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[近代史4] バター・牛乳不使用 簡単パンの作り方 中川隆
13. 2021年2月28日 07:59:55 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[1]
このレシピの後、あなたはもはやパンを買うことはなく、あなたはそれを家で自分で作るでしょう。






必要な材料

オリーブオイル大さじ4杯30ml
ドライイースト大さじ1杯10グラム
塩小さじ1杯8グラム
2杯の水から1本の指が少ない温水340ml
5カップの小麦粉600グラム

注-私が使用するガラスのサイズは200mlの標準的な水ガラスです。
生地保持時間-1時間
トレイイースト-15分
調理時間-200(°)、30分

http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1529.html#c13
[近代史5] バター・牛乳不使用 簡単パンの作り方 中川隆
13. 中川隆[-7028] koaQ7Jey 2021年2月28日 08:02:22 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[3]
すべての家庭で見つけられるシンプルな食材を使った最もおいしいパン! 朝食に最適なレシピ。






すべての家庭で見つけられるシンプルな食材を使った最もおいしいパン!朝食に最適なレシピ。
自宅で作ることができる最も実用的なパンレシピ、バターブレッドブレッドでバゲットブレッドを作る!!絶妙な✅
実用的なパンのレシピ、パンの焼き方のレシピ、イーストパンのレシピ、バルーンパンのレシピ、自宅でパンを作る方法
家に柔らかいパンがないようにしましょう✅必要に応じて、夕方にダグを作り、朝にそれを調理します。

私が使っている水ガラスのサイズは200mlです

❗️一晩でパン生地を作る場合は、水や牛乳を温める必要はなく、普通に使えば十分ですが、同じ日のうちに作る場合は、温めておくと早く上がります。


必要な材料

温かい牛乳1杯200ml
温水1杯200ml
砂糖大さじ1杯10グラム
塩小さじ1杯8グラム
ドライイースト大さじ1杯10グラム
溶かしたバター大さじ2杯30グラム
5カップの小麦粉600グラム
上記の場合
バター25グラム

http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/512.html#c13
[近代史4] バター・牛乳不使用 簡単パンの作り方 中川隆
14. 中川隆[-7027] koaQ7Jey 2021年2月28日 08:02:46 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[4]
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私が使っている水ガラスのサイズは200mlです

❗️一晩でパン生地を作る場合は、水や牛乳を温める必要はなく、普通に使えば十分ですが、同じ日のうちに作る場合は、温めておくと早く上がります。


必要な材料

温かい牛乳1杯200ml
温水1杯200ml
砂糖大さじ1杯10グラム
塩小さじ1杯8グラム
ドライイースト大さじ1杯10グラム
溶かしたバター大さじ2杯30グラム
5カップの小麦粉600グラム
上記の場合
バター25グラム

http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1529.html#c14
[番外地9] デフレの原因は技術の進歩で供給力が需要の4倍、5倍に増えた為です、未来永劫絶対にデフレ脱却はできません 中川隆
1. 中川隆[-7026] koaQ7Jey 2021年2月28日 08:07:56 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[5]
三橋貴明は何もわかっていない _ 日本の実質失業率は50%だよ:
デフレの原因は技術の進歩で供給力が需要の4倍、5倍に増えた為です、未来永劫絶対にデフレ脱却はできません。
MMT論者は需要・供給、潜在供給量やGDP・経済成長率について基本的に誤解をしているのです:
そもそも需要や供給で意味が有るのは農業・食品や日用品、自動車・家電製品、輸送・電力・ガス・水道、土木・建設、介護・病院・学校関係くらいです。 それ以外の需要や供給は有っても無くても大して変わらないので、需要・供給の数値には意味は有りません:

大西つねき
民間銀行はもうこの世に必要ない(Live配信2021/1/12) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=a3y34SLGKlo

今、ネットで話題になっているのが「政府支出が増えると経済成長する」というもの。本当にそうなのでしょうか? 

アホ右翼でも理解できる様に超簡単に解説しました。
経済成長ってなに?【政府支出が増えると経済成長する?】
https://www.youtube.com/watch?v=C12Mllv1nbQ&feature=emb_title

今は技術の進歩で、日本人の1/3が8時間労働すれば日本人全員が生活に必要な物をすべて作れる時代です。

警察・防衛、司法・行政・政治を含めても、まともな意味の有る仕事をしているのは日本人の半分だけでしょう。

そもそも輸出品の供給力に対応する需要は海外の購買力なので、日本の内需を拡大しても輸出や日本への観光客が増える訳ではないのです。 言い換えると、日本人の 半分はやる仕事が無いんですね。少子化は意図的に進めるのが正しいのです。
政府が公共事業で需要を増やしたところで日本人の 半分がやっている、やってもやらなくても何も変わらないどうでもいい仕事の量が増える事はありません。その金は不動産や株式市場に流れてバブルを起こすだけです。起業するより不動産や多国籍の株を買った方がリスクが低いし儲かりますからね。

日本人の 半分 は、風俗、水商売、パチンコ、ヤクザとか、(スキー場・温泉宿・タクシー・ガソリンスタンド・コンビニ・回転寿司・ファミリーレストラン・ラーメン屋・飲み屋・調剤薬局・歯医者・弁護士・地方銀行・保険会社・証券会社みたいに既に適正数の何倍も店舗がある、やってもやらなくても何も変わらない労働生産性がゼロに近いサービス業をやって何とか食べているのです。
公共事業をやっても日本人の 半分がやる仕事ができるという訳ではないですね。
現在の日本がデフレだというのは言い換えると、技術の進歩で労働者が1日2,3時間も働けば生活に必要な食べ物や工業製品をすべて作れる時代になってしまった、それ以上の仕事はやってもやらなくても同じだという事です。
だから今は農業人口も200万人以下で日本全体の食糧消費の大半を簡単に作れるのです。
今は高齢者186万人が農業に従事しているだけです:

(農業就業人口は引き続き減少・高齢化)
農業就業人口のうち基幹的農業従事者(*2)数は、186万2千人となり、前年に比べて18万9千人(9.2%)減少し、200万人を下回りました。 また、65歳以上の割合は59.1%と前年に比べて2ポイント低下したものの6割を占めており、平均年齢も66歳と高齢化が進んでいます。


MMT論者は緊縮財政を続けると日本の供給力が壊滅して開発途上国になると騒いでいますが、元々日本は供給力が増えすぎて困っているのです。 食料も電気製品も住居も土地も日本では有り余っています。 ただ、労働者の賃金が安くて世の中に有り余っているものを消費できないというだけです。デフレギャップを減らすには、終戦直後にGHQがやった様に、意図的にインフレを起こして資本家の資産を目減りさせて労働者に再分配するしかありません。国債発行や公共事業をいくらやっても、増えた金はすべて資本家に持って行かれるだけで、労働者の実質賃金はどんどん下がっていきます。

日本の仕事の殆どはサービス産業なので、食べていく為にやってもやらなくても良い無駄な仕事をしている事になります。
人口が減ればそういう無意味な仕事をする必要も無くなるので、デービッド・アトキンソンの最低賃金を上げて、それに耐えられない中小企業は潰せ、というのは正しいです。存在価値が無い中小企業を淘汰するのは合理的です。

安物・粗悪品の製造会社、アマゾンに対抗できない小売店、国債の利息でなんとか生きながらえている地方銀行、海外からの技術研修生を使わないとやっていけない会社、コンビニより多い歯科医院、外人留学生が居ないとやっていけない大学・専門学校、インバウンドで食べている旅館・観光会社、風俗等のヤクザのしのぎになっている仕事、パチンコ・IR

すべて日本の生産性を下げているだけの無意味・無駄な仕事です。
______

起業家の半数が1年で廃業し収入はバイト以下
起業しても10%以下しか継続できない
起業家の厳しい実態

10数年前から日本政府は起業を奨励していて、起業すれば必ず成功するかのようなキャンペーンをやっていました。

ブームに乗って実際に起業した人たちがどうなったか検証してみると、政府が振りまいた夢とは正反対の現実があった。

中小企業白書によると個人事業主として開業した人の約3割が、1年以内に廃業し、2年で約半数、10年後には88%が廃業しています。


個人ではなく会社を設立した場合、1年以内で6割が廃業(倒産)し、5年後には85%が廃業、10年後に残っているのは6%でした。

個人事業主より会社設立の方が、より速いペースで廃業しているのが分かります。
いわば人生のピークで勝負をかけて起業するのだが、統計からは例外を除いて失敗に終わっています。
「起業に成功する人、失敗する人」のような本は多く出ていますが、そもそも会社の数は足りているのです。


現在存在している会社だけで世の中は足りているのに、そこに割って入って仕事を奪うのが「起業」だと言えます。

既存の会社には目の敵にされるし、会社員として実績があっても、おそらく助けては貰えないでしょう。

それでも起業して数ヶ月の間は、会社員だった頃のツテやコネから仕事を得られる場合があるが、それも無くなります。


起業する人には何かアイディアがあり「これが世の中に必要とされる筈だ」というような構想があると思います。
ところが革新的なアイディアの99%は、短期間で社会から不要になる事が多いです。

インターネット関係の新しいアイディアは1年もたずに陳腐化してしまい、事業として続かない事が多いです。
日本政策金融公庫の調査で起業家の4割がが月商30万円未満だと発表されました。
月商はもちろん売上げであって、そこから様々な経費を差し引いたのが収入になります。

仮に月商の50%が利益になるとしても月収15万円未満な訳で、起業した人の家計が非常に苦しくなるのが分かります。
良く不動産ビジネスで「年商1億円」のように言う人が居ますが、不動産の利益は良くて年10%以下と言われています。
しかもこれは借金が無い場合なので、利子の支払いなどがあれば年商1億円でも「年収」は500万円以下かも知れません。
起業家の8割は1人で自宅で仕事をし、最近はネットで仕事をするネット企業家が増えています。
起業した人の多くは会社員時代より収入が減り、しかも労働時間が延びる傾向があります。

働いた分だけ収入になるのは、働かなければ収入がない事なので、特に時給に換算した収入が減少します。
会社では10人分の仕事を10人でやり、起業すると1人分の仕事を1人でやり、一見同じ事に思えるが効率が大幅に悪化します。
時代の波を乗り越えて10年後に事業を続けていられる人は、10%前後というわけです。

______

失業者には国が十分な金を出せばいいだけでしょう。
MMTでお金はいくらでも発行できます。
生活困窮者の生活費を国で出せばいいだけですね。
日本は世界一の金持ち国で対外資産が沢山あるので、日本人は大して働かなくても食べていけるのです。

貧困者を救済した為にインフレになったら、貧困者にばら撒いた金額分だけ大企業や資本家の資産が減り、所得再分配が達成されます。
http://www.asyura2.com/21/ban9/msg/122.html#c1

[近代史02] タイは天国に二番目に近い国 3 _ 鴨ネギにされる日本人 中川隆
74. 中川隆[-7025] koaQ7Jey 2021年2月28日 08:12:41 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[6]
02-28 マスコミが避けている話題のひとつはコレでしょう
2021/02/28




http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/379.html#c74
[番外地7] タイに移住してはいけない 中川隆
7. 中川隆[-7024] koaQ7Jey 2021年2月28日 08:13:46 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[7]
02-28 マスコミが避けている話題のひとつはコレでしょう
2021/02/28




http://www.asyura2.com/17/ban7/msg/531.html#c7
[近代史4] 東南アジアにだけは住んではいけない 中川隆
2. 中川隆[-7023] koaQ7Jey 2021年2月28日 08:14:00 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[8]
02-28 マスコミが避けている話題のひとつはコレでしょう
2021/02/28




http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/400.html#c2
[近代史5] ここにだけは住んではいけない 中川隆
3. 中川隆[-7022] koaQ7Jey 2021年2月28日 08:14:51 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[9]
02-28 マスコミが避けている話題のひとつはコレでしょう
2021/02/28




http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/427.html#c3
[近代史5] グレートリセットは米国覇権の崩壊と多極化、中国の台頭を示すもの 中川隆
13. 2021年2月28日 09:17:35 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[10]
バイデンが狙う「グレート・リセット」で格差定着。プーチン猛反発で米ロ衝突必至か=高島康司 2021年2月28日
https://www.mag2.com/p/money/1024406


バイデン政権とダボス会議などが提唱する構想「グレート・リセット」は、一見するとよいプランに思える。しかし、環境破壊や格差拡大を進めてきた元凶たちが自らつくりあげたグローバル経済をリセットし、また新たなグローバルな体制へと置き換える構想だ。ロシアのプーチンはこれを強く批判している。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)

【関連】バイデンの背後にいる勢力とは?主導権はリバタリアンからCFRへ、米国はトランプ以上の分断に向かうのか=高島康司
https://www.mag2.com/p/money/1017263

バイデンのアジェンダは「グレート・リセット」か

バイデン政権と「ダボス会議」などが提唱する構想、「グレート・リセット」との関係について解説したい。

バイデン政権の背後にいる「CFR」や、それと連動して動いていると思われる「ダボス会議」が目標にする「グレート・リセット」は、いったいなにが問題なのだろうか?

その中身を一見すると、非常によいプランのようにも思える。だが、その問題点を追求すると、「グレート・リセット」の本質が見えてくるのだ。

【関連】「グレートリセット」が起こす資本主義の大転換。遂に見えた具体的な中身=高島康司
https://www.mag2.com/p/money/1019624


「CFR」と「ダボス会議」は徹底した新自由主義
「グレート・リセット」のコンセプトの重要な柱になっているのは、地球温暖化ガスの排出抑制による地球環境の回復、そして社会不安の背景になる極端な格差の解消である。

これはもっともなことだ。これらがこの構想の柱である限り、「グレート・リセット」は強い説得力と合理性を持つ。反対するのは難しい。

いまの地球環境の破壊の水準はすでに臨界点に達しており、早急の対処しないと2030年くらいには多発する大規模自然災害から資本主義の社会体制のみならず、現代文明の基礎さえ侵食され、種としての人類そのものの持続可能性すら問題になってこよう。

「グレート・リセット」が提示するような、現代の資本主義の抑制のない拡大にストップをかけられる根本的な転換が必要なことは間違いない。

さらに、環境問題とともに、社会的格差の極端な拡大も深刻な問題となっており、新型コロナウイルスのパンデミックによって既存の資本主義の矛盾が拡大し、一層可視化した現在では、リセットは必要だろうと思われる。

だが「グレート・リセット」が、「CFR」や「ダボス会議」という既存の支配勢力によって実施されることが問題なのだ。


「CFR」が設立された理由は、ある目標を実現するためであった。それは、主権国家による世界秩序を超越した「世界政府」の樹立である。「CFR」と密接に連携している「ダボス会議」も、この目標を共有するコンセンサスを得ていると思ってよいだろう。

では、「CFR」などはこれまでどのようにして「世界政府」の樹立などという一見奇想天外に見える目標の実現にこれまで動いてきたのだろうか?

実はグローバリゼーションの推進こそ、この目標を実現する方法であった。これは「CFR」が発行する外交誌、「フォーリン・アフェアーズ」の過去の記事を見ると明確だ。

グローバリゼーションとは、国家が障壁とならない自由な貿易を徹底して推進し、資本が国境を越えて世界のあらゆる地域に投資できる状態のことである。

この原則にしたがうと、社会保険や失業保険、そして生活保護などのセイフティーネットは労働力のコストを引き上げ、投資の効率を悪くする要因として嫌煙された。また健康保健などの国民生活を保護するシステムや、電気や水道など公的部門が管理する社会インフラは、高いリターンを求めて世界を移動する資本が投資できる領域として民営化するべきだとされた。

グローバリゼーションが拡大する世界では、国民の生活を守るために政府が導入したさまざまな制度や規制は、投資の自由を阻害する障壁として攻撃の対象になった。

社会と経済の大部分の運営は、資本が主導する市場原理にゆだねられるべきで、国家はこれに介入すべきではないとされた。国家の権限は、資本の投資の自由に介入できないように、徹底して縮小されるべきことが主張された。これはまさに、国家と政府の力が縮小され、グローバルな資本が形成する世界的なネットワークに埋め込まれる状態のことを指している。これがグローバリゼーションの中身である。

つまり、グローバリゼーションの進展によって主権国家の力を弱め、グローバルな資本が支配し運営する体制に世界を転換させることが、「CFR」が主張する「世界政府」樹立への第一歩であるとされていたのだ。

事実、2008年の金融危機が発生する以前のグローバリゼーション全盛の時代では、国家の消滅こそ未来の方向性であると普通に主張されていた。

「CFR」の核となる企業が、「ゴールドマン・サックス」、「JPモーガン」、「モーガンスタンレー」、「シティ」、「バンク・オブ・アメリカ」、「ムーディーズ」などの国際的な金融資本、また「グーグル」や「フェースブック」、「AT&T」などの大手IT・通信企業、さらに「エクソンモービル」や「シェブロン」などの国際エネルギー企業などであることを見ると、グローバリゼーションの促進で国家と政府の規制が弱められ、世界のあらゆる地域が彼らの自由な投資領域として確保されることは、まさに「CFR」の利害に合致している。もちろんこれらの企業は、「ダボス会議」にも名前を連ねている。

要するに、グローバリゼーションの促進による新自由主義こそ、「世界政府」樹立に向けての方途だったということだ。


世界の歪みを作った元凶が「グレート・リセット」を主導
これはつまり、限界にまで達した地球温暖化と環境破壊、そして社会の安全弁である中間層の没落と社会を不安定にする極端な格差拡大など、いま「グレート・リセット」で解決されるべき問題の対象とされている矛盾そのものを作ってきた張本人こそ、「CFR」や「ダボス会議」に結集している勢力であることを意味している。

端的にいえば「グレート・リセット」とは、彼らが推進してきたグローバル経済をリセットし、新たなグローバルな体制へと置き換える構想なのだ。

地球環境の配慮など、持続可能な資本主義のコンセプトにシフトすることなど評価される点も多い。しかし、基本的に「グレート・リセット」は、「第4次産業革命」の高度なITテクノロジーの導入による社会の新しい統治形態だと思われる。それは高度管理社会といってもよいようなものだ。

これを世界のどの地域にも適用可能なグローバルなシステムとして提案するのが、「グレート・リセット」の中身ではないだろうか? それは、民主主義と市場原理のように、世界のすべての地域で導入すべきユニバーサルな社会モデルであろう。

これを主張しているのが、現在のグローバリゼーションを推進してきた中心的な勢力なのである。

今度は彼らは、グローバルな資本主義体制を乗り越える新しい社会体制への転換を主張している。

すると「グレート・リセット」というのは、社会矛盾の爆発によって既存の支配勢力が民衆の怒りのターゲットとなり、自分たちが排除される前に、新しい社会状態を先行して導入し、支配勢力としての地位を継続して維持するために行っていることなのではないだろうか?

そのような疑念が出てきても不自然ではない。

プーチンの「ダボス会議」での批判
この疑念を端的に表現しているのが、ロシア大統領のプーチンだ。

今年の1月22日に行われた「ダボス会議」のオンラインスピーチでプーチンは以下のように述べ、「グレート・リセット」のアジェンダを進める勢力をやんわりとだが、的確に批判した。

まずプーチンは、新型コロナウイルスのパンデミックで、社会的格差が拡大して社会不安が広がり、多くの国が危機的な状況に追い込まれた事実を指摘した。だが、こうした問題を引き起こしたのはパンデミックではなく、アメリカが推進してきたグローバリゼーションであるとして、次のような批判を展開した。

「このようなグローバルな社会経済的な不均衡は、1980年代から続けられてきたドグマ的、ないしはがさつな政策の直接的な結果である。この政策はいわゆる『ワシントン・コンセンサス』の暗黙のルールに基づいている。これは規制緩和、ならびに富裕層と企業への減税を条件に民間の債務を増やし、経済成長を最優先した政策だ」

そして、現在の社会的不均衡は、実は新自由主義のグローバリゼーションが引き起こしたものであり、新型コロナウイルスのパンデミックはすでに存在している問題を拡大しただけだったと主張する。

「先に私が述べたように、新型コロナウイルスのパンデミックはこれらの問題を一層悪化させただけだった。昨年、世界経済は第2次世界大戦以降で最大の経済停滞を経験した。7月には、500万の仕事が労働市場から失われた。これはとれも大きく、そして憂慮すべき数字だ。昨年の9カ月間だけで、3.5兆ドルの収益が失われた。この数値はさらに拡大しており、それとともに社会的な緊張は高まっている」

プーチンは、現在どの国でも危機的な状態にまでなっている格差などの社会的不均衡の真の原因は、「ワシントン・コンセンサス」による際限のないグローバリゼーションであると指摘する。

「ワシントン・コンセンサス」とは、各国の規制を徹底的に緩和し、資本の移動と投資の自由を保証した新自由主義のルールである。これこそ、「世界政府」を樹立するカギとして「CFR」や「ダボス会議」が長い間推進してきた理念である。

このグローバリゼーションを推進した欧米の責任をプーチンは問い正したのだ。

プーチンは「巨大IT企業」を強く批判
次にプーチンは、「第4次産業革命」の負の側面を指摘する。「第4次産業革命」のAIなどの高度なITテクノロジーは、「ダボス会議」が提唱する「グレート・リセット」の中核になるコンセプトだ。

「しかし、このプロセスは新たな構造変化をもたらしているが、私は特に労働市場について考えている。これは、国家が効果的な対策を講じない限り、非常に多くの人々が職を失う可能性があることを意味している。これらの人たちの多くは、現代社会の基盤である中産階級の人たちだ」

そして、職を失った人々の高まる不満は社会を危機に陥れるかもしれないと警告する。

「構造的な社会経済的問題は、特別な注意と真の解決策を必要とするような社会的不満を呼び起こしている。彼らが無視されたり、隅に押し込められたりするかもしれないという危険な錯覚は、深刻な結果を招く恐れがある」

この危機は社会の分裂となって現れるという。

「この場合、社会は政治的にも社会的にも分裂することになる。これはかならず起こる。なぜなら、抽象的な問題や人々が持つ政治的な見解ではなく、実際の問題に人々は不満を持っているからだ。分裂はかならず起こる。現実の問題は不満を呼び起こすのだ」

次に、「第4次産業革命」を主導している巨大IT企業を強く批判する。

「もう1つ重要な点を強調しておきたい。現代のテクノロジーの巨人、特にデジタル企業が社会生活の中で果たす役割が大きくなってきている。特にアメリカの選挙キャンペーン中に起こった出来事は、このことをよく表している。これらの企業は単なる経済的な巨人ではない。いくつかの分野では、事実上、国家と競合している。これらの企業は何十億人ものユーザーで構成されており、生活のかなりの部分をこれらのエコシステムの中で過ごしている」

「これらの企業の見解では、企業の独占は、技術やビジネスのプロセスを組織化するのに最適であるという。だが社会は、そのような独占が公共の利益に合致しているかどうかを疑問視している」

プーチンは、この巨大IT企業の独占状態は、危険な社会管理をもたらすと警告する。

「グローバルビジネスの成功、オンデマンドサービス、ビッグデータの統合と、社会を自分の裁量で厳しく管理しようとする試みとの間の境界線はどこにあるのだろうか。我々はいま、アメリカでこれらの現象をすべて見ているが、いま私が何を言っているのか、誰もが理解しているはずだ。今回のイベントの参加者も含めて、圧倒的多数の人がこの立場を共有していると確信している」

プーチンのスピーチに「グレート・リセット」という言葉が出てくるわけではない。

しかしプーチンは、「CFR」と「ダボス会議」が推進してきた際限のないグローバリゼーションを、社会を分裂させる最大の要因として批判し、また「グレート・リセット」の中心にある高度なITテクノロジーを、「社会を自分の裁量で厳しく管理しようとする試み」として断罪する。

プーチンの主張「新ユーラシア主義」
このように、プーチンのグローバリゼーションや「第4次産業革命」による社会管理に対する疑念ははっきりしている。

これを推進してきたのは、まさに「CFR」や「ダボス会議」などに結集し、独自のアジェンダを追求している欧米の支配勢力である。彼らが提示する次のアジェンダこそ、ITによる社会管理を全面的に取り入れた新しい社会状態への「グレート・リセット」だ。プーチンのこれに対する疑念も深いはずだ。

一方プーチンは、グローバリゼーションや「グレート・リセット」に対抗するビジョンを主張しているようにも見える。それは、「新ユーラシア主義」とも呼ばれる思想だ。

これは「グレート・リセット」に反対する多くの民衆の結集軸にもなっている思想だ。これを少し見て見よう。

もともと「新ユーラシア主義」とは、1917年のロシア革命の後、西欧諸国に亡命したロシアの知識人から生まれた「ユーラシア主義」を、現代的に引き継いだ思想である。

「ユーラシア主義」とは、著名な言語学者のニコライ・トュルベツコイが1921年に最初に提唱した思想だ。トュルベツコイは、ロシアはアジアでもヨーロッパでもない独自の「ユーラシア国家」としての文化的なアイデンティティーを基本的に有しているので、自立した個人の活動を前提にする西欧流の資本主義の方向性は追求すべきではないとした。むしろ、民衆に寛容な優しい全体主義こそ、「ユーラシア国家」が目指すべきものとされた。

モスクワ大学政治学部の教授であり、プーチンのアドバイザーでもあったアレクセイ・ドゥーギン博士は、この「ユーラシア主義」を「新ユーラシア主義」として改めて現代に蘇らせた。

それぞれの文化圏の独自性を尊重すべき
ドゥーギン博士の「新ユーラシア主義」の思想はさほど複雑なものではない。それぞれの国の文化は独自な価値を有しているので、この文化的な価値を尊重し、それに基づく社会システムを形成すべきだとする主張だ。

ドゥーギン博士は、20世紀までは、1)自由民主主義、2)マルクス主義、3)ファシズムという3つの思想が社会形成の基礎となる思想として存在していたという。しかし21世紀になると、マルクス主義もファシズムを姿を消し、「自由民主主義」が唯一の思想として残った。

自由民主主義は、市場経済と民主主義という2つの基礎をもつ。現代の世界は、このシステムがあまりにグローバルに拡大したので、だれも「自由民主主義」をイデオロギーとしては認識せず、自明の常識として理解している。このため、それぞれの文化圏が本来もつ独自な社会思想は無視され、どの文化も、市場経済と民主主義というまったく同一の鋳型にはまらなければならない状況になっている。これが、グローバリゼーションがもたらす悪しき統一性である。

「CFR」が目標にしている「世界政府」の樹立は、世界をこうした単一の価値観で統一することが前提になっている。また「グレート・リセット」の社会状態も、高度なITによる統治など、どんな社会にも適用可能な同一のシステムを模索している。

これほど、それぞれの文化圏の独自性を無視する思想はない。どの文化圏も、その文化に独自な社会思想を基盤にしてユニークな社会を構築する権利がある。この権利を追求し、グローバルな「自由民主主義」に対抗する第4の思想の潮流こそ「新ユーラシア主義」である。

「ユーラシア」は、アジアでもなく、またヨーロッパでもない独自な価値と社会思想が伝統的に存在している地域である。その価値と思想は、多民族的で多文化的であり、多くの民族のバランスの元に成り立つものだ。

ロシアは、このユーラシア的価値の守護者として振る舞い、どこでも同じ価値を強制する「自由民主主義」とグローバリゼーションに対抗しなければならない。そして、ロシアが「新ユーラシア主義」の守護者となることで、中国は中華文化圏の、ヨーロッパは欧州文化圏の、そして北米は北米文化圏のそれぞれまったく独自な価値を社会思想として追求し、それぞれ独自な社会を構築することができる。

これが、アレクセイ・ドゥーギン博士が提唱する「新ユーラシア主義」だ。プーチンの数々のスピーチにもこの思想は強く現れている。プーチンはこの思想を根拠に、欧米の、そしてなかんずくその中核にいる「CFR」や「ダボス会議」が推進しているアジェンダを批判する。

拡散する「新ユーラシア主義」
また、このような「新ユーラシア主義」がプーチンの独自な思想という個別的な水準に止まっているわけではない。

ヨーロッパの極右や極左のみならず、格差の発生や伝統的な社会秩序の解体など、欧米流の規制のない市場経済と民主主義のグローバルな拡大がもたらした負の効果に憤っているあらゆる党派や集団を強く引き付けている。伝統的な文化とその価値こそもっとも貴重なものであり、これに基づいた社会こそ、安定した社会であるとする思想なのだ。

こうした「新ユーラシア主義」は、プーチン大統領の外交政策の基本方針でもある。そのため、プーチン大統領こそ、あらゆる勢力から新しい第4の思想的な潮流の守護者として称賛されている。

「新ユーラシア主義」は、グローバリゼーションや「グレート・リセット」という、いわば文化的な独自性を無視して同一のルールと統治機構を押し付ける動きに反対する結集軸になりつつある。

このようなニュアンスは、先に引用したプーチンのダボスオンライン会議における発言にも現れている。

バイデン政権の最大の敵はロシア
もしバイデン政権が、「CFR」や「ダボス会議」に結集している勢力の影響力が強く、「グレート・リセット」の実現を目指した政権であるなら、こうした勢力の推進する構想に強い疑念を持つプーチンのロシアは、バイデン政権がもっとも警戒する相手であることになる。

反「CFR」でナショナリストのトランプ政権は、ロシアとの関係が良好であるとはかならずしもいえない側面はあったが、特にロシアと緊張した関係にはなかった。トランプ個人とロシアとのビジネス関係も深く、友好な関係であったことも背景にはあっただろう。

しかし、バイデン政権はロシアと鋭い緊張関係になる可能性は極めて高い――
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/504.html#c13

[近代史4] バイデン政権は、基本的に「第三次オバマ政権」でもある (続き) 中川隆
13. 中川隆[-7021] koaQ7Jey 2021年2月28日 09:19:09 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[11]
バイデンが狙う「グレート・リセット」で格差定着。プーチン猛反発で米ロ衝突必至か=高島康司 2021年2月28日
https://www.mag2.com/p/money/1024406

バイデン政権とダボス会議などが提唱する構想「グレート・リセット」は、一見するとよいプランに思える。しかし、環境破壊や格差拡大を進めてきた元凶たちが自らつくりあげたグローバル経済をリセットし、また新たなグローバルな体制へと置き換える構想だ。ロシアのプーチンはこれを強く批判している。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)

【関連】バイデンの背後にいる勢力とは?主導権はリバタリアンからCFRへ、米国はトランプ以上の分断に向かうのか=高島康司
https://www.mag2.com/p/money/1017263

バイデンのアジェンダは「グレート・リセット」か

バイデン政権と「ダボス会議」などが提唱する構想、「グレート・リセット」との関係について解説したい。

バイデン政権の背後にいる「CFR」や、それと連動して動いていると思われる「ダボス会議」が目標にする「グレート・リセット」は、いったいなにが問題なのだろうか?

その中身を一見すると、非常によいプランのようにも思える。だが、その問題点を追求すると、「グレート・リセット」の本質が見えてくるのだ。

【関連】「グレートリセット」が起こす資本主義の大転換。遂に見えた具体的な中身=高島康司
https://www.mag2.com/p/money/1019624


「CFR」と「ダボス会議」は徹底した新自由主義
「グレート・リセット」のコンセプトの重要な柱になっているのは、地球温暖化ガスの排出抑制による地球環境の回復、そして社会不安の背景になる極端な格差の解消である。

これはもっともなことだ。これらがこの構想の柱である限り、「グレート・リセット」は強い説得力と合理性を持つ。反対するのは難しい。

いまの地球環境の破壊の水準はすでに臨界点に達しており、早急の対処しないと2030年くらいには多発する大規模自然災害から資本主義の社会体制のみならず、現代文明の基礎さえ侵食され、種としての人類そのものの持続可能性すら問題になってこよう。

「グレート・リセット」が提示するような、現代の資本主義の抑制のない拡大にストップをかけられる根本的な転換が必要なことは間違いない。

さらに、環境問題とともに、社会的格差の極端な拡大も深刻な問題となっており、新型コロナウイルスのパンデミックによって既存の資本主義の矛盾が拡大し、一層可視化した現在では、リセットは必要だろうと思われる。

だが「グレート・リセット」が、「CFR」や「ダボス会議」という既存の支配勢力によって実施されることが問題なのだ。


「CFR」が設立された理由は、ある目標を実現するためであった。それは、主権国家による世界秩序を超越した「世界政府」の樹立である。「CFR」と密接に連携している「ダボス会議」も、この目標を共有するコンセンサスを得ていると思ってよいだろう。

では、「CFR」などはこれまでどのようにして「世界政府」の樹立などという一見奇想天外に見える目標の実現にこれまで動いてきたのだろうか?

実はグローバリゼーションの推進こそ、この目標を実現する方法であった。これは「CFR」が発行する外交誌、「フォーリン・アフェアーズ」の過去の記事を見ると明確だ。

グローバリゼーションとは、国家が障壁とならない自由な貿易を徹底して推進し、資本が国境を越えて世界のあらゆる地域に投資できる状態のことである。

この原則にしたがうと、社会保険や失業保険、そして生活保護などのセイフティーネットは労働力のコストを引き上げ、投資の効率を悪くする要因として嫌煙された。また健康保健などの国民生活を保護するシステムや、電気や水道など公的部門が管理する社会インフラは、高いリターンを求めて世界を移動する資本が投資できる領域として民営化するべきだとされた。

グローバリゼーションが拡大する世界では、国民の生活を守るために政府が導入したさまざまな制度や規制は、投資の自由を阻害する障壁として攻撃の対象になった。

社会と経済の大部分の運営は、資本が主導する市場原理にゆだねられるべきで、国家はこれに介入すべきではないとされた。国家の権限は、資本の投資の自由に介入できないように、徹底して縮小されるべきことが主張された。これはまさに、国家と政府の力が縮小され、グローバルな資本が形成する世界的なネットワークに埋め込まれる状態のことを指している。これがグローバリゼーションの中身である。

つまり、グローバリゼーションの進展によって主権国家の力を弱め、グローバルな資本が支配し運営する体制に世界を転換させることが、「CFR」が主張する「世界政府」樹立への第一歩であるとされていたのだ。

事実、2008年の金融危機が発生する以前のグローバリゼーション全盛の時代では、国家の消滅こそ未来の方向性であると普通に主張されていた。

「CFR」の核となる企業が、「ゴールドマン・サックス」、「JPモーガン」、「モーガンスタンレー」、「シティ」、「バンク・オブ・アメリカ」、「ムーディーズ」などの国際的な金融資本、また「グーグル」や「フェースブック」、「AT&T」などの大手IT・通信企業、さらに「エクソンモービル」や「シェブロン」などの国際エネルギー企業などであることを見ると、グローバリゼーションの促進で国家と政府の規制が弱められ、世界のあらゆる地域が彼らの自由な投資領域として確保されることは、まさに「CFR」の利害に合致している。もちろんこれらの企業は、「ダボス会議」にも名前を連ねている。

要するに、グローバリゼーションの促進による新自由主義こそ、「世界政府」樹立に向けての方途だったということだ。


世界の歪みを作った元凶が「グレート・リセット」を主導
これはつまり、限界にまで達した地球温暖化と環境破壊、そして社会の安全弁である中間層の没落と社会を不安定にする極端な格差拡大など、いま「グレート・リセット」で解決されるべき問題の対象とされている矛盾そのものを作ってきた張本人こそ、「CFR」や「ダボス会議」に結集している勢力であることを意味している。

端的にいえば「グレート・リセット」とは、彼らが推進してきたグローバル経済をリセットし、新たなグローバルな体制へと置き換える構想なのだ。

地球環境の配慮など、持続可能な資本主義のコンセプトにシフトすることなど評価される点も多い。しかし、基本的に「グレート・リセット」は、「第4次産業革命」の高度なITテクノロジーの導入による社会の新しい統治形態だと思われる。それは高度管理社会といってもよいようなものだ。

これを世界のどの地域にも適用可能なグローバルなシステムとして提案するのが、「グレート・リセット」の中身ではないだろうか? それは、民主主義と市場原理のように、世界のすべての地域で導入すべきユニバーサルな社会モデルであろう。

これを主張しているのが、現在のグローバリゼーションを推進してきた中心的な勢力なのである。

今度は彼らは、グローバルな資本主義体制を乗り越える新しい社会体制への転換を主張している。

すると「グレート・リセット」というのは、社会矛盾の爆発によって既存の支配勢力が民衆の怒りのターゲットとなり、自分たちが排除される前に、新しい社会状態を先行して導入し、支配勢力としての地位を継続して維持するために行っていることなのではないだろうか?

そのような疑念が出てきても不自然ではない。

プーチンの「ダボス会議」での批判
この疑念を端的に表現しているのが、ロシア大統領のプーチンだ。

今年の1月22日に行われた「ダボス会議」のオンラインスピーチでプーチンは以下のように述べ、「グレート・リセット」のアジェンダを進める勢力をやんわりとだが、的確に批判した。

まずプーチンは、新型コロナウイルスのパンデミックで、社会的格差が拡大して社会不安が広がり、多くの国が危機的な状況に追い込まれた事実を指摘した。だが、こうした問題を引き起こしたのはパンデミックではなく、アメリカが推進してきたグローバリゼーションであるとして、次のような批判を展開した。

「このようなグローバルな社会経済的な不均衡は、1980年代から続けられてきたドグマ的、ないしはがさつな政策の直接的な結果である。この政策はいわゆる『ワシントン・コンセンサス』の暗黙のルールに基づいている。これは規制緩和、ならびに富裕層と企業への減税を条件に民間の債務を増やし、経済成長を最優先した政策だ」

そして、現在の社会的不均衡は、実は新自由主義のグローバリゼーションが引き起こしたものであり、新型コロナウイルスのパンデミックはすでに存在している問題を拡大しただけだったと主張する。

「先に私が述べたように、新型コロナウイルスのパンデミックはこれらの問題を一層悪化させただけだった。昨年、世界経済は第2次世界大戦以降で最大の経済停滞を経験した。7月には、500万の仕事が労働市場から失われた。これはとれも大きく、そして憂慮すべき数字だ。昨年の9カ月間だけで、3.5兆ドルの収益が失われた。この数値はさらに拡大しており、それとともに社会的な緊張は高まっている」

プーチンは、現在どの国でも危機的な状態にまでなっている格差などの社会的不均衡の真の原因は、「ワシントン・コンセンサス」による際限のないグローバリゼーションであると指摘する。

「ワシントン・コンセンサス」とは、各国の規制を徹底的に緩和し、資本の移動と投資の自由を保証した新自由主義のルールである。これこそ、「世界政府」を樹立するカギとして「CFR」や「ダボス会議」が長い間推進してきた理念である。

このグローバリゼーションを推進した欧米の責任をプーチンは問い正したのだ。

プーチンは「巨大IT企業」を強く批判
次にプーチンは、「第4次産業革命」の負の側面を指摘する。「第4次産業革命」のAIなどの高度なITテクノロジーは、「ダボス会議」が提唱する「グレート・リセット」の中核になるコンセプトだ。

「しかし、このプロセスは新たな構造変化をもたらしているが、私は特に労働市場について考えている。これは、国家が効果的な対策を講じない限り、非常に多くの人々が職を失う可能性があることを意味している。これらの人たちの多くは、現代社会の基盤である中産階級の人たちだ」

そして、職を失った人々の高まる不満は社会を危機に陥れるかもしれないと警告する。

「構造的な社会経済的問題は、特別な注意と真の解決策を必要とするような社会的不満を呼び起こしている。彼らが無視されたり、隅に押し込められたりするかもしれないという危険な錯覚は、深刻な結果を招く恐れがある」

この危機は社会の分裂となって現れるという。

「この場合、社会は政治的にも社会的にも分裂することになる。これはかならず起こる。なぜなら、抽象的な問題や人々が持つ政治的な見解ではなく、実際の問題に人々は不満を持っているからだ。分裂はかならず起こる。現実の問題は不満を呼び起こすのだ」

次に、「第4次産業革命」を主導している巨大IT企業を強く批判する。

「もう1つ重要な点を強調しておきたい。現代のテクノロジーの巨人、特にデジタル企業が社会生活の中で果たす役割が大きくなってきている。特にアメリカの選挙キャンペーン中に起こった出来事は、このことをよく表している。これらの企業は単なる経済的な巨人ではない。いくつかの分野では、事実上、国家と競合している。これらの企業は何十億人ものユーザーで構成されており、生活のかなりの部分をこれらのエコシステムの中で過ごしている」

「これらの企業の見解では、企業の独占は、技術やビジネスのプロセスを組織化するのに最適であるという。だが社会は、そのような独占が公共の利益に合致しているかどうかを疑問視している」

プーチンは、この巨大IT企業の独占状態は、危険な社会管理をもたらすと警告する。

「グローバルビジネスの成功、オンデマンドサービス、ビッグデータの統合と、社会を自分の裁量で厳しく管理しようとする試みとの間の境界線はどこにあるのだろうか。我々はいま、アメリカでこれらの現象をすべて見ているが、いま私が何を言っているのか、誰もが理解しているはずだ。今回のイベントの参加者も含めて、圧倒的多数の人がこの立場を共有していると確信している」

プーチンのスピーチに「グレート・リセット」という言葉が出てくるわけではない。

しかしプーチンは、「CFR」と「ダボス会議」が推進してきた際限のないグローバリゼーションを、社会を分裂させる最大の要因として批判し、また「グレート・リセット」の中心にある高度なITテクノロジーを、「社会を自分の裁量で厳しく管理しようとする試み」として断罪する。

プーチンの主張「新ユーラシア主義」
このように、プーチンのグローバリゼーションや「第4次産業革命」による社会管理に対する疑念ははっきりしている。

これを推進してきたのは、まさに「CFR」や「ダボス会議」などに結集し、独自のアジェンダを追求している欧米の支配勢力である。彼らが提示する次のアジェンダこそ、ITによる社会管理を全面的に取り入れた新しい社会状態への「グレート・リセット」だ。プーチンのこれに対する疑念も深いはずだ。

一方プーチンは、グローバリゼーションや「グレート・リセット」に対抗するビジョンを主張しているようにも見える。それは、「新ユーラシア主義」とも呼ばれる思想だ。

これは「グレート・リセット」に反対する多くの民衆の結集軸にもなっている思想だ。これを少し見て見よう。

もともと「新ユーラシア主義」とは、1917年のロシア革命の後、西欧諸国に亡命したロシアの知識人から生まれた「ユーラシア主義」を、現代的に引き継いだ思想である。

「ユーラシア主義」とは、著名な言語学者のニコライ・トュルベツコイが1921年に最初に提唱した思想だ。トュルベツコイは、ロシアはアジアでもヨーロッパでもない独自の「ユーラシア国家」としての文化的なアイデンティティーを基本的に有しているので、自立した個人の活動を前提にする西欧流の資本主義の方向性は追求すべきではないとした。むしろ、民衆に寛容な優しい全体主義こそ、「ユーラシア国家」が目指すべきものとされた。

モスクワ大学政治学部の教授であり、プーチンのアドバイザーでもあったアレクセイ・ドゥーギン博士は、この「ユーラシア主義」を「新ユーラシア主義」として改めて現代に蘇らせた。

それぞれの文化圏の独自性を尊重すべき
ドゥーギン博士の「新ユーラシア主義」の思想はさほど複雑なものではない。それぞれの国の文化は独自な価値を有しているので、この文化的な価値を尊重し、それに基づく社会システムを形成すべきだとする主張だ。

ドゥーギン博士は、20世紀までは、1)自由民主主義、2)マルクス主義、3)ファシズムという3つの思想が社会形成の基礎となる思想として存在していたという。しかし21世紀になると、マルクス主義もファシズムを姿を消し、「自由民主主義」が唯一の思想として残った。

自由民主主義は、市場経済と民主主義という2つの基礎をもつ。現代の世界は、このシステムがあまりにグローバルに拡大したので、だれも「自由民主主義」をイデオロギーとしては認識せず、自明の常識として理解している。このため、それぞれの文化圏が本来もつ独自な社会思想は無視され、どの文化も、市場経済と民主主義というまったく同一の鋳型にはまらなければならない状況になっている。これが、グローバリゼーションがもたらす悪しき統一性である。

「CFR」が目標にしている「世界政府」の樹立は、世界をこうした単一の価値観で統一することが前提になっている。また「グレート・リセット」の社会状態も、高度なITによる統治など、どんな社会にも適用可能な同一のシステムを模索している。

これほど、それぞれの文化圏の独自性を無視する思想はない。どの文化圏も、その文化に独自な社会思想を基盤にしてユニークな社会を構築する権利がある。この権利を追求し、グローバルな「自由民主主義」に対抗する第4の思想の潮流こそ「新ユーラシア主義」である。

「ユーラシア」は、アジアでもなく、またヨーロッパでもない独自な価値と社会思想が伝統的に存在している地域である。その価値と思想は、多民族的で多文化的であり、多くの民族のバランスの元に成り立つものだ。

ロシアは、このユーラシア的価値の守護者として振る舞い、どこでも同じ価値を強制する「自由民主主義」とグローバリゼーションに対抗しなければならない。そして、ロシアが「新ユーラシア主義」の守護者となることで、中国は中華文化圏の、ヨーロッパは欧州文化圏の、そして北米は北米文化圏のそれぞれまったく独自な価値を社会思想として追求し、それぞれ独自な社会を構築することができる。

これが、アレクセイ・ドゥーギン博士が提唱する「新ユーラシア主義」だ。プーチンの数々のスピーチにもこの思想は強く現れている。プーチンはこの思想を根拠に、欧米の、そしてなかんずくその中核にいる「CFR」や「ダボス会議」が推進しているアジェンダを批判する。

拡散する「新ユーラシア主義」
また、このような「新ユーラシア主義」がプーチンの独自な思想という個別的な水準に止まっているわけではない。

ヨーロッパの極右や極左のみならず、格差の発生や伝統的な社会秩序の解体など、欧米流の規制のない市場経済と民主主義のグローバルな拡大がもたらした負の効果に憤っているあらゆる党派や集団を強く引き付けている。伝統的な文化とその価値こそもっとも貴重なものであり、これに基づいた社会こそ、安定した社会であるとする思想なのだ。

こうした「新ユーラシア主義」は、プーチン大統領の外交政策の基本方針でもある。そのため、プーチン大統領こそ、あらゆる勢力から新しい第4の思想的な潮流の守護者として称賛されている。

「新ユーラシア主義」は、グローバリゼーションや「グレート・リセット」という、いわば文化的な独自性を無視して同一のルールと統治機構を押し付ける動きに反対する結集軸になりつつある。

このようなニュアンスは、先に引用したプーチンのダボスオンライン会議における発言にも現れている。

バイデン政権の最大の敵はロシア
もしバイデン政権が、「CFR」や「ダボス会議」に結集している勢力の影響力が強く、「グレート・リセット」の実現を目指した政権であるなら、こうした勢力の推進する構想に強い疑念を持つプーチンのロシアは、バイデン政権がもっとも警戒する相手であることになる。

反「CFR」でナショナリストのトランプ政権は、ロシアとの関係が良好であるとはかならずしもいえない側面はあったが、特にロシアと緊張した関係にはなかった。トランプ個人とロシアとのビジネス関係も深く、友好な関係であったことも背景にはあっただろう。

しかし、バイデン政権はロシアと鋭い緊張関係になる可能性は極めて高い――
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1456.html#c13

[近代史3] ベーシックインカムは社会保障費を極小にする為の新自由主義的な制度 中川隆
3. 中川隆[-7020] koaQ7Jey 2021年2月28日 09:40:51 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[12]
「一億総生活保護」化!?ベーシックインカム導入で危惧される未来とは
2021/02/28


的場昭弘氏(左)と、白井聡氏(右)

 いま、貧困や経済格差の問題を解決する方法として、国が全国民に一律で必要最低限の生活費を給付する「ベーシックインカム」が注目されています。その実現可能性は、どのくらいあるのでしょうか? 『いまこそ「社会主義」』(朝日新聞出版)の共著者である的場昭弘さんと、『武器としての「資本論」』(東洋経済新報社)の著者である白井聡さんに聞きました。(※本記事は、朝日カルチャーセンター主催で2020年11月に行われた対談講座「マルクスとプルードンから考える未来」の内容の一部を加筆・編集したものです)

■ベーシックインカムは、企業のためのもの?

――ベーシックインカム論は、労働者が資本から自由になる道でしょうか? それとも、国民が国家に取り込まれる道でしょうか?

的場:ベーシックインカムというのは、もともとは資本主義的な発想の中から出てきた概念です。資本主義経済では、消費者にたくさん消費してもらわないと、企業活動を継続することができません。つまり、消費者である国民の所得の保障を国家がすることで、企業活動が滞りなく行えるようにしましょうというのが、ベーシックインカム論の背景にあるもともとの考え方です。

 一つの近未来として、企業活動がどんどん自動化されていって、いわばロボット化して、多くの労働者が働かなくてもよくなった状況を考えてみましょう。そうすると、仕事を失った労働者は賃金をもらうことができませんから、積極的な消費が行われなくなります。そこで、消費を行ってもらうための方策のひとつとして、ベーシックインカムが出てきます。

 このベーシックインカムの実現を考えるにあたってポイントになるのは、国家が国民にあまねくお金を配るための原資をどうやってつくるか、ということです。企業活動が滞りなく行えるようにするという目的に照らせば、企業に税金をかけるというのが合理的となります。その税金を原資にして、国家が労働者にお金を与えて、消費してもらうということです。

 ベーシックインカムを受給するとは、いわば、そうやって消費のために動かされていく世界に生きるということです。そもそも、ベーシックインカムという考え方のおおもとには、労働者が自らの労働権をしっかり行使して、その対価として得られるべき所得を得て生きていくという発想がありません。本当にそれでいいのかという、難しい問題を考えなくてはなりません。

 政治家の中にはベーシックインカム論を立ち上げようとする人たちもいますが、いまひとつ説明しきれない理由は、いったい誰が何のためにベーシックインカムをやろうとするのかということが明確にされていないからではないでしょうか。

■ベーシックインカムは、人間を不幸にする?

白井:質問された方も2つの可能性があると思っておられるようですが、私も基本的にはその2つの可能性があるだろうと思います。

 ですが、少なくとも、現時点で仮にベーシックインカムが導入されるとするならば、たぶん精神的にネガティブな影響が広がる結果にしかならないじゃないかなという気がします。いうなれば、国民一億総生活保護者化するっていう感じになっちゃうのではないかと。

 生活保護という制度に関してはさまざまな問題というのが指摘をされていますが、私がここで問題にしたいのは、不正受給が起きるかもしれないなどといったことではありません。ベーシックインカムは、それをもらいながら暮らすことで、「何もしなくていいんだろう。医療費タダだしな。あー、なんて安楽で、充実もしているな。本当にこれが最高の生き方だ」と思える人がどれほどいるのだろうかという、根本的な問題をはらんでいると思います。

 たぶん、そんな人はほぼいないと思うんです。それが、人間のある種、社会的本能ということなのではないかと思います。

 ベーシックインカムをもらうとは、いわば、「自分が社会に対して何も与えることができていない」と思いながら、社会から一方的に受け取っているという状態です。もちろん実際には、本人が気付いていないだけで、何かしら社会に与えているのかもしれません。でもとにかく、「与えていない」と思わされる状態で、一方的に給付を受けるという状況が、人間はすごく不愉快、不本意なことなんだろうと思います。だから心がすさみやすいという問題を抱えているのではないでしょうか。

 労働は、人間という存在にとって極めて本質的なものであり、人間らしくあるための条件でもあると思います。生活保護受給者が陥っている精神的苦境はこれが満たされないことに端を発している。ベーシックインカムとして労働をしないでお金だけもらえるとなると、こうした生活保護受給者の精神的苦境が全国民的に広がっていくっていうことが起きるんじゃないのかなということを、私は危惧しています。

的場:結局、労働は、所得とは関係なく存在しているものでもあるということですね。労働は、人間と人間をつなぐものでもある。つまり、労働を抜きにしたら人間関係がなくなるということが言えると思います。

 それに、国家からお金を受け取るということは、まあ、国家によってまさに飼いならされてしまうという危険性をはらんでいるとも言えます。ベーシックインカムは、すごくおもしろいアイデアだと思います。ただ、実施するには、さまざまな工夫が必要であるということは間違いないですね。

https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E4%B8%80%E5%84%84%E7%B7%8F%E7%94%9F%E6%B4%BB%E4%BF%9D%E8%AD%B7-%E5%8C%96-%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%A0%E5%B0%8E%E5%85%A5%E3%81%A7%E5%8D%B1%E6%83%A7%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E6%9C%AA%E6%9D%A5%E3%81%A8%E3%81%AF/ar-BB1e4UFC?ocid=msedgntp
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/632.html#c3

[近代史4] MMTの就業保障プログラム VS ベーシックインカム 中川隆
8. 中川隆[-7019] koaQ7Jey 2021年2月28日 09:41:26 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[13]
「一億総生活保護」化!?ベーシックインカム導入で危惧される未来とは
2021/02/28


的場昭弘氏(左)と、白井聡氏(右)

 いま、貧困や経済格差の問題を解決する方法として、国が全国民に一律で必要最低限の生活費を給付する「ベーシックインカム」が注目されています。その実現可能性は、どのくらいあるのでしょうか? 『いまこそ「社会主義」』(朝日新聞出版)の共著者である的場昭弘さんと、『武器としての「資本論」』(東洋経済新報社)の著者である白井聡さんに聞きました。(※本記事は、朝日カルチャーセンター主催で2020年11月に行われた対談講座「マルクスとプルードンから考える未来」の内容の一部を加筆・編集したものです)

■ベーシックインカムは、企業のためのもの?

――ベーシックインカム論は、労働者が資本から自由になる道でしょうか? それとも、国民が国家に取り込まれる道でしょうか?

的場:ベーシックインカムというのは、もともとは資本主義的な発想の中から出てきた概念です。資本主義経済では、消費者にたくさん消費してもらわないと、企業活動を継続することができません。つまり、消費者である国民の所得の保障を国家がすることで、企業活動が滞りなく行えるようにしましょうというのが、ベーシックインカム論の背景にあるもともとの考え方です。

 一つの近未来として、企業活動がどんどん自動化されていって、いわばロボット化して、多くの労働者が働かなくてもよくなった状況を考えてみましょう。そうすると、仕事を失った労働者は賃金をもらうことができませんから、積極的な消費が行われなくなります。そこで、消費を行ってもらうための方策のひとつとして、ベーシックインカムが出てきます。

 このベーシックインカムの実現を考えるにあたってポイントになるのは、国家が国民にあまねくお金を配るための原資をどうやってつくるか、ということです。企業活動が滞りなく行えるようにするという目的に照らせば、企業に税金をかけるというのが合理的となります。その税金を原資にして、国家が労働者にお金を与えて、消費してもらうということです。

 ベーシックインカムを受給するとは、いわば、そうやって消費のために動かされていく世界に生きるということです。そもそも、ベーシックインカムという考え方のおおもとには、労働者が自らの労働権をしっかり行使して、その対価として得られるべき所得を得て生きていくという発想がありません。本当にそれでいいのかという、難しい問題を考えなくてはなりません。

 政治家の中にはベーシックインカム論を立ち上げようとする人たちもいますが、いまひとつ説明しきれない理由は、いったい誰が何のためにベーシックインカムをやろうとするのかということが明確にされていないからではないでしょうか。

■ベーシックインカムは、人間を不幸にする?

白井:質問された方も2つの可能性があると思っておられるようですが、私も基本的にはその2つの可能性があるだろうと思います。

 ですが、少なくとも、現時点で仮にベーシックインカムが導入されるとするならば、たぶん精神的にネガティブな影響が広がる結果にしかならないじゃないかなという気がします。いうなれば、国民一億総生活保護者化するっていう感じになっちゃうのではないかと。

 生活保護という制度に関してはさまざまな問題というのが指摘をされていますが、私がここで問題にしたいのは、不正受給が起きるかもしれないなどといったことではありません。ベーシックインカムは、それをもらいながら暮らすことで、「何もしなくていいんだろう。医療費タダだしな。あー、なんて安楽で、充実もしているな。本当にこれが最高の生き方だ」と思える人がどれほどいるのだろうかという、根本的な問題をはらんでいると思います。

 たぶん、そんな人はほぼいないと思うんです。それが、人間のある種、社会的本能ということなのではないかと思います。

 ベーシックインカムをもらうとは、いわば、「自分が社会に対して何も与えることができていない」と思いながら、社会から一方的に受け取っているという状態です。もちろん実際には、本人が気付いていないだけで、何かしら社会に与えているのかもしれません。でもとにかく、「与えていない」と思わされる状態で、一方的に給付を受けるという状況が、人間はすごく不愉快、不本意なことなんだろうと思います。だから心がすさみやすいという問題を抱えているのではないでしょうか。

 労働は、人間という存在にとって極めて本質的なものであり、人間らしくあるための条件でもあると思います。生活保護受給者が陥っている精神的苦境はこれが満たされないことに端を発している。ベーシックインカムとして労働をしないでお金だけもらえるとなると、こうした生活保護受給者の精神的苦境が全国民的に広がっていくっていうことが起きるんじゃないのかなということを、私は危惧しています。

的場:結局、労働は、所得とは関係なく存在しているものでもあるということですね。労働は、人間と人間をつなぐものでもある。つまり、労働を抜きにしたら人間関係がなくなるということが言えると思います。

 それに、国家からお金を受け取るということは、まあ、国家によってまさに飼いならされてしまうという危険性をはらんでいるとも言えます。ベーシックインカムは、すごくおもしろいアイデアだと思います。ただ、実施するには、さまざまな工夫が必要であるということは間違いないですね。

https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E4%B8%80%E5%84%84%E7%B7%8F%E7%94%9F%E6%B4%BB%E4%BF%9D%E8%AD%B7-%E5%8C%96-%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%A0%E5%B0%8E%E5%85%A5%E3%81%A7%E5%8D%B1%E6%83%A7%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E6%9C%AA%E6%9D%A5%E3%81%A8%E3%81%AF/ar-BB1e4UFC?ocid=msedgntp
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/974.html#c8

[近代史4] 大西つねき :正しいベーシックインカム 中川隆
9. 中川隆[-7018] koaQ7Jey 2021年2月28日 09:41:44 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[14]
「一億総生活保護」化!?ベーシックインカム導入で危惧される未来とは
2021/02/28


的場昭弘氏(左)と、白井聡氏(右)

 いま、貧困や経済格差の問題を解決する方法として、国が全国民に一律で必要最低限の生活費を給付する「ベーシックインカム」が注目されています。その実現可能性は、どのくらいあるのでしょうか? 『いまこそ「社会主義」』(朝日新聞出版)の共著者である的場昭弘さんと、『武器としての「資本論」』(東洋経済新報社)の著者である白井聡さんに聞きました。(※本記事は、朝日カルチャーセンター主催で2020年11月に行われた対談講座「マルクスとプルードンから考える未来」の内容の一部を加筆・編集したものです)

■ベーシックインカムは、企業のためのもの?

――ベーシックインカム論は、労働者が資本から自由になる道でしょうか? それとも、国民が国家に取り込まれる道でしょうか?

的場:ベーシックインカムというのは、もともとは資本主義的な発想の中から出てきた概念です。資本主義経済では、消費者にたくさん消費してもらわないと、企業活動を継続することができません。つまり、消費者である国民の所得の保障を国家がすることで、企業活動が滞りなく行えるようにしましょうというのが、ベーシックインカム論の背景にあるもともとの考え方です。

 一つの近未来として、企業活動がどんどん自動化されていって、いわばロボット化して、多くの労働者が働かなくてもよくなった状況を考えてみましょう。そうすると、仕事を失った労働者は賃金をもらうことができませんから、積極的な消費が行われなくなります。そこで、消費を行ってもらうための方策のひとつとして、ベーシックインカムが出てきます。

 このベーシックインカムの実現を考えるにあたってポイントになるのは、国家が国民にあまねくお金を配るための原資をどうやってつくるか、ということです。企業活動が滞りなく行えるようにするという目的に照らせば、企業に税金をかけるというのが合理的となります。その税金を原資にして、国家が労働者にお金を与えて、消費してもらうということです。

 ベーシックインカムを受給するとは、いわば、そうやって消費のために動かされていく世界に生きるということです。そもそも、ベーシックインカムという考え方のおおもとには、労働者が自らの労働権をしっかり行使して、その対価として得られるべき所得を得て生きていくという発想がありません。本当にそれでいいのかという、難しい問題を考えなくてはなりません。

 政治家の中にはベーシックインカム論を立ち上げようとする人たちもいますが、いまひとつ説明しきれない理由は、いったい誰が何のためにベーシックインカムをやろうとするのかということが明確にされていないからではないでしょうか。

■ベーシックインカムは、人間を不幸にする?

白井:質問された方も2つの可能性があると思っておられるようですが、私も基本的にはその2つの可能性があるだろうと思います。

 ですが、少なくとも、現時点で仮にベーシックインカムが導入されるとするならば、たぶん精神的にネガティブな影響が広がる結果にしかならないじゃないかなという気がします。いうなれば、国民一億総生活保護者化するっていう感じになっちゃうのではないかと。

 生活保護という制度に関してはさまざまな問題というのが指摘をされていますが、私がここで問題にしたいのは、不正受給が起きるかもしれないなどといったことではありません。ベーシックインカムは、それをもらいながら暮らすことで、「何もしなくていいんだろう。医療費タダだしな。あー、なんて安楽で、充実もしているな。本当にこれが最高の生き方だ」と思える人がどれほどいるのだろうかという、根本的な問題をはらんでいると思います。

 たぶん、そんな人はほぼいないと思うんです。それが、人間のある種、社会的本能ということなのではないかと思います。

 ベーシックインカムをもらうとは、いわば、「自分が社会に対して何も与えることができていない」と思いながら、社会から一方的に受け取っているという状態です。もちろん実際には、本人が気付いていないだけで、何かしら社会に与えているのかもしれません。でもとにかく、「与えていない」と思わされる状態で、一方的に給付を受けるという状況が、人間はすごく不愉快、不本意なことなんだろうと思います。だから心がすさみやすいという問題を抱えているのではないでしょうか。

 労働は、人間という存在にとって極めて本質的なものであり、人間らしくあるための条件でもあると思います。生活保護受給者が陥っている精神的苦境はこれが満たされないことに端を発している。ベーシックインカムとして労働をしないでお金だけもらえるとなると、こうした生活保護受給者の精神的苦境が全国民的に広がっていくっていうことが起きるんじゃないのかなということを、私は危惧しています。

的場:結局、労働は、所得とは関係なく存在しているものでもあるということですね。労働は、人間と人間をつなぐものでもある。つまり、労働を抜きにしたら人間関係がなくなるということが言えると思います。

 それに、国家からお金を受け取るということは、まあ、国家によってまさに飼いならされてしまうという危険性をはらんでいるとも言えます。ベーシックインカムは、すごくおもしろいアイデアだと思います。ただ、実施するには、さまざまな工夫が必要であるということは間違いないですね。

https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E4%B8%80%E5%84%84%E7%B7%8F%E7%94%9F%E6%B4%BB%E4%BF%9D%E8%AD%B7-%E5%8C%96-%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%A0%E5%B0%8E%E5%85%A5%E3%81%A7%E5%8D%B1%E6%83%A7%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E6%9C%AA%E6%9D%A5%E3%81%A8%E3%81%AF/ar-BB1e4UFC?ocid=msedgntp
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/765.html#c9

[近代史5] テレビドラマ関係投稿集 中川隆
12. 中川隆[-7017] koaQ7Jey 2021年2月28日 10:18:29 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[15]
野島 伸司(1963年3月4日 - )
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/998.html

お薦めは


昔のテレビ・ドラマは面白かった _ 真田広之・桜井幸子 高校教师 (TBS 1993年)
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/1000.html

昔のテレビ・ドラマは面白かった _ 鈴木保奈美・三上博史 この世の果て (フジテレビ 1994年)
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/997.html

昔のテレビ・ドラマは面白かった _ 三上博史・ 広末涼子 リップスティック (フジテレビ 1999年)
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/1044.html

http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/407.html#c12

[近代史4] 野島 伸司(1963年3月4日 - ) 中川隆
10. 中川隆[-7016] koaQ7Jey 2021年2月28日 10:19:15 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[16]
お薦めは


昔のテレビ・ドラマは面白かった _ 真田広之・桜井幸子 高校教师 (TBS 1993年)
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/1000.html

昔のテレビ・ドラマは面白かった _ 鈴木保奈美・三上博史 この世の果て (フジテレビ 1994年)
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/997.html

昔のテレビ・ドラマは面白かった _ 三上博史・ 広末涼子 リップスティック (フジテレビ 1999年)
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/1044.html
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/998.html#c10

[番外地9] 馬淵さんはグローバリズムがどういうものか、「世界の支配者」とは誰か、全く理解できていない、IQ 低過ぎ 中川隆
6. 中川隆[-7015] koaQ7Jey 2021年2月28日 15:10:00 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[17]
馬淵さんはグローバリズムがどういうものか、「世界の支配者」とは誰か、全く理解できていない、IQ 低過ぎ
グローバリズムは19世紀の帝国主義の21世紀版で反共、反ソ、資本主義の最終段階、共産主義とは対極にある考え方
中共は共産主義ではなく帝国主義の儒教国家です。独裁国家は名前だけ民主主義共和国とか共産主義国とか自称するものなんです。今の米中対立は資本主義 vs 共産主義 の対立ではなく、帝国主義国家間の植民地争奪戦ですね:

「世界の支配者」が反中のトランプ大統領を排斥した理由
中国の上場企業の大株主はすべて欧米のファンドだった
https://www.youtube.com/watch?v=l25ziXAxM8E&feature=emb_title

バイデン政権の背後にいる「CFR」や、それと連動して動いていると思われる「ダボス会議」が目標にする「グレート・リセット」

「CFR」の核となる企業が、「ゴールドマン・サックス」、「JPモーガン」、「モーガンスタンレー」、「シティ」、「バンク・オブ・アメリカ」、「ムーディーズ」などの国際的な金融資本、また「グーグル」や「フェースブック」、「AT&T」などの大手IT・通信企業、さらに「エクソンモービル」や「シェブロン」などの国際エネルギー企業などであることを見ると、グローバリゼーションの促進で国家と政府の規制が弱められ、世界のあらゆる地域が彼らの自由な投資領域として確保されることは、まさに「CFR」の利害に合致している。もちろんこれらの企業は、「ダボス会議」にも名前を連ねている。

アメリカをコントロールしている私的権力は支配的な地位を維持するために「資本主義の大々的なリセット」を始めている。これはWEF(世界経済フォーラム)の創設者であるクラウス・シュワブが宣言、リン・フォレスター・ド・ロスチャイルドを中心とする「包括的資本主義会議」が推進することになるのだろう。そのリセットを実現するためにはロシアや中国を制圧する必要がある。この方針にアメリカ政府は逆らうことができない。

これを推進してきたのは、まさに「CFR」や「ダボス会議」などに結集し、独自のアジェンダを追求している欧米の支配勢力。彼らが提示する次のアジェンダこそ、ITによる社会管理を全面的に取り入れた新しい社会状態への「グレート・リセット」だ。

社会矛盾の爆発によって既存の支配勢力が民衆の怒りのターゲットとなり、自分たちが排除される前に、新しい社会状態を先行して導入し、支配勢力としての地位を継続して維持するために行っていること。
これは規制緩和、ならびに富裕層と企業への減税を条件に民間の債務を増やし、経済成長を最優先した政策だ。

 資本主義とは強大な私的権力がすべての富を吸い上げる経済システムであるため、早晩行き詰まる。そこで外国を侵略して略奪しなければならなくなるのだが、それが「帝国主義」にほかならない。必然的に帝国主義は世界制覇へ向かうことになるが、世界を制覇できていない段階でも略奪が滞ればシステムが崩壊する。

 この略奪を進めるために軍事力が使われる。アメリカ海兵隊の伝説的な軍人、スメドリー・バトラー少将が戦争を「不正なカネ儲け」と表現したのはそのためだ。軍事力が不足していたイギリスは現地の支配者を手なずけたり、現地で傭兵を組織した。明治維新によって日本は事実上イギリスの傭兵になっている。

 イギリスは1840年から42年にかけてアヘン戦争、56年から60年の第2次アヘン戦争(アロー戦争)を中国に対して仕掛けて勝利するが、内陸部を支配するだけの戦力はなかった。足りない戦力を補うため、イギリスは日本に目をつけた。

第2次世界大戦後、アメリカは基軸通貨を発行する特権を使い、その通貨を回収する仕組みを作った。必要なだけ通貨を発行し、インフレにならないよう、通貨を回収する仕組みだ。このドル体制が「アメリカ帝国」を支えているわけで、ドル体制が揺らぐと帝国も揺らぐ。現在、そうした状況に至っている。体制をリセットする必要が生じたのだ。

 現在、西側を支配している人びとがその地位を維持するためにも、長期戦略を完成させるためにも、中国とロシアを制圧する必要がある。アメリカ大統領がこうしたことに反対することは許されない。


資本主義の最終段階が グローバリズム=帝国主義 で、その後に共産社会が来るのです。
グローバリズムはヒト・モノ・カネの自由な移動が基本で、資本家と労働者という階級の存在も認める。

一方、共産主義では国家間のヒト・モノ・カネの自由な移動も、資本家階級の存在も一切認めない。

従って、共産主義はグローバリズムとは対極の考え方です。
共産主義はあくまでもインターナショナリズムで、グローバリズムとは対極にある考え方です。

帝国主義の次の段階が共産社会なので共産主義もインターナショナリズムになっているというだけなのです:


帝国主義とグローバリズムは根がひとつ


グローバリズムとはヒト・モノ・カネの移動を出来る限り自由にしようという「考え方」です。
「ルールの統一化」、「国家主権の喪失」でもあります。
市場原理主義、新古典派経済学に即した考え方です。

グローバリズムと帝国主義の行き着く先は同一の結果

これらが全てではなく極々一部のグローバリズムの弊害を取り上げましたが、これだけでも十分問題があると思われる方は多いと思いますし、現実にグローバリズムの是正が叫ばれているこの事実を我が国は参考にしなければいけません。

新自由主義的なグローバリズムの行き過ぎで判明したことは国家も企業も個人も必ず
「勝ち組と負け組に分かれる」
ということです。

グローバリズムを推進しているのは経団連や大手企業です。
移民も受け入れようと主張しています。人件費が安く済むそれだけの理由で。
これは世界的に問題となっています。

「底辺への競争」と言われ、企業が人件費の低い国を求めて工場を移すことで世界的に賃金が上がらないといった状況です。

またグローバリスト達は負け組になった人を自己責任と言って突き放します。

とことん自分や自分の企業のことしか考えていないのです

完全に負け組と勝ち組が分かれた現実は、負け組の人間は低賃金労働で働かされ、企業の歯車となり一生こき使われることでしょう。
低賃金労働が嫌だと言っても移民は本国よりも賃金が良いので働きます。
その割を食うのは一般の日本人です。
いずれは食料や電気、水道などのインフラも民営化され自分が何を食べているのかわからない、光熱費は上がり、消費税もまた上がることでしょう。


晴れて「外国人と日本人の平等」が実現するわけです
中流の人間は下っていき、底辺にいた人間はちょっとだけ上がるといったところでしょう。

この状況はイギリスがインドに行ったことと何が違うのでしょうか?
グローバリズムとは武力を使わない戦争なのです。

レーニンは1917年に『資本主義の最高段階としての帝国主義』を出版した。
同著によれば帝国主義は特殊な資本の発展段階である。

帝国主義においては独占が資本の集中をもたらし、また金融資本が産業資本と融合した寡頭的な支配が行われ、腐敗が進行し、長期的には死滅しつつある。レーニンは帝国主義の列強間で不可避的に生じる衝突を予見し、そのときこそ社会主義革命の契機と捉えていた。

レーニンの帝国主義論では、帝国主義とは、資本主義の独占段階(最終段階)であり、世紀転換期から第一次世界大戦までを指す時代区分でもあり、列強諸国が植民地経営や権益争いを行い世界の再分割を行っていた時代を指す。

http://www.asyura2.com/21/ban9/msg/115.html#c6

[番外地9] 馬淵さんはグローバリズムがどういうものか、「世界の支配者」とは誰か、全く理解できていない、IQ 低過ぎ 中川隆
7. 中川隆[-7014] koaQ7Jey 2021年2月28日 15:38:44 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[18]
馬淵さんはグローバリズムがどういうものか、「世界の支配者」とは誰か、全く理解できていない、IQ 低過ぎ
グローバリズムは19世紀の帝国主義の21世紀版で反共、反ソ、資本主義の最終段階、共産主義とは対極にある考え方
中共は共産主義ではなく帝国主義の儒教国家です。独裁国家は名前だけ民主主義共和国とか共産主義国とか自称するものなんです。今の米中対立は資本主義 vs 共産主義 の対立ではなく、帝国主義国家間の植民地争奪戦ですね:

「世界の支配者」が反中のトランプ大統領を排斥した理由
中国の上場企業の大株主はすべて欧米のファンドだった
https://www.youtube.com/watch?v=l25ziXAxM8E&feature=emb_title

バイデン政権の背後にいる「CFR」や、それと連動して動いていると思われる「ダボス会議」が目標にする「グレート・リセット」

「CFR」の核となる企業が、「ゴールドマン・サックス」、「JPモーガン」、「モーガンスタンレー」、「シティ」、「バンク・オブ・アメリカ」、「ムーディーズ」などの国際的な金融資本、また「グーグル」や「フェースブック」、「AT&T」などの大手IT・通信企業、さらに「エクソンモービル」や「シェブロン」などの国際エネルギー企業などであることを見ると、グローバリゼーションの促進で国家と政府の規制が弱められ、世界のあらゆる地域が彼らの自由な投資領域として確保されることは、まさに「CFR」の利害に合致している。もちろんこれらの企業は、「ダボス会議」にも名前を連ねている。

アメリカをコントロールしている私的権力は支配的な地位を維持するために「資本主義の大々的なリセット」を始めている。これはWEF(世界経済フォーラム)の創設者であるクラウス・シュワブが宣言、リン・フォレスター・ド・ロスチャイルドを中心とする「包括的資本主義会議」が推進することになるのだろう。そのリセットを実現するためにはロシアや中国を制圧する必要がある。この方針にアメリカ政府は逆らうことができない。

これを推進してきたのは、まさに「CFR」や「ダボス会議」などに結集し、独自のアジェンダを追求している欧米の支配勢力。彼らが提示する次のアジェンダこそ、ITによる社会管理を全面的に取り入れた新しい社会状態への「グレート・リセット」だ。

社会矛盾の爆発によって既存の支配勢力が民衆の怒りのターゲットとなり、自分たちが排除される前に、新しい社会状態を先行して導入し、支配勢力としての地位を継続して維持するために行っていること。
これは規制緩和、ならびに富裕層と企業への減税を条件に民間の債務を増やし、経済成長を最優先した政策だ。
グレートリセットはジョージ・オーウェルのディストピア小説「1984」から多くのアイデアをもらっている。
こうした体制を「近代農奴制」と呼ぶ人もいる。

 資本主義とは強大な私的権力がすべての富を吸い上げる経済システムであるため、早晩行き詰まる。そこで外国を侵略して略奪しなければならなくなるのだが、それが「帝国主義」にほかならない。必然的に帝国主義は世界制覇へ向かうことになるが、世界を制覇できていない段階でも略奪が滞ればシステムが崩壊する。

 この略奪を進めるために軍事力が使われる。軍事力が不足していたイギリスは現地の支配者を手なずけたり、現地で傭兵を組織した。明治維新によって日本は事実上イギリスの傭兵になっている。 イギリスは1840年から42年にかけてアヘン戦争、56年から60年の第2次アヘン戦争(アロー戦争)を中国に対して仕掛けて勝利するが、内陸部を支配するだけの戦力はなかった。足りない戦力を補うため、イギリスは日本に目をつけた。

第2次世界大戦後、アメリカは基軸通貨を発行する特権を使い、その通貨を回収する仕組みを作った。必要なだけ通貨を発行し、インフレにならないよう、通貨を回収する仕組みだ。このドル体制が「アメリカ帝国」を支えているわけで、ドル体制が揺らぐと帝国も揺らぐ。現在、そうした状況に至っている。体制をリセットする必要が生じたのだ。

 現在、西側を支配している人びとがその地位を維持するためにも、長期戦略を完成させるためにも、中国とロシアを制圧する必要がある。アメリカ大統領がこうしたことに反対することは許されない。

資本主義の最終段階が グローバリズム=帝国主義 で、その後に共産社会が来るのです。
グローバリズムはヒト・モノ・カネの自由な移動が基本で、資本家と労働者という階級の存在も認める。

一方、共産主義では国家間のヒト・モノ・カネの自由な移動も、資本家階級の存在も一切認めない。

従って、共産主義はグローバリズムとは対極の考え方です。
共産主義はあくまでもインターナショナリズムで、グローバリズムとは対極にある考え方です。

帝国主義の次の段階が共産社会なので共産主義もインターナショナリズムになっているというだけなのです:


帝国主義とグローバリズムは根がひとつ


グローバリズムとはヒト・モノ・カネの移動を出来る限り自由にしようという「考え方」です。
「ルールの統一化」、「国家主権の喪失」でもあります。
市場原理主義、新古典派経済学に即した考え方です。

グローバリズムと帝国主義の行き着く先は同一の結果

これらが全てではなく極々一部のグローバリズムの弊害を取り上げましたが、これだけでも十分問題があると思われる方は多いと思いますし、現実にグローバリズムの是正が叫ばれているこの事実を我が国は参考にしなければいけません。

新自由主義的なグローバリズムの行き過ぎで判明したことは国家も企業も個人も必ず
「勝ち組と負け組に分かれる」
ということです。

グローバリズムを推進しているのは経団連や大手企業です。
移民も受け入れようと主張しています。人件費が安く済むそれだけの理由で。
これは世界的に問題となっています。

「底辺への競争」と言われ、企業が人件費の低い国を求めて工場を移すことで世界的に賃金が上がらないといった状況です。

またグローバリスト達は負け組になった人を自己責任と言って突き放します。

とことん自分や自分の企業のことしか考えていないのです

完全に負け組と勝ち組が分かれた現実は、負け組の人間は低賃金労働で働かされ、企業の歯車となり一生こき使われることでしょう。
低賃金労働が嫌だと言っても移民は本国よりも賃金が良いので働きます。
その割を食うのは一般の日本人です。
いずれは食料や電気、水道などのインフラも民営化され自分が何を食べているのかわからない、光熱費は上がり、消費税もまた上がることでしょう。


晴れて「外国人と日本人の平等」が実現するわけです
中流の人間は下っていき、底辺にいた人間はちょっとだけ上がるといったところでしょう。

この状況はイギリスがインドに行ったことと何が違うのでしょうか?
グローバリズムとは武力を使わない戦争なのです。

レーニンは1917年に『資本主義の最高段階としての帝国主義』を出版した。
同著によれば帝国主義は特殊な資本の発展段階である。

帝国主義においては独占が資本の集中をもたらし、また金融資本が産業資本と融合した寡頭的な支配が行われ、腐敗が進行し、長期的には死滅しつつある。レーニンは帝国主義の列強間で不可避的に生じる衝突を予見し、そのときこそ社会主義革命の契機と捉えていた。

レーニンの帝国主義論では、帝国主義とは、資本主義の独占段階(最終段階)であり、列強諸国が植民地経営や権益争いを行い世界の再分割を行っていた時代を指す。
http://www.asyura2.com/21/ban9/msg/115.html#c7

[番外地8] ハイパーインフレは所得再分配の為に不可欠 中川隆
1. 中川隆[-7013] koaQ7Jey 2021年2月28日 16:26:51 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[19]
累進課税や消費税廃止程度では階級は無くせない _ ハイパーインフレは所得再分配の為に不可欠
最低賃金を上げて、ベーシックインカムもやって意図的にハイパーインフレにするのが正しい。
つまらない仕事を嫌々させるより、金をやって遊ばせておいた方が社会にはプラスになるんだ。
強盗や詐欺を犯して刑務所に入ると一人当たり毎年何百万円も菅里費がかかるから、金をやって遊ばせておいた方が安上がりだしね。
インフレになったらそれに合わせて最低賃金も失業保険も生活保護費も年金額も上げれば済む事だ。

そもそも今は技術の進歩で国民一人が毎日2,3時間も働けば必要な物がすべて作れてしまう時代なんだ。企業が半分倒産しても生産面では何の問題も起きない。要は0.1%の資本家が利益を独占しているから、金が労働者に回らないという話だ。
極端なインフレを起こし資本家の資金を目減りさせて所得再分配しない限り、マルクスが予言した通りの階級社会ができてしまう。
そもそもアメリカ中央銀行はアメリカ政府から利子付きアメリカ国債を買ってドルを発行しているから、利子の分だけドルの発行量が毎年毎年増えていく、従ってドルの貨幣価値も毎年毎年減ってインフレが進行していく。
ドルの増加分はすべて資本家の所に行き、労働者の賃金は大して上がらない。
従って、内需は毎年毎年減っていき、失業が増え、貧富の差が開いていってマルクスが預言した階級社会が完成する。
マルクス主義というのは階級闘争で階級を無くすという運動。
グレートリセットというのは階級を永遠に固定化して、労働者を徹底管理して反乱を起こさない様にする政策。

国債金利がゼロに近づいているというのは、企業が民間銀行から借金して投資する額がこれ以上は増やせない上限に到達してしまい、投資して利子と配当で儲ける資本主義システムが破綻したという事です:

■ 階級社会のリセットにはドルの紙屑化が必要 ■

ダボス会議は「資本主義は行き詰まり、グレートリセットが必要」と正式に発表しています。これが今後の世界のアジェンダです。

トランプの登場によるアメリカの分断も、コロナ禍による世界経済の破壊も市場のバブル化も、全てグレートリセットに向けた仕込みでしょう。

「資本主義をリセット」するのですから、その根本を支えるドル基軸体制は崩壊すると思われ、強いドルによって結束するアメリカ合衆国は、米国債の負債を切り離す為に崩壊するでしょう。

■ 資本主義の限界とは何か ■

実はダボス会議は何をして「資本主義の限界」なのか、具体的に説明をしていません。様々な些末な問題点を挙げて「資本主義は限界を迎えた」と言っているに過ぎません。

しかし、「資本主義の限界」は既に日本では30年前に起きています。「ゼロ金利」が資本主義の限界点なのです。

金利は経済の血圧の様なものですから金利がゼロになった時点で経済は緩慢に死を迎えます。金融緩和はカンフル剤として一時の延命をもたらしますが、無理な延命でさらに経済は傷つきます。

「ゼロ金利=資金需要の枯渇=経済の低迷」に他なりません。要は「資本主義による経済発展が限界に達したから金利がゼロになった」のです。アメリカにおいても80年代には既に限界に達していました。それを過剰な資金供給によってバブルを起こして先延ばしにしていただけ。けっかとしてITバブルはインターネットの発展を生み出しますが、デジタル技術の進歩は、AI化や自動化によって労働者を労働市場から排除する方向に働いています。結果、労働者は安い労働に追いやられ疲弊し、消費が消えて行く。

デジタル化は消費も抑制します。デスクトップパソコンやデジカメはスマホに集約され、そこで生産に従事する人々の仕事を奪い続けています。 物質的消費も格段に減少し、エネルギー消費も減少します。この流れはAI化によってさらに加速するでしょう。

こうして、資本主義は「資本効率」を追及し続ける事で、人々を労働市場から追い出し、消費という資本主義を支える原動力を自ら奪い、貧困を拡大する事で社会基盤を不安定にしています。そして、金融市場によって格差は社会を脅かす程に拡大してしまいました。


■ 階級社会のリセットの最速の方法がドルの崩壊 ■

拡大した貧富の差を解消する細則の方法が、「持てる者から全てを奪う」です。現在世界の多くの資産がドル資産です。これを取り合えず無価値にしてしまえば、世界は等しく貧しくなります。

確かに高齢者の資産も消えてしまいますし、庶民の資産も消えてしまいますが、平等だけは担保されます。そこから、1から制度設計した方が、現在の様な歪だらけのシステムを変更するより簡単です。

かつては戦争がリセットのスイッチでしたが、現在の倫理観では世界大戦の様な多くの人命の失われる方法は取れません。ですからドルとアメリカをパージして、戦争に匹敵する様なリセットを生み出します。

▲△▽▼


大西つねき
民間銀行はもうこの世に必要ない(Live配信2021/1/12) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=a3y34SLGKlo

米国のMMT政策は日本を破壊(Live配信2020/11/17) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=nYgXByuRzMU&feature=emb_title

グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート
インフレが制御不能になれば政府は価格統制を始める
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11964

紙幣印刷が起こしたアメリカのインフレはドルを暴落させる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11948  
http://www.asyura2.com/20/ban8/msg/874.html#c1

[番外地9] 累進課税では所得再分配はできない、所得再分配の為にはハイパーインフレが不可欠だよ 中川隆
1. 中川隆[-7012] koaQ7Jey 2021年2月28日 16:27:48 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[20]
累進課税や消費税廃止程度では階級は無くせない _ ハイパーインフレは所得再分配の為に不可欠
最低賃金を上げて、ベーシックインカムもやって意図的にハイパーインフレにするのが正しい。
つまらない仕事を嫌々させるより、金をやって遊ばせておいた方が社会にはプラスになるんだ。
強盗や詐欺を犯して刑務所に入ると一人当たり毎年何百万円も菅里費がかかるから、金をやって遊ばせておいた方が安上がりだしね。
インフレになったらそれに合わせて最低賃金も失業保険も生活保護費も年金額も上げれば済む事だ。

そもそも今は技術の進歩で国民一人が毎日2,3時間も働けば必要な物がすべて作れてしまう時代なんだ。企業が半分倒産しても生産面では何の問題も起きない。要は0.1%の資本家が利益を独占しているから、金が労働者に回らないという話だ。
極端なインフレを起こし資本家の資金を目減りさせて所得再分配しない限り、マルクスが予言した通りの階級社会ができてしまう。
そもそもアメリカ中央銀行はアメリカ政府から利子付きアメリカ国債を買ってドルを発行しているから、利子の分だけドルの発行量が毎年毎年増えていく、従ってドルの貨幣価値も毎年毎年減ってインフレが進行していく。
ドルの増加分はすべて資本家の所に行き、労働者の賃金は大して上がらない。
従って、内需は毎年毎年減っていき、失業が増え、貧富の差が開いていってマルクスが預言した階級社会が完成する。
マルクス主義というのは階級闘争で階級を無くすという運動。
グレートリセットというのは階級を永遠に固定化して、労働者を徹底管理して反乱を起こさない様にする政策。

国債金利がゼロに近づいているというのは、企業が民間銀行から借金して投資する額がこれ以上は増やせない上限に到達してしまい、投資して利子と配当で儲ける資本主義システムが破綻したという事です:

■ 階級社会のリセットにはドルの紙屑化が必要 ■

ダボス会議は「資本主義は行き詰まり、グレートリセットが必要」と正式に発表しています。これが今後の世界のアジェンダです。

トランプの登場によるアメリカの分断も、コロナ禍による世界経済の破壊も市場のバブル化も、全てグレートリセットに向けた仕込みでしょう。

「資本主義をリセット」するのですから、その根本を支えるドル基軸体制は崩壊すると思われ、強いドルによって結束するアメリカ合衆国は、米国債の負債を切り離す為に崩壊するでしょう。

■ 資本主義の限界とは何か ■

実はダボス会議は何をして「資本主義の限界」なのか、具体的に説明をしていません。様々な些末な問題点を挙げて「資本主義は限界を迎えた」と言っているに過ぎません。

しかし、「資本主義の限界」は既に日本では30年前に起きています。「ゼロ金利」が資本主義の限界点なのです。

金利は経済の血圧の様なものですから金利がゼロになった時点で経済は緩慢に死を迎えます。金融緩和はカンフル剤として一時の延命をもたらしますが、無理な延命でさらに経済は傷つきます。

「ゼロ金利=資金需要の枯渇=経済の低迷」に他なりません。要は「資本主義による経済発展が限界に達したから金利がゼロになった」のです。アメリカにおいても80年代には既に限界に達していました。それを過剰な資金供給によってバブルを起こして先延ばしにしていただけ。けっかとしてITバブルはインターネットの発展を生み出しますが、デジタル技術の進歩は、AI化や自動化によって労働者を労働市場から排除する方向に働いています。結果、労働者は安い労働に追いやられ疲弊し、消費が消えて行く。

デジタル化は消費も抑制します。デスクトップパソコンやデジカメはスマホに集約され、そこで生産に従事する人々の仕事を奪い続けています。 物質的消費も格段に減少し、エネルギー消費も減少します。この流れはAI化によってさらに加速するでしょう。

こうして、資本主義は「資本効率」を追及し続ける事で、人々を労働市場から追い出し、消費という資本主義を支える原動力を自ら奪い、貧困を拡大する事で社会基盤を不安定にしています。そして、金融市場によって格差は社会を脅かす程に拡大してしまいました。


■ 階級社会のリセットの最速の方法がドルの崩壊 ■

拡大した貧富の差を解消する細則の方法が、「持てる者から全てを奪う」です。現在世界の多くの資産がドル資産です。これを取り合えず無価値にしてしまえば、世界は等しく貧しくなります。

確かに高齢者の資産も消えてしまいますし、庶民の資産も消えてしまいますが、平等だけは担保されます。そこから、1から制度設計した方が、現在の様な歪だらけのシステムを変更するより簡単です。

かつては戦争がリセットのスイッチでしたが、現在の倫理観では世界大戦の様な多くの人命の失われる方法は取れません。ですからドルとアメリカをパージして、戦争に匹敵する様なリセットを生み出します。

▲△▽▼


大西つねき
民間銀行はもうこの世に必要ない(Live配信2021/1/12) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=a3y34SLGKlo

米国のMMT政策は日本を破壊(Live配信2020/11/17) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=nYgXByuRzMU&feature=emb_title

グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート
インフレが制御不能になれば政府は価格統制を始める
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11964

紙幣印刷が起こしたアメリカのインフレはドルを暴落させる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11948  
http://www.asyura2.com/21/ban9/msg/114.html#c1

[番外地9] 累進課税では所得再分配はできない、所得再分配の為にはハイパーインフレが不可欠だよ 中川隆
2. 中川隆[-7011] koaQ7Jey 2021年2月28日 17:14:53 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[21]
累進課税や消費税廃止程度では階級は無くせない _ ハイパーインフレは所得再分配の為に不可欠
MMTは国際金融資本が推進しているんだよ、公共事業を増やしたら資本家がぼろ儲けするだけだ。
最低賃金を上げて、ベーシックインカムもやって意図的にハイパーインフレにするのが正しい。
つまらない仕事を嫌々させるより、金をやって遊ばせておいた方が社会にはプラスになるんだ。
強盗や詐欺を犯して刑務所に入ると一人当たり毎年何百万円も菅里費がかかるから、金をやって遊ばせておいた方が安上がりだしね。
インフレになったらそれに合わせて最低賃金も失業保険も生活保護費も年金額も上げれば済む事だ。

そもそも今は技術の進歩で国民一人が毎日2,3時間も働けば必要な物がすべて作れてしまう時代なんだ。企業が半分倒産しても生産面では何の問題も起きない。要は0.1%の資本家が利益を独占しているから、金が労働者に回らないという話だ。
極端なインフレを起こし資本家の資金を目減りさせて所得再分配しない限り、マルクスが予言した通りの階級社会ができてしまう。
そもそもアメリカ中央銀行はアメリカ政府から利子付きアメリカ国債を買ってドルを発行しているから、利子の分だけドルの発行量が毎年毎年増えていく、従ってドルの貨幣価値も毎年毎年減ってインフレが進行していく。
ドルの増加分はすべて資本家の所に行き、労働者の賃金は大して上がらない。
従って、内需は毎年毎年減っていき、失業が増え、貧富の差が開いていってマルクスが預言した階級社会が完成する。
マルクス主義というのは階級闘争で階級を無くすという運動。
グレートリセットというのは階級を永遠に固定化して、労働者を徹底管理して反乱を起こさない様にする政策。

国債金利がゼロに近づいているというのは、企業が民間銀行から借金して投資する額がこれ以上は増やせない上限に到達してしまい、投資して利子と配当で儲ける資本主義システムが破綻したという事です:

■ 階級社会のリセットにはドルの紙屑化が必要 ■

ダボス会議は「資本主義は行き詰まり、グレートリセットが必要」と正式に発表しています。これが今後の世界のアジェンダです。

トランプの登場によるアメリカの分断も、コロナ禍による世界経済の破壊も市場のバブル化も、全てグレートリセットに向けた仕込みでしょう。

「資本主義をリセット」するのですから、その根本を支えるドル基軸体制は崩壊すると思われ、強いドルによって結束するアメリカ合衆国は、米国債の負債を切り離す為に崩壊するでしょう。

■ 資本主義の限界とは何か ■

実はダボス会議は何をして「資本主義の限界」なのか、具体的に説明をしていません。様々な些末な問題点を挙げて「資本主義は限界を迎えた」と言っているに過ぎません。

しかし、「資本主義の限界」は既に日本では30年前に起きています。「ゼロ金利」が資本主義の限界点なのです。

金利は経済の血圧の様なものですから金利がゼロになった時点で経済は緩慢に死を迎えます。金融緩和はカンフル剤として一時の延命をもたらしますが、無理な延命でさらに経済は傷つきます。

「ゼロ金利=資金需要の枯渇=経済の低迷」に他なりません。要は「資本主義による経済発展が限界に達したから金利がゼロになった」のです。アメリカにおいても80年代には既に限界に達していました。それを過剰な資金供給によってバブルを起こして先延ばしにしていただけ。けっかとしてITバブルはインターネットの発展を生み出しますが、デジタル技術の進歩は、AI化や自動化によって労働者を労働市場から排除する方向に働いています。結果、労働者は安い労働に追いやられ疲弊し、消費が消えて行く。

デジタル化は消費も抑制します。デスクトップパソコンやデジカメはスマホに集約され、そこで生産に従事する人々の仕事を奪い続けています。 物質的消費も格段に減少し、エネルギー消費も減少します。この流れはAI化によってさらに加速するでしょう。

こうして、資本主義は「資本効率」を追及し続ける事で、人々を労働市場から追い出し、消費という資本主義を支える原動力を自ら奪い、貧困を拡大する事で社会基盤を不安定にしています。そして、金融市場によって格差は社会を脅かす程に拡大してしまいました。


■ 階級社会のリセットの最速の方法がドルの崩壊 ■

拡大した貧富の差を解消する細則の方法が、「持てる者から全てを奪う」です。現在世界の多くの資産がドル資産です。これを取り合えず無価値にしてしまえば、世界は等しく貧しくなります。

確かに高齢者の資産も消えてしまいますし、庶民の資産も消えてしまいますが、平等だけは担保されます。そこから、1から制度設計した方が、現在の様な歪だらけのシステムを変更するより簡単です。

かつては戦争がリセットのスイッチでしたが、現在の倫理観では世界大戦の様な多くの人命の失われる方法は取れません。ですからドルとアメリカをパージして、戦争に匹敵する様なリセットを生み出します。

▲△▽▼


大西つねき
民間銀行はもうこの世に必要ない(Live配信2021/1/12) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=a3y34SLGKlo

米国のMMT政策は日本を破壊(Live配信2020/11/17) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=nYgXByuRzMU&feature=emb_title

グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート
インフレが制御不能になれば政府は価格統制を始める
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11964

紙幣印刷が起こしたアメリカのインフレはドルを暴落させる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11948
http://www.asyura2.com/21/ban9/msg/114.html#c2

[近代史5] アングロ・サクソン人は最も高貴な人種、資本主義を大々的に「リセット」して劣等民族のアジア系やアフリカ系の人口を減らすの… 中川隆
2. 中川隆[-7010] koaQ7Jey 2021年2月28日 17:35:04 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[22]
2021.02.28
ロックダウンで世界の都市は改善されたとする書き込みをWEFが削除
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202102280002/


 WEF(世界経済フォーラム)がツィッターにロックダウンが世界の都市を改善していると書き込んだことは​本ブログでも紹介​したが、反発が予想以上に強かったようで、削除された。地球に悪い影響を与えてた人間の活動を麻痺させ、そうした影響を緩和させたとロックダウンを評価していた。


 ロックダウンとは社会の収容所化だが、そうした状態を続ければ人間社会は死に至り、多くの人間が死んでいくことになる。勿論、彼らはそうした人間の中に自身を含めていない。自分たちは神に選ばれ、巨万の富を手にすることができたと考えている富豪もいる。その背景には優生学的な考え方があるのだろう。

 1864年にイギリスではトーマス・ハクスリーを中心として「Xクラブ」が作られた。そのメンバーには支配階級の優越性を主張する社会ダーウィン主義を提唱したハーバート・スペンサー、チャールズ・ダーウィンの親友だったジョセフ・フッカー、このダーウィンのいとこであるジョン・ラボックも含まれていた。

 このグループはトーマス・マルサスが主張した人口論の影響を受けていたようだ。マルサスによると、人口の増加は等比級数的であり、食糧の増加は等差級数的なため、その不均衡が飢饉、貧困、悪徳の原因になるという。すでにこの理論は事実が否定しているが、信奉者はまだ少なくない。

 長い間イギリスの植民地だったインドでは1975年にインディラ・ガンジー政権が非常事態を宣言、77年まで続いた。その間に強制的な断種キャンペーンが展開されている。当然、このキャンペーンに対する反発は強かったが、人口論者にとっては有効な実験だったのかもしれない。

 こうした人口論とセットになっているのが優生学。1871年にNMロスチャイルド&サンの融資を受けて南部アフリカでダイヤモンド取引に乗り出して大儲けしたセシル・ローズはアングロ・サクソンを最も高貴な人種だと考えていた。1877年に彼が書いた『信仰告白』によると、優秀なアングロ・サクソンが支配地域を広げることは義務だという。

 このローズは1890年代からビクトリア女王の助言者になる。その仲間にはネイサン・ロスチャイルド、ウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレットもいた。

 こうした考え方はアメリカの支配階級へ19世紀の終わりには広がっていて、1922年には「アメリカ優生学協会」が設立されている。そうした優生学の運動には富豪が資金を出していたが、その中にはロックフェラー財団、カーネギー研究所、ハリマン家などが含まれていた。

 イギリスやアメリカの支配者の間で信奉された優生学的な考え方はナチスに伝わり、第2次世界大戦後も消えてはいない。

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202102280002/
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/509.html#c2

[近代史3] 『ヒトラー思想』とは何か 中川隆
15. 中川隆[-7009] koaQ7Jey 2021年2月28日 17:36:30 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[23]
1922年には「アメリカ優生学協会」が設立されている。そうした優生学の運動には富豪が資金を出していたが、その中にはロックフェラー財団、カーネギー研究所、ハリマン家などが含まれていた。

 イギリスやアメリカの支配者の間で信奉された優生学的な考え方はナチスに伝わり、第2次世界大戦後も消えてはいない。

2021.02.28
ロックダウンで世界の都市は改善されたとする書き込みをWEFが削除
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202102280002/


 WEF(世界経済フォーラム)がツィッターにロックダウンが世界の都市を改善していると書き込んだことは​本ブログでも紹介​したが、反発が予想以上に強かったようで、削除された。地球に悪い影響を与えてた人間の活動を麻痺させ、そうした影響を緩和させたとロックダウンを評価していた。


 ロックダウンとは社会の収容所化だが、そうした状態を続ければ人間社会は死に至り、多くの人間が死んでいくことになる。勿論、彼らはそうした人間の中に自身を含めていない。自分たちは神に選ばれ、巨万の富を手にすることができたと考えている富豪もいる。その背景には優生学的な考え方があるのだろう。

 1864年にイギリスではトーマス・ハクスリーを中心として「Xクラブ」が作られた。そのメンバーには支配階級の優越性を主張する社会ダーウィン主義を提唱したハーバート・スペンサー、チャールズ・ダーウィンの親友だったジョセフ・フッカー、このダーウィンのいとこであるジョン・ラボックも含まれていた。

 このグループはトーマス・マルサスが主張した人口論の影響を受けていたようだ。マルサスによると、人口の増加は等比級数的であり、食糧の増加は等差級数的なため、その不均衡が飢饉、貧困、悪徳の原因になるという。すでにこの理論は事実が否定しているが、信奉者はまだ少なくない。

 長い間イギリスの植民地だったインドでは1975年にインディラ・ガンジー政権が非常事態を宣言、77年まで続いた。その間に強制的な断種キャンペーンが展開されている。当然、このキャンペーンに対する反発は強かったが、人口論者にとっては有効な実験だったのかもしれない。

 こうした人口論とセットになっているのが優生学。1871年にNMロスチャイルド&サンの融資を受けて南部アフリカでダイヤモンド取引に乗り出して大儲けしたセシル・ローズはアングロ・サクソンを最も高貴な人種だと考えていた。1877年に彼が書いた『信仰告白』によると、優秀なアングロ・サクソンが支配地域を広げることは義務だという。

 このローズは1890年代からビクトリア女王の助言者になる。その仲間にはネイサン・ロスチャイルド、ウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレットもいた。

 こうした考え方はアメリカの支配階級へ19世紀の終わりには広がっていて、1922年には「アメリカ優生学協会」が設立されている。そうした優生学の運動には富豪が資金を出していたが、その中にはロックフェラー財団、カーネギー研究所、ハリマン家などが含まれていた。

 イギリスやアメリカの支配者の間で信奉された優生学的な考え方はナチスに伝わり、第2次世界大戦後も消えてはいない。

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202102280002/
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/347.html#c15

[近代史4] 独裁者列伝 _ アドルフ・ヒトラー 中川隆
10. 中川隆[-7008] koaQ7Jey 2021年2月28日 17:37:03 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[24]
1922年には「アメリカ優生学協会」が設立されている。そうした優生学の運動には富豪が資金を出していたが、その中にはロックフェラー財団、カーネギー研究所、ハリマン家などが含まれていた。

 イギリスやアメリカの支配者の間で信奉された優生学的な考え方はナチスに伝わり、第2次世界大戦後も消えてはいない。

2021.02.28
ロックダウンで世界の都市は改善されたとする書き込みをWEFが削除
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202102280002/


 WEF(世界経済フォーラム)がツィッターにロックダウンが世界の都市を改善していると書き込んだことは​本ブログでも紹介​したが、反発が予想以上に強かったようで、削除された。地球に悪い影響を与えてた人間の活動を麻痺させ、そうした影響を緩和させたとロックダウンを評価していた。


 ロックダウンとは社会の収容所化だが、そうした状態を続ければ人間社会は死に至り、多くの人間が死んでいくことになる。勿論、彼らはそうした人間の中に自身を含めていない。自分たちは神に選ばれ、巨万の富を手にすることができたと考えている富豪もいる。その背景には優生学的な考え方があるのだろう。

 1864年にイギリスではトーマス・ハクスリーを中心として「Xクラブ」が作られた。そのメンバーには支配階級の優越性を主張する社会ダーウィン主義を提唱したハーバート・スペンサー、チャールズ・ダーウィンの親友だったジョセフ・フッカー、このダーウィンのいとこであるジョン・ラボックも含まれていた。

 このグループはトーマス・マルサスが主張した人口論の影響を受けていたようだ。マルサスによると、人口の増加は等比級数的であり、食糧の増加は等差級数的なため、その不均衡が飢饉、貧困、悪徳の原因になるという。すでにこの理論は事実が否定しているが、信奉者はまだ少なくない。

 長い間イギリスの植民地だったインドでは1975年にインディラ・ガンジー政権が非常事態を宣言、77年まで続いた。その間に強制的な断種キャンペーンが展開されている。当然、このキャンペーンに対する反発は強かったが、人口論者にとっては有効な実験だったのかもしれない。

 こうした人口論とセットになっているのが優生学。1871年にNMロスチャイルド&サンの融資を受けて南部アフリカでダイヤモンド取引に乗り出して大儲けしたセシル・ローズはアングロ・サクソンを最も高貴な人種だと考えていた。1877年に彼が書いた『信仰告白』によると、優秀なアングロ・サクソンが支配地域を広げることは義務だという。

 このローズは1890年代からビクトリア女王の助言者になる。その仲間にはネイサン・ロスチャイルド、ウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレットもいた。

 こうした考え方はアメリカの支配階級へ19世紀の終わりには広がっていて、1922年には「アメリカ優生学協会」が設立されている。そうした優生学の運動には富豪が資金を出していたが、その中にはロックフェラー財団、カーネギー研究所、ハリマン家などが含まれていた。

 イギリスやアメリカの支配者の間で信奉された優生学的な考え方はナチスに伝わり、第2次世界大戦後も消えてはいない。

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202102280002/
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/798.html#c10

[近代史5] グレートリセットは米国覇権の崩壊と多極化、中国の台頭を示すもの 中川隆
14. 中川隆[-7007] koaQ7Jey 2021年2月28日 17:45:55 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[25]
バイデンの背後にいる勢力とは?主導権はリバタリアンからCFRへ、米国はトランプ以上の分断に向かうのか=高島康司
2021年2月6日
https://www.mag2.com/p/money/1017263


バイデン政権が発足した。就任早々にトランプ政権の負の遺産を清算しつつあるように見えるが、米国が「予想可能な国」に戻るとは限らないだろう。その根拠となる、バイデン政権の背後にいる勢力について解説したい。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)

バイデン政権でも「予想可能な国」には戻らない?

2021年1月20日、ワシントンの厳戒態勢のなかバイデン政権は成立した。

トランプ政権の悪夢のような4年間が終わり、やっと正常なアメリカに戻るのではないかという期待感が特に日本では強い。

国際条約や同盟国をないがしろにする強硬な一国主義、あからさまに白人至上主義を表明する団体の容認、全米に拡大した「BLM」の抗議運動、地球温暖化の無視、新型コロナウイルスの軽視など、どう見てもまともな政権とは思われない蛮行を繰り返していたのがトランプ政権だった。

トランプ政権下では経済はよかったものの、そんなプラスの効果は吹き飛んでしまうくらい、アメリカという国家が歴史的に抱える闇が噴出し、社会の分断が進んだ。

バイデン政権は、トランプが社会に残した傷を癒し、多様な価値観や意見を尊重する民主主義の本来の価値に戻ることが期待されている。バイデン政権は、発足当初から矢継ぎ早に大統領令を出して、トランプ政権の負の遺産を清算しつつあるように見える。トランプが脱退を表明した世界保健機構(WHO)、パリ協定、イラン核合意、TPPへの復帰、クリーンなグリーンエネルギーの推進、そしてなによりも日本やヨーロッパを始めとした同盟国との国際協調体制の再構築などだ。

これを見ると、アメリカはオバマ政権当時のような良識で行動する予想可能な国に戻り、多少時間がかかるかもしれないが、米国内の分断も、バイデンの人種融和策によって次第に修復されるのではないかと期待が高まっている。特に、アメリカという国の好感度が際立って高い日本ではそうだ。

しかし、アメリカの現状を見ると、そのような期待を維持することが困難であることが見えてくる。

活動を続けるトランプと支持者たち

トランプは「前大統領のオフィス」をフロリダ州の邸宅に立ち上げ、トランプ政権のときの政策の実現に向けて動き出している。大統領選挙で7,500万票を獲得したトランプの勢いは強い。

いまだに熱烈なトランプ支持者が全米各地にいる。トランプを、アメリカ第2革命のリーダーとして崇拝する武装した極右や民兵組織も多い。

またトランプの「前大統領のオフィス」には、莫大な寄付金が集まっている。来年の中間選挙には、トランプ政権の元高官が複数立候補する動きがあるが、「前大統領のオフィス」はこれを全力で支援するとしている。

トランプの背後にいるのはリバタリアン
アメリカ国内の状況は依然として不安定だ。これから、分断から分裂に向けて動き出してもおかしくない状況にある。バイデン政権がトランプ支持者を巻き込み融和を図れるとは到底思えない。米国内はさらに混乱することだろう。

では、そうしたバイデン政権の背後にはどんな勢力がいるのだろうか?トランプ政権の勢力とはどのように異なるのだろうか?

これを具体的に説明する前に、トランプ政権の背後にいる勢力についておさらいをしておこう。これはすでにこのメルマガでは何度も解説したが、再度確認する。

トランプは、アメリカを国民の手に取り戻すために決起した市民革命のリーダーであるとする見方が強いが、実はまったくそうではない。トランプが大統領選挙への立候補を真剣に検討し始めたのは2013年頃だと見られているが、トランプ政権の成立には2つの大きな勢力は加わっている。

ひとつは、イスラエル・ロシア・サウジアラビア・アラブ首長国連邦など、中東の再編を模索する外国勢力だ。そして次は、米国内のエネルギー産業と一部の金融業を中心としたリバタリアン勢力である。

トランプ政権の成立に特に大きな役割を果たしたのは、後者のリバタリアン勢力だ。これは米国内最大の石油精製業者、「コーク・インダストリーズ」を経営するチャールズ・コークの運営する財団、「アメリカ人のための繁栄」に結集した超富裕な国内産業の資本家層だ。彼らは、企業活動にさまざまな規制を加える連邦政府の徹底した縮小を主張し、まったく規制のない市場原理による経済と社会の運営を夢想する。

国内産業を地盤とした超富裕層のリバタリアンは、地域コミュニティーの自立性を主張する草の根のリバタリアン、さらに、グローバリゼーションに乗り遅れて没落した製造業の労働者層の怒りを政治的なリソースとして組織化し、トランプを大統領に押し上げた。トランプの政策は、政治的なリソースとして使われた社会層、そしてなによりも超富裕層のリバタリアンの経済的な利害を反映していた。

バイデン政権の背後の勢力「CFR」
一方、バイデン政権の背後の勢力だが、これはトランプを支えたリバタリアンではない。「外交問題評議会(CFR)」に結集している勢力だ。これは、バイデン政権の主要な閣僚を調べると簡単に分かることだ。以下が「CFR」に所属している閣僚だ。

・ジャネット・イエレン財務長官
・アントニー・ブリンケン国務長官
・トム・ヴィサック農務長官
・ジナ・レイモンドー商務長官
・アレジャンドロ・マヨルカス国土安全保障省長官
・サルマン・アハメド国務省政策企画部部長

バイデン政権の主要閣僚は16人だ。そのなかで「CFR」の正式メンバーが6人というのは少ないとの印象も持つかもしれないが、それは違う。トランプ政権で「CFR」のメンバーは実質的にゼロであったのだ。

これを見ると、やはり「CFR」のバイデン政権に対する影響力は大きいと見なければならない。特に、上記のもっとも重要な閣僚のポストが、「CFR」のメンバーで固められているのは注目に値する。「CFR」の影響下にある政権だと見てよい。

CFRとはどのような組織なのか?
では「CFR」とはどのような組織なのだろか? 一度確認しておくべきだろう。

陰謀論の世界では「CFR」はアメリカの歴代の政権で世界戦略を立案する極秘の組織としてイメージされているかもしれないが、実はさほど機密性の高い組織ではない。ウォールストリートの大手金融産業を主要な基盤にした、アメリカでもっとも力のあるシンクタンクのことである。

「CFR」の起源は第一次世界大戦の直後まで溯る。1918年、ウィルソン大統領は第一次世界大戦後の国際秩序を検討するため、外交ブレーンだったエドワード・ハウス大佐に国務省とは別個に招集した知識人グループの編成を求めた。このグループは「大調査(Inquiry)」と呼ばれた。これが後の「CFR」の母体になった。

「大調査」グループは、ヴェルサイユ講和会議に加わり、参加していたイギリスの外交官や研究者らと、講和条約締結後も知的交流を継続させるため米英両国共同の国際問題研究機関を設置することで合意した。ニューヨークとロンドンにそれぞれの支部が設置された。しかし、後にイギリスの研究機関は自立し、いまも存在するイギリス政府の外交政策の諮問機関、「王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)」になった。

一方、ニューヨークには金融界の実業家や国際弁護士らが主宰していた資金力の豊富な知的サロン、「外交問題評議会(CFR)」があった。「大調査」グループはここに合流し、「CFR」の中核組織ができた。

なぜニューヨークの金融界が「CFR」の結成に関与したのか疑問に思うかもしれないが、その理由ははっきりしている。「CFR」はすでに第一次世界大戦後から、将来イギリスに代ってアメリカが世界の覇権国となると予想しており、そうなったときウォールストリートの金融界を中心にしたアメリカ資本が、その利益を最大化できるアメリカ中心の世界秩序を編成するためである。

その意味では「CFR」は、アメリカの超富裕層の利害を世界レベルで実現するために結成されたいわば業界団体である。

アメリカ資本を牛耳るCFR
そのような「CFR」の名前を一躍有名にしたのは、1939年に国務省からの依頼を受け成立した、「戦争平和研究研究会」というプロジェクトだ。このプロジェクトは、戦争の推移、および戦後秩序に関する調査研究を4つのグループで実施し、約700のメモランダムを提出した。このときの調査メンバーの一部は後にサンフランシスコ講和会議にも出席している。

注目すべきは、アメリカが参戦する2年前の1939年にすでに戦後はアメリカが世界覇権国になることを予想し、世界秩序を描いていたことである。ここには「大領域」という言葉が出てくる。

「大領域」とは、西半球、極東、旧大英帝国領を含む広大なエリアのことだ。ここでアメリカは、絶対的な力を持つとされた。1939年当初、ドイツは戦争に勝利する可能性があった。そこで「戦争平和研究研究会」は、アメリカが「大領域」を自らの領域として確保しつつ、世界の残りの領域をドイツに支配させる構想を提出した。しかし、1943年以降、ソビエトの勝利がはっきりするにつれ、米ソで世界を二分する冷戦構想が出てきた。ここでは、アメリカの支配する「大領域」には西ヨーロッパも組み込まれた。

さしづめアメリカが絶対的に支配するこの「大領域」とは、アメリカ資本の投資が保障され、最大限の利益の獲得が許されるエリアのことだ。アメリカ資本の支配領域である。

CFRが目指す社会とは?
「CFR」が設立した「戦争平和研究研究会」の米ソの冷戦構想は、戦後着実に実現する。

その中心になったのは、「CFR」メンバーで著名な外交官のジョージ・ケナンと、ケナンの提言で国務省に作られた政策シンクタンク、「政策企画局」であった。ケナンが初代局長となった。

1947年7月、ジョージ・ケナンは「ソ連の行動の源泉」という論文を「CFR」の外交雑誌、「フォーリン・アフェアーズ」に匿名で発表した。これは通称「X論文」と呼ばれるものである。この論文では、ソビエトに対抗してアメリカが絶対的に支配する「大領域」の統治の方法を述べた後、東アジアに関しては次のように注意している。

「アメリカは世界の富の50パーセントを所有するが、人口では6.3パーセントしか占めていない。この格差は特に米国とアジアの間で顕著だ。この状態では必ず妬みと怒りの対象となる。これから必要なのは、特別な関係を工夫して格差を維持し、米国の安全保障を保つことだ。私たちは目の前の国家目標に集中しなければならない。利他主義や世界への善行などの「贅沢」は、現在とてもできない。

極東では、人権とか生活水準の向上とか民主化などという「非現実的」な話をやめるべきだ。力の論理で交戦交渉しなければならない時代が、すぐにやって来る。理想主義のスローガンに邪魔されることは、少なければ少ないほどよい。」

このように述べ、極東ではアメリカの対等なパートナーになることができない格差を確実に維持し、人権や自由などという理想主義的な目標では絶対に行動してはならず、冷厳なパワーポリティックスだけで行動するように提案している。
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/504.html#c14

[近代史4] ビーフシチューの作り方 中川隆
2. 中川隆[-7006] koaQ7Jey 2021年2月28日 19:02:41 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[26]
クリームのビーフシチューの作り方 [ ビーフストロガノフのような ]




材料:
1。牛肉 ー 500g。
2。玉ねぎ ー 200g。
3。塩、コショウ、ドライハーブ、油。
4。水 ー 200ml。
5。生クリーム ー 150ml。

http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1255.html#c2
[近代史5] ロシア料理の作り方 中川隆
1. 2021年2月28日 19:04:54 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[27]
肉とじゃがいものシチューの作り方.ロシアの味.
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1555.html

クリームのビーフシチューの作り方 [ ビーフストロガノフのような ].ロシアの味.
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1556.html
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/495.html#c1

[近代史4] バイデン政権は、基本的に「第三次オバマ政権」でもある (続き) 中川隆
14. 中川隆[-7005] koaQ7Jey 2021年2月28日 19:32:54 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[28]
バイデンの背後にいる勢力とは?主導権はリバタリアンからCFRへ、米国はトランプ以上の分断に向かうのか=高島康司
2021年2月6日
https://www.mag2.com/p/money/1017263

バイデン政権が発足した。就任早々にトランプ政権の負の遺産を清算しつつあるように見えるが、米国が「予想可能な国」に戻るとは限らないだろう。その根拠となる、バイデン政権の背後にいる勢力について解説したい。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)

バイデン政権でも「予想可能な国」には戻らない?

2021年1月20日、ワシントンの厳戒態勢のなかバイデン政権は成立した。

トランプ政権の悪夢のような4年間が終わり、やっと正常なアメリカに戻るのではないかという期待感が特に日本では強い。

国際条約や同盟国をないがしろにする強硬な一国主義、あからさまに白人至上主義を表明する団体の容認、全米に拡大した「BLM」の抗議運動、地球温暖化の無視、新型コロナウイルスの軽視など、どう見てもまともな政権とは思われない蛮行を繰り返していたのがトランプ政権だった。

トランプ政権下では経済はよかったものの、そんなプラスの効果は吹き飛んでしまうくらい、アメリカという国家が歴史的に抱える闇が噴出し、社会の分断が進んだ。

バイデン政権は、トランプが社会に残した傷を癒し、多様な価値観や意見を尊重する民主主義の本来の価値に戻ることが期待されている。バイデン政権は、発足当初から矢継ぎ早に大統領令を出して、トランプ政権の負の遺産を清算しつつあるように見える。トランプが脱退を表明した世界保健機構(WHO)、パリ協定、イラン核合意、TPPへの復帰、クリーンなグリーンエネルギーの推進、そしてなによりも日本やヨーロッパを始めとした同盟国との国際協調体制の再構築などだ。

これを見ると、アメリカはオバマ政権当時のような良識で行動する予想可能な国に戻り、多少時間がかかるかもしれないが、米国内の分断も、バイデンの人種融和策によって次第に修復されるのではないかと期待が高まっている。特に、アメリカという国の好感度が際立って高い日本ではそうだ。

しかし、アメリカの現状を見ると、そのような期待を維持することが困難であることが見えてくる。

活動を続けるトランプと支持者たち

トランプは「前大統領のオフィス」をフロリダ州の邸宅に立ち上げ、トランプ政権のときの政策の実現に向けて動き出している。大統領選挙で7,500万票を獲得したトランプの勢いは強い。

いまだに熱烈なトランプ支持者が全米各地にいる。トランプを、アメリカ第2革命のリーダーとして崇拝する武装した極右や民兵組織も多い。

またトランプの「前大統領のオフィス」には、莫大な寄付金が集まっている。来年の中間選挙には、トランプ政権の元高官が複数立候補する動きがあるが、「前大統領のオフィス」はこれを全力で支援するとしている。

トランプの背後にいるのはリバタリアン
アメリカ国内の状況は依然として不安定だ。これから、分断から分裂に向けて動き出してもおかしくない状況にある。バイデン政権がトランプ支持者を巻き込み融和を図れるとは到底思えない。米国内はさらに混乱することだろう。

では、そうしたバイデン政権の背後にはどんな勢力がいるのだろうか?トランプ政権の勢力とはどのように異なるのだろうか?

これを具体的に説明する前に、トランプ政権の背後にいる勢力についておさらいをしておこう。これはすでにこのメルマガでは何度も解説したが、再度確認する。

トランプは、アメリカを国民の手に取り戻すために決起した市民革命のリーダーであるとする見方が強いが、実はまったくそうではない。トランプが大統領選挙への立候補を真剣に検討し始めたのは2013年頃だと見られているが、トランプ政権の成立には2つの大きな勢力は加わっている。

ひとつは、イスラエル・ロシア・サウジアラビア・アラブ首長国連邦など、中東の再編を模索する外国勢力だ。そして次は、米国内のエネルギー産業と一部の金融業を中心としたリバタリアン勢力である。

トランプ政権の成立に特に大きな役割を果たしたのは、後者のリバタリアン勢力だ。これは米国内最大の石油精製業者、「コーク・インダストリーズ」を経営するチャールズ・コークの運営する財団、「アメリカ人のための繁栄」に結集した超富裕な国内産業の資本家層だ。彼らは、企業活動にさまざまな規制を加える連邦政府の徹底した縮小を主張し、まったく規制のない市場原理による経済と社会の運営を夢想する。

国内産業を地盤とした超富裕層のリバタリアンは、地域コミュニティーの自立性を主張する草の根のリバタリアン、さらに、グローバリゼーションに乗り遅れて没落した製造業の労働者層の怒りを政治的なリソースとして組織化し、トランプを大統領に押し上げた。トランプの政策は、政治的なリソースとして使われた社会層、そしてなによりも超富裕層のリバタリアンの経済的な利害を反映していた。

バイデン政権の背後の勢力「CFR」
一方、バイデン政権の背後の勢力だが、これはトランプを支えたリバタリアンではない。「外交問題評議会(CFR)」に結集している勢力だ。これは、バイデン政権の主要な閣僚を調べると簡単に分かることだ。以下が「CFR」に所属している閣僚だ。

・ジャネット・イエレン財務長官
・アントニー・ブリンケン国務長官
・トム・ヴィサック農務長官
・ジナ・レイモンドー商務長官
・アレジャンドロ・マヨルカス国土安全保障省長官
・サルマン・アハメド国務省政策企画部部長

バイデン政権の主要閣僚は16人だ。そのなかで「CFR」の正式メンバーが6人というのは少ないとの印象も持つかもしれないが、それは違う。トランプ政権で「CFR」のメンバーは実質的にゼロであったのだ。

これを見ると、やはり「CFR」のバイデン政権に対する影響力は大きいと見なければならない。特に、上記のもっとも重要な閣僚のポストが、「CFR」のメンバーで固められているのは注目に値する。「CFR」の影響下にある政権だと見てよい。

CFRとはどのような組織なのか?
では「CFR」とはどのような組織なのだろか? 一度確認しておくべきだろう。

陰謀論の世界では「CFR」はアメリカの歴代の政権で世界戦略を立案する極秘の組織としてイメージされているかもしれないが、実はさほど機密性の高い組織ではない。ウォールストリートの大手金融産業を主要な基盤にした、アメリカでもっとも力のあるシンクタンクのことである。

「CFR」の起源は第一次世界大戦の直後まで溯る。1918年、ウィルソン大統領は第一次世界大戦後の国際秩序を検討するため、外交ブレーンだったエドワード・ハウス大佐に国務省とは別個に招集した知識人グループの編成を求めた。このグループは「大調査(Inquiry)」と呼ばれた。これが後の「CFR」の母体になった。

「大調査」グループは、ヴェルサイユ講和会議に加わり、参加していたイギリスの外交官や研究者らと、講和条約締結後も知的交流を継続させるため米英両国共同の国際問題研究機関を設置することで合意した。ニューヨークとロンドンにそれぞれの支部が設置された。しかし、後にイギリスの研究機関は自立し、いまも存在するイギリス政府の外交政策の諮問機関、「王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)」になった。

一方、ニューヨークには金融界の実業家や国際弁護士らが主宰していた資金力の豊富な知的サロン、「外交問題評議会(CFR)」があった。「大調査」グループはここに合流し、「CFR」の中核組織ができた。

なぜニューヨークの金融界が「CFR」の結成に関与したのか疑問に思うかもしれないが、その理由ははっきりしている。「CFR」はすでに第一次世界大戦後から、将来イギリスに代ってアメリカが世界の覇権国となると予想しており、そうなったときウォールストリートの金融界を中心にしたアメリカ資本が、その利益を最大化できるアメリカ中心の世界秩序を編成するためである。

その意味では「CFR」は、アメリカの超富裕層の利害を世界レベルで実現するために結成されたいわば業界団体である。

アメリカ資本を牛耳るCFR
そのような「CFR」の名前を一躍有名にしたのは、1939年に国務省からの依頼を受け成立した、「戦争平和研究研究会」というプロジェクトだ。このプロジェクトは、戦争の推移、および戦後秩序に関する調査研究を4つのグループで実施し、約700のメモランダムを提出した。このときの調査メンバーの一部は後にサンフランシスコ講和会議にも出席している。

注目すべきは、アメリカが参戦する2年前の1939年にすでに戦後はアメリカが世界覇権国になることを予想し、世界秩序を描いていたことである。ここには「大領域」という言葉が出てくる。

「大領域」とは、西半球、極東、旧大英帝国領を含む広大なエリアのことだ。ここでアメリカは、絶対的な力を持つとされた。1939年当初、ドイツは戦争に勝利する可能性があった。そこで「戦争平和研究研究会」は、アメリカが「大領域」を自らの領域として確保しつつ、世界の残りの領域をドイツに支配させる構想を提出した。しかし、1943年以降、ソビエトの勝利がはっきりするにつれ、米ソで世界を二分する冷戦構想が出てきた。ここでは、アメリカの支配する「大領域」には西ヨーロッパも組み込まれた。

さしづめアメリカが絶対的に支配するこの「大領域」とは、アメリカ資本の投資が保障され、最大限の利益の獲得が許されるエリアのことだ。アメリカ資本の支配領域である。

CFRが目指す社会とは?
「CFR」が設立した「戦争平和研究研究会」の米ソの冷戦構想は、戦後着実に実現する。

その中心になったのは、「CFR」メンバーで著名な外交官のジョージ・ケナンと、ケナンの提言で国務省に作られた政策シンクタンク、「政策企画局」であった。ケナンが初代局長となった。

1947年7月、ジョージ・ケナンは「ソ連の行動の源泉」という論文を「CFR」の外交雑誌、「フォーリン・アフェアーズ」に匿名で発表した。これは通称「X論文」と呼ばれるものである。この論文では、ソビエトに対抗してアメリカが絶対的に支配する「大領域」の統治の方法を述べた後、東アジアに関しては次のように注意している。

「アメリカは世界の富の50パーセントを所有するが、人口では6.3パーセントしか占めていない。この格差は特に米国とアジアの間で顕著だ。この状態では必ず妬みと怒りの対象となる。これから必要なのは、特別な関係を工夫して格差を維持し、米国の安全保障を保つことだ。私たちは目の前の国家目標に集中しなければならない。利他主義や世界への善行などの「贅沢」は、現在とてもできない。

極東では、人権とか生活水準の向上とか民主化などという「非現実的」な話をやめるべきだ。力の論理で交戦交渉しなければならない時代が、すぐにやって来る。理想主義のスローガンに邪魔されることは、少なければ少ないほどよい。」

このように述べ、極東ではアメリカの対等なパートナーになることができない格差を確実に維持し、人権や自由などという理想主義的な目標では絶対に行動してはならず、冷厳なパワーポリティックスだけで行動するように提案している。
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1456.html#c14

[近代史4] プーチン大統領 中川隆
10. 中川隆[-7004] koaQ7Jey 2021年2月28日 19:33:50 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[29]
バイデンが狙う「グレート・リセット」で格差定着。プーチン猛反発で米ロ衝突必至か=高島康司 2021年2月28日
https://www.mag2.com/p/money/1024406

バイデン政権とダボス会議などが提唱する構想「グレート・リセット」は、一見するとよいプランに思える。しかし、環境破壊や格差拡大を進めてきた元凶たちが自らつくりあげたグローバル経済をリセットし、また新たなグローバルな体制へと置き換える構想だ。ロシアのプーチンはこれを強く批判している。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)

【関連】バイデンの背後にいる勢力とは?主導権はリバタリアンからCFRへ、米国はトランプ以上の分断に向かうのか=高島康司
https://www.mag2.com/p/money/1017263

バイデンのアジェンダは「グレート・リセット」か

バイデン政権と「ダボス会議」などが提唱する構想、「グレート・リセット」との関係について解説したい。

バイデン政権の背後にいる「CFR」や、それと連動して動いていると思われる「ダボス会議」が目標にする「グレート・リセット」は、いったいなにが問題なのだろうか?

その中身を一見すると、非常によいプランのようにも思える。だが、その問題点を追求すると、「グレート・リセット」の本質が見えてくるのだ。

【関連】「グレートリセット」が起こす資本主義の大転換。遂に見えた具体的な中身=高島康司
https://www.mag2.com/p/money/1019624


「CFR」と「ダボス会議」は徹底した新自由主義
「グレート・リセット」のコンセプトの重要な柱になっているのは、地球温暖化ガスの排出抑制による地球環境の回復、そして社会不安の背景になる極端な格差の解消である。

これはもっともなことだ。これらがこの構想の柱である限り、「グレート・リセット」は強い説得力と合理性を持つ。反対するのは難しい。

いまの地球環境の破壊の水準はすでに臨界点に達しており、早急の対処しないと2030年くらいには多発する大規模自然災害から資本主義の社会体制のみならず、現代文明の基礎さえ侵食され、種としての人類そのものの持続可能性すら問題になってこよう。

「グレート・リセット」が提示するような、現代の資本主義の抑制のない拡大にストップをかけられる根本的な転換が必要なことは間違いない。

さらに、環境問題とともに、社会的格差の極端な拡大も深刻な問題となっており、新型コロナウイルスのパンデミックによって既存の資本主義の矛盾が拡大し、一層可視化した現在では、リセットは必要だろうと思われる。

だが「グレート・リセット」が、「CFR」や「ダボス会議」という既存の支配勢力によって実施されることが問題なのだ。


「CFR」が設立された理由は、ある目標を実現するためであった。それは、主権国家による世界秩序を超越した「世界政府」の樹立である。「CFR」と密接に連携している「ダボス会議」も、この目標を共有するコンセンサスを得ていると思ってよいだろう。

では、「CFR」などはこれまでどのようにして「世界政府」の樹立などという一見奇想天外に見える目標の実現にこれまで動いてきたのだろうか?

実はグローバリゼーションの推進こそ、この目標を実現する方法であった。これは「CFR」が発行する外交誌、「フォーリン・アフェアーズ」の過去の記事を見ると明確だ。

グローバリゼーションとは、国家が障壁とならない自由な貿易を徹底して推進し、資本が国境を越えて世界のあらゆる地域に投資できる状態のことである。

この原則にしたがうと、社会保険や失業保険、そして生活保護などのセイフティーネットは労働力のコストを引き上げ、投資の効率を悪くする要因として嫌煙された。また健康保健などの国民生活を保護するシステムや、電気や水道など公的部門が管理する社会インフラは、高いリターンを求めて世界を移動する資本が投資できる領域として民営化するべきだとされた。

グローバリゼーションが拡大する世界では、国民の生活を守るために政府が導入したさまざまな制度や規制は、投資の自由を阻害する障壁として攻撃の対象になった。

社会と経済の大部分の運営は、資本が主導する市場原理にゆだねられるべきで、国家はこれに介入すべきではないとされた。国家の権限は、資本の投資の自由に介入できないように、徹底して縮小されるべきことが主張された。これはまさに、国家と政府の力が縮小され、グローバルな資本が形成する世界的なネットワークに埋め込まれる状態のことを指している。これがグローバリゼーションの中身である。

つまり、グローバリゼーションの進展によって主権国家の力を弱め、グローバルな資本が支配し運営する体制に世界を転換させることが、「CFR」が主張する「世界政府」樹立への第一歩であるとされていたのだ。

事実、2008年の金融危機が発生する以前のグローバリゼーション全盛の時代では、国家の消滅こそ未来の方向性であると普通に主張されていた。

「CFR」の核となる企業が、「ゴールドマン・サックス」、「JPモーガン」、「モーガンスタンレー」、「シティ」、「バンク・オブ・アメリカ」、「ムーディーズ」などの国際的な金融資本、また「グーグル」や「フェースブック」、「AT&T」などの大手IT・通信企業、さらに「エクソンモービル」や「シェブロン」などの国際エネルギー企業などであることを見ると、グローバリゼーションの促進で国家と政府の規制が弱められ、世界のあらゆる地域が彼らの自由な投資領域として確保されることは、まさに「CFR」の利害に合致している。もちろんこれらの企業は、「ダボス会議」にも名前を連ねている。

要するに、グローバリゼーションの促進による新自由主義こそ、「世界政府」樹立に向けての方途だったということだ。


世界の歪みを作った元凶が「グレート・リセット」を主導
これはつまり、限界にまで達した地球温暖化と環境破壊、そして社会の安全弁である中間層の没落と社会を不安定にする極端な格差拡大など、いま「グレート・リセット」で解決されるべき問題の対象とされている矛盾そのものを作ってきた張本人こそ、「CFR」や「ダボス会議」に結集している勢力であることを意味している。

端的にいえば「グレート・リセット」とは、彼らが推進してきたグローバル経済をリセットし、新たなグローバルな体制へと置き換える構想なのだ。

地球環境の配慮など、持続可能な資本主義のコンセプトにシフトすることなど評価される点も多い。しかし、基本的に「グレート・リセット」は、「第4次産業革命」の高度なITテクノロジーの導入による社会の新しい統治形態だと思われる。それは高度管理社会といってもよいようなものだ。

これを世界のどの地域にも適用可能なグローバルなシステムとして提案するのが、「グレート・リセット」の中身ではないだろうか? それは、民主主義と市場原理のように、世界のすべての地域で導入すべきユニバーサルな社会モデルであろう。

これを主張しているのが、現在のグローバリゼーションを推進してきた中心的な勢力なのである。

今度は彼らは、グローバルな資本主義体制を乗り越える新しい社会体制への転換を主張している。

すると「グレート・リセット」というのは、社会矛盾の爆発によって既存の支配勢力が民衆の怒りのターゲットとなり、自分たちが排除される前に、新しい社会状態を先行して導入し、支配勢力としての地位を継続して維持するために行っていることなのではないだろうか?

そのような疑念が出てきても不自然ではない。

プーチンの「ダボス会議」での批判
この疑念を端的に表現しているのが、ロシア大統領のプーチンだ。

今年の1月22日に行われた「ダボス会議」のオンラインスピーチでプーチンは以下のように述べ、「グレート・リセット」のアジェンダを進める勢力をやんわりとだが、的確に批判した。

まずプーチンは、新型コロナウイルスのパンデミックで、社会的格差が拡大して社会不安が広がり、多くの国が危機的な状況に追い込まれた事実を指摘した。だが、こうした問題を引き起こしたのはパンデミックではなく、アメリカが推進してきたグローバリゼーションであるとして、次のような批判を展開した。

「このようなグローバルな社会経済的な不均衡は、1980年代から続けられてきたドグマ的、ないしはがさつな政策の直接的な結果である。この政策はいわゆる『ワシントン・コンセンサス』の暗黙のルールに基づいている。これは規制緩和、ならびに富裕層と企業への減税を条件に民間の債務を増やし、経済成長を最優先した政策だ」

そして、現在の社会的不均衡は、実は新自由主義のグローバリゼーションが引き起こしたものであり、新型コロナウイルスのパンデミックはすでに存在している問題を拡大しただけだったと主張する。

「先に私が述べたように、新型コロナウイルスのパンデミックはこれらの問題を一層悪化させただけだった。昨年、世界経済は第2次世界大戦以降で最大の経済停滞を経験した。7月には、500万の仕事が労働市場から失われた。これはとれも大きく、そして憂慮すべき数字だ。昨年の9カ月間だけで、3.5兆ドルの収益が失われた。この数値はさらに拡大しており、それとともに社会的な緊張は高まっている」

プーチンは、現在どの国でも危機的な状態にまでなっている格差などの社会的不均衡の真の原因は、「ワシントン・コンセンサス」による際限のないグローバリゼーションであると指摘する。

「ワシントン・コンセンサス」とは、各国の規制を徹底的に緩和し、資本の移動と投資の自由を保証した新自由主義のルールである。これこそ、「世界政府」を樹立するカギとして「CFR」や「ダボス会議」が長い間推進してきた理念である。

このグローバリゼーションを推進した欧米の責任をプーチンは問い正したのだ。

プーチンは「巨大IT企業」を強く批判
次にプーチンは、「第4次産業革命」の負の側面を指摘する。「第4次産業革命」のAIなどの高度なITテクノロジーは、「ダボス会議」が提唱する「グレート・リセット」の中核になるコンセプトだ。

「しかし、このプロセスは新たな構造変化をもたらしているが、私は特に労働市場について考えている。これは、国家が効果的な対策を講じない限り、非常に多くの人々が職を失う可能性があることを意味している。これらの人たちの多くは、現代社会の基盤である中産階級の人たちだ」

そして、職を失った人々の高まる不満は社会を危機に陥れるかもしれないと警告する。

「構造的な社会経済的問題は、特別な注意と真の解決策を必要とするような社会的不満を呼び起こしている。彼らが無視されたり、隅に押し込められたりするかもしれないという危険な錯覚は、深刻な結果を招く恐れがある」

この危機は社会の分裂となって現れるという。

「この場合、社会は政治的にも社会的にも分裂することになる。これはかならず起こる。なぜなら、抽象的な問題や人々が持つ政治的な見解ではなく、実際の問題に人々は不満を持っているからだ。分裂はかならず起こる。現実の問題は不満を呼び起こすのだ」

次に、「第4次産業革命」を主導している巨大IT企業を強く批判する。

「もう1つ重要な点を強調しておきたい。現代のテクノロジーの巨人、特にデジタル企業が社会生活の中で果たす役割が大きくなってきている。特にアメリカの選挙キャンペーン中に起こった出来事は、このことをよく表している。これらの企業は単なる経済的な巨人ではない。いくつかの分野では、事実上、国家と競合している。これらの企業は何十億人ものユーザーで構成されており、生活のかなりの部分をこれらのエコシステムの中で過ごしている」

「これらの企業の見解では、企業の独占は、技術やビジネスのプロセスを組織化するのに最適であるという。だが社会は、そのような独占が公共の利益に合致しているかどうかを疑問視している」

プーチンは、この巨大IT企業の独占状態は、危険な社会管理をもたらすと警告する。

「グローバルビジネスの成功、オンデマンドサービス、ビッグデータの統合と、社会を自分の裁量で厳しく管理しようとする試みとの間の境界線はどこにあるのだろうか。我々はいま、アメリカでこれらの現象をすべて見ているが、いま私が何を言っているのか、誰もが理解しているはずだ。今回のイベントの参加者も含めて、圧倒的多数の人がこの立場を共有していると確信している」

プーチンのスピーチに「グレート・リセット」という言葉が出てくるわけではない。

しかしプーチンは、「CFR」と「ダボス会議」が推進してきた際限のないグローバリゼーションを、社会を分裂させる最大の要因として批判し、また「グレート・リセット」の中心にある高度なITテクノロジーを、「社会を自分の裁量で厳しく管理しようとする試み」として断罪する。

プーチンの主張「新ユーラシア主義」
このように、プーチンのグローバリゼーションや「第4次産業革命」による社会管理に対する疑念ははっきりしている。

これを推進してきたのは、まさに「CFR」や「ダボス会議」などに結集し、独自のアジェンダを追求している欧米の支配勢力である。彼らが提示する次のアジェンダこそ、ITによる社会管理を全面的に取り入れた新しい社会状態への「グレート・リセット」だ。プーチンのこれに対する疑念も深いはずだ。

一方プーチンは、グローバリゼーションや「グレート・リセット」に対抗するビジョンを主張しているようにも見える。それは、「新ユーラシア主義」とも呼ばれる思想だ。

これは「グレート・リセット」に反対する多くの民衆の結集軸にもなっている思想だ。これを少し見て見よう。

もともと「新ユーラシア主義」とは、1917年のロシア革命の後、西欧諸国に亡命したロシアの知識人から生まれた「ユーラシア主義」を、現代的に引き継いだ思想である。

「ユーラシア主義」とは、著名な言語学者のニコライ・トュルベツコイが1921年に最初に提唱した思想だ。トュルベツコイは、ロシアはアジアでもヨーロッパでもない独自の「ユーラシア国家」としての文化的なアイデンティティーを基本的に有しているので、自立した個人の活動を前提にする西欧流の資本主義の方向性は追求すべきではないとした。むしろ、民衆に寛容な優しい全体主義こそ、「ユーラシア国家」が目指すべきものとされた。

モスクワ大学政治学部の教授であり、プーチンのアドバイザーでもあったアレクセイ・ドゥーギン博士は、この「ユーラシア主義」を「新ユーラシア主義」として改めて現代に蘇らせた。

それぞれの文化圏の独自性を尊重すべき
ドゥーギン博士の「新ユーラシア主義」の思想はさほど複雑なものではない。それぞれの国の文化は独自な価値を有しているので、この文化的な価値を尊重し、それに基づく社会システムを形成すべきだとする主張だ。

ドゥーギン博士は、20世紀までは、1)自由民主主義、2)マルクス主義、3)ファシズムという3つの思想が社会形成の基礎となる思想として存在していたという。しかし21世紀になると、マルクス主義もファシズムを姿を消し、「自由民主主義」が唯一の思想として残った。

自由民主主義は、市場経済と民主主義という2つの基礎をもつ。現代の世界は、このシステムがあまりにグローバルに拡大したので、だれも「自由民主主義」をイデオロギーとしては認識せず、自明の常識として理解している。このため、それぞれの文化圏が本来もつ独自な社会思想は無視され、どの文化も、市場経済と民主主義というまったく同一の鋳型にはまらなければならない状況になっている。これが、グローバリゼーションがもたらす悪しき統一性である。

「CFR」が目標にしている「世界政府」の樹立は、世界をこうした単一の価値観で統一することが前提になっている。また「グレート・リセット」の社会状態も、高度なITによる統治など、どんな社会にも適用可能な同一のシステムを模索している。

これほど、それぞれの文化圏の独自性を無視する思想はない。どの文化圏も、その文化に独自な社会思想を基盤にしてユニークな社会を構築する権利がある。この権利を追求し、グローバルな「自由民主主義」に対抗する第4の思想の潮流こそ「新ユーラシア主義」である。

「ユーラシア」は、アジアでもなく、またヨーロッパでもない独自な価値と社会思想が伝統的に存在している地域である。その価値と思想は、多民族的で多文化的であり、多くの民族のバランスの元に成り立つものだ。

ロシアは、このユーラシア的価値の守護者として振る舞い、どこでも同じ価値を強制する「自由民主主義」とグローバリゼーションに対抗しなければならない。そして、ロシアが「新ユーラシア主義」の守護者となることで、中国は中華文化圏の、ヨーロッパは欧州文化圏の、そして北米は北米文化圏のそれぞれまったく独自な価値を社会思想として追求し、それぞれ独自な社会を構築することができる。

これが、アレクセイ・ドゥーギン博士が提唱する「新ユーラシア主義」だ。プーチンの数々のスピーチにもこの思想は強く現れている。プーチンはこの思想を根拠に、欧米の、そしてなかんずくその中核にいる「CFR」や「ダボス会議」が推進しているアジェンダを批判する。

拡散する「新ユーラシア主義」
また、このような「新ユーラシア主義」がプーチンの独自な思想という個別的な水準に止まっているわけではない。

ヨーロッパの極右や極左のみならず、格差の発生や伝統的な社会秩序の解体など、欧米流の規制のない市場経済と民主主義のグローバルな拡大がもたらした負の効果に憤っているあらゆる党派や集団を強く引き付けている。伝統的な文化とその価値こそもっとも貴重なものであり、これに基づいた社会こそ、安定した社会であるとする思想なのだ。

こうした「新ユーラシア主義」は、プーチン大統領の外交政策の基本方針でもある。そのため、プーチン大統領こそ、あらゆる勢力から新しい第4の思想的な潮流の守護者として称賛されている。

「新ユーラシア主義」は、グローバリゼーションや「グレート・リセット」という、いわば文化的な独自性を無視して同一のルールと統治機構を押し付ける動きに反対する結集軸になりつつある。

このようなニュアンスは、先に引用したプーチンのダボスオンライン会議における発言にも現れている。

バイデン政権の最大の敵はロシア
もしバイデン政権が、「CFR」や「ダボス会議」に結集している勢力の影響力が強く、「グレート・リセット」の実現を目指した政権であるなら、こうした勢力の推進する構想に強い疑念を持つプーチンのロシアは、バイデン政権がもっとも警戒する相手であることになる。

反「CFR」でナショナリストのトランプ政権は、ロシアとの関係が良好であるとはかならずしもいえない側面はあったが、特にロシアと緊張した関係にはなかった。トランプ個人とロシアとのビジネス関係も深く、友好な関係であったことも背景にはあっただろう。

しかし、バイデン政権はロシアと鋭い緊張関係になる可能性は極めて高い――
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/809.html#c10

[近代史02] プーチン大統領は神の申し子_____小沢一郎先生はこういう人になって欲しかった 中川隆
177. 中川隆[-7003] koaQ7Jey 2021年2月28日 19:34:23 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[30]
バイデンが狙う「グレート・リセット」で格差定着。プーチン猛反発で米ロ衝突必至か=高島康司 2021年2月28日
https://www.mag2.com/p/money/1024406

バイデン政権とダボス会議などが提唱する構想「グレート・リセット」は、一見するとよいプランに思える。しかし、環境破壊や格差拡大を進めてきた元凶たちが自らつくりあげたグローバル経済をリセットし、また新たなグローバルな体制へと置き換える構想だ。ロシアのプーチンはこれを強く批判している。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)

【関連】バイデンの背後にいる勢力とは?主導権はリバタリアンからCFRへ、米国はトランプ以上の分断に向かうのか=高島康司
https://www.mag2.com/p/money/1017263

バイデンのアジェンダは「グレート・リセット」か

バイデン政権と「ダボス会議」などが提唱する構想、「グレート・リセット」との関係について解説したい。

バイデン政権の背後にいる「CFR」や、それと連動して動いていると思われる「ダボス会議」が目標にする「グレート・リセット」は、いったいなにが問題なのだろうか?

その中身を一見すると、非常によいプランのようにも思える。だが、その問題点を追求すると、「グレート・リセット」の本質が見えてくるのだ。

【関連】「グレートリセット」が起こす資本主義の大転換。遂に見えた具体的な中身=高島康司
https://www.mag2.com/p/money/1019624


「CFR」と「ダボス会議」は徹底した新自由主義
「グレート・リセット」のコンセプトの重要な柱になっているのは、地球温暖化ガスの排出抑制による地球環境の回復、そして社会不安の背景になる極端な格差の解消である。

これはもっともなことだ。これらがこの構想の柱である限り、「グレート・リセット」は強い説得力と合理性を持つ。反対するのは難しい。

いまの地球環境の破壊の水準はすでに臨界点に達しており、早急の対処しないと2030年くらいには多発する大規模自然災害から資本主義の社会体制のみならず、現代文明の基礎さえ侵食され、種としての人類そのものの持続可能性すら問題になってこよう。

「グレート・リセット」が提示するような、現代の資本主義の抑制のない拡大にストップをかけられる根本的な転換が必要なことは間違いない。

さらに、環境問題とともに、社会的格差の極端な拡大も深刻な問題となっており、新型コロナウイルスのパンデミックによって既存の資本主義の矛盾が拡大し、一層可視化した現在では、リセットは必要だろうと思われる。

だが「グレート・リセット」が、「CFR」や「ダボス会議」という既存の支配勢力によって実施されることが問題なのだ。


「CFR」が設立された理由は、ある目標を実現するためであった。それは、主権国家による世界秩序を超越した「世界政府」の樹立である。「CFR」と密接に連携している「ダボス会議」も、この目標を共有するコンセンサスを得ていると思ってよいだろう。

では、「CFR」などはこれまでどのようにして「世界政府」の樹立などという一見奇想天外に見える目標の実現にこれまで動いてきたのだろうか?

実はグローバリゼーションの推進こそ、この目標を実現する方法であった。これは「CFR」が発行する外交誌、「フォーリン・アフェアーズ」の過去の記事を見ると明確だ。

グローバリゼーションとは、国家が障壁とならない自由な貿易を徹底して推進し、資本が国境を越えて世界のあらゆる地域に投資できる状態のことである。

この原則にしたがうと、社会保険や失業保険、そして生活保護などのセイフティーネットは労働力のコストを引き上げ、投資の効率を悪くする要因として嫌煙された。また健康保健などの国民生活を保護するシステムや、電気や水道など公的部門が管理する社会インフラは、高いリターンを求めて世界を移動する資本が投資できる領域として民営化するべきだとされた。

グローバリゼーションが拡大する世界では、国民の生活を守るために政府が導入したさまざまな制度や規制は、投資の自由を阻害する障壁として攻撃の対象になった。

社会と経済の大部分の運営は、資本が主導する市場原理にゆだねられるべきで、国家はこれに介入すべきではないとされた。国家の権限は、資本の投資の自由に介入できないように、徹底して縮小されるべきことが主張された。これはまさに、国家と政府の力が縮小され、グローバルな資本が形成する世界的なネットワークに埋め込まれる状態のことを指している。これがグローバリゼーションの中身である。

つまり、グローバリゼーションの進展によって主権国家の力を弱め、グローバルな資本が支配し運営する体制に世界を転換させることが、「CFR」が主張する「世界政府」樹立への第一歩であるとされていたのだ。

事実、2008年の金融危機が発生する以前のグローバリゼーション全盛の時代では、国家の消滅こそ未来の方向性であると普通に主張されていた。

「CFR」の核となる企業が、「ゴールドマン・サックス」、「JPモーガン」、「モーガンスタンレー」、「シティ」、「バンク・オブ・アメリカ」、「ムーディーズ」などの国際的な金融資本、また「グーグル」や「フェースブック」、「AT&T」などの大手IT・通信企業、さらに「エクソンモービル」や「シェブロン」などの国際エネルギー企業などであることを見ると、グローバリゼーションの促進で国家と政府の規制が弱められ、世界のあらゆる地域が彼らの自由な投資領域として確保されることは、まさに「CFR」の利害に合致している。もちろんこれらの企業は、「ダボス会議」にも名前を連ねている。

要するに、グローバリゼーションの促進による新自由主義こそ、「世界政府」樹立に向けての方途だったということだ。


世界の歪みを作った元凶が「グレート・リセット」を主導
これはつまり、限界にまで達した地球温暖化と環境破壊、そして社会の安全弁である中間層の没落と社会を不安定にする極端な格差拡大など、いま「グレート・リセット」で解決されるべき問題の対象とされている矛盾そのものを作ってきた張本人こそ、「CFR」や「ダボス会議」に結集している勢力であることを意味している。

端的にいえば「グレート・リセット」とは、彼らが推進してきたグローバル経済をリセットし、新たなグローバルな体制へと置き換える構想なのだ。

地球環境の配慮など、持続可能な資本主義のコンセプトにシフトすることなど評価される点も多い。しかし、基本的に「グレート・リセット」は、「第4次産業革命」の高度なITテクノロジーの導入による社会の新しい統治形態だと思われる。それは高度管理社会といってもよいようなものだ。

これを世界のどの地域にも適用可能なグローバルなシステムとして提案するのが、「グレート・リセット」の中身ではないだろうか? それは、民主主義と市場原理のように、世界のすべての地域で導入すべきユニバーサルな社会モデルであろう。

これを主張しているのが、現在のグローバリゼーションを推進してきた中心的な勢力なのである。

今度は彼らは、グローバルな資本主義体制を乗り越える新しい社会体制への転換を主張している。

すると「グレート・リセット」というのは、社会矛盾の爆発によって既存の支配勢力が民衆の怒りのターゲットとなり、自分たちが排除される前に、新しい社会状態を先行して導入し、支配勢力としての地位を継続して維持するために行っていることなのではないだろうか?

そのような疑念が出てきても不自然ではない。

プーチンの「ダボス会議」での批判
この疑念を端的に表現しているのが、ロシア大統領のプーチンだ。

今年の1月22日に行われた「ダボス会議」のオンラインスピーチでプーチンは以下のように述べ、「グレート・リセット」のアジェンダを進める勢力をやんわりとだが、的確に批判した。

まずプーチンは、新型コロナウイルスのパンデミックで、社会的格差が拡大して社会不安が広がり、多くの国が危機的な状況に追い込まれた事実を指摘した。だが、こうした問題を引き起こしたのはパンデミックではなく、アメリカが推進してきたグローバリゼーションであるとして、次のような批判を展開した。

「このようなグローバルな社会経済的な不均衡は、1980年代から続けられてきたドグマ的、ないしはがさつな政策の直接的な結果である。この政策はいわゆる『ワシントン・コンセンサス』の暗黙のルールに基づいている。これは規制緩和、ならびに富裕層と企業への減税を条件に民間の債務を増やし、経済成長を最優先した政策だ」

そして、現在の社会的不均衡は、実は新自由主義のグローバリゼーションが引き起こしたものであり、新型コロナウイルスのパンデミックはすでに存在している問題を拡大しただけだったと主張する。

「先に私が述べたように、新型コロナウイルスのパンデミックはこれらの問題を一層悪化させただけだった。昨年、世界経済は第2次世界大戦以降で最大の経済停滞を経験した。7月には、500万の仕事が労働市場から失われた。これはとれも大きく、そして憂慮すべき数字だ。昨年の9カ月間だけで、3.5兆ドルの収益が失われた。この数値はさらに拡大しており、それとともに社会的な緊張は高まっている」

プーチンは、現在どの国でも危機的な状態にまでなっている格差などの社会的不均衡の真の原因は、「ワシントン・コンセンサス」による際限のないグローバリゼーションであると指摘する。

「ワシントン・コンセンサス」とは、各国の規制を徹底的に緩和し、資本の移動と投資の自由を保証した新自由主義のルールである。これこそ、「世界政府」を樹立するカギとして「CFR」や「ダボス会議」が長い間推進してきた理念である。

このグローバリゼーションを推進した欧米の責任をプーチンは問い正したのだ。

プーチンは「巨大IT企業」を強く批判
次にプーチンは、「第4次産業革命」の負の側面を指摘する。「第4次産業革命」のAIなどの高度なITテクノロジーは、「ダボス会議」が提唱する「グレート・リセット」の中核になるコンセプトだ。

「しかし、このプロセスは新たな構造変化をもたらしているが、私は特に労働市場について考えている。これは、国家が効果的な対策を講じない限り、非常に多くの人々が職を失う可能性があることを意味している。これらの人たちの多くは、現代社会の基盤である中産階級の人たちだ」

そして、職を失った人々の高まる不満は社会を危機に陥れるかもしれないと警告する。

「構造的な社会経済的問題は、特別な注意と真の解決策を必要とするような社会的不満を呼び起こしている。彼らが無視されたり、隅に押し込められたりするかもしれないという危険な錯覚は、深刻な結果を招く恐れがある」

この危機は社会の分裂となって現れるという。

「この場合、社会は政治的にも社会的にも分裂することになる。これはかならず起こる。なぜなら、抽象的な問題や人々が持つ政治的な見解ではなく、実際の問題に人々は不満を持っているからだ。分裂はかならず起こる。現実の問題は不満を呼び起こすのだ」

次に、「第4次産業革命」を主導している巨大IT企業を強く批判する。

「もう1つ重要な点を強調しておきたい。現代のテクノロジーの巨人、特にデジタル企業が社会生活の中で果たす役割が大きくなってきている。特にアメリカの選挙キャンペーン中に起こった出来事は、このことをよく表している。これらの企業は単なる経済的な巨人ではない。いくつかの分野では、事実上、国家と競合している。これらの企業は何十億人ものユーザーで構成されており、生活のかなりの部分をこれらのエコシステムの中で過ごしている」

「これらの企業の見解では、企業の独占は、技術やビジネスのプロセスを組織化するのに最適であるという。だが社会は、そのような独占が公共の利益に合致しているかどうかを疑問視している」

プーチンは、この巨大IT企業の独占状態は、危険な社会管理をもたらすと警告する。

「グローバルビジネスの成功、オンデマンドサービス、ビッグデータの統合と、社会を自分の裁量で厳しく管理しようとする試みとの間の境界線はどこにあるのだろうか。我々はいま、アメリカでこれらの現象をすべて見ているが、いま私が何を言っているのか、誰もが理解しているはずだ。今回のイベントの参加者も含めて、圧倒的多数の人がこの立場を共有していると確信している」

プーチンのスピーチに「グレート・リセット」という言葉が出てくるわけではない。

しかしプーチンは、「CFR」と「ダボス会議」が推進してきた際限のないグローバリゼーションを、社会を分裂させる最大の要因として批判し、また「グレート・リセット」の中心にある高度なITテクノロジーを、「社会を自分の裁量で厳しく管理しようとする試み」として断罪する。

プーチンの主張「新ユーラシア主義」
このように、プーチンのグローバリゼーションや「第4次産業革命」による社会管理に対する疑念ははっきりしている。

これを推進してきたのは、まさに「CFR」や「ダボス会議」などに結集し、独自のアジェンダを追求している欧米の支配勢力である。彼らが提示する次のアジェンダこそ、ITによる社会管理を全面的に取り入れた新しい社会状態への「グレート・リセット」だ。プーチンのこれに対する疑念も深いはずだ。

一方プーチンは、グローバリゼーションや「グレート・リセット」に対抗するビジョンを主張しているようにも見える。それは、「新ユーラシア主義」とも呼ばれる思想だ。

これは「グレート・リセット」に反対する多くの民衆の結集軸にもなっている思想だ。これを少し見て見よう。

もともと「新ユーラシア主義」とは、1917年のロシア革命の後、西欧諸国に亡命したロシアの知識人から生まれた「ユーラシア主義」を、現代的に引き継いだ思想である。

「ユーラシア主義」とは、著名な言語学者のニコライ・トュルベツコイが1921年に最初に提唱した思想だ。トュルベツコイは、ロシアはアジアでもヨーロッパでもない独自の「ユーラシア国家」としての文化的なアイデンティティーを基本的に有しているので、自立した個人の活動を前提にする西欧流の資本主義の方向性は追求すべきではないとした。むしろ、民衆に寛容な優しい全体主義こそ、「ユーラシア国家」が目指すべきものとされた。

モスクワ大学政治学部の教授であり、プーチンのアドバイザーでもあったアレクセイ・ドゥーギン博士は、この「ユーラシア主義」を「新ユーラシア主義」として改めて現代に蘇らせた。

それぞれの文化圏の独自性を尊重すべき
ドゥーギン博士の「新ユーラシア主義」の思想はさほど複雑なものではない。それぞれの国の文化は独自な価値を有しているので、この文化的な価値を尊重し、それに基づく社会システムを形成すべきだとする主張だ。

ドゥーギン博士は、20世紀までは、1)自由民主主義、2)マルクス主義、3)ファシズムという3つの思想が社会形成の基礎となる思想として存在していたという。しかし21世紀になると、マルクス主義もファシズムを姿を消し、「自由民主主義」が唯一の思想として残った。

自由民主主義は、市場経済と民主主義という2つの基礎をもつ。現代の世界は、このシステムがあまりにグローバルに拡大したので、だれも「自由民主主義」をイデオロギーとしては認識せず、自明の常識として理解している。このため、それぞれの文化圏が本来もつ独自な社会思想は無視され、どの文化も、市場経済と民主主義というまったく同一の鋳型にはまらなければならない状況になっている。これが、グローバリゼーションがもたらす悪しき統一性である。

「CFR」が目標にしている「世界政府」の樹立は、世界をこうした単一の価値観で統一することが前提になっている。また「グレート・リセット」の社会状態も、高度なITによる統治など、どんな社会にも適用可能な同一のシステムを模索している。

これほど、それぞれの文化圏の独自性を無視する思想はない。どの文化圏も、その文化に独自な社会思想を基盤にしてユニークな社会を構築する権利がある。この権利を追求し、グローバルな「自由民主主義」に対抗する第4の思想の潮流こそ「新ユーラシア主義」である。

「ユーラシア」は、アジアでもなく、またヨーロッパでもない独自な価値と社会思想が伝統的に存在している地域である。その価値と思想は、多民族的で多文化的であり、多くの民族のバランスの元に成り立つものだ。

ロシアは、このユーラシア的価値の守護者として振る舞い、どこでも同じ価値を強制する「自由民主主義」とグローバリゼーションに対抗しなければならない。そして、ロシアが「新ユーラシア主義」の守護者となることで、中国は中華文化圏の、ヨーロッパは欧州文化圏の、そして北米は北米文化圏のそれぞれまったく独自な価値を社会思想として追求し、それぞれ独自な社会を構築することができる。

これが、アレクセイ・ドゥーギン博士が提唱する「新ユーラシア主義」だ。プーチンの数々のスピーチにもこの思想は強く現れている。プーチンはこの思想を根拠に、欧米の、そしてなかんずくその中核にいる「CFR」や「ダボス会議」が推進しているアジェンダを批判する。

拡散する「新ユーラシア主義」
また、このような「新ユーラシア主義」がプーチンの独自な思想という個別的な水準に止まっているわけではない。

ヨーロッパの極右や極左のみならず、格差の発生や伝統的な社会秩序の解体など、欧米流の規制のない市場経済と民主主義のグローバルな拡大がもたらした負の効果に憤っているあらゆる党派や集団を強く引き付けている。伝統的な文化とその価値こそもっとも貴重なものであり、これに基づいた社会こそ、安定した社会であるとする思想なのだ。

こうした「新ユーラシア主義」は、プーチン大統領の外交政策の基本方針でもある。そのため、プーチン大統領こそ、あらゆる勢力から新しい第4の思想的な潮流の守護者として称賛されている。

「新ユーラシア主義」は、グローバリゼーションや「グレート・リセット」という、いわば文化的な独自性を無視して同一のルールと統治機構を押し付ける動きに反対する結集軸になりつつある。

このようなニュアンスは、先に引用したプーチンのダボスオンライン会議における発言にも現れている。

バイデン政権の最大の敵はロシア
もしバイデン政権が、「CFR」や「ダボス会議」に結集している勢力の影響力が強く、「グレート・リセット」の実現を目指した政権であるなら、こうした勢力の推進する構想に強い疑念を持つプーチンのロシアは、バイデン政権がもっとも警戒する相手であることになる。

反「CFR」でナショナリストのトランプ政権は、ロシアとの関係が良好であるとはかならずしもいえない側面はあったが、特にロシアと緊張した関係にはなかった。トランプ個人とロシアとのビジネス関係も深く、友好な関係であったことも背景にはあっただろう。

しかし、バイデン政権はロシアと鋭い緊張関係になる可能性は極めて高い――
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/297.html#c177

[近代史5] トランプの敵の正体。ディープ・ステート黒幕説の本当と嘘と中国の影=吉田繁治 中川隆
5. 中川隆[-7002] koaQ7Jey 2021年2月28日 19:36:10 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[31]

バイデンの背後にいる勢力とは?主導権はリバタリアンからCFRへ、米国はトランプ以上の分断に向かうのか=高島康司
2021年2月6日
https://www.mag2.com/p/money/1017263

バイデン政権が発足した。就任早々にトランプ政権の負の遺産を清算しつつあるように見えるが、米国が「予想可能な国」に戻るとは限らないだろう。その根拠となる、バイデン政権の背後にいる勢力について解説したい。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)

バイデン政権でも「予想可能な国」には戻らない?

2021年1月20日、ワシントンの厳戒態勢のなかバイデン政権は成立した。

トランプ政権の悪夢のような4年間が終わり、やっと正常なアメリカに戻るのではないかという期待感が特に日本では強い。

国際条約や同盟国をないがしろにする強硬な一国主義、あからさまに白人至上主義を表明する団体の容認、全米に拡大した「BLM」の抗議運動、地球温暖化の無視、新型コロナウイルスの軽視など、どう見てもまともな政権とは思われない蛮行を繰り返していたのがトランプ政権だった。

トランプ政権下では経済はよかったものの、そんなプラスの効果は吹き飛んでしまうくらい、アメリカという国家が歴史的に抱える闇が噴出し、社会の分断が進んだ。

バイデン政権は、トランプが社会に残した傷を癒し、多様な価値観や意見を尊重する民主主義の本来の価値に戻ることが期待されている。バイデン政権は、発足当初から矢継ぎ早に大統領令を出して、トランプ政権の負の遺産を清算しつつあるように見える。トランプが脱退を表明した世界保健機構(WHO)、パリ協定、イラン核合意、TPPへの復帰、クリーンなグリーンエネルギーの推進、そしてなによりも日本やヨーロッパを始めとした同盟国との国際協調体制の再構築などだ。

これを見ると、アメリカはオバマ政権当時のような良識で行動する予想可能な国に戻り、多少時間がかかるかもしれないが、米国内の分断も、バイデンの人種融和策によって次第に修復されるのではないかと期待が高まっている。特に、アメリカという国の好感度が際立って高い日本ではそうだ。

しかし、アメリカの現状を見ると、そのような期待を維持することが困難であることが見えてくる。

活動を続けるトランプと支持者たち

トランプは「前大統領のオフィス」をフロリダ州の邸宅に立ち上げ、トランプ政権のときの政策の実現に向けて動き出している。大統領選挙で7,500万票を獲得したトランプの勢いは強い。

いまだに熱烈なトランプ支持者が全米各地にいる。トランプを、アメリカ第2革命のリーダーとして崇拝する武装した極右や民兵組織も多い。

またトランプの「前大統領のオフィス」には、莫大な寄付金が集まっている。来年の中間選挙には、トランプ政権の元高官が複数立候補する動きがあるが、「前大統領のオフィス」はこれを全力で支援するとしている。

トランプの背後にいるのはリバタリアン
アメリカ国内の状況は依然として不安定だ。これから、分断から分裂に向けて動き出してもおかしくない状況にある。バイデン政権がトランプ支持者を巻き込み融和を図れるとは到底思えない。米国内はさらに混乱することだろう。

では、そうしたバイデン政権の背後にはどんな勢力がいるのだろうか?トランプ政権の勢力とはどのように異なるのだろうか?

これを具体的に説明する前に、トランプ政権の背後にいる勢力についておさらいをしておこう。これはすでにこのメルマガでは何度も解説したが、再度確認する。

トランプは、アメリカを国民の手に取り戻すために決起した市民革命のリーダーであるとする見方が強いが、実はまったくそうではない。トランプが大統領選挙への立候補を真剣に検討し始めたのは2013年頃だと見られているが、トランプ政権の成立には2つの大きな勢力は加わっている。

ひとつは、イスラエル・ロシア・サウジアラビア・アラブ首長国連邦など、中東の再編を模索する外国勢力だ。そして次は、米国内のエネルギー産業と一部の金融業を中心としたリバタリアン勢力である。

トランプ政権の成立に特に大きな役割を果たしたのは、後者のリバタリアン勢力だ。これは米国内最大の石油精製業者、「コーク・インダストリーズ」を経営するチャールズ・コークの運営する財団、「アメリカ人のための繁栄」に結集した超富裕な国内産業の資本家層だ。彼らは、企業活動にさまざまな規制を加える連邦政府の徹底した縮小を主張し、まったく規制のない市場原理による経済と社会の運営を夢想する。

国内産業を地盤とした超富裕層のリバタリアンは、地域コミュニティーの自立性を主張する草の根のリバタリアン、さらに、グローバリゼーションに乗り遅れて没落した製造業の労働者層の怒りを政治的なリソースとして組織化し、トランプを大統領に押し上げた。トランプの政策は、政治的なリソースとして使われた社会層、そしてなによりも超富裕層のリバタリアンの経済的な利害を反映していた。

バイデン政権の背後の勢力「CFR」
一方、バイデン政権の背後の勢力だが、これはトランプを支えたリバタリアンではない。「外交問題評議会(CFR)」に結集している勢力だ。これは、バイデン政権の主要な閣僚を調べると簡単に分かることだ。以下が「CFR」に所属している閣僚だ。

・ジャネット・イエレン財務長官
・アントニー・ブリンケン国務長官
・トム・ヴィサック農務長官
・ジナ・レイモンドー商務長官
・アレジャンドロ・マヨルカス国土安全保障省長官
・サルマン・アハメド国務省政策企画部部長

バイデン政権の主要閣僚は16人だ。そのなかで「CFR」の正式メンバーが6人というのは少ないとの印象も持つかもしれないが、それは違う。トランプ政権で「CFR」のメンバーは実質的にゼロであったのだ。

これを見ると、やはり「CFR」のバイデン政権に対する影響力は大きいと見なければならない。特に、上記のもっとも重要な閣僚のポストが、「CFR」のメンバーで固められているのは注目に値する。「CFR」の影響下にある政権だと見てよい。

CFRとはどのような組織なのか?
では「CFR」とはどのような組織なのだろか? 一度確認しておくべきだろう。

陰謀論の世界では「CFR」はアメリカの歴代の政権で世界戦略を立案する極秘の組織としてイメージされているかもしれないが、実はさほど機密性の高い組織ではない。ウォールストリートの大手金融産業を主要な基盤にした、アメリカでもっとも力のあるシンクタンクのことである。

「CFR」の起源は第一次世界大戦の直後まで溯る。1918年、ウィルソン大統領は第一次世界大戦後の国際秩序を検討するため、外交ブレーンだったエドワード・ハウス大佐に国務省とは別個に招集した知識人グループの編成を求めた。このグループは「大調査(Inquiry)」と呼ばれた。これが後の「CFR」の母体になった。

「大調査」グループは、ヴェルサイユ講和会議に加わり、参加していたイギリスの外交官や研究者らと、講和条約締結後も知的交流を継続させるため米英両国共同の国際問題研究機関を設置することで合意した。ニューヨークとロンドンにそれぞれの支部が設置された。しかし、後にイギリスの研究機関は自立し、いまも存在するイギリス政府の外交政策の諮問機関、「王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)」になった。

一方、ニューヨークには金融界の実業家や国際弁護士らが主宰していた資金力の豊富な知的サロン、「外交問題評議会(CFR)」があった。「大調査」グループはここに合流し、「CFR」の中核組織ができた。

なぜニューヨークの金融界が「CFR」の結成に関与したのか疑問に思うかもしれないが、その理由ははっきりしている。「CFR」はすでに第一次世界大戦後から、将来イギリスに代ってアメリカが世界の覇権国となると予想しており、そうなったときウォールストリートの金融界を中心にしたアメリカ資本が、その利益を最大化できるアメリカ中心の世界秩序を編成するためである。

その意味では「CFR」は、アメリカの超富裕層の利害を世界レベルで実現するために結成されたいわば業界団体である。

アメリカ資本を牛耳るCFR
そのような「CFR」の名前を一躍有名にしたのは、1939年に国務省からの依頼を受け成立した、「戦争平和研究研究会」というプロジェクトだ。このプロジェクトは、戦争の推移、および戦後秩序に関する調査研究を4つのグループで実施し、約700のメモランダムを提出した。このときの調査メンバーの一部は後にサンフランシスコ講和会議にも出席している。

注目すべきは、アメリカが参戦する2年前の1939年にすでに戦後はアメリカが世界覇権国になることを予想し、世界秩序を描いていたことである。ここには「大領域」という言葉が出てくる。

「大領域」とは、西半球、極東、旧大英帝国領を含む広大なエリアのことだ。ここでアメリカは、絶対的な力を持つとされた。1939年当初、ドイツは戦争に勝利する可能性があった。そこで「戦争平和研究研究会」は、アメリカが「大領域」を自らの領域として確保しつつ、世界の残りの領域をドイツに支配させる構想を提出した。しかし、1943年以降、ソビエトの勝利がはっきりするにつれ、米ソで世界を二分する冷戦構想が出てきた。ここでは、アメリカの支配する「大領域」には西ヨーロッパも組み込まれた。

さしづめアメリカが絶対的に支配するこの「大領域」とは、アメリカ資本の投資が保障され、最大限の利益の獲得が許されるエリアのことだ。アメリカ資本の支配領域である。

CFRが目指す社会とは?
「CFR」が設立した「戦争平和研究研究会」の米ソの冷戦構想は、戦後着実に実現する。

その中心になったのは、「CFR」メンバーで著名な外交官のジョージ・ケナンと、ケナンの提言で国務省に作られた政策シンクタンク、「政策企画局」であった。ケナンが初代局長となった。

1947年7月、ジョージ・ケナンは「ソ連の行動の源泉」という論文を「CFR」の外交雑誌、「フォーリン・アフェアーズ」に匿名で発表した。これは通称「X論文」と呼ばれるものである。この論文では、ソビエトに対抗してアメリカが絶対的に支配する「大領域」の統治の方法を述べた後、東アジアに関しては次のように注意している。

「アメリカは世界の富の50パーセントを所有するが、人口では6.3パーセントしか占めていない。この格差は特に米国とアジアの間で顕著だ。この状態では必ず妬みと怒りの対象となる。これから必要なのは、特別な関係を工夫して格差を維持し、米国の安全保障を保つことだ。私たちは目の前の国家目標に集中しなければならない。利他主義や世界への善行などの「贅沢」は、現在とてもできない。

極東では、人権とか生活水準の向上とか民主化などという「非現実的」な話をやめるべきだ。力の論理で交戦交渉しなければならない時代が、すぐにやって来る。理想主義のスローガンに邪魔されることは、少なければ少ないほどよい。」

このように述べ、極東ではアメリカの対等なパートナーになることができない格差を確実に維持し、人権や自由などという理想主義的な目標では絶対に行動してはならず、冷厳なパワーポリティックスだけで行動するように提案している。
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/403.html#c5

[近代史5] トランプの敵の正体。ディープ・ステート黒幕説の本当と嘘と中国の影=吉田繁治 中川隆
6. 中川隆[-7001] koaQ7Jey 2021年2月28日 19:36:47 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[32]
バイデンが狙う「グレート・リセット」で格差定着。プーチン猛反発で米ロ衝突必至か=高島康司 2021年2月28日
https://www.mag2.com/p/money/1024406

バイデン政権とダボス会議などが提唱する構想「グレート・リセット」は、一見するとよいプランに思える。しかし、環境破壊や格差拡大を進めてきた元凶たちが自らつくりあげたグローバル経済をリセットし、また新たなグローバルな体制へと置き換える構想だ。ロシアのプーチンはこれを強く批判している。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)

【関連】バイデンの背後にいる勢力とは?主導権はリバタリアンからCFRへ、米国はトランプ以上の分断に向かうのか=高島康司
https://www.mag2.com/p/money/1017263

バイデンのアジェンダは「グレート・リセット」か

バイデン政権と「ダボス会議」などが提唱する構想、「グレート・リセット」との関係について解説したい。

バイデン政権の背後にいる「CFR」や、それと連動して動いていると思われる「ダボス会議」が目標にする「グレート・リセット」は、いったいなにが問題なのだろうか?

その中身を一見すると、非常によいプランのようにも思える。だが、その問題点を追求すると、「グレート・リセット」の本質が見えてくるのだ。

【関連】「グレートリセット」が起こす資本主義の大転換。遂に見えた具体的な中身=高島康司
https://www.mag2.com/p/money/1019624


「CFR」と「ダボス会議」は徹底した新自由主義
「グレート・リセット」のコンセプトの重要な柱になっているのは、地球温暖化ガスの排出抑制による地球環境の回復、そして社会不安の背景になる極端な格差の解消である。

これはもっともなことだ。これらがこの構想の柱である限り、「グレート・リセット」は強い説得力と合理性を持つ。反対するのは難しい。

いまの地球環境の破壊の水準はすでに臨界点に達しており、早急の対処しないと2030年くらいには多発する大規模自然災害から資本主義の社会体制のみならず、現代文明の基礎さえ侵食され、種としての人類そのものの持続可能性すら問題になってこよう。

「グレート・リセット」が提示するような、現代の資本主義の抑制のない拡大にストップをかけられる根本的な転換が必要なことは間違いない。

さらに、環境問題とともに、社会的格差の極端な拡大も深刻な問題となっており、新型コロナウイルスのパンデミックによって既存の資本主義の矛盾が拡大し、一層可視化した現在では、リセットは必要だろうと思われる。

だが「グレート・リセット」が、「CFR」や「ダボス会議」という既存の支配勢力によって実施されることが問題なのだ。


「CFR」が設立された理由は、ある目標を実現するためであった。それは、主権国家による世界秩序を超越した「世界政府」の樹立である。「CFR」と密接に連携している「ダボス会議」も、この目標を共有するコンセンサスを得ていると思ってよいだろう。

では、「CFR」などはこれまでどのようにして「世界政府」の樹立などという一見奇想天外に見える目標の実現にこれまで動いてきたのだろうか?

実はグローバリゼーションの推進こそ、この目標を実現する方法であった。これは「CFR」が発行する外交誌、「フォーリン・アフェアーズ」の過去の記事を見ると明確だ。

グローバリゼーションとは、国家が障壁とならない自由な貿易を徹底して推進し、資本が国境を越えて世界のあらゆる地域に投資できる状態のことである。

この原則にしたがうと、社会保険や失業保険、そして生活保護などのセイフティーネットは労働力のコストを引き上げ、投資の効率を悪くする要因として嫌煙された。また健康保健などの国民生活を保護するシステムや、電気や水道など公的部門が管理する社会インフラは、高いリターンを求めて世界を移動する資本が投資できる領域として民営化するべきだとされた。

グローバリゼーションが拡大する世界では、国民の生活を守るために政府が導入したさまざまな制度や規制は、投資の自由を阻害する障壁として攻撃の対象になった。

社会と経済の大部分の運営は、資本が主導する市場原理にゆだねられるべきで、国家はこれに介入すべきではないとされた。国家の権限は、資本の投資の自由に介入できないように、徹底して縮小されるべきことが主張された。これはまさに、国家と政府の力が縮小され、グローバルな資本が形成する世界的なネットワークに埋め込まれる状態のことを指している。これがグローバリゼーションの中身である。

つまり、グローバリゼーションの進展によって主権国家の力を弱め、グローバルな資本が支配し運営する体制に世界を転換させることが、「CFR」が主張する「世界政府」樹立への第一歩であるとされていたのだ。

事実、2008年の金融危機が発生する以前のグローバリゼーション全盛の時代では、国家の消滅こそ未来の方向性であると普通に主張されていた。

「CFR」の核となる企業が、「ゴールドマン・サックス」、「JPモーガン」、「モーガンスタンレー」、「シティ」、「バンク・オブ・アメリカ」、「ムーディーズ」などの国際的な金融資本、また「グーグル」や「フェースブック」、「AT&T」などの大手IT・通信企業、さらに「エクソンモービル」や「シェブロン」などの国際エネルギー企業などであることを見ると、グローバリゼーションの促進で国家と政府の規制が弱められ、世界のあらゆる地域が彼らの自由な投資領域として確保されることは、まさに「CFR」の利害に合致している。もちろんこれらの企業は、「ダボス会議」にも名前を連ねている。

要するに、グローバリゼーションの促進による新自由主義こそ、「世界政府」樹立に向けての方途だったということだ。


世界の歪みを作った元凶が「グレート・リセット」を主導
これはつまり、限界にまで達した地球温暖化と環境破壊、そして社会の安全弁である中間層の没落と社会を不安定にする極端な格差拡大など、いま「グレート・リセット」で解決されるべき問題の対象とされている矛盾そのものを作ってきた張本人こそ、「CFR」や「ダボス会議」に結集している勢力であることを意味している。

端的にいえば「グレート・リセット」とは、彼らが推進してきたグローバル経済をリセットし、新たなグローバルな体制へと置き換える構想なのだ。

地球環境の配慮など、持続可能な資本主義のコンセプトにシフトすることなど評価される点も多い。しかし、基本的に「グレート・リセット」は、「第4次産業革命」の高度なITテクノロジーの導入による社会の新しい統治形態だと思われる。それは高度管理社会といってもよいようなものだ。

これを世界のどの地域にも適用可能なグローバルなシステムとして提案するのが、「グレート・リセット」の中身ではないだろうか? それは、民主主義と市場原理のように、世界のすべての地域で導入すべきユニバーサルな社会モデルであろう。

これを主張しているのが、現在のグローバリゼーションを推進してきた中心的な勢力なのである。

今度は彼らは、グローバルな資本主義体制を乗り越える新しい社会体制への転換を主張している。

すると「グレート・リセット」というのは、社会矛盾の爆発によって既存の支配勢力が民衆の怒りのターゲットとなり、自分たちが排除される前に、新しい社会状態を先行して導入し、支配勢力としての地位を継続して維持するために行っていることなのではないだろうか?

そのような疑念が出てきても不自然ではない。

プーチンの「ダボス会議」での批判
この疑念を端的に表現しているのが、ロシア大統領のプーチンだ。

今年の1月22日に行われた「ダボス会議」のオンラインスピーチでプーチンは以下のように述べ、「グレート・リセット」のアジェンダを進める勢力をやんわりとだが、的確に批判した。

まずプーチンは、新型コロナウイルスのパンデミックで、社会的格差が拡大して社会不安が広がり、多くの国が危機的な状況に追い込まれた事実を指摘した。だが、こうした問題を引き起こしたのはパンデミックではなく、アメリカが推進してきたグローバリゼーションであるとして、次のような批判を展開した。

「このようなグローバルな社会経済的な不均衡は、1980年代から続けられてきたドグマ的、ないしはがさつな政策の直接的な結果である。この政策はいわゆる『ワシントン・コンセンサス』の暗黙のルールに基づいている。これは規制緩和、ならびに富裕層と企業への減税を条件に民間の債務を増やし、経済成長を最優先した政策だ」

そして、現在の社会的不均衡は、実は新自由主義のグローバリゼーションが引き起こしたものであり、新型コロナウイルスのパンデミックはすでに存在している問題を拡大しただけだったと主張する。

「先に私が述べたように、新型コロナウイルスのパンデミックはこれらの問題を一層悪化させただけだった。昨年、世界経済は第2次世界大戦以降で最大の経済停滞を経験した。7月には、500万の仕事が労働市場から失われた。これはとれも大きく、そして憂慮すべき数字だ。昨年の9カ月間だけで、3.5兆ドルの収益が失われた。この数値はさらに拡大しており、それとともに社会的な緊張は高まっている」

プーチンは、現在どの国でも危機的な状態にまでなっている格差などの社会的不均衡の真の原因は、「ワシントン・コンセンサス」による際限のないグローバリゼーションであると指摘する。

「ワシントン・コンセンサス」とは、各国の規制を徹底的に緩和し、資本の移動と投資の自由を保証した新自由主義のルールである。これこそ、「世界政府」を樹立するカギとして「CFR」や「ダボス会議」が長い間推進してきた理念である。

このグローバリゼーションを推進した欧米の責任をプーチンは問い正したのだ。

プーチンは「巨大IT企業」を強く批判
次にプーチンは、「第4次産業革命」の負の側面を指摘する。「第4次産業革命」のAIなどの高度なITテクノロジーは、「ダボス会議」が提唱する「グレート・リセット」の中核になるコンセプトだ。

「しかし、このプロセスは新たな構造変化をもたらしているが、私は特に労働市場について考えている。これは、国家が効果的な対策を講じない限り、非常に多くの人々が職を失う可能性があることを意味している。これらの人たちの多くは、現代社会の基盤である中産階級の人たちだ」

そして、職を失った人々の高まる不満は社会を危機に陥れるかもしれないと警告する。

「構造的な社会経済的問題は、特別な注意と真の解決策を必要とするような社会的不満を呼び起こしている。彼らが無視されたり、隅に押し込められたりするかもしれないという危険な錯覚は、深刻な結果を招く恐れがある」

この危機は社会の分裂となって現れるという。

「この場合、社会は政治的にも社会的にも分裂することになる。これはかならず起こる。なぜなら、抽象的な問題や人々が持つ政治的な見解ではなく、実際の問題に人々は不満を持っているからだ。分裂はかならず起こる。現実の問題は不満を呼び起こすのだ」

次に、「第4次産業革命」を主導している巨大IT企業を強く批判する。

「もう1つ重要な点を強調しておきたい。現代のテクノロジーの巨人、特にデジタル企業が社会生活の中で果たす役割が大きくなってきている。特にアメリカの選挙キャンペーン中に起こった出来事は、このことをよく表している。これらの企業は単なる経済的な巨人ではない。いくつかの分野では、事実上、国家と競合している。これらの企業は何十億人ものユーザーで構成されており、生活のかなりの部分をこれらのエコシステムの中で過ごしている」

「これらの企業の見解では、企業の独占は、技術やビジネスのプロセスを組織化するのに最適であるという。だが社会は、そのような独占が公共の利益に合致しているかどうかを疑問視している」

プーチンは、この巨大IT企業の独占状態は、危険な社会管理をもたらすと警告する。

「グローバルビジネスの成功、オンデマンドサービス、ビッグデータの統合と、社会を自分の裁量で厳しく管理しようとする試みとの間の境界線はどこにあるのだろうか。我々はいま、アメリカでこれらの現象をすべて見ているが、いま私が何を言っているのか、誰もが理解しているはずだ。今回のイベントの参加者も含めて、圧倒的多数の人がこの立場を共有していると確信している」

プーチンのスピーチに「グレート・リセット」という言葉が出てくるわけではない。

しかしプーチンは、「CFR」と「ダボス会議」が推進してきた際限のないグローバリゼーションを、社会を分裂させる最大の要因として批判し、また「グレート・リセット」の中心にある高度なITテクノロジーを、「社会を自分の裁量で厳しく管理しようとする試み」として断罪する。

プーチンの主張「新ユーラシア主義」
このように、プーチンのグローバリゼーションや「第4次産業革命」による社会管理に対する疑念ははっきりしている。

これを推進してきたのは、まさに「CFR」や「ダボス会議」などに結集し、独自のアジェンダを追求している欧米の支配勢力である。彼らが提示する次のアジェンダこそ、ITによる社会管理を全面的に取り入れた新しい社会状態への「グレート・リセット」だ。プーチンのこれに対する疑念も深いはずだ。

一方プーチンは、グローバリゼーションや「グレート・リセット」に対抗するビジョンを主張しているようにも見える。それは、「新ユーラシア主義」とも呼ばれる思想だ。

これは「グレート・リセット」に反対する多くの民衆の結集軸にもなっている思想だ。これを少し見て見よう。

もともと「新ユーラシア主義」とは、1917年のロシア革命の後、西欧諸国に亡命したロシアの知識人から生まれた「ユーラシア主義」を、現代的に引き継いだ思想である。

「ユーラシア主義」とは、著名な言語学者のニコライ・トュルベツコイが1921年に最初に提唱した思想だ。トュルベツコイは、ロシアはアジアでもヨーロッパでもない独自の「ユーラシア国家」としての文化的なアイデンティティーを基本的に有しているので、自立した個人の活動を前提にする西欧流の資本主義の方向性は追求すべきではないとした。むしろ、民衆に寛容な優しい全体主義こそ、「ユーラシア国家」が目指すべきものとされた。

モスクワ大学政治学部の教授であり、プーチンのアドバイザーでもあったアレクセイ・ドゥーギン博士は、この「ユーラシア主義」を「新ユーラシア主義」として改めて現代に蘇らせた。

それぞれの文化圏の独自性を尊重すべき
ドゥーギン博士の「新ユーラシア主義」の思想はさほど複雑なものではない。それぞれの国の文化は独自な価値を有しているので、この文化的な価値を尊重し、それに基づく社会システムを形成すべきだとする主張だ。

ドゥーギン博士は、20世紀までは、1)自由民主主義、2)マルクス主義、3)ファシズムという3つの思想が社会形成の基礎となる思想として存在していたという。しかし21世紀になると、マルクス主義もファシズムを姿を消し、「自由民主主義」が唯一の思想として残った。

自由民主主義は、市場経済と民主主義という2つの基礎をもつ。現代の世界は、このシステムがあまりにグローバルに拡大したので、だれも「自由民主主義」をイデオロギーとしては認識せず、自明の常識として理解している。このため、それぞれの文化圏が本来もつ独自な社会思想は無視され、どの文化も、市場経済と民主主義というまったく同一の鋳型にはまらなければならない状況になっている。これが、グローバリゼーションがもたらす悪しき統一性である。

「CFR」が目標にしている「世界政府」の樹立は、世界をこうした単一の価値観で統一することが前提になっている。また「グレート・リセット」の社会状態も、高度なITによる統治など、どんな社会にも適用可能な同一のシステムを模索している。

これほど、それぞれの文化圏の独自性を無視する思想はない。どの文化圏も、その文化に独自な社会思想を基盤にしてユニークな社会を構築する権利がある。この権利を追求し、グローバルな「自由民主主義」に対抗する第4の思想の潮流こそ「新ユーラシア主義」である。

「ユーラシア」は、アジアでもなく、またヨーロッパでもない独自な価値と社会思想が伝統的に存在している地域である。その価値と思想は、多民族的で多文化的であり、多くの民族のバランスの元に成り立つものだ。

ロシアは、このユーラシア的価値の守護者として振る舞い、どこでも同じ価値を強制する「自由民主主義」とグローバリゼーションに対抗しなければならない。そして、ロシアが「新ユーラシア主義」の守護者となることで、中国は中華文化圏の、ヨーロッパは欧州文化圏の、そして北米は北米文化圏のそれぞれまったく独自な価値を社会思想として追求し、それぞれ独自な社会を構築することができる。

これが、アレクセイ・ドゥーギン博士が提唱する「新ユーラシア主義」だ。プーチンの数々のスピーチにもこの思想は強く現れている。プーチンはこの思想を根拠に、欧米の、そしてなかんずくその中核にいる「CFR」や「ダボス会議」が推進しているアジェンダを批判する。

拡散する「新ユーラシア主義」
また、このような「新ユーラシア主義」がプーチンの独自な思想という個別的な水準に止まっているわけではない。

ヨーロッパの極右や極左のみならず、格差の発生や伝統的な社会秩序の解体など、欧米流の規制のない市場経済と民主主義のグローバルな拡大がもたらした負の効果に憤っているあらゆる党派や集団を強く引き付けている。伝統的な文化とその価値こそもっとも貴重なものであり、これに基づいた社会こそ、安定した社会であるとする思想なのだ。

こうした「新ユーラシア主義」は、プーチン大統領の外交政策の基本方針でもある。そのため、プーチン大統領こそ、あらゆる勢力から新しい第4の思想的な潮流の守護者として称賛されている。

「新ユーラシア主義」は、グローバリゼーションや「グレート・リセット」という、いわば文化的な独自性を無視して同一のルールと統治機構を押し付ける動きに反対する結集軸になりつつある。

このようなニュアンスは、先に引用したプーチンのダボスオンライン会議における発言にも現れている。

バイデン政権の最大の敵はロシア
もしバイデン政権が、「CFR」や「ダボス会議」に結集している勢力の影響力が強く、「グレート・リセット」の実現を目指した政権であるなら、こうした勢力の推進する構想に強い疑念を持つプーチンのロシアは、バイデン政権がもっとも警戒する相手であることになる。

反「CFR」でナショナリストのトランプ政権は、ロシアとの関係が良好であるとはかならずしもいえない側面はあったが、特にロシアと緊張した関係にはなかった。トランプ個人とロシアとのビジネス関係も深く、友好な関係であったことも背景にはあっただろう。

しかし、バイデン政権はロシアと鋭い緊張関係になる可能性は極めて高い――
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/403.html#c6

[近代史4] どうしても戦争だけはやりたくなかったドナルド・トランプ大統領 中川隆
55. 中川隆[-7000] koaQ7Jey 2021年2月28日 19:38:46 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[33]
バイデンの背後にいる勢力とは?主導権はリバタリアンからCFRへ、米国はトランプ以上の分断に向かうのか=高島康司
2021年2月6日
https://www.mag2.com/p/money/1017263

バイデン政権が発足した。就任早々にトランプ政権の負の遺産を清算しつつあるように見えるが、米国が「予想可能な国」に戻るとは限らないだろう。その根拠となる、バイデン政権の背後にいる勢力について解説したい。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)

バイデン政権でも「予想可能な国」には戻らない?

2021年1月20日、ワシントンの厳戒態勢のなかバイデン政権は成立した。

トランプ政権の悪夢のような4年間が終わり、やっと正常なアメリカに戻るのではないかという期待感が特に日本では強い。

国際条約や同盟国をないがしろにする強硬な一国主義、あからさまに白人至上主義を表明する団体の容認、全米に拡大した「BLM」の抗議運動、地球温暖化の無視、新型コロナウイルスの軽視など、どう見てもまともな政権とは思われない蛮行を繰り返していたのがトランプ政権だった。

トランプ政権下では経済はよかったものの、そんなプラスの効果は吹き飛んでしまうくらい、アメリカという国家が歴史的に抱える闇が噴出し、社会の分断が進んだ。

バイデン政権は、トランプが社会に残した傷を癒し、多様な価値観や意見を尊重する民主主義の本来の価値に戻ることが期待されている。バイデン政権は、発足当初から矢継ぎ早に大統領令を出して、トランプ政権の負の遺産を清算しつつあるように見える。トランプが脱退を表明した世界保健機構(WHO)、パリ協定、イラン核合意、TPPへの復帰、クリーンなグリーンエネルギーの推進、そしてなによりも日本やヨーロッパを始めとした同盟国との国際協調体制の再構築などだ。

これを見ると、アメリカはオバマ政権当時のような良識で行動する予想可能な国に戻り、多少時間がかかるかもしれないが、米国内の分断も、バイデンの人種融和策によって次第に修復されるのではないかと期待が高まっている。特に、アメリカという国の好感度が際立って高い日本ではそうだ。

しかし、アメリカの現状を見ると、そのような期待を維持することが困難であることが見えてくる。

活動を続けるトランプと支持者たち

トランプは「前大統領のオフィス」をフロリダ州の邸宅に立ち上げ、トランプ政権のときの政策の実現に向けて動き出している。大統領選挙で7,500万票を獲得したトランプの勢いは強い。

いまだに熱烈なトランプ支持者が全米各地にいる。トランプを、アメリカ第2革命のリーダーとして崇拝する武装した極右や民兵組織も多い。

またトランプの「前大統領のオフィス」には、莫大な寄付金が集まっている。来年の中間選挙には、トランプ政権の元高官が複数立候補する動きがあるが、「前大統領のオフィス」はこれを全力で支援するとしている。

トランプの背後にいるのはリバタリアン
アメリカ国内の状況は依然として不安定だ。これから、分断から分裂に向けて動き出してもおかしくない状況にある。バイデン政権がトランプ支持者を巻き込み融和を図れるとは到底思えない。米国内はさらに混乱することだろう。

では、そうしたバイデン政権の背後にはどんな勢力がいるのだろうか?トランプ政権の勢力とはどのように異なるのだろうか?

これを具体的に説明する前に、トランプ政権の背後にいる勢力についておさらいをしておこう。これはすでにこのメルマガでは何度も解説したが、再度確認する。

トランプは、アメリカを国民の手に取り戻すために決起した市民革命のリーダーであるとする見方が強いが、実はまったくそうではない。トランプが大統領選挙への立候補を真剣に検討し始めたのは2013年頃だと見られているが、トランプ政権の成立には2つの大きな勢力は加わっている。

ひとつは、イスラエル・ロシア・サウジアラビア・アラブ首長国連邦など、中東の再編を模索する外国勢力だ。そして次は、米国内のエネルギー産業と一部の金融業を中心としたリバタリアン勢力である。

トランプ政権の成立に特に大きな役割を果たしたのは、後者のリバタリアン勢力だ。これは米国内最大の石油精製業者、「コーク・インダストリーズ」を経営するチャールズ・コークの運営する財団、「アメリカ人のための繁栄」に結集した超富裕な国内産業の資本家層だ。彼らは、企業活動にさまざまな規制を加える連邦政府の徹底した縮小を主張し、まったく規制のない市場原理による経済と社会の運営を夢想する。

国内産業を地盤とした超富裕層のリバタリアンは、地域コミュニティーの自立性を主張する草の根のリバタリアン、さらに、グローバリゼーションに乗り遅れて没落した製造業の労働者層の怒りを政治的なリソースとして組織化し、トランプを大統領に押し上げた。トランプの政策は、政治的なリソースとして使われた社会層、そしてなによりも超富裕層のリバタリアンの経済的な利害を反映していた。

バイデン政権の背後の勢力「CFR」
一方、バイデン政権の背後の勢力だが、これはトランプを支えたリバタリアンではない。「外交問題評議会(CFR)」に結集している勢力だ。これは、バイデン政権の主要な閣僚を調べると簡単に分かることだ。以下が「CFR」に所属している閣僚だ。

・ジャネット・イエレン財務長官
・アントニー・ブリンケン国務長官
・トム・ヴィサック農務長官
・ジナ・レイモンドー商務長官
・アレジャンドロ・マヨルカス国土安全保障省長官
・サルマン・アハメド国務省政策企画部部長

バイデン政権の主要閣僚は16人だ。そのなかで「CFR」の正式メンバーが6人というのは少ないとの印象も持つかもしれないが、それは違う。トランプ政権で「CFR」のメンバーは実質的にゼロであったのだ。

これを見ると、やはり「CFR」のバイデン政権に対する影響力は大きいと見なければならない。特に、上記のもっとも重要な閣僚のポストが、「CFR」のメンバーで固められているのは注目に値する。「CFR」の影響下にある政権だと見てよい。

CFRとはどのような組織なのか?
では「CFR」とはどのような組織なのだろか? 一度確認しておくべきだろう。

陰謀論の世界では「CFR」はアメリカの歴代の政権で世界戦略を立案する極秘の組織としてイメージされているかもしれないが、実はさほど機密性の高い組織ではない。ウォールストリートの大手金融産業を主要な基盤にした、アメリカでもっとも力のあるシンクタンクのことである。

「CFR」の起源は第一次世界大戦の直後まで溯る。1918年、ウィルソン大統領は第一次世界大戦後の国際秩序を検討するため、外交ブレーンだったエドワード・ハウス大佐に国務省とは別個に招集した知識人グループの編成を求めた。このグループは「大調査(Inquiry)」と呼ばれた。これが後の「CFR」の母体になった。

「大調査」グループは、ヴェルサイユ講和会議に加わり、参加していたイギリスの外交官や研究者らと、講和条約締結後も知的交流を継続させるため米英両国共同の国際問題研究機関を設置することで合意した。ニューヨークとロンドンにそれぞれの支部が設置された。しかし、後にイギリスの研究機関は自立し、いまも存在するイギリス政府の外交政策の諮問機関、「王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)」になった。

一方、ニューヨークには金融界の実業家や国際弁護士らが主宰していた資金力の豊富な知的サロン、「外交問題評議会(CFR)」があった。「大調査」グループはここに合流し、「CFR」の中核組織ができた。

なぜニューヨークの金融界が「CFR」の結成に関与したのか疑問に思うかもしれないが、その理由ははっきりしている。「CFR」はすでに第一次世界大戦後から、将来イギリスに代ってアメリカが世界の覇権国となると予想しており、そうなったときウォールストリートの金融界を中心にしたアメリカ資本が、その利益を最大化できるアメリカ中心の世界秩序を編成するためである。

その意味では「CFR」は、アメリカの超富裕層の利害を世界レベルで実現するために結成されたいわば業界団体である。

アメリカ資本を牛耳るCFR
そのような「CFR」の名前を一躍有名にしたのは、1939年に国務省からの依頼を受け成立した、「戦争平和研究研究会」というプロジェクトだ。このプロジェクトは、戦争の推移、および戦後秩序に関する調査研究を4つのグループで実施し、約700のメモランダムを提出した。このときの調査メンバーの一部は後にサンフランシスコ講和会議にも出席している。

注目すべきは、アメリカが参戦する2年前の1939年にすでに戦後はアメリカが世界覇権国になることを予想し、世界秩序を描いていたことである。ここには「大領域」という言葉が出てくる。

「大領域」とは、西半球、極東、旧大英帝国領を含む広大なエリアのことだ。ここでアメリカは、絶対的な力を持つとされた。1939年当初、ドイツは戦争に勝利する可能性があった。そこで「戦争平和研究研究会」は、アメリカが「大領域」を自らの領域として確保しつつ、世界の残りの領域をドイツに支配させる構想を提出した。しかし、1943年以降、ソビエトの勝利がはっきりするにつれ、米ソで世界を二分する冷戦構想が出てきた。ここでは、アメリカの支配する「大領域」には西ヨーロッパも組み込まれた。

さしづめアメリカが絶対的に支配するこの「大領域」とは、アメリカ資本の投資が保障され、最大限の利益の獲得が許されるエリアのことだ。アメリカ資本の支配領域である。

CFRが目指す社会とは?
「CFR」が設立した「戦争平和研究研究会」の米ソの冷戦構想は、戦後着実に実現する。

その中心になったのは、「CFR」メンバーで著名な外交官のジョージ・ケナンと、ケナンの提言で国務省に作られた政策シンクタンク、「政策企画局」であった。ケナンが初代局長となった。

1947年7月、ジョージ・ケナンは「ソ連の行動の源泉」という論文を「CFR」の外交雑誌、「フォーリン・アフェアーズ」に匿名で発表した。これは通称「X論文」と呼ばれるものである。この論文では、ソビエトに対抗してアメリカが絶対的に支配する「大領域」の統治の方法を述べた後、東アジアに関しては次のように注意している。

「アメリカは世界の富の50パーセントを所有するが、人口では6.3パーセントしか占めていない。この格差は特に米国とアジアの間で顕著だ。この状態では必ず妬みと怒りの対象となる。これから必要なのは、特別な関係を工夫して格差を維持し、米国の安全保障を保つことだ。私たちは目の前の国家目標に集中しなければならない。利他主義や世界への善行などの「贅沢」は、現在とてもできない。

極東では、人権とか生活水準の向上とか民主化などという「非現実的」な話をやめるべきだ。力の論理で交戦交渉しなければならない時代が、すぐにやって来る。理想主義のスローガンに邪魔されることは、少なければ少ないほどよい。」

このように述べ、極東ではアメリカの対等なパートナーになることができない格差を確実に維持し、人権や自由などという理想主義的な目標では絶対に行動してはならず、冷厳なパワーポリティックスだけで行動するように提案している。
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[近代史5] バイデン「フェイク票」上乗せの卑劣な手口と真犯人判明! 「死者の不在者投票」も… トランプ“戒厳令”発動で米内戦勃発へ!! 中川隆
105. 中川隆[-6999] koaQ7Jey 2021年2月28日 19:42:37 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[34]
バイデンの背後にいる勢力とは?主導権はリバタリアンからCFRへ、米国はトランプ以上の分断に向かうのか=高島康司
2021年2月6日
https://www.mag2.com/p/money/1017263

バイデン政権が発足した。就任早々にトランプ政権の負の遺産を清算しつつあるように見えるが、米国が「予想可能な国」に戻るとは限らないだろう。その根拠となる、バイデン政権の背後にいる勢力について解説したい。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)

バイデン政権でも「予想可能な国」には戻らない?

2021年1月20日、ワシントンの厳戒態勢のなかバイデン政権は成立した。

トランプ政権の悪夢のような4年間が終わり、やっと正常なアメリカに戻るのではないかという期待感が特に日本では強い。

国際条約や同盟国をないがしろにする強硬な一国主義、あからさまに白人至上主義を表明する団体の容認、全米に拡大した「BLM」の抗議運動、地球温暖化の無視、新型コロナウイルスの軽視など、どう見てもまともな政権とは思われない蛮行を繰り返していたのがトランプ政権だった。

トランプ政権下では経済はよかったものの、そんなプラスの効果は吹き飛んでしまうくらい、アメリカという国家が歴史的に抱える闇が噴出し、社会の分断が進んだ。

バイデン政権は、トランプが社会に残した傷を癒し、多様な価値観や意見を尊重する民主主義の本来の価値に戻ることが期待されている。バイデン政権は、発足当初から矢継ぎ早に大統領令を出して、トランプ政権の負の遺産を清算しつつあるように見える。トランプが脱退を表明した世界保健機構(WHO)、パリ協定、イラン核合意、TPPへの復帰、クリーンなグリーンエネルギーの推進、そしてなによりも日本やヨーロッパを始めとした同盟国との国際協調体制の再構築などだ。

これを見ると、アメリカはオバマ政権当時のような良識で行動する予想可能な国に戻り、多少時間がかかるかもしれないが、米国内の分断も、バイデンの人種融和策によって次第に修復されるのではないかと期待が高まっている。特に、アメリカという国の好感度が際立って高い日本ではそうだ。

しかし、アメリカの現状を見ると、そのような期待を維持することが困難であることが見えてくる。

活動を続けるトランプと支持者たち

トランプは「前大統領のオフィス」をフロリダ州の邸宅に立ち上げ、トランプ政権のときの政策の実現に向けて動き出している。大統領選挙で7,500万票を獲得したトランプの勢いは強い。

いまだに熱烈なトランプ支持者が全米各地にいる。トランプを、アメリカ第2革命のリーダーとして崇拝する武装した極右や民兵組織も多い。

またトランプの「前大統領のオフィス」には、莫大な寄付金が集まっている。来年の中間選挙には、トランプ政権の元高官が複数立候補する動きがあるが、「前大統領のオフィス」はこれを全力で支援するとしている。

トランプの背後にいるのはリバタリアン
アメリカ国内の状況は依然として不安定だ。これから、分断から分裂に向けて動き出してもおかしくない状況にある。バイデン政権がトランプ支持者を巻き込み融和を図れるとは到底思えない。米国内はさらに混乱することだろう。

では、そうしたバイデン政権の背後にはどんな勢力がいるのだろうか?トランプ政権の勢力とはどのように異なるのだろうか?

これを具体的に説明する前に、トランプ政権の背後にいる勢力についておさらいをしておこう。これはすでにこのメルマガでは何度も解説したが、再度確認する。

トランプは、アメリカを国民の手に取り戻すために決起した市民革命のリーダーであるとする見方が強いが、実はまったくそうではない。トランプが大統領選挙への立候補を真剣に検討し始めたのは2013年頃だと見られているが、トランプ政権の成立には2つの大きな勢力は加わっている。

ひとつは、イスラエル・ロシア・サウジアラビア・アラブ首長国連邦など、中東の再編を模索する外国勢力だ。そして次は、米国内のエネルギー産業と一部の金融業を中心としたリバタリアン勢力である。

トランプ政権の成立に特に大きな役割を果たしたのは、後者のリバタリアン勢力だ。これは米国内最大の石油精製業者、「コーク・インダストリーズ」を経営するチャールズ・コークの運営する財団、「アメリカ人のための繁栄」に結集した超富裕な国内産業の資本家層だ。彼らは、企業活動にさまざまな規制を加える連邦政府の徹底した縮小を主張し、まったく規制のない市場原理による経済と社会の運営を夢想する。

国内産業を地盤とした超富裕層のリバタリアンは、地域コミュニティーの自立性を主張する草の根のリバタリアン、さらに、グローバリゼーションに乗り遅れて没落した製造業の労働者層の怒りを政治的なリソースとして組織化し、トランプを大統領に押し上げた。トランプの政策は、政治的なリソースとして使われた社会層、そしてなによりも超富裕層のリバタリアンの経済的な利害を反映していた。

バイデン政権の背後の勢力「CFR」
一方、バイデン政権の背後の勢力だが、これはトランプを支えたリバタリアンではない。「外交問題評議会(CFR)」に結集している勢力だ。これは、バイデン政権の主要な閣僚を調べると簡単に分かることだ。以下が「CFR」に所属している閣僚だ。

・ジャネット・イエレン財務長官
・アントニー・ブリンケン国務長官
・トム・ヴィサック農務長官
・ジナ・レイモンドー商務長官
・アレジャンドロ・マヨルカス国土安全保障省長官
・サルマン・アハメド国務省政策企画部部長

バイデン政権の主要閣僚は16人だ。そのなかで「CFR」の正式メンバーが6人というのは少ないとの印象も持つかもしれないが、それは違う。トランプ政権で「CFR」のメンバーは実質的にゼロであったのだ。

これを見ると、やはり「CFR」のバイデン政権に対する影響力は大きいと見なければならない。特に、上記のもっとも重要な閣僚のポストが、「CFR」のメンバーで固められているのは注目に値する。「CFR」の影響下にある政権だと見てよい。

CFRとはどのような組織なのか?
では「CFR」とはどのような組織なのだろか? 一度確認しておくべきだろう。

陰謀論の世界では「CFR」はアメリカの歴代の政権で世界戦略を立案する極秘の組織としてイメージされているかもしれないが、実はさほど機密性の高い組織ではない。ウォールストリートの大手金融産業を主要な基盤にした、アメリカでもっとも力のあるシンクタンクのことである。

「CFR」の起源は第一次世界大戦の直後まで溯る。1918年、ウィルソン大統領は第一次世界大戦後の国際秩序を検討するため、外交ブレーンだったエドワード・ハウス大佐に国務省とは別個に招集した知識人グループの編成を求めた。このグループは「大調査(Inquiry)」と呼ばれた。これが後の「CFR」の母体になった。

「大調査」グループは、ヴェルサイユ講和会議に加わり、参加していたイギリスの外交官や研究者らと、講和条約締結後も知的交流を継続させるため米英両国共同の国際問題研究機関を設置することで合意した。ニューヨークとロンドンにそれぞれの支部が設置された。しかし、後にイギリスの研究機関は自立し、いまも存在するイギリス政府の外交政策の諮問機関、「王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)」になった。

一方、ニューヨークには金融界の実業家や国際弁護士らが主宰していた資金力の豊富な知的サロン、「外交問題評議会(CFR)」があった。「大調査」グループはここに合流し、「CFR」の中核組織ができた。

なぜニューヨークの金融界が「CFR」の結成に関与したのか疑問に思うかもしれないが、その理由ははっきりしている。「CFR」はすでに第一次世界大戦後から、将来イギリスに代ってアメリカが世界の覇権国となると予想しており、そうなったときウォールストリートの金融界を中心にしたアメリカ資本が、その利益を最大化できるアメリカ中心の世界秩序を編成するためである。

その意味では「CFR」は、アメリカの超富裕層の利害を世界レベルで実現するために結成されたいわば業界団体である。

アメリカ資本を牛耳るCFR
そのような「CFR」の名前を一躍有名にしたのは、1939年に国務省からの依頼を受け成立した、「戦争平和研究研究会」というプロジェクトだ。このプロジェクトは、戦争の推移、および戦後秩序に関する調査研究を4つのグループで実施し、約700のメモランダムを提出した。このときの調査メンバーの一部は後にサンフランシスコ講和会議にも出席している。

注目すべきは、アメリカが参戦する2年前の1939年にすでに戦後はアメリカが世界覇権国になることを予想し、世界秩序を描いていたことである。ここには「大領域」という言葉が出てくる。

「大領域」とは、西半球、極東、旧大英帝国領を含む広大なエリアのことだ。ここでアメリカは、絶対的な力を持つとされた。1939年当初、ドイツは戦争に勝利する可能性があった。そこで「戦争平和研究研究会」は、アメリカが「大領域」を自らの領域として確保しつつ、世界の残りの領域をドイツに支配させる構想を提出した。しかし、1943年以降、ソビエトの勝利がはっきりするにつれ、米ソで世界を二分する冷戦構想が出てきた。ここでは、アメリカの支配する「大領域」には西ヨーロッパも組み込まれた。

さしづめアメリカが絶対的に支配するこの「大領域」とは、アメリカ資本の投資が保障され、最大限の利益の獲得が許されるエリアのことだ。アメリカ資本の支配領域である。

CFRが目指す社会とは?
「CFR」が設立した「戦争平和研究研究会」の米ソの冷戦構想は、戦後着実に実現する。

その中心になったのは、「CFR」メンバーで著名な外交官のジョージ・ケナンと、ケナンの提言で国務省に作られた政策シンクタンク、「政策企画局」であった。ケナンが初代局長となった。

1947年7月、ジョージ・ケナンは「ソ連の行動の源泉」という論文を「CFR」の外交雑誌、「フォーリン・アフェアーズ」に匿名で発表した。これは通称「X論文」と呼ばれるものである。この論文では、ソビエトに対抗してアメリカが絶対的に支配する「大領域」の統治の方法を述べた後、東アジアに関しては次のように注意している。

「アメリカは世界の富の50パーセントを所有するが、人口では6.3パーセントしか占めていない。この格差は特に米国とアジアの間で顕著だ。この状態では必ず妬みと怒りの対象となる。これから必要なのは、特別な関係を工夫して格差を維持し、米国の安全保障を保つことだ。私たちは目の前の国家目標に集中しなければならない。利他主義や世界への善行などの「贅沢」は、現在とてもできない。

極東では、人権とか生活水準の向上とか民主化などという「非現実的」な話をやめるべきだ。力の論理で交戦交渉しなければならない時代が、すぐにやって来る。理想主義のスローガンに邪魔されることは、少なければ少ないほどよい。」

このように述べ、極東ではアメリカの対等なパートナーになることができない格差を確実に維持し、人権や自由などという理想主義的な目標では絶対に行動してはならず、冷厳なパワーポリティックスだけで行動するように提案している。
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/359.html#c105

[近代史5] グレートリセットは米国覇権の崩壊と多極化、中国の台頭を示すもの 中川隆
15. 中川隆[-6998] koaQ7Jey 2021年2月28日 20:39:57 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[35]
「グレートリセット」が起こす資本主義の大転換。遂に見えた具体的な中身=高島康司
2021年2月14日
https://www.mag2.com/p/money/1019624

次第に明らかになりつつあるダボス会議(世界経済フォーラム)のアジェンダ「グレート・リセット」の中身について解説したい。驚くべきは、ITデバイスによる人間の管理が提案されていることだ。そして、バイデン米大統領の政策はこのアジェンダとつながっている。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)

バイデン政権が目指す「新しい資本主義」

次第に明らかになりつつある「ダボス会議(世界経済フォーラム)」が掲げるアジェンダ「グレート・リセット」の中身について解説したい。

バイデン政権は外交問題評議会(CFR)の人脈を通じて、このアジェンダにつながっている可能性がある。

いまやっと有効なワクチンが開発され、新型コロナウイルスのパンデミックを終息させる希望が見えてきているが、他方では新型コロナウイルスは何年も、あるいは何十年もまん延する風土病となり、社会はコロナと共存していくことになるという事実も受け入れられつつある。

この事実は、ワクチン接種の拡大で一定程度の集団免疫の獲得には成功したとしても、ワクチンの有効性を弱めるか、ほとんど効かない複数の変異種が毎年出現するので、新型コロナウイルスのもたらす社会的な影響は長期間継続する可能性を示唆している。

そのような状況で、政府には社会と経済を維持する一層重い責任を追うことが求められている。

それは、各国政府の巨額の財政支出に基づくセーフティネットの補強や、大規模な景気刺激策の実施となって現れている。

その典型がバイデン政権だ。1.9兆ドル(約200兆円)の経済対策を立案している。それは、個人への1,400ドルの給付、失業手当の増加、地方自治体への支援、ワクチン接種加速への支援、子供たちを学校に戻すための支援、食糧援助、家族がホームレスにならないようにするための支援政、育児支援、15ドルの連邦最低賃金、貧困と戦うための勤労所得税額控除の拡大などだ。

その規模は、1930年代の大恐慌のとき当時のルーズベルト政権が実施した「ニューディール政策」に匹敵する歴史的な規模になる可能性もある。「ニューディール政策」によって、規制のない市場経済の合理性が経済と社会を運営していた自由主義的な資本主義から、後に「修正資本主義」とも呼ばれる国家が管理する資本主義へと体制的に転換した。もしこの転換がなし得なかったら、格差による国民の激しい抵抗から、資本主義体制は終焉し、本格的な社会主義へと移行していた可能性も指摘されている。

今回のバイデン政権が計画している経済対策は、グローバリゼーション以降の新しい資本主義の方向性を示す歴史的な転換点になるのではないかとする見方も強い。

いってみればそれは、グローバリゼーションの時代以後の「国家資本主義」の体制である。

ダボス会議の「グレート・リセット」

他方、バイデン政権が象徴している大規模な経済政策は、もっと根本的な体制転換への動きを示している可能性も捨て切れない。

それは、「ロスチャイルド」などが後ろ盾となり、世界の支配エリートが結集している「ダボス会議」のアジェンダ、「グレート・リセット」である。

これは、新型コロナウイルスのパンデミック以降、地球温暖化を抑制し持続可能な社会の形成へと向けて、既存の資本主義を根本的に転換することを目指すものである。

「グレート・リセット」は2021年の「ダボス会議」のテーマであり、8月にシンガポールで開催される年次総会で本格的に討議される予定だ。

パンデミック以降の6つの変化
しかし、当メルマガで過去にも書いたように、うわさは多いものの「グレート・リセット」の具体的な内容はかなり漠然としている。

【関連】ダボス会議「グレートリセット」で仕組まれる金融崩壊とコロナ後の資本主義=高島康司
https://www.mag2.com/p/money/980693

「ダボス会議」の主催者のクラウス・シュワブが昨年の7月に著した著書、「COVID-19: ザ・グレート・リセット(COVID-19: The Great Reset)」には新型コロナウイルスのパンデミック以降の変化を次のような点にまとめている。

<その1:崩れた経済>
新型コロナウイルスのパンデミックは世界経済の80%に大きな打撃を与えた。企業倒産が相次ぎ、賃金は下がり失業率は急上昇している。その結果、もともと存在していた社会的格差はさらに拡大した。

<その2:格差の拡大と社会的信用の低下>
パンデミックのなか、社会のデジタル化が急速に進んでいる。オンライン診療など、ITやAIを活用した社会サービスが爆発的に拡大している。この結果、あらゆる分野で仕事を失う人が増え、これが格差をさらに拡大させている。これが背景となり、世界的な抗議運動が起こっている。

<その3:巨大だが非効率な政府>
経済の落ち込みと社会的格差拡大の歯止めとして、各国政府は巨額の財政支出を行っている。それは巨額な赤字の原因となっているが、政府の財政支出では思ったような効果が出ていない。非効率である。

<その4:巨大化するIT産業>
テレワークやオンラインショッピングなど、コロナ禍のなかでIT産業はさらに巨大化した。少数の巨大IT企業が社会サービスのあらゆる分野を担うことになるだろう。しかし、こうした企業によって個人情報が握られることになる。これが新たな問題を引き起こしている。巨大IT企業の全面的な支配を許してしまうことになる。

<その5:地政学的な緊張>
コロナ禍のなかで、かねてから激しさを増していた米中対立は一層激化している。このまま行くと、新冷戦から世界の多極化が進み、世界は混沌とした状態に向かう。

<その6:関係者すべてが関与する企業>
新型コロナウイルスのパンデミックがもたらしたプラスの効果があるとすれば、企業の形態に変化が見られることだ。企業のなかにはこれまでの利益中心の経営方針を見直し、従業員を含めたすべての関係者に積極的に関与してもらう新しい経営スタイルを模索する企業も多くなっている。しかし、これが大きなトレンドとして定着するためには、従来の企業の概念を変更せねばならず、そのためには政府の積極的な関与と支援が必要になる。

この本では、以上のような6つを新型コロナウイルスのパンデミックが引き起こした深刻な問題として提起し、これを解決するためには現在のグローバル資本主義のリセットが必要なのだと力説する。

しかし、これがどのような体制になるのか具体的なプランは提示されていない。

ただ、2018年にやはり「ダボス会議」から出された論文、「敏捷な統治」によると、ビッグデータ、AI、ロボット、そしてブロックチェーンなどの先端的なITテクノロジーを徹底的に駆使して、社会問題が発生する前にそれらを予期し、事前に対処してしまう体制のことのようだ。

遺伝子組み換え食品の強制的消費
ところが、そのようなとき、「グレート・リセット」の内容を調査しているジャーナリストが、その具体的な中身を紹介する記事が書くようになっている。そうした記事を見ると、「グレート・リセット」が志向している方向性が少しずつだが見えてくる。

そのうちのひとつは、管理された食料供給とでも呼べる概念である。

いま、新型コロナウイルスのパンデミックによる食料輸出の規制、地球温暖化による耕地面積の縮小、単一商品作物への生産特化に起因する水資源の枯渇などの問題が背景となり、将来的に食糧危機の発生が懸念されている。これを解決するための新しい食糧生産システムの形成が、「グレート・リセット」の重要な中身にひとつになっている。これは、「ダボス会議」の主催者、クラウス・シュワブが昨年に出版した先の著書にも書かれている。

世界情勢の分析では著名な作家、ウイリアム・エングダールの調査によると、クラウス・シュワブは「イート・フォーラム(EAT Forum)」のパートナーになったという。ここは「食のダボス会議」と呼ばれる組織で、将来発生する可能性のある食糧危機に対処するアジェンダを立案することが目的だ。世界的な製薬会社、「グラクソ・スミス・クライン」が設立した財団が出資している。またグーグルや、アマゾンの創立者、ジェフ・ベゾズなどが出資もしている人工肉の会社、「インポッシブル・フーズ」と提携し活動している。

2017年、「イート・フォーラム」は「持続可能性と健康のための食糧改革(FReSH)」という組織を立ち上げた。これには「モンサント」を所有している製薬大手の「バイエルAG」や、中国の大手農薬会社、「シンジェンタ」、さらに「カーギル」、「ユニリバー」、「デュポン」などの大手化学会社、そして「グーグル」などが参加している。これこそ、「ダボス会議」の「グレート・リセット」で、食糧危機に対応するプランを具体的に立案するための組織だ。

その方針は明白だ。シュワブの著書、「COVID-19: ザ・グレート・リセット」にもはっきりと述べられている。シュワブは、バイオテクノロジーと遺伝子組み換え食品こそ、新型コロナウイルス以後に発生する可能性のある食糧危機に対処できる唯一の方法だと主張する。

シュワブのアイデアに基づき「イート・フォーラム」は、「地球の健康食生活」なるものを提案している。これは、肉の消費を90%ほど削減し、実験室で人工的に作られた穀物と油、またその他の食品を大量に使った食事だ。これの中心になるのは、大量に生産できる多様な種類の遺伝子組み換え食品だ。「イート・フォーラム」は、食糧危機を回避するためには、法律の制定や罰則などによる強制、また補助金の支給などの財政的な誘導処置などの方法を駆使して、こうした人工的な食品の消費を促進させなければならないとしている。

どうもこれが、「ダボス会議」のアジェンダである「グレート・リセット」の中身のひとつのようだ。

もちろん、遺伝子組み換え食品や、また人工的に生産された食品に関しては健康被害が報告されている。その消費が強制されるとすれば、本当に注意しなけれなならないだろう。

しかし、それ以上に注意しなければならないのは、「イート・フォーラム」が推進するこのアジェンダが、最大手の化学会社や製薬会社によって推進されようとしていることだ。

すると「グレート・リセット」のアジェンダの推進は、こうした分野の巨大企業に世界市場の独占を許すことになるだろう。これも「グレート・リセット」の目標なのかもしれない。

ITによる人間の管理
しかし、さらに驚くべきは、ITデバイスによる人間の管理が提案されていることだ。

2016年にシュワブは、「第4次産業革命の未来を形成する」という本を書いている。これはいわば、4年後の2020年に出される「COVID-19: ザ・グレート・リセット」の先駆けとなった著書だ。

この本には、AI、IoT、5Gなどの先端的なテクノロジーの普及で、我々の生活で使われる家電などのディバイスが自動化されるようになると、政府の管理する中央コンピューターに個人のあらゆるデータが集積するとしている。

シュワブによると、政府はこうしや個人情報を活用して個人の生活状況を把握できるようになるとしている。

これは個人のプライバシーという、いままでは本人以外にだれも入ることのできなかった世界がすべて政府による管理の対象になることを意味する。

全人類のIT管理は序ノ口
しかし、これはほんの序ノ口にすぎない。

シュワブは、スマホなどの個人が身につけるデバイスは極小化され、最終的には人間の身体に埋め込まれると予測する。すると、そうした身体に内蔵したITデバイスを通して、個人の思考や想念さえも通信することができるとしている。この本のなかでシュワブは次のようにいう。

「身体に埋め込まれたスマホで音声による通信が一層容易になるだけではなく、スマホが脳波を解析することで、気分や表現されていない感情までも通信できるようになるはずだ」。

これはまさに、個人の思考内容や感情すらも身体に埋め込まれたスマホのような通信機器を通して、政府のサーバーに送信されてしまうことを意味している。

つまり、犯罪のことを思い浮かべただけで、厳しい監視の対象になるということである。

バイデン政権が目指す社会とは?
これが、いま少しづつ見えてきている「ダボス会議」の「グレート・リセット」が示唆する具体的な中身の一端である。クラウス・シュワブ自らが語る内容から探って見た。

このメルマガでは、もし新型コロナウイルスのパンデミックが、市民社会による民主主義の原則によって押さえ込むことができなければ、中国のような高度管理社会に移行せざるを得なくなると書いてきた。

まさに「グレート・リセット」のイメージは、そうした社会のことだろう。今回具体的になった一部の内容から想像すると、それは、遺伝子組み換え食品や人工食品の消費が実質的に強制され、思考や感情さえも当局に読み取られてしまうような世界だ。奇想天外な話に聞こえるかもしれないが、すでにこれを実現できる第4次産業革命型のテクノロジーは存在する。

バイデン政権は、「CFR」の人脈が強い政権である。この人脈はそのまま「ダボス会議」につながっているはずだ。リバタリアンの勢力が背後におり、「CFR」の影響力が排除されたトランプ政権とは大きく異なる。はたしてバイデン政権のもと、「グレート・リセット」のアジェンダは実現するのであろうか?注視しなければならないことは間違いない。

「グレート・リセット」の内容に関してはこれからどんどん明らかになると思われるので、その都度記事にしてお伝えする。
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/504.html#c15

[近代史4] バイデン政権は、基本的に「第三次オバマ政権」でもある (続き) 中川隆
15. 中川隆[-6997] koaQ7Jey 2021年2月28日 20:40:37 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[36]
「グレートリセット」が起こす資本主義の大転換。遂に見えた具体的な中身=高島康司
2021年2月14日
https://www.mag2.com/p/money/1019624

次第に明らかになりつつあるダボス会議(世界経済フォーラム)のアジェンダ「グレート・リセット」の中身について解説したい。驚くべきは、ITデバイスによる人間の管理が提案されていることだ。そして、バイデン米大統領の政策はこのアジェンダとつながっている。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)

バイデン政権が目指す「新しい資本主義」

次第に明らかになりつつある「ダボス会議(世界経済フォーラム)」が掲げるアジェンダ「グレート・リセット」の中身について解説したい。

バイデン政権は外交問題評議会(CFR)の人脈を通じて、このアジェンダにつながっている可能性がある。

いまやっと有効なワクチンが開発され、新型コロナウイルスのパンデミックを終息させる希望が見えてきているが、他方では新型コロナウイルスは何年も、あるいは何十年もまん延する風土病となり、社会はコロナと共存していくことになるという事実も受け入れられつつある。

この事実は、ワクチン接種の拡大で一定程度の集団免疫の獲得には成功したとしても、ワクチンの有効性を弱めるか、ほとんど効かない複数の変異種が毎年出現するので、新型コロナウイルスのもたらす社会的な影響は長期間継続する可能性を示唆している。

そのような状況で、政府には社会と経済を維持する一層重い責任を追うことが求められている。

それは、各国政府の巨額の財政支出に基づくセーフティネットの補強や、大規模な景気刺激策の実施となって現れている。

その典型がバイデン政権だ。1.9兆ドル(約200兆円)の経済対策を立案している。それは、個人への1,400ドルの給付、失業手当の増加、地方自治体への支援、ワクチン接種加速への支援、子供たちを学校に戻すための支援、食糧援助、家族がホームレスにならないようにするための支援政、育児支援、15ドルの連邦最低賃金、貧困と戦うための勤労所得税額控除の拡大などだ。

その規模は、1930年代の大恐慌のとき当時のルーズベルト政権が実施した「ニューディール政策」に匹敵する歴史的な規模になる可能性もある。「ニューディール政策」によって、規制のない市場経済の合理性が経済と社会を運営していた自由主義的な資本主義から、後に「修正資本主義」とも呼ばれる国家が管理する資本主義へと体制的に転換した。もしこの転換がなし得なかったら、格差による国民の激しい抵抗から、資本主義体制は終焉し、本格的な社会主義へと移行していた可能性も指摘されている。

今回のバイデン政権が計画している経済対策は、グローバリゼーション以降の新しい資本主義の方向性を示す歴史的な転換点になるのではないかとする見方も強い。

いってみればそれは、グローバリゼーションの時代以後の「国家資本主義」の体制である。

ダボス会議の「グレート・リセット」

他方、バイデン政権が象徴している大規模な経済政策は、もっと根本的な体制転換への動きを示している可能性も捨て切れない。

それは、「ロスチャイルド」などが後ろ盾となり、世界の支配エリートが結集している「ダボス会議」のアジェンダ、「グレート・リセット」である。

これは、新型コロナウイルスのパンデミック以降、地球温暖化を抑制し持続可能な社会の形成へと向けて、既存の資本主義を根本的に転換することを目指すものである。

「グレート・リセット」は2021年の「ダボス会議」のテーマであり、8月にシンガポールで開催される年次総会で本格的に討議される予定だ。

パンデミック以降の6つの変化
しかし、当メルマガで過去にも書いたように、うわさは多いものの「グレート・リセット」の具体的な内容はかなり漠然としている。

【関連】ダボス会議「グレートリセット」で仕組まれる金融崩壊とコロナ後の資本主義=高島康司
https://www.mag2.com/p/money/980693

「ダボス会議」の主催者のクラウス・シュワブが昨年の7月に著した著書、「COVID-19: ザ・グレート・リセット(COVID-19: The Great Reset)」には新型コロナウイルスのパンデミック以降の変化を次のような点にまとめている。

<その1:崩れた経済>
新型コロナウイルスのパンデミックは世界経済の80%に大きな打撃を与えた。企業倒産が相次ぎ、賃金は下がり失業率は急上昇している。その結果、もともと存在していた社会的格差はさらに拡大した。

<その2:格差の拡大と社会的信用の低下>
パンデミックのなか、社会のデジタル化が急速に進んでいる。オンライン診療など、ITやAIを活用した社会サービスが爆発的に拡大している。この結果、あらゆる分野で仕事を失う人が増え、これが格差をさらに拡大させている。これが背景となり、世界的な抗議運動が起こっている。

<その3:巨大だが非効率な政府>
経済の落ち込みと社会的格差拡大の歯止めとして、各国政府は巨額の財政支出を行っている。それは巨額な赤字の原因となっているが、政府の財政支出では思ったような効果が出ていない。非効率である。

<その4:巨大化するIT産業>
テレワークやオンラインショッピングなど、コロナ禍のなかでIT産業はさらに巨大化した。少数の巨大IT企業が社会サービスのあらゆる分野を担うことになるだろう。しかし、こうした企業によって個人情報が握られることになる。これが新たな問題を引き起こしている。巨大IT企業の全面的な支配を許してしまうことになる。

<その5:地政学的な緊張>
コロナ禍のなかで、かねてから激しさを増していた米中対立は一層激化している。このまま行くと、新冷戦から世界の多極化が進み、世界は混沌とした状態に向かう。

<その6:関係者すべてが関与する企業>
新型コロナウイルスのパンデミックがもたらしたプラスの効果があるとすれば、企業の形態に変化が見られることだ。企業のなかにはこれまでの利益中心の経営方針を見直し、従業員を含めたすべての関係者に積極的に関与してもらう新しい経営スタイルを模索する企業も多くなっている。しかし、これが大きなトレンドとして定着するためには、従来の企業の概念を変更せねばならず、そのためには政府の積極的な関与と支援が必要になる。

この本では、以上のような6つを新型コロナウイルスのパンデミックが引き起こした深刻な問題として提起し、これを解決するためには現在のグローバル資本主義のリセットが必要なのだと力説する。

しかし、これがどのような体制になるのか具体的なプランは提示されていない。

ただ、2018年にやはり「ダボス会議」から出された論文、「敏捷な統治」によると、ビッグデータ、AI、ロボット、そしてブロックチェーンなどの先端的なITテクノロジーを徹底的に駆使して、社会問題が発生する前にそれらを予期し、事前に対処してしまう体制のことのようだ。

遺伝子組み換え食品の強制的消費
ところが、そのようなとき、「グレート・リセット」の内容を調査しているジャーナリストが、その具体的な中身を紹介する記事が書くようになっている。そうした記事を見ると、「グレート・リセット」が志向している方向性が少しずつだが見えてくる。

そのうちのひとつは、管理された食料供給とでも呼べる概念である。

いま、新型コロナウイルスのパンデミックによる食料輸出の規制、地球温暖化による耕地面積の縮小、単一商品作物への生産特化に起因する水資源の枯渇などの問題が背景となり、将来的に食糧危機の発生が懸念されている。これを解決するための新しい食糧生産システムの形成が、「グレート・リセット」の重要な中身にひとつになっている。これは、「ダボス会議」の主催者、クラウス・シュワブが昨年に出版した先の著書にも書かれている。

世界情勢の分析では著名な作家、ウイリアム・エングダールの調査によると、クラウス・シュワブは「イート・フォーラム(EAT Forum)」のパートナーになったという。ここは「食のダボス会議」と呼ばれる組織で、将来発生する可能性のある食糧危機に対処するアジェンダを立案することが目的だ。世界的な製薬会社、「グラクソ・スミス・クライン」が設立した財団が出資している。またグーグルや、アマゾンの創立者、ジェフ・ベゾズなどが出資もしている人工肉の会社、「インポッシブル・フーズ」と提携し活動している。

2017年、「イート・フォーラム」は「持続可能性と健康のための食糧改革(FReSH)」という組織を立ち上げた。これには「モンサント」を所有している製薬大手の「バイエルAG」や、中国の大手農薬会社、「シンジェンタ」、さらに「カーギル」、「ユニリバー」、「デュポン」などの大手化学会社、そして「グーグル」などが参加している。これこそ、「ダボス会議」の「グレート・リセット」で、食糧危機に対応するプランを具体的に立案するための組織だ。

その方針は明白だ。シュワブの著書、「COVID-19: ザ・グレート・リセット」にもはっきりと述べられている。シュワブは、バイオテクノロジーと遺伝子組み換え食品こそ、新型コロナウイルス以後に発生する可能性のある食糧危機に対処できる唯一の方法だと主張する。

シュワブのアイデアに基づき「イート・フォーラム」は、「地球の健康食生活」なるものを提案している。これは、肉の消費を90%ほど削減し、実験室で人工的に作られた穀物と油、またその他の食品を大量に使った食事だ。これの中心になるのは、大量に生産できる多様な種類の遺伝子組み換え食品だ。「イート・フォーラム」は、食糧危機を回避するためには、法律の制定や罰則などによる強制、また補助金の支給などの財政的な誘導処置などの方法を駆使して、こうした人工的な食品の消費を促進させなければならないとしている。

どうもこれが、「ダボス会議」のアジェンダである「グレート・リセット」の中身のひとつのようだ。

もちろん、遺伝子組み換え食品や、また人工的に生産された食品に関しては健康被害が報告されている。その消費が強制されるとすれば、本当に注意しなけれなならないだろう。

しかし、それ以上に注意しなければならないのは、「イート・フォーラム」が推進するこのアジェンダが、最大手の化学会社や製薬会社によって推進されようとしていることだ。

すると「グレート・リセット」のアジェンダの推進は、こうした分野の巨大企業に世界市場の独占を許すことになるだろう。これも「グレート・リセット」の目標なのかもしれない。

ITによる人間の管理
しかし、さらに驚くべきは、ITデバイスによる人間の管理が提案されていることだ。

2016年にシュワブは、「第4次産業革命の未来を形成する」という本を書いている。これはいわば、4年後の2020年に出される「COVID-19: ザ・グレート・リセット」の先駆けとなった著書だ。

この本には、AI、IoT、5Gなどの先端的なテクノロジーの普及で、我々の生活で使われる家電などのディバイスが自動化されるようになると、政府の管理する中央コンピューターに個人のあらゆるデータが集積するとしている。

シュワブによると、政府はこうしや個人情報を活用して個人の生活状況を把握できるようになるとしている。

これは個人のプライバシーという、いままでは本人以外にだれも入ることのできなかった世界がすべて政府による管理の対象になることを意味する。

全人類のIT管理は序ノ口
しかし、これはほんの序ノ口にすぎない。

シュワブは、スマホなどの個人が身につけるデバイスは極小化され、最終的には人間の身体に埋め込まれると予測する。すると、そうした身体に内蔵したITデバイスを通して、個人の思考や想念さえも通信することができるとしている。この本のなかでシュワブは次のようにいう。

「身体に埋め込まれたスマホで音声による通信が一層容易になるだけではなく、スマホが脳波を解析することで、気分や表現されていない感情までも通信できるようになるはずだ」。

これはまさに、個人の思考内容や感情すらも身体に埋め込まれたスマホのような通信機器を通して、政府のサーバーに送信されてしまうことを意味している。

つまり、犯罪のことを思い浮かべただけで、厳しい監視の対象になるということである。

バイデン政権が目指す社会とは?
これが、いま少しづつ見えてきている「ダボス会議」の「グレート・リセット」が示唆する具体的な中身の一端である。クラウス・シュワブ自らが語る内容から探って見た。

このメルマガでは、もし新型コロナウイルスのパンデミックが、市民社会による民主主義の原則によって押さえ込むことができなければ、中国のような高度管理社会に移行せざるを得なくなると書いてきた。

まさに「グレート・リセット」のイメージは、そうした社会のことだろう。今回具体的になった一部の内容から想像すると、それは、遺伝子組み換え食品や人工食品の消費が実質的に強制され、思考や感情さえも当局に読み取られてしまうような世界だ。奇想天外な話に聞こえるかもしれないが、すでにこれを実現できる第4次産業革命型のテクノロジーは存在する。

バイデン政権は、「CFR」の人脈が強い政権である。この人脈はそのまま「ダボス会議」につながっているはずだ。リバタリアンの勢力が背後におり、「CFR」の影響力が排除されたトランプ政権とは大きく異なる。はたしてバイデン政権のもと、「グレート・リセット」のアジェンダは実現するのであろうか?注視しなければならないことは間違いない。

「グレート・リセット」の内容に関してはこれからどんどん明らかになると思われるので、その都度記事にしてお伝えする。
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1456.html#c15

[近代史4] バイデン政権は、基本的に「第三次オバマ政権」でもある (続き) 中川隆
16. 中川隆[-6996] koaQ7Jey 2021年2月28日 21:02:51 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[37]
「グレートリセット」が起こす資本主義の大転換。遂に見えた具体的な中身=高島康司
2021年2月14日
https://www.mag2.com/p/money/1019624
次第に明らかになりつつあるダボス会議(世界経済フォーラム)のアジェンダ「グレート・リセット」の中身について解説したい。驚くべきは、ITデバイスによる人間の管理が提案されていることだ。そして、バイデン米大統領の政策はこのアジェンダとつながっている。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)

バイデン政権が目指す「新しい資本主義」

次第に明らかになりつつある「ダボス会議(世界経済フォーラム)」が掲げるアジェンダ「グレート・リセット」の中身について解説したい。

バイデン政権は外交問題評議会(CFR)の人脈を通じて、このアジェンダにつながっている可能性がある。

いまやっと有効なワクチンが開発され、新型コロナウイルスのパンデミックを終息させる希望が見えてきているが、他方では新型コロナウイルスは何年も、あるいは何十年もまん延する風土病となり、社会はコロナと共存していくことになるという事実も受け入れられつつある。

この事実は、ワクチン接種の拡大で一定程度の集団免疫の獲得には成功したとしても、ワクチンの有効性を弱めるか、ほとんど効かない複数の変異種が毎年出現するので、新型コロナウイルスのもたらす社会的な影響は長期間継続する可能性を示唆している。

そのような状況で、政府には社会と経済を維持する一層重い責任を追うことが求められている。

それは、各国政府の巨額の財政支出に基づくセーフティネットの補強や、大規模な景気刺激策の実施となって現れている。

その典型がバイデン政権だ。1.9兆ドル(約200兆円)の経済対策を立案している。それは、個人への1,400ドルの給付、失業手当の増加、地方自治体への支援、ワクチン接種加速への支援、子供たちを学校に戻すための支援、食糧援助、家族がホームレスにならないようにするための支援政、育児支援、15ドルの連邦最低賃金、貧困と戦うための勤労所得税額控除の拡大などだ。

その規模は、1930年代の大恐慌のとき当時のルーズベルト政権が実施した「ニューディール政策」に匹敵する歴史的な規模になる可能性もある。「ニューディール政策」によって、規制のない市場経済の合理性が経済と社会を運営していた自由主義的な資本主義から、後に「修正資本主義」とも呼ばれる国家が管理する資本主義へと体制的に転換した。もしこの転換がなし得なかったら、格差による国民の激しい抵抗から、資本主義体制は終焉し、本格的な社会主義へと移行していた可能性も指摘されている。

今回のバイデン政権が計画している経済対策は、グローバリゼーション以降の新しい資本主義の方向性を示す歴史的な転換点になるのではないかとする見方も強い。

いってみればそれは、グローバリゼーションの時代以後の「国家資本主義」の体制である。

ダボス会議の「グレート・リセット」

他方、バイデン政権が象徴している大規模な経済政策は、もっと根本的な体制転換への動きを示している可能性も捨て切れない。

それは、「ロスチャイルド」などが後ろ盾となり、世界の支配エリートが結集している「ダボス会議」のアジェンダ、「グレート・リセット」である。

これは、新型コロナウイルスのパンデミック以降、地球温暖化を抑制し持続可能な社会の形成へと向けて、既存の資本主義を根本的に転換することを目指すものである。

「グレート・リセット」は2021年の「ダボス会議」のテーマであり、8月にシンガポールで開催される年次総会で本格的に討議される予定だ。

パンデミック以降の6つの変化
しかし、当メルマガで過去にも書いたように、うわさは多いものの「グレート・リセット」の具体的な内容はかなり漠然としている。

【関連】ダボス会議「グレートリセット」で仕組まれる金融崩壊とコロナ後の資本主義=高島康司
https://www.mag2.com/p/money/980693

「ダボス会議」の主催者のクラウス・シュワブが昨年の7月に著した著書、「COVID-19: ザ・グレート・リセット(COVID-19: The Great Reset)」には新型コロナウイルスのパンデミック以降の変化を次のような点にまとめている。

<その1:崩れた経済>
新型コロナウイルスのパンデミックは世界経済の80%に大きな打撃を与えた。企業倒産が相次ぎ、賃金は下がり失業率は急上昇している。その結果、もともと存在していた社会的格差はさらに拡大した。

<その2:格差の拡大と社会的信用の低下>
パンデミックのなか、社会のデジタル化が急速に進んでいる。オンライン診療など、ITやAIを活用した社会サービスが爆発的に拡大している。この結果、あらゆる分野で仕事を失う人が増え、これが格差をさらに拡大させている。これが背景となり、世界的な抗議運動が起こっている。

<その3:巨大だが非効率な政府>
経済の落ち込みと社会的格差拡大の歯止めとして、各国政府は巨額の財政支出を行っている。それは巨額な赤字の原因となっているが、政府の財政支出では思ったような効果が出ていない。非効率である。

<その4:巨大化するIT産業>
テレワークやオンラインショッピングなど、コロナ禍のなかでIT産業はさらに巨大化した。少数の巨大IT企業が社会サービスのあらゆる分野を担うことになるだろう。しかし、こうした企業によって個人情報が握られることになる。これが新たな問題を引き起こしている。巨大IT企業の全面的な支配を許してしまうことになる。

<その5:地政学的な緊張>
コロナ禍のなかで、かねてから激しさを増していた米中対立は一層激化している。このまま行くと、新冷戦から世界の多極化が進み、世界は混沌とした状態に向かう。

<その6:関係者すべてが関与する企業>
新型コロナウイルスのパンデミックがもたらしたプラスの効果があるとすれば、企業の形態に変化が見られることだ。企業のなかにはこれまでの利益中心の経営方針を見直し、従業員を含めたすべての関係者に積極的に関与してもらう新しい経営スタイルを模索する企業も多くなっている。しかし、これが大きなトレンドとして定着するためには、従来の企業の概念を変更せねばならず、そのためには政府の積極的な関与と支援が必要になる。

この本では、以上のような6つを新型コロナウイルスのパンデミックが引き起こした深刻な問題として提起し、これを解決するためには現在のグローバル資本主義のリセットが必要なのだと力説する。

しかし、これがどのような体制になるのか具体的なプランは提示されていない。

ただ、2018年にやはり「ダボス会議」から出された論文、「敏捷な統治」によると、ビッグデータ、AI、ロボット、そしてブロックチェーンなどの先端的なITテクノロジーを徹底的に駆使して、社会問題が発生する前にそれらを予期し、事前に対処してしまう体制のことのようだ。

遺伝子組み換え食品の強制的消費
ところが、そのようなとき、「グレート・リセット」の内容を調査しているジャーナリストが、その具体的な中身を紹介する記事が書くようになっている。そうした記事を見ると、「グレート・リセット」が志向している方向性が少しずつだが見えてくる。

そのうちのひとつは、管理された食料供給とでも呼べる概念である。

いま、新型コロナウイルスのパンデミックによる食料輸出の規制、地球温暖化による耕地面積の縮小、単一商品作物への生産特化に起因する水資源の枯渇などの問題が背景となり、将来的に食糧危機の発生が懸念されている。これを解決するための新しい食糧生産システムの形成が、「グレート・リセット」の重要な中身にひとつになっている。これは、「ダボス会議」の主催者、クラウス・シュワブが昨年に出版した先の著書にも書かれている。

世界情勢の分析では著名な作家、ウイリアム・エングダールの調査によると、クラウス・シュワブは「イート・フォーラム(EAT Forum)」のパートナーになったという。ここは「食のダボス会議」と呼ばれる組織で、将来発生する可能性のある食糧危機に対処するアジェンダを立案することが目的だ。世界的な製薬会社、「グラクソ・スミス・クライン」が設立した財団が出資している。またグーグルや、アマゾンの創立者、ジェフ・ベゾズなどが出資もしている人工肉の会社、「インポッシブル・フーズ」と提携し活動している。

2017年、「イート・フォーラム」は「持続可能性と健康のための食糧改革(FReSH)」という組織を立ち上げた。これには「モンサント」を所有している製薬大手の「バイエルAG」や、中国の大手農薬会社、「シンジェンタ」、さらに「カーギル」、「ユニリバー」、「デュポン」などの大手化学会社、そして「グーグル」などが参加している。これこそ、「ダボス会議」の「グレート・リセット」で、食糧危機に対応するプランを具体的に立案するための組織だ。

その方針は明白だ。シュワブの著書、「COVID-19: ザ・グレート・リセット」にもはっきりと述べられている。シュワブは、バイオテクノロジーと遺伝子組み換え食品こそ、新型コロナウイルス以後に発生する可能性のある食糧危機に対処できる唯一の方法だと主張する。

シュワブのアイデアに基づき「イート・フォーラム」は、「地球の健康食生活」なるものを提案している。これは、肉の消費を90%ほど削減し、実験室で人工的に作られた穀物と油、またその他の食品を大量に使った食事だ。これの中心になるのは、大量に生産できる多様な種類の遺伝子組み換え食品だ。「イート・フォーラム」は、食糧危機を回避するためには、法律の制定や罰則などによる強制、また補助金の支給などの財政的な誘導処置などの方法を駆使して、こうした人工的な食品の消費を促進させなければならないとしている。

どうもこれが、「ダボス会議」のアジェンダである「グレート・リセット」の中身のひとつのようだ。

もちろん、遺伝子組み換え食品や、また人工的に生産された食品に関しては健康被害が報告されている。その消費が強制されるとすれば、本当に注意しなけれなならないだろう。

しかし、それ以上に注意しなければならないのは、「イート・フォーラム」が推進するこのアジェンダが、最大手の化学会社や製薬会社によって推進されようとしていることだ。

すると「グレート・リセット」のアジェンダの推進は、こうした分野の巨大企業に世界市場の独占を許すことになるだろう。これも「グレート・リセット」の目標なのかもしれない。

ITによる人間の管理
しかし、さらに驚くべきは、ITデバイスによる人間の管理が提案されていることだ。

2016年にシュワブは、「第4次産業革命の未来を形成する」という本を書いている。これはいわば、4年後の2020年に出される「COVID-19: ザ・グレート・リセット」の先駆けとなった著書だ。

この本には、AI、IoT、5Gなどの先端的なテクノロジーの普及で、我々の生活で使われる家電などのディバイスが自動化されるようになると、政府の管理する中央コンピューターに個人のあらゆるデータが集積するとしている。

シュワブによると、政府はこうしや個人情報を活用して個人の生活状況を把握できるようになるとしている。

これは個人のプライバシーという、いままでは本人以外にだれも入ることのできなかった世界がすべて政府による管理の対象になることを意味する。

全人類のIT管理は序ノ口
しかし、これはほんの序ノ口にすぎない。

シュワブは、スマホなどの個人が身につけるデバイスは極小化され、最終的には人間の身体に埋め込まれると予測する。すると、そうした身体に内蔵したITデバイスを通して、個人の思考や想念さえも通信することができるとしている。この本のなかでシュワブは次のようにいう。

「身体に埋め込まれたスマホで音声による通信が一層容易になるだけではなく、スマホが脳波を解析することで、気分や表現されていない感情までも通信できるようになるはずだ」。

これはまさに、個人の思考内容や感情すらも身体に埋め込まれたスマホのような通信機器を通して、政府のサーバーに送信されてしまうことを意味している。

つまり、犯罪のことを思い浮かべただけで、厳しい監視の対象になるということである。

バイデン政権が目指す社会とは?
これが、いま少しづつ見えてきている「ダボス会議」の「グレート・リセット」が示唆する具体的な中身の一端である。クラウス・シュワブ自らが語る内容から探って見た。

このメルマガでは、もし新型コロナウイルスのパンデミックが、市民社会による民主主義の原則によって押さえ込むことができなければ、中国のような高度管理社会に移行せざるを得なくなると書いてきた。

まさに「グレート・リセット」のイメージは、そうした社会のことだろう。今回具体的になった一部の内容から想像すると、それは、遺伝子組み換え食品や人工食品の消費が実質的に強制され、思考や感情さえも当局に読み取られてしまうような世界だ。奇想天外な話に聞こえるかもしれないが、すでにこれを実現できる第4次産業革命型のテクノロジーは存在する。

バイデン政権は、「CFR」の人脈が強い政権である。この人脈はそのまま「ダボス会議」につながっているはずだ。リバタリアンの勢力が背後におり、「CFR」の影響力が排除されたトランプ政権とは大きく異なる。はたしてバイデン政権のもと、「グレート・リセット」のアジェンダは実現するのであろうか?注視しなければならないことは間違いない。

「グレート・リセット」の内容に関してはこれからどんどん明らかになると思われるので、その都度記事にしてお伝えする。
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1456.html#c16

[近代史5] グレートリセットは米国覇権の崩壊と多極化、中国の台頭を示すもの 中川隆
16. 中川隆[-6995] koaQ7Jey 2021年3月01日 00:17:53 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[38]
ダボス会議「グレートリセット」で仕組まれる金融崩壊とコロナ後の資本主義=高島康司
2020年11月1日
https://www.mag2.com/p/money/980693


ダボス会議が発表したコロナ以降の世界計画「ザ・グレート・リセット」の具体的な内容について解説したい。世界はどう変わるのか。この構想には日本も絡んでいる。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)


明らかになった「ザ・グレート・リセット」の中身

世界の超富裕層と国際資本が集まる「ダボス会議(世界経済フォーラム)」は、2021年のテーマとして「ザ・グレート・リセット」というテーマを掲げた。

これは、新型コロナウイルスのパンデミックを契機にして、環境破壊や社会的な格差の矛盾が限界に達した現在のグローバル資本主義の動きを一度リセットし、環境や社会的格差に配慮した持続可能な資本主義へと方向転換させてしまうという計画だ。

いわばこれは、既存の社会体制の本質的な変革を目指すものだ。

このダボス会議の「ザ・グレート・リセット」のコンセプトは、環境や格差に配慮した持続可能な資本主義への転換といういう点では、基本的には非常によい内容だ。

しかし、「ザ・グレート・リセット」の本当の内容はまったく異なる。当メルマガの記事には何度も書いているが、筆者が交流している外資系シンクタンクの研究員などは、「ダボス会議」に集結している勢力は、早くて2021年から22年、遅くとも5年後の2025年までにはこのリセットを本格的に実現するという。

彼らによると「ザ・グレート・リセット」の目標は、資本主義と民主主義をリセットし、全体主義的な高度管理社会への移行の実現であるという。

その最初の段階として、アメリカの混乱に乗じて高度管理社会導入への一歩を進め、さらに現行の金融システムをリセットするために金融崩壊を演出するというプランの可能性もあるとしている。

ダボス会議の「ザ・グレート・リセット」は、すでに彼らのサイトで細かく説明されている。日本語サイトも用意されているので見たことのある読者もいることだろう。以下が日本語サイトのURLだ。ぜひ見てほしい。

・「グレート・リセット(The Great Reset)」ツイン・サミット形式で2021年に始動 – 世界経済フォーラム
https://jp.weforum.org/press/2020/06/the-great-reset/

具体的なことは何も説明されていない
しかし、このサイトを一読すると分かるが、現代のグローバル資本主義をリセットするということは分かるにしても、その結果、何をしたいのか具体的なことはほとんど語られていない。

その説明は抽象的で、パンデミックこそ大きなチャンスだというような漠然とした美辞麗句にあふれている。リセットがなにを意味するのか、具体的にイメージさせる説明はほとんどない。

おそらくあえて内容を抽象的に表現しているのだろう。そのこともあって、「ダボス会議」が提起したこの「ザ・グレート・リセット」は注目されているとは言えない状態だ。内容の憶測だけが飛び交っている。


計画の全体像を示した本か?
そのようなとき、すでに7月になるが、ある本が出版された。それは、『COVID-19: ザ・グレート・リセット(COVID-19: The Great Reset)』というそのものずばりの題名の本だ。

著者は「ダボス会議」の主催者であるクラウス・シュワブと、ティエーリ・マルレットという人物だ。計画の立案者自らがリセットの内容を明かした本だ。280ページの書籍である。

この本を読むと、「ダボス会議」が目指す「ザ・グレート・リセット」の内容が見えてくる。

まずこの本では、新型コロナウイルスのパンデミックによって、既存のグローバル資本主義にすでに存在していた問題が表面化したという。それらの問題は以下である。

1)崩れた経済
新型コロナウイルスのパンデミックは世界経済の80%に大きな打撃を与えた。企業倒産が相次ぎ、賃金は下がり失業率は急上昇している。その結果、もともと存在していた社会的格差はさらに拡大した。

2)格差の拡大と社会的信用の低下
パンデミックのなか、社会のデジタル化が急速に進んでいる。オンライン診療など、ITやAIを活用した社会サービスが爆発的に拡大している。この結果、あらゆる分野で仕事を失う人が増え、これが格差をさらに拡大させている。これが背景となり、世界的な抗議運動が起こっている。

3)巨大だが非効率な政府
経済の落ち込みと社会的格差拡大の歯止めとして、各国政府は巨額の財政支出を行っている。それは巨額な赤字の原因となっているが、政府の財政支出では思ったような効果が出ていない。非効率である。

4)巨大化するIT産業
テレワークやオンラインショッピングなど、コロナ禍のなかでIT産業はさらに巨大化した。少数の巨大IT企業が社会サービスのあらゆる分野を担うことになるだろう。しかし、こうした企業によって個人情報が握られることになる。これが新たな問題を引き起こしている。巨大IT企業の全面的な支配だ。

5)地政学的な緊張
コロナ禍のなかで、かねてから激しさを増していた米中対立は一層激化している。このまま行くと新冷戦から世界の多極化が進み、世界は混沌とした状態に向かう。

6)関係者すべてが関与する企業
新型コロナウイルスのパンデミックがもたらしたプラスの効果があるとすれば、企業の形態に変化が見られることだ。企業のなかにはこれまでの利益中心の経営方針を見直し、従業員を含めたすべての関係者に積極的に関与してもらう新しい経営スタイルを模索する企業も多くなっている。しかし、これが大きなトレンドとして定着するためには、従来の企業の概念を変更せねばならず、そのためには政府の積極的な関与と支援が必要になる。

この本では、以上のような6つを新型コロナウイルスのパンデミックが引き起こした深刻な問題として提起し、これを解決するためには現在のグローバル資本主義のリセットが必要なのだと力説する。

そして、このリセットを実行し、これらの問題に対処するために必要となるとこの本が提示するのが、「敏捷な統治」という概念だ。


「敏捷な統治」という概念
「敏捷な統治」とはピンとこない概念だ。はっきり言って、なにを言いたいのか判然としない。あえてイメージをぼかした言葉を使っているのだと思う。

しかし、その内容は極めて明確だ。ビッグデータ、AI、ロボット、そしてブロックチェーンなどの先端的なITテクノロジーを徹底的に駆使して、社会問題が発生する前にそれらを予期し、事前に対処してしまう体制のことだ。

そして、ここで「統治」という言葉が使われている理由は、この方法が国民を支配し、国家を統治する方法として考えられているからにほかならない。

つまり、高度なテクノロジーを最大限活用した新しい統治形態と管理のシステムのことだ。

「敏捷な統治(Agile governance)」という論文
この概念は、当メルマガの記事で将来やってくることを幾度も警告している高度管理社会のことであろう。それは間違いないと思う。

では、「ダボス会議」は彼らが「敏捷な統治」と呼ぶ高度管理社会を具体的にどのようなものとして構想しているのだろうか?

実はその全体像とおぼしきものは、やはり「ダボス会議」が出した「敏捷な統治 第4次産業革命において政策立案を再形成する(Agile Governance Reimaging Policy-making in the Fourth Industrial Revolution)」という論文に示されていた。

そして重要なのは、この論文が発表された時期である。それは2018年1月であった。つまり、新型コロナウイルスのパンデミックが起こる2年近くも前に発表されていたのだ。

これは、リセット以後の統治機構のデザインはすでに2年以上も前に大枠ではすでにできあがっていたことを示している。

逆に見ると「ダボス会議」は、新型コロナウイルスのパンデミックを「敏捷な統治」を導入するための絶好の機会として使ったのかも知れない。

長くなるので、この「敏捷な統治」という体制の具体的な内容は、次々回(11月13日配信)のメルマガで詳しく紹介する。早ければ来年にも導入が始まる可能性がある。これを知っておくことは大変に重要だ。変化はあまりに早い!そして、この構想には日本も具体的に絡んでいる。ぜひ読んでほしい。
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/504.html#c16

[近代史4] ケインズは間違っている _ 何故公共事業が長期的には失業を生むか 中川隆
3. 中川隆[-6994] koaQ7Jey 2021年3月01日 00:39:26 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[39]
ビル・ミッチェル 「主流経済学者は本当に大赤字と国債買入を受け入れたのか?」(2021年2月23日)
https://econ101.jp/%e3%83%93%e3%83%ab%e3%83%bb%e3%83%9f%e3%83%83%e3%83%81%e3%82%a7%e3%83%ab%e3%80%80%e3%80%8c%e4%b8%bb%e6%b5%81%e7%b5%8c%e6%b8%88%e5%ad%a6%e8%80%85%e3%81%af%e6%9c%ac%e5%bd%93%e3%81%ab%e5%a4%a7%e8%b5%a4/

 ジョン・メイナード・ケインズは1930年に「孫のための経済的可能性」という小文を書いた。彼は向こう100年のうちに技術的なシフトが起こり、労働者は週に15時間しか働けなくなるだろうと考えていた。この予言はそうした生産性の向上が起こったという意味では正しかったが、労働者がそこから利益を得るという意味では間違っていた。ケインズは生産性が均等に分配されると考えていたのだ。彼が過小評価したのは資本が利潤から利潤を吸い上げる能力、そして、そのために国家を掌握して立法や規制の力を利用して賃金の伸びを抑制することを確実にする能力だった。 主流経済学者たちは資本の代理人として、不平等の拡大と国家の再構成に手を貸してきた。このことは、財政赤字及び中央銀行の債務購入について、主流派経済学者の見解が明らかに変化してきていることをどう捉えるかに関係してくる。昨日は悪いことばかりだと言ったことを今日は良いことばかりだと言う。意見の変化を評価する際には慎重であれというのは歴史が警告するところだ。一貫性を保つためにはそのまえに言っておかなければならないことがあるはずだ。

ケインズの予想は正しく、正しくなかった
 ケインズは資本主義の根本的な改革を求めてはいなかった。
 同エッセイではこう書いている。

…世界で騒がれている二つの対立する悲観論はどちらも間違っていることは私たち自身の時代のうちに証明されるでしょう。事態は悪すぎるので暴力的な変化以外に私たちを救う道はない考える革命家の悲観論と、私たちの経済的生活と社会的生活のバランスはとても不安定なのだから実験は危険だとする反動主義者の悲観論のことです。

 所得をより均等に分散させたり、職場内のパワーバランスを変えたりするような社会的経済的な変化を止めようとする保守派にも嫌気がさしていたことは見ての通り伝わってくる。

 「欲望に満ちた世界での失業の巨大な異常性」という表現もある。

 このエッセイは100年後の2030年つまり「孫たち」が中年期(または少し年上)になる頃の予測だったとみると彼はこう「予言」していた。

… 100年後の先進国の生活水準は、現在の4倍から8倍になるだろう。
 4〜8倍とはなんとも広い範囲だ。

 この予測は当たっただろうか。

 1930年の英国の1人当たりの実質GDPは5,042ポンドだった。

 そして2014年には26,394ポンドだった(イングランド銀行のデータベースを使用)。

 2017年は、29,670ポンドだった(ONSによる)。

 だからケインズの予測は当たっている – 約5.9倍の増加。

 米国のデータにあてはめても、彼の予測はやはり正しかった。

 1947年の1人当たりの実質国内総生産は14,118ドルだったのが、2019年には58,113ドルであった。

 4.1倍の拡大だったことになる(出典):

 その一方でケインズは同エッセイで「8倍よくなったとしてみよう」と続けている。彼の予測の不正確だった側面はここに現れていると言えるだろう。

 彼はより多くの富を求めて努力し続ける人々が常にいることを受け入れている。ルイス・キャロルの小説シルヴィーとブルーノの教授の話を引用しているのは、そう考えた証拠だ。

 彼はその上で、私たち人類は物質的な欲求を満たした上で「それでもなお残る労働はできるだけ広く共有するようにするため」に週に15時間しか働かないようになるだろうと考えていたのだった。

 テクノロジーによって労働の必要性を減らしつつ労働者にも巨額の富がもたらされることによって豊かさが増大すれば、短時間労働が現実のものになるだろうと。

 重要なのは、ケインズは将来の生産性の上昇を広く予測したが、資本主義を理解していなかったことだ。

 どういうことか?

 現実の生産性の伸びは労働者に均等に分散されていない。

 ケインズがナイーブなのはこの点だった。資本家が所有する職場から労働者を解放しうる生産性の大幅な向上が、現実に社会全体で共有されるだろうと考えたのだ。

 第二次世界大戦後の社会民主主義時代には完全雇用のコンセンサスが共有されていたものだ。

 オーストラリアにおいても毎年、司法賃金設定当局が「生産性」のヒアリングを行っていた。このことを知らない人が多いのにはよく驚かされるのだが、単位時間あたりの生産量が前年比で平均どれだけ増加したかを見積もり、それに基づいて労働者の昇給を決めていた。

 つまり、最低賃金の労働者たちが生産性が低い労働集約的の職場で苦労したとしても、物質的な生活水準の恩恵が回っていた。

 ところがこのシステムは雇用主たちから激しい反対され、その結果、1980年代以降の新自由主義に忠誠を誓う労働党政府によって放棄されることになった。

 それ以降資本は、労働者を犠牲にすることで実質賃金の伸びと生産性の間のギャップを拡大させ続け利益シェアは約10ポイント増加した。

 労働者は、新自由主義政府によって規制が緩和された金融市場からの借り入れを増やさなければ消費水準を維持できないことになった。実質賃金の伸びが鈍化し家計の負債が増加したことで、労働者層の多くは生活を維持するために労働時間を短縮するどころか、より多くの労働時間を捻出しなければならなくなった。

 アイデンティティを研究している人たちは女性の解放と労働市場への参入を称賛するが、その傾向には暗い面があり、賃金が抑制される環境の中で生きるためには共働きせざるを得なくなるという圧力が働いていたわけだ。

 毎日2〜3回の単純な掃除の仕事をしなければならなくなった女性たちが家父長制社会からのジェンダー解放を享受できたとは言い難い。

 一人当たりの所得を長い歴史的スパンでの比較しようとするときの誤りの元凶はこうしたことにある。

 ケインズは、テクノロジーがすべての職業分野の労働の必要性を減らし、高給取りも低給取りも同じだけ失業させていくと見ていたが、資本主義の現実は大きく異なっていた。

 失業の負担は、相変わらず最も不利な立場にある労働者にのしかかっている。

 いわゆる「ギグ・エコノミー」の発展も、新自由主義で加速した不平等を定着させるための近代資本主義が適応した姿なのであり、不利な労働者集団の存在と連動している。

 馬鹿げたほどの低賃金雇用のために労働者が競争させられているこの状態は、単に在職期間が不安定であることだけの問題なのではなく、そもそも始まってはいけない危険な状況だ(最近オーストラリアでは、小銭を求めて急いで走り回るスクーターの配達ドライバーが数人事故で死亡している)。

 今やこうした労働者層が普通の住民たちの一角を占めるようになった。彼らは富を蓄積することができず、家を購入することができず、病気になっても安心できず、有給休暇を取ることができず、安全な年金を得る老後を楽しみにすることができない。

 明るい未来が見えない彼らは近視眼的にならざるを得ない。ケインズが想定した通りには、また社会民主主義時代にベビーブーム世代が期待できたようにはなっていないのだ。

昨今の経済学の思考の変化との関係
 主流派経済学者たちは今、自分たちが財政政策の優位性についての議論を先導していると見せかけようと必死になっている。

 ほんの数年前まで(失業率や不完全雇用率が高かった時でさえ)彼らは財政赤字の危険性を説いていたのだが、今は政府による大規模支出や中央銀行による債務の買い取りを唱えている。

 中央銀行の債務購入は禁じ手だったはずなのだが、そうではなくなったようである。むしろそれを軽視する経済学の専門家はほとんどいなくなった。

 今週、主流派の経済学者ロス・ガルナートは「オーストラリア政府(連邦政府、州政府、準州政府)は完全雇用に達するまで財政赤字を拡大し、オーストラリア準備銀行(RBA)はこれに合わせてが発行した債務をすべて買い取るべきだ」と発言した。

 彼は、RBAは金利をマイナス領域に押し下げる必要があると考えているとのことだ。

 また、ミルトン・フリードマン流の「負の所得税」型ベーシック・インカムを提言した。

 こうしたことで豪ドル高を食い止めることができると考えている。

 思い出すのは私がキャリアの初期にキャンベラの国会議事堂でMMTのワークショップを行ったとき、聴衆の一人にガルナートがいた。Q&Aの時間に彼は大声で私のことを、狂っている、財政赤字の増加は国家を破産させるだろうと言い放ったものだ。

 あれは連邦政府に財政黒字マニアが解き放たれた瞬間だった。

 不快なやりとりだったが、当時はよくあることだった。

 暴徒に立ち向かえば報復が起こる。それがグループシンクの働きなのである。

 そうしたグループの一人であるガルナートの特徴は記憶が短いことだ。過去を上書きする彼らの能力はすごい。

 2016年の彼はRBAの金融政策スタンス(金利が高すぎる)を正当化するために「オーストラリアは弱すぎる」と警告していた(ソース)。

 我が国は財政を引き締める必要があるが、徐々に進めなければならない。経済が弱体化しているので、急激な増税や歳出の削減は経済にショックを与えてしまうからだ。必要なのは、適度で目標を持った増税、適度で目標を持った歳出の削減である …

 オーストラリア人が、この深刻な財政問題に対処できないという自然の法則は存在しない。

 と言うが、当時オーストラリアには約14.9%の労働力不足があったのである。

 この人物は、われわれには「深刻な財政問題」があるから財政緊縮を目指すべきとしていた。本来あるべき姿には何十億も足りない財政赤字のことをそう言っていたのだ。

 彼は一貫して財政赤字を問題にしていた。

 2004年12月3日、彼は当時経済学の教授を務めていたオーストラリア国立大学で、講演を催している。

 当時インフレ率は低く、また労働力の未利用率(失業と不完全雇用)は12%程度あったのだが、彼は財政政策について次のように主張した。

 1980年代の好況の絶頂期の財政黒字がもっと大きければ、それがカウンター・サイクル的な働きをしただろう。1980年代後半がそうだったのであれば、それは今の財政政策にもまったく当てはまることなのだ。

 現状の財政は大幅に引き締めたほうがいい。もっと早い方が良かったが、後回しにするよりは今やった方が良い。そうすれば、ちょうど金融引き締めするのと同じように為替レートを上昇させることなく民需の恩恵を受けることができることになる。

 当時の財政黒字と「好況」は、家計の負債が大幅に増加したことで消費が伸び続け、政府の歳入が急増したことが記録された結果だ。

 捨てられた労働力は高い水準のままだった。

 それは余りにも無責任な黒字だったのだが、ガルナートのような連中はそれをもっとやれと言うのだ。

 つまり彼は失業と不完全雇用を増やしたがっていた。

 ところが2021年の彼は – 完全雇用の達成がむつかしいことを懸念していると主張している。

 この、彼の財政赤字などに対する突然の態度の変化は、現在世界中で起こりまくっている現象だ。

 主流の経済学者たちは、自分たちの無力さを恐れ、立場を変えて、そんなことはずっと前から知っていたと主張している。あるいは、事実の方が変わったと主張する。

 素材は何も変わっていない。

 財政政策の働きはいつも変わらない。

 金融システムは、1970年代初頭と同じように動いている。

 為替レートも、変わらず常に変動している。

 変わったのは、船から逃げ出そうとする列に並ぶネズミの数だ。

それは喜ばしいことだろうか?
 この頃は毎日のようにジャーナリストから電話があって一つ二つ質問される。

 私がキャリアを通じて提唱してきたアイデアについて、ついに経済学者も意見を言うようになっており、現代貨幣理論(MMT)が今やホットな話題になっていると彼らは言う。

 だが、まだまだだ。

 そのように見えるとしても、別のアジェンダが働いていると疑っている。 

 一年前の英ガーディアン紙の社説(2020年2月17日)–ケインズの復活に関するガーディアンの見解:革命的な道–は、経済学者たちの「逆サイド」への行進が表れていた。

 それは第二次世界大戦後から1970年代までの期間のケインズ経済学の覇権を「打倒」した、保守側の議論の写し鏡なのだ。

… 福祉への手厚い支出は、資本主義を弱体化させただけでなく、インフレを引き起こし、不安定化させる結果となり、民主的なガバナンスを脅かすものとなった。

 これこそ、まさに、労働者の利益についてのケインズの1930年の予測の背後にあった政策論であり、その方向性だ。

 貨幣主義者が主導権を握ったその後の数十年で、ケインズの予測は外れていくことになる。

 貨幣主義の教義を説いていた主流経済学者が、その同じ口で財政政策の優越性を説いている。

 広く受け入れられた貨幣主義とその変種である主流の理論は、ケインズ派の正統性を経験的に否定することで生まれたものではなかった。それは、高度に抽象的で先験的な論法に立脚するだけの議論に過ぎず、リベラルな思考を捨てた保守的イデオロギーの甦りなのだ。

 アラン・ブラインダーは1988年の著書–『ハードヘッドソフトハート』–で、ケインズ派の考えの拒絶について次のように書いている(p.278)。

…と言うよりも、それはアプリオリな理論化が経験主義を制圧したということであり、観察に対する知的美学の覇権であり、言わば自由主義に対する保守的なイデオロギーの勝利だった。要するにクーン的な科学革命ではなかったのだ。

 ”要するにクーン的な科学革命ではなかった。”

 失業を減らそうとするケインズ的な救済策は、自然失業率仮説とその政策的含意を受け入れた専門家の大部分からの嘲笑に見舞われることになった。

 主流派経済学は支配階級の利益に貢献するものであり、労働者階級を弱体化させる政策を提唱し続けてきたことを忘れてはいけない。

 英ガーディアンの(英国に関する)社説から:

貨幣主義、覇権を握った経済理論は失敗に終わった。2008年以降の英国の一人当たりGDPの伸びはほぼゼロだった。

 この記事は次のように続く:

 金持ちの支配を固定するためセンセイたちは今度は国家の力を使おうとしている。イアン・ダンカン・スミスはBBCで「貨幣主義を回復するには適量のケインズ主義が必要だ」と語っていたが、これはそうした意味だ。低インフレ状態における緊縮財政とは、経済が需要に飢えているということだ。だからその処方箋は政府が支出することである。しかしダンカン・スミスは、国が労働の側に介入せよとか、富を再分配し投資を社会化せよとは言わない。氏が提案しているのはケインズを欠いたケインズ主義なのだ。

結語
 というわけで、ネズミどもが船から逃げ出しているのが良いことかどうかを私に尋ねる前によく考えてほしい。ネズミたちは本当に船を離れているのか。それともGFCとパンデミックという10年に二度のショックを経てもなお、利潤の搾取システムを再構成しようと、今だけレーダーを避けようとしているだけなのか。

 危機に陥ると、資本は常に国の財政能力に救済を求める。経済学者たちこそがその先導役だったのかもしれない。

 本当に船を離れたなら、そうではなかった(おそらく)ことになる。
https://econ101.jp/%e3%83%93%e3%83%ab%e3%83%bb%e3%83%9f%e3%83%83%e3%83%81%e3%82%a7%e3%83%ab%e3%80%80%e3%80%8c%e4%b8%bb%e6%b5%81%e7%b5%8c%e6%b8%88%e5%ad%a6%e8%80%85%e3%81%af%e6%9c%ac%e5%bd%93%e3%81%ab%e5%a4%a7%e8%b5%a4/
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1453.html#c3

[近代史5] ピーター・ターチンの革命理論 中川隆
1. 2021年3月01日 00:41:50 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[40]
ピーター・ターチン「主流派経済学によるとパンデミックでインフレになるらしい:ペストとインフレーション」(2017年4月6日)
https://econ101.jp/%e3%83%94%e3%83%bc%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%bb%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%81%e3%83%b3%e3%80%8c%e4%b8%bb%e6%b5%81%e6%b4%be%e7%b5%8c%e6%b8%88%e5%ad%a6%e3%81%ab%e3%82%88%e3%82%8b%e3%81%a8%e3%83%91%e3%83%b3/

マーク・コヤマのツイッターに誘導されて、スコット・サムナーのブログに辿り着いたが、そこで、異端派経済学が、伝統経済学の牙城American Economic Reviewを侵略しつつあることを私は知った。サムナーはノーベル賞受賞者のロバート・シラーの〔異端派的内容の〕論文を、猛烈に糾弾している。エイプリルフールの投稿なのに、サムナー、クソ真面目のようである。

以下、シラーの論文の要旨からの引用である:

人間の脳は、いかなる時も、経路依存的な行動を正当化するため、事実に基づいていようといまいと、好意的な「物語化」チューニングを行ってしまう。これは、支出や投資といった基礎的な行動ですらそうなのだ。物語化によって、〔人は〕活動を動機・関連付け、価値観や要求を深く感じ入るのである。物語が「バイラル化」すれば、経済的な影響を伴い、世界規模にまで広がっていく。

シラーの論文そのものは読んでいないのだが、シラーは、正当化経済学の関心があまりに狭くなっていて、テンプレ化してしまっているので、経済学の活動を感化できるなら感化して、〔学問〕領域の拡張を提起しているようだ。この件については、私もブログで喚起してきている(例えば、ここ〔本サイトでの翻訳版はここ〕)。興味深いのは、ノーベル賞学者であっても、〔このような喚起を行えば〕異端派の烙印から逃れられないことだろう。

もっとも、私がこのブログを書こうと思った主な目的は、サムナーがエントリで「しかしながら、まさにAS/ADモデルが予測する通りに、ペストはインフレーションを引き起こしていたのだ」(強調はサムナーによる)と続けて述べていたからだ。AS/ADモデルだか何だか知らないが、歴史的事実に照らせば、このサムナーの発言は明らかな間違いである。これは、ヴィルヘルム・アベルの画期的な研究以来、経済史家の間では周知の事実である。フィッシャーの本“The Great Wave(大波)”に転載されているので参照してほしい。

「中世の価格革命」を見ると、14世紀前半までは物価は持続的に上昇しており、ペスト到来以降の時代(1350〜1450年)は、デフレの時代となっている。

さて、〔私の本〕“Secular Cycles(永年周期)”の読者なら、事情がもう少し複雑だったのをご存知だ。農耕社会において、持続的な人口増加は、最終的に仕事を求める農耕従事者と、食料を必要とする飢餓者が過剰増加する結果となる。そのため、土地や土地からの生産物(例えば穀物)のような財は高価となり、労働による生産物(製造業製造物)のような他の財は安価となる。つまり、価格の有り様は、商品に応じて反応するのだ。過度の人口増加は、土地・食料・燃料・住宅価格を上昇させる。また、(ほとんどの未熟練)労働の賃金価格を低下させる。製造業生産物の価格は、主に労働がコストとなっているので、その価格も低下させる。公僕や兵士の賃金も、“余剰人口”からの採用程度に応じて、低下する。

資源に応じての、実質賃金と人口圧迫の関係性は、経済史において最も信頼性が高い関係性の一つである。私の研究から実例を1つ挙げてみよう。

以上グラフにおいて「相対的人口数」は、土地の収容力に対する人口の相対的な数である。「逆賃金」は実質賃金の逆数、すなわち「悲惨指数」である(詳細は“Secular Cycles”を参照)

歴史的に(農耕社会では)、ペストのような伝染病による人口減少は、常に(生き延びた)庶民の生活の質の向上をもたらしている。庶民は、より良い穀物(大麦に代わって小麦)を食べたり、ビールやワインを飲んだり、果物や肉を食べるようになっている。


『農民の饗宴』ピーター・アールウェン画

この〔庶民の生活向上〕は、ヨーロッパではペストの後にも起こっているが、地中海においては、「アントニヌスの災い」や「ユスティニアヌスの災い」の後にも同じ動態が起こっているのを観察できる。そして、ペストが17世紀にヨーロッパに再来した時だと、デフレの時代が続いている。

https://econ101.jp/%e3%83%94%e3%83%bc%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%bb%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%81%e3%83%b3%e3%80%8c%e4%b8%bb%e6%b5%81%e6%b4%be%e7%b5%8c%e6%b8%88%e5%ad%a6%e3%81%ab%e3%82%88%e3%82%8b%e3%81%a8%e3%83%91%e3%83%b3/
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/523.html#c1

[近代史5] ピーター・ターチンの革命理論 中川隆
2. 中川隆[-6993] koaQ7Jey 2021年3月01日 00:43:22 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[41]
ピーター・ターチン「経済学は、不平等が(時に)なぜ減少するのか答えられない」(2015年11月1日)
https://econ101.jp/%e3%83%94%e3%83%bc%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%bb%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%81%e3%83%b3%e3%80%8c%e7%b5%8c%e6%b8%88%e5%ad%a6%e3%81%af%e3%80%81%e4%b8%8d%e5%b9%b3%e7%ad%89%e3%81%8c%ef%bc%88%e6%99%82%e3%81%ab/


9月、私はオーストリアのウィーンで開催された国際カンファレンス「持てる者と持たざる者:グローバル・ヒストリーにおける富と所得の不平等を探求する」に行ってきた。この会議については、前回のブログ・エントリで言及しているが、この会議で学んだことの1つが、「経済学者は、不平等が増加したり減少したりする理由を本当に分かっていないんだな。特に減少についてだ」ということだ。

トマ・ピケティから取り掛かってみよう。『20世紀の資本』(いや“Das Kapital”と言うべきか?)は今や不平等を研究する学者の「バイブル」となっているからだ。

ピケティは、不平等が増大する理由について、良い説明を提示している。これは、「皆が同意する」との意味ではない。数学とデータによって裏付けられた一般的なメカニズムを提示した「良い科学となっている」との意味だ。

ここまでは良しとしよう。で、ピケティは、20世紀半ばの不平等の減少をどのように説明しているのだろう? 2つの破壊的な世界大戦と世界大恐慌による、例外的な状況の結果である、とのことだ。下品な言葉になるが許してほしい、言い換えれば、「クソな出来事は偶発するのです」ということだ。

ピケティの結論はあまり満足できるものではない。むろん、不平等は一般的な傾向として常に上昇しているが、時に例外的なランダムイベントが発生して崩壊する、と考えるのは可能だ。すると、破滅的な戦争こそが、財産を破壊し、富裕層を貧困化させて、不平等を減少させることになる。ピケティは、不平等を減少させる力の一つとして、自著の中で何度もこれを挙げている。

このような外生的な説明は、私的には納得できない。(全ての人に共有されているわけでないと思うが)私の直感によるなら、不平等が高進しすぎると、不平等を低下させる影響要因があると考えられる。言い換えれば、ある程度は〔不平等が高進すれば不平等を低下させる〕規則的なプロセスがあるのだ。これこそが、真に極端な形での不平等(1人が全てを所有している場合)を目にしない理由である。ピケティの見解では、我々がこのような極端な不平等に遭遇していない唯一の理由は、そこに到達する前に、常に何らかのランダムイベントが介入しているからだ、ということになる。

ブランコ・ミラノヴィッチは、〔カンファレンスの基調〕講演の中で、「何が不平等をもたらすのか」の問題を取り上げている。もし本当に不平等がサイクル的に推移するのなら、不平等が高くなりすぎた場合には、トリガーとなる不平等を押し下げるなんらかの内生的なプロセスが存在しているはずであるとミラノヴィッチは提起している。なんらかのメカニズムが周期的に作動し、繰り返しのサイクルが生成されることになる。

ブランコは、不平等を低下させるかもしれない「悪性の」影響力は、あまり研究されていないのを認めているが、「良性の」影響力については、テクノロジー(technology)、グローバリゼーション(globalization)、政治政策(policy)から文字を取ってTOPと名付けた3つの影響力を挙げている。私からすれば、この3つの内、意味があるのは1つだけである。「政治政策」だ。実際、政府は高所得者や富に課税して不平等を減らすことができる。最初の2つ、テクノロジーとグローバリゼーションに関しては、むしろ不平等を増大させている理由を説明していると思われる。

後日の講演では、ウォルター・シャイデルが、「悪性の」影響力について述べた。ウォルターは“The Great Leveler(偉大なる平等化)”(仮題)〔訳注:『暴力と不平等の人類史』として邦訳されている〕と題された本に取り組んでいるが、この本の中で、彼は歴史上の社会において不平等を減少させてきた4つの影響力を特定している。

大量動員戦争
変革的革命
国家の崩壊
パンデミック

アンドレ・フーゲロン(1913-1998年)画『ヨハネの黙示録の四騎士』(1937年)出典

着目すべきは、これらは全て暴力を伴うので「悪性」であるとされていることだ。つまり、暴力は偉大なる平等化装置なのだ。しかしながら、むろん暴力は種類に応じては、不平等を増大させる結果にもなる。戦争を考えてみよう。征服戦争の多く――例えば、戦闘部族が平等主義的な農民を征服して奴隷にし、勝利者を支配階級に仕立て上げる戦争等は、明らかに不平等を増大させる結果となる。

これが理由で、ウォルターは大量動員戦争に着目している。武装可能な全ての市民(ないし少なくとも全ての武装可能な男性)を強制的に動員する社会は、通常、あるいはいかなる時(?)も、不平等を減らさざるを得なくなるのだ。革命も同様である。革命も全てが不平等を減少させるわけではない。革命は場合によっては、単に圧政を執くエリートを、別のエリートに交換するだけである。しかし、場合によっては、革命は劇的に富を標準化させる。


ヴァン・ウラジミロフ(1869-1947)画『冬の宮殿への襲撃』出典

ウォルターの理論は内生化できると私は思う。つまり、不平等が高進しすぎると、国家崩壊や変革的革命の可能性が高まるわけだ。他案あるいは、追加案だと、巨大な不平等を抱えた社会は、それより平等な社会に打ち負かされるので、不平等な社会は撲滅されるか、不平等が現実的課題となり、縮小が余儀なくされるわけである。

私の見解では、ウォルターの理論は、重要な何らかを捉えているが、2つの点で不完全である。第1に、暴力はある状況だと不平等を増大させ、別の状況では不平等を減少させる。この理由について理解を深める必要がある。第2に、暴力以外でも不平等を減少させるメカニズムがあると私は考えている。ただ、これに関してはあまり自信がない。もしかしたら、私が楽観主義者であるが故だけの願望かもしれない。

結論。経済学は不平等の動態の説明において、その能力でもって何らかを教示してくれるのだろうか? 私の意見では、経済学は不平等が拡大する理由は十全に説明できているが、不平等の減少については経済以外の影響力の帰結となっているので、説明できていない。なので、社会が歴史上、どのようにして格差を縮小させたのかを理解したいのなら、我々は経済学を超え、歴史学・社会学・人類学からの洞察を取り入れる必要がある。

そして、我々が暴力無しに、不平等を減らす方法を見つけ出せるのを、私は確かに願っている。

〔訳注:以下、コメント欄で行われた文化進化論の創始者ピーター・リチャーソンとのターチンのやり取りである。〕

ピーター・リチャーソン 2015年11月1日午後10時7分

政治闘争は、必ずしも[多くの]暴力を伴わずに、不平等を減らすことができるように思えます。米国において、19世紀後半から1950年代にかけての労働争議は、不平等の強制的な縮小に大きな役割を果たしています。合衆国のエリートは、労働者に経済的パイの公平な分け前を与えるか、最終的に革命に直面するかの選択に直面したのです。フランクリン・D・ルーズベルトや似たような思想の持ち主が先導したように、政治的エリートは、革命を回避するために、不平等の縮小をビジネスエリートに強要しました。2度にわたる戦時の大規模な動員がなければ、このような縮小が起こっていたのかどうかは疑問の余地がありますが、組合の組織化と急進的な政党による扇動は、エリートに恐怖を与えたのです。これは、パーマー・レイド1とエドガー・フーバー2 による過剰な反応に繋がっています。しかしながら、こういった〔政治闘争〕活動は、中産階級の子息達によって緩慢に行われました。これは、自身の地位に汲々としているエリート達を不安に陥れたのです。こういった活動に従事した中産階級の子息達達は、平等主義達達による「赤」の力の誇示を助けたかもしれません。確かに「革命の脅威」は、エリート達を相当に効果的に抑圧できるのです。

ガンジー流の非暴力も、非常に効果的なことがあります。もし、非暴力に狂信的にコミットしている、非エリートの大集団を組織できたとしましょう。すると、エリートは、非暴力の狂信者達が突如暴力的に憤った場合に、何が起こるかを心配しなければならなくなります。中国共産党は、法輪功のような一見無害な大規模集団組織を本当に恐れているようです。不平等、もしくは不公平な扱いが一般化されていれば、ノンポリの大規模集団組織は、エリートにとっての脅威となるのです。このような組織は、残虐行為が一滴垂らされると、暴力的な抵抗に豹変する可能性があります。

ピーター・ターチン 2015年11月2日 午前5時6分

どうも、ピート。あなたの指摘に完全に同意します。以上は、私がイオンマガジンの論文で述べた「簡単に言えば、平等を取り戻すのは革命への恐怖なのだ」との点で非常によく似ていますね。
http://aeon.co/magazine/society/peter-turchin-wealth-poverty/

なので、ウォルターの指摘は修正されるべきです。「不平等を減らすのは暴力、もしくは暴力への恐怖である」と。まだ幾分悲観的ですが…。

訳注:アメリカで20世紀初頭に、司法省長官のアレキサンダー・ミッチェル・パーマーによって行われた極左へのレイド(強制捜査)と国外退去処分措置のこと [↩]
訳注:FBI初代長官。赤狩りにも大規模に関与している。 [↩]

https://econ101.jp/%e3%83%94%e3%83%bc%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%bb%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%81%e3%83%b3%e3%80%8c%e7%b5%8c%e6%b8%88%e5%ad%a6%e3%81%af%e3%80%81%e4%b8%8d%e5%b9%b3%e7%ad%89%e3%81%8c%ef%bc%88%e6%99%82%e3%81%ab/
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/523.html#c2

[近代史5] ピーター・ターチンの革命理論 中川隆
3. 中川隆[-6992] koaQ7Jey 2021年3月01日 00:44:54 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[42]
ピーター・ターチン「“コネチカットの狂った預言者”」(2020年11月12日)
https://econ101.jp/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3%E3%80%8C%E3%82%B3%E3%83%8D%E3%83%81%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AE%E7%8B%82%E3%81%A3%E3%81%9F%E9%A0%90/

グレーム・ウッドが、「クリオダイナミクス(歴史動力学)」と「私」と「今、我々が直面している不和の時代」についての“長い記事”〔訳注:日本での要約はここで読める〕を書いてくれた。グレームは、非常に知性あるジャーナリストであり、クリオダイナミクスと構造人口動態のメカニズムが、どのように国家を崩壊に至らせるのかについての彼の説明は、非常に優れたものだ。アトランティック誌は、徹底したファクトチェックを行っており(今日のオンラインメディアは、ファクトチェックに限られたリソースしか割いていないので、これは珍しい対応である)、グレームの記事内の、事実に基づいた論拠については、何の異論もない。

しかし、グレームは、ジャーナリストなので、雑誌の発行部数(ないし購読料)を上げるようなやり方での事実の提示が彼の仕事となっている。グレームの見解は、私の研究をいくつもの別のアングルから観たものとなっているが、そこで彼が記事に付け加えた「ひねり(偏った解釈)」に関しては、私は科学者なので同意できない。特に、私を「預言者」(もっと酷く「狂った預言者」)と描いたことは、ハッキリ否定したい。彼は(ありがたいことに)記事内では、この極端なキャラ付けは行っていないが、ツイッターではやらかしてくれた。


しかし、私は預言者ではないし、預言者だと主張したこともない。実際、私は予言を避けている理由について、ブログで具体的に書いてきている。そして、私は、他の「預言者達」への批判も記載している。私は科学者なので、理論を検証するためのツールとして科学的な予測を使用している。言い換えれば、どの理論が正しくて、どの理論が間違えているのかを発見するために、「予測」を道具として使用しているのだ(具体例についてはここを参照してほしい)。

また、私は「メガヒストリー」の書き手ではない。私がジャレド・ダイアモンドやユヴァル・ノア・ハラリの著作を楽しんでいるのは、彼らが仮説を検証可能なものとして提供し、興味深い概論を生み出しているからだ。しかし、ダイアモンドやハラリといった作家は、概論の提示でストップしている。私はそこから、彼らの口頭でのアイデアを引き継ぎ、動的モデルに翻訳し、さらにそれを定量的な予測として抽出し、歴史データで検証しているのだ。私は、自身でも「グランド・セオリー(壮大な理論)」を提唱しているが、主な仕事は理論を叩き潰すことにあり、理論を増やしてはいない。

もう一つの大きな問題は、グレームが私を「傲慢で嫌な奴」として描いていることだ。彼の記事を読んで、私はあちこちでドン引きしてしまった。たしかに、私は、歴史の推移を理論として検証するのに、理論を明示的なモデルに変換してから、大規模なデータセットを使用してモデルの予測性を検証する、かなり野心的なプログラムを提唱している。しかし、私は、自分をハリ・セルダンとは思っていない。実際、空想上の人物であるハリ・セルダンは、非線形力学や数学的カオス理論を理解できていないなかった(アシモフはカオス理論が発見される前に、小説を書いているからだ)。そして、クリオダイナミクスは歴史心理学ではない。

それよりも、グレームの記事を読んだ読者が抱くであろう最悪の誤解は、私の歴史学についての見解だ。「降伏条件」ってマジなのか! グレームの良心は一体全体どうなっているのか? 歴史学や歴史家(そして考古学者や宗教学者)について私がどう考えているかなら、感謝と尊敬でしかない。私は、何度も「クリオダイナミクスには歴史学が必要だ」と書いてきた。10年前、我々のグループは、セシャト・プロジェクト1 を立ち上げたが、このプロジェクトの成功は、専門家である歴史家や考古学者との協力に決定的に依存している。このセシャトの紹介文を読んで欲しい。私と私の学僚達が、歴史学について本当に考えていることが分かるはずだ。

このアトランティック誌の記事を読んだ歴史家は、当然のことながら激怒するだろう(ありがとう、グレーム)。しかし、私としては、歴史家の皆さんに、我々の目的とアプローチについて知ってもらうために、セシャト・プロジェクトについてもっと知って欲しい。我々は、歴史学を滅ぼす(あるいは「降伏」を強制して)はおらず、歴史学の繁栄を望んでいる。我々は、過去の社会の様々な側面についての知識を蓄積し続けるために、学術的な歴史家による専門知識の活用を必要としている。我々が分析に使用するためのデータは、データ変換される前にまず、歴史家と考古学者による複雑で曖昧な歴史的証拠の解釈に頼っている。過去の社会についての我々の知識は、多くのギャップと不確実性を抱え込んでいる――我々の分析結果は、思い込みだけでなく、知識の限界をも露呈しており、データは必然的に不確実性を反映してしまっているからだ。

歴史学はクリオダイナミクスが無くとも存在することができる(そして存在していた)が、クリオダイナミクスは歴史学が無ければ存在することはできない。そして、私が希望するのは、クリオダイナミクスが、過去の社会の研究を単なる学問的営為でないことを示し、歴史学に借りを返すことにある――とりわけ、現在の「不和の時代」にどのように至ったのか、そして荒れ狂う海を先に進むのに何ができるのかについての理解で役立つことによってだ。

訳注:セシャト・プロジェクトは、ターチンが代表となって、全世界の学術機関を繋いで歴史の定量データを集めることを目的として学術プロジェクト。セシャトはエジプト神話に登場する知恵の女神の名前である。 [↩]

https://econ101.jp/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3%E3%80%8C%E3%82%B3%E3%83%8D%E3%83%81%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AE%E7%8B%82%E3%81%A3%E3%81%9F%E9%A0%90/
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/523.html#c3

[近代史5] ピーター・ターチンの革命理論 中川隆
4. 中川隆[-6991] koaQ7Jey 2021年3月01日 00:49:44 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[43]
国家興亡の方程式 歴史に対する数学的アプローチ
ピーター・ターチン (著), 水原文 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E8%88%88%E4%BA%A1%E3%81%AE%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F-%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E6%95%B0%E5%AD%A6%E7%9A%84%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%81-%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3-ebook/dp/B0722VMLYB/ref=sr_1_1?dchild=1&hvadid=467498919770&hvdev=c&jp-ad-ap=0&keywords=%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3&qid=1614527104&s=books&sr=1-1

商品の説明
著者について
ピーター・ターチン (Peter Turchin)

コネチカット大学教授(生態学・進化生物学、人類学、数学)
理論生物学者として研究をはじめ、近年はCliodynamicsという歴史動態を数学的にモデル化する学際領域で活動している。特に、社会文化的進化、歴史のマクロ社会学、経済の歴史と計量経済史の交点に興味を持って取り組んでいる。
水原文 (Bun Mizuhara)
技術者として通信キャリアやメーカーに勤務した後、フリーの翻訳者となる。震災を機に埼玉県から宮城県へ転居。訳書に『1びょうでわかる世界の「今」』『ビッグクエスチョンズ 宇宙』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『Cooking for Geeks』(オライリー・ジャパン)など。フランス車(シトロエン)とコントラクトブリッジ(カードゲーム)、お茶(表千家)を愛してやまない。日夜Twitter(@bmizuhara)に出没している。 --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。


内容(「BOOK」データベースより)
歴史を自然科学のように研究することはできるだろうか?本書の著者、ピーター・ターチンは、歴史×数学という新しい枠組みで、この問いへの回答を試みる。このようなアプローチの重要性を示すことから始め、数学の簡単な紹介の後、歴史文献の圧倒的なレビューと精緻なモデル化と理論の検証を行う。数学に苦手意識を持つ読者も、モデルの仮定と導き出される予測さえ把握できればターチンの主張を理解することができる。それがどれほど実際の歴史を記述しているか、ぜひ体感してほしい。 --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ターチン,ピーター
コネチカット大学教授(生態学・進化生物学、人類学、数学)。理論生物学者として研究をはじめ、近年はCliodynamicsという歴史動態を数学的にモデル化する学際領域で活動している。特に、社会文化的進化、歴史のマクロ社会学、経済の歴史と計量経済史の交点に興味を持って取り組んでいる

水原/文
技術者として通信キャリアやメーカーに勤務した後、フリーの翻訳者となる。震災を機に埼玉県から宮城県へ転居(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。

カスタマーレビュー

タカハシ
5つ星のうち5.0 歴史社会学 × 数理モデル
歴史社会学に数理モデルを当てはめる過程をまとめた内容となっています。
文系科目とされる歴史に、(理系科目である)数理を用いてモデルを構築するという視点が面白く、
歴史好き、数学好きなら、どこかしら琴線に触れる内容があるのではないでしょうか。

個人的には、

・数理で用いる数学が、大学1~2年生レベル(微分方程式の初期で習う内容)であること
・数理モデルが実際にどう利用されるのかが学べる内容になっていること
・論述が論文の形式に似ており、学術研究を行う練習になること
から、特にこれから工学・理学で数理を学ぶ学部生・院生に推薦したい内容に感じました。


5つ星のうち4.0 コンピューターシミュレーションによる歴史の再現への挑戦!

経済史研究や人口史研究から始まった歴史過程への数理的解析手法の適用の潮流はついにここまで来たか。紀元500年から1900年までに現れては消えていった数々の王朝の領土の消長過程をシミュレーションで再現してしまおうという一見すると無謀で壮大な野心的試み。

コンピューターに計算させるプログラムの核となる中心的な仮説は「メタエトニー辺境理論」。中世イスラムの思想家イヴンハルドゥーンの国家盛衰理論の中に現れる「アサビーヤ」の概念(社会の成員が社会連帯的な行動を行える能力を当該社会がどれだけ有しているか)を導きの糸にして著者ターチン博士は次のような仮説を提唱する。国家の中心地滞と周縁地帯とを区別し、外敵と接するがゆえに厳しい生存競争環境となっている周縁地帯においては、国境の内側と外側双方に集合的連帯の能力を高めた集団を生み出し新たな国家形成が促されるが、中心地帯においてはそうした外敵の脅威が希薄なため集合的連帯能力が弱体化していく結果、しまいには新興国に取って代わられてしまうのではないかと。他にも計算に組み込まれる仮説はありますが、この仮説が一番重要なファクターだと著者は考えているようです。

驚くべきは、シミュレーションの結果です。確かにヨーロッパの国々の分布がかなりよく再現されている!実際にはシミュレーションするたびに大きく違った結果が出てくるそうなので(数学的にはカオスのふるまいらしい)、多数の試行結果の中に現実によく近似したものが含まれていただけとも言えますが、それでもなかなかの一致であり、理論自体の蓋然性の高さも相まって「これは本物かもしれない!」という気持ちになります。必見です。

思うに、1000年以上に渡る国家盛衰の歴史過程が比較的単純で直観的に納得のいく仮説群から導かれることがシミュレーションで確認できるということは非常に感動的ではありますが、しかし、逆に言えば、コンピューターに頼らずとも従来通りの歴史学的・社会科学的洞察でもほとんど事足りることが証明されてしまったというようにも理解できなくはない。とてもではないがにわかには信じがたいような非直観的仮説から現実が再現されるようなことでもない限り、コンピューターは世界を理解したいという人間の知的欲望に本当の意味で革命的な寄与をしたことにはならないのではないかという思いもぬぐえない。

しかし他所ではお目にかかれないすごい内容であることは間違いない。繰り返しますが、必見です。



http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/523.html#c4

[近代史5] ピーター・ターチンの革命理論 中川隆
5. 中川隆[-6990] koaQ7Jey 2021年3月01日 00:51:53 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[44]
ラジブ・カーン「ピーター・ターチンへの10の質問:『歴史の方程式』は存在するか?」(2010年2月10日)
https://econ101.jp/%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%80%8C%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3%E3%81%B8%E3%81%AE10%E3%81%AE%E8%B3%AA%E5%95%8F/

ピーター・ターチンは、生態学、進化生物学、ならびに数学を修め、コネチカット大学で教鞭を取っています。彼は5冊の本の著者です。その内の3冊『国家興亡の方程式』、”Secular Cycles”(『長期の世代循環』) 、”War and Peace and War”(『戦争と平和と戦争』)は、新分野「クリオダイナミクス(歴史動力学)」から得られたモデルの概説試案となっています。私は、『国家興亡の方程式』と”War and Peace and War“(『戦争と平和と戦争』)に書評を書いています。以下がターチンへの10の質問です。

Q1:あなたの最初の研究分野は、定量的な生態学でした。なにが、あなたを歴史動態のモデル化に転向させることになったのでしょう?

ある時点となりますが、生物個体群の動態における大きな問題の大部分が解決されている、ないしまさに解決されようとしているということを、私はハッキリ理解することになったのです。なので、私は”Complex Population Dynamics“(複合的な生物個体群の動態)に関する本を書くことになり、考えていた上記の問題の答えの統合を行いました。そして、よりやりがいのある分野への探索を始めることになりました。そこで判明したのが、まだ数学化されていない最後の科学分野は歴史である、ということです。まず最初に考えていたのが、単純に歴史の動態に関して幾つかの数学的モデルを書き出すことでした。趣味としてですよ。しかし、いったんこれをやってみたら、モデルの予測が、実データでテストできるかどうか見てみたくなったのです。非常に驚いたことに、歴史の進展に関しては、多くの定量的データが存在することが分かりました。つまり、モデルと理論のテストを行う事が、顕著に可能であることが判明したわけです。その結果、この件で、私の主目的は、机上の計算や、よりの厳密化を行うことよりも、「実証可能性」となりました。「私の理論は実データでテストできるか」が最優先興味になったわけですね。

Q2:あなたは、「クリオダイナミクス(歴史動力学)」という新分野の最前線にずっといます。新分野が必要なのでしょうか? 経済学者達が既に、「クリオメトリクス(計量経済史)」の最前線にいて、自前の理論的フレームワークを保持しているように思われるのです。あなた特有のフレームワークの付加価値は何になるのでしょう?

私は、「クリオダイナミクス(歴史動力学)」が必然だと確信しています。歴史の進展は非常に複雑です。経済的要素だけでなく、人口統計的、社会的、政治的、思想的、気候的、そしてその他多くの要素が関わっているのです。なのでおそらく、人は大規模な学問的分野にまたがるようなアプローチでもって歴史に相対すべきなのでしょう。科学的手法に従うようになることが、社会科学の最終到達点なのです。私は経済学者達に多くの敬意を払っていますが、多くの点で彼らは、歴史を扱って進捗をもたらすのを困難としています。例えば、最近まで、経済学者達は、「合理的経済人が破産するモデル」を扱いかねてきました。別の問題もあります。伝統的な経済学の理論は、あまりにも均衡に焦点を当てすぎています。このことは、経済学者に歴史の動態を扱いづらくさせているのです。この両障壁は、今や解体されつつありますが、未だに経済学者達は、「クリオダイナミクス・コミュニティ」の最前線にはいません。クリオダイナミクス(歴史動力学)は、歴史社会学者、人類学者、そして政治学者からなる非常に大きな領域を代表しているのです。

Q3:学問分野からの観点となりますが、あなたの研究に、最も肯定的な反応はどの分野からでしたか? また最も否定的な反応はどの分野からでしたか?

肯定的な反応は、上記に列挙した分野からありましたね。具体的には、歴史社会学、社会人類学と文化人類学、政治学、経済歴史学と社会歴史学、人口統計学です。否定的な反応は、これまでのところ実際にあまりありませんでした。主たる防衛的メカニズムは、私たちを無視することですね。歴史学者の95%が行っていることです。私にとって、気にするような事ではありません。実は、嬉しい驚きもありました。歴史社会学者と(推定)5%の歴史学者から肯定的反応が返ってきたことです。クリオダイナミクス(歴史動力学)の時代が到来している、ということなのでしょう。因みに、私たちは、今年、査読付き論文雑誌を始めています。

Q4:あなたがソ連で生まれたという事実は、歴史を科学的研究するというコンセプトを見開くことなったかもしれない、と私は推察しています。人類の過去を科学的に記述し、未来の予測を試みる、といったマルキストの思想形成のような、歴史の可視化を行えたのではないか、と。あなたの今の知的関心と、文化的背景の関係はあると考えていますか? それともないのでしょうか?

はい、ロシア的背景は、私の知的関心への強い貢献要因だと思います。しかし否定しておくと、マルキシズムは関係ありません。あなたに知って欲しい事があります。私が、歴史研究を始める前に、マルクス主義を完全に拒絶していた事です。これは私の家族的背景に由来してます。(私の父は、ソ連における人権活動家であり、1970年代後半に海外追放されているのです)。つい最近ですが、社会科学の研究者になったことで、私はマルクスの特定の洞察の価値を理解し、理論に組み入れることを習得しました。しかし、どんなに想像たくましくしても、私はマルキストではありません。ロシア的要素は(私が信奉する限り)、ロシア人は広大な思索家になる傾向、といった行動に現れます。ドストエフスキーが一度言っていたと思うのですが、「ロシア人の心は非常に広い。広すぎるくらいだ。俺はできるなら縮めたいよ」1 と。なのでロシア人は宇宙理論を生み出す傾向を持っています。(『ロシア宇宙主義』と今や呼ばれようになった、哲学一派すら存在します)。自身の研究において試みているのが、このロシア的傾向性と、アングロ・サクソンの実用性・経験主義の融合なのです。

Q5:あなたは、自身の学説で集団淘汰モデルを打ち出しています。しかしながら、私がなじんでいる限りあなたの研究内容は、文化的集団淘汰に焦点を絞っています。サミュエル・ボウルズによって提唱されている、狩猟採集民に関する血縁レベルの集団淘汰についてどう考えていますか? そしてそれの、農業的個体群への適応可能性についてはどう考えていますか?2

私が考えるに、集団淘汰メカニズムは、遺伝レベルと文化レベル双方で機能します。そして、もちろん遺伝と文化の相互作用に基づいたものとなります。この遺伝と文化による混合要因は、初期人類の進化においては、主に遺伝的要素が働いていました。現代は、文化的要素がより強く働くことになっています。しかしながら、遺伝的進化は未だに継続しています。なので、今日においても淘汰作用が、100%文化的ということありえないでしょう。私のクリオダイナミクスのサイトに査読前原稿があります。そこで私は、超大規模な社会性(数百万単位の個人が協力的な集団を形成する我々の能力)の進化に焦点を当てています。そして、そこでの私の主たる着眼点は、文化的集団淘汰です。

私たちが期待すべきでないことが1つあります。遺伝子と文化の間に綺麗に線引が行えるようになることです。この2つの情報伝達による共進化が、進化が作用する要所なのです。

Q6:あなたの農業社会を基盤にした政治形態の盛衰モデルについてです。モデルで、あなたは「高次の民族」アイデンティティの生成に関しては、制度的宗教の重要性を強調しているように思われます。歴史学者達によって言及されてきた歴史上の奇妙な現象の1つがあります。それは、世界的宗教の台頭が、紀元前600年から西暦600年の間に起こっており、さらにこの期間の後には、多数の宗教の台頭が比較的低位安定になった現象です。あなたは、この現象のパターンに関してなんらかの説明言説を保持していますか? それとも、説明すべきものは何もないのでしょうか?

事実、これは歴史における最も印象的なパターンの1つですね。そしてこの現象は、私の理論に非常にきれいに適応します。私自身に繰り返させるよりも、読者には私の最近の論文を読むことを勧めます。以下のURLに論文の再刊行版が掲載されています。
http://cliodynamics.info/PDF/Steppe_JGH_reprint.pdf
p.201からの「枢軸時代3 」の私の解説を読んでみてください。そこから続けて、「枢軸時代」期間の中東の部分(p.209)をチェックしてみてください。

Q7:レイ・ファンの著作”China: A Macro History“(『中国:マクロの歴史』)で言及されている事実に私は依拠しているのですが、それによると、中国では王朝と王朝の間の空位期間が、年代を経るごとに短くなっていっている、とのことです。これは、あなたの歴史進展のモデルによって説明可能でしょうか?

はい、可能です。世界の他の地域でも、同じ観察現象となって現れてるとのことです。ビクター・リーバーマンの著作”Strange Parallels“(『不思議な類似性』)の、最近出版された2巻によるとですが。思うに、国家の運営能力が文化的に進化しているという事例は、非常に説得力があります。おのおのの新国家は、白紙から始まっていません。過去の様々な試みの中で開発された政治統合の技術を既に備えているのです。結果として、政治形態の規模と統合は、時間とともに増大する傾向となります。そして、空位の期間は短くなっていくのです。

Q8:あなたは、歴史をまたいだ高次の民族的フロンティアの重要性に着目しています。
旅行とコミュニケーションが容易になった現代世界においては、空間的な境界線の価値は減っているように思えます。なので、文明はいくぶんですが、相互に入れ替えされていると思うのです。(例えば、第3世界における西洋人の飛び地居住、西洋社会へのイスラム教徒のディアスポラ(離散集住)、アフリカにおける中国人、等々…)。高次の民族的フロンティアの概念は、このような現在の状況にも転用可能ですか?

私は可能だと考えていますが、現段階では完全に根拠のない推測ですね。さきほど言及したビクター・リーバーマンは、別の際立ったアイデアを保有しています。それは、現代ヨーロッパ人の実態は「外見が白いアジア人」だというものです。どういうことかと言いますと、西暦1500年以後、文化進化の主要な中心地が、〔中央アジアの〕ステップ地帯のフロンティアから、ヨーロッパ人達の植民フロンティアへとシフトしたということです。 私たちは、おそらくいまだにこのシフトした同時代にいるのでしょう。だから、最も激しい文化進化が行われているのは、西洋社会が他の社会に侵略的影響を与えている地域ですね。

また忘れてはならないのが、民族・宗教的ディアスポラ(離散集住)は、近代性による発明ではないことです。より重要なことに、今日における情報流通は、その場限りではありません。なので、(イラクから数千キロ離れている)サウジアラビアに住んでいるような人が、アブグレイブ4 に関するニュースをリアルタイムで見ることができる。しかもおそらく視覚的なデータで。そして、その人は、イスラム原理主義ゲリラになることを決心するわけです。よって、私は、この基礎的な動力は未だに展開していると推測しています。しかも、この動力は、現在のコミュニケーション以前の動力と違い空間的に限定されていないのです。

Q9:現代のポスト・マルサス的世界についてです。過去の長期の世代循環から、我々が得ることができる、なんらかの洞察は存在するのでしょうか?

私の研究中の仮説は、「人口層構造理論」、「エリートの過剰生産」、「国家財政の脆弱性」の3つのメカニズムのうちの2つが、現実世界では引き続き機能しているというものです。次の質問の答えを参照してみてください。

Q10:あなたの次の大きなプロジェクトは何ですか?

私が今研究している主要プロジェクトは、1780年から現在までのアメリカ史における人口層の構造分析です。なので、上記の質問9で少し言及した仮説を、実証分析で裏付けるられるかどうかの検証を行う予定ですね。


※訳注:訳者による注釈・補足は〔〕で括っている
※訳注:本サイトでは、ピーター・ターチンのブログ記事の翻訳を行っている。
※訳注:タイトルを直訳すると『ピーター・ターチンへの10の質問』となるが、馴染みの無い分野の記事内容と考え副題を追加している。

※訳注:本インタビューが行われた後、2016年に、ターチンは2冊の本を刊行している。”Ultrasociety: How 10,000 Years of War Made Humans the Greatest Cooperators on Earth“(『超社会性:戦争の1万年はいかにして人類を地球上でいまだかつてない協調者に仕立て上げたのか』)はQ5で言及している「超大規模な社会性(数百万単位の個人が協力的な集団を形成する我々の能力)の進化」を扱ってる。”Ages of Discord“(『不和の時代』)は、Q10で言及されている研究をまとめたものである。それぞれの本で扱われている内容の日本語による概略は、ココやココやココで読むことが可能。


※訳注:邦訳がない書籍は、原題の直後に訳者による便宜上の邦題を追加している。

訳注:『カラマーゾフの兄弟』の登場人物のセリフを指すと思われる。正確には「いや実に人間の心は広い、あまり広過ぎるくらいだ。俺は出来る事なら少し縮めてみたいよ」(岩波文庫版より)である。 [↩]
訳注:『集団淘汰』という言葉に関しては、数十年前にほぼ棄却された後に、近年また別の形で復活していることに注意する必要がある。ここでカーンとターチンが話題にしているのは、後者の近年復活した『集団淘汰』のことではないかと思われる。

古典的『集団淘汰』とは70年代頃までの、多くの生物学者の共通見解であった、群れ同士のあいだで行われる生存競争が進化を左右する、といった説である。この説は、個体間の利他行動が進化する理由を説明しやすい。個体がたがいに助けあう群れは、そうでない群れより生存に有利だと考えられるからである。しかし現実の生物は、群れ内部の個体間競争に勝つため、群れ全体にとっては損害となる進化をすることが珍しくなく、この説にそぐわない事実が多く指摘されることになった。
そのため60年代半ばにハミルトンの包括適応度説(いわゆる『利己的遺伝子説』)が出現し、進化の基本単位を遺伝子とする血縁淘汰等での説明が主流となった。このことで、アリやハチの巣にみられるような利他行動の進化がこの説で説得的で説明されるようになり、集団淘汰説は廃れていくことになった。
しかしハミルトン説で説明できるのは血縁者間の利他行動だけなので、人間が非血縁者同士でも助けあうよう進化した理由は、今に至るも大きな謎として残されている。ターチンが研究している、人間の超大規模な社会性の発達等である。この謎の解明の目的にさまざまな説が唱えられているが、その中には集団淘汰的発想を復活させるものも多い。人間だけなんらかの理由で集団淘汰により進化したとする説もあれば、遺伝子ではなく文化の進化が疑似集団淘汰的に起こるとする説や、遺伝子と文化の共進化という現象を想定する説もある。 [↩]
訳注:哲学者カール・ヤスパースによって提唱された時代区分の名称。紀元前500年前後に、今にいたるも影響を与えている宗教や哲学思想が、世界各地で別個に同時多発的に発生した現象を指す時代区分 [↩]
訳注:イラクのバグダッド近郊にあるアブグレイブ刑務所のことと思われる。イラク戦争渦中に、この刑務所を占拠したアメリカ軍は、ここで捕虜の虐待を行っており、マスメディアに報じられたことでアメリカ軍への批判が寄せられることになった。 [↩]

https://econ101.jp/%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%80%8C%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3%E3%81%B8%E3%81%AE10%E3%81%AE%E8%B3%AA%E5%95%8F/
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/523.html#c5

[近代史5] ピーター・ターチンの革命理論 中川隆
6. 中川隆[-6989] koaQ7Jey 2021年3月01日 00:55:09 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[45]
国家興亡の方程式 歴史に対する数学的アプローチ
ピーター・ターチン

目次 :
1章 取り組むべき課題・問題を明らかにする
2章 地政学
3章 集合的連帯
4章 メタエトニー辺境理論
5章 メタエトニー辺境理論の実証検証
6章 民族運動学
7章 人口構造理論
8章 永年サイクル
9章 ケーススタディ
10章 結論/ 付録

読書メーターレビュー


mash さん
数式で把握するのは絶対無理だろっていう領域にまで数理モデルを利用している内容です。集団の凝集性が国家の基盤となり、成長すると今度はその辺境で別の集団が凝集性を伸ばし、前の国家を飲み込んでいく。このモデル化がもし大体合ってるなら人の動きも学習させれば数式化できるのかな

溝旗昌吉 さん 読了日:2017/03/12
本書は言葉の上での仮説を数理モデルに変換し、どのモデルがデータと一番適合するか検証するという自然科学と同じアプローチで歴史動態を研究する試みを紹介している。本書で紹介されモデル化され実証された仮説には、集団行動を行う能力(アサビーヤ)が帝国の辺境で増大して帝国の中心部で減少することで辺境から新しい帝国が生まれるという仮説(メタエトニー辺境理論)、被支配民族が支配民族に同化するとき支配民族の宗教や言語が個人から個人へ社会的ネットワークを通じて拡散するという仮説(民族運動学の自己触媒モデル)、

くらーく さん 読了日:2016/04/09
いろいろと数式化していますが。。。分かりません。普遍的かもしれませんし、過去の事例がたまたま合う式にもっていったかもしれませんし。 ディープラーニングさせたい気もしますな。

Akxvigs さん 読了日:2019/02/23
悪くはないがタイトルが示唆するほど面白くはない。数式はあんまり出てこないですが文書部分が読んでいてあまり頭に入ってこないというか論文を読んでいるようなもので興味をひかれない。圧力を受けた辺境から帝国が生まれる、人口動態にかなり長い波がありそれは帝国の興亡と関係がある、エリートの過剰生産が国家の衰退を招くなどいくつか示唆に富む。またあらゆる国家こういった形で一般化することは、自分達は特別だと考える者へアンチテーゼになる。その点に一番科学らしさを感じる。
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/523.html#c6

   

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