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シリアに対する侵略戦争
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/331.html
投稿者 中川隆 日時 2020 年 10 月 14 日 17:51:44: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 米国のカラー革命に資金を出している富豪はファシズム体制の樹立を目指している 投稿者 中川隆 日時 2020 年 6 月 26 日 16:03:26)


シリアに対する侵略戦争


2020.10.14
シリアへの侵略を正当化する英政府の宣伝工作を裏づける文書がハッキングされた
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202010140001/


 シリアに対する侵略戦争をアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟のほか、イギリスとフランスのサイクス・ピコ協定コンビ、パイプライン建設を目指していたカタール、オスマン帝国の復活を夢想するトルコなどが始めたのは2011年3月のことだった。

 この戦争について、メルキト・ギリシャ典礼カトリック教会の聖職者は2012年6月の段階で「​もし、全ての人が真実を語るならば、シリアの平和は守られる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実からほど遠い。​」と指摘、シリア政府軍が戦っている相手が外国からやってきた戦闘員だということも報告していた。この報告の中でシリアにおける戦争の本質は明らかにされている。

 シリアより1カ月早く侵略戦争が始まったリビアでは、地上で戦うアル・カイダ系武装集団と空爆を行うNATO軍の連携が機能し、2011年10月にムアンマル・アル・カダフィ体制は倒され、カダフィは惨殺された。そして戦闘員や兵器/武器はリビアからシリアへ運ばれ、2012年からシリアで大攻勢が予定されていたようだ。

 シリアのバシャール・アル・アサド政権を倒すため、リビアと同じようにNATO軍、あるいはアメリカ主導軍を介入する環境作りも始められた。侵略勢力は配下の有力メディアなどを使い、「独裁者と民主化勢力との戦い」や「シリア政府軍の残虐行為」といった物語を広めようとしたのだ。オーストリアのメディアは写真を改竄し、背景を普通の街中でなく廃墟に変えて掲載するということも行った。こうした嘘をメルキト・ギリシャ典礼カトリック教会の司祭は批判したのだ。

 真実を語らず、侵略を正当化する宣伝を繰り返してきたのは侵略国の政府や有力メディアだが、その中にはイギリスの外務英連邦省が含まれている。そこのコンピュータがハッキングされ、​プロパガンダ作戦の実態を明らかにする資料​が奪われ、その一部が公表された。そうしたプロパガンダ作戦が存在することは知られている話だが、内部資料が出てきたことは重要だ。

 リビアのカダフィ体制が崩壊した後、シリアの政府軍と戦う傭兵部隊への支援をアメリカ政府は強化するが、リビアでの戦闘で地上軍の主力がアル・カイダ系のLIFGだということが判明している。

 そこでバラク・オバマ大統領は穏健派を支援しているのだと強弁、外務英連邦省も同じことを主張しているのだが、これは​2012年8月にアメリカ軍の情報機関DIAが否定​したもの。

 その報告書の中で、反シリア政府軍の主力はサラフィ主義者やムスリム同胞団だと指摘され、アル・カイダ系武装集団のAQI(アル・ヌスラと実態は同じだとしている)の名前も出している。オバマ大統領が言うところの「穏健派」とは、一般的に「過激派」と見なされているグループだとしているのだ。

 それだけでなく、オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになると警告していたが、これは2014年にダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)という形で現実になった。

 その年の1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国が宣言され、6月にはモスルが制圧された。その際にトヨタ製小型トラック、ハイラックスの新車を連ねたパレードを行い、その様子を撮影した写真が世界に伝えられたのだが、こうした戦闘集団の動きをアメリカの軍や情報機関は偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などで知っていたはず。そうしたパレードは格好の攻撃目標だが、アメリカ軍は動かなかった。2012年7月からDIA局長を務めていたマイケル・フリン中将はダーイッシュが売り出された直後、2014年8月に退役させられてしまう。

 シリアの反政府軍への支援を強化しはじめたオバマ大統領は、シリアに対する直接的な直接的な軍事介入のレッド・ラインは生物化学兵器の使用だと宣言した。その年の12月になると国務長官だったヒラリー・クリントンはシリアのバシャール・アル・アサド大統領が化学兵器を使うかもしれないと語り、13年1月29日付けのデイリー・メール紙には、オバマ政権がシリアで化学兵器を使ってその責任をアサド政権に押しつける作戦を大統領が許可したという記述がイギリスの軍事関連企業ブリタム防衛の社内電子メールの中にあるとする記事を載せた。(同紙のサイトからこの記事はすぐに削除された。)

 しかし、すでにシリア政府はロシア政府のアドバイスに従い、化学兵器を全て廃棄していた。これはアメリカ政府も否定できないため、一部が隠されたと主張せざるをえなくなる。勿論、その主張を裏づける証拠はない。イラクの「大量破壊兵器」の話と同じだ。

 その後、アメリカやイギリスをはじめとする西側の政府や有力メディアは化学兵器話を繰り返すが、そのたびに嘘が露見している。何度でも嘘が繰り返されるわけだ。

 そうした嘘を広める上で重要な役割を果たしていたのが「シリア市民防衛(SCD、通称「白いヘルメット」)」。ジェームズ・ル・ムズリエなる人物が2013年3月にトルコで編成、メンバーを訓練していた。

 この団体の活動目的は医療行為だとされたが、公開された映像からそのメンバーは医療行為の訓練を受けていないと指摘する人もいる。しかもSCDのメンバーがアル・カイダ系武装集団と重複していることを示す動画や写真も存在、アル・カイダ系武装集団が撤退した後の建造物ではSCDと隣り合わせで活動していたことを示す証拠などがバネッサ・ビーリーやエバ・バートレットらのジャーナリストによって確認された。

 SCDの設立資金30万ドルはイギリス、アメリカ、そして日本が提供、さらに西側のNGOやカタールを経由してアメリカ政府とイギリス政府から1億2300万ドルが渡ったとされている。

 ル・ムズリエはイギリス軍の元軍人とされているが、イギリスの対外情報機関MI6のオフィサーだと言われている。2000年に軍を退役した後にオリーブ・グループという傭兵組織の特別プロジェクトの幹部になった。この組織は後にアカデミ(ブラックウォーターとして創設、Xeに改名され、現在に至る)に吸収されている。

 2008年に彼はオリーブ・グループを離れてグッド・ハーバー・コンサルティングへ入り、アブダビを拠点として活動し始めるのだが、この段階でもイギリス軍の情報機関と緊密な関係を維持していた。

 勿論、アメリカやイギリスが新たな化学兵器話を宣伝し始めても不思議ではない。

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202010140001/  

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コメント
1. 中川隆[-10853] koaQ7Jey 2020年10月14日 17:58:17 : qeoz4h8Nwg : dm1xMUg1aTVyQWc=[20] 報告

意図的な世論誘導報道で悪魔呼ばわりされているシリア アサド大統領
http://www.asyura2.com/12/lunchbreak52/msg/816.html

命を賭して悪の帝国と闘ったサダム・フセイン
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/298.html

プーチン大統領は神の申し子
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/297.html

東海アマ イスラム国を作ったのは、イスラエルであること
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/896.html

リビアの戦乱を引き起こしたのはアメリカ政府を操ってきたネオコン(シオニストの一派)
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/847.html

ヒラリー・クリントン
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1090.html

ロスチャイルドの番頭で殺人鬼だったジョージ・ソロスがやった事
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/148.html

平和主義者だったトランプがイラン革命防衛隊の精鋭組織コッズ部隊の司令官を殺害した理由
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/786.html

2. 中川隆[-7317] koaQ7Jey 2021年2月16日 18:21:42 : 2Rqleo9YRc : OFhWL1kxNk5ZblU=[7] 報告
2021.02.16
バイデンの大統領就任でオバマ政権の中東侵略作戦が復活する可能性(1/2)
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202102160000/


 アメリカにジョー・バイデン政権が登場して以来、世界的に軍事的な緊張が高まっているが、中でもシリアでの動きは目につく。​アメリカ軍が北東部にあるハサカで新たな軍事基地を建設している​と報道されているが、そこには戦闘員や物資を輸送するために滑走路も作られ、油田地帯に近いデリゾールでもアメリカ軍は新しい航空施設を建設しているという。

 イスラエル軍によるダマスカス周辺に対する攻撃も激しくなり、シリア政府が反発しているだけでなく、イラン側もイスラエルが一線をこれれば「後悔させる」と語っている。また​ロシア軍は地中海に近いラタキアにあるロシア軍のフメイミム空軍基地の滑走路を拡張して戦略爆撃機が離着陸できるようにした​という。

 バイデンが副大統領を務めていたバラク・オバマ政権は2010年8月にPSD-11を出し、ムスリム同胞団を中心とするジハード傭兵を使った侵略戦争を中東から北アフリカにかけての地域で始めた。2011年の2月にはリビア、3月にはシリアも戦場になる。侵略を正当化するため、オバマ政権は「独裁者」による「民主化運動」の弾圧を演出した。

 しかし、西側で主張された「流血の弾圧」を否定する情報は早い段階から流れていた。例えば、シリア駐在のフランス大使だったエリック・シュバリエによると、実際は限られた抗議活動があっただけで、すぐに平穏な状況になっていたという。

 その調査結果をシュバリエはパリへ報告したが、アラン・ジュペ外相はそれを無視しただけでなく、シリアのフランス大使館に電話して「流血の弾圧」があったと報告するように命じたという。

 その後も西側の政府や有力メディアはシリア政府による「民主化運動の弾圧」を盛んに宣伝、その情報源としてダニー・デイエムなる人物やロンドンを拠点とする「SOHR(シリア人権監視所)」を使っている。

 デイエムはシリア系イギリス人で、シリア政府による「流血の弾圧」を主張し、外国勢力の介入を求めていた。ところが2012年3月、「シリア軍の攻撃」を演出する様子を移した部分を含む映像がインターネット上へ流出してしまい、その実態が知られてしまった。シリコンバレーの巨大企業が検閲してもその事実を消し去ることはできない。

 SOHRは2006年にラミ・アブドゥラーマン(本名オッサマ・スレイマン)なる人物がイギリスで設立したのだが、その背後にイギリスの政府機関が存在している。イギリス外務省はSOHRに約19万5000ポンド相当の支援をしていることを認めたとイギリスの​デイリー・メール紙が伝えている​。

 デイエムのインチキが発覚した2012年3月当時、アメリカをはじめとする勢力はシリア侵略に集中しはじめていた。その前年の10月にリビアのムアンマル・アル・カダフィの体制を倒し、戦闘員や武器/兵器をシリアへ集中させるのだが、リビアの戦闘でNATO軍がアル・カイダ系武装勢力のLIFGと連携していたことが明確になってしまう。

 2001年9月11日以来、アメリカ政府は「アル・カイダ」をテロリズムの象徴的な存在にしていた。アル・カイダ系武装勢力のLIFGがNATO軍と連携していた事実は衝撃的なはずだが、一部の有力メディアが報道しただけで、西側では大して問題にされていない。

 アメリカにとって好都合なことに、「アル・カイダ」のリーダーだとされていたオサマ・ビン・ラディンは2011年5月2日にアメリカの特殊部隊によって殺されたことになっている。その段階で人びとの意識の中から「アル・カイダ」も消えたのかもしれない。

 シリア北部ホムスでは2012年5月に住民が虐殺されるのだが、西側の政府やメディアは政府軍が実行したと主張した。イギリスのBBCはシリアで殺された子どもの遺体だとする写真を掲載しているが、この写真は2003年3月にイラクで撮影されたの。オーストリアのメディアは写真を改竄し、背景を普通の街中でなく廃墟に変えて掲載していた。こうした西側有力メディアの偽報道をローマ教皇庁の通信社が伝えている。

 ホムスの虐殺を現地調査、報告したフランス人司教は、「​もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている​」としている。その後、そうした状況はさらにひどくなっている。

 こうした報告は流れたものの、アメリカなど侵略勢力は有力メディアを使ったプロパガンダで圧倒できると考えたようで、オバマ政権はシリアでの戦争を「政府軍と民主派の戦い」だと言い張り、内戦だと主張する。オバマ政権は「穏健派」を支援しているのだとオバマ大統領だと言い張る。

 ところが、この主張は​アメリカ軍の情報機関DIA​が否定している。2012年8月にホワイトハウスへ提出した報告の中で、反シリア政府軍の主力はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団だと指摘、アル・カイダ系武装集団のAQI(アル・ヌスラと実態は同じだとしている)の名前も出している。オバマ大統領が言うところの「穏健派」とは、一般的に「過激派」と見なされているグループだとしているのだ。オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになると警告していた。

 この警告は2014年にダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)という形で現実になった。その年の1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国が宣言され、6月にはモスルが制圧されたのだ。

 モスル制圧の際にトヨタ製小型トラック、ハイラックスの新車を連ねたパレードを行い、その様子を撮影した写真が世界に伝えられたのだが、こうした戦闘集団の動きをアメリカの軍や情報機関は偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などで知っていたはず。そうしたパレードは格好の攻撃目標だが、アメリカ軍は動かなかった。

 2012年7月からDIA局長を務めていたのはマイケル・フリン中将。サラフィ主義者が支配する地域が出現するという警告がダーイッシュの登場で現実になったのだが、その結果、オバマ政権にとって目障りな存在になった。そして2014年8月に退役させられてしまう。(つづく)

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202102160000/


2021.02.16
バイデンの大統領就任でオバマ政権の中東侵略作戦が復活する可能性(2/2)
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202102160001/


 バラク・オバマ政権はNATO軍、あるいはアメリカ主導軍をシリアへ侵攻させる口実として「化学兵器話」を使い始める。2012年8月、オバマ大統領は生物化学兵器の使用がシリアへの直接的な軍事介入の「レッド・ライン」だと宣言、同年12月には国務長官だったヒラリー・クリントンがシリアのバシャール・アル・アサド大統領は化学兵器を使う可能性があると語っている。

 そして2013年1月29日付けのデイリー・メール紙には、オバマ政権がシリアで化学兵器を使ってその責任をアサド政権に押しつける作戦をオバマ大統領が許可したという記述がイギリスの軍事関連企業ブリタム防衛の社内電子メールの中に書かれているとする記事が載った。(同紙のサイトからこの記事はすぐに削除された)

 その後、シリア政府軍が化学兵器を使ったとする話を西側の政府や有力メディアは何度か主張してきたが、いずれも嘘が明らかにされている。それでもアメリカ政府は同じシナリオを繰り返し、有力メディアはそれを垂れ流している。

 そうした化学兵器話の発信源のひとつがSCD(シリア市民防衛/通称白いヘルメット)。2013年3月にジェームズ・ル・ムズリエなる人物がトルコで創設した。設立資金の30万ドルはイギリス、アメリカ、そして日本から得たという。その後、西側のNGOやカタールを経由してアメリカ政府とイギリス政府から資金を受け取ったとされている。

 ル・ムズリエはイギリス軍の元軍人で、2000年に退役、その後オリーブ・グループという傭兵組織の特別プロジェクトの幹部になった。この組織は後にアカデミ(ブラックウォーターとして創設、Xeに改名、現在に至る)に吸収されている。

 2008年に彼はオリーブ・グループを離れてグッド・ハーバー・コンサルティングへ入り、アブダビを拠点として活動し始めるのだが、この段階でもイギリス軍の情報機関と緊密な関係を維持している。

 SCDはアル・カイダ系武装集団の医療部隊として活動してきたが、公開された映像から、そのメンバーは医療行為の訓練を受けていないと指摘する人もいる。

 また、SCDのメンバーがアル・カイダ系武装集団と重複していることを示す動画や写真の存在、アル・カイダ系武装集団が撤退した後の建造物でSCDと隣り合わせで活動していたことを示す証拠などがバネッサ・ビーリーやエバ・バートレットらによって確認されている。

 こうした実態をアメリカ政府も知っているようだ。​SCDのシリアにおける責任者ラエド・サレーをFBIは「テロリスト」だと認識、彼はアメリカへの入国を拒否されている​。

 オバマ大統領は2015年に戦争態勢に入る。政府を好戦的な布陣に作り替えたのだ。2月に国防長官がチャック・ヘーゲルからアシュトン・カーターへ交代、9月には統合参謀本部議長がマーチン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代している。

 ヘーゲルは戦争に慎重だったが、カーターは2006年にハーバード大学で朝鮮空爆を主張した人物。シリアからバシャール・アル・アサド大統領を排除しようとしていたバラク・オバマ大統領とは違い、サラフィ主義者やムスリム同胞団を危険だと考えていたデンプシーはシリア政府と情報を交換していたと言われている。

 統合参謀本部議長が交代になった直後の9月30日にロシアはシリア政府の要請で軍事介入、ダーイッシュなど武装勢力の支配地域は急速に縮小していく。アメリカ主導軍と違い、ロシア軍は本当にダーイッシュやアル・カイダ系武装勢力を攻撃したのだ。アメリカの軍や情報機関はダーイッシュなどの主要メンバーを救出、クルドを新たな手先にした。必然的にSCDの出番も減る。そして2019年11月11日、SCDを創設したジェームズ・ル・ムズリエがトルコで死亡した。

 そのSCDがバイデン政権になってから活動を再開させたという情報がある。​ロシア国防省はSCDがシリアのイドリブで新たな挑発工作を目論んでいると警告​した。ハイアット・ターリル・アル・シャムの活動と関係がありようだ。

 軍事的に優位だったにもかかわらず、シリア政府軍が化学兵器を使ったとする話がSCDなどから流されていた2013年8月、ダマスカスの近くのゴータで爆発があった。

 攻撃の直後にロシアのビタリー・チュルキン国連大使は反シリア政府軍が支配しているドーマから2発のミサイルが発射されてゴータに着弾したと国連で説明、その際に関連する文書や衛星写真が示されたと伝えられている。

 その後、調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュや国連の元兵器査察官のリチャード・ロイドとマサチューセッツ工科大学のセオドール・ポストル教授を含むジャーナリストや学者によって化学兵器話は否定された。

 それでもオバマ政権は直接的な軍事侵略を実行しようとしていた可能性が高い。西側の有力メディアは9月の初めに攻撃が始まると推測していたが、実際、2013年9月3日に地中海の中央から東へ向かって2発のミサイルが発射された。

 この発射はロシアの早期警戒システムがすぐに探知、公表されるが、ミサイルはいずれも途中で海へ落下してしまう。イスラエル国防省はアメリカと合同で行ったミサイル発射実験だと発表しているが、この説明には疑問がある。事前に周辺国(少なくともロシア)へ通告せずに発射実験をするとは考えにくいからだ。何らかの手段、例えばジャミングでミサイルのGPSが狂って落下したと推測する人もいる。

 この当時、アメリカ軍はシリアの近くにある基地にB52爆撃機の2航空団を配備したほか、5隻の駆逐艦、1隻の揚陸艦、そして紅海にいる空母ニミッツと3隻の軍艦などを地中海に配備した。これに対抗してロシア政府は「空母キラー」と呼ばれている巡洋艦のモスクワを中心にしてフリゲート艦2隻、電子情報収集艦、揚陸艦5隻、コルベット艦2隻がシリアを守る形で配置されたとされている。

 その翌年にダーイッシュが出現、その残虐性が宣伝された。その残虐な武装集団と戦うという名目でNATO軍、あるいはアメリカ主導軍が軍事侵攻、シリア政府を潰すというシナリオだったのだろう。

 アメリカでオバマ政権の副大統領が大統領に就任、オバマ政権と同じことをする可能性がある。それに対する準備をシリア政府だけでなく、イランもロシアも始めている。(了)
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202102160001/

3. 中川隆[-7250] koaQ7Jey 2021年2月19日 19:53:58 : ggtj42tZ3E : MkF0VFlkVHpkbEE=[41] 報告

2021.02.19
米軍を中心とする勢力がシリアやイラクで軍事力を増強、緊張が高まっている
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202102190001/

 アメリカ主導軍がシリアの反政府勢力に対する支援を強化している。2月18日にも60台のトラックを連ね、イラクのクルド支配地域からシリア北東部のハサカ周辺へ軍事物資や装甲車両を運び込む光景を撮影した映像がインターネット上で公開されている。イラク政府はアメリカなどに対して撤兵するように求めてきたが、占領軍は無視している。それどころかNATO軍はイラクにいる部隊の規模を500名から4000名へ増やすのだという。

 イラクのクルドは1960年代後半からイスラエルの情報機関の影響下にある。クルドを率いていたムスタファ・バルザニはイスラエルの情報機関モサドのオフィサーだったと言われ、その息子であるマスード・バルザニも同じだと見られている。アメリカはイラク北部にクルドの国を建設しようと目論んだこともあるが、クルド内部の反バルザニ派がこの計画に反対して挫折してしまった。

 アメリカ軍がイギリス軍などを引き連れてイラクを先制攻撃したのは2003年3月のこと。スンニ派を中心とするサダム・フセイン政権を倒して親イスラエル派の体制を樹立する予定だったが、イラク国民の多数を占めるシーア派が同じシーア派のイランに親近感を持つことから親イラン派の政権が誕生してしまった。

 こうした状況を打開するため、イギリスの首相だったトニー・ブレアはブッシュ米大統領に対し、非宗教政権を倒してムスリム同胞団と入れ替えるように求めたという。(Thierry Meyssan, “Before Our Very Eyes,” Pregressivepress, 2019)

 ​シーモア・ハーシュが2007年3月にニューヨーカー誌で書いた記事​によると、ブッシュ政権はイスラエルやサウジアラビアと手を組み、シリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラを叩き潰そうと考えた。

 その記事の中で引用されたジョンズホプキンス大学高等国際関係大学院のバリ・ナスルの説明によると、資金力のあるサウジアラビアは「ムスリム同胞団やサラフィ主義者と深い関係」があり、そうしたイスラム過激派を動員することができる。ただ、その勢力は「最悪のイスラム過激派」であり、彼らが入っている箱を開けたなら、2度と箱の中へ戻すことはできないとも警告していた。

 2009年1月に大統領はバラク・オバマに交代、2010年8月にはムスリム同胞団を使った体制転覆プラン、PSD-11を承認している。ブラア英首相の意向に沿う計画だ。そして「アラブの春」が始まり、リビアやシリアでは2011年春から戦争になる。これを西側では「内戦」と表現しているが、侵略戦争以外の何ものでもない。

 ムスリム同胞団は歴史的にイギリスと関係が深いが、アメリカの国務長官だったヒラリー・クリントンの側近中の側近と言われたヒューマ・アベディンもムスリム同胞団と結びついている。母親のサレハはムスリム同胞団の女性部門を指導している人物だ。

 2011年10月にリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制は倒され、カダフィ自身は惨殺された。その直後、反カダフィ勢力の拠点だったベンガジの裁判所にアル・カイダの旗が掲げられている。(​ココ​や​ココ​)そうしたこともあり、反カダフィ軍の主力だったLIFGはアル・カイダ系であり、NATO軍がそのLIFGと連携していたことが明確になった。

 アメリカ政府が戦闘員や武器/兵器をシリアへ集中させていた2012年5月にロシア大統領がドミトリー・メドベージェフからウラジミル・プーチンへ交代して状況が大きく変化する。リビアのカダフィ体制が倒されようとしている時に手を拱いているばかりだったメドベージェフ大統領とは違い、プーチンはアメリカの前に立ちはだかった。しかもシリア政府軍はリビア軍より強い。

 そこで​オバマ政権は反シリア政府軍への支援を強化するが、そうした行為は危険だと警告する報告書が2012年8月にホワイトハウスへ提出​されている。アメリカ軍の情報機関DIAが出したのだが、その中で反シリア政府軍の主力はオバマ大統領が言うような「穏健派」ではなく、サラフィ主義者やムスリム同胞団だと指摘されている。「過激派」だということだ。

 それだけでなく、オバマ政権の政策はシリア東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになると警告していた。これは2014年にダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)という形で現実になり、残虐さを演出してアメリカ軍、あるいはNATO軍の介入を誘う。この時期、ダーイッシュの戦力は急拡大しているのだが、その一因はサダム・フセイン時代のイラク軍将兵が合流したからだとも言われている。

 そのダーイッシュやアル・カイダ系武装集団に大きなダメージを与えて支配地域を急速に縮小させたのが2015年9月にシリア政府の要請で介入したロシア軍。シリア政府に無断で軍隊をシリア領へ入れているアメリカ、シリア、フランスなどとは違う。

 この過程でアメリカの軍や情報機関は戦闘集団の幹部を救出、末端の戦闘員が残されることになった。イドリブの戦闘集団はトルコが後ろ盾になっている。ジハード傭兵が敗走する中、アメリカ政府が新たな手先として選んだのがクルドである。

 戦闘車両などが運び込まれている先の​ハサカではアメリカ軍が新たな軍事基地を建設​、戦闘員や物資を輸送するために滑走路も作られ、油田地帯に近いデリゾールでもアメリカ軍によって新しい航空施設を建設されている。シリアに対するイスラエルによる攻撃も激しくなっている。

 そうした攻勢に対抗して​ロシア軍は地中海に近いラタキアにあるロシア軍のフメイミム空軍基地の滑走路を拡張し、戦略爆撃機が離着陸できるようにした​。ジョー・バイデン政権は支配体制を「リセット」するため、軍事的な圧力を世界規模で強めている。中東は特に危険な状態だと言えるだろう。

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202102190001/

4. 中川隆[-4667] koaQ7Jey 2021年5月22日 09:59:54 : jJNYa2PyeU : SlIxQ2pKL2N5MjI=[9] 報告
【ゆっくり解説】しくじり国家〜シリ ア・アラブ共和国〜
2021/05/19に公開済み


5. 保守や右翼には馬鹿し[82] lduO54LiiUWXg4LJgs2Ubo6tgrU 2023年3月23日 08:45:23 : JvKaF64CkU : dTRCbmk4cENCV2c=[4] 報告

2023.03.23XML
ウクライナから台湾へ転進を図るアメリカだが、その台湾でもアメリカ離れの動き
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202303220001/

 ​台湾の総統を2008年5月から16年5月まで務めた馬英九が3月27日から4月7日にかけて学者や学生を率いて中国を訪問する​。現総統の蔡英文は中国からの独立を実現するためにアメリカの属国になる道を選んだが、これは台湾の経済を破壊し、戦乱を招く行為。有権者に支持されていない。昨年11月に実施された地方選挙では蔡英文の民主進歩党が馬英九の国民党に大敗した。

 アメリカのシステムは1970年代から金融が中心になり、国内の製造業は衰退、生産活動は低賃金国へ移動させた。アメリカの巨大資本は資源を支配、略奪するために海兵隊やCIAを利用してきたが、金融の仕組みも駆使している。ドルが基軸通貨として認められたことで、そうした支配システムが可能になったのだが、ドルが基軸通貨の地位から陥落しつつある。アメリカの支配システムがは崩壊し始めたということだ。

 アメリカが軍事的にも弱体化していることが2008年8月の南オセチアによる戦闘とシリアでの戦争で明確になった。

 南オセチアではイスラエルやアメリカの支援を受けたジョージアが奇襲攻撃したのだが、ロシア軍の反撃で惨敗。バラク・オバマが大統領に就任して3年目の2011年春、シリアはアメリカなどから軍事侵略を受けたが、バシャール・アル・アサド政権は倒れない。

 そこでオバマ大統領は政府を好戦的な布陣に変更、2015年にアメリカ/NATO軍を直接介入させる動きを見せた。それに対し、シリア政府は2015年にロシアへ軍事介入を要請、マーティン・デンプシー統合参謀本部議長が退任した直後の9月30日にロシア軍は軍事介入、アメリカなどが手先として使っていたジハード傭兵を敗走させている。その年の10月7日にはカスピ海からシリアのターゲットへ向けて巡航ミサイルのカリブル26機を11のターゲットに向けて発射、いずれも数メートルの精度で命中した。そうしたミサイルの存在を認識していなかったアメリカ軍を震撼させたとも言われている。

 ドナルド・トランプは大統領に就任して間もない2017年4月、地中海に配備されていたアメリカ海軍の駆逐艦、ポーターとロスからトマホーク59機をシリアのシャイラット空軍基地に向けて発射したものの、約6割が無力化されている。ロシアの防空システムS-300やS-400だけでなくECM(電子対抗手段)で落とされたとも言われている。

 翌年の4月にもトランプ政権は巡航ミサイルでシリアを攻撃する。この時はイギリスやフランスを巻き込み、100機以上のミサイルを発射したが、今度は7割が無力化されてしまった。前年には配備されていなかった短距離用防空システムのパーンツィリ-S1が効果的だったようである。

 2014年2月にオバマ政権はウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを実行して政権転覆に成功しているが、これを切っ掛けにしてロシアと中国は戦略的な同盟関係を結び、世界がアメリカを見る目は厳しくなった。

 こうしたことが影響したのか、中東で大きな変化が起こり始める。サウジアラビアがロシアへ接近、さらにイランとの関係修復に乗り出したのだ。

 イラン側でメッセンジャーの役割を果たしていたのはイスラム革命防衛隊の「コッズ軍」を指揮していたガーセム・ソレイマーニー。この人物がサウジアラビアへの返書を携えてバグダッド国際空港に到着したところをアメリカ軍は2020年1月、無人機のMQ-9で暗殺している。イスラエルが協力していたともいう。

 しかし、こうした暴力で流れを変えることはできなかった。​今年3月10日に中国、サウジアラビア、イランは共同声明を発表​、中国の仲介でサウジアラビアとイランが国交を正常化させ、それぞれ大使館を再開させることを明らかにした。サウジアラビア国王は自国にイラン大統領を招待している。

 またシリアでの戦乱を終わらせるためにロシアはイランやトルコと協力して話し合いを進めていると伝えられているが、シリアはエジプトのほか、オマーンやアラブ首長国連邦といったペルシャ湾岸の産油国との関係を改善させている。こうした産油国の動きはサウジアラビアが承認いているはずだと考えられている。

 サウジアラビアをはじめとする産油国のアメリカ離れはドル体制を揺るがす可能性が高い。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202303220001/

6. 保守や右翼には馬鹿し[90] lduO54LiiUWXg4LJgs2Ubo6tgrU 2023年3月26日 08:10:50 : OncNpJRpfs : Ti5ZS0ZNWktzODY=[1] 報告
2023.03.26XML
シリアで不法占領を続けるアメリカ軍の基地に対する攻撃が続いている
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202303260000/

 シリア北部にあるアメリカ軍の基地が3月23日に無人機で攻撃され、ひとりが死亡したと伝えられている。ジョー・バイデン米大統領は報復攻撃をロイド・オースチン国防長官に命令、アメリカ中央軍はシリア東部の施設を空爆したが、それに対する報復で24日にはアル・オマール近くにある別の基地がロケット攻撃を受けた。イランのネットワーク局アル・アラムによると、25日には20機以上のロケットでふたつのアメリカ軍基地が攻撃されたという。

 ジョージ・W・ブッシュ米大統領はネオコンの戦略に基づき、「大量破壊兵器」に関する偽情報を流して環境作りをした上でアメリカ主導軍にイラクを先制攻撃させ、サダム・フセイン体制を破壊した。2003年3月20日早朝のことだ。

 しかし、イラクに親イスラエル政権を築くことに失敗、アメリカ軍による占領は今も続いている。この軍事作戦で殺されたイラク人は100万人程度とも言われている。

 例えば、アメリカのジョーンズ・ホプキンス大学とアル・ムスタンシリヤ大学の共同研究によると、2003年の開戦から06年7月までに約65万人のイラク人が殺され、イギリスのORBによると、07年夏までに94万6000名から112万人が死亡、またNGOのジャスト・フォーリン・ポリシーは133万9000人余りが殺されたと推測している。

 正規軍の投入は機能しないと考えたのか、バラク・オバマ米大統領は2010年8月にPSD-11を承認してムスリム同胞団を使った体制転覆作戦を始動させる。そして始まるのが「アラブの春」だ。その流れの中で​アメリカ、イギリス、フランスを含む国々がリビアやシリアに対する軍事侵略を始めた​。この戦術はオバマの師にあたるズビグネフ・ブレジンスキーが1970年代に始めたもので、​「アル・カイダ」の仕組み​はその時に作られた。


 リビアでは2011年10月にムアンマル・アル・カダフィ体制は倒され、カダフィ本人はその際に惨殺された。その際、アル・カイダ系武装集団とNATO軍の連携が明らかになり、​反カダフィ勢力の拠点だったベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられている​。

 アル・カイダはCIAが訓練した戦闘員の登録リストで、戦闘員の募集活動をしていたのがオサマ・ビン・ラディンだと言われている。一般的にアル・カイダのリーダーだと言われ、イコンとして扱われていた人物だ。このビン・ラディンは2011年5月、アメリカ海軍の特殊部隊によって殺害されたとされている。イコンを消したとも言えるだろう。

 2012年からオバマ政権はシリア侵略に集中する。リビアから戦闘員や武器をNATO軍がシリアへ運び、軍事支援を強化するのだが、そうした行為を正当化するためにシリア政府を悪魔化するための偽情報を流した。

 例えば、シリア北部ホムスで2012年5月に住民が虐殺されると、西側の政府やメディアは政府軍が実行したと宣伝した。イギリスのBBCはシリアで殺された子どもの遺体だとする写真を掲載しているが、この写真は2003年3月にイラクで撮影されたもの。オーストリアのメディアは写真を改竄し、背景を普通の街中でなく廃墟に変えて掲載していた。

 こうした西側有力メディアの偽報道をローマ教皇庁の通信社が伝えている。例えば、メルキト東方典礼カトリック教会の修道院長を務めていたフィリップ・トルニョル・クロはホムスでの住民虐殺事件を調べるために現地へ入って調査、西側の宣伝が嘘だという結論に達し、「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている」と2012年6月に報告している。

 西側の有力メディアは当初、現地の情報源としてシリア系イギリス人のダニー・デイエムなる人物を使っていた。ところがデイエムが撮影スタッフと演出の打ち合わせをしている場面が2013年3月にインターネット上へ流出、中継はフィクションだということが明らかになる。

 2012年8月にはアメリカ軍の情報機関​DIAが反シリア政府軍の主力はアル・カイダ系武装集団のAQI(アル・ヌスラと実態は同じだと指摘されていた)であり、その中心はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団だと指摘​、アル・カイダ系武装集団のAQI(アル・ヌスラと実態は同じだとしている)の名前も報告書の中に出している。オバマ大統領が主張する穏健派は存在しないということだ。

 オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告していたが、これは2014年にダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)という形で現実になった。

 その2012年8月にオバマ政権は軍事侵攻を正当化する口実として化学兵器を言い始めた。シリアに対する直接的な直接的な軍事介入のレッド・ラインは生物化学兵器の使用だと宣言したのだ。シリア軍が予想外に強く、アメリカ軍、あるいはNATO軍が介入しなければならないと判断したようだ。

 2012年12月になると、ヒラリー・クリントン国務長官がシリアのバシャール・アル・アサド大統領は化学兵器を使う可能性があると語る。そして2013年1月29日付けのデイリー・メール紙には、イギリスの軍事関連企業ブリタム防衛の社内電子メールにシリアで化学兵器を使ってその責任をアサド政権に押しつける作戦をオバマ大統領が許可したという記述があるとする記事が載った。(同紙のサイトからこの記事はすぐに削除された)

 そして2013年3月にアレッポで爆発があり、26名が死亡したのだが、そのときに化学兵器が使われたという話が流れる。シリア政府は侵略軍であるジハード傭兵が使用したとして国際的な調査を要請するが、イギリス、フランス、イスラエル、そしてアメリカは政府軍が使ったという宣伝を展開する。

 しかし、​攻撃されたのがシリア政府軍の検問所であり、死亡したのはシリア軍の兵士だということをイスラエルのハーレツ紙が指摘​、​国連独立調査委員会メンバーのカーラ・デル・ポンテも反政府軍が化学兵器を使用した疑いは濃厚だと発言​している。

 2014年1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国が宣言され、6月にはモスルが制圧される。ダーイッシュの登場だ。モスル制圧の際にトヨタ製小型トラック、ハイラックスの新車を連ねたパレードを行い、その様子を撮影した写真が世界に伝えられたのだが、こうした戦闘集団の動きをアメリカの軍や情報機関は偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などで知っていたはず。そうしたパレードは格好の攻撃目標だが、アメリカ軍は動かなかった。

 アメリカのチャック・ヘーゲル国防長官やマーチン・デンプシー統合参謀本部議長は上院軍事委員会で直接的な軍事介入に慎重な姿勢を示し、クリントン国務長官らと対立していたが、ダーイッシュは残酷さをアピール、アメリカ/NATO軍の介入を誘う。

 オバマ大統領が主張する穏健派は存在しないとする報告を出したDIAの局長、マイケル・フリンは2014年8月に退役を強いられていたが、それだけでなくヘーゲルは2015年2月に解任、デンプシーは同年9月に再任を拒否されている。オバマ大統領は戦争体制を整えた。そこでロシアはシリア政府の要請で軍事介入、ダーイッシュを含むアル・カイダ系武装集団を敗走させた。

 そこでアメリカはクルドと手を組むのだが、これによってアメリカとトルコの関係が悪化する。現在、アメリカ軍はシリア領内に900名程度の部隊を侵攻させ、10カ所とも20カ所とも言われる数の軍事基地をシリアに建設、不法占領を続けている。

 そうした基地のひとつであるアル・タンフではアメリカとイギリスの特殊部隊が反シリア政府軍を訓練、2018年9月にはアメリカ軍が軍事演習を実施、最近ではウクライナでロシア軍と戦わせるために戦闘員を訓練しているとも言われている。

 シリア領内のアメリカ軍は侵略者以外の何ものでもない。アメリカ軍に対する攻撃はシリア人の権利である。


https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202303260000/

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