も今年2025年1月、
「確信度は低い」
とした上で、研究所流出説が自然発生説より有力だとの見解を出した。
トランプ政権で新たに就任したラトクリフ長官は、優先事項の1つに
「パンデミックの起源を公に評価することだ」
として中国側を追及する姿勢を見せている。
武漢ウイルス研究所はパンデミック前から、雲南省で採取したコウモリ由来のコロナウイルスのサンプルを多数保有していたとされる。
職員が適切な防護服を着ていなかったなど、杜撰な安全管理も指摘されている。
COVID19の最初の症例は研究所の近くで発見されており、疑惑の的となってきた。
中国政府は研究所流出説を一貫して否定。
「中国は多くのデータと研究結果を共有してきた」
「これ以上調査は必要ない」
としてWHOの追加調査も拒否している。
中国が国際社会の要請に誠実に応じていない現状では、新たなコロナウイルスの
「安全性」
への疑問が解消されることも難しそうだ。

<主張>新型コロナ5年 命を守る「医療」確実に 中国は自由な調査受け入れよ
社説
2025/1/15 5:00
https://www.sankei.com/article/20250115-J4PPSMACQRIQBILSO32LNMPX2U/
新型コロナウイルス感染症の患者が日本国内で初めて確認されてから2025年1月15日で5年になる。
国内では昨年2024年8月までに約13万人が新型コロナで亡くなった。
後遺症に苦しむ人も多い。
また、飲食店をはじめ多くの事業者が打撃を受けた。
今も、病院や高齢者施設で面会制限などが続いている。
新型コロナ禍は終わっていない。
ただ、多くの人はコロナ禍以前のような生活を送れるようになった。
それでも、未知のウイルスによる感染症は今後も発生し得ることを忘れず、万が一の事態に備えたい。
■厚労省は反省したのか
ところが、政府の対応は十分とは言い難い。
それを象徴するのが、コロナ禍に関する本格的な報告書を政府がまとめていないことだ。
問題点を洗いざらい挙げて反省しなければきちんとした対策は講じられない。
まず、初動対応に大きな問題があった。
水際対策を巡り政府は当初、湖北、浙江両省からの入国禁止にとどめた。
危機感が足りなかった。
検査体制の拡充に消極的だった厚生労働省の責任も重い。
検査と隔離が徹底されず、日本でも感染者がどんどん増えていった。
安倍晋三首相(当時)が検査体制強化を求めても厚労省の対応は遅々としていた。
民主的に選ばれた首相の指示に医官を含む官僚が従わない事態はあってはならない。
日本の医療体制の脆弱さも浮き彫りになった。
医師や看護師など多くの医療従事者が患者のため奮闘してくれたことは感謝してもしきれない。
今でも医療従事者らはコロナと戦ってくれている。
ただ、コロナの蔓延当時、日本は人口当たりの病床数は外国に比べて多いのに、入院が必要な患者を適切に受け入れられなかった。
医療従事者の集中的な配置がうまくできなかったことなどが背景にある。
発熱患者への対応を見送った診療所が多かったことも事実である。
令和4年の感染症法改正で、都道府県と医療機関は、病床確保や発熱外来などに関する協定を結ぶことになった。
自治体は住民にどの医療機関がどのような役割を担うかを周知しなければならない。
医療機関の平時からの連携も極めて重要だ。
令和6年には政府の自治体への指示権を拡充する改正地方自治法が成立した。
国民に重大な影響を及ぼす場合、必要な対応を指示できる特例を設けた。
クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の集団感染で、都道府県境を越えた患者の受け入れ先の調整が難航した反省からだ。
コロナ蔓延当時でも、新型コロナ対応の特別措置法は、医師や看護師らに必要な医療を行うよう
「要請」

「指示」
ができる強い権限を厚労相や知事に与えていた。
だが、この権限が適切に行使されなかった点を深刻に捉えるべきである。
■WHOの改革は急務だ
他にも教訓はある。
ワクチンやマスクなどを外国に依存するようでは被害が拡大するという点だ。
パンデミックは安全保障の問題である。
医薬品の原料確保も課題だ。
国産ワクチンの開発が遅れ、欧米からの調達を待つしかなかったのは苦い経験だ。
本来は日本も真っ先に開発し、諸外国を支援すべきだった。
政府と製薬企業は
「ワクチン敗戦」
を繰り返してはならない。
中国政府が新型コロナの情報を十分に開示せず、世界に一気に感染を広めてしまった責任は大きい。
中国の情報隠蔽が、日本を含む世界に禍をもたらしたと言える。
米下院の特別小委員会は令和6年12月、中国・武漢の研究所に関連した事故で新型コロナウイルスが出現したとみられるとの最終報告書を公表した。
中国外務省は
「信頼性がない」
と反発している。
ならば、海外の研究者に、自由に徹底調査をさせることを認めるべきだ。
世界保健機関(WHO)の国際調査団が発生から約1年後に武漢入りした際、中国側が同意した場所でしか調査を認めなかった。
これでは科学的な解明が進むわけがない。
WHOのテドロス事務局長は中国を擁護し緊急事態宣言の発出が遅れた。
責任を取るべきだったが、トップの座に居座っている。
WHOは年次総会への台湾のオブザーバー参加を認めていない。
感染症対応で台湾という空白域を作っているのは国際社会への背信と言える。
WHO改革も急務である。

米下院小委、新型コロナは「武漢の研究所起源」と最終報告 中国は反発
2024/12/4 7:37
https://www.sankei.com/article/20241204-NHKG7KDZ55OQZPU4TR5SGSJNZY/
新型コロナウイルス流行に関する米下院特別小委員会は2024年12月3日までに、ウイルスは中国・武漢の研究所に関連した事故によって出現したとみられるとの最終報告書を公表した。
多数派の共和党議員が委員長を務め、意見聴取や調査の結果をまとめた。
中国外務省の林剣副報道局長は2024年12月3日の記者会見で
「実質的な証拠が何もない中、中国を陥れる政治的な操作だ」
「信頼性はない」
と強く反発した。
流行の起源は、武漢市内の海鮮市場にいた動物との説や、研究所からのウイルス流出説があり、今も確定できていない。
報告書では、昨年2023年2月からの聞き取り調査などで
「情報機関幹部や政治家、科学誌の編集者、科学者らが益々研究所起源説を支持していた」
と指摘した。
林氏は、世界保健機関(WHO)などによる現地調査で武漢の研究所から漏洩した可能性は
「非常に低い」
との結論が出ていると主張した。
ただWHOで新型コロナの技術責任者を務めるバンケルコフ氏は昨年2023年、中国のデータ共有が不十分だと不満を示している。(共同)

新型コロナ【武漢研究所起源】【人工合成】ついに動かぬ証拠!
4年に渡る論争に決着ーもう”陰謀論”とは言わせない
WiLL2024年4月号 筑波大学システム情報系准教授 掛谷英紀
■殺人の告白メモ
新型コロナウイルスが武漢研究所起源の可能性が高いことは、科学的根拠を基に『WiLL』で筆者は繰り返し紹介してきた。
ただ、これまで紹介した証拠は決定的と言えるレベルではなかった。
その事態を急変させる出来事が2023年12月から2024年1月にかけて起きた。
新型コロナウイルスの人工合成を裏付ける新証拠が立て続けに見つかり、これまで慎重な物言いをしてきた研究者たちの中にも、これで武漢研究所起源は確定したと言い始める人が出てきたのである。
ラトガーズ大学の分子生物学者リチャード・エブライト教授は、これまで武漢研究所起源の可能性は高いが、まだ断言できないという立場を取ってきた。
だが、今回の証拠を見て
「エコヘルス・アライアンス(武漢ウイルス研究所に米国の研究費を流していたNGO)とその仲間がこのパンデミックを起こしたことを疑う余地はゼロになった」
とX(旧ツイッター)にポストした。
彼は新型コロナの起源を追う国際的研究者集団
「パリグループ」(筆者はその唯一の日本人メンバーである)
の中心人物の1人である。
メッセンジャーRNAワクチンへのDNA混入(残留)問題で日本でも注目された分子生物学者のフィリップ・バックホルツ教授(サウスカロライナ大学)と分子遺伝学者のケビン・マッカーナンも、それぞれ
「事件は解決した」
「これは動かぬ証拠であるだけでなく、殺人の告白メモである」
とXにポストした(尚、DNA混入問題については、筆者は彼らと見解を異にしている)。
更に、2021年に分子生物学者のアリーナ・チャンと新型コロナの起源に関する共著書『Viral』を書いたサイエンス・ライターのマット・リドレーも
「ゲームオーバーだ」
とXにポストしている。
これだけ多くの人の見解を動かした決定的証拠とは何か。
実はこれを説明するには専門的な知識が必要である。
本稿ではそれを一般の人にも分かるように、できるだけ易しく解説したい。
■流出した実験計画
新型コロナウイルス武漢研究所起源説を示唆する状況証拠として挙げられたものは多くあるが、そのうち主要と思われるものは次の4つである。
@スパイク蛋白が最初からヒトのACE2受容体に最も結合しやすい(感染しやすい)ようになっていた。
A他のSARS系ウイルスには全くない、細胞内に侵入しやすくする配列(フーリン切断部位)がスパイク蛋白に挿入されている。
B8万以上のサンプルを調査しても中間宿主(ヒトに感染させた動物)が見つかっていない(SARSやMERSでは数カ月のうちに見つかっている)。
C制限酵素切断部位というウイルス人工合成に必要な部位が、合成に都合のいい箇所に配置されている。
この4つはそれぞれ独立な事象なので、それぞれが偶然100分の1の確率で起きるとしても、それらが同時に起きる確率は1億分の1になる。
そのため、確率的に考えると今回の新証拠が出る前から、新型コロナウイルスは武漢研究所起源であることがほぼ確実であった。
にもかかわらず、私を含む多くの研究者が断定を避けてきたのは、科学者特有の慎重さゆえである。
これらの証拠のうち、最初の3つは2020年の段階で既に注目されていた。
それでも、2020年時点で武漢研究所起源説を公に論じる科学者の数は非常に限られていた。
実際、日本では筆者のみであった。
それが大きく転換したのが2021年9月である。
エコヘルス・アライアンスとノースカロライナ大学、中国の武漢ウイルス研究所を含む研究グループがDARPA(米国防高等研究計画局)に提出していた研究予算申請書(DEFUSEプロジェクト)が流出したのである。
この申請書の研究計画に、フーリン切断部位を人工的に挿入する実験計画が書かれていた。
これが明るみになったことで、欧米の生命科学者の多くが武漢研究所起源説に傾いた。
これに対して天然説を主張するウイルス学者たちは、DEFUSEの実験はノースカロライナ大学で行われる予定だったのだから武漢ウイルス研究所とは関係ない、フーリン切断部位の入れ方は色々あり、新型コロナウイルスのようにスパイク蛋白のS1部位とS2部位の間に入れるとはDEFUSEには書かれていないと反論し、武漢ウイルス研究所起源説を必死に退けようとした。
■人工合成に好条件
それから約1年後の2022年10月になって、新たに提示されたのがCの証拠である。
日本語に訳すと
『エンドヌクレアーゼの指紋はSARS-CoV-2の人工合成を示唆する』
という題目のプレプリント(査読前論文)が公開されたのである。
エンドヌクレアーゼとはDNAを切断する酵素、SARS-CoV-2は新型コロナウイルスの正式名称である。
この論文の著者はドイツ人免疫学者のバレンティン・ブルッテル(パリグループのメンバー)、米国の数理生物学者アレックス・ウォッシュバーン、米国の脳神経学者のアントニウス・ヴァンドンゲン(デューク大学准教授)である。
この論文の主なアイデアはウォッシュバーンによるところが大きいと思われる。
ウォッシュバーンはプリンストン大学で博士号を取った若手研究者で、自らベンチャー企業を立ち上げている。
彼は生物学の世界には珍しく、数理的能力が非常に高い人物である。
実際、その能力を生かし、投資のアドバイスなども行っている。
反感を買うかもしれないが、事実として述べておくと、生物学者には数学が苦手な人が多い。
生物学者は大まかに2種類に分けられる。
元々生物が好きで生物学者になった人と、科学者になりたいと思ったが数学が苦手なので、数学が不要な生物化学の道を選んだ人である。
であるから、生物学者には数理的思考能力に欠ける人が多い。
その中で、ウォッシュバーンのような研究者は希少価値が高い。
ウォッシュバーンらは新型コロナウイルスの制限酵素切断部位配置に注目した。
制限酵素は、DNAの特定の配列を認識して、その部分あるいはそれに続く部分を特異的に切断する機能を持つ。
彼らは武漢ウイルス研究所などが使っている制限酵素によって切断される部位が、等間隔に近い形で並んでいることに気付いた。
新型コロナウイルスのRNAは約3万塩基からなり、RNAウイルスの中では非常に長い。
そのため、いくつかの部品に分けて、それを繋ぎ合わせて作ることがある。
その際、それぞれの部品が長過ぎないことが望ましい。
新型コロナウイルスの制限酵素切断部位の配置は、その人工合成に好都合な条件を満たしていたのである。
ウォッシュバーンらは、新型コロナウイルスは
「BsaI」

「BsmBI」
という2種類の酵素を使って、6つのピースを繋ぎ合わせて作られているとの仮説を論文で披露した。
これに対して、科学誌『ネイチャ・メディスン』に掲載された新型コロナ天然起源論文の筆頭著者であるクリスチャン・アンダーセンは
「幼稚園レベルの分子生物学だ」
と揶揄した。
■「実験は武漢で行われる」
前置きが長くなったが、新証拠の中身について説明しよう。
この証拠は
「U.S.Right to kown(USRTK)」
という米国の団体が米政府研究機関の米国地質調査所に情報公開請求をかけて入手した書類である。
USRTKはこれまで多くの情報公開請求をしてきたことで知られる。
しかしながら、多くの政府組織は公開に応じてもその多くを黒塗りにするなど、極めて非協力的な態度を示してきた。
そこでUSRTKが注目したのが地質調査所だった。
この組織は、先述したDEFUSEプロジェクトの研究費申請の共同研究者として名を連ねていた。
この組織ならば情報機関や保険行政機関と違い、情報を隠す動機がないと目を付けたのである。
結果として、その目論見は当たった。
地質調査所はDEFUSEプロジェクトに関する詳細な資料の公開に応じたのである。
公開された資料の中には、マイクロソフト・ワードの校閲機能を使った研究費申請書の編集履歴が残されており、そこに重要な情報が多数含まれていた。
前述の通り、武漢研究所起源を否定するウイルス学者たちは、実験はノースカロライナ大学で実施する予定だったので、武漢研究所は関係ないと主張してきた。
ところが、研究計画書の当該箇所には、エコヘルス・アライアンスのピーター・ダシャックがワードのコメント機能を使い、こう記していた。
「DARPAが心配しないように、全ての仕事はラルフ(ノースカロライナ大学教授)によって行われることにしておいて、予算を獲得したらどこでどの仕事をするか割り振ろう」
「実際には多くの分析は【武漢】で行われることになると私は思っている」
それに対して、ラルフ・バリック教授は書いている。
「米国では、ヒトの細胞に結合して増える組み換えSARSウイルスの研究はBSL2(安全性の低い研究施設)ではなくBSL3(安全性の高い研究施設)の実験室で行われる」
「【武漢】ではBSL2で行われるだろう」
「米国の研究者はそれを知ったら驚くぞ」
彼らは元々、SARSウイルスの危険な組み換え実験を、安全性の低い中国の研究施設で実施する意図があったのである。
フーリン切断部位の挿入箇所についても、新型コロナウイルスと同じスパイク蛋白のS1とS2の間に入れる計画が明記されていた。
更に決定的だったのは、ウォッシュバーンらが論文で予想した通り、全長のウイルスの塩基配列を合成するのに、6つのピースを制限酵素で繋ぎ合わせるという計画が明記されていたことである。
加えて、使われる制限酵素として、ウォッシュバーンが予想したものの発注履歴が含まれていた。
これを見た分子遺伝学者ブライス・ニクルズ教授(ラトガーズ大学)は
「これがSARS-CoV-2の設計図であることは疑う余地がない」
とXにポストしている。
■もはや陰謀論ではない
この文書をUSRTKが2023年12月に入手してから、2024年1月18日にその詳細な分析結果が公表されるまでの間に、米国内では1つの大きな動きがあった。
米国で新型コロナ対策を指揮してきたアンソニー・ファウチ(米国立アレルギー・感染症研究所前所長)が2日間の米下院特別小委員会(非公開)で証言し、新型コロナ武漢研究所起源説は陰謀論ではないこと、6フィート(約1.8メートル)のソーシャル・ディスタンスによる感染予防に科学的根拠はないことを認めたのである。
その直後、前米国立衛生研究所(NIH)所長のフランシス・コリンズも同委員会でファウチの証言を追認したことが明らかになった。
その一方で、ウイルス学者たちは頑なに新型コロナ武漢研究所起源を否定し続けている。
2024年1月3日には、78人のウイルス学者たちが連名で武漢研究所起源を否定し、危険なウイルスを人工合成する研究に対する規制強化に反対する声明を学術誌上で発表した。
彼らがそこまで危険な研究を続けたいのは、多額の研究費を貰い続けるためである。
こうした危険な研究に多額の予算が付くのは、生物兵器に転用できるからである。
それを禁止されてしまうことは、彼らにとって死活問題である。
多額の研究予算を貰うという政治目的のため、新型コロナウイルスが人工合成されたという説は、それがたとえ事実であっても彼らは否定しなければならない。
今の学者の目的は真理の探究ではない。
カネである。
自分の都合のために偽の
「事実」
を作り出す彼らの行動様式は、左翼活動家のそれと全く同じである。
ファウチとコリンズが共に根拠がないと認めたソーシャル・ディスタンスが長期間に渡って有効と喧伝されたのも、実はカネと関係がある。
新型コロナウイルスの感染経路は接触感染と飛沫感染であると政府機関や医療関係者は公式に述べてきた。
であるから消毒やソーシャル・ディスタンス、マスク着用やアクリル板設置などの対策が推奨されてきた。
ところが、実際には空気感染(エアロゾル感染)が主な感染経路だったのである。
このことは、筆者が参加した2023年の日本ウイルス学会学術集会のシンポジウム
「エアロゾルのダイナミズムと空気感染」
で、多くの学者が様々な観点から検証していた。
このシンポジウムを主催したのは仙台医療センターの西村秀一医師で、早期からこの問題に取り組み、一般向けの著書も執筆している。
■カネしか頭にないのか
私はウイルス感染については全くの素人なので、このシンポジウムに参加するまでこの問題をよく知らなかったのであるが、専門家の間ではダイヤモンドプリンセス号の感染の様子から、空気感染が主な感染経路であることは分かっていたそうである。
にもかかわらず、なぜ空気感染が長期間に渡って否定されてきたのか。
その理由を示す証拠が医学と公衆衛生に関する学術情報誌『モダンメディア』(栄研化学)の2022年1月号に含まれている。
その号には、松本哲哉教授(国際医療福祉大学)と惣那賢志教授(大阪大学)を含む5名の教授の座談会(2021年11月26日収録)が掲載されている。
そこで松本教授が注目すべき発言を行っている。
「飛沫感染と空気感染の部分ですが、惣那先生にも協力してもらって、今回、日本環境感染学会の対応ガイドを改訂しました」
「そこで、議論した結果、コロナは空気感染の対象にはしないと判断しました」
「即ち入院患者を全て空気感染扱いとして、陰圧個室に入れる必要はないことを示さないと医療機関側が混乱するので、空気感染の対象から外しました」
つまり、空気感染がないことにされたのには何の科学的根拠もなく、単に医療機関の都合でそうされたのである。
その政治的都合に合わせるため、我々はマスク着用や手洗い消毒、アクリル板設置といった非科学的な感染対策をやらされ続けたのである。
実際、多くの病院で院内感染は起きているが、科学的な対策をしなかったのだから当然である。
なぜ空気感染を否定したかと言うと、陰圧室を作るお金を渋ったからである。
医療機関はワクチン接種や病床確保による補助金で莫大な利益を上げていたのに、陰圧室を作る投資はしなかった。
自分の手元により多くのカネを残すことしか彼らの頭の中にはなかったとしか考えられない。
尚、陰圧室を設置しなくても、防御力の高いN95マスクの着用や感染経路となる空気の通り道で紫外線照射によりウイルスを死滅させるなど、空気感染を防止する工夫の余地は色々あったそうである。
これらはウイルス学会のシンポジウムに参加して筆者も学んだことである。
尚、2023年のウイルス学会学術集会は仙台で開催された。
Xで13万7000人のフォロワーを有し、新型コロナ関係の情報を積極的に発信して大きな影響力を行使した福家良太医師は仙台の病院で働いている。
筆者はせっかく地元で行われる学会なのでと参加を呼び掛けたが、残念ながら彼はそれに応じなかった。
そして、彼は今もマスク着用がコロナ感染予防に効果があるかのような発信を続けている。
福家良太医師は新型コロナ起源問題でも早期から人工説を陰謀論と決め付け、その後、武漢研究所起源を示す証拠が多数出てきても何の訂正もしていない。
積極的に情報発信するなら、その前に勉強すべきである。
でなければ、医師の肩書を使って間違った情報を一般の人々に信じさせる結果になる。
■腐り切った学者・医者
新型コロナ騒動の4年間で明らかになったのは、カネのことばかり考えて人命を救うことなど一切考えない医師が非常に多いという事実である。
それで思いだされたのが、筆者が高校生・大学生の頃のことである。
筆者は生徒の約3分の1が医学部志望という進学校に通っていたが、ほとんどの生徒の志望動機はお金が儲かるから、安定しているから、親に言われたから(親が医者だから)といったものだった。
人の命を救いたいといった志を持っている人はほとんどいなかった。
それが理由で医学部だけには行きたくないという思いを強くした。
そのことは長い間忘れていたが、今回のコロナ騒動の医師たちの振る舞いを見て、当時の記憶がしばしば蘇った。
ただし、最近は新型コロナ対策が間違っていたのではないかと声を上げる医師たちも増えてきた。
さすがにワクチンの副反応被害の実態が顕在化するにつれ、良心的な医師たちは黙っていられなくなったのであろう。
ただ、そういう医師たちはあくまでも少数派である。
医学の世界には、金儲けではなく、人の命を救いたい人が集まるようにしなくてはいけない。
そこで私が提案したいのが、国公立大学医学部卒業生に対して、卒業後一定期間、予備自衛官(医官)として奉職することを義務化することである。
いざという時に自らが危険に晒されても人命を救いたいと思う人こそ医師に相応しい。
実際、軍出身の医師には志が高い人が多い。
米国で早くから新型コロナウイルスは武漢研究所起源の可能性が高いと声を上げた米国疾病予防センター(CDC)元長官のロバート・レッドフィールドは元軍医である。
危険なウイルスを人工的に作る機能獲得研究に反対の声を上げる日本で希少な存在の1人は四ノ宮成祥防衛医科大学校長である。
尚、筆者自身も予備自衛官を10年務めている。
新型コロナ流行下では、コロナに感染した妊婦は有無を言わさず帝王切開にする、発熱のある患者は大火傷で命の危険があっても入院させないといった医師が出現したが、患者の命よりも自分の安全を優先するような人間に医療を任せてはいけない。
予備自衛官としての奉職を義務化すれば、そういう人間は排除することができるだろう。
新型コロナのパンデミックは、学術界・医療業界の腐った実態を露わにした。
人命を救う仕事をするはずの人たちが、何よりもカネを優先して、人命を危険に晒している。
新型コロナ武漢研究所起源は、生命科学研究が世界で700万人以上を殺したことを意味する。
更に、間違った感染対策はその被害を拡大させた。
それを2度と繰り返さないための抜本的改革が急務である。

武漢研究所起源説はもう陰謀論ではない
月刊誌『正論』2021年7月号 掛谷英紀 筑波大学システム情報系准教授
■4つの科学的根拠
ウイルスの起源は、政治的動機に左右されず、あくまで科学に基づいて検証されねばならない。
政治によって事実を歪めるのでは中国と同じである。
そこで、本稿ではウェイドの記事に沿って、SARS2ウイルスが研究所から漏洩した可能性が高いことを示す科学的根拠を紹介することにする。
ウェイドは、その根拠として次の4つを挙げている。
第1に、パンデミックが最初に起きた場所である。
SARS2ウイルスはベータコロナウイルスの一種だが、それらの宿主として知られるコウモリの生息地は雲南省であり、武漢から1500キロメートル離れている。
と同時に、武漢はコロナウイルスを遺伝子組み換え技術で改変して人間への攻撃力を増す研究の中心地であり、そこでの安全管理が不十分であることも周知の事実であった。
第2に、SARS2ウイルスのスパイク蛋白質が、流行初期からほとんど変異していないことである。
ウイルスが人を含む動物に感染するには、まず動物の細胞の表面にある受容体に結合する必要がある。
(SARS2ウイルスの場合はACE2受容体)
この受容体に結合するのが、スパイク蛋白質の受容体結合部位である。
一般に、動物によって受容体は異なるので、ある動物には感染するが、別の動物には感染しないことが多い。
コウモリのコロナウイルスも、そのほんどは人間に感染しない。
受容体結合部位が、コウモリの受容体には結合するが、人間の受容体には結合しないからである。
よって、コウモリのウイルスが人間に感染するためには何度も変異を繰り返さなければならない。
実際、SARSウイルスではコウモリからジャコウネコに感染した後、スパイク蛋白質に6つの変異が生じ、その後、14の変異を経て人間に適応し、その後さらに4つの変異があって流行が始まった。
このように、元々コウモリに適応したウイルスであり、人間に適応したウイルスでない以上、人間の間で感染が広がるには初期に多数の変異が必要なのである。
ところが、SARS2ウイルスは、流行の初期から人間に既に適応しており、ほとんど変異が見られなかった。
これが、SARS2ウイルスが天然由来ではなく、人間に適応するように人工的に改変されたウイルスが研究所から漏れたと疑われる理由である。
この事実を最初に指摘したのは、マサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学の共同機関であるブロード・インスティチュートのアリーナ・チャン博士研究員らの研究グループである。
第3に、
「フーリン切断部位」
の存在がある。
受容体に結合したウイルスは、次に人間の細胞の中に入り込むことが感染に必要である。
そこで役割を果たすのがフーリン切断部位である。
これがあると、ウイルスが細胞の中に入りやすくなる。
SARSウイルスにはフーリン切断部位がないが、SARS2ウイルスには存在する。
実は、ウイルスの遺伝子を組み替えて、人間に感染しやすくする研究(機能獲得研究)は過去に多数行われている。
2015年には、武漢ウイルス研究所の石正麗とノースカロライナ大学のラルフ・バリックを含む研究グループが、コウモリのウイルスの受容体結合部位に人工的に手を入れて、人間に感染しやすくする成果をネイチャー・メディスン誌に報告している。
一方、SARSウイルスにフーリン切断部位を人工的に入れる研究は、中国だけでなく日米欧の多数の研究グループが行っている。
スティーブン・クウェイ博士によると、その成果を公開した論文数は最低11本あり、その中には石正麗を著者とするものも含まれる。
それらの研究で人工的に挿入されたフーリン切断部位と同じ特徴がSARS2ウイルスに見られることが、研究所からの漏洩を強く疑わせる状況証拠となっている。
第4に、フーリン切断部位の遺伝子配列の特徴である。
生物の構造を作り上げる蛋白質は多数のアミノ酸から構成されるが、3つの塩基(遺伝子)配列が1つのアミノ酸に対応する。
塩基は4種類あるため、3つの塩基の列は64種類あることになるが、アミノ酸は20種類しかない。
よって、1つのアミノ酸に対して複数の塩基配列が対応する。
SARS2ウイルスのフーリン切断部位はPRRA(プロリン・アルギニン・アルギニン・アラニン)の4つのアミノ酸の挿入で生じている。
このうち、アルギニンのコードには6種類の塩基配列があり得るが、SARS2ウイルスのフーリン切断部位には、同種のウイルスで最も稀なCGG(シトシン・グアニン・グアニン)という配列が連続して使われているのである。
ウェイドの記事中で、この配列を見たノーベル賞学者ボルティモアが、
「これはウイルスの起源の動かぬ証拠だ」
「SARS2ウイルス自然発生説の強力な反論になる」
と妻に語ったとのエピソードが挿入されている。
■無理がある「天然由来説」
これに対して、SARS2ウイルス天然由来説を唱えていた学者たちはどう反論したか。
2020年3月に
「ネイチャー・メディスン誌」
で天然説を唱えていたクリスチャン・アンダーセンは、上海科技大の趙素文の研究グループの論文を引用し、フーリン切断部位は天然でも起き得るとツイッター上で反論した。
そこで用いられたのが図1だが、これが逆にSARS2ウイルスの特異性を示している。
図1に示す通り、確かに自然の突然変異でフーリン切断部位は生じうる。
だが、最も起きやすい突然変異は、遺伝子の塩基が入れ替わることで、アミノ酸配列が変化することである。
これは比較的頻繁に起こる。
一方、塩基が脱落したり、余分な塩基が挿入されることは、偶に起きるが確率は低い。
図1の左側の樹形図は遺伝的距離を表しており、枝分かれが遠いほど遺伝的距離が遠い(遠い過去に分かれた)ことを表している。
遺伝的距離が近いもの同士では大きな挿入や脱落は起きていない。
ところが、SARS2ウイルス(一番上)とそれに遺伝的距離が近いウイルスの間では、フーリン切断部位だけ綺麗に挿入が行われているのである。
これが自然発生的に起きることは、確率的には極めて低い。
WHOの報告書でも、人工ウイルス説を退ける根拠として、フーリン切断部位が天然に挿入されているウイルス(RmYN02)は見つかっているという別の論文に言及している。
しかし、この論文にも大きな欠点がある。
そもそも報告されているウイルスのアミノ酸配列はフーリン切断部位に類似するだけであり、フーリン切断部位ではない。
加えて、アミノ酸配列を見る限り、フーリン切断部位に類似する配列が挿入されたのではなく、従来のアミノ酸が他のアミノ酸に置き換わった変異と解釈するのが自然なのである。
ところが、この論文ではわざわざ図を細工して、脱落と挿入という非常に確率の低いことが遺伝子配列の一部で連続して起きていると解釈している。
このように、SARS2ウイルスが天然由来であるという
「科学的」
主張は、整合性の低い論理を無理やり通そうとしている跡が如実に見られるのである。

いよいよ濃厚 新型コロナ 武漢ウイルス研究所流出説
それでも権威に従順な学者たちは真実から目を背けてしまう
月刊誌『WILL』2021年12月号 筑波大学システム情報系准教授 掛谷英紀
■疑惑の「申請書」
2019年夏、中国の湖北省でPCR検査機器が大量発注されていたことを日本経済新聞が報じた(2021年10月5日)。
豪州に拠点を置くサイバーセキュリティー企業
「インターネット2・0」
が主体となった調査チームが突き止めた情報で、既に海外で報じられていた内容である。
この情報は、新型コロナウイルスが2019年冬より前の段階で流行し始めていたことを示唆するものである。
しかし現在、新型コロナウイルスの起源解明に繋がる情報として海外で注目されているのは、より直接的かつショッキングなものである。
それは、米国の非営利機関
「エコヘルス・アライアンス(以下EHA)」
が武漢ウイルス研究所などと共同で、2018年にDARPA(米国防高等研究計画局)へ提出していた研究費申請書である。
この研究費申請は結果的に不採択になったが、そこにはSARSウイルスに
「フーリン切断部位」
を人工的に挿入する実験計画が具体的に書かれていたのである。
「フーリン切断部位」
は、新型コロナウイルス(SRAS2)が属するサルベコウイルスにはない不自然なアミノ酸配列として注目されていた。
新型コロナウイルスがヒトに感染するには2つのステップがある。
最初のステップはヒトの細胞表面に結合すること、次のステップはヒトの細胞内に入ることである。
2つ目のステップで重要になるのが
「フーリン切断部位」
である。
SRASウイルスの場合、ヒトの細胞内に入るのに
「TMPRSS2」
という酵素を利用していた。
加えて、フーリンによる切断を利用すると、ウイルスは細胞内に劇的に入りやすくなる。
この
「フーリン切断部位」
の存在が、新型コロナウイルスの感染力の異常な強さに繋がっている。
SARSウイルスに
「フーリン切断部位」
を遺伝子組み換え技術で人工的に挿入する研究は、これまでも世界各国の研究グループによって行われてきた歴史がある。
新型コロナウイルスの
「フーリン切断部位」
が人工的に挿入されたものである可能性が疑われたのは、それが理由である。
しかし、これまでは武漢ウイルス研究所がその種の研究に取り組んだ形跡はなかった。
今回明るみになったEHAの研究計画は、その穴を埋めたという意味で極めて重要な意味を持つ。
■討論会で真実が証明された
この研究費申請書を公開したのは、
「DRASTIC」
と呼ばれる世界から自主的に集まったインターネット上の新型コロナウイルス起源調査集団である。
DRASTICが公開した書類は内部リークで入手されたもので、当初はその真偽が疑われていた。
そのため、米国ネットメディア
「インターセプト」
など、ごく一部でしか報じられなかった。
2021年9月6日、
インターセプトはFOIA(情報公開法)によって、EHAからNIH(米国立衛生研究所)に提出された書類を入手し公開した。
この書類には、EHAの研究報告書も含まれており、そこにはSARSウイルスの
「機能獲得研究」(ウイルスの毒性や感染力を強める研究)
が行われていたことを示す動かぬ証拠があったため、大きな話題になっていた。
その流れで、同社はこの件を報じたものと思われる。
DRASTICが公開した書類が本物だと判明したのは、2021年9月30日に学術誌
『サイエンス』が企画した新型コロナウイルス起源に関する公開討論会である。
この討論会には4名の科学者
(アリーナ・チャン、ジェシー・ブルーム、マイケル・ウォロベイ、リンファ・ワン)
が参加した。
前者2名は新型コロナウイルス研究所起源の可能性は十分あるという立場、後者2名はあり得ないという立場である。
リンファ・ワンはシンガポールのデュークNUSメディカルスクールの教授だが、もともと中国人で武漢ウイルス研究所の石正麗とも親しい関係にある。
DRASTICが公開した研究費申請書にも、研究グループの一員として名を連ねていたため、討論会の前からリンファ・ワンが何を語るかが注目されていた。
この討論会のクライマックスは後半にやってきた。
アリーナ・チャンがリンファ・ワンに、
「研究費申請書にはフーリン切断部位を人工的に入れる研究計画が書かれているが、これは誰の提案だったのか」
と聞いたのである。
それに対して、リンファ・ワンは躊躇しながらも
「ノースカロライナ大学だ」
と答えた。
ノースカロライナ大学には、痕跡が残らないように遺伝子の塩基配列を組み換える技術を開発し、その技術を石正麗に教えたことで知られるラルフ・バリックがおり、彼もこの研究計画の一員として名を連ねていた。
リンファ・ワンのこの回答によって、DRASTICが公開した書類が本物であることが証明されたわけである。
これを受けて、世界の大手メディアがこの研究計画について一斉に報じ始めた。
武漢ウイルス研究所がSARSウイルスに
「フーリン切断部位」
を入れる研究計画をしていたことをもって、新型コロナウイルスが武漢ウイルス研究所起源であると断定することはできない。
だが、偶然にしては出来過ぎである。
研究計画で作ろうとしていたものが、その研究所がある場所でたまたま自然に発生する確率は、ゼロではないが天文学的に低い数字である。
■ウソを繰り返す張本人
万が一、新型コロナウイルスが自然発生したものであっても、それと同じ危険なウイルスを人工的に作成する計画をしていたこと自体、その倫理的責任は追及されて当然である。
DARPAはその研究費申請書を採択していないが、研究者が大型予算を申請する場合、研究計画の内容に含まれている事項については事前に予備的な実験を行い、それが上手くいくことを確認しておくことが多い。
大型予算を取得したのに何の成果も出ないと責任を問われるかもしれないという理由である。
また、計画した研究があるグラント(科学研究補助金)で不採択になっても、別のグラントに通れば、それで実施するのが普通である。
したがって、SARSウイルスに
「フーリン切断部位」
を人工的に挿入する研究が、武漢ウイルス研究所で実際に行われていたことは、ほぼ間違いない。
そもそも、こういう研究計画で予算申請をしていた事実があるのに、それをずっと隠していたことについても倫理的に大きな問題がある。
前出のEHAの代表であるピーター・ダシャックは、これまでも多くの偽情報を繰り返し発信してきた。
彼は、武漢ウイルス研究所ではコウモリは飼育されていないと発言していたが、その後同研究所でコウモリが飼育されている様子を撮影した動画が見つかっている。
2020年2月に学術誌『ランセット』に掲載された
「新型コロナウイルスが自然発生でないことを示唆する陰謀論を断固として批判する」
と主張する27人連盟のレター作成で中心的な役割を果たしたのも彼である。
そこで彼は武漢ウイルス研究所と共同研究をしていたにもかかわらず、利益相反はないと宣言していた。
2021年9月30日、DRASTICの4名を含む世界の10名の研究者が、EHAの理事会宛にダシャックを代表から解任することを求めるオープンレターを公表した。
実は筆者自身もこの10名のうちの1人に含まれている。
このレターは、2021年10月6日に『ニューズウィーク』誌もその内容を報じるなど、海外では話題となっている。
2021年10月10日の英国「デイリーメール」の記事において、フランス・パスツール研究所のウイルス学者サイモン・ウェイン・ホブソン教授は、
「機能獲得研究」(ウイルスの毒性や感染力を強める研究)
に内在する甚大な危険性を考えると、国際的で法的拘束力のある基準が設定されるまで、
「機能獲得研究」(ウイルスの毒性や感染力を強める研究)
の実施とそれに対する資金提供を世界的に禁止する必要があると書いている。
筆者もこの見解に強く賛同する。
■権威に従順な学者たち
海外では大々的にニュースになっているエコヘルス・アライアンス(以下EHA)の研究計画であるが、なぜか日本では全く報じられていない。
最大の理由は、日本の生命科学者や医師に、新型コロナウイルス研究所起源の可能性について解説しようとする人がいないことだろう。
それゆえ、日本経済新聞が報じたPCR検査機器のように、素人にも理解しやすいことは記事にできても、
「フーリン切断部位」
のように科学リテラシーを要する内容は、日本のメディアは記事にできないのではないか。
現在、日本で新型コロナウイルスの起源が武漢ウイルス研究所である可能性を論じているのは、神田外国語大学興梠一郎教授、明海大学の小谷哲男教授など、中国や安全保障の専門家だけで、科学的観点から論じているのは筆者しかいない。
筆者は科学者ではあるが、分子生物学を専攻していたのは遠い昔のことであり、現在の専門は電子情報工学である。
本来ならば、生命科学を専門とする人がこの問題を論じるべきだが、日本にこれだけ大量の生命科学者がいながら、その役割を果たす人が誰一人いないというのはあまりに異常である。
逆に、新型コロナウイルスは研究所起源では絶対ないと断言した医師も少なくない。
ツイッターで多数のフォロワーを抱える峰宗太郎氏やEARLの医学ツイートはその代表例である。
木下喬弘医師は新型コロナウイルス研究所起源を論じるのは下品だと断じた。
彼にはウイルス起源の討論会を企画・実施した『サイエンス』誌を
「下品だ」
と罵ってほしいところだが、その勇気はないだろう。
権威には従順なのが日本の学歴エリートの習性である。
もちろん、権威に従順な学者が多いのは日本に限ったことではない。
しかし、海外にはそうした権威に負けずに真理を追い求める医学者も少なくない。
米スタンフォード大学のデイビッド・レルマン教授や豪フリンダース大学のニコライ・ペトロフスキー教授がその代表例である。
日本にも新型コロナウイルスについて詳しい医学者がいないわけではない。
広島大学の坂口剛正教授はその1人である。
ユーチューブで公開されている彼の新型コロナウイルス解説動画は10万回再生を越えている。
だが、その動画の中で、新型コロナウイルスが細胞内に入る機構として解説されているのは
「TMPRSS2」
という酵素だけで、
「フーリン切断部位」
には触れられていない。
アルファ株やデルタ株の感染力の強さも、
「フーリン切断部位」
の変異で説明できるほど重要な部分であるのに、それに敢えて触れなかったのはなぜか。
「フーリン切断部位」
について積極的に論じる海外の生命科学者とはあまりに対照的である。
■ならば専門家など必要ない
ウイルス起源の問題に限らず、新型コロナウイルスについて、日本の医学者たちがこれまで発信してきた情報には問題があまりに多い。
ワクチン推進の医師たちは、日本でもワクチン忌避が起きると煽っていた。
私は
「心配しなくても日本の接種率は8割近くになるだろう」
と言って猛反発に遭ったが、結果として私の方が正しかった。
京都大学の西浦博教授は、五輪開催で気の緩みが出るからと、五輪中止とロックダウンを推奨した。
私はそれにツイッター上で反論して彼からブロックされた。
しかし、実際には五輪開催中に人流は減ったことが確認されており、その後ロックダウンをせずとも感染者数が激減したのはご承知の通りである。
ところが、医師というのは仲間意識が強いようで、未だに西浦氏を擁護する人が少なくない。
例えば
「あれは予測はなくシミュレーションだ」
という言い訳をよく見る。
だが、西浦氏は
「対策の効果が出て人流が減るなどし、増加のペースが前の週の1.2倍に抑えられた場合でも、2021年8月21日には7000人を超える」
と発言していた。
確かに、各種政策による人流減の効果がどの程度かは感染症の専門家には分からない。
その意味で、五輪での気の緩みという発言は感染症学者として不適切である。
よって、複数のシナリオによるシミュレーションは必要だ。
しかし、人流の数値から実効再生産数を予測するのは感染症学者の領分ではないか。
人流が減っても実効再生産数が1.2にしか抑制されないと見積もっていた彼のモデルに何らかの欠陥があるのは明らかだ。
その点を追及しないのは、学術的に見て異常である。
実効再生産数が1.2なら7000人を超えるという計算は高校生でもできる。
それをもって自分は正しいことを言っているというなら、専門家など必要ない。
日本に真理を探究する医学者がいないとするなら、海外から呼び寄せるしかない。
日本の学術界の人材不足はそれほど深刻である。

米情報長官室、コロナ起源で武漢研究所からの流出を否定せず
2023/6/24 16:39
https://www.sankei.com/article/20230624-HRZOVWCCDJMAFBWGMV3PLGNCGM/
米国家情報長官室は2023年6月23日、新型コロナウイルスの世界的流行の起源に関する報告書を発表した。
同室が統括する各情報機関はいずれも、最初に人への感染が起きたのは自然界でウイルスを保有していた動物への接触だとする説と、中国・武漢ウイルス研究所に関連しているとの説は
「両方あり得る」
とし、研究所から流出した可能性を否定しなかった。
各機関の見方には濃淡があり、国家情報会議などは自然起源の可能性が高いとした一方、エネルギー省や連邦捜査局(FBI)は研究所起源とみられるとした。
中央情報局(CIA)などは判定不能とした。
人工的に操作されたウイルスや生物兵器ではないとの見方では、ほぼ一致した。
バイデン大統領は2023年3月、流行の起源に関してできるだけ多くの情報を公表するとの法律に署名、今回の報告書に繋がった。
科学者の間では、生きた動物を扱っていた武漢市内の海鮮市場が起点との見方が強い。(共同)

元中国機関トップ「武漢研究所漏洩説」否定せず 新型コロナ
2023/5/31 8:21
https://www.sankei.com/article/20230531-OCEQ3NZVJBN4XAUDVF6Y5HGL7E/
昨年まで中国疾病予防コントロールセンターのトップを務めた高福氏が2023年5月31日までに英BBC放送のインタビューに応じ、新型コロナウイルスが中国科学院武漢ウイルス研究所から漏洩したとの説について
「全てを疑うのが科学だ」
「何事も排除すべきではない」
として、否定しなかった。
中国政府は研究所からの漏洩説を否定している。
感染拡大の対応や起源に関する調査で、政府の専門家として役割を果たした高氏の発言は異例だ。
ウイルスの起源は諸説あるが特定されていない。
高氏は起源について
「疑問はまだある」
と指摘。
研究所については
「(中国の)専門家による二重の調査を受けている」
とも述べた。
新型コロナの集団感染は、湖北省武漢の
「華南海鮮卸売市場」
で、世界で初めて確認された。
中国疾病予防コントロールセンターは市場で集めた試料を分析。
動物が感染していたかどうかは特定できず、ウイルスの起源は不明だと2023年4月に論文報告した。
一方、米情報機関の幹部は、コウモリのコロナウイルスを扱っていた研究所からの流出を疑う発言をしている。(共同)

主張
緊急事態が終了 WHOの責任を問い直せ
2023/5/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20230509-LISM2HFHURMQHIIAURJQB54YKM/
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が、長きに渡った新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言を終了すると発表した。
ワクチンの普及などにより新規感染者数や死者数が減少したためだ。
あらゆる国・地域に甚大な影響を及ぼした新型コロナのパンデミック(世界的大流行)の終息に向けた重要な節目と言えるだろう。
だからといって見過ごせないことがある。
2019年12月に中国の武漢市で感染が確認された後にWHOが取った対応のまずさである。
テドロス氏はかねて中国の影響下にあると批判されてきた。
それが中国発の感染症に対するWHOの対応を不十分なものとしたのではないか。
この点の検証を行わず、有耶無耶に幕引きを図ることは許されない。
WHOは2020年1月22、23両日に緊急委員会を開いたが、宣言を見送った。
事態は悪化の一途を辿っていたのに、テドロス氏は2020年1月28日、北京で
「中国政府が迅速で効果的な措置を取ったことに敬服する」
と絶賛した。
ようやく宣言が出たのは2020年1月30日だ。
テドロス氏は宣言について、中国側から慎重な判断を求められていた。
ウイルスの起源解明を巡り、WHOの国際調査団が武漢入りしたのは発生から約1年後の2021年1月だった。
中国側が同意した場所に限られた調査は中国の主張にお墨付きを与えただけと指摘された。
こうした対応が中国による事実関係の隠蔽を助長したのではないか。
そうであるならWHOの一連の対中姿勢が世界に惨禍をもたらしたと言っても過言ではない。
致命的なミスは他にもある。
日米など多くの国がWHO年次総会への台湾のオブザーバー参加を求めていたにもかかわらず、これを認めなかったことだ。
ここでも中国への配慮があったのだろう。
感染症対応で台湾という空白域を作ったのは国際社会への背信行為である。
しかも初期の感染封じ込めに成功した台湾の知見も生かせなかった。
これでは国際機関の役割を果たせたとは言えまい。
テドロス氏の責任も含めてWHOの判断の妥当性が問われるべきは当然だ。
そのために第三者による検証作業を行ってはどうか。
2023年5月13、14両日には長崎市で先進7カ国(G7)保健相会合が開かれる。
日本はWHOの検証と改革の必要性を訴えるべきである。

コロナ対応節目も起源は未解明 中国への協力要求課題
2023/5/8 19:59
https://www.sankei.com/article/20230508-FU7U4V74HVOXZDZX77ZVDANVOI/
新型コロナウイルス感染症への対応は、世界保健機関(WHO)による緊急事態宣言の終了と日本での感染症法上の
「5類」
移行によって、大きな節目を迎えた。
だが、新たな変異株への警戒が続く中で、再発防止に重要なウイルスの起源解明は残されたままだ。
その実現のためには、中国側に積極的な協力を求めていくことが国際社会の課題となる。
新型コロナの起源を巡っては、動物から人間に感染して広がったとする
「動物由来説」
の他、中国湖北省の中国科学院武漢ウイルス研究所から流出した可能性も完全には否定されていない状況が続いている。
米国では連邦捜査局(FBI)のレイ長官が2023年2月、ウイルス研究所から流出した可能性が
「最も高いと分析している」
とメディアで強調。
米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、米エネルギー省の機密報告書も起源について同様に結論付けた。
ただ、大統領の諮問機関の国家情報会議(NIC)など5機関は動物由来説を支持し、中央情報局(CIA)は
「不明」
との立場を取る。
バイデン大統領は2023年3月、起源に関する機密情報の開示を求める法案に署名し、今後の開示が注目されるが、決定的な情報が出てくるか不透明だ。
WHOのテドロス事務局長は緊急事態の終了に先立つ2023年4月6日の記者会見で、
「大勢の人が苦しんでいることから(WHOに)道義的な責務がある」
と述べ、起源解明への努力を続ける姿勢を強調している。
WHOは2021年初めに国際調査団を武漢に派遣し、研究所流出説の可能性を
「極めて低い」
とする報告書をまとめた。
だが、中国側のデータ提出は不十分とし、起源調査に関する諮問団を新設。
テドロス氏は中国が情報を共有すれば、
「何が起きたのか、どのように始まったのかが分かる」
と協力を求めている。
これに対し、中国疾病予防コントロールセンターの沈洪兵主任は2023年4月8日の記者会見で、WHOの姿勢を
「起源調査の政治化だ」
「中国の科学界は容認しない」
と反発。
センター関係者も
「武漢に注目し続けるべきではない」
と主張した。

コロナ対応批判で実刑判決 武漢の市民記者、秘密裁判
2023/4/20 9:33 産経新聞
新型コロナウイルスの大規模感染が初めて確認された中国湖北省武漢で、流行初期の実態を発信した市民記者、方斌氏が秘密裁判により実刑判決を受けていたことが分かった。
懲役3年程度とみられる。
当局に連行され、消息不明となっていた。
近く刑期を終えて出所するという。
罪名は不明。
米政府系のラジオ自由アジア(RFA)が2023年4月20日までに伝えた。
方氏は2020年2月、都市封鎖(ロックダウン)された武漢で医療現場の混乱や死者が急増する様子を取材し、動画で発信。
政府の対応を
「人災」
と批判していた。
RFAによると家族が最近、2023年4月30日に出所するとの通知を当局から受けた。
家族は現在も方氏が何の罪に問われ、どういった判決を受けたのか知らないという。(共同)

コロナ起源「武漢研究所の可能性高い」 米FBI長官が言及
2023/3/1 12:07
https://www.sankei.com/article/20230301-DQJMWJIF6BKVJGEMRFDMLPHGQ4/
米連邦捜査局(FBI)のレイ長官は2023年2月28日放映のFOXニュースで、新型コロナウイルスの起源について、中国湖北省武漢のウイルス研究所から流出した可能性が高いと述べた。
米エネルギー省も確度は不十分としながら同様の分析結果をまとめたと報じられている。
FBIは、これまでも研究所流出説を唱えていた。
ただ米政府内では自然界の動物から人間に感染した説を支持する機関もあり、現時点で統一した見解は出ていない。
レイ氏は
「パンデミック(世界的大流行)は、武漢の研究所から始まった可能性が最も高いと分析している」
と語った。
中国が、新型コロナの起源を巡る調査を妨害してきたと批判。
「米国や友好国の取り組みを混乱させようと躍起になっている」
「全ての人々にとって不幸なことだ」
とした。(共同)

コロナ起源、武漢のウイルス研究所と分析 米エネ省、政府内で相違も
2023/2/27 9:51
https://www.sankei.com/article/20230227-C325QWDQXVJCLDN5Y5HUMS4VNE/
米紙ウォールストリート・ジャーナル電子版は2023年2月26日、エネルギー省が新型コロナウイルスの起源について、確度は不十分ながら中国湖北省武漢のウイルス研究所から流出した
「可能性が高い」
との分析結果を出したと報じた。
米政府内では、自然界の動物から人間に感染した説を支持する機関も複数あり、判断に相違が生じている。
研究所流出説は連邦捜査局(FBI)も唱えている一方、分析結果を確定させていない情報機関も存在。
同紙は
「新型コロナの起源に関し、米情報コミュニティー内で如何に異なる判断が存在するかを浮き彫りにしている」
と指摘した。
ただ、いずれの情報機関も、新型コロナが中国による生物兵器開発の結果ではないとの意見では一致しているという。
同紙は機密扱いの報告書の内容として報道。
エネルギー省は
「低い確信」
に基づく判断としつつ、ウイルス研究所で意図しない形での流出が起きた可能性が高いと結論付け、ホワイトハウスにも伝達した。(共同)

コロナ起源調査で協力要請 WHO、中国高官に書簡
2023/2/16 9:33
https://www.sankei.com/article/20230216-SPNDVNMJZVJR3JD7DJ73DRZIKE/
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は2023年2月15日の記者会見で、新型コロナウイルスの起源解明に向け
「7週間前に中国の高官に書簡を送り、協力を求めた」
と明らかにした。
起源が判明するまで調査を続けていく意向も示した。
コロナの起源調査を巡っては、最初に大規模流行が起きた中国からの情報提供の不足が指摘されている。
テドロス氏は
「次のパンデミック(世界的大流行)に備えるためにも、どのように始まったかを知る必要がある」
と強調した。(共同)

あのテドロスも大物学者も、新型コロナ=武漢研究所流出説を認定
潮目が変わった! それでも日本のアカデミズムはダンマリ
月刊誌『WiLL』2022年9月号 筑波大学システム情報系准教授 掛谷英紀
■大物の気付き
安倍晋三元首相が凶弾に倒れた。
ただただ残念である。
悪夢の民主党政権の3年間、私は日本が隣の全体主義国家・中国に呑み込まれるのを覚悟した。
それを救ったのが再登板した安倍首相の外交だった。
アジア太平洋地域の自由と民主主義を守るために奔走した。
感謝しかない。
だが、中国伸張の危機はまだ去っていない。
中国と世界各国との今後の関係を大きく左右するのが、新型コロナウイルスの起源問題である。
海外では2022年5月から6月にかけて、大きな動きが2つあった。
1つは、PNAS(米国科学アカデミー起要)に掲載されたニール・ハリソンとジェフリー・サックスの共著論文である。
サックスはコロンビア大学の経済学の教授で、有名医学雑誌『ランセット』のCOVID19委員会座長も務める大物である。
ハリソンは同じコロンビア大学の分子薬理学者である。
この論文は、新型コロナウイルスがその塩基配列の特徴から武漢ウイルス研究所が起源であることを強く疑われることの解説と、起源調査の必要性に関する論述からなる。
サックスはこれまで、新型コロナウイルス研究所起源説は陰謀論であるという立場だった。
今になって、彼はなぜ見解を変えたのか。
私は本人から直接話を聞く機会があったが、FOIA(米国の情報公開制度)で明らかになったNIAID(米国立アレルギー感染症研究所)のアンソニー・ファウチ所長とウイルス学者たちの間の私信(電子メール)、及び米国の非営利機関・エコヘルス・アライアンス(EHA)が武漢ウイルス研究所などと共同で2018年にDARPA(米国防高等計画局)へ提出していた研究費申請書のリークの影響が大きかったようである。
前者において、ファウチ周辺のウイルス学者たちは、表での主張とは裏腹に、仲間内では新型コロナウイルスは研究所起源の可能性が高いと言っていたことが明らかになっている。
つまり、新型コロナウイルスは武漢ウイルス研究所を含む研究グループが実際に作ることを予定していたウイルスということになる。
サックスは民主党支持者で、その基本スタンスは国際協調路線である。
ウクライナ戦争については、NATOの東方拡大がロシアを刺激したことが原因との立場を取っている。
新型コロナウイルスの起源についても、彼の追及の矛先は中国ではなく、武漢ウイルス研究所の石正麗らに技術や研究費を供与した米国内の機関や研究者に向いている。
2022年6月にスペインのゲイトセンターが主催した講演会でも、サックスは
「新型コロナウイルスは天然起源ではなく、米国の研究所のバイオテクノロジーによって作られたと私は確信している」
と発言した。
■WHOテドロスの変節
もう1つの大きな動きはWHO(世界保健機関)を舞台としている。
2022年6月9日、WHOのSAGO(新病原体の起源に関する助言グループ)は、新型コロナウイルスの起源について、研究所流出の可能性を排除できないとの報告を出した。
更に2022年6月18日、英紙『デイリーメール』はWHOのテドロス事務局長が欧州の有力政治家に
「私は新型コロナウイルスの研究所起源を確信している」
と打ち明けていたと報じた。
2021年3月、WHOの調査団は
「新型コロナウイルスが研究所流出を起源とする可能性は極めて低い」
とする調査報告書を公開している。
しかしながら、この調査団には利益相反のあるEHAのピーター・ダシャクが含まれていたこと、冷凍食品からの感染という科学的にあり得ない説が真面目に取り上げられていたことなどから、その信憑性が疑われていた。
更に、同調査団のピーター・ベンエンバレク団長は、報告書は中国の圧力で書かされたものであったことをテレビ番組内で認めるに至った。
この1次調査が不十分であることをWHOは認め、SAGOが結成されたという経緯がある。
欧米でも、2021年の初旬までは新型コロナウイルス研究所起源説は
「陰謀論」
扱いされていた。
しかし2021年5月、原子力科学者会報にニコラス・ウェイドがノーベル賞受賞者のエイビッド・ボルティモアの発言を引用しながら研究所流出説を強く示唆する記事を書いて以降、研究所起源を論ずることがタブーではなくなった。
前述のベンエンバレクの発言も、WHOのSAGO結成も、その流れを受けてのものである。
今や米国の世論調査では、新型コロナウイルスは研究所起源と考える人が大多数を占めるに至っている。
■オミクロン株も研究所起源か
新型コロナウイルスの起源問題は、なぜ、絶対に放置してはならないのか。
天然であれ研究所であれ、起源が分からなければ、次にパンデミックが起きることを防止するための適切な対策が打てない。
更に、研究所起源であるのに発生源に何の責任追及も行われなければ、悪意の人に誤ったメッセージを与えることになる。
私は新型コロナウイルスは事故で流出したもので、意図的な拡散だとは思っていない。
しかし、発生源を曖昧に出来ると分かれば、次は悪意で拡散を企図する人が出てきても何ら不思議ではない。
恐れていた事態は意外に早く訪れた。
オミクロン株の流行である。
オミクロン株のスパイク蛋白が、それまでの変異株と大きく異なることについては、しばしば語られるので聞いたことがある人も多いだろう。
だが、単に変異が多いだけでなく、変異の中身も非常に不自然なのである。
つまり、武漢で発生した新型コロナウイルスの原株だけでなく、オミクロン株も研究所起源が疑われるのである。
オミクロン株のスパイク蛋白には、1つの塩基が他の塩基に入れ替わる変異が29個あるが、そのうち同義置換(塩基は変化するがアミノ酸は変化しない変異)は1つしかなく、残りの28個は全て非同義置換(塩基もアミノ酸も変化する変異)である。
ランダムに変異が起きると、同義置換と非同義置換の比は約1対3となる。
モデルを立てて検証を行ったところ、オミクロン株の変異の偏りが自然発生する確率は1000分の1.6以下であるという結果が得られた。
この分析については、、東京工業大学の松本義久教授と共著でプレプリント(査読前論文)を公開している。
オミクロン株の研究所起源を疑っているのは我々だけではない。
イタリア分子腫瘍学研究所の荒川央博士は、オミクロン株だけでなく他の主要な変異株も自然発生する確率は低いとの分析結果をプレプリントで発表している。
また、ドイツの分子生物学者バレンティン・ブラッテルは自身のウェブサイトで、オミクロン株のスパイク蛋白変異のほとんどは、既存の研究や変異株においてその機能が知られているものであり、それらを寄せ集めて人工的に作られたウイルスである可能性が高いと主張している。
彼は、あらゆる変異に対応する
「パンバリアント」
ワクチンの研究開発過程で人工的に作られた変異株が外に漏れたのがオミクロン株の正体ではないかとの仮説を述べている。
オミクロン株が研究所起源だったとすると、その前にウイルス機能獲得研究をしている世界中の研究所を総点検して監視を強化していれば、オミクロン株による世界的な大被害は防げたことになる。
研究所起源説に対して陰謀論とレッテルを貼り、そうした調査点検作業を妨害してきた人々の責任は重い。
テクノロジーの進歩により、遺伝子操作で危険な病原体を人工的に作り出すことは容易になっている。
そのため、病原体の感染力や毒性を人工的に高める機能獲得研究は世界中で行われている。
それらの研究は、しばしば今後流行する病気を予測するため、そしてその治療法を開発するために必要であるとウイルス学者たちは主張する。
しかし、マサチューセッツ工科大学のケビン・エズベルトが指摘するように、病原性を増す変異の可能性は無数にあり、今後自然発生する人間の感染症を正確に予測することは不可能である。
よって、機能獲得研究は疫病の予防や治療には繋がらない。
実際、新型コロナウイルスのパンデミックにおいても、機能獲得研究はその発生を予測・予防することにも、治療法を確立することにも全く役に立たなかった。
■日本のアカデミズムは動かず
2022年2月、ドイツのハンブルグ大学の物理学者ローランド・ビーゼンダンガーを中心とする世界の50人が、パンデミックを引き起こし得る病原体に関する高リスク機能獲得研究を全世界で中止することを要求するハンブルグ宣言を発表した。
日本人は筆者の他に、前述の荒川央博士と防衛医科大学の四ノ宮祥学校長が署名した。
生命科学において、危険な研究に対する警鐘が発せられたのはこれが初めてではない。
2012年、生命科学界を震撼させる研究が行われた。
鳥インフルエンザウイルスを人工的に哺乳類に感染できるようにする機能獲得研究である。
それを実施したのは河岡義裕教授の研究チームである。
この種の危険な研究に対しては、生命科学者からも批判の声が上がった。
2014年、研究者有志(ケンブリッジ・ワーキング・グループ)が、危険な研究の制限を求める声明を出した。
この声明には約400の学者が署名しているが、日本人は1人も含まれていない。
その意味で、ハンブルグ宣言に3人もの日本人が署名したのは大きな進歩と言えるだろう。
しかしながら、日本の生命科学界全体の体質は、2014年当時とほとんど変わっていないように思われる。
海外では新型コロナウイルスの起源を追究する勇気ある生命科学者が複数現れたが、日本には約2年間で1人もいなかったのである。
私は研究倫理に関する複数の団体に属しており、そこでの活動を通じて生命科学者たちにアプローチしたが、無視され続けた。
多数の学会を束ねた団体の論理部門の委員として、その団体に属する生物系の学会にアプローチしたが、学会の会長も副会長も聞き取り調査にすら応じなかった。
研究倫理教材を作る団体の生命科学系の理事にも何度か連絡したが、ずっと無視され続けた。
研究倫理の教材には、データを隠さず共有すること、利益相反を明らかにすることを指導する内容が含まれている。
新型コロナウイルスの起源をめぐっては、その原則に反するような行動が相次いだ。
中国は2019年9月以降、それまで公開していたウイルスのデータベースを非公開のままにしている。
新型コロナウイルスの起源を調べる上で重要なデータを、パンデミック発生後も隠蔽しているのである。
これは明らかに研究倫理に反する行為である。
現実の研究不正を目の当たりにしても、研究倫理を推進する立場の人々が何の声も上げないのを見ると、研究倫理の議論自体に意味がなかったのではないかと思う。
日本学術会議の存在意義も疑われる。
米国では日本の学術会議に相当する科学アカデミーとの共同声明で、中国に新型コロナウイルス起源調査の透明性確保のため、データ公開に協力するよう要請している。
しかし、日本学術会議は何もしていない。
尚、前述の鳥インフルエンザ機能獲得研究で世界を震撼させた河岡氏は日本学術会議の現会員である。
■「神様」が作ったウイルス
日本では新型コロナウイルスの起源は話題にすら上らない。
ほとんどの人が自然発生であると今も信じているものと思われる。
欧米では研究所起源説が陰謀論と言われていた2020年においても、その可能性を指摘する科学者は少数ではあるが存在していた。
しかしながら、日本でそれを公言していた科学者は、私の知る限り私1人であった。
逆に、新型コロナウイルスは研究所起源では絶対ないと断言した学者や医師は少なくない。
ツイッターで多数のフォロワーを有する医師たちが、研究所起源説を陰謀論と断定したため、私も長らく陰謀論者扱いを受けることになった。
大事なのは起源を追究することより目の前のパンデミックを収束させることだとも言われた。
しかし、デルタ株の流行が収まって小康状態を迎えても尚、起源に関心を寄せる日本人はいなかった。
日本の生命科学者のほぼ全員が沈黙を守り続ける中、2022年6月に大きな動きがあった。
ベストセラー『ウイルス学者の責任』(PHP新書)で知られ、メディア露出も多い京都大学の宮沢孝幸准教授が、ラジオ番組とインターネット番組で、新型コロナウイルスが研究所起源である可能性に言及し始めたのである。
宮沢氏は長い間、新型コロナウイルス研究所起源説を陰謀論として批判してきた。
今になって意見を変えたのは、前述のオミクロン株の変異の異常を見てのことだという。
「神様」
あるいは
「宇宙人」
が作ったとしか思えないという独特な表現で、その変異が人為的なものである可能性が極めて高いことを示唆している。
オミクロン株の異常を見せられると、武漢原株の研究所起源も否定できなくなったようだ。
右の発言後、宮沢氏とツイッターでやり取りをした。
宮沢氏は新型コロナウイルスに見られる不自然な配列(前述のフーリン切断部位)には当然気付いていたようである。
だが、性善説を信じたかったことと、国内のBSL(バイオセーフティレベル)4の施設の運用に影響が出る心配があったことを、研究所起源説を退けた理由に挙げている。
このうち後者については、研究者の利便を公衆の安全に優先させるもので看過できない。
■安倍晋三の功績
ウイルス学者に対する追及と並行して我々が行うべきは、中国に対する責任追及である。
中国当局は2019年末の段階でこのウイルスがヒト・ヒト感染することを把握していたのに、それを隠して感染者を世界中に旅行させてパンデミックを起こしたことは証拠のある事実である。
これだけでも人道に対する大罪だが、ウイルスの起源が武漢の研究所だとすれば、その罪の重みは測り知れない。
2022年7月8日、『ワシントンポスト』のコラムで、記者のジョシュ・ロギンは安倍元首相を以下のように称えた。
「世界の他の指導者たちが中国政府と協力的な関係を続けることにまだ固執していた時、力で世界の秩序を破壊するという中国の決意を見抜き、それに備えることを始めた指導者である」
新型コロナウイルスの起源を追う国際的研究者集団「パリグループ」メンバーでもあるジェイミー・メッツルは、2022年7月10日のCNNのインタビューでこう語っている。
「日本(安倍政権)は中国との友好関係はあり得ないと気付いて、米国、韓国、オーストラリア、インドなどと関係を強化した」
「安倍首相が表明したのは、日本は普通の軍隊を持つ普通の国になる権利があり、人道支援と世界中の弱者救済活動で世界を先導した日本の過去70数年の功績は誇るに値するということだ」
「安倍首相は今後もそれを継続するために尽力したのであり、私は日本の明るい未来を信じている」
メッツルはクリントン政権で働いた民主党員である。
米国のリベラルからこの発言を引き出した安倍元首相の功績は果てしなく大きい。
新型コロナウイルス疫病で中国が世界に対して取った行動は、同国の世界秩序に対する挑戦である。
世界がその責任を追及しようとする中、日本がそれに関与しないのは、安倍元首相が作り上げた世界の日本に対する期待を裏切ることになる。
残念ながら、その期待に応えようとする日本の生命科学者は皆無だが、少なくとも私はその役割を全うするつもりだ。
2022年11月には米国で中間選挙が行われる。
共和党の優勢が伝えられるが、同党にはウイルスの起源問題を徹底追及する構えの議員が多数いる。
今は上下院とも民主党が多数派で、ファウチを徹底的に守っている。
だが、選挙で共和党が勝てば状況は大きく変わる。
実際、ランド・ポール上院議員は共和党が過半数を取れば、議会の召喚権限を使ってファウチや武漢ウイルス研究所と関係のある米国内の学者たちを強制捜査すると言っている。
そこでウイルスの起源を示す決定的証拠が出ることを期待したい。

カナダから受け取った郵便物からオミクロン株と見られるウイルスが検出されることなどあり得ない。
なぜなら、オミクロン株は国際郵便物の中では決して生き残れない。
オミクロン株が郵便物の上で生存するのは不可能、中国の見解は全く科学的でない。
感染者が直近の14日間、北京市外に出ていないからと言って、それだけで感染者が海外からの郵便物を通じて感染したとする根拠にはならない。
中国が、海外からの郵便物を通じて感染した可能性を排除できないと主張する理由は、北京冬季五輪の最中に感染が拡大した場合の言い訳として準備しているためで、事態が悪化した時にウイルスは外から来たと言えるようにするためだ。

北京、オミ株感染源は「海外郵便」 カナダが一蹴
2022/1/18 21:10
https://www.sankei.com/article/20220118-P7GZ7PFBQFOONOVSUEEDX24IPA/
北京市当局は2022年1月18日までに、同市内で2022年1月15日に初確認された新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」について、
「海外からの郵便物を通じて感染した可能性を排除できない」
と表明した。
感染者が受け取ったカナダからの郵便物を調べたところ陽性反応が出たと説明するが、カナダのデュクロ保健相は
「異常な見解だ」
と一蹴している。
北京当局は2022年1月17日の記者会見で、同市海淀(かいでん)区の感染者が受け取った国際郵便物からオミクロン株とみられるウイルスを検出したと明らかにした。
カナダから2022年1月7日に発送され、米国と香港を経て2022年1月11日に感染者が受け取った。
同じルートで別の場所に届いた未開封の郵便物を調べたところ、ここからも陽性反応が出たという。
当局は
「海外からの商品購入をなるべく控えるように」
と呼びかけた。
中国はこれまでも、冷凍食品など海外からの輸入品の表面に付着したウイルスによる感染リスクを主張している。
一方、カナダ放送協会(CBC)によると、デュクロ氏は2022年1月17日の記者会見で
「(中国側の見方は)我々が国際的、国内的に観察してきたことと一致しない」
と否定的な見方を示した。
トロント大公衆衛生大学院のアンナ・バネルジ准教授はCBCの取材に、
「オミクロン株は国際郵便物の中では決して生き残れない」
と指摘。
中国側の主張に
「科学的根拠があるとは思えない」
と語った。

郵便物感染源は「突飛な考え」 カナダ、中国の見方を否定
2022/1/18 12:23
https://www.sankei.com/article/20220118-7H4FKZXXQZJABERJKBAVVZAOE4/
カナダのデュクロ保健相は2022年1月17日、中国北京市で感染が初確認された新型コロナウイルスの新変異株オミクロン株について、中国当局がカナダからの国際郵便が感染源との見方を示したことについて
「突飛な考えだ」
と否定的な見解を示した。
カナダ放送協会(CB)によると、保健相は
「(中国側の見方は)国際的、国内的に我々(の検証)とそぐわない」
と述べた。
カナダのある研究者はオミクロン株が郵便物の上で生存するのは不可能と述べ、中国の見解は
「全く科学的でない」
と批判した。
カナダの外交専門家は、今回の中国の指摘について、北京冬季五輪の最中に感染が拡大した場合の
「言い訳」
として準備していると指摘。
「事態が悪化した時に(ウイルスは)外から来たと言えるからだ」
と説明した。(共同)

中国「海外郵便で感染の可能性」北京のオミクロン株の見解発表
2022年1月17日 18時38分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220117/k10013435541000.html
中国 北京市の当局は、新型コロナの変異ウイルス、オミクロン株の感染者が市内で初めて確認されたことについて
「海外からの郵便物を通じて感染した可能性が排除できない」
とする見解を発表しました。
検査の強化なども打ち出し、オリンピックの開幕を目前に控え、国内外の不安を払拭したい構えです。
北京では2022年1月15日、オミクロン株の感染者1人が初めて確認され、市当局は大規模なPCR検査を行うなどして、他に感染者がいないか調べています。
こうした中、当局は2022年1月17日に記者会見し、これまでに新たな市中感染は確認されていないとした上で
「感染者は海外からの郵便物を通じて感染した可能性が排除できない」
とする見解を発表しました。
その根拠として、感染者が直近の14日間、市外に出ていないことや、カナダから受け取った郵便物からオミクロン株と見られるウイルスが検出されたことなどを挙げ、海外からの商品の購入をなるべく控えるよう呼びかけています。
市当局は、この他、2022年1月22日以降に市内に入る人には、到着後72時間以内にPCR検査を受けるよう新たに義務づけるなど、開幕を2022年2月4日に控えた北京オリンピックに対する国内外の不安を払拭したい構えです。

暴かれる武漢ウイルスの全て
世界の科学者や専門家、ジャーナリストの間でももはや「人工説」を疑う者はいない
月刊誌『WiLL』2021年10月号 ノンフィクション作家 河添恵子フェイスブック(FB)やツイッターなどのSNS(会員制交流サイト)で、中国関係者とみられる偽アカウントが政治的な投稿を行うケースが後を絶たない。
実在しない欧米などの民間人を装い、新型コロナウイルスの起源や新疆ウイグル自治区の人権問題について、中国政府の意向に沿った主張を投稿。
中国では規制されて使えない欧米のSNSを用い、国際世論の風向きを変えようと情報工作を展開している。
■実在しないスイス人生物学者
米メタ社は2021年11月、運営するFBやインスタグラム上から、偽情報の拡散を目的にしたアカウント約850個を削除したと発表した。
パレスチナ自治区やポーランド、ベラルーシに関連するものも含まれていたが、全体の7割を超える600個以上が中国に関係するアカウントだった。
調査の結果、これらは2021年夏以降、中国本土から発信され、米英の英語話者や台湾、香港、チベット自治区の中国語話者を標的にしていたことが判明。
主にコロナに関する偽情報を投稿していたという。
メタ社が調査する契機となったのが、
「スイス人生物学者のウィルソン・エドワード」
を名乗るFBの偽アカウントだった。
世界保健機関(WHO)が求める中国でのコロナ起源調査に関し、
「米国がWHOに圧力をかけ、中国に責任を押し付けようとしている」
と主張し、調査に疑義を呈する投稿を行っていた。
投稿は、中国国営中央テレビの国際放送CGTNや中国共産党機関紙、人民日報といった中国メディアが引用。
だが、在中国スイス大使館は2021年8月、自国に住民登録がない人物だとして、
「架空の学者を引用しフェイク(偽)ニュースを流している」
と削除を求める声明を発表していた。
■発信地特定しづらく
偽アカウントは中国内外の個人と繋がっており、20カ国超にある中国国営インフラ企業の従業員が投稿を拡散。
中国の公安や軍のIT支援を行う情報セキュリティー企業
「四川無声信息技術有限公司」
の社員も含まれていたという。
また、通信にVPN(仮想私設網)を使うなど、発信地を特定しづらくする工夫も施されていた。
メタ社は一連の目論見が
「失敗に終わった」
としたが、中国による情報工作の実態が表面化した一件となった。
一方、ツイッター社も2021年12月、中国政府の関与が疑われるアカウントなど計2160個を閉鎖したと発表した。
多くが偽アカウントとみられ、政府を支持するウイグル人の映像作成を当局から委託されているという新疆の中国企業のアカウントも含まれていた。
研究パートナーを務めたオーストラリア戦略政策研究所(ASPI)の報告書によると、投稿は早いもので2019年春から開始。
総ツイート数は6万件を超えた。
多くが元々はポルノ動画の配信などに利用され、今は使われていない休眠アカウントを乗っ取り再利用したものだったという。
一部は中国の外交官や当局者も引用してツイート、拡散しており、ASPIは
「中国共産党による巧妙な偽情報工作だ」
と指摘した。
■偽情報拡散「事実無根」
中国最高指導部の元メンバーに性的関係を迫られたと暴露したテニス選手、彭帥(ほう・すい)さんの問題でも、
「彼女は無事だ」
との情報を広めるため、偽アカウントが暗躍した可能性がある。
米ニューヨーク・タイムズ紙と調査報道機関・プロパブリカの共同分析によると、所在不明だった彭帥さんの元気そうな姿などを投稿した中国国営メディアの記者のツイートを拡散したアカウントの大半が、フォロー、フォロワー数ともにゼロだったという。
ツイートをシェアした数百の投稿が1カ月も経たずになぜか消去されていたことも指摘。
同紙は
「特定のアカウントを増幅させるためだけに作られた偽アカウントだ」
と断定、
「自分たちの好むシナリオを広めるための組織的キャンペーンの一環だ」
と分析した。
中国外務省は
「友好関係を深め、事実に基づく交流を促進する目的で他国と同様にSNSを利用している」
とし、偽情報の拡散などは
「全くの事実無根だ」
と反論している。
際限ない中国偽アカウント 欧米SNSで情報工作
2022/1/7 1:00
https://www.sankei.com/article/20220107-MADZRQC45NIDJKRDSAHGHF7LBM/?856450
中国が関係していたとされる欧米人風の偽アカウントの一例。
スイス人生物学者を名乗る別の偽アカウントの投稿に「いいね」を押していた(米メタ社の報告書から)
https://www.sankei.com/article/20220107-MADZRQC45NIDJKRDSAHGHF7LBM/photo/U6JMISTUKJMYNDN36QVY5MTTFI/

■「架空の学者」でデマ
マッコール米下院議員らが公表した、今回の
「新型コロナウイルス」
に関する報告書は、2020年6月と9月に続く共和党が手掛けた第3弾であり、人工説に一歩も二歩も踏み込んだ内容となっている。
ただ、この報告書に否定も肯定もできないのが、民主党ではないだろうか。
”オバマ・ゲート”との別称が囁かれるように、民主党内にはバイデン・ファミリーをはじめ、武漢ウイルス研究所に関与する”大物”がいる。
また、ウイルス人工説をタブー視したがるワクチン推進派のフェイスブックやツイッターなどの大手IT企業や、製薬会社、DS関連企業からの献金で潤っている面もあり、彼らは総じて
「反トランプ」
で結束している。
『WiLL』(2021年8月号)に詳細を記述したので省略するが、国立アレルギー・感染症研究所所長のアンソニー・ファウチ博士は、前述の
「エコヘルス・アライアンス」
を通じて、オバマ政権時代からの5年間で、少なくとも60万ドル(約6600万円)、おそらく340万ドル(約3億7000万円/「ウォールストリート・ジャーナル」)、米国民の血税を武漢ウイルス研究所に助成しているのだ。
しかも、バイデン大統領の次男ハンター氏が投資会社ロズモント・セネカ・テクノロジー・パートナーズは、パンデミックの追跡と対処が専門であり、
「エコヘルス・アライアンス」
と、武漢ウイルス研究所と長期にわたり協力関係にあるメタビオタグループの主要投資企業である。
いずれにせよ、米英仏、そして世界の
「正義と良識を持った」
科学者や専門家、ジャーナリストで、もはや
「人工説」
を疑う者はいない。
習近平政権も
「自然発生説」
で押し切れないからこそ、官製メディアやSNSを使って意図的にデマ論説を垂れ流し、抵抗を続けている。
例えば、2021年8月、スイス人生物学者
「ウィルソン・エドワーズ」
なる人物が、SNSで
「武漢ウイルス研究所から漏れ出た可能性は極めて低い、などとするWHO調査結果を支持した人たちが、米国やメディアからの圧力や脅迫にあった」
など、中共政府寄りの主張を展開し、それが中共系メディアに次々と転載されたことがあった。
ところが、スイスの駐中国大使館は2021年8月10日、ツイッターや中国のSNS(微博・ウェイボー)で、理路整然と
「ウィルソン・エドワーズというスイス国民は存在しない」
「生物学の世界に、この名前が署名された学術文書は存在しない」
などのカウンター声明を発表。
習近平政権の取れる手段が、
「隠蔽」
以外は、もはや
「捏造」
しかないことが暴かれた格好だ。
こういった事実が明るみに出ても、日本政府、そしてマスメディアは、ウイルス人工説(生物兵器説)を
「陰謀論」
で片付けたいのだろうか。

いよいよ濃厚 新型コロナ 武漢ウイルス研究所流出説
それでも権威に従順な学者たちは真実から目を背けてしまう
月刊誌『WILL』2021年12月号 筑波大学システム情報系准教授 掛谷英紀
■疑惑の「申請書」
2019年夏、中国の湖北省でPCR検査機器が大量発注されていたことを日本経済新聞が報じた(2021年10月5日)。
豪州に拠点を置くサイバーセキュリティー企業
「インターネット2・0」
が主体となった調査チームが突き止めた情報で、既に海外で報じられていた内容である。
この情報は、新型コロナウイルスが2019年冬より前の段階で流行し始めていたことを示唆するものである。
しかし現在、新型コロナウイルスの起源解明に繋がる情報として海外で注目されているのは、より直接的かつショッキングなものである。
それは、米国の非営利機関
「エコヘルス・アライアンス(以下EHA)」
が武漢ウイルス研究所などと共同で、2018年にDARPA(米国防高等研究計画局)へ提出していた研究費申請書である。
この研究費申請は結果的に不採択になったが、そこにはSARSウイルスに
「フーリン切断部位」
を人工的に挿入する実験計画が具体的に書かれていたのである。
「フーリン切断部位」
は、新型コロナウイルス(SRAS2)が属するサルベコウイルスにはない不自然なアミノ酸配列として注目されていた。
新型コロナウイルスがヒトに感染するには2つのステップがある。
最初のステップはヒトの細胞表面に結合すること、次のステップはヒトの細胞内に入ることである。
2つ目のステップで重要になるのが
「フーリン切断部位」
である。
SRASウイルスの場合、ヒトの細胞内に入るのに
「TMPRSS2」
という酵素を利用していた。
加えて、フーリンによる切断を利用すると、ウイルスは細胞内に劇的に入りやすくなる。
この
「フーリン切断部位」
の存在が、新型コロナウイルスの感染力の異常な強さに繋がっている。
SARSウイルスに
「フーリン切断部位」
を遺伝子組み換え技術で人工的に挿入する研究は、これまでも世界各国の研究グループによって行われてきた歴史がある。
新型コロナウイルスの
「フーリン切断部位」
が人工的に挿入されたものである可能性が疑われたのは、それが理由である。
しかし、これまでは武漢ウイルス研究所がその種の研究に取り組んだ形跡はなかった。
今回明るみになったEHAの研究計画は、その穴を埋めたという意味で極めて重要な意味を持つ。
■討論会で真実が証明された
この研究費申請書を公開したのは、
「DRASTIC」
と呼ばれる世界から自主的に集まったインターネット上の新型コロナウイルス起源調査集団である。
DRASTICが公開した書類は内部リークで入手されたもので、当初はその真偽が疑われていた。
そのため、米国ネットメディア
「インターセプト」
など、ごく一部でしか報じられなかった。
2021年9月6日、
インターセプトはFOIA(情報公開法)によって、EHAからNIH(米国立衛生研究所)に提出された書類を入手し公開した。
この書類には、EHAの研究報告書も含まれており、そこにはSARSウイルスの
「機能獲得研究」(ウイルスの毒性や感染力を強める研究)
が行われていたことを示す動かぬ証拠があったため、大きな話題になっていた。
その流れで、同社はこの件を報じたものと思われる。
DRASTICが公開した書類が本物だと判明したのは、2021年9月30日に学術誌
『サイエンス』が企画した新型コロナウイルス起源に関する公開討論会である。
この討論会には4名の科学者
(アリーナ・チャン、ジェシー・ブルーム、マイケル・ウォロベイ、リンファ・ワン)
が参加した。
前者2名は新型コロナウイルス研究所起源の可能性は十分あるという立場、後者2名はあり得ないという立場である。
リンファ・ワンはシンガポールのデュークNUSメディカルスクールの教授だが、もともと中国人で武漢ウイルス研究所の石正麗とも親しい関係にある。
DRASTICが公開した研究費申請書にも、研究グループの一員として名を連ねていたため、討論会の前からリンファ・ワンが何を語るかが注目されていた。
この討論会のクライマックスは後半にやってきた。
アリーナ・チャンがリンファ・ワンに、
「研究費申請書にはフーリン切断部位を人工的に入れる研究計画が書かれているが、これは誰の提案だったのか」
と聞いたのである。
それに対して、リンファ・ワンは躊躇しながらも
「ノースカロライナ大学だ」
と答えた。
ノースカロライナ大学には、痕跡が残らないように遺伝子の塩基配列を組み換える技術を開発し、その技術を石正麗に教えたことで知られるラルフ・バリックがおり、彼もこの研究計画の一員として名を連ねていた。
リンファ・ワンのこの回答によって、DRASTICが公開した書類が本物であることが証明されたわけである。
これを受けて、世界の大手メディアがこの研究計画について一斉に報じ始めた。
武漢ウイルス研究所がSARSウイルスに
「フーリン切断部位」
を入れる研究計画をしていたことをもって、新型コロナウイルスが武漢ウイルス研究所起源であると断定することはできない。
だが、偶然にしては出来過ぎである。
研究計画で作ろうとしていたものが、その研究所がある場所でたまたま自然に発生する確率は、ゼロではないが天文学的に低い数字である。
■ウソを繰り返す張本人
万が一、新型コロナウイルスが自然発生したものであっても、それと同じ危険なウイルスを人工的に作成する計画をしていたこと自体、その倫理的責任は追及されて当然である。
DARPAはその研究費申請書を採択していないが、研究者が大型予算を申請する場合、研究計画の内容に含まれている事項については事前に予備的な実験を行い、それが上手くいくことを確認しておくことが多い。
大型予算を取得したのに何の成果も出ないと責任を問われるかもしれないという理由である。
また、計画した研究があるグラント(科学研究補助金)で不採択になっても、別のグラントに通れば、それで実施するのが普通である。
したがって、SARSウイルスに
「フーリン切断部位」
を人工的に挿入する研究が、武漢ウイルス研究所で実際に行われていたことは、ほぼ間違いない。
そもそも、こういう研究計画で予算申請をしていた事実があるのに、それをずっと隠していたことについても倫理的に大きな問題がある。
前出のEHAの代表であるピーター・ダシャックは、これまでも多くの偽情報を繰り返し発信してきた。
彼は、武漢ウイルス研究所ではコウモリは飼育されていないと発言していたが、その後同研究所でコウモリが飼育されている様子を撮影した動画が見つかっている。
2020年2月に学術誌『ランセット』に掲載された
「新型コロナウイルスが自然発生でないことを示唆する陰謀論を断固として批判する」
と主張する27人連盟のレター作成で中心的な役割を果たしたのも彼である。
そこで彼は武漢ウイルス研究所と共同研究をしていたにもかかわらず、利益相反はないと宣言していた。
2021年9月30日、DRASTICの4名を含む世界の10名の研究者が、EHAの理事会宛にダシャックを代表から解任することを求めるオープンレターを公表した。
実は筆者自身もこの10名のうちの1人に含まれている。
このレターは、2021年10月6日に『ニューズウィーク』誌もその内容を報じるなど、海外では話題となっている。
2021年10月10日の英国「デイリーメール」の記事において、フランス・パスツール研究所のウイルス学者サイモン・ウェイン・ホブソン教授は、
「機能獲得研究」(ウイルスの毒性や感染力を強める研究)
に内在する甚大な危険性を考えると、国際的で法的拘束力のある基準が設定されるまで、
「機能獲得研究」(ウイルスの毒性や感染力を強める研究)
の実施とそれに対する資金提供を世界的に禁止する必要があると書いている。
筆者もこの見解に強く賛同する。

中国「発生時期」議論再燃も PCR機器、2019年5月に急増
新型コロナ
2021年10月5日 22:00 (2021年10月6日 5:26更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0518U0V01C21A0000000/

米NPO、武漢研究所と密かにウイルス開発 最新の流出文書で明らかに
2021年9月27日
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https://www.epochtimes.jp/p/2021/09/79502.html
■権威に従順な学者たち
海外では大々的にニュースになっているエコヘルス・アライアンス(以下EHA)の研究計画であるが、なぜか日本では全く報じられていない。
最大の理由は、日本の生命科学者や医師に、新型コロナウイルス研究所起源の可能性について解説しようとする人がいないことだろう。
それゆえ、日本経済新聞が報じたPCR検査機器のように、素人にも理解しやすいことは記事にできても、
「フーリン切断部位」
のように科学リテラシーを要する内容は、日本のメディアは記事にできないのではないか。
現在、日本で新型コロナウイルスの起源が武漢ウイルス研究所である可能性を論じているのは、神田外国語大学興梠一郎教授、明海大学の小谷哲男教授など、中国や安全保障の専門家だけで、科学的観点から論じているのは筆者しかいない。
筆者は科学者ではあるが、分子生物学を専攻していたのは遠い昔のことであり、現在の専門は電子情報工学である。
本来ならば、生命科学を専門とする人がこの問題を論じるべきだが、日本にこれだけ大量の生命科学者がいながら、その役割を果たす人が誰一人いないというのはあまりに異常である。
逆に、新型コロナウイルスは研究所起源では絶対ないと断言した医師も少なくない。
ツイッターで多数のフォロワーを抱える峰宗太郎氏やEARLの医学ツイートはその代表例である。
木下喬弘医師は新型コロナウイルス研究所起源を論じるのは下品だと断じた。
彼にはウイルス起源の討論会を企画・実施した『サイエンス』誌を
「下品だ」
と罵ってほしいところだが、その勇気はないだろう。
権威には従順なのが日本の学歴エリートの習性である。
もちろん、権威に従順な学者が多いのは日本に限ったことではない。
しかし、海外にはそうした権威に負けずに真理を追い求める医学者も少なくない。
米スタンフォード大学のデイビッド・レルマン教授や豪フリンダース大学のニコライ・ペトロフスキー教授がその代表例である。
日本にも新型コロナウイルスについて詳しい医学者がいないわけではない。
広島大学の坂口剛正教授はその1人である。
ユーチューブで公開されている彼の新型コロナウイルス解説動画は10万回再生を越えている。
だが、その動画の中で、新型コロナウイルスが細胞内に入る機構として解説されているのは
「TMPRSS2」
という酵素だけで、
「フーリン切断部位」
には触れられていない。
アルファ株やデルタ株の感染力の強さも、
「フーリン切断部位」
の変異で説明できるほど重要な部分であるのに、それに敢えて触れなかったのはなぜか。
「フーリン切断部位」
について積極的に論じる海外の生命科学者とはあまりに対照的である。
■ならば専門家など必要ない
ウイルス起源の問題に限らず、新型コロナウイルスについて、日本の医学者たちがこれまで発信してきた情報には問題があまりに多い。
ワクチン推進の医師たちは、日本でもワクチン忌避が起きると煽っていた。
私は
「心配しなくても日本の接種率は8割近くになるだろう」
と言って猛反発に遭ったが、結果として私の方が正しかった。
京都大学の西浦博教授は、五輪開催で気の緩みが出るからと、五輪中止とロックダウンを推奨した。
私はそれにツイッター上で反論して彼からブロックされた。
しかし、実際には五輪開催中に人流は減ったことが確認されており、その後ロックダウンをせずとも感染者数が激減したのはご承知の通りである。
ところが、医師というのは仲間意識が強いようで、未だに西浦氏を擁護する人が少なくない。
例えば
「あれは予測はなくシミュレーションだ」
という言い訳をよく見る。
だが、西浦氏は
「対策の効果が出て人流が減るなどし、増加のペースが前の週の1.2倍に抑えられた場合でも、2021年8月21日には7000人を超える」
と発言していた。
確かに、各種政策による人流減の効果がどの程度かは感染症の専門家には分からない。
その意味で、五輪での気の緩みという発言は感染症学者として不適切である。
よって、複数のシナリオによるシミュレーションは必要だ。
しかし、人流の数値から実効再生産数を予測するのは感染症学者の領分ではないか。
人流が減っても実効再生産数が1.2にしか抑制されないと見積もっていた彼のモデルに何らかの欠陥があるのは明らかだ。
その点を追及しないのは、学術的に見て異常である。
実効再生産数が1.2なら7000人を超えるという計算は高校生でもできる。
それをもって自分は正しいことを言っているというなら、専門家など必要ない。
日本に真理を探究する医学者がいないとするなら、海外から呼び寄せるしかない。
日本の学術界の人材不足はそれほど深刻である。
2021年8月27日、バイデン大統領が情報機関に命じた新型コロナウイルスの発生源に関する調査報告書が公開された。
文書は2ページも埋まらない分量で、その内容も驚くほど薄いものであった。
4つの情報機関は低い確信度で自然発生、1つの情報機関は中程度の確信度で研究所起源、残りの情報機関は中立、と意見が分かれたことを報告するのみで、各機関の判断の根拠は全く示されなかった。
2021年8月2日、連邦議会下院外交委員会の共和党メンバーが公開した報告書は83ページに及ぶもので、研究所起源を示唆する新たな状況証拠も提示していたが、それとは対照的であった。
ただし、共和党の報告書も、研究所流出の可能性が高いと述べているだけで、断定はしていない。
状況証拠しかないからである。
決定的な証拠を得る最も確実な方法は、武漢でコウモリのコロナウイルスを研究していた全ての研究所に立ち入り検査して、研究履歴を調べ上げることである。
しかし、中国政府がこれを許すとは考えられない。
実際、2021年1月から2月にかけての世界保健機関(WHO)の調査団も、研究所内部を調べることはできなかった。
現地調査以外に、決定的な証拠を得る方法が全くないわけではない。
1つが、武漢ウイルス研究所が2019年9月12日まで公開していた22,000以上にのぼるウイルスのデータベースを入手することである。
これが手に入れば、新型コロナウイルスが研究所を起源とする決定的証拠を掴める可能性がある。
2021年8月5日、米CNNテレビは米国の情報機関がこのデータベースをハッキングにより入手したと報道した。
その記事には、データベースの解析には相当の時間を要するとも書かれていた。
米国情報機関の報告書が明確な結論を出すとすれば、情報機関がデータベースを入手したことが事実で、かつ解析が急ピッチで進んだ場合に限られていた。
よって、報告書が研究所起源を断定できないことは予想できた。
ただし、その内容の薄さは、事前の予想を大きく裏切るものであったことは間違いない。
一方、起源が天然であった場合、それを結論付けるには感染経路の特定が必要である。
しかし、それが全く見つかっていない。
よって、今回の報告書が天然起源と断定する可能性は最初から無かった。
■中国がひた隠す廃銅山
一部に、人間への感染を仲介した動物(中間宿主)の特定は難しいとの報道がある。
しかし、2002年のSARS(重症急性呼吸器症候群)は流行開始から4カ月、2012年のMERS(中東呼吸器症候群)では9カ月のうちに中間宿主が見つかっている。
疫病発生から20カ月以上が経過し、80,000以上もの動物の検体を調べても感染源が見つかっていないことは、過去の例と比較すると異常である。
(他にも、新型コロナウイルスには不審な点が多数あるが、詳細は拙著『学者の暴走』の第1章を参照されたい)
それよりも異常なのは、天然起源を主張する生命科学者が非常に多いにもかかわらず、彼らのほぼ全員が感染経路の特定に全く関心が無いことである。
次のパンデミック防止には、感染源を明らかにすることは必要不可欠である。
にもかかわらず、多くの生命科学者は研究所流出を否定することだけに熱心で、肝心の感染経路を調べようという意志が見られないのである。
前述のウイルスデータベースと同様に、中国が必死に隠しているものに、雲南省墨江にある廃銅山がある。
2012年、ここに出入りしていた人から、SARSによく似た症状を持つ6人の患者が見つかり、そのうち3人は死亡している。
中国はこの症例を菌類からの感染としているが、新型コロナウイルスの起源を調べているネット調査集団
「DRASTIC」
のメンバーが、この6人の患者の治療履歴などの中国語資料をネット上から見つけ出し、これらが間違いなくSARSに類似するウイルス感染の症例であることを突き止めている。
国際保健規則では、SARSを含む新たな感染症例が出た場合にはWHOに報告することを義務付けている。
中国はこの規則に明確に違反したことになる。
さらに、武漢ウイルス研究所は、その後この廃銅山に何度もウイルスの採取に出向いており、それを研究所内に持ち帰って研究していたことが明らかになっている。
新型コロナウイルスに最も遺伝子が近い
「RaTG13」
という名のコウモリのウイルスも、この廃銅山より採取されたものである。
よって、ここからウイルスのサンプルを多数採取して分析すれば、起源が天然であれ研究所であれ、感染経路について大きなヒントが得られる可能性がある。
ところが、中国はこの廃銅山の公開を頑なに拒否しているのである。
天然起源を信じている生命科学者も、ここを調べれば自説の正しさを証明できるかもしれないのに、立ち入り調査を全く求めていないのである。
1度、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの記者が、マウンテンバイクでこの廃銅山に近づこうとしたが、地元の警察に足止めされたという事件があった。
それと同じ気概を持つ学者は誰一人いない。
■天然説にファウチ氏の圧力?
では、なぜ生命科学者たちは調査に消極的なのか。
実は、表では天然起源を主張しているウイルス学者の中にも、本音では人工説を強く疑っている人が多いことが、様々な情報源から明らかになっている。
新型コロナウイルス起源天然説が広く信じられるのに最も大きく寄与した文献の1つは、2020年3月に学術誌
「ネイチャー・メディスン」
に掲載されたクリスチャン・アンダーセン氏らによる論文(コレスポンダンス)である。
この論文が掲載される前の2020年1月31日、アンダーセン氏が
「米国立アレルギー感染症研究所長」
のアンソニー・ファウチ氏に送った電子メールが、情報公開法(FOIA)で公開された資料の中に含まれていた。
そこで、アンダーセン氏はウイルスに人工的改変があるように見えると書いていたのである。
この後、2020年2月4日には、ネイチャー・メディスンの論文の草稿と思われるものが、同論文の共著者の1人であるエドワード・ホームズ氏からジェレミー・ファラー氏を経由してファウチ氏宛に転送されている。
このファラー氏は英財団
「ウェルカム・トラスト」
代表で、生命科学の研究を金銭的に支援してきた人物である。
ファラー氏は2021年7月に
「スパイク」
と題する今回のパンデミックを題材にした著書を出版した。
その本において、当初アンダーセン氏は60〜70%、ホームズ氏は80%の確率でウイルスは研究所起源であると考えていたとファラー氏は書いている。
2020年1月31日の時点で新型コロナウイルスに人工的改変が含まれると思っていたアンダーセン氏やホームズ氏が、ほんの数日のうちになぜ意見を変えて天然説を主張する論文を書いたのか。
この点について、ファラー氏は十分な説明を与えていない。
2020年2月1日にファウチ、ファラー、アンダーセン、ホームズの4氏らの間で電話会議が行われたことが明らかになっているが、その会議においてファウチ氏から何らかの圧力が加えられたものと想像される。
ご存じの通り、ファウチ氏は米国の新型コロナウイルス対策を指揮する立場にある。
ファウチ氏は1984年より
「米国立アレルギー感染症研究所長」
の座に君臨し続けており、米国の生命科学界におけるファウチ氏の影響力は非常に大きい。
「アメリカ国立衛生研究所(NIH)」
からの研究費配分に大きな決定権を持つからである。
ファウチ氏は危険な研究であるとの批難を浴びても
「機能獲得研究」
(ウイルスの遺伝子を組み換えて、感染力や毒性を強める研究)
を養護し続けてきた歴史がある。
ファウチ氏はこの点をランド・ポール上院議員から議会で激しく追及されている。
「アメリカ国立衛生研究所(NIH)」
の資金は
「エコヘルス・アライアンス」
という組織を通じて
「武漢ウイルス研究所」
に流れており、ファウチ氏はその決定に深く関わっていた。
このプロジェクトで、アメリカでは禁止されている
「機能獲得研究」

「武漢ウイルス研究所」
で行われてきたのではないかという疑惑が浮上しているのである。
ファウチ氏はポール議員の追及に対し、
「アメリカ国立衛生研究所(NIH)」
の資金で
「機能獲得研究」
は行われていないと議会で繰り返し証言してきた。
しかし、米ネットメディア
「インターセプト」
が情報公開で得た
「エコヘルス・アライアンス」
から
「アメリカ国立衛生研究所(NIH)」
に提出された書類で、
「機能獲得研究」
が行われていたことを示す動かぬ証拠が見つかった。
今後、ファウチ氏は偽証罪に問われる可能性がある。
(共和党の議員は追及に積極的だが、民主党の議員は今のところ消極的である)
■中国の研究者との実績作り
本音では研究所起源の可能性が高いと思っていたのに、表で天然起源説を強硬に主張していたウイルス学者は、アンダーセン氏やホームズ氏だけではない。
例えば、ペンシルバニア大学のスーザン・ワイス氏とオハイオ州立大学のシャンリー・リウ氏が、ウイルスの塩基配列の特徴から、新型コロナウイルスに人工的改変がある可能性を本気で心配していたことを示す文面が、両者の間でやり取りされた電子メールから見つかっている。
このメールも情報公開制度により得られたものである。
では、なぜ彼らは本音ではウイルス人工改変の可能性が高いと考えていたのに、外向きにはウイルスの起源が天然であると言い張る必要があったのか。
1つはファウチ氏に逆らえないという側面があっただろう。
だが、理由はそれだけではない。
この点について、カリフォルニア大学バークレー校のリチャード・ムラー名誉教授が、2021年6月29日に開催された米連邦議会下院の公聴会で次のような証言を行っている。
ムラー氏の専門は天体物理学であるが、新型コロナウイルスの起源に興味を持ち、論文を読むために生物学の専門家に助けを求めた。
しかし、その1人は協力を拒否した。
研究室のボスは忙しいからだと思い、協力してくれる部下を誰か1人紹介してくれとムラー氏は頼んだ。
すると、そのボスは
「うちの研究室には誰一人協力する者はいない」
「もし研究所起源説を調べていると分かったら、中国の研究者と共同研究ができなくなる」
「そんなリスクを冒す研究者はいない」
と答えたそうである。
結局、ウイルス学者にとって大事なことは、
「アメリカ国立衛生研究所(NIH)」
から予算を受け続けること、中国の研究者と共同で論文を書くこと、それによって研究者としての実績を積むことだけであって、それ以外のことには全く関心がないのである。
ラトガー大学のリチャード・エブライト教授は、2021年8月10日に公開された
「ディスインフォメーション・クロニクル」
のインタビュー記事において、次のように語っている。
「機能獲得研究はパンデミックを予防したり、それに対処するのには全く役立たない」
「こうした研究が行われるのは、研究者の出世のためだ」
「機能獲得研究は実験がしやすい」
「論文が書きやすく、研究予算が取りやすいのだ」
「抗ウイルス薬の開発は、通常20年もの長い年月がかかり、成功確率も20分の1程度だ」
「一方、機能獲得研究は6カ月しか要しないし、成功確率は100%に近い」
「機能獲得研究なら、すぐに結果が得られ、論文が書け、次の研究予算にありつけるというわけだ」
新型コロナウイルスが研究所起源となると、機能獲得研究は大幅に制限され、予算も削られ、ウイルス学者たちは出世の道を閉ざされることになる。
だから、彼らは全力で研究所起源説を否定したというのがエブライト氏の見解である。
それを裏付けるウイルス学者の具体的動きもある。
2021年7月15日、米国微生物学会が他のいくつかの学会と共同で、パンデミックの起源を理由とする規制強化に反対するレターを連邦下院歳出委員会に提出している。
彼らは自分の研究利権を守るのに必死なのである。
■ソ連風邪の二の舞!?
実は、生命科学者には重大な情報隠蔽の前科がある。
それは1977年のソ連風邪(H1N1型インフルエンザ)と1979年のソ連スヴェルドロフスク炭疽菌漏出事故である。
ソ連風邪については50歳前後以上の人はよく覚えているのではないだろうか。
世界で大流行し、約100万人の死者が出た。
私も当時のことを微かに記憶している。
実は、この疾病は研究の事故を起源にしていたというのが、ほぼ全ての研究者の一致した見解である。
生命科学界で、ソ連風邪の起源が研究事故との意見が大勢になったのは約10年前であった。
2009年のインフルエンザ流行がきっかけになった。
そこで1977年の流行の再評価がなされたのである。
ただ、これが研究の事故であることは1977年の流行当時から疑われていた。
不自然だったのは、20代前半以下の人だけが重症化したことだった。
なぜ、そのような不思議なことが起きたのか。
このウイルスが1950年頃に流行ったインフルエンザとほぼ同一だったからである。
よって、20代後半以上の人には抗体があった。
今回のパンデミックでも分かる通り、ウイルスは頻繁に変異を繰り返す。
ウイルスの遺伝子配列が20年も同じままであることはあり得ない。
最も有力な説の1つは、ソ連と中国が1950年頃に流行していたウイルスを冷凍保存していたものを弱毒化してワクチンとして治験したが、弱毒化が不十分で感染が広まってしまったというものである。
1979年のスヴェルドロフスク炭疽菌漏出事故の詳細が明らかになったのもソ連崩壊後の1993年である。
これらの事故の長期にわたる隠蔽は、中国、ソ連という独裁国家の危険を象徴する。
ただ、特筆すべきは、いずれの事例においても西側の生命科学者たちの多数が、研究の事故の可能性を否定する側に立ったことである。
研究事故が発生すれば、その場所が独裁国家であっても、自らの研究に対する監視の目が厳しくなる。
それを嫌って独裁国家の情報隠蔽に加担する道を選んだのであろう。
その目論見は見事に成功しているのが恐ろしい。
ソ連風邪が研究の事故を起源とするという事実も、スヴェルドロフスク炭疽菌漏出事故も、一般にはほとんど知られていない。
本来ならば、いずれもチェルノブイリや福島第一原発の事故と同様に、歴史の教科書に載せるべき内容である。
ところが、人々の関心が失われるまで情報を隠蔽することによって、学者の世界以外でほとんど知られない状態を維持することに成功したのである。
生命科学者たちは、新型コロナウイルスの起源についても、この成功体験を繰り返すことを目論んでいるのではないか。
■機能獲得研究の危険性
生命科学者にも、良識のある人が全くいないわけではない。
その代表例が、スタンフォード大学のデイビッド・レルマン教授である。
2021年5月14日に学術誌
「サイエンス」
において、新型コロナウイルスの起源について武漢ウイルス研究所流出説を排除しない公正な調査を求める、18人の研究者を共著とするレターが掲載されたが、レルマン氏はその署名者の1人である。
18人の中でレルマン氏が注目されるのは、実績十分な微生物学者だからである。
レルマン氏は、従前から
「機能獲得研究」
の危険性について言及している人物である。
2021年8月22日には、英国のチャンネル4で新型コロナ起源に関するドキュメンタリー番組が放送された。
そこには前述の民間のアマチュア研究者グループ
「DRASTIC」

「パリグループ」
(筆者も属する新型コロナウイルスの起源を調査する学者集団)
のメンバーが多数登場した。
だが、最も発言が多く取り上げられたのはレルマン氏であった。
番組の最後も、
「これ以上危険なことはやらないというレッドラインを決めることが必要だ」
というレルマン氏の言葉で締めくくられていた。
レルマン氏の提案を実現するには、国際原子力機関(IAEA)のような組織を危険な遺伝子組み換え技術に対しても作る必要がある。
原子力の場合、施設そのものの安全対策を徹底した上で、それでも事故の可能性を考えて施設を人里離れた場所に作る。
本来なら、
「機能獲得研究」
についても同様のことをすべきである。
ところが当の生命科学者は非常に消極的である。
例えば、コロンビア大学のダニエル・グリフィン博士は、スティーブン・クエイ博士との討論において、危険な研究の拠点を過疎地に移すと研究者の子息が良い学校に行けないという、信じられないほど身勝手な主張を恥ずかしげもなくしていた。
彼らは、公衆の安全については全く関心が無いのである。
この発言1つとっても、生命科学者の自律性に任せることの危険が分かるだろう。
民主主義のスキームを使って、国民の声の力で生命科学者に対する監視強化を実現することが急務である。
でなければ、第2のソ連風邪はいつ起きても不思議ではない。

最初の人工パンデミック 1977年H1N1 ソ連風邪
SARS-CoV-2起源情報局
2021年8月23日 21:42
https://note.com/lab_leak_japan/n/n8083cd059da5

学者の暴走 米国コロナ対策の最高責任者A・ファウチはジキルかハイドか
出世とカネと「反トランプ」に目が眩んで真実をねじ曲げる科学者たち
月刊誌『WiLL』2021年10月号 筑波大学システム情報系准教授 掛谷英紀
■もはや「陰謀論」ではない
新型コロナウイルスの起源追究をめぐる動きが激しさを増している。
2021年7月15日、WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長が、研究所の事故はよく起きることであり、中国はこれまで研究所の情報を十分公開していないとして、WHOの第2次調査に協力するよう中国に求めた。
それを受けて、2021年8月12日、WHOは継続調査に関する声明を出した。
さらに同日、WHOの第1次調査を指揮したデンマーク人学者のピーター・ベンエンバレクは、
「ウイルスが研究所流出を起源とする可能性は限りなく低いとする調査報告
は中国の圧力で書かされたものであり、研究所員の感染を起源とする可能性はある」
と、デンマーク国内のテレビ番組のインタビュー(2021年6月収録)で答えたことが明らかになった。
米国でも2021年8月2日、連邦議会下院外交委員会(共和党)が、新型コロナウイルスの起源は武漢ウイルス研究所からの流出であるとする報告書を発表した。
2021年8月24日には、バイデン大統領が情報機関に指示したウイルスの発生源解明に向けた90日間の追加調査の結果報告期限を迎える。
本誌2021年6月号で筆者がこの問題を取り上げた時点では、新型コロナウイルスの起源が武漢ウイルス研究所からの流出であるという説は、まだ陰謀論扱いに近かった。
しかしながら、ウイルスが武漢ウイルス研究所起源ではないかという科学に基づく議論は、2020年前半から既に一部の学者の間でなされていた。
筆者自身、2020年5月時点でそれらの情報(ウイルスの塩基配列や過去の研究履歴)をキャッチし、ウイルスの起源が武漢ウイルス研究所である可能性は高いと判断しており、当時からその見解をツイッターやユーチューブなどで開示していた。
世論の趨勢が筆者らの見方に近づいたのは、2021年5月5日付で原子力科学者会報に掲載されたニコラス・ウェイドの記事の影響が大きい。
ウェイドは、長年ニューヨーク・タイムズで科学記者を務めた著名なジャーナリストである。
その彼が、武漢ウイルス研究所流出説を強く示唆する記事を書いた。
そこには、ノーベル医学・生理学賞受賞者のデイビッド・ボルティモアが人工説を支持していることも書かれていた。
2021年5月14日には、学術誌『サイエンス』において、新型コロナウイルスの起源について武漢ウイルス研究所流出説を排除しない公正な調査を求める、18人の研究者を共著とするレターが掲載された。
この署名者には、デイビッド・レルマンなどの大物生物学者も含まれていた。
新型コロナウイルスのパンデミック発生から、2021年5月の『サイエンス』のレター掲載に至るまでのウイルス起源追究をめぐる動きについては、拙著『学者の暴走』(扶桑社新書)の第1章で詳述している。
■真実を葬ったファウチ
2021年6月に入ると、新型コロナウイルス武漢ウイルス研究所起源説を補強する情報が飛び込んできた。
米国立アレルギー感染症研究所所長で、米国の新型コロナウイルス対策を指揮するアンソニー・ファウチの電子メールを、情報公開法(FOIA)に基づいて米国メディア各社が入手して公開したのである。
ウイルス天然起源説が広く信じられるのに最も大きく寄与した文献の1つは、2020年3月に学術誌『ネイチャー・メディスン』に掲載されたクリスチャン・アンダーセンらによる論文(コレスポンダンス)である。
この論文が掲載される約1ヶ月半前の2020年1月31日、アンダーセンがファウチに送った電子メールが、FOIAで公開された資料の中に含まれていた。
そこで、アンダーセンはウイルスに人工的改変がある可能性に言及していたのである。
2020年2月4日には、『ネイチャー・メディスン』掲載論文の草稿と思われるものが、同論文の共著者の1人であるエドワード・ホームズからジェレミー・ファラーを経由してファウチ宛に転送されている。
ファラーは英財団ウェルカム・トラスト代表で、生命科学の研究を金銭的に支援してきた人物である。
ファラーは2021年7月に
「スパイク」
と題する今回のパンデミックを題材にした著書を出版した。
その本において、当初アンダーセンが60〜70%、ホームズは80%の確率でウイルスは武漢ウイルス研究所起源であると考えていたとファラーは書いている。
問題の核心は、2020年1月31日の時点で新型コロナウイルスに人工的改変が含まれると思っていた彼らが、ほんの数日のうちになぜ天然説を主張する論文を書いたのかということだ。
この点について、ファラーは十分な説明を与えていない。
時系列に考えて、2020年2月1日にファウチ、ファラー、アンダーセン、ホームズらが参加した電話会議において、ファウチがアンダーセンとホームズに対して何らかの圧力をかけたものと想像される。
■知っていながら
ファウチはなぜ、圧力をかけてまで新型コロナウイルス武漢ウイルス研究所起源説を打ち消す必要があったのか。
危険な研究であるとの批判を浴びても
「機能獲得研究」
(ウイルスの遺伝子を組み替えて、感染力や毒性を強める研究)
を擁護し続け、武漢ウイルス研究所の資金源となったエコヘルス・アライアンスにNIH(アメリカ国立衛生研究所)の資金を流す決定をしていた中心人物が、ファウチ自身だったからである。
実際、現在米国連邦会議上院において、ファウチはこの点をランド・ポール議員から激しく追及されている。
ウイルスの起源が武漢ウイルス研究所であると確定すれば、ファウチは窮地に追い込まれる。
だから、武漢ウイルス研究所起源説をどんな手を使ってでも葬り去りたかったのだと推測される。
武漢ウイルス研究所起源説を葬り去るのに協力したのは、ファウチとその周辺人物だけではない。
ウイルス学に携わる世界の研究者のほとんどが、新型コロナウイルスの起源が武漢ウイルス研究所であることはあり得ないと口を揃えていた。
しかし、アンダーセンやホームズだけでなく、表で天然起源説を強硬に主張していたウイルス学者たちが、裏では武漢ウイルス研究所起源の可能性が高いと思っていたことが情報公開により次々と明らかになっている。
例えば、ペンシルバニア大学のスーザン・ワイスとオハイオ州立大学のシャンリー・リウが、ウイルスの塩基配列の特徴から、ウイルスに人工的改変がある可能性を本気で心配していたことを示す文面が、両者の間でやり取りされた電子メールから見つかっている。
■真実より党派性
なぜ彼らは、本音では新型コロナウイルスが遺伝子の人工改変により作られたものである可能性が高いと考えていたのに、外向きにはウイルスの起源が天然であると言い張る必要があったのか。
その理由を考えるヒントになる貴重な情報を、カリフォルニア大学バークレー校のリチャード・ムラー名誉教授が提供している。
彼は、2021年6月29日に開催された米連邦議会下院の公聴会で次のような証言を行っている。
同教授の専門は天体物理学であるが、新型コロナウイルスの起源に興味を持ち、自ら関連する論文を読み始めたそうである。
専門知識がないため、誰かの助けが必要である。
そこで、自分の人脈を使って、研究室のボスを務める生物学の専門家に助けを求めた。
しかし、その1人は協力を拒否した。
忙しいからだと思い、協力してくれる部下を誰か1人紹介してくれないかとムラー教授は頼んだ。
すると、そのボスはこう答えた。
「うちの研究室には誰1人協力する者はいない」
「もし武漢ウイルス研究所起源説を調べていると分かったら、中国の研究者と共同研究ができなくなる」
「そんなリスクを冒す研究者はいない」
ムラー教授はその言葉を聞いて、自由主義国であるはずの米国の研究の自由が、中国という独裁国家によってコントロールされていることに強い恐怖を覚えたと語っている。
ムラー教授は、次に別の生命科学者に同じことを頼んだ。
すると、その協力者は次のように答えたという。
「武漢ウイルス研究所起源説と言えば、トランプ大統領(当時)が言っていることと同じではないか」
「もしトランプの言っていることが正しいと証明されれば、トランプが大統領選に勝ってしまう」
「そんなことに協力できるわけがない」
この科学者にとっては、科学的真理が何かよりも、大統領選の結果の方が大事だったというわけである。
さらに、ムラー教授が下院の公聴会に出席することになった時、彼の仲間の科学者たちは一斉にそれに反対したと公聴会で語っている。
その公聴会が共和党主催であることが理由だった。
科学的真理を語るのに、相手がどの政党の議員かは一切関係ないはずである。
米国の科学者はその程度のことも理解できないほど、本来の科学を忘れ、政争に自らを埋没させてしまっているのである。
■「出世の道が閉ざされる」
一方、機能獲得研究の危険について長年警鐘を鳴らし続けてきたラトガーズ大学のリチャード・エブライト教授は、2021年8月10日に公開された
『ディスインフォメーション・クリニクル』
のインタビュー記事において、次のように語っている。
「(外部向けの宣伝文句とは違い)機能獲得研究はパンデミックを予防したり、それに対処するのには全く役立たない」
「こうした研究が行われるのは、研究者の出世のためだ」
「機能獲得研究は実験がしやすい」
「論文が書きやすく、研究予算が取りやすいのだ」
「抗ウイルス薬の開発は通常、20年もの長い年月がかかり、成功確率も20分の1程度だ」
「一方、機能獲得研究は6カ月しか要しないし、成功確率は100%に近い」
「機能獲得研究ならすぐに結果が得られ、論文が書け、次の研究予算にありつけるというわけだ」
新型コロナウイルスが武漢ウイルス研究所起源となると、機能獲得研究は大幅に制限され、予算も削られ、ウイルス学者たちは出世の道を閉ざされることになる。
だから、彼らは全力で武漢ウイルス研究所起源説を否定し、それに学術誌や科学ジャーナリストたちも協力したというのがエブライト教授の見解である。
実際、その見解を裏付ける動きもある。
2021年7月15日、米国微生物学会が他のいくつかの学会と共同で、パンデミックの起源を理由とする規制強化に反対するレターを連邦下院歳出委員会に提出したのである。
米国の生物学者たちの必死さは伝わるが、第三者から見ると、彼らがいかに金だけに関心を持っているかを理解するのに十分な文書となった。
■アイヒマン化する学者たち
以上のことから分かるように、現代の科学者は真理を最優先する求道者のイメージとは程遠い存在である。
彼らにとっては、中国との共同研究を維持すること、自分の応援する候補者が選挙に勝つこと、自らが研究者として出世すること、研究費を確保することの方が、科学的真理の探究よりも遙かに重要なのである。
これは、科学者も人間である以上、仕方ないことなのかもしれない。
残念なのは、日本で戦略研究家やインテリジェンスの専門家を名乗る人たちが、ウイルス学者たちの表向きの言い分を丸っきり信じ続けていることである。
戦略研究やインテリジェンスの分野では
「ヒューマン・ネイチャー(人間の性)」
を考慮に入れることの重要性がしばしば言われるが、学者のヒューマン・ネイチャーを理解できないならば、今すぐ戦略研究やインテリジェンスの専門家を名乗るのを止めるべきだろう。
ただ、人間の性とは言え、情報を隠蔽したウイルス学者たちの罪は余りに重い。
アンダーセンやホームズ、ワイスやリウらが新型コロナウイルスの塩基配列の異常に気付いていたのは2020年1月から2月の時点である。
当時は、まだ世界的なパンデミックにはなっていなかった。
その時点で、このウイルスが人工的に人間への感染力を向上させたものである可能性が高いと世界に向けて警告していれば、国境を越えた人の移動の制限などをより早期に断行でき、結果としてパンデミックを防げた可能性は高い。
しかし、ウイルス学者たちは、人命よりも自分の研究や地位を守ることを優先した。
その結果、世界で400万人以上の命が失われたのである。
筆者が同じ立場なら、さすがに罪悪感に苦しむと思うが、ウイルス学者たちにはその様子は全くない。
筆者には、そうしたウイルス学者たちの姿が、ヒトラーの命令に盲目的に従い、何の罪の意識も感じずに数百万人のユダヤ人を強制収容所に移送したアイヒマンに重なって見える。
30年近く前に4年間、分子生物学を学んだだけの筆者でも、新型コロナウイルスの異常性に気づくことができたのである。
ウイルス学者をはじめとする日本の生命科学者の多くも当然、同じことに気づいていたはずである。
しかし、日本の生命科学者で、新型コロナウイルスの武漢ウイルス研究所起源説に言及する人は今もほぼゼロである。
この問題が海外でこれだけ注目されている中で、日本のこの状況は異常と言わざるを得ない。
これを打破するため、まずは新型コロナウイルスの起源について、国立感染症研究所の幹部を国会に証人喚問することを筆者は提案したい。
同時に、生命科学者の行っている研究活動について、監視を強化することも急務である。
現在も、アイヒマンと同じレベルの倫理観しか持たない人間たちが、国内外で危険な試料を扱い続けている。
第2、第3のパンデミックの種は、今も世界中の研究所に多数存在する。
それをこのまま放置するわけにはいかない。

武漢ウイルス研究所ー流出説・生物兵器テロ説最新レポート
月刊誌『WiLL』2021年8月号 掛谷英紀 筑波大学システム情報系准教授
「研究所漏洩説=陰謀論」は完全崩壊
ウイルス流出説を「陰謀論」扱いする者は大手メディアが垂れ流す情報をそのまま信じているだけ
■破られたタブー
この1カ月、新型コロナウイルスの起源をめぐり、武漢ウイルス研究所からの漏洩である可能性が高いことが各種メディアで報じられるようになった。
筆者は本誌2021年6月号で、新型コロナウイルスの遺伝子に人工的改変の可能性があることについて述べた。
当時、ウイルスの起源が武漢の研究所であるとの説に言及することは、まだ勇気の要ることであった。
日本では完全に”陰謀論”扱いであったためである。
英語圏では、すでに大手メディアでも徐々に議論され始めていたが、それでも2021年3月にCNNのインタビューで研究所流出説に対する支持を公表したCDC(米疾病予防管理センター)前局長のロバート・レッドフィールドは、その後に殺人予告などの脅迫を受けたと明かしている。
驚くべきは、脅迫したのが政治家ではなく仲間の研究者たちだったということだ。
ところが、この2カ月の間に世界の空気は大きく変わった。
そのきっかけを与えたのが、2021年5月5日付で原子力科学者会報に掲載されたニコラス・ウェイドの記事である。
彼は、長年ニューヨーク・タイムズで科学記者を務めた大物である。
そのウェイドが、研究所流出説を強く示唆する記事を書いたのである。
記事中には、ノーベル賞受賞者のデイビッド・ボルティモアが人工説を支持していることも記されていた。
これにより、新型コロナウイルスが研究所を起源とするとの説を語ることがタブーではなくなった。
2021年5月14日には科学誌サイエンスに、新型コロナウイルスの起源について武漢研究所流出説を排除しない公正な調査を求める、18人の研究者を共著とするレターが掲載された。
さらに2021年5月23日には、ウォール・ストリートジャーナルが、2019年11月に武漢研究所の研究者3人が新型コロナウイルス感染に似た症状で入院していたと報道した(この情報自体は、2021年1月に米国務省がすでに発表していたもので、それをWHO総会のタイミングに合わせて報じたものと思われる)。
これらを受け、バイデン大統領は2021年5月26日に新型コロナウイルスの発生源の解明に向けた追加調査を行い、その結果を90日以内に報告するよう情報機関に指示したのである。
■癒着を物語るメール
2021年6月になると、新型コロナウイルス研究所流出説をさらに補強する情報が飛び込んできた。
米国立アレルギー感染症研究所所長で、米国の新型コロナウイルス対策を指揮するアンソニー・ファウチの電子メールを、メディアが情報公開法に基づいて入手して公開したのである。
その中には、研究者たちの間の癒着を雄弁に物語る数々のやり取りが含まれていた。
新型コロナウイルスは自然界の動物を起源としているという説が、科学者を含む世界の人々に受け入れられるようになった背景には、有名学術誌に登場した2つの文献がある。
1つは、2020年2月にランセット誌に掲載された27人の研究者によるレターである。
その内容は、
「新型コロナウイルスが自然発生でないことを示唆する陰謀論を断固として批判する」
「陰謀論の拡散は恐怖心や流言、偏見を煽るだけで、疾病に立ち向かうための国際連携を危うくする」
と主張するものであった。
このレター掲載実現のために中心的な役割を果たしたのが、著者の1人でもあるピーター・ダシャックである。
彼は非営利組織エコヘルス・アライアンスのトップであるが、同組織はNIH(アメリカ国立衛生研究所)から、機能獲得研究(ウイルスの遺伝子を組み替えて、感染力や毒性を強める研究)について大量の研究費を受け取り、それを中国の武漢ウイルス研究所に流していたことが明らかになっている。
またダシャックは、2021年はじめに武漢に派遣されたWHO調査団に米国から参加した唯一のメンバーである。
当然ながら、これらの行動については、利益相反の問題が各所から何度も指摘されている。
新型コロナウイルス天然説が信じられることに大きく寄与したもう1つの文献が、2020年3月に学術誌ネイチャー・メディスンに掲載されたクリスチャン・アンダーセンらによる論文(コレスポンダンス)である。
日本の医師で天然説を信じている人たちも、この論文を根拠にする者が多かった。
■ファウチ「すぐ電話する」
私が新型コロナウイルス天然説に疑いを持ち始めたのは2020年5月だが、当時この論文を読んで、その内容の貧弱さに愕然としたのを覚えている。
天然由来でありながらも、その論拠として挙げられていることが、科学的にとても十分とは言えないものだったのである。
なぜ、このような
「屑論文」
が有名雑誌に掲載されるか不思議でならなかった。
公開されたファウチのメールを見て、その謎がようやく解けた。
この論文が掲載される約1ヶ月半前の2021年1月31日、アンダーセンがファウチに送った電子メールが、公開された資料の中に含まれていた。
そこで、アンダーセンは
「人工的に見える遺伝子配列の特徴を見出すには全ての配列を非常に注意深く見なければならない」
「今日終えた議論で、エディー、ボブ、マイク(3名のうちの2名はネイチャー・メディスンの論文の共著者とみられる)と私は皆、この遺伝子配列は自然進化説とは整合性がとれないとの見解で一致した」
と書いているのである。
これに対し、ファウチは
「すぐ電話する」
と返信している。
2021年2月4日には、ネイチャー・メディスンの論文の草稿と思われるものが、著者の1人であるエドワード・ホームズからジェレミー・ファラーを経由してファウチ宛に転送されている。
エドワード・ホームズのメールには、
「頭がおかしいと思われないように、他の異常な点については言及しないように」
との記述がある。
2021年1月31日の時点で新型コロナウイルスに人工的改変が含まれていると思っていた彼らが、ほんの数日のうちになぜ意見を変えて天然説を主張する論文を書いたのか。
ファウチとアンダーセンの間の電話でどのようなやり取りがあったのか。
ここはあくまで私の推測だが、次のような会話が行われたものと想像される。

★ファウチ(以下、F)
クリスチャン、俺だ。
★アンダーセン(以下、A)
ファウチ先生、どういうご用件でしょう?
★F
人工という結論では困る。
★A
どうしてですか?
★F
俺が機能獲得研究を推進してきたのは知っているだろう。
その研究の試料が漏れた結果、疾病で多数の死者が出たと分かったらどうなる?
★A
そう言われましても。
私にはどうすることもできませんが。
★F
このウイルスが自然界由来だと主張する論文を書け。
★A
そんな論文を書いても、科学的に説得力がないので掲載されないでしょう。
★F
ネイチャー・メディスンに投稿しろ。
編集者にお前の論文を通すよう、裏で手配しておく。
★A
そんなことをして大丈夫でしょうか。
気が進みません。
★F
断ったらどうなるか分かっているだろうな。
従わなければ、今後お前には研究費は一切配らん。
この世界で生きていけなくなると思え。
★A
分かりました。
言われた通りにします。
■アカウント閉鎖の謎
私が抱いたような疑念は当然、他の多くの人々も持ったようである。
アンダーセンはツイッターのヘビー・ユーザーであることが知られていた。
多くの者が、なぜ意見を変えたのかと、一斉にツイッターでアンダーセンを問い詰め始めた。
それに対するアンダーセンの返答は、RaTG13の遺伝子配列を見たからだというものだった。
RaTG13は、コウモリを宿主とするウイルスで、新型コロナウイルスに遺伝子配列が最も近いことで知られる。
このウイルスは2021年2月3日に刊行された武漢ウイルス研究所の石正麗の研究グループの論文で初めて公表された。
だが、最近は論文が正式に発表になる前にデータが公表されることが多い。
RaTG13の遺伝子配列も2021年1月23日には公表されていた。
その後、アンダーセンが2021年1月24日時点でRaTG13に関するツイートをしていたことが発掘された。
これで追い詰められたアンダーセンは、過去のツイートを次々に消し始めた。
そして、ついにはアカウント自体が閉鎖されてしまった(彼自身の意思によるものか、外部の意思によるものかは不明である)。
一方、ダシャックとファウチの間ではどのようなやり取りが行われたか。
ダシャックからファウチに送られた2020年4月18日のメールも注目に値する。
その日ホワイトハウスで行われた記者会見において、ファウチは新型コロナウイルスの起源を武漢の研究所とする説は陰謀論であると述べた。
その直後、ダシャックはファウチに感謝のメールを送っているのである。
ここにも深刻な癒着が見られる。
■もはや”陰謀論”では済まない
この世の中には、陰謀論もあれば本当の陰謀もある。
それを区別するには、一次資料を詳細に分析しなければならない。
私は米大統領選の陰謀論には極めて批判的な立場だったが、その立場をとるまでに一次資料の確認を行っている。
米国の選挙は、過去の選挙の投票結果がカウンティ(郡)単位でウェブ上に公開されている。
そういうものを見れば、巷で噂されていた陰謀論の信憑性を確かめることができた。
もちろん、投票用紙にGPSやブロックチェーンが埋め込まれているといった科学的にあり得ない荒唐無稽な論も多くあり、それらは確認の必要すらなかった。
新型コロナウイルス研究所流出説についても、それが陰謀論かどうかを確かめるには一次資料にあたる必要があった。
この案件で一次資料に相当するのは、新型コロナウイルスやそれに類似するウイルスの遺伝子配列、コロナウイルスに関連する過去の研究論文、及びここで紹介したファウチのメールである。
前述の2019年11月に武漢研究所の職員が入院したという米国務省の情報については、その真偽の判断は難しい。
それをもって、これはイラクに大量破壊兵器があるとの偽情報を米国が発信した時と同じだと言う人がいる。
しかし、それは明らかに間違いだ。
イラクのケースは、米国の発表以外にそれを裏付ける情報が全くなかった。
新型コロナについては、右に述べたように大量の一次資料がある。
ファウチのメールを読めば、科学者の間で何らかの口裏合わせがあったことは明らかである。
未だに新型コロナウイルス研究所流出説を陰謀論扱いしている人は、そうした一次資料を読むことなく、大手メディアが垂れ流す情報をそのまま信じているだけなのだろう。
そもそも、大手メディアを追っているだけでも、英語圏のメディアをウォッチしてさえいれば、新型コロナウイルスの研究所流出説はもはや陰謀論扱いできないことは明らかである。
■真実を追うのは誰か
2021年6月2日、ニューズウィークは、大手メディアは否定していた新型コロナウイルス研究所流出説の信憑性がいかに回復されたかを解説したローワン・ジェイコブソンの記事を掲載した。
(2021年6月4日には和訳が日本語版ウェイブ・サイトに掲載されている)
2021年6月3日、ヴァニティ・フェアも、同じテーマでキャサリン・イーバンによるさらに詳しい記事を掲載した。
こちらは40人以上に取材し、米国政府の資料を数百ページ読み込んで書かれた大作である。
ヴァニティ・フェアの記事では、新型コロナウイルスの研究所流出説を追った人物として、政府関係者の他に、DRASTICとパリ・グループという2つの在野集団を紹介している。
この記事で、パリ・グループは
「30人以上の懐疑的な専門家からなる集団で、月に1度Zoomで集まって、新たな証拠について何時間も議論を行っている」
と説明されている。
他のメンバーも名乗り始めているので告白するが、私もこのパリ・グループの一員である。
本誌2021年6月号で紹介しWHOの武漢調査団に対する公開質問状の署名者も、このパリ・グループのメンバーが中心となっている。
パリ・グループの一員で、WHOのアドバイザーも務める米国人のジェイミー・メッツルは、新型コロナウイルスの起源が武漢研究所であることを初期から疑っていた人物の1人である。
彼は民主党支持者であるが、最近はリベラル系のメディア、FOXのような保守系メディア両方に出演している。
彼はウイルス研究所流出説を語ったことで、仲間の民主党支持者から非難されたという。
その彼がFOXのタッカー・カールソン・トゥナイトで語った次の言葉が印象的である。
「私はトランプの発言の95%に賛同できないが、新型コロナウイルスの起源については彼の言うことが利に適っていると思った」
「どの政党の支持者であっても、それを誰が言っているのか忘れ、データと証拠に集中して、ウイルスの起源という困難な問いに立ち向かう必要があると感じた」
米国のリベラルは極左化が進み、党派性のために真実を犠牲にする人ばかりと思っていたが、そうではない人物がまだいたことに感動を覚えた。
私も米大統領選で間違った事実を指摘した時は、日本の保守派から激しい攻撃を受けた。
だが、メッツルのように、どんなに攻撃を受けようとも、それに屈せず常に真実を追う人間であり続けたい。

武漢研究所起源説はもう陰謀論ではない
月刊誌『正論』2021年7月号 掛谷英紀 筑波大学システム情報系准教授
2021年5月5日、ニューヨーク・タイムズ紙で長年科学記者を務めたニコラス・ウェイドが、
「Bulletin of the Atomic Scientists(原子力科学者会報)」
に1万語を越える長編の記事を掲載した。
記事のタイトルは
”The origin of COVID: Did people or nature open Pandora's box at Wuhan?"
(COVIDの起源:武漢でパンドラの箱を開けたのは人間かそれとも自然か?)
である。
タイトル自体は中立であるが、その中身は人間がパンドラの箱を開けた可能性が非常に強いことを示唆するものとなっている。
実は、この記事の大部分は、私を含む一部の科学者には既に知られた内容であった。
しかしながら、その名を広く知られた大物記者による記事ということに加え、ノーベル医学生理学賞受賞者でカリフォルニア工科大学の学長も務めたデイビッド・ボルティモアから新型コロナウイルス人工説への肯定的コメントを取り付けたこともあり、世論の反応はこれまでとは全く違ったものとなった。
誰もがウイルスが研究所からの漏洩を起源とする可能性を躊躇なく語ることができるようになったのである。
これまで、多くのウイルス学者によって、新型コロナウイルス(学名:SARS_
CoV_2' 以後SARS2ウイルスとも表記)は天然由来であるという主張が繰り返され、研究所からの漏洩を示唆する議論は全て陰謀論とのレッテルを貼られ続けてきた。
2021年3月30日に世界保健機関(WHO)の調査団の報告書が公表されたが、そこには自然界の動物から中間宿主を介した人間への感染を起源とする可能性が最も高く、研究所からの漏洩事故による感染の可能性は極端に低いと結論付けられている。
しかし、それを裏付ける有力な証拠は何も記されていない。
SARS2ウイルスに類似した2002年の重症急性呼吸器症候群(SARS)は流行開始から4カ月、2012年の中東呼吸器症候群(MERS)では9カ月のうちに感染を仲介した動物が見つかっている。
15カ月以上が経過し、8万以上もの動物の検体を調べても感染源が見つかっていないことは、過去の例と比較すると異常と言わざるを得ない。
にもかかわらず、なぜこれまで研究所からのウイルス漏洩は陰謀論扱いされてきたのか。
そこには、米国の政治とメディアの事情がある。
日本と同様、米国のメディアも全体的に左傾化している。
テレビもFOXなどごく一部を除き、民主党支持でトランプ政権を強く批判する立場であった。
トランプ大統領は、新型コロナウイルスを中国ウイルスと呼ぶなど、中国に対して強硬姿勢を貫いていた。
民主党を応援する米メディアとしては、トランプ政権下での米中対立激化は避けたかった。
米国民が対中国で一致団結すれば、政権への支持が強固になり、トランプ再選の可能性が増す。
それを回避するため、新型コロナウイルスについて中国の責任を追及するような報道は、大統領選が終わるまでFOXを除いてはほとんど見ることはできなかった。
(この分析は私の独断によるものではなく、米シンクタンク「アトランティック・カウンシル」上級研究員のジェイミー・メッツルも、コメディアンのジョー・ローガンの動画番組で同様の見解を示している)
ところが、大統領選が終わり、民主党のバイデン候補が当選すると、その流れは一気に変わった。
左寄りの大手メディアも、一斉に新型コロナウイルスに関する責任追及の報道を始めたのである。
2021年1月には米国務省が2019年秋の時点で武漢ウイルス研究所の職員に新型コロナウイルス感染を疑われる症状があった証拠を掴んでいると発表し、任期切れ間際のポンペイオ国務長官もこれに直接言及する発言を行った。
これを批判的に報じるメディアはなく、政権交代後もこの発表は撤回されていない。
民主党の議員も、中国の隠蔽に対して厳しい姿勢に転じ始めており、追及の動きは超党派になりつつある。
その一方で、日本ではこの動きが全く報じられていない。
もちろん、2020年から論壇においては中国の研究所からの漏洩を起源とする可能性について言及する言論もあった。
しかし、その中には生物兵器を意図的に撒いたというような信憑性の低いものもあった。

Origins of COVID-19: Who Opened Pandora’s Box at Wuhan – People or Nature?
COVID-19の起源:武漢でパンドラの箱を開いたのは誰か – 人と自然?
10/05/2021
https://science.thewire.in/the-sciences/origins-of-covid-19-who-opened-pandoras-box-at-wuhan-people-or-nature/#:~:text=As%20many%20people%20know%2C%20there%20are%20two%20main,study%20in%20a%20lab%2C%20from%20which%20it%20escaped.
■4つの科学的根拠
ウイルスの起源は、政治的動機に左右されず、あくまで科学に基づいて検証されねばならない。
政治によって事実を歪めるのでは中国と同じである。
そこで、本稿ではウェイドの記事に沿って、SARS2ウイルスが研究所から漏洩した可能性が高いことを示す科学的根拠を紹介することにする。
ウェイドは、その根拠として次の4つを挙げている。
第1に、パンデミックが最初に起きた場所である。
SARS2ウイルスはベータコロナウイルスの一種だが、それらの宿主として知られるコウモリの生息地は雲南省であり、武漢から1500キロメートル離れている。
と同時に、武漢はコロナウイルスを遺伝子組み換え技術で改変して人間への攻撃力を増す研究の中心地であり、そこでの安全管理が不十分であることも周知の事実であった。
第2に、SARS2ウイルスのスパイク蛋白質が、流行初期からほとんど変異していないことである。
ウイルスが人を含む動物に感染するには、まず動物の細胞の表面にある受容体に結合する必要がある。
(SARS2ウイルスの場合はACE2受容体)
この受容体に結合するのが、スパイク蛋白質の受容体結合部位である。
一般に、動物によって受容体は異なるので、ある動物には感染するが、別の動物には感染しないことが多い。
コウモリのコロナウイルスも、そのほんどは人間に感染しない。
受容体結合部位が、コウモリの受容体には結合するが、人間の受容体には結合しないからである。
よって、コウモリのウイルスが人間に感染するためには何度も変異を繰り返さなければならない。
実際、SARSウイルスではコウモリからジャコウネコに感染した後、スパイク蛋白質に6つの変異が生じ、その後、14の変異を経て人間に適応し、その後さらに4つの変異があって流行が始まった。
このように、元々コウモリに適応したウイルスであり、人間に適応したウイルスでない以上、人間の間で感染が広がるには初期に多数の変異が必要なのである。
ところが、SARS2ウイルスは、流行の初期から人間に既に適応しており、ほとんど変異が見られなかった。
これが、SARS2ウイルスが天然由来ではなく、人間に適応するように人工的に改変されたウイルスが研究所から漏れたと疑われる理由である。
この事実を最初に指摘したのは、マサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学の共同機関であるブロード・インスティチュートのアリーナ・チャン博士研究員らの研究グループである。
第3に、
「フーリン切断部位」
の存在がある。
受容体に結合したウイルスは、次に人間の細胞の中に入り込むことが感染に必要である。
そこで役割を果たすのがフーリン切断部位である。
これがあると、ウイルスが細胞の中に入りやすくなる。
SARSウイルスにはフーリン切断部位がないが、SARS2ウイルスには存在する。
実は、ウイルスの遺伝子を組み替えて、人間に感染しやすくする研究(機能獲得研究)は過去に多数行われている。
2015年には、武漢ウイルス研究所の石正麗とノースカロライナ大学のラルフ・バリックを含む研究グループが、コウモリのウイルスの受容体結合部位に人工的に手を入れて、人間に感染しやすくする成果をネイチャー・メディスン誌に報告している。
一方、SARSウイルスにフーリン切断部位を人工的に入れる研究は、中国だけでなく日米欧の多数の研究グループが行っている。
スティーブン・クウェイ博士によると、その成果を公開した論文数は最低11本あり、その中には石正麗を著者とするものも含まれる。
それらの研究で人工的に挿入されたフーリン切断部位と同じ特徴がSARS2ウイルスに見られることが、研究所からの漏洩を強く疑わせる状況証拠となっている。
第4に、フーリン切断部位の遺伝子配列の特徴である。
生物の構造を作り上げる蛋白質は多数のアミノ酸から構成されるが、3つの塩基(遺伝子)配列が1つのアミノ酸に対応する。
塩基は4種類あるため、3つの塩基の列は64種類あることになるが、アミノ酸は20種類しかない。
よって、1つのアミノ酸に対して複数の塩基配列が対応する。
SARS2ウイルスのフーリン切断部位はPRRA(プロリン・アルギニン・アルギニン・アラニン)の4つのアミノ酸の挿入で生じている。
このうち、アルギニンのコードには6種類の塩基配列があり得るが、SARS2ウイルスのフーリン切断部位には、同種のウイルスで最も稀なCGG(シトシン・グアニン・グアニン)という配列が連続して使われているのである。
ウェイドの記事中で、この配列を見たノーベル賞学者ボルティモアが、
「これはウイルスの起源の動かぬ証拠だ」
「SARS2ウイルス自然発生説の強力な反論になる」
と妻に語ったとのエピソードが挿入されている。
■無理がある「天然由来説」
これに対して、SARS2ウイルス天然由来説を唱えていた学者たちはどう反論したか。
2020年3月に
「ネイチャー・メディスン誌」
で天然説を唱えていたクリスチャン・アンダーセンは、上海科技大の趙素文の研究グループの論文を引用し、フーリン切断部位は天然でも起き得るとツイッター上で反論した。
そこで用いられたのが図1だが、これが逆にSARS2ウイルスの特異性を示している。
図1に示す通り、確かに自然の突然変異でフーリン切断部位は生じうる。
だが、最も起きやすい突然変異は、遺伝子の塩基が入れ替わることで、アミノ酸配列が変化することである。
これは比較的頻繁に起こる。
一方、塩基が脱落したり、余分な塩基が挿入されることは、偶に起きるが確率は低い。
図1の左側の樹形図は遺伝的距離を表しており、枝分かれが遠いほど遺伝的距離が遠い(遠い過去に分かれた)ことを表している。
遺伝的距離が近いもの同士では大きな挿入や脱落は起きていない。
ところが、SARS2ウイルス(一番上)とそれに遺伝的距離が近いウイルスの間では、フーリン切断部位だけ綺麗に挿入が行われているのである。
これが自然発生的に起きることは、確率的には極めて低い。
WHOの報告書でも、人工ウイルス説を退ける根拠として、フーリン切断部位が天然に挿入されているウイルス(RmYN02)は見つかっているという別の論文に言及している。
しかし、この論文にも大きな欠点がある。
そもそも報告されているウイルスのアミノ酸配列はフーリン切断部位に類似するだけであり、フーリン切断部位ではない。
加えて、アミノ酸配列を見る限り、フーリン切断部位に類似する配列が挿入されたのではなく、従来のアミノ酸が他のアミノ酸に置き換わった変異と解釈するのが自然なのである。
ところが、この論文ではわざわざ図を細工して、脱落と挿入という非常に確率の低いことが遺伝子配列の一部で連続して起きていると解釈している。
このように、SARS2ウイルスが天然由来であるという
「科学的」
主張は、整合性の低い論理を無理やり通そうとしている跡が如実に見られるのである。
■人の命より論文重視の科学者
ウェイドの記事が公表されたのは2021年5月に入ってからだが、トランプが大統領の座を去った2021年1月以降、SARS2ウイルス人工説を追究する科学者たちの活動は活発化しており、一部のメディアはそれを報じ始めていた。
2021年1月末、ウェイドの記事にも登場したクウェイ博士が、新型コロナウイルスは実験室からの漏洩の可能性が高いとする193ページにわたる大論文を発表した。
続いて2021年3月に入ると、ハンブルク大学のローランド・ヴィーゼンダンガー教授も同様の趣旨の論文を発表した。
また、2021年3月4日には、WHOが武漢に派遣した調査団に対して、26名の研究者が公正な調査を求める公開質問状を出した。
署名した研究者の中には、アリーナ・チャン博士、クウェイ博士、ヴィーゼンダンガー教授の他、パンデミック発生前から機能獲得研究の危険性を指摘し続けてきたラトガーズ大学のリチャード・エブライト教授も含まれている。
この公開質問状はニューヨーク・タイムズの公式サイトでも報じられた。
この研究者グループの中心人物の1人でもあるジェイミー・メッツルは、米国3大キー局の1つであるCBSの看板ドキュメンタリー番組
「60ミニッツ」
に出演し、インタビューを受けている。
さらに、2021年3月26日放送のCNNのインタビューで、トランプ政権下でCDC(アメリカ疾病予防管理センター)の所長を務めたロバート・レッドフィールドは、新型コロナウイルスは武漢の研究所を起源とし、2019年9月頃には感染が始まっていたとの見解を示した。
2021年3月30日のWHOの調査団の報告書公表を受けて、2021年3月4日に公開質問状を出した研究者のグループは、2021年4月7日に再度公開質問状を出した。
これもニューヨーク・タイムズの公式サイト上で公開され、ロイターなどの主要メディアでも報じられた。
この公開質問状には日本から私ともう1人の研究者(情報工学)が署名した。
それにより、ニュース記事でも
「欧州、米国、オーストリア、日本の研究者による公開質問状」
との表現が使われた。
その後、このグループは2021年4月30日にも追加の公開質問状を出した。
そこには私の提案した質問も1つ採用されている。
ここで日本の存在感をアピールすることに貢献できたことを誇りに思う半面、日本から生命科学者が誰一人参加していないことを誠に遺憾に思う。
2021年5月14日には、権威のある学術誌として知られるサイエンス誌で、新型コロナウイルスの起源について研究所からの漏洩の可能性も含めた調査を求める18人の研究者連名のレターが掲載された。
この著書にはアリーナ・チャン博士や、石正麗の共同研究者であったバリック教授も含まれる。
これをきかけに、米国でも急に態度を変える研究者が続出している。
その豹変ぶりは、今の学者がいかに権威主義に毒されているかを象徴する。
日本でも、サイエンス誌のレターが出るまで、研究所からの漏洩の可能性に公の場で言及し調査を求める生命科学者は1人もいなかった。
(サイエンス誌のレターの著者に、日本人の名前が1つあるが、彼女は大学からずっと北米にいる人で、日本の研究者とは言い難い)
ただし、欧米にも増して権威主義が蔓延る日本の学界である。
サイエンス誌のレターで、その空気が変わる可能性がある。
しかし、それまで日本の生命科学者は誰一人何のアクションも取らなかったことは決して忘れるべきではない。
先日、私は生命科学者を含む数人の日本人研究者で、なぜ沈黙を守っているのかという議論をした。
そこでの結論は、日本の生命科学者にとっては300万人の死よりも、自分の論文の方が大事なのだろうという悲嘆だった。
SARS2ウイルスが研究所から漏洩した人工ウイルスだとすれば、科学研究が300万人を超える人命を奪ったことになる。
これは科学史上最大の大スキャンダルである。
そのことの重大さに気づかない科学者に、危険な実験を続ける資格は断じてない。

新型コロナウイルスの起源
中国追及の手を緩めてはならない
矛盾する中国の主張にダンマリの科学者たちは倫理観が腐りきっている
月刊誌『WiLL』2021年6月号 掛谷英紀 筑波大学システム情報系准教授
■薄弱な根拠
2021年3月30日、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の起源について現地調査を行ったWHOの国際調査団が報告書を公表した。
そこには、起源として4つの可能性が列挙されている。
@自然界の動物から人間への直接の感染
A自然界の動物から中間宿主を介した人間への感染
B冷凍食品を経由した感染
C研究所からの漏洩事故による感染
WHOの報告書ではAの可能性が最も高く、次いで@、Bの順に可能性が低くなり、Cは極端に可能性が低いと結論付けられている。
しかしながら、120ページのレポートでCの可能性に関する分析は1ページあまりしかない。
Cの可能性が低いとする科学的根拠も非常に貧弱である。
具体的には、武漢ウイルス研究所が2019年10月以前に新型コロナウイルスあるいは組み換えれば新型コロナウイルスになる試料を保持していた記録がないこと、武漢ウイルス研究所がBSL(バイオ・セーフティ・レベル)3あるいは4という高レベルのセキュリティ対策をした施設であること、武漢ウイルス研究所職員に感染の報告がないことなどを理由として挙げている。
これらの論点については、全て有力な反論が存在する。
まず、以前は外部からアクセスできた武漢ウイルス研究所のデータベースは遮断され、現在は見られない状態になっている。
隠されているのだから、記録が見つからないのは当然である。
ところが、WHOの調査団が隠された記録を探した形跡はない。
次に、BSL3あるいは4の研究所だから安全というのもウソである。
実際、武漢ウイルス研究所を訪れた米国の外交筋は、その管理の杜撰さを報告していた。
過去には他のBSLの高い施設から危険な微生物が漏洩した事故も何度か起きている。
BSLが高いから漏洩がないという理屈は妥当性を欠く。
最後に、武漢ウイルス研究所職員の感染についてであるが、こちらは米国務省が正反対の見解を示している。
2021年1月にマイク・ポンペオ国務長官(当時)が、2019年秋に
「武漢ウイルス研究所の複数の研究員が新型コロナウイルス感染症や他の季節性の病気とよく似た症状になったと信じるに足る理由がある」
と述べている。
(ただし、具体的な証拠を開示していないので、どちらを信じるかという政治的な問題になり、科学的な観点での評価はできない)
WHOの調査報告書は、薄弱な根拠で武漢ウイルス研究所から漏洩した可能性を否定する一方、他説の可能性については、説得力のある証拠がないにもかかわらず、その可能性は武漢ウイルス研究所からの漏洩よりも高いとしている。
そもそも、冷凍食品による感染は、中国政府が他国に責任をなすりつけるために突然言い出した説である。
新型コロナウイルスが世界的パンデミックを招いた後、外国の工場で働く感染した労働者からウイルスが持ち込まれても不思議はない。
しかし、最初の起源が冷凍食品であったならば、工場のある国で先に感染者が多数見つかっているはずである。
さらに、武漢だけに冷凍食品が輸出されたとは考えられず、最初に武漢だけで大規模な感染が起きたことと整合性がとれない。
自然界の動物からの感染の場合も、新型コロナウイルスに類似したウイルスの宿主であるコウモリの生息地域が武漢から1700km離れた雲南省の洞窟であり、なぜ最初に遠く離れた武漢だけで大流行したのかを説明する理屈は見つかっていない。
新型コロナウイルスに類似した過去のSARASやMERSでは、流行開始から数カ月のうちに感染源となった動物が見つかっている。
感染発覚から1年半近くが経過し8万以上もの動物の検体を調べても感染源が見つかっていないことは、過去の例と比較しても異常と言わざるを得ない。
■完全な癒着関係
WHOの国際調査団のメンバー構成にも問題がある。
同調査団に米国から参加したピーター・ダジャックという人物である。
彼は、ウイルス学者として武漢ウイルス研究所の石正麗らと共同研究を行ってきたことで知られる。
彼には武漢ウイルス研究所を調査する上で明らかな利益相反がある。
これまで、武漢ウイルス研究所は米国のウイルス学者と多くの共同研究を行ってきた。
その理由は、米国では禁止されている危険な研究を行うことができたからである。
既存のウイルスの遺伝子を改変して、人間に感染しやすくしたり、毒性を強めたりする
「機能獲得研究」
と呼ばれる研究である。
当然ながら、生物兵器開発にも応用可能な技術である。
新型コロナウイルスの遺伝子には、人間のACE2受容体に特に結合しやすいなどの不自然な特徴がある。
これらの性質をウイルスの遺伝子の人工的改変で実現した研究は過去に多く行われており、その成果は学術論文として多数出版されている。
武漢ウイルス研究所も、そうした論文を発表してきた研究機関の1つである。
ダジャックを含む機能獲得研究を進めてきたウイルス学者の立場からすれば、ウイルスが武漢ウイルス研究所から漏れたということになれば、これまでのように中国の研究所を利用して研究を続けることができなくなる。
研究予算も取れなくなり、論文も書けなくなる。
つまり、研究者として厳しい立場に追い込まれる。
その状況で、公平な調査を行うことは全く期待できない。
ダジャックについては、これまでも科学者としての公正さを疑わせる報道が何度かなされている。
2020年2月、ダジャックを含む科学者たちは学術誌『ランセット』で、新型コロナウイルスが武漢ウイルス研究所から漏れたとする
「陰謀論」
を非難する声明を出した。
しかし、2021年1月18日のデイリー・コーラーのネット記事によると、ダジャックの広報担当はウォール・ストリート・ジャーナルの取材に対し、
「この声明は中国の研究者を守るために出した」
と発言したことが報じられている。
完全な癒着関係にある研究者を調査団の一員として派遣するWHOは、その公正さを疑われて当然である。
■漏洩は「陰謀論」なのか
トランプ大統領の在任中、新型コロナウイルスが武漢ウイルス研究所からの漏洩であるという説は大手メディアから
「陰謀論」
扱いされた。
中国の敵国扱いが世論に定着すると、大統領選でトランプが有利になるというリベラル系大手メディアの計算があった可能性が高い。
だが、その当時から新型コロナウイルスの起源について、中国に忖度せずに客観的な分析をしている者はいた。
MITとハーバードでポスドク(博士研究員)をしている若手生物学者のアリーナ・チャンは、歴史的に実験室からのウイルス漏洩事故は多数起きていることから、武漢ウイルス研究所から漏洩した可能性も排除しない公平な調査をツイッター上で繰り返し求め続けていた。
選挙でトランプが負けると、メディアの論調は一気に変わった。
リベラル系メディアもウイルスの武漢ウイルス研究所からの漏洩について言及を始めたのである。
これに呼応して、研究者たちの追及もさらに活発化した。
2021年1月、米国ではスティーブ・クウェイ博士が新型コロナウイルスは実験室からの漏洩の可能性が高いとする193ページにわたる大論文を発表した。
2021年2月に入ると、ドイツ・ハンブルク大学のローランド・ヴィーゼンダンガー教授が、同じように実験室からの漏洩の可能性を論ずる102ページの論文を発表した。
さらに、米国の数理生物学者ブレット・ワインシュタインや英国のサイエンス・ジャーナリストのマット・リドレーなど、著名な人物たちも武漢ウイルス研究所からの漏洩の可能性が高いとの主張をメディアのインタビューで語り始めた。
■日本の生命科学者はゼロ
2021年3月4日には、WHOが武漢に派遣した調査団に対して、26名の研究者が公正な調査を求める公開質問状を出した。
26名のうちの過半数は生命科学者であるが、理工系や社会科学の研究者も名を連ねている。
署名した研究者の中には、右に挙げたアリーナ・チャン、クウェイ博士、ヴィーゼンダンガー教授の他、機能獲得研究の危険性を長年指摘してきたリチャード・エブライト教授も含まれている。
この公開質問状はニューヨーク・タイムズの公式サイト上で公開され、ウォール・ストリート・ジャーナル他、主要メディアでも報じられた。
この研究者グループの中心人物の1人であるジェイミー・メッツルは、米国3大ネットワークの1つであるCBSの看板ドキュメンタリー番組
「60ミニッツ」
に出演し、インタビューを受けている。
ちなみに彼はクリントン政権下で仕事をしたことのある人物で、共和党側の人間ではない。
トランプ政権下で米疾病対策センター(CDC)の所長を務めたロバート・レッドフィールドは、2021年3月26日放送のCNNのインタビューで、新型コロナウイルスは武漢ウイルス研究所を起源とし、2019年9月頃には感染が始まっていたとの見解を示した。
ご存じの通り、CNNは民主党支持のメディアとして知られる。
中国に対する厳しい声は、米国でも超党派の動きになっている。
私自身、署名した研究者のグループの議論の輪に入り、オンライン会議にも何度か参加して意見交換を重ねた。
そこで分かったのは、世界における日本の存在感が予想以上に大きいことである。
彼らは日本の新聞社名なども詳しく知っており、日本からの新たな参加者を大いに歓迎してくれた。
この活動の日本でのパブリシティを上げることについて強い関心を持っているようであった。
■WHOから独立した調査を
2021年3月30日に公表されたWHO調査団の報告書に対して、14カ国が批判的な共同声明を出した。
新型コロナウイルスの起源に関する中国の言い分がおかしいことを、多くの国が公式に認め出したのである。
WHOの調査団の報告書を受けて、2021年3月4日に公開質問状を出した研究者のグループは、2021年4月7日に再び公開質問状を出した。
これもニューヨーク・タイムズの公式サイト上で公開され、ロイター通信などの主要メディアでも報じられた。
この公開質問状には、日本から私ともう1人の日本の研究者(情報工学)が署名した。
それにより、ニュース記事でも
「欧州、米国、オーストラリア、日本の研究者による公開質問状」
との表現が使われた。
ここで日本の存在感をアピールすることに貢献できたことを誇りに思う反面、日本から生命科学者の署名が1つもなかったことは大変残念に思っている。
2021年4月7日の公開質問状では、WHOの調査団による報告書の不公正を指摘するとともに、今後の調査の進め方についても提案している。
1つ目は、WHOと中国の間で結ばれた付託条項を見直すことである。
この付託条項により中国に拒否権が生じており、中国において独立した専門家が調査活動をすることができなくなっている。
その見直しが不可欠との提案である。
2つ目は2021年5月のWHO総会で、新型コロナウイルスの起源に関する無制限の調査を求める決議および危険な機能獲得研究に関する新たな規制などを求める決議を行うことである。
3つ目は、先に挙げた2つの提案が実現しない場合は、WHOとは別に各国の協力体制のもと新型コロナウイルスの起源に関する透明性の高い調査を求めることである。
この公開質問状では、補足としてWHOの報告書で中国側が提出した資料に含まれる矛盾点も多数指摘している。
例えば前述の通り、武漢ウイルス研究所は、それまで外部の研究者がアクセスして参照できた武漢ウイルス研究所のデータベースを閉鎖している。
新型コロナウイルスのパンデミックを契機としたハッカーの攻撃から守るため、というのが中国の言い分である。
ところが、実際にデータベースを閉鎖したのは2019年9月である。
中国側の主張には明らかな矛盾がある。
武漢ウイルス研究所の職員を調べたところ、誰一人として新型コロナウイルスの抗体が無かったという中国側の主張も非常に疑わしい。
武漢の人口の約4%に抗体があることが分かっているのに、武漢ウイルス研究所の590名の職員誰一人として抗体を持たないというのは確率的にほぼ考えられない。
■腐りきった倫理観
中国は証拠を隠滅しているので、これから調査をしても実験室からの漏洩を証明するのは難しいという意見もある。
しかし、武漢ウイルス研究所の全職員の免疫(免疫グロブリンやT細胞)を調べることは可能である。
全職員のウイルスへの感染履歴が分かれば、漏洩ルートが特定できる可能性がある。
この証拠は職員を殺さない限り隠滅できない。
この調査に応じない中国の研究機関に属する研究者を学会や学術誌から締め出すことは、政治とは独立に科学界だけで対応可能である。
冷戦時を思い起こせば分かる通り、独裁国家が自由主義世界の学会活動に自由に出入りできることが異常なのである。
情報隠蔽が正当化される国は、学問の場として相応しくない。
真の科学者ならば、これに同意しない人はいないだろう。
中国の研究機関に属する学者の締め出しに対し、中国政府は
「差別」
という言葉を使って被害者を装うと予想される。
これについては、中国からの研究者難民(亡命)受け入れで対抗することが考えられる。
これは科学者だけで実現できる問題ではなく、政治の力が必要となる。
中国の責任を強く追及すれば、中国はより隠蔽体質を強めるのではないかと懸念する感染症の専門家もいる。
しかし、そのような理屈で390万人の死の原因を隠蔽することは全く正当化されない。
もし、中国が態度を硬化させて隠蔽体質を強めるなら、中国からの人の出入りを一切遮断すればよい。
そうすれば次の中国発の感染症は防げる。
オウム真理教は、松本サリン事件を免れたから地下鉄サリン事件を起こせた。
もし、新型コロナウイルスの起源について中国を追及できなければ、より危険な次の事件が起きる可能性がある。
我々は歴史の教訓に学ぶべきである。
新型コロナウイルスの起源を調べても、パンデミックの被害が消えるわけではなく、何の役にも立たないと言う人もいる。
しかし、起源の真相を解明し、リスク要因を正確に把握することによって、天然、実験室のいずれを起源とするウイルスであっても、次のパンデミックを防ぐ対策ができる。
まずできることとして、危険な微生物を扱う研究所に対する国際査察制度の創設、およびその種の研究所が人口密集地にある場合は、過疎地や離島に早急に移転するなどの措置が考えられるだろう。
原子力にはIAEAの査察制度があり、施設は人里離れた場所に置かれている。
それと同じ安全対策は、生命科学分野においても当然行われるべきである。
ところが、そういった議論が全くできないほど、今の科学者の倫理は腐りきっている。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/164.html#c35

[政治・選挙・NHK297] 関税交渉の“落とし穴”に…飛び入りトランプ大統領「安保タダ乗り論」展開、日本を脅した本当の狙い(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
28. 秘密のアッコちゃん[1474] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月19日 20:55:15 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[912]
<■2549行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
「不十分な安全レベルで研究」コロナ起源「武漢の研究所」とする新サイト 米中の新火種に
2025/4/19 19:21
https://www.sankei.com/article/20250419-RSIOV427OZORFBWUKYIO36DO6A/
米トランプ政権は2025年4月18日、新型コロナウイルスに関する政府の見解を示した新たなウェブサイトを公開し、ウイルスの起源は中国・武漢の研究所である可能性が
「最も高い」
と主張した。
高関税政策を巡り対立が深刻化する米中間の新たな火種となりそうだ。
新サイトは「LAB LEAK」(研究所からの流出)と題し、険しい表情のトランプ大統領の写真を掲載。
武漢の研究所がウイルスの起源とする根拠について
「ウイルスは自然界には存在しない特徴がある」
「不十分な安全レベルで研究を行っていたことがある」
などと説明した。
更に、マスク着用の義務付けや都市封鎖などの施策に有用性はなかったと主張。
バイデン前政権が、現代医学に反する代替医療やウイルスの研究所漏洩説を
「悪者扱い」
したと批判した。
米紙ワシントン・ポストは、新サイトの記載について
「情報機関内部でも依然として賛否が分かれ、多くのウイルス学者が否定する内容」
だと指摘した。
新サイトはまた、世界保健機関(WHO)の新型コロナ対応に対し
「中国の圧力に屈し『悲惨な失敗』に終わった」
と評価。
米国のWHO離脱表明後に加盟国が合意し、感染症対策の強化に向けて近く採択される
「パンデミック(世界的大流行)条約」
についても
「米国に害を及ぼしかねない内容」
だと主張した。
(ワシントン支局)

新型コロナの起源は「武漢の研究所」 トランプ政権が強調「WHOは中国の圧力に屈した」
2025/4/19 13:29
https://www.sankei.com/article/20250419-EHWNRBBEIFIB5LVH6DVDKJBP6A/
トランプ米政権は2025年4月18日、新型コロナウイルスについて、中国・武漢のウイルス研究所が起源だとする説を強調した新たなホームページを公開した。
研究所での事故が起源である可能性が
「最も高い」
と明記。
バイデン前政権や世界保健機関(WHO)が世界的大流行への対応に失敗したと非難した。
ホームページは
「研究所からの流出 COVID19の真の起源」
と題し、トランプ大統領の写真を掲げた。
WHOが
「中国共産党の圧力に屈し、国際的な義務より中国の政治的な利益を優先させた」
と批判。
米国が離脱を表明したWHOの加盟国が合意した感染症流行対応の新たな国際ルール
「パンデミック条約」

「米国に害を及ぼしかねない」
とも言及した。
新型コロナウイルスには
「自然界に存在しない生物学的な特徴がある」
とし、自然起源の証拠があれば既に見つかっているはずだとした。
中央情報局(CIA)は第2次トランプ政権が発足した今年2025年1月に、声明で研究所起源の可能性を訴えた。(共同)

新型コロナ起源「中国・武漢ウイルス研究所の可能性高い」 独連邦情報局が米CIAに共有
2025/3/13 11:32
https://www.sankei.com/article/20250313-KONAKQ3OE5BENA435K7S4R7AVU/
新型コロナウイルスの起源について、ドイツ連邦情報局(BND)が2020年、中国湖北省の武漢ウイルス研究所から誤って流出した可能性が高いと分析していたと2025年3月12日、ドイツの2紙が報じた。
分析結果は米中央情報局(CIA)に共有されたという。
2紙はハンブルクに本拠を置く全国週刊紙ディー・ツァイトとミュンヘンに本社を置く日刊紙の南ドイツ新聞。
BNDの情報を入手したとしている。
BNDの分析は独首相府に報告されたが、当時のメルケル首相は
「極秘扱い」
とし、公表しなかったとされる。
ロイター通信によると、ショルツ首相は2025年3月12日の記者会見でこの件を質問されたが、コメントしなかった。
現地からの報道によると、BNDは、武漢ウイルス研究所がウイルスをヒトに感染しやすいように改変する
「機能獲得実験」
を行っていたと分析。
研究所から誤って新型コロナウイルスが流出し、パンデミック(世界的大流行)に繋がった可能性があるとしている。
BNDの分析結果がCIAに共有されたのは昨年2024年秋という。
CIAは今年2025年1月、新型コロナの起源は
「自然発生よりも研究関連である可能性が高い」
と流出説を支持した一方、この評価の確信度は
「低い」
と留保を付け、自然界からヒトに広がった可能性も含めて分析を続けるとした。
中国外務省の郭嘉昆(かく・かこん)報道官は2025年2月、武漢ウイルス研究所は
「新型コロナウイルスの機能獲得研究を行ったことはなく、その設計にも作成にも流出にも関与していない」
と強調。
流出説の真実性は
「極めて低い」
と改めて主張した。
新型コロナ感染症は、中国の武漢市当局が2019年12月に
「原因不明の肺炎」
として公表した事例が最初とされ、その後、世界中に感染が拡大した。

中国で「新たなコロナウイルス」発見 武漢の研究所調査 「ヒトへの感染は未確認」も疑念
2025/3/9 14:00
https://www.sankei.com/article/20250309-QKCUKBVPK5KWJNFD65KYQ5LKX4/?115270
中国湖北省武漢の武漢ウイルス研究所の研究者らが2025年2月、ヒトに感染する可能性がある新たなコロナウイルスがコウモリから検出されたとする論文を学術誌に発表した。
論文では
「現時点でヒトへの感染は確認されていない」
として平静を呼びかけている。
ただ、武漢ウイルス研究所はCOVID19の起源を巡る
「研究所流出説」
で疑惑の目が向けられている施設。
今後の拡大などを不安視する声が上がる。
■研究チームに名を連ねた「コウモリ女」
発表されたのは、コウモリ由来の新たなコロナウイルス「HKU5―CoV−2」。
過去に中東で流行した中東呼吸器症候群(MERS)と同じ系統のウイルスで、COVID19と同様にヒトを含む哺乳類のタンパク質と結合し、細胞内に侵入できるという。
発表したのは、広東省広州や武漢の中国科学院傘下組織や大学の研究者で作るチーム。
チームを主導した1人には
「バットウーマン(コウモリ女)」
の異名を持つ武漢ウイルス研究所の石正麗氏も含まれる。
コウモリ由来のウイルスの研究者で、COVID19の流行を巡って度々、研究所流出説を否定する発信を行ってきた人物だ。
新たなコロナウイルスについて、研究チームはヒトに感染する可能性は認めつつ、感染を引き起こすウイルス結合の効率はCOVID19ほど高くないとしており、感染拡大の危険性には触れていない。
米疾病対策センター(CDC)もCNNテレビ(電子版)の取材に
「現時点で公衆衛生に懸念を抱かせる理由はない」
とコメントしている。
■「感染性を高める実験」への懸念漂う
だが、パンデミックの可能性がゼロだと断定されたわけではない。
英紙テレグラフ(電子版)は2025年2月26日、論文の結論部分にウイルス株の
「更なる調査」
や、ヒト遺伝子組み換えマウスを用いた実験の必要性が提案されていることに言及。
研究チームが今後、更に追加で
「感染性を高める実験」
を行う恐れがあるとして
「不吉だ」
と指摘した。
COVID19の
「研究所流出説」
を唱えてきた米ブロード研究所の分子生物学者、アリーナ・チャン氏は同紙に対し、論文の結論に書かれた追加の実験は
「COVID19のパンデミックの引き金になった可能性がある実験と類似している」
と懸念を示した。
交流サイト(SNS)では
「COVID19は何度も変異して違う型が発生して感染が拡大した」
「なぜ今回だけ危険ではないと言い切れるのか」
などと不安視する声も上がっている。
■米で支持増える「研究所流出説」
COVID19の起源を巡っては、動物を介して人に感染したとする
「自然発生説」
と武漢ウイルス研究所からの
「研究所流出説」
が議論されてきた。
自然発生説では、コウモリ由来のコロナウイルスが武漢の海鮮卸売市場のタヌキを
「中間宿主」
として感染を拡大させた、との説がある。
世界保健機関(WHO)は2021年、武漢での現地調査後に自然発生説を有力視していたが、後にテドロス事務局長は研究所流出説を排除するのは
「時期尚早」
だと態度を変化。
2024年末には中国に改めてデータと調査対象へのアクセス機会を求める声明を出している。
米国では最近、研究所流出説を支持する動きが相次でいる。
米下院特別小委員会は2024年12月、武漢ウイルス研究所の事故が起源とする最終報告書を出した。
ウイルスが自然界にない特性を持っており、2019年秋に複数の同研究所職員がCOVID19に似た症状を発症していたことを根拠に挙げ、
「自然界で発生したのなら既に証拠は表面化しているはずだ」
とした。
■トランプ政権、中国追及の姿勢
米中央情報局(CIA)も今年2025年1月、
「確信度は低い」
とした上で、研究所流出説が自然発生説より有力だとの見解を出した。
トランプ政権で新たに就任したラトクリフ長官は、優先事項の1つに
「パンデミックの起源を公に評価することだ」
として中国側を追及する姿勢を見せている。
武漢ウイルス研究所はパンデミック前から、雲南省で採取したコウモリ由来のコロナウイルスのサンプルを多数保有していたとされる。
職員が適切な防護服を着ていなかったなど、杜撰な安全管理も指摘されている。
COVID19の最初の症例は研究所の近くで発見されており、疑惑の的となってきた。
中国政府は研究所流出説を一貫して否定。
「中国は多くのデータと研究結果を共有してきた」
「これ以上調査は必要ない」
としてWHOの追加調査も拒否している。
中国が国際社会の要請に誠実に応じていない現状では、新たなコロナウイルスの
「安全性」
への疑問が解消されることも難しそうだ。

<主張>新型コロナ5年 命を守る「医療」確実に 中国は自由な調査受け入れよ
社説
2025/1/15 5:00
https://www.sankei.com/article/20250115-J4PPSMACQRIQBILSO32LNMPX2U/
新型コロナウイルス感染症の患者が日本国内で初めて確認されてから2025年1月15日で5年になる。
国内では昨年2024年8月までに約13万人が新型コロナで亡くなった。
後遺症に苦しむ人も多い。
また、飲食店をはじめ多くの事業者が打撃を受けた。
今も、病院や高齢者施設で面会制限などが続いている。
新型コロナ禍は終わっていない。
ただ、多くの人はコロナ禍以前のような生活を送れるようになった。
それでも、未知のウイルスによる感染症は今後も発生し得ることを忘れず、万が一の事態に備えたい。
■厚労省は反省したのか
ところが、政府の対応は十分とは言い難い。
それを象徴するのが、コロナ禍に関する本格的な報告書を政府がまとめていないことだ。
問題点を洗いざらい挙げて反省しなければきちんとした対策は講じられない。
まず、初動対応に大きな問題があった。
水際対策を巡り政府は当初、湖北、浙江両省からの入国禁止にとどめた。
危機感が足りなかった。
検査体制の拡充に消極的だった厚生労働省の責任も重い。
検査と隔離が徹底されず、日本でも感染者がどんどん増えていった。
安倍晋三首相(当時)が検査体制強化を求めても厚労省の対応は遅々としていた。
民主的に選ばれた首相の指示に医官を含む官僚が従わない事態はあってはならない。
日本の医療体制の脆弱さも浮き彫りになった。
医師や看護師など多くの医療従事者が患者のため奮闘してくれたことは感謝してもしきれない。
今でも医療従事者らはコロナと戦ってくれている。
ただ、コロナの蔓延当時、日本は人口当たりの病床数は外国に比べて多いのに、入院が必要な患者を適切に受け入れられなかった。
医療従事者の集中的な配置がうまくできなかったことなどが背景にある。
発熱患者への対応を見送った診療所が多かったことも事実である。
令和4年の感染症法改正で、都道府県と医療機関は、病床確保や発熱外来などに関する協定を結ぶことになった。
自治体は住民にどの医療機関がどのような役割を担うかを周知しなければならない。
医療機関の平時からの連携も極めて重要だ。
令和6年には政府の自治体への指示権を拡充する改正地方自治法が成立した。
国民に重大な影響を及ぼす場合、必要な対応を指示できる特例を設けた。
クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の集団感染で、都道府県境を越えた患者の受け入れ先の調整が難航した反省からだ。
コロナ蔓延当時でも、新型コロナ対応の特別措置法は、医師や看護師らに必要な医療を行うよう
「要請」

「指示」
ができる強い権限を厚労相や知事に与えていた。
だが、この権限が適切に行使されなかった点を深刻に捉えるべきである。
■WHOの改革は急務だ
他にも教訓はある。
ワクチンやマスクなどを外国に依存するようでは被害が拡大するという点だ。
パンデミックは安全保障の問題である。
医薬品の原料確保も課題だ。
国産ワクチンの開発が遅れ、欧米からの調達を待つしかなかったのは苦い経験だ。
本来は日本も真っ先に開発し、諸外国を支援すべきだった。
政府と製薬企業は
「ワクチン敗戦」
を繰り返してはならない。
中国政府が新型コロナの情報を十分に開示せず、世界に一気に感染を広めてしまった責任は大きい。
中国の情報隠蔽が、日本を含む世界に禍をもたらしたと言える。
米下院の特別小委員会は令和6年12月、中国・武漢の研究所に関連した事故で新型コロナウイルスが出現したとみられるとの最終報告書を公表した。
中国外務省は
「信頼性がない」
と反発している。
ならば、海外の研究者に、自由に徹底調査をさせることを認めるべきだ。
世界保健機関(WHO)の国際調査団が発生から約1年後に武漢入りした際、中国側が同意した場所でしか調査を認めなかった。
これでは科学的な解明が進むわけがない。
WHOのテドロス事務局長は中国を擁護し緊急事態宣言の発出が遅れた。
責任を取るべきだったが、トップの座に居座っている。
WHOは年次総会への台湾のオブザーバー参加を認めていない。
感染症対応で台湾という空白域を作っているのは国際社会への背信と言える。
WHO改革も急務である。

米下院小委、新型コロナは「武漢の研究所起源」と最終報告 中国は反発
2024/12/4 7:37
https://www.sankei.com/article/20241204-NHKG7KDZ55OQZPU4TR5SGSJNZY/
新型コロナウイルス流行に関する米下院特別小委員会は2024年12月3日までに、ウイルスは中国・武漢の研究所に関連した事故によって出現したとみられるとの最終報告書を公表した。
多数派の共和党議員が委員長を務め、意見聴取や調査の結果をまとめた。
中国外務省の林剣副報道局長は2024年12月3日の記者会見で
「実質的な証拠が何もない中、中国を陥れる政治的な操作だ」
「信頼性はない」
と強く反発した。
流行の起源は、武漢市内の海鮮市場にいた動物との説や、研究所からのウイルス流出説があり、今も確定できていない。
報告書では、昨年2023年2月からの聞き取り調査などで
「情報機関幹部や政治家、科学誌の編集者、科学者らが益々研究所起源説を支持していた」
と指摘した。
林氏は、世界保健機関(WHO)などによる現地調査で武漢の研究所から漏洩した可能性は
「非常に低い」
との結論が出ていると主張した。
ただWHOで新型コロナの技術責任者を務めるバンケルコフ氏は昨年2023年、中国のデータ共有が不十分だと不満を示している。(共同)

新型コロナ【武漢研究所起源】【人工合成】ついに動かぬ証拠!
4年に渡る論争に決着ーもう”陰謀論”とは言わせない
WiLL2024年4月号 筑波大学システム情報系准教授 掛谷英紀
■殺人の告白メモ
新型コロナウイルスが武漢研究所起源の可能性が高いことは、科学的根拠を基に『WiLL』で筆者は繰り返し紹介してきた。
ただ、これまで紹介した証拠は決定的と言えるレベルではなかった。
その事態を急変させる出来事が2023年12月から2024年1月にかけて起きた。
新型コロナウイルスの人工合成を裏付ける新証拠が立て続けに見つかり、これまで慎重な物言いをしてきた研究者たちの中にも、これで武漢研究所起源は確定したと言い始める人が出てきたのである。
ラトガーズ大学の分子生物学者リチャード・エブライト教授は、これまで武漢研究所起源の可能性は高いが、まだ断言できないという立場を取ってきた。
だが、今回の証拠を見て
「エコヘルス・アライアンス(武漢ウイルス研究所に米国の研究費を流していたNGO)とその仲間がこのパンデミックを起こしたことを疑う余地はゼロになった」
とX(旧ツイッター)にポストした。
彼は新型コロナの起源を追う国際的研究者集団
「パリグループ」(筆者はその唯一の日本人メンバーである)
の中心人物の1人である。
メッセンジャーRNAワクチンへのDNA混入(残留)問題で日本でも注目された分子生物学者のフィリップ・バックホルツ教授(サウスカロライナ大学)と分子遺伝学者のケビン・マッカーナンも、それぞれ
「事件は解決した」
「これは動かぬ証拠であるだけでなく、殺人の告白メモである」
とXにポストした(尚、DNA混入問題については、筆者は彼らと見解を異にしている)。
更に、2021年に分子生物学者のアリーナ・チャンと新型コロナの起源に関する共著書『Viral』を書いたサイエンス・ライターのマット・リドレーも
「ゲームオーバーだ」
とXにポストしている。
これだけ多くの人の見解を動かした決定的証拠とは何か。
実はこれを説明するには専門的な知識が必要である。
本稿ではそれを一般の人にも分かるように、できるだけ易しく解説したい。
■流出した実験計画
新型コロナウイルス武漢研究所起源説を示唆する状況証拠として挙げられたものは多くあるが、そのうち主要と思われるものは次の4つである。
@スパイク蛋白が最初からヒトのACE2受容体に最も結合しやすい(感染しやすい)ようになっていた。
A他のSARS系ウイルスには全くない、細胞内に侵入しやすくする配列(フーリン切断部位)がスパイク蛋白に挿入されている。
B8万以上のサンプルを調査しても中間宿主(ヒトに感染させた動物)が見つかっていない(SARSやMERSでは数カ月のうちに見つかっている)。
C制限酵素切断部位というウイルス人工合成に必要な部位が、合成に都合のいい箇所に配置されている。
この4つはそれぞれ独立な事象なので、それぞれが偶然100分の1の確率で起きるとしても、それらが同時に起きる確率は1億分の1になる。
そのため、確率的に考えると今回の新証拠が出る前から、新型コロナウイルスは武漢研究所起源であることがほぼ確実であった。
にもかかわらず、私を含む多くの研究者が断定を避けてきたのは、科学者特有の慎重さゆえである。
これらの証拠のうち、最初の3つは2020年の段階で既に注目されていた。
それでも、2020年時点で武漢研究所起源説を公に論じる科学者の数は非常に限られていた。
実際、日本では筆者のみであった。
それが大きく転換したのが2021年9月である。
エコヘルス・アライアンスとノースカロライナ大学、中国の武漢ウイルス研究所を含む研究グループがDARPA(米国防高等研究計画局)に提出していた研究予算申請書(DEFUSEプロジェクト)が流出したのである。
この申請書の研究計画に、フーリン切断部位を人工的に挿入する実験計画が書かれていた。
これが明るみになったことで、欧米の生命科学者の多くが武漢研究所起源説に傾いた。
これに対して天然説を主張するウイルス学者たちは、DEFUSEの実験はノースカロライナ大学で行われる予定だったのだから武漢ウイルス研究所とは関係ない、フーリン切断部位の入れ方は色々あり、新型コロナウイルスのようにスパイク蛋白のS1部位とS2部位の間に入れるとはDEFUSEには書かれていないと反論し、武漢ウイルス研究所起源説を必死に退けようとした。
■人工合成に好条件
それから約1年後の2022年10月になって、新たに提示されたのがCの証拠である。
日本語に訳すと
『エンドヌクレアーゼの指紋はSARS-CoV-2の人工合成を示唆する』
という題目のプレプリント(査読前論文)が公開されたのである。
エンドヌクレアーゼとはDNAを切断する酵素、SARS-CoV-2は新型コロナウイルスの正式名称である。
この論文の著者はドイツ人免疫学者のバレンティン・ブルッテル(パリグループのメンバー)、米国の数理生物学者アレックス・ウォッシュバーン、米国の脳神経学者のアントニウス・ヴァンドンゲン(デューク大学准教授)である。
この論文の主なアイデアはウォッシュバーンによるところが大きいと思われる。
ウォッシュバーンはプリンストン大学で博士号を取った若手研究者で、自らベンチャー企業を立ち上げている。
彼は生物学の世界には珍しく、数理的能力が非常に高い人物である。
実際、その能力を生かし、投資のアドバイスなども行っている。
反感を買うかもしれないが、事実として述べておくと、生物学者には数学が苦手な人が多い。
生物学者は大まかに2種類に分けられる。
元々生物が好きで生物学者になった人と、科学者になりたいと思ったが数学が苦手なので、数学が不要な生物化学の道を選んだ人である。
であるから、生物学者には数理的思考能力に欠ける人が多い。
その中で、ウォッシュバーンのような研究者は希少価値が高い。
ウォッシュバーンらは新型コロナウイルスの制限酵素切断部位配置に注目した。
制限酵素は、DNAの特定の配列を認識して、その部分あるいはそれに続く部分を特異的に切断する機能を持つ。
彼らは武漢ウイルス研究所などが使っている制限酵素によって切断される部位が、等間隔に近い形で並んでいることに気付いた。
新型コロナウイルスのRNAは約3万塩基からなり、RNAウイルスの中では非常に長い。
そのため、いくつかの部品に分けて、それを繋ぎ合わせて作ることがある。
その際、それぞれの部品が長過ぎないことが望ましい。
新型コロナウイルスの制限酵素切断部位の配置は、その人工合成に好都合な条件を満たしていたのである。
ウォッシュバーンらは、新型コロナウイルスは
「BsaI」

「BsmBI」
という2種類の酵素を使って、6つのピースを繋ぎ合わせて作られているとの仮説を論文で披露した。
これに対して、科学誌『ネイチャ・メディスン』に掲載された新型コロナ天然起源論文の筆頭著者であるクリスチャン・アンダーセンは
「幼稚園レベルの分子生物学だ」
と揶揄した。
■「実験は武漢で行われる」
前置きが長くなったが、新証拠の中身について説明しよう。
この証拠は
「U.S.Right to kown(USRTK)」
という米国の団体が米政府研究機関の米国地質調査所に情報公開請求をかけて入手した書類である。
USRTKはこれまで多くの情報公開請求をしてきたことで知られる。
しかしながら、多くの政府組織は公開に応じてもその多くを黒塗りにするなど、極めて非協力的な態度を示してきた。
そこでUSRTKが注目したのが地質調査所だった。
この組織は、先述したDEFUSEプロジェクトの研究費申請の共同研究者として名を連ねていた。
この組織ならば情報機関や保険行政機関と違い、情報を隠す動機がないと目を付けたのである。
結果として、その目論見は当たった。
地質調査所はDEFUSEプロジェクトに関する詳細な資料の公開に応じたのである。
公開された資料の中には、マイクロソフト・ワードの校閲機能を使った研究費申請書の編集履歴が残されており、そこに重要な情報が多数含まれていた。
前述の通り、武漢研究所起源を否定するウイルス学者たちは、実験はノースカロライナ大学で実施する予定だったので、武漢研究所は関係ないと主張してきた。
ところが、研究計画書の当該箇所には、エコヘルス・アライアンスのピーター・ダシャックがワードのコメント機能を使い、こう記していた。
「DARPAが心配しないように、全ての仕事はラルフ(ノースカロライナ大学教授)によって行われることにしておいて、予算を獲得したらどこでどの仕事をするか割り振ろう」
「実際には多くの分析は【武漢】で行われることになると私は思っている」
それに対して、ラルフ・バリック教授は書いている。
「米国では、ヒトの細胞に結合して増える組み換えSARSウイルスの研究はBSL2(安全性の低い研究施設)ではなくBSL3(安全性の高い研究施設)の実験室で行われる」
「【武漢】ではBSL2で行われるだろう」
「米国の研究者はそれを知ったら驚くぞ」
彼らは元々、SARSウイルスの危険な組み換え実験を、安全性の低い中国の研究施設で実施する意図があったのである。
フーリン切断部位の挿入箇所についても、新型コロナウイルスと同じスパイク蛋白のS1とS2の間に入れる計画が明記されていた。
更に決定的だったのは、ウォッシュバーンらが論文で予想した通り、全長のウイルスの塩基配列を合成するのに、6つのピースを制限酵素で繋ぎ合わせるという計画が明記されていたことである。
加えて、使われる制限酵素として、ウォッシュバーンが予想したものの発注履歴が含まれていた。
これを見た分子遺伝学者ブライス・ニクルズ教授(ラトガーズ大学)は
「これがSARS-CoV-2の設計図であることは疑う余地がない」
とXにポストしている。
■もはや陰謀論ではない
この文書をUSRTKが2023年12月に入手してから、2024年1月18日にその詳細な分析結果が公表されるまでの間に、米国内では1つの大きな動きがあった。
米国で新型コロナ対策を指揮してきたアンソニー・ファウチ(米国立アレルギー・感染症研究所前所長)が2日間の米下院特別小委員会(非公開)で証言し、新型コロナ武漢研究所起源説は陰謀論ではないこと、6フィート(約1.8メートル)のソーシャル・ディスタンスによる感染予防に科学的根拠はないことを認めたのである。
その直後、前米国立衛生研究所(NIH)所長のフランシス・コリンズも同委員会でファウチの証言を追認したことが明らかになった。
その一方で、ウイルス学者たちは頑なに新型コロナ武漢研究所起源を否定し続けている。
2024年1月3日には、78人のウイルス学者たちが連名で武漢研究所起源を否定し、危険なウイルスを人工合成する研究に対する規制強化に反対する声明を学術誌上で発表した。
彼らがそこまで危険な研究を続けたいのは、多額の研究費を貰い続けるためである。
こうした危険な研究に多額の予算が付くのは、生物兵器に転用できるからである。
それを禁止されてしまうことは、彼らにとって死活問題である。
多額の研究予算を貰うという政治目的のため、新型コロナウイルスが人工合成されたという説は、それがたとえ事実であっても彼らは否定しなければならない。
今の学者の目的は真理の探究ではない。
カネである。
自分の都合のために偽の
「事実」
を作り出す彼らの行動様式は、左翼活動家のそれと全く同じである。
ファウチとコリンズが共に根拠がないと認めたソーシャル・ディスタンスが長期間に渡って有効と喧伝されたのも、実はカネと関係がある。
新型コロナウイルスの感染経路は接触感染と飛沫感染であると政府機関や医療関係者は公式に述べてきた。
であるから消毒やソーシャル・ディスタンス、マスク着用やアクリル板設置などの対策が推奨されてきた。
ところが、実際には空気感染(エアロゾル感染)が主な感染経路だったのである。
このことは、筆者が参加した2023年の日本ウイルス学会学術集会のシンポジウム
「エアロゾルのダイナミズムと空気感染」
で、多くの学者が様々な観点から検証していた。
このシンポジウムを主催したのは仙台医療センターの西村秀一医師で、早期からこの問題に取り組み、一般向けの著書も執筆している。
■カネしか頭にないのか
私はウイルス感染については全くの素人なので、このシンポジウムに参加するまでこの問題をよく知らなかったのであるが、専門家の間ではダイヤモンドプリンセス号の感染の様子から、空気感染が主な感染経路であることは分かっていたそうである。
にもかかわらず、なぜ空気感染が長期間に渡って否定されてきたのか。
その理由を示す証拠が医学と公衆衛生に関する学術情報誌『モダンメディア』(栄研化学)の2022年1月号に含まれている。
その号には、松本哲哉教授(国際医療福祉大学)と惣那賢志教授(大阪大学)を含む5名の教授の座談会(2021年11月26日収録)が掲載されている。
そこで松本教授が注目すべき発言を行っている。
「飛沫感染と空気感染の部分ですが、惣那先生にも協力してもらって、今回、日本環境感染学会の対応ガイドを改訂しました」
「そこで、議論した結果、コロナは空気感染の対象にはしないと判断しました」
「即ち入院患者を全て空気感染扱いとして、陰圧個室に入れる必要はないことを示さないと医療機関側が混乱するので、空気感染の対象から外しました」
つまり、空気感染がないことにされたのには何の科学的根拠もなく、単に医療機関の都合でそうされたのである。
その政治的都合に合わせるため、我々はマスク着用や手洗い消毒、アクリル板設置といった非科学的な感染対策をやらされ続けたのである。
実際、多くの病院で院内感染は起きているが、科学的な対策をしなかったのだから当然である。
なぜ空気感染を否定したかと言うと、陰圧室を作るお金を渋ったからである。
医療機関はワクチン接種や病床確保による補助金で莫大な利益を上げていたのに、陰圧室を作る投資はしなかった。
自分の手元により多くのカネを残すことしか彼らの頭の中にはなかったとしか考えられない。
尚、陰圧室を設置しなくても、防御力の高いN95マスクの着用や感染経路となる空気の通り道で紫外線照射によりウイルスを死滅させるなど、空気感染を防止する工夫の余地は色々あったそうである。
これらはウイルス学会のシンポジウムに参加して筆者も学んだことである。
尚、2023年のウイルス学会学術集会は仙台で開催された。
Xで13万7000人のフォロワーを有し、新型コロナ関係の情報を積極的に発信して大きな影響力を行使した福家良太医師は仙台の病院で働いている。
筆者はせっかく地元で行われる学会なのでと参加を呼び掛けたが、残念ながら彼はそれに応じなかった。
そして、彼は今もマスク着用がコロナ感染予防に効果があるかのような発信を続けている。
福家良太医師は新型コロナ起源問題でも早期から人工説を陰謀論と決め付け、その後、武漢研究所起源を示す証拠が多数出てきても何の訂正もしていない。
積極的に情報発信するなら、その前に勉強すべきである。
でなければ、医師の肩書を使って間違った情報を一般の人々に信じさせる結果になる。
■腐り切った学者・医者
新型コロナ騒動の4年間で明らかになったのは、カネのことばかり考えて人命を救うことなど一切考えない医師が非常に多いという事実である。
それで思いだされたのが、筆者が高校生・大学生の頃のことである。
筆者は生徒の約3分の1が医学部志望という進学校に通っていたが、ほとんどの生徒の志望動機はお金が儲かるから、安定しているから、親に言われたから(親が医者だから)といったものだった。
人の命を救いたいといった志を持っている人はほとんどいなかった。
それが理由で医学部だけには行きたくないという思いを強くした。
そのことは長い間忘れていたが、今回のコロナ騒動の医師たちの振る舞いを見て、当時の記憶がしばしば蘇った。
ただし、最近は新型コロナ対策が間違っていたのではないかと声を上げる医師たちも増えてきた。
さすがにワクチンの副反応被害の実態が顕在化するにつれ、良心的な医師たちは黙っていられなくなったのであろう。
ただ、そういう医師たちはあくまでも少数派である。
医学の世界には、金儲けではなく、人の命を救いたい人が集まるようにしなくてはいけない。
そこで私が提案したいのが、国公立大学医学部卒業生に対して、卒業後一定期間、予備自衛官(医官)として奉職することを義務化することである。
いざという時に自らが危険に晒されても人命を救いたいと思う人こそ医師に相応しい。
実際、軍出身の医師には志が高い人が多い。
米国で早くから新型コロナウイルスは武漢研究所起源の可能性が高いと声を上げた米国疾病予防センター(CDC)元長官のロバート・レッドフィールドは元軍医である。
危険なウイルスを人工的に作る機能獲得研究に反対の声を上げる日本で希少な存在の1人は四ノ宮成祥防衛医科大学校長である。
尚、筆者自身も予備自衛官を10年務めている。
新型コロナ流行下では、コロナに感染した妊婦は有無を言わさず帝王切開にする、発熱のある患者は大火傷で命の危険があっても入院させないといった医師が出現したが、患者の命よりも自分の安全を優先するような人間に医療を任せてはいけない。
予備自衛官としての奉職を義務化すれば、そういう人間は排除することができるだろう。
新型コロナのパンデミックは、学術界・医療業界の腐った実態を露わにした。
人命を救う仕事をするはずの人たちが、何よりもカネを優先して、人命を危険に晒している。
新型コロナ武漢研究所起源は、生命科学研究が世界で700万人以上を殺したことを意味する。
更に、間違った感染対策はその被害を拡大させた。
それを2度と繰り返さないための抜本的改革が急務である。

武漢研究所起源説はもう陰謀論ではない
月刊誌『正論』2021年7月号 掛谷英紀 筑波大学システム情報系准教授
■4つの科学的根拠
ウイルスの起源は、政治的動機に左右されず、あくまで科学に基づいて検証されねばならない。
政治によって事実を歪めるのでは中国と同じである。
そこで、本稿ではウェイドの記事に沿って、SARS2ウイルスが研究所から漏洩した可能性が高いことを示す科学的根拠を紹介することにする。
ウェイドは、その根拠として次の4つを挙げている。
第1に、パンデミックが最初に起きた場所である。
SARS2ウイルスはベータコロナウイルスの一種だが、それらの宿主として知られるコウモリの生息地は雲南省であり、武漢から1500キロメートル離れている。
と同時に、武漢はコロナウイルスを遺伝子組み換え技術で改変して人間への攻撃力を増す研究の中心地であり、そこでの安全管理が不十分であることも周知の事実であった。
第2に、SARS2ウイルスのスパイク蛋白質が、流行初期からほとんど変異していないことである。
ウイルスが人を含む動物に感染するには、まず動物の細胞の表面にある受容体に結合する必要がある。
(SARS2ウイルスの場合はACE2受容体)
この受容体に結合するのが、スパイク蛋白質の受容体結合部位である。
一般に、動物によって受容体は異なるので、ある動物には感染するが、別の動物には感染しないことが多い。
コウモリのコロナウイルスも、そのほんどは人間に感染しない。
受容体結合部位が、コウモリの受容体には結合するが、人間の受容体には結合しないからである。
よって、コウモリのウイルスが人間に感染するためには何度も変異を繰り返さなければならない。
実際、SARSウイルスではコウモリからジャコウネコに感染した後、スパイク蛋白質に6つの変異が生じ、その後、14の変異を経て人間に適応し、その後さらに4つの変異があって流行が始まった。
このように、元々コウモリに適応したウイルスであり、人間に適応したウイルスでない以上、人間の間で感染が広がるには初期に多数の変異が必要なのである。
ところが、SARS2ウイルスは、流行の初期から人間に既に適応しており、ほとんど変異が見られなかった。
これが、SARS2ウイルスが天然由来ではなく、人間に適応するように人工的に改変されたウイルスが研究所から漏れたと疑われる理由である。
この事実を最初に指摘したのは、マサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学の共同機関であるブロード・インスティチュートのアリーナ・チャン博士研究員らの研究グループである。
第3に、
「フーリン切断部位」
の存在がある。
受容体に結合したウイルスは、次に人間の細胞の中に入り込むことが感染に必要である。
そこで役割を果たすのがフーリン切断部位である。
これがあると、ウイルスが細胞の中に入りやすくなる。
SARSウイルスにはフーリン切断部位がないが、SARS2ウイルスには存在する。
実は、ウイルスの遺伝子を組み替えて、人間に感染しやすくする研究(機能獲得研究)は過去に多数行われている。
2015年には、武漢ウイルス研究所の石正麗とノースカロライナ大学のラルフ・バリックを含む研究グループが、コウモリのウイルスの受容体結合部位に人工的に手を入れて、人間に感染しやすくする成果をネイチャー・メディスン誌に報告している。
一方、SARSウイルスにフーリン切断部位を人工的に入れる研究は、中国だけでなく日米欧の多数の研究グループが行っている。
スティーブン・クウェイ博士によると、その成果を公開した論文数は最低11本あり、その中には石正麗を著者とするものも含まれる。
それらの研究で人工的に挿入されたフーリン切断部位と同じ特徴がSARS2ウイルスに見られることが、研究所からの漏洩を強く疑わせる状況証拠となっている。
第4に、フーリン切断部位の遺伝子配列の特徴である。
生物の構造を作り上げる蛋白質は多数のアミノ酸から構成されるが、3つの塩基(遺伝子)配列が1つのアミノ酸に対応する。
塩基は4種類あるため、3つの塩基の列は64種類あることになるが、アミノ酸は20種類しかない。
よって、1つのアミノ酸に対して複数の塩基配列が対応する。
SARS2ウイルスのフーリン切断部位はPRRA(プロリン・アルギニン・アルギニン・アラニン)の4つのアミノ酸の挿入で生じている。
このうち、アルギニンのコードには6種類の塩基配列があり得るが、SARS2ウイルスのフーリン切断部位には、同種のウイルスで最も稀なCGG(シトシン・グアニン・グアニン)という配列が連続して使われているのである。
ウェイドの記事中で、この配列を見たノーベル賞学者ボルティモアが、
「これはウイルスの起源の動かぬ証拠だ」
「SARS2ウイルス自然発生説の強力な反論になる」
と妻に語ったとのエピソードが挿入されている。
■無理がある「天然由来説」
これに対して、SARS2ウイルス天然由来説を唱えていた学者たちはどう反論したか。
2020年3月に
「ネイチャー・メディスン誌」
で天然説を唱えていたクリスチャン・アンダーセンは、上海科技大の趙素文の研究グループの論文を引用し、フーリン切断部位は天然でも起き得るとツイッター上で反論した。
そこで用いられたのが図1だが、これが逆にSARS2ウイルスの特異性を示している。
図1に示す通り、確かに自然の突然変異でフーリン切断部位は生じうる。
だが、最も起きやすい突然変異は、遺伝子の塩基が入れ替わることで、アミノ酸配列が変化することである。
これは比較的頻繁に起こる。
一方、塩基が脱落したり、余分な塩基が挿入されることは、偶に起きるが確率は低い。
図1の左側の樹形図は遺伝的距離を表しており、枝分かれが遠いほど遺伝的距離が遠い(遠い過去に分かれた)ことを表している。
遺伝的距離が近いもの同士では大きな挿入や脱落は起きていない。
ところが、SARS2ウイルス(一番上)とそれに遺伝的距離が近いウイルスの間では、フーリン切断部位だけ綺麗に挿入が行われているのである。
これが自然発生的に起きることは、確率的には極めて低い。
WHOの報告書でも、人工ウイルス説を退ける根拠として、フーリン切断部位が天然に挿入されているウイルス(RmYN02)は見つかっているという別の論文に言及している。
しかし、この論文にも大きな欠点がある。
そもそも報告されているウイルスのアミノ酸配列はフーリン切断部位に類似するだけであり、フーリン切断部位ではない。
加えて、アミノ酸配列を見る限り、フーリン切断部位に類似する配列が挿入されたのではなく、従来のアミノ酸が他のアミノ酸に置き換わった変異と解釈するのが自然なのである。
ところが、この論文ではわざわざ図を細工して、脱落と挿入という非常に確率の低いことが遺伝子配列の一部で連続して起きていると解釈している。
このように、SARS2ウイルスが天然由来であるという
「科学的」
主張は、整合性の低い論理を無理やり通そうとしている跡が如実に見られるのである。

いよいよ濃厚 新型コロナ 武漢ウイルス研究所流出説
それでも権威に従順な学者たちは真実から目を背けてしまう
月刊誌『WILL』2021年12月号 筑波大学システム情報系准教授 掛谷英紀
■疑惑の「申請書」
2019年夏、中国の湖北省でPCR検査機器が大量発注されていたことを日本経済新聞が報じた(2021年10月5日)。
豪州に拠点を置くサイバーセキュリティー企業
「インターネット2・0」
が主体となった調査チームが突き止めた情報で、既に海外で報じられていた内容である。
この情報は、新型コロナウイルスが2019年冬より前の段階で流行し始めていたことを示唆するものである。
しかし現在、新型コロナウイルスの起源解明に繋がる情報として海外で注目されているのは、より直接的かつショッキングなものである。
それは、米国の非営利機関
「エコヘルス・アライアンス(以下EHA)」
が武漢ウイルス研究所などと共同で、2018年にDARPA(米国防高等研究計画局)へ提出していた研究費申請書である。
この研究費申請は結果的に不採択になったが、そこにはSARSウイルスに
「フーリン切断部位」
を人工的に挿入する実験計画が具体的に書かれていたのである。
「フーリン切断部位」
は、新型コロナウイルス(SRAS2)が属するサルベコウイルスにはない不自然なアミノ酸配列として注目されていた。
新型コロナウイルスがヒトに感染するには2つのステップがある。
最初のステップはヒトの細胞表面に結合すること、次のステップはヒトの細胞内に入ることである。
2つ目のステップで重要になるのが
「フーリン切断部位」
である。
SRASウイルスの場合、ヒトの細胞内に入るのに
「TMPRSS2」
という酵素を利用していた。
加えて、フーリンによる切断を利用すると、ウイルスは細胞内に劇的に入りやすくなる。
この
「フーリン切断部位」
の存在が、新型コロナウイルスの感染力の異常な強さに繋がっている。
SARSウイルスに
「フーリン切断部位」
を遺伝子組み換え技術で人工的に挿入する研究は、これまでも世界各国の研究グループによって行われてきた歴史がある。
新型コロナウイルスの
「フーリン切断部位」
が人工的に挿入されたものである可能性が疑われたのは、それが理由である。
しかし、これまでは武漢ウイルス研究所がその種の研究に取り組んだ形跡はなかった。
今回明るみになったEHAの研究計画は、その穴を埋めたという意味で極めて重要な意味を持つ。
■討論会で真実が証明された
この研究費申請書を公開したのは、
「DRASTIC」
と呼ばれる世界から自主的に集まったインターネット上の新型コロナウイルス起源調査集団である。
DRASTICが公開した書類は内部リークで入手されたもので、当初はその真偽が疑われていた。
そのため、米国ネットメディア
「インターセプト」
など、ごく一部でしか報じられなかった。
2021年9月6日、
インターセプトはFOIA(情報公開法)によって、EHAからNIH(米国立衛生研究所)に提出された書類を入手し公開した。
この書類には、EHAの研究報告書も含まれており、そこにはSARSウイルスの
「機能獲得研究」(ウイルスの毒性や感染力を強める研究)
が行われていたことを示す動かぬ証拠があったため、大きな話題になっていた。
その流れで、同社はこの件を報じたものと思われる。
DRASTICが公開した書類が本物だと判明したのは、2021年9月30日に学術誌
『サイエンス』が企画した新型コロナウイルス起源に関する公開討論会である。
この討論会には4名の科学者
(アリーナ・チャン、ジェシー・ブルーム、マイケル・ウォロベイ、リンファ・ワン)
が参加した。
前者2名は新型コロナウイルス研究所起源の可能性は十分あるという立場、後者2名はあり得ないという立場である。
リンファ・ワンはシンガポールのデュークNUSメディカルスクールの教授だが、もともと中国人で武漢ウイルス研究所の石正麗とも親しい関係にある。
DRASTICが公開した研究費申請書にも、研究グループの一員として名を連ねていたため、討論会の前からリンファ・ワンが何を語るかが注目されていた。
この討論会のクライマックスは後半にやってきた。
アリーナ・チャンがリンファ・ワンに、
「研究費申請書にはフーリン切断部位を人工的に入れる研究計画が書かれているが、これは誰の提案だったのか」
と聞いたのである。
それに対して、リンファ・ワンは躊躇しながらも
「ノースカロライナ大学だ」
と答えた。
ノースカロライナ大学には、痕跡が残らないように遺伝子の塩基配列を組み換える技術を開発し、その技術を石正麗に教えたことで知られるラルフ・バリックがおり、彼もこの研究計画の一員として名を連ねていた。
リンファ・ワンのこの回答によって、DRASTICが公開した書類が本物であることが証明されたわけである。
これを受けて、世界の大手メディアがこの研究計画について一斉に報じ始めた。
武漢ウイルス研究所がSARSウイルスに
「フーリン切断部位」
を入れる研究計画をしていたことをもって、新型コロナウイルスが武漢ウイルス研究所起源であると断定することはできない。
だが、偶然にしては出来過ぎである。
研究計画で作ろうとしていたものが、その研究所がある場所でたまたま自然に発生する確率は、ゼロではないが天文学的に低い数字である。
■ウソを繰り返す張本人
万が一、新型コロナウイルスが自然発生したものであっても、それと同じ危険なウイルスを人工的に作成する計画をしていたこと自体、その倫理的責任は追及されて当然である。
DARPAはその研究費申請書を採択していないが、研究者が大型予算を申請する場合、研究計画の内容に含まれている事項については事前に予備的な実験を行い、それが上手くいくことを確認しておくことが多い。
大型予算を取得したのに何の成果も出ないと責任を問われるかもしれないという理由である。
また、計画した研究があるグラント(科学研究補助金)で不採択になっても、別のグラントに通れば、それで実施するのが普通である。
したがって、SARSウイルスに
「フーリン切断部位」
を人工的に挿入する研究が、武漢ウイルス研究所で実際に行われていたことは、ほぼ間違いない。
そもそも、こういう研究計画で予算申請をしていた事実があるのに、それをずっと隠していたことについても倫理的に大きな問題がある。
前出のEHAの代表であるピーター・ダシャックは、これまでも多くの偽情報を繰り返し発信してきた。
彼は、武漢ウイルス研究所ではコウモリは飼育されていないと発言していたが、その後同研究所でコウモリが飼育されている様子を撮影した動画が見つかっている。
2020年2月に学術誌『ランセット』に掲載された
「新型コロナウイルスが自然発生でないことを示唆する陰謀論を断固として批判する」
と主張する27人連盟のレター作成で中心的な役割を果たしたのも彼である。
そこで彼は武漢ウイルス研究所と共同研究をしていたにもかかわらず、利益相反はないと宣言していた。
2021年9月30日、DRASTICの4名を含む世界の10名の研究者が、EHAの理事会宛にダシャックを代表から解任することを求めるオープンレターを公表した。
実は筆者自身もこの10名のうちの1人に含まれている。
このレターは、2021年10月6日に『ニューズウィーク』誌もその内容を報じるなど、海外では話題となっている。
2021年10月10日の英国「デイリーメール」の記事において、フランス・パスツール研究所のウイルス学者サイモン・ウェイン・ホブソン教授は、
「機能獲得研究」(ウイルスの毒性や感染力を強める研究)
に内在する甚大な危険性を考えると、国際的で法的拘束力のある基準が設定されるまで、
「機能獲得研究」(ウイルスの毒性や感染力を強める研究)
の実施とそれに対する資金提供を世界的に禁止する必要があると書いている。
筆者もこの見解に強く賛同する。
■権威に従順な学者たち
海外では大々的にニュースになっているエコヘルス・アライアンス(以下EHA)の研究計画であるが、なぜか日本では全く報じられていない。
最大の理由は、日本の生命科学者や医師に、新型コロナウイルス研究所起源の可能性について解説しようとする人がいないことだろう。
それゆえ、日本経済新聞が報じたPCR検査機器のように、素人にも理解しやすいことは記事にできても、
「フーリン切断部位」
のように科学リテラシーを要する内容は、日本のメディアは記事にできないのではないか。
現在、日本で新型コロナウイルスの起源が武漢ウイルス研究所である可能性を論じているのは、神田外国語大学興梠一郎教授、明海大学の小谷哲男教授など、中国や安全保障の専門家だけで、科学的観点から論じているのは筆者しかいない。
筆者は科学者ではあるが、分子生物学を専攻していたのは遠い昔のことであり、現在の専門は電子情報工学である。
本来ならば、生命科学を専門とする人がこの問題を論じるべきだが、日本にこれだけ大量の生命科学者がいながら、その役割を果たす人が誰一人いないというのはあまりに異常である。
逆に、新型コロナウイルスは研究所起源では絶対ないと断言した医師も少なくない。
ツイッターで多数のフォロワーを抱える峰宗太郎氏やEARLの医学ツイートはその代表例である。
木下喬弘医師は新型コロナウイルス研究所起源を論じるのは下品だと断じた。
彼にはウイルス起源の討論会を企画・実施した『サイエンス』誌を
「下品だ」
と罵ってほしいところだが、その勇気はないだろう。
権威には従順なのが日本の学歴エリートの習性である。
もちろん、権威に従順な学者が多いのは日本に限ったことではない。
しかし、海外にはそうした権威に負けずに真理を追い求める医学者も少なくない。
米スタンフォード大学のデイビッド・レルマン教授や豪フリンダース大学のニコライ・ペトロフスキー教授がその代表例である。
日本にも新型コロナウイルスについて詳しい医学者がいないわけではない。
広島大学の坂口剛正教授はその1人である。
ユーチューブで公開されている彼の新型コロナウイルス解説動画は10万回再生を越えている。
だが、その動画の中で、新型コロナウイルスが細胞内に入る機構として解説されているのは
「TMPRSS2」
という酵素だけで、
「フーリン切断部位」
には触れられていない。
アルファ株やデルタ株の感染力の強さも、
「フーリン切断部位」
の変異で説明できるほど重要な部分であるのに、それに敢えて触れなかったのはなぜか。
「フーリン切断部位」
について積極的に論じる海外の生命科学者とはあまりに対照的である。
■ならば専門家など必要ない
ウイルス起源の問題に限らず、新型コロナウイルスについて、日本の医学者たちがこれまで発信してきた情報には問題があまりに多い。
ワクチン推進の医師たちは、日本でもワクチン忌避が起きると煽っていた。
私は
「心配しなくても日本の接種率は8割近くになるだろう」
と言って猛反発に遭ったが、結果として私の方が正しかった。
京都大学の西浦博教授は、五輪開催で気の緩みが出るからと、五輪中止とロックダウンを推奨した。
私はそれにツイッター上で反論して彼からブロックされた。
しかし、実際には五輪開催中に人流は減ったことが確認されており、その後ロックダウンをせずとも感染者数が激減したのはご承知の通りである。
ところが、医師というのは仲間意識が強いようで、未だに西浦氏を擁護する人が少なくない。
例えば
「あれは予測はなくシミュレーションだ」
という言い訳をよく見る。
だが、西浦氏は
「対策の効果が出て人流が減るなどし、増加のペースが前の週の1.2倍に抑えられた場合でも、2021年8月21日には7000人を超える」
と発言していた。
確かに、各種政策による人流減の効果がどの程度かは感染症の専門家には分からない。
その意味で、五輪での気の緩みという発言は感染症学者として不適切である。
よって、複数のシナリオによるシミュレーションは必要だ。
しかし、人流の数値から実効再生産数を予測するのは感染症学者の領分ではないか。
人流が減っても実効再生産数が1.2にしか抑制されないと見積もっていた彼のモデルに何らかの欠陥があるのは明らかだ。
その点を追及しないのは、学術的に見て異常である。
実効再生産数が1.2なら7000人を超えるという計算は高校生でもできる。
それをもって自分は正しいことを言っているというなら、専門家など必要ない。
日本に真理を探究する医学者がいないとするなら、海外から呼び寄せるしかない。
日本の学術界の人材不足はそれほど深刻である。

米情報長官室、コロナ起源で武漢研究所からの流出を否定せず
2023/6/24 16:39
https://www.sankei.com/article/20230624-HRZOVWCCDJMAFBWGMV3PLGNCGM/
米国家情報長官室は2023年6月23日、新型コロナウイルスの世界的流行の起源に関する報告書を発表した。
同室が統括する各情報機関はいずれも、最初に人への感染が起きたのは自然界でウイルスを保有していた動物への接触だとする説と、中国・武漢ウイルス研究所に関連しているとの説は
「両方あり得る」
とし、研究所から流出した可能性を否定しなかった。
各機関の見方には濃淡があり、国家情報会議などは自然起源の可能性が高いとした一方、エネルギー省や連邦捜査局(FBI)は研究所起源とみられるとした。
中央情報局(CIA)などは判定不能とした。
人工的に操作されたウイルスや生物兵器ではないとの見方では、ほぼ一致した。
バイデン大統領は2023年3月、流行の起源に関してできるだけ多くの情報を公表するとの法律に署名、今回の報告書に繋がった。
科学者の間では、生きた動物を扱っていた武漢市内の海鮮市場が起点との見方が強い。(共同)

元中国機関トップ「武漢研究所漏洩説」否定せず 新型コロナ
2023/5/31 8:21
https://www.sankei.com/article/20230531-OCEQ3NZVJBN4XAUDVF6Y5HGL7E/
昨年まで中国疾病予防コントロールセンターのトップを務めた高福氏が2023年5月31日までに英BBC放送のインタビューに応じ、新型コロナウイルスが中国科学院武漢ウイルス研究所から漏洩したとの説について
「全てを疑うのが科学だ」
「何事も排除すべきではない」
として、否定しなかった。
中国政府は研究所からの漏洩説を否定している。
感染拡大の対応や起源に関する調査で、政府の専門家として役割を果たした高氏の発言は異例だ。
ウイルスの起源は諸説あるが特定されていない。
高氏は起源について
「疑問はまだある」
と指摘。
研究所については
「(中国の)専門家による二重の調査を受けている」
とも述べた。
新型コロナの集団感染は、湖北省武漢の
「華南海鮮卸売市場」
で、世界で初めて確認された。
中国疾病予防コントロールセンターは市場で集めた試料を分析。
動物が感染していたかどうかは特定できず、ウイルスの起源は不明だと2023年4月に論文報告した。
一方、米情報機関の幹部は、コウモリのコロナウイルスを扱っていた研究所からの流出を疑う発言をしている。(共同)

主張
緊急事態が終了 WHOの責任を問い直せ
2023/5/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20230509-LISM2HFHURMQHIIAURJQB54YKM/
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が、長きに渡った新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言を終了すると発表した。
ワクチンの普及などにより新規感染者数や死者数が減少したためだ。
あらゆる国・地域に甚大な影響を及ぼした新型コロナのパンデミック(世界的大流行)の終息に向けた重要な節目と言えるだろう。
だからといって見過ごせないことがある。
2019年12月に中国の武漢市で感染が確認された後にWHOが取った対応のまずさである。
テドロス氏はかねて中国の影響下にあると批判されてきた。
それが中国発の感染症に対するWHOの対応を不十分なものとしたのではないか。
この点の検証を行わず、有耶無耶に幕引きを図ることは許されない。
WHOは2020年1月22、23両日に緊急委員会を開いたが、宣言を見送った。
事態は悪化の一途を辿っていたのに、テドロス氏は2020年1月28日、北京で
「中国政府が迅速で効果的な措置を取ったことに敬服する」
と絶賛した。
ようやく宣言が出たのは2020年1月30日だ。
テドロス氏は宣言について、中国側から慎重な判断を求められていた。
ウイルスの起源解明を巡り、WHOの国際調査団が武漢入りしたのは発生から約1年後の2021年1月だった。
中国側が同意した場所に限られた調査は中国の主張にお墨付きを与えただけと指摘された。
こうした対応が中国による事実関係の隠蔽を助長したのではないか。
そうであるならWHOの一連の対中姿勢が世界に惨禍をもたらしたと言っても過言ではない。
致命的なミスは他にもある。
日米など多くの国がWHO年次総会への台湾のオブザーバー参加を求めていたにもかかわらず、これを認めなかったことだ。
ここでも中国への配慮があったのだろう。
感染症対応で台湾という空白域を作ったのは国際社会への背信行為である。
しかも初期の感染封じ込めに成功した台湾の知見も生かせなかった。
これでは国際機関の役割を果たせたとは言えまい。
テドロス氏の責任も含めてWHOの判断の妥当性が問われるべきは当然だ。
そのために第三者による検証作業を行ってはどうか。
2023年5月13、14両日には長崎市で先進7カ国(G7)保健相会合が開かれる。
日本はWHOの検証と改革の必要性を訴えるべきである。

コロナ対応節目も起源は未解明 中国への協力要求課題
2023/5/8 19:59
https://www.sankei.com/article/20230508-FU7U4V74HVOXZDZX77ZVDANVOI/
新型コロナウイルス感染症への対応は、世界保健機関(WHO)による緊急事態宣言の終了と日本での感染症法上の
「5類」
移行によって、大きな節目を迎えた。
だが、新たな変異株への警戒が続く中で、再発防止に重要なウイルスの起源解明は残されたままだ。
その実現のためには、中国側に積極的な協力を求めていくことが国際社会の課題となる。
新型コロナの起源を巡っては、動物から人間に感染して広がったとする
「動物由来説」
の他、中国湖北省の中国科学院武漢ウイルス研究所から流出した可能性も完全には否定されていない状況が続いている。
米国では連邦捜査局(FBI)のレイ長官が2023年2月、ウイルス研究所から流出した可能性が
「最も高いと分析している」
とメディアで強調。
米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、米エネルギー省の機密報告書も起源について同様に結論付けた。
ただ、大統領の諮問機関の国家情報会議(NIC)など5機関は動物由来説を支持し、中央情報局(CIA)は
「不明」
との立場を取る。
バイデン大統領は2023年3月、起源に関する機密情報の開示を求める法案に署名し、今後の開示が注目されるが、決定的な情報が出てくるか不透明だ。
WHOのテドロス事務局長は緊急事態の終了に先立つ2023年4月6日の記者会見で、
「大勢の人が苦しんでいることから(WHOに)道義的な責務がある」
と述べ、起源解明への努力を続ける姿勢を強調している。
WHOは2021年初めに国際調査団を武漢に派遣し、研究所流出説の可能性を
「極めて低い」
とする報告書をまとめた。
だが、中国側のデータ提出は不十分とし、起源調査に関する諮問団を新設。
テドロス氏は中国が情報を共有すれば、
「何が起きたのか、どのように始まったのかが分かる」
と協力を求めている。
これに対し、中国疾病予防コントロールセンターの沈洪兵主任は2023年4月8日の記者会見で、WHOの姿勢を
「起源調査の政治化だ」
「中国の科学界は容認しない」
と反発。
センター関係者も
「武漢に注目し続けるべきではない」
と主張した。

コロナ対応批判で実刑判決 武漢の市民記者、秘密裁判
2023/4/20 9:33 産経新聞
新型コロナウイルスの大規模感染が初めて確認された中国湖北省武漢で、流行初期の実態を発信した市民記者、方斌氏が秘密裁判により実刑判決を受けていたことが分かった。
懲役3年程度とみられる。
当局に連行され、消息不明となっていた。
近く刑期を終えて出所するという。
罪名は不明。
米政府系のラジオ自由アジア(RFA)が2023年4月20日までに伝えた。
方氏は2020年2月、都市封鎖(ロックダウン)された武漢で医療現場の混乱や死者が急増する様子を取材し、動画で発信。
政府の対応を
「人災」
と批判していた。
RFAによると家族が最近、2023年4月30日に出所するとの通知を当局から受けた。
家族は現在も方氏が何の罪に問われ、どういった判決を受けたのか知らないという。(共同)

コロナ起源「武漢研究所の可能性高い」 米FBI長官が言及
2023/3/1 12:07
https://www.sankei.com/article/20230301-DQJMWJIF6BKVJGEMRFDMLPHGQ4/
米連邦捜査局(FBI)のレイ長官は2023年2月28日放映のFOXニュースで、新型コロナウイルスの起源について、中国湖北省武漢のウイルス研究所から流出した可能性が高いと述べた。
米エネルギー省も確度は不十分としながら同様の分析結果をまとめたと報じられている。
FBIは、これまでも研究所流出説を唱えていた。
ただ米政府内では自然界の動物から人間に感染した説を支持する機関もあり、現時点で統一した見解は出ていない。
レイ氏は
「パンデミック(世界的大流行)は、武漢の研究所から始まった可能性が最も高いと分析している」
と語った。
中国が、新型コロナの起源を巡る調査を妨害してきたと批判。
「米国や友好国の取り組みを混乱させようと躍起になっている」
「全ての人々にとって不幸なことだ」
とした。(共同)

コロナ起源、武漢のウイルス研究所と分析 米エネ省、政府内で相違も
2023/2/27 9:51
https://www.sankei.com/article/20230227-C325QWDQXVJCLDN5Y5HUMS4VNE/
米紙ウォールストリート・ジャーナル電子版は2023年2月26日、エネルギー省が新型コロナウイルスの起源について、確度は不十分ながら中国湖北省武漢のウイルス研究所から流出した
「可能性が高い」
との分析結果を出したと報じた。
米政府内では、自然界の動物から人間に感染した説を支持する機関も複数あり、判断に相違が生じている。
研究所流出説は連邦捜査局(FBI)も唱えている一方、分析結果を確定させていない情報機関も存在。
同紙は
「新型コロナの起源に関し、米情報コミュニティー内で如何に異なる判断が存在するかを浮き彫りにしている」
と指摘した。
ただ、いずれの情報機関も、新型コロナが中国による生物兵器開発の結果ではないとの意見では一致しているという。
同紙は機密扱いの報告書の内容として報道。
エネルギー省は
「低い確信」
に基づく判断としつつ、ウイルス研究所で意図しない形での流出が起きた可能性が高いと結論付け、ホワイトハウスにも伝達した。(共同)

コロナ起源調査で協力要請 WHO、中国高官に書簡
2023/2/16 9:33
https://www.sankei.com/article/20230216-SPNDVNMJZVJR3JD7DJ73DRZIKE/
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は2023年2月15日の記者会見で、新型コロナウイルスの起源解明に向け
「7週間前に中国の高官に書簡を送り、協力を求めた」
と明らかにした。
起源が判明するまで調査を続けていく意向も示した。
コロナの起源調査を巡っては、最初に大規模流行が起きた中国からの情報提供の不足が指摘されている。
テドロス氏は
「次のパンデミック(世界的大流行)に備えるためにも、どのように始まったかを知る必要がある」
と強調した。(共同)

あのテドロスも大物学者も、新型コロナ=武漢研究所流出説を認定
潮目が変わった! それでも日本のアカデミズムはダンマリ
月刊誌『WiLL』2022年9月号 筑波大学システム情報系准教授 掛谷英紀
■大物の気付き
安倍晋三元首相が凶弾に倒れた。
ただただ残念である。
悪夢の民主党政権の3年間、私は日本が隣の全体主義国家・中国に呑み込まれるのを覚悟した。
それを救ったのが再登板した安倍首相の外交だった。
アジア太平洋地域の自由と民主主義を守るために奔走した。
感謝しかない。
だが、中国伸張の危機はまだ去っていない。
中国と世界各国との今後の関係を大きく左右するのが、新型コロナウイルスの起源問題である。
海外では2022年5月から6月にかけて、大きな動きが2つあった。
1つは、PNAS(米国科学アカデミー起要)に掲載されたニール・ハリソンとジェフリー・サックスの共著論文である。
サックスはコロンビア大学の経済学の教授で、有名医学雑誌『ランセット』のCOVID19委員会座長も務める大物である。
ハリソンは同じコロンビア大学の分子薬理学者である。
この論文は、新型コロナウイルスがその塩基配列の特徴から武漢ウイルス研究所が起源であることを強く疑われることの解説と、起源調査の必要性に関する論述からなる。
サックスはこれまで、新型コロナウイルス研究所起源説は陰謀論であるという立場だった。
今になって、彼はなぜ見解を変えたのか。
私は本人から直接話を聞く機会があったが、FOIA(米国の情報公開制度)で明らかになったNIAID(米国立アレルギー感染症研究所)のアンソニー・ファウチ所長とウイルス学者たちの間の私信(電子メール)、及び米国の非営利機関・エコヘルス・アライアンス(EHA)が武漢ウイルス研究所などと共同で2018年にDARPA(米国防高等計画局)へ提出していた研究費申請書のリークの影響が大きかったようである。
前者において、ファウチ周辺のウイルス学者たちは、表での主張とは裏腹に、仲間内では新型コロナウイルスは研究所起源の可能性が高いと言っていたことが明らかになっている。
つまり、新型コロナウイルスは武漢ウイルス研究所を含む研究グループが実際に作ることを予定していたウイルスということになる。
サックスは民主党支持者で、その基本スタンスは国際協調路線である。
ウクライナ戦争については、NATOの東方拡大がロシアを刺激したことが原因との立場を取っている。
新型コロナウイルスの起源についても、彼の追及の矛先は中国ではなく、武漢ウイルス研究所の石正麗らに技術や研究費を供与した米国内の機関や研究者に向いている。
2022年6月にスペインのゲイトセンターが主催した講演会でも、サックスは
「新型コロナウイルスは天然起源ではなく、米国の研究所のバイオテクノロジーによって作られたと私は確信している」
と発言した。
■WHOテドロスの変節
もう1つの大きな動きはWHO(世界保健機関)を舞台としている。
2022年6月9日、WHOのSAGO(新病原体の起源に関する助言グループ)は、新型コロナウイルスの起源について、研究所流出の可能性を排除できないとの報告を出した。
更に2022年6月18日、英紙『デイリーメール』はWHOのテドロス事務局長が欧州の有力政治家に
「私は新型コロナウイルスの研究所起源を確信している」
と打ち明けていたと報じた。
2021年3月、WHOの調査団は
「新型コロナウイルスが研究所流出を起源とする可能性は極めて低い」
とする調査報告書を公開している。
しかしながら、この調査団には利益相反のあるEHAのピーター・ダシャクが含まれていたこと、冷凍食品からの感染という科学的にあり得ない説が真面目に取り上げられていたことなどから、その信憑性が疑われていた。
更に、同調査団のピーター・ベンエンバレク団長は、報告書は中国の圧力で書かされたものであったことをテレビ番組内で認めるに至った。
この1次調査が不十分であることをWHOは認め、SAGOが結成されたという経緯がある。
欧米でも、2021年の初旬までは新型コロナウイルス研究所起源説は
「陰謀論」
扱いされていた。
しかし2021年5月、原子力科学者会報にニコラス・ウェイドがノーベル賞受賞者のエイビッド・ボルティモアの発言を引用しながら研究所流出説を強く示唆する記事を書いて以降、研究所起源を論ずることがタブーではなくなった。
前述のベンエンバレクの発言も、WHOのSAGO結成も、その流れを受けてのものである。
今や米国の世論調査では、新型コロナウイルスは研究所起源と考える人が大多数を占めるに至っている。
■オミクロン株も研究所起源か
新型コロナウイルスの起源問題は、なぜ、絶対に放置してはならないのか。
天然であれ研究所であれ、起源が分からなければ、次にパンデミックが起きることを防止するための適切な対策が打てない。
更に、研究所起源であるのに発生源に何の責任追及も行われなければ、悪意の人に誤ったメッセージを与えることになる。
私は新型コロナウイルスは事故で流出したもので、意図的な拡散だとは思っていない。
しかし、発生源を曖昧に出来ると分かれば、次は悪意で拡散を企図する人が出てきても何ら不思議ではない。
恐れていた事態は意外に早く訪れた。
オミクロン株の流行である。
オミクロン株のスパイク蛋白が、それまでの変異株と大きく異なることについては、しばしば語られるので聞いたことがある人も多いだろう。
だが、単に変異が多いだけでなく、変異の中身も非常に不自然なのである。
つまり、武漢で発生した新型コロナウイルスの原株だけでなく、オミクロン株も研究所起源が疑われるのである。
オミクロン株のスパイク蛋白には、1つの塩基が他の塩基に入れ替わる変異が29個あるが、そのうち同義置換(塩基は変化するがアミノ酸は変化しない変異)は1つしかなく、残りの28個は全て非同義置換(塩基もアミノ酸も変化する変異)である。
ランダムに変異が起きると、同義置換と非同義置換の比は約1対3となる。
モデルを立てて検証を行ったところ、オミクロン株の変異の偏りが自然発生する確率は1000分の1.6以下であるという結果が得られた。
この分析については、、東京工業大学の松本義久教授と共著でプレプリント(査読前論文)を公開している。
オミクロン株の研究所起源を疑っているのは我々だけではない。
イタリア分子腫瘍学研究所の荒川央博士は、オミクロン株だけでなく他の主要な変異株も自然発生する確率は低いとの分析結果をプレプリントで発表している。
また、ドイツの分子生物学者バレンティン・ブラッテルは自身のウェブサイトで、オミクロン株のスパイク蛋白変異のほとんどは、既存の研究や変異株においてその機能が知られているものであり、それらを寄せ集めて人工的に作られたウイルスである可能性が高いと主張している。
彼は、あらゆる変異に対応する
「パンバリアント」
ワクチンの研究開発過程で人工的に作られた変異株が外に漏れたのがオミクロン株の正体ではないかとの仮説を述べている。
オミクロン株が研究所起源だったとすると、その前にウイルス機能獲得研究をしている世界中の研究所を総点検して監視を強化していれば、オミクロン株による世界的な大被害は防げたことになる。
研究所起源説に対して陰謀論とレッテルを貼り、そうした調査点検作業を妨害してきた人々の責任は重い。
テクノロジーの進歩により、遺伝子操作で危険な病原体を人工的に作り出すことは容易になっている。
そのため、病原体の感染力や毒性を人工的に高める機能獲得研究は世界中で行われている。
それらの研究は、しばしば今後流行する病気を予測するため、そしてその治療法を開発するために必要であるとウイルス学者たちは主張する。
しかし、マサチューセッツ工科大学のケビン・エズベルトが指摘するように、病原性を増す変異の可能性は無数にあり、今後自然発生する人間の感染症を正確に予測することは不可能である。
よって、機能獲得研究は疫病の予防や治療には繋がらない。
実際、新型コロナウイルスのパンデミックにおいても、機能獲得研究はその発生を予測・予防することにも、治療法を確立することにも全く役に立たなかった。
■日本のアカデミズムは動かず
2022年2月、ドイツのハンブルグ大学の物理学者ローランド・ビーゼンダンガーを中心とする世界の50人が、パンデミックを引き起こし得る病原体に関する高リスク機能獲得研究を全世界で中止することを要求するハンブルグ宣言を発表した。
日本人は筆者の他に、前述の荒川央博士と防衛医科大学の四ノ宮祥学校長が署名した。
生命科学において、危険な研究に対する警鐘が発せられたのはこれが初めてではない。
2012年、生命科学界を震撼させる研究が行われた。
鳥インフルエンザウイルスを人工的に哺乳類に感染できるようにする機能獲得研究である。
それを実施したのは河岡義裕教授の研究チームである。
この種の危険な研究に対しては、生命科学者からも批判の声が上がった。
2014年、研究者有志(ケンブリッジ・ワーキング・グループ)が、危険な研究の制限を求める声明を出した。
この声明には約400の学者が署名しているが、日本人は1人も含まれていない。
その意味で、ハンブルグ宣言に3人もの日本人が署名したのは大きな進歩と言えるだろう。
しかしながら、日本の生命科学界全体の体質は、2014年当時とほとんど変わっていないように思われる。
海外では新型コロナウイルスの起源を追究する勇気ある生命科学者が複数現れたが、日本には約2年間で1人もいなかったのである。
私は研究倫理に関する複数の団体に属しており、そこでの活動を通じて生命科学者たちにアプローチしたが、無視され続けた。
多数の学会を束ねた団体の論理部門の委員として、その団体に属する生物系の学会にアプローチしたが、学会の会長も副会長も聞き取り調査にすら応じなかった。
研究倫理教材を作る団体の生命科学系の理事にも何度か連絡したが、ずっと無視され続けた。
研究倫理の教材には、データを隠さず共有すること、利益相反を明らかにすることを指導する内容が含まれている。
新型コロナウイルスの起源をめぐっては、その原則に反するような行動が相次いだ。
中国は2019年9月以降、それまで公開していたウイルスのデータベースを非公開のままにしている。
新型コロナウイルスの起源を調べる上で重要なデータを、パンデミック発生後も隠蔽しているのである。
これは明らかに研究倫理に反する行為である。
現実の研究不正を目の当たりにしても、研究倫理を推進する立場の人々が何の声も上げないのを見ると、研究倫理の議論自体に意味がなかったのではないかと思う。
日本学術会議の存在意義も疑われる。
米国では日本の学術会議に相当する科学アカデミーとの共同声明で、中国に新型コロナウイルス起源調査の透明性確保のため、データ公開に協力するよう要請している。
しかし、日本学術会議は何もしていない。
尚、前述の鳥インフルエンザ機能獲得研究で世界を震撼させた河岡氏は日本学術会議の現会員である。
■「神様」が作ったウイルス
日本では新型コロナウイルスの起源は話題にすら上らない。
ほとんどの人が自然発生であると今も信じているものと思われる。
欧米では研究所起源説が陰謀論と言われていた2020年においても、その可能性を指摘する科学者は少数ではあるが存在していた。
しかしながら、日本でそれを公言していた科学者は、私の知る限り私1人であった。
逆に、新型コロナウイルスは研究所起源では絶対ないと断言した学者や医師は少なくない。
ツイッターで多数のフォロワーを有する医師たちが、研究所起源説を陰謀論と断定したため、私も長らく陰謀論者扱いを受けることになった。
大事なのは起源を追究することより目の前のパンデミックを収束させることだとも言われた。
しかし、デルタ株の流行が収まって小康状態を迎えても尚、起源に関心を寄せる日本人はいなかった。
日本の生命科学者のほぼ全員が沈黙を守り続ける中、2022年6月に大きな動きがあった。
ベストセラー『ウイルス学者の責任』(PHP新書)で知られ、メディア露出も多い京都大学の宮沢孝幸准教授が、ラジオ番組とインターネット番組で、新型コロナウイルスが研究所起源である可能性に言及し始めたのである。
宮沢氏は長い間、新型コロナウイルス研究所起源説を陰謀論として批判してきた。
今になって意見を変えたのは、前述のオミクロン株の変異の異常を見てのことだという。
「神様」
あるいは
「宇宙人」
が作ったとしか思えないという独特な表現で、その変異が人為的なものである可能性が極めて高いことを示唆している。
オミクロン株の異常を見せられると、武漢原株の研究所起源も否定できなくなったようだ。
右の発言後、宮沢氏とツイッターでやり取りをした。
宮沢氏は新型コロナウイルスに見られる不自然な配列(前述のフーリン切断部位)には当然気付いていたようである。
だが、性善説を信じたかったことと、国内のBSL(バイオセーフティレベル)4の施設の運用に影響が出る心配があったことを、研究所起源説を退けた理由に挙げている。
このうち後者については、研究者の利便を公衆の安全に優先させるもので看過できない。
■安倍晋三の功績
ウイルス学者に対する追及と並行して我々が行うべきは、中国に対する責任追及である。
中国当局は2019年末の段階でこのウイルスがヒト・ヒト感染することを把握していたのに、それを隠して感染者を世界中に旅行させてパンデミックを起こしたことは証拠のある事実である。
これだけでも人道に対する大罪だが、ウイルスの起源が武漢の研究所だとすれば、その罪の重みは測り知れない。
2022年7月8日、『ワシントンポスト』のコラムで、記者のジョシュ・ロギンは安倍元首相を以下のように称えた。
「世界の他の指導者たちが中国政府と協力的な関係を続けることにまだ固執していた時、力で世界の秩序を破壊するという中国の決意を見抜き、それに備えることを始めた指導者である」
新型コロナウイルスの起源を追う国際的研究者集団「パリグループ」メンバーでもあるジェイミー・メッツルは、2022年7月10日のCNNのインタビューでこう語っている。
「日本(安倍政権)は中国との友好関係はあり得ないと気付いて、米国、韓国、オーストラリア、インドなどと関係を強化した」
「安倍首相が表明したのは、日本は普通の軍隊を持つ普通の国になる権利があり、人道支援と世界中の弱者救済活動で世界を先導した日本の過去70数年の功績は誇るに値するということだ」
「安倍首相は今後もそれを継続するために尽力したのであり、私は日本の明るい未来を信じている」
メッツルはクリントン政権で働いた民主党員である。
米国のリベラルからこの発言を引き出した安倍元首相の功績は果てしなく大きい。
新型コロナウイルス疫病で中国が世界に対して取った行動は、同国の世界秩序に対する挑戦である。
世界がその責任を追及しようとする中、日本がそれに関与しないのは、安倍元首相が作り上げた世界の日本に対する期待を裏切ることになる。
残念ながら、その期待に応えようとする日本の生命科学者は皆無だが、少なくとも私はその役割を全うするつもりだ。
2022年11月には米国で中間選挙が行われる。
共和党の優勢が伝えられるが、同党にはウイルスの起源問題を徹底追及する構えの議員が多数いる。
今は上下院とも民主党が多数派で、ファウチを徹底的に守っている。
だが、選挙で共和党が勝てば状況は大きく変わる。
実際、ランド・ポール上院議員は共和党が過半数を取れば、議会の召喚権限を使ってファウチや武漢ウイルス研究所と関係のある米国内の学者たちを強制捜査すると言っている。
そこでウイルスの起源を示す決定的証拠が出ることを期待したい。

カナダから受け取った郵便物からオミクロン株と見られるウイルスが検出されることなどあり得ない。
なぜなら、オミクロン株は国際郵便物の中では決して生き残れない。
オミクロン株が郵便物の上で生存するのは不可能、中国の見解は全く科学的でない。
感染者が直近の14日間、北京市外に出ていないからと言って、それだけで感染者が海外からの郵便物を通じて感染したとする根拠にはならない。
中国が、海外からの郵便物を通じて感染した可能性を排除できないと主張する理由は、北京冬季五輪の最中に感染が拡大した場合の言い訳として準備しているためで、事態が悪化した時にウイルスは外から来たと言えるようにするためだ。

北京、オミ株感染源は「海外郵便」 カナダが一蹴
2022/1/18 21:10
https://www.sankei.com/article/20220118-P7GZ7PFBQFOONOVSUEEDX24IPA/
北京市当局は2022年1月18日までに、同市内で2022年1月15日に初確認された新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」について、
「海外からの郵便物を通じて感染した可能性を排除できない」
と表明した。
感染者が受け取ったカナダからの郵便物を調べたところ陽性反応が出たと説明するが、カナダのデュクロ保健相は
「異常な見解だ」
と一蹴している。
北京当局は2022年1月17日の記者会見で、同市海淀(かいでん)区の感染者が受け取った国際郵便物からオミクロン株とみられるウイルスを検出したと明らかにした。
カナダから2022年1月7日に発送され、米国と香港を経て2022年1月11日に感染者が受け取った。
同じルートで別の場所に届いた未開封の郵便物を調べたところ、ここからも陽性反応が出たという。
当局は
「海外からの商品購入をなるべく控えるように」
と呼びかけた。
中国はこれまでも、冷凍食品など海外からの輸入品の表面に付着したウイルスによる感染リスクを主張している。
一方、カナダ放送協会(CBC)によると、デュクロ氏は2022年1月17日の記者会見で
「(中国側の見方は)我々が国際的、国内的に観察してきたことと一致しない」
と否定的な見方を示した。
トロント大公衆衛生大学院のアンナ・バネルジ准教授はCBCの取材に、
「オミクロン株は国際郵便物の中では決して生き残れない」
と指摘。
中国側の主張に
「科学的根拠があるとは思えない」
と語った。

郵便物感染源は「突飛な考え」 カナダ、中国の見方を否定
2022/1/18 12:23
https://www.sankei.com/article/20220118-7H4FKZXXQZJABERJKBAVVZAOE4/
カナダのデュクロ保健相は2022年1月17日、中国北京市で感染が初確認された新型コロナウイルスの新変異株オミクロン株について、中国当局がカナダからの国際郵便が感染源との見方を示したことについて
「突飛な考えだ」
と否定的な見解を示した。
カナダ放送協会(CB)によると、保健相は
「(中国側の見方は)国際的、国内的に我々(の検証)とそぐわない」
と述べた。
カナダのある研究者はオミクロン株が郵便物の上で生存するのは不可能と述べ、中国の見解は
「全く科学的でない」
と批判した。
カナダの外交専門家は、今回の中国の指摘について、北京冬季五輪の最中に感染が拡大した場合の
「言い訳」
として準備していると指摘。
「事態が悪化した時に(ウイルスは)外から来たと言えるからだ」
と説明した。(共同)

中国「海外郵便で感染の可能性」北京のオミクロン株の見解発表
2022年1月17日 18時38分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220117/k10013435541000.html
中国 北京市の当局は、新型コロナの変異ウイルス、オミクロン株の感染者が市内で初めて確認されたことについて
「海外からの郵便物を通じて感染した可能性が排除できない」
とする見解を発表しました。
検査の強化なども打ち出し、オリンピックの開幕を目前に控え、国内外の不安を払拭したい構えです。
北京では2022年1月15日、オミクロン株の感染者1人が初めて確認され、市当局は大規模なPCR検査を行うなどして、他に感染者がいないか調べています。
こうした中、当局は2022年1月17日に記者会見し、これまでに新たな市中感染は確認されていないとした上で
「感染者は海外からの郵便物を通じて感染した可能性が排除できない」
とする見解を発表しました。
その根拠として、感染者が直近の14日間、市外に出ていないことや、カナダから受け取った郵便物からオミクロン株と見られるウイルスが検出されたことなどを挙げ、海外からの商品の購入をなるべく控えるよう呼びかけています。
市当局は、この他、2022年1月22日以降に市内に入る人には、到着後72時間以内にPCR検査を受けるよう新たに義務づけるなど、開幕を2022年2月4日に控えた北京オリンピックに対する国内外の不安を払拭したい構えです。

暴かれる武漢ウイルスの全て
世界の科学者や専門家、ジャーナリストの間でももはや「人工説」を疑う者はいない
月刊誌『WiLL』2021年10月号 ノンフィクション作家 河添恵子フェイスブック(FB)やツイッターなどのSNS(会員制交流サイト)で、中国関係者とみられる偽アカウントが政治的な投稿を行うケースが後を絶たない。
実在しない欧米などの民間人を装い、新型コロナウイルスの起源や新疆ウイグル自治区の人権問題について、中国政府の意向に沿った主張を投稿。
中国では規制されて使えない欧米のSNSを用い、国際世論の風向きを変えようと情報工作を展開している。
■実在しないスイス人生物学者
米メタ社は2021年11月、運営するFBやインスタグラム上から、偽情報の拡散を目的にしたアカウント約850個を削除したと発表した。
パレスチナ自治区やポーランド、ベラルーシに関連するものも含まれていたが、全体の7割を超える600個以上が中国に関係するアカウントだった。
調査の結果、これらは2021年夏以降、中国本土から発信され、米英の英語話者や台湾、香港、チベット自治区の中国語話者を標的にしていたことが判明。
主にコロナに関する偽情報を投稿していたという。
メタ社が調査する契機となったのが、
「スイス人生物学者のウィルソン・エドワード」
を名乗るFBの偽アカウントだった。
世界保健機関(WHO)が求める中国でのコロナ起源調査に関し、
「米国がWHOに圧力をかけ、中国に責任を押し付けようとしている」
と主張し、調査に疑義を呈する投稿を行っていた。
投稿は、中国国営中央テレビの国際放送CGTNや中国共産党機関紙、人民日報といった中国メディアが引用。
だが、在中国スイス大使館は2021年8月、自国に住民登録がない人物だとして、
「架空の学者を引用しフェイク(偽)ニュースを流している」
と削除を求める声明を発表していた。
■発信地特定しづらく
偽アカウントは中国内外の個人と繋がっており、20カ国超にある中国国営インフラ企業の従業員が投稿を拡散。
中国の公安や軍のIT支援を行う情報セキュリティー企業
「四川無声信息技術有限公司」
の社員も含まれていたという。
また、通信にVPN(仮想私設網)を使うなど、発信地を特定しづらくする工夫も施されていた。
メタ社は一連の目論見が
「失敗に終わった」
としたが、中国による情報工作の実態が表面化した一件となった。
一方、ツイッター社も2021年12月、中国政府の関与が疑われるアカウントなど計2160個を閉鎖したと発表した。
多くが偽アカウントとみられ、政府を支持するウイグル人の映像作成を当局から委託されているという新疆の中国企業のアカウントも含まれていた。
研究パートナーを務めたオーストラリア戦略政策研究所(ASPI)の報告書によると、投稿は早いもので2019年春から開始。
総ツイート数は6万件を超えた。
多くが元々はポルノ動画の配信などに利用され、今は使われていない休眠アカウントを乗っ取り再利用したものだったという。
一部は中国の外交官や当局者も引用してツイート、拡散しており、ASPIは
「中国共産党による巧妙な偽情報工作だ」
と指摘した。
■偽情報拡散「事実無根」
中国最高指導部の元メンバーに性的関係を迫られたと暴露したテニス選手、彭帥(ほう・すい)さんの問題でも、
「彼女は無事だ」
との情報を広めるため、偽アカウントが暗躍した可能性がある。
米ニューヨーク・タイムズ紙と調査報道機関・プロパブリカの共同分析によると、所在不明だった彭帥さんの元気そうな姿などを投稿した中国国営メディアの記者のツイートを拡散したアカウントの大半が、フォロー、フォロワー数ともにゼロだったという。
ツイートをシェアした数百の投稿が1カ月も経たずになぜか消去されていたことも指摘。
同紙は
「特定のアカウントを増幅させるためだけに作られた偽アカウントだ」
と断定、
「自分たちの好むシナリオを広めるための組織的キャンペーンの一環だ」
と分析した。
中国外務省は
「友好関係を深め、事実に基づく交流を促進する目的で他国と同様にSNSを利用している」
とし、偽情報の拡散などは
「全くの事実無根だ」
と反論している。
際限ない中国偽アカウント 欧米SNSで情報工作
2022/1/7 1:00
https://www.sankei.com/article/20220107-MADZRQC45NIDJKRDSAHGHF7LBM/?856450
中国が関係していたとされる欧米人風の偽アカウントの一例。
スイス人生物学者を名乗る別の偽アカウントの投稿に「いいね」を押していた(米メタ社の報告書から)
https://www.sankei.com/article/20220107-MADZRQC45NIDJKRDSAHGHF7LBM/photo/U6JMISTUKJMYNDN36QVY5MTTFI/

■「架空の学者」でデマ
マッコール米下院議員らが公表した、今回の
「新型コロナウイルス」
に関する報告書は、2020年6月と9月に続く共和党が手掛けた第3弾であり、人工説に一歩も二歩も踏み込んだ内容となっている。
ただ、この報告書に否定も肯定もできないのが、民主党ではないだろうか。
”オバマ・ゲート”との別称が囁かれるように、民主党内にはバイデン・ファミリーをはじめ、武漢ウイルス研究所に関与する”大物”がいる。
また、ウイルス人工説をタブー視したがるワクチン推進派のフェイスブックやツイッターなどの大手IT企業や、製薬会社、DS関連企業からの献金で潤っている面もあり、彼らは総じて
「反トランプ」
で結束している。
『WiLL』(2021年8月号)に詳細を記述したので省略するが、国立アレルギー・感染症研究所所長のアンソニー・ファウチ博士は、前述の
「エコヘルス・アライアンス」
を通じて、オバマ政権時代からの5年間で、少なくとも60万ドル(約6600万円)、おそらく340万ドル(約3億7000万円/「ウォールストリート・ジャーナル」)、米国民の血税を武漢ウイルス研究所に助成しているのだ。
しかも、バイデン大統領の次男ハンター氏が投資会社ロズモント・セネカ・テクノロジー・パートナーズは、パンデミックの追跡と対処が専門であり、
「エコヘルス・アライアンス」
と、武漢ウイルス研究所と長期にわたり協力関係にあるメタビオタグループの主要投資企業である。
いずれにせよ、米英仏、そして世界の
「正義と良識を持った」
科学者や専門家、ジャーナリストで、もはや
「人工説」
を疑う者はいない。
習近平政権も
「自然発生説」
で押し切れないからこそ、官製メディアやSNSを使って意図的にデマ論説を垂れ流し、抵抗を続けている。
例えば、2021年8月、スイス人生物学者
「ウィルソン・エドワーズ」
なる人物が、SNSで
「武漢ウイルス研究所から漏れ出た可能性は極めて低い、などとするWHO調査結果を支持した人たちが、米国やメディアからの圧力や脅迫にあった」
など、中共政府寄りの主張を展開し、それが中共系メディアに次々と転載されたことがあった。
ところが、スイスの駐中国大使館は2021年8月10日、ツイッターや中国のSNS(微博・ウェイボー)で、理路整然と
「ウィルソン・エドワーズというスイス国民は存在しない」
「生物学の世界に、この名前が署名された学術文書は存在しない」
などのカウンター声明を発表。
習近平政権の取れる手段が、
「隠蔽」
以外は、もはや
「捏造」
しかないことが暴かれた格好だ。
こういった事実が明るみに出ても、日本政府、そしてマスメディアは、ウイルス人工説(生物兵器説)を
「陰謀論」
で片付けたいのだろうか。

いよいよ濃厚 新型コロナ 武漢ウイルス研究所流出説
それでも権威に従順な学者たちは真実から目を背けてしまう
月刊誌『WILL』2021年12月号 筑波大学システム情報系准教授 掛谷英紀
■疑惑の「申請書」
2019年夏、中国の湖北省でPCR検査機器が大量発注されていたことを日本経済新聞が報じた(2021年10月5日)。
豪州に拠点を置くサイバーセキュリティー企業
「インターネット2・0」
が主体となった調査チームが突き止めた情報で、既に海外で報じられていた内容である。
この情報は、新型コロナウイルスが2019年冬より前の段階で流行し始めていたことを示唆するものである。
しかし現在、新型コロナウイルスの起源解明に繋がる情報として海外で注目されているのは、より直接的かつショッキングなものである。
それは、米国の非営利機関
「エコヘルス・アライアンス(以下EHA)」
が武漢ウイルス研究所などと共同で、2018年にDARPA(米国防高等研究計画局)へ提出していた研究費申請書である。
この研究費申請は結果的に不採択になったが、そこにはSARSウイルスに
「フーリン切断部位」
を人工的に挿入する実験計画が具体的に書かれていたのである。
「フーリン切断部位」
は、新型コロナウイルス(SRAS2)が属するサルベコウイルスにはない不自然なアミノ酸配列として注目されていた。
新型コロナウイルスがヒトに感染するには2つのステップがある。
最初のステップはヒトの細胞表面に結合すること、次のステップはヒトの細胞内に入ることである。
2つ目のステップで重要になるのが
「フーリン切断部位」
である。
SRASウイルスの場合、ヒトの細胞内に入るのに
「TMPRSS2」
という酵素を利用していた。
加えて、フーリンによる切断を利用すると、ウイルスは細胞内に劇的に入りやすくなる。
この
「フーリン切断部位」
の存在が、新型コロナウイルスの感染力の異常な強さに繋がっている。
SARSウイルスに
「フーリン切断部位」
を遺伝子組み換え技術で人工的に挿入する研究は、これまでも世界各国の研究グループによって行われてきた歴史がある。
新型コロナウイルスの
「フーリン切断部位」
が人工的に挿入されたものである可能性が疑われたのは、それが理由である。
しかし、これまでは武漢ウイルス研究所がその種の研究に取り組んだ形跡はなかった。
今回明るみになったEHAの研究計画は、その穴を埋めたという意味で極めて重要な意味を持つ。
■討論会で真実が証明された
この研究費申請書を公開したのは、
「DRASTIC」
と呼ばれる世界から自主的に集まったインターネット上の新型コロナウイルス起源調査集団である。
DRASTICが公開した書類は内部リークで入手されたもので、当初はその真偽が疑われていた。
そのため、米国ネットメディア
「インターセプト」
など、ごく一部でしか報じられなかった。
2021年9月6日、
インターセプトはFOIA(情報公開法)によって、EHAからNIH(米国立衛生研究所)に提出された書類を入手し公開した。
この書類には、EHAの研究報告書も含まれており、そこにはSARSウイルスの
「機能獲得研究」(ウイルスの毒性や感染力を強める研究)
が行われていたことを示す動かぬ証拠があったため、大きな話題になっていた。
その流れで、同社はこの件を報じたものと思われる。
DRASTICが公開した書類が本物だと判明したのは、2021年9月30日に学術誌
『サイエンス』が企画した新型コロナウイルス起源に関する公開討論会である。
この討論会には4名の科学者
(アリーナ・チャン、ジェシー・ブルーム、マイケル・ウォロベイ、リンファ・ワン)
が参加した。
前者2名は新型コロナウイルス研究所起源の可能性は十分あるという立場、後者2名はあり得ないという立場である。
リンファ・ワンはシンガポールのデュークNUSメディカルスクールの教授だが、もともと中国人で武漢ウイルス研究所の石正麗とも親しい関係にある。
DRASTICが公開した研究費申請書にも、研究グループの一員として名を連ねていたため、討論会の前からリンファ・ワンが何を語るかが注目されていた。
この討論会のクライマックスは後半にやってきた。
アリーナ・チャンがリンファ・ワンに、
「研究費申請書にはフーリン切断部位を人工的に入れる研究計画が書かれているが、これは誰の提案だったのか」
と聞いたのである。
それに対して、リンファ・ワンは躊躇しながらも
「ノースカロライナ大学だ」
と答えた。
ノースカロライナ大学には、痕跡が残らないように遺伝子の塩基配列を組み換える技術を開発し、その技術を石正麗に教えたことで知られるラルフ・バリックがおり、彼もこの研究計画の一員として名を連ねていた。
リンファ・ワンのこの回答によって、DRASTICが公開した書類が本物であることが証明されたわけである。
これを受けて、世界の大手メディアがこの研究計画について一斉に報じ始めた。
武漢ウイルス研究所がSARSウイルスに
「フーリン切断部位」
を入れる研究計画をしていたことをもって、新型コロナウイルスが武漢ウイルス研究所起源であると断定することはできない。
だが、偶然にしては出来過ぎである。
研究計画で作ろうとしていたものが、その研究所がある場所でたまたま自然に発生する確率は、ゼロではないが天文学的に低い数字である。
■ウソを繰り返す張本人
万が一、新型コロナウイルスが自然発生したものであっても、それと同じ危険なウイルスを人工的に作成する計画をしていたこと自体、その倫理的責任は追及されて当然である。
DARPAはその研究費申請書を採択していないが、研究者が大型予算を申請する場合、研究計画の内容に含まれている事項については事前に予備的な実験を行い、それが上手くいくことを確認しておくことが多い。
大型予算を取得したのに何の成果も出ないと責任を問われるかもしれないという理由である。
また、計画した研究があるグラント(科学研究補助金)で不採択になっても、別のグラントに通れば、それで実施するのが普通である。
したがって、SARSウイルスに
「フーリン切断部位」
を人工的に挿入する研究が、武漢ウイルス研究所で実際に行われていたことは、ほぼ間違いない。
そもそも、こういう研究計画で予算申請をしていた事実があるのに、それをずっと隠していたことについても倫理的に大きな問題がある。
前出のEHAの代表であるピーター・ダシャックは、これまでも多くの偽情報を繰り返し発信してきた。
彼は、武漢ウイルス研究所ではコウモリは飼育されていないと発言していたが、その後同研究所でコウモリが飼育されている様子を撮影した動画が見つかっている。
2020年2月に学術誌『ランセット』に掲載された
「新型コロナウイルスが自然発生でないことを示唆する陰謀論を断固として批判する」
と主張する27人連盟のレター作成で中心的な役割を果たしたのも彼である。
そこで彼は武漢ウイルス研究所と共同研究をしていたにもかかわらず、利益相反はないと宣言していた。
2021年9月30日、DRASTICの4名を含む世界の10名の研究者が、EHAの理事会宛にダシャックを代表から解任することを求めるオープンレターを公表した。
実は筆者自身もこの10名のうちの1人に含まれている。
このレターは、2021年10月6日に『ニューズウィーク』誌もその内容を報じるなど、海外では話題となっている。
2021年10月10日の英国「デイリーメール」の記事において、フランス・パスツール研究所のウイルス学者サイモン・ウェイン・ホブソン教授は、
「機能獲得研究」(ウイルスの毒性や感染力を強める研究)
に内在する甚大な危険性を考えると、国際的で法的拘束力のある基準が設定されるまで、
「機能獲得研究」(ウイルスの毒性や感染力を強める研究)
の実施とそれに対する資金提供を世界的に禁止する必要があると書いている。
筆者もこの見解に強く賛同する。

中国「発生時期」議論再燃も PCR機器、2019年5月に急増
新型コロナ
2021年10月5日 22:00 (2021年10月6日 5:26更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0518U0V01C21A0000000/

米NPO、武漢研究所と密かにウイルス開発 最新の流出文書で明らかに
2021年9月27日
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https://www.epochtimes.jp/p/2021/09/79502.html
■権威に従順な学者たち
海外では大々的にニュースになっているエコヘルス・アライアンス(以下EHA)の研究計画であるが、なぜか日本では全く報じられていない。
最大の理由は、日本の生命科学者や医師に、新型コロナウイルス研究所起源の可能性について解説しようとする人がいないことだろう。
それゆえ、日本経済新聞が報じたPCR検査機器のように、素人にも理解しやすいことは記事にできても、
「フーリン切断部位」
のように科学リテラシーを要する内容は、日本のメディアは記事にできないのではないか。
現在、日本で新型コロナウイルスの起源が武漢ウイルス研究所である可能性を論じているのは、神田外国語大学興梠一郎教授、明海大学の小谷哲男教授など、中国や安全保障の専門家だけで、科学的観点から論じているのは筆者しかいない。
筆者は科学者ではあるが、分子生物学を専攻していたのは遠い昔のことであり、現在の専門は電子情報工学である。
本来ならば、生命科学を専門とする人がこの問題を論じるべきだが、日本にこれだけ大量の生命科学者がいながら、その役割を果たす人が誰一人いないというのはあまりに異常である。
逆に、新型コロナウイルスは研究所起源では絶対ないと断言した医師も少なくない。
ツイッターで多数のフォロワーを抱える峰宗太郎氏やEARLの医学ツイートはその代表例である。
木下喬弘医師は新型コロナウイルス研究所起源を論じるのは下品だと断じた。
彼にはウイルス起源の討論会を企画・実施した『サイエンス』誌を
「下品だ」
と罵ってほしいところだが、その勇気はないだろう。
権威には従順なのが日本の学歴エリートの習性である。
もちろん、権威に従順な学者が多いのは日本に限ったことではない。
しかし、海外にはそうした権威に負けずに真理を追い求める医学者も少なくない。
米スタンフォード大学のデイビッド・レルマン教授や豪フリンダース大学のニコライ・ペトロフスキー教授がその代表例である。
日本にも新型コロナウイルスについて詳しい医学者がいないわけではない。
広島大学の坂口剛正教授はその1人である。
ユーチューブで公開されている彼の新型コロナウイルス解説動画は10万回再生を越えている。
だが、その動画の中で、新型コロナウイルスが細胞内に入る機構として解説されているのは
「TMPRSS2」
という酵素だけで、
「フーリン切断部位」
には触れられていない。
アルファ株やデルタ株の感染力の強さも、
「フーリン切断部位」
の変異で説明できるほど重要な部分であるのに、それに敢えて触れなかったのはなぜか。
「フーリン切断部位」
について積極的に論じる海外の生命科学者とはあまりに対照的である。
■ならば専門家など必要ない
ウイルス起源の問題に限らず、新型コロナウイルスについて、日本の医学者たちがこれまで発信してきた情報には問題があまりに多い。
ワクチン推進の医師たちは、日本でもワクチン忌避が起きると煽っていた。
私は
「心配しなくても日本の接種率は8割近くになるだろう」
と言って猛反発に遭ったが、結果として私の方が正しかった。
京都大学の西浦博教授は、五輪開催で気の緩みが出るからと、五輪中止とロックダウンを推奨した。
私はそれにツイッター上で反論して彼からブロックされた。
しかし、実際には五輪開催中に人流は減ったことが確認されており、その後ロックダウンをせずとも感染者数が激減したのはご承知の通りである。
ところが、医師というのは仲間意識が強いようで、未だに西浦氏を擁護する人が少なくない。
例えば
「あれは予測はなくシミュレーションだ」
という言い訳をよく見る。
だが、西浦氏は
「対策の効果が出て人流が減るなどし、増加のペースが前の週の1.2倍に抑えられた場合でも、2021年8月21日には7000人を超える」
と発言していた。
確かに、各種政策による人流減の効果がどの程度かは感染症の専門家には分からない。
その意味で、五輪での気の緩みという発言は感染症学者として不適切である。
よって、複数のシナリオによるシミュレーションは必要だ。
しかし、人流の数値から実効再生産数を予測するのは感染症学者の領分ではないか。
人流が減っても実効再生産数が1.2にしか抑制されないと見積もっていた彼のモデルに何らかの欠陥があるのは明らかだ。
その点を追及しないのは、学術的に見て異常である。
実効再生産数が1.2なら7000人を超えるという計算は高校生でもできる。
それをもって自分は正しいことを言っているというなら、専門家など必要ない。
日本に真理を探究する医学者がいないとするなら、海外から呼び寄せるしかない。
日本の学術界の人材不足はそれほど深刻である。
2021年8月27日、バイデン大統領が情報機関に命じた新型コロナウイルスの発生源に関する調査報告書が公開された。
文書は2ページも埋まらない分量で、その内容も驚くほど薄いものであった。
4つの情報機関は低い確信度で自然発生、1つの情報機関は中程度の確信度で研究所起源、残りの情報機関は中立、と意見が分かれたことを報告するのみで、各機関の判断の根拠は全く示されなかった。
2021年8月2日、連邦議会下院外交委員会の共和党メンバーが公開した報告書は83ページに及ぶもので、研究所起源を示唆する新たな状況証拠も提示していたが、それとは対照的であった。
ただし、共和党の報告書も、研究所流出の可能性が高いと述べているだけで、断定はしていない。
状況証拠しかないからである。
決定的な証拠を得る最も確実な方法は、武漢でコウモリのコロナウイルスを研究していた全ての研究所に立ち入り検査して、研究履歴を調べ上げることである。
しかし、中国政府がこれを許すとは考えられない。
実際、2021年1月から2月にかけての世界保健機関(WHO)の調査団も、研究所内部を調べることはできなかった。
現地調査以外に、決定的な証拠を得る方法が全くないわけではない。
1つが、武漢ウイルス研究所が2019年9月12日まで公開していた22,000以上にのぼるウイルスのデータベースを入手することである。
これが手に入れば、新型コロナウイルスが研究所を起源とする決定的証拠を掴める可能性がある。
2021年8月5日、米CNNテレビは米国の情報機関がこのデータベースをハッキングにより入手したと報道した。
その記事には、データベースの解析には相当の時間を要するとも書かれていた。
米国情報機関の報告書が明確な結論を出すとすれば、情報機関がデータベースを入手したことが事実で、かつ解析が急ピッチで進んだ場合に限られていた。
よって、報告書が研究所起源を断定できないことは予想できた。
ただし、その内容の薄さは、事前の予想を大きく裏切るものであったことは間違いない。
一方、起源が天然であった場合、それを結論付けるには感染経路の特定が必要である。
しかし、それが全く見つかっていない。
よって、今回の報告書が天然起源と断定する可能性は最初から無かった。
■中国がひた隠す廃銅山
一部に、人間への感染を仲介した動物(中間宿主)の特定は難しいとの報道がある。
しかし、2002年のSARS(重症急性呼吸器症候群)は流行開始から4カ月、2012年のMERS(中東呼吸器症候群)では9カ月のうちに中間宿主が見つかっている。
疫病発生から20カ月以上が経過し、80,000以上もの動物の検体を調べても感染源が見つかっていないことは、過去の例と比較すると異常である。
(他にも、新型コロナウイルスには不審な点が多数あるが、詳細は拙著『学者の暴走』の第1章を参照されたい)
それよりも異常なのは、天然起源を主張する生命科学者が非常に多いにもかかわらず、彼らのほぼ全員が感染経路の特定に全く関心が無いことである。
次のパンデミック防止には、感染源を明らかにすることは必要不可欠である。
にもかかわらず、多くの生命科学者は研究所流出を否定することだけに熱心で、肝心の感染経路を調べようという意志が見られないのである。
前述のウイルスデータベースと同様に、中国が必死に隠しているものに、雲南省墨江にある廃銅山がある。
2012年、ここに出入りしていた人から、SARSによく似た症状を持つ6人の患者が見つかり、そのうち3人は死亡している。
中国はこの症例を菌類からの感染としているが、新型コロナウイルスの起源を調べているネット調査集団
「DRASTIC」
のメンバーが、この6人の患者の治療履歴などの中国語資料をネット上から見つけ出し、これらが間違いなくSARSに類似するウイルス感染の症例であることを突き止めている。
国際保健規則では、SARSを含む新たな感染症例が出た場合にはWHOに報告することを義務付けている。
中国はこの規則に明確に違反したことになる。
さらに、武漢ウイルス研究所は、その後この廃銅山に何度もウイルスの採取に出向いており、それを研究所内に持ち帰って研究していたことが明らかになっている。
新型コロナウイルスに最も遺伝子が近い
「RaTG13」
という名のコウモリのウイルスも、この廃銅山より採取されたものである。
よって、ここからウイルスのサンプルを多数採取して分析すれば、起源が天然であれ研究所であれ、感染経路について大きなヒントが得られる可能性がある。
ところが、中国はこの廃銅山の公開を頑なに拒否しているのである。
天然起源を信じている生命科学者も、ここを調べれば自説の正しさを証明できるかもしれないのに、立ち入り調査を全く求めていないのである。
1度、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの記者が、マウンテンバイクでこの廃銅山に近づこうとしたが、地元の警察に足止めされたという事件があった。
それと同じ気概を持つ学者は誰一人いない。
■天然説にファウチ氏の圧力?
では、なぜ生命科学者たちは調査に消極的なのか。
実は、表では天然起源を主張しているウイルス学者の中にも、本音では人工説を強く疑っている人が多いことが、様々な情報源から明らかになっている。
新型コロナウイルス起源天然説が広く信じられるのに最も大きく寄与した文献の1つは、2020年3月に学術誌
「ネイチャー・メディスン」
に掲載されたクリスチャン・アンダーセン氏らによる論文(コレスポンダンス)である。
この論文が掲載される前の2020年1月31日、アンダーセン氏が
「米国立アレルギー感染症研究所長」
のアンソニー・ファウチ氏に送った電子メールが、情報公開法(FOIA)で公開された資料の中に含まれていた。
そこで、アンダーセン氏はウイルスに人工的改変があるように見えると書いていたのである。
この後、2020年2月4日には、ネイチャー・メディスンの論文の草稿と思われるものが、同論文の共著者の1人であるエドワード・ホームズ氏からジェレミー・ファラー氏を経由してファウチ氏宛に転送されている。
このファラー氏は英財団
「ウェルカム・トラスト」
代表で、生命科学の研究を金銭的に支援してきた人物である。
ファラー氏は2021年7月に
「スパイク」
と題する今回のパンデミックを題材にした著書を出版した。
その本において、当初アンダーセン氏は60〜70%、ホームズ氏は80%の確率でウイルスは研究所起源であると考えていたとファラー氏は書いている。
2020年1月31日の時点で新型コロナウイルスに人工的改変が含まれると思っていたアンダーセン氏やホームズ氏が、ほんの数日のうちになぜ意見を変えて天然説を主張する論文を書いたのか。
この点について、ファラー氏は十分な説明を与えていない。
2020年2月1日にファウチ、ファラー、アンダーセン、ホームズの4氏らの間で電話会議が行われたことが明らかになっているが、その会議においてファウチ氏から何らかの圧力が加えられたものと想像される。
ご存じの通り、ファウチ氏は米国の新型コロナウイルス対策を指揮する立場にある。
ファウチ氏は1984年より
「米国立アレルギー感染症研究所長」
の座に君臨し続けており、米国の生命科学界におけるファウチ氏の影響力は非常に大きい。
「アメリカ国立衛生研究所(NIH)」
からの研究費配分に大きな決定権を持つからである。
ファウチ氏は危険な研究であるとの批難を浴びても
「機能獲得研究」
(ウイルスの遺伝子を組み換えて、感染力や毒性を強める研究)
を養護し続けてきた歴史がある。
ファウチ氏はこの点をランド・ポール上院議員から議会で激しく追及されている。
「アメリカ国立衛生研究所(NIH)」
の資金は
「エコヘルス・アライアンス」
という組織を通じて
「武漢ウイルス研究所」
に流れており、ファウチ氏はその決定に深く関わっていた。
このプロジェクトで、アメリカでは禁止されている
「機能獲得研究」

「武漢ウイルス研究所」
で行われてきたのではないかという疑惑が浮上しているのである。
ファウチ氏はポール議員の追及に対し、
「アメリカ国立衛生研究所(NIH)」
の資金で
「機能獲得研究」
は行われていないと議会で繰り返し証言してきた。
しかし、米ネットメディア
「インターセプト」
が情報公開で得た
「エコヘルス・アライアンス」
から
「アメリカ国立衛生研究所(NIH)」
に提出された書類で、
「機能獲得研究」
が行われていたことを示す動かぬ証拠が見つかった。
今後、ファウチ氏は偽証罪に問われる可能性がある。
(共和党の議員は追及に積極的だが、民主党の議員は今のところ消極的である)
■中国の研究者との実績作り
本音では研究所起源の可能性が高いと思っていたのに、表で天然起源説を強硬に主張していたウイルス学者は、アンダーセン氏やホームズ氏だけではない。
例えば、ペンシルバニア大学のスーザン・ワイス氏とオハイオ州立大学のシャンリー・リウ氏が、ウイルスの塩基配列の特徴から、新型コロナウイルスに人工的改変がある可能性を本気で心配していたことを示す文面が、両者の間でやり取りされた電子メールから見つかっている。
このメールも情報公開制度により得られたものである。
では、なぜ彼らは本音ではウイルス人工改変の可能性が高いと考えていたのに、外向きにはウイルスの起源が天然であると言い張る必要があったのか。
1つはファウチ氏に逆らえないという側面があっただろう。
だが、理由はそれだけではない。
この点について、カリフォルニア大学バークレー校のリチャード・ムラー名誉教授が、2021年6月29日に開催された米連邦議会下院の公聴会で次のような証言を行っている。
ムラー氏の専門は天体物理学であるが、新型コロナウイルスの起源に興味を持ち、論文を読むために生物学の専門家に助けを求めた。
しかし、その1人は協力を拒否した。
研究室のボスは忙しいからだと思い、協力してくれる部下を誰か1人紹介してくれとムラー氏は頼んだ。
すると、そのボスは
「うちの研究室には誰一人協力する者はいない」
「もし研究所起源説を調べていると分かったら、中国の研究者と共同研究ができなくなる」
「そんなリスクを冒す研究者はいない」
と答えたそうである。
結局、ウイルス学者にとって大事なことは、
「アメリカ国立衛生研究所(NIH)」
から予算を受け続けること、中国の研究者と共同で論文を書くこと、それによって研究者としての実績を積むことだけであって、それ以外のことには全く関心がないのである。
ラトガー大学のリチャード・エブライト教授は、2021年8月10日に公開された
「ディスインフォメーション・クロニクル」
のインタビュー記事において、次のように語っている。
「機能獲得研究はパンデミックを予防したり、それに対処するのには全く役立たない」
「こうした研究が行われるのは、研究者の出世のためだ」
「機能獲得研究は実験がしやすい」
「論文が書きやすく、研究予算が取りやすいのだ」
「抗ウイルス薬の開発は、通常20年もの長い年月がかかり、成功確率も20分の1程度だ」
「一方、機能獲得研究は6カ月しか要しないし、成功確率は100%に近い」
「機能獲得研究なら、すぐに結果が得られ、論文が書け、次の研究予算にありつけるというわけだ」
新型コロナウイルスが研究所起源となると、機能獲得研究は大幅に制限され、予算も削られ、ウイルス学者たちは出世の道を閉ざされることになる。
だから、彼らは全力で研究所起源説を否定したというのがエブライト氏の見解である。
それを裏付けるウイルス学者の具体的動きもある。
2021年7月15日、米国微生物学会が他のいくつかの学会と共同で、パンデミックの起源を理由とする規制強化に反対するレターを連邦下院歳出委員会に提出している。
彼らは自分の研究利権を守るのに必死なのである。
■ソ連風邪の二の舞!?
実は、生命科学者には重大な情報隠蔽の前科がある。
それは1977年のソ連風邪(H1N1型インフルエンザ)と1979年のソ連スヴェルドロフスク炭疽菌漏出事故である。
ソ連風邪については50歳前後以上の人はよく覚えているのではないだろうか。
世界で大流行し、約100万人の死者が出た。
私も当時のことを微かに記憶している。
実は、この疾病は研究の事故を起源にしていたというのが、ほぼ全ての研究者の一致した見解である。
生命科学界で、ソ連風邪の起源が研究事故との意見が大勢になったのは約10年前であった。
2009年のインフルエンザ流行がきっかけになった。
そこで1977年の流行の再評価がなされたのである。
ただ、これが研究の事故であることは1977年の流行当時から疑われていた。
不自然だったのは、20代前半以下の人だけが重症化したことだった。
なぜ、そのような不思議なことが起きたのか。
このウイルスが1950年頃に流行ったインフルエンザとほぼ同一だったからである。
よって、20代後半以上の人には抗体があった。
今回のパンデミックでも分かる通り、ウイルスは頻繁に変異を繰り返す。
ウイルスの遺伝子配列が20年も同じままであることはあり得ない。
最も有力な説の1つは、ソ連と中国が1950年頃に流行していたウイルスを冷凍保存していたものを弱毒化してワクチンとして治験したが、弱毒化が不十分で感染が広まってしまったというものである。
1979年のスヴェルドロフスク炭疽菌漏出事故の詳細が明らかになったのもソ連崩壊後の1993年である。
これらの事故の長期にわたる隠蔽は、中国、ソ連という独裁国家の危険を象徴する。
ただ、特筆すべきは、いずれの事例においても西側の生命科学者たちの多数が、研究の事故の可能性を否定する側に立ったことである。
研究事故が発生すれば、その場所が独裁国家であっても、自らの研究に対する監視の目が厳しくなる。
それを嫌って独裁国家の情報隠蔽に加担する道を選んだのであろう。
その目論見は見事に成功しているのが恐ろしい。
ソ連風邪が研究の事故を起源とするという事実も、スヴェルドロフスク炭疽菌漏出事故も、一般にはほとんど知られていない。
本来ならば、いずれもチェルノブイリや福島第一原発の事故と同様に、歴史の教科書に載せるべき内容である。
ところが、人々の関心が失われるまで情報を隠蔽することによって、学者の世界以外でほとんど知られない状態を維持することに成功したのである。
生命科学者たちは、新型コロナウイルスの起源についても、この成功体験を繰り返すことを目論んでいるのではないか。
■機能獲得研究の危険性
生命科学者にも、良識のある人が全くいないわけではない。
その代表例が、スタンフォード大学のデイビッド・レルマン教授である。
2021年5月14日に学術誌
「サイエンス」
において、新型コロナウイルスの起源について武漢ウイルス研究所流出説を排除しない公正な調査を求める、18人の研究者を共著とするレターが掲載されたが、レルマン氏はその署名者の1人である。
18人の中でレルマン氏が注目されるのは、実績十分な微生物学者だからである。
レルマン氏は、従前から
「機能獲得研究」
の危険性について言及している人物である。
2021年8月22日には、英国のチャンネル4で新型コロナ起源に関するドキュメンタリー番組が放送された。
そこには前述の民間のアマチュア研究者グループ
「DRASTIC」

「パリグループ」
(筆者も属する新型コロナウイルスの起源を調査する学者集団)
のメンバーが多数登場した。
だが、最も発言が多く取り上げられたのはレルマン氏であった。
番組の最後も、
「これ以上危険なことはやらないというレッドラインを決めることが必要だ」
というレルマン氏の言葉で締めくくられていた。
レルマン氏の提案を実現するには、国際原子力機関(IAEA)のような組織を危険な遺伝子組み換え技術に対しても作る必要がある。
原子力の場合、施設そのものの安全対策を徹底した上で、それでも事故の可能性を考えて施設を人里離れた場所に作る。
本来なら、
「機能獲得研究」
についても同様のことをすべきである。
ところが当の生命科学者は非常に消極的である。
例えば、コロンビア大学のダニエル・グリフィン博士は、スティーブン・クエイ博士との討論において、危険な研究の拠点を過疎地に移すと研究者の子息が良い学校に行けないという、信じられないほど身勝手な主張を恥ずかしげもなくしていた。
彼らは、公衆の安全については全く関心が無いのである。
この発言1つとっても、生命科学者の自律性に任せることの危険が分かるだろう。
民主主義のスキームを使って、国民の声の力で生命科学者に対する監視強化を実現することが急務である。
でなければ、第2のソ連風邪はいつ起きても不思議ではない。

最初の人工パンデミック 1977年H1N1 ソ連風邪
SARS-CoV-2起源情報局
2021年8月23日 21:42
https://note.com/lab_leak_japan/n/n8083cd059da5

学者の暴走 米国コロナ対策の最高責任者A・ファウチはジキルかハイドか
出世とカネと「反トランプ」に目が眩んで真実をねじ曲げる科学者たち
月刊誌『WiLL』2021年10月号 筑波大学システム情報系准教授 掛谷英紀
■もはや「陰謀論」ではない
新型コロナウイルスの起源追究をめぐる動きが激しさを増している。
2021年7月15日、WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長が、研究所の事故はよく起きることであり、中国はこれまで研究所の情報を十分公開していないとして、WHOの第2次調査に協力するよう中国に求めた。
それを受けて、2021年8月12日、WHOは継続調査に関する声明を出した。
さらに同日、WHOの第1次調査を指揮したデンマーク人学者のピーター・ベンエンバレクは、
「ウイルスが研究所流出を起源とする可能性は限りなく低いとする調査報告
は中国の圧力で書かされたものであり、研究所員の感染を起源とする可能性はある」
と、デンマーク国内のテレビ番組のインタビュー(2021年6月収録)で答えたことが明らかになった。
米国でも2021年8月2日、連邦議会下院外交委員会(共和党)が、新型コロナウイルスの起源は武漢ウイルス研究所からの流出であるとする報告書を発表した。
2021年8月24日には、バイデン大統領が情報機関に指示したウイルスの発生源解明に向けた90日間の追加調査の結果報告期限を迎える。
本誌2021年6月号で筆者がこの問題を取り上げた時点では、新型コロナウイルスの起源が武漢ウイルス研究所からの流出であるという説は、まだ陰謀論扱いに近かった。
しかしながら、ウイルスが武漢ウイルス研究所起源ではないかという科学に基づく議論は、2020年前半から既に一部の学者の間でなされていた。
筆者自身、2020年5月時点でそれらの情報(ウイルスの塩基配列や過去の研究履歴)をキャッチし、ウイルスの起源が武漢ウイルス研究所である可能性は高いと判断しており、当時からその見解をツイッターやユーチューブなどで開示していた。
世論の趨勢が筆者らの見方に近づいたのは、2021年5月5日付で原子力科学者会報に掲載されたニコラス・ウェイドの記事の影響が大きい。
ウェイドは、長年ニューヨーク・タイムズで科学記者を務めた著名なジャーナリストである。
その彼が、武漢ウイルス研究所流出説を強く示唆する記事を書いた。
そこには、ノーベル医学・生理学賞受賞者のデイビッド・ボルティモアが人工説を支持していることも書かれていた。
2021年5月14日には、学術誌『サイエンス』において、新型コロナウイルスの起源について武漢ウイルス研究所流出説を排除しない公正な調査を求める、18人の研究者を共著とするレターが掲載された。
この署名者には、デイビッド・レルマンなどの大物生物学者も含まれていた。
新型コロナウイルスのパンデミック発生から、2021年5月の『サイエンス』のレター掲載に至るまでのウイルス起源追究をめぐる動きについては、拙著『学者の暴走』(扶桑社新書)の第1章で詳述している。
■真実を葬ったファウチ
2021年6月に入ると、新型コロナウイルス武漢ウイルス研究所起源説を補強する情報が飛び込んできた。
米国立アレルギー感染症研究所所長で、米国の新型コロナウイルス対策を指揮するアンソニー・ファウチの電子メールを、情報公開法(FOIA)に基づいて米国メディア各社が入手して公開したのである。
ウイルス天然起源説が広く信じられるのに最も大きく寄与した文献の1つは、2020年3月に学術誌『ネイチャー・メディスン』に掲載されたクリスチャン・アンダーセンらによる論文(コレスポンダンス)である。
この論文が掲載される約1ヶ月半前の2020年1月31日、アンダーセンがファウチに送った電子メールが、FOIAで公開された資料の中に含まれていた。
そこで、アンダーセンはウイルスに人工的改変がある可能性に言及していたのである。
2020年2月4日には、『ネイチャー・メディスン』掲載論文の草稿と思われるものが、同論文の共著者の1人であるエドワード・ホームズからジェレミー・ファラーを経由してファウチ宛に転送されている。
ファラーは英財団ウェルカム・トラスト代表で、生命科学の研究を金銭的に支援してきた人物である。
ファラーは2021年7月に
「スパイク」
と題する今回のパンデミックを題材にした著書を出版した。
その本において、当初アンダーセンが60〜70%、ホームズは80%の確率でウイルスは武漢ウイルス研究所起源であると考えていたとファラーは書いている。
問題の核心は、2020年1月31日の時点で新型コロナウイルスに人工的改変が含まれると思っていた彼らが、ほんの数日のうちになぜ天然説を主張する論文を書いたのかということだ。
この点について、ファラーは十分な説明を与えていない。
時系列に考えて、2020年2月1日にファウチ、ファラー、アンダーセン、ホームズらが参加した電話会議において、ファウチがアンダーセンとホームズに対して何らかの圧力をかけたものと想像される。
■知っていながら
ファウチはなぜ、圧力をかけてまで新型コロナウイルス武漢ウイルス研究所起源説を打ち消す必要があったのか。
危険な研究であるとの批判を浴びても
「機能獲得研究」
(ウイルスの遺伝子を組み替えて、感染力や毒性を強める研究)
を擁護し続け、武漢ウイルス研究所の資金源となったエコヘルス・アライアンスにNIH(アメリカ国立衛生研究所)の資金を流す決定をしていた中心人物が、ファウチ自身だったからである。
実際、現在米国連邦会議上院において、ファウチはこの点をランド・ポール議員から激しく追及されている。
ウイルスの起源が武漢ウイルス研究所であると確定すれば、ファウチは窮地に追い込まれる。
だから、武漢ウイルス研究所起源説をどんな手を使ってでも葬り去りたかったのだと推測される。
武漢ウイルス研究所起源説を葬り去るのに協力したのは、ファウチとその周辺人物だけではない。
ウイルス学に携わる世界の研究者のほとんどが、新型コロナウイルスの起源が武漢ウイルス研究所であることはあり得ないと口を揃えていた。
しかし、アンダーセンやホームズだけでなく、表で天然起源説を強硬に主張していたウイルス学者たちが、裏では武漢ウイルス研究所起源の可能性が高いと思っていたことが情報公開により次々と明らかになっている。
例えば、ペンシルバニア大学のスーザン・ワイスとオハイオ州立大学のシャンリー・リウが、ウイルスの塩基配列の特徴から、ウイルスに人工的改変がある可能性を本気で心配していたことを示す文面が、両者の間でやり取りされた電子メールから見つかっている。
■真実より党派性
なぜ彼らは、本音では新型コロナウイルスが遺伝子の人工改変により作られたものである可能性が高いと考えていたのに、外向きにはウイルスの起源が天然であると言い張る必要があったのか。
その理由を考えるヒントになる貴重な情報を、カリフォルニア大学バークレー校のリチャード・ムラー名誉教授が提供している。
彼は、2021年6月29日に開催された米連邦議会下院の公聴会で次のような証言を行っている。
同教授の専門は天体物理学であるが、新型コロナウイルスの起源に興味を持ち、自ら関連する論文を読み始めたそうである。
専門知識がないため、誰かの助けが必要である。
そこで、自分の人脈を使って、研究室のボスを務める生物学の専門家に助けを求めた。
しかし、その1人は協力を拒否した。
忙しいからだと思い、協力してくれる部下を誰か1人紹介してくれないかとムラー教授は頼んだ。
すると、そのボスはこう答えた。
「うちの研究室には誰1人協力する者はいない」
「もし武漢ウイルス研究所起源説を調べていると分かったら、中国の研究者と共同研究ができなくなる」
「そんなリスクを冒す研究者はいない」
ムラー教授はその言葉を聞いて、自由主義国であるはずの米国の研究の自由が、中国という独裁国家によってコントロールされていることに強い恐怖を覚えたと語っている。
ムラー教授は、次に別の生命科学者に同じことを頼んだ。
すると、その協力者は次のように答えたという。
「武漢ウイルス研究所起源説と言えば、トランプ大統領(当時)が言っていることと同じではないか」
「もしトランプの言っていることが正しいと証明されれば、トランプが大統領選に勝ってしまう」
「そんなことに協力できるわけがない」
この科学者にとっては、科学的真理が何かよりも、大統領選の結果の方が大事だったというわけである。
さらに、ムラー教授が下院の公聴会に出席することになった時、彼の仲間の科学者たちは一斉にそれに反対したと公聴会で語っている。
その公聴会が共和党主催であることが理由だった。
科学的真理を語るのに、相手がどの政党の議員かは一切関係ないはずである。
米国の科学者はその程度のことも理解できないほど、本来の科学を忘れ、政争に自らを埋没させてしまっているのである。
■「出世の道が閉ざされる」
一方、機能獲得研究の危険について長年警鐘を鳴らし続けてきたラトガーズ大学のリチャード・エブライト教授は、2021年8月10日に公開された
『ディスインフォメーション・クリニクル』
のインタビュー記事において、次のように語っている。
「(外部向けの宣伝文句とは違い)機能獲得研究はパンデミックを予防したり、それに対処するのには全く役立たない」
「こうした研究が行われるのは、研究者の出世のためだ」
「機能獲得研究は実験がしやすい」
「論文が書きやすく、研究予算が取りやすいのだ」
「抗ウイルス薬の開発は通常、20年もの長い年月がかかり、成功確率も20分の1程度だ」
「一方、機能獲得研究は6カ月しか要しないし、成功確率は100%に近い」
「機能獲得研究ならすぐに結果が得られ、論文が書け、次の研究予算にありつけるというわけだ」
新型コロナウイルスが武漢ウイルス研究所起源となると、機能獲得研究は大幅に制限され、予算も削られ、ウイルス学者たちは出世の道を閉ざされることになる。
だから、彼らは全力で武漢ウイルス研究所起源説を否定し、それに学術誌や科学ジャーナリストたちも協力したというのがエブライト教授の見解である。
実際、その見解を裏付ける動きもある。
2021年7月15日、米国微生物学会が他のいくつかの学会と共同で、パンデミックの起源を理由とする規制強化に反対するレターを連邦下院歳出委員会に提出したのである。
米国の生物学者たちの必死さは伝わるが、第三者から見ると、彼らがいかに金だけに関心を持っているかを理解するのに十分な文書となった。
■アイヒマン化する学者たち
以上のことから分かるように、現代の科学者は真理を最優先する求道者のイメージとは程遠い存在である。
彼らにとっては、中国との共同研究を維持すること、自分の応援する候補者が選挙に勝つこと、自らが研究者として出世すること、研究費を確保することの方が、科学的真理の探究よりも遙かに重要なのである。
これは、科学者も人間である以上、仕方ないことなのかもしれない。
残念なのは、日本で戦略研究家やインテリジェンスの専門家を名乗る人たちが、ウイルス学者たちの表向きの言い分を丸っきり信じ続けていることである。
戦略研究やインテリジェンスの分野では
「ヒューマン・ネイチャー(人間の性)」
を考慮に入れることの重要性がしばしば言われるが、学者のヒューマン・ネイチャーを理解できないならば、今すぐ戦略研究やインテリジェンスの専門家を名乗るのを止めるべきだろう。
ただ、人間の性とは言え、情報を隠蔽したウイルス学者たちの罪は余りに重い。
アンダーセンやホームズ、ワイスやリウらが新型コロナウイルスの塩基配列の異常に気付いていたのは2020年1月から2月の時点である。
当時は、まだ世界的なパンデミックにはなっていなかった。
その時点で、このウイルスが人工的に人間への感染力を向上させたものである可能性が高いと世界に向けて警告していれば、国境を越えた人の移動の制限などをより早期に断行でき、結果としてパンデミックを防げた可能性は高い。
しかし、ウイルス学者たちは、人命よりも自分の研究や地位を守ることを優先した。
その結果、世界で400万人以上の命が失われたのである。
筆者が同じ立場なら、さすがに罪悪感に苦しむと思うが、ウイルス学者たちにはその様子は全くない。
筆者には、そうしたウイルス学者たちの姿が、ヒトラーの命令に盲目的に従い、何の罪の意識も感じずに数百万人のユダヤ人を強制収容所に移送したアイヒマンに重なって見える。
30年近く前に4年間、分子生物学を学んだだけの筆者でも、新型コロナウイルスの異常性に気づくことができたのである。
ウイルス学者をはじめとする日本の生命科学者の多くも当然、同じことに気づいていたはずである。
しかし、日本の生命科学者で、新型コロナウイルスの武漢ウイルス研究所起源説に言及する人は今もほぼゼロである。
この問題が海外でこれだけ注目されている中で、日本のこの状況は異常と言わざるを得ない。
これを打破するため、まずは新型コロナウイルスの起源について、国立感染症研究所の幹部を国会に証人喚問することを筆者は提案したい。
同時に、生命科学者の行っている研究活動について、監視を強化することも急務である。
現在も、アイヒマンと同じレベルの倫理観しか持たない人間たちが、国内外で危険な試料を扱い続けている。
第2、第3のパンデミックの種は、今も世界中の研究所に多数存在する。
それをこのまま放置するわけにはいかない。

武漢ウイルス研究所ー流出説・生物兵器テロ説最新レポート
月刊誌『WiLL』2021年8月号 掛谷英紀 筑波大学システム情報系准教授
「研究所漏洩説=陰謀論」は完全崩壊
ウイルス流出説を「陰謀論」扱いする者は大手メディアが垂れ流す情報をそのまま信じているだけ
■破られたタブー
この1カ月、新型コロナウイルスの起源をめぐり、武漢ウイルス研究所からの漏洩である可能性が高いことが各種メディアで報じられるようになった。
筆者は本誌2021年6月号で、新型コロナウイルスの遺伝子に人工的改変の可能性があることについて述べた。
当時、ウイルスの起源が武漢の研究所であるとの説に言及することは、まだ勇気の要ることであった。
日本では完全に”陰謀論”扱いであったためである。
英語圏では、すでに大手メディアでも徐々に議論され始めていたが、それでも2021年3月にCNNのインタビューで研究所流出説に対する支持を公表したCDC(米疾病予防管理センター)前局長のロバート・レッドフィールドは、その後に殺人予告などの脅迫を受けたと明かしている。
驚くべきは、脅迫したのが政治家ではなく仲間の研究者たちだったということだ。
ところが、この2カ月の間に世界の空気は大きく変わった。
そのきっかけを与えたのが、2021年5月5日付で原子力科学者会報に掲載されたニコラス・ウェイドの記事である。
彼は、長年ニューヨーク・タイムズで科学記者を務めた大物である。
そのウェイドが、研究所流出説を強く示唆する記事を書いたのである。
記事中には、ノーベル賞受賞者のデイビッド・ボルティモアが人工説を支持していることも記されていた。
これにより、新型コロナウイルスが研究所を起源とするとの説を語ることがタブーではなくなった。
2021年5月14日には科学誌サイエンスに、新型コロナウイルスの起源について武漢研究所流出説を排除しない公正な調査を求める、18人の研究者を共著とするレターが掲載された。
さらに2021年5月23日には、ウォール・ストリートジャーナルが、2019年11月に武漢研究所の研究者3人が新型コロナウイルス感染に似た症状で入院していたと報道した(この情報自体は、2021年1月に米国務省がすでに発表していたもので、それをWHO総会のタイミングに合わせて報じたものと思われる)。
これらを受け、バイデン大統領は2021年5月26日に新型コロナウイルスの発生源の解明に向けた追加調査を行い、その結果を90日以内に報告するよう情報機関に指示したのである。
■癒着を物語るメール
2021年6月になると、新型コロナウイルス研究所流出説をさらに補強する情報が飛び込んできた。
米国立アレルギー感染症研究所所長で、米国の新型コロナウイルス対策を指揮するアンソニー・ファウチの電子メールを、メディアが情報公開法に基づいて入手して公開したのである。
その中には、研究者たちの間の癒着を雄弁に物語る数々のやり取りが含まれていた。
新型コロナウイルスは自然界の動物を起源としているという説が、科学者を含む世界の人々に受け入れられるようになった背景には、有名学術誌に登場した2つの文献がある。
1つは、2020年2月にランセット誌に掲載された27人の研究者によるレターである。
その内容は、
「新型コロナウイルスが自然発生でないことを示唆する陰謀論を断固として批判する」
「陰謀論の拡散は恐怖心や流言、偏見を煽るだけで、疾病に立ち向かうための国際連携を危うくする」
と主張するものであった。
このレター掲載実現のために中心的な役割を果たしたのが、著者の1人でもあるピーター・ダシャックである。
彼は非営利組織エコヘルス・アライアンスのトップであるが、同組織はNIH(アメリカ国立衛生研究所)から、機能獲得研究(ウイルスの遺伝子を組み替えて、感染力や毒性を強める研究)について大量の研究費を受け取り、それを中国の武漢ウイルス研究所に流していたことが明らかになっている。
またダシャックは、2021年はじめに武漢に派遣されたWHO調査団に米国から参加した唯一のメンバーである。
当然ながら、これらの行動については、利益相反の問題が各所から何度も指摘されている。
新型コロナウイルス天然説が信じられることに大きく寄与したもう1つの文献が、2020年3月に学術誌ネイチャー・メディスンに掲載されたクリスチャン・アンダーセンらによる論文(コレスポンダンス)である。
日本の医師で天然説を信じている人たちも、この論文を根拠にする者が多かった。
■ファウチ「すぐ電話する」
私が新型コロナウイルス天然説に疑いを持ち始めたのは2020年5月だが、当時この論文を読んで、その内容の貧弱さに愕然としたのを覚えている。
天然由来でありながらも、その論拠として挙げられていることが、科学的にとても十分とは言えないものだったのである。
なぜ、このような
「屑論文」
が有名雑誌に掲載されるか不思議でならなかった。
公開されたファウチのメールを見て、その謎がようやく解けた。
この論文が掲載される約1ヶ月半前の2021年1月31日、アンダーセンがファウチに送った電子メールが、公開された資料の中に含まれていた。
そこで、アンダーセンは
「人工的に見える遺伝子配列の特徴を見出すには全ての配列を非常に注意深く見なければならない」
「今日終えた議論で、エディー、ボブ、マイク(3名のうちの2名はネイチャー・メディスンの論文の共著者とみられる)と私は皆、この遺伝子配列は自然進化説とは整合性がとれないとの見解で一致した」
と書いているのである。
これに対し、ファウチは
「すぐ電話する」
と返信している。
2021年2月4日には、ネイチャー・メディスンの論文の草稿と思われるものが、著者の1人であるエドワード・ホームズからジェレミー・ファラーを経由してファウチ宛に転送されている。
エドワード・ホームズのメールには、
「頭がおかしいと思われないように、他の異常な点については言及しないように」
との記述がある。
2021年1月31日の時点で新型コロナウイルスに人工的改変が含まれていると思っていた彼らが、ほんの数日のうちになぜ意見を変えて天然説を主張する論文を書いたのか。
ファウチとアンダーセンの間の電話でどのようなやり取りがあったのか。
ここはあくまで私の推測だが、次のような会話が行われたものと想像される。

★ファウチ(以下、F)
クリスチャン、俺だ。
★アンダーセン(以下、A)
ファウチ先生、どういうご用件でしょう?
★F
人工という結論では困る。
★A
どうしてですか?
★F
俺が機能獲得研究を推進してきたのは知っているだろう。
その研究の試料が漏れた結果、疾病で多数の死者が出たと分かったらどうなる?
★A
そう言われましても。
私にはどうすることもできませんが。
★F
このウイルスが自然界由来だと主張する論文を書け。
★A
そんな論文を書いても、科学的に説得力がないので掲載されないでしょう。
★F
ネイチャー・メディスンに投稿しろ。
編集者にお前の論文を通すよう、裏で手配しておく。
★A
そんなことをして大丈夫でしょうか。
気が進みません。
★F
断ったらどうなるか分かっているだろうな。
従わなければ、今後お前には研究費は一切配らん。
この世界で生きていけなくなると思え。
★A
分かりました。
言われた通りにします。
■アカウント閉鎖の謎
私が抱いたような疑念は当然、他の多くの人々も持ったようである。
アンダーセンはツイッターのヘビー・ユーザーであることが知られていた。
多くの者が、なぜ意見を変えたのかと、一斉にツイッターでアンダーセンを問い詰め始めた。
それに対するアンダーセンの返答は、RaTG13の遺伝子配列を見たからだというものだった。
RaTG13は、コウモリを宿主とするウイルスで、新型コロナウイルスに遺伝子配列が最も近いことで知られる。
このウイルスは2021年2月3日に刊行された武漢ウイルス研究所の石正麗の研究グループの論文で初めて公表された。
だが、最近は論文が正式に発表になる前にデータが公表されることが多い。
RaTG13の遺伝子配列も2021年1月23日には公表されていた。
その後、アンダーセンが2021年1月24日時点でRaTG13に関するツイートをしていたことが発掘された。
これで追い詰められたアンダーセンは、過去のツイートを次々に消し始めた。
そして、ついにはアカウント自体が閉鎖されてしまった(彼自身の意思によるものか、外部の意思によるものかは不明である)。
一方、ダシャックとファウチの間ではどのようなやり取りが行われたか。
ダシャックからファウチに送られた2020年4月18日のメールも注目に値する。
その日ホワイトハウスで行われた記者会見において、ファウチは新型コロナウイルスの起源を武漢の研究所とする説は陰謀論であると述べた。
その直後、ダシャックはファウチに感謝のメールを送っているのである。
ここにも深刻な癒着が見られる。
■もはや”陰謀論”では済まない
この世の中には、陰謀論もあれば本当の陰謀もある。
それを区別するには、一次資料を詳細に分析しなければならない。
私は米大統領選の陰謀論には極めて批判的な立場だったが、その立場をとるまでに一次資料の確認を行っている。
米国の選挙は、過去の選挙の投票結果がカウンティ(郡)単位でウェブ上に公開されている。
そういうものを見れば、巷で噂されていた陰謀論の信憑性を確かめることができた。
もちろん、投票用紙にGPSやブロックチェーンが埋め込まれているといった科学的にあり得ない荒唐無稽な論も多くあり、それらは確認の必要すらなかった。
新型コロナウイルス研究所流出説についても、それが陰謀論かどうかを確かめるには一次資料にあたる必要があった。
この案件で一次資料に相当するのは、新型コロナウイルスやそれに類似するウイルスの遺伝子配列、コロナウイルスに関連する過去の研究論文、及びここで紹介したファウチのメールである。
前述の2019年11月に武漢研究所の職員が入院したという米国務省の情報については、その真偽の判断は難しい。
それをもって、これはイラクに大量破壊兵器があるとの偽情報を米国が発信した時と同じだと言う人がいる。
しかし、それは明らかに間違いだ。
イラクのケースは、米国の発表以外にそれを裏付ける情報が全くなかった。
新型コロナについては、右に述べたように大量の一次資料がある。
ファウチのメールを読めば、科学者の間で何らかの口裏合わせがあったことは明らかである。
未だに新型コロナウイルス研究所流出説を陰謀論扱いしている人は、そうした一次資料を読むことなく、大手メディアが垂れ流す情報をそのまま信じているだけなのだろう。
そもそも、大手メディアを追っているだけでも、英語圏のメディアをウォッチしてさえいれば、新型コロナウイルスの研究所流出説はもはや陰謀論扱いできないことは明らかである。
■真実を追うのは誰か
2021年6月2日、ニューズウィークは、大手メディアは否定していた新型コロナウイルス研究所流出説の信憑性がいかに回復されたかを解説したローワン・ジェイコブソンの記事を掲載した。
(2021年6月4日には和訳が日本語版ウェイブ・サイトに掲載されている)
2021年6月3日、ヴァニティ・フェアも、同じテーマでキャサリン・イーバンによるさらに詳しい記事を掲載した。
こちらは40人以上に取材し、米国政府の資料を数百ページ読み込んで書かれた大作である。
ヴァニティ・フェアの記事では、新型コロナウイルスの研究所流出説を追った人物として、政府関係者の他に、DRASTICとパリ・グループという2つの在野集団を紹介している。
この記事で、パリ・グループは
「30人以上の懐疑的な専門家からなる集団で、月に1度Zoomで集まって、新たな証拠について何時間も議論を行っている」
と説明されている。
他のメンバーも名乗り始めているので告白するが、私もこのパリ・グループの一員である。
本誌2021年6月号で紹介しWHOの武漢調査団に対する公開質問状の署名者も、このパリ・グループのメンバーが中心となっている。
パリ・グループの一員で、WHOのアドバイザーも務める米国人のジェイミー・メッツルは、新型コロナウイルスの起源が武漢研究所であることを初期から疑っていた人物の1人である。
彼は民主党支持者であるが、最近はリベラル系のメディア、FOXのような保守系メディア両方に出演している。
彼はウイルス研究所流出説を語ったことで、仲間の民主党支持者から非難されたという。
その彼がFOXのタッカー・カールソン・トゥナイトで語った次の言葉が印象的である。
「私はトランプの発言の95%に賛同できないが、新型コロナウイルスの起源については彼の言うことが利に適っていると思った」
「どの政党の支持者であっても、それを誰が言っているのか忘れ、データと証拠に集中して、ウイルスの起源という困難な問いに立ち向かう必要があると感じた」
米国のリベラルは極左化が進み、党派性のために真実を犠牲にする人ばかりと思っていたが、そうではない人物がまだいたことに感動を覚えた。
私も米大統領選で間違った事実を指摘した時は、日本の保守派から激しい攻撃を受けた。
だが、メッツルのように、どんなに攻撃を受けようとも、それに屈せず常に真実を追う人間であり続けたい。

武漢研究所起源説はもう陰謀論ではない
月刊誌『正論』2021年7月号 掛谷英紀 筑波大学システム情報系准教授
2021年5月5日、ニューヨーク・タイムズ紙で長年科学記者を務めたニコラス・ウェイドが、
「Bulletin of the Atomic Scientists(原子力科学者会報)」
に1万語を越える長編の記事を掲載した。
記事のタイトルは
”The origin of COVID: Did people or nature open Pandora's box at Wuhan?"
(COVIDの起源:武漢でパンドラの箱を開けたのは人間かそれとも自然か?)
である。
タイトル自体は中立であるが、その中身は人間がパンドラの箱を開けた可能性が非常に強いことを示唆するものとなっている。
実は、この記事の大部分は、私を含む一部の科学者には既に知られた内容であった。
しかしながら、その名を広く知られた大物記者による記事ということに加え、ノーベル医学生理学賞受賞者でカリフォルニア工科大学の学長も務めたデイビッド・ボルティモアから新型コロナウイルス人工説への肯定的コメントを取り付けたこともあり、世論の反応はこれまでとは全く違ったものとなった。
誰もがウイルスが研究所からの漏洩を起源とする可能性を躊躇なく語ることができるようになったのである。
これまで、多くのウイルス学者によって、新型コロナウイルス(学名:SARS_
CoV_2' 以後SARS2ウイルスとも表記)は天然由来であるという主張が繰り返され、研究所からの漏洩を示唆する議論は全て陰謀論とのレッテルを貼られ続けてきた。
2021年3月30日に世界保健機関(WHO)の調査団の報告書が公表されたが、そこには自然界の動物から中間宿主を介した人間への感染を起源とする可能性が最も高く、研究所からの漏洩事故による感染の可能性は極端に低いと結論付けられている。
しかし、それを裏付ける有力な証拠は何も記されていない。
SARS2ウイルスに類似した2002年の重症急性呼吸器症候群(SARS)は流行開始から4カ月、2012年の中東呼吸器症候群(MERS)では9カ月のうちに感染を仲介した動物が見つかっている。
15カ月以上が経過し、8万以上もの動物の検体を調べても感染源が見つかっていないことは、過去の例と比較すると異常と言わざるを得ない。
にもかかわらず、なぜこれまで研究所からのウイルス漏洩は陰謀論扱いされてきたのか。
そこには、米国の政治とメディアの事情がある。
日本と同様、米国のメディアも全体的に左傾化している。
テレビもFOXなどごく一部を除き、民主党支持でトランプ政権を強く批判する立場であった。
トランプ大統領は、新型コロナウイルスを中国ウイルスと呼ぶなど、中国に対して強硬姿勢を貫いていた。
民主党を応援する米メディアとしては、トランプ政権下での米中対立激化は避けたかった。
米国民が対中国で一致団結すれば、政権への支持が強固になり、トランプ再選の可能性が増す。
それを回避するため、新型コロナウイルスについて中国の責任を追及するような報道は、大統領選が終わるまでFOXを除いてはほとんど見ることはできなかった。
(この分析は私の独断によるものではなく、米シンクタンク「アトランティック・カウンシル」上級研究員のジェイミー・メッツルも、コメディアンのジョー・ローガンの動画番組で同様の見解を示している)
ところが、大統領選が終わり、民主党のバイデン候補が当選すると、その流れは一気に変わった。
左寄りの大手メディアも、一斉に新型コロナウイルスに関する責任追及の報道を始めたのである。
2021年1月には米国務省が2019年秋の時点で武漢ウイルス研究所の職員に新型コロナウイルス感染を疑われる症状があった証拠を掴んでいると発表し、任期切れ間際のポンペイオ国務長官もこれに直接言及する発言を行った。
これを批判的に報じるメディアはなく、政権交代後もこの発表は撤回されていない。
民主党の議員も、中国の隠蔽に対して厳しい姿勢に転じ始めており、追及の動きは超党派になりつつある。
その一方で、日本ではこの動きが全く報じられていない。
もちろん、2020年から論壇においては中国の研究所からの漏洩を起源とする可能性について言及する言論もあった。
しかし、その中には生物兵器を意図的に撒いたというような信憑性の低いものもあった。

Origins of COVID-19: Who Opened Pandora’s Box at Wuhan – People or Nature?
COVID-19の起源:武漢でパンドラの箱を開いたのは誰か – 人と自然?
10/05/2021
https://science.thewire.in/the-sciences/origins-of-covid-19-who-opened-pandoras-box-at-wuhan-people-or-nature/#:~:text=As%20many%20people%20know%2C%20there%20are%20two%20main,study%20in%20a%20lab%2C%20from%20which%20it%20escaped.
■4つの科学的根拠
ウイルスの起源は、政治的動機に左右されず、あくまで科学に基づいて検証されねばならない。
政治によって事実を歪めるのでは中国と同じである。
そこで、本稿ではウェイドの記事に沿って、SARS2ウイルスが研究所から漏洩した可能性が高いことを示す科学的根拠を紹介することにする。
ウェイドは、その根拠として次の4つを挙げている。
第1に、パンデミックが最初に起きた場所である。
SARS2ウイルスはベータコロナウイルスの一種だが、それらの宿主として知られるコウモリの生息地は雲南省であり、武漢から1500キロメートル離れている。
と同時に、武漢はコロナウイルスを遺伝子組み換え技術で改変して人間への攻撃力を増す研究の中心地であり、そこでの安全管理が不十分であることも周知の事実であった。
第2に、SARS2ウイルスのスパイク蛋白質が、流行初期からほとんど変異していないことである。
ウイルスが人を含む動物に感染するには、まず動物の細胞の表面にある受容体に結合する必要がある。
(SARS2ウイルスの場合はACE2受容体)
この受容体に結合するのが、スパイク蛋白質の受容体結合部位である。
一般に、動物によって受容体は異なるので、ある動物には感染するが、別の動物には感染しないことが多い。
コウモリのコロナウイルスも、そのほんどは人間に感染しない。
受容体結合部位が、コウモリの受容体には結合するが、人間の受容体には結合しないからである。
よって、コウモリのウイルスが人間に感染するためには何度も変異を繰り返さなければならない。
実際、SARSウイルスではコウモリからジャコウネコに感染した後、スパイク蛋白質に6つの変異が生じ、その後、14の変異を経て人間に適応し、その後さらに4つの変異があって流行が始まった。
このように、元々コウモリに適応したウイルスであり、人間に適応したウイルスでない以上、人間の間で感染が広がるには初期に多数の変異が必要なのである。
ところが、SARS2ウイルスは、流行の初期から人間に既に適応しており、ほとんど変異が見られなかった。
これが、SARS2ウイルスが天然由来ではなく、人間に適応するように人工的に改変されたウイルスが研究所から漏れたと疑われる理由である。
この事実を最初に指摘したのは、マサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学の共同機関であるブロード・インスティチュートのアリーナ・チャン博士研究員らの研究グループである。
第3に、
「フーリン切断部位」
の存在がある。
受容体に結合したウイルスは、次に人間の細胞の中に入り込むことが感染に必要である。
そこで役割を果たすのがフーリン切断部位である。
これがあると、ウイルスが細胞の中に入りやすくなる。
SARSウイルスにはフーリン切断部位がないが、SARS2ウイルスには存在する。
実は、ウイルスの遺伝子を組み替えて、人間に感染しやすくする研究(機能獲得研究)は過去に多数行われている。
2015年には、武漢ウイルス研究所の石正麗とノースカロライナ大学のラルフ・バリックを含む研究グループが、コウモリのウイルスの受容体結合部位に人工的に手を入れて、人間に感染しやすくする成果をネイチャー・メディスン誌に報告している。
一方、SARSウイルスにフーリン切断部位を人工的に入れる研究は、中国だけでなく日米欧の多数の研究グループが行っている。
スティーブン・クウェイ博士によると、その成果を公開した論文数は最低11本あり、その中には石正麗を著者とするものも含まれる。
それらの研究で人工的に挿入されたフーリン切断部位と同じ特徴がSARS2ウイルスに見られることが、研究所からの漏洩を強く疑わせる状況証拠となっている。
第4に、フーリン切断部位の遺伝子配列の特徴である。
生物の構造を作り上げる蛋白質は多数のアミノ酸から構成されるが、3つの塩基(遺伝子)配列が1つのアミノ酸に対応する。
塩基は4種類あるため、3つの塩基の列は64種類あることになるが、アミノ酸は20種類しかない。
よって、1つのアミノ酸に対して複数の塩基配列が対応する。
SARS2ウイルスのフーリン切断部位はPRRA(プロリン・アルギニン・アルギニン・アラニン)の4つのアミノ酸の挿入で生じている。
このうち、アルギニンのコードには6種類の塩基配列があり得るが、SARS2ウイルスのフーリン切断部位には、同種のウイルスで最も稀なCGG(シトシン・グアニン・グアニン)という配列が連続して使われているのである。
ウェイドの記事中で、この配列を見たノーベル賞学者ボルティモアが、
「これはウイルスの起源の動かぬ証拠だ」
「SARS2ウイルス自然発生説の強力な反論になる」
と妻に語ったとのエピソードが挿入されている。
■無理がある「天然由来説」
これに対して、SARS2ウイルス天然由来説を唱えていた学者たちはどう反論したか。
2020年3月に
「ネイチャー・メディスン誌」
で天然説を唱えていたクリスチャン・アンダーセンは、上海科技大の趙素文の研究グループの論文を引用し、フーリン切断部位は天然でも起き得るとツイッター上で反論した。
そこで用いられたのが図1だが、これが逆にSARS2ウイルスの特異性を示している。
図1に示す通り、確かに自然の突然変異でフーリン切断部位は生じうる。
だが、最も起きやすい突然変異は、遺伝子の塩基が入れ替わることで、アミノ酸配列が変化することである。
これは比較的頻繁に起こる。
一方、塩基が脱落したり、余分な塩基が挿入されることは、偶に起きるが確率は低い。
図1の左側の樹形図は遺伝的距離を表しており、枝分かれが遠いほど遺伝的距離が遠い(遠い過去に分かれた)ことを表している。
遺伝的距離が近いもの同士では大きな挿入や脱落は起きていない。
ところが、SARS2ウイルス(一番上)とそれに遺伝的距離が近いウイルスの間では、フーリン切断部位だけ綺麗に挿入が行われているのである。
これが自然発生的に起きることは、確率的には極めて低い。
WHOの報告書でも、人工ウイルス説を退ける根拠として、フーリン切断部位が天然に挿入されているウイルス(RmYN02)は見つかっているという別の論文に言及している。
しかし、この論文にも大きな欠点がある。
そもそも報告されているウイルスのアミノ酸配列はフーリン切断部位に類似するだけであり、フーリン切断部位ではない。
加えて、アミノ酸配列を見る限り、フーリン切断部位に類似する配列が挿入されたのではなく、従来のアミノ酸が他のアミノ酸に置き換わった変異と解釈するのが自然なのである。
ところが、この論文ではわざわざ図を細工して、脱落と挿入という非常に確率の低いことが遺伝子配列の一部で連続して起きていると解釈している。
このように、SARS2ウイルスが天然由来であるという
「科学的」
主張は、整合性の低い論理を無理やり通そうとしている跡が如実に見られるのである。
■人の命より論文重視の科学者
ウェイドの記事が公表されたのは2021年5月に入ってからだが、トランプが大統領の座を去った2021年1月以降、SARS2ウイルス人工説を追究する科学者たちの活動は活発化しており、一部のメディアはそれを報じ始めていた。
2021年1月末、ウェイドの記事にも登場したクウェイ博士が、新型コロナウイルスは実験室からの漏洩の可能性が高いとする193ページにわたる大論文を発表した。
続いて2021年3月に入ると、ハンブルク大学のローランド・ヴィーゼンダンガー教授も同様の趣旨の論文を発表した。
また、2021年3月4日には、WHOが武漢に派遣した調査団に対して、26名の研究者が公正な調査を求める公開質問状を出した。
署名した研究者の中には、アリーナ・チャン博士、クウェイ博士、ヴィーゼンダンガー教授の他、パンデミック発生前から機能獲得研究の危険性を指摘し続けてきたラトガーズ大学のリチャード・エブライト教授も含まれている。
この公開質問状はニューヨーク・タイムズの公式サイトでも報じられた。
この研究者グループの中心人物の1人でもあるジェイミー・メッツルは、米国3大キー局の1つであるCBSの看板ドキュメンタリー番組
「60ミニッツ」
に出演し、インタビューを受けている。
さらに、2021年3月26日放送のCNNのインタビューで、トランプ政権下でCDC(アメリカ疾病予防管理センター)の所長を務めたロバート・レッドフィールドは、新型コロナウイルスは武漢の研究所を起源とし、2019年9月頃には感染が始まっていたとの見解を示した。
2021年3月30日のWHOの調査団の報告書公表を受けて、2021年3月4日に公開質問状を出した研究者のグループは、2021年4月7日に再度公開質問状を出した。
これもニューヨーク・タイムズの公式サイト上で公開され、ロイターなどの主要メディアでも報じられた。
この公開質問状には日本から私ともう1人の研究者(情報工学)が署名した。
それにより、ニュース記事でも
「欧州、米国、オーストリア、日本の研究者による公開質問状」
との表現が使われた。
その後、このグループは2021年4月30日にも追加の公開質問状を出した。
そこには私の提案した質問も1つ採用されている。
ここで日本の存在感をアピールすることに貢献できたことを誇りに思う半面、日本から生命科学者が誰一人参加していないことを誠に遺憾に思う。
2021年5月14日には、権威のある学術誌として知られるサイエンス誌で、新型コロナウイルスの起源について研究所からの漏洩の可能性も含めた調査を求める18人の研究者連名のレターが掲載された。
この著書にはアリーナ・チャン博士や、石正麗の共同研究者であったバリック教授も含まれる。
これをきかけに、米国でも急に態度を変える研究者が続出している。
その豹変ぶりは、今の学者がいかに権威主義に毒されているかを象徴する。
日本でも、サイエンス誌のレターが出るまで、研究所からの漏洩の可能性に公の場で言及し調査を求める生命科学者は1人もいなかった。
(サイエンス誌のレターの著者に、日本人の名前が1つあるが、彼女は大学からずっと北米にいる人で、日本の研究者とは言い難い)
ただし、欧米にも増して権威主義が蔓延る日本の学界である。
サイエンス誌のレターで、その空気が変わる可能性がある。
しかし、それまで日本の生命科学者は誰一人何のアクションも取らなかったことは決して忘れるべきではない。
先日、私は生命科学者を含む数人の日本人研究者で、なぜ沈黙を守っているのかという議論をした。
そこでの結論は、日本の生命科学者にとっては300万人の死よりも、自分の論文の方が大事なのだろうという悲嘆だった。
SARS2ウイルスが研究所から漏洩した人工ウイルスだとすれば、科学研究が300万人を超える人命を奪ったことになる。
これは科学史上最大の大スキャンダルである。
そのことの重大さに気づかない科学者に、危険な実験を続ける資格は断じてない。

新型コロナウイルスの起源
中国追及の手を緩めてはならない
矛盾する中国の主張にダンマリの科学者たちは倫理観が腐りきっている
月刊誌『WiLL』2021年6月号 掛谷英紀 筑波大学システム情報系准教授
■薄弱な根拠
2021年3月30日、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の起源について現地調査を行ったWHOの国際調査団が報告書を公表した。
そこには、起源として4つの可能性が列挙されている。
@自然界の動物から人間への直接の感染
A自然界の動物から中間宿主を介した人間への感染
B冷凍食品を経由した感染
C研究所からの漏洩事故による感染
WHOの報告書ではAの可能性が最も高く、次いで@、Bの順に可能性が低くなり、Cは極端に可能性が低いと結論付けられている。
しかしながら、120ページのレポートでCの可能性に関する分析は1ページあまりしかない。
Cの可能性が低いとする科学的根拠も非常に貧弱である。
具体的には、武漢ウイルス研究所が2019年10月以前に新型コロナウイルスあるいは組み換えれば新型コロナウイルスになる試料を保持していた記録がないこと、武漢ウイルス研究所がBSL(バイオ・セーフティ・レベル)3あるいは4という高レベルのセキュリティ対策をした施設であること、武漢ウイルス研究所職員に感染の報告がないことなどを理由として挙げている。
これらの論点については、全て有力な反論が存在する。
まず、以前は外部からアクセスできた武漢ウイルス研究所のデータベースは遮断され、現在は見られない状態になっている。
隠されているのだから、記録が見つからないのは当然である。
ところが、WHOの調査団が隠された記録を探した形跡はない。
次に、BSL3あるいは4の研究所だから安全というのもウソである。
実際、武漢ウイルス研究所を訪れた米国の外交筋は、その管理の杜撰さを報告していた。
過去には他のBSLの高い施設から危険な微生物が漏洩した事故も何度か起きている。
BSLが高いから漏洩がないという理屈は妥当性を欠く。
最後に、武漢ウイルス研究所職員の感染についてであるが、こちらは米国務省が正反対の見解を示している。
2021年1月にマイク・ポンペオ国務長官(当時)が、2019年秋に
「武漢ウイルス研究所の複数の研究員が新型コロナウイルス感染症や他の季節性の病気とよく似た症状になったと信じるに足る理由がある」
と述べている。
(ただし、具体的な証拠を開示していないので、どちらを信じるかという政治的な問題になり、科学的な観点での評価はできない)
WHOの調査報告書は、薄弱な根拠で武漢ウイルス研究所から漏洩した可能性を否定する一方、他説の可能性については、説得力のある証拠がないにもかかわらず、その可能性は武漢ウイルス研究所からの漏洩よりも高いとしている。
そもそも、冷凍食品による感染は、中国政府が他国に責任をなすりつけるために突然言い出した説である。
新型コロナウイルスが世界的パンデミックを招いた後、外国の工場で働く感染した労働者からウイルスが持ち込まれても不思議はない。
しかし、最初の起源が冷凍食品であったならば、工場のある国で先に感染者が多数見つかっているはずである。
さらに、武漢だけに冷凍食品が輸出されたとは考えられず、最初に武漢だけで大規模な感染が起きたことと整合性がとれない。
自然界の動物からの感染の場合も、新型コロナウイルスに類似したウイルスの宿主であるコウモリの生息地域が武漢から1700km離れた雲南省の洞窟であり、なぜ最初に遠く離れた武漢だけで大流行したのかを説明する理屈は見つかっていない。
新型コロナウイルスに類似した過去のSARASやMERSでは、流行開始から数カ月のうちに感染源となった動物が見つかっている。
感染発覚から1年半近くが経過し8万以上もの動物の検体を調べても感染源が見つかっていないことは、過去の例と比較しても異常と言わざるを得ない。
■完全な癒着関係
WHOの国際調査団のメンバー構成にも問題がある。
同調査団に米国から参加したピーター・ダジャックという人物である。
彼は、ウイルス学者として武漢ウイルス研究所の石正麗らと共同研究を行ってきたことで知られる。
彼には武漢ウイルス研究所を調査する上で明らかな利益相反がある。
これまで、武漢ウイルス研究所は米国のウイルス学者と多くの共同研究を行ってきた。
その理由は、米国では禁止されている危険な研究を行うことができたからである。
既存のウイルスの遺伝子を改変して、人間に感染しやすくしたり、毒性を強めたりする
「機能獲得研究」
と呼ばれる研究である。
当然ながら、生物兵器開発にも応用可能な技術である。
新型コロナウイルスの遺伝子には、人間のACE2受容体に特に結合しやすいなどの不自然な特徴がある。
これらの性質をウイルスの遺伝子の人工的改変で実現した研究は過去に多く行われており、その成果は学術論文として多数出版されている。
武漢ウイルス研究所も、そうした論文を発表してきた研究機関の1つである。
ダジャックを含む機能獲得研究を進めてきたウイルス学者の立場からすれば、ウイルスが武漢ウイルス研究所から漏れたということになれば、これまでのように中国の研究所を利用して研究を続けることができなくなる。
研究予算も取れなくなり、論文も書けなくなる。
つまり、研究者として厳しい立場に追い込まれる。
その状況で、公平な調査を行うことは全く期待できない。
ダジャックについては、これまでも科学者としての公正さを疑わせる報道が何度かなされている。
2020年2月、ダジャックを含む科学者たちは学術誌『ランセット』で、新型コロナウイルスが武漢ウイルス研究所から漏れたとする
「陰謀論」
を非難する声明を出した。
しかし、2021年1月18日のデイリー・コーラーのネット記事によると、ダジャックの広報担当はウォール・ストリート・ジャーナルの取材に対し、
「この声明は中国の研究者を守るために出した」
と発言したことが報じられている。
完全な癒着関係にある研究者を調査団の一員として派遣するWHOは、その公正さを疑われて当然である。
■漏洩は「陰謀論」なのか
トランプ大統領の在任中、新型コロナウイルスが武漢ウイルス研究所からの漏洩であるという説は大手メディアから
「陰謀論」
扱いされた。
中国の敵国扱いが世論に定着すると、大統領選でトランプが有利になるというリベラル系大手メディアの計算があった可能性が高い。
だが、その当時から新型コロナウイルスの起源について、中国に忖度せずに客観的な分析をしている者はいた。
MITとハーバードでポスドク(博士研究員)をしている若手生物学者のアリーナ・チャンは、歴史的に実験室からのウイルス漏洩事故は多数起きていることから、武漢ウイルス研究所から漏洩した可能性も排除しない公平な調査をツイッター上で繰り返し求め続けていた。
選挙でトランプが負けると、メディアの論調は一気に変わった。
リベラル系メディアもウイルスの武漢ウイルス研究所からの漏洩について言及を始めたのである。
これに呼応して、研究者たちの追及もさらに活発化した。
2021年1月、米国ではスティーブ・クウェイ博士が新型コロナウイルスは実験室からの漏洩の可能性が高いとする193ページにわたる大論文を発表した。
2021年2月に入ると、ドイツ・ハンブルク大学のローランド・ヴィーゼンダンガー教授が、同じように実験室からの漏洩の可能性を論ずる102ページの論文を発表した。
さらに、米国の数理生物学者ブレット・ワインシュタインや英国のサイエンス・ジャーナリストのマット・リドレーなど、著名な人物たちも武漢ウイルス研究所からの漏洩の可能性が高いとの主張をメディアのインタビューで語り始めた。
■日本の生命科学者はゼロ
2021年3月4日には、WHOが武漢に派遣した調査団に対して、26名の研究者が公正な調査を求める公開質問状を出した。
26名のうちの過半数は生命科学者であるが、理工系や社会科学の研究者も名を連ねている。
署名した研究者の中には、右に挙げたアリーナ・チャン、クウェイ博士、ヴィーゼンダンガー教授の他、機能獲得研究の危険性を長年指摘してきたリチャード・エブライト教授も含まれている。
この公開質問状はニューヨーク・タイムズの公式サイト上で公開され、ウォール・ストリート・ジャーナル他、主要メディアでも報じられた。
この研究者グループの中心人物の1人であるジェイミー・メッツルは、米国3大ネットワークの1つであるCBSの看板ドキュメンタリー番組
「60ミニッツ」
に出演し、インタビューを受けている。
ちなみに彼はクリントン政権下で仕事をしたことのある人物で、共和党側の人間ではない。
トランプ政権下で米疾病対策センター(CDC)の所長を務めたロバート・レッドフィールドは、2021年3月26日放送のCNNのインタビューで、新型コロナウイルスは武漢ウイルス研究所を起源とし、2019年9月頃には感染が始まっていたとの見解を示した。
ご存じの通り、CNNは民主党支持のメディアとして知られる。
中国に対する厳しい声は、米国でも超党派の動きになっている。
私自身、署名した研究者のグループの議論の輪に入り、オンライン会議にも何度か参加して意見交換を重ねた。
そこで分かったのは、世界における日本の存在感が予想以上に大きいことである。
彼らは日本の新聞社名なども詳しく知っており、日本からの新たな参加者を大いに歓迎してくれた。
この活動の日本でのパブリシティを上げることについて強い関心を持っているようであった。
■WHOから独立した調査を
2021年3月30日に公表されたWHO調査団の報告書に対して、14カ国が批判的な共同声明を出した。
新型コロナウイルスの起源に関する中国の言い分がおかしいことを、多くの国が公式に認め出したのである。
WHOの調査団の報告書を受けて、2021年3月4日に公開質問状を出した研究者のグループは、2021年4月7日に再び公開質問状を出した。
これもニューヨーク・タイムズの公式サイト上で公開され、ロイター通信などの主要メディアでも報じられた。
この公開質問状には、日本から私ともう1人の日本の研究者(情報工学)が署名した。
それにより、ニュース記事でも
「欧州、米国、オーストラリア、日本の研究者による公開質問状」
との表現が使われた。
ここで日本の存在感をアピールすることに貢献できたことを誇りに思う反面、日本から生命科学者の署名が1つもなかったことは大変残念に思っている。
2021年4月7日の公開質問状では、WHOの調査団による報告書の不公正を指摘するとともに、今後の調査の進め方についても提案している。
1つ目は、WHOと中国の間で結ばれた付託条項を見直すことである。
この付託条項により中国に拒否権が生じており、中国において独立した専門家が調査活動をすることができなくなっている。
その見直しが不可欠との提案である。
2つ目は2021年5月のWHO総会で、新型コロナウイルスの起源に関する無制限の調査を求める決議および危険な機能獲得研究に関する新たな規制などを求める決議を行うことである。
3つ目は、先に挙げた2つの提案が実現しない場合は、WHOとは別に各国の協力体制のもと新型コロナウイルスの起源に関する透明性の高い調査を求めることである。
この公開質問状では、補足としてWHOの報告書で中国側が提出した資料に含まれる矛盾点も多数指摘している。
例えば前述の通り、武漢ウイルス研究所は、それまで外部の研究者がアクセスして参照できた武漢ウイルス研究所のデータベースを閉鎖している。
新型コロナウイルスのパンデミックを契機としたハッカーの攻撃から守るため、というのが中国の言い分である。
ところが、実際にデータベースを閉鎖したのは2019年9月である。
中国側の主張には明らかな矛盾がある。
武漢ウイルス研究所の職員を調べたところ、誰一人として新型コロナウイルスの抗体が無かったという中国側の主張も非常に疑わしい。
武漢の人口の約4%に抗体があることが分かっているのに、武漢ウイルス研究所の590名の職員誰一人として抗体を持たないというのは確率的にほぼ考えられない。
■腐りきった倫理観
中国は証拠を隠滅しているので、これから調査をしても実験室からの漏洩を証明するのは難しいという意見もある。
しかし、武漢ウイルス研究所の全職員の免疫(免疫グロブリンやT細胞)を調べることは可能である。
全職員のウイルスへの感染履歴が分かれば、漏洩ルートが特定できる可能性がある。
この証拠は職員を殺さない限り隠滅できない。
この調査に応じない中国の研究機関に属する研究者を学会や学術誌から締め出すことは、政治とは独立に科学界だけで対応可能である。
冷戦時を思い起こせば分かる通り、独裁国家が自由主義世界の学会活動に自由に出入りできることが異常なのである。
情報隠蔽が正当化される国は、学問の場として相応しくない。
真の科学者ならば、これに同意しない人はいないだろう。
中国の研究機関に属する学者の締め出しに対し、中国政府は
「差別」
という言葉を使って被害者を装うと予想される。
これについては、中国からの研究者難民(亡命)受け入れで対抗することが考えられる。
これは科学者だけで実現できる問題ではなく、政治の力が必要となる。
中国の責任を強く追及すれば、中国はより隠蔽体質を強めるのではないかと懸念する感染症の専門家もいる。
しかし、そのような理屈で390万人の死の原因を隠蔽することは全く正当化されない。
もし、中国が態度を硬化させて隠蔽体質を強めるなら、中国からの人の出入りを一切遮断すればよい。
そうすれば次の中国発の感染症は防げる。
オウム真理教は、松本サリン事件を免れたから地下鉄サリン事件を起こせた。
もし、新型コロナウイルスの起源について中国を追及できなければ、より危険な次の事件が起きる可能性がある。
我々は歴史の教訓に学ぶべきである。
新型コロナウイルスの起源を調べても、パンデミックの被害が消えるわけではなく、何の役にも立たないと言う人もいる。
しかし、起源の真相を解明し、リスク要因を正確に把握することによって、天然、実験室のいずれを起源とするウイルスであっても、次のパンデミックを防ぐ対策ができる。
まずできることとして、危険な微生物を扱う研究所に対する国際査察制度の創設、およびその種の研究所が人口密集地にある場合は、過疎地や離島に早急に移転するなどの措置が考えられるだろう。
原子力にはIAEAの査察制度があり、施設は人里離れた場所に置かれている。
それと同じ安全対策は、生命科学分野においても当然行われるべきである。
ところが、そういった議論が全くできないほど、今の科学者の倫理は腐りきっている。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/166.html#c28

[政治・選挙・NHK297] 立花孝志、大逃げで大敗訴(チダイズム) 赤かぶ
45. 秘密のアッコちゃん[1475] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月20日 13:04:36 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[913]
<■275行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
渡部カンコロンゴ氏擁立騒動 石破自民党劣化の象徴 国民民主党に著名候補集結 岩田明子
さくらリポート
2025/4/20 12:00
https://www.sankei.com/article/20250420-3L67ZGDOPNMFBP3HQR75VJRNWU/?outputType=theme_weekly-fuji
自民党東京都連(会長・井上信治元万博相)が夏の参院選の東京選挙区に、NPO法人代表理事の渡部カンコロンゴ清花氏を擁立する方向で調整していたが、党内外の反発が相次いだことを受けて断念した。
渡部氏は過去、自民党に批判的な論客として活動し、投稿では
「『バカに権力を与えるとどうなるか』という見本が今の安倍政権」
などと、安倍晋三元首相らを侮辱するような表現を使っていたとされる。
松山政司参院幹事長は記者会見で、
「わが党の批判を繰り返してきた方と聞いている」
「こういう方が上がってきているのを疑問に感じている」
と述べたが、当然の反応だ。
現在の石破茂政権は、安倍氏の
「レガシー」
によって支えられている面がある。
現在、トランプ米政権の
「追加関税」
で右往左往しているが、何とか交渉を繋ぎとめられている背景には、安倍氏がトランプ大統領との間に
「絶大な信頼関係」
を築いたことが大きい。
その安倍氏を罵るような投稿をしていた渡部氏は、思想以前の問題として
「自民党の公認候補として相応しくない」
ことは容易に想像できたはずだ。
渡部氏本人は16日になって、投稿プラットフォーム「note(ノート)」で
「10数年前の自分の投稿には、極めて不適切な言葉遣いがあったことを深く反省しています」
と釈明したが、都連が最終候補の1人として残していたことには驚かざるを得ない。
渡部氏の擁立を進めてきたのはある国会議員で、都連の会議では
「女性がいい」
という話になって、候補として残ったという。自民党は東京選挙区で既に武見敬三参院議員会長の公認を決めている。
こうした事情もあって、女性に拘ったのかもしれないが、明らかに適当でない人物の擁立を検討したことは、
「自民党の劣化」
を象徴する出来事といっていい。
■LGBT法で「保守離れ」
ここまで自民党が堕ちたきっかけの1つは、岸田文雄政権時代に成立したLGBT理解増進法の成立だろう。
安倍氏も生前、反対していた拙速な法制化が進められたことに保守層は強く反発し、
「保守離れ」
が進んだ。
その後、誕生した石破政権は
「オウンゴール」
を繰り返している。
「高額療養費制度」
の自己負担上限額の見直しをめぐり、判断を二転三転させて国会日程を混乱させた。
さらに、物価高や米国の高関税政策に対応する経済対策でも、石破首相は現金給付と7年度補正予算案の編成に前向きだったが、いずれも見送る方向となっている。
腰の定まらない政権に、内閣支持率も上がる気配は見られない。
ある自民党幹部は、今回の擁立騒動について、
「今の自民党に『これは!』という光る人が公認候補として入ってこないことに目を向けなければいけない」
と語った。
■NHKアナ出馬情報の衝撃
本来、自民党から選挙に出てもおかしくない保守論客や著名人について、国民民主党が擁立する動きも出てきている。
国民民主党から参院選比例代表での出馬を表明した東海大海洋学部教授の山田吉彦氏は、海洋安全保障の専門家で、産経新聞の「正論」執筆メンバーに名を連ねている。
NHKアナウンサーの牛田茉友(まゆ)氏も同党からの出馬が伝えられている。
牛田氏は「日曜討論」のキャスターを務めるなど政治系の番組に長く携わり、お茶の間で顔を知られており、自民党は人材的にも厳しい状況に立たされている。
2009年の衆院選で民主党に政権を奪われた翌年、自民党は
「日本らしい日本の保守主義」
を政治理念に掲げ、
「常に進歩を目指す保守政党」
として再出発していくとする新綱領を制定した。
ところが、現在の自民党は
「保守離れ」
に加え、安倍政権、菅義偉政権で高かった若年層の支持も、国民民主党やれいわ新選組に奪われている。
2010年の綱領に記された
「保守政党」
としての決意は、今の自民党にこそ求められるものだ。
今一度、『保守政党の原点』に立ち返り、民の声に耳を澄まさなければ、参院選は自民党にとって厳しい結果となるだろう。

「誰が声をかけたのか」自民・萩生田氏、渡部カンコロンゴ氏の参院選擁立調整に疑問
2025/4/18 22:29
https://www.sankei.com/article/20250418-C7A6535DLFH5BI7UEA3PPVERC4/
自民党東京都連前会長の萩生田光一元政調会長は2025年4月18日夜、インターネット番組「言論テレビ」でジャーナリストの櫻井よしこ氏と対談し、都連が夏の参院選東京選挙区(改選数6)でNPO法人前代表理事の渡部カンコロンゴ清花氏の擁立を調整したことについて疑問を呈した。
渡部氏が過去に安倍晋三元首相を強く批判していたことなどに言及し、
「違和感がある。誰が声をかけたのか」
と述べた。
萩生田氏は、都連は新執行部で運営しているため、自身は
「参院選の候補の選考のプロセスに入っていない」
と説明。
「報告を受けたのは、最終的にはひとりに決め切れなくて、井上信治都連会長に一任した、と」
「(公認候補は)一人が武見敬三参院議員会長で男性だから女性が望ましいのではないか、という声が多かったということで終わっている、ということだった」
と述べた。
渡部氏の擁立調整については
「報道で知って戸惑った」
と語った。
批判を受けて都連は渡部氏擁立を断念したが、櫻井氏が
「多くの候補の一人にすることだけでもとんでもないことだ」
「『昔のことだ』と渡部氏は言うが、安倍氏を罵詈雑言、言っていた」
「こういう人を最終選考の段階まで残したことが意外だ」
と述べ、自民の人材不足に危機感を示した。
萩生田氏は一連の経緯について
「多様性など色々な違う尺度を持ち込んでいるから出てきたのかもしれないが、率直に申し上げて違和感がある」
と断言。
「後で聞いた話だが、SEALDsの活動に参加していたとか、ネットでは安倍氏に非常に批判的な発言が多かった」
と指摘し、渡部氏が自民党の公募に手を挙げたことに疑問を呈した。
その上で、仮に公募ではなかったとしても
「誰が声をかけたのかな、というのは極めて疑問だ」
と述べた。

<主張>自民党の公認騒動 劣化の度合いが甚だしい
社説
2025/4/18 5:00
https://www.sankei.com/article/20250418-FJBCTP2KOJNP7IYEHXZEHUZ2QI/
自民党都連は夏の参院選の東京選挙区に難民申請者を支援するNPO法人前代表理事、渡部カンコロンゴ清花氏を擁立することを検討したが、最終選考の段階で断念した。
渡部氏が自民の政策や政権運営に批判的な言動をしていたことが明らかになり、党内で反発が相次いでいた。
SNSでも話題を呼び、批判の声が出ていた。
都連幹部は
「自民批判をしていたことは知らなかった」
と釈明している。
党の政治理念や政策に合致する候補者になり得るかを十分調べずに選考作業を進めていたことになる。
政党として劣化していないか。
自民は綱領で
「日本らしい日本の確立」
を掲げている。
都連は保守の理念を蔑ろにしたとも言える。
木原誠二党選対委員長、井上信治都連会長らは猛省しなければならない。
渡部氏はかつて自身のSNSに
「『バカに権力を与えるとどうなるか』という見本が今の安倍(晋三)政権」
と投稿したとされる。
山田宏参院議員は
「ボロカスに貶(けな)していた自民党から立候補する訳を、まずご本人に聞きたいものだ」
と問題視し、松山政司参院幹事長も擁立の動きを批判した。
有村治子参院議員が
「正統な選挙を経て選出された総理大臣を、小馬鹿にし、民意を軽んじ、捨て台詞を吐くような人が、意見の異なる相手にも敬意を払って粘り強く合意形成を図らねばならない国政の場で信頼され、活躍できるとは思えない」
と指摘したのも、もっともである。
渡部氏は約10年前、SNSで
「戦争法案反対抗議運動に足を運んできた」
と書き込んでいたという。
戦争法案とは集団的自衛権の行使を一部容認した安全保障関連法のことだろう。
渡部氏は最近のSNSで
「今思えばかなり偏っていた」
「自分の視野の狭さに気づけていなかった」
と説明し、
「声をかけて頂いたのが自民党だった」
と明かしたが、都連が選考過程に乗せたこと自体、疑問だ。
左派政党ならともかく自民が声をかける相手ではない。
政党は理念や政策をともに実現していく人物を候補者として擁立しなければならない。
理念などが真逆だった人物を擁立するのは、有権者に対する背信行為になると知るべきだ。

「自民批判をしていたとは…不用意だった」 参院選東京選挙区の候補者選びで自民迷走
2025/4/16 20:33
https://www.sankei.com/article/20250416-XBH7I62YYZIV7PPPAFYPAH63TE/
夏の参院選東京選挙区(改選数6)を巡り、自民党の都連が検討していたNPO法人前代表理事の女性の擁立を断念したことが2025年4月16日、分かった。
女性が過去に自民への批判的な活動をしていたことに、党内から反発の声が相次いだ。
参院選が迫る中、首都決戦の候補者選びは迷走している。
都連が擁立を調整していたのは、難民申請者らと企業のマッチングを支援するNPO法人の前代表理事、渡部カンコロンゴ清花氏(34)。
関係者によると、渡部氏は複数の都連幹部らと親交があり、参院選東京選挙区の公募に手を挙げたという。
自民は、同区で既に武見敬三参院議員会長(73)の公認を決めており、公認されれば渡部氏は2人目の候補者となるはずだった。
だが、渡部氏は過去に自民の政権運営に批判的な人物として報道番組などで活動。安倍晋三元首相らを侮辱するような表現を用いていたため、党内からは懐疑的な声が上がった。
松山政司参院幹事長は15日の記者会見で、渡部氏について
「わが党の批判を繰り返してきた方と聞いている」
「こういう方が上がってきているのを疑問に感じている」
と指摘した。
閣僚経験者も
「自民は当選させる気がないのか」
「保守層が票を入れるわけがない」
と語気を強めた。
事態を重く見た都連幹部は、渡部氏に候補者選考から外すことを伝えた。
渡部氏も2025年4月16日、インターネットの投稿プラットフォーム「note(ノート)」を更新し
「最終選考に臨みましたが、公認には至りませんでした」
と説明した。
都連幹部は
「自民批判をしていたことは本当に知らなかった」
「不用意だった」
と肩を落とした。
一方、都連の選考過程を疑問視する声も上がる。
別の閣僚経験者は
「過去の発言やネットの投稿を知らないまま決めようとしたのかもしれないが、少しでも身体検査をすれば分かったのでは」
と首を傾げた。
都連は2人目の候補者擁立を急いでおり、都連幹部は
「今月2025年4月下旬の都連会合で候補者を披露できれば」
と語った。
ただ、これまでのところ有力な候補者の名前は上がっておらず、自民幹部は
「声をかけた芸能人らは断られた」
「本当に厳しい」
と話した。

自民都連が参院選擁立調整の渡部カンコロンゴ氏「公認至らず」 過去の投稿は「深く反省」
2025/4/16 10:05
https://www.sankei.com/article/20250416-5OTTJTKV65HDZI7PSURZ6J3PNM/
自民党東京都連が夏の参院選東京選挙区(改選数6)への擁立を調整していたNPO法人前代表理事の渡部カンコロンゴ清花氏(34)は2025年4月16日、インターネットの投稿プラットフォーム「note(ノート)」を更新し、
「最終選考に臨みましたが、公認には至りませんでした」
と明かした。
自民党から出馬を志した理由は
「現実に政策を動かす力を持っている」
と説明した。
極めて不適切な言葉遣いがあった
渡部氏は浜松市出身。
NPO法人を設立し、難民申請者らと企業のマッチングを支援する一方、自民党の政権運営に批判的な論客として知られる。
過去に安倍晋三元首相を侮辱するような表現を用いており、擁立を疑問視する声が上がっていた。
渡部氏はnoteで
「10数年前の自分の投稿には、極めて不適切な言葉遣いがあったことを深く反省しています」
と釈明し、
「なかったことにするつもりはありません」
「『当時はそう考えていた』という事実を否定せずに受け止めた上で、自分の思考がどう変わってきたのか、説明できる状態でいたい」
と書き込んだ。
■「100点満点」は分断深める
自身の生い立ちを振り返って、
「実家では『自民党は解体を』『安倍政権NO』といったスローガンが日常にあり、『憲法改正反対』と書かれたシールが車に貼られていた」
という。
大学院進学を契機に上京するなどして、
「実際に政府が取り組んでいる政策も完璧ではないものの、その時点での最善の選択である場面があることに気づきました」
と綴った。
自身の専門分野でもある令和5年に成立した外国人の送還や収容のルールを見直す入管難民法の改正案の審議を巡っては
「理想の『100点満点』を目指すが故に、現実的な妥協点に至れず、分断や対立が深まっていく状況を多く目にしました」
と指摘した。
■時代の変化に柔軟に見直し
自民党については
「伝統を尊重しながらも、時代の変化に応じて柔軟に見直しを行い、多様な価値観の中で議論を重ねる」
「そうした姿勢が、自分の思い描く『変化の仕方』に近い」
と説明。
渡部氏は
「まだまだ狭い視野からの『左寄り』の思考・思想を持っていたことは否めません」
とし、
「私自身も、これから先もまた変わってゆくと思います」
「学び、考え、行動し続け、変化できる柔軟性を持ちながら成長していきたい」
と書き込んだ。

「疑問に感じる」自民松山参院幹事長、安倍氏侮辱の渡部カンコロンゴ清花氏擁立調整に苦言
2025/4/15 15:27
https://www.sankei.com/article/20250415-YPA3LQKFNNP2DGXSDVA2UYJFQE/
自民党の松山政司参院幹事長は15日の記者会見で、夏の参院選東京選挙区(改選数6)を巡り、自民東京都連がNPO法人代表理事の渡部カンコロンゴ清花氏(34)を擁立する方向で調整していることついて
「自民党政権、わが党の批判を繰り返してきた方と聞いている」
「こういう方が上がってきているのを疑問に感じている」
と述べた。
渡部氏は過去に、自民の政権運営に批判的な論客として報道番組などで活動してきた。
安倍晋三元首相らを侮辱するような表現を用いてきたとされ、党内の保守系議員からも懐疑的な声が上がっている。
同区を巡っては、丸川珠代元五輪相が昨年2024年10月の衆院選に出馬したため都連が候補を公募し、今月2025年4月11日の選考委員会で井上信治都連会長に一任。
近く党本部に上申する。
公認が決まれば同区では、武見敬三参院議員会長に加えて2人目の自民候補となる。
渡部氏は浜松市出身。難民申請者らと企業のマッチングを支援するNPO法人「WELgee(ウェルジー)」を設立し、代表理事を務めている。

安倍氏侮辱の渡部カンコロンゴ氏、自民都連擁立調整 党内から疑問の声「強烈な違和感」
2025/4/14 12:20
https://www.sankei.com/article/20250414-KWIXX3DPTZBSVJFIKBLZKBC6GI/
自民党東京都連(会長・井上信治元万博相)がNPO法人代表理事の渡部カンコロンゴ清花氏(34)を夏の参院選の東京選挙区(改選数6)に擁立する方向で調整していることについて、党内の保守系議員から懐疑的な声が上がっている。
渡部氏が報道番組などで自民党の政権運営に批判的な論客として活動する上、過去に安倍晋三元首相らを侮辱するような表現を用いたとされることが背景にある。
■安倍政権は「バカに権力与えた」
「私たちの多くが今もなお、誇りに想い、敬意を抱く安倍元総理を公然と侮辱する人を公認候補にするほど、自民党は落ちぶれていませんし、保守の矜持を捨ててはいないはずです」
自民党の有村治子元女性活躍担当相は2025年4月13日、X(旧ツイッター)で、渡部氏が過去に投稿したとみられるXの画像を示して、こう書き込んだ。
画像は渡部氏が平成26年2月に
「『バカに権力を与えるとどうなるか』という見本が今の安倍政権」
と投稿したとされるもの。
渡部氏のアカウントは現在非公開とされている。
■有村氏「民意軽んじた人」
有村氏は
「どのような立場を取るにせよ、正統な選挙を経て選出された総理大臣を、小馬鹿にし、民意を軽んじ、捨て台詞を吐くような人が、意見の異なる相手にも敬意を払って粘り強く合意形成を図らねばならない国政の場で信頼され、活躍できるとは思えません」
と渡部氏の資質を疑問視した。
山田宏参院議員も2025年4月13日、Xで渡部氏の同じ投稿を挙げて
「こんなにボロカスにけなしていた自民党から立候補する訳を、まずご本人に聞きたいものだ」
と書き込み、
「石破茂総理は、この方の発言にはどのような感想を持たれるのだろう」
「これこそ、私には『強烈な違和感』しかない」
と強調した。
都連は令和元年の参院選に擁立した丸川珠代元五輪相が昨年2024年10月の衆院選に出馬したため、候補を公募し、今月2025年4月11日の選考委員会で井上氏に一任した。
近く党本部に上申する。
公認が決まれば東京選挙区では武見敬三元厚生労働相に加えて2人目の自民候補となる。
渡部氏は浜松市出身。
難民申請者らと企業のマッチングを支援するNPO法人「WELgee(ウェルジー)」を設立し、代表理事を務めている。
また、TBS系「サンデーモーニング」でコメンテーターとして活動している。

難民支援NPO代表を自民東京都連が擁立で調整 渡部カンコロンゴ清花氏、今夏の参院選に
2025/4/11 21:07
https://www.sankei.com/article/20250411-LOIENWXJNNNHNOCJYG5CXBPGTU/
自民党東京都連は夏の参院選東京選挙区(改選数6)に、難民申請者を支援するNPO法人代表理事の渡部カンコロンゴ清花氏(34)を擁立する方向で調整に入った。
近く党本部に上申する。
公認が決まれば武見敬三氏に加えて2人目の自民候補となる。
石原伸晃元幹事長も公募に手を挙げていたが選ばれない見通しとなった。
関係者が2025年4月11日、明らかにした。
都連は2019年参院選で擁立した丸川珠代氏が昨年2024年10月の衆院選に出馬したため、候補を公募していた。
2025年4月11日に都内で開いた選考委員会で井上信治都連会長に一任した。
渡部氏は浜松市出身。
難民申請者らと企業のマッチングを支援するNPO法人「WELgee(ウェルジー)」を設立し、代表理事を務めている。
石原氏は2021年の衆院選で落選。
昨年2024年の衆院選に立候補せず、参院選出馬を模索していた。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/168.html#c45

[政治・選挙・NHK297] (5)「盗っ人に追い銭」外交の生け贄にコメを差し出してはいけない 令和のコメ騒動の深層 鈴木宣弘 東京大学教授(日刊ゲン… 赤かぶ
16. 秘密のアッコちゃん[1476] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月20日 13:11:48 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[914]
<▽36行くらい>
<主張>習氏3カ国歴訪 反米共闘の戦略に警戒を
社説
2025/4/20 5:00
https://www.sankei.com/article/20250420-DVLE2Z6X3ZI43GL3P352YBWRH4/
中国の習近平国家主席が東南アジア3カ国を歴訪し、トランプ米政権の相互関税の圧力にさらされた各国との結束強化を図った。
だが、習氏が呼びかけた
「反米共闘」
は、中国に有利な、偏った国際秩序の形成に道を開くもので、新興・途上国は警戒を強めるべきだ。
習氏が14〜18日の日程で訪れた3カ国は、米国が示す相互関税の税率が高い国々である。
いずれの国も習氏を歓迎してみせた。
ベトナムでは米国を念頭に
「覇権主義や一国主義、地域の平和と安定を損なう行動に反対する」
との共同声明を発表した。
マレーシアのアンワル首相は
「一国主義の台頭に直面し、中国と共同でリスクに対応したい」
と踏み込んだ。
カンボジアは東南アジアの中で最も中国に近いとされる国である。
習氏は地元紙への寄稿で、中国とカンボジアの間には
「鉄壁の友情」
があると強調し、
「覇権主義と保護主義への反対」
を呼びかけた。
習氏の外遊には対米不満につけ込んで各国と連帯を強化し、米国に対抗する狙いがある。
追加関税を145%まで引き上げられた中国にとって東南アジア諸国は、習氏肝いりの巨大経済圏構想「一帯一路」の推進に欠かせない地域で、対米輸出の落ち込みを緩和できる有望な市場だ。
中国製品の迂回輸出ルートとしても重視している。
トランプ関税の影響で経済へのダメージが避けられない新興・途上国には、中国が見返りとして提供するインフラ投資や貿易の拡大が魅力的に映る。
習氏は今回、鉄道網整備や農産品の対中輸出拡大などのアメをばらまいた。
注意しなければならないのは、中国による反米共闘の呼びかけは経済的な面にとどまらないことだ。
中国に有利な国際環境を構築し、米国に代わり国際秩序を主導しようという習氏の野望の一環であることを忘れてはならない。
共産党独裁の中国が主導する国際秩序では、中国が上位に立つ。
自由や民主主義を抑圧する専制体制が肩で風を切る世界でもある。
石破茂首相も2025年4月下旬、ベトナムとフィリピンへの訪問を予定している。
日本を支える重要なシーレーン(海上交通路)に位置する東南アジア諸国が、中国に取り込まれないように働きかけを強めるべきだ。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/169.html#c16
[政治・選挙・NHK297] 何から何まで場当たりの仰天…目を覆う石破官邸の迷走、自爆に向けてまっしぐら(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
10. 秘密のアッコちゃん[1477] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月20日 19:07:17 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[915]
<■228行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
NHKクルド特集「一切取材ない」画像使われた石井孝明氏「本当のこと指摘されたら困る」
「移民」と日本人
2025/4/20 15:30
https://www.sankei.com/article/20250420-5AMRMWSNPFFMJB4Z7SYDJKE3ZQ/
今月2025年4月5日に放送されたNHKのETV特集
「フェイクとリアル〜川口 クルド人 真相〜」
が偏向報道の批判などを受けて再放送が延期された問題で、SNS画像を複数使用されながら取材依頼がなかったというフリー記者、石井孝明氏が取材に応じ
「NHKは川口市民らにほとんど話を聞かず、この問題を追っている私にも取材しない」
「一方でクルド人を擁護する側だけから情報をもらって『物語』を作っている」
などと指摘した。
■「人権派」のシナリオ通り
石井氏は元時事通信の記者で現在はフリーで活動している。
令和5年5月以降、埼玉県川口市に集住するクルド人の一部と地域住民の間で軋轢が生じていることを早い段階でネットニュースや月刊誌などで報じた。
昨年2024年末には
「埼玉クルド人問題」
という本も出版している。
石井氏は、番組に出演していた日本人の中で一般市民を除く識者ら7人のうち3人は、日本弁護士連合会が昨年2024年8月に主催した
「クルド人に対するヘイトスピーチ問題を考える緊急集会」
で登壇した弁護士と支援者だと指摘。
他の4人も支援者やリベラル系の研究者らだった。
弁護士の1人は番組終盤で全体の結論のように、
「ヘイトスピーチが違法でないのは国の問題だ」
とコメントしていた。
石井氏は番組について
「クルド人の行動に困っている川口市民や、議会でこの問題を何度も取り上げている地方議員らに全く耳を貸さず、他のメディアでも常連の日本語の話せるクルド人と、その日本人支援者、人権派弁護士が次々に登場して『日本人が悪い』と繰り返す」
「彼らのシナリオ通りに番組を作ったのだろう」。
その上で
「番組には、トルコ政府がテロ組織支援者と認定したクルド人団体の幹部2人や、日本国内での事件の関係者らも登場して『クルド人は被害者』と訴えていた」
「NHKはテロ活動や事件の関係者を支援していると言える」
と指摘する。
■トルコに支局があるのに
更に石井氏は番組について
「クルド人の大半が偽装難民、不法移民の可能性が高いという重要な問題を報道していない」
「NHKはトルコにイスタンブール支局があるのに、現地取材もしていない」
と指摘。
その一方で、番組では産経新聞がトルコのクルド人が多く住む村に記者を派遣し、日本で難民認定申請しているクルド人の実態や背景を現地取材した際の関連記事
「川口クルド人『出稼ぎ』と断定」
の画像を産経新聞に取材なく使用、あたかも産経記事がヘイト投稿を助長したかのような印象を受ける編集をしていた。
また、番組では、川口市内の解体資材置き場(ヤード)で働くクルド人男性が3人、カメラに向かって次々に
「在留カード」
を掲げる場面があり、そのうち2枚は
「特定活動」
の在留資格だった。
クルド人が難民申請中に多く与えられる資格で、俗に
「難民ビザ」
と呼ばれるが、あくまで申請手続きのための在留許可。
その間の生活手段として例外的に就労できる資格に過ぎないが、そうした背景には全く触れなかった。
唯一触れた場面ではクルド人でなく、トルコ人女性がクルド人をかたって難民申請しているとの涙声の証言を詳細に取り上げていた。
■「かわいそう」垂れ流し
番組では石井氏のX投稿や関連画像の計4カ所についても、あたかもヘイト投稿であるかのように放送。
X投稿の多くで
「@マーク」
から始まるユーザー名が公開されており、石井氏は氏名のローマ字綴りだったためすぐに分かる形だったが、ナレーションやテロップで石井氏についての言及は一切なかった。
石井氏は
「クルド人問題とは不法滞在、偽装難民の疑いのある人の迷惑行為や犯罪を取り締まればよいだけの、単純な問題だ」
「だが、番組はいつものリベラルメディアの『かわいそうなクルド人』という物語の垂れ流しで、問題解決の役には立ちそうにない」
と話し、こう続けた。
「私に取材がなかったのは、本当のことを指摘されて、NHKが描くシナリオや物語が否定されることを恐れたのだろう」
NHKは番組について今月2025年4月16日の会長記者会見で
「偏向報道」
などの批判があることを認め、再放送の延期について
「より取材を深めるため」
などと理由を説明した。
石井氏は
「国民の受信料で成り立っている放送局なのだから、国民の声を真摯に取り上げるべき」
「是非、私や地元の困っている人、議会で何度も取り上げている方々の話を聞いて、より取材を深めてほしい」
と話している。

NHKクルド特集、産経記事を無断使用「ヘイト拡散」と描く 批判的Xのアカウントも公開
「移民」と日本人
2025/4/17 18:50
https://www.sankei.com/article/20250417-GSEJH4PBZ5DFRHLUIQJAJJYWEA/
今月2025年4月5日に放送されたNHKのETV特集
「フェイクとリアル〜川口 クルド人 真相〜」
が偏向報道の批判などを受けて再放送が延期された問題で、
「産経ニュース」
のニュース画像が番組内で無断で使われていたことが分かった。
番組では、産経記事があたかもヘイト投稿を助長したかのような描写をしていた。
番組は
「クルド人」
という言葉を含むSNS投稿を時系列で解析し、投稿が増えた時期の中心的な投稿内容の真偽を検証したとするもの。
いずれもクルド人問題を
「フェイク」
「ヘイト」
と一面的に捉えた描き方だった。
過去2年間で投稿数が最多だったのは昨年2024年2月で、クルド人問題を巡るデモの際にクルド人団体幹部が発言した内容に対してだったと紹介した。
更に、2番目に投稿数が多かった時期として昨年2024年11月を挙げ、ナレーションが
「この月、様々な出来事が重なり、SNSは再び大きな盛り上がりを見せていた」
と説明。
産経ニュースが同月2024年11月24日に報じた
「川口クルド人『出稼ぎ』と断定」
との記事のSNS画像を、出典を明示することなく放送していた。
その際、
「新聞社がクルド人に関する記事を集中連載」
「そこから多く拡散されていく」
とのナレーションが流れ、あたかも産経の記事が真偽不明でヘイト投稿を助長したかのような印象を受ける編集がされていた。
「産経新聞」
のロゴマークもそのまま放送していたが、記事についての取材は産経新聞社に一切なかった。
番組では、一般投稿者のXを紹介する際、アカウント名やアイコンにぼかしをかけていたが、
「@マーク」
から始まるユーザー名はそのまま放送。
中には、クルド人問題に批判的な投稿をしただけの個人アカウントも、ユーザー名にぼかしをかけずに公開していた。

NHKの川口クルド人特集 「偏向」批判など受け異例の修正へ 再放送延期、公開質問状も
「移民」と日本人
2025/4/16 17:24
https://www.sankei.com/article/20250416-HPSYWRNRJBFCNCK6NEPEB2AXJM/
NHKが今月2025年4月5日に放送した埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人の問題を扱ったドキュメンタリー番組の再放送が直前に延期され、配信も中止されていたことが2025年4月16日分かった。
同日の稲葉延雄会長の定例記者会見で、同局幹部は
「偏向報道」
などの批判があることを認め、
「より取材を深めるため」
などと理由を説明。
今後修正するなどした上で再放送する異例の方針を明らかにした。
この番組は同局のEテレで毎週土曜夜に放送されている
「ETV特集」
のうち、今月2025年4月5日に放送された
「フェイクとリアル〜川口 クルド人 真相〜」。
公式Xは内容について
「クルド人に関するSNSの投稿が、この2年で爆発的に急増」
「犯罪・テロの声が溢れ、デモや脅迫も…」
「何が起きているのか?真偽は?投稿者や関係者を取材し調査報道で迫る」
と紹介している。
ところが、放送後にSNS上などで
「不偏不党の公共放送の名を傷つけるくらい偏った内容」
「一部クルド人の治安問題の『リアル』はスルーですか」
などと批判が殺到。
「NHKから国民を守る党」
の浜田聡参院議員が同局に対し、公開質問状を出す事態となっている。
今月2025年4月9日深夜には再放送が予定されていたが、同局は数時間前に一転、延期を告知。
配信サービス
「NHKプラス」
の見逃し配信も突然非公開とされ、
「NHKオンデマンド」
でもこの回だけ配信されていない。
この日の会見で、稲葉氏に代わって回答した樋口大山コンテンツ戦略局企画管理センター長は、偏向報道などの批判について
「様々な意見が出ていることは承知している」
「そうしたことも含め、より取材を深めるため再放送と配信を延期した」
と説明。
一方で
「政治的な圧力」
は否定した。
樋口氏は、新たな検証番組の制作については
「今のところ新しく番組を作り直すことを想定しているわけではない」
とした上で、
「より深く取材した内容をどのような形で放送するかも含め検討中」
と話した。

NHK川口クルド人特集で国会追及、N国・浜田氏「番組責任者は不勉強」「不安報じず」
2025/4/17 17:11
https://www.sankei.com/article/20250417-4RYGCIH3DZFB5MQR5YG6FTMXXU/
NHKが埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人を巡る番組の再放送を延期している問題について、NHKの山名啓雄専務理事は2025年4月17日の参院総務委員会で、制作目的を
「『クルド人』を含むSNS投稿をタイムラインに沿って解析し、投稿が増加した時期の中心的な投稿内容の真偽を検証し、背景に迫ること」
と説明した。
政治団体「NHKから国民を守る党」の浜田聡参院議員の質問に答弁した。
番組はEテレで2025年4月5日に放送された
「フェイクとリアル〜川口 クルド人 真相〜」。
内容に関して公平性を疑問視する声が寄せられ、2025年4月9日に予定された再放送は延期され、見逃し配信は非公開とされた。
NHK幹部は2025年4月16日の会見で番組内容を修正し再放送する方針を明らかにした。
浜田氏は同委で
「クルド人を被害者としてのみ報道し、地元住民にクルド人が不安を与える側面を報じていない」
と述べた。
また、SNSに寄せられた声を引用し、
「番組はトルコの現地調査を行っていない」
「法制度の欠陥が語られていない」
「当事者や支援者団体の証言を無批判に引用している」
と指摘した。
山名氏は
「寄せられた意見を踏まえ、論争となっている問題は多角的に問題点を明らかにするように取り組んでいきたい」
と語った。
浜田氏は山名氏に対し、
「期待したい」
と述べた上で、
「番組責任者はクルド人問題に不勉強だと思う」
「猛省を促したい」
と苦言を呈した。

NHK会見、川口クルド特集に質問集中「偏向との意見は承知」「取材深めた上で」一問一答
「移民」と日本人
2025/4/16 19:36
https://www.sankei.com/article/20250416-SP57KLUVJFAOXOHLWM33MUHROE/
今月2025年4月5日放送のNHKドキュメンタリー番組
「ETV特集・フェイクとリアル〜川口 クルド人 真相〜」

「偏向報道」
の批判などを受け再放送が延期された問題が2025年4月16日、同局の稲葉延雄会長の定例記者会見で取り上げられた。
新聞社・通信社計5社から質問が集中。
稲葉氏は
「個別の番組に関すること」
として質問に答えず、樋口大山コンテンツ戦略局企画管理センター長が回答した。
主なやり取りは次の通り。
ーー再放送を延期し、配信を中止した理由は何か
「編成上の都合で再放送を延期し、合わせて『NHKプラス』の配信を停止した。より取材を深めた上で、改めてお伝えしたいと考えている」

ーーSNS上などで「偏向報道」だと批判が出ている
「様々ななご意見が出ていることは承知している。そういうことも含めて、より取材を深めた上で、改めてお伝えしたい」

ーー新たな番組を制作するのか
「どういう形で放送するかは取材を踏まえた上だが、今の段階で新しく番組を作り直すようなことを想定しているわけではない。そういうことも含めて検討している」

ーー現状では放送できない状態という認識か
「取材の詳しい過程については回答を差し控えたい」

ーー再放送の延期も配信の中断も重大なことだと考えられる。視聴者との契約上などから問題ないのか
「再放送を延期したことに合わせて、配信も整合性を取るため停止したということだ」

ーー具体的に何のトラブルがあったのか
「トラブルというより、より取材を深めた上でお伝えしたい。それ以上は取材の過程なので回答を差し控えたい」

ーーそれでは再放送を止める理由になっていない印象を受ける
「取材を深めた上での放送をご覧いただければと思う」

ーー政治的な圧力があったのか
「ない。あくまでNHKとしての自発的な編集権に基づく判断だ。それだけを申し上げる」

ーー1度放送した番組を再放送に向けて新たに取材することは、よくあることなのか
「それほど多くはないが、再放送に当たって修正することはあることだと認識している」

ーー放送内容の正確性に疑義があったのか
「事実関係の誤りなどではない。より取材を深めるため、今回のような対応をしている」

NHKの川口クルド人特集 「偏向」批判など受け異例の修正へ 再放送延期、公開質問状も
「移民」と日本人
2025/4/16 17:24
https://www.sankei.com/article/20250416-HPSYWRNRJBFCNCK6NEPEB2AXJM/
NHKが今月2025年4月5日に放送した埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人の問題を扱ったドキュメンタリー番組の再放送が直前に延期され、配信も中止されていたことが2025年4月16日分かった。
同日の稲葉延雄会長の定例記者会見で、同局幹部は
「偏向報道」
などの批判があることを認め、
「より取材を深めるため」
などと理由を説明。
今後修正するなどした上で再放送する異例の方針を明らかにした。
この番組は同局のEテレで毎週土曜夜に放送されている
「ETV特集」
のうち、今月2025年4月5日に放送された
「フェイクとリアル〜川口 クルド人 真相〜」。
公式Xは内容について
「クルド人に関するSNSの投稿が、この2年で爆発的に急増。犯罪・テロの声があふれ、デモや脅迫も…。何が起きているのか?真偽は?投稿者や関係者を取材し調査報道で迫る」
と紹介している。
ところが、放送後にSNS上などで
「不偏不党の公共放送の名を傷つけるくらい偏った内容」
「一部クルド人の治安問題の『リアル』はスルーですか」
などと批判が殺到。
「NHKから国民を守る党」
の浜田聡参院議員が同局に対し、公開質問状を出す事態となっている。
今月2025年4月9日深夜には再放送が予定されていたが、同局は数時間前に一転、延期を告知。
配信サービス「NHKプラス」の見逃し配信も突然非公開とされ、「NHKオンデマンド」でもこの回だけ配信されていない。
この日の会見で、稲葉氏に代わって回答した樋口大山コンテンツ戦略局企画管理センター長は、偏向報道などの批判について
「様々な意見が出ていることは承知している」
「そうしたことも含め、より取材を深めるため再放送と配信を延期した」
と説明。一方で「政治的な圧力」は否定した。
樋口氏は、新たな検証番組の制作については
「今のところ新しく番組を作り直すことを想定しているわけではない」
とした上で、
「より深く取材した内容をどのような形で放送するかも含め検討中」
と話した。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/171.html#c10

[政治・選挙・NHK297] 野田枝野消費税増税党を創設(植草一秀の『知られざる真実』) 赤かぶ
47. 秘密のアッコちゃん[1478] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月21日 18:37:33 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[916]
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「自衛隊の訓練は人殺しの訓練」共産党滋賀県議が発言し謝罪 繰り返される「侮辱」表現
2025/4/21 15:59
https://www.sankei.com/article/20250421-URQJ5EL4TFGFLNTDAUQLT3DOEI/
滋賀県の共産党県議が2025年3月の県議会で、陸上自衛隊の訓練について
「人殺しの訓練」
と繰り返し、県自衛隊家族会の抗議を受けて県議会で謝罪したことが2025年4月21日、分かった。
共産党県議団は
「弁明の余地のない不適切な発言」
と産経新聞の取材に釈明した。
「自衛隊と憲法9条は両立し得ない」(志位和夫委員長)
との立場を取る共産党。
共産党議員による自衛隊を侮辱する発言は繰り返されている。
■「人殺しのための訓練」
問題の発言は2025年3月19日の県議会本会議で、共産党の中山和行県議が、陸自饗庭野(あいばの)演習場(同県高島市)で場外着弾事故が繰り返されていると問題視し、実弾射撃訓練の中止を訴える中で飛び出した。
中山氏は、昨年2024年7月に同演習場で行われた日米共同訓練について
「陸上自衛隊と米陸軍の攻撃ヘリコプターによる空中実弾射撃訓練が初めて行われ、まさに人殺しの訓練だった」
と指摘。
「世界の人々が求めるのは平和な社会です」
「人が殺し合い、殺されることは望まず、許されません」
と述べた上で、
「人殺しのための訓練、実弾射撃訓練を止めることは住民の命、自衛隊員の命を守ることにも繋がる」
と持論を語った。
■抗議受けて謝罪
「人殺しの訓練」
発言に対して、県自衛隊家族会は今月2025年4月15日、県議会議長に抗議の申し入れ書を提出した。
2025年4月18日の県議会議会運営委員会で、共産党県議団(2人)の節木三千代代表は
「不適切な発言だった」
と釈明。
議長に中山氏と2人で謝罪した。
節木氏は産経新聞の取材に
「『人殺し』の部分は不適切な言葉だった」
「会派としてお詫びを申し上げた」
「家族会の皆さんが気分を害される(のも当然だ)」
と述べ、家族会への今後の対応については
「会派で相談する」
と語った。
■「人を殺す予算」「国民を殺す訓練」
共産党を巡り、同様の表現は過去から続いている。
古くは昭和44年7月、岩間正男参院議員が参院本会議で
「国民の税金で賄われている自衛隊が、こともあろうに国民を殺す訓練をしている」
と発言。
昭和55年11月の衆院内閣委員会では中島武敏衆院議員が自衛隊について
「不要不急部門で膨大な過剰定員が温存され、行政の無駄がある」
と述べた。
平成28年6月には、当時の藤野保史政策委員長がNHK番組で防衛予算について
「人を殺すための予算」
と言い放ち、事実上更迭された。
平成27年10月には奈良県が誘致する陸自駐屯地について、共産党奈良県会議員団などで作る
「軍事基地のない平和な奈良県を守る会」
がチラシに
「陸上自衛隊は『人殺し』の訓練」
と記し、問題視された。
■「自衛官の尊厳がかかっている」
自民党の有村治子参院議員は今月2025年4月19日、今回の奈良県議の発言についてX(旧ツイッター)で
「議会で厳正な対処を求めているのは当然のこと」
と指摘し
「過酷な訓練で殉職も出しながら危険を顧みず、国家国民を守る最前線に立つ自衛官の尊厳がかかっている」
と強調した。

「陸上自衛隊は人殺しの訓練」共産党、奈良への駐屯地誘致反対チラシに記載
2016/7/20 5:00
https://www.sankei.com/article/20160720-MBQFUZV3VFMXJJH3MS2KZPXB34/?747889
「陸上自衛隊は『人殺し』の訓練」などと記されたチラシ。共産党奈良県会議員団は「誤解を受ける表現だった」と釈明している 
https://www.sankei.com/article/20160720-MBQFUZV3VFMXJJH3MS2KZPXB34/photo/WVHS75DILZKO5CNK7YYJPNPHAU/
奈良県が誘致を進める陸上自衛隊駐屯地をめぐり、共産党奈良県会議員団などでつくる団体が昨年2015年10月、駐屯地誘致に反対する講演会の案内のチラシに
「陸上自衛隊は『人殺し』の訓練」
などと記していたことが2016年7月19日、分かった。
共産党では先月2016年6月、藤野保史(やすふみ)政策委員長(当時)がNHK番組で防衛費を
「人を殺すための予算」
と発言し、事実上更迭された。
同県会議員団は
「説明不足で誤解を受ける表現だった」
と釈明している。
チラシを作成したのは、同県会議員団などで作る
「軍事基地のない平和な奈良県を守る会」。
党機関紙「赤旗」や市民団体機関紙の折り込み用に作成した。
チラシの表題は
「奈良県に陸上自衛隊駐屯地はいらない!」
で、講演会の開催日時と場所の他、駐屯地誘致に対する反対運動について掲載。
困ったような表情をした女の子と犬のイラストを添え、
「陸上自衛隊は『人殺し』の訓練」
「奈良の若者が駐屯地誘致で自衛隊に狙われている」
という吹き出しが、
「不安がいっぱい…」
との言葉と共に記されている。
産経新聞の取材に対し、同県会議員団は
「奈良県に軍隊に繋がるものを作らせない、という意図だったが、不適切な表現だった」
と釈明した。
共産党奈良県委員会も
「災害時に救援救助に当たってもらう自衛隊を否定しているわけではない」
「軍隊の本質は『人を殺し、殺される』ものだということを示すためだったが、説明不足だった」
とし、今後は内部でのチェック体制を高めるという。
奈良県は全国で唯一、陸上自衛隊駐屯地のない県。
このため県は南海トラフ巨大地震など大規模災害に対応するため、同県五條市にヘリポートを併設した陸上自衛隊駐屯地を誘致しようと国に要望している。
災害時に孤立集落の発生も予想される県南部地域への迅速な対応を目指し、駐屯地と連携する形で県の防災拠点も整備する方針。
平成28年度の当初予算には、誘致関連事業費として約4600万円を計上した。

またも自衛隊を「侮辱」 共産党「陸自は人殺し訓練」チラシ…識者「党の本質露呈した」
2016/7/20 5:00
https://www.sankei.com/article/20160720-33OM4O5B4RP3BIID34FC4JLXKM/
共産党奈良県会議員団などが、陸上自衛隊を
「人殺しの訓練」
と記したチラシを作成していたことが2016年7月19日、明らかになった。
共産党は綱領に自衛隊の解消を掲げている。
識者からは、防衛費を
「人を殺すための予算」
と発言した先月2016年6月のケースと同様に、
「自衛隊への侮辱だ」
と批判する声が上がった。
「自衛隊を『人殺し』という生々しい言葉で批判するのはどうかと思う」
「自衛隊をなくそうと文字で扇動しているようなものだ」
「後で『説明不足だった』と言われても…」。
自民党の奈良県議は厳しく批判する。
山間部が広がる南部に防災基地がない奈良県は、約10年前から大規模災害時への対応のため陸上自衛隊駐屯地の誘致を進めてきた。
平成23年の紀伊半島豪雨を機に、誘致への機運は更に高まった。
荒井正吾知事も
「不測の事態に県民の生命と財産を守っていただくため、五條市への配置が必要だ」
とし、国への要望の最重点項目とするなど力を入れている。
これに対し、共産党県会議員団は
「自衛隊は国土の防衛が本来の仕事」
「基地が防災のために必要なら、地域の消防力を抜本的に強化すべきだ」
とする見解をホームページに掲載。
署名集めなど駐屯地誘致への反対活動を展開している。
チラシについて県関係者は
「色々な考え方があるが、県民には自衛隊の正しい役割を認識してもらっていると思う」
と冷静な反応を示す。
一方、拓殖大の藤岡信勝客員教授(教育学)は
「自衛隊の解消を目指す共産党にとって、自衛隊は否定しなければならない存在だ」
「『人殺し』というぎょっとする言葉を使って訴える方法は良い説明方法だとこれまで内輪で考えていた」
「党の本質が露呈したと言える」
と指摘。
「防衛も災害救助も国民の生命・安全を守る点では同じ」
「一方を肯定し、一方を否定するのはあり得ない」
「自衛隊に対する侮辱だ」
と批判した。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/174.html#c47

[政治・選挙・NHK297] 発覚部屋、自首(チダイズム) 赤かぶ
30. 秘密のアッコちゃん[1479] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月21日 19:10:25 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[917]
憲法改正「賛成」59%で過半数 「反対」の29・9%を大きく上回る
世論調査
2025/4/21 18:32
https://www.sankei.com/article/20250421-XK6TLCU44BI4VARHMSZTUDVCH4/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年4月19、20両日に実施した合同世論調査で、2025年5月3日の憲法記念日を前に、憲法改正への賛否を尋ねたところ、
「賛成」が59・0%で過半数となり、
「反対」の29・9%を大きく上回った。
主要政党の支持層ごとにみると、
自民党は賛成67・3%、反対23・4%。
立憲民主党は賛成34・2%、反対61・7%で、
国民民主党は賛成73・1%、反対22・7%だった。
「支持政党はない」とする無党派層は賛成56・1%、反対29・2%だった。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/175.html#c30
[政治・選挙・NHK297] 枝野発言で火がつき一気に現実味…立憲民主党と国民民主党が参院選で共闘か 永田町番外地(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
19. 秘密のアッコちゃん[1480] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月22日 04:21:17 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[918]
<■51行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
沖縄の切り離し狙う中国 米基地減らし「自治特別区化」を提言 浸透工作に警戒必要
2025/4/17 18:00
https://www.sankei.com/article/20250417-5YR4IHVV2ZOSPOE3XCGEPMXGJM/
「日本は『台湾問題』を口実に琉球(沖縄)人を琉球から追い出すと宣言した」
「一旦戦争が起きれば、日本は躊躇なく琉球人を虐殺するだろう」
沖縄独立運動の活動家で米ハワイ出身のロバート梶原氏はX(旧ツイッター)で2025年4月、台湾有事を念頭に政府が公表した沖縄県住民の避難計画を巡り、中国語で陰謀論を展開した。
日系4世で
「琉球人」
を自称する梶原氏は、14万人のフォロワーを抱える中国の短文投稿サイト
「微博(ウェイボ)」
でも沖縄独立論を展開。
一方、台湾や中国の新疆ウイグル自治区、チベット自治区などの独立運動には反対の立場を示している。
米ニュースサイトのアクシオスは2023年、梶原氏のように中国のナラティブ(言説)を拡散させるインフルエンサーを中国が海外で獲得し続けていると指摘した。
原動力となるのは
「イデオロギー上の信念や(中国の)10億人のネットユーザーへのアクセスといった動機付け」
だという。
中国の学術界は21世紀初頭以降、沖縄の日本への帰属が未確定だとする主張をしばしば提起してきた。
この議論は日中関係が緊張した際に
「沖縄カード」
として利用されており、近年では台湾海峡の平和に関与しようとする日本を牽制する手段となっている。
中台統一を悲願とし武力行使の選択肢も排除しない中国にとって、沖縄の米軍基地や自衛隊基地は厄介な存在だ。沖縄で親中世論を形成し日本政府と沖縄の離間が進めば、米軍基地の縮小に繋がる可能性もある。
中国社会科学院日本研究所の蔣立峰元所長は2024年9月に発表した
「琉球・沖縄地位補論(下編)」
で、日本政府が沖縄において
「自治の意義を持つ特別区を設立」
するよう提言。
「米軍の軍事基地を徐々に減らし、日本にとっての軍事安全保障の役割から平和促進の役割へと琉球諸島を変える」
べきだと踏み込んだ。
興味深いのは蔣氏が
「琉球原住民」
の主権尊重を訴え、沖縄の独立運動に理解を示す一方、一部の琉球独立派が
「ウイグル独立、チベット独立、台湾独立を傲慢にも支持している」
と警戒感を露わにしていることだ。
もし中国政府が公式に沖縄の帰属に疑義を呈すれば、中国が抱える少数民族問題に飛び火しかねない。
「沖縄カード」
の動きが学術界にとどまっている理由だ。
ただし、日本は軽視すべきではない。
「現段階で中国の『沖縄カード』は、台湾問題に介入させないよう日本を牽制する手段だ」
「ただ長期的には台湾を獲った後、沖縄を中国の一部にしたいと考えて準備を進めている」。
沖縄の歴史に詳しい台北の政治研究者はそう分析する。
2012年に習近平指導部が発足して以降、中国の外交や対台湾政策は
「国家安全部門が介入し、グレーゾーンの手段を多用するようになった」
(台湾の王宏仁・成功大教授)。
そこには偽情報を利用する認知戦やサイバー攻撃、買収などの後ろ暗い手段が含まれる。
日本の公安調査庁は平成29(2017)年1月付の年次報告書で、中国の大学やシンクタンクが
「琉球独立」
を標榜する団体関係者らとの学術交流を進めていると指摘し、
「日本国内の分断を図る戦略的な狙いが潜んでいる」
と警鐘を鳴らしている。
中国による沖縄への浸透工作を一層警戒すべきだ。(台北支局長)

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/177.html#c19
[政治・選挙・NHK297] 野田枝野消費税増税党を創設(植草一秀の『知られざる真実』) 赤かぶ
64. 秘密のアッコちゃん[1481] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月22日 04:43:27 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[919]
<■173行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
参院選の比例投票先で国民民主の勢い続く 13%で2位 自民が首位、立民は3位
世論調査
2025/4/21 16:35
https://www.sankei.com/article/20250421-OQSFSXWSWVNJNMY3EHO5YU3JNQ/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が19、20両日に実施した合同世論調査で、今夏の参院選の比例代表でどの党に投票するかを尋ねたところ、自民党が前回調査(3月22、23両日実施)比4・4ポイント増の23・7%で最多だった。
次いで国民民主党が同1・3ポイント増の13・3%となり、勢いが持続している。
ほかの政党は、立憲民主党8・8%▽日本維新の会3・8%▽公明党2・9%▽れいわ新選組2・9%▽共産党2・8%▽参政党1・7%▽日本保守党1・0%▽社民党0・6%−だった。
投票先未定など「分からない・言えない」が31・6%、「投票したい政党はない」が6・2%だった。
年代別にみると、国民民主は18〜29歳と50代で自民を抑えてトップに立ち、30代、40代、60代でも2位につけるなど、幅広い年代からの支持を維持した。
一方、前回調査で3つの区分で3位に入ったれいわは、全ての区分で4位以下となった。
立民は全ての区分で3位以内に入り、70歳以上では2位だった。維新はすべての区分で4位以下だった。
年代別の上位3位は以下の通り。
▽18〜29歳=国民民主20・1%、自民17・7%、立民4・3%
▽30代=自民14・8%、国民民主13・4%、立民6・8%
▽40代=自民19・5%、国民民主18・3%、立民4・2%
▽50代=国民民主16・0%、自民14・1%、立民8・6%
▽60代=自民24・9%、国民民主14・8%、立民13・9%
▽70歳以上=自民38・5%、立民12・0%、共産4・7%

国民民主念頭? 広がる「連立組み換え」ムード 自民支持層の過半数も野党の政権参画期待
世論調査
2025/4/21 12:25
https://www.sankei.com/article/20250421-C6HDBCCCRRKZZKS543J2SHKAZE/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が19、20両日に実施した合同世論調査では、今後の望ましい政権の枠組みについて
「自民・公明両党に野党の一部が加わった政権」
との回答が48・3%で最多となり、
「自公による政権の継続」
は13・9%に留まった。
自民支持層でも政権枠組みの見直しを求める声が過半数で、夏の参院選後には
「連立組み換え」
が政治課題に浮上する可能性がある。
回答を支持政党別にみると、自民支持層では
「自公に野党の一部が加わった政権」
が55・5%で過半数を占め、全体の数字を上回った。
「自公による政権の継続」
は32・7%だった。
石破茂内閣が衆院過半数割れで政権運営に苦しむ中、国民民主党や日本維新の会など、一部野党を参画させた
「安定政権」
を求める声が与党支持層に強まった結果とみられる。
一方、野党支持層では異なる傾向が出た。
国民民主党支持層の54・4%、立憲民主党支持層の53・8%が
「現在の野党中心の政権に交代」
と回答し、
「自公に野党の一部が加わった政権」
は国民民主支持層で43・4%、立民支持層で39・7%にとどまった。
また、自公が少数与党となったことについて
「よかった」との回答が61・7%となり、
「よくなかった」の27・6%を大きく上回った。
自民支持層でも「よかった」が35・0%を占め、「よくなかった」は57・2%だった。
石破首相に、いつまで首相を続けてほしいかの質問では
「すぐに交代してほしい」が20・9%、
「夏の参院選まで」が37・9%、
「年内」が22・4%、
「できるだけ長く続けてほしい」が16・1%
だった。

石破首相「夏の参院選まで」38% 世論調査の質問と回答(4月19〜20日)
世論調査
2025/4/21 12:23
https://www.sankei.com/article/20250421-KCVYZPL7QRPDRHQLSW6KPQAB5Q/
【問】石破内閣を支持するか
支持する33.3(30.4)
支持しない61.5(63.0)
他5.1(6.6)

【問】支持すると答えた理由は
石破茂首相の人柄が信頼できるから26.9
政策がよいから2.6
実行力に期待できるから7.6
自民党中心の内閣だから16.7
他によい人がいないから45.3
他0.8

【問】支持しないと答えた理由は
石破首相の人柄が信頼できないから11.3
政策がよくないから25.8
実行力に期待できないから40.0
自民党中心の内閣だから16.5
他によい人がいるから5.2
他1.2

【問】どの政党を支持するか
自民党22.9(20.8)
立憲民主党7.6(6.9)
日本維新の会2.8(3.4)
公明党2.6(2.7)
国民民主党11.4(11.1)
共産党2.5(2.2)
れいわ新選組3.7(5.2)
参政党1.4(1.3)
日本保守党0.9(1.0)
社民党0.6(0.4)
その他の政党0.7(0.0)
支持政党はない39.4(40.6)
他3.6(4.4)

【問】トランプ米大統領が打ち出した関税措置について、日々の生活への影響を心配しているか
とても心配している33.7
ある程度心配している45.8
あまり心配していない15.6
まったく心配していない4.0
他1.0

【問】米の関税措置に対し、赤沢亮正経済再生担当相が訪米してトランプ氏や担当閣僚と会談し、早期の合意を目指して日米で協議していくことを確認した。関税措置に関する石破政権の交渉に期待するか
大いに期待している8.2
ある程度期待している31.8
あまり期待していない39.4
まったく期待していない19.3
他1.3

【問】物価高などを受けて、野党などから消費税を減税するよう求める声が出ている。消費税の減税に賛成か
賛成68.0
反対28.0
他4.0

【問】石破首相にいつまで首相を続けてほしいか
すぐに交代してほしい20.9
夏の参院選まで37.9
年内22.4
できるだけ長く続けてほしい16.1
他2.6

【問】昨年10月の衆院選で与党が過半数割れしたため、与党は野党の協力を得ないと予算案や法案を成立させられない状況が続いている。衆院で与党過半数割れしてよかったと思うか
よかった61.7
よくなかった27.6
他10.7

【問】現在、自民・公明両党が与党として政権を担っている。今後、政権の枠組みがどうなってほしいと思うか
自民・公明両党による政権の継続13.9
自民・公明両党に野党の一部が加わった政権48.3
現在の野党中心の政権に交代30.2
他7.6

【問】夏に予定される参院選の比例代表で、今の段階でどの政党に投票しようと思うか
自民党23.7(19.3)
立憲民主党8.8(8.5)
日本維新の会3.8(3.2)
公明党2.9(2.6)
国民民主党13.3(12.0)
共産党2.8(2.6)
れいわ新選組2.9(5.3)
参政党1.7(1.0)
日本保守党1.0(0.9)
社民党0.6(0.4)
その他の政党0.9(0.1)
投票したい政党はない6.2(7.6)
他31.6(36.6)

【問】希望すれば、夫婦それぞれが結婚前の名字を名乗ることができる選択的夫婦別姓の法整備についてどう思うか
賛成30.9(35.8)

夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げるべき48.3(44.8)
反対17.3(16.6)
他3.5(2.8)

【問】憲法改正に賛成か
賛成59.0
反対29.9
他11.1

【問】元タレント・中居正広氏と女性とのトラブルに端を発したフジテレビをめぐる問題について、先月、フジテレビが設置した第三者委員会が報告書を発表した。フジテレビは日枝久取締役相談役の退任をはじめ、経営陣を大幅に刷新し、人権尊重の徹底、企業風土改革、ガバナンス強化などを掲げ、再生・改革に取り組んでいる。フジテレビの対応を評価するか
大いに評価する5.7
ある程度評価する46.7
あまり評価しない28.1
まったく評価しない14.7
他4.7
(注)数字は%。カッコ内の数字は3月22、23両日の前回調査結果。「他」は「わからない」「言えない」など。参院選の比例投票先を尋ねた設問の「投票したい政党はない」は前回、「支持政党はない」として集計した。
世論調査の方法
調査エリアごとの性別・年齢構成に合わせ、電話番号を無作為に発生させるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)方式で電話をかけ、算出した回答数が得られるまで調査を行った。電話の割合は「固定電話4:携帯電話6」。内閣支持率のみ回答が不明確な場合には、「どちらかといえば」と再度質問して回答を得た。調査対象は全国の18歳以上の男女1015人。小数点以下第2位を四捨五入しているため100%にならないことがある。

今後の政権「自公」わずか14% 「自公+野党」48% 石破対米交渉「期待せず」59%
世論調査
2025/4/21 11:47
https://www.sankei.com/article/20250421-RZ3QNGGSCNJJPN2BYCQAD7SEMQ/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)は19、20両日、合同世論調査を実施した。
今後の望ましい政権の枠組みについて尋ねたところ、「自民・公明両党に野党の一部が加わった政権」が48・3%で最も多く、「現在の野党中心の政権に交代」が30・2%で続いた。
「自公両党による政権の継続」は13・9%に留まった。
石破茂内閣の支持率は33・3%で、政権発足以降で最低だった前回調査(3月22、23両日実施)比で2・9ポイント上昇した。
不支持率は同1・5ポイント減の61・5%で、2カ月連続で6割を超えた。
政党支持率は、自民が同2・1ポイント増の22・9%、国民民主党が同0・3ポイント増の11・4%。以下、立憲民主党7・6%▽れいわ新選組3・7%▽日本維新の会2・8%▽公明党2・6%▽共産党2・5%−などの順だった。「支持政党はない」が39・4%だった。
物価高が続く状況で、野党などが求めている消費税減税への賛否では
「賛成」が68・0%で
「反対」の28・0%
を大きく上回った。
トランプ米大統領による関税措置の生活への影響については「とても心配している・ある程度心配している」が計79・5%にのぼった。
一方で、石破政権による米国との交渉については「期待していない」が計58・7%で、「期待している」の計40・0%を上回った。
元タレント・中居正広氏と女性とのトラブルに端を発した、フジテレビをめぐる問題に対し、同社が行った経営陣の刷新などの対応については「評価する」が計52・4%、「評価しない」が計42・8%だった。

選択的夫婦別姓 「同姓維持し旧姓の通称使用拡大を」が最多の48・3%
世論調査
2025/4/21 14:28
https://www.sankei.com/article/20250421-YDJWQP7YNBP3JMPEGBEDI6DIQ4/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が19、20両日に実施した合同世論調査で、選択的夫婦別姓制度に関する法整備について尋ねたところ、「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げるべきだ」との回答が前回調査(3月22、23両日実施)から3・5ポイント増の48・3%で最多を占めた。
法整備に「反対」は同0・7ポイント増の17・3%、「賛成」は同4・9ポイント減の30・9%だった。

消費税減税「賛成」68% 世代で傾向くっきり 若年層は9割が賛成、70歳超は6割
世論調査
2025/4/21 12:17
https://www.sankei.com/article/20250421-7U6Y4QH4ONKMDLTZVB5VYDQADQ/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が19、20両日に実施した合同世論調査で、野党などが求めている消費税減税への賛否を尋ねたところ、
「賛成」が68・0%
となり、
「反対」の28・0%
を大きく上回った。
支持政党別では、自民党支持層は賛成49・4%、反対46・1%と拮抗。
参院選公約に消費税減税を盛り込むかをめぐり、党内議論を行っている立憲民主党の支持層は賛成57・4%、反対35・5%だった。
国民民主党の支持層は賛成88・7%、反対10・4%だった。
年代別に「賛成」の割合をみると、
▽18〜29歳87・0%
▽30代72・5%
▽40代74・2%
▽50代63・1%
▽60代63・1%
▽70歳以上58・8%
と、若年層ほど賛成が多い傾向が鮮明だった。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/174.html#c64

[政治・選挙・NHK297] 石破自民の「消費税減税」決断観測にザワつく野党…“客寄せパンダ”小泉進次郎氏が言及し参院選戦略ぐらり(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
27. 秘密のアッコちゃん[1482] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月22日 13:12:54 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[920]
<▽34行くらい>
<主張>国会議員の訪中団 毅然と日本の立場伝えよ
社説
2025/4/22 5:00
https://www.sankei.com/article/20250422-LWEZWIDBNJMPZMU2HHSELUWJCI/
公明党の斉藤鉄夫代表らが22〜24日の日程で中国を訪問する。
超党派の日中友好議員連盟(会長・森山裕自民党幹事長)も27〜29日まで訪中団を派遣する予定だ。
中国共産党幹部や政府要人らと経済や安全保障などに関し意見を交わすとみられる。
世界には数多の国があるが、日本の国会議員の訪問先として中国が際立って多い点には違和感を覚える。
日中両国には様々な問題が横たわっている。
斉藤氏は21日、
「日本の国民が中国に抱いている懸念を話し合ってきたい」
と語った。
訪中する全ての議員は毅然とした態度で、日本の立場や日本国民の厳しい対中感情を伝えねばならない。
斉藤氏はまた、多国間安全保障対話の枠組みである欧州安保協力機構(OSCE)のアジア版創設について取り上げる考えも示した。
だが、米国やオーストラリアなどの賛同は得られまい。
形式的な機構作りより、中国に傍若無人な振る舞いをやめさせる方が先決だ。
習近平国家主席の国賓としての来日は新疆ウイグル自治区やチベット、香港などでの中国政府による人権問題や日中間の懸案のあまりの多さを鑑みれば、現状では許されない。
各議員は習氏来日に期待感を示すような言動を慎むべきだ。
中国当局が複数の邦人を拘束している問題は進展がみられない。
東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を理由に中国側が停止した日本産水産物の輸入は未だに再開されていない。
岩屋毅外相は王毅共産党政治局員兼外相と3月に会談し、戦略的互恵関係の推進で一致したが、この関係を進める環境は整っていない。
トランプ米大統領の厳しい対中姿勢を受けて、中国は日本に秋波を送っている。
日米同盟に楔を打ち込む思惑もあるのだろう。
中国の呼びかけに応じて日本の国会議員が漫然と訪中するとすれば、融和ムードを演出したい中国共産党政権を喜ばせるだけである。
習氏はベトナム、マレーシア、カンボジアを歴訪した。米国の関税政策に不満を抱く国々と反米で共闘する狙いがある。
日本の国会議員は中国よりも東南アジア諸国や米国や欧州、豪州などを訪ね、関係強化に勤しむ方が国益にかなう。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/181.html#c27
[政治・選挙・NHK297] DS注力の隠れ自公勢力大支援(植草一秀の『知られざる真実』) 赤かぶ
19. 秘密のアッコちゃん[1483] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月22日 13:23:24 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[921]
<■5156行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
選択的夫婦別姓制度のプラス面とマイナス面を考えた場合、マイナス面が圧倒的に大きいので、選択的夫婦別姓制度の導入には断固反対だ。

<独自>自民党地方議員の75%は「旧姓の通称使用の法制化」主張 森山幹事長も「驚き」
2025/4/22 11:09
https://www.sankei.com/article/20250422-64C2NWSWRFFLFL2C5MBFT6BI5M/
今国会の焦点とされる選択的夫婦別姓の導入の是非を巡って、自民党の都道府県議や政令指定都市の市議の75%が旧姓の通称使用の法制化を求めていることが2025年4月22日、分かった。
全国の地方議員を対象に
「『旧姓の通称使用』の法制化を求める地方議員の会」
(会長・松田良昭神奈川県議)
が実施した署名活動で判明した。
活動は昨年2024年12月に始まり、現在3100人分を超える署名が集まったという。
自民党の都道府県議と政令指定都市の市議に限ると計約1650人のうち1233人が署名した。
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年4月19、20両日に実施した合同世論調査で、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げるべきだ」
との回答は前回調査(2025年3月22、23両日実施)から3・5ポイント増えたが、48・3%にとどまっている。
地方議員の会は2025年4月21日、自民党の森山裕幹事長に要望書を提出した。
森山氏は
「重く受け止める」
と述べ、党地方議員の75%が署名したことを伝えられると、驚いた表情を浮かべたという。
同席者が明らかにした。
要望書は
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
(座長・逢沢一郎衆院議員)
に対して、中間報告の発出も求めている。
WTは選択的夫婦別姓を巡る国会議員の意見集約を目指し、今年2025年に入って計8回会合を開いている。
旧姓の通称使用拡大を求める声が多くなっているとされる一方、意見集約の方向性が見えず、地方議員から疑問視する声も上がっていた。
要望書は今夏2025年夏の参院選の公約に旧姓の通称使用の法制化を明記することも求めており、
「わが国や自民党の歴史に禍根を残さない判断を懇願する」
と記している。

<主張>選択的夫婦別姓 経団連は提言取り下げを
社説
2025/4/15 5:00
https://www.sankei.com/article/20250415-5PUPCYLNJFOBVINKTMM4C7ZHYM/
議論の土台が、崩れたと言えよう。
経団連が昨年2024年6月に公表した選択的夫婦別姓制度導入を求める提言で、理由として挙げたビジネス上の課題の多くが実際には解消済みだと自民党の会合で指摘された。
会合に出席した経団連の永井浩二副会長もそれを認めた。
根拠に乏しいこの提言は与野党の別姓推進派に利用され、国会審議にも影響を及ぼした。
経団連が国民をミスリードしたことになる。
猛省が必要で、提言は取り下げてもらいたい。
政府や自民党は別姓による不便・不利益の解消に向け旧姓の通称使用拡大を進めてきた。
一方、経団連は提言で、通称使用によるトラブルとして複数の事例を挙げ、別姓の早期導入を訴えてきた。
だが、2025年3月の自民党のワーキングチームで、各省庁の担当者から改善が進んでいる状況が明らかにされた。
経団連の提言が
「通称では不動産登記ができない」
とした弊害は、提言前の令和6年4月から旧姓併記が可能になり解消されていた。
多くの金融機関で口座が作れないと指摘した点は、令和4年3月時点でも7割の銀行が旧姓名義の口座開設を認めていた。
出席議員から実態に合わない提言を難ずる声が上がったのは当然だろう。
経団連の提言は導入論を煽った。
与野党の議論が増え、昨年2024年の自民党総裁選や衆院選で争点の1つとなった。
今年2025年2月に立憲民主党が導入実現の推進本部を立ち上げた際も、辻元清美本部長が経団連の推進に触れ、
「あとは政治が動くだけだ」
と気勢を上げた。
にもかかわらず、経団連側にミスリードの自覚が乏しいのは嘆かわしい。
経団連の十倉雅和会長は7日の会見で提言の不備が明らかになった点を問われ、
「便利か不便かという問題ではなく、アイデンティティーの問題」
と語った。提言の主眼は不便の解消にあったはずだ。
選択的とはいえ夫婦別姓は、子供がどちらかの親と別姓になる
「強制的親子別姓」
を意味する。
親よりも弱い子供の立場を優先したい。
別姓導入は戸籍制度も変質させ、国民を家族の一員よりも砂粒のような個人として扱う契機となる。
アイデンティティーという言葉を振りかざせば認められる話では決してない。
経団連は、家族や社会の毀損に与してはならない。

夫婦別姓、経団連幹部が釈明「追い付いてなかった」旧姓使用トラブル多くが改善 自民会合
2025/4/3 16:22
https://www.sankei.com/article/20250403-5P5R77TTYVDYXC5LFD25YIXC3Y/
選択的夫婦別姓の早期導入を求める経団連の昨年2024年6月の提言を巡り、問題視されたトラブルの多くが現在解消されている状況が自民党会合で指摘され、経団連の永井浩二副会長(野村ホールディングス会長)が
「追い付いていないところがあった」
と釈明していたことが2025年4月3日、分かった。
複数の出席議員が明らかにした。立憲民主党も経団連の意見聴取を踏まえ、2025年4月月内にも選択的夫婦別姓に向けた法案を提出するが、議論の土台が揺らぎかねない事態といえる。
■3年前に7割の銀行で旧姓対応
永井氏は2025年3月6日に党本部で開かれた
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム」
の会合に出席。
旧姓の通称使用による課題を説明したが、各省庁が改善が進んでいる状況を明らかにした。
経団連は提言で、11のトラブルを指摘していた。
このうち、
「多くの金融機関では、ビジネスネームで口座を作ることや、クレジットカードを作ることができない」
との弊害例については、金融庁の調査で令和4年3月時点で、7割の銀行で旧姓名義で口座開設が可能となっている。
ただ、クレジットカードは大手5社のうち、旧姓の通称使用が可能となっているのは1社にとどまっている。
「通称では不動産登記ができない」
問題については、旧姓のみの登記は認められていない一方、提言公表前の令和6年4月以降、既に旧姓併記が可能となっている。
更に
「研究者は、論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須であり、キャリアの分断や不利益が生じる」
との弊害例については、姓が変わった研究者も論文の執筆者名に旧姓の併記、注釈で対応することが可能となっている。
令和3年10月以降、特許庁に提出する全ての書類に旧姓併記が認められている。
■パスポートトラブル報告なく
また、
「空港では、パスポートのICチップのデータを読み込むが、そこに旧姓は併記されていない」
「よって、出入国時にトラブルになる」
との指摘については、パスポートに旧姓を併記する要件が緩和された令和3年4月以降、海外でのトラブル事例は報告されていない。
会合の出席議員からは経団連側に対し、
「実態に合わせた主張をして頂きたい」
と苦言を呈する声も上がった。
永井氏は
「追い付いていないところがあった。考えたい」
と語ったという。
一方、WT事務局には経団連から、旧姓の通称使用によるトラブルについて、最新の状況にアップデートした事例集は報告されていない。
■青山繁晴氏「バイアスかかっている」
会合に出席した青山繁晴参院議員は3日、記者団に
「経団連には調査機能もあり『追い付いていない』はあり得ない」
「バイアスがかかっていると見るべきだ」
と指摘し、
「最初から方向性を決め、それに沿うデータを持ってきているのだろうが、本来の経団連の在り方とは違う」
と語った。

「別姓賛成派かなりいる」 衆院法務委布陣で自民にも苦言「しっかり人事を」旧姓拡大集会
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/3/13 10:04
https://www.sankei.com/article/20250313-ELWYR22RHRB7RPE7XBERQ5IIYA/
今国会の焦点とされる選択的夫婦別姓制度の導入の是非を巡っては、衆参法務委員会が
「主戦場」
となる。
衆院法務委は選択的夫婦別姓に賛同する議員が多いとされており、国会内で2025年3月12日に開かれた
「『旧姓の通称使用』の法制化を求める国民集会」
では同委の構成を巡って、自民党の人事配置に対しても苦言を呈する声が飛び出した。
■「これは荒れるな…」
「法務委を見渡すと、かなり別氏(別姓)賛成派がいる」
「これは荒れるなと思った」
日本維新の会の藤田文武前幹事長は衆院法務委に配属された当時を振り返り、集会でこう述べた。
藤田氏は旧姓の通称使用拡大を唱えており、同委について
「激しいやり取りがゴールデンウイークを挟んで行われると予測される」
と指摘した。
その理由については
「ある野党の重鎮は
『別氏の話は政局だ。これをもって政治を揺らす』
と明言されている」
と語った。
重鎮の名前を明らかにしなかったが、立憲民主党の野田佳彦代表は衆院法務委員長ポストの奪取を自ら指示し、
「自民を揺さぶるには、非常に効果的な委員会だ」
と語っている。
委員長には選択的夫婦別姓の早期実現を持論とする同党の西村智奈美氏が就いた。
■「自民は左巻きといわれる」
衆院法務委で明確に選択的夫婦別姓に反対の論陣を張っているのが少数政党の日本保守党の島田洋一氏、参政党の吉川里奈氏らだ。
島田氏は集会で、保守党と参政党について
「仲が悪いのではないかという人もいるが、吉川さんとはしっかり連携して戦っている」
と冗談めかした上で、
「共産党と立憲民主党は問題以前で、問題は自民党だ」
「衆院法務委に自民から出ている人、左巻きの集まりと言われる」
「もうちょっと自民党がしっかりとした人事をやらないと我々が苦労する」
と苦言を呈した。
島田氏は選択的夫婦別姓に賛成の立場を取る河野太郎前デジタル相や井出庸生衆院議員らを挙げて、同委について
「そういう人ばかり並んでいる」
「とんでもない状況だ」
と述べ、
「阻止するには自民党が一致して『ダメだ』と言ってもらわないといけない」
「自民党の責任は重い」
と語った。
■「少しずつ声が上がってきた」
参政党の神谷宗幣代表も登壇した。神谷氏は党の姿勢について
「当初から選択的夫婦別姓に反対だ」
「かなり早くから言っているが、多勢に無勢で押し切られるのではないかと危機感を持っていた」
と振り返り、
「少しずつ自民党や維新からも声が上がってきた」
「戦えるのではないかという自信や流れを感じている」
と語った。
この日、第三子の出産を控えているといい
「非常にそわそわしている」
「集会が終わったら飛行機で戻って、立ち会いたい」
と述べた上で、
「子供が生まれたら子供の名前は考えるが、めでたいこの時に姓をどうするか話し合って、揉めるなんていう社会にはしたくない」
と強調した。
神谷氏は1958年に米国で発刊された『裸の共産主義』という書籍を引用して、
「ジェンダーフリーや同性婚、同性愛を当たり前のものにしていけば家族やコミュニティー、国家が破壊される」
と述べ、
「夫婦別姓の次は同性婚だ」
「揚げ句の果てに人工子宮をつけて男性に子供を産ませようという話に行くわけだ」
「急進的と言われるかもしれないが、譲ってはいけない一線だと」
と述べた。

パスポート旧姓併記、出入国で「懸念」のトラブル報告はゼロ 外務省答弁、参政党吉川氏に
2025/3/13 11:13
https://www.sankei.com/article/20250313-AH27YNTT4ZEOVFPQVOWMEA3YOU/
外務省は2025年3月12日の衆院法務委員会で、選択的夫婦別姓に関し、パスポートに旧姓を併記する要件が緩和された令和3年以降、在外公館から旧姓併記を理由に邦人が出入国できないといった海外でのトラブルは報告はされていないと明らかにした。
パスポートの旧姓併記を巡っては、海外で旧姓使用の習慣がなく、トラブルになりかねないと懸念する声が選択的夫婦別姓の導入を求める人々の一部から上がっていた。
■現行は「選択的」夫婦同姓
参政党の吉川里奈氏が外務省の担当者に
「旧姓の通称使用拡大では不十分との理由として、海外で旧姓の併記が通用しにくい」
「トラブルの原因になるという指摘がある」
「具体的なトラブルは生じているのか」
と尋ねていた。
パスポートの旧姓併記について従来、旧姓による海外での活動を示す書類の提出を求めてきたが、同年令和3年4月以降戸籍謄本などで旧姓が確認できれば記載を認めるなど要件を緩和した。
旧姓併記のパスポートを所持した人が出入国の現場で説明を求められた際、英文の説明書も配布しているという。
吉川氏は選択的夫婦別姓の導入に反対しており、現行の制度について
「夫婦がどちらかの氏(姓)を協議の上、自由に選択することができる『選択的』夫婦同姓だ」
と指摘し、
「家族の価値観や社会の最小単位である家族の在り方をわざわざバラバラにする必要はない」
と語った。
■鈴木法相「情報提供は極めて大事」
その上で、選択的夫婦別姓に関する法務省のウェブサイトについて
「Q&Aの情報も文字が中心で視覚的に分かりやすい資料が不足している」
と述べた。
石破茂首相は
「あまり時間は残っていない」
と述べるなど選択的夫婦別姓に関する党内議論を早期にまとめる意向を示しており、吉川氏は
「国民に十分な情報提供がされないまま、時の政権の権力により審議が推し進められることに強い懸念を抱いている」
と述べ、省庁横断型で効果的な情報発信を求めた。
鈴木馨祐法相は
「議論してもらうために情報提供は極めて大事だと思っている」
「環境整備は我々の責務だ」
「改めるべき点は改めたい」
と応じた。

「旧姓の通称使用」の法制化を求める国民集会 出席議員一覧 4党から約40人
2025/3/13 10:40
https://www.sankei.com/article/20250313-FJLAZ4GXQNCUPFA6C7WF2QLXD4/
2025年3月12日に国会内で開かれた選択的夫婦別姓の導入に反対する
「『旧姓の通称使用』の法制化を求める国民集会」
には自民党、日本維新の会、参政党、日本保守党の4党から約40人の国会議員が出席した。
出席議員は以下の通り(会場で読み上げられた順、敬称略)

自民党
≪衆院≫新藤義孝、古屋圭司、西村康稔、金子恭之、新谷正義、田畑裕明、岩田和親、黄川田仁志、高木啓、中曽根康隆、小寺裕雄、小森卓郎、吉田真次、大西洋平、木原稔、鬼木誠、平沼正二郎
≪参院≫衛藤晟一、山谷えり子、有村治子、片山さつき、上野通子、北村経夫、太田房江、和田政宗、加田裕之
日本維新の会
≪衆院≫藤田文武、東徹、阿部圭史、高橋英明、空本誠喜、池畑浩太朗
≪参院≫松沢成文、梅村みずほ
参政党
≪衆院≫吉川里奈
≪参院≫神谷宗幣
日本保守党
≪衆院≫島田洋一

旧姓の通称使用法制定を、国民集会で要望採択 櫻井よしこ氏「同姓の原則を守り通して」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/3/12 17:42
https://www.sankei.com/article/20250312-6XOYJAJG3FA55BH5QXVZS52GM4/
「『旧姓の通称使用』の法制化を求める国民集会」
が2025年3月12日、国会内で開かれた。
今国会の焦点とされる選択的夫婦別姓について
「子は必ずどちらかの親の姓と異なる『強制的な親子別姓制度』」
と指摘し、旧姓使用に法的根拠を与える
「旧姓の通称使用法」(仮称)
の制定を求める要望書を採択した。
自民党や日本維新の会、参政党、日本保守党から約40人が出席した。
■「社会の基礎的単位変えてならない」
呼びかけ人のジャーナリストの櫻井よしこ氏は
「国柄を踏まえて判断することが国の力の源泉として求められている時代だ」
と述べ、
「旧姓使用の拡大で問題を全て乗り越えることができる」
「同姓という原則を守り通し、日本の未来を確かなものにしていきたい」
と挨拶した。
自民党の新藤義孝政調会長代行は、
「国や社会が大切にしてきた家族の一体感を踏まえた議論が必要だ」
「社会の基礎的単位を簡単に変えていいわけがない」
と述べ、戸籍制度の堅持の必要性を強調した。
新藤氏は住民票やマイナンバーカード、不動産登記など旧姓の併記が相次いで認められるようになった現状を挙げて
「心配される声に1つ1つ対応を考えながら、(結婚時の姓の変更に伴う)不便を解消していきたい」
と語った。
日本維新の会の藤田文武前幹事長は、選択的夫婦別姓の議論について
「争いの種や分断のネタにしては絶対ならない」
と指摘した上で、
「伝統や慣習、慣例を尊重しながら、どのように現代に合わせるかを大事に考えないといけない」
と述べ、旧姓の通称使用の法制化を訴えた。

百地章氏「自民党執行部に大きな責任」連合・芳野会長が自民大会で選択的夫婦別姓要請
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/3/12 17:32
https://www.sankei.com/article/20250312-Y2O37BKQ7FBX5JM4EA4SXE435Y/
日大の百地章名誉教授は2025年3月12日、国会内で開かれた
「旧姓の通称使用」
の法制化を求める国民集会で、2025年3月9日に東京都内で行われた自民党大会に出席して選択的夫婦別姓制度の導入を求めた連合の芳野友子会長の発言を疑問視した。
集会で百地氏は芳野氏に関し
「自民が丁寧な議論を進めている中で、こともあろうに党員を前に一方的に夫婦別姓制度を呼び掛けた」
「見識を疑う」
と述べた。
返す刀で
「当然そのような発言があり得ることは予測できたにもかかわらず、事前に発言を塞ごうとしなかった自民党執行部には大きな責任がある」
と語った。
百地氏は選択的夫婦別姓について、伝統的な家族や家族観を崩壊させかねないことや、戸籍制度の解体に繋がりかねないなど問題点を列挙し、旧姓の通称使用拡大の必要性を訴えた。

<主張>自民党大会 保守の矜持を忘れたのか
社説
2025/3/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20250312-4R7RYGX2HNJS7ACIDFYIS4ADV4/
自民党は党大会で、夏の参院選の勝利が最重要課題であり、2025年6月の都議選と合わせて党の勢力を結集して臨むと記した令和7年運動方針を採択した。
森山裕幹事長は2025年11月に立党70年を迎えることを踏まえ、30年後の立党100年を見据えた新たな
「国家ビジョン」
を策定すると明らかにした。
長期ビジョンを作るのは結構だが、党が存亡の機にあることを認識しているのか。
最近の自民は保守政党としてのあるべき姿を見失っている。
自民は保守の矜持を取り戻さなければ、岩盤支持層が更に離反し、政権から転落しかねない。
党綱領には
「『日本らしい日本』を損なう政策に対し闘わねばならない」
とある。
選択的夫婦別姓制度の導入の動きに対し、自民は闘うどころか、党内の一部に支持する向きがある。
同制度は子供がどちらかの親と別の姓になる
「強制的親子別姓」
を意味し、家族や社会を毀損する。
導入は許されない。
党大会の来賓として挨拶に立った連合の芳野友子会長は、同制度の実現を求めた。
芳野氏を招待したのは参院選で労組票を取り込む狙いがあったのかもしれない。
だが、このような発言が予想されたのに招いたのは、自民執行部が保守の矜持を失っていることを示している。
憲法改正では、運動方針に緊急事態条項や自衛隊明記に関する条文案を起草し、改憲の早期実現に邁進すると明記した。
それにもかかわらず、石破茂首相が総裁演説で改憲に触れなかったのは極めておかしい。
安定的な皇位継承策を固めることは国の根幹に関わる。
内閣の報告書を受けて国会で各党が検討中だ。旧宮家の男系男子の皇族復帰こそ急務で、自民は全力で実現してもらいたい。
安倍晋三元首相や岸田文雄前首相らが取り組んだ、ダイナミックな外交安全保障政策を展開していない現状も問題だ。
総裁演説の次のくだりには違和感を覚えた。
「国民は政治を信じていない。国民の声に謙虚でありたい」
と語ったことだ。
先の衆院選で与党過半数割れの大敗を喫したにもかかわらず、首相は居座った。
謙虚と正反対の人の言葉に重みはない。
党への不信の原因は政治とカネの問題だけでなく、首相自身の振る舞いにもあることを自民議員は気付くべきである。

<正論>夫婦別姓が持つ「家族解体」論理 
麗澤大学教授・八木秀次
2025/3/12 8:00
https://www.sankei.com/article/20250312-A7QQXWSWMVOVZGYX4BVRABPJZM/?375350
夫婦別姓に関する最初の裁判は、国立大学の女性教授が大学で旧姓を使いたいというものだった(昭和63年)。
その後(平成10年)、大学側が旧姓の使用を認めて和解したが、戸籍上の夫婦別姓ではなく、社会生活で旧姓を使いたいという主張に過ぎなかった。
■「イデオロギー派」が便乗
これに便乗したのが、イデオロギー派とでも呼ぶべき人たちだった。
日本は
「市民革命」
が済んでいない立ち遅れた段階にあるとし、近代社会にするには国家と個人の間に存在する
「中間団体」
を解体して
「個人」
を析出する必要がある。
それがフランス革命以来の近代立憲主義の論理だとして中間団体の典型である家族共同体を解体して
「個人」
を生み出そうと主張した。
彼らは現行の民法や戸籍の構成単位である夫婦と子から成る
「近代的小家族」(核家族)
に戦前の
「家」
制度の残滓を見、拘束システムであると捉えて、そこから解放された
「個人」
としての存在主張を図ろうとした。
夫婦別姓はそのような主張が氏名の次元に現れたものだった。
「氏名の自己決定権」
が主張され、
「個人」
は純然たる
「個人の呼称」
で呼ばれる存在でなければならず、夫婦の営む共同体の名称で呼ばれる存在であってはならない。
結婚で変えられるものではなく、自己の意思に反して改姓を強いられるならば、アイデンティティーが喪失すると主張した。
戸籍を解体して個人登録にすべきだとも主張した。
「個人」
の存在主張は家族共同体の解体を志向するものでもあった。
「『個人の尊厳』の行き着く所は、場合によっては『家族の解体』にまで繋がっていく論理を含んでいる」
と主張する憲法学者や、娘が18歳になったら
「家族解散式」
を行うと公言する弁護士もいた。
現在はこれらの主張は意識的にか、表に出されなくなっている。
■帰属意識や一体感毀損
平成8年に法務省の法制審議会が示した案は先のイデオロギーとの共鳴はあったが、あからさまではなかった。
だが、結果として家族共同体の
「解体」
の方向に作用する論理を持つ。
夫婦が別姓になれば、子供は両親の一方とは姓が異なる。
親子別姓だ。
そうなると共通の姓が存在しない家族が生まれる。
姓は法制度としては家族の呼称ではなく、個人の呼称の一部となる。
これは全国民のファミリーネームの廃止を意味する。
それが家族の帰属意識や一体感の毀損に繋がる。
最高裁は平成27年、
「夫婦及びその間の未婚の子…が同一の氏を称するとすることにより、社会の構成要素である家族の呼称としての意義がある」
「家族を構成する個人が、同一の氏を称することにより家族という一つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見い出す考え方も理解できる」
として現行の夫婦同姓を
「合憲」
とする判決を出した(令和3年判決も同旨)。
別姓は共通の姓によるそれらの機能を毀損する。
大きな問題は子供の姓の決め方だ。
法制審案では結婚の際に夫婦のどちらの姓を名乗るかを決める。
兄弟姉妹は共通の姓を名乗るが、子供が生まれるか分からない段階で姓を決め、決めなければ婚姻届を受理しないとするのは、結婚を
「両性の合意のみに基づく」
とする憲法24条に違反するとの指摘もある。
■肉親が争う子供の心理は
令和4年の立憲民主党や共産党の案(内容は公明党案も同じ)は子供の姓を出生時に決めるとする。
兄弟姉妹の姓がバラバラでもよいとするイデオロギー性が強い案だ。
子供の姓が決まらない場合、出生届は受理されず、無戸籍となる。
当事者で決められない場合は家裁で決めるとするが、家裁には判断基準がない。
自分の姓を巡って肉親が争ったり、裁判所に決められる子供の心理はどんなものか。
選択的夫婦別姓制が導入されれば、対象はこれから結婚する夫婦だけではない。
既に結婚している全ての夫婦が経過措置期間(1〜2年間)に同姓か別姓の選択を迫られる。
立憲民主党などの案では連動して子供の姓をどうするかを改めて判断することになる。
戸籍の様式自体の変更も必要で膨大な作業を要する。
戸籍事務量には
「対応できない」(法務省)
とのことだ。
そうであれば、あえて弊害の多い選択的夫婦別姓制を導入しなくとも、旧姓を社会生活で広く使用できるように法制化すればよい。
既に住民票やマイナンバーカード、印鑑証明書、健康保険証、パスポート、運転免許証は旧姓を併記できる。
戸籍に旧姓使用を明記するとの案もあるが、住民票などの公的証明書の記載を根拠にして旧姓の単独使用も可能とする法律を制定すればよい。
経団連の指摘する改姓による不便や不都合は既に解決しているか、新しい立法で解決する。

「おかしい」自民党大会で選択的夫婦別姓要請の連合・芳野友子会長に批判相次ぐ 自民WT
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/3/11 14:55
https://www.sankei.com/article/20250311-7YWAMCCGVBANTPVMBCYKSF2LEY/
自民党は2025年3月11日、
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
(座長・逢沢一郎衆院議員)
の会合を開き、選択的夫婦別姓制度導入を推進する立場の有識者から意見を聞いた。
出席者によると、2025年3月9日の自民党大会に出席した連合の芳野友子会長が挨拶の中で選択的夫婦別姓導入を要請したことについて、複数の議員から
「党内で審議中の話をするのはおかしいのではないか」
などと批判が出た。
会合には議員約50人が出席し、オンラインで立命館大名誉教授の二宮周平氏と白鴎大教授の水野紀子氏から話を聞いた。
二宮氏は、将来的には家族ごとの戸籍から個人ごとの個人籍へ移行するべきだとする意見を述べた。
出席議員からは、選択的夫婦別姓が導入された場合の子供の姓の決め方に関する懸念などが寄せられた。
また、逢沢氏によると、芳野氏の発言について
「党内で議論が進められている最中に、ああいった機会があったのは適切だったのか」
と意見が出た。
別の出席者は
「おかしいのではないか」
との発言もあったと明らかにした。
逢沢氏は記者団に
「座長として受け止め、党執行部にもそうした発言があったということは伝えておきたい」
と述べた。
芳野氏は2025年3月9日の党大会で、
「希望する人が別姓を選択できる制度であり、強制する制度ではない」
「逆に、夫婦同姓を望む人たちを排除する制度でもない」
「是非、今国会で選択的夫婦別姓制度の創設を実現してほしい」
と要請した。

「6万人ショック」自民党員減、「政治とカネ」懸念も「保守と理解してもらえない」
2025/3/9 15:40
https://www.sankei.com/article/20250309-6S6G4VIQB5HE3HEUGICQX4KUGI/
自民党の党員数の推移
https://www.sankei.com/article/20250309-6S6G4VIQB5HE3HEUGICQX4KUGI/photo/ILXCR2FS3NMLLJTKNCPV6M4DMQ/
自民党員の減少幅が近年まれにみる規模となり、党執行部を悩ませている。
令和6年末時点の党員数は102万8662人で5年末時点から6万2413人減少した。
「6万人ショック」
とも言われ、特に有権者と直接接する機会の多い地方議員に危機感が広がる。
派閥パーティー収入不記載事件の影響だけでなく、近年の自民の政策が岩盤支持層とされる保守層の離反を招いているとの見方も増えている。
■「党員集めは厳しさを増している」
「党員集めは厳しさを増している」
「自民はいつまで『政治とカネ』の問題に決着を付けられないのかと思われている」
神奈川県連会長を務める小泉進次郎元環境相は2025年3月9日の党大会後、記者団にこう語った。
党員数は自民が政権復帰した平成24年の73万人以降、増加傾向にあった。
安倍晋三政権から菅義偉政権へと変わった令和2年は113万6445人と近年で最も高かった。
しかし、岸田文雄政権下の令和5年末になると、党員数は109万1075人となり、前年末比で3万3688人の減少に転じた。
石破茂政権下の今回は、減少幅が倍増した形となる。
小泉氏と同じく地方議員も政治とカネの問題で党員の離反を招いたと指摘する声は多い。
山形県の柴田正人県議は
「『政治とカネ』の問題をずっと引きずっている」
「政治家は悪いことをしているというイメージが植え付けられている」
と指摘した。
政治資金の
「見える化」
を進めた上で、早期の決着を求めた。
宮城県連の遠藤隼人青年局長も、
「政治とカネ」
を挙げて
「直接党員にお願いして回っているが、これまで支えてくれた人も
『こういう党の状況では継続できない』
という人もいる」
「反応は厳しい」
と語る。
■「コアな保守層が逃げた」
遠藤氏は、自民が選択的夫婦別姓の導入を求める声に対し、明確な反対姿勢を示せていないことも疑問視する。
遠藤氏は
「旧姓使用の拡大」
にとどめるべきだと訴えた上で
「自民以外の政党は夫婦別姓派だ」
「分かり易く自分たちが保守であるということを理解してもらえないような党本部の姿勢が、保守離れを起こしているのではないか」
と危惧する。
大阪市の木下吉信市議は、昨年2024年10月の衆院選比例代表で自民支持層の投票先が日本保守党や参政党に流出したとの見方を示し
「コアな保守の支持者が逃げた」
と指摘する。
大阪府泉南市の添田詩織市議も
「地元を歩いて反応がいいことはない」
「(石破内閣は)中国寄りのイメージで語られている」
と述べる。
ただ、首相が力を入れる自衛官の処遇改善などの取り組みを挙げて
「実際は保守層に評価される政策もあることを知ってほしい」
と語った。
鳥取県連の斉木正一幹事長は、党員減少について
「やはり少子高齢化ではないか」
「我々が田舎を回ると高齢化が進み、昔の人が亡くなっている」
「もう1つは『政治とカネ』の問題」
「この2つが原因かと思う」
と分析した。

自民、参院選控え党大会で「原点回帰」アピール 地方、歴史、家族、靖国…岩盤支持層意識
2025/3/9 13:29
https://www.sankei.com/article/20250309-R7AI4KL5AZJKTCHXTVVNBW76RY/
自民党は2025年3月9日の党大会で、地方や歴史を重んじる保守政党という自らの立ち位置の明確化を図った。
採択した令和7年党運動方針は
「悠久の歴史や文化、家族や地域の絆」
といった文言を強調し、石破茂首相(党総裁)は演説で
「原点に立ち返る」
と述べた。
自民の岩盤支持層を意識した原点回帰は、2025年夏の参院選への危機感の裏返しでもある。
■異彩放つ運動方針「わが党は大敗した」
自民は今年2025年、立党70年を迎える。
首相は党大会で
「いつの時代も歴史、時代を変えるのは都の偉い人々ではない」
「地方であり、1人1人の庶民大衆だ」
と語り、地方の党員や支持者を重視する姿勢を強調した。
1年間の党の指針となる運動方針は、例年と比べ異彩を放つ。
昨年は総論である
「前文」
で、派閥パーティー収入不記載事件を受けた政治改革を進めて
「解体的な出直し」
を図ると明記した。
一昨年2023年は経済再生などを前面に掲げた。
今年2025年は
「昨年2024年の衆院選で我が党は大敗した」
と認めた上で
「常に進歩を目指す保守政党」
の道を歩むと宣言。
「悠久の歴史や文化、家族や地域の絆に育まれてきた日本の国柄を次の世代に引き継ぐ」
と謳った。
■参院選で負ければ「政権は終わり」
更に
「歴代の天皇と皇統、皇室は、日本の歴史、伝統、文化の礎である」
「靖国神社参拝を受け継ぎ(中略)各都道府県における護国神社への参拝も大切にしていく」
と掲げた。
こうした姿勢の背景には、党の足腰の弱体化がある。
現在の自民は、安倍晋三元首相を支持した
「岩盤保守層」
の離反が指摘されている。
また、不記載事件への失望感などから地方の党員の減少も目立つ。
昨年2024年末時点の党員数は102万8662人で、前年から6万2413人も減少した。
党員
「120万人」
の目標は遠のくばかりだ。
自民幹部の1人は、衆院選に続いて参院選で負ければ
「政権は終わり」

「支持層を取り戻す必要がある」
と語る。
■運動方針から憲法改正の時期消える
ただ、自民は与党過半数割れした衆院で主導権を失い、党是の憲法改正を推進する体力もない。
昨年2024年の運動方針は
「2024年年内の実現」
を目指す考えを示したが、今年2025年は時期が消えた。
立憲民主党は選択的夫婦別姓制度導入法案の今国会への提出を準備している。
自民内では制度導入ではなく、旧姓の通称使用拡大を行う流れが強まっているが、執行部が党内の推進派を抑えられるかが焦点となる。

夫婦別姓で揺れる自民…家族観も一致せず 創生「日本」で苦言 産経新聞・皆川豪志
「正論」4月号
2025/3/1 12:00
https://www.sankei.com/article/20250301-DS2H6CUF7NCUHGTXBN223OFSS4/?outputType=theme_monthly-seiron
(月刊「正論」2025年4月号から)
与野党ともに賛同者が多かった選択的夫婦別姓の法制化議論が、ここへ来て風向きがやや変わりつつある。
一時は
「やりたい人がやるだけなのになぜ反対するか」
などという幼稚な理屈が罷り通っていたが、現実に法が改正された場合、日常生活に大きな影響が出ることに多くの国民が気が付き始めたからではないか。
産経新聞が今年2025年元日からシリーズ掲載した
「ごまかしの夫婦別姓議論」
の反響も大きかった。
中でも、2025年元日1面トップの小中学生に対する初のアンケート
「別姓小中学生の半数反対 『自分はしない』6割」
はインターネット上で瞬く間に拡散され、SNS(交流サイト)では
「選択的とは言うが、子供にとっては強制的親子別姓になることに改めて気づきました」
という声が多数上がった。
こうした背景を受けて、2025年2月5日に開かれた自民党の保守系議員連盟
「創生『日本』」
から勉強会の講演依頼が私にあった。
安倍晋三元首相が会長を務めた組織でもあり、全員が
「保守」
と言っていい錚々たるメンバー41人が集まった。
■「恣意的」批判は想定通り
講演では、調査の狙いとして、このテーマを
「可視化」
したかったことを最初に説明した。
いくら言葉で問題点を指摘しても、
「選択的」
という言葉に引きずられて、
「選択だからいいのでは」
「誰にも迷惑はかからないのでは」
などと納得してしまう世論が多いためだ。
そもそも、企業などでは婚姻後の
「旧姓使用の拡大」
が既に進んでおり、多くの国民にとってこのテーマは喫緊の課題ではない。
それをいいことに、朝日新聞やNHKなどのリベラル系メディアは、旧姓使用の現状を無視した上で、
「賛成」「反対」
の二択で世論調査を行い、そこで集計された
「賛成7割」
という結果を独り歩きさせるのだ。
日本人は人がいいので、
「そんなに賛成者がいるなら」
とつい誤魔化されてしまいがちなのである。
やはりここは、改めて問題点を浮き彫りにするべきではないか。
「選択的夫婦別姓は強制的親子別姓であり、強制的家族別姓である」
「人に迷惑をかけないどころか、家族の在り方に多大な影響が出る」
ことを考えてもらうために必要だったのが、アンケートによる
「子供の存在」
の可視化だったのだ。
反響の中には、夫婦別姓推進派からの
「恣意的なアンケートだ」
という声も多かった。
だが、これは想定通りで、記事の中には次のような一文を入れておいた。
「法制化の議論が拙速に進む中で、家族の一員である子供の意見を集めたのは、今回が初めての調査なのである」
「仮に聞き方が不十分だったり、誘導的と考えたりするならば、是非他のメディアも誤魔化さずに取り組んでほしい」
「文部科学省も、こども家庭庁も出番ではないか」
つまり、
「文句があるなら自分たちも調べなさい」
「国もやるべきことがあるのでないか」
という意味だ。
実はこれが最も言いたかったことでもある。
先ほど調査対象は2000人と紹介したが、実は100人、200人しか集まらなくても仕方がないとも考えていた。
とにかく子供の存在をこの議論の俎上に載せたい、もし産経の調査に不満があるなら、それはそれで構わないので他のメディアなり、国としてやってほしい、拙速に進めず、立ち止まって考えてほしいというメッセージである。
その狙いは予想以上に国民に届いたのではないか。
2025年正月の記事以来、
「子供の姓がバラパラになる」
「旧姓使用の拡大や法制化で解決できないものか」
という議論が他メディアも含めて活発化してきたことを考えると一応は成功だったと言えると思う。
■自民党の現状こそ問題
一方で、経団連などの財界は未だに選択的夫婦別姓推進を言い続けている。
今回行った産経のアンケートで、旧姓使用を不可としている企業はゼロだったにもかかわらずだ。
この日の勉強会にも出席された高市早苗前経済安全保障担当相の努力もあって、今やパスポートや国家資格など大半の身分証明で旧姓使用が併記できるようになった。
立憲民主党など野党は
「困っている人がいる」
という理屈を振りかざしているが、
「困っている人」
とは誰なのか。
産経の取材でも
「困っている人」
を探したが、結局出てきたのは、
「海外でパスポート名義と宿泊名簿の姓が違って説明に時間がかかった」
という程度だった。
そもそも私は今回のテーマについて、保守である自民党が真剣に考えるべき課題ですらないと考えている。
今ある法や制度を変えたいのなら、なぜ変えなければならないのか、その理由を明確にして、誰もが納得できる立法事実を出さなければならないのは別姓推進派の側であり、政権与党としては、その1つ1つに丁寧に反論し、それでも困っているという細かいケースが見つかったのなら法律の運用の中で変えていけばよいだけなのだ。
勉強会に参加した自民党議員も、本当は同じように考えていたと思う。
ただ、現状は昨秋2024年秋の総選挙以来の少数与党であり、連立を組む公明党も別姓推進を公言している中で、放置するわけにもいかない。
何より、衆院法務委員長のポストまで獲得した立憲民主が今国会中にも法案を提出する可能性は高いのだ。
「創生『日本』」
としても、保守層だけでなく、広く党内がまとまる対案を検討するのは当然であり、より良い方向に導いて頂きたいとは思う。
ただ、だからと言って、我が国の根幹とも言える家族の在り方を巡り、これ以上党内が右往左往してほしくない。
そもそも自民党の中に、野党と同じように
「困っている人」
を必要以上に誇張したり、女性差別と関係付けてまで夫婦別姓を推進したい議員が少なくないこと自体が不自然なのである。
例えば、税制や社会保障などの分野で党内の意見が分かれるのならまだ分かるが、家族の在り方を巡って、
「党議拘束しなければまとまらない」
とか、
「予算の成立と引き換えに…」
などの意見が漏れてくる今の自民党の体質にこそ問題があるのではないか。
保守を標榜する
「創生『日本』」
の方々こそ、この党内の現状を真剣に憂えてほしい。
家族観すら一致せず、まとまれないような政党はもう、1つの政党とは言えない。
有権者からそのように見られても仕方がないのではないか。
そう苦言を呈して、講演を終えた。
(産経新聞編集局コンテンツ統括)
「夫婦別姓=家族別姓」子供の半数は反対…産経新聞アンケート結果
産経新聞の(2025年1月1日付掲載)のアンケートでは、家族で違う苗字になってしまう
「夫婦別姓」
に子供の半数が反対している実情が明らかになった。
調査は全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人の計約2000人から回答を得た。
各家庭の事情などデリケートな問題にも配慮し、答えたくない場合は答えなくてよいことを徹底した。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「まったく知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よくわからない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」が約半数の49・4%、
「賛成」は16・4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」が18・8%、
「よくわからない」が15・4%
で、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては、
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割
となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13・6%
だった。
(月刊「正論」4月号から)
みながわ・たけし
産経新聞編集局コンテンツ統括。
平成3年、産経新聞入社。
京都総局、大阪社会部、東京社会部次長、産経新聞出版代表取締役社長などを経て令和5年7月から現職兼産経新聞出版取締役会長。

選択的夫婦別姓「導入賛成」が減少傾向、「通称使用拡大」は増加 報道機関の直近世論調査
2025/2/25 9:49
https://www.sankei.com/article/20250225-AJ3NFZ3TLZHPPMUZFB4FMGFBXU/
今国会の焦点とされる選択的夫婦別姓導入の是非を巡る各種報道機関の世論調査で「賛成」が今年2025年に入って減少傾向にある。
賛否の2択に加えて
「同姓を維持して旧姓の通称使用を拡大」
する第3の選択肢を尋ねたケースでは、旧姓の通称使用拡大が最も高く、割合も増えている現状が浮かぶ。
■産経・FNN調査は「賛成」9・5ポイント減
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年2月22、23両日に実施した合同世論調査は
「同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
が51・7%と過半数を占めた。
前回調査(2025年1月18、19両日実施)の45・2%に比べ、6・5ポイント増となる。
選択的夫婦別姓の法整備に「賛成」は28・0%で、前回の37・5%から9・5ポイント減らした。
同様に読売新聞社が2025年2月14〜16日に3択で尋ねたところ、旧姓の通称使用拡大は46%で最も多く、前回(2025年1月17〜19日実施)の43%から3ポイント増加した。
選択的夫婦別姓の導入を求める声は前回の29%から27%に減少した。
■朝日調査も「賛成」10ポイント減
朝日新聞社は2025年2月15、16両日の調査で、導入の賛否を2択で尋ねると、「賛成」が63%で「反対」は29%だった。
前回調査の昨年2024年7月はそれぞれ73%、21%だった。
「賛成」は「反対」の2倍以上だが、前回調査から10ポイント減らしたことになる。
共同通信社が2025年1月25、26両日に実施した世論調査は「賛成」は59・4%、「反対」が32・7%だった。
昨年2024年10月の賛成67%、反対21・7%で、「賛成」は7・6ポイント減らしている。
毎日新聞社は選択的夫婦別姓を巡る2025年2月の世論調査で2025年1月に比べて尋ね方を変えたため、対象から除外した。

「通称使用の拡大」男女とも過半数、全年代、職業で最多 共産支持層も FNN世論調査
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/2/24 12:30
https://www.sankei.com/article/20250224-MQHMGVO2XZHUVAIQ5WNV7ZHQEM/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年2月22、23両日に実施した合同世論調査で、選択的夫婦別姓制度の法整備について尋ねたところ、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
が、男女を共に過半数を占めた。
全年代で、また、選択肢にあるすべての職業で最多だった。
支持政党別でも、共産党支持層は
「通称使用の拡大」

「賛成」
を上回った。
■女性も「賛成」3割
男性では「賛成」の25.3%に対し、「通称使用の拡大」の51.2%と「反対」の21.5%の合計が7割を超えた。
女性では「賛成」が30.6%にとどまる一方で、「通称使用の拡大」は52.2%、「反対」は16.1%に上った。
男女共に法整備に慎重な姿勢が浮き彫りになった。
世代別でみると、30代と70歳以上を除き、
「通称使用の拡大」
が過半数だった。
経団連や一部野党などは、夫婦別姓を求める理由の1つに
「キャリアの断絶」
を挙げている。
今回の世論調査では、職業別に正規雇用、非正規雇用、自営・フリーランス、主婦・主夫、学生、無職、その他の選択肢で尋ねた。
全ての職業で「通称使用の拡大」を選んだ人が最多で、無職(42.0%)以外は半数を超えた。
「賛成」が3割を超えたのは学生(38.0%)と非正規雇用(36.4%)だった。
「反対」の割合が他の職業に比べ高かったのは、「無職」(28.8%)と「自営・フリーランス」(25.4%)だった。
■公明・立民支持層も「賛成」過半数届かず
支持政党別では、公明党支持層の47.3%と立憲民主党支持層の46.6%が「賛成」と答え、「通称使用の拡大」を上回った。
両党は今国会での法案成立を目指しているが、その両党の支持層でも「通称使用の拡大」と「反対」の合計は「賛成」を小差で上回った。
共産支持層では「賛成」の39.9%に対し「通称使用の拡大」が49.3%で上回り、「反対」が5.8%だった。
日本保守党の支持層では「反対」が最多の48.2%、「通称使用の拡大」が31.8%、「賛成」はいなかった。

選択的夫婦別姓「通称使用拡大を」51%で過半数 「反対」含め7割が導入否定的
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/2/24 11:46
https://www.sankei.com/article/20250224-SXETE7ZTU5JQVP433ERNY7EURQ/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年2月22、23両日に実施した合同世論調査で、選択的夫婦別姓制度に関する法整備について尋ねたところ、「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」との回答が51・7%と過半数を占めた。
前回調査(2025年1月18、19両日実施)比では6・5ポイント増加した。
法整備に「反対」との回答は18・7%で、前回比で4・0ポイント増加した。
選択的夫婦別姓を導入する法整備に否定的な回答が、前回は計6割だったが、今回は計7割に増加したことになる。
一方、法整備に「賛成」との回答は28・0%で、前回比で9・5ポイント減だった。

「建国記念の日」に党大会 国民民主の保守加速 夫婦別姓推しの連合幹部に榛葉幹事長は…
政界徒然草
2025/2/24 6:00
https://www.sankei.com/article/20250224-B5QW4QMJONMMZLBFNJJW27UDV4/
国民民主党の保守化が加速している。従来の家族の在り方を変える可能性を指摘されている選択的夫婦別姓制度を巡り、玉木雄一郎代表(役職停止中)と榛葉賀津也幹事長が性急な導入に
「待った」
をかけた。
これまでも憲法改正や原発再稼働、現実的な安全保障政策などを訴えてきた国民民主。
2025年夏の参院選を見据え、石破茂政権に批判的な岩盤保守層を奪い取る構えだ。
■党大会で紀元節に言及
「今から2685年前の今日、日本書紀によると、国づくりが始まった」
「その節目の日に、国民民主の党大会が開催されることに感謝と身が引き締まる思いでいっぱいだ」
今月2025年2月11日に東京都内で開かれた国民民主の党大会で、最も印象に残ったのが、榛葉氏によるこの挨拶だった。
国民民主は従来、リベラルと保守の二項対立とは距離を置く
「改革中道政党」
を掲げてきた。
だが、昨秋2024年秋の衆院選は、石破政権に批判的な保守層の後押しもあり、議席数が公示前から4倍増に躍進した。
新暦の紀元前660年2月11日に初代の神武天皇が橿原宮(奈良県)で即位した紀元節に触れた背景には、日本の伝統を大切にする保守層への配慮が透けて見えた。
■夫婦別姓にブレーキ
とりわけ保守層から歓迎されているのが選択的夫婦別姓制度への対応だ。
国民民主は先の衆院選の公約で同制度の導入を掲げていたが、玉木氏は2025年1月17日の産経新聞の単独インタビューで慎重に対応すると指摘。
「多くの国民に関わる事であり、イデオロギーや政局的なものにせず、出来るだけ幅広い合意を得る丁寧な議論が必要だ」
と強調した。
また、榛葉氏も2025年1月30日の産経インタビューで、子供の姓の扱いなどについて
「慎重な議論が必要で、政争の具にすべきでない」
との見解を示し、歩調を合わせた。
2025年2月14日の記者会見では
「保守もリベラルも関係ない」
「大人は選択できるかもしれないが、子供が半ば強制では子供が不幸になる」
と強調。
家族の絆を重んじる保守政党でありながら、推進派を抱える自民党を
「中に色んな考えがあるようだ」
と皮肉る余裕も見せた。
戸惑いを隠せないのが国民民主の最大支援組織で、同制度の早期導入を求める連合だ。
2025年2月11日の党大会に招待された芳野友子会長はたまらず
「導入しないことは男女が不平等な状態を放置することを意味し、人権に関わる由々しき問題だ」
と国民民主にプレッシャーをかけた。
しかし、この発言がどこまで執行部の耳に響いたのかは不透明だ。
同制度導入を求める連合関係者は今年2025年に入り、
「今国会の最大の法案だ」
と榛葉氏に発破をかけたが、子供への悪影響を念頭に榛葉氏が首を縦に振ることはなかった。
■支持層の変化も影響
立憲民主党は今国会に同制度導入を謳う民法改正案を提出する方針だが、成立を左右するのは国民民主と言っても過言ではない。
同制度を審議する衆院法務委員会の構成メンバーのうち、推進派と目されてきたのは立民(西村智奈美委員長を除く)や国民民主、公明党、共産党を合わせて15人。
自民や日本維新の会の一部が賛成に回れば過半数の18人に達する計算だ。
しかし、国民民主が慎重姿勢を堅持すれば法務委での過半数獲得も容易ではなくなる。
なぜ国民民主は変わったのか。
先の衆院選以降の支持層の変化を指摘する声は少なくない。
国民民主の比例票は前回(令和3年)の259万票から617万票へと大幅に増えた。
連合関係者は石破政権に不満を抱く岩盤保守層の影響だと分析。
「安倍晋三政権を支えていた支持者が相当流れてきている」
と語る。
国民民主の勢いは2025年夏の参院選の結果も左右する。
歴代の自民政権は野党の分断を仕掛けることで
「1強」
態勢を築いてきた。
自民重鎮は、国民民主が積極的な候補擁立を決めたことに関して、
「野党同士で潰し合うことになる」
とソロバンをはじく。
一方、保守路線にシフトした国民民主はむしろ自民の票を奪うとの見方もある。
立民の閣僚経験者は
「国民民主はどんどん右傾化している」
「このままだと、参院選ではむしろ、自民票を食うだろう」
と指摘する。
いずれにせよ保守色を濃くした国民民主の影響力が、かつてないほど政界で強まっていることだけは間違いない。

産経調査結果に「子供への影響研究を」の意見 選択的夫婦別姓是非議論の自民WT
2025/2/20 20:41
https://www.sankei.com/article/20250220-YVSELFAQVBO4PDFUMDOGUJG67Q/
自民党は2025年2月20日、
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」(座長・逢沢一郎衆院議員)
の会合を開き、選択的夫婦別姓制度導入の是非に関する内閣府や報道各社などの世論調査結果について議論した。
産経新聞社が昨年2024年11〜12月に小中学生約2千人を対象に行ったアンケートも取り上げられた。
逢沢氏は会合後、記者団に、産経の調査が子供の意向を調べた唯一の調査だと指摘した上で
「もっと深く子供の意見を聞くことや、新しい制度になった時に子供にどのような影響があるかを研究すべきだとの意見がかなり出た」
と語った。
産経のアンケートでは、夫婦別姓導入で家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。

「選択的夫婦別姓は強制的親子別姓」池谷准教授 日本会議懇談会に自民、維新から75人
2025/2/19 18:05
https://www.sankei.com/article/20250219-TFPDA63IWJMPBLR6MOGN2BRYXQ/
超党派の保守系議員で作る
「日本会議国会議員懇談会」(会長・古屋圭司元拉致問題担当相)
は2025年2月19日、国会内で家族制度を考える勉強会を開催した。
自民党と日本維新の会から代理出席を含め計75人が出席し、選択的夫婦別姓制度を導入することによる子供への影響などについて意見を交わした。
会合では、家族法に詳しい長崎大の池谷和子准教授が
「選択的『夫婦別姓』は強制的『親子別姓』です−親子別姓は何をもたらすか」
と題して講演した。
出席者によると、池谷氏は別姓制度導入によって夫婦別姓が親子別姓、兄弟別姓になっていくことは、子供の発達に悪影響が出る可能性があることを指摘したという。
講演後には質疑応答が行われ、出席者からは
「個人が先立ち過ぎてしまうと家族の一体感や、社会の安定性が損なわれることになるのではないか」
との意見が出た。
別の出席者は
「従来の戸籍制度は非常に優れた制度だ」
「しっかりと残していくことを考えるべきだ」
と主張した。
同懇談会では、一昨年2023年に家族プロジェクトチーム(PT)を立ち上げ、家族制度に関する議論を重ねてきた。
山谷えり子・家族PT座長(自民)は会合後に記者団に対し、別姓制度に関して
「家族や社会の在り方に大きく影響する問題だ」
「選択的だからといって、その人だけの問題ではないという視点で進めることが大事だ」
と述べた。

選択的夫婦別姓めぐる朝日、共同の二択質問 「前提がおかしい」自民党内に不信募る
世論調査
2025/2/17 17:08
https://www.sankei.com/article/20250217-D7AYVEPQWJKWNLAY6WPSVJ7CLA/
選択的夫婦別姓制度を巡る報道各社の世論調査で、制度導入の賛否の二択で質問した場合と、旧姓の通称使用拡大を含めた複数の選択肢を提示した場合では回答結果が大きく異なった。
自民党では旧姓の通称使用拡大の議論が進む。
党内の一部には、この選択肢を排除し、二択で質問し続ける報道機関への不信感が募っている。
2025年2月16、17両日に公表された共同通信や毎日、朝日、読売の世論調査では、今国会の焦点となっている選択的夫婦別姓制度に関する質問がいずれも盛り込まれていた。
ただ、質問の選択肢の内容は各社で分かれた。
選択的夫婦別姓制度導入について
「賛成」

「反対」
の二択で回答を求めたのは朝日と共同だ。
朝日は同制度に関し
「法律を改正して、夫婦が同じ名字でも、別々の名字でも自由に選べるようにすることに賛成ですか」
と質問。
賛成が63%、反対が29%だった。
旧姓の通称使用拡大についての質問はなかった。
共同は同制度導入の賛否を尋ねた上で、旧姓の通称使用拡大について
「名字変更で生じるさまざまな問題や不便が解決すると思いますか」
と質問し、
「解決しない」
が58・1%に上った。
一方、毎日は同制度の導入や旧姓の通称使用拡大、両方を進める、両方を進めないとの選択肢を用意。
いずれの回答も16〜24%に分散した。
読売は3つの選択肢を示し、
「夫婦は同じ名字とする今の制度を維持しつつ、通称として結婚前の名字を使える機会を拡大する」
との回答が46%で最も多かった。
選択的夫婦別姓制度を巡っては、自民党内ではかねてから
「二択では、国民の声を正確に受け止められない」(党若手)
との意見が根強くある。
自民党関係者は
「一部報道機関は質問の前提がおかしいのではないか」
と不満を口にした。

<主張>選択的夫婦別姓 「親子別姓」を強制するな
社説
2025/2/14 5:00
https://www.sankei.com/article/20250214-LMH5A675K5OQ5DMKI5JPAB2FOQ/
親子別姓を強制するおかしな制度だ。
選択的夫婦別姓のことである。
自民党は導入の是非を巡り、党内議論を始めた。
夫婦が同じ姓であるのは現代日本人の家族観と結び付いている。
結婚時の姓の変更に伴う不便を解消するための議論はあって然るべきだ。
だが、子供の立場を蔑ろにし、家族の一体感を損なう選択的夫婦別姓制度の導入は弊害が多過ぎる。
賛成することはできない。
自民の夫婦別姓に関するワーキングチームの会合で、高市早苗前経済安全保障担当相は
「自民は政権を奪還した平成24年衆院選で旧民主党の夫婦別姓案に反対した」
「その後も(旧姓の)通称使用拡大を約束してきた」
と主張した。
座長の逢沢一郎衆院議員が、意見集約の期限を設けないとしたのは妥当だ。
石破茂首相(自民総裁)2025年2月12日の国会で、選択的夫婦別姓制度について
「いつまでも結論を先延ばしにしてよい問題とは考えていない」
と述べたのは理解に苦しむ。
立憲民主党は選択的別姓の実現に向けた推進本部を立ち上げた。
だが、安易な導入は取り返しがつかない。
立民などは子供たちが受けるであろう悪影響を軽く見ている。
夫婦別姓では、父か母のどちらかが必ず子供と別の姓になってしまう。
疎外感を持つ子が出てくるだろう。
どちらの姓を子供に付与するかを巡って祖父母らも絡み、争いが生じかねない。
最も喜ばしい子供の誕生時に起きていい話ではない。
導入論者は、夫や妻の事ばかりに拘り、親よりも弱い立場にある子供の存在を軽んじている。
極めて残念だ。
子供を優先するのが親や社会の務めだと気付いてもらいたい。
選択的夫婦別姓が導入されれば戸籍制度も変質する。
姓は砂粒のような個人の呼称へ変貌する。
先祖から子孫へと、世代を重ねていく家族の呼称としての姓でなければ、そもそも姓を名乗る必要があるのだろうか。
選択的とはいえ別姓は個人の問題ではない。
家族や社会の在り様に関わる大問題だ。
令和3年の内閣府世論調査では、選択的夫婦別姓を求めたのは3割に届かず、同姓維持と同姓のまま通称使用の制度化を望む声は7割弱に上った。
政党は社会に分断を招いてはならない。

最大の問題は「子の姓」、旧姓の通称使用拡大へ結論を 国士舘大・百地名誉教授
2025/2/7 19:38
https://www.sankei.com/article/20250207-27NPT5X3KZJTHEUXDATVONIM4Q/
自民党は来週、選択的夫婦別姓制度を巡る党内議論を本格化させる。
同制度の問題点や旧姓の通称使用拡大について、国士舘大の百地章名誉教授(憲法学)に聞いた。

選択的夫婦別姓制度の最大の問題は子の姓の扱いだ。
生まれたばかりの子には姓の選択権がない。
それどころか、別姓家庭に生まれた子は、父か母いずれかの名字とは異なる
「親子別姓」
を強制させられる。
現在、一部の野党が示す案では、子が生まれる度に夫婦が姓を決めるとあるが、現行の戸籍法では出生後14日以内に氏名を届け出なければならないため、夫婦間の協議が整わなければ無戸籍児になる。
別姓夫婦が結婚時に生まれてくる子の姓を事前に決めておく案もある。
だが、決められなかった場合は婚姻届が出せず、
「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」
と定めた憲法24条に違反する恐れがある。
野党案はこうした問題の解決に
「家庭裁判所に判断を求める」
とするが、正当な判断基準は見当たらない。
別姓導入賛成派の論拠は、平成27年と令和3年の最高裁判例が
「この種の制度の在り方は国会で論ぜられ、判断されるべきだ」
と判示したことだ。
しかし、判決は同姓制を合憲としており、別姓導入を求めたわけではない。
各種調査では5割近くが通称使用拡大を必要とする一方、別姓導入賛成は2割程度にとどまる。
これは便宜上の不具合を改善してほしいということに他ならない。
旧姓の通称使用拡大を別姓制度の
「妥協案」
と捉えてはいけない。
別姓導入の議論が浮上したことで通称使用の拡大の議論が熟した側面もあるが、考え方は全く違うものだ。
これまで懸案になっていた姓を巡る問題を解決するためにも、通称使用拡大の法整備に向けて結論を出すべき時期に来ている。

夫婦別姓議論、旧姓の通称使用拡大巡り自民保守派に複数案…一本化できなければ党分断も
2025/2/7 18:39
https://www.sankei.com/article/20250207-5X76YPN3GNMSVGNGL6VGUKS67E/
今国会の焦点である選択的夫婦別姓制度を巡り、自民党は来週、党内議論を本格化させる。
家族の在り方を変える懸念から、制度導入に慎重な保守系議員らは旧姓の通称使用を拡大する方向で意見集約を目指す。
ただ、慎重派の間でも通称使用拡大に関して複数の案が存在しており、一本化を巡っては党の分断に繋がる恐れもある。
2025年2月4日午後、党本部で開かれた有志グループ
「保守団結の会」
の会合。
顧問を務める高市早苗前経済安全保障担当相は
「自民は多くの方に、旧氏を通称使用する機会をもっともっと拡大する約束を何度もしている」
「これを早期に実現することが一番だ」
と強調し、通称使用拡大に向けた私案を示した。
高市氏の私案は、戸籍上は同姓を維持しつつ、旧姓の通称使用拡大を法律で位置づける。
現状、住民票やパスポート(旅券)などの公的証明書は希望すれば、現在の姓と旧姓の併記が可能だ。
この仕組みを幅広い分野に広げて不便を解消するため、国や地方公共団体、事業者に必要な措置を取るよう求める。
高市氏は以前、戸籍法の改正を視野に入れていたが、住民基本台帳法施行令の一部改正によって住民票などに旧姓併記が可能となったため、戸籍法は改正しない形とした。
別姓制度導入の是非が改めて注目されるきっかけとなった経団連の昨年2024年の提言は
「通称は法律上の姓ではないため、旧姓併記を拡大するだけでは解決できない課題も多い」
と指摘していた。
一方、衛藤晟一元沖縄北方担当相らの案は、公的証明書への旧姓の併記と単独使用のいずれも可能とする。
旧姓の使用を法制化し
「法定旧姓」
とすることで別姓制度を導入しなくても、経団連が指摘するような課題の解決に繋がるとしている。
稲田朋美元防衛相は、
「婚前氏続称制度」
の創設を主張する。
旧姓を通称ではなく
「呼称上の氏」
として法的に認め、公的な場面では旧姓を使用することを想定している。
慎重派は複数案を一本化し、導入推進派に対して党内議論の主導権を握りたい考えだ。
党内には、拙速な議論は避けるべきだとの意見もあるが、立憲民主党は今国会で導入に向けた民法改正案の提出を予定している。
自民の森山裕幹事長は2025年2月4日の記者会見で、関連法案を採決する際の党議拘束の必要性を重ねて主張した。

「強制的親子別姓」「子供に選択の機会ない」選択的夫婦別姓を日本女性の会が危惧 横浜で
2025/2/7 10:50
https://www.sankei.com/article/20250207-XGELSVKT5FGOVOVXV2OLGIPJ3A/
日本女性の会神奈川は2025年2月6日、JR横浜駅前で今国会の焦点とされる選択的夫婦別姓の導入に反対し旧姓の通称使用の法制度化を求める街宣活動を行った。
選択的夫婦別姓について、
「強制的親子別姓、強制的家族別姓です」
「家族がバラバラになります」
などと懸念を訴えた。
日本女性の会は日本会議の女性組織。
約20人の女性らがビラを配ったり、マイクで訴えたりした。
導入を求める側の人々が唱える
「選択制だから誰も困らない」
という訴えについては
「正しくありません」
「一番大きな影響を受けるのは子供です」
「選択制とはいえ、子供に選択の機会はありません」
などと危惧した。
同会は、4歳から高校2年まで10家族20人の子供に対し、それぞれの親から
「お父さんとお母さんが別々の名前になったらどう思う」
と尋ねてもらったところ、ほとんどが拒否感を示したという。
「家族がバラバラは絶対いや」
「うちは何家になるの」
との回答があったという。
同会神奈川の事務局長を務める横浜市の主婦、北島ゆり子さん(66)は
「子供は自分のことじゃなくて、親や家族全体のことを考えている」
「たかが名字、されど名字で、子供にとって大きな拠り所だと感じた」
と話した上で、
「子供の声は社会に反映されにくい」
と語り、丁寧な議論を訴えた。
北島さんは、10家族20人の調査について
「親にとっては、子供の考えを改めて感じ、絆が強まった機会になったといってくれた」
と述べ、選択的夫婦別姓の導入の是非が社会の話題になりつつある状況について
「反対派も賛成派も、改めて家族で『家族とは何か』『親子とは何か』を考える機会になれば一番いいと思う」
と語った。

夫婦別姓反対や通称使用法制化の推進を訴え 日本女性の会神奈川
2024/12/26 19:30
https://www.sankei.com/article/20241226-52IAT4YH4BMI3LSVHODYVHHQ5M/
日本女性の会神奈川は2024年12月26日、神奈川県藤沢市のJR藤沢駅前で
「夫婦別姓反対・通称使用法制化推進」
の街宣活動を行い、
「国民は選択的別姓制度を求めていません」
などと書かれたビラを配った。
参加したのは、同会や日本会議神奈川などの約10人。
メディアなどの調査をもとに、
「国民の7割が『別姓』に反対」
「中高生の9割以上が『別姓』に反対」
などと書かれたのぼりを掲げ、通行する人に
「姓の選び直しで社会は混乱する」
と語りかけ、通称使用の法制化を訴えた。

自民「創生日本」再始動、通称使用拡大案を提示「国の根幹めぐり党が割れるようでは…」
2025/2/5 18:55
https://www.sankei.com/article/20250205-5XCFEWLYMFOEZAAPSUVO5LP2FY/
安倍晋三元首相が会長を務めた自民党の保守系議員連盟
「創生『日本』」
は2025年2月5日、国会内で総会を開き、選択的夫婦別姓制度を巡り議論した。
総会の開催は約2年ぶりで、旧姓の通称使用を拡大する党内の複数の案が示された。
同制度の導入を巡っては党内で賛否が割れているが、同議連は通称使用拡大での意見集約を目指す方針だ。
「夫婦別姓は国民の間でも実際にどういうものか、実施したらどうなのかなど理解されていない点もある」
「議員も同様ではないか」
同議連会長代行の中曽根弘文元外相はこう強調した。
総会には、萩生田光一元政調会長や高市早苗前経済安全保障担当相、小林鷹之元経済安保担当相ら約40人が参加した。
この日は産経新聞の皆川豪志編集局コンテンツ統括を講師に招き、
「ごまかしの選択的夫婦別姓議論」
と題した講演も行われた。
皆川氏は、産経新聞が同制度について小中学生約2000人を対象に行ったアンケートの結果を説明し、
「国の根幹に関わる家族の在り方を巡り、党内の意見が割れるようでは有権者に見放されるのではないか」
と苦言を呈した。
同制度の導入には、立憲民主党などの野党に加え、連立を組む公明党も前向きな姿勢を示しており、今国会での焦点となる見通しだ。
自民では今月2025年2月中旬にも
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
での議論が本格化するが、推進派、慎重派が混在している状況で、党内議論は難航が予想される。
■「自民離れ加速」選択的夫婦別姓への懸念
一方、保守系議員を中心とした慎重派は、今月2025年2月に入って発信を強めている。
2025年2月4日には有志グループ
「保守団結の会」
が会合を開き、制度導入に向けた拙速な議論を牽制した。
慎重派の念頭には、家族の在り方を変えうる制度を導入すれば
「保守層の更なる自民離れが加速する」(中堅)
との懸念があるためだ。
ただ、安倍氏の死去後、党内の保守系議員の結集軸は失われたままだ。
慎重派が党内議論を主導できるかどうかの予測は難しい状況だ。

自民・高市早苗氏講演の「保守団結の会」に20人 出席議員一覧 旧姓通称使用の拡大を
2025/2/4 18:50
https://www.sankei.com/article/20250204-PWUCMPUC5JB4NIWYXAD7NLGAXY/
自民党の高市早苗前経済安全保障担当相が2025年2月4日、選択的夫婦別姓の導入の是非を巡り旧姓の通称使用の拡大を講演で訴えた保守系有志議員グループ
「保守団結の会」
には20人超の現職議員が出席した。
確認できた20人は以下の通り(敬称略)

≪衆院当選10回≫
高市早苗
≪当選6回≫
関芳弘
≪当選5回≫
黄川田仁志、中村裕之、簗和生
≪当選4回≫
三谷英弘
≪当選2回≫
石橋林太郎、尾崎正直、鈴木英敬、平沼正二郎、松本尚
≪当選1回≫
山本大地
≪参院当選3回≫
上野通子、北村経夫、西田昌司
≪当選2回≫
赤池誠章、佐藤啓
≪当選1回≫
白坂亜紀、田中昌史、若林洋平

選択的夫婦別姓巡り自民保守系活性化 5日に「創生『日本』」会合 党内意見集約は難航も
2025/2/4 18:42
https://www.sankei.com/article/20250204-UHSO75LGNNK2ZO6HRYKGPFVVIY/
自民党の保守系議員が、選択的夫婦別姓制度の導入に否定的な発信を強めている。
有志グループ
「保守団結の会」
は2025年2月4日、党本部で会合を開き、制度導入に向けた拙速な議論を牽制した。
立憲民主党が制度導入法案の提出を予定するなど、夫婦別姓を巡る議論が今国会の焦点の1つに浮上する中、石破茂首相(自民総裁)は、早期に党見解を取りまとめたい考えを示す。
ただ、党内は慎重派と推進派で割れており、意見集約は容易ではない。
「今、自民がやらなければいけないことは、公約を守り、多くの方の不便を更に解消できる法案を出すことだ」
高市早苗前経済安全保障担当相は2025年2月4日の保守団結の会の会合で、同制度の導入ではなく、自民が選挙公約に掲げた旧姓の通称使用の拡大を推進するべきだとの考えを重ねて強調した。
2025年2月5日には、安倍晋三元首相が会長を務めた自民内の保守系議連
「創生『日本』」
が夫婦別姓をテーマに会合を開く。
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(中曽根弘文会長)
も近く会合を予定しており、保守派による発信が活発化している。
衆院で与党が過半数割れする中、立民が今国会に同制度導入の法案を提出すれば、可決される可能性がある。
自民の保守系議員は慎重論で党内をまとめたい考えだが、旧姓の通称使用の拡大についても、党内に複数の案があり、意見の集約には至っていない。
■慎重派に危機感
自民の森山裕幹事長は今国会で関連法案を採決する際の党議拘束の必要性を重ねて主張する。
推進派を中心に
「党議拘束をかけない方がいい」
という意見が燻っていることが念頭にある。
自民の
「氏制度の在り方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
の幹部は2025年2月4日、国会内で今後の議論の進め方などについて協議した。
出席者の1人は、今月2025年2月中旬にも党内で議論の場を設ける考えを示した。
慎重派のベテラン議員は
「通称使用の案を早く取りまとめて、党内の導入賛成派の人も含めて合意を得なければならない」
と危機感を示す。

「選択的」別姓論の大いなる逆説 何が「個」を失わせるか
正論2025年3月号 早稲田大学非常勤講師 大場一央
「早稲田なんか入りたくなかった」
「自分は東大に行くはずだった」。
こう思った学生が、いつまでも早大生と名乗ることを嫌がって学内で孤立する。
「私は栄光ある巨人軍で長年プレーしてきた」
「今度北海道日本ハムファイターズに移籍するが、
『いつまでも自分は巨人の何某である』
と宣言する」。
こんな新入団選手を、ファイターズファンは複雑な気持ちで見つめる。
結婚して別姓を
「選択」
するということは、そういうことだ。
結婚したての頃は、相手方の親族とどういう距離感で付き合うべきかも分からず、一方で夫婦の考えや感性の擦り合わせも行わなければならないから、実は最も苦しく孤独な時期である。
そんな時期に、男性側の姓にせよ女性側の姓にせよ、結婚したにもかかわらず別姓を
「選択」
するということは、相手方の親族に対して、あなたがたのチームに入る気はありませんと、出会い頭に拒絶していることになる。
別姓が強制されるならまだしも、
「選択」
は当人の意思が際立つ。
最悪の一手を打ってしまったと言うしかない。
子供を授かったら更に深刻だ。
とかく子供は親の喧嘩に敏感である。
黙っていられるならまだしも、どちらに味方するか迫られたら、どちらも悪く言うのは嫌だから、困った挙げ句に泣きたくなる。
白紙のような頭と心に刷り込まれた親の考え方や感性は、良くも悪くもかなり長い間、子供を支配する。
その親が2つに分かれ、子供にいずれかの姓を
「選択」
させる。
これはチームが分かれるどころか、子供の人格を作るモデルの分裂であり、アイデンティティーもへったくれもない。
ここで争おうものなら、離婚した両親が親権を争う姿を見て、自分の存在そのものを否定してしまうような、不幸な自意識が生まれても不思議ではない。

選択的「夫婦」別姓は強制的「親子」別姓だ こんなにある致命的欠陥
正論2025年3月号 元東京新聞編集委員 椎谷哲夫
数年前、元文科事務次官の前川喜平氏がSNSでこんな発言を醸した。
「同性婚も選択的夫婦別姓も、それで幸せになる人がいて、不幸になる人はいないのだから、誰にも反対する理由はない」
「反対する人は、自分の好き嫌いを人に押し付けて、人を不幸にしているのだ」
自由な議論を行うことが民主主義の根幹であるはずだが、前川氏は自分と意見の違う人たちを黙らせようとした。
「選択的夫婦別姓」
は、こんなにも人を攻撃的にしてしまうのか。
公明党とも連携して別姓法案を国会で通そうとする立憲民主党の野田佳彦代表は採決で
「(自民党の賛成議員を)炙り出す」
と言い放った。
理はこちらにあるから決着をつけようということらしい。
だが、選択的夫婦別姓には、解決しようのない問題がいくつもある。
30年ほど前、別姓導入を打ち出した法制審議会は、子供の姓を
「いつ決めるか」
で揉めた。
制度導入の最大の弱点だから、今も決着はついていない。
別姓派の理論的支柱である民法学者は
「戸籍」
をばらばらにして
「個籍」
にするべきだと言っている。
「戸籍の解体」
だ。
まだある。
仮に選択的夫婦別姓が導入されても
「夫婦同姓を維持して旧姓の通称使用を法制化してほしい」
という多数派のニーズは満たされず放置されるのだ。
■「子供の姓いつ決めるか」で対立
選択的夫婦別姓は、片方の親と子が必ず別姓になる
「親子別姓」
である。
家族の中に異なる2つの姓があるということで言えば
「家族別姓」
である。
更に、子供の意思と無関係に親の都合で子供が別姓を強いられるという意味では
「強制的親子別姓」
と言ってもよい。
選択的夫婦別姓の法案要綱を答申した法制審議会に法務省参事官として関わった小池信行氏も講演録『夫婦別姓を考える(『法の苑』2009年春)』の中で
「夫婦別姓の問題は最終的には子の氏の問題に帰すると思っている」
と語っている。
選択的夫婦別姓にした場合、
「いつ子供の姓を決めて届けるか」
が問題になる。
最大の要点であり、難点でもある。
平成8(1996)年2月に法務省の法制審議会が答申した
「民法の一部を改正する法律案要綱」

「婚姻の際に届ける」
としている。
これに対し、立憲民主党・共産党など野党が令和4(2022)年6月に共同で国会に提出した
「民法の一部を改正する法律案」

「出生時に届ける」
としている。
立憲民主党など野党は与党の公明党も引き入れ、この法案を再提出して閉会中の通常国会(2025年6月中旬会期末)で成立させようとしている。
実は30年近く前の法制審議会で、子の姓の決め方について意見が真っ二つに分かれて揉めた経緯がある。
■「婚姻時の届け出」は憲法違反
当時、民法部会員として審議に加わった元都立大法学部長の唄孝一氏(故人)は『家族ージェンダーと自由と法』(水野紀子編)で
「子供の氏について意見が違ったわけである」
「これは最終的に案を決める上でネックになったものであった」
と振り返っている。
唄孝一氏によると、原案(法制審議会の法律案要綱)については、前述のように
「婚姻の際に届ける」
ことになっているため
「婚姻の要件を加重する」
との批判があった。
婚姻するために新たな条件が負担として加わると考えれば分かり易い。
これについては、前述の講演録
『夫婦別姓を考える』
で小池信行氏も言及している。
「婚姻というのは憲法に夫婦の間の合意さえあれば成立すると書いてあるではないか、それなのに子供の氏を決めなければ婚姻ができないのは憲法違反である」
との強い批判があろと指摘。
更に
「結婚しても子供を作らないという夫婦や、あるいは年齢的にもう子供ができないという夫婦についても、生まれてくる子供の氏を決めなさいというのは、心理的な抵抗があることを挙げる人もいる」
「つまり子供は自分たちには不要だと考えている人たちにも、子供の氏を決めないと婚姻届を受理しないのは酷ではないか、そういう反対論がある」
というのだ。
■「出生時の届け出」で「姓の取り合い」も
これに対し、立憲民主党などの
「出生時に届ける」
という考え方も致命傷になりかねない問題を抱えている。
この案は法制審議会の
「婚姻の際に届ける」
の対案として出たものだ。
出生届は生後14日以内だが、その間に決まらなかったら、どうするかという問題が出てくる。
立憲民主党はHPに
「(夫婦間の)協議不調・協議不能の場合は家庭裁判所の審判に委ねる」
と記している。
だが、家裁が何を基準に子供の姓を決めるというのか。
前述の小池信行氏は
「家庭裁判所が多分頭を抱えることになる」
と指摘する。
離婚の判決で未成年の子の親権を決める際は、夫婦と子供には、それまでの生活があるから判断材料がある。
子供から意見を聴くことも可能だ。
だから、父母のどちらが適任かを判断できる。
しかし、子供を授かったばかりなのに、どちらが人格的に優れ、経済力があるかで決められる性格のものではない。
赤ちゃんは意思表示などできない。
双方の実家が
「うちの姓にして欲しい」
と介入し、子の姓の取り合いになる可能性だってある。
夫婦が一緒に暮らすわけだから、双方が完全に納得しないと、その後の家庭生活にも影響する。
審判が長引けば
「戸籍のない子」
になったり、訴訟に発展する恐れもある。
夫婦同姓の子であれば、生まれた瞬間に姓が決まり、摘出でない子も母の姓に決まるのに、別姓夫婦の赤ちゃんは、出生直後から
「不利益」
を被ることになる。
平成6年に批准した
「児童の権利に関する条約」
の第7条には
「児童は、出生の時から氏名を有する権利及び国籍を取得する権利を有するものとし・・・」
とある。
そんな欠陥を抱えたまま別姓法案を通そうとしても、国民感情が許さないだろう。
■経団連も「子の不利益」を素通り
経団連は夫婦別姓について
「先送りできない最重要課題」
だと主張し、政府を揺さぶっている。
企業の経営者だって家族の一員なのだが、ビジネス上の利益確保という視点だけで問題の可否を論じようとしている。
筆者は令和6(2024)年6月、日本記者クラブで行われた経団連のダイバーシティ推進委員長である魚谷正彦氏(当時資生堂会長)の講演で、親子の姓の分離の問題についての見解を求めた。
魚谷正彦氏は
「私は非常に大変重要なことだろうと思っているが、経団連としてどうすべきだ、こうすべきだというスタンスは取っていない」
と答えた。
「組織として関知しない」
ということなのか。
余りにも無責任だ。
■3択の世論調査こそ民意反映
東京地検特捜部出身で元法相の山下貴司氏は、令和6年12月の衆院予算委員会の質疑で石破茂首相を前に、選択的夫婦別姓制度は
「硬直的制度」
であり
「家族別姓か、旧姓を法律上の姓として使用することを諦めるかという究極的な選択を迫るものだ」
と述べた。
選択的夫婦別姓が導入されても、
「夫婦同姓を前提に通称使用を法制化する」
という国民のニーズは満たされない。
だから、選択的夫婦別姓制にしない限り、法的根拠をもって旧姓を使うことはできない。
山下氏の言う通りである。
国会でのこれまでの質疑を聴いていると、立憲民主党や公明党などの国会議員は、選択的夫婦別姓の正当性を訴えるのに、
「賛成」
「反対」
の2択の調査結果しか使わない。
その方が都合の良い結果が出るからだ。
朝日新聞の令和6年7月の2択の世論調査は
「賛成」73%
「反対」21%
NHKの令和6年7月の世論調査は
「賛成」59%
「反対」24%
だった。
共同通信や日本経済新聞・毎日新聞も同様だ。
これに対し、内閣府の世論調査は3択だ。
令和3年12月の調査(翌年令和4年3月公表)は
「夫婦同姓を維持した上で旧姓の通称使用の法制度を設けた方がよい(42.2%)」
「現在の夫婦同姓の制度を維持した方がよい(27%)」
「選択的夫婦別姓の制度を導入した方がよい(28.9%)」
だった。
令和6年7月の「JNN」(TBS系列のニュースネットワーク)の調査も、
「同性を維持しつつ旧姓を通称としてどこでも使えるように法制化すべき」
が最も多い47%になり、
読売新聞の令和6年9月の調査も
「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称使用として結婚前の名字を使える機会を拡大する」
が最多の47%を占めた。
ちなみに、産経新聞・FNNは、短期間に2択と3択を分けて訊いている。
令和6年7月の調査は、朝日新聞やNHKと同じ2択で、
賛成66.6%
反対25.5%
だった。
令和6年9月の調査は
「夫婦同姓を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる法整備をする」
との選択肢を加えた回答を求めた。
その結果、追加した選択肢が最大多数の46.5%となり、賛成は38.9%、反対派12%に減った。
数字だけ見ると、賛成と反対で減った分の合計41.2%に、2択で賛否を明らかにしなかった5%が加わったことになる。
この結果をどう捉えればよいのか。
2択で「YES」か「NO」を迫られたら、割り切れなくてもどちらかを選ぶしかない。
「選択的だから」
という程度の判断で決めた人が多かったと想像できる。
これに対し3択は、選択肢が多くなった分、回答者の隠れていた意思が表に現れたと言える。
どちらが民意を反映しているかは、考えるまでもないだろう。
それでも、別姓推進派はそうした
「不都合な真実」
を無いことにしてしまう。
朝日新聞やNHK、共同通信など選択的夫婦別姓導入に熱心なマスコミは、国民世論の意思を2択でしか探っていない。
一体何を恐れているのか。
■個人籍への移行は「戸籍の解体」
選択的夫婦別姓制度を導入した場合に
「戸籍」
がどうなるかも心配だ。
福島瑞穂・社民党党首は平成5(1993)年に当時の日本社会党機関誌局が出した
『夫婦別姓 家族をここからかえる』

「Q&A」
に、
「個人の尊厳という観点からはこの際思い切って個人登録にすべきだ」
とした上で、
「(個人登録は)個人単位になるわけですから『戸籍制度』という言葉自体もなくなるべきです」
と書いている。
「個人単位の登録」
については、選択的夫婦別姓制度導入運動の後ろ盾である立命館大学名誉教授の二宮周平氏も同じ主張を繰り返している。
『中央公論』(2022年6月号)では
「現実の家庭生活は(中略)多様な家庭生活・私生活が共存している」
「それにもかかわらず、夫婦と子という特定の家族像を基本にすることは、最早現状に合わない」
「戸籍制度も、多様な家族の在り方を保障し、支える制度にする必要がある」
と述べ、その編製を
「個人単位にすべき」
と主張している。
そして、
「各自が言わば筆頭者となり、自分を中心に、自分との関係で父母・配偶者・子を記載する形式こそ、自分が『人生の主人公』であることを明瞭に示すものであり、憲法の理念に忠実なものである」
と説いている。
■「戸籍維持」とは言わぬ井田氏
二宮氏は、編製上の問題であって戸籍の廃止ではないと言うが、一般国民の感覚からすれば
「戸籍の解体」
である。
選択的夫婦別姓制度が導入されると、社会制度上の統一性がないから、最終的には圧倒的少数派の
「個籍」
に収斂されていくであろう。
その時、戸籍という言葉は消える。
彼らの主張の背景には、現行の
「戸籍の筆頭者」
が、戦前までの家制度の名残りだという考え方がある。
筆頭者とそうでない家族との間に
「主従関係」
を持ち込むというのだ。
選択的夫婦別姓運動を主導してきた人々の
「共通の認識」
にもなっている。
井田奈穂氏が事務局長を務める
「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」
は、HPの
「選択的夫婦別姓Q&A」
にわざわざ
「戸籍の問題も戸籍を維持しているのも日本だけですので、戸籍を維持していくかどうかは別途議論の余地はある」
と記している。
「戸籍は維持する」
とは言っていないのだ。
■「家名存続なんて幻想の産物」
「改姓するとアイデンティティが失われる」
という意見がある。
自分が生きて来た家庭の
「アイデンティティ」
を、結婚後の新しい
「絆」
よりも優先するということだ。
法学・社会哲学者の青木孝平氏は
「夫婦の別姓がもたらすものは、夫と妻という他人同士の紐帯よりも、結婚後もそれぞれが生家の親との関係を重視する血縁的紐帯への過剰な依存である」
と自著で説く。
「一人っ子の男女がそれぞれの実家の家名を守るには別姓しかない」
と言う人もいる。
その場合、双方の実家(祖父母)は、孫にも家名を継いで欲しいだろう。
だが、子供が生まれるとは限らないし、生まれたら姓を振り分ける必要がある。
一人っ子なら、両家に
「姓の取り合い」
の感情も生まれる。
社民党党首の福島瑞穂氏が『楽しくやろう夫婦別姓』(1989年)に書いている。
「家名存続なんていうのは、元々幻想の産物である」
「娘夫婦が別姓になったとしても、孫が生まれないかもしれない」
「そしたら、そこで終わり」。
姓の決定は
「自己決定権(人格権)」
に属し、親から受け継いだ姓に縛られる必要はないというのが夫婦別姓派の主流だ。
■「別姓」に庶民が反発した歴史
選択的夫婦別姓導入を求める人たちが
「日本は元々、夫婦別姓だった」
というのは明らかな間違いだ。
彼らがその根拠の1つにしているのが、NHKの大河ドラマにも登場した北条政子だ。
源頼朝の正妻なのに、父親の北条時政の
「名字」
を名乗っているから
「別姓」
だというわけだ。
頼朝の
「源」
は天皇から与えられた血統を示す
「氏(うじ)」
であり、出自の異なる妻がこれを名乗ることはあり得ない。
そもそも、
「北条政子」
という呼称自体が、後世になって、人物を特定するために書物などで便宜的に使われるようになったものだ。
研究者によると、名字(苗字)は室町時代から江戸時代にかけ庶民にも広がった。
江戸末期の1801(享和元年)に幕府は
「苗字帯刀の禁令」
で武士や名主以外は使うことを禁じた。
それでも庶民は非公式に名字を使った。
明治政府は
「平民苗字必称令(明治8年)」
で全国民が名字を名乗ることを義務化し、翌年明治9年の太政官指令で
「妻は別苗字」
にするよう求めた。
古来の公家や武家の血統を示す
「氏(うじ)」
の概念を庶民に押し付けたもので、夫婦同姓を慣習としていた庶民は強く反発した。
その声を吸い上げた東京府は明治22(1889)年、政府にこんな上申書を上げた。
「凡ソ民間普通ノ慣例ニ依レバ、婦ハ夫ノ氏ヲ称シ、其生家ノ氏ヲ称スル者ハ、極メテ僅々ー」
(民間の慣例では妻は夫の氏姓・苗字を称しており、実家の氏を称する者は極々少ない)。
庶民は同姓を続けたが建前としての夫婦別姓が続いた。
明治31(1898)年には、日本初の民法に
「戸主及ヒ家族ハ其ノ氏ヲ称ス」
とする
「夫婦同姓」
が規定された。
■間違った通称使用の弊害を喧伝
経団連が喧伝する
「通称使用の弊害」
についても述べておきたい。
「DEI社会の実現を目指して」
と題する資料には
「海外に渡航する際の弊害」
の一例として
「空港ではパスポートのICチップのデータを読み込むがそこに旧姓は併記されていない」
「よってゲートでトラブルになる」
との事例がある。
意味不明な
「弊害」
だ。
旅券面に
「旧姓」
併記があっても、確かに入国審査官がチップを読み取るモニターには本名(戸籍名)が表示される。
しかし、航空券と照合する場合でも、チケットは
「本名記載」
だからトラブルになりようがない。
外務省が在外公館に問い合わせても、モニター表示が原因でトラブルになった事例は確認できないという。
入国審査のやり方は国によって千差万別だ。
普通はあり得ないが、旅券面の
「Former surname(旧姓)」
をたまたま見た入国審査官が
「これは何だ」
と訊いて、これにうまく説明できなかったということなのか。
外務省は、そのためにも渡航者に併記した英語のリーフレット配布しているのだ。
経団連の十倉雅和会長は昨年2024年、記者会見で
「改姓後に旧姓時代の研究論文の実績が認識されないといった弊害も耳にする」
と語った。
十倉会長は、世界中で100万人の研究者や権威ある研究機関が使っている
「ORCID(オーキッド)」
という登録システムを知らないようだ。
世界には同姓同名もあるし、結婚で改名した人、ペンネームを使う研究者も多い。
割り振られた16桁のID番号(数字)が、例えば結婚前の旧姓と戸籍を紐付けて人物の識別・特定ができるのだ。
日本でも登録を推奨する大学や団体が増えている。
■「経過措置」で既婚者も混乱か
この問題では
「これから結婚する人が対象だから私には関係ない」
という考えは禁物だ。
実は立憲民主党などの別姓法案には2年間の
「経過措置」
がある。
要は、既婚者に
「2人が合意すれば、今なら旧姓に戻せますよ」
と煽るような内容だ。
妻が
「我が家も別姓にしたい」
と反対する夫と揉めるケースも出てくるだろう。
全国の同性夫婦を対象にした
「姓の選び直し」
だから、他人事ではないのだ。

選択的夫婦別姓、子供の姓の扱い「議論されてない」 国民・榛葉氏、期限区切る動きに慎重
動画
2025/1/30 19:15
https://www.sankei.com/article/20250130-J5UGWSPWNVFTLLFPFDGAZ462VU/
国民民主党の榛葉賀津也幹事長は2025年1月30日、産経新聞の単独インタビューに応じ、選択的夫婦別姓制度の導入について、子供の姓の扱いなどに
「慎重な議論が必要で、政争の具にすべきでない」
と指摘。
一定の期限を区切って議論することに慎重な考えを示した。
榛葉氏は、制度の導入自体は
「成人の男女が(姓を)選択できるようにすることは、党がかねてマニフェスト(政権公約)で賛成している」
として、改めて賛意を示した。
ただ、
「問題は子供で、親子別姓という問題はあまり議論されていない」
と指摘した。
「兄弟で名字が変わったり、子供が(姓を)強制されたりするようになると、子供の目線からどうなのか」
「家族の問題もある」
とも語り、子供の扱いに関する制度設計が不十分なことに強い懸念を示した。
一部野党には、夫婦で子供の姓に関する意見が対立した場合、最終的に家庭裁判所で決める案もあるが、榛葉氏は
「家裁が決める話でない」
とも語った。
立憲民主党は、意見が割れる自民党の状況も見据え、今国会中の関連法案成立に意欲を見せるが、榛葉氏は
「政局や選挙の道具にすべきでない」
とも言及。
性急に結論を出すのではなく、制度設計の議論を徹底するよう求めた。
「大人の論理だけでなく、子供の学びや育みを考え、慎重に議論すべきだ」
とも強調した。

自民は旧姓使用拡大で一致を
阿比留瑠比の極言御免
2025/1/30 1:00
https://www.sankei.com/article/20250130-DGDTNV3NRZKT7MW5M4KSDHKE3U/
米国でトランプ大統領が復権を果たし、世界が目まぐるしく動いている一方、国会では十年一日の如く選択的夫婦別姓がどうの同性婚がどうのと内向きな議論が続いている。
そうした中で自民党の森山裕幹事長が夫婦別姓制度の導入を巡り、国会採決に当たっては
「党議拘束をかけないで結論を見い出すことは出来るだけ避けるべきだ」
と発言して注目を集めている。
これに関しては、選択的夫婦別姓に賛成の立場で党所属議員を縛ろうとしたとの見方も出たが、複数の自民党閣僚経験者は
「それは逆だ」
と説明する。
反対に、片方の親と子供が必然的に別姓となり、兄弟、姉妹同士が別姓となる可能性もある立憲民主党の民法改正案を成立させないことが目的だというのである。
「党議拘束をかけないと、党内にいる数十人の別姓賛成派・推進派が協力して立民の改正案が成立してしまう」
森山氏は別姓推進論者の中には、戸籍そのものをなくして
「個籍」
にすることを目指す人がいることを危惧しているのだという。
確かに、別姓推進論者には社民党の福島瑞穂党首のように著書にこう記した人もいる。
《私は、子供が18歳になったら家族解散式≠ニいうのをやろうと思っていて、それ以降は、パートナーと子供ともスープのさめない距離に住んで、名実共に個人単位で暮らしていきたいなと思っている》
《家族だって、ひとつの定義にすぎない》
《家族も個人のネットワークなんだ》
家族という社会の基本単位をなぜなくしたいのか、どうしてそこまで孤独に陥りがちな
「個」
に拘るのか理解に苦しむが、ともあれそういった指向性の議員は一定数いるのだろう。
それでは、自民党は党議拘束をかけて採決に臨むために、どんな法案を出そうというのか。
現在、広がっているのが
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」(萩生田光一元政調会長)
という考え方である。
実際、今月2025年1月の産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査でも、選択的夫婦別姓制度導入に
「賛成」
の自民党支持者の割合は24・7%にとどまる。
一方で、
「同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
は49・8%に上り、納得が得られやすい。
石破茂首相(党総裁)も、2025年1月26日配信のインターネット番組で、選択的夫婦別姓について党内の賛否が割れている現状を踏まえて
「どちらの考え方にも偏れないとするならば、折衷案もありうべし」
と述べた。明言はしなかったが、旧姓使用の拡大・制度化を指すとみられる。
首相は元々別姓賛成派だったが、
「党をまとめる立場になると『俺の考え方についてこい』とならない」
とも語った。
自民党には、高市早苗元政調会長のように既に2度も党法務部会にこの法案を提出している議員もいる他、複数の議員がそれぞれの旧姓使用の拡大案を唱えている。
戸籍法改正と特別立法が必要なものや特別立法のみのもの、民法と戸籍法の双方の改正が必要なもの…と数種類あるが、これらを党内で議論してまとめていけばいい。
以前は選択的夫婦別姓に
「賛成」

「反対」
の2択だった各種報道機関の世論調査の設問も、最近は
「同姓を維持して旧姓使用を拡大」
という第3の選択肢を加えて聞く例が増えた。
その結果、別姓賛成派が多数派ではないことは最早明らかである。
(論説委員兼政治部編集委員)

「旧姓の通称使用拡充が現実的」自民・小林鷹之氏、選択的夫婦別姓に疑問呈す
2025/1/28 18:02
https://www.sankei.com/article/20250128-VTTJDJNV5BOV7K7EFKBAAKEHD4/
自民党の小林鷹之元経済安全保障担当相(衆院千葉2区)が、どちらかの親と子供が別姓になる選択的夫婦別姓に関し性急に結論を出すことに疑問を呈し、発信を強めている。
2025年1月24日、自身のユーチューブ番組で
「どこまで政治的な労力、資源を使うのかを考えるべきだ」
「物事に優先順位を付けると、もっとやるべきことはある」
と述べた。
2025年1月25日にはこの発言を補う形で、X(旧ツイッター)に
「婚姻による改姓で不便を感じる方がいるのは事実で、そのニーズを解消するアプローチとして旧姓の通称使用の拡充や周知徹底による対応が現実的な解と考えます」
と投稿し、夫婦別姓の導入を
「慎重に臨むべきと考える」
と強調した。
理由として
「『子供の視点』を大切にすべき」
とも指摘。
「子供の選択権の有無、有るとした時にいつ、どういう状況で行使できるのか」
「夫婦間で揉めた場合、家庭裁判所が判断するのか」
といった論点を挙げた。
その上で、
「年限を区切り、拙速に結論を決める性質の話ではない」
「姓の在り方に関する議論は、時間をかけてでもしっかりと議論することが重要」
「合意形成に時間と労力はかかるが、粘り強くやることが大切だ」
と結んだ。

「いつまでも結論を先延ばしてよい問題ではない」 選択的夫婦別姓巡り石破茂首相が答弁
2025/1/27 14:33
https://www.sankei.com/article/20250127-HSONVJOP4BICTGPW2UTPQMJSGM/
石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月27日の衆院代表質問で、選択的夫婦別姓制度導入の可否について
「国民の関心が極めて高いテーマでもあり、いつまでも結論を先延ばしてよい問題とは考えていない」
と答弁した。
党としての意見集約に関しては
「議論の頻度を上げ、熟度を高めて参りたい」
と述べるにとどめた。
選択的夫婦別姓制度に対し、立憲民主党や公明党は推進の立場を示している。
自民は保守系議員らに慎重論があり、党としての見解は定まっていない。

自民の小林鷹之氏、夫婦別姓論議に疑問「優先順位付けると、もっとやるべきことある」
2025/1/24 23:45
https://www.sankei.com/article/20250124-R63I26QYBRPL7EEK2FBUAULT3M/
自民党の小林鷹之元経済安全保障担当相は2025年1月24日、自身のユーチューブ番組で、選択的夫婦別姓を巡る論議に疑問を呈した。
「どこまで政治的な労力、資源を使うのかを考えるべきだ」
「物事に優先順位を付けると、もっとやるべきことはある」
と述べ、経済や防衛力の強化に取り組むべきだと強調した。

「首相が賛成打ち出せば党割れる」自民、夫婦別姓で2月中旬に議論本格化も意見集約難しく
2025/1/24 19:39
https://www.sankei.com/article/20250124-AHRH2TP2RZL6LDBS2REEZVPTTA/
通常国会が召集された2025年1月24日、選択的夫婦別姓制度に関する自民党の
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
の幹部らが協議し、2025年2月中旬にも議論の場を設けて党内議論を本格化させる見通しとなった。
党内で賛否が割れており、意見集約は難航しそうだ。
立憲民主党は選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正案を提出する方針で、今国会の大きなテーマとなる。
WT座長の逢沢一郎衆院議員や小野寺五典政調会長らが2025年1月24日、国会内で協議した。
出席者の1人は
「先の衆院選で新たに当選した議員もいる」
「WTで党としての議論を整理した方がいい」
と語った。
立民が民法改正案を提出すれば、令和7年度予算成立後の今春にも国会審議が始まる可能性がある。
自民は2025年2月中旬から党内議論を加速させる。
とはいえ意見集約は簡単ではない。
自民党内に推進派と慎重派が混在しているからだ。
保守系議員を中心に、家族の在り方を変える可能性がある選択的夫婦別姓制度への慎重論が根強い。
一方、
「夫婦同姓で不自由を感じている人がいるのは事実だ」(中堅議員)
と制度導入を求める声も多い。
菅義偉政権下の令和3年にWTを設置した際も議論が紛糾し、論点整理をまとめたが、制度導入の是非には踏み込まずに結論を先送りにした。
慎重派の一部は今回、自民が賛成に傾かないよう党内議論を主導すべく、水面下で話し合いを重ねている。
ある保守系議員は
「もし石破茂総裁(首相)が賛成を打ち出せば党が割れる」
と語る。
推進派には、法案が国会に提出された際には
「党議拘束をかけない方がいい」(若手)
との意見がある。
これに対し、森山裕幹事長は2025年1月24日、記者団に
「1つの意見にまとめて国会に臨むことが大事だ」
と党議拘束の必要性を主張した。
立民の野田佳彦代表は2025年1月24日の記者会見で
「大事なことはなるべく多くの野党が連携すること」
と野党各党による民法改正案の共同提出を目指す考えを示した。
同時に
「与党からも賛同を得たい」
「特に公明党はぜひ実現したいという意向をお持ちだ」
と述べ、与党の公明との連携にも期待を寄せた。

石破首相、選択的夫婦別姓巡り「早期に自民案まとめ与党協議に」 公明の斉藤代表と会談で
2025/1/22 16:01
https://www.sankei.com/article/20250122-K4EH2ATLRJLMBPNKFQIRESITUE/
石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月22日、公明党の斉藤鉄夫代表と官邸で会談し、斉藤氏が求める選択的夫婦別姓制度の実現に向けた自公両党の実務者協議について
「できるだけ早い時期に自民の案をまとめ、与党案の協議に入りたい」
と応じた。
会談後、斉藤氏が記者団に明らかにした。
斉藤氏は
「自民の中にも様々な意見があり、まとまっていない」
「まとめる努力をして頂くことが大事なので待ちたいが、できるだけ早い時期に始めなければいけない」
と述べた。

選択的夫婦別姓、石破首相「わが党としてどうなのか明らかに」自民役員会で指示も党内異論
2025/1/21 20:20
https://www.sankei.com/article/20250121-H4QO74K43VJPFFBOLKDFGU4CSM/
選択的夫婦別姓制度を巡り、石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月21日の党役員会で、通常国会で党としての考え方を取りまとめるよう指示した。
自民、公明両党の幹事長は同日、両党間で同制度の協議を進める方針を確認した。
自民は2025年1月24日の国会召集後の来月2025年2月にも党内議論を再開する見通しだが、家族の在り方を変える可能性がある同制度には慎重論や異論も根強く、党内議論の行方は見通せない。
■議論するほど課題
首相は2025年1月21日の党役員会で、選択的夫婦別姓制度に関し
「色々な考え方が党にもある」
「我が党としてどうなのだということを明らかにしていく必要がある」
と呼び掛けた。
役員会に先立ち、自民の森山裕、公明の西田実仁両幹事長が会談し、両党間で共通認識を持ち、国会論戦に臨む方針を確認。
同席した自民の坂本哲志国対委員長は記者団に、子供の姓の選択など様々な論点があると指摘し
「論議すればするほど課題があるということを(自公が)お互いに認識した」
と述べた。
通常国会では、立憲民主党が選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案の提出を予定しており、令和7年度予算成立後の今春にも国会での議論が本格化する可能性がある。
一部の野党だけでなく、公明も推進派だ。
■紛糾避けられず
一方、自民では党内の賛否が割れている。
保守系議員を中心とする慎重派は保守支持層の
「自民離れ」
の更なる加速を懸念し、2025年1月21日の党総務会では出席者の1人が
「大事な案件だ」
「執行部でも丁寧に取り扱ってほしい」
と求めた。
鈴木俊一総務会長は記者会見で
「党の中でも色々な意見があるが、スケジュールありきで拙速に決めるのではなく、十分な議論をした上で納得感が持てる結論に導くことが大切だ」
との考えを示した。
萩生田光一元政調会長は2025年1月10日のインターネット番組で同制度導入に反対し、
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」
「選択的であろうがなかろうが、夫婦別姓を奨励するのは如何なものか」
と述べた。
今後の党内議論の舞台は
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム」(座長・逢沢一郎衆院議員)
となるが、紛糾は避けられない。
慎重派は近く会合を開く予定。
一方、
「制度の導入は社会に求められている」
「必要だ」
(中堅)
との声もあり、賛否が混在する状況に自民ベテランは
「党が割れかねない」
と語った。

選択的夫婦別姓「大事な案件。丁寧に取り扱ってほしい」 自民総務会で出席者から意見
2025/1/21 12:27
https://www.sankei.com/article/20250121-ZXOETUYMP5NLVDMHGQ434L2BLQ/
自民党の鈴木俊一総務会長は2025年1月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓制度を巡り、同日の総務会で出席者から
「大事な案件だ」
「執行部でも丁寧に取り扱ってほしい」
との意見があったことを明らかにした。
選択的夫婦別姓制度は2025年1月24日召集の通常国会で焦点となる見通しだが、自民内では同制度の導入に関して賛否が割れている。
鈴木氏は
「発言は(議論を)拙速に進めるなということであったと思う」
との見方を示し、
「国民の中でも意見が割れている」
「スケジュールありきで決めるのではなく、十分な議論をした上で、納得感が持てる結論に導くことが大切だ」
と語った。

石破茂首相「わが党としてどうなのだと明らかにしていく必要ある」 選択的夫婦別姓巡り発言
2025/1/21 11:45
https://www.sankei.com/article/20250121-N7BG5NCPERML7BCW34HOE5NMUY/
石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月21日の自民役員会で、2025年1月24日召集の通常国会で焦点となる選択的夫婦別姓制度について
「色んな考え方が党にある」
「我が党としてどうなのだということを明らかにしていく必要がある」
と述べた。
森山裕幹事長が役員会後の記者会見で明らかにした。
首相は、通常国会に臨む姿勢に関しては
「臨時国会と基本的に変わるものではないが、臨時国会で不十分だった所を指摘頂きながら臨みたい」
と強調。
召集日に行われる施政方針演説については
「今年2025年は戦後80年となる」
「国造りの基本軸や、令和の列島改造などなるべく具体的に示したい」
と説明した。

選択的別姓 自民支持層「賛成」24%、立民51% 「通称使用」は立民でも39%
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/1/20 18:10
https://www.sankei.com/article/20250120-4XRHISQ6DVJK3KHMD5J4OOCYGA/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査では、選択的夫婦別姓制度導入の可否を巡る自民、立憲民主両党支持層の見解の差が鮮明になった。
自民の「賛成」の割合は24・7%にとどまったのに対し、立民は51・5%に達した。
一方、
「同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
は自民では49・8%、立民でも39・9%を占め、支持政党を問わず希望が根強い傾向が浮かんだ。
選択的夫婦別姓制度に対し、立民や公明党は推進の立場を示している。
自民は保守系議員らに慎重論があり、党としての見解は定まっていない。
別姓制度導入の法整備に
「反対」
と答えた人は、自民支持層に限ると21・5%となり、全体の14・7%や立民支持層の7・3%を上回った。
「通称使用を広げる」
との回答は、自民、立民以外の政党の支持層でも一定の割合を占め、公明と日本維新の会、国民民主党がそれぞれ4割強、共産党が3割強だった。
「賛成」
は共産で約半数に達し、公明が半数弱、維新と国民民主がそれぞれ3割強となった。
男女・年代別でみると、
男性の場合、「賛成」は18歳〜20代の47・5%が最も高く、「通称使用を広げる」は50代の52・0%、「反対」は70歳以上の24・1%が最高だった。
女性は「賛成」が30代(63・6%)、「通称使用」が60代(59・6%)、「反対」が70歳以上(24・0%)でそれぞれ最も高かった。
「通称使用」
と答えた割合は、男性全体で43・0%、女性全体で47・4%となり、年代別で最も低かった30代女性でも31・4%を占めた。
2025年1月24日召集の通常国会では選択的夫婦別姓制度の法整備が焦点の1つとなるが、導入推進派の政党には通称使用拡大の余地を検討する雰囲気は乏しい。
立民支持層ですら約4割に達する意見を軽視するなら、幅広い民意を踏まえた議論とは言えなくなりそうだ。

「選択的夫婦別姓」6割が導入否定的 世論調査の質問と回答(1月18〜19日)
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/1/20 13:03
https://www.sankei.com/article/20250120-HM6MG2V7XFOOPHBBNZJM4G3UNQ/
【問】希望すれば、夫婦それぞれが結婚前の名字を名乗ることができる「選択的夫婦別姓」について、立憲民主党や公明党は今年の通常国会で実現させるための法案の成立を目指している。「選択的夫婦別姓」導入の法整備についてどう思うか
夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる45.2
賛成37.5
反対14.7
他2.6

【問】石破茂内閣を支持するか
支持しない48.7(47.7)
支持する43.5(45.9)
他7.8(6.4)

【問】どの政党を支持するか
支持政党はない37.0(36.9)
自民党29.4(28.1)
立憲民主党10.1(9.0)
国民民主党7.2(11.3)
れいわ新選組3.5(2.9)
日本維新の会2.5(3.2)
公明党2.8(2.4)
他2.6(1.8)
共産党2.2(2.7)
日本保守党1.1(0.5)
参政党0.8(0.7)
その他の政党0.4(0.2)
社民党0.3(0.6)

【問】去年末の臨時国会では、衆院で過半数を割り込む与党が野党の修正要求を受け入れて補正予算が成立した。与党が野党の要求を受け入れる国会対応について評価するか
ある程度評価する57.1
あまり評価しない23.5
非常に評価する7.9
全く評価しない6.5
他5.0

【問】政治資金を巡る問題について、政策活動費の廃止など、政治資金規正法が与党と野党の賛成多数で改正された。政治とカネを巡る問題で自民党の信頼が回復したと思うか
信頼は全く回復していない44.4
信頼はあまり回復していない43.1
信頼がある程度回復した10.4
他1.5
信頼が大きく回復した0.5

【問】政治資金規正法の改正を巡り、「企業・団体献金」の扱いについて、与野党の間で結論が積み残しとなっている。「企業・団体献金」についてどうするべきだと思うか
維持してもよいが、透明性を高めるべき67.9
禁止すべきだ22.9
今のままでよい6.7
他2.5

【問】首相は、今年最初の会見で地方創生を柱に「楽しい日本を目指す」「令和の日本列島改造」などを政権の方針に掲げた。この方針を評価するか
評価しない47.0
評価する45.6
他7.4

【問】「年収103万円の壁」を引き上げる協議で、自民、公明両党は所得税の非課税枠を「123万円」まで引き上げる方針だ。一方で、国民民主党は「178万円」までの引き上げを求めている。どの程度まで引き上げるのがよいと思うか
140万円〜150万円程度まで引き上げるべきだ32.5
178万円まで引き上げるべきだ32.0
123万円まで引き上げるべきだ18.5
103万円のままでよい10.1
他7.0

【問】20日に米国でトランプ政権が発足する。トランプ次期大統領と石破首相の間で日米関係は良くなると思うか
変わらない58.1(59.6)
悪くなる32.5(32.3)
良くなる5.2(5.0)
他4.2(3.1)

【問】24日から始まる通常国会で、石破内閣に取り組んでほしい政策は(2つ選択可)
物価高・賃上げ対策56.0
年金・医療・介護33.6
子供・子育て支援28.4
防災・災害対策19.0
外交・安全保障15.6
地方活性化15.3
行政改革・財政再建9.7
原発・エネルギー政策8.8
憲法改正4.6
他1.8
それ以外0.7

【問】石破政権が今月上旬で発足から100日を超えた。今後、石破政権がいつまで続くのが良いと思うか
夏の参院選まで31.4
夏以降も石破政権が継続29.7
今年春頃の来年度予算が成立した後まで20.7
6月予定の通常国会終了まで13.1
他5.1
(注)数字は%。カッコ内の数字は12月14、15両日の前回調査結果。「他」は「わからない」「言えない」など。

■世論調査の方法
調査エリアごとの性別・年齢構成に合わせ、電話番号を無作為に発生させるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)方式で電話をかけ、算出した回答数が得られるまで調査を行った。
電話の割合は「固定電話4:携帯電話6」。
内閣支持率のみ回答が不明確な場合には、「どちらかと言えば」と再度質問して回答を得た。
調査対象は全国の18歳以上の男女1005人。
小数点以下第2位を四捨五入しているため100%にならない

選択的夫婦別姓は「通称使用の拡大」45・2% 「反対」含め6割が別姓導入否定的
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/1/20 11:43
https://www.sankei.com/article/20250120-ZVXXRT3MH5JVTCTCT4SGG7AVNM/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年1月18、19両日に実施した合同世論調査で、2025年1月24日召集の通常国会で焦点となる選択的夫婦別姓制度の法整備について尋ねたところ、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」が45・2%
で最多となった。
「賛成」は37・5%、
「反対」が14・7%
だった。
「通称使用の拡大」

「反対」
を合わせると59・9%となり、約6割が選択的夫婦別姓を導入する法整備に否定的なことになる。
同様の質問をした昨年2024年9月の合同世論調査との比較では、
「通称使用の拡大」が1・3ポイント減、
「賛成」が1・4ポイント減、
「反対」が2・7ポイント増
だった。
昨年2024年7月の合同世論調査で、「賛成」か「反対」かの二択で質問した際は、「賛成」が66・6%、「反対」が25・5%だった。

萩生田氏が配信番組で見せた覚悟 岩盤保守層を蔑ろにする「選択的夫婦別姓」導入、石破首相が野党に「同調」なら阻止へ動く考え示す
2025.1/17 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20250117-YNSCJQHHIVLS3GWIP7FNJBY75Y/
NHKは政治家が他のテレビ局で発言しても民放テレビとしか言及しなかったが、最近は方針を変えたのか、自民党の萩生田光一元政調会長が2025年1月10日夜、櫻井よしこ氏が主宰する動画配信サイトの番組「櫻LIVE」に出演したと報じた。
正確には、「言論テレビ」の番組「櫻LIVE 君の一歩が朝(あした)を変える!」だが、私も一緒に番組に出演して、萩生田氏の「変化」を感じた。
まず、萩生田氏は旧安倍派の会計処理を巡って
「政治不信を招いてしまった」
と反省した。
その上で、昨年2024年10月の衆院選での演説や、その後の衆院政治倫理審査会への出席を通じて説明を果たしてきたとして、
「この問題は去年2024年をもって一区切りにして、今年2025年は乙巳(きのとみ)の年なので脱皮をして、新しいことに挑戦する再生と復活の年にしたい」
との抱負を語ったのだった。
萩生田氏は、岩屋毅外相が中国人の観光客向けビザの発給要件などを緩和する方針を示したことについて、
「ビザの拡大は大きな問題だ」
「党の外交部会などに全くかけず、約束をしてしまったのは問題で、政府のやり方は少し乱暴だ」
と批判した。
NHKもその部分を中心に報じた。
番組に同席した産経新聞の同僚だった石橋文登・千葉工大特別教授も
「自民党支持者を相手に話すことが多いが、外交も内政も全部、安倍(晋三)さんがやっていたことをひっくり返そうとしているとの声が大半です」
と述べたように、石破茂政権は自民党を強く支持してきた岩盤保守層の神経を逆撫でしている。
石破首相らは
「少数与党なので、連立を組む公明党や野党の意見を聞かなければ政権運営ができない」
と言うのかもしれない。
だが、肝心の自民党支持層の声を蔑ろにしていいのかということになる。
その象徴が、通常国会の焦点となる選択的夫婦別姓の導入だ。
萩生田氏は番組で、
「旧姓使用の拡大で対応すべきだ」
と強調した。
石破政権が野党に同調して、法案を賛成しようとした場合については、
「どうやってやるのかをここで言うと、手の内を全部知らしめることになります」
「ただ、しっかり志を同じくする仲間と行動したいと思います」
と述べ、反対する考えを示した。
石破首相は党総裁になる前は、選択的夫婦別姓について
「導入賛成」
の考えを示し、
「夫婦が別姓になると家族が崩壊するとか、よく分からない理屈があるが、やらない理由がよく分からない」
と述べていた。
首相になると、2024年10月の衆院本会議での答弁で、
「国民各層の意見や国会における議論の動向などを踏まえ、更なる検討をする必要がある」
と述べるなど、慎重に転じた。
もっとも、立憲民主党の野田佳彦代表は
「自民党の中にも『本当は賛成』という人が結構います」
「党議拘束を外したら一挙に委員会可決する可能性が出てくるでしょう」
(昨年2024年11月の講演)
と攻勢をかける構えを示している。
石破首相が立憲民主党や公明党に同調し、可決の方向に自民党の議論を集約しようとした時、萩生田氏は阻止に動く。
その覚悟を感じた。 
(産経新聞特別記者・有元隆志)

石破首相、夫婦別姓や衆院選挙制度の対応明言せず「予断持って申し上げることしない」
2025/1/11 19:11
https://www.sankei.com/article/20250111-NJSGSKYYFJOD5BUMM5LMKJFNJM/
石破茂首相は2025年1月11日、選択的夫婦別姓制度導入や企業・団体献金の禁止、衆院選挙制度改革など通常国会で与野党の議論が予想されるテーマへの対応について明言を避けた。
「各党、各会派で真摯に議論されることが重要だ」
「政府として今、予断を持って申し上げることはしない」
と述べるにとどめた。
訪問先のインドネシア・ジャカルタで記者団の質問に答えた。
一方で
「結論が得られたら、政府としても必要な対応を取る」
と指摘。
2025年1月24日召集の通常国会での野党との向き合い方に関して、少数与党であることを踏まえ
「多くの賛成を得られるよう誠心誠意説明して参りたい」
とも語った。
選択的夫婦別姓導入には公明党も意欲を示しており、自民党の対応に注目が集まっている。
政治改革を巡る企業・団体献金の扱いは昨年2024年の臨時国会で積み残しとなった。
立憲民主党などが共同提出した禁止法案について、与野党は2025年3月末までに結論を得る合意を交わした。(共同)

「子の名字、もめる原因に」「選択だから、という発想が間違い」 池谷和子・長崎大准教授
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/11 10:00
https://www.sankei.com/article/20250111-JMV3J4X3UJF3TIGJLQGO33UCFU/
選択的夫婦別姓制度をめぐり、産経新聞社が昨年2024年11〜12月に、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。
別姓によって生じる家庭内の不和を心配する声もあり、成人した子供が、親の選んだ姓を変えるかどうか選択を迫られる事態も起こり得る。
家族法に詳しい長崎大の池谷和子准教授に、子供を中心とした問題点を尋ねた。

■家族はチームとして同じ呼称に
ーーアンケートでは、約半数の子供が、家族が別々の名字になることに「反対」だった。
親子別姓になり、兄弟別姓にもなるかもしれないと考えた子供が反対するのは自然なことだ。
姓は単なる個人の呼び名ではなく、共同体としてのチーム名。
子供が育つ環境として、家族が『個人の集団』になってはいけない。
全員が助け合う1つのチームとして同じ呼称になるべきではないか。
個人の集団でも問題はないと言う人がいるが、家族には損得勘定というものがない。
個人は損得で物事を判断しがちになる。
法的な権利義務においても、力の強い大人が子供を好きなようにできてしまう危険性も考えられる。
また、これまで引き継いできた名字の繋がりが消えると、世代間にある特有の時間軸も失いかねない。
こうしたことを子供は直感的に分かっているのではないか。

■家庭内の揉め事は子供に悪影響
ーー家庭内の不和を招きかねない
そもそも夫婦別姓にしたい人は自分の名字への拘りが強い傾向がある。
生まれた子供にどちらの名字を付けるかは、当然揉める原因になる。
夫婦間だけでなく、互いの両親も巻き込むだろうし、嫁姑の確執も酷くなる。
家庭内の揉め事は子供にとって悪影響だ。

ーー法律上で懸念されることは
別姓にしたけれど、やはり一緒の名字にするということも想定しないといけない。
子供の姓を変更する時の問題もある。
最初はお父さんの名字で生活していても、物心がついてやはりお母さんの方にしたいとなれば、本人と両親の間で揉めるかもしれない。
成人したら本人の意思で変更できるようにする必要も出てくる。
『嫌だったら後で変更しなさい』と子供に全ての責任を負わせるような制度でもよいのだろうか。

■子供の気持ち、どうにもならない
ーー立憲民主党が野党と共同で国会に提出した民法改正案では、子供の姓は出生時に父母の協議で決定するとされている
話し合って決めるとなれば恐らく1人目はどちらかで、2人目はもう片方の名字で、のような決め方しかできないのではないか。
そうすると、きょうだい別姓になる。
きょうだいは同じ名字でいたいと子供が願っても、その気持ちはどうにもならない。

ーー子供や家族を巻き込むことになる
何でもできる限り好きなように自由にするのがいい、あるいは、困っている人がいるのなら、改善したほうがいという考え方はあってもよいが、それだけで済まないケースも世の中にはある。
推進派には、
「選択だから嫌な人はしなくていい」
「他人には迷惑をかけていない」
という発想があるのだろうが、そこがそもそも間違えている。

<産経抄>夫婦別姓野党案は、親子・兄弟別姓法案
2025/1/11 5:00
https://www.sankei.com/article/20250111-QBCM2G6ENFKTNDNMVUC4YUABNM/
5人家族の鈴木君のお父さんは佐藤姓でお母さんは鈴木姓、弟は佐藤姓で妹は鈴木姓です―。
近い将来、こんな家庭が日本でごく当たり前になるかもしれない。
選択的夫婦別姓の導入を目指す立憲民主党など野党が令和4年6月、国会に提出した民法改正案が成立していれば、既にそうなっていただろう。
▼立民の野田佳彦代表はじめ別姓推進派は法相の諮問機関である法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓制度の導入を答申したことを錦の御旗に掲げる。
とはいえ、法制審案では、子供の姓は結婚時に父母の姓のどちらかに決めるため、兄弟でバラバラになることはない。
▼野党案では子供の姓は出生時に父母の協議で定める。
双方が子供に自身の姓を名乗らせたいなどの理由で意見が一致しない場合、家庭裁判所が
「協議に代わる審判」
を行うことになる。
だが、子供の姓はどちらが相応しいかを国に委ねていいのか。
任された家裁も頭を抱えるのではないか。
▼生まれた子供の姓がなかなか決定できない事態も想定できるが、国連総会で採択され、日本も批准した児童の権利条約は
「出生の時から氏名を有する権利」
を宣言している。
野党案は
「『確信的な条約違反』に該当する恐れがある」(小坂実・日本政策研究センター研究部長)
という。
▼「大人では7割が(選択的夫婦別姓に)賛成」。
野田氏は2025年1月7日掲載の小紙インタビューで述べていたが、これも疑問である。
内閣府が令和3年12月に実施した世論調査では、現在の夫婦同姓維持派と同姓維持の上での旧姓の通称使用法制度化を求める意見を合わせて約7割で、別姓導入派は3割に満たない。
▼「なぜ反対か分からない」。
こう語る野田氏がなぜ分からないか分からない。

自民・萩生田光一氏「旧姓使用拡大で対応。慎重であるべき」 選択的夫婦別姓巡り
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/10 23:41
https://www.sankei.com/article/20250110-NVYV4SHNWNKSFNUBPZUP6ECM5U/
自民党の萩生田光一元政調会長は2025年1月10日夜のインターネット番組「言論テレビ」に出演し、選択的夫婦別姓制度に関し
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」
「選択的であろうがなかろうが、夫婦別姓というものを奨励するというのは如何なものか」
「慎重であるべきだ」
と述べた。
今月2025年1月召集予定の通常国会で、立憲民主党は選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案を提出する方針だが、萩生田氏は
「どういう分野が(選択的夫婦別姓制度がなくて)一体困っているのかということをきちんと聞き、穴を埋めていけば、別に法律を作る必要はないのではないか」
と指摘した。
その上で
「本当に困っている人ではなく、イデオロギーの意義的にこの制度を変えたい人たちが、困っている人たちの声を代弁しているフリをし、法案を前に進めようとしているのではないか」
と語り、
「この問題は同じ価値観を共にする仲間と行動していこうと思っている」
と強調した。

阿部俊子文科相、選択的夫婦別姓「文科省の所掌超える。議論が深まる中で検討」
2025/1/10 12:25
https://www.sankei.com/article/20250110-GH2XDXDG2JNSHEGVYFMKXKXS2Y/
阿部俊子文部科学相は2025年1月10日の閣議後会見で、選択的夫婦別姓(氏)をめぐり、産経新聞社が小中学生を対象に行ったアンケートで、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えたことについて、
「夫婦別姓に関しては、文科省の所掌を超える」
「アンケート結果に関する見解も含めて述べることを差し控えたい」
とした。
夫婦別姓になると必然的に親子別姓となり、兄弟別姓となる可能性もある。
小中学校での児童生徒への影響も懸念されるが、
「教育現場における対応については、具体的にどのような制度が導入されるかという議論が深まる中において検討していく」
と述べるにとどめた。

参政・吉川氏「子供の視点が見過ごされている」 選択的夫婦別姓は「必然的な親子別姓」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/8 10:00
https://www.sankei.com/article/20250108-CJFBYCOJXBGQVCOFABHQSQTRUY/
選択的夫婦別姓の導入に向けた動きが進められる中、産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに
「反対」は49・4%
だったのに対し、
「賛成」は16・4%
にとどまった。
昨年2024年10月の衆院選で初当選した参政党の吉川里奈氏は2024年12月の衆院法務委員会で、導入に反対を唱えた。
吉川氏はインタビューに
「日本には家族の名字は一緒という価値観がある」
「家族の一体感が失われる可能性はないのか」
と述べ、
「夫婦は別姓で良くても、子供に選択権はない」
「必然的な親子別姓制度だ」
と指摘した。
吉川氏の発言要旨は以下の通り。
■子供の権利を守るために
選択的夫婦別姓の議論は、子供の視点が見過ごされているように感じる。
夫婦は別姓を望んだとしても、生まれてくる子供は、両親のどちらの姓になるかを選べない。
片方の親とは必然的に別姓になる。
子供への影響や家族の一体感が損なわれる可能性がある。
令和3年に実施された内閣府の世論調査で、夫婦の姓が異なることでの子供への影響について、
「好ましくない影響がある」
と答えた割合は69・0%に上った。
その理由で最も多かったのが
「親と姓が異なると指摘されるなど、対人関係で心理的負担が生じる」
で78・6%だ。
参政党は家族の繋がりや先人から受け継がれていることを大切にする政党だ。
加えて私は子供の権利を守るため、政治に参加した部分が大きい。
議論の進め方もどうか。
まずは、戸籍の姓を変更することなく、職場や社会生活で旧姓の通称使用拡充を進めるべきではないか。
総務省のように各省庁があらゆる場面で旧姓の通称使用ができるようにして、それでも限界があるならば、通称使用拡充の法制度化と、段階を踏むべきだろう。
■国会では様相異なる
世論調査は、メディアの尋ね方も疑問だ。
選択的夫婦別姓について
「賛成」「反対」
の2択で尋ねると、
「賛成」
が多い傾向にある。
ただ、
「賛成」「反対」
に加え、
「同姓維持+旧姓通称使用の法制度化」
の3択にすると、導入を求めない人の割合が多くなる。
聞き方によって民意が誘導されるのはフェアではない。
昨年2024年の衆院選で初当選したが、それまで私の周囲は通称を使っている人ばかりだった。
姓が変わることで結婚して新しい家族を築いたという喜びや親になる自覚を抱いたという人はいても、戸籍は旧姓のままがいいと主張する人には出会わなかった。
ただ、国会では様相が異なっている。
■日本の価値観、失っていいのか
選択的夫婦別姓が議論される衆院法務委は、賛成派が多数を占めている。
明確に反対を表明したのは日本保守党の島田洋一衆院議員と私だけだ。
導入ありきの議論にならないよう、子供の意見表明の機会を確保し、選択的夫婦別姓のデメリットもしっかりと検証、主張して議論を深めたい。
日本は文化的に家族の名字は同じにする、という価値観がある。
「世界では日本だけが同姓制度だ」
との指摘もあるが、世界は多様性に富んでおり、日本もその多様性の1つだ。
日本らしさを失ってまで、他国に倣う必要があるのだろうか。

自民・高市氏 選択的夫婦別姓「最大数は通称使用を求める声だ」「親族間の争い、懸念」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/7 10:00
https://www.sankei.com/article/20250107-W5RW4UL5FJEUVNSZEFQAEOYCVQ/
立憲民主党が民法改正案の国会提出に意欲を示すなど、選択的夫婦別姓(氏)の導入が現実味を帯びている。
一方で産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。
導入に慎重な自民党の高市早苗前経済安全保障担当相に考えを聞いた。

■家裁の決定で納得できるか
ーー慎重な理由は
最大の理由は、選択式であっても子の氏の安定性を損なう可能性があるからだ。
現在は、婚姻届を提出した夫婦は全て戸籍上は同氏のため、出生した子は両親と同氏になるが、戸籍上も別氏の夫婦を認めた場合、子の氏の決め方について、全ての別氏夫婦が納得できるルールが必要だ。
夫婦別氏を求める理由として、一人っ子同士の結婚により片方の実家の氏が途絶えるという事情が挙げられることを考えれば、夫婦双方の実家が子の氏を決める協議に介入する可能性もある。
本来幸せな出産直後に、子の氏を巡って親族間に争いが生じることを懸念する。
戸籍上の夫婦親子同氏、つまりファミリーネームは残した方がよい。

ーー通常国会で立憲民主党が法案を提出する構えだ。立民案の問題点は
過去に国会に提出された立民案では、子の氏について、出生の際に父母の協議で定めるが、協議が調わない時は家庭裁判所が子の氏を定める旨を規定している。
家裁はどのような基準で判断するのだろうか。
離婚時に子の親権を争った過去の裁判例は
『子を養う経済力』
『子との関わりや愛情』
などの要素を総合的に考慮して判断している。
しかし、出生直後の子の氏を争う場合、家裁が如何なる決定をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示せるとは考え難い。

■自民党内でも放置
ーー高市氏は通称使用の拡大を推進してきた
総務相在任中に
『住民基本台帳法』
『国勢調査令』
など総務省が所管する全法令をチェックした。
そして、各種届出や事務手続きなどにつき、総務省単独で措置できるものは、新たに旧氏記載可能とする旨を通知・周知した。
合計1142件で旧氏記載が可能になった。
今では住民票やマイナンバーカードで旧氏併記が可能になり、旧氏で各種契約や本人確認も可能になっている。
免許証やパスポートなども旧氏併記が認められている。
国家資格では旧氏を使えないものはゼロになった。
国の全省庁や地方公共団体、公私の団体、企業で同様の取り組みを実施できれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考える。

ーー法案も作成し提出している
平成14年と令和2年の2回、自民党政調会の法務部会に提出した。
1回目は反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は審査もされずに放置されている。

■子の視点は貴重
ーー今後の議論はどう進めるべきか。議論の中で果たしたい役割は
令和4年3月に公表された直近の政府世論調査では、戸籍上の同氏維持を支持する回答が69・2%であり、最大数は旧氏の通称使用を求める声だ。
選択的夫婦別氏制度の法制化により戸籍が同氏か別氏かの二択になってしまうと、
『戸籍上は夫婦親子同氏を希望するが、社会生活では旧氏を通称使用したい』
と希望する方々の利便性を高めるための取り組みが遅れることを懸念する。
これまでの旧氏併記の取り組みも水泡に帰す。
この点をしっかり伝えていきたい。

ーー小中学生を対象に産経新聞が実施したアンケートによると、家族で名字が別になることに「反対」が約50%で「賛成」を上回った
子の視点からのアンケートは、珍しく貴重だと思った。
18歳以上を対象にした政府の世論調査でも、夫婦の姓が違うことによって子供に
『好ましくない影響があると思う』
と回答した方が約7割だった。
やはり、夫婦別氏制度の導入については、慎重な検討が必要だと思う。

夫婦別姓導入「前進する年」と意欲 公明・斉藤代表「社会の多様性、国際的視点から必要」
2025/1/6 12:53
https://www.sankei.com/article/20250106-EWBT22YCPVHSHO4Q4ML6764BUY/
公明党の斉藤鉄夫代表は2025年1月6日、東京都内で開いた党の新年仕事始め式で、選択的夫婦別姓の早期導入に向けて議論をリードしていく考えを示した。
「社会の多様性や国際的な視点から必要な制度だ」
「前進する年にしていきたい」
と述べた。
斉藤氏は昨年2024年12月18日に石破茂首相(自民党総裁)に対し選択的夫婦別姓に関する実務者協議を打診している。
斉藤氏は
「きょうだいが複数いる時の姓をどうするのか細部を提示する案はまだどの党からも出ていない」
「与党として実務者協議を始めようと申し入れている」
「首相は
『一旦引き取らせてほしい』
という答えで、2024年年末に会った時も
『もう少し検討させてほしい』
だった」
と語った。

立民・野田代表「賛成が16%いるのでしょう?」「なぜ反対か分からない」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/6 10:00
政治
https://www.sankei.com/article/20250106-2TX7ILQS7NMOVFPPJ23JNZ7TDI/
選択的夫婦別姓の導入を目指す立憲民主党の野田佳彦代表に狙いを聞いた。

ーー選択的夫婦別姓の意義は
選べるという点ではないか。
同姓で不都合を感じる人がいるならば選択できるようにする、改善するのは合理的な考え方ではないか。
それだけのことだ。

ーー小中学生約2千人を対象に行った本紙調査で、「別々の名字にしたい」は13・6%だった
結婚や社会人になって働くことに対するリアリティーがなく、分からないというのが率直なところだろう。
大人では7割が賛成となる。
大人になると、家族の問題で色々な不都合を感じることがあるのかなという受け止めだ。

ーー両親が別姓を選択した場合、同じ家族で名字が別になることに「反対」が49・4%、「賛成」が16・4%だった
賛成が16・4%いるのでしょう?
だから選択的が必要になる。
一緒がいいなら一緒を選べばいい。
基本的には国ではなく、家族が決めればいい。

ーー家族の一体感が損なわれるとの懸念がある
同姓でも家庭不和は生まれる。
あまり合理的な話ではない。

ーー通称使用の拡大でも対応できるのでは
通称使用を拡大しても不都合を感じている人たちが実に多い。
不動産登記などでビジネスを阻害している側面があり、経団連も選択的夫婦別姓の実現に向け動いている。
海外に行くと、尚更不便だ。
通称使用では限界という事例がたくさんある。
強烈な不都合を感じる人たちが何人もいるならば、対応を考えることは当然だ。

ーー衆院は少数与党だ。どう議論を進めるか
できるだけ多くの野党に声をかけて議員立法で出していく。
政府が法案を提出するとの話も聞く。
政府案が提出されなければ野党案をベースに議論してもらいたい。
野党としてまとまった方が与党との交渉で迫力が出てくる。
公明党も基本的には賛成の立場なので、よく連携していきたい。

ーー野田氏は衆院法務委員長ポストの獲得を指示し、立民議員が就いた
法務委では長い間、放置されてきたテーマが多い。
選択的夫婦別姓も平成8年に法制審議会の答申が出たが、政府は腰を上げず国会でもまともに議論されなかった。
放置されてきたテーマを議論する意味で、意義のあるポストの獲得だった。

ーー参院では与党過半数のままだ
衆院通過した法案を参院が潰すことは大変勇気がいる。
2025年夏の参院選前に反対した人たちは追い込まれるのではないか。
参院法務委員長は公明だ。
衆院通過した場合の参院の対応は見ものだ。
昨年2024年12月の講演で
「一部のノイジーマイノリティ(声高な少数派)に邪魔されて議論の俎上に上らされないことは、もう通用しない」
と述べた
世論も7割、経団連も『早く決着を付けろ』という中で、なぜそこまで強く反対する人たちがいるのか。
選べるわけだから。
なぜ選んではいけないのか、よく分からない。

ーー自民などの反対で法案が成立しなければ、内閣不信任決議案を提出するか
理不尽な形で妨げられたならば、そういうことになるかもしれない。
議論を見ながらの判断だ。簡単に不信任案を振り回そうと思っていない。

夫婦別姓間の子供の名字は家庭裁判所が決める 新たな家族不和の火種「いっそくじ引きで」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/5 10:00
https://www.sankei.com/article/20250105-2O4UALZDWVL47IYBPVXR6AKEKM/
選択的夫婦別姓に伴う令和3年12月の内閣府の世論調査では
「旧姓使用拡大」
が最多の42・2%を占めたが、この結果を大手メディアは積極的に取り上げない。
中には
「保守派に配慮した」
などとして調査そのものを否定的に報じた新聞社もあった。
同じ調査には、別姓夫婦の子供への影響について
「あると思う」は69%、
「ないと思う」30・3%
という結果もあり、
「ある」
と答えた人の理由(複数回答)は
「名字が違うことを指摘されて対人関係で心理的負担が生じる」78・6%、
「親との関係で違和感や不安感を覚える」60・1%
が多かった。
では、立憲民主党が令和4年に野党と共同で国会提出した選択的夫婦別姓の民法改正案はどのような内容だったのか。
子供の姓については
「出生の際に父母の協議で定める」
としており、一致しない場合は
「家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる」
とした。
この世に生を受けた瞬間から裁判になる可能性もある。
仮に妊娠初期はどちらかの名字で一致していても、出産後の子供を見て気持ちが変わることもあり、家族の深刻な分断を招きかねない。
■くじ引きが合理的
弁護士の北村晴男氏は
「結論ありきで制度設計するから馬鹿げたことになる」
「裁判所が姓を決めるぐらいなら、調停委員の面前でのくじ引きの方がまだ合理性がある」
と指摘する。
夫婦を同姓とする現行の法規定が違憲かどうか争われた訴訟で、最高裁大法廷は平成27年、
「夫婦や子供が同じ姓を名乗ることには合理性がある」
と判断した。
更に
「家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位と捉えられ、その呼称を1つにするのは合理的」
と続けており、この判例は令和3年の大法廷決定でも維持された。
この決定では、女性の有業率や管理職に占める割合、別姓導入に賛成する人の割合増加など平成27年以降の状況を踏まえた上で尚
「判断を変更すべきものとは認められない」
と結論付けている。
■新たな人生が始まる
この間も、公的資格などを含む旧姓使用の拡大は進み、日常生活の煩わしさは改善されつつあるが、最近の訴訟では、より一層
「改姓の喪失感」
「精神的な負担」
が強調されるようになった。
昨年2024年3月に提起された訴状では、現行法の婚姻は、いずれかの姓を変えるか、諦めるかの
「過酷な二者択一」
を迫っていると指摘。
「家族の在り方や国民意識の多様化」
が進み、別姓を認めないことの合理性はないと主張している。
もちろん個人のアイデンティティーは大切だが、子供にしてみれば
「強制的親子別姓」
となり、共通のファミリーネームがなくなれば家族としての同一性は失われることになる。
家族法に詳しい長崎大学の池谷和子准教授は
「夫婦間だけでは済まない話だ」
「嫁姑の確執も酷くなるだろう」
と危惧する。
孫の名字を巡って双方の祖父母が争いになる可能性もある。
また、同一世帯に2つの姓が混在する状況は、戸籍への影響も懸念される。
国士舘大学の百地章名誉教授は
「戸籍は『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を表す」
「我が国が長年維持してきた戸籍制度の解体に繋がる」
と警鐘を鳴らす。
先の内閣府の世論調査には、
「婚姻で相手の名字に変わった場合、どのような感じを持つと思うか」(複数回答)
との問いもある。
最も多かったのが
「新たな人生が始まるような喜びを感じる」(54・1%)、
次が
「相手と一体になったような喜びを感じる」(39・7%)
だった。

選択的夫婦別姓制度の導入、小中学生も半数が「反対」 産経新聞調査、子供たちの考え方が統計的に明らかになるのは初
2025.1/4 15:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20250104-RVHIXOJPMBIBHLI3S5IP4HO6GI/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、小中学生のほぼ半数が
「家族で名字が変わるのは反対」
と考えていることが産経新聞の調査で分かった(2025年1月1日報道)。
将来、自分が結婚した際の別姓も
「したくない」
との回答が6割に上った。
政府や報道機関などの世論調査は主に成人が対象で、夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めて。
調査は、全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人から回答を得た。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「まったく知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗した。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よくわからない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親や兄弟姉妹と違う名字になることの是非を問うと、
「反対」49.4%、
「賛成」16.4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」18.8%、
「よくわからない」15.4%
で、反対がほぼ半数を占め、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13.6%
だった。
男女別で大きな違いはなかったが、自身が
「別姓にしない」
は男子(56.7%)より女子(63.4%)
のほうが上回った。

夫婦別姓がもたらす未来とは どんな副作用が起こるか、十分に議論されているのか
モンテーニュとの対話 「随想録」を読みながら(193)
2025/1/4 11:00
https://www.sankei.com/article/20250104-CWCQ5CGQ5BPMFIJ5XAZLSMQCCM/
■立民の印象操作に乗せられるな!
「選択肢が増える」
という物言いに対して、大半の人は
「いいじゃない」
と反応するだろう。
ただ、そこに巧妙なワナが仕掛けられていることもある。
ある結婚情報サイトが、選択的夫婦別姓制度について、そのメリット、デメリットについて解説し、こうまとめている。
「以前よりも、多様性を認め合う社会へと進むなかで、個人の権利や選択肢を尊重する傾向はますます強まっていくと考えられます」
「夫婦間の姓をどう選ぶかもそのひとつです」
「夫婦別姓が導入されても、すべての夫婦が別姓になるわけではなく、あくまで選択肢が増えるということ」
メディアに流れているのはこんな物言いばかりだ。
こうした情報環境のなかで暮らす人々が、アンケートで
「この制度を導入すべきだと思いますか」
と問われれば、多くが
「導入すべきだ」
と答えるに違いない。
法務省のサイトに、令和3年に実施した
「家族の法制に関する世論調査」
の結果が掲載されている。
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した方がよい」が27・0%、
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」が42・2%、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」が28・9%
だった。
国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は昨年2024年10月末、日本政府に対して、婚姻後の夫婦同姓を強制する民法の規定を改正すべきだとの勧告をした。
女性が夫の姓を名乗ることを余儀なくされることが多く、それが差別的だというのだ。
そうした流れの中で、立憲民主党は先の総選挙で与党が過半数割れとなったのに乗じて、衆院法務委員会の委員長ポストを要求して確保した。
委員長は同制度の導入にとりわけ熱心な西村智奈美議員である。
立民はCEDAWの勧告や、
「結婚後に夫婦のいずれかの氏(うじ)を選択しなければならないとする制度を採用している国は、日本だけ」
という法務省の調査を利用して、日本がさも女性に差別的で後進的な国であるかのような印象操作を行っているようにみえる。
安倍晋三元首相の暗殺後、リベラル派に乗っ取られた感のある自民党の中にも
「導入すべきだ」
と考える者が少なくなく、うかうかしていたら、すぐにでも民法改正が実現してしまいそうな勢いだ。
■憲法改正に匹敵する案件
12月5日の衆院予算委員会において、自民党の山下貴司議員は、同制度を巡り
「旧姓を引き続き使用したいだけなのに、家族の姓まで別々になるのは嫌だ、そういうニーズに応えられていない」
「女性が自分らしく旧姓を使用するための唯一の解決策が選択的夫婦別姓制度かは、しっかりと検討する必要がある」
と、石破茂首相の考えを問いただした。
これに対して石破首相は
「前の姓を変えなければならないということに対して物凄く辛くて悲しい思いを持っておられる方々が大勢いることは、決して忘れてはならぬことだと思います」
「それは女性が95%であるが、男性もそういう思いの方もいらっしゃるでしょう」
と、情緒的な答弁をし、同制度の導入に前向きな姿勢を示した。
石破首相の答弁を聞いてすぐに想起したのが、モンテーニュの次の言葉だ。
《世の中はなかなか直りにくいものである》
《人々は自分を圧迫するものに対して余りにも我慢ができないので、ひたすらその圧迫から免れようとばかり焦り、それにはどんな代償がいるかを考えない》
《我々はたくさんの実例によって、社会は普通、直されて却って悪くなることを知っている》
(第3巻第9章「全て空なること」関根秀雄訳)
同制度の導入がどんな副作用をもたらすか、十分に議論されているとは到底思えない。
導入に伴う民法改正は、憲法改正に匹敵するほどの最重要案件であると私は考えている。
国民投票に付してもいいほどだ。
しかし、国民投票が実施されるのは国会が憲法改正を発議した時だけだ。
ならば、今年2025年実施される国勢調査に合わせて、同制度導入の可否を問うアンケートを実施したらどうだろう。
■家族制度こそが社会を規定する
私が家族制度に拘るのは、フランスの歴史人口学者にして家族人類学者であるエマニュエル・トッドの『新ヨーロッパ大全』(藤原書店、石崎晴己訳)の影響だ。
下部構造(経済的土台)が上部構造(政治・法律・宗教・芸術などの意識形態と、それに対応する制度・組織)を規定するというマルクスに対して、トッドは家族制度が上部構造を規定するという仮説を立てた。
家族制度が人間の心性に大きな影響を与え、ひいては人間が形成する社会を特徴付けてゆくというのだ。
トッドは家族型を親子関係が権威主義的か自由主義的か、きょうだいの関係が平等か否かによって分類する。
そこから導き出されるのが、
@親子関係が自由主義的できょうだい関係が不平等(長子優先)=絶対核家族、
A親子関係が自由主義的できょうだい関係が平等=平等主義核家族、
B親子関係が権威主義的できょうだい関係が不平等=直系家族、
C親子関係が権威主義的できょうだい関係が平等=共同体家族
の4つである。
例えばパリ盆地を中心とするフランス北部はAの平等主義核家族であり、それゆえにこの地が
「自由・平等・友愛」
を唱えるフランス革命の担い手となった。
@の絶対核家族が優勢なのはイングランドと、その移民の子孫であるアメリカだ。
この家族型が、個人の自由を絶対視し平等に無関心な強欲資本主義の母体となった。
Cの共同体家族は、西ヨーロッパにはまれで、ロシア、中国、ベトナム、東ヨーロッパに多いという。
この家族型がもたらしたのは言うまでもなく社会主義革命である。
ちなみに戦前の日本は間違いなくBの直系家族だろう。
この中で育まれた心性が、明治以降であれば天皇に対する態度、日本軍のありように投影されていたように思う。
現在の日本がどの家族型に当てはまるかは判然としないが、権威主義的でなくなったことだけは確かだろう。
そこに付け入ったのが選択的夫婦別姓制度推進派だ。
私は邪推する。
女性差別撤廃を掲げる彼らの本当の狙いは、家族を精神的に解体し、更には戸籍制度も廃止して、日本人をバラバラにすることではないかと。
その上でバラバラになって寄る辺なく浮遊する日本人をCの共同体家族としてまとめあげようとしているのではないかと。

韓国、男性中心の家守る夫婦別姓「女性は同じ家の人間と認められない」 米国も8割が同姓
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/4 10:00
https://www.sankei.com/article/20250104-GNUKUJWJCZNKHJTBSELPBB5IWA/
「嫁を『男の子を産み、農業を支える』存在とみなし、同じ家の人間とは認めない。そんな排他的な印象がある」
韓国・ソウル市内の女性会社員(50)は同国における夫婦別姓制度についてこう語った。
いわば夫の一族と結婚相手の女性の間に明確な線を引く意味での
「別姓」
という印象を抱いている。
韓国は、姓氏制度が広く普及した19世紀末以降、日本統治時代末期の数年を除き現在まで夫婦別姓を維持してきた。
その姓氏制度は、東アジアで最も
「男性中心的」
とされる家族制度に起因するものと言える。
例えば、韓国では長男優先の相続制度が形を変えつつ2005年まで続いた。
一部地域では、法事に直接参加できるのは同じ姓を持つ父親や息子に限り、女性は料理などの準備作業にのみ従事させる慣習が今も残る。
子供の姓については、
「父親の姓と本貫(本籍地)を引き継ぐ」
と民法で規定。
例えば、尹錫悦大統領と金建希夫人の間に子供が生まれていれば、自動的に
「尹」
の名字を引き継ぐ形となる。
例外的に母親の姓に変更するには、子供の出生時ではなく、両親の婚姻届提出の際に手続きを済ませなければならない。
■実家を説得する余力
2024年5月にソウル市内で結婚式をあげた陳叡貞さん(33)は、手続きをせず、将来生まれるであろう子供の姓は夫のものとなる。
だが、半年以上経った現在も尚苦悩している。
陳さんは
「無条件に父親の姓を子供に引き継がせることには違和感があった。夫も同じ考えだった」
というが、
「慌ただしい挙式準備の中で、双方の実家を説得する余力がなかった」。
夫婦の姓を巡る規定は世界で千差万別だ。
ただ、日本の
「夫婦別姓推進派」
は各国の歴史的、文化的な背景には触れないまま、
「海外では別姓が主流」
「日本は遅れている」
との主張も少なくない。
米国では1970年代に全ての州で結婚後の女性が旧姓を維持できるようになった。
基本的には婚姻時に
@夫の姓を選ぶ
A妻の姓を選ぶ
B別々の姓を維持する
C両者の旧姓をハイフンでつなげ新しい姓を登録する
というパターンがある。
ただ、調査機関ピュー・リサーチ・センターが2023年9月に発表した報告書によると、米国で異性婚をした女性は79%が相手の姓を名乗っている。
■姓を後世に残す動き
中国では中華人民共和国建国翌年の1950年に施行された婚姻法で夫婦別姓が明記された。
現在、子供の姓は両親のどちらかの姓を選択するが、韓国同様、一族を重視する価値観から、父親の姓を名乗るケースが多かった。
一人っ子政策が廃止された2016年以降は、兄弟姉妹で父母それぞれの姓を名乗る現象が一部で起きている。
両親それぞれの姓を後世に残そうとする動きと言える。
ただ、兄弟姉妹で別姓を名乗ることが、学校でからかいの対象になる、といったケースも報告されている。
各国の家族の枠組みについて詳しい立命館大の筒井淳也教授(家族社会学)は
「夫婦の姓に関する制度は国の慣習によって異なる」
「時代や価値観の変化に合わせて利便性や公平性などの観点から米国やドイツでは夫婦別姓が選択できるようになった」
と言及。
一方で、両国では夫婦同姓を選ぶ人が多数派を占めている現状について、
「子供も同じ姓になったほうが親としての証明が容易となるメリットがある」
と指摘した。

選択的夫婦別姓「困っている人」とは誰か 旧姓使用不可の企業ゼロ「経済界は口を挟むな」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20250103-33B4YHNURFNUXFSJKAGPJITCPQ/
「個人の問題として片づけることのできない、企業にとってビジネス上のリスクだ」。
経団連は昨年2024年6月、選択的夫婦別姓の早期実現を求める提言を発表。
十倉雅和会長は記者会見で理由をそう説明した上で、
「改正法案を一刻も早く国会に提出していただきたい」
とも踏み込んだ。
トヨタ自動車など日本を代表する企業1500社以上で構成する経団連は、経済界が直面する課題の意見を取りまとめ改善策などを発信する役割がある。
だが、今のタイミングで提言するほど、選択的夫婦別姓は経済界の喫緊の課題なのか。
産経新聞社は昨年2024年11月中旬から2024年12月上旬にかけて主要111社にアンケートを実施。
社内で旧姓呼称を認めているかを尋ねたところ、
「認めていない」
とする企業はゼロだった。
「慣例として認めている」が58・6%、「就業規則などで認めている」が29・7%。
「無回答」が11・7%あったとはいえ、9割弱の企業が何らかの形で旧姓呼称を当たり前に認めているのだ。
■国家資格はほぼ旧姓OK
さらに経団連が求める法制化の是非も聞いたところ、
「実現すべき」は25・2%で、
「現状で不都合がないので慎重に議論すべき」も10・8%あった。
もっとも「無回答」が最も多い63・1%あり、判断に迷っているのか、経団連の方針に異議を唱えにくい雰囲気があるのかはわからない。
夫婦別姓をめぐる議論は働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証、銀行口座などの名称変更の煩わしさから旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
職場での呼称が解決に近づいているのであれば、残る課題はどうか。
内閣府によると、昨年2024年5月末現在で320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格も条件に若干の違いがあるだけだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも旧姓併記ができる。
金融機関も既存口座の旧姓名義による取引を認めており、一部認めていない場合もシステム改修が進めば対応可能になるという。
もっとも、こうした事実が広く周知されているとは言い難いのも事実だ。
■不便さは残るが
では、企業はどのような場面で不都合を感じているのだろうか。
ある大手企業の役員は
「海外出張したとき、パスポートとホテルの予約名が戸籍名と通称で異なりトラブルになった社員がいた」
と話した。
むろん、2つの名前が混乱を引き起こしやすいことは否めない。
パスポートに旧姓併記しても発展途上国などでは現地の入国関係者が理解しておらず、もめたケースもあるという。
だが、日常生活での不便さは相当解消されているのではないか。
選択的夫婦別姓の導入に前向きな公明党の斉藤鉄夫代表は昨年2024年末、
「実際に困っている人が多くいる。もう決断する時だ」
と述べた。
「困っている人」
とは誰なのか。
企業経営や国際マネジメントが専門の青山学院大学の福井義高教授は
「企業内も含めて旧姓を使えるケースは増えており、不便さは解消されている」
「選択的夫婦別姓は国民の価値観の問題で、経済界が口を挟む問題ではない」
と指摘している。

公明、立ち位置に苦慮 政策実現も手柄は野党 来夏の都議選、参院選へアピール模索
2025/1/2 16:26
https://www.sankei.com/article/20250102-7MRII3PF6JOHXDIQCRV7IFLMXE/
公明党が自民党との連立政権で立ち位置に苦慮している。
石破茂政権が少数与党になったことで、法案成立に向け野党の国民民主党や日本維新の会に配慮せざるを得なくなり、
「政権の政策に党の主張を反映させる」
という存在意義が揺らいでいるためだ。
「年収103万円の壁」
の引き上げなどは公明も主張してきた政策だったが、自民から譲歩を引き出した野党側の成果として扱われ公明は埋没している。
公明の斉藤鉄夫代表は2025年1月2日、東京・池袋駅前で新春の街頭演説を行い、今夏2025年夏の参院選、東京都議選に向けて
「新しい公明の最初の戦いとして、何としても押し上げてほしい」
と支持を訴えた。
だが、世論や支持者へのアピールは、いまいち広がりを欠いている。
昨年2024年12月26日、斉藤氏は記者団にこう強調した。
「予算案の取りまとめに当たっては、野党の賛同が得られるように合意形成の要となってきたという自負がある」
党の政策実現ではなく、合意形成への貢献をアピールせざるを得ないところに、今の立ち位置の難しさが伺える。
年収103万円の壁引き上げは自民、公明、国民民主の3党協議で実現し、これを看板政策とする国民民主の手柄とされた。
公明も以前から103万円を含む年収の壁解消を訴えており、令和7年度税制改正には高校生世代の扶養控除の維持など公明の主張も反映されたが、存在感は乏しい。
それでも斉藤氏は2025年1月2日の街頭演説で3党協議に言及し
「予算審議の途中に、色々な修正があり得るのかもしれない」
「協議に真摯に対応していきたい」
と国民民主への歩み寄りを示唆した。
石破政権は維新とも連携を図り、自公維3党による教育無償化の実務者協議を昨2024年末に始めた。
教育無償化もまた、公明が力を入れてきた政策だ。
公明幹部は
「公明だけでは引き出せず、野党と一緒なら引き出せると言われる」
「忸怩たる思いだ」
と漏らす。
先の衆院選で、公明は自民派閥のパーティー収入不記載事件の呷りを受けて議席を大幅に減らした。
2025年夏の参院選と都議選を睨んだ反転攻勢に向け、自民と同一視されることを避け、独自色を打ち出したい考えだ。
自民内で賛否が分かれる選択的夫婦別姓制度でも、党内議論を深めるよう強く自民に要求している。
とはいえ、自民との連立関係を崩すこともできない。
公明関係者は
「支持者からはいつまで自民とやっているんだという声もある」
「だが、もう4半世紀続いている」
「野党になったら何もできない」
とぼやいた。

年内にも現実味帯びる選択的夫婦別姓 立民、通常国会に法案提出へ 公明も賛同
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/2 10:00
https://www.sankei.com/article/20250102-T64AG4MHX5I5HJD4BQLW36T3LA/
立憲民主党は今月召集の通常国会で、選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案を提出する方針だ。
党内でも賛否がある自民が立民案に乗るとは考えにくいが、導入を求める公明が立民案に賛成すれば、連立与党内で対応が分かれる異例の事態となる。
自民に一定数いる推進派が賛成すれば衆院で可決され、家族の在り方を大きく変えうる制度の導入が2025年年内にも現実味を帯びている。
衆院選の公約では、選択的夫婦別姓には立民と公明の他、国民民主、共産両党やれいわ新選組なども賛成。
自民と日本維新の会は
「旧姓使用の拡大」
を主張しており、衆院法務委員会の構成を見れば、賛成派は過半数に届かない。
ただ、衆院選後に就任した維新の前原誠司共同代表は
「個人として賛成」
と表明。
公明の斉藤鉄夫代表も
「決断する時だ」
との考えで、石破茂首相(自民総裁)に与党協議を進めるよう直接要請している。
これに対して自民では旧姓使用の拡大を軸にした対案を出す可能性があるが、他党の賛成がなければ数の上で可決はおぼつかない。
何よりも自民内の推進派が造反する可能性がある。
自民では党の方針に反した場合は処分の対象になり得るが、党内の分裂を避けるため党議拘束をかけないとの見方もある。

選択的夫婦別姓、関心薄い自民「慎重派が落選してしまった」「大半はどちらでもよい」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/2 10:05
https://www.sankei.com/article/20250102-CV4VLTYCYRL4LHL3FHZJHRA3OA/
「一部のノイジーマイノリティ(声高な少数派)に邪魔されて議論の俎上にのぼらされないことは、もう通用しない」。
先月2024年12月17日、東京都内の講演で立憲民主党の野田佳彦代表は選択的夫婦別姓の導入に重ねて意欲を示した。
令和3年12月の内閣府の世論調査では同姓維持27・0%、旧姓使用拡大42・2%で、賛成28・9%は少数派だが、野田氏の頭の中では
「ノイジーマイノリティー」
が逆転しているようだ。
「野党はほとんど賛成、公明党も支持している。十分成立させる可能性はある」。
局面が変わったのは昨年2024年10月の衆院選だった。
与党が過半数を割り、国会の風景は一変した。
衆院の常任委員長ポスト17のうち、立民などの野党は選挙前の2から大幅増の8獲得の見通しとなった。
しかし、結果的に7にとどめたのは、外務、総務両委員長を
「返上」
した代わりに
「敢えて法務委員長を取りにいった」(野田氏)
からだ。
賛否が割れる自民党を揺さぶるだけではなく、夏の参院選を前に推進派の公明との間に溝を作りたい狙いも透ける。
■早く決めてほしい
自民内でも以前から議論はあった。
令和3年3月に推進派の
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(浜田靖一会長)
が立ち上がると、翌月令和3年4月には慎重派が
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(中曽根弘文会長)
を設立。
同年令和3年6月には政調会のワーキングチームが論点などを整理したが、党を二分しかねず本格的な議論は先送りにしてきた。
別姓推進派の中堅議員は
「今は強力に賛成、反対は20人ずつ程度だろう」
「残りはどちらでもよく、早く党の方針を決めてほしいと考えているのではないか」。
慎重派のベテラン議員は
「以前は双方半々ぐらいのイメージだったが、この問題に高い見識を持ち、頼りになる人たちが先の衆院選で落選してしまった」
と明かす。
■修正を加える形で
慎重派の念頭にあるのは
「家族の一体感」
を大切にする本来の保守層の
「自民離れ」
が加速することだ。
ただ、この問題に関心を持つ議員自体が少なくなったのも今の自民の現状である。
立民が提出予定の民法改正案の衆院審議は、国会の慣例に従えば2025年3月の来年2025年度予算成立後の2025年4月以降となる見通しだ。
昨年2024年の臨時国会では、政治改革関連で与野党が9法案を提出。
国会審議や各党協議の末に3つの法案が成立した。
このうち政策活動費廃止の法案は野党案に自民が賛成した。
推進派若手は
「少数与党のうちに野党案に修正を加える形で決着をつけた方がいい」
「そうでないと、自民を分断しかねない爆弾をずっと抱えることになる」
と本音を漏らした。
仮に自民が党議拘束をかけず、立民案が衆院で可決された後は参院に舞台が移る。
参院は現在も自公で過半数を占めるが、衆院の段階で立民案に公明が賛成していることを前提とすれば、自民は日本維新の会などを巻き込まない限り
「少数派」
に転落し、立民案が成立する可能性がある。

新聞各紙、元日1面トップは中国の拡張、能登の思い、民主主義企画…産経は夫婦別姓と子供
2025/1/1 19:29
https://www.sankei.com/article/20250101-FILLPV42SBDGLNW3Y2ENVFSW44/
元日の新聞各紙の1面のトップ記事は例年、華やかなスクープや骨太なテーマでの連載企画が掲載される。
令和7年、東京に本社を置く新聞各社では、中国海軍が台湾有事に備えたとみられる不穏な動きの独自記事、ブロック経済化が加速しかねない世界の現状に警鐘を鳴らす企画記事、能登半島地震1年に合わせ、死去した父親に寄せた花嫁の思いなどが1面を飾った。
■夫婦別姓 小中生の半数反対
産経新聞は、選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、全国の小学4年〜中学3年の児童・生徒約2000人に世論調査を行った結果、ほぼ半数が
「家族で名前が変わるのは反対」
と考えている実態を報じた。
夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」が49・4%で
「賛成」16・4%の約3倍だった。
記事によると夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めてという。
■中国、宮古海峡で封鎖演習
読売新聞は、中国海軍と海警局が令和6年12月に沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡などで海上封鎖と似た活動を行い、重武装した海警船団を尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺に派遣していたという独自ダネを報じた。
ともに初めて確認された活動で、中国側が台湾有事の際に海上封鎖の範囲を尖閣周辺などに拡大させる可能性が指摘されるという。
■デジタルで問う「真の民意」
毎日新聞は、戦後80年の節目に合わせて
「デモクラシーズ これまで これから」
と題した連載企画の掲載を始めた。
最新のデジタル技術を生かして民主主義を
「アップデート」
させる取り組みなどを紹介する。
この日はスタートアップ企業が構築したオンラインプラットフォームを用いて自治体が設定したテーマに対し市民が意見やアイデアを投稿することで、施策を実行する上での民意が合意形成されるあり方などを紹介した。
■強まる自国第一
日経新聞も企画記事を掲載し、
「逆転の世界 備えよ日本」
と題した。
多様性の価値観を重視していた米国など民主主義国で国民の分断が進み、独裁色の強い為政者が生まれやすくなっていると指摘。
局地的な紛争を含めて国家間の紛争が戦後最悪の状況にあると訴え、供給網や販売網の再構築が不可欠になると警鐘を鳴らした。
■つながり 耕す 能登と一緒に
朝日新聞は、被災地でボランティアの受け入れ拠点となった石川県輪島市のレストランの1年を取り上げた。
延べ3432人のボランティアが活動したことなどを踏まえ、地方の人口減と高齢化が深刻な社会課題となる中、居住地とは関係なく継続的に訪れる
「関係人口」
の拡大について考察した。
■招待状「おとう」へ届け
東京新聞も、取り上げたのは能登半島地震1年だった。
地震で倒れた家具が胸に当たり、55歳で亡くなった輪島塗蒔絵師の父親に向けて、結婚式を今年5月に控えた27歳の長女の思いと葛藤を描いた。
式の中身はまだ決まっていない。
ただ、父の席と食事を用意することは決めているという。

<独自>選択的夫婦別姓、小中学生の半数が反対、初の2000人調査「自分はしない」6割
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:00
https://www.sankei.com/article/20250101-QGCTY3PY4JEHLHHXAFDFEVX2LQ/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、小中学生のほぼ半数が
「家族で名字が変わるのは反対」
と考えていることが、産経新聞社の調査で分かった。
政府や報道機関などの世論調査は主に成人が対象で、夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めて。
将来、自分が結婚した際の別姓も
「したくない」
との回答が6割にのぼった。
立憲民主党が夫婦別姓の民法改正案の国会提出に意欲を示しており、石破茂首相も昨年2024年末
「議論の頻度を高める」
と述べた。
自公与党も前向きな議員が多いことから、次期通常国会での法案成立が現実味を帯びている。
調査は全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人から回答を得た。
各家庭の事情などデリケートな問題に配慮し、答えたくない場合は答えなくてよいことを徹底した。
年齢層の低い小学生は対象数を絞った。
小中学生共に学校を通じた場合は、教員が調査の趣旨を説明した上で、立ち会う形式を取った。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「全く知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よく分からない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」49・4%、
「賛成」16・4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」18・8%、
「よく分からない」15・4%
で反対がほぼ半数を占め、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13・6%だった。
小学生だけに絞ると、
別姓に「反対」は46・2%、
自身が「別姓にしない」は55・8%
で全体よりやや低かったが、各質問共に
「分からない」を選ぶ傾向が強かった。
男女別で大きな違いはなかったが、
自身が「別姓にしない」
は男子(56・7%)より女子(63・4%)のほうが上回った。
別姓の是非で
「親が決めたのなら仕方がない」
と消極的な賛成を選んだ女子(22・6%)も男子(15%)より多かった。
学校や学年別、民間調査会社による調査でも、結果の割合に大きな差はなかった。

選択的夫婦別姓、法律に「賛成」16%「反対」49% 小中生2000人調査・質問と回答
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-L3VK2UL4H5EMJPW6X5DVUGNXJQ/
選択的夫婦別姓制度の導入をめぐり、産経新聞社が昨年11〜12月、小中学生を対象に行った調査の質問項目と詳しい結果、調査の方法は以下の通り。
質問項目と回答
選択的夫婦別姓調査 質問項目と回答
選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)について、みなさんの意見を聞かせてください。答えたくない人は、答えなくてかまいません。
【質問】
1.いま、社会で問題となっていることに「選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)」があります。
日本では結婚(けっこん)するときに
「男性(お父さん)か女性(お母さん)のどちらかの名字と同じにしなければならない」
ことが法律(ほうりつ、国のルール)で決まっています。
この法律を
「それぞれ別々の名字のままでも結婚できる」
ように変えようというものです。
こうしたことについて、知っていましたか。
回答者1971人 男子 女子 全体(%)
○よく知っていた 16 17.9 16
○少し知っていた 34.3 43.3 37.1
○まったく知らなかった 28.7 23.9 26.2
○ほとんど知らなかった 21 15 20.7
2.いまは結婚してからも、結婚するまえの名字を会社で使ったり、手続きをすれば、免許証(めんきょしょう)やパスポートに結婚する前の名字をならべて書けるようになったり、これまでできなかったことができるようになっています。
それでも、あなたは
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
ように法律を変えたほうがよいと思いますか。
回答者1966人 男子 女子 全体(%)
○変えたほうがよい 32.9 37.4 34.9
○変えないほうがよい 31.6 30.7 30
○よくわからない 35.6 31.9 35.1
3.もし、法律で
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
ことが決まり、お父さんとお母さんが別の名字になったら、子供もお父さんかお母さんのどちらかとはちがう名字になったり、兄弟や姉妹でもちがったり、おなじ家族のなかでちがう名字になってしまうことがあります。
こうしたことに賛成(さんせい)ですか、反対(はんたい)ですか。
回答者1954人 男子 女子 全体(%)
○家族で名字が変わってもいいので賛成 16.3 16.9 16.4
○親が決めたのなら仕方がないので賛成 15 22.6 18.8
○家族で名字が変わるのはよくないので反対 51 49.2 49.4
○よくわからない 18 11.4 15.4
4.みなさんが結婚するころには
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
と法律が変わっているかもしれません。
そのとき、あなたはどうしますか。
回答者1955人 男子 女子 全体(%)
○自分の名字を大切にしたいので別々の名字にしたい 14.3 11.8 13.6
○家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない 56.7 63.4 59.9
○よくわからない 29 24.9 26.5
5.この問題についてあなたの思ったことを自由に書いてください
■調査の方法
協力を得た首都圏、関西圏の中学校6校約1600人(中1〜中3)、首都圏の小学校1校の53人(6年生)にホームルームや社会科の時間などを使って教員立会いの元で無記名で行った。
回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けに説明文を用意したが、使用については各学校に任せた。
答えたくない場合は設問によっても答えなくてよいことを徹底したため、回答数にはばらつきがでた。
中学生では男女を回答していない生徒も若干名いた。
休みや早退の生徒数が把握できていない学校もあり回答率は一概に出せないが、中学生は約93%、小学生は84%。
民間調査会社の調査は、会員登録している全国の小学4年〜中学3年を対象に、説明文を含め同内容のアンケートで実施、自ら回答した小学生が100人、中学生が300人を超えた時点で終了し、学校分に加えた。
最終的な回答数は合計で1954人〜1971人。
男女比は男子48%、女子52%。
調査はいずれも昨年2024年11月下旬から12月中旬に実施した。

選択的夫婦別姓・小中生2000人調査 教員向けの説明文
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-JDZ6FZ2FUVFDLGGPQDWRNLBKIM/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生を対象に行った調査では、回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けにそれぞれ説明文を用意した(実際に使用するかについては任意)。
教員向けの説明文は以下の通り。
教員向けの説明文
選択的夫婦別姓は年明けの国会で議論され、可決される可能性も高くなっています。
現状、夫婦別姓を望む人には、職場などでの旧姓使用やクレジットカードなどの名義変更などが煩わしいという理由と、自身のアイデンティティのためという2つの理由があります。
ただし前者についてはほぼ解決済みであり、旧姓使用を認めない職場もほとんどありません。
後者については
「心の問題」
です。
「選択制なので選びたい人だけだからいいのでは」
「自分の意思だからいいのでは」
という意見もありますが、婚姻制度の自由度が高まることで、逆に家族、親族内の争いの種になりかねないという見方もあります。
また、生まれてくる子供にとって選択肢はなく、
「強制的親子別姓」
「強制的きょうだい別姓」
になりかねません。
今、マスコミではここの議論をあまりしていません。
世論調査などは
「選択的夫婦別姓」
か、
「現状の夫婦同姓」
か、の2択しかなく、
「旧姓使用の拡大」
は選択肢に加えられていません。
影響を受ける人の中には子供も含まれるにもかかわらず、その意見も全く取り上げられていないのが現状です。
本来であれば、文科省や法務省など国の機関が綿密に子供向けアンケートなどをすべき内容ですが、そうした国の動きを後押しする意味でも、今回産経新聞社として子供たちの声を聞いてみようと考えました。
ただし、このようなアンケートは各家庭のご事情もあり、ハードルが高いことは承知しております。
また、産経新聞社の考え方に偏らないよう、質問内容は客観性を保つように致しました。
ご検討何卒よろしくお願いします。
○アンケートについて
・答えたくない子供は答えなくて構いません。
・学校名は匿名希望の場合は匿名で構いません。
・対象は小4以上の小学生と中学生とします。
・できればクラス単位、学年単位がよいですが、無理な場合は個別でも構いません。
・自由記述の欄に書ける子供はぜひ書いていただければと思います。

選択的夫婦別姓・小中生2000人調査 子供向けの説明文
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-HE4Y72OPLZF2JPXUIFFXDB7J7Y/
選択的夫婦別姓制度の導入をめぐり、産経新聞社が昨年11〜12月、小中学生を対象に行った調査では、回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けにそれぞれ説明文を用意した(実際に使用するかについては任意)。
子供向けの説明文は以下の通り。
子供向けの説明文
選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)についての質問
みなさんに、いくつか質問をしたいと思います。答えたくない人は、答えなくてもよいです。
さいきん、よくテレビのニュースなどで、選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)ということばを聞きます。
これは結婚(けっこん)するときに男の人と女の人の名字(上の名前)を別々にしたい人はしてもよい法律(ほうりつ、国のルール)にしようという意味です。
もし、結婚したあとに子供が生まれて、お父さんとお母さんの名字が別々だったら、子供の名字はどちらかに合わせなければなりません。
生まれてきた子供はお父さんかお母さんの名字とちがったり、お兄さん、お姉さん、弟、妹とも名字がちがったりすることが出てきます。
たとえば、お父さんは田中さん、お母さんは佐藤さん、最初の子供は佐藤さんで、弟は田中さんになるかもしれません。
どうして、こうしたことが問題になっているかというと、はたらく女性がふえたことに関係があります。
これまで結婚する相手の名字に合わせるのは女性のほうが多く、結婚して名字が変わると会社などで呼び名が変わったり、免許証(めんきょしょう)やパスポートなどの名字を変えなければならなくなるなど、大変なことがありました。
しかし、いまでは会社で結婚する前の名字を使ったり、免許証なども結婚前の名字をならべて書けるようになったりしています。
ただ、免許証やパスポートに結婚前の名字を載せるには、役所の書類を出さなければならないなどの手続きが必要です。
それでも、結婚したからといって、ずっと使ってきた名字を相手の名字に変えるのは、納得(なっとく)できない、いやだ、という人もいます。
名字を一緒(いっしょ)にしたい人はすればいいし、一緒にしたくない人はしなければいいという考える人もいます。
質問は、このことについてみなさんの考えること、思うことを聞くものです。
くりかえしますが、答えたくない人は答える必要はありません。

ファミリーネーム喪失、選択的夫婦別姓は「強制的親子別姓」 政府は子供の意見を聞け
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:30
選択的夫婦別姓の法制化を望む人たちに
「国民の70%が賛成」
声があるが、その根拠は2択のアンケートだ。
朝日新聞もNHKも
「法を改正して夫婦が希望すれば別々の名字でもよいか」
を賛成、反対で問い、その結果を
「選択的別姓『賛成』7割」
などと伝えている。
現在、企業や公的機関などで進んでいる
「旧姓使用の拡大」
を法的に整備するという選択肢は最初からないのだ。
産経・FNN合同世論調査も以前は2択で賛成66・6%、反対25・5%だったが、昨年2024年9月に3択目を加えたところ、賛成38・9%、反対12%、旧姓使用拡大46・5%と大きく変わった。
令和3年12月の内閣府の世論調査でも
「同姓維持」27%、
「別姓導入」28・9%、
「旧姓使用拡大」42・2%、
が出ているが、こうした結果はほとんど生かされていない。
「選択的」
だからよいという意見もあるが、選択できるのは誰か。
生まれてくる子供にとっては親の意向で強制的に
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
ファミリーネームが喪失するという事態を
「選択者」
である親は一体どこまで想定しているのか。
今回、小中学生に行ったアンケートではどちらかの親や、きょうだいと別の名字になることについて半数が反対と答えた。
これが多いか、少ないか判断は分かれるだろう。
夫婦別姓
「賛成派」
からすれば、
「未熟な子供に聞く」
という調査自体に不快感を持った人もいるかもしれない。
ただ、法制化の議論が拙速に進む中で、家族の一員である子供の意見を集めたのは、今回が初めての調査なのである。
仮に聞き方が不十分だったり、誘導的と考えるならば、ぜひ他のメディアも誤魔化さずに取り組んでほしい。
文科省も、子ども家庭庁も出番ではないか。

「家族感が減る」「同姓は時代遅れ」小中生、正面から回答 選択的夫婦別姓2000人調査
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 8:00
https://www.sankei.com/article/20250101-F35HRVOR7FHZRH24ROBSXF5VBU/
「家族内で違う名字だと家族感が減りそう」
「強制的に同じにさせるのは時代遅れ」―。
産経新聞が小中学生を対象に行った選択的夫婦別姓の導入を巡るアンケート。
自由記述欄を見ると、賛否を超えて子供たちが正面から問いかけに向き合ったことが分かる。
立ち会った教員は
「想像していたより真剣に取り組む姿が印象的だった」
と話す。
■きょうだいなのに
自由記述で目立ったのは、選択的夫婦別姓制度で、結果的に家族の姓がばらばらになりかねないことを心配する声だった。
大阪府の中学男子は
「名字を別々にするような人なら、子供の名字をどうするかでけんかになるかもしれない。名字が違うと他人感がある」。
千葉県の小学男子は
「家族で名字が変わってしまうと、まるで別人みたいで家族感が減りそう」
と書いた。
夫婦が別姓を選ぶことには賛成しつつ、
「子供が生まれた家庭で兄弟姉妹の姓がバラバラなのは違和感を抱く」
と記した京都府の中学女子も。
大阪府の中学女子は
「選択できた方がよいが、兄弟が違う名字というのはよいものではない」
とした。
■万一離婚したときに
夫婦別姓に賛成する声も少なくなかった。
東京都の中学女子は
「名字が変わることで、もう一度覚え直してもらう必要があったり、万一離婚した際に、職場や学校の人に名字が変わったことを伝えなければならず、精神的な負担も小さくない」
と説明。
茨城県の中学男子は
「名字を強制的に同じにさせるのは、少し時代遅れだとも感じている」
と書いた。
アンケートは各家庭の個別の事情に踏み込んでしまう恐れもあったが、
「私の両親は夫婦別姓。私はハーフなので賛成します」(中2女子)、
「現状のままでは離婚後に名字が変わると、『あ、この人離婚したんだ』」と好奇の目で見られてしまう。自分もそうだったので、そのようなことは避けたいから、夫婦別姓には賛成」(中3男子)
という意見もあった。
千葉県の中学女子は
「海外でも夫婦別姓の国や自分と相手の名字を続けて登録できる国があり、日本もこだわる必要はない。事実婚は相続などで不利になるので、平等になるようにしてほしい」
と、より深い考えを述べた。
「日本の伝統なので絶対に法律を変えない方がよいと思う。いまこの問題よりも台湾有事に向けて動いた方がよい」(中3男子)
という意見もあった。
■自然発生的に議論も
大阪府の私立中の教員は、アンケートに取り組む生徒の様子について、
「最初は静かに取り組んでいたが、しばらくすると自然発生的に生徒同士で意見を交わす姿もみられた」
と話す。
議論になるうち
「『兄弟で姓が変わるというのはいやだね』とか、『そもそも結婚ってどういうことなのだろう』などの声も聞かれた」
という。
千葉県の中学女子は
「個人の考えもあると思うため、別々の名字でもよいと最初は思いましたが、家族の中で名字が分かれてしまうと、同じ家族であることの証明が難しくなるなど欠点もあると思ったので、最終的には法律を変える必要はないと思いました」
と考えの変遷を記した。

<産経抄>若い女性に響いていない選択的夫婦別姓
2024/12/21 5:00
https://www.sankei.com/article/20241221-3G37IDBWCBJ2VKISJOHYBTICBA/
この数字は何を意味するかずっと気になっている。
小紙とFNN(フジニュースネットワーク)との合同世論調査で、18〜19歳と20代の女性で立憲民主党と日本維新の会、共産党の支持率がそれぞれ0・0%だった件である。
なぜ3党は若い女性に不人気なのか。
▼3党は、若者の情報源であるSNSでの発信が弱く拙かったのか。
あるいは政治とカネの問題でいくら自民党を批判しても、票の掘り起こしには繋がらなかったのか。
色々考えられるが、牽強付会を承知で言えば、維新を除く2党が今国会で声高に唱える政策が頭に浮かぶ。
選択的夫婦別姓制度や同性婚の実現である。
▼こうした主張は、これから結婚しようという人が多い世代に響いていないのではないか。
自民党が自滅して比例代表で533万票も減らした先の衆院選で、躍進したはずの立民は実は7万票の微増にとどまっている。
共産の得票は80万票も減少した。
▼2024年9月の自民党総裁選時のNHKの世論調査では、最も議論を深めてほしい政治課題を6つの選択肢を挙げて尋ねていた。
その結果、
「年金など社会保障制度」(35%)、
「経済・財政政策」(26%)、
「政治とカネの問題など政治改革」(17%)
…の順で、
「選択的夫婦別姓」は最下位の1%
だった。
▼たった1%だから議論しなくていいわけではないが、少なくとも最優先課題ではなかろう。
にもかかわらず、石破茂首相は2024年12月16日の国会で党内議論について
「頻度と熟度を上げていく。明確な方向性を出したい」
と意欲を示した。
▼それどころか、2024年12月17日の国会では同性婚に関しても
「日本全体の幸福度にとってプラスの影響を与える」
と強調した。
国民の意識や実感と政治のズレが目立つ。

<正論>別姓でなく通称使用法の制定を 
国士舘大学名誉教授、日本大学名誉教授・百地章
2024/12/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20241217-PRYB3DUK5RPYBCJJE67UVQMPKA/
立憲民主党の野田佳彦代表はテレビの番組で、来年2025年の通常国会の冒頭に選択的夫婦別姓法案を提出し自民党に揺さぶりをかける、と述べている。
平成8年、法制審議会が提案した夫婦別姓法案が30年近く経っても成立しないのは、国民多数の賛成が得られないからだ。
その家族制度の根幹に関わる問題を政争の具にした上、力ずくで実現しようとするのは如何なものか。
■国民の多数は通称使用支持
総選挙後、衆議院では別姓支持の議員が多数を占めたようだが、国民の間では従来、同姓支持が約6〜7割と多数を占めてきた(令和3年12月内閣府調査)。
この傾向は現在でも変わらない。
この事は最近相次いで報道された各社世論調査(TBSは2024年7月、産経・FNNと読売新聞は2024年9月)からも明らかだ。
いずれも
@同姓支持
A同姓維持のうえ通称を使用
B別姓支持
の3択制だが、3調査ともAの同姓維持・通称使用が47%と最多数を占めた。
先の内閣府調査でもAが42・2%であり、ほぼ変わらない。
ちなみに内閣府及び3社調査とも
@の同姓支持は20〜30%だから、
Aを加えると同姓支持は約70%になる。
Bの別姓支持はいずれも20〜30%程度にとどまる。
夫婦の姓をどう定めるかは、個人の問題であると同時に家族制度という
「国の公的な制度」
の問題でもある。
最高裁(平成27年判決、令和3年決定)は、民法の定める
「夫婦同氏(姓)制」
は合憲であり、人格権の侵害や差別には当たらないとしてきた。
とすれば、むろん少数者への配慮は必要だが、国の公的制度として何が相応しいかはまず国民の多数意見に耳を傾けて考えるべきであろう。
政府の第5次男女共同参画基本計画(現行)でも、第4次計画まであった
「別姓制度の検討」
は削除され、
「通称使用の拡大」
だけが挙げられている。
■選択制でも子には別姓を強制
選択的夫婦別姓制だが、姓を選択できるのは夫婦だけであり、子供には選択の自由などない。
子には必ず親子別姓が強制される。
それでも良いのか。
しかも立民案では子供の姓は誕生の都度、夫婦が話し合って決めることになっているから、子供たちの姓がバラバラになることもある。
この
「親子別姓」
について、先の内閣府の調査では69・0%の国民が、夫婦別姓は
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えている(前回の平成29年は62・6%)。
具体的には、
「友人から親と名字・姓が異なることを指摘されて嫌な思いをする」が78・6%、
「名字・姓の異なる親との関係で違和感や不安感を覚える」が60・1%
もある。
この傾向も従来と変わらない。
婦別姓論議が急に台頭してきた背景には、経団連の提言(2024年6月)が考えられよう。
しかし、提言はもっぱら企業における経済的合理性の観点からなされたもので家庭や家族の視点は完全に欠落している。
記者会見の折、経団連の幹部は
「子供への影響は大変重要」
だが、どうすべきかはまだ考えていない旨、回答している。
子供の視点から見たNHK放送文化研究所の中学生・高校生の生活と意識調査(令和4年)では、子供たちの91%が将来、
「同姓を名乗りたい」
と答えている。
このような同姓を希望している多数の子供の思いは無視しても良いのか。
この点、児童の権利条約では
「児童の最善の利益が考慮される」(第3条)
とされており、もっぱら親の利益を優先し子供には親子別姓を強制する選択的夫婦別姓制はこの条約にも違反する。
■通称制度を法律に格上げ
今日、マイナンバーカードをはじめ様々な分野で通称が使われているが、その法的根拠は余り知られていないようだ。
現在の通称制度は住民基本台帳法の施行令(令和元年施行)に基づくもので、住民票に併記された旧姓(婚姻前の姓)を通称と呼ぶ(ここでいう「通称」は、外国人住民のため住民票に記載される通称とは異なる)。
そこで通称の法的根拠をより明確にすると共に、通称の使用範囲を拡大し、社会生活上の不便を解消するためには現在の施行令に基づく通称制度を法律上の制度に格上げする方法が考えられる。
そのための法律(仮に「旧姓の通称使用法」)は以下の通りだ。
この法律の目的は
「夫婦同姓制度の下、通称の法的根拠を明確にすると共に、国、自治体、民間企業等に対して使用範囲の拡大のため必要な措置を講ずるよう努力義務を定める」
ことである。
次に通称制度を法律上の制度に格上げする方法だが、1つは、住民基本台帳法第7条(住民票の記載事項)を改正し、住民票の
「氏名」
欄に旧姓を併記できる旨、書き加える方式が考えられる。
もう1つ、元号法(「元号は、政令で定める」)を参考に、法律に次のように規定する。
「通称制度は、政令で定める」
「この政令は、住民基本台帳法の施行令をもって代える」。
これなら簡単ではなかろうか。

夫婦別姓禁止は「合憲」 最高裁
2021/6/23 15:16
https://www.sankei.com/article/20210623-FJZ7RN3V2BI4TJ4SI7LJ2RG7AU/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦別姓を巡る大法廷の憲法判断は、平成27年の上告審判決で夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としたのに続き2度目。
15人中11人の多数意見。
家事審判の申立人は東京都内に住む事実婚の男女3組。
婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記するなどして自治体に提出したが、不受理となった。
3組は
「法の下の平等や男女の本質的平等を定めた憲法に反する」
などとして、1組が東京家裁、2組が東京家裁立川支部に、それぞれ家事審判を申し立てた。
両家裁は平成31年3月、民法と戸籍法の規定は合憲として申し立てを却下。
2審東京高裁も即時抗告を棄却したが、3組は特別抗告していた。
最高裁は昨年2020年12月、裁判官15人全員で構成する大法廷で担当すると決定。
弁論は開かず、書面で審理してきた。
平成27年の判決で大法廷は
「規定に男女の不平等はなく、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着している」
などとして合憲の初判断を示した。
一方で裁判官15人中5人が
「違憲」
とする反対意見を述べており、社会情勢の変化を踏まえて今回、どのような判断をするかが注目されていた。
婚姻後の姓を巡っては、平成8年に法相の諮問機関
「法制審議会」
が、夫婦が希望すれば結婚後も従前の姓を名乗れる選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
今年2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し、本格的な議論が始まったが実現への目途は立っていない。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」と主張。「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為にあたる」と指摘していた。国側は「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている。婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」と反論。規定に違憲性はなく国会の立法不作為にもあたらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

選択的夫婦別姓論議のおかしな理屈 明治政府は庶民意識に合わせ同姓を選択
阿比留瑠比の極言御免
2024/12/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20241212-KT75ZAKADBOEVFYBQVRRIOTMZU/?542565
選択的夫婦別姓を巡る議論では、おかしな理屈、筋の通らない意見がもっともらしく飛び交っていると感じている。
「前の姓を変えなければならないことで、物凄く辛く悲しい思いを持っている人が大勢いることは決して忘れてはならない」
例えば石破茂首相が2024年12月5日の衆院予算委員会でこう述べ、選択的夫婦別姓制度の実現を求める意見に理解を示していた。
だが、そんなことを言うなら、親が夫婦別姓を選択した場合、必然的に片親とは別姓になり、あるいは兄弟とも別姓になるかもしれない子供は
「辛く悲しい思い」
をしないと断言できる根拠はあるのだろうか。
平成27年12月16日の最高裁判決では、こんな判断も示されている。
《家族を構成する個人が、同一の氏(姓)を称することにより家族という1つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見い出す考え方も理解できる》
《夫婦同氏制の下においては、子の立場として、いずれの親とも等しく氏を同じくすることによる利益を享受しやすい》
今国会では、連立を組む公明党の西田実仁幹事長が3日の自民党の森山裕幹事長との会談で、夫婦別姓制度導入に向け党内議論を進めるよう促した。
また、2024年12月4日の参院代表質問では、立憲民主党の打越さく良氏が、夫婦別姓に理解を示してきた首相の過去の発言を
「全くもって正しい」
と持ち上げた。
かつて
「夫婦別姓になると家庭が崩壊するという何だかよく分からない理屈がある」
と嘯いていた首相に対し、早くその気にさせようと公明、立民両党が露骨に揺さぶりをかけてきている。
立民にとっても立民と政策上の共通項がある公明にとっても、使い勝手のいい首相なのだろう。
彼らは党利党略的に
「今がチャンス」
と考えるばかりで、一方の当事者である子供については、選挙権を持たないのでどうでもいい存在なのだろうか。
立民からは
「夫婦が同姓になったのは、たかだか明治以来の150年に過ぎない」(枝野幸男最高顧問)
といった意見もよく聞こえてくる。
夫婦同姓は日本古来の伝統ではなく、明治の民法由来であるに過ぎないというのである。
実際は、明治31年に民法が成立して以来だから、120年余の歴史である。
とはいえこれもそんなことを言えば、現行憲法だって昭和21年に公布されてまだ80年も経っておらず、そんなに尊重することはないとまぜ返すこともできる。
そもそも月刊『明日への選択』2024年12月月号に掲載された歴史家の浜田浩一郎氏の論説によると、江戸時代の夫婦異(別)姓は、武家など一部の階級の慣習であり、多くの庶民は夫婦同姓だった。
庶民は名字を持たなかったという説は実は違い、名字はあっても公称ができなかっただけだとされる。
また、明治政府は当初、夫婦異姓を拡大しようとしたが、これに地方から続々と疑問の声が上がった。
夫婦同名字は戦国時代の文書にもみられ、数百年の歴史はあるという。
更に、夫婦同姓は儒教的な家制度の残滓だという説に対しては、加地伸行大阪大名誉教授が新著『間違いだらけの家族観』でこう明確に反論している。
《(儒教的伝統は夫婦別姓であり)家制度が儒教的なものなら夫婦別姓であるべきではないのか》
夫婦一体の生活実態を持つ庶民の意識に合わせ、明治政府は敢えて夫婦同姓を選んだのである。
(論説委員兼政治部編集委員)

「アイデンティティー・ポリティックス」石破、岸田政権の大失敗
正論2025年1月号 麗澤大学教授 八木秀次
米大統領選でドナルド・トランプ氏が再選を果たした。
激戦7州を総取りし、圧勝と言ってよい。
「世紀の大接戦」
と言っていた内外メディアの予測は外れた。
選挙後の解説記事は大半が要領を得ないが、ある小さな記事に得心できるものがあった。
時事通信(電子版)が2024年11月7日に配信した
「都市型偏重、労働者に背」
と題した記事だ。
記事では激戦州の1つ、ウィスコンシン州にあるリボン大学のヘンリク・シャツィンガー教授が
「労働者階級の関心が分からなかったこと」
が、民主党候補、カマラ・ハリス氏の最大の敗因だと分析した。
具体的には
「多くの国民がインフレに悩まされる中、民主党は出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーの権利など文化的政策に比重を置き、
『常識を欠いた』
と指摘」
「農村部や非大卒の有権者らに背を向けられた」
というのだ。
朝日新聞も、2024年11月10日の国際面で元民主党員で、現在は共和党員だという女性の声を取り上げ、同様の視点を紹介していた。
曰く、
「人種やジェンダーなどに基づき特定の権利や利益を擁護する
『アイデンティティー政治』
の行き過ぎが、民主党の大敗に繋がった」
という。
2つの記事で
「文化的政策」
とか
「アイデンティティー政治」
と述べられているものは、要するに
「アイデンティティー・ポリティックス」
と呼ばれているものだ。
2023年7月号の本連載でも言及したが、米民主党はかつての土着の労働者政党から、グローバル・エリートら大都市に住む高学歴の
「Woke(目覚めた)」
らの政党に変質している。
米国の政治学者、マイケル・リンド氏は
『新しい階級闘争 大都市エリートから民主主義を守る』(施光恒監訳、東洋経済新報社)
で、労働者と都市エリートとの間で
「新しい階級闘争」
が展開されていると指摘している。
「意識高い系」
とでも理解すればよい
「Woke」
たちがこの闘争で重視するのが
「アイデンティティー・ポリティックス」
だ。
マイノリティーの人権擁護を掲げ、人種差別や性差別、トランスフォビア(トランスジェンダー嫌悪)などと戦うとする。
当人は多くの場合、マイノリティーではなく、大都市に住む裕福で高学歴の白人エリートなのだが、その余裕からか新奇で観念的なテーマを重視する。
そして、労働者や農村部、非大卒の有権者の日々の暮らしの問題を置いてきぼりにする。
ハリス氏敗北の大きな要因は
「Woke」
への反発と考えてよい。
似たような現象は日本でも起こっている。
2024年10月の衆院総選挙で自民党が大敗した原因は本当に
「『政治とカネ』への国民の怒り」
なのか。
むしろ自民党が岸田文雄前政権で進め、石破茂新政権でも継承し、更に前進させる懸念のある
「アイデンティティー・ポリティックス」
への反発があったことを見落としてはならない。
比例代表票が令和3年の前回総選挙とどう増減したのかを見てみればよく分かる。
自民党は前回から約533万票も減らした。
一方で、岸田政権でのLGBT政策などを批判した参政党と日本保守党は初めての衆院選で合計約301万票を得た。
得票数が2.4倍になった国民民主党にも自民党からこぼれた票がかなり流れたと考えるのが自然だろう。
また、国民民主党は、前回から294万票近く減らした日本維新の会からも引き剝がしたと考えられる。
一方、立憲民主党は議席数こそ50積み上げたが、小選挙区の総得票数は減り、比例でも7万票程度の微増にとどまる。
「アイデンティティー・ポリティックス」
の色合いが強い立憲民主党はさほど支持されず、
「保守色」
の強い参政党・日本保守党や、
「手取りを増やす」
と暮らしの改善を訴えた国民民主党が支持された格好だ。
選択的夫婦別姓制の導入や同性婚の法制化、同性カップルが子供を持つことの容認、トランスジェンダー女性を生来の女性と同じく扱う、性別適合手術をしなくとも性別変更出来るようにする、過剰な外国人擁護などが
「アイデンティティー・ポリティックス」
のターゲットになろう。
これらの政策をいくら進めても自民党は選挙に勝てない。
むしろ岩盤保守層に忌避されるだけだ。
令和7年の参院選に向けて米大統領選の結果を教訓にしてほしい。

「家族の廃止!」という幽霊 危険な選択的夫婦別姓制度
正論2024年12月号 麗澤大学教授 八木秀次
衆院総選挙でも争点化されてしまった選択的夫婦別姓導入の是非について考えてみたい。
夫婦別姓の主張は当初は結婚による改姓で職業上の連続性が断たれることを理由の1つとしていた。
ただ、この問題はほぼ解決している。
住民票や印鑑証明書やマイナンバーカード、運転免許証やパスポートなどでは旧姓併記が認められ、公的な根拠が与えられている。
社会生活での旧姓の通称使用は一般的になり、職業上の連続性は保たれるようになった。
先の自民党総裁選で高市早苗氏が総務大臣在任時に総務省の所管範囲内で旧姓の通称使用を可能とし、他省庁に範を示した。
ただ、未だに
「社会生活での姓の連続性を担保したい」
という声が上がる。
これに便乗したのが
「家族の解体」
を志向する過激な個人主義の考えだった。
現在の民法や戸籍法の構成単位である近代的小家族(核家族)の中にかつての
「家」
制度の残滓を見、拘束要因と捉えてそこから解放された
「個人」
としての存在主張が氏名の次元に現れたものだった。
個人のアイデンティティーが強調され、
「氏名の自己決定権」
なるものが主張された。
ここでの
「個人」
とは夫婦としての横の関係も親子としての縦の関係も希薄なアトム(原子)的存在だった。
だから結婚ごときで姓が変わるなどあってはならない。
「家族解散式」
を提唱した論者もいた。
「家族の廃止!」(『共産党宣言』)
を実践したロシア革命での夫婦別姓導入も称揚された。
ただ、この種の主張は現在、敢えて影を潜めさせているようだ。
さながら
「幽霊」
だ。
実際問題としても選択制であれ、夫婦別姓になると多くの問題が生じ、意図せずとも家族共同体は
「分解」
の方向に作用する。
現行の戸籍は夫婦とその間の子が共通の姓(氏)を称する
「1戸籍1氏姓」
だが、別姓になれば、
「1戸籍2氏姓」
となる。
2氏の家族では共通の姓(ファミリーネーム)が存在しない。
これは氏名の法的性格を変える。
「家族名+個人名」
から純然たる
「個人名」
に変わる。
別姓にしない家族も同様だ。
全国民からファミリーネームを奪うことになる。
家族としての共同体意識を希薄化し、先祖代々の家という概念も消滅する。
墓の問題も生じよう。
別姓夫婦の子はどちらの姓を称するかの問題を抱える。
超少子化の中、祖父母の利害も加わり、姓の取り合いも生じよう。
子が複数の場合、姓が共通かバラバラかという問題も浮上する。
子の姓が決まらなかった場合、家庭裁判所で決めるにしても、その判断基準は難しい。
家庭に司法が介入する。
別姓夫婦の子はどちらかの親と姓が異なる。
子の立場からは
「強制的親子別姓」
となる。
子の精神面の生育への影響も指摘されている。
また、夫婦別姓を導入した独仏では親子証明の書類の携帯が必要になっている。
子の連れ去りや誘拐が疑われるからだ。
結婚改姓の煩わしさをなくすための措置が新たな煩わしさを生んでいる。
制度が導入されれば、現在は同性の夫婦にも選択の機会が与えられよう。
経過措置期間(例えば1年間)の家庭で夫や妻が結婚前の姓を選び、連動して子が父母のどちらかの姓にするかを選ぶことになる。
祖父母の代で別姓を選択すれば、孫の代では最大4つの姓から選ぶことになる。
家庭争議を含め大きな混乱が予想される。
世界で夫婦別姓を導入していないのは日本だけだと批判される。
国連の女性差別撤廃委員会は2024年10月、日本政府の取り組みを審査し、選択的夫婦別姓制を導入するよう勧告した。
8年ぶり4度目だというが、大きなお世話だ。
日本で夫婦別姓の導入が難しいのは戸籍制度が存在するからでもある。
戸籍制度は世界でも稀有なものだ。
かつて導入していた韓国と台湾は事実上廃止した。
夫婦とその間の子を登録する制度に
「2氏」
は馴染まない。
旧姓の通称使用の法的根拠を戸籍に記載する案も事実上
「2氏」
となる。
だから夫婦別姓導入の主張は戸籍制度の廃止論とも一体だった。
戸籍を止めて個人登録にすべきとの主張だ。
戸籍制度の見直しや廃止のコストは計り知れない。
解決策はやはり旧姓の通称使用の拡充しかないことを理解すべきだ。

<主張>国会の代表質問 なぜ台湾を語らないのか
2024/12/4 5:00
https://www.sankei.com/article/20241204-5FXPKEH2CNIPZL6IH7OLXSN67Q/
立民、共産は選択的夫婦別姓導入を求めたが、首相が慎重姿勢を示したのは当然だ。
選択的といっても、片方の親と子の
「強制的親子別姓」
である点を無視する謬論(びゅうろん:誤った議論)だからだ。

夫婦別姓はこうして戸籍を破壊する 断ち切られる家族の一体性、そして縦のつながり
2024/11/27 7:00
https://www.sankei.com/article/20241127-Y77P36UFXVKS7ARDSDVCKH3FXA/
選択的夫婦別姓制度を巡り、推進派の石破茂氏が首相に就き、同制度を重要公約とする立憲民主党が衆院法務委員長のポストを握ったことで、同制度の導入が現実味を帯びてきたと言われる。
そこで懸念されるのが、
「戸籍制度」
の解体だ。
同制度について、戸籍への影響に絞ってみていきたい。
■改正されるのは民法と戸籍法
夫婦別姓の導入には、民法と戸籍法の改正が必要だ。以下、法務省が国会提出に向けて平成22年にまとめた関連法の改正案(国会には未提出)をみていく。
夫婦の姓に関する規定では、民法750条の条文
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏(姓)を称する」
を、
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若(も)しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称する」
に改正する、としている。
夫婦どちらかの姓を2人揃って名乗るか、婚前の姓をそれぞれが名乗り続けこともできる、というわけだ。
続いて、戸籍法だ。
現行の戸籍法第6条
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及(およ)びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する(以下略)」
を、改正案では
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びその双方又は一方と氏を同じくする子ごとに、これを編製する(同)」
としている。
現行規定では、同じ姓を名乗る夫婦と子の世帯全員が同じ戸籍に入る。
これに対し、改正案では、同姓を希望する夫婦はこれまで通りで、別姓を希望する夫婦の場合は、それぞれの婚前姓を名乗り、子もどちらか一方の姓を名乗るという、2つの姓が混在した世帯が同じ1つの戸籍に入る、というわけだ。
■一つの戸籍には入るが
この改正案であれば、夫婦別姓を選択しても、夫婦や子の戸籍は1つのままである。
だが、
「戸籍法の『同一戸籍同一氏の原則』に反しています」
と指摘するのは、百地章・国士館大学名誉教授(日本大学名誉教授)だ。
「同一戸籍同一氏の原則は戸籍法の大前提
「夫婦別姓制を採用すれば、その原則に反して、同一戸籍の中に別氏の夫婦、親子が混在することになる」
「これは戸籍の解体に繋がる」
という。
「戸籍は、『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を目に見える形で表象するもの」
「同一戸籍の中に別姓の者が混在することになれば、『家族の一体性』が損なわれますから」
■たどれなくなる縦の連続性
家族の一体性だけではない。
現行の戸籍法第14条は
「氏名を記載するには、左の順序による」
とし、
「第一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻」
「第二 配偶者」
「第三 子」
と記載順位を定めている。
これに対し、法務省の改正案では、記載順序を
「一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻、各自の婚姻前の氏を称するときは子が称すべき氏として定めた氏を称する者」
「二 配偶者」
「三 子」
としている。
先頭に記載される人は、戸籍の
「筆頭者」
と呼ばれ、現行制度では、その姓を辿ることで、
「家名・家系の一系性」
が確認できた。
そこに選択的夫婦別姓が導入されたら…。
「法務省改正案では、同じ家系でありながら、新しい戸籍が作られる度に戸籍筆頭者の名字が変ることもあり得ます」
「そうなれば『家名・家系の一系性』は失われ、先祖を辿ることさえ困難になります」
(百地名誉教授)
「家族の一体性」
という
「横の繋がり」
だけでなく、
「家名・家系の一系性」
という
「縦(垂直)の繋がり」
をも壊すのが選択的夫婦別姓制度なのだ。
選択的夫婦別姓を導入しても
「別姓を望まない人たちには影響はない」
とも言われるが、その影響は同姓を望む人たちにも間違いなく及ぶ。
甘い言葉には騙されないようにしたい。
(大阪正論室参与)

<産経抄>現実味帯びる夫婦別姓 自民の存在意義はどこに
2024/11/23 5:00
https://www.sankei.com/article/20241123-QZXTUY5WZ5PKJCDFJAF5BG2NBE/
立憲民主党が、どちらかの親と子供が別姓となる選択的夫婦別姓で自民党の動揺を誘っている。
社会の基本単位である家族の問題を政争の具に使うのは品がないが、少数与党となった自民内には元々別姓推進派も少なくない。
来年2025年は、家族の在り方が大きく変わる年になるかもしれない。
▼「自民も半分ぐらいは自主投票なら賛成すると思う」
「炙り出す意味でも採決はしたい」。
立民の野田佳彦代表は2024年10月の衆院選後、夫婦別姓実現のための民法改正案の国会提出に意欲を示した。
また、衆院法務委員長ポストを獲得した意味についてこう強調した。
「自民を揺さぶるには、非常に効果的な委員会だ」 。
▼現在は慎重な物言いとなったものの、石破茂首相も就任前は
「やらない理由が分からない」
と語る別姓派だった。
また、国連女性差別撤廃委員会が2024年10月、日本に対して夫婦別姓を導入することを求める勧告を行ったことも、推進派は利用することだろう。
▼経団連など経済団体も推進を求めるが、何故そんなに前のめりなのか。
内閣府の令和3年の世論調査では、夫婦別姓導入を求める回答は28・9%どまりで、同姓維持と同姓のまま旧姓の通称使用の法制度化を望む答えは計69・2%に上る。
国会の動きは民意を読み違えていないか。
▼有村治子参院議員のX(旧ツイッター)投稿によると、2024年11月7日の自民両院議員総会ではこんな意見が複数あった。
「リベラル政策を推し進めた所で、結局その層は、自民党には投票せず、むしろ『どんな時にも自民党』と書いてきて下さった岩盤保守層の底が抜けた」。
▼当然の理屈である。
自民がLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓も推し進めれば、保守政党としての存在意義は失われよう。

立民、選択的夫婦別姓ヒアリング開始 与党揺さぶりへ「肩慣らし」、法案衆院通過に現実味
2024/11/21 19:27
https://www.sankei.com/article/20241121-G4CU6JA62NJFPJE7QPNVA3ZBAQ/
立憲民主党は2024年11月21日、選択的夫婦別姓制度の導入に向けた民法改正法案の国会提出を目指し、法務省へのヒアリングを国会内で行った。
衆院では立民などの野党が過半数を占めており、これまで自民党が反対していた法案の衆院通過が現実味を帯びている。
与党間や自民党内でも導入を巡る賛否は割れており、立民が与党を揺さぶるための
「肩慣らし」
を始めた。
■首相指示巡りヒートアップ
これまで立民は導入を求めて衆院に9回、参院に16回も民法改正案を提出してきたが、与党側の反対で審議されなかった。
立民は選択的夫婦別姓を実現するため、外務、総務両委員長ポストを与党に差し出して法務委員長ポストを奪取した。
2024年11月21日の会合でも、そうした熱の入れようをうかがわせた。
「首相になって日数が経っておりますけど、石破茂首相から選択的夫婦別姓制度の実現に向けて、何らかの指示は出ているんでしょうか、法務省に」
トップバッターとしてマイクを握ったのは、山井和則国対筆頭副委員長だった。
山井氏は石破氏が自民党総裁選で、選択的夫婦別姓について
「実現は早いに越したことはない」
などとした発言を引きながら、首相指示の有無をただした。
担当者が
「特段コメントを差し控えたい」
などと応じると、石川大我参院議員が
「『ない』なら『ない』って言って頂ければいい」
と詰め寄るなど、出席議員は徐々にヒートアップしていった。
■狭まる自民包囲網
選択的夫婦別姓を巡っては、経済合理性などの観点から夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定変更を求める声が上がる一方、家族や社会の在り方を根底から変革するとして反対の声が根強い。
ファミリーネームを喪失し、子供の姓もバラバラになる懸念もある。
だが、宮口治子参院議員は
「子供と家庭の一体感がなくなるということはあり得ない」
と述べ、別姓でも家族はバラバラにならないと主張した。
重徳和彦政調会長は実際の法案審議に向け、
「親子の姓が違う故に、こんな破滅的な事が起こっている」
というような海外事例の提示を法務省に要請。
山井氏は
「私たちの願い、怒り、要望、思いを首相にぶつける」
と強調した。
与党内では公明党が選択的夫婦別姓制度の導入に賛成で、自民党内にも賛成派がいる。
与野党による自民包囲網は形成されつつある中、立民国対幹部は
「国会採決では自民は党の判断を示さなければならず、各議員の見解が問われることになる」
とほくそ笑んだ。

やっぱり危険な選択的夫婦別姓 子供に「差別」や「アイデンティティー喪失」権利侵害の可能性 日本の国益を大きく損なう
2024.11/15 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241115-KPV6I3EIDZI27B5UQP7KMOEOWU/
元児童家庭支援士・近藤倫子氏寄稿
石破茂首相(総裁)率いる自民党は、衆院選大惨敗を受け、立憲民主党に衆院予算委員長だけでなく、憲法審査会長と法務委員長まで明け渡した。
憲法改正が停滞する一方、岩盤保守層が警戒する
「選択的夫婦別姓」
の審議が加速する可能性がある。
元児童家庭支援士で著述家の近藤倫子氏が
「選択的夫婦別姓の危険性」
を改めて寄稿した。

衆院は2024年11月13日の本会議で、常任委員長を選出した。
注目の法務委員長には、立憲民主党の西村智奈美元幹事長が就任した。
同党の野田佳彦代表は
「(法務委員長は)どうしても取りたいポストの1つ」
「法務委員会は『選択的夫婦別姓』を審議する場所であり、是非採決まで持ち込んでいきたい」
と公言しており、来年2025年の通常国会への法案提出を狙っている。
筆者は先月2024年10月、夕刊フジに
「石破首相が沈黙『選択的夫婦別姓』の危険性」
とタイトルで緊急寄稿し、
「夫婦別姓の下に生まれた子供は(中略)強制的に父あるいは母と違う姓となる」
「第2子はどちらの姓にするのか、再び夫婦間でもめる可能性が考えられる」
「子供の最善の利益を享受することができるだろうか」
と問題提起した。
この寄稿に対し、多くの読者から
「選択的夫婦別姓は『強制的親子別姓』であり、『兄弟姉妹別姓』に繋がり、家族の絆が危うくなる」
「別姓夫婦の下に生まれる子供が心配だ」
など、賛同の声を頂いた。
別姓推進派は
「選択肢が増えることはいい」
「現行の夫婦同姓は女性差別、アイデンティティーの喪失を感じる」
と主張するが、そこには子供への愛情は感じられない。
国連総会で1989年、子供の保護と基本的人権の尊重を促進する
「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」
が採択された。
この条約では、子供が
「権利の保有者」
であり、それを守る
「義務の担い手」
として国と大人が定められている。
そして、日本の
「こども基本法」
にも、
@差別の禁止
A子供の最善の利益
B生命、生存及び発達に関する権利
C子供の意見の尊重
などと、子どもの権利条約の基本的な考え方が取り入れられている。
選択的夫婦別姓が施行された場合、筆者は
「子供への権利侵害」
として、@からCの全てが該当すると考える。
出生時に、強制的に父または母と異なる姓を与えられた子供は、
AとCが侵害される。
育つ過程では、@とBが侵害される可能性がある。
別姓推進派が主張する
「差別」

「アイデンティティーの喪失」
が、子供に行われる可能性が否定できないのだ。
次世代の日本を担う子供たちを守ることは、今の世代を受け持つ大人や国の義務である。
「強制的親子別姓」
「強制的兄弟姉妹別姓」
は、未来の日本の国益を大きく損なうと改めて指摘したい。
■近藤倫子(こんどう・りんこ)
元児童家庭支援士、著述家。
1975年生まれ。
日本女子大学卒。
Gakken、展転社にて連載。
月刊WiLL執筆メンバー。
ユーチューブ番組「デイリーWiLL」水曜担当。

公明、選択的夫婦別姓導入へ「自民を説得したい」 斉藤鉄夫代表が石破首相に働きかけへ
2024/11/15 0:06
https://www.sankei.com/article/20241115-HATOQ6BEZBPO5JWYW4R7HQG55I/
公明党の斉藤鉄夫代表は2024年11月14日のBS11番組で、選択的夫婦別姓制度導入に向け、石破茂首相に働き掛ける意向を示した。
「首相を通じ、自民党を説得したい」
「世界の大勢を見ても進めていくべきだ」
と述べた。
立憲民主党が、関連法案の審議が見込まれる衆院法務委員会の委員長ポストを確保したことに関し
「実現に向け状況が1つ進んだ」
と強調した。
選択的夫婦別姓制度を巡っては、自民内の保守系議員を中心に慎重論が根強い。
首相は2024年9月の総裁選で導入に前向きな考えを示していたものの、首相就任後は
「更なる検討が必要だ」
と述べるにとどめている。

立民、参院選での女性議員増へ方針確認 衆院選で党派別最多 辻元清美氏「がんと増やす」
2024/11/13 19:42
https://www.sankei.com/article/20241113-7QS6PF5UA5IARLISZQCHYKGJTI/
立憲民主党は2024年11月13日、ジェンダー平等推進本部の総会を国会内で開き、来年2025年夏の参院選で女性議員の増加を図る方針を確認した。
先の衆院選では党派別で最多となる30人の女性議員を当選させた。
総会には初当選組を含めて女性議員が多く集まり、選択的夫婦別姓の早期実現を目指すことも申し合わせた。
辻元清美本部長は冒頭
「来年2025年の参院選で女性議員をがんと増やすため力を合わせよう」
と強調。
候補者擁立の取り組みに加え、女性議員が全国各地で支持の掘り起こしに努めるよう呼び掛けた。
党がまとめた選択的夫婦別姓の導入法案についても内容を再確認し、辻元氏が
「公明党や自民党議員も賛同して、提出者に名前を連ねてほしい」
「幅広く呼び掛けて成立させたい」
と訴えた。
立民は衆院選の女性候補発掘に注力してきた経緯がある。
党公認で国政選挙に初挑戦する女性に100万円を貸し付ける制度を設けるなど支援体制を整えてきた。

夫婦別姓「広く理解進むこと大事」 鈴木法相が就任会見 個人的な賛否は差し控える
2024/11/12 15:13
https://www.sankei.com/article/20241112-OOYOQ6NCGNJCJID36ROF2HUHAY/
鈴木馨祐法相は2024年11月12日、法務省で就任記者会見を行い、選択的夫婦別姓制度の導入に関し
「国民、国会議員の間で議論頂き、より広く理解が進むことが大事だと思う」
と述べた。
個人的な賛否は差し控えるとした。
未執行のまま2年以上が過ぎた死刑制度については、人命を絶つことになるため慎重さが求められるとしつつ
「確定した刑の執行が厳正に行われることは極めて大事だ」
と堅持する姿勢を示した。
静岡県一家4人殺害事件で死刑が確定していた袴田巌さん(88)を無罪とした再審制度の在り方には
「丁寧な検討が必要だ」
と話すにとどめた。
外国人材の受け入れを巡っては、技能実習に代わる新制度
「育成就労」
が令和9年にも始まる。
労働者が自国の送り出し機関に手数料を徴収されるといった現状の課題を挙げ
「人権に関する問題を解決し、魅力ある制度にしていきたい」
と意気込んだ。

<主張>第2次石破内閣 外交安全保障を忘れるな 信なき首相の続投は残念だ
社説
2024/11/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20241112-BIB4HX3FOBIO3FPQQTDDUGYGJY/
野田氏は衆院法務委員長を得たのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだとSNSで明かし、
「自民党を揺さぶるには非常に効果的だ」
とも語った。
石破首相と自民は、家族や社会の有り様に関わる基本問題の変更は絶対に受け入れてはならない。

立憲民主の野田代表「選択的夫婦別姓の実現が狙い」、衆院法務委員長ポスト確保
2024/11/8 23:26
https://www.sankei.com/article/20241108-4DYXZXLZN5KD7NKNCCJ4PQ5R7Q/
立憲民主党の野田佳彦代表は2024年11月8日、党のX(旧ツイッター)の動画で、衆院法務委員長のポストを確保したのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだと明らかにした。
「野党は協力できると思うし、公明党も多分賛成だ」
「自民党を揺さぶるには非常に効果的な委員会だ」
と語った。
立民は、選択的夫婦別姓を審議する法務委員会の委員長ポストをどうしても獲得したかったため、常任委員長の割り当てを減らしたと説明。
「ぜひ採決まで持ち込みたい」
「楽しみにしてほしい」
と予告した。

衆院議長に自民額賀氏、副議長は立民玄葉氏 常任委員長ポストは与党10、野党7で確定
2024/11/8 13:46
https://www.sankei.com/article/20241108-MSJTCVDPVNL5RLCQDWU7S5ACE4/
衆院は2024年11月8日、各派協議会を国会内で開き、議長に再選となる自民党の額賀福志郎氏、副議長に立憲民主党の玄葉光一郎氏を推す方針を確認した。
特別国会召集日の2024年11月11日に本会議で選出される。
与野党は会期を2024年11月14日までの4日間とし、2024年11月11日に首相指名選挙を実施する日程でも合意した。
衆院選での与党過半数割れを受けて17ある常任委員長ポストの配分を見直し、与党10、野党7で確定した。
予算案を審議する予算委員会の委員長は立民に割り当て、本会議の日程や議事を決める議院運営委員長は自民が引き続き担う。
衆院選前は自民が13の委員長ポストを占めていた。
当初は与党9、野党8で調整していたが、立民が2つを手放す代わりに法務委員長ポストを得た。
選択的夫婦別姓の導入に関する議論を促進する狙いがある。
憲法審査会の会長ポストは野党に割り当てた。
立民が確保する。
自民などが目指す憲法改正に向けた議論に影響が出る可能性がある。

高橋洋一「日本の解き方」
衆院選「漁夫の利」で議席大幅増、野田立民への不安 政策は増税と引き締め路線、実行すれば失業者が多発する
2024.10/30 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241030-VOULLRI2FZLU3PKFXVAAN4MGSM/
立憲民主党が衆院選で議席を大幅に増やした。
今後、国内政策や外交、経済にどんな影響が出るだろうか。
衆院選では、
「人気が高い」
と思われていた石破茂首相が、発言のブレや解決済みの
「政治とカネ」
を蒸し返す戦術ミスなどで火だるまになった。
そこで漁夫の利を得たのが野党第一党の立憲民主党だった。
今回の選挙戦は、争点が
「政治とカネ」
の問題に終始し、経済政策や外交・安保に割く時間が少なかった。
そもそも首相就任から、衆院選までの期間も短かったので、政策論は生煮えだった。
相対的に浮上した立憲民主党だが、その政策は、とても褒められたものではない。
本コラムでも指摘したが、野田佳彦代表は、金融所得課税の強化や法人税の引き上げもあり得ると述べた。
金融政策についての見解もひどく、日銀の物価安定目標を
「2%」
から
「0%超」
に変更するとしている。
インフレ率が0〜2%なら、失業率が最低水準であるNAIRU(インフレを加速しない失業率)を示す2%台半ばをかなり上回ってしまう。
恐らく120万人くらいの職が失われるだろう。
また、低いインフレ率だと、名目賃金上昇率がインフレ率を下回ることもしばしばある。
このため実質賃金の上昇率がマイナスになりがちだ。
「最低賃金1500円以上」
も掲げているが、これが無理筋なのは本コラムで何度も書いている。
こうしてみると、立憲民主党の政策は、かなり石破政権と似ている。
率直に言えば、石破自民と野田立民の政策が接近している。
選択的夫婦別姓や原発に依存しない社会の実現、日米同盟が外交安保の基軸だとしつつ、安全保障関連法に関しては違憲部分の廃止を掲げ、外交や安全保障は、極端に180度すぐ変えることは出来ないとし、現状維持を滲ませている。
このように、左傾化している石破政権と、右傾化した野田立民は、政策が驚くほど似ている。
もし、石破政権が今後も続くのであれば、大連立もあり得るかもしれない。
そうであれば、野田立民の政策はかなり実現するだろう。
しかし、衆院選で石破政権が自滅したので、自民党内の政治力学からいって、石破政権がこのまま継続するというのはなかなか考えにくい。
政治は一寸先は闇なので、どのような政界再編が待っているのか予測するのは困難だ。
石破政権が生き残りのために、敢えて野田立民との大連立を仕掛けてくる可能性もゼロではない。
いずれにしても、野田立民の衆院選後の影響力は、政界再編の枠組みによって異なってくる。
石破政権が潰れれば大連立はないとみられるが、その場合でも与党の議席は少ないので衆議院選で一定の議席を得た立憲民主党の影響力は間違いなく増すだろう。
今回の衆院選は、左派の石破自民にお灸を据えるために、右傾化した野田立民に投票したという面があるのではないか。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

選択的夫婦別姓「国民の理解を」 三原じゅん子男女共同参画担当相
2024/11/1 16:40
https://www.sankei.com/article/20241101-S5WZR6GNFBNGPABRN2WABUZFB4/
三原じゅん子男女共同参画担当相は2024年11月1日の記者会見で、国連の女性差別撤廃委員会が導入を勧告した選択的夫婦別姓制度について
「今の制度を否定するものではなく、国民の理解が深まるよう情報提供を行いたい」
「引き続き議論を後押ししたい」
と述べた。
三原氏は、選択的夫婦別姓制度は
「夫婦が同一の氏を称することを望む場合には、現在と同様に、夫婦が同氏を称することを認める制度だ」
と改めて説明。
「(夫婦同姓の強制により)各方面から指摘されている不便さや不都合への対応などを検討する」
とも語った。

<主張>皇位継承への干渉 政府は国連の暴挙許すな
社説
2024/11/1 5:00
https://www.sankei.com/article/20241101-VOPXN7QVPNKBZFEQF3CGTN3BRU/
国連の女性差別撤廃委員会が、日本の皇位が男性皇族によって継承されているのは女性差別撤廃条約と相容れないとして、皇室典範改正を勧告した。
日本の女性政策に関する最終見解に盛り込んだ。
この勧告に法的拘束力はない。
主権国家における君主の位の継承は国の基本に関わる。
国外勢力が決して容喙(ようかい)してはならない事柄だ。
「女性差別」
と関連付けた勧告は誤りと悪意に満ちた内政干渉であるのに加え、日本国民が敬愛する天皇への誤解や偏見を内外に広める暴挙で断じて容認できない。
林芳正官房長官は会見で
「大変遺憾だ」
「委員会に強く抗議すると共に削除を申し入れた」
と語った。
林氏は、皇位継承の資格は基本的人権に含まれず、条約第1条の女子への差別に該当しないと政府が説明してきたにもかかわらず、委員会が勧告したことを明らかにした。
抗議と削除要請は当然だが、それだけでは不十分だ。
削除に至らなければ、国連への資金拠出の停止・凍結に踏み切ってもらいたい。
条約脱退も検討すべきである。
委員会は国連総会が採択した女性差別撤廃条約により設けられ、弁護士や学者、女性団体代表ら23人の委員が締約国の女性政策への勧告を行っている。
ローマ教皇には男性が就くが、バチカン市国は締約国でないため勧告対象から外れている。
委員会が日本の皇室を理解していないのは明らかだ。
男系男子による継承は皇位の正統性に直結している。
この継承原則が非皇族による皇位簒奪(さんだつ)を妨げてきた意義は大きい。
また、一般男性は皇族になれないが、一般女性は婚姻により皇族になれる点からも、女性差別との決めつけが如何に不当か分かるはずだ。
歴史や伝統が異なる他国と比べるのも論外である。
委員会は2016年にも皇室典範改正を最終見解に盛り込もうとしたが、日本政府の強い抗議で削除した。
今回そう出来なかった点を政府は猛省し、対策を講じてもらいたい。
最終見解では、夫婦同姓を定めた日本の民法も
「差別的な規定」
とし、選択的夫婦別姓の導入を勧告した。
これも日本の文化や慣習に無理解かつ傲慢な内政干渉という他なく、女性差別という誤った文脈で語られるのは許されざることだ。

家族観揺るがす「選択的」夫婦別姓 ファミリーネームを守ろう
風を読む 論説副委員長・川瀬弘至
2024/10/26 10:00
https://www.sankei.com/article/20241026-2UX5TUHXUFNMRL43R474FGD3TM/
国連の女性差別撤廃委員会が2024年10月中旬、日本の女性政策に関する会合を開き、選択的夫婦別姓などについて審査した。
近く最終見解をまとめ、日本に法改正などを勧告する可能性が高いという。
内政干渉であり、余計なお世話だと言いたいところだが、今回の衆院選でも選択的夫婦別姓の導入を訴える候補者は多い。
選挙後の国会で焦点となるのは必至だろう。
だが、
「選択的」
という言葉に誤魔化されてはならない。
導入派は夫婦同姓の現行制度を、女性差別だと主張しているからだ。
現行でも夫か妻の姓を
「選択」
できる。
にもかかわらず女性差別になるなら、同姓を
「選択」
しても女性差別と言われかねない。
もしも選択的夫婦別姓が導入されればどうなるか。
別姓を
「選択」
せよと、社会的圧力が確実に増す。
ファミリーネームが喪失し、子供の姓もバラバラになる。
家族の一体性という、日本人の倫理観の根底にあるものが崩れてしまうのだ。
政府は、現行制度のまま旧姓の
「通称使用」
拡大を進め、住民票や運転免許証、パスポートなどに旧姓を併記できるようにしてきたが、抜本的な解決策ではないと批判する別姓論者の鼻息は荒い。
この問題に詳しい弁護士の高池勝彦氏によれば、現行制度を合憲としてきた最高裁の判断が覆り、通称拡大でも違憲となる恐れがあるという。
そうなれば万事休すだ。
選択的夫婦別姓を回避し、家族の一体性を守る策はないか。
「1つある」
と、高池氏は言う。
「婚前氏(こんぜんし)続称制度」
を新設するのである。
結婚する際に旧姓(婚前氏)の使用継続を届け出れば、戸籍にその旨を記し、公的にも使用できるようにする案だ。
ただし戸籍上の
「氏」
は夫婦同じで、別姓ではない。
子供の学校行事などはファミリーネームで、仕事は旧姓でと、使い分けることができるように民法を改正するのである。
婚前氏続称制度の新設は、数年前から稲田朋美元防衛相が提唱している。
稲田氏はLGBT法推進などで保守派の反感を買い、この案も保守派には余り浸透していないようだが、検討する価値はあるだろう。
このままではファミリーネームを守れないと、保守派は肝に銘じたい。

自民党総裁選の失敗…なぜ「夫婦別姓」だったのか 阿比留瑠比
正論10月号 「政界なんだかなあ」
2024/10/2 7:00
https://www.sankei.com/article/20241002-UZSDGX2IWZFGXM6JFOTIFZEOHU/?outputType=theme_monthly-seiron
今回の自民党総裁選で、1つの争点として再浮上した問題が、選択的夫婦別姓を認めるか否かだった。
私は元々こうした家族や性の在り方といった心に関する問題に、政治が介入するのは極めて慎重であるべきだと考えるが、次期衆院選が近い現在、わざわざこの問題を持ち出すのは政治的にも下手なやり方だと感じた。
私は本誌の令和5年4月号で、安倍晋三元首相がこの問題と政治家の
「大局観」
について、次のように話したエピソードを紹介したのでその部分を再掲する。
《建前とはいえ保守政党を名乗る自民党が、時代の流れだからとばかりに安易にリベラル派に同調することは、政治的にも愚策ではないか。
安倍氏は嘆いていた。
「LGBT問題や夫婦別姓に関しては、野党側ははなから一枚岩なんだから、自民党が揉めている姿を晒しても野党を利するだけではないか」
「そういう大局を見渡せる政治家が今は少ない」
活動家たちは、自民党議員が自分たちの意見を取り入れたら拍手喝采はするだろうが、決して自民党には投票しない。
「多様性を巡る象徴的なテーマである選択的夫婦別姓を認める決断をすれば自民党は道が開けるのではないか」
小泉進次郎元環境相は神奈川新聞のインタビューでこう述べていたが、これこそ典型的な勘違いだと言える。
左にウイングを延ばしてもそこに票田はない。
選択的夫婦別姓もまた、別姓を選んだ夫婦と同姓を選んだ夫婦との間で心理的な断絶を生みかねない。
安倍氏は岸田文雄首相について、こう語っていた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に『(片方の親とは別姓になる)子供の視点が全然ない』と話していた」》
それから僅か1年半後、小泉氏は選択的夫婦別姓を主要政策の1つに掲げて総裁選に出馬した。
恐れていた通りに事態が進展したのである。
リベラル政策を推進する一部自民党議員の頑迷さには、ほとほと手を焼く。
自民党がLGBT法や選択的夫婦別姓問題で立憲民主党など野党と同じか近いスタンスを取るならば、自民党の存在意義自体が問われることになるのが、どうして分からないのか。
■基本的な事実誤認
小泉氏は9月6日の出馬表明記者会見で、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
を掲げて明言した。
「経済界も早急な対応を求めている」
「最近の世論調査を見れば、選択制であれば別姓という選択肢を認めてよいのではないかという意見が増えている」
「1人1人の願いを聞かず議論を続けて30年」
「もう議論ではなく決着をつける時ではないだろうか」
「私が首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的な議論を進める」
「(1年以内に)30年以上議論を続けてきたこの問題に決着をつけ、1人1人の人生の選択肢を広げる」
「党議拘束をかけずに、この法案の採決に挑む」
「旧姓使用で対応可能なのではないかという声は、私も承知している」
「ただ、多くの金融機関では旧姓で銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、不動産登記ができない」
「契約書のサインも認められない場合がある」
「研究者については、論文や特許の取得時に戸籍上の氏名を用いる必要があって、旧姓は利用できないということだ」
この小泉氏の言葉に対しては、やはり総裁選に出馬していた高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾たかし前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
として、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
「研究者は、論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須」
などと書かれていた。
小泉氏は選択的夫婦別姓の推進理由について
「経済界も早急な対応を求めている」
と話しており、やはり経団連の提言を見たのであろう。
9月10日に行われた立憲民主党の4人の立候補者と党所属女性議員との討論会でも、4人全員が選択的夫婦別姓に賛意を示した他、そのうちの1人である野田佳彦元首相がこう述べていた。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
更に、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(7月14日号)も1面トップ記事で
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げている。
間違いを流布した経団連の罪は重く、結果的に小泉氏に恥をかかせたことになる。
実際には、高市氏らが指摘したように事実関係は以下の通りである。
一、今年4月から「旧姓併記」での不動産登記が可能。
一、令和3年10から「旧姓併記」での特許申請が可能。
一、全国の6割の銀行や信用金庫で旧姓名義の口座開設が可能。
一、世界で1000万人が利用するORCID(オーキッド)システムへの登録により、「旧姓」や「別名」でも論文発表が可能。
つまり、経団連や小泉氏がいう旧姓(通称)使用による不便さの多くは既に解消されているか、徐々に解消へ向かうかしているというわけである。
■子供への配慮がない
また、小泉氏は
「議論を続けて30年」
になるから決着を着けると言うが、30年も決着が着かなかったのにはそれだけの理由があるからだろう。
人の心や家族の問題を、何でも簡単にぶった切ればいいというものではない。
この点について今回の総裁選で注目すべき論点を挙げたのが上川陽子外相だった。
上川氏は9月14日の日本記者クラブ主催の討論会で、選択的夫婦別姓には
「個人的には賛成」
だとしつつ、次のように慎重論を説いていた。
「社会が分断をしてしまう」
「深い分断に陥る危険性、リスクについては、しっかりと納得をしていくプロセス、これを更に深めていく必要があるのではないか」
「こういった1つの事柄で社会全体が分断をしてしまうような案件を賛成反対、更には分断をしてしまうのではないかという状態を残したまま、決定してしまうということは、日本の国の力を削ぐことにも繋がりかねない」
これは冒頭に紹介した安倍氏の言葉にも通じる所があり、的を射ている。
実際、選択的夫婦別姓問題が浮上する度に自民党は分断を繰り返してきた。
それが法案を提出して採決となれば、日本社会全体に対立の構図を新たに作ることになってしまう。
もしこれが成立し、施行されれば夫婦同姓を選ぶか、別姓を選ぶかという対立軸も生まれる。
別姓を選んだら民主的・進歩的で、同姓派は守旧派呼ばわりされる場面も出てきそうである。
家同士、親族同士の対立も容易に想定できる。
夫婦別姓となれば、必然的に片方の親とは別姓になる他、制度の組み立て方によっては兄弟で別姓ということもあり得るが、それを子供がどう受け止めるという問題も重要である。
また、安倍氏が岸田氏の言葉として紹介した
「子供の視点が全然ない」
のが、これまでの夫婦別姓論議だったが、今回の総裁選でそこを小林鷹之元経済安保担当相が指摘したのも良かった。
9月15日の討論会ではこう語った。
「令和3年に内閣府がやったアンケートに、調査によってもその同姓を維持すべき方と、同姓を維持しつつ旧姓の通称使用を法制化するという方、これが4割ぐらいいる」
「そこを合わせると7割いる」
「そういうまだコンセンサスが形成されてない中で、早急にばんと決断するということは、政治の在り方として適切ではない」
「重要なのは大人の選択の権利を認めるにしても、生まれてくる子供たちの視点を、私たち政治家は無視してはいけない」
「家族、兄弟姉妹の中で姓が異なる家庭が出てくる可能性がある以上、そうした子供たちの視点にも立って慎重にコンセンサスを丁寧に粘り強く作っていくのが政治の本質だ」
この当事者である子供の視点に関する議論が、これまで政治家の公の場での議論やマスコミで取り上げられることはほとんどなかった。
経団連のような経済合理性だけで割り切れる話ではそもそもないのである。
■思考の深さが見える
ちなみに小林氏が挙げた内閣府の調査
「家族の法制に関する世論調査」
では、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.9%にとどまっている。
一方、
「夫婦同姓制度を維持した方がよい」(27.0%)

「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」(42.2%)
で、夫婦同姓制度の維持派が7割近くに達する。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては、
「好ましくない影響があると思う」が69.0%で、
「影響はないと思う」は30.3%にとどまる。
今回の総裁選に当たり、読売新聞が9月13日から15日まで実施した世論調査でも、夫婦の名字に関し同様の傾向が表れている。
それによると、
「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称として結婚前の名字を使える機会を拡大する」(47%)

「夫婦は同じ名字とする今の制度を維持する」(20%)
を合計すると67%で7割近くとなる。
「法律を改正して、選択的夫婦別姓制度を導入する」は28%
と、内閣府の調査と符合する。
小泉氏が出馬表明記者会見で述べた
「最近の世論調査」
とは何を指すのだろうか。
しかも子供に対して直接意見を聴いた世論調査は寡聞にしてほとんど知らないし、見当たらない。
このこと自体が、これまでの選択的夫婦別姓論議の根本的な偏りを示しているといえよう。
ただ、NHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)の
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問が一問だけあり、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「自分の名字でも、相手の名字でも、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を、相手の名字に変えたい」
という積極的な改姓派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%にとどまっていたのである。
そんな子供らが、果たして
「片親別姓」

「兄弟別姓」
を望むだろうか。
わざわざ日本からファミリーネームを消し去ることに何の意味があるのだろうか。
高市氏は既に平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出している。
これを成立させれば、国、地方公共団体、事業者などに通称使用のための
「必要な措置」
を講ずる責務があるとの法的根拠が生まれる。
また、総裁選立候補者の加藤勝信元官房長官も産経新聞のインタビューにこう答えている。
「『旧姓続称制度』を提案した」
「法律に旧姓使用を書き込むことで政府の様々な手続きで『旧姓でよい』という形にする」
「家族制度の基本はしっかり守り、今ある不都合を解消していく」
旗色が悪くなったと感じたのか、小泉氏は9月15日には産経新聞のインタビューで、高市氏が求める旧姓の通称使用法案も同時に国会で採決する可能性も排除しない考えを示した。
このままでは自民党議員、党員の中に少なくない選択的夫婦別姓反対・慎重派の票が逃げるとみたのだろうが場当たり的である。
それぞれの候補が、物事をどれくらい考えているかが分かる総裁選でもあった。
(月刊「正論」11月号から)
あびる・るい

<正論>自由主義からの「夫婦別姓」反対 
青山学院大学教授・福井義高
2024/9/20 8:00
https://www.sankei.com/article/20240920-VE7CYZ4YORI6LLBAB6DFBHQXSM/
■本来のリベラルの立場から
自民党総裁選でにわかに争点化された選択的夫婦別姓を巡っては、導入賛成のリベラルと同姓維持を求める保守の対立という構図で語られるのが通例である。
しかし、ここでは、夫婦同姓は日本国憲法の思想的基盤でもある古典的自由主義即ち本来のリベラルの立場からも支持できるものであることを示す。
何かと国家(ステート)を利用して自らの主張を実現しようとする今日、リベラルと呼ばれる人たちと異なり、本来のリベラルは国家に懐疑的であり、特定の設計図に基づいて社会を改造しようとすることは、人知を超えた傲慢とみなす。
我々の予測能力は極めて限定的であり、新たな制度を導入した場合、意図しない結果が生じることがむしろ常なのである。
現行制度は何かと欠点が目立つ一方、新しい制度はメリットばかりが強調される。
しかし、郵政民営化などと違い、家族に関する制度の変更は、事前には想定できなかった大きなデメリットが明らかになっても後戻りできない。
従って、その変更にはより慎重であるべきで、旧姓の広範な使用など、夫婦同姓を維持したまま柔軟に対応することこそ、本来のリベラルが取るべき道であろう。
異性間であれ同性間であれ、個人の感情の問題に国家が関与すべきではない。
法制度としての結婚は、個人間の愛情を国家が承認するためのものではなく、家族という社会の基本単位を法的に保護し、子供の健全な発達を支えるためのものである。
本来のリベラルは、共同体を維持発展させるための道具に過ぎない国家を相対化し、その暴走を防ぐためにも、個人と国家の間に様々な中間団体が並立することが不可欠と考える。
その中で最重要な存在が核家族なのだ。
尚、家族の在り方が多様化した米国でも、事実婚ではなく正式に結婚した実の両親と一緒に暮らすことが子供の発達に最善というのは、実証研究のコンセンサスとなっている。
■別姓下の究極の女性差別
基本単位を家族ではなく核家族としたのは、あくまで夫婦(両親)と子供で1つの単位であり、祖父母など親類はその外側に位置する2次的な存在だからである。
夫婦別姓の導入は、家制度的発想に基づき、子供の姓を巡って、こうした外側からの介入を促すことになろう。
同じ儒教圏として日中韓台を文化的に同一視する見方があるけれど、夫婦同姓の日本には、日本より遥かに家系を重視する別姓の中韓台で深刻な問題となった究極の女性差別も存在しない。
医療技術の進歩で出生前に性別が分かるようになったため、中韓台では女児に限り中絶することが男女比を大きく歪める(男児過多・女児過少)ほどの規模で行われるようになったのである。
儒教的家族観が一定の影響を持つ日本では、夫婦同姓はむしろ女性の立場を守るとも言える。
進化心理学、行動遺伝学の観点からも、女性を守る家族制度という点が重要である。
とはいえ自らの主張を絶対視しないのが、本来のリベラルの立場である。
夫婦別姓の是非を巡っても同様で、最後は民意に基づき決めるのがあるべき姿であろう。
■エリートの家族観との乖離
議会制民主制においては、直接投票で選ばれる議会を通じた間接的政治決定が原則である。
しかしメディアのみならず、行政や司法を通じたエリートによる価値観の押し付けが顕著な今日、これまでデモクラシーにおける懸念事項とされてきた大衆の暴走ではなく、民意と乖離したエリートの暴走の抑止が重要となってきている。
従って、財政や国防などと違い、イエスかノーかで答えることができる価値観に関わる問題については、国民に直接問うことが望ましい。
今日のエリートと一般国民の価値観の乖離の大きさを示す実例が、2024年3月にEU加盟国であるアイルランドで行われた、家族・子育てに関する条項の憲法改正に伴う国民投票の顚末である。
議会を通過した改正案は大きく3つからなる。
まず結婚に基づく家族を国家の保護対象とするという条項に、結婚に限定せず別の家族の在り方も含める。
また家庭(ホーム)における女性の貢献が不可欠という条項から、女性と家庭という言葉を削除し、家族のメンバーによるケアと書き換える。
そして母親が経済的必要性から家庭での務めを犠牲にすることがないよう国家が配慮するという条項を削除するというものである。
要するに日本とも共通するエリートのコンセンサスである「新しい」家族観の明文化である。
ところが、投票結果は反対が賛成の倍以上となり、民意によって憲法改正は退けられたのだ。
選択的夫婦別姓に限らず、価値観に関わる問題については、賛成反対どちらの立場であっても、国民投票で決めるのであれば、しこりを残すことなく、ほとんどの国民は、その結果に納得するのではなかろうか。

自民総裁選「選択的夫婦別姓より、話すべきことあるはず」 仏紙東京特派員アルノー氏
2024/9/18 11:04
https://www.sankei.com/article/20240918-EOERMIHNK5CJDICIHRLTD4UJGA/
自民党総裁選を知日派の外国人はどう見ているのかー。
フランスの主要紙フィガロの東京特派員、レギス・アルノー氏が産経新聞のインタビューに応じ、
「日本にとって真に重要な問題が議論されていないことに驚く」
と候補者討論に疑問を呈した。
ーー総裁選をどうみる
今の日本が直面する重要問題が全く討議されていないと感じる。
人口減少に伴い、移民受け入れはどうするのか。
秋になっても連日、気温が30度を超える異常気象が続き、エネルギー計画も喫緊の課題となっている。
国民はスーパーで主食のコメが買えずにいるというのに、どうしたことか。
候補者討論では『選択的夫婦別姓』が議題になった。
しかし、誰も戸籍制度をなくすとは言わない。
小手先の改革なら、他に話すことがあるだろう。
衣料品店『ユニクロ』を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が『このままでは日本人は滅びる』というほど、国を取り巻く環境は深刻だ。
■変わり映えしない政治…「以前は違った」
ーー自民党政治については
総裁選は『次の首相』を選ぶ重要な選挙だが、国民は投票できず、まるで水族館の水槽を眺めているように見える。
パリの編集部に記事を売り込んだら、『結果を書けばよい』と言われた。
変わり映えのしない自民党政治に対し、フランスで関心は極めて薄い。
自民党も以前は違った。
2000年代、小泉純一郎首相(当時)は『自民党をぶっ壊す』と言い、公約の郵政改革を進めて国民の支持を集めた。
皇室改革論議も始まり、二階俊博幹事長(同)は女性天皇の容認に踏み込んだ。
現在、小泉進次郎元環境相は党内リベラル派と言われるが、皇位継承の在り方を巡って明確な発言を避ける。
他の候補も同じだ。
批判されるのが怖いのだろうか。
野党は政権奪回の兆しすら見えず、現状ではNGO(非政府組織)と変わらない。
ーー日本の現状をどうみる
新型コロナウイルス流行後、非常に保守的になったと感じる。
内向きになったということだ。
コロナ対策で日本は欧州のように都市封鎖をせず、皆が行動を自制することで乗り切った。
結束の強さは安全な社会を作る一方、異論を嫌う性格を強めた。
民主主義国家なのに、環境保護や女性の権利を声高に訴えると、社会で孤立を強いられる。
移民については門戸を閉ざしたままで、姿勢はフランスの極右に近い。
レギス・アルノー氏
仏紙フィガロ東京特派員。
日仏2カ国語ビジネス誌「フランス・ジャポン・エコー」編集長。
著作は「誰も知らないカルロス・ゴーンの真実」(2020年、共著)など。

選択的夫婦別姓は争点か 銀行、国家資格、パスポート…「不都合な状態」ほぼ解決済み
2024/9/17 14:26
https://www.sankei.com/article/20240917-FMNXIISCNJA3DAR4V52ZK4FYHM/
自民党総裁選に立候補した小泉進次郎元環境相が表明したことによって、一大争点のようにメディアで取り扱われ始めた選択的夫婦別姓制度導入。
小泉氏は
「長年議論して決着がついていない」
と言うが、自民党は過去の国政選挙の公約などでは結婚前の旧姓(戸籍名)使用の幅広い導入を掲げ、実現してきた。
そもそも争点化されるべきテーマなのか。
夫婦別姓をめぐる議論は、働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証などの旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
内閣府男女共同参画局が令和6年6月27日付で出した
「各種国家資格、免許等における旧姓使用の現状等について」
によると、2024年5月31日現在、320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格は
「資格取得後に改姓した場合は旧姓使用ができる」
となっており、旧姓使用ができないものはゼロだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも既に旧姓併記ができるようになっている。
パスポートは
「旧姓/Former surname」
の説明が付記される。
一方、夫婦別姓の導入を呼びかけている経団連が2024年6月に出した資料には
「ビジネスの現場における通称利用の弊害例」
がある。
一部の弊害例に対する現状は次のとおりだ。
【例:多くの金融機関では、ビジネスネームで口座をつくることや、クレジットカードを作ることができない】
多くの金融機関ではできる。
令和4年3月に内閣府と金融庁が金融機関に行った
「旧姓による預金口座開設等に係るアンケート」
によると、銀行の約7割、信用金庫の約6割が、旧姓名義による口座開設と、婚姻などで改姓した場合、既存口座の旧姓名義による取引を認めていると回答した。
信用組合は1割超にとどまっているが、これは
「共同センターのシステムが未対応となっていることなどから」
という。
【例:通称では不動産登記ができない】
2023年の法務省令改正により、旧姓併記でできるようになった。
【例:研究者は論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須であり、キャリアの分断や不利益が生じる】
旧姓での論文執筆はほとんどの研究機関で認められている。
特許出願については旧姓併記が可能になったが、旧姓のみでの出願はできない。
■まずは周知徹底を
一方、2024年8月24日配信の共同通信によると、主要企業111社に実施したアンケートで、選択的夫婦別姓を
「早期に実現すべきだ」との回答は17%、
「将来的には実現するべきだ」は4%
で計21%にとどまった。
「結論を急がず慎重に議論を進めるべきだ」(9%)、
「夫婦同姓を維持した上、通称使用の法制度を設けるべきだ」(3%)
といった回答は計12%で、
67%は「その他・無回答」だった。
経団連が制度導入に前向きであるにもかかわらず、アンケートは傾向が違った。
共同通信も
「個別企業では慎重な姿勢が根強く、無回答も目立つ」
と伝えている。
もっとも、こうした旧姓使用や旧姓併記が完全に周知されているとは言えない。
政府は引き続き周知を行う必要がある。
また、経団連は金融機関をはじめとする会員企業にまずは旧姓併記の対応を促すべきではないのか。
親子間で姓が異なってしまうことも、更に議論が必要だ。
「選択的」
とは、あくまで夫婦の選択であり、生まれてくる子供に選択の余地はないまま
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
婚姻は
「両性の合意に基づく」
と憲法に書かれているとはいえ、別姓をめぐって双方の両親などを巻き込むトラブルに発展するケースもないとは言えないだろう。

<主張>自民総裁選告示 日本を守る政策競い合え 「夫婦別姓」には賛成できない
社説
2024/9/13 5:00
https://www.sankei.com/article/20240913-3EWZIUNIWVKNJGCH5AYNPRJ2LM/
自民党総裁選が告示され、過去最多の9人が立候補した。
多くの派閥が解散を決め、名乗りを上げやすい環境になったことなどが背景にある。
投開票は27日で、岸田文雄首相の後継選びだ。
有権者である自民党の国会議員と党員・党友には、1億2千万人が暮らす日本の舵取り役には誰が最も相応しいかを考え、投票してもらいたい。
目先の人気投票は禁物である。
世界は激動の時代を迎えている。
日本は、反日的で核武装している専制国家の中国とロシア、北朝鮮に囲まれている。
■転換期を担う自覚持て
ロシアが侵略するウクライナ、紛争の絶えない中東を除き日本は世界で最も厳しい安全保障環境にある。
冷戦期の東西対立の最前線は欧州だったが、現代のそれは日本を含む北東アジアである。
先進7カ国(G7)の一員である日本には、自国の防衛に加えて、地域と世界の平和と秩序を守る責務がある。
経済では、成長力強化が急務だ。
「失われた30年」
とされる長期停滞から真に脱却できるかが問われている。
人口減少への対応や持続可能な社会保障制度の改革も待ったなしだ。
候補者は重大な転換期に政権を担う自覚を持ち、志と具体的な政策を語らねばならない。
早期の衆院解散・総選挙が想定されるが、聞こえのよい政策を羅列するだけでは無責任の誹りを免れない。
選挙後の政権運営の構想と実行力こそが重要だ。
今や、誰が首相になっても同じという時代ではない。
安倍晋三元首相は
「自由で開かれたインド太平洋」
構想を世界に提示し、限定的ながら集団的自衛権の行使容認を実現した。
菅義偉前首相は米国と共に
「台湾海峡の平和と安定の重要性」
を打ち出した。
岸田文雄首相は5年間の防衛費43兆円、反撃能力の保有を決め、防衛力の抜本的強化を開始した。
彼らの決断と行動がなければ日本は中国や北朝鮮の脅威、ロシアのウクライナ侵略を前に立ち往生していただろう。
候補者は岸田氏が語った
「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」
という危機感を共有し、安倍氏以来の外交安保政策の確実な継承と発展を約束すべきである。
高市早苗経済安全保障担当相が提案した内閣情報局、内閣情報会議創設は日本と国民の安全を高めるだろう。
台湾有事は令和9(2027)年までにあるかもしれないと懸念されている。
抑止力と対処力向上へ残された時間は短く、理念的な法改正に走っている余裕はない。
米国との同盟や有志国との協力を強めつつ、地に足の着いた防衛、国民保護策を推進すべきである。
一方で、千年、二千年の視野で日本を守るため、安定的な皇位の継承策を整えたい。
岸田内閣は、男系男子による継承を堅持する内容の報告書を国会へ提示した。
自民は報告書に賛同している。
男系(父系)継承を一度の例外もなく貫いてきた皇統を守らねばならない。
■男系継承の皇統を守れ
憲法改正は自民の党是だ。
自衛隊明記や緊急事態条項創設などをいつまでに実現したいかを語ってほしい。
首相になっても憲法改正を論ずるのは何の問題もない。
公明など他党を説得していく決意も披露すべきだ。
北朝鮮による拉致被害者全員救出の強い決意を示すことが求められよう。
争点の1つに選択的夫婦別姓導入の是非がある。
家族や社会の有り様に関わる問題だ。
国民的合意を欠いたまま結論を急げば、社会に分断を招く。
選択的夫婦別姓が導入されれば、姓は砂粒のような個人の呼称へと変貌しかねない。
世代を重ねていく家族の呼称としての姓でなければ、姓を名乗る必要があるのだろうか。
夫婦別姓は片方の親と子の別姓でもある。
祖父母らも絡み、家族の歴史や絆が断ち切られ、戸籍制度も揺らぐ。
「選択的」
と言っても個人の自由の問題ではない。
小泉進次郎元環境相は1年以内に実現したいと語ったが、賛成できない。
旧姓使用の充実で対応できる話だ。
「政治とカネ」
を巡る問題は重要だ。
信頼を回復しなければ自民は強い政策推進力を保てまい。
再発防止や政治資金の透明性確保はもちろん、派閥解散に伴う党内統治の在り方も含め政治改革論議を深めてほしい。
国内外で政治家を狙うテロが相次いでいる。
遊説警備に万全を尽くしてもらいたい。

自民党総裁選で急浮上の夫婦別姓、経団連の間違い
阿比留瑠比の極言御免
2024/9/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20240912-6AWPKWND65P33HQYWVB3XSBWSI/
国会議員と一般国民との意識の乖離を感じることは少なくない。
2023年のLGBT理解増進法騒動の時もそうだったが、議員たちは時に、国民の関心がさほど高くもない問題について、まるで最優先課題であるかのように熱心になる。
今回の自民党総裁選での選択的夫婦別姓問題の急浮上も、その1つだろう。
「旧姓使用のままだと、多くの金融機関では銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、旧姓では不動産登記ができない」
小泉進次郎元環境相は2024年9月6日の出馬表明記者会見でこう述べ、首相に就いたら夫婦別姓を認める法案を国会に提出すると明言した。
そしてこの小泉氏の意気込みに押され、選択的夫婦別姓問題が総裁選の大きなテーマになった感があるが、国民の関心はどうか。
NHKが2024年9月9日に発表した世論調査で、自民党総裁選で最も深めてほしい政治課題として6つの選択肢を挙げた結果が興味深い。
それによると
「年金など社会保障制度」が35%
でトップで
「経済・財政政策」(26%)
が続き、
「選択的夫婦別姓」は僅か1%
で最下位だった。
1%だから無視していいというわけではないが、優先的に取り組むべき喫緊の課題だとは言えない。
また、小泉氏の言葉に対しては高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、2024年4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾敬前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が2024年6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
という図表に、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
と書かれていた。
小泉氏が本当に経団連の資料を基に発言したかどうかは分からない。
ただいずれにしろ、経団連の提言自体が誤った認識に基づいていたことになる。
この2024年9月10日には、立憲民主党の4人の代表選候補者と党所属女性議員との討論会が開かれた。
4人全員が選択的夫婦別姓に賛成している点が立民らしいが、その中で野田佳彦元首相がこう述べているのが気になった。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
この経団連の提言に関しては、2024年7月14日の共産党の機関紙『しんぶん赤旗』も1面トップで
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げていた。
国会は、与野党共に経団連の事実誤認が含まれた提言に影響されているように見える。
このまま国民の42・2%(令和3年の内閣府調査)が求める
「旧姓の通称使用についての法制度」
を無視した形で、
「選択的夫婦別姓」
実現へと突き進むのであれば、国民との意識のズレはさらに増すばかりだろう。

岸田内閣 支持は20%で発足後最低 不支持は60% 政党支持率は
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240909/k10014577111000.html#:~:text=

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

高市早苗氏、通称使用に根拠与える法案を 「選択的夫婦別姓賛成の人は議員立法なかった」
2024/9/10 12:15
https://www.sankei.com/article/20240910-JZ4633HTQJD2FAIGT4GLEI5Y5I/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)に出馬する高市早苗経済安全保障担当相(63)は9日夜、BSフジ番組で、首相就任時に旧姓を通称使用できる措置を国や地方公共団体、公私の団体、事業者に義務付ける
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を政府提出法案として国会に提出する考えを示した。
「この法案が通れば、ほぼほぼ結婚で姓が変わることによる不便はなくなる」
と指摘した。
高市氏は平成14年、令和2年の過去2回、同法案を議員立法として党法務部会に提出したが、党議決定には至らなかった。
その上で、高市氏は
「これまで選択的夫婦別姓に賛成だと仰っていた方々が、自ら議員立法の形で法案を書いて、党政調会に提出していたなら、ともかく、これまで提出されていなかった」
と述べ、選択的夫婦別姓の制度化を主張する党所属議員の手法を疑問視した。
総裁選では、出馬表明した小泉進次郎元環境相(43)が首相就任時の選択的夫婦別姓制度の導入法案の国会提出を明言し、党議拘束をかけない考えを示している。
高市氏は
「そういう方向もあるのだろう」
と述べた上で、婚姻前の氏の通称使用に関する法律案についても
「(党議拘束)かけなくてもいい」
と語った。

高市氏は小泉氏念頭に皮肉も 選択的夫婦別姓導入巡り自民総裁選の立候補予定者が対立
2024/9/9 20:30
https://www.sankei.com/article/20240909-2YNDBMGC35ILBDLNK4HLK6TJDQ/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)で、夫婦同姓か夫婦別姓を選べる
「選択的夫婦別姓制度」
の導入について、立候補予定者の意見が割れている。
9日に出馬を表明した高市早苗経済安全保障担当相(63)は反対の立場で、早期実現方針を表明した小泉進次郎元環境相(43)の事実誤認を指摘した。
党内には慎重論も根強く、賛成派が押し切ろうとすれば分断を生む可能性がある。
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
高市氏は9日の記者会見で、こう語った。
念頭にあるのは6日の会見で
「旧姓では不動産登記ができない」
と発言した小泉氏だ。
高市氏は
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
高市氏は住民票などへの旧姓併記が広がっていることや、旧姓の通称使用の拡大に向けた法案作りに取り組んできたことを挙げ、
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べた。
小林鷹之前経済安保担当相(49)も8月19日の会見で、
「旧姓の併記が認められる制度がある」
「ただ、周知されていないと思うので、もっと周知を徹底する形でニーズに応えたい」
と述べている。
小泉氏は9日、経団連の十倉雅和会長と東京都内で面会した。
経団連は選択的夫婦別姓の実現を政府・与党に働きかけている。
小泉氏は面会後、記者団に
「家族の中で名字が違うことが、家族の絆の崩壊に繋がるというのは必ずしも違うと思う」
と語った。
石破茂元幹事長(67)は6日、東京都内で記者団に
「実現は早ければ早いに越したことはない」
と小泉氏に同調した。
河野太郎デジタル相(61)も8月26日の会見で
「認めた方がいい」
と述べている。
一方、過去に前向きな発言をしたことがある茂木敏充幹事長(68)は今月4日の会見では
「国民の間でも様々な意見がある」
「更なる検討を進めていきたい」
と述べるにとどめた。
林芳正官房長官(63)も
「個人的にはあってもいいが、色々な意見がある」
としている。

高市早苗氏、選択的夫婦別姓で小泉進次郎氏に反論「不動産登記できる」解雇規制緩和も反対
2024/9/9 17:23
https://www.sankei.com/article/20240909-TZREDMPC75CKZNZKXM66THI7RU/
自民党の高市早苗経済安全保障担当相(63)=衆院奈良2区=は9日、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明した記者会見で、選択的夫婦別姓の制度化に慎重な考えを示した上で、
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
と述べ、
「選択的夫婦別氏制度を実現すると言う候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
■「正しい知識を」
選択的夫婦別姓を巡っては、小泉進次郎元環境相が総裁選に出馬表明した6日の記者会見で、制度の導入法案を提出する考えを明言し、
「旧姓では不動産登記ができない」
などと語っていた。
その上で、高市氏は
「婚姻で姓が変わることによる不自由を解消したい」
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べ、旧姓の通称使用に法的根拠を与える法整備の必要性に重ねて言及した。
高市氏は平成14年と令和2年、それぞれ党法務部会に、旧姓の通称使用に法的根拠を与える
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出した。
しかし、党議決定には至っていない。
旧姓の通称使用の法制度化を重視する理由には世論調査の結果を上げた。
そのうち、内閣府の令和3年12月の調査は
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」
との回答は42・2%で、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」
の28・9%を上回っている。
高市氏は、旧姓の通称使用に関する総務相時代の自身の取り組みもアピールし、「総務省関係でやることができる全ての手続き1142件について、婚姻前の姓で対応できるように変えた」などと語った。
■解雇規制「日本は緩い方」
また高市氏は、小泉氏が掲げる大企業の解雇規制の緩和に関しても「反対だ」と明言した。
「G7(先進7か国)と比較しても、日本の規制はきつくない]
「(規制は)労働者を守る意味だが、様々な指標を見ると、(日本は)緩い方だ」
と語った。

<産経抄>多様性、多様性というけれど
2024/9/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240907-KZZFCTKANRNW7JW2QWLUV7TBFI/
世は多様性の時代と言われる。
「首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的議論を進める」。
小泉進次郎元環境相は6日、自民党総裁選への出馬表明記者会見でこう述べ、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
の拡大を訴えた。
▼いつしか日本社会に、多様性を主張されると異議は唱えにくい
「空気」
が醸成されてしまった。
国会質疑からテレビコマーシャルまで、多様性という言葉を聞かない日はない。
とはいえ抄子は天邪鬼(あまのじゃく)なので、
「猫もしゃくしも多様性を礼賛する社会のどこが多様なのか」
と言いたくなる。
▼レオナルド・ダビンチの名画「最後の晩餐」を揶揄した性的少数者の宴らしきものや、切り落とされた自らの生首を手に持つマリー・アントワネットが登場して物議を醸したパリ五輪開会式も、多様性を表現したものだった。
評価は分かれようが、少なくとも抄子の目にはグロテスクに映った。
▼選択的夫婦別姓については、自民党総裁選への出馬を表明している者の中で小泉氏の他に石破茂元幹事長や河野太郎デジタル相も前向きである。
経団連も選択的夫婦別姓の早期実現を求め、まるでそれが時代の趨勢であるかのような提言も発表したが、本当にそうなのか。
▼NHK放送文化研究所が中高校生を対象に令和4年に実施した調査(1183人回答)では、結婚後に夫婦別姓を望む回答はわずか7・0%しかいない。
調査自体が見当たらないので確たることは言えないが、子供たちが夫婦別姓に伴う
「片親との別姓」

「兄弟別姓」
を歓迎するだろうか。
▼世界の潮流に乗り遅れるとの意見も承知しているが、こう愚考している。
日本は日本のやり方でいいと認めるのもまた多様性ではないかと。

夫婦別姓、LGBT問題でも共産党と似てきた経団連 自民党も加われば「多様性の統一」
阿比留瑠比の極言御免
2024/7/4 1:00
https://www.sankei.com/article/20240704-ORCW5C7MEFIC7EJPSH6XFP45ZI/
前回、2024年6月27日付の当欄『夫婦別姓で失う自民の価値』で筆者は、選択的夫婦別姓制度を巡る議論には当事者である子供の視点が欠けていると指摘した。
その際、次のように記し、過去の調査では両親が別姓となることに否定的な意見を持つ中高生が3分の2に及んだことに言及していた。
「平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する」
「子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい」
すると、親切な読者がNHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)があると教えてくれた。
その
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問は1問だけだったが、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を相手の名字に変えたい」
という積極的な改正派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%に留まっていたのである。
やはり、こうした子供たちの意見を無視すべきではないのではないか。
国会や司法、経済界やマスコミでの議論は、この点が欠落していて余りに功利的に見える。
夫婦別姓は必然的に片方の親と子供の姓が異なる親子別姓となるし、制度の構築の仕方によっては兄弟別姓にもなり得る。
■高市法案の提出を
そもそも今回、またぞろ夫婦別姓問題が浮上したのは2024年6月、経団連が選択的夫婦別姓制度の早期実現を求める提言を発表したからだが、そこには案の定、子供の視点や立場は全く取り入れてられていなかった。
その
「はじめに」
の部分には一読、呆れた。
「ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)、(DEI)は、イノベーションの源泉であり、社会・経済のサスティナブルな成長に欠かせない要素であるとともに、先き不透明な時代の中で、企業のレジリエンスを高めるうえでも必要不可欠である」
短い一文の中に、6つも片仮名言葉が出てくる。
こんな不自然な言葉遣いをする者は普通、社会では敬遠されて相手にされない。
「我が国経済の自立的な発展と国民生活の向上に寄与すること」
を使命とするはずの経団連は、LGBT問題でも夫婦別姓問題でも、段々と日本共産党と似てきたのではないか。
その輪の中にもし自民党も加わるとしたら、それは多様性ではなく共産党が主張する
「多様性の統一」
だろう。
実際、共産党の田村智子委員長は2024年6月19日の党首討論で、経団連が政府に選択的夫婦別姓制度の早期実現を要請したことに言及し、
「長年に渡る女性たちの訴えが遂に経済界も動かした」
と胸を張った。
自民党はまず、高市早苗経済安全保障担当相が平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に提出した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を審議し、国会に提出すべきである。
これにより、
「国、地方公共団体、事業者」
などは通称使用のために
「必要な措置を講ずる責務を有する」
と定めて通称使用に法的根拠を与えれば、経団連が懸念する
「職業生活上の不便・不利益」
の多くは解消するのではないか。

調査概要・グラフについて
「中学生・高校生の生活と意識調査」とは?
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/about.html
回答者数
中高生の結果:中高別の全調査結果はこちら(PDF)から
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/assets/pdf/cyukousei.pdf
―結婚後、名字をどのようにしたいか―
第51問〔全員に〕あなたは、将来、結婚したとしたら、名字をどのようにしたいと思いますか。次の中から、あてはまるものに、1つだけ〇を
つけてください。
@1982年A1987年B1992年C2002年D2012年E2022年
1.相手の名字を、自分の名字に変えてほしい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E19.6
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.0
2.自分の名字を、相手の名字に変えたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E13.1
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.2
3.相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.2
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.9
4.自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E7.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E6.1
5.無回答
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.8

別姓で自己否定する自民
阿比留瑠比の極言御免
2024/6/27 1:00
https://www.sankei.com/article/20240627-TWC52YKBYNKC7DKHOP5EBO4BQU/
自民党が性懲りもなく選択的夫婦別姓に関する党内議論を再開させるという。
経団連や経済同友会のビジネス的見地からの要請に後押しされた形だが、不必要だったLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓にまで突き進むとしたら、自民の存在価値をまた1つ自己否定することになろう。
「多様性」
というはやりの聞こえのいい掛け声に目が眩み、安易に取り込もうとするのでは、立憲民主党や共産党、社民党と最早選ぶ所がない。
もっとも、岸田文雄首相は2024年6月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓については次のように慎重だった。
「様々な立場の方に大きな影響を与える問題だ」
「だからこそ世論調査でも意見が分かれている」
「前向きな意見の方の一方、家族の一体感や子供の姓をどうするかなどに関心を持つ消極的な意見もある」
LGBT法を巡っては、元首相秘書官の性的少数者差別とも受け取られかねない発言や米民主党政権の圧力に屈して成立に前のめりになった首相だが、今度はぶれないでもらいたい。
安倍晋三元首相もかつてこの問題に関し、首相にこう信頼を示していた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に
「子供の視点が全然ない」
と話していた。
■アンケートでは
やはりこの点が重要だと考えるので、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する。
子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)
「変な感じがする」(24.8%)
の否定的な意見が、合わせて3分の2に達した。
一方で
「嬉しい」
は僅か2.2%しかいなかった。
また、成人を対象とした令和3年実施の内閣府の
「家族の法制に関する世論調査」
結果を見ても、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.6%に留まった。
「夫婦同姓制度を維持した方が良い」が27.0%、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方が良い」が42.2%で、
夫婦同姓維持派が7割近くに達している。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては
「好ましくない影響があると思う」と答えた者の割合が69.0%で
「影響はないと思う」は30.3%
に留まっている。
留意すべきは
「兄弟の姓が異なっても構わない」が僅か13.8%で、
「姓は同じにするべきだ」が63.5%
に上ることだろう。
夫婦どちらの姓を名乗らせるかを巡り、親族間のトラブルも予想される。
■フェミニストの議論
選択的夫婦別姓については、
「選択的」
だから別に同性を選びたい人はそうすればいいだけだという意見もあるが、事はそう単純ではないだろう。
既に平成17年刊行の
「ザ・フェミニズム」(上野千鶴子、小倉千加子著)
で、フェミニスト【フェミニストとは、全ての性が平等な権利を持つべきだという理由から女性の権利を主張する行為(フェミニズム)を支持する人のことだと、英オックスフォード辞書で定義されている】である小倉氏がこんな議論をしている。
「(選択的)夫婦別姓になったら、まるで夫婦別姓をしている人の方が進んでいて、夫婦同姓の人の方が遅れているみたいになりかねない」
「そこでまた1つの差別化が行われるわけじゃないですか」
女優でタレントの橋本マナミさんが2024年6月
「私は一緒の名字がいいです」
「好きで結婚したから」
とテレビで発言しただけでニュースとして取り上げられる現状を見ると別姓導入で同性夫婦が肩身の狭い思いをする日が来るかもしれない。
(論説委員兼政治部編集委員)

阿比留瑠比の極言御免
日経、朝日のコラムに異議あり 夫婦別姓論議に欠ける子供の視点
2015/11/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20151109-Q7P53O3IFNNVLFLL3DOXYENVFM/
2015年11月4日は最高裁大法廷で夫婦別姓(氏)を巡る訴訟の弁論が開かれるとあって、日経新聞と朝日新聞の朝刊1面コラムが、それぞれこの問題を取り上げていた。
夫婦別姓に賛成・推進する立場で書かれたこの2つのコラムを読んで感じたのは、立論の前提、出発点が異なり、議論が噛み合わないもどかしさだった。
「誰かに迷惑もかけない」
「コストも知れている」
「歩みの遅さを合理的に説明するのは難しい」
日経はこう書いていたが、夫婦別姓論議でいつも気になるのが、当事者である子供の視点の欠落だ。
子供の意見を反映した調査がなかなか見当たらないので少し古くなって恐縮だが、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を引用したい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)

「変な感じがする」(24.8%)
との否定的な意見が、合わせてほぼ3分の2に達している。
一方、
「嬉しい」は僅か2.2%
しかいなかった。
また、20歳以上の成人を対象とする内閣府の世論調査(平成24年12月実施)でも、夫婦の名字が違うと
「子供にとって好ましくない影響があると思う」と答えた人が67.1%
に上り、
「影響はないと思う」(28.4%)
を大きく上回った。
夫婦別姓と言うと、両性が納得すればいいと思いがちだが、夫婦が別姓を選択した場合、子供は必ず片方の親と別姓になる。
事は夫婦の在り方だけの問題ではなく、簡単に
「誰かに迷惑もかけない」
と言い切れるような話ではない。
日経コラムは更に、こうも書いている。
「反発する人の声から『自分と違う価値観を持つ人間が、とにかく許せない』との響きを感じることがある」
どう感じようと自由ではあるが、この見解はかなり一方的だろう。
10年以上前のことだが、夫婦別姓を議論していた自民党の会議を取材した同僚記者は、夫婦別姓推進派で、現在は党総裁候補の1人と言われる議員から、こう面罵された。
「(夫婦別姓に慎重論を唱える)産経新聞は、新聞じゃない」
当たり前のことだが、自分と違う価値観が許せないのは、何も夫婦別姓に
「反発する人」
に限らないということである。
多様な価値観を説く人が、異なる価値観を否定するという矛盾を犯すのは珍しくない。
ちなみに、朝日のコラムにはこうあった。
「結婚や家族の多様化、個の尊重という冒頭に引いた変化(※国民意識の多様化、個人の尊重)は、別姓の議論にもそのまま当てはまる」
「社会は旧姓使用を広げる方向に動く」
確かに一般論としては、社会の多様化は歓迎すべきことなのだろう。
多様性を失えば硬直化し、やがては行き詰まっていく。
とはいえ、何でもかんでも
「多様化」
という言葉で正当化しても、そこで思考停止することになる。
また、夫婦別姓を法的に位置付ける事と、旧姓使用は全く別物である。
現在、夫婦同姓制度の下で通称使用が大きく緩和され、旧姓使用が広がっていることがその証左だと言える。
いずれにしてもこの問題を考える時は、直接影響を受けることになる子供の意見をもっと聞いた方がいい。
政府にも、今度調査する時は是非その視点を盛り込むようお願いしたい。
(論説委員兼政治部編集委員)

安倍元総理の三回忌を前に 「夫婦別氏」よりも「婚姻前の氏の使用」の利便化で
WiLL2024年8月号 経済安全保障担当大臣 高市早苗
■安倍元総理が夢に
2024年7月8日には、2022年の参議院選挙応援中に凶弾に倒れ、逝去された安倍晋三元総理の三回忌を迎えますね。
度々つまらない口喧嘩をしたり、仲直りをしたりの繰り返しでしたが、それも叶わなくなった今は、しみじみ淋しくなります。
先般、疲労が極限に達した時に、亡き両親と安倍元総理が一緒に夢に出てきたので、
「迎えに来たのかな」
と感じましたが、その夢には昭恵夫人も登場していたことを思い出して一安心!
安倍元総理も懸命に応援して下さった2021年9月の自民党総裁選以降、土日は党務か政務で地方講演、平日は仕事、深夜には大量の資料読みや原稿書き・・・と休みなく働き続けていて、人間ドックなど健康診断も3年以上は受けていないので、注意喚起のために夢に出て来て下さったのかなとも思いました。
2024年夏は、各方面との調整がつけば、安倍元総理の御命日に出国して、G7科学技術大臣会合に出席しますが、イタリアから帰国したら、1日だけは休みを確保して健康診断に行ってみようと考えています。
■経済界が夫婦別氏制度導入を要望
安倍元総理が何度も仰っていたことがありました。
「選択的夫婦別氏だけどさ、あれは駄目だよ」
「高市さんが法務部会に提出している法案を早く成立させればいいんだよ」
私が自民党政調会長の法務部会に提出した法律案というのは、
『婚姻前の氏の通称使用に関する法律案』
のことです。
この法律案では、戸籍上の夫婦親子の氏が同一であること(ファミリー・ネーム)は維持しつつ、
「婚姻前の氏を通称として称する旨の届出をした者」
について、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
としたものです。
この法律案を、2002年と2020年の2回に渡って法務部会に提出しましたが、1回目は
「戸籍の氏も住所も別々にするべきだ」
といった強烈な反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は、審査もされないまま放置されています。
私は、足掛け約4年の総務大臣任期期間の後半(2019年9月からの約1年間)で、『住民基本台帳法』『地方自治法』『公職選挙法』『消防法』『放送法』『電気通信事業法』をはじめ総務省が所管する全法令をチェックし、資格や各種申請など事務手続きに戸籍氏しか使えなかったものを、全て婚姻前の氏の単記か併記で対応できるように変更しました。
総務省単独の判断で変更できたものだけでも、合計1142件でした。
仮に全府省庁が阻害と同じ取り組みを実施し、地方公共団体や公私の団体や企業も同じ取り組みを実施すれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考えます。
例えば、金融庁や厚生労働省。
私自身の経験では、銀行の預金通帳でしたが、婚姻前の氏のままで使える銀行と戸籍氏に作り直すよう求める銀行が混在していました。
数年前に年金受給者の方から伺った話ですが、通称使用届けを出して戸籍氏と婚姻前の氏が併記された住民票を提示したのに、厚生労働省の方針として
「戸籍氏の通帳でなければ年金を振り込めない」
とされ、通帳を作り直したということです。
こういった所管府省庁によってバラバラの対応が残っている現状を改善するためにも、私が起草した法律案によって、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
ことを明確にするべきだと思っていました。
2024年6月、経団連会長が
「選択的夫婦別氏制度の導入」
を要望する
「提言」
を公表されました。
報道で知る限りの理由は、働く女性の不便解消や国際社会での活躍のためにということらしいのですが、先ずは前記したような法整備を行うということでは不十分でしょうか。
既に、マイナンバーカード、パスポート、運転免許証、住民票、印鑑登録証明書は、戸籍氏と婚姻前の氏の併記が可能になっています。
仕業・師業と呼ばれる国家資格の殆どで、免許証などへの婚姻前の単記や併記が可能になっています。
国際社会での活躍についても、同氏や別氏だけではなく、複合氏を使う国もあれば、氏が無い国もあり、様々です。
■「子の氏の安定性」
最近は、
「夫婦別氏制度」
の導入に賛成する政治家は
「改革派=善」、
反対する政治家は
「守旧派=悪」
といったレッテル貼りがされているように感じますので、私のような考え方は変だと思われる方も多いのかもしれません。
私が選択的であったとしても
「夫婦別氏制度」
の導入に慎重な姿勢を続けてきた最大の理由は、
「子の氏の安定性」
が損なわれる可能性があると思うからです。
現行制度では、婚姻届けを提出した夫婦の戸籍は全て同氏ですから、子も出生と同時に両親と同氏になることが確定しています。
法改正によって戸籍上も別氏の夫婦が出現した場合、子の氏の決め方について、
「全ての別氏夫婦が納得できるルール」
が必要になります。
仮に
「別氏夫婦が子の氏を取り合って、協議が調わない場合」
には子の氏が定まらないので、『戸籍法』が規定する
「出生の届出は、14日以内」
というルールも見直す必要があるのではないでしょうか。
これまでに衆議院に提出された
「夫婦別氏制度」
の導入を可能にする
「民法の一部を改正する法律案」(立憲民主党案)
を拝見すると、
「別氏夫婦の子は、その出生の際に父母の協議で定める父又は母の氏を称する」
「協議が調わない時は、家庭裁判所は、協議に代わる審判をすることができる」
とされています。
同法律案でも、別氏夫婦が子の氏を取り合って決められないケースを想定しているわけですが、果たして、この争いを持ち込まれる家庭裁判所は、一体どのような判断基準で審判を行うのでしょうか。
離婚の際に子の親権を争う裁判でしたら、法律に判断基準は明記されていないものの、過去の裁判例では
「子を養う経済力」
「子と過ごす時間を確保できるのか」
「子との関わりや愛情」
「子の年齢によっては子の意思」
「健康状態」
「教育・居住環境」
などの要素を総合的に考慮して判断されているようです。
しかし、出生直後の子の氏を争っている場合、家庭裁判所が如何なる審判をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示すことができるとは考えられません。
裁判官、検事、法務省大臣官房審議官としても活躍された小池信行弁護士は、
「夫婦の協議で決まらない時の補充的な決定方法を定めておく必要がある」
として、スウェーデンでは
「出生から3カ月以内に決まらない時は母の氏を称するとしている」
ことを例示しておられました。
私は、幸せであるはずの出産直後に、子の氏を巡る争いの種を作ることを、特に懸念していました。
「夫婦別氏制度」
の導入を求める方々からは
「余計なお世話だ」
と批判されるのでしょうが・・・。
■世界に誇れる日本の戸籍制度
「そもそも、戸籍制度を廃止するべきだ」
と主張される方々もおられますが、私は、日本の
「戸籍制度」
は、世界に誇れる見事なシステムだと思っています。
戸籍は、重要な身分関係を明確にするために、血族・姻族・配偶関係を記載した公簿です。
新戸籍と旧戸籍の双方に相手方戸籍を特定表示することから、相手方戸籍を相互に索出でき、両戸籍を連結する記載が可能で、無限の親族関係の広がりを証明することができます。
よって、戸籍の
「公証力」
は、非常に強いものです。
例えば、遺産相続の分割協議手続きでは、
「隠れた法定相続人」
の存否を確認するため、死亡者の戸籍謄本を全て遡ることによって親族関係を確定できます。
重要な契約事も、戸籍で証明するものが多くあります。
この他、戸籍は、近親婚の防止、婚姻要件の調査、出生、死亡、離婚、任意認知、母子家庭の児童扶養手当、障害児童の特別児童扶養手当、母子父子寡婦福祉資金貸付、戦没者遺族に対する特別弔慰金、成年後見の申立手続き、家事調停事件手続きなど、様々な場面で行政・司法の基礎となっています。
20年以上婚姻関係を継続している夫婦間で居住用不動産を贈与した時の配偶者控除の制度でも、戸籍によって、20年以上に及ぶ婚姻関係を把握し立証します。
「他国に例を見ない戸籍制度だから、廃止するべき」
なのではなくて、
「他国に誇れる極めて優れた制度だから、守り抜くべき」
だと考えています。

愚か者! 経団連「夫婦別姓」提言
WiLL2024年8月号 副県立大学名誉教授 島田洋一
2024年6月10日、経団連がいわゆる
「選択的夫婦別姓」

「早期実現」
を政府に求める提言を出した(具体的には民法750条の改正)。
経団連は、夫婦が妻の姓を選ぶことも可能ではあるものの、
「実際には95%の夫婦が夫の姓を選び、妻が姓を改めている」
「そのため、アイデンティティの喪失や自己の存在を証することが出来ないことによる日常生活・職業生活上の不便・不利益といった、改姓による負担が、女性に偏っている」
と言う。
経団連によれば、
「女性のエンパワーメント(強化)において、我が国は世界に大きく立ち遅れており」、
その背後に、
「各社の取り組みだけでは解決できない、女性活躍を阻害する社会制度」
がある。
その代表的なものが夫婦同氏制度だというのである。
まず最初の疑問だが、女性の活躍に関して日本が
「世界に大きく立ち遅れて」
いるというのは本当か。
経団連・十倉雅和会長の頭にある
「世界」
がどの範囲なのか知らないが、少なくとも相当怪しい
「世界観」
だろう。
実際日本において、実力ある女性の活躍が、男の場合以上に阻害されているとすれば、
「女を下に見る」
不見識な経営者や重役が各所に残るでいではないか。
だとすれば、経済界の頂点に位置する経団連会長の責任が相当大きいと言わざるを得ない。
まずは自らの指導力不足を反省すべきだろう。
経団連提言で最も問題なのは、従来
「夫婦別姓」
法制化論で常に論点となってきた、
@親子や兄弟姉妹の間で姓が異なって良いのか
A明治以来の戸籍制度を崩すことにならないか
といった懸念に全く答えていないことである。
そもそも言及自体ない。
これは無責任だろう。
近年、パスポート、マイナンバーカードを始め、旧姓の通称使用が拡大されてきた。
経団連提言も、
「官民の職場では、女性の社会進出の進展を踏まえ、改姓によるキャリアの分断等を避けるため、職場における旧姓の通称としての使用を推進してきた」
「公的証明書や各種国家資格等でも婚姻前の姓(旧姓)の併記が可能になるなど、政府の施策としても通称使用が拡大され、経済界においても、通称使用は定着している」
と述べている。
「経団連調査では91%の企業が通称使用を認めている」
とも言う。
まだ不十分と言うなら、100%になるよう、経団連が強い姿勢で
「立ち遅れている」
経営者を叱咤すべきだろう。
そのための経済団体ではないか。
この問題で慎重論の先頭に立ってきた高市早苗議員は次のように言う。
「結婚すると、夫婦やその間に生まれる子供は同じ戸籍に登載され、姓は『家族の名称』という意味を持つ」
「だが、別姓になれば姓は単なる『個人の名称』になる」
「たとえ『選択制』にしても、家族の呼称を持たない存在を認める以上、結局は制度としての家族の呼称は廃止せざるを得なくなるだろう」
「事は家族の根幹に関わる」
(産経新聞・2021年3月18日)
「国際的トレンド」
云々についても高市氏は、
「日本は日本」
と一蹴する。
経団連は、旧姓の通称使用では問題解決にならない例として次のような
「トラブル」
を挙げる。
カッコ内は私のコメントである。
・クレジットカードの名義が戸籍上の場合、ホテルの予約等もカードの名義である戸籍姓に合わせざるを得ない。
(合わせたら良いではないか。合わせると女性活躍が阻害されるのか)。
・国際機関で働く場合、公的な氏名での登録が求められるため、姓が変わると別人格として見做され、キャリアの分断や不利益が生じる。
(結婚したから姓が変わったと言えば済む話、国際機関を馬鹿にし過ぎてはいないか)
・社内ではビジネスネーム(通称)が浸透しているため、現地スタッフが通称でホテルを予約した。
その結果、チェックイン時にパスポートの姓名と異なるという理由から、宿泊を断られた。
(現地スタッフとの意思疎通をより密にすれば良いだけ。あるいはパスポートに旧姓を併記すればよい。令和3年4月1日以降、申請が非常に簡略化された)
これが、女性にとって
「アイデンティティの喪失」

「自己の存在を証することができない」
ほどの不条理であり、家族別姓しか解決策がない次元の
「トラブル」
だろうか。
この程度の事象にも効果的に対処のマニュアルを示せない経団連では、日本経済停滞も無理はない。

民法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

選択的夫婦別姓 経団連・十倉雅和会長「スピーディーに議論を」自民に要求
2024/6/25 23:24
https://www.sankei.com/article/20240625-GN2CKAAVRFIKFERTR7RAD7JTXQ/
経団連の十倉雅和会長は2024年6月25日の定例記者会見で、自民党が
「選択的夫婦別姓制度」
に関する党内議論を本格化する意向を示したことについて、
「女性の社会進出、社会での活躍を進めたいという思いは一緒だと思う」
「オープンでスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
経団連は結婚後も希望すれば夫婦それぞれが生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる同制度の早期実現を求める提言を2024年6月10日に発表し、2024年6月21日に自民党に提言を提出していた。
経済同友会の新浪剛史代表幹事も2024年6月18日の定例会見で、
「1つの姓を選ばなくてはいけないという非常に不都合なことがずっと放置されたままだ」
と指摘。
「政治が解決しないのであれば経済界がモノを言っていかなければならない」
との認識を示していた。

選択的夫婦別姓議論、自民が3年ぶり再開 慎重派は懸念「保守離れ加速する」
2024/6/25 22:34
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/
選択的夫婦別姓を巡る議論の経緯
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/photo/TNK63PLFCRO4BDS2LNDI5YSMIU/
自民党は近く選択的夫婦別姓を巡る党内議論を3年ぶりに再開させる。
経団連が早期実現を求める提言を発表するなど、家族の多様性を尊重する風潮が背景にある。
とはいえ、保守層を中心に家族の一体感が失われるとして慎重論も少なくない。
保守層が求める早期の憲法改正が一向に進まない中で推進論に傾けば、
「自民離れ」
が加速するのは必至だ。
自民の茂木敏充幹事長は2024年6月25日の記者会見で、
「多様な人材の活躍は社会活力の源だ」
「選択的夫婦別姓は社会全体にも関わる問題であり、国民の幅広い意見も踏まえて、しっかり議論を進めていきたい」
と述べた。
自民の渡海紀三朗政調会長は2024年6月21日、選択的夫婦別姓を含む
「氏制度のあり方に関するワーキングチーム(WT)」
で議論に着手すると表明した。
新たな座長には逢沢一郎党紀委員長を起用する方針だ。
党幹部は
「政権与党として、いつまでも夫婦別姓の議論を棚ざらしというわけにはいかない」
と議論再開の必要性を強調する。
自民は菅義偉政権下の令和3年4月にWTの初会合を開催。
令和3年6月に論点整理をまとめたが、議論が紛糾したため制度導入の是非には踏み込まず、結論を先送りしていた。
しかし、経団連が2024年6月10日、早期実現を訴える政府への提言を発表したことを受け、党内では再び推進派と慎重派が動きを活発化させている。
自民の有志議員で作る
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(会長・浜田靖一国対委員長)
は2024年6月21日、国会内で会合を開き、経団連から提言を受け取った。
浜田氏は
「大変心強い」
「時代の要請として受け止めていく」
と語った。
一方、慎重派で作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(会長・中曽根弘文元外相)
は2024年6月19日に党本部で会合を開き、結婚前の氏を通称として幅広く使用できる環境整備を進めることを確認。
慎重派の議員は
「拙速に議論を進めれば『岩盤保守層』の更なる離反を招きかねない」
と不安を口にする。
岸田文雄首相(自民総裁)も2024年6月21日の会見で、慎重な姿勢を示した。
対立の激化は自民分断の芽となりかねず、党重鎮は
「経団連の手前、議論はしなければならないが、明確な方向性を示すことは難しいのではないか」
と述べた。

<主張>経団連「夫婦別姓」 家族の呼称をなくすのか
社説
2024/6/19 5:00
https://www.sankei.com/article/20240619-I4Q7IU7X5FJQTNZ3V4LDQESQHQ/
結婚後に夫婦が同じ姓を名乗るか、旧姓を維持するか選べる
「選択的夫婦別姓」
について経団連が早期実現を提言した。
十倉雅和会長は、女性の社会進出が進む中で
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、国民の合意を欠いたまま、急ぐ問題ではない。
経団連は従来、夫婦同姓の下で職場での通称使用で対応できるとの立場だった。
別姓推進に転じたのは
「ビジネス上のリスク」
などが理由だ。
経団連が行ったアンケートなどでは職場で旧姓の通称使用が増えている一方、通称では銀行口座などが作れないことや海外渡航、契約で戸籍上の姓と異なることでトラブルが生じていることを指摘した。
だが夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定を変えることは、家族や社会の有り様に関わる。
岸田文雄首相が2024年6月17日の衆院決算行政監視委員会で、選択的夫婦別姓の早期導入の提言に慎重な考えを示し、
「家族の一体感や子供の利益に関わる問題であり、国民の理解が重要だ」
と述べたのは、もっともだ。
夫婦別姓を認めない民法の規定を
「違憲」
だとする訴えに対し、最高裁は平成27年と令和3年に合憲の判断を示し、夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
別姓制が導入されれば、こうした姓の意義が、砂粒のような個人の呼称へと大きく変わる。
専門家によると姓は血縁血統を表すもので、家族の歴史や絆が断ち切られかねない。
同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要がある。
「選択」
と言っても別姓を希望しない人も含め社会に関わる問題だ。
別姓推進論は子供からの視点にも欠ける。
夫婦別姓では、どちらかの親と子が別姓になる。
子供の姓をどうするのか。
祖父母らも絡み、いさかいや分断が起きるのは見たくない。
最高裁の判決では、姓の在り方について国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきだ、としている。
深く理解すべきだ。
住民票や運転免許証、パスポートなどで旧姓を併記できる制度も広がっている。
経団連は、トラブルを嘆くより、我が国の夫婦同姓の意義を国際的に発信し、問題を解消してほしい。

<産経抄>経団連の「夫婦別姓提言」に異議あり       
2024/6/17 5:00
https://www.sankei.com/article/20240617-BKNKSTIQ3FJ2DDKD2AI3HWGCEQ/
夫婦別姓が叶わなくとも、パートナーを守る方法はある
経団連は
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を発表したが、法制化には国民の合意が必要だ
2024年6月の第3日曜は
「父の日」
だったが、
「母の日」
に比べ影が薄い。
父親の地位低下が指摘され久しい。
▼ゲームに押されて、子供のおままごと遊びはあまり見かけなくなったが、やってみてもパパ役はママに叱られ、オタオタする様子を真似するのだとか。
「正論」
を重んじる同僚も、家では言いたいことを言えず、妻や娘たちに阿る日々だという。
それも平和を守る知恵か。
▼だがこちらは黙って見過ごせない問題だ。
経団連が
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を先日、発表した。
十倉雅和会長は
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、拙速に進めては禍根を残す。
▼選択的夫婦別姓は夫婦で同じ姓(氏)にするか、旧姓を名乗るかを選べる制度だ。
民法の改正などが必要となる。
女性の社会進出に伴い、平成8年に法制審議会が導入を求める答申をした。
30年近く経っても法制化に至らないのは、国民の合意が得られないからだ。
財界が
「急げ」
と号令をかける話なのか。
▼最高裁は平成27年と令和3年に、夫婦別姓を認めない民法の規定について
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
選べるならいいじゃないか、別姓を希望しない人には関係ない、と考えるのは早計だ。
専門家からは、姓について家族の呼称から個人の呼称へと大きく変質することが指摘されている。
▼同じ戸籍に同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要があり、社会全体に関わる。
夫婦同姓は子供も両親と姓を同じくすることで利益を享受しやすい意義もある。
別姓では子の姓をどうするか。
双方の祖父母も絡み、決まらない混乱も予想される。

「国民の意見さまざま」 法相、選択的別姓に慎重
2024/6/11 11:24
https://www.sankei.com/article/20240611-JHRCRF76CFIA3LM3MAVGM7R5GY/
小泉龍司法相は2024年6月11日の閣議後記者会見で、選択的夫婦別姓制度の早期実現を求めた経団連の提言に対し
「国民の間にまださまざまな意見がある」
とした上で
「積極的に動きを見極め、対応を検討していくことが必要だ」
と述べ、慎重な姿勢を示した。
法相の諮問機関の法制審議会は1996年、結婚後もそれぞれ婚姻前の名字を使える選択的別姓制度の導入を含む民法改正案を答申。
だが、保守系議員の反対などで法案は提出されなかった。
小泉氏はこの点にも触れ
「国会議員の方々の間でもしっかりと議論をし、幅広い理解を得ていただくため、法務省として積極的な情報提供をしたい」
とした。

「夫婦別姓制度、早期実現を」経団連が初の提言 通称は海外で理解得られずトラブルも
2024/6/10 18:29
https://www.sankei.com/article/20240610-PLZOKGZSLVKTZKDUTL3OBW74UQ/
経団連は2024年6月10日、選択的夫婦別姓制度の実現を求める提言を発表した。
希望すれば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる制度の早期実現を要求。
政府に対し
「一刻も早く改正法案を提出し、国会で建設的な議論を期待する」
とした。
経団連による同制度に関する提言は初めて。
十倉雅和会長は2024年6月10日の定例記者会見で
「世の中は大きく変わっている」
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
現在は婚姻時に夫か妻のいずれかの姓を選べるが、妻が改姓することが圧倒的に多い。
提言では
「生活上の不便、不利益といった改姓による負担が女性に偏っているのが現実」
と訴えた。
経団連の調査では、国内の91%の企業は旧姓などを通称として使用することを認めているものの、通称は海外では理解されづらく、トラブルの原因になることがあると指摘。
「企業にとってもビジネス上のリスクとなり得る」
とした。

主張
夫婦同姓は合憲 家族制度の原則を守った
2021/6/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20210624-BGWW7J52VRJMJFEQ5FVP7KQAZQ/
最高裁大法廷は、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を再び
「合憲」
と判断した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めた平成27(2015)年の最高裁判決を踏襲した。
妥当な判断である。
事実婚の男女3組が、夫婦別姓を希望して婚姻届を提出したが、不受理となり、家事審判を申し立て、最高裁に特別抗告していた。
女性の社会進出や世論など最近の情勢変化を踏まえた判断が注目されたが、最高裁は決定理由で、社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、6年前の判断を変更すべきとは認められない―と判示した。
平成27(2015)年の最高裁の判断を通し、夫婦同一の姓について、男女差別を助長したり、人格を傷付けたりする制度ではないことも明確になっている。
最高裁はこの時と同様、
「制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄」
と指摘した。
平成8(1996)年に法制審議会が、夫婦で同じ姓にするか、旧姓をそれぞれ名乗るか選べる選択的夫婦別姓の導入を答申して25年経つ。
法制化に至らなかったのは、立法府が問題を放置しているというより、国民の十分な合意が得られないからである。
選択的夫婦別姓について、個人の自由で選択の幅が広がる―などと歓迎するのは考え違いである。
導入されれば夫婦同一姓を原則とした戸籍制度が崩れかねず、全国民に影響が及ぶ。
親子が別々の姓になる事態も起きる。
子供の姓を両親どちらの姓にするかなど、諍いや混乱も予想される。
平成29(2017)年に行われた内閣府の世論調査では、夫婦別姓が子供に与える影響について、6割以上が
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えていた。
社会情勢の変化と言うなら、旧姓が通称使用できる企業は増えている。
2年前の2019年には住民票やマイナンバーカードなどで旧姓を併記できるようにするため、政令改正が行われた。
パスポート(旅券)についても旧姓併記の申請が容易になるよう緩和された。
日本の伝統や文化に根差した家族制度の原則を崩す必要はなく、更に働きやすい職場作りなどに知恵を絞る方が現実的だ。
国や社会の基盤である家族の意義に理解を深くしたい。

夫婦別姓認めぬ規定、再び「合憲」 最高裁
2021/6/23 21:54
https://www.sankei.com/article/20210623-WTZ3HHNALJO5RNCEOMMHNPXNAI/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、東京都内に住む事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
最高裁は平成27(2015)年にも夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としており、今回は2度目の判断。
15人中4人は違憲とする意見や反対意見を出した。
決定理由で最高裁は、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着しており、規定に男女の不平等はないとした平成27(2015)年の判断について
「社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、変更すべきとは認められない」
と指摘。
一方で、夫婦の姓を巡りどのような制度が妥当なのかという問題と、憲法違反かどうかを審査する問題とは
「次元が異なる」
とした上で
「国会で論じられ、判断されるべき事柄だ」
と、前回判断に続き、改めて立法での議論を促した。
合憲とした深山卓也裁判官、岡村和美裁判官、長嶺安政裁判官の3人は
「今回の判断は、国会での選択的夫婦別姓制度を含む法制度の検討を妨げるものではなく、国民の様々な意見や社会の状況変化などを十分に踏まえた真摯な議論がされることを期待する」
と、共同補足意見で述べた。
一方、違憲とした宮崎裕子裁判官と宇賀克也裁判官は
「結婚に対する当事者の意思決定は自由かつ平等であるべきで、規定は不当な国家介入に当たる」
などと述べた。
事実婚の3組は、婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記して自治体に提出したが不受理となり平成30(2018)年3月、東京家裁などに家事審判を申し立てたが、却下された。
2審東京高裁でも棄却され、最高裁に特別抗告していた。
結婚後の姓を巡っては、平成8(1996)年に法相の諮問機関・法制審議会が、選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し本格的な議論が始まったが、実現への目処は立っていない。

■夫婦同姓の規定
民法750条は、結婚した夫婦は
「夫または妻の氏」
を名乗るよう規定。
戸籍法でも、結婚時に
「夫婦が称する氏」
を提出書類に記載するよう定めている。
昭和22(1947)年に改正される前の明治民法では
「家の姓を名乗る」
とされていた。
厚生労働省の統計では、平成27(2015)年に結婚した夫婦のうち、96%が夫の姓を選択。
改姓による社会的な不便・不利益が指摘されてきたことなどを背景に、夫婦が希望する場合には結婚後に姓を変えない
「選択的夫婦別姓制度」
の導入を求める声が強まっている。

夫婦別姓認めぬ最高裁判断「家族に一体感」安堵の声も
2021/6/23 20:45
https://www.sankei.com/article/20210623-CEFJAVRIAZIRPHCEU6S7ZFUAEI/
最高裁大法廷が2021年6月23日、6年前に続き、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を
「合憲」
とする判断を示した。
この間の社会情勢や国民の意識の変化を踏まえつつ、国会に議論を委ねた形に。
「違憲」
となれば、新たな対応を迫られる現場からは安堵の声も聞かれた一方、申立人からは決定に不満が漏れた。
「結婚して姓が一緒になることで、家族としての一体感が生まれる」。
結婚生活40年以上になる東京都江東区の男性(71)は、合憲判断に納得の表情を浮かべた。
「子供のことを考えれば、両親が違う姓だと違和感を覚えるのではないか」
とも指摘した。
内閣府の平成29年の調査では、選択的夫婦別姓の導入に向けた法改正42.5%が賛成と答え、反対の29.3%を上回った。
ただ、賛成派に実際に別姓とするかを尋ねたところ、希望するが19.8%、希望しないが47.4%だった。
夫婦別姓が認められれば、子供への心理的影響も懸念される教育現場。
最高裁の決定に注目していた千代田区の幼稚園園長は
「途中で姓が変わった場合に、子供たちの間に動揺が広がらないようにケアするなど、新たな対応が必要になってくるだろうと思っていた」
と打ち明ける。
一方、先祖代々の墓を管理する寺院は、家族観の変化に危機感を抱いていた。
豊川稲荷(愛知県豊川市)によると、旧姓と結婚後の姓の両方を墓石に刻む女性が増えてきているといい、同寺の男性役員(53)は
「夫婦別姓になると、家という概念が失われる可能性がある」
「別姓が認められるのは難しいと思っていた」
と話した。
夫婦別姓には、財産をめぐる問題が持ち上がる可能性もある。
生命保険の受取人は原則戸籍上の配偶者や2親等以内の血縁者に限られており、ライフネット生命保険(東京)の担当者は
「姓が異なる場合、配偶者であることの確認が課題になる」。
同社では事実婚のパートナーらを保険金の受取人にできる仕組みを作っており、
「今後も社会の変化に合わせて検討していきたい」
と話した。

選択的夫婦別姓 社会混乱の引き金に 八木秀次×小島新一・大阪正論室長
ラジオ大阪ぶっちゃけ正論
2021/6/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20210617-C2ELAEDPJ5MIHI5KLUORROEF4A/
■家族名が消える
小島
選択的夫婦別姓制度を導入すべきだという議論が昨年から国会で盛んになりました。
八木
選択的夫婦別姓とは、夫婦同姓、親子同姓という民法の考え方をふまえ、同姓にしたい人はこれまで通り同姓だけど、別姓にしたい夫婦は別姓を選んでもいい。
選択ができるという仕組みです。
一見よさそうに思えるんですよ。
小島
自分たち夫婦、家族は同姓でいたいと考えている人たちも、自分たちの同姓が守られるのならと考えてしまいますよね。
八木
ところが選択的であったとしても、その影響は別姓夫婦にとどまりません。
別姓では、1つの戸籍の中に2つの姓が存在することになります。
戸籍から、家族に共通の姓、ファミリーネーム、家族名がなくなるわけです。
小島
家族名がある戸籍とない戸籍、ある人とない人が共存することはないので、全体として家族名はなくなると。
八木
「氏名」の性格が根本的に変わるんです。
氏名とは、家族名に個人の名前を合わせたものです。
家族名がなくなれば、氏名は純粋な個人の名前になる。
すべての家族から家族名が奪われ、戸籍上、姓が同じ夫婦や子供も、各人の名前の上の部分が重なっているにすぎなくなる。
小島
たまたま上の名が同じということですね。
八木
ええ。
たいした問題ではないと思う人がいるかもしれませんが、社会制度や慣行に影響が及びます。
家族単位、世帯単位で主になされてきたものが崩れて個人単位になる。
■3つの姓から選択も
八木
別姓夫婦だと、子供の姓をいつ決めるのかという問題もあります。
兄弟姉妹で姓は統一なのか、バラバラなのか。
子供が1人だけだと、夫婦で子供の姓の取り合い、押し付け合いにならないか。
すでに結婚して同姓の夫婦も、1年あるいは3年の経過措置期間を設けて別姓を選ぶことができるとしています。
妻、あるいは夫が旧姓を名乗りたいとなった場合、夫婦の間に生まれた子供の姓の選び直しも行われることになる。
複数世代にわたる姓の変更を認めるのかという問題も想定されます。
子供のいる夫婦の妻側の母親、おばあちゃんが実家の姓に戻すという選択をした場合、連動して、妻の姓もおばあちゃんの旧姓に変えられるのか。
旧姓に戻す決断をしたおばあちゃんの娘である妻や孫は3つの姓から選ぶということになりかねない。
おばあちゃんの旧姓、夫の姓、妻の旧姓です。
小島
社会が大混乱しますね。
八木
自民党内では一時、選択的夫婦別姓の導入機運が高まりましたが、こうした現実的な問題点への理解が広まり、賛成意見はしぼみつつあります。

櫻井よしこ氏「保守政党らしからぬ提言に危機感」
2021/5/19 16:40
https://www.sankei.com/article/20210519-FRWVDCNTRVN7PLO57QDGPU2CK4/
選択的夫婦別姓制度の導入に慎重な自民党有志議員を中心に作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」
が2021年5月19日、ジャーナリストの櫻井よしこ、麗澤大学教授の八木秀次の両氏を講師に招いて国会内で会合を開いた。
櫻井氏は
「保守政党としての自民党の矜持」
と題して講演。
安倍晋三政権から菅義偉政権に代わったことで党内に変化が生じていると指摘し、
「保守政党らしからぬ政策提言、法案の提出、そしてそれを通そうとする非常に強い動きに大変な危機感を感じている」
と強調した。
「保守は、よりよい社会や国をつくるために変化はするが、その本質は変えず守っていくことだ」
とも語った。
八木氏は、選択的夫婦別姓を導入した場合の課題について
「多くの人は子供の氏が決まらないことや、氏の取り合いが起こることを懸念して結婚や出産を躊躇する」
「逆に少子化が進む可能性がある」
と指摘。
「現在の戸籍制度の下では、旧姓の通称使用を拡充することが最も現実的な解決策だ」
と訴えた。
一方、会合ではLGBTなど性的少数者をめぐる
「理解増進」
法案についても取り上げられた。
法案をめぐっては、稲田朋美元防衛相が委員長を務める
「性的指向・性自認に関する特命委員会」
が中心となり、立憲民主党などと協議して今国会での成立を目指している。
これについて、山谷えり子参院議員は
「もともとの自民党案は国柄に基づいた内容だったが、超党派の議員立法でガラッと哲学がかわってしまった」
「自民党として認めるには大きな議論が必要だ」
と語った。

異論暴論
正論6月号好評販売中 やるべきことは「夫婦別姓」か?
2021/5/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20210503-QHTMRK3OE5KWVOEUGDN5FVJWZE/
自民党内で選択的夫婦別姓をめぐる論議が起きている。
推進論者からは結婚に伴う改姓によって生じる生活上の不都合や不便が強調されるのだが、そもそも夫婦が別姓になれば親子は別姓を余儀なくされる。
これまでの家族観や結婚観は変わり、子供に与える影響も無視できないはずだ。
正論2021年6月号では
「やるべきことは『夫婦別姓』か?」
を特集した。
高市早苗衆院議員(自民党)は、自民党のこれまでの選挙公約の実現に向け、自身が起草した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
の成立の必要性を強調する。
高橋史朗・麗澤大学大学院客員教授と池谷和子・長崎大学准教授の論文は、推進者たちの主張の見せ方がいかに一面的で、良い面ばかりが強調されたものかを考えさせられる。
ジャーナリスト、平野まつじ氏は夫婦別姓が現実になると、何がもたらされ、どんな弊害が起こるのか、具体的に考えた。
子供の最善の利益をどうするか、という視点がいかに蔑ろにされ、議論のあり方として極めて危ういかがわかる。
党内で提唱される
「婚前氏続称制度」
「ミドルネーム案(結合氏制度)」
など歯牙にかけるに値しない。
選択的であろうが、夫婦別姓の導入は必要ない。

正論
国民の大多数は夫婦別姓望まず 国士舘大学特任教授 日本大学名誉教授・百地章
2021/7/6 8:00
https://www.sankei.com/article/20210706-2KVYJSZJQNPT3OSBPGFYEMTHXA/
■最高裁は合憲判断を維持
2021年6月23日、最高裁大法廷は予想通り夫婦同姓(氏)制は憲法に違反しないと判断した。
しかも合憲とした裁判官は11人と前回の平成27年判決より1人増えている。
平成27年の最高裁判決は、氏には
「家族の呼称」
としての意義があり、その呼称を一つに定める夫婦同姓制には合理性があるとして現行制度を合憲とした。
その上で、夫婦の姓の在り方は国会で判断すべきだとして、国会の立法政策に委ねた。
今回の最高裁決定は、この平成27年判決の立場を維持し、夫婦同姓を定めた民法750条や戸籍法を合憲とした上で、その後の社会の変化や国民の意識の変化を踏まえても、合憲判断を変更する必要はないとした。
これも妥当と言えよう。
ところがマスメディアの中には各種世論調査を引き合いに、別姓支持が国民多数の声であり、夫婦別姓の実現へと誘導するような報道があふれている。
そのため同姓支持を主張することがはばかられるような雰囲気さえある。
確かに内閣府の調査でも別姓支持が平成24年には35.5%だったものが、平成29年には42.5%に増加しており、その傾向は否定できない。
しかし、平成29年の調査でも、
「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだ」が29.3%、
「夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきだが旧姓を通称として使用するのは構わない」が24.4%
あった。
つまり、同姓支持は計53.7%もあり、別姓支持を上回っている。
■別姓望む国民はわずか8%
さらに、別姓支持者の中で自ら
「別姓を希望する」と答えた者は19.8%
にとどまる。
つまり、別姓希望者は支持者(42.5%)の19.8%だから全体でいえば0.08、つまり国民のわずか8%が別姓を希望しているだけである。
平成24年の調査でも別姓希望者は全体の8%にすぎないから、別姓希望者は全く増えていないことが分かる。
そのようなごく少数の希望者のために、明治以来120年以上の伝統を有し、国民の中に広く定着している夫婦同姓制度を改正してしまうのは乱暴ではないか。
この問題は慎重な上にも慎重に対処すべきだ。
夫婦別姓希望者のために、現在では運転免許証、パスポート、さらにマイナンバーカードまで、旧姓を通称として併記することが認められている。
だから、日常生活における彼らの不便はほぼ解消しているはずだ。
にもかかわらず彼らが別姓にこだわるのはなぜか。
今回の決定において反対意見を述べた裁判官の中には、
「家族」
の定義は不明確であるとして否定的に解し、
「姓」

「個人の呼称」
の一部と考えて、夫婦同姓制度は
「個人の尊厳」
の侵害に当たると主張する者もいる。
■「家族呼称」か「個人呼称」か
確かに、憲法24条2項は家族について
「個人の尊厳と両性の本質的平等」
に立脚して制定するよう定めているが、憲法は
「家族の保護」
を否定するものではない。
それどころか、憲法制定時の議会においては
「従来の良き意味の家族制度はどこまでも尊重していかなければならぬ」
(木村篤太郎司法大臣)
との答弁がある。
わが国が批准している国際人権規約でも
「できる限り広範な保護及び援助が、社会の自然かつ基礎的な単位である家族に対し…与えられるべきである」
としている。
それ故、わが国の家族制度は、
「個人の尊厳」

「家族の保護」
によって支えられていると見なければならない。
だからこそ、平成27年の最高裁大法廷判決も、
「家族は社会の自然的かつ基礎的な集団単位であり、氏には家族の呼称としての意義があり、氏の在り方については国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきである」
とした。
それでは、家族制度の基本にかかわる
「姓(名字)」
について、国民はどのように考えているだろうか。
先の内閣府の調査(平成29年)によれば、国民の56.9%は姓を
「先祖から受け継がれてきた名称」
ないし
「夫婦を中心とした家族の名称」
と答えている。
これに対して姓は
「他の人と区別して自分を表す名称の一部」
と考える者は、全体のわずか13.4%にすぎない。
つまり、姓を
「個人の呼称」
の一部と考え、
「個人の尊厳」
を強調する反対意見は、姓を先祖伝来の
「家」

「家族」
の呼称と考える多数国民の意識と相当ズレていることが分かる。
以前、本欄で述べたように夫婦の姓をどう決めるかは、個人個人の問題であると同時に、わが国の家族制度の基本にかかわる公的制度の問題である。
しかも選択的夫婦別姓制は
「ファミリー・ネームの廃止」
につながり
「戸籍解体」
の恐れさえある(「『戸籍の解体』を招く夫婦別姓制」2021年3月29日)。
したがって、自らは希望しないにもかかわらず、
「選択的だから」
「望む人が別姓を名乗るだけだから」
などといった安易な発想で賛成してしまうのは、推進派を利するだけであり、非常に疑問といわざるを得ないであろう。

次世代の党、夫婦同姓規定「合憲」判断を「歓迎」
2015/12/16 19:12
https://www.sankei.com/article/20151216-JTCPST5AN5IUNNFTBEMB2AHLCU/
次世代の党は2015年12月16日、最高裁が夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断したことについて、中野正志幹事長名で
「判断を歓迎する」
との談話を出した。
談話では
「日本社会においては、夫婦、親子が同じ姓を名乗ることが家族の基本であり、家族の一体感を高めてきた」
「一方、夫婦別姓を求める運動では、家族が同じ姓を名乗ることを子供が望んでいることは省みられていない」
と指摘。
その上で
「日本は、既に職場などでの通称使用(旧姓使用)が否定されない社会になった」
「旧姓に拘りを持つ方は通称を用いることが可能であるし、結婚時に夫が妻の姓を選択することも可能である」
としている。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
https://www.sankei.com/module/edit/pdf/2015/12/20151216iken.pdf
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は
「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」
と主張。
「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為に当たる」
と指摘していた。
国側は
「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている」
「婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」
と反論。
規定に違憲性はなく国会の立法不作為にも当たらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/178.html#c19
[政治・選挙・NHK297] 「世界のモデル」とは大笑いだ 亡国の日米交渉に世界が嘆息(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
20. 秘密のアッコちゃん[1484] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月22日 15:34:36 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[922]
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自民・高市早苗氏、岩屋外相は「保守じゃない」 国旗損壊罪法案阻まれた「恨み」明かす
2025/4/22 9:56
https://www.sankei.com/article/20250422-4Z3435Q63BE5HG6QYRDZEKQRBA/
自民党の高市早苗前経済安全保障担当相は21日配信のインターネット番組「文化人放送局」に出演し、昨年2024年12月に岩屋毅外相が中国・北京で王毅外相と会談した際に表明した中国人観光客向けの査証(ビザ)発給の緩和措置について
「意味がよく分からない」
と重ねて疑問視した。
■中国ビザ緩和は米国と逆行
岩屋氏は昨年2024年12月、中国人が観光目的で訪日する際に必要な短期滞在ビザに関し10年間何度でも利用できる
「数次査証」
を新設すると明らかにした。
これまでは5年有効が最長。
1回の滞在期間は現行と同様に最長90日間に限定される。
高市氏は
「何回でも出入りでき、1回当たり90日間でも10年たったら色々な事ができる」
と疑問視し、米国で近年中国共産党員に対するビザ発給制限が進んでいる現状を挙げ、
「米国は危機感を持っている」
「逆行していると思う」
と述べた。
高市氏は岩屋氏について
「人間としてのキャラクターは嫌いではない」
と述べた上で、
「もともと保守系の方ではない」
「長い国会議員生活で1つだけ恨みがあるとしたら、…私の議員立法を潰しました」
とあるエピソードを明かした。
■「自民が右傾化したと思われる」
高市氏は刑法を改正し、日章旗を傷つける行為を処罰する
「国旗損壊罪」
の新設を目指している。
かつて議員立法で提出するため党内審査にかけた所、岩屋氏1人が反対したため国会提出できなかったことがあったという。
当時、岩屋氏は
「そんな法律案を出したら自民党が右傾化したと思われる」
と語っていたと言い、高市氏は
「その法律案は未だに通せていないからそれが唯一の恨みかな」
と振り返った。
■高市氏は昔の石破首相を激賞
番組では平成22年頃に石破茂首相が石原慎太郎東京都知事(当時)と対談した動画も披露された。
尖閣諸島(沖縄県石垣市)に自衛隊を配備する案について首相は当時
「一番いい実効支配を示すことになる」
「『中国に対してどうだ』とか『軍事的に何の意味があるんだ』とか言う人がいる」
「総理が『それをやるんだ』とズバっと言えばいいだけのことだ」
と語っている。
石原氏に
「あなたが総理になったら言うか」
と尋ねられた首相は
「それは言うでしょうね」
「私は」
「中国から何を言われようと、きちんと言い返せるだけの士気と度胸を持たないといけない」
と強調していた。
当時の首相の主張について、高市氏は
「わが党の総裁は凄い人で、素晴らしい内閣総理大臣じゃないですか」
「いいことを言っている」
と持ち上げた上で、現在の日本の現状について
「中国を刺激するからダメということで色々な問題が起きている」
と語った。

野党、岩屋毅外相に矛先 対中ビザ緩和「多くの国民が疑問」 不審者侵入「不可解」
2025/2/4 19:49
https://www.sankei.com/article/20250204-ABTB5MU32ZOLDG5ZX3N6DHJYWI/
2025年2月4日の衆院予算委員会では野党の矛先が岩屋毅外相にも向いた。
立憲民主党の大西健介税制調査会長は、岩屋氏が観光目的で来日する中国人向けの短期滞在ビザ(査証)の緩和措置を表明したことが国民の反発を招いたと指摘した。
東京・赤坂の衆院議員宿舎で岩屋氏の部屋に不審者が侵入した事案にも触れ、石破茂政権への攻勢を強めた。
大西氏は、日本の排他的経済水域(EEZ)内の中国ブイの問題などを挙げ、ビザ緩和を
「多くの国民が疑問に思っている」
と批判した。
また、岩屋氏の更迭を求めるインターネット署名が行われているとして、この背景にビザ緩和などの外交姿勢があると主張した。
岩屋氏は
「無秩序に中国人観光客が増えていくことにはならない」
と訴え、署名運動は
「不徳の致すところだ」
と弁明した。
大西氏は、中国企業から岩屋氏が金銭を受け取った疑いがあるとも指摘したが、岩屋氏は
「断じてない」
と否定した。
大西氏は、中国人観光客の急増を招かないというのであれば、根拠としてビザの発給見込み数などを委員会に示すよう求め、安住淳委員長(立民)が
「協議する」
と引き取った。
不審者侵入事案を巡っては、大西氏が
「非常に不可解で、外交責任者のセキュリティーに関わる問題だ」
として不審者と遭遇した際の状況を尋ねたが、岩屋氏は
「詳細については警備上の理由により答えを控える」
と述べるにとどめた。
大西氏が
「盗聴器などが仕掛けられていないか」
と問うと、岩屋氏は
「自分で調べたが、何の変化もなかった」
と答弁。
大西氏は
「自分で見つけられるものではない」
「専門家に調査してもらわなければ」
と苦笑いする他なかった。
首相は
「任命責任者として、岩屋氏の実績、人柄、公正性に全幅の信頼を置いている」
と語り、国民からの批判の払拭に
「内閣として努めたい」
と強調した。

中国人向けビザ緩和巡り自民が遺憾の意を伝達 岩屋外相「指摘を重く受け止める」
2025/2/4 19:24
https://www.sankei.com/article/20250204-CGP2IHMDPRKE7H5LXH2PDAYOVA/
自民党の中曽根弘文外交調査会長、星野剛士外交部会長、新藤義孝政務調査会長代行は2025年2月4日、外務省で岩屋毅外相と面会し、政府が観光目的で来日する中国人向けの短期滞在ビザ(査証)の緩和措置を決めたことを巡り、党側に強い不満があることを説明し、遺憾の意を伝えた。
岩屋氏は
「党からの指摘を重く受け止めている」
と述べた。
緩和措置は準備に入っていない段階であるため、政府と党が連携して対応することで一致した。
星野氏が記者団に明らかにした。
中国人向けビザの緩和措置を巡っては、外交調査会と外交部会の合同会議で、中国人の訪日が増え、オーバーツーリズム(観光公害)が深刻化するといった懸念や、党側に事前に報告がなかったことに対する不満が噴出した。
岩屋氏が記者会見で
「多分に誤解がある」
と述べたことにも反発が相次ぎ、佐藤正久元外務副大臣はX(旧ツイッター)に
「(党として)とても法案や条約審査ができる雰囲気ではない」
と記した。
岩屋氏の会議への出席を求める声もあるが、星野氏は岩屋氏を合同会議に招くことについて
「その予定は今のところない」
と記者団に語った。

「誤解などしていない」岩屋外相発言が火に油 中国人向けビザ緩和で自民外交部会が紛糾
2025/1/28 13:27
https://www.sankei.com/article/20250128-U4MS2ACGD5IOZIRENIQG5QHELI/
自民党が2025年1月28日、党本部で開いた外交部会と外交調査会の合同会議は、政府が観光目的で来日する中国人向けの短期滞在ビザ(査証)の緩和措置を決めたことを巡り再び紛糾し、岩屋毅外相への批判が相次いだ。
岩屋氏は2025年1月24日の記者会見で、短期滞在ビザ緩和措置への異論が自民内で強いことについて
「多分に誤解がある」
と述べ、緩和措置について
「事前に与党の審査を経て了承を得たことは、過去1度もない」
と発言していた。
合同会議に出席した議員らは、岩屋氏のこの発言に対し
「誤解などしていない」
と次々に反発し、岩屋氏の合同会議への出席を求める意見も出た。
星野剛士部会長は会議後、記者団に対し、
「ビザ緩和に外交部会の了承が必要だとは思っておらず、誤解は全然していない」
と述べた上で、中国による邦人拘束事案や日本の排他的経済水域(EEZ)内へのブイ設置など諸懸案が未解決であることを指摘。
「この時期に緩和するのは、拙速で、バランスを欠くという意見がある」
と説明した。
星野氏は
「全然誤解していないのに誤解しているという記者会見をすることには、皆、心外だ」
と語り、外交部会としての今後の対応について
「外務省側、岩屋氏側がどういう対応をするのかを受けて判断をする」
と述べた。
会議に出席したある議員は産経新聞の取材に対し
「岩屋氏が記者会見であんなこと言ったので、火に油を注いだ」
「『外務省が国会に提出する条約は審議しない』という意見が何人かから出た」
と語った。

中国人ビザ緩和は「無秩序な急増につながらぬ」 岩屋外相、「過去も与党事前審査ない」 
2025/1/27 10:11
https://www.sankei.com/article/20250127-R4AM5LO6KFC3ZON4DFD264CVNY/
岩屋毅外相は2025年1月24日の記者会見で、昨年2024年12月に表明した中国人向け査証(ビザ)発給要件の緩和方針を巡り自民党内で批判が相次いでいることについて、
「多分に誤解がある」
と指摘した。
「我が国の査証は今回の措置も含めて、申請時や入国時に厳格な審査を行っている」
「緩和措置が直ちに中国人観光客の無秩序な急増に繋がるものではない」
と強調した。
岩屋氏は昨年2024年12月25日、北京で王毅外相に対し、中国人が観光目的で訪日する際に必要な短期滞在ビザ(査証)に関し10年間何度も利用できる
「数次査証」
を新設すると明らかにした。
これまでは5年有効が最長だった。
岩屋氏は会見で、数次査証について、
「10年間に渡って無制限の日本滞在が可能とはならない」
「1回の滞在期間は現行と同様に最長90日間に限定され、国民健康保険に加入することもできない」
と述べた。
一方、中国人向けのビザ発給要件緩和の方針については外交部会などの審議を経ずに表明されており、党内で反発が強まっている。
岩屋氏は、ビザの緩和措置について
「事前に与党の審査を経て了承を得たことは過去1度もない」
「外務省で決定、実施している」
と語った。
その上で
「日中関係はセンシティブな事柄で、十分な説明が必要だと思う」
「今後しっかり丁寧に説明していきたい」
と語った。

「石破政権、あまりに前のめり」中国人向けビザ緩和措置に批判相次ぐ 自民党外交部会
2025/1/21 13:27
https://www.sankei.com/article/20250121-6QSFSLMHL5PBLODQBQOWMRO77Q/
自民党が2025年1月21日、党本部で開いた外交部会と外交調査会の合同会議で、政府が観光目的で来日する中国人向けの短期滞在ビザ(査証)の緩和措置を決めたことへの批判が巻き起こった。
出席した議員らは、緩和措置で来日中国人が増加することで、オーバーツーリズムが深刻化するといった懸念を表明。
緩和措置の発表前に、党側に相談や報告がなかったことへの不満・反発も相次いだ。
出席したある議員は、
「石破茂政権の外交は、まず対米関係をしっかりやらなければならないのに、中国に対して余りに前のめりだ」
「岩屋毅外相を呼んでもう1度、合同会議を開くべきだ」
と訴えた。
会議後、記者団の取材に応じた星野剛士外交部会長は
「党内では(緩和措置に対する)厳しい意見が非常に強いことを、しっかり岩屋氏に伝えるよう外務省側にお願いした」
と語った。

岩屋外相の中国人ビザ緩和表明、自民から異論 青山氏「議論ゼロ」有村氏「賛意得られぬ」
2025/1/1 17:00
https://www.sankei.com/article/20250101-MSFKEGH7ZFEPFOHB3EGRYTMSKQ/
自民党の青山繁晴参院議員は、岩屋毅外相が中国人の観光滞在査証(ビザ)に関して10年間繰り返し使用できる数次査証の新設などを表明したことについて、昨年2024年12月31日付のブログで異論を唱えた。
党内審議を経ていないと指摘し、
「日本の同胞より中国の人々を大切にして、どうしますか」
と疑問視した。
■「不条理が全国に」
岩屋氏は同月2024年12月25日、中国・北京で王毅共産党政治局員兼外相と会談し、中国の富裕層を想定し、中国人向けに10年有効のビザ新設を表明した。
これまで観光目的の個人客向けの数次査証は5年有効が最長だった。
団体観光向けビザも緩和し、滞在可能日数に関して従来の
「15日以内」
とは別に
「30日以内」
を創設する。
また、65歳以上の中国人は、個人向けビザで在職証明書の提出が不要になるという。
青山氏はブログで、一連の措置を挙げて
「いずれも自民党の外交部会などの議論がゼロのまま中国側に約束した」
と指摘。
医療目的で来日する中国人が国内の医療機関を圧迫しているとして、
「こうした不条理が、更に全国で拡大する恐れが強まっている」
と危惧した。
その上で
「党の岩盤の支持層だった国民は、決定的かつ致命的な憤怒を、石破茂政権に抱いているのが、ありありと伝わってくる」
と書き込んだ。
■「融和的に出て奏功したことあったか」
有村治子元女性活躍担当相も、同月2024年12月29日にX(旧ツイッター)で強い違和感を唱えた。
「日本に対し、強権的な態度に出れば出るほど、日本は融和的な態度を取ってくれるという間違ったメッセージを送ることになってしまうのではないか」
と書き込んだ。
日中間には懸案が山積している。
アステラス製薬の日本人男性社員らは中国当局にスパイ容疑で拘束されたままで、日本の排他的経済水域(EEZ)には中国ブイが相次いで設置されている。昨年2024年8月には長崎県沖で中国軍機の領空侵犯が初めて確認された。
有村氏は、
「邦人を長期間拘束し解放しない中国に、このような融和的な態度を取る必然性が、一体どこにあるのか」
「暴挙を厭わぬ中国に対し、融和的な態度に出て、国益として奏功した事案など、未だかつてあったのか」
と強調。
「国民世論こぞっての賛意が得られないリスクを冒してまでも、実現しようとしている『それ以上の国益』とは、一体どのようなものになるのか」
と疑問視し、党外交部会の早期開催を訴えた。

中国人訪日客に10年ビザ新設、期間中何度も利用可 高所得者ら想定で経済効果期待
2024/12/25 22:05
https://www.sankei.com/article/20241225-PN7MEIEBQVJJPDONPVBHD6C3FE/
岩屋毅外相は2024年12月25日、北京で開いた閣僚級の
「日中ハイレベル人的・文化交流対話」
で、中国人が観光目的で訪日する際に必要な短期滞在ビザ(査証)に関し、10年間何度も利用できる
「数次査証」
を新設すると明らかにした。
これまでは5年有効が最長だった。
日本政府は、発給対象に高所得者らを想定しており、インバウンド(訪日客)の往来増による経済効果に期待する。
併せて、10年有効の査証を申請できる親族の範囲を拡大。
高齢者単独の個人観光用ビザについては、提出を求めていた在職証明書を不要とする。
団体観光向けビザも緩和し、滞在可能日数に関して、これまでの
「15日以内」
とは別に
「30日以内」
を創設する。
いずれも中国政府が2024年11月に日本人への短期滞在ビザの免除措置を再開したのを受けた措置で、準備が整い次第開始する。(共同)

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/182.html#c20

[政治・選挙・NHK297] 石破自民に分断の危機…トランプ関税“交渉カード”に「コメ」浮上で農水族vs商工族のバトル勃発も(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
20. 秘密のアッコちゃん[1485] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月23日 12:43:29 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[923]
<■128行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
国民健康保険の外国人納付率63% 厚労省が初調査公表
経済
2025年4月22日 19:34
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA22ANK0S5A420C2000000/?msockid=03bbc426d8756d821927d643d90f6c0f
厚生労働省は22日、外国人の国民健康保険(国保)の納付率が63%だったとの調査結果を明らかにした。
世帯主が外国人の場合を抜き出して集計できる全150市区町村の集計で、初の調査となる。
同じ150市区町村で日本人も含めた全体の納付率は93%だった。
外国人の納付率の低さが浮き彫りになった。
自民党の在留外国人の医療に関するワーキンググループ(WG)の会合に提示した。原則として2024年4〜12月の金額ベースで納付率を調べた。
外国籍を持つ人でも在留期間が3カ月を超え、勤務先の健康保険組合などに加入していない場合は国保に入る必要がある。
自営業者や留学生らが該当する。
自民党WGの自見英子座長は会合後、記者団に
「マンパワーの限界など自治体だけでできることの領域を超えている部分があるのではないかとの指摘があった」
と語った。
自治体担当者らからの聴取を進め、納付率を高める対策を練る。

<主張>外国人の高額療養 ただ乗り許してはならぬ
社説
2025/4/11 5:00
https://www.sankei.com/article/20250411-XA2BLDFZDRORFHCMQP6JBRWGSU/
医療費が高くなった患者の自己負担を抑える高額療養費制度を巡り、外国人が短期間の滞在でも適用されることに疑問の声が上がっている。
外国人は留学や就労などで在留期間が3カ月を超えた場合、国民健康保険(国保)の対象となり、医療を原則3割の自己負担で受けられる。
高額療養費制度による医療費の軽減も適用される。
問題なのは、病気と分かってから留学や就労などの名目で来日し、短期間の滞在で日本の医療制度の恩恵を受けるケースだ。
医療目的で日本に滞在する場合、本来は国保に加入できない。
不正利用は徹底的に排除されなければならない。
国民民主党の玉木雄一郎代表はSNSで
「90日の滞在で数千万円相当の高額療養費制度(の軽減)を受けられる現在の仕組みは、より厳格な適用となるよう、制度を見直すべきだ」
と指摘した。
日本維新の会は国会で
「不正使用の抜け穴を塞ぐ仕組みが必要だ」
と求めた。
これに対し福岡資麿厚生労働相は
「実態を把握しながら適正な利用に向けて取り組みたい」
と答えた。
改正住民基本台帳法の施行で、平成24年から外国人登録制度が廃止された。在留期間が3カ月を超える外国人を住民登録するようになり、3カ月超の滞在で国保に加入できるようにした。
それまでは1年の在留期間を満たす必要があった。
法務省、厚労省、自治体などは連携を密にして在留資格を厳しく管理しなければならない。
同時に加入要件の厳格化を検討すべきではないか。
日本では昭和36年に国民皆保険を実現させた。
大病にかかったり、大事故に遭ったりしても、過度な自己負担なく治療が受けられるのは、健康な時に保険料を納めた者同士による助け合いのたまものだ。
国民皆保険は日本が世界に誇る
「財産」
であり、それを支える制度の1つが国保だ。
さして保険料を納めずに果実だけ得ようとする
「ただ乗り」
を許してはならない。
少子高齢化の進展により医療費は今後も膨れ上がることが予想される。
高額療養費の不正利用がまかり通ってしまえば、公的医療保険制度の信頼が損なわれ、医療費の負担を巡る議論に水を差すことになろう。

1年111億円、短期滞在の外国人の高額療養費制度利用に疑問の声「厳格適用すべき」
侵食〜「移住」
2025/3/15 18:19
https://www.sankei.com/article/20250315-55XYDEGTVVJ7XNJKQ64SZOGH34/
外国人による日本の医療制度利用は、度々国政の舞台でも問題提起されてきた。
特に医療費の支払い負担を抑える
「高額療養費制度」
について、外国人が短期間の滞在でも適用される現状を疑問視する声が挙がっている。
「僅か90日の滞在で数千万円相当の高額療養費制度を受けられる現在の仕組みは、より厳格な適用となるよう見直すべきだ」。
国民民主党の玉木雄一郎代表は2025年2月15日に自身のX(旧ツイッター)で、こう指摘した。
現行制度では原則住民票が作成され、3カ月以上の在留期間を有する外国人は、国民健康保険などに加入した上で、制度の利用が可能だ。
玉木氏はXで
「現役世代が苦労して支払う社会保険料は、原則、日本人の病気や怪我のために使われるべきだ」
と訴えた。
また、立憲民主党の長妻昭代表代行は2025年2月17日の記者会見で
「保険は負担と給付とのバランスだ」
と述べ、外国人による制度の利用実態を調査する意向を示した。
自民党の河野太郎前デジタル担当相も2025年2月16日に自身のブログに
「病気と分かった上で来日し、中長期滞在しながら国民保険に加入して治療を受けることを防ぐことが必要だ」
と記した。
与野党からこうした指摘が相次ぐのは、膨張する医療費への対策が待ったなしだからだ。
2025年夏の参院選を見据えて各党は医療費削減に向けた具体策を打ち出すことが求められている。
保守支持層を取り込む狙いも透け、今後、与野党の論戦が更に活発化する可能性もある。

■高額療養費制度、セーフティネットの役割
高額療養費制度は高額な治療を受けた場合に負担が重くなり過ぎないよう1カ月当たりの支払いを一定にとどめる仕組みで、セーフティーネットの役割がある。
病気や怪我の治療にかかる自己負担は原則1〜3割だが、上限額を超えた部分は公的医療保険から給付される。
年齢や年収によって上限額は異なる。
長期療養の負担軽減のため、直近12カ月以内に3回利用すると、4回目からは上限額が下がる。
令和4年3月から5年2月までの高額療養費支給額は9606億円。
外国人への支給は約1・15%に当たる111億円だった。
政府は、患者の支払いを増やして医療保険財政を安定させ、現役世代などの保険料負担を軽減するため、上限額の引き上げを図った。
だが、批判が噴出し、石破茂首相は二転三転の末に引き上げの全面凍結を決断した。

<主張>高額療養費 引き上げより他の方法を
社説
2025/3/8 5:00
https://www.sankei.com/article/20250308-3UQIHXXORJLDLJMRFZIQUJKSWA/
政府は医療費が高くなった患者の自己負担を抑える高額療養費制度について、今年2025年8月からの上限額の引き上げも見送る方針を固めた。
令和8年8月からの在り方に関し今秋2025年秋までに結論を出す。
制度見直しの政府案が修正されれば3度目となる。
これにより引き上げそのものが一旦
「白紙」
になる。
そもそも引き上げは拙速だったと言わざるを得ない。
医療の高度化などに伴い、公的医療保険の財政が逼迫している。
医療保険制度の持続可能性を高めるために、給付と負担の見直しが必要なのは当然だ。
だが、それが高額療養費制度の上限額引き上げでいいのか。
国民皆保険制度の意義は、大病にかかっても経済的な不安なく治療を受けられることにある。
石破茂首相は
「(高額療養費)制度を守っていかなければ、命を守ることはできない」
とするが、政府案は引き上げ幅が大きく、受診抑制が懸念されていた。
抗がん剤や大手術など命に関わる治療を断念することになっては、本末転倒だ。
上限額の引き上げは少子化対策の財源確保とも関係がある。
岸田文雄前首相は、医療保険料に上乗せして徴収する
「子ども・子育て支援金」
を創設する際、社会保障費の歳出改革などで
「実質的な負担は生じない」
と説明し、歳出削減で医療・介護サービスが低下する可能性への言及を避けてきた。
そこで政府は高額療養費制度の自己負担上限額を見直し、保険料負担を軽減しようとした。
だが、少子化対策の財源を十分確保できなかったつけを、高額療養費制度を利用する患者に回すのはおかしい。
医療保険の限られた財源をどこに使うかの優先順位を精査すべきだ。
風邪の時に使う解熱剤や湿布などを処方薬から外し、医療保険の適用外にするなどの対策をとれば同制度に手を付けずに済むのではないか。
政府は2025年2月14日に長期の治療が必要な患者の負担を据え置く考えを示した。
2025年2月28日には予定していた令和7年8月の引き上げは維持しつつ、令和8年8月以降の制度設計を今秋までに再検討すると表明した。
そして3度目の修正である。
場当たり的対応では社会保障制度をどう維持するかの理念が見えてこない。
2025年夏の参院選対策と言われてもやむを得まい。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/183.html#c20

[政治・選挙・NHK297] 共産・小池議員の追及に石破総理が“ぺこり”「総理はいつもそうやって話をずらしていく。ずらしてますよ」米軍駐留経費めぐり… 達人が世直し
19. 秘密のアッコちゃん[1486] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月23日 22:19:48 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[924]
<■2429行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
石破首相の戦争検証「中止」求める方針 自民保守系グループ、青山参院議員ら確認
2025/4/23 20:38
https://www.sankei.com/article/20250423-KQOTHWBDT5ODZDDOVPG2QZ6U7E/
自民党の保守系グループ
「日本の尊厳と国益を護る会」
(代表・青山繁晴参院議員)
は2025年4月23日、総会を国会内で開き、戦後80年の節目に石破茂首相が調整している先の大戦の検証について、中止を求める方針を確認した。
首相官邸に申し入れる方向で日程を調整する。
首相宛ての要請文では安倍晋三元首相が発表した戦後70年談話で
「謝罪外交を明確に終えることになった」
と強調。
「有識者による戦争検証は中国や韓国に対してわが国を非難する口実を再び与える可能性が高い」
と懸念を示した。

<主張>首相と戦後80年 靖国神社参拝を最優先に
社説
2025/4/14 5:00
https://www.sankei.com/article/20250414-XNG5AIBCWNILJKPBOMIVB2JYWA/
戦後80年の今年2025年、石破茂首相は先の大戦(大東亜戦争)を検証したい考えだ。
近く有識者会議を設置し、その報告を踏まえて、歴史観や戦争への見解を首相自身が会見で表明したいのだという。
一方で、自民党内の懸念の声を受け、戦後80年の首相談話を終戦の日に出すことは見送る。
石破首相に強く求めたい行動がある。
それは、春秋の例大祭や終戦の日などの機会に、靖国神社を参拝することだ。
談話よりも、有識者会議よりも、記者会見で私見を披露するよりも、礼を尽くして戦没者(英霊)を追悼、慰霊する方が、遥かに大切である。
日本は大東亜戦争で、陸海軍人、民間人など合わせて310万人の同胞を喪(うしな)った。
日本史上最大の悲劇といってよい。
戦争に思いを致すなら、靖国神社参拝こそが最もふさわしい振る舞いである。
靖国神社は近現代日本における戦没者追悼の中心施設だ。
戊辰戦争や日清・日露の戦役なども含め、日本を守るため斃(たお)れた246万余柱の英霊をお祀(まつ)りしている。
境内の鎮霊社では、空襲などで亡くなった一般国民を祀っている。
どの国も、伝統的様式に沿って戦没者を追悼している。
それが、国に殉じた人々への礼節ある態度である。
国を守るため尊い命を捧げた日本の英霊にとって、靖国神社に祀られることは自明だった。
政治リーダーの参拝は日本国と英霊の約束に含まれる。
もちろん最も大切なのは天皇陛下の御親拝である。
ところが、昭和後期以降、中韓両国の内政干渉などで首相の参拝が政治問題化し、多くの首相が参拝しなくなった。
勅使の参向はあるものの御親拝は途絶えた。
首相就任前の昨年2024年9月、石破首相は、天皇陛下の御親拝の環境が整わなければ自身は参拝しない考えを示した。
倒錯した発想で理解し難い。
首相が参拝を重ね、御親拝の環境を整えていくのが務めではないか。
自民党(石破総裁)の今年2025年の運動方針には
「靖国神社参拝を受け継ぎ」
とある。
首相は昨年2024年、靖国神社秋季例大祭に合わせ真榊(まさかき)を奉納した。
尊崇の姿勢が真実であるのなら、戦後80年の今、中韓両国や心ない左派勢力に阿(おもね)ることはない。
参拝して英霊に頭(こうべ)を垂れてほしい。

80年談話と「東海」呼称問題に懸念 立民・亀井亜紀子氏「韓国に蒸し返されないように」
2025/4/9 12:59
https://www.sankei.com/article/20250409-XPBLPDSX3VDTRMIGFOKD3XBKOU/
立憲民主党の亀井亜紀子衆院議員は9日の衆院外務委員会で、石破茂首相による戦後80年談話の発出や先の大戦を検証する有識者会議の設置に懸念を示した。
拓殖大の下條正男名誉教授が
「戦争検証で有識者会議を立ち上げて喜ぶのは韓国の反日勢力だ」
「蒸し返しが起き、日韓関係が離れていく」
と指摘していることを紹介し、
「80年談話は出さないということでよろしいか」
と尋ねた。
■外相「決定していない」
これに対して、岩屋毅外相は
「新たな談話を発出するかは決定していない」
「これまでの経緯を踏まえ、様々な点から考えたいというのが現段階での首相の方針だ」
と述べた。
首相は戦後80年の節目に合わせた首相談話の発出を見送る方針を固めた一方、先の大戦を検証する私的諮問機関を設置し、有識者らから意見聴取し戦争に対する見解を会見で表明する方向で調整している。
下條氏は、亀井氏の地元・島根県が設置した県竹島問題研究会の座長を務めている。
韓国が不法占拠する竹島(島根県隠岐の島町)を巡っては、島根県が毎年2月22日、
「竹島の日」
記念式典を主催しているが、政府は例年、閣僚の派遣を見送っている。
一方、2月7日の
「北方領土の日」
に開かれる返還要求全国大会は政府主催で、首相や閣僚が出席している。
■「世界の地図97%が日本海呼称のみ」
亀井氏は
「なぜ北方領土と竹島で国の取り組み方が違うのか」
「県民みんなの疑問だ」
と質したが、今井絵理子内閣府政務官は
「それぞれ領土問題を巡る経緯や状況が異なることから単純に比較することは困難」
と述べるにとどめた。
また、外務省の担当者は、日本海について韓国が自国の呼称
「東海」
の使用を国際社会に働きかけたことについて
「現在では韓国および北朝鮮を除く、世界の主要各国の地図の97%以上が日本海という呼称のみを使用している」
と明言し、
「今後も国際社会に日本海呼称に対する正しい理解と支持を得るべく務めていく」
と語った。
亀井氏は
「日本海と書かれた中に竹島があると、如何にも日本の領土のように見えるから、名称を東海に変えようとしている戦略的な韓国側の立場がある」
「蒸し返されたりしないようにお願いしたい」
と訴えた。

<産経抄>石破首相の戦争検証はうぬぼれか独善
2025/4/5 5:00
https://www.sankei.com/article/20250405-DJCWU7F6XRPXHMXGBBQUDXLCYU/
平成22年8月、時の菅(かん)直人首相は日韓併合100年に当たり韓国に
「痛切な反省と心からのお詫び」
を表明した首相談話を発表した。
当時、若手外交官がこう嘆くのを聞いた。
「政治家は談話で自分の名前を歴史に残したがるが、危険性を分かっていない」
「韓国への下手な謝罪は中国や周辺国を刺激し、問題は飛び火する」。
▼平成7年8月、日本の植民地支配と侵略にやはり
「痛切な反省と心からのお詫び」
を表明する談話を出した村山富市元首相は20年が経っても自賛していた。「談話が出てから今日まで、歴史問題で日韓、日中関係が色々ガタガタすることはなかった」。
政治家の自慢話は、事実関係を超越することがある。
▼実際はどうか。
村山談話発表から3週間も経たない平成7年9月、中国の江沢民国家主席(当時)は演説で強調した。
「ここ数年、日本では侵略の歴史を否定し、侵略戦争と植民地支配を美化しようとする論調がしばしば出ている」。
日本の善意は一顧だにされず、談話の効果など見られない。
▼石破茂首相は今夏2025年夏の戦後80年に際して戦争の検証を行い、自分の思いを何らかの声明に込めて発出するという。
恐らく日本の将来のために良かれと考え、その行為は正しく有意義だと信じているのだろう。
だが、それは自惚れか控えめに言って独善である。
▼哲学者、ニーチェは喝破する。
「或る者たちは、自らの一握りの正義を誇り、この正義のために、一切の諸事物に対して罪を犯す」。
根拠もなく慰安婦募集の強制性を認めた河野談話を出した河野洋平元官房長官も、
「或る者たち」
の1人と言えよう。
▼政治家の個人的な思いで過去を断罪したり、評価したりされて困るのは我々の子々孫々である。

「どれだけ大変か分かっているのか」党重鎮の助言で戦後80年談話見送りも検証にこだわり
2025/3/27 19:08
https://www.sankei.com/article/20250327-KRONHKWNTBMMDE762J3KCOUA2Y/
石破茂首相は戦後80年の首相談話を見送る方針を固めた。
一方で、先の大戦の検証は行い、所感も公表する方向だ。
「戦後レジームからの脱却には検証が必要」
というのが首相の持論だからだ。
だが、有識者は
「如何なる形でも新たな検証は外交上のリスクとなり得る」
と指摘する。
「正しい判断だ」
「唯我独尊で談話を出しても孤立するだけだ」。
自民閣僚経験者は見送りに安堵の表情を浮かべた。
首相談話を巡り、首相は2025年1月のシンポジウムで
「今を逃して、戦争を検証することはできないだろう」
と発言。
側近の間では談話発出を容認する意見もあったが、党内保守派が一斉に反発し、新たな火種となりかけていた。
事態を重く見た1人が麻生太郎党最高顧問だった。
「絶対に出すべきではない」
「安倍晋三(元首相)氏がどれだけ苦労したか分かっているのか」。
関係者によると、麻生氏は首相に戦後70年談話は安倍氏が半年ほどかけて準備したと伝え、外交上も影響が大きいと説いた。
首相は
「そこまでされていたのですか」
と漏らしたという。
その後、首相は徐々に後退し、最近は周囲に
「談話には拘っていない」
と語るようになった。
ただ、首相は戦後の自衛権が限定されている現状への問題意識は強く、
「日本の自主独立のためには先の大戦の敗戦は検証が不可欠だ」
との強い思いを持つ。
「戦前の軍部に対する文民統制が機能せず、不幸な戦争に国民を突入させた」
との認識が強く、今回の検証では先の大戦における戦争当事国への言及を控え、かつての軍部の暴走に焦点を当てる考えだ。

石破茂首相、先の大戦検証へ有識者らの会議体設置へ 戦後80年談話の発出は見送り
2025/3/27 16:09
https://www.sankei.com/article/20250327-BYQACDEH4ZMKNNIYUL253KGIO4/
石破茂首相は2025年8月15日の戦後80年の節目に合わせた首相談話の発出を見送る方針を固めた。
一方で、首相は先の大戦を検証するために、有識者らによる会議体を設置して2025年4月から意見聴取を開始する。
その結果を踏まえ、歴史観や戦争に対する見解を記者会見などで表明する方向で調整している。
先の大戦に関する首相談話は、平成7年の戦後50年から10年ごとに過去3回、政府が閣議決定した上で公表してきた。
首相はかねて戦争の検証に強い意欲を示しており、謝罪の側面を強調した戦後80年の談話を再び出したいのではないかとの見方が広がった。
ただ、自民党内では保守派を中心に、戦後70年の安倍晋三首相談話で戦後の
「謝罪外交」
に区切りがついているとして、新たな首相談話は
「謝罪外交に逆戻りする」(自民中堅)
と反発が強かった。
参院選が迫り、支持率が低迷する政権に対して党内では
「石破おろし」
の雰囲気もくすぶる中で、首相は党内の火種を生むことは避ける方向に判断が傾いたとみられる。
首相は談話の発出を見送る一方で先の大戦の検証には着手し、2025年4月にも有識者から意見聴取を始める。
見解表明の日時や形式は、2025年夏の参院選後に最終決定する見通しだ。
ただ、70年談話の起草に携わった麗澤大の八木秀次教授(憲法学)は「70年談話で謝罪外交に区切りが付いた」とした上で、「いかなる形式でも首相が新たに『戦争検証』するのは、対米、対中関係の外交戦略上の観点からも非常にリスクが高い」と指摘する。

選択的夫婦別姓や戦後80年談話「必要ない」 支持離れ阻止へ自民保守系の大同団結なるか
政界徒然草
2025/2/19 6:00
https://www.sankei.com/article/20250219-76A4GUTMMVNZ5BK4OSOJ42XFIY/
今の自民党は本当に保守政党なのだろうか…。
こんな疑念を振り払おうと、自民の保守系議員が発信を強めている。
家族のあり方を変える可能性がある選択的夫婦別姓制度の導入や、石破茂首相(自民総裁)による戦後80年談話の発出に異論を唱え、推進派を牽制している。
透けて見える危機感は岩盤保守層の
「自民離れ」
だ。
安倍晋三元首相の死後、結集軸を失った保守系は左傾化≠ノ歯止めをかけられるのか。
■高市氏「国民との約束守れ」
2025年2月12日午後、東京・永田町の自民党本部で開かれた
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
の会合。
保守政治家を自任する高市早苗前経済安産保障担当相が、近年の国政選挙で自民が旧姓の通称使用拡大を公約に掲げてきたと指摘し、
「国民との約束をまず守るべきだ」
と訴えた。
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、自民内は賛否が混在している。
「WTの議論を見守りたい」(中堅)
という推進派をよそに、活発的な動きを見せているのが慎重派だ。
2025年2月12日の会合には約50人が出席したが、中堅議員は
「推進派は10人ぐらいだった」
と説明した。
2025年2月4日には高市氏が顧問を務める有志グループ
「保守団結の会」
が、2025年2月5日には生前の安倍氏が会長を務めた保守系議員連盟
「創生『日本』」
がそれぞれ会合を開き、同制度導入への危機感を共有した。
慎重派からは経済対策や防衛力強化などを念頭に、
「選択的夫婦別姓の議論が、我が党の優先事項なのか」(ベテラン)
といった声も漏れる。
■安倍談話の上書き警戒
保守系は石破首相による戦後80年談話の発出にも慎重だ。
自民の外交部会と
「日本の名誉と信頼を確立するための特命委員会」
は2025年2月17日に合同会議を開催。特命委の有村治子委員長が
「当然ながら、10年に1度談話を出さなければいけない決まりはない」
「実際、終戦から50年間は首相談話は出ていない」
と語気を強めた。
昨年の総裁選で石破首相と争った保守系の小林鷹之元経済安保担当相も先月2025年1月30日、80年談話について
「出す必要は全くない」
と突き放した。
今月2025年2月4日のBSフジ番組では
「70年談話は幅広い層の国民が共有できる内容だ」
「70年談話を更に上書きするような談話を、正直想像できない」
と語った。
保守系は、平成27年に安倍氏が出した戦後70年談話により、従来の
「謝罪外交」
に区切りを付けたとの見方を共有している。
安倍氏と歴史観が異なる石破首相により、談話が上書きされることへの懸念は根強い。
政府が観光目的で来日する中国人向けの短期滞在ビザ(査証)の緩和措置を決めたことに関しても、事前に報告がなかったとして保守系を中心に自民内は紛糾した。
中曽根弘文外交調査会長らは2025年2月4日、岩屋毅外相と面会し、党側に強い不満があることを説明した。
■小異を捨てられるか
一連の動きの背景には保守系の焦りがある。
リベラル色の濃いLGBT理解増進法の成立などを受けて岩盤保守層が離れた結果、昨年2024年の衆院選では自民の保守系議員が落選を余儀なくされたとされる。
石破政権下でも
「保守回帰」
はなされておらず、2025年夏の参院選では選択的夫婦別姓制度導入に慎重姿勢を示しつつある国民民主党などに保守票を奪われる懸念が広がっている。
ただ、保守系のまとめ役として安倍氏が君臨していた時代とは異なり、今は
「大同団結」
とは程遠い状況にある。
通称使用拡大で党内をまとめる方向性こそ一致しているものの、党内には複数の通称使用拡大案が存在し、一本化は見通せていない。
今国会では立憲民主党が選択的夫婦別姓を可能とする民法改正案を提出する構えを見せている。
保守派が対抗するには小異を捨てることが不可欠だが、
「自公が少数与党に陥り、令和7年度予算案の審議もある中、どこまで議論に力を入れられるかは分からない」
と語る自民関係者の表情は不安げだ。

戦後80年談話、謝罪外交逆戻り警戒 石破首相は発出に意欲か 夏の参院選控え神経戦
2025/2/18 17:08
https://www.sankei.com/article/20250218-TUUYLSTD2FNTPBGWR5EHE45IUM/
石破茂首相が2025年8月15日の戦後80年の節目に合わせた談話の発出に意欲的と受け取れる発言をして、自民党内に警戒感が広がっている。
新たな談話を出せば、10年前の安倍晋三首相(当時)の戦後70年談話で終止符を打った戦後の謝罪外交に逆戻りする懸念があるためだ。
保守派からは
「逆戻り」
批判、リベラル勢力からは
「謝罪が不十分」
と相異なる批判が噴出する可能性もあり、2025年夏の参院選を控え、水面下の神経戦の様相も帯びている。
「80年談話で付け加えるべきことはない」。
自民の稲田朋美元政調会長は2025年2月18日の衆院予算委員会でこう訴えた。
これに対し、答弁に立った林芳正官房長官は
「発出するか否かは決定していない」
「様々な観点から考えて参りたい」
と肯定も否定もしなかった。
戦後50年の村山富市首相談話は
「植民地支配と侵略」
により
「アジア諸国の人々に多大の損害と苦痛を与えた」
と言及し、
「痛切な反省と心からのお詫びの気持ち」
を表明した。
戦後60年の小泉純一郎首相談話もこれを踏襲。
だが、反日的な外交カードとして中国や韓国に利用されてきた。
そこで安倍氏は戦後70年談話で
「私たちの子や孫、そしてその先の世代の子供たちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」
と明言し、
「無定見な謝罪から決別」(稲田氏)
を試みた。
2025年2月17日の自民の
「日本の名誉と信頼を確立するための特命委員会」
などの会議では、
「戦後70年談話は歴史認識問題を政治問題化させないようピリオドを打った」
という評価を概ね共有した。
有村治子委員長は
「10年に1度談話を出さなければいけない決まりはない」
と強調した。
「でも首相は出したがっている」。
こう語る自民の閣僚経験者は
「左右双方から火を噴き、夫婦別姓以上の騒ぎになる」
と憂慮する。
先月2025年1月29日のシンポジウムで、首相は
「敢えて『敗戦後』というが、『終戦』では事の本質を間違える」
「今を逃して戦争の検証はできない」
と語った。
謝罪の側面を強調した談話を再び出したいのではとの見方が広がった。
岩屋毅外相に先月会った自民議員によると、岩屋氏は
「50、60、70年と出して80年で出さないのは…」
と意欲を示したという。
連立を組む公明党も反対していない。
自民の保守派には、歴代最長だった安倍政権への反動を懸念する声もある。
石破首相の周囲には当時非主流派として過ごし、対抗心を持つ議員がいるためだ。
閣僚経験者は
「安倍談話で十分だと言うと逆に出したくなる人がいる」
と解説する。
「『石破VS安倍』の対立構図になると首相を刺激してしまう」。
ある議員は語る。

自民・稲田朋美氏「危険ですらある」戦後80年の石破談話 林官房長官は発出「決定せず」
2025/2/18 10:55
https://www.sankei.com/article/20250218-U733OQCCVBAERH7AOACAKMPLZY/
林芳正官房長官は2025年2月18日午前の衆院予算委員会で、石破茂首相が検討している戦後80年の石破談話発出について
「現時点で新たな談話を発出するか否かは決定をしていない」
「今後の対応については、これまでの経緯も踏まえながら、様々な観点から考えてまいりたい」
と述べた。
自民党の稲田朋美氏への答弁。
稲田氏は平成27年の戦後70年の安倍晋三首相談話の
「私たちの子や孫、そしてその先の世代の子供たちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」
「謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります」
という部分を挙げ、
「初めて戦後レジームからの脱却を掲げた安倍氏の談話の核心だ」
と語った。
「当時の国際情勢から日本の歩みを日本の立場から辿り、無定見な謝罪からは欠別し、100年先を見据えた未来志向のものとして高く評価できる内容だ」
と述べた。
その上で、
「(戦後50年の)村山談話、60年談話の謝罪を終わらせ、100年先の日本のあるべき姿を示した以上、80年談話で付け加えるべきことはない」
と強調し、林氏に政府の方針をただした。
林氏は
「石破内閣は、これまでの首相談話を含め歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく」
とした上で、戦後80年談話発出の有無は
「決定をしていない」
と述べた。
「国際社会が転換期を迎え、自由で開かれた国際秩序が揺らぐ中で、2025年の様々な機会を捉え、世界の平和と繁栄に向けた未来志向の戦略的発信に努めていきたいと考えている」
とも語った。
これに対し稲田氏は
「ここで中途半端な談話を出すことは危険ですらあると感じる」
と牽制した。
「村山談話、60年談話と安倍談話は全く違う」
「謝罪から決別したものになっている」
「戦後レジームからの脱却の旗のもとで、未来志向で将来世代に謝罪という宿命を負わせない、歴史認識を二度と外交カードにさせないといった、70年談話に込められた安倍氏の思いを無駄にしないでいただきたい」
と強調した。

戦後70年安倍談話「国内外世論の最大公約数」有村治子氏「10年に一度出す決まりない」
2025/2/17 17:48
https://www.sankei.com/article/20250217-U6KF6THPDNFEXP6WCAVOUV4W54/
自民党の日本の名誉と信頼を確立するための特命委員会(委員長・有村治子元女性活躍担当相)は2025年2月17日、外交部会と合同会議を開き、戦後70年の安倍晋三首相談話に関する政府の有識者会議
「21世紀構想懇談会」
で座長代理を務めた北岡伸一東京大名誉教授を招き、談話発出の経緯を振り返った。
有村氏は挨拶で戦後70年談話について
「国内外の世論の最大公約数をまとめた」
と指摘した。
有村氏の発言要旨は以下の通り
■安倍氏「いやぁ保守からもリベラルからも」
今年は終戦80年、私たちの多くが生まれ育って青春時代を過ごした昭和から数えて100年、自民党が結党して70年という年回りで、70年談話で言及される日露戦争終結から120年という年回りでもある。
120年、100年、80年、結党70年と、まさに時間軸に思いをはせる節目の年になる。
終戦50年に社会党出身だった村山富市首相が50年談話を出された。
終戦60年には小泉純一郎首相が60年談話を発せられ、そして10年前の終戦70年には安倍晋三首相が70年談話を出された。
2015年8月14日、70年談話が出された直後2人でお話しする機会があった。「練りに練って練られた上での談話ですね」
と話したら、安倍総理は笑いながら、
「いやぁ、保守からもリベラルからも相当厳しく言われて、その概ね合意形成ができ、各国でも好意的に認められたことは、ほっとしたよ」
と笑顔を浮かべていた。
当然ながら、10年にいっぺんずつ談話を出さなければいけない決まりはない。
実際、終戦から50年間は総理大臣談話は出ていない。
改めて今年2025年終戦80年で10年前に何が起こったのか。
■謝罪だけでなく感謝に焦点
謝罪にフォーカスが当たっていたのを謝罪だけではなく、感謝の言葉に焦点が当たるようにしている。
過去の限られた時間軸だけではなく、日露戦争まで言及して、未来志向というフォーカスに当たっている。
分断だけではなく、皆さんの協力があって日本が戦後、国際社会に復帰し、そしてその世界の統合ができたことを静かな誇りにしている。
戦後の歩みにまでフォーカスが行くようにしており、国際協調の責任を果たす日本というイメージを強調されている。
最大の貢献の1つと思っているが、保守とリベラル、無党派の方々もたくさんいる中で、戦争を振り返るわけだから、当然色々な考え方が、意見がある。
その中で国内外の世論の最大公約数を安倍総理が70年談話にまとめ上げられた。
それを世界に、同時に発信され、各国でも支持されたという背景を学んでいくことになると思う。
80年に向けて、私たちがどんな心構えでこの年を過ごし何を受発信すべきなのか率直に学び、そして議論ができる機会になれば有難い。

石破茂首相「戦争検証」よりやるべきことがあるはずだ 政府・与党内にも慎重論強く
サンデー正論
2025/2/16 10:00
https://www.sankei.com/article/20250216-MNLTHRZEBRKSVNS3BTZEA4BJ74/
石破茂首相は最近の講演や国会答弁で、戦後80年の今年2025年こそ先の大戦の敗因について検証すべきだとの考えを示している。
首相就任前からの持論だが、ただでさえ少数与党で政権運営が厳しい中で、取り組むべき課題なのかと政府・与党内には慎重論が強い。
しかも、検証といっても政府がやることなのか不明で具体性に欠けている。
評論家気質が抜けず、政権として取り組むべき優先順位の整理がついていないようだ。
石破首相の
「戦争検証」
発言は2025年1月29日のシンポジウム「東京グローバル・ダイアログ」(日本国際問題研究所主催)に出席した際に飛び出した。
冒頭は用意された文面を早口で読んでいただけだったが
「というのが原稿でございました。よくできております」
と言ってからアドリブで話し始めた。
「国会議員になって今年2025年で40年目になります」
「これでも外交の仕事も結構やっておりまして」
「本当かよという顔をしていらっしゃる方もありますが(会場から笑い)全く知らない分野ではございません」
そう前置きした上で話し始めたのが、先の大戦の検証だ。
「今を逃して戦争の検証はできない」
と強調した。
2025年1月31日の衆院予算委員会でも
「なぜあの戦争を始めたのか、なぜ避けることができなかったのか、なぜ途中でやめることができずに、あのような東京が焼け野原になり、広島・長崎に原爆が落ち、大勢の方が亡くなったのか」
「まだその記憶をきちんと自己のものとして持っておられる方々がおられるうちに検証するというのは、80年の今年2025年が極めて大事だ」
と語った。
質問した立憲民主党の長妻昭代表代行は石破首相の考え方に
「共感する。ぜひ検証を与野党でやっていきたい」
と応じた。
■吉田清治現象
石破首相は自民党総裁選を控えた昨年2024年8月に出版した『保守政治家』(講談社)でも
「昭和は遠くなりにけり、であるからこそ、その遠ざかりゆくものの検証が必要だ」
と述べた。
これまで作家の半藤一利氏や保阪正康氏らの著作から
「大きな示唆を受けてきました」
という。
半藤氏や保阪氏から影響を受けた石破首相に、別の見方もあることを知るためにも、読んでほしい対談や論文が月刊「正論」にはある。
まずは平成27年11月号の伊藤隆東京大学名誉教授と中西輝政京都大学名誉教授の対談だ。
この対談は同年平成27年8月14日に出された安倍晋三首相の
「戦後70年談話」
発出に向けた有識者懇談会のメンバーだった中西氏を伊藤氏が“追及”する形で進められている。
この中で次のようなやり取りがある。
伊藤氏
「如何なる戦争も講和条約や平和条約が結ばれたら、それで終わりです」
「敗れた国が謝り続けたり、いつまでも責任問題を外交に持ち出されたりすることは歴史上全くありません」
「日本もサンフランシスコ講和条約、日華平和条約、東南アジア諸国への賠償協定、日韓基本条約、日中平和友好条約を結んで、大東亜戦争の戦場になったり、併合したりした国とは全て決着をつけました」
「なぜ日本だけが謝り続けなければならないのか分かりません」
「(中略)中国や韓国は、歴史問題を外交に利用し続けますね」
「なぜ、日本は歴史問題を利用され続けるのか」
「戦後、アメリカから東京裁判史観を植え付けられ、日本人が未だに、その毒が抜けきらないからですよ」
中西氏
「私は、『吉田清治現象』と呼んでいます」
「慰安婦問題で、吉田清治は自国を告発するために、やってもいない『慰安婦狩り』に自ら手を染めたと自虐証言まで捏造した」
「戦後の日本人には何でも『日本が悪い』ということに快感を覚える習性があって、それに日本人が迎合していくという現象が起き続けていくわけです」
対談の最後に伊藤氏はこう総括している。
「『歴史を戦勝国史観から克服する』」
「これをやる以外にないと思っていますよ」
「安倍談話は、日本が『進むべき針路を誤り、戦争への道を進んで行きました』と表現しています」
「経済もエネルギーの供給も立ちゆかなくなった当時、ではどうすればよかったのか」
「欧米の植民地になるのか、滅びるのか。当時の日本が『針路を誤った』と批判するのは、今の安保法制を批判するのと同じことですよ」
「現実を見ずに理想や空想的な平和を語っているだけです」
「『じゃあ、中国の属国になっていいの?』と問いたいですね」
■「侵略」断定に抵抗
伊藤氏は対談の中で
「安倍シンパ」
を自任している。
中西氏も同様だったが、懇談会の報告にある
「満州事変以後、大陸への侵略を拡大し」
の部分に反対し、委員の辞表届も提出した。
「ちょうど安保法案の審議で内閣支持率が一挙に10%前後も下がった時期でした」
「最後は、安倍総理ご本人が数度に渡って電話をしてこられた」
「私が『脚注の案文をそのまま吞んでくれなければ、辞表は撤回しません』と直訴すると、総理は吞んでくれました」
中西氏は辞表を撤回した。
脚注に載ったのが次の一文だ。
「複数の委員より『侵略』と言う言葉を使用することに異議がある旨表明があった」
「理由は
1)国際法上『侵略』の定義が定まっていないこと、
2)歴史的に考察しても、満州事変以後を『侵略』と断定する事に異論があること、
3)他国が同様の行為を実施していた中、日本の行為だけを『侵略』と断定することに抵抗があるからである」
周到に準備した
「戦後70年談話」
を巡ってもこれだけの激論、異論があったのである。
■左翼と同じ土俵
次に、元防衛大学校教官で、ベストセラー『失敗の本質』の著者の一人、杉之尾宜生氏の令和4年3月号の論文だ。
「『失敗の本質』に対する読者の一番の不満は、サブタイトルに『日本軍の組織論的研究』と銘打っておきながら、なぜああいう戦争に突入したのかということについては、何も書いていないことだろう」
「それは序章で『戦争原因究明を本書に期待しているとすれば、読者は恐らく失望するだろう」
「というのは、本書は、日本がなぜ大東亜戦争に突入したかを問うものではないからである」
「もちろん、なぜ敗けるべき戦争に訴えたのかを問うことは、既にいくつかの優れた研究があるとはいえ、今後も問い直して然るべきであろう」
「しかし、本書は敢えてそれを問わない』と記してある」
なぜそうしたのか。
それは軍事の勉強がしたいと防衛大学校に移ってきた経営学者の野中郁次郎氏が、
「文化論に陥ると左翼の人たちと同じ土俵に乗った論調になるから避けよう」
と、天皇陛下と日本軍の関係には一切触れずに純粋な組織論として描くことにしたからだ。
奇しくも伊藤氏、杉之尾氏、野中氏は昨年2024年8月から2025年1月にかけて相次いで鬼籍に入った。
杉之尾氏は論考の最後で
「評論家の山本七平氏は、日本軍の最大の特徴として『言葉を奪ったことにある』と捉えたが、それは今の自衛官も変わらない」
「『専守防衛』や『憲法9条』の枠の中に縛り付けられている」
「直面する危機を考えた時、これまでのようにがんじがらめの憲法解釈や既存の法律に縛られたままでは軍事プロフェッショナリズムに基づく任務を遂行することは至難の業である」
と書いている。
石破首相がすべきことは過去を振り返ることよりも、今も続く縛りを解くことではないか。

<産経抄>戦後80年の石破談話は百害あって一利なし
2025/2/1 5:00
https://www.sankei.com/article/20250201-ZN267Q7FURL5LJ2P7PJRZB2II4/
「三つ子の魂百まで」
とも
「雀(すずめ)百まで踊り忘れず」
とも言うが、人の昔からの性質や考え方はそんなに変わらない。
石破茂首相は先月2025年1月29日の国際安全保障に関するシンポジウムで、こう語った。
「今年2025年は敗戦後80年だ」
「今を逃して、戦争の検証はできないだろう」
▼もう19年も前の平成18年6月のことである。
東京都内で開かれた首相の衆院議員在職20年記念パーティーを覗くと、来賓のベテラン議員らが口々に
「石破君は将来の首相候補」
と称揚していた。
ところが、挨拶に立った首相はこんな場違いなことを述べたのだった。
「戦争責任をもう1回考えたい」
▼ずっと以前から自分なりに、先の大戦の総括をしたいと考えてきたのだろう。
シンポでの言葉は、戦後80年談話を発出したいとの意欲表明なのか。だが、中国が
「抗日反ファシズム戦争勝利80周年キャンペーン」
を準備している今年2025年、新談話を出せば反日勢力に利用されよう。
▼首相は18年9月には、毎日新聞鳥取県版で強調した。
「日中戦争は明らかに侵略だし、韓国併合は植民地化」。
南京事件や慰安婦問題を巡っても、過去に中国や韓国の主張に寄り添う発言をしている。
せっかく安倍晋三元首相が戦後70年談話で戦後の謝罪外交に終止符を打ち、戦後を終わらせようとしたのに、時代を逆行させてどうするのか。
▼自民党総裁選を争った小林鷹之元経済安全保障担当相は先月2025年1月30日、80年談話の意義を否定した。
「出す必要は全くない」
「そのための70年談話だ」。
実際、70年談話の最後の段落には
「終戦80年、90年、更には100年に向けて…」
とあり、以後の時代のことも網羅済みである。
▼首相のお気持ちを表明する談話など、百害あって一利なしだと断言する。

戦後80年、首相談話は出すべきでない 「謝罪」から決別しようとした安倍氏の思い
サンデー正論
2025/1/19 10:00
https://www.sankei.com/article/20250119-ZBGC754GKNJE7EY6HHDTSJPTDE/
今年2025年は戦後80年に当たる。
中国では2025年7月に映画
「731」
の上映が予定されている。
「731」
とは旧日本軍関東軍防疫給水部のことだが、中国が80年を歴史戦に利用しようとしているのは明白だ。
これに対し、岩屋毅外相は2025年1月13日の日韓外相会談後の共同記者会見で、戦後80年首相談話について
「現時点で発出するとは決定していない」
「よく国内で相談したい」
と述べた。
相談することもない。
石破茂首相は中国や韓国に乗せられて80年談話を出すべきではない。
■「宿命を背負わせてはなりません」
岩屋外相には安倍晋三政権時代の平成27(2015)年8月に出された戦後70年談話をもう1度読み返してほしい。
談話には次のような一文がある。
「日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の8割を超えています」
「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」
「しかし、それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません」
「謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります」
当時の作成過程をよく知る政府元高官は
「談話には一行一行安倍首相の思いがこもっているが、特にこの部分には時間をかけた」
と証言する。
当初案では
「生まれながらに謝罪することを強いられるべきではありません」
だった。
安倍首相は
「中身はいいが、誰が強いているかの議論になる」
「強いるという表現はちょっと違うな」
との感想を語り、修正を加えることにした。
■練りに練った安倍首相談話
元朝日新聞主筆の船橋洋一氏著の『宿命の子 安倍晋三政権クロニクル』(文芸春秋)の上巻
「戦後70年首相談話」
の章にも紹介されているように出てきたのが
「原罪」
だった。
安倍首相の指示で今井尚哉首相秘書官は連立を組む公明党の太田昭宏国土交通相のもとを訪れた。
太田氏は
「原罪」
について
「日本は欧州じゃないし、原罪という概念は馴染まない」
と異論を唱えた。
太田氏の指摘も踏まえ、安倍首相と秘書官らとの検討作業の中で出てきたのが
「宿命」
という表現だった。
この元高官は
「子供たちが生まれながらにして謝罪しなければならない、そうした『宿命』を背負わせるようなことはあってはならない、との思いから『宿命』が浮かんできた」と証言する。
この年平成27(2015)年の8月6日午後4時48分、安倍首相は官邸の執務室に太田氏を招き
「『宿命』でいいですか」
と尋ねた。
公明党の支持母体、創価学会で男子部長、青年部長を務めた太田氏は
「『宿命』は仏教用語でもあります」
「差し支えないと思います」
と同意した。
太田氏との打ち合わせは20分の予定が午後5時56分まで続いた。
太田氏が師と仰いだ創価学会の池田大作名誉会長は生前、
「宿命」
という言葉を重視し、
「宿命を使命に転換させる」
ことを説いてきた。
太田氏は
「真っ先にハンコつくからとは言っていないが、この談話は歴史に区切りを付けた」
と評価する。
談話は
「侵略」
の言葉を盛り込みながらも、西洋諸国の植民地だらけだった当時の国際情勢から説明し、
「謝罪」
から決別しようとする未来志向も明確で全体的には高い評価を得た。
ただ、東京大学の伊藤隆名誉教授や、京都大学の中西輝政名誉教授という歴史学の重鎮2人は談話が東京裁判史観から脱却できていないとして批判したことは忘れてはならない。
■中国に利用された岩屋外相
安倍首相らの血の滲むような努力を無にするような発言をしたのが岩屋外相だった。
昨年2024年12月25日に行われた日中外相会談後、中国側は岩屋外相が
「歴史問題では『村山談話』の明確な立場を引き続き堅持し、深い反省と心からの謝罪を表明する」
と述べた、と発表した。
岩屋外相は2024年12月27日の記者会見で、この発表は
「正確ではない」
として、
「歴史認識に議論が及んだ際に、石破茂内閣は平成7(1995)年の村山談話、安倍首相談話を含むこれまでの首相談話を引き継いでいると説明した」
と語った。
その上で
「一方的な対外発表を行ったことに対しては、中国側に対して申し入れを行った」
としたが、後の祭りである。
安倍政権当時も、
「70年談話は戦後50年の村山富市首相談話や、慰安婦関係調査結果に関する平成5(93)年8月4日の河野洋平官房長官談話を引き継ぐのか」
という質問は当然予想され、官邸内で議論した。
安倍首相は第2次政権発足後から、村山談話について
「政権として全体として受け継いでいく」
と述べていた。
もちろん、安倍首相の本音としては
「そのまま継承しているわけではない」
との立場だった。
官邸内の議論として出たのが
「当時の内閣の判断として受け継ぐもので、自分の立場が村山談話や河野談話と同じであると言う必要もない」
「これから未来に向かって受け継いでいくのが安倍談話でありそれに尽きる」
というものだった。
河野談話、村山談話ともに政局が不安定な時に出されたものだった。
河野談話が発出された時点で宮沢喜一内閣は衆院選で過半数割れし、退陣を表明しており、8月9日に細川護熙連立政権が発足する直前のことだった。
筆者は自民党幹事長担当だったが、党内は騒然としていて談話のことなど議論する余裕は全くなかった。
村山談話も同様で、自民、社会、さきがけの3党連立政権で、自民党内には談話への異論が強かった。
当選間もない安倍氏もその1人だった。
筆者が当時、野坂浩賢官房長官の担当として感じたのは、村山首相や野坂官房長官が談話に拘ったのはあくまで社会党政権としての存在感を示すことであり、日本の将来ではなかった。
野坂氏や前任の官房長官である五十嵐広三氏には同年1995年6月の戦後50年決議が自民党内の反対にあって中途半端な形になったとの思いが強かった。
そこで首相談話には
「植民地」
「侵略」
「反省」
「お詫び」
のいわゆるキーワードを盛り込むことに固執した。
野坂氏は
「反対ならば閣僚を辞めてもらいます」
と半ば恫喝して自民党を説き伏せ、閣議決定にこぎつけた。
■安倍氏をライバル視する石破首相
どさくさに紛れて出された河野談話、社会党政権の存在を後世に残すための村山談話とは異なり、安定政権を築いた安倍首相は有識者による
「21世紀構想懇談会」
で議論を重ね、歴史認識が異なる政治学者の五百旗頭真氏や読売新聞グループ本社会長兼主筆だった渡辺恒雄氏からも意見を聞き、談話を作り上げた。
談話はこう結んでいる。
「我が国は、自由、民主主義、人権といった基本的価値を揺るぎないものとして堅持し、その価値を共有する国々と手を携えて、『積極的平和主義』の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献して参ります」
「終戦80年、90年、更には100年に向けて、そのような日本を、国民の皆様と共に創り上げていく」
「その決意であります」
戦後80年を既に見据えているのだ。
しかも石破政権は少数与党であり通常国会を如何に乗り切るかの見通しも立っていない。
今夏2025年夏には都議選、参院選もあり、政局が不安定になる可能性もある。
石破首相は
「政敵」
だった安倍氏の名前が出ると不快感を示すそうだが、個人的な感情で安倍氏に対抗して談話を出すべきではない。

「戦後80年談話」は禍根を残す 石破首相の中韓への謝罪癖に懸念
阿比留瑠比の極言御免
2025/1/16 1:00
https://www.sankei.com/article/20250116-6KPXLPMSFZPPHJZCMVBVGMNM3E/
「戦後の謝罪外交に終止符を打ちたい」
安倍晋三元首相がこの思いを込め、平成27年8月に戦後70年談話を発表して今年2025年8月で丸10年となり、日本は戦後80年を迎える。
安倍氏は談話発出後、筆者らに談話の意義についてこう語っていた。
「これで戦後80年、90年談話はもう必要ない」
それだけ考え抜いて作った安倍談話に自信があったのだろう。
談話は、西ドイツのワイツゼッカー大統領が敗戦40年の1985年に行った有名な演説
「荒れ野の40年」

「自らが手を下していない行為について自らの罪を告白することはできません」
というレトリックを下敷きにして、次のように説いている。
「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」
安倍氏によると、ベトナムの政府高官は
「この談話を読んで評価しないようなアジアの国があれば、まともではない」
と感想を述べていたという。
■村山談話を「上書き」
談話に取り組んだ背景には、平成7年に村山富市首相が出した戦後50年の村山談話への問題意識がある。
村山談話は、具体的にいつの何を指すのか曖昧にしたまま日本による植民地支配と侵略を謝罪しており、中国や韓国などに利用されて長く日本外交の手足を縛る枷となっていた。
安倍氏は安倍談話により村山談話を
「上書き」
し、超克することを強く意識していた。
また、安倍氏は安倍談話に加え、先の大戦で敵国同士だった米国やオーストラリアとの
「和解」
に取り組んだ。
オバマ米大統領を現職大統領として初めて被爆地・広島に迎え、自身は日米戦争の象徴である米ハワイ・真珠湾を訪問したのもその一環である。
安倍氏はまさに、日本を敗戦国の枠組みに閉じ込めてきた
「戦後」
を終わらせた宰相だったと言える。
■蒸し返しへの危惧
ところが、岩屋毅外相は2025年1月13日、訪問先の韓国での日韓外相会談後の共同記者会見で戦後80年談話の作成について次のように含みを持たせた。
「現時点で発出するとはまだ決定していない」
「戦後80年の節目にどのような対応を取るか、これからよく国内で相談したい」
出すと決まったわけではないにしろ、よく検討するというわけだが、果たしてどんな中身を想定しているのか。
岩屋氏は同時にこうも語った。
「政府として述べてきている歴代政権における歴史認識、談話を石破茂内閣もしっかりと引き継いでおり、この認識にいささかの変わりもない」
安倍談話を引き継いでいるということならばいいが、わざわざ
「歴代政権」
と話す所に、村山談話の下での謝罪外交や自虐的な歴史認識を蒸し返すのではないかと危惧を覚える。
第一、石破首相に安倍氏のような
「謝罪外交に終止符」
「戦後を終わらせる」
といった理念や信念はあるのか。
安倍談話に一体何を付け加えようというのか。
岩屋氏は今回、韓国で左派系の最大野党「共に民主党」出身の禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長と面会し、早速
「歴史問題の直視」
という注文を受けている。
「御用聞き外交」
かとの印象を受けた。
昨年2024年11月7日の当欄で紹介したように、石破首相は南京事件でも韓国併合でも中韓に安易に謝罪したがる癖がある。
戦後80年談話が村山談話に立ち戻るような内容であれば、全く出す必要がなく将来に禍根を残すだけである。
(論説委員兼政治部編集委員)

中国、韓国が利用する石破首相の歴史観 過去の言動繰り返せば付け入る隙に 
阿比留瑠比の極言御免
2024/11/7 1:00
https://www.sankei.com/article/20241107-3K6TVFPG6RPOZDBYUBB4CSA2ZI/
まだ石破茂首相のことを保守派だと見做していた20年以上も昔の話である。
筆者は当時、安倍晋三元首相や中川昭一元財務相らが熱心に取り組んでいた偏向歴史教科書問題や慰安婦問題など保守系の運動に関わろうとしないことをいぶかり、それらへの参加を促したことがある。
だが、返事はそっけなかった。
「そういうのは、もういいよ」
この時は、単に余り関心がないのかと流したが、徐々にそうではなくて歴史認識自体が大きく異なるのだと分かってきた。
石破氏の考え方は、むしろ左派・リベラルに近かった。
それを反映し、2024年9月の自民党総裁就任時などに、中国や韓国は首相の歴史観を理由に概ね歓迎を示した。
例えば韓国の左派紙、ハンギョレ新聞は同月2024年9月30日の社説で書いている。
「歴史問題についても『政治的ライバル』だった安倍元首相とは異なり、何度も合理的な見解を明らかにしたことがある」
「(中略)謙虚な歴史認識を示してくれることを期待する」
また、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(2024年10月18日付)は、首相が平成18年9月23日付の毎日新聞鳥取県版にこう語ったことを紹介している。
「最近は、自民党の若い議員を見ても、怖い」
「過去の戦争を『全て正しかった』と考えていて、頭は大丈夫かと疑いたくなる」
「日中戦争は明らかに侵略戦争だし、韓国併合は植民地化(だ)」
こうした首相のこれまでの言葉については、月刊誌「明日への選択」2024年11月号の記事
「かくも危うい石破首相の『歴史認識』」
がよくまとめていたので、許可を得て引用する。
それによると首相は平成29年5月、韓国紙、東亜日報のインタビューで慰安婦問題についてこう語った。
「納得を得られるまでずっと謝罪するしかないでしょう」
もっとも、その後の産経新聞の取材に首相は
「『謝罪』という言葉は一切使っていない」
「『お互いが納得するまで努力を続けるべきだ』と話した」
と否定している。
とはいえ、
「努力」
をどう翻訳(意訳)すれば
「謝罪」
に入れ替わるのか理解に苦しむ。
中国共産党系の新聞、世界新聞報のインタビューも防衛相時代の2020年に受け、こう述べたとされる。
「日本には南京大虐殺を否定する人がいる」
「30万(人)も殺されていないから南京大虐殺そのものが存在しないという」
「何人が死んだかと大虐殺があったかは別問題だ」
「日本は中国に謝罪すべきだ」
これについても首相は月刊正論2020年9月号で
「大虐殺があったとは言っていないよ」
と否定しているが、聞き手の評論家、潮匡人氏はこうたしなめていた。
「ですが、そう相手に受け取られる対応も、事実関係で日中間に隔たりがある以上、国益の擁護者として慎重であるべきではなかったかと」
まさにその通りである。
首相が実際にどのような表現を使ったかは判然としないが、相手に利用されるようなことを述べたのは事実だろう。
来年2025年は終戦80年を迎える他、日韓国交正常化60周年にも当たる。
中国も
「抗日反ファシズム戦争勝利80周年キャンペーン」
を準備しているという節目の年である。
韓国や中国の反日勢力がさまざまな仕掛けをしてくると予想できるが、首相が過去の言動を繰り返すようなら、付け入る隙を与えることになろう。
もっとも、それまで首相を続けていられるかどうかは分からないが。
(論説委員兼政治部編集委員)

<年のはじめに>論説委員長 榊原智 未来と過去を守る日本に
2025/1/1 5:00
https://www.sankei.com/article/20250101-PWVSMDWROJMAZIIOSEKN3VJ2HQ/
今年2025年は、日本の未来と過去を守らなくてはならない年になるだろう。
抑止力の構築を急がないと、日本は数年内に、戦後初めて戦争を仕掛けられる恐れがある。
平和を守っていく年にしたい。
戦後80年である。
大東亜戦争(太平洋戦争)について中国や朝鮮半島、左派からの史実を踏まえない誹謗は増すだろう。
気概を持って反論しなければ国民精神は縮こまり、日本の歴史や当時懸命に生きた日本人の名誉は守れない。
政府や政治家が鈍ければ、国民は叱咤激励したり、自ら声をあげたりしていかねばなるまい。
能登半島地震から1年が経った。
復興を願うと共に、将来起きるかもしれない危難から日本や地域を守る必要性も痛感する。
ウクライナや中東の戦争を見てほしい。
自然だけでなく人間も大災害をもたらす。
安全保障は独立と繁栄の基盤といえる。
■統幕長の危機感共有を
自衛隊制服組トップの吉田圭秀統合幕僚長は昨年最後の記者会見で次のように語った。
「国際社会の分断と対立は深まり、情勢は悪化の一途を辿り、自由で開かれた国際秩序は維持できるか否かのまさに瀬戸際にある」
「来年(令和7年)を見通しても良くなる展望は開けない」
国家防衛戦略では令和9年までに
「我が国が主たる責任をもっ我が国への侵攻を阻止、排除できるようにする目標がある」
とし
「それまでに暇がない」
とも述べた。
率直な物言いは危機感の表れだ。
制服組トップがこれほど有事を懸念するのは米国と北朝鮮が開戦間際だった平成5、6年の第1次朝鮮半島核危機時の西元徹也統幕議長以来かもしれない。
だが、第1次核危機もそうだったが最近の日本の政治が危機感を十分共有しているとは思えない。
歴代内閣の努力は分かる。
安倍晋三政権は集団的自衛権の限定行使に道を開いた。
菅義偉政権は米国と共に
「台湾海峡の平和と安定の重要性」
を宣言した。
岸田文雄政権は防衛費増額や反撃能力保有など防衛力の抜本的強化を開始した。
石破茂内閣は自衛官の募集難対策に本腰を入れている。
中国の台湾侵攻や北朝鮮の暴発を抑止する取り組みだ。
ただし、昨年2024年の日本は、政治とカネの問題で騒動が続くなど専ら内向きだった。
国会などの場で日本の政治は外交安保にもっと意を払うべきだった。
周囲の専制国家が
「日本与しやすし」
と見れば抑止効果は減じる。
それがどれほど恐ろしいことか。
トランプ米政権の登場で、侵略者ロシアと抗戦してきたウクライナが休戦となれば、台湾海峡や東・南シナ海など北東アジアの安全保障環境を変化させる。
■戦後80年に踏まえたい点
北東アジア自体への影響にとどまらない。
停戦監視へ陸上自衛隊のウクライナ派遣が期待されるかもしれない。
また、紅海で民間船舶を攻撃する親イラン民兵組織フーシ派討伐への海上自衛隊参加の要請があるかもしれない。
日本の対応は、北東アジアへの欧米諸国の関与を左右する。
これらは仮の話だが、日本の政治は、そして日本国民は、ウクライナなどの情勢の展開に備えようとしているか。
分断と対立が深まる国際情勢を我が事として捉えているか。
トランプ氏との会談で石破首相は、日本と国際秩序を能動的に守る姿勢を示してほしい。
紙幅が尽きた。
戦後80年について2点指摘したい。
1つ目は、大東亜戦争を巡り、当時の日本には祖国防衛の思いに加え、人種平等の実現や欧米植民地支配打破の理想があった点を、戦後の日本人はほとんど知らされてこなかったという点だ。
2つ目は史実を踏まえた議論の大切さである。

満州事変
世界恐慌の少し前の昭和3年(1928)、満州を実効支配していた張作霖が列車ごと爆殺されるという事件が起きたのです。
元は馬賊だった張作霖は権謀術数に長けた人物で、日露戦争後に日本陸軍の関東軍と手を結び、軍閥を組織して満州を実効支配し、徴収した金を全て自分の物としていました。
当初、張作霖と関東軍の関係は良好でしたが、大正の終わり頃から、物資の買い占め、紙幣の乱発、増税などを行い、関東軍と利害が対立するようになっていきます。
更に欧米の資本を入れて、日本の南満州鉄道(満鉄)と並行する鉄道を敷設したことで、両者の衝突は避けられなくなりました。
満鉄は鉄道事業が中心として満州全域に広範な事業を展開する会社で、日本軍による満州経営の中核たる存在であっただけに、関東軍としても見過ごすわけにはいかなかったのです。
張作霖爆殺事件はそんな状況下で起こりました。
事件の首謀者は関東軍参謀と言われてきましたが、ソ連の関与があったとする説もあり、現在も論争が続いています。
ただ、この時、
「張作霖爆殺」
に関しての陸軍の調査と、彼らを庇うかのように二転三転する内閣の報告に関して、昭和天皇は不快感を顕にし、田中義一首相(元陸軍大臣)の内閣は総辞職しました。
天皇は自分の言葉(それを首相に伝えたのは鈴木貫太郎侍従長)が内閣に影響を与えてしまったことを反省し、以後は内閣の決定には拒否権を発動するなどの
「親裁」
は行わないようになりました。
それをやれば日本は専制君主国家になってしまうという思いからです。
張作霖の跡を継いだ息子の張学良はこの後、満州に入植してきた日本人と朝鮮人の権利を侵害する様々な法律を作ります。
また父の張作霖が満鉄に並行して敷いた鉄道の運賃を異常に安くすることで満鉄を経営難に陥れました。
そのため満鉄は昭和5年(1930)後半から深刻な赤字が続き、社員2000人の解雇を余儀なくされたのです。
日露戦争でロシア軍を追い出して以降、日本は満鉄をはじめとする投資により、満州のインフラを整え、産業を興してきました。
そのお陰で満州は大発展したのです。
この頃、清では戦乱が相次ぎ、日本は満州の治安を守るためにを置いていました。
そのため清から大量の難民が押し寄せることとなります。
そうしたこともあって日露戦争が始まった明治37年(1904)頃には約1000万人だった満州の人口は、20数年の間に3000万人にも増えていました。
同じ頃、蒋介石率いる中国国民党政権と中国共産党による反日宣伝工作が進められ、排日運動や日本人への脅迫やイジメが日常的に行われるようになりました。
日本人に対する暴力事件も多数発生しました。
代表的な事件は
「南京事件」
と呼ばれるもので、これは昭和2年(1927)3月に、蒋介石率いる中国国民党が南京を占領した際、中華民国の軍人と民衆の一部が、日本を含む外国領事館と居留民に対して行った襲撃事件です。
暴徒は外国人に対して、暴行・略奪・破壊などを行い、日本人、イギリス人、アメリカ人、イタリア人、デンマーク人、フランス人が殺害されました(この時、多くの女性が凌辱された)。
この暴挙に対して、列強は怒り、イギリスとアメリカの艦艇は直ちに南京を砲撃しましたが、中華民国への協調路線(及び内政不干渉政策)を取る幣原喜重郎外務大臣(「日英同盟」を破棄して「4カ国条約」を結んだ全権大使)は、中華民国への報復措置を取らないばかりか、逆に列強への説得に努めました。
更に日本政府は国内の世論を刺激しないように、
「我が在留婦女にして凌辱を受けたる者1名もなし」
と嘘の発表をしたため、現状を知る南京の日本人居留民を憤慨させたのです(政府は居留民たちが事実を知らせようとする集会さえも禁じている)。
この時、報復攻撃をしなかった日本に対し、中国民衆は感謝するどころか、逆に
「日本の軍艦は弾丸がない」
「張子の虎だ」
と嘲笑したと言われています。
事実、これ以降、中国全域で、日本人に対するテロ事件や殺人事件が急増します。
満州でも、中国共産党に通じたテロ組織が、日本人居留民や入植者を標的にしたテロ事件を起こすようにもなりました。
しかし被害を受けた日本人居留民が領事館に訴えても、前述の通り、時の日本政府は、第2次幣原喜重郎外交の
「善隣の誼(よしみ)を淳(あつ)くするは刻下の一大急務に属す」(中国人と仲良くするのが何より大事)
という対支外交方針を取っていたため、訴えを黙殺しました。
それどころか幣原喜重郎外務大臣は、
「日本警官増強は日支対立を深め、ひいては日本の満蒙権益を損なう」
という理由で、応援警官引き揚げを決定します。
そのため入植者たちは、満州の治安維持をしている関東軍を頼り、直接、被害を訴えるようになっていきます。
それでもテロ事件は収まらず、昭和5年(1930)後半だけで、81件、死者44人を数える事態となりました(負傷者は数えきれない)。
この時、中国人による嫌がらせの一番の標的になっていたのが朝鮮人入植者でした。
これは多分に両者の長年の確執と性格による所もあったと考えられます。
韓国併合により当時は
「日本人」
だった朝鮮人は、何かにつけて中国人を見下す横柄な態度を取っていたと言われ、中国人にしてみれば、長い間、自分たちの属国の民のような存在と思っていた朝鮮人にそのように扱われのが我慢ならなかったものと考えられます。
中国人から執拗な嫌がらせを受けた朝鮮人入植者は、日本政府に対して
「日本名を名乗らせてほしい」
と訴えます。
最初は日本名を名乗ることを許さなかった統監府も、やがて黙認する形で認めることとなります。
日本政府の無為無策では南満州鉄道や入植者を守れないという意見が強まる中、関東軍は昭和6年(1931)9月、奉天(現在の瀋陽)郊外の柳条湖で、南満州鉄道の線路を爆破し、これを中国軍の仕業であるとして、満州の治安を守るという名目で軍事行動を起こしました。
政府は不拡大方針を取りましたが、関東軍は昭和7年(1932)7月までに満州をほぼ制圧し、張学良を追放しました。
いわゆる
「満州事変」
です。
「事変」
とは、大規模な騒乱状態ではあるが、宣戦布告がなされていない国家間の軍事的衝突を意味します。
以後、日本は中国大陸での泥沼の戦いに突入していくこととなります。

盧溝橋事件から支那事変
昭和12年(1937)7月7日夜、北京郊外の盧溝橋で演習していた日本軍が、中華民国軍が占領している後方の陣地から射撃を受けたことがきっかけで、日本軍と中華民国軍が戦闘状態となります。
ただこれは小競り合いで、4日後の昭和12年(1937)7月11日には現地で停戦協定が結ばれました。
しかし東京の陸軍本部は派兵を望んでいて、最初は不拡大方針だった近衛文麿首相はそれに押し切られるように、昭和12年(1937)7月11日の臨時閣議で派兵を決めます。
盧溝橋の発砲事件に関しては、中国共産党が引き起こしたという説もありますが、真相は不明です。
異常な緊張状態の中、その月昭和12年(1937)7月の29日、北京東方で、
「通州事件」
通州事件(2) Sさんの体験談
https://nezu3344.com/blog-entry-6033.html
が起きます。
この事件は、
「冀東防共自治政府(きとうぼうきょうじちせいふ)」(昭和10年【1935】から昭和13年【1938】まで河北省に存在した自治政府であるが、その実体は日本の傀儡政権であるとされる)
の中国人部隊が反乱を起こし(中国国民党や中国共産党が使嗾【しそう:そそのかすこと】したとも言われる)、通州にある日本人居留地を襲い、女性や子供、老人や乳児を含む民間人233人を虐殺した事件です。
その殺害方法は猟奇的とも言うべき残虐なもので、遺体のほとんどが生前に激しく傷付けられた跡があり、女性は子供から老人までほぼ全員強姦された上、性器を著しく損壊されていました。
これらの記録や写真は大量に残っていますが、まともな人間なら正視に耐えないものです。
この事件を知らされた日本国民と軍部は激しく怒り、日本国内に反中感情が高まりました。
また昭和12年(1937)8月に上海の租界で2人の日本の軍人が射殺された(大山事件)こともあり、日本人居留地を守っていた日本軍と中華民国軍が戦闘状態に入りました(第2次上海事変)。
この時、ドイツの指導と武器援助を受けていた中華民国軍は屈強で、日本軍は思わぬ苦戦を強いられます。
当時、上海の租界には約2万8000人の日本人が住んでいましたが、実は大山事件前にも、日本人を標的にした中国人によるテロ事件や挑発的行為が頻発していました。
昭和6年(1931)、商社や商店、個人が受けた暴行や略奪は200件以上。
通学児童に対する暴行や嫌がらせは約700件。
殺害事件だけでも、昭和7年(1932)から昭和12年(1937)までの間に何件も起きています。
犠牲者も軍人だけでなく、托鉢僧や商社員、新聞社の記者など民間人が多数含まれていました。
第2次上海事変は中華民国の各地に飛び火し、やがて全国的な戦闘となりました。
ただ、日本がこの戦闘を行ったのは、そもそもは自国民に対する暴挙への対抗のためでした。
「暴支膺懲」(ぼうしようちょう)
というスローガンが示すように
「暴れる支那を懲らしめる(膺懲)」
という形で行った戦闘がいつの間にか全面戦争に発展したというのが実情です。
当時、日本は中華民国との戦闘状態を総称して
「支那事変」(あるいは「日華事変」)
と呼んでいました。
支那事変は大東亜戦争が始まるまでの4年間、両国とも宣戦布告を行わずに戦い続けた奇妙な戦争でした。
その理由は、
「戦争」
となれば、第3国に中立義務が生じ、交戦国との交易が中立義務に反する敵対行為となるからです。
従って両国が共に
「事変」
扱いとして戦い続けたため、国際的にも
「戦争」
とは見做されませんでした(実質は戦争)。
装備に優る日本軍は僅か3カ月で上海戦線を突破し、その年昭和12年(1937)の12月には首都南京を占領しました。
日本軍は、首都さえ落とせば、中華民国は講和に応じるだろうと見ていたのですが、蒋介石は首都を奥地の重慶に移して抵抗します。
中華民国には、ソ連とアメリカが積極的な軍事援助を行っていて、最早戦争の早期終結は望めないこととなっていました。

昭和12年(1937)12月、日本軍による南京占領の後、
「30万人の大虐殺」
が起きたという話がありますが、これはフィクションです。
この件は日本と日本人の名誉に関わることですから、やや紙幅を割いて書きます。
「南京大虐殺」
は、日本軍の占領直後から、蒋介石が国民党中央宣伝部を使って盛んに宣伝した事件です。
例えば、南京大虐殺を世界に最初に伝えたとされる英紙マンチェスター・ガーディアンの中国特派員であったオーストラリア人記者のハロルド・ティンパリは、実は月1000ドルで雇われていた国民党中央宣伝部顧問であったことが後に判明しています。
その著作
”What War Means:The Japanese Terror in China"(邦訳『外国人の見た日本軍の愚行ー実録・南京大虐殺ー』)
の出版に際しては、国民党からの偽情報の提供や資金援助が行われていたことが近年の研究で明らかになっています。
また『南京大虐殺』を世界に先駆けて報じたアメリカ人記者ティルマン・ダーディンも『シカゴ・デイリー・ニューズ』記者のアーチボルド・スティールも南京陥落直後に南京から離れています(つまり伝聞)。
当時、南京には欧米諸国の外交機関も赤十字も存在しており、各国の特派員も大勢いたにもかかわらず、大虐殺があったと世界に報じられてはいません。
30万人の大虐殺となれば、世界中でニュースになったはずです(捕虜の処刑は別)。
また、同じ頃の南京安全区国際委員会の人口調査によれば、占領される直前の南京市民は約20万人です。
もう1つおかしいことは、日本軍が占領した1カ月後に南京市民が25万人に増えていることです。
いずれも公的な記録として残っている数字です。
仮に日本軍が1万人も殺していたら、住民は蜘蛛の子を散らすように町から逃げ出していたでしょう。
南京市民が増えたのは、街の治安が回復されたからに他なりません。
当時の報道カメラマンが撮った写真には、南京市民が日本軍兵士と和気藹々と写っている日常風景が大量にあります。
占領後に捕虜の殺害があったことは事実ですが、民間人を大量虐殺した証拠は一切ありません。
20万人という数字は安全区だけのもので、それ以外の地区は含まれていないという主張もありますが、安全区以外の地域にはほとんど人がいなかったという外国人の証言が多数残っています。
もちろん一部で日本兵による殺人事件や強姦事件はありました。
ただ、それをもって大虐殺の証拠とは言えません。
今日、日本は世界で最も治安の良い国と言われていますが、それでも殺人事件や強姦事件は年間に何千件も起きています(近年の統計によれば、殺人は900〜1000件、強制性交等はそれ以上)。
ちなみにアメリカでは毎年、殺人と強姦を合わせると数十万件も起きています。
ましてや当時は警察も法律も機能していなかったことを考えると、平時の南京では起こらないような痛ましい事件もあったとは思われます。
また南京においては
「便意兵」
の存在もありました。
便意兵とは分かり易く言えばゲリラです。
軍人が民間人のふりをして日本兵を殺すケースが多々あったため、日本軍は便意兵を見つけると処刑したのですが、中には便意兵と間違われて殺された民間人もいたかもしれません。
こうした混乱が起きるのが戦争だとも言えます。
例えば戦後の占領下で、アメリカ軍兵士が日本人を殺害したり、日本人女性を強姦したりした事件は何万件もあったと言われます。
これらは許されることではありませんが、占領下という特殊な状況において、平時よりも犯罪が増えるのは常です。
要するに、南京において個々の犯罪例が100例、200例あろうと、それをもって大虐殺があったという証拠にはならないのです。
30万人の大虐殺と言うからには、それなりの物的証拠が必要です。
ドイツが行ったユダヤ人虐殺は夥しい物的証拠(遺体、遺品、ガス室、殺害記録、命令書、写真その他)が多数残っており、今日でも尚、検証が続けられています。
しかし
「南京大虐殺」
は伝聞証拠以外に物的証拠が出てきません。
証拠写真の大半は、別事件の写真の盗用ないし合成による捏造であることが証明されています。
そもそも日中戦争は8年も行われていたのに、南京市以外での大虐殺の話はありません。
8年間の戦争で、僅か2カ月間だけ、日本人が狂ったように中国人を虐殺したというのは余りにも不自然です。
とりわけ日本軍は列強の軍隊の中でも極めて規律正しい軍隊で、それは世界も認めていました。
「南京大虐殺」
とは、支那事変以降、アメリカで蒋介石政権が盛んに行った反日宣伝活動のフェイクニュースでした。
日本軍による
「残虐行為」
があったとアメリカのキリスト教団体とコミンテルンの工作員が盛んに宣伝し、
「残虐な日本軍と犠牲者・中国」
というイメージを全米に広めたのです。
このイメージに基づいて、後年、第二次世界大戦後に開かれた
「極東国際軍事裁判」(東京裁判)
では、日本軍の悪行を糾弾する材料として
「南京大虐殺」
が取り上げられることになります。
実は東京裁判でもおかしな事がありました。
この裁判では、上官の命令によって1人の捕虜を殺害しただけで絞首刑にされたBC級戦犯が1000人もいたのに、30万人も殺したはずの南京大虐殺では、南京司令官の松井石根大将1人しか罪に問われていないのです。
規模の大きさからすれば、本来は虐殺命令を下した大隊長以下、中隊長、小隊長、更に直接手を下した下士官や兵などが徹底的に調べ上げられ、何千人も処刑されているはずです。
しかし現実には、処刑されたのは松井大将1人だけでした。
東京裁判で亡霊の如く浮かび上がった
「南京大虐殺」
は、それ以降、再び歴史の中に消えてしまいます。
「南京大虐殺」
が再び姿を現すのは、東京裁判の4半世紀後のことでした。
昭和46年(1971)、朝日新聞のスター記者だった本多勝一が
「中国の旅」
という連載を開始しました。
その中で本多は、
「南京大虐殺」
を取り上げ、日本人が如何に残虐な事をしてきたかを、嘘とデタラメを交えて書いたのです。
これが再燃のきっかけとなりました。
この時の取材、本多の南京滞在は僅か1泊2日、
「南京大虐殺」
を語った証言者は中国共産党が用意した僅か4人でした。
後に本多自身が
「『中国の視点』を紹介することが目的の『旅』であり、その意味では『取材』でさえもない」
と語っています。
本多の連載が始まった途端、朝日新聞をはじめとする日本の多くのジャーナリズムが
「南京大虐殺」
をテーマにして
「日本人の罪」
を縦断する記事や特集を組み始めました。
そうした日本国内での動きを見た中国政府は、これは外交カードに使えると判断したのでしょう。
以降、執拗に日本政府を非難するようになったというわけです。
本田勝一の記事が出るまで、毛沢東も周恩来も中国政府も、1度たりとも公式の場で言及したことはなく、日本を非難しなかったにもかかわらずです。
それ以前は、中国の歴史教科書にも
「南京大虐殺」
は書かれていませんでした。
「無かった事」
を証明するのは、俗に
「悪魔の証明」
と言われ、私がここで書いた事も、
「無かった事」
の証明にはなりません。
ただ、客観的に見れば、組織的及び計画的な住民虐殺という意味での
「『南京大虐殺』は無かった」
と考えるのが極めて自然です。

朝日新聞が生み出した国際問題
「WGIP洗脳世代」
が社会に進出するようになると、日本の言論空間が急速に歪み始めます。
そして後に大きな国際問題となって日本と国民を苦しめることになる3つの種が播かれました。
それは
「南京大虐殺の嘘」
「朝鮮人従軍慰安婦の嘘」
「首相の國神社参拝への非難」
です。
これらはいずれも朝日新聞による報道がきっかけとなったものでした。
まず
「南京大虐殺」
ですが、これは前述したように、昭和46年(1971)、朝日新聞で始まった
「中国の旅」
という連載がきっかけとなりました。
全く事実に基づかない内容だったにもかかわらず、戦後、GHQによって
「日本軍は悪逆非道であった」
という洗脳を徹底して受けていた日本人の多くは、この捏造とも言える記事をあっさりと信じてしまったのです。
当時、朝日新聞が
「日本の良心」
を標榜し、売上部数が圧倒的に多かったことも、読者を信用させる元となりました。
まさか大新聞が堂々と嘘を書くとは誰も思わなかったのです。
更に当時、マスメディアや言論界を支配していた知識人の多くがこの話を肯定したことが裏書きとなり、本田勝一の記事が真実であるかのように罷り通ってしまったのでした。
日本側のこうした反応を見た中華人民共和国は、これはに使えると判断し、以降、執拗に日本を非難するカードとして
「南京大虐殺」
を持ち出すようになります。
そして50年以上経った現在まで、大きな国際問題となって残っています。
情けないことに、未だに、
「南京大虐殺」
が本当にあったと思い込んでいる人が少なくありません。
今更ながらGHQの
「WGIP:ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」(英語:War Guilt Information Program)
の洗脳の怖ろしさが分かろうというものです。
朝日新聞が生み出したもう1つの嘘は、いわゆる
「朝鮮人従軍慰安婦」
問題です。
昭和57年(1982)、朝日新聞は吉田清治という男の衝撃的な証言記事を載せました。
その内容は、吉田清治が軍の命令で済州島に渡り、泣き叫ぶ朝鮮人女性を木刀で脅し、かつてのアフリカの奴隷狩りのようにトラックに無理矢理乗せて慰安婦にしたという告白でした。
この記事は日本中を驚愕させました。
以降、朝日新聞は日本軍が朝鮮人女性を強制的に慰安婦にしたという記事を執拗に書き続けます。
朝日新聞は吉田清治証言だけでも18回も記事にしています。
ちなみに
「従軍慰安婦」
という言葉は、戦後、元毎日新聞社の千田夏光(本名、貞晴)らによって広められた全く新しい造語です。
吉田清治証言が虚偽であることは早い段階から一部の言論人らから指摘されていました。
吉田清治自身も平成8年(1996)の
「週刊新潮」
のインタビューで、
「本に真実を書いても何の益も無い」
「事実を隠し、自分の主張を混ぜて書くなんていうのは、新聞だってやっている」
と捏造を認めていたのです。
ところが、朝日新聞がこの吉田清治証言に基づく自社の記事を誤りだったとする訂正記事を書いたのは、最初の記事から32年も経った平成26年(2014)のことでした。
実に32年もの間、朝日新聞の大キャンペーンに、左翼系ジャーナリストや文化人たちが相乗りし、日本軍の
「旧悪」
を糾弾するという体で、慰安婦のことを何度も取り上げました。
これに積極的に関わった面々の中には旧日本社会党や日本共産党の議員もいました。
多くの国民は朝日新聞が嘘を書くわけがないと思い、またGHQの洗脳によって
「日本軍ならそれくらいの事はしただろう」
と思い込まされてきたため、
「従軍慰安婦の嘘」
を信じてしまったのです。
「南京大虐殺」
と同様でした。
こうした日本の状況を見た韓国も、中華人民共和国と同様、
「これは外交カードに使える」
として、日本政府に抗議を始めました。
朝日新聞が吉田清治証言を記事にしてキャンペーンを始めるまで、40年もの間、1度も日本政府に慰安婦のことで抗議などしてこなかったにもかかわらず、です。
韓国の抗議に対する日本政府の対応が最悪とも言える拙劣なものでした。
平成5年(1993)、韓国側からの
「日本政府が従軍慰安婦の強制連行を認めれば、今後は問題を蒸し返さない」
という言葉を信じて、日韓両政府の事実上の談合による
「慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話」
(いわゆる「河野談話」)
を出し、慰安婦の強制連行を認めるような発信をしてしまったのです。
途端に、韓国は前言を翻し、これ以降、
「日本は強制を認めたのだから」
と、執拗に賠償と補償を要求するようになります。
これは80年前、大正4年(1915)の
「21ヵ条要求」
のいきさつを彷彿とさせる悪手でした。
もう1つ、朝日新聞がこしらえたと言える深刻な国際問題が、
「首相の國神社参拝に対する非難」
でした。
今も、首相の國神社参拝を
「世界の国々が非難している」
という報道を繰り返す新聞がありますが、これは正しくありません。
我が国の首相や閣僚の國神社参拝を感情的に非難しているのは、中華人民共和国と韓国のみと言っていいでしょう。
アメリカや中韓以外のアジア諸国のメディアが今も批判的トーンで國神社参拝を報じるのは、日本と隣国との争いの種になっているから、という理由が大きいのです。
もちろん英米メディアの中には國神社を
「戦争神社」
と言い、ここに参る者は
「戦争賛美」
の極右で
「歴史修正主義者」
だという論調もありますが、そのほとんどが、1980年代の朝日新聞の報道論調を下敷きにしています。
そもそも中国・韓国の2国は、戦後40年間、日本の首相の國神社参拝に1度も抗議などしてきませんでした。
それまでに歴代首相が59回も参拝したにもかかわらずです。
これが国際問題となったきっかけは、昭和60年(1985)8月15日に中曽根康弘首相が國神社を参拝した時に、これを非難する記事を朝日新聞が大きく載せたことでした。
直後、中華人民共和国が初めて日本政府に抗議し、これ以降、首相の國神社参拝は国際問題となったのです。
この時、中国の抗議に追随するように韓国も非難するようになりました。
以上、現在、日本と中国・韓国の間で大きな国際問題となっている3つの問題は、全て朝日新聞が作り上げたものと言っても過言ではありません。
3つの報道に共通するのは、
「日本人は悪い事をしてきた民族だから、糾弾されなければならない」
という思想です。
そのためなら、たとえ捏造報道でもかまわないという考えが根底にあると思われても仕方がないような経緯です。
朝日新聞のこうした考え方は政治的な記事に限りませんでした。
平成元年(1989)4月20日の
「珊瑚記事捏造事件」
などは同根と言える一例です。
これは、朝日新聞のカメラマンが、ギネスブックにも載った世界最大の沖縄のアザニサンゴに、自らナイフで
「K・Y」
という傷を付けて、
「サンゴ汚したK・Yってだれだ」
という悪質な捏造記事を書いたという事件です。
記事は日本人のモラルの低下を嘆き、
「日本人の精神の貧しさと荒んだ心」
とまで書かれています。
これは単にスクープ欲しさの自作自演だったとは思われません。
その書きぶりには、前記の3記事と同じ
「WGIPによる歪んだ自虐思想」
が見て取れます。
GHQの推し進めた洗脳政策は、戦後、多くの日本人の精神をすっかり捻じ曲げてしまったと言えますが、驚くべきことに、占領後は朝日新聞を代表とするマスメディアが、GHQの洗脳政策の後継者的存在となり、捏造までして日本と日本人を不当に叩いていたのです。
更に不思議なことはこの新聞が、戦後長らく
「クオリティー・ペーパー」
と言われてきたことです。
「クオリティー・ペーパー」
とは
「エリート階層を読者とする質の高い新聞」
という意味ですが、果たしてこの称号を与えたのは誰だったのでしょうか。
それは戦後の公職追放の後に、言論界を支配した者たちでした。

朝鮮人慰安婦に関しては、肯定派のジャーナリストや学者、文化人らが、
「軍が強制した」
という証拠を長年懸命に探し続けていますが、現在に至っても全く出てきません。
中には、
「軍が証拠を隠滅した」
と言う者もいますが、全ての証拠を完全に消し去ることなど不可能です。
軍は一種の官僚機構です。
仮に民間業者に命じたのなら、議事録、命令書、予算書、報告書、名簿、受領書、請求書、領収書など、夥しい書類が必要でしょう。
軍は勝手に金を動かせませんから、双方の帳簿も大量に残っているはずです。
戦闘中以外はトラック1台動かすのにも、いちいち書類が必要だったのです。
当時、軍用機の搭乗員たちは、たとえ練習でも飛行記録を残す義務がありました。
もし軍が直接行動したなら、慰安婦を強制連行するために動いた部隊、実働人員、収容した施設、食料などを記した書類も大量にあるはずですが、それらが全て煙のように消えてしまうことなどあり得ません。
そんなことが可能なら、戦後に捕虜の処刑に関係したBC級戦犯が1000人も処刑されるはずがありません。
2000年から、アメリカ合衆国のクリントン、ブッシュ政権下において、8年の歳月をかけて、ドイツと日本の戦争犯罪に関する大規模な調査が行われ、850万ページに及ぶ未公開や秘密の公式文書が調査されました。
そのうち14万2000ページが日本の戦争犯罪に関するものでしたが、日本政府や軍がいわゆる
「従軍慰安婦」
に関わる戦争犯罪を犯したことを示す文書は1点も発見されなかったという報告が、2007年にありました(ナチス戦争犯罪と日本帝国政府の記録の各省庁作業班【IWG】アメリカ合衆国議会宛て最終報告」)。
この報告は
「従軍慰安婦」
に終止符を打つべきものと思えますが、令和の今日においても尚、左翼系の政党やメディア、学者、弁護士らは日本政府と軍の
「強制」
を主張しています。
ここで皆さんに知っておいてもらいたい事があります。
それは戦時慰安婦の大半が日本人女性だったということです。
朝鮮人女性は2割ほどだったと言われています。
当時は日本も朝鮮も貧しく、親兄弟の生活のために身を売らねばならなかった女性が少なくありませんでした。
そうした女性たちが戦時に戦地の慰安所で慰安婦として働いたー。
これが事実の全てです。
一方、
「國神社参拝」
については、政治家の参拝を非難する左翼系の学者や文化人の中に、
「中国が抗議したのは、A級戦犯を合祀したからだ」
と言う人がいますが、これは稚拙であり罪作りな嘘です。
國神社が
「A級戦犯」
とされた人々を合祀したのは昭和53年(1978)10月でした。
それから昭和60年(1985)まで3人の首相(大平正芳、鈴木善幸、中曾根康弘)が延べ22回参拝していますが、昭和60年まで、中国は1度も抗議していません(A級戦犯合祀は翌年に朝日新聞によって報道されている)。
また
「天皇陛下でさえ、A級戦犯合祀以来、参拝されていない」
と言う人もいますが、天皇陛下の國神社への行幸がなくなったのは、昭和51年(1976)からです。
実はその前年(昭和50年【1975】)、三木武夫首相の参拝について
「私人としてのものか、公人としてのものか」
とマスコミが大騒ぎをしたことがありました。
昭和天皇が終戦記念日に國神社を親拝しなくなった理由は分かりませんが、もしかしたら
「自分が行けば、私人としてか公人としてかという騒ぎが大きくなる」
と案じたのかもしれません。

戦時徴用工強制労働の嘘
昭和40年(1965)頃から、在日朝鮮人と在日韓国人が
「自分たちは戦争中に強制連行されてきた」
と主張し始めました。
これもまた嘘です。
確かに戦争中
「戦時徴用」
として
朝鮮人労働者を国内の工場などに派遣した事実はありますが、戦時徴用は日本の中学生や女学生にも行われていました。
しかも日本の学生に払われた給料は僅かなものでしたが、朝鮮人労働者には正規の給料が支払われていました。
また徴用工が送られるのは、労働管理の整備された場所に限られていました。
「外国人を徴用工として使うのは酷い」
と言う人もいるが、当時、朝鮮人は法的には日本人・日本国民であったことを忘れてはなりません。
また同じ頃、日本人男性は徴兵で戦場に送られていましたが、朝鮮人が徴兵されたのは昭和19年(1944)になってからで、しかも訓練中に終戦を迎えたため、ほとんどが戦場には送られていません。
戦時徴用も終戦前の7カ月だけでした。
そして終戦後に彼らのほとんどは朝鮮へ帰国しています。
昭和34年(1959)に外務省が発表したデータによりますと、当時、日本国内にいた在日朝鮮人・在日韓国人は約61万人、そのうち戦時徴用で国内にとどまっていた人は僅かに245人でした(在日朝鮮人・在日韓国人全体の0.04%)。
つまり99.96%の在日朝鮮人・在日韓国人は
「職を求めて」
自由意思で日本にやって来た人たちだったのです。
しかもその中の多くが朝鮮戦争の時に密航してやってきた人たちでした。
「在日朝鮮人・在日韓国人の多くは戦争中に強制連行された人、あるいはその子孫」
という嘘は、最初は彼ら自身が言い始めたことでしたが、これを左翼系のマスメディアや学者らがあたかも歴史的事実であるかのように広めたのでした。
そのため、現在でもこれを真実と思い込んでいる日本人が少なくありません。
GHQの
「WGIP」
は今も日本人の心と日本の言論空間を蝕んでいると言えるのです。

第二次世界大戦中への流れを眺める時、なぜ人類はこれを止めることが出来なかったのだろうかと、絶望的な気持ちになります。
世界は第一次世界大戦を遥かに上回る規模の大戦争へと突入し、日本もアメリカと戦争を始め、中国と西太平洋が戦場となりました。
日本が戦争への道を進まずに済む方法はなかったのでしょうかー。
私たちが歴史を学ぶ理由は実はここにあります。
特に近現代史を見る時には、その視点が不可欠です。
歴史を事実を知るだけの学問と捉えるなら、それを学ぶ意味はありません。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」
これはドイツの名宰相オットー・フォン・ビスマルクの言葉です。
もっともこれは原文をかなり意訳したもので、正確に訳すと次のような文章になります。
「愚かな者は自分の経験から学ぶと信じているばかりだ」
「私は最初から自分の過ちを避けるために、他人の経験から学ぶことを好む」
私たちもまた先人の経験から、悲劇を避ける術を学ばなくてはなりません。

全面戦争へ
「支那事変」
は確固たる目的がないままに行われた戦争でした。
乱暴な言い方をすれば、中国人の度重なるテロ行為に、お灸をすえてやるという世論に押される形で戦闘行為に入ったものの、気が付けば全面的な戦いになっていたという計画性も戦略もない愚かなものでした。
名称だけは
「事変」
となっていましたが、最早完全な戦争でした。
しかもこの戦いは現地の軍の主導で行われ、政府がそれを止めることが出来ないでいるという異常なものでもありました。
そこには5・15事件や2・26事件の影響があるのは明らかです。
支那事変が始まった翌年の昭和13年(1938)には、
「国家総動員法」(昭和13年(1938)4月1日に公布、5月5日に施行)
が成立しました。
これは
「戦時に際して、労働力や物資割り当てなどの統制・運用を、議会の審議を経ずに勅令で行うことが出来るようにした法律」
です。
具体的には、国家は国民を自由に徴用でき、あらゆる物資や価格を統制し、言論を制限し得るといった恐るべき法律でした。
ちなみにこの法案の審議中、趣旨説明をした佐藤賢了陸軍中佐の余りに長い答弁に、衆議院議員たちから抗議の声が上がったところで、佐藤が
「黙れ!」
と一喝したことがありました。
この時、議員たちの脳裏に2年前1936年の2・26事件が浮かんだことは容易に想像できます。
佐藤の恫喝後、誰も異議を挟まなくなり、狂気の法案は僅か1カ月で成立しました。
国力の全てを中国との戦争に注ぎ込もうと考えていた日本は、この年昭和13年(1938)、2年後に東京で開催予定であった
「オリンピック」

「万国博覧会」(万博)
を返上します。
これは、最早世界の国々と仲良く手を結んでいこうという意思がないことを内外に宣言したに等しい決断でした。
このオリンピックと万博の返上は陸軍の強い希望であったと言われています。

暴れるドイツ
同じ昭和13年(1938)、ヨーロッパではドイツがオーストリアを併合し、チェコスロバキアのズデーテン地方を要求する事態となっていました。
チェコは拒否しますが、ヒトラーは戦争をしてでも奪うと宣言します。
イギリスとフランスの首相がヒトラーと会談しましたが(ミュンヘン会談)、英仏両国は、チェコを犠牲にすれば戦争を回避できると考え、ヒトラーの要求を全面的に受け入れます。
そのためにチェコは自国領土の一部をむざむざとドイツに奪われました。
イギリスとフランスが取った
「宥和政策」
は当時、ヨーロッパの平和を維持するための現実的で勇気ある判断として大いに評価され、ミュンヘン会談を終えてロンドン郊外のクロイドン空港に降り立ったチェンバレン首相を、イギリス国民は大歓迎しました。
しかしこの
「宥和政策」
は、結果的にドイツに時間的、資金的な猶予を与えただけのものとなりました。
結果論ではありますが、この時、イギリスとフランスが軍備を拡充して敢然とヒトラーに対峙していたならば、第二次世界大戦は避けられたかもしれません。
仮に戦争になったとしても、全ヨーロッパが火の海となり、夥しい死者が出る悲惨な状況にはならなかったと思われます。
狂気の独裁者に対して宥和政策を取るということは、一見、危険を回避したように見えますが、より大きな危険を招くことにも繋がるという一種の教訓です。
ドイツは易々とズデーテン地方を奪った後、チェコスロバキアの制圧に乗り出しています。
スロバキアに独立を宣言させ、チェコも保護下に置きながら、最終的には昭和14年(1939)3月、軍事侵攻して全土を占領しました。
そしてチェコ最大のシュコダ財閥の軍需工場を接収し、兵器を大量に増産すると、ソ連と
「独ソ不可侵条約」
を結んだ上で、昭和14年(1939)9月1日にポーランドに電撃的に侵攻しました。
おぞましいことに、ヒトラーとスターリンは事前にポーランドの分割を話し合っていたのです。
ポーランドと相互援助条約を結んでいたイギリスとフランスは、完全に面子を潰され、2日後昭和14年(1939)9月3日、ドイツに宣戦布告しました。
ここに第二次世界大戦が幕を開けました。

第二次世界大戦
第二次世界大戦の始まりは奇妙なものでした。
イギリスとフランスはドイツに対して宣戦布告したものの、実際にドイツに攻め込むことはしなかったからです。
大西洋でのドイツ潜水艦による通商破壊戦の攻防はありましたが、8カ月間、陸上での戦いはほとんどありませんでした。
そのためイギリスでは
「まやかし戦争」(Phoney War)、
フランスでは
「奇妙な戦争」(Drole de guerre)
と呼ばれました。
つまりイギリスもフランスも、建前上、ドイツに宣戦布告したものの、本心は戦争をする気などなかったのです。
イギリス国民の多くは、その年昭和15年(1940)暮れには戦争が終るだろうと考えていました。
当時、ドイツ軍は主力を東部戦線に移しており、イギリス軍とフランス軍が一挙に攻め込めば、ドイツ軍は総崩れになったであろうと言われています。
ドイツ軍首脳は、フランスとの国境線に大軍を配備しおくべきと主張しましたが、英仏のそれまでの宥和的態度から、戦う意思がないと見抜いていたヒトラーは、西部戦線をがら空きにして主力をポーランドに集中させます。
ドイツはポーランドを完全に制圧すると、今度は主力を西武戦線に移し、昭和15年(1940)5月、英仏軍に一気に襲い掛かりました。
両国軍はあっという間に撃破され、イギリス軍はヨーロッパ大陸から駆逐され、フランスは首都パリと国土の5分の3を占領されました。
ドイツ軍の破竹の進撃を見たイタリアもイギリス、フランスに宣戦布告しました。
驚異的な軍事力によってあっという間に西ヨーロッパを席巻したドイツの勢いを目の当たりにした日本陸軍内に、
「バスに乗り遅れるな」
という声が生まれ、一種の流行語となりました。
このことを深く憂慮した昭和天皇は、親英米派で日独伊三国同盟には反対の立場を取っていた海軍大将米内光政を内閣総理大臣に推挙しました(形式上は湯浅倉平内大臣の推挙)。
昭和天皇が個人名を挙げて首相に推挙するのは例のないことです。
如何に昭和天皇がドイツやイタリアとの同盟に反対していたかの証左です。
しかし昭和15年(1940)6月にドイツがフランスを降伏させると、陸軍は倒閣運動を行い、同年昭和15年(1940)7月に米内内閣を総辞職に追い込みました。
新たに誕生した第2次近衛内閣は同年昭和15年(1940)9月に
「日独伊三国同盟」
を締結します。
朝日新聞は、これを一大慶事のように報じました。
しかしこの同盟は、実質的には日本に特段のメリットはなく、アメリカとの関係を決定的に悪くしただけの、実に愚かな選択だったと言わざるを得ません。
もっともアメリカのルーズベルト民主党政権はこれ以前から、日本を敵視し、様々な圧力を掛けていました。
前年の昭和14年(1939)には、日米通商航海条約破棄を通告し、航空機用ガソリン製造設備と技術の輸出を禁止していました。
また、アメリカやイギリスは、日本と戦闘状態にあった中華民国を支援しており、
「援蒋ルート」
を使って軍需物資などを送り続けていました。
「援蒋ルート」
は主に4つありましたが、最大は
「仏印(フランス領インドシナ)ルート」
と呼ばれたもので、ハノイと昆明を結んでいました。
日本は仏印ルートの遮断を目的として、昭和15年(1940)、北部仏印(現在のベトナム北部)に軍を進出させました。
これはフランスのヴィシー政権(昭和15年【1940】)にドイツに降伏した後、中部フランスの町ヴィシーに成立させた政府)と条約を結んで行ったものでしたが、アメリカとイギリスは、ヴィシー政権はドイツの傀儡であり日本との条約は無効だと抗議しました。
しかし日本はそれを無視して駐留を続けたのです。
「援蒋ルート」
を潰されたアメリカは、日本への敵意を露わにし、同年昭和15年(1940)、特殊工作機械と石油製品の輸出を制限、更に航空機用ガソリンと屑鉄の輸出を全面禁止しました。
アメリカから
「対日経済制裁」
の宣告を受けた日本は、石油が禁輸された場合を考え、オランダ領インドシナの油田権益の獲得を目論みます。
当時、オランダ本国は既にドイツに占領されていましたが、植民地のインドシナはロンドンのオランダ亡命政府の統治下にありました。
翌昭和16年(1941)、日本軍は更に南部仏印(現在のベトナム南部)へと進出しました。
アメリカのルーズベルト政権はこれを対米戦争の準備行動と見做し、在米日本資産凍結令を発布します。
イギリスとオランダもこれに倣いました。
そして同年昭和16年(1941)8月、アメリカは遂に日本への石油輸出を全面的に禁止したのです。
当時、日本は石油消費量の約8割をアメリカから輸入していました。
それを止められるということは、息の根を止められるのに等しいことでした。
日本はオランダ領のインドネシアから石油を輸入しようとしましたが、オランダ亡命政府(当時はイギリスからカナダに拠点を移していた)は、アメリカとイギリスの意向を汲んで日本には石油を売りませんでした。
この時、日本の石油備蓄は約半年分だったと言われています。
つまり半年後に日本は軍艦も飛行機も満足に動かせない状況に陥るということでした。
もちろん国民生活も成り立たなくなります。
まさに国家と国民の死活問題でした。
日本は必死で戦争回避の道を探りますが、ルーズベルト政権には妥協するつもりはありませんでした。
それどころかルーズベルト政権は日本を戦争に引きずり込みたいと考えていたと指摘する歴史家もいます。
アメリカがいつから日本を仮想敵国としたのかは、判然としませんが、大正10〜11年(1921〜1922)のワシントン会議の席で、強引に日英同盟を破棄させた頃には、いずれ日本と戦うことを想定していたと考えられます。
その底意を見抜けず、日英同盟を破棄して、お飾りの平和を謳った
「四カ国条約」
を締結して良しとした日本政府の行動は、国際感覚が致命的に欠如していたとしか言いようがありません。
それから約20年後の昭和14年(1939)には、アメリカははっきりと日米開戦を想定していたと言えます。
ただルーズベルト大統領は、第二次世界大戦が始まっていた昭和15年(1940)の大統領選(慣例を破っての3期目の選挙)で、
「自分が選ばれれば、外国との戦争はしない」
という公約を掲げて当選していただけに、自分から戦争を始めるわけにはいかなかったのです。
彼は
「日本から戦争を仕掛けさせる方法」
を探っていたはずで、日本への石油の全面禁輸はそのための策の1つだったのでしょう。

開戦前夜
日本はそれでもアメリカとの戦争を何とか回避しようと画策しました。
アメリカと戦って勝てないことは政府も軍も分かっていたからです。
しかし日本の新聞各紙は政府の弱腰を激しく非難しました。
満州事変【1931年(昭和6年、民国20年)9月18日〜1933年(昭和8年)5月31日】以来、新聞では戦争を煽る記事や社説、あるいは兵士の勇ましい戦いぶりを報じる記事が紙面を賑わすことが常となっていました。
中には荒唐無稽な創作記事も数多くありました。
東京日日新聞(現在の毎日新聞)の
「百人斬り」
の記事などはその典型です。
これは支那事変【1937年(昭和12年)7月7日の盧溝橋事件を発端とする日本と中華民国の間で起こった武力衝突】で陸軍の2人の少尉が、
「どちらが先に敵を100人斬るかという競争をした」
という事実誤認に満ちた根拠薄弱な内容でした。
しかし戦後、この記事が原因で、2人の少尉は南京軍事法廷で死刑判決を受け、銃殺刑に処されています(毎日新聞は現在も記事の内容は真実であったと主張している)。
ちなみに
「日独伊三国同盟」
を積極的に推したのも新聞社でした。
そんな中、昭和16年(1941)11月27日、アメリカのルーズベルト政権はそれまでの交渉を無視するかのように、日本に対して強硬な文書を突き付けてきました。
この文書は当時の国務長官コーデル・ハルの名前をとって
「ハル・ノート」
と呼ばれていますが、最も重要な部分は、
「日本が仏印と中国から全面撤退する」
という項目でした。
これは日本としては絶対に呑めない条件でした。
この時点で、日米開戦は不可避になったと言えます。
実はこのハル・ノートを見た日本軍首脳部の開戦派は、
「天祐」(天の加護。天の助け。天助。)
と言ったとされています。
つまり
「戦争をするしかない」
状況になったからです。
それまで戦争を回避したいと考えていた閣僚らも開戦に強く反対しなくなり、アメリカとの戦争には消極的な立場を取っていた海軍もここで開戦の決意を固めたと言われています。
とは言っても、ハル・ノート受領の前日には、択捉島の単冠湾(ひとかっぷわん)から聯合艦隊の空母部隊がハワイに向けて出撃しています(攻撃決定は【昭和16年(1941)12月2日】。
艦隊が単冠湾に集結したのが【昭和16年(1941)11月22日】、真珠湾攻撃のための猛訓練を始めたのが【昭和16年(1941)5月】であったことを見れば、日本政府が戦争回避を試みる一方、軍は戦争開始の準備を着々と進めていたことが分かります。
ただし、ハル・ノートの解釈については後年議論の的になっている点があります。
「日本が中国から撤退」
という要求の文章の
「中国」
についてです。
原文は
「China」
となっていますが、この
「China」
が中華民国を指すのか、それとも満州まで含めた地域を指すのかが明確にされていなかったのです。
日本側は
「満州」
を含めた地域と解釈しましたが、実はアメリカ側は、満州は考慮に入れていなかったとも言われています。
戦後、この経緯を調べたピューリッツァー賞受賞作家のジョン・トーランドは、当時の日本の閣僚らに、もし満州を含まないと知っていたら開戦していたかと訊ねています。
すると多くの人は、
「それならハル・ノートを受諾した」
「開戦を急がなかったであろう」
と答えています。
もっとも、何としても日本を戦争に引きずり込みたいと考えていたルーズベルトは、別の手段で日本を追い込んだに違いありません。
とまれ賽は投げられました。

真珠湾攻撃
昭和16年(1941)12月8日未明、聯合艦隊の空母から飛び立った日本海軍の航空隊はハワイの真珠湾に停泊するアメリカ艦隊を攻撃しました。
日本軍は戦艦4隻を撃沈し、基地航空部隊をほぼ全滅させます。
ただ、この時、在アメリカ日本大使館員の不手際で宣戦布告が攻撃後になってしまいました。
同日、台湾から海軍の航空隊が出撃し、フィリピンのクラーク基地のアメリカ航空部隊を全滅させています。
更に同日、日本陸軍はマレー半島に上陸し、イギリス軍をも打ち破っています。
日本がアメリカとイギリスに対して同時に開戦したのは、オランダ領インドネシアの石油を奪うためでした。
そのためにはシンガポールのイギリス軍を撃破しなければならず、また手に入れた石油を日本に送るのに東シナ海を通るため、その航路を遮る位置にあるアメリカのクラーク基地を無力化する必要がありました。
真珠湾のアメリカ艦隊を叩いたのも同じ理由からです。
同日、日本はアメリカとイギリスに対して宣戦布告を行いました。
同時に支那事変も正式に戦争となりました。
ここに至りインドシナ半島や太平洋を含めた史上最大規模の大戦争の火蓋が切られたのです。
日本軍は緒戦だけは用意周到に作戦を練っていましたが、大局的な見通しは全くありませんでした。
そもそも工業力が10倍以上も違うアメリカとの長期戦では100%勝ち目はありません。
しかしハル・ノートを受け入れれば、日本は座して死を待つことになりかねません。
そうなれば、70年前の幕末の悪夢が再びやって来る恐れがありました。
欧米の植民地にされてしまうという恐怖です。
当時の世界は、現代とは比べ物にならないほど、露骨な弱肉強食の原理で動いていました。
アジア、アフリカ、南米に有色人種の独立国はほとんどなく、多くの有色人種たちがひたすら搾取され、奴隷のような扱いを受けていました。
ヨーロッパの白人種の国でも弱小国はソ連やドイツに次々に解体されていきました。
何しろ国際連盟で
「人種差別撤廃」
の規約が否決された時代です。
国力を失った有色人種の極東の島国の運命は暗澹たるものになると、日本の政府や軍人たちが危惧したのも無理はありません。
後の話になりますが、戦後、アメリカ軍の南西太平洋司令長官であり、日本占領軍の最高司令官でもあったダグラス・マッカーサーは、昭和26年(1951)、アメリカ上院軍事外交合同委員会の場において、
「日本が戦争に飛び込んでいった動機は、大部分が安全保障の必要に迫られてのものだった」
と述べています。
つまり敵将さえもが、先の大戦は日本の侵略ではなく自衛のための戦争であったと明言したのです。
日本の真珠湾攻撃はルーズベルト大統領にとっては願ったり叶ったりでした。
彼は
「日本軍は宣戦布告なしの卑怯な攻撃を行った」
と、アメリカ国民に強く訴えます。
ここで戦争反対だったアメリカの世論が一夜にして
「リメンバー・パール・ハーバー」
の合言葉と共に変じ、一気に戦争へと向かっていったのです。
ところで、現代のアメリカ人の中にも、広島・長崎への原爆投下と東京大空襲は日本の汚い攻撃に対する報復だと言う人は少なくありませんし、日本人の中にも真珠湾攻撃は騙し討ちだったと言う人がいます。
しかし有史以来、宣戦布告をしてから戦争を行ったケースは実はほとんどないのです。
第一次世界大戦と第二次世界大戦がむしろ例外的と言っていいでしょう。
当のアメリカも幾度も戦争をしていますが、そのほとんどの場合、宣戦布告なしに攻撃を行っています。
つまり真珠湾攻撃を卑怯なやり口と言い募ったのは、完全なプロパガンダなのです。
ちなみに戦争終結間際にソ連は
「日ソ中立条約」
を一方的に破棄して、日本に対して戦闘を開始しましたが、モスクワの駐ソ大使に宣戦布告文を手渡したのは攻撃の1時間前でした。
しかも駐ソ大使から日本本国への電報はソ連の電信局が送信しなかったため、実質的には奇襲攻撃となっています。
ただ残念なのは、そうした事態になることを恐れた聯合艦隊司令長官の山本五十六が、くれぐれも真珠湾攻撃の前に宣戦布告文書をアメリカに手渡すようにと言っていたにもかかわらず、ワシントンの日本大使館員らがそのことを重く受け止めていなかったことです。
日本の攻撃を喜んだ人物がもう1人いました。
イギリス首相のウィンストン・チャーチルです。
日米開戦の報告を受けたチャーチルは大喜びし、すぐにルーズベルトに電話しました。
ルーズベルトの
「今や我々は同じ船に乗ったわけです」
という言葉を聞いたチャーチルは、これで戦争に勝てると確信しました。
彼はこの時の興奮と喜びを後に回顧録『第二次大戦』で次のように書いています。
「感激と興奮とに満たされ、満足して私は床に就き、救われた気持ちで感謝しながら眠りに就いた」
更にこうも書いています。
「ヒトラーの運命は決まった」
「ムッソリーニの運命も決まったのだ」
「日本人について言うなら、彼らは粉々に打ち砕かれるだろう」
ドイツとイタリアに関しては個人の滅亡にのみ言及していますが、日本に対しては民族全体の運命に言及しています。
たまたまの表現なのかもしれませんが、私はチャーチルの白人種以外への差別意識が表われたと見ています。
ちなみに彼は昭和28年(1953)にこの回顧録でノーベル文学賞を受賞しています。

マッカーサー「自衛戦争」証言
http://tadashiirekishi.web.fc2.com/1951-60/1951_makasa_shogen.html
昭和26(1951)年5月、アメリカ上院の軍事外交合同委員会で、ダグラス・マッカーサーは以下の2つの重大な発言を行なった。
1.日本の戦争は自衛戦争であった
2.アメリカが過去100年に太平洋で犯した最大の政治的過ちは、共産主義者が支那において勢力を増大して行くのを黙過してしまったことである
1.「日本の戦争は自衛戦争であった」
原文と和訳は以下の通り
"There is practically nothing indigenous to Japan except the silkworm.
They lack cotton, they lack wool, they lack petroleum products, they lack tin, they lack rubber, they lack great many other things, all of which was in the Asiatic basin.
They feared that if those supplies were cut off, there would be 10 to 12 million people unoccupied in Japan.
Their purpose, therefore in going to war was karagely dictated by security."
和訳:
日本は絹産業以外には、固有の天然資源はほとんど何もないのです。
彼らは綿が無い、羊毛が無い、石油の産出が無い、錫(すず)が無い、ゴムが無い、それら一切のものがアジアの海域には存在していたのです。
もし、これらの原料の供給を断ち切られたら、1000万から1200万の失業者が発生するであろうことを日本人は恐れていた。
したがって、彼らは戦争に飛び込んでいった動機は、大部分が安全保障の必要に迫られてだったのことだったのです。

マッカーサーは実際に朝鮮戦争を戦って、ロシア(ソ連)、共産主義の脅威(明治維新以来ずっと日本が恐れていたもの)をやっと悟った。
マッカーサーは日本が戦争をせざるを得なかった理由をやっと理解できたのである。
しかし、呆れたことにこれほど重大な証言を報じた日本の大新聞は当時も今も皆無である。
NHK、民放などのテレビ局も完璧に無視している。
何を恐れているのだろうか。
報道するとまずいことになると考えていることだけは事実だろう。
アメリカに対する気兼ねか、それとも支那に対する気兼ねか?
東條英機は宣誓供述書で
「断じて日本は侵略戦争をしたのではない」
「自衛戦争をしたのである」
「国家自衛のために起つという事がただ1つ残された途であった」
と語ったが、それはこのマッカーサーの米議会証言録と重なるもので、最終的に東條とマッカーサーは同じ見解を披露したことになる。
2.「アメリカが過去100年に太平洋で犯した最大の政治的過ちは、共産主義者が支那において勢力を増大して行くのを黙過してしまったことである」
アメリカは日本の勢力を支那大陸、満州、朝鮮から駆逐したことで自分たちの目標を達成したかに見える。
しかしその結果アメリカは過去半世紀にこの地域で日本が直面し、対処してきた問題と責任を日本に代わって引き受けなくてはならなくなっただけだ、と述べたアメリカ外交官ジョージ・ケナンと同じ後悔を述べたわけである。
フィリピンで日本に完敗したダグラス・マッカーサーは、日本に恨みを持ち、復讐心に燃えていた。
後に日本が原爆を落とされて負けて、マッカーサーがやって来た時、彼はその恨みを晴らすべく、
「日本は悪いものだ」
と信じきって東京裁判をやらせ、自分たちの意向を反映させた日本国憲法を作らせて日本を骨抜きにした。
ところが朝鮮戦争が起こって事態は一変する。
その時、彼は初めて東京裁判で弁護側が言った事が全て本当だったのだと気付く。
そして満州にも支那に対しても、日本がやったようにやらなければならないという結論に達する。
しかし当時の大統領・トルーマンは、ソ連と戦争になることを恐れて、マッカーサーを解任してアメリカに戻した。
その後、アメリカはマッカーサーが予言したように朝鮮半島で負け始め、何とか38度線まで押し返したところで戦争は終結する。
そしてアメリカに帰国したマッカーサーは上院の軍事外交合同委員会という最も公式の場で、日本が間違っていたのではなく、自分たちが間違っていたことを語ったのである。
マッカーサーは前年に東京裁判が誤りだったと発言している。

戦争目的を失った日本
開戦4日後の昭和16年(1941)12月12日、日本はこの戦争を
「大東亜戦争」
と名付けると閣議決定しました。
従って、この戦争の正式名称は
「大東亜戦争」
です。
現代、一般に使われている
「太平洋戦争」
という名称は、実は戦後に占領軍が強制したものです。
「大東亜戦争」
は前述したように緒戦は日本軍の連戦連勝でした。
開戦と同時にアメリカの真珠湾とフィリピンのクラーク基地を叩き、3日目にはイギリスの東洋艦隊のプリンス・オブ・ウェールズとレパルスという2隻の戦艦を航空攻撃で沈めました。
更に難攻不落と言われていたイギリスのシンガポール要塞を陥落させました。
そしてこの戦争の主目的であったオランダ領インドネシアの石油施設を奪うことに成功します。
日本軍がパレンバンの油田を占領したと聞いた東条英機首相は、
「これで石油問題は解決した」
と言いましたが、彼も政府(そして軍)も、油田を占領することと石油を手に入れることは同じではないということに気付いていませんでした。
結論を言えば、日本はせっかく奪った油田から、多くの石油を日本国内に輸送することができなかったのです。
開戦前、日本政府はインドネシアの石油やボーキサイト(アルミニウムの原料)を日本に送り届けるための輸送船を民間から徴用することに決めていました。
しかし軍が必要とするだけの数を徴用すると、日本国内の流通に支障を来すため、軍は
「半年だけ」
という条件で無理矢理に民間船を徴用したのです。
ところが、インドネシアからの石油などの物資を運ぶ輸送船や油槽船が、アメリカの潜水艦によって次々と沈められる事態となります。
それでも海軍は、輸送船の護衛など一顧だにせず、聯合艦隊の誇る優秀な駆逐艦が護衛に付くことは一切ありませんでした。
「聯合艦隊はアメリカの太平洋艦隊を撃破するためのもので、鈍足の輸送船を護衛するためのものではない」
というのが上層部の考えだったからです。
海軍は、かつて日本海海戦でバルチック艦隊を壊滅させて日露戦争に勝利したように、大東亜戦争もアメリカの太平洋艦隊を壊滅させれば終結すると考えていました。
そのため艦隊決戦こそが何よりも優先されるという思い込みを持っており、輸送船の護衛などは考えもしなかったのです。
海軍では船舶の護衛任務を
「くされ士官の捨て所」
と呼んで軽侮していましたし、陸軍にも
「輜重輸卒(しちょうゆそつ:物資の輸送をする兵)が兵隊ならば蝶々トンボも鳥のうち」
と輜重兵を馬鹿にしたざれ歌がありました。
戦争が、輸送や生産も含めた総力戦であるという理解が欠如していたのです。
身を守る手段のない輸送船は大量に撃沈されました。
それで
「半年だけ」
という約束は反故にされ、軍は更に民間船を徴用することになります。
そのため戦場では勝利を収めながらも、国内経済は行き詰まっていくという矛盾した状況に陥りました。
石油を含む物資の不足が、工業生産力の低下を招き、戦争継続が困難な状況になったにもかかわらず、軍はその辺りを全く把握・理解出来ていませんでした。
驚くべきデータがあります。
公益財団法人「日本殉職者船員顕彰会」の調べによれば大東亜戦争で失われた徴用船は、商船3575隻、機帆船2070隻、魚船1595隻、戦没した船員と漁民は6万人以上に上ります。
その損耗率は何と約43%です。
これは陸軍兵士の損耗率約20%、海軍兵士の損耗率約16%を遥かに超えています。
彼ら民間の船員たちは、海外から石油を含む貴重な物資を命懸けで運んだにもかかわらず、石油は軍に優先的に回され、国民には満足に行き渡りませんでした。
それでも軍需物資の不足に悩む政府は、昭和17年(1942)5月に、金属類回収令を発動し、寺の梵鐘、橋の欄干、銅像、更に一般家庭にある余った鍋釜や鉄瓶、火箸に至るまで強制的に供出させたのです。
これにより国民生活は一層逼迫しました。
この時点で、戦争継続は不可能な状況と言えました。

ミッドウェー海戦と言霊主義
昭和17年(1942)6月、聯合艦隊はミッドウェー海戦で、主力空母4隻を失うという致命的な大敗を喫しました。
この戦いは運に見放された面もありましたが、日本海軍の驕りと油断が多分にあったことも確かです。
例えば開戦前のシミュレーションの際、日本の空母に爆弾が命中して攻撃能力を失う事態に陥った時、参謀の1人が空母の被害を低めに修正させて図上演習を続けています。
また作戦前に
「もし敵空母がやってきたら」
と問われた航空参謀は、
「鎧袖一触(がいしゅういっしょく)です」
とこともなげに答えていたという話もあります。
「鎧袖一触」
とは
「刀を抜くまでもなく、鎧の袖を当てただけで相手を倒してしまう」
という意味の言葉です。
ここには具体的な対策案はありません。
単なる思い込みです。
その発言が事実であったかどうかは不明ですが、ミッドウェー海戦全体を改めて眺めると、そこには上層部の油断や傲慢が随所に見られます。
そして私はここに
「言霊主義」
の悪しき面を見ます。
つまり
「悪い結果は口にしないし、想定もしない」
で、
「良い事だけを言う」
という日本人に特有の精神です。
この後も、日本軍は
「言霊主義」
に囚われ、太平洋の各戦場で独りよがりの作戦を立てて敗北を重ねていきます。
もう1つ日本軍の大きな欠点は情報を軽視したことです。
その典型が昭和17年(1942)8月に始まったガダルカナル島攻防戦でした。
この島をアメリカ軍に奪われたと聞いた大本営は直ちに奪回を試みますが、アメリカ軍の兵力を2000人くらいと根拠もなく見積もり、それなら900人ほどで勝てるだろうと一木支隊を送り込みました。
敵の半分の兵力で勝てると考えるのも大いに問題ですが、実際にはアメリカ軍は1万3000人もいたのです。
また日本軍が持っていない重砲などを装備していました。
アメリカ軍陣地に突撃した800人の兵士のうち777人が一夜にして死亡しました。
その報を受けた大本営は、それではと今度は5000人を送り込みます。
しかしアメリカ軍は更に1万8000人まで増強していました。
結局、ガダルカナル島を巡る攻防戦は半年近くに渡って行われ、日本軍は夥しい人的被害を出し、大量の航空機と艦艇を失って敗退します。
しかもガダルカナル島で亡くなった陸軍兵の多くは餓死でした。
この戦いでは、日本の誇る世界最強の戦艦である大和と武蔵は1度も出撃していません。
兵力を温存したかったという理由もありますが、石油不足のために動かせなかった(大和型戦艦は大量に重油を消費する)という面もありました。
輸送船を護衛しなかったツケが開戦後1年も経たないうちに回ってきたのです。

無意味な戦い
昭和18年(1943)の時点で、日本の国内経済は既にガタガタになっており、生産力は著しく低下していました。
アメリカとの戦争継続の見通しはかなり厳しくなっていましたが、アメリカの本格的な反攻がなかったためか、講和の画策をした形跡がありません。
一方、中国大陸に限っては戦いを有利に進めていました。
ただアメリカはその1年を間休んでいたわけでは決してありませんでした。
ヨーロッパ戦線を戦いながら、日本への反攻準備を着々と整えていたのです。
一番の武器は大型空母でした。
真珠湾攻撃を見て空母の有効性を確認したアメリカは、大型空母(エセックス級と呼ばれるもので、第二次世界大戦中の最強の空母)の建造を大幅に増やしたのです。
その結果、アメリカが終戦までの間に18隻ものエセックス級空母を就役させたのに対し、日本が戦争中に就役させて実戦に投入できた正規空母は1隻のみでした。
ちなみに開戦時、アメリカが保有していた中型以上の空母は7隻、日本は6隻でしたが、アメリカは大西洋にも空母を展開していたので、太平洋側では日本が優勢でした。
しかし僅か3年で大逆転しました。
昭和19年(1944)6月に行われたマリアナ沖海戦で、新型空母をずらりと揃えたアメリカの機動部隊の前に、日本の聯合艦隊は完敗を喫します。
その戦力差は最早圧倒的と言えるほど開いていました。
この戦いで大本営が掲げていた絶対国防圏が破られ、サイパン島が奪われました。
これは日本の命運を握られたとも言える事態でした。
というのも、サイパンからは大型爆撃機B-29が直接日本を空襲することが可能だったからです。
この時、国務大臣でもあった岸信介(戦後、首相になる)らは
「本土爆撃が繰り返されれば必要な軍需を生産出来ず、軍需次官としての責任を全う出来ないから講和すべし」
と首相の東條英機に進言しました。
東條は
「ならば辞職せよ」
と言いましたが、岸は断固拒絶しました。
東條の腹心だった東京憲兵隊長が岸の私邸を訪れ、軍刀をがちゃつかせて恫喝しても岸は動じませんでした。
結果、閣内不一致となり、同年昭和19年(1944)7月、東條内閣はサイパン失陥の責任を取る形で総辞職となります。
現代でもメディアや文化人などが、東條英機をヒトラーやムッソリーニなどの独裁者と同列に並べることがありますが、この一事を見てもそうではないことが分かります。
日本は戦争中であっても議院内閣制を堅持していたのです。
後の評論家の多くは、この時に不利な条件でも講和すべきだったと言いますが、既にこの時点ではアメリカは無条件降伏に近いものしか認めなかったでしょうし、大本営と陸軍がそれを呑んだとは考えられません。
つまるところ、行き着く所まで行く運命にあったと言えるのです。

神風特攻隊
日本は中国大陸での戦いでは常に優勢でしたが、昭和19年(1944)秋の時点で、アメリカを相手にした太平洋での戦いは最早絶望的でした。
聯合艦隊はほとんどの空母を失っており、強大な空母部隊を擁するアメリカ艦隊に対抗できる力などあるはずもなかったのですが、それでも降伏しない限りは戦い続けなくてはなりませんでした。
同年昭和19年(1944)10月、日本はフィリピンでアメリカ軍を迎え撃ちます。
追い詰められた日本海軍は、人類史上初めて航空機による自爆攻撃を作戦として行いました。
神風特攻隊です。
神風特攻隊は最初はフィリピンでの戦いの限定的作戦でしたが、予想外の戦果を挙げたことから、なし崩し的に通常作戦の中に組み入れられました。
しかし陸海軍の必死の攻撃の甲斐も無く、フィリピンはアメリカに奪われ、日本陸軍兵士51万8000人が戦病死します。
フィリピンを奪われたことで、南方と日本を繋ぐシーレーンは完全に途絶え、遂に石油は1滴も入って来ない状態となりました。
もっともその前から護衛の無い日本の油槽船はアメリカの潜水艦の餌食となっていて、昭和19年(1944)には、インドネシアから国内へ送られた原油は僅か79万リットルでした(戦前、アメリカから輸入していた原油は年間500万リットル)。
最早戦争どころか国民生活さえ維持できない状況となっていたのです。
翌昭和20年(1945)、アメリカ軍は遂に沖縄にやってきました。
日本軍は沖縄を守るために、沖縄本島を中心とした南西諸島に7万以上の兵士を配置しました。
更に陸軍と海軍合わせて約2000機の特攻機が出撃しました。
また聯合艦隊で唯一残った戦力と言える戦艦大和も出撃しましたが、延べ400機近いアメリカ空母艦載機の攻撃により、坊ノ岬沖であえなく沈められました。
戦後の今日、
「日本は沖縄を捨て石にした」
と言う人がいますが、これは完全な誤りです。
日本は、沖縄を守るために最後の力を振り絞って戦ったのです。
もし捨て石にするつもりだったなら、飛行機も大和もガソリンも重油も本土防空及び本土決戦のために温存したでしょう。
沖縄は不幸なことに地上戦となり、約9万4000人もの民間人が亡くなりました。
沖縄出身の兵士は2万8000人以上がなくなっていますが、沖縄以外の出身の兵士も約6万6000人が亡くなっています。
決して沖縄を捨て石になどしていなかったのです。

悪魔の如きアメリカ軍
アメリカ軍は沖縄を攻略する前に、昭和20年(1945)3月に東京大空襲を行っています。
これはアメリカが日本の戦意を挫くために、一般市民の大量虐殺を狙って行われたものでした。
この作戦を成功させるために、アメリカ軍は関東大震災や江戸時代の明暦の大火についてまで調べ、どこを燃やせば日本人を効果的に焼き殺せるかを事前に研究し尽くして、空襲場所を浅草区、深川区、本所区などを中心とする民家密集地帯に決めました。
またどのような焼夷弾が有効かを確かめるために、ユタ州の砂漠に日本の民家を建てて作り、実験まで行っています。
その家の中には、ハワイから呼び寄せた日系人の職人に、布団、畳、障子、卓袱台までしつらえさせるという徹底ぶりでした。
そしてサイパン基地から300機のB-29に爆弾を積めるだけ積んで出撃し(そのため機銃まで降ろしていた)、昭和20年(1945)3月9日の深夜から10日の未明にかけて、2000メートルという低空から東京都民に爆弾の雨を降らせたのです。
その結果、一夜にして老人、女性、子供などの非戦闘員が10万人以上殺されました。
これはハーグ陸戦条約に違反した明白な戦争犯罪行為です。
昭和20年(1945)5月にドイツが無条件降伏し、世界を相手に戦っているのは日本のみとなりました。
東京はその後も何度か大空襲に遭い、全土が焼け野原となりました。
アメリカ軍は昭和20年(1945)5月に東京を爆撃目標リストから外したほどです。
被害に遭ったのは東京だけではありません。
大阪、名古屋、福岡など、日本の主要都市は軒並み焦土にされ、全国の道府県、430の市町村が空襲に遭いました。
アメリカ軍の戦闘機は逃げ惑う市民を、動物をハンティングするように銃撃しました。
空襲による死者数は、調査によってバラツキがありますが、数十万人と言われています。
アメリカ軍による最も残虐な空襲は、昭和20年(1945)8月に、広島と長崎に落とした2発の原子爆弾(原爆)でした。
これも無辜の一般市民の大量虐殺を意図したもので、明白な戦争犯罪です。
この時点では日本の降伏は目前だったにもかかわらず、人類史上最悪の非道な行為に及んだことは許し難いものがあります。
しかし今もアメリカ人の多くは
「原爆投下は正しかった」
と考えています。
その理由は原爆のお陰で戦争が早期に集結し、多くのアメリカ兵の命が救われたからというものです。
実に利己的な考え方ですが、広島と長崎に原爆を投下した本当の目的はそれではありません。
もし原爆の威力を見せつけることで日本に戦争終結を迫りたいなら、人口密集地に投下しなくてもよかったはずですし、仮に都市に投下するなら事前に告知して住民が退避する時間を与えるということも出来たはずです。
これは何も私の考えではありません。
実際に、アメリカ国内で原爆の関係者(原爆に関する諮問機関である暫定委員会のメンバー)が政府に提言していた内容です。
しかし残念なことに、それらの提言は取り上げられることはなく、広島と長崎に原爆は投下されました(長崎は当初の目的地である小倉上空が雲で覆われていたため、第2候補地であった長崎に投下された)。
原爆投下の目的の第1は、原爆の効果を知るためであったと言っていいでしょう。
その根拠は、原爆投下候補地には通常の空爆を行っていなかったことが挙げられます。
ちなみに京都がほとんど空襲されなかったのも候補地の1つであったからです。
アメリカ軍が文化財を守るため、京都、奈良などの古都を空爆しなかったという話がありますが、これは完全な誤りです。
この誤解に便乗し、中国人の建築家がアメリカに対して
「京都、奈良を空爆しないように進言した」
という話がありますが、これは悪質な捏造です。
何より忘れてはならないのは、原爆投下には有色人種に対する差別が根底に見えるということです。
仮にドイツが徹底抗戦していたとしても、アメリカはドイツには落とさなかったでしょう。
大東亜戦争が始まった途端、アメリカは約8割の日系アメリカ人(アメリカ市民)の財産を剥奪し、強制キャンプに送りましたが、第二次世界大戦中もドイツ系アメリカ人に対しては特に制約をしていません(ナチスへの協力者は除く)。
昭和19年(1944)9月にニューヨークのハイドパークで行われたルーズベルト米大統領とチャーチル英首相の
「核に関する秘密協定」
において、原爆はドイツではなく、日本へ投下することを確認し合っています。
原爆投下のもう1つの目的は、ソ連に対しての示威行為です。
アメリカは戦後の対ソ外交を有利に運ぶために原爆投下を昭和20年(1945)の5月には決定していました。
原爆はソ連に対して何よりの軍事的威圧になると見ていたからです。
2発目の原爆が落とされた昭和20年(1945)8月9日、ソ連が
「日ソ中立条約」
を破って参戦しました。
最早日本が戦争を継続するのは不可能でした。
5日後の昭和20年(1945)8月14日、日本は
「ポツダム宣言」
を受諾すると連合軍に通達します。
ここに日本が3年9カ月戦った大東亜戦争の終わりが決定しました(同時に8年続いた支那事変も終結)。
古代以来、1度も敗れることがなかった日本にとって初めての敗北でした。
同時に、16世紀より続いていた欧米列強による植民地支配を跳ね返し、唯一独立を保った最後の有色人種が、遂に白人種に屈した瞬間でもありました。

「大東亜戦争は東南アジア諸国への侵略戦争だった」
と言う人がいますが、この見方は誤りです。
というより、正確な意味での侵略ではありません。
日本は中国以外のアジア諸国とは戦争をしていないからです。
日本が戦った相手は、フィリピンを植民地としていたアメリカであり、ベトナムとカンボジアとラオスを植民地としていたフランスであり、インドネシアを植民地としていたオランダであり、マレーシアとシンガポールとビルマを植民地としていたイギリスでした。
日本が
「大東亜共栄圏」
という理想を抱いていたのは確かです。
「大東亜共栄圏」
とは、日本を指導者として、欧米諸国をアジアから排斥し、中華民国、満州、ベトナム、タイ、マレーシア、フィリピン、インドネシア、ビルマ、インドを含む広域の政治的・経済的な共存共栄を図る政策でした。
昭和18年(1943)には東京で、中華民国、満州国、インド、フィリピン、タイ、ビルマの国家的有力者を招いて
「大東亜会議」
を開催しています。
また同年昭和18年(1943)8月1日にビルマを、昭和18年(1943)10月14日にフィリピンの独立を承認しています(ただし、アメリカとイギリスは認めなかった)。
残念ながら日本の敗戦により、
「大東亜共栄圏」
が実現されることはありませんでしたが、戦後、アメリカやイギリスなど旧宗主国は再びアジアの国々を支配することはできず、アジア諸国の多くが独立を果たしました。
この世界史上における画期的な事実を踏まえることなく、短絡的に
「日本はアジアを侵略した」
と言うのは典型的な自虐史観による見方です。

日本国憲法
昭和20年(1945)8月、アメリカ軍を主力とする連合国軍が日本の占領を開始しました。
連合国軍とは言っても実質的にはアメリカ軍による単独占領で、ダグラス・マッカーサーを最高司令官とする連合国軍最高司令官総司令部(General Headquarters。以下GHQと表記)が東京に置かれました。
占領政策は狡猾で、表向きはGHQの指令・勧告によって日本政府が政治を行う間接統治の形式を取りましたが、重要な事項に関する権限はほとんど与えませんでした。
GHQの最大目的は、日本を2度とアメリカに刃向かえない国に改造することでした。
そこで、明治以降、日本人が苦心して作り上げた政治の仕組みを解体し、憲法を作り替えることに着手しました。
同年昭和20年(1945)10月、GHQは日本政府に対し、大日本帝国憲法を改正して新憲法を作るように指示します。
これは実質的には大日本帝国憲法破棄の命令に近いものでした。
幣原喜重郎内閣は改正の草案を作りましたが、発表前に毎日新聞社に内容をスクープされてしまいます。
草案の中に
「天皇の統治権」
を認める条文があるのを見たマッカーサーは不快感を示し、GHQの民生局に独自の憲法草案の作成を命じました。
もちろんこの時、
「戦争放棄条項」
がマッカーサーの念頭にあったことは言うまでもありません。
ハリー・S・トルーマン政権の方針に基づいて民生局のメンバー25人が都内の図書館で、アメリカの独立宣言やドイツのワイマール憲法、ソ連のスターン憲法などを参考にして草案をまとめあげました。
中にはほとんど丸写しという文章もありました。
メンバーの中に憲法学を修めた人は1人もいませんでした。
しかし驚いたことに、そんな彼らが1国の憲法の草案を僅か9日で作ったのです(日数については諸説あり、最短6日という説もある)。
本来、憲法というものは、その国の持つ伝統、国家観、歴史観、宗教観を含む多くの価値観が色濃く反映されたものであって然るべきです。
ところが日本国憲法には、第1条に
「天皇」
のことが書かれている以外、日本らしさを感じさせる条文はほぼありません。
しかもこのようにして作られた憲法には、今日まで議論の的になっている条項、いわゆる
「9条」
があります。
それは次の2項から成っています。
「(1)日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」
「(2)前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」
いわゆる
「戦争放棄」
として知られるこの条項は、マッカーサーの強い意向で盛り込まれたものでしたが、さすがに民生局のメンバーからも、
「憲法にこんな条項があれば、他国に攻められた時、自衛の手段がないではないか」
と反対する声が上がったと言われています。
そのため、
「前項の目的を達するため」
という文言が追加され(芦田修正)、自衛のために戦力を保持することが出来るという解釈を可能とする条文に修正されましたが、日本人の自衛の権利すら封じる旨を謳っていることには変わりがありませんでした。
GHQはこの憲法草案を強引に日本側に押し付けました。
内閣は大いに動揺しますが、草案を吞まなければ天皇の戦争責任追及に及ぶであろうことは誰もが容易に推測できました。
現代においても、日本国憲法はGHQから押し付けられたものではないと主張する日本の野党政治家及びリベラルの学者や文化人は少なくありませんが、GHQが残した多くの資料がそれを否定しています。
例えば、江藤淳はメリーランド州スートランドにあるアメリカ国立公文書館分室から、GHQのG-2(参謀第2部)の指揮下にあったCCD(民間検閲支隊)が昭和21年(1946)11月25日に出した検閲指針(A Brief Explanation of the Categories of Deletions and Suppressions,dated 25 November,1946,The National Records Center,資料番号 RG 331, Box No.8568)を見付けています。
それはGHQが新聞や映画などで削除または発行禁止処分の対象となる項目を略説したものですが、その中の(三)に、以下の文章があります。
「SCAP(Supreme Commander for the Allied Powers:連合国軍最高司令官つまりマッカーサー)が憲法を起草したことに対する批判」
つまりGHQ自らが、日本国憲法を起草したのはマッカーサー(及び部下たち)であるとはっきりと書いているのです。
しかもそのことに対する批判は削除または発行禁止処分になるとまで言っています。
後にマッカーサーは
「9条を提案したのは幣原喜重郎首相だ」
と言い出し、幣原喜重郎自身も
「戦争放棄9条をマッカーサーに進言した」
という意味のことを言っています。
つまり9条はマッカーサーと幣原喜重郎の秘密会談で生まれたということですが、それはあり得ません。
何故なら、日本の非武装はトルーマン政権及びマッカーサーの断固とした意思であり、
「戦争放棄」
についてはマッカーサーが民政局長に手渡したとされる指示ノートに残されています。
マッカーサーは昭和28年(1953)の談話の中で次のように語っています。
「占領軍が撤退し、日本人の思い通りになる状況が生まれた途端に、彼らは押し付けられた憲法を捨て去ろうとするだろう」
「これほど確かなことはない」
(ジョージ・H・ブレイクスリー『極東委員会ー国際協力の研究』より)
つまりマッカーサーは日本人に
「憲法9条は押し付けられたものではない」
というイメージを植え付けておくことが大事だったのです。
ただ、幣原喜重郎がマッカーサーに9条のアイデアを語った可能性はあります。
昭和26年(1951)に、幣原喜重郎の元秘書官で当時衆議院議員だった平野三郎の質問に答えて語っている中に、戦争放棄に関する狂信的とも言える考えが吐露されているからです。
その一部を紹介しましょう。
「非武装宣言ということは、従来の観念からすれば全く狂気の沙汰である」
(中略)
「要するに世界は今1人の狂人を必要としているということである」
「何人かが自ら買って出て狂人とならない限り、世界は軍拡競争の蟻地獄から抜け出すことが出来ないのである」
「これは素晴らしい狂人である」
「世界史の扉を開く狂人である」
「その歴史的使命を日本が果たすのだ」
(『平野文書』より)
幣原喜重郎の言葉は、憲法9条が絶対的正義であるとする現代の護憲派の人たちの考え方と酷似しています。
この時、平野が
「軍隊のない丸裸の所へ敵が攻めて来たら、どうするという訳なのですか」
と訊いていますが、幣原喜重郎の答えは
「死中に活」
というものでした。
意味が分からない平野が重ねて問うと、幣原喜重郎はこう答えています。
「戦争をやめるには武器を持たないことが一番の保証になる」
ここには既に論理はありません。
敢えて言うならば、宗教的な妄想に近い考えになっています。
侵略国家に対して、自衛の力を持たない国家や民族がどのような悲惨な運命を辿って来たかは、世界史を繙けば一目瞭然です。
そもそも幣原喜重郎という人物は、かつてワシントン会議においてアメリカの策略に乗って日英同盟を破棄して名ばかりの
「四カ国条約」
を締結した張本人であり、満州や中国で日本人居留民が中国人から度々嫌がらせを受けても、
「自重するように」
と言い続けた外相(当時)です。
恐らく若い頃から、戦争を忌避すれば平和が訪れるという思想の持ち主だったのかもしれません。
それで前述したようにマッカーサーとの会談で、そうした話をした可能性はあります。
しかし繰り返しますが、日本の戦争放棄はアメリカの既定路線でした。
新憲法は、手続き上は大日本帝国憲法を改正する形式を取り、衆議院と貴族院で修正可決された後、日本国憲法として昭和21年(1946)11月3日に公布され、翌年昭和22年(1947)5月3日に施行されました。
ここで、絶対に知っておいて頂きたい事があります。
アメリカを含む世界44カ国が調印している
「ハーグ陸戦条約」
には、
「占領国は占領地の現行法を尊重する」
と書かれています。
つまり、GHQが日本の憲法草案を作ったというこの行為自体が、明確に国際条約違反なのです。
ちなみに西ドイツも日本と同じように連合国によって強引に憲法を押し付けられています。
しかしそこには決定的とも言える違いがあります。
ドイツへ押し付けた憲法には
「交戦権」
を奪っていないことです。
そこには日本あるいは有色人種に対する明確な差別意識が窺えます。
第二次世界大戦中も、アメリカは日系移民(国籍はアメリカ市民)の私有財産を奪った上、強制収容所に送りましたが、ドイツ系やイタリア系の移民に対してはそんな事は一切行っていません。
この時、日系移民の若者(男子)たちは、アメリカに対する忠誠を誓うため、軍に志願してヨーロッパ戦線で戦いました。
日系アメリカ人2世が主力の
「442連隊戦闘団」
連合国軍の中で最も勇敢な部隊として知られ、アメリカ合衆国史上最も多くの勲章を受けました。
しかしその死傷率は300パーセントを超えるものでした(連隊の定員の3倍以上の死傷者を生んだ)。
その凄まじい数字を見ただけで、彼らの多くはアメリカで生まれ育ちましたが、日本の侍の心を持った男たちでした。
そして彼らはその合言葉
「Go for broke!」(当たって砕けろ!)
と共に、文字通りその命を懸けて、アメリカに日本人の素晴らしさを示したのです。
後にトルーマン大統領が
「諸君は敵のみならず、偏見とも戦って、勝利した」
とい言葉を贈りましたが、「もって瞑すべし:(宿願を果たして)それで安心して死ぬことができる」と思います。

前述したように
「日本国憲法」
はGHQの恫喝によって押し付けられました。
当時の日本政府には、これを拒否する力はありませんでした。
具体的に言えば、その日は昭和21年(1946)2月13日です。
この日の午前10時、外務大臣官邸を訪れたGHQ民生局のホイットニー准将らが外務大臣の吉田茂と国務大臣の松本烝治と終戦連絡事務局参与の白洲次郎らに、
「日本国憲法」
と題された草案を渡し、
「これはマッカーサーが日本の事情が必要としている諸原理を具現すべきものとしている」
と言いました。
そして
「君たちが草案を読んでいる間、我々は退席する」
と言って部屋を出ました。
3人はGHQが憲法草案を作っていたことにも驚きましたが、その内容を読んで愕然とします。
そこには
「戦力の保持は認めない」
「土地は国有とする」
「議会は一院制にする」
といった衝撃の内容が数々含まれていたからです。
(「土地の国有化」や「一院制」に関しては日本側の要望で削除されたが、それらはGHQも織り込み済みで、敢えていくつかそうした取引材料を入れていたとされる)
この時、白洲次郎が庭に出ていたホイットニー准将をつかまえると、彼は白洲次郎に向かってこう言いました。
「原子力(アトミック・エナジー)の暖かさをエンジョイしていたよ」(We have been enjoying your atomic sunshine.)
太陽の熱をわざと原子力(atomic)と表現したのは、白洲次郎に原子力爆弾を連想させる意図に他なりません。
更にこの時間帯に合わせて、東京上空に爆撃機B-25を飛ばせていたのです。
これは余りにもあからさまな恫喝です。
白洲次郎は
「血が逆流する思いであった」
と述べています。
部屋に戻ったホイットニーは、吉田らに対して
「この草案が受け入れられれば、天皇の地位は安泰になるだろう」
と言いました。
つまり言い換えれば、拒否すれば天皇の命も保証できないというものです。
日本は草案を呑む以外に道はありませんでした。
これは屈辱の歴史です。
ところがその憲法を私たちは70年以上経った今も改正していませんが、実はこれは世界の中でも極めて異常なことです。
憲法は絶対不変なものではなく、時代に合わせて必要なものを付け加え、不要なものは削除するというのは世界の常識です。
ちなみに第二次世界大戦後、令和2年(2020)の時点で、アメリカは6回、フランスは27回、イタリアは16回、韓国は9回、憲法を改正しています。
ソ連や中国といった共産主義国でさえ何度も改正しています。
日本と同じく連合国軍によって憲法を押し付けられたドイツは65回も改正しています。
しかし日本は押し付けられた憲法をまるで聖典のように扱い、一字一句変えることなく、現代に至っているのです。
最早非占領国ではなく、連合国軍が統治する国ではないにもかかわらずです。

教職追放
GHQの行った思想弾圧で、後の日本に最も大きな影響を与えたのは
「教職追放」
でした。
GHQは占領直後から、帝国大学で指導的立場にあった教授(多くは愛国者や保守的な思想の持ち主)、あるいはGHQの政策に批判的な教授を次々に追放しました。
「WGIP:ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」(英語:War Guilt Information Program)
を日本人に完全に植え付けるためには、教育界を押さえる必要があると考えたからです。
代わってGHQが指名した人物を帝国大学に入れましたが、その多くは戦前に共産党員であったり、無政府主義的な論文を書いたりして大学から処分された人たちでした。
戦前、
「森戸事件」(東京大学の森戸辰男が無政府主義の宣伝をした事件)
に関係して東京大学を辞めさせられた大内兵衛(戦後、東京大学に復帰、後、法政大学総長)、戦前、無政府主義的な講演をして京都大学を辞めさせられた(滝川事件)滝川幸辰(戦後、京都大学総長)など、多くの者がGHQの後ろ盾を得て、結果的に
「WGIP:ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」(英語:War Guilt Information Program)
の推進者となり、東大、京大を含む有名大学を支配していくことになります。
一方、追放を免れた者も、これ以降はGHQの政策に批判的な事を口にしなくなったばかりか、帝国大学においては、共産主義に阿る教授や社会主義者に転向する者、変節する学者が続出しました。
特に酷かったのは東京帝国大学で、昭和21年(1946)、憲法学者の宮沢俊義は
「八月革命説」
を唱えて、日本国憲法(1946年11月3日に”公布”、1947年5月3日に”施行”)の正当性を論じました。
「八月革命説」
とは、簡単に言えば、
「ポツダム宣言の受諾によって、主権原理が天皇主権から国民主権へと革命的に変動したもので、日本国憲法はGHQによって押し付けられたものではなく、日本国民が制定した憲法である」
という説です。
現在でも、この説は東大の憲法学の教授らによって引き継がれ、その教え子たちによって全国の大学の法学部に広く行き渡り、司法試験などの受験界では
「宮沢説」
が通説となっています。
また国際法学者として東京大学に君臨した横田喜三郎は、東京裁判の正当性を肯定しています。
もちろん彼の説も、その後、弟子たちによって東京大学及び全国の大学に脈々と継承されています。
余談ですが、横田はGHQによる占領中に
「天皇を否定する」
内容の本(『天皇制』)を書いて出版しました。
しかし後年、最高裁長官に任命され、勲一等旭日大綬章が貰えそうになった時、門下生に命じて神田の古書店で自著を買い集めさせ、証拠隠滅のために個人焚書したのです。
何とも恥知らずな話ですが、見方を変えれば、己の信念や研究成果をもって書いた学説ではなかったという証です。
憲法学者の宮沢俊義も、最初は、
「日本国憲法の制定は日本国民が自発的自主的に行ったものではない」
と主張していましたが、ある日突然、正反対の意見を言い出した学者です。
その変わり身の早さから、恐らくGHQの教職追放を目の当たりにして、慌てて転向したものと思われます(宮沢は戦前にも軍部に阿って主張を変えた過去がある)。
悲しいのは、その後、日本の憲法学界をリードする東京大学の法学部の教授たちが、その宮沢の学説を半世紀以上に渡って継承し続けているということです。
そして東京大学法学部からは、戦後も数多くの官僚を排出しています。
「自虐史観」
に染まった教授たち(一部は保身のためGHQに阿った)から
「日本国憲法は日本人が自主的に作った」
「東京裁判は正しい」
という教育を受けた人たちが、文部科学省や外務省の官僚になるということの方がむしろ、恐ろしいことです。
「教職追放」
は大学だけでなく、高校、中学、小学校でも行われました。
最終的に自主的な退職も含めて約12万人もの教職員が教育現場から去ったと言われています。
その多くが愛国心を隠さなかったり、保守的な考えを持ったりした者で、特に戦前の師範学校出身者が多かったとも言われています。
その結果、教育界は社会主義者が支配するようになり、昭和22年(1947)に生まれた日本教職員組合(日教組)は、完全に左翼系運動組織となりました。
後に日教組の書記長となり、30年に渡ってトップの座にあった槙枝元文は、当時、国交がなかった北朝鮮を何度も訪問し、金日成から勲章まで授けられています。
こうして戦後の日本の教育界は左翼系の人々に乗っ取られた形となったのです。

公職追放
GHQが次に行ったのが
「公職追放」(公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令)
です。
GHQにとって好ましからざる人物と判断した人たちを様々な職場から追放したのです。
対象者は、
「戦犯」

「職業軍人」
など7項目に該当する人物でしたが、GHQが気に入らない人物は、それだけで追放処分となりました。
昭和21年(1946)、自由党総裁だった鳩山一郎は、首班(首相)指名を受ける直前に公職追放により政界から追放されました。
表向きの理由は昭和5年(1930)の
「統帥権干犯問題」
での鳩山の発言でしたが(軍部の暴走を助長することになったとされた)、本当の理由は別にあったと言われています。
鳩山は昭和20年(1945)、アメリカの原爆投下に批判的とも取れるインタビュー記事が朝日新聞に載ったことで、GHQから睨まれていたのです。
ちなみにこの時、朝日新聞は2日間の発行停止処分を受け、それ以降、朝日新聞はアメリカやGHQを批判する記事を一切書かなくなりました。
戦後初の総選挙で第1党となった政党の総裁さえ簡単に追放してしまうGHQの恐ろしさに、以降、GHQの政策に異議を唱える政治家はほとんどいなくなってしまいました。
また名称こそ
「公職追放」
となっていましたが、実際は公職だけでなく民間企業からも追放されました。
当時、日本は貧しく、ほとんどの人が食うや食わずの生活で、社会保障の制度もありません。
職を失うことは、まさしく死活問題でした。
政治家と言えども、その恐怖に怯えたのも無理はありません。
GHQは新聞社や出版社からも多くの人物を追放しました。
それは言論人や文化人にも及びました。
菊池寛(作家、「文藝春秋」創刊者)、正力松太郎(読売新聞社社長)、円谷英二(映画監督)、山岡荘八(作家)などの著名人の他、無名の記者や編集者も多くいました。
代わりにGHQの指名によって入って来たのは、彼らの覚えめでたき人物たちでした。
これにより、多くの大学、新聞社、出版社に、
「自虐史観」
が浸透し、GHQの占領が終わった後も、そうした思想が徐々に一般国民に行き渡っていくことになります。
大学や新聞社で追放を免れた人たちの中にも、追放を恐れてGHQの政策に対して批判的な事を口にする者はいなくなりました。
GHQの公職追放はその後も財界、教育界、言論界と広い範囲で行われ、その数は約20万6000人に及びましたが、追放を担当したG-2(参謀第2部)だけで、それだけの人数を処理できるはずはありません。
追放に協力した日本人が多数いたことは間違いなく、彼らの多くは共産党員並びにそのシンパであったと言われています。
前述の教職追放の時も、同じ日本人同士の密告や讒訴(ざんそ: 他人を陥れようとして、事実を曲げて言い付けること)が頻繁にあり、そうした空気を嫌って多くの教員が自主的に職場を去っています。
また政治家の間でも、GHQを使って政敵を追い落としたケースがありました。
ちなみに前述の焚書にも、左翼系学者や言論人の協力があったことは言うまでもありません。
こうした事実を見ると、
「教職追放」

「公職追放」
は、単に思想的な問題だけではなく、日本人の誇りとモラルを破壊したものだったということが分かります。

公職追放及び教職追放は、GHQにとっても大きな誤算となりました。
GHQの後押しによってメディアと教育界に入り込んだ社会主義者や共産主義者たちが大きな勢力を持ち始めたからです。
一般企業でも労働組合が強くなり、全国各地で暴力を伴う労働争議が頻発しました。
これらはソ連の指示があったとも言われています。
更に昭和24年(1949)、中国共産党が国民党に勝利して共産主義国を樹立したことにより、日本の大学やメディアでもソ連や中華人民共和国を礼賛する傾向が強くなりました。
日本の共産化を恐れたGHQは、昭和25年(1950)、日本共産党の非合法化を示唆します。
その後、官公庁、大企業、教育機関などから、共産主義者及びそのシンパの追放を勧告しました(レッドパージ)。
これにより1万数千人以上の人が様々な職場から追放されましたが、それらはかつての公職追放や教職追放のような徹底したものではありませんでした。
大学では共産主義者及びそのシンパの追放はほとんど行われませんでした。
メディアも同様でした。
また国鉄(日本国有鉄道。その後、JR各社に分かれる)の巨大労働組織で長年に渡り国民の血税を貪り続けた国労(国鉄労働組合)などでは、共産主義者らが、共産主義に反対する人々を、逆に共産主義者だと名指しして解雇し、実権を握りました。
こうして共産主義的な思想は日本社会の至る所に深く根を降ろしていくことになります。

ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム
GHQが行った対日占領政策の中で問題にしたいのが、日本国民に
「戦争責任」
を徹底的に伝える
「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」(英語:War Guilt Information Program)
でした。
分かり易く言えば、
「戦争についての罪悪感を、日本人の心に植え付けるための宣伝計画」
です。
これは日本人の精神を粉々にし、2度とアメリカに戦いを挑んでこないようにするためのものでした。
「極東軍事裁判」(東京裁判)
もその1つと言えます。
そして、これらの施策は結果的に日本人の精神を見事に破壊しました。
「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」
という言葉は、文芸評論家の江藤淳が昭和58年(1983)から月刊誌「諸君!」に連載した『閉ざされた空間』で使った呼称ですが、彼はGHQの内部文書から、占領軍がそうした意図を持っていたことを明らかにしました。
同連載は平成元年(1989)に書籍化されましたが、言論史を塗り替える画期的な本となりました。
その後、教育学者の高橋史郎や翻訳家の関野通夫らが多くの1次資料を発掘し、江藤の説を裏付けています。
同書が明らかにした事は紛れもない事実で、実際、昭和20年(1945)10月2日に発せられたGHQの一般命令書の中に、
「各層の日本人に、彼らの敗北と戦争に関する罪、現在及び将来の日本の苦難と窮乏に対する軍国主義者の責任、連合国の軍事占領の理由と目的を、周知徹底せしめること」
と明記されています。
GHQはその方針に従って、自分たちの意に添わぬ新聞や書物を発行した新聞社や出版社を厳しく処罰しました。
江藤がアメリカ国立公文書館分室で見付けた前述の文書には、禁止項目は全部で30もありました。
禁止事項の第1は
「GHQ/SCAP(連合国軍最高司令官総司令部及び最高司令官)に対する批判」
です。
2番目は
「東京裁判に対する批判」、
3番目は
「GHQが日本国憲法を起草したことに対する批判」
でした。
アメリカ、イギリス、ソ連、フランス、中華民国、その他の連合国に対する批判も禁じられていました。
更に何故か朝鮮人に対する批判も禁止事項に含まれていました。
占領軍兵士による犯罪の報道も禁じられ、またナショナリズムや大東亜共栄圏を評価すること、日本の戦争や戦犯を擁護することも禁じられました。
新聞や雑誌にこうした記事が載れば、全面的に書き換えを命じられました。
GHQの検閲は個人の手紙や電話にまで及びました。
進駐軍の残虐行為を手紙に書いたことで、逮捕された者もいます。
スターリン時代のソ連ほどではありませんでしたが、戦後の日本に言論の自由は全くありませんでした。
こうした厳しい検閲を、日本語が堪能でないGHQのメンバーだけで行えたはずがありません。
多くの日本人協力者がいたことは公然の秘密でした。
一説には4000人の日本人が関わったと言われています。
更にGHQは戦前に出版されていた書物を7000点以上も焚書しました。
焚書とは、支配者や政府が自分たちの意に添わぬ、あるいは都合の悪い書物を焼却することで、最悪の文化破壊の1つです。
歴史上では秦の始皇帝とナチスが行った焚書が知られていますが、GHQの焚書も悪質さにおいてそれに勝るとも劣らないものでした。
驚くべきは、これに抵抗する者には警察力の行使が認められており、違反者には10年以下の懲役もしくは罰金という重罰が科せられていたことです。
もちろん、この焚書にも多くの日本人協力者がいました。
特に大きく関与したのは、日本政府から協力要請を受けた東京大学の文学部だと言われています。
東京大学の文学部内には戦犯調査のための委員会もあったとされていますが、この問題を占領の終了後もマスメディアが全く取り上げようとしないのは実に不可解です。
検閲や焚書を含むこれらの言論弾圧は
「ポツダム宣言」
に違反する行為でした。
「ポツダム宣言」
の第10項には
「言論、宗教及び思想の自由並びに基本的人権は確立されるべきである」
と記されています。
つまりGHQは明白な
「ポツダム宣言」
違反を犯しているにもかかわらず、当時の日本人は一言の抵抗すらできなかったのです。
「大東亜戦争」
という言葉も使用を禁止されました。
GHQは
「太平洋戦争」
という名称を使うよう命じ、出版物に
「大東亜戦争」
という言葉を使えば処罰されたのです。
これは事実認識の点で非常に問題のある措置でした。
というのも、日本政府が閣議決定した
「大東亜戦争」
という呼称は、日中戦争から対米戦、ポツダム宣言受諾までの一連の戦争の総称ですが、
「太平洋戦争」
と言うと、中国大陸や東南アジアでの戦いが含まれないことになります。
しかも、
「太平洋戦争」
という呼称は、世界史で言えば、19世紀終盤に南米で起きたボリビア、ペルー、チリの戦争を指すのが一般的です。
GHQが
「大東亜戦争」
という呼称を禁じたのは、日本が欧米諸国に支配されていたアジアの解放を謳う意味で使った
「大東亜共栄圏」
を構築するための戦争であったというイメージを払拭させるためです。
GHQはたとえ大義名分であったとしても
「アジアの解放」
のための戦争であったと言われるのを嫌ったのです。
この検閲は7年間続きましたが、この時の国民の恐怖が国民の心の中に深く残ったためか、現在でも、マスメディアは決して
「大東亜戦争」
とは表記せず、国民の多くにも
「大東亜戦争」
と言うのを躊躇する空気があります。
如何にGHQの検閲と処罰が恐ろしかったかが想像できます。

『眞相はかうだ』による洗脳
GHQの
「WGIP:ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」(英語:War Guilt Information Program)
は新聞とラジオ放送によっても行われました。
昭和20年(1945)12月8日(この日は真珠湾攻撃からちょうど4年目の日)より、全国の新聞に
「太平洋戦争史」
というタイトルでGHQによる宣伝工作記事が連載され、その翌日からNHKラジオで
『眞相はかうだ』
という番組の放送が始まりました。
いずれも大東亜戦争中の政府や軍の腐敗・非道を暴くドキュメンタリーをドラマ風に描いたもので、国民は初めて知らされる
「真相」
に驚きました。
新聞連載もラジオ放送も、その目的は日本国民に
「太平洋戦争は中国をはじめとするアジアに対する侵略戦争であった」
ということを徹底的に刷り込むためのものでした。
『眞相はかうだ』
はGHQが全て台本を書いており(そのことは国民に知らされていなかった)、放送される内容も占領政策に都合のいいものでした。
GHQは翌年昭和21年(1946)も
『眞相箱』
『質問箱』
というタイトルで、約1年に渡り洗脳番組を放送し続けました(依然、GHQが制作していることは伏せられていた)。
GHQが巧妙だったのは、番組の中に時折、日本人の良い面を織り交ぜたことでした。
そうすることで内容に真実味を持たせたのです。
しかし戦前の政府や軍を批判する内容には、多くの虚偽が含まれていました。
当時も、これらの番組内容は真実ではないのではないかと疑義を抱く人はいました。
ところが、彼らが声を上げても、そうした記事は
「占領政策全般に対する破壊的批判」
と見做され、全文削除されていたのです。
かくの如く言論を完全に統制され、ラジオ放送によって(当時はインターネットもテレビもない)洗脳プログラムを流され続ければ、国民が
「戦前の日本」
を徹底的に否定し嫌悪するようになるのも無理からぬことです。
ただ、何より恐ろしいのは、この洗脳の深さです。
GHQの占領は7年間でしたが、それが終わって70年以上経った現在でも、
「歴史教科書」
などの影響もあり、多くの日本人が
「戦前の政府と軍部は最悪」
な存在で、
「大東亜戦争は悪辣非道な侵略戦争であった」
と無条件に思い込んでいます。
もちろん戦前の政府や軍部に過ちはありました。
しかし連合国にも過ちはあり、また大東亜戦争は決していわゆる
「侵略戦争」
ではありませんでした。
繰り返しますが、日本には中国を占領する意思はなく(人口と領土を考えても不可能であるし、またそうした作戦は取っていない)、またそれ以外のアジアの人々と戦争をしたわけではありません。
戦後、日本は僅か数年占領下においたアジア諸国に賠償金を支払いましたが、その国々を数十年から300年に渡って支配していたオランダ、イギリス、フランス、アメリカは、賠償金など一切払っていないばかりか、植民地支配を責められることも、少数の例を除いてはほとんどありません。
それは何故かー日本だけが誠意をもって謝罪したからです。
日本人には、自らの非を認めるにやぶさかでない、むしろ非を進んで認めることを潔しとする特有の性格があります。
他の国の人々と違って、謝罪を厭わないのです。
こうした民族性があるところへ、GHQの
「WGIP:ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」(英語:War Guilt Information Program)
によって贖罪意識を強く植え付けられたことで、当然のようにアジア諸国に深い謝罪の意を表したのです(もちろん連合国が謝罪させた面もある)。

現代においても歴史学者や評論家の中には
「WGIP(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(英語:War Guilt Information Program)など存在しない」
「WGIPは妄想の産物」
と断定する人が少なくありません。
しかしWGIPは陰謀論ではなく、厳然と存在するものです。
なぜならGHQの公式文書には、
「日本人にWGIPを植え付ける」
という文言が入った書類が多数残されているからです。
例えば、GHQの民間情報教育局(CIE)が昭和23年(1948)3月3日に出した文書のタイトルは、そのものずばり
「WGIPについて」
です。
そこには次のような文章があります。
「その任務を果たすためにCIEは1945年10月から1946年6月までの期間に第1段階のWGIPを開始した」
「このプログラムは日本の全ての公衆情報メディア、即ち新聞、書籍、雑誌、ラジオ、映画を通じて実施された」
(有馬哲夫著『日本人はなぜ自虐的になったのか』より)
ここにはGHQ自身がはっきりとWGIPを開始したと書いています。
これほど明白な証拠はありません。
これはあくまで一例で、GHQが日本人にWGIPを植え付けようとしていたことが書かれている文書はいくらでも残っています。
WGIPを否定する人たちは、こうした1次資料を無視します。
あるいは
「ウォー・ギルトとは『戦争の有罪性』を説くもの」
という風に論理の摩り替えを行います。
ところで、このGHQの文書で注目すべきは、
「日本の全ての公衆情報メディア、即ち新聞、書籍、雑誌、ラジオ、映画を通じて実施された」
というくだりです。
実はWGIPを試みたのはGHQですが、その後、それを積極的に推し進めたのは、他ならぬ私たちの国のメディアだったのです。
更にそれを後押しした組織に
「教育界」
があります。
教職追放の後、大学やその他の教育機関にGHQに阿る教授や教諭が大量に入り、若者や子供たちに自虐思想を植え付けていきました。
メディアと教育による
「洗脳工作」
は、連合軍の占領期間中に弛まず行われました。
その結果、日本の若年層の間に、過剰に自己を否定する、いわゆる自虐史観が蔓延していきました。
そして後に彼らの中から、
「君が代」

「日の丸」
を否定する人々が大量に生まれました。
実に悔しいながら、日本人をマインドコントロールするGHQの占領政策は見事に成功したと言わざるを得ません。
ちなみに戦後、GHQに最も忠実な報道機関となったのが朝日新聞と毎日新聞です。
特に朝日新聞は自ら進んでGHQの政策を肯定し、マッカーサーを称賛しました。
昭和26年(1951)に彼が連合国軍最高司令官を解任され、アメリカに帰国する際にはこう書きました。
「我々に民主主義、平和主義の良さを教え、日本国民をこの明るい道へ親切に導いてくれたのはマ元帥であった」(昭和26年【1951】4月12日)
まるで毛沢東か金日成を礼賛する共産主義国の機関紙のようです。
呆れたことに、この時、マッカーサーを顕彰する
「マッカーサー記念館」
を作ろうという提案がなされ、その発起人に当時の朝日新聞社長の長谷部忠が名を連ねています(毎日新聞社社長、本田親男の名前もある)。
朝日新聞社や毎日新聞社にとって、ダグラス・マッカーサーはそれほど偉大な人物であったということでしょう。

「ポツダム宣言受諾」
は、昭和20年(1945)8月9日の御前会議で決定されました。
場所は宮中御文庫附属庫の地下10メートルの防空壕内の15坪ほどの一室でした。
時刻は午後11時50分。
列席者は鈴木貫太郎首相、外務大臣、陸軍大臣、海軍大臣、陸軍参謀総長、海軍軍令部総長、枢密院議長の7人でした(他に陪席4人)。
司会の首相を除く6人は、
「ポツダム宣言受諾派」(外務大臣・海軍大臣・枢密院議長)

「徹底抗戦派」(陸軍大臣・陸軍参謀総長・海軍軍令部総長)
の真っ二つに分かれました。
日本政府が
「ポツダム宣言」
を受諾すれば、昭和天皇は戦犯として処刑される可能性もありましたが、会議中、昭和天皇は一切発言しませんでした。
時に昭和天皇は44歳でした。
昭和天皇は、その生涯に渡って、
「君臨すれども親裁(君主自らが政治的な採決を下すこと)せず」
という姿勢を貫いていました。
「親裁」
とは、君主自らが政治的な採決を下すことです。
従って国民が選んだ内閣の決定には口を挟まないという原則を自らに課していたのです。
それを行えば専制君主となり、日本は立憲国ではなくなるという考えを持っていたからです。
昭和3年(1928)の
「張作霖爆殺」
に関する田中義一首相の報告に対して不満を述べたことで内閣が総辞職したことを反省し、以後は
「拒否権」
も含めて、
「親裁」(君主自らが政治的な採決を下すこと)
は行いませんでした。
唯一の例外が、軍事クーデターである
「2・26事件」
の際に制圧せよと命じた時です。
大東亜戦争の開戦には反対だったにもかかわらず(開戦回避のため、水面下で努力していた)、開戦が決まった御前会議においては、内閣の決定に対して一言も異議を唱えませんでした。
「ポツダム宣言」
を巡っての会議は、
「徹底抗戦派」

「ポツダム宣言受諾派」
が共に譲らず、完全に膠着状態になりました。
日付が変わって昭和20年(1945)8月10日の午前2時を過ぎた頃、司会の鈴木貫太郎首相が、
「事態は一刻の遷延も許されません」
「誠に畏れ多いことながら、陛下の思し召しをお伺いして、意見をまとめたいと思います」
と言いました。
ずっと沈黙を守っていた昭和天皇は、
「それならば、自分の意見を言おう」
と、初めて口を開きました。
一同が緊張して見守る中、昭和天皇は言いました。
「自分は外務大臣の意見に賛成できる」
日本の敗戦が決まった瞬間でした。
恐ろしいまでの静寂の後、部屋にいた全員がすすり泣き、やがてそれは号泣に変わりました。
薄暗い地下壕で、11人の男たちが号泣する中、昭和天皇は絞り出すような声で言いました。
「大東亜戦争が始まってから陸海軍のしてきた事を見ると、予定と結果が大いに違う」
「今も陸軍大臣、陸軍参謀長と海軍軍令部総長は本土決戦で勝つ自信があると言っているが、自分は心配している」
「本土決戦を行えば、日本民族は滅びてしまうのではないか」
「そうなれば、どうしてこの日本という国を子孫に伝えることが出来ようか」
「自分の任務は祖先から受け継いだこの日本を子孫に伝えることである」
「今日となっては、1人でも多くの日本人に生き残ってもらい、その人たちが将来再び起ち上がってもらう以外に、この日本を子孫に伝える方法はないと思う」
「そのためなら、自分はどうなっても構わない」
この時の御前会議の様子は、陪席した迫水久常書記官長(現在の内閣官房長官)が戦後に詳細を語ったテープが残っています(国立国会図書館所蔵)。
この録音を文字起こしした文章を読めば、当夜の異様な緊迫感がこれ以上はないくらいの臨場感をもって迫ってきます。
日本政府はその日昭和20年(1945)8月10日の朝、連合国軍に
「ポツダム宣言受諾」
を伝えますが、この時、
「国体護持」(天皇を中心とした秩序【政体】の護持)
を条件に付けました。
連合国軍からの回答は昭和20年(1945)8月13日に来ましたが、その中に
「国体護持」
を保証する文言がなかったため(昭和天皇の処刑の可能性もあった)、政府は昭和20年(1945)8月14日正午に再び御前会議を開きます。
この時の列席者は、昭和20年(1945)8月9日の時の7人に加え、全閣僚を含む計23人でした。
この席上で
「(陛下を守れないなら)本土決戦やむなし」
という声が上がりますが、昭和天皇は静かに立ち上がって言いました。
「私の意見は変わらない」
「私自身は如何になろうとも、国民の生命を助けたいと思う」
最早列席者一同は慟哭するのみでした。
そして昭和天皇は最後にこう言いました。
「これから日本は再建しなくてはならない」
「それは難しい事であり、時間も長くかかるだろうが、国民が皆一つの家の者の心持になって努力すれば必ず出来るであろう」
「自分も国民と共に努力する」
(迫水久常内閣書記官長の証言録より)
同日昭和20年(1945)8月14日、
「ポツダム宣言受諾」
は閣議決定され、午後11時、連合国側へ通達されました。
こうして大東亜戦争は終結しました。
この歴史的な出来事の経緯と昭和天皇のお言葉が、今日、文科省が選定したどの歴史教科書にも書かれていないのは不可解としか言いようがありません。
従ってこの事を知っている日本人はほとんどいないのが実情です。
しかし、日本人であるならば、この事は永久に忘れてはならない事だと思います。

戦後、昭和天皇の戦争責任について様々な意見が出されてきました。
もちろん法的には責任は発生しませんが、この問題を語る前に、昭和天皇の政治に対するモットーについて述べたいと思います。
大日本帝国憲法の基本原則は、統治権は天皇が総覧( 全体に渡って目を通すこと)するが、実際の政治は政府が行うというものでした。
よって昭和天皇は、
「君臨すれども親裁(君主自らが政治的な採決を下すこと)せず」
という政治姿勢を貫いていました。
つまり昭和天皇は立憲君主であって、専制君主ではなかったのです。
昭和天皇は御前会議の場でも基本的に閣僚たちの意見を聞いているだけで、自らの意見を口にすることはありませんでした。
戦争中も、軍部が天皇大権である
「統帥権」【大日本帝国憲法下の日本における軍隊を指揮監督する最高の権限(最高指揮権)】
を盾に、全ては天皇陛下の命令であるという体で国民を動かして戦争に突き進んだというのが実態でした。
昭和天皇がその生涯において、政治的な決断(親裁)を下したのは、2・26事件と終戦の時だけでした。
厳密に言えば、昭和3年(1928)の
「張作霖爆殺事件」
に対して不快感を露わにしたケースがありましたが、そのことで内閣が総辞職した結果を見て、昭和天皇は内閣の決定には拒否権を発動しない旨を自らに課していました(その後の昭和11年【1936】の「2・26事件」は軍の統帥権者として反乱軍の鎮圧を命じたもの)。
昭和20年(1945)9月27日、昭和天皇がアメリカ大使館でマッカーサーと初めて会談した時、マッカーサーは昭和天皇が命乞いをしに来たと思っていました。
ところが、そうではありませんでした。
昭和天皇はマッカーサーにこう言ったのです。
「私は、国民が戦争遂行に当たって政治、軍事両面で行った全ての決定と行動に対する全責任を負う者として、私自身をあなたの代表する諸国の採決に委ねるためお訪ねした」
(『マッカーサー大戦回顧録』より)
この時、同行していた通訳がまとめた昭和天皇の発言のメモに、後日、藤田尚徳侍従長が目を通し、回想録に次のように記しています。
「陛下は次の意味のことを元帥に伝えられている。
『敗戦に至った戦争の、色々の責任が追及されているが、責任は全て私にある』
『文武百官は、私の任命する所だから、彼等には責任はない』
『私の一身は、どうなろうと構わない』
『私はあなたにお任せする』
『この上は、どうか国民が生活に困らぬよう、連合国の援助をお願いしたい』」
(『侍従長の回想』)
マッカーサーは昭和天皇のこの言葉に深い感銘を受けます。
「死を伴うほどの責任、それも私の知り尽くしている諸事実に照らして、明らかに天皇に帰すべきではない責任を引き受けようとする、この勇気に満ちた態度は、私の骨の髄までも揺り動かした」
「私はその瞬間、私の前にいる天皇が、個人の資格においても日本の最上の紳士であることを感じ取ったのである」
(『マッカーサー大戦回顧録』より)
この時の会談の際、車で訪問した昭和天皇をマッカーサーは出迎えませんでした。
昭和天皇は戦犯候補に挙げられていたので、これは当然でした。
しかし帰る時にはマッカーサーは昭和天皇を玄関まで見送りに出ています。
恐らく会談中に昭和天皇の人柄に感服したためだと思われます。
「君臨すれども親裁(君主自らが政治的な採決を下すこと)せず」
という存在でありながら、同時に日本の
「統治権の総攬者」
であった昭和天皇の戦争責任というテーマは、イデオロギーや政治的な立ち位置によって見方が変わり、また永久に結論が出ない問題ではあります。
「ご聖断」
が遅過ぎたという声もあります。
しかし、仮に半年前に天皇が終戦を決断したとしても、連合国、特にアメリカ政府がそれに同意する保証はなく、日本の陸軍がそれを呑むこともなかったと思われます。
昭和20年(1945)8月14日の時点でさえ、陸軍の中には、更なる犠牲を出しても本土決戦をすべきと主張する者が何人もいたのです。
余談ですが、戦争中、昭和天皇は1度も皇居から離れませんでした。
東京は何度もアメリカ軍の大空襲を受けており、周囲の者は疎開を勧めましたが、昭和天皇は
「目の前で君臣が次々と死んでいくのに、なぜ朕だけが疎開などできようか」
と言い、頑として拒否しました。
昭和天皇は死を覚悟していたのです。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/185.html#c19

[政治・選挙・NHK297] 大阪万博「遠足」堺市の小・中学校8割が辞退の衝撃…無料招待でも安全への懸念広がる(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
38. 秘密のアッコちゃん[1487] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月24日 18:24:27 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[925]
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トランプ氏、空振りのプーチン氏擁護 「終戦の意思」なきロシア、和平交渉は挫折濃厚
世界を解く−E・ルトワック
2025/4/24 14:00
https://www.sankei.com/article/20250424-V55EQ5Z5J5IDHO2K6PAISFNLQY/
ロシアに侵略されたウクライナの和平交渉は、トランプ米大統領がロシアに停戦と引き換えに制裁の全面解除などの提案をしているにもかかわらず、プーチン露大統領は一連の呼びかけに応じようとせず、現時点で挫折の様相が濃厚だ。
トランプ氏は昨年2024年の大統領選の期間中、プーチン氏を決して非難しようとしなかった。
このため一部の有権者に
「トランプ氏はプーチン氏に弱みを握られている」
「後ろめたい理由でロシア寄りになった」
と確信させる結果を招いた。
トランプ氏が、こうした政治的代償を支払ってでもプーチン氏批判に踏み切らなかったのは、関係を維持し、大統領就任後に速やかに友好的に協力し合ってウクライナ戦争を終わらせる道筋を作るためだった。
ところがプーチン氏は、トランプ氏との直接協議に直ちに応じることはせず、ラブロフ外相を交渉役に立て、トランプ氏を失望させた。
プーチン氏は、トランプ氏が何か罠を仕掛けようとしているとの疑念に支配されているのだ。
だが、トランプ氏の考えは単純明快だ。
ロシアが求めるように対露制裁を全て解除し、早急に和平合意を実現させ、将来的な中国との戦いでロシアに中立的立場を取らせたいだけだ。
■ゴルバチョフではないプーチン氏
プーチン氏がなぜこのような態度を取るのか、説明するのは難しい。
私はプーチン氏の上級顧問たちとも連絡を取って真意を探ったが、彼ら側近たちも米国の提案に応じないプーチン氏の態度が分からないと話していた。
強いて言えばプーチン氏は、かつてソ連国家保安委員会(KGB)将校だった頃からの米国への疑心を払拭できていないのかもしれない。
プーチン氏は決して愚者ではないが、今の行動は愚劣と言える。
トランプ氏の申し出に応じれば、ロシアは堂々と米国との関係を復活させ、国際社会に復帰できるのに、プーチン氏はそんな好機から完全に背を向けているのだ。
欧州の政治指導者や外交専門家などの間では
「プーチン氏は戦争を終わらせる意思がない」
との意見も少なくない。
欧米や主要国がロシアとの外交的懸案を語る際、楽観論者と悲観論者とでは約9割の確率で悲観論者の見立てが当たる。
安倍晋三首相(当時)がプーチン氏との交渉で北方領土問題の解決を目指した際も反対論が支配的だったが、案の定失敗した。
数少ない成功例は、レーガン米大統領とソ連のゴルバチョフ書記長(共に当時)が一緒になって東西冷戦を終結に導いたことくらいだろう。
トランプ氏は、レーガンばりの対露楽観論者だ。
だが、プーチン氏は結局、ゴルバチョフではないということなのかもしれない。
トランプ氏は、事態が膠着しつつあることに業を煮やしてプーチン氏に見切りをつけ、政権の最重要課題である中国への高関税措置を通じた米国内産業の再活性化に早くも関心を移している。
■「対中国」という地球規模の問題
だが、その間もウクライナとロシアの戦争は続いている。
米国は停戦が実現するまでの間、これまで通りにウクライナを支えていくべきだ。
とはいえ、トランプ氏および同氏を支える人々は、米国がウクライナ追加支援の予算措置を取ることに納得しないだろう。
トランプ氏は、米国が
「対中国」
という地球規模の問題を一手に引き受けるのだから、欧州がウクライナ支援と欧州での対露防衛を一層積極化すべきだとの考えだ。
実際に欧州は軍備の再強化に乗り出しているものの、欧米が従来通りの規模でウクライナ支援を続けていくのはいずれ困難となる。
それだけにウクライナも外交的解決に向けて柔軟性を増す必要がある。
ウクライナは、今回の戦争でロシアに抵抗することを通じて一人前の国家となり、明確な国民意識を形成することができた。
これは大きな成果であり、和平に向けたウクライナの自信にもつながる。
いずれにせよ、プーチン氏の態度が今のままでは米国は事態を静観する他なさそうだ。

エドワード・ルトワック
米歴史学者。米国家安全保障会議(NSC)などでコンサルタントを務め、現在は政策研究機関「戦略国際問題研究所」(CSIS)上級顧問。
安倍晋三元首相に戦略に関して提言していた。
1942年生まれ。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/190.html#c38
[政治・選挙・NHK297] 他にも論点、争点は山ほどあるぞ 庶民の味方ヅラして消費税減税合戦の胡散臭さ(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
18. 秘密のアッコちゃん[1488] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月24日 18:28:26 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[926]
海自最新鋭もがみ型護衛艦、ステルス性高めた外観 報道公開…豪輸出にらみ性能アピール
2025/4/23 19:17
https://www.sankei.com/article/20250423-ESHNG3WEM5IVNJACS3T6MI4YPU/
海上自衛隊は23日、海自横須賀基地(神奈川県横須賀市)で最新鋭のもがみ型護衛艦(FFM)を報道陣に公開した。
従来型護衛艦の半数以下の約90人で運用でき、水上戦をはじめ、機雷掃海や対潜水艦戦など様々な任務に対応できるのが特徴。
政府は護衛艦の輸出に取り組んでおり、性能の高さをアピールしたい考えだ。
公開されたのは、もがみ型2番艦の「くまの」。
突起物が少なく、ステルス性を高めた外観を採用。
デジタル化を徹底し、武器や艦内設備を戦闘指揮所(CIC)から遠隔操作できる。
もがみ型はこれまで6隻就役しており、将来的に計12隻態勢を目指す。
日本はオーストラリア海軍が導入する新型艦の最終候補にドイツと共に選ばれている。
日本はもがみ型の能力向上型をもとに共同開発する案を提示している。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/189.html#c18
[政治・選挙・NHK297] SNS中傷で住所晒しも…自死した男性に何が?取材に応じた当事者「報道のつもりでやってますので」<報道特集>(TBS) 赤かぶ
28. 秘密のアッコちゃん[1489] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月24日 20:04:16 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[927]
<■222行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
「改憲論議の停滞は政治家の怠慢」櫻井よしこ氏、立法府の責任を強調 5月3日に改憲集会
2025/4/24 17:18
https://www.sankei.com/article/20250424-O4NJHDI4EZO67I2RJQZOIXJHBM/
憲法改正を目指す「『21世紀の日本と憲法』有識者懇談会」(民間憲法臨調)の櫻井よしこ代表らは2025年4月24日、憲法記念日の2025年5月3日を前に国会内で記者会見を開いた。
先の衆院選の結果、衆院では改憲勢力が改正の発議に必要な3分の2の議席を下回った。
櫻井氏は停滞する改憲論議の現状に対し、
「政治家の怠慢だ」
「立法府の責任を果たしてほしい」
と述べた。
民間憲法臨調などは2025年5月3日午後2時から、砂防会館別館(東京都千代田区)で
「公開憲法フォーラム」
を開催する。
集会には、自民の古屋圭司・憲法改正実現本部長の他、公明党や日本維新の会、国民民主党の各党幹部が出席を予定している。
当日は全国19会場で同時中継され、オンラインでも配信される。

憲法改正「賛成」59%で過半数 「反対」の29・9%を大きく上回る
世論調査
2025/4/21 18:32
https://www.sankei.com/article/20250421-XK6TLCU44BI4VARHMSZTUDVCH4/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年4月19、20両日に実施した合同世論調査で、2025年5月3日の憲法記念日を前に、憲法改正への賛否を尋ねたところ、
「賛成」が59・0%で過半数となり、
「反対」の29・9%を大きく上回った。
主要政党の支持層ごとにみると、
自民党は賛成67・3%、反対23・4%。
立憲民主党は賛成34・2%、反対61・7%で、
国民民主党は賛成73・1%、反対22・7%だった。
「支持政党はない」とする無党派層は賛成56・1%、反対29・2%だった。

アメリカによる日本改造
昭和20年8月、アメリカ軍を主力とする連合国軍が日本の占領を開始します。
GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の最大の目的は、日本を2度とアメリカに歯向かえない国に改造することでした。
日本に散々煮え湯を飲まされたアメリカは、
「この憎たらしい有色人種の日本人、黄色いサルが白人に歯向かえないような国にしてやる」
と誓います。
そこで、憲法を作り替えることにしたのです。
実は、欧米が血を血で洗う大戦争を繰り返し、
「戦争にもルールが必要だ」
と1899年に採択され、1907年にアメリカを含む世界44カ国が調印しているハーグ陸戦条約には、
「戦勝国は敗戦国の法律を尊重する」
と書かれています。
即ち、日本国憲法はハーグ陸戦条約違反なのです。
ところが、GHQは日本政府に対して
「大日本帝国憲法を改正して新憲法を作れ!」
と指示します。
この時、日本は占領下で主権がありませんでした。
昭和27年(1952)にサンフランシスコ講和条約が発効するまでの7年間、日本は独立国ではなかったのです。
これは非常に重要なポイントです。
時の幣原喜重郎内閣は改正の草案を作るのですが、発表前に毎日新聞に内容をすっぱ抜かれてしまいます。
その内容を見たGHQ最高司令官のマッカーサーが、
「何やこの憲法、こんなん絶対に許さへんで!」
「こうなったら自分たちで作ったるわ!」
と激怒し、GHQの民生部に
「お前たち、日本国憲法を作らんかい!」
と指示したのです。
しかも、期間は僅か1週間。
そんな短期間で一国の憲法が作れますか?
民生局のメンバー25人も、
「そ、そ、そんなん無茶やで」
とびっくりします。
メンバーの中には弁護士が数人いるだけで、しかも弁護士と言っても国際法や憲法の専門家は1人もいない。
後は法律の素人でした。
民生局のメンバーは
「どうやって作ったらええか分からへん・・・」
となってどうしたかー。
25人が都内の図書館でアメリカの独立宣言文やドイツのワイマール憲法、ソ連のスターリン憲法などを必死に調べて、そこから
「この文章もらい」
「この文章ももらい」
「あ、こっちも」
と都合のいい文章をコピー&ペーストして草案を作ったのです。
しかも、僅か1週間です(9日という説もある)。
アメリカの独立宣言文と日本国憲法の前文を読み比べて下さい。
「ここまでそっくりなのはあかんやろ。盗作ちゃうんかい!」
というぐらい酷似しています。
世界各国の憲法の寄せ集めで、日本の主体性、個性、文化、独特の考え方といったものが一切盛り込まれていません。

日本国憲法の正体
更に問題は9条です。
いわゆる
「戦争放棄」
として知られるデタラメな条項を盛り込んだ。
これにはさすがの民生局のメンバーからも、
「こんなことをしたら、他国に攻められた時、この国はどうやって守るんや」
「自衛の手段がないやないか」
「これは流石にあかんやろ」
と反対の声が上がったと言われています。
ところが、マッカーサーの
「ええから入れろや」
という強い意向で盛り込まれてしまった。
そして民政局長のホイットニー准将が麻布の外務大臣官邸で、吉田茂と憲法担当国務大臣の松本烝治に
「これが我々が作った日本国憲法の草案や」
「これを翻訳してしっかりやらんかい!」
と手渡します。
草案を見た日本政府関係者は一様に、
「え!! こんな憲法を自分たちが受け入れないとあかんのか・・・」
と愕然としたとされています。
この時、ホイットニーは
「よく検討しろや」
「もし我々の案を呑まなければ天皇を軍事裁判にかけるで」
「我々は原子力の日光浴をしてるわ」
などと言います。
太陽の光とは言わず、わざと原子力と言った。
太陽エネルギーは原子核反応によるものですが、普通の人は太陽のことをそんな言い方はしません。
当然、原爆を想起させる言葉です。
更にこの時、アメリカは同時刻に東京上空にB25を飛行させてもいるのです。
つまり、
「我々の作った草案を受け入れなかったら、もう1発原爆落としたるからな」
「分かってんのか!」
という言外の脅しでした。
先程申し上げたように、当時日本は主権を喪失しています。
GHQに睨まれたら何をされるか分からない。
そのため、GHQによる日本国憲法草案を呑まざるを得なかったのです。
これが、今私たちが押し頂いている日本国憲法です。
こんな憲法を1度も何1つとして変えていないのです。
これが如何に異常なことかは、世界の憲法を見ても分かります。
世界中の国は、戦後においても何度も憲法を変えています。
例えばアメリカは6回、フランスは27回、カナダは19回、韓国は9回、メキシコに至っては400回も変えている。
400回変えるって、元々の憲法がどんな酷いものだったのかと思いますが(笑)。
ちなみに、日本と同じく占領軍に憲法を押し付けられたドイツは65回も改正しています。
私の尊敬する憲法学者の西修駒沢大学名誉教授が、日本国憲法が施行されてから37年後の1984年にアメリカに渡り、日本国憲法の草案を作った元民生局のメンバーの何人かに会って当時のことを訊ね、非常に重大な証言を得ています。
この時、会った全員が一様に
「え! 君ら、まさかまだあれを使っているのか」
と言ったといいます。
彼らは、日本が40年近く経っても、自分たちが作った憲法を使っているとは夢にも思っていなかったのです。
憲法の専門家でもない自分たちが、たったの1週間でまとめあげたものなのですから当然です。
作った本人たちがあくまで占領下の暫定憲法だと考えており、サンフランシスコ講和条約を締結して日本が主権を回復させた時に、自分たちの憲法を作るであろうことを想定していた。
ところが、40年近く経ってもまだあれを使っていた。
それは
「何でや!」
と驚きますよ。
それどころか、それから更に40年経っても、一字一句変えていない。
誰がどう考えても異常です!
安倍元総理が2017年5月3日に
「9条の1項、2項を残し、自衛隊を明文で書き込む」
という案を提示されました。
これは妥協的な改正です。
しかし自衛隊を明記するという、たったこれだけのことさえ出来ないとは、何という体たらくでしょう。
一体、この国はどうなっているのかと思います。
総理はじめ自民党の議員は口では
「憲法改正をやります」
とは言いますが、完全に口だけです。
野党も論外。
たとえ朝日新聞をはじめ日本の全左翼メディアから袋叩きにあっても、
「憲法改正を進めなければダメだ」
「国民投票を早くやるべきだ」
と主張し、実行する侍はいないのでしょうか!

遺書を書いた自衛隊員
自衛隊が憲法で認められておらず、また交戦権がないためどれだけ酷い状況が起きているのか、ほとんどの日本人が知りません。
例えば、1993年、自衛隊が初めてPKO(国連平和維持活動)に派遣されたカンボジアでの出来事です。
民主化の選挙を行うために、自衛隊がPKO派遣されました。
この時、ポル・ポト派のゲリラによる選挙妨害が相次ぎ、日本人ボランティアと文民警察官が殺害される事件が起きました。
「ボランティアの選挙監視人の命をどうやって守ればいいのか」
ということが論議された時、国会でどんな話が行われていたか。
驚くべきことに、
「あ、その時は現地の自衛隊員にしっかり守ってもらったらええやん」
との意見が大勢を占めたのです。
呆れ果てます。
ゲリラが襲撃してきても、自衛隊員たちは武器を使用して彼らと交戦できません。
憲法上出来ないからです。
法律上も武器使用に厳しい制約が課せられていました。
「どうやって守ったらいいのか・・・」
と、現地の自衛隊員たちは青ざめます。
守る術がない。
しかし、選挙監視人たちを守らなければ民主選挙が行われない。
自分たちが守らなければ、多くのボランティアが命を失う危険性が高い。
そこで自衛隊員たちが考えに考えた末辿り着いたのが、
「人間の盾になる」
という苦肉の作戦でした。
ゲリラが投票場を襲撃した際、自衛隊員たちが真っ先にゲリラの前に飛び出して標的となる。
そして、ゲリラが発砲すれば、自らを防衛するための正当防衛として、初めて武器使用が可能になる。
先に撃たれて何人かは死ぬかもしれない。
でも、それしか守る方法がなかったのです。
この作戦のために、現地の部隊では精鋭のレンジャー隊員ら34名がリストアップされ、その隊員たちは妻や子供に遺書を書き残しました。
現地はこのような状況だったのです。
「9条があっても自衛隊は日本を防衛できる」
と主張する国会議員や評論家連中は、このような現実を知っているのか。
自衛隊員の身になって考えたことがあるのか。
「髭の隊長」
で知られる佐藤正久衆議院議員が、第1次イラク復興業務支援隊の1佐としてイラク派遣の出発前、こう誓っています。
「1人も殺させない。必ず全員生きて連れて帰る」
大変な決意です。
この言葉の重みを国会議員にはもっと考えてもらいたい。
国民の皆さんにも知って頂きたいのです。

憲法9条がなければ救えた命
9条に縛られた自衛隊の限界を象徴する事件として、能登半島沖不審船事件が挙げられます。
1999年3月23日の朝に、自衛隊の哨戒機が佐渡沖と能登半島沖の日本海領海で、相次いで2隻の不審船を発見しました。
海上保安庁と自衛隊は巡視船15隻と航空機12機を動員して、不審船を追跡。
海上保安庁は何度も
「止まりなさい」
と停船命令を出しますが、不審船は応じることなく、延々10時間以上に渡って海上保安庁を挑発するように逃走を続けました。
不審船発見から12時間後の18時過ぎに、首相官邸別館にある危機管理センターに官邸対策室が設置されます。
海上保安庁はようやく威嚇射撃をしますが、法律上の制約から船に銃撃することはできません。
不審船は、日本政府が威嚇射撃しかできないことを知っているので、全く停船しません。
しかも、実はこの威嚇射撃すら憲法違反なのです。
憲法9条にはこう書かれています。
「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」
つまり自衛隊の威嚇射撃は、
「武力による威嚇の行使」
に当たります。
憲法9条の下では自衛隊は本来、不審船に対して威嚇射撃すらできないのです。
話を不審船に戻します。
夜間に入り、不審船が速度を上げ、海上保安庁の巡視船が引き離されました。
また2隻のうち1隻は取り逃がしたため、自衛隊の護衛艦が残りの1隻を追跡することになりました。
この時、官邸対策室では戦後初めての
「海上警備行動」
の発令が検討されます。
ところが、時の官房長官で親北朝鮮とも言われていた野中広務が発令しないように圧力を掛けました。
国賊と言っても過言ではありません。
そして、23時過ぎ、不審船が突然、停船します。
恐らく、エンジントラブルではないかと見られています。
その1時間後に、ようやく戦後初めてとなる海上警備行動が発令されました。
追跡開始から15時間が経過、
「官邸は何をしとったのか」
と呆れます。
そこで、日本の護衛艦は不審船に接近して臨検を行うことを決めます。
ところが、相手は不審船です。
銃で武装していてもおかしくない。
乗り込んだら撃たれる可能性が極めて高い状況にありました。
しかし、護衛艦には防弾チョッキが1着もなかった。
それでも、護衛艦に乗船していた自衛官24人全員が
「私が行きます」
「私に行かせてください」
と志願しました。
選ばれた自衛官たちは、艦内にあった分厚い漫画本や雑誌をガムテープでぐるぐる巻きにして、防弾チョッキ代わりにしたのです。
まさに決死隊でした。
ところが、いざ不審船に乗り込もうとしたその時、不審船はエンジンが直ったのか、再び逃走を開始します。
護衛艦も追跡を続けたのですが、不審船が防空識別圏外の海域に出たため、それ以上の追跡を断念せざるを得ませんでした。
この時の不審船は、99.9%北朝鮮の工作船でした。
そして、不審船の中には拉致された日本人がいた可能性があったと言われています。
もし憲法9条がなければ、船のエンジンを狙って撃つなどして彼らを捕まえ、拉致されていた日本人を助けることができたはずなのです。
私は法律の専門家に訊きました。
「もしこの時、不審船の甲板に拉致された日本人がいて、護衛艦や哨戒機に、助けてくれ、というサインを送っていた場合、自衛隊は不審船を撃つことができるのか?」
答えは、何と
「NO」
でした。
これが
「平和憲法」
と言われる9条の実態なのです。
日本人を守るどころか、むしろ危険に晒し、敵国を利する条文なのです。
もし今、仮に北朝鮮や中国が日本の領土に攻撃を仕掛けてきたらどうなるのか。
「9条があっても自衛隊は国を守れる」
などと言っている連中は、
「ほら自衛隊、頑張れや」
と無責任に言うでしょう。
でも今の憲法下では、自衛隊はほとんど何もできないのです。
両手両足を縛られて戦えと言われているようなものです。
そしてもし仮に、日本の自衛隊員が日本の民間人を守るために敵国の兵士を撃ち殺したとしたら、その自衛隊員は日本の人権派弁護士たちから殺人罪で告訴され、有罪になる可能性が極めて高いのです。
何故なら自衛隊は憲法上では軍隊ではないので、戦闘状態になっても国内法に準拠して行動しなければならないからです。
こんなデタラメな憲法を未だに一字一句変えていない。
異常と言う他ありません。
このままでは、私たちの先祖が築き上げてきた
「奇跡の国・日本」
は危機的状況に陥ります。
日本を守るために1日も早く憲法改正をしなければならないのです。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/193.html#c28

[政治・選挙・NHK297] 国民民主党・玉木代表「連立入り」「首相就任」報道に文句連発も…ホンネは自公政権救済へ“色気ありあり”(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
45. 秘密のアッコちゃん[1490] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月24日 23:49:25 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[928]
<■5279行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
選択的夫婦別姓制度のプラス面とマイナス面を考えた場合、マイナス面が圧倒的に大きいので、選択的夫婦別姓制度の導入には断固反対だ。

<独自>自民党地方議員の75%は「旧姓の通称使用の法制化」主張 森山幹事長も「驚き」
2025/4/22 11:09
https://www.sankei.com/article/20250422-64C2NWSWRFFLFL2C5MBFT6BI5M/
今国会の焦点とされる選択的夫婦別姓の導入の是非を巡って、自民党の都道府県議や政令指定都市の市議の75%が旧姓の通称使用の法制化を求めていることが2025年4月22日、分かった。
全国の地方議員を対象に
「『旧姓の通称使用』の法制化を求める地方議員の会」
(会長・松田良昭神奈川県議)
が実施した署名活動で判明した。
活動は昨年2024年12月に始まり、現在3100人分を超える署名が集まったという。
自民党の都道府県議と政令指定都市の市議に限ると計約1650人のうち1233人が署名した。
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年4月19、20両日に実施した合同世論調査で、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げるべきだ」
との回答は前回調査(2025年3月22、23両日実施)から3・5ポイント増えたが、48・3%にとどまっている。
地方議員の会は2025年4月21日、自民党の森山裕幹事長に要望書を提出した。
森山氏は
「重く受け止める」
と述べ、党地方議員の75%が署名したことを伝えられると、驚いた表情を浮かべたという。
同席者が明らかにした。
要望書は
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
(座長・逢沢一郎衆院議員)
に対して、中間報告の発出も求めている。
WTは選択的夫婦別姓を巡る国会議員の意見集約を目指し、今年2025年に入って計8回会合を開いている。
旧姓の通称使用拡大を求める声が多くなっているとされる一方、意見集約の方向性が見えず、地方議員から疑問視する声も上がっていた。
要望書は今夏2025年夏の参院選の公約に旧姓の通称使用の法制化を明記することも求めており、
「わが国や自民党の歴史に禍根を残さない判断を懇願する」
と記している。

維新、旧姓使用の法制化に向けた法案要綱を提示 青柳氏「旧姓使用でも十分対処できる」
2025/4/22 18:30
https://www.sankei.com/article/20250422-6WZULSW5VJM7RMEID3I7R2UPHM/
日本維新の会は22日、国会内で会合を開き、今国会への提出を検討している旧姓の通称使用の法制化に向けた法案要綱を提示した。
戸籍に婚姻前の姓を通称として記載し、法的効力を与えることを盛り込み、自民党の一部や立憲民主党が目指す選択的夫婦別姓制度の導入とは一線を画した。
維新は各党の状況などを見極めた上で、法案として具体化するか最終判断する。
青柳仁士政調会長は会合後、記者団の取材に応じ、選択的夫婦別姓制度の推進派から旧姓が使えずに社会生活や海外での活動で支障があるとの指摘があることに対し、
「民法を改正するという大げさな方法もあり得るが、旧姓使用の法定化でも十分対処ができる」
と述べた。
また、
「国会は重要法案が山積みだ」
「われわれが先手を打って何かアクションを起こさなければならないという状況ではない」
とも語り、各党の出方を見定める考えも示した。
要綱では、
「現行の戸籍制度を大きく変えることになる選択的夫婦別姓制度の導入ではなく、旧姓使用の法定化によって改姓の不利益・不都合の解消を図る」
とし、住民票やパスポートなどで旧姓の単独使用ができるよう必要な措置を講じるとした。

<独自>維新、通称使用法制化へ法案の要綱判明 旧姓を戸籍に記載 選択的夫婦別姓と一線
2025/4/21 22:01
https://www.sankei.com/article/20250421-XUMZ2EJYQJOVVHS6JEZKURSCTQ/
日本維新の会が今国会への提出を検討している旧姓の通称使用の法制化に向けた法案の要綱が判明した。
21日、維新関係者が明らかにした。
戸籍に婚姻前の姓を通称として記載する制度を新たに設け、法的効力を与える一方、戸籍制度は維持する。
自民党の一部や立憲民主党が主張してきた選択的夫婦別姓の導入とは一線を画した形だ。
要綱の立法趣旨では、戸籍制度について
「日本国民としてのアイデンティティーの観点からも非常に重要」
と明記し、旧姓使用の法定化で改姓による不利益・不都合の解消を図ると強調した。
具体的には結婚前の姓を通称として使用することを希望する場合は戸籍にその通称を記載して法的効力を持たせるようにする。
住民票やマイナンバーカード、パスポートなどに旧姓の使用を可能にするための措置も行う。
維新は吉村洋文代表(大阪府知事)ら幹部が選択的夫婦別姓の導入に前向きな考えを示してきたが、党内では導入への反対論が根強い。
吉村氏らとしては旧姓の通称使用の法制化を進め、党内の結束を高める狙いもあるとみられる。

選択的夫婦別姓 「同姓維持し旧姓の通称使用拡大を」が最多の48・3%
世論調査
2025/4/21 14:28
https://www.sankei.com/article/20250421-YDJWQP7YNBP3JMPEGBEDI6DIQ4/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が19、20両日に実施した合同世論調査で、選択的夫婦別姓制度に関する法整備について尋ねたところ、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げるべきだ」
との回答が前回調査(3月22、23両日実施)から3・5ポイント増の48・3%で最多を占めた。
法整備に「反対」は同0・7ポイント増の17・3%、「賛成」は同4・9ポイント減の30・9%だった。

「子供に姓選ばせるのか」選択的夫婦別姓制度に懸念 千葉県内の首長アンケート
2025/4/16 18:28
https://www.sankei.com/article/20250416-WSU64YDVWNONTOAFD7K3F7HQO4/
どちらかの親と子供とが別姓になる選択的夫婦別姓制度について産経新聞が千葉県内市町村の首長に実施したアンケートでは
「現行の夫婦同姓制度を維持したうえで旧姓使用を拡大する」
が一番多く選ばれた。
その理由では、家族で親と子供との名字が異なることを懸念する声が目立った。
夫婦別姓の導入の是非を論じる際は、子供の視点も踏まえた慎重な対応が求められそうだ。
■家族で名字が別「反対」49・4%
今回のアンケートに先立ち、産経新聞が昨年2024年11月から12月にかけ小中学生約2千人を対象に実施した調査では、家族で名字が別になることに
「反対」が49・4%
とほぼ半数を占め、
「賛成」(16・4%)
を大きく上回っていた。
これを受け、同県成田市の小泉一成市長は今回の調査で選択的夫婦別姓制度を問題視し、通称使用の拡大を主張した。
「子供の視点と子供への配慮が欠けたものではないか」
「子供から見ると大人が強制的に決めたことであり、子供にとって自分の意思が反映されないのは不合理で、子供の人権を踏まえて慎重に議論すべきだ」
と強調した。
危惧する声相次ぐ、旧制使用の拡大訴えも
夫婦別姓導入による子供の置かれる立場を危惧する意見は、他の首長からも聞かれた。
市川市の田中甲市長は
「家族の姓が別々になることで子供が家族としての一体感を感じにくくなる」
として、家族の繋がりが弱まる可能性を指摘した。
その上で
「子供に無用な不安や違和感を与えず、健やかな成長を大切にすべきだ」
という観点から、旧姓の使用拡大を訴えた。
また、野田市の鈴木有市長は
「子供の姓を選ぶ際に混乱が生じる可能性がある」
「子供にどちらかの姓を選ばせるのか」
「そうした場合、子供にその理屈が分かるのか疑問だ」
と回答した。
富津市の高橋恭市市長や八千代市の服部友則市長、栄町の橋本浩町長は
「子供の不安感や家族の一体感への影響が懸念される」
と答え、丁寧な合意形成の必要性を説いた。
長柄町の月岡清孝町長は
「子の姓をどうするべきか法整備に時間を要する」
と課題を挙げた。
▽「日本人の感覚として名字の違う子供や配偶者が『家族』として受け入れられるのだろうか」
(我孫子市の星野順一郎市長)
▽「子供の名字について、様々なケースを考えると問題が残ると考える」
(九十九里町の浅岡厚町長)
といった意見もあった。

「教える必要あるのか」参政・吉川里奈氏、教科書の夫婦別姓記述に懸念「中立性損なう」
2025/4/16 16:19
https://www.sankei.com/article/20250416-UQLFL5YOMZGU5H7JYG35Y423XU/
参政党の吉川里奈衆院議員は16日の衆院法務委員会で、高校の教科書に選択的夫婦別姓の記述が増えていることについて
「夫婦別姓は導入されておらず、国民の間で賛否は分かれている」
「国会でも方向性が定まっていない」
と述べ、
「こうしたテーマを教科書でどう扱うかは極めて慎重な判断が求められる」
と疑問視した。
■「教科書は多様な視点示すべき」
3月に公表された令和8年度以降高校で使用する教科書の検定結果を巡っては、選択的夫婦別姓制度は
「公民」
の他
「家庭」
の全教科書で扱われ、計24点で記述されていた。
2年度の検定は計20点だった。
別姓賛成に誘導するような記述も少なくないと指摘されている。
吉川氏は
「別姓制度を導入していないのは日本だけ」
などという記述や平成29年の世論調査など比較的古い統計が引用されていることを挙げ、
「根拠が不明な『別姓が使えず、事実婚を選ぶ人が多い』との記述もある」
「こういう情報の提示は中立性が損なわれている」
と問題視。
「教科書は特定の立場に偏るのではなく、多様な視点を示し、自分で考える力を育てるものであるべきだ」
と訴えた。
文科省の担当者は
「学術的に慎重に審議された結果、欠陥と判断されなかった」
と強調しつつ、選択的夫婦別姓について公民や家庭科の学習指導要領に記述されていないとも明かした。
吉川氏は
「教える必要があるのかという懸念がある」
と重ねて疑問視した。

<主張>選択的夫婦別姓 経団連は提言取り下げを
社説
2025/4/15 5:00
https://www.sankei.com/article/20250415-5PUPCYLNJFOBVINKTMM4C7ZHYM/
議論の土台が、崩れたと言えよう。
経団連が昨年2024年6月に公表した選択的夫婦別姓制度導入を求める提言で、理由として挙げたビジネス上の課題の多くが実際には解消済みだと自民党の会合で指摘された。
会合に出席した経団連の永井浩二副会長もそれを認めた。
根拠に乏しいこの提言は与野党の別姓推進派に利用され、国会審議にも影響を及ぼした。
経団連が国民をミスリードしたことになる。
猛省が必要で、提言は取り下げてもらいたい。
政府や自民党は別姓による不便・不利益の解消に向け旧姓の通称使用拡大を進めてきた。
一方、経団連は提言で、通称使用によるトラブルとして複数の事例を挙げ、別姓の早期導入を訴えてきた。
だが、2025年3月の自民党のワーキングチームで、各省庁の担当者から改善が進んでいる状況が明らかにされた。
経団連の提言が
「通称では不動産登記ができない」
とした弊害は、提言前の令和6年4月から旧姓併記が可能になり解消されていた。
多くの金融機関で口座が作れないと指摘した点は、令和4年3月時点でも7割の銀行が旧姓名義の口座開設を認めていた。
出席議員から実態に合わない提言を難ずる声が上がったのは当然だろう。
経団連の提言は導入論を煽った。
与野党の議論が増え、昨年2024年の自民党総裁選や衆院選で争点の1つとなった。
今年2025年2月に立憲民主党が導入実現の推進本部を立ち上げた際も、辻元清美本部長が経団連の推進に触れ、
「あとは政治が動くだけだ」
と気勢を上げた。
にもかかわらず、経団連側にミスリードの自覚が乏しいのは嘆かわしい。
経団連の十倉雅和会長は7日の会見で提言の不備が明らかになった点を問われ、
「便利か不便かという問題ではなく、アイデンティティーの問題」
と語った。提言の主眼は不便の解消にあったはずだ。
選択的とはいえ夫婦別姓は、子供がどちらかの親と別姓になる
「強制的親子別姓」
を意味する。
親よりも弱い子供の立場を優先したい。
別姓導入は戸籍制度も変質させ、国民を家族の一員よりも砂粒のような個人として扱う契機となる。
アイデンティティーという言葉を振りかざせば認められる話では決してない。
経団連は、家族や社会の毀損に与してはならない。

夫婦別姓、経団連幹部が釈明「追い付いてなかった」旧姓使用トラブル多くが改善 自民会合
2025/4/3 16:22
https://www.sankei.com/article/20250403-5P5R77TTYVDYXC5LFD25YIXC3Y/
選択的夫婦別姓の早期導入を求める経団連の昨年2024年6月の提言を巡り、問題視されたトラブルの多くが現在解消されている状況が自民党会合で指摘され、経団連の永井浩二副会長(野村ホールディングス会長)が
「追い付いていないところがあった」
と釈明していたことが2025年4月3日、分かった。
複数の出席議員が明らかにした。立憲民主党も経団連の意見聴取を踏まえ、2025年4月月内にも選択的夫婦別姓に向けた法案を提出するが、議論の土台が揺らぎかねない事態といえる。
■3年前に7割の銀行で旧姓対応
永井氏は2025年3月6日に党本部で開かれた
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム」
の会合に出席。
旧姓の通称使用による課題を説明したが、各省庁が改善が進んでいる状況を明らかにした。
経団連は提言で、11のトラブルを指摘していた。
このうち、
「多くの金融機関では、ビジネスネームで口座を作ることや、クレジットカードを作ることができない」
との弊害例については、金融庁の調査で令和4年3月時点で、7割の銀行で旧姓名義で口座開設が可能となっている。
ただ、クレジットカードは大手5社のうち、旧姓の通称使用が可能となっているのは1社にとどまっている。
「通称では不動産登記ができない」
問題については、旧姓のみの登記は認められていない一方、提言公表前の令和6年4月以降、既に旧姓併記が可能となっている。
更に
「研究者は、論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須であり、キャリアの分断や不利益が生じる」
との弊害例については、姓が変わった研究者も論文の執筆者名に旧姓の併記、注釈で対応することが可能となっている。
令和3年10月以降、特許庁に提出する全ての書類に旧姓併記が認められている。
■パスポートトラブル報告なく
また、
「空港では、パスポートのICチップのデータを読み込むが、そこに旧姓は併記されていない」
「よって、出入国時にトラブルになる」
との指摘については、パスポートに旧姓を併記する要件が緩和された令和3年4月以降、海外でのトラブル事例は報告されていない。
会合の出席議員からは経団連側に対し、
「実態に合わせた主張をして頂きたい」
と苦言を呈する声も上がった。
永井氏は
「追い付いていないところがあった。考えたい」
と語ったという。
一方、WT事務局には経団連から、旧姓の通称使用によるトラブルについて、最新の状況にアップデートした事例集は報告されていない。
■青山繁晴氏「バイアスかかっている」
会合に出席した青山繁晴参院議員は3日、記者団に
「経団連には調査機能もあり『追い付いていない』はあり得ない」
「バイアスがかかっていると見るべきだ」
と指摘し、
「最初から方向性を決め、それに沿うデータを持ってきているのだろうが、本来の経団連の在り方とは違う」
と語った。

「別姓賛成派かなりいる」 衆院法務委布陣で自民にも苦言「しっかり人事を」旧姓拡大集会
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/3/13 10:04
https://www.sankei.com/article/20250313-ELWYR22RHRB7RPE7XBERQ5IIYA/
今国会の焦点とされる選択的夫婦別姓制度の導入の是非を巡っては、衆参法務委員会が
「主戦場」
となる。
衆院法務委は選択的夫婦別姓に賛同する議員が多いとされており、国会内で2025年3月12日に開かれた
「『旧姓の通称使用』の法制化を求める国民集会」
では同委の構成を巡って、自民党の人事配置に対しても苦言を呈する声が飛び出した。
■「これは荒れるな…」
「法務委を見渡すと、かなり別氏(別姓)賛成派がいる」
「これは荒れるなと思った」
日本維新の会の藤田文武前幹事長は衆院法務委に配属された当時を振り返り、集会でこう述べた。
藤田氏は旧姓の通称使用拡大を唱えており、同委について
「激しいやり取りがゴールデンウイークを挟んで行われると予測される」
と指摘した。
その理由については
「ある野党の重鎮は
『別氏の話は政局だ。これをもって政治を揺らす』
と明言されている」
と語った。
重鎮の名前を明らかにしなかったが、立憲民主党の野田佳彦代表は衆院法務委員長ポストの奪取を自ら指示し、
「自民を揺さぶるには、非常に効果的な委員会だ」
と語っている。
委員長には選択的夫婦別姓の早期実現を持論とする同党の西村智奈美氏が就いた。
■「自民は左巻きといわれる」
衆院法務委で明確に選択的夫婦別姓に反対の論陣を張っているのが少数政党の日本保守党の島田洋一氏、参政党の吉川里奈氏らだ。
島田氏は集会で、保守党と参政党について
「仲が悪いのではないかという人もいるが、吉川さんとはしっかり連携して戦っている」
と冗談めかした上で、
「共産党と立憲民主党は問題以前で、問題は自民党だ」
「衆院法務委に自民から出ている人、左巻きの集まりと言われる」
「もうちょっと自民党がしっかりとした人事をやらないと我々が苦労する」
と苦言を呈した。
島田氏は選択的夫婦別姓に賛成の立場を取る河野太郎前デジタル相や井出庸生衆院議員らを挙げて、同委について
「そういう人ばかり並んでいる」
「とんでもない状況だ」
と述べ、
「阻止するには自民党が一致して『ダメだ』と言ってもらわないといけない」
「自民党の責任は重い」
と語った。
■「少しずつ声が上がってきた」
参政党の神谷宗幣代表も登壇した。神谷氏は党の姿勢について
「当初から選択的夫婦別姓に反対だ」
「かなり早くから言っているが、多勢に無勢で押し切られるのではないかと危機感を持っていた」
と振り返り、
「少しずつ自民党や維新からも声が上がってきた」
「戦えるのではないかという自信や流れを感じている」
と語った。
この日、第三子の出産を控えているといい
「非常にそわそわしている」
「集会が終わったら飛行機で戻って、立ち会いたい」
と述べた上で、
「子供が生まれたら子供の名前は考えるが、めでたいこの時に姓をどうするか話し合って、揉めるなんていう社会にはしたくない」
と強調した。
神谷氏は1958年に米国で発刊された『裸の共産主義』という書籍を引用して、
「ジェンダーフリーや同性婚、同性愛を当たり前のものにしていけば家族やコミュニティー、国家が破壊される」
と述べ、
「夫婦別姓の次は同性婚だ」
「揚げ句の果てに人工子宮をつけて男性に子供を産ませようという話に行くわけだ」
「急進的と言われるかもしれないが、譲ってはいけない一線だと」
と述べた。

パスポート旧姓併記、出入国で「懸念」のトラブル報告はゼロ 外務省答弁、参政党吉川氏に
2025/3/13 11:13
https://www.sankei.com/article/20250313-AH27YNTT4ZEOVFPQVOWMEA3YOU/
外務省は2025年3月12日の衆院法務委員会で、選択的夫婦別姓に関し、パスポートに旧姓を併記する要件が緩和された令和3年以降、在外公館から旧姓併記を理由に邦人が出入国できないといった海外でのトラブルは報告はされていないと明らかにした。
パスポートの旧姓併記を巡っては、海外で旧姓使用の習慣がなく、トラブルになりかねないと懸念する声が選択的夫婦別姓の導入を求める人々の一部から上がっていた。
■現行は「選択的」夫婦同姓
参政党の吉川里奈氏が外務省の担当者に
「旧姓の通称使用拡大では不十分との理由として、海外で旧姓の併記が通用しにくい」
「トラブルの原因になるという指摘がある」
「具体的なトラブルは生じているのか」
と尋ねていた。
パスポートの旧姓併記について従来、旧姓による海外での活動を示す書類の提出を求めてきたが、同年令和3年4月以降戸籍謄本などで旧姓が確認できれば記載を認めるなど要件を緩和した。
旧姓併記のパスポートを所持した人が出入国の現場で説明を求められた際、英文の説明書も配布しているという。
吉川氏は選択的夫婦別姓の導入に反対しており、現行の制度について
「夫婦がどちらかの氏(姓)を協議の上、自由に選択することができる『選択的』夫婦同姓だ」
と指摘し、
「家族の価値観や社会の最小単位である家族の在り方をわざわざバラバラにする必要はない」
と語った。
■鈴木法相「情報提供は極めて大事」
その上で、選択的夫婦別姓に関する法務省のウェブサイトについて
「Q&Aの情報も文字が中心で視覚的に分かりやすい資料が不足している」
と述べた。
石破茂首相は
「あまり時間は残っていない」
と述べるなど選択的夫婦別姓に関する党内議論を早期にまとめる意向を示しており、吉川氏は
「国民に十分な情報提供がされないまま、時の政権の権力により審議が推し進められることに強い懸念を抱いている」
と述べ、省庁横断型で効果的な情報発信を求めた。
鈴木馨祐法相は
「議論してもらうために情報提供は極めて大事だと思っている」
「環境整備は我々の責務だ」
「改めるべき点は改めたい」
と応じた。

「旧姓の通称使用」の法制化を求める国民集会 出席議員一覧 4党から約40人
2025/3/13 10:40
https://www.sankei.com/article/20250313-FJLAZ4GXQNCUPFA6C7WF2QLXD4/
2025年3月12日に国会内で開かれた選択的夫婦別姓の導入に反対する
「『旧姓の通称使用』の法制化を求める国民集会」
には自民党、日本維新の会、参政党、日本保守党の4党から約40人の国会議員が出席した。
出席議員は以下の通り(会場で読み上げられた順、敬称略)

自民党
≪衆院≫新藤義孝、古屋圭司、西村康稔、金子恭之、新谷正義、田畑裕明、岩田和親、黄川田仁志、高木啓、中曽根康隆、小寺裕雄、小森卓郎、吉田真次、大西洋平、木原稔、鬼木誠、平沼正二郎
≪参院≫衛藤晟一、山谷えり子、有村治子、片山さつき、上野通子、北村経夫、太田房江、和田政宗、加田裕之
日本維新の会
≪衆院≫藤田文武、東徹、阿部圭史、高橋英明、空本誠喜、池畑浩太朗
≪参院≫松沢成文、梅村みずほ
参政党
≪衆院≫吉川里奈
≪参院≫神谷宗幣
日本保守党
≪衆院≫島田洋一

旧姓の通称使用法制定を、国民集会で要望採択 櫻井よしこ氏「同姓の原則を守り通して」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/3/12 17:42
https://www.sankei.com/article/20250312-6XOYJAJG3FA55BH5QXVZS52GM4/
「『旧姓の通称使用』の法制化を求める国民集会」
が2025年3月12日、国会内で開かれた。
今国会の焦点とされる選択的夫婦別姓について
「子は必ずどちらかの親の姓と異なる『強制的な親子別姓制度』」
と指摘し、旧姓使用に法的根拠を与える
「旧姓の通称使用法」(仮称)
の制定を求める要望書を採択した。
自民党や日本維新の会、参政党、日本保守党から約40人が出席した。
■「社会の基礎的単位変えてならない」
呼びかけ人のジャーナリストの櫻井よしこ氏は
「国柄を踏まえて判断することが国の力の源泉として求められている時代だ」
と述べ、
「旧姓使用の拡大で問題を全て乗り越えることができる」
「同姓という原則を守り通し、日本の未来を確かなものにしていきたい」
と挨拶した。
自民党の新藤義孝政調会長代行は、
「国や社会が大切にしてきた家族の一体感を踏まえた議論が必要だ」
「社会の基礎的単位を簡単に変えていいわけがない」
と述べ、戸籍制度の堅持の必要性を強調した。
新藤氏は住民票やマイナンバーカード、不動産登記など旧姓の併記が相次いで認められるようになった現状を挙げて
「心配される声に1つ1つ対応を考えながら、(結婚時の姓の変更に伴う)不便を解消していきたい」
と語った。
日本維新の会の藤田文武前幹事長は、選択的夫婦別姓の議論について
「争いの種や分断のネタにしては絶対ならない」
と指摘した上で、
「伝統や慣習、慣例を尊重しながら、どのように現代に合わせるかを大事に考えないといけない」
と述べ、旧姓の通称使用の法制化を訴えた。

百地章氏「自民党執行部に大きな責任」連合・芳野会長が自民大会で選択的夫婦別姓要請
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/3/12 17:32
https://www.sankei.com/article/20250312-Y2O37BKQ7FBX5JM4EA4SXE435Y/
日大の百地章名誉教授は2025年3月12日、国会内で開かれた
「旧姓の通称使用」
の法制化を求める国民集会で、2025年3月9日に東京都内で行われた自民党大会に出席して選択的夫婦別姓制度の導入を求めた連合の芳野友子会長の発言を疑問視した。
集会で百地氏は芳野氏に関し
「自民が丁寧な議論を進めている中で、こともあろうに党員を前に一方的に夫婦別姓制度を呼び掛けた」
「見識を疑う」
と述べた。
返す刀で
「当然そのような発言があり得ることは予測できたにもかかわらず、事前に発言を塞ごうとしなかった自民党執行部には大きな責任がある」
と語った。
百地氏は選択的夫婦別姓について、伝統的な家族や家族観を崩壊させかねないことや、戸籍制度の解体に繋がりかねないなど問題点を列挙し、旧姓の通称使用拡大の必要性を訴えた。

<主張>自民党大会 保守の矜持を忘れたのか
社説
2025/3/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20250312-4R7RYGX2HNJS7ACIDFYIS4ADV4/
自民党は党大会で、夏の参院選の勝利が最重要課題であり、2025年6月の都議選と合わせて党の勢力を結集して臨むと記した令和7年運動方針を採択した。
森山裕幹事長は2025年11月に立党70年を迎えることを踏まえ、30年後の立党100年を見据えた新たな
「国家ビジョン」
を策定すると明らかにした。
長期ビジョンを作るのは結構だが、党が存亡の機にあることを認識しているのか。
最近の自民は保守政党としてのあるべき姿を見失っている。
自民は保守の矜持を取り戻さなければ、岩盤支持層が更に離反し、政権から転落しかねない。
党綱領には
「『日本らしい日本』を損なう政策に対し闘わねばならない」
とある。
選択的夫婦別姓制度の導入の動きに対し、自民は闘うどころか、党内の一部に支持する向きがある。
同制度は子供がどちらかの親と別の姓になる
「強制的親子別姓」
を意味し、家族や社会を毀損する。
導入は許されない。
党大会の来賓として挨拶に立った連合の芳野友子会長は、同制度の実現を求めた。
芳野氏を招待したのは参院選で労組票を取り込む狙いがあったのかもしれない。
だが、このような発言が予想されたのに招いたのは、自民執行部が保守の矜持を失っていることを示している。
憲法改正では、運動方針に緊急事態条項や自衛隊明記に関する条文案を起草し、改憲の早期実現に邁進すると明記した。
それにもかかわらず、石破茂首相が総裁演説で改憲に触れなかったのは極めておかしい。
安定的な皇位継承策を固めることは国の根幹に関わる。
内閣の報告書を受けて国会で各党が検討中だ。旧宮家の男系男子の皇族復帰こそ急務で、自民は全力で実現してもらいたい。
安倍晋三元首相や岸田文雄前首相らが取り組んだ、ダイナミックな外交安全保障政策を展開していない現状も問題だ。
総裁演説の次のくだりには違和感を覚えた。
「国民は政治を信じていない。国民の声に謙虚でありたい」
と語ったことだ。
先の衆院選で与党過半数割れの大敗を喫したにもかかわらず、首相は居座った。
謙虚と正反対の人の言葉に重みはない。
党への不信の原因は政治とカネの問題だけでなく、首相自身の振る舞いにもあることを自民議員は気付くべきである。

<正論>夫婦別姓が持つ「家族解体」論理 
麗澤大学教授・八木秀次
2025/3/12 8:00
https://www.sankei.com/article/20250312-A7QQXWSWMVOVZGYX4BVRABPJZM/?375350
夫婦別姓に関する最初の裁判は、国立大学の女性教授が大学で旧姓を使いたいというものだった(昭和63年)。
その後(平成10年)、大学側が旧姓の使用を認めて和解したが、戸籍上の夫婦別姓ではなく、社会生活で旧姓を使いたいという主張に過ぎなかった。
■「イデオロギー派」が便乗
これに便乗したのが、イデオロギー派とでも呼ぶべき人たちだった。
日本は
「市民革命」
が済んでいない立ち遅れた段階にあるとし、近代社会にするには国家と個人の間に存在する
「中間団体」
を解体して
「個人」
を析出する必要がある。
それがフランス革命以来の近代立憲主義の論理だとして中間団体の典型である家族共同体を解体して
「個人」
を生み出そうと主張した。
彼らは現行の民法や戸籍の構成単位である夫婦と子から成る
「近代的小家族」(核家族)
に戦前の
「家」
制度の残滓を見、拘束システムであると捉えて、そこから解放された
「個人」
としての存在主張を図ろうとした。
夫婦別姓はそのような主張が氏名の次元に現れたものだった。
「氏名の自己決定権」
が主張され、
「個人」
は純然たる
「個人の呼称」
で呼ばれる存在でなければならず、夫婦の営む共同体の名称で呼ばれる存在であってはならない。
結婚で変えられるものではなく、自己の意思に反して改姓を強いられるならば、アイデンティティーが喪失すると主張した。
戸籍を解体して個人登録にすべきだとも主張した。
「個人」
の存在主張は家族共同体の解体を志向するものでもあった。
「『個人の尊厳』の行き着く所は、場合によっては『家族の解体』にまで繋がっていく論理を含んでいる」
と主張する憲法学者や、娘が18歳になったら
「家族解散式」
を行うと公言する弁護士もいた。
現在はこれらの主張は意識的にか、表に出されなくなっている。
■帰属意識や一体感毀損
平成8年に法務省の法制審議会が示した案は先のイデオロギーとの共鳴はあったが、あからさまではなかった。
だが、結果として家族共同体の
「解体」
の方向に作用する論理を持つ。
夫婦が別姓になれば、子供は両親の一方とは姓が異なる。
親子別姓だ。
そうなると共通の姓が存在しない家族が生まれる。
姓は法制度としては家族の呼称ではなく、個人の呼称の一部となる。
これは全国民のファミリーネームの廃止を意味する。
それが家族の帰属意識や一体感の毀損に繋がる。
最高裁は平成27年、
「夫婦及びその間の未婚の子…が同一の氏を称するとすることにより、社会の構成要素である家族の呼称としての意義がある」
「家族を構成する個人が、同一の氏を称することにより家族という一つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見い出す考え方も理解できる」
として現行の夫婦同姓を
「合憲」
とする判決を出した(令和3年判決も同旨)。
別姓は共通の姓によるそれらの機能を毀損する。
大きな問題は子供の姓の決め方だ。
法制審案では結婚の際に夫婦のどちらの姓を名乗るかを決める。
兄弟姉妹は共通の姓を名乗るが、子供が生まれるか分からない段階で姓を決め、決めなければ婚姻届を受理しないとするのは、結婚を
「両性の合意のみに基づく」
とする憲法24条に違反するとの指摘もある。
■肉親が争う子供の心理は
令和4年の立憲民主党や共産党の案(内容は公明党案も同じ)は子供の姓を出生時に決めるとする。
兄弟姉妹の姓がバラバラでもよいとするイデオロギー性が強い案だ。
子供の姓が決まらない場合、出生届は受理されず、無戸籍となる。
当事者で決められない場合は家裁で決めるとするが、家裁には判断基準がない。
自分の姓を巡って肉親が争ったり、裁判所に決められる子供の心理はどんなものか。
選択的夫婦別姓制が導入されれば、対象はこれから結婚する夫婦だけではない。
既に結婚している全ての夫婦が経過措置期間(1〜2年間)に同姓か別姓の選択を迫られる。
立憲民主党などの案では連動して子供の姓をどうするかを改めて判断することになる。
戸籍の様式自体の変更も必要で膨大な作業を要する。
戸籍事務量には
「対応できない」(法務省)
とのことだ。
そうであれば、あえて弊害の多い選択的夫婦別姓制を導入しなくとも、旧姓を社会生活で広く使用できるように法制化すればよい。
既に住民票やマイナンバーカード、印鑑証明書、健康保険証、パスポート、運転免許証は旧姓を併記できる。
戸籍に旧姓使用を明記するとの案もあるが、住民票などの公的証明書の記載を根拠にして旧姓の単独使用も可能とする法律を制定すればよい。
経団連の指摘する改姓による不便や不都合は既に解決しているか、新しい立法で解決する。

「おかしい」自民党大会で選択的夫婦別姓要請の連合・芳野友子会長に批判相次ぐ 自民WT
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/3/11 14:55
https://www.sankei.com/article/20250311-7YWAMCCGVBANTPVMBCYKSF2LEY/
自民党は2025年3月11日、
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
(座長・逢沢一郎衆院議員)
の会合を開き、選択的夫婦別姓制度導入を推進する立場の有識者から意見を聞いた。
出席者によると、2025年3月9日の自民党大会に出席した連合の芳野友子会長が挨拶の中で選択的夫婦別姓導入を要請したことについて、複数の議員から
「党内で審議中の話をするのはおかしいのではないか」
などと批判が出た。
会合には議員約50人が出席し、オンラインで立命館大名誉教授の二宮周平氏と白鴎大教授の水野紀子氏から話を聞いた。
二宮氏は、将来的には家族ごとの戸籍から個人ごとの個人籍へ移行するべきだとする意見を述べた。
出席議員からは、選択的夫婦別姓が導入された場合の子供の姓の決め方に関する懸念などが寄せられた。
また、逢沢氏によると、芳野氏の発言について
「党内で議論が進められている最中に、ああいった機会があったのは適切だったのか」
と意見が出た。
別の出席者は
「おかしいのではないか」
との発言もあったと明らかにした。
逢沢氏は記者団に
「座長として受け止め、党執行部にもそうした発言があったということは伝えておきたい」
と述べた。
芳野氏は2025年3月9日の党大会で、
「希望する人が別姓を選択できる制度であり、強制する制度ではない」
「逆に、夫婦同姓を望む人たちを排除する制度でもない」
「是非、今国会で選択的夫婦別姓制度の創設を実現してほしい」
と要請した。

「6万人ショック」自民党員減、「政治とカネ」懸念も「保守と理解してもらえない」
2025/3/9 15:40
https://www.sankei.com/article/20250309-6S6G4VIQB5HE3HEUGICQX4KUGI/
自民党の党員数の推移
https://www.sankei.com/article/20250309-6S6G4VIQB5HE3HEUGICQX4KUGI/photo/ILXCR2FS3NMLLJTKNCPV6M4DMQ/
自民党員の減少幅が近年まれにみる規模となり、党執行部を悩ませている。
令和6年末時点の党員数は102万8662人で5年末時点から6万2413人減少した。
「6万人ショック」
とも言われ、特に有権者と直接接する機会の多い地方議員に危機感が広がる。
派閥パーティー収入不記載事件の影響だけでなく、近年の自民の政策が岩盤支持層とされる保守層の離反を招いているとの見方も増えている。
■「党員集めは厳しさを増している」
「党員集めは厳しさを増している」
「自民はいつまで『政治とカネ』の問題に決着を付けられないのかと思われている」
神奈川県連会長を務める小泉進次郎元環境相は2025年3月9日の党大会後、記者団にこう語った。
党員数は自民が政権復帰した平成24年の73万人以降、増加傾向にあった。
安倍晋三政権から菅義偉政権へと変わった令和2年は113万6445人と近年で最も高かった。
しかし、岸田文雄政権下の令和5年末になると、党員数は109万1075人となり、前年末比で3万3688人の減少に転じた。
石破茂政権下の今回は、減少幅が倍増した形となる。
小泉氏と同じく地方議員も政治とカネの問題で党員の離反を招いたと指摘する声は多い。
山形県の柴田正人県議は
「『政治とカネ』の問題をずっと引きずっている」
「政治家は悪いことをしているというイメージが植え付けられている」
と指摘した。
政治資金の
「見える化」
を進めた上で、早期の決着を求めた。
宮城県連の遠藤隼人青年局長も、
「政治とカネ」
を挙げて
「直接党員にお願いして回っているが、これまで支えてくれた人も
『こういう党の状況では継続できない』
という人もいる」
「反応は厳しい」
と語る。
■「コアな保守層が逃げた」
遠藤氏は、自民が選択的夫婦別姓の導入を求める声に対し、明確な反対姿勢を示せていないことも疑問視する。
遠藤氏は
「旧姓使用の拡大」
にとどめるべきだと訴えた上で
「自民以外の政党は夫婦別姓派だ」
「分かり易く自分たちが保守であるということを理解してもらえないような党本部の姿勢が、保守離れを起こしているのではないか」
と危惧する。
大阪市の木下吉信市議は、昨年2024年10月の衆院選比例代表で自民支持層の投票先が日本保守党や参政党に流出したとの見方を示し
「コアな保守の支持者が逃げた」
と指摘する。
大阪府泉南市の添田詩織市議も
「地元を歩いて反応がいいことはない」
「(石破内閣は)中国寄りのイメージで語られている」
と述べる。
ただ、首相が力を入れる自衛官の処遇改善などの取り組みを挙げて
「実際は保守層に評価される政策もあることを知ってほしい」
と語った。
鳥取県連の斉木正一幹事長は、党員減少について
「やはり少子高齢化ではないか」
「我々が田舎を回ると高齢化が進み、昔の人が亡くなっている」
「もう1つは『政治とカネ』の問題」
「この2つが原因かと思う」
と分析した。

自民、参院選控え党大会で「原点回帰」アピール 地方、歴史、家族、靖国…岩盤支持層意識
2025/3/9 13:29
https://www.sankei.com/article/20250309-R7AI4KL5AZJKTCHXTVVNBW76RY/
自民党は2025年3月9日の党大会で、地方や歴史を重んじる保守政党という自らの立ち位置の明確化を図った。
採択した令和7年党運動方針は
「悠久の歴史や文化、家族や地域の絆」
といった文言を強調し、石破茂首相(党総裁)は演説で
「原点に立ち返る」
と述べた。
自民の岩盤支持層を意識した原点回帰は、2025年夏の参院選への危機感の裏返しでもある。
■異彩放つ運動方針「わが党は大敗した」
自民は今年2025年、立党70年を迎える。
首相は党大会で
「いつの時代も歴史、時代を変えるのは都の偉い人々ではない」
「地方であり、1人1人の庶民大衆だ」
と語り、地方の党員や支持者を重視する姿勢を強調した。
1年間の党の指針となる運動方針は、例年と比べ異彩を放つ。
昨年は総論である
「前文」
で、派閥パーティー収入不記載事件を受けた政治改革を進めて
「解体的な出直し」
を図ると明記した。
一昨年2023年は経済再生などを前面に掲げた。
今年2025年は
「昨年2024年の衆院選で我が党は大敗した」
と認めた上で
「常に進歩を目指す保守政党」
の道を歩むと宣言。
「悠久の歴史や文化、家族や地域の絆に育まれてきた日本の国柄を次の世代に引き継ぐ」
と謳った。
■参院選で負ければ「政権は終わり」
更に
「歴代の天皇と皇統、皇室は、日本の歴史、伝統、文化の礎である」
「靖国神社参拝を受け継ぎ(中略)各都道府県における護国神社への参拝も大切にしていく」
と掲げた。
こうした姿勢の背景には、党の足腰の弱体化がある。
現在の自民は、安倍晋三元首相を支持した
「岩盤保守層」
の離反が指摘されている。
また、不記載事件への失望感などから地方の党員の減少も目立つ。
昨年2024年末時点の党員数は102万8662人で、前年から6万2413人も減少した。
党員
「120万人」
の目標は遠のくばかりだ。
自民幹部の1人は、衆院選に続いて参院選で負ければ
「政権は終わり」

「支持層を取り戻す必要がある」
と語る。
■運動方針から憲法改正の時期消える
ただ、自民は与党過半数割れした衆院で主導権を失い、党是の憲法改正を推進する体力もない。
昨年2024年の運動方針は
「2024年年内の実現」
を目指す考えを示したが、今年2025年は時期が消えた。
立憲民主党は選択的夫婦別姓制度導入法案の今国会への提出を準備している。
自民内では制度導入ではなく、旧姓の通称使用拡大を行う流れが強まっているが、執行部が党内の推進派を抑えられるかが焦点となる。

夫婦別姓で揺れる自民…家族観も一致せず 創生「日本」で苦言 産経新聞・皆川豪志
「正論」4月号
2025/3/1 12:00
https://www.sankei.com/article/20250301-DS2H6CUF7NCUHGTXBN223OFSS4/?outputType=theme_monthly-seiron
(月刊「正論」2025年4月号から)
与野党ともに賛同者が多かった選択的夫婦別姓の法制化議論が、ここへ来て風向きがやや変わりつつある。
一時は
「やりたい人がやるだけなのになぜ反対するか」
などという幼稚な理屈が罷り通っていたが、現実に法が改正された場合、日常生活に大きな影響が出ることに多くの国民が気が付き始めたからではないか。
産経新聞が今年2025年元日からシリーズ掲載した
「ごまかしの夫婦別姓議論」
の反響も大きかった。
中でも、2025年元日1面トップの小中学生に対する初のアンケート
「別姓小中学生の半数反対 『自分はしない』6割」
はインターネット上で瞬く間に拡散され、SNS(交流サイト)では
「選択的とは言うが、子供にとっては強制的親子別姓になることに改めて気づきました」
という声が多数上がった。
こうした背景を受けて、2025年2月5日に開かれた自民党の保守系議員連盟
「創生『日本』」
から勉強会の講演依頼が私にあった。
安倍晋三元首相が会長を務めた組織でもあり、全員が
「保守」
と言っていい錚々たるメンバー41人が集まった。
■「恣意的」批判は想定通り
講演では、調査の狙いとして、このテーマを
「可視化」
したかったことを最初に説明した。
いくら言葉で問題点を指摘しても、
「選択的」
という言葉に引きずられて、
「選択だからいいのでは」
「誰にも迷惑はかからないのでは」
などと納得してしまう世論が多いためだ。
そもそも、企業などでは婚姻後の
「旧姓使用の拡大」
が既に進んでおり、多くの国民にとってこのテーマは喫緊の課題ではない。
それをいいことに、朝日新聞やNHKなどのリベラル系メディアは、旧姓使用の現状を無視した上で、
「賛成」「反対」
の二択で世論調査を行い、そこで集計された
「賛成7割」
という結果を独り歩きさせるのだ。
日本人は人がいいので、
「そんなに賛成者がいるなら」
とつい誤魔化されてしまいがちなのである。
やはりここは、改めて問題点を浮き彫りにするべきではないか。
「選択的夫婦別姓は強制的親子別姓であり、強制的家族別姓である」
「人に迷惑をかけないどころか、家族の在り方に多大な影響が出る」
ことを考えてもらうために必要だったのが、アンケートによる
「子供の存在」
の可視化だったのだ。
反響の中には、夫婦別姓推進派からの
「恣意的なアンケートだ」
という声も多かった。
だが、これは想定通りで、記事の中には次のような一文を入れておいた。
「法制化の議論が拙速に進む中で、家族の一員である子供の意見を集めたのは、今回が初めての調査なのである」
「仮に聞き方が不十分だったり、誘導的と考えたりするならば、是非他のメディアも誤魔化さずに取り組んでほしい」
「文部科学省も、こども家庭庁も出番ではないか」
つまり、
「文句があるなら自分たちも調べなさい」
「国もやるべきことがあるのでないか」
という意味だ。
実はこれが最も言いたかったことでもある。
先ほど調査対象は2000人と紹介したが、実は100人、200人しか集まらなくても仕方がないとも考えていた。
とにかく子供の存在をこの議論の俎上に載せたい、もし産経の調査に不満があるなら、それはそれで構わないので他のメディアなり、国としてやってほしい、拙速に進めず、立ち止まって考えてほしいというメッセージである。
その狙いは予想以上に国民に届いたのではないか。
2025年正月の記事以来、
「子供の姓がバラパラになる」
「旧姓使用の拡大や法制化で解決できないものか」
という議論が他メディアも含めて活発化してきたことを考えると一応は成功だったと言えると思う。
■自民党の現状こそ問題
一方で、経団連などの財界は未だに選択的夫婦別姓推進を言い続けている。
今回行った産経のアンケートで、旧姓使用を不可としている企業はゼロだったにもかかわらずだ。
この日の勉強会にも出席された高市早苗前経済安全保障担当相の努力もあって、今やパスポートや国家資格など大半の身分証明で旧姓使用が併記できるようになった。
立憲民主党など野党は
「困っている人がいる」
という理屈を振りかざしているが、
「困っている人」
とは誰なのか。
産経の取材でも
「困っている人」
を探したが、結局出てきたのは、
「海外でパスポート名義と宿泊名簿の姓が違って説明に時間がかかった」
という程度だった。
そもそも私は今回のテーマについて、保守である自民党が真剣に考えるべき課題ですらないと考えている。
今ある法や制度を変えたいのなら、なぜ変えなければならないのか、その理由を明確にして、誰もが納得できる立法事実を出さなければならないのは別姓推進派の側であり、政権与党としては、その1つ1つに丁寧に反論し、それでも困っているという細かいケースが見つかったのなら法律の運用の中で変えていけばよいだけなのだ。
勉強会に参加した自民党議員も、本当は同じように考えていたと思う。
ただ、現状は昨秋2024年秋の総選挙以来の少数与党であり、連立を組む公明党も別姓推進を公言している中で、放置するわけにもいかない。
何より、衆院法務委員長のポストまで獲得した立憲民主が今国会中にも法案を提出する可能性は高いのだ。
「創生『日本』」
としても、保守層だけでなく、広く党内がまとまる対案を検討するのは当然であり、より良い方向に導いて頂きたいとは思う。
ただ、だからと言って、我が国の根幹とも言える家族の在り方を巡り、これ以上党内が右往左往してほしくない。
そもそも自民党の中に、野党と同じように
「困っている人」
を必要以上に誇張したり、女性差別と関係付けてまで夫婦別姓を推進したい議員が少なくないこと自体が不自然なのである。
例えば、税制や社会保障などの分野で党内の意見が分かれるのならまだ分かるが、家族の在り方を巡って、
「党議拘束しなければまとまらない」
とか、
「予算の成立と引き換えに…」
などの意見が漏れてくる今の自民党の体質にこそ問題があるのではないか。
保守を標榜する
「創生『日本』」
の方々こそ、この党内の現状を真剣に憂えてほしい。
家族観すら一致せず、まとまれないような政党はもう、1つの政党とは言えない。
有権者からそのように見られても仕方がないのではないか。
そう苦言を呈して、講演を終えた。
(産経新聞編集局コンテンツ統括)
「夫婦別姓=家族別姓」子供の半数は反対…産経新聞アンケート結果
産経新聞の(2025年1月1日付掲載)のアンケートでは、家族で違う苗字になってしまう
「夫婦別姓」
に子供の半数が反対している実情が明らかになった。
調査は全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人の計約2000人から回答を得た。
各家庭の事情などデリケートな問題にも配慮し、答えたくない場合は答えなくてよいことを徹底した。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「まったく知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よくわからない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」が約半数の49・4%、
「賛成」は16・4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」が18・8%、
「よくわからない」が15・4%
で、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては、
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割
となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13・6%
だった。
(月刊「正論」4月号から)
みながわ・たけし
産経新聞編集局コンテンツ統括。
平成3年、産経新聞入社。
京都総局、大阪社会部、東京社会部次長、産経新聞出版代表取締役社長などを経て令和5年7月から現職兼産経新聞出版取締役会長。

選択的夫婦別姓「導入賛成」が減少傾向、「通称使用拡大」は増加 報道機関の直近世論調査
2025/2/25 9:49
https://www.sankei.com/article/20250225-AJ3NFZ3TLZHPPMUZFB4FMGFBXU/
今国会の焦点とされる選択的夫婦別姓導入の是非を巡る各種報道機関の世論調査で「賛成」が今年2025年に入って減少傾向にある。
賛否の2択に加えて
「同姓を維持して旧姓の通称使用を拡大」
する第3の選択肢を尋ねたケースでは、旧姓の通称使用拡大が最も高く、割合も増えている現状が浮かぶ。
■産経・FNN調査は「賛成」9・5ポイント減
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年2月22、23両日に実施した合同世論調査は
「同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
が51・7%と過半数を占めた。
前回調査(2025年1月18、19両日実施)の45・2%に比べ、6・5ポイント増となる。
選択的夫婦別姓の法整備に「賛成」は28・0%で、前回の37・5%から9・5ポイント減らした。
同様に読売新聞社が2025年2月14〜16日に3択で尋ねたところ、旧姓の通称使用拡大は46%で最も多く、前回(2025年1月17〜19日実施)の43%から3ポイント増加した。
選択的夫婦別姓の導入を求める声は前回の29%から27%に減少した。
■朝日調査も「賛成」10ポイント減
朝日新聞社は2025年2月15、16両日の調査で、導入の賛否を2択で尋ねると、「賛成」が63%で「反対」は29%だった。
前回調査の昨年2024年7月はそれぞれ73%、21%だった。
「賛成」は「反対」の2倍以上だが、前回調査から10ポイント減らしたことになる。
共同通信社が2025年1月25、26両日に実施した世論調査は「賛成」は59・4%、「反対」が32・7%だった。
昨年2024年10月の賛成67%、反対21・7%で、「賛成」は7・6ポイント減らしている。
毎日新聞社は選択的夫婦別姓を巡る2025年2月の世論調査で2025年1月に比べて尋ね方を変えたため、対象から除外した。

「通称使用の拡大」男女とも過半数、全年代、職業で最多 共産支持層も FNN世論調査
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/2/24 12:30
https://www.sankei.com/article/20250224-MQHMGVO2XZHUVAIQ5WNV7ZHQEM/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年2月22、23両日に実施した合同世論調査で、選択的夫婦別姓制度の法整備について尋ねたところ、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
が、男女を共に過半数を占めた。
全年代で、また、選択肢にあるすべての職業で最多だった。
支持政党別でも、共産党支持層は
「通称使用の拡大」

「賛成」
を上回った。
■女性も「賛成」3割
男性では「賛成」の25.3%に対し、「通称使用の拡大」の51.2%と「反対」の21.5%の合計が7割を超えた。
女性では「賛成」が30.6%にとどまる一方で、「通称使用の拡大」は52.2%、「反対」は16.1%に上った。
男女共に法整備に慎重な姿勢が浮き彫りになった。
世代別でみると、30代と70歳以上を除き、
「通称使用の拡大」
が過半数だった。
経団連や一部野党などは、夫婦別姓を求める理由の1つに
「キャリアの断絶」
を挙げている。
今回の世論調査では、職業別に正規雇用、非正規雇用、自営・フリーランス、主婦・主夫、学生、無職、その他の選択肢で尋ねた。
全ての職業で「通称使用の拡大」を選んだ人が最多で、無職(42.0%)以外は半数を超えた。
「賛成」が3割を超えたのは学生(38.0%)と非正規雇用(36.4%)だった。
「反対」の割合が他の職業に比べ高かったのは、「無職」(28.8%)と「自営・フリーランス」(25.4%)だった。
■公明・立民支持層も「賛成」過半数届かず
支持政党別では、公明党支持層の47.3%と立憲民主党支持層の46.6%が「賛成」と答え、「通称使用の拡大」を上回った。
両党は今国会での法案成立を目指しているが、その両党の支持層でも「通称使用の拡大」と「反対」の合計は「賛成」を小差で上回った。
共産支持層では「賛成」の39.9%に対し「通称使用の拡大」が49.3%で上回り、「反対」が5.8%だった。
日本保守党の支持層では「反対」が最多の48.2%、「通称使用の拡大」が31.8%、「賛成」はいなかった。

選択的夫婦別姓「通称使用拡大を」51%で過半数 「反対」含め7割が導入否定的
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/2/24 11:46
https://www.sankei.com/article/20250224-SXETE7ZTU5JQVP433ERNY7EURQ/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年2月22、23両日に実施した合同世論調査で、選択的夫婦別姓制度に関する法整備について尋ねたところ、「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」との回答が51・7%と過半数を占めた。
前回調査(2025年1月18、19両日実施)比では6・5ポイント増加した。
法整備に「反対」との回答は18・7%で、前回比で4・0ポイント増加した。
選択的夫婦別姓を導入する法整備に否定的な回答が、前回は計6割だったが、今回は計7割に増加したことになる。
一方、法整備に「賛成」との回答は28・0%で、前回比で9・5ポイント減だった。

「建国記念の日」に党大会 国民民主の保守加速 夫婦別姓推しの連合幹部に榛葉幹事長は…
政界徒然草
2025/2/24 6:00
https://www.sankei.com/article/20250224-B5QW4QMJONMMZLBFNJJW27UDV4/
国民民主党の保守化が加速している。従来の家族の在り方を変える可能性を指摘されている選択的夫婦別姓制度を巡り、玉木雄一郎代表(役職停止中)と榛葉賀津也幹事長が性急な導入に
「待った」
をかけた。
これまでも憲法改正や原発再稼働、現実的な安全保障政策などを訴えてきた国民民主。
2025年夏の参院選を見据え、石破茂政権に批判的な岩盤保守層を奪い取る構えだ。
■党大会で紀元節に言及
「今から2685年前の今日、日本書紀によると、国づくりが始まった」
「その節目の日に、国民民主の党大会が開催されることに感謝と身が引き締まる思いでいっぱいだ」
今月2025年2月11日に東京都内で開かれた国民民主の党大会で、最も印象に残ったのが、榛葉氏によるこの挨拶だった。
国民民主は従来、リベラルと保守の二項対立とは距離を置く
「改革中道政党」
を掲げてきた。
だが、昨秋2024年秋の衆院選は、石破政権に批判的な保守層の後押しもあり、議席数が公示前から4倍増に躍進した。
新暦の紀元前660年2月11日に初代の神武天皇が橿原宮(奈良県)で即位した紀元節に触れた背景には、日本の伝統を大切にする保守層への配慮が透けて見えた。
■夫婦別姓にブレーキ
とりわけ保守層から歓迎されているのが選択的夫婦別姓制度への対応だ。
国民民主は先の衆院選の公約で同制度の導入を掲げていたが、玉木氏は2025年1月17日の産経新聞の単独インタビューで慎重に対応すると指摘。
「多くの国民に関わる事であり、イデオロギーや政局的なものにせず、出来るだけ幅広い合意を得る丁寧な議論が必要だ」
と強調した。
また、榛葉氏も2025年1月30日の産経インタビューで、子供の姓の扱いなどについて
「慎重な議論が必要で、政争の具にすべきでない」
との見解を示し、歩調を合わせた。
2025年2月14日の記者会見では
「保守もリベラルも関係ない」
「大人は選択できるかもしれないが、子供が半ば強制では子供が不幸になる」
と強調。
家族の絆を重んじる保守政党でありながら、推進派を抱える自民党を
「中に色んな考えがあるようだ」
と皮肉る余裕も見せた。
戸惑いを隠せないのが国民民主の最大支援組織で、同制度の早期導入を求める連合だ。
2025年2月11日の党大会に招待された芳野友子会長はたまらず
「導入しないことは男女が不平等な状態を放置することを意味し、人権に関わる由々しき問題だ」
と国民民主にプレッシャーをかけた。
しかし、この発言がどこまで執行部の耳に響いたのかは不透明だ。
同制度導入を求める連合関係者は今年2025年に入り、
「今国会の最大の法案だ」
と榛葉氏に発破をかけたが、子供への悪影響を念頭に榛葉氏が首を縦に振ることはなかった。
■支持層の変化も影響
立憲民主党は今国会に同制度導入を謳う民法改正案を提出する方針だが、成立を左右するのは国民民主と言っても過言ではない。
同制度を審議する衆院法務委員会の構成メンバーのうち、推進派と目されてきたのは立民(西村智奈美委員長を除く)や国民民主、公明党、共産党を合わせて15人。
自民や日本維新の会の一部が賛成に回れば過半数の18人に達する計算だ。
しかし、国民民主が慎重姿勢を堅持すれば法務委での過半数獲得も容易ではなくなる。
なぜ国民民主は変わったのか。
先の衆院選以降の支持層の変化を指摘する声は少なくない。
国民民主の比例票は前回(令和3年)の259万票から617万票へと大幅に増えた。
連合関係者は石破政権に不満を抱く岩盤保守層の影響だと分析。
「安倍晋三政権を支えていた支持者が相当流れてきている」
と語る。
国民民主の勢いは2025年夏の参院選の結果も左右する。
歴代の自民政権は野党の分断を仕掛けることで
「1強」
態勢を築いてきた。
自民重鎮は、国民民主が積極的な候補擁立を決めたことに関して、
「野党同士で潰し合うことになる」
とソロバンをはじく。
一方、保守路線にシフトした国民民主はむしろ自民の票を奪うとの見方もある。
立民の閣僚経験者は
「国民民主はどんどん右傾化している」
「このままだと、参院選ではむしろ、自民票を食うだろう」
と指摘する。
いずれにせよ保守色を濃くした国民民主の影響力が、かつてないほど政界で強まっていることだけは間違いない。

産経調査結果に「子供への影響研究を」の意見 選択的夫婦別姓是非議論の自民WT
2025/2/20 20:41
https://www.sankei.com/article/20250220-YVSELFAQVBO4PDFUMDOGUJG67Q/
自民党は2025年2月20日、
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」(座長・逢沢一郎衆院議員)
の会合を開き、選択的夫婦別姓制度導入の是非に関する内閣府や報道各社などの世論調査結果について議論した。
産経新聞社が昨年2024年11〜12月に小中学生約2千人を対象に行ったアンケートも取り上げられた。
逢沢氏は会合後、記者団に、産経の調査が子供の意向を調べた唯一の調査だと指摘した上で
「もっと深く子供の意見を聞くことや、新しい制度になった時に子供にどのような影響があるかを研究すべきだとの意見がかなり出た」
と語った。
産経のアンケートでは、夫婦別姓導入で家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。

「選択的夫婦別姓は強制的親子別姓」池谷准教授 日本会議懇談会に自民、維新から75人
2025/2/19 18:05
https://www.sankei.com/article/20250219-TFPDA63IWJMPBLR6MOGN2BRYXQ/
超党派の保守系議員で作る
「日本会議国会議員懇談会」(会長・古屋圭司元拉致問題担当相)
は2025年2月19日、国会内で家族制度を考える勉強会を開催した。
自民党と日本維新の会から代理出席を含め計75人が出席し、選択的夫婦別姓制度を導入することによる子供への影響などについて意見を交わした。
会合では、家族法に詳しい長崎大の池谷和子准教授が
「選択的『夫婦別姓』は強制的『親子別姓』です−親子別姓は何をもたらすか」
と題して講演した。
出席者によると、池谷氏は別姓制度導入によって夫婦別姓が親子別姓、兄弟別姓になっていくことは、子供の発達に悪影響が出る可能性があることを指摘したという。
講演後には質疑応答が行われ、出席者からは
「個人が先立ち過ぎてしまうと家族の一体感や、社会の安定性が損なわれることになるのではないか」
との意見が出た。
別の出席者は
「従来の戸籍制度は非常に優れた制度だ」
「しっかりと残していくことを考えるべきだ」
と主張した。
同懇談会では、一昨年2023年に家族プロジェクトチーム(PT)を立ち上げ、家族制度に関する議論を重ねてきた。
山谷えり子・家族PT座長(自民)は会合後に記者団に対し、別姓制度に関して
「家族や社会の在り方に大きく影響する問題だ」
「選択的だからといって、その人だけの問題ではないという視点で進めることが大事だ」
と述べた。

選択的夫婦別姓めぐる朝日、共同の二択質問 「前提がおかしい」自民党内に不信募る
世論調査
2025/2/17 17:08
https://www.sankei.com/article/20250217-D7AYVEPQWJKWNLAY6WPSVJ7CLA/
選択的夫婦別姓制度を巡る報道各社の世論調査で、制度導入の賛否の二択で質問した場合と、旧姓の通称使用拡大を含めた複数の選択肢を提示した場合では回答結果が大きく異なった。
自民党では旧姓の通称使用拡大の議論が進む。
党内の一部には、この選択肢を排除し、二択で質問し続ける報道機関への不信感が募っている。
2025年2月16、17両日に公表された共同通信や毎日、朝日、読売の世論調査では、今国会の焦点となっている選択的夫婦別姓制度に関する質問がいずれも盛り込まれていた。
ただ、質問の選択肢の内容は各社で分かれた。
選択的夫婦別姓制度導入について
「賛成」

「反対」
の二択で回答を求めたのは朝日と共同だ。
朝日は同制度に関し
「法律を改正して、夫婦が同じ名字でも、別々の名字でも自由に選べるようにすることに賛成ですか」
と質問。
賛成が63%、反対が29%だった。
旧姓の通称使用拡大についての質問はなかった。
共同は同制度導入の賛否を尋ねた上で、旧姓の通称使用拡大について
「名字変更で生じるさまざまな問題や不便が解決すると思いますか」
と質問し、
「解決しない」
が58・1%に上った。
一方、毎日は同制度の導入や旧姓の通称使用拡大、両方を進める、両方を進めないとの選択肢を用意。
いずれの回答も16〜24%に分散した。
読売は3つの選択肢を示し、
「夫婦は同じ名字とする今の制度を維持しつつ、通称として結婚前の名字を使える機会を拡大する」
との回答が46%で最も多かった。
選択的夫婦別姓制度を巡っては、自民党内ではかねてから
「二択では、国民の声を正確に受け止められない」(党若手)
との意見が根強くある。
自民党関係者は
「一部報道機関は質問の前提がおかしいのではないか」
と不満を口にした。

<主張>選択的夫婦別姓 「親子別姓」を強制するな
社説
2025/2/14 5:00
https://www.sankei.com/article/20250214-LMH5A675K5OQ5DMKI5JPAB2FOQ/
親子別姓を強制するおかしな制度だ。
選択的夫婦別姓のことである。
自民党は導入の是非を巡り、党内議論を始めた。
夫婦が同じ姓であるのは現代日本人の家族観と結び付いている。
結婚時の姓の変更に伴う不便を解消するための議論はあって然るべきだ。
だが、子供の立場を蔑ろにし、家族の一体感を損なう選択的夫婦別姓制度の導入は弊害が多過ぎる。
賛成することはできない。
自民の夫婦別姓に関するワーキングチームの会合で、高市早苗前経済安全保障担当相は
「自民は政権を奪還した平成24年衆院選で旧民主党の夫婦別姓案に反対した」
「その後も(旧姓の)通称使用拡大を約束してきた」
と主張した。
座長の逢沢一郎衆院議員が、意見集約の期限を設けないとしたのは妥当だ。
石破茂首相(自民総裁)2025年2月12日の国会で、選択的夫婦別姓制度について
「いつまでも結論を先延ばしにしてよい問題とは考えていない」
と述べたのは理解に苦しむ。
立憲民主党は選択的別姓の実現に向けた推進本部を立ち上げた。
だが、安易な導入は取り返しがつかない。
立民などは子供たちが受けるであろう悪影響を軽く見ている。
夫婦別姓では、父か母のどちらかが必ず子供と別の姓になってしまう。
疎外感を持つ子が出てくるだろう。
どちらの姓を子供に付与するかを巡って祖父母らも絡み、争いが生じかねない。
最も喜ばしい子供の誕生時に起きていい話ではない。
導入論者は、夫や妻の事ばかりに拘り、親よりも弱い立場にある子供の存在を軽んじている。
極めて残念だ。
子供を優先するのが親や社会の務めだと気付いてもらいたい。
選択的夫婦別姓が導入されれば戸籍制度も変質する。
姓は砂粒のような個人の呼称へ変貌する。
先祖から子孫へと、世代を重ねていく家族の呼称としての姓でなければ、そもそも姓を名乗る必要があるのだろうか。
選択的とはいえ別姓は個人の問題ではない。
家族や社会の在り様に関わる大問題だ。
令和3年の内閣府世論調査では、選択的夫婦別姓を求めたのは3割に届かず、同姓維持と同姓のまま通称使用の制度化を望む声は7割弱に上った。
政党は社会に分断を招いてはならない。

最大の問題は「子の姓」、旧姓の通称使用拡大へ結論を 国士舘大・百地名誉教授
2025/2/7 19:38
https://www.sankei.com/article/20250207-27NPT5X3KZJTHEUXDATVONIM4Q/
自民党は来週、選択的夫婦別姓制度を巡る党内議論を本格化させる。
同制度の問題点や旧姓の通称使用拡大について、国士舘大の百地章名誉教授(憲法学)に聞いた。

選択的夫婦別姓制度の最大の問題は子の姓の扱いだ。
生まれたばかりの子には姓の選択権がない。
それどころか、別姓家庭に生まれた子は、父か母いずれかの名字とは異なる
「親子別姓」
を強制させられる。
現在、一部の野党が示す案では、子が生まれる度に夫婦が姓を決めるとあるが、現行の戸籍法では出生後14日以内に氏名を届け出なければならないため、夫婦間の協議が整わなければ無戸籍児になる。
別姓夫婦が結婚時に生まれてくる子の姓を事前に決めておく案もある。
だが、決められなかった場合は婚姻届が出せず、
「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」
と定めた憲法24条に違反する恐れがある。
野党案はこうした問題の解決に
「家庭裁判所に判断を求める」
とするが、正当な判断基準は見当たらない。
別姓導入賛成派の論拠は、平成27年と令和3年の最高裁判例が
「この種の制度の在り方は国会で論ぜられ、判断されるべきだ」
と判示したことだ。
しかし、判決は同姓制を合憲としており、別姓導入を求めたわけではない。
各種調査では5割近くが通称使用拡大を必要とする一方、別姓導入賛成は2割程度にとどまる。
これは便宜上の不具合を改善してほしいということに他ならない。
旧姓の通称使用拡大を別姓制度の
「妥協案」
と捉えてはいけない。
別姓導入の議論が浮上したことで通称使用の拡大の議論が熟した側面もあるが、考え方は全く違うものだ。
これまで懸案になっていた姓を巡る問題を解決するためにも、通称使用拡大の法整備に向けて結論を出すべき時期に来ている。

夫婦別姓議論、旧姓の通称使用拡大巡り自民保守派に複数案…一本化できなければ党分断も
2025/2/7 18:39
https://www.sankei.com/article/20250207-5X76YPN3GNMSVGNGL6VGUKS67E/
今国会の焦点である選択的夫婦別姓制度を巡り、自民党は来週、党内議論を本格化させる。
家族の在り方を変える懸念から、制度導入に慎重な保守系議員らは旧姓の通称使用を拡大する方向で意見集約を目指す。
ただ、慎重派の間でも通称使用拡大に関して複数の案が存在しており、一本化を巡っては党の分断に繋がる恐れもある。
2025年2月4日午後、党本部で開かれた有志グループ
「保守団結の会」
の会合。
顧問を務める高市早苗前経済安全保障担当相は
「自民は多くの方に、旧氏を通称使用する機会をもっともっと拡大する約束を何度もしている」
「これを早期に実現することが一番だ」
と強調し、通称使用拡大に向けた私案を示した。
高市氏の私案は、戸籍上は同姓を維持しつつ、旧姓の通称使用拡大を法律で位置づける。
現状、住民票やパスポート(旅券)などの公的証明書は希望すれば、現在の姓と旧姓の併記が可能だ。
この仕組みを幅広い分野に広げて不便を解消するため、国や地方公共団体、事業者に必要な措置を取るよう求める。
高市氏は以前、戸籍法の改正を視野に入れていたが、住民基本台帳法施行令の一部改正によって住民票などに旧姓併記が可能となったため、戸籍法は改正しない形とした。
別姓制度導入の是非が改めて注目されるきっかけとなった経団連の昨年2024年の提言は
「通称は法律上の姓ではないため、旧姓併記を拡大するだけでは解決できない課題も多い」
と指摘していた。
一方、衛藤晟一元沖縄北方担当相らの案は、公的証明書への旧姓の併記と単独使用のいずれも可能とする。
旧姓の使用を法制化し
「法定旧姓」
とすることで別姓制度を導入しなくても、経団連が指摘するような課題の解決に繋がるとしている。
稲田朋美元防衛相は、
「婚前氏続称制度」
の創設を主張する。
旧姓を通称ではなく
「呼称上の氏」
として法的に認め、公的な場面では旧姓を使用することを想定している。
慎重派は複数案を一本化し、導入推進派に対して党内議論の主導権を握りたい考えだ。
党内には、拙速な議論は避けるべきだとの意見もあるが、立憲民主党は今国会で導入に向けた民法改正案の提出を予定している。
自民の森山裕幹事長は2025年2月4日の記者会見で、関連法案を採決する際の党議拘束の必要性を重ねて主張した。

「強制的親子別姓」「子供に選択の機会ない」選択的夫婦別姓を日本女性の会が危惧 横浜で
2025/2/7 10:50
https://www.sankei.com/article/20250207-XGELSVKT5FGOVOVXV2OLGIPJ3A/
日本女性の会神奈川は2025年2月6日、JR横浜駅前で今国会の焦点とされる選択的夫婦別姓の導入に反対し旧姓の通称使用の法制度化を求める街宣活動を行った。
選択的夫婦別姓について、
「強制的親子別姓、強制的家族別姓です」
「家族がバラバラになります」
などと懸念を訴えた。
日本女性の会は日本会議の女性組織。
約20人の女性らがビラを配ったり、マイクで訴えたりした。
導入を求める側の人々が唱える
「選択制だから誰も困らない」
という訴えについては
「正しくありません」
「一番大きな影響を受けるのは子供です」
「選択制とはいえ、子供に選択の機会はありません」
などと危惧した。
同会は、4歳から高校2年まで10家族20人の子供に対し、それぞれの親から
「お父さんとお母さんが別々の名前になったらどう思う」
と尋ねてもらったところ、ほとんどが拒否感を示したという。
「家族がバラバラは絶対いや」
「うちは何家になるの」
との回答があったという。
同会神奈川の事務局長を務める横浜市の主婦、北島ゆり子さん(66)は
「子供は自分のことじゃなくて、親や家族全体のことを考えている」
「たかが名字、されど名字で、子供にとって大きな拠り所だと感じた」
と話した上で、
「子供の声は社会に反映されにくい」
と語り、丁寧な議論を訴えた。
北島さんは、10家族20人の調査について
「親にとっては、子供の考えを改めて感じ、絆が強まった機会になったといってくれた」
と述べ、選択的夫婦別姓の導入の是非が社会の話題になりつつある状況について
「反対派も賛成派も、改めて家族で『家族とは何か』『親子とは何か』を考える機会になれば一番いいと思う」
と語った。

夫婦別姓反対や通称使用法制化の推進を訴え 日本女性の会神奈川
2024/12/26 19:30
https://www.sankei.com/article/20241226-52IAT4YH4BMI3LSVHODYVHHQ5M/
日本女性の会神奈川は2024年12月26日、神奈川県藤沢市のJR藤沢駅前で
「夫婦別姓反対・通称使用法制化推進」
の街宣活動を行い、
「国民は選択的別姓制度を求めていません」
などと書かれたビラを配った。
参加したのは、同会や日本会議神奈川などの約10人。
メディアなどの調査をもとに、
「国民の7割が『別姓』に反対」
「中高生の9割以上が『別姓』に反対」
などと書かれたのぼりを掲げ、通行する人に
「姓の選び直しで社会は混乱する」
と語りかけ、通称使用の法制化を訴えた。

自民「創生日本」再始動、通称使用拡大案を提示「国の根幹めぐり党が割れるようでは…」
2025/2/5 18:55
https://www.sankei.com/article/20250205-5XCFEWLYMFOEZAAPSUVO5LP2FY/
安倍晋三元首相が会長を務めた自民党の保守系議員連盟
「創生『日本』」
は2025年2月5日、国会内で総会を開き、選択的夫婦別姓制度を巡り議論した。
総会の開催は約2年ぶりで、旧姓の通称使用を拡大する党内の複数の案が示された。
同制度の導入を巡っては党内で賛否が割れているが、同議連は通称使用拡大での意見集約を目指す方針だ。
「夫婦別姓は国民の間でも実際にどういうものか、実施したらどうなのかなど理解されていない点もある」
「議員も同様ではないか」
同議連会長代行の中曽根弘文元外相はこう強調した。
総会には、萩生田光一元政調会長や高市早苗前経済安全保障担当相、小林鷹之元経済安保担当相ら約40人が参加した。
この日は産経新聞の皆川豪志編集局コンテンツ統括を講師に招き、
「ごまかしの選択的夫婦別姓議論」
と題した講演も行われた。
皆川氏は、産経新聞が同制度について小中学生約2000人を対象に行ったアンケートの結果を説明し、
「国の根幹に関わる家族の在り方を巡り、党内の意見が割れるようでは有権者に見放されるのではないか」
と苦言を呈した。
同制度の導入には、立憲民主党などの野党に加え、連立を組む公明党も前向きな姿勢を示しており、今国会での焦点となる見通しだ。
自民では今月2025年2月中旬にも
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
での議論が本格化するが、推進派、慎重派が混在している状況で、党内議論は難航が予想される。
■「自民離れ加速」選択的夫婦別姓への懸念
一方、保守系議員を中心とした慎重派は、今月2025年2月に入って発信を強めている。
2025年2月4日には有志グループ
「保守団結の会」
が会合を開き、制度導入に向けた拙速な議論を牽制した。
慎重派の念頭には、家族の在り方を変えうる制度を導入すれば
「保守層の更なる自民離れが加速する」(中堅)
との懸念があるためだ。
ただ、安倍氏の死去後、党内の保守系議員の結集軸は失われたままだ。
慎重派が党内議論を主導できるかどうかの予測は難しい状況だ。

自民・高市早苗氏講演の「保守団結の会」に20人 出席議員一覧 旧姓通称使用の拡大を
2025/2/4 18:50
https://www.sankei.com/article/20250204-PWUCMPUC5JB4NIWYXAD7NLGAXY/
自民党の高市早苗前経済安全保障担当相が2025年2月4日、選択的夫婦別姓の導入の是非を巡り旧姓の通称使用の拡大を講演で訴えた保守系有志議員グループ
「保守団結の会」
には20人超の現職議員が出席した。
確認できた20人は以下の通り(敬称略)

≪衆院当選10回≫
高市早苗
≪当選6回≫
関芳弘
≪当選5回≫
黄川田仁志、中村裕之、簗和生
≪当選4回≫
三谷英弘
≪当選2回≫
石橋林太郎、尾崎正直、鈴木英敬、平沼正二郎、松本尚
≪当選1回≫
山本大地
≪参院当選3回≫
上野通子、北村経夫、西田昌司
≪当選2回≫
赤池誠章、佐藤啓
≪当選1回≫
白坂亜紀、田中昌史、若林洋平

選択的夫婦別姓巡り自民保守系活性化 5日に「創生『日本』」会合 党内意見集約は難航も
2025/2/4 18:42
https://www.sankei.com/article/20250204-UHSO75LGNNK2ZO6HRYKGPFVVIY/
自民党の保守系議員が、選択的夫婦別姓制度の導入に否定的な発信を強めている。
有志グループ
「保守団結の会」
は2025年2月4日、党本部で会合を開き、制度導入に向けた拙速な議論を牽制した。
立憲民主党が制度導入法案の提出を予定するなど、夫婦別姓を巡る議論が今国会の焦点の1つに浮上する中、石破茂首相(自民総裁)は、早期に党見解を取りまとめたい考えを示す。
ただ、党内は慎重派と推進派で割れており、意見集約は容易ではない。
「今、自民がやらなければいけないことは、公約を守り、多くの方の不便を更に解消できる法案を出すことだ」
高市早苗前経済安全保障担当相は2025年2月4日の保守団結の会の会合で、同制度の導入ではなく、自民が選挙公約に掲げた旧姓の通称使用の拡大を推進するべきだとの考えを重ねて強調した。
2025年2月5日には、安倍晋三元首相が会長を務めた自民内の保守系議連
「創生『日本』」
が夫婦別姓をテーマに会合を開く。
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(中曽根弘文会長)
も近く会合を予定しており、保守派による発信が活発化している。
衆院で与党が過半数割れする中、立民が今国会に同制度導入の法案を提出すれば、可決される可能性がある。
自民の保守系議員は慎重論で党内をまとめたい考えだが、旧姓の通称使用の拡大についても、党内に複数の案があり、意見の集約には至っていない。
■慎重派に危機感
自民の森山裕幹事長は今国会で関連法案を採決する際の党議拘束の必要性を重ねて主張する。
推進派を中心に
「党議拘束をかけない方がいい」
という意見が燻っていることが念頭にある。
自民の
「氏制度の在り方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
の幹部は2025年2月4日、国会内で今後の議論の進め方などについて協議した。
出席者の1人は、今月2025年2月中旬にも党内で議論の場を設ける考えを示した。
慎重派のベテラン議員は
「通称使用の案を早く取りまとめて、党内の導入賛成派の人も含めて合意を得なければならない」
と危機感を示す。

「選択的」別姓論の大いなる逆説 何が「個」を失わせるか
正論2025年3月号 早稲田大学非常勤講師 大場一央
「早稲田なんか入りたくなかった」
「自分は東大に行くはずだった」。
こう思った学生が、いつまでも早大生と名乗ることを嫌がって学内で孤立する。
「私は栄光ある巨人軍で長年プレーしてきた」
「今度北海道日本ハムファイターズに移籍するが、
『いつまでも自分は巨人の何某である』
と宣言する」。
こんな新入団選手を、ファイターズファンは複雑な気持ちで見つめる。
結婚して別姓を
「選択」
するということは、そういうことだ。
結婚したての頃は、相手方の親族とどういう距離感で付き合うべきかも分からず、一方で夫婦の考えや感性の擦り合わせも行わなければならないから、実は最も苦しく孤独な時期である。
そんな時期に、男性側の姓にせよ女性側の姓にせよ、結婚したにもかかわらず別姓を
「選択」
するということは、相手方の親族に対して、あなたがたのチームに入る気はありませんと、出会い頭に拒絶していることになる。
別姓が強制されるならまだしも、
「選択」
は当人の意思が際立つ。
最悪の一手を打ってしまったと言うしかない。
子供を授かったら更に深刻だ。
とかく子供は親の喧嘩に敏感である。
黙っていられるならまだしも、どちらに味方するか迫られたら、どちらも悪く言うのは嫌だから、困った挙げ句に泣きたくなる。
白紙のような頭と心に刷り込まれた親の考え方や感性は、良くも悪くもかなり長い間、子供を支配する。
その親が2つに分かれ、子供にいずれかの姓を
「選択」
させる。
これはチームが分かれるどころか、子供の人格を作るモデルの分裂であり、アイデンティティーもへったくれもない。
ここで争おうものなら、離婚した両親が親権を争う姿を見て、自分の存在そのものを否定してしまうような、不幸な自意識が生まれても不思議ではない。

選択的「夫婦」別姓は強制的「親子」別姓だ こんなにある致命的欠陥
正論2025年3月号 元東京新聞編集委員 椎谷哲夫
数年前、元文科事務次官の前川喜平氏がSNSでこんな発言を醸した。
「同性婚も選択的夫婦別姓も、それで幸せになる人がいて、不幸になる人はいないのだから、誰にも反対する理由はない」
「反対する人は、自分の好き嫌いを人に押し付けて、人を不幸にしているのだ」
自由な議論を行うことが民主主義の根幹であるはずだが、前川氏は自分と意見の違う人たちを黙らせようとした。
「選択的夫婦別姓」
は、こんなにも人を攻撃的にしてしまうのか。
公明党とも連携して別姓法案を国会で通そうとする立憲民主党の野田佳彦代表は採決で
「(自民党の賛成議員を)炙り出す」
と言い放った。
理はこちらにあるから決着をつけようということらしい。
だが、選択的夫婦別姓には、解決しようのない問題がいくつもある。
30年ほど前、別姓導入を打ち出した法制審議会は、子供の姓を
「いつ決めるか」
で揉めた。
制度導入の最大の弱点だから、今も決着はついていない。
別姓派の理論的支柱である民法学者は
「戸籍」
をばらばらにして
「個籍」
にするべきだと言っている。
「戸籍の解体」
だ。
まだある。
仮に選択的夫婦別姓が導入されても
「夫婦同姓を維持して旧姓の通称使用を法制化してほしい」
という多数派のニーズは満たされず放置されるのだ。
■「子供の姓いつ決めるか」で対立
選択的夫婦別姓は、片方の親と子が必ず別姓になる
「親子別姓」
である。
家族の中に異なる2つの姓があるということで言えば
「家族別姓」
である。
更に、子供の意思と無関係に親の都合で子供が別姓を強いられるという意味では
「強制的親子別姓」
と言ってもよい。
選択的夫婦別姓の法案要綱を答申した法制審議会に法務省参事官として関わった小池信行氏も講演録『夫婦別姓を考える(『法の苑』2009年春)』の中で
「夫婦別姓の問題は最終的には子の氏の問題に帰すると思っている」
と語っている。
選択的夫婦別姓にした場合、
「いつ子供の姓を決めて届けるか」
が問題になる。
最大の要点であり、難点でもある。
平成8(1996)年2月に法務省の法制審議会が答申した
「民法の一部を改正する法律案要綱」

「婚姻の際に届ける」
としている。
これに対し、立憲民主党・共産党など野党が令和4(2022)年6月に共同で国会に提出した
「民法の一部を改正する法律案」

「出生時に届ける」
としている。
立憲民主党など野党は与党の公明党も引き入れ、この法案を再提出して閉会中の通常国会(2025年6月中旬会期末)で成立させようとしている。
実は30年近く前の法制審議会で、子の姓の決め方について意見が真っ二つに分かれて揉めた経緯がある。
■「婚姻時の届け出」は憲法違反
当時、民法部会員として審議に加わった元都立大法学部長の唄孝一氏(故人)は『家族ージェンダーと自由と法』(水野紀子編)で
「子供の氏について意見が違ったわけである」
「これは最終的に案を決める上でネックになったものであった」
と振り返っている。
唄孝一氏によると、原案(法制審議会の法律案要綱)については、前述のように
「婚姻の際に届ける」
ことになっているため
「婚姻の要件を加重する」
との批判があった。
婚姻するために新たな条件が負担として加わると考えれば分かり易い。
これについては、前述の講演録
『夫婦別姓を考える』
で小池信行氏も言及している。
「婚姻というのは憲法に夫婦の間の合意さえあれば成立すると書いてあるではないか、それなのに子供の氏を決めなければ婚姻ができないのは憲法違反である」
との強い批判があろと指摘。
更に
「結婚しても子供を作らないという夫婦や、あるいは年齢的にもう子供ができないという夫婦についても、生まれてくる子供の氏を決めなさいというのは、心理的な抵抗があることを挙げる人もいる」
「つまり子供は自分たちには不要だと考えている人たちにも、子供の氏を決めないと婚姻届を受理しないのは酷ではないか、そういう反対論がある」
というのだ。
■「出生時の届け出」で「姓の取り合い」も
これに対し、立憲民主党などの
「出生時に届ける」
という考え方も致命傷になりかねない問題を抱えている。
この案は法制審議会の
「婚姻の際に届ける」
の対案として出たものだ。
出生届は生後14日以内だが、その間に決まらなかったら、どうするかという問題が出てくる。
立憲民主党はHPに
「(夫婦間の)協議不調・協議不能の場合は家庭裁判所の審判に委ねる」
と記している。
だが、家裁が何を基準に子供の姓を決めるというのか。
前述の小池信行氏は
「家庭裁判所が多分頭を抱えることになる」
と指摘する。
離婚の判決で未成年の子の親権を決める際は、夫婦と子供には、それまでの生活があるから判断材料がある。
子供から意見を聴くことも可能だ。
だから、父母のどちらが適任かを判断できる。
しかし、子供を授かったばかりなのに、どちらが人格的に優れ、経済力があるかで決められる性格のものではない。
赤ちゃんは意思表示などできない。
双方の実家が
「うちの姓にして欲しい」
と介入し、子の姓の取り合いになる可能性だってある。
夫婦が一緒に暮らすわけだから、双方が完全に納得しないと、その後の家庭生活にも影響する。
審判が長引けば
「戸籍のない子」
になったり、訴訟に発展する恐れもある。
夫婦同姓の子であれば、生まれた瞬間に姓が決まり、摘出でない子も母の姓に決まるのに、別姓夫婦の赤ちゃんは、出生直後から
「不利益」
を被ることになる。
平成6年に批准した
「児童の権利に関する条約」
の第7条には
「児童は、出生の時から氏名を有する権利及び国籍を取得する権利を有するものとし・・・」
とある。
そんな欠陥を抱えたまま別姓法案を通そうとしても、国民感情が許さないだろう。
■経団連も「子の不利益」を素通り
経団連は夫婦別姓について
「先送りできない最重要課題」
だと主張し、政府を揺さぶっている。
企業の経営者だって家族の一員なのだが、ビジネス上の利益確保という視点だけで問題の可否を論じようとしている。
筆者は令和6(2024)年6月、日本記者クラブで行われた経団連のダイバーシティ推進委員長である魚谷正彦氏(当時資生堂会長)の講演で、親子の姓の分離の問題についての見解を求めた。
魚谷正彦氏は
「私は非常に大変重要なことだろうと思っているが、経団連としてどうすべきだ、こうすべきだというスタンスは取っていない」
と答えた。
「組織として関知しない」
ということなのか。
余りにも無責任だ。
■3択の世論調査こそ民意反映
東京地検特捜部出身で元法相の山下貴司氏は、令和6年12月の衆院予算委員会の質疑で石破茂首相を前に、選択的夫婦別姓制度は
「硬直的制度」
であり
「家族別姓か、旧姓を法律上の姓として使用することを諦めるかという究極的な選択を迫るものだ」
と述べた。
選択的夫婦別姓が導入されても、
「夫婦同姓を前提に通称使用を法制化する」
という国民のニーズは満たされない。
だから、選択的夫婦別姓制にしない限り、法的根拠をもって旧姓を使うことはできない。
山下氏の言う通りである。
国会でのこれまでの質疑を聴いていると、立憲民主党や公明党などの国会議員は、選択的夫婦別姓の正当性を訴えるのに、
「賛成」
「反対」
の2択の調査結果しか使わない。
その方が都合の良い結果が出るからだ。
朝日新聞の令和6年7月の2択の世論調査は
「賛成」73%
「反対」21%
NHKの令和6年7月の世論調査は
「賛成」59%
「反対」24%
だった。
共同通信や日本経済新聞・毎日新聞も同様だ。
これに対し、内閣府の世論調査は3択だ。
令和3年12月の調査(翌年令和4年3月公表)は
「夫婦同姓を維持した上で旧姓の通称使用の法制度を設けた方がよい(42.2%)」
「現在の夫婦同姓の制度を維持した方がよい(27%)」
「選択的夫婦別姓の制度を導入した方がよい(28.9%)」
だった。
令和6年7月の「JNN」(TBS系列のニュースネットワーク)の調査も、
「同性を維持しつつ旧姓を通称としてどこでも使えるように法制化すべき」
が最も多い47%になり、
読売新聞の令和6年9月の調査も
「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称使用として結婚前の名字を使える機会を拡大する」
が最多の47%を占めた。
ちなみに、産経新聞・FNNは、短期間に2択と3択を分けて訊いている。
令和6年7月の調査は、朝日新聞やNHKと同じ2択で、
賛成66.6%
反対25.5%
だった。
令和6年9月の調査は
「夫婦同姓を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる法整備をする」
との選択肢を加えた回答を求めた。
その結果、追加した選択肢が最大多数の46.5%となり、賛成は38.9%、反対派12%に減った。
数字だけ見ると、賛成と反対で減った分の合計41.2%に、2択で賛否を明らかにしなかった5%が加わったことになる。
この結果をどう捉えればよいのか。
2択で「YES」か「NO」を迫られたら、割り切れなくてもどちらかを選ぶしかない。
「選択的だから」
という程度の判断で決めた人が多かったと想像できる。
これに対し3択は、選択肢が多くなった分、回答者の隠れていた意思が表に現れたと言える。
どちらが民意を反映しているかは、考えるまでもないだろう。
それでも、別姓推進派はそうした
「不都合な真実」
を無いことにしてしまう。
朝日新聞やNHK、共同通信など選択的夫婦別姓導入に熱心なマスコミは、国民世論の意思を2択でしか探っていない。
一体何を恐れているのか。
■個人籍への移行は「戸籍の解体」
選択的夫婦別姓制度を導入した場合に
「戸籍」
がどうなるかも心配だ。
福島瑞穂・社民党党首は平成5(1993)年に当時の日本社会党機関誌局が出した
『夫婦別姓 家族をここからかえる』

「Q&A」
に、
「個人の尊厳という観点からはこの際思い切って個人登録にすべきだ」
とした上で、
「(個人登録は)個人単位になるわけですから『戸籍制度』という言葉自体もなくなるべきです」
と書いている。
「個人単位の登録」
については、選択的夫婦別姓制度導入運動の後ろ盾である立命館大学名誉教授の二宮周平氏も同じ主張を繰り返している。
『中央公論』(2022年6月号)では
「現実の家庭生活は(中略)多様な家庭生活・私生活が共存している」
「それにもかかわらず、夫婦と子という特定の家族像を基本にすることは、最早現状に合わない」
「戸籍制度も、多様な家族の在り方を保障し、支える制度にする必要がある」
と述べ、その編製を
「個人単位にすべき」
と主張している。
そして、
「各自が言わば筆頭者となり、自分を中心に、自分との関係で父母・配偶者・子を記載する形式こそ、自分が『人生の主人公』であることを明瞭に示すものであり、憲法の理念に忠実なものである」
と説いている。
■「戸籍維持」とは言わぬ井田氏
二宮氏は、編製上の問題であって戸籍の廃止ではないと言うが、一般国民の感覚からすれば
「戸籍の解体」
である。
選択的夫婦別姓制度が導入されると、社会制度上の統一性がないから、最終的には圧倒的少数派の
「個籍」
に収斂されていくであろう。
その時、戸籍という言葉は消える。
彼らの主張の背景には、現行の
「戸籍の筆頭者」
が、戦前までの家制度の名残りだという考え方がある。
筆頭者とそうでない家族との間に
「主従関係」
を持ち込むというのだ。
選択的夫婦別姓運動を主導してきた人々の
「共通の認識」
にもなっている。
井田奈穂氏が事務局長を務める
「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」
は、HPの
「選択的夫婦別姓Q&A」
にわざわざ
「戸籍の問題も戸籍を維持しているのも日本だけですので、戸籍を維持していくかどうかは別途議論の余地はある」
と記している。
「戸籍は維持する」
とは言っていないのだ。
■「家名存続なんて幻想の産物」
「改姓するとアイデンティティが失われる」
という意見がある。
自分が生きて来た家庭の
「アイデンティティ」
を、結婚後の新しい
「絆」
よりも優先するということだ。
法学・社会哲学者の青木孝平氏は
「夫婦の別姓がもたらすものは、夫と妻という他人同士の紐帯よりも、結婚後もそれぞれが生家の親との関係を重視する血縁的紐帯への過剰な依存である」
と自著で説く。
「一人っ子の男女がそれぞれの実家の家名を守るには別姓しかない」
と言う人もいる。
その場合、双方の実家(祖父母)は、孫にも家名を継いで欲しいだろう。
だが、子供が生まれるとは限らないし、生まれたら姓を振り分ける必要がある。
一人っ子なら、両家に
「姓の取り合い」
の感情も生まれる。
社民党党首の福島瑞穂氏が『楽しくやろう夫婦別姓』(1989年)に書いている。
「家名存続なんていうのは、元々幻想の産物である」
「娘夫婦が別姓になったとしても、孫が生まれないかもしれない」
「そしたら、そこで終わり」。
姓の決定は
「自己決定権(人格権)」
に属し、親から受け継いだ姓に縛られる必要はないというのが夫婦別姓派の主流だ。
■「別姓」に庶民が反発した歴史
選択的夫婦別姓導入を求める人たちが
「日本は元々、夫婦別姓だった」
というのは明らかな間違いだ。
彼らがその根拠の1つにしているのが、NHKの大河ドラマにも登場した北条政子だ。
源頼朝の正妻なのに、父親の北条時政の
「名字」
を名乗っているから
「別姓」
だというわけだ。
頼朝の
「源」
は天皇から与えられた血統を示す
「氏(うじ)」
であり、出自の異なる妻がこれを名乗ることはあり得ない。
そもそも、
「北条政子」
という呼称自体が、後世になって、人物を特定するために書物などで便宜的に使われるようになったものだ。
研究者によると、名字(苗字)は室町時代から江戸時代にかけ庶民にも広がった。
江戸末期の1801(享和元年)に幕府は
「苗字帯刀の禁令」
で武士や名主以外は使うことを禁じた。
それでも庶民は非公式に名字を使った。
明治政府は
「平民苗字必称令(明治8年)」
で全国民が名字を名乗ることを義務化し、翌年明治9年の太政官指令で
「妻は別苗字」
にするよう求めた。
古来の公家や武家の血統を示す
「氏(うじ)」
の概念を庶民に押し付けたもので、夫婦同姓を慣習としていた庶民は強く反発した。
その声を吸い上げた東京府は明治22(1889)年、政府にこんな上申書を上げた。
「凡ソ民間普通ノ慣例ニ依レバ、婦ハ夫ノ氏ヲ称シ、其生家ノ氏ヲ称スル者ハ、極メテ僅々ー」
(民間の慣例では妻は夫の氏姓・苗字を称しており、実家の氏を称する者は極々少ない)。
庶民は同姓を続けたが建前としての夫婦別姓が続いた。
明治31(1898)年には、日本初の民法に
「戸主及ヒ家族ハ其ノ氏ヲ称ス」
とする
「夫婦同姓」
が規定された。
■間違った通称使用の弊害を喧伝
経団連が喧伝する
「通称使用の弊害」
についても述べておきたい。
「DEI社会の実現を目指して」
と題する資料には
「海外に渡航する際の弊害」
の一例として
「空港ではパスポートのICチップのデータを読み込むがそこに旧姓は併記されていない」
「よってゲートでトラブルになる」
との事例がある。
意味不明な
「弊害」
だ。
旅券面に
「旧姓」
併記があっても、確かに入国審査官がチップを読み取るモニターには本名(戸籍名)が表示される。
しかし、航空券と照合する場合でも、チケットは
「本名記載」
だからトラブルになりようがない。
外務省が在外公館に問い合わせても、モニター表示が原因でトラブルになった事例は確認できないという。
入国審査のやり方は国によって千差万別だ。
普通はあり得ないが、旅券面の
「Former surname(旧姓)」
をたまたま見た入国審査官が
「これは何だ」
と訊いて、これにうまく説明できなかったということなのか。
外務省は、そのためにも渡航者に併記した英語のリーフレット配布しているのだ。
経団連の十倉雅和会長は昨年2024年、記者会見で
「改姓後に旧姓時代の研究論文の実績が認識されないといった弊害も耳にする」
と語った。
十倉会長は、世界中で100万人の研究者や権威ある研究機関が使っている
「ORCID(オーキッド)」
という登録システムを知らないようだ。
世界には同姓同名もあるし、結婚で改名した人、ペンネームを使う研究者も多い。
割り振られた16桁のID番号(数字)が、例えば結婚前の旧姓と戸籍を紐付けて人物の識別・特定ができるのだ。
日本でも登録を推奨する大学や団体が増えている。
■「経過措置」で既婚者も混乱か
この問題では
「これから結婚する人が対象だから私には関係ない」
という考えは禁物だ。
実は立憲民主党などの別姓法案には2年間の
「経過措置」
がある。
要は、既婚者に
「2人が合意すれば、今なら旧姓に戻せますよ」
と煽るような内容だ。
妻が
「我が家も別姓にしたい」
と反対する夫と揉めるケースも出てくるだろう。
全国の同性夫婦を対象にした
「姓の選び直し」
だから、他人事ではないのだ。

選択的夫婦別姓、子供の姓の扱い「議論されてない」 国民・榛葉氏、期限区切る動きに慎重
動画
2025/1/30 19:15
https://www.sankei.com/article/20250130-J5UGWSPWNVFTLLFPFDGAZ462VU/
国民民主党の榛葉賀津也幹事長は2025年1月30日、産経新聞の単独インタビューに応じ、選択的夫婦別姓制度の導入について、子供の姓の扱いなどに
「慎重な議論が必要で、政争の具にすべきでない」
と指摘。
一定の期限を区切って議論することに慎重な考えを示した。
榛葉氏は、制度の導入自体は
「成人の男女が(姓を)選択できるようにすることは、党がかねてマニフェスト(政権公約)で賛成している」
として、改めて賛意を示した。
ただ、
「問題は子供で、親子別姓という問題はあまり議論されていない」
と指摘した。
「兄弟で名字が変わったり、子供が(姓を)強制されたりするようになると、子供の目線からどうなのか」
「家族の問題もある」
とも語り、子供の扱いに関する制度設計が不十分なことに強い懸念を示した。
一部野党には、夫婦で子供の姓に関する意見が対立した場合、最終的に家庭裁判所で決める案もあるが、榛葉氏は
「家裁が決める話でない」
とも語った。
立憲民主党は、意見が割れる自民党の状況も見据え、今国会中の関連法案成立に意欲を見せるが、榛葉氏は
「政局や選挙の道具にすべきでない」
とも言及。
性急に結論を出すのではなく、制度設計の議論を徹底するよう求めた。
「大人の論理だけでなく、子供の学びや育みを考え、慎重に議論すべきだ」
とも強調した。

自民は旧姓使用拡大で一致を
阿比留瑠比の極言御免
2025/1/30 1:00
https://www.sankei.com/article/20250130-DGDTNV3NRZKT7MW5M4KSDHKE3U/
米国でトランプ大統領が復権を果たし、世界が目まぐるしく動いている一方、国会では十年一日の如く選択的夫婦別姓がどうの同性婚がどうのと内向きな議論が続いている。
そうした中で自民党の森山裕幹事長が夫婦別姓制度の導入を巡り、国会採決に当たっては
「党議拘束をかけないで結論を見い出すことは出来るだけ避けるべきだ」
と発言して注目を集めている。
これに関しては、選択的夫婦別姓に賛成の立場で党所属議員を縛ろうとしたとの見方も出たが、複数の自民党閣僚経験者は
「それは逆だ」
と説明する。
反対に、片方の親と子供が必然的に別姓となり、兄弟、姉妹同士が別姓となる可能性もある立憲民主党の民法改正案を成立させないことが目的だというのである。
「党議拘束をかけないと、党内にいる数十人の別姓賛成派・推進派が協力して立民の改正案が成立してしまう」
森山氏は別姓推進論者の中には、戸籍そのものをなくして
「個籍」
にすることを目指す人がいることを危惧しているのだという。
確かに、別姓推進論者には社民党の福島瑞穂党首のように著書にこう記した人もいる。
《私は、子供が18歳になったら家族解散式≠ニいうのをやろうと思っていて、それ以降は、パートナーと子供ともスープのさめない距離に住んで、名実共に個人単位で暮らしていきたいなと思っている》
《家族だって、ひとつの定義にすぎない》
《家族も個人のネットワークなんだ》
家族という社会の基本単位をなぜなくしたいのか、どうしてそこまで孤独に陥りがちな
「個」
に拘るのか理解に苦しむが、ともあれそういった指向性の議員は一定数いるのだろう。
それでは、自民党は党議拘束をかけて採決に臨むために、どんな法案を出そうというのか。
現在、広がっているのが
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」(萩生田光一元政調会長)
という考え方である。
実際、今月2025年1月の産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査でも、選択的夫婦別姓制度導入に
「賛成」
の自民党支持者の割合は24・7%にとどまる。
一方で、
「同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
は49・8%に上り、納得が得られやすい。
石破茂首相(党総裁)も、2025年1月26日配信のインターネット番組で、選択的夫婦別姓について党内の賛否が割れている現状を踏まえて
「どちらの考え方にも偏れないとするならば、折衷案もありうべし」
と述べた。明言はしなかったが、旧姓使用の拡大・制度化を指すとみられる。
首相は元々別姓賛成派だったが、
「党をまとめる立場になると『俺の考え方についてこい』とならない」
とも語った。
自民党には、高市早苗元政調会長のように既に2度も党法務部会にこの法案を提出している議員もいる他、複数の議員がそれぞれの旧姓使用の拡大案を唱えている。
戸籍法改正と特別立法が必要なものや特別立法のみのもの、民法と戸籍法の双方の改正が必要なもの…と数種類あるが、これらを党内で議論してまとめていけばいい。
以前は選択的夫婦別姓に
「賛成」

「反対」
の2択だった各種報道機関の世論調査の設問も、最近は
「同姓を維持して旧姓使用を拡大」
という第3の選択肢を加えて聞く例が増えた。
その結果、別姓賛成派が多数派ではないことは最早明らかである。
(論説委員兼政治部編集委員)

「旧姓の通称使用拡充が現実的」自民・小林鷹之氏、選択的夫婦別姓に疑問呈す
2025/1/28 18:02
https://www.sankei.com/article/20250128-VTTJDJNV5BOV7K7EFKBAAKEHD4/
自民党の小林鷹之元経済安全保障担当相(衆院千葉2区)が、どちらかの親と子供が別姓になる選択的夫婦別姓に関し性急に結論を出すことに疑問を呈し、発信を強めている。
2025年1月24日、自身のユーチューブ番組で
「どこまで政治的な労力、資源を使うのかを考えるべきだ」
「物事に優先順位を付けると、もっとやるべきことはある」
と述べた。
2025年1月25日にはこの発言を補う形で、X(旧ツイッター)に
「婚姻による改姓で不便を感じる方がいるのは事実で、そのニーズを解消するアプローチとして旧姓の通称使用の拡充や周知徹底による対応が現実的な解と考えます」
と投稿し、夫婦別姓の導入を
「慎重に臨むべきと考える」
と強調した。
理由として
「『子供の視点』を大切にすべき」
とも指摘。
「子供の選択権の有無、有るとした時にいつ、どういう状況で行使できるのか」
「夫婦間で揉めた場合、家庭裁判所が判断するのか」
といった論点を挙げた。
その上で、
「年限を区切り、拙速に結論を決める性質の話ではない」
「姓の在り方に関する議論は、時間をかけてでもしっかりと議論することが重要」
「合意形成に時間と労力はかかるが、粘り強くやることが大切だ」
と結んだ。

「いつまでも結論を先延ばしてよい問題ではない」 選択的夫婦別姓巡り石破茂首相が答弁
2025/1/27 14:33
https://www.sankei.com/article/20250127-HSONVJOP4BICTGPW2UTPQMJSGM/
石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月27日の衆院代表質問で、選択的夫婦別姓制度導入の可否について
「国民の関心が極めて高いテーマでもあり、いつまでも結論を先延ばしてよい問題とは考えていない」
と答弁した。
党としての意見集約に関しては
「議論の頻度を上げ、熟度を高めて参りたい」
と述べるにとどめた。
選択的夫婦別姓制度に対し、立憲民主党や公明党は推進の立場を示している。
自民は保守系議員らに慎重論があり、党としての見解は定まっていない。

自民の小林鷹之氏、夫婦別姓論議に疑問「優先順位付けると、もっとやるべきことある」
2025/1/24 23:45
https://www.sankei.com/article/20250124-R63I26QYBRPL7EEK2FBUAULT3M/
自民党の小林鷹之元経済安全保障担当相は2025年1月24日、自身のユーチューブ番組で、選択的夫婦別姓を巡る論議に疑問を呈した。
「どこまで政治的な労力、資源を使うのかを考えるべきだ」
「物事に優先順位を付けると、もっとやるべきことはある」
と述べ、経済や防衛力の強化に取り組むべきだと強調した。

「首相が賛成打ち出せば党割れる」自民、夫婦別姓で2月中旬に議論本格化も意見集約難しく
2025/1/24 19:39
https://www.sankei.com/article/20250124-AHRH2TP2RZL6LDBS2REEZVPTTA/
通常国会が召集された2025年1月24日、選択的夫婦別姓制度に関する自民党の
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
の幹部らが協議し、2025年2月中旬にも議論の場を設けて党内議論を本格化させる見通しとなった。
党内で賛否が割れており、意見集約は難航しそうだ。
立憲民主党は選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正案を提出する方針で、今国会の大きなテーマとなる。
WT座長の逢沢一郎衆院議員や小野寺五典政調会長らが2025年1月24日、国会内で協議した。
出席者の1人は
「先の衆院選で新たに当選した議員もいる」
「WTで党としての議論を整理した方がいい」
と語った。
立民が民法改正案を提出すれば、令和7年度予算成立後の今春にも国会審議が始まる可能性がある。
自民は2025年2月中旬から党内議論を加速させる。
とはいえ意見集約は簡単ではない。
自民党内に推進派と慎重派が混在しているからだ。
保守系議員を中心に、家族の在り方を変える可能性がある選択的夫婦別姓制度への慎重論が根強い。
一方、
「夫婦同姓で不自由を感じている人がいるのは事実だ」(中堅議員)
と制度導入を求める声も多い。
菅義偉政権下の令和3年にWTを設置した際も議論が紛糾し、論点整理をまとめたが、制度導入の是非には踏み込まずに結論を先送りにした。
慎重派の一部は今回、自民が賛成に傾かないよう党内議論を主導すべく、水面下で話し合いを重ねている。
ある保守系議員は
「もし石破茂総裁(首相)が賛成を打ち出せば党が割れる」
と語る。
推進派には、法案が国会に提出された際には
「党議拘束をかけない方がいい」(若手)
との意見がある。
これに対し、森山裕幹事長は2025年1月24日、記者団に
「1つの意見にまとめて国会に臨むことが大事だ」
と党議拘束の必要性を主張した。
立民の野田佳彦代表は2025年1月24日の記者会見で
「大事なことはなるべく多くの野党が連携すること」
と野党各党による民法改正案の共同提出を目指す考えを示した。
同時に
「与党からも賛同を得たい」
「特に公明党はぜひ実現したいという意向をお持ちだ」
と述べ、与党の公明との連携にも期待を寄せた。

石破首相、選択的夫婦別姓巡り「早期に自民案まとめ与党協議に」 公明の斉藤代表と会談で
2025/1/22 16:01
https://www.sankei.com/article/20250122-K4EH2ATLRJLMBPNKFQIRESITUE/
石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月22日、公明党の斉藤鉄夫代表と官邸で会談し、斉藤氏が求める選択的夫婦別姓制度の実現に向けた自公両党の実務者協議について
「できるだけ早い時期に自民の案をまとめ、与党案の協議に入りたい」
と応じた。
会談後、斉藤氏が記者団に明らかにした。
斉藤氏は
「自民の中にも様々な意見があり、まとまっていない」
「まとめる努力をして頂くことが大事なので待ちたいが、できるだけ早い時期に始めなければいけない」
と述べた。

選択的夫婦別姓、石破首相「わが党としてどうなのか明らかに」自民役員会で指示も党内異論
2025/1/21 20:20
https://www.sankei.com/article/20250121-H4QO74K43VJPFFBOLKDFGU4CSM/
選択的夫婦別姓制度を巡り、石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月21日の党役員会で、通常国会で党としての考え方を取りまとめるよう指示した。
自民、公明両党の幹事長は同日、両党間で同制度の協議を進める方針を確認した。
自民は2025年1月24日の国会召集後の来月2025年2月にも党内議論を再開する見通しだが、家族の在り方を変える可能性がある同制度には慎重論や異論も根強く、党内議論の行方は見通せない。
■議論するほど課題
首相は2025年1月21日の党役員会で、選択的夫婦別姓制度に関し
「色々な考え方が党にもある」
「我が党としてどうなのだということを明らかにしていく必要がある」
と呼び掛けた。
役員会に先立ち、自民の森山裕、公明の西田実仁両幹事長が会談し、両党間で共通認識を持ち、国会論戦に臨む方針を確認。
同席した自民の坂本哲志国対委員長は記者団に、子供の姓の選択など様々な論点があると指摘し
「論議すればするほど課題があるということを(自公が)お互いに認識した」
と述べた。
通常国会では、立憲民主党が選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案の提出を予定しており、令和7年度予算成立後の今春にも国会での議論が本格化する可能性がある。
一部の野党だけでなく、公明も推進派だ。
■紛糾避けられず
一方、自民では党内の賛否が割れている。
保守系議員を中心とする慎重派は保守支持層の
「自民離れ」
の更なる加速を懸念し、2025年1月21日の党総務会では出席者の1人が
「大事な案件だ」
「執行部でも丁寧に取り扱ってほしい」
と求めた。
鈴木俊一総務会長は記者会見で
「党の中でも色々な意見があるが、スケジュールありきで拙速に決めるのではなく、十分な議論をした上で納得感が持てる結論に導くことが大切だ」
との考えを示した。
萩生田光一元政調会長は2025年1月10日のインターネット番組で同制度導入に反対し、
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」
「選択的であろうがなかろうが、夫婦別姓を奨励するのは如何なものか」
と述べた。
今後の党内議論の舞台は
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム」(座長・逢沢一郎衆院議員)
となるが、紛糾は避けられない。
慎重派は近く会合を開く予定。
一方、
「制度の導入は社会に求められている」
「必要だ」
(中堅)
との声もあり、賛否が混在する状況に自民ベテランは
「党が割れかねない」
と語った。

選択的夫婦別姓「大事な案件。丁寧に取り扱ってほしい」 自民総務会で出席者から意見
2025/1/21 12:27
https://www.sankei.com/article/20250121-ZXOETUYMP5NLVDMHGQ434L2BLQ/
自民党の鈴木俊一総務会長は2025年1月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓制度を巡り、同日の総務会で出席者から
「大事な案件だ」
「執行部でも丁寧に取り扱ってほしい」
との意見があったことを明らかにした。
選択的夫婦別姓制度は2025年1月24日召集の通常国会で焦点となる見通しだが、自民内では同制度の導入に関して賛否が割れている。
鈴木氏は
「発言は(議論を)拙速に進めるなということであったと思う」
との見方を示し、
「国民の中でも意見が割れている」
「スケジュールありきで決めるのではなく、十分な議論をした上で、納得感が持てる結論に導くことが大切だ」
と語った。

石破茂首相「わが党としてどうなのだと明らかにしていく必要ある」 選択的夫婦別姓巡り発言
2025/1/21 11:45
https://www.sankei.com/article/20250121-N7BG5NCPERML7BCW34HOE5NMUY/
石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月21日の自民役員会で、2025年1月24日召集の通常国会で焦点となる選択的夫婦別姓制度について
「色んな考え方が党にある」
「我が党としてどうなのだということを明らかにしていく必要がある」
と述べた。
森山裕幹事長が役員会後の記者会見で明らかにした。
首相は、通常国会に臨む姿勢に関しては
「臨時国会と基本的に変わるものではないが、臨時国会で不十分だった所を指摘頂きながら臨みたい」
と強調。
召集日に行われる施政方針演説については
「今年2025年は戦後80年となる」
「国造りの基本軸や、令和の列島改造などなるべく具体的に示したい」
と説明した。

選択的別姓 自民支持層「賛成」24%、立民51% 「通称使用」は立民でも39%
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/1/20 18:10
https://www.sankei.com/article/20250120-4XRHISQ6DVJK3KHMD5J4OOCYGA/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査では、選択的夫婦別姓制度導入の可否を巡る自民、立憲民主両党支持層の見解の差が鮮明になった。
自民の「賛成」の割合は24・7%にとどまったのに対し、立民は51・5%に達した。
一方、
「同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
は自民では49・8%、立民でも39・9%を占め、支持政党を問わず希望が根強い傾向が浮かんだ。
選択的夫婦別姓制度に対し、立民や公明党は推進の立場を示している。
自民は保守系議員らに慎重論があり、党としての見解は定まっていない。
別姓制度導入の法整備に
「反対」
と答えた人は、自民支持層に限ると21・5%となり、全体の14・7%や立民支持層の7・3%を上回った。
「通称使用を広げる」
との回答は、自民、立民以外の政党の支持層でも一定の割合を占め、公明と日本維新の会、国民民主党がそれぞれ4割強、共産党が3割強だった。
「賛成」
は共産で約半数に達し、公明が半数弱、維新と国民民主がそれぞれ3割強となった。
男女・年代別でみると、
男性の場合、「賛成」は18歳〜20代の47・5%が最も高く、「通称使用を広げる」は50代の52・0%、「反対」は70歳以上の24・1%が最高だった。
女性は「賛成」が30代(63・6%)、「通称使用」が60代(59・6%)、「反対」が70歳以上(24・0%)でそれぞれ最も高かった。
「通称使用」
と答えた割合は、男性全体で43・0%、女性全体で47・4%となり、年代別で最も低かった30代女性でも31・4%を占めた。
2025年1月24日召集の通常国会では選択的夫婦別姓制度の法整備が焦点の1つとなるが、導入推進派の政党には通称使用拡大の余地を検討する雰囲気は乏しい。
立民支持層ですら約4割に達する意見を軽視するなら、幅広い民意を踏まえた議論とは言えなくなりそうだ。

「選択的夫婦別姓」6割が導入否定的 世論調査の質問と回答(1月18〜19日)
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/1/20 13:03
https://www.sankei.com/article/20250120-HM6MG2V7XFOOPHBBNZJM4G3UNQ/
【問】希望すれば、夫婦それぞれが結婚前の名字を名乗ることができる「選択的夫婦別姓」について、立憲民主党や公明党は今年の通常国会で実現させるための法案の成立を目指している。「選択的夫婦別姓」導入の法整備についてどう思うか
夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる45.2
賛成37.5
反対14.7
他2.6

【問】石破茂内閣を支持するか
支持しない48.7(47.7)
支持する43.5(45.9)
他7.8(6.4)

【問】どの政党を支持するか
支持政党はない37.0(36.9)
自民党29.4(28.1)
立憲民主党10.1(9.0)
国民民主党7.2(11.3)
れいわ新選組3.5(2.9)
日本維新の会2.5(3.2)
公明党2.8(2.4)
他2.6(1.8)
共産党2.2(2.7)
日本保守党1.1(0.5)
参政党0.8(0.7)
その他の政党0.4(0.2)
社民党0.3(0.6)

【問】去年末の臨時国会では、衆院で過半数を割り込む与党が野党の修正要求を受け入れて補正予算が成立した。与党が野党の要求を受け入れる国会対応について評価するか
ある程度評価する57.1
あまり評価しない23.5
非常に評価する7.9
全く評価しない6.5
他5.0

【問】政治資金を巡る問題について、政策活動費の廃止など、政治資金規正法が与党と野党の賛成多数で改正された。政治とカネを巡る問題で自民党の信頼が回復したと思うか
信頼は全く回復していない44.4
信頼はあまり回復していない43.1
信頼がある程度回復した10.4
他1.5
信頼が大きく回復した0.5

【問】政治資金規正法の改正を巡り、「企業・団体献金」の扱いについて、与野党の間で結論が積み残しとなっている。「企業・団体献金」についてどうするべきだと思うか
維持してもよいが、透明性を高めるべき67.9
禁止すべきだ22.9
今のままでよい6.7
他2.5

【問】首相は、今年最初の会見で地方創生を柱に「楽しい日本を目指す」「令和の日本列島改造」などを政権の方針に掲げた。この方針を評価するか
評価しない47.0
評価する45.6
他7.4

【問】「年収103万円の壁」を引き上げる協議で、自民、公明両党は所得税の非課税枠を「123万円」まで引き上げる方針だ。一方で、国民民主党は「178万円」までの引き上げを求めている。どの程度まで引き上げるのがよいと思うか
140万円〜150万円程度まで引き上げるべきだ32.5
178万円まで引き上げるべきだ32.0
123万円まで引き上げるべきだ18.5
103万円のままでよい10.1
他7.0

【問】20日に米国でトランプ政権が発足する。トランプ次期大統領と石破首相の間で日米関係は良くなると思うか
変わらない58.1(59.6)
悪くなる32.5(32.3)
良くなる5.2(5.0)
他4.2(3.1)

【問】24日から始まる通常国会で、石破内閣に取り組んでほしい政策は(2つ選択可)
物価高・賃上げ対策56.0
年金・医療・介護33.6
子供・子育て支援28.4
防災・災害対策19.0
外交・安全保障15.6
地方活性化15.3
行政改革・財政再建9.7
原発・エネルギー政策8.8
憲法改正4.6
他1.8
それ以外0.7

【問】石破政権が今月上旬で発足から100日を超えた。今後、石破政権がいつまで続くのが良いと思うか
夏の参院選まで31.4
夏以降も石破政権が継続29.7
今年春頃の来年度予算が成立した後まで20.7
6月予定の通常国会終了まで13.1
他5.1
(注)数字は%。カッコ内の数字は12月14、15両日の前回調査結果。「他」は「わからない」「言えない」など。

■世論調査の方法
調査エリアごとの性別・年齢構成に合わせ、電話番号を無作為に発生させるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)方式で電話をかけ、算出した回答数が得られるまで調査を行った。
電話の割合は「固定電話4:携帯電話6」。
内閣支持率のみ回答が不明確な場合には、「どちらかと言えば」と再度質問して回答を得た。
調査対象は全国の18歳以上の男女1005人。
小数点以下第2位を四捨五入しているため100%にならない

選択的夫婦別姓は「通称使用の拡大」45・2% 「反対」含め6割が別姓導入否定的
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/1/20 11:43
https://www.sankei.com/article/20250120-ZVXXRT3MH5JVTCTCT4SGG7AVNM/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年1月18、19両日に実施した合同世論調査で、2025年1月24日召集の通常国会で焦点となる選択的夫婦別姓制度の法整備について尋ねたところ、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」が45・2%
で最多となった。
「賛成」は37・5%、
「反対」が14・7%
だった。
「通称使用の拡大」

「反対」
を合わせると59・9%となり、約6割が選択的夫婦別姓を導入する法整備に否定的なことになる。
同様の質問をした昨年2024年9月の合同世論調査との比較では、
「通称使用の拡大」が1・3ポイント減、
「賛成」が1・4ポイント減、
「反対」が2・7ポイント増
だった。
昨年2024年7月の合同世論調査で、「賛成」か「反対」かの二択で質問した際は、「賛成」が66・6%、「反対」が25・5%だった。

萩生田氏が配信番組で見せた覚悟 岩盤保守層を蔑ろにする「選択的夫婦別姓」導入、石破首相が野党に「同調」なら阻止へ動く考え示す
2025.1/17 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20250117-YNSCJQHHIVLS3GWIP7FNJBY75Y/
NHKは政治家が他のテレビ局で発言しても民放テレビとしか言及しなかったが、最近は方針を変えたのか、自民党の萩生田光一元政調会長が2025年1月10日夜、櫻井よしこ氏が主宰する動画配信サイトの番組「櫻LIVE」に出演したと報じた。
正確には、「言論テレビ」の番組「櫻LIVE 君の一歩が朝(あした)を変える!」だが、私も一緒に番組に出演して、萩生田氏の「変化」を感じた。
まず、萩生田氏は旧安倍派の会計処理を巡って
「政治不信を招いてしまった」
と反省した。
その上で、昨年2024年10月の衆院選での演説や、その後の衆院政治倫理審査会への出席を通じて説明を果たしてきたとして、
「この問題は去年2024年をもって一区切りにして、今年2025年は乙巳(きのとみ)の年なので脱皮をして、新しいことに挑戦する再生と復活の年にしたい」
との抱負を語ったのだった。
萩生田氏は、岩屋毅外相が中国人の観光客向けビザの発給要件などを緩和する方針を示したことについて、
「ビザの拡大は大きな問題だ」
「党の外交部会などに全くかけず、約束をしてしまったのは問題で、政府のやり方は少し乱暴だ」
と批判した。
NHKもその部分を中心に報じた。
番組に同席した産経新聞の同僚だった石橋文登・千葉工大特別教授も
「自民党支持者を相手に話すことが多いが、外交も内政も全部、安倍(晋三)さんがやっていたことをひっくり返そうとしているとの声が大半です」
と述べたように、石破茂政権は自民党を強く支持してきた岩盤保守層の神経を逆撫でしている。
石破首相らは
「少数与党なので、連立を組む公明党や野党の意見を聞かなければ政権運営ができない」
と言うのかもしれない。
だが、肝心の自民党支持層の声を蔑ろにしていいのかということになる。
その象徴が、通常国会の焦点となる選択的夫婦別姓の導入だ。
萩生田氏は番組で、
「旧姓使用の拡大で対応すべきだ」
と強調した。
石破政権が野党に同調して、法案を賛成しようとした場合については、
「どうやってやるのかをここで言うと、手の内を全部知らしめることになります」
「ただ、しっかり志を同じくする仲間と行動したいと思います」
と述べ、反対する考えを示した。
石破首相は党総裁になる前は、選択的夫婦別姓について
「導入賛成」
の考えを示し、
「夫婦が別姓になると家族が崩壊するとか、よく分からない理屈があるが、やらない理由がよく分からない」
と述べていた。
首相になると、2024年10月の衆院本会議での答弁で、
「国民各層の意見や国会における議論の動向などを踏まえ、更なる検討をする必要がある」
と述べるなど、慎重に転じた。
もっとも、立憲民主党の野田佳彦代表は
「自民党の中にも『本当は賛成』という人が結構います」
「党議拘束を外したら一挙に委員会可決する可能性が出てくるでしょう」
(昨年2024年11月の講演)
と攻勢をかける構えを示している。
石破首相が立憲民主党や公明党に同調し、可決の方向に自民党の議論を集約しようとした時、萩生田氏は阻止に動く。
その覚悟を感じた。 
(産経新聞特別記者・有元隆志)

石破首相、夫婦別姓や衆院選挙制度の対応明言せず「予断持って申し上げることしない」
2025/1/11 19:11
https://www.sankei.com/article/20250111-NJSGSKYYFJOD5BUMM5LMKJFNJM/
石破茂首相は2025年1月11日、選択的夫婦別姓制度導入や企業・団体献金の禁止、衆院選挙制度改革など通常国会で与野党の議論が予想されるテーマへの対応について明言を避けた。
「各党、各会派で真摯に議論されることが重要だ」
「政府として今、予断を持って申し上げることはしない」
と述べるにとどめた。
訪問先のインドネシア・ジャカルタで記者団の質問に答えた。
一方で
「結論が得られたら、政府としても必要な対応を取る」
と指摘。
2025年1月24日召集の通常国会での野党との向き合い方に関して、少数与党であることを踏まえ
「多くの賛成を得られるよう誠心誠意説明して参りたい」
とも語った。
選択的夫婦別姓導入には公明党も意欲を示しており、自民党の対応に注目が集まっている。
政治改革を巡る企業・団体献金の扱いは昨年2024年の臨時国会で積み残しとなった。
立憲民主党などが共同提出した禁止法案について、与野党は2025年3月末までに結論を得る合意を交わした。(共同)

「子の名字、もめる原因に」「選択だから、という発想が間違い」 池谷和子・長崎大准教授
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/11 10:00
https://www.sankei.com/article/20250111-JMV3J4X3UJF3TIGJLQGO33UCFU/
選択的夫婦別姓制度をめぐり、産経新聞社が昨年2024年11〜12月に、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。
別姓によって生じる家庭内の不和を心配する声もあり、成人した子供が、親の選んだ姓を変えるかどうか選択を迫られる事態も起こり得る。
家族法に詳しい長崎大の池谷和子准教授に、子供を中心とした問題点を尋ねた。

■家族はチームとして同じ呼称に
ーーアンケートでは、約半数の子供が、家族が別々の名字になることに「反対」だった。
親子別姓になり、兄弟別姓にもなるかもしれないと考えた子供が反対するのは自然なことだ。
姓は単なる個人の呼び名ではなく、共同体としてのチーム名。
子供が育つ環境として、家族が『個人の集団』になってはいけない。
全員が助け合う1つのチームとして同じ呼称になるべきではないか。
個人の集団でも問題はないと言う人がいるが、家族には損得勘定というものがない。
個人は損得で物事を判断しがちになる。
法的な権利義務においても、力の強い大人が子供を好きなようにできてしまう危険性も考えられる。
また、これまで引き継いできた名字の繋がりが消えると、世代間にある特有の時間軸も失いかねない。
こうしたことを子供は直感的に分かっているのではないか。

■家庭内の揉め事は子供に悪影響
ーー家庭内の不和を招きかねない
そもそも夫婦別姓にしたい人は自分の名字への拘りが強い傾向がある。
生まれた子供にどちらの名字を付けるかは、当然揉める原因になる。
夫婦間だけでなく、互いの両親も巻き込むだろうし、嫁姑の確執も酷くなる。
家庭内の揉め事は子供にとって悪影響だ。

ーー法律上で懸念されることは
別姓にしたけれど、やはり一緒の名字にするということも想定しないといけない。
子供の姓を変更する時の問題もある。
最初はお父さんの名字で生活していても、物心がついてやはりお母さんの方にしたいとなれば、本人と両親の間で揉めるかもしれない。
成人したら本人の意思で変更できるようにする必要も出てくる。
『嫌だったら後で変更しなさい』と子供に全ての責任を負わせるような制度でもよいのだろうか。

■子供の気持ち、どうにもならない
ーー立憲民主党が野党と共同で国会に提出した民法改正案では、子供の姓は出生時に父母の協議で決定するとされている
話し合って決めるとなれば恐らく1人目はどちらかで、2人目はもう片方の名字で、のような決め方しかできないのではないか。
そうすると、きょうだい別姓になる。
きょうだいは同じ名字でいたいと子供が願っても、その気持ちはどうにもならない。

ーー子供や家族を巻き込むことになる
何でもできる限り好きなように自由にするのがいい、あるいは、困っている人がいるのなら、改善したほうがいという考え方はあってもよいが、それだけで済まないケースも世の中にはある。
推進派には、
「選択だから嫌な人はしなくていい」
「他人には迷惑をかけていない」
という発想があるのだろうが、そこがそもそも間違えている。

<産経抄>夫婦別姓野党案は、親子・兄弟別姓法案
2025/1/11 5:00
https://www.sankei.com/article/20250111-QBCM2G6ENFKTNDNMVUC4YUABNM/
5人家族の鈴木君のお父さんは佐藤姓でお母さんは鈴木姓、弟は佐藤姓で妹は鈴木姓です―。
近い将来、こんな家庭が日本でごく当たり前になるかもしれない。
選択的夫婦別姓の導入を目指す立憲民主党など野党が令和4年6月、国会に提出した民法改正案が成立していれば、既にそうなっていただろう。
▼立民の野田佳彦代表はじめ別姓推進派は法相の諮問機関である法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓制度の導入を答申したことを錦の御旗に掲げる。
とはいえ、法制審案では、子供の姓は結婚時に父母の姓のどちらかに決めるため、兄弟でバラバラになることはない。
▼野党案では子供の姓は出生時に父母の協議で定める。
双方が子供に自身の姓を名乗らせたいなどの理由で意見が一致しない場合、家庭裁判所が
「協議に代わる審判」
を行うことになる。
だが、子供の姓はどちらが相応しいかを国に委ねていいのか。
任された家裁も頭を抱えるのではないか。
▼生まれた子供の姓がなかなか決定できない事態も想定できるが、国連総会で採択され、日本も批准した児童の権利条約は
「出生の時から氏名を有する権利」
を宣言している。
野党案は
「『確信的な条約違反』に該当する恐れがある」(小坂実・日本政策研究センター研究部長)
という。
▼「大人では7割が(選択的夫婦別姓に)賛成」。
野田氏は2025年1月7日掲載の小紙インタビューで述べていたが、これも疑問である。
内閣府が令和3年12月に実施した世論調査では、現在の夫婦同姓維持派と同姓維持の上での旧姓の通称使用法制度化を求める意見を合わせて約7割で、別姓導入派は3割に満たない。
▼「なぜ反対か分からない」。
こう語る野田氏がなぜ分からないか分からない。

自民・萩生田光一氏「旧姓使用拡大で対応。慎重であるべき」 選択的夫婦別姓巡り
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/10 23:41
https://www.sankei.com/article/20250110-NVYV4SHNWNKSFNUBPZUP6ECM5U/
自民党の萩生田光一元政調会長は2025年1月10日夜のインターネット番組「言論テレビ」に出演し、選択的夫婦別姓制度に関し
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」
「選択的であろうがなかろうが、夫婦別姓というものを奨励するというのは如何なものか」
「慎重であるべきだ」
と述べた。
今月2025年1月召集予定の通常国会で、立憲民主党は選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案を提出する方針だが、萩生田氏は
「どういう分野が(選択的夫婦別姓制度がなくて)一体困っているのかということをきちんと聞き、穴を埋めていけば、別に法律を作る必要はないのではないか」
と指摘した。
その上で
「本当に困っている人ではなく、イデオロギーの意義的にこの制度を変えたい人たちが、困っている人たちの声を代弁しているフリをし、法案を前に進めようとしているのではないか」
と語り、
「この問題は同じ価値観を共にする仲間と行動していこうと思っている」
と強調した。

阿部俊子文科相、選択的夫婦別姓「文科省の所掌超える。議論が深まる中で検討」
2025/1/10 12:25
https://www.sankei.com/article/20250110-GH2XDXDG2JNSHEGVYFMKXKXS2Y/
阿部俊子文部科学相は2025年1月10日の閣議後会見で、選択的夫婦別姓(氏)をめぐり、産経新聞社が小中学生を対象に行ったアンケートで、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えたことについて、
「夫婦別姓に関しては、文科省の所掌を超える」
「アンケート結果に関する見解も含めて述べることを差し控えたい」
とした。
夫婦別姓になると必然的に親子別姓となり、兄弟別姓となる可能性もある。
小中学校での児童生徒への影響も懸念されるが、
「教育現場における対応については、具体的にどのような制度が導入されるかという議論が深まる中において検討していく」
と述べるにとどめた。

参政・吉川氏「子供の視点が見過ごされている」 選択的夫婦別姓は「必然的な親子別姓」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/8 10:00
https://www.sankei.com/article/20250108-CJFBYCOJXBGQVCOFABHQSQTRUY/
選択的夫婦別姓の導入に向けた動きが進められる中、産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに
「反対」は49・4%
だったのに対し、
「賛成」は16・4%
にとどまった。
昨年2024年10月の衆院選で初当選した参政党の吉川里奈氏は2024年12月の衆院法務委員会で、導入に反対を唱えた。
吉川氏はインタビューに
「日本には家族の名字は一緒という価値観がある」
「家族の一体感が失われる可能性はないのか」
と述べ、
「夫婦は別姓で良くても、子供に選択権はない」
「必然的な親子別姓制度だ」
と指摘した。
吉川氏の発言要旨は以下の通り。
■子供の権利を守るために
選択的夫婦別姓の議論は、子供の視点が見過ごされているように感じる。
夫婦は別姓を望んだとしても、生まれてくる子供は、両親のどちらの姓になるかを選べない。
片方の親とは必然的に別姓になる。
子供への影響や家族の一体感が損なわれる可能性がある。
令和3年に実施された内閣府の世論調査で、夫婦の姓が異なることでの子供への影響について、
「好ましくない影響がある」
と答えた割合は69・0%に上った。
その理由で最も多かったのが
「親と姓が異なると指摘されるなど、対人関係で心理的負担が生じる」
で78・6%だ。
参政党は家族の繋がりや先人から受け継がれていることを大切にする政党だ。
加えて私は子供の権利を守るため、政治に参加した部分が大きい。
議論の進め方もどうか。
まずは、戸籍の姓を変更することなく、職場や社会生活で旧姓の通称使用拡充を進めるべきではないか。
総務省のように各省庁があらゆる場面で旧姓の通称使用ができるようにして、それでも限界があるならば、通称使用拡充の法制度化と、段階を踏むべきだろう。
■国会では様相異なる
世論調査は、メディアの尋ね方も疑問だ。
選択的夫婦別姓について
「賛成」「反対」
の2択で尋ねると、
「賛成」
が多い傾向にある。
ただ、
「賛成」「反対」
に加え、
「同姓維持+旧姓通称使用の法制度化」
の3択にすると、導入を求めない人の割合が多くなる。
聞き方によって民意が誘導されるのはフェアではない。
昨年2024年の衆院選で初当選したが、それまで私の周囲は通称を使っている人ばかりだった。
姓が変わることで結婚して新しい家族を築いたという喜びや親になる自覚を抱いたという人はいても、戸籍は旧姓のままがいいと主張する人には出会わなかった。
ただ、国会では様相が異なっている。
■日本の価値観、失っていいのか
選択的夫婦別姓が議論される衆院法務委は、賛成派が多数を占めている。
明確に反対を表明したのは日本保守党の島田洋一衆院議員と私だけだ。
導入ありきの議論にならないよう、子供の意見表明の機会を確保し、選択的夫婦別姓のデメリットもしっかりと検証、主張して議論を深めたい。
日本は文化的に家族の名字は同じにする、という価値観がある。
「世界では日本だけが同姓制度だ」
との指摘もあるが、世界は多様性に富んでおり、日本もその多様性の1つだ。
日本らしさを失ってまで、他国に倣う必要があるのだろうか。

自民・高市氏 選択的夫婦別姓「最大数は通称使用を求める声だ」「親族間の争い、懸念」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/7 10:00
https://www.sankei.com/article/20250107-W5RW4UL5FJEUVNSZEFQAEOYCVQ/
立憲民主党が民法改正案の国会提出に意欲を示すなど、選択的夫婦別姓(氏)の導入が現実味を帯びている。
一方で産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。
導入に慎重な自民党の高市早苗前経済安全保障担当相に考えを聞いた。

■家裁の決定で納得できるか
ーー慎重な理由は
最大の理由は、選択式であっても子の氏の安定性を損なう可能性があるからだ。
現在は、婚姻届を提出した夫婦は全て戸籍上は同氏のため、出生した子は両親と同氏になるが、戸籍上も別氏の夫婦を認めた場合、子の氏の決め方について、全ての別氏夫婦が納得できるルールが必要だ。
夫婦別氏を求める理由として、一人っ子同士の結婚により片方の実家の氏が途絶えるという事情が挙げられることを考えれば、夫婦双方の実家が子の氏を決める協議に介入する可能性もある。
本来幸せな出産直後に、子の氏を巡って親族間に争いが生じることを懸念する。
戸籍上の夫婦親子同氏、つまりファミリーネームは残した方がよい。

ーー通常国会で立憲民主党が法案を提出する構えだ。立民案の問題点は
過去に国会に提出された立民案では、子の氏について、出生の際に父母の協議で定めるが、協議が調わない時は家庭裁判所が子の氏を定める旨を規定している。
家裁はどのような基準で判断するのだろうか。
離婚時に子の親権を争った過去の裁判例は
『子を養う経済力』
『子との関わりや愛情』
などの要素を総合的に考慮して判断している。
しかし、出生直後の子の氏を争う場合、家裁が如何なる決定をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示せるとは考え難い。

■自民党内でも放置
ーー高市氏は通称使用の拡大を推進してきた
総務相在任中に
『住民基本台帳法』
『国勢調査令』
など総務省が所管する全法令をチェックした。
そして、各種届出や事務手続きなどにつき、総務省単独で措置できるものは、新たに旧氏記載可能とする旨を通知・周知した。
合計1142件で旧氏記載が可能になった。
今では住民票やマイナンバーカードで旧氏併記が可能になり、旧氏で各種契約や本人確認も可能になっている。
免許証やパスポートなども旧氏併記が認められている。
国家資格では旧氏を使えないものはゼロになった。
国の全省庁や地方公共団体、公私の団体、企業で同様の取り組みを実施できれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考える。

ーー法案も作成し提出している
平成14年と令和2年の2回、自民党政調会の法務部会に提出した。
1回目は反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は審査もされずに放置されている。

■子の視点は貴重
ーー今後の議論はどう進めるべきか。議論の中で果たしたい役割は
令和4年3月に公表された直近の政府世論調査では、戸籍上の同氏維持を支持する回答が69・2%であり、最大数は旧氏の通称使用を求める声だ。
選択的夫婦別氏制度の法制化により戸籍が同氏か別氏かの二択になってしまうと、
『戸籍上は夫婦親子同氏を希望するが、社会生活では旧氏を通称使用したい』
と希望する方々の利便性を高めるための取り組みが遅れることを懸念する。
これまでの旧氏併記の取り組みも水泡に帰す。
この点をしっかり伝えていきたい。

ーー小中学生を対象に産経新聞が実施したアンケートによると、家族で名字が別になることに「反対」が約50%で「賛成」を上回った
子の視点からのアンケートは、珍しく貴重だと思った。
18歳以上を対象にした政府の世論調査でも、夫婦の姓が違うことによって子供に
『好ましくない影響があると思う』
と回答した方が約7割だった。
やはり、夫婦別氏制度の導入については、慎重な検討が必要だと思う。

夫婦別姓導入「前進する年」と意欲 公明・斉藤代表「社会の多様性、国際的視点から必要」
2025/1/6 12:53
https://www.sankei.com/article/20250106-EWBT22YCPVHSHO4Q4ML6764BUY/
公明党の斉藤鉄夫代表は2025年1月6日、東京都内で開いた党の新年仕事始め式で、選択的夫婦別姓の早期導入に向けて議論をリードしていく考えを示した。
「社会の多様性や国際的な視点から必要な制度だ」
「前進する年にしていきたい」
と述べた。
斉藤氏は昨年2024年12月18日に石破茂首相(自民党総裁)に対し選択的夫婦別姓に関する実務者協議を打診している。
斉藤氏は
「きょうだいが複数いる時の姓をどうするのか細部を提示する案はまだどの党からも出ていない」
「与党として実務者協議を始めようと申し入れている」
「首相は
『一旦引き取らせてほしい』
という答えで、2024年年末に会った時も
『もう少し検討させてほしい』
だった」
と語った。

立民・野田代表「賛成が16%いるのでしょう?」「なぜ反対か分からない」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/6 10:00
政治
https://www.sankei.com/article/20250106-2TX7ILQS7NMOVFPPJ23JNZ7TDI/
選択的夫婦別姓の導入を目指す立憲民主党の野田佳彦代表に狙いを聞いた。

ーー選択的夫婦別姓の意義は
選べるという点ではないか。
同姓で不都合を感じる人がいるならば選択できるようにする、改善するのは合理的な考え方ではないか。
それだけのことだ。

ーー小中学生約2千人を対象に行った本紙調査で、「別々の名字にしたい」は13・6%だった
結婚や社会人になって働くことに対するリアリティーがなく、分からないというのが率直なところだろう。
大人では7割が賛成となる。
大人になると、家族の問題で色々な不都合を感じることがあるのかなという受け止めだ。

ーー両親が別姓を選択した場合、同じ家族で名字が別になることに「反対」が49・4%、「賛成」が16・4%だった
賛成が16・4%いるのでしょう?
だから選択的が必要になる。
一緒がいいなら一緒を選べばいい。
基本的には国ではなく、家族が決めればいい。

ーー家族の一体感が損なわれるとの懸念がある
同姓でも家庭不和は生まれる。
あまり合理的な話ではない。

ーー通称使用の拡大でも対応できるのでは
通称使用を拡大しても不都合を感じている人たちが実に多い。
不動産登記などでビジネスを阻害している側面があり、経団連も選択的夫婦別姓の実現に向け動いている。
海外に行くと、尚更不便だ。
通称使用では限界という事例がたくさんある。
強烈な不都合を感じる人たちが何人もいるならば、対応を考えることは当然だ。

ーー衆院は少数与党だ。どう議論を進めるか
できるだけ多くの野党に声をかけて議員立法で出していく。
政府が法案を提出するとの話も聞く。
政府案が提出されなければ野党案をベースに議論してもらいたい。
野党としてまとまった方が与党との交渉で迫力が出てくる。
公明党も基本的には賛成の立場なので、よく連携していきたい。

ーー野田氏は衆院法務委員長ポストの獲得を指示し、立民議員が就いた
法務委では長い間、放置されてきたテーマが多い。
選択的夫婦別姓も平成8年に法制審議会の答申が出たが、政府は腰を上げず国会でもまともに議論されなかった。
放置されてきたテーマを議論する意味で、意義のあるポストの獲得だった。

ーー参院では与党過半数のままだ
衆院通過した法案を参院が潰すことは大変勇気がいる。
2025年夏の参院選前に反対した人たちは追い込まれるのではないか。
参院法務委員長は公明だ。
衆院通過した場合の参院の対応は見ものだ。
昨年2024年12月の講演で
「一部のノイジーマイノリティ(声高な少数派)に邪魔されて議論の俎上に上らされないことは、もう通用しない」
と述べた
世論も7割、経団連も『早く決着を付けろ』という中で、なぜそこまで強く反対する人たちがいるのか。
選べるわけだから。
なぜ選んではいけないのか、よく分からない。

ーー自民などの反対で法案が成立しなければ、内閣不信任決議案を提出するか
理不尽な形で妨げられたならば、そういうことになるかもしれない。
議論を見ながらの判断だ。簡単に不信任案を振り回そうと思っていない。

夫婦別姓間の子供の名字は家庭裁判所が決める 新たな家族不和の火種「いっそくじ引きで」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/5 10:00
https://www.sankei.com/article/20250105-2O4UALZDWVL47IYBPVXR6AKEKM/
選択的夫婦別姓に伴う令和3年12月の内閣府の世論調査では
「旧姓使用拡大」
が最多の42・2%を占めたが、この結果を大手メディアは積極的に取り上げない。
中には
「保守派に配慮した」
などとして調査そのものを否定的に報じた新聞社もあった。
同じ調査には、別姓夫婦の子供への影響について
「あると思う」は69%、
「ないと思う」30・3%
という結果もあり、
「ある」
と答えた人の理由(複数回答)は
「名字が違うことを指摘されて対人関係で心理的負担が生じる」78・6%、
「親との関係で違和感や不安感を覚える」60・1%
が多かった。
では、立憲民主党が令和4年に野党と共同で国会提出した選択的夫婦別姓の民法改正案はどのような内容だったのか。
子供の姓については
「出生の際に父母の協議で定める」
としており、一致しない場合は
「家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる」
とした。
この世に生を受けた瞬間から裁判になる可能性もある。
仮に妊娠初期はどちらかの名字で一致していても、出産後の子供を見て気持ちが変わることもあり、家族の深刻な分断を招きかねない。
■くじ引きが合理的
弁護士の北村晴男氏は
「結論ありきで制度設計するから馬鹿げたことになる」
「裁判所が姓を決めるぐらいなら、調停委員の面前でのくじ引きの方がまだ合理性がある」
と指摘する。
夫婦を同姓とする現行の法規定が違憲かどうか争われた訴訟で、最高裁大法廷は平成27年、
「夫婦や子供が同じ姓を名乗ることには合理性がある」
と判断した。
更に
「家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位と捉えられ、その呼称を1つにするのは合理的」
と続けており、この判例は令和3年の大法廷決定でも維持された。
この決定では、女性の有業率や管理職に占める割合、別姓導入に賛成する人の割合増加など平成27年以降の状況を踏まえた上で尚
「判断を変更すべきものとは認められない」
と結論付けている。
■新たな人生が始まる
この間も、公的資格などを含む旧姓使用の拡大は進み、日常生活の煩わしさは改善されつつあるが、最近の訴訟では、より一層
「改姓の喪失感」
「精神的な負担」
が強調されるようになった。
昨年2024年3月に提起された訴状では、現行法の婚姻は、いずれかの姓を変えるか、諦めるかの
「過酷な二者択一」
を迫っていると指摘。
「家族の在り方や国民意識の多様化」
が進み、別姓を認めないことの合理性はないと主張している。
もちろん個人のアイデンティティーは大切だが、子供にしてみれば
「強制的親子別姓」
となり、共通のファミリーネームがなくなれば家族としての同一性は失われることになる。
家族法に詳しい長崎大学の池谷和子准教授は
「夫婦間だけでは済まない話だ」
「嫁姑の確執も酷くなるだろう」
と危惧する。
孫の名字を巡って双方の祖父母が争いになる可能性もある。
また、同一世帯に2つの姓が混在する状況は、戸籍への影響も懸念される。
国士舘大学の百地章名誉教授は
「戸籍は『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を表す」
「我が国が長年維持してきた戸籍制度の解体に繋がる」
と警鐘を鳴らす。
先の内閣府の世論調査には、
「婚姻で相手の名字に変わった場合、どのような感じを持つと思うか」(複数回答)
との問いもある。
最も多かったのが
「新たな人生が始まるような喜びを感じる」(54・1%)、
次が
「相手と一体になったような喜びを感じる」(39・7%)
だった。

選択的夫婦別姓制度の導入、小中学生も半数が「反対」 産経新聞調査、子供たちの考え方が統計的に明らかになるのは初
2025.1/4 15:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20250104-RVHIXOJPMBIBHLI3S5IP4HO6GI/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、小中学生のほぼ半数が
「家族で名字が変わるのは反対」
と考えていることが産経新聞の調査で分かった(2025年1月1日報道)。
将来、自分が結婚した際の別姓も
「したくない」
との回答が6割に上った。
政府や報道機関などの世論調査は主に成人が対象で、夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めて。
調査は、全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人から回答を得た。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「まったく知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗した。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よくわからない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親や兄弟姉妹と違う名字になることの是非を問うと、
「反対」49.4%、
「賛成」16.4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」18.8%、
「よくわからない」15.4%
で、反対がほぼ半数を占め、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13.6%
だった。
男女別で大きな違いはなかったが、自身が
「別姓にしない」
は男子(56.7%)より女子(63.4%)
のほうが上回った。

夫婦別姓がもたらす未来とは どんな副作用が起こるか、十分に議論されているのか
モンテーニュとの対話 「随想録」を読みながら(193)
2025/1/4 11:00
https://www.sankei.com/article/20250104-CWCQ5CGQ5BPMFIJ5XAZLSMQCCM/
■立民の印象操作に乗せられるな!
「選択肢が増える」
という物言いに対して、大半の人は
「いいじゃない」
と反応するだろう。
ただ、そこに巧妙なワナが仕掛けられていることもある。
ある結婚情報サイトが、選択的夫婦別姓制度について、そのメリット、デメリットについて解説し、こうまとめている。
「以前よりも、多様性を認め合う社会へと進むなかで、個人の権利や選択肢を尊重する傾向はますます強まっていくと考えられます」
「夫婦間の姓をどう選ぶかもそのひとつです」
「夫婦別姓が導入されても、すべての夫婦が別姓になるわけではなく、あくまで選択肢が増えるということ」
メディアに流れているのはこんな物言いばかりだ。
こうした情報環境のなかで暮らす人々が、アンケートで
「この制度を導入すべきだと思いますか」
と問われれば、多くが
「導入すべきだ」
と答えるに違いない。
法務省のサイトに、令和3年に実施した
「家族の法制に関する世論調査」
の結果が掲載されている。
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した方がよい」が27・0%、
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」が42・2%、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」が28・9%
だった。
国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は昨年2024年10月末、日本政府に対して、婚姻後の夫婦同姓を強制する民法の規定を改正すべきだとの勧告をした。
女性が夫の姓を名乗ることを余儀なくされることが多く、それが差別的だというのだ。
そうした流れの中で、立憲民主党は先の総選挙で与党が過半数割れとなったのに乗じて、衆院法務委員会の委員長ポストを要求して確保した。
委員長は同制度の導入にとりわけ熱心な西村智奈美議員である。
立民はCEDAWの勧告や、
「結婚後に夫婦のいずれかの氏(うじ)を選択しなければならないとする制度を採用している国は、日本だけ」
という法務省の調査を利用して、日本がさも女性に差別的で後進的な国であるかのような印象操作を行っているようにみえる。
安倍晋三元首相の暗殺後、リベラル派に乗っ取られた感のある自民党の中にも
「導入すべきだ」
と考える者が少なくなく、うかうかしていたら、すぐにでも民法改正が実現してしまいそうな勢いだ。
■憲法改正に匹敵する案件
12月5日の衆院予算委員会において、自民党の山下貴司議員は、同制度を巡り
「旧姓を引き続き使用したいだけなのに、家族の姓まで別々になるのは嫌だ、そういうニーズに応えられていない」
「女性が自分らしく旧姓を使用するための唯一の解決策が選択的夫婦別姓制度かは、しっかりと検討する必要がある」
と、石破茂首相の考えを問いただした。
これに対して石破首相は
「前の姓を変えなければならないということに対して物凄く辛くて悲しい思いを持っておられる方々が大勢いることは、決して忘れてはならぬことだと思います」
「それは女性が95%であるが、男性もそういう思いの方もいらっしゃるでしょう」
と、情緒的な答弁をし、同制度の導入に前向きな姿勢を示した。
石破首相の答弁を聞いてすぐに想起したのが、モンテーニュの次の言葉だ。
《世の中はなかなか直りにくいものである》
《人々は自分を圧迫するものに対して余りにも我慢ができないので、ひたすらその圧迫から免れようとばかり焦り、それにはどんな代償がいるかを考えない》
《我々はたくさんの実例によって、社会は普通、直されて却って悪くなることを知っている》
(第3巻第9章「全て空なること」関根秀雄訳)
同制度の導入がどんな副作用をもたらすか、十分に議論されているとは到底思えない。
導入に伴う民法改正は、憲法改正に匹敵するほどの最重要案件であると私は考えている。
国民投票に付してもいいほどだ。
しかし、国民投票が実施されるのは国会が憲法改正を発議した時だけだ。
ならば、今年2025年実施される国勢調査に合わせて、同制度導入の可否を問うアンケートを実施したらどうだろう。
■家族制度こそが社会を規定する
私が家族制度に拘るのは、フランスの歴史人口学者にして家族人類学者であるエマニュエル・トッドの『新ヨーロッパ大全』(藤原書店、石崎晴己訳)の影響だ。
下部構造(経済的土台)が上部構造(政治・法律・宗教・芸術などの意識形態と、それに対応する制度・組織)を規定するというマルクスに対して、トッドは家族制度が上部構造を規定するという仮説を立てた。
家族制度が人間の心性に大きな影響を与え、ひいては人間が形成する社会を特徴付けてゆくというのだ。
トッドは家族型を親子関係が権威主義的か自由主義的か、きょうだいの関係が平等か否かによって分類する。
そこから導き出されるのが、
@親子関係が自由主義的できょうだい関係が不平等(長子優先)=絶対核家族、
A親子関係が自由主義的できょうだい関係が平等=平等主義核家族、
B親子関係が権威主義的できょうだい関係が不平等=直系家族、
C親子関係が権威主義的できょうだい関係が平等=共同体家族
の4つである。
例えばパリ盆地を中心とするフランス北部はAの平等主義核家族であり、それゆえにこの地が
「自由・平等・友愛」
を唱えるフランス革命の担い手となった。
@の絶対核家族が優勢なのはイングランドと、その移民の子孫であるアメリカだ。
この家族型が、個人の自由を絶対視し平等に無関心な強欲資本主義の母体となった。
Cの共同体家族は、西ヨーロッパにはまれで、ロシア、中国、ベトナム、東ヨーロッパに多いという。
この家族型がもたらしたのは言うまでもなく社会主義革命である。
ちなみに戦前の日本は間違いなくBの直系家族だろう。
この中で育まれた心性が、明治以降であれば天皇に対する態度、日本軍のありように投影されていたように思う。
現在の日本がどの家族型に当てはまるかは判然としないが、権威主義的でなくなったことだけは確かだろう。
そこに付け入ったのが選択的夫婦別姓制度推進派だ。
私は邪推する。
女性差別撤廃を掲げる彼らの本当の狙いは、家族を精神的に解体し、更には戸籍制度も廃止して、日本人をバラバラにすることではないかと。
その上でバラバラになって寄る辺なく浮遊する日本人をCの共同体家族としてまとめあげようとしているのではないかと。

韓国、男性中心の家守る夫婦別姓「女性は同じ家の人間と認められない」 米国も8割が同姓
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/4 10:00
https://www.sankei.com/article/20250104-GNUKUJWJCZNKHJTBSELPBB5IWA/
「嫁を『男の子を産み、農業を支える』存在とみなし、同じ家の人間とは認めない。そんな排他的な印象がある」
韓国・ソウル市内の女性会社員(50)は同国における夫婦別姓制度についてこう語った。
いわば夫の一族と結婚相手の女性の間に明確な線を引く意味での
「別姓」
という印象を抱いている。
韓国は、姓氏制度が広く普及した19世紀末以降、日本統治時代末期の数年を除き現在まで夫婦別姓を維持してきた。
その姓氏制度は、東アジアで最も
「男性中心的」
とされる家族制度に起因するものと言える。
例えば、韓国では長男優先の相続制度が形を変えつつ2005年まで続いた。
一部地域では、法事に直接参加できるのは同じ姓を持つ父親や息子に限り、女性は料理などの準備作業にのみ従事させる慣習が今も残る。
子供の姓については、
「父親の姓と本貫(本籍地)を引き継ぐ」
と民法で規定。
例えば、尹錫悦大統領と金建希夫人の間に子供が生まれていれば、自動的に
「尹」
の名字を引き継ぐ形となる。
例外的に母親の姓に変更するには、子供の出生時ではなく、両親の婚姻届提出の際に手続きを済ませなければならない。
■実家を説得する余力
2024年5月にソウル市内で結婚式をあげた陳叡貞さん(33)は、手続きをせず、将来生まれるであろう子供の姓は夫のものとなる。
だが、半年以上経った現在も尚苦悩している。
陳さんは
「無条件に父親の姓を子供に引き継がせることには違和感があった。夫も同じ考えだった」
というが、
「慌ただしい挙式準備の中で、双方の実家を説得する余力がなかった」。
夫婦の姓を巡る規定は世界で千差万別だ。
ただ、日本の
「夫婦別姓推進派」
は各国の歴史的、文化的な背景には触れないまま、
「海外では別姓が主流」
「日本は遅れている」
との主張も少なくない。
米国では1970年代に全ての州で結婚後の女性が旧姓を維持できるようになった。
基本的には婚姻時に
@夫の姓を選ぶ
A妻の姓を選ぶ
B別々の姓を維持する
C両者の旧姓をハイフンでつなげ新しい姓を登録する
というパターンがある。
ただ、調査機関ピュー・リサーチ・センターが2023年9月に発表した報告書によると、米国で異性婚をした女性は79%が相手の姓を名乗っている。
■姓を後世に残す動き
中国では中華人民共和国建国翌年の1950年に施行された婚姻法で夫婦別姓が明記された。
現在、子供の姓は両親のどちらかの姓を選択するが、韓国同様、一族を重視する価値観から、父親の姓を名乗るケースが多かった。
一人っ子政策が廃止された2016年以降は、兄弟姉妹で父母それぞれの姓を名乗る現象が一部で起きている。
両親それぞれの姓を後世に残そうとする動きと言える。
ただ、兄弟姉妹で別姓を名乗ることが、学校でからかいの対象になる、といったケースも報告されている。
各国の家族の枠組みについて詳しい立命館大の筒井淳也教授(家族社会学)は
「夫婦の姓に関する制度は国の慣習によって異なる」
「時代や価値観の変化に合わせて利便性や公平性などの観点から米国やドイツでは夫婦別姓が選択できるようになった」
と言及。
一方で、両国では夫婦同姓を選ぶ人が多数派を占めている現状について、
「子供も同じ姓になったほうが親としての証明が容易となるメリットがある」
と指摘した。

選択的夫婦別姓「困っている人」とは誰か 旧姓使用不可の企業ゼロ「経済界は口を挟むな」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20250103-33B4YHNURFNUXFSJKAGPJITCPQ/
「個人の問題として片づけることのできない、企業にとってビジネス上のリスクだ」。
経団連は昨年2024年6月、選択的夫婦別姓の早期実現を求める提言を発表。
十倉雅和会長は記者会見で理由をそう説明した上で、
「改正法案を一刻も早く国会に提出していただきたい」
とも踏み込んだ。
トヨタ自動車など日本を代表する企業1500社以上で構成する経団連は、経済界が直面する課題の意見を取りまとめ改善策などを発信する役割がある。
だが、今のタイミングで提言するほど、選択的夫婦別姓は経済界の喫緊の課題なのか。
産経新聞社は昨年2024年11月中旬から2024年12月上旬にかけて主要111社にアンケートを実施。
社内で旧姓呼称を認めているかを尋ねたところ、
「認めていない」
とする企業はゼロだった。
「慣例として認めている」が58・6%、「就業規則などで認めている」が29・7%。
「無回答」が11・7%あったとはいえ、9割弱の企業が何らかの形で旧姓呼称を当たり前に認めているのだ。
■国家資格はほぼ旧姓OK
さらに経団連が求める法制化の是非も聞いたところ、
「実現すべき」は25・2%で、
「現状で不都合がないので慎重に議論すべき」も10・8%あった。
もっとも「無回答」が最も多い63・1%あり、判断に迷っているのか、経団連の方針に異議を唱えにくい雰囲気があるのかはわからない。
夫婦別姓をめぐる議論は働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証、銀行口座などの名称変更の煩わしさから旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
職場での呼称が解決に近づいているのであれば、残る課題はどうか。
内閣府によると、昨年2024年5月末現在で320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格も条件に若干の違いがあるだけだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも旧姓併記ができる。
金融機関も既存口座の旧姓名義による取引を認めており、一部認めていない場合もシステム改修が進めば対応可能になるという。
もっとも、こうした事実が広く周知されているとは言い難いのも事実だ。
■不便さは残るが
では、企業はどのような場面で不都合を感じているのだろうか。
ある大手企業の役員は
「海外出張したとき、パスポートとホテルの予約名が戸籍名と通称で異なりトラブルになった社員がいた」
と話した。
むろん、2つの名前が混乱を引き起こしやすいことは否めない。
パスポートに旧姓併記しても発展途上国などでは現地の入国関係者が理解しておらず、もめたケースもあるという。
だが、日常生活での不便さは相当解消されているのではないか。
選択的夫婦別姓の導入に前向きな公明党の斉藤鉄夫代表は昨年2024年末、
「実際に困っている人が多くいる。もう決断する時だ」
と述べた。
「困っている人」
とは誰なのか。
企業経営や国際マネジメントが専門の青山学院大学の福井義高教授は
「企業内も含めて旧姓を使えるケースは増えており、不便さは解消されている」
「選択的夫婦別姓は国民の価値観の問題で、経済界が口を挟む問題ではない」
と指摘している。

公明、立ち位置に苦慮 政策実現も手柄は野党 来夏の都議選、参院選へアピール模索
2025/1/2 16:26
https://www.sankei.com/article/20250102-7MRII3PF6JOHXDIQCRV7IFLMXE/
公明党が自民党との連立政権で立ち位置に苦慮している。
石破茂政権が少数与党になったことで、法案成立に向け野党の国民民主党や日本維新の会に配慮せざるを得なくなり、
「政権の政策に党の主張を反映させる」
という存在意義が揺らいでいるためだ。
「年収103万円の壁」
の引き上げなどは公明も主張してきた政策だったが、自民から譲歩を引き出した野党側の成果として扱われ公明は埋没している。
公明の斉藤鉄夫代表は2025年1月2日、東京・池袋駅前で新春の街頭演説を行い、今夏2025年夏の参院選、東京都議選に向けて
「新しい公明の最初の戦いとして、何としても押し上げてほしい」
と支持を訴えた。
だが、世論や支持者へのアピールは、いまいち広がりを欠いている。
昨年2024年12月26日、斉藤氏は記者団にこう強調した。
「予算案の取りまとめに当たっては、野党の賛同が得られるように合意形成の要となってきたという自負がある」
党の政策実現ではなく、合意形成への貢献をアピールせざるを得ないところに、今の立ち位置の難しさが伺える。
年収103万円の壁引き上げは自民、公明、国民民主の3党協議で実現し、これを看板政策とする国民民主の手柄とされた。
公明も以前から103万円を含む年収の壁解消を訴えており、令和7年度税制改正には高校生世代の扶養控除の維持など公明の主張も反映されたが、存在感は乏しい。
それでも斉藤氏は2025年1月2日の街頭演説で3党協議に言及し
「予算審議の途中に、色々な修正があり得るのかもしれない」
「協議に真摯に対応していきたい」
と国民民主への歩み寄りを示唆した。
石破政権は維新とも連携を図り、自公維3党による教育無償化の実務者協議を昨2024年末に始めた。
教育無償化もまた、公明が力を入れてきた政策だ。
公明幹部は
「公明だけでは引き出せず、野党と一緒なら引き出せると言われる」
「忸怩たる思いだ」
と漏らす。
先の衆院選で、公明は自民派閥のパーティー収入不記載事件の呷りを受けて議席を大幅に減らした。
2025年夏の参院選と都議選を睨んだ反転攻勢に向け、自民と同一視されることを避け、独自色を打ち出したい考えだ。
自民内で賛否が分かれる選択的夫婦別姓制度でも、党内議論を深めるよう強く自民に要求している。
とはいえ、自民との連立関係を崩すこともできない。
公明関係者は
「支持者からはいつまで自民とやっているんだという声もある」
「だが、もう4半世紀続いている」
「野党になったら何もできない」
とぼやいた。

年内にも現実味帯びる選択的夫婦別姓 立民、通常国会に法案提出へ 公明も賛同
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/2 10:00
https://www.sankei.com/article/20250102-T64AG4MHX5I5HJD4BQLW36T3LA/
立憲民主党は今月召集の通常国会で、選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案を提出する方針だ。
党内でも賛否がある自民が立民案に乗るとは考えにくいが、導入を求める公明が立民案に賛成すれば、連立与党内で対応が分かれる異例の事態となる。
自民に一定数いる推進派が賛成すれば衆院で可決され、家族の在り方を大きく変えうる制度の導入が2025年年内にも現実味を帯びている。
衆院選の公約では、選択的夫婦別姓には立民と公明の他、国民民主、共産両党やれいわ新選組なども賛成。
自民と日本維新の会は
「旧姓使用の拡大」
を主張しており、衆院法務委員会の構成を見れば、賛成派は過半数に届かない。
ただ、衆院選後に就任した維新の前原誠司共同代表は
「個人として賛成」
と表明。
公明の斉藤鉄夫代表も
「決断する時だ」
との考えで、石破茂首相(自民総裁)に与党協議を進めるよう直接要請している。
これに対して自民では旧姓使用の拡大を軸にした対案を出す可能性があるが、他党の賛成がなければ数の上で可決はおぼつかない。
何よりも自民内の推進派が造反する可能性がある。
自民では党の方針に反した場合は処分の対象になり得るが、党内の分裂を避けるため党議拘束をかけないとの見方もある。

選択的夫婦別姓、関心薄い自民「慎重派が落選してしまった」「大半はどちらでもよい」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/2 10:05
https://www.sankei.com/article/20250102-CV4VLTYCYRL4LHL3FHZJHRA3OA/
「一部のノイジーマイノリティ(声高な少数派)に邪魔されて議論の俎上にのぼらされないことは、もう通用しない」。
先月2024年12月17日、東京都内の講演で立憲民主党の野田佳彦代表は選択的夫婦別姓の導入に重ねて意欲を示した。
令和3年12月の内閣府の世論調査では同姓維持27・0%、旧姓使用拡大42・2%で、賛成28・9%は少数派だが、野田氏の頭の中では
「ノイジーマイノリティー」
が逆転しているようだ。
「野党はほとんど賛成、公明党も支持している。十分成立させる可能性はある」。
局面が変わったのは昨年2024年10月の衆院選だった。
与党が過半数を割り、国会の風景は一変した。
衆院の常任委員長ポスト17のうち、立民などの野党は選挙前の2から大幅増の8獲得の見通しとなった。
しかし、結果的に7にとどめたのは、外務、総務両委員長を
「返上」
した代わりに
「敢えて法務委員長を取りにいった」(野田氏)
からだ。
賛否が割れる自民党を揺さぶるだけではなく、夏の参院選を前に推進派の公明との間に溝を作りたい狙いも透ける。
■早く決めてほしい
自民内でも以前から議論はあった。
令和3年3月に推進派の
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(浜田靖一会長)
が立ち上がると、翌月令和3年4月には慎重派が
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(中曽根弘文会長)
を設立。
同年令和3年6月には政調会のワーキングチームが論点などを整理したが、党を二分しかねず本格的な議論は先送りにしてきた。
別姓推進派の中堅議員は
「今は強力に賛成、反対は20人ずつ程度だろう」
「残りはどちらでもよく、早く党の方針を決めてほしいと考えているのではないか」。
慎重派のベテラン議員は
「以前は双方半々ぐらいのイメージだったが、この問題に高い見識を持ち、頼りになる人たちが先の衆院選で落選してしまった」
と明かす。
■修正を加える形で
慎重派の念頭にあるのは
「家族の一体感」
を大切にする本来の保守層の
「自民離れ」
が加速することだ。
ただ、この問題に関心を持つ議員自体が少なくなったのも今の自民の現状である。
立民が提出予定の民法改正案の衆院審議は、国会の慣例に従えば2025年3月の来年2025年度予算成立後の2025年4月以降となる見通しだ。
昨年2024年の臨時国会では、政治改革関連で与野党が9法案を提出。
国会審議や各党協議の末に3つの法案が成立した。
このうち政策活動費廃止の法案は野党案に自民が賛成した。
推進派若手は
「少数与党のうちに野党案に修正を加える形で決着をつけた方がいい」
「そうでないと、自民を分断しかねない爆弾をずっと抱えることになる」
と本音を漏らした。
仮に自民が党議拘束をかけず、立民案が衆院で可決された後は参院に舞台が移る。
参院は現在も自公で過半数を占めるが、衆院の段階で立民案に公明が賛成していることを前提とすれば、自民は日本維新の会などを巻き込まない限り
「少数派」
に転落し、立民案が成立する可能性がある。

新聞各紙、元日1面トップは中国の拡張、能登の思い、民主主義企画…産経は夫婦別姓と子供
2025/1/1 19:29
https://www.sankei.com/article/20250101-FILLPV42SBDGLNW3Y2ENVFSW44/
元日の新聞各紙の1面のトップ記事は例年、華やかなスクープや骨太なテーマでの連載企画が掲載される。
令和7年、東京に本社を置く新聞各社では、中国海軍が台湾有事に備えたとみられる不穏な動きの独自記事、ブロック経済化が加速しかねない世界の現状に警鐘を鳴らす企画記事、能登半島地震1年に合わせ、死去した父親に寄せた花嫁の思いなどが1面を飾った。
■夫婦別姓 小中生の半数反対
産経新聞は、選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、全国の小学4年〜中学3年の児童・生徒約2000人に世論調査を行った結果、ほぼ半数が
「家族で名前が変わるのは反対」
と考えている実態を報じた。
夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」が49・4%で
「賛成」16・4%の約3倍だった。
記事によると夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めてという。
■中国、宮古海峡で封鎖演習
読売新聞は、中国海軍と海警局が令和6年12月に沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡などで海上封鎖と似た活動を行い、重武装した海警船団を尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺に派遣していたという独自ダネを報じた。
ともに初めて確認された活動で、中国側が台湾有事の際に海上封鎖の範囲を尖閣周辺などに拡大させる可能性が指摘されるという。
■デジタルで問う「真の民意」
毎日新聞は、戦後80年の節目に合わせて
「デモクラシーズ これまで これから」
と題した連載企画の掲載を始めた。
最新のデジタル技術を生かして民主主義を
「アップデート」
させる取り組みなどを紹介する。
この日はスタートアップ企業が構築したオンラインプラットフォームを用いて自治体が設定したテーマに対し市民が意見やアイデアを投稿することで、施策を実行する上での民意が合意形成されるあり方などを紹介した。
■強まる自国第一
日経新聞も企画記事を掲載し、
「逆転の世界 備えよ日本」
と題した。
多様性の価値観を重視していた米国など民主主義国で国民の分断が進み、独裁色の強い為政者が生まれやすくなっていると指摘。
局地的な紛争を含めて国家間の紛争が戦後最悪の状況にあると訴え、供給網や販売網の再構築が不可欠になると警鐘を鳴らした。
■つながり 耕す 能登と一緒に
朝日新聞は、被災地でボランティアの受け入れ拠点となった石川県輪島市のレストランの1年を取り上げた。
延べ3432人のボランティアが活動したことなどを踏まえ、地方の人口減と高齢化が深刻な社会課題となる中、居住地とは関係なく継続的に訪れる
「関係人口」
の拡大について考察した。
■招待状「おとう」へ届け
東京新聞も、取り上げたのは能登半島地震1年だった。
地震で倒れた家具が胸に当たり、55歳で亡くなった輪島塗蒔絵師の父親に向けて、結婚式を今年5月に控えた27歳の長女の思いと葛藤を描いた。
式の中身はまだ決まっていない。
ただ、父の席と食事を用意することは決めているという。

<独自>選択的夫婦別姓、小中学生の半数が反対、初の2000人調査「自分はしない」6割
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:00
https://www.sankei.com/article/20250101-QGCTY3PY4JEHLHHXAFDFEVX2LQ/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、小中学生のほぼ半数が
「家族で名字が変わるのは反対」
と考えていることが、産経新聞社の調査で分かった。
政府や報道機関などの世論調査は主に成人が対象で、夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めて。
将来、自分が結婚した際の別姓も
「したくない」
との回答が6割にのぼった。
立憲民主党が夫婦別姓の民法改正案の国会提出に意欲を示しており、石破茂首相も昨年2024年末
「議論の頻度を高める」
と述べた。
自公与党も前向きな議員が多いことから、次期通常国会での法案成立が現実味を帯びている。
調査は全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人から回答を得た。
各家庭の事情などデリケートな問題に配慮し、答えたくない場合は答えなくてよいことを徹底した。
年齢層の低い小学生は対象数を絞った。
小中学生共に学校を通じた場合は、教員が調査の趣旨を説明した上で、立ち会う形式を取った。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「全く知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よく分からない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」49・4%、
「賛成」16・4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」18・8%、
「よく分からない」15・4%
で反対がほぼ半数を占め、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13・6%だった。
小学生だけに絞ると、
別姓に「反対」は46・2%、
自身が「別姓にしない」は55・8%
で全体よりやや低かったが、各質問共に
「分からない」を選ぶ傾向が強かった。
男女別で大きな違いはなかったが、
自身が「別姓にしない」
は男子(56・7%)より女子(63・4%)のほうが上回った。
別姓の是非で
「親が決めたのなら仕方がない」
と消極的な賛成を選んだ女子(22・6%)も男子(15%)より多かった。
学校や学年別、民間調査会社による調査でも、結果の割合に大きな差はなかった。

選択的夫婦別姓、法律に「賛成」16%「反対」49% 小中生2000人調査・質問と回答
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-L3VK2UL4H5EMJPW6X5DVUGNXJQ/
選択的夫婦別姓制度の導入をめぐり、産経新聞社が昨年11〜12月、小中学生を対象に行った調査の質問項目と詳しい結果、調査の方法は以下の通り。
質問項目と回答
選択的夫婦別姓調査 質問項目と回答
選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)について、みなさんの意見を聞かせてください。答えたくない人は、答えなくてかまいません。
【質問】
1.いま、社会で問題となっていることに「選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)」があります。
日本では結婚(けっこん)するときに
「男性(お父さん)か女性(お母さん)のどちらかの名字と同じにしなければならない」
ことが法律(ほうりつ、国のルール)で決まっています。
この法律を
「それぞれ別々の名字のままでも結婚できる」
ように変えようというものです。
こうしたことについて、知っていましたか。
回答者1971人 男子 女子 全体(%)
○よく知っていた 16 17.9 16
○少し知っていた 34.3 43.3 37.1
○まったく知らなかった 28.7 23.9 26.2
○ほとんど知らなかった 21 15 20.7
2.いまは結婚してからも、結婚するまえの名字を会社で使ったり、手続きをすれば、免許証(めんきょしょう)やパスポートに結婚する前の名字をならべて書けるようになったり、これまでできなかったことができるようになっています。
それでも、あなたは
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
ように法律を変えたほうがよいと思いますか。
回答者1966人 男子 女子 全体(%)
○変えたほうがよい 32.9 37.4 34.9
○変えないほうがよい 31.6 30.7 30
○よくわからない 35.6 31.9 35.1
3.もし、法律で
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
ことが決まり、お父さんとお母さんが別の名字になったら、子供もお父さんかお母さんのどちらかとはちがう名字になったり、兄弟や姉妹でもちがったり、おなじ家族のなかでちがう名字になってしまうことがあります。
こうしたことに賛成(さんせい)ですか、反対(はんたい)ですか。
回答者1954人 男子 女子 全体(%)
○家族で名字が変わってもいいので賛成 16.3 16.9 16.4
○親が決めたのなら仕方がないので賛成 15 22.6 18.8
○家族で名字が変わるのはよくないので反対 51 49.2 49.4
○よくわからない 18 11.4 15.4
4.みなさんが結婚するころには
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
と法律が変わっているかもしれません。
そのとき、あなたはどうしますか。
回答者1955人 男子 女子 全体(%)
○自分の名字を大切にしたいので別々の名字にしたい 14.3 11.8 13.6
○家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない 56.7 63.4 59.9
○よくわからない 29 24.9 26.5
5.この問題についてあなたの思ったことを自由に書いてください
■調査の方法
協力を得た首都圏、関西圏の中学校6校約1600人(中1〜中3)、首都圏の小学校1校の53人(6年生)にホームルームや社会科の時間などを使って教員立会いの元で無記名で行った。
回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けに説明文を用意したが、使用については各学校に任せた。
答えたくない場合は設問によっても答えなくてよいことを徹底したため、回答数にはばらつきがでた。
中学生では男女を回答していない生徒も若干名いた。
休みや早退の生徒数が把握できていない学校もあり回答率は一概に出せないが、中学生は約93%、小学生は84%。
民間調査会社の調査は、会員登録している全国の小学4年〜中学3年を対象に、説明文を含め同内容のアンケートで実施、自ら回答した小学生が100人、中学生が300人を超えた時点で終了し、学校分に加えた。
最終的な回答数は合計で1954人〜1971人。
男女比は男子48%、女子52%。
調査はいずれも昨年2024年11月下旬から12月中旬に実施した。

選択的夫婦別姓・小中生2000人調査 教員向けの説明文
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-JDZ6FZ2FUVFDLGGPQDWRNLBKIM/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生を対象に行った調査では、回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けにそれぞれ説明文を用意した(実際に使用するかについては任意)。
教員向けの説明文は以下の通り。
教員向けの説明文
選択的夫婦別姓は年明けの国会で議論され、可決される可能性も高くなっています。
現状、夫婦別姓を望む人には、職場などでの旧姓使用やクレジットカードなどの名義変更などが煩わしいという理由と、自身のアイデンティティのためという2つの理由があります。
ただし前者についてはほぼ解決済みであり、旧姓使用を認めない職場もほとんどありません。
後者については
「心の問題」
です。
「選択制なので選びたい人だけだからいいのでは」
「自分の意思だからいいのでは」
という意見もありますが、婚姻制度の自由度が高まることで、逆に家族、親族内の争いの種になりかねないという見方もあります。
また、生まれてくる子供にとって選択肢はなく、
「強制的親子別姓」
「強制的きょうだい別姓」
になりかねません。
今、マスコミではここの議論をあまりしていません。
世論調査などは
「選択的夫婦別姓」
か、
「現状の夫婦同姓」
か、の2択しかなく、
「旧姓使用の拡大」
は選択肢に加えられていません。
影響を受ける人の中には子供も含まれるにもかかわらず、その意見も全く取り上げられていないのが現状です。
本来であれば、文科省や法務省など国の機関が綿密に子供向けアンケートなどをすべき内容ですが、そうした国の動きを後押しする意味でも、今回産経新聞社として子供たちの声を聞いてみようと考えました。
ただし、このようなアンケートは各家庭のご事情もあり、ハードルが高いことは承知しております。
また、産経新聞社の考え方に偏らないよう、質問内容は客観性を保つように致しました。
ご検討何卒よろしくお願いします。
○アンケートについて
・答えたくない子供は答えなくて構いません。
・学校名は匿名希望の場合は匿名で構いません。
・対象は小4以上の小学生と中学生とします。
・できればクラス単位、学年単位がよいですが、無理な場合は個別でも構いません。
・自由記述の欄に書ける子供はぜひ書いていただければと思います。

選択的夫婦別姓・小中生2000人調査 子供向けの説明文
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-HE4Y72OPLZF2JPXUIFFXDB7J7Y/
選択的夫婦別姓制度の導入をめぐり、産経新聞社が昨年11〜12月、小中学生を対象に行った調査では、回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けにそれぞれ説明文を用意した(実際に使用するかについては任意)。
子供向けの説明文は以下の通り。
子供向けの説明文
選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)についての質問
みなさんに、いくつか質問をしたいと思います。答えたくない人は、答えなくてもよいです。
さいきん、よくテレビのニュースなどで、選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)ということばを聞きます。
これは結婚(けっこん)するときに男の人と女の人の名字(上の名前)を別々にしたい人はしてもよい法律(ほうりつ、国のルール)にしようという意味です。
もし、結婚したあとに子供が生まれて、お父さんとお母さんの名字が別々だったら、子供の名字はどちらかに合わせなければなりません。
生まれてきた子供はお父さんかお母さんの名字とちがったり、お兄さん、お姉さん、弟、妹とも名字がちがったりすることが出てきます。
たとえば、お父さんは田中さん、お母さんは佐藤さん、最初の子供は佐藤さんで、弟は田中さんになるかもしれません。
どうして、こうしたことが問題になっているかというと、はたらく女性がふえたことに関係があります。
これまで結婚する相手の名字に合わせるのは女性のほうが多く、結婚して名字が変わると会社などで呼び名が変わったり、免許証(めんきょしょう)やパスポートなどの名字を変えなければならなくなるなど、大変なことがありました。
しかし、いまでは会社で結婚する前の名字を使ったり、免許証なども結婚前の名字をならべて書けるようになったりしています。
ただ、免許証やパスポートに結婚前の名字を載せるには、役所の書類を出さなければならないなどの手続きが必要です。
それでも、結婚したからといって、ずっと使ってきた名字を相手の名字に変えるのは、納得(なっとく)できない、いやだ、という人もいます。
名字を一緒(いっしょ)にしたい人はすればいいし、一緒にしたくない人はしなければいいという考える人もいます。
質問は、このことについてみなさんの考えること、思うことを聞くものです。
くりかえしますが、答えたくない人は答える必要はありません。

ファミリーネーム喪失、選択的夫婦別姓は「強制的親子別姓」 政府は子供の意見を聞け
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:30
選択的夫婦別姓の法制化を望む人たちに
「国民の70%が賛成」
声があるが、その根拠は2択のアンケートだ。
朝日新聞もNHKも
「法を改正して夫婦が希望すれば別々の名字でもよいか」
を賛成、反対で問い、その結果を
「選択的別姓『賛成』7割」
などと伝えている。
現在、企業や公的機関などで進んでいる
「旧姓使用の拡大」
を法的に整備するという選択肢は最初からないのだ。
産経・FNN合同世論調査も以前は2択で賛成66・6%、反対25・5%だったが、昨年2024年9月に3択目を加えたところ、賛成38・9%、反対12%、旧姓使用拡大46・5%と大きく変わった。
令和3年12月の内閣府の世論調査でも
「同姓維持」27%、
「別姓導入」28・9%、
「旧姓使用拡大」42・2%、
が出ているが、こうした結果はほとんど生かされていない。
「選択的」
だからよいという意見もあるが、選択できるのは誰か。
生まれてくる子供にとっては親の意向で強制的に
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
ファミリーネームが喪失するという事態を
「選択者」
である親は一体どこまで想定しているのか。
今回、小中学生に行ったアンケートではどちらかの親や、きょうだいと別の名字になることについて半数が反対と答えた。
これが多いか、少ないか判断は分かれるだろう。
夫婦別姓
「賛成派」
からすれば、
「未熟な子供に聞く」
という調査自体に不快感を持った人もいるかもしれない。
ただ、法制化の議論が拙速に進む中で、家族の一員である子供の意見を集めたのは、今回が初めての調査なのである。
仮に聞き方が不十分だったり、誘導的と考えるならば、ぜひ他のメディアも誤魔化さずに取り組んでほしい。
文科省も、子ども家庭庁も出番ではないか。

「家族感が減る」「同姓は時代遅れ」小中生、正面から回答 選択的夫婦別姓2000人調査
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 8:00
https://www.sankei.com/article/20250101-F35HRVOR7FHZRH24ROBSXF5VBU/
「家族内で違う名字だと家族感が減りそう」
「強制的に同じにさせるのは時代遅れ」―。
産経新聞が小中学生を対象に行った選択的夫婦別姓の導入を巡るアンケート。
自由記述欄を見ると、賛否を超えて子供たちが正面から問いかけに向き合ったことが分かる。
立ち会った教員は
「想像していたより真剣に取り組む姿が印象的だった」
と話す。
■きょうだいなのに
自由記述で目立ったのは、選択的夫婦別姓制度で、結果的に家族の姓がばらばらになりかねないことを心配する声だった。
大阪府の中学男子は
「名字を別々にするような人なら、子供の名字をどうするかでけんかになるかもしれない。名字が違うと他人感がある」。
千葉県の小学男子は
「家族で名字が変わってしまうと、まるで別人みたいで家族感が減りそう」
と書いた。
夫婦が別姓を選ぶことには賛成しつつ、
「子供が生まれた家庭で兄弟姉妹の姓がバラバラなのは違和感を抱く」
と記した京都府の中学女子も。
大阪府の中学女子は
「選択できた方がよいが、兄弟が違う名字というのはよいものではない」
とした。
■万一離婚したときに
夫婦別姓に賛成する声も少なくなかった。
東京都の中学女子は
「名字が変わることで、もう一度覚え直してもらう必要があったり、万一離婚した際に、職場や学校の人に名字が変わったことを伝えなければならず、精神的な負担も小さくない」
と説明。
茨城県の中学男子は
「名字を強制的に同じにさせるのは、少し時代遅れだとも感じている」
と書いた。
アンケートは各家庭の個別の事情に踏み込んでしまう恐れもあったが、
「私の両親は夫婦別姓。私はハーフなので賛成します」(中2女子)、
「現状のままでは離婚後に名字が変わると、『あ、この人離婚したんだ』」と好奇の目で見られてしまう。自分もそうだったので、そのようなことは避けたいから、夫婦別姓には賛成」(中3男子)
という意見もあった。
千葉県の中学女子は
「海外でも夫婦別姓の国や自分と相手の名字を続けて登録できる国があり、日本もこだわる必要はない。事実婚は相続などで不利になるので、平等になるようにしてほしい」
と、より深い考えを述べた。
「日本の伝統なので絶対に法律を変えない方がよいと思う。いまこの問題よりも台湾有事に向けて動いた方がよい」(中3男子)
という意見もあった。
■自然発生的に議論も
大阪府の私立中の教員は、アンケートに取り組む生徒の様子について、
「最初は静かに取り組んでいたが、しばらくすると自然発生的に生徒同士で意見を交わす姿もみられた」
と話す。
議論になるうち
「『兄弟で姓が変わるというのはいやだね』とか、『そもそも結婚ってどういうことなのだろう』などの声も聞かれた」
という。
千葉県の中学女子は
「個人の考えもあると思うため、別々の名字でもよいと最初は思いましたが、家族の中で名字が分かれてしまうと、同じ家族であることの証明が難しくなるなど欠点もあると思ったので、最終的には法律を変える必要はないと思いました」
と考えの変遷を記した。

<産経抄>若い女性に響いていない選択的夫婦別姓
2024/12/21 5:00
https://www.sankei.com/article/20241221-3G37IDBWCBJ2VKISJOHYBTICBA/
この数字は何を意味するかずっと気になっている。
小紙とFNN(フジニュースネットワーク)との合同世論調査で、18〜19歳と20代の女性で立憲民主党と日本維新の会、共産党の支持率がそれぞれ0・0%だった件である。
なぜ3党は若い女性に不人気なのか。
▼3党は、若者の情報源であるSNSでの発信が弱く拙かったのか。
あるいは政治とカネの問題でいくら自民党を批判しても、票の掘り起こしには繋がらなかったのか。
色々考えられるが、牽強付会を承知で言えば、維新を除く2党が今国会で声高に唱える政策が頭に浮かぶ。
選択的夫婦別姓制度や同性婚の実現である。
▼こうした主張は、これから結婚しようという人が多い世代に響いていないのではないか。
自民党が自滅して比例代表で533万票も減らした先の衆院選で、躍進したはずの立民は実は7万票の微増にとどまっている。
共産の得票は80万票も減少した。
▼2024年9月の自民党総裁選時のNHKの世論調査では、最も議論を深めてほしい政治課題を6つの選択肢を挙げて尋ねていた。
その結果、
「年金など社会保障制度」(35%)、
「経済・財政政策」(26%)、
「政治とカネの問題など政治改革」(17%)
…の順で、
「選択的夫婦別姓」は最下位の1%
だった。
▼たった1%だから議論しなくていいわけではないが、少なくとも最優先課題ではなかろう。
にもかかわらず、石破茂首相は2024年12月16日の国会で党内議論について
「頻度と熟度を上げていく。明確な方向性を出したい」
と意欲を示した。
▼それどころか、2024年12月17日の国会では同性婚に関しても
「日本全体の幸福度にとってプラスの影響を与える」
と強調した。
国民の意識や実感と政治のズレが目立つ。

<正論>別姓でなく通称使用法の制定を 
国士舘大学名誉教授、日本大学名誉教授・百地章
2024/12/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20241217-PRYB3DUK5RPYBCJJE67UVQMPKA/
立憲民主党の野田佳彦代表はテレビの番組で、来年2025年の通常国会の冒頭に選択的夫婦別姓法案を提出し自民党に揺さぶりをかける、と述べている。
平成8年、法制審議会が提案した夫婦別姓法案が30年近く経っても成立しないのは、国民多数の賛成が得られないからだ。
その家族制度の根幹に関わる問題を政争の具にした上、力ずくで実現しようとするのは如何なものか。
■国民の多数は通称使用支持
総選挙後、衆議院では別姓支持の議員が多数を占めたようだが、国民の間では従来、同姓支持が約6〜7割と多数を占めてきた(令和3年12月内閣府調査)。
この傾向は現在でも変わらない。
この事は最近相次いで報道された各社世論調査(TBSは2024年7月、産経・FNNと読売新聞は2024年9月)からも明らかだ。
いずれも
@同姓支持
A同姓維持のうえ通称を使用
B別姓支持
の3択制だが、3調査ともAの同姓維持・通称使用が47%と最多数を占めた。
先の内閣府調査でもAが42・2%であり、ほぼ変わらない。
ちなみに内閣府及び3社調査とも
@の同姓支持は20〜30%だから、
Aを加えると同姓支持は約70%になる。
Bの別姓支持はいずれも20〜30%程度にとどまる。
夫婦の姓をどう定めるかは、個人の問題であると同時に家族制度という
「国の公的な制度」
の問題でもある。
最高裁(平成27年判決、令和3年決定)は、民法の定める
「夫婦同氏(姓)制」
は合憲であり、人格権の侵害や差別には当たらないとしてきた。
とすれば、むろん少数者への配慮は必要だが、国の公的制度として何が相応しいかはまず国民の多数意見に耳を傾けて考えるべきであろう。
政府の第5次男女共同参画基本計画(現行)でも、第4次計画まであった
「別姓制度の検討」
は削除され、
「通称使用の拡大」
だけが挙げられている。
■選択制でも子には別姓を強制
選択的夫婦別姓制だが、姓を選択できるのは夫婦だけであり、子供には選択の自由などない。
子には必ず親子別姓が強制される。
それでも良いのか。
しかも立民案では子供の姓は誕生の都度、夫婦が話し合って決めることになっているから、子供たちの姓がバラバラになることもある。
この
「親子別姓」
について、先の内閣府の調査では69・0%の国民が、夫婦別姓は
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えている(前回の平成29年は62・6%)。
具体的には、
「友人から親と名字・姓が異なることを指摘されて嫌な思いをする」が78・6%、
「名字・姓の異なる親との関係で違和感や不安感を覚える」が60・1%
もある。
この傾向も従来と変わらない。
婦別姓論議が急に台頭してきた背景には、経団連の提言(2024年6月)が考えられよう。
しかし、提言はもっぱら企業における経済的合理性の観点からなされたもので家庭や家族の視点は完全に欠落している。
記者会見の折、経団連の幹部は
「子供への影響は大変重要」
だが、どうすべきかはまだ考えていない旨、回答している。
子供の視点から見たNHK放送文化研究所の中学生・高校生の生活と意識調査(令和4年)では、子供たちの91%が将来、
「同姓を名乗りたい」
と答えている。
このような同姓を希望している多数の子供の思いは無視しても良いのか。
この点、児童の権利条約では
「児童の最善の利益が考慮される」(第3条)
とされており、もっぱら親の利益を優先し子供には親子別姓を強制する選択的夫婦別姓制はこの条約にも違反する。
■通称制度を法律に格上げ
今日、マイナンバーカードをはじめ様々な分野で通称が使われているが、その法的根拠は余り知られていないようだ。
現在の通称制度は住民基本台帳法の施行令(令和元年施行)に基づくもので、住民票に併記された旧姓(婚姻前の姓)を通称と呼ぶ(ここでいう「通称」は、外国人住民のため住民票に記載される通称とは異なる)。
そこで通称の法的根拠をより明確にすると共に、通称の使用範囲を拡大し、社会生活上の不便を解消するためには現在の施行令に基づく通称制度を法律上の制度に格上げする方法が考えられる。
そのための法律(仮に「旧姓の通称使用法」)は以下の通りだ。
この法律の目的は
「夫婦同姓制度の下、通称の法的根拠を明確にすると共に、国、自治体、民間企業等に対して使用範囲の拡大のため必要な措置を講ずるよう努力義務を定める」
ことである。
次に通称制度を法律上の制度に格上げする方法だが、1つは、住民基本台帳法第7条(住民票の記載事項)を改正し、住民票の
「氏名」
欄に旧姓を併記できる旨、書き加える方式が考えられる。
もう1つ、元号法(「元号は、政令で定める」)を参考に、法律に次のように規定する。
「通称制度は、政令で定める」
「この政令は、住民基本台帳法の施行令をもって代える」。
これなら簡単ではなかろうか。

夫婦別姓禁止は「合憲」 最高裁
2021/6/23 15:16
https://www.sankei.com/article/20210623-FJZ7RN3V2BI4TJ4SI7LJ2RG7AU/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦別姓を巡る大法廷の憲法判断は、平成27年の上告審判決で夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としたのに続き2度目。
15人中11人の多数意見。
家事審判の申立人は東京都内に住む事実婚の男女3組。
婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記するなどして自治体に提出したが、不受理となった。
3組は
「法の下の平等や男女の本質的平等を定めた憲法に反する」
などとして、1組が東京家裁、2組が東京家裁立川支部に、それぞれ家事審判を申し立てた。
両家裁は平成31年3月、民法と戸籍法の規定は合憲として申し立てを却下。
2審東京高裁も即時抗告を棄却したが、3組は特別抗告していた。
最高裁は昨年2020年12月、裁判官15人全員で構成する大法廷で担当すると決定。
弁論は開かず、書面で審理してきた。
平成27年の判決で大法廷は
「規定に男女の不平等はなく、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着している」
などとして合憲の初判断を示した。
一方で裁判官15人中5人が
「違憲」
とする反対意見を述べており、社会情勢の変化を踏まえて今回、どのような判断をするかが注目されていた。
婚姻後の姓を巡っては、平成8年に法相の諮問機関
「法制審議会」
が、夫婦が希望すれば結婚後も従前の姓を名乗れる選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
今年2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し、本格的な議論が始まったが実現への目途は立っていない。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」と主張。「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為にあたる」と指摘していた。国側は「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている。婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」と反論。規定に違憲性はなく国会の立法不作為にもあたらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

選択的夫婦別姓論議のおかしな理屈 明治政府は庶民意識に合わせ同姓を選択
阿比留瑠比の極言御免
2024/12/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20241212-KT75ZAKADBOEVFYBQVRRIOTMZU/?542565
選択的夫婦別姓を巡る議論では、おかしな理屈、筋の通らない意見がもっともらしく飛び交っていると感じている。
「前の姓を変えなければならないことで、物凄く辛く悲しい思いを持っている人が大勢いることは決して忘れてはならない」
例えば石破茂首相が2024年12月5日の衆院予算委員会でこう述べ、選択的夫婦別姓制度の実現を求める意見に理解を示していた。
だが、そんなことを言うなら、親が夫婦別姓を選択した場合、必然的に片親とは別姓になり、あるいは兄弟とも別姓になるかもしれない子供は
「辛く悲しい思い」
をしないと断言できる根拠はあるのだろうか。
平成27年12月16日の最高裁判決では、こんな判断も示されている。
《家族を構成する個人が、同一の氏(姓)を称することにより家族という1つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見い出す考え方も理解できる》
《夫婦同氏制の下においては、子の立場として、いずれの親とも等しく氏を同じくすることによる利益を享受しやすい》
今国会では、連立を組む公明党の西田実仁幹事長が3日の自民党の森山裕幹事長との会談で、夫婦別姓制度導入に向け党内議論を進めるよう促した。
また、2024年12月4日の参院代表質問では、立憲民主党の打越さく良氏が、夫婦別姓に理解を示してきた首相の過去の発言を
「全くもって正しい」
と持ち上げた。
かつて
「夫婦別姓になると家庭が崩壊するという何だかよく分からない理屈がある」
と嘯いていた首相に対し、早くその気にさせようと公明、立民両党が露骨に揺さぶりをかけてきている。
立民にとっても立民と政策上の共通項がある公明にとっても、使い勝手のいい首相なのだろう。
彼らは党利党略的に
「今がチャンス」
と考えるばかりで、一方の当事者である子供については、選挙権を持たないのでどうでもいい存在なのだろうか。
立民からは
「夫婦が同姓になったのは、たかだか明治以来の150年に過ぎない」(枝野幸男最高顧問)
といった意見もよく聞こえてくる。
夫婦同姓は日本古来の伝統ではなく、明治の民法由来であるに過ぎないというのである。
実際は、明治31年に民法が成立して以来だから、120年余の歴史である。
とはいえこれもそんなことを言えば、現行憲法だって昭和21年に公布されてまだ80年も経っておらず、そんなに尊重することはないとまぜ返すこともできる。
そもそも月刊『明日への選択』2024年12月月号に掲載された歴史家の浜田浩一郎氏の論説によると、江戸時代の夫婦異(別)姓は、武家など一部の階級の慣習であり、多くの庶民は夫婦同姓だった。
庶民は名字を持たなかったという説は実は違い、名字はあっても公称ができなかっただけだとされる。
また、明治政府は当初、夫婦異姓を拡大しようとしたが、これに地方から続々と疑問の声が上がった。
夫婦同名字は戦国時代の文書にもみられ、数百年の歴史はあるという。
更に、夫婦同姓は儒教的な家制度の残滓だという説に対しては、加地伸行大阪大名誉教授が新著『間違いだらけの家族観』でこう明確に反論している。
《(儒教的伝統は夫婦別姓であり)家制度が儒教的なものなら夫婦別姓であるべきではないのか》
夫婦一体の生活実態を持つ庶民の意識に合わせ、明治政府は敢えて夫婦同姓を選んだのである。
(論説委員兼政治部編集委員)

「アイデンティティー・ポリティックス」石破、岸田政権の大失敗
正論2025年1月号 麗澤大学教授 八木秀次
米大統領選でドナルド・トランプ氏が再選を果たした。
激戦7州を総取りし、圧勝と言ってよい。
「世紀の大接戦」
と言っていた内外メディアの予測は外れた。
選挙後の解説記事は大半が要領を得ないが、ある小さな記事に得心できるものがあった。
時事通信(電子版)が2024年11月7日に配信した
「都市型偏重、労働者に背」
と題した記事だ。
記事では激戦州の1つ、ウィスコンシン州にあるリボン大学のヘンリク・シャツィンガー教授が
「労働者階級の関心が分からなかったこと」
が、民主党候補、カマラ・ハリス氏の最大の敗因だと分析した。
具体的には
「多くの国民がインフレに悩まされる中、民主党は出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーの権利など文化的政策に比重を置き、
『常識を欠いた』
と指摘」
「農村部や非大卒の有権者らに背を向けられた」
というのだ。
朝日新聞も、2024年11月10日の国際面で元民主党員で、現在は共和党員だという女性の声を取り上げ、同様の視点を紹介していた。
曰く、
「人種やジェンダーなどに基づき特定の権利や利益を擁護する
『アイデンティティー政治』
の行き過ぎが、民主党の大敗に繋がった」
という。
2つの記事で
「文化的政策」
とか
「アイデンティティー政治」
と述べられているものは、要するに
「アイデンティティー・ポリティックス」
と呼ばれているものだ。
2023年7月号の本連載でも言及したが、米民主党はかつての土着の労働者政党から、グローバル・エリートら大都市に住む高学歴の
「Woke(目覚めた)」
らの政党に変質している。
米国の政治学者、マイケル・リンド氏は
『新しい階級闘争 大都市エリートから民主主義を守る』(施光恒監訳、東洋経済新報社)
で、労働者と都市エリートとの間で
「新しい階級闘争」
が展開されていると指摘している。
「意識高い系」
とでも理解すればよい
「Woke」
たちがこの闘争で重視するのが
「アイデンティティー・ポリティックス」
だ。
マイノリティーの人権擁護を掲げ、人種差別や性差別、トランスフォビア(トランスジェンダー嫌悪)などと戦うとする。
当人は多くの場合、マイノリティーではなく、大都市に住む裕福で高学歴の白人エリートなのだが、その余裕からか新奇で観念的なテーマを重視する。
そして、労働者や農村部、非大卒の有権者の日々の暮らしの問題を置いてきぼりにする。
ハリス氏敗北の大きな要因は
「Woke」
への反発と考えてよい。
似たような現象は日本でも起こっている。
2024年10月の衆院総選挙で自民党が大敗した原因は本当に
「『政治とカネ』への国民の怒り」
なのか。
むしろ自民党が岸田文雄前政権で進め、石破茂新政権でも継承し、更に前進させる懸念のある
「アイデンティティー・ポリティックス」
への反発があったことを見落としてはならない。
比例代表票が令和3年の前回総選挙とどう増減したのかを見てみればよく分かる。
自民党は前回から約533万票も減らした。
一方で、岸田政権でのLGBT政策などを批判した参政党と日本保守党は初めての衆院選で合計約301万票を得た。
得票数が2.4倍になった国民民主党にも自民党からこぼれた票がかなり流れたと考えるのが自然だろう。
また、国民民主党は、前回から294万票近く減らした日本維新の会からも引き剝がしたと考えられる。
一方、立憲民主党は議席数こそ50積み上げたが、小選挙区の総得票数は減り、比例でも7万票程度の微増にとどまる。
「アイデンティティー・ポリティックス」
の色合いが強い立憲民主党はさほど支持されず、
「保守色」
の強い参政党・日本保守党や、
「手取りを増やす」
と暮らしの改善を訴えた国民民主党が支持された格好だ。
選択的夫婦別姓制の導入や同性婚の法制化、同性カップルが子供を持つことの容認、トランスジェンダー女性を生来の女性と同じく扱う、性別適合手術をしなくとも性別変更出来るようにする、過剰な外国人擁護などが
「アイデンティティー・ポリティックス」
のターゲットになろう。
これらの政策をいくら進めても自民党は選挙に勝てない。
むしろ岩盤保守層に忌避されるだけだ。
令和7年の参院選に向けて米大統領選の結果を教訓にしてほしい。

「家族の廃止!」という幽霊 危険な選択的夫婦別姓制度
正論2024年12月号 麗澤大学教授 八木秀次
衆院総選挙でも争点化されてしまった選択的夫婦別姓導入の是非について考えてみたい。
夫婦別姓の主張は当初は結婚による改姓で職業上の連続性が断たれることを理由の1つとしていた。
ただ、この問題はほぼ解決している。
住民票や印鑑証明書やマイナンバーカード、運転免許証やパスポートなどでは旧姓併記が認められ、公的な根拠が与えられている。
社会生活での旧姓の通称使用は一般的になり、職業上の連続性は保たれるようになった。
先の自民党総裁選で高市早苗氏が総務大臣在任時に総務省の所管範囲内で旧姓の通称使用を可能とし、他省庁に範を示した。
ただ、未だに
「社会生活での姓の連続性を担保したい」
という声が上がる。
これに便乗したのが
「家族の解体」
を志向する過激な個人主義の考えだった。
現在の民法や戸籍法の構成単位である近代的小家族(核家族)の中にかつての
「家」
制度の残滓を見、拘束要因と捉えてそこから解放された
「個人」
としての存在主張が氏名の次元に現れたものだった。
個人のアイデンティティーが強調され、
「氏名の自己決定権」
なるものが主張された。
ここでの
「個人」
とは夫婦としての横の関係も親子としての縦の関係も希薄なアトム(原子)的存在だった。
だから結婚ごときで姓が変わるなどあってはならない。
「家族解散式」
を提唱した論者もいた。
「家族の廃止!」(『共産党宣言』)
を実践したロシア革命での夫婦別姓導入も称揚された。
ただ、この種の主張は現在、敢えて影を潜めさせているようだ。
さながら
「幽霊」
だ。
実際問題としても選択制であれ、夫婦別姓になると多くの問題が生じ、意図せずとも家族共同体は
「分解」
の方向に作用する。
現行の戸籍は夫婦とその間の子が共通の姓(氏)を称する
「1戸籍1氏姓」
だが、別姓になれば、
「1戸籍2氏姓」
となる。
2氏の家族では共通の姓(ファミリーネーム)が存在しない。
これは氏名の法的性格を変える。
「家族名+個人名」
から純然たる
「個人名」
に変わる。
別姓にしない家族も同様だ。
全国民からファミリーネームを奪うことになる。
家族としての共同体意識を希薄化し、先祖代々の家という概念も消滅する。
墓の問題も生じよう。
別姓夫婦の子はどちらの姓を称するかの問題を抱える。
超少子化の中、祖父母の利害も加わり、姓の取り合いも生じよう。
子が複数の場合、姓が共通かバラバラかという問題も浮上する。
子の姓が決まらなかった場合、家庭裁判所で決めるにしても、その判断基準は難しい。
家庭に司法が介入する。
別姓夫婦の子はどちらかの親と姓が異なる。
子の立場からは
「強制的親子別姓」
となる。
子の精神面の生育への影響も指摘されている。
また、夫婦別姓を導入した独仏では親子証明の書類の携帯が必要になっている。
子の連れ去りや誘拐が疑われるからだ。
結婚改姓の煩わしさをなくすための措置が新たな煩わしさを生んでいる。
制度が導入されれば、現在は同性の夫婦にも選択の機会が与えられよう。
経過措置期間(例えば1年間)の家庭で夫や妻が結婚前の姓を選び、連動して子が父母のどちらかの姓にするかを選ぶことになる。
祖父母の代で別姓を選択すれば、孫の代では最大4つの姓から選ぶことになる。
家庭争議を含め大きな混乱が予想される。
世界で夫婦別姓を導入していないのは日本だけだと批判される。
国連の女性差別撤廃委員会は2024年10月、日本政府の取り組みを審査し、選択的夫婦別姓制を導入するよう勧告した。
8年ぶり4度目だというが、大きなお世話だ。
日本で夫婦別姓の導入が難しいのは戸籍制度が存在するからでもある。
戸籍制度は世界でも稀有なものだ。
かつて導入していた韓国と台湾は事実上廃止した。
夫婦とその間の子を登録する制度に
「2氏」
は馴染まない。
旧姓の通称使用の法的根拠を戸籍に記載する案も事実上
「2氏」
となる。
だから夫婦別姓導入の主張は戸籍制度の廃止論とも一体だった。
戸籍を止めて個人登録にすべきとの主張だ。
戸籍制度の見直しや廃止のコストは計り知れない。
解決策はやはり旧姓の通称使用の拡充しかないことを理解すべきだ。

<主張>国会の代表質問 なぜ台湾を語らないのか
2024/12/4 5:00
https://www.sankei.com/article/20241204-5FXPKEH2CNIPZL6IH7OLXSN67Q/
立民、共産は選択的夫婦別姓導入を求めたが、首相が慎重姿勢を示したのは当然だ。
選択的といっても、片方の親と子の
「強制的親子別姓」
である点を無視する謬論(びゅうろん:誤った議論)だからだ。

夫婦別姓はこうして戸籍を破壊する 断ち切られる家族の一体性、そして縦のつながり
2024/11/27 7:00
https://www.sankei.com/article/20241127-Y77P36UFXVKS7ARDSDVCKH3FXA/
選択的夫婦別姓制度を巡り、推進派の石破茂氏が首相に就き、同制度を重要公約とする立憲民主党が衆院法務委員長のポストを握ったことで、同制度の導入が現実味を帯びてきたと言われる。
そこで懸念されるのが、
「戸籍制度」
の解体だ。
同制度について、戸籍への影響に絞ってみていきたい。
■改正されるのは民法と戸籍法
夫婦別姓の導入には、民法と戸籍法の改正が必要だ。以下、法務省が国会提出に向けて平成22年にまとめた関連法の改正案(国会には未提出)をみていく。
夫婦の姓に関する規定では、民法750条の条文
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏(姓)を称する」
を、
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若(も)しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称する」
に改正する、としている。
夫婦どちらかの姓を2人揃って名乗るか、婚前の姓をそれぞれが名乗り続けこともできる、というわけだ。
続いて、戸籍法だ。
現行の戸籍法第6条
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及(およ)びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する(以下略)」
を、改正案では
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びその双方又は一方と氏を同じくする子ごとに、これを編製する(同)」
としている。
現行規定では、同じ姓を名乗る夫婦と子の世帯全員が同じ戸籍に入る。
これに対し、改正案では、同姓を希望する夫婦はこれまで通りで、別姓を希望する夫婦の場合は、それぞれの婚前姓を名乗り、子もどちらか一方の姓を名乗るという、2つの姓が混在した世帯が同じ1つの戸籍に入る、というわけだ。
■一つの戸籍には入るが
この改正案であれば、夫婦別姓を選択しても、夫婦や子の戸籍は1つのままである。
だが、
「戸籍法の『同一戸籍同一氏の原則』に反しています」
と指摘するのは、百地章・国士館大学名誉教授(日本大学名誉教授)だ。
「同一戸籍同一氏の原則は戸籍法の大前提
「夫婦別姓制を採用すれば、その原則に反して、同一戸籍の中に別氏の夫婦、親子が混在することになる」
「これは戸籍の解体に繋がる」
という。
「戸籍は、『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を目に見える形で表象するもの」
「同一戸籍の中に別姓の者が混在することになれば、『家族の一体性』が損なわれますから」
■たどれなくなる縦の連続性
家族の一体性だけではない。
現行の戸籍法第14条は
「氏名を記載するには、左の順序による」
とし、
「第一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻」
「第二 配偶者」
「第三 子」
と記載順位を定めている。
これに対し、法務省の改正案では、記載順序を
「一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻、各自の婚姻前の氏を称するときは子が称すべき氏として定めた氏を称する者」
「二 配偶者」
「三 子」
としている。
先頭に記載される人は、戸籍の
「筆頭者」
と呼ばれ、現行制度では、その姓を辿ることで、
「家名・家系の一系性」
が確認できた。
そこに選択的夫婦別姓が導入されたら…。
「法務省改正案では、同じ家系でありながら、新しい戸籍が作られる度に戸籍筆頭者の名字が変ることもあり得ます」
「そうなれば『家名・家系の一系性』は失われ、先祖を辿ることさえ困難になります」
(百地名誉教授)
「家族の一体性」
という
「横の繋がり」
だけでなく、
「家名・家系の一系性」
という
「縦(垂直)の繋がり」
をも壊すのが選択的夫婦別姓制度なのだ。
選択的夫婦別姓を導入しても
「別姓を望まない人たちには影響はない」
とも言われるが、その影響は同姓を望む人たちにも間違いなく及ぶ。
甘い言葉には騙されないようにしたい。
(大阪正論室参与)

<産経抄>現実味帯びる夫婦別姓 自民の存在意義はどこに
2024/11/23 5:00
https://www.sankei.com/article/20241123-QZXTUY5WZ5PKJCDFJAF5BG2NBE/
立憲民主党が、どちらかの親と子供が別姓となる選択的夫婦別姓で自民党の動揺を誘っている。
社会の基本単位である家族の問題を政争の具に使うのは品がないが、少数与党となった自民内には元々別姓推進派も少なくない。
来年2025年は、家族の在り方が大きく変わる年になるかもしれない。
▼「自民も半分ぐらいは自主投票なら賛成すると思う」
「炙り出す意味でも採決はしたい」。
立民の野田佳彦代表は2024年10月の衆院選後、夫婦別姓実現のための民法改正案の国会提出に意欲を示した。
また、衆院法務委員長ポストを獲得した意味についてこう強調した。
「自民を揺さぶるには、非常に効果的な委員会だ」 。
▼現在は慎重な物言いとなったものの、石破茂首相も就任前は
「やらない理由が分からない」
と語る別姓派だった。
また、国連女性差別撤廃委員会が2024年10月、日本に対して夫婦別姓を導入することを求める勧告を行ったことも、推進派は利用することだろう。
▼経団連など経済団体も推進を求めるが、何故そんなに前のめりなのか。
内閣府の令和3年の世論調査では、夫婦別姓導入を求める回答は28・9%どまりで、同姓維持と同姓のまま旧姓の通称使用の法制度化を望む答えは計69・2%に上る。
国会の動きは民意を読み違えていないか。
▼有村治子参院議員のX(旧ツイッター)投稿によると、2024年11月7日の自民両院議員総会ではこんな意見が複数あった。
「リベラル政策を推し進めた所で、結局その層は、自民党には投票せず、むしろ『どんな時にも自民党』と書いてきて下さった岩盤保守層の底が抜けた」。
▼当然の理屈である。
自民がLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓も推し進めれば、保守政党としての存在意義は失われよう。

立民、選択的夫婦別姓ヒアリング開始 与党揺さぶりへ「肩慣らし」、法案衆院通過に現実味
2024/11/21 19:27
https://www.sankei.com/article/20241121-G4CU6JA62NJFPJE7QPNVA3ZBAQ/
立憲民主党は2024年11月21日、選択的夫婦別姓制度の導入に向けた民法改正法案の国会提出を目指し、法務省へのヒアリングを国会内で行った。
衆院では立民などの野党が過半数を占めており、これまで自民党が反対していた法案の衆院通過が現実味を帯びている。
与党間や自民党内でも導入を巡る賛否は割れており、立民が与党を揺さぶるための
「肩慣らし」
を始めた。
■首相指示巡りヒートアップ
これまで立民は導入を求めて衆院に9回、参院に16回も民法改正案を提出してきたが、与党側の反対で審議されなかった。
立民は選択的夫婦別姓を実現するため、外務、総務両委員長ポストを与党に差し出して法務委員長ポストを奪取した。
2024年11月21日の会合でも、そうした熱の入れようをうかがわせた。
「首相になって日数が経っておりますけど、石破茂首相から選択的夫婦別姓制度の実現に向けて、何らかの指示は出ているんでしょうか、法務省に」
トップバッターとしてマイクを握ったのは、山井和則国対筆頭副委員長だった。
山井氏は石破氏が自民党総裁選で、選択的夫婦別姓について
「実現は早いに越したことはない」
などとした発言を引きながら、首相指示の有無をただした。
担当者が
「特段コメントを差し控えたい」
などと応じると、石川大我参院議員が
「『ない』なら『ない』って言って頂ければいい」
と詰め寄るなど、出席議員は徐々にヒートアップしていった。
■狭まる自民包囲網
選択的夫婦別姓を巡っては、経済合理性などの観点から夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定変更を求める声が上がる一方、家族や社会の在り方を根底から変革するとして反対の声が根強い。
ファミリーネームを喪失し、子供の姓もバラバラになる懸念もある。
だが、宮口治子参院議員は
「子供と家庭の一体感がなくなるということはあり得ない」
と述べ、別姓でも家族はバラバラにならないと主張した。
重徳和彦政調会長は実際の法案審議に向け、
「親子の姓が違う故に、こんな破滅的な事が起こっている」
というような海外事例の提示を法務省に要請。
山井氏は
「私たちの願い、怒り、要望、思いを首相にぶつける」
と強調した。
与党内では公明党が選択的夫婦別姓制度の導入に賛成で、自民党内にも賛成派がいる。
与野党による自民包囲網は形成されつつある中、立民国対幹部は
「国会採決では自民は党の判断を示さなければならず、各議員の見解が問われることになる」
とほくそ笑んだ。

やっぱり危険な選択的夫婦別姓 子供に「差別」や「アイデンティティー喪失」権利侵害の可能性 日本の国益を大きく損なう
2024.11/15 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241115-KPV6I3EIDZI27B5UQP7KMOEOWU/
元児童家庭支援士・近藤倫子氏寄稿
石破茂首相(総裁)率いる自民党は、衆院選大惨敗を受け、立憲民主党に衆院予算委員長だけでなく、憲法審査会長と法務委員長まで明け渡した。
憲法改正が停滞する一方、岩盤保守層が警戒する
「選択的夫婦別姓」
の審議が加速する可能性がある。
元児童家庭支援士で著述家の近藤倫子氏が
「選択的夫婦別姓の危険性」
を改めて寄稿した。

衆院は2024年11月13日の本会議で、常任委員長を選出した。
注目の法務委員長には、立憲民主党の西村智奈美元幹事長が就任した。
同党の野田佳彦代表は
「(法務委員長は)どうしても取りたいポストの1つ」
「法務委員会は『選択的夫婦別姓』を審議する場所であり、是非採決まで持ち込んでいきたい」
と公言しており、来年2025年の通常国会への法案提出を狙っている。
筆者は先月2024年10月、夕刊フジに
「石破首相が沈黙『選択的夫婦別姓』の危険性」
とタイトルで緊急寄稿し、
「夫婦別姓の下に生まれた子供は(中略)強制的に父あるいは母と違う姓となる」
「第2子はどちらの姓にするのか、再び夫婦間でもめる可能性が考えられる」
「子供の最善の利益を享受することができるだろうか」
と問題提起した。
この寄稿に対し、多くの読者から
「選択的夫婦別姓は『強制的親子別姓』であり、『兄弟姉妹別姓』に繋がり、家族の絆が危うくなる」
「別姓夫婦の下に生まれる子供が心配だ」
など、賛同の声を頂いた。
別姓推進派は
「選択肢が増えることはいい」
「現行の夫婦同姓は女性差別、アイデンティティーの喪失を感じる」
と主張するが、そこには子供への愛情は感じられない。
国連総会で1989年、子供の保護と基本的人権の尊重を促進する
「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」
が採択された。
この条約では、子供が
「権利の保有者」
であり、それを守る
「義務の担い手」
として国と大人が定められている。
そして、日本の
「こども基本法」
にも、
@差別の禁止
A子供の最善の利益
B生命、生存及び発達に関する権利
C子供の意見の尊重
などと、子どもの権利条約の基本的な考え方が取り入れられている。
選択的夫婦別姓が施行された場合、筆者は
「子供への権利侵害」
として、@からCの全てが該当すると考える。
出生時に、強制的に父または母と異なる姓を与えられた子供は、
AとCが侵害される。
育つ過程では、@とBが侵害される可能性がある。
別姓推進派が主張する
「差別」

「アイデンティティーの喪失」
が、子供に行われる可能性が否定できないのだ。
次世代の日本を担う子供たちを守ることは、今の世代を受け持つ大人や国の義務である。
「強制的親子別姓」
「強制的兄弟姉妹別姓」
は、未来の日本の国益を大きく損なうと改めて指摘したい。
■近藤倫子(こんどう・りんこ)
元児童家庭支援士、著述家。
1975年生まれ。
日本女子大学卒。
Gakken、展転社にて連載。
月刊WiLL執筆メンバー。
ユーチューブ番組「デイリーWiLL」水曜担当。

公明、選択的夫婦別姓導入へ「自民を説得したい」 斉藤鉄夫代表が石破首相に働きかけへ
2024/11/15 0:06
https://www.sankei.com/article/20241115-HATOQ6BEZBPO5JWYW4R7HQG55I/
公明党の斉藤鉄夫代表は2024年11月14日のBS11番組で、選択的夫婦別姓制度導入に向け、石破茂首相に働き掛ける意向を示した。
「首相を通じ、自民党を説得したい」
「世界の大勢を見ても進めていくべきだ」
と述べた。
立憲民主党が、関連法案の審議が見込まれる衆院法務委員会の委員長ポストを確保したことに関し
「実現に向け状況が1つ進んだ」
と強調した。
選択的夫婦別姓制度を巡っては、自民内の保守系議員を中心に慎重論が根強い。
首相は2024年9月の総裁選で導入に前向きな考えを示していたものの、首相就任後は
「更なる検討が必要だ」
と述べるにとどめている。

立民、参院選での女性議員増へ方針確認 衆院選で党派別最多 辻元清美氏「がんと増やす」
2024/11/13 19:42
https://www.sankei.com/article/20241113-7QS6PF5UA5IARLISZQCHYKGJTI/
立憲民主党は2024年11月13日、ジェンダー平等推進本部の総会を国会内で開き、来年2025年夏の参院選で女性議員の増加を図る方針を確認した。
先の衆院選では党派別で最多となる30人の女性議員を当選させた。
総会には初当選組を含めて女性議員が多く集まり、選択的夫婦別姓の早期実現を目指すことも申し合わせた。
辻元清美本部長は冒頭
「来年2025年の参院選で女性議員をがんと増やすため力を合わせよう」
と強調。
候補者擁立の取り組みに加え、女性議員が全国各地で支持の掘り起こしに努めるよう呼び掛けた。
党がまとめた選択的夫婦別姓の導入法案についても内容を再確認し、辻元氏が
「公明党や自民党議員も賛同して、提出者に名前を連ねてほしい」
「幅広く呼び掛けて成立させたい」
と訴えた。
立民は衆院選の女性候補発掘に注力してきた経緯がある。
党公認で国政選挙に初挑戦する女性に100万円を貸し付ける制度を設けるなど支援体制を整えてきた。

夫婦別姓「広く理解進むこと大事」 鈴木法相が就任会見 個人的な賛否は差し控える
2024/11/12 15:13
https://www.sankei.com/article/20241112-OOYOQ6NCGNJCJID36ROF2HUHAY/
鈴木馨祐法相は2024年11月12日、法務省で就任記者会見を行い、選択的夫婦別姓制度の導入に関し
「国民、国会議員の間で議論頂き、より広く理解が進むことが大事だと思う」
と述べた。
個人的な賛否は差し控えるとした。
未執行のまま2年以上が過ぎた死刑制度については、人命を絶つことになるため慎重さが求められるとしつつ
「確定した刑の執行が厳正に行われることは極めて大事だ」
と堅持する姿勢を示した。
静岡県一家4人殺害事件で死刑が確定していた袴田巌さん(88)を無罪とした再審制度の在り方には
「丁寧な検討が必要だ」
と話すにとどめた。
外国人材の受け入れを巡っては、技能実習に代わる新制度
「育成就労」
が令和9年にも始まる。
労働者が自国の送り出し機関に手数料を徴収されるといった現状の課題を挙げ
「人権に関する問題を解決し、魅力ある制度にしていきたい」
と意気込んだ。

<主張>第2次石破内閣 外交安全保障を忘れるな 信なき首相の続投は残念だ
社説
2024/11/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20241112-BIB4HX3FOBIO3FPQQTDDUGYGJY/
野田氏は衆院法務委員長を得たのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだとSNSで明かし、
「自民党を揺さぶるには非常に効果的だ」
とも語った。
石破首相と自民は、家族や社会の有り様に関わる基本問題の変更は絶対に受け入れてはならない。

立憲民主の野田代表「選択的夫婦別姓の実現が狙い」、衆院法務委員長ポスト確保
2024/11/8 23:26
https://www.sankei.com/article/20241108-4DYXZXLZN5KD7NKNCCJ4PQ5R7Q/
立憲民主党の野田佳彦代表は2024年11月8日、党のX(旧ツイッター)の動画で、衆院法務委員長のポストを確保したのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだと明らかにした。
「野党は協力できると思うし、公明党も多分賛成だ」
「自民党を揺さぶるには非常に効果的な委員会だ」
と語った。
立民は、選択的夫婦別姓を審議する法務委員会の委員長ポストをどうしても獲得したかったため、常任委員長の割り当てを減らしたと説明。
「ぜひ採決まで持ち込みたい」
「楽しみにしてほしい」
と予告した。

衆院議長に自民額賀氏、副議長は立民玄葉氏 常任委員長ポストは与党10、野党7で確定
2024/11/8 13:46
https://www.sankei.com/article/20241108-MSJTCVDPVNL5RLCQDWU7S5ACE4/
衆院は2024年11月8日、各派協議会を国会内で開き、議長に再選となる自民党の額賀福志郎氏、副議長に立憲民主党の玄葉光一郎氏を推す方針を確認した。
特別国会召集日の2024年11月11日に本会議で選出される。
与野党は会期を2024年11月14日までの4日間とし、2024年11月11日に首相指名選挙を実施する日程でも合意した。
衆院選での与党過半数割れを受けて17ある常任委員長ポストの配分を見直し、与党10、野党7で確定した。
予算案を審議する予算委員会の委員長は立民に割り当て、本会議の日程や議事を決める議院運営委員長は自民が引き続き担う。
衆院選前は自民が13の委員長ポストを占めていた。
当初は与党9、野党8で調整していたが、立民が2つを手放す代わりに法務委員長ポストを得た。
選択的夫婦別姓の導入に関する議論を促進する狙いがある。
憲法審査会の会長ポストは野党に割り当てた。
立民が確保する。
自民などが目指す憲法改正に向けた議論に影響が出る可能性がある。

高橋洋一「日本の解き方」
衆院選「漁夫の利」で議席大幅増、野田立民への不安 政策は増税と引き締め路線、実行すれば失業者が多発する
2024.10/30 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241030-VOULLRI2FZLU3PKFXVAAN4MGSM/
立憲民主党が衆院選で議席を大幅に増やした。
今後、国内政策や外交、経済にどんな影響が出るだろうか。
衆院選では、
「人気が高い」
と思われていた石破茂首相が、発言のブレや解決済みの
「政治とカネ」
を蒸し返す戦術ミスなどで火だるまになった。
そこで漁夫の利を得たのが野党第一党の立憲民主党だった。
今回の選挙戦は、争点が
「政治とカネ」
の問題に終始し、経済政策や外交・安保に割く時間が少なかった。
そもそも首相就任から、衆院選までの期間も短かったので、政策論は生煮えだった。
相対的に浮上した立憲民主党だが、その政策は、とても褒められたものではない。
本コラムでも指摘したが、野田佳彦代表は、金融所得課税の強化や法人税の引き上げもあり得ると述べた。
金融政策についての見解もひどく、日銀の物価安定目標を
「2%」
から
「0%超」
に変更するとしている。
インフレ率が0〜2%なら、失業率が最低水準であるNAIRU(インフレを加速しない失業率)を示す2%台半ばをかなり上回ってしまう。
恐らく120万人くらいの職が失われるだろう。
また、低いインフレ率だと、名目賃金上昇率がインフレ率を下回ることもしばしばある。
このため実質賃金の上昇率がマイナスになりがちだ。
「最低賃金1500円以上」
も掲げているが、これが無理筋なのは本コラムで何度も書いている。
こうしてみると、立憲民主党の政策は、かなり石破政権と似ている。
率直に言えば、石破自民と野田立民の政策が接近している。
選択的夫婦別姓や原発に依存しない社会の実現、日米同盟が外交安保の基軸だとしつつ、安全保障関連法に関しては違憲部分の廃止を掲げ、外交や安全保障は、極端に180度すぐ変えることは出来ないとし、現状維持を滲ませている。
このように、左傾化している石破政権と、右傾化した野田立民は、政策が驚くほど似ている。
もし、石破政権が今後も続くのであれば、大連立もあり得るかもしれない。
そうであれば、野田立民の政策はかなり実現するだろう。
しかし、衆院選で石破政権が自滅したので、自民党内の政治力学からいって、石破政権がこのまま継続するというのはなかなか考えにくい。
政治は一寸先は闇なので、どのような政界再編が待っているのか予測するのは困難だ。
石破政権が生き残りのために、敢えて野田立民との大連立を仕掛けてくる可能性もゼロではない。
いずれにしても、野田立民の衆院選後の影響力は、政界再編の枠組みによって異なってくる。
石破政権が潰れれば大連立はないとみられるが、その場合でも与党の議席は少ないので衆議院選で一定の議席を得た立憲民主党の影響力は間違いなく増すだろう。
今回の衆院選は、左派の石破自民にお灸を据えるために、右傾化した野田立民に投票したという面があるのではないか。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

選択的夫婦別姓「国民の理解を」 三原じゅん子男女共同参画担当相
2024/11/1 16:40
https://www.sankei.com/article/20241101-S5WZR6GNFBNGPABRN2WABUZFB4/
三原じゅん子男女共同参画担当相は2024年11月1日の記者会見で、国連の女性差別撤廃委員会が導入を勧告した選択的夫婦別姓制度について
「今の制度を否定するものではなく、国民の理解が深まるよう情報提供を行いたい」
「引き続き議論を後押ししたい」
と述べた。
三原氏は、選択的夫婦別姓制度は
「夫婦が同一の氏を称することを望む場合には、現在と同様に、夫婦が同氏を称することを認める制度だ」
と改めて説明。
「(夫婦同姓の強制により)各方面から指摘されている不便さや不都合への対応などを検討する」
とも語った。

<主張>皇位継承への干渉 政府は国連の暴挙許すな
社説
2024/11/1 5:00
https://www.sankei.com/article/20241101-VOPXN7QVPNKBZFEQF3CGTN3BRU/
国連の女性差別撤廃委員会が、日本の皇位が男性皇族によって継承されているのは女性差別撤廃条約と相容れないとして、皇室典範改正を勧告した。
日本の女性政策に関する最終見解に盛り込んだ。
この勧告に法的拘束力はない。
主権国家における君主の位の継承は国の基本に関わる。
国外勢力が決して容喙(ようかい)してはならない事柄だ。
「女性差別」
と関連付けた勧告は誤りと悪意に満ちた内政干渉であるのに加え、日本国民が敬愛する天皇への誤解や偏見を内外に広める暴挙で断じて容認できない。
林芳正官房長官は会見で
「大変遺憾だ」
「委員会に強く抗議すると共に削除を申し入れた」
と語った。
林氏は、皇位継承の資格は基本的人権に含まれず、条約第1条の女子への差別に該当しないと政府が説明してきたにもかかわらず、委員会が勧告したことを明らかにした。
抗議と削除要請は当然だが、それだけでは不十分だ。
削除に至らなければ、国連への資金拠出の停止・凍結に踏み切ってもらいたい。
条約脱退も検討すべきである。
委員会は国連総会が採択した女性差別撤廃条約により設けられ、弁護士や学者、女性団体代表ら23人の委員が締約国の女性政策への勧告を行っている。
ローマ教皇には男性が就くが、バチカン市国は締約国でないため勧告対象から外れている。
委員会が日本の皇室を理解していないのは明らかだ。
男系男子による継承は皇位の正統性に直結している。
この継承原則が非皇族による皇位簒奪(さんだつ)を妨げてきた意義は大きい。
また、一般男性は皇族になれないが、一般女性は婚姻により皇族になれる点からも、女性差別との決めつけが如何に不当か分かるはずだ。
歴史や伝統が異なる他国と比べるのも論外である。
委員会は2016年にも皇室典範改正を最終見解に盛り込もうとしたが、日本政府の強い抗議で削除した。
今回そう出来なかった点を政府は猛省し、対策を講じてもらいたい。
最終見解では、夫婦同姓を定めた日本の民法も
「差別的な規定」
とし、選択的夫婦別姓の導入を勧告した。
これも日本の文化や慣習に無理解かつ傲慢な内政干渉という他なく、女性差別という誤った文脈で語られるのは許されざることだ。

家族観揺るがす「選択的」夫婦別姓 ファミリーネームを守ろう
風を読む 論説副委員長・川瀬弘至
2024/10/26 10:00
https://www.sankei.com/article/20241026-2UX5TUHXUFNMRL43R474FGD3TM/
国連の女性差別撤廃委員会が2024年10月中旬、日本の女性政策に関する会合を開き、選択的夫婦別姓などについて審査した。
近く最終見解をまとめ、日本に法改正などを勧告する可能性が高いという。
内政干渉であり、余計なお世話だと言いたいところだが、今回の衆院選でも選択的夫婦別姓の導入を訴える候補者は多い。
選挙後の国会で焦点となるのは必至だろう。
だが、
「選択的」
という言葉に誤魔化されてはならない。
導入派は夫婦同姓の現行制度を、女性差別だと主張しているからだ。
現行でも夫か妻の姓を
「選択」
できる。
にもかかわらず女性差別になるなら、同姓を
「選択」
しても女性差別と言われかねない。
もしも選択的夫婦別姓が導入されればどうなるか。
別姓を
「選択」
せよと、社会的圧力が確実に増す。
ファミリーネームが喪失し、子供の姓もバラバラになる。
家族の一体性という、日本人の倫理観の根底にあるものが崩れてしまうのだ。
政府は、現行制度のまま旧姓の
「通称使用」
拡大を進め、住民票や運転免許証、パスポートなどに旧姓を併記できるようにしてきたが、抜本的な解決策ではないと批判する別姓論者の鼻息は荒い。
この問題に詳しい弁護士の高池勝彦氏によれば、現行制度を合憲としてきた最高裁の判断が覆り、通称拡大でも違憲となる恐れがあるという。
そうなれば万事休すだ。
選択的夫婦別姓を回避し、家族の一体性を守る策はないか。
「1つある」
と、高池氏は言う。
「婚前氏(こんぜんし)続称制度」
を新設するのである。
結婚する際に旧姓(婚前氏)の使用継続を届け出れば、戸籍にその旨を記し、公的にも使用できるようにする案だ。
ただし戸籍上の
「氏」
は夫婦同じで、別姓ではない。
子供の学校行事などはファミリーネームで、仕事は旧姓でと、使い分けることができるように民法を改正するのである。
婚前氏続称制度の新設は、数年前から稲田朋美元防衛相が提唱している。
稲田氏はLGBT法推進などで保守派の反感を買い、この案も保守派には余り浸透していないようだが、検討する価値はあるだろう。
このままではファミリーネームを守れないと、保守派は肝に銘じたい。

自民党総裁選の失敗…なぜ「夫婦別姓」だったのか 阿比留瑠比
正論10月号 「政界なんだかなあ」
2024/10/2 7:00
https://www.sankei.com/article/20241002-UZSDGX2IWZFGXM6JFOTIFZEOHU/?outputType=theme_monthly-seiron
今回の自民党総裁選で、1つの争点として再浮上した問題が、選択的夫婦別姓を認めるか否かだった。
私は元々こうした家族や性の在り方といった心に関する問題に、政治が介入するのは極めて慎重であるべきだと考えるが、次期衆院選が近い現在、わざわざこの問題を持ち出すのは政治的にも下手なやり方だと感じた。
私は本誌の令和5年4月号で、安倍晋三元首相がこの問題と政治家の
「大局観」
について、次のように話したエピソードを紹介したのでその部分を再掲する。
《建前とはいえ保守政党を名乗る自民党が、時代の流れだからとばかりに安易にリベラル派に同調することは、政治的にも愚策ではないか。
安倍氏は嘆いていた。
「LGBT問題や夫婦別姓に関しては、野党側ははなから一枚岩なんだから、自民党が揉めている姿を晒しても野党を利するだけではないか」
「そういう大局を見渡せる政治家が今は少ない」
活動家たちは、自民党議員が自分たちの意見を取り入れたら拍手喝采はするだろうが、決して自民党には投票しない。
「多様性を巡る象徴的なテーマである選択的夫婦別姓を認める決断をすれば自民党は道が開けるのではないか」
小泉進次郎元環境相は神奈川新聞のインタビューでこう述べていたが、これこそ典型的な勘違いだと言える。
左にウイングを延ばしてもそこに票田はない。
選択的夫婦別姓もまた、別姓を選んだ夫婦と同姓を選んだ夫婦との間で心理的な断絶を生みかねない。
安倍氏は岸田文雄首相について、こう語っていた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に『(片方の親とは別姓になる)子供の視点が全然ない』と話していた」》
それから僅か1年半後、小泉氏は選択的夫婦別姓を主要政策の1つに掲げて総裁選に出馬した。
恐れていた通りに事態が進展したのである。
リベラル政策を推進する一部自民党議員の頑迷さには、ほとほと手を焼く。
自民党がLGBT法や選択的夫婦別姓問題で立憲民主党など野党と同じか近いスタンスを取るならば、自民党の存在意義自体が問われることになるのが、どうして分からないのか。
■基本的な事実誤認
小泉氏は9月6日の出馬表明記者会見で、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
を掲げて明言した。
「経済界も早急な対応を求めている」
「最近の世論調査を見れば、選択制であれば別姓という選択肢を認めてよいのではないかという意見が増えている」
「1人1人の願いを聞かず議論を続けて30年」
「もう議論ではなく決着をつける時ではないだろうか」
「私が首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的な議論を進める」
「(1年以内に)30年以上議論を続けてきたこの問題に決着をつけ、1人1人の人生の選択肢を広げる」
「党議拘束をかけずに、この法案の採決に挑む」
「旧姓使用で対応可能なのではないかという声は、私も承知している」
「ただ、多くの金融機関では旧姓で銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、不動産登記ができない」
「契約書のサインも認められない場合がある」
「研究者については、論文や特許の取得時に戸籍上の氏名を用いる必要があって、旧姓は利用できないということだ」
この小泉氏の言葉に対しては、やはり総裁選に出馬していた高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾たかし前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
として、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
「研究者は、論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須」
などと書かれていた。
小泉氏は選択的夫婦別姓の推進理由について
「経済界も早急な対応を求めている」
と話しており、やはり経団連の提言を見たのであろう。
9月10日に行われた立憲民主党の4人の立候補者と党所属女性議員との討論会でも、4人全員が選択的夫婦別姓に賛意を示した他、そのうちの1人である野田佳彦元首相がこう述べていた。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
更に、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(7月14日号)も1面トップ記事で
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げている。
間違いを流布した経団連の罪は重く、結果的に小泉氏に恥をかかせたことになる。
実際には、高市氏らが指摘したように事実関係は以下の通りである。
一、今年4月から「旧姓併記」での不動産登記が可能。
一、令和3年10から「旧姓併記」での特許申請が可能。
一、全国の6割の銀行や信用金庫で旧姓名義の口座開設が可能。
一、世界で1000万人が利用するORCID(オーキッド)システムへの登録により、「旧姓」や「別名」でも論文発表が可能。
つまり、経団連や小泉氏がいう旧姓(通称)使用による不便さの多くは既に解消されているか、徐々に解消へ向かうかしているというわけである。
■子供への配慮がない
また、小泉氏は
「議論を続けて30年」
になるから決着を着けると言うが、30年も決着が着かなかったのにはそれだけの理由があるからだろう。
人の心や家族の問題を、何でも簡単にぶった切ればいいというものではない。
この点について今回の総裁選で注目すべき論点を挙げたのが上川陽子外相だった。
上川氏は9月14日の日本記者クラブ主催の討論会で、選択的夫婦別姓には
「個人的には賛成」
だとしつつ、次のように慎重論を説いていた。
「社会が分断をしてしまう」
「深い分断に陥る危険性、リスクについては、しっかりと納得をしていくプロセス、これを更に深めていく必要があるのではないか」
「こういった1つの事柄で社会全体が分断をしてしまうような案件を賛成反対、更には分断をしてしまうのではないかという状態を残したまま、決定してしまうということは、日本の国の力を削ぐことにも繋がりかねない」
これは冒頭に紹介した安倍氏の言葉にも通じる所があり、的を射ている。
実際、選択的夫婦別姓問題が浮上する度に自民党は分断を繰り返してきた。
それが法案を提出して採決となれば、日本社会全体に対立の構図を新たに作ることになってしまう。
もしこれが成立し、施行されれば夫婦同姓を選ぶか、別姓を選ぶかという対立軸も生まれる。
別姓を選んだら民主的・進歩的で、同姓派は守旧派呼ばわりされる場面も出てきそうである。
家同士、親族同士の対立も容易に想定できる。
夫婦別姓となれば、必然的に片方の親とは別姓になる他、制度の組み立て方によっては兄弟で別姓ということもあり得るが、それを子供がどう受け止めるという問題も重要である。
また、安倍氏が岸田氏の言葉として紹介した
「子供の視点が全然ない」
のが、これまでの夫婦別姓論議だったが、今回の総裁選でそこを小林鷹之元経済安保担当相が指摘したのも良かった。
9月15日の討論会ではこう語った。
「令和3年に内閣府がやったアンケートに、調査によってもその同姓を維持すべき方と、同姓を維持しつつ旧姓の通称使用を法制化するという方、これが4割ぐらいいる」
「そこを合わせると7割いる」
「そういうまだコンセンサスが形成されてない中で、早急にばんと決断するということは、政治の在り方として適切ではない」
「重要なのは大人の選択の権利を認めるにしても、生まれてくる子供たちの視点を、私たち政治家は無視してはいけない」
「家族、兄弟姉妹の中で姓が異なる家庭が出てくる可能性がある以上、そうした子供たちの視点にも立って慎重にコンセンサスを丁寧に粘り強く作っていくのが政治の本質だ」
この当事者である子供の視点に関する議論が、これまで政治家の公の場での議論やマスコミで取り上げられることはほとんどなかった。
経団連のような経済合理性だけで割り切れる話ではそもそもないのである。
■思考の深さが見える
ちなみに小林氏が挙げた内閣府の調査
「家族の法制に関する世論調査」
では、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.9%にとどまっている。
一方、
「夫婦同姓制度を維持した方がよい」(27.0%)

「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」(42.2%)
で、夫婦同姓制度の維持派が7割近くに達する。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては、
「好ましくない影響があると思う」が69.0%で、
「影響はないと思う」は30.3%にとどまる。
今回の総裁選に当たり、読売新聞が9月13日から15日まで実施した世論調査でも、夫婦の名字に関し同様の傾向が表れている。
それによると、
「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称として結婚前の名字を使える機会を拡大する」(47%)

「夫婦は同じ名字とする今の制度を維持する」(20%)
を合計すると67%で7割近くとなる。
「法律を改正して、選択的夫婦別姓制度を導入する」は28%
と、内閣府の調査と符合する。
小泉氏が出馬表明記者会見で述べた
「最近の世論調査」
とは何を指すのだろうか。
しかも子供に対して直接意見を聴いた世論調査は寡聞にしてほとんど知らないし、見当たらない。
このこと自体が、これまでの選択的夫婦別姓論議の根本的な偏りを示しているといえよう。
ただ、NHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)の
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問が一問だけあり、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「自分の名字でも、相手の名字でも、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を、相手の名字に変えたい」
という積極的な改姓派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%にとどまっていたのである。
そんな子供らが、果たして
「片親別姓」

「兄弟別姓」
を望むだろうか。
わざわざ日本からファミリーネームを消し去ることに何の意味があるのだろうか。
高市氏は既に平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出している。
これを成立させれば、国、地方公共団体、事業者などに通称使用のための
「必要な措置」
を講ずる責務があるとの法的根拠が生まれる。
また、総裁選立候補者の加藤勝信元官房長官も産経新聞のインタビューにこう答えている。
「『旧姓続称制度』を提案した」
「法律に旧姓使用を書き込むことで政府の様々な手続きで『旧姓でよい』という形にする」
「家族制度の基本はしっかり守り、今ある不都合を解消していく」
旗色が悪くなったと感じたのか、小泉氏は9月15日には産経新聞のインタビューで、高市氏が求める旧姓の通称使用法案も同時に国会で採決する可能性も排除しない考えを示した。
このままでは自民党議員、党員の中に少なくない選択的夫婦別姓反対・慎重派の票が逃げるとみたのだろうが場当たり的である。
それぞれの候補が、物事をどれくらい考えているかが分かる総裁選でもあった。
(月刊「正論」11月号から)
あびる・るい

<正論>自由主義からの「夫婦別姓」反対 
青山学院大学教授・福井義高
2024/9/20 8:00
https://www.sankei.com/article/20240920-VE7CYZ4YORI6LLBAB6DFBHQXSM/
■本来のリベラルの立場から
自民党総裁選でにわかに争点化された選択的夫婦別姓を巡っては、導入賛成のリベラルと同姓維持を求める保守の対立という構図で語られるのが通例である。
しかし、ここでは、夫婦同姓は日本国憲法の思想的基盤でもある古典的自由主義即ち本来のリベラルの立場からも支持できるものであることを示す。
何かと国家(ステート)を利用して自らの主張を実現しようとする今日、リベラルと呼ばれる人たちと異なり、本来のリベラルは国家に懐疑的であり、特定の設計図に基づいて社会を改造しようとすることは、人知を超えた傲慢とみなす。
我々の予測能力は極めて限定的であり、新たな制度を導入した場合、意図しない結果が生じることがむしろ常なのである。
現行制度は何かと欠点が目立つ一方、新しい制度はメリットばかりが強調される。
しかし、郵政民営化などと違い、家族に関する制度の変更は、事前には想定できなかった大きなデメリットが明らかになっても後戻りできない。
従って、その変更にはより慎重であるべきで、旧姓の広範な使用など、夫婦同姓を維持したまま柔軟に対応することこそ、本来のリベラルが取るべき道であろう。
異性間であれ同性間であれ、個人の感情の問題に国家が関与すべきではない。
法制度としての結婚は、個人間の愛情を国家が承認するためのものではなく、家族という社会の基本単位を法的に保護し、子供の健全な発達を支えるためのものである。
本来のリベラルは、共同体を維持発展させるための道具に過ぎない国家を相対化し、その暴走を防ぐためにも、個人と国家の間に様々な中間団体が並立することが不可欠と考える。
その中で最重要な存在が核家族なのだ。
尚、家族の在り方が多様化した米国でも、事実婚ではなく正式に結婚した実の両親と一緒に暮らすことが子供の発達に最善というのは、実証研究のコンセンサスとなっている。
■別姓下の究極の女性差別
基本単位を家族ではなく核家族としたのは、あくまで夫婦(両親)と子供で1つの単位であり、祖父母など親類はその外側に位置する2次的な存在だからである。
夫婦別姓の導入は、家制度的発想に基づき、子供の姓を巡って、こうした外側からの介入を促すことになろう。
同じ儒教圏として日中韓台を文化的に同一視する見方があるけれど、夫婦同姓の日本には、日本より遥かに家系を重視する別姓の中韓台で深刻な問題となった究極の女性差別も存在しない。
医療技術の進歩で出生前に性別が分かるようになったため、中韓台では女児に限り中絶することが男女比を大きく歪める(男児過多・女児過少)ほどの規模で行われるようになったのである。
儒教的家族観が一定の影響を持つ日本では、夫婦同姓はむしろ女性の立場を守るとも言える。
進化心理学、行動遺伝学の観点からも、女性を守る家族制度という点が重要である。
とはいえ自らの主張を絶対視しないのが、本来のリベラルの立場である。
夫婦別姓の是非を巡っても同様で、最後は民意に基づき決めるのがあるべき姿であろう。
■エリートの家族観との乖離
議会制民主制においては、直接投票で選ばれる議会を通じた間接的政治決定が原則である。
しかしメディアのみならず、行政や司法を通じたエリートによる価値観の押し付けが顕著な今日、これまでデモクラシーにおける懸念事項とされてきた大衆の暴走ではなく、民意と乖離したエリートの暴走の抑止が重要となってきている。
従って、財政や国防などと違い、イエスかノーかで答えることができる価値観に関わる問題については、国民に直接問うことが望ましい。
今日のエリートと一般国民の価値観の乖離の大きさを示す実例が、2024年3月にEU加盟国であるアイルランドで行われた、家族・子育てに関する条項の憲法改正に伴う国民投票の顚末である。
議会を通過した改正案は大きく3つからなる。
まず結婚に基づく家族を国家の保護対象とするという条項に、結婚に限定せず別の家族の在り方も含める。
また家庭(ホーム)における女性の貢献が不可欠という条項から、女性と家庭という言葉を削除し、家族のメンバーによるケアと書き換える。
そして母親が経済的必要性から家庭での務めを犠牲にすることがないよう国家が配慮するという条項を削除するというものである。
要するに日本とも共通するエリートのコンセンサスである「新しい」家族観の明文化である。
ところが、投票結果は反対が賛成の倍以上となり、民意によって憲法改正は退けられたのだ。
選択的夫婦別姓に限らず、価値観に関わる問題については、賛成反対どちらの立場であっても、国民投票で決めるのであれば、しこりを残すことなく、ほとんどの国民は、その結果に納得するのではなかろうか。

自民総裁選「選択的夫婦別姓より、話すべきことあるはず」 仏紙東京特派員アルノー氏
2024/9/18 11:04
https://www.sankei.com/article/20240918-EOERMIHNK5CJDICIHRLTD4UJGA/
自民党総裁選を知日派の外国人はどう見ているのかー。
フランスの主要紙フィガロの東京特派員、レギス・アルノー氏が産経新聞のインタビューに応じ、
「日本にとって真に重要な問題が議論されていないことに驚く」
と候補者討論に疑問を呈した。
ーー総裁選をどうみる
今の日本が直面する重要問題が全く討議されていないと感じる。
人口減少に伴い、移民受け入れはどうするのか。
秋になっても連日、気温が30度を超える異常気象が続き、エネルギー計画も喫緊の課題となっている。
国民はスーパーで主食のコメが買えずにいるというのに、どうしたことか。
候補者討論では『選択的夫婦別姓』が議題になった。
しかし、誰も戸籍制度をなくすとは言わない。
小手先の改革なら、他に話すことがあるだろう。
衣料品店『ユニクロ』を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が『このままでは日本人は滅びる』というほど、国を取り巻く環境は深刻だ。
■変わり映えしない政治…「以前は違った」
ーー自民党政治については
総裁選は『次の首相』を選ぶ重要な選挙だが、国民は投票できず、まるで水族館の水槽を眺めているように見える。
パリの編集部に記事を売り込んだら、『結果を書けばよい』と言われた。
変わり映えのしない自民党政治に対し、フランスで関心は極めて薄い。
自民党も以前は違った。
2000年代、小泉純一郎首相(当時)は『自民党をぶっ壊す』と言い、公約の郵政改革を進めて国民の支持を集めた。
皇室改革論議も始まり、二階俊博幹事長(同)は女性天皇の容認に踏み込んだ。
現在、小泉進次郎元環境相は党内リベラル派と言われるが、皇位継承の在り方を巡って明確な発言を避ける。
他の候補も同じだ。
批判されるのが怖いのだろうか。
野党は政権奪回の兆しすら見えず、現状ではNGO(非政府組織)と変わらない。
ーー日本の現状をどうみる
新型コロナウイルス流行後、非常に保守的になったと感じる。
内向きになったということだ。
コロナ対策で日本は欧州のように都市封鎖をせず、皆が行動を自制することで乗り切った。
結束の強さは安全な社会を作る一方、異論を嫌う性格を強めた。
民主主義国家なのに、環境保護や女性の権利を声高に訴えると、社会で孤立を強いられる。
移民については門戸を閉ざしたままで、姿勢はフランスの極右に近い。
レギス・アルノー氏
仏紙フィガロ東京特派員。
日仏2カ国語ビジネス誌「フランス・ジャポン・エコー」編集長。
著作は「誰も知らないカルロス・ゴーンの真実」(2020年、共著)など。

選択的夫婦別姓は争点か 銀行、国家資格、パスポート…「不都合な状態」ほぼ解決済み
2024/9/17 14:26
https://www.sankei.com/article/20240917-FMNXIISCNJA3DAR4V52ZK4FYHM/
自民党総裁選に立候補した小泉進次郎元環境相が表明したことによって、一大争点のようにメディアで取り扱われ始めた選択的夫婦別姓制度導入。
小泉氏は
「長年議論して決着がついていない」
と言うが、自民党は過去の国政選挙の公約などでは結婚前の旧姓(戸籍名)使用の幅広い導入を掲げ、実現してきた。
そもそも争点化されるべきテーマなのか。
夫婦別姓をめぐる議論は、働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証などの旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
内閣府男女共同参画局が令和6年6月27日付で出した
「各種国家資格、免許等における旧姓使用の現状等について」
によると、2024年5月31日現在、320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格は
「資格取得後に改姓した場合は旧姓使用ができる」
となっており、旧姓使用ができないものはゼロだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも既に旧姓併記ができるようになっている。
パスポートは
「旧姓/Former surname」
の説明が付記される。
一方、夫婦別姓の導入を呼びかけている経団連が2024年6月に出した資料には
「ビジネスの現場における通称利用の弊害例」
がある。
一部の弊害例に対する現状は次のとおりだ。
【例:多くの金融機関では、ビジネスネームで口座をつくることや、クレジットカードを作ることができない】
多くの金融機関ではできる。
令和4年3月に内閣府と金融庁が金融機関に行った
「旧姓による預金口座開設等に係るアンケート」
によると、銀行の約7割、信用金庫の約6割が、旧姓名義による口座開設と、婚姻などで改姓した場合、既存口座の旧姓名義による取引を認めていると回答した。
信用組合は1割超にとどまっているが、これは
「共同センターのシステムが未対応となっていることなどから」
という。
【例:通称では不動産登記ができない】
2023年の法務省令改正により、旧姓併記でできるようになった。
【例:研究者は論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須であり、キャリアの分断や不利益が生じる】
旧姓での論文執筆はほとんどの研究機関で認められている。
特許出願については旧姓併記が可能になったが、旧姓のみでの出願はできない。
■まずは周知徹底を
一方、2024年8月24日配信の共同通信によると、主要企業111社に実施したアンケートで、選択的夫婦別姓を
「早期に実現すべきだ」との回答は17%、
「将来的には実現するべきだ」は4%
で計21%にとどまった。
「結論を急がず慎重に議論を進めるべきだ」(9%)、
「夫婦同姓を維持した上、通称使用の法制度を設けるべきだ」(3%)
といった回答は計12%で、
67%は「その他・無回答」だった。
経団連が制度導入に前向きであるにもかかわらず、アンケートは傾向が違った。
共同通信も
「個別企業では慎重な姿勢が根強く、無回答も目立つ」
と伝えている。
もっとも、こうした旧姓使用や旧姓併記が完全に周知されているとは言えない。
政府は引き続き周知を行う必要がある。
また、経団連は金融機関をはじめとする会員企業にまずは旧姓併記の対応を促すべきではないのか。
親子間で姓が異なってしまうことも、更に議論が必要だ。
「選択的」
とは、あくまで夫婦の選択であり、生まれてくる子供に選択の余地はないまま
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
婚姻は
「両性の合意に基づく」
と憲法に書かれているとはいえ、別姓をめぐって双方の両親などを巻き込むトラブルに発展するケースもないとは言えないだろう。

<主張>自民総裁選告示 日本を守る政策競い合え 「夫婦別姓」には賛成できない
社説
2024/9/13 5:00
https://www.sankei.com/article/20240913-3EWZIUNIWVKNJGCH5AYNPRJ2LM/
自民党総裁選が告示され、過去最多の9人が立候補した。
多くの派閥が解散を決め、名乗りを上げやすい環境になったことなどが背景にある。
投開票は27日で、岸田文雄首相の後継選びだ。
有権者である自民党の国会議員と党員・党友には、1億2千万人が暮らす日本の舵取り役には誰が最も相応しいかを考え、投票してもらいたい。
目先の人気投票は禁物である。
世界は激動の時代を迎えている。
日本は、反日的で核武装している専制国家の中国とロシア、北朝鮮に囲まれている。
■転換期を担う自覚持て
ロシアが侵略するウクライナ、紛争の絶えない中東を除き日本は世界で最も厳しい安全保障環境にある。
冷戦期の東西対立の最前線は欧州だったが、現代のそれは日本を含む北東アジアである。
先進7カ国(G7)の一員である日本には、自国の防衛に加えて、地域と世界の平和と秩序を守る責務がある。
経済では、成長力強化が急務だ。
「失われた30年」
とされる長期停滞から真に脱却できるかが問われている。
人口減少への対応や持続可能な社会保障制度の改革も待ったなしだ。
候補者は重大な転換期に政権を担う自覚を持ち、志と具体的な政策を語らねばならない。
早期の衆院解散・総選挙が想定されるが、聞こえのよい政策を羅列するだけでは無責任の誹りを免れない。
選挙後の政権運営の構想と実行力こそが重要だ。
今や、誰が首相になっても同じという時代ではない。
安倍晋三元首相は
「自由で開かれたインド太平洋」
構想を世界に提示し、限定的ながら集団的自衛権の行使容認を実現した。
菅義偉前首相は米国と共に
「台湾海峡の平和と安定の重要性」
を打ち出した。
岸田文雄首相は5年間の防衛費43兆円、反撃能力の保有を決め、防衛力の抜本的強化を開始した。
彼らの決断と行動がなければ日本は中国や北朝鮮の脅威、ロシアのウクライナ侵略を前に立ち往生していただろう。
候補者は岸田氏が語った
「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」
という危機感を共有し、安倍氏以来の外交安保政策の確実な継承と発展を約束すべきである。
高市早苗経済安全保障担当相が提案した内閣情報局、内閣情報会議創設は日本と国民の安全を高めるだろう。
台湾有事は令和9(2027)年までにあるかもしれないと懸念されている。
抑止力と対処力向上へ残された時間は短く、理念的な法改正に走っている余裕はない。
米国との同盟や有志国との協力を強めつつ、地に足の着いた防衛、国民保護策を推進すべきである。
一方で、千年、二千年の視野で日本を守るため、安定的な皇位の継承策を整えたい。
岸田内閣は、男系男子による継承を堅持する内容の報告書を国会へ提示した。
自民は報告書に賛同している。
男系(父系)継承を一度の例外もなく貫いてきた皇統を守らねばならない。
■男系継承の皇統を守れ
憲法改正は自民の党是だ。
自衛隊明記や緊急事態条項創設などをいつまでに実現したいかを語ってほしい。
首相になっても憲法改正を論ずるのは何の問題もない。
公明など他党を説得していく決意も披露すべきだ。
北朝鮮による拉致被害者全員救出の強い決意を示すことが求められよう。
争点の1つに選択的夫婦別姓導入の是非がある。
家族や社会の有り様に関わる問題だ。
国民的合意を欠いたまま結論を急げば、社会に分断を招く。
選択的夫婦別姓が導入されれば、姓は砂粒のような個人の呼称へと変貌しかねない。
世代を重ねていく家族の呼称としての姓でなければ、姓を名乗る必要があるのだろうか。
夫婦別姓は片方の親と子の別姓でもある。
祖父母らも絡み、家族の歴史や絆が断ち切られ、戸籍制度も揺らぐ。
「選択的」
と言っても個人の自由の問題ではない。
小泉進次郎元環境相は1年以内に実現したいと語ったが、賛成できない。
旧姓使用の充実で対応できる話だ。
「政治とカネ」
を巡る問題は重要だ。
信頼を回復しなければ自民は強い政策推進力を保てまい。
再発防止や政治資金の透明性確保はもちろん、派閥解散に伴う党内統治の在り方も含め政治改革論議を深めてほしい。
国内外で政治家を狙うテロが相次いでいる。
遊説警備に万全を尽くしてもらいたい。

自民党総裁選で急浮上の夫婦別姓、経団連の間違い
阿比留瑠比の極言御免
2024/9/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20240912-6AWPKWND65P33HQYWVB3XSBWSI/
国会議員と一般国民との意識の乖離を感じることは少なくない。
2023年のLGBT理解増進法騒動の時もそうだったが、議員たちは時に、国民の関心がさほど高くもない問題について、まるで最優先課題であるかのように熱心になる。
今回の自民党総裁選での選択的夫婦別姓問題の急浮上も、その1つだろう。
「旧姓使用のままだと、多くの金融機関では銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、旧姓では不動産登記ができない」
小泉進次郎元環境相は2024年9月6日の出馬表明記者会見でこう述べ、首相に就いたら夫婦別姓を認める法案を国会に提出すると明言した。
そしてこの小泉氏の意気込みに押され、選択的夫婦別姓問題が総裁選の大きなテーマになった感があるが、国民の関心はどうか。
NHKが2024年9月9日に発表した世論調査で、自民党総裁選で最も深めてほしい政治課題として6つの選択肢を挙げた結果が興味深い。
それによると
「年金など社会保障制度」が35%
でトップで
「経済・財政政策」(26%)
が続き、
「選択的夫婦別姓」は僅か1%
で最下位だった。
1%だから無視していいというわけではないが、優先的に取り組むべき喫緊の課題だとは言えない。
また、小泉氏の言葉に対しては高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、2024年4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾敬前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が2024年6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
という図表に、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
と書かれていた。
小泉氏が本当に経団連の資料を基に発言したかどうかは分からない。
ただいずれにしろ、経団連の提言自体が誤った認識に基づいていたことになる。
この2024年9月10日には、立憲民主党の4人の代表選候補者と党所属女性議員との討論会が開かれた。
4人全員が選択的夫婦別姓に賛成している点が立民らしいが、その中で野田佳彦元首相がこう述べているのが気になった。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
この経団連の提言に関しては、2024年7月14日の共産党の機関紙『しんぶん赤旗』も1面トップで
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げていた。
国会は、与野党共に経団連の事実誤認が含まれた提言に影響されているように見える。
このまま国民の42・2%(令和3年の内閣府調査)が求める
「旧姓の通称使用についての法制度」
を無視した形で、
「選択的夫婦別姓」
実現へと突き進むのであれば、国民との意識のズレはさらに増すばかりだろう。

岸田内閣 支持は20%で発足後最低 不支持は60% 政党支持率は
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240909/k10014577111000.html#:~:text=

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

高市早苗氏、通称使用に根拠与える法案を 「選択的夫婦別姓賛成の人は議員立法なかった」
2024/9/10 12:15
https://www.sankei.com/article/20240910-JZ4633HTQJD2FAIGT4GLEI5Y5I/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)に出馬する高市早苗経済安全保障担当相(63)は9日夜、BSフジ番組で、首相就任時に旧姓を通称使用できる措置を国や地方公共団体、公私の団体、事業者に義務付ける
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を政府提出法案として国会に提出する考えを示した。
「この法案が通れば、ほぼほぼ結婚で姓が変わることによる不便はなくなる」
と指摘した。
高市氏は平成14年、令和2年の過去2回、同法案を議員立法として党法務部会に提出したが、党議決定には至らなかった。
その上で、高市氏は
「これまで選択的夫婦別姓に賛成だと仰っていた方々が、自ら議員立法の形で法案を書いて、党政調会に提出していたなら、ともかく、これまで提出されていなかった」
と述べ、選択的夫婦別姓の制度化を主張する党所属議員の手法を疑問視した。
総裁選では、出馬表明した小泉進次郎元環境相(43)が首相就任時の選択的夫婦別姓制度の導入法案の国会提出を明言し、党議拘束をかけない考えを示している。
高市氏は
「そういう方向もあるのだろう」
と述べた上で、婚姻前の氏の通称使用に関する法律案についても
「(党議拘束)かけなくてもいい」
と語った。

高市氏は小泉氏念頭に皮肉も 選択的夫婦別姓導入巡り自民総裁選の立候補予定者が対立
2024/9/9 20:30
https://www.sankei.com/article/20240909-2YNDBMGC35ILBDLNK4HLK6TJDQ/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)で、夫婦同姓か夫婦別姓を選べる
「選択的夫婦別姓制度」
の導入について、立候補予定者の意見が割れている。
9日に出馬を表明した高市早苗経済安全保障担当相(63)は反対の立場で、早期実現方針を表明した小泉進次郎元環境相(43)の事実誤認を指摘した。
党内には慎重論も根強く、賛成派が押し切ろうとすれば分断を生む可能性がある。
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
高市氏は9日の記者会見で、こう語った。
念頭にあるのは6日の会見で
「旧姓では不動産登記ができない」
と発言した小泉氏だ。
高市氏は
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
高市氏は住民票などへの旧姓併記が広がっていることや、旧姓の通称使用の拡大に向けた法案作りに取り組んできたことを挙げ、
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べた。
小林鷹之前経済安保担当相(49)も8月19日の会見で、
「旧姓の併記が認められる制度がある」
「ただ、周知されていないと思うので、もっと周知を徹底する形でニーズに応えたい」
と述べている。
小泉氏は9日、経団連の十倉雅和会長と東京都内で面会した。
経団連は選択的夫婦別姓の実現を政府・与党に働きかけている。
小泉氏は面会後、記者団に
「家族の中で名字が違うことが、家族の絆の崩壊に繋がるというのは必ずしも違うと思う」
と語った。
石破茂元幹事長(67)は6日、東京都内で記者団に
「実現は早ければ早いに越したことはない」
と小泉氏に同調した。
河野太郎デジタル相(61)も8月26日の会見で
「認めた方がいい」
と述べている。
一方、過去に前向きな発言をしたことがある茂木敏充幹事長(68)は今月4日の会見では
「国民の間でも様々な意見がある」
「更なる検討を進めていきたい」
と述べるにとどめた。
林芳正官房長官(63)も
「個人的にはあってもいいが、色々な意見がある」
としている。

高市早苗氏、選択的夫婦別姓で小泉進次郎氏に反論「不動産登記できる」解雇規制緩和も反対
2024/9/9 17:23
https://www.sankei.com/article/20240909-TZREDMPC75CKZNZKXM66THI7RU/
自民党の高市早苗経済安全保障担当相(63)=衆院奈良2区=は9日、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明した記者会見で、選択的夫婦別姓の制度化に慎重な考えを示した上で、
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
と述べ、
「選択的夫婦別氏制度を実現すると言う候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
■「正しい知識を」
選択的夫婦別姓を巡っては、小泉進次郎元環境相が総裁選に出馬表明した6日の記者会見で、制度の導入法案を提出する考えを明言し、
「旧姓では不動産登記ができない」
などと語っていた。
その上で、高市氏は
「婚姻で姓が変わることによる不自由を解消したい」
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べ、旧姓の通称使用に法的根拠を与える法整備の必要性に重ねて言及した。
高市氏は平成14年と令和2年、それぞれ党法務部会に、旧姓の通称使用に法的根拠を与える
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出した。
しかし、党議決定には至っていない。
旧姓の通称使用の法制度化を重視する理由には世論調査の結果を上げた。
そのうち、内閣府の令和3年12月の調査は
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」
との回答は42・2%で、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」
の28・9%を上回っている。
高市氏は、旧姓の通称使用に関する総務相時代の自身の取り組みもアピールし、「総務省関係でやることができる全ての手続き1142件について、婚姻前の姓で対応できるように変えた」などと語った。
■解雇規制「日本は緩い方」
また高市氏は、小泉氏が掲げる大企業の解雇規制の緩和に関しても「反対だ」と明言した。
「G7(先進7か国)と比較しても、日本の規制はきつくない]
「(規制は)労働者を守る意味だが、様々な指標を見ると、(日本は)緩い方だ」
と語った。

<産経抄>多様性、多様性というけれど
2024/9/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240907-KZZFCTKANRNW7JW2QWLUV7TBFI/
世は多様性の時代と言われる。
「首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的議論を進める」。
小泉進次郎元環境相は6日、自民党総裁選への出馬表明記者会見でこう述べ、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
の拡大を訴えた。
▼いつしか日本社会に、多様性を主張されると異議は唱えにくい
「空気」
が醸成されてしまった。
国会質疑からテレビコマーシャルまで、多様性という言葉を聞かない日はない。
とはいえ抄子は天邪鬼(あまのじゃく)なので、
「猫もしゃくしも多様性を礼賛する社会のどこが多様なのか」
と言いたくなる。
▼レオナルド・ダビンチの名画「最後の晩餐」を揶揄した性的少数者の宴らしきものや、切り落とされた自らの生首を手に持つマリー・アントワネットが登場して物議を醸したパリ五輪開会式も、多様性を表現したものだった。
評価は分かれようが、少なくとも抄子の目にはグロテスクに映った。
▼選択的夫婦別姓については、自民党総裁選への出馬を表明している者の中で小泉氏の他に石破茂元幹事長や河野太郎デジタル相も前向きである。
経団連も選択的夫婦別姓の早期実現を求め、まるでそれが時代の趨勢であるかのような提言も発表したが、本当にそうなのか。
▼NHK放送文化研究所が中高校生を対象に令和4年に実施した調査(1183人回答)では、結婚後に夫婦別姓を望む回答はわずか7・0%しかいない。
調査自体が見当たらないので確たることは言えないが、子供たちが夫婦別姓に伴う
「片親との別姓」

「兄弟別姓」
を歓迎するだろうか。
▼世界の潮流に乗り遅れるとの意見も承知しているが、こう愚考している。
日本は日本のやり方でいいと認めるのもまた多様性ではないかと。

夫婦別姓、LGBT問題でも共産党と似てきた経団連 自民党も加われば「多様性の統一」
阿比留瑠比の極言御免
2024/7/4 1:00
https://www.sankei.com/article/20240704-ORCW5C7MEFIC7EJPSH6XFP45ZI/
前回、2024年6月27日付の当欄『夫婦別姓で失う自民の価値』で筆者は、選択的夫婦別姓制度を巡る議論には当事者である子供の視点が欠けていると指摘した。
その際、次のように記し、過去の調査では両親が別姓となることに否定的な意見を持つ中高生が3分の2に及んだことに言及していた。
「平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する」
「子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい」
すると、親切な読者がNHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)があると教えてくれた。
その
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問は1問だけだったが、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を相手の名字に変えたい」
という積極的な改正派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%に留まっていたのである。
やはり、こうした子供たちの意見を無視すべきではないのではないか。
国会や司法、経済界やマスコミでの議論は、この点が欠落していて余りに功利的に見える。
夫婦別姓は必然的に片方の親と子供の姓が異なる親子別姓となるし、制度の構築の仕方によっては兄弟別姓にもなり得る。
■高市法案の提出を
そもそも今回、またぞろ夫婦別姓問題が浮上したのは2024年6月、経団連が選択的夫婦別姓制度の早期実現を求める提言を発表したからだが、そこには案の定、子供の視点や立場は全く取り入れてられていなかった。
その
「はじめに」
の部分には一読、呆れた。
「ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)、(DEI)は、イノベーションの源泉であり、社会・経済のサスティナブルな成長に欠かせない要素であるとともに、先き不透明な時代の中で、企業のレジリエンスを高めるうえでも必要不可欠である」
短い一文の中に、6つも片仮名言葉が出てくる。
こんな不自然な言葉遣いをする者は普通、社会では敬遠されて相手にされない。
「我が国経済の自立的な発展と国民生活の向上に寄与すること」
を使命とするはずの経団連は、LGBT問題でも夫婦別姓問題でも、段々と日本共産党と似てきたのではないか。
その輪の中にもし自民党も加わるとしたら、それは多様性ではなく共産党が主張する
「多様性の統一」
だろう。
実際、共産党の田村智子委員長は2024年6月19日の党首討論で、経団連が政府に選択的夫婦別姓制度の早期実現を要請したことに言及し、
「長年に渡る女性たちの訴えが遂に経済界も動かした」
と胸を張った。
自民党はまず、高市早苗経済安全保障担当相が平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に提出した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を審議し、国会に提出すべきである。
これにより、
「国、地方公共団体、事業者」
などは通称使用のために
「必要な措置を講ずる責務を有する」
と定めて通称使用に法的根拠を与えれば、経団連が懸念する
「職業生活上の不便・不利益」
の多くは解消するのではないか。

調査概要・グラフについて
「中学生・高校生の生活と意識調査」とは?
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/about.html
回答者数
中高生の結果:中高別の全調査結果はこちら(PDF)から
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/assets/pdf/cyukousei.pdf
―結婚後、名字をどのようにしたいか―
第51問〔全員に〕あなたは、将来、結婚したとしたら、名字をどのようにしたいと思いますか。次の中から、あてはまるものに、1つだけ〇を
つけてください。
@1982年A1987年B1992年C2002年D2012年E2022年
1.相手の名字を、自分の名字に変えてほしい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E19.6
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.0
2.自分の名字を、相手の名字に変えたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E13.1
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.2
3.相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.2
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.9
4.自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E7.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E6.1
5.無回答
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.8

別姓で自己否定する自民
阿比留瑠比の極言御免
2024/6/27 1:00
https://www.sankei.com/article/20240627-TWC52YKBYNKC7DKHOP5EBO4BQU/
自民党が性懲りもなく選択的夫婦別姓に関する党内議論を再開させるという。
経団連や経済同友会のビジネス的見地からの要請に後押しされた形だが、不必要だったLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓にまで突き進むとしたら、自民の存在価値をまた1つ自己否定することになろう。
「多様性」
というはやりの聞こえのいい掛け声に目が眩み、安易に取り込もうとするのでは、立憲民主党や共産党、社民党と最早選ぶ所がない。
もっとも、岸田文雄首相は2024年6月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓については次のように慎重だった。
「様々な立場の方に大きな影響を与える問題だ」
「だからこそ世論調査でも意見が分かれている」
「前向きな意見の方の一方、家族の一体感や子供の姓をどうするかなどに関心を持つ消極的な意見もある」
LGBT法を巡っては、元首相秘書官の性的少数者差別とも受け取られかねない発言や米民主党政権の圧力に屈して成立に前のめりになった首相だが、今度はぶれないでもらいたい。
安倍晋三元首相もかつてこの問題に関し、首相にこう信頼を示していた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に
「子供の視点が全然ない」
と話していた。
■アンケートでは
やはりこの点が重要だと考えるので、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する。
子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)
「変な感じがする」(24.8%)
の否定的な意見が、合わせて3分の2に達した。
一方で
「嬉しい」
は僅か2.2%しかいなかった。
また、成人を対象とした令和3年実施の内閣府の
「家族の法制に関する世論調査」
結果を見ても、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.6%に留まった。
「夫婦同姓制度を維持した方が良い」が27.0%、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方が良い」が42.2%で、
夫婦同姓維持派が7割近くに達している。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては
「好ましくない影響があると思う」と答えた者の割合が69.0%で
「影響はないと思う」は30.3%
に留まっている。
留意すべきは
「兄弟の姓が異なっても構わない」が僅か13.8%で、
「姓は同じにするべきだ」が63.5%
に上ることだろう。
夫婦どちらの姓を名乗らせるかを巡り、親族間のトラブルも予想される。
■フェミニストの議論
選択的夫婦別姓については、
「選択的」
だから別に同性を選びたい人はそうすればいいだけだという意見もあるが、事はそう単純ではないだろう。
既に平成17年刊行の
「ザ・フェミニズム」(上野千鶴子、小倉千加子著)
で、フェミニスト【フェミニストとは、全ての性が平等な権利を持つべきだという理由から女性の権利を主張する行為(フェミニズム)を支持する人のことだと、英オックスフォード辞書で定義されている】である小倉氏がこんな議論をしている。
「(選択的)夫婦別姓になったら、まるで夫婦別姓をしている人の方が進んでいて、夫婦同姓の人の方が遅れているみたいになりかねない」
「そこでまた1つの差別化が行われるわけじゃないですか」
女優でタレントの橋本マナミさんが2024年6月
「私は一緒の名字がいいです」
「好きで結婚したから」
とテレビで発言しただけでニュースとして取り上げられる現状を見ると別姓導入で同性夫婦が肩身の狭い思いをする日が来るかもしれない。
(論説委員兼政治部編集委員)

阿比留瑠比の極言御免
日経、朝日のコラムに異議あり 夫婦別姓論議に欠ける子供の視点
2015/11/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20151109-Q7P53O3IFNNVLFLL3DOXYENVFM/
2015年11月4日は最高裁大法廷で夫婦別姓(氏)を巡る訴訟の弁論が開かれるとあって、日経新聞と朝日新聞の朝刊1面コラムが、それぞれこの問題を取り上げていた。
夫婦別姓に賛成・推進する立場で書かれたこの2つのコラムを読んで感じたのは、立論の前提、出発点が異なり、議論が噛み合わないもどかしさだった。
「誰かに迷惑もかけない」
「コストも知れている」
「歩みの遅さを合理的に説明するのは難しい」
日経はこう書いていたが、夫婦別姓論議でいつも気になるのが、当事者である子供の視点の欠落だ。
子供の意見を反映した調査がなかなか見当たらないので少し古くなって恐縮だが、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を引用したい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)

「変な感じがする」(24.8%)
との否定的な意見が、合わせてほぼ3分の2に達している。
一方、
「嬉しい」は僅か2.2%
しかいなかった。
また、20歳以上の成人を対象とする内閣府の世論調査(平成24年12月実施)でも、夫婦の名字が違うと
「子供にとって好ましくない影響があると思う」と答えた人が67.1%
に上り、
「影響はないと思う」(28.4%)
を大きく上回った。
夫婦別姓と言うと、両性が納得すればいいと思いがちだが、夫婦が別姓を選択した場合、子供は必ず片方の親と別姓になる。
事は夫婦の在り方だけの問題ではなく、簡単に
「誰かに迷惑もかけない」
と言い切れるような話ではない。
日経コラムは更に、こうも書いている。
「反発する人の声から『自分と違う価値観を持つ人間が、とにかく許せない』との響きを感じることがある」
どう感じようと自由ではあるが、この見解はかなり一方的だろう。
10年以上前のことだが、夫婦別姓を議論していた自民党の会議を取材した同僚記者は、夫婦別姓推進派で、現在は党総裁候補の1人と言われる議員から、こう面罵された。
「(夫婦別姓に慎重論を唱える)産経新聞は、新聞じゃない」
当たり前のことだが、自分と違う価値観が許せないのは、何も夫婦別姓に
「反発する人」
に限らないということである。
多様な価値観を説く人が、異なる価値観を否定するという矛盾を犯すのは珍しくない。
ちなみに、朝日のコラムにはこうあった。
「結婚や家族の多様化、個の尊重という冒頭に引いた変化(※国民意識の多様化、個人の尊重)は、別姓の議論にもそのまま当てはまる」
「社会は旧姓使用を広げる方向に動く」
確かに一般論としては、社会の多様化は歓迎すべきことなのだろう。
多様性を失えば硬直化し、やがては行き詰まっていく。
とはいえ、何でもかんでも
「多様化」
という言葉で正当化しても、そこで思考停止することになる。
また、夫婦別姓を法的に位置付ける事と、旧姓使用は全く別物である。
現在、夫婦同姓制度の下で通称使用が大きく緩和され、旧姓使用が広がっていることがその証左だと言える。
いずれにしてもこの問題を考える時は、直接影響を受けることになる子供の意見をもっと聞いた方がいい。
政府にも、今度調査する時は是非その視点を盛り込むようお願いしたい。
(論説委員兼政治部編集委員)

安倍元総理の三回忌を前に 「夫婦別氏」よりも「婚姻前の氏の使用」の利便化で
WiLL2024年8月号 経済安全保障担当大臣 高市早苗
■安倍元総理が夢に
2024年7月8日には、2022年の参議院選挙応援中に凶弾に倒れ、逝去された安倍晋三元総理の三回忌を迎えますね。
度々つまらない口喧嘩をしたり、仲直りをしたりの繰り返しでしたが、それも叶わなくなった今は、しみじみ淋しくなります。
先般、疲労が極限に達した時に、亡き両親と安倍元総理が一緒に夢に出てきたので、
「迎えに来たのかな」
と感じましたが、その夢には昭恵夫人も登場していたことを思い出して一安心!
安倍元総理も懸命に応援して下さった2021年9月の自民党総裁選以降、土日は党務か政務で地方講演、平日は仕事、深夜には大量の資料読みや原稿書き・・・と休みなく働き続けていて、人間ドックなど健康診断も3年以上は受けていないので、注意喚起のために夢に出て来て下さったのかなとも思いました。
2024年夏は、各方面との調整がつけば、安倍元総理の御命日に出国して、G7科学技術大臣会合に出席しますが、イタリアから帰国したら、1日だけは休みを確保して健康診断に行ってみようと考えています。
■経済界が夫婦別氏制度導入を要望
安倍元総理が何度も仰っていたことがありました。
「選択的夫婦別氏だけどさ、あれは駄目だよ」
「高市さんが法務部会に提出している法案を早く成立させればいいんだよ」
私が自民党政調会長の法務部会に提出した法律案というのは、
『婚姻前の氏の通称使用に関する法律案』
のことです。
この法律案では、戸籍上の夫婦親子の氏が同一であること(ファミリー・ネーム)は維持しつつ、
「婚姻前の氏を通称として称する旨の届出をした者」
について、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
としたものです。
この法律案を、2002年と2020年の2回に渡って法務部会に提出しましたが、1回目は
「戸籍の氏も住所も別々にするべきだ」
といった強烈な反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は、審査もされないまま放置されています。
私は、足掛け約4年の総務大臣任期期間の後半(2019年9月からの約1年間)で、『住民基本台帳法』『地方自治法』『公職選挙法』『消防法』『放送法』『電気通信事業法』をはじめ総務省が所管する全法令をチェックし、資格や各種申請など事務手続きに戸籍氏しか使えなかったものを、全て婚姻前の氏の単記か併記で対応できるように変更しました。
総務省単独の判断で変更できたものだけでも、合計1142件でした。
仮に全府省庁が阻害と同じ取り組みを実施し、地方公共団体や公私の団体や企業も同じ取り組みを実施すれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考えます。
例えば、金融庁や厚生労働省。
私自身の経験では、銀行の預金通帳でしたが、婚姻前の氏のままで使える銀行と戸籍氏に作り直すよう求める銀行が混在していました。
数年前に年金受給者の方から伺った話ですが、通称使用届けを出して戸籍氏と婚姻前の氏が併記された住民票を提示したのに、厚生労働省の方針として
「戸籍氏の通帳でなければ年金を振り込めない」
とされ、通帳を作り直したということです。
こういった所管府省庁によってバラバラの対応が残っている現状を改善するためにも、私が起草した法律案によって、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
ことを明確にするべきだと思っていました。
2024年6月、経団連会長が
「選択的夫婦別氏制度の導入」
を要望する
「提言」
を公表されました。
報道で知る限りの理由は、働く女性の不便解消や国際社会での活躍のためにということらしいのですが、先ずは前記したような法整備を行うということでは不十分でしょうか。
既に、マイナンバーカード、パスポート、運転免許証、住民票、印鑑登録証明書は、戸籍氏と婚姻前の氏の併記が可能になっています。
仕業・師業と呼ばれる国家資格の殆どで、免許証などへの婚姻前の単記や併記が可能になっています。
国際社会での活躍についても、同氏や別氏だけではなく、複合氏を使う国もあれば、氏が無い国もあり、様々です。
■「子の氏の安定性」
最近は、
「夫婦別氏制度」
の導入に賛成する政治家は
「改革派=善」、
反対する政治家は
「守旧派=悪」
といったレッテル貼りがされているように感じますので、私のような考え方は変だと思われる方も多いのかもしれません。
私が選択的であったとしても
「夫婦別氏制度」
の導入に慎重な姿勢を続けてきた最大の理由は、
「子の氏の安定性」
が損なわれる可能性があると思うからです。
現行制度では、婚姻届けを提出した夫婦の戸籍は全て同氏ですから、子も出生と同時に両親と同氏になることが確定しています。
法改正によって戸籍上も別氏の夫婦が出現した場合、子の氏の決め方について、
「全ての別氏夫婦が納得できるルール」
が必要になります。
仮に
「別氏夫婦が子の氏を取り合って、協議が調わない場合」
には子の氏が定まらないので、『戸籍法』が規定する
「出生の届出は、14日以内」
というルールも見直す必要があるのではないでしょうか。
これまでに衆議院に提出された
「夫婦別氏制度」
の導入を可能にする
「民法の一部を改正する法律案」(立憲民主党案)
を拝見すると、
「別氏夫婦の子は、その出生の際に父母の協議で定める父又は母の氏を称する」
「協議が調わない時は、家庭裁判所は、協議に代わる審判をすることができる」
とされています。
同法律案でも、別氏夫婦が子の氏を取り合って決められないケースを想定しているわけですが、果たして、この争いを持ち込まれる家庭裁判所は、一体どのような判断基準で審判を行うのでしょうか。
離婚の際に子の親権を争う裁判でしたら、法律に判断基準は明記されていないものの、過去の裁判例では
「子を養う経済力」
「子と過ごす時間を確保できるのか」
「子との関わりや愛情」
「子の年齢によっては子の意思」
「健康状態」
「教育・居住環境」
などの要素を総合的に考慮して判断されているようです。
しかし、出生直後の子の氏を争っている場合、家庭裁判所が如何なる審判をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示すことができるとは考えられません。
裁判官、検事、法務省大臣官房審議官としても活躍された小池信行弁護士は、
「夫婦の協議で決まらない時の補充的な決定方法を定めておく必要がある」
として、スウェーデンでは
「出生から3カ月以内に決まらない時は母の氏を称するとしている」
ことを例示しておられました。
私は、幸せであるはずの出産直後に、子の氏を巡る争いの種を作ることを、特に懸念していました。
「夫婦別氏制度」
の導入を求める方々からは
「余計なお世話だ」
と批判されるのでしょうが・・・。
■世界に誇れる日本の戸籍制度
「そもそも、戸籍制度を廃止するべきだ」
と主張される方々もおられますが、私は、日本の
「戸籍制度」
は、世界に誇れる見事なシステムだと思っています。
戸籍は、重要な身分関係を明確にするために、血族・姻族・配偶関係を記載した公簿です。
新戸籍と旧戸籍の双方に相手方戸籍を特定表示することから、相手方戸籍を相互に索出でき、両戸籍を連結する記載が可能で、無限の親族関係の広がりを証明することができます。
よって、戸籍の
「公証力」
は、非常に強いものです。
例えば、遺産相続の分割協議手続きでは、
「隠れた法定相続人」
の存否を確認するため、死亡者の戸籍謄本を全て遡ることによって親族関係を確定できます。
重要な契約事も、戸籍で証明するものが多くあります。
この他、戸籍は、近親婚の防止、婚姻要件の調査、出生、死亡、離婚、任意認知、母子家庭の児童扶養手当、障害児童の特別児童扶養手当、母子父子寡婦福祉資金貸付、戦没者遺族に対する特別弔慰金、成年後見の申立手続き、家事調停事件手続きなど、様々な場面で行政・司法の基礎となっています。
20年以上婚姻関係を継続している夫婦間で居住用不動産を贈与した時の配偶者控除の制度でも、戸籍によって、20年以上に及ぶ婚姻関係を把握し立証します。
「他国に例を見ない戸籍制度だから、廃止するべき」
なのではなくて、
「他国に誇れる極めて優れた制度だから、守り抜くべき」
だと考えています。

愚か者! 経団連「夫婦別姓」提言
WiLL2024年8月号 副県立大学名誉教授 島田洋一
2024年6月10日、経団連がいわゆる
「選択的夫婦別姓」

「早期実現」
を政府に求める提言を出した(具体的には民法750条の改正)。
経団連は、夫婦が妻の姓を選ぶことも可能ではあるものの、
「実際には95%の夫婦が夫の姓を選び、妻が姓を改めている」
「そのため、アイデンティティの喪失や自己の存在を証することが出来ないことによる日常生活・職業生活上の不便・不利益といった、改姓による負担が、女性に偏っている」
と言う。
経団連によれば、
「女性のエンパワーメント(強化)において、我が国は世界に大きく立ち遅れており」、
その背後に、
「各社の取り組みだけでは解決できない、女性活躍を阻害する社会制度」
がある。
その代表的なものが夫婦同氏制度だというのである。
まず最初の疑問だが、女性の活躍に関して日本が
「世界に大きく立ち遅れて」
いるというのは本当か。
経団連・十倉雅和会長の頭にある
「世界」
がどの範囲なのか知らないが、少なくとも相当怪しい
「世界観」
だろう。
実際日本において、実力ある女性の活躍が、男の場合以上に阻害されているとすれば、
「女を下に見る」
不見識な経営者や重役が各所に残るでいではないか。
だとすれば、経済界の頂点に位置する経団連会長の責任が相当大きいと言わざるを得ない。
まずは自らの指導力不足を反省すべきだろう。
経団連提言で最も問題なのは、従来
「夫婦別姓」
法制化論で常に論点となってきた、
@親子や兄弟姉妹の間で姓が異なって良いのか
A明治以来の戸籍制度を崩すことにならないか
といった懸念に全く答えていないことである。
そもそも言及自体ない。
これは無責任だろう。
近年、パスポート、マイナンバーカードを始め、旧姓の通称使用が拡大されてきた。
経団連提言も、
「官民の職場では、女性の社会進出の進展を踏まえ、改姓によるキャリアの分断等を避けるため、職場における旧姓の通称としての使用を推進してきた」
「公的証明書や各種国家資格等でも婚姻前の姓(旧姓)の併記が可能になるなど、政府の施策としても通称使用が拡大され、経済界においても、通称使用は定着している」
と述べている。
「経団連調査では91%の企業が通称使用を認めている」
とも言う。
まだ不十分と言うなら、100%になるよう、経団連が強い姿勢で
「立ち遅れている」
経営者を叱咤すべきだろう。
そのための経済団体ではないか。
この問題で慎重論の先頭に立ってきた高市早苗議員は次のように言う。
「結婚すると、夫婦やその間に生まれる子供は同じ戸籍に登載され、姓は『家族の名称』という意味を持つ」
「だが、別姓になれば姓は単なる『個人の名称』になる」
「たとえ『選択制』にしても、家族の呼称を持たない存在を認める以上、結局は制度としての家族の呼称は廃止せざるを得なくなるだろう」
「事は家族の根幹に関わる」
(産経新聞・2021年3月18日)
「国際的トレンド」
云々についても高市氏は、
「日本は日本」
と一蹴する。
経団連は、旧姓の通称使用では問題解決にならない例として次のような
「トラブル」
を挙げる。
カッコ内は私のコメントである。
・クレジットカードの名義が戸籍上の場合、ホテルの予約等もカードの名義である戸籍姓に合わせざるを得ない。
(合わせたら良いではないか。合わせると女性活躍が阻害されるのか)。
・国際機関で働く場合、公的な氏名での登録が求められるため、姓が変わると別人格として見做され、キャリアの分断や不利益が生じる。
(結婚したから姓が変わったと言えば済む話、国際機関を馬鹿にし過ぎてはいないか)
・社内ではビジネスネーム(通称)が浸透しているため、現地スタッフが通称でホテルを予約した。
その結果、チェックイン時にパスポートの姓名と異なるという理由から、宿泊を断られた。
(現地スタッフとの意思疎通をより密にすれば良いだけ。あるいはパスポートに旧姓を併記すればよい。令和3年4月1日以降、申請が非常に簡略化された)
これが、女性にとって
「アイデンティティの喪失」

「自己の存在を証することができない」
ほどの不条理であり、家族別姓しか解決策がない次元の
「トラブル」
だろうか。
この程度の事象にも効果的に対処のマニュアルを示せない経団連では、日本経済停滞も無理はない。

民法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

選択的夫婦別姓 経団連・十倉雅和会長「スピーディーに議論を」自民に要求
2024/6/25 23:24
https://www.sankei.com/article/20240625-GN2CKAAVRFIKFERTR7RAD7JTXQ/
経団連の十倉雅和会長は2024年6月25日の定例記者会見で、自民党が
「選択的夫婦別姓制度」
に関する党内議論を本格化する意向を示したことについて、
「女性の社会進出、社会での活躍を進めたいという思いは一緒だと思う」
「オープンでスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
経団連は結婚後も希望すれば夫婦それぞれが生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる同制度の早期実現を求める提言を2024年6月10日に発表し、2024年6月21日に自民党に提言を提出していた。
経済同友会の新浪剛史代表幹事も2024年6月18日の定例会見で、
「1つの姓を選ばなくてはいけないという非常に不都合なことがずっと放置されたままだ」
と指摘。
「政治が解決しないのであれば経済界がモノを言っていかなければならない」
との認識を示していた。

選択的夫婦別姓議論、自民が3年ぶり再開 慎重派は懸念「保守離れ加速する」
2024/6/25 22:34
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/
選択的夫婦別姓を巡る議論の経緯
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/photo/TNK63PLFCRO4BDS2LNDI5YSMIU/
自民党は近く選択的夫婦別姓を巡る党内議論を3年ぶりに再開させる。
経団連が早期実現を求める提言を発表するなど、家族の多様性を尊重する風潮が背景にある。
とはいえ、保守層を中心に家族の一体感が失われるとして慎重論も少なくない。
保守層が求める早期の憲法改正が一向に進まない中で推進論に傾けば、
「自民離れ」
が加速するのは必至だ。
自民の茂木敏充幹事長は2024年6月25日の記者会見で、
「多様な人材の活躍は社会活力の源だ」
「選択的夫婦別姓は社会全体にも関わる問題であり、国民の幅広い意見も踏まえて、しっかり議論を進めていきたい」
と述べた。
自民の渡海紀三朗政調会長は2024年6月21日、選択的夫婦別姓を含む
「氏制度のあり方に関するワーキングチーム(WT)」
で議論に着手すると表明した。
新たな座長には逢沢一郎党紀委員長を起用する方針だ。
党幹部は
「政権与党として、いつまでも夫婦別姓の議論を棚ざらしというわけにはいかない」
と議論再開の必要性を強調する。
自民は菅義偉政権下の令和3年4月にWTの初会合を開催。
令和3年6月に論点整理をまとめたが、議論が紛糾したため制度導入の是非には踏み込まず、結論を先送りしていた。
しかし、経団連が2024年6月10日、早期実現を訴える政府への提言を発表したことを受け、党内では再び推進派と慎重派が動きを活発化させている。
自民の有志議員で作る
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(会長・浜田靖一国対委員長)
は2024年6月21日、国会内で会合を開き、経団連から提言を受け取った。
浜田氏は
「大変心強い」
「時代の要請として受け止めていく」
と語った。
一方、慎重派で作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(会長・中曽根弘文元外相)
は2024年6月19日に党本部で会合を開き、結婚前の氏を通称として幅広く使用できる環境整備を進めることを確認。
慎重派の議員は
「拙速に議論を進めれば『岩盤保守層』の更なる離反を招きかねない」
と不安を口にする。
岸田文雄首相(自民総裁)も2024年6月21日の会見で、慎重な姿勢を示した。
対立の激化は自民分断の芽となりかねず、党重鎮は
「経団連の手前、議論はしなければならないが、明確な方向性を示すことは難しいのではないか」
と述べた。

<主張>経団連「夫婦別姓」 家族の呼称をなくすのか
社説
2024/6/19 5:00
https://www.sankei.com/article/20240619-I4Q7IU7X5FJQTNZ3V4LDQESQHQ/
結婚後に夫婦が同じ姓を名乗るか、旧姓を維持するか選べる
「選択的夫婦別姓」
について経団連が早期実現を提言した。
十倉雅和会長は、女性の社会進出が進む中で
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、国民の合意を欠いたまま、急ぐ問題ではない。
経団連は従来、夫婦同姓の下で職場での通称使用で対応できるとの立場だった。
別姓推進に転じたのは
「ビジネス上のリスク」
などが理由だ。
経団連が行ったアンケートなどでは職場で旧姓の通称使用が増えている一方、通称では銀行口座などが作れないことや海外渡航、契約で戸籍上の姓と異なることでトラブルが生じていることを指摘した。
だが夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定を変えることは、家族や社会の有り様に関わる。
岸田文雄首相が2024年6月17日の衆院決算行政監視委員会で、選択的夫婦別姓の早期導入の提言に慎重な考えを示し、
「家族の一体感や子供の利益に関わる問題であり、国民の理解が重要だ」
と述べたのは、もっともだ。
夫婦別姓を認めない民法の規定を
「違憲」
だとする訴えに対し、最高裁は平成27年と令和3年に合憲の判断を示し、夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
別姓制が導入されれば、こうした姓の意義が、砂粒のような個人の呼称へと大きく変わる。
専門家によると姓は血縁血統を表すもので、家族の歴史や絆が断ち切られかねない。
同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要がある。
「選択」
と言っても別姓を希望しない人も含め社会に関わる問題だ。
別姓推進論は子供からの視点にも欠ける。
夫婦別姓では、どちらかの親と子が別姓になる。
子供の姓をどうするのか。
祖父母らも絡み、いさかいや分断が起きるのは見たくない。
最高裁の判決では、姓の在り方について国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきだ、としている。
深く理解すべきだ。
住民票や運転免許証、パスポートなどで旧姓を併記できる制度も広がっている。
経団連は、トラブルを嘆くより、我が国の夫婦同姓の意義を国際的に発信し、問題を解消してほしい。

<産経抄>経団連の「夫婦別姓提言」に異議あり       
2024/6/17 5:00
https://www.sankei.com/article/20240617-BKNKSTIQ3FJ2DDKD2AI3HWGCEQ/
夫婦別姓が叶わなくとも、パートナーを守る方法はある
経団連は
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を発表したが、法制化には国民の合意が必要だ
2024年6月の第3日曜は
「父の日」
だったが、
「母の日」
に比べ影が薄い。
父親の地位低下が指摘され久しい。
▼ゲームに押されて、子供のおままごと遊びはあまり見かけなくなったが、やってみてもパパ役はママに叱られ、オタオタする様子を真似するのだとか。
「正論」
を重んじる同僚も、家では言いたいことを言えず、妻や娘たちに阿る日々だという。
それも平和を守る知恵か。
▼だがこちらは黙って見過ごせない問題だ。
経団連が
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を先日、発表した。
十倉雅和会長は
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、拙速に進めては禍根を残す。
▼選択的夫婦別姓は夫婦で同じ姓(氏)にするか、旧姓を名乗るかを選べる制度だ。
民法の改正などが必要となる。
女性の社会進出に伴い、平成8年に法制審議会が導入を求める答申をした。
30年近く経っても法制化に至らないのは、国民の合意が得られないからだ。
財界が
「急げ」
と号令をかける話なのか。
▼最高裁は平成27年と令和3年に、夫婦別姓を認めない民法の規定について
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
選べるならいいじゃないか、別姓を希望しない人には関係ない、と考えるのは早計だ。
専門家からは、姓について家族の呼称から個人の呼称へと大きく変質することが指摘されている。
▼同じ戸籍に同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要があり、社会全体に関わる。
夫婦同姓は子供も両親と姓を同じくすることで利益を享受しやすい意義もある。
別姓では子の姓をどうするか。
双方の祖父母も絡み、決まらない混乱も予想される。

「国民の意見さまざま」 法相、選択的別姓に慎重
2024/6/11 11:24
https://www.sankei.com/article/20240611-JHRCRF76CFIA3LM3MAVGM7R5GY/
小泉龍司法相は2024年6月11日の閣議後記者会見で、選択的夫婦別姓制度の早期実現を求めた経団連の提言に対し
「国民の間にまださまざまな意見がある」
とした上で
「積極的に動きを見極め、対応を検討していくことが必要だ」
と述べ、慎重な姿勢を示した。
法相の諮問機関の法制審議会は1996年、結婚後もそれぞれ婚姻前の名字を使える選択的別姓制度の導入を含む民法改正案を答申。
だが、保守系議員の反対などで法案は提出されなかった。
小泉氏はこの点にも触れ
「国会議員の方々の間でもしっかりと議論をし、幅広い理解を得ていただくため、法務省として積極的な情報提供をしたい」
とした。

「夫婦別姓制度、早期実現を」経団連が初の提言 通称は海外で理解得られずトラブルも
2024/6/10 18:29
https://www.sankei.com/article/20240610-PLZOKGZSLVKTZKDUTL3OBW74UQ/
経団連は2024年6月10日、選択的夫婦別姓制度の実現を求める提言を発表した。
希望すれば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる制度の早期実現を要求。
政府に対し
「一刻も早く改正法案を提出し、国会で建設的な議論を期待する」
とした。
経団連による同制度に関する提言は初めて。
十倉雅和会長は2024年6月10日の定例記者会見で
「世の中は大きく変わっている」
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
現在は婚姻時に夫か妻のいずれかの姓を選べるが、妻が改姓することが圧倒的に多い。
提言では
「生活上の不便、不利益といった改姓による負担が女性に偏っているのが現実」
と訴えた。
経団連の調査では、国内の91%の企業は旧姓などを通称として使用することを認めているものの、通称は海外では理解されづらく、トラブルの原因になることがあると指摘。
「企業にとってもビジネス上のリスクとなり得る」
とした。

主張
夫婦同姓は合憲 家族制度の原則を守った
2021/6/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20210624-BGWW7J52VRJMJFEQ5FVP7KQAZQ/
最高裁大法廷は、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を再び
「合憲」
と判断した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めた平成27(2015)年の最高裁判決を踏襲した。
妥当な判断である。
事実婚の男女3組が、夫婦別姓を希望して婚姻届を提出したが、不受理となり、家事審判を申し立て、最高裁に特別抗告していた。
女性の社会進出や世論など最近の情勢変化を踏まえた判断が注目されたが、最高裁は決定理由で、社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、6年前の判断を変更すべきとは認められない―と判示した。
平成27(2015)年の最高裁の判断を通し、夫婦同一の姓について、男女差別を助長したり、人格を傷付けたりする制度ではないことも明確になっている。
最高裁はこの時と同様、
「制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄」
と指摘した。
平成8(1996)年に法制審議会が、夫婦で同じ姓にするか、旧姓をそれぞれ名乗るか選べる選択的夫婦別姓の導入を答申して25年経つ。
法制化に至らなかったのは、立法府が問題を放置しているというより、国民の十分な合意が得られないからである。
選択的夫婦別姓について、個人の自由で選択の幅が広がる―などと歓迎するのは考え違いである。
導入されれば夫婦同一姓を原則とした戸籍制度が崩れかねず、全国民に影響が及ぶ。
親子が別々の姓になる事態も起きる。
子供の姓を両親どちらの姓にするかなど、諍いや混乱も予想される。
平成29(2017)年に行われた内閣府の世論調査では、夫婦別姓が子供に与える影響について、6割以上が
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えていた。
社会情勢の変化と言うなら、旧姓が通称使用できる企業は増えている。
2年前の2019年には住民票やマイナンバーカードなどで旧姓を併記できるようにするため、政令改正が行われた。
パスポート(旅券)についても旧姓併記の申請が容易になるよう緩和された。
日本の伝統や文化に根差した家族制度の原則を崩す必要はなく、更に働きやすい職場作りなどに知恵を絞る方が現実的だ。
国や社会の基盤である家族の意義に理解を深くしたい。

夫婦別姓認めぬ規定、再び「合憲」 最高裁
2021/6/23 21:54
https://www.sankei.com/article/20210623-WTZ3HHNALJO5RNCEOMMHNPXNAI/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、東京都内に住む事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
最高裁は平成27(2015)年にも夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としており、今回は2度目の判断。
15人中4人は違憲とする意見や反対意見を出した。
決定理由で最高裁は、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着しており、規定に男女の不平等はないとした平成27(2015)年の判断について
「社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、変更すべきとは認められない」
と指摘。
一方で、夫婦の姓を巡りどのような制度が妥当なのかという問題と、憲法違反かどうかを審査する問題とは
「次元が異なる」
とした上で
「国会で論じられ、判断されるべき事柄だ」
と、前回判断に続き、改めて立法での議論を促した。
合憲とした深山卓也裁判官、岡村和美裁判官、長嶺安政裁判官の3人は
「今回の判断は、国会での選択的夫婦別姓制度を含む法制度の検討を妨げるものではなく、国民の様々な意見や社会の状況変化などを十分に踏まえた真摯な議論がされることを期待する」
と、共同補足意見で述べた。
一方、違憲とした宮崎裕子裁判官と宇賀克也裁判官は
「結婚に対する当事者の意思決定は自由かつ平等であるべきで、規定は不当な国家介入に当たる」
などと述べた。
事実婚の3組は、婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記して自治体に提出したが不受理となり平成30(2018)年3月、東京家裁などに家事審判を申し立てたが、却下された。
2審東京高裁でも棄却され、最高裁に特別抗告していた。
結婚後の姓を巡っては、平成8(1996)年に法相の諮問機関・法制審議会が、選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し本格的な議論が始まったが、実現への目処は立っていない。

■夫婦同姓の規定
民法750条は、結婚した夫婦は
「夫または妻の氏」
を名乗るよう規定。
戸籍法でも、結婚時に
「夫婦が称する氏」
を提出書類に記載するよう定めている。
昭和22(1947)年に改正される前の明治民法では
「家の姓を名乗る」
とされていた。
厚生労働省の統計では、平成27(2015)年に結婚した夫婦のうち、96%が夫の姓を選択。
改姓による社会的な不便・不利益が指摘されてきたことなどを背景に、夫婦が希望する場合には結婚後に姓を変えない
「選択的夫婦別姓制度」
の導入を求める声が強まっている。

夫婦別姓認めぬ最高裁判断「家族に一体感」安堵の声も
2021/6/23 20:45
https://www.sankei.com/article/20210623-CEFJAVRIAZIRPHCEU6S7ZFUAEI/
最高裁大法廷が2021年6月23日、6年前に続き、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を
「合憲」
とする判断を示した。
この間の社会情勢や国民の意識の変化を踏まえつつ、国会に議論を委ねた形に。
「違憲」
となれば、新たな対応を迫られる現場からは安堵の声も聞かれた一方、申立人からは決定に不満が漏れた。
「結婚して姓が一緒になることで、家族としての一体感が生まれる」。
結婚生活40年以上になる東京都江東区の男性(71)は、合憲判断に納得の表情を浮かべた。
「子供のことを考えれば、両親が違う姓だと違和感を覚えるのではないか」
とも指摘した。
内閣府の平成29年の調査では、選択的夫婦別姓の導入に向けた法改正42.5%が賛成と答え、反対の29.3%を上回った。
ただ、賛成派に実際に別姓とするかを尋ねたところ、希望するが19.8%、希望しないが47.4%だった。
夫婦別姓が認められれば、子供への心理的影響も懸念される教育現場。
最高裁の決定に注目していた千代田区の幼稚園園長は
「途中で姓が変わった場合に、子供たちの間に動揺が広がらないようにケアするなど、新たな対応が必要になってくるだろうと思っていた」
と打ち明ける。
一方、先祖代々の墓を管理する寺院は、家族観の変化に危機感を抱いていた。
豊川稲荷(愛知県豊川市)によると、旧姓と結婚後の姓の両方を墓石に刻む女性が増えてきているといい、同寺の男性役員(53)は
「夫婦別姓になると、家という概念が失われる可能性がある」
「別姓が認められるのは難しいと思っていた」
と話した。
夫婦別姓には、財産をめぐる問題が持ち上がる可能性もある。
生命保険の受取人は原則戸籍上の配偶者や2親等以内の血縁者に限られており、ライフネット生命保険(東京)の担当者は
「姓が異なる場合、配偶者であることの確認が課題になる」。
同社では事実婚のパートナーらを保険金の受取人にできる仕組みを作っており、
「今後も社会の変化に合わせて検討していきたい」
と話した。

選択的夫婦別姓 社会混乱の引き金に 八木秀次×小島新一・大阪正論室長
ラジオ大阪ぶっちゃけ正論
2021/6/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20210617-C2ELAEDPJ5MIHI5KLUORROEF4A/
■家族名が消える
小島
選択的夫婦別姓制度を導入すべきだという議論が昨年から国会で盛んになりました。
八木
選択的夫婦別姓とは、夫婦同姓、親子同姓という民法の考え方をふまえ、同姓にしたい人はこれまで通り同姓だけど、別姓にしたい夫婦は別姓を選んでもいい。
選択ができるという仕組みです。
一見よさそうに思えるんですよ。
小島
自分たち夫婦、家族は同姓でいたいと考えている人たちも、自分たちの同姓が守られるのならと考えてしまいますよね。
八木
ところが選択的であったとしても、その影響は別姓夫婦にとどまりません。
別姓では、1つの戸籍の中に2つの姓が存在することになります。
戸籍から、家族に共通の姓、ファミリーネーム、家族名がなくなるわけです。
小島
家族名がある戸籍とない戸籍、ある人とない人が共存することはないので、全体として家族名はなくなると。
八木
「氏名」の性格が根本的に変わるんです。
氏名とは、家族名に個人の名前を合わせたものです。
家族名がなくなれば、氏名は純粋な個人の名前になる。
すべての家族から家族名が奪われ、戸籍上、姓が同じ夫婦や子供も、各人の名前の上の部分が重なっているにすぎなくなる。
小島
たまたま上の名が同じということですね。
八木
ええ。
たいした問題ではないと思う人がいるかもしれませんが、社会制度や慣行に影響が及びます。
家族単位、世帯単位で主になされてきたものが崩れて個人単位になる。
■3つの姓から選択も
八木
別姓夫婦だと、子供の姓をいつ決めるのかという問題もあります。
兄弟姉妹で姓は統一なのか、バラバラなのか。
子供が1人だけだと、夫婦で子供の姓の取り合い、押し付け合いにならないか。
すでに結婚して同姓の夫婦も、1年あるいは3年の経過措置期間を設けて別姓を選ぶことができるとしています。
妻、あるいは夫が旧姓を名乗りたいとなった場合、夫婦の間に生まれた子供の姓の選び直しも行われることになる。
複数世代にわたる姓の変更を認めるのかという問題も想定されます。
子供のいる夫婦の妻側の母親、おばあちゃんが実家の姓に戻すという選択をした場合、連動して、妻の姓もおばあちゃんの旧姓に変えられるのか。
旧姓に戻す決断をしたおばあちゃんの娘である妻や孫は3つの姓から選ぶということになりかねない。
おばあちゃんの旧姓、夫の姓、妻の旧姓です。
小島
社会が大混乱しますね。
八木
自民党内では一時、選択的夫婦別姓の導入機運が高まりましたが、こうした現実的な問題点への理解が広まり、賛成意見はしぼみつつあります。

櫻井よしこ氏「保守政党らしからぬ提言に危機感」
2021/5/19 16:40
https://www.sankei.com/article/20210519-FRWVDCNTRVN7PLO57QDGPU2CK4/
選択的夫婦別姓制度の導入に慎重な自民党有志議員を中心に作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」
が2021年5月19日、ジャーナリストの櫻井よしこ、麗澤大学教授の八木秀次の両氏を講師に招いて国会内で会合を開いた。
櫻井氏は
「保守政党としての自民党の矜持」
と題して講演。
安倍晋三政権から菅義偉政権に代わったことで党内に変化が生じていると指摘し、
「保守政党らしからぬ政策提言、法案の提出、そしてそれを通そうとする非常に強い動きに大変な危機感を感じている」
と強調した。
「保守は、よりよい社会や国をつくるために変化はするが、その本質は変えず守っていくことだ」
とも語った。
八木氏は、選択的夫婦別姓を導入した場合の課題について
「多くの人は子供の氏が決まらないことや、氏の取り合いが起こることを懸念して結婚や出産を躊躇する」
「逆に少子化が進む可能性がある」
と指摘。
「現在の戸籍制度の下では、旧姓の通称使用を拡充することが最も現実的な解決策だ」
と訴えた。
一方、会合ではLGBTなど性的少数者をめぐる
「理解増進」
法案についても取り上げられた。
法案をめぐっては、稲田朋美元防衛相が委員長を務める
「性的指向・性自認に関する特命委員会」
が中心となり、立憲民主党などと協議して今国会での成立を目指している。
これについて、山谷えり子参院議員は
「もともとの自民党案は国柄に基づいた内容だったが、超党派の議員立法でガラッと哲学がかわってしまった」
「自民党として認めるには大きな議論が必要だ」
と語った。

異論暴論
正論6月号好評販売中 やるべきことは「夫婦別姓」か?
2021/5/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20210503-QHTMRK3OE5KWVOEUGDN5FVJWZE/
自民党内で選択的夫婦別姓をめぐる論議が起きている。
推進論者からは結婚に伴う改姓によって生じる生活上の不都合や不便が強調されるのだが、そもそも夫婦が別姓になれば親子は別姓を余儀なくされる。
これまでの家族観や結婚観は変わり、子供に与える影響も無視できないはずだ。
正論2021年6月号では
「やるべきことは『夫婦別姓』か?」
を特集した。
高市早苗衆院議員(自民党)は、自民党のこれまでの選挙公約の実現に向け、自身が起草した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
の成立の必要性を強調する。
高橋史朗・麗澤大学大学院客員教授と池谷和子・長崎大学准教授の論文は、推進者たちの主張の見せ方がいかに一面的で、良い面ばかりが強調されたものかを考えさせられる。
ジャーナリスト、平野まつじ氏は夫婦別姓が現実になると、何がもたらされ、どんな弊害が起こるのか、具体的に考えた。
子供の最善の利益をどうするか、という視点がいかに蔑ろにされ、議論のあり方として極めて危ういかがわかる。
党内で提唱される
「婚前氏続称制度」
「ミドルネーム案(結合氏制度)」
など歯牙にかけるに値しない。
選択的であろうが、夫婦別姓の導入は必要ない。

正論
国民の大多数は夫婦別姓望まず 国士舘大学特任教授 日本大学名誉教授・百地章
2021/7/6 8:00
https://www.sankei.com/article/20210706-2KVYJSZJQNPT3OSBPGFYEMTHXA/
■最高裁は合憲判断を維持
2021年6月23日、最高裁大法廷は予想通り夫婦同姓(氏)制は憲法に違反しないと判断した。
しかも合憲とした裁判官は11人と前回の平成27年判決より1人増えている。
平成27年の最高裁判決は、氏には
「家族の呼称」
としての意義があり、その呼称を一つに定める夫婦同姓制には合理性があるとして現行制度を合憲とした。
その上で、夫婦の姓の在り方は国会で判断すべきだとして、国会の立法政策に委ねた。
今回の最高裁決定は、この平成27年判決の立場を維持し、夫婦同姓を定めた民法750条や戸籍法を合憲とした上で、その後の社会の変化や国民の意識の変化を踏まえても、合憲判断を変更する必要はないとした。
これも妥当と言えよう。
ところがマスメディアの中には各種世論調査を引き合いに、別姓支持が国民多数の声であり、夫婦別姓の実現へと誘導するような報道があふれている。
そのため同姓支持を主張することがはばかられるような雰囲気さえある。
確かに内閣府の調査でも別姓支持が平成24年には35.5%だったものが、平成29年には42.5%に増加しており、その傾向は否定できない。
しかし、平成29年の調査でも、
「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだ」が29.3%、
「夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきだが旧姓を通称として使用するのは構わない」が24.4%
あった。
つまり、同姓支持は計53.7%もあり、別姓支持を上回っている。
■別姓望む国民はわずか8%
さらに、別姓支持者の中で自ら
「別姓を希望する」と答えた者は19.8%
にとどまる。
つまり、別姓希望者は支持者(42.5%)の19.8%だから全体でいえば0.08、つまり国民のわずか8%が別姓を希望しているだけである。
平成24年の調査でも別姓希望者は全体の8%にすぎないから、別姓希望者は全く増えていないことが分かる。
そのようなごく少数の希望者のために、明治以来120年以上の伝統を有し、国民の中に広く定着している夫婦同姓制度を改正してしまうのは乱暴ではないか。
この問題は慎重な上にも慎重に対処すべきだ。
夫婦別姓希望者のために、現在では運転免許証、パスポート、さらにマイナンバーカードまで、旧姓を通称として併記することが認められている。
だから、日常生活における彼らの不便はほぼ解消しているはずだ。
にもかかわらず彼らが別姓にこだわるのはなぜか。
今回の決定において反対意見を述べた裁判官の中には、
「家族」
の定義は不明確であるとして否定的に解し、
「姓」

「個人の呼称」
の一部と考えて、夫婦同姓制度は
「個人の尊厳」
の侵害に当たると主張する者もいる。
■「家族呼称」か「個人呼称」か
確かに、憲法24条2項は家族について
「個人の尊厳と両性の本質的平等」
に立脚して制定するよう定めているが、憲法は
「家族の保護」
を否定するものではない。
それどころか、憲法制定時の議会においては
「従来の良き意味の家族制度はどこまでも尊重していかなければならぬ」
(木村篤太郎司法大臣)
との答弁がある。
わが国が批准している国際人権規約でも
「できる限り広範な保護及び援助が、社会の自然かつ基礎的な単位である家族に対し…与えられるべきである」
としている。
それ故、わが国の家族制度は、
「個人の尊厳」

「家族の保護」
によって支えられていると見なければならない。
だからこそ、平成27年の最高裁大法廷判決も、
「家族は社会の自然的かつ基礎的な集団単位であり、氏には家族の呼称としての意義があり、氏の在り方については国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきである」
とした。
それでは、家族制度の基本にかかわる
「姓(名字)」
について、国民はどのように考えているだろうか。
先の内閣府の調査(平成29年)によれば、国民の56.9%は姓を
「先祖から受け継がれてきた名称」
ないし
「夫婦を中心とした家族の名称」
と答えている。
これに対して姓は
「他の人と区別して自分を表す名称の一部」
と考える者は、全体のわずか13.4%にすぎない。
つまり、姓を
「個人の呼称」
の一部と考え、
「個人の尊厳」
を強調する反対意見は、姓を先祖伝来の
「家」

「家族」
の呼称と考える多数国民の意識と相当ズレていることが分かる。
以前、本欄で述べたように夫婦の姓をどう決めるかは、個人個人の問題であると同時に、わが国の家族制度の基本にかかわる公的制度の問題である。
しかも選択的夫婦別姓制は
「ファミリー・ネームの廃止」
につながり
「戸籍解体」
の恐れさえある(「『戸籍の解体』を招く夫婦別姓制」2021年3月29日)。
したがって、自らは希望しないにもかかわらず、
「選択的だから」
「望む人が別姓を名乗るだけだから」
などといった安易な発想で賛成してしまうのは、推進派を利するだけであり、非常に疑問といわざるを得ないであろう。

次世代の党、夫婦同姓規定「合憲」判断を「歓迎」
2015/12/16 19:12
https://www.sankei.com/article/20151216-JTCPST5AN5IUNNFTBEMB2AHLCU/
次世代の党は2015年12月16日、最高裁が夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断したことについて、中野正志幹事長名で
「判断を歓迎する」
との談話を出した。
談話では
「日本社会においては、夫婦、親子が同じ姓を名乗ることが家族の基本であり、家族の一体感を高めてきた」
「一方、夫婦別姓を求める運動では、家族が同じ姓を名乗ることを子供が望んでいることは省みられていない」
と指摘。
その上で
「日本は、既に職場などでの通称使用(旧姓使用)が否定されない社会になった」
「旧姓に拘りを持つ方は通称を用いることが可能であるし、結婚時に夫が妻の姓を選択することも可能である」
としている。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
https://www.sankei.com/module/edit/pdf/2015/12/20151216iken.pdf
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は
「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」
と主張。
「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為に当たる」
と指摘していた。
国側は
「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている」
「婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」
と反論。
規定に違憲性はなく国会の立法不作為にも当たらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/192.html#c45

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