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http://www.asyura2.com/acat/t/tk/tkz/TkZaNEtBbjVhVkU=/100000.html
[近代史5] 「ママ、死にたい」自慰行為強要、わいせつ画像拡散…氷点下の旭川で凍死した14歳女子中学生への“壮絶イジメ” 中川隆
362. 中川隆[-15422] koaQ7Jey 2021年11月10日 03:27:22 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[1]
>>342 の、爽彩さんが旭川市北門橋の欄干からウッペツ川に飛び込んだ動画を見た、というのは悪質なデマでした:


旭川市 北門橋 ウッペツ川議論について 旭川イジ○事件
2021/11/09


http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/591.html#c362

[近代史5] 「ママ、死にたい」自慰行為強要、わいせつ画像拡散…氷点下の旭川で凍死した14歳女子中学生への“壮絶イジメ” 中川隆
363. 中川隆[-15420] koaQ7Jey 2021年11月10日 03:30:28 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[3]
旭川市 北門橋 ウッペツ川議論について 旭川イジ○事件
2021/11/09



http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/591.html#c363
[近代史5] 「ママ、死にたい」自慰行為強要、わいせつ画像拡散…氷点下の旭川で凍死した14歳女子中学生への“壮絶イジメ” 中川隆
364. 中川隆[-15419] koaQ7Jey 2021年11月10日 03:45:10 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[4]
【旭川い◯め事件】ウッペツ川追加検証
2021/11/09




旭川の情報誌に電話凸をして当時の記事の詳細を聞いてみました




【旭川イジ○事件】新事実!教頭のサアヤさん母親に対する侮辱発言!「クローズアップ現代」で取り上げられた内容まとめ
2021/11/09



http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/591.html#c364
[近代史7] 14歳女子中学生の旭川いじめ凍死事件はプチエンジェル事件同様の児童売春・ハニートラップ事件だったのか? 中川隆
9. 中川隆[-15418] koaQ7Jey 2021年11月10日 03:45:42 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[5]
【旭川い◯め事件】ウッペツ川追加検証
2021/11/09




旭川の情報誌に電話凸をして当時の記事の詳細を聞いてみました




【旭川イジ○事件】新事実!教頭のサアヤさん母親に対する侮辱発言!「クローズアップ現代」で取り上げられた内容まとめ
2021/11/09



http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/215.html#c9
[近代史5] 旭川では町ぐるみで女子中学生に強制売春をさせている? 中川隆
272. 中川隆[-15417] koaQ7Jey 2021年11月10日 03:46:34 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[6]
【旭川い◯め事件】ウッペツ川追加検証
2021/11/09




旭川の情報誌に電話凸をして当時の記事の詳細を聞いてみました




【旭川イジ○事件】新事実!教頭のサアヤさん母親に対する侮辱発言!「クローズアップ現代」で取り上げられた内容まとめ
2021/11/09



http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/598.html#c272
[番外地10] 爽彩さんが統合失調症か覚醒剤中毒と診断されて、精神病院に二か月措置入院させられていたんだよ。 中川隆
6. 中川隆[-15416] koaQ7Jey 2021年11月10日 04:15:49 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[7]
本当にイジメだったのか?、単なる覚醒剤障害者の被害妄想だったのか?
自殺未遂した爽彩さんは統合失調症か覚せい剤中毒と診断されて、精神病院に二か月も措置入院させられていたんだよ。
死体検案書にも統合失調症だったと書かれていた。
第三者委員会のメンバーの大半が精神科医や心理学者で、加害者への聞き取り調査を一切していないのも、旭川少女凍死事件は中学でのイジメが原因ではなく、統合失調症か覚醒剤中毒による被害妄想・パニック障害だと判断していたからです。

「死にたい」川に入り教師に電話で繰り返し訴え…旭川市教委"いじめ"判断せず 遺体で発見の女子中学生

#154 2021/11/05 06:24
開示された文書や代理人弁護士によりますと、広瀬さんは2019年6月、市内の公園で他の生徒らとトラブルになり川に入り自殺を図ろうとしていて、その際川に入ったまま電話で学校に電話し、教師に「死にたい」と訴えていたということです。
 これまでの取材で明らかになった状況は以下の通りです。
【2019年6月】
 公園のベンチで広瀬さんが隣に座ってきた人に向かってふざけてたたくなどしていたが、その後パニックになり、「私のことは誰もわかってくれない。死んできます」などと言いながら、公園から川のコンクリートの土手を滑り降りてひざ下程度の水深の川へ入った。

 当時現場には多くの小学生や中学生が取り囲む状況で、広瀬さんは川に入りながら自分のスマートフォンで中学校に電話し、泣きながら「死にたい」と訴える。
 すぐに3人の教員が現場に駆け付けて川から引き上げ、学校に連れて行った。

#158 2021/11/05 06:33
>>154
> 公園のベンチで広瀬さんが隣に座ってきた人に向かってふざけてたたくなどしていたが、その後パニックになり、「私のことは誰もわかってくれない。死んできます」などと言いながら、公園から川のコンクリートの土手を滑り降りてひざ下程度の水深の川へ入った。

これだけ読むと加害者とされる生徒達に何か非があったようには思えないような内容になってるよね
道教委から開示された文書と弁護団への取材でわかった内容らしいけど

#159 2021/11/05 06:35
>>158
ABと被害者の証言だとCが被害者のマネをしてきたのがキッカケみたいだったけど、そのあたりの記述が道教委から開示された文書にはなかっただけなのかな

#163 2021/11/05 06:44
入水するまでの細かい状況が文春より省かれてるのは
加害者たちしか知り得ないことだから今後の調査のために敢えて伏せてるのかね

#184 2021/11/05 07:43
>>158
この内容通りだったら色々話が変わってくるね

#188 2021/11/05 07:54
>>154
公園のベンチで広瀬さんが隣に座ってきた人に向かってふざけてたたくなどしていたが
みんなさらっと流してるけど、友達? 「人」って表現しているところを見ると
全く関係ない人に読めるけど、まさか イジメ証言者?誰だろう?

#189 2021/11/05 07:58
>>188
C男のはずだけどね
被害者の生前のツイートによると、叩いたのは男の先輩だったから
CじゃなくてBの可能性もあるけどBは文春では川にいなかったことになってる、A証言だとBもいたみたいだけど

#8 2021/11/04 12:07
今ラジオで聞いた
本人側から
イジメられてるって言ってこなかったって

#9 2021/11/04 12:20
>>8
担任に何度も訴えたのは嘘って事ですか。
母親がウソついてるんですかね。

#13 2021/11/04 12:28
>>9
もしかしたら学校でいじめられているのかもしれないとご遺族が学校に相談したと文春にも書いてたじゃん。
いじめられてると被害者から聞いたから相談したのではなく死にたいとか被害者の様子が4月からおかしくなったから学校にいじめられてるかどうかを聞いたんだぞ。
http://www.asyura2.com/21/ban10/msg/150.html#c6

[番外地10]  公園のベンチで広瀬さんが隣に座ってきた人に向かってふざけてたたくなどしていたが、その後パニックになり、「私のことは誰… 中川隆
2. 中川隆[-15415] koaQ7Jey 2021年11月10日 04:16:46 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[8]
本当にイジメだったのか?、単なる覚醒剤障害者の被害妄想だったのか?
自殺未遂した爽彩さんは統合失調症か覚せい剤中毒と診断されて、精神病院に二か月も措置入院させられていたんだよ。
死体検案書にも統合失調症だったと書かれていた。
第三者委員会のメンバーの大半が精神科医や心理学者で、加害者への聞き取り調査を一切していないのも、旭川少女凍死事件は中学でのイジメが原因ではなく、統合失調症か覚醒剤中毒による被害妄想・パニック障害だと判断していたからです。

「死にたい」川に入り教師に電話で繰り返し訴え…旭川市教委"いじめ"判断せず 遺体で発見の女子中学生

#154 2021/11/05 06:24
開示された文書や代理人弁護士によりますと、広瀬さんは2019年6月、市内の公園で他の生徒らとトラブルになり川に入り自殺を図ろうとしていて、その際川に入ったまま電話で学校に電話し、教師に「死にたい」と訴えていたということです。
 これまでの取材で明らかになった状況は以下の通りです。
【2019年6月】
 公園のベンチで広瀬さんが隣に座ってきた人に向かってふざけてたたくなどしていたが、その後パニックになり、「私のことは誰もわかってくれない。死んできます」などと言いながら、公園から川のコンクリートの土手を滑り降りてひざ下程度の水深の川へ入った。

 当時現場には多くの小学生や中学生が取り囲む状況で、広瀬さんは川に入りながら自分のスマートフォンで中学校に電話し、泣きながら「死にたい」と訴える。
 すぐに3人の教員が現場に駆け付けて川から引き上げ、学校に連れて行った。

#158 2021/11/05 06:33
>>154
> 公園のベンチで広瀬さんが隣に座ってきた人に向かってふざけてたたくなどしていたが、その後パニックになり、「私のことは誰もわかってくれない。死んできます」などと言いながら、公園から川のコンクリートの土手を滑り降りてひざ下程度の水深の川へ入った。

これだけ読むと加害者とされる生徒達に何か非があったようには思えないような内容になってるよね
道教委から開示された文書と弁護団への取材でわかった内容らしいけど

#159 2021/11/05 06:35
>>158
ABと被害者の証言だとCが被害者のマネをしてきたのがキッカケみたいだったけど、そのあたりの記述が道教委から開示された文書にはなかっただけなのかな

#163 2021/11/05 06:44
入水するまでの細かい状況が文春より省かれてるのは
加害者たちしか知り得ないことだから今後の調査のために敢えて伏せてるのかね

#184 2021/11/05 07:43
>>158
この内容通りだったら色々話が変わってくるね

#188 2021/11/05 07:54
>>154
公園のベンチで広瀬さんが隣に座ってきた人に向かってふざけてたたくなどしていたが
みんなさらっと流してるけど、友達? 「人」って表現しているところを見ると
全く関係ない人に読めるけど、まさか イジメ証言者?誰だろう?

#189 2021/11/05 07:58
>>188
C男のはずだけどね
被害者の生前のツイートによると、叩いたのは男の先輩だったから
CじゃなくてBの可能性もあるけどBは文春では川にいなかったことになってる、A証言だとBもいたみたいだけど

#8 2021/11/04 12:07
今ラジオで聞いた
本人側から
イジメられてるって言ってこなかったって

#9 2021/11/04 12:20
>>8
担任に何度も訴えたのは嘘って事ですか。
母親がウソついてるんですかね。

#13 2021/11/04 12:28
>>9
もしかしたら学校でいじめられているのかもしれないとご遺族が学校に相談したと文春にも書いてたじゃん。
いじめられてると被害者から聞いたから相談したのではなく死にたいとか被害者の様子が4月からおかしくなったから学校にいじめられてるかどうかを聞いたんだぞ。
http://www.asyura2.com/21/ban10/msg/148.html#c2

[近代史5] 「ママ、死にたい」自慰行為強要、わいせつ画像拡散…氷点下の旭川で凍死した14歳女子中学生への“壮絶イジメ” 中川隆
365. 中川隆[-15414] koaQ7Jey 2021年11月10日 04:31:17 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[9]
北星中学の隣の北門中学では、学校の廊下をバイクで走る、レイプ、覚醒剤を使った強制売春等が日常的に行われていた:


旭川市北○中学校の方からの連絡。そして新事実。
2021/11/09



http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/591.html#c365
[近代史7] 14歳女子中学生の旭川いじめ凍死事件はプチエンジェル事件同様の児童売春・ハニートラップ事件だったのか? 中川隆
10. 中川隆[-15413] koaQ7Jey 2021年11月10日 04:32:16 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[10]
北星中学の隣の北門中学では、学校の廊下をバイクで走る、レイプ、覚醒剤を使った強制売春等が日常的に行われていた:


旭川市北○中学校の方からの連絡。そして新事実。
2021/11/09



http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/215.html#c10
[近代史5] 旭川では町ぐるみで女子中学生に強制売春をさせている? 中川隆
273. 中川隆[-15412] koaQ7Jey 2021年11月10日 04:33:31 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[11]
北星中学の隣の北門中学では、学校の廊下をバイクで走る、レイプ、覚醒剤を使った強制売春等が日常的に行われていた:


旭川市北○中学校の方からの連絡。そして新事実。
2021/11/09



http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/598.html#c273
[近代史5] 旭川にだけは住んではいけない 中川隆
196. 中川隆[-15411] koaQ7Jey 2021年11月10日 04:34:09 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[12]
北星中学の隣の北門中学では、学校の廊下をバイクで走る、レイプ、覚醒剤を使った強制売春等が日常的に行われていた:


旭川市北○中学校の方からの連絡。そして新事実。
2021/11/09



http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/593.html#c196
[番外地10] 実際に教頭が言った言葉は『僕が守るから怖くないよ』 中川隆
6. 中川隆[-15410] koaQ7Jey 2021年11月10日 04:40:54 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[13]
教頭も担任も全く悪くない
旭川の公立中学では、学校の廊下をバイクで走る、レイプ、覚醒剤を使った強制売春等が日常的に行われていた:

#282 2021/05/20 08:15
担任の菅野未里先生がこの噂を信じていたのは間違いないみたい
知人とのLINEで「デートと言って断ってやったわ」「子供ほったらかしてる分際で」と送信してる

 遺族の弁護団・石田達也弁護士:「『それ(画像)も消しましたので』と学校が説明してきました。『いや、でもそれ、わいせつ動画が拡散しているなんて、怖いじゃないですか』と私(母親)が言うと『僕は怖くない』と教頭に言われました」
しかし実際に教頭が言った言葉は『僕が守るから怖くないよ』

▲△▽▼

どんな名誉棄損のデマでも 7割は真実で残りの3割だけが尾ひれです。
旭川少女凍死事件では学校も教育委員会も警察も、そのデマのかなりの部分は真実だと判断していました。
自殺未遂事件では警察は爽彩さんと母親の関係が原因だと判断して、爽彩さんを精神病院に二か月も入院させて母親とは会わせませんでした。
失踪・凍死事件では警察は爽彩さんと母親の喧嘩が原因の家出だと判断して、初期捜査を殆ど行いませんでした。
そもそも警察は自殺未遂事件で爽彩さんが退院して以降は、爽彩さんを毎月呼び出して、母親との関係、売春していないかどうか、覚醒剤使用の有無等を聞いていた様です。 従って警察は爽彩さんの病状や家庭の状況を完全に把握した上で、失踪・凍死事件は爽彩さんと母親の喧嘩が原因の家出だと判断したのです。

爽彩さんは精神病院に二か月も入院させられていたので、唯のパニック障害なら、退院後も病院でカウンセリングを受けるのが普通ですが、病院ではなく警察に毎月呼び出したというのは、警察は爽彩さんのパニック障害はイジメが原因ではなく、家庭環境や覚醒剤障害が原因だと判断していた可能性が高いのです。

校長や教頭、担任、教育委員会も失踪・凍死事件は中学でのイジメが原因ではなく、家庭の問題だと何度も指摘しています。
第三者委員会のメンバーの大半が精神科医や心理学者で、加害者への聞き取り調査を一切していないのも、旭川少女凍死事件は中学でのイジメが原因ではなく、家庭の問題だと判断しているからです。

▲△▽▼

旭川の人々の本心は

『少女が勝手に自分の画像を男子に送り騒いでる』
『彼女の家はモンスターペアレント』
『いじめではなく性的いじりなのに騒いでる』
『橋の上で男子生徒と揉めて、勝手に身投げした』
『2年前の話でしっかり謝罪した』
『彼女が自殺したのは家庭の問題』
『いじめと自殺は関係ない』

朝日新聞も同様の書き方していた
これが旭川の多くの人々の認識
だから2年前の謝罪で終わってるのに犯人扱いされて、未成年なのに家族まで特定されて『名誉毀損』

ほぼこれ

▲△▽▼

教頭が頑張ったお陰で北星中学がまともになった。 それ以前の旭川の中学はこういう状況だった:

底辺の子供ばかりの旭川の公立中学校ではドラッグ、レイプ、売春強制が蔓延していた。

1996年12月にも、女子中学生を中学校内で集団goukanし、被害者が先生に助けを三回も求めていたにもかかわらず『校内の性行為は自由』という『思想』のため、集団 rape を黙認した事件が旭川であったことを知っていますか?

初めのうちはクラスのマドンナ的存在であった女子生徒に対する、スカートめくりなどの軽度の性暴力から始まったと言われる。男子生徒10人は、女子生徒が1年生の時から胸や尻を触る等を繰り返した。女子生徒が誰にも訴えなかった為、その後行為はエスカレ−ト、中学2年生の夏に男子生徒の一人の家に連れ込まれるようになった。

男子生徒たちは公園や橋の下などで毎朝、kouin をさせた後「今日もおいしい牛乳を有難うございました。」という屈辱的な言葉を言わせていた。

中学3年の5月からは、下着の着用と自由な haiben を禁止した上、公園内のトイレにて kanchou 器具を用いてhaisetuを強要していた。

事件は1994年秋から1996年の冬にかけ2年間にわたって続きました。クラスのアイドル的存在だった真面目な女子中学生が被害者です。舞台となったのは当時の北海道旭川市立北都中学校でした。

犯行に及んだのは地元でも有名だった10人の不良グループです。彼らは学校の廊下をバイクで乗り回すような手のつけられない暴れ者達でした。

被害者女子中学生が不良グループの一人からの告白を袖にしたことがきっかけでした。それから不良グループによる性的暴行が始まりました。

女子中学生は不良グループに性的暴行のために特別教室に連れ込まれそうになった際、通りかかった女性教師に助けを求めています。それを聞いて反応しかかった女性講師は不良達に「帰れ」と一括され、その場を立ち去り何の対処もしていません。

まだ不良達の嫌がらせが初期段階の時、女子中学生は勇気をふるって担任の教師に体を触られることを訴えています。ところが担任は訴えから2〜3日後のクラス会で軽く注意する発言をしただけでした。不良達の暴行はこれを境に一気に凶暴化しており、担任の対応のまずさが浮き彫りになっています。

不良グループ達はいわゆる地元の札付きで、教師達には見て見ぬふりが当たり前という一種の空気感があり、毅然とした姿勢を示せなかったと思われます。

▲△▽▼

教員 「だってどうしようもないじゃないですか。止めろと言って止めてくれる生徒なら何回でも言いますよ。でもそうじゃない生徒だっているんです。手を上げて無理やり止めさせれば良かったんですか?」

教員 「手を上げたら体罰。懲戒。変にクビを突っ込めば職を失うんですよ?こんなご時世でどうしろって言うんですか?教員だって人間です。自分の生活を第一にして何が悪いんですか!」

教員 「下手に不良生徒から恨みを買って刺されでもしたらどうするんですか。彼らは悪魔みたいな笑い方をするんですよ。他人を殴っておいて。報復が怖くてもいいじゃないですか。なんでそこまで教員にあれこれ求めるんですか!」
http://www.asyura2.com/21/ban10/msg/124.html#c6

[番外地10] 消費税込みの商品価格は需要と供給で決まる 中川隆
1. 中川隆[-15409] koaQ7Jey 2021年11月10日 06:02:43 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[14]
このオッサン、全然わかってないな(呆れ)、これは税金の手続きの問題ではない。
消費税込みの商品価格は需要と供給で決まるんだ。
食べていくのに必要な需要にする為に消費税込みの売買価格が決まってしまう。
従って、消費税が有っても無くても売買価格は変わらない。
インボイス制度で消費税を実際に払わなければいけなくなっても、最低売買価格は変わらないから、消費税を取られたら収入が減って食べていけなくなるんだよ。
http://www.asyura2.com/21/ban10/msg/155.html#c1
[近代史7] 思い出のコンコルド 佐久間 駿さんの真空管アンプ - YouTube動画 中川隆
1. 中川隆[-15408] koaQ7Jey 2021年11月10日 06:44:30 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[15]
佐久間式自作真空管アンプ愛好会ホームページ Direct Heating
https://www10.big.or.jp/~dh/index_j.html


生より悪かったら、なんでオーディオやるの? _ 佐久間 駿 _ 失われた音を求めて
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/210.html
http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/369.html#c1

[近代史7] オーディオテクネ 今井清昭 原音の探求 〜真空管アンプ製造〜 - YouTube動画 中川隆
1. 中川隆[-15407] koaQ7Jey 2021年11月10日 07:18:53 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[16]
オーディオテクネ インコーポレイテッド
http://www.audiotekne.com/

〒192-0012 東京都八王子市左入町596-4
TEL:0426-91-2678 
代表者 今井清昭

アクセス
中央高速八王子インター第二出口より5分
JR八王子駅北口バス[ 11番 ] [ 12番 ] 馬場谷戸下車5分
京王八王子駅バス[ 4番 ] 馬場谷戸下車5分


地図
http://www.audiotekne.com/about_us.html
https://www.google.co.jp/maps/place/%E3%80%92192-0012+%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%85%AB%E7%8E%8B%E5%AD%90%E5%B8%82%E5%B7%A6%E5%85%A5%E7%94%BA%EF%BC%95%EF%BC%99%EF%BC%96%E2%88%92%EF%BC%94/@35.6786938,139.3258182,17z/data=!3m1!4b1!4m5!3m4!1s0x60191e593259df99:0x8572061a326f90be!8m2!3d35.6786938!4d139.3280069?hl=ja


▲△▽▼


TM-8501PCS 300B A1PP モノラルメインアンプ

300Bにこだわり、300Bアンプの最高峰を目指して、贅沢を贅沢と考えないで企画・設計したもので、ドライバー・パワー段・バイアス回路を各々別の電源で駆動し真空管の取付けには、カーボンプレートアダプターを使用したとにかく贅沢なアンプです。


極超大型スーパーパーマロイコア−トランスを使用した300B最高級アンプ

形式 真空管式 モノラルメインアンプ300B A1PP
入力端子 バランス、アンバランス 切り替え RCA ジャック、キャノン3P
入力感度/インピーダンス 1V/3.3kΩ
実効出力 15W
全高調波歪率 0.51%以下/1KHz 10W
周波数特性 10Hz-1dB 20KHz-3dB
残留雑音 1.0mV以下8Ω
消費電力 115VA
供給電源 100V 50/60Hz
外形寸法 W47.5×H22.5×D30.0cm
重量 36.0Kg
http://www.audiotekne.com/products_tm-8501.html


中古オーディオ店PROSHOP A&P
オーディオテクネ TM-8501PC モノラル2台

イタリアではたいへん有名なAudioTekne社。
同社の代表今井清昭氏は、イタリアのオーディオ誌『AUDIOPHILE』の表紙を飾るほどです。

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1987年当時、定価\350万しました。

音色が非常に自然で、いわゆる「オーディオ的」には鳴りません。
それほどに自然に聞こえます。

その本来の音質を引き出すためには、同社のプリアンプ/TP-8601PC(定価\250万)が必要となります。
プリ+パワーで¥600万近い品物です。
http://www.auduo-1.com/trivia/visit/Audiotekne/TM-8501pc_visit/TM-8501pc_visit.html


▲△▽▼


オーディオテクネ _ オールトランス結合 無帰還 300B プッシュプル・アンプ
http://www.asyura2.com/18/revival4/msg/123.html
http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/370.html#c1

[近代史7] 日本人が西洋音楽をやっても物真似しかできない理由 中川隆
1. 中川隆[-15406] koaQ7Jey 2021年11月10日 10:31:41 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[17]
ドイツにいたころ、チャイコフスキーの音楽というとどうもあんまり上等と思われてない気がした。部下の通にきいてみるとやっぱりそのようだ。
もっと言えば、ショパンやグリーグもだめなのだ。

彼はバイエルン人で年上だ。「そうかなあ、R・シュトラウスよりいいと思うよ」などというと真っ向から否定されてしまう。

彼とはミュンヘンに出張してバイエルン放送響でベートーベンのコンチェルトをきいた(チョン・キョン・ファだ)。素晴らしい演奏だった。「韓国人はいいのか?」と聞いたら、「なに、彼女、日本人じゃないの?」ときた。演奏家はいいよと取ってつけたが、そのころ、博士号を持って日本企業に勤めるインテリでも東洋人の認識はそんなものだった。

ドイツ人が音楽で覇権主義なのは仕方ないと思う。自分もそうだし。イタリア、フランスは別種であり存在ぐらいは認めるがスペイン、ポルトガルは未開地、東欧は格下の親類と思ってる。ロシアや北欧は辺境であって英米などは最果ての地で無きに等しい。クラシックに浸かっていたからこういう差別的世界観は元からあったが、ドイツで彼と意気投合してさらに鉄壁となってしまったから後でずいぶん困った。

というのは米国でMBAを取ったインベストメント・バンカーにとって、世界はその真逆であって英米以外は辺境の未開国だ。ユニバーサル・バンク方式という銀行支配型のドイツの田舎くさい金融など前世紀の遺物であった。野村のなかでドイツ人の言うことなど通る風土はかけらもない。文化と言えばきこえはいいし、根はたしかに文化にあることはあるのだが、人種差別とはこうやって知らず知らず心に巣食ってくるものなのだ。

https://sonarmc.com/wordpress/site01/2020/06/02/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%B8%ef%bd%a5%E3%83%95%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89%E4%BA%8B%E4%BB%B6/
http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/378.html#c1

[近代史7] アメリカのスピーカーはスカッと抜けきっていて、単純明快で隠し事のない音。人生バラ色、悩みなんて一切ありません。 中川隆
1. 2021年11月10日 10:34:18 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[18]
リンク訂正

ウェスタンエレクトリック伝説
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/208.html
http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/374.html#c1

[近代史7] 情熱のオーディオ ウエスタンエレクトリック病棟 中川隆
2. 中川隆[-15405] koaQ7Jey 2021年11月10日 10:35:32 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[19]
リンク訂正

ウェスタンエレクトリック伝説
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/208.html
http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/298.html#c2

[近代史7] アメリカのスピーカーはスカッと抜けきっていて、単純明快で隠し事のない音。人生バラ色、悩みなんて一切ありません。 中川隆
2. 中川隆[-15403] koaQ7Jey 2021年11月10日 10:47:30 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[21]
アメリカ人には音楽は理解できない _ ジャズなんか音楽じゃない
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/440.html

天才ピアニスト ヴァン・クライバーンとは何だったのか? _ アメリカ人には音楽は理解できない
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/430.html

アメリカの演奏家は何故みんな演奏技術だけ凄くて中身ゼロなのか
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/437.html  

▲△▽▼


ドイツにいたころ、チャイコフスキーの音楽というとどうもあんまり上等と思われてない気がした。部下の通にきいてみるとやっぱりそのようだ。
もっと言えば、ショパンやグリーグもだめなのだ。
彼はバイエルン人で年上だ。「そうかなあ、R・シュトラウスよりいいと思うよ」などというと真っ向から否定されてしまう。

彼とはミュンヘンに出張してバイエルン放送響でベートーベンのコンチェルトをきいた(チョン・キョン・ファだ)。素晴らしい演奏だった。「韓国人はいいのか?」と聞いたら、「なに、彼女、日本人じゃないの?」ときた。演奏家はいいよと取ってつけたが、そのころ、博士号を持って日本企業に勤めるインテリでも東洋人の認識はそんなものだった。

ドイツ人が音楽で覇権主義なのは仕方ないと思う。自分もそうだし。イタリア、フランスは別種であり存在ぐらいは認めるがスペイン、ポルトガルは未開地、東欧は格下の親類と思ってる。ロシアや北欧は辺境であって英米などは最果ての地で無きに等しい。クラシックに浸かっていたからこういう差別的世界観は元からあったが、ドイツで彼と意気投合してさらに鉄壁となってしまったから後でずいぶん困った。

というのは米国でMBAを取ったインベストメント・バンカーにとって、世界はその真逆であって英米以外は辺境の未開国だ。ユニバーサル・バンク方式という銀行支配型のドイツの田舎くさい金融など前世紀の遺物であった。野村のなかでドイツ人の言うことなど通る風土はかけらもない。文化と言えばきこえはいいし、根はたしかに文化にあることはあるのだが、人種差別とはこうやって知らず知らず心に巣食ってくるものなのだ。

https://sonarmc.com/wordpress/site01/2020/06/02/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%B8%ef%bd%a5%E3%83%95%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89%E4%BA%8B%E4%BB%B6/
http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/374.html#c2

[近代史5] 「ママ、死にたい」自慰行為強要、わいせつ画像拡散…氷点下の旭川で凍死した14歳女子中学生への“壮絶イジメ” 中川隆
366. 中川隆[-15402] koaQ7Jey 2021年11月10日 10:59:27 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[22]
【旭川イジ○事件】クローズアップ現代で放送されなかったサアヤさん母親のインタビュー詳細
2021/11/10



http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/591.html#c366
[近代史5] 旭川では町ぐるみで女子中学生に強制売春をさせている? 中川隆
274. 中川隆[-15401] koaQ7Jey 2021年11月10日 11:01:35 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[23]
【旭川イジ○事件】クローズアップ現代で放送されなかったサアヤさん母親のインタビュー詳細
2021/11/10



http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/598.html#c274
[近代史7] 無限の宇宙感(観)に腰を抜かす_ ティム・デ・パラビチーニの世界 - YouTube動画 中川隆
1. 中川隆[-15400] koaQ7Jey 2021年11月10日 13:55:46 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[24]
EAR の真空管アンプ
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/947.html

CD 専用プレーヤー EAR Acute Classic _ ティム・デ・パラヴィチーニの世界
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/853.html


▲△▽▼

楠 薫のオーディオ三昧

EAR V20
http://www.kusunoki.jp/audio/EAR/V20.html

EAR V12
http://www.kusunoki.jp/audio/EAR/EAR_V12.html

EAR paravicini 312 & EAR912
http://www.kusunoki.jp/audio/ListeningReport/ListeningReport20131203.html

EAR534 禁断のKRELL
https://ameblo.jp/507576/entry-12080480846.html?frm=theme

EAR890 禁断のKRELL
https://ameblo.jp/507576/entry-12071624275.html?frm=theme

寺島靖国氏もEARを使用していた 禁断のKRELL
https://ameblo.jp/507576/entry-12115112763.html?frm=theme
http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/379.html#c1

[近代史4] 日本人は本当に縄文人の子孫なのか? 中川隆
9. 2021年11月10日 16:00:29 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[25]
雑記帳
2021年11月10日
大橋順「アジア人・日本人の遺伝的多様性 ゲノム情報から推定するヒトの移住と混血の過程」
https://sicambre.at.webry.info/202111/article_10.html


 井原泰雄、梅ア昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』所収の論文です。ヒトゲノムとは、ヒト(Homo sapiens)が持つ遺伝情報(全DNA配列)の1セットのことです。あらゆる生物の基本単位は細胞で、赤血球以外のヒトの体細胞は核膜で囲まれた球状の細胞核を持っています。細胞核の中に染色体があり、各染色体はヒストンとよばれるタンパク質にデオキシリボ核酸(DNA)が巻きついた棒状の構造をしています。DNAの最小単位(ヌクレオチド)は、塩基と糖とリン酸から構成されています。塩基にはアデニン(A)とグアニン(G)とシトシン(C)とチミン(T)の4種類があり、ヌクレオチドにはそのうち1塩基が結合しています。ヌクレオチドはリン酸を介して鎖状につながっており、DNA鎖と呼ばれます。2本のDNA鎖の塩基同士は水素結合によりつながっており、二重螺旋構造となっています。向かい合う塩基の組み合わせは特異的で相補的な関係にあり、具体的にはAとT、GとCです。DNA鎖における4種類の塩基の組み合わせが塩基配列で、生物が正常な生命活動を維持するための遺伝情報が含まれています。ヒトゲノムは約31億塩基対により構成され、その一部(数%)はタンパク質のアミノ酸配列を規定しており、そうした部位はタンパク質コード遺伝子と呼ばれます。ヒトゲノムには、約25000個のタンパク質コード遺伝子が存在します。


●性特異的遺伝マーカー

 ヒトの細胞核には、22対の常染色体(ヒトは二倍体生物なので44本)と1対の性染色体(女性はX染色体が2本、男性はX染色体とY染色体が1本ずつ)が含まれています。卵子には必ずX染色体が1本含まれますが、精子にはX染色体を含むものとY染色体を含むものがあり、精子が卵子と結合すると、前者ならば女子、後者ならば男子が生まれます。Y染色体は父親から息子にのみ伝わるので、父親の系譜を反映する遺伝マーカーとしてよく利用されます。

 ミトコンドリアは細胞質に存在する細胞小器官で、エネルギー産生や呼吸代謝の役割を担っています。ミトコンドリアもDNAを含んでおり(mtDNA)、核DNAと同様に親から子供に伝わります。受精のさい、父親由来のミトコンドリアは卵子の中に入らないか、入っても破壊されるので、mtDNAは母親からのみ子供に伝わります。この母系遺伝の性質から、mtDNAは母親の系譜を反映する遺伝マーカーとして利用されています。mtDNAは男性も有しており、細胞内のDNA量が多く解析しやすいため、これまでに多くの研究があります。


●SNP

 配偶子が形成されるさい、ひじょうに低い確率ではあるものの、DNA複製エラーによる塩基配列の変化が起きることもあり、突然変異と呼ばれます。突然変異には、塩基置換、塩基の挿入や欠失、繰り返し配列における繰り返し数の増減などがあり、突然変異により生じた新たな塩基配列が、世代経過に伴って集団中で頻度が増加すると、多型として観察されるようになります。ヒトゲノム中で最も高頻度に観察される多型は、SNP(一塩基多型)です。SNPとは、着目する集団において、塩基配列上のある特定の位置に、2種類以上の塩基が存在する部位のことです。SNPの異なる塩基をアレル(対立遺伝子)と呼びます。ヒトの点突然変異(1塩基が別の塩基に置換されること)率は1世代1塩基あたり1.2×10⁻⁸と低いので、大部分のSNPには2種類の塩基しか観察されず、そのほとんどが単一起源と考えられます。単一起源とは、祖先型がGアレルで派生型がAアレルの場合、GアレルからAアレルへの突然変異は過去に1回しか起きていない、ということです。二倍体生物のヒトは両親から相同染色体を1本ずつ受け継ぐので、各SNPに対して3種類の遺伝子型が存在し、たとえばA/GのSNPでは、A/AとA/GとG/Gの3通りの遺伝子型が存在します。

 タンパク質コード遺伝子上にあるSNPのうち、塩基の違いにより異なるアミノ酸となるものを非同義SNP、同じアミノ酸となるものを同義SNPと呼びます。多くのSNPはアメリカ国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information、略してNCBI)に登録されており、rsで始まるIDが付与されています。SNPを構成する2つのアレルのうち、頻度の低い方はマイナーアレル、頻度の高い方はメジャーアレルと呼ばれます。NCBIのdbSNPデータベースには、マイナーアレル頻度が1%以上の非同義SNPが101000個以上、同義SNPが89000個以上登録されています(2020年10月27日時点)。

 日本人を含むアジア東部人に特徴的な表現型を示すSNPに、ABCC11遺伝子上の非同義SNP(rs17822931)とEDAR遺伝子上の非同義SNP(rs3827760)があります。ABCC11はABC(ATP binding Cassette)トランスポータータンパク質の一つで、乳腺やアポクリン腺などの外分泌組織で作用するタンパク質です。rs17822931はABCC11タンパク質の180番目のアミノ酸残基がグリシン(Gアレル)もしくはアルギニン(Aアレル)となるSNPで、アルギニンとなるアレル頻度がアジア東部人では高く、A/A遺伝子型だと耳垢は乾燥型に、G/AもしくはG/G遺伝子型だと耳垢は湿った型になります。EDARはエクトジスプラシンA受容体で、胚発生において重要な役割を果たすタンパク質です。rs3827760はEDAR タンパク質の370番目のアミノ酸塩基がバリン(Tアレル)もしくはアラニン(Cアレル)となるSNPで、Cアレルを持つほど毛髪が太くなり、また切歯のシャベルの度合いが強くなります。乾燥型の耳垢と関連するrs17822931のAアレルには、アジア東部人の祖先集団で強い正の自然選択が作用した可能性が高く(関連記事)、それが明瞭な地域差を生じさせた、と考えられます。


●減数分裂と組換え

 生殖細胞系列で起こる細胞分裂の様式は減数分裂と呼ばれ、細胞が通常増殖するさいの様式は有糸分裂もしくは体細胞分裂と呼ばれます。減数分裂が体細胞分裂と異なる点は、染色体の複製跡に姉妹染色分体となり、2回連続して細胞分裂(減数第一分裂と減数第二分裂)が起きることで、最終的に配偶子では染色体数が分裂前の細胞に半分になることです。減数分裂により遺伝的多様性が生み出される仕組みに、非姉妹染色分体間で染色体の一部が入れ替わる交叉(乗換)があり、各染色体あたり約2ヶ所以上(減数分裂あたり約50ヶ所)で交叉が起きます。これにより、新たな塩基配列を有する染色体(組換え体)が子供に伝わることがあります。同一染色体上の2地点間で組換えが起こる頻度が1%以上の時、その2点間の遺伝距離を1センチモルガン(cM)と呼び、ヒトの場合は1.3cMの距離が約100万塩基に相当します。


●ハプロタイプと連鎖不平衡

 ハプロタイプとは、同一染色体上に存在する複数のSNPのアレルの組み合わせです。観察されるハプロタイプの種類数は、SNP部位間で過去に起きた組換えの回数に依存しており、SNP部位が近接している(正確には、遺伝的距離が短い)と組換え率が低いため、理論上の最大種類数よりも少なくなります。観察されるハプロタイプの種類や各ハプロタイプ頻度は集団により異なりますが、遺伝的に近い集団ではよく似ているので、ヒト集団間の遺伝的近縁関係や、ヒトの移住史の推定に用いられます。


 連鎖不平衡とは、同一染色体上の2つ以上の多型間のアレルに関連がある状態のことです。SNP1(AアレルとGアレル)とSNP2(CアレルとTアレル)により規定されるハプロタイプの場合、A-CとA-TとG-CとG-Tの4種類のハプロタイプが存在し得ます。ハプロタイプの頻度がそれを構成するアレル頻度の積と等しくない場合、両アレルは連鎖不平衡の関係にあると呼ばれ、ハプロタイプ頻度の方がアレル頻度の積よりも大きければ正の連鎖不平衡、小さければ負の連鎖不平衡と呼ばれます。A-CとA-TとG-CとG-Tの各ハプロタイプ頻度をh11とh12とh21とh22とする場合、AアレルとCアレルの各頻度はh11+h12とh11+h21です。AアレルとCアレルの連鎖不平衡係数を、A-Cハプロタイプ頻度からアレル頻度の積を引いたD11=h11- (h11+h12) (h11+h21)と定義すると、D11>0ならばAアレルとCアレルは負の連鎖不平衡、D11>0ならばAアレルとCアレルは負の連鎖不平衡、D11=0ならば、AアレルとCアレルは連鎖平衡にある、と呼ばれます。AアレルとTアレルの連鎖不平衡係数をD12、GアレルとCアレルの連鎖不平衡係数をD21、GアレルとTアレルの連鎖不平衡係数をD22と定義すると、D11=-D12=-D21=D22の関係が常に成立します。


●ゲノム人類学

 全ゲノム配列決定技術が実用化されたことで、ゲノム人類学研究において飛躍的な進展がみられています。ゲノム人類学とは、ヒトゲノムの多様性情報から、人類の進化過程や表現型の多様性の基盤となる遺伝因子を明らかにし、ゲノム水準で「生物としてのヒト」の理解を目指す学問分野と言えます。多くの生物種でゲノム解析が行なわれていますが、公共ゲノムデータベースが最も充実しているのはヒトで、データ解析のフリーソフトウェアも多数公開されています。一昔前までは、実験してDNA配列を決定するという、いわゆるwet解析抜きに研究を進めることは困難でしたが、現在ではデータベースのデータを利用したいわゆるdry解析のみで優れた成果を挙げられます。若い人が参入しやすい点からも、ゲノム人類学は今後ますます発展する、と期待されます。


●アジア人の形成過程

 人の進化を包括的に理解するには、より多くのヒト集団の解析が必要なので、大規模な国際共同研究計画が盛んに行なわれています。その一つにヒトゲノム解析機構(Human Genome Organisation、略してHUGO)の汎アジアSNP共同事業体(Pan-Asian SNP Consortium、略してPASC)があります。PASCでは、アジア人の形成過程を明らかにする目的で、アジアの73集団の1808人について、54794個のSNP遺伝子型が調べられています(関連記事)。

 これまで、アジア東部現代人の祖先集団の形成について、二つの仮説が提案されてきました。一方は、アジア東部集団とアジア南東部集団がアジア大陸南部の沿岸部に沿って到達し、一つの共通祖先を有しており、アジア南東部到達後にアジア東部まで北上した、という説です(南岸経路説)。もう一方は、アジア東部に到達した二つの移住経路があり、南を経由した移住の後に、より北方を経由して到達した(アジア中央部を介してヨーロッパ集団とアジア集団をつないだ)移住があった、という説です(南北両経路説)。代表的なアジア集団と、アフリカ集団とヨーロッパ集団とオセアニア集団とアメリカ大陸先住民集団を含めた、29集団を対象とした系統樹解析により、ヨーロッパ集団とアジアやオセアニアやアメリカ大陸先住民の集団とが分岐した後、オセアニア集団とアジアおよびアメリカ大陸先住民集団とが分岐し、最後にアジア東部集団とアメリカ大陸先住民集団とが分岐した、と示唆されました。なお、本論文はこのように指摘しますが、現生人類各集団間の関係は複雑で(関連記事)、遺伝的に大きく異なる集団間の混合により形成された集団を単純な系統樹に位置づけることには、難しさがあるように思います(関連記事)。

 SNPハプロタイプの多様度に注目すると、南の集団から北の集団にいくほど(緯度に比例して)、その多様性は減少しており、アジア集団の祖先は南から北へと移動してきた、と強く示唆されます。アジア東部集団で観察されるハプロタイプの90%のうち、50%はアジア南東部集団で観察される一方、わずか5%しかアジア中央部および南部集団では観察されませんでした。系統樹解析結果も合わせると、アジア東部集団の主要な起源はアジア南東部にあり、南岸経路説の方が有力と言えそうです。

 ネグリートは、アジア南東部からニューギニア島にかけて住む少数民族です。ネグリートは、低身長や暗い褐色の皮膚や巻毛といった特徴的な表現型を持ち、狩猟採集を営みながら孤立して存続してきたことから、その祖先集団や他のアジア集団との関係については諸説ありました。ネグリートは系統樹解析結果では、アジア東部人やアメリカ大陸先住民とともにオセアニア人から分岐しており、ネグリートの一部集団がアジア東部人やアメリカ大陸先住民と遺伝的に近いことから、ネグリートは他のアジア集団と共通祖先を有している、と考えられます。


●47都道府県の解析

 47都道府県の日本人11069個体の138688ヶ所の常染色体SNP遺伝子型データを用いて、日本人の遺伝的集団構造を調べた研究(関連記事)では、47各都道府県から50個体ずつ無作為抽出され、各SNPのアレル頻度が計算され、漢人(北京)も含めてペアワイズにf2統計量を求めてクラスタ分析が行なわれました。f2統計量とは、2集団間の遺伝距離を測定する尺度の一つで、SNPごとにアレル頻度の集団間差の2乗を計算し、全SNPの平均値として与えられます。クラスタ分析とは、多次元データからデータ点間の非類似度を求め、データ点をグループ分けする多変量解析手法の一つで、この研究では階層的手法の一つであるウォード法が用いられています。47都道府県を4クラスタに分けると、沖縄、東方および北海道、近畿および四国、九州および中国に大別されます(図5.9、図のCHBは北京漢人)。関東や中部の各都県は1クラスタ内に収まりません。これは、関東もしくは中部の都県を遺伝的に近縁な集団とはみなせず、そうした単位で日本人集団の遺伝的構造を論じることは難しい、と示しています。以下は本論文の図5.9(本論文の参照文献より引用)です。
画像

 47都道府県を対象にした主成分分析結果(図5.10a)では、沖縄県に遺伝的に最も近いのは鹿児島県と示されます。主成分分析とは、多数の変数(多次元データ)から全体のバラツキをよく表す順に互いに直行する変数(主成分)を合成する、多変量解析の1手法です。最も多くの情報を含む第1主成分の値から、沖縄県と鹿児島県の遺伝的近縁性が示されます。これは、単に地理的近さだけではなく、奄美群島の存在も影響していると考えられます。図5.9でクラスタを形成した地方については、九州と東北が沖縄県と遺伝的に近く、近畿と四国が遺伝的に遠い、と示されます。第2主成分は、都道府県の緯度および経度と有意に相関しています。以下は本論文の図5.10(本論文の参照文献より引用)です。
画像

 日本列島には3万年以上前からヒトが棲んでおり、16000年前頃から縄文時代が始まります(開始の指標を土器だけで定義できるのか、開始も終了も地域差がある、との観点から、縄文時代の期間について議論はあるでしょう)。弥生時代が始まる3000年前頃(この年代についても議論があるとは思います)に、それまで日本に住んでいた「縄文人」が、アジア大陸部から到来してきた「渡来人」と混血した、と考えられています。現代日本人の成立については、おもに北海道のアイヌと、おもに沖縄県の琉球人と、本州・四国・九州を中心とする「本土人」から構成される「二重構造モデル」が想定されています。遺伝学的研究により、「縄文人」と「渡来人」の混血集団の子孫が「本土人」で、アイヌや琉球人、とくに前者は当時の混血の影響をあまり受けていない、と示されています。

 「渡来人」の主要な祖先集団の子孫と想定される北京漢人と、各都道府県のf2統計量を計算すると、沖縄県は漢人から遺伝的に最も遠く、近畿と四国が漢民族に近い(最も近いのは奈良県)、と示されました。したがって、図5.10aにおいて、第1主成分の値が大きい都道府県は「縄文人」と遺伝的に近く、値が小さい都道府県は「渡来人」と近い、と想定されます。大部分の「渡来人」は朝鮮半島経由で日本列島に到達したと考えられますが、朝鮮半島から地理的に近い九州北部ではなく、近畿や四国の人々に「渡来人」の遺伝的構成成分がより多く残っており、近畿と四国には、他地域よりも多くの割合の「渡来人」が流入したかもしれません。


●日本人に特徴的なY染色体

 Y染色体上の組換えを受けない領域の塩基配列の違いに基づいて、「縄文人」由来のY染色体を同定できる可能性があります。日本人男性345個体のY染色体の全塩基配列決定に基づく系統解析(関連記事)では、日本人のY染色体は主要な7系統に分かれました。他のアジア東部集団のY染色体データを含めての解析に基づくと、日本人で35.4%の頻度で見られる系統1は、他のアジア東部人ではほとんど観察されない、と示されました。系統1に属する日本人Y染色体の変異を詳細に解析すると、系統1はYAPという特徴的な変異を有するY染色体ハプログループ(D1a2a)に対応しています。YAP変異は、形態学的に「縄文人」と近縁と考えられているアイヌにおいて、80%以上という高頻度で観察されます。「渡来人」の主要な祖先集団の子孫である韓国人集団や中国人集団には系統1に属するY染色体がほとんど観察されなかったことから、系統1のY染色体は「縄文人」に由来する、と結論づけられます。なお、同一検体のmtDNAの系統解析からは、明らかに「縄文人」由来と想定されるような系統は検出されませんでした。


●今後の課題

 日本列島「本土人」の常染色体のゲノム成分の80%程度は「渡来人」由来と推定されており(関連記事)、「縄文人」と「渡来人」の混血割合は2:8程度だったと思われます。縄文時代晩期の人口は8万人程度と推定されており、その居住範囲は日本列島全域にわたっていました。混血割合から単純に考えると、32万人の「渡来人」が渡海して日本列島に流入したことになりますが、この推定値は多すぎると思われます。より少ない「渡来人」が日本列島で優勢になる可能性として、「渡来人」との戦闘により「縄文人」が激減した可能性も想定されます。しかし、「縄文人」由来の系統1のY染色体の割合が現代日本人では35%となることから、仮に大多数の「縄文人」男性が系統1のY染色体を有していても、2:8の混血割合であれば、せいぜい20%にしかならないはずです。戦闘でまず犠牲になるのは男性であることが多く、系統1のY染色体の頻度はさらに低くなるでしょう。この問題も含めて、日本人の集団史には未解明の問題が残っています。


 以上、本論文についてざっと見てきました。現代日本人は先住の「縄文人」と弥生時代以降にアジア大陸部から新たに日本列島に到来してきた「渡来人」との混合により形成された、との見解は現代日本社会においてかなり定着してきたように思います。しかし、近年の古代DNA研究の進展から、その形成過程はかなり複雑だったように思われます(関連記事)。朝鮮半島において、「縄文人」的構成要素でゲノムをモデル化できる個体が8300年前頃から確認されており、2800〜2500年前頃の朝鮮半島中部西岸の個体は日本列島「本土」現代人と遺伝的構成がよく似ています。これらを踏まえると、日本列島「本土」現代人の基本的な遺伝的構成は朝鮮半島において紀元前千年紀初頭には確立しており、この集団が弥生時代以降に日本列島に到来して勢力を拡大した、と考えられます。

 さらに、朝鮮半島では紀元前千年紀後期以降に人類集団の遺伝的構成に大きな変化があって現代北京漢人により近づき、そうした集団が弥生時代後期から飛鳥時代にかけて到来し、日本列島「本土」現代人の祖先集団に遺伝的影響を残した、と現時点では想定しています。47都道府県単位で奈良県民が遺伝的に最も北京漢人に近いのは、古墳時代から飛鳥時代に朝鮮半島から渡来した集団がおもにヤマト王権の中心地域に移住した結果だろう、と推測しています。また本論文では、「縄文人」由来と考えられる系統1のY染色体の割合が日本列島「本土」現代人で高い、と指摘されていますが、そのうち一定以上の割合は弥生時代以降に朝鮮半島から到来した可能性が高いように思います。もちろん、こうした私見も日本列島、さらにはユーラシア東部の人口史を過度に単純化しているのでしょうし、今後の古代DNA研究の進展により大きく見直す必要が出てくるかもしれません。


参考文献:
大橋順(2021)「アジア人・日本人の遺伝的多様性 ゲノム情報から推定するヒトの移住と混血の過程」井原泰雄、梅ア昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』(東京大学出版会)第5章P78-91

https://sicambre.at.webry.info/202111/article_10.html
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/402.html#c9

[近代史5] 日本人の遺伝子の地域差 _ 近畿と四国は漢民族に近い 中川隆
2. 中川隆[-15399] koaQ7Jey 2021年11月10日 16:00:52 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[26]
雑記帳
2021年11月10日
大橋順「アジア人・日本人の遺伝的多様性 ゲノム情報から推定するヒトの移住と混血の過程」
https://sicambre.at.webry.info/202111/article_10.html


 井原泰雄、梅ア昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』所収の論文です。ヒトゲノムとは、ヒト(Homo sapiens)が持つ遺伝情報(全DNA配列)の1セットのことです。あらゆる生物の基本単位は細胞で、赤血球以外のヒトの体細胞は核膜で囲まれた球状の細胞核を持っています。細胞核の中に染色体があり、各染色体はヒストンとよばれるタンパク質にデオキシリボ核酸(DNA)が巻きついた棒状の構造をしています。DNAの最小単位(ヌクレオチド)は、塩基と糖とリン酸から構成されています。塩基にはアデニン(A)とグアニン(G)とシトシン(C)とチミン(T)の4種類があり、ヌクレオチドにはそのうち1塩基が結合しています。ヌクレオチドはリン酸を介して鎖状につながっており、DNA鎖と呼ばれます。2本のDNA鎖の塩基同士は水素結合によりつながっており、二重螺旋構造となっています。向かい合う塩基の組み合わせは特異的で相補的な関係にあり、具体的にはAとT、GとCです。DNA鎖における4種類の塩基の組み合わせが塩基配列で、生物が正常な生命活動を維持するための遺伝情報が含まれています。ヒトゲノムは約31億塩基対により構成され、その一部(数%)はタンパク質のアミノ酸配列を規定しており、そうした部位はタンパク質コード遺伝子と呼ばれます。ヒトゲノムには、約25000個のタンパク質コード遺伝子が存在します。


●性特異的遺伝マーカー

 ヒトの細胞核には、22対の常染色体(ヒトは二倍体生物なので44本)と1対の性染色体(女性はX染色体が2本、男性はX染色体とY染色体が1本ずつ)が含まれています。卵子には必ずX染色体が1本含まれますが、精子にはX染色体を含むものとY染色体を含むものがあり、精子が卵子と結合すると、前者ならば女子、後者ならば男子が生まれます。Y染色体は父親から息子にのみ伝わるので、父親の系譜を反映する遺伝マーカーとしてよく利用されます。

 ミトコンドリアは細胞質に存在する細胞小器官で、エネルギー産生や呼吸代謝の役割を担っています。ミトコンドリアもDNAを含んでおり(mtDNA)、核DNAと同様に親から子供に伝わります。受精のさい、父親由来のミトコンドリアは卵子の中に入らないか、入っても破壊されるので、mtDNAは母親からのみ子供に伝わります。この母系遺伝の性質から、mtDNAは母親の系譜を反映する遺伝マーカーとして利用されています。mtDNAは男性も有しており、細胞内のDNA量が多く解析しやすいため、これまでに多くの研究があります。


●SNP

 配偶子が形成されるさい、ひじょうに低い確率ではあるものの、DNA複製エラーによる塩基配列の変化が起きることもあり、突然変異と呼ばれます。突然変異には、塩基置換、塩基の挿入や欠失、繰り返し配列における繰り返し数の増減などがあり、突然変異により生じた新たな塩基配列が、世代経過に伴って集団中で頻度が増加すると、多型として観察されるようになります。ヒトゲノム中で最も高頻度に観察される多型は、SNP(一塩基多型)です。SNPとは、着目する集団において、塩基配列上のある特定の位置に、2種類以上の塩基が存在する部位のことです。SNPの異なる塩基をアレル(対立遺伝子)と呼びます。ヒトの点突然変異(1塩基が別の塩基に置換されること)率は1世代1塩基あたり1.2×10⁻⁸と低いので、大部分のSNPには2種類の塩基しか観察されず、そのほとんどが単一起源と考えられます。単一起源とは、祖先型がGアレルで派生型がAアレルの場合、GアレルからAアレルへの突然変異は過去に1回しか起きていない、ということです。二倍体生物のヒトは両親から相同染色体を1本ずつ受け継ぐので、各SNPに対して3種類の遺伝子型が存在し、たとえばA/GのSNPでは、A/AとA/GとG/Gの3通りの遺伝子型が存在します。

 タンパク質コード遺伝子上にあるSNPのうち、塩基の違いにより異なるアミノ酸となるものを非同義SNP、同じアミノ酸となるものを同義SNPと呼びます。多くのSNPはアメリカ国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information、略してNCBI)に登録されており、rsで始まるIDが付与されています。SNPを構成する2つのアレルのうち、頻度の低い方はマイナーアレル、頻度の高い方はメジャーアレルと呼ばれます。NCBIのdbSNPデータベースには、マイナーアレル頻度が1%以上の非同義SNPが101000個以上、同義SNPが89000個以上登録されています(2020年10月27日時点)。

 日本人を含むアジア東部人に特徴的な表現型を示すSNPに、ABCC11遺伝子上の非同義SNP(rs17822931)とEDAR遺伝子上の非同義SNP(rs3827760)があります。ABCC11はABC(ATP binding Cassette)トランスポータータンパク質の一つで、乳腺やアポクリン腺などの外分泌組織で作用するタンパク質です。rs17822931はABCC11タンパク質の180番目のアミノ酸残基がグリシン(Gアレル)もしくはアルギニン(Aアレル)となるSNPで、アルギニンとなるアレル頻度がアジア東部人では高く、A/A遺伝子型だと耳垢は乾燥型に、G/AもしくはG/G遺伝子型だと耳垢は湿った型になります。EDARはエクトジスプラシンA受容体で、胚発生において重要な役割を果たすタンパク質です。rs3827760はEDAR タンパク質の370番目のアミノ酸塩基がバリン(Tアレル)もしくはアラニン(Cアレル)となるSNPで、Cアレルを持つほど毛髪が太くなり、また切歯のシャベルの度合いが強くなります。乾燥型の耳垢と関連するrs17822931のAアレルには、アジア東部人の祖先集団で強い正の自然選択が作用した可能性が高く(関連記事)、それが明瞭な地域差を生じさせた、と考えられます。


●減数分裂と組換え

 生殖細胞系列で起こる細胞分裂の様式は減数分裂と呼ばれ、細胞が通常増殖するさいの様式は有糸分裂もしくは体細胞分裂と呼ばれます。減数分裂が体細胞分裂と異なる点は、染色体の複製跡に姉妹染色分体となり、2回連続して細胞分裂(減数第一分裂と減数第二分裂)が起きることで、最終的に配偶子では染色体数が分裂前の細胞に半分になることです。減数分裂により遺伝的多様性が生み出される仕組みに、非姉妹染色分体間で染色体の一部が入れ替わる交叉(乗換)があり、各染色体あたり約2ヶ所以上(減数分裂あたり約50ヶ所)で交叉が起きます。これにより、新たな塩基配列を有する染色体(組換え体)が子供に伝わることがあります。同一染色体上の2地点間で組換えが起こる頻度が1%以上の時、その2点間の遺伝距離を1センチモルガン(cM)と呼び、ヒトの場合は1.3cMの距離が約100万塩基に相当します。


●ハプロタイプと連鎖不平衡

 ハプロタイプとは、同一染色体上に存在する複数のSNPのアレルの組み合わせです。観察されるハプロタイプの種類数は、SNP部位間で過去に起きた組換えの回数に依存しており、SNP部位が近接している(正確には、遺伝的距離が短い)と組換え率が低いため、理論上の最大種類数よりも少なくなります。観察されるハプロタイプの種類や各ハプロタイプ頻度は集団により異なりますが、遺伝的に近い集団ではよく似ているので、ヒト集団間の遺伝的近縁関係や、ヒトの移住史の推定に用いられます。


 連鎖不平衡とは、同一染色体上の2つ以上の多型間のアレルに関連がある状態のことです。SNP1(AアレルとGアレル)とSNP2(CアレルとTアレル)により規定されるハプロタイプの場合、A-CとA-TとG-CとG-Tの4種類のハプロタイプが存在し得ます。ハプロタイプの頻度がそれを構成するアレル頻度の積と等しくない場合、両アレルは連鎖不平衡の関係にあると呼ばれ、ハプロタイプ頻度の方がアレル頻度の積よりも大きければ正の連鎖不平衡、小さければ負の連鎖不平衡と呼ばれます。A-CとA-TとG-CとG-Tの各ハプロタイプ頻度をh11とh12とh21とh22とする場合、AアレルとCアレルの各頻度はh11+h12とh11+h21です。AアレルとCアレルの連鎖不平衡係数を、A-Cハプロタイプ頻度からアレル頻度の積を引いたD11=h11- (h11+h12) (h11+h21)と定義すると、D11>0ならばAアレルとCアレルは負の連鎖不平衡、D11>0ならばAアレルとCアレルは負の連鎖不平衡、D11=0ならば、AアレルとCアレルは連鎖平衡にある、と呼ばれます。AアレルとTアレルの連鎖不平衡係数をD12、GアレルとCアレルの連鎖不平衡係数をD21、GアレルとTアレルの連鎖不平衡係数をD22と定義すると、D11=-D12=-D21=D22の関係が常に成立します。


●ゲノム人類学

 全ゲノム配列決定技術が実用化されたことで、ゲノム人類学研究において飛躍的な進展がみられています。ゲノム人類学とは、ヒトゲノムの多様性情報から、人類の進化過程や表現型の多様性の基盤となる遺伝因子を明らかにし、ゲノム水準で「生物としてのヒト」の理解を目指す学問分野と言えます。多くの生物種でゲノム解析が行なわれていますが、公共ゲノムデータベースが最も充実しているのはヒトで、データ解析のフリーソフトウェアも多数公開されています。一昔前までは、実験してDNA配列を決定するという、いわゆるwet解析抜きに研究を進めることは困難でしたが、現在ではデータベースのデータを利用したいわゆるdry解析のみで優れた成果を挙げられます。若い人が参入しやすい点からも、ゲノム人類学は今後ますます発展する、と期待されます。


●アジア人の形成過程

 人の進化を包括的に理解するには、より多くのヒト集団の解析が必要なので、大規模な国際共同研究計画が盛んに行なわれています。その一つにヒトゲノム解析機構(Human Genome Organisation、略してHUGO)の汎アジアSNP共同事業体(Pan-Asian SNP Consortium、略してPASC)があります。PASCでは、アジア人の形成過程を明らかにする目的で、アジアの73集団の1808人について、54794個のSNP遺伝子型が調べられています(関連記事)。

 これまで、アジア東部現代人の祖先集団の形成について、二つの仮説が提案されてきました。一方は、アジア東部集団とアジア南東部集団がアジア大陸南部の沿岸部に沿って到達し、一つの共通祖先を有しており、アジア南東部到達後にアジア東部まで北上した、という説です(南岸経路説)。もう一方は、アジア東部に到達した二つの移住経路があり、南を経由した移住の後に、より北方を経由して到達した(アジア中央部を介してヨーロッパ集団とアジア集団をつないだ)移住があった、という説です(南北両経路説)。代表的なアジア集団と、アフリカ集団とヨーロッパ集団とオセアニア集団とアメリカ大陸先住民集団を含めた、29集団を対象とした系統樹解析により、ヨーロッパ集団とアジアやオセアニアやアメリカ大陸先住民の集団とが分岐した後、オセアニア集団とアジアおよびアメリカ大陸先住民集団とが分岐し、最後にアジア東部集団とアメリカ大陸先住民集団とが分岐した、と示唆されました。なお、本論文はこのように指摘しますが、現生人類各集団間の関係は複雑で(関連記事)、遺伝的に大きく異なる集団間の混合により形成された集団を単純な系統樹に位置づけることには、難しさがあるように思います(関連記事)。

 SNPハプロタイプの多様度に注目すると、南の集団から北の集団にいくほど(緯度に比例して)、その多様性は減少しており、アジア集団の祖先は南から北へと移動してきた、と強く示唆されます。アジア東部集団で観察されるハプロタイプの90%のうち、50%はアジア南東部集団で観察される一方、わずか5%しかアジア中央部および南部集団では観察されませんでした。系統樹解析結果も合わせると、アジア東部集団の主要な起源はアジア南東部にあり、南岸経路説の方が有力と言えそうです。

 ネグリートは、アジア南東部からニューギニア島にかけて住む少数民族です。ネグリートは、低身長や暗い褐色の皮膚や巻毛といった特徴的な表現型を持ち、狩猟採集を営みながら孤立して存続してきたことから、その祖先集団や他のアジア集団との関係については諸説ありました。ネグリートは系統樹解析結果では、アジア東部人やアメリカ大陸先住民とともにオセアニア人から分岐しており、ネグリートの一部集団がアジア東部人やアメリカ大陸先住民と遺伝的に近いことから、ネグリートは他のアジア集団と共通祖先を有している、と考えられます。


●47都道府県の解析

 47都道府県の日本人11069個体の138688ヶ所の常染色体SNP遺伝子型データを用いて、日本人の遺伝的集団構造を調べた研究(関連記事)では、47各都道府県から50個体ずつ無作為抽出され、各SNPのアレル頻度が計算され、漢人(北京)も含めてペアワイズにf2統計量を求めてクラスタ分析が行なわれました。f2統計量とは、2集団間の遺伝距離を測定する尺度の一つで、SNPごとにアレル頻度の集団間差の2乗を計算し、全SNPの平均値として与えられます。クラスタ分析とは、多次元データからデータ点間の非類似度を求め、データ点をグループ分けする多変量解析手法の一つで、この研究では階層的手法の一つであるウォード法が用いられています。47都道府県を4クラスタに分けると、沖縄、東方および北海道、近畿および四国、九州および中国に大別されます(図5.9、図のCHBは北京漢人)。関東や中部の各都県は1クラスタ内に収まりません。これは、関東もしくは中部の都県を遺伝的に近縁な集団とはみなせず、そうした単位で日本人集団の遺伝的構造を論じることは難しい、と示しています。以下は本論文の図5.9(本論文の参照文献より引用)です。
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 47都道府県を対象にした主成分分析結果(図5.10a)では、沖縄県に遺伝的に最も近いのは鹿児島県と示されます。主成分分析とは、多数の変数(多次元データ)から全体のバラツキをよく表す順に互いに直行する変数(主成分)を合成する、多変量解析の1手法です。最も多くの情報を含む第1主成分の値から、沖縄県と鹿児島県の遺伝的近縁性が示されます。これは、単に地理的近さだけではなく、奄美群島の存在も影響していると考えられます。図5.9でクラスタを形成した地方については、九州と東北が沖縄県と遺伝的に近く、近畿と四国が遺伝的に遠い、と示されます。第2主成分は、都道府県の緯度および経度と有意に相関しています。以下は本論文の図5.10(本論文の参照文献より引用)です。
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 日本列島には3万年以上前からヒトが棲んでおり、16000年前頃から縄文時代が始まります(開始の指標を土器だけで定義できるのか、開始も終了も地域差がある、との観点から、縄文時代の期間について議論はあるでしょう)。弥生時代が始まる3000年前頃(この年代についても議論があるとは思います)に、それまで日本に住んでいた「縄文人」が、アジア大陸部から到来してきた「渡来人」と混血した、と考えられています。現代日本人の成立については、おもに北海道のアイヌと、おもに沖縄県の琉球人と、本州・四国・九州を中心とする「本土人」から構成される「二重構造モデル」が想定されています。遺伝学的研究により、「縄文人」と「渡来人」の混血集団の子孫が「本土人」で、アイヌや琉球人、とくに前者は当時の混血の影響をあまり受けていない、と示されています。

 「渡来人」の主要な祖先集団の子孫と想定される北京漢人と、各都道府県のf2統計量を計算すると、沖縄県は漢人から遺伝的に最も遠く、近畿と四国が漢民族に近い(最も近いのは奈良県)、と示されました。したがって、図5.10aにおいて、第1主成分の値が大きい都道府県は「縄文人」と遺伝的に近く、値が小さい都道府県は「渡来人」と近い、と想定されます。大部分の「渡来人」は朝鮮半島経由で日本列島に到達したと考えられますが、朝鮮半島から地理的に近い九州北部ではなく、近畿や四国の人々に「渡来人」の遺伝的構成成分がより多く残っており、近畿と四国には、他地域よりも多くの割合の「渡来人」が流入したかもしれません。


●日本人に特徴的なY染色体

 Y染色体上の組換えを受けない領域の塩基配列の違いに基づいて、「縄文人」由来のY染色体を同定できる可能性があります。日本人男性345個体のY染色体の全塩基配列決定に基づく系統解析(関連記事)では、日本人のY染色体は主要な7系統に分かれました。他のアジア東部集団のY染色体データを含めての解析に基づくと、日本人で35.4%の頻度で見られる系統1は、他のアジア東部人ではほとんど観察されない、と示されました。系統1に属する日本人Y染色体の変異を詳細に解析すると、系統1はYAPという特徴的な変異を有するY染色体ハプログループ(D1a2a)に対応しています。YAP変異は、形態学的に「縄文人」と近縁と考えられているアイヌにおいて、80%以上という高頻度で観察されます。「渡来人」の主要な祖先集団の子孫である韓国人集団や中国人集団には系統1に属するY染色体がほとんど観察されなかったことから、系統1のY染色体は「縄文人」に由来する、と結論づけられます。なお、同一検体のmtDNAの系統解析からは、明らかに「縄文人」由来と想定されるような系統は検出されませんでした。


●今後の課題

 日本列島「本土人」の常染色体のゲノム成分の80%程度は「渡来人」由来と推定されており(関連記事)、「縄文人」と「渡来人」の混血割合は2:8程度だったと思われます。縄文時代晩期の人口は8万人程度と推定されており、その居住範囲は日本列島全域にわたっていました。混血割合から単純に考えると、32万人の「渡来人」が渡海して日本列島に流入したことになりますが、この推定値は多すぎると思われます。より少ない「渡来人」が日本列島で優勢になる可能性として、「渡来人」との戦闘により「縄文人」が激減した可能性も想定されます。しかし、「縄文人」由来の系統1のY染色体の割合が現代日本人では35%となることから、仮に大多数の「縄文人」男性が系統1のY染色体を有していても、2:8の混血割合であれば、せいぜい20%にしかならないはずです。戦闘でまず犠牲になるのは男性であることが多く、系統1のY染色体の頻度はさらに低くなるでしょう。この問題も含めて、日本人の集団史には未解明の問題が残っています。


 以上、本論文についてざっと見てきました。現代日本人は先住の「縄文人」と弥生時代以降にアジア大陸部から新たに日本列島に到来してきた「渡来人」との混合により形成された、との見解は現代日本社会においてかなり定着してきたように思います。しかし、近年の古代DNA研究の進展から、その形成過程はかなり複雑だったように思われます(関連記事)。朝鮮半島において、「縄文人」的構成要素でゲノムをモデル化できる個体が8300年前頃から確認されており、2800〜2500年前頃の朝鮮半島中部西岸の個体は日本列島「本土」現代人と遺伝的構成がよく似ています。これらを踏まえると、日本列島「本土」現代人の基本的な遺伝的構成は朝鮮半島において紀元前千年紀初頭には確立しており、この集団が弥生時代以降に日本列島に到来して勢力を拡大した、と考えられます。

 さらに、朝鮮半島では紀元前千年紀後期以降に人類集団の遺伝的構成に大きな変化があって現代北京漢人により近づき、そうした集団が弥生時代後期から飛鳥時代にかけて到来し、日本列島「本土」現代人の祖先集団に遺伝的影響を残した、と現時点では想定しています。47都道府県単位で奈良県民が遺伝的に最も北京漢人に近いのは、古墳時代から飛鳥時代に朝鮮半島から渡来した集団がおもにヤマト王権の中心地域に移住した結果だろう、と推測しています。また本論文では、「縄文人」由来と考えられる系統1のY染色体の割合が日本列島「本土」現代人で高い、と指摘されていますが、そのうち一定以上の割合は弥生時代以降に朝鮮半島から到来した可能性が高いように思います。もちろん、こうした私見も日本列島、さらにはユーラシア東部の人口史を過度に単純化しているのでしょうし、今後の古代DNA研究の進展により大きく見直す必要が出てくるかもしれません。


参考文献:
大橋順(2021)「アジア人・日本人の遺伝的多様性 ゲノム情報から推定するヒトの移住と混血の過程」井原泰雄、梅ア昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』(東京大学出版会)第5章P78-91

https://sicambre.at.webry.info/202111/article_10.html
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/333.html#c2

[近代史5] 弥生人の起源 中川隆
26. 中川隆[-15398] koaQ7Jey 2021年11月10日 16:01:16 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[27]
雑記帳
2021年11月10日
大橋順「アジア人・日本人の遺伝的多様性 ゲノム情報から推定するヒトの移住と混血の過程」
https://sicambre.at.webry.info/202111/article_10.html


 井原泰雄、梅ア昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』所収の論文です。ヒトゲノムとは、ヒト(Homo sapiens)が持つ遺伝情報(全DNA配列)の1セットのことです。あらゆる生物の基本単位は細胞で、赤血球以外のヒトの体細胞は核膜で囲まれた球状の細胞核を持っています。細胞核の中に染色体があり、各染色体はヒストンとよばれるタンパク質にデオキシリボ核酸(DNA)が巻きついた棒状の構造をしています。DNAの最小単位(ヌクレオチド)は、塩基と糖とリン酸から構成されています。塩基にはアデニン(A)とグアニン(G)とシトシン(C)とチミン(T)の4種類があり、ヌクレオチドにはそのうち1塩基が結合しています。ヌクレオチドはリン酸を介して鎖状につながっており、DNA鎖と呼ばれます。2本のDNA鎖の塩基同士は水素結合によりつながっており、二重螺旋構造となっています。向かい合う塩基の組み合わせは特異的で相補的な関係にあり、具体的にはAとT、GとCです。DNA鎖における4種類の塩基の組み合わせが塩基配列で、生物が正常な生命活動を維持するための遺伝情報が含まれています。ヒトゲノムは約31億塩基対により構成され、その一部(数%)はタンパク質のアミノ酸配列を規定しており、そうした部位はタンパク質コード遺伝子と呼ばれます。ヒトゲノムには、約25000個のタンパク質コード遺伝子が存在します。


●性特異的遺伝マーカー

 ヒトの細胞核には、22対の常染色体(ヒトは二倍体生物なので44本)と1対の性染色体(女性はX染色体が2本、男性はX染色体とY染色体が1本ずつ)が含まれています。卵子には必ずX染色体が1本含まれますが、精子にはX染色体を含むものとY染色体を含むものがあり、精子が卵子と結合すると、前者ならば女子、後者ならば男子が生まれます。Y染色体は父親から息子にのみ伝わるので、父親の系譜を反映する遺伝マーカーとしてよく利用されます。

 ミトコンドリアは細胞質に存在する細胞小器官で、エネルギー産生や呼吸代謝の役割を担っています。ミトコンドリアもDNAを含んでおり(mtDNA)、核DNAと同様に親から子供に伝わります。受精のさい、父親由来のミトコンドリアは卵子の中に入らないか、入っても破壊されるので、mtDNAは母親からのみ子供に伝わります。この母系遺伝の性質から、mtDNAは母親の系譜を反映する遺伝マーカーとして利用されています。mtDNAは男性も有しており、細胞内のDNA量が多く解析しやすいため、これまでに多くの研究があります。


●SNP

 配偶子が形成されるさい、ひじょうに低い確率ではあるものの、DNA複製エラーによる塩基配列の変化が起きることもあり、突然変異と呼ばれます。突然変異には、塩基置換、塩基の挿入や欠失、繰り返し配列における繰り返し数の増減などがあり、突然変異により生じた新たな塩基配列が、世代経過に伴って集団中で頻度が増加すると、多型として観察されるようになります。ヒトゲノム中で最も高頻度に観察される多型は、SNP(一塩基多型)です。SNPとは、着目する集団において、塩基配列上のある特定の位置に、2種類以上の塩基が存在する部位のことです。SNPの異なる塩基をアレル(対立遺伝子)と呼びます。ヒトの点突然変異(1塩基が別の塩基に置換されること)率は1世代1塩基あたり1.2×10⁻⁸と低いので、大部分のSNPには2種類の塩基しか観察されず、そのほとんどが単一起源と考えられます。単一起源とは、祖先型がGアレルで派生型がAアレルの場合、GアレルからAアレルへの突然変異は過去に1回しか起きていない、ということです。二倍体生物のヒトは両親から相同染色体を1本ずつ受け継ぐので、各SNPに対して3種類の遺伝子型が存在し、たとえばA/GのSNPでは、A/AとA/GとG/Gの3通りの遺伝子型が存在します。

 タンパク質コード遺伝子上にあるSNPのうち、塩基の違いにより異なるアミノ酸となるものを非同義SNP、同じアミノ酸となるものを同義SNPと呼びます。多くのSNPはアメリカ国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information、略してNCBI)に登録されており、rsで始まるIDが付与されています。SNPを構成する2つのアレルのうち、頻度の低い方はマイナーアレル、頻度の高い方はメジャーアレルと呼ばれます。NCBIのdbSNPデータベースには、マイナーアレル頻度が1%以上の非同義SNPが101000個以上、同義SNPが89000個以上登録されています(2020年10月27日時点)。

 日本人を含むアジア東部人に特徴的な表現型を示すSNPに、ABCC11遺伝子上の非同義SNP(rs17822931)とEDAR遺伝子上の非同義SNP(rs3827760)があります。ABCC11はABC(ATP binding Cassette)トランスポータータンパク質の一つで、乳腺やアポクリン腺などの外分泌組織で作用するタンパク質です。rs17822931はABCC11タンパク質の180番目のアミノ酸残基がグリシン(Gアレル)もしくはアルギニン(Aアレル)となるSNPで、アルギニンとなるアレル頻度がアジア東部人では高く、A/A遺伝子型だと耳垢は乾燥型に、G/AもしくはG/G遺伝子型だと耳垢は湿った型になります。EDARはエクトジスプラシンA受容体で、胚発生において重要な役割を果たすタンパク質です。rs3827760はEDAR タンパク質の370番目のアミノ酸塩基がバリン(Tアレル)もしくはアラニン(Cアレル)となるSNPで、Cアレルを持つほど毛髪が太くなり、また切歯のシャベルの度合いが強くなります。乾燥型の耳垢と関連するrs17822931のAアレルには、アジア東部人の祖先集団で強い正の自然選択が作用した可能性が高く(関連記事)、それが明瞭な地域差を生じさせた、と考えられます。


●減数分裂と組換え

 生殖細胞系列で起こる細胞分裂の様式は減数分裂と呼ばれ、細胞が通常増殖するさいの様式は有糸分裂もしくは体細胞分裂と呼ばれます。減数分裂が体細胞分裂と異なる点は、染色体の複製跡に姉妹染色分体となり、2回連続して細胞分裂(減数第一分裂と減数第二分裂)が起きることで、最終的に配偶子では染色体数が分裂前の細胞に半分になることです。減数分裂により遺伝的多様性が生み出される仕組みに、非姉妹染色分体間で染色体の一部が入れ替わる交叉(乗換)があり、各染色体あたり約2ヶ所以上(減数分裂あたり約50ヶ所)で交叉が起きます。これにより、新たな塩基配列を有する染色体(組換え体)が子供に伝わることがあります。同一染色体上の2地点間で組換えが起こる頻度が1%以上の時、その2点間の遺伝距離を1センチモルガン(cM)と呼び、ヒトの場合は1.3cMの距離が約100万塩基に相当します。


●ハプロタイプと連鎖不平衡

 ハプロタイプとは、同一染色体上に存在する複数のSNPのアレルの組み合わせです。観察されるハプロタイプの種類数は、SNP部位間で過去に起きた組換えの回数に依存しており、SNP部位が近接している(正確には、遺伝的距離が短い)と組換え率が低いため、理論上の最大種類数よりも少なくなります。観察されるハプロタイプの種類や各ハプロタイプ頻度は集団により異なりますが、遺伝的に近い集団ではよく似ているので、ヒト集団間の遺伝的近縁関係や、ヒトの移住史の推定に用いられます。


 連鎖不平衡とは、同一染色体上の2つ以上の多型間のアレルに関連がある状態のことです。SNP1(AアレルとGアレル)とSNP2(CアレルとTアレル)により規定されるハプロタイプの場合、A-CとA-TとG-CとG-Tの4種類のハプロタイプが存在し得ます。ハプロタイプの頻度がそれを構成するアレル頻度の積と等しくない場合、両アレルは連鎖不平衡の関係にあると呼ばれ、ハプロタイプ頻度の方がアレル頻度の積よりも大きければ正の連鎖不平衡、小さければ負の連鎖不平衡と呼ばれます。A-CとA-TとG-CとG-Tの各ハプロタイプ頻度をh11とh12とh21とh22とする場合、AアレルとCアレルの各頻度はh11+h12とh11+h21です。AアレルとCアレルの連鎖不平衡係数を、A-Cハプロタイプ頻度からアレル頻度の積を引いたD11=h11- (h11+h12) (h11+h21)と定義すると、D11>0ならばAアレルとCアレルは負の連鎖不平衡、D11>0ならばAアレルとCアレルは負の連鎖不平衡、D11=0ならば、AアレルとCアレルは連鎖平衡にある、と呼ばれます。AアレルとTアレルの連鎖不平衡係数をD12、GアレルとCアレルの連鎖不平衡係数をD21、GアレルとTアレルの連鎖不平衡係数をD22と定義すると、D11=-D12=-D21=D22の関係が常に成立します。


●ゲノム人類学

 全ゲノム配列決定技術が実用化されたことで、ゲノム人類学研究において飛躍的な進展がみられています。ゲノム人類学とは、ヒトゲノムの多様性情報から、人類の進化過程や表現型の多様性の基盤となる遺伝因子を明らかにし、ゲノム水準で「生物としてのヒト」の理解を目指す学問分野と言えます。多くの生物種でゲノム解析が行なわれていますが、公共ゲノムデータベースが最も充実しているのはヒトで、データ解析のフリーソフトウェアも多数公開されています。一昔前までは、実験してDNA配列を決定するという、いわゆるwet解析抜きに研究を進めることは困難でしたが、現在ではデータベースのデータを利用したいわゆるdry解析のみで優れた成果を挙げられます。若い人が参入しやすい点からも、ゲノム人類学は今後ますます発展する、と期待されます。


●アジア人の形成過程

 人の進化を包括的に理解するには、より多くのヒト集団の解析が必要なので、大規模な国際共同研究計画が盛んに行なわれています。その一つにヒトゲノム解析機構(Human Genome Organisation、略してHUGO)の汎アジアSNP共同事業体(Pan-Asian SNP Consortium、略してPASC)があります。PASCでは、アジア人の形成過程を明らかにする目的で、アジアの73集団の1808人について、54794個のSNP遺伝子型が調べられています(関連記事)。

 これまで、アジア東部現代人の祖先集団の形成について、二つの仮説が提案されてきました。一方は、アジア東部集団とアジア南東部集団がアジア大陸南部の沿岸部に沿って到達し、一つの共通祖先を有しており、アジア南東部到達後にアジア東部まで北上した、という説です(南岸経路説)。もう一方は、アジア東部に到達した二つの移住経路があり、南を経由した移住の後に、より北方を経由して到達した(アジア中央部を介してヨーロッパ集団とアジア集団をつないだ)移住があった、という説です(南北両経路説)。代表的なアジア集団と、アフリカ集団とヨーロッパ集団とオセアニア集団とアメリカ大陸先住民集団を含めた、29集団を対象とした系統樹解析により、ヨーロッパ集団とアジアやオセアニアやアメリカ大陸先住民の集団とが分岐した後、オセアニア集団とアジアおよびアメリカ大陸先住民集団とが分岐し、最後にアジア東部集団とアメリカ大陸先住民集団とが分岐した、と示唆されました。なお、本論文はこのように指摘しますが、現生人類各集団間の関係は複雑で(関連記事)、遺伝的に大きく異なる集団間の混合により形成された集団を単純な系統樹に位置づけることには、難しさがあるように思います(関連記事)。

 SNPハプロタイプの多様度に注目すると、南の集団から北の集団にいくほど(緯度に比例して)、その多様性は減少しており、アジア集団の祖先は南から北へと移動してきた、と強く示唆されます。アジア東部集団で観察されるハプロタイプの90%のうち、50%はアジア南東部集団で観察される一方、わずか5%しかアジア中央部および南部集団では観察されませんでした。系統樹解析結果も合わせると、アジア東部集団の主要な起源はアジア南東部にあり、南岸経路説の方が有力と言えそうです。

 ネグリートは、アジア南東部からニューギニア島にかけて住む少数民族です。ネグリートは、低身長や暗い褐色の皮膚や巻毛といった特徴的な表現型を持ち、狩猟採集を営みながら孤立して存続してきたことから、その祖先集団や他のアジア集団との関係については諸説ありました。ネグリートは系統樹解析結果では、アジア東部人やアメリカ大陸先住民とともにオセアニア人から分岐しており、ネグリートの一部集団がアジア東部人やアメリカ大陸先住民と遺伝的に近いことから、ネグリートは他のアジア集団と共通祖先を有している、と考えられます。


●47都道府県の解析

 47都道府県の日本人11069個体の138688ヶ所の常染色体SNP遺伝子型データを用いて、日本人の遺伝的集団構造を調べた研究(関連記事)では、47各都道府県から50個体ずつ無作為抽出され、各SNPのアレル頻度が計算され、漢人(北京)も含めてペアワイズにf2統計量を求めてクラスタ分析が行なわれました。f2統計量とは、2集団間の遺伝距離を測定する尺度の一つで、SNPごとにアレル頻度の集団間差の2乗を計算し、全SNPの平均値として与えられます。クラスタ分析とは、多次元データからデータ点間の非類似度を求め、データ点をグループ分けする多変量解析手法の一つで、この研究では階層的手法の一つであるウォード法が用いられています。47都道府県を4クラスタに分けると、沖縄、東方および北海道、近畿および四国、九州および中国に大別されます(図5.9、図のCHBは北京漢人)。関東や中部の各都県は1クラスタ内に収まりません。これは、関東もしくは中部の都県を遺伝的に近縁な集団とはみなせず、そうした単位で日本人集団の遺伝的構造を論じることは難しい、と示しています。以下は本論文の図5.9(本論文の参照文献より引用)です。
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 47都道府県を対象にした主成分分析結果(図5.10a)では、沖縄県に遺伝的に最も近いのは鹿児島県と示されます。主成分分析とは、多数の変数(多次元データ)から全体のバラツキをよく表す順に互いに直行する変数(主成分)を合成する、多変量解析の1手法です。最も多くの情報を含む第1主成分の値から、沖縄県と鹿児島県の遺伝的近縁性が示されます。これは、単に地理的近さだけではなく、奄美群島の存在も影響していると考えられます。図5.9でクラスタを形成した地方については、九州と東北が沖縄県と遺伝的に近く、近畿と四国が遺伝的に遠い、と示されます。第2主成分は、都道府県の緯度および経度と有意に相関しています。以下は本論文の図5.10(本論文の参照文献より引用)です。
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 日本列島には3万年以上前からヒトが棲んでおり、16000年前頃から縄文時代が始まります(開始の指標を土器だけで定義できるのか、開始も終了も地域差がある、との観点から、縄文時代の期間について議論はあるでしょう)。弥生時代が始まる3000年前頃(この年代についても議論があるとは思います)に、それまで日本に住んでいた「縄文人」が、アジア大陸部から到来してきた「渡来人」と混血した、と考えられています。現代日本人の成立については、おもに北海道のアイヌと、おもに沖縄県の琉球人と、本州・四国・九州を中心とする「本土人」から構成される「二重構造モデル」が想定されています。遺伝学的研究により、「縄文人」と「渡来人」の混血集団の子孫が「本土人」で、アイヌや琉球人、とくに前者は当時の混血の影響をあまり受けていない、と示されています。

 「渡来人」の主要な祖先集団の子孫と想定される北京漢人と、各都道府県のf2統計量を計算すると、沖縄県は漢人から遺伝的に最も遠く、近畿と四国が漢民族に近い(最も近いのは奈良県)、と示されました。したがって、図5.10aにおいて、第1主成分の値が大きい都道府県は「縄文人」と遺伝的に近く、値が小さい都道府県は「渡来人」と近い、と想定されます。大部分の「渡来人」は朝鮮半島経由で日本列島に到達したと考えられますが、朝鮮半島から地理的に近い九州北部ではなく、近畿や四国の人々に「渡来人」の遺伝的構成成分がより多く残っており、近畿と四国には、他地域よりも多くの割合の「渡来人」が流入したかもしれません。


●日本人に特徴的なY染色体

 Y染色体上の組換えを受けない領域の塩基配列の違いに基づいて、「縄文人」由来のY染色体を同定できる可能性があります。日本人男性345個体のY染色体の全塩基配列決定に基づく系統解析(関連記事)では、日本人のY染色体は主要な7系統に分かれました。他のアジア東部集団のY染色体データを含めての解析に基づくと、日本人で35.4%の頻度で見られる系統1は、他のアジア東部人ではほとんど観察されない、と示されました。系統1に属する日本人Y染色体の変異を詳細に解析すると、系統1はYAPという特徴的な変異を有するY染色体ハプログループ(D1a2a)に対応しています。YAP変異は、形態学的に「縄文人」と近縁と考えられているアイヌにおいて、80%以上という高頻度で観察されます。「渡来人」の主要な祖先集団の子孫である韓国人集団や中国人集団には系統1に属するY染色体がほとんど観察されなかったことから、系統1のY染色体は「縄文人」に由来する、と結論づけられます。なお、同一検体のmtDNAの系統解析からは、明らかに「縄文人」由来と想定されるような系統は検出されませんでした。


●今後の課題

 日本列島「本土人」の常染色体のゲノム成分の80%程度は「渡来人」由来と推定されており(関連記事)、「縄文人」と「渡来人」の混血割合は2:8程度だったと思われます。縄文時代晩期の人口は8万人程度と推定されており、その居住範囲は日本列島全域にわたっていました。混血割合から単純に考えると、32万人の「渡来人」が渡海して日本列島に流入したことになりますが、この推定値は多すぎると思われます。より少ない「渡来人」が日本列島で優勢になる可能性として、「渡来人」との戦闘により「縄文人」が激減した可能性も想定されます。しかし、「縄文人」由来の系統1のY染色体の割合が現代日本人では35%となることから、仮に大多数の「縄文人」男性が系統1のY染色体を有していても、2:8の混血割合であれば、せいぜい20%にしかならないはずです。戦闘でまず犠牲になるのは男性であることが多く、系統1のY染色体の頻度はさらに低くなるでしょう。この問題も含めて、日本人の集団史には未解明の問題が残っています。


 以上、本論文についてざっと見てきました。現代日本人は先住の「縄文人」と弥生時代以降にアジア大陸部から新たに日本列島に到来してきた「渡来人」との混合により形成された、との見解は現代日本社会においてかなり定着してきたように思います。しかし、近年の古代DNA研究の進展から、その形成過程はかなり複雑だったように思われます(関連記事)。朝鮮半島において、「縄文人」的構成要素でゲノムをモデル化できる個体が8300年前頃から確認されており、2800〜2500年前頃の朝鮮半島中部西岸の個体は日本列島「本土」現代人と遺伝的構成がよく似ています。これらを踏まえると、日本列島「本土」現代人の基本的な遺伝的構成は朝鮮半島において紀元前千年紀初頭には確立しており、この集団が弥生時代以降に日本列島に到来して勢力を拡大した、と考えられます。

 さらに、朝鮮半島では紀元前千年紀後期以降に人類集団の遺伝的構成に大きな変化があって現代北京漢人により近づき、そうした集団が弥生時代後期から飛鳥時代にかけて到来し、日本列島「本土」現代人の祖先集団に遺伝的影響を残した、と現時点では想定しています。47都道府県単位で奈良県民が遺伝的に最も北京漢人に近いのは、古墳時代から飛鳥時代に朝鮮半島から渡来した集団がおもにヤマト王権の中心地域に移住した結果だろう、と推測しています。また本論文では、「縄文人」由来と考えられる系統1のY染色体の割合が日本列島「本土」現代人で高い、と指摘されていますが、そのうち一定以上の割合は弥生時代以降に朝鮮半島から到来した可能性が高いように思います。もちろん、こうした私見も日本列島、さらにはユーラシア東部の人口史を過度に単純化しているのでしょうし、今後の古代DNA研究の進展により大きく見直す必要が出てくるかもしれません。


参考文献:
大橋順(2021)「アジア人・日本人の遺伝的多様性 ゲノム情報から推定するヒトの移住と混血の過程」井原泰雄、梅ア昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』(東京大学出版会)第5章P78-91

https://sicambre.at.webry.info/202111/article_10.html
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/255.html#c26

[近代史5] 稲作とオーストロネシア語族集団の起源 中川隆
7. 中川隆[-15397] koaQ7Jey 2021年11月10日 16:01:42 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[28]
雑記帳
2021年11月10日
大橋順「アジア人・日本人の遺伝的多様性 ゲノム情報から推定するヒトの移住と混血の過程」
https://sicambre.at.webry.info/202111/article_10.html


 井原泰雄、梅ア昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』所収の論文です。ヒトゲノムとは、ヒト(Homo sapiens)が持つ遺伝情報(全DNA配列)の1セットのことです。あらゆる生物の基本単位は細胞で、赤血球以外のヒトの体細胞は核膜で囲まれた球状の細胞核を持っています。細胞核の中に染色体があり、各染色体はヒストンとよばれるタンパク質にデオキシリボ核酸(DNA)が巻きついた棒状の構造をしています。DNAの最小単位(ヌクレオチド)は、塩基と糖とリン酸から構成されています。塩基にはアデニン(A)とグアニン(G)とシトシン(C)とチミン(T)の4種類があり、ヌクレオチドにはそのうち1塩基が結合しています。ヌクレオチドはリン酸を介して鎖状につながっており、DNA鎖と呼ばれます。2本のDNA鎖の塩基同士は水素結合によりつながっており、二重螺旋構造となっています。向かい合う塩基の組み合わせは特異的で相補的な関係にあり、具体的にはAとT、GとCです。DNA鎖における4種類の塩基の組み合わせが塩基配列で、生物が正常な生命活動を維持するための遺伝情報が含まれています。ヒトゲノムは約31億塩基対により構成され、その一部(数%)はタンパク質のアミノ酸配列を規定しており、そうした部位はタンパク質コード遺伝子と呼ばれます。ヒトゲノムには、約25000個のタンパク質コード遺伝子が存在します。


●性特異的遺伝マーカー

 ヒトの細胞核には、22対の常染色体(ヒトは二倍体生物なので44本)と1対の性染色体(女性はX染色体が2本、男性はX染色体とY染色体が1本ずつ)が含まれています。卵子には必ずX染色体が1本含まれますが、精子にはX染色体を含むものとY染色体を含むものがあり、精子が卵子と結合すると、前者ならば女子、後者ならば男子が生まれます。Y染色体は父親から息子にのみ伝わるので、父親の系譜を反映する遺伝マーカーとしてよく利用されます。

 ミトコンドリアは細胞質に存在する細胞小器官で、エネルギー産生や呼吸代謝の役割を担っています。ミトコンドリアもDNAを含んでおり(mtDNA)、核DNAと同様に親から子供に伝わります。受精のさい、父親由来のミトコンドリアは卵子の中に入らないか、入っても破壊されるので、mtDNAは母親からのみ子供に伝わります。この母系遺伝の性質から、mtDNAは母親の系譜を反映する遺伝マーカーとして利用されています。mtDNAは男性も有しており、細胞内のDNA量が多く解析しやすいため、これまでに多くの研究があります。


●SNP

 配偶子が形成されるさい、ひじょうに低い確率ではあるものの、DNA複製エラーによる塩基配列の変化が起きることもあり、突然変異と呼ばれます。突然変異には、塩基置換、塩基の挿入や欠失、繰り返し配列における繰り返し数の増減などがあり、突然変異により生じた新たな塩基配列が、世代経過に伴って集団中で頻度が増加すると、多型として観察されるようになります。ヒトゲノム中で最も高頻度に観察される多型は、SNP(一塩基多型)です。SNPとは、着目する集団において、塩基配列上のある特定の位置に、2種類以上の塩基が存在する部位のことです。SNPの異なる塩基をアレル(対立遺伝子)と呼びます。ヒトの点突然変異(1塩基が別の塩基に置換されること)率は1世代1塩基あたり1.2×10⁻⁸と低いので、大部分のSNPには2種類の塩基しか観察されず、そのほとんどが単一起源と考えられます。単一起源とは、祖先型がGアレルで派生型がAアレルの場合、GアレルからAアレルへの突然変異は過去に1回しか起きていない、ということです。二倍体生物のヒトは両親から相同染色体を1本ずつ受け継ぐので、各SNPに対して3種類の遺伝子型が存在し、たとえばA/GのSNPでは、A/AとA/GとG/Gの3通りの遺伝子型が存在します。

 タンパク質コード遺伝子上にあるSNPのうち、塩基の違いにより異なるアミノ酸となるものを非同義SNP、同じアミノ酸となるものを同義SNPと呼びます。多くのSNPはアメリカ国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information、略してNCBI)に登録されており、rsで始まるIDが付与されています。SNPを構成する2つのアレルのうち、頻度の低い方はマイナーアレル、頻度の高い方はメジャーアレルと呼ばれます。NCBIのdbSNPデータベースには、マイナーアレル頻度が1%以上の非同義SNPが101000個以上、同義SNPが89000個以上登録されています(2020年10月27日時点)。

 日本人を含むアジア東部人に特徴的な表現型を示すSNPに、ABCC11遺伝子上の非同義SNP(rs17822931)とEDAR遺伝子上の非同義SNP(rs3827760)があります。ABCC11はABC(ATP binding Cassette)トランスポータータンパク質の一つで、乳腺やアポクリン腺などの外分泌組織で作用するタンパク質です。rs17822931はABCC11タンパク質の180番目のアミノ酸残基がグリシン(Gアレル)もしくはアルギニン(Aアレル)となるSNPで、アルギニンとなるアレル頻度がアジア東部人では高く、A/A遺伝子型だと耳垢は乾燥型に、G/AもしくはG/G遺伝子型だと耳垢は湿った型になります。EDARはエクトジスプラシンA受容体で、胚発生において重要な役割を果たすタンパク質です。rs3827760はEDAR タンパク質の370番目のアミノ酸塩基がバリン(Tアレル)もしくはアラニン(Cアレル)となるSNPで、Cアレルを持つほど毛髪が太くなり、また切歯のシャベルの度合いが強くなります。乾燥型の耳垢と関連するrs17822931のAアレルには、アジア東部人の祖先集団で強い正の自然選択が作用した可能性が高く(関連記事)、それが明瞭な地域差を生じさせた、と考えられます。


●減数分裂と組換え

 生殖細胞系列で起こる細胞分裂の様式は減数分裂と呼ばれ、細胞が通常増殖するさいの様式は有糸分裂もしくは体細胞分裂と呼ばれます。減数分裂が体細胞分裂と異なる点は、染色体の複製跡に姉妹染色分体となり、2回連続して細胞分裂(減数第一分裂と減数第二分裂)が起きることで、最終的に配偶子では染色体数が分裂前の細胞に半分になることです。減数分裂により遺伝的多様性が生み出される仕組みに、非姉妹染色分体間で染色体の一部が入れ替わる交叉(乗換)があり、各染色体あたり約2ヶ所以上(減数分裂あたり約50ヶ所)で交叉が起きます。これにより、新たな塩基配列を有する染色体(組換え体)が子供に伝わることがあります。同一染色体上の2地点間で組換えが起こる頻度が1%以上の時、その2点間の遺伝距離を1センチモルガン(cM)と呼び、ヒトの場合は1.3cMの距離が約100万塩基に相当します。


●ハプロタイプと連鎖不平衡

 ハプロタイプとは、同一染色体上に存在する複数のSNPのアレルの組み合わせです。観察されるハプロタイプの種類数は、SNP部位間で過去に起きた組換えの回数に依存しており、SNP部位が近接している(正確には、遺伝的距離が短い)と組換え率が低いため、理論上の最大種類数よりも少なくなります。観察されるハプロタイプの種類や各ハプロタイプ頻度は集団により異なりますが、遺伝的に近い集団ではよく似ているので、ヒト集団間の遺伝的近縁関係や、ヒトの移住史の推定に用いられます。


 連鎖不平衡とは、同一染色体上の2つ以上の多型間のアレルに関連がある状態のことです。SNP1(AアレルとGアレル)とSNP2(CアレルとTアレル)により規定されるハプロタイプの場合、A-CとA-TとG-CとG-Tの4種類のハプロタイプが存在し得ます。ハプロタイプの頻度がそれを構成するアレル頻度の積と等しくない場合、両アレルは連鎖不平衡の関係にあると呼ばれ、ハプロタイプ頻度の方がアレル頻度の積よりも大きければ正の連鎖不平衡、小さければ負の連鎖不平衡と呼ばれます。A-CとA-TとG-CとG-Tの各ハプロタイプ頻度をh11とh12とh21とh22とする場合、AアレルとCアレルの各頻度はh11+h12とh11+h21です。AアレルとCアレルの連鎖不平衡係数を、A-Cハプロタイプ頻度からアレル頻度の積を引いたD11=h11- (h11+h12) (h11+h21)と定義すると、D11>0ならばAアレルとCアレルは負の連鎖不平衡、D11>0ならばAアレルとCアレルは負の連鎖不平衡、D11=0ならば、AアレルとCアレルは連鎖平衡にある、と呼ばれます。AアレルとTアレルの連鎖不平衡係数をD12、GアレルとCアレルの連鎖不平衡係数をD21、GアレルとTアレルの連鎖不平衡係数をD22と定義すると、D11=-D12=-D21=D22の関係が常に成立します。


●ゲノム人類学

 全ゲノム配列決定技術が実用化されたことで、ゲノム人類学研究において飛躍的な進展がみられています。ゲノム人類学とは、ヒトゲノムの多様性情報から、人類の進化過程や表現型の多様性の基盤となる遺伝因子を明らかにし、ゲノム水準で「生物としてのヒト」の理解を目指す学問分野と言えます。多くの生物種でゲノム解析が行なわれていますが、公共ゲノムデータベースが最も充実しているのはヒトで、データ解析のフリーソフトウェアも多数公開されています。一昔前までは、実験してDNA配列を決定するという、いわゆるwet解析抜きに研究を進めることは困難でしたが、現在ではデータベースのデータを利用したいわゆるdry解析のみで優れた成果を挙げられます。若い人が参入しやすい点からも、ゲノム人類学は今後ますます発展する、と期待されます。


●アジア人の形成過程

 人の進化を包括的に理解するには、より多くのヒト集団の解析が必要なので、大規模な国際共同研究計画が盛んに行なわれています。その一つにヒトゲノム解析機構(Human Genome Organisation、略してHUGO)の汎アジアSNP共同事業体(Pan-Asian SNP Consortium、略してPASC)があります。PASCでは、アジア人の形成過程を明らかにする目的で、アジアの73集団の1808人について、54794個のSNP遺伝子型が調べられています(関連記事)。

 これまで、アジア東部現代人の祖先集団の形成について、二つの仮説が提案されてきました。一方は、アジア東部集団とアジア南東部集団がアジア大陸南部の沿岸部に沿って到達し、一つの共通祖先を有しており、アジア南東部到達後にアジア東部まで北上した、という説です(南岸経路説)。もう一方は、アジア東部に到達した二つの移住経路があり、南を経由した移住の後に、より北方を経由して到達した(アジア中央部を介してヨーロッパ集団とアジア集団をつないだ)移住があった、という説です(南北両経路説)。代表的なアジア集団と、アフリカ集団とヨーロッパ集団とオセアニア集団とアメリカ大陸先住民集団を含めた、29集団を対象とした系統樹解析により、ヨーロッパ集団とアジアやオセアニアやアメリカ大陸先住民の集団とが分岐した後、オセアニア集団とアジアおよびアメリカ大陸先住民集団とが分岐し、最後にアジア東部集団とアメリカ大陸先住民集団とが分岐した、と示唆されました。なお、本論文はこのように指摘しますが、現生人類各集団間の関係は複雑で(関連記事)、遺伝的に大きく異なる集団間の混合により形成された集団を単純な系統樹に位置づけることには、難しさがあるように思います(関連記事)。

 SNPハプロタイプの多様度に注目すると、南の集団から北の集団にいくほど(緯度に比例して)、その多様性は減少しており、アジア集団の祖先は南から北へと移動してきた、と強く示唆されます。アジア東部集団で観察されるハプロタイプの90%のうち、50%はアジア南東部集団で観察される一方、わずか5%しかアジア中央部および南部集団では観察されませんでした。系統樹解析結果も合わせると、アジア東部集団の主要な起源はアジア南東部にあり、南岸経路説の方が有力と言えそうです。

 ネグリートは、アジア南東部からニューギニア島にかけて住む少数民族です。ネグリートは、低身長や暗い褐色の皮膚や巻毛といった特徴的な表現型を持ち、狩猟採集を営みながら孤立して存続してきたことから、その祖先集団や他のアジア集団との関係については諸説ありました。ネグリートは系統樹解析結果では、アジア東部人やアメリカ大陸先住民とともにオセアニア人から分岐しており、ネグリートの一部集団がアジア東部人やアメリカ大陸先住民と遺伝的に近いことから、ネグリートは他のアジア集団と共通祖先を有している、と考えられます。


●47都道府県の解析

 47都道府県の日本人11069個体の138688ヶ所の常染色体SNP遺伝子型データを用いて、日本人の遺伝的集団構造を調べた研究(関連記事)では、47各都道府県から50個体ずつ無作為抽出され、各SNPのアレル頻度が計算され、漢人(北京)も含めてペアワイズにf2統計量を求めてクラスタ分析が行なわれました。f2統計量とは、2集団間の遺伝距離を測定する尺度の一つで、SNPごとにアレル頻度の集団間差の2乗を計算し、全SNPの平均値として与えられます。クラスタ分析とは、多次元データからデータ点間の非類似度を求め、データ点をグループ分けする多変量解析手法の一つで、この研究では階層的手法の一つであるウォード法が用いられています。47都道府県を4クラスタに分けると、沖縄、東方および北海道、近畿および四国、九州および中国に大別されます(図5.9、図のCHBは北京漢人)。関東や中部の各都県は1クラスタ内に収まりません。これは、関東もしくは中部の都県を遺伝的に近縁な集団とはみなせず、そうした単位で日本人集団の遺伝的構造を論じることは難しい、と示しています。以下は本論文の図5.9(本論文の参照文献より引用)です。
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 47都道府県を対象にした主成分分析結果(図5.10a)では、沖縄県に遺伝的に最も近いのは鹿児島県と示されます。主成分分析とは、多数の変数(多次元データ)から全体のバラツキをよく表す順に互いに直行する変数(主成分)を合成する、多変量解析の1手法です。最も多くの情報を含む第1主成分の値から、沖縄県と鹿児島県の遺伝的近縁性が示されます。これは、単に地理的近さだけではなく、奄美群島の存在も影響していると考えられます。図5.9でクラスタを形成した地方については、九州と東北が沖縄県と遺伝的に近く、近畿と四国が遺伝的に遠い、と示されます。第2主成分は、都道府県の緯度および経度と有意に相関しています。以下は本論文の図5.10(本論文の参照文献より引用)です。
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 日本列島には3万年以上前からヒトが棲んでおり、16000年前頃から縄文時代が始まります(開始の指標を土器だけで定義できるのか、開始も終了も地域差がある、との観点から、縄文時代の期間について議論はあるでしょう)。弥生時代が始まる3000年前頃(この年代についても議論があるとは思います)に、それまで日本に住んでいた「縄文人」が、アジア大陸部から到来してきた「渡来人」と混血した、と考えられています。現代日本人の成立については、おもに北海道のアイヌと、おもに沖縄県の琉球人と、本州・四国・九州を中心とする「本土人」から構成される「二重構造モデル」が想定されています。遺伝学的研究により、「縄文人」と「渡来人」の混血集団の子孫が「本土人」で、アイヌや琉球人、とくに前者は当時の混血の影響をあまり受けていない、と示されています。

 「渡来人」の主要な祖先集団の子孫と想定される北京漢人と、各都道府県のf2統計量を計算すると、沖縄県は漢人から遺伝的に最も遠く、近畿と四国が漢民族に近い(最も近いのは奈良県)、と示されました。したがって、図5.10aにおいて、第1主成分の値が大きい都道府県は「縄文人」と遺伝的に近く、値が小さい都道府県は「渡来人」と近い、と想定されます。大部分の「渡来人」は朝鮮半島経由で日本列島に到達したと考えられますが、朝鮮半島から地理的に近い九州北部ではなく、近畿や四国の人々に「渡来人」の遺伝的構成成分がより多く残っており、近畿と四国には、他地域よりも多くの割合の「渡来人」が流入したかもしれません。


●日本人に特徴的なY染色体

 Y染色体上の組換えを受けない領域の塩基配列の違いに基づいて、「縄文人」由来のY染色体を同定できる可能性があります。日本人男性345個体のY染色体の全塩基配列決定に基づく系統解析(関連記事)では、日本人のY染色体は主要な7系統に分かれました。他のアジア東部集団のY染色体データを含めての解析に基づくと、日本人で35.4%の頻度で見られる系統1は、他のアジア東部人ではほとんど観察されない、と示されました。系統1に属する日本人Y染色体の変異を詳細に解析すると、系統1はYAPという特徴的な変異を有するY染色体ハプログループ(D1a2a)に対応しています。YAP変異は、形態学的に「縄文人」と近縁と考えられているアイヌにおいて、80%以上という高頻度で観察されます。「渡来人」の主要な祖先集団の子孫である韓国人集団や中国人集団には系統1に属するY染色体がほとんど観察されなかったことから、系統1のY染色体は「縄文人」に由来する、と結論づけられます。なお、同一検体のmtDNAの系統解析からは、明らかに「縄文人」由来と想定されるような系統は検出されませんでした。


●今後の課題

 日本列島「本土人」の常染色体のゲノム成分の80%程度は「渡来人」由来と推定されており(関連記事)、「縄文人」と「渡来人」の混血割合は2:8程度だったと思われます。縄文時代晩期の人口は8万人程度と推定されており、その居住範囲は日本列島全域にわたっていました。混血割合から単純に考えると、32万人の「渡来人」が渡海して日本列島に流入したことになりますが、この推定値は多すぎると思われます。より少ない「渡来人」が日本列島で優勢になる可能性として、「渡来人」との戦闘により「縄文人」が激減した可能性も想定されます。しかし、「縄文人」由来の系統1のY染色体の割合が現代日本人では35%となることから、仮に大多数の「縄文人」男性が系統1のY染色体を有していても、2:8の混血割合であれば、せいぜい20%にしかならないはずです。戦闘でまず犠牲になるのは男性であることが多く、系統1のY染色体の頻度はさらに低くなるでしょう。この問題も含めて、日本人の集団史には未解明の問題が残っています。


 以上、本論文についてざっと見てきました。現代日本人は先住の「縄文人」と弥生時代以降にアジア大陸部から新たに日本列島に到来してきた「渡来人」との混合により形成された、との見解は現代日本社会においてかなり定着してきたように思います。しかし、近年の古代DNA研究の進展から、その形成過程はかなり複雑だったように思われます(関連記事)。朝鮮半島において、「縄文人」的構成要素でゲノムをモデル化できる個体が8300年前頃から確認されており、2800〜2500年前頃の朝鮮半島中部西岸の個体は日本列島「本土」現代人と遺伝的構成がよく似ています。これらを踏まえると、日本列島「本土」現代人の基本的な遺伝的構成は朝鮮半島において紀元前千年紀初頭には確立しており、この集団が弥生時代以降に日本列島に到来して勢力を拡大した、と考えられます。

 さらに、朝鮮半島では紀元前千年紀後期以降に人類集団の遺伝的構成に大きな変化があって現代北京漢人により近づき、そうした集団が弥生時代後期から飛鳥時代にかけて到来し、日本列島「本土」現代人の祖先集団に遺伝的影響を残した、と現時点では想定しています。47都道府県単位で奈良県民が遺伝的に最も北京漢人に近いのは、古墳時代から飛鳥時代に朝鮮半島から渡来した集団がおもにヤマト王権の中心地域に移住した結果だろう、と推測しています。また本論文では、「縄文人」由来と考えられる系統1のY染色体の割合が日本列島「本土」現代人で高い、と指摘されていますが、そのうち一定以上の割合は弥生時代以降に朝鮮半島から到来した可能性が高いように思います。もちろん、こうした私見も日本列島、さらにはユーラシア東部の人口史を過度に単純化しているのでしょうし、今後の古代DNA研究の進展により大きく見直す必要が出てくるかもしれません。


参考文献:
大橋順(2021)「アジア人・日本人の遺伝的多様性 ゲノム情報から推定するヒトの移住と混血の過程」井原泰雄、梅ア昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』(東京大学出版会)第5章P78-91

https://sicambre.at.webry.info/202111/article_10.html
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/258.html#c7

[近代史02] 弥生人の起源 _ 自称専門家の嘘に騙されない為に これ位は知っておこう 中川隆
301. 中川隆[-15396] koaQ7Jey 2021年11月10日 16:02:16 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[29]
雑記帳
2021年11月10日
大橋順「アジア人・日本人の遺伝的多様性 ゲノム情報から推定するヒトの移住と混血の過程」
https://sicambre.at.webry.info/202111/article_10.html


 井原泰雄、梅ア昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』所収の論文です。ヒトゲノムとは、ヒト(Homo sapiens)が持つ遺伝情報(全DNA配列)の1セットのことです。あらゆる生物の基本単位は細胞で、赤血球以外のヒトの体細胞は核膜で囲まれた球状の細胞核を持っています。細胞核の中に染色体があり、各染色体はヒストンとよばれるタンパク質にデオキシリボ核酸(DNA)が巻きついた棒状の構造をしています。DNAの最小単位(ヌクレオチド)は、塩基と糖とリン酸から構成されています。塩基にはアデニン(A)とグアニン(G)とシトシン(C)とチミン(T)の4種類があり、ヌクレオチドにはそのうち1塩基が結合しています。ヌクレオチドはリン酸を介して鎖状につながっており、DNA鎖と呼ばれます。2本のDNA鎖の塩基同士は水素結合によりつながっており、二重螺旋構造となっています。向かい合う塩基の組み合わせは特異的で相補的な関係にあり、具体的にはAとT、GとCです。DNA鎖における4種類の塩基の組み合わせが塩基配列で、生物が正常な生命活動を維持するための遺伝情報が含まれています。ヒトゲノムは約31億塩基対により構成され、その一部(数%)はタンパク質のアミノ酸配列を規定しており、そうした部位はタンパク質コード遺伝子と呼ばれます。ヒトゲノムには、約25000個のタンパク質コード遺伝子が存在します。


●性特異的遺伝マーカー

 ヒトの細胞核には、22対の常染色体(ヒトは二倍体生物なので44本)と1対の性染色体(女性はX染色体が2本、男性はX染色体とY染色体が1本ずつ)が含まれています。卵子には必ずX染色体が1本含まれますが、精子にはX染色体を含むものとY染色体を含むものがあり、精子が卵子と結合すると、前者ならば女子、後者ならば男子が生まれます。Y染色体は父親から息子にのみ伝わるので、父親の系譜を反映する遺伝マーカーとしてよく利用されます。

 ミトコンドリアは細胞質に存在する細胞小器官で、エネルギー産生や呼吸代謝の役割を担っています。ミトコンドリアもDNAを含んでおり(mtDNA)、核DNAと同様に親から子供に伝わります。受精のさい、父親由来のミトコンドリアは卵子の中に入らないか、入っても破壊されるので、mtDNAは母親からのみ子供に伝わります。この母系遺伝の性質から、mtDNAは母親の系譜を反映する遺伝マーカーとして利用されています。mtDNAは男性も有しており、細胞内のDNA量が多く解析しやすいため、これまでに多くの研究があります。


●SNP

 配偶子が形成されるさい、ひじょうに低い確率ではあるものの、DNA複製エラーによる塩基配列の変化が起きることもあり、突然変異と呼ばれます。突然変異には、塩基置換、塩基の挿入や欠失、繰り返し配列における繰り返し数の増減などがあり、突然変異により生じた新たな塩基配列が、世代経過に伴って集団中で頻度が増加すると、多型として観察されるようになります。ヒトゲノム中で最も高頻度に観察される多型は、SNP(一塩基多型)です。SNPとは、着目する集団において、塩基配列上のある特定の位置に、2種類以上の塩基が存在する部位のことです。SNPの異なる塩基をアレル(対立遺伝子)と呼びます。ヒトの点突然変異(1塩基が別の塩基に置換されること)率は1世代1塩基あたり1.2×10⁻⁸と低いので、大部分のSNPには2種類の塩基しか観察されず、そのほとんどが単一起源と考えられます。単一起源とは、祖先型がGアレルで派生型がAアレルの場合、GアレルからAアレルへの突然変異は過去に1回しか起きていない、ということです。二倍体生物のヒトは両親から相同染色体を1本ずつ受け継ぐので、各SNPに対して3種類の遺伝子型が存在し、たとえばA/GのSNPでは、A/AとA/GとG/Gの3通りの遺伝子型が存在します。

 タンパク質コード遺伝子上にあるSNPのうち、塩基の違いにより異なるアミノ酸となるものを非同義SNP、同じアミノ酸となるものを同義SNPと呼びます。多くのSNPはアメリカ国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information、略してNCBI)に登録されており、rsで始まるIDが付与されています。SNPを構成する2つのアレルのうち、頻度の低い方はマイナーアレル、頻度の高い方はメジャーアレルと呼ばれます。NCBIのdbSNPデータベースには、マイナーアレル頻度が1%以上の非同義SNPが101000個以上、同義SNPが89000個以上登録されています(2020年10月27日時点)。

 日本人を含むアジア東部人に特徴的な表現型を示すSNPに、ABCC11遺伝子上の非同義SNP(rs17822931)とEDAR遺伝子上の非同義SNP(rs3827760)があります。ABCC11はABC(ATP binding Cassette)トランスポータータンパク質の一つで、乳腺やアポクリン腺などの外分泌組織で作用するタンパク質です。rs17822931はABCC11タンパク質の180番目のアミノ酸残基がグリシン(Gアレル)もしくはアルギニン(Aアレル)となるSNPで、アルギニンとなるアレル頻度がアジア東部人では高く、A/A遺伝子型だと耳垢は乾燥型に、G/AもしくはG/G遺伝子型だと耳垢は湿った型になります。EDARはエクトジスプラシンA受容体で、胚発生において重要な役割を果たすタンパク質です。rs3827760はEDAR タンパク質の370番目のアミノ酸塩基がバリン(Tアレル)もしくはアラニン(Cアレル)となるSNPで、Cアレルを持つほど毛髪が太くなり、また切歯のシャベルの度合いが強くなります。乾燥型の耳垢と関連するrs17822931のAアレルには、アジア東部人の祖先集団で強い正の自然選択が作用した可能性が高く(関連記事)、それが明瞭な地域差を生じさせた、と考えられます。


●減数分裂と組換え

 生殖細胞系列で起こる細胞分裂の様式は減数分裂と呼ばれ、細胞が通常増殖するさいの様式は有糸分裂もしくは体細胞分裂と呼ばれます。減数分裂が体細胞分裂と異なる点は、染色体の複製跡に姉妹染色分体となり、2回連続して細胞分裂(減数第一分裂と減数第二分裂)が起きることで、最終的に配偶子では染色体数が分裂前の細胞に半分になることです。減数分裂により遺伝的多様性が生み出される仕組みに、非姉妹染色分体間で染色体の一部が入れ替わる交叉(乗換)があり、各染色体あたり約2ヶ所以上(減数分裂あたり約50ヶ所)で交叉が起きます。これにより、新たな塩基配列を有する染色体(組換え体)が子供に伝わることがあります。同一染色体上の2地点間で組換えが起こる頻度が1%以上の時、その2点間の遺伝距離を1センチモルガン(cM)と呼び、ヒトの場合は1.3cMの距離が約100万塩基に相当します。


●ハプロタイプと連鎖不平衡

 ハプロタイプとは、同一染色体上に存在する複数のSNPのアレルの組み合わせです。観察されるハプロタイプの種類数は、SNP部位間で過去に起きた組換えの回数に依存しており、SNP部位が近接している(正確には、遺伝的距離が短い)と組換え率が低いため、理論上の最大種類数よりも少なくなります。観察されるハプロタイプの種類や各ハプロタイプ頻度は集団により異なりますが、遺伝的に近い集団ではよく似ているので、ヒト集団間の遺伝的近縁関係や、ヒトの移住史の推定に用いられます。


 連鎖不平衡とは、同一染色体上の2つ以上の多型間のアレルに関連がある状態のことです。SNP1(AアレルとGアレル)とSNP2(CアレルとTアレル)により規定されるハプロタイプの場合、A-CとA-TとG-CとG-Tの4種類のハプロタイプが存在し得ます。ハプロタイプの頻度がそれを構成するアレル頻度の積と等しくない場合、両アレルは連鎖不平衡の関係にあると呼ばれ、ハプロタイプ頻度の方がアレル頻度の積よりも大きければ正の連鎖不平衡、小さければ負の連鎖不平衡と呼ばれます。A-CとA-TとG-CとG-Tの各ハプロタイプ頻度をh11とh12とh21とh22とする場合、AアレルとCアレルの各頻度はh11+h12とh11+h21です。AアレルとCアレルの連鎖不平衡係数を、A-Cハプロタイプ頻度からアレル頻度の積を引いたD11=h11- (h11+h12) (h11+h21)と定義すると、D11>0ならばAアレルとCアレルは負の連鎖不平衡、D11>0ならばAアレルとCアレルは負の連鎖不平衡、D11=0ならば、AアレルとCアレルは連鎖平衡にある、と呼ばれます。AアレルとTアレルの連鎖不平衡係数をD12、GアレルとCアレルの連鎖不平衡係数をD21、GアレルとTアレルの連鎖不平衡係数をD22と定義すると、D11=-D12=-D21=D22の関係が常に成立します。


●ゲノム人類学

 全ゲノム配列決定技術が実用化されたことで、ゲノム人類学研究において飛躍的な進展がみられています。ゲノム人類学とは、ヒトゲノムの多様性情報から、人類の進化過程や表現型の多様性の基盤となる遺伝因子を明らかにし、ゲノム水準で「生物としてのヒト」の理解を目指す学問分野と言えます。多くの生物種でゲノム解析が行なわれていますが、公共ゲノムデータベースが最も充実しているのはヒトで、データ解析のフリーソフトウェアも多数公開されています。一昔前までは、実験してDNA配列を決定するという、いわゆるwet解析抜きに研究を進めることは困難でしたが、現在ではデータベースのデータを利用したいわゆるdry解析のみで優れた成果を挙げられます。若い人が参入しやすい点からも、ゲノム人類学は今後ますます発展する、と期待されます。


●アジア人の形成過程

 人の進化を包括的に理解するには、より多くのヒト集団の解析が必要なので、大規模な国際共同研究計画が盛んに行なわれています。その一つにヒトゲノム解析機構(Human Genome Organisation、略してHUGO)の汎アジアSNP共同事業体(Pan-Asian SNP Consortium、略してPASC)があります。PASCでは、アジア人の形成過程を明らかにする目的で、アジアの73集団の1808人について、54794個のSNP遺伝子型が調べられています(関連記事)。

 これまで、アジア東部現代人の祖先集団の形成について、二つの仮説が提案されてきました。一方は、アジア東部集団とアジア南東部集団がアジア大陸南部の沿岸部に沿って到達し、一つの共通祖先を有しており、アジア南東部到達後にアジア東部まで北上した、という説です(南岸経路説)。もう一方は、アジア東部に到達した二つの移住経路があり、南を経由した移住の後に、より北方を経由して到達した(アジア中央部を介してヨーロッパ集団とアジア集団をつないだ)移住があった、という説です(南北両経路説)。代表的なアジア集団と、アフリカ集団とヨーロッパ集団とオセアニア集団とアメリカ大陸先住民集団を含めた、29集団を対象とした系統樹解析により、ヨーロッパ集団とアジアやオセアニアやアメリカ大陸先住民の集団とが分岐した後、オセアニア集団とアジアおよびアメリカ大陸先住民集団とが分岐し、最後にアジア東部集団とアメリカ大陸先住民集団とが分岐した、と示唆されました。なお、本論文はこのように指摘しますが、現生人類各集団間の関係は複雑で(関連記事)、遺伝的に大きく異なる集団間の混合により形成された集団を単純な系統樹に位置づけることには、難しさがあるように思います(関連記事)。

 SNPハプロタイプの多様度に注目すると、南の集団から北の集団にいくほど(緯度に比例して)、その多様性は減少しており、アジア集団の祖先は南から北へと移動してきた、と強く示唆されます。アジア東部集団で観察されるハプロタイプの90%のうち、50%はアジア南東部集団で観察される一方、わずか5%しかアジア中央部および南部集団では観察されませんでした。系統樹解析結果も合わせると、アジア東部集団の主要な起源はアジア南東部にあり、南岸経路説の方が有力と言えそうです。

 ネグリートは、アジア南東部からニューギニア島にかけて住む少数民族です。ネグリートは、低身長や暗い褐色の皮膚や巻毛といった特徴的な表現型を持ち、狩猟採集を営みながら孤立して存続してきたことから、その祖先集団や他のアジア集団との関係については諸説ありました。ネグリートは系統樹解析結果では、アジア東部人やアメリカ大陸先住民とともにオセアニア人から分岐しており、ネグリートの一部集団がアジア東部人やアメリカ大陸先住民と遺伝的に近いことから、ネグリートは他のアジア集団と共通祖先を有している、と考えられます。


●47都道府県の解析

 47都道府県の日本人11069個体の138688ヶ所の常染色体SNP遺伝子型データを用いて、日本人の遺伝的集団構造を調べた研究(関連記事)では、47各都道府県から50個体ずつ無作為抽出され、各SNPのアレル頻度が計算され、漢人(北京)も含めてペアワイズにf2統計量を求めてクラスタ分析が行なわれました。f2統計量とは、2集団間の遺伝距離を測定する尺度の一つで、SNPごとにアレル頻度の集団間差の2乗を計算し、全SNPの平均値として与えられます。クラスタ分析とは、多次元データからデータ点間の非類似度を求め、データ点をグループ分けする多変量解析手法の一つで、この研究では階層的手法の一つであるウォード法が用いられています。47都道府県を4クラスタに分けると、沖縄、東方および北海道、近畿および四国、九州および中国に大別されます(図5.9、図のCHBは北京漢人)。関東や中部の各都県は1クラスタ内に収まりません。これは、関東もしくは中部の都県を遺伝的に近縁な集団とはみなせず、そうした単位で日本人集団の遺伝的構造を論じることは難しい、と示しています。以下は本論文の図5.9(本論文の参照文献より引用)です。
画像

 47都道府県を対象にした主成分分析結果(図5.10a)では、沖縄県に遺伝的に最も近いのは鹿児島県と示されます。主成分分析とは、多数の変数(多次元データ)から全体のバラツキをよく表す順に互いに直行する変数(主成分)を合成する、多変量解析の1手法です。最も多くの情報を含む第1主成分の値から、沖縄県と鹿児島県の遺伝的近縁性が示されます。これは、単に地理的近さだけではなく、奄美群島の存在も影響していると考えられます。図5.9でクラスタを形成した地方については、九州と東北が沖縄県と遺伝的に近く、近畿と四国が遺伝的に遠い、と示されます。第2主成分は、都道府県の緯度および経度と有意に相関しています。以下は本論文の図5.10(本論文の参照文献より引用)です。
画像

 日本列島には3万年以上前からヒトが棲んでおり、16000年前頃から縄文時代が始まります(開始の指標を土器だけで定義できるのか、開始も終了も地域差がある、との観点から、縄文時代の期間について議論はあるでしょう)。弥生時代が始まる3000年前頃(この年代についても議論があるとは思います)に、それまで日本に住んでいた「縄文人」が、アジア大陸部から到来してきた「渡来人」と混血した、と考えられています。現代日本人の成立については、おもに北海道のアイヌと、おもに沖縄県の琉球人と、本州・四国・九州を中心とする「本土人」から構成される「二重構造モデル」が想定されています。遺伝学的研究により、「縄文人」と「渡来人」の混血集団の子孫が「本土人」で、アイヌや琉球人、とくに前者は当時の混血の影響をあまり受けていない、と示されています。

 「渡来人」の主要な祖先集団の子孫と想定される北京漢人と、各都道府県のf2統計量を計算すると、沖縄県は漢人から遺伝的に最も遠く、近畿と四国が漢民族に近い(最も近いのは奈良県)、と示されました。したがって、図5.10aにおいて、第1主成分の値が大きい都道府県は「縄文人」と遺伝的に近く、値が小さい都道府県は「渡来人」と近い、と想定されます。大部分の「渡来人」は朝鮮半島経由で日本列島に到達したと考えられますが、朝鮮半島から地理的に近い九州北部ではなく、近畿や四国の人々に「渡来人」の遺伝的構成成分がより多く残っており、近畿と四国には、他地域よりも多くの割合の「渡来人」が流入したかもしれません。


●日本人に特徴的なY染色体

 Y染色体上の組換えを受けない領域の塩基配列の違いに基づいて、「縄文人」由来のY染色体を同定できる可能性があります。日本人男性345個体のY染色体の全塩基配列決定に基づく系統解析(関連記事)では、日本人のY染色体は主要な7系統に分かれました。他のアジア東部集団のY染色体データを含めての解析に基づくと、日本人で35.4%の頻度で見られる系統1は、他のアジア東部人ではほとんど観察されない、と示されました。系統1に属する日本人Y染色体の変異を詳細に解析すると、系統1はYAPという特徴的な変異を有するY染色体ハプログループ(D1a2a)に対応しています。YAP変異は、形態学的に「縄文人」と近縁と考えられているアイヌにおいて、80%以上という高頻度で観察されます。「渡来人」の主要な祖先集団の子孫である韓国人集団や中国人集団には系統1に属するY染色体がほとんど観察されなかったことから、系統1のY染色体は「縄文人」に由来する、と結論づけられます。なお、同一検体のmtDNAの系統解析からは、明らかに「縄文人」由来と想定されるような系統は検出されませんでした。


●今後の課題

 日本列島「本土人」の常染色体のゲノム成分の80%程度は「渡来人」由来と推定されており(関連記事)、「縄文人」と「渡来人」の混血割合は2:8程度だったと思われます。縄文時代晩期の人口は8万人程度と推定されており、その居住範囲は日本列島全域にわたっていました。混血割合から単純に考えると、32万人の「渡来人」が渡海して日本列島に流入したことになりますが、この推定値は多すぎると思われます。より少ない「渡来人」が日本列島で優勢になる可能性として、「渡来人」との戦闘により「縄文人」が激減した可能性も想定されます。しかし、「縄文人」由来の系統1のY染色体の割合が現代日本人では35%となることから、仮に大多数の「縄文人」男性が系統1のY染色体を有していても、2:8の混血割合であれば、せいぜい20%にしかならないはずです。戦闘でまず犠牲になるのは男性であることが多く、系統1のY染色体の頻度はさらに低くなるでしょう。この問題も含めて、日本人の集団史には未解明の問題が残っています。


 以上、本論文についてざっと見てきました。現代日本人は先住の「縄文人」と弥生時代以降にアジア大陸部から新たに日本列島に到来してきた「渡来人」との混合により形成された、との見解は現代日本社会においてかなり定着してきたように思います。しかし、近年の古代DNA研究の進展から、その形成過程はかなり複雑だったように思われます(関連記事)。朝鮮半島において、「縄文人」的構成要素でゲノムをモデル化できる個体が8300年前頃から確認されており、2800〜2500年前頃の朝鮮半島中部西岸の個体は日本列島「本土」現代人と遺伝的構成がよく似ています。これらを踏まえると、日本列島「本土」現代人の基本的な遺伝的構成は朝鮮半島において紀元前千年紀初頭には確立しており、この集団が弥生時代以降に日本列島に到来して勢力を拡大した、と考えられます。

 さらに、朝鮮半島では紀元前千年紀後期以降に人類集団の遺伝的構成に大きな変化があって現代北京漢人により近づき、そうした集団が弥生時代後期から飛鳥時代にかけて到来し、日本列島「本土」現代人の祖先集団に遺伝的影響を残した、と現時点では想定しています。47都道府県単位で奈良県民が遺伝的に最も北京漢人に近いのは、古墳時代から飛鳥時代に朝鮮半島から渡来した集団がおもにヤマト王権の中心地域に移住した結果だろう、と推測しています。また本論文では、「縄文人」由来と考えられる系統1のY染色体の割合が日本列島「本土」現代人で高い、と指摘されていますが、そのうち一定以上の割合は弥生時代以降に朝鮮半島から到来した可能性が高いように思います。もちろん、こうした私見も日本列島、さらにはユーラシア東部の人口史を過度に単純化しているのでしょうし、今後の古代DNA研究の進展により大きく見直す必要が出てくるかもしれません。


参考文献:
大橋順(2021)「アジア人・日本人の遺伝的多様性 ゲノム情報から推定するヒトの移住と混血の過程」井原泰雄、梅ア昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』(東京大学出版会)第5章P78-91

https://sicambre.at.webry.info/202111/article_10.html
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/547.html#c301

[近代史7] 日本のスピーカーは どんな名作でもすぐに消えてしまう 中川隆
1. 2021年11月10日 16:51:03 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[30]
昭和の日本のスピーカーは世界最高峰だった
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/443.html
http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/376.html#c1
[近代史4] ナチス時代のフルトヴェングラーは一体何を考えていたのか? 中川隆
15. 中川隆[-15395] koaQ7Jey 2021年11月10日 17:23:23 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[31]
903名無しの笛の踊り2021/10/31(日) 19:13:55.60ID:5gPbbBIO>>904
55枚組のうち、CD29と30を聞きました。

・シューベルト「交響曲第9(?)番『グレート』」
 DGから提供された音源ということになりますが、どういう形で音源が提供されたのか分かりません。
 シーッ、というテープヒスノイズのようにもLPレコードの針音のようにも聞こえる音が持続しますが、鑑賞の邪魔にはなりません。
 演奏は、戦中のライブと違ってフルトヴェングラーにしてはじっくりと造形に取り組んだ演奏です。

・フルトヴェングラー「交響曲第2番」
 ヒスノイズ(?)はグレートよりずっとましで、音質良好の部類に属します。
 まあヘッドホンで聞けば本家DG盤には敵わないのかもしれませんが。
 演奏は、レコード録音だけに、さほど劇的な表現をしていません。そして、それが必ずしも吉と出ていない所が問題です。
 そもそも彼は作曲家としては、主題の性格を書き分けるのが上手いとは思えません。第1主題提示部も第2主題提示部も展開部も似たり寄ったりです。
 そういう曲からライブで聞ける派手なフルトヴェングラー節を取り除いてしまったら、欠点が目立つだけでしょう。

・ハイドン「交響曲第88番」
 音質はやはり良好です。
 演奏も、ハイドンが極めて古典的に作っている曲だけに、フルトヴェングラーも変な緩急を付けることは無く、それが今度は吉と出た印象です。

次はブリュンヒルデの自己犠牲のLP用再録音とマーラーの歌曲です。今回のような難行苦行にはならずに聞けそうです。

906 2021/11/01(月) 19:37:04.39ID:/Ak7yX8y

55枚組のうち、CD31を聞きました。

・ワーグナー「神々の黄昏」より ブリュンヒルデの自己犠牲
 音質はLP時代のワーナー自社音源、それも指揮者がロンドンに出向いての録音テープ由来とあって、良好です。
 演奏も、フラグスタートは声の力で聞かせるよりも絶妙な技の力で聞かせる感じで、SP盤よりも深みのある劇的表現です。

・マーラー「さすらう若人の歌」
 この曲、さすらう若人の歌というのは誤訳で、「遍歴職人の歌」です。既に指摘されていますし、私のつたないドイツ語力でも分かります。
 まあ遍歴職人なら若いし、さすらってもいるから、100%の誤訳ではないかもしれませんが、若い金持ちの暇な旅人と思われると困ります。
 音質は上記同様、良好です。
 演奏もフィーッシャー=ディースカウが既に絶妙の技を聞かせ、マーラーが苦手だった指揮者もフィルハーモニア管を率いて好演しています。

次の一枚はベートヴェンの1番、6番です。低音が効いていればいいのですが、上の方の書き込みでは、駄目だってさ…

917名無しの笛の踊り2021/11/02(火) 20:09:51.45ID:vsQGvSTS
55枚組のうち、CD32を聞きました。

・ベートーヴェン「交響曲第1番」
 音質は、この曲をリマスターするなら十分通用します。
 演奏はいつものフルトヴェングラー流で、軽く演奏されがちなこの曲が非常に重厚な造りに仕上がっています。

・ベートーヴェン「交響曲第6番『田園』」
 これは音質がややまずい。上の方でご指摘がありましたが、低音が効いていません。(SP時代の7番よりは少しマシ。)
 フルトヴェングラーがベートーヴェンの大交響曲を演奏したなら、音はコントラバスがググーッと盛大に鳴らないと本来の味が出ません。
 演奏は、全体としては指揮者の言いたいことは分かるのですが、肝心のバスが効いていないため、ただの間延びした「田園」に聞こえる箇所があります。
 やはり、低音に支えられての本演奏だった、と分かる一枚です。(情けないなぁ…)

次はLPのエロイカです。これも葬送行進曲はバスに支えられていないと困るんですがねぇ。

920名無しの笛の踊り2021/11/03(水) 18:58:25.81ID:Sz96BrC3>>921
55枚組のうち、CD33、ベートーヴェンの「交響曲第3番『英雄』」を聞きました。

音質は、相変わらず低音が効いていません。
頭にきたので、私の安物アンプの安物簡易イコライザーでバスのつまみをプラスにぐいっと上げてもう一度聞き直しました。
驚きました。別の演奏ではないかと疑うような効果が出ました。
コントラバスが全演奏を支えているし、柔らかい撥で重く打ったティンパニも効果抜群です。
この「英雄」は名演ですが、それも音のバランスに支えられてのことだ、と認識させられました。

次の一枚はベートヴェン4番のLP再録音とワーグナーのタンホイザー序曲です。
まあ曲の性格から言って、低音を持ち上げなくてもそれなりの効果は期待できるでしょう。


935名無しの笛の踊り2021/11/04(木) 18:55:37.53ID:ujcMbkhJ
55枚組のうち、CD34を聞きました。

・ベートーヴェン「交響曲第4番」
 音質は予想した通り、低音の弱さが気になる曲ではありませんでした。
 演奏は、第2〜4楽章はSP録音と大差ありません。
 しかし第1楽章がSP盤に比べて驚くほど生気あふれる演奏になっています。あえて優劣を付けるなら、こちらのLP録音が良いでしょう。

・ワーグナー「タンホイザー」より 序曲
 音質は上に同じく、問題ありません。
 演奏は、SP盤でヴェーヌス賛歌の旋律に絡む弦楽器のシャカシャカシャカシャカがほとんど聞こえませんでしたが、大分改善されました。
 本音を言えばもっともっと盛大に鳴ってほしかったのですが、私の安物スピーカーではこれが我慢のしどころでしょう。

次はベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲、メニューインとのコンビでの再録音がメインです。これも低音の効きはさして必要ないでしょう。

938名無しの笛の踊り2021/11/05(金) 19:53:39.14ID:+0xtcB2a>>939>>942
55枚組のうち、CD35を聞きました。

・ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」 独奏 メニューイン
 音質は思っていた通り、低音の効きの悪さが問題になる曲目ではありませんでした。
 演奏は、SP録音と比べると独奏者、指揮者とも演奏の自由度が上がり、どちらを取るかということになれば、やはりこちらでしょう。

・ベートーヴェン「ロマンス」第1番、第2番 独奏 メニューイン
 音質は大変に良好です。
 演奏は… メニューインがいかに技術で聞かせる人ではないといっても、物事には限度というものがあります。
 何か、メニューインが風邪で倒れ、隣家のおっさんがバイオリンを趣味で弾く人だから連れてきて弾かせた、とでも言うような…

次はDGのシューマン4番、デッカのフランク交響曲と、借り物づくしです。どんな音になっているのやら。

954名無しの笛の踊り2021/11/06(土) 21:18:53.79ID:MytvCiJ6
55枚組のうち、CD36を聞きました。

・シューマン「交響曲第4番」
 DGから提供された音源、ということになりますが、どういう形で提供されたのかは分かりません。
 盤面ノイズにもテープヒスにも聞こえる「サーッ」というノイズが持続しますが、気にはなりません。
 演奏は、指揮者の個性と曲の相性がぴたりと合った名演だと思います。

・フランク「交響曲ニ短調」
 こちらはデッカから提供された音源ですが、音質はノイズもほとんどなく、上記シューマン4番より良好です。
 演奏は、フルトヴェングラーが音楽を丁寧に作り込んでいるのは分かります。
 しかしそれが必ずしも良い結果をもたらさず、ことに長大な第1楽章はちょっと“持たない”感じです。
 この曲には戦争中のライブ録音も残っていますが、勢いで聞かせるそちらのライブと比べてしまうと、どうしても見劣りがします。

次はバルトークのヴァイオリン協奏曲です。この演奏も聞いたことはあるのですが、久しぶりに新リマスターでまた聞いてみます。

974名無しの笛の踊り2021/11/07(日) 18:52:40.68ID:qLoXvACT
55枚組のうち、CD37、バルトーク「ヴァイオリン協奏曲第2番」を聞きました。

音質は非常に良好です。
演奏は、独奏のメニューインが出だしでやや音が不安定になる所もありますが、この難曲を良く弾きこなしています。
フルトヴェングラーの棒も、昔取った杵柄で(?)、好調に独奏者を支えています。

さて、次はLP再録音、指揮者の没後発売となったベートーヴェンの5番です。これはバスが聞こえてこないとまずいなぁ。


983名無しの笛の踊り2021/11/08(月) 19:11:31.51ID:nX8sEV/f
55枚組のうち、CD38、ベートーヴェン「交響曲第5番」を聞きました。

音質は全然ダメです。コントラバスが全く聞こえてこない。まるでSP録音の運命のような音がします。
私の安アンプの低音のツマミをプラスに回してもう一度聞きました。従来盤で聞けた、あの重厚な音楽が聞こえてきました。
演奏についての新しい発見は、全体の尺は長くなっているものの、解釈自体は'37年録音の運命と以外に共通性が高いことです。
低音を持ち上げずにバス、ティンパニ無しで演奏しているような本盤の音で聞くと、やはり同じ指揮者の演奏だと強く感じます。
これはバスとティンパニの効いた従来盤では分からなかった、新しい発見でした。

次はワーグナーの小品集、R.シュトラウス、リストの交響詩です。今回のように運命を2度聞くよりも楽に聞けるでしょう。

991名無しの笛の踊り2021/11/09(火) 20:00:19.05ID:ezN4gyUV
55枚組のうち、CD39を聞きました。

・ワーグナー「ジークフリートの葬送行進曲」
 SPで既に録音していた曲のLP用再録音ですが、音質はLP用とあって非常に良好です。
 演奏も、SP録音より自由で劇的な表現が豊かになりました。商業用録音としてはフルトヴェングラーの決定版でしょう。
 ただ、DGから出ているライブと比較すると、冒頭のティンパニのピアニシモの表現など、DG盤を好む人もいるかもしれません。

・ワーグナー「ジークフリートのラインへの旅」
 これもLPへの再録音で、音質は良好です。
 演奏は、SP盤に比べて大きな違いはありませんが、やはり表現の幅が増し、恰幅がいい演奏になりました。

・リヒャルト・シュトラウス「ドン・フアン」
 やはりLP向け再録音で音は見違えるように良くなりました。
 演奏も、モノラルであることを我慢すれば十分現代に通用する名演です。

・リヒャルト・シュトラウス「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
 これまたLP向け再録音、音は大変良好です。
 フルトヴェングラーの「ティル」はライブも含めて何種類かありますが、この正規録音が一番の好演です。
 いくらステレオが発達したとはいえ、この演奏を超える「ティル」はそうそう出てこないでしょう。

・リスト「交響詩『前奏曲』」
 音質はこの曲でも大変に良好です。55枚組には珍しく(?)「当たり」の1枚となりました。
 演奏もこの曲の劇的性格を見事に表現し切っている名演です。
 リストの本曲はナチス時代に宣伝に利用されたため、戦後西ドイツでは鑑賞が暗黙のタブーとなっていました。
 フルトヴェングラーのこの1枚の発売でリストのこの曲の鑑賞も復権を果たした、といういわくつきの1枚です。

さて、次は諸作曲家の序曲集です。これも肩が凝らずに聞けそうです。

https://lavender.5ch.net/test/read.cgi/classical/1620879500/
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/639.html#c15

[リバイバル3] ドイツ人はお腹がいっぱいになれば食べる物は何でもいい 中川隆
17. 2021年11月10日 18:21:36 : lCCO7qVYNQ : TkZaNEtBbjVhVkU=[32]
日本人は戦前からドイツ人の民族性や文化、国力を高く評価していたからだ。質実剛健で尚武の精神に富んだゲルマン民族は、ナチスが言わなくても「そうだよねぇ〜」と判る。帝國陸軍の若き士官がドイツに留学すると、その高度な文明水準に驚嘆した。文系の留学生も軍事訓練や戦術・戦略論ばかりでなく、医学や物理、科学、文学、哲学などを学んでいたから当然である。

戦前の日本人は武人気質を重んじたから、歐洲随一を誇るドイツ陸軍には憧れに近い感情を抱いていた。一般人でもクラウゼヴィッツの『戦争論』を読んだし、「沙漠の狐(Wüstenfuchs)」と呼ばれたエルウィン・ロンメル(Erwin E. Rommel)将軍やウィルヘルム・カイテル(Wilhelm B.J.G. Keitel)元帥、機甲師団を率いたハインツ・グデーリアン(Heinz W. Guderian)将軍は今でも人気が高い。第19世紀のドイツは自然科学の分野で飛ぶ鳥を落とす勢いたった。日本の科学者はブリテンの科学技術を超えるドイツの科学水準に魅了されたし、イギリス人も勃興するドイツの科学技術に危機感を募らせていた。量子力学や生理学、化学工業、医学、数学、電子工学などを専攻する日本人なら、「カイザー・ウィルヘルム研究所」のことを知っているから、ドイツの学術貢献に大変な敬意を払っている。

Erwin Rommel 001Wilhelm Keitel 0021Heinz Guderian 01German girl 5

(左 : エルウィン・ロンメル / ウィルヘルム・カイテル / ハインツ・グデーリアン / 右 : 雑誌の表紙になったドイツ人女性)

  ところが、敗戦後はユダヤ人からの激しい折檻を受け、ドイツ人は精神的に壊れてしまった。ナチスの過去を徹底的に責められたゲルマン人は、リスト・カットを繰り返すノイローゼ少女と変わりがない。一方、戦勝国のアメリカ人はユダヤ人の映画で洗脳され、異人種のユダヤ人に同情し、同じ種族のゲルマン人を憎んでいる。じゃあ、アメリカのWASPは、ユダヤ人だらけの村とアーリア人ばかりの村の、どちらを居住地にしたいのか? おそらく、ドイツ村の方に西歐系白人が押し寄せ、不動産価格が高騰するだろう。

  しかし、ユダヤ人の政治宣伝が徹底されていない日本では、ドイツに対する評価は依然として高く、「残酷なドイツ人」というイメージはそう強くない。V-2ロケットやメッサーシュミット戦闘機、ティガー戦車、潜水艦のUボートなどは、一般の日本人でも知っているし、クラシカル音楽と言えばドイツやオーストリアが本場だ。輸入車だって、ドイツのメルセデスやフォルクスワーゲン、BMWなどが人気で、トヨタのセルシオ(現「レクサス」)を買うくらいなら、ドイツ車を買ってしまう人もいるくらい。

神聖ローマ帝国の遺産が大切にされるドイツだと、美しい中世の面影を満喫できる。旅行好きの日本人なら直ぐ観光名所を思い出す。例えば、バイエルン州にはバンベルク(Bamberg)とかニュルンベルク(Nuremberg)、リンダウ(Lindau)といった素晴らしい街があり、壮大な歴史的建築物もあるので思わずうっとり。

German village 7732German town 11133
( 写真 / 中世の雰囲気を残すドイツの観光地)
https://livedoor.blogimg.jp/kurokihelion/imgs/5/3/53a8a8cc.jpg
https://livedoor.blogimg.jp/kurokihelion/imgs/5/f/5f35c850.jpg


  旅行会社が推奨するロマンチック街道も良いが、別の地域も魅力的で、リューデスハイム・アム・ライン州のルードシェイム(Rudesheim am Rhein)に行けば素晴らしい風景や極上のワインが堪能できるし、ザクセン・アンハルト州のクェトリングブルク(Quedlinburg)に赴けばザクセン朝やザリエル朝の雰囲気を味わえる。筆者も昔、ニーダーザクセン州にあるゴスラー(Goslar)の街を散策し、東フランクの王ハインリッヒ1世が築いた商業都市を眺めて、学生時代に学んだ歴史書や中世の地図を思い出した。「捕鳥王(der Vogler)」の渾名を持つハインリッヒ1世は、リュウドルフィング(Liudolfinger)家の王様で、あの有名なオットー大帝(Otto der Grosse)の父親だ。このオットー1世が築いた都市がマグデブルク(Mugdeburg)で、ここの大司教座もオットー1世によって設立されたものである。(ここにも筆者が経験した面白いエピソードがあるんだけど、別の機会で紹介したい。)

http://kurokiyorikage.doorblog.jp/
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/767.html#c17

   

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