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まとめてレス 投稿者 匿名希望 日時 2002 年 9 月 27 日 05:40:46:

(回答先: 最低限のプライドも良心も捨ててどんな未来が待っているのでしょう。 投稿者 書記長 日時 2002 年 9 月 26 日 19:33:32)

左右中道問わず予想通りのリアクションだった。このサイトのコア・コンセプトはAnti-Americanismだから当然とも言える。

国際関係論を学んだ者には世界を安定化させるためにシステムが必要であることは自明であろう。そしてそのシステムの中核に米国が位置すべきことも現状のパワー・バランスを考えると当然だ(ちなみに、システムを支えるための分担金は発言力や決定権の大きさに比例しない)。我が国は新たに提示されたグランド・デザインを支持し、西側諸国のみならず、中国、ロシア、その他の主要諸国にも支持を期待すべきである。

これは何でもかんでも米国の言いなりになれ、と言っているのではない。戦後展開された一連の日米交渉においても、毀誉褒貶はあろうが、我が国はその時々の両国の力関係に基づき、主張すべき点は主張し、それなりの実を獲得してきた。それとさほど変わらぬ日米関係が今後も継続されるということだ。今の米国の方向を認めると将来日本が標的になることも有り得るとする論者は、具体的にどのような場合にそうなるのかを明示する義務がある。書記長氏の主張されるような敢然と米国にチャレンジする行動でも採らない限りは非現実的な想定と言える。

我が国が最も恐れなければならない事態は、あっしら氏の示唆した「米国の内向き志向への回帰」である。諸外国の反発はともかく、内国民からの批判が噴出すれば、米政権は路線転換を余儀なくされる。このような事態になれば、中東政策だけでなく、対外政策全体が見直され、モンロー主義が米国を覆うことは可能性のないことではない。あらゆる種類の反米主義者はここに戦略の焦点を絞ってくるだろう。そうなった場合の世界秩序に与える影響は計り知れず、何の準備もできていない我が国は大混乱に陥る。米国にグローバル・コップの役回りから降りてもらっては困るのである。

あっしら氏の推奨するビナイン・ネグレクト政策も実質的にはオプションたり得ない。ブッシュ・ドクトリンに対するfor or againstは必ず問い質されるし、システム維持とオペレーション推進のための分担金の話は喫緊の課題として持ちあがってくる。氏の指摘される米国の中南米諸国への対処に限らず現行システム下で問題が山ほどあるのは事実である。しかし、あくまでも体制内に留まり各国が粘り強く米国ないし国際機関と交渉する以外にない。また各国それぞれにそれなりの政策オプションの幅は有り得る。通貨危機に見舞われた際に独自の対応をしたマレーシアにその後米国から不当な圧力がかかったなどという事実はない。

「米国が広げようとしている政治的価値観」の強要に行き過ぎがあれば、我が国が助言・諫言を行うのは当然である(しかし、最終的には、ベトナム戦争と同様、米国の行動については米国民の民意に委ねる他ない)。今回のイラク攻撃を例にとると、我が国が米国に政策転換を諫言できるのは、イラクの大量破壊兵器開発が存在しないこと、よって米国の潜在的脅威たり得ない事を100%確信でき、米国を説得すべきと考える場合のみである。

書記長氏の、人間たるもの理念に殉ずべし、という考え方は論理的でもあり一貫しているが、玉砕精神や滅びの美学に通じる危険な香りを放っている。過去の歴史や国を構成する民族の全く異なる日米で、寸分違わぬ価値観を共有できるはずもない。違う部分を違うと認めさせる地道な行動を採るか、氏の主張されるように米国とは別の理念を高らかに掲げ負け戦覚悟で敢然と立ち向かうか、私は日本国民の選択は明らかだと思う。当然色々な意見はあってよいのだが、最終的には私の主張するような現実主義路線が勝つのか、日本発の反米主義が理論武装して代替案をひっさげ、米国のカウンター勢力になってゆくのか、民意は早急に集約されていくだろう。私個人としては、大文字の理念を掲げそれに邁進するスタイルは日本国民には合わないと思う(先の大戦の経験のみからではなく、もっと長いスパンで考えてみても)。

私の考えは、言わば常識論である。これが異端説に覆されないとサイト的には面白くないだろう。しかし、(私が異端児になっている)財政問題ならともかく、外交問題で冒険主義は決して採れない。この事は忘れるべきではない。

太平洋戦争前夜の日米関係のアナロジーで言えば、フセイン大統領はハル・ノートを突き付けられた日本政府ということになろう(一方的な敗戦が最初から運命付けられていることを考慮するとそれよりもシビアだが)。フセインにとって米国の横暴さに我慢ならないことだろう。だが、自国へ及ぶ災禍を避け、一気に玉音放送まで持ち込めるのは世界でただ一人、彼しかいない。弱者による逆説で世界の歴史に名を刻むべきだと思う。 ちなみに、米国側にとってのアナロジーは、昨年の911を既に経ているわけでパール・ハーバーは終わった段階との認識だ。

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