<軽減税率合意>自民くすぶる不満「まるで敗戦処理」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151214-00000102-mai-pol
毎日新聞 12月14日(月)21時32分配信
自民党税制調査会は14日、幹部会合を開き、2017年4月の消費増税と同時に導入する軽減税率制度について、酒類と外食を除く食料品を対象にする方針を了承した。自民、公明両党幹事長によるぎりぎりの合意だっただけに反発こそ表面化していないが、財政再建の遅れを危ぶむ声は根強い。
「税理論からすれば忸怩(じくじ)たる思いがあるが、こういう結果になった」。宮沢洋一自民党税調会長は14日の幹部会合で、与党幹事長の合意に理解を求めた。
財政規律を守るとともに事業者の混乱を防ぐため、軽減税率の対象を生鮮食品(必要財源3400億円)に絞ろうとしていた自民党は、公明党への大幅な譲歩を強いられた。しかし、出席者は宮沢氏の説明に淡々と耳を傾けるだけで「まるで敗戦処理」(党関係者)のような雰囲気だったという。
額賀福志郎税調小委員長は幹部会合後、「自民党として十分な姿とは思っていない。しかし、(財源やシステムについて)大いに議論して良い形にしていく」と記者団に語り、宮沢氏同様、複雑な心境をにじませた。
来年夏の参院選を控え、対象を幅広くすべきだと主張する公明党を表立って批判しにくいのは事実。とはいえ、自民党内の不満が解消されたわけではない。二階俊博総務会長は13日、広島市内での講演で「党内で評判のいいものではない」と指摘。「財源を考えなければ何も始まらない。(対象品目の決定と)同時並行でやっておくべきだった」と記者団に語った。
党税調幹部は「財政が厳しいと言っている中、理解に苦しむ。財源確保は机上の空論だ」と導入に必要な1兆円規模の財源捻出に懸念を示す。閣僚経験者は、商品ごとに税率や税額を明記する請求書(インボイス)を導入する21年4月まで簡素な経理方法で対応することについて「税金のごまかし天国になる」と嘆いた。
自民党は15日以降も党内手続きを進める。軽減税率を含む16年度与党税制改正大綱は、16日にも開かれる与党政策責任者会議で正式決定される見通しだ。【大久保渉】