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Re: 「信仰告白」に堕するなかれ。反対側の事実と直面せよ。 投稿者 行司 日時 2002 年 10 月 08 日 02:30:56:

(回答先: Re: 日本改造とイラク攻撃 投稿者 カレラ 日時 2002 年 10 月 07 日 06:49:46)

>日本における軍国主義的集団的抑圧は、世論とマスコミ
が結託して一方的かつ抑圧的な社会的雰囲気を作り出すと
ころに由来する部分が大きく、軍部や他の国家機関の軍国
主義者が国民を脅迫したり騙したりして戦争に追いやった
という話はかなり一面的でインチキなものなのです。(書記長さん)
 
「マスコミや大衆自身が軍国主義を後押ししたことは事実としても、そっちが主因で軍部などの国家機関がそれによって軍国主義傾向を(いやいやながら)強めざるを得なかったというのは完全に倒錯した事実認識だと思う。あくまでも国策を遂行したのは軍部であり、それを容認した政府である。マスコミと大衆は愚かにもそれに乗せられたのであって、彼らが主導権を取ったのではあり得ない。」 (カレラさん)

書記長さんの論理だと,ヒットラーを熱狂的に支持したドイツ国民がヒトラー以上に悪いという論法となり,完全に倒錯した論理といわざるをえない。ヒトラーも日本政府も情報操作によって大衆の支持を取り付けることに腐心していました。日本政府は「大本営発表」などで景気のいいウソの戦績報告で大衆の盲目的興奮を引き起こすしています。書記長さんは本末転倒のトリッキーな論法を持ち込むことで、15年戦争を引き起こしたのは日本の大衆であり,日本の大衆が日本政府・軍部を率先支配した。責められるべきは日本大衆であって,日本政府・軍部ではないという醜悪な倒立が起きるもようです。この点の倒錯を指摘しているカレラさんはほぼ完全にただしいといわざるをえません。書記長さんの論法だと日本の財閥など当時の支配層も無罪論という立場です。アメリカを乗っ取っている財閥の行動を批判することができなくなるという矛盾に撞着します。書記長さんのこの倒錯は戦前の日本政府と軍部は無謬であり、正当であるという盲目的「信仰」固着によっておきています。天動説のため、つまりキリスト教会の権威権勢維持のために倒錯的に事実評価をねじ曲げていたローマ教会がそうですが、「信仰」が事実の評価を阻害する傾向する典型が書記長さんに見られます。田原総一郎という定見が全く定まらず,一貫性のない論者の片言隻句を引き合いに自分の意見の正当性を主張するしかたに、事実を評価する眼力の弱さ不安定さがおのずと露呈されているようです。

>そもそも他国の自国への軍事的勝利とその都合のための
社会改造によって自国が進歩したなどという発想は、あま
りにも自律性も誇りもない姿勢で、それ自体がまともな人
間からは不愉快なものです。 (書記長さん)

愉快不愉快でかたるなら、「床屋談義」のレベルの域にとどまることを覚悟してください。高い水準の議論にはなりにくい恨みが残ります。
 
「あなたが自分の立場を「まとも」と解釈するのは勝手ですが、「自律性と誇り」で民族が絶え滅んではたまったものではないのです。
大日本帝国憲法と天皇制を基礎とする戦前の日本システムは軍部に主導権を簒奪される形に陥りました。
このシステムでは戦後GHQが行った「民主改革」は実行できなかったのは明らかです。戦後日本の繁栄が他国から与えられた
システムの上に成立した事は動かしがたい歴史的事実です。戦前の日本システムは戦後のそれに比べ、明らかに劣っています。」(カレラさん)

明治憲法を自力で民主的価値への交換へと試みた論者たちがおり,その大衆運動もありました。しかし、日本政府の幸徳秋水の処刑をもって、民主主義への動きは抹殺され完全終結しました.事実として,国民が自力で民主的価値原理を持ち込むことは戦前不可能であり、それはGHQの作用を待つほかなかった事実は消えません。歴史の評価はその時代の地点からなされるべきであり,現代の価値体系や視点からなされるべきではない、というのは、その当時の支配層がよく使うレトリックです。白人が黒人を奴隷にし,アメリカ大陸の98%の先住民を殺しても,当時の白人の世界観から見たら,普通のことで、批判はできないということになります。ところが書記長さんは随所でこの手の西洋人批判を繰り返しており,ご都合主義.矛盾の面は否めないない模様です。また,戦前のことを現代から見て評価することはできない,トいうならば,では,当時のどういった階層や立場の視点から評価するのか,という点は問題が残ります。当時の同時代の見方、大正デモクラシーの民衆運動(世界の国際的な民主主義運動の理念を反映していました)の視点から評価した場合、当時の日本政府と軍部については,現時点での視点から見た場合の評価とほぼかわらないものになります。いつの時点の誰の視点から評価するのか。その方法論的認識が痛々しく欠如している点の恨みが残ります。

「戦前の日本にも良いところはあった、植民地支配も悪い面ばかりではない、戦後アジア・アフリカの解放に日本の果たした役割は
小さくない、などと喧伝されるのを良く聞きます。しかし、良い面もあったというのはそれが最高のシステムであることを意味しないのは当然です。
ポルポト政権もナチス政権もスターリン独裁もそれなりに良い面もあったはずです。要はどちらがより優れているか、将来さらに優れた
ものにする余地があるか、という比較の問題です。軍国主義や全体主義は比較劣位の思想だと思います。」 (カレラさん)

これはこれで,おおわくでは極めて正当な指摘と思われます。軍国主義や全体主義の理念が自由をとおとぶ社会より,生産的で豊かな結果をもたらすことはあり得ません.戦後の日本の社会システムが戦前のそれより豊かな結果をもたらしていることは疑うことはありません.特に,間違いにきづいたとき、路線を変更できる柔軟性を社会ができる点に高い生産性の一つの根拠があると思われます。

>アメリカのイラク攻撃を日本がお手伝いして、そのイラ
ク市民殺しに日本も参加して、そうやってイラク市民に民
主主義を与えてやろうという人はそんなに偉いのでしょう
か。どういう資格があって、アメリカの犬に成り下がった
日本人がイラクに対して教育的殺人を行うのでしょう (書記長さん)

「あなたは戦争の意味を取り違えているか、意図的にそのように教導しようとしています。血に飢えた狂人が民衆を虐殺するのが戦争なのでは
ありません。イラクで言えば、フセインを追放し、主要軍事拠点を破壊し、イラク民衆を解放することが目的なのであって、市民虐殺が目的なの
ではありません(結果としてそうなることは当然ありますが)。日本への原爆投下や空襲もはっきり言うとそうです。多くの日本国民は原爆を落とした米国を恨むよりも、そんな戦況になる
まで日本国民を誤導し続けた当時の自国の「軍事政権」を批判しています(米国への屈折した恨みがないわけではありませんが).」(カレラさん)

近代の政経のロジックを支配しているのは今日にいたるまでアダムスミスの言説です。彼は社会の構成員が「利他心」をすて、「利己心」持つことで経済活動をすることが,社会に富をもたらし,富を循環させることができる,と主張し,それまでキリスト教世界で否定されていた「利己心」を歴史的に価値的に大逆転させた人物です。資本主義のエトスは利己心の大肯定にあります.それをエンジンとした経済制度なのです。米英の支配層は,これをアダムスミスを錦の御旗としています。従って,彼ら支配層が打出す政策や判断は,常に「利己心」=「利益を最大化する動機」によって形成される可能性が最も高い事実に着目が必要です。アメリカが戦争をしたとき,誰がいつも儲けていたのか.産軍複合体と銀行の株主である,という一貫した相関性は米英特有な者です.中東世界でイラクは民主主義体制をサウジアラビアその他の王権が支配する国々より誇っています。アメリカがサウジ王朝を軍事ないしクーデターで転覆して民主主義を持ち込まない理由は、もうおわかりですよね?カレラさんは米英のよってたつ価値基盤がアダムスミスにあること(現代経済学は過去200年完全にアダムスミスに支配されています)、「利己心」こそ社会構成員の動機として必要である,というテーゼの拘束による政策形成の論理となっている点についての,知識の補充をされることが肝要かと思われます(失礼ながら)。

ご両者ともアメリカ信仰、大日本帝国政府信仰の域をでていらっしゃらない恨みがあり、それは、知識や情報収集の上で偏りがあることから生まれている可能性を感じます.その結果イラク戦争への価値判断の仕方が,失礼ながら双方ともちょっとたよりない感じを受けます。書記長さんのは、歴史評価の基軸が一貫せず分裂し、ブレにブレている印象を残しています.書記長さんは今のアメリカで支配層が人々の表現の自由を制約しつつあることを批判しています。大日本帝国軍人の価値判断をもちながら民主主義・人権の価値をも享受したい、しかしまた一方で,今日本の市民もマスメディア規制法有事法などで表現の自由を制約されつつある日本の情況は全く嘆くそぶりもない、という分裂があるようです。

  「すべての歴史は現代史である」(クローチェ=ナチ、全体主義と最後まで戦ったドイツイタリア圏唯一の知識人、歴史哲学者、戦後イタリア最初の首相、彼以外の知識人はハイデガー含め、当時ヒトラー、ムッソリーニ支配政権にすべて協力,沈黙した。)今をいき明日をいきるわたしたちが、過去の特定時点の価値判断の体系に添い寝しなければならない理由はありません。歴史を勉強するのは、今そして明日をどう、より素晴らしく生きていくのか、ということを考えるためにあるのものではないかと思われます.また人間の生命は、太古の時代から現代まで同様に重い価値があります.時代や地域によって重くなったり軽くなったりするわけではありません。普遍的な価値というものもあるのです。人間を弾圧しなぶり殺すのは、大名や武士が民衆をそうしようと戦前特高警察がそうしようと、アメリカ軍がベトナム戦争でベトナム人を焼き殺そうと、すべて深刻な問題をはらんでいます。ご都合でそれがゆるされたりゆるされなかったりするわけにはいきません。

失礼がありましたら、ご容赦を。


 

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