
(1)広報と報道の違いがわからない人たち…民主主義の大原則を脅かす「記者排除」3年前にも 不気味な躍進 参政党のトリセツ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/375346
2025/07/29 日刊ゲンダイ
参院選で14議席を獲得(C)日刊ゲンダイ
「日本人ファースト」を掲げ、参院選で飛躍的に議席を伸ばした参政党。主張や党運営には不気味な危うさが漂うが、任期6年もの間、国民はいやでも応でも彼らと付き合わされる。一体何者でどう向き合うべきなのか。参政党の監視を続ける選挙ウオッチャーによる「トリセツ」──。
◇ ◇ ◇
「参政党は国政政党としてふさわしいのか?」
そんな疑問が浮かぶ異常事態が進行中だ。
参政党は今回の参議院議員選挙で14議席を獲得。大躍進により、今年受け取る見込みの政党交付金は9億1400万円にまで跳ね上がった。
しかし、新興政党にありがちな幼さや危うさが払拭できない。なぜなら7月22日に開かれた定例記者会見の現場で、神奈川新聞の記者を「虚偽の説明で排除」する大失態を犯しているからだ。
同日付の神奈川新聞(電子版)によれば、排除されたのは石橋学記者。石橋記者は他の記者たちが事前登録なしで参加する中、党側から「事前登録が必要」と虚偽の説明を受けて退出させられたという。
石橋記者は選挙期間中、神奈川選挙区で当選した参政党の候補者による「非国民」発言などを批判的に報じてきた。もし、それを理由に排除されたのであれば、報道に対する圧力であり大問題だ。筆者も一人の記者として参政党へ抗議文を送り、経緯の説明を求めた。
すると同党は24日、公式サイトに「神奈川新聞記者の定例会見への参加制限について」とする文書を掲載。石橋記者が参院選期間中、「街頭演説で大声による誹謗中傷などの妨害行為に関与していた」などと主張し、「今回の会見でも混乱が生じるおそれがあると判断し、主催者として入場をお断りしました」と排除の理由を後付けで発表した。党側が虚偽の説明をしたことへの言及や反省は一切見られなかった。
一方の石橋記者は沖縄タイムスの取材に対し「選挙の自由妨害罪に当たるような行為は一切なかった」と明確に否定。両者の言い分は真っ向から対立している。
そもそも公党には、どんな立場の記者からの取材も受ける責任がある。それを引き受けずに不都合な記者を排除することは許されない。民主主義の大原則を脅かすものとして、誰もが危機感を覚えるべき事態だ。
筆者も3年前、参政党から複数回にわたり不当な圧力を受けてきた。同党は「取材にお越し下さい」と案内を送っておきながら、受付で「撮影不可」と不当な要求をした。一度は撮影を許可したにもかかわらず「やっぱりフリーランス記者の動画撮影はNG」などと後から告げてきた。そんな愚行が繰り返された後、筆者は記者会見への出席も拒まれることになった。
この事態は複数回にわたる抗議と他の記者たちからの援護によって解消された。しかし、「広報と報道の違いがわからない人たち」との印象は強く残っている。
報道に圧力をかけることを参政党の伝統芸として許してはいけない。引き続き監視が必要だ。(つづく)
畠山理仁 フリーランスライター
1973年、愛知県生まれ。各地の選挙現場を訪れ、面白さを伝える「選挙漫遊」の提唱者。著書「黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い」で第15回開高健ノンフィクション賞。「コロナ時代の選挙漫遊記」など著書多数。Xアカウント @hatakezo
関連記事
躍進の参政党 “メディア排除”で問われる政党のあり方<報道特集>(TBS)
http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/750.html
http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/757.html