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世界精神 kKKKRZC4kF8 全コメント
[政治・選挙・NHK199] 松本創  誰が「橋下徹」をつくったか
 メディアや政界では、次の参院選はダブル選挙になるという情報が流れている。とすれば、その時橋下徹氏が何らかの形で安倍政権に協力するはずだ。彼の政界引退宣言を真面目に受け止めてはならない。
 なぜ橋下氏はこれほど大きな力を持つにいたったのか、その権力の源泉は何か。我々は改めて考えなければなるまい。
 ここでは、『誰が「橋下徹」をつくったか』の著者である松本創氏の論文を紹介したい。


『月刊日本』1月号
松本創「誰が『橋下徹』をつくったか」より
http://gekkan-nippon.com/?p=7902


 橋下徹・大阪市長が2015年12月18日をもって退任した。自ら長を務めた大阪市を廃止・解体する「大阪都構想」が5月の住民投票で否決された際に宣言した政界引退表明の公約を実行した形である。
 しかし、彼は「いったん私人に戻れば、その後の生活は公約ではない。自由にさせてもらう」と復帰に含みを持たせている。7月の参院選出馬は根強くささやかれているし、むしろそれを期待している政界関係者、マスメディア、有権者も少なくない。
 橋下が08年2月に大阪府知事に就任して以来、大阪は空疎な熱狂と不毛な対立に煽られ、混乱と停滞に陥ってきた、と私は見ている。都構想が最たるものだが、それ以外の政策や、彼が標榜した「改革」も掛け声倒れや羊頭狗肉に終わり、強引に導入した制度も──たとえば、公募校長・公募区長のように──不備と不祥事が次々に露呈してきた。大阪の経済・財政状況は一向に改善せず、生活保護は増え続け、教育現場の荒廃が指摘されている。
 にもかかわらず、橋下個人の人気は根強い。実績らしい実績はほとんど何も上げていないというのに、彼は相変わらず「改革者」として振る舞い、威勢のよい言葉を吐き続けている。なぜか。そこには主に在阪の新聞・テレビという共犯者≠ェいたからだと私は考えている。「橋下現象」は徹頭徹尾、マスメディアの問題である、と。
 彼がなぜあんなに持て囃され、改革者の虚像を作り上げることができたのか。彼を取り巻く「空気」の正体を見極めようと、在阪メディアの関係者を2年半にわたって訪ね歩いた。それらの証言や自ら足を運んだ記者会見、それに橋下や都構想に関する報道を検証し、11月に刊行したのが『誰が「橋下徹」をつくったか──大阪都構想とメディアの迷走』(140B)である。詳細は拙著をご参照いただきたいが、ここでは、橋下とメディアの8年間を駆け足で振り返ってみる。
 両者の関係を検証していくと、いくつかの時期に分けられる。拙著ではその変遷を時系列でたどり、各章のタイトルとした。第1章「一体化するメディア」、第2章「検証しないメディア」、第3章「標的になるメディア」、第4章「批判できないメディア」、第5章「忖度するメディア」、第6章「凍りつくメディア」である。順を追って見ていこう。

<一体化するメディア>
 「2万%ない」と出馬を完全否定したのをひるがえして立候補、圧勝した07年12月の大阪府知事選から約2年間、橋下とメディアは蜜月関係にあった。売れっ子タレント弁護士だった橋下と「身内」同然の在阪テレビ各局は連日動向を追い回し、何の疑いも持たず権力者と一体化。彼の主張やコメントを垂れ流し、「改革」の名のもと、府庁や教育委員会などの公務員叩き、文化団体や社会的弱者の切り捨てに邁進した。
 代表的な例が、毎日放送(MBS)のワイド情報番組『ちちんぷいぷい』。政治・行政取材の経験もない若手アナウンサーを「ちちんぷいぷい政治部キャップ」という設定にして、本人いわく「お友達になれたらいいなという感覚」で登庁時の一言コメントを取り、毎日流し続けた。この政治部ごっこ≠ェ登庁・退庁時の「囲み取材」に発展してゆく。
 一方、新聞はタレント政治家への懐疑から、当初は一定の距離を保とうとしたが、8割を超す支持率を誇り、「クソ教育委員会」「ぼったくりバー」などと見出しになりやすい発言を次々と繰り出す橋下にあっさり取り込まれ、「役所や大阪をともに変えるという同志的連帯感」を持つに至る。(以下略)
http://www.asyura2.com/16/senkyo199/msg/463.html

[政治・選挙・NHK200] 山崎行太郎  他人の受け売りを垂れ流す櫻井よしこ
 櫻井よしこ氏はかつて河野談話を批判していた。とすれば、彼女は安倍総理も批判しなければ辻褄が合わない。安倍総理は河野談話の継承を明言し、昨年末には河野談話とほとんど同内容の日韓合意を発表したからである。ところが、櫻井氏はこの件について、国際世論から高く評価されており、外交的には大成功だったと評価しているのである。
 櫻井氏の議論にはまるで一貫性がない。何故このような言論人が政界や論壇に対して力を持っているのか、我々は真剣に考えなければなるまい。
 ここでは、以前から櫻井氏を批判していた、哲学者の山崎行太郎氏のインタビューを紹介したい。


『月刊日本』2月号
山崎行太郎「他人の受け売りを垂れ流す櫻井よしこ」より
http://gekkan-nippon.com/?p=8419


<なぜ櫻井よしこを批判するのか>
── 山崎さんは『保守論壇亡国論』で、櫻井よしこ氏を厳しく批判されています。なぜ櫻井氏を批判する必要があるのか、改めて教えてください。
【山崎】 最初に強調しておきますが、私は櫻井氏の著作自体にはほとんど関心がありません。読む価値もないと思っています。それでも私が櫻井氏を批判するのは、彼女が安倍政権に非常に近く、彼らに大きな影響を与えているからです。
 櫻井氏が安倍総理に一方的にすり寄っているというのであれば、それはわかります。時の権力者にすり寄れば、独自の情報を入手できるなど、得られるものも少なくないでしょう。ところが、安倍総理も櫻井氏を上手く利用しようとしているのか、彼女にすり寄るような姿勢を見せています。
 それを端的に示しているのが、櫻井氏の『日本の覚悟』の「解説」を安倍総理が書いていることです。安倍総理はそこで、櫻井氏を保守派の重鎮であるかのように持ち上げ、絶賛しています。しかも、安倍総理は「ぶれない」とか「日本の国益」といった言葉を使ったり、中国脅威論を展開するなど、最近の保守論壇によく見られるような議論を行っています。つまり、安倍総理の言説は櫻井氏レベルだということであり、安倍政権の政治はいわば「櫻井よしこ的な政治」だということです。
 それ故、安倍政権を批判するためには、安倍総理の背後で黒衣のような役割を果たしている櫻井氏を批判する必要があります。安倍政権の政策の問題点を一つ一つ取り上げるだけでは、効果的ではありません。実際、TPPや集団的自衛権に対する批判は、全て空振りに終わりました。むしろ櫻井氏のような人物の実態を暴くことこそ、安倍政権に対する有効な批判になると思います。
── 櫻井氏の言説が優れていれば、安倍総理がその影響を受けていたとしても問題はないと思いますが、櫻井氏の言説のどこに問題があると考えていますか。
【山崎】 最大の問題は、櫻井氏の議論の多くが他の言論人の受け売りだということです。それは、彼女がいくら批判されてもまともに反論しようとせず、ひたすら同じような議論を繰り返していることからもわかります。
 もし自らデータを集め、自分の頭で物事を考え議論を行っているのであれば、何か厳しい批判を受けた場合、自分の議論が正しいことを証明するためにしっかりとした反論をするはずです。相手が正しいと思えば、自らの議論を修正することもあるでしょう。少なくともこれまでの議論をそのまま強引に進めることはありません。
 ところが他人の受け売りをしている場合は、たとえその議論が間違っていたとしても、最終的な責任は参照先の言論人にあるのであって自分にはないということで、何の痛みも感じません。これはエイズ報道やA級戦犯の靖国神社合祀問題についての議論など、櫻井氏に一貫して見られる傾向です。彼女は明らかに間違っているにも拘らず、批判されても無視を決め込み、誤魔化します。彼女の出世作である『エイズ犯罪 血友病患者の悲劇』を絶版にしているのが、その実例です。
 同じことは安倍総理にも言えます。例えば集団的自衛権問題などについて、いくら野党が批判しても、安倍総理は同じような答弁を繰り返すだけでした。あれはまさに受け売りの心理です。自分の頭で物事を考えていないから、間違った言説を無責任に垂れ流し、しかもそれに恥を感じないわけです。

<『「南京事件」の探究』は研究書の名に値しない>
── 櫻井氏の最近の議論にも他人の受け売りは見られますか。
【山崎】 最近話題になっている問題について言えば、南京事件をめぐる議論がそうです。櫻井氏は『週刊新潮』(2015年10月22日号)で、南京事件の記録がユネスコの世界記憶遺産に登録されたことを批判し、《「南京大虐殺」など存在しなかったことは、これまでの研究で明らかにされている。》と述べています。
 櫻井氏の言う「これまでの研究」とは、北村稔氏の『「南京事件」の探究』を指していると思われます。櫻井氏は『異形の大国 中国』などでも、南京事件が捏造であることを証明した本として、北村氏の著書を引用しています。
 もちろん北村氏の議論が正しければ、櫻井氏がどれほど北村氏の受け売りをしようが、ひとまず問題はありません。ところが、北村氏の『「南京事件」の探究』には看過できない問題があります。櫻井氏はそのことに全く気づいていません。(以下略)
http://www.asyura2.com/16/senkyo200/msg/165.html

[政治・選挙・NHK200] 佐伯啓思  さらば、資本主義!
 国際社会全体が混乱に陥っている。「西洋の没落」は目に見えて明らかになっているし、資本主義や国民国家など既存のシステムも上手く機能していない。資本主義の終焉について語られることが多くなっているが、我々は現在が時代の転換点であることをしっかりと認識する必要があるのではないか。
 ここでは京都大学名誉教授の佐伯啓思氏のインタビューを紹介する。


『月刊日本』2月号
佐伯啓思「さらば、資本主義!」
http://gekkan-nippon.com/?p=8465


<現代文明は「全般的危機」に陥った>
―― 2016年は世界同時株安、イランとサウジアラビアの国交断絶、そして北朝鮮の水爆実験発表で幕を開けました。シリア紛争やIS問題も解決の兆しを見せておらず、国際社会全体が混乱に陥っています。
【佐伯】 「資本主義の全般的危機」という言葉がありますが、今日の世界は「現代文明の全般的危機」という様相を呈してきていると思います。現代文明の中心には、西洋の啓蒙主義が切り開いたヒューマニズムやリベラルデモクラシー、個人の自由競争からなる市場経済、そして産業の発展を支える科学技術があります。西洋の啓蒙主義者たちは、これらは普遍的な理念であり、これによって人類は幸福になると考えていました。
 しかし、これらが本当に普遍的理念と言えるのか、極めて疑わしいところがあります。実際、これらの理念が世界に広がれば広がるほど、逆説的に、その限界が顕わになりました。啓蒙主義は植民地主義や帝国主義をもたらし、二度の世界大戦を引き起こしました。ヒューマニズムやリベラルデモクラシーが中国やイスラム社会に根付く様子はなく、むしろ摩擦を生じさせています。これは日本にも当てはまることです。日本は明治時代にこれらの理念を取り入れましたが、多くの混乱を引き起こしてきました。
 これらが普遍的理念であれば、民族や国家を超えて受け入れられるはずです。しかし、現実にはそうはなっていません。ということは、これらは決して普遍的ではないということです。それ故、これらの理念が西洋以外の国々で上手く機能しないのは、ある意味で当然のことなのです。
 問題は、現在のアメリカを見ればわかるように、西洋でもこれらの理念が上手く機能していないことです。例えば、リベラルデモクラシーは結局、多数決によって力の強い者が弱い者を支配する政治に行き着きました。それにより、大衆煽動や迎合をいとわず、とにかく多数派を確保して、自分のやりたいことを押し通すという風潮が強くなってしまいました。アメリカ大統領選の共和党候補であるドナルド・トランプ現象もその典型です。
 また、市場経済は格差を拡大させ、貧困層を生み出しました。しかも、先進国は国内マーケットが飽和状態になったため、新興国のマーケットに依存せざるを得ません。そのため、新興国の経済状況が悪化すれば、同時に先進国の経済状況も悪化するという状況にあります。ヘーゲルの「主と奴」の議論を借りれば、先進国が新興国を支配しているように見えて、実は新興国が先進国を支配しているとさえ言えます。
 さらに、科学技術も行き着くところまで行ってしまい、これ以上の技術革新が人間を幸福にするのかどうか疑わしくなりました。遺伝子工学が一体何を生み出すか不明瞭ですし、原発についても今後の見通しがつきません。少なくとも確かなことは、技術革新をして産業に応用すれば、無条件に人間が幸せになるわけではないということです。これが我々の置かれている現在の状況です。(中略)


<西洋人は大義のために命を捨てられるか>
―― とりわけ深刻なのが西洋とイスラム社会の対立です。佐伯さんは『テロの社会学』(新書館)で、西洋がイスラム社会に対して持つ「負い目」を指摘しています。
【佐伯】 それは9・11テロに対する西洋の反応に端的に表れています。彼らはあのテロに接し、宗教的大義のために命を捨てる人間がいることに衝撃を受けたはずです。
 西洋はこれまで自由や民主主義といった世俗的な価値観を掲げ、個人の幸福を追求してきました。それは20世紀後半から21世紀にかけて、かなりの程度達成されました。しかしその結果、「自分たちは何のために生きているのか」という人生の目標が見失われてしまいました。
 新たな目標を探すにしても、かつてのように「自由への闘争」は目標にはなり得ません。既に自由や民主主義は実現されているし、そもそもこれらの価値観はどこかインチキ臭いからです。自由だ民主主義だと言ったところで、現実には格差が広がり、見捨てられる地域が増えています。学校内では子供のいじめや自殺も起こっています。暴力は至るところで見られます。
 そのため、西洋人たちは、これらの価値観に代わる、何か新しい大義を心の底で模索していたのだと思います。もっと言えば、命を賭けてでも守るべき大義をどこかで欲していたのだと思います。
 そうした時に9・11テロが起こったわけです。しかも、あのテロは狂信的な人間によって行われたのではなく、飛行機をビルにぶつけられるほど高度な技術と冷静さを身に付けた、ある意味で合理的な人間によって行われました。西洋人がそこに、テロの良し悪しは別にして、イスラム社会に対する畏怖を交えたある種の恐怖感を感じたとしてもおかしくありません。(以下略)
http://www.asyura2.com/16/senkyo200/msg/310.html

[政治・選挙・NHK200] たとえ罠だったとしても、簡単に罠にはまる甘利大臣にこそ責任はある (月刊日本編集部ブログより)
 政治は謀略の世界であり、罠をしかけるなど当然のことだ。あんな罠に簡単にはまるような人間が、謀略飛び交う国際社会を勝ち抜けるはずがない。TPP交渉で各国の要求をほぼ丸のみしてしまったのも無理はない。
 「悪いのは罠をしかけた人間であって、自分は悪くない」といった姿勢は、保守派によく見られるものだ。彼らは「日米戦争はアメリカが仕掛けたので、日本は悪くない」といったように、すぐに責任転嫁をはかる。この態度こそ問題にすべきだろう。


月刊日本編集部ブログ
「保守派の『自虐史観』」より
http://gekkan-nippon.com/?p=8432


<罠にはめられた責任>
 甘利経済再生相の違法献金疑惑をめぐって政界が揺れています。安倍政権は火消しに奔走しており、自民党内からも甘利大臣を擁護する発言が相次いでいます。例えば、自民党の高村正彦副総裁は「わなを仕掛けられた感がある。そのわなの上に、周到なストーリーがつくられている」と述べたと報じられています(1月24日付「読売新聞」)。
 しかし、これではまるで罠にかかった人間には何の責任もないかのように聞こえます。政治は謀略の世界であり、罠にかかってしまう人間にも責任はあります。もし中国の罠にはめられて国益が大きく毀損されても、「悪いのは中国であって自分たちは悪くない」などと言うつもりなのでしょうか。
 これは端的に言って、自民党に政治的センスが欠如していることを表しています。と同時に、日本の保守派によく見られる「自虐史観」だとも言えます。
 「自虐史観」とは一般的に左派の間に見られるもので、南京事件や慰安婦問題など日本の歴史の負の部分を強調する歴史観のことだと言われています。しかし、「自虐史観」は保守派の間にも見られます。
 保守派の中には「支那事変はコミンテルンの罠だ」とか「日米戦争はアメリカが仕掛けた」などと主張し、「日本は被害者だ」、「日本は悪くない」と言い張る人たちがいます。もちろんアメリカやコミンテルンが日本に様々な謀略を仕掛けてきたのは間違いありません。しかし、これではまるで、他国が謀略を仕掛けてきた際に、日本の指導者たちは何もせずに黙って見ていたかのようです。これでは、日本の指導者たちは他国の謀略に為す術もなく簡単に騙されてしまうほど無知で無能だったと言っているようなものです。これこそ「自虐史観」と呼ぶべきでしょう。
 ここでは弊誌2013年8月号に掲載した、哲学者の山崎行太郎氏のインタビュー「なぜ保守論壇はかくも幼稚になったのか」を紹介したいと思います。なお全文はキンドル版「保守論壇亡国論序説」でもご覧いただけます。(YN)


<「被害者」であることを強調する人たち>
―― 保守論壇の「左翼化」は、具体的にどのような問題に表れているか。
【山崎】 その一つとして歴史認識問題が挙げられる。たとえば渡部昇一は、「シナ事変は今では明らかになったようにコミンテルンの手先が始めたものである」、「アメリカ・イギリスとの開戦は、マッカーサー証言の如くその包囲網により、日本の全産業・全陸海軍が麻痺寸前まで追いつめられたから余儀なくされたのである」と論じている。要するに、悪いのはアメリカやコミンテルンであって日本ではない、というわけだ。
 こうした議論からは、日本の主体性というものが完全に欠落している。これではまるで、敵国が謀略を仕掛けてきた時、日本の指導者たちは何もせずに黙って見ていたようではないか。彼らは敵国の謀略に為す術もなく簡単に騙されてしまうほど無知で無能だったとでもいうのだろうか。そんなはずはない。
 アメリカやコミンテルンが日本に対して謀略を仕掛けてきたのは間違いない。しかし、それは戦争なのだから当然のことだ。日本も日露戦争の時は明石元二郎が情報活動を行っていたし、昭和の時代には陸軍中野学校の卒業生たちが暗躍した。
 もちろんアメリカやコミンテルンの謀略に対しても、当時の日本の指導者たちは様々な形で抵抗した。しかし、残念ながら力及ばず戦争に引きずり込まれ、そして負けたのだ。「我々は悪くない」などと責任転嫁する暇があったら、「次は負けないようにしよう」「こちらから謀略を仕掛けてやる」くらいの主体性を持つべきだ。
 私は、悪いことを全て他国のせいにし、日本に責任はないとする歴史観を「受動史観」と呼んでいるが、この受動史観に囚われている人たちは、自分たちは「被害者」あるいは「弱者」であり、自分たちの手は汚れていないということを必死に証明しようとする。
 確かに「加害者」であることは辛く耐え難いものであり、「被害者」である方が楽だろう。しかし、自分たちが「被害者」であることを強調することで批判をかわしたり責任転嫁しようとするのは、それこそ悪しき左翼のやり方ではないか。ここに保守論壇の「左翼化」が端的に表れている。
 本当に強い人というものは、言い訳をしたり、自己を正当化したりしない。本当の帝国は、自分たちがやってきたことを、良い点も悪い点もしっかりと記録に残す。戦前の日本のように敗戦間際になって機密書類を焼いて捨てたりはしない。
―― 橋下市長の慰安婦問題発言にも同じことが言える。
【山崎】 「被害者」や「弱者」は、「子供」と言い換えることもできる。橋下市長はアメリカに対して、あなたたちも女性を利用していたではないかなどと批判していたが、これほど子供じみた振舞いはあるまい。たとえそれが事実だったとしても、黙って耐え忍ぶのが「大人」というものだろう。(以下略)
http://www.asyura2.com/16/senkyo200/msg/321.html

[政治・選挙・NHK200] 曽野綾子氏のコラム「利己的な年寄りが増えた」は典型的な新自由主義的発想だ (月刊日本編集部ブログより)
 曽野綾子氏のコラム「利己的な年寄りが増えた」が物議を醸している。これは一読すれば明らかなように、新自由主義的発想に基づいている。この考えを進めれば、社会に貢献できない人間は全て排除せよ、といったことになりかねない。曽野氏はここでは高齢者を批判しているが、たとえ若者であっても社会に貢献できないのであれば排除せよ、ということになり得るだろう。
 なぜ曽野氏のような新自由主義者が相変わらず論壇で力を持っているのか、我々は真剣に考えねばなるまい。ここでは興味深い曽野綾子氏批判を紹介したい。


月刊日本編集部ブログ
「曽野綾子氏のコラムの問題は何か」より
http://gekkan-nippon.com/?p=8564


<典型的な新自由主義者の発想>
 作家の曽野綾子氏のコラムが再び物議を醸しているようです。曽野氏は1月24日付産経新聞に「利己的な年寄りが増えた」というコラムを投稿し、90代の高齢者がドクターヘリを要請したというエピソードを切り口として、次のように述べています。

しかし最近は、何が何でも生き延びようとする利己的な年寄りが増えた。/人間は平等だから、年寄りでも若者と同じような医療を要求する権利があると考える。できればそうだが、できなければ生きる機会や権利は若者に譲って当然だ。

 曽野氏は『週刊ポスト』(2月12日号)でもこのコラムの続編のような形でインタビューに応じていますが、ここには典型的な新自由主義者の発想が見られます。この考えを進めていけば、労働によって社会に貢献することができない人間は、社会から排除してもよいということになりかねません。これは高齢者だけでなく、中年や若者にも適用されるでしょう。
 新自由主義者は人間を労働力商品に還元するため、人の心の澱や襞といったものを理解できません。他者の気持ちになって考えることができないので、「社会的弱者」に目を配ることもできません。
 この点について、作家の佐高信氏が哲学者の山崎行太郎氏との対談本『曽野綾子大批判』(K&Kプレス)で次のように述べています。

【佐高】 ……曽野は以前『サンデー毎日』に連載を持っていたのですが、部落問題に関する記述をめぐって連載中止になったそうです。問題のコラムは曽野の『運命は均される』という本に収録されていますが、それは「自分は東京生まれ東京育ちだが、日常生活で部落問題が話題になった記憶がない。そんな自分に部落差別について教え込もうとする人たちがいる。差別を知らない人間に同和教育を吹き込むな」といった内容です。
 これは要するに、自分が差別はないと言っているのだから差別は存在しないんだ、ということでしょう。あまりにも酷いからってことで掲載できなかったんでしょうけど。


<日本社会に蔓延する「無思想の思想」>
 また、佐高氏は曽野氏の作家としての資質にも疑問を投げかけています。佐高氏が曽野氏を批判したところ、曽野氏から反論がありました。しかし、その反論がとても反論と呼べるものではなかったからです。

【佐高】 ……曽野は次々と違ったカードを切ってきて、こちらの批判を無視し、問題を逸らそうとする。彼女は自分と相手のどこが同じでどこが違うのか、自分がどういう位置づけであるのかといったことはどうでもいいんでしょうね。
 その意味で、曽野綾子には思想がない。彼女の議論の底が浅いのもそのためでしょう。
【山崎】 曽野が論争から逃げるのは、彼女にサブスタンスがないからでしょう。もし本当にサブスタンスを持っているなら、論争から逃げるわけにはいかないですよ。自らの存在と直結する問題、自らの生命線に突っかかってこられているわけですから、全存在を賭けて一線を守ろうとするはずです。

 これは弊誌2月号で批判した櫻井よしこ氏にも言えることです。その中で、山崎氏は櫻井氏の思想を「無思想の思想」だと述べています。思想がないから、櫻井氏の言論には一貫性がないのです。
 さらに言えば、これは安倍総理や、安倍総理を支持している人たちの多くにも言えることです。なぜ日本社会で「無思想の思想」が力を持つようになってしまったのか、我々は真剣に考える必要があります。
http://www.asyura2.com/16/senkyo200/msg/771.html

[政治・選挙・NHK201] 日本も貧困大国へ  水野和夫 
 ついにアベノミクスの化けの皮がはがれた。株価さえ上がれば何でもいいという安倍政権の経済政策は、その株価さえ上げることができなくなった。もはや先進国では経済成長は不可能なのだ。アベノミクスの「次」を考えるためにも、我々は改めて資本主義とは何かということを考える必要がある。
 ここでは、一貫してアベノミクスを批判してきた、日本大学教授の水野和夫氏のインタビュー記事を紹介したい。


『月刊日本』3月号
水野和夫「日本も貧困大国へ」より
http://gekkan-nippon.com/?p=8605

<マイナス金利政策でもデフレは脱却できない>
―― 1月29日、日銀はマイナス金利政策の導入を決定しました。しかし、日銀の意図に反して株価は下落し、日経平均株価は1万6000円を割り込みました。
【水野】 黒田日銀総裁は2013年4月に最初の金融緩和を発表した際、「戦力の逐次投入はしない」と大見得を切っていました。ところが翌年10月に追加緩和を行い、さらに今回マイナス金利を決定しました。これは明らかに「戦力の逐次投入」ですから、黒田総裁の言動は矛盾していると言わざるを得ません。それほど日銀は追い込まれているということです。
 日銀はこれまで2年間で2%の物価上昇を達成することを目標としてきました。しかし、いくら金融緩和を行っても物価は上昇せず、もはや打つ手がない状況にありました。とはいえ、「これ以上為す術がありません」と言ってしまえば、日銀の存在理由はなくなってしまいます。そのため、彼らは新たな対策を講じる必要がありました。少なくとも対策を講じているフリをする必要がありました。今回日銀がマイナス金利に踏み切ったのは、短期的にはこのような組織防衛のためだと思います。
 もちろん、日銀は長期的には、マイナス金利によって企業が実物投資を行い、日本経済がデフレから脱却することを期待しているのだと思います。しかし、これにより企業が投資や借入を増やすことはありません。というのも、日本では既に実物投資が行き渡っており、これ以上実物に投資しても利潤を得ることができないからです。
 実際、一般の家庭ではテレビやエアコンなど日常生活に必要なものは一通り揃っており、新たな需要は見込めません。また、少子化によって人口は減少していますし、空き家や食品ロスの増加に見られるように、物も余っています。
 それでは株式投資であれば利潤を得られるかと言うと、そうでもありません。現在の株式市場では、リスクを負って投資しても利潤を得ることはできません。例えば、シャープは経営不振のために巨額の赤字を計上し、東芝も不正会計問題によって巨額の赤字が明らかになりました。そのため、シャープや東芝の株主はかなりの損失を負ったはずです。
 これは原子力産業やパネル産業に限った話ではありません。海外市場にも同じことが言えます。中国経済の先行きは不透明であり、ブラジルやロシアの経済も悪化しています。
 2003年10月にゴールドマン・サックスが「BRICsと共に夢を見よう」というレポートを出しましたが、このレポートが出たあと原油価格は1バレル30ドルから2008年に100ドルを上回る水準にまで高騰し、リーマンショック後一時30ドル台前半へと下落したのですが、その後再び上昇し、2014年夏までは100ドル台を維持していました。しかし、中東の混乱も深まり、2016年になるとついに原油価格は1バレル30ドルを切りました。このことが意味するのはBRICsの夢の終わりです。そして、石油市場に投資しても、従来のような利益を上げることはできないということです。
 実物投資でも株式投資でも石油市場でも利潤が見込めないとなれば、お金は債券市場に流れざるを得ません。株価が下落すると共に、10年物国債の市場利回りが一時マイナス0・035%にまで低下したのはそのためです。
 もっとも、利回りがマイナスということは、債券市場でも利潤が得られるわけではないということです。しかし、消費者物価も0・1%ほど下落しているので、実質的な貨幣価値は維持することができます。また、実物や株式に投資した場合よりも損失を抑えられることは間違いありません。これが国債にお金が流れた理由です。

<アベノミクスが貧困層を拡大させた>
―― 実物投資によって利潤が得られないのは、既に投資が行き渡っていることに加え、貧困層が拡大していることも要因だと思います。水野さんは『資本主義の終焉と歴史の危機』(集英社)で、先進国では中間層が没落したために二度と消費ブームは起こらず、それ故デフレを脱却することはできないと指摘されています。
【水野】 資本主義社会は「中心」と「周辺」から成り立っており、「中心」は「周辺」から安く仕入れたものを高く売ることで利潤を得ています。「周辺」から安く仕入れるということは、そこに安い賃金で働かされている人たちがいるということです。これは先進国と発展途上国の経済格差が問題となった「南北問題」について考えればわかると思います。
 もっとも、グローバル化の進展は「周辺」である新興国にも経済成長をもたらしました。これにより「南北問題」は解決したかに見えました。しかし繰り返しますが、資本主義社会は「周辺」がなければ成り立ちません。そのため、賃金が上昇した新興国の労働者に代わり、新たに賃金の安い労働者を作り出す必要がありました。
 それがアメリカのサブプライム層です。最近では学生ローンという形で学生も重い借金を背負わされ、社会に出る前から借金漬けにされています。(以下略)
http://www.asyura2.com/16/senkyo201/msg/715.html

[原発・フッ素45] 河合弘之 それでも私は高浜原発停止を諦めない
 高浜原発をはじめとして次々と原発の再稼働が進んでいる。しかし、だからといって脱原発を諦めるべきではないし、これで負けが確定したわけでもない。原発を止めるチャンスはまだまだ残されている。
 ここでは、脱原発運動を主導してきた弁護士の河合弘之氏のインタビューを紹介したい。


『月刊日本』3月号
河合弘之「それでも私は高浜原発停止を諦めない」より
http://gekkan-nippon.com/?p=8628

<運転差止仮処分を取り消した裁判官たちの責任>
── 昨年4月に、関西電力の高浜原発(福井県)3・4号機の運転差止仮処分命令が発令されました。ところが、昨年12月に仮処分命令は取り消されてしまいました。
【河合】 福井地方裁判所の樋口英明裁判長が出した高浜原発の運転差止仮処分決定は、原発を推進したい権力と「原子力ムラ」にとっては、大きなショックだったでしょう。そこで、この決定を覆すために、関電は異議の審理を申し立てたのです。これに合わせて、樋口裁判長を名古屋家裁に転出させる形で封じ込め、元最高裁事務総局、民事局、刑事局などにいたエリート裁判官を三人そろえて異議審の担当に振り向けたのです。林潤裁判長、山口敦士裁判官、中村修輔裁判官の三人です。露骨な人事工作であり、非常に汚いやり方です。
 樋口裁判長の決定を覆したこの三人の名前をよく覚えておいてもらいたい。万が一、高浜原発で事故が起きたら、その責任は彼らにあります。彼らには止める権限があったのですから。
── 林裁判長らは、いかなる理屈で仮処分命令を取り消したのですか。
【河合】 原子力規制委員会の新規制基準が合理的だと判断したのです。一番の問題は基準地震動の決め方です。基準地震動とは、耐震設計の目安となる揺れで、例えば「この原発は1000ガルを超えたらだめ」という基準です。樋口裁判長はこの基準の決め方は従来と同じで曖昧かつ緩過ぎであり、これに適合しても安全性は確保されないと判断していました。その判断を、林裁判長らは覆してしまった。
 樋口裁判長の判断基準は、「二度と福島原発事故のような悲惨な事故を起こしてはいけない」「そのためにどのような安全基準が必要か」という点にありました。裁判官の基本姿勢が問われているのです。福島原発事故を直視し、あのような事故を二度と起こしてはいけないと思うのか、そうではないのか。林裁判長たちは、福島原発事故の悲惨さをもう忘れてしまったのです。
 再稼働推進派は、「絶対的に安全なものなんかない」という考え方です。実際、林裁判長らは「危険性が社会通念上無視できる程度まで管理されているかどうか」が判断基準だと主張しているのです。社会通念上無視できる程度まで管理されていれば、福島原発事故のような事故が起きてもいいと考えているのです。
 我々は、再稼働を始めた高浜原発をもう一度止める戦いを続けます。差止仮処分が異議審でひっくり返されたので、それに対する抗告が名古屋高裁金沢支部で継続されています。そこで、再びひっくり返さなくてはいけない。

<九電による免震重要棟の建設撤回は詐欺だ>
── 九州電力の川内原発(鹿児島県)の再稼働には、免震重要棟の建設が条件になっていました。ところが、九電は免震重要棟建設計画を撤回してしまいました。
【河合】 これは、詐欺です。規制委員会はバカにされています。規制委員会は、直ちに再稼働許可を取り消すべきです。免震重要棟建設を条件として許可したわけですから。規制委員会の対応は生ぬる過ぎます。
 免震重要棟は放射線管理機能と通信情報設備を備えた緊急時対策所です。最前線の中央操作室から一歩下がったところに免震重要棟は設けられ、そこから指令を出すのです。免震構造でなければ、地震によってドアなどが壊れて室内に入れなくなり使いものにならなくなってしまいます。
 福島原発事故があそこで留まったのは、免震重要棟があったからです。緊急時には不可欠な施設なのです。九電が勝手に免震重要棟建設を撤回してしまったのは、余計な費用をかけたくないからでしょう。しかし、こんなことを許したら他の原発も真似しますよ。我々は、川内原発を止めるために、負けた仮処分決定の抗告審を、福岡高裁宮崎支部で闘っています。(以下略)
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/148.html

[政治・選挙・NHK203] 小林節  公開討論を求める! 嘘だらけ・櫻井よしこの憲法論
 安倍総理のような政治家はいつの時代にもいる。問題は彼を支持している言論人たちだ。彼らを徹底的に批判し、言論界から退場させることが、安倍政権打倒の第一歩になるはずだ。
 ここでは安倍政権を支える櫻井よしこ氏を厳しく批判している、慶應大学名誉教授の小林節氏のインタビューを紹介したい。


『月刊日本』4月号
小林節「公開討論を求める! 嘘だらけ・櫻井よしこの憲法論」より
http://gekkan-nippon.com/?p=8726

<櫻井よしこは嘘つきだ>
── 小林先生は櫻井よしこさんに公開討論を呼びかけています。
【小林】 もともと民主主義の基本は、正しい情報に基づいて国民が国家の方向性を判断するということです。しかし私に言わせると、安倍政権は嘘キャンペーンを張って、国民を騙しています。そのことで櫻井さんが大きな役割を果たしている。美人で、経歴が良くて、表現力もあるから、一般国民はコロッと行ってしまう。このままでは安倍政権や櫻井さんの嘘に騙されて、国民が判断を誤りかねない状況です。
 私の経験から言うと、櫻井さんは覚悟したように嘘を発信する人です。たとえば私と櫻井さんは日本青年会議所のパネルディスカッションで一緒に登壇したことがあります。そこで櫻井さんは「日本国憲法には、『権利』は19か所、『自由』は6か所も出てくるのに、『責任』や『義務』は3か所ずつしか出てこない。明らかに権利と義務のバランスが崩れている。そのせいで日本人は個人主義的になり、バラバラになってしまった」というようなことを言うわけです。
 それに対して私は、「櫻井さんの主張は間違っています。法律には総論と各論があり、総論は全ての各論に適用されます。日本国憲法では、『公共の福祉』を定めた憲法12条と13条が総論として、ちゃんと各条が認めた個々の人権全てに制限を加えています。そもそも憲法は国民の権利を認めて、国家に義務を課すものです。しかし納税、勤労、教育は国家存続に必要不可欠なので、憲法は国の主の責任として例外的にこの三つの義務を国民に課しているだけです。19個の権利に対応する19個の義務を課せばバランスがとれるという話ではありません」ときっぱり指摘しました。
 そうしたら櫻井さんは顔面蒼白になって、それから目線が全く合わなくなり、その日は挨拶もせずに帰っていった。しかし、その後も櫻井さんは日本国憲法を論じる際には必ずと言っていい程この話を繰り返している。櫻井さんは私の友人に「私は専門分野のないのが弱みなのよね……」とコンプレックスを明かしたそうです。それなら黙っていればいいのに、専門知識を持たずに専門知識の必要な憲法を語るから、こういう間違いを犯すのです。
 他にも櫻井さんは「個人主義的な日本国憲法のせいで、親が子を殺し、子が親を殺す日本になってしまった」というようなことを言います。しかし親族間殺人は明治憲法下の戦前の方が多かったのです。この主張は事実に反する真っ赤な嘘ですし、殺人の原因を憲法に求める思考も非科学的です。
 知識人は自らの知識と良心に照らして正しいと確信したことを述べるべきです。しかし櫻井さんには知識もなければ良心もない。良心があるならば、自分の意見が間違っていると指摘された時、反論するか訂正すべきです。それを私に論破されてギャフンと尻尾を巻いて逃げておきながら、相変わらず確信犯的に同じ誤った情報、つまり嘘を垂れ流し続けるのは、無責任かつ不誠実極まりない。
 櫻井さんに知識人、言論人の資格はありません。言論人の仮面を被った嘘つきです。嘘つきじゃないと仰るならば、公の場で議論しましょう、そしてどっちが正しいかは国民の判断に委ねましょう、ということです。
── 櫻井さんと対談した経験もあるそうですね。
【小林】 不愉快な思い出しかありません。たとえば以前、『週刊新潮』で外国人参政権の問題について櫻井さんが私にインタビューするという企画がありました。しかし取材当日は本人ではなく、中年男性のアシスタントが聞き手としてやってきた。
 そのやりとりの中で、向こうが「櫻井は『納税は公共サービスの対価だ』と言っている。これを小林先生のセリフにしてほしい。バシッと決まりますから」と言ってきたから、私は「その主張は間違っています。憲法学者として嘘を言うことはできません」と断りました。納税が公共サービスの対価ならば、高額納税者は市道を歩けるが、低額納税者は歩けないという話になる。おかしいでしょう。それなのに掲載誌を見てみたら、堂々と「納税は道路や水道や教育や治安等の行政サービスの対価である」と書いてある。正しくは、納税は収入の対価です。(以下略)
http://www.asyura2.com/16/senkyo203/msg/390.html

[政治・選挙・NHK203] トランプ以後のアメリカ 日米安保破棄に備えよ
 トランプは在日米軍撤退や日本核武装容認論など、次々と過激な主張を打ち出している。しかし、これらは決して真新しいものではない。アメリカのリアリストと呼ばれる人たちが昔から唱えていたものである。
 トランプがここまで支持を集めた以上、たとえトランプが大統領にならなくとも、次の大統領も「トランプ的な政策」をとらざるを得ない。我々はその時に備え、アメリカのリアリストの主張を知る必要がある。
 ここでは、リアリスト系国際政治学者クリストファー・レインの翻訳を行った、地政学者の奥山真司氏のインタビュー記事を紹介したい。


月刊日本編集部ブログ「日米安保破棄に備えよ」より
http://gekkan-nippon.com/?p=8735

<オフショア・バランシングは一九世紀英国外交の再来だ>
―― クリストファー・レインはアメリカの外交戦略がどうあるべきだと主張しているのか。
【奥山】 レインらのリアリストが手本としているのが、一九世紀のイギリスの外交戦略だ。当時イギリスは覇権国だったが、自国に対して脅威になる国の出現を防ぐために、ヨーロッパ大陸に対して一歩引いた立場に立ち、巧みな勢力均衡(バランス・オブ・パワー)外交を展開した。ある国を支援して別の国とぶつけさせ、相討ちさせることによって、両国の力を相殺させたり、関係を分断したりするという政策だ。
 レインの提唱するオフショア・バランシングとは、「イギリスという島国とヨーロッパという大陸」という関係を、「アメリカという島国とユーラシアという大陸」に置き換えて、イギリス流の勢力均衡策を採用しようとするものだ。自らは「沖合」(オフショア)から、バランサーとして立ち回り、ユーラシア大陸の勢力均衡を図るということだ。
 大国の勢力拡大に対して自ら直接対処するのではなく、それを間接的に他国にやらせる。そして最後の段階で、自ら積極的に介入するのではなく、乞われて出て行く方が望ましいと考える。この戦略のキーワードは、責任(バック)を転嫁(パス)すること、つまり「バック・パッシング」である。かつてイギリスは、ナポレオン率いるフランスがヨーロッパ大陸で暴れていた一八世紀後半から一九世紀前半、ヨーロッパ大陸内のバランスがフランス側に大きく傾きつつあることを懸念したが、自ら出ていくのではなく、プロシアやロシアやオーストリアなどの周辺の大国に責任転嫁し、対処させようとした。
―― 外交理念やイデオロギーよりも国益を優先させる冷徹なリアリズムだ。
【奥山】 外交理念に基づいて特定の国と永続的な友好関係を結んだり、特定の国を敵視したりするのではなく、あくまでも国益に基づいて国家関係を規定としようとする。極端に言えば、すべての国は悪であるというところから出発するのだ。

<リアリストは日米安保条約破棄を迫る>
―― オフショア・バランシングが採用されると、アジアでは何が起きるのか。
【奥山】 中国の台頭に対して、アメリカは責任を負わず、アジア各国に責任を持たせるという方向に進む。レインは、台湾、尖閣諸島、南シナ海などは、中国や日本にとっては重要かもしれないが、アメリカにとっては本源的な戦略的価値はないと言いきっている。ジョージ・ワシントン大学のチャールズ・グレイザーは、一層はっきりと、アメリカは台湾に対するコミットメントを取り下げることを検討すべきだと主張している。アメリカが圧倒的な軍事力を誇っていた時代は過ぎ去り、いまや中国はアメリカに対する核報復力を手にした。こうした状況で、台湾や日本を守る際の潜在的なリスクが増大しているのである。
 そこで、日本はアメリカに頼るのをやめて、自らの力で中国に対抗しろと主張することになる。具体的には日米安保条約を破棄し、日本の自主核武装を支援すべきだとの主張となる。
 海外の紛争にアメリカは巻き込まれるべきではないという主張がリアリストの間で高まっているのだ。キッシンジャーとならぶ国際政治学の大御所ズビグニエフ・ブレジンスキーもまた、近著『Strategic Vision』において、一九世紀のイギリスの戦略に学ぶべきだと主張している。(以下略)
http://www.asyura2.com/16/senkyo203/msg/506.html

[政治・選挙・NHK204] 山野良一  政治が生んだ子どもの貧困
 日本では子どもの相対的貧困率が2014年時点で16・3%にも達している。これは約6人に1人の子どもたち、すなわち約325万人もの子どもたちが貧困に苦しんでいるということである。新自由主義的政策支持するということは、この状況を黙認するということである。この状況を改善するためにはどうすればよいか、真剣に考えなければならない。
 ここでは、『子どもの最貧国・日本』(光文社)の著者である山野良一氏のインタビューを紹介したい。


『月刊日本』4月号
山野良一「政治が生んだ子どもの貧困」より
http://gekkan-nippon.com/?p=8773


<「食べさせられなくてゴメンね」>
── 山野さんは『貧困を子どもに押しつける国・日本』(光文社)で、子どもの貧困に警鐘を鳴らしています。
【山野】 あまり実感がないかもしれませんが、日本は「子どもの貧困」大国です。2014年に厚労省が発表した「子どもの相対的貧困率」は、過去最悪の16・3%。約6人に1人、日本全体で約325万人の子どもたちが貧困に苦しんでいるということになります。
 子どもの貧困率は「貧困ライン」という基準に満たない所得の世帯で暮らす子どもたちの割合です。2012年時点のデータでは、日本の貧困ラインは1人当たり年122万円未満とされています。それに基づいて計算すると、貧困状態にある子どもは、親子2人世帯では年額約173万円(月額約14万円)、親子4人世帯だと年額約244万円(月額約20万円)未満の世帯で生活していることになります。これらの金額は、税金を引いて児童手当を足すなど、所得の再分配を反映済みのものです。
 しかし、この金額は上限にすぎません。貧困ラインの所得額だけでは、貧困状態にある子どもたちが全体としてどのくらい困窮した世帯で生活しているのか分かりません。それを垣間見るひとつの方法は、貧困状況にある子育て世帯の平均的な所得(中央値)を計算するという方法です。すると、大体親子2人世帯では年額約122万円(月額10万円)、親子4人世帯では年額約176万円(月額約15万円)になります。とはいえ、この数字は貧困状態にある子どもたち全体の真ん中の数値をとったものなので、そうした子どもたちの50%はこの金額未満で生活していることになるのです。
 つまり、日本の子どもたちは約325万人(16・3%)が親子2人で月14万円、親子4人で20万円未満で生活している。そのうちの半分、約160万人が親子2人で月10万円、親子4人で15万円未満で生活しているということです。
── 衝撃的な数字ですが、あまり実感がありません。
【山野】 日本では子どもの貧困が社会的に見えにくいのです。子どもの貧困は地域ごとに違うので、住む場所によって見えにくさも違います。最近、山形大学の戸室健作准教授が各都道府県別の子どもの貧困率を発表しましたが、ワースト1位は沖縄で37・5%です。沖縄の子どもたちは3人に1人以上が貧困状態だということです。
 私も数人の研究者と昨年、沖縄で子どもの貧困について調査しました。小中学生がいる家庭に対するアンケートでは、「この一年間に電気、ガス、水道料金等を滞納したことがある」と答えた家庭は全体で約15%、貧困家庭では約30%でした。また「この10年間で電気、ガス、水道等を止められたことがある」と答えた家庭は約10%、貧困家庭では約20%でした。水道が止められることは稀なので、沖縄の子どもの10人に1人近くは、電気が止められた真っ暗な生活やガスが止められお風呂に入れない生活を経験している可能性を示す結果です。
 電気料金などの滞納だけでなく、必要な食料などの購入ができない世帯も少なくないことが分かりました。実際、児童相談所で児童福祉司をしていた時に出会ったケースには、給料日前になると食料を買えなくなり、ご飯とふりかけ、具なしの味噌汁だけ、あるいはスパゲッティとふりかけだけ、という家庭などもありました。
── 貧困状態にある子どもとは、経済的に生活が苦しい子どもという理解でよろしいですか。
【山野】 確かに経済的困難は大きな要素ですが、貧困というのは複合的な現象です。経済的困難を中心に、不十分な衣食住、不健康、親の長時間労働、親のストレス、虐待・ネグレクト、無力感、子どもの発達、親族・近隣からの孤立など、様々な問題が複雑に絡み合っています。貧困状態にある子どもは、こういう複合的な問題を抱える家庭で生活しているのです。
 先に上げたような家族のように、ちゃんとした食事がとれなければ、特に子どもは健康に悪影響が出てきます。実際、厚労省の調査に基づいたデータによると、貧困層の子どもは非貧困層の子どもよりも喘息などにかかりやすいことが明らかになっています。一方で、子どもが喘息の発作を起こしても、国民保険の自己負担分3000〜4000円が払えない。そのため病院に連れていけず放置せざるを得ない例などもあり、いったん病気に罹患した後の治療にも経済的な影響が及んでいるかもしれません。
 さらに深刻な事例も少なくありません。虐待死は心中を除けば年間約50人ですが、経済的には深刻なケースが約半数を占めます。中には住民票の住所に住んでいない「消えた子ども」が行方不明のまま死に至るケースがあります。2013年に大阪では「食べさせられなくてゴメンね」と記されたメモとともに母子が遺体で見つかっています。「消えた子ども」の場合、当然経済的な問題を抱えていることが多いと推察できますが、2010年の毎日新聞の調査によって、「消えた子ども」は35都市に355人いたことが判明しています。また、文部科学省は、一年以上居所不明なため小中学校に通っていない子どもの数を公表していますが、全国で400人にも及んでいます。(以下略)
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/463.html

[政治・選挙・NHK204] 小林節  安倍を討て! 野党共闘のススメ
 安倍政権は日本を滅茶苦茶にした。もはや共産党が好きとか嫌いとか言っている状況ではない。野党は一致団結して安倍政権に臨む必要がある。ここでは、野党共闘運動の中心的人物である、憲法学者の小林節氏のインタビューを紹介したい。


『月刊日本』5月号
小林節「安倍を討て! 野党共闘のススメ」より
http://gekkan-nippon.com/?p=8834


<聞け! 国民の声を>

(前略)

── 野党共闘の中心として民進党が結党されました。
【小林】 民進党は野党の中の「一強多弱」になっています。そのため少し強引なところがあり、野党共闘はあまり進んでいないようです。しかし民進党が他の野党の理解さえ得られないのであれば、とても国民の理解を得ることはできません。それでは安倍政権に塩を送り、自分で自分の首を絞めてしまいます。本末転倒です。「民主党」という党名を捨ててまで政権交代を目指した初心を忘れず、謙虚に着実に野党共闘を進めてほしいと思っています。
 野党共闘は自民党から「野合」と批判されていますが、理念の異なる自民党と公明党の連立こそ、「野合」そのものです。
 そもそも自民党は盤石ではありません。自民党は党内の言論の自由や民主主義を認めず、政党助成金や公認権を手に議員たちを縛っています。私の耳にも入ってきますが、上層部に対する不満は自民党内に渦巻いています。だから野党連合が求心力を集め、政権交代が現実味を帯びてくれば、自民党から合流する議員も出てくると思います。


<安倍を討て!>
── 小林さんは野党共闘の理念の在り方について、どう考えていますか。
【小林】 政治の使命は、国民の幸福に資することです。そのために自由、豊かさ、平和を取り戻す。そういう観点から考えています。
 まず自由を取り戻す。特定秘密保護法を見直し、放送法の悪用を止めるべきです。安倍政権は自分たちに都合の悪い言論に圧力をかけています。しかし自分の嫌いな言論が出てくれば、反論すればいいのです。放送法を盾に取ってテレビ局に脅しをかけたり、新聞広告で個人攻撃を加えるようなことをしてはいけません。私も個人的には櫻井よしこさんに言論界から出て行ってほしいと思いますが、私が彼女を追い出せば言論の自由に反します。だから彼女の言論を受けとめた上で、反論しているのです。
 そして豊かさを取り戻す。大企業・富裕層の過剰な優遇策はやめて、国民の貧困の問題に真摯に取り組むべきです。またTPPや原発再稼働には反対です。TPPで食糧や医療が崩壊する懸念が根強くあり、国民の命に関わる問題です。しかし安倍政権は外国との約束を盾に取って、国民に何も知らせないまま、TPP批准に前のめりになっています。安倍政権は主権者の生命財産よりもアメリカ政府の都合を優先しています。民主国家の指導者として失格です。
 原発も国民の命に関わる問題です。しかし安倍政権は福島県で子どもの甲状腺がんが多発しているという指摘に真摯に対応していません。また中国や北朝鮮の脅威を強調する一方、原発が攻撃されるリスクには口を拭っています。国民は命の危険に晒されたまま放置されている。原発は安全神話が崩壊した以上、脱原発に舵を切るべきです。
 さらに平和を取り戻す。もともと大国は自らの利益のためには戦争も辞さないものです。国際政治の力学の前に、国際法はあってなきが如くです。しかし、日本は紛れもない大国でありながら、戦後70年間にわたって憲法9条のゆえに戦争をしなかった稀有な国です。日本は戦争しない大国として、国際社会に名誉ある地位を占めています。その名誉と信頼を守ることは、日本の平和だけではなく、国際社会の平和に資すると思います。戦争法は廃案にして、日本はいかに平和を希求するかについて、きちんと国民的合意を形成すべきです。
 最後に立憲主義を取り戻す。集団的自衛権の行使を認めた安倍政権は違憲内閣であり、戦争法は違憲立法です。これは撤回する必要があります。法治国家である以上、憲法に基づいた政治を死守しなければなりません。
── 小林さんは野党共闘にどう関わっていくおつもりですか。
【小林】 やはり野党共闘の旗を掲げるのは、政治家の方々であるべきだと思っています。確かに与野党を問わず、政治家にはそれぞれ立場があると思いますが、日本の国と国民の未来のために最善の行動をしてほしいと切に願っています。特に民進党がリーダーシップを発揮して、野党共闘が成ることを心から期待しています。私自身、応援団として精一杯頑張りたいと思います。
 何より「野党共闘で政治が変わるんだ! 参院選で政治を変えるんだ!」というワクワク感が広がってほしい。確かに「政権交代をしても、何も変わらなかったじゃないか」という失望感は拭いきれていないと思います。しかし、政権交代のおかげで政治の大掃除ができた意義は決して小さくありません。それに政治に絶望している国民を見下して砂上の楼閣で高笑いしているのは、他ならぬ安倍政権なのです。「野党は野合すらできず、政権交代は起きないぞ」と。悔しいではありませんか。(以下略)
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/811.html

[政治・選挙・NHK205] 森 功  パソナのための安倍政権の規制緩和
 安倍政権の雇用政策は、パソナの南部靖之氏、そしてパソナ会長でもある竹中平蔵氏の提言に基づいている。彼らの目的はビジネスチャンスの拡大だ。こんな利益誘導を許してはなるまい。我々は徹底的に竹中氏を批判せねばなるまい。
 ここでは、『日本を壊す政商』で、南部氏の実像に迫った森功氏のインタビューを紹介したい。

『月刊日本』5月号
森功「パソナのための安倍政権の規制緩和」
http://gekkan-nippon.com/?p=8896


<安倍政権の閣議決定が変えた人材会社の位置付け>
── 森さんは『日本を壊す政商』(文藝春秋)で、人材派遣会社パソナグループ代表の南部靖之の実像に迫りました。今日は、南部と二人三脚で利益誘導していると批判される竹中平蔵について伺いたい。彼は、パソナ会長としてどのような役割を果たしているのでしょうか。
【森】 第二次安倍政権が発足してまもなくの2013年2月13日に、「若者・女性活躍推進フォーラム」が開催されました。菅義偉官房長官、麻生太郎副総理・財務大臣ら閣僚9人が出席したこの政策会議で、有識者の一人として参加したのが南部です。
 ここで南部は、労働規制の見直し、国の就職支援事業の見直し、若年雇用支援、緊急雇用創出本部の創設──という4つの提言をし、国の就職支援事業について「政府はここ数年、就職支援などのため大幅な予算の増額をし、ハローワーク相談員を1万人から2万人へ倍増させました。しかし、現行の助成制度では使い勝手が悪い上、職業訓練が企業ニーズにマッチしていません」と語りました。
── 主要経済閣僚が顔を揃える政策会議で、一私企業の社長が自らの企業のビジネスにプラスになるような提言をするということ自体が考えられません。
【森】 パソナという会社は特別な存在になっているということでしょうね。
 ただ、提言をさせただけではありません。南部の提言は、すぐに安倍政権の政策に反映されたのです。わずか4カ月後の同年6月に閣議決定された日本再興戦略にある三つのアクションプランのうちの一つ「雇用制度改革・人材力の強化」には、次のように書かれています。
 〈ハローワークの情報等の民間開放を図りながら、学卒末就職者等の若者や復職を希望する女性等の幅広いニーズに迅速・効果的に応えられるよう、民間人材ビジネスを最大限に活用する〉
 この決定に、厚労省の中堅幹部は強く反発しました。従来、人材ビジネスは、労働行政にとって労働者の権利が守られているかどうかを監視する規制対象業種でした。ところが、この閣議決定は、人材ビジネス会社をハローワークや自治体とともに職業紹介の担い手と認めたものととらえられたからです。
── ハローワークの民間委託は、第一次安倍政権で行われた市場化テストでダメだという結論が出たはずです。
【森】 厚労省は市場化テストの実績評価を公表しており、民間委託した事業は、従来の職安の求人実績より劣っているだけではなく、経費がかさんで赤字に陥ってしまったことがはっきりしています。にもかかわらず、第二次安倍政権はハローワークの民間委託を強行したのです。民主党政権下で厚労大臣を務めた細川律夫は、この決定に呆れ果てていました。
 人材ビジネス会社がハローワークの仕事を受注するメリットは、ハローワークに求人を出している会社の情報を入手し、そこに営業をかけて取引先にできることです。全国の求人情報をいち早くキャッチして、自分のところの登録派遣社員を売り込むことができます。

<竹中発言の直後に起こった労働政策の大転換>
── 南部が提言するのに合わせて、竹中は産業競争力会議で労働分野の規制緩和を進めてきました。
【森】 竹中は、首相を議長とする政策会議である産業競争力会議の民間議員と人材ビジネス会社会長という二つの顔を持っています。
 竹中は、南部が「若者・女性活躍推進フォーラム」で提言を発表した1カ月後の2013年3月15日に開催された「第4回産業競争力会議」で、重大な発言をしています。
 「雇用調整助成金を大幅に縮小して、労働移動に助成金を出すことは大変重要。是非大規模にやって欲しい。今は、雇用調整助成金と労働移動への助成金の予算額が 1000:5くらいだが、これを一気に逆転するようなイメージでやっていただけると信じている」
 実際に、労働移動支援助成金の増額が2014年度予算に盛り込まれたのです。なんと、前年度予算の2億円から301億円と150倍に拡大したのです。
 人材ビジネス会社の多くは、派遣事業とともに再就職支援事業を行っていますが、特にパソナは再就職支援事業を得意としています。実行部隊はグループ内のパソナキャリアカンパニーです。
 驚くことに、正式に予算が成立してない2013年10月11日に、パソナキャリアは次のような営業メールを得意先である社会保険労務士に発信していたのです。
 〈今後、行き過ぎた『雇用維持型』から『労働移動支援型』への政策転換(失業なき労働移動の実現)として、助成金の予算規模がこれまでとは大きく異なってくることはご存知のことと思います〉(以下略)
http://www.asyura2.com/16/senkyo205/msg/262.html

[政治・選挙・NHK206] 春名幹男 パナマ文書を流出させたのはCIAか
 パナマ文書は世界のタックスヘイブンの実態を明らかにした。それは1%の富裕層が99%の富を独占する世界である。東京オリンピック裏金疑惑もこれと無関係ではあるまい。同時に、パナマ文書流出の背景に各国の情報機関の熾烈な争いがあることも見逃してはならない。アメリカの政治家などの名前が出てこないのはそのためだ。
 一体どの国のどのような思惑からパナマ文書は流出したのか。ここでは、『月刊日本』6月号に掲載された、元共同通信社論説副委員長の春名幹男氏のインタビューを紹介したい。


『月刊日本』6月号
春名幹男「パナマ文書を流出させたのはCIAか」より
http://gekkan-nippon.com/?p=9046


<パナマ文書で得をしたのは誰か>

―― タックスヘイブン(租税回避地)における会社設立などを斡旋しているパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から、大量の内部文書が流出しました。これにより、各国の指導者やその親族などがタックスヘイブンを利用して租税回避を行っている実態が明らかになりました。

【春名】 今回のパナマ文書事件は、ウィキリークス、スノーデンに続く第三の大量暴露事件と言えます。事の発端は、南ドイツ新聞に膨大な量の内部資料が持ち込まれたことです。資料の内訳はEメールが約480万件、データベース資料が約300万件、PDFが約215万件、画像が112万件、テキスト文書が32万件などとなっており、総容量は実に2・6テラバイトにも及ぶと報じられています。

 今回の事件の告発者は、これらの内部資料をハッキングによって手に入れたと言われています。彼は南ドイツ新聞に掲載された声明文で、持てる者が資産を隠すことや税の不公正などを批判しており、強い正義感から今回の行動に至ったものと思われます。また、彼は「革命はデジタル化される」とも述べており、デジタルの力で不正を正そうという意気込みが感じられます。

 今回の事件の特徴は、他の大量暴露事件とは違い、告発者が顔を出さずに匿名のままでいる点にあります。また、公開された文書は「生の文書」ではなく、ジャーナリストたちが整理し、分析したものです。ジャーナリストが主導権を握っているところも、これまでの事件とは異なります。

 これらの資料の分析を行ったのは、「国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)」というアメリカの民間組織です。ICIJを立ち上げたのは、CBSニュースの「60Minutes」という番組のプロデューサーだったチャールズ・ルイス氏です。私も彼をよく知っているのですが、彼は1989年にCPI(The Center for Public Integrity)という民間のシンクタンクを作り、調査報道を始めました。CPIは日本語に訳しにくいのですが、「公的倫理センター」といったところです。アメリカではとりわけ選挙の腐敗が酷いので、当初彼らは選挙資金の調査などを中心に行っていました。

 その後、彼らは国際的な調査報道を促進するために、1997年にICIJを設立します。調査報道にはお金がかかるので、賞や補助金を出すなどして調査報道を支援することが狙いでした。今回のパナマ文書は、こうした活動が実を結んだものと言えます。

 今回の文書流出によって一番損したのは誰かと言えば、ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席だと思います。パナマ文書にはプーチンの親友の名前が含まれており、資金洗浄疑惑が取り沙汰されています。

 中国当局はパナマ文書に習近平の親族たちの名前があったことが報じられると、国内での報道を規制しました。そのため、当面は安泰だと思いますが、将来的には影響が出るはずです。そうした点から総合的に考えれば、今回の事件はアメリカにとってはプラスに働いたと言えます。


<パナマ文書はCIAの陰謀か>

―― パナマ文書には世界各国の指導者の名前が含まれていますが、アメリカの政治家などは含まれていません。奇妙な感じがします。

【春名】 「モサック・フォンセカ」の創設者の一人であるラモン・フォンセカ氏がAP通信のインタビューに応えたところによると、彼らは基本的にはアメリカ人のお客を受け入れていないそうです。もっとも、アトランタ・ファルコンズのフットボール選手やオレゴン州のお金持ち、コネチカット州の金融業者など、アメリカ人の名前も数十人ほど含まれていることがわかっています。しかし、それでも決して多いとは言えません。

 アメリカ人の人数が少ない理由は、一つには、彼らにとっては敢えてパナマのタックスヘイブンを利用するメリットが小さいからです。アメリカではデラウェア州やニューヨーク州をはじめとして、少なくとも7つの州で低い税率による資産信託などを行うことができます。パナマは政情も不安定ですし、クーデターが起こる可能性もあるので、アメリカ国内のタックスヘイブンの方が使い勝手がいいのです。実際、アメリカ人に限らず、アメリカのタックスヘイブンを利用する人は増えているようです。

―― ロシアでは「パナマ文書はCIAの陰謀だ」とまで言われています。彼らの言うように、CIAが関与している可能性はありますか。

【春名】 英紙デーリー・メールによれば、ユルゲン・モサック氏の父親であるエアハルト・モサック氏はかつてナチの武装親衛隊員(SS)で、第二次世界大戦後にミュンヘンで捕まりました。しかし、その後釈放され、1948年にパナマに移住したそうです。彼はそこでCIAに情報提供を持ちかけ、対キューバ情報工作に従事したこともあったようです。ただ、ユルゲン・モサック氏がCIAと関係しているかどうかは明らかになっていません。

 また、CIAがICIJに資金を提供しているかどうかもわかりません。もっとも、パナマ文書がプーチンや習近平にとってマイナスになっていることを考えると、CIAが何らかの形で関与している可能性を完全に否定することはできないと思います。

 CIAが関与している具体的証拠はありませんが、ICIJのパートナーである「組織犯罪・腐敗報道プロジェクト(OCCRP)」に対して、アメリカ政府が資金を提供していることは間違いありません。OCCRPのホームページを見ると、金額は不明ですが、資金提供元としてアメリカ国際開発局(USAID)の名がはっきりと記されています。(以下略)
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/431.html

[政治・選挙・NHK206] 河合弘之 川内原発を直ちに停止せよ 
 川内原発問題は参院選(あるいは同日選挙)の争点になるはずである。あれほどの地震があったにもかかわらず、未だに原発を稼働し続ける安倍政権を許していいのか。再び福島のような悲劇が起こってもいいのか。我々国民は真剣に考えねばなるまい。
 ここでは、脱原発運動を主導してきた、弁護士の河合弘之氏のインタビューを紹介したい。


『月刊日本』6月号
河合弘之「川内原発を直ちに停止せよ」より
http://gekkan-nippon.com/?p=9058

<川内原発を直ちに停止せよ>

―― 河合さんは熊本地震の発生から数日後、原子力規制委員会を訪れ、川内原発停止の申し入れを行っています。

【河合】 まず結論として、政府と九州電力は直ちに川内原発を止めるべきです。川内原発は中央構造線(本州から九州を横断する巨大な断層)を掠めるところに建っており、実際に近くで地震も起こっています。今でも余震が続いていることを考えれば、原発事故の危険性が高まっていることは誰の目にも明らかです。

 ところが、九電は未だに「大丈夫だ」と言っています。彼らは火山の異常を察知した場合には、空振りも覚悟で原発を止めて使用済み核燃料を運び出すと言っているのに、地震の場合は本当に危なくなるまで止めないと言っているのです。矛盾していると言わざるを得ません。

―― 福島第一原発事故の際には、免震重要棟が事故対応の拠点となりました。免震重要棟は免震構造を持っているため、緊急時にも対応することができます。しかし、川内原発には免震重要棟がありません。

【河合】 原子力規制委員会は、再稼働の要件として「免震重要棟など耐震性のあるものを設置する」と定めています。そのため、九電は川内原発再稼働の許可を求める際に、免震重要棟を作ることを約束しました。ところが、彼らは再稼働後に、免震重要棟の建設をやめると言い出したのです。これは約束違反ですし、一種の騙しです。

 彼らが免震重要棟の建設をやめた理由は、単純にお金がかかるからです。確かに免震重要棟の設置にはうんとお金がかかります。しかし、それなら最初から約束などしなければよかったのです。

 規制委員会も規制委員会です。騙されて怒らないなんて、どうかしています。彼らは馬鹿にされているんですよ。ここで規制委員会が怒らなければ、電力会社は今後も同じ手を使うはずです。

―― もし九電が免震重要棟の設置を約束しなければ、川内原発を再稼働できなかった可能性はありますか。

【河合】 あると思いますね。少なくとも再稼働は大幅に遅れたんじゃないですか。

―― 九電が約束を反故にしてまで川内原発を再稼働した理由は何だとお考えですか。

【河合】 それは結局、自分たちの利益のためです。川内原発の1号機と2号機を両方とも止めてしまうと、九電は1日当たり3億円の損をすると言われています。そのような状況が続けば、株主に配当することが難しくなってしまいます。彼らはわずか数万人の株主の利益と1億3千万人の日本国民の利益を天秤にかけ、たとえ国民に危険が及ぶ可能性があったとしても自分たちや株主の利益を優先することにしたのです。とんでもない意思決定だと思います。

 最近の日本では「今だけ金だけ自分だけ」という風潮が強くなっています。その風潮が最も凝縮した形で表れたのが、九電による川内原発の再稼働なのです。まさに悪しき資本主義の病理と言えます。


<司法そのものを否定する裁判所>

―― 鹿児島県は川内原発の事故を想定して避難計画を策定しています。しかし、この避難計画は杜撰だと批判されています。

【河合】 鹿児島県の避難計画には実効性がありません。例えば、この避難計画では主にバスに乗って避難することが想定されています。とすると、原発事故が起きて放射能漏れが生じた場合、バスの運転手は放射線量の高いところに突っ込んでいかなければならないということになります。軍隊じゃないのに、そんなこと誰が命令できるのでしょうか。たとえ社長から頼まれたとしても、従業員にはそれに従う義務はありません。

 また、この避難計画では、車を持っている人たちは自家用車で避難するように定められています。しかし、皆が自家用車で避難すれば、あっという間に渋滞になります。実際、福島第一原発事故の時も大変な渋滞が生じました。そもそも熊本地震を見れば明らかなように、地震が起きれば道路が寸断されたり、橋が落ちたりする可能性もあります。車で逃げられるという保証はどこにもありません。

―― 熊本地震に先立つ4月6日に、河合さんも弁護団として関わった川内原発の運転差し止めを求めた即時抗告審について、福岡高裁宮崎支部は申し立てを棄却する決定を出しました。しかし、この決定は、周辺自治体が策定した避難計画の杜撰さなどについては認めています。

【河合】 さすがの福岡高裁宮崎支部も、こちらの立証の分厚い部分については認めざるを得なかったということでしょう。あの決定は避難計画について、「避難計画がなければ原発は停止しなければならない。また、仮に避難計画があったとしても、それが無いと同じくらい杜撰ならば停止しなければならない。しかし、現在の避難計画は、存在しないのと同じくらい酷いものとまでは言えない」といったことを述べています。こちらの主張をある程度認めながらも、屁理屈をつけて向こうを勝たせているのです。

 また、火山については、「火山の噴火時期などを予測することはできないので、噴火が予想可能であることを前提とした『火山評価影響ガイド』は無効である」としています。「火山評価影響ガイド」とは、規制委員会が策定したガイドラインのことです。「火山評価影響ガイド」を無効とするなら、それに基づいて許可された再稼働も無効のはずです。ところが、裁判所は「桜島や阿蘇など個別の火山を見ると、40〜50年以内に噴火するという予測を住民側は立証していない」として、再稼働を認めたのです。

 しかし、この決定は矛盾しています。火山の噴火は予測できないから「火山評価影響ガイド」は無効だとしているのに、その一方で40〜50年以内に火山が噴火するという予測は立たないので再稼働してもよいとするのでは、論理的整合性がとれません。(以下略)
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/612.html

[政治・選挙・NHK206] 佐高信  安倍政権・創価学会の野合
 安倍政権は野党共闘を「野合」と批判している。しかし、野合と言うのであれば、自公連立こそ野合の最たるものではないか。かつて自民党は創価学会を激烈に批判し、安倍総理自身も創価学会について「あまりに危険な団体だ」と言っていた。今の自民党政権に、野党共闘を批判する資格はない。
 ここでは、かねてより公明党、創価学会を批判してきた評論家の佐高信氏のインタビューを紹介したい。


『月刊日本』6月号
佐高信「安倍政権・創価学会の野合=vより
http://gekkan-nippon.com/?p=9070


<なぜ今、創価学会公明党なのか>

―― 佐高さんは新著『自民党と創価学会』(集英社新書)を出版されました。なぜ今、創価学会なのですか。

【佐高】 昨年、安保法案という名の戦争法案が強行採決されました。世間的には安倍自民党が強行したと考えられていますが、そこには共犯者がいたのです。創価学会公明党です。

 公明党は自民党の影に隠れて「平和の党」を装っていますが、戦争法案に加担した「戦争の党」ですよ。自民党が主犯で、公明党は従犯という図式ではない。自公は共犯なのです。

 かつて評論家の藤原弘達は1969年に『創価学会を斬る』という本を出しました。その中で藤原は「創価学会は自民党との連立を狙っているのではないか」と追及したうえで、自民党の「右翼ファシズム的要素」と創価学会の「宗教的ファナティックな要素」との間に「奇妙な癒着関係」ができれば、「日本の議会政治、民主政治もアウトになる」と危機感を露わにしたのです。

 そして自民党タカ派と創価学会の連立である安倍政権において、まさに藤原の危機感は現実化している。今こそ自民党と創価学会の関係をえぐり出し、自公連立の始まりを捉え直した上で、その本質に切り込む必要があるわけです。

―― 安倍自民党を考えるためには、創価学会公明党を考える必要がある。

【佐高】 自公連立は一言でいえば「水と油の野合」です。自民党は野党共闘を野合と批判していますが、自公連立こそ理念なき野合の最たるものです。

 そもそも自民党は学会を批判していたじゃありませんか。自民党の機関紙「自由新報」は1994年から95年にかけて、「公明党=創価学会の野望」と題する大型連載を組んでいました。「権力の中枢に巣食う宗教家至上主義集団」、「宗教の衣≠ナ隠す悪徳商法」、「使命忘れ沈黙続ける大$V聞」など、計20回に渡って激烈な学会批判を繰り広げていたのです。

 ところが、自民党はそれから5年後の1999年に手の平を返して自自公を経て自公連立政権を築いていく。こういうメチャクチャなことになった原点には、「密会ビデオ」問題というものがありました。

 もともと学会は日蓮正宗の信徒団体で、静岡県富士宮市の大石寺を拠点として寺院や墓地絡みの土地転がしや建設工事で利権を貪っていた。そこは山口組切っての武闘派・後藤組のナワバリだったので、学会の揉め事は後藤組が片付けていたわけです。その中で学会と後藤組の間にイザコザもあったが、公明党の藤井富雄がパイプ役として後藤組組長の後藤忠政と密会を重ねながら、両者の関係は続いていった。

 そして1996年、この二人の密会ビデオが自民党に流れるわけです。当時「公明」代表だった藤井は弱みを握られた。それで自民党は野中広務を中心に揺さぶりをかけ、自公連立の流れができたのです。野中は自公連立について「叩きに叩いたら向こうからすり寄ってきた」と答えたそうです。

 公明党は自民党に屈服する形で連立を強いられたのです。つまり自公連立の始まりから公明党は「平和の党」として死んでいたということです。

 それ以後、公明党は看板を偽りながら、1999年の周辺事態法、2003年のイラク特措法、そして昨年の戦争法に唯々諾々と賛成票を投じている。「戦争の党」以外の何物でもない。


<安倍と創価学会はズブズブの関係だ>

―― 自公連立で公明党は変質したのですね。

【佐高】 そして自民党もまた変質したのだな。まず自民党は「自由と民主主義」という理念を捨てました。

 そもそも公明党は創価学会政治部、あるいは池田大作の私党にすぎず、自由も民主主義も存在しない。公明党議員に「池田大作を批判できるか」と問い詰めれば、恐らく全員が黙り込むでしょう。特定の人物を批判する言論の自由を持たない公明党に自由はない。また、選挙ではなく学会の指名で代表を選ぶ公明党に民主主義はない。

 こういう公明党と連立を組んだ瞬間から、自民党は「不自由非民主党」に堕落したのです。実際、戦闘的ハト派として知られた白川勝彦は自公連立に異を唱え、「政権にありつくために、また政権を維持するために、自由主義者としての誇りだけでなく保守としての矜持をも捨てた自民党」を離党しました。

 また自民党は学会票に依存する政治団体に変質しました。白川は連立以降、自民党は学会票を盾に取って言うことを聞かない議員を脅すようになったと話し、また1998年の総裁選で小渕恵三に敗れた梶山静六は「小渕内閣は必ず公明党と組むぞ。その窓口には野中がなる。公明票がなければ当選できないから、みんな野中に頭を下げなきゃならなくなる。だからこれから野中が政界を支配する時代が続く」と語っていました。

 今や学会票なしで当選できる自民党議員はほとんどいないでしょう。「創価学会公明党を制する者が自民党を制す」という構造ができている。現在は野中の代わりに官房長官の菅義偉が公明党の頭越しに学会副会長の佐藤浩とつるんで自民党に睨みを利かせているというわけです。(以下略)

http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/675.html

[政治・選挙・NHK210] 天野惠市 児玉誉士夫の口を封じた薬物注射
 現在、日本では空前の田中角栄ブームが巻き起こっている。しかし、田中角栄を政治的に葬ったロッキード事件をしっかりと見直す議論は少ない。
 ロッキード事件の背景には様々な謀略が働いていた。その一つが、児玉誉士夫の証人喚問を阻止するために、児玉の主治医によって薬物注射がなされたという事実である。『月刊日本』8月号に、児玉の主治医のもとで働いていた医師の証言が掲載されている。ここではそのインタビュー記事を紹介したい。


『月刊日本』8月号
天野惠市「児玉誉士夫の口を封じた薬物注射」より
http://gekkan-nippon.com/?p=9317


<児玉誉士夫に薬物が注射された事実>

―― 天野さんは『新潮45』(2001年4月号)に「児玉誉士夫の『喚問回避』に手を汚した東京女子医大」という手記を寄せられています。その中で、児玉誉士夫は重症脳梗塞による意識障害のために国会の証人喚問に応じられないとされたが、児玉の意識障害の原因は、児玉の主治医だった東京女子医大教授の喜多村孝一が薬物を注射したことだと暴露されています。この点について改めて教えていただけますか。

【天野】 順を追ってお話ししましょう。昭和51年2月5日、朝日新聞の報道により、米国のロッキード社が児玉誉士夫に21億円もの不正な政治献金を行っていたことが明らかになりました。このお金は児玉を通じて政界にも流れた疑いがありました。そこで、国会はロッキード事件の真相を解明するために、児玉の証人喚問を決定したのです。

 ところが、この証人喚問は実現しませんでした。それは、児玉の主治医である喜多村孝一が国会に、「児玉誉士夫は脳血栓による脳梗塞の急性悪化状態にある」という診断書を提出したからです。

 しかし、その数日前には、児玉はゴルフをしており、ゴルフ場内のレストランで支払いレシートが見つかったと言われていました。もしこれが事実であれば、喜多村の診断書は嘘ということになります。国会はその真偽を確かめるべく、独自に医師団を結成し、児玉邸に派遣することにしました。

 ところが、国会医師団の診断結果は驚くべきものでした。児玉は実際に重症の意識障害下にあり、証人喚問は不可能ということになったのです。つまり、喜多村の診断書の内容は正しいということになりました。

 しかし、これには裏がありました。国会医師団が児玉邸に行ったのは2月16日の午後10時頃です。実はその数時間前に、喜多村が先回りして児玉邸に赴き、児玉にフェノバールとセルシンを注射していたのです。

 フェノバールは強力な睡眠剤であり、どうしても眠れない患者や、てんかん発作が起きた患者などに使用する薬です。また、全身麻酔をかかりやすくするための前投薬としても使用されます。セルシンも同じく強力な睡眠剤で、患者が興奮状態で手に負えない場合などに使用されます。これらを同時に使用すれば、昏睡状態が生じ、数時間は当然口も利けなくなります。

 これらの注射によって生じる昏睡状態は、重症脳梗塞による意識障害と酷似しています。もちろん血液や尿を採取すれば、薬物の存在を確認することはできます。しかし、国会医師団はまさか児玉にこのような注射が意図的に打たれているとは思わなかったのでしょう。それ故、彼らが児玉の症状がこのような注射によるものだと見抜けなかったとしても無理はありません。

(編集部註@)児玉誉士夫の証人喚問をめぐる主な動き
・2月5日   ロッキード事件が発覚
・2月10日 児玉の証人喚問が決定
・2月12日 喜多村が記者会見で、児玉の証人喚問は不可能と発表
・2月14日 喜多村が国会に児玉は脳梗塞だとする診断書を提出
・2月16日 国会医師団が児玉を診断、証人喚問は不可能と結論

<児玉が脳梗塞ではないと確信した理由>

―― 天野さんはどのようにして喜多村が注射を打ったことを知ったのですか。

【天野】 喜多村本人が私にそう言ったからです。2月16日の午前中、私は東京女子医大の脳神経センター外来室で患者を診ていました。午前の診療を終え、これから昼食だという時に、私の外来診察室2番に隣接した外来診察室1番の喜多村の診察室から、喜多村の大きな声が聞こえてきました。喜多村は何やらただならぬ様子で往診の準備をしているようでした。

 私が「何をされるのですか」と尋ねたところ、喜多村は「これから児玉様のお宅へ行ってくる」と言いました。喜多村は児玉を呼ぶ際、必ず「児玉様」と呼んでいました。

 しかし、報道では、近く国会医師団が児玉邸に派遣されると言われていました。「国会医師団が児玉邸に派遣されると言われているのに、何のために行くのですか」と問うと、「国会医師団が来ると児玉様は興奮して脳卒中を起こすかもしれないから、フェノバールとセルシンを打ちにいく」と言うのです。(以下略)
http://www.asyura2.com/16/senkyo210/msg/215.html

[政治・選挙・NHK210] 白井聡×菅野完 日本会議大批判(上)
 日本会議は安倍政権に強い影響力を持っていると言われるが、その実態は明らかではない。日本会議とはどのような組織なのか、彼らの狙いは何なのか、しっかりと見極める必要がある。ここでは、『月刊日本』8月号に掲載された、『日本会議の研究』の著者の菅野完氏と白井聡氏の対談を紹介したい。


『月刊日本』8月号
白井聡×菅野完「日本会議大批判(上)」より
http://gekkan-nippon.com/?p=9371

<日本会議の強さの源泉は何か>
【白井】 菅野さんが「ハーバービジネスオンライン」で日本会議について連載されていた当時から注目して読ませていただいていました。私も「日本会議というものが何か凄いらしい」という話は聞いていましたが、日本会議について知りたくても、日本会議の中にまで入ってその実態を論じたものはありませんでした。菅野さんはまさにその先鞭をつけられたということで、大変意義のあるお仕事をされたと思います。

 『日本会議の研究』で一番印象深かったのは、日本会議の強さの源泉は事務処理能力の高さだとされていたところです。それは凄く納得がいきました。

 これは私がある市民団体で講演した時のことですが、講演が終わった後、主催者が「カンパをお願いします」と言ってカンパ袋を回していました。それについて、参加者の一人がブログで批判していたんです。「カンパ袋が回ってきたが、集めたお金をどのように使うのか主催者から一切説明がなかった。非常に不愉快だった」と。

 私は、これにはハッとさせられて正論だなと思ったんです。カンパを集めるのであれば、本来ならば会計報告をする義務が生じるはずです。ところが、主催者はいつものことだからということで、何の説明もしなかった。それは、彼らが運動の内部の人たちしか見ていないからです。インナーサークルに向けては、どういう風に集めた金を使うのか、大体わかりきっているので説明する必要もないでしょう。しかし、外から来た人に対しては違う。本来ならば、初めて来たお客さんがたった一人でもいたら、説明しなきゃならない。説明しなくても問題ないと思っているということは、つまり、外部から新しいお客さんを連れてくる気がないんですよ。この一件を通して、左派リベラルの運動がほとんど無自覚的に閉鎖的になっていて、組織的な面で問題があることに気づかされました。これでは拡大しようがない、と。

 これは3・11以降の社会運動を見る上で重要な問題だと思うんです。この間、安倍内閣をストップしなければならないということで、左派やリベラル、あるいは保守系の人たちまで声を上げてきましたよね。けれども、今回の参議院選挙でも結局、改憲勢力に3分の2の議席を取らせないことが勝敗ラインになりました。これほど社会運動が盛り上がっているのに、なぜこういうことになるかと言えば、その理由の一端は、運動の潜在力を十分にオーガナイズできていないことだと思うんですね。

【菅野】 おっしゃる通りだと思います。その点、日本会議を取り仕切っている日本青年協議会(日青協)の事務処理能力の高さというのは、ちょっと異次元のレベルです。

 日青協は運動を始めた当初より、ビジネス用語で言うところのゴーイングコンサーン(*企業が将来にわたって永遠に事業を継続するという前提)をずっと考えてきました。これが他の市民団体との特筆すべき違いです。彼らは本当にやりたいことを達成するために、まずはゴーイングコンサーンを確保しなければならないという認識を持っていた。だから組織力をつけ、事務処理能力を高めてきたわけです。

 それで、今、日青協がゴーイングコンサーンを確保するために狙っているのは、世代交代なんですよ。日本会議事務総長で日青協会長でもある椛島有三さんは自分の子供にポストを与え、世襲を狙っています。だから、椛島さんが死んでも日青協は残るでしょう。彼のノウハウが受け継がれるかどうかは甚だ疑問ですけど、組織は残るはずです。

【白井】 その際に「それは世襲じゃないか」と批判しても、彼らは別に民主主義を掲げているわけでもないから何の問題もないということになるわけですね。

【菅野】 そうなんです。そこまでしてゴーイングコンサーンを確保しようとしているのは凄いなと思いますね。

<日本会議の運動にはお金がかからない>
【白井】 左派リベラル運動の組織力について言うと、それは結局のところ労働組合頼りだったと思うんです。共産党系は別として、全日本自治団体労働組合(自治労)、それから日本教職員組合(日教組)などですね。新安保法制反対運動も、自治労の大幹部だった人たちなどが中心となって組織していました。

 しかし、それでは運動の末端レベルまで組織されてポテンシャルをフル活用できていたかと言うと、難しいところがあります。先ほど言ったように、小さな集会におけるお金の集め方のマナー一つとっても、組織的な脆弱さというものを露呈してしまっています。こういう状況が日本会議的なるものの影響力の極大化を許しちゃっているんだろうなと思うんです。

【菅野】 おっしゃるように、今辛うじて頑張っている労組と言えば、官公労と日教組ですよね。しかし、彼らは公務員労組だから生き残れたんであって、他の労組や市民団体は高齢化と不況のせいで立ち行かなくなってしまっています。そういう意味では、僕は日本会議が大きくなった、日青協が強くなったというよりも、他の団体が弱くなったということだと思うんです。

 実際、「九条の会」のHPなどを見ると愕然としますよね。トップページに9人の発起人の写真が並んでいますけど、ほとんど物故者名簿じゃないですか。九条の会の関係者に話を聞くと、あの9人の写真を変えるつもりはないし、発起人名簿から外すつもりもないと言うんです。僕は彼らのセンスの悪さを批判しているのではなく、ちょっと権威主義的だと思うんですよ。

【白井】 こんなに偉い先生方が9条を守ると言っていたんだということを示したいわけですね。

【菅野】 片や、日本会議は全然権威主義的じゃないんですよ。特に権威があるわけでもない舞の海に憲法論を語らせたりしていますから。白井さんは左派リベラルが閉鎖的になっていると言われましたけど、日本会議には新しい人が入ってきやすい雰囲気があるんです。現に、彼らの集会には若い人から年寄りまで新しい人がどんどん来ています。間口が本当に広いんですよ。(以下略)
http://www.asyura2.com/16/senkyo210/msg/510.html

[政治・選挙・NHK212] 村上正邦×菅野完 日本会議を支配しているのは誰か
 『日本会議の研究』の著者である菅野完氏によれば、日本会議や日本青年協議会はある人物によって仕切られているという。それは安東巖という、これまでほとんど表に出なかった人物である。彼の存在を無視して日本会議を語ることはできない。
 ここでは、彼をよく知る元参議院自民党議員会長の村上正邦氏のインタビュー(聞き手・菅野完氏)を紹介したい。


『月刊日本』9月号
村上正邦×菅野完「日本会議を支配しているのは誰か」より
http://gekkan-nippon.com/?p=9408


<安東巖とは何者か>

【菅野】 僕は『日本会議の研究』(扶桑社)の中で、村上先生からうかがったお話などに基づきつつ、安東巖のことを描きました。僕は安東を語らずに日本会議を語ることはできないと考えています。そこで、改めて村上先生に安東巖とはどういう人物なのかということをうかがいたいと思います。

【村上】 僕と安東さんの付き合いが始まったのは、安東さんが生長の家青年会にいた頃からだと思います。生長の家の教団にいれば、彼の影響力や存在感はすぐにわかりましたね。だから、生長の家で政治運動をする時も、彼の理解を得なきゃならんと思っていました。

 安東さんとの付き合いは今も続いています。僕がKSD事件で逮捕された後も、安東さんは僕に電話をくれました。自分の娘の婿を探しているので、いい婿さんがいたら紹介してくださいということでした。彼が僕のことを気遣ってくれているのは確かだと思います。

【菅野】 僕は安東こそが日本会議や日青協を全て仕切っていると見ているんですが、そのように断言して間違いありませんか。

【村上】 間違いありません。日本会議事務総長を務めている椛島も、何かを決定しようとする際には、安東さんならどのように考えるだろうかと自問自答していると思いますよ。

【菅野】 僕に証言してくれた人たちも、椛島有三や百地章、高橋史朗、伊藤哲夫は、月に一回安東のもとに集まり、どうするべきかという指示を仰いでいると言っていました。村上先生はこういう証言を聞くと、さもありなんと思いますか。

【村上】 思います。

【菅野】 人心掌握の持ち味というのは人それぞれあると思います。例えば田中角栄であればお金を集める力であり、村上先生は心意気です。安東の場合は何なのでしょうか。

【村上】 それはやっぱり「総合的な力」でしょうね。力には様々な要素があります。組織力もあれば、知力もあるでしょう。彼は谷口雅春先生の実相哲学の第一人者ですから、理論的な面では誰も叶いません。

 それから、これは一般の人はなかなか信じられないでしょうが、彼は何度も奇跡を起こしているんですよ。彼のおかげで、今まで歩けなかったのに歩けるようになったという人たちがたくさんいると聞いています。僕は彼の病気治しは雅春先生直伝だと思っています。

 そしてまた、生長の家の青年会には、安東さんのためなら死んでもいいという青年たちが大勢いました。青年会の怖さはそこにあったんです。彼らはいつ爆発するかわからない若いエネルギーをたくさん蓄えていました。

【菅野】 それは村の青年団もそうだし、創価学会の青年部にも言えますね。

【村上】 その通りです。そういう怖さを持っているところに、青年会の存在意義があるんですよ。逆に言えば、今の自民党に怖さがないのは、それがないからです。

【菅野】 つまり、昔であれば自民党の院外団がやるべきことを、日本会議の安東一派が代わりにやっているということですね。

【村上】 そういうことです。


<村上正邦を監禁した生長の家の信者たち>

【菅野】 僕が安東を知るという人たちから話を聞いた時、彼らは安東の持つ暴力装置を非常に恐れていました。村上先生は何か身に危険を感じるような目にあったことはありますか。

【村上】 僕も参議院議員に当選する前に、生長の家の青年たちに取り囲まれ、監禁されたことがあります。彼らの名前はわからないけれども、生長の家政治連合(生政連)のメンバーもいました。中には大学の空手部の連中もいましたね。

 僕はその時、直観的に「あ、これは青年会の手の者だな」と思いました。安東さんが村上を監禁しろと指示したとは思いませんが、暗示を受けたのでしょう。恐らく青年会の意思を忖度し、動いたのだと思います。

【菅野】 暴行を受けたんですか。

【村上】 受ける直前でした。僕はただ正座して合掌し、「谷口先生、ありがとうございます」と唱えていました。

【菅野】 神想観(*生長の家の座禅的瞑想法のこと)をしていたわけですね。

【村上】 そうです。神想観は生長の家の人間にとって何よりも強い味方ですから。

【菅野】 生長の家の人間なら、神想観をしている人間を殴ることはできませんね。彼らは村上先生の何が不満だったのですか。

【村上】 谷口哲学を政治の世界でどう実現していくかということについて、僕のやり方が気に入らなかったんでしょうね。僕は頭に来たけれども、当時は監禁されたなんて話はできませんでした。恥ずかしいですし、自分が情けなくなりますから。それに生長の家を内部分裂させるわけにはいかないですからね。今だからこそできる話です。(以下略)
http://www.asyura2.com/16/senkyo212/msg/163.html

[政治・選挙・NHK213] 施光恒 国民生活の根幹が破壊されている
 安倍政権の新自由主義政策が度を超え始めている。彼らは外資系企業に、日本にあるどの規制を撤廃してほしいかを御用伺いする仕組みを作ろうとしているのだ。これだけ日本国内で格差や貧困が拡大する中、彼らは一体どこに目を向けているのか、怒りを禁じえない。
 ここでは、新自由主義を一貫して批判してきた、九州大学の施光恒氏のインタビュー記事を紹介したい。

『月刊日本』10月号
施光恒「国民生活の根幹が破壊されている」より
http://gekkan-nippon.com/?p=9484


<厚労副大臣が外資系製薬会社の御用聞きをする異常さ>

── 安倍政権は、対日直接投資推進会議の枠組みを利用して、規制改革を加速させようとしています。

【施】 投資拡大の名のもとに、あからさまにグローバル投資家や企業にすり寄る姿勢を見せています。日本国民ではなく、グローバルな資本が、日本の政策を決めてしまう事態が進行しているのです。

 対日直接投資推進会議が昨年3月に発表した「外国企業の日本への誘致に向けた5つの約束」には、重大な問題点が含まれています。「一番ビジネスしやすい環境を整えますから、日本にぜひ投資してください」と、グローバル投資家、企業に露骨に阿る内容です。

 どの「約束」にも疑問を感じるのですが、特にひどいのは五つ目の約束です。そこには、「日本に大きな投資を実施した企業が政府と相談しやすい体制を整えます」と書かれています。この約束にしたがって設けられた制度が「企業担当制」です。多額の投資をする外資系企業の相談相手として各省庁のナンバー2クラス、つまり副大臣や政務官をつけるのです。まさにこれは、日本の政権幹部と海外の大企業との結託です。「外資系企業サマに様々な便宜を図れるように御用聞きをさせていただきます」ということです。

 そして、外資系企業の要望に沿って規制改革を断行しようとしています。すでに今年5月には、規制・行政手続の簡素化について検討するための「規制・行政手続見直しワーキング・グループ」の設置が決まり、8月17日にその第1回会合が開かれました。

 しかも、規制改革について、早期に結論が得られるものについては先行的な取り組みとして年内に具体策を決定し、速やかに着手するとしています。

 すでに、副大臣を担当者、つまり相談窓口としてつける外資系企業として、IBM、ジョンソン・エンド・ジョンソン、デュポン、ファイザー、フィリップス、マイクロンテクノロジー、メルクなどが選定されました。このうち、ファイザーとメルクが製薬会社、ジョンソン・エンド・ジョンソンとフィリップスが医療機器メーカーで、厚生労働省の副大臣が担当者になることが決まっています。

 外資系企業は、日本でビジネスがしやすいように、日本の規制やルールを撤廃するよう、担当者である副大臣に対して要求することになるでしょう。担当者が経産省の副大臣ならばまだ理解できますが、製薬会社や医療機器メーカーの担当者に厚労省の副大臣が就くのは問題でしょう。医療や労働など国民の健康や生活に直結する問題を扱い、国民生活を守る役割を担うはずの厚労省が、国民一般ではなく、外資系企業の要望を直接聞く立場に転落してしまっているのですから。

 子宮頸がんワクチン「ガーダシル」を製造しているメルクは、厚労省の副大臣に対し直接、ワクチン接種を推進してほしいという要望を突きつけてくるかもしれません。あるいは、外資系企業が一斉に、解雇規制の緩和など労働法制の変更を厚労副大臣に迫ってくるのではないでしょうか。

 四つ目の約束にある「海外から来た子弟の充実した教育環境の整備を図る」という政策も大きな問題を含んでいます。すでに、国家戦略特区では公設民営学校の設置が認められており、日本の公立学校の校舎を利用して、アメリカなどの団体が英語で教育を行う学校を作ることが可能となっています。日本の税金を使って外国人が望む教育環境を整えようとしているのです。

 例えば、対日直接投資推進会議には、日本貿易振興機構が4月に、在日外資系企業・外国人材の要望をまとめた文書が提出されており、その冒頭に「インターナショナルスクールは学費が高すぎるので、日本の公立学校を国際化するほうが良いのではないか」という意見が挙げられています。

 本来、外国人子弟の教育は、外国人自身、あるいは彼らを雇用している外資系企業が負担すべきものです。それを日本の税金で賄おうとしているのです。日本の公立学校の在り方を外国人に合わせる必要などありません。(以下略)
http://www.asyura2.com/16/senkyo213/msg/615.html

[政治・選挙・NHK215] 村上正邦  石原さん!「記憶にない」では済みませんよ
 築地市場移転問題について、石原元都知事は間違いなく責任者の一人である。しかし、石原氏の対応はとても誠実なものとは言えない。これが都知事を務めた者の態度と言えるのか。石原氏は知っていることを洗いざらい話すべきではないか。
 ここでは、石原氏の盟友である元参議院議員の村上正邦氏のインタビューを紹介したい。

『月刊日本』11月号
村上正邦「石原さん!『記憶にない』では済みませんよ」
http://gekkan-nippon.com/?p=9528


―― 築地市場移転問題についてどう見ていますか。

【村上】 都議会議員たちが議員特権にあぐらをかいていることが原因だと思いますね。彼らは一般の人たちと比べて給料が高いから、優越感を感じているんですよ。それで自分たちは何をやっても許されると勘違いするようになって、いい加減なことをやってきたんでしょう。

 その都議会を仕切ってきたのが、「ドン」と呼ばれている内田茂さんです。私は内田さんとは非常に親しいですが、独裁的な振る舞いをしていたから「ドン」と呼ばれるようになったわけでしょう。「ドン」という呼び名は畏敬の念を込めて使われる場合もあるけども、決して健全なことではないと思いますよ。

 こうした地方自治の問題は、東京都に限ったものではありません。富山市議会議員たちが政務活動費の問題で次々と辞職しているように、日本全体の問題です。私はこれを機に、地方自治を根本的に変えなきゃならんと思っています。

 そのためにはまず、思い切って無駄を省く必要があります。議員には政務活動費も手当もいりません。彼らは社会奉仕のために働いているんですからね。奉仕とは自分の持っているものを公共のために使ってもらうということですから、お金のために働くような人間は必要ありません。こう言うと、「それではお金持ちしか議員になれないじゃないか」と批判されますが、私はそうじゃないと思います。重要なのはその人の性格です。見返りを求めずに公共のために働くことができる人間が求められているんですよ。

 それから、議員定数も減らすべきです。私はこの前、韓国の江原道テベク市というところに行ったのですが、ここには市会議員が10人しかいないんです。十万都市なのに、わずか10人なんですよ。しかも、公用車を市の経費で使えるのは、週に2回だけなんだそうです。それでもその地方議会の議長は「大変ありがたいことです」と言っていましたね。私は参院議員の時に、公用車を廃止すべきだと主張したことがありました。残念ながら実現しませんでしたが、議員特権はなくすべきですよ。

 また、これは国会についても言えることですが、決算をもっと重視すべきです。予算が適切なものであるかどうかは、決算をして初めてわかることです。しかし、今は予算ばかり重視されていますよね。決算がデタラメだから、予算も使い放題になって、不正が生まれてしまうんですよ。

 それと、副知事についても見直さなきゃならんと思いますね。日本では中央省庁のキャリア官僚が副知事として出向している例が多いですよね。その副知事が選挙に出て知事になれば、当然官製の県政になっちゃうわけです。これでは昔の県政と何も変わりませんよ。県議や県の有力者が副知事に立候補し、市民に選ばれていくというのが、望ましいあり方だと思います。

 地方自治改革は、国が責任をもってしっかりと取り組んでいくべきものです。安倍総理には、彼が得意とする有識者会議を開き、どうすればお金のかからない地方議会を作ることができるかを議論してもらいたいと思います。

―― 築地市場移転問題について責任を問われている石原慎太郎さんは、公開の場でのヒアリングに難色を示しているとも報じられています。

【村上】 私は石原さんとは長い付き合いですが、石原さんらしくないなと思いますね。「記憶にない」では済みませんよ。堂々とヒアリングに応じるべきです。あれでは逃げているとしか考えられません。都知事を務めたものとしての、政治に携わってきたものとしての責任は一体どこにいったんだと言いたくなりますね。……
http://www.asyura2.com/16/senkyo215/msg/171.html

[政治・選挙・NHK215] 井手英策 いかにして「分断社会」を終わらせるか
 日本では格差が広がっているにもかかわらず、多くの人が格差に無関心である。その原因を探り、格差に無関心な人たちも納得する政策をとらなければ、実際に格差を是正することはできないだろう。
 ここでは、慶應大学教授の井手英策氏の格差問題に関する分析を紹介したい。


『月刊日本』11月号
井手英策「いかにして『分断社会』を終わらせるか」
http://gekkan-nippon.com/?p=9568


<日本は今や格差大国だ>

── 井手さんは『分断社会を終わらせる』(筑摩書房)などで、格差問題について分析されています。日本で格差が拡大した原因はどこにあると考えていますか。

【井手】 格差拡大の一番の要因は中間層の衰退だと思います。これは日本だけでなく先進国全体に見られる問題です。そのため、先進国に共通する原因と、日本の国内事情の両方を見る必要があります。

 まず、先進国に共通する原因について言えば、第一に持続的に都市化が進んだことです。都市化が進むとサービス業が都市に集中します。しかし、サービス業は労働生産性が低いので、賃金は低く抑えられます。都市に人が吸い寄せられ、同時に賃金が下がっていくという問題が世界的に見られるようになりました。

 第二に、IT技術の発展です。これにより、高度な技術や知識を必要とするために熟練労働とされてきた仕事が、例えばコンピューターを使えば簡単に代替できるようになりました。そのため、企業は熟練労働者を高い賃金で雇うのではなく、コンピューターを使える人を安い賃金で雇うようになっていきました。

 第三に、グローバル化の中で新興国から安い商品が入ってくるようになったことです。これにより、先進国では物価が下落し、企業の収益も減っていきました。また、先進国の企業は新興国と競争するために商品の価格を下げなければならなくなり、そのため賃金を削るようになりました。以上が先進国の賃金が下落した主な要因です。

 他方、日本国内の要因について言うと、第一にバランスシート不況と呼ばれる問題です。日本の企業はバブルの際、不動産を担保にして金融機関から多額のお金を借りました。しかし、バブルが弾けて不動産担保の価値が下がると、金融機関は次第に追加の担保を求めるようになりました。そのため、企業は銀行からお金を借りて投資するというスタイルをやめ、内部留保で投資を行うようになったのです。内部留保を増やすためには人件費を削るのが一番効率的なので、企業は賃金をどんどん下げていきました。

 第二に、BIS規制が導入されたことです。これにより、国際業務を行う銀行は自己資本比率を8%以上にしなければならなくなりました。自己資本比率は「自己資本÷総資産×100」で計算されるので、国際的に見て自己資本の少なかった日本の銀行は自己資本比率を高めるために総資産を小さくする、つまり貸付を減らすようになりました。結果、企業の銀行離れが加速し、内部留保への依存が強まって、賃金はさらに下落していきました。

 第三に、国際会計基準が導入されたことです。これにより、投資家たちは投資判断をする際に、キャッシュフローを重視するようになりました。そのため、企業はキャッシュフローを増やすべく、やはり人件費を削るという方法をとったのです。

 人件費が削られれば生活は苦しくなり、人々は将来の不安に怯えて消費を減らすようになります。そうなると企業の収益が上がらなくなるため、さらに賃金が削られます。日本はこのような悪循環に陥ってしまったのです。

 日本の平均世帯所得は1996年からほぼ一貫して下落し続け、この20年間で2割近く下落しました。現在では専業主婦世帯と共働き世帯が逆転しているので、共働きにもかかわらず世帯所得が2割近く落ちたということです。また、日本のジニ係数はOECDの中で9番目に悪く、相対的貧困率は6番目に悪いという状況にあります。ひとり親家庭の相対的貧困率に至ってはOECDの中で最悪です。日本は今や格差大国と言っても過言ではない状況にあるのです。

<日本人が格差問題に無関心な理由>

── これほど格差が拡大しているにもかかわらず、日本人の多くは格差を他人事と感じているように見えます。

【井手】 一つには左派やリベラルの責任が問われます。生活に困っている人たちを助けることを、一応「弱者救済」と言っておきますが、左派やリベラルは弱者救済を正義だと語り、人間として当然の行為だと主張してきました。

 確かに弱者救済は道徳的には正しいことです。しかし、人々の生活はどんどん苦しくなっており、他人を顧みる余裕がなくなっています。そうした時に弱者救済は正義だと押し付けられれば、反発を覚えるのは当然のことではないでしょうか。リベラルが善意に基づき弱者を救済しようと思えば思うほど、逆に人々は弱者救済に関心を失っていったというところがあったと思います。

 また、これは日本人のメンタリティとも関係しています。例えば、「自分の所得は平均所得と比べてどうか」と問われた時、「平均所得以下だ」と応える日本人の割合は、国際的に見ても高いことがわかっています。「子供の時と比べて家庭環境はどうなったか」という質問に対して、「悪くなった」と答える日本人の割合もかなり高く、「自分の仕事は父親の仕事と比べてどうか」という質問に対して、「父親以下だ」と答える人の割合は調査国の中で最も高くなっています。さらに、2011年に内閣府が行った調査では、「老後に不安を感じている」と答えた人の割合は85%に上っています。このように、日本人の多くは自分たちが貧しくなっているという実感を持っています。

 その一方で、日本人の中には依然として根強い中流意識があります。明らかに生活が苦しくなっているのに、なぜ自分たちを中流だと思うのか、その意識のズレはどこから生じるのかを考える必要があります。

 この問題を考える上で参考になる調査結果があります。「あなたの生活の程度は『中の上』か『中の中』か『中の下』か」という質問に対して、日本は他の先進国と比べて「中の下」と答える割合が最も高いことがわかっています。ここに見られるのは、自分はギリギリのところで踏ん張っているという意識です。これこそ日本人が格差問題に対して冷淡な理由だと思います。つまり、自分は誰からの支援も受けずに必死になって働き、何とか「中の下」で踏ん張っているのに、国から支援を受けている貧困層は一体なんだということで、貧困層に対して敵意を向けてしまうのです。(以下略)
http://www.asyura2.com/16/senkyo215/msg/389.html

[政治・選挙・NHK215] 安倍政権にだまされたものの責任(月刊日本ブログより)
 TPP承認案と関連法案が強行採決された。これを食い止められなかった政治家たちの責任は非常に重い。しかし、そのような政治家を当選させた国民にも大きな責任がある。
 ここでは、月刊日本ブログに引用されている、京都精華大学専任講師の白井聡氏のインタビューを紹介したい。


月刊日本ブログ「だまされたものの責任」より
http://gekkan-nippon.com/?p=9618


<なぜTPPの強行採決を止められなかったのか>

 昨日4日、衆議院TPP特別委員会で、TPP承認案と関連法案が強行採決されました。これを「賛成多数で可決」と言おうが、「採決強行」と言おうが、事の本質は変わりません。安倍総理が10月17日に「我が党は結党以来、強行採決をしようと考えたことはない」と述べる中(10月17日付毎日新聞)、山本有二農林水産相が18日に「強行採決するかどうかは佐藤勉さんが決める」と述べたことなどが問題とされていましたが、彼らは結局のところ最初から強行採決するつもりだったのでしょう。

 今回の事態の責任は、一義的には政治家にあります。彼らがもっとしっかりしていれば、安易にTPP承認案を成立させることはなかったでしょう。また、TPPの問題点をきちんと伝えてこなかったメディアや学者たちにも責任があります。そして、彼らのような政治家を選び、そのようなメディア報道を鵜呑みにしてきた我々国民にも責任があります。かつて映画監督の伊丹万作が「だまされたものの責任」と言いましたが、TPPが将来わが国にいかなる弊害をもたらそうとも、その責任は我々自身が負わねばなりません。

 ここでは、弊誌増刊号「貧困・格差・TPP」に掲載した、京都精華大学専任講師の白井聡氏のインタビュー記事を紹介したいと思います。

<騙された人間の責任>

―― TPPによって国民生活は大打撃を受けると思います。その責任は第一義的には安倍政権にありますが、安倍政権を支持してきた国民にも責任はあります。

【白井】 このまま社会の劣化が止まらなければ、日本はそう遠からずに破局的な事態を迎えると思います。というか、福島の原発事故の被害者などは生活を破綻させられているのですから、すでに部分的に破局を迎えているのですが。

 その際、大部分の国民が「安倍政権に騙された」などと言うのでしょう。冗談ではありません。今は戦前と違い、教育勅語もなければ治安維持法もありません。特高警察もありません。教育を受ける期間も十分に長く、4割の人間が大学にまで行っています。TPP批判の本だってたくさん出版されています。そうした中で「騙された」などという言い訳は絶対に通りません。騙される人間にも責任はあるのです。

―― 同じことは安倍政権を支持している保守派にも言えます。彼らも安倍政権に騙され、安倍総理を保守派だと信じ込んでいます。

【白井】 安倍総理はナショナリストを気取っていますが、とてもナショナリストとは言えません。それは原発事故への対応を見れば明らかです。原発事故は国土に対する恐ろしい犯罪行為です。既に一度でも堪え難いことですが、同じ事故が繰り返されることなど決してあってはなりません。

 ところが、安倍政権は原発の再稼働を強行しました。この地震国で原発を続けるということは、同じような事故が再び起こってもいいと思っているということです。ここにはナショナリズムなど全くありません。あるのはニヒリズムだけです。これは安倍政権を支持している人たちにも言えることです。彼らは「保守」を口にしながら、実際は守るべきものなど何もないわけです。

―― TPPを打破していくために、我々は何を為すべきでしょうか。

【白井】 TPPは国際条約なので、日本だけでどうにかなる問題ではありません。もっとも、先程も述べたように、アメリカ国内でもTPPを批判する声が強くなっています。また、ニュージーランドでTPPの署名式が行われた際にも、式典会場の外では抗議運動が吹き荒れていました。このような反対運動と連帯していくことが重要になるでしょう。

 国際連帯と同時に、国内ではTPPに反対する勢力が権力を奪取することが課題となります。TPP反対勢力がもっとしっかりとした形になれば、安倍政権は必ず揺らぎます。そのために我々がどれだけ知恵を絞り体を張ることができるか、それが問われているのです。
http://www.asyura2.com/16/senkyo215/msg/517.html

   

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