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[国際27] 世界覆う「政府への怒り」中南米、揺らぐ経済基盤 政情不安・通貨安が打撃 コロンビアでも大規模スト 政策決定者がエリート層を優遇し、自分たちは見捨てられている、という人々の認識
世界覆う「政府への怒り」 
イアン・ブレマー氏
米ユーラシア・グループ社長
藤井 彰夫 グローバルオピニオン
2019/11/21付日本経済新聞 朝刊
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世の中は不公平だ。それ自体は今に始まったことではない。だが昨今の不公平に対する人々の「怒り」が反政府活動に発展する速さと激しさはすさまじい。この数カ月、先進国、途上国、あるいは民主主義国家、独裁国家を問わず様々な国・地域で抗議活動が繰り広げられている。政策決定者がエリート層を優遇し、自分たちは見捨てられている、という人々の認識が怒りの根底にある。

中東では、エジプトで2011年の民主化運動「アラ…
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO52402820Q9A121C1TCT000 

 
中南米、揺らぐ経済基盤 政情不安・通貨安が打撃
中南米
2019/11/20 21:48日本経済新聞 電子版
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【リマ=外山尚之、ニューヨーク=後藤達也】中南米の経済基盤が揺れている。資源や中国に頼る経済構造にきしみが生じてきたためだ。財政と経常の「双子の赤字」を抱え、通貨安でインフレも加速。今年の経済成長率はほぼゼロで、アジアとの差は広がる。チリがアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の開催を返上するなどの政情不安やポピュリズム(大衆迎合主義)の広がりで、経済の立て直しへの道筋は厳しい。

「南米の…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52415580Q9A121C1FF2000/?

コロンビアでも大規模スト、南米で反改革運動が波及
中南米
2019/11/22 4:32
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【ニューヨーク=外山尚之】コロンビアで21日、政府の経済政策に抗議する大規模なストライキが実施された。主要労働組合や学生などが参加し、ドゥケ政権に対し、各種補助金の削減や労働・年金改革の停止を要求。最低賃金の増額や社会保障の拡充も求めている。南米ではエクアドルやチリで政府の財政再建策への抗議活動が頻発しており、周辺国に波及した形だ。

大規模ストライキに参加する市民(21日、ボゴタ)=ロイター
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大規模ストライキに参加する市民(21日、ボゴタ)=ロイター

全土で抗議デモが発生し、公共交通網はほぼ停止した。各地で国境も一時的に閉鎖されている。2018年にドゥケ大統領が就任以来、ゼネストは初めて。財政再建の燃料や電気料金への補助金削減など各種改革への反対意見が相次いだ。

今回の抗議活動はエクアドルやチリにならったもので、政府の財政再建策や痛みを伴う改革を止める狙いがある。しかし、実際に燃料補助金の削減や地下鉄料金の引きあげに踏み切ったこれらの国と異なり、コロンビア政府は具体的に改革案を提案していない。一部の労組が危機感をあおり、抗議活動が拡大したという側面もある。

ドゥケ氏は21日、ツイッターに「我々の社会において、義務についての議論は重要だ」と投稿する一方、「他人の権利を制限することは許されない」として、抗議活動の過激化をけん制した。

資源価格の下落で経済が低迷する中、コロンビアは経常赤字と財政赤字の「双子の赤字」で通貨の下落が始まっている。国際通貨基金(IMF)は18日、燃料や電気料金への補助金削減を推奨する報告書を公表している。

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Ian Bremmer 世界の政治リスク分析に定評。著書に「スーパーパワー――Gゼロ時代のアメリカの選択」など。50歳。ツイッター@ianbremmer
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[国際27] ロシアの五輪参加に暗雲、ドーピング疑惑再び ウクライナによる選挙干渉疑惑はロシアの「作り話」米高官 アサド政権軍とロシアがイドリブ侵入の試み 朝鮮半島問題解決へ新計画、ロシアが北朝鮮に伝達 ロシアに対するサイバー攻撃の約55%が米国領内から
ロシアの五輪参加に暗雲、ドーピング疑惑再び
編集委員 北川和徳
Tokyo2020
2019/11/22 2:00日本経済新聞 電子版
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深刻化するドーピングが東京五輪・パラリンピックに暗い影を落としている。世界反ドーピング機関(WADA)はロシアへの新たな処分案を12月9日に審議すると発表した。処分が下れば2016年リオデジャネイロ大会と同様、ロシアの参加の可否が議論されることになりそうだ。

ロシアの国ぐるみの組織的ドーピング疑惑では、15年にWADAがロシア反ドーピング機関(RUSADA)を「不適格組織」と認定。国際オリンピッ…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52447210R21C19A1UP6000/


 
ワールド2019年11月22日 / 04:16 / 2時間前更新
ウクライナによる選挙干渉疑惑はロシアの「作り話」、米高官証言
Reuters Staff
1 分で読む

[ワシントン 21日 ロイター] - トランプ米大統領のウクライナ疑惑を巡る米下院情報特別委員会の弾劾公聴会で、国家安全保障会議(NSC)のヒル元上級部長(欧州、ロシア担当)は21日、ウクライナによる2016年大統領選への干渉疑惑はロシアが拡散した「作り話」であると証言した。

同氏は「当委員会の委員の中にはロシアではなくウクライナが選挙介入を行ったと考える向きもあるようだが、これはロシア側が広めた作り話だ」と発言。「弾劾調査においては各委員ともロシアに有利な政治主導の虚偽を宣伝しないようお願いしたい」と述べた。

またロシア側は来年の大統領選への干渉に向け準備を進めており、阻止するための時間はあまり残されていないと指摘した。

また、ともに公聴会に出席した在ウクライナ米大使館のホームズ参事官は、ウクライナ外交を巡って3月以降、トランプ氏の顧問弁護士を務めるジュリアーニ氏が幅をきかせるようになったと証言。7月18日に行政管理予算局(OMB)の当局者が対ウクライナ軍事支援の凍結を明らかにした際、「衝撃を受けた」とし、「この当局者によると、指示は大統領からで、マルバニー首席補佐官代行を通じてOMBに伝えられた」とした。

情報特別委の弾劾公聴会は21日が最終日となる。
https://jp.reuters.com/article/usa-trump-impeachment-idJPKBN1XV2DP

 

【シリア】 アサド政権軍とロシアがイドリブ侵入の試みを続ける
シリアでバッシャール・アサド軍とその支援国ロシアが、イドリブ南部にいる武装派反体制派と反政府武装集団の前線ラインに侵入を試みた。
21.11.2019 ~ 21.11.2019

武装派反体制派筋から得られた情報によると、政権を支援しているロシア特殊軍が11月19日晩にイドリブ南東部に侵入しようとした。

イドリブ南東部にあるムシャイリファ村から前進しようとした部隊と武装派反体制派および反政府武装集団の間で激しい戦闘が発生した。

政権とロシアの特殊軍は、ムシャイリファ山頂を制圧した。

激しい戦闘を経て午前に反体制派と反政府集団は山頂を奪還した。

当該の山頂は、イドリブの大都市からマアッラト・アル・ヌウマーンまでのルートの最初の防衛ラインという特徴を持っている。

一方、武装派反体制派の航空機監視所によると、ロシアの戦闘機はムシャイリファ村にある前線ラインに未明に国際戦争法によると使用が禁じられている白リン弾を使って攻撃した。約20分間で地域に白リン弾攻撃が4回行われた。

ロシア特殊軍は、この2か月間イドリブ緊張緩和地帯で戦略的な場所を制圧する目的で夜中に作戦を行っている。

当該の軍は、侵入作戦でまず武装無人航空機を使って、次に照明爆弾を使って攻撃している。

反体制派陣地に重大な犠牲を出させる目的で暗視できる狙撃兵が熱誘導武器も使用している。

トルコとロシア間で2018年9月17日に署名された合意以降、イドリブ緊張緩和地帯では政権とロシアの攻撃で民間人1300人以上が死亡した。

攻撃が激しい場所から比較的静かな場所、特にトルコ国境付近に移住する人の数はこの数年間で100万人以上となった。

(2019年11月20日)

キーワード: 反体制派 , イドリブ , ロシア , バッシャール・アサド , シリア
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朝鮮半島問題解決へ新計画、ロシアが北朝鮮に伝達
北朝鮮 朝鮮半島
2019/11/22 1:37
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【モスクワ=小川知世】ロシアのラブロフ外相は21日、朝鮮半島問題の解決に向けて中国とつくった新たな行動計画を北朝鮮側に伝えたと明らかにした。2017年に中ロでまとめた行程表を更新する内容で、米国や韓国など関係諸国にも近く伝達する。ロシアは非核化をめぐる米朝交渉が膠着するなかで存在感を示すねらいもあるとみられる。

ロシアのラブロフ外相(右)は朝鮮半島問題の解決に向けた新計画を北朝鮮に伝えたと明らかにした(21日、モスクワ)=AP
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ロシアのラブロフ外相(右)は朝鮮半島問題の解決に向けた新計画を北朝鮮に伝えたと明らかにした(21日、モスクワ)=AP

モスクワで開いたマレーシア外相との会談後の共同記者会見で述べた。ラブロフ氏によると、新計画は米朝や韓国の意見をふまえ、軍事、政治、経済、人道分野で各国が取るべき具体的な措置を盛り込んだ。軍事活動の凍結、政治対話や経済関係の再開に関連する内容という。同氏は訪ロした北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)第1外務次官と20日に会談していた。

ロシアは中ロが17年に策定した行程表の意義を繰り返し強調してきた。行程表は北朝鮮の核・ミサイル開発と米韓の合同軍事演習の同時凍結など対話を通じた段階的な解決を提唱する。ラブロフ氏は米朝交渉の停滞に言及し「交渉を支援し、袋小路に陥らせないために中国と立案した」と新計画のねらいを語った。

ロシアは中国との連携を打ち出し、交渉の仲介役として周辺地域で影響力を高めたい考えだ。ラブロフ氏は22、23日に名古屋市で開く20カ国・地域(G20)外相会合にあわせて、茂木敏充外相と会談を予定する。日本側に新計画の説明があるかも注目される。21日にラブロフ氏と会談したマレーシアのサイフディン外相も半島情勢の安定を訴え、在北朝鮮マレーシア大使館の業務を20年に再開すると表明した。

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ロシアに対するサイバー攻撃の約55%が米国領内から行われている© Sputnik / Grigoriy Sisoev
政治
2019年11月21日 20:59(アップデート 2019年11月22日 00:01)短縮 URL 0 12
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ロシア連邦議会(上院)国家主権保護委員会のアンドレイ・クリモフ委員長は、通信社スプートニクのインタビューで、ロシアに対するサイバー攻撃は年間数十億件記録されており、その半数以上が米国領内から行われていると語った。クリモフ氏は、これはロシアの政府機関や重要なインフラ施設、複数の公的機関に対するサイバー攻撃のことだとし、「サイバー攻撃の件数は毎年変動している。モニタリングを開始したときは約42〜43%だった。複数の情報によると、現在、ロシアに対するサイバー攻撃の53~56%が米国領内から行われている。同時に米国で検出されたロシア領内からの攻撃は約2〜3%だ」と述べた。

クリモフ氏は、米国の人口がロシアの2倍であることを考慮しても、米国領内からのロシアに対するサイバー攻撃の頻度が不釣り合いに高いことは明白だと強調した。

クリモフ氏によると、米国からのサイバー攻撃は常に行われており、年間最大数十億件に達している。また、例えば選挙中の中央選挙管理委員会のインターネットリソースに対するものなど、定期的にサイバー攻撃の一時的な増加が起こっているという。

メッセージングアプリ「テレグラム(Telegram)」の創設者パーヴェル・ドゥーロフ氏は20日、セキュリティ上の脆弱性が多数見つかったため、フェイスブック傘下のメッセンジャーアプリ「WhatsApp(ワッツアップ)」をデバイスから削除するようユーザーに呼びかけた。WhatsAppでハッカーや政府の情報機関がユーザーの個人情報にアクセスすることを可能とする脆弱性が見つかったという。

関連記事

ロシア外務省へのサイバー攻撃、昨年9ヶ月で7700万回
マイクロソフト、「ロシアのハッカー集団」がプリンターを使ってネットワークに侵入したと非難
https://jp.sputniknews.com/politics/201911216855424/
http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/776.html

[国際27] イスラエル検察、ネタニヤフ首相を起訴 収賄罪などで 首相は捜査を批判 イスラエル、再びやり直し総選挙 中東の不安定要因 イスラエル軍、2019年にパレスチナ人の子ども745人の身柄を拘束
イスラエル検察、ネタニヤフ首相を起訴 収賄罪などで
中東・アフリカ
2019/11/22 1:42 (2019/11/22 4:47更新)
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【カイロ=飛田雅則】イスラエル検察は21日、汚職疑惑を抱えるネタニヤフ首相を収賄罪などで起訴したと発表した。現職の首相の起訴は同国では初めて。疑惑を否定するネタニヤフ氏は首相辞任を拒否し、裁判で争うもよう。同国の法律上、首相は起訴されても辞任する必要はないが、国民から批判が高まるのは必至だ。通算13年半も首相を務めたネタニヤフ氏や、同氏が党首の与党リクードにとって打撃となる。

イスラエルのネタニヤフ首相=ロイター
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イスラエルのネタニヤフ首相=ロイター

検察はネタニヤフ氏について収賄、詐欺、背任の3つの罪で起訴した。検察によると、同氏は実業家に特別な計らいをする見返りにシャンパンや葉巻など高額な贈り物を受け取ったほか、通信大手ベゼクに便宜を図る代わりに、傘下のニュースサイトに好意的な記事を掲載するように要求したという。

マンデルブリット検事総長は同日の記者会見で「リーダーを起訴するのは、イスラエルにとって厳しく、悲しい一日だ。しかし、誰も法律を超えることはできない」と語り、起訴の正当性を強調した。

起訴されたネタニヤフ氏はフェイスブックにビデオメッセージを投稿し、「政府を転覆しようという試みだ。私は(首相を)辞任しない。国を率い続ける」と語り、検察に徹底的に対抗する姿勢を示した。

イスラエルでは9月のやり直し総選挙後、リブリン大統領に指名されたネタニヤフ氏に続き、野党指導者のガンツ元参謀総長も今月20日に組閣に失敗した。一院制の国会(定数120)は3週間の期限で、過半数の議員が支持する首相候補の擁立に動いている。

今回の検察が起訴したことで国民からの批判が高まれば、ネタニヤフ氏の政治生命の危機に直面する可能性がある。次期政権の樹立に向けた交渉にも影響が及びそうだ。

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ネタニヤフ首相を収賄罪などで起訴へ 首相は捜査を批判
有料記事

エルサレム=高野遼 2019年11月22日05時43分

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写真・図版エルサレムで20日、演説をするネタニヤフ首相=AP

写真・図版
 イスラエルの検察当局は21日、汚職疑惑が浮上していたネタニヤフ首相について、収賄罪などで起訴すると発表した。同国で現職の首相が起訴されるのは建国以来初めて。ネタニヤフ氏は起訴されても首相を続ける意向を示しているが、政治の混乱に拍車がかかるのは必至だ。

 検事総長の会見によると、ネタニヤフ氏は大手通信企業に便宜を図る見返りに、ニュースサイトで自らに好意的な報道を求めたとして、収賄や背任などの罪に問われている。そのほか実業家から高額な贈り物を受けた事件などを含め、計3件が起訴対象となる。

 ネタニヤフ氏は検察の起訴発表の直後に会見を開き、「誤った主張により、政権を転覆させようとする試みだ。私はこの国を率い続ける」と捜査当局を強く批判した。

 同国の法律では、起訴されても…
https://www.asahi.com/articles/ASMCQ16D5MCPUHBI05G.html


イスラエル検察 ネタニヤフ首相を収賄罪などで起訴すると発表
2019年11月22日 2時05分

イスラエルで長期政権を維持するネタニヤフ首相が地元の通信業者に便宜を図る見返りに、政権に好意的な報道をするよう要求していたとして検察当局は首相を収賄などの罪で起訴すると発表しました。首相は有罪が確定するまで職にとどまることができますが、政治的には大きな打撃となります。

イスラエルの検察当局は21日、ネタニヤフ首相が地元の通信業者に対し、便宜を図る見返りに傘下にあるネットメディアで政権に好意的な報道をするよう要求していたとして首相を収賄や背任などの罪で起訴すると発表しました。

ネタニヤフ首相は記者会見し「でたらめの事実に基づいて政権転覆を図るクーデターの試みだ。私が責任をもってこの国を率い続ける」と述べて無罪を主張し、辞任する考えはないことを強調しました。

イスラエルの法律では、首相は有罪が確定するまで職にとどまることができますが、起訴は政治的に大きな打撃となります。

イスラエルではことし2度、総選挙が行われましたが、ネタニヤフ首相の与党陣営と野党勢力は、いずれも過半数の議席を確保できず、連立交渉も難航し、新しい政権が発足する見通しはたっていません。

このためネタニヤフ政権が暫定的に続いていますが、首相が起訴されたことで、今後の連立交渉や、それが不調に終わって3度目の総選挙が行われた場合は、ネタニヤフ首相に逆風が吹くことになりそうです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191122/k10012186401000.html


 
イスラエル、再びやり直し総選挙へ 中東の不安定要因に
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2019/11/21 19:09
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【カイロ=飛田雅則】イスラエルで2度目のやり直し総選挙が実施される見通しになった。リブリン大統領に組閣を指示されていた第1党の野党指導者ガンツ元軍参謀総長が20日、連立協議の失敗を認めたためだ。「権力の空白」が長引き、米国は新たな中東和平案の発表を先送りする可能性がある。右派のネタニヤフ首相の続投を支持するトランプ米政権がバランスを欠く親イスラエル政策を一段と進めれば、中東の不安定要因は増えそうだ。

イスラエルの中道野党連合「青と白」のガンツ元軍参謀総長=ロイター
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イスラエルの中道野党連合「青と白」のガンツ元軍参謀総長=ロイター

イスラエルの右派与党リクード党首のネタニヤフ首相=ロイター
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イスラエルの右派与党リクード党首のネタニヤフ首相=ロイター


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汚職疑惑を抱えるネタニヤフ氏が前倒しで実施した4月の総選挙は同氏が党首を務める右派リクードが第1党を維持した。同氏は組閣を要請されたが不調に終わった。9月のやり直し総選挙ではガンツ氏の中道野党連合「青と白」が国会(定数120)で33議席を得て第1党になったが、リブリン氏は第2党(32議席)リクードのネタニヤフ氏に組閣を求めた。同氏が失敗し、ガンツ氏におはちが回ってきたが、組閣はできなかった。

国会は3週間以内に新たな首相候補を選ぶ手続きに入るが、国会で過半数の支持を得られる候補者の擁立は難しく、2度目のやり直し総選挙の実施が濃厚になった。

政界には「青と白」とリクードによる大連立を望む声が多い。ガンツ氏、ネタニヤフ氏は共に前向きだが、大きな課題が解決されない。ネタニヤフ氏が首相続投にこだわる一方、ガンツ氏が「汚職疑惑のある人物は首相にふさわしくない」と拒否しているのだ。イスラエルの複数の有力メディアによると、同国の検察当局は近く、ネタニヤフ氏を収賄などの罪で起訴する構えをみせている。

ガンツ氏は組閣期限の20日「ネタニヤフ氏が国を危険な道に引きずり込もうとしている」と非難した。大連立が実現しないのはネタニヤフ氏が続投に固執しているからだと主張する。イスラエルの法律では、ネタニヤフ氏が仮に起訴されても首相を続けられる。

ネタニヤフ氏が強気なのは、トランプ大統領の支持を受けるためだ。

イスラエルは中東における米国の最大の同盟国だが、トランプ氏の肩入れの理由はそれだけではない。米国におけるトランプ氏の支持基盤の一つである保守派のキリスト教福音派が、聖書に書かれた未来を実現するためユダヤ人国家のイスラエル寄りの政策を強く求めているためだ。イスラエルの安全保障を脅かすイラン、パレスチナなどへ強い姿勢を崩さない右派のネタニヤフ氏はトランプ氏の信頼を得ている。

米国が、イスラエルの新政権発足後、新たな中東和平案を発表する方針であることも、ネタニヤフ氏の続投支持につながる。同案について、トランプ政権はネタニヤフ政権と練ってきた。もしイスラエルの政権が中道に代われば、和平案の内容を修正する必要が出てくるかもしれない。2020年の米大統領選で再選を目指すトランプ氏は支持層の歓心を買える和平案を用意しているとみられる。発表が遅れても内容の変更は避けたい。

2度目のやり直し総選挙の実施が決まれば、トランプ政権のネタニヤフ氏への肩入れは一段と強まる可能性がある。ポンペオ米国務長官は18日、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区でイスラエルが進める入植活動が「国際法に違反しない」と言明した。ネタニヤフ氏がこれまで表明してきた入植地の併合方針を後押しした形だ。これにはイスラエルと敵対するアラブ諸国だけでなく欧州諸国も反発している。

イスラエルは20日、シリアの首都ダマスカス近郊にあるイラン革命防衛隊の軍事拠点に大規模な空爆を実施した。ネタニヤフ政権がイランへの強硬姿勢を改めて示した格好で、イスラエルの右派勢力の支持を改めて取り付けるとともに、イラン敵視でトランプ政権と協調する姿勢を示した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52451950R21C19A1FF1000/?n_cid=SPTMG002


 


イスラエル軍、2019年にパレスチナ人の子ども745人の身柄を拘束
イスラエル軍は、2019年最初の10か月間にパレスチナ人の子ども745人の身柄を拘束した。
21.11.2019 ~ 21.11.2019
イスラエル軍、2019年にパレスチナ人の子ども745人の身柄を拘束

パレスチナ人捕虜協会が「11月20日世界こどもの日」にちなんで公表した報告では、イスラエルの刑務所にパレスチナ人の子ども200人以上が収監されていると明かされた。

イスラエル軍が2019年初めから10月末までに18歳以下のパレスチナ人の子ども745人の身柄を拘束したと述べられた報告では、これらの子どもたちは教育をはじめ、家族との面会の不許可や治療に必要な医薬品の不支給といった一部人権侵害にさらされていると述べられた。

イスラエル政権が2015年にパレスチナ人の子どもに関して重罰を含む一連の法案を制定したことが強調された報告では、イスラエル軍が2015年から身柄を拘束した一部子どもたちに直接発砲、侮辱または弾圧、脅迫、暴力的な攻撃を行ったと述べられた。

報告ではまた、国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)をはじめとする国際機関に「パレスチナ人の子どもたちを守るためにより一層努力するよう」呼びかけが行われた。

(2019年11月20日)

キーワード: 国連児童基金(ユニセフ、UNICEF) , 世界子どもの日 , パレスチナ , イスラエル軍 , イスラエル

https://www.trt.net.tr/japanese/shi-jie/2019/11/21/isuraerujun-2019nian-niparesutinaren-nozi-domo745ren-noshen-bing-woju-shu-1309794
http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/777.html

[国際27] トルコ共和国の名古屋総領事館、明日開設 エルドアン大統領 「トルコが手にした結果はサクセスストーリー」プーチン露大統領「ソ連は非効率的な経済政策により崩壊した」
trt.net.tr
【速報】

トルコ共和国の名古屋総領事館、明日開設へ
「トルコ共和国の名古屋総領事館の開設式典が明日行われる」、日本トルコ文化経済交流支援協会が突然の発表を行った。
21.11.2019 ~ 21.11.2019
【速報】 トルコ共和国の名古屋総領事館、明日開設へ

日本(にほん)の愛知県稲沢市(あいちけん いなざわし)を拠点に活動を行っている日本トルコ文化経済交流支援協会が、トルコ時間の11月21日 6時少し前に公式Facebook(フェイスブック)ページで行った発表によると、トルコ共和国の名古屋総領事館の開設式典は、日本時間の11月22日15時に、名古屋市(なごやし)にあるKSイセヤビルの4階で行われる。

開設式典には、トルコ共和国外務省のメヴリュト・チャウショール大臣と東京(とうきょう)駐在のトルコ共和国特命全権大使、ハサン・ムラット・メルジャン大使も出席する。

トルコ時間11月21日11時現在、これに関する駐日トルコ共和国大使館からの発表はない。

◇ ◇ ◇

10月30日に発行された官報第30933号に掲載された大統領決定第1731号により、大阪(おおさか)への総領事館設置が取りやめになり、代わりに名古屋に総領事館を設置することが決められた。

名古屋総領事館は、近畿地方(きんきちほう)、中国地方(ちゅうごくちほう)、四国地方(しこくちほう)、九州・沖縄地方(きゅうしゅう・おきなわちほう)、中部地方(ちゅうぶちほう)のうち愛知県(あいちけん)、岐阜県(ぎふけん)、福井県(ふくいけん)、石川県(いしかわけん)を管轄する。

これに伴い、駐日トルコ共和国大使館領事部の管轄地域は、名古屋総領事館が管轄する地域を除く日本の全土とミクロネシア連邦となる。

2019年11月21日 木曜日

文責: 浅野涼子 (ryoko.asano@trt.net.tr)
https://www.trt.net.tr/japanese/toruko/2019/11/21/nagoya-20191121-1310113


 


エルドアン大統領 「トルコが手にした結果はサクセスストーリー」
レジェプ・ターイプ・エルドアン大統領は、数多くの問題においてトルコが手にした結果は、サクセスストーリーであると表明した。
20.11.2019 ~ 21.11.2019
エルドアン大統領 「トルコが手にした結果はサクセスストーリー」

エルドアン大統領は11月20日、党首を務める公正発展党(AKP、読み「アーケーペー」)の首都アンカラにある党の本部で開催された公正発展党広域県支部長会議で演説した。

演説で、トルコは治安から経済に至る非常に多くの前線で同時に生き残りのたたかいを行っている時期を通ってきたことを表明したエルドアン大統領は、「外からの脅威を乗り越えることにおいて、我々にはごくわずかな困難もない。現場だろうが机の上だろうが、我が国と国民の未来のために脅威を生み出すあらゆる攻撃を阻止する。テロリストは向かってくる。我々はそれを踏みつぶし前進する。テロリストは国境を侵害する。我々は脅威の根源まで突き進む。テロリストは我が国の経済を攻撃する。我々は短期間で立て直し、我が道を進んでいる」と述べた。

エルドアン大統領は、この数年で、シリア、イラク、東地中海、難民問題をはじめ、数多くの問題において手にした結果は、サクセスストーリーであると表明した。

エルドアン大統領は、「この問題を利用してトルコを屈させようと企む者は、我が国が獲得したものを前に驚きを隠すこともできずにいる。我が国と国民に敵対心を持つ者らを驚かせるのは、我々にとって最大の名誉だ」と述べた。

たたかいを進めるなかで、最大の力とやる気の源は、国民からの支持・支援であると表明したエルドアン大統領は、トルコの内外の行く先々で出会う心温まる愛情の洪水は、この最大の証拠であると表明した。

2020年は金利がさらにぐっと下がる1年になるだろうと表明したエルドアン大統領は、もはや外貨ではなく、国の通貨で行動する時代になったと述べた。

IMF(国際通貨基金)との関係はないことも明らかにしたエルドアン大統領は、「IMFの問題はクローズした。今はIMFに用はない。我々には我々だけで十分だ」と述べた。

(2019年11月20日 水曜日)

キーワード: IMF(国際交流基金) , テロとのたたかい , レジェプ・ターイプ・エルドアン
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21.11.2019
https://www.trt.net.tr/japanese/toruko/2019/11/20/20191119-002-1309775


プーチン露大統領、「ソ連は非効率的な経済政策により崩壊した」
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、ソビエト連邦はバルト諸国で高まった民族主義ではなく、いたって非効率的な経済政策が原因で崩壊したと述べた。
20.11.2019 ~ 21.11.2019
プーチン露大統領、「ソ連は非効率的な経済政策により崩壊した」
プーチン大統領は、首都モスクワで開催された「ロシアが呼んでいる」というフォーラムで演説し、ロシア経済に関する見解を述べた。

国民の実質所得の向上は経済開発に不可欠な指標であると指摘したプーチン大統領は、「ロシアでは給与が上がっている。これは周知の事実である。しかし、国民の実質所得は停滞している。それを変えなければならない」と語った。

長期的で持続可能な開発を行うために起業や質のよい雇用を支援する必要があると述べたプーチン大統領は、

「ロシア政府はこのことで任務を負っている。ロシア中央銀行とロシアの実業界がこの任務を全うすることを願っている」と語った。

世界経済は貿易戦争による問題に直面していると述べたプーチン大統領は、

「しかし、政治的理由により生じた制限や貿易戦争があるとはいえ、世界経済が不況に陥るとは思っていない」と話した。

演説で、ソ連崩壊に至るプロセスと、欧州連合(EU)で今日起きているプロセスの比較に関する質問に対してプーチン大統領は、

「ソ連はバルト諸国で高まった民族主義が原因で崩壊したのではない。ソ連の崩壊は、社会的領域で崩壊に繋がったいたって非効率的な経済政策によるものだ」と語った。

(2019年11月20日)
https://www.trt.net.tr/japanese/shi-jie/2019/11/20/putinlu-da-tong-ling-solian-hafei-xiao-lu-de-najing-ji-zheng-ce-niyoribeng-huai-sita-1309784
http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/778.html

[経世済民133] “五つ星”はカネで買える 揺らぐアマゾンの信頼 消費者だます「やらせレビュー」蔓延、首謀者が全告白
“五つ星”はカネで買える 揺らぐアマゾンの信頼
消費者だます「やらせレビュー」蔓延、首謀者が全告白


吉野 次郎
日経ビジネス記者
2019年11月22日
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世界最大の通販サイト、アマゾンで商品を絶賛する「やらせレビュー」が横行している。大勢の消費者を惑わす者の正体を追って中国・深圳の雑居ビルにたどり着いた。不正対策に年間400億円超を投じるアマゾンをあざ笑う首謀者が、ついに全手口を明かした。


やらせレビューに手を染める中国・深圳のネット販売業者のオフィス(左)と倉庫(右)
 IT関連メーカーが集積する中国・深圳。その中心部から10kmほど北の坂田(バンティエン)地区に足を踏み入れた。牛肉や豚肉のおいしそうな匂いを漂わせる飲食店、零細の物流会社、家族経営の商店が混然と立ち並ぶ。

 現地を案内してくれた深圳在住の王宇航氏(仮名)が流暢な日本語で切り出した。「坂田地区には、アマゾンにIT関連製品を出品する、私たちのようなネット販売業者が集結しています」

 王氏とはフェイスブックを通じて知り合った。チャットで取材交渉を重ねること1カ月。現地で初対面した王氏は社交的な20代の若者だった。

 「今から向かう勤務先の同僚たちにはあなたの来訪目的を伝えていません。のちほど真相をすべてお話ししますから、職場では決して余計な詮索をしないようお願いします」

 そう念押しして、路地に建つ雑居ビル内のオフィスに招き入れてくれた。2フロアに分かれて50人ほどが働いている。多少雑然としてはいるが、いかがわしさは感じられない。

 自社開発したワイヤレスイヤホンや携帯型スピーカーなどのIT関連製品を、日本、米国、英国、ドイツ、フランスに輸出し、アマゾンを通じて現地で販売している。各国のアマゾンに開設した「ストア」と呼ばれるオンライン店舗を、現地語を操る従業員が運営していた。日本語を勉強した王氏は、日本向けのストアを任されている。一見したところ何の変哲もない、一般的なネット販売業者である。

 しかし一皮むけば、ここは秘密裏に遂行される捏造の中枢だ。ストア運営者は全員「やらせ」に手を染めている。担当国の協力者を操って、アマゾンで自社商品を絶賛するレビューを量産している。王氏は、日本の消費者向けのやらせレビューを担う首謀者である。

 「私たちだけではありませんよ。この辺りのネット販売業者はどこでもレビューを操作しています」

 王氏はそうささやいた。坂田地区は世界最大の通販サイト、アマゾンに偽のレビューを蔓延させる“汚染源”だった。

次ページネットの評判は死活に直結
ネットの評判は死活に直結
 「商品が届きました。品質がよく、しかも安い。コスパ最高!」

 「料理はどれもおいしく、接客も行き届いていました。大満足です」

 通販サイトや口コミサイトにずらりと並ぶ高評価のレビューを信頼し、商品を購入したりサービスを選択したりする人は多い。三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)が、SNS(交流サイト)の利用者を対象に実施したアンケート調査では、ほぼ全員が商品やサービスの購入時にレビューを参考にしていた。他人のレビューを「とても参考にしている」もしくは「ある程度参考にしている」と回答した比率は合わせて95%を占める。

合計95%がレビューを参考にする
●商品やサービスの購入時にレビューを参考にする割合

注:三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ。調査対象は過去1年にSNSを閲覧した508人

https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00117/00082/g1.jpg

 「レビューを確認するのは、特にどのような商品やサービスを購入するときか」との問いに対して最も多かった答えが「白物家電、AV家電、カメラ」で、46%に達した(複数選択可)。2位は29%の「パソコン、携帯電話」だった。1位と2位の製品群は、日本のネット通販業界では、アマゾンが抜群の販売力を誇っている。

 サービス業の中で「特にレビューを確認する」ことが最も多かったカテゴリーは「飲食サービス」で、22%に上った。飲食業ではカカクコムが運営する口コミサイト、食べログのレビューが最も権威があると見なされている。

 圧倒的な影響力を持つ「レビュー界」の両雄といえるアマゾンと食べログ。アマゾンに出品するネット販売業者や、食べログに掲載された飲食店は、少しでも評価を高めようと必死だ。MURCの調査では、レビューがよくなかった場合に「購入を取りやめる」あるいは「購入を取りやめることの方が多い」とした者は、合計76%に達した。ネット販売業者や飲食店にとってレビューの良しあしは死活に直結する。

 「これは戦争です」

 職場から少し離れた喫茶店で、王氏はアマゾンのレビューが販売に与えるインパクトを口にした。

 「同業者を上回る評価を獲得しなければ、販売競争に負けてしまいます」

 飲食店もレビューに振り回されている。最近まで東京都内でレストランの店長を務めていた川崎理明氏は振り返る。

 「食べログでは2年前にレビューの集計方法が突然変わったため、店の総合得点が一気に下がったことがありました。その影響でお客さんからの予約はぴたりと止まりました」

 現在、川崎氏は飲食関連のコンサルタントとして活動している。

 「クライアントの中には、食べログの点数が下がったせいで、月商700万円が600万円まで落ち込んだ飲食店があります。損益分岐点が月商600万円のお店だったので、店主は頭を抱えています」

 わずかな点数の変化で売り上げが大きく増減するストレスから逃れようと、禁断のやらせに手を出そうと思う飲食店経営者が増えるのも無理はない。そうやってやらせレビューに頼る競合店が増えていけば、「正直者がバカを見る」傾向は強まっていく。

 坂田地区は正直者がバカを見る段階を通り過ぎている。やらせレビューで攻勢をかける競合相手にやらせで対抗していった結果、もはや正直者は見当たらなくなった。

https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00117/00082/?P=2&mds

http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/684.html

[経世済民133] 根拠薄いがん検診、自治体の9割で 過剰診療招く恐れ 22府県で指針順守ゼロ 効果薄い薬にも保険 英仏より適用基準は緩く
根拠薄いがん検診、自治体の9割で 過剰診療招く恐れ
【イブニングスクープ】
漂流する社会保障 経済 地域総合
2019/11/22 18:00日本経済新聞 電子版

がん検診で、死亡率を下げるメリットが証明されていない方法を実施している市区町村が9割に上ることが日本経済新聞の調べで分かった。科学的根拠が乏しい検診は過剰診療や過剰治療を招きやすく、税金や医療費の無駄遣いにつながる。海外ではこうした集団検診を廃止する流れにある。専門家は「根拠がある検査の受診率向上に力を入れるべきだ」と指摘している。

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■誤診断や被曝のリスクも

イブニングスクープ
翌日の朝刊に掲載するホットな独自ニュースやコラムを平日の午後6時ごろに配信します。
がん検診は早期発見につながる一方、誤診断やエックス線検査による放射線被曝(ひばく)でがん発症のリスクが高まるなど受診者に不利益もある。集団検診では不利益を受ける人が多くなるため、国立がん研究センターなどは死亡率を下げるメリットが大きいことが証明された検診に限って推奨している。

個人が自己負担で受ける場合と異なり、集団検診では税金が投入されており、…


https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52478950S9A121C1SHA000/


がん検診、22府県で指針順守ゼロ
漂流する社会保障 経済 地域総合
2019/11/22 18:05日本経済新聞 
国の指針に基づかないがん検診は都道府県の姿勢にも左右される。開示されたデータを基に、指針外の検診を実施している市区町村の比率を都道府県別にみると、地域によってばらつきがある。

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効果薄い薬にも保険 英仏より適用基準は緩く
2019/8/7 18:00日本経済新聞 電子版
日本は医薬品に公的医療保険を使う基準が海外より緩い実態が明らかになった。日本経済新聞が処方額の上位50品目について、似た制度の英国とフランスでも保険を使えるかを調べると4割が日本より利用を制限していた。英仏は費用対効果を検証し基準に反映させるが、日本は一度認めると保険を使い続けられる。医療費を抑制するには、効果検証を通じて薬の入れ替えを進める政策が急務になる。

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http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/688.html

[経世済民133] 年金改革、将来不安は解消遠く 変わらぬ高齢者偏重 年金減額51万円案に異論 強まる世代対立 公的年金、2年連続抑制 年金、支え手拡大急ぐ
ビジネス
2019年11月22日 / 13:52 / 5時間前更新
焦点:
年金改革、将来不安は解消遠く 変わらぬ高齢者偏重
中川泉
3 分で読む


[東京 22日 ロイター] - 政府が年内に見直しをとりまとめる予定の年金制度の方向性が社会保障審議会で明らかになりつつあるが、2000万円問題を契機として高まった現役世代の不安解消期待は望めそうにない。急増する高齢者への給付財源を確保するため、パートなど年金の支え手を増やし働く高齢者を厚遇するが、一方で肝心の給付抑制には踏み込めず、4400万人の現役世代の給付改善への配慮は限定的だ。
<「将来の安心」へシフト要望相次ぐ>
21日に首相官邸で開催された第3回全世代型社会保障検討会議で、日本商工会議所の三村明夫会頭は安倍晋三首相に、政策の軸足を足元の安心から「将来の安心」へシフトすべきと提言した。高所得の高齢者の負担を増やし、事業主や子育て世代にかかる負担の抑制などの改革を早急に進めるべきという視点だ。
第2回の会議でも、学生企業家から「従来の高齢者偏重の社会保障制度から、どの世代も合理的に社会保障制度の便益を享受できる仕組みを作ってほしい」(株式会社GNEX代表取締役CEO、三上洋一郎氏)との意見が出ている。
こうした現役世代が抱える不安の背景にあるのは、いびつな人口構成だ。年金保険料を支払う側の労働力人口は、現在7400万人が20年後には1400万人減少する一方、給付を受ける65歳以上は300万人増加する。
今夏、厚生労働省が出した年金財政試算では、将来世代への年金支給率(現役男子手取りに対する年金額)は、今の高齢者の受給率61.7%に比べて、40%台にとどまるというシナリオも示されている。
<働く高齢者の厚遇、将来給付には逆効果>
しかし、5年に1度行われる今回の改革でも、年金の支え手を増やすために、高い収入があっても満額受給できる人を従来より増やす方向で見直しが進んでいる。
現状の「在職老齢年金」という制度では、65歳以上で月47万円以上の収入のある人を対象に給付を減額しているが、高齢者の働く意欲を削ぐとして社会保障審議会では廃止も視野に議論されている。13日の審議会では、収入上限を51万円に引き上げる方向性が打ち出された。  
「就労高齢者増加に合った年金制度に変える」(厚労省幹部)ことを大義名分に、高齢者にはなるべく長く働いてもらい、年金の支え手であり続けてもらうことが狙いだ。
日本総合研究所・主席研究員の西沢和彦氏は「現役世代の将来の所得代替率は減少することなり、将来世代の不安解消には逆行するものだ」と指摘している。
<本丸の給付抑制策、経済情勢頼みに限界>

https://graphics.reuters.com/JAPAN-PENSIONS-LJA/0100B25710T/japan-pension.png

その一方で、政府の議論は、高額の年金をもらう高齢者への給付を抑制するところまでは踏み込んでいない。
現状の年金制度は、物価や賃金が上昇した際に給付の上昇分を抑制する「マクロスライド」を用いており、経済・物価上昇した際にまとめて減額することになっているが、物価や賃金が上がりにくい局面においては全く機能しない。
日本総研の西沢氏は「経済情勢に依存する制度では不安定。人為的に毎年抑制していくべき」と指摘。高齢者にとっても「物価が上がった時だけ年金が減額されるのは、逆に生活が苦しくなる」(ニッセイ基礎研究所・主任研究員の中嶋邦夫氏)との見方もあり、現役世代、高齢者のいずれにとっても好ましい政策とは言い難いものになっている。
<パートも厚生年金加入へ、125万人担い手拡大狙う>
現役世代に対しては、支え手となる厚生年金加入者を増やして保険料徴取を拡大する方針だ。
厚労省は、従来加入対象でなかった中小企業のパート労働者にも厚生年金の適用を拡大する方針で、厚生年金への加入者を「現状の4400万人から125万人程度の増加を目指す」(別の厚労省幹部)としている。今後、フリーワーカーや個人事業所の雇用者にも幅広く加入してもらうことを目指す議論も出ている。
ニッセイ基礎研の中嶋氏は「時短勤務で働く人にとっては、厚生年金加入により将来の受給額増のメリットがある」とみている。ただ、現役世代の中には「年金の支え手が増えても、将来の給付が確実に受け取れる安心感が持てない。保険料拡大を図りたい政府に都合の良い改正」(50代男性)との声もある。

https://graphics.reuters.com/JAPAN-AGING-LJA/0100B32127P/birth-pension.png

今後、年金に続いて医療改革の議論も本格化する。しかし、厚労省の幹部の1人は「医療費削減も含め、今回論点に上がっている社会保障改革を全て実現できたとしても、40年後の給付金は改革前とそれほど変わりないとの試算がある」と本音を漏らす。
中嶋氏は「少子化を食い止めなければ、問題は抜本的には解決しない。政府はもう少しその点に力を入れるべき」と指摘している。「負担と給付の見直し」だけでなく、より長期的視点で少子化対策による世代構成のゆがみを是正すべく、根本的な取り組みが求められている。
編集:田中志保
https://jp.reuters.com/article/pension-reform-idJPKBN1XW0CG

 


国内政治ニュース(共同通信)2019年11月22日 / 19:28 / 1時間前更新
年金減額51万円案に異論
共同通信
1 分で読む

 働いて一定以上の収入がある高齢者の年金を減らす在職老齢年金制度に関し、政府が検討する減額基準を「月収51万円超」に見直す案について、与野党から異論が出ている。高齢者の就業を促すために減額基準を現行の「月収47万円超」から引き上げる内容だが「年金財政に悪影響を与える」「高所得者優遇だ」との批判だ。与党の理解が得られない場合、政府は制度を見直さずに現状を維持することも視野に入れる。

 22日の衆院厚労委員会で立憲民主党会派の山井和則氏は、基準引き上げを「金持ち優遇だ」と指摘した。在職老齢年金制度は厚生年金を受け取る働く高齢者が対象。

【共同通信】
https://jp.reuters.com/article/idJP2019112201002390


 

働く高齢者の年金減額、月収51万円超で 強まる世代対立
経済
2019/11/13 20:02日本経済新聞 電子版
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公的年金を巡り、世代間のあつれきが強まっている。厚生労働省は13日、働く高齢者の年金を減らす在職老齢年金制度で、対象者の月収額を51万円超とする案を審議会に示した。当初案は働く高齢者の意欲を引き出すため、月収62万円超として減額の対象を大きく減らす方針だった。だが、高齢者への給付増への批判から、絞り込みは小幅にとどまった。本格的な給付抑制を避けたままでは、年金改革が空回りすることが改めて浮き彫り…

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公的年金、2年連続抑制へ
マクロスライド、来年度も発動 物価の上昇見込む
2019/11/22付
日本経済新聞 夕刊
公的年金の給付額を抑える「マクロ経済スライド」が2020年度に発動される見通しだ。緩やかな景気回復の下で、物価や賃金が小幅ながら上がり、実施の条件を満たす公算が大きい。発動すれば、いまの高齢者への年金を抑え、将来世代の給付に回すことができる。デフレ下では発動しない制限があるため、これまで抑制が不十分だった。厚生労働省は今後30年弱にわたって抑制が必要だと見込む。

画像の拡大
マクロ経済スライドは政府が04年に導入した。これまでの発動は15年度と19年度の2回のみで、20年度に発動すれば初めて2年連続となる。19年の物価や賃金の年間上昇率が確定する20年1月に正式に決まり、20年4月から適用する。
年金額は物価と賃金の変化にあわせて毎年度改定するルールだ。過去は物価と賃金が1%伸びれば、年金も1%増やしていた。マクロスライドの導入後は、この上昇率を抑えて給付を絞る仕組みになっている。
19年度の年金支給額は厚生年金を受け取る夫婦2人のモデル世帯でみると、227円増の月額22万1504円。自営業者などが入る国民年金では、満額支給で1人67円増の月額6万5008円となっている。19年度は賃金が前年度比0.6%上昇したが、マクロ経済スライドの発動で、年金給付額は18年度から0.1%の小幅の伸びに抑えられた。
マクロスライドの発動を判断する指標の一つが消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率だ。プラスになることが発動の条件となっている。
22日に総務省が発表した10月の上昇率は毎月の変動が大きい生鮮食品を含む総合指数で、前年同月比0.2%だった。1〜10月の平均上昇率は前年同期比0.4%程度のプラスで推移している。物価の伸びは鈍いものの、19年の年間の物価上昇率はプラスを維持できる見込みだ。
発動を決めるもう一つの指標が賃金上昇率だ。賃金には厚生年金の保険料引き上げによる可処分所得の減少が反映されている。17年度で保険料引き上げが終了したため、今回は賃金上昇率が改善しやすい。物価が見込み通り伸びれば賃金もプラスとなり、マクロスライド発動の条件を満たす。
物価や賃金の動向が大きく変わらなければ、マクロスライドによる抑制幅は0.2%程度となり、年金の改定率は微増か横ばいに抑えられる可能性が高い。
厚労省は8月、公的年金の将来の給付水準を示す財政検証を公表した。このなかで今後30年近くはマクロスライドによる給付の抑制が必要だとの見通しを示した。
マクロスライドは名目年金額が前の年度を下回らないようにするため、デフレ下では発動しない制限がある。これまでめったに発動してこなかった。給付を抑制できない分、高齢者に計画より多くの年金を支払うことになり、抑制期間が長期化する弊害を招いてきた。
導入した04年当時は19年間で抑制は終わる計画だった。ところが発動できない年が多かったため、今後30年近くというさらに長い抑制期間が必要になった。会計検査院は04年度から16年度まで毎年マクロスライドを発動していれば、計3.3兆円の国庫負担を削減できたと指摘する。
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年金、支え手拡大急ぐ パート加入増で給付水準上げへ
2019/8/27 23:21
厚生労働省が27日公表した公的年金の財政検証では、少子高齢化で先細りする公的年金の未来像が改めて示された。日本経済のマイナス成長が続き、労働参加も進まなければ2052年度には国民年金(基礎年金)の積立金が枯渇する。厚生労働省は一定の年金水準を確保できるよう、会社員らの入る厚生年金の適用を拡大し、高齢者やパートらの加入を増やす改革に乗り出す。
【関連記事】
・年金、現状水準には68歳就労 財政検証
・年金先細りの未来図 給付水準、30年かけじわり低下
給付水準の物差しとなる現役世代の手取り収入に対する年金額の割合(所得代替率)は最も楽観的なケースでも51.9%まで下がる。19年度に比べ16%低くなる。少子高齢化が進むなか、長期間にわたり給付抑制が避けられないためだ。

画像の拡大
厚労省が用いた6つの経済前提ではどれも実質賃金が増える。過去5年間で実質賃金が増えたのは16年度の1年だけ。介護の必要度が高まる75歳以上の高齢者が増えていくのを踏まえると、過去5年に進んだような高齢者の労働参加もいずれ限界を迎える。検証よりも厳しい未来が待ち受ける可能性も否定できない。
公的年金の給付抑制は公的年金の1階部分に当たる国民年金で主に進む。現在、国民年金のみで見た所得代替率は36.4%。経済成長ケースで40年後半には26%台まで下がる。現在、国民年金のみの加入者が保険料を40年間支払ってもらえる年金額は月当たり約6万5千円だ。厚生年金と比べると所得保障の機能は弱い。
将来の低年金者を減らすため、厚労省は厚生年金を適用する労働者を拡大する考えだ。現在、厚生年金は(1)従業員501人以上の企業に勤める(2)労働時間が週20時間以上(3)月額賃金が8.8万円以上――などを満たす労働者を対象にする。
これらの要件について、3つの仮定を置き、どれくらい所得代替率を押し上げるのか確認する「オプション試算」を財政検証に合わせて実施した。
1つ目は月収5.8万円以上の短時間労働者すべてを対象にした場合だ。新たに1050万人が厚生年金に入る。この場合、将来の所得代替率を4〜5ポイント引き上げる効果がある。
また厚生年金を適用する企業規模の要件を廃止し125万人を適用する場合で0.4〜0.5ポイント、賃金要件もなくして325万人が新たに加入する場合で0.8〜1.1ポイント、それぞれ所得代替率を押し上げるとした。
国民年金(基礎年金)の保険料を納付できる期間を延長することも所得代替率の引き上げに大きな効果がある。60歳から65歳まで延長した場合、所得代替率は7ポイント弱上がることが試算で示された。ただ国民年金の財源の半分が税金だ。納付年数が延びた分にあわせて年金を増額すれば、必要な税金も増えるため実現へのハードルは高い。
一方、働いて一定の収入のある高齢者の年金を減額する仕組み(在職老齢年金制度)の見直しは所得代替率を下げるとの結果が出た。65歳以上の減額をやめて年金を増額すると0.3〜0.4ポイント程度下がる。将来世代にあてる年金財源が減ってしまうためだ。
給付抑制の強化は慎重姿勢だ。「給付増の抑制ではなく、支え手を増やすことなどで給付をいかに確保するかが今後の課題」。厚労省は27日に公表した財政検証の関連資料でこう明記した。現役世代の減少などに合わせて給付額の伸びを抑える「マクロ経済スライド」がフルに発動した場合の所得代替率を試算しているものの「参考」にとどめた。
厚労省はこうした試算を踏まえ、将来の年金給付水準を底上げする効果が大きい厚生年金の適用拡大を急ぐ構えだ。
■自助努力の重要性鮮明
厚生労働省の財政検証によると、夫婦世帯の年金の給付水準は最も楽観的な経済前提で、マクロ経済スライドによる給付抑制が終了する46年度に26.3万円になる。今よりも4.3万円増えるが、物価が上昇するという前提なので購買力は下がる。現役世代の手取りと比べた所得代替率は61.7%から51.9%に低下。公的年金のみで老後の生活すべてを賄うのはより難しくなる。
老後に2千万円不足するとした金融庁報告書が波紋を広げたが、今回の財政検証では人生100年時代を見据え、確定拠出年金などを使い自ら備える必要性が高まっていることが鮮明になった。
金融庁が経済協力開発機構(OECD)のデータを基にまとめた資料によると、日本の高齢者の所得のうち、労働所得は38.7%を占める。米国(35.2%)を上回り、日本の高齢者就業は世界でも進んでいる。一方、配当など資本所得の占める割合は10%で、米国(13.9%)やフランス(17.2%)、英国(12.1%)を下回る。
確定拠出年金の加入者は企業型と個人型を合わせて約840万人。伸びているとはいえ、加入対象者の2割にも満たない。加入者の拡大に向け、見直す点は多い。加入できる年齢の上限は現在、60歳だ。60〜64歳の就業率が高まっているのに合わせ、65歳への引き上げを急ぐ必要がある。会社員が企業型と個人型を併用しやすくする見直しも欠かせない。
長寿化により、老後の安心を語るには公的年金だけでは不十分で、公私一体での年金制度改革が急務だ。
<識者の見方>
■将来世代の視点乏しく
西沢和彦・日本総合研究所主席研究員 基礎年金を中心に今後も給付水準の低下が続くことが明確になった。厳しい将来にどう向き合っていくかが重要になる。
 基礎年金の半分は税金で賄われている。十分な給付を確保するには税制も含めた一体改革が必要になるが、議論の土台となる試算は示されなかった。低成長が続けば将来世代の年金水準は大きく下がる。こうした可能性を排除せずに高齢者の負担増も議論すべきだ。「若者フレンドリー」とは言えない試算で残念だ。
■下位ケース、現実に即す
小黒一正・法政大教授 財政検証では毎回どのシナリオの妥当性が高いか論争になるが、政府は明らかにせず「予測ではない」と説明している。ただ過去の実績をもとに2029年度以降の経済前提が実現する確率を試算すると(経済状況が上位の)ケース1〜3は実現可能性が低い。
 経済成長率と相関のある生産性の上昇率が50年間のうち35年間以上でケース3以上になる確率は19%だった。過去30年間の分布から大きく変わるとも考えにくい。下位のシナリオを想定するほうが妥当ではないか。
■長く働ける社会実現を
星野卓也・第一生命経済研究所副主任エコノミスト 2040年には団塊ジュニア世代が高齢者になる。年金の開始年齢を引き上げ、より長く働くことを当たり前にしないと困るのは30歳の私のような世代だ。後期高齢者になり、本当に年金が必要なときに生活をまかなう機能が果たせなくなる可能性がある。
 年齢にかかわらず働き続けられる社会を作るのが一番の解決策だ。厚生年金に加入していないフリーランスも増え、働き方も多様になっている。公的年金制度のあり方も整理する必要がある。
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http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/689.html

[経世済民133] 迫る日銀発の金融危機。メガバンクも地銀もマイナス金利政策にやられていく
迫る日銀発の金融危機。メガバンクも地銀もマイナス金利政策にやられていく
斎藤満
2019年11月20日ニュース
金融市場の安定を守るべき日銀が、一段のマイナス金利で自ら市場の動揺をもたらそうとしています。10年前の危機では持ちこたえても、今同じような危機が再来すると、乗り切れない金融機関が少なからず出てきます。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)
【関連】近づく令和大恐慌と「預金封鎖」なぜアメリカのために日本国民が血を流すのか?
※本記事は有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2019年11月20日の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。
高齢化についていけない銀行たち。金融危機に対応できるのか?
銀行の中間純利益は減益に
三菱UFJなど、大手銀行5グループの今年9月の中間連結決算では、純利益が1兆5,125億円と、前年比10.8%の減益となりました。
みずほグループが19.9%減の2,876億円、三井住友グループが8.6%減の4,320億円、三菱UFJが6.3%減の6,099億円となっています。
日銀によるマイナス金利がじわりと効いてきています。
地銀の中間決算でも、7割の銀行が最終減益となりました。増益となった22行は、保有する米国債の値上がりで評価益が出たためです。
日銀は10月の決定会合で、近い将来短期金利のマイナス深堀りの可能性を示唆しました。
もし日銀がさらに政策金利を0.1%引き下げると、三菱UFJで数百億円、3大銀行グループ全体では約1千億円の利益圧迫になると試算されています。
優秀な人材の「銀行離れ」が加速、負の循環が始まった
金融機関の収益悪化は、一段のコストカットを促しています。
みずほグループは来年10月から、53歳以下の職員の企業年金を減額すると言います。長期的な低金利、収益環境の悪化を見ての措置です。来年中に退職する48-53歳の職員にはこれを適用しないとしているので、早期退職を促す面もあります。
通常の賃金・賞与のカットだけでは済まなくなりました。その分、職員のモラル・ダウンも懸念されます。
今や、一般事務ばかりか、株や債券のトレーディング分野でもAIの活用や多くの機械が取って代わるようになりました。これが職員数の抑制、賃金抑制を通じて人件費カットにつながっています。
かつての「金融機関は高賃金」は幻想となり、賃金の優位性がなくなり、これが優秀な人材の銀行離れをもたらしています。
具体的には銀行内の優秀な人材が外資系企業や外部の世界に流出し、新卒の人気ランキングをみても、大手銀行の名は上位から消えました。
地銀でも地元の優秀な人材が来なくなったと言います。優秀な人材が離れていけば、金融機関の最大の経営資源が悪化するわけで、リスク管理や経営戦略にも悪影響が及びます。
Next: 銀行がリスクを取り始めた? 消費者の「銀行離れ」が止まらない
リスクをリターンがカバーできない
その弊害の一端とも言えますが、銀行などの金融機関が、従来なら手を出さないようなリスク商品に手を出すようになりました。
スルガ銀行の無謀な不動産融資への傾斜が問題視されましたが、国内銀行のこの10年間の貸出増の約7割が不動産向け、住宅ローンです。大手銀行も米国での「レバレッジド・ローン」つまり、信用格付けがダブルB以下の低い信用力の企業向け融資を積極的に拡大しています。
さらに、これらの「危ない先への貸し出し」債権を証券化した「ローン担保証券(CLO)」への投資も急増しています。農林中央金庫や三菱IFJなど、大手だけでも10兆円も保有しています。
かつてのサブプライム危機時に問題になった、資産担保証券の暴落が頭をよぎります。当時は住宅価格の下落が危機の引き金となりましたが、今日では景気の悪化で企業が返済不能となった時に危機が露呈します。
また信金・信組など中小企業金融機関の運用資産内訳をみると、株や投資信託などのリスク資産の割合が、10年前には全体の4%程度でしたが、足元では18%に高まっています。
金利の得られる運用資産が減っている分、こうしたリスク資産保有に傾斜せざるを得なくなっています。
こうしたリスクとリターンは通常厳密に計算されて管理されるのですが、優秀な人材が少なくなると、これらの管理が甘くなり、リスクに見合ったリターンが得られないケースが指摘されるようになりました(日銀金融システムレポートより)。
それだけ、金融市場が不安定化したときの金融機関の体力が低下していることになり、危機にはもろくなります。
サービス低下で「銀行離れ」
また運用利回りの低下にともない、経費の削減が求められますが、すでに有人店舗数が大幅に減り、「街の身近な銀行」が姿を消し、店舗での事務手続きが必要な場合、電車に乗って銀行まで行かねばならなくなりました。ATMの数も減りつつあります。
一部にはネットバンキングにより、店舗もATMも不要になりますが、ネット取引になじまない客には、大きなサービスの低下になっています。
マイナス金利政策を進めても、日本では一般預金金利をマイナスにはできないとの認識が広がっています。
しかし、欧州の一部にはマイナスの預金金利を設定する銀行も現れました。日本ではなじまないとしても、その分、様々な「手数料」で預金者にコストの転嫁がなされようとしています。
口座の管理手数料、通帳発行手数料などがかかると、一気に「銀行離れ」が進むと見られます。
Next: 高齢化についていけない銀行たち。金融危機に対応できるのか?
高齢化についていけない銀行
銀行経営陣の社会に対するアンテナも鈍くなっている感があります。メガバンクも含めて、多くの銀行が今の高齢化社会について行けていないように見えます。
厚生労働省によると2018年には全世帯の52%が年金受給世帯になったと言います。また、高齢者の5人に1人が痴ほう症になるとも言われています。介護が必要な人も急増しています。
某メガバンクの事例です。体が不自由になり、車イスで介護の世話になっている人が長い間介護施設に入居している間に、銀行の新しいキャッシュ・カードが書留で送られてきたようです。本人不在で受け取れないまま、カードが返送されてしまったようです。
あるとき、世話をしている兄弟が、支払いのためにカードで預金の引き出しを頼まれ、ATMで降ろそうとした際、カードの有効期限が切れていて使えないと表示されました。そこで当該銀行の支店に電話し、新しいカードを送ってもらうよう依頼したのですが、身内のものでは手続きできず、本人が窓口まで来て申請するように言われたそうです。
車イスでも乗れる介護タクシーを呼んで当該支店まで行けたとしても、半身まひで字が書けないので、身内の者が代筆しても良いかと尋ねると、それもダメと言います。本人の代わりに取引するには、家庭裁判所に申請して、成年後見人の申請をしろと言います。それをしないと、口座に年金が振り込まれ、そこから支払いをしたくても、体が不自由で引き出せないと、「黒字個人破産」を余儀なくされます。
これからますます高齢化が進み、要介護や動けない老人が多くなります。そういうハンデを負った人々、高齢者にかわって世話をする人に、銀行取引面でもサポートできるような、支援制度が必要になります。
今の銀行はあまりに杓子定規で考え、現実と遊離した原理原則に縛られているように思えます。
危機対応できるか
黒田日銀総裁の認識とは裏腹に、銀行の利益の蓄積は縮小し、反面リスクの大きい資産を増やしているので、従来よりも嵐に対する抵抗力が落ちています。
10年前の危機では持ちこたえても、今同じような危機が再来すると、乗り切れない金融機関が少なからず出てきます。
Next: こんな状況で日銀はさらにマイナス金利を深堀り? 金融市場に迫る危機
金融市場に迫る危機
そんな状況で、金融市場の安定を守るべき日銀が、一段のマイナス金利で自ら市場の動揺をもたらそうとしています。
それだけ今日の金融市場では目に見えない危機のマグマが蓄積され、それをマネージする人材が銀行には少なくなっている分、市場がより脆弱になっています。
日銀にはこうした現実を踏まえ、無謀なマイナス金利策を回避するだけの慎重さが求められます。
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http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/693.html

[経世済民133] 貧困でも病気でも死ねない地獄。人生100年時代と生涯現役の最凶タッグが日本人を襲う 仕事時間は短く生産性は高い「北欧流の休息」が幸福をつくる アラフォー男性の家族愛「妻子より仕事」からどれだけ変わった?
貧困でも病気でも死ねない地獄。人生100年時代と生涯現役の最凶タッグが日本人を襲う
鈴木傾城
2019年11月21日お金の悩み、ニュース
人生100年時代に向かう中、社会保障費の増大や高齢者の生活保護受給者の増加が止まらなくなる問題に対して、社会はどのように対処するのか。実はもう答えは出ている。その答えは「高齢者にはギリギリまでずっと働いてもらう」というものだ。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
長生きすればするほど貧困へ。生活保護受給者の半数近くは高齢者
「病人を死なせない」方向に発達した
すでに日本においては、65歳以上の「高齢者」の人口は3,300万人を超えている。そして、2015年から80代以上の人口は1,000万人超えとなった。この割合はもっと増えていくことが分かっている。
日本人は世界でも有数の長寿国家である。しかし、長寿化しているのは日本人だけではない。先進国はどこの国も日本と同じように長寿化している。
もう人生は80年ではなく「100年」なのである。
『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略』を記したリンダ・グラットン氏とアンドリュー・スコット氏は、先進国において2007年生まれ以後の2人に1人は100歳を超えて生きる時代になると予測した。
災害は巨大化しているし、戦争は大量殺戮を効率的に行えるようになっているし、食環境の悪化で健康は悪化しやすくなっている。病気は人類から消えてなくなっているわけではない。
それでも人類が長生きできているのは、先進国においては生存環境が良くなっていることもある。そして何よりも医学が「病気を完治させる」以上に、「病人を死なせない」方向に発達しているからである。
私たちが重篤な病気になったとする。医者は私たちを完治させられなくても、生かせ続けるのだ。どんなに健康で壮健な人であっても、加齢に伴って健康は少しずつ消えていく。身体のあちこちが壊れていく。
身体が壊れた状態でも、生存に適した先進国の環境と高度なヘルスケアの手にかかると、かなりの長生きができるようになる。
逆に言うと、私たちは健康を失っても、「延々と生き続けなければならない時代」に入っているとも言える。
「健康寿命」を失っても生き続ける
寿命には、通常の「寿命」とは別に、もうひとつの概念を持った寿命がある。それが「健康寿命」である。健康寿命とはウィキペディアによるとこのように定義されている。
健康寿命とは日常的・継続的な医療・介護に依存しないで、自分の心身で生命維持し、自立した生活ができる生存期間のこと
出典:Wikipedia
たとえば、深刻な病気にかかったり寝たきりになったりして自立した生活ができる生存期間が終わったら、その後は継続的な医療・介護に依存しながら天命を全うするまで生き続けなければならない。
Next: 長生きは地獄? 病気になって動けなくても、さらに寿命は延びていく…
病気になって動けなくても、さらに寿命は延びていく
その期間は短ければ短ければいいと普通は思うのだが、人間の人生はそんな都合良くできていないので、たとえば60代でもう身体がボロボロになって以後は介護に依存して生きることになる人もいる。
糖尿病や認知症や心臓疾患や癌は誰もなりたいと思ってなるわけではない。なりたくなくても「なってしまう」ものなのだ。それが50代や60代で発症したとしても、それでその人を責めることは誰にもできない。それは自己責任ではない。
糖尿病は生活習慣病なので自己責任と考える人もいるのだが、実は糖尿病も貧困が原因で起きているものであるという認識も少しずつ広がってきている。
【関連】日本の貧困層は飢えずに太る。糖尿病患者の半数以上が年収200万円未満の衝撃=鈴木傾城
問題は、どんなに早く健康寿命を失ったとしても、現代の医学は「病気の進行を抑えながら生かし続ける」ことができるので、そこからもさらに寿命が延びていくことである。
中には延々と介護を受けたまま食べて寝るだけで、何のために生きているのか分からないような人もいる。その度合いがどうであれ健康寿命を失って生きていると、誰でもそのような局面になる。
時には、「長生きできることは幸せだ」と思えないこともあるはずだ。長生きすることによって家族にも迷惑をかけると深刻に捉え、精神的にも追い込まれて「早く死にたい」と考える人もいる。
長生きするほど老後資金は足りなくなる
折しも年金制度は徐々に危うくなってきている。日本は高齢者が増えると同時に子供が減っているので、賦課方式の年金は現役世代に耐えられないほど重いものになりつつある。
そこで日本政府は「老後は2,000万円の貯金が必要」と言い出したのだが、ほとんどの世帯はそんなに持っていないし、貯めることもできないので「どういうことなのだ」と高齢層は政府を激しく批判した。
選挙で票を入れるのは若年層ではなく高齢層なので、高齢層の怒りに敏感な政府はすぐに「2,000万円貯めろ」を引っ込めたのだが、実際問題として「年金では食べていけない」というのは誰もが知っていることだ。
老後のための貯金は、長生きすればするほど足りなくなっていくのだが、人間は長生き「してしまう」時代になったのである。
Next: 長生きすると貧困へ。生活保護受給者の半数近くは高齢者
生活保護受給者の半数近くは高齢者
貯金も足りず、年金も足りず、さらに健康寿命も失って長生きするというのはどういう状態になるということか。
言うまでもなく、長生きすればするほど貧困に落ちていくということである。長生きし過ぎると、ほとんどの人は困窮の度を増していくことになる。
それを裏付けるのが生活保護受給者の内訳だ。現在、生活保護受給者の半数近くは「高齢者」である。
【関連】100歳まで病気でも貧困でも「生かされる」地獄、生活保護の半数以上が高齢者=鈴木傾城
高齢者は歳がいけばいくほど働けなくなる。いくら健康であっても年齢と共に身体は言うことを効かなくなるし、必ず寿命よりも前に健康寿命が消えるのだから、高齢層が困窮していっても不思議ではない。
そう考えると、人生100年時代になって「長生きできるから良かった」と単純に喜べない現象であることが分かるはずだ。「経済的に困窮して貧困の中で幸せに生きられるのか?」と問われれば、誰もが「ノー」と言うしかない。
カネを使わなくても幸せに生きられると言っても、医療や介護は「タダ(無料)」ではない。諸経費は必ず貯金を食い潰していく。
カネのために奴隷のように酷使される未来
今後、人生100年時代に向かう中で、社会保障費の増大や高齢者の生活保護受給者の増加が止まらなくなる問題に対して、社会はどのように対処するのか。
実はもう答えは出ている。その答えは「高齢者にはギリギリまでずっと働いてもらう」というものだ。
「本当に動けなくなるまで働く」「死ぬ一歩手前まで働く」というのが、人生100年時代の高齢者に課せられた義務になる。それを前向きな言葉で言ったのが「生涯現役」である。
「最近の高齢者は元気だ」「高齢でも立派に働ける」とよく言われるが、いくら高齢者が元気だと言っても、高齢者はどうあがいても若年層と同じような働き方はできないし、そんな気力も体力も健康も持ち合わせていない。
Next: 「生涯現役」は呪いの言葉か。日本人の老後はますます過酷になっていく
日本は生涯現役「強制」社会へ
昔の高齢者に比べたら確かに現代の高齢者は健康かもしれないが、それでも加齢による衰えは確実に起きている。しかし「生涯現役」が強制される。
それは多くの高齢者にとって、過酷であり残酷なことである。確かに年金受給資格の「高齢者」に入る65歳を過ぎても、現役でバリバリ働きたいという高齢者もいる。70代や80代でも、働くのが好きで「仕事が生き甲斐」という人もいる。
しかし、かなりの高齢者は「もう疲れた。ゆっくり休みたい。働くのが苦痛だ」と思い、仕事から離れて静かに暮らす日々を求めているはずだ。
人生100年時代になると、この「生涯現役の強制」が行われるようになる確率が非常に高い。十分な貯金がないのであれば、「高齢者にも長く働かせる」というのが社会の回答になるからだ。
人生100年時代と生涯現役の組み合わせは、残酷な時代の幕開けでもある。
私たちは「老いてゆっくり休む」という選択肢は残っていない。このままでは、カネのために奴隷のように酷使される未来が待っている。
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仕事時間は短く生産性は高い「北欧流の休息」が幸福をつくる
藤野ゆり:清談社

国際・中国 ニュース3面鏡
2019.11.23 5:35

 
2019年版の世界幸福度ランキングが発表され、日本は58位と昨年よりもさらに順位を下げた。一方、例年通り上位を占めたのが1位フィンランド、2位デンマーク、3位ノルウェー、7位スウェーデンといった北欧諸国。北欧の幸福の秘密は一体どこにあるのか?(清談社 藤野ゆり)

仕事中2回のティーブレーク
15時には終業!の北欧諸国

人口は日本の10分の1にもかかわらず、GDPは世界第23位。スウェーデン人は積極的に休みながらも、生産性を落とさない Phoo:PIXTA
 WHOが実施する世界幸福度ランキングで、スウェーデンやデンマーク、フィンランドなど北欧諸国が常に上位をキープしているのは有名な話。最新の「世界幸福度ランキング2019」では、2年連続でフィンランドがトップだった。

 一方、日本は2015年の46位から下降線をたどり、昨年は54位、19年版では58位と、どんどん順位が下がっている。何をもって幸福とするかの定義は曖昧だが、そもそも北欧諸国は日本と比べ税金も高く、決して暮らしやすいとはいえないはずだ。

「北欧諸国は消費税が高く、スウェーデンとノルウェーは25%、フィンランドは24%です。外食や旅行などのぜいたくはなかなかできず、ブランド品は買わない人がほとんどですし、自家用車を持つのも難しい。しかし社会保障制度が整備されている北欧は、子どもの教育費や医療費が無料。老後の心配はほとんどないといってもいいかもしれません」

そう話すのは、北欧流ワークライフデザイナーとして活動する芳子ビューエル氏だ。ぜいたくや余裕のある暮らしができるわけではないが、未来には大きな不安を持たなくていい国。しかし、幸福度の高い北欧の幸せの秘密はそれだけではないはず。芳子ビューエルさんは、彼らの休息の仕方と文化にヒントがあるのではないかと話す。

「スウェーデンで生まれた『フィーカ』という休息の文化。これが、北欧人のメンタリティーのカギを握っているかもしれません」

 聞き慣れない言葉だが「フィーカ」とは一体どのような状況をさすのか。

「フィーカとはスウェーデン語でコーヒーブレークの意味を持つ動詞です。フィーカは伝統文化であり、単なるブレークタイムではなく働き方や生き方など北欧人の考え方の根底につながっています」

 一般的に彼らは仕事中、午前と午後の2回フィーカを楽しむうえに、仕事は15時ごろに終えて余暇を楽しむ人が多いのだという。さらにサマーバケーションは2週間から1ヵ月取得するなど、北欧人はオンとオフをきっちり分けている。

「ストックホルムでは夏の間に『フィーカバス』というものが走ります。バスの中にはテーブルと、コーヒーなどのドリンク、ちょっとしたスイーツが用意されています。移動しながらフィーカを楽しむためのバスというわけです。フィーカが生活に溶け込んでいるのです。しかもフィーカの方が断然ランチやディナーより安上がりです」

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休暇中はスマホもPCもオフ、仕事とプライベートは分けよう

 こまめに休みをとっているにもかかわらず、スウェーデンの1人当たりのGDPはこの30年、右肩上がりの上昇カーブを描いているとビューエル氏は言う。人口は日本の10分の1にもかかわらず、世界第23位という地位を築いているのだ。積極的に休みながらも、生産性は落とさない。一体その秘訣はどこにあるのか。

「フィーカの目的は、リフレッシュとコミュニケーション。職場では社員が一緒にフィーカすることもあれば、個別で休むこともあります。職場でのフィーカの場合、おのおのがマグカップに飲み物を注ぎ『たわいもない』おしゃべりに身を投じて休みます。このたわいもないおしゃべりというのが、フィーカにおいては大事なのではないかと思っています」

 こうした北欧の「コミュニケーションありきの休養」が作業効率を上げ、かつストレスを軽減させているのではないかと、ビューエルさんは仮説を立てる。

 しかし、おしゃべり好きとされるスウェーデン人と日本では国民性も大きく異なる。会社の休憩時間ぐらい、1人で静かに過ごしたいと考える人が大多数なのではないだろうか。休み下手といわれる日本人にとっての上手な「フィーカ」とは、どのような方法だろう。

「逆に日本人はコミュニケーションをうまくシャットアウトできると、より心が休まると思います。たとえば休暇中はスマホを見ない時間を設け、仕事関連の電話やメールは完全にオフにしてみる。北欧の人たちは基本的にしっかりお休みを取るので、休暇中は基本的にどんなことがあっても仕事の電話には出ませんし、メールは自動返信。休暇とは完全に『オフ』を楽しみ、プライベートと切り離しているんです」

 日本では休暇中にもかかわらず会社のメールをチェックし、時にはPCを開いてバケーション先でもお構いなしに作業をする人が少なくないはずだ。ワークライフバランスを意識するようになったとはいえ、それでもやはり休日も仕事のことが気になり休んだ気になれない…とこぼす人は少なくない。北欧人が仕事とプライベートを潔く分けられるのは一体なぜなのか?

「それは日本文化の中にある『空気を読む』とか『常識』という、ある種暗黙の了解的風習やそれにまつわるプレッシャーがないからだと思うんです。多くの情報やトレンドが海外からリアルタイムで流れ込んでくる状況にあっても、なかなかそれを手放しで受け入れられないつらさが日本社会にはあります。北欧では若者の間でもパーティーの前に全員のスマホを没収して、どんなに携帯が鳴っても出ない、というルールを設けている人々がいます。今一緒にいる人とのリアルな時間を楽しむためです。休暇だってそうできたら一番いいですよね。スマホの登場によって私たちは24時間会社とつながれるようになってしまった。そのことが、義理堅い日本人の息苦しさにさらに拍車をかけているのかもしれません」

 私たちの「フィーカ」はスマホを手放し、目の前の人間関係や景色を、画面ではなく肉眼を通して楽しめるようになったときに始まるのかもしれない。


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今どきアラフォー男性の家族愛、「妻子より仕事」からどれだけ変わった?
武藤弘樹:フリーライター

ライフ・社会 井の中の宴 武藤弘樹
2019.11.23 5:30


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令和のアラフォー男性の家族観は?
写真はイメージです Photo:PIXTA
「家族を顧みずに仕事をする父」が美談として語られたのはもうはるか昔、昭和時代の話。昭和を経て令和のパパたちは今、どのような家族観を抱いているのだろう。(取材・文/フリーライター 武藤弘樹)

変わる家族愛の形
過渡期に育まれた価値観
 アメリカの映画を観ていると、“アメリカにおける理想のパパ像”を体現したような人物が登場するのをよく目にする。彼らは家族を愛し、家族を何よりも優先し、家族を守るために命を賭して戦いそして勝利する。こうしたステレオタイプなパパはメジャーな映画ほど登場する確率が高く、それがアメリカのパパ像全てというわけではなかろうが、アメリカ国内では多数から概ね好意を持って受け入れられていると推測される。

 一方、日本のパパ像だが、これは昭和から令和にかけて大きく変わってきている。昭和のパパ像は“会社に忠誠を尽くし家族を養っていく”が典型だったが、ここに“家族サービスすればなおよし”と加点要素が追加され、段々と“会社より家族・プライベートを重視すべし”という風潮になってきた。

 平成を経て令和の現在では“家族サービス”という言葉すら、もはや死語に近づいてきている感がある。使うと周りの反感を買う可能性が高くなってきているのである。勤め人とはいえ家族に尽くすのが当然なのだから、その当然なる奉仕にわざわざ“家族サービス”なんて呼び名を用いる必要はない、むしろ当然なる奉仕を美化し大義ぶっているこの語は男性の旧態依然たる傲慢さすら感じさせる――とこういうわけである。

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「時間はなくても子どもと関わりたい」
 現在アラフォーとなる世代の男性は生まれこそ昭和だが、昭和の価値観どっぷりというわけではない。昭和で育ちながら平成・令和連合世代の台頭を肌で感じる過渡期真っ只中で生きてきた世代であり、個々人の価値観を聞いてみると時代の流れそのものを映し出しているようで面白い。令和のアラフォー夫がそれぞれの家族愛について語る。

仕事が忙しいパパの場合
「時間はなくても子どもと関わりたい」
 家族との関わり方は仕事の忙しさによってある程度決定される。仕事に忙殺されれば必然的に家族と過ごす時間が減っていく。仕事が忙しいパパの家族愛とは。

 Aさん(39歳)は一児の父で、子は幼稚園児である。仕事については「昔の気風を残した、ややブラック的な職場」らしい。幼少の頃は「仕事人間で、団塊の世代を体現したような亭主関白な父」(Aさん談)を見て育ったためか、「自分もなんとなくそういう父親像でいいのだ」と考えていた。

 しかし妻から「もっと子どもに目を向けろ」と猛反発を受け、一時期深刻に対立したが、わが子へのかわいさに触れるなどするうちに徐々に自らの姿勢を振り返るようになって、今は父とは違った、“父よりかは家族をもうちょっと大切にするパパ像”を目指しているそうである。

「『家族が大事』とは照れがあるのでなかなか言えませんが。大事なことは確かです。

 Facebookで知人が家族と過ごしている様子などを目にした折は『俺ももっと家族と過ごす時間を増やしたいな』と思わされることがあります。仕事がブラック気味だから、かえって家族への欲求が強まっているというか。

 もしホワイトな職場だったとしたら、今度は父親としてどう立ちまわればいいかわからなくなってしまうと思うので、現在は仕事がブラック的であることに助けられている部分も少しあります。

 自分が目にしてきた父親像でない父親像は、なかなかイメージできないので目指すのが難しいです。父に比べれば自分は格段に子どもに甘く、子どもとよく遊んでいると思いますが。そもそも理想の父親像についてなんて普通に親になるだけだと考える機会なんかなくて、自分の場合は妻と対立していた折にたまたまそういうことを振り返ることがあったわけで。

 だから“家族への愛情について”と聞かれると、自分はフワフワしていますが、子どもはかわいいし妻も同様に大切だなと。あと親は責任重大なポジションなので、子どもが成人するまでは金銭的に不自由させないことと、夫婦で協力して子どもにしかるべき愛情を与えていくことが義務なのかなと思います」(Aさん)

 まさに過渡期の人という感じである。それまで自分の血肉として疑いもなかった常識だったがどうやらアップデートする必要があることがわかってきた。Aさんなりの葛藤があったと推測されるが、新しい概念を自分の中に取り込んで、Aさんは常識バージョン2を構築しつつある。

 Bさん(37歳)は3児の父で、長子はもう中学生になる。しかしBさんは周りに滅多に子どもの話をしない。Bさんとそれなりに仲のいい人でも「Bさんの子どもの顔を知らない」という人が結構いるそうである。自慢と報告を兼ねて、あるいは雑談のちょっとした延長で、誰かに自分の子どもの写真を見せる……巷でよく見られる一般的な光景だが、Bさんはこれをほとんどしたことがないそうである。理由は「恥ずかしいから」。

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「家族は大切」
「自慢するようなものでもないし、見せた相手にお愛想言わせるぐらいには気を遣わせるし。子どもの写真を人に見せるのは好きではない。

 そもそも“僕が父親である”というのがなんとなくいまだに恥ずかしい。いつの間にか父親になったが、はたして僕は本当にきちんと父親できているのか。仕事が忙しく平日は子どもが寝てから帰宅、週末も家でゆっくりできる日は少ない。

 僕は子どものころ、父があまり家にいなくて、たまに顔を合わせる父がなんとなく疎ましかった。父が立派だったのだと気づいたのは僕が社会人になってから。きっと僕の子どもも、昔の僕のように父親に対して感じるところはあると思う」(Bさん)

 自らの体験を振り返って子どもの胸中を推し量る、忙しく働くパパのひとつの姿である。また父親歴10年超であるにもかかわらず、いまだに「自分は父親としての務めを果たしているのか」と自問自答しているあたり、非常に内省的な性格であることがうかがわれる。

 しかし「子どもはかわいいか」の質問に対しては「かわいい」と即答した。

「仕事がどれだけ忙しくても子どもの行事には参加することと、子どもとの約束を破らないことの2つを自分に課している。最低限ギリギリのラインは決して割らないようにして子どもとは関わっていたい。

 僕自身の場合のように、子どもが大きくなってから『お父さんはちゃんと父親やってきたのだな』と思ってくれればいいと考えているので、今はよくわからないながら、仕事して子どもを養い、子どもと関わってがんばりたい」

アメリカ的風情のあるパパの場合
「家族は大切」
 家族を大切に思っていたとしても、アメリカ的に「家族は本当に大切。家族最高!」とあけっぴろげなテンションの人はそういない。AさんとBさんはまさしくその例で、日本男性的な恥じらいの上で、令和のパパなりの愛情を垣間見せていた。

 一方、Cさん(36歳)は女児2人の父で、家族愛の示し方がだいぶアメリカナイズされている。それが3年間のアメリカへの留学経験のためか、本人のひょうきんなキャラのためかはわからないが、「家族マジ大事」と韻を踏んでわざわざ公言するので、仲のいい知人からは「うそくさい」「なんかむかつく」といじられていた。週末はほぼ家族と過ごし、たまのDIYが趣味の模範的マイホームパパ(この言葉も死語になるかもしれない)である。

「うちは女性が多いので、パパはやっぱり男性1人で旗色が悪い。ここで僕がパパとして立場を確立するためには彼女らに気に入られることが最善だなと。

 子どもを見ていると母親の影響力は本当に強くて、妻が好きなもの・嫌いなものを、不思議なくらい子どもも同じように真似する。妻は大切だが、対子ども向けに『より妻に気に入られていた方がやりやすい』というのはあります。

 仕事は人間関係に恵まれていて、仲のいい人もたくさんいる。けれども、やはり自分が一番心安らげるのは家族といる時。大切にしなきゃ罰が当たります。家族とはいえ他人なので、決して甘えずきちんと向き合っていく必要はありますが」(Cさん)

 家族という紐帯は強靭である。好きでも嫌いでも、どんな形でもつながってしまうのが家族で、信頼し合える関係が築ければ最上の安心を得られる場所となる。しかし家族ならではの人間関係の難しさもあるから、うまくいかないと家庭は結構な地獄となる。Cさんのように「甘えず、相手を尊重する」といった考えを自律して持つのは、家庭を地獄にしないために有効なひとつの方策であろう。

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「親の背中を見て育て」
Dさん(38歳)はいかにも現代風なスタイルで仕事と向き合っている。どれだけ仕事が残っていようと決して残業はせず、どれだけ緊急性を要する電話でも勤務時間外の着信には決して応答しない。

 上司から「勤務時間内に処理が不可能な量の仕事を任せているつもりはないので、残業をするか、勤務時間内の仕事の効率を見直してほしい」と再三言われているが、Dさんの言い分は「努力は散々してきた。根本的に仕事の量が多いから無理」と、双方に行き違いがあるようである。先進的な考え方を実践しすぎて、傍から見ていてハラハラしてしまう人がいるが、Dさんはまさしくそんな人物である。

「仕事はあくまで生活費を稼ぐ手段に過ぎません。定時以外で自分の時間が会社に搾取されるなどあってはいけない。

 家族は大切にしています。僕は子どものころ、カギっ子で寂しい思いをして育ったので、自分の子どもにはああいう思いをさせないように努力しています」(Dさん)

 自分の親を見習うか反面教師とするかは場合によるであろう。Dさんのように反面教師とすると、昭和にはなかった新たなパパ像が現出することとなる。

「自分を優先するのも大事」なパパの場合
「親の背中を見て育て」
 趣味でDTM(※打ち込み系の音楽。パソコンを使って1人で曲を完成させる。当世風にいうと“DAW”)を続けているEさん(43歳)は一男一女の父である。やや破天荒な性格だったが結婚してからは丸くなった。

「それまで『自分の子どもがかわいい』っていう人たちの話を散々聞いてきて『本当かよ』と思ってたけど、自分にも子どもができて『ああ、本当だ』と思った。子どもと関わる時間は積極的に作っているつもり。妻との関係も“カップル”から“父母”となり、結びつきがさらに強まった。

 しかし子どもがいるからといって、自分を殺してまで子どもに奉仕するのは違うと思う。もちろん自分を殺さなくちゃいけない場面もあるけど、滅私奉公が全てではない。子育てを優先しつつ、空いた時間で親は自分のことをするべきだなと。

 子どもは親が思っている以上に頭が良くて敏感だから、表面を取り繕ってもあまり意味がない。結局子どもは親の本質を見抜いて、その背中を見て育っていくので、親が自分の人生を充実させることが子育てにいい影響を与えるのではないかと考えている。子育てが趣味になっている人はそれを全うすればいい。自分の場合は趣味があるので、これに打ち込んでしっかり充実していきたい。

 子どもができてからは趣味の時間が格段に減ったが、かえってそれでモチベーションが上がったぐらい」(Eさん)

 家庭をないがしろにしない範疇で趣味や仕事、自分の人生に精を出すべきというこの主張は新鮮だが説得力があった。ガス抜きをして健全な精神状態で子どもと向き合った方が、子どもにいい影響があるという側面も見られる。

 人付き合いが苦手なFさん(41歳)は1児の父だが、「いい時代になった」と語る。仕事は主に付き合いで忙しくしていたが、「子どもができてから付き合いを、角を立たせずに断りやすくなった」そうである。

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共通は「子どもはかわいい」
「子どもは断る時の最高の言い訳になりますね。そうやって言えば今の時代の風潮は『じゃあ仕方ない』どころか、『家族を大切するお父さん』みたいな好意的な見られ方もしてもらえるので。まあ子どもをダシに使っているのは事実ですが、付き合いに行くよりうちで子どもと楽しく遊んでいたいのも事実なのでご愛嬌ということで。

 自分が父親になる実感があまりないまま父親になったので、妻ともども、子どもに日々親として成長させてもらっている感じです」(Fさん)

 Fさんはあまり仕事人間ではないので、こうした立ち回りが許されるホワイトな世の中にしきりに感謝している様子であった。

 このほか「しっかり家族サービスして、しっかり自分も遊ぶべし」(Gさん・41歳)や「子どもがかわいいから仕事がどれだけしんどくてもがんばろうと思える」(Hさん・44歳)といった声も聞かれたことをここに紹介しておく。

 令和の家族愛のあり方は「家族を愛する」という点でややアメリカ的だが、そこに日本文化なりの“控えめさ”が加わったような按配である。こうして「家族愛について」のテーマでおおっぴらにインタビューを行えたという事実が、国内の家族愛のあり方がかつてより具体的になってきていることを示しているともいえる。

 今回の回答者でほぼ全員に共通していたのは「子どもはかわいい」であった。少子化社会なので子どものありがたさがいや増している昨今である。令和の家族愛は、子どものかわいさを中心軸に据えて育まれていくのかもしれない。

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[自然災害22] オーストラリアで過去最悪の森林火災 シドニーに非常事態宣言発令 コアラ受難、オーストラリアの山火事で絶滅の危機
オーストラリアで過去最悪の森林火災 シドニーに非常事態宣言発令
2019年11月25日(月)15時30分
ニューズウィーク日本版編集部

DEAN LEWINS-AAP IMAGE-REUTERS
シドニーから北西へ約100キロ離れた村、コロハイツでは消防隊員らが森林火災から土地を守ろうと必死だ。
ニューサウスウェールズ州では11月11日、州都シドニーが「壊滅的な」火災の危険に直面しているとし、非常事態宣言を発令。当局幹部は、「これまでで最も危険な火災に直面した1週間だった」と話した。
既に500棟近い家が焼失している。
<2019年12月3日号掲載>
【参考記事】オーストラリアの森林火災が拡大、各地に緊急警報 数万人が避難へ
【参考記事】2050年人類滅亡!? 豪シンクタンクの衝撃的な未来予測
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13462_2.php

コアラ受難、オーストラリアの山火事で絶滅の危機
2019年11月25日(月)19時15分

松丸さとみ
https://www.youtube.com/watch?v=DgVmcQ41PSI

過去最悪の山火事でコアラが危機に...... YouTube
<シドニーに非常事態宣言が出され過去最悪となっているオーストラリアの森林火災。アラをはじめとする野生動物も多く焼け出されている......>
NSW州だけで350頭のコアラが焼死か
オーストラリアで発生している山火事は、例年にないほどの規模になっている。11月22日付の英ガーディアン紙によると、もっとも被害が大きいのはオーストラリア最大の都市シドニーがあるニューサウスウェールズ(NSW)州だ。165万ヘクタール(1万6500平方キロ)が焼失し、住宅600戸以上が破壊された。死亡者数は6人に上っており、全員が同州で被害にあっている。

救助されたコアラ REUTERS/Stefica Nicol Bikes
また、オーストラリア固有の動物コアラをはじめとする野生動物も多く焼け出されており、米CNNは10月30日の時点で、NSW州でコアラ350頭が死んだ可能性があると伝えていた。また、英デイリーメールは、「NSWとクイーンズランド州ではコアラの生息地80%が焼失し、1000頭以上が死んだ可能性がある。コアラは絶滅したも同じ」とする専門家の話を紹介している。
災害時に動物の救助活動を行う保護団体、国際動物福祉基金(IFAW)によると、コアラは山火事に非常に弱い。というのも、動きが遅いために逃げ遅れるだけでなく、コアラが食糧としており生息しているユーカリの木は、いったん火がつくと燃える勢いも強く火の回りも早い。逃げ遅れたコアラは、樹木全体が火に包まれる「樹冠火」の中で焼かれてしまいかねない。
森林に潜むコアラを見つけ出す探知犬
IFAWによると、森林の中に潜むコアラを人間の目で見つけ出すのは至難の技だ。そんななか、コアラを見つけ出すよう訓練を受けた犬が、山火事からコアラやその他の野生動物を救出する活動を行っている。

足に保護ソックスを履いている探知犬 Photo: Facebook/ifaw
CNN(11月19日付)によると、ボーダー・コリーとクーリーのミックス犬「ベア」は、コアラの毛皮のにおいを嗅ぎ分け、生きたコアラがどこにいるかを見つけ出すよう訓練を受けた「コアラ探知犬」だ。クイーンズランド州のサンシャインコースト大学が運営する非営利団体「ディテクション・ドッグズ・フォー・コンサベーション」(保全のための探知犬)に所属しており、IFAWが資金援助を行っている。
IFAWによると、先住民族の保護地域である広さ1000ヘクタール(10平方キロ)のニュンヤ・ジャーゴンでは、2件の山火事が発生、85%が焼失した。この地域には20〜40頭のコアラが生息してると考えられていた。
IFAWがベアを連れて同地域でコアラ探知活動を行ったところ、生きたコアラがいるという反応をベアが示した。今のところまだコアラの確認はできていないが、IFAWは今後も同地域での救出活動を続けるとしている。
ベアは、ペットとして飼われていた犬だった。しかし元気がありすぎ、また執着しすぎてしまう性格であるため、飼い主から里子に出されてしまったのだという。ベアのこうした性格は、探知犬にぴったりだとIFAWは説明する。ペットとしては幸せを見出せなかったベアだが、コアラ探知犬として活躍することでベアの将来も安定したものになるとIFAWはCNNに語った。
下着姿でコアラ救助の女性
他にも、コアラ救出劇がいくつか報告されている。CNNによると、動物の訓練組織であるテート・アニマルズは、コアラ探知犬テイラーの活躍でこれまで8頭のコアラを救出した。テイラーは4歳のスプリンガー・スパニエルで、ベアとは異なり、コアラのふんのにおいを頼りに探知を行う。
また、大やけどを負ったコアラを女性が命がけで救助した話も話題になっている。コアラを助け出したトニ・ドハーティさんは、豪州民放テレビ局ナイン・ネットワークの取材に答えて、火の中に向かっていくコアラに気づいて、慌てて車から降りて救助に向かったと話した。

ドハーティさんがコアラを救出する様子をとらえた動画によると、毛皮に火が付いたコアラは、混乱したように火の中に向かっていくところだった。ドハーティさんは、何かで包まなければと思い、とっさにシャツを脱いだという。
後に「ルイス」と名付けられたこのコアラは14歳で、現在はポート・マッコーリー・コアラ病院で看病されている。ユーカリの木を食べるほどの元気はある様子だが、足や腹部などにやけどを負っており、生き延びられる可能性は50%とみられている。
次のページ動画:下着になってコアラを助け出す女性
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13466_2.php

http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/783.html

[自然災害22] 2050年人類滅亡!? 豪シンクタンクの衝撃的な未来予測 食料生産量は大幅に減り、10億人以上が他の地域への移住 人類の文明はあと30年で滅亡 釣りタイトルもほどほどに、という話
2050年人類滅亡!? 豪シンクタンクの衝撃的な未来予測
2019年6月7日(金)17時50分
松岡由希子

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食料生産量は大幅に減り、10億人以上が他の地域への移住...... BenGoode-iStock

<オーストラリアのシンクタンクが、今後30年の気候変動にまつわるリスクを分析し、最悪の場合、人類文明が終焉に向かうかもしれないという衝撃的な方向書を発表した>

2050年には、世界人口の55%が、年20日程度、生命に危険が及ぶほどの熱波に襲われ、20億人以上が水不足に苦しめられる。食料生産量は大幅に減り、10億人以上が他の地域への移住を余儀なくされる。最悪の場合、人類文明が終焉に向かうかもしれない──。

気候変動が人間社会や自然環境にもたらす影響について、このような衝撃的な未来のシナリオが明らかとなった。

「気候変動は人類文明の脅威である」
豪メルボルンの独立系シンクタンク「ブレイクスルー(Breakthrough-National Center for Climate Restoration)」は、今後30年の気候変動にまつわるセキュリティリスクをシナリオ分析し、2019年5月、報告書を発表した。

この報告書では「気候変動は短中期的にみて人類文明の脅威である」とし、「気候に関するセキュリティマネジメントにおいては、最悪のケースやファット・テール現象(正規分布の両端が実現する可能性が高いこと)を考慮した新たなアプローチが必要だ」と説いている。

2015年12月12日に採択された「パリ協定」では、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて2度未満に抑えることを目標に掲げているが、報告書は、この目標値が未達に終わると予測する。

永久凍土が消失し、アマゾン熱帯雨林は干ばつに
報告書のシナリオによると、人為的な温室効果ガスの排出量が2030年まで増え続け、2030年までに気温が1.6度上昇する。

温室効果ガスの排出量は2030年をピークに減少するものの、炭素循環フィードバックやアイス・アルベド・フィードバックなど、気候プロセス上の要因も加わり、2050年までに気温が3度上昇する。1.5度の気温上昇で西南極氷床が融解し、2度の気温上昇でグリーンランド氷床が融解する。

気温が2.5度上昇すると、永久凍土が広範囲にわたって消失し、アマゾン熱帯雨林は干ばつに見舞われて立ち枯れる。ジェット気流が不安定となることで、アジアや西アフリカの季節風にも影響が及び、北米は熱波や干ばつ、森林火災など、異常気象の被害を受ける。陸地面積の30%以上で乾燥化がすすみ、南アフリカ、地中海南岸、西アジア、中東、米国南西部、豪州内陸部で砂漠化が深刻となる。

ゼロ・エミッションベースの産業システムを構築すべき
元オーストラリア国防軍最高司令官のクリス・バリー氏は、報告書の序文で「この世の終わりを避けられないわけではないが、直ちに思い切った行動をとらなければ望みは薄い。政府、企業、地域コミュニティがまとまって行動するべきだ」と訴えている。また、この報告書では、一連のリスクを軽減し、人類文明を維持するために、廃棄物をゼロにするゼロ・エミッションベースの産業システムを早急に構築するべきだと提唱している。

次のページ衝撃的な報告書にまつわる動画はこちら
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/06/2050-2.php

 

 

衝撃すぎる…豪研究機関が「2050年人類滅亡」を予測と発表
オーストラリアの政府研究機関から人類滅亡という衝撃的な発表がなされました。 更新日: 2019年06月08日
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■豪シンクタンクから衝撃的な内容の発表が…

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オーストラリアのシンクタンクが、今後30年の気候変動にまつわるリスクを分析し、最悪の場合、人類文明が終焉に向かうかもしれないという衝撃的な方向書を発表

出典
2050年人類滅亡!? 豪シンクタンクの衝撃的な未来予測 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

これは、オーストラリア・メルボルンに拠点を置くブレークスルー気候復旧ナショナルセンターが公表した文書

出典
人類終了のお知らせ。現在の文明は2050年までに崩壊すると予測した文書が発表される(オーストラリア研究) (2019年6月7日) - エキサイトニュース

2050年までに地球の平均気温が3℃上昇し、文明が崩壊するという恐ろしいシナリオが指摘されている。

出典
【ガチ】2050年までに地球滅亡へ! 人類絶滅のプロセス完全判明、たった3℃の気温上昇で終わるほど脆い人類

■2050年の時点で3℃気温が上昇していれば人類は終焉に向かう

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もし2050年の時点で3度以上地球の全体気温が上がっていれば、人類の文明は終焉に向かう

出典
「2050年までに人類が滅亡する」という文書をオーストラリアが発表 | ニコニコニュース

2050年には、世界人口の55%が、年20日程度、生命に危険が及ぶほどの熱波に襲われ、20億人以上が水不足に苦しめられる

出典
2050年人類滅亡!? 豪シンクタンクの衝撃的な未来予測 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

気候変動がもたらす破壊的な影響を抑えたいのであれば、我々は電力生産、交通、工業、農業、そして他の産業が生み出す温室効果ガスをドラスティックに、かつ今すぐ、削減しなければならない

出典
100年後の地球はどうなる? ただし人類がラッキーならば…… | BUSINESS INSIDER JAPAN

■永久凍土は融解し、アマゾンは干ばつに

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気温が2.5度上昇すると、永久凍土が広範囲にわたって消失し、アマゾン熱帯雨林は干ばつに見舞われて立ち枯れる。

出典
2050年人類滅亡!? 豪シンクタンクの衝撃的な未来予測 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

アジアでは巨大河川の水量が激減し、2億人が影響を受け、メキシコや中米では降雨量が半減し、農業が不可能になる

出典
【ガチ】2050年までに地球滅亡へ! 人類絶滅のプロセス完全判明、たった3℃の気温上昇で終わるほど脆い人類

陸上面積の35パーセント――人口でいえば55パーセントにあたる人たちが、年に20日以上もはや人が生存不可能なほどの致死的な熱波に襲われる

出典
人類終了のお知らせ。現在の文明は2050年までに崩壊すると予測した文書が発表される(オーストラリア研究) (2019年6月7日) - エキサイトニュース

■そして「人間性が崩壊」していく

GettyImages
地球環境が劇的に変化していることは事実である。また、地球温暖化により2050年〜2099年の間に北アメリカで大干ばつが起こるリスクは98%

出典
【保存版】ノストラダムスの「まだ実現していない9の予言」が恐すぎる! 第三次世界大戦、大地震、人類滅亡… 絶望的未来がズラリ

ここまで深刻化すると、次に起こるのが人間性の崩壊だという。アメリカや中国などの大国で内部分裂や紛争が起こり、これまで築き上げてきた国家や法の秩序が崩れ去る

出典
「2050年までに人類が滅亡する」という文書をオーストラリアが発表 | ニコニコニュース

人口は1900年頃と比較しても少なくなり、生活の質も非常に下がるという。そして、2040〜2050年にかけ、現在の文明は崩壊の危機にさらされる

出典
【悲報】「2040年に人類滅亡、2020年から“変化”始まる」MITのプログラムが算出した“アポカリプスの日”が恐すぎる!|BIGLOBEニュース

■気象変動による文明衰退は過去の歴史からも証明されている

アマナイメージズ
朝焼けのピラミッド by アマナイメージズ
文明衰退に大きな役割を果たした要因(つまり今の崩壊リスク特定に役立つ要因)を特定した。これが人口、気象、水、農業、資源だ。

出典
やっぱり人類は滅亡することがNASA出資の調査で判明。資源浪費と貧富二極化で | ギズモード・ジャパン

1970年から2012年の間に脊椎動物が約58%も減少したと報告されているという。生態系のバランスが崩れることで人類の存亡が脅かされる

出典
【悲報】「マジで世界滅亡2分前」世界中の有名科学者が“人類滅亡寸前”を指摘! 21世紀で終了の確率は50%! (2017年5月9日) - エキサイトニュース

ノストラダムスは地球環境が劇的に変化すると予言しており、40年の洪水と40年の干ばつが起こるという。

出典
【保存版】ノストラダムスの「まだ実現していない9の予言」が恐すぎる! 第三次世界大戦、大地震、人類滅亡… 絶望的未来がズラリ

■このニュースはヤバい…

アマナイメージズ
テーブルでリラックスする女性 by アマナイメージズ


岩立盛郷@iwatachi

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たしかに衝撃的 2050年人類滅亡!? 豪シンクタンクの衝撃的な未来予測 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト newsweekjapan.jp/stories/world/…

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俊樹@sanjou007

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こうなったのも全ては人間が作り出した代償に過ぎない。 人間が自然を破壊し 最後は人間が自然に破壊される! 2050年人類滅亡!? 豪シンクタンクの衝撃的な未来予測 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト newsweekjapan.jp/stories/world/…

返信 リツイート いいね 2019.06.08 09:31

(⌒‐⌒)@xiongmao9000

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これは十分あり得る。 2050年砂に埋まる大都市が出てくるかもしれない。 #環境 2050年人類滅亡!? 豪シンクタンクの衝撃的な未来予測(ニューズウィーク日本版) headlines.yahoo.co.jp/article?a=2019…

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Green Flash@EastSNW

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2050年人類滅亡!? 豪シンクタンクの衝撃的な未来予測|ニューズウィーク日本版 newsweekjapan.jp/stories/world/… 30年なんてアッと言う間だけど、深刻に考えてる人がどれだけ居るかな?トランプやアベなんかは完全に無視だし。

返信 リツイート いいね 2019.06.08 01:36

Haruyoshi KAWAI/河合晴義@yumegondou

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2050年人類滅亡!? 豪シンクタンクの衝撃的な未来予測 newsweekjapan.jp/stories/world/… [この世の終わりを避けられないわけではないが、直ちに思い切った行動をとらなければ望みは薄い] まだ希望はあるとか、今なら間に合うとか表現されてきた温暖化対策も、いよいよ最終段階にきた感。

返信 リツイート いいね 2019.06.08 00:49

■今すぐアクションを起こす必要がある

GettyImages
技術革新で資源使用効率を高めても、人口ひとりあたりの資源消費量と資源採取の規模も同時に増えてしまう傾向がある

出典
やっぱり人類は滅亡することがNASA出資の調査で判明。資源浪費と貧富二極化で | ギズモード・ジャパン

二酸化炭素の排出を全世界的にゼロにすることが唯一の解決策

出典
(2ページ目)【ガチ】2050年までに地球滅亡へ! 人類絶滅のプロセス完全判明、たった3℃の気温上昇で終わるほど脆い人類

今、脚光を浴びているのは、大気中のCO2を除去する技術です。ネガティブ・エミッション・テクノロジー(NET)

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東大名誉教授が警告「人類に残された時間は20年」―地球温暖化の猛威が現実化、急がれる対策(志葉玲) - 個人 - Yahoo!ニュース

徹底した社会の省エネ化、そして人口増加の待ったなしの抑制が求められている。この機会に個人レベルで何ができるのかを考えてみてもよい

出典
【警告】科学者15,000人が連名で"地球滅亡”を主張「人類は7つの危機に直面している」! 今行動すべき解決策5つとは!? (2017年11月30日) - エキサイトニュース

■「伝染病も大流行」も懸念されている

アマナイメージズ
考えるビジネスマン by アマナイメージズ
現代の医療はあらゆる場面で抗生物質に頼りきっているため、どんな抗生物質も効かないスーパー耐性菌の存在が脅威になる

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【悲報】「マジで世界滅亡2分前」世界中の有名科学者が“人類滅亡寸前”を指摘! 21世紀で終了の確率は50%! (2017年5月9日) - エキサイトニュース

2050年以降には耐性菌が原因で死亡する人は、現在の年間約70万人から14倍の1000万人以上に上る恐れがある

出典
全文表示 | 人類滅亡映画の世界が2050年に来る? 伝染病大流行で年間1000万人が死亡 : J-CASTニュース

これは、がんによる死亡者を超える数に相当するため、「WHO(世界保健機関)も注目し、すべての国に対策を取るように呼びかけている」

出典
年間約70万人が死亡…「薬剤耐性菌」の恐怖と抗生物質の正しい服用法 | ニコニコニュース
https://matome.naver.jp/odai/2155996002863954601?page=2


「人類の文明はあと30年で滅亡する」衝撃的な結果が報告される
2019年6月5日14:20 by 深海 | カテゴリー ライフ | タグ 地球, 気候変動, 環境

コメント 2

「な、なんだってーーー!!!」と叫びたくなるようなお話ですが、荒唐無稽なオカルト話とは言えません。詳細は以下から。

今ある人類の文明が滅亡する…映画やSF小説だけの話だと思いますか?1999年の「ノストラダムスの大予言」が見事に外れた後、そんな滅亡の話は誰もが話半分にしか聞かないようになりました。

ですが現実に気候変動は起こっており、日本でも耐えがたい猛暑や豪雨、台風や豪雪などの災害が各地で発生しています。

こうした傾向がこれからも改められなければ、今後30年で人類の文明は終焉を迎えるという衝撃的な結果をオーストラリアのシンクタンク「Breakthrough - National Centre for Climate Restoration」が報告しました。


それによると、現在発生している気候変動が人類の生存を脅かす域にまで達する可能性があるとのことで、その危険は30年後にまで迫っているとしています。

この方向をおこなった研究者らによると、現在の地球の気温は(編集部注:人類が誕生してから)これまでになく高く、70億人を超える人間が地上に存在しているという、人類史上に例のない状況にあります。

では、このまま行くと地球にはどのような影響が起こるのでしょうか?

・2020〜2030年
各国政府はパリ協定の目標値では気温の上昇を止めるのに不十分だというエビデンスに沿って行動することに失敗し、二酸化炭素レベルは437ppmに至る。これは過去2000万年で最も高い数値となり、気温は1.6度上昇する。


・2030〜2050年
二酸化炭素排出量は2030年頃にピークを迎えて減少に向かう。しかし炭素循環はフィードバックし、化石燃料も継続的に使用されることから2050年までに気温の上昇は3度に至る。


・2050年〜
グリーンランドと南極西部の氷床は2度の、そして永久凍土は2.5度の気温上昇で融解が始まると考えられています。そして溶け出せば当然気温や海流などに大きな影響を与えます。


2050年以降では、全人類の55%が年間20日以上に渡って生存を脅かすレベルの熱波に襲われることになります。北米では山火事や旱魃、熱波といった気象災害が頻発し、中国では季節風が衰えてアジア諸国の大河が干上がり、中米の降雨量は半分になります。

西アフリカの強烈な熱波は100日以上に及び、発展途上国では国民に生存のために十分な冷房設備を供給できなくなります。食料生産にも大きな影響が及び、世界人口を賄うことができなくなります。また、10億人以上がこうした影響から移住を余儀なくされます。


こうした状況は連鎖的に安全保障にも影響を及ぼします。疫病の拡大といった問題の規模が大きくなる他、資源を巡っての武装蜂起が現実のものとなり、核使用に至る懸念も。

最悪のシナリオではこうした破壊は予測モデルを大きく超えてしまい、「人類の文明の滅亡」と呼ばざるを得ない状況が訪れる可能性が指摘されています。


まるで「マッドマックス 怒りのデス・ロード」そのもののような未来予測ですが、昨年の日本での凄まじい猛暑や豪雨、台風による被害を思い出せば、一笑に付する事はできません。

これから30年間毎年あのような災害が世界中に起こり続けたら…滅亡までには至らずとも各地で甚大な被害が発生し、それに伴う経済的な停滞や武力衝突などが起これば、私たちの生活も今まで通りとはいかなくなります。

早急な対策が必要ですが、まずは多くの人がそのことを認識する必要がありそうです。

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https://buzzap.jp/news/20190605-human-civilization-end-2050/


 

「2050年人類滅亡!?」釣りタイトルもほどほどに、という話(江頭教授)
2019.06.20 解説 | 固定リンク 投稿者: tut_staff
 少し前の話になりますが、ニューズウィーク日本版のウェブサイトに「2050年人類滅亡!? 豪シンクタンクの衝撃的な未来予測」という正に衝撃的な記事が掲載されていました。

Photo_11

 この記事は本当に衝撃的でした。なぜならこの刺激的なタイトルと象徴的なイラストの直下に

<オーストラリアのシンクタンクが、今後30年の気候変動にまつわるリスクを分析し、最悪の場合、人類文明が終焉に向かうかもしれないという衝撃的な方向書を発表した>

という要約があるのです。

 「人類滅亡」と「人類文明が終焉」は全く違う話やないかー!

という、誰かをハリセンで叩いて思いっきりツッコミを入れたくなるような衝撃のボケ展開には正直愕然としてしまいます。私はニューズウィーク日本版はまっとうなメディア、もっというと権威のある情報源だと思っていたのですが、これは酷い。いくら何でも酷すぎる釣りタイトルだと思います。

 人類滅亡というイメージはおそらく「人類」という概念が広がった当初からある、といえるほど古いイメージでしょう。それが現実感をもって語られる様になったのは核の脅威が切迫した冷戦時代であり、そのイメージは映画「渚にて」のような作品でも印象的に描かれていました。(ちなみに「渚にて」は1959年の映画です。)

 一方、「人類文明が終焉」に向かう、という予測は以前このブログでも紹介したローマクラブの「成長の限界」で示されたシナリオと類似のイメージです。ただ、「成長の限界」は1972年の出版だということを少し思い出してもらいたいところです。

 今回紹介されていたオーストラリアのシンクタンクの未来予測は気候変動が大部分の人々の想定以上の被害をもたらし、その影響を社会が受け止め切れずに人類文明が終焉に向かうかも知れない、という予測を示しています。これは「成長の限界」では資源の枯渇や汚染物の蓄積と言った漠然とした言葉で表現されていた人間活動による環境への負の影響を、より具体的なものとして示した、という意義はあると思います。ですからこの記事のタイトルが「2050年文明崩壊!? 豪シンクタンクの衝撃的な未来予測」であったらな新規性はあるものの予想の範囲内の記事だったでしょう。

 今回のタイトルにある「人類滅亡!?」を見て、私は気候変動によって人類が滅亡するような(少なくとも私は知らない)全く新しい危機の可能性が示されているのかと思ってしまいました。それが記事のはじめの1文でいきなりずっこけたという次第です。

 まあ、ここで本当に衝撃的なのは日本版とはいえニューズウィークというレベルのメディアですら、「人類滅亡」と「人類文明が終焉」とを区別しない程度の認識で報道を行っているという事実でしょうか。


江頭 靖幸

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http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/784.html

[経世済民133] IMFが緩和長期化の副作用言及、日銀は長期金利目標の年限短期化を インド中銀「影の銀行」を大胆処理 未踏の領域に  日銀国債買いオペに減額余地、保有減っても公約に反しない IMFが日本の19年実質成長率予想0.8%に引き下げ、対日審査で
IMFが緩和長期化の副作用言及、日銀は長期金利目標の年限短期化を
伊藤純夫
2019年11月25日 15:04 JST
金融政策は緩和スタンス維持を、物価目標レンジ化で政策に柔軟性
大手行の資本上積みや、規制の適用拡大なども求める
国際通貨基金(IMF)は25日に公表した日本経済に関する審査(対日4条協議)に関する声明で、イールドカーブのフラット化による金融機関収益や年金・保険の資金運用への悪影響に言及し、低金利の長期化による金融システム面への副作用対策として、長期金利目標の対象としている国債の年限短期化などを提言した。

  声明では、日本経済の先行きについて「国内需要の緩やかな成長は外的環境の悪化によって損なわれつつあり、下振れリスクが増大してきている」と指摘。潜在成長率を高め、物価安定を実現するには「日銀の緩和的金融政策スタンスが維持されるべきだ」とする一方、「金融政策の持続可能性を高め、金融安定性リスク増大の緩和のために、金融政策と金融セクター政策のさらなる連携が図られるべきだ」としている。

  その上で、緩和長期化が金融機関の収益性に与える影響を抑制するため、イールドカーブコントロールでの利回り0%の目標値の設定対象を「10年物国債から満期のより短い国債に変更し、国債のイールドカーブをスティープ化する」ことを提言した。

  また、緩和的な金融環境の下で、金融面での脆弱(ぜいじゃく)性が高まってきていることを踏まえ、政府に対して、貸付損失が生じた場合に備え、大手銀行にその吸収のための資本上積みを求める仕組みであるカウンターシクリカル資本バッファーの引き上げや、国内基準行への適用などを求めている。

IMF声明における金融政策と金融セクター政策
物価上昇率の低さに貢献している構造要因を踏まえ、物価目標に合致したインフレ水準の再評価の実施。日銀は物価目標達成が中長期的なものであることを強調しつつ、インフレ目標を幅で提示し、政策の柔軟性を高めることを検討し得る
日銀は現在の「二つの柱」政策戦略を、インフレ予測ターゲティング(IFT)の採用によって強化することも検討できる
日銀の政策ガイダンスは、1)日本国債買い入れの量的ガイダンスをやめること、2)マネタリーベースからオーバーシュート型コミットメントを切り離すことで簡略化され得る
金融庁は強力なミクロプルーデンス監督・規制を通じ、銀行に対しリスク管理とリスク耐性の強化を促し続けるべきだ。手段としては、リスクプロファイルに照らした資本要件の個別設定、フォワードルッキングな形で貸倒引当金を積むことの奨励がある
地方銀行が収入源の多様化、ITとフィンテックの活用改善、再編により、健全性を確保できるように金融庁は促し続けるべきだ
金融庁は危機管理・破綻処理の枠組みを、例えば国内のシステム上重要な銀行(D−SIB)全行に総損失吸収力(TLAC)要件の適用範囲を拡大することで強化すべきだ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-25/Q1I75ADWLU6801?srnd=cojp-v2


 

 
日銀国債買いオペに減額余地、保有減っても公約に反しない−ソシエテ
日高正裕、Chikako Mogi
2019年11月25日 8:11 JST
日本銀行は公約のマネタリーベース拡大の観点から、長期国債買い入れをこれ以上減らすことは困難になるとの見方に、ソシエテ・ジェネラル証券の会田卓司チーフエコノミストは否定的だ。
  足元の日銀の国債買い入れペースは年間60兆円弱。2013年の異次元緩和開始後に大量購入した国債の償還が今後1年で約57兆円あるため、買い入れ減額により保有額が減少すれば、大半が日銀当座預金からなるマネタリーベースの拡大は困難となり、日銀の公約違反になるとの見方は根強い。
  会田氏は、そうした見方は「日銀の国債保有残高の変化とマネタリーベースの変化が同じであるという間違いからくるものだ」と指摘。保有国債が償還されると、マネタリーベースに含まれない政府預金が減る。これを補うため財務省が発行する国庫短期証券を日銀が市場から買い取れば、日銀当座預金を維持できる。このため、日銀の国債買い入れ額が保有国債の償還額を大きく下回ってもマネタリーベースは減少しないと言う。
Monetary Expansion
Other buffers in assets to offset slowing growth of BOJ's JGB buying

the Bank of Japan
  毎年3兆〜4兆円増加している銀行券や、約6兆円買い入れている指数連動型投資信託(ETF)、貸出支援基金の増加分もバッファーとなる。会田氏は「市場が考えるより、マネタリーベース拡大の公約を維持しながらでも、日銀の国債買い切りオペの減額余地は小さくなく、利回り曲線をスティープ(傾斜)化させることはできる」とみる。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-24/Q18W71DWX2PS01?srnd=cojp-v2


 

コラム2019年11月24日 / 07:50 / 11時間前更新

インド中銀、「影の銀行」を大胆処理 未踏の領域に
Una Galani
2 分で読む

[ムンバイ 21日 ロイター BREAKINGVIEWS] - インドの金融行政が未知の領域に踏み込みつつある。「影の銀行(シャドーバンキング)」の危機的状況に取り組んでいる中央銀行が、住宅金融大手デワン・ハウジング・ファイナンス(DHFL)(DWNH.NS)と同社が抱える約120億ドルの負債を破産裁判所送りにしたのだ。

企業統治上の問題などがあったにせよ、もともと一般事業会社向けに設計された手続きで金融機関を処理するのはかなり大胆だ。しかし、行き詰まりがかくも長期化する中で事態を打開するには、こうする以外になかったのかもしれない。

インドの不良債権は2000億ドルに達しており、中銀が大胆な動きを見せたことは喜ばしい兆しだ。

今回の取り組みは未踏の領域に踏み込むことでもある。インドには経営破綻した金融機関への対処に特化した枠組みがない。預金者の扱いを巡って反発を受けたことで政府は昨年、金融機関の破綻処理法案を撤回していた。

ただ、規制当局には新たな権限が与えられ、18日からの週に破産法の追加的な改正が行われたこともあいまって、経営に支障のある貸し手を処理する新手法が可能になっている。これにより、問題は解決に近づきつつある。

DHFLの案件は、インドの銀行業界が健全化に向かう取り組みで新たな節目と言える。政府が1年と少し前、ノンバンク大手のインフラストラクチャー・リーシング&ファイナンシャル・サービシズ(IL&FS)の支配権を握ったときは、これをきっかけにノンバンク業界で流動性のひっ迫が起きていた。インドの個人と法人の債務合計は昨年、ノンバンクの保有分が全体の約5分の1を占めた。

DHFLの破綻処理に問題も残っている。例えば、リテール部門の資産の一部は既に銀行に引き取られたあとだし、払い戻しが必要な預金顧客も抱える。

規制当局は最終的に破綻処理にゴーサインを出すだろう。しかし裁判所に持ち込まれるまでに4カ月もかかっており、手続きの進行はこれからもあらゆる局面で試練に見舞われだろう。

しかし、破綻したインド鉄鋼大手エッサール・スティールの処理手続きは、有担保債権者にとって満足のいくものだったとしても、時間が2年もかかった。

DHFLの破綻処理の場合は寛大な債権者対応よりもスピードが優先されかもしれない。

●背景となるニュース

*インド準備銀行(中央銀行)は20日、住宅金融大手デワン・ハウジング・ファイナンス(DHFL)の破綻処理手続きに入ると発表。

*中銀の発表によると、DHFLは企業統治に問題があり、複数の支払い義務を履行できなかったため、中銀が取締役会を引き継ぎ、管財人を指名した。

*DHFLは9月、銀行に破綻処理計画を提出して債務の株式転換を提案するとともに、資産の売却や資本の増強を目指していた。

*DHFLの負債は約120億ドル。10月に出された声明によると、債権者には銀行やミューチュアルファンドが含まれている。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
https://jp.reuters.com/article/india-shadow-bank-breakingviews-idJPKBN1XW0EG

 

IMFが日本の19年実質成長率予想0.8%に引き下げ、対日審査で
占部絵美
2019年11月25日 15:30 JST 更新日時 2019年11月25日 16:45 JST
消費増税が景気を腰折れさせないよう景気刺激策の導入を提言
中長期的財政スタンスでは消費税率20%への段階的引き上げ必要
国際通貨基金(IMF)は25日、日本経済に関する審査(対日4条協議)終了後の声明で、2019年の実質国内総生産(GDP)成長率が0.8%になるとの予測を明らかにした。

  IMFは声明が職員によるもので、必ずしも理事会の見解を示すものではないとしている。IMFが10月に発表した世界経済見通しで示した日本の19年実質成長率の予測は0.9%だった。

  声明では日本経済は底堅いと評価する一方、世界経済の下振れリスクや少子高齢化など国内の構造問題を踏まえ、消費増税による財政引き締めが景気を腰折れさせないよう景気刺激策を導入するよう提言した。

  また、19年10月の消費税率引き上げによる税収増は、平準化対策により相殺され、「19年の財政スタンスはおおむね中立的になる」と評価。一方、「現在検討されている景気刺激策を考慮しなければ、20−21年の財政スタンスは緊縮的なものとなる」との見方を示し、国内成長鈍化や海外下振れのリスクに対応するため、「21年も中立的な財政スタンスをとるべきだ」と指摘した。

  IMFのゲオルギエワ専務理事は通訳を介した記者会見で、米中貿易摩擦や英国による欧州連合(EU)離脱交渉など世界経済に逆風が吹いており、世界同時減速に直面しているとしながらも、「日本経済は強靭(きょうじん)性を示しており、積極的に財政刺激策を打ち、推定通りの成長率を上げるもしくはそれを少し上回る成長を遂げることは可能」と指摘した。

  安倍晋三首相は今月、自然災害からの復旧・復興や海外下振れリスク、東京五輪後の経済動向などを見据え、国内景気を下支えする経済対策の策定を指示した。自民党の二階俊博幹事長や世耕弘成参院幹事長は10兆円規模の補正予算が必要との見解を示している。IMFは短期的に実施し得る追加的財政政策として、消費増税対策の延長などを挙げた。

  一方で、中長期的な財政スタンスについては、「高齢化に伴い社会保障費の増加を賄うためには、消費税率を2030年までに15%、50年までに20%に段階的に引き上げる必要がある」と従来の厳しい姿勢を維持した。政府の25年度の基礎的財政収支(PB)黒字化目標の信頼性を高めるために、現実性と具体性を兼ね備えた取り組みが必要だと指摘した。

  IMF専務理事は、消費税について「公平で比較的実施しやすい」と指摘。持続可能な財政を達成するためには、「徐々に消費税を引き上げることが有用」とし、他国と比較した場合に日本は「もう少し消費税収に依存できる」との見方を示した。

(5、8段落目にIMF専務理事の発言を入れて更新しました)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-25/Q1GTK6DWRGG101?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/699.html

[経世済民133] 日本経済、2020年は経済対策で上振れ余地=IMF専務理事 カシュカリ総裁、所得格差是正で金融当局に一定の役割を認識
ビジネス2019年11月25日 / 17:13 / 2時間前更新
日本経済、2020年は経済対策で上振れ余地=IMF専務理事
Reuters Staff
1 分で読む

[東京 25日 ロイター] - 来日中の国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は25日の記者会見で、世界経済は各国同時で減速局面にあるものの、日本経済は政府が目下策定中の経済対策によって内需を下支えすることができると期待を表明した。日本は台風など自然災害に脆弱だが、防災インフラに関し世界各国は日本に見習うべきと強調した。

<強靭化見習うべき、「地下神殿」に感銘>

専務理事は、定例的な日本経済の審査である対日4条協議の終了と、対日報告書の発表を受けて会見した。2020年の日本の実質成長率について「(前年比)0.5%成長と予測するが、政府が策定している景気刺激策次第で上振れ余地がある」と指摘した。輸出・生産が低迷しても日本経済は堅調な内需を維持できるかとの質問に対し「世界経済に逆風が吹いているが、経済対策が実現すれば内需を支えることができるだろう」と期待を表明した。

会見冒頭で台風19号による被害に触れ、日本経済は気候変動の影響に対して脆弱と指摘しつつ、防災面で政府が進める国土強靭化策を評価。「地下神殿」と呼ばれる水害緩和施設(放水路)を見学し強く感銘を受けたと強調した。

人口減少や公的債務の増加など日本経済を取り巻く課題は多いとしつつ、世界経済の多くの課題を日本が先取りしており、日本の状況を注視する必要があるとした。日本の公的債務は「まだ持続可能ではない」と懸念。長期化する日銀の金融緩和による低金利と人口減少により「地銀に多くの負担がかかっている」とも指摘した。

公表された対日報告書は、日銀の金融政策に関して、低金利のリスクに配慮するため物価目標を柔軟化、金利目標を短期化させることなどが望ましいとの見方を示した。消費税率は長期的に20%への引き上げが必要としつつ、今年の消費増税対策を来年も延長するなど財政出動の重要性も提言。金融政策と財政政策の連携を重視している。

竹本能文
https://jp.reuters.com/article/japan-economy-imf-idJPKBN1XZ0O0

 


カシュカリ総裁、所得格差是正で金融当局に一定の役割を認識
Matthew Boesler
2019年11月25日 14:41 JST
• 低所得者への配慮、今年に入って3回の米利下げにも影響か
• アビゲイル・ウォズニアック氏の研究がパラダイム・シフトに
ハト派として知られるミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、 米金融当局が所得再分配で一定の役割を果たすことができると話す。
  2020年米大統領選の民主党候補指名を目指すバーニー・サンダース上院議員や、著名投資家ウォーレン・バフェット氏を含め、米国の格差拡大が問題であるとほぼ誰もが口にするが、再分配の役割はかつて公選の役職者の領域と考えられていた。
  カシュカリ総裁の主張は金融当局者としても異例であり、その見解は少数派にとどまる公算が大きい。だが、金融当局が今年に入ってコミュニケーションの内容を修正していく上で、同総裁の格差拡大を巡る問題検証への取り組みがその下準備をしたものと考えられる。ミネアポリス連銀内で17年に始まった研究は、総裁自身が想定していなかったほどのポテンシャルを秘める展開を見せた。
  このプロジェクトのリーダー役が、今年2月に同連銀の機会・包摂的成長研究所の初代ディレクターに就任したアビゲイル・ウォズニアック氏だ。米ノートルダム大学の准教授だった同氏は、オバマ前政権で大統領経済諮問委員会(CEA)シニアエコノミストを務め、当時からの研究が現在の米金融当局のパラダイム・シフトへの道を開いた。
  カシュカリ氏のそれまでの考えを変え、金融当局者の多くに驚きをもたらしたのは、従来の想定の下で失業率が完全雇用ないしそれに近いとされる水準にあっても、米経済で雇用創出が続く仕組みだ。これは、金融危機以降に職探しを諦め、失業者としてカウントされていなかった層が、労働市場に戻ってきているということだ。
  当時のCEA委員長で、現在はハーバード大学教授のジェーソン・ファーマン氏は、25−54歳の男性の多くが労働市場から脱落した理由を解明しようと、ウォズニアック氏が研究の最前線にあったと指摘。「男性が働きたがっていないといった供給面の説明が、問題の大きな源泉ではないと強調するのにわれわれは一役買った」と語る。
  この結果、問題なのは需要面の弱さということになり、金融当局が景気の十分な加速を容認すれば、トレンド反転の可能性があることを意味する。

カシュカリ総裁
写真家:アンドルー・ハラー/ブルームバーグ
  連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長ら当局者は、昨年の金融引き締めから今年3回の利下げに方針転換した理由として、米中貿易摩擦や世界的な景気鈍化に加え、低所得層への配慮という、新たな理由を挙げる。
  米金融当局者はここ最近の労働市場に関する理解に誤りがあったことを認めるとともに、地域への働き掛けを通じ、米国民の多くが過去最長の景気拡大の恩恵を感じていないことが分かったとしている。
  インフレ率が当局目標を下回って推移する中で、こうした見直しが政策金利を低めに維持する論拠を強めた形で、今後、景気拡大ペースが再び加速した場合でも、金融当局が条件反射的に利上げする可能性は小さくなるかもしれない。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iXg4ipNwmJ1k/v2/pidjEfPlU1QWZop3vfGKsrX.ke8XuWirGYh1PKgEw44kE/576x-1.png



https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-25/Q1I0Y6T0AFB401?srnd=cojp-v2

原題:
Can the Fed Fight Inequality? Kashkari Says Yes, Hires an Ally(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-25/Q1I0Y6T0AFB401?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/700.html

[経世済民133] ロボットよりもデキると思われる人間の管理職の条件 許されなかった同性愛、悲劇の天才チューリング コンピューターの「知性」の限界
ロボットよりもデキると思われる人間の管理職の条件
2019年11月25日(月)18時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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これからの時代、管理職に求められるものは? PhonlamaiPhoto-iStock

<AIが職場で身近なものになることで、職場でのマネージャーの役割が再定義されている。ロボットにはできない、人間のマネージャーが担うべき仕事とは?>

オラクルと調査会社「Future Workplace」が合同で実施した調査によると、労働者の82%が、ロボット上司は特定のタスク(作業スケジュールの管理や公平な情報の提供など)において、人間の上司よりも優れていると考えいる。

さらに言えば、64%の人は自分の上司よりもロボットを信頼し、アドバスを請うのは人間の上司ではなくロボットを選ぶという人も半数存在する。

この傾向が強いのは、インド(89%)、中国(88%)、シンガポール(83%)、ブラジル(78%)、日本(76%)で、アジアの国が多くみられる。

報告によると、アジアでのロボット需要は急増しており、インドでの産業用ロボットの売り上げは1年で39%増加。中国は2020年までに世界で最も自動化された国の1つになることを目標に掲げている。

人間の管理職が優れている部分
調査では、人間の管理職よりもロボット管理職の方が優れている点として下記の回答があった(上位3つ)。

・作業スケジュールの維持(34%)
・問題解決(29%)
・予算の管理(26%)
・公平な情報の提供(26%)

一方、人間の方がロボットよりも優れていることについては、このような項目が挙げられた。

・感情を理解してくれる(45%)
・指導力(33%)
・職場のカルチャーを作り出すこと(29%)

次のページマネージャーの役割を再定義
人間とロボットの共存
「人間の仕事がロボットに奪われる」というのは既に聞き慣れた話だろう。2030年までに、世界で最大8億人の労働者の仕事が機械に置き換えることができるという。自分が所属する業界、業種はどうなるのか?と、焦りを感じる人は少なくないだろうが、AIが職場で身近なものになることで人間が担う仕事が明確になるというメリットもあるはずだ。

「AIは、労働者とマネージャーの関係だけでなく、AIが主導する職場でのマネージャーの役割を再定義している」と、Future Workplaceのリサーチディレクターは指摘する。人間の管理職はソフトスキルに焦点を合わせ、技術な作業と日常的なタスクをロボットに任せていくことになるという。ソフトスキルの乏しい管理職にとっては頭の痛い時代がくるかもしれない。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/woman/2019/11/32-1_2.php
https://www.newsweekjapan.jp/stories/woman/2019/11/32-1.php


 
許されなかった同性愛、悲劇の天才チューリング
60年前の英国に同性婚法があったら機械知性は実現していた?
2019.11.25(月)
小谷 太郎
数理科学?時事・社会
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英国ブレッチリーパークにあるアラン・チューリングの彫像。 Photo by David Dixon, under CC BY 2.0.
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(小谷太郎:大学教員・サイエンスライター)

 2019年11月13日、デンマーク自殺防止研究所のアンネット・エーラングセン氏らの研究グループが、同性愛者の自殺率に関する調査結果を発表しました*1。

 同性愛者の自殺率は異性愛者に比べて高いことが知られています。これは周囲の偏見、烙印、差別などにさらされるためと考えられています。

 ところが今回、同性婚経験者の自殺率を調べたところ、約14年間で半減していたことが分かりました。

 半減の原因はまだ明らかではありませんが、もし同性婚を制度化することによって自殺を減らせるならば、これは朗報です。現在の社会で深刻な生きづらさを感じ、死を考えている多くの人々を、同性婚の制度化が救うかもしれないのです。

 そうした制度があれば救われたかもしれない人として、真っ先に思い浮かぶのが、英国の天才数学者アラン・チューリングです。

 最初のコンピューター科学者であり、ナチスの暗号を破った英雄である、チューリングの業績と悲劇について解説しましょう。

北欧では同性愛者の自殺が減少中
 まず、この統計調査『デンマークとスウェーデンにおける同性婚と異性婚経験者の自殺 1989ー2016:2国の婚姻届に基づく統計調査』*1について、簡単に説明しておきます。

 これまで、同性愛者の自殺率は高いといわれていましたが、正確な調査は困難でした。多くの場合、自殺者が同性愛者かそうでないか、判定できないからです。

 しかし近年、同性パートナーシップや同性婚を制度化する国が増え、そのため、この制度の利用者に対する統計的調査ができるようになりました。(異性婚の届け出をした人が異性愛者かというと、そうとも限りませんが、研究において重要なのはサンプルを正確に定義できることです。)

紙幣にもなったアラン・チューリング
 デンマークは1989年に同性パートナーシップを導入し、2012年に同性婚を法制化しました。スウェーデンは1995年に同性パートナーシップ、2009年に同性婚法制化です。いずれも、性的少数者の権利の拡充の先進国です。

 この調査は、この2国において同性パートナーシップまたは同性婚の届け出をしたことがある人を対象に、自殺率を調べたものです。ここでは、両制度を合わせて同性婚と呼んでおきます。

 同性婚経験者の自殺率はやはり高く、異性婚経験者に比べて約2倍でした。しかし今回の調査で、同性婚経験者の自殺率が近年減少していることも明らかになりました。1989年?2002年の自殺率と、2003年?2016年の自殺率を比べると、46%も減っていました。ほぼ半減です。同性愛者の置かれている状況に何らかの変化があったと思われます。

 研究グループは、考えられる原因として、同性婚の制度化や同性カップルの権利の拡充といった時代の変化を挙げています。性的少数者が北欧諸国で受け入れられるようになって、烙印や精神的ストレスや抑圧が改善され、自殺率の減少につながっているのではないか、と述べています。

紙幣にもなったアラン・チューリング
 アラン・チューリング(1912-1954)の肖像が用いられている、英国50ポンド新紙幣を図1に示します。


図1:英国の50ポンド紙幣の新デザイン。アラン・チューリングの肖像、チューリングマシンのテープ、チューリングの設計した自動計算機関、暗号解読機などをあしらっている。2021年中に流通の予定。(提供:英国銀行)
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 英国50ポンドの新紙幣には、アラン・チューリングが採用されました。アラン・チューリングとチューリングマシン、自動計算機関などをあしらった、使わずに貯め込みたくなるほど格好いい新紙幣は、2021年中に流通の予定です。

 英国銀行総裁は、チューリングが選ばれた理由として、「卓越した数学者アラン・チューリングの業績は、今日の私たちの生活に計り知れない影響を与えている。コンピューター科学と機械知性の父として、第二次大戦の英雄として、アラン・チューリングは広い分野に貢献し、開拓した」と述べています*2。

 英国銀行総裁も絶賛のチューリングの業績とは、どのようなものだったのでしょう。

チューリングの証明
チューリングマシン
 まだコンピューターというものがこの世に1台も存在しない1936年、チューリングは、ある奇妙な機械のアイディアを発表しました*3。今では「チューリングマシン」として知られる仮想的な機械です。

 チューリングマシンは、紙テープあるいは磁気テープのような、情報の記録された無限に長いテープを読み込み、命令にしたがって、テープを送ったり巻き戻したり情報を書き込んだりといった、単純な作業を繰り返し行ないます。(図1の紙幣をよく見ると、チューリングマシンのテープが描かれています。)

 チューリングマシンはそうした単純な作業を繰り返すうちに、テープに書かれた数字を足し合わせて結果を新たに書き込んだり、素数を100個求めたり、数独を解いたりといった複雑な計算を行ないます。そういった複雑な計算を行なうようにマシンに一連の命令(プログラム)を与えることができます。

 チューリングマシンは不器用で単純なコンピューターですが、現在のコンピューターのできることは原理的に全て実行できます。チューリングマシンに不可能な計算は、どんな高性能コンピューターにも計算できません。

 ということは、チューリングマシンに何ができて何ができないかを調べれば、コンピューターの能力の限界が分かるということです。アラン・チューリングの発明したマシンは(当時まだ存在しない)コンピューターについて調べる道具なのです。

 コンピューターの原理や限界について研究する学問分野を、コンピューター科学といいます。アラン・チューリングはチューリングマシンというおもちゃを発明することによって、コンピューター科学の創始者(の一人)となったのです。

チューリングの証明
 例えば、「チューリングマシンに与えられる命令(プログラム)が誤りを含むかどうか、を判定するチューリングマシン」は作れるでしょうか。言い換えると、コンピューターのプログラムに誤り(バグ)があるかどうか判定するプログラムは作れるでしょうか。

 アラン・チューリングはこれが不可能であることを証明しました。

 以下に、チューリングの証明の解説を試みますが、やや複雑なので、飛ばして次の節に進んでも理解に差し支えありません。

そのようなプログラムは存在するか
 プログラムのバグは千差万別、プログラマー(人間)の個性ほど種類がありえますが、ここでは「いつまでも計算が終了せずに永遠に動き続けるバグ」を問題にしましょう。チューリングマシンはデータを与えられると、それに何らかの計算処理を施して終了するはずですが、このバグを含むプログラムに従うマシンは、計算が止まらなくなってしまうのです。

 このバグを判定するプログラムが存在すると仮定しましょう。バグ判定プログラムに従うチューリングマシンはバグ判定マシンとして働きます。この仮定から矛盾が導かれたら、そういうプログラムは存在しないという証明になります。

 このバグ判定マシンは、判定対象のプログラムを読み込み、それに対してバグ判定計算を行います。バグ判定用のプログラムも、判定対象のプログラムも、テープ上に一連のデータとして用意されているとします。そして、判定対象プログラムが「正しく計算処理を行なった後に無事終了する」と結論されたならば、マシンはテープに「バグはありません」に相当する記号を出力して終了します。しかし、「判定対象プログラムの計算が止まらなくなる」と結論されたならば、「バグがあります」と出力して終了します。

 もしもこういうバグ判定プログラムを作ることができたなら、これを改造して、意図的にバグを仕込むことが可能です。判定対象プログラムにバグが含まれていなかったら、「バグはありません」と出力するはずが、「バグは、バグは、バグは・・・」と永遠に出力しつづけて計算が終了しないように、バグ判定プログラムを改悪するのです。

 さてこのバグ判定マシンに、自分自身のプログラムを判定対象として読み込ませたら、何が起きるでしょうか。自分自身にバグがあると判定するでしょうか、それとも正しく計算処理を行なって終了すると判定するでしょうか。(正確には、自分自身をデータとして読み込んだ状態の自分自身を判定対象として読み込ませることになるので、少々複雑な手順が必要になりますが、それは原理的に可能です。)

 もしもバグ判定マシンが自分自身にバグがあると判定するなら、「バグがあります」と出力して終了するはずです。するとバグ判定プログラムは正常終了するプログラムということになるので、これを判定したバグ判定マシンは「バグは、バグは、バグは・・・」と出力しつづけて止まらなくなるはずです。するとバグ判定プログラムは計算終了しないプログラムということになるので、これを判定したバグ判定マシンは「バグがあります」と出力して終了するはずで・・・、結局、マシンは終了するともしないとも結論できません。これは矛盾です。

 これで証明ができました。プログラムにバグがあるかどうか判定するチューリングマシンが存在すると仮定すると、矛盾が生じるのです。コンピューターにコンピュータープログラムの修正をやらせることは原理的に不可能なのです。

 これがアラン・チューリングの証明の骨子です。

コンピューターの「知性」の限界

 もしもプログラム作成をコンピューターにやらせることができれば、人間が寝ている間に次々プログラムが作られて、人間は楽ができるでしょう。AI万歳! プログラマーは職探しを迫られます。

 しかしプログラム作成には、できたプログラムに誤りがないかどうか確かめる作業が必要です。チューリングの証明によると、これは原理的に不可能です。

 すると結論は、プログラム作成をコンピューターにやらせることはできないということになります。当面の間、プログラミングとバグ取りは人間の仕事でしょう。プログラマーは苦労してプログラムを作らないといけません。(徹夜は避け、休養は充分に取ってください。)

 チューリングがこの証明を行なった当時、プログラムに従って動作する現代的なコンピューターは存在しませんでした。まだコンピューターが夢想に過ぎない時、もしもコンピューターが建造されたら、それが実現する「知性」はどのようなものになるか、その限界を考察した天才がいたのです。いやはや人間の知性(の最高峰)には驚かされます。

 この証明が明らかにしたように、人間の知性とコンピューターの「知性」には本質的な違いがあるようです。その違いはどこに由来するのでしょうか。脳細胞を一つひとつ機械部品で置き換えていくと、どこでプログラミングができなくなるのでしょうか。

 チューリングがこの問題を出してから80年、いまだ誰も答を知りません。もしもチューリングが長生きしていたら、その答は見つかっていたでしょうか。今ごろ機械知性は実現していたでしょうか。

暗号解読者(コードブレーカー)
 第二次世界大戦中、チューリングは英国のために働きました。

 対するナチス・ドイツは、「エニグマ(謎)」という(心震える名の)暗号機を用いて、軍事通信を暗号化していました。暗号機というのは歯車やスイッチなどを組み合わせた機械で、キーボードに文章を打ち込むと、暗号文となって表示されます。逆に暗号文を打ち込むと、元の文書が現れます。エニグマは高性能で、その暗号はどの国も解読できませんでした。

チューリングの死
 チューリングの属する暗号解読部隊はエニグマ暗号に取り組み、「ボンブ(Bombe:爆弾)」と名づけられた解読計算専用の機械をぶんぶん回し、その解読に成功します。


図2:戦時中に撮影されたブレッチリーパークのボンブ。 (出典:Set of wartime photos of GC&CS at Bletchley Park)
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 ただし、暗号解読はチューリングの天才と解読部隊の働きのみによって達成されたわけではなく、暗号鍵の捕獲や盗聴といった軍事行動と諜報活動にも助けられています。(映画が3本ほど作れそうです。)

 解読成功により、ナチス・ドイツの作戦は英国に筒抜けになったといわれます。これがどれほど英国を有利にしたか、いうまでもないでしょう。

 1945年5月、ドイツは降伏し、英国の第二次大戦は終わります。

チューリングの死
 英国の勝利と戦争の終結に貢献したチューリングですが、英国社会は彼に正当に報いませんでした。

 1952年、チューリングは当時19歳の男性アーノルド・マレー(1932-1989?)との「猥褻(わいせつ)行為」で逮捕されます。

 チューリングはストリートでマレーと出会い、自宅に招待しました。この貧しい青年にチューリングは、プレゼントを贈り、金銭を貸したり与えたりします。

 そうした関係が数カ月続いたある日、マレーからチューリングについて聞いたマレーの知人が、チューリングの家に盗みに入りました。チューリングは被害を警察に訴え、この一件は警察の知るところとなったのです。

 当時の英国では、男性間の性行為は犯罪とみなされていました。(一方、女性の同性愛については明文化された規定はありませんでした。) 当時の規定では、「肛門性交(sodomy)」が最も重い犯罪で、チューリングの起訴された「猥褻行為(indecency)」は二番目です。

現在と未来のチューリングのために
 チューリングは有罪となり、刑務所収監を免れる代わりに、女性ホルモンを1年間にわたって投与される処置に同意します。この残酷で非人道的な処置は、「性犯罪者を治療」するとされていました。

 チューリングの肉体は、女性ホルモンによって変調をきたしました。乳房がふくれ、性的能力が減退したと手紙に残されています。チューリングは抑欝(よくうつ)に苦しみます。

 1954年6月7日、ベッドで冷たくなっているチューリングを家政婦が見つけました。かたわらには青酸化合物入りのリンゴがありました。自殺と見られます。

(ただし、遺族は事故死を主張しました。英国では自殺に対する見方が厳しいため、遺族が自殺を否定することは理解できます。)

現在と未来のチューリングのために
 現在の英国には、同性愛を違法とする法律はなく、女性ホルモンによる「治療」も行なわれていません。2009年、英国政府はチューリングに公式に謝罪し、2013年には有罪が取り消されました。2013年はまた、英国で同性婚の法律が可決された年でもあります。

 しかし政府がいくら謝罪しても、たとえ紙幣の肖像に採用しても、チューリングを初めとする、多くの命は返ってきません。この偉大な知性がもたらしたはずの知識も真実もテクノロジーも、元には戻りません。

 今日の社会を駆動しているコンピューターの大群は、チューリングの考えた原理に従い、チューリングの考えた限界内で動いています。チューリングの業績は「チューリング完全」「チューリングテスト」といったコンピューター科学用語に残っています。

 もしも60年前の社会が、アラン・チューリングのような人々を残酷に処罰することのない、差別のない社会だったなら、現在の世界はどんな姿になっていたでしょうか。機械知性くらいとっくに実現していたかもしれません。

 しかし、死者を生き返らせることはできませんが、今生きている多くのアラン・チューリングが、押し潰されることのない社会に、この世の中を変えていくことはできるはずです。

 北欧社会で同性婚経験者の自殺率が減ったことに、私は希望を見い出します。

*1:Annette Erlangsen, et al. 2019, “Suicide among persons who entered same-sex and opposite-sex marriage in Denmark and Sweden, 1989-2016: a binational, register-based cohort study”, J. Epidemiol Community Health.
*2:Alan Turing to be the face of new £50 note, Bank of England
*3:A. M. Turing, 1936, “On Computable Numbers, with an Application to the Entscheidungsproblem”, Proc. of London Math. Soc. no.42, 230.

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https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58336
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/701.html

[経世済民133] 日経プットコールレシオ上昇、膨らむプット売りににじむ強気 東京株3日続伸、年初来高値更新 アリババ香港上場7.7%高1兆2000億円調達「米国株高」「香港情勢の改善」「円安」「大型補正予算」新興市場にも資金が流入、千載一遇の投資チャンス
日経プットコールレシオ上昇、膨らむプット売りににじむ強気
河元伸吾
2019年11月26日 13:32 JST
• PCRは1.93に上昇、ボラティリティー低下の中で増える強気
• プットを売ってプレミアムを収益化の流れー東海東京調査・仙石氏
26日の東京株式市場で日経平均株価が年初来の日中高値2万3591円を一時更新した。米中貿易合意への強い期待が持続する中、日経平均オプション市場からは投資家の先行きに強気な相場観が見て取れる。
  日経平均のプットコールレシオ(PCR)が25日に1.93まで上昇した。同レシオは、相場の先行きに弱気な投資家が増えると上昇することが多いとされる。しかし、日経平均は21日に2万3000円割れのスピード調整をこなした後、3日続伸している。
  東海東京調査センターの仙石誠シニアエクイティマーケットアナリストは、PCR上昇の背景を「プットの売り手が増えているためで、ボラティリティー低下局面では必然的な流れ」と話す。株価が大きく下がらないとみて、プレミアムを収益化しようとする投資家が増えたためと分析する。日経平均ボラティリティー・インデックスは26日に一時前日比4.3%低下して14.21を付けた。
  それでも仙石氏は「マーケットは完全な楽観にあるわけではない」と話す。本来、強気相場を予想するなら「コールの買いや先物のロングがよい」からだ。いまのレシオは、先高観を抱きながらも、香港情勢や米中協議の部分合意といったリスクに対する投資家の不安を映しているという。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-26/Q1JWUMT0G1OQ01?srnd=cojp-v2



ビジネス2019年11月26日 / 15:54 / 1時間前更新
東京株式市場・大引け=3日続伸、年初来高値を更新 ハイテク関連が堅調
Reuters Staff
2 分で読む

[東京 26日 ロイター] -

東京株式市場で日経平均株価は3日続伸。米国株市場の流れを引き継ぐ形で朝方からハイテク関連が堅調に推移した。前場の取引時間中、米中通商協議を巡るヘッドラインに反応して2万3608円06銭まで上昇。年初来高値を更新したが、その後は利益確定売りに押されて上げ幅を縮小した。米中通商協議を巡るニュースに振らされやすい地合いとなっている。

25日の米国株市場は主要3指数が終値での最高値を更新した。中国の環球時報が、米中通商交渉は第1段階の合意が非常に近いと報じたことなどが投資家心理を好転させた。ナスダックが1.32%高、フィラデルフィア半導体指数が2.43%高でそれぞれ取引を終了。東京市場でも値がさのハイテク関連が買われた。

日経平均は寄り付き後しばらく高値圏で一進一退となっていたが、突如上昇して、年初来高値を更新した。米中協議を巡る一部報道機関の速報に反応して先物が買われたが、すぐにマーケットは冷静になり、上昇前の水準に戻った。

後場は2万3300円台半ばから2万3400円台前半のレンジでもみあった。

TOPIXは3日続伸。東証1部の売買代金は3兆円を超えた。MSCI指数の定期見直しによるリバランスにより、引けで売買代金が膨らんだ。東証33業種では、電気機器、精密機器、ゴム製品などが値上がり率上位に入った。半面、鉱業、食料品、建設などが軟調だった。

個別では、日立化成(4217.T)が急伸し、年初来高値を更新した。親会社の日立製作所(6501.T)が、昭和電工(4004.T)に日立化成買収の優先交渉権を与えることを決めたとの報道が材料視された。買収がTOB(株式公開買い付け)になる可能性があり、プレミアムの上乗せに対する思惑が出たもよう。

一方、エア・ウォーター(4088.T)は大幅安。25日に公募増資を発表しており、1株利益の希薄化と株式需給の悪化を懸念した売りが出た。

東証1部の騰落数は、値上がり852銘柄に対し、値下がりが1199銘柄、変わらずが104銘柄だった。

日経平均.N225

終値      23373.32 +80.51

寄り付き    23451.40

安値/高値   23350.10─23608.06

TOPIX.TOPX

終値       1705.71 +2.75

寄り付き     1712.61

安値/高値    1705.04─1719.57

東証出来高(万株) 162299

東証売買代金(億円) 31584.47
https://jp.reuters.com/article/tokyo-stx-close-idJPKBN1Y00KI


日本株は続伸、米中協議楽観と円安−半導体関連や素材高い
伊藤小巻、長谷川敏郎
2019年11月26日 7:57 JST 更新日時 2019年11月26日 16:00 JST
米中は第1段階の貿易合意に関し対話継続で同意−中国商務省
ドル・円は一時1ドル=109円20銭台、米国株は史上最高値
26日の東京株式相場は3日続伸。米中貿易協議に対する楽観的な見方が根強い中、為替相場もやや円安に振れ、半導体関連のほか鉄鋼や非鉄金属といった素材関連が上昇。

TOPIXの終値は前日比2.75ポイント(0.2%)高の1705.71
日経平均株価は同80円51銭(0.4%)高の2万3373円32銭
〈きょうのポイント〉

中国と米国、第1段階の合意に向け対話継続で同意−中国商務省
25日の米主要株価指数は最高値を更新
フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は2.4%高
ドル・円相場は一時1ドル=109円21銭、12日以来の円安値
The Last Trading Day Of The Year At The Tokyo Stock Exchange
東証Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
  
  三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは「いつまでも米中の期待だけで動いていて、その期待がなかなか萎まない。事実が出てこないため期待が去らない状況」と述べた。

  米中がきょう電話会議を行ったことが午前半ばに伝わると、日経平均は300円超上昇して取引時間中のことしの高値を更新した。ただ、両国の協議継続という詳細が明らかになると、上げ幅は縮小した。

  米中交渉について三井住友信託の瀬良氏は「そろそろファクトが欲しいところ。交渉がうまくいってるというツイートや発言だけでここまで来たため、ファクトが出た時に相場の一つの段階が終了ということになりかねない」と話していた。

東証33業種では電機や精密機器、保険、鉄鋼、非鉄金属、サービスが上昇
鉱業、食料品、建設、電気・ガス、その他金融は下落

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-25/Q1JNZ0T1UM0X01?srnd=cojp-v2

ドル・円が109円ちょうど前後、米中協議継続合意で一時2週ぶり高値も
小宮弘子
2019年11月26日 12:06 JST 更新日時 2019年11月26日 15:29 JST
東京外国為替市場のドル・円相場は1ドル=109円ちょうど前後。米中が第1段階合意に向けて協議継続で合意したことを受けリスク選好の動きから2週間ぶり高値を付けた後、日本株とともに伸び悩んだ。

ドル・円は午後3時25分現在、前日とほぼ変わらずの108円97銭。一時12日以来の高値となる109円21銭まで上昇する場面も
クロス円(ドル以外の通貨の対円相場)もしっかり。オーストラリアドルは対円で一時0.4%高の1豪ドル=74円11銭まで上昇
一時109円台回復
市場関係者の見方
あおぞら銀行の諸我晃総合資金部部長

米中協議継続の報道をきっかけにドル・円はストップを付けて上がった。ただ、第1段階合意は109円半ばまでで織り込まれているとみられ、そこを上抜けていくのは難しい
米株も最高値を更新してきており、リスクオン地合いに変わりはない
一方、月末も近づき、東京時間は実需の売りもドル・円の上値を抑制。これまで何度も跳ね返された109円50銭手前は短期筋の方からも一回利食いが出てくるところだろう
三井住友信託銀行ニューヨークマーケットビジネスユニットの持田拓也調査役

109円50銭手前まではレンジの上限として驚きなくあり得る範囲
ただ、 米中交渉で決定打となるような話が出てこない限りは、レンジ内での推移を打ち破る動きにはならないだろう
背景
中国と米国は「重要問題の適切な解決について意見が一致」し、「第1段階」の貿易合意に関し残る点について対話を続けることで同意
25日の米株式市場では主要3指数全てが終値ベースで最高値を更新。26日の東京株式市場でもTOPIX、日経平均株価が一時日中の年初来高値を更新。ただ、その後急速に伸び悩み、日経平均は前日比80円高で取引を終了
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演に市場は反応薄
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-26/Q1JUDKDWLU6H01?srnd=cojp-v2



 
アリババが香港上場、一時7.7%高−約1兆2000億円調達後
Lulu Chen
2019年11月26日 11:04 JST 更新日時 2019年11月26日 13:45 JST
「われわれは香港に戻った」−張会長が式典で発言
アリババはニューヨークにも上場しており重複上場となる
中国の電子商取引会社アリババ・グループ・ホールディングが26日、香港市場に上場した。株価は一時7.7%高となった。

  張勇(ダニエル・チャン)会長兼最高経営責任者(CEO)らアリババ幹部は香港の高官らと共に、上場を記念して取引開始の合図を鳴らした。アリババ株は発行価格176香港ドル(約2450円)に対し一時189.5香港ドルとなった。

Alibaba's First Day Trading At HKEX
アリババの香港上場式典(26日)Photographer: Paul Yeung/Bloomberg
  アリババは2010年以来最大規模となる香港での新株発行で約110億米ドル(約1兆2000億円)を調達。時価総額最大のアジア企業となっている。アリババはニューヨーク市場に上場しているが、中国本土の投資家よる売買が容易になるよう香港にも上場した。

  中国テクノロジー企業の幾つかが上場先に米国を選ぶ中で、アリババ上場は香港取引所にとって1つの勝利であり、民主化要求デモで揺れる香港の未来への信頼の証しともなる。

  張会長は「われわれは香港に戻った」と述べた。

原題:
Alibaba Climbs 6% in Hong Kong Debut After Landmark Share Sale(抜粋)

(株価を更新します)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-26/Q1JYSST0AFB901?srnd=cojp-v2


 

「米国株高」「香港情勢の改善」「円安」「大型補正予算」など日本株に強力な追い風が! 新興市場にも資金が流入し始め、千載一遇の投資チャンスが到来!
2019年11月26日公開(2019年11月26日更新)
藤井 英敏
 米国株式市場は相変わらず強い動きを続けています。
 11月25日のNYダウは続伸し、前週末比190.85ドル高の2万8066.47ドルと5営業日ぶりに過去最高値を更新しました。また、ナスダック総合株価指数も続伸し、同112.604ポイント高の8632.489ポイントと4営業日ぶりに最高値で終えました。さらに、S&P500種株価指数も、同23.35ポイント高の3133.64ポイントと過去最高値を更新しました。このように主要な3株価指数が揃って絶好調です。
■NYダウチャート/日足・3カ月
NYダウチャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 11月25日は、中国政府が24日、「知的財産権の侵害に対する罰則を強化する」と発表したことや、週末にオブライエン米大統領補佐官が年内の貿易合意について「まだ可能」と述べたと伝わったことが買い材料になりました。
 ところで、大規模デモの混乱が続く香港では、11月24日の香港の区議会選挙で、民主派が全452議席の8割超を獲得し、全18選挙区のうち17区で民主派が過半数を得る圧勝となりました。
 これを受け、香港政府は短期的にはデモ隊などへの一段の強硬策を取りにくくなるとの見方が浮上し、11月25日の香港株式相場は大幅続伸し、ハンセン指数の終値は前週末比397.96ポイント高の2万6993.04ポイントでした。
■香港ハンセン指数/日足・3カ月
香港ハンセン指数/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 このような米国株高や、香港の地政学リスクの低下を受け、投資家のリスク選好姿勢が強まり、外国為替市場では円売り・ドル買いが出易くなっています。このため、11月26日早朝の東京外国為替市場では、1ドル=109円00銭近辺まで円が下落する場面がありました。
■米ドル/円チャート/日足・3カ月
米ドル/円チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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「10兆円」の大型補正予算は、
株式市場にとってはポジティブサプライズな材料!
 一方、国内では、自民、公明両党の幹部が、11月20日に2019年度の補正予算案の規模として、国による直接の財政支出である「真水」で10兆円を求めると一致しました。災害復旧や日米貿易協定の発効をにらんだ国内の農業対策などが軸になるそうです。
 各年度の補正予算が10兆円を超えたのは過去に4回しかなく、第2次安倍政権発足直後の2012年度を除く3回はいずれも大型の危機があり、景気の先行きに強い不安感が広がっていたときだそうです。今回はそれほどの景気後退懸念がない中での大型補正のため、株式市場にとってはポジティブサプライズな材料になったと考えてよいでしょう。
 世界的な金融緩和が続き、米国株が絶好調で、香港情勢が落ち着き、円安基調になっていることに加え、大型補正の話も出てきました。外部要因、内部要因ともに、日本株に追い風が吹いています。日本株に投資するのは良好なタイミングになったと考えます。
海外投資家の旺盛な日本株買いが継続する限り、
日本株の上昇トレンドは崩れない!
 このような状況下、やはり海外投資家は、しっかりと日本株を買い越し続けています。
 11月第2週(11〜15日)、海外投資家は日本株の現物を2045億円買い越しました。買い越しは、実に7週連続です。また、日経平均先物とTOPIX先物を合算した買い越し額は3892億円でした。買い越しは5週連続です。現物株と先物の合算では5938億円の大幅買い越しとなりました。この旺盛な海外勢の日本株買いが継続する限り、日本株の上昇トレンドが崩れることはないでしょう。
新興市場にもようやく短期資金流入の兆しが!
マザーズ指数の日経平均株価に対する「出遅れ修正」に期待
 ところで、私の友人の市場関係者やデイトレーダーへのヒアリングベースでは、「先週あたりから、新興市場中心に小型株で儲けやすくなってきた」との声が増加し始めています。どうやら、ようやく新興市場にも短期資金流入の兆しが見え始めたようです。
 テクニカル的にも、11月25日の東証マザーズ指数の終値は前週末比5.37ポイント(0.60%)高の894.36ポイントと、ようやく200日移動平均線(25日現在891.91ポイント)を上回ってきました。
■東証マザーズ指数チャート/日足・3カ月
東証マザーズ指数チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 今後、200日移動平均線を割り込まない限り、東証マザーズ指数に関しては日経平均株価に対する出遅れ修正が期待できる局面になったとみるべきだと思います。
 正直、ここ最近まで、日経平均株価は半導体中心に値嵩株の上昇で押し上げられてきました。大口の個人はその流れにうまく乗れたと思いますが、大多数の小口の個人(特に短期筋)は蚊帳の外だったはずです。このため、日経平均株価が2万3500円まで回復しても、相場全体の体感温度は低いままでした。
■日経平均株価チャート/日足・3カ月
日経平均株価チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 しかしながら、今後、期待通り新興市場にも短期資金の流入が加速するようなら、年末に向け、個人投資家の体感温度が急上昇することでしょう。
 なお、東証マザーズ指数に関しては、昨年12月に大幅安となって以降、ザックリ750ポイント〜960ポイントのボックス相場になっています。本格的に上昇するには、ボックス上限の960ポイントを明確に上抜けないとなりません。その一方で、25日移動平均線(11月25日現在867.70ポイント)を割り込まない限り、現在の自律反発は継続するでしょう。
今は株式投資をする千載一遇のチャンス!
逆張りではなく、素直に上昇トレンドに乗って儲けよう!
 ところで、海外勢が日本株を継続して買っている一方で、個人はせっせと売り越しています。11月第2週(11〜15日)まで、個人は6週連続の売り越しです。相変わらず、個人は逆張りがお好きなようです。
 しかしながら、現在のように良好な投資環境では、儲けたいなら上昇トレンドに可能な限り長く乗ることを心掛けましょう。トレンドに向かって、ショートするなんてことは御法度です。また、利食い売りもできるだけ我慢して、利を伸ばしましょう。
 ただし、損切りに関しては、従来通り躊躇なく行いましょう。上昇相場の中でも、良好なパフォーマンスを実現するためには、あなたのポートフォリオは「生きのいい銘柄」だけで構成されるようにしないとなりません。
 重要なことなので繰り返しますが、足元の景気は決して悪くはないのに、超絶金融緩和状況が続き、おまけに大型補正による財政出動も見込めるなんて恵まれた投資環境は、滅多に実現するものではありません。今は株式投資するには千載一遇のチャンスと考えましょう。
【※今週のピックアップ記事はこちら!】
⇒配当利回り3%以上と高く、業績や財務も良好な大型株&中小型株を紹介! 18期連続で増配している大型株の「KDDI」、5期連続増配の中小型株「熊谷組」に注目
⇒足元でスランプに陥る「インド株」だが、長期的には買い! GDPやインフレ率などのインド経済の魅力とインドに投資できる「おすすめETF」を解説!
https://diamond.jp/articles/-/221732


http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/706.html

[経世済民133] 中国人民銀、金融リスク増大を警告 監督強化 金融機関の13%超「高リスク」中国財政省、ドル建て債で高めのプレミアム提示−記録的規模の発行か 中米、第1段階の合意に 中国新エネ車市場、来年は販売回復 自動車メーカー幹部ら見通し
ビジネス2019年11月26日 / 00:58 / 16時間前更新
中国人民銀、金融リスク増大を警告 監督強化へ
Reuters Staff
2 分で読む

[北京 25日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は25日に発表した年次金融安定報告で、金融リスクを解決し、外的な衝撃が引き起こす「異常な」市場変動に起因するリスクに対応する必要があるとの見解を示した。

人民銀は、金融市場が世界的な通商を巡る状況、および世界的な流動性を巡る先行き不透明性に極めて敏感になっているとし、影響が部門を超えて波及しないよう、株式、債券、外為市場に対するリアルタイムの監督を強化する方針を示した。

その上で、債券のデフォルト(不履行)が継続する恐れがあるとし、こうしたデフォルトがシステミックなリスクに発展しないよう対応する必要があると指摘。証券市場における規制違反に対する罰則を厳格化する方針も示した。

中国の習近平国家主席は今年1月、甚大な影響をもたらす想定外の事態を意味する「ブラックスワン(黒い白鳥)」に警戒するとともに、顕著であるにもかかわらず看過されているリスクを指す「灰色のサイ」を回避する必要があるとの認識を表明。人民銀は、政府がこうしたリスクに対する日々の監督のほか、リスクアセスメントを強化し、経済に対する下向き圧力が増大する中、危機管理計画を策定したとした。

人民銀は家計債務の増大についても警告。家計債務の対国内総生産(GDP)比率は2018末時点で60.4%に上昇したとし、一部地域、および低所得層に対するリスクになっていると指摘した。

このほか、穏健な金融政策と積極的な財政政策の維持を表明。将来的な政策については、景気支援に向け信用の供給を増大させると同時に、経済成長とリスク回避の微妙なバランスを取っていく方針を示した。

人民銀は、全体的には「金融リスクは緩やかに低減している」としながらも、「リスクは過去数年間に急速に増大したため、多くのリスクが残存している」と指摘。短期的な潜在リスクの解消は困難との見方を示した。

人民銀は銀行部門に関する年次見直し(18年末時点)で、中国の金融機関4379社のうち13.5%を「高リスク」に指定。この大部分が農村部の金融機関、もしくは中小規模の金融機関だった。

中国銀行(601988.SS)、中国農業銀行(601288.SS)、中国工商銀行(ICBC)(601398.SS)、 中国建設銀行(601939.SS)の大手4行については、総損失吸収力(TLAC)基準を満たすために比較的大きな圧力にさらされているとの見解を示し、基準達成の支援に向け他の政府機関と調整を行っていく方針を示した。
https://jp.reuters.com/article/china-finance-stability-report-idJPKBN1XZ1XT


ワールド2019年11月26日 / 13:29 / 4時間前更新
中国、香港危機管理センターを本土に設置 出先機関の役割薄れる
Reuters Staff
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[香港/深セン 26日 ロイター] - 中国政府の指導部は、香港のデモによる混乱収拾に向け、香港に近い本土側に危機管理センターを設置、これを出先機関である香港連絡弁公室に代わる正式な連絡本部とする案を検討している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

香港で激しい抗議活動が繰り広げられるなか、中国指導部は数カ月前から同国南部の深セン市郊外にあるリゾート施設内に設置した危機管理センターで対応策を講じる体制をとってきた。

関係筋や公式メディアによると、「バウヒニア・ヴィラ」にある施設は連絡弁公室が所有。香港との境界線近くの木々に覆われた人目につきにくい場所にあり、中国政府の高官は、2014年に香港で民主化を求める市民が道路を占拠した「雨傘運動」の際もこのリゾート施設に滞在している。

関係筋によると、今回の反政府デモを受け、中国当局は香港の当局者や財界トップ、親中派の政治家をこの施設に呼び出している。当局者などによると、中国の習近平主席はバウヒニア・ヴィラから毎日文書で報告を受けているという。

中国政府と香港とのやりとりは従来、香港連絡弁公室を通じて行われていた。連絡弁公室は最上部にガラスの地球儀がある香港の高層ビルに所在し、周りは鉄の柵に囲まれている。

2人の関係者によると、中国政府は連絡弁公室の王志民・主任の交代を検討しており、弁公室の危機対応への本土側の不満を物語っている。王氏は香港に駐在する中国政府当局者のなかでは最高位にある。

中国政府のある当局者は「連絡弁公室は香港に住む富裕層や本土からのエリート層と交流しても、香港市民からは孤立してきた」と指摘。「これを変える必要がある」とした。

24日に実施された香港区議会議員選挙で民主派が圧勝したことを受け、連絡弁公室には一弾と圧力が強まる可能性がある。

中国国務院の香港・マカオ事務弁公室と香港連絡弁公室はファクスによるコメントの求めに応じていない。

香港に詳しい政治評論家のソニー・ロー氏は「香港情勢に対して中国当局の不快感は増すばかりだ」と指摘。中国の当局者はセキュリティーと裁量権各尾のため、「香港ではなく深センを、香港の危機に同時並行で対応するための本部に選んだ」と分析した。

事情に詳しい関係者1人によると、6月9日に100万人規模のデモが行われた直後、香港情勢を管轄する中国の韓正副首相は香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官に対し、連絡弁公室経由でなく自身の事務所と直接連絡を取ることを認め、事実上のホットラインを作った。

3人の関係筋によると、その後に中国の公安省、国家安全省を含む省庁の副大臣級の幹部がこぞってバウヒニア・ヴィラを訪れたという。また、同施設を通じて、香港・マカオ事務弁公室の張暁明・主任と韓副首相が水面下で、香港の指導部と緊密な連携をとってきたことが関係筋の話で明らかになった。
https://jp.reuters.com/article/china-hong-kong-crisis-center-idJPKBN1Y00CJ


 

中国人民銀、金融機関の13%超を「高リスク」に分類
金融安定報告
Bloomberg News
2019年11月26日 15:36 JST
中国の銀行セクターには緊張の兆しが見えており、金融機関4379社のうち13%超が中央銀行から「高リスク」とみなされている。
  中国人民銀行(中銀)が25日遅くに公表した「2019年中国金融安定報告」によると、高リスクに分類されたのは586の銀行と金融会社で、大部分は地方の中小金融機関。昨年公表された初の報告では、約10%が高リスクとみなされたが、その計算には多くの消費者金融会社は含まれていなかった。
  今年は経営破綻などを意味する「D」のグレードに1行が指定された。報告では銀行名は記載されていない。
Showing Strains
More than 13% of China's banks were rated "high risk" by the central bank

Source: 2019 China Financial Stability Report
Note: Lenders rated eight or above are considered very risky
  中国の小規模銀行の健全性が大きな懸念材料となりつつある背景には、5月の包商銀行の接収で債権者が損失を強いられ、国家が問題ある銀行を緊急支援するとの長年の想定に疑問符が付いたことがある。中国経済は高リスク融資の取り締まりや貿易戦争が足かせになり、約30年ぶりの低成長となっている。
原題:
Over 13% of China’s Lenders are High Risk, Central Bank Says (1)(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-26/Q1K999T0G1L801?srnd=cojp-v2


 

中国と米国、第1段階の合意に向け対話継続で同意−中国商務省
Bloomberg News
2019年11月26日 11:40 JST 更新日時 2019年11月26日 14:32 JST
• 劉副首相と米財務長官およびUSTR代表が電話会談
• 「重要問題を適切に解決することで意見が一致」
中国と米国は「重要問題を適切に解決することで意見が一致」し、「第1段階」の貿易合意に関し残る点について対話を続けることで同意した。中国商務省が26日発表した。
  発表によると、中国の劉鶴副首相とムニューシン米財務長官およびライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は電話会談を行い、重要問題を話し合った。会談内容の詳細は明らかにしていない。この電話に先立つ今月の閣僚級電話会談は「建設的」だったと商務省はしている。
  USTRは電話会談が行われたことを認めたが、内容についてはコメントを避けた。

  第1段階の合意に関する協議は10月から続いており、食品輸入や知的財産権、中国のテクノロジー企業、華為技術(ファーウェイ)についてなどで双方から歩み寄りも見られる。劉副首相は先週、第1段階の合意について「慎重ながら楽観的」と述べたが、トランプ米大統領からの発言などからは交渉が2020年まで続くとの観測も浮上している。
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中国国家主席、米国との平等の必要性強調−第1段階の合意に向け (1)

中国の劉副首相、第1段階の米中合意に「慎重ながらも楽観的」

  12月15日までに合意ができなければトランプ大統領は、中国からの1600億ドル(約17兆4300億円)相当の輸入品に15%の関税を課す計画を実行するかどうかを決めなければならない。
  中国の習近平国家主席は今月22日、平等な合意が必要と強調したが、トランプ大統領は五分五分というわけにはいかないとして、「米国は床から出発だが中国は既に天井にいる」と述べた。
  中国共産党機関紙・人民日報系の新聞、環球時報は、米中当局者らは26日の電話で、関税の撤回と農産物購入、合意に至った場合に実践を検証するメカニズムについて協議した可能性があると報じた。協議に近い匿名の専門家を引用した。
  同紙はまた、米中交渉に詳しい中国社会科学院の専門家、高凌雲氏の話として、何を対象とした関税をどの程度引き下げるかについて米中は意見が一致していないと伝えた。  
原題:China Says Trade Officials Staying in Touch on Phase 1 Deal (4)(抜粋)China, U.S. May Have Talked About Agri Purchases: Global Times
  
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-26/Q1K0VNT1UM0W01

 

中国財政省、ドル建て債で高めのプレミアム提示−記録的規模の発行か
Rebecca Choong Wilkins、Annie Lee
2019年11月26日 16:54 JST
5年債は米国債+65bpエリア−イニシャルガイダンス
目標の60億ドルに対し150億ドルを超える注文−関係者
中国財政省は26日午前、4本建てで発行するドル建て債の価格ガイダンスを公表し、昨年より高めの利回りプレミアムを提示した。ドル建て債発行は3年連続だが、記録的規模の起債となる可能性がある。

  イニシャルガイダンスによれば、5年債の価格は米国債に対して65ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)エリアとなる。昨年は50bpエリア、2017年は30−40bpエリアだった。条件は今後も変更される可能性がある。

  事情に詳しい関係者によれば、午前中に3年債と10年債、20年債を含む4本建てで150億ドル(約1兆6350億円)を超える注文があった。目標は60億ドル。

  高騰国際資産管理の債券担当マネジングディレクター、ウォニー・チュー氏は最終価格設定でプレミアムは低下すると予想。「質の高い発行体に対する需要を踏まえ、投資家から強い買い意欲があるとみている」と述べた。

Debt Binge
Chinese issuers sell dollar-denominated bonds at record pace this year


Bloomberg

NOTE: Data only includes period between Jan. 1 and Nov. 25

  イニシャルガイダンスは以下の通り。

3年債:+60bpエリア
5年債:+65bpエリア
10年債:+70bpエリア
20年債:+80bpエリア
原題:
China Sees Higher Cost for Dollar Bonds in Initial Pricing (1)(抜粋)https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-26/Q1KB7KT0G1L001?srnd=cojp-v2


ビジネス2019年11月26日 / 15:34 / 2時間前更新
中国人民銀、不動産バブル抑制に一段の措置実施へ=党委書記
Reuters Staff
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[北京 26日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)の郭樹清・党委員会書記は、不動産バブルを抑制し、住宅や土地の価格安定を図るために一段の措置を講じ、金融リスクを防止する方針を表明した。

郭氏はまた、銀行の不良債権の開示と処理を強化する考えを示した。人民銀が26日、ネット上に発言内容を掲載した。同氏は銀行保険監督管理委員会(銀保監会)の主席も務める。

中国政府は中小銀行の抜本的な改革を積極的に支援し、さまざまな経路で資本を増強するよう促す考えだと明らかにした。
https://jp.reuters.com/article/china-economy-pboc-int-idJPKBN1Y00JI


 

ビジネス2019年11月25日 / 18:58 / 1日前更新
中国新エネ車市場、来年は販売回復 自動車メーカー幹部ら見通し
Reuters Staff
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[広州(中国)/上海 25日 ロイター] - 中国の新エネルギー車(プラグイン・ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車など)市場について、自動車メーカーの幹部らは、来年は各メーカーが新モデルを投入するに伴い販売が回復すると予想するものの、政府の一段の支援措置が求められると指摘した。

中国政府は、新エネルギー車(NEV)を積極的に推進し、自動車メーカーにNEVの生産枠を設定している。しかし、政府の補助金削減計画の一環で、今年、NEV向けの補助金が大幅に削減されたために割高となり、10月のNEVの販売台数は前年比45.6%減少した。

補助金が削減される前は、NEV市場は好調で、昨年の販売は62%も増加していた。

独フォルクスワーゲン(VW)(VOWG_p.DE)の中国法人トップ、ステファン・ボーレンスタイン氏は前週、広州自動車ショーの合間にロイターのインタビューに応じ「来年のNEV市場は、かつてほどの勢いはないものの、引き続き成長するだろう」と述べた。

同氏によれば、復活のカギは、より多くの大手メーカーがNEVを投入すること。それにより、NEVが一段と主流になるという。「普通、これが差別化につながり、消費者の概念も変えて市場を牽引することになる」と述べた。

広州自動車ショーでは、VWのほか、トヨタ(7203.T)のレクサス、ダイムラー(DAIGn.DE)のメルセデス・ベンツ、テスラ(TSLA.O)が、新たなデザインの電気自動車を披露している。

最近、小米(1810.HK)などから4億ドルを調達した広州に本拠を置く電気自動車ベンチャー、XPengのブライアン・グー社長は、充電拠点の整備が、来年のNEV販売回復に寄与するとみている。

さらに、各メーカーのNEV参入に伴う価格の下落もプラスと指摘。

「約2年後には、電池コストが急減し、量産でコストが下がり、電気自動車は内燃エンジン車よりも大幅に安くなる」との見方を示した。

しかし、ロイターの取材に応じたメーカー幹部全員が楽観的な見方をしているわけではない。北京汽車(BAIC)の電気自動車部門、BAICブルーパーク(600733.SS)のゼネラル・マネジャー、マー・ファングリー氏は、業界は「多くのプレッシャーを感じている」とし、より支援的な政策が必要と述べた。

中国汽車工業協会(CAAM)の幹部はロイターに対し、政府機関の間で中長期的な業界支援策を検討中とし「われわれの取り組みは、インフラやサプライチェーンの改善など、実質的な消費サイドの要求に焦点を絞ったものになる」と語った。
https://jp.reuters.com/article/china-autos-electric-idJPKBN1XZ101
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/707.html

[経世済民133] 曲がり角の米ジャンク級ローン市場、LBOブームに幕 FRB議長、米経済「半分が優」トランプ関税で米消費者にしわ寄せ、FRB分析 政権説明に矛盾 台湾、米国からの輸入拡大へ 為替操作国指定の回避 債券上昇、40年入札順調で超長期債中心に買い優勢−利回りフラット化
ビジネス2019年11月24日 / 07:50 / 1日前
焦点:
曲がり角の米ジャンク級ローン市場、LBOブームに幕
Reuters Staff
3 分で読む

[20日 ロイター] - 投機的格付けの米企業ローン市場の最もリスクの高い分野は、格下げへの懸念から多くの投資家に敬遠されつつある。このためレバレッジドバイアウト(LBO)や、借り入れを原資とする配当受け取り(debt-funded dividends)の動きが鈍ってきた。

これは米連邦準備理事会(FRB)がいくら払しょくしようとしても、来年米国が景気後退(リセッション)に突入するのではないかとの観測が根強く残っている証拠だ。リセッションが現実化すれば、多額の債務を抱えた企業は資金繰りに窮することになる。

米国の投機的格付けローン市場は、超低金利を背景に2010年以降で3倍に膨らみ、1兆3000億ドルの規模に達した。投資家はリスクの高い資産に積極的に資金を振り向け、プライベートエクイティ(PE)は高いリターンを生み出すとともに、より大型の買収を追い求めることができたのだ。

しかし足元でローン市場の雲行きが怪しくなったことから、これらの大型買収の一部案件は実現性が薄れている。例えばドラッグストアチェーン大手ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(WBA)(WBA.O)が目指していたLBOを通じた株式非公開化計画も、PE側から懐疑的な反応を示された。

実際、米経済の先行きに警戒感が高まったことを受け、ローン投資家は金利引き上げなど、より厳しい条件を要求。これによってレバレッジ比率の高い大半の企業は借り換えが難しくなっている、と資本市場専門家は話す。

クレジット投資を手掛けるヨーク・キャピタル・マネジメントのマネジングディレクター、リズワン・アクタル氏は「来年リセッションになるかどうかは不明だが、ローン市場はリセッションがやってくる事態に備えている」と述べた。

ディーロジックによると、今年は年初から10月までで、米国の投機的格付けローンの組成件数が15年以降で最も低調な期間となり、組成規模は前年同期比でほぼ3分の2に落ち込んだ。それがディールに向けた動きを圧迫し、リフィニティブのデータに基づくと1−10月のLBOは16年以来の低水準、借り入れを通じた配当受け取りは10年以来の低水準にとどまった。

過去数年間はレバレッジドローンが非常に活発化したため、引き受け基準が緩み、利益に対する債務比率が高まったほか、財務制限条項がなおざりにされて、デフォルト(債務不履行)発生時の投資家を保護する効果が弱まった。

今後に経済状況が悪化した場合、これらのローンが格下げされる公算はさらに増大し、ローンマネジャーにとって頭痛の種になりかねない。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T)でローンのシンジケートと販売の責任者を務めるArt de Pena氏は「ローン投資家は依然として格下げの可能性と企業業績が予想に届かない状況を心配している。いずれのケースもデフォルトの増加につながってもおかしくない」と指摘した。

<リスク志向低下>

最もリスクが高いローンへの投資意欲が減退しているため、いったん組成したローンを売却することがほとんどの銀行も、厳しい立場に置かれている。リフィニティブのデータを見ると、米国ではバンク・オブ・アメリカ(BAC.N)、JPモルガン(JPM.N)、ウェルズ・ファーゴ(WFC.N)が今年1−10月のレバレッジドローン組成件数でトップ3だった。

レバレッジドローンは変動金利なので金利低下局面では魅力が色あせる。対照的にジャンク債は固定金利商品のため、ローン市場の不振とは無縁だ。全般的な金利低下やローン市場からの資金シフトを追い風に、今年これまでにジャンク債の発行は約20%増加した。

それでものどから手が出るほど資金が欲しい企業にとって、ジャンク級ローンの低迷を帳消しにできるほどの効果は発揮していない。

最近ではオークションを手掛けるサザビーズや、バルブなどを製造するコルファクスなどのLBOにおいて、銀行は投資家を集める目的で、借り手の配当支払いやスピンオフに制限を加えるといった条件変更に応じざるを得なくなった。

ヨーク・キャピタルのアクタル氏は「今われわれは、プライシングがLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)プラス400(ベーシスポイント=bp)でない限り、B3/B−の新規ローンには目もくれない。昨年ならLIBORプラス350ないし375で取引が成立した」と説明した。

<CLOに重圧>

最もリスクの高いローンを避けている投資家は、ローン担保証券(CLO)のマネジャーだ。これらのマネジャーは購入したローンをパッケージ化した後、投資家のリスク許容度に応じて切り売りする。

彼らは、B3/B−のローンがリセッション時にCに格下げされるのを恐れ、購入に二の足を踏んでいる。CLOは、C格付け債務を総資産の7.5%までとする上限を設けている例が多く、これを超えればマネジャーが損失を被る可能性が出てくる。

S&Pグローバルは、今年6月末段階でCLO市場のエクスポージャーのうちB格付けローンの比率が18%強と17年末の2倍以上に達しており、重圧が高まっていると分析した。

(Joshua Franklin記者)
https://jp.reuters.com/article/us-junkloans-analysis-idJPKBN1XV0EE


 

パウエルFRB議長、米経済は「グラス半分が優に満たされた」状態
Christopher Condon
2019年11月26日 11:36 JST
現行の金融政策スタンスは依然として適切である可能性
見通しに「重大な」変化があった場合に政策を調整するだろう
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は25日、政策金利を据え置く公算が大きいことを示唆するとともに、過去最長の米景気拡大を持続させる政策当局の能力について楽観的トーンを打ち出した。

  パウエル議長はロードアイランド州プロビデンスで同日夜に行う講演のテキストで、「長期の景気拡大のこの地点にあって、グラスの半分は優に満たされているように見受けられる。適切な政策を講じれば、これまでの成果に積み重ねる形で利益を全ての米国民にもっと広範囲に広げ、さらにグラスを満たすことができる」と述べた。

Fed Chair Jerome Powell Testifies Before The House Budget Committee
パウエル議長Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
  議長は政策金利の見通しについて、10月30日の今年3回目の利下げ決定以来示してきたように、当面は据え置く方針をあらためて示唆した。

  「経済を巡る今後の情報が当局の見通しにおおむね合致した状況が続く限り、現行の金融政策スタンスは依然として適切である可能性が高いとわれわれは考える」と議長は説明。それが力強い労働市場を支えるとともに、インフレ率を上下に対称的な2%の目標にしっかり回帰させることになると付け加えた。

重大な変化
  パウエル議長はさらに、政策が「事前に設定されたコース上にはない」とあらためて述べ、見通しに「重大な」変化があった場合に政策を調整するだろうと語った。

  世界経済の成長鈍化や貿易を巡る不透明感に揺れる企業景況感、目標を依然下回るインフレ率を踏まえ、米金融当局は7月から10月にかけ計0.75ポイントの利下げを実施した。

  パウエル議長は一連の利下げについて、米成長見通し全般が諸問題によって著しく損なわれる事態を防止する効果が既に証明されていると指摘。「こうした金融政策措置の全面的な効果は時間の経過と共に感じられるだろうが、消費者や企業のセンチメントの下支えや、住宅や耐久消費財といった金利敏感セクターにおける支出の促進に既に貢献していると思う」との見解を示した。

原題:
Fed’s Powell Says U.S. Economy’s Glass Is ‘More Than Half Full’(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-26/Q1JV0MT1UM0Y01?srnd=cojp-v2


 


ビジネス2019年11月26日 / 06:54 / 10時間前更新
トランプ関税で米消費者にしわ寄せ、FRB分析 政権説明に矛盾
Reuters Staff
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[ワシントン 25日 ロイター] - トランプ米政権による中国製品への関税負担が中国側ではなく米消費者に回っていることが、ニューヨーク連銀の調査論文で25日明らかになった。トランプ政権は中国側が関税を負担していると繰り返し説明しており、矛盾が浮き彫りとなった。

制裁関税に伴い、中国からの一部輸入製品にかかる関税は最大25%に上がった。中国側が関税を負担した場合、企業は最大20%の値引きを余儀なくされる計算だが、実際に輸入統計を調べてみると、中国からの輸入物価は2018年6月から19年9月にかけて2%程度しか下落していないという。

論文では「中国製品の輸入物価は引き続き安定しており、米国の企業や消費者が関税の負担を強いられている」と分析した。企業や消費者の負担比率については明らかにしなかった。

また、中国は関税引き上げの影響を確実に受けているとも指摘。米国の機械・電気機器輸入に占める中国製品の割合は17年以降約2%ポイント低下したほか、電子製品輸入に占める中国製品の割合も6%ポイント低下し、代わりに欧州、日本の機械類やマレーシア、韓国、台湾、ベトナムの電子類などの割合が増えたとした。

中国製品のドル建て価格が下がっていないという事実は、関税引き上げ以降約10%下落している人民元CNY= CNY=CFXS CNY=SAECを中国の輸出業者が競争力維持のために利用していないことを示していると指摘した。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-tariffs-idJPKBN1XZ2HG


 


ビジネス2019年11月25日 / 19:28 / 1日前更新
台湾、米国からの輸入拡大へ 為替操作国指定の回避狙い=関係筋
Reuters Staff
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[台北 25日 ロイター] - 関係筋によると、台湾の中央銀行と経済部は、米国からの輸入拡大を推進するための組織を立ち上げた。対米貿易黒字を縮小し、為替操作国に指定されるのを避けることが狙いという。

台湾は、1992年12月公表の米財務省の為替報告書で、為替操作国に指定され、2016年と17年には「監視リスト」に入った。

台湾の対米貿易黒字は今年、200億ドルを超える見通しで、予想の通りになれば「監視リスト」入りの条件の1つを満たすことになる。

また、別の条件として、GDP比で2%以上の経常黒字も挙げられているが、台湾の経常黒字はGDP(域内総生産)の11%に達している。
https://jp.reuters.com/article/taiwan-economy-usa-idJPKBN1XZ133


ワールド2019年11月25日 / 17:58 / 1日前更新
豪内政への干渉疑惑、中国は「でっち上げ」と否定
Reuters Staff
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[北京 25日 ロイター] - 中国の情報機関が豪連邦議会へのスパイの送り込みを画策していたとされる疑惑を巡り、中国外務省は25日、中国は他国の国内問題に干渉しようと試みたことはなく、その意図もないなどとして疑惑を否定した。

一部の豪テレビ局や新聞は24日、中国の情報機関がメルボルンの高級車ディーラーの男性に対して、連邦議会選への出馬と引き換えに100万豪ドルを提供すると持ち掛けていた、と報じた。[nL4N285141]

豪保安情報局(ASIO)はこの問題を以前から把握しており、積極的に捜査を進めていると表明している。

中国外務省の耿爽報道官は、25日の定例記者会見で、一部の豪メディアは中国の干渉をでっち上げたと強調した。

報道官は、豪州の一部の政治家・組織・メディアが中国に関する問題で「妄想に取りつかれている」とし「いわゆる中国のスパイが豪州に潜入しているといった話を常にでっち上げている」と発言。

「どれほど突拍子のない話であれ、どれほど装いを変えても、嘘は嘘だ」と述べた。

*内容を追加しました。
https://jp.reuters.com/article/china-australia-espionage-ministry-idJPKBN1XZ0TL


 


ビジネス2019年11月26日 / 15:54 / 1時間前更新
40年債増額に言及する参加者多かった=国債投資家懇で財務省幹部
Reuters Staff
1 分で読む

[東京 26日 ロイター] - 財務省は26日、国債投資家懇談会を開いた。財務省幹部によると、ニーズはプラス金利が残っているゾーンに集中しており、特に40年債の増額について言及する参加者が多かったという。

一方、10年以下のゾーンはマイナス金利で需要がそれほど強くないため、減額議論をする場合はこのゾーンを対象にした方が良いという意見があった。

50年債についての意見は出なかった。財務省は50年債の発行を検討していない理由として、まずは40年債の市場育成が重要と説明しているが、財務省幹部は「40年債は入札方式が他と違っており、投資家の広がりも30年に比べるとだいぶ足りない。まだ育成段階という認識は変わっていない」と語った。

志田義寧
https://jp.reuters.com/article/40y-jgb-idJPKBN1Y00L8

債券上昇、40年入札順調で超長期債中心に買い優勢−利回りフラット化
日高正裕
2019年11月26日 7:30 JST 更新日時 2019年11月26日 15:46 JST
債券相場は上昇。この日に実施された40年利付国債入札が順調な結果となったことを受けて、超長期ゾーンを中心に買いが優勢となり、利回り曲線はフラット(平たん)化した。

長期国債先物12月物の終値は11銭高の153円32銭。40年入札結果を好感して水準を切り上げ、一時は153円34銭まで上昇
新発10年債利回りは1ベーシスポイント(bp)低いマイナス0.10%
残存の長いゾーンの利回り低下が目立つ。新発40年債利回りは3bp低い0.44%、新発30年債利回りは2.5bp低い0.410%、新発20年債利回りは2bp低い0.255%
市場関係者の見方
SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジスト

40年債の入札が好調で利回りはブルフラット化している
昨日は40年債発行増額の報道で利回りが上昇したが、増額が2カ月に一回1000億円程度なら需給にそれほど影響はない
超長期債は潜在的な需要があり、投資家がたんたんと買う流れに変わりはない
パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長

今回の入札は増発観測が出ていることもあってやや慎重な予想が多かった印象だが、しっかりした結果となり、あらためて需要の強さが確認された格好
入札後に30年債や40年債の利回りが大幅に低下したが、ここまでの展開を予想している向きはなかったとみられ、意外感もある
昨年1月の40年入札後の状況と似ている感じで、今後40年債が売りにくくなる可能性もある
新発40年物国債利回りの日中取引推移
40年債入札
最高落札利回りは0.46%と、ブルームバーグがまとめた市場の予想中央値0.48%を下回る強い結果
応札倍率は前回の2.69倍を上回る3.50倍
備考:40年利付国債の過去の入札結果 (表)
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.190% -0.200% -0.100% 0.255% 0.410% 0.440%
前日比 横ばい -0.5bp -1.0bp -2.0bp -2.5bp -3.0bp

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-25/Q1JOPLDWLU6H01?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/708.html

[経世済民133] 中国経済が抱える2つの深刻な構造問題、金融危機は回避できるか 二階氏「国賓待遇は当たり前」中国国家主席来日 「中国はウイグル自治区に国連監視団受け入れよ」英要求 中国が豪州で工作活動−緊張高まる 香港デモ「暴力はダメ」と安易に考える人に

中国経済が抱える2つの深刻な構造問題、金融危機は回避できるか
関 辰一:日本総合研究所 調査部 主任研究員

政策・マーケット DOL特別レポート
2019.11.26 5:00
 
6%台の成長を続けていても、不安は拭えない。中国経済が抱える2つの構造問題とは(写真はイメージです) 

6%台の成長を続ける中国
政府の対策が景気を下支え

 中国経済は、米国との貿易摩擦が重石となる一方、政府による景気対策が下支えとなり、6%台の成長を続けている。米トランプ政権が合計3600億ドル規模の中国製品の関税率を引き上げたことから対米輸出が減少したほか、先行き不透明感の強まりなどから中国企業が設備投資を抑制している。

 一方で、中国政府は政策金利を引き下げ、2兆元(約31兆円)規模の企業向け減税と社会保障費負担軽減、地方債発行拡大によるインフラ投資促進などの景気対策を実施。こうした景気対策が、米国との貿易摩擦による景気下押し効果の一部を相殺している。

 アリババによる「独身の日」バーゲンセールをみても、中国経済はまだまだ勢いを保っていると思われる。11月11日午前0時に開始したバーゲンセールの取引額は、わずか1分半で100億元(約1560億円)を突破。1日の取引額は、前年比25.7%増の2684億元(約4兆1870億円、中国の年間消費額の0.7%)に達した。

 米国との貿易摩擦は続いているが、アップル、ナイキ、エスティローダー、オレイの米国4ブランドの取引額は、いずれも10億元を超え、根強い人気が浮き彫りになった。越境EC部門「天猫国際」では、日本の美容・健康機器メーカーのヤーマンが販売トップとなり、花王とムーニーもトップ10入りした。


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拡大する企業債務
中国経済の構造問題(1)
拡大する企業債務
 しかしながら、中国経済が抱える深刻な構造問題も見落としてはならない。所得格差や環境汚染も大きな問題だが、筆者は中国企業の過剰債務や中国金融機関の不良債権問題に最も注目している。

 中国政府は2018年のリーマンショックに対応するため、4兆元の景気対策と大規模な金融緩和を講じた。これに加え、多くの企業と金融機関が、政府の保証を前提にリスクを軽視した経営判断を続けてきた。政府が国有企業や銀行を経営破綻から守るため、国有企業は返済能力を上回る規模の債務を抱えるようになり、国有銀行も融資先企業の経営と自社の経営に対するチェックを甘くしている。

 この結果、中国の企業債務は危機的な水準へと膨張した。国際決済銀行によると、中国の企業債務残高は10年間で105兆元増え、2018年末には136兆元(GDPの152%)に達した。企業債務残高全体(136兆元)の3割は、融資平台(Local Government Financing Vehicles)と呼ばれる特別目的会社の負債である。

 融資平台は、インフラ投資や不動産開発投資を目的に、地方政府による資金調達を担う組織である。なお、中国の金融機関の平均貸出金利は足元で年率5.7%なので、これに債務残高を乗ずると、企業の利払い負担は年間7兆7520億元(121兆円、名目GDP比8.6%)と試算される。


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上昇する不良債権比率
中国経済の構造問題(2)
上昇する不良債権比率
 不良債権問題も深刻だ。中国政府の公式統計によると、全国商業銀行の不良債権比率は2011年末の1.0%から2018末に1.8%へ上昇した。中国政府は、一定のリスクはあるものの、銀行には損失を吸収する能力があると説明する。もっとも、金融機関は必ずしも経営状況を正確に公開しておらず、実際の不良債権比率ははるかに高い。

 筆者は、上場企業約2300社を対象に2015年の財務データを使って不良債権を推計したところ、潜在的な不良債権比率は公式統計の5倍の結果となった。今後数年間で中国の中小銀行が破たんし、銀行間の相互不信から中国発の金融危機に至るというリスクシナリオを、我々は頭の片隅に置いておくべきと思われる。

 これまでのところ、政府は金融危機につながりうるリスクを事前に処理してきた。今年5月、中国人民銀行は21年ぶりに商業銀行である包商銀行を接収(事実上の国有化)したことで、銀行間の相互不信は深刻化しなかった。しかし、IMFが11月に発表した対中4条協議報告書でも指摘されたように、包商銀行に類似した経営破綻に陥りかねない銀行は他にも多くある。複数の中小銀行では、引受手形が取引先から受け取りを拒否されている。


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中国政府がとるべき解決策とは
構造問題の解決策
政府保証の縮小
 中国経済が金融危機に陥ることなく成長を続けられるか否かについては、見方が分かれるだろう。中国の経済水準は、依然として先進国に比べて低いことから、成長余地は大きいといえ、成長によって経済規模が拡大すれば、不良債権や企業債務の過剰感は薄れるという考え方がある。政治体制の違いにより、政府は金融機関に対し迅速に公的資金を投入することができると考えることもできる。中国の場合、金融仲介機能を主に国有銀行が担っているため、金融危機を政府主導で回避する上で他国に比べ有利といえる。

 しかし、ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授らの研究をまとめた書籍『This Time is Different』によると、1800年から2000年まで世界66カ国で発生した268件の金融危機は、あらゆる経済の発展段階において区別なく生じたことが示されている。加えて中国には、商業銀行、郵政貯蓄銀行、農村合作銀行、農村信用社など様々な形態の金融機関(総数は約4000社)が存在する。政府が全ての金融機関の不良債権の実態を正確に把握できているのか、また危機発生時に十分な公的資金を拠出できるのか、といった疑問も残る。

 企業の過剰債務や金融機関の不良債権を減らすために、効き目があり、かつ手軽に実施できる処方箋はない。中国政府は、企業や地方政府、金融機関のリスク管理に力を入れているが、それらは対症療法であり、問題を抜本的に解決できるものではない。

 中国政府がやるべきは、企業や銀行が享受している暗黙の政府保証や明示的な政府保証を少しずつ減らしていくことだ。実際には、国有企業や地方政府、金融機関の連鎖的な破綻に繋がる恐れを危惧してか、政府保証の縮小は大きく進展していない。中国の過剰債務・不良債権問題は、長期にわたって中国経済の下振れリスクとしてくすぶり続けるだろう。

(日本総合研究所 調査部 主任研究員 関 辰一)

 

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真壁昭夫

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柊 宏二
https://diamond.jp/articles/-/221654?page=4

 


 

中国が豪州で工作活動との報道相次ぐ−両国間の緊張高まる
Jason Scott
2019年11月26日 16:07 JST
中国外務省は豪メディアの報道を「奇妙」だとして否定
安全保障の脅威となる敵対的な外国の情報活動続く−豪ASIO長官
オーストラリアの情報機関が、国内で中国による工作活動が行われ、連邦議会もその標的になっているとの疑惑を調べており、両国間の緊張が高まっている。

  エイジ紙など多くの豪メディアは週末、中国の工作員として働いていた王力強氏が香港で軍事情報を担当する高官や香港と台湾、豪州での政治干渉活動に関する秘密情報の提供と引き換えに、政治亡命を求めていると報じた。  

  また、ナイン・ネットワークは中国の工作員とみられる複数の人物がメルボルンの高級車ディーラー、ボー・ニック・チャオ氏に100万豪ドル(約7400万円)を渡し、議会選挙に立候補するよう促したと24日に報道。豪治安情報局「ASIO」に接触した同氏はその後、メルボルンにあるホテルの一室で遺体となって発見されたと伝えた。チャオ氏は32歳だった。

  中国外務省の耿爽報道官は北京での25日の記者会見で、こうした疑惑は「奇妙」だとして、豪メディアの報道を否定。上海警察は23日遅く発表した声明で、「自称中国スパイ」だという26歳の王氏は詐欺疑惑で捜査対象となっており、中国・香港籍を示す書類は偽造されていると主張した。

  豪政府は昨年、中国による内政干渉を阻止することを狙った法律を成立させ、安全保障上の理由から華為技術(ファーウェイ)が第5世代(5G)移動通信機器を豪州の通信事業者に提供することを禁じた。

  豪州の議会や主要大学に対する一連のサイバー攻撃も中国によるものだとされているほか、中国政府が米州にも触手を伸ばそうと南太平洋での軍事基地建設を検討しているのではとの懸念も強まりつつある。

  モリソン豪首相は25日、「外国の干渉から豪国民を安全に守るため政府はこれまで以上に強く決意している」と表明。その上で「こうした問題を巡り結論に飛び付く動きには警告する」とも語った。

  ASIOのバージェス長官は「わが国と国家安全保障にとって真の脅威となる敵対的な外国の情報活動が継続している」と指摘し、ASIOは「豪州内における外国の干渉とスパイ活動に立ち向かい対抗し続ける」と述べている。

原題:China Spy Claims Deliver New Hit to Damaged Australia Relations(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-26/Q1JWIOT1UM0X01?srnd=cojp-v2

 

膨張する中国

二階氏「国賓待遇は当たり前」中国国家主席来日
2019.11.26 14:28政治政局

 
二階俊博幹事長(中央)=26日午前、国会内(春名中撮影)
 自民党の二階俊博幹事長は26日の記者会見で、来春に予定される中国の習近平国家主席の国賓としての来日について「国賓待遇でそういう立場の人をお招きするのは当たり前だ」と述べた。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺への領海侵入や邦人拘束の問題が解決していないため、党内から習氏を国賓として迎えることに反発の声が出ている。

https://www.sankei.com/politics/news/191126/plt1911260016-n1.html


アリババ、香港新規上場 今年最大、資金調達分散
2019.11.26 11:29経済金融・財政
香港デモ 
アリババグループのロゴ=11日、中国杭州(ロイター)
 中国のインターネット通販最大手アリババグループは26日、香港証券取引所に株式を上場し、取引を始めた。新株は5億株発行し、公開価格は176香港ドル(約2450円)。初値は187香港ドルで、公開価格を上回った。香港市場の新規株式公開(IPO)としては今年最大規模になる見込み。

 アリババは2014年、ニューヨーク市場に上場しており、重複上場となる。米中貿易摩擦の激化によって米国で中国企業への規制が厳しくなる中、香港でも上場して資金調達方法を分散する狙いがある。中国本土の投資家も引き付けたい考えだ。(共同)
https://www.sankei.com/economy/news/191126/ecn1911260008-n1.html


 


「中国はウイグル自治区に国連監視団受け入れよ」 英が要求
3時間前
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中国の「再訓練」施設
イギリス政府は25日、中国西部の新疆ウイグル自治区に、国連監視団が「即時かつ無制限にアクセス」できるよう、中国政府に求めた。

この要求は、中国の公文書が流出し、何十万人ものイスラム教徒のウイグル人が、新疆ウイグル自治区の収容施設で虐待されている状況が判明したのを受けたもの。

英外務省の報道官は、「新疆における人権状況と、中国政府の弾圧強化を深く憂慮している。とくに、100万人以上のイスラム教徒のウイグル人や他の少数民族の人々を、法にのっとらずに拘束していることを懸念している」と表明。

「イギリスは中国に対して引き続き、国連監視団が即時かつ無制限に新疆ウイグル自治区にアクセスできるよう求めていく」と述べた。

裁判なしで100万人収容か
BBCパノラマや英紙ガーディアンなど17の報道機関が参加する国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が入手した公文書には、収容施設に入れられた人々が監禁、教化、懲罰の対象となっている模様が記されている。

収容施設には、イスラム教徒のウイグル人を主体とした100万人近くが、裁判を経ずに収容されているとみられている。

中国の劉暁明・駐英大使は、こうした報道はでっち上げだとしている。


後頭部に電気ショックを……中国のウイグル人収容所で
「悔い改めと自白を促せ」
ICIJが「中国電報(The China Cables)」と呼んでいる流出文書には、2017年に新疆ウイグル自治区の共産党副書記で治安当局のトップだった朱海侖氏が、収容施設の責任者らに宛てた9ページの連絡文書も含まれている。

その連絡文書では、収容施設を高度に警備された刑務所として運営するよう指示。以下の点を命じている。

「絶対に脱走を許すな」
「違反行動には厳しい規律と懲罰で対応せよ」
「悔い改めと自白を促せ」
「中国標準語への矯正学習を最優先せよ」
「生徒が本当に変わるよう励ませ」
「宿舎と教室に監視カメラを張り巡らせて死角がないことを(確実にしろ)」

中国の「思想改革」収容所 「犯罪予備軍」を教化
流出した文書はまた、収容者の生活が細かく監視、管理されている状況も示している。

「生徒のベッド、整列場所、教室の座席、技術的作業における持ち場は決められているべきで、変更は厳しく禁じる」

「起床、点呼、洗顔、用便、整理整頓、食事、学習、睡眠、ドアの閉め方などに関して、行動基準と規律要件を徹底せよ」

1週間で1.5万人が入所
別の文書からは、ウイグル人の拘束と収容の規模がわかる。

ある文書は、2017年のわずか1週間の間に、新疆ウイグル自治区の南部から1万5000人が収容施設に入れられたとしている。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの中国担当責任者ソフィー・リチャードソン氏は、流出文書は検察当局に活用されるべきだと話す。

「これは訴追に使える証拠で、甚だしい人権侵害が記録されている。収容者は全員、少なくとも精神的拷問を受けていると言っていいと思う。自分がいつまでそこにいるのか、まったく分からないからだ」


中国・新疆の消えた子どもたち 親から離され……
「中国に対する中傷だ」
流出した文書からは、外国の市民権をもつウイグル人の逮捕や、外国で暮らすウイグル人の追跡に関する明確な指示も読み取れる。

世界規模で捕獲網を張り巡らせるため、中国の大使館や領事館が役割を果たしていることも暗示している。

中国の劉暁明・駐英大使は、中国の施策は新疆ウイグル自治区の人々を守るためであり、同自治区では過去3年間、テロ攻撃は1件も起きていないと述べた。

「当該地域は現在、社会的に安定し、民族集団もまとまっている。人々は満足と安全を以前よりずっと強く感じ、生活を楽しんでいる」

「西側には、そうした事実を完全に無視して新疆について中国を熱心に中傷している人々がいる。彼らは、中国の国内問題に介入し、新疆における中国のテロ対策を妨げ、中国の順調な発展を妨害する口実を作ろうとしている」


「いっそ妻と母を撃ち殺してくれ」 亡命ウィグル男性
(英語記事 China 'must give UN access' after prisons claims)

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Video 国連、中国政府がウイグル人100万人拘束と批判
2018年09月11日
Video 「いっそ妻と母を撃ち殺してくれ」 亡命ウイグル男性
2018年02月2日
https://www.bbc.com/japanese/50554897


 

ビジネス2019年11月25日 / 19:28 / 1日前更新
台湾、米国からの輸入拡大へ 為替操作国指定の回避狙い=関係筋
Reuters Staff
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[台北 25日 ロイター] - 関係筋によると、台湾の中央銀行と経済部は、米国からの輸入拡大を推進するための組織を立ち上げた。対米貿易黒字を縮小し、為替操作国に指定されるのを避けることが狙いという。

台湾は、1992年12月公表の米財務省の為替報告書で、為替操作国に指定され、2016年と17年には「監視リスト」に入った。

台湾の対米貿易黒字は今年、200億ドルを超える見通しで、予想の通りになれば「監視リスト」入りの条件の1つを満たすことになる。

また、別の条件として、GDP比で2%以上の経常黒字も挙げられているが、台湾の経常黒字はGDP(域内総生産)の11%に達している。
https://jp.reuters.com/article/taiwan-economy-usa-idJPKBN1XZ133


ワールド2019年11月25日 / 17:58 / 1日前更新
豪内政への干渉疑惑、中国は「でっち上げ」と否定
Reuters Staff
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[北京 25日 ロイター] - 中国の情報機関が豪連邦議会へのスパイの送り込みを画策していたとされる疑惑を巡り、中国外務省は25日、中国は他国の国内問題に干渉しようと試みたことはなく、その意図もないなどとして疑惑を否定した。

一部の豪テレビ局や新聞は24日、中国の情報機関がメルボルンの高級車ディーラーの男性に対して、連邦議会選への出馬と引き換えに100万豪ドルを提供すると持ち掛けていた、と報じた。[nL4N285141]

豪保安情報局(ASIO)はこの問題を以前から把握しており、積極的に捜査を進めていると表明している。

中国外務省の耿爽報道官は、25日の定例記者会見で、一部の豪メディアは中国の干渉をでっち上げたと強調した。

報道官は、豪州の一部の政治家・組織・メディアが中国に関する問題で「妄想に取りつかれている」とし「いわゆる中国のスパイが豪州に潜入しているといった話を常にでっち上げている」と発言。

「どれほど突拍子のない話であれ、どれほど装いを変えても、嘘は嘘だ」と述べた。

*内容を追加しました。
https://jp.reuters.com/article/china-australia-espionage-ministry-idJPKBN1XZ0TL


 

香港デモに「暴力はダメ」と安易に考える人に伝えたい大事なこと
上久保誠人:立命館大学政策科学部教授

国際・中国 上久保誠人のクリティカル・アナリティクス
2019.11.26 11:30


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香港区議会選挙で初の過半数獲得を果たしたことを喜び合う民主派の人々 Photo:Billy H.C. Kwok/gettyimages
香港の区議会選挙で
民主派が初の過半数獲得
 11月24日、香港区議会(地方議会)選挙が実施された。デモ隊と香港警察の対立が激化し、選挙が中止になることが危ぶまれたが、当日は大きな混乱は起きなかった。投票率は前回(2015年)の47%をはるかに上回り、中国返還後に行われた選挙で最高の71%に達した。

 そして、民主派が452議席の約9割に達する390議席を獲得する歴史的な勝利を収めた。民主派が過半数を獲得したのは初めてで、改選前に7割の議席を占めていた親中派との立場は完全に逆転した。民主派は、あらためて「五大要求」の実現を要求し、抗議行動を継続すると表明した。しかし、香港政庁とその背後にいる中国共産党が容易に折れるとは考えられない。今後の問題は、民主派がどう要求を実現していくかだ。

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日本の“識者”のいいかげんさが露呈
「デモに対する支持率が低下」と語る
日本の“識者”のいいかげんさが露呈
 日本では、テレビや新聞、雑誌、インターネット等のメディアで、「識者」と称する人たちが「デモによる暴力で、香港経済や市民の生活にダメージがあり、デモに対する支持率が低下している」というコメントをすることが少なくない。しかし、それはまったく現地のことを知らない人が、日本語でいいかげんなことを言っているだけということが、明らかになった。

 香港で行われている世論調査では、民主主義を求める若者に対する支持はまったく下がっていなかった。だが、この事実は、なぜか日本のメディアで取り上げられることが非常に少なかった。

 今回の選挙で、香港市民は民主派を圧倒的に支持していることが明らかになった。「デモによる暴力」を批判していた日本の識者の皆様には違和感がある結果だろう。筆者は、彼らに言いたいことがある。

 筆者は、選挙の前に香港の「民主の女神」周庭(アグネス・チョウ)さんとSNSのメッセンジャーでやり取りをした。その際、強い印象が残ったのは、彼女が「私がこの運動が始まってからよく思うのは、民主主義と自由がある国の人たちが、自由のない生活を経験したことがないのに、『暴力はダメよ、支持しませんよ』というのは、ちょっと傲慢なのではないか」「私たちだって、暴力を使いたくないですよ」と言ったことだ。

 この連載では、中国共産党が「香港の中国化」を目指し、圧力を強めることで、香港市民が自由を奪われ、暴力を使うことでしか民主主義を守る手段がないところまで追い詰められたことを、詳述してきた(本連載第213回)。

 雨傘革命後、筆者がアグネスさんら民主派の若者たちに初めて会ったとき、彼らは「香港の選挙は『AKB48の総選挙』のようなもの。民主的に行われているように見えて、実は秋元さんが全部決めている。香港の選挙も中国共産党が全部決めている」と言い、この状況下では「暴力しかない」と訴えかけてきた(第116回)。

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「暴力はいけない」と言うのが浅はかすぎる理由
 それでも彼らは、「デモで選挙制度は変えられなかったが、将来を自分たちで決めたいなら若者の政党をつくるべきだ」と訴えた。彼らは「活動家」から「政治家」に進化しようとした(第141回)。

 そして、16年9月4日に行われた香港立法会選挙で、民主派の若者らが6議席を獲得した。彼らを含む「反中国派」全体で30議席を得て、法案の否決が可能になる立法会定数70議席の3分の1(24議席)以上を占める画期的な勝利となった。

 しかしその後、彼らは中国を侮辱する言動を行ったとして、議員資格を取り消されてしまった。アグネスさんは18年4月の香港立法会議員の補欠選挙に、弱冠21歳の現役女子大生として立候補しようとしたが、当局によって立候補を差し止められた。

 彼らの政治家になろうとする志は、香港政府とその背後にいた中国共産党によって、踏みにじられることになった。そして、この件に象徴される、中国共産党・香港政庁による民主派に対する一連の「弾圧」は、民主化運動の中心メンバーだけではなく、多くの若者を深い絶望に陥れ、「暴力」を肯定せざるを得ないところにまで追い込んだのだ。

 この背景を理解することなしに、自由と民主主義を生まれながらに謳歌してきた人が、シンプルに「暴力はいけない」と言うのは、浅はかすぎると断ぜざるを得ない。もちろん、筆者も「暴力」は肯定しない。しかし、香港の「暴力」については、民主派の若者にまったく責任はない。彼らを徹底的に追い詰めた中国共産党・香港政庁にこそ、「暴力」の全責任があると、最大級の非難をしておきたい。

香港政庁・中国共産党が
区議会選挙の実施を恐れた理由とは?
 香港区議会については、地域の法律や予算を決める強い権限は持っておらず、公共サービスや福祉といった地域の問題について政府に提言する諮問機関のような役割しかない。従って、今回の選挙の結果は、香港の情勢に大きな影響を与えないという人がいる。しかし、その見方は、正しいとはいえない。

 香港政庁・中国共産党は、今回の区議会選挙を延期できないか、ずっと模索していたとされる。デモ隊と警察の衝突の激化で、選挙の安全な実施が困難だからと報道されることが多かったが、そんな単純な理由ではない。

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なぜ香港政庁・中国共産党は区議会選挙を恐れた?
 香港政庁・中国共産党は、選挙当日になれば市民は皆、デモを行わず選挙に行くことを当然、予測できたはずだからだ。実際、衝突などまったく起きることはなく、整然と選挙が実施された。

 香港政庁・中国共産党が本当に恐れたのは、今回の選挙結果が「香港行政長官選挙」に与える影響だ。香港行政長官は、不動産や金融など35業界の代表と立法会議員、区議会議員ら1200人で構成される「選挙委員会」の投票で選出される。

 行政長官選挙に立候補するには「選挙委員」のうち、150人以上の推薦が必要であり、当選するには過半数の得票を得る必要がある。これまで、選挙委員は親中派が多数を占めてきたため、事実上民主派の候補者は立候補すらできない仕組みとなってきた。

 しかし、選挙委員のうち区議会枠(総数117)は、区議会議員の互選で選ばれる。今回の区議会選挙で民主派が9割を占めたので、区議会枠は親中派から民主派に変わることになる。互選がどういう形になるかは不明だが、仮に117人の9割だとすると、民主派は105人いうことになる。

 また、20年9月には「立法会選挙」が実施される。これは区議会選に比べて、民主派が躍進するには高い壁がある。定数70のうち直接選挙で選ばれるのは35議席だ。残る35議席は職業別代表枠で、間接選挙によって選ばれるが、ほとんどが親中派である。

 その上問題なのは、直接選挙が「比例代表制」であることだ。区議会選は、勝者となる党派が実際の得票数よりも多くの議席を獲得する傾向にある「小選挙区制」だった。実際、今回の区議会選は、民主派が9割の議席を獲得したが、得票数は6割程度だったのだ。

「比例代表制」の場合は、シンプルにいえば6割の得票数だと、6割の議席を獲得することになる。仮に、民主派が今回と同程度の支持を集めたとすると、立法会選挙の直接選挙35議席中21議席の獲得にとどまる。定数70のうちの21議席なので、区議会の過半数には遠く及ばないことになる。

 ただ、立法会議員はそのまま行政長官選挙の選挙委員となる。21人の民主派が立法会枠から加わることになると、選挙委員会1200人中、区議会枠と合わせて民主派は126人程度となる。すると、立候補者を出すために必要な選挙委員150人の推薦を実現するハードルが、かなり下がることになる。

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香港の状況を劇的に変えられる存在とは?
 そして、ここまでハードルが下がってしまうと、中国共産党にとっての「不測の事態」が起こりかねなくなる。現在、親中派とみられる人たちも、民主化支持の世論を気にして、中国共産党と距離を置いているといわれる。

 仮に22年の次期行政長官選挙の際にそのような状況になったら、選挙委員会の中から、親中派・民主派双方の幅広い支持を得られるような、開明的なリーダーが立候補して行政長官に当選し、中国共産党が香港の行政をコントロールできないという事態も起きかねない。だから、中国共産党は、そのきっかけとなる懸念がある今回の区議会選の実施を嫌がったのだといえる。

香港の状況を劇的に変えられるのは
「財界」である
 しかし、それはあくまで中国共産党にとっての「不測の事態」であり、民主派にとっては「希望的観測」にすぎないだろう。リアリスティックに考えれば、香港の状況を劇的に変えることができるのは、「財界」である(第223回・P6)。

 財界が民主派に寝返れば、行政長官選挙の「選挙委員」は民主派が圧倒的多数派になる。つまり、民主派の候補者しか当選できない制度に代わってしまうことになるのだ。

 だが、アグネスさんに聞いてみたが、財界の動きは「分からない」という。財界について話題を振っても、反応が鈍い。おそらく、現在のところ民主派と財界の間に接点はないのだろう。財界は完全に親中派とみなされているので、民主派が安易に接触すると、動きが筒抜けになってしまう恐れがある。信用できないのだろう。

 日本的な感覚で考えれば、民主派の若者の中に財界と交渉できるような「寝業師」はいないのかと言いたくなる。おそらく、いないのだろう。リーダー不在の「水の革命」(*)の難しさが露呈しているといえるのかもしれない(第214回)。

*香港出身のアクション映画スターであるブルース・リーが語った格言「Be Water(水のようになれ)」にちなんだ、今回の香港の民主化デモの通称。リーダー不在で臨機応変にデモ活動のかたちを変えることに由来する。
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香港財界を動かし得る米議会の法案
 一方、財界側は民主派の抗議行動に対して、静観を貫いている。ただ、今回の抗議行動が始まって以降、中国共産党は、香港の民間企業に対する圧力を徹底的に強化している。例えば、中国政府はキャセイパシフィック航空に対して、デモにかかわった従業員を職務に就かせないように強く要求し、実際にデモに参加した操縦士2名が解雇された。また、同社のルパート・ホッグ前最高経営責任者(CEO)が辞任に追い込まれ。キャセイパシフィックの元操縦士で立法会議員のジェレミー・タム氏も、同社を退社した。

 英公共放送「BBC」のカリシュマ・ヴァスワニ・アジア経済担当編委員は、「キャセイの話は、香港でビジネスをする企業が、中国が何を欲するかを勘案しないとどうなるかを示す教訓といえる」と指摘する(BBC NEWS JAPAN「香港デモ、苦しむキャセイ航空 『会社が恐怖に包まれている』」)。だが、静観を貫く財界は内心、中国共産党に対する強い不満を募らせているという。なにか、起爆剤となることが起きれば、財界は動くかもしれない。

香港財界を動かす可能性を感じさせる
米議会の「香港人権・民主主義法案」
そして、財界を動かす可能性を感じさせるのが、米議会が可決した「香港人権・民主主義法案」だ。現在、米中貿易交渉が佳境を迎えている(第211回)。ドナルド・トランプ米大統領は法案に署名するかどうか、態度を明らかにしていない。

 だが、仮にトランプ大統領が拒否権を発動しても、上下両院の3分の2が賛成すればこれを覆すことができる。この法案はすでに、ほぼ全会一致で可決されており、大統領が署名しなかった場合でも、問題なく成立するとみられる。

 香港人権・民主主義法は、米国務省が年1回、香港の「一国二制度」が保証され、香港の「非常に高度な自治」が維持されているかを確認し、米国が香港に通商上の優遇措置という「特別な地位」を付与するのが妥当かどうかを判断するものだ。

 もし、香港で人権侵害などが起きた場合、その責任者には米国の入国禁止や資産凍結などの制裁が科せられる。そして、通商上の優遇措置が撤廃されれば、香港は中国本土の都市と同じ扱いを受けることになる。

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香港財界には歴史的な決断を下してほしい
 これは、ただでさえ不調に陥っている中国経済に大打撃を与えることになると指摘されている。中国では、資本取引が全面的には自由化されていない。中国の対内・対外直接投資の6?7割は香港経由である。また、08年から19年7月まで、中国企業が香港市場で株式新規上場し資金調達した金額は1538億ドルで、中国市場全体の3148億ドルの約半分である。さらに、中国企業が18年に海外市場で行ったドル建て起債1659億ドルの33%を、香港の債券市場が占めている(岡田充「米中代理戦争と化した香港デモ。アメリカの『香港人権法』は諸刃の刃になるか」Business Insider Japan )。

 中国経済における香港の重要度は以前と比べると下がっているといわれるが、いまだに多くの部分を依存しているといえる。もちろん、香港への優遇措置見直しは、米国経済にもダメージを与えるものだ。


本連載の著者、上久保誠人氏の単著本が発売されました。『逆説の地政学:「常識」と「非常識」が逆転した国際政治を英国が真ん中の世界地図で読み解く』(晃洋書房)
 だが、貿易戦争は双方が不利益を受けるものであり、問題はどちらにより大きな損害があるかだ。米中貿易戦争でより大きなダメージを中国が受けたように、香港が中国本土と同じ扱いとなれば、中国がより深刻な損害を受けることになると考えられる。

 区議会選が終われば、中国共産党は再び全国人民代表大会常務委員会が前面に出て香港への関与の姿勢を強めるとみられていた。デモの鎮圧には、より強硬な手段が講じられるとの懸念も出ていた。だが、米国が香港人権・民主主義法を発動するかどうかは、中国共産党に対する極めて強いけん制となるだろう。

 そして、香港人権・民主主義法が施行されれば、香港の財界は中国共産党に従属する「親中派」のスタンスを変えざるを得なくなるかもしれない。

 香港に対する優遇措置が維持されなければ、民間企業はビジネスを続けることができない。しかし、前述のキャセイパシフィック航空のように、中国共産党からの圧力に屈する姿を米国に見せてしまうと、一国二制度は維持されていないとみなされて、米国が法律を発動する懸念が出てしまう。財界もまた、従来通り「親中派」のままでいいのか、難しい判断を迫られることになる可能性がある。

 要するに、香港政庁・中国共産党と民主派の間で膠着状態が続く香港の抗議活動を動かせるとすれば、それは香港財界と米国ということになる。この連載では、次のように論じたことがある(第223回・P6)。14年の「雨傘運動」は、行政長官選挙の選挙委員会を親中派が占めて、民主派は立候補すらできない制度の理不尽さに反発して起きた。だが、香港財界が民主派を支持すると決断すれば、雨傘運動の若者たちが目指したものの大部分が、長い戦いの末に実現することになる。このことをあらためて強く主張したい。香港財界には、一国二制度を守るために、歴史的な決断を下してもらいたい。

(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)

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https://diamond.jp/articles/-/221574
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/709.html

[政治・選挙・NHK267] 二階氏「国賓待遇は当たり前」中国国家主席来日 香港での弾圧の即時中止を求める日本共産党幹部会委員長 志位和夫  
二階氏「国賓待遇は当たり前」中国国家主席来日


2019年11月26日 18時05分 産経新聞 
 
二階俊博幹事長(中央)=26日午前、国会内(春名中撮影)

 自民党の二階俊博幹事長は26日の記者会見で、来春に予定される中国の習近平国家主席の国賓としての来日について「国賓待遇でそういう立場の人をお招きするのは当たり前だ」と述べた。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺への領海侵入や邦人拘束の問題が解決していないため、党内から習氏を国賓として迎えることに反発の声が出ている。

産経新聞
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https://news.nifty.com/article/domestic/government/12274-479223/


二階氏「男女平等社会を考えれば結論出る」、女性・女系天皇の見解問われ


2019年11月26日 12時14分 産経新聞
 
自民党・二階俊博幹事長(春名中撮影)

 自民党の二階俊博幹事長は26日の記者会見で、女性天皇と女系天皇についての見解を問われ「男女平等、民主主義の社会なので、それを念頭に入れて問題を考えていけば、おのずから結論は出るだろうと思っている」と述べた。
https://news.nifty.com/article/domestic/government/12274-479103/

香港での弾圧の即時中止を求める日本共産党幹部会委員長 志位和夫
2019年11月14日 

English(英文)→

一、香港で政府への抗議行動に対する香港警察による弾圧が強まっている。11日には警官が至近距離からデモ参加者に実弾発砲し、一人が腹部を撃たれて重体となった。丸腰のデモ参加者への実弾発砲は、言語道断の野蛮な暴挙である。大学構内への警察による突入で、多数の負傷者と逮捕者が出た。警察は、香港立法会(議会)の「民主派」議員7人を逮捕した。香港警察とデモ参加者との衝突のなかで、デモ参加者から犠牲者が出ており、その真相解明が厳しく求められている。

 わが党は、デモ参加者が暴力を厳しく自制し、平和的方法で意見を表明することが重要だと考える。しかし、殺傷性の高い銃器を使用して、抗議活動への弾圧を行うことは、絶対に容認できるものではない。

一、重大なことは、香港当局の弾圧強化が、中国の最高指導部の承認と指導のもとに行われていることである。

 習近平中国共産党総書記・国家主席は、4日、林鄭月娥・香港行政長官との会談で、抗議行動への抑圧的措置を続けている香港政府のこの間の対応を「十分評価する」としたうえで、「暴力と混乱を阻止し、秩序を回復することが依然、香港の当面の最も重要な任務である」と強調した。「一国二制度」の下で中国政府の指導下にある香港に対するこの言明が、何を意味しているかはあまりにも自明である。

 実際、中国政府は、香港警察による11日の実弾発砲について、「警察側の強力な反撃にあうのは当然である」と全面的に擁護している(12日、外交部報道官)。

 中国の政権党系メディアは、香港警察に対し「何も恐れる必要はない」「国家の武装警察部隊と香港駐留部隊が、必要な時には、基本法の規定に基づきみなさんを直接増援できる」と言い放った(「環球時報」11日付社説)。武力による威嚇を公然と煽り立てているのである。

一、今日の香港における弾圧の根本的責任は、中国政府とその政権党にあることは、明らかである。その対応と行動は、民主主義と人権を何よりも尊重すべき社会主義とは全く無縁のものといわなければならない。

 今日の世界において人権問題は国際問題であり、中国政府は、人権を擁護する国際的責任を負っている。

 日本共産党は、中国指導部が、香港の抗議行動に対する弾圧を即時中止することを強く求める。「一国二制度」のもと、事態を平和的に解決する責任を果たすことを厳しく要求するものである。
https://www.jcp.or.jp/web_policy/2019/11/post-821.html

中国経済が抱える2つの深刻な構造問題、金融危機は回避できるか 二階氏「国賓待遇は当たり前」中国国家主席来日 「中国はウイグル自治区に国連監視団受け入れよ」英要求 中国が豪州で工作活動−緊張高まる 香港デモ「暴力はダメ」と安易に考える人に
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/709.html
投稿者 鰤 日時 2019 年 11 月 26 日 18:04:50: CYdJ4nBd/ys76 6dw
 
(回答先: 中国人民銀、金融リスク増大を警告 監督強化 金融機関の13%超「高リスク」中国財政省、ドル建て債で高めのプレミアム提示−… 投稿者 鰤 日時 2019 年 11 月 26 日 17:48:32)

http://www.asyura2.com/19/senkyo267/msg/627.html

[経世済民133] 中国の百貨店、客がいなさ過ぎて一人貸切状態に 中国のゲーム開発会社、日本市場に攻勢 半導体業界への巨額投資は中国の自信を高めた  孫正義の判断誤らせたウィーワーク
中国の百貨店、客がいなさ過ぎて一人貸切状態に
ネット通販普及で閑古鳥、上海の実店舗はどこに向かうのか
2019.11.26(火)
姫田 小夏
中国
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南京東路の歩行者天国は上海屈指の集客スポット。最新の商業ビルもあれば、20世紀前半に建てられたビルもある
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(姫田 小夏:ジャーナリスト)

 上海の名だたる商業施設が空っぽになっている。実店舗がネット通販に客を奪われていると言われて久しいが、売り場には本当に客がいない。筆者は南京東路でまさにその光景を目の当たりにした。

 上海の南京東路といえば、国内外から多くの観光客が訪れる中国有数の繁華街だ。全長1000メートルの歩行者天国には多くの有名店が軒を連ねる。来街者が1日100万人を超えることもあり、2018年は1億5000万人がここを訪れたと報じられた。

 中国紙「労働報」(2019年9月12日)によれば、南京東路への来街者は地元上海人の割合が46%を占める。とくに若者が多く、「90后」と呼ばれる1990年代生まれを中心とした20代が6割以上を占めるという。

 南京東路の西の顔は、80余年の歴史を誇る老舗デパート「第一百貨商業センター」(以下「第一百貨」)だ。上海市内の数々の流通業態を束ねる大型国有企業、百聯集団の中核を成す。2018年にそれまでの「第一百貨商店」から名前を改め、第一百貨商業センターとしてリニューアルオープンした。


国有企業の「第一百貨」のみならず、リアルな店舗は元気がない
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閑古鳥が鳴く上海の有名百貨店
閑古鳥が鳴く上海の有名百貨店
 10月の週末、国慶節の高揚感が残る南京東路の歩行者天国には多くの来街者が集まっていた。

 第一百貨を訪れてみると、エントランスをくぐる客は少なくなかったが、エスカレーターに乗る客はわずかだった。2階から上は、どのフロアも買物客の気配はない。

 かつて、バブル華やかなりし頃の日本で、来日した外国のビッグアーティストが商業施設を借り切って買い物をしたことがあったが、上海屈指の有名百貨店は、まさに筆者のための“貸し切り状態”と言っても過言ではなかった。

 第一百貨の向かいにあるのは、同じく百聯グループ傘下の「世茂国際広場」だ。上階にはオフィス、ホテルが入居し、低層棟にはショッピングモールを備えた超高層ビルである。

 ビルの敷地の広場には多くの若者が集まっていた。しかし、若者たちにビルの上階まで足を運ばせるのは容易ではない。エスカレーター乗降口周辺の店には客がいるものの、少しでも奥に入ると閑散としている。

 南京東路には溢れんばかりの人がいる。だが、巨大資本によって建てられたピカピカのモールでも、店内の隅々まで来てもらうのは至難の業のようだ。

 南京東路の東には、日系の「上海新世界大丸百貨」がある。ここも1階にはそれなりの数の買物客がいたが、上の階に上がるにつれて客はどんどん減っていく。書き入れ時の週末にもかかわらず、洋服、家電、寝具、おもちゃなどの各売り場に買物客らしい姿はほとんど見られなかった。

さまざまな手を打つも先行きは暗い
 南京東路にはこうした大型商業施設のほかにも多くの専門店が軒を連ねるが、消費者を集めていたのは、アップルストアぐらいだった。南京東路から離れたところに立地する伊勢丹や島屋を訪れてみたが、やはり同じような状況だ。

さまざまな手を打つも先行きは・・・
 一方、ネット通販の広がりはとどまるところを知らない。2019年11月11日の「独身の日」に、EC大手のアリババは過去最高の4兆1000億円を売り上げた。

 中国商務部が発表した「2018中国電子商務報告」によれば、中国の商品やサービスを売買する電子商取引は31兆元(約496兆円)を超え、インターネットを経由した小売額は前年比約24%増の9兆元(約144兆円)に達した。そのうち、実物商品の小売額は7兆元(約112兆円)を占める。元々「価格が高い」というイメージを持たれてきた百貨店だが、ネット通販の普及でさらに消費者との乖離が進んだようだ。

 これだけ立派な建物で、これほど多くの商品を仕入れ、これほどの数の販売員を立たせていても、客は数えるほどしか入っていない。「今後、ネットショッピングがさらに増えれば、我々は“巨大な試着室”に成り下がってしまう」──中国の専門メディアは、百貨店業界のこんな危機感を伝えている。


リニューアルを施した「第一百貨」だが、ネットで購入する前の“巨大な試着室”状態になっている
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国有企業として開き直るのか?
 第一百貨は生き残り策として2017年にアリババと提携。ビッグデータやIT技術を駆使したサプライチェーンの整理再編、決済技術の導入、物流システムの構築などさまざまな領域で協力体制を築いた。中国紙は「従来の百貨店業態を7割から5割にまで削り、体験・娯楽の施設の面積を増やす」という思い切った構造転換を報じている。

 また、リニューアルの際は、ワンフロアをスポーツブランドで埋め尽くすといった取り組みも行った。

 それでも時代の大きな流れの中で、第一百貨の先行きは不透明だ。南京東路の魅力を形作っているのは、第一百貨のような実店舗に他ならない。実店舗が営業を継続できなくなれば南京東路の魅力は薄れ、上海屈指の観光地が寂れた場所になってしまうかもしれない。

 そのとき、百聯集団はなんらかの手を打つのか? それとも政府の巨大資本に支えられた国有企業として、「巨大なショールームでも上等だ」ぐらいに開き直っているだろうか。

もっと知りたい!続けてお読みください
中国資本が怒涛の高級ブランド買収、その結末は
誰もハッピーにはなっていなかった?
2019.11.12(火)
姫田 小夏
中国
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気が付けば、中国資本になっていたというブランドは少なくない
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(姫田 小夏:ジャーナリスト)

 上海の人気百貨店を訪れて驚いた。名だたる高級ファッションブランドがこぞって中国企業に買収されていたのだ。

 100年の歴史を持つ英国の老舗ブランド「Aquascutum(アクアスキュータム)」。日本でも一世を風靡したイタリア生まれの「Roberta di Camerino(ロベルタ ディ カメリーノ)」。売り場の担当者によれば、いずれも「すでに中国企業に買収されています」と言う。

 中国繊維大手の山東如意科技集団がアクアスキュータムを買収したのは2017年3月のこと。同集団はその後、スイスのラグジュアリーブランド「BALLY(バリー)」も買収した。2010年に日本のレナウンを買収して世間を騒がせた企業、と言えば思い出す読者も多いだろう。

「ランバン」も「フィラ」も
 気がつけば、フランスの「LANVIN(ランバン)」も2018年に買収されていた。買収したのは復星国際有限公司だ。復星集団の基幹企業である復星国際は、ギリシャのジュエリーブランド「Folli Follie(フォリフォリ)」やアメリカのファッションブランド「ST.JOHN(セント・ジョン)」、イタリアの紳士服ブランド「Caruso(カルーゾ)」という3つのブランドにも触手を伸ばし、それぞれで第2位の株主になっている。

 また、韓国資本のスポーツウェアブランド「FILA(フィラ)」の中国子会社は、現在、中国のスポーツ用品大手である安踏集団(以下、アンタ)の傘下にある。

中国資本は「救世主」?
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58187?page=2


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https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58331?page=4



中国のゲーム開発会社、日本市場に攻勢
日本企業よりもリスクや資金をいとわず、動きが迅速だと業界幹部は話す
By Takashi Mochizuki
2019 年 11 月 26 日 09:02 JST
 【東京】日本のスマートフォン向けゲームメーカーは、中国の開発会社からのプレッシャーにさらされ、ラインアップを縮小し、雇用を削減している。創造性やプレーのしやすさなどで日本人ユーザーからの支持を集めつつある中国企業が攻勢をかけている。

 国内ビデオゲーム市場は往々にして日本企業がトレンドを生み出してきたが、その業界への中国企業の進出は他国に警戒感を抱かせる。中国IT(情報技術)企業はソフトウエアや消費者向けコンテンツをはじめ、新たな分野に事業を拡大している。北京字節跳動科技(バイトダンス)が運営する動...
https://jp.wsj.com/articles/SB10889753074974684588504586039190102707366

 


第2次投資が始まる中国:
半導体業界への巨額投資は中国の自信を高めた (1/3)
2019年11月26日 11時45分 公開
[Junko Yoshida,EE Times]
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中国Big Fundの成果

 中国は常々、「国内の半導体業界とサプライチェーンを確立し、米国への依存を減らしたい」とする熱意を表明しており、それに関するさまざまな情報がひっきりなしに流れている。しかし中国は、このような目的を実現する上で、正しい方向に向かっているのだろうか。

 筆者は、2019年11月に中国を訪れた時、エレクトロニクス業界の国内外メーカーの経営幹部やアナリストたちに疑問を投げかけてみた。

 誰もが、「中国のBig Fund(中国の国家IC産業投資基金)は、期待通りの成果を生み出すことができる」と確信している中、フランスの市場調査会社Yole Développementのプレジデント兼CEOであるJean-Christophe Eloy氏は、そうとは断言できないと考えているようだ。

 筆者は、2019年11月7日に中国・深センで開催された「Global CEO Summit 2019」において、Eloy氏にインタビューを行った。同氏は、「もし自分が中国政府の関係者だとしたら、中国エレクトロニクス業界に対してどのようなアドバイスをしたいか」とする筆者の質問に対し、「Big Fundは現在、中国が目標を達成するための手段と見なされているが、政府としては、エレクトロニクス業界における自給自足率を迅速に高める上で、垂直統合型モデルの実現も追求していくべきではないだろうか」と述べている。


Yole DéveloppementのJean-Christophe Eloy氏
 さらに同氏は、「例えば、BYDやHuaweiについて見てみると、垂直統合型モデルは、市場ニーズとサプライチェーンの間をいくつも層を挟まずに短くつなぐことが可能な、優れた方法であるため、現在の中国にとって非常に重要なモデルだといえる」と述べる。

 「中国最大手の自動車メーカーであるBYDは、電気自動車に必要とされる部品や技術の開発に取り組んでいる。電気自動車は、電池やインバーター、パワーデバイス、SiC(炭化ケイ素)から、パッケージング/インテグレーション技術に至るまで、あらゆるものを必要とする。このような重要な技術は、半導体の対応範囲を超えている」(同氏)

 また同氏は、「このようなビルディングブロックは、電気自動車だけでなく、風力などのさまざまなエネルギー源で使われている新しいエネルギー管理システムにとっても、同じように非常に重要だ。現在こうした分野で優位性を確立しているのは、ドイツと日本である。中国は、垂直統合型に移行することにより、これらの垂直統合型の外側で役立つ技術を開発できるようになるだろう」と説明する。

 Eloy氏は、「Huaweiと、同社が必要としている技術に関しても、同様のことが言える。例えば、RFフロントエンドモジュールは、基地局や5G(第5世代移動通信)スマートフォンなどのさまざまなワイヤレスアプリケーションにとって、非常に重要である。Huaweiは、RFフロントエンドモジュールの開発に取り組むことにより、『必要とされる技術や設計、IPなどを開発するための取り組みを求めているのは、どの分野なのか』について熟考する機会を生み出すことができる。中国において、全体的な統合型モジュールシステムを開発することは可能だ」と述べている。

 Eloy氏は、「Big Fundは、中国がメモリやマイクロプロセッサなどの基本的な半導体デバイスを開発していく上で、重要な役割を担っている。しかし、全てには対応しきれない。エレクトロニクス業界は、他にもさまざまなものを必要とするため、中国は最先端技術の開発を目指すべきだ」と指摘する。

→次ページ投資ラウンドPhase Iは、うまくいったのか?
 さらにEE Timesは、「Big Fundの最初の投資ラウンドは、どのように行われたのか。また、2回目の投資ラウンドはどのようになる見込みか」と質問した。

 これまでの経緯を簡単に振り返ってみよう。Big Fundは、中国国内の半導体産業を育成するための大規模な資本投資プロジェクトであり、Phase IIの投資スケジュールとして、今後5年間にわたり2041億5000万元(約3兆円)という巨額の予算を投じていく予定だと発表している。Phase IIの投資額は、2014年に始動したPhase Iの約2倍となる。


中国、289億米ドル規模新ファンドで半導体の自給自足へ

 筆者が最も興味を持ったのは、中国国内で最初の投資ラウンドがどのように評価されたのかという点だ。Phase Iは成功したと評価されているのだろうか。どの企業が成功を維持しているのだろうか。Big Fundの投資利益率(ROI)に関する報告書はあるのか。より具体的には、どの半導体メーカーが、Big Fundのおかげで最優良企業になったのだろうか。

 しかし、筆者の考えは甘かったのかもしれない。中国がBig Fundに対して、綿密な調査をほとんど行っていなかったということが明らかになったのだ。最終的に、中国政府がどれくらい賢明な(または下手な)資金の使い方をしたのかを問題として取り上げるのは、一体誰なのだろうか。

「自分たちの金ではない」
 中国のファブレスチップメーカーの経営幹部から、「結局のところ、自分たちの金ではない」という、実に率直な答えが返ってきた。メーカー各社がBig Fundから受け取った資金は、銀行からの融資ではないため、受け取った側は誰も、もらい物に文句を言おうとは思わない。メーカー側の使命は、その資金を使い、さらなる増額を要求することにある。

 これまでのところ、最初の投資ラウンドの結果については、賛否が入り交じっている。「Big Fundのサポートを最も多く受けたのは、どの半導体メーカーなのか」とする質問に対して、具体的な企業名を挙げてくれる経営幹部はいなかった。例えばSpreadtrum Communications(RDA Microelectronicsと合併、現社名はUnisoc)はかつて、中国最大の期待の星とされていた。しかし現在、同社がどのような位置付けにあるのかは不明だ。Unisocは2018年初頭に、Intelの5Gモデムを搭載した5Gスマートフォンプラットフォームの開発に取り組んでいると報じられた。しかし、Intelは2019年夏に、スマートフォンモデム事業をAppleに売却してしまっている。

 またHiSilicon(Huaweiの半導体部門)は、国内最大規模の半導体メーカーであるが、同社の成功は自ら成し遂げたものであって、Big Fundから明確な後押しを受けたわけでは決してない。

 中国エレクトロニクス業界の観測筋は、Big Fundについて、「中国国内の半導体チップ業界の基盤を構築する上で不可欠な、長期的プロジェクトである」と述べ、少なくとも“哲学的な”観点からは肯定的な見解を示している。

 例えば、International Business StrategiesのCEO(最高経営責任者)であるHandel Jones氏は、EE Timesに対し、「Phase Iの重要な部分は、優位性のあるファウンドリー能力を構築することだ。Big Fundは、中国が強力な半導体業界の構築に尽力していることを示す証拠をもたらした。Phase IIの立ち上げは、Phase Iの目標を全て達成できなかったとしても、中国が諦めていないことを示唆している」と語った。

 VeriSiliconのCEOであるWayne Dai氏は、中国がBig Fundを創出していなかったら、中国の半導体業界は勢いをつけられなかっただろうと述べた。あちこちにある小規模なファンドでは、同業界や中国が国内の半導体業界を育てるための包括的なプランを後押しすることはなかったはずだとDai氏は説明した。

→次ページ中国の自信を高めたBig Fund

International Business StrategiesのHandel Jones氏
 Jones氏は、Big Fundを「中国の自信を育む上で重要な要素」と考えている。同氏は、中国がエレクトロニクスや半導体の数々の重要な領域において米国から独立できるという自信をますます強めていると指摘した。同氏は「Big Fundなくしては、そのような自信は存在しなかっただろう」と述べた。

 Jones氏の見解によると、中国国内の半導体業界の基盤という観点では、同国の主要なファウンドリーであるSMIC(Semiconductor Manufacturing International Corporation)が着実に発展しつつあるという。同氏は「SMICは14nmプロセスで製品を製造し始めている」と述べた。TSMCは既に7nmプロセスで量産を始めているが、Jones氏は「14nmでは依然として大規模なファウンドリー市場があり、2030年以降も持続するとみられる」と述べ、SMICがプレイヤーとなる可能性を主張した。

 中国の他の業界観測筋は、Big Fundは半導体業界にとっては良いが、中国の多くのファブレス企業にとってはそうではないと考えている。北京に拠点を置くEDAツール関連企業であるHuada Empyrean SoftwareでCTO(最高技術責任者)を務めるSteve Yang氏は、2017年、EE Timesに対し「ほとんどのファブレス企業はBig Fundを受け入れる準備ができていない。中国企業はまず、資金を活用するための“筋肉”をいくらか大きくする必要がある」と述べた。つまり、大半の中国企業は「資金を効果的に使えるほど成熟しきっていない」というのが同氏の見解だ。

 しかしながら、中国の設計コミュニティーは専門知識や技術の点で進歩しつつある。Jones氏は「中国の製品設計能力は過去数年間で大幅に向上した。HiSiliconは突出しているし、VeriSiliconはBig Fundから資金を得て、7nmではTSMC、8nmではSamsung Electronicsと共同でチップを設計している」と述べた。

 EE Timesは、VeriSiliconがひそかにデザインウィンを蓄積していることを独自に突き止めた。同社のIP(Intellectual Property)コアは、Google、Facebook、Amazonが開発中のチップに組み込まれている。

 Jones氏によれば、ZTEとUnisocも、7nmプロセスでチップを設計しているという。

 何より、中国の半導体設計が勢いづいている背景には、AI(人工知能)市場を切望する中国のファブレス企業の顧客とともに、AIプロセッサ/AIアクセラレーターに対する需要の急速な成長がある。Jones氏は、「中国のIPは、過去5年間で大幅に強化された」と述べ、その一例としてCambriconのニューラルネットワークプロセッサを挙げた。

 一方、英GraphcoreのCEOであるNigel Toon氏は、深センでのインタビューでEE Timesに対し、「中国では、約70社がAIチップを設計しようとしていると聞いた」と述べる。同氏は「ただし、問題は、あまりに多くのプレイヤーが似たようなアーキテクチャに基づいた製品を、似たようなアプリケーション向けに開発しているので、市場が“混雑”しているという点だ」と付け加えた。

【翻訳:青山麻由子、田中留美、編集:EE Times Japan】

原文へのリンク

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https://eetimes.jp/ee/articles/1911/26/news080.html

 

「投資家」孫正義の判断誤らせたウィーワークの実態
孫正義が惚れ込んだ創業者アダム・ニューマンのカリスマ性
2019.11.26(火)
谷町 真珠
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(写真:ZUMA Press/アフロ)
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 将来性の高いスタートアップをいち早く見抜くベンチャー投資家として世界的に知られる存在となったソフトバンクグループの孫正義社長??。だが、投資先の1つであるシェアオフィス「ウィーワーク」を運営する米ウィーカンパニーで、ずさんな経営実態が明らかになると、欧米で孫氏の「目利き力」を疑う声が急速に高まっている。9月にウィーワークのCEOを辞任してはいるが、一夜にして孫氏の名声を奪うことになった同社の創業者アダム・ニューマン氏とはどんな人物なのであろうか。

創業者ニューマン氏のカリスマ性と奇行
 米ニューヨーク・タイムズ紙は、ウィーの初期社員たちが57階の改装中ビルのエレベーターホールの縁に立ち、ビールを飲み交わす約6年前のエピソードを紹介している。アルコールが回り、少しでもふらついて足を踏み外せば死にかねない場面だ。しかも、ニューマン氏が古い飲みかけのビール瓶を見つけると、瓶のなかに残っていた気の抜けたビールをみんなで回し飲みしたという。当時の参加者の1人は、「儀式のようだった。それほど、ニューマン氏にはカリスマ性があった」と語っている。

 ニューマン氏(40歳)は、イスラエル出身。幼いころに両親が離婚し、母親とともに米国に渡った。教育の大半は米国で受けているため、英語は流ちょうだ。米ニューヨーク市立大でビジネスを専攻し、弁も立つ。妹はモデルというだけあって、ニューマン氏自身も195センチの長身。緩やかなウェーブヘアをたたえた姿は、独特の存在感を醸し出している。孫氏は、「アリババ集団の創業者ジャック・マー氏以来のものを感じる」と入れ込んでいたとされる。

 ただ、ニューマン氏には社員が眉をひそめるような行動も多かった。社内を裸足で歩き回り、デスクに飛び乗ったり、社員を怒鳴り散らしたり。お気に入りは、1本1万5000円は下らないテキーラで、切らすとニューマン氏の機嫌が悪くなるため、社員はケース買いで常備していたという。パーティーでは、社員やゲストにマリファナを薦めることもあった。ちなみに、裸足なのは社内だけではないようで、ネット上ではニューマン氏がニューヨークの街中を裸足で闊歩する写真が出回っている。

ウィーワークを成長させたレベッカ夫人の先見…
ウィーワークを成長させたレベッカ夫人の先見性
 そんなニューマン氏がトップに立つウィーワークは2010年創業。ニューマン氏とともに、友人のミゲル・マッケルビー氏と妻のレベッカ・ニューマン氏が共同創業者に名を連ねた。レベッカ氏の旧姓はパルトロー。その名前に、ピンと来る人もいるかもしれない。このレベッカ氏はアメリカの女優で女性実業家としても活躍するグウィネス・パルトロー氏のいとこだ。


ウィーワークのCEOを辞任したアダム・ニューマン氏と妻で共同創業者のレベッカ夫人(写真:Shutterstock/アフロ)
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 グウィネスといえば、大ヒット映画「恋に落ちたシェイクスピア」などに出演し、俳優ブラッド・ピットとの交際などでハリウッドの話題を集めた女優だが、アラフィフとなった現在では、ウエルネス業界をけん引する女性経営者として知られる存在になっている。「すへ?ての女性か?、より美しく、より健やかに、より自分らしく生きられること」を支援するライフスタイル企業「グープ」を率いている。いとこのレベッカ氏も同じような趣向の持ち主のようで、5年ほど女優として活躍した経験と、ヨガインストラクターの資格を持っている。

「あなたの発言はすべてゴミね」。ニューマン氏は大学生向けの講演で、初デートでレベッカ氏にこう言われたとのエピソードを明かしている。弁の力で人々を魅了することに慣れていたニューマン氏にとって、レベッカ氏の反応は新鮮だったに違いない。ニューマン氏は「真のパートナーとは上っ面にだまされない相手だ」と学生にアドバイスした。ウィーワークが「ただのシェアオフィス」で終わることがなかったのは、「ウィーワークはコミュニティ」というコンセプトが米国の若い「ミレニアル世代」に受け入れられたからだ。その背景にあるのは、シェアオフィスをライフスタイルに結び付けたレベッカ氏の先見の明と、多額の資金調達に成功したニューマン氏のセールスマンとしての能力の高さにある。

「彼のいい部分を見過ぎてしまった」…
 ただ、ウィーワークの今後は前途多難だ。新しい資金調達を狙った新規株式公開(IPO)は頓挫し、当面はソフトバンクからの金融支援が頼りだ。急拡大のあおりで、最近のウィーワークは「利用者獲得に苦労している」との報道も目立つ。特に、ニューヨーク市では地下鉄の駅から遠い新築物件では、借り手がまばらでガラガラな感じがする場所もあるという。こうした場所では、大幅な割引価格で借り手を探すこともあり、ウィーワークの財務体質がさらに悪化する懸念もある。

 とはいえ、地下鉄駅から徒歩数分の中心部のウィーワークは今でも活況だ。天井が高く、品良く観葉植物が置かれたカフェのような空間には、パソコンを開いた人たちが所狭しに並ぶ。ただし、好きな時に空いているデスクを使える最安のプランでも月額600ドル程度。「高い割に、混みすぎ。ほかに選択肢があれば別の会社に変えたいが、いい代替サービスがない」(46歳アートディレクター)というのがユーザーの正直な評価なのかも知れない。

「彼のいい部分を見過ぎてしまった」
 ウィーワークに対しては、訴訟リスクも高まっている。

「バケーションを楽しんだかい?」。産休から戻ると、元女性社員はニューマン氏にこう言われたという。この女性社員は米雇用機会均等委員会(EEOC)に対して、ウィーワークとニューマン氏の行為には「女性差別」「マタハラ」の疑いがあると訴えている。

 当時CEOだったニューマン氏の出張に同行することも多かったため、妊娠が分かるとニューマン氏に当面は一緒に出張はできないと伝えた。「マリファナの煙の充満した貸し切りの飛行機でとじ込められる」ことを避けるためだ。元女性社員は、産休中にウィーワークは自分の給料の2倍以上で男性従業員を雇用した揚げ句に、職場復帰後すぐには同じ職務に戻れなかったと主張する。少数株主がニューマン氏や孫氏などを相手取り、企業価値を縮小させたとして損害賠償を求める集団訴訟も起きている。

 11月6日の記者会見で、孫氏はニューマン氏に対する評価について「彼のいい部分を見過ぎてしまった。マイナス面もたくさんあったと思うが、多くは目をつぶってしまった」と反省の弁を述べた。ウィー問題はソフトバンクの財務状況にも大きな影響を与え、ソフトバンク自体が大手銀から3000億円規模の融資を仰ぐ事態に発展している。ニューマン氏への多額の「退職金」を理由に、追加融資に難色を示している大手銀もあるという。ニューマン氏の扱いが「孫氏の目利き力」を計る物差しとなる場面が、しばらく続きそうだ。

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最先端ワークスペースの真価を問う
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58354?page=3
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/710.html

[経世済民133] 中国で拘束の伊藤忠商事の社員 懲役3年の実刑判決 中国に対する安全危害容疑で邦人9人が有罪 中国のトップスパイが豪に亡命、中国は台湾大統領選や香港などに介入と証言 中国メディア、民主派圧勝の香港区議会選を詳報せず 先鋭化する抗議に批判社説も アイスバブル
中国で拘束の伊藤忠商事の社員 懲役3年の実刑判決

2019年11月26日 17時24分

中国当局に日本人が拘束されるケースが相次ぐ中、去年2月に拘束された大手商社、伊藤忠商事の40代の男性社員に対し、現地の裁判所が先月、中国の安全に危害を与えた罪で懲役3年の実刑判決を言い渡していたことがわかりました。

大手商社、伊藤忠商事の40代の男性社員は去年2月、中国南部の広州でスパイ行為などを取り締まる情報機関、国家安全局に拘束されたあと起訴され、非公開で裁判が行われていました。

日本の外務省関係者によりますと、中国の広州の裁判所は先月15日、この社員に「国家の安全に危害を与えた罪」で懲役3年と15万人民元=日本円でおよそ230万円を没収する判決を言い渡していたことがわかりました。判決はその後、確定したということです。

中国当局は最近、外国の組織や個人が、国家の秘密や情報を盗んだり探ったりすることに監視を強めていて、日本人の拘束も相次ぎ、日本政府はそのつど、中国政府に対し早期解放を求めています。

伊藤忠商事「情報収集し適切に対応」
これについて伊藤忠商事は「関係する皆様にご心配をおかけし、申し訳ありません。判決内容を含めて外交ルートを通じて、情報収集をしたうえで適切に対応します」とコメントしています。
裁判所「国家機密を入手し、提供した」
関係者によりますと、伊藤忠商事の社員は、地方裁判所にあたる広州の中級人民法院で「国家機密を入手し、提供した」として、実刑判決を言い渡されたということです。

男性社員が入手したとする「国家機密」の内容は明らかにされていませんが、男性社員は去年2月、山東省の青島にいたところ、拘束されたということです。

広州にある日本総領事館によりますと、領事館の職員が男性社員と面会していて、健康状態に問題はないとしています。
菅官房長官 「できるかぎり支援」
菅官房長官は午後の記者会見で、「10月15日に中国・広州市の中級人民法院において、去年2月に拘束された40代の邦人男性に対し、中国の国内法違反で懲役3年、15万元の個人財産没収の判決が言い渡されたことは承知している。事柄の性質上、これ以上の詳細について、コメントは控えるが、日本政府としては、今後とも邦人保護の観点から、領事面会や家族との連絡など、できるかぎりの支援をしっかり行っていきたい」と述べました。
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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191126/k10012191671000.html

 
中国に対する安全危害容疑で邦人9人が有罪も詳細不明
2019年11月26日 17時11分

中国当局に北海道大学の教授が拘束されていたことに関連し、外務省は2015年以降、国家機密を盗むなど中国の安全に危害を与えた疑いで14人が拘束され、このうち9人が有罪判決を受けたものの、判決文が入手できず、有罪となった詳細な経緯が把握できていないことを明らかにしました。

北海道大学の男性教授は、ことし9月に北京を訪問中、中国の反スパイ法に違反した疑いで拘束されましたが今月15日、2か月ぶりに解放され帰国しました。

これに関連し、26日の参議院外交防衛委員会で、外務省の水嶋 領事局長は、2015年以降に国家機密を盗むなど中国の安全に危害を与えた疑いで、14人の日本人が中国当局に拘束され、このうち9人が有罪判決を受けたことを明らかにしました。

最も長い刑期で懲役15年になるとしたうえで「それぞれの判決文を書面で入手できず、いかなる行為が罪となるのか、必ずしも全容を把握できているわけではない」と述べ、有罪となった詳細な経緯が把握できていないことを明らかにしました。

反スパイ法施行以降 日本人拘束も相次ぐ
中国当局は、2014年に反スパイ法を施行して以降、外国の組織や個人が国家の秘密や情報を盗んだり探ったりすることに監視を強めていて、2015年以降、日本人が拘束されるケースも相次いでいます。

このうち2015年5月には、東部・浙江省の軍事施設の周辺と、東北部・遼寧省の北朝鮮との国境地帯で、それぞれスパイ行為に関わったとして男性が拘束されました。

その翌月には北京で男性1人、上海で女性1人が相次いで拘束されました。

また2016年7月には、東京に本部がある日中の交流団体の理事長の男性が訪問先の北京で拘束されました。

その後、2017年3月には東部・山東省と南部・海南島に温泉探査の仕事で訪れていた6人が拘束され、5月には遼寧省で男性1人が拘束されました。

さらに去年2月には大手商社、伊藤忠商事の男性社員が南部・広東省で拘束されました。

また、ことし9月には北海道大学の男性教授が北京で拘束されましたが、今月15日に解放されています。

中国では少なくとも14人が拘束され、このうち9人が起訴されて、いずれも懲役刑の有罪判決が出ています。

日中関係筋によりますと、このうち2人は上訴していますが、7人については刑が確定しているということです。
教授所属の学会「学術交流に与えた影響は深刻」
北海道大学の男性教授が2か月余り中国当局に拘束されたのち、今月15日に解放されたことに関連して、教授が所属していた「アジア政経学会」は26日、学会の有志による声明を発表しました。

声明では「本学会の会員が“解放”され、無事に帰国したことが明らかになり、ひとまず安どしたが、今回の事件が日中間の学術交流に与えた影響は深刻だ」として、中国との今後の交流への懸念を示しています。

そのうえで、今回の拘束について「事実関係が依然として明らかになっていないこともあり、今後も同様の事態が繰り返されるかもしれないという懸念は残ったままだ」としています。
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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191126/k10012191631000.html?utm_int=detail_contents_news-related_001


 


中国のトップスパイが豪に亡命、中国は台湾大統領選や香港などに介入と証言
 

中国情報機関の幹部職員とされる人物がオーストラリアに政治的庇護を求めている。この人物は事実であれば政治的に極めて重大な意味を持つ情報を携えており、これには中国、台湾その他の地域における秘密活動に関するものが含まれているという。この人物は中国が香港の自由化運動に対してサイバーテロ活動を行っていると主張している。

オーストラリアのメディアであるAgeによれば、 Wang “William” Liqiangこと王力強(ウィリアム・ワン)氏は 2020年の台湾大統領選挙に介入するため偽装の下で秘密活動を命じられた。王氏はこうした任務に反発して亡命を決め、中国政府の活動を国外から批判することにしたという。Ageによれば、王氏はSydney Morning Herald、60 Minutesその他のメディアに登場し、さらに広範囲な情報提供を行うという。

王氏は 香港に登録された中國創新投資有限公司(China Innovation Investment Limited)が香港の大学、政治組織、メディアに浸透するためのフロント企業として中国政府が設立したものだとして、その工作の内幕を詳細に説明したと伝えられる。

中国政府に批判的な書籍を販売していた呂波(Lee Bo)氏らが相次いで失踪した銅鑼灣書店事件は広い範囲から抗議を引き起こしていたが、王氏はこの誘拐に関しても個人的に関わっていたという。

王氏はまた中国政府を助けるサイバー集団が香港の自由活動家の個人情報を探り出し、ネットに晒すなどのテロ活動を助けたという。この中には2020の台湾大統領選に対する介入も含まれていた。

オーストラリアその他の地域での中国情報機関の活動も示唆されているものの、王氏に関する当初の記事では具体的に明らかにされていない。王氏は現在シドニーの秘密の場所におり、オーストラリア政府が正式に保護を与えるのを待っているという。

王氏にインタビューしたメディアによれば、今後さらに詳細な情報が明かされるという。

画像:Getty Images

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook)
https://jp.techcrunch.com/2019/11/25/2019-11-22-chinese-spy-defects-to-australia-alleging-election-interference-and-cybercrimes/


 
中国メディア、民主派圧勝の香港区議会選を詳報せず 先鋭化する抗議に批判社説も
2019年11月26日(火)16時38分

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香港の区議会選で民主派が圧勝したが、中国本土の大手メディアは概ね区議会選の詳細を報じていない。25日、香港理工大学で撮影(2019年 ロイター/Marko Djurica)

香港の区議会選で民主派が圧勝したが、中国本土の大手メディアは概ね区議会選の詳細を報じていない。

一部のメディアは各派の議席数や投票者数などを報道。事実を忠実に報道することで定評のある経済金融誌・財新は、選挙区のリスト、候補者、得票数を報じたが、背景情報は伝えなかった。

一方、社説では厳しい論調が目立った。

英字紙チャイナ・デーリーは26日、「香港の民主主義の発展が妨げられた。選挙結果は、反体制派が自らの候補のために行った違法活動で歪められた」とし「体制寄りの候補の露出度と知名度を減らすために暴力的な威嚇戦術(が用いられた)」と主張した。

共産党機関紙の人民日報は25日のオンライン版の論説記事で、選挙は「『黒いテロ』と暴力という濃い煙が消える前に」行われたが、警察の力により平和的に実施されたと指摘。「暴力行為と混乱に終止符を打ち、秩序を回復することが、香港にとって引き続き最も差し迫った課題だ」と主張した。

人民日報は26日の印刷版では「一国二制度」を強調。「一国二制度は完全な概念であり、一国と二制度の関係を正確に把握する必要がある」とし「一国は根っこであり、根が深くなければ多くの葉を茂らすことはできない。『一国』が基盤であり、そうした盤石な基盤の上に枝が繁茂する」と述べた。

新華社も25日、「香港を暴力の氾濫から守り、香港の一段の沈下を防ぐには、香港社会のすべての部門が協力し、できる限り早期に暴力と混乱の恐怖を克服し、法と理性の支配に戻る必要がある」と伝えた。


[上海 26日 ロイター]

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13474.php


 


自然の奇跡「アイスバブル」 中国
カテゴリ:ワールド2019年11月26日 火曜 午後1:06
中国北東部、黒竜江省にある湖。
凍った水の中では、白い円盤のような物体が、何層にも重なり合っている。
これは、「アイスバブル」と呼ばれる自然現象。
水に沈んだ枯れ葉などが微生物に分解されると、メタンガスが発生するが、そのガスが、凍った水に閉じ込められることで、アイスバブルが出現する。
この日の気温は、氷点下35度。
厳しい寒さにもかかわらず、訪れた人たちは、珍しい光景に夢中な様子だった。
この「アイスバブル」は、これまで日本では、北海道の糠平湖などで確認されている。
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中国アイスバブル
https://www.fnn.jp/posts/00427901CX/201911261306_CX_CX

http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/711.html

[経世済民133] 高齢者自己負担増に支持相次ぐ 個人消費は1カ月単位で「補助輪」が必要?景気「断層」回避に神経を使う安倍内閣 量的緩和が必要になるとは考えていないAU中銀総裁 OECDの法人税改革、仏が最低税率12.5%を提案 インド市場は難しい」は本当か
主要ニュース(共同通信)2019年11月26日 / 22:00 / 1時間前更新
高齢者自己負担増に支持相次ぐ
共同通信
1 分で読む

 政府は26日、社会保障制度改革の司令塔となる全世代型社会保障検討会議(議長・安倍晋三首相)を官邸で開き、医療や年金、高齢者の働き方などの制度見直しを軸とした12月の中間報告へ詰めの議論を行った。焦点の医療では民間メンバーから75歳以上の後期高齢者が医療機関で払う自己負担を現在の原則1割から2割に引き上げる案を支持する意見が相次いだ。

 首相は「人生100年時代の到来を踏まえて働き方を含めた改革をパッケージとして行っていく」と強調。「医療を含めて年末の中間報告に向けて具体的な調整を進める必要がある」と述べた。

【共同通信】
https://jp.reuters.com/article/idJP2019112601002524?il=0


 

個人消費は1カ月単位で「補助輪」が必要?
景気「断層」回避に神経を使う安倍内閣

上野 泰也
みずほ証券チーフMエコノミスト
2019年11月26日
7 38%全4201文字
還元策は需要の先食いか後回しにすぎないが……(写真:AP/アフロ)
 別々の調査主体によるサーベイ(アンケート調査)の結果が、かなり似通った経済の姿を描き出すことがある。それらの統計は信頼に足るものだとエコノミストは判断しやすいわけだが、今回はその実例をご紹介しよう<図1>。
■図1:中小企業の景況感サーベイ 〜 日本商工会議所と帝国データバンク

(出所)日本商工会議所、帝国データバンク

[画像のクリックで拡大表示]

 @日本商工会議所が実施した10月のLOBO(早期景気観測)調査で、全産業の業況DI(回答比率「好転」−「悪化」)はマイナス24.1(前月比マイナス4.1ポイント)になった。
 A帝国データバンクが実施した10月のTDB景気動向調査(企業規模の大小に基づくウエート付けはしておらず「1社1票」で算出しているため、中小企業の動向を強く反映する)で、景気DI(企業による7段階の判断にそれぞれ点数を与えて各選択区分の回答数に乗じて算出)は43.9(前月比マイナス1.1ポイント)になった。
中小企業の景況感が緩やかに悪化
 ヒストリカルに見ると、両者の大まかな動き方は同じであり、中小企業の景況感が昨年から緩やかに悪化してきていることが分かる。10月は消費増税と大型台風襲来という追加的な悪材料があり、両調査とも数字は前月から悪化した。
 大企業対象のサーベイでは、11月時点で景況感悪化に歯止めがまだかかっていない。業況判断DI(回答比率「良い」−「悪い」)は、ロイター短観とQUICK短観のいずれにおいても、製造業・非製造業ともに11月は悪化。ただし、非製造業の同DIはプラス圏にとどまっており、製造業から非製造業への悪化波及は今のところ限定されている<図2><図3>。
■図2:大企業の景況感サーベイ@ 〜 ロイター短観とQUICK短観、製造業

(出所)ロイター、QUICK

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■図3:大企業の景況感サーベイA 〜 ロイター短観とQUICK短観、非製造業(右)

(出所)ロイター、QUICK

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 筆者は引き続き、日本経済はすでに昨秋に後退局面入りしたとみているものの、後退の深度としては浅い。消費増税や急激な円高によって「断層」が生じれば後退の実感が出てくるのだろうが、政府は追加財政出動で「断層」の発生をなんとか阻止する構えである。憲法改正を宿願としている安倍晋三首相は、景気が急に悪くなって内閣支持率が下がり、自らの政治的求心力が低下するような事態は、何が何でも避けたいところだろう。
 11月12日に開催された政府与党連絡会議において安倍首相は、「時機を逸することなく、来年の東京オリンピック・パラリンピック後も見据えたマクロ経済政策を講じることで、日本経済の回復基調を確固たるものにしていきたい」と発言。12月上旬をめどとする3年ぶりの新たな経済対策の取りまとめで、政府・与党は協力して進めていくことを確認した。キャッシュレス決済に対するポイント還元措置は2019年10月から20年6月まで9カ月間の時限措置となっているが、東京五輪後の景気の下支えも見据えるとなると、還元期間延長が1つの選択肢として当然浮上してくる。景気動向に大きな「断層」を生じさせないようにする安倍内閣の方針が、今後も継続される見通しである。
 翌13日には今年11回目となる経済財政諮問会議が首相官邸で開催され、消費増税に伴う景気下支え対応策の進捗状況がチェックされた。終了後の記者会見では西村康稔経済財政・再生相から説明があった。キャッシュレス決済へのポイント還元制度が予定通り20年6月に終了してしまうと、同年10月からの開始が総務省で検討されているマイナンバー(個人番号)カードを利用したポイント還元策(通称マイナポイント)まで3カ月間、消費下支え策がブランクになってしまう。そのため、後者を1カ月前倒しして9月開始とし、その準備のための費用を19年度補正予算案に計上したいというものだ。
次ページマイナポイントで「穴埋め」
記者会見ではこの点について、次の質問があった(経済財政諮問会議HPから引用)。
 「今の関連で、キャッシュレス決済が6月、ポイント還元が6月末で終わります。10月から始まるマイナポイントの制度を1カ月前倒しすると、9月からというイメージでよろしいでしょうか。そうすると、7、8月と間が空いてしまいますが、これは切れ目なくということで言えば、この2カ月はどのようにお考えになりますでしょうか」
 もっともな疑問である。これに対する西村大臣の返答は以下のようなものだった。
マイナポイントで「穴埋め」
 「もともとの発想では、7月24日にオリンピックがスタートし、パラリンピックの終了が9月6日であり、この間はインバウンドの方々も相当、日本に来られ、また、オリンピック開始前からキャンプを張られたりもありますので、7、8月は相当な方が日本に来られるということもあって、その間は一定の消費が見込まれるだろうという発想がそもそもあり、現在のマイナポイントの開始予定の10月では、9月の1カ月間が空くということもあって、前倒しができないかという検討を今しているところであります。もちろん、他に何か消費全体の下支えをする方法がないのかということで、今、各省で検討してくれておりますので、各省からのいろんなアイデア、そうした対応の検討状況をよく聞いてみたいと思ってます」
 7月と8月については訪日外国人の増加などによる「オリンピック・パラリンピック景気」が期待できるからおそらく景気は大丈夫で、あとは9月をなんとかすれば足りるのではないかというのが、政府側の考え方の基本線であることがわかる。
 景気・経済対策に関するこうしたやりとりを読んで嘆息してしまうのは、筆者だけだろうか。日本経済は個人消費に取り付ける「補助輪」が常になければ前に進まなくなって倒れてしまうといった風情である。
 そもそも論を言うと、ポイント還元など政府の消費刺激策の効果は、消費者に需要の先食い(あるいは支出するタイミングのずれ)を促す部分がほとんどである。したがって、どこかで先食いの反動や刺激効果の息切れが生じるのは、避けられないことである。そうしたことによる景気の「断層」を絶対に避けようとして政府が無理を重ねることは、経済政策として生産的であるとは言い難い。人口対策を多面的に展開するなどして、ベースの消費需要を基調として大きくさせていくのが本筋のはずである。
次ページ総裁4選を全否定
政府がそうした批判も顧みず、経済に「断層」が生じるのを避けようとする背景には、すでに述べた通り、憲法改正に向けて経済の好環境と政権の求心力をできるだけ維持したいという安倍首相の強い意向が働いているものと推察される。
 では、安倍首相はいつまで在任するのだろうか。自民党内でささやかれる党総裁としての4選はあるのか。本稿の後半部分では、そのあたりについて考えてみたい。
 月刊誌「文藝春秋」12月号に、安倍首相インタビュー「安倍『最長政権』の秘密 失敗が私を育てた」が掲載された。時事通信OBで、安倍政権に関連する情報発信に定評のある田崎史郎氏がインタビュアーであることから、筆者はその内容に注目した。
 まず、日本経済・経済政策の関連だが、上記インタビューにおける安倍首相の発言に目新しさはない。12年12月の選挙で、デフレに終止符を打って強い経済を取り戻すことを国民に約束。政権発足後は3本の矢を打ち出し、「経済最優先の政治に取り組んだのです」「その結果、正社員の有効求人倍率も史上(04年のようさ開始以来)初めて1倍を超えました」。
総裁4選を全否定
 消費者物価が低迷を続けていることへの言及はなく、雇用情勢が良好であればそれでよしとする首相の近年のスタンスが、間接的に確認されている。なお、首相の盟友の1人である甘利明自民党税制調査会長は11月11日の講演で、個人的見解として「(物価)1%でも、デフレ脱却と言っていいのではないか」と発言した(ロイター)。
 次に、自民党内でくすぶる「安倍4選論」についてである。甘利税調会長は上記の講演で、トランプ米大統領など強烈な個性の指導者とそれ以外をうまくつないで世界をまとめていける役割を安倍首相は期待されているとし、自民党総裁任期(21年9月まで)の延長は1つの選択肢としながらも、安倍首相本人は「職に恋々としていない」と評した(共同)。
 その首相が文藝春秋インタビューで述べたのは、「(総裁4選の可能性は)ありません。総裁任期は3選まで、と党の規約でも決まっています」「あと2年、全力で結果を出すことが私の使命だと思っています」という、4選論の全否定だった。
 時事通信が9月6日に配信した田崎氏執筆の政治コラム「〔政界・深層海流〕『安倍4選』は無理筋」 には、「安倍自身は任期延長を望んでいるのだろうか。高村(元自民党副総裁)は『積極的に4選を望んでいるように感じられない』と語っているが、私も安倍と話していて同じ感触だ」「権力者はその座に就くと、いつまでもやっていたいものだと言われている。しかし、安倍は今年に入り、私に『精神的にも肉体的にも消耗している』と語った」「安倍の在職期間は今年11月20日、歴代1位の桂太郎(2886日)を抜き、1885年12月の内閣制度発足以来、憲政史上最長となる。もう十分ではないか」という記述があった。
 政治家としてのライフワークである憲法改正問題がどのようになっているかに左右される部分もあるだろうが、「安倍4選」はないだろうと、筆者も予想している。となると、「ポスト安倍」は誰なのかが焦点になる。
 上記インタビューで首相は「まだ2年間もありますから、私としてはその後の話をするのは少し早いなという気もするのですが、今、(候補者とされる人々の)名前を聞いただけでも多士済々です。自民党は圧倒的に人材の宝庫だな、と改めて思います」「(こういうタイプのリーダーに引き継いでほしいと話すのは)それはまだ早いです。まだ2年ありますから」と述べるにとどめた。
 時事通信10月4日配信の田崎氏コラム「〔政界・深層海流〕人事で安倍後が見えた」によると、安倍首相・菅義偉官房長官の2人は9月11日の内閣改造・自民党役員人事で「『ポスト安倍』に誰がふさわしいかを思い描き、意中の人物を要職に就けた」という。
 「アベノミクス」を継承する政治家が、安倍首相からの支持(あるいは後継指名)を得た上で選ばれる可能性が現状高いと、筆者はみている。もっとも、自民党内の一部からは、来年11月の米大統領選挙でトランプ再選が実現した場合、日米関係を安定的なものに維持する上で安倍首相の存在は欠かせないので4選が望ましくなるとの見方が出ており、注意が必要である。

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コメント7件
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あん肝
何度も申し上げるようですが、DIで景況判断することにはあまり意味がないと思われます。定性的なサーベイは他人の意見やマスコミの報道に左右されることが多く、バンドワゴン効果が発生するからです。
それがピグマリオン効果によって実現する可能性もないわけではないですが、エコノミストとしては、定量的なデータを基点に分析を行うべきでしょう。
本題ですが、マイナポイントなどの特定企業や天下り団体の為の制度に対しては、個人的には断固反対です。
軽減税率含めて、こんな面倒な制度を設けるのであれば、一律消費税減税の方が余程経済効果も高いですし、租税三原則の「簡素」という要件を満たすのではないでしょうか。
※マイナンバーが浸透しない理由は、その利用価値が低いことですので、それに対応する政策を考慮すべきです。
それから、「アベノミクス」については1つ目の矢(金融政策)は兎も角、2つ目の矢(財政政策)・3つ目の矢(成長戦略??)については
放たれていない状況ですので、『「アベノミクス」を継承する政治家』という語感には違和感を感じます。
いずれにしても、まともな財政政策を施行していない以上、オリンピック前後で日本の経済状況が低迷するだろうということが予測されますので、その際に安倍政権を国民が支持しているのか疑問が残ります。
但し、野党を含めて財政政策の重要性を理解している(財務省に逆らうことができる)権力のある政治家がおりませんので、この状況は当面変わらない気もします。
可能性は低いですが、トランプ大統領の政策がまともに評価され、日本版トランプともいえる人が台頭すれば、状況もある程度変わってくるのではないかと期待したいところです。
2019/11/26 10:52:392返信いいね!

ダサイタマジジィ
平長
何故景気が良くならないのかを書かない経済記事は駄目です。
話は実に簡単で消費減税すればあっと言う間に景気は良くなります。
何故こう言えるのかはもう説明しません。
所謂高級官僚とか政治家とか経済評論家とか学者とかは〇〇しかいないのですか?
経済学とは何をする学問ですか?
基本中の基本を守らないやり方は余りにも不勉強です。

PS
IMFは日本に「消費税を20%にしなければいけない」と言っています。
あの組織がどういう組織なのかも考える必要があります。
2019/11/26 14:15:12返信いいね!

z
>>IMFは日本に「消費税を20%にしなければいけない」と言っています。あの組織がどういう組織なのかも考える必要があります。

IMFの副専務理事4名のうち、一名は1997年以来ずっと財務省出身者の指定席になっています。IMFが増税を薦めているというよりは、財務省がIMFに言わせていると思ったほうがいいでしょう。
サマーズ氏が米財務長官をやっているとき、消費税増税の先送りを決断した安倍首相に「判断を歓迎する」とわざわざコメントを出していますし、海外は基本的に「日本はいま緊縮やっちゃダメだろ…」ってスタンスだと思いますよ。
2019/11/26 15:54:361いいね!

ダサイタマジジィ
平長
zさん コメント有難う御座います。

そうですか、IMFにも間者がいますか・・・
あの省の官僚は算数すら出来ないようです。
日本に必要なのは税額であって税率ではないことくらい小学生でも解りますが彼等には理解できないと言うことです。
高橋洋一氏の話に依れば彼の省OBには退役後に一生黒塗りの車が手当てされる人達がいるそうです。

その1
新しい税を作って適用できた人
その2
税率を上げた人

因みに税収が増えても省内では評価されないとの由。
我が国は彼の省に依って滅ぼされる・・・
2019/11/26 17:17:57いいね!

ぱーばー
近所のスーパーはポイント2倍の日と5%OFFの日があります。5%OFFのほうがわずかにお得なので買い物はその日にしています。普段はそういうレベルで倹約しています。
マイナポイントが付いたとしても私は消費を増やせませんね。

アベノミクスとして日銀の金利引き下げが3回放たれたような気がしますが、預金金利がジョークのような数字になった以外は何も変わった感じがしないです。

安倍総裁4選は無いだろうけど、傀儡政権たてて院政を敷くのが一番有りそう。
(失脚しなければ、)総裁には就かないが総理大臣は続けると言う大穴も一応予想しておく。
2019/11/26 18:29:01返信いいね!

TS
電子エンジニア
輸出が11カ月連続前年割れ、製造業の月額給与総額も残業減で前年割れが続いており、製造業は芳しくありません。
今年の業績が来年の給与・賞与に反映されたら来年の製造業従事者の給与総額も更に下がる可能性が高く、そうなったら消費に影響するでしょう。
記事にある通り、オリンピックまでは外国人旅行客の消費が期待できますが、来年後半はその効果も剥げ落ちる。
オリンピック関連の工事で潤っている建設業も今年がピークと考えると、輸出が持ち直して製造業従事者が残業で稼ぐようにならない限り、来年後半の消費は相当厳しい。
米中の経済動向によりますが、来年前半までに輸出が回復しないようなら、好む好まざるにかかわらず財政出動で内需を下支えするしか選択肢が無くなると思います。
2019/11/26 21:03:30返信いいね!

大和武士
記事の前半はエコノミストとしての立場から述べているが、後半は一転、政治評論家になって安倍首相4選の話になっていることにやや違和感を感じる。景気向上策はどうすべきかが殆ど語られていないし、安倍が―と言いたいだけなのだろうか。
最近の氏の記事は政治色(批判?)が前面に出ているように感じる。別に悪いことではないが、最低限、エコノミストとしての高い見識を披歴して欲しい。
2019/11/26 22:16:541


海外住宅投資の節税認めず 政府・与党、富裕層課税強化へ

政府・与党は海外の不動産への投資を通じた節税をできないようにする方針だ。今は高額な海外物件への投資で出る赤字と国内の所得を合算して税負担を減らせるが、この合算を認めないこととする。海外の不動産への投資は富裕層に多い節税策で、ほかの納税者との間で公平でない仕組みと判断した。

高額な海外物件への投資は富裕層に多い節税策だ

与党の税制調査会で詳細を詰めたうえで、2020年度の税制改正大綱に所得税法の見直しを盛り込む。21年分以降の所得税に適用される見通しだ。

この節税は米国や英国などで高額な中古物件を購入し、家賃収入を上回る減価償却費などの赤字を発生させて日本での所得を圧縮するというものだ。20年度の税制改正では、海外の中古物件で生じた赤字はなかったものと扱い、日本国内での損益通算には使えないようにする。


節税の背景には、日本と欧米で中古住宅の平均寿命や利用可能年数の考え方が違うことがある。長い間使える中古物件でも、日本のルールに沿って計算すると使用可能年数が4〜9年になる。本来なら10年以上使える物件の価値を4年程度でゼロにする際、書類上は大きな赤字が発生する。

高額な物件を買うほど節税の恩恵が得られるため、富裕層を中心に利用されている。会計検査院が富裕層の多い東京都の麹町税務署管内などで調べたところ、海外の中古物件で延べ337人が39億8千万円超の赤字を計上していた。

検査院が「公平性を高める検討が必要」と指摘し、政府・与党で対応を議論してきた。この節税策は不動産会社などがセミナーを開いて勧誘することも多い。適用できなくなれば、高収入の個人や不動産を取り扱う企業に影響が広がりそうだ。
2019/11/26 18:00
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00122/00045/?P=4


 
ビジネス2019年11月26日 / 19:45 / 4時間前更新
量的緩和が必要になるとは考えていない=オーストラリア中銀総裁
Reuters Staff
1 分で読む

[シドニー 26日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)のロウ総裁は26日、量的緩和(QE)が必要になるとは考えていないとした上で、もし必要になった場合は、国債買い入れの形をとると述べた。

政策金利が0.25%に低下しない限り、QEは検討しないとも発言。QE導入に高いハードルを設定した。

総裁は、民間資産を買い入れる可能性を否定。マイナス金利についても「極めて可能性が低い」との考えを示した。RBAがオペを通じて追加の流動性を金融市場に供給する必要はないとの認識も示した。

総裁はエコノミストとの夕食会で「オーストラリアはQEを導入する段階に達していない。近い将来に達するとも予想していない」と発言。

「QEが社会の幸福に寄与する時が来るかもしれないが、現在はその時ではなく、そのような時が来るとは予想していない」と述べた。

RBAは6月以降、政策金利を3回引き下げ、過去最低の0.75%としているが、住宅価格の上昇以外、景気回復効果は限られている。

総裁は、金融政策の効果が出るまでには長いタイムラグがあると指摘。経済成長率が現在の10年ぶり低水準1.4%から3%前後に緩やかに回復するとの見通しを維持した。

ただ、RBAが完全雇用とインフレ率の中期目標を達成できない兆候が強まった場合はQEを検討するとも発言。

「現在の我々の考えでは、QEは政策金利が0.25%の時点で検討対象となる。だが、その前ではない」とし「もし──この『もし』という言葉を強調することが重要だ──RBAが量的緩和プログラムを導入する場合は、国債を購入する。流通市場で購入する」と述べた。

これにより、債券利回りが低下し、国内の他の多くの金利も低下するとみられ、海外の経験を踏まえれば通貨にも下落圧力がかかる見通しという。

政府が金融政策に過度に依存するといった副作用のリスクも併せて考える必要があるとも指摘した。

総裁は、債券買い入れ以外のQEが海外で効果を発揮したとは確信できないとも発言。「QEの一環で、民間資産の買い切りに踏み出す意欲は全くない」とし、市場に歪みをもたらすとの認識を示した。

豪経済は日欧経済よりはるかに良好で、マイナス金利の可能性も低いという。

また銀行は妥当な条件で資金を調達できており、RBAが市場オペを通じて金融システムに追加の資金を供給する必要はないとも発言した。
https://jp.reuters.com/article/australia-economy-rba-idJPKBN1Y0154


 

 
ビジネス2019年11月26日 / 19:50 / 4時間前更新
OECDの法人税改革、仏が最低税率12.5%を提案
Reuters Staff
1 分で読む

[パリ 26日 ロイター] - フランスのルメール経済・財務相は26日、経済協力開発機構(OECD)が進めている国際的な法人税制の改革について、12.5%を最低税率とすべきだとの認識を示した。

パリを本部とするOECDは、デジタル化時代の国際税制改革の一環として法人税の最低税率を設定する制度を提案する方針を示している。
https://jp.reuters.com/article/oecd-tax-france-idJPKBN1Y016H?il=0

インド市場は難しい」は本当か

繁田 奈歩
株式会社インフォブリッジ・ホールディングス・グループ 代表取締役
2019年11月26日
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 「インド市場の攻略は難しい」。そんな嘆きにも似た声をよく耳にする。中国や東南アジアなど他の新興国の市場に目を向けると、大企業のみならず中堅・中小企業から個人事業まで、様々なビジネスの成功事例が積み重なっているが、インドは違う。「スズキ(マルチ・スズキ)」に「ホンダの2輪事業」、そして「ユニ・チャーム」「ダイキン」など、名前が挙がるのは限られた大企業ばかりで成功事例は正直なところ少ない。「実はうまくいっている」という中小企業もなくはないのだが、彼らは自分たちの事業状況を積極的には開示したがらない。


スーパーマーケットではユニ・チャームのおむつが山積みに
 ではなぜインド市場は難しいのか。本題に入る前に、インドと日本企業との関係を改めて振り返ってみよう。商社は100年以上も前に拠点を構えており、1980年代にはスズキやホンダの2輪事業がいち早くインドに進出を始めた。だがその後の進出の動きは振るわなかった。2000年代前半に起きた、いわゆる「新興国ブーム」のときもインドに波は来なかった。日系企業は中国や東南アジア進出に忙しく、インドまで考える余裕はなかったのかもしれない。

 2000年代半ばになって、やっとインドにも「プチブーム」がやってきた。幾つかの大型投資が実行され、これを契機に日本企業の「インド詣で」が流行した。だが、世界金融危機が起こり、その後インド経済が停滞するとブームはあっという間にしぼんでいった。

一筋縄では勝てない
 「インドは難しい」。その見方は「プチブーム」期である2000年代後半から2010年にかけて実施された日系企業による多くの市場調査や視察の中で、ビジネスパーソンが漏らしてきた悲観的な言葉だ。

 ではなぜ「難しい」のか。当時、インドの税制は国内で統一されておらず、州ごとに異なっていた。さらに産業構造は非効率かつ家族経営が中心で、文化慣習も地域ごとに全く異なる。インドは日本人には容易に理解できない複雑な市場だった。中国では上海、北京、広州の3都市を足場に内陸に向かって攻めるという定石があったが、インドの場合は主要都市が広い国土に散らばっており、攻め手が見いだしにくいという特徴もあった。

 2014年にモディ首相が登場し、2017年に入ってようやく全国統一の税制である「GST」が導入されたことで状況は改善されたかに見えた。だがインド展開の難しさは依然として変わらない。個人的に最も厄介だと思う点は2点ある。1つは競合が既に巨大企業であること。そしてもう1つは価格圧力が極めて厳しい市場であるということだ。

 特に主要産業では、世界でもガリバーと呼ばれるような企業がひしめき、地場企業も力をつけてきている。こうした企業が培ってきた販売網やブランド力は強力で、新規参入組は一筋縄では勝てない状況だ。一方で新興勢力も次々と台頭しており、これもまた市場攻略の難易度を上げている。

 自動車産業でいえば、マルチ・スズキが50%近いシェアを握る巨人として君臨している。部品メーカーはいかに同社に自社製品を納入できるかどうかが鍵を握る。ただ輸入品では価格で太刀打ちできず、国内生産に踏み切ることがインド参入の前提ともいわれる。

 家電ではLG電子やサムスン電子など韓国勢に加え、中国の海爾集団(ハイアール)も攻勢をかけている。日用消費財では英蘭ユニリーバ、スイスのネスレ、米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)といったグローバル企業や、ITC(アイティーシー)、Parle(パルレ)、Godrej(ゴドレジ)、新興のPatanjali(パタンジャリ)など地場の巨人と対峙(たいじ)しなければならない。

 価格圧力についてはどうか。都市部では徐々にラグジュアリーな製品も売れるようになってはきているが、全体的に見ればインドは価格重視の市場といえる。ガリバーたちは広大な国土を背景にスケールメリットを最大限発揮させることで価格圧力をしのいでいる。もっとも、その圧力はあまりに強く、皆が価格競争に陥り、サプライヤーにも厳しいプレッシャーが及ぶ。結果、誰も幸せそうに見えないというのは一つの事実ではある。

 だからといって、価格を上げれば消費者はあっさりと安価な競合製品に流れてしまう。多くの日本企業はシェアを狙わず、付加価値の高い製品で粗利を確保したいと考える向きがある。ただ少なくともインドではその戦略はなかなか奏功しない。一製品当たりの粗利を落とし、数を稼ぐことで利益を確保するという薄利多売の考え方を受け入れる必要がある。 

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市場の変革者、続々登場
 価格圧力に耐えられる体力のある企業や、既にここで緻密な販売網や調達網を作り上げている競合に伍(ご)して潤沢に資本を投下できる企業でなければ勝てない。それもまた事実だ。

 とはいえ、インドは新規参入するプレーヤーが変化を起こし得ない市場かというと、必ずしもそうとはいえない。新しいポジションを確保したインド新興企業は確かに存在する。彼らは最初から大企業だったわけではないし、最初からよいポジションにあったわけでもない。

 連載初回でもお話ししたように、インドの消費者は変化している。近年は特に価値観や意識の変化が著しい。これに対応し、新しい消費者にフィットする製品、サービスを開発できれば事業を拡大する余地が生まれる。

 変化を象徴するのが、インターネットとスマートフォン(スマホ)の世界で起きた価格破壊だ。2016年、リライアンス・ジオ・インフォコムという企業が新しい通信キャリアを興し、データ通信価格を従来の10分の1ほどに引き下げた。誰もが気軽にスマートフォンを持ち、データ通信を当たり前のように使える世界が訪れ、その結果、ネットを活用した新しいサービスが相次ぎ台頭、浸透していった。

 経済発展に伴ってミドルクラスが拡大していることも追い風だ。新しいスタイルの消費を始めようとする人々が数多くいる。広い国土と10億人を超える人口、そして多種多様な消費者を内包した国の消費に地殻変動が起きているわけだ。しかもインドは「課題のない産業はない」というくらい、解決すべき問題がいまだ山積している。既存産業に強いプレーヤーが多く存在していても、既存の商品、サービスがいくら強くても、その隙をついて競合の牙城を切り崩す方法はいくらでも見いだせるようになっている。

 テクノロジーを武器に市場を変えた事例は数ある。通信に価格破壊を起こしたリライアンス・ジオにネット通販のFlipkart(フリップカート)、オンラインスーパーを定着させたBig Basket(ビッグバスケット)、そして配車サービスのOla(オラ)といった企業はその代表だ。

 もっとも、市場に変化を起こして成功を収めたのはテクノロジーを前面に押し出した企業ばかりではない。

 例えば航空産業。かつてはAir India(エア・インディア)というナショナルフラッグと、今年に入って経営破綻してしまったJet Airways(ジェット・エアウェイズ)というフルキャリアが国内航空産業の2大勢力として君臨していた。そこに殴り込みをかけたのがIndiGo(インディゴ)という2006年創業の新興の格安航空会社(LCC)だ。5〜6年前まで「遅れることが当たり前、オンタイムで着くのは奇跡」といわれたインドの航空業界で定時運航を実現し、あっという間に顧客の信頼を勝ち取った。さらに今ではIndiGoのみならず、SpiceJet(スパイス・ジェット)やGoAir(ゴーエア)といったLCCがインド国内の航空産業で存在感を高めている。

 ビール業界も大きく変わった。かつてはKingfisher(キングフィッシャー)という飲料会社がインドの津々浦々に販路を開拓し、圧倒的なシェアを誇っていた。2015年、これにBira(ビラ)という新興企業が挑んだ。サルの絵をモチーフにした若者にフレンドリーなブランドを開発し、デリーやムンバイ、バンガロールといった大都市部で攻勢をかけた。「ビールといえばキングフィッシャー」というイメージを新興ブランドが覆していく。その動きを個人的に驚きをもって私は見た。彼らは足元でより広範囲な層にアプローチすべく大衆向けのストロングビールやフレーバービールなど、商品のラインアップを拡充して地方都市にも進出している。

サルのマークが目を引く新興ビールブランド「Bira」
 新しい市場を作り出すのに成功した企業も登場している。米国で働いていた夫婦がインドに戻って始めたWingreens(ウィングリーン)だ。彼らはハーブを育て、これを使った新しいディップのブランドを興した。ディップには様々なフレーバーがあるものの、インド定番のカレーフレーバーはほとんどない。ひよこ豆をすりつぶしたフムスとか、ギリシャ風に仕立てたカード(甘くないヨーグルト)のペーストなど、新しいフレーバーを展開。さらにディップをつけて食べるヘルシーチップスも提案したりして人気を博し、既に40都市に進出している。


Wingreensは「ディップを食べる」という新しいムーブメントを起こした
 ディップを食べる習慣がなかった消費者にその魅力を訴えるため、店頭でディップを作り、そのフレッシュな味わいを楽しんでもらうことで購入に結びつけ、徐々にディップを楽しむ習慣を定着させていった。パッケージフードにも進出し、最近ではハーブ類を使ったフレーバーマヨネーズやフレーバーティーなども開発している。

次ページ「大視察時代」が残した教訓

「大視察時代」が残した教訓
 ここで特筆すべきなのは、こうした「うねり」を起こしているのは大企業ではなく、起業家たちであるということだ。2000年代初頭あるいは中ごろから、起業家たちはインドの市場が持つポテンシャルを信じ、変革に向けてこつこつと準備してきた。試行錯誤を繰り返し、最初は小さく、そして場合によってはピボット(企業としての軸を維持しつつ戦略を転換してチャンスを探ること)を繰り返しながら5年、10年かけて事業を拡大させてきたのだ。

 悔やまれるのは2008年前後、日系企業が相次ぎインドを訪れた「大視察時代」だ。日系企業もここで何がしかのチャレンジをしていれば成功したかもしれない。そう思える案件がたくさんあった。そんな案件ばかりだったと言ってもいい。しかも当時は「日本企業との面談」と言えばどんな産業でも喜んで時間をつくってくれた。一方、今インドではイノベーションが活発化し、事業展開のスピードは速まり、日本以外の国外企業も多く参入している。だから日系企業が面談を希望しても、インド側の反応は必ずしも芳しくない。

 悲観的な話ばかりではない。日本勢が存在感を発揮している領域もある。

 実はインドのスタートアップ、特にアーリーステージの起業家たちに資金を供給してきたのは日本の投資家たちだった。この動きは2008〜2010年から始まっている。2015年にシンガポールを拠点に立ち上げられた日系ベンチャーキャピタル(VC)、BEENEXTが出資するインドのスタートアップは既に60社を超えている。他にもインキュベイトファンド(東京・港)やリブライトパートナーズ(東京・千代田)などが積極的に新興企業を見いだして投資してきた。投資先の企業は着実に育っており、よい循環ができつつある。

 ソフトバンクグループの動きも目立つ。大型投資を繰り返すだけではなく、QRコード決済を手がけるPaytmのテクノロジーを日本市場に持ち込んで決済サービス「PayPay(ペイペイ)」に生かしたり、ホテルベンチャーのOYOに日本展開を促したりと、インドのテック企業に日本市場参入の道筋を作る役割を果たしている。

 インドのスタートアップ企業に投資する日印両政府肝煎りの「日印官民プロジェクト」もある。複数の投資信託を投資対象とするファンドオブファンズ(FoFs)で、スズキやみずほ銀行、日本生命保険、日本政策投資銀行といった大手が資金を拠出している。

 アーリーステージにあるインドのスタートアップに真っ先に資金を投入してきた日本のVC、インキュベイトファンドの本間真彦・代表パートナーは、私財を投じて日本の経営者などとアジアの起業家とをつなぐ招待制のイベント「Asia Leaders Summit」を毎年アジア各地で開催している。今年7月、このイベントがようやくインドでも開かれた。

 開催地はインド南部の都市バンガロール。テクノロジー企業が集積していることで知られる都市だ。ここに日本の経営者や投資家など約100人、インド側からは起業家を中心におよそ50人が集まった。日本からは楽天の北川拓也・常務執行役員やLINEの室山真一郎・執行役員、それにインドにいち早く注目し投資を開始したリブライトパートナーズのゼネラルパートナー、蛯原健氏などが登壇している。

 本間氏は「優秀な日本の経営者がよりグローバルに活躍できるよう、お互いのことを理解する場を作る」ためにイベントを主催してきたという。ちなみに今回、日本の参加者の多くは初めてインドを訪れたようだ。日系企業がインドで新しい一歩を踏み出すためにも、こうした場でインドの息吹や可能性を身近に感じてもらうことは重要だと思っている。

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コメント2件
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遊記

経営者 兼 技術者

 私は、基本的に海外の市場と呼ばれているもの、インドならインドでいいですが、基本的にインド人の企業のものだと思っています。
 まだ途中の段階では海外企業が入り込むのはいいですが、最終的にはインド人企業によってその市場が成立するのが最も健全なありようだと考えてます。
2019/11/26 08:49:481返信いいね!


ダサイタマジジィ

平長

インドを語るのに核開発に依る経済制裁とカーストを言わなかったら片手落ちです。
もう少し歴史と文化を学びましょう。

2019/11/26 22:34:51返信いいね!

 

土井誠司

働くシニアの年金 収入多いと「没収」 


老後は年金をもらって悠々自適――。そんな生活はおじいちゃん、おばあちゃんの時代までかもしれない。20歳代の君たちがシニアになる頃は、働きながら年金をもらう人が今よりずっと増えるだろう。現在、国ではそんな働き続けるシニアの年金について議論している。「在職老齢年金」という制度だ。
1960年代に制度始まる
「年金」といっても、追加でもらえるわけではない。むしろ逆で、年金をもらう年齢になっても、働いて一定以上の収入がある人への支給を停止する仕組みだ。年金額が減ったりゼロになったりする。
余裕のあるシニアには年金を一部我慢してもらおうというのが制度の趣旨だが、払った保険料に見合う年金がもらえないのは不公平だし、「働く意欲を妨げる」という意見も根強い。
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対象は厚生年金に入って働くシニアの会社員らだ。昔、厚生年金は退職しないともらえなかったが、年を取るにつれて賃金が減り、それだけでは生活できない人が増えた。1960年代、在職中であっても一定額の年金をもらえるようにしたのが制度の始まりだ。
当初は対象が65歳以上だけだったが、60代前半にも広がった。これまで改正を繰り返しており、賃金水準にかかわらず一律2割カットの時期もあった。今は月収と年金の合計が基準額を上回ると、超過分の半分が支給停止になる。減るのは厚生年金部分(報酬比例部分)のみで基礎年金部分は対象外。停止された年金は「没収」で戻ってこない。

基準額引き上げには批判も
2019年度の基準額は65歳未満が月28万円、65歳以上が同47万円。65歳以上を例にとると、本来の年金額が月10万円の場合、月収が37万円を超えると年金の減額が始まる。月収57万円超だと年金は全額停止になり、1円ももらえない。
制度見直しの議論の中心は65歳以上だ。月47万円という基準額を引き上げ、シニアの就労意欲を高める狙いだ。議論の過程では基準額を62万円や51万円に上げる案も出たが、対象は賃金がかなり高い人たちに限られるため、「金持ち優遇」との批判の声も大きい。
基準額引き上げに慎重論が強いのは、君たち現役世代への配慮もあるからだ。基準額を大幅に上げたり、制度自体を廃止したりすれば、減額となる対象者が減り、年金支給額が大きく膨らむ。年金財政が悪化し、将来もらう人の年金額に悪影響が出かねない。
65歳未満も減額の仕組みは一緒。現在は基準額が低いので支給停止になりやすいが、基準額を65歳以上と同じにする案が有力だ。ただし、年金支給開始年齢の段階的な引き上げが終われば(男性25年、女性30年)、対象者はいなくなる。
半面、65歳以上の働くシニアは増えていくだろう。やがて君たちの親や自身の働き方にも影響するかもしれない。改正案は20年の通常国会に提出される見通しだ。
 
2019/11/26 
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00093/111500003/?P=4&mds


 


http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/718.html

[経世済民133] 積極的に金融政策が動く段階でない、内需は堅調━桜井日銀委員 TOPIX今年高値 金持の中の金持より資産22億円以下 ドル空売ファンド出現ウォーレン効果 富裕税反対、富裕層増税賛成ブルームバーグ ヘッジファンド閉鎖−業界苦戦 逆イールドのリセッション警告、もう古い PIMCOしぶちん見通し 債券ドル上昇 キャッシュレス想定上回る拡大

積極的に金融政策が動く段階でない、内需は堅調━桜井日銀委員
伊藤純夫
2019年11月27日 14:24 JST 更新日時 2019年11月27日 15:52 JST
経済に急激な落ち込みなければ政策総動員の必要ない、副作用も考慮
財政と金融、同一局面で必ずしも一緒に動く必要ない
桜井真日銀審議委員は27日、神戸市内で会見し、日本経済に大きな悪化が見られていない現状では、日銀が追加的な政策対応を積極的に打ち出すタイミングではないとの見解を示した。経済対策を策定中の政府との連携に関しても、必ずしも同じ局面で動く必要はなく、方向性が共有されていることが重要と指摘した。

  桜井委員は会見で、世界経済に対する緊張感が高まった秋口に比べ、現在の日本経済は「さらに悪い状況になっているわけではなく、予想以上に内需は堅調だ」との見解を示し、現在は日銀が追加の金融緩和など「必ずしも積極的に動く段階ではない。もう少し事態の推移を見守ることだ」と訴えた。

  日銀は追加緩和手段として、長短金利目標の引き下げや資産買い入れの拡大などを挙げているが、桜井委員は追加緩和が必要な局面でどの手段を選択するかは「景気後退の度合い次第」と指摘。そのうえで、「急激に大きな景気後退になれば総動員が必要かもしれないが、急激に落ち込む懸念が少なければ総動員する必要はない」とし、追加緩和を検討する際には手段に加えて「(低金利長期化による)副作用の問題なども総合的考えて判断すべきだ」との見解を示した。

ポリシーミックス
  政府は台風災害を受けた復旧・復興や景気の下支えなどを目的に経済対策を策定中だが、財政政策と金融政策の連携について桜井委員は、両者が認識を共有して方向性を同じにすることの重要性を指摘しつつ、「局面、局面ですべて財政と金融が同じに動く必要があるかは、必ずしもそうではない」と主張。

  政府が経済対策に動いている中で、日銀も「金融緩和をずっと続けている」とし、「具体的に動く必要があれば、金融政策もそれなりに動けばいい。われわれは何か拙速に動く必要はない」と語った。

その他の発言
あくまで2%に向け、時間をかけても物価目標の実現目指す
イールドカーブがかなりフラットになっていることは事実
経済は楽観も悲観も禁物、必要あれば金融政策も動く
国際通貨基金(IMF)の物価目標レンジ化提言、一つの提案と認識
  午前の講演では、今後の金融政策運営について、「政策効果と金融緩和政策の継続に伴う副作用のバランスを慎重に考慮しつつ、粘り強く金融緩和政策を続けていくことが肝要」とし、「低金利政策の継続に伴う金融システム面での副作用に留意する必要性が一段と高まっている」との見解を示した。

桜井委員による講演の記事はこちらをご覧ください

  桜井委員は講演でさらに、世界経済の減速が一段と強まり、日本の実体経済に対する悪影響が顕在化した場合は「政策対応が必要となる可能性はある」とする一方で、減速が緩やかなものにとどまる場合は、「経済指標の動向を見極めた上で政策対応を考える余地が出てくる」とし、「拙速な政策対応を控えるべきだ」とも語った。

(ポリシーミックスに関する言及などを追加して更新しました)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-27/Q1LY5ZT0AFB601

 

ビジネス2019年11月27日 / 15:45 / 2時間前更新
日銀が拙速に動く必要はない、経済状況を注視=桜井審議委員
Reuters Staff
1 分で読む

[神戸市 27日 ロイター] - 日銀の桜井真審議委員は27日、神戸市内で記者会見し、国内景気は悪化しておらず、拙速に追加緩和に動く必要はないと述べた。ポリシーミックスの名の下、財政政策と金融政策が一体で動く必要は必ずしもなく、現局面で日銀は経済情勢を注視するべきだと述べた。

桜井審議委員は、世界経済は不安定ながら内需が底堅く推移しているとして、「(国内の)景気後退が切羽詰まってきているのか疑問だ」と述べた。その上で「積極的に(日銀が)動いていく必要があるのかと言えば、必ずしもその段階ではないのかもしれない」と話した。

ポリシーミックスについて「(政府・日銀が)局面ごと、100%同じ方向に動くということではなく、全体として何年間かを見たときに方向性が共有されていることが大事だ」と指摘。「金融(当局)は経済の状況を慎重に見ていくという認識を、政府・日銀で共有していくべきだ」と述べた。

国際通貨基金(IMF)は対日報告書で、2%の物価目標の達成が難しい現実を踏まえ、「物価目標を幅で提示することで政策の柔軟性を高めることを検討し得る」と提言した。桜井委員は会見で「あくまで1つの提案と認識している。物価目標2%に向けて、時間をかけてでも実現するようにする」と述べた。

桜井委員はマイナス金利政策がもたらす副作用について、世界的に認識が共有されるようになってきたとの見方も示した。

為替相場について、桜井委員は「安定しており、安心感につながっている」と指摘。通貨供給量、物価上昇率、金融政策の方向感の3点で日米欧が似てきていることを背景に挙げた。
https://jp.reuters.com/article/japan-economy-boj-idJPKBN1Y10H9


 

 

ビジネス2019年11月27日 / 12:30 / 4時間前更新
海外経済の減速緩やかなら、拙速な政策対応控えるべき=桜井審議委員
Reuters Staff
2 分で読む

[神戸市 27日 ロイター] - 日銀の桜井真審議委員は27日午前、兵庫県金融経済懇談会であいさつし、海外経済の減速が一段と強まり、日本の実体経済への悪影響が顕在化した場合には、悪影響の規模とその波及スピードを見極めた上で政策対応すべきだと述べた。海外経済の減速が緩やかな場合は日本経済への波及も緩やかになり、経済指標を分析した上で対応を検討する余地が生まれると話し、「拙速な政策対応を控えるべきだ」と語った。

桜井審議委員は海外経済について「今後一段と減速が進む懸念が残るが、各国の景気対策の効果が2020年前半に想定以上に出てくる可能性がある」と指摘。世界経済の緩やかな回復への転換が2020年半ば頃までは想定しがたいため、向こう約半年間は国内景気の動向を慎重に情勢を点検すべきだとした。

桜井委員は、政策の効果と金融緩和継続に伴う副作用のバランスを慎重に考慮しつつ、粘り強く金融緩和を続けることが肝要だと述べた。その上で、1)世界経済の減速と日本の実体経済への影響、2)金融緩和の継続による効果と副作用、3)経済構造・物価変動メカニズムの変化――の3点に留意すべきだとした。

桜井委員は「仮にリーマン・ショックのように金融システム崩壊の可能性を伴う危機の場合には、果断な政策対応が必要になる」と指摘する一方、「貿易問題による海外経済の減速が緩やかな場合、経済指標の動向を見て政策対応する余地が出てくる」とも述べた。

また、「低金利政策の継続に伴う金融システム面での副作用に留意する必要性が一段と高まっている」と指摘。地域金融機関を中心に自己資本比率が低下トレンドをたどっており、従来以上に細かなモニタリングが必要な状況になっているとも述べた。

省力化投資に伴う労働生産性の向上が物価上昇を抑制するなど、金融政策と物価の関係が複雑化していることも指摘した。

<ポリシーミックスの意義>

桜井審議委員はポリシーミックスの意義について、「日本経済の構造変化を支え、金融市場の変動を抑制するアンカーとしての役割を果たしている」と述べた。「国内でのポリシーミックスとグローバルな金融緩和環境が維持されるもと、世界経済の回復局面を辛抱強く待つことで、プラスの需給ギャップの持続と変化し始めた経済構造を支えることが重要な政策課題だ」と述べた。

物価については「7年に及ぶ大規模金融緩和の継続で、実体経済に関連する多くの指標が改善し、物価もデフレではない状況になった」と指摘。ただ、「海外経済の減速が想定を超えて継続し、需給ギャップがマイナスに逆戻りすれば、再びデフレに直面するおそれも出てくる」とし、「慎重に海外経済やわが国経済の先行き動向を点検しつつ、さらなる政策対応が必要な場合に備えた準備は怠るべきではない」と述べた。

*内容を追加しました。

和田崇彦 編集:内田慎一
https://jp.reuters.com/article/boj-sakurai-idJPKBN1Y1090


 

TOPIXがことし高値、米中交渉への期待継続−輸出や素材高い
長谷川敏郎
2019年11月27日 7:53 JST 更新日時 2019年11月27日 15:38 JST
• 対中交渉は完了に近いとトランプ米大統領、米国株は連日で最高値
• TOPIXは終値で18年10月以来高値、東証1部売買代金2兆円割れ
27日の東京株式相場は続伸し、TOPIXは終値でことしの高値を更新した。米中通商交渉への期待が根強く、機械など輸出関連、非鉄金属など素材が高い。
• TOPIXの終値は前日比5.27ポイント(0.3%)高の1710.98−2018年10月17日以来の高値
• 日経平均株価は64円45銭(0.3%)高の2万3437円77銭
〈きょうのポイント〉
• トランプ米大統領は習主席と話をしており貿易合意に向けた取り組み継続、協議は完了に近いと発言
• 26日の米国株は上昇、主要3指数は連日の最高値
• きょうのドル・円相場は1ドル=109円10銭前後、前日の日本株終値時点は108円96銭
 

東証
Photographer: Akio Kon/Bloomberg
  アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの寺尾和之最高投資責任者は「12月の米中貿易交渉で最終的には何らかの妥協がなされ、関税の一部撤廃もあり得るとの期待と、景気がいったん底打ちしたとの見方が重なって株価を押し上げている」と語った。
  史上最高値を連日で更新する米国株の追い風を受け、TOPIXは終値ベースでことしの高値を付けた。ソニーやダイキン工業といった外需関連だけでなくニトリホールディングスも高値を更新し、上昇に寄与した。
  いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は「リセッション(景気後退)にならない状況での米金融緩和などリスク資産に良好な投資環境が続いている。リセッションにならないならグロース株中心の米国からシクリカル株中心の日本株へと資金がシフトしやすい」と指摘した。
海外投資家の動向に関する記事はこちらをご覧ください
  もっとも、株価指数は買い一巡後に伸び悩み、東証1部の売買代金は1兆8961億円と再度2兆円を割り込んだ。アリアンツの寺尾氏は「景気が底打ちしても業績はまだ強い戻りではないという不安から、積極的に買う主体も乏しい。国内勢の利益確定売りもあり上値は重い」とみていた。

• 東証33業種では鉱業、非鉄金属、電気・ガス、機械、建設、医薬品が上昇
• その他金融や保険、陸運は下落
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-26/Q1LIFAT1UM1101?srnd=cojp-v2

金持ちの中の金持ちより資産22億円以下−収益性最高の顧客に照準
Patrick Winters、Archana Narayanan
2019年11月27日 14:47 JST
ニーズを重視して顧客を担当する部門を決める−クレディ・スイス
「プライベート・バンキング・インターナショナル」を新設
A Credit Suisse Group AG bank branch.
A Credit Suisse Group AG bank branch. Photographer: Stefan Wermuth/Bloomberg
クレディ・スイス・グループのインターナショナル・ウェルスマネジメント部門を率いるフィリップ・ウェーレ氏は、最も裕福な顧客が必ずしも最も収益性が高いとは限らないと考えている。

  イクバル・カーン氏の後を今年引き継いだウェーレ氏は、富裕層顧客の中でもサービスの「カスタマイズ」を要求するほどには裕福でない層が、最も効率よく利益をもたらしてくれると考える。

relates to 金持ちの中の金持ちより資産22億円以下−収益性最高の顧客に照準
フィリップ・ウェーレ氏
  ウェーレ氏はリレーションシップマネージャーらに、資産2000万スイス・フラン(約22億円)前後かそれ以下の顧客を、新しく設立した「プライベート・バンキング・インターナショナル」という小部門に移すことについて検討を求めた。同行の富裕層顧客の中では最も裕福でない顧客にサービスを提供する部門で、テクノロジーを活用してコストを削減することで、厳しい競争で縮小するマージンを守りたい考えだ。

  クレディ・スイスの広報担当者は当初コメントを控えていたが、同行は顧客を担当する部門を決める際は資産の規模ではなく主に顧客のニーズに照準を合わせると説明した。

The Award for Millionaire-dom goes to Switzerland

Source: BCG Global Wealth Report 2019

原題:
Richest of Rich Are No Longer Holy Grail for Credit Suisse (2)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-27/Q1LYZ8T0AFBT01?srnd=cojp-v2

ドル空売りに動くファンド出現−ウォーレン氏当選、兆候すらマイナス
Katherine Greifeld、Katherine Burton
2019年11月27日 14:26 JST
ソロス・ファンドで最高投資責任者を務めたベセント氏が実践
ウォーレン氏のプランは米国の資産価格にとり「明らかにマイナス」
エリザベス・ウォーレン氏
エリザベス・ウォーレン氏 Photographer: SAUL LOEB/AFP
エリザベス・ウォーレン氏が米大統領に当選するようなことがあれば、米国の金融市場を沈めかねないと資産家のポール・チューダー・ジョーンズ氏やスティーブ・コーエン氏、レオン・クーパーマン氏などウォール街のビッグネームが何週間も主張してきたが、それらは利益に直結しない予測にすぎなかった。

  そうした見通しの結果として、従来と違う行動に出る投資家はこれまでいなかった。しかし、ソロス・ファンド・マネジメントの最高投資責任者(CIO)を務めたスコット・ベセント氏は、自らが予想する市場の反応から利益を得る目的でドルの空売りに動いている。

  キー・スクエア・キャピタル・マネジメントでマクロヘッジファンドを運用するベセント氏は投資家宛ての14日の書簡で、「ウォーレン上院議員の数々のプログラムが米国社会にとって良いか悪いか頭脳明晰(めいせき)な人々は議論できるだろうが、米国の資産価格にとっては明らかにマイナスだ」と指摘した。

  2016年の大統領選当時を振り返ると、ドナルド・トランプ氏勝利なら相場を押し下げると多くの市場関係者が予測したが、実際は直後に上昇した。

  ベセント氏は自らの見方を裏付ける他の多くの要因が存在するとした上で、「ウォーレン氏の当選、あるいはその危険を示す兆候だけでも内外資本の海外市場への流出を加速させる可能性が高い」と分析した。

FX options get cheaper as gauge approaches five-year low
参考記事
ウォーレン氏がブラックストーン非難−住宅危機から「厚顔にも」利益
ウォーレン氏にブランクファイン氏らが反撃−「金持ち批判よくない」
ウォーレン米議員、市民や当局を欺く大企業を罰する案を提唱
原題:Wall Street’s Warnings on Warren Turn Into Bet by One Hedge Fund(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-27/Q1LT57T0AFB601?srnd=cojp-v2

 

富裕税の導入には反対、富裕層の増税は賛成−ブルームバーグ氏
Mark Niquette
2019年11月27日 14:12 JST
自身の税制案は示さなかったが近く明らかにするとブルームバーグ氏
ブルームバーグ氏は納税申告書を公表する−陣営スポークスマン
2020年米大統領選の民主党候補指名争いで、24日に出馬を表明したマイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長は、「自分のような富裕層への課税」には賛成だが、ライバルのエリザベス・ウォーレン、バーニー・サンダース両上院議員が提唱する富裕税の導入には反対すると表明した。

Democratic Presidential Candidate Mike Bloomberg Meets Voters And Elected Officials In Norfolk, Virginia
マイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長(25日)撮影:ドリュー・アンジェラー/ゲッティイメージズ
  ブルームバーグ氏は、選挙キャンペーン2日目となるアリゾナ州フェニックスでの遊説で、自身の税制案は提示しなかったが、近く明らかにすると発言。17年税制改革の法人減税は企業の競争力向上という観点から必要だったが、富裕層減税は「不要」だったとし、ニューヨーク市長在任中に公共サービスの財源の一部に充てるため市税を引き上げた経緯に言及した。

  同氏は「私は増税を行ったが、結果的に非常にうまくいった。市民は増税に不満だったが、2年後に大差で再選された」と語った。

  ブルームバーグ氏は来年3月17日のアリゾナ州の民主党予備選に立候補するために必要な書類を提出した。

  ブルームバーグ陣営のスポークスマン、マーク・ラボーニャ氏は、ブルームバーグ氏が納税申告書を公表すると述べたが、何年分の納税申告書を公開するかや、いつ公表するかは明らかにしなかった。

  ウォーレン議員は25日、2018年度までの11年分の納税申告書を既に公表しており、08年に公職に就く前に教授や破産弁護士として活動していた時期の納税申告書を公開する計画はないとしている。

  トランプ大統領は納税申告書の公表を拒否し、民主党の候補者から批判を浴びている。サンダース氏は10年分の納税申告書を公開。バイデン前副大統領は21年間分を公表した。インディアナ州サウスベンド市長のピート・ブティジェッジ氏は、マッキンゼーでコンサルタントを務めていた07年までさかのぼって公開した。

  ブルームバーグ氏はブルームバーグ・ニュースの親会社ブルームバーグ・エル・ピーの創業者で、過半数の株式を保有している。

原題:Bloomberg Says He Should Pay More Taxes But Opposes Wealth Levy(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-27/Q1M0IR6JIJUQ01?srnd=cojp-v2

 
ムーア・キャピタル元トレーダーのヘッジファンドが閉鎖へ−業界苦戦
Katia Porzecanski、Nishant Kumar
2019年11月27日 14:08 JST
ムーア・キャピタル・マネジメントの元トレーダーが始めたマクロ・ヘッジファンドのストーン・ミリナー・アセット・マネジメントがファンドを清算する。成績低迷と顧客の資金引き揚げの中で閉鎖を決めたと、事情に詳しい関係者1人が明らかにした。

  非公開情報だとして同関係者が匿名を条件に述べたところによると、ロンドンに本拠を置く同社は26日に投資家に、主要なマクロファンドの資金を返還すると伝えた。 運用資産は先月末時点で約30億ドル(約3300億円)と、ピーク時の約60億ドルから減少していたという。

  ストーン・ミリナーの広報担当者は、秩序立った清算の後、12月までに全額を投資家に返還すると確認した。

  ヘッジファンド業界では成績不振と高い手数料で顧客離れが進み、閉鎖するファンドが相次いでいる。イーベストメントがまとめたデータによると、投資家は今年これまでに、2018年の2倍以上となる879億ドルをヘッジファンドから引き揚げた。閉鎖するファンド数は15年以降、新規ファンドを上回っている。

  ストーン・ミリナーは12年に、元ムーア・キャピタルのトレーダー、イェンスペーター・シュタイン、 コーネリアス・クロブカー、クリス・ニコルの3氏が設立した。ムーア・キャピタルもマクロヘッジファンドから外部資本を返還すると発表している。

Stone Milliner's Gains
The firm's macro fund's recent performance has been underwhelming


Source: Investor documents

2019 return is through October

原題:
Moore-Backed Macro Hedge Fund Stone Milliner to Shutter (1)(抜粋)


 


逆イールドのリセッション警告、もう古い−市場は来年の正常化見込む
Liz McCormick、John Ainger
2019年11月27日 1:15 JST
イールドカーブ、来年はスティープ化の年−ウォール街は早くも準備
逆イールドは「嬉しい誤報」となり得る、米景気後退ない−シーツ氏
2019年はイールドカーブが注目された年だった。長短利回りが逆転する逆イールドの発生で、リセッション(景気後退)への強い警戒が広がった。そして2020年は歓迎すべき正常化の年になる兆候が、すでに表面化している。

  米中の貿易合意がまだ成立していないことを踏まえれば、世界経済の不透明性が晴れたと言い切る人は誰もいないだろう。それでも短期債に対する長期債利回りスプレッドが拡大するとの見通しは、ウォール街では来年最も有望な投資戦略の一つとみなされ、ブラックロックやペン・ミューチュアル・アセット・マネジメント、アビバ・インベスターズなどの資金を引き寄せている。

  ゴールドマン・サックス・グループのグローバル金利チーフストラテジスト、プラビーン・コラパティ氏は「2年から10年のイールドカーブは、緩やかにスティープ化するところが大半になりそうだ」と予測。「これは懸念されていたテールリスクの一部が、少なくとも後退したことが大きな理由だ。世界の大半でイールドカーブが大きくフラット化した今年とは、確実に異なるだろう」と語った。

Steepening era begins to unfold in sovereign debt curves
  今年は世界的に債券相場が上昇し、8月には米10年債利回りが2年債利回りを下回った。最後にこの現象が起きたのは金融危機前の2007年。当時を含め過去5回の逆イールドはいずれも、その後の経済がマイナス成長となった。今回は中央銀行が追加緩和に踏み切ったこともあり、まだ景気は縮小していない。

  PGIMフィクスト・インカムのチーフエコノミスト、ネイサン・シーツ氏は、逆イールドは景気後退の示唆において「嬉しい誤報」になり得ることは過去にも例があり、今回もそれに当てはまると指摘。逆イールド発生後、1年から1年半の間に景気後退に陥るのが通例だが、この期間内のリセッション入りはまだ見込まれていないと語った。

  3カ月物から10年物までの米国債利回り曲線を使って、今後1年に米景気が縮小する確率をはじき出すニューヨーク連銀の指標は、10月に大きく低下した。米2年債に対する10年債の利回りスプレッドは現在16ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)前後と、8月のマイナス7bpから反転している。

  米国債イールドカーブのスティープ化を見込む取引は、TDセキュリティーズやナットウェスト・マーケッツも支持しており、5年債と30年債でのポジションを推奨している。モルガン・スタンレーのストラテジストは、ドイツ債で同様のスタンスをとることを来年最も有望な取引の一つに位置づけている。ブラックロックは米英など複数の国で、イールドカーブが全体的にスティープ化すると予想する。

Wall Street firms recommended betting on more expansion
原題:
Inverted Yield Curve’s Recession Flag Already So Last Year (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-26/Q1KNUDT0AFBC01?srnd=cojp-v2



PIMCOの「しぶちん見通し」、リスク資産は景気改善に反応せず
Sydney Maki
2019年11月27日 12:06 JST
リスク資産からリターン得るのは「石から血を絞り出すようなもの」
ストラテジストのジーン・フリーダ氏がブルームバーグTVに語った
米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は2020年について、世界的な成長の改善でさえも大きな相場回復を引き起こさないという「しぶちん見通し」を掲げているとグローバルストラテジスト、ジーン・フリーダ氏が明らかにした。

  同氏はブルームバーグテレビジョンの番組で、「世界の成長の短期的な道筋は実際、上向きだ。しかし、リスク資産市場の大半と、ある程度は金利市場も、これを先行して織り込んでしまった」との分析を示し、「サイクルの転換が特に強いものになると考える理由はあまりない」と語った。

PIMCOのジーン・フリーダ氏
  フリーダ氏はさらに、広がっている楽観主義は大きな負の衝撃がないことを想定していると指摘した。

  来年も貿易問題が投資家にとって中心テーマで、調印された第1段階の米中合意が相場の追い風になると同氏は予想。香港についても今後数カ月に混乱が落ち着いていくとみている。

  それでも、リスク資産における今年のリターン水準を踏まえると、さらなるリターンを得るのは「石から血を絞り出すようなものという気がする」と同氏は話した。

原題:
Pimco ‘Scrooge Outlook’ for 2020 Bets Risky Assets Ignore Growth(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-27/Q1LV2YT0AFBA01?srnd=cojp-v2

 

債券は上昇、超長期債への需要強いとの見方−利回りフラット化続く
三浦和美
2019年11月27日 7:51 JST 更新日時 2019年11月27日 15:32 JST
債券相場は上昇。米国長期金利の低下や、月末に向けて投資家が保有債券の年限を長期化させる買いへの期待のほか、前日の40年債入札が強い結果となった流れも継続し、超長期債を中心に買い圧力が掛かった。利回り曲線は前日に続いてフラット(平たん)化した。
• 新発10年債利回りは前日比1.5ベーシスポイント(bp)低いマイナス0.115%と、21日以来の水準に低下
• 新発20年債利回りは0.235%、新発30年債利回りは0.385%、新発40年債利回りは0.415%、いすれも4営業日ぶりの低水準
• 長期国債先物12月物の終値は24銭高の153円56銭。午後に上げ幅を拡大し、取引終盤に153円57銭まで上昇
市場関係者の見方
パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長
• 月末の年限長期化に向けた買い需要もあるが、前日の40年債入札の結果が想定外に強かった勢いが続いている
• 売られる局面では30年債を中心に買いが入っている感があり、超長期債への需要は根強い
• 一方、日本株の上昇やじわじわと円安傾向になる中で、いったん利益確定の売りも出やすいタイミング

日銀買いオペ
• 対象は残存期間1年以下、5年超10年以下、物価連動債。買い入れ額はそれぞれ前回オペから据え置き
• 残存5−10年の応札倍率は2.96倍、前回は2.99倍
• パインブリッジの松川氏
o 長期ゾーンのオペ結果にサプライズはなかった
• 備考:過去の日銀オペ結果の一覧
背景
• 26日の米国債市場では、月末の保有債券の年限長期化を狙った買いが優勢となり、米10年国債利回りは1bp低い1.74%程度で終了。この日の時間外取引でも1.74%付近で推移
• 東京株式相場は上昇。日経平均株価の終値は0.3%高の2万3437円77銭
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.200% -0.215% -0.115% 0.235% 0.385% 0.415%
前日比 -1.0bp -1.5bp -1.5bp -2.0bp -2.5bp -2.5bp
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-26/Q1LJO6T0AFB601?srnd=cojp-v2


 
静岡銀:流動性高い社債投資も、CPMでリスク管理−運用多様化
萩原ゆき、浦中大我
2019年11月27日 5:00 JST
有価証券運用2兆円規模が望ましい、リスク一括管理で機動的な運用
CLO投資の上限は600億円、リスクと資本分配を見ながら購入へ
静岡銀行は、CPM(クレジット・ポートフォリオ・マネジメント)と呼ばれる与信リスクの総合管理を強化し、より流動性の高い社債への投資を可能な体制とした。これまでは、社債を裏付け資産とするリパッケージローンの形での投資をしていたが、今後は社債を直接買う形でのリスクテイクが可能となる。

  ストラクチャードファイナンス部と資金証券部を6月に統合し、それまで別々に管理していた信用リスクとマーケットリスクを一括管理できる組織に再編した。柴田久頭取はブルームバーグとのインタビューで、ポートフォリオ全体を把握して最適化を図れるほか、運用手段の多様化が見込めることから「次のステージとしてクレジット投資を行っていく体制は整った」と述べた。

relates to 静岡銀:流動性高い社債投資も、CPMでリスク管理−運用多様化
静岡銀行のロゴ 
  背景には長引く低金利で、貸出金による利益が得られにくい経営環境がある。静岡銀は、2014年度からの前中期経営計画で、収益源拡大を目的に四つの新たな事業領域に取り組み始めており、ストラクチャードファイナンスはそのひとつ。組織再編によるCPM展開は、開拓してきた事業が高度化を図る段階に進んだことを意味する。

  プロジェクトファイナンスやメザニン投資を含むストラクチャードファイナンスの18年度の収入は177億円と、14年度比で4倍に伸びていた。

  SBI証券の鮫島豊喜アナリストは、ストラクチャードファイナンスが市場部門と一括管理できる静岡銀は、他の地方銀行では追い付けないノウハウを積んでいると評価。リスク管理だけでなく人材育成の狙いもあるだろうとの見方も示した。

  リスク管理を一括で行うことで、有価証券のより機動的な運用が可能となる。柴田頭取は9月末時点で1兆5556億円の有価証券残高について、預金残高を効率よく運用するためには2兆円規模が望ましいとしており、国内のクレジット投資を積極化することなどで運用規模の拡大も狙う。

  CPMは与信ポートフォリオのリスクとリターンを評価し、信用リスクの移転取引などを通じて健全性や収益性を高める活動。バランスシート上の資産の能動的な入れ替えを行うことで、リスク分散だけでなく株主価値向上も図れるとして大手銀を中心に取り組みが広がっている。

CLO限度額は600億円
  一方、低格付け企業への融資を束ねたローン担保証券(CLO)の残高は9月末時点で483億円だった。柴田頭取は、CLOは格付けが最上位の「AAA」格を購入しており、下期もリスクと資本配分を見ながら投資していくと述べた。ストラクチャードファイナンス分野の貸出金に占めるCLOの割合は9%で、行内では限度額を600億円に定めている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-26/Q19BZTDWX2PV01?srnd=cojp-v2


ドル・円小幅高、米中交渉楽観も米感謝祭控え伸び悩み−109円台前半
酒井大輔
2019年11月27日 12:04 JST 更新日時 2019年11月27日 15:29 JST
東京外国為替市場のドル・円相場は小幅に上昇。米中通商交渉進展への期待が根強い中、スポット取引の応当日が月末となることから実需のドル買いが相場を押し上げた。ただ、米感謝祭の休日を控え、値動きは狭いレンジだった。オーストラリアドルは豪主要銀行による量的緩和(QE)開始の見通しを受けて売られた。

ハイライト
ドル・円は午後3時21分現在、前日比0.1%高の1ドル=109円17銭。ここまでの取引レンジは109円02銭から109円18銭の16銭
豪ドル・ドルは0.2%安の1豪ドル=0.6776米ドル。0.6791ドルを高値に一時0.6772ドルまで下落
市場関係者の見方
CIBC証券金融商品部の春木康部長

ドル・円は月末需給主導で小幅に上昇。前日の米中交渉について楽観的な見方からリスクセンチメントは悪くなく、ドル・円の下支え要因になっている
ただ、米感謝祭の祝日を控えていることや、市場のポジションが傾いていないこと、海外の短期勢がリスクオンとオフの繰り返しに飽きてきていることから動きづらい状況
外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長

QE導入に慎重な見方だった豪中銀総裁の発言に対し、豪ウエストパック銀行がQE予想を出してきたことで、豪ドルは売りで反応
米中交渉については、期待だけでは相場が続かなくなっている。合意ないし関税引き上げの延長といった事実がないと厳しく、それがなければ109円付近での動き続きそう
三井住友銀行NYトレーディンググループの下村剛グループ長

米中の協議継続自体は双方とも一致しており、物別れになる状況ではない。市場は交渉結果を待っている状況というのは、いろんなヘッドラインを受けても変わらない
米感謝祭の休みを控えて動意は期待しづらいが、それが顕著に示されているのが為替の短期物のボラティリティの下落。ドル・円は週末にかけて109円付近でもみ合いとなりそう
ドル・円と予想変動率の推移
背景
トランプ米大統領は26日、中国との第1段階の貿易合意に向けた協議について、完了に近いと述べた
豪ウエストパック銀行は豪中銀が2020年2月と6月の利下げで政策金利を0.25%とし、同年後半にQEを開始すると予想
ドル・円の1週間物の予想変動率は前日に3.555%と14年以来の水準まで低下。1カ月物も4.64%と今年4月以来の水準まで低下
日経平均株価は前日比64円高で取引を終了
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-27/Q1LUZ5T1UM1301?srnd=cojp-v2


 


キャッシュレス決済、想定上回るペースで拡大−経済対策で普及に弾み
占部絵美、野原良明
2019年11月27日 13:34 JST
ポイント還元額は1日平均12億円強、中小店舗の約4割が制度登録
IMFも追加財政政策として増税影響緩和の臨時措置延長を提言
消費増税対策として10月に導入したキャッシュレス決済のポイント還元制度の利用が当初の想定を上回るペースで拡大している。政府が経済対策で制度拡充に向けた追加予算措置に踏み切れば、キャッシュレス決済普及にさらに弾みがつく可能性がある。

  経産省によると、中小店舗への同決済導入を支援する同制度開始から2カ月経過した12月1日時点でポイント還元事業への登録加盟店数は86万店に達する見込み。登録完了を待っている事業者を含めると、同制度対象となる中小の製造、卸・小売り、サービス業の200万店の約4割超となる。

PayPal Demonstrates Shopping Service Using Smartphones At A Nescafe Store
携帯でキャシュレス決済する消費者Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  政府はキャッシュレス普及促進と10月の8%から10%への消費増税に合わせた需要の反動減対策の一挙両得を狙って、中小店舗でのキャッシュレス決済に対し、2−5%を還元する制度を導入。決済手数料や端末への補助も含め今年度2798億円の予算措置を講じた。諸外国に比べて低いキャッシュレス比率を25年に40%、将来的に80%に高めることを目標にしている。

キャッシュレス比率、2025年に40%目指す
17年は21.3%、10年で約10ポイント上昇


出所:キャッシュレス推進協議会 

  コンビニ大手では、制度開始以降キャシュレス決済の比率が高まった。セブンイレブンでは8月の35%から10月に42%に、ファミリーマートでは9月の20%から直近は25%に、ローソンは9月の20%から10月の26%にそれぞれ上昇した。

  野村証券の美和卓チーフエコノミストは、「当初、中小店舗にキャッシュレス決済の普及が進んでいないと言われていたのが、土壇場でどどっと広まってきて、10月に始まってみると関心も高まっている状況が確認されている」と語った。

ポイント還元、予算上回る可能性
  経済産業省の津脇慈子キャッシュレス推進室長によると、11月4日までのポイント還元額は1日平均12億円強、決済対象金額は同310億円。これを前提に単純計算すると年度内にポイント還元額は2000億円を上回り、決済手数料や端末の補助も含めると年度予算を上回る可能性もある。津脇室長は、予算内に収まるか精査しており、仮に不足する場合には、財政当局に予算積み増しを求める意向を示した。

  安倍晋三首相は今月、国内景気を下支えする経済対策の策定を指示、自民党の二階俊博幹事長は10兆円規模の補正予算が必要との見解を示した。政府は来年6月に終了するポイント還元制度に代わり、来年9月にもマイナンバーカード保有者に対してキャッシュレス決済を用いたポイント還元制度の導入も検討している。国際通貨基金(IMF)は短期的な経済対策を容認する姿勢を示すとともに、追加的財政政策として消費増税対策の延長などを挙げた。

進むキャッシュレス化
買い物等の主な資金決済手段


出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」を基にブルームバーグが試算

注: 2人以上世帯調査、2つまでの複数回答可

国難のブレイクスルー
  日本で主に使われてきたキャッシュレス決済手段はクレジットカードだったが、電子マネーやQRコードも含め1000を超える決済事業者が同制度に登録されており、キャッシュレス決済手段の多様化も見込まれる。QR決済利用動向を調べるMMD研究所の調べによると、普段の支払いは現金が89.7%、クレジットカードは74.8%、交通系電子マネーは34.5%、QRコード決済は22.5%。

  新たに台頭しているQR決済事業者の大手、ソフトバンクやヤフーなどの共同出資するPayPayは、同社は昨年10月のサービス開始から1年余りで登録数は2000万人に達した。

  日本総研の岩崎薫里上席主任研究員は、「人間の習慣を変えるのはすごく難しく、それを変えるためのインセンティブの一つとして今回の取り組みは重要」と指摘。その上で「少子高齢化とか財政難とか抱える中で一つのブレークスルーがデジタル化の進展だ」とし、キャッシュレス進展は「経済活動の効率化を高め、人手不足に直面する企業の生産性向上に寄与する効果がある」との見方を示した。

日本のキャッシュレス比率はまだ低水準
韓国98%、米国46%、ドイツ16%


出所:日本クレジット協会(2017年データ)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-27/PZFWE1T0AFB601?srnd=cojp-v2


http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/723.html

[経世済民133] 膨れ上がる借金と人口減で「30年後、日本終了」のリアリティ 移民しかない 高齢世帯の貯蓄額を、平均値で見てはいけない
膨れ上がる借金と人口減で「30年後、日本終了」のリアリティ
2019年11月27日(水)15時25分
ジム・ロジャーズ (投資家、ロジャーズホールディングス会長)/岡本 祥治 (みらいワークス社長) *東洋経済オンラインからの転載

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これから30年後の日本はどんな国になっているのか。日本の未来について、世界3大投資家のジム・ロジャーズ氏(左)とみらいワークスの岡本祥治社長が語った(撮影:佐々木仁)


膨らむ借金と高齢化しながら減る人口という大きな問題に直面している日本。これから30年後の日本はどんな国になっているのか。世界三大投資家のひとりで、大の親日家でありながら日本の将来について非常に悲観的なことで知られるジム・ロジャーズ氏と、フリーランスの人材マッチングを手がけるみらいワークスの岡本祥治社長。ともに世界各国を旅行し、日本以外の状況を知る2人が日本の未来と末路について語り合った。

世界経済は今後数カ月の間に「終わり」始める
──ロジャーズさんは日本の未来についてとても悲観的ですね。

ロジャーズ:実は数カ月前までは、今よりもっと楽観的でした。日本経済の先行きは世界経済に左右される部分があり、私は、世界経済は今後数カ月のうちに「終わり」を迎え始めると考えている。つまり、日本もこの影響を受けることは避けられません。

そしてその「問題」が発生する日はどんどん近づいている。だから私は昨年秋に日本株は全て売却した。日本が増税を行うとわかったタイミングでね。増税で得する人などいない。

岡本:日本経済の行方は世界経済に左右されるのは確かです。日本には高齢化や人手不足など構造的な問題もある。しかし、私たち日本人はそうした問題を解決しなければいけないと考えています。

成熟社会である日本は、世界に先駆けてこうした問題に直面していますが、もし解決策を打ち出すことができれば、その解決策を世界に「売る」ことができるのではないでしょうか。現時点ではその解決策は見いだされていませんが、日本人ならできると思います。

ロジャーズ:日本は長きにわたって繁栄してきました。確かに大変な問題を乗り越えてきたことも、何度もありました。しかし今直面している問題に対して、どんな解決策があるのか私にはわからない。日本の借金は日々膨れ上がっている一方で、人口はどんどん減っている。これは意見ではなく、事実です。

日本の将来を考えた時、ものすごい勢いで子供を増やすか、移民を受け入れるか、とんでもないスピードで借金を減らすかしない限り、日本の長期低迷は不可避です。借金が増えて人口が減る。単純な算数の問題です。あなたは私が知らない何かを知っているのかもしれませんが、このままいけば悲惨な末路しかありません。日本がすぐに消滅することはありませんが、そのうちなくなってしまう可能性だってあります。

次のページ30年後には暴動が起きてもおかしくない
岡本:現在の日本の法律は高齢者に有利なものが多いことが問題の1つかもしれません。例えば、日本のCEOは60歳以上が多いので、何かを変えなければと強く思っていないかもしれない。ですが、今後若い経営者や政治家が増えてれくれば、変化も起こしやすくなる。社会が変わるには30、40年かかるかもしれませんが......。それまで今の状態を維持することが必要だと思います。もちろん維持することも難しいとは思いますが。

ロジャーズ:それが今起こっていることです。日本は現状を「維持」しようとしている。ですが、あなたが10歳だったら私はあなたに日本から逃げるか、ライフルを用意しろ、と伝えます。生きているうちに大きな問題が起きるからです。

30年後には人口がぐんと減って、借金はものすごく増えている。どこかで暴動が起きてもおかしくない状況です。その頃には日本は今のような平和で落ち着いた、法を順守する人たちの国ではなくなっているでしょう。あなたはこれまでの人生でこの国における繁栄と平和、静寂と自由しか経験していないかもしれない。しかし、奇跡が起きない限り、これから30年後、いや、10年後には違う状況になっているはずです。

安倍首相は最近、新たに37万5000人の外国人労働者を受け入れると発表しました。これには私も驚き、素晴らしいことだと思った。しかし、人口1億2500万人の国で、今後5年間で37万5000人増えたとしても問題の解決にはほぼつながらない。ひょっとしたら外国人に対する恐怖感などを減らす一助にはなるかもしれませんが。

日本は85カ国旅した中でベスト
岡本:私はこれまで85カ国を旅しましたが、日本より素晴らしい国はないと感じています。食文化や街並み、祭り、歴史、四季のある気候、周りの人達を助けようという精神、列を作って順番を待つなど秩序を保つ姿勢、性善説に立って物事が進められる国民性も素晴らしいと思っています。

ロジャーズ:私も日本が素晴らしい国であるという点については同感です。しかし、あなたが1919年にイギリスを訪れたならば、こんな素晴らしい国は他にないと言っていたでしょう。その頃は確かに世界ナンバーワンの国でした。

しかし今は、トップ25にも入らない。今でもいい国には変わりない。しかし、イギリス人の暮らし向きは1919年から低迷し続けていて、1976年にはイギリスは破綻してしまった。1919年には圧倒的ナンバーワンの最も裕福な国が、57年後にはIMFに助けられることになったわけです。

ビートルズの時代はよかった。が、多くのイギリス人は低迷の時代しか知らない。その間、多くの人は国を後にしました。日本も同じことです。2039年の日本はどうなっているか。過去60年間の日本は本当に素晴らしかったし、今も素晴らしい。でも、私が心配しているのは60年後どうなっているかです。

次のページ労働力不足はどうやって解消する?

──日本では、今後労働力不足が加速しそうです。対策は。

ロジャーズ:私は移民以外に解決策はないと思っています。

岡本:労働力問題について今の議論の多くは、人を増やすことについてですが、私はむしろ生産性を上げることに焦点を移したほうがいいと思っています。現時点では、日本人の生産性は非常に低い。成熟国の中ではいちばん低いかもしれません。そして、生産性の低い最大の理由は、人材の流動性の低さにあると思っています。つまり、古い産業から潜在力の高い成長産業に移る人が少なすぎるのです。

実際、40歳以上の人の多くは成熟産業から動きたがらないし、リスクをとるのが苦手な日本人が多いのも事実です。また、日本には転職すること自体が地に足がついていないと評価される風潮もありました。しかし、20、30代の人には終身雇用という意識がなくなってきていていますし、人材不足が顕著になってきていて、働く事に対する価値観が変化し始めています。

この変化のスピードを上げるには、人材流動化を進める国策を厳格にする必要があると思っています。日本では、政府が働き方改革を進めていますが、某大手広告代理店でおきた従業員の過労死が大きなきっかけとなり、あらゆる方向から変革が起こっています。エポックメイキングな出来事が起きて、それが変化のきっかけとなる。これが日本の特性です。国を挙げてわかりやすいルールを作って変革を起こしていく事が必要だと思います。

若者はこぞって公務員になりたがっている
ロジャーズ:しかし、問題は日本では変化を起こすのが大変難しいことです。「変化」は日本を表す言葉ではありません。今若い人が子供を持たないのは、将来に対する不安が大きいからです。日本では誰もが何かがおかしい、と感じているわけです。

あなたは人材の流動性を上げるべきだと主張しますが、実際に「仕事を変えろ」と促して、どれだけの人が変えるでしょうか。「ここにこんな新しい仕事がありますよ」と伝えたとしても、多くの人は「だから何?」という感じではないでしょうか。特に中堅クラス以上の人は。若年層でも変わりません。何といっても、彼らの1番の「野望」は公務員になることなのですから。若者がこぞって公務員になりたい、という国がエキサイティングな国でしょうか?

岡本:それは違いますね。

ロジャーズ:中国では多くの若者がガレージで起業をしようとしている。カリフォルニア州のシリコンバレーでも同じです。しかし、日本でどんなに新しくてエキサイティングな仕事があって、若者にそれをオファーしようとしても関心を示さないのです。

岡本:確かに日本の将来に不安を抱えて、公務員など安定した職を得たいと考えている若者は少なくないでしょう。こうした中、私たちはまず、もう少し明るい将来を示す必要があるし、仕事は「変えられる」ことを示さなければなりません。

現在、私はフリーランサー向けのビジネスマッチング事業をやっていますが、登録者に「なぜフリーランサーになったのか」と聞くと、もっと稼ぎたいとか、社会的問題を解決したいと言った答えが返ってきますが、それ以前に多くの人が自分の親だったり、友人だったりがフリーランスになっているのを見ていることが影響しています。仕事を変えることも同じことが言えます。仕事を変えた人を実際に見ることで、自分もできると思いやすくなるわけです。

次のページ20代、30代へのアドバイス

岡本:一方、大企業では仕事を変える人と遭遇する機会は少ないかもしれません。ですから、例えば大企業でフリーランサーを雇う機会が増えれば、大企業の人でも仕事を変えたり、フリーランスになる選択肢を考えるきっかけになる。日本の大企業がより多くのフリーランサーを利用するようになれば、日本企業の労働文化も変わるのではないでしょうか。非常にゆっくりかもしれませんが。

ロジャーズ:非常にゆっくり、なのが問題だと思います。あなたが言っていることは「非常にゆっくり変わる」ということも含めてすべて正しいと思います。移民についても同じことでしょう。しかし、非常にゆっくり変わっている間に人口は減り、借金は増えていく。あなたが言うことは正しいけれど、その間に日本は沈んでしまいます。

世界で課題を抱えていない国はない
──高度人材は日本で働きたいと思っている?

ロジャーズ:それはもちろんです。多くの人は日本にくれば稼げると思っています。インフラは整っているし、清潔ですべてが効率的で、食事も何もかも素晴らしい。

ところが、日本は「日本で働いてほしい」と言いながらも、それは本心ではありません。過去500年間、日本は外国人を避けてきている。実際に住む人が増えていても、日本人が外国人を受け入れるには相当の時間がかかるし、外国人も日本人は外国人が苦手だとすぐに気づくでしょう。

──10歳の日本人だったら日本から逃げるべき、ということですが、20代、30代だったらどうでしょう。若い人へのアドバイスはありますか。

ロジャーズ:「とにかく心配したほうがいい」ということでしょうか。安倍首相は消費増税を実地し、これが国の問題を解決すると論じていますが、増税が国を救ったことはありません。若者の多くは公務員になることを希望していますが、それが国を救うこともないでしょう。

岡本さんは、日本が30年後に素晴らしい国になっていると思いますか。

岡本:難しい質問です。ただ確かに日本は難しい問題に直面していますが、日本の将来は悲観するものではなく、私自身は日本にいたほうがいいとアドバイスします。

それに、世界で課題を抱えていない国は存在しないと思います。日本は大変な状況ではありますが、世界の中では恵まれている。また、この厳しい社会課題を解決できたら、世界に先んじて課題解決をした国として、これを糧に再び世界で経済発展を遂げる国になるのではないでしょうか。

※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。
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https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2019/11/30-30_4.php


 


高齢世帯の貯蓄額を、平均値で見てはいけない理由
2019年11月27日(水)17時10分
舞田敏彦(教育社会学者)

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高齢世帯では貯蓄ゼロの世帯が最も多い Koji_Ishii/iStock.

<統計データの代表値として平均値が良く使われるが、数値の分布がばらけている統計では、平均値だけを見ても実態を把握できないことがある>

統計データと言うのは、最初は数字の羅列で、それを整理する第一歩は度数分布表の形にすることだ。しかし、報告書に度数分布表を逐一載せることはできない。そこで、データの特性を端的に表す代表値が使われる。

代表値としては最頻値(mode)、平均値(average)、中央値(median)がある。最頻値はデータの個数が最も多い階級、平均値は総和を個数で除したもの、中央値は高い順に並べたとき真ん中にくる値だ。

要は、普通を知るための目安だ。現代の日本社会では老後の不安が渦巻いているが、2016年の厚労省『国民生活基礎調査』の結果概要によると、高齢世帯(世帯主が65歳以上)の平均貯蓄額は1284万円となっている。さすがというか、ガッツリ貯め込んでいる印象を受ける。だが、これをもって高齢世帯の普通の貯蓄額とみなしていいものだろうか?

平均値に丸める前の度数分布表に当たってみると、<表1>のようになる。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/2019/11/27/data191127-chart01.jpg

普通のデータは中層が膨らんだ分布になるのだが、高齢世帯の貯蓄額はそうではない。上と下に分化した型になっている。貯め込んでいる世帯が多いが、スッカラカンの世帯も多い。最も多いのは貯蓄ゼロの世帯となっている。最頻階級はゼロだ。

ちょうど真ん中の中央値は、右端の累積相対度数から500〜600万円台の階級に含まれることが分かる。累積%が50ジャストの中央値を按分比例で割り出すと602万円となる。報告書に出ている平均値の半分にも満たない。普通の値としてふさわしいのは、ど真ん中の中央値だ。平均値は、一部の極端に高い値によって釣り上げられた結果に他ならない。

高齢世帯の貯蓄状況について説明するときは、「平均値は1284万円」ではなく、「最も多いのは貯蓄ゼロの世帯で、中央値は602万円」と言うべきだ。どちらを取るかで、政策の方向は大きく変わってくる。<表1>の分布表から分かるように、平均値の1284万円を越える世帯は全体の3割ほどしかない。平均で全体を語ると、おかしなことになる。

次のページデータ分布が歪だと平均値と中央値は乖離する
よく言われることだが、データの代表値としては平均値よりも中央値が望ましい。分布の型が歪(いびつ)である場合、両者の乖離は大きくなる。<表2>は、各年代の所得・貯蓄の平均値と中央値を対比したものだ。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/2019/11/27/data191127-chart02.jpg

筆者の年代の40代に注目すると、世帯所得の平均値は約671万円、中央値は約621万円となっている。50万円の開きだ。貯蓄をみると平均値が652万円、中央値が344万円と隔たりが大きい。元の度数分布表をみると分かるが、貯め込んでいる世帯とそうでない世帯に割れているからだ。

貯蓄格差が大きい高齢層では、平均値と中央値の乖離が大きくなっている。倍以上の差だ。むろん、「普通」を的確に表しているのは後者だ。相対的貧困率の定義が「所得が中央値の半分に満たない世帯の割合」という点も思い出そう。砕いて言うと、収入が普通の半分に満たない世帯の率、ということだ。

官庁統計には平均値が出ていることが多いが、その背後にある分布に思いをめぐらさないといけない。できれば、それに当たることが望ましい。最頻値や中央値という観点で見ると、統計データからまったく違った事態が見えてくることがしばしばある。

<資料:厚労省『国民生活基礎調査』(2016年度)>
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450061&tstat=000001114975

次のページ【チャート】高齢世帯の貯蓄額分布

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13484.php

http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/724.html

[政治・選挙・NHK267] 安倍政権を歴代最長にした政治的要因と、その限界 支持率5割切りに安倍政権が焦りを深めるワケ 安倍政権、誰が支えているのか なぜ続く 海外はどう見たか アベノミクスをどう評価するか
安倍政権を歴代最長にした政治的要因と、その限界
2019年11月21日(木)17時00分

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安倍政権を歴代最長にした政治的要因と、その限界
長期政権の要因には「偶然の産物」もある Soe Zeya Tun-REUTERS

<野党勢力の方向性が分裂したこと、保守勢力を取り込んだことなどが要因だが、一方で保守派を取り込んだゆえの限界も示している>

安倍政権が11月20日、憲政史上最長の在職日数に達しました。あまり機能しなかった第一次政権を除外して、2012年末に発足した第二次政権だけでも、今年の年末には丸7年になるのですから、ずいぶん長いのは事実です。

これだけの長期政権を維持するには政治的な要因があるわけで、その要因を考えることは、現代の日本の政治状況を考えることになると思います。本稿では3つ指摘したいと思います。

1つ目は野党の分裂です。現在の野党に関しては、表面的には統治能力に欠けるというイメージが蔓延していることがありますが、それはあくまでも印象論であって、それ以上に分裂しているという要素が大きいと思います。

野党の分裂というのは、例えば大所帯であった新進党が瓦解した90年代、同じく二大政党制を自認した民主党が看板を掛け替えつつ崩壊した2010年代のように、政党が集合離散を繰り返したということではありません。そうした現象はあくまで結果論で、問題は政治的な対立軸がバラバラなことです。

現在の野党の立ち位置というのは、見事に分裂しています。

まず立憲民主党は左派ポピュリズムが軸です。軍事的には反米(疑米程度かもしれませんが)で一国平和の孤立主義ですが、経済は基本的には大きな政府論であり、主として引退世代を中心にバラマキを主張しています。妙に財務省にはフレンドリーで財政規律には熱心ですが、有権者に媚びて増税には消極的。その一方で官公労には甘いので、財政の辻褄を合わせるアプローチではありません。

一方で、日本維新の会は小さな政府論に右派的なポピュリズムを加えた政党ですが、産業構造の改革にはそれほど熱意はありません。軍事外交に関しては意外と穏健で、アジア諸国との関係については基本的にフレンドリーです。小さな政府といっても、官公労や地方公務員、福祉や文化政策の受給者といった権益を打破する「コストカッター」としてのイデオロギーが軸になっているだけで、財政再建や民間活力という意味では強い推進力を見せているわけではありません。

維新に近い存在として、希望もしくは国民民主の勢力がありますが、こちらは軍事外交では穏健であり、親米かつ西側フレンドリー。イデオロギー的な意味では右派ポピュリズムへの依存は限定的です。ただし、郵政、五輪、水産市場といったトピックを使ったピンポイントの既得権攻撃という意味では、技巧的なポピュリストとも言えます。基本的に小さな政府論ですが、維新ほどコストカットには情熱を傾けない一方で、官公労に対しては強く出られるという期待はできます。

ということで、本当に見事に分裂しています。ですから、政権与党に対抗するような結束はできないわけです。それだけではありません、安倍政権の自民党は、この3つの勢力の方向性に対して、うまく敵対することで求心力を得ているという面もあると考えられます。

次のページ安倍政権の限界とは
2つ目は、安倍政権が保守イデオロギー勢力を「取り込んでいる」ということです。これは多分、政権が長期化している要因の核になる問題だと思います。例えば、第一次政権の際にはこの構造は比較的単純でした。当時の安倍政権は、本気で憲法改正へ突っ走ろうとし、また歴史認識問題では米ブッシュ政権から「二枚舌」を指摘されて不信感を買うなど散々な結果となりました。

ところが、第二次政権になってからは様子が違います。「意図せざる効果」なのかもしれませんが、保守イデオロギー勢力を味方につけることで、リベラルな政策を安心して進めることができているのです。

例えば、中国・ロシアとの関係改善、入管法の改正、新元号の前倒し発表、TPP11など自由貿易の推進、児童手当の拡充、オバマ米大統領との相互献花外交、靖国参拝の自制などです。もしかしたら女性宮家創設もやるかもしれません。こうした政策については、仮に中道左派系の政権が進めようと思えば、保守派が反対して立ち往生する危険がありますが、安倍政権の場合は「保守派を取り込んでいる」ことで比較的スムーズに進めることが可能になっています。

実態としては中道政権にシフトしているわけですが、それでも第一次の時から「祖父岸信介の名誉回復にこだわり、右派論客と交友を続け、戦後レジーム否定を口にする」ことで、安倍首相本人に関しては保守派イデオローグという印象を強く持ち、それゆえに頑固なまでに敵視する左派の固定層があります。

これも政治的には興味深いのですが、政策的には中道にシフトしても、左派が激しい敵視をやめないので、イメージ的には保守派は「やはり安倍政権は保守だ」と安心してくれる、そのために中道政策を強い抵抗なく進めることが可能になっている、そんなメカニズムも機能しています。ある種の偶然のなせるわざです。

3つ目は、産業構造改革への消極姿勢です。保守派に支えられつつ、中道政策を実施して長期化している政権ですが、結果的に保守派が支えていることから、構造改革を強く推進することはできていません。アベノミクスの「第3の矢」については、第二次政権になって7年かかっても成果が出ていない、これは支持基盤を考えるとやはり不可能なのだと思います。

そして、これが安倍政権の最大の問題であって、円安による「円建ての株価高騰」という「第1の矢」の効果がそろそろ賞味期限となる中では、最終的に政権の限界を示しているとも言えるでしょう。

次のページ【動画】"超・長期"安倍政権の課題は
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プロフィール

冷泉彰彦
(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。
https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2019/11/post-1130_3.php

 

 

 
支持率5割切りに安倍政権が焦りを深めるワケ

「安倍首相を信頼できない」が急増中

PRESIDENT Onlineプレジデントオンライン編集部
• 382首相復帰後、「初の危機」に直面している
11月21日に「憲政史上最長」の在任期間に到達した安倍晋三首相。ところが、これと並行するように政権の大暴落が進んでいる。一連の「桜を見る会」問題が発覚以降、報道各社が行う内閣支持率が急落しているのだ。
約7年におよぶ長期政権を支えてきた安定的な支持が崩れ始めた今、安倍氏は、2012年暮れに首相復帰後、初の危機に直面している。
内閣支持率は48.7%は「数値よりも内容が悪い」
共同通信社が23、24日の両日に行った世論調査によると、内閣支持率は48.7%。10月の前回調査と比べて5.4ポイント下がった。
「桜を見る会」問題に火が付いて以来、各社が行っている世論調査は、おおむね同じ傾向が続く。内閣支持率は5〜7ポイント程度下落して5割前後になっている。
「5割」という数値は必ずしも低いとはいえない。共同通信社の調査でも安倍内閣の支持が4割を割り込んだこともある。その時と比べれば十分高い。しかし、世論調査ウオッチャーたちによると、今の内閣支持率は「数値よりも内容が悪い」という。
次ページこれまでは2〜3カ月すると持ち直していたが…
かつて安倍内閣の支持が落ちたのは、特定秘密保護法や、集団的自衛権の行使を一部容認した安全保障関連法などを成立させた時だった。反対が根強い中で強引な国会運営をした影響もあったが、ある程度支持率が下がるのを覚悟して、信念に基づいて政策を押し通した結果だった。覚悟していたから、措置しやすい。だから2〜3カ月すると支持は持ち直していた。
10月下旬、菅原一秀経済産業相と河井克行法相を巡る「政治とカネ」の問題が起きた時も、安倍氏はある程度支持が下落することを予測し、2人をあっさりと更迭。前後して、国民から批判が集まっていた大学入学共通テストへの英語民間検定試験の導入も見送る決断をした。
その後の世論調査では、内閣支持率は下がらず、むしろ評判の悪い英語民間検定の導入を見送ったことで評価を高めたほどだ。こういった危機管理が長期政権を築いてきた知恵でもあった。
しかし今回の支持低下は安倍氏にとって想定外だった。安倍氏も、安倍事務所も、首相官邸も「桜を見る会」についての危機感は乏しかった。この問題は10月13日、「赤旗」日曜版で問題点が指摘されている。しかし11月8日に参院予算委員会で共産党の田村智子氏が追及するまで十分な対策を練っていなかった。
不支持理由の圧倒的1位は「首相が信用できない」
共同通信のデータを元にもう少し深く分析してみたい。安倍内閣を「支持しない」と答えた人にその理由を聞いた設問がある。その中で圧倒的な1位は「首相が信用できない」で36.0%。前回は27.8%だから、8.2ポイントも上がったことになる。さらに「首相にふさわしいと思えない」も前回の11.4%から15.3%に上がっている。
前回は「経済政策に期待が持てない」が1位だった。要するに安倍政権を評価しない人は、前月までは政策に対する批判が多かったのだが、今は安倍氏自身に拒否反応が主となっている。理由は「桜を見る会」への対応だ。
この問題につい安倍氏の発言を「信頼できる」という回答は21.4%、「信頼できない」は69.2%。「桜を見る会」を巡って安倍氏に不信が高まったことが内閣支持の低下の主要因になっていたことが、はっきり分かる。
次ページ多くの人が「そんなはずはない」と思う説明ばかり
「桜を見る会」の問題はわかりやすい。税金を使って来客をもてなす会に安倍氏の後援者を大量に招いていたという話は、安倍氏が政権を私物化しているという印象を誰もが持つ。
「桜を見る会」の前日、都内の高級ホテルで開かれた「前夜祭」について安倍氏は、総額を示す明細書はなかったと説明しているが、多くの人は「そんなはずはない」と思うはずだ。このことは、すでに「支持者を堂々と『税金』で接待する安倍氏の驕り」(11月13日)や「丁寧に説明するほど疑惑増す『安倍首相の逆説』」(11月18日)で解説している。
この問題は安倍氏個人に向けられている。「森友学園」の疑惑では安倍氏の妻・昭恵氏の関与が疑われた。「加計学園」では、安倍氏の友人である加計学園の加計孝太郎理事長の存在が注目された。また、最近では安倍氏が任命した閣僚が相次いで辞任した。その都度、安倍氏も批判されたが、安倍氏は脇役だった。
しかし「桜を見る会」は、文句なく安倍氏が主役。彼自身に批判の目が向けられている。だから問題は大きく、対応が難しいのだ。
「安倍政権には岩盤支持層が3割ある」は健在
安倍氏はどこまで追い詰められてしまうのだろうか。最近、野党からは疑惑がさらに深まる前に安倍氏が衆院解散してしまうのではないか、という観測が出ている。また永田町内では安倍氏が政権を投げ出し、辞任するのではないかとの見方さえある。
しかし、そこに至る可能性は、現段階では低いとみたほうがいい。共同通信社のデータにもう一度戻ろう。「桜を見る会」に安倍氏の支援者が多数招待されたことを問題だと思うかどうか、という設問に対し「問題だと思う」は59.9%、「問題だと思わない」が35.0%だった。
ここで注目するべきなのは「問題だと思わない」が35%もあることだ。今、テレビ、新聞がこぞって「桜を見る会」を取り上げて批判する中、「問題だと思わない」と答える人は、どんなことが起きても安倍氏を支持しようと考える岩盤支持層だ。
これまで安倍政権が窮地になっても、内閣支持率が30%台で下げ止まることから「安倍政権には岩盤支持層が3割ある」と解説されてきた。世論調査を見る限り、まだこの「岩盤」は健在であることを示している。
野党側はこの問題で一気に倒閣まで持ち込もうと息巻いてはいるが、「桜一辺倒」では難しいことも世論調査は雄弁に語っている。裏を返せば、安倍氏の国会などでの説明に明確な矛盾が生じ、「岩盤層」も崩れ始めた時、今度こそ安倍政権は終末を迎えることになるだろう。
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読売も「襟を正せ」となじる「桜を見る会」の節度
https://president.jp/articles/-/31027?page=3

 

2019年11月27日特集記事
安倍政権を、誰が支えているのか

「安倍さん、辞任するって!」
2007年9月。当時、自民党担当だった私は、騒然とした記者クラブ内の様子を今でもよく覚えている。それほど突然の辞任だった。

あれから12年。
なぜ、安倍政権は復活でき、しかも「最長」となったのか。
今回、その裏側を当事者の話で明らかにしたい。
(長谷川実)

こうして安倍は「復活」した
2007年、第1次安倍政権は1年で幕を閉じた。
その後、福田、麻生、鳩山、菅、野田と、どの政権も1年前後の短命で終わった。


なぜ、長きにわたる政治の混乱の、引き金を引いたような安倍政権が復活できたのか。

それを身近に見て、復活にも手を貸してきた「盟友」がいる。自民党税制調査会長を務める甘利明だ。


「2012年の総裁選挙は勝つべくして勝ったわけじゃない。3番手からスタートし、逆境を跳ね返した。その結束力が、政権の土台に根付いていることが1番だろうね」

甘利が「逆境」と表現するのも当然だろう。
2007年9月12日、安倍は辞意を表明し、翌日、病院に入院した。


安倍は、7月の参議院選挙で大敗しながらも続投を表明。
2日前に行った所信表明演説に対する代表質問に臨む、まさにその日の辞意表明だった。

政権を放り出した格好となり、与党内からも、「理解しがたい」「とまどいを通り越して、悲しみさえ覚える」などと、厳しい批判が浴びせられた。

2012年。安倍は、政権復帰直前の自民党総裁選に再び立候補した。


これには、永田町でも驚きの声があがった。

自民党の総裁経験者が再び総裁に就いた例はないうえ、5年前のあの時の辞め方だ。

はじめに菅が…
なぜ、立候補したのか。その始まりは菅義偉だった、と甘利は語った。
総裁選挙の半年ほど前のことだ。


「菅さんが私のところに相談に来て、『安倍さんをどうしても、もう1回表舞台に引っ張り出し、この国の指揮を執ってもらいたい』と。わたしも、どん底まで落ちた人がまたトップになるのって痛快だな、これ以上の再チャレンジってないだろうなって」

承諾した甘利と菅は、連日、甘利の事務所で打ち合わせを重ねた。
その後、麻生が加わり、3人のチームが誕生する。しかし逆風は想像以上だった。


「ウチの秘書もけっこう怒鳴られたし、親しい県議会議員に頼んでも、『いやあ、今回は勘弁してくれ』などという話もあった。『何とか2番を取れ』と必死だった」

“内閣主導でいく”
9月の自民党総裁選挙。
5人が立候補し、1位は石破、安倍は2位。


いずれも過半数に届かず、決選投票の結果、安倍が逆転し、総裁に返り咲いた。

そして12月の衆議院選挙で圧勝し、自民党は政権を奪還した。喜びに沸く自民党の開票速報本部で、甘利は安倍から政権構想を明かされる。


「2人きりになった時、『人事どうします?』と聞いたら、ひと呼吸置いて、『甘利さん、閣内で経済の指揮を執ってくれ』と。『党はどうします?』と言ったら、『閣内に人材を集めたい。内閣主導でいきたい』という話だった」

安倍は、ことば通り、麻生、菅、甘利を、それぞれ副総理兼財務大臣、官房長官、経済再生担当大臣と、内閣の骨格ともいえる枢要なポジションに配した。


そのうえで、石原伸晃や林芳正ら総裁選で戦った相手も閣内に集めた。

そして内閣発足当日の夜、安倍は初閣議で緊急経済対策の策定と補正予算案の編成を指示。

年明けには、休眠状態だった経済財政諮問会議を再開させ、経済再生に向けた検討を始めるとともに、日銀と政策協定を結び、新たな金融緩和策が始まった。いわゆる、アベノミクスだ。

「3人組」
麻生、菅、甘利の3人は、結束を維持するため、菅の提案で2か月に1回程度、ひそかに食事をともにした。

甘利は、こう自負する。


「長期政権につながる人事配置は、はじめからできていた。つくづく思ったのは、『実力がそこそこあるやつが3人そろったら、政権って維持できるな』ということだね」

ところが、甘利の当時の秘書が建設会社から現金を受け取っていた問題が浮上。(最終的には不起訴処分)2016年1月、甘利は責任を取って辞任し、3人組の一角が崩れた。


「『トライアングル』というのは、それぞれ協力し合ったり、けん制し合ったりする良い距離が取れるけれども、麻生、菅、2人の関係がうまくいくといいなと。俺が間に入れなくなったんで、総理に2人の間に入る役までやらせてしまった…」

甘利が去って以降、麻生と菅は、衆議院の解散戦略などをめぐって、たびたび意見を異にし、永田町では2人の不協和音がささやかれることになった――

情報は「制服組」から
安倍が「最も信頼する自衛官」がいたことをご存知だろうか。


河野克俊。2014年に自衛隊トップの統合幕僚長に就任し、3度も定年を延長。安倍と歩みを同じくするように、「歴代最長」となるおよそ5年の任期を務めた。

河野は、ある分野での情報共有のシステム化が、政権の安定に寄与した、と語る。
「外交・防衛が一緒のテーブルに着くシステムを作ったのは非常にいい。これまでそういう機会はなかったから」


どういうことか?
総理大臣の1日の動きをまとめた記事「総理動静」には、週に1回程度、外務省、防衛省、自衛隊の幹部の名前がそろって登場する。

外務省総合外交政策局長、防衛省防衛政策局長、そして自衛隊の統合幕僚長だ。
「ブリーフィング」と呼ばれる会合で、外交・安全保障に関する最新の動向を総理大臣に説明するものだ。

こうした仕組みができたのは、実は、第2次安倍政権からだという。
それまでは、いわゆる「制服組」と呼ばれる自衛官が、総理大臣に接する機会は限られていた。

「戦前の軍の二の舞を避けるため、自衛隊を極力、政治から遠ざけてきた。それがシビリアンコントロールだと」


「でもわたしの報告があるので、安倍総理は、自衛隊の動きが頭に入っている。そういう総理は初めてだと思う。日本もその意味では、諸外国並みになってきたと思いますね」

イラン情勢が緊迫する中、政府はことし10月、中東地域への自衛隊派遣を検討することを決定した。
政府内では、ホルムズ海峡の中で活動すべきだという意見もあったが、活動範囲はホルムズ海峡外側のオマーン湾やイエメン沖などを中心にするとした。関係者は、安倍が、イランとの関係を考慮しただけでなく、自衛隊の運用や現場部隊に及ぶリスクまで把握したうえで行った判断だと話す。

また別の関係者は、自衛隊や各国の軍事動向を把握することが、首脳会談の際、通訳だけを同席させるいわゆる「テタテ」や夕食会など、用意されたペーパーを読むことが難しい場面で役立つと語る。例えば、ヨーロッパの首脳に対し、地中海付近での中国軍艦船の動向を教えると驚かれることもあったという。

官邸の「意思決定」は誰が
安倍政権以降の政治状況は、「官邸主導」「政高党低」などと言われる。

官邸内の意思決定はどのように行われているのか。
ことし9月の内閣改造で就任した官房副長官、西村明宏に尋ねた。


第2次政権の発足以降、衆議院議員では4人目となる副長官だ。

官邸では、秘書官などを交えた闊達な議論が行われていると説明する。


「政権が長いから、秘書官の皆さんも気心が知れていて、総理に言いたいことをけっこう言っている。非常に自由な議論が行われ、その中で総理が決断するプロセスがある。みんなで同じ方向を向けるのが、政権の強さの源ではないか」

このうち政務担当の今井秘書官は、第1次政権でも事務秘書官を務めた。経済産業省の出身だ。


さらに下の写真、安倍の向かって左に控えるは、やはり経済産業省出身の佐伯秘書官。第1次政権では秘書官付きの事務官だった。安倍の右につくのは外務省出身の鈴木秘書官。第2次安倍政権の発足以降、一貫して務めている。


安倍、菅、3人の官房副長官と秘書官は、原則として、毎日1回、一堂に会し、食事などを取っている。いわば「チーム安倍」ともいえる存在だ。

しかし、安倍の周辺だけで政策を決め、自民党全体での議論が乏しいのではないか。


「党側と官邸はきちんと意思疎通をしている。ただ、その意思疎通が記者団に見えないから、国民には分かりづらいかもしれない。実際、私も党の方と毎日行き来しながら話しているから」

与党も野党も…「しかし次は」
因縁の相手にも聞いてみた。小沢一郎だ。


安倍が総理就任後、初めて臨んだ国政選挙だった12年前、2007年の参議院選挙。
小沢は当時の民主党代表として対決し、自民党を歴史的な大敗に追い込んだ。


自民党は、結党以来初めて参議院の第1党の座を失い、国会は「ねじれ状態」となった。
安倍の退陣につながっただけでなく、のちの民主党への政権交代にもつながる大きな転換点だった。


長期政権の理由として、何よりもまず野党が結集できていないことを挙げた。
「政局的に言えば、1つは、野党が結集できていないことが大きい。2007年は党が基本的に1つだった。共産党などはいたけども、リベラル・中道は1つになっていたから。その違いだ」


そして、自民党内の状況も要因だと指摘した。
「もう1つ、自民党内の活力が全くなくなっていることもある。つまり与野党ともに、官邸権力に対抗するだけの力がなくなっている。もう政治家の資質の問題だな。自民党も、陰でぶつくさ言っているけど、表向きは、安倍を公然と批判する議員はほとんどいない。大きく言えば日本社会全体に言えることで、絞って言えば、政治家の資質の問題だ」

野党がまとまれば、与党に勝利できると主張する小沢。
この7年間で、与党に警戒感を抱かせた瞬間があった。
2年前、2017年衆議院選挙の「希望の党」設立だ。


「希望の党」が発足する前、小沢は、野党結集に向け、水面下で小池知事や当時、民進党の代表を務めていた前原誠司と会談を重ねていた。


小沢は、野党勢力を幅広く結集させることを望んだが、果たせなかった。
「ひとときのドラマみたいなものだった。でも、あれは小池が本気になったら十分勝てたよ。小池が衆議院選挙に出て、各党が1つになって、『排除』なんてバカなことを言わなければ」

小沢が、もっと勝てる可能性を感じていた選挙がある。
さらに1年さかのぼる2016年の参議院選挙だ。

小沢は、当時、民主党の代表だった岡田克也に対し、野党の結集を呼びかけていた。


小沢が、各党の比例代表候補の名簿を統一する方法を提案したのに対し、岡田も真剣に検討したという。
しかし岡田は、「統一名簿方式」は、各党ごとの復活当選がある衆議院選挙では適用できないことなどから、小沢の提案を最終的に断念。

結果的に野党の結集はかなわず、与党が勝利した。

「3年前の参院選は本当に残念だった。もう少しだったんだよ。統一名簿方式で連合もオッケーのところまでいったんだよ。岡田君だけが反対してダメになった。絶対勝てたはずだ」


次の選挙、野党がまとまる見通しは?
「100%まとまる」

“小泉流”からの脱却
第1次政権と第2次政権との違いとして、“小泉流”からの脱却があると言うのは、一橋大学大学院教授の中北浩爾だ。


「小泉さんは派閥を否定したけれども、安倍さんは派閥をうまく使って党を掌握しています。かつての自民党の統治システムに、一連の政治改革で強化された総理・総裁の主導権をミックスしていて、非常に強固な安倍総理のトップダウンが実現していると考えていいと思います」

甘利が長期政権の要因に挙げた、「チーム安倍」の結束力を中北も指摘した。


「安倍さんは、非常に固い結束力を持つチームを作っているのが最大の強味で、第1次政権で失敗し、第2次政権で復活するプロセスの中で、さらに強固に再編された。これをつくれる政治家はしばらく出ないんじゃないでしょうか」

しかし、長期にわたる政権運営の中で驕(おご)りや緩みも出ているのも確かだ。

総理主催の「桜を見る会」をめぐっては、参加者や予算が年々増え、総理や官房長官、与党などに招待者の推薦枠があり、後援会関係者や知人も招待されていた。


また「加計学園」をめぐる問題では、当時の「チーム安倍」の一員だった総理大臣秘書官が、学園や自治体の関係者と事前に会っていたにもかかわらず、国会で「記憶の限り会ったことはない」などと否定し、安倍に近い人への優遇が疑われた。


中北も、政権の規律が失われている面があると指摘する。


「安倍政権は強固に安定しているから、それに対するチェックが効かない。権力の驕りも出れば緩みも出る。これは善し悪しだが、『悪し』の部分が目立つのも事実じゃないか」

長期政権の「驕り」は
麻生・菅・甘利の3人、秘書官らで構成する官邸の「チーム安倍」、そして制服組などからの情報網。政権維持の「骨格」はこうして形づくられた。

そして安倍は、消費税率引き上げの先送りなど、大きな決断を行う際には衆議院を解散して信を問い、勝利することで求心力を高めてきた。

一方で、政権から規律が失われつつあるのだとすれば、意外と早く崩れていく可能性もある。

安倍の自民党総裁としての任期は残り2年弱。
歴代最長任期を更新した11月20日、安倍は、「薄氷を踏む思いで、緊張感を持って歩みを始めた初心を忘れずに政策課題に取り組んでいきたい」と述べた。


安倍が驕りや緩みをそのままに政権を去るのか、緊張感を取り戻し、経済再生や拉致問題など残された重要課題に道筋をつけるのか、厳しい目が注がれている。

(文中敬称略)

#安倍晋三#小沢一郎#甘利明#自衛隊#菅義偉

政治部記者
長谷川 実
1998年入局。徳島局を経て政治部。自民党、民主党、防衛省などを取材。仙台局でデスクも。現在は官邸担当。
関連記事
安倍政権は、なぜ続くのか
歴代最長政権 海外の見方は
アベノミクスをどう評価するか
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/26401.html



 

 
2019年11月19日特集記事
安倍政権は、なぜ続くのか

安倍総理大臣の在任期間は、11月20日で第1次政権から通算2887日に達し、憲政史上最長となる。
支持する人、しない人、様々な立場はあると思うが、なぜ長期政権になったか、世論調査を分析すると見えてくるものがないだろうか。
今回、過去のデータを改めてひもといてみた。
(政木みき)
3度のピンチも・・・
安倍総理大臣の在任期間は2019年11月20日で、憲政史上、最長となる。
今回、分析に利用するのはNHKが毎月蓄積してきた世論調査の結果だ。
グラフは2012年12月に発足した第2次安倍政権以降の約7年にわたる支持率(2013年1月〜2019年11月)である。
(注:現在の電話調査は18歳以上、固定電話と携帯電話を対象に行うRDD方式で行っているが、これまで2度、調査方法を変更している。変更の前後では単純な数字の比較はできないが、過去との大まかな傾向を比較する)
支持率は発足直後に最高66%を記録するが、2015年安保法制の議論のとき、森友・加計問題で急落した2017年、2018年と大きくみて3度の局面で30%台に落ち込み、「不支持」のほうが多くなる事態に陥った。
ただ、支持率が下落するたび盛り返し、2017年7月に記録した最低支持率35%を下回ることはなく、2019年4月以降はおおむね50%近くを維持している。
第1次安倍政権の後、毎年のように変わった自民・民主の歴代政権末期の支持率が20%前後と低かったのと比べると、安定して30%を超える固定支持層が存在していることがみてとれる。
似てる?似てない?小泉と安倍
なぜ長い間にわたり政権を維持できたのか。平成時代のもう1つの長期政権、小泉政権の支持率の特徴と比べながら検証を進めたい。
回復のカギは「外交」と「選挙」
発足時の支持率が驚異の80%超、国民的人気を誇った小泉政権も、5年5か月の間には安倍政権同様、浮き沈みを繰り返してきた。

2つの政権には共通点がある。落ちた支持率が上昇に反転するときに、目立った外交の動きや選挙があったことだ。
まず外交でみると、小泉政権では「日朝首脳会談」が行われた後、2002年11月をピークに大きく上昇している。

他方、安倍政権では、2017年2月の58%の山に向かって支持率が上がっている。直近の2016年末から2017年はじめにかけて、日ロ首脳会談、オバマ大統領との真珠湾の慰霊訪問、トランプ大統領との初の日米首脳会談などといった外交イベントが重なり、有権者の期待感が高まったことも考えられる。
もう1つの共通点は衆議院の解散総選挙による回復だ。小泉政権で象徴的なのは2005年の「郵政選挙」である。

支持率は選挙の前後で47%から58%へと急上昇した。
一方、第2次から第4次の安倍政権では約7年で衆参合わせて5回もの国政選挙があり、うち2回が支持率が下がるなか安倍総理大臣が踏み切った2014年と2017年の解散総選挙である。

支持率は、2014年衆院選前後で47%から50%、2017年衆院選前後では37%から46%にアップし、戦略的に解散というカードを切り事態を打開しているのがわかる。
幅広い支持の小泉政権、固定支持層の安倍政権
男性と女性で分かれる支持
戦略的に長期政権を維持してきた2人の総理大臣。しかし支持率を詳しくみると、「誰が支持するのか」という点で大きな違いが浮かぶ。いわば幅広く支持を集める小泉政権に対し、特定の固い支持層に支えられる安倍政権だ。

わかりやすいのが男女の差である。小泉政権は男女の線が重なり男女の支持率の差が小さい。

安倍内閣は第2次政権以降一貫して男性が女性を上回る。男女差の平均は8ポイント。男女で好みが分かれる。

年代別でも違いがみられる。小泉政権の年代による支持率の差は一定程度でむしろ政権末期には縮小している。

これに対し、安倍政権では支持率が高い傾向の30代までの若い層と、低い傾向の高年層との差が徐々に広がり、第4次政権では差の平均が10ポイントを超えている。安倍政権では支持する人と支持しない人の特徴が年を追うごとに明確になっている。
自民支持層とそれ以外(支持なし層・野党支持層)で進む「二極化」
有権者の「二極化」がさらに顕著なのが支持政党別の結果だ。

「自民支持層」「野党支持層」、支持する政党を持たない「支持なし層」に分けてみると、小泉政権はこのような状態。

比較すると、安倍政権は、小泉政権に比べ支持なし層の支持率が低い。
むしろ野党支持層寄りになり、70%〜90%台で高位安定する自民支持層との隔たりが大きい。
第2次安倍政権以降の支持率の平均で傾向をみると、自民支持層では80%を超えるのに対し、野党支持層と支持なし層はともに20%台と、60ポイント前後もの開きがある。しかも第2次政権と比べ、第3次・第4次政権では差が拡大しているのだ。
第2次安倍政権以降の支持なし層の支持率は40%台でスタートした後、2015年8月の14%で底を打ち2017年2月には39%まで回復する。しかし森友・加計問題で再急落した後、第4次政権ではほぼ20%台に沈んだままだ。
東京大学名誉教授の御厨貴さんは、こう分析する。

「小泉さんは先手を打つんです。これからこういうことにしたいとか、全体の政治の流れをこういうふうに持っていきたいというときに、必ずそれに合うようなワンフレーズの言葉を入れて、みんなが何だろうと思ったところで、またぽんぽんと言っていくから自然とみんなそれについていくわけです」
「安倍さんの場合、既に起こったことや何かについて、必ずそれに立ち戻ってこれはこうだったという説明をするわけです。そして追及されたことに関して最初ははぐらかす。はぐらかしがきかなくなってくるとついに逆襲するわけです。小泉政治というのはちょっとポピュリズム的なところがあって、あまり説明はしなくても『おい、行こうぜ』みたいなところで、みんなついていってしまう。だけど安倍さんの場合そういう風にはならない。絶対安倍さんが嫌だっていう層がいるから。だから安倍政治というのは、ポピュリズムだとは誰も思わない」
支持の理由 不支持の理由
「他の内閣よりも良さそうだから」 消極的支持への変質
第4次政権では全体の3割〜4割を占める支持なし層での支持離れは政権にとって大きな痛手であるはず。でもなぜ選挙に勝ち続けられるのか。

「安倍内閣を支持する人の理由」をみると、「他の内閣より良さそうだから」という理由を挙げる人が政権の長期化とともに増え、2017年3月以降は支持する人の40%〜50%に及んでいる。
安倍内閣を支え続ける底堅い支持の動機は、政策への期待でも実行力への期待でもなく、「他の内閣より良さそうだから」といういわば消去法の「消極的な支持」に変質している様子がうかがえた。

一方、「安倍内閣を支持しない人の理由」は、森友・加計問題などで支持率が落ち込む第3次政権末期から第4次にかけて「人柄が信頼できないから」が大きく伸び、「政策に期待が持てないから」をほとんどの月で上回っている。「政策」ではなく「人柄」が不支持のキーワードだ。
個別政策の評価などをみると、安倍政権では固定支持層と支持なし層それぞれを引きつける理由があることがみえてきた。
最も評価された「外交・安全保障」
直近の11月の調査で、これまでの安倍内閣の実績として最も評価していることを6つの政策課題の中から選んでもらった結果、最も多かったのは「外交・安全保障」の23%で、特に自民支持層では33%と3人に1人があげた。

背景の1つに安全保障環境の変化があげられる。北朝鮮が相次いで弾道ミサイル発射した後の2017年7月と9月の調査では8割超が不安を示し、政府が北朝鮮に対する厳しい措置や圧力強化を打ち出すと、「評価する」という人は半数を超え、自民支持層はさらに高い割合だった。
外交の他の項目をみると、たとえば日韓関係が悪化するなかでの「韓国を輸出管理優遇対象国から外す決定」について尋ねた2019年8月調査では「支持する」が55%、自民支持層では66%だった。こうした外交政策では全体でも一定の評価を得つつ固定支持層でさらに高い支持をつかんでいる。
看板の「アベノミクス」
安倍内閣で評価する実績を尋ねた質問で「経済政策」をあげた人の割合は4番目だったが、第2次政権以降、大胆な金融緩和と財政出動、成長戦略を打ち出した「アベノミクス」が自民支持層の結束を固めていると分析する識者もいる。
確かにアベノミクスについて、2016年7月の調査で「期待する」と答えた人は46%だったが、自民支持層では76%と高かった。この差はなんなのか。

一橋大学教授の中北浩爾さんは、「アベノミクス」こそが経済を大きくして成長をめざす自民党の伝統的手法への回帰であり、安倍政権は第1次から第2次政権で、小泉政権時代から受け継いだ「改革」から「成長」にシフトチェンジしていると指摘する。
そのうえで「『成長』というのは自民党の支持基盤にとっては受け入れやすい。特に国土強靭化とか公共事業とかいったことは小泉改革とか2000年代の民主党政権時代ではずっと否定されてきたわけですけど、成長はそういったことも含むわけです。『改革』という言葉は無党派層に届きやすい一方、敵を作る可能性もある。安倍総理は自民党のありかたというものを傷つけない範囲で改革を行い、自民支持層を固めているのが小泉政権との大きな違い」と話す。
安倍政権では消費税率の引き上げを2014年4月に8%へ、2019年10月に10%へと2度行っている。消費税率10%への引き上げの実施前、「どちらともいえない」を含む三択で賛否を聞いた結果、「反対」が半数を超えることはなかった。

過去の政権が苦労した消費税引き上げという課題についても乗り越えているのは、第2次安倍政権以降、日経平均株価が上昇したり、大学生の就職内定率が高い水準で続いていたりするといった状況のなかで、全体としても経済の安定について一定の評価があることが考えられる。
自民党の原点 憲法改正
固定支持層の支持固めとしては安倍総理大臣が意欲を示し続ける憲法改正もあげられるだろう。2019年7月の参院選前の調査では今の憲法を改正することについて「必要がある」、「必要はない」、「どちらともいえない」の3択で尋ねた結果、ともに3割程度で意見が割れた。
しかし自民支持層では「必要がある」が43%と全体に比べ10ポイント以上高い。世論調査の推移をみる限り、憲法改正について、国民全体の改憲機運の盛り上がりはみられない。しかし、それでも自民党結党以来の重要政策を掲げ続けることが、自民党支持基盤を固めているとみられる。
民主党政権の記憶
政権交代前夜で、民主党の存在感が増していた小泉政権時に比べ、安倍政権下では、野党への期待感の低さも特徴的である。
安倍政権下の2019年7月の参院選前の調査で「野党の議席が増えたほうがよい」と答えたのは約3割だった。野党支持層では7割近くに上ったが支持なし層では3割台にとどまった。支持なし層の安倍政権の支持率は低いものの、野党への期待も低いという状態だ。

7月の参院選の選挙戦で安倍総理大臣は「悪夢のような民主党政権」といった刺激的な言葉や「あの暗く低迷した時代」といった言葉を多用し、政権を担えるのは自民党しかないということを強調してきた。
支持なし層の政権に対する支持率が低くても、「民主党時代よりはまし」という暗黙の前提を有権者に醸成し、それが「他の内閣より良さそうだから」という消極的支持を引き出しているのだろう。
御厨さんはこう話す。

「『あの民主党政権』と言われたときに、ああ、あれよりは安倍さんいいよねという気持ちを起こされる。だから、あのときの政権交代というのは本当に安倍さんには有利に働いて、単にそこで政権交代しただけでなく後の選挙に全部効いてくる。だからある時期からもう安倍さんは不戦勝みたいなもので、戦わずして勝っているようなところがある」
中北さんは次のように指摘する。

「『改革』を打ち出すことで熱狂的な支持を獲得してきた小泉総理に対し、安倍総理は、国民の熱狂的支持があるわけではないが、やっぱり消極的支持がある。民主党よりはましだ、経済もいいでしょ、政治も安定しているでしょということが下支えになっている」
「単に政権の力だけでできたわけではなくて、民主党という対抗する最大勢力が失敗したっていう後にこそ出現したという感じでしょうか。それは安倍総理自身、相当意識してやられているし、また、民主党の失敗ということで国民も安倍政権がいいと。政権を戻しちゃいけないということで自民党も結束していくと。そういう中で安倍長期政権が成立したのではないかと」
選挙でも二極化 投票意欲が下がる支持なし層
有権者の二極化の進行、支持なし層の野党への失望が最終的にもたらしているのが投票意欲の低下であろう。
安倍政権下で毎年のように行われた国政選挙では、衆院選、参院選ともに投票率の落ち込みが目立ち、2019年7月の参院選の投票率は48.80%と半数を下回った。国政選挙前の調査でも、特に支持なし層で投票意欲や選挙への関心の顕著な低下が確認できる。
「必ず選挙に行く」という人は、支持する政党を持つ人で多い。投票に行く人と行かない人の二極化が進むなか、安倍政権は自らの支持層を固めて選挙に勝ち続け、政権を維持してきたのである。
死角は「風」?
では、安倍政権に死角はないのだろうか。ポイントの1つは他の選択肢が生まれるかどうかだ。2019年7月の参院選では、選挙直前に発足した「れいわ新選組」は比例代表で得票率4.6%、2議席を獲得し、れいわ旋風とも称された。

2017年の衆院選前、自民党に変わる政権政党を目指す「改革保守」の旗を掲げて発足した「希望の党」の例もある。

小池百合子東京都知事のもとで発足した直後にもかかわらず、衆院選前の調査の支持政党の質問では5%前後の支持を集めた。
希望の党はその後解党し、れいわ新選組の支持の広がりも現時点ではみられない。しかし、自民党に代わる選択肢が出て「風」が吹けば、長く続いた安定に変化が起きる可能性もありうる。
有権者の信頼を損ない、身内の支持まで失ったり、支持なし層のさらなる支持離れが起きたりしても状況は変化するだろう。
2019年10月に改造直後の安倍内閣で2人の大臣が相次いで辞任したのもつかの間、11月に入ると総理大臣主催の「桜を見る会」のありかたが大きな問題となっている。

いずれも政権は即座に大臣を更迭したり、桜を見る会の中止を決定したりして、問題の収拾を図ろうとしているが、長期政権の緩みとの批判は根強い。
こうしたさまざな要素が絡み合い、選挙で変化をもたらす重要な要素となるのが投票率の向上だ。ずっと選挙で勝ち続けてきた安倍政権。しかし、支持なし層の支持は低く選挙での投票率は低い。有権者の4割から5割は投票さえしていない選挙が続いている。
「選挙での選択」について有権者の関心が上向き、残りの有権者が選挙に行くような事態になったら・・・盤石にもみえる政治状況に変化が起きるかもしれない。
#世論調査#安倍晋三

選挙プロジェクト記者
政木 みき
1996年入局。横浜局、首都圏放送センター、放送文化研究所世論調査部を経て現在、政治意識調査を担当。
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投票率、ズバリ当てます! 参院選

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安倍政権はなぜ続く? 豊田洋一・論説委員が聞く
2019年10月26日

 第一次内閣を含めた安倍晋三首相の通算在職期間が来月、桂太郎首相を超え、歴代内閣で一位となります。二〇一二年に発足した第二次内閣以降、「安倍一強」と呼ばれる「数の力」を背景とした強引な政権、国会運営には厳しい批判はありますが、なぜ安倍政権はこれほど長く続いたのか。神戸大教授の砂原庸介さんと考えます。
 <首相の通算在職日数> 歴代最長は明治・大正期の桂太郎首相で2886日。現職の安倍晋三首相は今年8月、第1次内閣との通算で、大叔父である佐藤栄作首相の2798日を超えて歴代2位に。このまま政権を維持し続けた場合、11月19日に桂首相と並び、翌20日には史上最長となる。連続在職日数の最長は佐藤首相の2798日。歴代最短は終戦直後に就任した東久邇宮稔彦首相の54日。
◆野党弱く圧力かからず 神戸大教授・砂原庸介さん
砂原庸介さん

 豊田 小泉純一郎首相が退陣した二〇〇六年以降、第一次内閣当時の安倍首相を含めて在職一年程度で首相が交代する短期政権が続いていました。その中で連続七年近い、第一次を含めれば八年近くに及ぶ長期政権は異例です。なぜこれほど長く政権が続いたのでしょう。
 砂原 交代圧力の不在が大きな理由です。オルタナティブ(代替勢力)であるべき野党が非常に弱いので、政権交代のプレッシャー(圧力)がほとんどかからない。その結果、政権交代がないだけでなく、独善的と批判される政権運営でさえ可能になっています。
 豊田 野党が弱くなり、政権交代の現実味が欠けていることに加えて、派閥の衰退で自民党内の圧力がなくなったことも長期政権につながっています。まず野党の政権交代圧力がなくなった原因をどう考えますか。
 砂原 一義的には民主党政権の失敗、と言っても、実は何を失敗と言うのかは難しいのですが、うまくいかなかった記憶が強い。あの人たちに任せていいのかと思う有権者は多いと思いますし、政治家側も、かつてと同じような形で結集しても支持が集まるのか、という感覚がある。加えて、野党の足並みがそろわない原因の一つは、安全保障政策で合意がないことです。自民党はそこを攻撃するので、野党は分裂的になります。
 豊田 一方で、自民党内の圧力がなくなった背景には政党・政策本位の政治を目指した平成の選挙制度改革があります。派閥がかつての権勢を失ったのは改革の狙い通りですが、人材育成機能までなくしてしまった。後継者が育たない、競争原理が働かない現状もあります。
 砂原 中選挙区制当時、政権交代は基本的に起きないと考えられていたから、自民党内で「今の首相は全然だめだ」と言えました。今、それを言うと、ひょっとしたら政権交代が起きるかもしれないと、皆が理解しています。だから、自民党内で野党的なことを言う人がいなくなって、今の枠組みで昇進するための競争をしています。自民党総裁選は最終的には国会議員が決める規程ですから、議員の中で受ける人たちが再生産されていくわけです。
 豊田 平成の政治改革はリクルート、東京佐川急便事件を機に自民党の派閥をなくし、野党を政権交代可能な勢力にすることが狙いでした。派閥の力をそぐことはできましたが、野党の力までそいでしまった。なぜ目指していたものと違ったのか。
 砂原 単純に野党のことを考えていなかったからです。政治改革には二つの要請がありました。一つは二つのブロックに分けること、もう一つはリーダーが求心力を強めることです。自民党は人事や選挙での公認などを通じてリーダーの求心力を高めてきましたが、野党側のためにそうした改革をしてこなかった。野党は求心力を高めることができず、都市部を中心に同じような支持層を奪い合う、極めて過当な競争を続けています。
 豊田 長期政権になったのはそうした制度的な変化が要因なのか、安倍首相の属人的な問題なのか、どちらでしょう。
 砂原 基本的には制度の問題ですが、安倍首相が第一次内閣の教訓を生かして、野党を見ながら自分のポジションを決め、それに成功している面はありますから、制度だけでは説明できない部分はあります。
 豊田 長期政権のメリット、デメリットを伺います。海外で規格外の指導者が誕生する中、外交では安定した政権の方が有利という面はあります。
 砂原 ある意味、安倍首相がリベラル(自由主義)世界のリーダーのようになっているのは仕方がない。野党支持者には不満でしょうが、そこは受け入れて、安倍首相を利用することを考えた方がいい。リベラルなリーダーならこれくらいはするでしょうと、圧力をかけるとか。安倍首相はリベラルじゃない、と言っても仕方がありません。
 豊田 現状を受け入れた上でコントロールした方がいいと。
 砂原 そう思います。「集団的自衛権の行使」の問題も同様で、憲法を変えたくない気持ちは理解できるし、私も九条を変更することが他国との関係に影響があるか懸念します。ただ政権側の憲法解釈に強く反対するあまり、状況に関与できなくなるのはよくありません。
 豊田 平成の政治改革により当初の目的としていた政権交代は二度ありましたが、野党の弱体化や首相官邸への過度の権力集中というデメリットも顕在化しました。国民にとって望ましい政治を実現するためには、どんな選挙制度とすべきですか。
 砂原 一般論としては比例代表制がいいと思います。個人的には衆院をすべて比例にして、参院を廃止してもいいと思いますが現実には難しい。特に衆院の選挙制度は変えにくいので、変えるのなら参院と地方です。その際、女性の代表を増やすなど多様性を拡大するには、明らかに比例代表制が望ましい。
 豊田 個人的には比例代表制の方がいいと思いますが、政党の統治機能を強めることが前提です。比例代表選出議員が離党したら、議員を辞めるくらいでないと政党本位にはならない。
 砂原 その通りです。地方でも、選ばれた議員は全住民への責任を負わされていますが、選んだ人たちから見ると、自分たち特定地域の代表にすぎなかったりする。そして、その代わりがいないわけですよ。だから、妊娠などによる議員の休職を支持者の側が認めない。(採決での)代理投票など比例の方が融通は利く。責任だけ異常に重く、入れ替えできないのは、個人への投票だから当然です。そのことが相当程度、足を引っ張っていると理解しています。
 豊田 民主主義にお金がかかるのは分かりますが、政党交付金制度ができて、各政党は政府からお金をもらうのが当然になってしまった。まるで国営政党です。それが政治の劣化につながっているのではないですか。
 砂原 私自身は劣化だとは思いませんし、政党に資金面で責任を負わせると、また野党への負担になる。政治に劣化があるとすれば、選挙制度とは関係なく、どういう人が政界に入ってくるのかです。以前、政治家の仕事には見返りが多いと思われていましたが、政治改革でほとんど切ってしまった。だから、良くも悪くも自分の能力を生かして、ひと山当てようという人が政界に来なくなってしまった。ちゃんとした人に議員になってほしいと思ったら、報酬は上げてもいいと思います。首長の中には身を切るといって報酬を下げる人がいますが、対抗馬をつぶすダンピングという側面も無視できません。
 <すなはら・ようすけ> 1978年、大阪府生まれ。東京大教養学部卒。同大大学院博士後期課程単位取得退学。大阪大准教授、ブリティッシュコロンビア大客員准教授などを経て、神戸大大学院法学研究科教授。専門は政治学、行政学。著書に『分裂と統合の日本政治』(千倉書房)など。


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https://www.tokyo-np.co.jp/article/culture/hiroba/CK2019102602000225.html


 

2019年11月20日特集記事
歴代最長政権 海外はどう見たか

アメリカ
「他国がまねしたい位な蜜月。ただ、簡単に政策がひっくり返る可能性も」
中国
「永遠の隣国関係どうし協力して手をとりあうべき」
ロシア
「個人的信頼はあるが、領土問題の解決は、幻想では…」

11月20日、歴代最長となった安倍政権を世界はどう見ているのか。
今回、私たちは各国メディアの東京駐在の特派員を取材し、二国間関係を中心に安倍外交の評価を聞くとともに各国の本音を探った。
(政治部取材班)

“地球儀俯瞰外交”
安倍総理大臣が、第2次政権以降の6年11か月で訪れた国は、のべ172の国と地域。移動距離は155万キロ余り、地球を38周以上した計算になる。
この中で、最も多く訪れたのはアメリカ。その数、実に16回。


3年前に行われたアメリカ大統領選挙でトランプ氏の当選が決まった直後の11月、「初めて」会った外国の首脳は、安倍総理大臣だった。トランプ大統領との個人的な関係は世界の首脳の中でも際立っている。

”安倍・トランプ” 日米関係は
日本が、かつてない強固な関係だとしている日米関係。アメリカのメディアはどう見てきたのか。


有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナル東京支局長で、日本取材歴は通算およそ17年になる、ピーター・ランダースさん(50)。安倍総理大臣に直接、インタビュー取材した経験もある。

「最初、読者の間では、『アベノミクス』で日本経済を復活させるという意味で安倍総理は注目されていた。最近はあまり言われなくなったがね…。アメリカの経済関係者の評価は悪くはないと思うよ」

そして、注目してきたのは、やはり、トランプ大統領との関係だ。
「トランプ大統領という、全く誰も予想しなかった人に対して、ほかの国が被っているようなダメージを避けているという意味で、大きな成果を上げている」

どういう意味か。

ランダースさんは、激しい貿易摩擦が起きている米中関係と比較して説明した。


「中国は高い関税を払わなければならなくなり、トランプ大統領になるまでと比べ、全く不利な状況だ。これに対し、日本は、貿易協定もそうだが、状況はそれほど変わっていない。日本経済全体で言えば、ほとんど被害はなかった」

「日米首脳の蜜月は、アメリカにとってどうかはわからないが、日本にとってはプラスだと思う。他国がまねしたい位にプラスになっている」

安全保障面でも、日米同盟はより強固になったとされる中、日米の関係に死角はないのだろうか?


「うーん…。トランプ大統領との個人的な関係は、かつてないほど強い。一方、国家の組織同士の関係では、まだそこまでは基盤を作り切れていない気がする。仮に来年の大統領選挙で、日本に懐疑的な見方をする民主党の候補が当選した場合、日本にもっと貿易の不均衡を見直すよう迫ったり、防衛面で負担を求めたりなどと、簡単に政策がひっくり返る可能性はあると思う」と指摘した。

日本とヨーロッパは
そのトランプ大統領との関係が、貿易や安全保障面でぎくしゃくしているとも言われるヨーロッパ。フランスの有力紙、ル・モンドの東京特派員、フィリップ・メスメールさん(47)の指摘はこうだ。

「トランプ政権と交渉するのは、とても難しいことだ。だから安倍総理は、やりすぎだとは思うが、ベストを尽くし現在の関係は良い。しかし、あすは…。もし米中の貿易交渉が解決したら?、もしアメリカが在韓米軍の韓国負担増額に成功したら?、次は日本にもっと求めてくる。それがトランプ大統領のやり方だ。日米の首脳の関係は強固だと言うけれど、簡単に壊れかねない。トランプ政権を見ているとそういう印象だ」
一方、安倍政権の日本と、ヨーロッパの関係については。
「関係は非常に良いと思う。特に経済面で日本とEU=ヨーロッパ連合のEPA=経済連携協定が締結されたことは良い進展だった。フランスも、日本を外交における優先順位の高い国とし、安全保障分野では、インド太平洋地域への関心を共有し関係は非常に良い」

ただ、メスメールさんからは、環境問題や女性政策について手厳しい指摘が相次いだ。


「ことし6月のG20大阪サミットでは、地球温暖化対策の国際的な枠組み『パリ協定』をめぐり、日本は、協定に否定的なトランプ大統領に配慮して、消極的だった」

「『女性活躍』については、女性を輝かせると大キャンペーンをやっているが、言葉よりも行動が重要だ。しかし、女性の働きやすさに向けた待機児童対策のほか、企業の女性管理職を増やすこともあまり進んでいない。男女の所得格差は広がったままで、経済大国なのにとても残念だ」

中国は日本をどう見る
そして、大国となった中国。今、安倍政権に何を思っているのか。

「外交は、相手国の政権に合わせてやっている。一つの政権が長期に続いている間は、基本方針が変わらないだろうから、そういう意味では外交がやりやすいでしょうね」
こう話すのは、中国国営の経済紙、「経済日報」の東京支局長、蘇海河さん(55)だ。


「僕たちから見れば、安倍さんは、第2次政権に入ってから、第1次よりソフトな態度で、日本国内でも国際社会でもいろんな意見が聞けるようになり、より現実的になってきた。そういう意味で、よく協力できるパートナーになると思う」

日中関係は、民主党政権では沖縄県の尖閣諸島の国有化や、中国漁船の衝突事件をきっかけに悪化。安倍政権になっても、尖閣諸島をめぐっては中国公船の領海侵入などが相次ぎ、その都度、日本側は抗議してきた。

しかし、蘇さんは、そうした中でも、対話と協議、そして経済交流を重視してきた安倍政権の姿勢が、今の関係改善につながっていると指摘する。


「安倍総理は、『中国の発展は、日本にとってチャンスだ』というスタンスで臨んできた。経済交流がどんどん密になり、中国人の日本に対する理解も深まってきた。それも、両国間に横たわる問題は『対話と協議を通じて情勢悪化を防ぐ』という合意を、安倍政権が中国政府との間でできたからだと思う」

一方、中国は、貿易問題で対立するアメリカを念頭に「保護主義や一国主義に反対する」とした上で、日本には接近を図っているとみられている。日米同盟を基軸とする日本の立ち位置がアメリカ側にある中で、中国政府は、日本をどう評価しているのだろうか。


「まさに、一国主義か国際協調路線かですよね。日本はTPP=環太平洋パートナーシップ協定も、そして、今交渉が行われている中国も含めたRCEP=東アジア地域包括的経済連携も積極的に進めている。これを中国は高く評価している」

その上で…。
「日本はアジアの国で永遠の隣国関係だ。国際自由経済をどんどん進めるため、中国と日本が協力し、もっと広い範囲で、いろんな国と手をとり合って進めていくべきだ」

”安倍・プーチン” 日本とロシアは
そして、もうひとつの大国、ロシア。

「安倍晋三氏は、ロシアでは、作家の村上春樹氏、映画監督の北野武氏の次に有名だ。ただ、安倍政権の長さは、ロシア人にとってはそれほどでもないね。というのも、ロシアのプーチン政権は、合わせて15年ほども続いているからね…」


そう話すのは、ロシア国営テレビ・ラジオの東アジア支局長、セルゲイ・ミンガジェフさん(42)だ。

北方領土問題を含む平和条約交渉という難題を抱える日ロ関係。


安倍総理大臣とプーチン大統領は27回もの会談を重ね、お互いを「ウラジミール」、「シンゾウ」と、ファーストネームで呼び合う関係を築いてきた。

これについて、ミンガジェフさんは、「通訳のみを同席させた1対1の会談で本音で話ができるという意味での信頼関係はあるとは思うが、それだけで実際に問題を解決できるかというと、不十分だ」と厳しい見方を示す。


それはなぜか。

「首脳間だけでなく、国民同士に良い信頼関係がないといけない。両国政府は、『関係が良くなっている』としているが、数字を見ると、貿易量や経済協力は低いレベルだ。二国間関係の発展には、必ず、経済分野での関係強化が伴わなければならないと思っている」

その上で…。

「両首脳が目指すのはウィン・ウィンの解決を見つけることだ。しかし、ロシアにとってのウィンとは、北方四島の主権はロシアに残った上で平和条約を締結し、経済分野の関係強化を進めることだ。一方、日本の最終的な目的は、どんな形かわからないが、主権は日本に戻すことなんでしょう?これだと、ウィン・ウィンにはならない」

さらに、ロシアと対立するアメリカを強く意識した発言も。


「ロシア政府から見ると、日本は経済は強いが、国際政治で強いポジションを取れているとはまだ言えない。日本のイメージは、何よりもまず、アメリカの同盟国であり、アメリカの政策に従っているとみている。そうした点からも、領土問題の解決は、幻想ではないでしょうか」

日韓関係は
一方、戦後最悪とも言われる日韓関係。

韓国の人たちは、安倍政権をどう見ているのか。韓国の保守系有力紙、朝鮮日報の東京支局長、イ・ハウォンさん(李河遠・51)に聞いた。


「安倍政権は率直に言って人気はない。安倍総理は日韓関係を大切にしない、そんなイメージが韓国では強い。植民地の被害者だったので、日本から学びながら、どのように乗り越えるのか。日本は友好関係を結ぶライバルじゃないかと思っている」

日本政府は、関係改善のためには、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で、韓国が国際法違反の状態を是正するよう、重ねて求めてきた。

イさんは、具体的な解決策を打ち出さないムン・ジェイン(文在寅)政権の対応には批判的だ。


「1965年の日韓請求権協定は、守っていくほうがよいと思う。被害者の救済については、韓国政府がまず法整備して解決し、日本企業が未来志向で、自発的に救済のための取り組みに参加する案が考えられるのではないか」

一方、日本政府が、ことし7月に「安全保障上の措置」として行った韓国への輸出管理の強化については、強く批判する。


「G20大阪サミットで自由貿易を宣言した安倍総理が、直後にこのような措置をとったのは大いに間違った行動だ。参議院選挙を前に、政治的な徴用の問題に対し、経済的に報復したことになる。韓国経済が悪化し、国民が心配している中だったので不安感を増幅させることになった」

ただ、うらやましい点があるという。


「ことしは令和時代に入ったのを利用してトランプ大統領を国賓として招待し、TICADではアフリカの首脳を、即位の礼でも200人近い各国の要人を招待した。このような役割を果たせているのは、本当にうらやましい」

そして、日韓関係改善に向けては…。


「私はある程度、日本の立場を理解できるが、最後の段階で安倍政権や日本国民が柔軟性をみせてほしい。法律的な問題ではなく、日本は加害国だと謙虚に考え、問題解決に乗り出すことを望みたい。遠い道かもしれないが、お互い知恵を出す。日米韓3か国の協力を強くするのが利益であり、日韓がけんかして時間を無駄にする余裕はない。未来志向が重要だ」

日本に期待される役割とは
日本の長期政権に、さまざまな見方を持つ海外メディアの記者たち。
取材の最後に、全員に問いかけてみた。
「今後、国際社会において、日本に期待される役割はなんですか?」

アメリカ・ランダースさん
「民主主義に厳しい時代、世界のお手本に」

フランス・メスメールさん
「平和構築へ他国の後追いせず自ら戦略を」

中国・蘇さん
「経済の国際協調主義を守る」

ロシア・ミンガジェフさん
「米の意思決定に左右されない役割を」

韓国・イさん
「近隣国の不安解消し平和と経済に役割を」

#アメリカ#ロシア#中国#外交#韓国

政治部記者
山本 雄太郎
2007年入局。山口局勤務を経て政治部。現在は外務省を担当。

政治部記者
小泉 知世
2011年入局。青森局、仙台局を経て政治部。外務省担当を経て、現在、厚労省を担当。医療など社会保障政策を取材。

政治部記者
高島 浩
2012年入局。新潟局を経て国際部。2019年8月から政治部で外務省担当。専門は中国。

政治部記者
渡辺 信
2004年入局。サハリン赴任など経験し、現在は政治部で外務省担当。小学生の時にモスクワ生活。大学時代も旧ソビエトのウズベキスタンに留学。

政治部記者
瀧川 学
2006年入局。佐賀局、福岡局を経て報道局政治部。その後、沖縄局で県政を担当し、現在は政治部で再び取材にあたる。
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/26045.html



2019年11月19日特集記事
安倍政権は、なぜ続くのか

安倍総理大臣の在任期間は、11月20日で第1次政権から通算2887日に達し、憲政史上最長となる。
支持する人、しない人、様々な立場はあると思うが、なぜ長期政権になったか、世論調査を分析すると見えてくるものがないだろうか。
今回、過去のデータを改めてひもといてみた。
(政木みき)
3度のピンチも・・・
安倍総理大臣の在任期間は2019年11月20日で、憲政史上、最長となる。
今回、分析に利用するのはNHKが毎月蓄積してきた世論調査の結果だ。
グラフは2012年12月に発足した第2次安倍政権以降の約7年にわたる支持率(2013年1月〜2019年11月)である。
(注:現在の電話調査は18歳以上、固定電話と携帯電話を対象に行うRDD方式で行っているが、これまで2度、調査方法を変更している。変更の前後では単純な数字の比較はできないが、過去との大まかな傾向を比較する)
支持率は発足直後に最高66%を記録するが、2015年安保法制の議論のとき、森友・加計問題で急落した2017年、2018年と大きくみて3度の局面で30%台に落ち込み、「不支持」のほうが多くなる事態に陥った。
ただ、支持率が下落するたび盛り返し、2017年7月に記録した最低支持率35%を下回ることはなく、2019年4月以降はおおむね50%近くを維持している。
第1次安倍政権の後、毎年のように変わった自民・民主の歴代政権末期の支持率が20%前後と低かったのと比べると、安定して30%を超える固定支持層が存在していることがみてとれる。
似てる?似てない?小泉と安倍
なぜ長い間にわたり政権を維持できたのか。平成時代のもう1つの長期政権、小泉政権の支持率の特徴と比べながら検証を進めたい。
回復のカギは「外交」と「選挙」
発足時の支持率が驚異の80%超、国民的人気を誇った小泉政権も、5年5か月の間には安倍政権同様、浮き沈みを繰り返してきた。

2つの政権には共通点がある。落ちた支持率が上昇に反転するときに、目立った外交の動きや選挙があったことだ。
まず外交でみると、小泉政権では「日朝首脳会談」が行われた後、2002年11月をピークに大きく上昇している。

他方、安倍政権では、2017年2月の58%の山に向かって支持率が上がっている。直近の2016年末から2017年はじめにかけて、日ロ首脳会談、オバマ大統領との真珠湾の慰霊訪問、トランプ大統領との初の日米首脳会談などといった外交イベントが重なり、有権者の期待感が高まったことも考えられる。
もう1つの共通点は衆議院の解散総選挙による回復だ。小泉政権で象徴的なのは2005年の「郵政選挙」である。

支持率は選挙の前後で47%から58%へと急上昇した。
一方、第2次から第4次の安倍政権では約7年で衆参合わせて5回もの国政選挙があり、うち2回が支持率が下がるなか安倍総理大臣が踏み切った2014年と2017年の解散総選挙である。

支持率は、2014年衆院選前後で47%から50%、2017年衆院選前後では37%から46%にアップし、戦略的に解散というカードを切り事態を打開しているのがわかる。
幅広い支持の小泉政権、固定支持層の安倍政権
男性と女性で分かれる支持
戦略的に長期政権を維持してきた2人の総理大臣。しかし支持率を詳しくみると、「誰が支持するのか」という点で大きな違いが浮かぶ。いわば幅広く支持を集める小泉政権に対し、特定の固い支持層に支えられる安倍政権だ。

わかりやすいのが男女の差である。小泉政権は男女の線が重なり男女の支持率の差が小さい。

安倍内閣は第2次政権以降一貫して男性が女性を上回る。男女差の平均は8ポイント。男女で好みが分かれる。

年代別でも違いがみられる。小泉政権の年代による支持率の差は一定程度でむしろ政権末期には縮小している。

これに対し、安倍政権では支持率が高い傾向の30代までの若い層と、低い傾向の高年層との差が徐々に広がり、第4次政権では差の平均が10ポイントを超えている。安倍政権では支持する人と支持しない人の特徴が年を追うごとに明確になっている。
自民支持層とそれ以外(支持なし層・野党支持層)で進む「二極化」
有権者の「二極化」がさらに顕著なのが支持政党別の結果だ。

「自民支持層」「野党支持層」、支持する政党を持たない「支持なし層」に分けてみると、小泉政権はこのような状態。

比較すると、安倍政権は、小泉政権に比べ支持なし層の支持率が低い。
むしろ野党支持層寄りになり、70%〜90%台で高位安定する自民支持層との隔たりが大きい。
第2次安倍政権以降の支持率の平均で傾向をみると、自民支持層では80%を超えるのに対し、野党支持層と支持なし層はともに20%台と、60ポイント前後もの開きがある。しかも第2次政権と比べ、第3次・第4次政権では差が拡大しているのだ。
第2次安倍政権以降の支持なし層の支持率は40%台でスタートした後、2015年8月の14%で底を打ち2017年2月には39%まで回復する。しかし森友・加計問題で再急落した後、第4次政権ではほぼ20%台に沈んだままだ。
東京大学名誉教授の御厨貴さんは、こう分析する。

「小泉さんは先手を打つんです。これからこういうことにしたいとか、全体の政治の流れをこういうふうに持っていきたいというときに、必ずそれに合うようなワンフレーズの言葉を入れて、みんなが何だろうと思ったところで、またぽんぽんと言っていくから自然とみんなそれについていくわけです」
「安倍さんの場合、既に起こったことや何かについて、必ずそれに立ち戻ってこれはこうだったという説明をするわけです。そして追及されたことに関して最初ははぐらかす。はぐらかしがきかなくなってくるとついに逆襲するわけです。小泉政治というのはちょっとポピュリズム的なところがあって、あまり説明はしなくても『おい、行こうぜ』みたいなところで、みんなついていってしまう。だけど安倍さんの場合そういう風にはならない。絶対安倍さんが嫌だっていう層がいるから。だから安倍政治というのは、ポピュリズムだとは誰も思わない」
支持の理由 不支持の理由
「他の内閣よりも良さそうだから」 消極的支持への変質
第4次政権では全体の3割〜4割を占める支持なし層での支持離れは政権にとって大きな痛手であるはず。でもなぜ選挙に勝ち続けられるのか。

「安倍内閣を支持する人の理由」をみると、「他の内閣より良さそうだから」という理由を挙げる人が政権の長期化とともに増え、2017年3月以降は支持する人の40%〜50%に及んでいる。
安倍内閣を支え続ける底堅い支持の動機は、政策への期待でも実行力への期待でもなく、「他の内閣より良さそうだから」といういわば消去法の「消極的な支持」に変質している様子がうかがえた。

一方、「安倍内閣を支持しない人の理由」は、森友・加計問題などで支持率が落ち込む第3次政権末期から第4次にかけて「人柄が信頼できないから」が大きく伸び、「政策に期待が持てないから」をほとんどの月で上回っている。「政策」ではなく「人柄」が不支持のキーワードだ。
個別政策の評価などをみると、安倍政権では固定支持層と支持なし層それぞれを引きつける理由があることがみえてきた。
最も評価された「外交・安全保障」
直近の11月の調査で、これまでの安倍内閣の実績として最も評価していることを6つの政策課題の中から選んでもらった結果、最も多かったのは「外交・安全保障」の23%で、特に自民支持層では33%と3人に1人があげた。

背景の1つに安全保障環境の変化があげられる。北朝鮮が相次いで弾道ミサイル発射した後の2017年7月と9月の調査では8割超が不安を示し、政府が北朝鮮に対する厳しい措置や圧力強化を打ち出すと、「評価する」という人は半数を超え、自民支持層はさらに高い割合だった。
外交の他の項目をみると、たとえば日韓関係が悪化するなかでの「韓国を輸出管理優遇対象国から外す決定」について尋ねた2019年8月調査では「支持する」が55%、自民支持層では66%だった。こうした外交政策では全体でも一定の評価を得つつ固定支持層でさらに高い支持をつかんでいる。
看板の「アベノミクス」
安倍内閣で評価する実績を尋ねた質問で「経済政策」をあげた人の割合は4番目だったが、第2次政権以降、大胆な金融緩和と財政出動、成長戦略を打ち出した「アベノミクス」が自民支持層の結束を固めていると分析する識者もいる。
確かにアベノミクスについて、2016年7月の調査で「期待する」と答えた人は46%だったが、自民支持層では76%と高かった。この差はなんなのか。

一橋大学教授の中北浩爾さんは、「アベノミクス」こそが経済を大きくして成長をめざす自民党の伝統的手法への回帰であり、安倍政権は第1次から第2次政権で、小泉政権時代から受け継いだ「改革」から「成長」にシフトチェンジしていると指摘する。
そのうえで「『成長』というのは自民党の支持基盤にとっては受け入れやすい。特に国土強靭化とか公共事業とかいったことは小泉改革とか2000年代の民主党政権時代ではずっと否定されてきたわけですけど、成長はそういったことも含むわけです。『改革』という言葉は無党派層に届きやすい一方、敵を作る可能性もある。安倍総理は自民党のありかたというものを傷つけない範囲で改革を行い、自民支持層を固めているのが小泉政権との大きな違い」と話す。
安倍政権では消費税率の引き上げを2014年4月に8%へ、2019年10月に10%へと2度行っている。消費税率10%への引き上げの実施前、「どちらともいえない」を含む三択で賛否を聞いた結果、「反対」が半数を超えることはなかった。

過去の政権が苦労した消費税引き上げという課題についても乗り越えているのは、第2次安倍政権以降、日経平均株価が上昇したり、大学生の就職内定率が高い水準で続いていたりするといった状況のなかで、全体としても経済の安定について一定の評価があることが考えられる。
自民党の原点 憲法改正
固定支持層の支持固めとしては安倍総理大臣が意欲を示し続ける憲法改正もあげられるだろう。2019年7月の参院選前の調査では今の憲法を改正することについて「必要がある」、「必要はない」、「どちらともいえない」の3択で尋ねた結果、ともに3割程度で意見が割れた。
しかし自民支持層では「必要がある」が43%と全体に比べ10ポイント以上高い。世論調査の推移をみる限り、憲法改正について、国民全体の改憲機運の盛り上がりはみられない。しかし、それでも自民党結党以来の重要政策を掲げ続けることが、自民党支持基盤を固めているとみられる。
民主党政権の記憶
政権交代前夜で、民主党の存在感が増していた小泉政権時に比べ、安倍政権下では、野党への期待感の低さも特徴的である。
安倍政権下の2019年7月の参院選前の調査で「野党の議席が増えたほうがよい」と答えたのは約3割だった。野党支持層では7割近くに上ったが支持なし層では3割台にとどまった。支持なし層の安倍政権の支持率は低いものの、野党への期待も低いという状態だ。

7月の参院選の選挙戦で安倍総理大臣は「悪夢のような民主党政権」といった刺激的な言葉や「あの暗く低迷した時代」といった言葉を多用し、政権を担えるのは自民党しかないということを強調してきた。
支持なし層の政権に対する支持率が低くても、「民主党時代よりはまし」という暗黙の前提を有権者に醸成し、それが「他の内閣より良さそうだから」という消極的支持を引き出しているのだろう。
御厨さんはこう話す。

「『あの民主党政権』と言われたときに、ああ、あれよりは安倍さんいいよねという気持ちを起こされる。だから、あのときの政権交代というのは本当に安倍さんには有利に働いて、単にそこで政権交代しただけでなく後の選挙に全部効いてくる。だからある時期からもう安倍さんは不戦勝みたいなもので、戦わずして勝っているようなところがある」
中北さんは次のように指摘する。

「『改革』を打ち出すことで熱狂的な支持を獲得してきた小泉総理に対し、安倍総理は、国民の熱狂的支持があるわけではないが、やっぱり消極的支持がある。民主党よりはましだ、経済もいいでしょ、政治も安定しているでしょということが下支えになっている」
「単に政権の力だけでできたわけではなくて、民主党という対抗する最大勢力が失敗したっていう後にこそ出現したという感じでしょうか。それは安倍総理自身、相当意識してやられているし、また、民主党の失敗ということで国民も安倍政権がいいと。政権を戻しちゃいけないということで自民党も結束していくと。そういう中で安倍長期政権が成立したのではないかと」
選挙でも二極化 投票意欲が下がる支持なし層
有権者の二極化の進行、支持なし層の野党への失望が最終的にもたらしているのが投票意欲の低下であろう。
安倍政権下で毎年のように行われた国政選挙では、衆院選、参院選ともに投票率の落ち込みが目立ち、2019年7月の参院選の投票率は48.80%と半数を下回った。国政選挙前の調査でも、特に支持なし層で投票意欲や選挙への関心の顕著な低下が確認できる。
「必ず選挙に行く」という人は、支持する政党を持つ人で多い。投票に行く人と行かない人の二極化が進むなか、安倍政権は自らの支持層を固めて選挙に勝ち続け、政権を維持してきたのである。
死角は「風」?
では、安倍政権に死角はないのだろうか。ポイントの1つは他の選択肢が生まれるかどうかだ。2019年7月の参院選では、選挙直前に発足した「れいわ新選組」は比例代表で得票率4.6%、2議席を獲得し、れいわ旋風とも称された。

2017年の衆院選前、自民党に変わる政権政党を目指す「改革保守」の旗を掲げて発足した「希望の党」の例もある。

小池百合子東京都知事のもとで発足した直後にもかかわらず、衆院選前の調査の支持政党の質問では5%前後の支持を集めた。
希望の党はその後解党し、れいわ新選組の支持の広がりも現時点ではみられない。しかし、自民党に代わる選択肢が出て「風」が吹けば、長く続いた安定に変化が起きる可能性もありうる。
有権者の信頼を損ない、身内の支持まで失ったり、支持なし層のさらなる支持離れが起きたりしても状況は変化するだろう。
2019年10月に改造直後の安倍内閣で2人の大臣が相次いで辞任したのもつかの間、11月に入ると総理大臣主催の「桜を見る会」のありかたが大きな問題となっている。

いずれも政権は即座に大臣を更迭したり、桜を見る会の中止を決定したりして、問題の収拾を図ろうとしているが、長期政権の緩みとの批判は根強い。
こうしたさまざな要素が絡み合い、選挙で変化をもたらす重要な要素となるのが投票率の向上だ。ずっと選挙で勝ち続けてきた安倍政権。しかし、支持なし層の支持は低く選挙での投票率は低い。有権者の4割から5割は投票さえしていない選挙が続いている。
「選挙での選択」について有権者の関心が上向き、残りの有権者が選挙に行くような事態になったら・・・盤石にもみえる政治状況に変化が起きるかもしれない。
#世論調査#安倍晋三

選挙プロジェクト記者
政木 みき
1996年入局。横浜局、首都圏放送センター、放送文化研究所世論調査部を経て現在、政治意識調査を担当。
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2019年11月18日注目の発言集
アベノミクスをどう評価するか

在任期間が憲政史上、最長となる安倍総理大臣。最初に就任したのは12年前。この間、私たちの暮らしは豊かになったのか。安倍政権の一丁目一番地の政策、「アベノミクス」の効果を検証します。

アベノミクスとは
平成24年、2012年12月に発足した第2次安倍政権が打ち出した一連の経済政策は「アベノミクス」と表現されます。政策の柱は3つ。

「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」そして「成長戦略」。これを「3本の矢」と呼んで物価が継続的に下がるデフレからの脱却と持続的な経済成長を目指しました。

このうち1本目の矢の金融政策では、政府と日銀が異例の共同声明を発表。日銀は「2年程度で2%の物価上昇率を達成する」と目標に掲げました。

そして大量の国債を買い入れて市場に大量の資金を供給する「異次元」とも言われる大規模な金融緩和に踏み切り、企業や国民に染みついたデフレ心理を一掃しようとしました。

2本目の矢である財政政策では、低金利をテコに、リニア中央新幹線などのインフラ整備を加速したほか、公共工事の上積みなどで需要の拡大をねらいました。

そして3本目の矢である成長戦略では、規制緩和などによって、経済の実力を引き上げることをねらいました。

法人税の実効税率の引き下げなどで、企業の成長を後押し。自由貿易を推進して経済の活性化につなげようとTPP=環太平洋パートナーシップ協定などの交渉加速にも取り組みました。

安倍政権は、この「アベノミクス」を経済政策の基本にデフレ脱却に取り組み、その後は、子育て支援や女性や高齢者が働きやすい環境整備など一人一人の個人の暮らしに焦点をあてた経済政策に重点的に取り組む姿勢を強めています。

アベノミクスの経済効果
アベノミクスによって大きく変わったのが金融市場です。

当時、日本の産業界は、歴史的な円高に苦しめられていました。2011年には、1ドル=75円台の史上最高値を記録した「超」円高。第2次安倍政権の発足と、日銀の異次元の金融緩和策で急速に円安方向に動き始めました。

2015年には、円相場は1ドル=125円台まで円安が進み、輸出企業の採算が大きく改善しました。

株式市場も急速に回復。第2次安倍政権発足前日の2012年12月25日に1万80円12銭だった日経平均株価は、去年(2018年)10月には2万4270円62銭に値上がり、およそ27年ぶりの高値となりました。

企業の利益もはっきりと増えました。財務省の法人企業統計によりますと企業の「経常利益」は、2012年度はおよそ48兆4000億円。2018年度にはおよそ83兆9000億円に拡大しました。

企業活動が上向いたことで、雇用情勢も改善を続けました。仕事を求める人1人に対し、企業から何人の求人があるかを示す有効求人倍率は、2012年12月に0.83倍。働きたくても十分な仕事がない状態でした。

それが2018年8月には、1.63倍に上昇。およそ45年ぶりの高い水準となり、直近のことし9月も1.57倍を維持しています。

総務省の労働力調査によりますと仕事についている人の数は、2012年の平均の6280万人が2018年には6664万人となり、380万人以上増えました。働く女性や高齢者が増えたことが主な理由です。

経済界は評価も「長期的視点を」「持続可能性を」
安倍政権のこれまでの経済政策を、経済界はおおむね評価しています。


日本商工会議所の三村会頭は「第2次安倍政権が発足した当時、円相場は1ドル・80円台で、輸出企業を中心に日本の大手企業の国際競争力が失われていた。為替レートはその後、正常化され、大幅な収益向上がもたらされた。アメリカでトランプ政権が発足してから、国際情勢は不安定になり、米中の覇権争いは、いつまで続くかわからないという状況になった。安倍総理大臣は米中のはざまの中で、非常に巧みに立ち回り、長期政権であることは変動が大きい今の国際情勢の中では財産になっている」と述べました。

経団連の中西会長は「アベノミクスは、たくさんの議論がありながらも結果として、日本の競争力を強めた。安定的な経済運営を行い大変大きく貢献したと思っている。また、これだけ不安定な国際情勢の中で、日本にとって、相対的によいポジションを作ってきたことも非常に高く評価している」と、述べました。

その一方で、「経済の基盤が大きく変わろうとしている時代なので、目の前の景気対策だけでなく、成長をより促進するような政策をぜひ打っていってほしい」と述べ、より長期的な視点にたって日本経済の成長戦略を打ち出してほしいと求めました。

経済同友会の櫻田代表幹事は「経済のデータを見るかぎり、状況は明らかによくなっていて、経済最優先という公約については果たされつつある」と述べました。

そのうえで、櫻田代表幹事は多くの人が将来不安を感じていることを今後の課題にあげ、「国民の消費が伸びないのは、社会保障制度に対する不透明感があると確信している。今後、全世代型社会保障制度の構築にきちっと切り込んでいくことを期待したい」と述べ、将来にわたって持続可能な社会保障制度を整えるよう求めました。

「景気回復の恩恵を実感できない」はなぜ
企業の業績や雇用情勢は改善してきましたが、その恩恵は、わたしたちの暮らしにどこまで届いているか。受け止めは分かれています。

総務省の家計調査をみると収入は、緩やかに増加しています。サラリーマン世帯の1か月の平均の実収入は2012年には46万7774円だったのが、2018年には49万2594円となり、2万4000円余り増えました。

厚生労働省の国民生活基礎調査をみても1世帯当たりの平均の所得は増加しています。ただ詳しくみると所得が高い上位20%の世帯は平均所得が増えた一方、中間層の平均所得は逆に減少しています。

このデータをみると豊かな世帯に、大きな恩恵が及んでいる可能性があります。

また家計調査で、サラリーマン世帯の平均の支出を見ますと、税金と社会保険料の負担が重くなっています。所得税や住民税といった「直接税」と年金・医療などの「社会保険料」を合わせた毎月の負担額は、2012年の平均で8万3840円でしたが、2018年には9万1490円となり、7600円余り増えました。

所得や家族構成によって、それぞれの世帯が実際に支払う税や社会保険料の金額は変わってきます。ただ、全体としては負担が増えていることも示しています。厚生年金保険料が2017年まで毎年引き上げられたことなどが影響しています。

また、この負担とは別に第2次安倍政権の間に消費税率は社会保障に充てるため5%から10%になり、買い物の際の支払いが増えています。

収入が増えたのに、景気回復の恩恵を実感できないという人が多いのは、こうした負担が増えているからだと指摘する専門家もいます。

高齢化がさらに進み、今後も、税金や保険料の負担はさらに重くなっていくと身構える人も多く、それが将来不安につながっているという指摘もあります。

一方で、税や保険料の負担が、所得の再分配に使われた結果、全体の所得格差は小さくなっているという統計もあります。「ジニ係数」と呼ばれるデータですが、2011年と2017年を比べると改善しています。このようにデータによって見えてくる姿はさまざまです。

では、家庭から企業へと目を移すと、状況はどうなったか?2012年以降、企業が順調に利益を積み上げ蓄えを増やしているのです。

財務省の法人企業統計をみると、企業が内部に蓄えた利益を示す利益剰余金、いわゆる「内部留保」は2012年度には304兆円でしたが、2018年度には463兆円まで増えました。企業の持つ「現金・預金」も2012年度には168兆円でしたが2018年度には、223兆円に増えています。

ただ、企業が、利益をどれだけ従業員の給与の支払いなどにあてたかを示す「労働分配率」は、低下傾向が続いています。

法人企業統計をみると2012年度の労働分配率は72.3%。利益の7割以上は、従業員に支払われていましたが、2018年度は66.3%に下がっています。

働く人たちが景気の回復をいまひとつ実感できないのは企業がもうけをため込んで、従業員の十分な賃上げにつながっていないためだという指摘も増えています。

家計簿からみると「収入増えたが支払いも増えた」
東京都内で暮らす40代の菅原さんです。夫と小学生の2人の子どもの家族4人暮らし。


たまたま“アベノミクス”が始まった2012年から家計簿をつけていました。

その7年間の家計簿をもとに、毎月の家計を分析して見えてきたのが、手取りの収入が思ったほど増えていない実態でした。

子育てのため仕事を辞めていた菅原さんが仕事に戻った2013年からことしにかけての、夫婦の給料や手当、ボーナスなどを合わせた平均の「月収」は、8万4000円余り増えていました。

その一方で、所得税や住民税、それに年金などの社会保険料の支払いも増え、毎月、7万2000円余り負担が増えていました。

厚生年金保険料が2017年まで毎年引き上げられたことに加え、菅原さんの場合は、介護保険料の支払いが始まったことも負担の増加につながりました。

この結果、「月収」から「税と社会保険料負担」を差し引いた「手取りの収入」は、2013年からことしまでの間に1万2000円余りの増加にとどまっていました。

それに加えて消費税率はこの間、2度引き上げられ5%から10%にあがり、買い物の際の支払いも増えています。

節約のため、外食は1か月に1回以内と決め将来の子どもの学費や、老後に備えてできるだけ貯蓄を増やそうとしています。

菅原さんは、「景気は悪くなっていないと思うが、自分の暮らしには回復の実感がないと感じています。社会保険料と税金は家計にとってかなりの負担で、前の年より大きな消費をすることもできません。いま払っている社会保険料も老後に戻ってくる保証はどこにもないのでまずは貯金するしかありません」と話していました。

3本の矢の1つは手詰まり 財政健全化の道筋も見えず
日本経済は、第2次安倍政権が発足した2012年12月から回復を始め、政府は、戦後最長の景気回復が続いているという立場です。しかし、アメリカと中国の貿易摩擦などの影響で世界経済は減速に転じ、日本の景気にも変調の兆しがでています。

最近、発表になった企業の中間決算では、製造業を中心に今年度の業績見通しを下方修正する企業が相次ぎました。

従業員の削減に踏み切る企業も出始め、業績の落ち込みが広がればアベノミクスの最大の成果の1つにあげられるこれまで大きく改善してきた雇用の先行きにも影響するおそれがあります。

経済政策にも課題が浮かび上がっています。なかでもアベノミクスの3本の矢の1つ、日銀の金融政策が手詰まりの状態になりつつあります。

政府と日銀が、共同声明を出してスタートした異次元の金融緩和。2年程度で2%の物価上昇率の達成を目標に掲げました。

日銀は、空前の規模で国債を買い入れて市場に大量の資金を流し込んだうえ、異例のマイナス金利政策にも踏み切りました。しかし、ことし9月の消費者物価上昇率は、0.3%のプラスにとどまり2%の目標達成がいつになるのか展望できていません。

マイナス金利政策の長期化で銀行は本業の企業向け貸し出しや住宅ローンで利益を上げにくくなり、生命保険会社も運用難になっています。金融緩和の副作用が、むしろ目立つようになっているのです。

三井住友フィナンシャルグループの太田純社長は「デフレからの脱却に向かって心理面が変わり、非常に大きな成果はあったと思う。ただ、日銀のマイナス金利政策が導入されて、いろいろな悪影響が出ているのも確かだ。今後は効果とリスク、影響をよく考えて、対応していただきたい」と話しています。

また財政運営にも大きな課題があります。政府は「基礎的財政収支」という財政指標を2020年度に赤字から黒字に転換させることを目標に掲げていました。

しかし、歳出の拡大傾向には歯止めをかけることができず黒字化の目標を2025年度に先送りしました。

最新の政府の見通しでは、このあと高い経済成長が実現できても2025年度もなお2兆円を超える赤字が残るとしています。

高齢化で、社会保障費がさらに膨張するのが避けられない中、財政健全化の道筋も見えていません。

#安倍晋三#日銀#景気#財政
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http://www.asyura2.com/19/senkyo267/msg/648.html

[経世済民133] 米国が連日最高値、堅調な経済指標 輝きを増す金 米経済は拡大、見通し明るく GDP上方改定 設備投資底入 米耐久財受注:10月コア資本財が予想外の増加、1月以来の大幅増 ドル上昇
ビジネス2019年11月28日 / 07:12 / 1時間前更新
米国が連日最高値、堅調な経済指標
Reuters Staff
5 分で読む

[ニューヨーク 27日 ロイター] - 米国株式市場は続伸し、主要株価指数が連日で最高値で引けた。経済指標で国内景気の底堅さが示されたほか、米中通商協議に対する慎重ながらも楽観的な見方が、引き続き投資家心理を支えた。感謝祭の祝日を前に、商いは薄かった。

米商務省が発表した第3・四半期の実質国内総生産(GDP)改定値は年率換算で前期比2.1%増と、速報値の1.9%増から上方改定され、前期から伸びが加速した。

また、10月の個人消費支出は前月比0.3%増となり、第4・四半期も緩やかな経済成長が続くことを示唆する内容となった。

USバンク・ウェルス・マネジメントのシニア・インベストメント・ディレクター、ビル・ノーシー氏はこれについて「マクロ面から言えば、成長しつつも引き続き減速という状況に合致している」と指摘。「ここ3カ月間、単なる減速ではないとの懸念がくすぶっていたが、そうした不安がある程度和らいだ」と話した。

一般消費財株.SPLRCDは0.83%高で上げを主導した。

10月の耐久財受注統計でも、民間設備投資の先行指標とされるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注が9カ月ぶりの大幅な伸びとなった。

個別銘柄ではボーイング(BA.N)が1.48%下落。米連邦航空局(FAA)は26日、同社の737MAX機について、今後はFAAのみが耐空証明を発行すると同社に通知した。過去には同社と共同で発行していた。

来年の利益減少を警告した農業機械メーカーのディア(DE.N)も4.3%安となった。

ニューヨーク証券取引所では、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.76対1の比率で上回った。ナスダックでも1.98対1で値上がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は55億7000万株。直近20営業日の平均は70億6000万株。

28日は感謝祭で休場、29日は短縮取引となる。

終値 前日比 % 始値 高値 安値 コード

ダウ工業株30種 28164.00 +42.32 +0.15 28156.47 28174.97 28075.23 .DJI

前営業日終値 28121.68

ナスダック総合 8705.18 +57.24 +0.66 8669.60 8705.91 8662.58 .IXIC

前営業日終値 8647.93

S&P総合500種 3153.63 +13.11 +0.42 3145.49 3154.26 3143.41 .SPX

前営業日終値 3140.52

ダウ輸送株20種 10947.55 -22.68 -0.21 .DJT

ダウ公共株15種 852.87 +0.69 +0.08 .DJU

フィラデルフィア半導体 1735.91 +12.65 +0.73 .SOX

VIX指数 11.75 +0.21 +1.82 .VIX

S&P一般消費財 968.21 +7.97 +0.83 .SPLRCD

S&P素材 376.96 +0.76 +0.20 .SPLRCM

S&P工業 692.44 -1.26 -0.18 .SPLRCI

S&P主要消費財 635.00 +0.74 +0.12 .SPLRCS

S&P金融 500.03 +1.88 +0.38 .SPSY

S&P不動産 239.49 +0.77 +0.32 .SPLRCR

S&Pエネルギー 435.78 +1.36 +0.31 .SPNY

S&Pヘルスケア 1152.73 +5.52 +0.48 .SPXHC

S&P通信サービス 178.89 +1.12 +0.63 .SPLRCL

S&P情報技術 1548.18 +8.81 +0.57 .SPLRCT

S&P公益事業 318.81 +0.30 +0.09 .SPLRCU

NYSE出来高 7.48億株 .AD.N

シカゴ日経先物12月限 ドル建て 23590 + 110 大阪比 <0#NK:>

シカゴ日経先物12月限 円建て 23590 + 110 大阪比 <0#NIY:>

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https://jp.reuters.com/article/ny-stx-us-idJPKBN1Y12L3


 

いよいよ輝きを増す金

米国株が高止まりしても安心できないワケ
2019.11.28(木)
Financial Times
世界情勢?政治?経済?マネー

(英フィナンシャル・タイムズ紙 2019年11月25日付)


 金に積極投資する「ゴールド・バグ(金の虫)」は常に、病的な心配性のように思えた。

 デジタル時代にあって物理的な金の延べ棒をため込むためには、本気で天が崩れ落ちてくると思っていなければならないからだ。

 だから今、一部の投資家と中央銀行家が金を盛んに持ち上げていることは、かなり心配になる。

 オランダ中央銀行は最近公表した記事で、もし通貨制度の大きなリセットがあるとすれば、「金のストック」が国際通貨制度を再構築する「基盤の役目を果たせる」と論じた。

 さらに「金は中央銀行のバランスシートの安定性への信頼を強め、安心感を生み出す」としている。

 だが、金の話をしても安心感は生まれない。

 著名投資家のレイ・ダリオ氏は最近、国際金融協会(IIF)の会議で、米国の財政状況に対する同氏の懸念のせいで金への逃避が起きる可能性に言及し、出席者を不安にさせた。

 これは目新しい論点ではない。

 少なくとも2016年以来、JPモルガン・…
 少なくとも2016年以来、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高財務責任者(CEO)やヘッジファンドを率いるスタンレー・ドラッケンミラー氏をはじめとした金融界の重鎮が、積み立て不足に陥っている年金・医療給付金制度は米国にとって、目前に迫り来る氷山だと指摘してきた。

 実際、短期資金を融通し合う翌日物「レポ」市場における最近の危機についての仮説の一つは、連邦政府の赤字と、米国外の投資家が資金を出し渋るようになった姿勢のせいで危機が起きた、というものだ。

 だが、ダリオ氏はさらに踏み込み、米国の給付制度危機は、米国が支払いを続けられるようにするために米連邦準備理事会(FRB)がバランスシートを無期限に膨らまし続け、かなり遠い将来まで低金利(あるいはマイナス金利)を維持しなければならないことを意味していると結論づけた。

 これは米ドルの下落をもたらす。極限までやると、通貨安は絶対にいい終わりを迎えない。

 急激な通貨安の過去の実験には、3世紀終わりのローマ帝国や、大戦間のドイツのワイマール共和国、ジンバブエなどがある。

 いずれどこかの時点で、誰も米国債や米ドルを保有したがらなくなり、投資家は安全を求めてほかの資産に目を向けるようになるとダリオ氏は主張した。

「問題は、ほかに何があるか、だ。我々が置かれるのは、その状況だと思う。そして、金は持てる資産の中で、ほかの誰かの債務ではない唯一の資産だということわざがある」

 筆者自身は、今年8月に株式をすべて売却したが、まだ金は一切買っていない。S&P500種株価指数の最近の高騰を考えると、株を手放す判断は苦痛を伴ったが、後悔はしていない。

 筆者のように、米国のブルーチップ(優良株…
 筆者のように、米国のブルーチップ(優良株)と債券はもはや安全な避難先ではなくなったと考えながら、価格が今後しばらく高止まりするとも考えることには一定のロジックがある。

 結局のところ、自分の頭の中に一見矛盾する2つの考えを同時に抱くことは、成熟した人間のしるしだ。

 筆者は、投資家がいつか金に投資しなければならないかもしれない理由とまさに同じ理由から米国の株価が高止まりしていると考えている。

 アナリストのルーク・グローメン氏が最近のニューズレターで、この見解の数学的なロジックを見事に説明している。

 同氏は米国の年間給付金支払額(ここで言う給付金は、メディケア=高齢者向けの公的医療保険=とメディケイド=低所得者向けの公的医療保険=と生活保護などのソーシャルセキュリティーの3つとして定義)に防衛費と連邦債務の利払いを加えると、総額は連邦政府の税収の112%にのぼると計算している。

 ドナルド・トランプ米大統領の減税を受けて政府の歳入が減少したため、この数字はわずか15カ月前の103%、2年前の95%から大きく上昇した。

 そして、こうした減税の利益が、株価をさらに押し上げることに貢献した。

 グローメン氏は、米国は「税収を資産価格インフレに完全に依存する」ようになったと書き、米国が毎年の支払いを続けられる唯一の方法は、資産価格がおのずと上昇するか、FRB(連邦準備制度理事会)が「資産価格を上昇させられるだけ紙幣を印刷する」ことだと付け加えている。

 筆者は、FRBはあらゆる中銀と同様、政治…
 筆者は、FRBはあらゆる中銀と同様、政治的に求められることを実施すると見ている。

 米国も世界も、米国債がデフォルト(債務不履行)に陥る事態に耐える余裕はない。

 このため、株価は差し当たり、上昇するだろう。ヨーゼフ・シュンペーターが言ったと伝えられるように、経済政策のエッセンスは「政治、政治、政治」なのだ。

 株価の上昇は、FRBが7月にギアチェンジし、利下げを始めてから続いている。

 今後は恐らく、2008年の危機後に施行された金融規制の緩和に助けられるほか、2020年の選挙前に実施されるかもしれない新たな減税措置にも助けられるだろう。トランプ氏は自身の成功を市場の成功で測るからだ。

 だが、もっと長期的に見ると、お金で生み出されたこの成長はドルへの信頼感を損なうに違いない。米国と中国が別々の方向へ向かっている時は、なおのことだ。

 中国は今、世界最大の天然ガスの買い手になっており、ガスその他の天然資源を自国通貨建てで買い始めようとしている。

 また、中国の経済的な軌道に欧州を呼び込もうとするなかで、ユーロ建てでの決済も増やしている。

 中国は最近、15年ぶりにユーロ建ての債券…
 中国は最近、15年ぶりにユーロ建ての債券を発行した。さらに、ドル建てでの石油購入から離れつつあり、エアバスなどの欧州連合(EU)企業との関係も強化している。

 ユーラシアの脱ドル化は、ダリオ氏の世界観を裏づけている。金のようなドル以外の準備金へのシフトもそうだ。

 こうした変化を受け、米国は国際収支の決済を中立的な準備資産で支払うためにドルを売らざるを得なくなる。

 たとえ米ドルが下落し、債権者が米国の債務返済能力への信頼を失ったとしても、市場はまだ当面高止まりすると主張する人もいるだろう。

 だが、我々は脱グローバル化の時期にある。

 そして歴史は、これが起きる時には、いずれは「古い秩序」と関係する国での資産価格崩壊を引き起こす傾向があることを物語っている。

 ゴールド・バグが世にあふれかえっているのも無理はない。

By Rana Foroohar

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https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58392

 

ビジネス2019年11月28日 / 06:52 / 1時間前更新
米経済は緩やかに拡大、見通しおおむね明るく=地区連銀報告
Reuters Staff
2 分で読む

[ワシントン 27日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は27日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、米経済が10月から11月中旬にかけて緩やかに拡大したとの認識を示した。成長見通しはおおむね明るく、労働市場は全国的に引き続き逼迫しているほか、物価は小幅なペースで上昇したと指摘した。

ベージュブックは「経済見通しは引き続きおおむね明るい。一部の調査先は現在の成長ペースが来年も続くとの見方を示した」とした。

複数の地区は専門・技術サービスとヘルスケアの部門で「雇用が比較的好調に伸びた」と報告した。製造業はまちまちの内容だった。いくつかの地区が雇用の伸びを報告する一方、変わらなかったとする地区もあった。1地区は解雇が見られたと報告した。

全国的に労働市場が逼迫する中で雇用主は適切な人材を見つけることに苦戦しているが、雇用は全体としては伸び続けた。いくつかの調査先は欠員を埋められないため事業の伸びが抑制されていると報告した。例えば、ニューヨーク地区の人材紹介会社2社は「大半の候補者が」既に職に就いており、この時期に転職する興味を示していないと述べた。

農業の状況はほぼ変わらなかった。気候のほか、農作物価格が低いことが引き続き抑制要因となっている。リッチモンド地区は農家が用地や機器の投資をためらっていると報告。アトランタ地区の一部は日照り続きの状況だったという。

16カ月目に入った米中貿易摩擦は景気の重しとなっている。関税を巡る先行き不透明感から企業は決断を先送りしており、製造業活動の弱含みと設備投資の低迷につながった。

小売業者はコストの増加を報告。いくつかの地区は関税の引き上げが要因だと指摘した。一部の企業は価格の引き上げに限界があるとする一方、コスト増加を転嫁しやすい企業もあった。

個人消費についてはほとんどの地区が安定的もしくは緩やかに伸びたとした。複数の地区は自動車の売り上げと観光が伸びたと報告した。

産業のところどころに弱含みがあると報告する地区もあった。セントルイス地区の小売業者は、悲観的な景気見通しになったほか、売り上げは昨年と比べて同じか小幅に減ったとした。ニューヨークのブロードウェイの客数は11月の前半に減少し、チケット価格は1年前からわずかに値下がりした。

米中貿易摩擦や世界経済の鈍化、設備投資の落ち込みから米経済を守るためにFRBは今年3回利下げを実施。

11月の消費者信頼感は、4カ月連続で低下した。現況指数が重しだった。ただ依然として、緩やかな経済成長を示す水準にある。

パウエルFRB議長は25日、金融政策は力強い労働市場を支援し2%の物価目標を達成するのに適した状態にあるとの見解を示した。景気見通しが大幅に悪化しない限り金利を据え置くことを示唆する発言だ。

そのほか、いくつかの地区は人手不足によって外食産業が特に抑制されていると報告した。カリフォルニア州南部では人件費と経費を理由に廃業したレストランもあった。ミネアポリス地区では一部レストランが人員不足を理由に営業時間を短縮した。

今回の報告は11月18日までに入手された情報に基づき、ダラス地区連銀がまとめた。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
ランキング
米国が連日最高値、堅調な経済指標で
トランプ氏、米中合意へ「最後の苦しみ」 香港問題でクギも
「すきやばし次郎」、ミシュランから外れる 予約困難で評価対象外
焦点:香港区議選で民主派圧勝、中国政府に新たな「頭痛の種」
今日の株式見通し=堅調、円安など支えに年初来高値トライに
https://jp.reuters.com/article/usa-economy-beigebook-idJPKBN1Y12K4


 


米地区連銀報告:経済は緩慢なペースで拡大、製造業に明るい兆し
Craig Torres
2019年11月28日 4:27 JST 更新日時 2019年11月28日 5:35 JST
米連邦準備制度理事会(FRB)が27日公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)では、米経済は11月中旬までに「緩慢な」ペースで拡大したと判断された。個人消費は底堅く、製造業からも明るい兆候が表れたという。

  ベージュブックは「製造業に関して、拡大を報告した連銀地区は前回の調査期間よりも増えた。ただ過半数の地区では横ばいが続いた」と指摘。「金融以外のサービス業の状況は引き続き非常に明るい」とした一方、エネルギー分野の活動は「やや悪化した」と記述された。

  11月18日までに地区連銀12行が集めた情報を基にダラス連銀がまとめた今回のベージュブックは、10月の報告よりもやや明るいトーンとなり、緩慢な成長という金融当局の見通しを後押しする格好となった。

  ベージュブックは「雇用は全般に引き続きわずかに拡大した」とし、「賃金圧力は低技能の職種で強まった」と指摘した。

  さらに「コスト上昇をカバーするために企業が価格を引き上げる能力は引き続き限定的だったが、関税の影響を受けた企業が価格転嫁に一段と傾いていると報告した地区連銀も数行あった」と指摘。「全体的に企業は今後の価格上昇を総じて予想した」という。

原題:Fed Report Says Economy Grew Modestly With Outlook Positive(抜粋)

(第3段落以降を追加します)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-27/Q1N6AIT0G1KW01?srnd=cojp-v2


 

 
ビジネス2019年11月28日 / 02:21 / 3時間前更新
米7─9月期GDP、2.1%成長に上方改定 設備投資底入れも
Reuters Staff
2 分で読む

[ワシントン 27日 ロイター] - 米商務省が27日発表した第3・四半期の実質国内総生産(GDP)改定値(季節調整済み)は年率換算で前期比2.1%増と、速報値の1.9%増から上方改定された。市場予想は1.9%増。在庫投資が予想以上に底堅かったほか、設備投資は落ち込みが緩むなど底入れの可能性を示唆した。

一方、成長率は昨年の2.9%から確実に鈍化している。第2・四半期の伸びは2%止まりだったほか、今年前半も2.6%と、トランプ政権が目標に掲げる3%に届いていない。

MUFG(ニューヨーク)の主任エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「3%成長を達成するような活力は見当たらないが、一部の好転の兆し(グリーンシュート)は表れており、経済の下支えとして期待される」と述べた。

所得面から経済活動を把握する国内総所得(GDI)は第3・四半期に2.4%増と、企業利益が減ったにもかかわらず第2・四半期の0.9%増から加速した。米S&P総合500種指数採用企業の利益に相当する、在庫評価・資本減耗調整を除く税引き後利益は0.6%(113億ドル)減少した。フェイスブックとグーグルの和解金が重しだった。第2・四半期は3.3%増だった。

経済成長を見る上でより良い手法とされるGDPとGDIの平均は2.3%増と、第2・四半期の1.4%増から加速した。

最近の統計では個人消費が鈍化したほか、設備投資の低迷が悪化しており、第4・四半期初めに景気が減速した兆しがある。

米中貿易摩擦によって景況感が悪化し、設備投資は2四半期連続で縮小した。昨年の1兆5000億ドル規模の減税政策の効果が薄れていることも景気減速の一因だ。景気拡大は11年目に入っている。

経済成長は第1・四半期の3.1%増から減速しているものの、住宅ローン金利の低下に伴い住宅市場が昨年の弱含みから持ち直しており、近いうちに景気後退入りするリスクは減った。米連邦準備理事会(FRB)は先月、今年3度目の利下げを決めた。7月に08年以来初めて利下げに踏み切って以降、金利を引き下げ続けてきたが、ここにきて利下げ休止を示唆した。

米経済の3分の2以上を占める個人消費は速報値から改定なしの2.9%増。失業率は50年近くぶりの低水準にあり、個人消費を下支えしている。ただ、雇用の伸びの鈍化や消費者信頼感の低迷、賃金の伸び悩みを背景に個人消費の持続性に関して懐疑的な見方が出ている。

設備投資は2.7%減と、速報値の3.0%減から上方改定された。ガスや石油の立坑・油井を含む住宅以外のインフラ投資の落ち込みが当初予想ほど大きくなかった。

在庫は798億ドルと、速報値の690億ドルから上方改定された。

*内容を追加しました。

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https://jp.reuters.com/article/usa-economy-gdp-idJPKBN1Y125M


 

米耐久財受注:10月コア資本財が予想外の増加、1月以来の大幅増
Vince Golle
2019年11月28日 3:37 JST
10月の米耐久財受注統計で、設備投資の先行指標となる航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の受注は市場予想に反して増加し、今年1月以来の大幅な伸びを記録した。設備投資は7−9月(第3四半期)の米経済成長の重しとなったが、今回の耐久財受注で設備投資を巡る慎重な見方が幾分和らいだ。
キーポイント
• コア資本財の受注は前月比1.2%増
o 市場予想の中央値は0.2%減
o 8、9月はいずれも減少していた
• コア資本財の出荷は0.8%増
o 予想中央値は0.2%減
• 受注、出荷ともに1月以来の大幅な伸び
  全体の耐久財受注は前月比0.6%増。市場予想は0.9%減だった。変動の大きい輸送用機器を除く耐久財受注も0.6%増えた。

原題:U.S. Business-Equipment Demand Jumps by Most Since January (2)(抜粋)U.S. Oct. Durable Goods Orders Rise 0.6%; Est. Down 0.9%
(統計の詳細を追加して更新します)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-27/Q1N124DWX2PY01?srnd=cojp-v2


ビジネス2019年11月28日 / 07:17 / 1時間前更新
ドル上昇、底堅い米指標後押し 感謝祭控え薄商い=NY市場
Reuters Staff
2 分で読む

[ニューヨーク 27日 ロイター] - ニューヨーク外為市場ではドルが主要通貨に対して上昇。感謝祭を控え薄商いとなる中、底堅い米経済指標を手掛かりにドルが買われた。

第3・四半期の実質国内総生産(GDP)改定値は前期比2.1%増と、速報値の1.9%増から上方改定された。市場予想は1.9%増。在庫投資が予想以上に底堅かったほか、設備投資は落ち込みが緩むなど底入れの可能性を示唆した。また10月の耐久財受注は、民間設備投資の先行指標とされるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注が前月比1.2%増と1月以来9カ月ぶりの大幅な伸びとなった。

OANDA(トロント)のシニア通貨アナリスト、アルフォンソ・エスパーザ氏は「米連邦準備理事会(FRB)は年内の利下げ打ち止めを示唆しているが、きょうの統計はその裏付けとなった」と指摘。感謝祭を控えショート(売り持ち)ポジションの解消も見られたと述べた。

一方、10月の個人消費統計で、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア個人消費支出(PCE)価格指数が前月比0.1%の伸びにとどまったことで、ドルは伸び悩んだという。

キャピタル・エコノミクスのシニア米国担当エコノミスト、アンドリュー・ハンター氏は、コアPCE価格指数の前年比の伸びが1.6%と、FRBの目標である2%を下回り続けているとし、「FRBが当面利上げする公算は小さい」と述べた。

主要6通貨に対するドル指数.DXYは0.15%高の98.399。

ドル/円JPY= JPYX1=は0.47%高の109.54円。

ポンド/ドルGBP= GBP=D3 GBPX1=は0.31%上昇。来月12日の英総選挙を控え、英紙タイムズとスカイニュースが26日報じた調査会社ユーガブの世論調査結果によると、ジョンソン首相率いる保守党と野党・労働党との支持率の差は11ポイントと、前回調査から1ポイント縮まった。

ドル/円 NY終値 109.55/109.56

始値 109.11

高値 109.60

安値 109.12

ユーロ/ドル NY終値 1.0998/1.1000

始値 1.1008

高値 1.1013

安値 1.0993

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
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米国が連日最高値、堅調な経済指標で
トランプ氏、米中合意へ「最後の苦しみ」 香港問題でクギも
「すきやばし次郎」、ミシュランから外れる 予約困難で評価対象外
焦点:香港区議選で民主派圧勝、中国政府に新たな「頭痛の種」
今日の株式見通し=堅調、円安など支えに年初来高値トライに
https://jp.reuters.com/article/ny-forex-idJPKBN1Y12L9
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/727.html

[経世済民133] なぜ今、10兆円の大型補正予算なのか 10月小売販売7.1%減 消費増税・台風が影響 季節調整済みの前月比では14.4%の減 ドル調達コスト急騰、FRBへの不信 黒田総裁:自然災害関連リスク、金融機関の大きな課題 中南米の政情不安、通貨に波及 
為替フォーラム2019年11月28日 / 13:42 / 36分前更新
コラム:
なぜ今、10兆円の大型補正予算なのか

熊野英生 第一生命経済研究所 首席エコノミスト
3 分で読む

[東京 28日] - 政府は、2019年度補正予算を組んで、景気刺激に動こうとしている。与党などからは真水(付加価値を直接増やす財政支出)10兆円という声が相次いで上がる。消費増税が軽減税率分を除いて4.6兆円の家計負担増であることを考えると、その2倍以上を使ってしまおうということになる。

少し驚かされるのは、今この時期に経済対策が検討されているという点だ。10月に消費税率が上がって、その反動減がどのくらいかが経済統計上、ほとんど明らかになっていない。少し早過ぎる印象だ。

ここにきて経済対策が急浮上したのは、安倍晋三首相が11月8日に指示したからだ。経済対策は2019年度補正予算と2020年度当初予算を一体で取りまとめる。経済対策は12月上旬にまとまるという。2019年度補正だけで真水10兆円という数字には耳を疑ってしまうが、その規模を政府はどこまで真に受けて実行するのか。財政再建に対する緩みが、どこまで抑え込まれるのかが注目される。

経済対策が浮上した背景には、1)台風19号とその前の15号による被害を踏まえた災害対策、2)経済の下振れリスクへの備え、3)東京五輪後の成長維持──の3つの大きな目的がある。

その中でも、防災用に公共事業を拡大することは筆者も賛成する。しかし、公共事業を増やすことに国民の共感が得られたとしても、いきなり10兆円という金額を使ってしまうことが正当化されてよいわけではない。むしろ、国土強靭化で2020年度までの3年間に7兆円の事業費を注ぎ込む計画がありながら、なぜ台風19号の被害を未然に防げなかったのかが疑問として残る。

<年中行事化していた補正予算>

経済対策として浮上しているのは、ポスト5G(次世代通信規格)基金創設や、中小企業向けの生産性革命補助金などである。これらは、消費税率引き上げ後の消費刺激策とは違う。年度の予算編成の時に次の候補として目されていた案件が、新しい経済対策として格上げされたのだろう。例年、当初予算を絞り込む代わりに、年度末に近づくと補正予算が組まれて、準備されていた案件が計上されている。

安倍政権は、発足当初の2012年度は補正予算の中に緊急経済対策として10.3兆円の超巨大な金額を計上した。その後は、3─5兆円台の増額修正にとどめている。そうした経緯からして、真水10兆円の巨大な増額を目指そうとする補正予算は異例に見える。

すでに、増税対策として準備されたものは2019年度の当初予算に計上されている。そして、安倍政権はそれらを十分な消費税対策と説明してきた。だから、ここにきて計上されるものは、消費税対策とは違った性格のものになる。

これは2020年度予算案として計上されてもおかしくないと考えられるが、消費刺激策としては、2020年年9月から2021年年3月までのマイナンバーカードを活用した1人あたり最大5000円の還元策がある。キャッシュレス決済が2020年6月に終了した後の消費刺激策の後継という位置付けのようだ。以前から用意されていたメニューを、経済対策の中に入れた格好である。

整理して考えると、なぜ今、真水10兆円もの経済対策が急浮上しているのかがよく理解できなくなる。

景気下振れリスクという言葉が、真水10兆円という巨大な歳出増の必要性に直結するわけではなかろう。もし、増税後の消費低迷を不安視しているのならば、対策の主軸は家計消費への働きかけを中心にするべきだ。

ところが、マイナンバーを利用したポイント還元くらいしか、その目的に役立つものはない。ポスト5G対応などは、各省庁がやりたい案件をリストアップしたものであり、消費低迷によく効く薬を処方しているようには見えない。理屈として、消費以外の分野でどうして巨大な支出増を必要とするのかは、筋が通っていないと思う。

もちろん、台風15号、19号による被害をみて、公共事業の必要性が強まったことは正当性がある。しかし、今までの国土強靭化がどのように有効で、どのような防災対策が不足しているのかが分析されないまま、巨大な金額が最初から大きく打ち出されるのは違和感がある。与党からの要請に対して、政府はもっと目的と手段の対応が適当かどうかを吟味し、正しく応ずるべきだろう。

<財源不足とその効果>

政府にとって、大型経済対策を打とうとするときに問題になるのは財源だ。これまでは税収が当初予算よりも上方修正されるなど、余力が生じるる中でそれを原資に補正予算を打つことができた。2019年年度は、税収見通しが当初の62.5兆円から約2兆円ほど下振れし、補正予算を打つ余力がない。国債費の年度内の減額もプラス1兆円強というところだろう。

一方で増税をして、もう一方で赤字国債を増発するには、よほどの根拠がなくてはいけないはずだ。筆者はそうした根拠が示されないまま、リストアップされた歳出案件が消化されようとしている流れはおかしいと考える。

歳出拡大は、景気刺激になるという古典的な主張を唱える人はいるだろう。しかし、2019年度補正予算による需要かさ上げがある場合、それが終了するときには需要がなくなることを心配しなくてはいけない。

経済対策には、五輪後も成長を持続させる狙いもある。ならば2019年度補正予算を増やさずに、2020年度当初予算を拡充して、公共事業の執行を「後ずらし」する方が反動減を無用に大きくせずに済むはずだ。

増税後に財政規律が緩んでしまうと、何のための増税なのか、国民に対して全く説明がつかなくなってしまう。政府には、襟を正して歳出拡大の圧力を抑え込んでもらいたい。

(本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

*熊野英生氏は、第一生命経済研究所の首席エコノミスト。1990年日本銀行入行。調査統計局、情報サービス局を経て、2000年7月退職。同年8月に第一生命経済研究所に入社。2011年4月より現職。
編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/column-hideo-kumano-idJPKBN1Y209K

 

10月小売販売7.1%減 消費増税・台風が影響
経済2019/11/28 10:50
経済産業省が28日発表した10月の商業動態統計(速報)によると、小売販売額は前年同月比7.1%減の11兆900億円だった。消費増税前の駆け込みが起きた9月からの反動減に加え、台風19号による休業や客数減が響いた。自動車や家電の販売が低調だった。前回の消費増税の直後にあたる2014年4月の4.3%減と比べると、減少幅は大きかった。

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減少は3カ月ぶり。経産省は「9月に需要を先食いした影響が出た。台風で被災した人を中心に消費者心理も下向いた」と分析した。季節調整済みの前月比では14.4%の減少だった。
小売業販売を商品別にみると、自動車小売業が前年同月比17.0%減と大きく落ち込んだ。普通車や小型車の販売が不調だった。家電など機械器具小売業は15.0%減。9月に駆け込みが出た冷蔵庫や洗濯機など高額な家電を中心に売り上げが伸び悩んだ。
業態別にみると、百貨店の販売額が17.3%減った。高額商品で駆け込みの反動減が出たほか、気温の高い日が続いて秋冬衣料の動きが鈍かった。韓国からの訪日観光客の減少も響いている。下げ幅は前回増税直前の駆け込みから1年が経過した15年3月以来の大きさだった。家電大型専門店は14.2%減少した。
一方、コンビニエンスストアの販売額は3.3%増加した。前年の10月にたばこ税増税で減少した反動が出た。大手コンビニでは10月からキャッシュレス決済に2%分のポイントを即時還元する対応をはじめた。経産省によると、キャッシュレスの支払比率が上がり、コンビニの売り上げにプラスに働いたという。
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増税前に駆け込み急増、反動減に懸念 9月の小売販売9%増
2019/10/30 17:45

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52702810Y9A121C1MM0000


 

東京外為市場ニュース2019年11月28日 / 13:52 / 29分前更新
BRIEF-黒田日銀総裁:自然災害関連リスク、金融機関の大きな課題となる可能性
Reuters Staff
1 分で読む

[東京 28日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は28日、パリ・ユーロプラス・ファイナンシャル・フォーラムで以下のように述べた。

* 黒田日銀総裁:自然災害関連リスク、金融機関の大きな課題となる可能性

* 黒田日銀総裁:気候変動リスクの影響、しっかり調査・分析を行う必要がある

*この記事の詳細はこの後送信します。新しい記事は見出しに「UPDATE」と表示します。
https://jp.reuters.com/article/BRIEF-黒田日銀総裁:自然災害関連リスク-金融機関の大きな課題となる可能性-idJPT9N27Z00L?il=0


 


ビジネス2019年11月28日 / 13:42 / 36分前更新
アングル:年末越えドル調達コスト急騰、今年の特徴は「FRBへの不信感」
森佳子
2 分で読む

[東京 28日 ロイター] - 為替スワップ取引で、年末越えのドル調達コストが急騰している。年末越えのドル資金需要が高まるためベーシスは毎年この時期に上昇しやすいが、今年は季節要因によるものだけではないとの声も出ている。市場では米連邦準備理事会(FRB)の金融調節に対する不信感もくすぶっており、金利高騰への警戒がドル調達コストを高止まりさせている可能性がある。

<ベーシス急騰、「ショック」>

日米金利差からの乖離幅を示すベーシスは一時125ベーシスポイント(bp)と前日の10bpから約12倍に拡大し、11カ月ぶりの高水準に達した。

ドル/円スワップのベーシス(上乗せ金利)は、ドル資金の需要過剰/供給不足を表す。例年12月が近づくと、期日が年末越えとなる1カ月物ベーシスは上昇する傾向にある。きょうの1カ月物の期日は年明けの1月6日。ベーシスの上昇は、年末越えのドル資金の確保を急ぐ国内勢の需要の強さを映すものだ

しかし、今年はFRBによる3度の利下げで日米金利差が縮み、ベーシスもこれまで低位安定傾向を示していただけに、足元の急騰は「それなりにショックがある」(金融機関)という。

実際、ロイターが10月に実施した国内主要生保の2019年度下期一般勘定運用計画調査では、ベーシスを含むドルヘッジコストの一段の低下を見込んで一部の生保がヘッジ付外債投資を増やす方針を示していた。

ベーシス込みのスワップ経由ドル調達コスト(ヘッジコスト)も、1カ月物で現在295bpと前日の179bpから大幅に上昇した。

<ドル手当てに不安>

今年のベーシス急騰の背景は、季節要因だけではない可能性もある。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング、主席研究員、廉了氏によると、国内勢は今年1―9月に約10兆円のドル建て債投資をしており、現在もドル需要が旺盛だ。それに加え「9月の金利急騰でFRBの信頼性が低下したことで、市場参加者の間では、いつまた金利が高騰するかもしれないという恐怖感が根強い」(廉氏)という。この警戒感がドル調達圧力に強めているとみられる。

米国の短期金融市場で流動性のベンチマークとなる翌日物レポ金利は9月17日に10%まで上昇し、2008年の金融危機以来の水準に達した。

市場では「最も潤沢な流動性」があるはずのレポ市場で、金融緩和下にも関わらず流動性不足からドル短期金利が急伸したことに加え、FRBの対応が後手に回ったことに不安の声が出ていた。[nL3N26V0XC]

その後、FRBはオペを通じて膨大な流動性を供給しており、現在2週間以下のドル金利は安定しているが、ドル需要がしばしば供給を上回り、金利が上昇しやすい環境が続いているという。

年末越え資金については、ニューヨーク連銀が25日に越年の資金供給オペ(期日2020年1月6日)を実施したが、オペ予定額の250億ドルに対し、金融機関からは倍近い490億ドルの応札があった。

市場では「9月の失敗を経てFRBは例年より早く越年資金を供給したが、オペの規模は明らかに少な過ぎ、市場とのコミュニケーションにも不安が残る」(外国銀)との指摘が聞かれる。

一方、複数の関係者によると、FRBは9月にレポ市場で起きた混乱を防ぐための常設貸出制度(SRF)導入の是非の判断を、手続き上の課題が残っていることを理由に先送りする見通しだ。[nL3N28113N]

市場参加者の間では、短期金利の動きを制御するFRBの対応が遅れているとの認識が定着しつつあり、ドル調達を巡る不安につながっている。

編集:田中志保
https://jp.reuters.com/article/forex-market-dollar-idJPKBN1Y20A4


 

中南米の政情不安、通貨に波及−ブラジル・コロンビア・チリで最安値
Ben Bartenstein
2019年11月28日 3:30 JST
• 「中南米版アラブの春」と呼ぶのは一理ある−ベアリングス
• 比較的静かなブラジル、中銀は2日間で3度目の介入
27日の外国為替市場では、中南米通貨の下落がエスカレート。取引高の大きい3通貨は過去最安値を更新した。
  コロンビア・ペソは4日続落。同国のドゥケ大統領は、反政府デモの沈静化を試みたが失敗した。暴動が続くチリではペソが下落した。ブラジルは激しい政局の混乱を免れているが、通貨レアルは最安値をつけ、中銀は2日間で3度目の介入を余儀なくされた。

  チリ・ペソは過去1カ月間で11%安。同国では1990年の民政復帰以降で最悪の暴動が広がっており、経済成長が停滞する恐れがある。コロンビアではこの1週間にデモが全国に拡大した。
  米ベアリングスのマネーマネジャー、オモトゥンデ・ラワル氏(ロンドン在勤)は「中南米版『アラブの春』と呼ばれるのは一理ある」と指摘、「通貨は各国特有の出来事に応じて調整している」と説明した。
原題:Latin American Currencies Hit Record Lows as Drop Turns to Rout(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-27/Q1N1JET0G1KY01?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/728.html

[国際27] Apple、ロシア政府の要望に従う〜マップアプリでクリミアをロシア領土として表示 デジタル制覇狙うロシアの巨大銀行 エコシステム巡り、株式の半分以上所有する中央銀行と対決
Apple、ロシア政府の要望に従う〜マップアプリでクリミアをロシア領土として表示
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マップ ロシア クリミア

Appleがロシア政府の要求に応え、ロシア国内で「マップ」および「天気」アプリを開くと、クリミア半島がロシアの領土として表示されるよう、アップデートしたことがわかりました。

ロシアのマップアプリではクリミアはロシア領土に
2014年のウクライナ騒乱後、ロシアはクリミア共和国を併合しましたが、ウクライナは現在もこれに異議を唱えています。

しかしロシア国内でAppleのマップおよび天気アプリを開くと、クリミアがロシアの領土として表示されるようになったことが、英BBCの調べで判明しました。

ちなみにロシア国外で、クリミア共和国の首都であるシンフェロポリ(Simferopol)を検索すると、国名は出てきません。

ロシア クリミア マップ
ロシア政府の要望に従う結果に
ロシア国家院(ロシア連邦議会下院)は公式文書において「クリミアとセヴァストポリは、Appleデバイスにおいてロシア領土として表示されるようになった」と述べています。

BBCによると、Appleは過去数カ月間にわたり、クリミアの表示方法についてロシア政府と話し合いを重ねてきました。政府はクリミアがロシア領土として表示されないことに、苦情を申し立てていたようです。

Appleは当初、クリミアのあとに国名をつけないこと(現在のロシア国内以外での表示)を提案しましたが、ロシア政府がこれを認めず、Appleも最終的には政府の要望に従う形となりました。

Googleマップではロシア語で表示
ちなみにGoogleマップは、ロシア国内で開いても、クリミアがロシア、ウクライナのどちらの領土であるかを示しません。ただしクリミアの首都名を、ウクライナ語ではなく、ロシア語で表記しています。たとえば日本語で「シンフェロポリ」「セバストポリ」(Appleマップではセヴァストポリ、Googleマップではセバストポリ)と検索すると、カタカナの下にロシア語名が表示される、といった具合です。



Source:BBC via 9to5Mac
(lunatic)
https://iphone-mania.jp/news-268151/


 
デジタル制覇狙うロシアの巨大銀行
エコシステム巡り、株式の半分以上所有する中央銀行と対決
2019.11.28(木)
大坪 祐介
ロシア IT・デジタル ベンチャー・スタートアップ 金融・保険
ロシアの銀行
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 先日、在モスクワのヘッジファンドの友人からインベスターツアーへの誘いが届いた。筆者の本業は未上場のベンチャー企業への投資である。

 しかし訪問先にはロシアを代表するIT企業の一つであるMail.ru、そして何よりもズベルバンクが含まれている。

 筆者はズベルバンクの最近の動向に関心を持っており、喜んでメンバーに加えてもらうことにした。

 ズベルバンクとは、ロシア版「ゆうちょ銀行」とも言える、ロシア最大の銀行である。

 その歴史は帝政時代の1841年にさかのぼり、ソ連時代も唯一のリテールバンクとして存続、ロシアになってからは、株式の過半数をロシア中央銀行が保有しつつも商業銀行として活動している。

 2019年6月末現在(以下数値は同)、同行の従業員数は29.2万人、国内支店数1万4200店舗、個人顧客数は9300万人にのぼる(ロシアの人口は1億4000万人余である)、巨大金融機関である。

 そして巨大なのは組織だけではない。

 ズベルバンクがロシア国内の個人預金に占めるシェアは44.6%、個人向け貸出の40.8%、住宅ローンの54.4%、法人向けでも預金 24.9%、貸出31.1%。

 この結果、同行の国内銀行総資産に占める割合は31.6%と圧倒的なビジネスの規模を誇っている。

 2018年の純利益は8320億ルーブル(約1兆4100億円)、ROE(自己資本収益率)は23.1%と過去3年間20%を上回るなど業績も好調である。

 株式市場での評価も高く、足許の同行の時価…
 株式市場での評価も高く、足許の同行の時価総額は約8.7兆円、ロシア国内ではガスプロム(10.2兆円)に次ぎ第2位、我が国のメガバンク最大手三菱UFJ銀行(7.9兆円)をも上回っている。

 同行の株式の45%は外国投資家が保有しているが、その人気の理由も理解できる。

 今年のロシア株式市場は主要指標のMOEX(ルーブル建て)が年初来+24.6%(11月25日)と好調であるが、ズベルバンクの株価(同+27.5%)が大きく貢献していることは間違いない。

 さて、こうした基礎知識を頭に入れてズベルバンク本店でのIRミーティングに向かった。同行の本店はモスクワ中心部からはやや離れた場所にある。

 筆者は20年以上前の大使館勤務当時、同じ建物に同行の副頭取を訪問したことがある。その時の話の内容はすっかり忘れてしまったが、通された会議室はテニスができそうなくらい広い空間と巨大テーブルであったことが強く記憶に残っている。

 今回もどんなギガントマニア(巨大マニア)ぶりが見られるのか期待していったのだが、期待は受付ロビーで見事に裏切られた。

 そのロビーは銀行というよりも、まるで今どきのIT企業のそれであった。

 緑(同行のコーポレートカラー)と白を基調にした明るいホールには大きなスクリーンが張りめぐらされ、モスクワの新しい都市風景が映し出されている。

 ロビーにはコーヒーショップ、さらにはズベルバンク・グッズを扱うショップまで開設され、“#SBER”とプリントされたTシャツ(着ている人を見たことはないが)やマグボトル等が販売されている。

 オフィス階のエレベーターホールにも近年モスクワでも人気上昇中のオーガニックフードの自動販売機が設置されるなど、以前の「半官半民貯蓄銀行」のイメージは全く感じられなかった。

 一体、この巨大銀行に何が起こっているのか…
 一体、この巨大銀行に何が起こっているのか?
 その答えは今回のIRミーティングで明らかになった。それは 「Shaping the digital landscape beyond banking」、あえて訳せば「銀行業の向こうにあるデジタル経済へ」と言ったところであろうか。
「デジタル経済」とはここ数年プーチン大統領の号令の下ロシア政府が最優先で取り組む経済政策のテーマである。
 ズベルバンクのトップには2007年から元経済発展貿易大臣であったヘルマン・グレフ氏が就いている。
 彼は第1期ウラジーミル・プーチン政権においてクドリン財務大臣と並んでリベラル派の大臣として西側からも高く評価されてきた。
 これ以降、グレフ頭取の下、ズベルバンクは大幅なリストラを伴う急速な組織改革を進めてきた。
 ズベルバンクは2017年に「New Sberbank Development Strategy 2020」 を策定、3つの目標を掲げている。
 1番目は金融ビジネスにおける最高のカスタマーエクスペリエンスと金融ビジネス以外のエコシステムの実現。

ズベルバンクが目指すエコシステム 顧客の日常生活の全てを囲い込むためにベンチャー企業を次々と傘下に (資料 ズベルバンクIR資料)

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 2番目はテクノロジーにおける主導的地位、…
 2番目はテクノロジーにおける主導的地位、3番目はこれらを実現するための人材確保と組織づくりである。
 この戦略実現には2013年にズベルバンクに迎えられたレフ・ハシス第1副頭取(ロシアのリテール最大手X5グループCEO=最高経営責任者や米ウォルマート上級副社長を歴任)の果たした役割が大きいと言われている。
 ではズベルバンクは具体的に何をやっているのだろうか?
 答えはシンプルである。国内のベンチャー企業を買い集めているのである。
 ズベルバンクはこの1年間でフードデリバリーやタクシー配車、求人サイトにインターネットメディアにEコマース、ビデオ配信さらには病院予約・遠隔医療サービスまで傘下に収めている。
 グレフ頭取によれば、同行は2018〜2020の3年間に約1000億円を投じる予定であると発言している。
 ズベルバンクが出資しているのは、こうしたネットサービスばかりではない。
ズベルバンク本店のオフィスに設置されたオーガニックフードの販売機。もちろん決済はキャッシュレスである
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 中期戦略の2番目の目標、テクノロジーにおける主導的地位の確立にも余念がない。
 例えばつい先週来日していたVisionLabs社は顔認識技術で世界のトップに位置する(米NIST顔認識ベンダー調査で2019年9月現在第1位)ベンチャー企業であるが、ズベルバンクは同社の大株主である。
 同社の技術はズベルバンクのATMやモバイルアプリにも導入されており、顔認証による口座取引が既に実用化されている。
 なんと先進的な取り組みであろうか!
 しかし、こうしたズベルバンクのベンチャー…
 しかし、こうしたズベルバンクのベンチャー買収戦略に対して、筆者には今一つ釈然としない思いが残った。
 同じ思いを抱いたのは筆者だけではない。ロシアで著名な投資家の一人がIR担当者に「本業と関係の薄いベンチャー企業買収が企業価値の向上につながるのか?」と質問した。
 IR担当者の答えはエコシステムによる顧客の囲い込みが重要である云々・・・とあまり納得のいくものではなかった。
 筆者にはズベルバンクの行動はロシアの大企業にありがちな「何でも自前主義」にしか思えない。
 そしてズベルバンクはロシアのインターネット・プラットフォーマーにも強い関心を示している。
 同行は国内検索エンジンで60%以上のシェアを誇るインターネット企業の最大手ヤンデックスにも触手を伸ばしたが、これに危機感を感じたヤンデックス側がズベルバンクとの提携を拒否した。
 これに対し、ズベルバンクは国内第2位のインターネット起業Mail.ruとの提携に矢継ぎ早に動いている。
 しかし、ここにきてズベルバンクのエコシステムに異議を唱える大物が現れた。
 ロシア中銀である。
 ロシア中銀はロシア銀行業界に対して絶対的な権限を持つばかりではなく、ズベルバンクの50%+1株を保有する株主でもある。
 ロシア中銀は今週発表された「金融市場にお…
ロシア中銀は今週発表された「金融市場における競争発展に関するリポート」の中で、ズベルバンクを直接名指しすることは避けつつも、大銀行による自前のエコシステムの構築は市場の健全な競争を妨げるうえ、個人データの集中は情報漏洩のリスクも高めると強く批判している。
 タイミング悪く、ズベルバンクは先月に相次いで顧客情報の外部漏洩を起こしている。5000人分のクレジットカード顧客の口座情報が闇サイトに流出したのである。
 報道では銀行職員の内部犯行と報じられている。しかもその1週間後にはなんと6000万人分のクレジットカード情報が闇サイトでアクセス可能となっていると報じられた。
 ロシア中銀がこれを看過するわけがない。
 プーチン大統領が期待する「デジタル経済」が今後大きく成長するためには、何よりも健全な競争が必要である。
 政府、ましてや政府系大銀行が市場をコントロールすることで成長を実現することはできない。
 筆者はズベルバンクのエコシステムに対するロシア中央銀行の批判は至極尤もであると感じている。
もっと知りたい!続けてお読みください

日露オープンイノベーションの始まり

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58397
苦しいロシア:ITに活路見出す
プーチン大統領 ダイレクトラインには執拗なサイバー攻撃
2019.6.27(木)大坪 祐介
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56826


http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/806.html

[経世済民133] 米中摩擦緩和なら、中長期的な円安も ドル半年ぶり高値から反落、香港人権法成立で米中対立警戒 金価格は約3倍も 債券下落、2年入札結果弱めで中長期中心に売りー海外需要減との見方 ドル/円、静かな高値更新ユーロに奪われた調達通貨 米、香港人権法が成立 中国「内政干渉だ」報復言及
為替フォーラム2019年11月28日 / 16:27 / 4時間前更新
コラム:
米中摩擦緩和なら、中長期的な円安も

大和投資信託 チーフエコノミスト 亀岡裕次
4 分で読む

[東京 28日] - 米国が今年10月15日からの対中関税引き上げを延期すると発表して以降、米中通商合意への期待が高まっている。ただ、トランプ大統領は、第1段階合意は近いとする一方で、米国にとって良い合意となる必要があるために保留しているとも発言している。香港問題が合意の支障となるリスクも含め、米中通商協議の行方は未だ不透明で、予断を許さない。

過去にも米中通商合意が近いとされたことはあったが、結局は協議が決裂してきた。2月24日に米国は2000億ドル相当の対中輸入品に対する追加関税第3弾の税率引き上げを延期すると発表した後、4月4日にはトランプ大統領が米中通商協議は「4週間以内に合意も」と述べ、30日には大統領首席補佐官が「2週間以内に決着の公算大」とした。ところが、5月5日に大統領は関税第3弾の税率を10%から25%に引き上げると警告し、10日に引き上げた。

<今回は米中通商合意に至る可能性>

しかしながら、米国はこれまでのように対中協議を決裂させるわけにはいかないだろう。来年に米大統領選挙を控えたトランプ大統領としては、支持率アップのために通商政策の「成果」をアピールしたいと考えているはずだ。

中国は、米国産農産物の輸入拡大、金融サービスの市場開放、通貨政策の透明化などを行う見返りとして、米国が発動済み対中追加関税の一部撤回を要求しているとみられる。米国が12月15日に予定している追加関税第4弾の残りの発動を見送るだけでは、中国は合意しないはずだ。一方、トランプ大統領は中国との関税の応酬により減少した米農産物輸出を回復させたいだろうし、中国が輸入拡大を約束通りに履行するための方策を取るなら、発動済み関税の一部撤回に応じる可能性はあるだろう。

関税撤回で合意したいものの米国の過大な要求には応えがたい中国と、中国の対応が不十分として関税撤回を小幅にとどめようとする米国の交渉が、妥協点を巡り難航しているのだろうが、合意の可能性はありそうだ。米中協議決裂と追加関税発動の流れが一変して好転すれば、通商政策の不透明感が薄らぐため、リスクオフの円高圧力が後退し、リスクオンの円安圧力が台頭しやすくなる。

<短期的な円安進行は限定的か>

それでも、短期的な円安進行は限定的なのではないか。今後も米国が中国に対し、知的財産権侵害や技術移転強要などの構造問題の解決を迫るためには、関税カードを温存する必要があるので、対中姿勢を大幅には軟化させず、なるべく関税撤回を小幅にとどめるはずだ。そうであれば、世界的に景気は急速には改善しにくいだろうし、海外金利上昇やリスクオンによる円安は大幅には進みにくいだろう。

また、9月まで続いたドル高が米製造業に悪影響を与えており、製造業関連の景気指標は低迷を続けている。為替が変動してからその影響が景気指標に表れるまでに3カ月程度のタイムラグがあることからすると、少なくとも年内は指標が改善しにくい。当面は米景気指標の低迷が、米長期金利とドル円の上昇を抑える要因となるだろう。

9月から11月にかけて米長期金利の上昇幅のわりにドル円の上昇が進んだのは、米株価上昇など市場がリスクオン傾向にあり、それが円安に働いたからだ。米中摩擦が緩和すればリスクオンの円安は続きやすくなるが、すでに米中合意期待で株高が進んできただけに、景気が低迷しているうちはリスクオンの円安は大幅には進みにくいだろう。日米金利差とドル/円の相関関係から大きく逸脱してドル/円が上昇するとは考えにくい。米中合意しても当面、日米10年国債金利差は2.1%を上限、ドル/円は111円を上限に推移しやすいとみる。

<米国の関税撤回次第で中長期的な円安も>

とはいえ、米中通商協議の展開次第では、中長期的に円安が進行する可能性がある。トランプ大統領は大統領選に向け、米製造業からの支持率アップのためにも関税軽減を進める必要があると考えるかもしれない。米国は、中国の知的財産権保護などの構造問題対応が検証可能で実効性のあるものと判断できれば、さらに対中関税を軽減する可能性はあるだろうし、市場では第2段階合意への期待が高まることが考えられる。

また、来年には米景気回復と支持率アップのために、トランプ政権が中間層の所得税減税などの財政政策を打ち出す可能性が高い。民主党の議席が過半数を占める米議会下院が政権案をどこまで容認するかという問題はあるが、市場の景気回復期待とリスクオン志向を誘発し、円安に働きやすいはずである。

今年は実効為替ベースのドル高進行が米製造業に悪影響を与えてきたが、10月以降はドル高が頭打ちとなっている。リスクオン局面で人民元など多くの通貨が対ドルで上昇したからだ。トランプ政権が強硬な通商政策を改めることによってドル高是正が進めば、米製造業に好影響を与え、それが新たなリスクオン要因となる。つまり、リスクオンのドル安と米景気回復が好循環を起こすことで、リスクオンが中長期的に続く可能性があるだろう。リスクオン局面では、ドル安(ドル実効為替の下落)が進みやすいが、ドル安以上に円安となって円安・ドル高が進みやすくなる。

<米国が日本に円安阻止要求のリスク>

ただ、そうなると、対日貿易赤字が大きい米自動車業界などからは、円安・ドル高への不満が高まりやすい。日米通商協議は自動車分野が未決着だ。米国が日本の自動車に追加関税を課したり、輸出規制を要求したりする可能性は低いだろうが、日本に対し円安阻止のための為替条項を要求する可能性はあるだろう。リスクオンでは、人民元高・ドル安になりやすいので、米国と中国の通貨摩擦が強まる恐れは小さい一方、円安・ドル高になりやすいので、米国と日本の通貨摩擦が強まる恐れはある。円安・ドル高が進んだ場合には、トランプ政権の通貨政策の標的が日本に向くリスクに注意が必要だろう。

(本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

亀岡裕次氏
*亀岡裕次氏は、大和投資信託のチーフエコノミスト。東京工業大学大学院修士課程修了後、大和証券に入社し、大和総研や大和証券キャピタル・マーケッツを経て、2019年10月より現職。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

編集 橋本浩
https://jp.reuters.com/article/column-yuji-kameoka-idJPKBN1Y20L2

 

ドル・円は半年ぶり高値付近から小反落、香港人権法成立で米中対立警戒
小宮弘子
2019年11月28日 11:58 JST
更新日時 2019年11月28日 15:19 JST
東京外国為替市場のドル・円相場は半年ぶり高値付近から小反落。トランプ米大統領が香港人権法案に署名したことを受け、米中貿易交渉への悪影響が懸念され、リスク選好で売っていた円を買い戻す動きが先行した。ポンドは英総選挙での与党過半数確保の見通しを受けて上昇。

ドル・円は午後3時18分現在、前日比0.1%安の1ドル=109円46銭。一時109円33銭まで下落
27日のニューヨーク市場では、堅調な米経済指標などを背景に109円61銭と5月31日以来の水準まで上昇
ポンドは対ドルで0.2%高の1ポンド=1.2947ドル。世論調査の結果を好感し、対円では一時1ポンド=141円86銭と5月14日以来の高値を記録
上昇一服
市場関係者の見方
クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司外国為替部長

月末のポートフォリオリバランスもドル売りの方向との見方が多く、市場は利食いのタイミングを待っていたところへ、香港人権法案署名のニュースが出た
昨日は複合要因でドル・円が上昇したが、感謝祭で米国勢が休みに入り、市場参加者も少ないので、上方向へトレンドを形成するということではない
みずほ証券の金岡直一シニアFXストラテジスト

法案署名がややリスク選好姿勢に水を差したかたちだが、米中貿易協議については最終的に合意まで到達するだろうという期待がまだ保たれており、リスクオフ度がスパイラル的に強まるのをとどめている
英選挙で保守党が過半数を占めれば、ほぼその段階でジョンソン首相の離脱案が可決され、来年1月末までには合意ありというかたちの離脱になるだろうという見方。ハングパーラメント懸念がなくなる方向に行っているのは、素直にポンド買い
背景
ホワイトハウスは27日、トランプ大統領が香港人権法案に署名し、同法案が成立したとする声明を発表
これに対し、中国外務省は声明で報復をあらためて警告。ただし、その詳細には言及せず
27日の米株式相場はリスクオン地合いの継続から3日連続で最高値を更新。一方、28日のアジア市場で米株価指数先物は法案署名を受けて反落。中国株も下落に転じ、日経平均株価は前日比28円安で終了
28日の米国市場は感謝祭の祝日のため休場
27日公表のユーガブの調査結果によると、12月12日の英総選挙ではジョンソン首相率いる与党保守党が359議席(定数650)を獲得し、前回選挙から42議席増やす見込み
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-28/Q1NJRMDWRGG101?srnd=cojp-v2


 


 


ビジネス2019年11月28日 / 15:32 / 4時間前更新
焦点:
ドル/円、静かな高値更新 ユーロに奪われた「調達通貨」の座
基太村真司
3 分で読む

[東京 28日 ロイター] - ドル/円JPY=が半年ぶり高値を更新した。しかし、年初来の値幅が過去最低にとどまる動きの鈍さは相変わらずで、変動率の上昇が見込まれると買われるオプションは、最安値を割り込んだ。膠着の一因には、キャリー取引の調達通貨というこれまでの円の特性が、ユーロ圏などの低金利政策で薄らいでいることも影響している。

<ドル/円の予想変動率、再び過去最低>

27日海外市場の取引で、ドルは一時109.61円まで上昇。半年ぶり高値をつけた。米経済指標の好調ぶりを受けて米金利が上昇し、ドルを押し上げたほか、それを好感した株高が円の売り圧力につながった。

しかし、半年ぶり高値更新による高揚感は、市場にほとんどない。年初来の値幅は104.10─112.40円と上下わずか8.30円。変動相場制移行後に初めて10円を割り込んだ昨年を、さらに下回っているためだ。

ドルが直近高値を更新するのと同時に、通貨オプション市場ではドル/円の予想変動率(インプライド・ボラティリティー)3カ月物が4月の水準を下抜け、過去最低水準へ到達した。参加者の多くが「どうせドル/円はレンジ」(FX会社幹部)と、半年ぶり高値を冷ややかな目で見ていることが分かる。

<ドルは堅調でもドル/円が動かぬ理由>

世界的な低金利で主要通貨の値動きが鈍っているとはいえ、ドル/円の不動ぶりは突出している。G7通貨とスイスフラン、アジアで人気の豪ドルとNZドル、欧州のノルウェークローネ、スウェーデンクローナ、デンマーククローネを含めた10通貨の年初来対ドル変動率は、最も大きいのがスウェーデンクローナのマイナス7.5%。最も小さいのが円で、ほぼゼロ%にとどまる。

ドルそのものは堅調だ。10年物国債金利がギリシャも上回る1.7%台という「高金利通貨」として世界から資金を集め、主要通貨に対する総合的なドルの値動きを示すドル指数.DXYは現在、年初来で2%程度上昇している。

その堅調なドルに引けを取らないほど円が上昇しているために、ドル/円という通貨ペアが動かなくなっているのが現状だ。

円が買われているのは、リスクオフの買いだけではない。例えばドルの独歩高が進む際は、円より流動性の高いユーロや英ポンドなどへ売りが集中する。ドル高とユーロ安が値動きを主導することになり、ユーロ/ドルとユーロ/円がともに下落。結果的にドル高でもドル/円は横ばいが続く、という仕組みもある。

<キャリー取引、調達通貨はユーロに>

市場でもう1つ、ドル/円の値動きが鈍い一因として話題となっているのは、キャリー取引に使われる調達通貨としての円の需要が減退していることだ。

各国の金融緩和でマネーがあふれるグローバル市場では、株や債券などいずれの市場でもボラティリティーが低下している。低金利で低変動率となれば、投資家の選択肢は低金利通貨で資金を調達、少しでも金利の高い通貨で一定期間保有し、値幅取りより金利収入を狙う、キャリー取引に傾きがちとなる。

長らく低金利政策を続けてきた日本円はこれまで、調達通貨の代表格だった。「グレート・モデレーション」と呼ばれたリーマン・ショック発生前の2007年、10年金利が7%近かった豪ドルが対円AUDJPY=で100円を超えていたのは、その典型だ。

しかし、世界的な低金利は、その状況に変化を及ぼしている。低金利が当面続くこと、いつでも持ち高を解消できる高い流動性、突発的な政策変更リスクが小さいことなど、調達通貨に必要な条件を備える候補が、他にも出てきたためだ。

その筆頭がユーロ。欧州中央銀行(ECB)は9月に利下げや量的緩和(QE)の再開など、包括的な追加金融緩和策の導入を決定した。新総裁に就任したラガルド氏も「金融政策は引き続き経済を支援する」と明言するなど、継続的な低金利政策を前面に掲げている。

結果として市場では「海外投資家がキャリー取引を試みる際、あまり馴染みのない日本円より、もし使えるならと身近なユーロを調達する機会が増えてきた」(外銀幹部)という。ユーロの総合的な値動きを示すユーロ指数=EURは、2年半ぶり水準へ下落している。

JPモルガン・チェース銀行の市場調査本部長、佐々木融氏は「もともとドルも円も広義の調達通貨だったが、2000年を過ぎた頃から、円金利の極端な低さに注目が集まって円の売買が活発となり、ドルを上回る動きを見せることが多くなった」と振り返る。そのうえで「ECBがマイナス金利を採用した16年以降、短期的なキャリートレードの調達通貨は、円よりユーロの方が適格となった」と指摘。円相場の振幅を抑制していると解説している。

(編集:青山敦子)

*見出しの表記を変更しました

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
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コラム:なぜ今、10兆円の大型補正予算なのか=熊野英生氏
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https://jp.reuters.com/article/column-yuji-kameoka-idJPKBN1Y20L2


 


金価格は約3倍も、NY市場で行使価格4000ドルのオプション大口取引
Yvonne Yue Li
2019年11月28日 12:09 JST
金オプション市場では27日、金相場が1年以上先に過去最高値を超えて3倍近くに急騰することに賭ける175万ドル(約1億9200万円)相当のブロック取引が見られた。

  ニューヨーク市場では27日正午ごろ、2021年6月に1オンス当たり4000ドルで買う権利を保有者に与える金オプションが5000ロット売買された。このオプションは1オンス当たり3.50ドルで売却された。

  BMOキャピタル・マーケッツの金属デリバティブ(金融派生商品)取引責任者、タイ・ウォン氏は電子メールで「1年半の定期生命保険のようだ。金価格が4000ドルを付ければ世界はどうなるだろう」と述べ、このコールオプションを購入した人は「急激な動きを期待している」と指摘した。

  金先物は2011年に1オンス=1923.70ドルの最高値を付けた。今年は14%上昇したが、依然として史上最高値を24%下回っている。

Block trade in options market bets futures pass the 2011 record high
原題:Bold Bets That Gold Could Triple to $4,000 Trade in New York (抜粋)


 


米、香港人権法が成立 中国「内政干渉だ」報復言及
トランプ政権 中国・台湾 北米
2019/11/28 8:10 (2019/11/28 11:23更新)

【ワシントン=永沢毅、北京=羽田野主】トランプ米大統領は27日、香港での人権尊重や民主主義の確立を支援する「香港人権・民主主義法」に署名し、同法は成立した。ホワイトハウスが発表した。香港に高度な自治を認める「一国二制度」が機能しているかどうか米政府に毎年の検証を義務付けるのが柱。成立を受け、中国政府は28日に発表した声明で「重大な内政干渉だ」と反発。報復措置を発動する考えを示した。



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トランプ氏は声明で「中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と香港市民への敬意をもって法律に署名した」と説明。「中国と香港の指導者と代議員が友好的に隔たりを埋め、長きにわたって全ての人の平和と繁栄につながるよう希望している」と表明した。

香港人権法では、香港で人権弾圧などがあれば、それに関わった中国政府関係者への制裁を科すことができるようになる。米国が香港に提供してきた関税・ビザ発給における優遇措置の見直しにつながる可能性もある。デモ隊への強硬姿勢を強めている中国政府と香港政府をけん制する狙いだ。

中国外務省は28日、同法が成立したことについて「中国政府と人民は断固反対する」とする声明を出した。「重大な内政干渉で、あからさまな覇権の行使だ」と米国を非難。「米国が独断専行をやめなければ中国は必ず報復措置をとる。一切の悪い結果は米国が負うことになる」と強調した。

香港政府も「香港と米国の関係や利益を損なう」との声明を発表した。「デモ参加者に間違ったメッセージを送り、香港の状況改善にもつながらない」とも言及した。香港では28日も学生ら20人以上が大学に籠城し、当局が投降を呼びかけている。

同法を巡っては、トランプ氏が署名すれば中国側が態度を硬化させて米中貿易交渉が漂流するリスクもあり、同氏の対応が焦点となっていた。米中は中国による農産品購入の拡大などを盛った「第1段階の合意」の早期決着に向けて交渉を続けており、トランプ氏は2020年大統領選をにらんだ成果として期待している。

同法は19、20両日に上下両院で圧倒的な賛成多数で可決され、米議会の超党派議員はトランプ氏に署名するよう要求していた。成立を受け、上院外交委員会はトランプ氏の署名を歓迎する声明を出し、同法のとりまとめを主導したマルコ・ルビオ上院議員(共和党)は「(民主派が圧勝した)香港区議会議員選挙に続き、これ以上ないタイミングで米国による香港の自由への強い支持を示した」と表明した。

トランプ氏が署名を拒んで拒否権を行使したとしても、上下両院がそれぞれ3分の2以上の賛成で再可決すれば法案は成立することになっていた。ただ、トランプ氏を支える与党の共和からも署名を求める声は強かったため、政権を揺るがす「ウクライナ疑惑」を抱えるトランプ氏は共和の反発を引き起こす事態は避けたい思惑があり、署名したとみられる。

中国はかねて同法を「中国の内政に干渉する法案は1枚の紙くず」(中国共産党機関紙の人民日報)と見なしてきた。成立すれば報復措置として米中貿易協議に悪影響を及ぼす考えも示唆していた。


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債券下落、2年入札結果弱めで中長期中心に売りー海外需要減との見方
船曳三郎
2019年11月28日 7:47 JST
更新日時 2019年11月28日 15:34 JST
債券相場は下落。前日の米国金利上昇を受けて売りが先行した後、この日に実施された2年国債入札が弱めの結果になったことを受けて中長期ゾーンを中心に売り圧力がかかった。この日は米国市場が休場のため、海外投資家の需要が乏しかったとの見方が出ていた。

新発10年債利回りは前日比2ベーシスポイント(bp)高いマイナス0.095%、新発5年債利回りは一時3bp高いマイナス0.185%
超長期債も売られ、新発20年債利回りは0.25%、新発30年債利回りは0.40%、新発40年債利回りは0.435%までそれぞれ上昇
長期国債先物12月物の終値は27銭安の153円29銭で安値引け。朝方から売り優勢の展開となり、午後に入って下げ幅を拡大
市場関係者の見方
野村証券の中島武信シニア金利ストラテジスト

2年債は前回入札後に日本銀行が利下げを見送り、国内勢は買う意味が薄れており、利回り水準が前回並みならなおさらだ
今日は米国休場で、日本国債を最も保有する米国勢の不在が2年入札にも大きく影響か。中期が弱く、海外勢が買ってないという連想に
海外勢の不在が懸念され、日銀利下げの可能性も低下する中、10年金利マイナス0.1%より下を買い進めるのはどうかということになる
超長期ゾーンも軟化したのは意外だが、保有債券の長期化需要は月末前の2年入札あたりに金利の底を付けてピークアウトする傾向もある
長期国債先物12月物の日中取引推移
2年債入札
最低落札価格は100円57銭0厘と、ブルームバーグがまとめた市場の予想中央値100円57銭5厘を下回る
応札倍率は前回4.81倍を下回る4.13倍、テール(最低と平均落札価格の差)は前回のゼロから1銭1厘に拡大
備考:過去の2年債入札の結果一覧
背景
27日の米10年国債利回りは前日比2bp高い1.77%程度で終了
7−9月期の米実質国内総生産(GDP)改定値が予想を上回るなど、米経済指標の改善を受けて米国債の安全資産需要が減退
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.190% -0.190% -0.100% 0.250% 0.400% 0.425%
前日比 +1.0bp +2.5bp +1.5bp +2.0bp +1.5bp +1.0bp
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-27/Q1KBT3T0AFB801?srnd=cojp-v2



トランプ大統領の署名で香港人権法が成立−中国はあらためて報復警告
Mario Parker
2019年11月28日 8:16 JST
更新日時 2019年11月28日 18:41 JST
中国や香港の指導者・代表者の友好的な相違克服を期待と米大統領
中国外務省は「内政干渉」と反発−報復措置の詳細には言及せず
Demonstrations gather during a rally in support of the Hong Kong Human Rights and Democracy Act in Hong Kong on Oct. 14.
Demonstrations gather during a rally in support of the Hong Kong Human Rights and Democracy Act in Hong Kong on Oct. 14. Photographer: Chan Long Hei/Bloomberg
ホワイトハウスは27日午後(日本時間28日午前)、トランプ米大統領が香港人権法案に署名し、同法が成立したとする声明を発表した。これにより米中関係の緊張が高まり、貿易戦争の収拾を目指すトランプ大統領の取り組みは一段と複雑となる見通しだ。

  中国は28日、ブランスタッド駐中国米大使を呼び、香港問題への干渉をやめるよう楽玉成外務次官が伝えた。そのような行動は二国間関係を緊張させ「重要な分野での協力」に影響を与えるリスクがあると警告した。中国外務省が同日午前に声明を出した。それ以上の詳細には触れていない。同省はあらためて報復の意向も示したが、具体的な行動には言及しなかった。香港政府も声明で「極めて遺憾」との立場を繰り返した。

Demonstrators Attend Rally In Support Of The Hong Kong Human Rights And Democracy Act
集会で米議会の法案に支持を表明した香港のデモ参加者(10月14日)
  同法は香港に高度の自治を認めた「一国二制度」が守られているかどうか毎年の検証を義務付けるほか、香港の「基本的自由・自治」が損なわれたり、市民の人権が侵害されたりした場合、その責任を負うと判断された当局者に制裁を科す内容。米国は一国二制度を前提に、関税などで中国本土よりも香港を優遇している。

  トランプ大統領は27日の声明で、「私は習近平国家主席と中国、香港市民に敬意を表して法案に署名した」とし、「同法成立に当たり、中国と香港の指導者や代表者が互いの相違を友好的に克服することができて、全ての人々の長期的な平和と繁栄につながるよう期待する」と明言した。

  大統領は別の声明で同法の一部規定について、米国憲法で定められた大統領の外交政策遂行の権限を「妨げる」ことになりかねないとして懸念を表明。この部分が制裁に関するものであるかと問われたトランプ政権高官は、法律の全規定を念頭に置いて声明は作成されたと説明した。

  法案は上院で全会一致で可決後、下院でも賛成417、反対1の圧倒的多数で承認された。米議員の多くが香港の抗議デモ参加者への支持を表明する中にあって、トランプ大統領はほぼ沈黙を保ってきたが、拒否権を行使しても覆されるのが確実なため、署名する以外にほとんど選択の余地が残されていなかった。

  中国はトランプ大統領に同法成立を阻止するよう求め、外務省の耿爽報道官は「米国がこの誤った道をあくまでも歩むと主張するなら、中国は強力な対抗措置に訴える」と警告していた。

  同報道官は28日午後の定例記者会見で、貿易協議への影響についての問いに直接は答えず、「この法律を施行しないことを米国に強く求める」とし、さもなければ「米中の二国間関係と重要分野での協力に悪影響が及ぶ」と述べた。

  米中は現在、第1段階の貿易合意を取りまとめている最中であり、トランプ大統領は来年の米大統領選での再選に向け、合意を実現することで経済を巡る不確実性を減らしたい考えだ。

  中国商務省の高峰報道官は21日の定例記者会見で、米中の貿易交渉担当者は引き続き密に連絡を取り、第1段階の合意に向け取り組んでいると述べた。

原題:Trump Signs Bill Backing Hong Kong Protesters, Defying China (2)、Trump Signs Bill Backing Hong Kong Protesters, Defying China (3)、Trump Signs Hong Kong Bill Backing Protesters, Angering China(抜粋)Trump Signs Hong Kong Bill Backing Protesters, Angering China

(外務省報道官の発言を最後から3段落目に追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-27/Q1NHU8T1UM0Z01?srnd=cojp-v2



ワールド2019年11月28日 / 08:17 / 1時間前更新
中国が報復を警告、トランプ大統領 香港人権法案に署名
Reuters Staff
2 分で読む

[香港 28日 ロイター] - トランプ米大統領は27日、香港の反政府デモを支援する「香港人権・民主主義法案」に署名し、同法は成立した。中国政府は28日、「断固とした報復措置」を取ると表明し、香港に干渉しようとする試みは失敗すると警告した。

中国外務省は声明で、香港を巡り米国が「独断的な行動」を続ければ、米国は中国の報復措置の影響を受けることになるとした。

香港政府は、同法の成立はデモ参加者に誤ったシグナルを送り、香港の内政に「明らかに干渉」するものだと反発した。

法案は前週、上院を全会一致で通過し、下院では1人を除く全員による賛成で可決された。中国は内政干渉で国際法違反に当たると強く反発していた。

香港に高度の自治を保障する「一国二制度」が守られ、米国が香港に通商上の優遇措置を与えるのが妥当かどうか、少なくとも1年に1回検証することを国務省に義務付けている。香港で起きた人権侵害の責任者には制裁が科せられる。

トランプ氏は香港港警察向けに催涙ガスや催涙スプレー、ゴム弾、スタンガンなど特定の軍用品を輸出することを禁じる法案にも署名した。

トランプ氏は声明で「習近平中国国家主席と香港の市民に対する尊敬から、これらの法案に署名した。中国と香港の指導者と代表者が対立を友好的に解消し、長期的な平和と繁栄をもたらすことを願うものだ」と説明した。

来年の大統領選に向けて中国との通商合意を最優先とするトランプ氏は、これまで法案に署名するか拒否権を発動するか明確にしていなかった。

関係筋によると、議会が法案を可決した後、トランプ氏が支持した場合に通商交渉に悪影響が及ぶかどうか大統領の側近が協議した。最終的には大半がデモ参加者への支持を示すために署名することを勧めたという。

法案が圧倒的賛成多数で議会を通過しており、拒否権を行使しても再可決される可能性があったことや、香港の区議会選挙で民主派が圧勝したことも、判断材料になったとしている。

共和党のルビオ上院議員は、トランプ氏の署名を歓迎する立場を表明。「中国が香港の問題に介入したり影響力を行使したりすることを阻止する新たな意味のある手段を米国は手にした」とする声明を発表した。

関係者の多くは、人権法は象徴的なものだが、発動されれば米国と香港の関係が変わる可能性があるとの見方を示している。

米国は香港に特別な地位を与えており、米国もこれによる恩恵を受けているため、そうした扱いをやめるのは自滅行為だとアナリストは指摘する。香港が単なる中国の一港湾都市になれば、香港を仲介役や中継地として利用していた企業は、取引を他の地域に移行する公算が大きい。

ただし、大統領には安全保障や国益に基づいて発動を停止する権限も認められている。

<中国は反発>

中国政府は「一国二制度」を堅持すると表明。外国勢力が社会不安を煽っていると改めて批判した。

外務省は声明で「この法律と呼ばれているものは、香港市民も含め中国人民の決意を強めるだけだ。米国の邪悪な意図と覇権主義的な性格を浮き彫りにするだけだ」と表明。「米国の策略は不毛だ」と述べた。

外務省報道官は定例会見で、具体的にどのような報復措置を検討しているのかとの質問にコメントを控え「注目しておいたほうがいい。来るべきものが来る」と述べた。

商務省報道官は定例会見で、今回の法律制定が米中貿易交渉に悪影響を及ぼすかについて直接のコメントを避け、交渉の進展について新たに公表すべき詳細はないと述べた。

*内容を追加しました。

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https://jp.reuters.com/article/us-hongkong-china-idJPKBN1Y12NJ

http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/731.html

[経世済民133] 世界的なリスクテークの潮流に中銀が警鐘−不安視しつつ緩和余儀なく ドイツは大規模財政拡張を、日本で5兆円の財政出動か 独は財政出動必要、ECBは戦略見直し可能に インフレ目標の対称性明確化必要−フランス中銀総裁 増税後の消費、厳しい出足 10月の小売販売7.1%減「富裕層」の申告漏れ最多、1年で763億円 
世界的なリスクテークの潮流に中銀が警鐘−不安視しつつ緩和余儀なく
Craig Stirling、John Ainger
2019年11月28日 12:25 JST
株価は高値更新しソブリン債利回り低下、不動産にも資金流入
中銀が警鐘を鳴らす以上のことをする兆しはほとんどない
低金利政策が投資家にリスクの高い行動を奨励しているとして、その政策を講じた世界の中央銀行は不安な思いで年末を迎えつつある。

  欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備制度などが、超低コストの資金を経済に大量注入する政策が引き起こした危険な投資行動に警鐘を鳴らした。米国やインドで株価指数が最高値を更新するとともに、ソブリン債利回りの低下で資金はより良いリターンを求めて不動産に流れ込んでいる。

U.S. stocks closed at a fresh record this week
  中銀はパニックのシグナルを送らないように抑制の効いた表現を用いているが、複数の中銀のコメントからは、安易に政策を引き締めることもできないという困惑を伴う不安の高まりがうかがわれる。危険なのは、約10年前に金融危機が表面化する前と似たような背景をこのようなリスクテークが作り出すことだ。

  UBSグループのセルジオ・エルモッティ最高経営責任者(CEO)は先週北京で開催されたニューエコノミー・フォーラムに際して、「市場は油断しているようだが、これは恐らく低金利やマイナス金利の結果だ」ブルームバーグテレビジョンに語った。「いつか、つじつまが合わなくなる確率は高まっている」と続けた。

Global stock of bonds yielding below zero hit record $17 trillion in August
  中銀は低金利の副作用を気にしながらも、警鐘を鳴らす以上の行動に出る兆しは見られない。むしろ何とかインフレを促そうと、今年に入って新たな金融緩和を打ち出している。

  その結果はソブリン債利回りの低下だ。プラスのリターンを提供する数少ない国に投資資金が向かう中、欧州では高リスクとされるイタリア国債ですら、10年物利回りが1%強にすぎない。

  資金が不動産に流れる中、スイスの銀行は住宅投資のための借り入れ基準を強化。他の多くの国でも同様の懸念があり、ブルームバーグ・エコノミクスが今年分析したところによれば、カナダとニュージーランドの不動産市場が最もこうした調整の影響を受けやすい。

  

中銀が今月発信した主なメッセージ
「低金利に関連する脆弱(ぜいじゃく)性は高まる可能性があり、警戒と継続的な監視が必要だ。これまでのところ、金融システムには弾力性があるようだ」- 連邦準備制度理事会(FRB)
「非常に低い金利と、債券ポートフォリオのデュレーションを徐々に延ばしている投資家の数の多さは、急激なリプライシングが起こった場合に被り得る損失を増幅させる可能性がある」- ECB
「この種の環境は、リスクテークの増加や資産の過大評価、持続不可能な形での債務膨張につながり得る」- スウェーデン中銀
「多くの投資家が利回り追求にまい進し、より大きなリスクテークへと誘(いざな)われる可能性がある」- ドイツ連邦銀行
原題:Global Risk Binge Gives Central Bankers Cause to Shudder (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-28/Q1MJG66KLVRA01?srnd=cojp-v2

 

 

ドイツは大規模財政拡張を、日本で5兆円の財政出動か−ゴールドマン
Michael Heath
2019年11月28日 11:06 JST
ゴールドマン・サックス・グループはドイツについて、「大規模な財政拡張策」を採用すべきだが、恐らくそうしないだろうとの見方を示した。中国については「急減速」を回避するのに十分なだけの措置を講じる必要があると指摘した。

  ゴールドマンはリポート「トップ・オブ・マインド」で、財政政策の可能性を探っている。主要国で金融政策が使い尽くされ、世界的に金利が低く、赤字財政支出への注目が高まっている状況を踏まえた。

  同行は国際通貨基金(IMF)の元チーフエコノミストのオリビエ・ブランシャール氏、ハーバード大学のアルベルト・アレジーナ教授、ゴールドマンのチーフエコノミストのヤン・ハッチウス氏にインタビューした。ブランシャール氏は「低金利によって財政政策の活用余地が拡大している」と指摘した。

  ゴールドマンは日本については、10月に実施した消費増税の影響で2020年の成長率が0.4%と、19年の0.9%から鈍化すると予想。20年に約5兆円規模の財政出動による経済対策が成立するとの見通しを示した。

原題:
Goldman Says Germany Needs Large Fiscal Stimulus, China Bit More(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-28/Q1NIX2T0AFB401?srnd=cojp-v2


 

ビジネス2019年11月28日 / 17:22 / 1時間前更新
独は財政出動必要、ECBは戦略見直し可能に=フランス中銀総裁
Reuters Staff
1 分で読む

[東京 28日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーであるビルロワドガロー仏中銀総裁は28日、都内で講演し、ドイツなど財政余力のある欧州諸国は、財政出動を通じて早急に欧州経済を下支えすべきだと述べた。

公的債務が多い国については、財政をより景気配慮型にすべきだと主張した。

総裁は都内で開かれたユーロプラスの国際フォーラムで「貿易紛争のエスカレートで世界の貿易が大幅に鈍化している」とし「鈍化の影響は、ユーロ圏最大の経済大国であるドイツで非常に顕著だ。ドイツは国際貿易に非常に大きな影響を受ける」と述べた。

総裁はユーロ圏の公的債務は日米より少なく、財政刺激の拡大が可能だと発言。「財政余力がある国は早急に活用すべきだ。ドイツのような不釣り合いなショックに見舞われている国は特にそうだ」と主張した。

ECBについては、ラガルド新総裁の下で政策の戦略的な見直しが可能になると発言。従来のように金融政策とマクロプルーデンス政策を分離するのではなく、両政策を「ソフトに協調」させるほうが「期待を持てる」かもしれないと述べた。金融の安定を巡る問題は増加しており、マクロプルーデンス政策を通じた対応には限界があるという。

国際的な銀行自己資本規制「バーゼルIII」については、日米欧の「公正で合理的な妥協策」であり、骨抜きにしたいという気持ちを抑えるべきだと主張。「バーゼルIIIは、もちろん米国も含め、すべての地域に一貫した方法で適用することを意図している」と述べた。

総裁は都内の大学での講演で、世界のノンバンクについて、銀行や保険会社ほど規制が進んでいないとの認識を示した。

総裁は「銀行と保険会社の規制は過去10年で大幅に進展した」と発言。「回復力が大幅に強化された」との認識を示した。

ただ「ノンバンクについては同様の規制がなかった。これが国際金融システムの1つの弱点となっている」と述べた。

*内容を追加しました。

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日韓、東シナ海上空の航空管制権見直しで基本合意=関係筋
コラム:なぜ今、10兆円の大型補正予算なのか=熊野英生氏
コラム:米中摩擦緩和なら、中長期的な円安も=亀岡裕次氏
焦点:ドル/円、静かな高値更新 ユーロに奪われた「調達通貨」の座
アングル:年末越えドル調達コスト急騰、今年の特徴は「FRBへの不信感」
https://jp.reuters.com/article/ecb-policy-idJPKBN1Y20QF

 
ECBレビュー、インフレ目標の対称性明確化必要−フランス中銀総裁
William Horobin、藤岡徹
2019年11月28日 13:00 JST
金融、マクロプルーデンス政策の垣根取り除くべきかどうか検証必要
気候変動を金融政策分析にどのように組み込めるかも検討すべきだ
欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバー、フランス銀行(中銀)のビルロワドガロー総裁は28日に都内で講演し、ECBが予定する金融政策レビューを歓迎し、インフレ目標の明確化を最優先すべきだとの認識を示した。

  今月就任したラガルド総裁は、ECBの戦略評価を近いうちに開始すると表明。ラガルド氏は詳細を明らかにしていないが、優先順位の決定を巡り政策担当者の間で駆け引きが始まっている。

  ビルロワドガロー総裁は「まず第一の目標である物価安定の定義について、特にわれわれのさまざまな対象期間とシンメトリー(対称性)へのコミットメントを明確にする必要がある」と語った。

  同総裁はまた、金融政策とマクロプルーデンス政策の垣根を取り除くべきかどうかや、ECBの金融政策分析に気候変動をどのように組み込めるかも検討対象とすべきだと提言した。

  ECBのツールキットが何年も拡大を続ける状況を受け、「リスクを最小限に抑える手段の適切な組み合わせを選択しつつ、われわれの物価安定目標が要求する金融スタンスを実現するために金融政策決定にアプローチすることが理にかなう場合もあるだろう」とビルロワドガロー氏は述べた。

原題:ECB Should Clarify Inflation Goal Is Symmetrical, Villeroy Says(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-28/Q1NQI7DWLU6H01?srnd=cojp-v2

 

増税後の消費、厳しい出足 10月の小売販売7.1%減
経済
2019/11/28 12:18
消費増税後の消費は厳しい出足となった。経済産業省が28日発表した10月の小売販売額は前年同月比7.1%減で、減少幅は前回の増税直後の2014年4月の4.3%減よりも大きかった。ポイント還元の対象になったコンビニエンスストアの販売額が増加するなど業態で明暗も分かれた。

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10月の小売販売額は11兆900億円で3カ月ぶりに減少した。前月比では14.4%減だった。
落ち込みが大きかったのが、百貨店と家電大型専門店だ。百貨店は17.3%減、家電専門店は14.2%減となった。百貨店では9月に宝飾品や美術品などの高額商品や化粧品で駆け込みがあった。家電専門店でも増税前に冷蔵庫や洗濯機、エアコンなどを買う動きがあった。経産省は「9月に需要を先食いした反動減が出た」とした。
ケーズホールディングス(HD)は10月に冷蔵庫の販売額が前年同月比26%減った。ビックカメラも10月の全店売上高は2割減った。
一方、コンビニエンスストアは前年同月比3.3%の増加となった。キャッシュレス決済時のポイント還元が効いた。
スーパーの販売額は3.7%減、ドラッグストアは0.1%増だった。取り扱う商品に軽減税率対象で税率が8%に据え置かれた食料品が多く、増税の影響は限られた。
10月は中旬の3連休に大型の台風19号が日本列島を直撃した。経産省によると「1日半程度休業した店舗が多く、全体の販売額を下押しした」という。日本百貨店協会は10月の売上高に「3〜4%程度の下押し圧力がある」としている。
前回は増税から1カ月がたった14年5月に小売販売額は0.4%減となり、ほぼ回復した。今回はポイント還元などが一定の効果をみせ、「五輪特需」も期待できる。
いなげやの販売担当者は「買いだめの家庭在庫が減り、徐々に販売が戻ってきている」と話す。家電量販は「テレビやパソコンの売れ行きはよい」(ケーズHDの平本忠社長)という。ビックカメラでは有機ELテレビが足元で2割増と回復している。
年末商戦には「期待はするが、なかなか難しい」(百貨店協会)との声もある。消費者心理は前回の増税時より冷え込んでおり、雇用の改善にも一服感が出てきた。消費の先行きは読みにくい。
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2019/10/30 11:08
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52704580Y9A121C1MM0000/?n_cid=NMAIL007_20191128_Y

 

「富裕層」の申告漏れ最多、1年で763億円 国税庁調査
社会・くらし2019/11/28 16:00
国税庁は28日、2019年6月までの1年間(2018事務年度)に実施した所得税の調査結果を発表した。株や不動産などの大口所有者である「富裕層」に対し、18事務年度には5313件の調査を実施し、85%にあたる4517件で申告漏れなどがあった。申告漏れ所得の総額は763億円で、追徴税額は203億円と17事務年度から約15%増えた。
いずれも統計を取り始めた09事務年度以降で最高だった。海外で投資をした人の申告漏れや追徴税額が増えたことが理由とみられる。

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同庁は資産運用の多様化や国際化などを背景に富裕層を対象に積極的な調査を実施している。富裕層の基準については調査に支障があるなどとして明らかにしていない。
同庁によると、09事務年度は3061件の調査を実施、申告漏れ所得が374億円だった。10事務年度には調査件数は4793件に増え、申告漏れ所得も500億円に達した。
11事務年度以降は申告漏れ所得は300億円台にとどまったが、15事務年度は516億円、16年事務度は441億円、17事務年度は670億円に達した。
17事務年度と18事務年度は調査件数も51000件を超え、18事務年度は初めて700億円を超えた。
同庁は18年秋には日本人や日本の法人などが海外64カ国・地域に持つ約55万件の金融口座情報を入手。租税回避地(タックスヘイブン)も含まれ、富裕層の海外資産の把握に力を入れている。
一方、インターネットを通じた物品販売や広告などで収入を得ている個人の申告漏れ所得は264億円。追徴税額は58億円で、公表を始めた15年度以降で最高だった。
富裕層以外を含めた全体の所得税の申告漏れ総額は9041億円で、17事務年度の9038億円と同水準だった。税務調査などは計約61万件実施。このうち6割の約37万件で申告漏れなどが見つかり、全体の追徴税額は約1195億円だった。
海外当局との情報交換、証券会社の調書で株取引把握 個別の調査事例も明らかに
国税庁は調査結果の発表に合わせ、調査事例の詳細を明らかにした。海外の税務当局と金融口座の情報を交換する新制度(CRS)を活用した例などを紹介。地価の高騰を背景に土地売買で得た1億円以上の所得を申告していなかった事例のほか、証券会社が国税庁に提出した支払い調書から大量の株式売買を把握した事例なども公表した。
■海外取引事案「新制度が威力を発揮」

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国税当局は18年秋に始まった各国の税務当局と金融口座情報を交換するCRS(共通報告基準)という新制度を積極的に活用して調査を実施している。大阪国税局はCRSなどで得た情報を活用して海外預金の利子の申告漏れを把握し、追徴課税につなげた。
調査対象者の男性は国外に預金口座を複数保有していた。大阪国税局はCRSなどで得られた情報をもとに税務調査を実施。調査の結果、一部の預金口座の存在を認めたが、その他は認めなかった。CRS情報で得られた口座情報を活用して追及した結果、意図的に海外預金の利子を申告していなかった事実を認めた。申告漏れ所得の総額は約5500万円で重加算税を含めた追徴税額は約2700万円だった。
■土地の譲渡「地価高騰で多額の利益」

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全国の路線価は4年連続で上昇している。大阪国税局が手掛けた事案では地価が高騰している地域での土地売買で多額の利益を得ていたが、意図的に申告していなかった事例があった。
不動産仲介業を営む調査対象者の男性は、土地の所有者から売却先を探す依頼を受けた。男性は近辺の地価高騰を踏まえて提示された金額よりも高値で売却できると考えて、いったん自身で土地を購入した。その後、提示された金額よりも1億円以上高い値段で法人に転売して利益を得ていたという。確定申告は行っていたが、税負担を免れるため意図的にこの取引については申告していなかった。申告漏れ総額は約3億6千万円で、重加算税を含めた追徴税額は約1億3千万円となった。
■多額事案「証券会社の調書で多額の株式売買を把握」

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申告漏れ所得金額は10数億円に上り、追徴税額が数億円という多額事案もあった。
ある国税局が手掛けた事案では、調査対象者の男性が証券会社を通じて株式を売却していた。証券会社は株式の売却額や株数などを記載した書類(株式等の譲渡の対価等の支払調書)を国税当局に提出する必要がある。国税当局はこの調書から男性が大量に株式を売却している事実を把握した。調査の結果、売却株数のうち一部しか申告されていないことが判明し、男性は修正申告を行ったという。
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所得税、個人の経済的利益に課税 10種類の所得に...
2019/11/17 3:00

所得税、会社員の負担じわり 20年から収入多いほど[有料会員限定]
2019/11/2 2:00
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52715850Y9A121C1CR8000/
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/732.html

[国際27] イラク南部で治安部隊がデモ参加者に発砲、14人死亡 イラン領事館にまた放火 イラク南部、反発強まる
ワールド2019年11月28日 / 19:23 / 1時間前更新
イラク南部で治安部隊がデモ参加者に発砲、14人死亡
Reuters Staff
1 分で読む

[ナジャフ 28日 ロイター] - イラクの治安部隊が28日、南部ナシリヤで反政府デモ参加者に発砲、14人が死亡した。

複数の医療関係者によると、治安部隊は夜明け前に橋に集まったデモ参加者に発砲。負傷者は数十人に上るという。

聖地である南部ナジャフでは、デモ参加者が隣国イランの領事館に放火し、外出禁止令が出された。国営メディアは、同市では企業や政府庁舎が閉鎖されていると報じた。

イラクでは、政府が腐敗しイランの支援を受けているとするデモ隊が、首都バグダッドやイスラム教シーア派が多数を占める南部で抗議活動を続けている。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
ランキング
日韓、東シナ海上空の航空管制権見直しで基本合意=関係筋
コラム:なぜ今、10兆円の大型補正予算なのか=熊野英生氏
コラム:米中摩擦緩和なら、中長期的な円安も=亀岡裕次氏
焦点:ドル/円、静かな高値更新 ユーロに奪われた「調達通貨」の座
アングル:年末越えドル調達コスト急騰、今年の特徴は「FRBへの不信感」
https://jp.reuters.com/article/iraq-protests-idJPKBN1Y214P


 

イラン領事館にまた放火 イラク南部、反発強まる
2019年11月28日19時50分

 27日、イラク南部ナジャフで、炎が上がるイラン領事館の周りに集まるイラクのデモ隊(AFP時事)

 【カイロ時事】反政府デモが各地でやまないイラクで27日、南部のイスラム教シーア派聖地ナジャフにあるイラン領事館の一部がデモ隊に放火された。イラクでは今月初めにも、中部のシーア派聖地カルバラでイラン領事館が襲撃を受けたばかり。市民の間には政府の汚職体質や生活苦だけでなく、イラクに介入するイランへの反発も高まっている。
ペンス米副大統領がイラク訪問 イランの影響懸念、クルド重視も

 イラクは2003年のフセイン政権崩壊後、イスラム教スンニ派からシーア派に政権の主導権が移行。隣国のシーア派大国イランとの関係を緊密化させた。イランはその後、混迷が続くイラクで政治や経済、治安維持など幅広い分野での影響力を強めている。
 現地からの映像などでは、ナジャフのデモ隊は「イラクに勝利を」「イランは去れ」などと叫んで暴徒化し、領事館の入り口付近に放火。一部は敷地内に侵入したが、職員は避難していたもようで大きな被害はなかった。イラン外務省報道官は28日、声明で「イラク政府が襲撃者に断固たる対応を取るよう求める」と強調した。

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https://www.jiji.com/jc/article?k=2019112800812&g=int


 

イラクで反政府デモ イランの総領事館に放火
2019年11月28日 19時32分

中東のイラクで、南部ナジャフにあるイランの総領事館が反政府デモの参加者らに火を放たれました。イラクでは先月から反政府デモが続くなか、隣国のイランが影響力を強めていることへの反発も高まっています。

イラクでは、高い失業率や汚職などへの不満を背景とした反政府デモが先月初めから首都バグダッドや中南部の都市で続き、治安部隊との衝突などでこれまでにおよそ350人が死亡しています。

27日には、南部の都市ナジャフにあるイランの総領事館がデモ隊の一部に襲撃され建物に火が放たれました。

総領事館の職員などにけがはありませんでしたが、AP通信によりますと治安部隊が制圧に乗り出し、デモ隊の1人が死亡、35人がけがをしたということです。

イラン外務省のムサビ報道官は28日コメントを発表し、デモ隊による襲撃を非難したうえでイラク政府に対して断固とした対応をとるよう求めました。

イラクでは、デモ参加者らの怒りの矛先が自国の政府だけでなく影響力を強める隣国のイランにも向けられ、反イラン感情が高まっています。

11月3日にも中部カルバラにあるイランの総領事館が襲撃されていて、デモが収束する見通しが立たない中、今後両国の関係に影響が出る可能性もあります。

イラン外務省「攻撃を非難」
これについて、イラン外務省のムサビ報道官は、28日コメントを発表し「イラン政府は、今回の襲撃を非難する。イラク政府が関係者に対して、責任をもって、断固とした対応をとるよう求める」として強く非難しました。
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http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/809.html

[政治・選挙・NHK267] 北朝鮮から弾道ミサイル発射か EEZ外に落下と推定 政府 飛翔体2発発射 日米韓連携探る狙いか 安倍が窮地に陥ると何故か北が 
北朝鮮から弾道ミサイル発射か EEZ外に落下と推定 政府
2019年11月28日 17時36分

政府は、北朝鮮が28日午後5時前、弾道ミサイル2発を発射し、それぞれ、高度およそ100キロ、距離にしておよそ380キロ飛しょうして、日本のEEZ=排他的経済水域の外側の日本海に落下したとみられることを明らかにしました。日本の船舶や航空機への被害は確認されていないということです。

政府は、北朝鮮が28日午後4時58分ごろ、東岸から東に向けて弾道ミサイル2発を発射し、それぞれ、高度およそ100キロ、距離にしておよそ380キロ飛しょうして、発射からおよそ5分程度で北朝鮮の沖合およそ210キロの日本海に落下したとみられることを明らかにしました。

いずれも、日本のEEZ=排他的経済水域の外側に落下したとみられ、日本の船舶や航空機への被害は確認されていないということです。

今回の発射を受けて、政府は「北朝鮮のたび重なるミサイルの発射は、国連安保理決議違反であり、わが国ならびに国際社会への非常に大きな脅威だ。情報の収集・分析と、警戒監視に全力をあげていく」としています。

政府 NSC=国家安全保障会議を開催
北朝鮮が弾道ミサイルとみられるものを発射したことを受けて、政府は、午後6時前からおよそ10分間、総理大臣官邸で、安倍総理大臣をはじめ、茂木外務大臣、河野防衛大臣ら関係閣僚が出席し、NSC=国家安全保障会議の閣僚会合を開きました。

これまでの情報を分析するとともに、今後の対応などを協議したものとみられます。
安倍首相「国際社会への深刻な挑戦だ」
安倍総理大臣は、このあと午後6時すぎ、記者団に対し、「わが国の領域やEEZ内への落下は確認されていないが、北朝鮮のたび重なる弾道ミサイルの発射は、わが国のみならず、国際社会に対する深刻な挑戦だ。引き続き米国や韓国など、国際社会と連携しながら、国民の生命・財産を守り抜くため、警戒監視等に全力をあげていく」と述べました。
河野防衛相「2発発射 被害なし」
河野防衛大臣は「北朝鮮のミサイルの発射は、これが仮に距離が短いものであっても、国連安保理決議違反であり、わが国ならびに国際社会への非常に大きな脅威だ。防衛省・自衛隊としては、しっかりとミサイル防衛能力を整備し、いかなる北朝鮮からの脅威にも、国土、国民の平和な暮らしを守れるよう、努力していきたい」と述べました。

また、記者団が「日韓の軍事情報包括保護協定=GSOMIAに基づき、韓国と適切な連携を行うのか」と質問したのに対し、「GSOMIAに基づく情報交換については、対外的に公表していない。日米、日韓、日米韓の3か国で、しっかり連携してあたる」と述べました。
外務省 北朝鮮に厳重抗議
外務省幹部は28日午後6時すぎ、記者団に対し、「今回の弾道ミサイルの発射は、一連の国連安保理決議に違反するものであり、極めて遺憾だ」として、北京の大使館ルートを通じて厳重に抗議を行ったことを明らかにしました。
北朝鮮によるミサイルの発射が相次いでいた
北朝鮮はことし5月から短距離弾道ミサイルなどの発射を繰り返しています。

5月4日には東部ウォンサン(元山)付近から、日本海に向けて2発発射したあと、5日後の5月9日にも北西部から2発発射し、防衛省はいずれも短距離弾道ミサイルと分析しています。

その後、7月から8月にかけても東部や南西部などから短距離弾道ミサイルなどを相次いで発射し、9月10日には西部のピョンアン(平安)南道から短距離弾道ミサイルを発射しています。

さらに先月2日には、東部ウォンサン沖から弾道ミサイルを発射して日本のEEZ=排他的経済水域内に落下し、翌日、SLBM=潜水艦発射弾道ミサイル、「北極星3型」の発射実験に成功したと発表しました。

そして、先月31日には、それまでのように午前中ではなく、夕方の時間帯に西部から短距離弾道ミサイルとみられる飛しょう体を発射しました。
二階幹事長「政府は変化も知恵もない」反省を
自民党は、28日夜、幹部が出席して緊急に会合を開き、二階幹事長は、「こういうことが起きたら、われわれは集まって、適当なことを決議するだけでいいのか。政府は一体どうなんだ。何の変化もなければ知恵もない。相手に『こんなことをしたら損だ』というくらいの気持ちを植え付けさせるような何かを考えないとしかたない。政府は、しっかり反省してもらいたい」と述べました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191128/k10012194691000.html


 


北朝鮮、飛翔体2発発射 日米韓連携探る狙いか
2019年11月28日19時06分


 【ソウル時事】韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮は28日午後4時59分ごろ、東部・咸鏡南道・連浦付近から飛翔(ひしょう)体2発を発射した。日本政府によると、飛翔体は弾道ミサイルとみられ、日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したとみられる。
〔写真特集〕北朝鮮の軍事力〜知られざる実力〜

 河野太郎防衛相は2発の飛翔体について、高度100キロ、飛距離380キロと記者団に述べた。韓国軍は、飛翔体は「超大型ロケット砲と推定される」と説明した。
対韓国の国境付近で防衛施設を視察する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(中央)=25日に朝鮮中央通信が配信(EPA時事)
対韓国の国境付近で防衛施設を視察する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(中央)=25日に朝鮮中央通信が配信(EPA時事)

 日韓両政府は22日、期限直前に軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の失効を回避し、協定を維持。この後、北朝鮮の飛翔体発射は初めてで、日韓の出方をうかがうほか、米国も加えた3カ国の連携の状態を探る意図もあるとみられる。
 安倍晋三首相は、情報収集・分析に全力を挙げ、国民に迅速な情報提供を行うほか、航空機や船舶などの安全確認を徹底するよう指示した。日本政府は北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に抗議した。

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玄さんID: d55fe9イスカンデルの命中精度が上がっているのがマズイね。短距離ミサイルだから日本に関係ないと思ってる人もいるでしょ。違う!TELに2発載せても50t足らず。そのまま船に積み込めます。漁船に混じってEEZ境界まで来れば日本列島はほとんどカヴァーできる。ここからではイージス艦ではムリだから、困りますね。イージスアショアを急がねば。00返信ツイート1時間前
no nameID: 5dc5de発射の情報は[米軍の早期警戒衛星]がどこよりも早く捉える。
各所経由して数十秒程度で着弾地点が割り出される。
それが日米イージス艦・空自の地上レーダーに伝わって追尾、迎撃態勢に入る。
韓国の情報は、後に情報をより詳細にする。

これ前提。
韓国いないと発射わかんな?い!は誤情報なのでよろしくね。00返信ツイート2時間前
no nameID: 79cebeそろそろ日本も撃ち落とす準備を。船舶(領土でなくても)に被害が出てから内閣総辞職しても遅い。01返信ツイート2時間前
no nameID: f6cf6dGSMIAを延期していなければ、日本は判らないから大恥をかくところだった03返信ツイート2時間前
no nameID: 5dc5deどう考えても米韓に向けた挑発

GSOMIA延期期限も年末
韓国の管理強化撤回要求も年末
北朝鮮の米朝交渉期限も年末

政権が揺れると?の陰謀説は面白いが、陰謀張り巡らす頭があったら政権は揺れない00返信ツイート2時間前
no nameID: a00995安倍が窮地に陥ると何故か北がミサイルをぶっぱなすよな。
反社ズブズブ安倍は北ともズブズブか?37返信ツイート3時間前
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019112800934&g=int

http://www.asyura2.com/19/senkyo267/msg/671.html

[国際27] イランはなぜアラムコを狙ったのか、サウジ攻撃の内幕 タリバン、米と和平協議再開の用意と表明
トップニュース2019年11月29日 / 11:09 / 6時間前更新
焦点:
イランはなぜアラムコを狙ったのか、サウジ攻撃の内幕
Reuters Staff
4 分で読む

[25日 ロイター] - サウジアラビアにある世界最大の石油精製施設がドローンとミサイルで攻撃される4カ月前、イランの安全保障当局者が、厳重に防備を固めたテヘランの施設で会合を開いていた。

出席者の中には、ミサイル開発や秘密作戦も管掌する精鋭部隊、イスラム革命防衛隊の将官も含まれていた。

5月に開かれたこの会合の主要議題は、米国をどう罰するか。画期的な核合意から離脱した米国は、経済制裁を再開し、イランに大きな打撃を与えたていた。

<「今こそ剣を抜こう」>

革命防衛隊の司令官、ホセイン・サラミ少将が見守るなか、ある上級指揮官が口を開いた。この会合の様子をよく知る4人の関係者によれば、「今こそ剣を抜いて、彼らに教訓を与えるべきときだ」。この指揮官はそう述べたという。

強硬派は、米軍基地を含む価値の高い目標を攻撃することを主張した。だが、最終的に浮上したのは、米国からの徹底反撃を招きかねない直接的な対決には至らないような計画だった。

イランは、米国の同盟国であるサウジアラビアの石油関連施設をターゲットに選んだ。イラン軍当局者は5月の会合、さらに、少なくともその後4回の会合でこの案を検討した。

ロイターは一連の会合を知る関係者3人、さらにイランの意思決定プロセスをよく知る1人の人物から情報を得た。取材を通じ、サウジアラビアの国有石油会社サウジアラムコに対する9月14日の攻撃を計画する際のイラン指導部の関与が、初めて明らかになった。

4人の関係者によると、イランの最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師は、厳しい条件付きでこの作戦を承認したという。イラン軍による民間人、米国人に対する攻撃は避けること、という条件だ。

ロイターは、イラン指導層が関与したという関係者4人の話の裏付けを取ることができなかった。革命防衛隊の報道官はコメントを拒否した。イラン政府は関与を強く否定している。

トランプ政権のある高官は、ロイターの取材で判明した事柄に対し、直接的なコメントをせず、「(イラン政府の)行動と、数十年にもわたる破壊的な攻撃やテロ支援の歴史こそが、イラン経済が低迷している原因だ」と語った。

サウジの石油施設攻撃を巡っては、イエメンの反体制勢力フーシ派が犯行声明を出している。だが、米国もサウジもこの声明を一笑に付し、先進的な攻撃手法から見て、首謀者はイランだとしている。

サウジアラビアは戦略的なターゲットだった。この国は中東地域においてイランの主要なライバルであり、世界経済にとって重要な産油国だ。米国にとっては安全保障面の重要なパートナーでもある。

だが、何千人もの民間人犠牲者を出したイエメン内戦に関与し、昨年はワシントンを拠点とするジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏がサウジ工作員に殺害されたことで、米議会との関係がぎくしゃくしている。

サウジアラビアは何十億ドルもの国防費を投じているが、アラムコの施設2カ所が17分間にわたって18機のドローンと低空を飛ぶ巡航ミサイル3発によって攻撃されたことで、同社が脆弱な状態にあることが明らかになった。

この攻撃により、フライスの石油関連施設とアブカイクにある世界最大級の石油精製施設で火災が発生した。サウジの石油生産量は一時的に半減し、世界全体の供給量が5%失われた。石油価格は急騰した。

ポンペオ米国務長官はこの攻撃をイランによる「戦争行為」だと非難し、イラン政府は米国から追加制裁を受けた。米当局者によると、米国はイランに対してサイバー攻撃も行ったという。

<ターゲットの取捨選択>

イランの政策意思決定をよく知る当局者によれば、イラン軍指導部によるサウジ石油関連施設攻撃の計画は、数カ月かけて練り上げられたという。「少なくとも5回の会合を経て、細部にわたるまで徹底的に詰められ、9月早々に最終的なゴーサインが出た」と、この当局者は語る。

3人の当局者はロイターに対し、会合はすべてテヘラン南部の複合施設の内部にある安全な場所で行われたと語った。最高指導者ハメネイ師も、同じ施設内にある邸宅で行われた際、会合に出席したという。

当初、ターゲットの候補として挙がったのは、ウジアラビアの港湾、空港、米軍基地だったという。

いずれも最終的には却下された。犠牲者が多数出て、米国による激しい報復を引き起こしたり、イスラエルが大胆な姿勢を取ることで、中東が戦争状態に陥る懸念があったからだと、4人の関係者は言う。

そして最終的に、サウジアラビアの石油関連施設を攻撃する計画に落ち着いた。大きな注目が集まり、相手に経済的な苦痛を与えつつ、米国政府に強いメッセージを送ることができると判断したという。

「アラムコ(を標的にする)という合意は、ほぼ満場一致だった」と、イランの政策決定過程に詳しい当局者は言う。「このプランなら、イランが(サウジの)奥深くまで入り込み、(ダメージを与える)軍事能力を持っていると示せる」

中東の関係者によると、出撃拠点となったのはイラン南西部アフワーズの空軍基地。これはロイターの取材に応じた米国当局者3人、その他2人の人物の話とも一致する。

石油アラムコの施設を狙ったミサイルとドローンは、イランからペルシャ湾を越えて直接サウジアラビアへ飛ぶのではなく、別のルートを取ったという。自国の関与を隠蔽するためだったと、この関係者は話す。

西側の情報機関筋によれば、ミサイル、ドローンの一部はサウジアラビアに到達するまでにイラクとクウェートの上空を飛行した。そのためイランは、もっともらしく関与を否定することができたという。

イラン政府内の事情に詳しい関係者によれば、攻撃の数時間後、革命防衛隊の指揮官らはハメネイ師に攻撃成功を報告した。

<次の攻撃計画>

革命防衛隊を含め、イラン軍の各部門は最終的にハメネイ師の指揮下にある。最高指導者は、トランプ政権が昨年、イラン核合意を破棄したことに対して挑戦的な姿勢を保っている。

イランは2015年に国連安保理の常任理事国5カ国、そしてドイツと結んだ核合意により、数十億ドル規模の経済制裁が解除された。代わりにイランは、核開発プログラムを自制するという取り決めだった。

だが、トランプ大統領は、さらに有利な条件の合意を要求。イランは制裁が全面的に再開され、石油輸出が打撃を受け、国際的な銀行システムから排除される事態を避けるため、2本立ての戦略に乗り出した。

ロウハニ大統領が米当局者と会う意思を示す一方で、イラン政府は軍事的・技術的に能力を誇示するようになった。

ここ数カ月の間に、イランは米国の偵察用ドローンを撃墜し、ホルムズ海峡で英国のタンカーを拿捕した。また核開発プログラムを再開する宣言の一環として、合意で制限された範囲を超えるウラン濃縮活動を再開した。

アラムコへの攻撃は、こうした強硬姿勢をエスカレートさせたもので、トランプ大統領がかねてから表明していた中東からの米軍撤退を進めようとしていた矢先に起きた。

トランプ大統領がサウジの石油を守るのと引き換えに、中東の不安定化を招くような全面攻撃に出ることはない──イランはそう計算していたようだと、非営利組織「国際危機グループ(ICG)」のアリ・バエズ氏は指摘する。

「(イランの)強硬派は、トランプ氏がツイッターで虚勢を張っているだけだと信じるようになっている」と、バエズ氏は言う。「そうなると、(イランが)抵抗しても外交的・軍事的なコストはほとんど生じない」

イラン政府が米国の要求を受け入れるかどうかはまだ分からない。

アラムコ攻撃を決める最終段階で開かれた会議。イラン政府内の事情に詳しい関係者によれば、革命防衛隊のある指揮官の発言は、すでに攻撃後のことを見据えていたという。

「全能のアッラーは我らと共にある」。安全保障政策を担当する高官らを前に、指揮官はこう話したという。「次の攻撃を計画し始めよう」

(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/saudi-aramco-attacks-iran-idJPKBN1Y20BG


 
最新経済ニュース2019年11月29日 / 16:24 / 40分前更新
タリバン、米と和平協議再開の用意と表明
Reuters Staff
1 分で読む

[カブール 29日 ロイター] - アフガニスタンの反政府武装勢力、タリバンは29日、米国と和平協議を再開する用意があると表明した。前日にトランプ米大統領がアフガニスタンを電撃訪問し、停戦に向けた意欲を示していた。

トランプ大統領は28日、大統領就任後初めてアフガニスタンを予告なしに訪問。「タリバンはディール(取引)をしたがっている。われわれはタリバンと協議を行う」とし、「われわれは停戦が必要だと言ったが、タリバンは拒否した。今はタリバンが停戦を望んでいると考えている。そのような展開になるだろう」と述べていた。

今週、タリバンの幹部2人はロイターに対し、前週末からカタールの首都ドーハで米政府側と協議していると明らかにしている。

タリバンの広報担当者は29日、ロイターに「協議を再開する用意がある」と発言。「われわれのスタンスは今も変わらない。和平協議が始まるのならば、停止したところから再開することになる」と語った。

9月、タリバンが、米兵を含む12人が死亡した攻撃の犯行声明を出したことを受け、トランプ大統領が和平協議を中止した。

タリバンの広報担当者は「トランプ大統領のアフガニスタン訪問が、協議再開に真剣である証拠だと願っている」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/usa-trump-afghanistan-idJPL4N2891WQ?il=0
http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/812.html

[国際27] 米中を分かつ深い溝、香港人権法で露呈 中国、香港人権法への報復措置策定に苦慮−自国への跳ね返り必至 中国で金融巡り警戒サイン相次ぐ−取り付け騒ぎや公有企業の債務再編 中国株、ロックアップ解除で大株主の売り加速 香港で週末に再びデモ 
コラム2019年11月29日 / 14:24 / 3時間前更新

米中を分かつ深い溝、香港人権法で露呈
Jeffrey Goldfarb
2 分で読む

[香港 28日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 香港の将来はこのところ曖昧模糊となっている。しかし激しい抗議デモのおかげで米中関係という、より幅広い問題では、米中の両国政府が香港情勢を巡って当面反目を続けるという見通しは明確になった。

トランプ米大統領は感謝祭の休日の前日となる27日に、香港の抗議デモを事実上支援する「香港人権・民主主義法案」に署名した。香港のデモは6カ月にわたって続き、平和的な行進だけでなく、輸送機関の運行妨害が行われたり、香港警察が催涙ガスなどを使用したり、これに対抗して火炎瓶が投げ付けられたりした。

今回の法律はデモを支援する象徴的な意味合いを持つだけでなく、香港の高度な自治を認めた「一国二制度」を中国が守っているかどうかを年1回検証するよう米国務省に義務付ける。米政府が香港での人権侵害を行う者に対して制裁を科すこともできる。

トランプ氏は法案に渋々署名した。この数週間に法律の最終的な文言を詰めたのは米議会で、トランプ氏は支持するかどうかについて言葉を濁していた。

トランプ氏は27日の署名に際しても、習近平中国国家主席に対する「尊敬から」法案に署名したという、謎めいた不可解な声明を発表。法律の一部条項は実行できないかもしれないとも示唆した。

トランプ氏の発言は習氏の怒りを和らげるためのものに見える。中国政府は同法を米国による内政干渉と受け止め、成立すれば報復措置を講じると反発していた。トランプ氏は来年の再選に向けた選挙戦がし烈化する中で、部分合意であっても中国通商協議で成果を挙げたいと熱望している。米中協議は揺らいでいるだけに、トランプ氏としては習氏をいら立たせたくない。

一方で、米国では反中感情は余りに強かった。香港人権・民主主義法案で大統領が拒否権を発動しても、上下両院はそれぞれ、拒否権を覆すのに必要な3分の2を大幅に上回る賛成票を得ていただろう。共和党と民主党は下院でトランプ氏の弾劾手続きを巡り激しく対立しているにもかかわらず、香港問題では結束した。

中国に対する懸念を巡っては他の問題でも党派を超えた支持が確保されている。例えば民主党上院のシューマー院内総務と共和党のコットン議員は最近、共同書簡で、中国の北京字節跳動科技(バイトダンス・テクノロジー)のショート動画配信アプリ「TikTok(ティックトック)」について、国家の安全保障上の脅威となる可能性を調査するよう米当局者に要請した。

民主、共和両党の異例の共同歩調は、米中がどんな通商合意をまとめても米国と中国のあつれきは続くだろうことを示している。トランプ氏が再選されるかどうかに関わらずだ。

●背景となるニュース

*トランプ米大統領は27日、「香港人権・民主主義法案」に署名した。同法は香港の高度な自治を認めた「一国二制度」を中国が順守しているかどうか毎年検証することを米政府に義務付けている。香港で人権を侵害した個人には制裁も科せられる。

*米上院は全会一致で、下院は1人を除く全員による賛成で可決した。

*トランプ氏は、この法律には「米国の外交政策における、憲法で定められた大統領権限の行使を妨げる」条項があると述べたが、詳細には触れなかった。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
https://jp.reuters.com/article/china-us-breakingivews-idJPKBN1Y30BS


 


 
中国、香港人権法への報復措置策定に苦慮か−自国への跳ね返り必至で
Bloomberg News
2019年11月29日 7:46 JST
米中協議に不確実性もたらすが合意の成否を必ずしも左右せずと識者
中国が貿易協議を遅らせた場合、12月半ばの関税引き上げに直面
トランプ米大統領の署名で香港人権法が27日に成立したことを受け、中国はあらためて報復措置を警告しているが、これまでのところ具体策は示していない。

  中国外務省の耿爽報道官は28日の定例記者会見で、中国はいつ報復するのかや、貿易協議に影響するかどうかといった記者団からの質問に直接答えることはなく、「このまま見守ってほしい。来るものは来る」と語った。
  
  準備する時間が十分あったにもかかわらず中国が具体策を打ち出せないでいるのは、自国経済に跳ね返ることなく対米制裁を行うのが難しいためだ。

  中国商務省・国際貿易経済協力研究院の研究員である梅新育氏は、米中貿易交渉で香港問題が話し合われることは確実だと指摘。中国が米国側に立場の明確化を要求する公算が大きく、香港人権法の活用を控えるという言質を求める可能性さえあると述べた。

  梅氏は、これと並行して中国は何らかの対抗措置を準備するだろうと、中国外務省の説明と同様の見解を示しつつも、「進行中の米中貿易協議にある程度の不確実性をもたらすだろうが、合意の成否を必ずしも左右しないと思われる」と話した。

  貿易協議の進展を遅らせるのが中国が講じることのできる最も分かりやすい報復の手法だが、同国政府は協議を続けるためにこれまで多くの我慢をしてきた。第1段階の合意に至らなければ、中国は12月半ばに米国による新たな関税引き上げにも直面する。

  報復措置の他の選択肢もあるが、そのほとんどが中国経済への悪影響を伴う恐れがあり、国内の経済問題が山積し、香港情勢に収束の兆しが見られない中にあって、そうした裏目に出るような事態は習近平国家主席としても招きたくないものと考えられる。
  

米国の香港人権法成立に中国はどのように報復するのだろうか

出典:ブルームバーグ

原題:The Big Question on Hong Kong: How Will China Hit Back at Trump?(抜粋)


 


中国で金融巡り警戒サイン相次ぐ−取り付け騒ぎや公有企業の債務再編
Bloomberg News
2019年11月29日 11:36 JST
中国当局は経営難の借り手救済や刺激策強化に慎重−代償大きく
支援策は短期的に景気安定にプラスも債務問題の深刻化招くリスク
中国では地方銀行の取り付け騒ぎや消費者の債務急増、公有企業としては異例の債務再編計画など、金融ストレスを示す兆候が増えており、中国当局の政策運営が試される局面となっている。

  習近平指導部はモラルハザードや見境のない支出を招かずに景気を下支えすることを目指すが、政策のかじ取りはますます難しくなっている。中国当局はこれまでのところ経営難の借り手救済や刺激策強化に慎重姿勢を保っているが、デフォルト(債務不履行)が増え、国内景気が一段と減速する中、こうしたスタンスを維持する代償も高まりつつある。

  ゴールドマン・サックス・グループのアジア太平洋担当チーフエコノミスト、アンドルー・ティルトン氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、中国当局は景気が軌道から外れないようにするため「必要最低限」のことをやろうとしていると話す。

  中国にとって最も大きな難題の一つは、規模が小さめの銀行や地方の公有企業の健全性が悪化していることだ。中央政府が支援に乗り出さなければ、両者の金融面のつながりが下方スパイラルのきっかけとなる恐れもある。

市場は落ち着き
  投資家は今のところ中国当局が国内の金融リスクを抑制し、今後も景気を下支えできると見込んでいる様子だ。

  60億ドル(約6570億円)規模のドル建て国債の起債では申し込み超過となり、中国株式相場のボラティリティーは2018年の早い時期以来の低水準まで下がっている。米国との貿易合意を巡る楽観的な見方が一因だ。「AAA」格の国内銀に対する格付けがそれよりも低い銀行の譲渡性預金(CD)の利回り格差はこの数カ月縮小しており、中小銀行の資金調達環境が改善しつつあることを示している。

Investors ask for smaller yield premium over riskier negotiatable CDs
  財政省は27日、インフラ事業資金を調達する特別債(専項債)の発行を加速するよう地方政府に指示したと発表した。景気の下振れリスクを巡り当局が懸念を強めている可能性を示唆している。

  今回の動きで中国指導部が直面する政策面のジレンマがあらためて浮き彫りになった。こうした支援策は短期的に景気や金融の安定を後押しする一助となる可能性がある一方、より長い目で見ると債務問題の一段の深刻化につながるリスクもある。

  北京大学でファイナンスを教えるマイケル・ペティス教授は、中国当局が市場に規律を持ち込もうとしてきたが、そのたびに影響が恐ろしくなり腰が引けていたと指摘。「この解決に手間取れば手間取るほど、市場のゆがみはひどくなり、解決に伴う痛みも大きくなっていく」と語った。

原題:
China’s Financial Warning Signs Are Flashing Almost Everywhere(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-29/Q1PHQIDWLU6C01?srnd=cojp-v2

ビジネス
2019年11月29日 / 10:44 / 6時間前更新
アングル:
中国株、ロックアップ解除で大株主の売り加速
Reuters Staff
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[上海 28日 ロイター] - 中国上場企業の所有者や大株主らの間で、株式売却の動きが広がっている。米中貿易摩擦や国内経済減速で圧迫を受ける同国株式市場では、一段と需給が悪化している。
2016、17年に新規株式公開(IPO)を実施した多くの企業が規制で義務付けられた3年のロックアップ期間を終える中、大株主らが持ち株を減らしているためだ。
アナリストは、こうした大株主らによる人民元建て株式(A株)の売却総額が今年、差し引き2400億元(341億ドル)前後に達すると試算する。
外国人投資家が中国株式市場への主要な参加経路であるストックコネクトを通じて年初来、中国株購入に投じた2700億元と大差ない規模だ。

株式売却が増加している背景には、3年前に企業のIPOが相次いだことがある。2015年の株価急落を受けて中国当局が一時停止していたIPO承認が再開されたためだ。

財新インサイト/CEBMのリポートによると、ロックアップ解除で今年4月以降、市場に放出されたA株は月間平均3000億元。18年8月─19年3月の月間平均1700億元から大幅に増加した。
3年のロックアップ期間終了に伴う株式売却は続く見込みで、A株市場は一段の圧力にさらされることになる。
こうした中、中国政府は金融市場の自由化をいっそう推し進める。また、国際的な指数算出会社は指数における中国本土株のウエートを引き上げており、外国人投資家は中国株への投資を拡大している。
企業のビジネスに精通する創業時の出資者や大株主による株式売却は、すでに株価に影響し始めている。
中国の華為技術(ファーウェイ)HWT.ULや米アップル(AAPL.O)のサプライヤーである深セン市匯頂科技(603160.SS)は25日、主要株主が保有株式削減を発表したことを受け、株価が9.9%急落した。
外国人投資家が多く投資する製薬向け受託大手ウーシー・アップテック(603259.SS)も、株式売却で株価が伸び悩んでいるもようだ。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
https://jp.reuters.com/article/china-stock-idJPKBN1Y303A


 

ワールド2019年11月29日 / 11:49 / 4時間前更新
香港で週末に再びデモの計画、警察は理工大の捜索終了へ
Reuters Staff
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[香港 29日 ロイター] - 24日の区議会選挙で民主派が圧勝した香港では今週、事態が比較的落ち着く兆しが見られたが、週末にかけて再びデモが計画されている。

デモはソーシャルメディアで発表された。29日から週末、さらには来週にかけて実施される。また、民主派団体「民間人権陣線」は12月8日に集会を計画している。

こうした中、香港警察は28日、デモ隊が占拠していた香港理工大学の構内を捜索し、火炎瓶など危険物の回収や証拠収集などを行った。

警察幹部は同日夜、29日には捜索を終えるとの見通しを示した。その後はすべての警官が現場を去り、構内への自由な立ち入りが可能になるとした。

29日時点で構内にデモ隊が残っているかは不明だが、警察は、デモ隊を発見した場合、逮捕よりけがの手当てを優先するとしている。
https://jp.reuters.com/article/hongkong-protests-idJPKBN1Y306D

 
為替フォーラム2019年11月29日 / 08:19 / 8時間前更新
コラム:FRBで始まった枠組み見直しの議論、「金利コントロール」に脚光=井上哲也氏
井上哲也 野村総合研究所 金融イノベーション研究部主席研究員
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[東京 29日] - 米連邦準備理事会(FRB)による金融政策の枠組み見直しに関する議論は、学界や財界といった外部との意見交換がおおむね一巡し、連邦公開市場委員会(FOMC)の中での議論がいよいよ本格化している。

先ごろ公表された10月会合の議事要旨によれば、3本の柱(インフレ目標、政策手段、コミュニケーション)のうち、今回は政策手段に関する詳細な議論が行われたようだ。

このテーマに関する議論は、少なくとも議事要旨を見る限り、7月会合に続いて2回目であり、より詳細な検討が行われている。つまり、7月会合では、執行部がフォワードガイダンスと量的緩和の発動事例やその効果に関するFRB側の分析を示し、FOMCメンバーがこれに基づく議論を行うことにとどまっていた。

筆者は、執行部とFOMCメンバーの双方がこれらの効果をほぼ手放しで評価しただけでなく、これら2つの手段だけに焦点を当てたことにも違和感があった。

その意味でも、10月会合でマイナス金利や金利コントロールを含めた幅広い手段が俎上(そじょう)に載せられたことに納得感があるし、かねてパウエル議長やクラリダ副議長が海外の事例も含めて検討すると説明してきたこととも整合的である。

<マイナス金利への懸念>

今回新たな検討が加えられた2つの手段のうち、マイナス金利に対しては明確に否定的な議論がなされたことが印象的だ。

議事要旨によれば、執行部は日欧を念頭に海外ではマイナス金利が相応の効果を発揮したことを認めつつ、副作用もみられることや、日欧と米国では金融市場や金融システムの構造に大きな違いがあることに言及し、マイルドな形で疑問を示したようだ。

これに対してFOMCメンバーは全員が懸念を示し、その理由として、執行部が指摘した海外と米国との金融市場や金融システムの構造的な違いに加えて、1)金融機関や家計、企業の行動に対する影響に不確実性が高い、2)金融市場のかねてからの機能低下を悪化させるリスクがある──といった点を挙げている。議事要旨には明記されていないが、金融市場の機能低下という懸念には、本稿でも以前に取り上げたレポ金利の高騰が関係しているとみられる。

マイナス金利に関しては、米国内の実務家からも強い懸念が示されることが多い。それだけにFOMCメンバーが全会一致でマイナス金利に否定的であるのも、トランプ大統領の口先介入に対する政治的反発といったレベルではなく、米国内の「マイナス金利嫌い」に関する強いコンセンサスを反映したものと見るべきだろう。

<フォワードガイダンスと量的緩和>

これに対し、フォワードガイダンスと量的緩和には、特に執行部が引続き高い評価を与えている。

このうち、フォワードガイダンスについては、抽象的な条件、期限に関する条件、経済指標に関する条件の3つのパターンを示し、各パターンに関する推計結果をもとに有効性を示唆したようだ。

これに対してFOMCメンバーからは、FRBが経済の先行きに悲観的なシナリオを持っているとの誤解を与える可能性や、経済指標に関する条件について適切な理解を得ることの難しさなどが指摘されたようだが、全体としては執行部のポジティブな理解に同意した。

量的緩和に関しても、執行部は以前と同じく高い評価を維持しただけでなく、外部専門家からの指摘が多い政策効果減衰の可能性─量的緩和第1弾はインパクトがあったが、第2弾、第3弾と徐々に効果が減衰した─との懸念までも払拭する、強気の理解を示したようだ。

こうした主張にはFOMCメンバーからも、違和感も示されたようだ。しかし、全体としては執行部の評価を受け入れたようだ。

FOMCメンバーの一部からはより本質的な懸念として、長期金利が過去の局面より低位な水準から量的緩和を開始した場合にも、過去と同様の効果があると考えてよいか、という指摘がなされた点も注目される。

<金利コントロールの可能性>

その上で、FOMCメンバーは長期金利コントロールの可能性も議論している。興味深いことに、議事要旨にはこの点に関する執行部の意見や評価が記載されていない。マイナス金利を事実上放棄し、しかも将来の量的緩和の効果にも若干の不透明性が意識されたことが背景と推察される。

具体的には、少数のメンバーがこの手段を支持し、政策の波及効果が明確である点や、市場の信認を得た場合に資産の買入れ規模が少なくてすむことをメリットとして指摘した。

これに対して多数のメンバーは、短期の中立金利ですら正確な推計が難しいに長期金利の目標を適切に設定する困難さや、市場の信認を得られない場合には想定外の資産買い入れを余儀なくされてFRBのバランスシートに負荷がかかること、国債管理政策(ひいては財政政策)との関係について誤解を招くといった点を挙げて否定的な見方を示した。

長期金利のコントロールによるメリットと懸念に関するこうした議論も、かねて活発に議論してきた日本の関係者にとって目新しい点は含まれていない。

しかし、日米の国債市場構造の違い(米国は海外投資家のウエイトがはるかに大きい)や、米国債市場の機能低下の深刻化、トランプ政権による財政拡張の下での財政ファイナンスへの懸念といった理由から長期金利のコントロールにも、マイナス金利のようなアレルギーがあると見られていたFOMCにおいて、こうした議論が行われ、しかも一部が支持を表明したことは決して小さな変化とは思えない。

実は、議事要旨が明示しているように、FOMCメンバーもフォワードガイダンスと量的緩和の組み合わせによって、「より短期」の金利をコントロールする可能性にはより広い支持を示したようだ。

具体的にどのような年限が想定されているのか現時点で明らかでないが、日銀のような10年物金利よりも短く、短期の政策金利に対するシンプルなフォワードガイダンスの時間的視野を超えるとすれば、2─5年といったゾーンが想起される。

いずれにせよ、来年前半に向けてFOMCでこの手段がどのように議論されるかが注目される。

その際には日本国内での経験を踏まえ、金利コントールにはいったん導入すると調整ないし解除が難しいという難点があることも、是非とも考慮に加えて欲しいように思う。

*本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

井上哲也氏
*井上哲也氏は、野村総合研究所の金融イノベーション研究部主席研究員。1985年東京大学経済学部卒業後、日本銀行に入行。米イエール大学大学院留学(経済学修士)、福井俊彦副総裁(当時)秘書、植田和男審議委員(当時)スタッフなどを経て、2004年に金融市場局外国為替平衡操作担当総括、2006年に金融市場局参事役(国際金融為替市場)に就任。2008年に日銀を退職し、野村総合研究所に入社。主な著書に「異次元緩和―黒田日銀の戦略を読み解く」(日本経済新聞出版社、2013年)など。

(編集:田巻一彦)
https://jp.reuters.com/article/column-tetsuya-inoue-idJPKBN1Y22C3


ビジネス2019年11月29日 / 15:59 / 1時間前更新
仏銀と保険会社、石炭業界との関係停止が必須=中銀総裁
Reuters Staff
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[パリ 29日 ロイター] - フランス中央銀行のビルロワドガロー総裁は29日、同国の銀行と保険会社は石炭業界との関係を断つ必要があるとの見解を示した。ラクロワ紙とのインタビューで述べた。

投資家は企業に対し、2015年のパリ協定順守に貢献するため具体的な措置を講じるよう圧力を強めている。フランスでは銀行と保険会社は2016年以降気候リスクの公表を法律で義務付けられており、規制当局から一段の圧力を受けている。

総裁は、「フランスの銀行のバランスシートから、石炭部門への投資リスクを速やかに減らすことが絶対的に必要だ」と述べた。

ソシエテ・ジェネラル(SOGN.PA)とアクサ(AXAF.PA)は今週、2010年までに経済協力開発機構(OECD)加盟国の石炭部門から、また2040年までには世界の石炭部門から撤退すると表明。

BNPパリバは先週、2030年までに欧州連合(EU)の、また2040年までに全世界の燃料炭部門への融資を停止すると表明している。
https://jp.reuters.com/article/france-climate-finance-idJPKBN1Y30J1

http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/813.html

[経世済民133] 大型補正で「財政ファイナンス」の時代がやってくる 補正最大規模も-埋没する財政懸念 日銀総裁、現時点で追加緩和考えてない財政ファイナンスでない ストラテジストは日本に夢中、来年は日が当たる 日本株は続落、アジア株安で投資家心理悪化、米中対立に新要素 2兆円割 債券下落 オペ残存10−25年レンジ上限切下 ECB将来予測と担保評価、気候変動リスク反映
大型補正で「財政ファイナンス」の時代がやってくる

日銀は財政赤字をコントロールできるか
2019.11.29(金)
池田 信夫
政治 経済
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(池田 信夫:経済学者、アゴラ研究所代表取締役所長)

 2012年12月に第2次安倍晋三内閣が発足して、間もなく7年になる。最初は金融緩和による「デフレ脱却」を掲げていた安倍首相も、最近はほとんど金融政策に言及しなくなった。その代わりに出てきたのが財政出動だ。12月上旬には「真水で10兆円」の経済対策がまとまる予定である。

 これは安倍首相の指示によるもので、自民党の二階俊博幹事長は当初「事業規模で10兆円」といっていたが、公明党との協議で(直接の財政支出だけの)真水に変わった。これは第2次内閣の発足した2012年度以来の大型補正予算で、安倍政権はバラマキ財政に回帰しているように見える。

「財政と金融の協調」に踏み出した日銀
 かつて財政支出は無駄づかいの温床と批判され、バラマキ公共事業は自民党政権の腐敗の象徴だった。その反省から景気対策は金融政策でやるのが最近の傾向だったが、ゼロ金利の「流動性の罠」に陥って金融政策がきかなくなり、世界的に財政政策が改めて注目を浴びている。

 そのトップランナーが日本である。日本銀行の異次元緩和のおかげで長期金利までマイナスに沈み、財政出動はやりやすくなった。MMT(現代貨幣理論)のようなバラマキ理論が受けるのも、こういう背景があるのだろう。

 日銀の黒田総裁も11月5日の記者会見で「財政と金融政策の協調を求める声が(日銀の)政策委員会内の一部にもあるか」という質問に対して、こう答えた。

かりに政府が必要に応じて財政政策を更に活用されるということになれば、当然のことですが、財政・金融のポリシーミックスという形で、より一層、財政政策あるいは金融政策が単独で行われる場合よりも、より効果が高まるということは、その通りだと思います。
 これは従来の黒田総裁の発言に比べると、かなり大きな軌道修正である。これまで財政について質問を受けると、彼は「財政規律は非常に重要だ」などと答え、日銀の量的緩和が財政規律を緩めているという批判に反論してきた。

 ところが今回は、日銀が財政赤字をサポートしているとも受け取れる発言をしたのだ。それを彼は「ポリシーミックス」と呼んでいるが、これは昔のポリシーミックスとは似て非なるものだ。

財政赤字を拡大する余地はある
財政赤字を拡大する余地はある
 ケインズ的なポリシーミックスは、財政・金融政策を組み合わせて完全雇用と物価安定を実現するものだが、財政支出は無駄が多いので緊縮的に運営し、総需要の管理は金融政策で行うのが1990年代以降の常識になった。

 しかし2010年代以降は、先進国で金融政策がきかなくなった。その原因は貯蓄過剰で金利が低下し、マイナス金利(金利<成長率)になったためだ。このような状況では、財政赤字を拡大して貯蓄を吸収する余地がある。

 これは最近、オリヴィエ・ブランシャール(元IMFチーフエコノミスト)やローレンス・サマーズ(ハーバード大学教授)などの主流派も主張するようになった。「実質金利<実質成長率」である限り財政赤字を出せるとすると、図のように日本にはGDPの1%近く財政を拡大する余地がある。

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先進国の実質金利−実質成長率(2018)、S.フィッシャー他
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 先進国のほとんどに財政拡大の余地があるが、いくらばらまいてもいいというわけではない。イタリアやギリシャのように「金利>成長率」になると政府債務が雪だるま式に増え、国債が暴落して金融危機が起こるリスクがある。

 それを防ぐには中央銀行が国債を買えばいいのだが、それによって市場に多くのマネーがあふれ、激しいインフレが起こるおそれがある。そのときは増税や歳出削減をすればいいというのがMMTの発想だが、財政はそう簡単に動かせない。国会で増税を審議しているうちに物価がどんどん上がって、ハイパーインフレになったらどうするのか。

 経済同友会は参議院に「独立財政機関」を設置すべきだと提言したが、財政をモニターするだけでは意味がない。金利や物価に即応して財政収支をコントロールする独立した機関を今からつくることは困難だ。

「最適な財政赤字」を考える


「最適な財政赤字」を考える
 そのコントロールに中央銀行の財政ファイナンスを活用しようというのが、スタンリー・フィッシャー(元FRB副議長)などの提案である。

 従来は財政ファイナンスは財政赤字の穴埋めと考えられ、タブーになっている。もし中央銀行が「財政ファイナンスをやっている」と認めたら、投資家が国債を一斉に売るかもしれないからだ。

 だが今の日銀の量的緩和は実質的な財政ファイナンスだが、国債の暴落は起こらない。それは日本の財政が信頼されているからだ。財政ファイナンスは法律で禁じられていない。国債の日銀引き受けは財政法で禁じられているが、民間銀行を通じて国債を買い入れることはいくらでもできる。

 それを利用して中央銀行が「緊急財政支出」(日本でいうと補正予算)の上限を決め、その限度まで国債を買い入れる。財政赤字が増えると長期金利が上がるので、イールドカーブ(長短金利差)がフラットになるまで国債を買う。物価が上がってインフレ目標が実現したら買い入れを止める――というのがフィッシャーなどの提案である。

 これはインフレのコントロールを財政支出ではなく金利操作で行うので機動的に対応できるが、中央銀行が政府に従属すると財政赤字に歯止めがなくなるので、中央銀行の独立性を守ることが重要だ。

 最大の障害は政治である。日銀が補正予算の枠を決めることは予算編成権を制約するので、財務省が反対する。幹事長が「真水で10兆円」と決めることもできなくなるので、自民党も反対するだろうが、枠をはめないで財政赤字を際限なく増やすのは危険である。

 財政赤字の問題は「景気か財政規律か」という神学論争になりがちだ。貯蓄過剰の日本では、それを吸収する一定の財政赤字は悪ではないが、赤字のコントロールが必要である。財政政策と金融政策を組み合わせて最適な財政赤字を実現する制度設計を考えるときではないか。

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アマゾンが撤退した料理宅配市場、急成長も競争激化

 
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58422

 

今年度補正予算、第2次安倍政権下で最大規模も-埋没する財政懸念
占部絵美、藤岡徹
2019年11月29日 8:49 JST 更新日時 2019年11月29日 13:53 JST
与党幹部らは10兆円以上の大型補正予算が必要と主張
財政規模拡大は世論の支持得るための政治的な判断−野村証
安倍晋三首相
安倍晋三首相 Photographer: KAZUHIRO NOGI/AFP
政府が経済対策に合わせて編成する2019年度補正予算は、与党が積極的な財政支出による景気刺激を求めていることを背景に、12年末発足の第2次安倍政権下で最大規模となる可能性がある。世界最大の公的債務残高を抱える日本の財政規律を懸念する声は、政治家の要求にかき消された格好だ。

  安倍晋三首相は8日の閣議で、経済対策の策定と補正予算の編成を関係閣僚に指示。予備費を含めた今年度予算、同補正予算に来年度予算を組み合わせた15カ月予算の考え方で策定する。

  自民、公明両党の幹部は20日、10兆円以上の大型補正予算を目指す考えで一致した。過去の10兆円を上回る補正予算は、世界的な金融危機や東日本大震災後などの危機後の対応として編成された。今回は台風災害からの復旧・復興に加えて、海外経済のリスクや消費増税、東京五輪後の景気下振れへの備えを主な狙いとしている。

  野村証券の美和卓チーフエコノミストは、「消費増税や台風などの災害を踏まえると、世論のサポートを得るために財政出動を大規模化させた方が好ましいという政治的な判断が働いている」とみる。ただ、政府が景気認識を「緩やかに回復」に維持する中、「経済対策を金融危機直後並みに持っていく点に矛盾がある」と述べた。

10兆円を超える補正予算、過去4回
金融危機後と東日本大震災後に編成


  政府は11月の月例経済報告で、「景気は輸出を中心に弱さが長引いているものの、緩やかに回復している」との判断を据え置いた。7−9月期の実質国内総生産(GDP)成長率は4四半期連続で前期比プラスを維持。多くのエコノミストは消費増税や台風被害の影響で10−12月期のマイナス成長を予想するが、来年通年ではプラス成長への回帰を見込んでいる。

  SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは、景気下振れリスクに備えて対策を打つことは、「後手後手になるよりはいいが、今の局面でそこまでの景気の落ちこみは確認されていない」と指摘。「景気が想定より落ち込まなかった場合に債務が膨らみ、いたずらに景気の振幅を作ることになる」とし、増税に伴う需要平準化策と同様に「政府の狙い通りいくのか分からない」とみる。

  国際通貨化基金(IMF)は25日、日本経済に関する審査(対日4条協議)終了後の声明で、「国内需要の緩やかな成長は外的環境の悪化によって損なわれつつあり、下振れリスクが増大してきている」とし、今年の日本の成長率予想を0.8%に引き下げた。その上で、10月の消費増税による財政引き締めで景気が腰折れしないよう、20年に消費増税対策を延長するなどの財政政策を短期的に実施するよう提言した。

  金融機関の収益悪化など低金利政策の長期化による副作用に直面する日本銀行も財政政策に期待を寄せる。黒田東彦総裁は5日の名古屋市での会見で、「仮に政府が必要に応じて財政政策をさらに活用するということになれば、財政・金融のポリシーミックスという形で、より一層、財政政策あるいは金融政策が単独で行われる場合よりも効果が高まる」との認識を示した。

欧州との違い
  同じくマイナス金利の副作用に苦慮する欧州諸国でも、金融と財政のポリシーミックスに期待する声が上がる。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は22日の講演で、金融政策の負担軽減を図るため、公共投資を増やすべきだと主張。困難な貿易環境や域内成長鈍化を乗り越えるには財政政策が鍵だと述べた。

  欧州経済を担当する日本総研の高野蒼太研究員は、「低金利が続いてこれ以上の金融緩和余地がかなり限られている点では日本とユーロ圏は非常に似ているが、財政政策はかなり違いが多い」と指摘する。欧州債務危機の経験から、債務残高対GDP比60%以下など厳しく財政ルールがあるため、「ラガルドECB総裁が財政政策の出番と言っているが、ルール的にそんなに簡単ではない」と言う。

  日本の債務残高対GDP比は236%とギリシャの184%を上回り、188カ国中で最高。金融緩和策で国債買い入れを続ける日銀の国債保有比率は5割に迫り、残存10年以下の国債利回りはマイナスで推移。この結果、政府は13年度以降の5年間だけで、消費増税2%分に当たる5兆円超の国債発行コストを抑制している。

日本の債務残高対GDP比、世界最大
188カ国中最大の236%、ギリシャの184%超え


出所:IMF "World Economic Outlook Database 

市場の信認
  麻生太郎財務相は、現在の低金利環境は「日本の国債、円というものに対するマーケットの信認が大前提」とし、それに甘えていると「ある日突然マーケットの信頼を失って金利が暴騰する」と警鐘を鳴らす。政府が経済再生・活性化策を進める際には、財政規律を維持し、市場の信認を得続けることが重要と指摘する。

  消費税10%への段階的引き上げの3党合意を決めた12年の旧民主党政権で副総理を務めた岡田克也衆院議員は、「財政健全化は気にせず、歳出も思い切ってやればいい、消費増税は10年必要ない、歳入を増やす必要はないとの雰囲気が政界で出ている」とし、「国家が衰退していく道を歩み始めてしまっているのではないか」との懸念を示した。

(第8段落以降を追加して更新しました)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-28/Q1O32IT1UM0W01

 
日銀総裁、現時点で追加緩和考えてない−財政支援の国債購入否定
伊藤純夫
2019年11月29日 16:02 JST 更新日時 2019年11月29日 17:12 JST
追加緩和余地は十分ある、物価目標の引き下げは考えていない
日経平均1万9000円程度に下がれば、保有ETFの時価が簿価下回る
日本銀行の黒田東彦総裁は29日午後の衆院財務金融委員会での答弁で、現時点で追加の金融緩和を行う考えがないことを表明した。物価安定目標の実現という金融政策上の目的を越えて、財政支援のために国債を買うことはないとの見解も示した。

  黒田総裁は、当面の金融政策運営について「現時点でさらに何か追加緩和をやるということは考えていない。今の金融政策が適切と考えている」と明言。「現在の調節方針を維持する形で徐々に賃金・物価が上昇し、物価上昇率が2%に近づいていくことを狙っている」と語った。

  もっとも、世界経済の先行き不透明感が強い中で、「仮に世界経済の減速リスクがものすごく大きくなる」ことなどによって物価安定目標に向けたモメンタムが損なわれれば、「金融政策として追加的な措置を考えていく必要があるし、それは十分可能だ」と指摘した。

国会答弁関連記事
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前田日銀理事:超長期金利低下の悪影響、念頭に置いて金融緩和実施
日銀保有ETF、1万9000円程度で時価が簿価下回る−前田理事
  現行マイナス0.1%の短期政策金利についても「一定の限界はあるが、十分に緩和余地がある」と述べ、追加緩和を検討する際には「効果と副作用を考慮し、適切な措置を講じる」考えを改めて示した。物価上昇率の目標である「2%」自体の引き下げは「考えてない」と表明し、物価目標の達成に向けて「必要な金融緩和措置を講じていきたい」と語った。

財政ファイナンスでない
  これまでの大規模な金融緩和の推進によって、日銀の国債保有残高が発行残高の50%程度にまで膨らんでいるが、総裁はあくまで物価安定目標の実現という「金融政策上の目的で国債を購入した結果」と説明。財政政策とのポリシーミックスを踏まえても、日銀による国債購入は「財政ファイナンスではない」とし、「金融政策の目的を越えて、財政を支えるために国債を買うことは考えていない」と繰り返した。

  黒田総裁の下で日銀は2013年4月の量的・質的金融緩和の導入とともに、それまで採用していた「銀行券ルール」を停止し、大規模な国債買い入れに踏み切った。銀行券ルール復活の可能性について総裁は、将来的な金融政策の正常化の過程では議論される可能性があるが、「現時点では必要・適切とは考えていない」と語った。

  また、前田栄治理事は、日銀が保有している指数連動型上場投資信託(ETF)について、株価が日経平均で1万9000円程度、TOPIXで1350程度を下回れば時価が簿価を下回ることを明らかにした。

  前田理事によると、19年9月末時点での日銀のETF保有は時価ベースで31.6兆円、含み益は4兆円程度、簿価は27.6兆円程度。13年3月末時点でのETF保有は簿価ベースで1.5兆円だった。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-29/Q1PV28T1UM0W01?srnd=cojp-v2


 

ストラテジストは日本の話に夢中、来年は日が当たる−投資見通し
Eric Lam
2019年11月29日 13:51 JST
ソシエテ・ジェネラルは日本株の判断「最大ウエート」を継続
日経平均は約9%上昇−中国、韓国、インドの株価指数も上昇を予想
2020年の投資見通しがあちこちから発表されつつある今、アジア株について2つのテーマが浮き彫りになってきた。1つはアジア新興市場の成長加速、もう1つは日本に日が当たるという話題だ。

  ソシエテ・ジェネラルは両方のテーマを支持している。グローバル資産配分・株式戦略責任者のアラン・ボコブザ氏が率いる同行チームは7つの重要戦略のうち3つで日本株に強気の見方を示し、そのものずばりの日本株ロングや日本の国内循環株のロングポジションを勧めた。日本株を同行が選好するバリュー資産とも位置付けている。

  ストラテジストらは26日のリポートで「信頼できるトリガーの恩恵を受け、日本と新興市場の株式が当行のポートフォリオの価値を高めると認識している」と書いている。 「利益拡大とバリュエーション上昇の組み合わせで日本株に上昇余地があるとみている」という。

  同行は日本株の判断「最大ウエート」を継続し、配分比率は10%と米国に次いで大きくしている。中国は引き続き長期的には最有望国であるものの、今年の好調を受けてエクスポージャーを減らしたという。

  アジア新興市場については2年の停滞後の利益回復を予想。北東アジア(韓国と台湾)が東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国をアウトパフォームし、また輸出企業が内需関連よりも有望だとみている。

  ソシエテのチームは20年末時点のMSCIアジア指数(日本除く)の目標を740とし、日経平均株価は約9%上昇、中国、韓国、インドの株価指数もそれぞれ上昇すると予想している。

Japan, Asia stocks on the upswing as 2019 draws to a close
原題:All Strategists Want to Talk About Is Japan: Taking Stock(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-29/Q1PMSYDWX2PU01?srnd=cojp-v2

 

 
日本株は続落、アジア株安で投資家心理悪化−輸出や商社安い
長谷川敏郎
2019年11月29日 8:00 JST 更新日時 2019年11月29日 15:40 JST
米国株先物は時間外で軟調推移、香港ハンセン指数は2%超下落
ユーロ圏景況感指数は改善、東証1部売買代金は3日連続2兆円割れ
29日の東京株式相場は続落。米国株市場の休場などで手がかり材料に乏しい中、アジア株安で投資家心理が悪化し輸送用機器や精密機器など輸出関連、商社、建設株が下げた。

TOPIXの終値は前日比8.70ポイント(0.5%)安の1699.36−終値ベースで5営業日ぶり1700割れ
日経平均株価は115円23銭(0.5%)安の2万3293円91銭
〈きょうのポイント〉

香港ハンセン指数は一時2%超の下落、中国上海総合指数も同1%超安
中国:香港人権法への報復措置策定に苦慮か−中国が貿易協議を遅らせた場合12月半ばの関税引き上げに直面
11月ユーロ圏景況感指数は101.3、予想以上に改善
28日の米国市場は感謝祭の祝日休場
 

relates to 日本株は続落、アジア株安で投資家心理悪化−輸出や商社安い
東証ロゴ
  東洋証券の大塚竜太ストラテジストは「買い手がかりがない中、香港ハンセン指数が大きく下がり米中通商協議が楽観できないとの見方や上値の重さから利益確定売りが重なっている」と述べた。

  米国の香港人権法案にトランプ大統領が署名した後、中国側からただちに極端な反応が出なかったことから、朝方はやや買いが先行。しかし、米S&P500種Eミニ先物が軟調に推移して下落に転換、香港ハンセン指数の大幅安で午後はじりじりと下げ幅を広げた。

  三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは、「日経平均2万3500円近辺で上値が重い状態が続いている。そこを抜けるには米中に関する進展などのニュースが出てこないと難しい」とみる。米国株休場の影響もあって東証1部売買代金は1兆7571億円と3日連続で2兆円を割り込み、買い手控えムードが強かった。

  もっとも、景気が回復していく中で先高期待は衰えていない。みずほ証券の倉持靖彦投資情報部長は「日本以上に輸出依存度の高いドイツを抱えるユーロ圏景況感指数の改善は、世界経済がボトムを打ちつつあることを示す非常に重要な動き」と評価。米中通商交渉についても「電話での協議は続いており、12月15日の対中追加関税は見送りになりそうとの見方がある」と話していた。

続落
東証33業種では、輸送用機器や鉄鋼、建設、精密機器、卸売、海運が下落
鉱業や証券・商品先物取引、パルプ・紙は上昇
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-28/Q1P7W3T0AFB401?srnd=cojp-v2


ビジネス2019年11月29日 / 15:59 / 1時間前更新
日経平均は続落、米中対立に新要素 3日連続で売買代金2兆円割れ
Reuters Staff
2 分で読む

[東京 29日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は続落。前日の米国株式市場は感謝祭に伴い休場だったことから手掛かり材料に欠ける中、円安を好感して高値圏で寄り付いた。その後は為替相場に連動しながら前日終値付近で一進一退していたものの、アジア株が下落したことが嫌気された。香港ハンセン指数.HSIは2%超安となり、投資家心理を圧迫、日経平均は下げ幅を拡大した。商いは細り、東証1部の売買代金は3日連続の2兆円割れとなった。

トランプ米大統領が「香港人権・民主主義法案」に署名し、同法が成立したことを受け、米中対立に「人権カード」という新しい要素が加わった。両国が進める通商協議が難航することも予想され、香港ハンセン指数や上海総合指数.SSECをはじめとするアジア株が下落。為替のドル/円は109円台半ばで円安基調となっていたものの、積極的に買い上げていく材料に乏しく、上値は伸びなかった。

TOPIXも続落。東証33業種では、ガラス・土石製品、輸送用機器、金属製品などが値下がり率上位。一方、鉱業、証券業、パルプ・紙の3業種は買われた。

市場からは「需給が弱いが、週末なのでこの辺が居心地のいい水準。100円安程度であれば許容範囲」(国内証券)との声が出ていた。

個別銘柄では、ぐるなび(2440.T)と「食べログ」を運営するカカクコム(2371.T)が売られた。公正取引委員会が飲食店情報サイトを対象に実態調査を進めているとの報道が嫌気された。報道によると、公正取引委員会は、飲食店情報サイトによる一部レストランなどでの予約座席の囲い込みを問題視しているという。

東証1部の騰落数は、値上がり856銘柄に対し、値下がりが1184銘柄、変わらずが117銘柄だった。

日経平均.N225

終値      23293.91 -115.23

寄り付き    23497.44

安値/高値   23273.37─23498.77

TOPIX.TOPX

終値       1699.36 -8.70

寄り付き     1712.21

安値/高値    1698.01─1712.83

東証出来高(万株) 99450

東証売買代金(億円) 17571.4
https://jp.reuters.com/article/tokyo-stx-close-idJPKBN1Y30I7

12月の日銀国債買い入れオペ計画、残存10−25年のレンジ上限切り下げ
山中英典
2019年11月29日 17:07 JST
日本銀行は29日、12月の国債買い入れオペの運営方針を発表した。残存期間10年超25年以下の買い入れ額のレンジを「500億円〜1500億円」とし、11月の「500億円〜2000億円」から上限を切り下げ、レンジの中心を現在のオペ購入額付近とした。

  その他の残存期間の買い入れ額のレンジや回数に11月から変更はなかった。月2回行う物価連動債、偶数月に実施する変動利付債も据え置いた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-29/Q06GQTT1UM1101?srnd=cojp-v2

 
債券下落、中短期債売りの流れ継続−長期金利は2週間ぶり高水準
日高正裕
2019年11月29日 7:56 JST 更新日時 2019年11月29日 16:13 JST
債券相場は下落。前日の2年利付国債入札が低調となり、中短期債を中心に売りが優勢となった地合いが続いた。新発2年債利回りは3週間ぶりの高水準を付ける場面があったが、午後に入って下げ渋った。

新発10年債利回りは一時前日比2べーシスポイント(bp)高いマイナス0.075%と15日以来の水準まで上昇
新発2年債利回りは一時マイナス0.165%と3週間ぶり、新発5年債利回りは一時マイナス0.17%と2週間ぶりの水準までそれぞれ上昇
長期国債先物12月物の終値は13銭安の153円16銭。午前に153円07銭まで下落したが、その後はやや下げ渋った
市場関係者の見方
大和証券の小野木啓子シニアJGBストラテジスト

昨日の2年債入札結果が弱めだったので、朝方はイールドカーブ手前の軟調地合いが続いた
日銀の国債買い入れオペ運営方針は回数、額とも前月から据え置きを予想
来週は内外ともイベントが多いので、売り一巡後の先物相場がどこまで戻るかに注目
三井住友アセットマネジメントの深代潤執行役員

このところ手がかり材料難が続いており需給だけで動いている
来週は米ISM製造業景況感指数や雇用統計が公表されるので、米製造業が回復に向かうのか注目
米景気が良くなれば債券相場の調整は長期化へ
長期国債先物12月物の日中取引推移
12月のオペ計画
日銀が午後5時に当面の長期国債等の買い入れの運営についてを公表
SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジスト
変更がありそうなのは5日に減額した10−25年のレンジ。現状500億〜2000億円のレンジで中央値1250億円だが、これを1000億円にするため上限をカットするか、下限をゼロにしてスキップを示唆する可能性
現段階で10−25年のスキップを示唆するというカードを切るのももったいないように思われ、上限を500億円カットする可能性の方が高い
備考:日銀、11月の主要な長期国債買い入れは変更なしー物価連動債は増額
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.180% -0.185% -0.085% 0.250% 0.405% 0.445%
前日比 横ばい +0.5bp +1.0bp 横ばい +0.5bp +1.0bp
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-28/Q1P7M2T0G1KZ01?srnd=cojp-v2


 

ECB将来予測と担保評価、気候変動リスク反映する必要−仏中銀総裁
William Horobin
2019年11月29日 14:00 JST
気候変動とエネルギー移行の経済への影響は今後一層強まると総裁
気候変動で担保の証券価値が変わり得るとビルロワドガロー氏
欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバー、フランス銀行(中銀)のビルロワドガロー総裁は、ECBが気候変動やエネルギーの移行を考慮して将来予測や担保の評価を行うべきだとの見解を示した。

  同総裁はフランス紙ラクロワとのインタビューで、「気候変動とエネルギー移行は既に経済活動と物価に影響を及ぼしており、その影響は今後一段と強まるだろう」と発言。「われわれはこの側面をECBの経済予測モデルに取り入れるべきだ」と指摘した。

  ラガルド氏がECBの新総裁に就任して以降、ECB当局者は気候変動の問題をより強く意識するようになり、関連するコメントも多い。クーレECB理事は28日、中銀は気候変動対策の先頭に立つことはできないが、支援できるとコメントした。

  ビルロワドガロー総裁は「気候変動に伴い、われわれが金融政策の保証、すなわち担保として受け入れる証券の価値は、その資産が気候リスクによって脅かされるかどうかで変わり得る。こうしたリスクを考慮すべきだ」と語った。

原題:ECB Forecasting Should Incorporate Climate Change, Villeroy Says(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-29/Q1PK5I6JTSEA01?srnd=cojp-v2

 

米中を分かつ深い溝、香港人権法で露呈 中国、香港人権法への報復措置策定に苦慮−自国への跳ね返り必至 中国で金融巡り警戒サイン相次ぐ−取り付け騒ぎや公有企業の債務再編 中国株、ロックアップ解除で大株主の売り加速 香港で週末に再びデモ FRBで始まった枠組み見直しの議論、「金利コントロール」に脚光 仏銀と保険会社、石炭業界との関係停止が必須=中銀総裁
http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/813.html
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/739.html

[社会問題10] 監視が「人の行動を変える」メカニズム スマホが「監視カメラ」 無意味な日々、希望も絶望もない状態をなんと呼ぶ? 「ニヒリズム」と「メランコリー」
監視が「人の行動を変える」メカニズム
飲茶

ライフ・社会 正義の教室
2019.10.30 3:00


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哲学史2500年の結論! ソクラテス、ベンサム、ニーチェ、ロールズ、フーコーetc。人類誕生から続く「正義」を巡る論争の決着とは? 哲学家、飲茶の最新刊『正義の教室 善く生きるための哲学入門』の第9章のダイジェスト版を公開します。

 本書の舞台は、いじめによる生徒の自殺をきっかけに、学校中に監視カメラを設置することになった私立高校。平穏な日々が訪れた一方で、「プライバシーの侵害では」と撤廃を求める声があがり、生徒会長の「正義(まさよし)」は、「正義とは何か?」について考え始めます……。

 物語には、「平等」「自由」そして「宗教」という、異なる正義を持つ3人の女子高生(生徒会メンバー)が登場。交錯する「正義」。ゆずれない信念。トラウマとの闘い。個性豊かな彼女たちとのかけ合いをとおして、正義(まさよし)が最後に導き出す答えとは!?


Photo: Adobe Stock
「他者の視線」の恐ろしさ
前回記事『刑務所を「哲学」すると、正義の輪郭が見えてくる』の続きです。

「刑務所というシステムの要点を整理してみよう。それは次のふたつだ」

(1)「異常者(囚人)」を保護して「正常者(一般人)」に矯正する。
(2)そのためには、囚人を一定の規律に従わせ、その行動を監視する。

「さて、ここで特徴的なのは、監視という矯正方法だ。刑務所はけっして体罰などで囚人を痛めつけて、正常な人間に矯正しようとするわけではない。そうではなく、囚人を規則正しく起こし、食べさせ、働かせ、寝かせ、その日常を看守が監視することで正常な人間に矯正しようとする。なぜ監視が矯正になるのか?」

「たとえば、宿題をやらない子どもを思い浮かべてほしい。その子を矯正する方法として、手っ取り早く『殴る』というやり方があるだろう。だが、その方法では真の矯正は実現できない。なぜなら、仮にその子が宿題をやるようになったとしても、それはあくまでも痛みとの取引による打算的な選択にすぎないからだ。その証拠に、もし痛めつけられない環境に戻せば、きっと彼はまたサボるだろう」

「だから、彼を真に矯正したければ、こうすればいい。まず最初に、『宿題はみんな当たり前にやっている。それができないやつは、おかしな人間だ』という特定の価値観を信じ込ませる。そして、そう思い込ませたあと、後ろからずっと『見て』いればいいのだ」

「そうして、もし彼が『うわ、ボク、人に見られてる。おかしな人間だと思われたくない』という感覚を持ったとしたら、しめたもの。しばらく定期的に見ていれば、そのうち彼は誰も見ていないときでも『他者の視線』を意識するようになり、自分を律して自ら宿題をやるようになるだろう」

 なるほど、そうなればひとりで勝手にやるようになるのだから、たしかに完璧な矯正方法だと言える。でも、それって、本当に善いことなのだろうか。なんだか都合よく、その子の思考を操作しているようにしか思えない。もっとも、その子自身は「ちゃんと自分で考えて行動してるよ」と言うのかもしれないが。

「さて、今のたとえ話から、刑務所における監視というシステムが、いかに人間を矯正するのに効果的であるかが、わかってもらえたかと思う。が、しかし、よくよく考えてみれば、この話は刑務所だけにとどまらない。他者の視線を気にさせて自分を律するように仕向ける―このやり口は、社会のいたるところにある。いや、社会全体がそうだと言ってもよいだろう。そう、我々が住む社会(コップ)は、実は『監視による矯正』という、刑務所と同じ構造で出来上がっているのである。そのことを指して、フーコーはこう主張する」

「『私たちは、ベンサムが設計した刑務所、パノプティコンの中で生きている』と」
―パノプティコン!?

 思わぬ言葉に僕は凍りつく。それは隣の倫理と千幸も同様だった。僕たちは強張った表情で互いの顔を見合わせる。

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「見られているかもしれない」という恐怖
「見られているかもしれない」という恐怖
 現代の哲学者フーコー……その口から、ベンサムというよく知る名前が突然出てきたことは単純に驚きだが、それ以上に衝撃的だったのが「パノプティコン」という言葉。それは教科書的にはベンサムが設計した刑務所の名前なのかもしれないが、僕たち生徒会にとっては特別なものを意味する。

 それはもちろん―パノプティコン・システム。

 生徒会最大の問題であり、「見守り君」という人型監視カメラの設置プロジェクトの正式名称だ。もっとも生徒会以外の生徒たちは、「見守り君」という呼び名は知っていても、正式名称の方にはあまり馴染みがない。だから、教室全体がざわつくようなことはなかった。

 先生は、そのままパノプティコンの説明を続ける。それはかつて倫理から聞いたものと同じ説明であった。

 刑務所の真ん中に高い塔が立っており、そこを中心にぐるっと囲むように牢屋が並んでいること。そして、その塔にいる看守からは囚人が丸見えだが、囚人からは看守の姿が見えない工夫が施されていること。

 先生は黒板に絵を描きながら、パノプティコンの特徴を説明していった。

「ベンサムが発案したこのパノプティコンが画期的なのは、経済的にとても優れているところだ。というのは、囚人側からは看守の姿が見えないのだから、実は看守はいなくてもかまわない。囚人たちが、勝手に『見られているかもしれない』と思い込んでくれればよくて、『監視による矯正』はそれだけで十分に効果があると言える。キミたちだって、見られているかもしれない監視カメラの前で、モノを盗もうとは思わないだろう? だから、何も馬鹿正直に、毎日24時間分の看守の人件費を支払う必要はないわけである」

 監視カメラというワードが出たところで、他の生徒たちもざわつき始めた。ようやく、いま先生が言っている刑務所のシステムが、自分たちの学校の「見守り君」と酷似していることに気づいたのだろう。

 実際、学校には、こんな噂がある。

 校舎に転がっている見守り君のうち、その大半は偽物であると。なぜなら、ネットの監視サイトで中継されている動画の数よりも、見守り君の数の方が圧倒的に多いからだ。だから、ほとんどの見守り君は、おそらくダミーだと思われる。が、しかし、それだって、いつ本物と置き換えられるかわかったものじゃないし、もしかしたらタイマー式で突然スイッチが入る仕組みなのかもしれない。

 いずれにせよ、その「かもしれない」がある以上、見守り君の姿がそこにある限り、本物であろうと偽物であろうと、また、その監視カメラの向こうに人がいようといまいと、僕たちはそこに「他者の視線」を感じざるを得ない。たかが安物のぬいぐるみを、そこらにバラまくだけで、僕たちの意識が操作され、学校にとっての「正常者」に矯正できるのだから、たしかによくできたシステムだと思う。

「ようするに、パノプティコン―この『見られているかもしれない』という虚構を演出するベンサムの刑務所は、当時の人間が思いつく限りで、もっとも経済的で合理的な刑務所だと言ってよいだろう。そして、フーコーは、現代社会の構造がまさにこのパノプティコンと同じなのだとするどく洞察したわけだが―ここで時代を考えてみてほしい」

「フーコーが『監獄の誕生』を発表したのは、あくまでも1970年代のこと。まだ、ネットもスマホもSNSもなかった時代の話だ。これは私の考えだが、それから何十年も経ち、情報技術が進歩した今、パノプティコンはフーコーの予想を超えて、さらなる進化を遂げてしまったのではないだろうか?」

 1970年代……僕がまだ生まれる前の話だ。たしかネットどころか、携帯電話やデジカメすらなかった時代だったはず。今となっては想像もつかないことだが。

次回に続く。
 

https://diamond.jp/articles/-/218889

 

スマホが「監視カメラ」と化したメカニズム
飲茶

ライフ・社会 正義の教室
2019.11.29 3:30

哲学史2500年の結論! ソクラテス、ベンサム、ニーチェ、ロールズ、フーコーetc。人類誕生から続く「正義」を巡る論争の決着とは? 哲学家、飲茶の最新刊『正義の教室 善く生きるための哲学入門』の第9章のダイジェスト版を公開します。

 本書の舞台は、いじめによる生徒の自殺をきっかけに、学校中に監視カメラを設置することになった私立高校。平穏な日々が訪れた一方で、「プライバシーの侵害では」と撤廃を求める声があがり、生徒会長の「正義(まさよし)」は、「正義とは何か?」について考え始めます……。

 物語には、「平等」「自由」そして「宗教」という、異なる正義を持つ3人の女子高生(生徒会メンバー)が登場。交錯する「正義」。ゆずれない信念。トラウマとの闘い。個性豊かな彼女たちとのかけ合いをとおして、正義(まさよし)が最後に導き出す答えとは!?


「監視社会」から「相互監視社会」へ
前回記事『監視が「人の行動を変える」メカニズム』の続きです。

「スマホの普及。今は、街を歩く人のほとんどが、スマホという情報機器を持っている。もし社会がフーコーの言う通り刑務所だとするなら、このスマホの普及は一体何を意味するのか?」

「それはおそらく―『囚人全員が監視カメラを日常的に持ち歩き、互いを監視し合っている状況』にほかならないのではないだろうか」

 あ、と思った。言われてみればたしかにそうだ。たとえば、もし、僕がいきなり街中で落書きをしたとする。すると、すぐに誰かが「なんかおかしなやつがいるぞ」とその光景をスマホで撮ってSNSで晒す―かどうかはわからないが、少なくとも、そういうことをされるかもしれないし、されたら一発で人生が終わる時代になっていることは間違いない。

「これは私が学生だった頃―もちろんまだネットもなかった時代の話だが―その頃は横暴な振る舞いをする人間たちがたくさんいた。宿題を忘れただけで腫れるほど生徒の?を叩く先生。スピード違反で捕まえた市民を口汚く罵る警察官。後輩の私物を勝手に使って返さない先輩。昔はそういう理不尽な人たちが当たり前にいた」

「が、今ではそんなことはない。権力や立場を笠に着て横暴なことをする人間は―いなくなったとまでは言わないが―全体的にはかなりの割合で減ったように思える。それはなぜか?」

「今の人間が昔の人間よりも道徳的になったからだろうか? いいや、違う。それは『市民の誰もが監視カメラと盗聴器をポケットに忍ばせ、しかもその情報をいつでも公の場に発信できる時代になったから』である」

 なるほど。善人が増えたのではなく、テクノロジーの発達により監視される機会が増えて、より矯正が徹底される社会構造になっただけ―ということか。

「監視社会から『相互監視社会』へ。そして、この変化は、実はもうひとつ別の意味を持つ。それは、我々が暮らすこの巨大刑務所パノプティコンがもはや『破壊不可能になった』ということだ。旧来のパノプティコンなら、中央の監視塔を爆破すればシステムを止めることができたかもしれない」

次のページ

社会が「人間」を作っている

「だが、現代のパノプティコンには中枢というものがない。なぜなら、囚人自身が監視の役割を担うようになり、いわば監視塔がネットワークとして刑務所全体に遍在してしまったからだ。これでは囚人全員を同時に爆破でもしないかぎり、もはやこのシステムを破壊しようがないだろう。そして、この破壊不可能という結論は、先に述べたポスト構造主義の結論とも完全に一致する」

「すなわち、『人間は、自分を支配する構造(社会システム)を、自らの意志で変えることも抜け出すことも絶対にできない』ということだ」

「だから、きっとこれからもパノプティコン、監視社会は続いていくだろう。監視される側が、囚人側が、どんな意志を持とうと関係ない。社会が、自らの発展のために『正常』な人間を求めて、監視システムを自ら強化していく。そして、その社会のために産み出された人間は、社会が規定する『正常』から外れることを恐れ、死ぬまで『他者の視線』を気にしながら生きていくのだ」

 「わかるだろうか? もはや人間が『人間にとって正しい社会』を作っているのではない。社会が『社会にとって正しい人間』を作っているのだ。とっくに主従関係は逆転してしまっているのである。

 「では、以上で倫理の授業を終わりにしたいと思う」

 えっ……!?

 教室に授業終了のチャイムが鳴り響き、先生は唐突に授業を打ち切った。終了の時間が来たのだから仕方がないのかもしれないが、本当にこんな終わり方でいいのだろうか。いや、さすがにこれはあんまりだと思う。

 が、他の生徒たちは、さっさと片づけを始めて、欠伸まじりに次々と教室から出て行ってしまった。今の先生の話を聞いても何とも思わない人が大半だったようだ。でも、僕は―奇妙な虚脱感に襲われ、しばらく席から立ちあがることができなかった。

(『正義の教室』第9章 正義の終焉「ポスト構造主義」より抜粋)

【ダイヤモンド社書籍編集部からのお知らせ】

『正義の教室 善く生きるための哲学入門』


著:飲茶 価格:1500円+税 判型:四六並製、352ページ  ISBN:978-4-478-10257-2
■30人の幼児と自分の娘、どちらを助ける?

ソクラテス、プラトン、ベンサム、
キルケゴール、ニーチェ、ロールズ、フーコーetc。

人類誕生から続く「正義」を巡る論争の決着とは?

■佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)
「抜群に面白い。サンデル教授の正義論よりもずっとためになる」

 本書の舞台は、いじめによる生徒の自殺をきっかけに、
学校中に監視カメラを設置することになった私立高校。

 平穏な日々が訪れた一方で、「プライバシーの侵害では」と撤廃を求める声があがり、生徒会長の「正義(まさよし)」は、「正義とは何か?」について考え始めます……。

 物語には、「平等」「自由」そして「宗教」という、異なる正義を持つ3人の女子高生(生徒会メンバー)が登場。交錯する「正義」。ゆずれない信念。トラウマとの闘い。
 個性豊かな彼女たちとのかけ合いをとおして、正義(まさよし)が最後に導き出す答えとは! ?



正義の教室

飲茶 著

<内容紹介>

ソクラテス、プラトン、ベンサム、キルケゴール、ニーチェ、ロールズ、フーコーetc。人類誕生から続く「正義」を巡る論争の決着とは? 本書の舞台は、いじめによる生徒の自殺をきっかけに、 学校中に監視カメラを設置することになった私立高校。異なる「正義」を持つ3人の女子高生の掛け合いから、「正義」の正体があぶり出される。

「あなたの臓器をください。人類のために」と言われたら?
ソクラテス『善い行いをしろと言ったら、嫌われて死刑になった』

「自殺したい、手伝ってほしい」と家族から頼まれたら?
幸福を哲学すると「快楽」に行きつく!
飲茶
https://diamond.jp/articles/-/221761?page=2


 

無意味な日々、希望も絶望もない状態をなんと呼ぶ?
「ニヒリズム」と「メランコリー」はどう違うのか
2019.11.29(金)
岩内 章太郎

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 押井守監督のアニメ映画『スカイ・クロラ』には、戦闘機に乗って戦うキルドレと呼ばれる子供たちが登場する。彼らは、ただ与えられた日常を生きている。行為の意味が決定的に欠けていて、無意味な悲劇だけが積み重なっていく。気鋭の哲学者、岩内章太郎氏はその状態を「メランコリー」と呼ぶ。「ニヒリズム」と「メランコリー」はどう違うのか? 岩内氏が提示する、「生きること」と直結した哲学とは。(JBpress)

(※)本稿は『新しい哲学の教科書』(岩内章太郎著、講談社選書メチエ)の一部を抜粋・再編集したものです。

「ニヒリズム」
 ニヒリズムという問題現象を人々のあいだに広く観察できるようになるのは20世紀中盤以降、すなわちポストモダンの時代からだが、私たちは、ニヒリストの典型をある19世紀の小説に見出すことができる。

 ツルゲーネフの秀作『父と子』(1862年)である。この小説では、農奴解放前後の19世紀ロシアを舞台にして、伝統的な貴族文化と新しい世代の文化の摩擦が描かれている。大学を卒業して、久しぶりに故郷の田舎に帰ってきたアルカージイは友人のバザーロフも一緒に連れてくる。

 バザーロフはあらゆる形式のロマンティシズムを蔑み、伝統的な貴族文化の内実は空虚だと考えている若者で、アルカージイも彼の影響を受けている。貴族文化のなかで育ったアルカージイの父親ニコライ・ペトローウィチと伯父パーヴェル・ペトローウィチはバザーロフの自由奔放な言動に戸惑い、バザーロフがいない食事の席でアルカージイにバザーロフとは何者なのか、と尋ねてしまう。

「バザーロフが何者ですって?」アルカージイは苦笑した。「伯父さん、なんなら、あの男が何者か、教えてあげましょうか?」「うん、教えてくれよ、アルカージイ」「彼はニヒリストです」「ええっ?」とニコライ・ペトローウィチはききかえした。

 パーヴェル・ペトローウィチはバターの一片をつけたナイフをもちあげたまま、凍りついたようになってしまった。「彼はニヒリストですよ」とアルカージイはくりかえした。「ニヒリスト」とニコライ・ペトローウィチはつぶやいた。

「それは、ラテン語の nihil つまり無から出た言葉だな。そうとしかわたしには考えられん、とすると、この言葉は......なにものもみとめぬ人間......という意味かね?」「なにものも尊敬せぬといったほうがいいよ」とパーヴェル・ペトローウィチはいって、またバターをぬりはじめた。「何事も批判的見地から見る人間ですよ」とアルカージイはいった。

「で、なにかね、それはいいことかね?」と、パーヴェル・ペトローウィチがさえぎった。「人によりけりですよ、伯父さん。それでいい人もいるし、ひどくわるい人もいます」(ツルゲーネフ1998、36〜37頁)

「意味喪失の経験」
「意味喪失の経験」
 ツルゲーネフは、伝統的権威を積極的に無化する人間としてバザーロフを登場させる。彼はいかなる権威にも従属しないことだけを信条としており、現実世界の絶対性に観念で対抗し、観念を観念の内側で論理的に正当化することで、自分を新しい人間だとみなしている。

 だが、観念は観念以上のものではない。言葉が生きるためには、それがどこかで現実の世界に触れている必要があるが、この単純な事実にバザーロフはなかなか気がつかない。彼がようやくそのことに気づくのは、現実世界の方に――とりわけ美的なものに――つい誘われてしまうときである。

 そのときやっとバザーロフは、伝統がロマンティシズムを生むのではなく、自己と他者の関係こそがロマンの源泉であることを知る。バザーロフは「なぜぼくが時代に属さにゃならんのだ? 時代のほうこそぼくに属させりゃいいんだよ」と現実の論理を嘲るが、ではバザーロフ自身の内側にはいかなるロマンティシズム(理想への憧れ)もないのか、もしあるとすれば、どのような現実的関係から立ち上がってくるのかという問いが、この作品を1つの「文学」にしているのだ。

 ここで着目すべきは、バザーロフの対極には宗教や伝統といった「大きな物語」が控えており、その緊張関係のなかでニヒリズムが先鋭化していることだ。逆に考えると、ニヒリズムは何らかの無化すべき対象を必要とするものであり、そもそも無化すべき対象が存在しないところにはニヒリズムも存在しないと考えられる。

 一般に、ニヒリズムとは「世界の一切は無意味である」という主張を指すが、この主張の前提にあるのは、かつては何らかの意味があったがそれはすでに失われてしまったということである。だとすれば、意味の無意味化の経験がニヒリズムの問題事象であることになるだろう(混辺 1975)。

 つまり、意味があってやがてそれが失われること、たとえば、天皇制があってやがて敗戦があったこと、マルクス主義があってやがて学生運動の熱が冷めたこと、大きな物語があってやがて失墜したこと......。

 簡単に言ってしまえば、ニヒリズムとは「意味喪失の経験」なのである。もちろん、ニヒリズムが世界全体の無意味を主張するにいたるまでには、特定の意味の無意味化の経験から、あらゆる意味の無意味化へと飛躍する必要がある。これも全体性に向かって究極の根拠を求める理性の本性に起因している。

「何をしたいわけでもないが、何もしたくないわけでもない」
 ところが、ニヒリズムとは別の形態の意味喪失が存在する。何らかの強い意味があってそれが無化される(あるいは、それを積極的に無化する)のではなく、そもそも強い意味それ自体を見出しにくくなっている状態―私はこれを「ニヒリズム」とは区別して「メランコリー」と呼びたい。

 ニヒリズムはつねに無化すべき意味を必要とするが、無化すべき意味すら見つからないのだとすれば、私たちは「欲望の挫折」(=ニヒリズム)ではなく、「欲望の不活性」(=メランコリー)を体験していることになる。

「大きな物語」が崩壊していくのを目撃したポストモダンの世代は「ニヒリズムの時代」を生きたが、「大きな物語」が崩壊してしまった後の世界に生まれた者たちは「メランコリーの時代」を生きているのではないか。これが私の舞台設定である。

 ニヒリストは伝統的権威に対する「攻撃性」を持ち、あらゆるものは無意味かもしれないという「虚無感」に苦しむが、メランコリストにとっての問題は、欲望の鬱積から出来する「倦怠」と「疲労」、そして、いま手にしている意味もやがては消えていくかもしれないという「ディスイリュージョンの予感」である。

 要は、「何をしたいわけでもないが、何もしたくないわけでもない」という奇妙な欲望をメランコリストは生きているのだ。あるいは、次のようにも言えるかもしれない。ニヒリズムは絶望の一形態だが、メランコリーには希望も、そして絶望さえもないのだ、と。

メランコリストの問い
メランコリストの問い
 2008年に公開された押井守監督のアニメーション映画『スカイ・クロラ』には、キルドレと呼ばれる子供たちが登場する。キルドレは、暴力を目撃することでしか平和の意味を理解できない人々のために戦闘機に乗って擬似戦争を行なうが、戦死すると同じ顔をした代わりのキルドレが再生産される、という悲惨な運命を生きている。

 その残酷な――そして無意味な生まれ変わりのサイクルに、周囲の大人もキルドレ自身も気がつかないふりをする。キルドレは基地に送られてきて相手企業のキルドレと戦い、戦死すると代わりのキルドレが送られてくる、という無限の循環を生きるしかないところが、この運命そのものに疑問を抱き、システムに抵抗を試みるキルドレが現われる。

 そもそも自分はキルドレなのか、と思い悩むミツヤは主人公カンナミにこう打ち明ける。

 ミツヤ「あなたはこの基地で一番信頼できる。だから聞きたいの。あなたたちがどうやって自分の気持ちを整理しているのか。同じことを繰り返す現在と過去の記憶をどんなふうにしてつないでいるのか。想像だけど多分、とても忘れっぽくなって、夢を見ているようなぼんやりした感情が精神を守っているはず。昨日のことも先月のことも去年のことも全然区別がない。同じように思える。ちがうかしら?」

 カンナミ「僕のことだったらだいたいその通りだよ。小さいときからずっとこんなふうだった。ぽんゆりとして起きてるのか眠ってるのか分からないってよく言われた」。

 ミツヤ「あなたたちキルドレは年を取らない。永遠に生き続ける。最初は誰もそれを知らなかった。知っていても信じなかった。でもだんだん噂が広がっていく。戦死しないかぎり死なない人間がいるって。分からない。私もキルドレなのかしら。いまあなたに話したこともどこで聞いたのか、何で読んだのか、ほんとうのことなのか。どことなく何もかも断片的な感じがするの。自分が経験したことだっていう確信がない。手ごたえが全然ないの。私だけがキルドレじゃないなんてそんな都合のいい話ってないよね。いつから私は飛行機に乗ってる? いつから人を殺しているのかしら? 一体どうしていつどこからこうなってしまったのか。毎晩思うんだ」。

 キルドレはただ与えられた日常を生きている。唯一の義務は戦闘機に乗って敵と戦うことだが、何のために自分が戦うのかについてはまったく自覚がない。かつての日本のように天皇陛下や家族のために戦っているわけではないのだ。


『新しい哲学の教科書』(岩内章太郎著、講談社選書メチエ)
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 行為の意味が決定的に欠けていて、無意味な悲劇だけが積み重なっていくが、その循環を止めることは誰もが諦めてしまっている。何かを変えたいと思っても、そのために何と戦うべきなのかは分からないのである。

「いつも通る道でも違うところを踏んで歩くことができる。いつも通る道だからって景色は同じじゃない。それだけではいけないのか? それだけのことだからいけないのか?」

 カンナミの独言は次のように言い換えることができるだろう。

「高さも広さもない場所で現実的に生きていくことはできる。それだけではいけないのか? それだけの選択肢しかないことがいけないのだろうか?」

 これがメランコリストの問いである。

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[自然災害22] 小地震も大地震も始まりは似ている
小地震も大地震も始まりは似ている
Nature ダイジェスト Vol. 16 No. 12 | doi : 10.1038/ndigest.2019.191236

原文:Nature (2019-09-05) | doi: 10.1038/d41586-019-02613-5 | Small and large earthquakes can have similar starts

Rachel E. Abercrombie

小さな地震と大きな地震の始まりは、よく似ているのか、あるいは異なっているのか、という問題は、地震学の長年の課題だ。日本周辺の地震を分析した結果、一部のケースでは、小さな地震と大きな地震の始まりはほぼ同一であることが分かった。


図1 2011年東北地方太平洋沖地震による被害
2011年3月11日、日本の近代地震観測史上最も強い地震が発生して津波を引き起こし、壊滅的な被害を与えた。井出は、大きな地震の始まりは、小さな地震の始まりとほぼ同一である場合があることを見いだした1。これは、地震の最終的な大きさの予測に関わる知見だ(写真は2011年3月21日、自宅の片付けをする男性。宮城県気仙沼市で)。 | 拡大する
CHRIS MCGRATH/GETTY

ある地震がどれだけ大きくなるのかが分かるのはどの時点だろうか? 1つの地震のマグニチュードは、その成長の始まりの状況とダイナミクスに左右されるのだろうか? もし左右されるのであれば、初期の地震波の観測により、あるいは地震が起こるだろう地域の観測によっても、地震動の早期警報が可能になるかもしれない。一方、左右されないなら、そうした短期予測の可能性は低い。東京大学大学院理学系研究科の井出哲はこのほど、日本周辺で起こった数千回の大きな地震と、それらに近い震源を持つ小さな地震について、互いの始まりの地震波の波形を比較し、Nature 2019年9月5日号112ページに報告した1。井出は、今回分析した地震波の周波数範囲では、大きな地震の約20%の始まりの地震波は、それらと震源が近い小さな地震の始まりの地震波と区別がつかないことを見いだした。

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Published: 04 September 2019
Frequent observations of identical onsets of large and small earthquakes
Satoshi Ide
Nature volume 573, pages112–116(2019)Cite this article

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Abstract
Every gigantic earthquake begins as a tiny rock failure at almost a point, followed by successive slip of the complex fault system, before radiating strong shaking from a vast rupture area extending over hundreds of kilometres. Whether the growth process of the rupture of a large earthquake is predictable and whether it produces observable signatures different from that of smaller events1,2,3,4,5 are fundamental questions related to the potential for earthquake early warning and probabilistic forecasting. Inspired by a recent discovery that large earthquakes might have seismic waves, and probably rupture processes, that are almost identical to those of smaller events6,7,8, we show that such similarity characterized by large cross-correlation is a common feature of earthquakes in the Tohoku–Hokkaido subduction zone, Japan. A systematic comparison of 15 years of high-sensitivity seismograph records for approximately 100,000 events reveals 80 extremely similar and 390 very similar pairs of large (moment magnitude M > 4.5) and small (M < 4.0) earthquakes, co-located within about 100 metres. An extremely high similarity is observed for pairs of subduction-type earthquakes (170 of 899 large events) separated by a long period of up to 15 years, whereas for pairs of other types of large earthquakes only the foreshocks and aftershocks are similar. This frequently occurring similarity between different-sized subduction-type earthquakes suggests repeated cascading rupture processes in a widespread hierarchical structure9,10,11,12 along the plate interface and indicates a specific but probabilistically limited predictability of the final size of the earthquake (that is, the location and a set of possible sizes of an earthquake are well predicted, but its final size is not at all well constrained).

Main
Earthquakes have complicated rupture processes and frequently occur along complex fault systems, such that they are generally considered unpredictable phenomena. However, their occurrence is not completely unpredictable. Good examples of predictable earthquakes are repeating earthquakes, or repeaters, which have been discovered in many seismogenic regions worldwide12,13,14,15,16. Repeaters are considered to represent the recurring rupture of a segment, or patch, of a reasonably mature fault system, such as the plate interface in a subduction zone. They occur at quasi-regular intervals and are approximately the same size, radiating almost identical seismic waves. Therefore, once rupture is initiated within a known repeater’s patch at the expected timing, we can predict its final size with high probability. However, repeaters are not the predominant seismic activity in seismogenic regions. For example, 105 repeaters of M > 4.5 were identified in the Tohoku–Hokkaido subduction zone, Japan, from June 2002 to February 201116, out of more than 600 similar-sized earthquakes occurring during the same period. Little is yet known about the predictability of events other than repeaters17.

The predictability of earthquake size is also important. To determine how different the earthquake rupture and radiated seismic waves of different-sized earthquakes are is a classic problem in earthquake seismology1,2,3,4,5. The initial waveforms of large earthquakes are complicated1,3, but the very beginnings can be similar to those of small events18. The initial slip patterns of large earthquakes are also sometimes similar to those of small earthquakes19,20. Although their high complexity makes a comprehensive comparison difficult, a recent study reported that the initial waveforms of earthquakes are statistically independent of magnitude5,6. As recently shown, the seismic waveforms of some specific combinations of M ≈ 3 and M ≈ 5 co-located earthquakes are found to be almost identical7, with similar rise, fall and fluctuations during the first 0.1 s. Since this first report investigated only five earthquakes of M ≈ 5, the generality of such an observation needs to be quantitatively confirmed over a much broader region. Here I use waveform cross-correlation analysis to conduct a systematic comparison of the initial seismic waveforms from different-sized earthquakes observed in the Tohoku–Hokkaido subduction zone. As demonstrated below, the analysis reveals that many pairs of co-located events of different sizes have high waveform similarity, especially for low-angle thrust earthquakes.

The study area covers a section of the Japan Trench around 1,100 km long that extends about 250 km landward (Fig. 1); and the study period is from 3 June 2002 to 21 April 2018. I extracted all of the M > 4.5 earthquakes that occurred at depths shallower than 70 km from the Japan Meteorological Agency (JMA) earthquake catalogue, and then selected events with focal mechanism information estimated by the National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience (NIED), thus yielding 2,518 earthquakes for analysis. These earthquakes were divided into 1,262 subduction-type earthquakes, similar to the 2011 Tohoku-Oki earthquake, and 1,256 other-type earthquakes, classified according to their moment tensor similarity (see Methods), as shown in Fig. 1.

Fig. 1: Distribution of large earthquakes (M > 4.5) considered in this study, showing their beachball focal mechanism solutions.
figure1
a, Subduction-type earthquakes. b, Other-type earthquakes. The study region is demarcated by a cyan line and the seismic stations are shown as green circles. The dashed lines are isodepth contours of the plate interface at depths of 20 km, 40 km and 70 km. The beachballs indicate events with CCmax > 0.9 (red), 0.8 < CCmax <0.9 (orange), CCmax < 0.8 (black), and insufficient data for cross-correlation analysis (grey).

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The initial waveform of each large earthquake was compared with the waveforms of earthquakes of 2 < M < 4 within 10 km horizontally and 5 km vertically of the hypocentre of the large event, taken from the JMA catalogue. This region is sufficiently large compared with the median error of events in the catalogue (about 1 km horizontally and vertically). Approximately 95,000 small events were selected for comparison with the 2,518 large events, yielding approximately 340,000 event pairs. In addition, 2,649 repeater pairs were analysed using the catalogue of ref. 16; these were extracted from the JMA catalogue on the basis of waveform similarity, to quantitatively compare the waveforms of repeater and non-repeater event pairs.

The data analysed primarily consist of ground velocity seismograms recorded by short-period sensors at 100 samples per second. The analysis considered only the event pairs that were detected by more than ten stations after quality control of the data (see Methods). This criterion reduces the number of available large events from 2,518 to 1,654, of which 899 were subduction-type events and 755 were other-type events. Many of the far offshore events were removed, suggesting that such a comparison is still difficult for these distant earthquakes (Fig. 1).

The similarity of earthquake onsets for event pairs was analysed via waveform cross-correlation for the initial 0.2 s (see Methods). The initial waveform is often too simple to evaluate the similarity, especially when the attenuation is large21. Nevertheless, the difference in amplitude and timing at many stations can be used to judge the similarity. Therefore, unlike ordinary cross-correlation approaches, the cross-correlation coefficients were first normalized according to the larger signals for each station, and a grid search was then performed to obtain the maximum of the average values of cross-correlation coefficients among the analysed stations, CCmax. Figure 2 shows examples of raw velocity and acceleration waveforms for M = 3.9 and M = 4.7 subduction-type events (CCmax = 0.975). These events are surrounded by many stations because they occurred beneath mainland Japan at a depth of 60 km. Although the overall amplitude of the waveform is naturally larger for the large event, the waveforms are almost identical during the initial 0.2 s, which is comparable to the typical duration of a M = 3.9 earthquake. These observations provide strong evidence that the two events have similar rupture processes, at least within the observation frequency range, which is limited by the instrument’s response (1 Hz), the path attenuation of seismic waves, and ambient noise. The difference of timing of less than 0.01 s ensures that they occurred within 100 m of each other, which is the typical source size of a M ≈ 2 event.

Fig. 2: Comparison between the seismograms of a large (black) and a small (red) earthquake.
figure2
The central map shows the seismic station locations (green triangles) and the epicentre of the large earthquake (red star). Unfiltered velocity waveforms (top) and acceleration waveforms (bottom) are shown, with the station code and the vertical scale (in micrometres per second for velocity and in micrometres per second per second for acceleration) provided in the top and bottom left-hand corners of each waveform plot, respectively. The origin of the time axis is aligned with the arrival time measured by JMA.

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Figure 3a, b shows the CCmax histograms for the subduction-type and other-type earthquakes, respectively. Subduction-type events generally have higher correlation coefficients than other-type events. Repeater pairs have very high CCmax values, with an average value of 0.85 (Fig. 3c), which is not surprising given that their waveforms are almost identical. These histograms suggest that many pairs of different-sized earthquakes have CCmax values that are comparable to those of repeaters. The CCmax > 0.9 and CCmax > 0.8 thresholds identify 78 pairs for 55 large events and 349 pairs for 170 large events (18.9%) among the 899 subduction-type earthquakes, respectively. The same two thresholds identify 2 pairs for 2 large events and 41 pairs for 30 large events (4.0%) among the 755 other-type earthquakes, respectively. The average of magnitude difference is 1.31 for all 390 pairs, which include 120 pairs of magnitude difference δM < 1.0, 127 pairs of 1.0≤δM<1.5, 90 pairs of 1.5≤δM<2.0 and 53 pairs of 2.0≤δM. The information for all earthquake pairs for which CCmax > 0.8 is summarized in Supplementary Tables 1 and 2. Some events appear several times in tables, suggesting that they are repeating, or at least partially repeating earthquakes, in a part of the fault that is often ruptured. The Supplementary Information compares the waveforms of the 80 pairs for which CCmax > 0.9. Although the beginnings of high-frequency acceleration seismograms are very similar, we can find some differences between two seismograms in velocity seismograms after a time of around half the duration of the small event has passed. For comparison, Extended Data Fig. 1 shows an example of waveforms with CCmax ≈ 0.6 for pairs for which the hypocenters were located within 200 m of each other by slip inversion7,8.

Fig. 3: CCmax histograms for different groups of events.
figure3
a, Subduction-type events. The dotted lines indicate the CCmax = 0.8 and CCmax = 0.9 thresholds discussed in the text. b, Other-type events. c, Repeater events. d, Distribution of inter-event times for three different periods: the entire time period (top), 1 week (middle), and 1 day (bottom).

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The location of these events shows that high CCmax values occurred along the coastline at depths greater than 40 km (Fig. 1). This may simply be due to the less attenuated waveforms at these stations from nearby deep events. By contrast, pair number 5 and pair number 70 in the Supplementary Information are examples of far-offshore events with attenuated waveforms, in which low-frequency signals are dominant but contaminated with large noise. Most far-offshore events have poor signal-to-noise ratio and small values of CCmax. Although the observation conditions are not much different between the subduction-type and other-type events, CCmax is generally small for the other-type events, even beneath mainland Japan. This is probably because the hypocentre locations are more distributed or focal mechanisms are more diverse for other-type events.

The inter-event times show another difference between subduction-type and other-type earthquakes. Figure 3d shows the inter-event times between the large and small events, for pairs with CCmax > 0.8. Only two M = 5.1 normal fault earthquakes have CCmax > 0.9 in the other-types group. One event (20130310051130) correlates well with a foreshock that preceded it by 3 min, and the other event (20110414073549) is quite similar to an aftershock that occurred about 6 months later. These small earthquakes were probably affected by the stress change related to these large earthquakes. The inter-event times in the group of other-type earthquakes are concentrated, 14 of 41 pairs and 12 of 30 events, within 1 week of the large earthquake for pairs with CCmax > 0.8. Furthermore, 7 of 14 small events within this 1-week range occurred as immediate foreshocks within 1 day of the large event. The mechanism of these foreshocks may be similar to that described in previous reports of immediate foreshocks near the mainshock hypocentre22,23. However, the inter-event times of subduction-type earthquakes are widely distributed and can be longer than ten years. The source of this difference is currently unknown, but the difference in loading conditions and fault maturity may play a part. The wide distribution of subduction-type earthquakes suggests that there is no direct relationship between the paired earthquakes, and each occurred owing to the long-term stress accumulation via plate subduction, which is similar to the mechanism suggested for repeaters. Therefore, we can assume that some long-term characteristic structure is present that is capable of repeatedly hosting both large and small earthquakes.

What kind of models explain the observations? An earthquake fault system is generally complex, such that one part of the system may slip more easily than another as a result of its geometry (Fig. 4). The complexity of a fault system can be observed at various scales and is often approximated as a fractal24,25,26,27. This allows the complex fault system to be simplified using a set of circular or elliptical patches with a fractal size distribution9,10,11. Such a hierarchical structure of patches has previously been proposed in the study region8,12. Given that the fracture energy of a patch is linearly dependent on the patch radius, the rupture of a small patch may trigger larger patches, with this cascading rupture potentially culminating in a very large earthquake. The cascade process is controlled by the spatial distribution of hierarchical patches and stress conditions, with the final size of the earthquake determined after the process is halted at some scale. The process of such a cascading rupture has previously been simulated using the rate-and-state friction law and two different-sized patches11, with the repeating occurrence of large and small earthquakes modelled for a wide variety of cascading rupture scenarios. The percentage of events with high CCmax, about 20% of all of the large earthquakes, is large, but may not be sufficient to assume that this mechanism operates for all seismogenic regions. Further investigation over much longer periods than the 15 years of data studied here is necessary to confirm the validity of this idea and to identify the distribution of patch structures.

Fig. 4: Schematic illustration of a hierarchical structure that produces almost identical initial waveforms, regardless of the size of the earthquake.
figure4
a, Generalized fault system with a complex and nested geometrical heterogeneity. Parts of the fault can be simplified at various scales. b, Simplified image of a complex fault system with three nested patches. c, Illustration of the cascading rupture of a hierarchical patch. d, Typical seismic waveforms from small, medium and large earthquakes occurring on the hierarchical structure.

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Initial onset may be related to the nucleation process, which is believed to be initiated before the dynamic rupture process in rocky materials28,29. The immediate foreshocks, which may occur during the nucleation process30,31, in the present study are observed primarily for the group of other-type earthquakes, implying some slow deformation process and related stress changes that are seismically undetectable. The rupture of a small patch did not cascade to a larger scale, with this nucleation process potentially triggering the rupture of the larger patch. The observations in this study cannot rule out such a possibility, because the comparison is limited by observation conditions, such as instrument response, structural attenuation and ambient noise. Nevertheless, similar initial seismic waves often found between different-sized earthquakes suggest that size-dependent nucleation processes are unlikely.

Instead, two similar processes may occur, with a slight difference in rupture conditions stopping one process and initiating the cascade-up of the other, and the final earthquake size unknown until the cascading rupture of the hierarchical structure is terminated (Fig. 4). If such processes repeat many times, we observe partially repeating earthquakes, which may also be called hierarchical repeaters. Factors controlling cascading rupture may include fluid diffusion, shear heating, microcracking and plastic deformation, for example, which cannot be measured via geophysical observations and cannot be predicted deterministically26,32. The probability of cascading should therefore be estimated theoretically or empirically and can then be employed to assess the predictability of future earthquakes with a more quantitative size estimation.

Methods
Earthquake classification
Subduction-type earthquakes are distinguished from other types using the similarity of the moment tensor M of each earthquake to that of a typical subduction earthquake Msub, as calculated from the double-couple solution of the 2011 Tohoku-Oki earthquake determined by NIED (strike 200°, dip 27°, rake 88°). The events with trace(M~M~sub)≥0.75 were grouped as subduction-type earthquakes, where M~ is a normalized moment tensor, which is a moment tensor divided by the seismic moment of the corresponding best double-couple solution.

Data handling
The analysed seismograms were downloaded from the NIED Hi-net server as ‘event data’, which is a set of seismograms for which manual phase picking was performed by JMA. Seismograms from 401 stations were used for the analysis. Each station is operated by NIED, JMA, Hokkaido University, Tohoku University, the University of Tokyo, Hirosaki University, Aomori Prefecture, Tokyo Metropolis, the Geospatial Information Authority of Japan, or the Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology. The data are primarily ground velocity seismograms recorded by short-period (1-Hz) sensors at 100 samples per second. The highest frequency available is around 40 Hz, but this is practically limited by seismic attenuation depending on the source location. Only the vertical component around the P-wave is used because it is clearly observed, with the arrival time determined by JMA used as the reference time. Each original velocity record is differentiated to its corresponding acceleration record to emphasize the onset of each earthquake. The pre-signal noise, which is defined as the 1-s signal starting 1.1 s before the reference time, is compared with the 1-s signal starting 0.1 s before the reference time at each station for quality control. Data points were excluded from the analysis if the root-mean-square amplitude of the noise exceeds 10% of the root-mean-square signal. Furthermore, if the root-mean-square noise of one event in a pair is different from that of the other event by more than one order of magnitude, the station is excluded because of potential instrument issues.

Correlation measurement
For two discrete time series with zero mean, ui and vi (for i = 1, …, N), the cross-correlation coefficient CC is usually defined as:

CC(u,v)=年i=1uivi年i=1uiui年i=1vivi−−−−−−−−−−−−−−−√
As I am comparing the similarity between the time series, including both the signal amplitude and shape of the time series, the normalizing factor in the denominator is changed to the root mean square of the larger signal, such that:

CCscaled(u,v)=年i=1uivimax(年i=1uiui,年i=1vivi)
where CCscaled is the scaled cross-correlation coefficient. This value is small for similar waveforms with different amplitude, which are often observed when structural attenuation is so large that the complexities in source process are smeared out.

For a pair of events, the maximum of the averaged scaled cross-correlation coefficients at Nsta stations is defined as:

CCmax=1Nsta破=1Nstamax(CCscaled(uj(tju+δtj),vj(tjv+δtj+δtc)))
where tju is the reference time for the large events, which is the P-arrival time determined by JMA. tjv=tju+Δtij is the reference time for the small events, where Δtij is the difference of the origin times between two events. δtc is the common time adjustment between two events shared by all stations. This is almost zero, but can be non-zero even for two co-located events because the catalogue information is not always correct. δtj determines the time window to be used at the jth station. This parameter enables me to capture a section of waveforms that maximize the similarity, which depends on the observation conditions such as attenuation and noise level. Here I use Nsta = 10. The grid search is carried out to maximize CCmax in the ranges −0.2s≤δtj≤0.1s and −0.1s≤δtc≤0.1s, for each sampling (0.01 s) interval. When many stations are available, the ten stations closest to the large event are selected. The number of samples is 20; that is, the initial 0.2 s of the P-wave signal is analysed (given that the reference time is the arrival time and δtj = δtc = 0); 0.2 s sufficiently covers most of the source duration of the small events.

Data availability
All waveform data are available from the NIED Hi-net server (http://www.hinet.bosai.go.jp).

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Acknowledgements
This work was supported by funding from the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT) of Japan, under its Earthquake and Volcano Hazards Observation and Research Program, JSPS KAKENHI 16H02219 and MEXT KAKENHI 16H06477. All data were obtained from the NIED Hi-net data server. Figures were prepared using the Generic Mapping Tools.

Author information
Affiliations
Department of Earth and Planetary Science, The University of Tokyo, Tokyo, Japan
Satoshi Ide
Corresponding author
Correspondence to Satoshi Ide.

Ethics declarations
Competing interests
The author declares no competing interests.

Additional information
Publisher’s note: Springer Nature remains neutral with regard to jurisdictional claims in published maps and institutional affiliations.

Extended data figures and tables
Extended Data Fig. 1 Comparison between the seismograms of large (black trace) and small (red trace) earthquakes for dissimilar onsets.
CCmax ≈ 0.6. ‘Bad example’ indicates that compared to many pairs having CCmax above 0.8, this value of 0.6 is small. The acceleration record, scaled by the noise level (left) and amplitude of the small event (middle left), and the velocity record, scaled by the onset of the small event (middle right) and large event (right), are shown for each station, with the appropriate scales shown in the bottom left-hand corner of each waveform set (micrometre per second per second for acceleration; micrometre per second for velocity). The grey box in each acceleration plot shows the time window used to calculate CCmax. The value of CCmax for each station is shown below the station name in each acceleration plot. The takeoff angle and azimuth (degrees) from the source to each station are shown below the station name in each velocity plot.

Supplementary information
Supplementary Figures Comparison between the seismograms of large (black) and small (red) earthquakes. The 80 figures show details of the 80 earthquake pairs for which CCmax > 0.9 are presented. The information relating to the occurrence time (YYYYMMDDhhmmss), hypocentre locations, and magnitude of each event are provided in the upper left-hand corner of each page, along with the corresponding CCmax value. The acceleration record, scaled by the noise level (left) and amplitude of the small event (middle left), and the velocity record, scaled by the onset of the small event (middle right) and large event (right), are shown for each station, with the appropriate scales shown in the bottom left-hand corner of each waveform set (micrometre per second2 for acceleration; micrometre per second for velocity). The grey box in each acceleration plot shows the time window used to calculate CCmax. The value of CCmax for each station is shown below the station name in each acceleration plot. The takeoff angle and azimuth (degrees) from the source to each station are shown below the station name in each velocity plot
Supplementary Table 1
Earthquake pairs of the subduction type with CCmax >0.8.

Supplementary Table 2
Earthquake pairs of other type with CCmax>0.8.

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About this article
https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v16/n12/%E5%B0%8F%E5%9C%B0%E9%9C%87%E3%82%82%E5%A4%A7%E5%9C%B0%E9%9C%87%E3%82%82%E5%A7%8B%E3%81%BE%E3%82%8A%E3%81%AF%E4%BC%BC%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B/101251



http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/785.html

[環境・自然・天文板6] Nature 北極地方の異常な夏に海氷の融解が駄目押し  北極地方は悲鳴 熱波に見舞われていたアンカレジの気温は観測史上初めて32℃を上回っていた 薬剤で生物学的時計が巻き戻った?
Nature ダイジェスト Vol. 16 No. 12 | doi : 10.1038/ndigest.2019.191211

北極地方の異常な夏に海氷の融解が駄目押し

原文:Nature (2019-09-13) |
doi: 10.1038/d41586-019-02653-x | Dramatic sea-ice melt caps tough Arctic summer

Alexandra Witze
激しい山火事からグリーンランドの氷床の融解まで、北極地方は悲鳴を上げている。
今年の夏、ロシアとアラスカの間に広がるチュクチ海(ベーリング海峡の北方にある北極海の一部)では、海氷はまばらにしか見られなかった。 | 拡大する
YURI SMITYUK/TASS VIA GETTY
2019年7月、ベーリング海での研究航海の途中でアンカレジ(米国アラスカ州)に上陸したChelsea Wegnerは衝撃を受けた。州内各地で発生中の山火事による煙が空を暗くし、ちょうど熱波に見舞われていたアンカレジの気温は観測史上初めて32℃を上回っていたのだ。
https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v16/n12/%E5%8C%97%E6%A5%B5%E5%9C%B0%E6%96%B9%E3%81%AE%E7%95%B0%E5%B8%B8%E3%81%AA%E5%A4%8F%E3%81%AB%E6%B5%B7%E6%B0%B7%E3%81%AE%E8%9E%8D%E8%A7%A3%E3%81%8C%E9%A7%84%E7%9B%AE%E6%8A%BC%E3%81%97/101250


Dramatic sea-ice melt caps tough Arctic summer
From raging wildfires to melting ice in Greenland, the top of the world is screaming for help.
Alexandra Witze



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Sea ice has been sparse this summer in the Chukchi Sea between Russia and Alaska.Credit: Yuri Smityuk/TASS via Getty Images
Chelsea Wegner was shocked when she landed in Anchorage, Alaska, in July, on her way to a research cruise in the Bering Sea. Smoke from wildfires across the state had darkened the skies, and Anchorage was in the midst of a heatwave that saw temperatures soar past 32 °C for the first time in recorded history.
Wegner, a marine biologist at the University of Maryland in Solomons, also knew that the unusual warmth had melted away nearly all of the sea ice in the Bering Sea. “It was a really surreal moment,” she says.
Later, while sailing aboard a Canadian icebreaker off the coast of Alaska, Wegner watched walruses swimming in open water — without the ice floes they normally use as a platform to rest, give birth and nurse their young during the Arctic summer.
Any day now, scientists will tally the final numbers on this summer’s annual sea-ice melt. The ice seems headed for one of the lowest extents measured since satellite record-keeping began in 1979.
Here, Nature explores the myriad challenges that the Arctic is facing as an unprecedented summer winds to a close in the far north.
Sea ice spiralled down
Arctic sea ice freezes each winter after a long summer melt. But surprising warmth during the Arctic winter and spring hampered its build-up — setting the stage for this summer’s dramatic ice loss.

Why Nature joined the Covering Climate Now initiative

The dynamic was especially apparent in the Bering Sea. “From about January to May the sea ice in the Bering Sea just didn’t happen,” says Alice Bradley, a polar scientist at Williams College in Williamstown, Massachusetts. “We haven’t seen that before.” A low-pressure weather system hovered over the sea for much of February, funnelling warm air from the south and pushing the little ice that did manage to form into northern waters.
Throughout the spring and summer, Arctic sea ice melted away faster than it usually does in areas such as the Beaufort Sea and the central Arctic Ocean. Ice extent and volume hit record monthly lows in July, and by early August there was no sea ice within 240 kilometres of the Alaskan coast.

Source: National Snow and Ice Data Center
Researchers are still waiting for Arctic sea ice to bottom out this year. The 2019 melt season doesn’t look likely to eclipse the record minimum of 3.387 million square kilometres measured on 17 September 2012, but it adds to evidence that sea ice is caught in a downward spiral.

‘Ecological grief’ grips scientists witnessing Great Barrier Reef’s decline

For each of the past five years, September sea-ice extent has tracked well below the 1981–2010 median. And Arctic sea-ice volume is also dwindling rapidly. The level recorded in July — 8,800 cubic kilometres — is 47% below the mean value for 1979–2018.
Now the annual freeze is almost ready to begin. But much of the ice that forms will be the thin, 'first-year' variety that is especially vulnerable to melting away next year.
Greenland melted
Extreme heat also baked Greenland’s enormous ice sheet this summer. Temperatures across the island soared up to 12 °C hotter than the average in late July.
At Summit Station, a research camp at the highest point on the ice sheet, temperatures darted above the freezing point on 30 and 31 July. Ice-core records suggest how rare this is: between the years 500 and 1994, the ice at Summit melted only eight times.
During the five-day heatwave, Greenland shed about 55 billion tonnes of ice — including an estimated 13 billion tonnes on 1 August alone. That's the most in a 24-hour period since records began in 1950.

Source: Xavier Fettweis/University of Liège
All told, about 60% of the surface of Greenland’s ice sheet melted at least a little bit this summer. That’s second only to the summer of 2012, when about 98% of the ice sheet underwent some sort of surface melting.

Meet the weather observers on climate change’s front lines

Between water melting off the ice sheet’s surface and breaking off into icebergs, Greenland likely contributed a little over 1.5 millimetres to global sea-level rise this year, according to polar scientist Xavier Fettweis at the University of Liège in Belgium. When researchers eventually compare the mass lost during this summer’s melt to the mass gained during winter snowfall, Greenland is likely to come out as having lost at least as much in 2019 — or even more — than in the extreme year of 2012.
Temperatures soared
July 2019 was the hottest month ever recorded worldwide, according to the European Union′s Copernicus Climate Change Service and the US National Oceanographic and Atmospheric Administration. Each of the last five Julys has ranked among the top five hottest months on record.
The Arctic portions of Alaska, western Canada and central Russia all experienced temperatures at least 2 °C warmer than average from January to July. Heat records fell in many southern Alaska cities during the first week of July. And seabirds died by the thousands in July and August, mainly from starvation, in warmer-than-average waters off the state’s coast; it is the fifth year in a row this has happened.

Much of Alaska was gripped by a heat wave from 4-8 July 2019. Temperatures in Anchorage soared past 32 °C for the first time in recorded history.Credit: NOAA Climate/RTMA
Alaska was still breaking temperature records in early September, with several towns in the state’s far north setting record highs for the month.
In Sweden, the village of Markusvinsa reported a temperature of 34.8 °C on 26 July — the hottest ever recorded in the country above the Arctic circle. And the heatwave that melted Greenland in late July wreaked havoc on western Europe before it got there, causing temperatures to climb past 40 °C in Belgium and the Netherlands for the first time in recorded history.
Fires flared
All that heat transformed northern forests into tinderboxes ready to light.
More than 1 million hectares burned in Alaska this summer, mostly in the southern and central parts of the state. The fire season began unusually early, in April, and has lasted longer than usual. State officials had to extend the end of the official fire season for a month, from the end of August to the end of September, to ensure they had enough firefighters to battle the ongoing blazes.
And more than 2.6 million hectares have burned in Siberia since July, blanketing cities across eastern Russia in smoke. High temperatures, winds and thunderstorms helped to spark and spread the blazes. Russia declared a state of emergency in late July for several Siberian regions.

Source: NASA
Many of the Alaskan and Siberian wildfires began dwindling in August, but they still rank among the longest-lived Arctic wildfires ever recorded. In June alone they emitted 50 million tonnes of carbon dioxide — roughly equal to the annual CO2 emissions of Sweden, and more than the total emitted by all Arctic wildfires in the last nine Junes, according to the Copernicus Atmospheric Monitoring Service of the European Commission.
Even Greenland, which rarely sees wildfires, experienced several during its record heatwave this summer.
Nature 573, 320-321 (2019)
doi: 10.1038/d41586-019-02653-x
This article is part of Covering Climate Now, a global collaboration of more than 250 media outlets to highlight the issue of climate change.
Latest on:
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Twofold expansion of the Indo-Pacific warm pool warps the MJO life cycle
ARTICLE 27 NOV 19

Trump’s pick to lead US oceans agency withdraws
NEWS 21 NOV 19

California’s methane super-emitters
ARTICLE 06 NOV 19


https://www.nature.com/articles/d41586-019-02653-x

薬剤で生物学的時計が巻き戻った?
Nature ダイジェスト Vol. 16 No. 12 | doi : 10.1038/ndigest.2019.191217
原文:Nature (2019-09-05) | doi: 10.1038/d41586-019-02638-w | First hint that body’s ‘biological age’ can be reversed
Alison Abbott
ヒトの生物学的年齢を刻むエピジェネティックな時計は、3種の薬剤の併用によって巻き戻せることが、小規模臨床試験で示された。
エピジェネティックな時計で見る個人の生物学的年齢は、実年齢より進んでいる場合もあれば、遅れている場合もある。 | 拡大する
PATRICK MCDERMOTT/GETTY
DNAのメチル化レベルなどのエピジェネティックな変化は、生物学的年齢の指標となることが知られている。このほど、米国での小規模な臨床研究で、薬剤投与により体のエピジェネティックな時計を巻き戻せる可能性が初めて示唆された。この結果は、2019年9月8日にAging Cellで報告された(G. M. Fahy et al. http://doi.org/c985; 2019)。
https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v16/n12/%E8%96%AC%E5%89%A4%E3%81%A7%E7%94%9F%E7%89%A9%E5%AD%A6%E7%9A%84%E6%99%82%E8%A8%88%E3%81%8C%E5%B7%BB%E3%81%8D%E6%88%BB%E3%81%A3%E3%81%9F%EF%BC%9F/101257

Reversal of epigenetic aging and immunosenescent trends in humans
Gregory M. Fahy

Robert T. Brooke

James P. Watson

Zinaida Good

Shreyas S. Vasanawala

Holden Maecker

Michael D. Leipold

David T. S. Lin
… See all authors
First published: 08 September 2019

https://doi.org/10.1111/acel.13028

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Abstract
Epigenetic “clocks” can now surpass chronological age in accuracy for estimating biological age. Here, we use four such age estimators to show that epigenetic aging can be reversed in humans. Using a protocol intended to regenerate the thymus, we observed protective immunological changes, improved risk indices for many age‐related diseases, and a mean epigenetic age approximately 1.5 years less than baseline after 1 year of treatment (−2.5‐year change compared to no treatment at the end of the study). The rate of epigenetic aging reversal relative to chronological age accelerated from −1.6 year/year from 0–9 month to −6.5 year/year from 9–12 month. The GrimAge predictor of human morbidity and mortality showed a 2‐year decrease in epigenetic vs. chronological age that persisted six months after discontinuing treatment. This is to our knowledge the first report of an increase, based on an epigenetic age estimator, in predicted human lifespan by means of a currently accessible aging intervention.
1 INTRODUCTION
Population aging is an increasingly important problem in developed countries, bringing with it a host of medical, social, economic, political, and psychological problems (Rae et al., 2010). Over the last several years, many biomedical approaches to ameliorating aging have been investigated in animal models, and some of these seem able to reverse general aspects of aging in adult mammals based on a variety of physiological measurements (Das et al., 2018; Ocampo et al., 2016; Zhang et al., 2017). However, to date, evidence that systemic aging can be reversed has not been substantiated by determinations of epigenetic age, which can now provide a simple but compelling indication of biological as opposed to chronological age (Horvath & Raj, 2018; Jylhava, Pedersen, & Hagg, 2017). In addition, there is a need to specifically address immunosenescence stemming from thymic involution (Bodey, Bodey, Siegel, & Kaiser, 1997). Thymic involution leads to the depletion of critical immune cell populations (Arnold, Wolf, Brunner, Herndler‐Brandstetter, & Grubeck‐Loebenstein, 2011), resulting in a collapse of the T‐cell receptor (TCR) repertoire in humans after the age of ~63 (Naylor et al., 2005), and is linked to age‐related increases in cancer incidence (Falci et al., 2013), infectious disease (Ventevogel & Sempowski, 2013), autoimmune conditions (Goronzy & Weyand, 2003), generalized inflammation (Goronzy & Weyand, 2003), atherosclerosis (Dai, Zhang, Wang, Wu, & Liang, 2018), and all‐cause mortality (Fernando‐Martinez et al., 2013; Roberts‐Thomson, Whittingham, Youngschaiyud, & Mackay, 1974; Strindhall et al., 2007). In contrast, maintained immune function is seen in centenarians (Strindhall et al., 2007). Although thymic function in aging also depends on the supply of T‐cell progenitors from the bone marrow, which declines in relation to the output of myeloid HSCs with age (Akunuru & Geiger, 2016), the net number of lymphoid precursors does not change with age (Montecino‐Rodriguez et al., 2019), and migration of T‐cell precursors from the bone marrow also appears to depend on thymic function (Haar, Taubenberger, Doane, & Kenyon, 1989).
For these reasons, we conducted what may be the first human clinical trial designed to reverse aspects of human aging, the TRIIM (Thymus Regeneration, Immunorestoration, and Insulin Mitigation) trial, in 2015–2017. The purpose of the TRIIM trial was to investigate the possibility of using recombinant human growth hormone (rhGH) to prevent or reverse signs of immunosenescence in a population of 51‐ to 65‐year‐old putatively healthy men, which represents the age range that just precedes the collapse of the TCR repertoire. rhGH was used based on prior evidence that growth hormone (GH) has thymotrophic and immune reconstituting effects in animals (Kelley et al., 1986) and human HIV patients (Napolitano et al., 2008; Plana et al., 2011). Because GH‐induced hyperinsulinemia (Marcus et al., 1990) is undesirable and might affect thymic regeneration and immunological reconstitution, we combined rhGH with both dehydroepiandrosterone (DHEA) and metformin in an attempt to limit the “diabetogenic” effect of GH (Fahy, 2003, 2010; Weiss, Villareal, Fontana, Han, & Holloszy, 2011). DHEA has many effects, in both men and women, that oppose deleterious effects of normal aging (Cappola et al., 2009; Forti et al., 2012; Shufelt et al., 2010; Weiss et al., 2011). Metformin is a powerful calorie restriction mimetic in aging mice (Dhahbi, Mote, Fahy, & Spindler, 2005) and has been proposed as a candidate for slowing aging in humans (Barzilai, Crandall, Kritchevsky, & Espeland, 2016). Neither DHEA (Riley, Fitzmaurice, & Regelson, 1990) nor metformin are known to have any thymotrophic effects of their own.
2 RESULTS
2.1 Treatment safety and side effects
A primary concern in this study was whether increased levels of a mitogen (IGF‐1) might exacerbate cancerous or precancerous foci in the prostate. Both of these changes should be detectable by measuring PSA or percent free PSA levels. However, PSA, percent free PSA, and the ratio of PSA to percent free PSA, an overall index of prostate cancer risk, improved significantly by day 15 of treatment and remained favorably altered to the end of 12 months (Figure 1a–c). A brief spike in PSA at 6 months in two volunteers was rapidly reversed and, after volunteer consultation, was interpreted as reflecting sexual activity close to the time of PSA testing. No change in testosterone levels was observed.

Figure 1
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Treatment safety indices. In this and other figures, error bars depict SEMs; baseline SEMs for normalized data were obtained as described in Experimental Procedures. Asterisks denote p < .05 (*), p < .01 (**), and p ≤ .001 (***). (a) Prostate‐specific antigen (PSA). (b) Fold change (FC) in percent free PSA. (c) Fold change in the ratio of PSA to percent free PSA (“risk factor”), which rises as prostate cancer risk rises. (d, e) Pro‐inflammatory indices (c‐reactive protein (CRP)) and IL‐6). (f) Serum alkaline phosphatase (AP), aspartate aminotransferase (AST), and alanine aminotransferase (ALT). The increase in AP, while statistically significant, was quantitatively negligible and remained well within the normal range. (g) Maintenance of insulin levels within the upper and lower limits of the normal range (indicated by the horizontal lines). (h) Lack of change in serum glucose, which remained within the normal range. (i) Improvement in estimated GFR at 9 and 12 months of treatment, with a trend toward continued improvement 6 months after discontinuation of treatment
Another significant concern was whether augmenting immune activity might exacerbate age‐related inflammation. However, CRP declined with treatment, the decline reaching statistical significance by 9–12 months (Figure 1d). The pro‐inflammatory cytokine, IL‐6, did not change (Figure 1e).
No remarkable changes were noted in serum albumin, lipids, hemoglobin, hematocrit, platelet count, electrolytes, and hepatic enzymes (Figure 1f). Insulin levels were in general adequately controlled by co‐administration of DHEA and metformin (Figure 1g) (although one outlier increased mean insulin at 12 months), and glucose levels did not change (Figure 1h). Finally, estimated glomerular filtration rates (eGFR), which are relevant to the potential for lactic acidosis with metformin as well as to treatment efficacy, showed a statistically significant improvement after 9–12 months (with a trend toward improvement at 18 months as well) (Figure 1i). Side effects were mild, typical of rhGH administration, and did not require dosing modification except in two cases. Side effects included arthralgias (2 cases), anxiety (1 case), carpal tunnel syndrome (1 case), fluid retention (1 case), mild gynecomastia (1 case), and muscle soreness (1 case). One trial volunteer was removed from the study after approximately one month due to self‐reported bradycardia, which preceded the trial, and belated admission of a strong familial history of cancer.
2.2 Thymic and bone marrow regenerative responses
Obvious qualitative improvements in thymic MRI density were observed and are illustrated in Figure 2. Quantitatively, the overall increase in the thymic fat‐free fraction (TFFF) was significant at the p = 8.57 × 10−17 level based on linear mixed‐model analysis, implying a restoration of thymic functional mass. The improvements were significant in 7 of 9 volunteers (Figure 3a–c). Two volunteers had abnormally low levels of thymic fat (high TFFF) at baseline, and their TFFFs did not significantly improve with treatment (peak relative changes of +9.6% (p > .3) and +12.4% (p > .2); Figure 3b). Their lack of response was not age‐dependent. Instead, improvement in TFFF was dependent upon baseline TFFF, regardless of baseline age (Figure 3c).

Figure 2
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Example of treatment‐induced change in thymic MRI appearance. Darkening corresponds to replacement of fat with nonadipose tissue. White lines denote the thymic boundary. Volunteer 2 at 0 (a) and 9 (b) months

Figure 3
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Quantitative MRI‐based regeneration outcomes. Like symbols denote the same individuals in each panel. (a) Individual absolute changes in TFFF. Statistically significant improvements are evident for each individual with the exception of two volunteers who showed high TFFF at baseline (stars); overall significance by linear mixed‐model analysis: p < 9 × 10–17 (see text). (b) Relative changes in TFFF for each individual. The age of each individual at trial entry (noted adjacent to each line) does not correlate with the magnitude of the depicted changes. The highest p values (p > .01) for significant individual responses are denoted with asterisks; for clarity, higher significance levels are not designated. (c) Sigmoidal dependence of TFFF change at 12 months on baseline TFFF, showing greater improvements for thymi with lower basal TFFFs (p < .007). (d) Individual changes in sternal bone marrow fat‐free fraction (BMFFF) (volunteer age noted adjacent to each line). (e) Mean overall changes in BMFFF. (f) Linear dependence of 12‐month BMFFF on basal BMFFF (p = .012), showing the largest relative changes in individuals with the lowest baseline BMFFFs. BMFFF data for one volunteer could not be evaluated
By comparison, sternal BMFFF increased to a much lesser degree, but with such consistency (Figure 3d) as to reach high statistical significance (Figure 3e; p < .001 for single‐point comparison, or p = 9.5 × 10−12 for formal linear mixed‐model analysis). Bone marrow, similar to thymus, showed a pattern of increased BMFFF with increased baseline fat content, but the details of the pattern were different (Figure 3f). This difference plus the more robust replacement of thymic vs. bone marrow fat is consistent both with a specific reversal of thymic involution rather than generalized regression of body fat owing to GH administration and with possible stimulation of bone marrow T‐cell progenitor production by GH (French et al., 2002; Hanley, Napolitano, & McCune, 2005).
2.3 Immune cell subset and cytokine changes
Analysis of CyTOF‐defined immune cell populations revealed the most robust changes to be decreases in total and CD38‐positive monocytes (Figure 4a, b) and resulting increases in the lymphocyte‐to‐monocyte ratio (LMR) (Figure 4c). Linear mixed‐model correlation analysis also showed a significant correlation after 9 and 12 months of treatment between TFFF and the reduction in CD38+ monocyte percentage (r2 = .59, p = .01) as well as a correlation between TFFF and the ratio of lymphocytes to CD38+ monocytes (r2 = .55, p = .018). Similar trends were seen for total monocytes vs. TFFF and for the overall LMR vs. TFFF (respectively, r2 = .40, p = .039, and r2 = .45, p = .019) when correlated across all treatment times (0, 9, and 12 months). The changes in mean monocyte populations persisted 6 months after discontinuation of treatment (p = .012 for normalized CD38+ monocytes and p = .022 for normalized total monocytes: Table S1), and the increase in LMR remained highly significant at 18 months as well.

Figure 4
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Immunological responses to treatment. (a) Decline (~35%) in monocyte (CD33+ cell) percentages with treatment. When normalized to baseline, the decline in monocytes remained significant even at 18 months (p = .022; Table S1). (b) Persistent decline (~40%) from baseline [(CD38+ monocytes)0] in CD38+ monocytes with treatment. (c) Persistent increase in the lymphocyte‐to‐monocyte cell ratio. Black points: lymphocyte‐to‐monocyte ratio; yellow points: lymphocyte‐to‐CD38+ monocyte ratio. (d) Decrease in normalized PD‐1‐positive CD8 cell percentage with treatment. (e) Increase in normalized naïve CD4 cells (nCD4) vs. baseline [(nCD4)0] with treatment. (f) Increase in normalized naïve CD8 cells with treatment. Black points: all volunteers (p = .03 at 9 months). Yellow points: all volunteers minus the most extreme outlier of Figure 3a–c (represented by blue stars in those figures): p = .04 at 9 months and p < .03 at 12 months
PD‐1‐positive CD8 T cells declined significantly with treatment (Figure 4d). By gating on naïve T cells, we were able to detect significant increases in both naïve CD4 and naïve CD8 T cells (Figure 4e–f) and a significant (p = .017) increase in the percentage of CD31+CD45RA+CD4+ cells (CD4 recent thymic emigrants, or RTEs) over the course of treatment (linear correlation, Figure S1). We did not detect consistent changes in senescent T cells measured either as CD57+ cells or as CD28‐ cells. However, we did detect a significant increase in serum FGF‐21 levels (Figure S2).
2.4 Epigenetic age regression
Although, on average, trial volunteer epigenetic ages (EAs) were lower than their chronological ages (As) at baseline [(EA‐A)0 < 0, Table 1], epigenetic age was nevertheless significantly decreased by treatment based on the results of all four epigenetic clocks (Figure 5a–d), with a mean change in EA‐A after 12 months of about 2.5 years (Figure 5e). The effect of treatment on epigenetic age regression at 12 months was not dependent on age at onset of treatment or on (EA‐A)0 (Table 1). Linear mixed‐model analysis (LMMA) showed significance levels for individual clocks ranging from p = .0009–.012 over months 0–12 to p = .0016–.028 for months 0–18 (Figure 5 legend). Horvath clock LMMA results were unchanged (p = .018) after adjusting for changes in blood cell composition (lymphocyte count, percent of senescent CD8 T cells among CD8 T cells, and the LMR). Although there was a general tendency for EA‐A to trend back toward (EA‐A)0 6 months after discontinuation of treatment, this trend was incomplete, leaving on average an improvement of more than 1.5 years at trial month 18 (Figure 5e, p < .001). In addition, the GrimAge clock, which is specifically able to predict human life expectancy (Lu et al., 2019), showed no regression of (EA‐A)‐(EA‐A)0 after treatment, with a gain of approximately 2.1 years at 12 months still remaining at trial month 18 (Figure 5d; Table 1). Furthermore, comparing the rates of aging regression between 0–9 and 9–12 months showed that, for every age estimator, the rate of aging regression appeared to accelerate substantially with increasing treatment time (Figure 5a–d and Table 1), with a mean slope over all four clocks of −1.56 ± 0.46 years/year in the first 9 months to −6.48 ± 0.34 years/year in the last 3 months of treatment (p < .005, Figure 5f).
Table 1. Epigenetic aging characteristics of the study population
Epigenetic clock DNAm (Horvath) DNAm P (Levine) DNAm H (Hannum) DNAm G (Lu)
(EA‐A)0 −3.95 ± 1.19 −17.5 ± 0.98 −12.6 ± 0.91 −2.80 ± 1.45
(EA‐A)9–(EA‐A)0 −1.071 ± 0.65 −2.16 ± 1.28 −0.91 ± 0.69 −0.54 ± 0.52
(EA‐A)12–(EA‐A)0 −2.50 ± 0.40 −3.73 ± 1.26 −2.76 ± 1.13 −2.16 ± 0.50
(EA‐A)18–(EA‐A)0 −0.94 ± 1.04 −2.12 ± 1.66 −2.28 ± 1.14 −2.12 ± 0.40
[(EA‐A)9–(EA‐A)0] per year −1.43 ± 0.86 −2.87 ± 1.71 −1.21 ± 0.92 −0.72 ± 0.70
[(EA‐A)12–(EA‐A)9] per year −5.74 ± 2.53 −6.31 ± 4.59 −7.38 ± 4.66 −6.48 ± 1.31
Correlation between [(EA‐A)12–(EA‐A)0] and A0 r2 = .02 r2 = .03 r2 = .153 r2 = .04
p = .71 p = .68 p = .298 p = .61
Correlation between [(EA‐A)12–(EA‐A)0] and (EA‐A)0 r2 = .02 r2 = .23 r2 = .35 r2 = .09
p = .72 p = .196 p = .096 p = .43
Note
• EA = epigenetic age; A = chronological age; 0 = at zero months (trial onset); 9, 12, 18 = at 9, 12, and 18 months after the trial onset; A0 = age at trial onset; all results given in years or in years per year.

Figure 5
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Treatment‐induced changes in epigenetic age. EA, epigenetic age; A, chronological age; changes depicted relative to EA‐A before treatment [(EA‐A)0]. (a) Decline in Horvath epigenetic age by 12 months of treatment. Overall, linear mixed‐model analyses (LMMAs) indicated a P value of .0009 over months 0–12 and .018 over months 0–18. (b) Decline in PhenoAge by 12 months of treatment. LMMA overall P values are .0064 for months 0–12 and .028 for months 0–18. (c) Decline in Hannum epigenetic age by 12 months, and continuing epigenetic age regression to 18 months. LMMA p = .012 for months 0–12 and p = .0092 for months 0–18. (d) Persistent decline in GrimAge age at 12–18 months. LMMA showed p = .0049 for months 0–12 and p = .0016 for months 0–18. (e) Mean of all four epigenetic aging clock results, indicating significant overall epigenetic aging regression at trial months 9–18. By LMMA, p = .0003 for 0–12 mo and .0016 for 0–18 mo. (f) Significant (p < .005) change in the rate of change of [(EA‐A)–(EA‐A)0] between 0–9 months of treatment (plotted at 9 months) and 9–12 months of treatment (plotted at 12 months)
3 DISCUSSION
The TRIIM trial was designed to investigate the possibility of thymus regeneration and reversion of immunosenescent trends in healthy aging men while minimizing side effects and any possible risks. Our results support the feasibility of this goal but unexpectedly also bring to light robust evidence that regression of multiple aspects and biomarkers of aging is possible in man. These two observations may be related.
Thymus regeneration and reactivation by growth hormone administration have been established in aging rats and dogs by restoration of youthful thymic histology (Goff, Roth, Arp, & al., e., 1987; Kelley et al., 1986) and by reversal of age‐related immune deficits (Kelley et al., 1986). In humans, the existence of surviving thymic tissue after the age of about 54, which is required for successful thymus regeneration in older individuals, has been questioned (Simanovsky, Hiller, Loubashevsky, & Rozovsky, 2012). Available reports indicating increased thymic CT density and immunological improvements induced by rhGH in HIV patients (Napolitano et al., 2008; Plana et al., 2011), whose thymi are physiologically unusual (McCune et al., 1998), are silent on whether regeneration was observed in individuals over the age of 50. The present study now establishes highly significant evidence of thymic regeneration in normal aging men accompanied by improvements in a variety of disease risk factors and age‐related immunological parameters as well as significant correlations between TFFF and favorable changes in monocyte percentages and the LMR, independent of age up to the age of 65 at the onset of treatment. These observations are consistent with the known ability of growth hormone to stimulate hematopoiesis and thymic epithelial cell proliferation (Savino, 2007). Our finding of an increase in FGF‐21 levels after 12 months of treatment suggests that thymic regeneration by the present treatment may be mediated in part by this cytokine (Youm, Horvath, Mangelsdorf, Kliewer, & Dixit, 2016), which we believe is a novel finding.
We have not found previous studies associating rhGH administration with an increased LMR or reduced monocyte levels, whereas DHEA administration may actually increase monocyte levels (Khorram, Vu, & Yen, 1997). The mechanisms involved are not clear, but the unexpected effect of our treatment on the LMR may be of considerable significance, for two reasons.
First, higher LMRs are associated with better prognoses for a variety of leading sources of human mortality, including at least 8 types of cancer (e.g., prostate cancer; Caglayan et al., 2019), atherosclerosis (Gong et al., 2018), cardiovascular disease (Ji et al., 2017), and stroke (Ren, Liu, Wang, & Gao, 2017)], and are also associated with less generalized inflammation (Gong et al., 2018). Protection from cardiovascular disease has been associated with an LMR above 5 (Gong et al., 2018). In our study, mean volunteer LMRs were below 5 at baseline but were well above 5 at the end of treatment and 6 months after the end of treatment.
Second, the great majority of monocytes are CD38‐positive. CD38 is an NADase ectoenzyme and a degrader of the NAD+ precursor, nicotinamide mononucleotide, and increased CD38 expression with age appears to be the primary cause of age‐related tissue NAD+ depletion in mice and most likely in man as well (Camacho‐Pereira et al., 2016). Induction of CD38 with aging has been proposed to be driven by age‐related inflammation, and to originate in inflammatory cells residing in tissues (Camacho‐Pereira et al., 2016), which in principle might include monocytes. Although many other immune cells express CD38, we did not detect any other CD38+ immune cell population that declined in response to thymus regeneration treatment, suggesting that monocytes may be of particular significance. Our observation of a decline in CRP in combination with reduced monocyte levels therefore suggests the possibility of an increase in tissue NAD+ levels. The mechanism by which CRP was reduced is not clear, but reactivation of negative selection in the thymus could in theory reduce autoimmune‐related inflammation; clearance of pro‐inflammatory viruses or senescent somatic cells could also be involved. Given the relationship between age‐related tissue NAD+ depletion and the onset of aging phenotypes (Das et al., 2018; Poljsak & Milisav, 2016), an increased tissue NAD+ content could be connected to our observations of reversed epigenetic aging, to the general association of higher LMRs with better health, and to previous observations linking thymus transplantation to regression of various nonimmunological aging processes (Fabris, Mocchegiani, Muzzioli, & Provinciali, 1988). Consistent with this possibility, we observed that strong declines in total and CD38+ monocytes, increases in LMR, and reduced GrimAge all persisted for 6 months following discontinuation of treatment.
Treatment‐induced declines in PD‐1+ CD8 T cells are consistent with the possibility that thymus regeneration treatment epigenetically reprograms “exhausted” CD8 T cells (TEX), a recently characterized distinct PD‐1+ CD8 population (Khan et al., 2019). These cells are of great interest in part because PD‐1 is an immune checkpoint molecule that inhibits T‐cell proliferative responses (Henson, Macaulay, Franzese, & Akbar, 2012) and is involved in cancer evasion of immune control, leading to intensive efforts to develop pharmacological immune checkpoint inhibitors that target PD‐1 (Khan et al., 2019). Blocking PD‐1 signaling improves proliferation of “senescent” human CD‐8 cells (Henson, Macaulay, Riddell, Nunn, & Akbar, 2015). Mice, too, develop a subpopulation of exhausted CD8 cells with aging that are PD‐1+ and Tim‐3+ (Lee et al., 2016). Therefore, reduction of PD‐1+ CD8 T cells with thymus regeneration treatment likely represents a significant improvement in immune status.
Treatment‐induced increases in naïve CD4 and naïve CD8 T cells were relatively small compared to changes reported in rhGH‐treated HIV patients, but our volunteer population was pre‐immunosenescent and not depleted of naïve CD4 and naïve CD8 T cells at baseline. Positive responses also occurred despite potential complications caused by lymph node aging (Thompson et al., 2019). Therefore, the small increases observed in these cells and in CD4 T‐cell RTEs are consistent with the ultimate goal of preventing or reversing the normal age‐related collapse of the TCR repertoire at ages just above those of our study population (Naylor et al., 2005).
There may be both immunological and non‐immunological mechanisms of epigenetic aging reversal. GH, DHEA, and metformin have unique effects that are in opposition to aging, and it is possible that the specific combination of these agents activates a broad enough range of therapeutic pathways to account for the previously unpredictable reversal of epigenetic aging, even independently of the immunological markers we have measured.
In this regard, it must be pointed out that GH and IGF‐1 can also have pro‐aging effects and that most gerontologists therefore favor reducing rather than increasing the levels of these factors (Longo et al., 2015). However, most past studies of aging and GH/IGF‐1 are confounded by the use of mutations that affect the developmental programming of aging, which is not necessarily relevant to nonmutant adults. For example, such mutations in mice alter the normal innervation of the hypothalamus during brain development and prevent the hypothalamic inflammation in the adult (Sadagurski et al., 2015). Hypothalamic inflammation may program adult body‐wide aging in nonmutants (Zhang et al., 2017), but it seems unlikely that lowering IGF‐1 in normal non‐mutant adults can provide the same protection. A second problem with past studies is a general failure to uncouple GH/IGF‐1 signaling from lifelong changes in insulin signaling. Human longevity seems more consistently linked to insulin sensitivity than to IGF‐1 levels, and the effects of IGF‐1 on human longevity are confounded by its inverse proportionality to insulin sensitivity (Vitale, Pellegrino, Vollery, & Hofland, 2019). We therefore believe our approach of increasing GH/IGF‐1 for a limited time in the more natural context of elevated DHEA while maximizing insulin sensitivity is justified, particularly in view of the positive role of GH and IGF‐1 in immune maintenance, the role of immune maintenance in the retardation of aging (Fabris et al., 1988), and our present results.
Whatever the mechanism of epigenetic age reversal may be, the four selected epigenetic clocks, despite measuring somewhat different features of aging and correlating differently with blood composition and leukocyte telomere length, all showed significant regression of epigenetic age. There was also a marked acceleration of epigenetic aging reversal after 9 months of treatment. The implications of the latter observation remain to be explored. Further, although epigenetic aging reversal appeared to partially regress following discontinuation of treatment according to some epigenetic clocks, this was not true for the GrimAge clock, which best predicts human life expectancy and health span (Lu et al., 2019). It remains to be seen whether follow‐up measurements of epigenetic aging using the GrimAge clock will show a persistent 2‐year gain in predicted life expectancy or a gradual loss of increased life expectancy compared to baseline. In the latter event, it will be interesting to determine whether repetition or prolongation of the trial treatment might restore or further augment the predicted lifespan gain.
Although epigenetic age does not measure all features of aging and is not synonymous with aging itself, it is the most accurate measure of biological age and age‐related disease risk available today. This justifies the use of epigenetic clocks to estimate the effectiveness of putative aging interventions on a practical timescale. The present study strongly supports this approach, having demonstrated regression of epigenetic age with high statistical significance even in a one‐year pilot trial involving only 9 volunteers. However, it will be necessary to verify the present results by replicating them in an appropriately powered follow‐up study. Although much more remains to be done, the general prospects for meaningful amelioration of human aging appear to be remarkably promising.
4 EXPERIMENTAL PROCEDURES
4.1 Volunteer recruitment and screening
Ten nominally healthy adult men from 51–65 years of age were recruited for the study by word of mouth following public announcements of the objectives of the trial. There were two cohorts, the first consisting of seven men and the second comprising three men. Cohort 1 was treated from October of 2015 to October of 2016, and cohort 2 was treated from April 2016 to April 2017. Volunteers first completed an online screening questionnaire, and qualifying candidates then provided a blood sample for objective confirmation of health eligibility. Candidates passing the second screen attended a meeting to enable physical evaluation, verification of ability to self‐inject rhGH, baseline magnetic resonance (MR) imaging of the thymus, two additional blood collections (see Appendix S2), informed consent, and instruction on how to fill out provided medication diaries intended to remind volunteers of dosing schedules and to report any adverse effects or any irregularities in dosing.
4.2 Trial conduct
The TRIIM trial was carried out after approval of the study protocol by the Aspire Institutional Review Board (Santee, California) and under the auspices of IND 125,851 from the Food and Drug Administration. Volunteers received MRI examinations at the Lucas Center for Imaging, blood collections at the Stanford Blood Center, and CyTOF analysis by the Human Immune Monitoring Center (HIMC) under the approval of the Stanford University Research Compliance Office. The trial was conducted consistently with the Declaration of Helsinki, Protection of Human Volunteers (21 CFR 50), Institutional Review Boards (21 CFR 56), and Obligations of Clinical Investigators (21 CFR 312). It was, in accordance with FDA guidelines for pre‐Phase I exploratory studies (https://prsinfo.clinicaltrials.gov/ACT_Checklist.pdf), not preregistered on clinicaltrials.gov.
During the first week of the trial, rhGH alone (0.015 mg/kg) was administered to obtain an initial insulin response, and during the second week, rhGH was combined with 50 mg DHEA to evaluate insulin suppression by DHEA alone. During the third week, the same doses of rhGH and DHEA were combined with 500 mg metformin. Beginning at the fourth week, all doses were individualized based on each volunteer's particular responses. Thereafter, blood was collected one week prior to trial months 2, 3, 4, 6, and 9 to enable further dose adjustments at those time points (to maximize IGF‐1 and minimize insulin), and additional blood samples were obtained at 12 months to conclude the treatment monitoring period. Dosing compliance was verified by the response of IGF‐1, DHEAS, and insulin to administration of rhGH, DHEA, and metformin, respectively; by frequent communication with trial volunteers; and by retrospective review of returned medication diaries. Additional follow‐up blood testing was done at 18 months for cohort 1; cohort 2 was not available. In selected cases, as deemed useful, supplemental blood sampling was carried out at other times.
Serum and peripheral blood mononuclear cells (PBMCs) were cryopreserved at the SBC, in the latter case using 10% dimethyl sulfoxide and fetal bovine serum (FBS), and stored there and then at the HIMC until the end of the trial to enable simultaneous CyTOF analysis and further distribution of some samples to other centers. Complete blood counts were performed by Quest Diagnostics to enable correction for cell losses caused by freezing and thawing or other factors, but in general, the need for correction was avoided by reporting cell subsets as percentages of their reference populations (e.g., naïve CD4 cells as a percent of total CD4 cells) and by gating to intact viable singlets. Other blood assays are described in Appendix S2.
rhGH (Omnitrope, Sandoz) was provided to trial volunteers and was self‐administered 3–4 times per week, depending on side effects, at bedtime along with other study medications. All volunteers were also provided with and asked to take supplements of 3,000 IU vitamin D3 and 50 mg of elemental zinc daily.
4.3 MR imaging and analysis
All imaging scans were performed on the same 3T GE Premier MRI scanner at the Lucas Center for Imaging at Stanford University. Standardized methods for quantitatively determining thymic fat content have not been previously described, so we employed a computational methodology that has previously been applied to the analysis of bone marrow fat content (Hu, Nayak, & Goran, 2011). These methods for quantifying fat have been shown to be more accurate than standard histopathological assessment by biopsy (Fischer et al., 2012) and provide the thymic fat fraction (TFF) as a number from 0% to 100%. TFF was determined in three replicate central thymic regions at each tested time point and was used to compute the thymic fat‐free fraction (TFFF) as 100% ‐ TFF. The same methods were also applied to determine the sternal bone marrow fat‐free fraction (BMFFF). For more details, see Appendix S2.
4.4 Immunophenotyping
Cryopreserved PBMCs were thawed in warm media, washed twice, and resuspended in CyFACS buffer (PBS supplemented with 2% BSA, 2 mM EDTA, and 0.1% sodium azide). Viability was determined by trypan blue dye exclusion (Vi‐CELL XR assay, Beckman Coulter Life Sciences). Cells were added to a V‐bottom microtiter plate (1.5 × 106 viable cells/well) and washed once by pelleting and resuspension in fresh CyFACS buffer. The cells were stained for 60 min on ice with 50 μl of a cocktail of heavy metal isotope‐labeled antibodies directed against 35 cell surface markers (for details, and for details on cell washing, staining, permeabilization, and gating, see Appendix S2).
4.5 Determination of epigenetic age
The state of genomic DNA methylation was determined in previously cryopreserved PBMCs at the Centre for Molecular Medicine and Therapeutics at the University of British Columbia. Genomic DNA was extracted with the DNeasy Blood & Tissue Kit (Qiagen, Hilden, Germany), and bisulfite conversion of extracted DNA was performed using a Zymo EZ DNA Methylation Kit (Zymo Research, Irvine, CA). DNA methylation (DNAm) analysis was performed using the Illumina Infinium MethylationEPIC BeadChip (Illumina, San Diego, CA), which measures single‐CpG resolution DNAm levels at 866,836 CpG sites in the human genome. Methylation at specific sites was calculated as β = Max(M,0)/[Max(M,0) + Max(U,0)], where Max(M,0) is the fluorescence intensity of methylated (M) alleles (signal A) and Max(U,0) is the fluorescence of un‐methylated (U) alleles (signal B). Thus, β values range from 0 (completely un‐methylated) to 1 (completely methylated) (Dunning, Barbosa‐Morais, Lynch, Tavare, & Ritchie, 2008).
The specific epigenetic “clocks” chosen for use in this study were those derived by Horvath (2013; DNAm age), Hannum et al. (2013; DNAm age H), Levine et al. (2018; DNAm PhenoAge), and Lu et al. (2019; DNAm age G or “GrimAge”). The specific rationales for these choices are based on Horvath and Levine (2015), Marioni et al. (2015), and Triche, Weisenberger, van den Berg, Laird, and Siegmund, (2013) and are described in Appendix S2.
We calculated the effects of intervention on epigenetic age by first fitting all time point data to a linear mixed‐effects model for longitudinal data (multiple blood draws from the same person, adjusted for the initial DNAm age) to follow global epigenetic aging trends. Second, to isolate more detailed individual‐ and time‐specific changes, we calculated the change in epigenetic versus chronological age for each volunteer as (EA‐A) – (EA‐A)0 as described in the text, where EA is the epigenetic age at chronological age A and (EA‐A)0 is the baseline difference between EA and A.
4.6 Statistical analysis
We used linear mixed‐effects regression to properly account for the longitudinal nature of the information (multiple draws from the same person). When correction for time was not necessary, we used ordinary linear or nonlinear regressions. For comparisons between pretreatment and specific post‐treatment endpoints, we employed the t test, the t test for paired comparisons, or alternatives selected by SigmaPlot when the assumptions underlying t tests were not justified. To enable normalized comparisons to month zero baselines, replicate results for each volunteer at time zero were averaged and each replicate result was divided by the mean to produce a population of departures from 100% that could then be used for comparison against later time points. Reported P values do not correct for multiple comparisons because independent hypothesis testing was not carried out in most cases, and in the case of both multiple tests for epigenetic age and significant differences in CyTOF results, all significant test results were highly correlated, making Bonferroni correction overly conservative.
ACKNOWLEDGMENTS
We are grateful for the multifaceted support of Garry Nolan and Sean Bendall. We much appreciate the helpful advice and support provided by Yael Rosenberg‐Hasson of the HIMC and the cheerful cooperation of many other individuals at the HIMC, the Lucas Center for Imaging, the SBC, and other institutions on the Stanford campus that enabled volunteer processing and on‐campus seminars. We also thank the reviewers of this paper, who helped us improve the manuscript in important ways. We are particularly thankful for the generous personal donations provided by many individuals and for a supplemental grant from the Life Extension Foundation, all of which enabled additional measurements. The study was supported by Intervene Immune, Inc.
CONFLICT OF INTEREST
GMF, RTB, JPW, and SH are shareholders in or have options to purchase shares in Intervene Immune, Inc., GMF and RTB are officers of Intervene Immune and are named in a related Intervene Immune patent application. All other authors declare no competing interests.
AUTHOR CONTRIBUTIONS
GMF designed and directed the study, compiled the data for all graphics, prepared the graphics, and wrote the manuscript. RTB managed the study; contributed to its design; obtained digital data for all CyTOF, TFFF, and BMFFF analyses; and contributed to the manuscript. JPW served as the study physician, providing medical oversight, support, advice, and volunteer evaluation, and assisted with trial events. ZG designed and arranged for the antibody panel for CyTOF analysis, directed the CyTOF analyses, and assisted with trial events. SSV designed the TFFF and BMFFF measurement techniques. HM and ML provided guidance concerning correct processing and interpretation of CyTOF data and reviewed and approved our CyTOF methodology. DTSL and MSK performed all epigenetic measurements and provided helpful insights for the manuscript. SH carried out all epigenetic clock calculations, performed all linear mixed‐model correlations, and contributed to the manuscript. All authors approved the manuscript.
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[IT12] オンラインヘイトの力学 撲滅に有効な可能性のある4つの戦略
オンラインヘイトの力学
Nature ダイジェスト Vol. 16 No. 12 | doi : 10.1038/ndigest.2019.191233
原文:Nature (2019-09-12) | doi: 10.1038/d41586-019-02447-1 | Strategies for combating online hate
Noemi Derzsy
ソーシャルメディアプラットフォームにおけるオンライン上のヘイトグループの力学の分析から、ヘイトスピーチを禁止する現行のアプローチではうまくいかない理由が明らかになり、オンラインヘイト撲滅に有効な可能性のある4つの戦略の基礎が示された。

metamorworks/iStock / Getty Images Plus/Getty

オンライン上のヘイトグループの生態系は、ソーシャルメディアプラットフォーム上にしぶとく存在し続ける。その仕組みはどのようなものなのか、そして、その存在を効果的に減少させるためにはどんな対策を取ることができるのか? これらの疑問に対し、ジョージ・ワシントン大学(米国ワシントンD.C.)のNeil Johnsonら1は、複数のソーシャルメディアプラットフォームに存在するオンラインヘイトコミュニティの挙動に関して、Nature 2019年9月12日号261ページに興味深い報告をしている。Johnsonらは、オンラインヘイトグループの構造と力学を解明し、その結果を踏まえて、オンラインソーシャルメディア上にはびこるヘイトコンテンツを減らすための4つのポリシーを提案している。
https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v16/n12/%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%98%E3%82%A4%E3%83%88%E3%81%AE%E5%8A%9B%E5%AD%A6/101254

• Letter
• Published: 21 August 2019
Hidden resilience and adaptive dynamics of the global online hate ecology
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• N. Johnson Restrepo,
• N. Velasquez,
• M. Zheng,
• P. Manrique,
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• S. Wuchty
Nature volume 573, pages261–265(2019)Cite this article
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Abstract
Online hate and extremist narratives have been linked to abhorrent real-world events, including a current surge in hate crimes1,2,3,4,5,6 and an alarming increase in youth suicides that result from social media vitriol7; inciting mass shootings such as the 2019 attack in Christchurch, stabbings and bombings8,9,10,11; recruitment of extremists12,13,14,15,16, including entrapment and sex-trafficking of girls as fighter brides17; threats against public figures, including the 2019 verbal attack against an anti-Brexit politician, and hybrid (racist–anti-women–anti-immigrant) hate threats against a US member of the British royal family18; and renewed anti-western hate in the 2019 post-ISIS landscape associated with support for Osama Bin Laden’s son and Al Qaeda. Social media platforms seem to be losing the battle against online hate19,20 and urgently need new insights. Here we show that the key to understanding the resilience of online hate lies in its global network-of-network dynamics. Interconnected hate clusters form global ‘hate highways’ that—assisted by collective online adaptations—cross social media platforms, sometimes using ‘back doors’ even after being banned, as well as jumping between countries, continents and languages. Our mathematical model predicts that policing within a single platform (such as Facebook) can make matters worse, and will eventually generate global ‘dark pools’ in which online hate will flourish. We observe the current hate network rapidly rewiring and self-repairing at the micro level when attacked, in a way that mimics the formation of covalent bonds in chemistry. This understanding enables us to propose a policy matrix that can help to defeat online hate, classified by the preferred (or legally allowed) granularity of the intervention and top-down versus bottom-up nature. We provide quantitative assessments for the effects of each intervention. This policy matrix also offers a tool for tackling a broader class of illicit online behaviours21,22 such as financial fraud.
オンラインの憎悪と過激派の物語は、憎悪犯罪の急増1,2,3,4,5,6やソーシャルメディアvitriol7による若者の自殺の驚くべき増加など、忌まわしい現実世界の出来事にリンクされています。クライストチャーチでの2019年の攻撃、刺し、爆撃などの大量射撃の扇動8,9,10,11;過激派の募集12、13、14、15、16、戦闘機の花嫁としての少女の閉じ込めと性的人身売買を含む17。反ブレグジット政治家に対する2019年の口頭攻撃を含む公人に対する脅威、およびハイブリッド(人種差別主義者、反女性、反移民)は、英国王室の米国メンバーに対する脅威を憎む18。そして、オサマビンラディンの息子とアルカイダの支援に関連する2019年のISIS後の状況で反西欧の憎悪を新たにした。ソーシャルメディアプラットフォームは、オンラインでの憎悪との戦いに負けているようであり19、20、新たな洞察が緊急に必要です。ここでは、オンラインヘイトの回復力を理解するための鍵は、グローバルネットワークダイナミクスにあることを示します。相互接続されたヘイトクラスターは、グローバルな「ヘイトハイウェイ」を形成します。これは、集合的なオンライン適応によって支援され、ソーシャルメディアプラットフォームを横断します。私たちの数学モデルは、単一のプラットフォーム(Facebookなど)内でのポリシングが事態を悪化させる可能性があり、最終的にはオンラインでの嫌悪がflour延するグローバルな「ダークプール」を生成すると予測しています。化学における共有結合の形成を模倣する方法で、攻撃時にマイクロレベルで急速に再配線および自己修復する現在のヘイトネットワークを観察します。この理解により、介入の好みの(または法的に許可された)粒度とトップダウン対ボトムアップの性質によって分類された、オンラインの憎悪を打破するのに役立つポリシーマトリックスを提案できます。各介入の効果の定量的評価を提供します。また、このポリシーマトリックスは、金融詐欺などの広範な不正行為21、22に対処するためのツールを提供します。
Main
Current strategies to defeat online hate tend towards two ends of the scale: a microscopic approach that seeks to identify ‘bad’ individual(s) in the sea of online users1,14,16, and a macroscopic approach that bans entire ideologies, which results in allegations of stifling free speech23. These two approaches are equivalent to attempts to try to understand how water boils by looking for a bad particle in a sea of billions (even though there is not one for phase transitions24), or the macroscopic viewpoint that the entire system is to blame (akin to thermodynamics24). Yet, the correct science behind extended physical phenomena24 lies at the mesoscale in the self-organized cluster dynamics of the developing correlations, with the same thought to be true for many social science settings25,26,27.
A better understanding of how the ecology of online hate evolves could create more effective intervention policies. Using entirely public data from different social media platforms, countries and languages, we find that online hate thrives globally through self-organized, mesoscale clusters that interconnect to form a resilient network-of-networks of hate highways across platforms, countries and languages (Fig. 1). Our mathematical theory shows why single-platform policing (for example, by Facebook) can be ineffective (Fig. 2) and may even make things worse. We find empirically that when attacked, the online hate ecology can quickly adapt and self-repair at the micro level, akin to the formation of covalent bonds in chemistry (Fig. 3). We leave a detailed study of the underlying social networks to future work because our focus here is on the general cross-platform behaviour. Knowledge of these features of online hate enables us to propose a set of interventions to thwart it (Fig. 4).
メイン
オンラインの憎悪に打ち勝つための現在の戦略は、スケールの両端に向かう傾向があります:オンラインユーザーの海で「悪い」個人を特定しようとする微視的なアプローチ1,14,16、およびイデオロギー全体を禁止する巨視的なアプローチ言論の自由を抑圧したという主張23。これらの2つのアプローチは、数十億の海で悪い粒子を探して水が沸騰する様子を理解しようとする試みと同等です(相転移24がない場合でも)、またはシステム全体が責任を負うという巨視的な視点(同様)熱力学に24)。しかし、拡張された物理現象の背後にある正しい科学24は、発展している相関関係の自己組織化クラスターダイナミクスの中規模にあり、多くの社会科学設定25、26、27にも同じ考えがあります。
オンラインヘイトの生態がどのように進化するかをよりよく理解することで、より効果的な介入ポリシーを作成できます。さまざまなソーシャルメディアプラットフォーム、国、言語からの完全に公開されたデータを使用すると、プラットフォーム、国、言語をまたがるヘイトハイウェイの回復力のあるネットワークネットワークを相互接続する自己組織化されたメソスケールクラスターを通じて、オンラインヘイトがグローバルに繁栄していることがわかります(図。1)。私たちの数学的理論は、単一プラットフォームのポリシング(たとえばFacebookによる)が効果的でなく(図2)、事態を悪化させる可能性さえあることを示しています。攻撃を受けた場合、オンラインのヘイトエコロジーは、化学における共有結合の形成と同様に、ミクロレベルで迅速に適応および自己修復できることが経験的にわかっています(図3)。ここでの焦点は一般的なクロスプラットフォームの動作にあるため、基礎となるソーシャルネットワークの詳細な研究は今後の作業に任せます。これらのオンライン嫌悪の特徴を知ることで、それを阻止するための一連の介入を提案することができます(図4)。

Fig. 1: Global ecology of online hate clusters.

a, Schematic of resilient hate ecology that we find flourishing online, mixing hate narratives, languages and cultures across platforms. A1, A2 and A3 denote three types of self-organized adaptation that we observe that quickly build new bridges between otherwise independent platforms (see main text). We focus on Facebook (FB) and VKontakte (VK) clusters, shown as large blue and red symbols, respectively; different shapes represent different hate narratives. Undirected (that is, no arrowhead) coloured link between two hate clusters indicates a strong two-way connection. Small black circles indicate users, who may be members of 1, 2, 3…hate clusters; directed (that is, with arrowhead) link indicates that the user is a member of that hate cluster. b, Placing hate clusters at the location of their activity (for example, ‘Stop White Genocide in South Africa’ (SA)) reveals a complex web of global hate highways built from these strong inter-cluster connections. Only the basic skeleton is shown. Bridges between Facebook and VKontakte (for example, A1, A2 and A3 in a) are shown in green. When the focus of a hate cluster is an entire country or continent, the geographical centre is chosen. Inset shows dense hate highway interlinkage across Europe. c, Microscale view of actual KKK hate-cluster ecosystem. The ForceAtlas2 algorithm used is such that the further two clusters are apart, the fewer users they have in common. Hate-cluster radii are determined by the number of members. d, Schematic showing synapse-like nature of individual hate clusters.
a、プラットフォーム全体で憎悪の物語、言語、文化が混ざり合った、回復力のある憎悪生態学の概略図。 A1、A2、およびA3は、それ以外の場合は独立したプラットフォーム間で新しいブリッジを迅速に構築することを確認している3種類の自己組織化適応を示しています(本文参照) Facebook(FB)とVKontakte(VK)クラスターに焦点を当てています。これらはそれぞれ大きな青色と赤色の記号で示されています。さまざまな形は、さまざまな憎悪の物語を表します。 2つのヘイトクラスター間の無向(つまり矢印なし)の色付きリンクは、強力な双方向接続を示します。小さな黒い丸は、1、2、3…憎悪クラスターのメンバーであるユーザーを示します。有向(つまり、矢印付き)リンクは、ユーザーがそのヘイトクラスターのメンバーであることを示します。 b、ヘイトクラスターを活動の場所に配置すると(たとえば、「南アフリカのホワイトジェノサイドを停止」(SA))、これらの強力なクラスター間接続から構築されたグローバルなヘイトハイウェイの複雑な網が明らかになります。基本的なスケルトンのみが表示されます。 FacebookとVKontakteの間のブリッジ(aのA1、A2、A3など)は緑色で表示されます。ヘイトクラスターの焦点が国または大陸全体にある場合、地理的中心が選択されます。挿入図は、ヨーロッパ全体で密集した憎悪高速道路の相互関係を示しています。 c、実際のKKKヘイトクラスターエコシステムのマイクロスケールビュー。使用されるForceAtlas2アルゴリズムでは、さらに2つのクラスターが離れているほど、共通するユーザーが少なくなります。ヘイトクラスター半径は、メンバーの数によって決まります。 d、個々の憎悪クラスターのシナプスのような性質を示す概略図。
Source Data
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Fig. 2: Mathematical model showing resilience of hate-cluster ecology.

a, Connected hate clusters from Fig. 1a, trying to establish links from a platform such as VKontakte (subset 1b) to a better-policed platform such as Facebook (platform 2), run the risk (cost R) of being noticed by moderators of Facebook and hence sanctions and legal action. Because more links creates more visibility and hence more risk, we assume that the cost of accessing platform 2 from platform 1 is proportional to the number of links, ρ. b, Mathematical prediction from this model (equation (1)) shows that the average shortest path ℓ¯ℓ¯ between hate clusters in VKontakte (subset 1b) has a minimum ℓ¯minℓ¯min as a function of the number of links ρ into platform 2 (Facebook). For any reasonably large number of inter-platform links ρ > ρmin, our theory predicts that the action of platform 2 (such as Facebook) to reduce the number of links ρ will lead to an unwanted decrease in the average shortest path ℓ¯ℓ¯ as ρ decreases towards ρmin. In addition, as the universe of social media expands in the future to many interconnected platforms, as shown schematically in a, our theory predicts that the combined effect of having independent moderators on each platform will be to create spontaneous dark pools of hate (dark region in a).
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Fig. 3: Adaptive dynamics of online hate at the microscale.

a, The KKK ecosystem on VKontakte before and after the school shooting in Parkland, Florida, on 14 February 2018. During subsequent weeks, rapid microscale rewiring due to individual cluster-joining initiated ‘bonds’ between previously distinct KKK clusters. For clarity, only users (white circles) that change status in the next time step are shown, otherwise the image would be as dense as in b. Larger red nodes are clusters that are closed (that is, closed VKontakte groups), green nodes are open (that is, open VKontakte groups). Yellow links mean the user will leave cluster between day t and day t + 1, meaning that link will disappear. Blue links mean user joins cluster on day t. b, Full KKK ecology on VKontakte after the shooting in Parkland, showing a strong ‘bond’ between the largest KKK clusters. c, Remarkably similar bonding suddenly emerges in anti-western (jihadi) hate-cluster ecology around 18 March 2015, a few days after a coalition strike appears to have wounded ISIS leader Abu Bakr al-Baghdadi. This coincides with rumours immediately circulating among these hate clusters that top ISIS leaders were meeting to discuss who would replace him if he died, suggesting that his injuries were serious. However, none of this become public knowledge in the media—that is, the observed rewiring and self-repair that fuses two clusters into one (that is, two disappeared, shown yellow, and one appeared, shown as blue) is a self-organized, adaptive response of the online hate system. Although b mimics electronic covalent bonding, c is a more extreme version of bonding more akin to nuclear fusion. The ForceAtlas2 algorithm used to plot b and c is such that the further two clusters are apart, the less users they have in common.
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Fig. 4: Policy matrix from our findings.

Descriptions of policies 1–4 are supplied in the main text, and each policy intervention is shown in green. The best policy for a given setting can be chosen according to the required balance between legally allowed (preferred) granularity and the legally allowed (preferred) nature of intervention.
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Our analysis of online clusters does not require any information about individuals, just as information about a specific molecule of water is not required to describe the bubbles (that is, clusters of correlated molecules) that form in boiling water. Online clusters such as groups, communities and pages are a popular feature of platforms such as Facebook and VKontakte, which is based in central Europe, has hundreds of millions of users worldwide, and had a crucial role in previous extremist activity27. Such online clusters allow several individual users to self-organize around a common interest27 and they collectively self-police to remove trolls, bots and adverse opinions. Some people find it attractive to join a cluster that promotes hate because its social structure reduces the risk of being trolled or confronted by opponents. Even on platforms that do not have formal groups, quasi-groups can be formed (for example, Telegram). Although Twitter has allowed some notable insights26, we do not consider it here as its open-follower structure does not fully capture the tendency of humans to form into tight-knit social clusters (such as VKontakte groups) in which they can develop thoughts without encountering opposition. Our online cluster search methodology generalizes that previously described27 to multiple social media platforms and can be repeated for any hate topic (see Methods for full details).
The global hate ecology that we find flourishing online is shown in Fig. 1a, b. The highly interconnected network-of-networks28,29,30 mixes hate narratives across themes (for example, anti-Semitic, anti-immigrant, anti-LGBT+), languages, cultures and platforms. This online mixing manifest itself in the 2019 attack in Christchurch: the presumed shooter was Australian, the attack was in New Zealand, and the guns carried messages in several European languages on historical topics that are mentioned in online hate clusters across continents. We uncover hate clusters of all sizes—for example, the hate-cluster distribution for the ideology of the Ku Klux Klan (KKK) on VKontakte has a high goodness-of-fit value for a power-law distribution (Extended Data Fig. 1). This suggests that the online hate ecology is self-organized, because it would be almost impossible to engineer this distribution using top-down control. The estimated power-law exponent is consistent with a sampling of anti-western hate clusters as well as the online ecology of financial fraud21, suggesting that our findings and policy suggestions can help to tackle a broader class of illicit online behaviours21,22.
We observe operationally independent platforms—that are also commercial competitors—becoming unwittingly coupled through dynamical, self-organized adaptations of the global hate-cluster networks. This resilience helps the hate ecology to recover quickly after the banning of single platforms. The three types of adaptation bridging VKontakte and Facebook that enabled hate to re-enter Facebook through the ‘back door’ are shown in Fig. 1a: (A1) hate-cluster mirroring; (A2) hate-cluster reincarnation; and (A3) direct inter-hate-cluster linkage (see Supplementary Information). We observed A2 after Facebook banned the KKK. An ecology of nearly 60 KKK clusters remained on VKontakte (Fig. 1c) that included posts in Ukrainian. When the Ukrainian government banned VKontakte, the VKontakte-based KKK ecosystem (Fig. 1c) reincarnated KKK cluster(s) back on Facebook, but with “KuKluxKlan” written in Cyrillic, making it harder to catch with English-language detection algorithms. Hence, adaptation A2 enabled the hate ideology to implant cluster(s) with thousands of supporters back into a platform in which it was still banned.
A sample of the hate-cluster network placed on a global map using self-reported location information of each cluster is shown in Fig. 1b. This shows how clusters connect across different continents creating one-step highways for hate content. The Facebook and VKontakte hate bridges occur in Europe, the United States and South Africa, even though VKontakte is often thought of as being local to central Europe. Europe (Fig. 1b, inset) shows a particularly complex hate ecology, which reflects intertwined narratives that cross languages and declared causes—for example, neo-Nazi clusters with membership drawn from the United Kingdom, Canada, United States, Australia and New Zealand feature material about English football, Brexit and skinhead imagery while also promoting black music genres. So although the hate may be pure, the rationale given is not, which suggests that this online ecology acts like a global fly-trap that can quickly capture new recruits from any platform, country and language, particularly if they do not yet have a clear focus for their hate.
Our mathematical model in Fig. 2 predicts additional resilience and its negative consequences for the current battle against online hate. It considers the fairly common observation in our data of a ring of c connected hate clusters within a given platform (for example, platform 1, see Extended Data Fig. 2). In our model, each hate cluster is attempting to spread its hate material to other clusters in the ring through links such as A1, A2 and/or A3 (Fig. 1a), but incurs a cost R when its material passes between platforms 1 and 2 because of the risk of sanctions on platform 2 (Facebook is better policed). We assume a probability q of a given hate cluster on platform 1 sending its hate material on a path via platform 2. The following formula, derived in the Supplementary Information, then gives the cluster-averaged value of the shortest path (that is, the average length of the hate highway)30 between the c hate clusters on platform 1:
ℓ¯=R(R−1)2(c−1)+(1−q)c−R[3+q(c−2−R)]q2(c−1)+q[2−2R+2c−q(R−1)(R−c)]−3q2(c−1)ℓ¯=R(R−1)2(c−1)+(1−q)c−R[3+q(c−2−R)]q2(c−1)+q[2−2R+2c−q(R−1)(R−c)]−3q2(c−1)
(1)
Figure 2b shows ℓ¯ℓ¯ as a function of the number of links ρ between platforms 1 and 2 (ρ = cq with c fixed) when R increases linearly with ρ, which is consistent with more links carrying more risk. The minimum in ℓ¯ℓ¯ has an important negative consequence. Suppose platform 2 finds a large number of hate links ρ from 1, and manages to find some and shut them down, hence reducing ρ. It can inadvertently decrease the average shortest path ℓ¯ℓ¯ between hate clusters on platform 1 (for example, VKontakte), hence accelerating how hate content gets shared within platform 1. The existence of several operationally independent platforms (Fig. 2a) with their own moderators and no coordinated cross-platform policing gives rise to a further resilience: our mathematical model (see Supplementary Information) shows that sections of the less policed platforms can then become isolated, creating spontaneous ‘dark pools’ of hate highways (dark region in Fig. 2a).
Further resilience at the micro level occurs in the form of rapid rewiring and self-repair that mimics covalent bonding from chemistry, in apparent response to real-world events (Fig. 3). The ecology of the KKK on VKontakte (Fig. 3a) rewired around accusations just after the school shooting in Parkland, Florida. We do not know of any evidence that these clusters were involved, but news reports discussed the presumed shooter’s interest in the KKK, and its themes and symbols, hence these clusters probably worried about increased scrutiny. Links like chemical bonds quickly form between KKK hate clusters in a bottom-up, self-organized way. This adaptive evolutionary response helps the decentralized KKK ideological organism to protect itself by bringing together previously unconnected supporters. The network is presented on a larger scale in Fig. 3b, with the bonding density of common users clearly visible (white cloud between the green clusters). We also see this same bonding (Fig. 3c) emerge in the response of anti-western jihadist hate groups in 2015 when the leader of the Islamist terrorist group ISIS was reportedly injured in an air strike. We speculate that this covalent bonding is a general adaptive mechanism for online hate, and maybe for other illicit activities.
These insights suggest a matrix of interventions (Fig. 4 and Extended Data Fig. 3) according to the preferred top-down versus bottom-up approach on a given platform and the legal context in a given country. Each policy can be adopted on a global scale simultaneously by all platforms without them needing to share sensitive information. Policy 1 reduces the number of large hate clusters. One might assume that this can be achieved by banning the largest clusters, but the approximate power-law distribution of the size of the hate cluster means that others of similar size will quickly replace them. Instead, policy 1 exploits the underlying self-organizing mechanism by which large clusters form from smaller ones: large clusters can hence be reduced by first banning smaller clusters, with the advantage that smaller clusters are more numerous and easier to find. Policy 2 randomly bans a small fraction of individual users across the online hate population. Choosing a small fraction lowers the risk of multiple lawsuits, and choosing randomly serves the dual role of lowering the risk of banning many from the same cluster, and inciting a large crowd. Policy 3 exploits the self-organized nature of the system by setting clusters against each other in an organic, hands-off way— akin to a human’s immune system. Our data show that there are a reasonable number of active anti-hate users online. Platform managers can encourage anti-hate users to form clusters, for example, through artificial anti-hate accounts as a nucleating mechanism, which then engage in narrative debate with online hate clusters. Online hate-cluster narratives can then be neutralized with the number of anti-hate users determined by the desired time to neutralization. Policy 4 can help platforms with multiple, competing hate narratives. In our data, some white supremacists call for a unified Europe under a Hitler-like regime, and others oppose a united Europe. Similar in-fighting exists between hate clusters of the KKK movement. Adding a third population in a pre-engineered format then allows the hate-cluster extinction time to be manipulated globally (Extended Data Fig. 3).
Limitations to our study include the fact that we cannot yet include all platforms because of a lack of public access. Also, our quantitative analysis is highly idealized in order to generate quantitative answers. Although not intended to capture the complications of any specific real-world setting, the benefit of the modelling approaches in Figs. 2a and 4 is that the output is precisely quantified, reproducible and generalizable, and can therefore help to frame policy discussions as well as probe what-if intervention scenarios. Our findings can also shed light on how illicit networks operate under similar pressures—that is, networks that similarly need to remain open enough to find new recruits yet hidden enough to avoid detection21,22.

これらの洞察は、特定のプラットフォームでのトップダウン対ボトムアップのアプローチと、特定の国の法的状況に応じた介入のマトリックス(図4および拡張データ図3)を示唆しています。各ポリシーは、機密情報を共有する必要なく、すべてのプラットフォームでグローバル規模で同時に採用できます。ポリシー1は、大規模なヘイトクラスターの数を減らします。最大のクラスターを禁止することでこれを達成できると仮定することもできますが、ヘイトクラスターのサイズの近似のべき乗分布は、同様のサイズの他のクラスターがそれらをすぐに置き換えることを意味します。代わりに、ポリシー1は、小さなクラスターから大きなクラスターを形成する基礎となる自己組織化メカニズムを活用します。したがって、最初に小さなクラスターを禁止することにより、大きなクラスターを減らすことができ、小さなクラスターがより多く、より見つけやすいという利点があります。ポリシー2は、オンラインの憎悪人口全体の個々のユーザーのごく一部をランダムに禁止します。小さな割合を選択すると、複数の訴訟のリスクが低下します。ランダムに選択すると、同じクラスターから多くの人を禁止するリスクを軽減し、大勢の人を扇動するという二重の役割を果たします。ポリシー3は、人間の免疫システムに似た、有機的で人手を介さずにクラスターを相互に設定することにより、システムの自己組織化された性質を活用します。私たちのデータは、オンラインでアクティブなアンチヘイトユーザーがかなりの数いることを示しています。プラットフォーム管理者は、たとえば、中核化メカニズムとしての人工的な憎悪防止アカウントを通じて、憎悪防止ユーザーがクラスターを形成することを奨励し、オンライン憎悪クラスターとの物語の議論に従事することができます。その後、オンラインのヘイトクラスターのナラティブを中和することができます。これには、中和するまでの時間によって決まるアンチヘイトユーザーの数を使用します。ポリシー4は、複数の競合する憎悪の物語を持つプラットフォームを支援できます。私たちのデータでは、一部の白人至上主義者は、ヒトラーのような体制の下で統一されたヨーロッパを要求し、他は統一されたヨーロッパに反対しています。 KKK運動の憎悪集団の間にも同様の戦闘が存在します。事前に設計された形式で3番目の集団を追加すると、ヘイトクラスターの消滅時間をグローバルに操作できるようになります(拡張データ図3)。
私たちの研究の制限には、パブリックアクセスが不足しているためにすべてのプラットフォームを含めることができないという事実が含まれます。また、定量分析は、定量的な回答を生成するために非常に理想化されています。特定の現実世界の設定の複雑さをキャプチャすることを意図したものではありませんが、図1と図2のモデリングアプローチの利点は、 2aおよび4は、出力が正確に定量化され、再現性があり、一般化可能であるため、ポリシーの議論を組み立て、what-if介入シナリオを調査するのに役立ちます。私たちの調査結果は、同様のプレッシャーの下で不正ネットワークがどのように機能するか、つまり、同様に新しい新兵を見つけるのに十分にオープンでありながら、検出を回避するのに十分に隠れている必要があるネットワークに光を当てることができます21,22


Methods

Our online cluster search methodology is a direct generalization of that previously described27, but now looking at several social media platforms. It can be repeated for any hate topic, but we focus here on extreme right-wing hate because it is prevalent globally and has been linked to many recent violent real-world attacks. We observe many different forms of hate that adopt similar cross-platform tricks. Whether a particular cluster is strictly a hate philosophy, or simply shows material with tendencies towards hate, does not alter our main findings. Our research avoids the need for any information about individuals, just as information about a specific molecule of water is not needed to describe the bubbles (that is, clusters of correlated molecules) that form in boiling water. Our hate-cluster network analysis starts from a given hate cluster ‘A’ and captures any hate cluster ‘B’ to which hate cluster A has shared an explicit cluster-level link, and vice versa from B to A (see Supplementary Information).
We also developed software to perform this process automatically and, after cross-checking the findings with our manual list, were able to obtain approximately 90% consistency between the manual and automated versions. Each day, we iterated this process until the search led back to hate clusters that were already in the list. For the global hate network, we identified 768 nodes (that is, hate clusters) and 578 edges. This is larger than the number of clusters obtained in the previous study27 of anti-western hate (specifically, pro-ISIS aggregates, which numbered a few hundred on VKontakte). But the fact it is of similar magnitude suggests that the process by which billions of users cluster globally online into hate communities is such that it produces hundreds of clusters—not tens of thousands but also not ten or so.
Although we observe some hate clusters with connections to clusters outside such a subset, these tend to lead down rabbit holes into pornography and other illicit material, so we ignore them. Hence, although this is ‘big data’ in terms of there being approximately 1 million hate-driven individuals globally, the number of clusters into which they form is rather small. For the global hate-cluster network, the numbers of each type of link and node (cluster) are as follows. For the edges, Facebook–Facebook = 64 (11.1%); Facebook–VKontakte = 12 (2.1%); VKontakte–VKontakte = 502 (86.8%). For the nodes (clusters): Facebook = 26 (3.4%); VKontakte = 742 (96.6%). For the example subset on the world map in Fig. 1b: for the edges, Facebook–Facebook = 36 (35.3%); Facebook–VKontakte = 6 (5.9%); VKontakte–VKontakte = 60 (58.8%). For the nodes: Facebook = 14 (26.9%); VKontakte = 38 (73.1%). The details behind Fig. 2 are provided in the Supplementary Information and build on the previous study30. For the calculations of policy modelling (see Supplementary Information), our results in Extended Data Fig. 3 were generated for populations of size 1,000–10,000, but similar results and conclusions emerge for any large number: the calculated effects of policies 1–4 are universal in that they do not depend on the specific numbers chosen. For just the KKK cluster dataset on VKontakte in Figs. 1c and 3, there are 50–60 distinct clusters at any one time, with a total of around 10,000 individuals from across the globe as followers. We include an explicit study of KKK clusters purely because KKK ideology is classified as hate by the Anti-Defamation League and the Southern Poverty Law Center. Its unique name and well-defined symbols make it easy to classify. Whether a particular cluster is strictly a hate philosophy, or instead shows material with tendencies towards hate, does not alter our main findings. The largest cluster has just over 10,000 followers and the smallest has fewer than 10, hence there is a very broad distribution. As shown in Extended Data Fig. 1a, the distribution of cluster sizes (that is, the number of followers) is consistent with a power law with a very high goodness-of-fit value of P = 0.92.
Reporting summary
Further information on research design is available in the Nature Research Reporting Summary linked to this paper.
Data availability
The dataset is provided as Source Data. The open-source software packages Gephi and R were used to produce the networks in the figures. No custom software was used.
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Acknowledgements
N.F.J. is supported by US Air Force (AFOSR) grant FA9550-16-1-0247.
Author information
Affiliations
1. Physics Department, George Washington University, Washington, DC, USA
o N. F. Johnson
o , R. Leahy
o & N. Johnson Restrepo
2. Elliot School of International Affairs, George Washington University, Washington, DC, USA
o N. Velasquez
3. Physics Department, University of Miami, Coral Gables, FL, USA
o M. Zheng
o & P. Manrique
4. Computer Science Department, University of Miami, Coral Gables, FL, USA
o P. Devkota
o & S. Wuchty
Contributions
All authors contributed to the research design, the analysis and writing the paper.
Corresponding author
Correspondence to N. F. Johnson.
Ethics declarations
Competing interests
The authors declare no competing interests.
Additional information
Publisher’s note: Springer Nature remains neutral with regard to jurisdictional claims in published maps and institutional affiliations.
Peer review information Nature thanks Paul Gill, Nour Kteily and the other, anonymous, reviewer(s) for their contribution to the peer review of this work.
Extended data figures and tables
Extended Data Fig. 1 Power laws.
a, b, Power laws for the KKK ecology (a) and the ecology of illicit financial activities (b). Their power-law exponents (α) are similar in a and b, and also consistent with c. c, The results from aggregating data from different thematic subsystems, each of which has a power-law distribution with an exponent (βi) distributed around 2.5. d, Summary of the simulation procedure. N power-law distributions are created with a power-law exponent distributed around 2.5. Power-law exponents were then sampled, followed by a power-law test. e, Distribution of the resulting power-law exponents from this simulation procedure, for different values of the mean number of points in the underlying distributions (mu values). The resulting power law exponents α are centred near 1.7, as observed in a and b.
Extended Data Fig. 2 Cluster loop.
a, Cluster loop from Fig. 2. b, Example of a loop of clusters.
Extended Data Fig. 3 Predicted policy effects.
a, The effects of policy 1, with on average more than 550 widely spaced time steps for τ = 10 and N = 104. If the size of an aggregate remains within the range smin to smax for a particular time period τ, that aggregate then fragments. b, The effects of policy 2. Colours represent different intervention starting times (tI) in units of days (vertical grey lines): green tI = 80, red tI = 120, blue tI = 200. Line types represent different percentages of individuals randomly removed (that is, banned) at time tI: dashed line 10%, dotted line 30%, solid line 50%. c, Results for policy 3 of the time to extinction (T) as a function of the initial population partition (N + P = 1,000 fixed, with N being the initial size of the hate population and P being the initial size of the anti-hate population) and the banning rate of the platform, from numerical simulations and also analytic theory. d, Policy 4 shows effect of different allocations of 100 peacekeepers in the hate-cluster versus anti-hate-cluster scenario. nc is the number of clusters of peacekeepers (that is, individuals of type C) that have size sc.
Supplementary information
Supplementary Information
Supplementary Methods, Supplementary Discussion, Supplementary Equations and Supplementary Notes.
Reporting Summary
Source data
Source Data Fig. 1

https://www.nature.com/articles/s41586-019-1494-7

http://www.asyura2.com/14/it12/msg/297.html

[国際27] トランプ「香港人権法」署名に中国報復警告─日本は? 中国「ウイグル人絶滅計画」やり放題 パプアニューギニア財政悪化 中国返済25%増73億円超 ベネズエラ業者に人民元で支払
トランプ「香港人権法」署名に中国報復警告─日本は?
2019年11月29日(金)12時30分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

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トランプ大統領 Yuri Gripas-REUTERS

トランプ大統領が27日「香港人権・民主法案」に署名し法案は成立した。中国の怒りは炸裂せんばかりで、報復措置を警告し、激しく威嚇している。このような中、習近平を国賓として招聘する日本は何をしているのか?

トランプ大統領、遂に署名
トランプ大統領は11月27日、「香港人権・民主主義法」(以下略称:香港法、場合によっては同法案)に署名し、香港法は同日を以て成立した。香港法は香港における逃亡犯条例改正案を巡る激しいデモが始まったその瞬間の今年6月13日に、共和党のマルコ・ルビオ議員らによって提案されたもので、10月15日に米議会下院を通過し、11月20日は上院でも全会一致で議決されていた。

香港法は基本的に、1992年にアメリカで制定された「香港政策法」に定められた原則が守られているか否かを再確認するものだが、具体的には主として以下のような内容が含まれる。

●香港に高度な自治を認める「一国二制度」が機能しているか否か、アメリカ政府は毎年検証をすること。

●香港で人権侵害などを犯した人物をアメリカ政府が議会に報告し、アメリカへの入国禁止やアメリカにおける資産の凍結などの制裁を科す。

●香港政府が再び逃亡犯条例改正案を提案した場合は、香港在住のアメリカ人を保護する戦略をアメリカ政府が策定する。

1992年の「香港政策法」では、アメリカは香港に対して関税・ビザ発給などにおける優遇措置を提供することが決められていたので、今般の香港法により、「一国二制度」により保障されているはずの「香港の高度の自治」が守られていないとすれば、それらの優遇策を見直すということにつながる。

トランプ大統領がなぜすぐに同法案に署名しなかったかというと、ちょうど今、米中貿易交渉を行っている最中で、その交渉をアメリカに有利に持っていくためのカードとして使いたかったからだろう。「譲歩しなければ署名するぞ」と中国側を脅して、次期大統領選に有利な成果を手にしたかったからにちがいない。

しかし共和党議員でさえ、全会一致で同法案採決に賛同している。

もしここでトランプ大統領がサインしなかったら、共和党議員からの支持が得られなくなる危険性がある。トランプ大統領としては、ウクライナ問題で弾劾を受けるか否かの瀬戸際に追い込まれており、もし同法案署名を拒否し続けたら共和党議員から造反者が出ないとも限らず、そんなことになったら本当に弾劾を受けることになるかもしれないと計算したのだろう。

おまけに大統領が署名を拒否し続ければ、もう一度議会にかけて3分の2以上の賛成が得られれば、同法案は成立する。そこでトランプ大統領は観念したものと推測される。

次のページ「中国よ、譲歩してくれ」
その心情はトランプ大統領の「習近平国家主席と香港市民への敬意をもって法律に署名した」という奇妙な声明に現れているように思われる。おまけにトランプ大統領は香港法の執行は「大統領権限に委ねられている」と条件を付けている。

すぐ実行するわけではないので、「中国よ、譲歩してくれ」、というメッセージを送っているように見える。「そうでないと、米中貿易で成果を出せなかったとして、俺は大統領に再選されないことになってしまうかもしれないのだよ」という心の声が聞こえるようだ。

しかし署名をしたという事実は、世界に、特に中国に衝撃を与えた。

炸裂した中国の怒り――報復措置を警告
そうでなくとも香港法案が下院や上院で議決されるにつれて、中国は激しくアメリカに抗議し、なんとかトランプ大統領がサインしないように厳しい糾弾を叫び続けてきた。

たとえば11月22日の人民日報は「王毅、米議会が香港人権・民主法案を議決したことに関して厳正なる(中国の)立場を表明した」という見出しで報道しているし、また11月25日の新華網は「人民日報の署名文書:暴力を扇動する悪行は、必ず国際社会から 唾棄(すいき)される(忌み嫌われ蔑まれる)」という見出しで、米議会が「2019年香港人権・民主法案」を採決したことを、口を極めて糾弾している。これは暴力を肯定し中国の内政に干渉するものであり、正義に反する行為だと、長々と批判が続く。

11月25日に香港民主派の圧勝が決まると、それを掻き消すかのように、報道は激化していく。

11月26日には「米議会が米大統領に香港人権・民主法案に署名しろと呼び掛けていることに関する外交部の回答」を多くのメディアが報道している。ここでは外交部の耿爽報道官が会場にいる記者から香港民主派の区議会選挙における勝利に触れながら質問があったため、耿爽報道官は実に腹立たしい表情で、アメリカ行政部門の中国委員会(CECC)がトランプ大統領に署名を催促しているとして、「アメリカはいい加減で情勢を見極め、懸崖勒馬(けんがい・ろくば)せよ(崖っ淵から馬を引き返せ=瀬戸際で危険を悟って引き返せ)。香港人権・民主法案が成立するのを阻止せよ。香港に手出しをするようないかなることもやってはならない。中国の内政に口を挟むな。もしアメリカが我意を押し通すなら(独断専行を続けるなら)、中国は必ず強力な措置を取り、断固として対抗する」と述べている。

つまり「断固として対抗措置を取る」ということだ。この言葉は実質上、「断固として報復措置を取る」と言ったと解釈していいだろう。

中国としては「さあ、署名できるものなら署名してみろ」と脅しをかけてきたつもりだろうが、その甲斐もなくトランプ大統領は署名してしまった。

次のページそれでも習を国賓に
その怒りが、どんなに激しく炸裂したかは、想像に難くない。

まず外交部は、その正式のウェブサイトで外交部声明(2019年11月28日)

を発表。一般のコメントではなく、「声明」であることは注目に値する。

同じ内容を新華網も伝え、また中央テレビ局CCTVも伝えている。

環球時報も例外ではない。

報復措置の内容は?
外交部声明の最後の部分では、26日に外交部の耿爽報道官が使った言葉と同じ言葉を使っているが、その後に「すべての結果はアメリカが負うべし」という文言が付け加わっている。

この「すべての結果」とは、現在進行中の米中貿易交渉における「第一段階の合意はないものと思えよ」ということであるのかもしれず、だとすると「中国によるアメリカの農産品の爆買いはないからな」と脅しているのかもしれない。そうなるとトランプ大統領が中国に高関税をかけたことにより困窮している大豆農家などがトランプの大統領再選のための「票田」から離れていく。「大統領に再選されなくてもいいんだな」という、トランプの泣き所を指したメッセージとも受け取れる。

いずれにせよ、「報復措置」はトランプ大統領が最も困るポイントに焦点を絞ることは明確だ。

その意味で逆に、「法を執行する権限は大統領にある」というトランプ大統領の声明にすがり、それを最後の威嚇にしようという狙いもあるだろうと解釈できる。

一方、CCTVにおける解説などを詳細に考察していると、総合的には「アメリカの動きが他の西側諸国に波及する」のを、中国は恐れているということも見えてくる。

日本は何を考えているのか?
こんなときに、日本は何を考えているのだろうか。

習近平国家主席の「日本があるから大丈夫」という声が聞こえるようなこの時期に、中国に見透かされている日本政府は、今般の香港法の成立に対してどう回答しているのか、多くの日本メディアが報道した。

11月28日、記者からの香港法成立に関する質問に菅官房長官は「他国の議会の動向について政府としてコメントは控える」としつつ、来春の習近平国家主席の国賓来日への影響に関しては「考えていない」と答えたという。

つまり、このような国際情勢の中にあっても、安倍政権は習近平を国賓として招聘することを断念していないのである。

それがどのようなシグナルを全世界に発信していくか、安倍政権には熟考して頂きたい。今からでも遅くない。まさに「懸崖勒馬(けんがい・ろくば)せよ」と言いたい。まだ間に合う。

11月27日付のコラム「香港民主派圧勝、北京惨敗、そして日本は?」で書いたばかりなので理由に関しては繰り返さないが、そのコラムの後半にあるグラフを見て頂きたい。かかる状況の中で、絶対に習近平を国賓として招聘すべきではない。それだけは一歩も譲らず主張し続ける。

日本の未来が描けないとは、日本の野党もだらしないものだ。

いずれにせよ、ある意味で、民主主義政治の脆弱性を痛感する。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

[執筆者]遠藤 誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』(11月9日出版、毎日新聞出版 )『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『?子(チャーズ) 中国建国の残火』、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13503.php

 
中国は「ウイグル人絶滅計画」やり放題。なぜ誰も止めないのか?

アメリカも見て見ぬふり
China Shows How Easy It Is to Get Away With Ethnic Cleansing

2019年11月19日(火)17時30分
ジョシュア・キーティング

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中国はウイグル人の抗議活動を徹底的に抑え込む構え(写真は13年7月、新彊ウイグル自治区のウルムチ市)REUTERS

<中国政府によるウイグル人弾圧の実態を示す内部文書が明らかになった。100万人を強制収容して思想改造を行っても各国政府からの反応はなし。世界で民族浄化が横行するわけだ>

11月16日付の米ニューヨーク・タイムズ電子版は、中国の新疆ウイグル自治区で大勢のイスラム教徒(主にウイグル人)が中国共産党の「再教育」キャンプに強制収容されている問題について、弾圧の実態が記された共産党の内部文書を入手したと報じた。それによれば、習近平国家主席はイスラム過激主義について、「ウイルス」と同じようなもので「痛みを伴う積極的な治療」でしか治せないと考えているということだ。

問題の内部文書は、新疆ウイグル自治区に帰省した人々に、当局が家族の身柄を拘束していることについてどう説明するかを指示している。彼らの家族は過激主義の危険性についての「教育」を受けており、法を犯した訳ではないがまだ解放できないと説明しろ、という内容だ。また収容者たちは「誤った思想を捨て、中国語と仕事の技能を無料で学ぶことができるこのチャンスを大切にするべきだ」と説明するようにも指示。さらに、収容者の身柄解放はポイント制で決定され、家族の言動も点数に影響し得ると警告するよう指導している。


この世のディストピア、ウイグル自治区に女性記者が潜入

100万人の文化的ジェノサイド
恐ろしい内容だが、こうなることは分かっていたはずだ。国際社会はしばらく前から、ウイグル人に対する虐待や弾圧があることを知っていた。生存者の証言や衛星写真から、新彊ウイグル自治区のイスラム教徒に対する身柄の拘束や監視、宗教の自由の抑圧についての詳しい情報も得ていた。国連をはじめ、マイク・ペンス副大統領やマイク・ポンペオ国務長官などアメリカの政府高官も、この問題について中国を非難し、アメリカはウイグル人の弾圧に関与しているとみられる中国の政府高官にビザの発給を制限するなどの制裁を発動した。

それでも、最大100万人もの人々が宗教を理由に強制収容されているという文化的ジェノサイド(大量殺戮)に等しい事態を前にしても、国際社会の反応は薄いように思える。中国製品をボイコットしている企業や組織はほとんどない。2022年に北京で開催される冬季オリンピックにも、何ら影響が及ぶことはなさそうだ。アメリカの複数の政府高官は強制収容を非難しているが、その中にドナルド・トランプ大統領は入っていない。トランプが人権問題で中国を批判することはほとんどなく、9月に国連で宗教の自由について演説した際も、ウイグル人の問題には言及しなかった。今は香港当局が、北京政府の意向を受けて民主化デモを粉砕しようとしているが、実効ある介入はどこからもない。

<参考記事>ウイグル民族の文化が地上から消される
<参考記事>香港の完全支配を目指す中国を、破滅的な展開が待っている

次のページ対テロ戦争を口実に
中国政府は、宗教と過激主義がテロの脅威に結び付くことが実際にあることを利用して、大勢の無関係の人々の身柄拘束を巧妙に正当化している。テロ対策の専門家であるコリン・クラークは8月にスレート誌への寄稿の中で、中国がアメリカの「対テロ戦争」という言葉を都合よく取り入れて、独裁体制を正当化しているようだと指摘していた。今回のニューヨーク・タイムズ紙の報道からも、そのことが伺える。同紙によれば習は中国の当局者たちに対して、アメリカの9・11同時テロへの対応を手本にするよう促し、別の政府高官は、イギリスでの最近の複数のテロ事件は、政府が「安全保障よりも人権を優先させた」ことが原因だと主張した。

中国が世界経済に大きな影響力を持つようになったことで、誰も強く批判できなくなっているのかもしれない。10月には米プロバスケットボールNBAに所属するヒューストン・ロケッツのゼネラルマネージャーが、ツイッター上で香港の民主化デモに支持を表明したときは、反発した中国側が試合の放映中止やスポンサー契約の解消などの措置を取ると表明。同マネージャーが謝罪に追い込まれた。

同じイスラム教徒のウイグル人の苦境に対し、多くのイスラム諸国も沈黙を貫いている。おそらく中国との経済的なつながりや、中国からの投資を失いたくないからだろう。

アメリカも見て見ぬふり
これは中国に限った問題ではなく、民族浄化は世界各地で横行している。独裁国家がますます強硬になるなか、民主主義諸国は断固たる態度を取れず、国際的な法制度は崩壊寸前の状態にある。

ウイグル人の弾圧のような大規模な犯罪が処罰されることもなく公然と行われているのは、こうした背景があるからだ。反体制派を弾圧し拷問や殺戮を重ねたシリアのバシャル・アサド大統領は内戦による失地を回復し、大国から政権維持も保障されたような有り様だ。インドはカシミール地方の取り締まりについて、諸外国からほとんど圧力を受けていないし、バングラデシュの各当局はロヒンギャ難民たちに、彼らをさんざん迫害したミャンマーに帰れと言っている。

アメリカが民族浄化を見て見ぬふりをしたことは他にもある。11月中旬に漏洩した米国務省のウィリアム・ローバック副特使の内部文書は、「シリア北部におけるトルコの軍事作戦には民族浄化の意図がある」と指摘し、それでもアメリカはトルコを止めようともしなかった、と批判した。

スリランカでは、11月16日に投開票された大統領選挙でゴタバヤ・ラジャパクサが勝利。兄であるマヒンダ・ラジャパクサ前大統領の下で国防次官を務めたゴタバヤは、2009年に分離独立主義を掲げたタミル系の反政府勢力、タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)に対する軍事攻勢を主導し、この際に大勢の一般市民を巻き添えにしている。戦争犯罪の疑いを指摘する声があったにもかかわらず、ゴタバヤは最近の複数のテロ攻撃を受けて、国の安全保障を争点に多数派であるシンハラ人が多い地域で支持を集めた。彼は親中派としても知られている。

今回のニューヨークタイムズの報道は、新彊ウイグル自治区で起こっていることに対する懸念を改めて掻き立てるものとなるかもしれない。だがそれが中国に「再教育」をやめさせるほどの圧力になることはないだろう。

(翻訳:森美歩)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13418.php


 


パプアニューギニア、財政悪化 中国への年間返済額25%増加で73億円超に
2019年11月29日(金)15時46分

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パプアニューギニアの財政が悪化している。予算関連文書によると、同国の中国に対する年間の債務返済額は2023年までに25%増加する見通し。2020年の財政収支も過去最大の赤字になる見込みだ。写真はパプアニューギニアで2018年11月に撮影(2019年 ロイター/David Gray)

パプアニューギニアの財政が悪化している。予算関連文書によると、同国の中国に対する年間の債務返済額は2023年までに25%増加する見通し。2020年の財政収支も過去最大の赤字になる見込みだ。

政府は、前政権の無駄遣いで財政が悪化したと批判。債務返済のために新たな借り入れが必要になるとの見通しを示した。

債務残高の再計算により、財政収支の均衡は一段と難しくなった。債務残高の対国内総生産(GDP)比は前回の予算から10%ポイント上昇し42%と、法定上限の35%を超えた。

国家問題研究所のエグゼクティブディレクター、ポール・バーカー氏は「返済が問題になるだろう」と指摘した。

中国がアジア太平洋地域で勢力を拡大する中、パプアニューギニアは資金調達で中国への依存度を強めている。米国は中国が「略奪的な」経済活動を通じて、インド太平洋地域を不安定化させていると批判。中国政府は米国側の主張を強く否定している。

28日公表の予算関連文書では、中国に対する債務総額は明らかにされなかったが、返済スケジュールを見ると、中国が他を圧倒する最大の債権国であることがわかる。中国への年間返済額は2023年までに25%増え約6700万ドルとなる見通しだ。

貧困問題を抱えるパプアニューギニアでは昨年、前政権がアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の開催に合わせ、イタリアの高級自動車メーカー、マセラティのセダン「クアトロポルテ」を40台購入。高額な支出に抗議活動が起きた。

天然ガス産業の収入も繰り返し予想を下回っており、2020年の財政赤字は過去最大となる見通しだ。

2020年の歳出は187億キナ(53億6000万ドル)、歳入は141億キナ(40億4000万ドル)と見込まれている。


[シドニー/ウェリントン 29日 ロイター]
https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2019/11/2573.php?


ベネズエラ政府、契約業者に人民元で支払い提案 インフレと経済制裁で自国通貨やドル使えず
2019年11月29日(金)11時24分

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ベネズエラ政府と国営石油会社PDVSAは、民間部門の契約業者に対して中国人民元での支払いを提案している。写真はコロンビアとの国境近くの両替商が並べたボリバル紙幣の札束。REUTERS/Girish Gupta

ベネズエラ政府と国営石油会社PDVSAは、民間部門の契約業者に対して中国人民元での支払いを提案している。5人の関係者がロイターに明らかにした。

関係筋によると、少なくとも4社に打診し、企業は検討中という。

これまで政府機関は民間の契約業者に対して、同国の通貨ボリバルや米ドルで支払いを行っていた。ただ、国内のハイパーインフレに加えて、ベネズエラの公共部門との取引を米企業に禁じた米経済制裁の影響で、従来の方法での支払いが困難になっている。

これまでにも政府やPDVSAは、一部の民間企業に対して、原油や金の売却で得たユーロで支払いを行っている。

人民元での支払いにより政府は、米国の金融システムを通さず中国にある資金を活用することができる。ただ、中国での銀行口座開設の手続きは複雑だと2人の関係者は指摘する。

ベネズエラと中国は10年以上前、原油と引き換えに中国が約500億ドルの融資をベネズエラに提供する取り決めを結んでいる。そのため、PDVSAとベネズエラ中央銀行は、中国に金融機関の口座を持っている。

2人のベネズエラ中銀関係者によると、中銀は中国人民銀行の口座に少なくとも人民元で7億ドル相当を持っている。


[ロイター]
https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2019/11/post-13505_1.php
http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/815.html

[国際27] グローバル化の弊害を見落とし、トランプ台頭を招いた経済学者のいまさらの懺悔 中国の急速な台頭は米製造業にとって悪夢 最大の被害者は「アメリカの労働者」
グローバル化の弊害を見落とし、トランプ台頭を招いた経済学者のいまさらの懺悔
Economists on the Run
2019年11月29日(金)19時15分
マイケル・ハーシュ(フォーリン・ポリシー誌上級特派員)


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論敵をコテンパンにこき下ろすことで知られるノーベル賞学者のクルーグマン PHOTO ILLUSTRATION BY FOREIGN POLICY, SOURCE PHOTO BY PANAYIOTIS TZAMAROS-NURPHOTO/GETTY IMAGES
<グローバル化の行き過ぎと米製造業の空洞化を見抜けず、結果的にトランプ政権誕生を助けたポール・クルーグマンがついに自己批判した>

ノーベル賞の受賞者でコラムニストとしても知られる経済学者のポール・クルーグマンは、論敵をコテンパンにこき下ろす激辛の論調で名をはせてきた。
1990年代初めから精力的に著書や論説を発表。急速に進むグローバル化に疑義を唱える論客には片っ端から「経済音痴」のレッテルを貼ってきた。特に中国との競争を危惧する議論を聞くと、「バカらしい」のひとことで切って捨てる。心配ない、自由貿易が自国経済に及ぼす負の影響など取るに足らない。それがお決まりのセリフだった。

そのクルーグマンが突如、宗旨変えした。今年10月、「経済学者(私も含む)はグローバル化の何を見誤ったか」と題した論説を発表。自分をはじめ主流派の経済学者は「一連の流れの非常に重要な部分を見落としていた」と自己批判したのだ。
クルーグマンによれば、経済学者たちはグローバル化が「超グローバル化」にエスカレートし、アメリカの製造業を支えてきた中間層が経済・社会的な大変動に見舞われることに気付かなかった。中国との競争でアメリカの労働者が被る深刻な痛手を過小評価していた、というのだ。
ラストベルト(さびついた工業地帯)の衰退ぶりを見ると、ようやく認めてくれたか、と言いたくもなる。謙虚になったクルーグマンは、さらに重大な問いに答えねばならない。彼をはじめ主流派の経済学者が歴代の政権に自由貿易をせっせと推奨したために、保護主義のポピュリスト、すなわちドナルド・トランプが大統領になれたのではないか、という問いだ。

公平を期すなら、クルーグマンはここ数年、過去の見解の誤りを率直に認めるようになっていた。彼は経済学者でありながら経済学者に手厳しいことでも知られる。2008年の金融危機後には、過去30年のマクロ経済学の多くの予測を「良くても驚くほど役に立たず、最悪の場合、明らかに有害」だったと総括した。

クリントン政権で労働長官を務めた経済学者のロバート・ライシュは、国際競争の激化を懸念し、良質の保護主義的な政策と製造業の労働者の再訓練を推進しようとした。このライシュについて、クルーグマンは1990年代当時、私に「気の利いた言い回しが得意なだけで、物事を深く考えない嫌な奴」と評したものだ。

クルーグマンの宗旨変えについてライシュにコメントを求めると、「彼が貿易の何たるかをやっと理解してくれてよかった」とメールで答えてくれた。クルーグマンもメールで「ライシュについて言ったことは後悔している」と述べたが、「もっとも彼が超グローバル化を予測し、チャイナショックの影響を最小限にとどめようとしたと言うのなら、それは初耳だが」と嫌みも付け加えた。

経済学者たちはようやく自分たちの傲慢ぶりを認め、2009年にクルーグマン自身が書いたように「数学という素敵な衣装をまとった美しい理論を真実と思い込んでいた」ことに気付いたが、時すでに遅しの感もある。
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中国の急速な台頭は米製造業にとって悪夢となった(深圳の家電工場) JASON LEE-REUTERS

経済学者たちは1960年代末から連邦政府の政策立案に大きな影響を与えるようになり、アメリカを間違った方向に導き、社会の分断を助長したと、ジャーナリストのビンヤミン・アッペルボームは指摘している。多くの経済学者が福祉を犠牲にし、効率性を最優先して「高賃金の雇用を切り捨て、低コストの技術産業に未来を託した」というのだ。
「修正を試みても手遅れだ」
マサチューセッツ工科大学(MIT)の経済学者、デービッド・オートーは、中国の急成長がアメリカの労働市場に及ぼした影響をデータで示してきた。オートーによればより大きな問題は、多くの経済学者が自由貿易は善だと無条件で信じていたことだ。「貿易は万人にとって有益だと政策立案者に助言するのが自分たちの務めだと思い込んでいた」
ハーバード大学の経済学者、ダニ・ロドリックは1997年に『グローバル化は行き過ぎか』という著書を発表した。当時は異端と見なされたこの本を書いたのは「経済学者がグローバル化に全く危機感を持っていなかったから」だと、彼は言う。今ではロドリックの見方が主流になっている。

さしもの経済学者たちも、自分たちが引き起こした事態に対処すべく重い腰を上げ始めた。ロドリックも元IMFチーフエコノミストのオリビエ・ブランシャールと共に格差をテーマにした会議を主宰したばかりだが、もう手遅れかもしれないと言う。トランプ政権下では、まともな議論すらできないからだ。
トランプは、アダム・スミスの時代の重商主義者もかくやの短絡的な保護主義を信奉している。貿易をゼロサムゲームと見なし、貿易黒字は利益で、貿易赤字は損失だと思い込んでいるようだ。経済学のイロハも知らない無知ぶりは「現代アメリカの大統領の中でも際立ってお粗末だ」と、アッペルボームは嘆く。
それでもトランプは、中国の台頭に対するアメリカ人の不安を背景に、史上最大の貿易戦争に打って出た。不安が広がったのは、経済学者の読み違いのせいでもある。中国の急成長でアメリカの製造業の雇用がこれほど迅速かつ大量に失われるとは、彼らは夢にも思っていなかった。
クルーグマンも指摘しているように、「2000年以降、製造業の雇用は恐ろしいほど急減」し、その急カーブはアメリカの貿易赤字、特に対中赤字拡大の急カーブと一致していた。こうしたデータが、ただのデタラメにすぎないトランプの主張に信憑性を与えたのだ。
貿易問題や所得格差、労働者のための適切な保護策に関する「まともな議論を完全に消し去ったことが、最も理不尽なトランプ効果の1つだ」と、ロドリックは言う。
クルーグマンに、彼自身も含めて経済学者がトランプ政権の誕生を助けたのではないか、と聞いてみた。「それについては、まだ議論している最中だ」と、彼は答えた。「これは私の考えだが、トランプの(保護主義的な)貿易政策はさほど支持されておらず、トランプ人気に貢献したとは思えない。その意味でトランプ現象を経済学者たちのせいにするのはいささか酷ではないか」

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今日の中国の台頭を誰も予見できなかった

レッテル貼りと締め出しと

そうは思わない人もいるだろう。問題の一端は、グローバル化は善だというコンセンサスが姿を現しつつあった1990年代、経済学者たちは貿易問題を「自由貿易主義」か「保護主義」かの2つに1つという単純な図式で捉える傾向があったことだ。
クルーグマンもおおむね自由貿易論者の立場を取った。ノーベル経済学賞の受賞理由となった(グローバル化の悪影響も指摘した)論文が、(自由貿易を推進する)彼の著書やコラムに比べると微妙に矛盾するニュアンスを帯びていたことを思うと皮肉な話だ。
一方で政策論争に関わった人々の中には、急速なグローバル化にクルーグマンよりずっと強い懸念を抱いた人々もいた。その代表格が、ロドリックやライシュ、クリントン政権で国家経済会議議長を務めたローラ・タイソンといった人々だ。彼らは自由貿易こそ善という考え方に異議を唱えたり、タイソンのようにアメリカの競争力を高めるための産業政策を推進したりした。クルーグマンはこうした考え方も忌み嫌った。
クルーグマンは、自身の読み違えは貿易が労働者や経済格差に与えた影響に関するものであり、あくまでも「限定的なものだった」と言う。確かにその言い分は間違っていない。
だが冷戦終結後、貿易をめぐる議論は、自由市場vs政府による介入という、より幅広い議論の「代理戦争」となっていた。クルーグマンは「戦略的貿易論者の、経済学に対する無知の表れ」と彼の目に映ったものを大々的に攻撃した。戦略的貿易論者とは、人件費の安い途上国との競争で、アメリカの雇用と賃金は深刻な影響を受けると主張する人々だ。
ジャーナリストのウィリアム・グレイダーは著書の中で、途上国の攻勢により「アメリカが勝つ分野と負ける分野」が出てくるだろうと警告したが、クルーグマンからは「全くバカげた本」と評された。シンクタンク、ニューアメリカ財団のマイケル・リンド共同創立者が、アメリカの生産性が伸びても「世界の搾取工場である国々」にはかなわないかもしれないと指摘した際も、クルーグマンは経済の「事実」を知らない門外漢のくせに、と一蹴した。

クルーグマンに言わせれば、この手の議論はいわゆる「悪い経済学」だった。他の国の動向など気にし過ぎてはならない。あらゆる国が開かれた貿易から利益を得ることができるという新古典派経済学の概念が安定をもたらすはずだ──。自由貿易よりも市場への政府の介入に類するものや公正貿易(関税や失業保険、労働者保護の拡充と同義だ)を支持する人は、「保護主義者」の烙印を押され議論から締め出された。
確かにクルーグマンは、医療保険制度や教育の改革といった中間層に対する保護政策は大切だと常に考えてきた。また、貿易問題での見誤りを認めたからといって、いわゆるワシントン・コンセンサスを正しいと言っていたことにはならないとも述べている。ワシントン・コンセンサスとは、財政規律と急速な民営化、規制緩和を支持するネオリベラル(つまり自由貿易主義)的な考えだ。

「私たちを批判していた人全てが正しかったわけではない。肝心なのは彼らが何を言ったかだ。私の知る限り、これほど(中国などが)貿易で台頭することを予見した人も、それが一部地域に与える悪影響について注目していた人もほとんどいなかった」と、クルーグマンは言う。

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最大の被害者は「アメリカの労働者」

だがグローバル化を善とする考え方はさらに深い問題もはらんでいた。やはりノーベル賞を受賞した経済学者のジョセフ・スティグリッツは90年代、ロドリックと同様に貿易や投資の障壁を急激に取り払えば破壊的な影響をもたらすと警告していた。彼は「標準的な新古典派的分析」の問題点は「調整に全く無頓着だったところだ」と述べた。「労働市場の調整コストは驚異的なほど少ない」

大統領選では左派候補を支持

スティグリッツはクリントン政権で大統領経済諮問委員会委員長を務め、国際的な資本の流れにブレーキをかけることを訴えるなどした(が実現しなかった)。つまり彼はタイソンやライシュと同じ非主流派だったのだ。また彼は「通常、雇用の破壊は新たな雇用の創出よりもずっと速く進む」と主張していた。
スティグリッツはフォーリン・ポリシー誌でこう論じている。「(グローバル化の)コストを背負うのは明らかに、特定のコミュニティー、特定の場所になるだろう。製造業が立地していたのは賃金の安い地域だった。つまりこうした地域では調整コストが大きくなりがちだった」
また、グローバル化の負の影響は一過性のものでは終わらない可能性も明らかになってきている。アメリカ政府が途上国との貿易を急速に自由化し、投資に関する合意を交わしたために「(労働組合の弱体化や労働規制の変化の影響も相まって)労働者の交渉力は劇的に変わってしまった」とスティグリッツは指摘した。
最大の負け組はやはり、アメリカの労働者だ。経済学者はかつて、好況下では労働者は自分たちの賃金を引き上げる力を持つと考えていた。だが最近の見方はちょっと違う。多国籍企業が全世界を自らの縄張りに収めて四半世紀がたち、グローバル化した資本は国内に縛られたままの労働者よりも優位に立った。
主流派の経済学者たちがこれほど急に左寄りになったことに驚いているのは当の経済学者たちだ。多くは前述の格差問題に関する会議でこのことに気付かされた。来年の米大統領選挙では、経済学者たちの支持は中道のジョー・バイデン前副大統領よりもエリザベス・ウォーレン上院議員やバーニー・サンダース上院議員などの革新派候補に流れているとの声も参加者からは聞かれた。

「私はフランスでは社会主義者なのに、ここに来たら中道だった」と、ブランシャールは冗談を飛ばした。これぞ1990年代の読み違えが残した「置き土産」かもしれない。

タイソンは言う。「みんな、いかに状況が急激に変わり得るかに気付いていなかった」

From Foreign Policy Magazine
<本誌2019年12月3日号掲載>
【参考記事】米中摩擦に翻弄される世界経済
【参考記事】ノーベル経済学賞受賞「実証的手法で貧困と戦う」3人への称賛と批判

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13509.php


http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/816.html

[経世済民133] 円高なぜ進まぬ?市場の動きとセオリー 黒田日銀総裁:イールドカーブ全体が1%上昇すると保有長国の時価総額は33兆円程度減少 ユーロ圏インフレ率+1.0%予想上回る 独失業者数、予想に反して減少 政府との政策連携は財政ファイナンスと一線画す必要 LIBOR2021年廃止 国際金利の指標消失で銀行困惑 日銀が代替指標のパブコメ結果を公表 福井元総裁が語ったこと  2020年も円高、米中摩擦より欧州の政治 英消費者向け融資+6.1%伸び加速 正念場を迎えるEUの気候変動政策
円高なぜ進まぬ?市場の動きとセオリー
廣澤知子のやさしいマネー講座
廣澤 知子 廣澤 知子 2019/11/29 印刷 円高なぜ進まぬ?市場の動きとセオリー印刷
初心者
金利の高い通貨にお金が集まるのが基本的なセオリー
米利下げでも日本国債より米国債に運用メリットが
市場参加者の注目度やトレンドでセオリーとは逆の動きをすることも
11月28日付の日経新聞に「米利下げでも進まぬ円高」という見出しがありました。

金利政策と為替相場、そして債券相場のみならず株式相場も互いに深く関係し連動します。それがセオリーであり、また市場の慣習的な傾向としての動きもあります。改めて金利について、他の市場との関連、景気循環について簡単に解説していきましょう。

金利の高い通貨にお金が集まるのが基本的なセオリー
基本的に市場においては金利の高い通貨にお金が集まります。為替というのは通貨ペアですから一方の金利が高くなれば(金利差が拡大すれば)金利が高い方の通貨が買われ、他方は通貨安となります。

景気がよく、加熱気味と判断されると中央銀行はインフレ抑止策として利上げを行いますが、それは景気が強いということで、そうした金利高は通貨買いに繋がります。利上げにも例外があって、例えばインフレがひどい国がハイペースで利上げをしているような場合はその国の通貨の信用が下がり、売られたりします。

現在の日本は世界的に見ても超低金利であり、対する米国は景気上昇に伴い利上げをした経緯がありますが、景気減速懸念とともに米国は利下げに舵を切り、今年は3回の利下げを行っています。結果、日米金利差は縮小してきていますので、利下げと共にドルが売られる=ドル安=円高の基調があったのですが、8月以降円安方向に変わりつつあります。

米利下げでも日本国債より米国債に運用メリットが
前述の通り日米金利差は縮小してきたとはいえ、米国金利の方がまだ高く、日本円を買っても日本国債で運用するメリットはなく、同時にマイナス金利の欧州にお金を持って行ってもやはりメリットはない、であれば米国ドルで、すなわち米国債で運用する方がまし、という判断になっているとのことです。機関投資家などの巨額資金の動きに市場は振れるものです。

利下げすると債券より株式で運用する方が選好され株価上昇すると言われます。米国において、株価は過去最高値圏にありますが、それは利下げだけが要因ではなく、米中貿易交渉の進展具合に大きく左右されています。

市場参加者の注目度やトレンドでセオリーとは逆の動きをすることも
米国の株価が上昇すると日本の株価も上昇する傾向にあり、また円安になると日本の株価が上昇する傾向もあります。とはいえ、市場参加者が何に最も注目をしているのか、何がトレンドになっているかで相場は変わることがあり、セオリーとは逆の動きをすることもあります。

教科書的なセオリーは経済状況が危機的ではなく、かつ一定の金利水準のある国と国の間においてのお金の動きの解説です。そもそもの金利政策も行えないほどの超低金利水準が続きながら、実感のない景気拡大が続き(今年になって下方への局面変化と判断されていますが)、世界において安全通貨として買われる日本円は一般的なセオリーから外れていると言えるでしょう。

投資を行う、市場に参加するのであれば、セオリーはセオリーとして知っておくことは必要な前提ではありますが、それ以上に最新の情報を収集して、その時々に注目されているニュースを捉えておくことが必要だと言えますね。
https://media.monex.co.jp/articles/-/12851


 
ユーロ圏インフレ率、11月速報値は前年比+1.0% 予想上回る
2019年11月29日(金)20時05分

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 11月28日、欧州連合(EU)統計局が発表した11月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は前年比1.0%上昇で、10月(0.7%上昇)から加速し、ロイターがまとめたエコノミスト予想(0.9%上昇)も上回った。写真はベルリンのショッピングモール。2014年9月24日撮影(2019年 ロイター/Thomas Peter)

[ブリュッセル 29日 ロイター] - 欧州連合(EU)統計局が発表した11月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は前年比1.0%上昇で、10月(0.7%上昇)から加速し、ロイターがまとめたエコノミスト予想(0.9%上昇)も上回った。

前月比では0.3%低下した。

未加工食品が前年比1.8%上昇と、10月(0.7%上昇)から加速する一方、エネルギー価格は前年比3.2%下落し、10月(3.1%下落)以上に落ち込んだ。

欧州中央銀行(ECB)がコアインフレ率と呼ぶ、未加工食品・エネルギーを除くインフレ率は前年比1.5%上昇し、10月(1.2%上昇)とエコノミスト予想(1.3%上昇)をともに上回った。

市場が注目する、さらに対象を絞ったコアインフレ率(未加工食品・エネルギー・アルコール・たばこを除く)は前年比1.3%上昇で、10月(1.1%上昇)から加速し、エコノミスト予想(1.2%上昇)を上回った。

ユーロ圏域内総生産(GDP)の3分の2以上を生むサービス部門の価格は前年比1.9%上昇。10月(1.5%上昇)から加速した。

また、10月のユーロ圏失業率は7.5%と2008年7月以来の低水準に低下。失業者数は3万1000人減少し1233万4000人となった。
https://www.newsweekjapan.jp/headlines/business/2019/11/255373.php

東京外為市場ニュース2019年11月29日 / 17:39 / 4時間前更新
BRIEF-黒田日銀総裁:イールドカーブ全体が1%上昇すると保有長国の時価総額は33兆円程度減少
Reuters Staff
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[東京 29日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は29日、衆院財務金融委員会で半期報告に伴う質問に答えた。主な発言内容は以下の通り。

* 黒田日銀総裁:現在の金融政策が他の考えられる金融政策に比べて劣っているとは思っていない

* 黒田日銀総裁:低い金利水準をもう少し長く維持するとはっきり申し上げた=新フォワードガイダンスで

* 黒田日銀総裁:イールドカーブ全体が1%上昇すると保有長国の時価総額は33兆円程度減少

* 黒田日銀総裁:マイナス金利深掘りによる地域金融機関収益への影響、注視しており配慮が必要
https://jp.reuters.com/article/BRIEF-%E9%BB%92%E7%94%B0%E6%97%A5%E9%8A%80%E7%B7%8F%E8%A3%81%EF%BC%9A%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%96%E5%85%A8%E4%BD%93%E3%81%8C1%EF%BC%85%E4%B8%8A%E6%98%87%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%A8%E4%BF%9D%E6%9C%89%E9%95%B7%E5%9B%BD%E3%81%AE%E6%99%82%E4%BE%A1%E7%B7%8F%E9%A1%8D%E3%81%AF-idJPT9N27Z00Y


日銀総裁、政府との政策連携は財政ファイナンスと一線画す必要
伊藤純夫、下土井京子
2019年11月29日 12:04 JST 更新日時 2019年11月29日 12:46 JST
財政・金融の組み合わせ、相乗効果で景気刺激効果高める
成長力向上へ、政府の成長戦略の推進も重要
日本銀行の黒田東彦総裁は29日午前の衆院財務金融委員会で、金融政策は物価安定の実現が目的で、政府との政策連携の際は財政ファイナンスとは一線を画す必要があるとの考えを示した。日本維新の会の杉本和巳氏への答弁。

  黒田総裁は、財政政策と金融政策のポリシーミックスについて「金融・財政政策を組み合わせると、相乗効果によって景気刺激効果がより強力になるということはマクロ経済政策として一般的な考え方だ」と説明。その場合でも「金融政策は物価安定を実現するという目的のために行われる」とし、「政府の財政資金の調達を支援する、いわゆる財政ファイナンスとは明確に一線を画する必要がある」と語った。

  その上で、「中長期的な財政健全化について、市場の信認をしっかり確保することも極めて重要」と指摘。「財政・金融政策のポリシーミックスだけでは十分ではない。あくまでも中長期的な成長力を高めていくための成長戦略の推進が重要だ」と政府に構造改革などの取り組みを求めた。

  マクロ経済政策を推進していく上で、「政府と中央銀行が十分に意思疎通を図ることも重要」とする一方、「物価の安定を実現するために中央銀行の独立性が必要であるとの考え方は、歴史的な経験を踏まえて世界的に確立している」と指摘。日銀の独立性は「法律で守られており、それを十分踏まえて政策運営に努める」と語った。

(黒田総裁の発言を追加して更新しました)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-29/Q1PMBCDWLU6D01


 
LIBOR2021年廃止 国際金利の指標消失で銀行困惑 日銀が代替指標のパブコメ結果を公表
2019.11.29 20:21経済金融・財政
https://www.sankei.com/images/news/191129/ecn1911290030-p1.jpg
 不正操作問題を受け2021年末に廃止が見込まれる「ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)」に代わる新たな指標金利を決めるため、国内金融機関が検討を急いでいる。日本銀行は29日、代替指標候補について銀行などから意見公募した結果を公表した。幅広い金融取引で金利設定の基準となるLIBORの対象市場は世界で300兆ドル(約3京2千兆円)超にも上るとされる。準備が間に合わなければ大混乱になる恐れがあり、円滑な移行に向けた体制づくりが課題だ。

 「21年末までの2年強は決して長い期間ではない。相応に時間をかけた丁寧な準備が必要だ」

 日銀が立ち上げた検討委員会の議長を務める三菱UFJ銀行の松浦太郎経営企画部長は、こう訴えた。

 金融機関はさまざまな取引で、金利を「LIBOR+何%」などと定めている。LIBORが廃止になれば既存の契約にも影響が及ぶが、見直しでは貸し手と借り手の双方が納得できる代替指標を定める必要があり、合意には膨大な時間がかかりそうだ。

 日銀の検討委が示す代替指標候補は5種類。LIBORのように万能の指標はないため、候補は一つに絞らず契約形態に応じて選んでもらう方針だ。意見公募では、例えば貸し出しなら政策金利の見通しを織り込んだ「翌日物金利スワップ」が好まれるなどの傾向が出た。こうした事情も踏まえ、今後は指標の参考値公表や運営機関の公募など具体的作業に入る。

 一方、LIBORの廃止時期が刻一刻と近づいている中でも、国内では影響の見極めやシステム改修といった準備作業があまり進んでいない現状もある。

 メガバンクは移行に向けたプロジェクトチームを発足させ、全国銀行協会も今年9月に検討部会を設置した。しかし指標の選択次第で顧客が損をするなど問題が起きる恐れもあり、考慮すべき課題は多い。日銀の意見公募の過程でも、「一つに絞り込めないのか」と要望が出たという。

 海外では米国が連邦準備制度理事会(FRB)主導で「担保付き翌日物調達金利(SOFR)」を公表して、国際的な普及を図っている。対する国内では代替指標が決まるまで様子見をしている金融機関も多く、危機感が足りないとの指摘もある。「そろそろ本腰を入れないと間に合わない。来年度の最重要課題の一つになる」(大手銀関係者)と焦りの声も漏れている。(田辺裕晶)
https://www.sankei.com/economy/news/191129/ecn1911290030-n1.html


「金利機能を殺すが…」福井元日銀総裁が語ったことは2003〜08年在任時を回顧 日銀が開示清水 功哉 経済 編集委員2019/11/29 2:00日本経済新聞 電子版
2003年から5年にわたって日銀総裁を務めた福井俊彦氏の口述回顧が明らかになった。日銀がオーラルヒストリーとしてまとめたもので、日本経済新聞社の請求に応じて開示した。発言の概要をまとめた。(編集委員 清水功哉)

■2003年、日銀総裁就任〜〜量的緩和拡大を推進
2003年3月20日の総裁就任の頃、経済は非常に脆弱で、動きも横ばいというよりもむしろやや弱いのかなという感じだった。構造改革いまだ手がつかずという感じの段階で、金融システムの基盤はまだ相当弱い。ショックに対しては脆弱という状況だった。
【関連記事】 長期国債「増やさぬ決意」福井元日銀総裁が回顧
就任日にイラク戦争が開始。大変だと感じたが、別の見方をすれば新体制としてはある意味で絶好のチャンスかもしれないと考えた。新体制として、しっかりやっていくというきっかけに利用すればいいという気持ちもあった。
まず(現行の日銀法のもとで初の)臨時の金融政策決定会合を開いた。(開催には)政策委員会メンバーの中にすごい抵抗があった。私にも理解できたが、1回だけ(開催を)許してよという感じだった。
量的緩和政策には、私も自己撞着(どうちゃく)を覚えていた。金利メカニズムを貫徹しなければならないということでずっと仕事をしてきたからだ。金利機能を殺しているということは、経済の新陳代謝のメカニズムを弱めていると私は理解していた。
ただ金融システムの面から見ても実体経済の動きから見ても、03年の夏場ぐらいまで、必要な下支えは追加した方がいいなと判断した。就任時に10兆〜15兆円程度だった日銀当座預金残高目標は、5月には27兆〜30兆円程度に増やした。
着任後は、長期国債は買い増ししないとひそかに心に決めた。(速水優)前総裁の時に随分増やしたが、あの時は量的緩和をやろうと思ってもなかなか金融機関が応札してくれないということがあったとすれば、やむを得なかった。私は長期国債を抱え過ぎて、あとでポートフォリオのバランス上、非常に問題が起こる、あるいは財政政策との敷居が低くなり過ぎるというリスクは避けようとした。
もっとも、その点を表に出して議論すると、その議論自身が変な波紋を世の中に及ぼすので議論はしたくなかった。多くの政策委員会メンバーもその点を大体わかっていたような気がする。

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03年の夏場ぐらいからは経済の動きは多少ピックアップしていく。回復の兆しは出てきた。
足利銀行の(一時国有化)問題をクリアした後は、もう少なくとも火山の爆発は予見されない。景気が自然に上がっていくのをサポートするとか、後押しするとかという局面になっていった。
ただ、下手をしたら長期金利が上がるなど色々なことも起こるから、マーケットにあまり先取りしてもらっても困ると思った。仮にこの先、景気が比較的順調にいったとしても、緩和からの脱却は相当ゆっくりやると考えた。
04年1月に30兆〜35兆円程度になった日銀当座預金残高目標はその後も維持されていった。
ペイオフ解禁の直後の05年4月上旬の決定会合から、少なくとも量的な若干の修正はあってもいいのではないかという意見が一部審議委員から出た。
理屈はわかるが、当座預金目標の引き下げをやると、量的緩和の枠組み修正に入ったと理解する人の方がむしろ多いのではないか。それに対してはそうではありませんという説明がなかなか難しく、マーケットが変動してしまう。それは好まない。そこで、そこはそんなに急いでやる必要はないだろうということで意見は割れたまま行った。
■06年、量的緩和解除〜〜次の課題は
2005年末ぐらいになると、生鮮食品を除く消費者物価上昇率がゼロ近傍、ないしはうまくいけば若干のプラスというところまでいく可能性が見えてきた。景気の動きとの関係で見ても、やっぱりそうだなという感じになってきたので、その後の記者会見では、少しずつその感じを出していった。
そして06年3月に、とりあえず量的緩和の部分だけ解除した。ただゼロ金利は変えないということなので、金利機能は依然として死んでいる。従って、この決定ですっきりしたということは全然なかった。その後の宿題の方が重かった。
次のステップを円滑にやることはものすごく大事だと思ったし、流動性吸収プロセスでマーケットに混乱が起きては困ると思っていた。
資金吸収は、中曽宏金融市場局長といつも計算しあっていた。量的緩和の打ち止めを決めたら、できれば3カ月、長くとも5〜6カ月以内に過剰流動性の吸収が(国債の)売りオペなしに満期が来て自然に償還される状況にしておいてくれと。
資金吸収は、市場はあまり揺れず想定どおりにいった。大体6月半ばぐらいにはほぼ終わったかなという感じになった。

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量的緩和の解除時に、政策の透明性を確保する今後の枠組みを考えた。日銀が金融政策を運営するに当たって、大体どんなところを頭に置いて政策をやっているのかということを一切明らかにしないままやっていくというのはどうかと思った。
さりとて、インフレターゲットにすぐには飛びつけない。ターゲットは日本だけが低くするわけにもいかないので、常識的にやはり2%ぐらいになるが、そこまでなかなか行きっこないのだ。日本の場合はずっとデフレが続いていて、いきなりインフレターゲットと言った時に、そのターゲットに責任が持てるかということを考えると、そこは距離があり過ぎると思っていた。
もう少しうまいやり方はないかということで考えたのが、(委員の中心値は大勢としておおむね1%の前後で分散していると説明する)「中長期的な物価安定の理解」だった。「中長期的」という点と「理解」という点で相当幅を持たせた。
その後、ゼロ金利解除へと進む際に、物価の基準改定(による下方修正)が予定されていた点は悩ましい点だった。ただテクニカルな修正があるという時、物価の流れについての判断をそんなに狂わせるものでないということであれば、あまりそこにこだわる必要はないのではないかということがひとつあった。
もうひとつは、たしか3月ごろ内閣府が需給ギャップがプラスに転じたと発表した。実質的な物価観の形成の中では底入れの材料が整ってきたということだ。表面的な物価の数値が下方改定されたとしても、それは技術的なものだと言っても矛盾のある説明にならないと考える材料はあった。
でも若干心細かった。0.5%でも下方修正されると、またゼロぎりぎりになってくるので、もう一回、水面下に潜るのかというふうに人々が思う可能性があるから、嫌な材料であることは間違いなかった。ただ、それを待つとか、待った結果やるなんていうのは、プロのやることではないと思った。06年7月にゼロ金利を解除し、金利を0.25%とした。
■07年、サブプライム危機〜〜利上げ計画に狂い
2007年2月に追加利上げし、金利を0.5%としたときは岩田一政副総裁が反対された。それまで政策委員に少数意見は歓迎するが、決まった結論に対し、特に執行部は執行責任を一丸となって果たさなければならないということをお願いしてきていた。この時は改めて岩田氏に言わなかったが、彼は自分でそういうふうに表明された。
(利上げを進めた)06年の後半以降、不動産価格が上がっていて、上がり方に問題はないかというのは、皆の頭の中にはあったことだ。ただ、そのことを非常に強く意識するかしないかという差はあったように思う。
バブルに直結しているとまで考えている人は、そんなにはいなかったろうと思うが、過去の悪夢をちょっと思い出している人はボードメンバーの中にもいた。
でも、私も含めて多数は、あの時の不動産価格の動きを厳密に見ると、その不動産の生み出す将来収益の割引現在価値というか、収益還元価格的な見方をすると、結構その範囲内におさまっている上昇だと理解できたと思う。
07年が始まった途端に、米国で住宅ローン会社がいくつか破綻したという話(サブプライム危機)が耳に入ってきた。同年7月の前の段階で、多少、金融政策運営のコックピットの中から景色を眺めると、不規則な雲が少し動いたかなという感じはあった。
けれども、日本経済は、少なくとも実体経済を見ていると、まだあまり大きなダメージを受けていないし、生産、所得、支出の循環も乱れていないという状況で推移していた。
一方、マーケットをよく見ると、そう単純にいかないのではないかと。事実8月からマーケットがもっと荒れてきた。何といってもBNPパリバのファンドの解約停止が非常に大きな問題で、欧州中央銀行(ECB)も対応措置をとった。米国が中心かと思ったら、世界的なものだということが認識できた。

 
主要国の中央銀行ではその認識を直ちに共有した。しかも、とっさの対応として必要なのは、流動性、特にドル資金だ。だから、ドル資金の流動性確保に向けて、主要国の中央銀行で電話会議をした。そういう雰囲気だから、金利引き上げはそう予定通りにはいかないという状況に、この時から明確になった。
私は(後任への)引き継ぎの時点で金利が1%ぐらいまで引き上げられていれば、少し気楽に引き継げたという気はしている。
1%というのは、金利機能が働く最低レベルの金利で、それ以上低いと、金利機能は十分働かないという意識があったのと、後に引き継いだ時に1%の金利であれば金利操作によって多少調整の余地を持つことができる。だから、退任の時は半分しかできていない、未完成だという気持ちがあった。
なお、06年には村上ファンドヘの出資について、世間をお騒がせした。この問題については、当時、国会答弁や記者会見で全ての事実を明らかにしており、付け加えることはほとんどない。総裁就任以降、村上世彰氏には一切助言をしないこととし、同氏にもそう通告した。それはそれでよかったのだが、出資を引き揚げなかったのが、あとから思えば重大な反省事項だ。
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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52743550Y9A121C1000000/?


 
11月の独失業者数、予想に反して減少
2019年11月29日(金)19時37分

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 11月28日、ドイツ連邦雇用庁が発表した統計によると、同月の失業者数は増加予想に反して減少した。写真はハンブルグの港。10月28日撮影(2019年 ロイター/Fabian Bimmer)

[ベルリン 29日 ロイター] - ドイツ連邦雇用庁が発表した統計によると、11月の失業者数は増加予想に反して減少した。製造業は低迷しているものの、ドイツの労働市場は持ちこたえていることが示唆された。

11月の失業者数(季節調整後)は1万6000人減の226万6000人。2月以来で最も減少した。ロイターがまとめたコンセンサス予想は5000人増だった。

失業率は5.0%で前月から横ばい。失業率は今年、4.9%の過去最低を記録した。

雇用庁のデトレフ・シェーレ長官は「現在の景気低迷は労働市場で依然として顕著だ。しかし全体としてみると引き続き堅調だ」と述べた。
https://www.newsweekjapan.jp/headlines/business/2019/11/255364.php

 


英消費者向け融資、10月は前年比+6.1% 18年半ば以来の伸び加速
2019年11月29日(金)19時43分

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イングランド銀行(英中銀)が発表した10月の消費者向け融資(無担保)は前年比6.1%増と、9月(5.9%増)から伸びが加速した。写真はイングランド銀行。2018年8月16日撮影(2019年 ロイター/ Hannah McKay)

[ロンドン 29日 ロイター] - イングランド銀行(英中銀)が発表した10月の消費者向け融資(無担保)は前年比6.1%増と、9月(5.9%増)から伸びが加速した。前年比伸び率の加速は2018年6月以来となる。

欧州連合(EU)離脱を決定した3年余り前の国民投票以降、家計の財布の紐は固くなっている。

最近は、合意なき離脱の可能性が高まったことや、12月12日に総選挙が実施されることを受けて、家計が慎重姿勢に転じている兆候がみられる。

市場調査会社GfKがこの日発表した11月の英消費者信頼感指数は2013年11月以来の低水準となった。[nL4N2890HL]

英中銀によると、10月の消費者向け融資は13億2600万ポンド増加。ロイターがまとめたエコノミスト予想の中央値は9億ポンド増加だった。

住宅購入向けの住宅ローン承認件数は6万4602件に減少し3月以来の低水準。エコノミスト予想レンジの下限となった。

住宅ローンはネットで43億2100万ポンド増と、7月以来の大幅な伸びとなり、エコノミスト予想レンジの上限を上回った。

また、外国人投資家の英国債保有高はネットで52億4300万ポンド減少し、2月以来の大幅な減少となった。
https://www.newsweekjapan.jp/headlines/business/2019/11/255365.php


正念場を迎えるEUの気候変動政策
総合商社の眼、これから世界はこう動く
丸紅株式会社 2019/11/29
• 新欧州委員長は野心的な気候変動政策を公約に掲げた
• 気候変動と同時に格差や財政などの問題にも対処必要
12月1日に欧州委員会委員長に就任するフォンデアライエン前独国防相は、気候変動政策を最優先課題としており、就任後100日以内に「欧州グリーン・ディール」政策を打ち出すことを表明している。今回は新体制下の欧州連合(EU)の気候変動政策が直面する政治的問題について述べる。
野心的目標が掲げられた背景
フォンデアライエン氏は今年7月の欧州議会において、「2050年にネットゼロ」とするCO2排出削減目標の達成に向け、以下のような野心的な公約を掲げた(図表1)。
【図表1】フォンデアライエン新欧州委員長の公約(気候関連)

出所:フォンデアライエン氏の演説(2019年7月16日)の内容をもとに丸紅経済研究所作成
同氏が野心的な公約を掲げた背景には、今年5月の欧州議会選挙での環境派「緑の党」の躍進にみられるように、EU市民の気候変動に対する関心の高まりがある。ドイツでは、この数年で同党の支持率が急上昇し、現在は連立政権の一躍を担う「社会民主党(SPD)」を抜いて第2位となっており、将来的には連邦レベルの連立に加わる可能性がある。
このように、主要国を中心に気候変動が超党派的な政策課題となっているほか、欧州議会において、フォンデアライエン氏が委員長に指名された人事案の議会承認を取り付けるために、野心的な気候変動対策を主張する中道左派勢力の支持を得る必要があったという事情もある。
3つの政治的課題
フォンデアライエン新体制下で気候変動政策を巡る議論がいっそう加速することが見込まれるものの、その具体策の実現には以下のような政治的課題が存在する。
(1)東欧加盟国からの反発
チェコ、エストニア、ハンガリー、ポーランドの4ヶ国は、「2050年にネットゼロ」の目標の合意に反対している。この4ヶ国は、電源構成に占める火力発電の割合が高く、産業構造の転換に伴う経済的コストが大きいため、EUからの補助金の増額なしには簡単に合意に応じない。
フォンデアライエン氏の公約にある「公正な移行基金」は、こうした移行コストの軽減を目的としたものである。しかし、英国のEU脱退後の予算確保の問題や、EUの基本原則の順守(法の支配など)と補助金の分配を連動させるべきとの議論があるなど、先に解決すべき問題がある。
また、EU内の重要事項の法制化は欧州理事会での全会一致などを必要とするものもあり、反対国の合意を取りつけられなければ政策の実現を阻む障害になる可能性もある。
(2)「国境炭素税」が抱えるジレンマ
フォンデアライエン氏が公約に掲げた国境炭素税とは、国内(域内)の炭素価格に連動する形で海外(域外)からの輸入品に対して追加の関税・課徴金などを上乗せする国境調整制度である。世界におけるEUのCO2排出量シェアが現在は約10%、今後さらに低下することが見込まれる中で、EU単独で野心的な政策を実施しても排出削減効果は乏しい。
そうした中で、国境炭素税が将来的にEUのみにとどまらず、域外の国々も巻き込んだ全員参加型の枠組みへと拡大することが期待される。しかし、制度設計次第では世界貿易機関(WTO)のルールに抵触する可能性が指摘されている。
保護主義の高まりが懸念される中、実際に米中間で起こっているとおり、貿易品に関税を上乗せされた相手国が対抗措置として制裁関税を発動する懸念があり、国境炭素税は自由貿易主義と気候変動対策のジレンマに陥る可能性がある。
(3)ポピュリズム台頭の懸念
ポピュリズムは、格差拡大に伴う市民の不満を既成の政治勢力(エリート)や難民・移民に向けさせ、反エリート感情やナショナリズムをあおる特徴がある。野心的な気候変動対策が導入されれば、炭素税の導入・引き上げによる国民の負担増大や産業構造転換に伴う失業の発生によって、EUや各国の指導部に対する不満の声が一部で上がりやすくなる。
実際、フランスではマクロン大統領が気候変動対策と財政再建の一環として燃料税の引き上げを掲げたものの、抗議デモ「黄色ベスト運動」の発生によって2019年内の引き上げを断念し、代わりに政権への反発を鎮静化するために減税に踏み切ったことは記憶に新しい。
懸念されることは、難民危機(2015年)の次は気候変動問題がポピュリズム台頭のトリガーになり、急進的な対策の必要性を主張する国・市民とそれに対する反対派の政治的分断を深めるかもしれないということである。
以上のとおり、環境分野のフロントランナーであるEUは、今後フォンデアライエン体制の下で野心的な気候変動政策を実施すると同時に、域内の格差や財政の問題、保護主義のリスクなどの諸問題にも対処する必要があり、多国間協調枠組みの真価が問われる正念場を迎えることになるだろう。

コラム執筆:堅川 陽平/丸紅株式会社 丸紅経済研究所
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https://media.monex.co.jp/articles/-/12850


「2020年も円高、米中摩擦より欧州の政治不安」榊原元財務官に聞く
2019/11/29 9:01日本経済新聞 電子版
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2019年も残すところあと1カ月。外国為替市場では円相場を中心に記録的な狭い値幅となったが、記憶に残るのは正月早々の1月3日や8月に起きたドルやユーロの急落など円高方向の動きだ。その原因だった米中の貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱を巡る政治的な混乱は20年に引き継がれる公算が大きい。元財務官の榊原英資・青山学院大学特別招聘教授は「リスクは欧州。ドイツやイタリアの政治リスクが改めて顕在化すれば20年も円高が進むだろう」と話す。

■米中貿易協議は「大人の対応」、欧州は問題長期化

──来年の為替相場をどうみますか。

元財務官の榊原英資・青山学院大学特別招聘教授 
「円相場は当面は1ドル=105〜110円のレンジ内で推移するだろう。1年を通してみれば緩やかに円高・ドル安が進み、100円に近づく場面があると予想する。来年の米大統領選挙でトランプ大統領は再選する可能性が高い。トランプ氏のドル安志向はおそらく変わらない。世界経済の減速が意識されるなか、(相対的に安全とみなされる)円は上昇しやすい」

――この1年は米中貿易協議を巡り一喜一憂の相場でした。

「米中協議そのものは深刻な状況にはいたらないと思う。外交交渉が紛糾するのは(どちらかの)国内政治が不安定なときが多い。今回、協議では対立点こそあるものの、米国のトランプ政権と中国の習近平(シー・ジンピン)体制はともに比較的安定している。私も大蔵省(現財務省)時代にさまざまな外交交渉を担当したが、国内向けに協議の成果をどう説明するかが最大のイシュー(問題)なのだ。その意味では政治基盤がしっかりしている双方が『大人の対応』をし、妥協できるのではないかと楽観している」

「一方、欧州の政治情勢は危うい。イタリアは政権が不安定で、ドイツやフランスでは排他的な政策を掲げる極右政党の存在感が高まっている。背後にあるのは難民問題。その象徴が英国の欧州連合(EU)離脱だったわけだ。12月の英総選挙は保守党有利と予想されているが、仮に保守党が勝利を収めても、離脱を巡る交渉や手続きにはなお時間を要する。欧州政治の安定は遠く、欧州発の円高リスクを常に意識しておく必要がありそうだ」

――日米通貨政策への影響はどうでしょうか。

「1ドル=105〜110円のレンジは日米どちらの当局にとっても居心地の良い水準だ。もし100円に近づいても緩やかなペースなら特に問題はない。100円を大きく超えない限り財務省は問題視しないだろう。日銀は(通貨政策の管轄外なので)為替レートに踏み込んで言及することはなさそうだが、100円前後の水準までは静観の構えではないか」

■黒田日銀、東京五輪後が正念場

──米連邦準備理事会(FRB)が先月、当面の利下げ停止を示唆しました。

「世界各国で金融緩和の効果が薄れてきている。日米欧が積極的に緩和をしても物価上昇率は低いまま。パウエルFRB議長は低い成長率と合わせて『ニューノーマル(新常態)』と呼んだ。要するに先進国経済が成熟したということだろう。米中交渉に道筋が見えたとしても(米国などが)利上げする理由にはならない」

──日本では五輪後の景気後退が懸念されています。日銀の金融政策に変化は起こりそうでしょうか。

「日銀の政策は今のところある程度成功しているとの印象だ。黒田東彦総裁は『必要なら追加緩和』と述べており、その姿勢で問題ないと考える。正念場は五輪後の21年か22年だろう。景気後退の局面に入る可能性がある。もちろん、その前でも(米中などの)海外要因で景気後退に陥れば追加緩和を検討しそうだが、五輪後まで緩和カードを温存しても不思議ではない」

「黒田総裁は23年4月の任期を満了する前に後任に引き継ぐのではないか。次期総裁は雨宮正佳・現副総裁で間違いないだろう。注目しているのは次の副総裁人事だ。財務省は事務次官経験者を推薦する公算が大きい。私の一押しは勝栄二郎氏。主計局が長いうえ為替資金課長の経験を持ち、英語も堪能で万能型なのが評価される」

榊原英資(さかきばら・えいすけ)氏
1964年東大経済学部卒業後、同大大学院を経て65年に大蔵省(現財務省)入省。95〜97年に国際金融局長、97〜99年に財務官を務め、その積極的な介入姿勢などから「ミスター円」と称された。99年7月の退官後は慶大教授、早大教授を経て現在に至る。一般財団法人インド経済研究所の理事長も兼務する。
〔日経QUICKニュース(NQN) 聞き手は藤田心〕 
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https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL27HP6_Z21C19A1000000/
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/740.html

[経世済民133] 日本も気候変動のストレステストを、金融機関の命運左右 独ダイムラー、世界で少なくとも1万人削減「歴史的な変革期」ユーロ圏インフレ率、11月速報値は前年比+1.0% 予想上回る ECB理事2候補がハト派表明、現行の緩和策やマイナス金利支持
コラム2019年11月29日 / 19:24 / 6時間前更新
日本も気候変動のストレステストを、金融機関の命運左右
田巻一彦
3 分で読む

[東京 29日 ロイター] - 地球温暖化の影響とみられる自然災害が多数発生した2019年は、いよいよ経済的な打撃の大きさに対応するべきと気づかされる年にもなった。国内損保会社は合計1兆円を超す保険金請求に直面しそうだが、「50年に1度」の災害が毎年発生するようになれば、企業や個人の損害は金融システムを通じて金融機関に集約される。

政府・日銀は欧州連合(EU)にならって、気候変動に絞ったストレステスト(健全性審査)を金融機関に課し、今から自然災害リスクへの備えを厚くするべきだ。超低金利環境の長期化と人口減少、AI化の流れで収益環境が悪化している大手銀や地銀にとって、温暖化という力は、対応を誤れば、経営の致命傷にもなりかねない。

<台風被害、大手損保3社は1兆円の保険金支払いへ>

台風28号が今月26日に発生した。11月に入って6個目で、これは1951年の統計開始以来、64年と91年に並んで最多。海水温度の上昇が多数の台風発生につながっているとみられ、地球温暖化が関係しているとの見方が専門家の中では出ている。

近年は巨大な勢力を保ったまま、台風が日本に接近するケースが増加し、被害の深刻化につながっている。9月9日に上陸した台風15号は、千葉市付近に接近した際の中心気圧が960ヘクトパスカル、最大風速は40メートルだった。

台風被害は各地で想定を超える規模となり、大手損害保険グループの3社が支払った台風15号と19号による保険金見込み額は8688億円にのぼった。今年発生した他の自然災害分を含めると、3社だけで1兆円を超すとみられている。経常利益見通しを3社はそろって引き下げた。

<自然災害の発生は非線形>

だが、「50年に1度」の自然災害が、地球温暖化を反映して毎年のように繰り返された場合、人的な損害にとどまらず、経済的な損害もこれまでの想定を超えて巨大になるリスクが高まっている。

保険監督者国際機構(IAIS)などが2018年7月にまとめた「保険セクターに対する気候変動リスクに関する論点書」には、興味深い視点が数多く盛り込まれていた。

そこでは、損害保険会社のリスクに言及し、将来の気候の影響は「非線形」であると指摘。リスク膨張の可能性を提起している。

また、イングランド銀行が2016年にまとめた自然災害から金融セクター、マクロ経済に至る「伝達マップ」も紹介。そこでは、保険会社だけでなく、銀行にも大きな影響が出るとされた。災害によって個人と企業のバランスシートが弱体化して「不良債権化」するだけでなく、資産の投げ売りによる資産価格の下落が進み、銀行経営を圧迫すると予測した。

実際、今回の災害で中小・零細企業では、事業の継続が危ぶまれるケースが多数みられ、地域金融機関を中心に「問題債権」が増加する傾向にある。地域金融機関は人口減少と産業の衰退、さらに超低金利の長期化で業務純益の先細り傾向に直面している。

そこに大規模な自然災害の被害が数年に1回の間隔で発生すれば、深刻な経営状況に直面しかねないところが相次ぐ可能性がある。

<日銀総裁も自然災害リスクに言及>

こうした中、日本の政策当局にも自然災害リスクと金融機関経営との関連を注視しようとする動きが出てきた。

日銀の黒田東彦総裁は、28日のパリ・ユーロプラス・ファイナンシャル・フォーラムで、自然災害関連リスクは金融機関の大きな課題になる可能性があるとの見方を示した。具体的には「資産価格の下落や担保価値の毀損につながる可能性」に言及。「しっかりとした調査や分析を行う必要がある」と指摘した。

欧州中銀(ECB)のデギンドス副総裁は今月14日、欧州の銀行に対するストレステストに気候変動リスクの導入を検討していると表明した。

欧州連合の執行機関である欧州委員会のドムブロフスキス委員(金融安定・金融サービス担当)も今月6日、気候変動リスクを銀行のストレステストに導入する方向性に言及。欧州の金融機関は気候変動リスクに対応した新たなバッファー機能の強化に直面する可能性が浮上している。

そこで、日本でも金融庁と日銀が主体になって、気候変動リスクを織り込んだストレステストの導入に着手するべきだと提案したい。

気候変動リスクが顕在化してきた場合、かつてのバブル崩壊後の不良債権問題のように、被災して発生した損失の累積は、金融システムという血管を通って、金融機関の不良債権として集積される。あたかも摂取した毒素が肝臓に集約されるように、金融システムがむしばまれることになる。

そうした展開を阻止するには、どの程度のバッファーが必要か試算しておくことが必要で、ストレステスト化は避けて通れない。

12月2日からマドリードで国連気候変動枠組み条約の第25回締約国会議(COP25)が開催される。温室効果ガスの増大を回避するため、EUが提案している国際炭素税には、最大の温室効果排出国である中国が強く反対を表明。地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からは米国が離脱し、主要国の足並みがそろわない。

温室効果ガスの適切な削減にめどが立たない中で、気候変動リスクにどのように対応するのか、着々と切実感が増している。

(編集:石田仁志)

https://jp.reuters.com/article/column-kazuhiko-tamaki-idJPKBN1Y30TE


 
ビジネス2019年11月30日 / 00:45 / 26分前更新
独ダイムラー、世界で少なくとも1万人削減 「歴史的な変革期」
Reuters Staff
1 分で読む

[フランクフルト 29日 ロイター] - 独自動車大手ダイムラー(DAIGn.DE)は29日、全世界で向こう3年間で少なくとも1万人の人員削減を実施すると発表した。

自動車業界では販売減に直面する中、電気自動車(EV)に投資を振り向けるための経費削減が続いており、ドイツでは今週に入りフォルクスワーゲン(VOWG_p.DE)の高級自動車部門アウディ(NSUG.DE)が人員削減策、高級車メーカーのBMW(BMWG.DE)が賃金削減策を発表した。

高級車メルセデス・ベンツを傘下に持つダイムラーは声明で「自動車業界は現在、歴史上最大の変革期のただ中にある」と表明。労働組合と合意に達したとし、従業員数を3%削減すると発表した。

人事担当役員は、削減数は「5桁台の低い方」、もしくは少なくとも1万人になるとしている。ダイムラーの従業員数は第3・四半期末時点で30万4680人だった。

ダイムラーは人件費を2022年末までに約14億ユーロ(15億4000万ドル)節減したい考え。

ドイツでは自動車部品のコンチネンタル(CONG.DE)やオスラム(OSRn.DE)なども削減策を発表している。
https://jp.reuters.com/article/daimler-cut-idJPKBN1Y31V6


 
トップニュース2019年11月30日 / 01:00 / 8分前更新
ECB理事2候補がハト派表明、現行の緩和策やマイナス金利支持
Reuters Staff
1 分で読む

[フランクフルト 29日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会の新メンバー候補である2人が29日、成長の弱さと鈍いインフレ見通しが刺激策を正当化するとし、ハト派的な姿勢を示した。

1月初旬の理事就任が見込まれるドイツのエコノミスト、イザベル・シュナーベル氏とイタリア銀行(中央銀行)のファビオ・パネッタ副総裁は、経済がECBの支援策に依存しており、銀行からは不評のマイナス金利も経済にプラスになっていると指摘した。

ECBは9月に利下げや量的緩和(QE)の再開など包括的な追加金融緩和策の導入を決定。この決定を巡り、理事会メンバーらが公に反対を表明するなどし、シュナーベル氏の前任者であるラウテンシュレーガー専務理事は任期切れを待たずに退任した。

シュナーベル氏は欧州議会の委員会の質問に書面で回答し、「低インフレ圧力を踏まえると、これらの決定は現在のインフレ指標や中期のインフレ見通しによって正当化できる」と指摘。また、「決定は金利が事実上の下限に近い状況で金融刺激策を維持することの難しさを反映している」とした上で、緩和的な金融政策が必要だという見解には「完全に同意する」と述べた。

パネッタ氏も「このところの指標は、インフレ見通しが理事会の目標である2%を下回るが近い水準に届かないようで、緩和的な金融政策が求められる」と指摘した。

マイナス金利政策については、両氏ともに副作用があり監視の必要はあるがポジティブと述べた。ただ、利下げは銀行の利益押し下げにつながり、合理的ではなくなる水準があるとの考えも示した。
https://jp.reuters.com/article/ecb-policy-schnabel-idJPKBN1Y31WM
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/742.html

[国際27] 香港情勢を甘く見た中国、巻き返しに出る可能性も 習近平は香港の中国離れを絶対に容認しない 劇薬に爆弾、香港デモ「全共闘化」の先に起きること 中国化にはっきりノー!北京の裏をかいた香港市民
劇薬に爆弾、香港デモ「全共闘化」の先に起きること
区議会選は民主派が圧勝、それでもデモは続き過激化する?
2019.11.27(水)
安田 峰俊
中国

2019年10月26日、渋谷のハロウィンのなかで在日香港人学生たちがフラッシュモブ的におこなった香港デモ応援イベントに登場した「時代革命」旗。日本国内の支援運動は非常に平和的だ(筆者撮影、以下同)
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 5カ月以上続く香港の騒乱。当初、平和的に始まった市民によるデモは、いつしか、街の破壊を伴う警察との暴力的な衝突にシフト。いっぽう、11月24日の区議会選で市民は体制側にノーを突きつけた。近著『もっとさいはての中国』(小学館新書)が話題のルポライター安田峰俊氏が、デモと政治の嵐に揺れる香港からレポートする。

選挙後もデモの継続はほぼ確実
 2019年6月から始まった香港デモは、デモ隊や市民の犠牲者が次々と報じられるなど混迷を深めている。11月14日、中央政府の習近平が強硬な非難声明を発表したこともあり、香港警察側の鎮圧はいっそう激化。対してデモ側も、都市インフラや「親中派」(とみなされた)商店への破壊行為をエスカレートさせた。やがてデモ隊は名門大学である香港中文大学や香港理工大学に立てこもり、理工大では激烈な抵抗の後、20日までに1200人近くが逮捕された。

 いっぽう、その後に香港では区議会選が11月24日に予定通り実施され、前後の数日間はデモが沈静化した。当該の選挙は71.2%という未曾有の高投票率を記録したうえ、従来は過半数に達したことがなかった民主派勢力が85%もの議席を取る地滑り的な大勝をおさめている。デモを支持する民意が強烈な形で示された形だ。


11月24日、九龍半島の紅?地区にて、区議会選の投票に並ぶ香港市民。朝から晩まで、各投票所で100〜数百メートルに及ぶ長蛇の列が見られた
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 歴史的な成果を出した区議会選後も、過激な行動を含むデモの継続は確実な情勢である。警察側は10月から強力な中国製の催涙弾を使用し、住宅街やオフィス街でも構わず乱射している。ガスに含まれるダイオキシンなど有害成分への健康懸念は現地の日本人駐在員や観光客の間にも広まり、私たち日本人にとっても他人事ではない。今回の原稿ではあくまでもデモについて書いていこう。

ゲリラ戦の優位を失ったデモ隊の失策…
ゲリラ戦の優位を失ったデモ隊の失策
 私は香港デモの発生以来、6月と8月〜11月に合計4回香港入りして事態を追いかけてきた。香港全体の政治状況の大きなターニングポイントは先の区議選だが、デモの現場レベルで衝撃が大きかったのは、11月第3週におこなわれた大学占拠事件だ。

 従来、デモ隊は「be water(水になれ)」を合言葉に、勇武派(武闘的な過激勢力)が匿名化されたSNSで連絡を取りながら各地で流動的に蜂起を実行。拠点の確保にこだわらず、人数の多さを背景にしたゲリラ的な戦いかたで警官を翻弄してきた。また、「不割席(仲間割れしない)」「不譴責(批判しない)」の基本方針を掲げ、平和的なグループと勇武派の共闘関係の構築に成功してきた。

 だが、11月第3週の大学占拠で、勇武派は拠点確保戦略をとったために武力にまさる警官隊との正面衝突を余儀なくされ、ゲリラ戦の優位を発揮できなくなった。特に都市部にある理工大は逃げ場が少なく、結果的に大量の投降者を出して約1200人が逮捕された(うち数百人が18歳以下で、他の逮捕者も理工大生はかなり少なかったという)。

 また、中文大では自分たちのキャンパスの防衛にこだわった大学学生会系のグループと、理工大への救援出動や政府に対する区議選実施要求を掲げた勇武派グループ(学生会に属さない中文大生や、中高生も含む学外の学生)の意見が対立。デモ開始以来で最も目立つ仲間割れが起きた。

 結果、中文大を離れて理工大に向かった後者が警官隊との激闘の末に惨敗と、大量逮捕につながった。この仲間割れは、理工大事件後の区議会選によってクールダウン期間が置かれたので現在は顕在化していないが、主に勇武派グループの側に禍根を残した可能性がある。


油麻地付近で鎮圧をおこなう香港警察の部隊。ビーンバッグ弾(殺傷力を落とした暴徒鎮圧弾)の発砲を計画するオレンジの旗を掲げている
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辛亥革命か文革か、天安門か
 香港デモの今後の展開は五里霧中だ。しかし、こういうときに役立つのは、過去の歴史から類似したケースを探して考察することである。たとえば、北京の「野蛮」な異民族の専制支配に対して、彼らと異なるアイデンティティを持つ南方系の華人が蜂起したという点では、1911年の辛亥革命と似た部分すら探すことができる。

 すなわち辛亥革命は清朝の満洲族、今回の香港デモは北京語を話す中華人民共和国の中国人に対する「駆除韃虜(=駆逐共党)」「恢復中華(=光復香港)」を掲げた民族主義の反乱という共通点だ。ちなみに辛亥革命の精神的指導者だった孫文は、香港で欧米式教育を受けた広東省出身者で、現在の香港人の祖先たちと民族的・文化的なバックグラウンドがかなり近い。

 運動の中心組織が弱く革命の着地点が不明確な点も、今回の香港デモと辛亥革命の似た部分だ。ゆえに今後、なんらかの形でデモが沈静化した後も、香港ではモヤモヤした混乱が長く続くという予測は可能である。もっとも体制が崩壊状態だった1911年の清朝と違い、現在の中華人民共和国は安定している。香港デモは辛亥革命よりも範囲がずっと狭く拡大の可能性も薄いので、北京の政権に与える打撃は限定的なものにとどまるはずだ。

日本の「全共闘」に近い…
 また、激しいスローガンを叫ぶ群衆が「革命の敵」だとみなした公共施設や商店を叩き壊し、反対派にリンチを加えて歓声を上げる光景は、自分の目で現場を見た印象としては1966年の文化大革命(文革)を連想せざるを得ない。当然、大規模な反体制デモという点では1989年の天安門事件との類似もある。

 文革の場合、革命運動の先端に立って暴れた紅衛兵世代は情勢が沈静化してから年配世代に嫌われ、中国版のロスト・ジェネレーションになった。この世代の中国人は、文革世代の習近平が政権を握るまでは政治や経済のトップから外されがちで、成功者が相対的に少ないことで知られた(逆に保守的な習体制になってからは天安門世代が党内で冷や飯を食わされているようだ)。

 今回の香港デモは、現地の若者世代が大量に(香港政府や中国政府の基準での)「犯罪者」になっている事件でもある。香港経済は中国への依存性が非常に高く、中国渡航のリスクが高い若者の進路はかなり限定される。今後、香港のデモ世代はかなり大規模に海外に流出する動きを見せると考えられ、日本も含めた諸外国が人材を吸収することになるだろう。


香港島のトラム駅に書かれた「駆逐共党(共産党を駆逐せよ)」のスローガン。デモ現場では他にも大陸の中国人を、故意に「支那人」と呼ぶ落書きや張り紙も見られる。清朝末期の革命派が使った「駆除韃虜(満洲族の駆除)」と通じるニュアンスだ
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香港島の路上に設けられたバリケードが炎上する。10月ごろから、警官隊やパトカーを狙って容赦なく火炎瓶が投げられるようになった
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日本の「全共闘」に近い
 いっぽう、マスクとヘルメットで決めた勇武派のファッションや、火炎瓶や投石を用いる街頭闘争のありかたなど外見の相似点が大きいのが、1968年〜1969年の日本の全共闘(全学共闘会議)運動だ。

 特に11月の香港中文大・香港理工大の占拠行動は、同じく学生デモ隊が国家の最高学府に立てこもった安田講堂事件を連想した日本の年配者がかなり多かった。ゆえに日本のメディアでもそうした言及がされはじめている。理工大の場合、学内に立てこもったデモ隊の大部分が学外の「外人部隊」だった点も安田講堂事件とそっくりだ。

 しかも、実は見た目だけではなく全体的な構図も近い。巨大な宗主国(アメリカ・中国)の言いなりに見える「傀儡」政府(日本政府・香港政府)の体制に若者層が無鉄砲かつ暴力的な反抗をおこなった図式自体がよく似ているのだ。もちろん、全共闘は「左」で香港デモは「右」の運動だが、イデオロギーの左右は単にその時代のその国の若者の流行という側面も大きい。


1968年、神田でおこなわれた街頭闘争に向かうブントの学生デモ隊の姿。少なくとも見た目の点では現在の香港デモ隊と酷似している(Wikipedia「神田カルチェ・ラタン闘争」より)
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 違いがあるとすれば、一般市民の支持が1割未満だった全共闘に対して、香港デモは11月時点でも市民の6.5〜7割がデモ隊を支持している点だ(武力闘争にも過半数は容認的である)。この民意は24日の区議会選で民主派の圧勝という形でも示されている。香港市民の感情は、勇武派による往年の全共闘以上の過激な闘争戦術への反発よりも、香港政府の現状への反発が上回っているのだ。

劇薬や爆弾を準備か…
 また、香港デモ隊の場合、共産主義革命と比べれば主張がずっと現実的で妥当であること、デモ隊内部の党派対立がかなり抑制されていること、境界を接する「宗主国(=中国)」の介入の可能性が排除できないため緊張感がずっと強いことなども、往年の日本の学生運動との相違点だ。

 とはいえ、東アジアにおける過去100年以上の革命や学生運動のなかで、香港デモといちばん近い事例が日本の全共闘運動であることは、おそらく指摘していいと思われる。

劇薬や爆弾を準備か
 香港理工大は11月第4週までにほぼ陥落したが、大量の投降者・逮捕者が出たいっぽうで600人近くが逃走に成功した。親中派の香港メディアTVBが学内関係者の証言を紹介したところでは、学内から大量の危険薬物が持ち出されたという。これは中文大も同様で、私が現地で中文大関係者に話を聞くと、やはり同様に硫酸などの危険物を持ち出した形跡があったらしい。

 中文大事件では警察の進撃を食い止めるために学校につながる橋の爆破が計画された。同じ関係者によるとこの爆弾も「中文大生が作ったと思われる」。勇武派には中高生やブルーカラーの若者もかなり参加しているのだが、強力な爆弾の製造は専門知識が必要なので、エリートが作っているのは納得できる。

 他に中文大の立てこもりでは学内の医療関連物資も大量に外部へと持ち出された。こちらも持ち出しにパスワードが必要なたぐいの物資であるため、学内の人物が手引きをおこなった可能性が高い。

 香港デモは11月以降、警察とデモ隊双方の攻撃がより激化した。理工大事件で警察側は軍用小銃のアーマーライト15を見せつけ、周囲にいたデモ隊以外の野次馬まで見境なく逮捕。対してデモ隊側も走行中の警察装甲車両に多量の火炎瓶を投げて大炎上させたほか、弓矢や投げ槍など殺傷力の高い武器を使用した。もはや警察側に死者が出る可能性をいとわなくなっている。

 区議会選は民主派の圧勝に終わったが、デモは継続されていく。今後に香港政府が民主派議員の権利を制限したり「不当」な逮捕をおこなったりする悪手を踏めば、さらに過激な抗議行動が取られることになるだろう。今後のデモ現場において、劇薬や爆弾が用いられていく可能性もそれなりに高い。

 しかも、デモ隊側に大量の逮捕者が出た理工大事件は、全共闘でいう「安田講堂」の位置づけだけではとどまらない可能性がある。私が最も懸念するのは、これが香港版の「大菩薩峠事件」にならないかということだ。

あさま山荘につながっていく大菩薩峠事件
 大菩薩峠事件は、全共闘運動から生まれた過激党派の赤軍派が1969年11月、首相官邸や警視庁を鉄パイプ爆弾や火炎瓶で襲撃して逮捕者の奪還を図る「11月戦争」計画の準備のために山小屋で合宿をしていたところ、警察側に踏み込まれ52人の逮捕者を出した事件だ。つまり、当時の日本でいちばん危ない「勇武派」の精鋭部隊が一網打尽にされたのである。

混乱はまだまだ続く…
 だが、事態はこれでめでたし・・・とは終わらなかった。

 戦力の弱体化に焦った赤軍派の残党はより過激化し、銀行強盗で革命資金を奪うM作戦を多用したほか、有名なよど号ハイジャック事件を引き起こした。また、中心メンバーが逮捕されて 2線級の人材だった森恒夫が最高指導者になった結果、後身組織である連合赤軍が暴走。内部の総括で同志12人を殺害した山岳ベース事件や、警官側に死者を出す銃撃戦になったあさま山荘事件を起こすことになった。

 ほかにも1970年代の日本では、赤軍派の行動に刺激を受けたとも見られる他の新左翼諸派やノンセクト(党派に属さない過激派)の活動家が、警官の個人宅に爆弾を送りつけて夫人を死亡させる事件などさまざまな爆弾闘争をおこなっている。

 こうした事件が、市民の学生運動への支持を失わせたことは言うまでもない。普通のデモ活動にすら拒否感が強い現代日本の一般人の「常識」も、事実上はこれらによって成立している。

混乱はまだまだ続く
 香港デモにおいても、理工大に立てこもった勢力は勇武派の最精鋭部隊が多数含まれていたとみられる。デモへの市民の支持はかなり強いものの、勇武派の人数は多くても1万人程度。なかには数合わせ的な青少年も少なくないので、高い戦闘力を持つ精鋭はおそらく数百〜1000人程度である。理工大事件にともなう大量逮捕で、勇武派は少なからぬ兵力を無力化されたことになる。

 いっぽう関係者に聞いた話では、勇武派の精鋭チームのひとつ「屠龍」は理工大事件に先立つ中文大の攻防で負傷者が続出して戦線離脱し、結果的に勢力を温存したとされる。また、警官の個人情報暴露などをおこなう反警察感情が強い別の勇武派チームも、理工大の落城から全員が逃げ延びたようだ。

 兵力を減らしつつも、強力な武器を手に入れてしまった(可能性が高い)過激な勢力が、今後どういった闘争方針を選択するか。ちょっと怖い想像も浮かぶ。

 もちろん、現在の香港では往年の日本のように過激派が世論から浮き上がる状況は生まれていない。11月に入りやや暴発気味だったデモも、選挙前の数日間は衝突が一切起きず平穏な日々が戻った。これはデモ側が運動の暴走を十分にコントロールできる統率力や判断力を維持している証明だろう。

 騒動はまだまだ続きそうだ。今回の香港デモは少なからぬ面で全共闘と似た面を持つのだが、もちろん相違点もある。この「異なる部分」が今後も活かされることで、全共闘のその後と同じ末路をたどらないことを祈りたい。

もっと知りたい!続けてお読みください
日本人が香港デモに無関心のままではいけない理由
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58373

中国化にはっきりノー!北京の裏をかいた香港市民
香港区議選が示した民意とどう向き合うか
2019.11.28(木)
福島 香織
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区議会議員選挙の投票に並ぶ香港市民(2019年11月24日、写真:UPI/アフロ)
(福島 香織:ジャーナリスト)

 香港の区議選挙が11月24日に無事行われた。その結果は民主派の圧勝であった。

 およそ290万人の有権者が18選挙区452議席(小選挙区)を選んだ結果、民主派議席は2015年選挙時よりも262人増えて、388人が当選。親中派(建制派)は262議席を減らし62人(厳密には59席)にとどまった。71.2%という香港史上最高の投票率がこの選挙に対する香港有権者の真剣さを示している。香港人は、この選挙結果を通じて世界に香港民意のありかを示そうとしたのだ。

 だが、民意のありかなど、香港をこれまで見つめてきた人たちは誰もが最初からわかっていた。問題は、民意に向き合おうとしない中国と香港政府をどうやって民意に従わせるか、だ。それを少し一緒に考えてほしい。

一般市民が香港の中国化に「ノー」
 特筆したいのは、2019年6月に100万人デモ、200万人デモが示した民意は、それから5カ月を経てもほとんど変わっていないことだ。

 この5カ月の間、平和デモは、勇武派デモに変化していき、その暴力化が海外メディアの注目を集めた。11月には香港中文大学、香港理工大学を舞台に、まるでパルチザンのように自前の武器で警察の防暴隊と対峙するデモ隊の姿が大きく報じられた。理工大学では警察の装甲車に対し、デモ隊が火炎瓶で応戦して装甲車を炎上させるような場面もあった(運転手の警官は無事)。こうした変化について、日本を含む一部の海外メディアは「デモの暴徒化」と懸念を示した。また「多くの市民が、デモ隊が呼びかけるストライキや交通妨害に不満をもち、疲れている」と報じた。また、「市民の日常生活を考えずに政治主張のために激しい破壊活動を続けるデモには義がない」という識者のコメントもあった。あるいは「行き過ぎた破壊行為が、人民解放軍出動要請命の口実になる」と懸念する向きも出てきた。

 暴力に義はない、デモ隊は破壊活動を一旦やめて落ち着かねばならない、という論調が日本メディアや識者の間でも多くみられたように思う。警察が丸腰のデモ隊に実弾発砲しても、正当防衛論を言う識者は日本にもいた。警察の白色テロ化が問題であり、警察に対する独立した調査と浄化を先にしなくてはデモ側も暴力を止めることができない、と私がデモ隊側を擁護すると、SNS上では「暴力を煽っている」「テロを擁護している」と厳しい批判を受けることも多かった。

選挙は無事に実施されるのか?
 もちろん、デモ隊側の暴力のエスカレートが、多くの市民にとって多大なストレスであったことは間違いない。だが、だからといってほとんどの市民が、中国公安化した警察にデモの若者を取り締まってほしいと思っているわけでも、中国共産党の影響力によって香港の治安と秩序を回復してほしいと望んでいるわけでもない。それは香港の街できちんと取材していればわかることだ。香港市民のほとんどが、香港の司法の独立、民主的選挙の実現、報道・言論の自由といった西側的価値観のもとで運営される国際金融都市・香港の維持を望んでおり、香港の中国化に対しては断固ノーを突きつけている。

選挙は無事に実施されるのか?
 ただ、そういう民意が、区議会議員選挙にきちんと反映されるかは、実際、蓋をあけてみるまではわからなかった。というのも、区議会議員とは、もともと町内会の役員を選ぶようなゆるい選挙で、地域のお年寄りに福袋を配って投票行動を促す候補もいれば、投票場まで連れて行って、投票すべき候補を指示して投票させるような場面もあった。ひどい場合は、投票箱のすり替えなどが行われることもある。区議選挙は香港の選挙の中で最も民主的な選挙と言われてはいるが、本当に民主的選挙かと言われると、けっこういい加減なのだ。

 特に今回は、親中派がかなり集票工作や世論誘導工作を行っていた。また候補者に対する襲撃事件や、あるいは「偽装襲撃」とみられる事件などもあった。

 具体例として、激戦区の1つである屯門・楽翠選挙区を見てみよう。この選挙区では親中派候補の何君堯(ユニウス・ホウ)と民主党の盧俊宇、そして独立派の蒋靖?が出馬。何君堯は現職の立法会議員であり区議も兼任している大物政治家。そして警察官僚一家に生まれて香港警察だけでなく中国公安ともコネクションが深く、また地元マフィア(三合会、親中派)も束ねる中国系暴力組織の香港における代理人みたいな存在で、7月21日に元朗駅で起きた「白シャツ襲撃事件」(三合会らマフィアが深夜の元朗駅でデモ隊を含む列車乗客を無差別に襲撃した暴力事件)の黒幕だと言われている。地元の顔であり、立法会議員でもある何君堯が勝てない理由は本来は何もない。屯門はもともと親中派の多い地域であり、私が投票日に現地に行った時も、ガラの悪い何君堯の地元支持者が盧俊宇の支持者らを取り囲んでののしる場面に出くわしたりした。

 選挙運動期間中、何君堯は演説中に暴漢に襲われて胸を刺された。大公報など親中派紙は、香港デモの過激派の仕業だといった論調でこの事件を報じた。だが多くの人たちは自作自演だと見ていた。マフィアといつもつるんでいる何君堯を刺す勇気など、堅気の市民にあるだろうか。何君堯は香港デモの過激派に襲われたということで、香港の治安が悪化しているとアピールし、自分は命を張って香港の治安回復のために戦う正義の候補であると訴えようとしたのだ、と言われた。あるいは、今回の選挙は安全に選挙運動が行えないので、延期か中止すべきだという世論を盛り上げるのが狙いだ、とも言われた。

 また、独立派として出馬した蒋靖?は、実は親中派の差し金で民主派票を分断するために送り込まれた「刺客候補だ」といった噂も流れた。結果は、蒋靖?の得票数はたった49票で、ほとんど影響力を発揮しなかったのだが、そうしたいろんな噂や事件が各選挙区であった。

北京は親中派の圧勝を信じていた
 私も投票日当日になっても、本当に無事に選挙が行われるのか心配だった。まっとうな選挙が行われれば間違いなく民主派の圧勝という民意が反映されるはずだが、それを中国共産党とその傀儡である香港政府が許すかどうか。選挙日の昼過ぎになにか「重大事件」が起きて選挙が中止になって投票が無効になるという噂が、その日の朝までまことしやかに流れていた。

 なので、こうして選挙が無事行われ、結果がきちんと予想されたような民意を反映していたことは、逆に驚きであった。

中国共産党は親中派の圧勝を信じていた?
 その背景についていくつかの分析記事があるが、面白いのは「フォーリン・ポリシー」誌シニアエディターのジェームス・パーマーが「ニューズウィーク」に寄稿した記事だ。その記事によると、実は北京(中国共産党)は親中派の圧勝を信じて疑っていなかった、という。

 パーマーは2009年から2016年に環球時報に外国籍編集者として雇われていた経験があり、いまでもチャイナ・デイリーや環球時報の内部事情に詳しい。中国政府は「香港の民主化要求運動が金融大都市に混乱と暴力をもたらしたている」という論調で中国メディアや親中メディアに報じさせていた。今回の選挙も建制派(親中派)圧勝と予想して、中国メディアは予定稿まで用意していた、というのだ。親中派惨敗の予定稿は全く用意していなかったらしい。

 パーマーは中国共産党が世論誘導のために中国メディア、親中派メディアに書かせていたプロパガンダに、いつのまにか中国共産党官僚自身が騙されていた、と指摘している。香港行政長官の林鄭月娥(キャリー・ラム)が「『サイレントマジョリティー』は香港のデモの抗争にうんざりしている」と何度も強調していたのを、中国共産党指導者たちも鵜呑みにしていた、というわけだ。

 北京の香港情勢の判断は、おもに中聯弁(中央政府駐香港聯絡弁公室)を通じた情報を基にしている。だが、彼らに情報提供する人たちは北京の協調者であるから、北京に都合のよい情報しか集まってこない。なぜなら異論者を徹底粛正する習近平のやり方のもとでは、怖くて誰も異論の存在を告げられないからだ。あるいは、習近平政権になって、習近平のやり方に反感をもつ官僚たちが、まともに情報をあげない、つまりサボタージュを決めていた、という説もある。

 香港市民も用心していた。私は選挙前に「誰に投票するつもりか」という聞き取り調査をランダムに行ったのだが、親中派支持者が予想外に多く、内心落ち込んでいた。だが、香港の友人が「調査で誰に投票するのか聞かれたら、親中派に入れると答えるに決まっているだろう? 民主派が圧勝すると思われたら選挙が中止になる可能性があるからね」と教えてくれ、聞き取り調査はあてにならないことに気づかされた。

香港に必要な警察機構の浄化
 おそらく親中派メディアの事前調査では、親中派有利の結果が出ていたのだろう。親中派有利という誤情報のおかげで無事に選挙が行われたのだとしたら、それこそ香港市民は中国共産党や親中派の裏をかいたのだ。何としても世界に自分たちの民意を伝えたかったということだろう。

なぜ国際社会がコミットすべきなのか
 こうして、香港人が世界に向けて発信した本音の民意を、私たちは無視してはならない。香港人は本当に、香港の中国化を望んでいないのである。

 以前、本コラムで指摘しているが、世界は今「自由で開かれた民主主義」か、「閉じられた全体主義」か、という選択を迫られている。民主主義のほうが議論が紛糾し、争いが起きやすいが、異論を封じられた全体主義のもたらす秩序が真の平和と言えるのだろうか。私は前者を支持する。

 香港に異なる政治スタンスの人たちが共存して、その対立がときに暴力的になっても、公正なルールが生きていれば、合議で物事は解決できる。今、香港の争いが激化しているのは、異見を唱える人たちが共存する自由主義的な社会に対して、全体主義的秩序が押し付けられようとして、本来の自由主義的な公正なルールが機能しないなか、暴力で解決しようという動きになっているからだ。

 大切なのは、香港に公正なルール、つまり独立した司法を取り戻すことであり、そのための第一歩は、香港人の半分以上が信用ゼロと答える警察機構の浄化だ。これは中国内政の問題ではなく、人権侵害の問題であり、国際社会がコミットすべき問題だということも、はっきりさせなくてはならない。

 警察が信用できる機関に立ち戻れば、デモ隊の行き過ぎた破壊行為は犯罪として司法に則って裁かれるだろうし、それに多くの人たちが納得できる。この選挙は、国際社会が力を貸して、そうした香港に公正なルール、独立した司法を取り戻すタイミングとなるだろう。

 米国は「香港人権民主法案」を可決した。トランプ大統領は為政者としてこれを政治の道具にしようとしているが、民主主義国家・米国の意思はこの法律を施行することになるだろう。ならば日本人はどうするのか。私たちも答えを出すべきではないのか。

もっと知りたい!続けてお読みください
劇薬に爆弾、香港デモ「全共闘化」の先に起きること
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58402?page=4

香港情勢を甘く見た中国、巻き返しに出る可能性も
習近平は香港の中国離れを絶対に容認しない
2019.11.30(土)
舛添 要一
アメリカ?中国

11月18日、アメリカで香港人権法が成立したことを歓迎する香港市民(写真:ロイター/アフロ)
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(舛添 要一:国際政治学者)

 11月24日に投票が行われた香港の区議会議員選挙は、民主派の圧勝という予想外の結果となり、世界中に大きな衝撃を与えた。とくに、親中派の勝利を信じていた習近平政権には、大きな誤算となった。

 さらに、19日に米議会を通過していた「香港人権・民主主義法案」にトランプ大統領が署名し、米中間に新たな火種が生まれた。

次の焦点は行政長官選挙と立法会選挙
 香港政府が、4月に、容疑者を中国に引き渡すことを可能にする逃亡犯条例改正案を立法会に提案し、これに抗議する市民が街頭に出たのが6月である。デモに参加する人々の数は増えていき、6月16日には200万人にも達した。民主派は、@条例改正案の撤回に加え、Aデモの「暴動」認定の取り消し、B警察の暴力に対する独立調査委員会の設置、C抗議活動で拘束された者の釈放、D行政長官選挙の民主化の5項目要求を掲げている。

 その後もデモは続き、遂に9月4日、林鄭月娥行政長官は条例改正案を正式に撤回した。しかし、民主化を求める市民の抗議活動は続いていった。10月5日には、「覆面禁止規則」が施行され、それがまたデモを過激化させるという悪循環になり、10月8日には、現場で負傷した男子大学生が死亡した。その3日後の11日には、警官の発砲で男子学生が重態になり、抗議活動が毎日続くようになり、17日には香港理工大学を学生が占拠して警官隊と攻防を繰り返す事態に発展した。

 このような中で、区議会議員選挙のキャンペーンが10月18日から始まり、11月24日に投票が行われたわけだ。選挙期間中には、民主派、親中派双方の候補者や選挙事務所が襲撃されるなど混乱が続いた。このため、選挙が予定通り行えるかどうか不安視されたほどであった。

惨敗で浮上する立法会選挙の仕組み変更の可能…
 区議会議員選挙は、親中派の特権階級による間接選挙である行政長官選挙と違って、市民が直接投票する普通選挙であり、民意が反映される。18区議会の452議席を選ぶが、それ以外に、親中派に27議席を割り当てる仕組みとなっている。

 今回は、過去最多の約1100人が立候補し、投票率も71.2%と過去最高であった。そして結果は、民主派が388議席で約85%の議席を獲得する圧勝であった。親中派は改選前には7割を占めていたが、59議席と惨敗した。その他は5議席である。2015年の前回の選挙(総議席数は431)では、民主派が120議席、親中派が293議席、その他が18議席だったので、地滑り的な大変動が起こったと言ってよい。まさに民主化を求める市民の声が反映されたのである。

 行政権のトップと国会(立法会)を選ぶ選挙は普通選挙ではないために、今回の区議会議員選挙の結果がなおさら重要になる。

惨敗で浮上する立法会選挙の仕組み変更の可能性
 行政長官の選挙は、1200人の選挙委員による間接選挙で、内訳は、業界団体別の選挙で選ばれた926人、立法会枠70人、区議枠117人、中国全人代・人民政治協商会議枠が87人となっている。今回の区議選の結果で、117人枠の大半を民主派が占めることになるが、これは選挙委員全体のわずか1割程度であり、業界団体の中の民主派を合わせても、過半数にはほど遠い。しかし、何の影響もないわけではない。

 また、立法会の選挙は、定数70議席のうち、比例代表による直接選挙が35議席、業界団体別の選挙が29議席、区議枠が6議席である。民主派は現在25議席であるが、次回選挙でどれくらい上積みできるかが重要である。

 区議会議員選挙は小選挙区であり、死票が多くなる。民主派は議席で8割を超えたが、得票率で見ると57%であり、親中派が41%である。立法会の直接選挙は比例代表制であるので、区議選と同じ得票率ならば、民主派が20議席、親中派が14議席となる。区議枠の5議席を確保すると、民主派議席は25議席。そこで、過半数にはあと10議席以上必要で、親中派が占める業界枠29議席の中から10議席をもぎ取るのは困難である。

 しかし、万が一、そのような事態になれば、習近平政権としては取り返しのつかないことになる。香港で制定される全ての法律が反中国的なものになってしまう危険性があるからである。

 だからこそ中国は、今回の結果を驚愕の念をもって受け止めた。中国では、区議会議員選挙の結果に関する報道は一切ない。北京政府は、これまで通り親中派が勝つと確信していたようである。それは、デモ隊の暴力行為で経済活動を阻害され、不満がたまっている「サイレント・マジョリティ」は民主派に投票しないだろうという安心感があったからである。この楽観主義は、事態を正確に分析することに失敗したことを意味し、読みは完全に間違っていた。

 そこで、習近平政権は、今後、立法会選挙の仕組みを変える可能性すらあり、香港の自治権を制限する方向に動く可能性がある。「一国二制度」は認めても、香港はあくまでも中国の一部であり、北京に刃向かうことは許さないという立場である。

ポピュリズム横行する民主主義と「幸福な監視…
ポピュリズム横行する民主主義と「幸福な監視社会」中国の相克
 そのような北京政府の前に立ち塞がっているのが、国際社会、とりわけアメリカである。中国の監視社会の酷さは、ウイグルへの弾圧が典型であるが、習近平による非公開演説や収容者の家族との想定問答集などの内部文書を11月16日にニューヨークタイムズが入手して公開した。その中で、習近平が「容赦するな」と喝破したことが暴露されている。これは「幸福な監視社会」が牙を?くと、どのような弾圧社会になるかを示しており、世界に衝撃を与えた。

 そして、アメリカ議会では、10月15日に下院で可決された「香港人権・民主主義法案」が、上院でも11月19日に全会一致で可決された。この法律は、香港で「一国二制度」、つまり「高度な自治」が機能しているかどうかを毎年検証し、議会に報告することをアメリカ政府に義務づけるものである。もし人権侵害などが確認されれば、香港への優遇措置を見直すことが可能となり、民主派を支援する内容となっている。

 この米議会の決定に対して、中国は内政干渉だとして猛反発し、対抗措置をとることを明らかにした。そこで焦点になっていたのが、法案に必要な署名にトランプ大統領が応じるか否かであった。一般的に、大統領の選択肢としては、@拒否権を発動する、A10日間何もせずに自然成立を待つ、B署名するという三つがあるが、@の場合は、両院で3分の2の多数で再可決されることは確実なので、結果的には意味がない。ただ、中国に対しては恩を売ったことになる。しかし、米国内で人権を無視する大統領という悪評が立つことになる。

 今のトランプは再選されるために役立つことは何でもやる、再選にマイナスになることは何もやらないという一貫した姿勢である。結局、27日には、「香港人権・民主主義法案」に署名し、その結果、法案は成立した。これに対して、中国は、「重大な内政干渉だ」として、報復措置をとることを示唆した。

 署名後に、トランプは、「中国や香港の指導者が見解の違いを友好的に乗り越え、長期的な平和と繁栄につなげるよう願う」という声明を出し、「この法律には大統領の外交政策における憲法上の権限行使を妨げる条項がある、私の政権は外交関係において、この法律の条項が大統領権限と矛盾しないようにする」と述べて、中国への一定の配慮をのぞかせている。

 しかし、交渉が進む米中貿易協議への悪影響も懸念される。中国が態度を硬化させ、アメリカとの合意に達しなければ、12月15日には、アメリカは中国からの輸入品に新たに関税を上乗せすることになる。対象にはスマートフォンやパソコンが含まれており、米中双方に大きな影響が出る。そうなれば、「交渉上手」だと自負するトランプの人気にも陰りが見えてこよう。

 習近平政権にとっては、香港や台湾を中国の不可分の領土として中国共産党の支配下に置くことが政策目標であり、その基礎が崩れるような事態は何としても避けたいのである。しかし、米中貿易摩擦をこれ以上に悪化させたくないので、アメリカを刺激しないように慎重に行動してきた。香港に直接介入しなかったのも、そのためである。


『ヒトラーの正体』(舛添要一著、小学館新書)
ギャラリーページへ
 しかし、アメリカが法律まで制定して香港の行方について「内政干渉」するに及んで、北京政府としても何らかの対抗措置を考えざるをえなくなっている。それがどのようなものになるか、これから2週間の中国の動きを注目しなければならない。

 世界の覇権をめぐる米中の争いで、軍事や経済については、中国が猛烈な勢いでアメリカに追いついている。問題は、民主主義という価値観について、どのような立場をとるかということである。世界中でポピュリズムの嵐が吹き荒れ、民主主義の統治能力が問われるなかで、「幸福な監視社会」を実現させた中国である。共産党の支配のほうが安定性を含め、統治が上手く機能しているのではないかという意見が世界中で力を持ち始めている。そのような状況で、香港で民主派が勢力を伸ばしていることは、政治制度が覇権争いの重要な柱であることを再認識させている。

もっと知りたい!続けてお読みください
中国化にはっきりノー!北京の裏をかいた香港市民
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58402

http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/818.html

[国際27] ロシアの知られざる「家計債務」リスク、米国利下げの影響で急拡大か 中国とロシア、深まる軍事交流 なぜ日本の警戒感は薄いのか 仏大統領、ロシアのミサイル配備停止提案を拒否 スパイ・ゾルゲの顕彰盛んに ロシア ゆかりの地図、国防省へ ロシアの共和国、酒販売禁止令へ 首長「火災、犯罪増える」 ロシア政府 中距離弾道ミサイル禁止の考えに対する欧州の反応にコメント
ロシアの知られざる「家計債務」リスク、米国利下げの影響で急拡大か
土田陽介:三菱UFJリサーチ&コンサルティング 調査本部 研究員

政策・マーケット DOL特別レポート
2019.11.30 5:40
 

景気低迷が続くロシアで家計の債務が急増している。それに拍車をかけるのが、米国の金融政策だ Photo:PIXTA
景気低迷下のロシアで
急増する家計の債務
 景気低迷が続くロシアで家計の債務が急増している。直近2019年第2四半期の家計の借入金の対GDP比率は15.2%と、統計開始以来の過去最高水準を更新した。こうした状況を受けてロシアでは、思わぬ金利上昇などで家計が資金繰りに窮した場合、個人消費が悪化して景気が腰折れするリスクが意識されるようになっている。

 家計の債務の内訳を見ると、まず住宅ローンが増加している。もっとも住宅ローンの増加は所得に余裕がある家計が中心であるため、それほど大きな問題ではない。一方で、深刻なのは短期の消費財ローンの急増だ。主な借り手は、景気低迷の長期化で所得の減少に喘ぐ低所得者層であると考えられている。

 他国に比べると、ロシアの家計の債務の規模はまだそれほど大きくないが、足元の増加ピッチは速い。そもそもロシアで、銀行が本格的に個人向けローンの提供を始めたのは旧ソ連崩壊(1991年12月)後のことであり、歴史もまだ浅い。そして政府系銀行の存在感が大きいロシアの場合、与信管理が適切とは考えにくい。

 原油市況の低迷と欧米からの経済制裁を受けて、ロシア景気は低迷が続いている。さらにプーチン政権が財政再建を優先し、付加価値税率や年金支給年齢を引き上げるなどしたため、家計の所得は減少している。そのため収入に余裕がない世帯は、日々の消費を回すために個人向けローンの借入を増やしている。

ロシアの家計債務問題に
拍車をかけた金融緩和
 加えて、家計による借入の増加を促しているのが、通貨の安定を受けたロシア中銀による利下げだ。ロシアの通貨ルーブルは、ロシアのクリミア侵攻(2014年2月〜現在)に端を発した欧米からの経済制裁に加えて、14年後半に進んだ世界的な原油安を受けて大暴落した。そのためロシア中銀は通貨防衛を目的に、金利を大幅に引き上げた。


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権力移行を控えるプーチンの頭痛の種
16年頃からルーブル相場が落ち着いたことを受けて、ロシア中銀は金融緩和スタンスを強め、政策金利(キーレート)は10月末時点で6.50%まで低下が進んだ。これに伴い個人向けローンの金利もまた低下が進み、消費財ローンの金利(個人向け短期貸付金利)は15年初の約30%から、足元は14%台と歴史的な低水準になった。

 また、ロシアの通貨と物価の安定は、米国の金融緩和に促されている側面も大きい。米連邦準備制度理事会(FRB)は10月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、今年3回目となる利下げを行った。米国による金融緩和は、新興国の通貨と物価の安定に貢献する。そのため、ロシア中銀も利下げを進めることができた。

 設備投資や建設投資を活性化させるうえで、利下げは必要である。物価と物価の安定を受けてロシア中銀は引き続き利下げを進めたいところであるが、同時にそうした利下げがロシア家計の債務の膨張を促している。今のところ、個人向けローンの不良債権比率はそれほど上昇していないが、プーチン政権は警戒感を強めている。

権力移行を控える
プーチンにとって頭痛の種
 家計の債務問題が深刻化すれば消費、ひいては景気が悪化する。低迷が続くロシア経済にとっては大きな脅威だが、それ以上にプーチン政権が恐れていることは、家計の債務問題が社会不安につながり、政治問題化することに他ならない。この問題が本格的な反プーチン運動につながることを、警戒しているのである。

 現行憲法の改正がない限り、プーチン大統領の任期は2024年5月までとなる。プーチン大統領はすでに20年近く権力の座にあるため、ロシア社会では政権に対するマンネリズムがただでさえ広がっている。さらに景気低迷の長期化で、それまでプーチン政権を支えてきた農村部の保守派の支持離れも進んでいると言われている。


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現地で感じたロシアの苦境ぶり
 政権とその取り巻きの政治家、企業家の視点に立てば、プーチン大統領によって築かれた今の体制をできるだけ維持することが重要になる。プーチン大統領がその座を禅譲しようと、あるいは続投しようと、それがスムーズに行われることこそが望ましい。そのためには国内で燻る「反プーチン」の機運を鎮める必要がある。

 こうした状況で家計の債務問題が悪化すれば、有権者の不満の矛先は当然プーチン政権に向かうことになる。大統領選の前哨戦である下院総選挙(2021年)で与党「統一ロシア」が惨敗すれば、政局の流動化は避けられない。安定した権力移行を図りたいプーチン大統領とその関係者にとって、これは最悪のシナリオだ。

 家計の債務を減らすためには利上げか与信規制の強化が必要だが、景気を優先したい政府と中銀にとって利上げのハードルは非常に高い。残された手段は与信規制の強化しかなく、中銀は事実上その第1弾として、10月初めから信組など小規模金融機関向けを中心に個人向けローンの与信管理を強めている。

現地で感じたロシアの苦境
象徴は家計の債務問題
 もっとも、マクロ政策(緩和)とミクロ政策(引き締め)で相反する方向の政策を採る、つまり需要を刺激しつつ供給を制約する方針を採るということは、アクセルとブレーキを同時に踏み分けるようなものであり、持続可能性に乏しい。とはいえ、それ以外に有効な手立てが特にないところに、現状のロシア経済とプーチン政権の苦境がうかがえる。

 筆者は今年10月初旬にモスクワを訪問し、家計の債務問題に関して有識者と議論を重ねた。現地のエコノミストやアナリストのこの問題に対する関心は当然高いが、一方で有効な手立てもなく、事態を静観するとともに、家計の債務問題が同国の社会や政治にどのような影響を与えるかを見定めているような印象を受けた。

 こうして整理していくと、家計の債務問題はロシア経済が抱える政治的・経済的な困難の象徴的な現象と言える。ロシアの不安定化は、日本を含めた近隣諸国に悪影響を及ぼす可能性も高い。ロシア社会や政治の動向を見定める上で、家計の債務問題の動向については引き続き注意を払いたいところである。

(三菱UFJリサーチ&コンサルティング 調査本部 研究員 土田陽介)




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井上哲也
https://diamond.jp/articles/-/222030?page=3

 
中国とロシア、深まる軍事交流 なぜ日本の警戒感は薄いのか
ミリタリーリポート@アメリカ
2019.11.28

ロシアでの軍事演習に参加した中国軍の装甲車(写真:ロシア軍)
多くの米軍関係者たちは、過去の中華人民共和国とソビエト連邦の関係から類推して、中国とロシア間の軍事同盟は成立不可能とは言わないまでも、成立は極めて困難であろう、と考えてきた。つまり、いくらアメリカが中国とロシアを仮想敵視しているとはいえ、両国が軍事同盟を結ぶ、あるいは軍事的な同盟関係に近い密接な協力関係を構築する、といった事態は到来しないだろうというのである。ところが実際には、中国とロシアの軍事的交流は加速度的に強化されているのだ。(北村淳)
ここ数年来、中国海軍とロシア海軍の合同訓練の規模は拡大している。ロシアで実施される大規模軍事演習に中国軍地上部隊や航空部隊が参加するようにもなった。ロシア軍と中国軍の将校レベルの交流は強化され、3600人にも上る中国軍将校がロシアの士官学校などで学んでいるという。

また、中国が構築している最新鋭ミサイル防衛システム(中国や北朝鮮をアメリカの攻撃から防御するとともに、日本や韓国それに台湾にとっては大きな軍事的脅威を加えることになる)に対し、高性能早期警戒システムの援助を始めることをプーチン大統領が許可した。

以上のように、「中ロ相互防衛条約」といったような成文化された軍事同盟は締結されずとも、中ロ両国の軍事関係が親密度を深めていることは事実である。冒頭に書いたような、「中ロは軍事的には結びつかないだろう」という「中ロ軍事同盟」への伝統的な考え方は根拠を失いつつあるのだ。このような現実を踏まえて、どういう形になるかは別として、「中ロ軍事同盟」が実質的に形成される可能性は否定できないと考える人々も増えてきた。

しかしそのような見方をする人々の多くも、たとえ中国とロシアが軍事的に手を結んだとしても、「中ロ同盟」といった状態は長続きせず一時的なものに終わるであろう、と考えている。したがって、「どうせ『中ロ同盟』が結成されても、すぐに解消されるに違いないから、さして心配するほどのことでもない」というのである。

合従策としての中ロ同盟

史上最大規模の軍事演習「ボストーク2018」に参加した中国陸軍(写真:ロシア政府)
しかしながら、「中ロ同盟」が短命に終わろうが長続きしようが、中国にとって大した問題ではないであろう。何といっても中国には合従連衡の伝統があるからだ。

現時点では、ロシアと中国それにイランや北朝鮮など反米諸国が手を組むことが合従策になり、中国やロシアなどがそれぞれ覇権国であるアメリカと妥協することが連衡策になる。しかしアメリカ自身が中国とロシアを仮想敵と公言し、そのような軍事態勢に転換している以上、連衡策は成り立たないことになる。

合従策にせよ連衡策にせよ、もともと自国にとって事態が好転するまでの外交手段にすぎない以上、「中ロ同盟」が恒久的な外交関係になるなど、中国もロシアも考えていない。したがって、「たとえ『中ロ同盟』が誕生しても長続きしないから恐れることはない」というのは単なる気休めにすぎない。

苦境に陥るアメリカ陣営
軍事交流や武器輸出入がさらに強化されるという事実上の「中ロ同盟」であれ、「中ロ相互防衛援助条約」のような形で成文化された「中ロ同盟」であれ、軍事同盟が誕生したら、アメリカ国防当局は当面の間、苦境に陥ることになるであろう。アメリカは「軍事大国との対決に打ち勝つ」ことを軍事戦略の主たる目標に掲げたものの、組織の再編や必要装備の調達などに手間取っているからだ。

他方、アメリカ以上にNATO諸国や日本などにとっても「中ロ同盟」が厄介な存在となることは確実だ。アメリカの同盟諸国も当然ながら「中ロ同盟」にとっては明確な仮想敵国になるからである。

実際にドイツの左翼系政党の「左翼党」(ドイツ連邦議会に議員定数の9.7%に当たる69議席を保有する政党)は、アメリカがロシアと中国を主敵に想定すると公言し、ロシアと中国が同盟関係に進もうとしている以上、核戦争にまでは至らなくとも米ロの軍事衝突は差し迫っているとして、ドイツ国内に駐留する約35000人に上るアメリカ軍に退去するよう要求し始めている。

警戒感が欠落している日本
ドイツの左翼党が主張しているような論理は日本にとっても当てはまる。

日本でも米軍基地反対派や平和主義者などの人びとが、日本に米軍関係施設が設置されていると、アメリカと中国が軍事衝突した際、日本の米軍基地などが攻撃を受ける恐れがある、といった危険性を指摘してきた。

「中ロ同盟」が発足すると、このような危険性は一層高まることは必至である。もし日本とは直接的には無関係な事由で米中が戦闘状態に突入した場合、これまで危惧されていた中国軍による在日米軍基地への攻撃の可能性に加えて、「中ロ同盟」を口実に「極東アメリカ軍を叩いてしまおう」と考えるロシア軍による在日米軍施設への攻撃も起こりうるのである。

それだけではない。左翼党が心配しているようにヨーロッパでアメリカ主導のNATO軍とロシア軍の間で戦端が開かれた場合、「中ロ同盟」によりロシアを支援するために中国軍が在日米軍基地に大量の長射程ミサイルを撃ち込んだり、場合によってはミサイル攻撃を受けて弱体化した在日米軍にとどめを刺すため、米軍掃討を口実に沖縄に侵攻したりするといったシナリオも十二分に考え得る。

要するに、「中ロ軍事同盟」の発足は、日米同盟に頼り切っている日本にとっては極めて重大な脅威となり得る事態なのであり、日本自身が国防戦略を抜本的に見直さなければならない局面に突入しているのである。


北村淳
軍事社会学者
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ビジネス2019年11月29日 / 07:03 / 1日前
仏大統領、ロシアのミサイル配備停止提案を拒否
Reuters Staff
1 分で読む

[パリ/モスクワ 28日 ロイター] - フランスのマクロン大統領は28日、欧州でのミサイル配備の一時停止を巡るロシア側の提案は受け入れられないとの見方を示す一方、ロシア側の要求を簡単に却下しないことが重要と述べた。

米ロによる中距離核戦力(INF)廃棄条約が今年8月に破棄された後、ロシアは米国など各国に対し、欧州での短中距離核ミサイル配備の一時停止を宣言するよう求めていた。

マクロン氏はロシア側の提案は「絶対に受け入れられない」とした上で、「しかし、議論の土台として(ロシア側の提案を)ただ拒絶すべきではないだろう」と述べた。

また欧州諸国にはINF廃棄条約破棄後の交渉において果たすべき役割があると指摘。「INF条約は米国によって破棄されたが、危機にさらされているのは欧州の安全保障だ。これは欧州諸国が今後の条約に関与すべきであることを意味している。欧州の安全を欧州ではない二国間の協定に任せるべきではない」と語った。

インタファクス通信によると、ロシア大統領府のペスコフ報道官は同日、「マクロン氏の回答は具体的ではないが、少なくともロシアの懸念に対する理解を示し、この点に関して対話の準備ができていることを表明した」と述べた。

タス通信によると、マクロン氏とプーチン大統領は同提案について12月9日にパリで協議する予定。
https://jp.reuters.com/article/france-nato-missiles-idJPKBN1Y22AS

 

 
スパイ・ゾルゲの顕彰盛んに ロシア ゆかりの地図、国防省へ

2019年11月29日 朝刊


20日、モスクワで開かれた贈呈式で公開されたゾルゲの地図と肖像画=ロシア国防省ホームページより

写真
 【モスクワ=小柳悠志】第二次大戦中に活動し、現在は多磨霊園(東京)に眠る旧ソ連スパイ、リヒャルト・ゾルゲを顕彰する動きがロシアで盛んになっている。今月に入り、日本で愛用していた地図が国防省に寄贈されたほか、極東では記念像が設置された。来年の対独戦勝七十五年の節目に合わせ、ゾルゲを英雄として評価することで戦中の挙国一致体制を国民にアピールする政治的意図があるようだ。

 「ゾルゲはソ連軍の作戦立案に重要な役割を果たした」。ロシアのショイグ国防相は二十日、モスクワで開かれた贈呈式で、所有していた対外情報局幹部から地図を受け取り、こう語った。

 地図は、日本共産党幹部の故志賀義雄などの所有を経てロシアにもたらされたというが、詳しい経緯を公表していない。高さ約百二十センチで東アジア周辺が描かれている。今後は国防省内に展示されるという。

 ゾルゲは旧ソ連アゼルバイジャンのバクー生まれ。ドイツ紙特派員として一九三三年に来日し、ナチスドイツの対ソ侵攻の正確な日時など、ナチスドイツや日本軍の動向をモスクワに伝えた。治安当局に逮捕され、四四年に死刑が執行された。ことしは没後七十五年に当たる。

 今月上旬にはウラジオストクでゾルゲ像が除幕されたほか、モスクワ郊外の公園でも足跡をたどる記念展が開幕した。にわかにゾルゲを称賛する動きが出てきたことについて、慶応大の広瀬陽子教授(国際政治)は「ソ連時代の英雄をたたえることで社会の統合を市民に再認識させようとしている」と分析。またロシア人ジャーナリストは「来年の終戦七十五年の節目を盛り上げるための準備だ」との見方を示す。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201911/CK2019112902000124.html

 


ロシアの共和国、酒販売禁止令へ 首長「火災、犯罪増える」

2019年11月29日 夕刊


 【モスクワ=小柳悠志】ロシア中部のバシコルトスタン共和国が正月の飲み過ぎを防ぐため、アルコール飲料の販売禁止令を出す方針を決めたと地元メディアが報じた。旧ソ連時代の酒の販売制限をほうふつとさせ、議論を呼んでいる。

 共和国首長(知事に相当)は長い正月休みに飲酒で火災や犯罪など「不幸な出来事」が増えると地元紙に説明。「住民を完全なしらふの状態に置くのは望んでいないが、せめて節度ある飲み方を保ってほしい」と語った。関連法案を議会で審議して正式に決まる。

 共和国政府によると商店は一月一、二日は平常通りアルコールを売れるが三日は販売禁止。四〜六日は日中の四時間のみ販売を認める。七日から平常の営業に戻る。同共和国ではこれまでも若者の日(六月二十七日)など年四日、酒類販売を禁止してきた。複数の日にまたがる制限は初。

 ソ連末期にはゴルバチョフ共産党書記長が主導し、全土でウオッカなどの酒類販売制限が行われたが、市民からは不評で密造酒も出回った。今回も地元紙ウファ・タイムのアンケートに市民の半数が反対している。

 バシコルトスタン共和国は、イスラム教を信仰するバシキール人が多く住む。


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米の香港人権法 中国「内政干渉」 報復辞さない構え(11月29日 朝刊)写真付き記事

https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201911/CK2019112902000263.html


ロシア政府 中距離弾道ミサイル禁止の考えに対する欧州の反応にコメント© Sputnik / Ilya Pitalev
政治
2019年11月30日 01:03(アップデート 2019年11月30日 06:31)短縮 URL0 0 0
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ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、欧州での中距離弾道ミサイル禁止の実施は交渉問題となっていると発表した。

ぺスコフ報道官は記者団に対し、「これはすべて交渉の問題だ。どの国も、軍備の管理という重要な分野で、なんらかの書類による、または法的権利の規制がないということでのロシアの懸念を共有しないと言うことはできない」と語った。

NATO INF全廃条約の禁止の証拠と認めず 米国のミサイル実験
© SPUTNIK / STRINGER
NATO INF全廃条約の禁止の証拠と認めず 米国のミサイル実験
9月末にロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国を含めた一連の国々に対し、欧州と他の地域での中距離弾道ミサイル禁止の実施に関する提案を呼びかけた。
以前、ロシアは米国に対し新戦略兵器削減条約(新START)の5年間の延長を提案している。

23日、プーチン大統領は、8月18日に米国が実施したミサイル発射実験によって、ロシアがそれ以前に掴んでいた、INF(8月2日に破棄)で禁止された兵器の生産を米国が行っているという情報が正しかったことが立証されたとする声明を表した。プーチン大統領は、ロシアは軍拡競争を招く構えにはないものの、国防省、外務省他の省庁に対し、シンメトリックな応答を用意する措置を構築するよう指示したことを明らかにしている。
https://jp.sputniknews.com/politics/201911306878127/


 

http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/819.html

[政治・選挙・NHK267] 北朝鮮、「本当の弾道ミサイル」で日本を脅す 安倍は「真の弾道ミサイルを遠からず、非常に近くで見ることになる」「ロケット砲とミサイルを見分けられない愚か者」
北朝鮮、「本当の弾道ミサイル」で日本を脅す

2019/11/30

BBC News


.北朝鮮外務省は30日、日本の安倍晋三首相を「無知」な「政治的小物」と罵倒する談話を発表した。北朝鮮が超大型放射砲(ロケット砲)だと発表した28日の発射実験を、日本政府が「弾道ミサイル」と批判したことに反発したもの。

安倍首相は28日夕、北朝鮮が日本海へ飛翔体2発を発射したことについて記者団に、「北朝鮮の度重なる弾道ミサイルの発射は我が国のみならず国際社会に対する深刻な挑戦だ」と非難した。

これを受けて朝鮮中央通信は30日、安倍首相が「遠からず、本当の弾道ミサイルがどういうものか、間近で見ることになる」と警告する政府談話を伝えた。

朝鮮中央通信はさらに、安倍首相を「完全な馬鹿者で、政治的小物」と呼び、「写真つき報道を見ておきながら、ロケット連射システムとミサイルの区別もつかない、史上最も愚かな男、世界唯一のまぬけだ」と罵倒した。

北朝鮮の核開発をめぐる米政府との交渉は、今年2月にヴェトナム・ハノイで開かれた米朝首脳会談が物別れに終わって以来、膠着(こうちゃく)状態が続いている。

ドナルド・トランプ米大統領と金正恩・朝鮮労働党委員長は今年6月、韓国と北朝鮮の間の非武装地帯で急きょ会談し、実務者協議の再開を約束し合った。実務者協議は10月にストックホルムで再開したが、成果のないまま終わった。

北朝鮮はアメリカに、交渉姿勢を年末までに変更するよう求めている。トランプ氏は9月に金委員長との4度目の首脳会談が近いと示唆するツイートをしたものの、北朝鮮側は明確な態度を示していない。

安倍首相は今年5月、日本人拉致問題の進展などの「前提条件なし」に金委員長との首脳会談実現を模索する考えを表明した。

しかし北朝鮮はこれに応じず、今月7日にも、自分たちが「超大型多連装ロケット砲」だったと主張する実験について、日本政府が弾道ミサイルの可能性が高いとの見解を示したことに強く反発。安倍首相を罵倒した上で、「安倍は永遠に、平壌の敷居をまたぐ夢など見てはならない」と述べていた。

(英語記事 North Korea threatens Japan with 'real ballistic missile')

提供元:https://www.bbc.com/japanese/50615720
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/18036

北朝鮮、日本を批判 「ミサイル近くで見ることに」
北朝鮮 政治 朝鮮半島
2019/11/30 12:30
「超大型多連装ロケット砲」の発射場面の写真。北朝鮮の朝鮮中央テレビが29日放映した=共同

【ソウル=細川幸太郎】北朝鮮の外務省日本担当副局長は30日、安倍晋三首相は「真の弾道ミサイルを遠からず、非常に近くで見ることになる」との談話を発表し、日本へのミサイル発射を警告した。28日に発射した「超大型多連装ロケット砲」を日本が弾道ミサイルと見なしたことで安倍首相を名指しで批判し、「両者の違いを知ることになる」と主張した。

北朝鮮の朝鮮中央通信が報じた。日本側は28日発射の飛翔(ひしょう)体を、国連安全保障理事会の決議で北朝鮮に発射を禁止している弾道ミサイルに当たるとして非難した。これに対して北朝鮮側が反発した形だ。談話では「ロケット砲とミサイルを見分けられない愚か者」と激しい表現で安倍首相を非難した。

北朝鮮は7日にも宋日昊(ソン・イルホ)朝日国交正常化交渉担当大使の談話で、超大型多連装ロケット砲について日本が弾道ミサイルだと主張していることを批判した。その際には、日本の上空を通過するミサイル発射を示唆し、日朝首脳会談は実現しないと警告していた。

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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52817710Q9A131C1NNE000/
http://www.asyura2.com/19/senkyo267/msg/725.html

[経世済民133] 文政権下で広がる格差、韓国「泥スプーン」組の絶望 韓国輸出12カ月連続マイナス 韓国電池メーカー訴訟合戦、世界のEV生産に支障か
トップニュース2019年12月1日 / 08:02 / 1日前更新
アングル:文政権下で広がる格差、韓国「泥スプーン」組の絶望
Hayoung Choi Ju-min Park
3 分で読む

[ソウル 27日 ロイター] - ファン・ヒョンドンさんは、自身が通うソウル市内の大学キャンパスに近い6.6平方メートルの小部屋で暮らしている。浴室とキッチンは共同、米飯だけは無料で食べられる。家賃は月35万ウォン(302ドル)だ。


こうした「コシウォン(考試院)」と呼ばれる施設に並ぶ貧相な部屋は、以前はもっぱら、公務員試験のため一時的に缶詰め状態で勉強をしようという、あまり裕福でない学生が利用する場所だった。

だが昨今は、ファンさんのような貧しい若者の恒久的な住まいになる例が増えている。ファンさんは「泥スプーン」組の1人を自称する。「泥スプーン」とは、社会的な成功をほぼ諦めた低所得世帯の出身者を指す言葉だ。

「一生懸命頑張って、いい仕事を見つけられれば、家を買えるようになるだろうか」。 衣類がベッドに積まれた、狭苦しい雑然とした部屋で暮らす25歳のファンさんは「そもそも私の力で、ただでさえ大きな格差を縮めていけるだろうか」と言う。

低所得世帯の出身者を意味する「泥スプーン」組と、裕福な家庭の子息を示す「金スプーン」組という言葉はよく知られているが、ここ数年、急速に政治的な場面で口にされるようになり、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持を押し下げる要因になっている。

文在寅氏は、社会的・経済的公正を公約に掲げ、2017年に大統領の座に就いた。だが、5年の任期も半ばになろうというのに、格差拡大という重荷を背負わされた韓国の若者に対して、ほとんど成果を示せないままだ。

文政権になって以来、逆に所得格差は拡大している。公式統計によれば、最上位層と最下位層の所得格差は、文大統領就任前の4.9倍から5.5倍に上昇した。

メディア論を研究する大学3年のファンさんによれば、「泥スプーン」組には自分を含め、以前であれば懸命に努力すれば何とかなると考えがあった。しかし、゙国(チョ・グク)前法相をめぐる汚職疑惑が彼らの怒りに火をつけた。

゙前法相と大学教授である彼の妻は、2015年、自分の娘を医学部に入学させるために自らの地位を利用したとして告発された。

゙氏は自分が恵まれた階層の出身であり、社会正義の追求をモチベーションとするいわゆる「江南左派」であることを自認しているが、そうしたアプローチは反発を買い、就任後わずか1ヶ月の10月に辞任した。同氏の妻も、文書偽造や金融詐欺の容疑で告訴されている。

<食事も簡素に>

このスキャンダルは文政権発足以来最大となる抗議行動を数次にわたって引き起こしたが、生活に苦しむ多くの若者にとっては、裕福な家庭の出身者が両親の地位と資産の助けを借り、さらに優位に立つという実態を暴露する結果となった。

9月、求人情報サービス企業のサラミンが3289人を対象に行った調査では、回答者の3分の2が、親の状況が子どもの成功にとって重要であると答えている。

やはり「コシウォン」の小部屋で暮らす26歳のキム・ジェフンさんは、「スタートラインが違うという点について文句を言うことはできない」と話す。

「だが、不正なやり方で支援を得ている人がいるというのは腹が立つ。私が働かなければいけないときに勉強している人がいるのは構わない。私が怒っているのは、彼らが不正な手助けを得ているからだ」

キムさんは学校の近くのバーでパートタイムのウェイターとして働いており、1ヶ月40万ウォンで家賃、食費、小遣いをまかなっている。

食事はたいてい共有のキッチンで作る「カップライス」、つまり米飯と卵、タマネギ半個分といった基本的なトッピングとソースだけの簡素な料理だ。

キムさんのような低所得層の有権者の「文政権離れ」は、過去に類を見ないペースで進んでいる。

韓国ギャラップが行った世論調査では、19〜29歳の有権者による文政権支持率は、2017年6月の90%から今年10月には44%まで急落した。低所得層と見なされる有権者のあいだでの支持率は、2017年半ば以降、44ポイント低下している。

「文大統領は機会平等、公正な競争、正義について語ってきた。だが私は裏切られたように感じる。現在の状況は、彼が約束してきたものとは大きく異なっているからだ」と大統領選で文氏に投票したファンさんは言う。

文大統領が若年労働者のための雇用機会と社会正義の向上に努めるなかで、年長の労働者も危機感を抱いている。

先週テレビ中継された対話集会のなかで、文大統領は、これまでの公約が未達成であることを認め、若年層の支持率低下は、自分が若者たちを落胆させた証拠であると述べた。

<大衆文化にも反映>

「泥スプーン」と「金スプーン」という考え方は、近年、ポップカルチャーにも影を落としている。

社会の両極端の階層に位置する2つの家庭を描いたポン・ジュノ監督の映画「パラサイト」は、国内外で大成功を収め、カンヌ映画祭で最高賞パルムドールを獲得、アカデミー賞でも最優秀作品賞にノミネートされた。

デジタルコミックの人気ファンタジー作品「金のスプーン」は、貧しい少年が、魔法の「金のスプーン」で食事をすることにより、自分の家族を金持ちの友人の家族と交換してしまう話で、まもなくテレビドラマとしてシリーズ化される。

デビュー当初に苦労したことで「泥スプーンのアイドル」として知られる人気男性グループBTSまでもが、持ち歌の「FIRE」で「私をスプーンと呼ばないで、私はただの人間だ」と歌い、社会的分断と戦う姿勢を見せる。

子どもの最初の誕生日には豊かな生活を願って金の指輪を贈るのが伝統だったが、今や金のスプーンがプレゼントとして人気を博している。

こうした大衆文化のなかで「金スプーン/泥スプーン」が描かれているという事実こそ、「持たざる者」たちの苦い絶望感を反映している、と語るのは、若年求職者と非正規労働者を支援する市民団体「Youth Taeil」のキム・ジョンミン代表。

「文政権・与党の有力者たちは改革者を自任しているにもかかわらず、低所得階級の苦しみには耳を傾けない、旧来どおりの政治家でしかない」と同氏は言う。

(翻訳:エァクレレーン)
https://jp.reuters.com/article/southkorea-politics-dirtspoon-idJPKBN1Y301J


東京外為市場ニュース2019年12月2日 / 07:09 / 37分前更新
韓国輸出、11月は12カ月連続マイナス 米中貿易摩擦が重し
Reuters Staff
1 分で読む

[ソウル 1日 ロイター] - 韓国政府が1日発表した11月の輸出は前年同月比14.3%減と、市場予想以上の落ち込みを記録、12カ月連続のマイナスとなった。半導体の国際価格下落や、最大の輸出相手国である中国向けが引き続き減少した。およそ4年間で2番目の大幅な落ち込みとなった。

ロイターがまとめた市場予想の中央値は10.2%減だった。輸出のマイナス幅は最も悲観的な予想の11.1%減よりも大きかった。

ハナ・フィナンシャル・インベストメントのエコノミスト、Chun Kyu-yeon氏は「米中の第1段階の通商合意を巡る楽観的な見方が実際に輸出を押し上げるまでには時間がかかるだろう。きょうの弱いデータは輸出の回復が予想よりも長引いていることを示している」と語った。

中国向け輸出は12.2%、半導体の輸出は30.8%、それぞれ減少した。

11月の輸入は前年比13.0%減少。こちらも市場予想(11.9%減)よりも大幅なマイナスとなった。

11月の貿易収支は33億7000万ドルの黒字。10月は53億4000万ドルの黒字だった。

1─11月の輸出は前年同期比10.7%減少。通年では、世界的な金融危機の最中だった2009年(13.9%減)以来最悪のパフォーマンスとなる見通しだ。
https://jp.reuters.com/article/china-economy-pboc-idJPKBN1Y51EH


 


ビジネス2019年11月30日 / 08:10 / 2日前
焦点:韓国電池メーカーが訴訟合戦、世界のEV生産に支障か
Hyunjoo Jin and Heekyong Yang
3 分で読む

[ソウル 27日 ロイター] - ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)(VOWG_p.DE)が米国で生産する電気自動車(EV)用の電池を巡る数十億ドル規模の受注競争で昨年、韓国のSKイノベーション(SKI)(096770.KS)は規模が上手の同国LGケム(LGC)(051910.KS)を打ち負かした。

SKIは今年3月には米ジョージア州コマースで、総工費17億ドルをかけて建設する電池工場の起工式を鳴り物入りで実施。そこから約200キロ離れたVWのテネシー州チャタヌーガ工場が、米国におけるVWのEV生産拠点となる。

しかし、LGCには腹案があった。

VWからの受注競争に敗れた上、ソウルの漢江を挟んでにらみ合う宿敵SKIに77人の従業員を奪われたLGCは4月になって、企業秘密を不正入手したとして米国でSKIを提訴した。

それから7カ月後。両社は電池の特許侵害を巡り米国で互いを提訴した。血で血を洗う確執の成り行き次第では、世界最大級の自動車メーカー数社のEV発売に混乱を来しかねない。

ロイターが確認した提訴書類によると、両社が互いに求めているのはテネシー州のVW工場で製造予定のSUV(スポーツ用多目的車)のほか、ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)の「シボレー・ボルト」、フォード・モーター(F.N)の各種ピックアプトラック、ジャガー・ランドローバー(NSUG.DE)の「I―PACE」、VW傘下アウディの「e-tron」、起亜自動車(000270.KS)の「Niro(ニロ)」といったEV用の電池の輸入および販売の停止だ。

韓国企業が米国でEV用電池を供給できるかどうかが、この係争に掛かっている。折しも自動車メーカー各社はEV用電池の需要急増を見据え、納入を確保しようと競って高額の契約を結んでいる。

「両社が和解しない限り、係争に敗れた方が致命傷を負うことになる。自動車メーカーにとっても手痛い事態だ」と蔚山科学技術大学校のCho Jae-phil教授は言う。

フォードの広報ジェニファー・フレーク氏はロイターへの電子書面で、LGCとSKIが法廷で争わずに対立を解消するのが望ましいとし、複数の電池メーカーが共存できるだけの需要があるはずだと指摘。「問題は承知している。当然のことながら、当社は自社の利益を守るために事業継続計画(BCP)を備えている」とした。

GMの広報パトリック・モリセー氏は、係争を承知しており、現時点でEV型シボレー・ボルトの生産への影響は予想していないと述べた。

起亜、ジャガー、VWの各社はコメントを控えた。

<企業秘密>

VWは、今後5年間に発売予定のすべてのEVを考えた場合、電池が足りなくなるのではないかと危惧している。LGCや中国の寧徳時代新能源科技(CATL)(300750.SZ)といったEV用電池メーカーが、欧州の新規工場における急激な増産に対応できる数の熟練労働者を抱えていないことが、その一因という。

韓国の電池産業調査会社SNEリサーチによると、世界のEV用電池市場は2025年まで年間23%拡大して1670億ドル規模に達し、その時点のメモリーチップ市場の1500億ドルを超える見通し。電池はEVを構成する最も高価かつ重要な要素だ。

LGCは訴状で、VW向けEV用電池プロジェクトに携わっていた社員をSKIが引き抜いたと主張。SKIがVWから契約を獲得できたのは、企業秘密を不正入手したからこそだと訴えている。

SKIは、従業員は前の職場で得た情報を使わないという契約に署名しているとして、企業秘密の盗用を否定。広報担当者は「当社は知的財産を尊重する」と述べた。

この問題で、米国際貿易委員会(ITC)は来年6月5日に仮決定を下す。決定がLGCに好意的な内容となれば、SKIがジョージア州もしくはハンガリーの新工場からVW米工場に電池を供給する計画は頓挫しかねない。

LGCは今年4月、ITCに対し、SKIが電池、部品、製造システムを米国に輸入するのを差し止めるよう求めた。このシステムを用いた米国での生産は22年に始まる予定だ。

SKI広報は、米国工場の建設計画に変更はないと説明。年間の電池生産能力はEV20万台分を超える予定だとした。提訴を巡り、供給に影響が出るかなどの問い合わせを顧客から受けているとした。

LGCによると、ITCによる最終決定は来年10月5日になる可能性があるが、LGCは今月、SKIへのいわゆる「欠席裁判」を早急に下すようITCに要請した。

ロイターはITCにコメントを求めたが、返答は得られていない。

<漁夫の利>

11月27日、ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が米国で生産する電気自動車(EV)用の電池を巡る数十億ドル規模の受注競争で昨年、韓国のSKイノベーション(SKI)は規模が上手の同国LGケム(LGC)を打ち負かした。写真はSKIのロゴ。ソウルで2017年2月撮影(2019年 ロイター/Kim Hong-Ji)
両社の訴状によると、米国の特許侵害訴訟で敗れた企業は、その特許を用いた製品の米国での販売を禁じられる可能性が高い。敗訴するのは1社の場合も、両社の場合もある。

両社は韓国でも互いを提訴した。

LGCは書面で、当該の特許を用いたデザインは不可能になると説明。SKIは、特許訴訟に負ければ同社の電池事業は「大打撃」を受けかねないとしている。

両社とも、現時点で供給に支障は来していないと説明した。

EV用電池業界で最初に頭角を現したのはLGCだった。08年には、世界初の大衆市場向けプラグインハイブリッド車となったGMのボルトに電池を供給する契約を確保。以来、テスラ(TSLA.O)を含むほぼすべてのEVメーカーと取引関係を持った。

しかしLGCは従業者の大量流出と格闘してきた。報告によると、16年から18年にかけて1258人が他社に移籍。LGCはロイターに対し、16年以降にSKIに転職した人数は累計で訴訟を起こした今年4月時点の77人から、今では約100人に増えたと説明した。

両社の激しい確執に、韓国政府の当局者らも頭を抱えている。両社の評判に傷が付き、他国のライバル企業が漁夫の利を得て韓国企業からシェアを奪いかねないからだ。

韓国議員らは政府に介入を要請。成允模・産業通商資源相は10月、係争を注視しており、「国全体にとってプラスの結果」をもたらすため、いつ、どんな役割を果たせるか検討していくと述べた。

電池コンサルタントのビージェイ・キム氏は、VWが仲裁に入る必要があるかもしれないと言う。LGCとSKIの対立は電池供給を混乱させるだけでなく、VWにとっての納入業者同士が競争するのを阻害する恐れがあるからだ。

「だれ1人として両社の徹底抗戦を望んではいない」とキム氏は語った。
https://jp.reuters.com/article/autos-batteries-southkorea-idJPKBN1Y10FS
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/748.html

[経世済民133] 日本の劣化が止まらない「所得格差」が人の心と社会を破壊する 幼保無償化に「3歳格差」 同じこども園の子、年数十万円差も「人生会議」は高齢者の「経済格差」にも配慮すべき 崖っぷちの韓国経済 深刻化する経済格差問題に憤る国民
日本の劣化が止まらない、「所得格差」が人の心と社会を破壊する
永田公彦:Nagata Global Partners代表パートナー、パリ第9大学非常勤講師
国際・中国 永田公彦 パリ発・ニッポンに一言!
2019.12.2 4:35
昨今日本でも、非人道的な暴力事件が目立つこともあり、人の心や社会の状態が悪くなっていると感じる人が多いといいます。確かにこうした劣化を示すデータは多くあります。その背景にあるのが格差の拡大です。格差は、人と社会の健康を蝕みます。そして今世界各地で見られているように社会の分断、暴動、革命、戦争に発展します。既に劣化の段階に入っている日本…このファクトを認識し、格差是正に向けた国民的議論が期待されます。(Nagata Global Partners代表パートナー、パリ第9大学非常勤講師 永田公彦)
所得格差の大きさと社会問題の発生は正比例する
「所得格差」と「人と社会の健康状態」の相関関係を示した調査研究は多くあります。その中で本稿では、体系的かつ国際的なものとして、英国の経済学者で公衆衛生学者でもあるリチャード・ウィルキンソンの研究を示します。
 すでにご存じの方もいると思いますが、図1は、2009年に彼のチームが発表したデータです。横軸は、所得格差で、右に行くほど格差が大きい国です。縦軸は人と社会の健康状態で、上に行くほど悪く、社会問題が深刻な国です(枠線内のさまざまな指標を用い総合的に算出)。
 これを見ると、「所得格差」と「社会問題」が見事に正比例していることがわかります。調査対象国中、最も格差が少なく人の健康も社会の状態も良いのが日本、その正反対にあるのがアメリカです。
◆図1 所得格差が大きくなるほど、人の健康も社会問題も悪化する

出所:Wilkinson & Pickett, The Spirit Level (2009)  ※一部筆者による日本語訳を加筆 拡大画像表示

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日本は10年たらずで格差が広がり高格差国に仲間入り

小格差国から中格差国へ、そして超格差国の仲間入り?
 図2は、図1の所得格差(横軸)を対象国別にならべたものです。上位20%の富裕層の平均所得を下位20%の貧困層の平均所得で割った所得倍率です。情報源は、国連開発計画・人間開発報告書で示された2003〜06年のデータです(ウィルキンソン氏に確認済み)。
 そこで、筆者が同じ情報源にある最新データ(2010〜17年)を用いて、所得格差を国際比較したのが図3です。日本は3.4倍から5.6倍と、10年たらずで格差が広がり、右側の高格差国に仲間入りしていることがわかります。
◆図2 所得上位20%の人は、下位20%の人より、どれほど金持ちなのか?(2003〜06年データ)

拡大画像表示
◆図3 所得上位20%の人は、下位20%の人より、どれほど金持ちなのか?(2010〜17年データ)

出所:United Nations, Development Programme, Human Development Indicatorsより筆者がグラフ化 拡大画像表示
格差拡大で日本の劣化が進んでいる
 ウィルキンソン氏の研究結果に従うと、日本では格差が拡大した分、人の健康も社会問題も悪化しているはずです。これを同氏が当時使った統計データの最新版で確かめたいところです。しかし残念ながら継続的にとられていないデータも多く、変化を正しく捉えられないため、別のデータに目を向けてみることにしましょう。
 すると、確かに昨今の日本の劣化を示すものは多くあります。例えば、精神疾患による患者数は、2002年の約258万人から2017年には419万人に(厚生労働省・患者調査)、肥満率も、1997年の男性23.3%・女性20.9%から2017年には男性30.7%・女性21.9%と増えています(厚生労働省・国民健康栄養調査)。
 ここ20年間(1996年〜2016年)の刑法犯の認知件数を見ると、戦後最多を記録した2002年以降は全般的に減少傾向にあるものの、犯罪別では悪化しているものが多くあります。傷害は約1万8000件から約2万4000件に、暴行は約6500件から約3万2000件に、脅迫は約1000件から約4000件に、強制わいせつが約4000件から約6000件に、公務執行妨害が約1400件から約2500件に、住居侵入が約1万2000件から約1万6000件に、器物損壊が約4万件から約10万件に、それぞれ増加しています。
 また2013年あたりから振り込め詐欺の増加に伴い、詐欺事件が約3万8000件から約4万3000件に増えています(法務省・犯罪白書)。こうした犯罪の増加も影響してか、他人を信用する割合も、2000年の40%から2010年には36%に低下しています(World Values Survey)。さらに、日本人の国語力や数学力の低下を指摘する調査や文献も多くでてきています。

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格差が社会の分断、暴動、革命に発展

格差はやがて社会の分断、暴動、革命に発展
 格差の拡大は、人々の倫理観の低下を招き、犯罪、暴力やハラスメント事件を増やし、ストレスと心の病を持つ人を増やします。それに伴い、社会全体が他人を信用しない、冷たくギスギスしたものになることは前述したとおりです。また、格差が人の幸福感を低くするという研究もあります(Alesina et al 2004, Tachibanaki & Sakoda 2016等) 。
 さらに格差が、社会の分断、暴動や革命を引き起こすことを示す歴史上の事実は多くあります。例えばフランス革命です。国民のわずか2%の権力者(王室家系、高僧、貴族)が国の富と権力を握り続けたあげくに起きた、社会のあり方を大きく転換させた歴史的な出来事です。
 また所得格差が異なる宗教、民族、地域アイデンティティ、政治的イデオロギーと重なるとさらに厄介です。紛争が起きる可能性、そのパワーや社会へのインパクトが、一気に高まるからです(オスロ国際平和研究所調査2017)。
 例えば、今の香港はその典型例です。一昨年には過去45年間で格差が最大に広がっています(所得格差を表す指標の1つジニ係数が、アメリカの0.411を超え0.539まで拡大)。これに、地域アイデンティティ(香港人と中国人)、政治的イデオロギー(自由民主主義と一党独裁社会主義)という2つの要素が重なるため、問題が根深いのです。
 この点では、日本も他人事ではいられません。個人間の格差は前述の通り短期間で拡がっています。また、「大都市圏と地方」、「正規と非正規雇用者」などグループ間格差も顕著になっています。もしこれが日本以外の国ならば、暴動や革命が起きてもおかしくない状態です。今こそ、こうした格差と社会の劣化を客観的かつ真剣に捉え、国民的議論を起こすべきではないでしょうか。なぜならば、民主主義社会における変革は、国民的議論と意思表示が出発点になるからです。
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「人生会議」は高齢者の「経済格差」にも配慮すべき
石田雅彦 | ライター、編集者
11/30(土) 14:09
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(写真:アフロ)

 人生をどう終えるのか。本人の揺れ動く気持ちや考え方を受け止め、とりわけ高齢者に寄り添いながら家族を含めた医療者などで共有することの重要性に注目が集まっている。最新の調査研究から、そうしたことを容易に語り合えない環境にある高齢者の存在も浮き彫りになった。

なかなかしにくい「人生会議」
 人が自分の人生に関し、どういう医療や介護を受けたいのか、どういう死に方(End-of-Life、EOL)をしたいのかといったことを日常的に家族や知人、医療関係者などと語り合っておくACP(アドバンス・ケア・プランニング)が、高齢化の進展に伴って議論されるようになっている。

 厚生労働省は、わかりにくいこのACPという略語を2018年に「人生会議」という愛称に変更したが、この人生会議の普及啓発ポスターをめぐってネット上を中心に話題になった。

 どう生きたいのか、どう死にたいのかといったことを他者と語り合うことは、自分の人生を見つめ直す意味でも、またその人の意志を尊重したいと考えている人にとっても重要なことだろう。

 米国の調査研究によれば、約70%の高齢者が人生の終焉時に自分の意志決定ができておらず(※1)、本人と家族の間で治療や死に関してしばしば解釈に齟齬が生じていることがわかっている(※2)。そうした会話がなかった場合、例えば本人の意思が伝えられないような状況になったとき、延命治療の可否などに関して家族が思い悩むことにもなりかねない。

 自分の死に方に関して近親者や友人知人と語り合うということは、死に関する話題への抵抗や難しさがあって海外でもあまり他者に伝えていないし(※3)、死生観や宗教観の影響もあってか日本でもまだ広がってはいない。

 だからこそ厚生労働省が普及啓発活動を行っているのだが、経済格差が広がる日本で、社会から疎外されたり孤立したりする人にとって、いわゆる人生会議をしようにもできないこともあり、活動の理念からもそうした人を取りこぼさないようにするべきだろう。

経済状態の悪い男性で低い割合に
 今回、福島県立医科大学などの研究グループが、福島県郡山市に居住する65歳以上の高齢者3000人(女性1699人、男性1301人)を対象に、健康状態・主観的な幸福度・主観的な経済状態・配偶者(65歳未満か以上か)の有無・家族(1人以上の子ども、その他)との同居かどうかといった項目と、自分の死に方について家族や親しい友人と会話をしたかどうか(はい・いいえ)の関係についてアンケート調査(2017年1月)を行い、2206人(女性858人、男性717人、平均年齢74.0歳、早期高齢者909人、後期高齢者666人)から回答を得て、その結果を発表した(※4)。

 その結果、最も多かったのが、65歳以上の配偶者あり32.7%、経済状態「公平」62.9%、健康状態「良好」70.5%、既往症か現在治療中の病気「高血圧」43.2%、自分の死に方についての会話「いいえ」52.1%だったという。

 自分の死に方についての会話と各項目との関連をみると、性別、主観的な経済状態、主観的な幸福度で関連があり(※5)、特に経済状態では「いいえ」、つまり女性のほうが男性よりも自分の死に方について家族や親しい友人と会話し、会話していない割合は「公平」で最も低く(49.5%)、「貧しい」(58.6%)「ひじょうに貧しい」(60.6%)と経済状態が悪くなるほど自分の死に方について語り合いがなくなっていくことがわかった。

 つまり、主観的に経済状態が悪く、主観的な幸福度が低いと感じている高齢者で、自分の死に方について家族や親しい友人と会話する機会が少ないということになる。

 日本の過去の調査研究(※6)では経済状態が良好な高齢者ほど社会とのつながりが強く、そうしたことも影響しているのではないか、ものごとを先延ばし(Procrastination)にする性向と幸福度には関連があり、自分の死に方についての会話もそうした理由から幸福度の低い人が先延ばしにするのではないかと研究グループは考えている。

 そして、自分の死に方について家族や友人などと会話することは、その人の死生観を共有することでACP(人生会議)にも寄与するのではないかという。米国の調査研究でも、ACPの実行と経済状態の低さには関係があることがわかっているが(※7)、研究グループは、高齢者に対して自分の死に方についてあらかじめ家族や友人などと会話するよう勧めるためには、その人の性別や環境などに配慮すべきかもしれないといっている。

※厚生労働省「人生会議」してみませんか

※1:Maria J. Silveira, et al., "Advance Directives and Outcomes of Surrogate Decision Making before Death." The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE, Vol.362, 1211-1218, 2010

※2:Katherine A. Rafferty, et al., "Managing End-of-Life Uncertainty: Applying Problematic Integration Theory to Spousal Communication About Death and Dying." American Journal of Hospice and Palliative Medicine, doi.org/10.1177/1049909114550675, 2014

※3:Leah M Omilion-Hodges, Mathan M. Swords, "Communication Matters: Exploring the Intersection of Family and Practitioner End of Life Communication." behavioral sciences, Vol.7(1), 2017

※4:Tomoo Hidaka, et al., "Disparity in pre-emptive end-of-life conversation experience caused by subjective economic status among general Japanese elderly people: a cross-sectional study with stratified random sampling." BMJ Open, Vol.9, Issue10, 2019

※5:性別:女性OR=1.907; 95% CI=1.556 to 2.337; p<0.001、経済状態OR=0.832; 95% CI=0.716 to 0.966; p=0.016、幸福度OR=0.926; 95% CI=0.880 to 0.973; p=0.003

※6:Yuta Nemoto, et al., "Factors that promote new or continuous participation in social group activity among Japanese communitiy-dwelling older adults: A 2-year longitudinal study." Geriatrics Gerontology, Vol.18, Issue8, 1259-1266, 2018

※7:Krista L. Harrison, et al., "Low Completion and Disparities in Advance Care Planning Activities Among Older Medicare Beneficiaries." JAMA Internal Mediceine, Vol.176"12", 1872-1875,2016

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石田雅彦
ライター、編集者
いしだまさひこ:医科学修士(MMSc)。近代映画社で出版の基礎を学び、独立後はネットメディア編集長、紙媒体の商業誌編集長などを経験。ライターとして自然科学から社会科学まで多様な著述活動を行う。横浜市立大学大学院医学研究科博士課程在学中。JASTJ会員。元喫煙者。サイエンス系の著書に『恐竜大接近』(集英社、監修:小畠郁生)、『遺伝子・ゲノム最前線』(扶桑社、監修:和田昭允)、『ロボット・テクノロジーよ、日本を救え』(ポプラ社)など、人文系著書に『季節の実用語』(アカシック)、『おんな城主 井伊直虎』(アスペクト)など、出版プロデュースに『新型タバコの本当のリスク』(著者:田淵貴大)などがある。

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幼保無償化に「3歳格差」 同じこども園の子、年数十万円差も
2019/12/1付日本経済新聞 朝刊
保存 共有その他
10月に始まった幼児教育・保育の無償化を巡り、保育園と幼稚園の機能を併せ持つ認定こども園で「3歳児格差」の問題が浮上してきた。幼稚園は満3歳から教育費が無料だが、保育園は年度末まで保育料が有料だからだ。同様のサービスを受けながら年数十万円の負担差が生じ得る。縦割り行政の矛盾が保護者に不公平感を広げそうだ。

小学校入学前の子どもが通う施設には保育園、幼稚園、認定こども園の3つがある。厚生労働省所管…
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO52783760Z21C19A1EA1000/


 



崖っぷちの韓国経済 深刻化する経済格差問題に憤る国民
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2019年12月2日 5時0分
ざっくり言うと
GDP成長率の低下に伴い、韓国では政府に対策を求める声が高まっているそう
だが文在寅大統領は経済軽視・南北統一優先の姿勢を改める兆しがないと筆者
経済格差が深刻化するおそれもあり、国民の「我慢の限界」は近いのではとも
【真壁昭夫】韓国経済いよいよ崖っぷち、国民はついに「我慢の限界」を迎えた 格差拡大に若者は憤る
2019年12月2日 5時0分 現代ビジネス
【真壁昭夫】韓国経済いよいよ崖っぷち、国民はついに「我慢の限界」を迎えた 格差拡大に若者は憤る
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韓国では、GDP(国内総生産)成長率の低下に伴い、国民の間で政府に経済対策を求める声が高まっているという。

特に、失業率が高く厳しい雇用情勢に直面している若年層の中では、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対し、すぐに効果が実現できない“南北統一”よりも、より身近な問題である経済対策を優先するよう求める人が増えつつあるようだ。

最近実施された一部の世論調査からもその傾向は確認できる。

それにも拘らず、文大統領は、これまでの経済軽視・南北統一優先の政策運営姿勢を改めようとする兆しが感じられない。

徐々に、若年層中心に我慢の限界に近付いているとみられる。

また、目先の景気下支えを目指して韓国銀行(中央銀行)が進めてきた利下げも限界を迎えつつある。

文政権が国内の雇用情勢などを改善できないようだと、韓国経済の実力は低下するとともに、世代間・地域間の経済格差の問題はこれまでにまして深刻化する恐れがある。

〔PHOTO〕Gettyimages

さらに厳しい状況を迎えつつある韓国経済
11月29日、韓国銀行は金融通貨委員会を開催した。

声明文などを見ると、韓国銀行は先行きの経済環境に関して、これまで以上に警戒感を強めていることが確認できる。

政策金利水準は1.25%と過去最低だ。追加の利下げ余地は限られている。

この状況下、政府に抜本的な経済対策の発動を求めるというのが中央銀行の本音といってよいだろう。

7月以降、韓国銀行は、韓国経済の悪化を食い止めるために利下げを行ってきた。

7月には1.75%から1.50%に政策金利が引き下げられた。

10月には追加利下げが行われ、政策金利は過去最低水準に引き下げられた。

11月の会合では追加利下げが見送られた。

韓国の議会〔PHOTO〕Gettyimages

韓国銀行のそうした金融政策の背景には、韓国経済の減速を受けて同行の経済予測が悪化していることがある。

韓国銀行は2019年と2020年のGDP成長率予想を引き下げた。

韓国経済は輸出比率が高いこともあり、海外要因に影響される側面が大きい。

そうした状況下、中国経済の減速や米中の貿易摩擦などの要因で、韓国経済が自律的かつ持続的な成長率の回復は想定しづらいというのが中銀見解といえる。

さらに韓国銀行は、輸出を中心に今後の経済の不確定要素が増えているとの見解も示した。

すでに、韓国国内ではディスカウントストアの売り上げが鈍化するなど、内需冷え込みの兆候も出つつある。

対中輸出の落ち込みから韓国の生産活動も鈍化している。

韓国の雇用・所得環境が一段と悪化し、デフレ懸念が高まる展開は軽視できない。

〔PHOTO〕iStock

深刻化する経済格差問題
内需の落ち込み懸念が高まる中、おそらく文政権は財政出動を増やさざるを得ない状況に追い込まれるだろう。

それが実現すると、一時的にGDP成長率を一時的に押し上げる可能性がある。

ただ、その効果が長い期間持続するとは考えづらい。

文政権が成長分野に経営資源が再配分されやすい環境を整備し、経済全体の効率性向上につながる政策を目指すとは想定しづらいからだ。

文政権の政策は、すでに経済的な富や力を持つ個人・組織には追い風になっている部分があるのだろう。

一例として、景気減速にもかかわらずストライキを行い、既得権益の強化を狙う労働組合が目立つ。

この環境下、大学生などの若者が経済的な富を手に入れ、満足のできる人生を思い描くことは難しいだろう。

既得権益層に富が集中しやすい状況が続くと、格差は拡大し、それが固定化される恐れがある。

その結果、「努力しても無駄」、「選択肢が奪われている」というように、将来をあきらめたり、不満を募らせたりする人が増えやすい。

それは、社会全体の利害を調整し、国が向かうべき方向を示すという政治の機能を低下させる一因になり得る。

日常生活が次第に苦しくなっていることなどを受けて、今後も、文政権に抜本的な経済対策を求める人は増えていくだろう。

一方、文大統領はそうした要請に耳を傾けるよりも、むしろ一貫して“南北統一”にこだわり続けることだろう。

文氏の政策スタンスで韓国が経済を立て直し、社会の安定を目指すことができるか否かはかなり不透明といわざるを得ない

現代ビジネス

外部サイト
韓国からいよいよ資金が流出…急激な「ウォン安」のウラで起きたこと
日本人だけが知らない「日本の強さ」の正体…アジアで見た意外な現実
韓国・文在寅政権の誤算…狂った日韓の「コンノリペ」が招く泥沼
「韓国の話題」をもっと詳しく

ハリス駐韓米国大使「文大統領は従北左派に…」発言に波紋
GSOMIA延長、国民を誤解させる韓国 「都合のいい報道」続く
「服を脱げ」ク・ハラさんの死去を巡り韓国で女性団体が司法に抗議
https://news.livedoor.com/article/detail/17463898/
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/751.html

[国際27] 影の支配者”イランに深刻な打撃、イラク首相辞任の背景 イラクでまた領事館に放火 デモ2カ月、後任選びは難航か
“影の支配者”イランに深刻な打撃、イラク首相辞任の背景

2019/12/01

佐々木伸 (星槎大学大学院教授)

 イラクで反政府デモが吹き荒れる中、アブドルマハディ首相が11月29日辞任すると表明した。イラクでは政治改革などを要求する若者らのデモが全土に拡大、治安部隊との衝突で400人以上が死亡しており、首相は事実上、辞任に追い込まれた格好だ。だが、最も深刻な打撃を受けたのは同首相を誕生させたイランだ。


アブドルマハディ政権を批判する市民(AP/AFLO)
長く育てた“資産”
 10月初めから続くイラクのデモは当初、進まない政治改革や広がる汚職・腐敗、高い失業率、未整備のインフラなどへの不満によるものだった。だが、次第にイラクを事実上支配するイランへの怒りに変わった。イランがイラクの政治、経済を牛耳り、石油収入などのイラクの富を奪っているという理由だ。

 それが具体的に示されたのが相次ぐイラン領事館への襲撃だ。11月4日には聖地カルバラにある領事館にデモ隊が殺到し、火炎瓶などを投げつけ、建物の一部が損傷した。11月27日には、今度は同じ中部の聖地ナジャフにあるイラン領事館が襲われ、放火された。現地からの報道によると、治安部隊が催涙弾や実弾を発射し、数十人が死傷した。

 暴力が全土に拡大する事態に、シーア派の最高指導者シスタニ師は「これ以上イラク人の血が流れないようにするための方策を検討すべきだ」と呼び掛け、アブドルマハディ首相が声明で辞意を表明した。国会は一両日中にも辞表を受理し、新たな首相選びが始まる見通しだ。

 しかし、首相選びは各派の利害に直結するため、簡単にはいかない。水面下では利権の配分が話し合われることも多い。アブドルマハディ首相の場合は、首相選びに約1年かかった。イラン革命防衛隊のエリート部隊「コッズ」の司令官ソレイマニ将軍が各派に寝まわしてしてやっとアブドルマハディ政権発足にこぎつけた経緯がある。イラクに駐留する米国はこれに暗黙の了承を与えた。

 米ニューヨーク・タイムズが入手した公電のコピーによると、アブドルマハディ氏はサダム・フセイン独裁政権当時からイランと気脈を通じていたことが明らかになっている。逆を言えば、ソレイマニ将軍は長い時間をかけてイラク内部に“イランの資産”を育て、昨年10月に遂にアブドルマハディ氏を首相に就けたわけだ。首相が辞任すれば、その貴重な投資が無に帰してしまう。“影の支配者”イランが最も打撃を受けることになる理由だ。

イランでもデモ「革命以降で最も深刻」
 しかし、アブドルマハディ首相が辞任しても反政府運動は収まりそうにない。シーア派最大の勢力の指導者であるサドル師は首相の辞任発表に対し「これは反政府運動の最初の結果でしかない」「辞任は腐敗の終わりではない」「新首相は国民投票で直接選ばれるべきだ」などとデモを続けるよう呼び掛けている。

 イラク政府はネットを遮断し、スマホを通じてデモが動員されないよう措置を講じているほか、デモに好意的な地元のテレビ局などメディアを弾圧、閉鎖した。また全国各地に「危機管理センター」という新しい組織を設置するなど、沈静化を図っている。だが、バグダッドの中心部には今も若者があふれ、若者らの行動に共鳴する市民らも多い。

 こうしてイラクに影響力を行使するイランだが、彼ら自身が国内の反政府運動の高まりにあえいでいるのも事実だ。イランの騒乱は政府が11月15日、ガソリン価格を最大3倍に値上げする決定をしたことがきっかけだった。すぐに全国にデモが拡大した。物価高騰などに対すデモは2年前にも発生したが、今回は生活困窮者だけではなく、多くの学生が参加したことが特徴だ。

 首都テヘランだけではなく、イスファハンなど地方にも拡大。デモを鎮圧しようとした治安部隊と全国約100カ所で衝突した。デモ隊は政府庁舎や警察、銀行などにも押しかけ、火炎瓶などを投げた。イランの最高指導者ハメネイ師は27日、デモの鎮圧を宣言したが、政府への不満は市民の間にこれまで以上にうっ積することになった。

 政府系メディアは治安部隊との衝突などで4人が死亡したと報じている。しかし、ワシントンで会見した反政府組織は死者が約450人、負傷者4000人、逮捕者1万人以上に上ったとしており、厳しい取り締まりで相当の死傷者が出たのは間違いない。アナリストの1人は「革命以来40年で最も深刻」と指摘している。

甘い汁吸う支配層への反発
 学生が今回、デモに参加したのは、米国の制裁により、インフレや失業率の高まりなどで、生活が限界近くまで追い詰められていることが挙げられる。頼みの原油輸出は、制裁前は200万バレル(日量)を超えていたのに、この10月は50万バレルにまで減った。

 デモ隊が最高指導者ハメネイ師の写真を破り、聖域だった宗教学校をも襲撃するという行動を見せたのは、困窮感が深まっているからだろう。背景には、「一般の市民はガソリンの値上げで苦しんでいるのに、ハメネイ師の関係団体や革命防衛隊の関連企業は税金を免れるなど甘い汁を吸っている」(ベイルート筋)といった支配層への反発が強まっていることがある。

 ロウハニ政権はこうした経済的な苦境から脱却しようと、制裁の損失を補てんする仕組みを欧州に迫っているが、うまくいっていない。このため核合意を破棄すると脅し、最近もフォルドウの地下施設でのウラン濃縮再開を決定した。イランは12月6日に、米国を除く核合意の当事者と話会う予定だが、この席では、国連査察の一部拒否というさらなる強硬方針を伝える見通しだという。

 しかし、欧州の救済案がうまく作動しなければ、国内の不満や反発が今以上に強まり、ロウハニ政権は崩壊せざるを得なくなるかもしれない。それを待っているのは革命防衛隊など保守強硬派だ。勢いづいた強硬派が来年2月の国会議員選挙、さらには21年の大統領選挙で勝利するようなことがあれば、イランは核開発の道を完全に再開し、イラクやレバノンへの支配を今以上に強める恐れが出てくるだろう。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/18037

 
イラクでまた領事館に放火
2019年12月02日 05時38分 時事通信

イラン領事館にまた放火=シーア派聖地、デモ暴徒化―イラク
1日、イラク中部ナジャフで、治安部隊と言い争うデモ隊(AFP時事)

 【カイロ時事】反政府デモが続くイラクで1日夜(日本時間2日未明)、イスラム教シーア派聖地、中部ナジャフにあるイラン領事館がデモ隊に放火された。ナジャフのイラン領事館は11月27日にも暴徒化したデモ隊に襲われたばかり。外交施設を警備する責任はイラク政府にあり、無策に対するイランの反発は必至だ。

 イランは11月の事件後「イラク政府による襲撃者への断固とした対応」を求めていた。イラクでは11月初めにも別のシーア派聖地、中部カルバラでイラン領事館が襲撃を受けている。

 政情不安定なイラクに対し、隣国イランは介入を強めてきた。これに対するイラクの民衆の不満が爆発していることが、一連のイラン領事館襲撃の背景に存在する。1日の領事館放火で緊張がさらに高まる事態が懸念される。 【時事通信社】

時事通信
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「イラク」の記事
イラク首相デモ拡大巡り辞意
イラクのイラン領事館で放火
https://news.nifty.com/article/world/worldall/12145-484974/

 

 

イラク首相の辞任を承認 デモ2カ月、後任選びは難航か
アルビル=高野裕介 2019年12月2日11時00分

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写真・図版イラクのアブドルマハディ首相=ロイター

 2カ月にわたって大規模な反政府デモが続くイラクで1日、国民議会(国会)がアブドルマハディ首相の辞任を承認した。デモ隊は政治体制の変革を求めており、デモが収束するかは見通せない状況だ。

イラク首相、辞任の意向 終わらぬデモで死者400人
 反政府デモは、政府の汚職や失業問題、脆弱(ぜいじゃく)な公共サービスへの不満に端を発して10月1日に始まり、治安部隊が実弾を使って応酬している。AFP通信などによると、これまでに約420人が死亡した。市民の怒りは、イラクに強い影響力を持つ隣国イランにも向いており、イラン領事館が相次いで放火される事態に発展した。

 こうした事態を受け、イラクで大きな影響力を持つイスラム教シーア派の最高権威シスターニ師が11月29日、国会に対して、現政権に退陣を求めるよう暗に促した。その直後にアブドルマハディ氏が辞任を表明していた。

 今後、サレハ大統領が新たな首相候補を指名するが、各勢力の思惑がからみ、後任選びは難航が予想される。(アルビル=高野裕介)

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https://www.asahi.com/articles/ASMD20G8LMD1UHBI01W.html
http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/829.html

[国際27] トランプ政権の「パリ協定離脱」と米経済界の困惑 アメリカの環境保護庁は環境破壊庁? パリ協定とCOP25 「米抜き」克服する決意で
トランプ政権の「パリ協定離脱」と米経済界の困惑

2019/12/02

斎藤 彰 (ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長)


(iStock.com/flySnow/Purestock)
 トランプ政権が先月4日、気候変動への国際的取り決め「パリ協定」からの離脱を国連に正式通告したことを受け、地球温暖化対策への真剣な取り組みを支持してきた米産業界が困惑と反発の度を深めている。

 米国ではこれまで、環境保護団体、関連学会、市民組織はもちろん、経済界でも多くの企業が地球温暖化対策の推進を支持してきた。2017年6月1日、トランプ大統領が「パリ協定離脱」方針を表明した際には、ゼネラル・エレクトリック(GE)、ウォルマート、アップルなど大手企業25社の最高経営責任者(CEO)が連名で大統領あてに書簡を送り、「パリ協定は新規クリーン・エネルギー技術市場を拡大させ、多くの雇用創出と経済成長を促す原動力になる」として、協定残留を訴えてきた。署名者の中には、自動車メーカーGM、石油業界大手エクソン社長らも含まれた。


石炭労働者をホワイトハウスに招いたこともあるトランプ大統領(REUTERS/AFLO)
 今回のトランプ政権の協定離脱正式通告は、こうした動きに真っ向から冷水を浴びせるかたちとなった。

 この中でとくに反発を強めたのが、全米最大規模の「We Are Still In(https://www.wearestillin.com/)」(私たちは踏みとどまる)と呼ばれるユニークな協定支援組織だ。

 ホームページによると、同組織は2年前、トランプ大統領による離脱方針表明を受け全米各地の企業、投資家、市長、州知事、大学学長らがウェブサイトを通じて呼びかけ結成されたもので、その規模はまたたく間に各地に広がり、今日では125都市、9州、902企業および投資会社、183大学を網羅、人口にして1億2000万人、経済規模も6兆2000億ドルに相当する巨大連合組織となった。

 「We Are Still In」は、ポンペオ国務長官が協定離脱正式通告を発表した去る11月4日、その日のうちにツイッターを通じ「トランプ大統領は脱退を表明した。だが、私たちアメリカ国民――すなわち多くの都市、州、企業、大学そして地域コミュニティはいぜん協定に踏みとどまる」「私たちの組織参加者はアメリカ経済生産全体および全人口の半分を代表するものであり、パリ協定残留に対する圧倒的支持は国民幅広い層に広がっている」などと訴えた。

 これを受け、宝石店「ティファニー」など多くの装飾、ファッション業界からも「私たちも座視してはいられない。連帯して気候変動との戦いの国際連帯を強めたい」といった賛同リツイートがあいついだ。

 また、パタゴニア、スノーピーク、コールマンなど全米のアウトドア・グッズ・メーカー1300社から成る「アウトドア工業協会」(本部コロラド州ボールダー)も同日、緊急声明を発表「気候変動はわが地球、人類、社会に深刻な影響を及ぼしており、当協会のメンバー企業はそれが、森林、河川、丘陵地帯など自然環境にダメージを与えつつあることを肌で熟知している。本日、トランプ政権が正式にパリ協定離脱を発表したことは、米国民のアウトドア・リクリエーションと業界に対し災害disasterをもたらす処方箋にほかならない」と強く非難した。

 ではトランプ政権はなぜ、このような圧倒的な世間の反対にもかかわらず、パリ協定からの離脱に踏み切らざるを得なくなったのか?

 その理由について、大統領は2017年6月演説の中で以下の点を列挙した:

「協定残留によって米国は巨額のコストを負担することになる」
「協定は他国に利益をもたらす一方、米国の労働者に不利益を強いることになる」
「これまで途上国の温暖化対策支援によって、米国の富が持ち出されてきた」
「他国が米国に協定残留を求めるのは、自国の経済優位性を得るためだ」
「中国の温室効果ガス排出増やインドの石炭増産は認められており、不公平だ」
 しかし、もともと虚言癖で知られるトランプ氏のこととはいえ、これらの指摘の中には、誇張や事実と異なるものが少なくない。

 まず、「米国の経済コスト」について、大統領は協定残留によって「GDP比3兆ドル分の損失」と述べたが、実際はその逆であり、離脱し続けた場合、山火事、河川氾濫、大気汚染による健康被害、環境汚染防止対策などに関連する出費がかさみ、2100年時点でGDPを5%押し下げるとの専門家の試算がある。

 大統領は協定残留が、米国の労働者とくに石炭産業の雇用喪失をもたらすと述べたが、石炭産業はとっくに衰退の一途をたどっており、かつて100万人近くいた炭鉱労働者は20分の1近くにまで激減。対照的に、再生エネルギー産業の雇用は急速に拡大しつつあり、太陽光、風力エネルギー関連の雇用者だけでも全米で77万人に達している。

 「温暖化対策支援」についても、「パリ協定」は「京都議定書」とは異なり、各国の貢献を具体的に義務付けておらず、排気ガス削減目標についても、参加国がそれぞれ独自の判断で可能な範囲で努力することになっている。米国だけが不利な立場に置かれているとの指摘は、事実と異なる。

 また、中国はすでに、二酸化炭素排出量がピークに達するとみられる2030年をめどに石炭依存の火力発電を段階的にフェーズアウトしていく方針を明らかにしているほか、インドでも火力発電所の新規建設が凍結されつつある。

伝統産業死守の色彩
 このように全体として見た場合、協定離脱にこだわるトランプ氏の姿勢は、技術革新やリスク投資で拡大してきた本来の未来志向型アメリカ経済に背を向け、“煙突産業”に象徴される過去の伝統産業死守の色彩を濃くしたものだ。

 米経済界の大勢が、パリ協定残留の姿勢を打ち出しているのと好対照といえる。

 とくに産業界が懸念するのは、今後協定離脱によって、国際エネルギー政策の主導権を中国に明け渡すことになりかねない点だ。

 中国はすでに今日、風力および太陽エネルギーの世界最大生産国であり、グリーン・エネルギー関連事業に対する最大投資国となっている。世界の大手太陽エネルギー・メーカーのうちトップ5社が中国で占められ、世界最大規模の風力タービン・メーカーも中国国内で稼働中だ。

 一方の米国経済も、トランプ政権発足前までは再生エネルギーへの依存度を高めてきた。たとえば、グリーン・エネルギー関連産業の雇用者数はすでに化石燃料分野の約3倍に達しており、太陽エネルギー関連だけでも、全米で就業者数は炭鉱労働者の2倍以上にまで拡大している。

石炭産業自体の衰退傾向にブレーキがかかる見通しは皆無
 また、世界銀行の下部機関「国際金融公社」(IFC)の試算によると、気候変動関連の新規ビジネス投資価値は、今後2030年までの間に、発展途上国市場だけでも23兆ドルを突破すると見込まれている。

 とくに中国は昨年、米国、EU、インド、カナダ、インド、日本、韓国およびブラジル各国における風力、太陽エネルギー関連施設の設置総数を単独で上回るなど気候変動対策に力を入れている。さらに今後は米国のパリ協定離脱により、中国は欧州各国関連産業との連携拡大に乗り出していくのは必至の情勢だ。米国経済だけが、世界の環境ビジネスから取り残される恐れがある。

 それでもトランプ大統領が協定離脱にこだわるのは、来年大統領選での再選戦略をにらんでいるからに他ならない。

 筆者は昨年7月掲載の本欄で、トランプ政権の反環境主義についてより具体的に論じた(2018年7月17日付け『アメリカの環境保護庁は「環境破壊庁」なのか?』参照)。

 とくに同政権が発足以来、力を入れてきたのが、環境保護関連の規制撤廃・緩和であり、石油、石炭その他の新規開発や鉱山掘削拡大だった。これらの関連産業は2016年大統領選の勝敗を決するカギとなったミシガン、ウイスコンシン、ペンシルバニア、オハイオといった中西部の閑村地帯に集中しており、ウクライナ疑惑追及などで来年選挙では前回以上に苦戦が予想されるトランプ陣営にとっては、一段と重要な票田となりつつあるからだ。

 ところがその石炭産業自体、今後も衰退傾向にブレーキがかかる見通しは皆無に等しい。

 連邦エネルギー情報庁(US Energy Information Administration)によると、2019年度の石炭生産量は前年比10%減となる見込みで、来年はさらに減産は避けられず、過去5年間の生産量全体では実に27%マイナスという低迷に追い込まれる。

 また、労働省統計では、昨年度の石炭関連労働者は全米でわずかに5万3000人にまで減少した。過去10年間では3万4000人が失職したことになる。

 英ガーディアン紙が最近報じた、石炭生産州ウェストバージニア州からの現地リポートによると、炭鉱労働者のうち50代、60代の男性たちの多くは、パリ協定離脱を決定したトランプ大統領を支持する反面、若手の労働者たちは「石炭時代は終わりに近づいている」と割り切っており、代替エネルギー開発にシフトすべきとする声が少なくないという。炭鉱州のトランプ支持は“一枚岩”でなくなりつつあるのだ。

 果たして、経済界や都市生活者たちの多くを敵に回したトランプ大統領の環境問題をめぐる再選戦略が、どこまで効を奏することになるのか、大きな賭けであることには違いない。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/18038


 

アメリカの環境保護庁(EPA)は「環境破壊庁」なのか?

2018/07/17

斎藤 彰 (ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長)


(iStock.com/flySnow/Purestock)
 トランプ政権発足以来、地球温暖化対策、希少動植物保護、海洋・水質汚染対策などオバマ前政権が真剣に取り組んできた一連の環境保護政策が、次々に反故にされている。代わって、石油開発、石炭その他の鉱山掘削といった環境破壊につながりかねない開発が、ホワイトハウスの後押しで息を吹き返しつつある。

 「米国は地球温暖化対策の国際枠組みであるパリ協定から離脱する」

 昨年6月1日、トランプ大統領が読み上げた声明は、世界中に衝撃を与えた。

 だが、同政権下の反環境主義は、大統領就任前から、すでにその布石が敷かれていた。トランプ氏が早くから「地球温暖化は人為的な原因によるものではなく、気象上の自然要因によるもの」との自説を展開してきた強硬派のスコット・プルイット氏を環境保護長官に起用することを決め、同長官就任と同時にオバマ前政権当時の環境政策について抜本的見直しを画策していたのだ。


トランプ大統領と、プルイット氏(REUTERS/Kevin Lamarque/File Photo/Aflo)
 とくにプルイット氏の過去の経歴はトランプ氏の意にぴったりかなったものだった。

 南部保守主義の牙城オクラホマ州上院議員を8年務めた後、州司法長官就任以来、大気汚染、水質汚染などの環境規制措置を次々に撤廃し、その一方、石油開発、精油関連業界から多額の政治献金を受け取って来た。とくに州司法長官在任中には、オバマ政権下の環境保護庁を相手取って最低14回にわたり規制撤廃の訴訟を起こすなど、話題を振りまいたことでも知られ、筋金入りの反環境主義者だった。

 そのプルイット氏が大統領の肝いりで環境保護長官に就任後、連邦政府の環境政策は環境保護より開発重視型へと大きくシフトしていったことはいうまでもない。

 ではトランプ大統領就任1年半の間に、具体的にどのような後ろ向きの環境政策や措置がとられてきたのか、以下におもなものを順を追って列挙してみることにする。

オバマ前政権下で施行された北極海、太平洋、大西洋の一部海域における石油・ガス掘削禁止措置を見直し、オフショア開発拡大を認める大統領命令に署名(2017年4月28日)
大気・水質汚染対策研究開発費の大幅カット、環境保護庁関連予算の前年度比31%削減案を議会に提出。この結果、同庁勤務の職員3200人が失業に追い込まれた(同年5月13日)
G7はじめ世界の194カ国が参加するパリ協定からの離脱発表(同年6月1日)
アパラチア山脈沿いの炭鉱周辺の住民を対象とした健康調査と水質汚染のリスクに関する総合調査プロジェクトの打ち切り(同年8月22日)
内務省が、メキシコ湾領海内の7700万エーカーに及ぶ海域での石油・ガス掘削権について公開入札を発表(同年10月23日)
トランプ大統領が地球温暖化について、オバマ前政権までの立場を180度転換し、「米国はもはや温暖化を国家安全保障上の脅威とはみなさない」との見解を発表「気候変動対策はあくまでグローバルなエネルギー・システムの中で取り組むべきであり、わが国は自国の経済・エネルギー安全保障にとって有害となる課題には対抗していく」と強調(同年12月18日)
気候変動緩和、代替エネルギー関連研究開発予算の大幅カット、国務省管轄下の「グローバル気候変動イニシアチブ計画」の廃止を決定(2018年2月12日)
プルイット長官が、乗用車および小型トラックを対象とした温室効果ガス排出規制について、オバマ政権時代の厳しい措置を見直すと発表(同年4月2日)
ホワイトハウスが、絶滅の恐れのある約300種の希少動植物保護を目的とした密猟、立ち入り禁止措置などの規制見直しを発表(同年4月2日)
科学雑誌「サイエンス」が、科学関連予算の中から年間1000万ドルのNASA(連邦航空宇宙局)「一酸化炭素モニタリング・システム」予算が打ち切られた、と報道(同年5月9日)
 米国主要各紙が伝えるところによると、これらの措置はホワイトハウス、環境保護庁、内務省の緊密な連携プレーの下で実施されてきたが、いずれの場合においても、決定的役割を果たしたのは、プルイット長官で、「パリ協定」離脱を大統領に熱心に勧告したのも彼だった。このほか、同長官の下で、手直しや取りやめとなった環境規制措置は、70項目以上にも達するといわれる。

 では、トランプ政権以前の歴代共和党政権が同様に、環境保護の重要性を極端に軽視してきたかと言えば、必ずしもそうとも言い切れない。

 20世紀初頭、全米各地の自然公園、森林、史跡保全のために連邦政府管轄下の制度づくりに熱心だったのはセオドア・ルーズベルト大統領だったし、1970年に環境保護庁創設に踏み切ったのも同じ共和党のニクソン大統領だった。その後のジョージ・W.ブッシュ大統領の場合も、油田開発業界などとの親密な関係を維持する一方で、環境保護政策にも理解を示した。

 しかしその一方で、共和党の選挙地盤である南部の諸都市や中西部諸州の農鉱業事業家、ラストベルト(さびついた工業地帯)労働者たちの間で、じわじわと環境行政のしわ寄せに対する反感が広がりつつあったのも事実だ。

 レーガン共和党政権も少なくとも1期目は、民間事業へのこうした連邦政府の介入を極力最小限にとどめることをめざした「小さな政府」をスローガンに掲げ、環境保護政策見直しにある程度は取り組んできた。

 ただ当時は、予算や閣僚人事承認権限を握る連邦議会は民主党の多数支配下にあったため、露骨な環境保護政策の撤廃は控えてきたのが実情だ。

フリーハンド状態
 ところが、2015年1月からスタートした第114議会以来、上下両院ともに共和党が多数を制する結果となり、そうした中で登場したトランプ大統領にとっては願ってもないフリーハンドがあたえられることになった。

 しかも、共和党議会の重鎮たちは2016年大統領選挙では、トランプ候補に反対か冷ややかな態度をとっただけに負い目があり、トランプ政権発足後はホワイトハウスが打ち出す環境政策含め内外の理不尽な政策にも表立って異を唱えにくい立場だったといえる。
 
 そうした中、最近、大統領にとって頭の痛い騒ぎが持ち上がった。最も厚い信頼を寄せていたプルイット長官のあいつぐスキャンダルだ。

 おもに職権乱用、公私混同の個人的振る舞いをめぐるものだが、同氏は過去1年半の間に、

ワシントンDC市内の一時滞在用高級マンションを石油業界ロビイストから月50ドルの特別家賃で借りつけていた。
数回にわたり私用でオクラホマの実家に帰省した際の往復チャーター便費用6万ドル分を公費として処理していた。
DC市内の私用オフィスの防音装置工事費用として4万3000ドルを公費請求していた。
政権内のトランプ批判派洗い出しのため私的に契約したコンサルタント会社に12万ドルを公費から支払った。
ステレオ・セット、旅行用充電器、高級ピストル・ケースなどを「備品」として請求していたなど、公費乱用の疑いで政府倫理管理当局の調査対象となっている案件だけでも最低14件に達しているという。
 そして結局同氏は、マスコミの厳しい追及と世論の批判を浴びて進退きわまり、ついに今月5日、辞任に追い込まれた。

 辞任自体はトランプ大統領自らのツイートで明らかにされたが、大統領はその中で「ミスター・プルイットは素晴らしい仕事をしてきた。私はつねにこのことに感謝している」と賛辞を贈る一方、長官の在任時代の傍若無人な行動への言及は一言もなかった。
 
 大統領は、後任としてアンドリュー・ホイーラー副長官を当面の間、代行として起用すると発表した。ホイーラー氏は公職に就く以前、大手鉱山会社やエネルギー開発会社のロビイストとして活躍したことでも知られる。

 どうやらトランプ政権下の“環境破壊施政”には、プルイット長官辞任後も、いささかも変化はなさそうだ。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/13397


 

パリ協定とCOP25 「米抜き」克服する決意で
毎日新聞2019年12月2日 東京朝刊

Listening
朝刊政治面
オピニオン
紙面掲載記事
政治プレミアタイムライン
 温暖化対策を話し合う国連気候変動枠組み条約の締約国会議(COP25)が、きょうスペインで始まる。190を超える国・地域が参加する「パリ協定」の始動を来年に控え、各国が具体的な行動を表明する。

 開幕に先立ち、国連環境計画(UNEP)が公表した将来予測は厳しいものだった。

 世界の温室効果ガス排出量は増え続けており、各国が削減目標を達成しても、産業革命前からの気温上昇は今世紀中に3・2度に達するという。パリ協定は「1・5度」に抑えることが努力目標だが、その倍以上だ。2度の上昇で悪影響の程度が格段に増すとされる。

 国連のグテレス事務総長は各国に対し、削減目標を引き上げるよう求めている。2050年の排出量を実質ゼロにすることも求めた。

 COP25では、呼びかけに応じる国も出てくるだろう。だが、現時点で意欲的な国々は途上国や小さな島国が中心で、削減量での貢献は限定的だ。実効性を高めるには、大排出国の野心的な関与が欠かせない。

 日本は世界第5位の排出国だ。ところが政府の目標は「50年までに80%削減」と、野心的にはほど遠い。原発の停止が長引き、電力供給を石炭火力発電に頼る現状があるにせよ、削減への覚悟を示さない限り、国際的な批判は高まるばかりだ。

 パリ協定は、15年に合意された。先進国も途上国も公平に削減への責任を担うという歴史的な国際約束だ。一国の利害や対立を超え、地球の未来のために行動することをうたっている。

 だが、大排出国ではむしろ自国第一主義の傾向が強まっている。世界第2の排出国でありながら、協定からの離脱を正式通告した米国の態度は最たるものだ。

 その一方で、政府に同意しない米国内の都市や財界、投資家、教育機関などが連携し、COP25でアピールする動きもある。「ウィ・アー・スティル・イン(我々はまだ残っている)」が合言葉だ。

 米抜きの多難な船出であることは確かだが、危機感を共有する草の根の活動は力強い。あらゆる立場の人が、過酷な未来を書き換える一歩を踏み出すときだ。COP25は、その決意を確認しあう場になる。
https://mainichi.jp/articles/20191202/ddm/005/070/016000c
http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/830.html

[経世済民133] 中国など高中所得国、融資「卒業」へ丁寧に議論=浅川・次期ADB総裁 中国、香港人権法を成立した米に対抗措置 米軍艦の寄港拒否やNGO制裁  中国製造業PMI、11月は予想外の50超え 輸出受注なお弱い 中国が台湾総統選に干渉─元スパイの告白で「メディア操作」疑惑も浮上 
ビジネス2019年12月2日 / 10:44 / 10時間前更新
中国など高中所得国、融資「卒業」へ丁寧に議論=浅川・次期ADB総裁
Reuters Staff
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[東京 2日 ロイター] - アジア開発銀行(ADB)の次期総裁に選出された浅川雅嗣前財務官は、ロイターのインタビューで、中国など高中所得国を融資対象から外していくに当たっては、所得基準のみならず国際資本市場からの資金調達などの基準も検討する必要があると述べた。融資プロジェクトの絞り込みや融資額の減額などについて、各国と丁寧に議論していくと話した。

ADBは2日、浅川氏が次期総裁に選出されたと発表した。中尾武彦総裁の後任として、2020年1月に就任する。

浅川氏は、所得が向上した国が融資対象から「卒業」する条件として、1人当たり国民総所得(GNI)が6795ドル到達という数値基準のみならず、国際資本市場からリーズナブルなコストで資金調達できているか、一定程度の経済発展段階に達しているかといった基準も満たす必要があると指摘した。18年の中国の1人当たりGNIは9470ドル。

ADBは11月、中国など高中所得国向けの貸出金利を引き上げることを決定した。浅川氏は、金利引き上げのみならず、融資プロジェクトの見極めや融資額の減額など、卒業に向けては段階があり「1つ1つ丁寧に加盟国と議論していかなければならない」と話した。中国が遠くない将来に融資対象から卒業するかとの質問には「議論次第だ」と答えた。

高中所得国を融資対象から外すことの是非を巡り、中尾氏が今年4月、中国への融資を続けることには意義があるとの認識を示す一方、麻生太郎財務相は同5月のADB年次総会で、高中所得国の卒業に向けて「具体的道筋をしっかりと議論していくべきだ」と述べている。

浅川氏は就任にあたり、1)貧困層への教育・就労支援、2)女性への教育と職業の提供、3)温暖化対策と成長の両立、4)質の高いインフラ投資――の4分野に注力する方針を示した。

浅川氏は、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)とADBとでは「本質的に性格は違う」と指摘。「コファイナンス(協調融資)を通じた国際機関どうしの協力関係を今まで以上に続けていきたい」と話し、協調融資に当たって環境配慮のガイドラインなど国際的にレベルの高いガイドラインが適用されれば「AIIBにとっても良いことだと思う」と述べた。

浅川氏は米中貿易交渉について「構造問題も含め、全ての問題を一気に解決するような簡単な話ではないと思う」と話し、第1弾の合意があっても交渉は長期化すると予想。「交渉過程で、世界の資本市場や域内の途上国に良い影響はなかなかないだろう」と述べ、「経済活動に具体的な影響があって、ADBにできることがあれば迅速に行動したい」と語った。

和田崇彦、木原麗花
https://jp.reuters.com/article/adb-asakawa-interview-idJPKBN1Y6031


 

中国、香港人権法を成立した米に対抗措置 米軍艦の寄港拒否やNGO制裁
2019年12月2日(月)20時05分

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中国外務省は米国で香港人権・民主主義法(香港人権法)が成立したことへの対抗措置を発表した。写真は米国旗を掲げる抗議参加者。12月1日撮影(2019年 ロイター/Thomas Peter)

中国外務省は2日、米国で香港人権・民主主義法(香港人権法)が成立したことへの対抗措置を発表した。米軍機・艦艇の香港立ち寄りを禁止する。また、香港での暴力的な活動を支援したとして、米国に本部を置く複数の非政府組織(NGO)に制裁を科すと発表した。

香港人権法は、中国が香港に高度な自治を保障する「一国二制度」を守っているか、米政府に毎年検証を求めるもので、前週、トランプ米大統領が署名し成立した。中国は、これに反発し、対抗措置を講じると警告していた。

中国外務省は、米軍の立ち寄り申請の受け付けを無期限で停止したとし、さらなる措置を講じると警告。

華春瑩報道局長は会見で「米国には、誤りを正し、わが国の国内問題への干渉を止めるよう求める。中国は、香港の安定と繁栄、中国の主権を守るために必要ならさらなる措置を講じる」と述べた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチやフリーダム・ハウスなどのNGOが制裁対象となった。

華報道局長は「香港の混乱の責任の一部はこれら(NGO)にあり、制裁を受け代償を払うべきだ」と述べた。

米艦艇の香港寄港は、英植民地時代以来の伝統行事で中国返還後も中国政府が認めている。ただ、米中関係が悪化してからは寄港が拒否される事例もでている。


[ロイター]
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/12/ngo.php

 

中国が台湾総統選に干渉─元スパイの告白で「メディア操作」疑惑も浮上
2019年12月2日(月)17時50分
ニック・アスピンウォール

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中国共産党は国民党の韓國瑜(中央)を支援? CHEN LIJIE-VISUAL CHINA GROUP/GETTY IMAGES

<オーストラリアに亡命を求め、中国の工作活動を暴露した中国人男性。台湾政界も揺れ、外国勢力による浸透工作をめぐって与野党対立が激化している>

来年1月の総統選を目前にして、台湾政界が「中国の元スパイ」を名乗る男の証言で揺れている。

その人物は、オーストラリアで亡命を求めている王立強(ワン・リーチアン)という中国人男性。地元メディアによると、王は中国のスパイ活動に関与していたことを告白し、台湾や香港、オーストラリアでの中国の工作活動を暴露した。

台湾当局は11月24日、台湾を訪れていた中国系香港企業の幹部夫妻を事情聴取し、その後、2人の出国を禁止する措置を取った。夫妻が幹部を務める企業「中国創新投資」は、中国の浸透工作の隠れみのになっていると、王に名指しされていた(夫妻は否定している)。

王の告発によれば、中国は台湾や香港の政界やメディア、大学に大規模な浸透工作を仕掛けていたとされる。台湾の総統選で現職の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統に挑む野党・国民党の韓國瑜(ハン・クオユィ)候補の当選を後押しすることも工作活動の一部だったという。

先頃、ロイター通信の取材に応じた台湾の外交・安全保障当局者3人は、王が本当にスパイだったかは疑わしいとしつつも、告発の内容そのものは嘘と決め付けていない。王の主張に関して調査を進めていると、総統府も声明文で発表している。

一方、中国政府は王の主張を全面的に否定。韓は、もし中国共産党から金を受け取っていたら立候補を取りやめると表明した。

王によれば、宗教団体や草の根団体などに加えて、台湾のメディアも中国による浸透工作の標的になっている。中国政府に都合がいいように、台湾の世論を誘導することが目的だという。

王の証言をきっかけに、一部のメディアに疑惑の目が向けられている。大手企業グループ、旺旺集団傘下のメディアは既に、韓についての報道量があまりに多いことなどを理由に、国家通信放送委員会(NCC)から罰金を科されている。

この7月には、英フィナンシャル・タイムズ紙が旺旺集団に関する疑惑を報じた。記事によれば、旺旺集団系のメディアは、中国政府で台湾問題を担当する台湾事務弁公室から頻繁に電話を受け、報道内容について指示されているとのことだった(旺旺側はこの報道を否定)。

「反浸透法」で与野党対立
NCCは11月27日、安全保障関連の部局と協力してこの問題を引き続き調査する意向を表明した。メディアが中国から資金を受け取っていたかが調査の焦点になる。

次のページ外国勢力の干渉禁止を禁じる狙い
王の告発が報じられた後、蔡の与党・民進党は直ちに「反浸透法」の制定を提案した。台湾政治への外国勢力の干渉を禁じることが狙いだ。これに対して、国民党は反対の立場を取っている。

この種の法律の必要性については、以前から民進党と国民党が激しく対立してきた。民進党は中国の浸透工作に対抗するために必要な法律だと主張しているが、国民党は言論の自由と民主主義への悪影響を理由に反対してきた。

過去に民進党議員が同趣旨の法案を提案をしたときは、野党だけでなく、国外からも批判を受けた。昨年6月に「フェイクニュース」を拡散する行為を処罰する法案が提案されたが、国際NGOの「ジャーリスト保護委員会(CPJ)」から厳しく批判され、法案は取り下げられた。

今回の「元スパイ」の告発により、総統選の行方や新法制定を取り巻く環境も変わるのかもしれない。

©2019 The Diplomat

<本誌2019年12月10日号掲載>

【参考記事】中国共産党の「断交」作戦で台湾は独立路線に舵を切る
【参考記事】中国による台湾の武力統一、「あと5年は無理」
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/12/post-13518.php


 

ビジネス2019年12月2日 / 08:14 / 12時間前更新
中国製造業PMI、11月は予想外の50超え 輸出受注なお弱い
Reuters Staff
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[北京 30日 ロイター] - 中国国家統計局が発表した11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は市場予想に反し、景況拡大と悪化の分かれ目となる50を7カ月ぶりに上回った。当局の景気刺激策を背景に内需が上向いた。ただ回復はわずかで、輸出需要は依然さえなかった。

PMIは50.2で10月の49.3から上昇し、3月以来の高水準。ロイターがまとめたアナリスト予想は49.5だった。

新規受注指数は51.3と50を上回り、4月以来の高水準となった。中央政府が年末までの経済目標達成に向け、地方政府に景気刺激策拡大を促す中、国内消費が上向いた。

生産指数も52.6に上昇し、3月以来の高水準を記録した。

Lianxun Securitiesマクロアナリスト、Zhang Deli氏は、リサーチノートで「短期的に景気は底を打った可能性がある」との見方を示した。

同氏は11月のPMIが予想を上回ったことについて、政府によるインフラ投資促進や不動産市場抑制策の緩和のほか、10月の米中貿易摩擦の緩和が要因だと指摘した。10月には米中双方が「第1段階」の通商合意を発表し、米国が関税引き上げを延期した。

ただ、最近は貿易摩擦を巡る不透明感が高まっており、外需の見通しに影を落としている。11月の新規輸出受注指数は48.8と前月の47.0から上昇したものの、18カ月連続で50を下回った。

トランプ米大統領は26日、米中貿易交渉の妥結は近いとの認識を示したが、専門家やホワイトハウスに近い関係筋は来年にずれ込む可能性を指摘している。[nL4N2863Y2][nL3N280458]

12月15日には米国が中国製品約1560億ドル相当への関税引き上げを予定している。

11月のPMIでは、雇用の減少が続いた。産出価格が3カ月ぶりの低水準に落ち込み、利益も一段と悪化している可能性が示された。

小規模民間企業への銀行融資拡大を促す中国の取り組みは機能しているとみられ、11月の小規模民間企業のPMIは、中堅企業や大手企業と比べて伸びが大きかった。ただ業績を示す指数は小規模企業が49.4と最も低い水準だった。

11月の非製造業PMIは54.4となり、2016年2月以来の低水準だった10月の52.8から上昇した。建設活動を示す指数が前月からは低下したものの、50を上回る水準を維持した。
https://jp.reuters.com/article/china-economy-pmi-factory-official-idJPKBN1Y51F7
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/754.html

[国際27] 「自然との闘いやめよ」COP25前に国連事務総長 トランプ大統領と軍主流派の蜜月の終わり トランプ大統領、在韓米軍4000人撤収を検討 現実味が増してきた「在韓米軍撤退」
ワールド2019年12月2日 / 14:45 / 4時間前更新
「自然との闘いやめよ」COP25前に国連事務総長
Reuters Staff
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[マドリード 1日 ロイター] - スペイン・マドリードで2日に始まる国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)を前に、国連のグテレス事務総長が1日、記者会見し、「自然との闘いをやめなければならない」と温暖化対策の重要性を訴えた。

グテレス氏は「(化石燃料の)掘削を止め、再生可能エネルギーと自然に基づく解決策がもたらす巨大な可能性を利用しなければならない」と述べた。

2050年までに二酸化炭素(CO2)の排出量と吸収量を一致させる「炭素中立」の達成を70カ国が約束しているが、グテレス氏は約束だけでは不十分だと指摘。「排出量が世界最大級の国々が自らの責務を果たしていないのは明らかだ。こうした国々の協力がなければ目標は達成できない」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/climate-change-accord-guterres-idJPKBN1Y60D3


 
トランプ大統領と軍主流派の蜜月の終わり
軍のプロ意識に忍び寄るポピュリズム、軍民関係の危機露呈
2019.12.2(月)
The Economist
アメリカ?政治?安全保障

(英エコノミスト誌 2019年11月30日号)


蜜月だった頃のドナルド・トランプ大統領とジェームス・マティス国防長官(当時、2018年7月、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
面汚しの海軍特殊部隊隊員をめぐる騒ぎは、軍民関係をめぐる大きな危機を浮き彫りにしている。

 米国の第45代大統領は、政権を軍の幹部で固めて4年の任期をスタートさせた。その後、「私の将軍たち」と呼んでいた面々と袂を分かった。

 ドナルド・トランプ大統領は11月15日、戦争犯罪に問われた兵士2人に恩赦を与えたほか、捕虜の遺体とともにポーズを取って写真に収まったことで軍法会議で有罪とされたエディー・ギャラガー海軍特殊部隊(SEALs)隊員の降格処分も取り消した。

 海軍がギャラガー氏からトライデント・ピン(SEALsの徽章)を取り上げようとした時、トランプ氏はそのまま持たせよと命じた。

 これを聞いたリチャード・スペンサー海軍長官が、軍の司法に細かく介入するのはいかがなものかと異を唱えたところ、すぐに解任された。

(スペンサー氏には、上司であるマーク・エスパー国防長官の知らないところでホワイトハウスとの取引を試みたという告発もなされた)

 一連の出来事は、トランプ氏の大統領就任以来ギクシャクしている軍民関係をさらに悪化させることになった。

 トランプ氏が就任当初、高官のポストを埋める際に退役・現役の軍人を頼りにしたのは、十分な能力を備え、かつトランプ氏に仕えてもよいと考える文民が不足していたことの反映だった。

 しかし同時に、政策の推進にあたって軍の威光を利用しようという企みのためでもあった。

 オーバーン大学のピーター・ホワイト氏によれば、米国では1960年代のリンドン・ジョンソン政権以降、どの政権においても現役または退役した将官(将軍か提督のこと)が少なくとも1人、閣僚か幹部になっている。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58440


 

トランプ大統領、在韓米軍4000人撤収を検討
再開される防衛費分担金交渉で韓国、50億ドル要求突っぱねる
2019.12.2(月)
高濱 賛
アメリカ?韓国・北朝鮮?安全保障

兵士たちと一緒に昼食をとるトランプ大統領
対韓「ほめ殺し作戦」功を奏さず
 中断していた第11回韓米防衛費分担金特別協定(SMA)交渉が12月3、4日、ワシントンで再開する。

 11月18、19日の交渉では米側が一方的に席を立った。米側のジェームズ・デハート代表(国務省軍政局特別顧問)は来年度の防衛費分担として50億ドルを韓国に要求。これに韓国側が難色を示したからだ。

 あれから2週間が経った。

 2019会計年度の韓国の分担金は8億4400万ドル。50億ドルと言えば、その5倍。同会計年度の米軍の韓国駐留経費総額は45億ドル。それを上回る額を韓国に求めている。

 この額には韓国内での軍事行動費用だけではなく、北朝鮮に対する威嚇行動のためグアムから発進する戦略爆撃機の「出動費」まで盛り込まれている。

 米国が法外な額を要求する要因は一にもに二も米軍最高司令官の「御意向」だ。

 ドナルド・トランプ大統領の根強い対韓認識からきている。トランプ氏は1980年代から日本や韓国が防衛面で「フリーライド」(ただ乗り)していると信じて疑わないのだ。

 その後、変遷を経て、とりわけカネ以外の面では日本も韓国も最大限の努力をしてきた。米外交安保の専門家たちの間ではその努力は十二分に理解されてきた。

 だが、トランプ氏の認識の時計は完全にストップしたまま。

 しかも、これまで歴代政権が効果的に実現できなかったことをやるというトランプ精神はここでもいかんなく発揮されているのだ。ビジネスマンとしての「Monetization」(マネタイゼーション=ソロバン勘定)である。

年内決着不可避の交渉…
それに外交・安保については詳細については何も知らないし、知ろうともしない一般米庶民には「フリーライド」論は受け入れやすい。

 日常生活にメード・イン・ジャパンの自動車やメード・イン・コリアのテレビが氾濫している状況ではなおさらだ。

 トランプ大統領は弾劾の動きを何とか払いのけようとして必死だ。

 感謝祭にアフガニスタンに駐留する米軍兵士を電撃訪問した。これも12月4日から始まる下院司法委員会の弾劾公聴会前触れ報道をかき消すためのデモンストレーションだった。

 同じことは在韓米軍駐留経費分担交渉についても言える。ある主要メディアの選挙担当記者は筆者にこう囁いている。

「トランプ氏の腹のうちはこうだ。『韓国にできるだけ多額の在韓米軍駐留費を分担させる。それによってこれだけ節約できたと米国民に宣伝する。これに民主党が反対するとは思えない。超党派で拍手喝采される』」

「『同盟国との良好な関係を堅持すべきだとしたり顔で説く外交・安保専門家の言うことよりも韓国から50億ドルを頂戴したということの方が一般大衆には分かりやすい。それは即再選には役立つ』」

年内決着不可避の交渉
 そのトランプ大統領が交渉再開に踏み切った理由は何か。韓国が受けて立った理由は何か。

 過去2週間の間に何が起こったか。

 一つは韓国があれほど頑なに廃棄を主張していた日韓軍事機密情報(GSOMIA)破棄を撤回したことだ。

 米国が期限切れの最終段階で猛烈な圧力をか…
米国が期限切れの最終段階で猛烈な圧力をかけ韓国は屈した。

 米国としては、メンツは保てた。GSOMIAとは別件の防衛費分担金交渉は12月末までに決着せねばならない案件だ。

 韓国にしてみれば、GSOMIAで折れたのだから防衛費分担金交渉では米側はいくらか態度を和らげてくれるだろうとの期待感があるはずだ。

 ところが再開直前までの双方のスタンスには変化は見られない。米国が50億ドル要求を取り下げるような気配はない。

 少なくとも米側のスタンスは表面上は、GSOMIA決着前と後とでは変わっていない。

 米政府・軍幹部を総動員した対韓国「ほめ殺し作戦」は続いている。そのキーワードは「裕福な国・韓国」だ。

 ロバート・オブライエン大統領国家安全保障担当補佐官は、11月23日、訪問先のカナダで少人数の記者団と会見。その席上、「韓国がいかに豊かな国か」と強調してこう述べている。

「韓国は現代において最も経済的に成功した国の一つだ。非常に豊かで技術的にも進んだ美しい国だ」

「(韓国が豊かな国になる過程で)米国は本当に長い間(韓国を守るために在韓米軍駐留経費を)負担してきた」

「韓国は米国から年間170億ドル以上の黒字を手にしている。韓国は米国との貿易で成功を収め、米国は韓国に安全保障を提供している。トランプ大統領は韓国が在韓米軍駐留経費を(もっと)負担すべきだと強く信じている」

「米国と米納税者たちは海外、とりわけ豊かな先進国に駐留する米軍の駐留費をすべて負担する理由などない」

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/11/25/2019112580020.html

 オブライエン氏は9月18日にジョン・ボル…
 オブライエン氏は9月18日にジョン・ボルトン氏の後釜として国家安全保障担当補佐官に抜擢された。

 弁護士だが、ジョージ・W・ブッシュ(子)、バラク・オバマ両政権でも国連安保理補償請求委員会米国代表などを歴任している。

 トランプ政権では当初海軍長官候補に挙がっていたが、国家安全保障、外交軍事にはずぶの素人。カリフォルリア大学ロサンゼルス校(UCLA)を経てカリフォルニア大学バークレー校の法科大学院で法学博士号を取得。その後弁護士事務所を開業していた。

 ワシントンの外交筋は、オブライエン補佐官の上記の発言はトランプ大統領の話をオウム返しに言っているに過ぎないと見ている。

 韓国を「裕福な国」と言い出したのは、マーク・ミリー米統合参謀本部議長だ。日韓両国訪問に向かう機内で記者団に語った。

 それ以後、マーク・エスパー国防長官が11月15日にはソウルで、19日にはマニラで発言。

 21日には国務副長官に指名されたステファン・ビーガン北朝鮮問題特使が訪米した韓国の李仁栄・「共に民主」党院内代表ら与野党幹部に「裕福な国」発言を繰り返した。

「米国は数十年間、国民の税金を使って世界平和と民主主義を守っている間に韓国をはじめとする他国は発展を成し遂げた。今は新しい米韓同盟の枠組みの中で韓国が適切な防衛費を出さなければならない」

 そして前述のオブライエン補佐官の発言となっている。

 韓国の中央日報ワシントン特派員は「韓国は『裕福な国』だから米軍駐留経費は韓国がより多く出さなければならないというトランプ大統領の主張と軌を一にする」と分析している。

「韓国のタリバン」束ねる文正仁補佐官…
「韓国のタリバン」束ねる文正仁補佐官
 もっとも韓国は「裕福な国だ」と言われるのは有難迷惑だ。

 経済成長率は今年は1%に落ち込みそうだし、輸出は12か月連続減少しそうだ。消費者心理も投資心理も冷え込んでいる。

 文在寅大統領の取り巻き左派系ブレーン*1「韓国のタリバン」にとっては一難(GSOMIA問題、日韓貿易摩擦)去って、また一難だ。

*1=文在寅政権は左翼・反日・反米の「386世代」が牛耳る政権とされ、その政治姿勢は一切の妥協を許さぬタリバンの原理主義にも相通ずるとの見方が米外交専門家の間にはある。

 その中心的人物、文正仁・統一外交安保補佐官(前延世大学名誉教授)は、このところテレビ・インタビューなどで強烈な対米批判を展開している。元々在韓米軍撤退要求論者だ。

 外交安保政策にそれほど自信のない文在寅大統領は文正仁氏に全幅の信頼を置いていると言われている。つまり「言いなり」なのだ。

 文正仁氏は、延世大学卒業後、米メリーランド大学に留学、博士号を取得した後、ウィリアムズ・カレッジ、ケンタッキー大学などで10年間教鞭に立った。

 その後、母校の延世大学で32年間教え、その間国際関係大学院院長を務めている。金大中、盧武鉉各政権で外交安保政策の指南役を務め、北朝鮮に対する「太陽政策」を推進してきた。

 米学界にも知人が多く、その業績から米国に対する劣等感や違和感はなく、米国人に対しても正々堂々と持論を述べることでも知られている。

 その文正仁氏は11月25日、韓国テレビに出演してこう述べている。

「トランプ大統領が防衛費分担金(の増額を韓…
「トランプ大統領が防衛費分担金(の増額を韓国が認めないということ)を理由に在韓米軍を一方的に削減し、韓米同盟関係を揺るがすようなことがあれば、韓国国民は黙ってはいない。韓米関係は非常に困難な状況に追い込まれるはずだ」

 さらにこうも言っている。

「現在、在韓米軍は2万7000人*2ほどだが、これを2万2000人以下に減らすには米議会の事前承認*3が必要だ。だからトランプ氏が減らせる兵力は5000人程度だ」

「米空軍を少し残しておけば、地上軍(陸軍)を撤収させても韓国防衛に問題はない」

*2=在韓米軍兵力は韓国国外への軍事出動により2万7000人から3万3000人を前後しており、2019年11月現在の兵力は2万8200人。内訳は陸軍1万9000人、海軍1万人、空軍8000人、海兵隊200人となっている。

*3=米議会は2018年8月に可決成立した2019会計年度国防権限法により在韓米軍は2万2000人以下にすることを禁じている。また2020会計年度国防権限法案には「北朝鮮による脅威がある限り在韓米軍を2万8000人以下に削減することを禁じた」条項を盛り込んでいる。同法案は目下、上下両院協議会で審議中。年内成立を目指している。

 時事通信のソウル特派員だった室谷克実氏*4によれば、「文在寅氏と文正仁氏は外交・安保に関する限り、考え方、発想の仕方は双生児。文正仁氏は大統領が公式には言えないホンネを代弁する人物」だという。

*4=https://www.sankei.com/column/news/171130/clm1711300006-n1.html

 だとすれば、再開される防衛分担金交渉に臨む韓国側がこのまま50億ドル要求をすんなり呑むとは思えない。

米外交安保専門家たちの動向を注視…
米外交安保専門家たちの動向を注視
 ワシントンの韓国メディアの一人は「韓国のタリバン」がどう出るかについて筆者にこう指摘している。

「文在寅大統領が注視しているのは米国内にもトランプ大統領の『ほめ殺し作戦』を冷やかに見ている安保・外交専門家や主流メディアの動向だ」

「戦略国際問題研究所(CSIS)のジョン・ハムレ所長は、『在韓米軍は米国の国益のために駐留しているし、現在の分担額(約10億ドル)はまあまあの金額だ』と述べている」

https://www.youtube.com/watch?v=Z1d0c3J-NCw

「またワシントン・ポストも『トランプ大統領は韓国など同盟国に防衛分担金の増額を検討している。同意しないのなら米軍を撤収させると言っているが、そうなると同盟国は独自の防御能力の開発に着手する可能性が大だ』と警告している」

「それに2019会計年度国防権限法ではたとえトランプ大統領が撤退するぞと脅しても2万2000人以下には削減できないと高を括っている」

「つまり文在寅大統領は、トランプ政権総動員の『ほめ殺し作戦』を展開しても実際には50億ドル満額回答を狙っているわけではないだろうと見ている」

 となれば、50億ドルからどのくらいまけてもうらえるか、だ。米韓交渉を知る立場にあるワシントンの外交筋はこんな予測をしている。

「米側はトランプ大統領が要求している50億ドルがかなわない場合でも韓国が最大限の提示をすれば、それを一応受けいれ、『不満の表れ』として在韓米軍のうち陸軍1旅団(1500人から4000人)撤収させる準備をしているようだ」

「問題は韓国側が提示する増額がどのくらいになるか、少なくとも現在の8億4400万ドルの2倍くらいは狙っているのだろう。それでも撤収はする」

「トランプ大統領が振り上げた拳の落としどころがどのへんなのか。こればかりは分からない」

 再開日を公表した韓国外交部は以下のようなコメントを出している。

「韓国政府は既存の協定の枠組みの中で合理的な水準での公平や防衛費分担をするという基本的な立場のもと、忍耐をもって米国側と緊密な協議をする」

 ポイントは「既存の協定の枠踏みの中で」だ。つまり協定の枠組みを維持するという前提での「小幅引き上げ案」を狙っている。

 これにトランプ大統領がOKするか。ここは渋々折れて、『不満の表れ』として1個旅団を撤収させるのか。米韓の厳しい外交交渉が再開する。

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軍のプロ意識に忍び寄るポピュリズム、軍民関係の危機露呈
2019.12.2(月)
The Economist
アメリカ?政治?安全保障

(英エコノミスト誌 2019年11月30日号)


蜜月だった頃のドナルド・トランプ大統領とジェームス・マティス国防長官(当時、2018年7月、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
面汚しの海軍特殊部隊隊員をめぐる騒ぎは、軍民関係をめぐる大きな危機を浮き彫りにしている。

 米国の第45代大統領は、政権を軍の幹部で固めて4年の任期をスタートさせた。その後、「私の将軍たち」と呼んでいた面々と袂を分かった。

 ドナルド・トランプ大統領は11月15日、戦争犯罪に問われた兵士2人に恩赦を与えたほか、捕虜の遺体とともにポーズを取って写真に収まったことで軍法会議で有罪とされたエディー・ギャラガー海軍特殊部隊(SEALs)隊員の降格処分も取り消した。

 海軍がギャラガー氏からトライデント・ピン(SEALsの徽章)を取り上げようとした時、トランプ氏はそのまま持たせよと命じた。

 これを聞いたリチャード・スペンサー海軍長官が、軍の司法に細かく介入するのはいかがなものかと異を唱えたところ、すぐに解任された。

(スペンサー氏には、上司であるマーク・エスパー国防長官の知らないところでホワイトハウスとの取引を試みたという告発もなされた)

 一連の出来事は、トランプ氏の大統領就任以来ギクシャクしている軍民関係をさらに悪化させることになった。

 トランプ氏が就任当初、高官のポストを埋める際に退役・現役の軍人を頼りにしたのは、十分な能力を備え、かつトランプ氏に仕えてもよいと考える文民が不足していたことの反映だった。

 しかし同時に、政策の推進にあたって軍の威光を利用しようという企みのためでもあった。

 オーバーン大学のピーター・ホワイト氏によれば、米国では1960年代のリンドン・ジョンソン政権以降、どの政権においても現役または退役した将官(将軍か提督のこと)が少なくとも1人、閣僚か幹部になっている。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58440https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58442


 

現実味が増してきた「在韓米軍撤退」東アジア「深層取材ノート」(第13回)
2019.11.30(土)
近藤 大介
アメリカ?韓国・北朝鮮
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2017年11月、在韓米軍のハンフリーズ基地を訪問したトランプ大統領(写真:AP/アフロ)
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 日本では、日韓GSOMIA(軍事情報包括保護協定)の終了を韓国側が延期したことに関連して、日韓の徴用工問題と貿易問題が再燃している。今週は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の外交安保問題の懐刀である文正仁(ムン・ジョンイン)大統領安保担当特別補佐官が来日し、日本側の懐柔に当たっている。

 だがそんな中、本国、すなわち韓国でいま一番ホットな話題は、日韓関係ではない。ズバリ、「在韓米軍撤退問題」である。

トランプも文在寅も在韓米軍撤退論者
 韓国の外交関係者が語る。

「文在寅大統領とドナルド・トランプ大統領は、個人的には相性が悪いと、一般には思われている。それはそうに違いないのだが、ただ一点だけ同じ考えを持っている。それは、在韓米軍を一刻も早く撤退させたいということだ。

 トランプ大統領は、アメリカ軍が外国に駐留するのはカネの無駄だと考えている。一方、文在寅大統領は、北朝鮮と完全に和解するため、在韓米軍は邪魔だと考えている。両国のトップが、理由はともあれ同じ方向を向いているのだから、そちらへ進んで行くのは自然な流れだ」

 実際、韓国では、SMAを巡る議論から、在韓米軍の撤退、もしくは縮小に向かうとの観測が流れているのだ。

 SMAとは、在韓米軍防衛費負担金、すなわち韓国側が、2万8000人の在韓米軍の駐留経費をいくら出すかということだ。12月末までに結論を出すことになっている2020年分のSMAを巡って、期限まで1カ月となっても、米韓は大モメなのだ。

文在寅の「後継者」による爆弾発言…
 11月18日、ソウルで行われた3回目の米韓協議も決裂した。韓国の外交関係者が続ける。

「アメリカ側は、今年のSMA10億ドルの5倍の50億ドル出せという。わが国は、今年同様、8%程度の増額にしてほしいという。両国の開きは依然として大きく、3回目の交渉はわずか80分で決裂した。

 アメリカ国防総省は、2020年会計年度(2019年10月〜2020年9月)で、在韓米軍の駐留経費を44億6420万ドル計上している。その内訳は、在韓米軍の人件費21億400万ドル、運営維持費22億1810万ドル、家族・住宅費1億4080万ドル、特定目的費用130万ドルだ。だがこれは、わが国に対して圧力をかける目的で掲げているものであり、韓国がこれを全額負担するのは理にかなわないというのが、わが国の一貫した立場だ」

 このため、特に文在寅政権を支持する左派の間で、在韓米軍撤退論がにわかに喧しくなってきているというわけだ。

文在寅の「後継者」による爆弾発言
 前述の文正仁大統領補佐官も、在韓米軍撤退論者として知られる。だが、最近その発言に注目が集まっているのは、柳時敏(ユ・シミン)廬武鉉財団理事長である。

 柳理事長は1959年、慶尚北道慶州生まれ。ソウル大学経済学部時代に、総学生代議員会議長を務めるなど、学生運動の闘士としてならした。卒業後はドイツ統一を研究するためドイツに渡り、左派のハンギョレ新聞ドイツ通信員などを務めた。帰国後はMBCの時事討論番組『100分討論』の司会役などを経て、2003年の廬武鉉大統領誕生とともに、文化人から大統領側近の国会議員に転身した。

 廬武鉉政権時代の2006年2月から2007年5月まで、保健福祉部長官(厚労相に相当)を務め、児童と高齢者への社会主義的バラマキ行政で話題を呼んだ。2012年の大統領選で左派の文在寅候補が右派の朴槿恵候補に敗れたことで、翌年2月に政界引退を発表。現在は、廬武鉉財団理事長という肩書で、「盟友」文在寅大統領の個人アドバイザーの役割を果たしている。

 その柳理事長が11月26日、次のような爆弾発言を行ったのだ。

「アメリカはわが国に、年間6兆ウォンのSMAを要求している。これはわが国の国民一人当たり2億ウォンだ。これは世界一高い額で、こんなものを出していたら、わが国の余力がなくなってしまうし、もはや同盟ではない。

 アメリカは駐留経費がないというなら、規模を減らせばよいのだ。象徴として空軍だけを残して、陸軍はすべて撤退したって構わない。無理な要求ばかりするのだったら、いなくたってよいという話だ」

 柳理事長のこの発言が韓国で注目されたのは、その内容が過激だからということもあるが、文在寅大統領が「新たな後継者」に指名するのではないかとの観測が立ち始めたことも大きい。

アフガン駐留米軍削減の次は在韓米軍… 文在統領の任期は2022年5月までで、現在はちょうど5年の任期の折り返し地点を越えたところだ。だが、来年4月の総選挙を終えれば、韓国は事実上、大統領選挙レースに突入する。

 文大統領が当初、後継者に考えていたのは、「タマネギ男」(剥いても剥いても疑惑が出てくる男)のニックネームで有名になっだ国(チョ・グク)前法務長官だった。だが゙前長官は、いまや自身が逮捕されるのではとも噂されるほどで、次期大統領の芽は完全になくなった。

 現在、「次期大統領に最も近い男」と言われるのは李洛淵(イ・ナギョン)首相だが、文大統領とは距離がある。かつ、李首相は全羅南道出身のため、慶尚道の票が取りにくいという致命的な欠点を抱えている。

 それに対し、柳理事長ば長官と並んで文大統領の古くからの仲間であり、慶尚道の出身だ。文大統領のホンネとしては、゙氏の芽が消えたいま、柳氏こそが、後を託したい「意中の人」と言えるだろう。

アフガン駐留米軍削減の次は在韓米軍
 折りしも、トランプ大統領がサンクスギビングデーに合わせて11月28日、電撃的にアフガニスタンの駐留米軍基地を訪問したことが、韓国で大々的に報道された。

「トランプ大統領は、現地の兵士たちに七面鳥を翳しながら、現在1万4000人いるアフガニスタンのアメリカ軍を、8600人に減らすと宣言した。トランプ大統領は、2016年の大統領選挙中から、アフガンと韓国のアメリカ軍を撤退させるという公約を掲げてきた。いよいよ次は韓国軍の番だ。


『ファーウェイと米中5G戦争』(近藤大介著、講談社+α新書)
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 文在寅大統領は、自分の任期中に、アメリカから戦時作戦統制権(有事の際に在韓米軍司令官よりも韓国軍最高司令官が上に付く権利)を取り戻すことに意欲を燃やしており、今年8月からそのためのオペレーションも始めている。戦時作戦統制権の返還が、在韓米軍撤退の決定的な契機となるだろう」(同前)

 在韓米軍問題は、日本の防衛にも直結する重要事だ。日本は日韓問題の枠組みの中で、徴用工や貿易問題と合わせて、この問題を考えていくべきである。

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急転直下、韓国GSOMIA延長の舞台裏
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トランプも文在寅も腹の内には「在韓米軍撤退」
東アジア「深層取材ノート」(第5回)
近藤 大介

GSOMIA延長、その裏にあるアメリカの本音
韓国が同盟関係を損なうことをアメリカは絶対に許さない
山田 敏弘

GSOMIAで方針転換、動揺する文在寅の支持層
革新系支持層へのアピールのため「徴用工問題」を持ち出す可能性も
武藤 正敏

GSOMIA破棄延期では足りない韓国
迫る北の脅威、反日煽っている場合ではない
西村 金一

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58437
http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/831.html

[経世済民133] 年金制度の国際比較、日本が最低ランクになったワケ 10月税収1.5%増、累計3.5%減  消費主義は信仰蝕む「ウイルス」ローマ教皇が買い物自制呼びかけ 日経平均大幅反発 大手銀行株:金利連高 ユーロ圏製造業上方修正−雇用減継続 米国債投資家−悲観論維持し改善にも備え 豪中銀、量的緩和ゆっくり トルコ成長率プラス
年金制度の国際比較、日本が最低ランクになったワケ
日本の年金が抱えた3つの問題とは?
2019.12.2(月)加谷 珪一
(写真はイメージ)
 各国の年金制度を比較したコンサルティング会社の調査結果が話題となっている。日本の公的年金の格付けは、韓国や中国、アルゼンチンなどと並んで世界最低ランクという位置付となったが、日本の公的年金はどこに問題があるのだろうか。(加谷 珪一:経済評論家)

日本と同じDランクは新興国ばかり

 米国のコンサルティング会社マーサーは、世界各国の年金を評価した「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数ランキング」2019年度版の結果を発表した。結果はAランクからEランクまで区分されているが、Eランクに該当する国はなかったので、事実上、A〜Dまでの4ランクとなっている。日本は最低ランクのDに分類されており、全体の順位としては37カ国中31位だった。
 Dランクの国名を見ると、点数が高い順に、韓国、中国、日本、インド、メキシコ、フィリピン、トルコ、アルゼンチン、タイとなっている。日本以外の国名を見ると、基本的に新興国に属する国ばかりであることが分かる。
 近年、韓国や中国に対して何かと敵視したりライバル視する日本人が増えているが、Dランクにカテゴライズされた国々を日本と同水準のライバルと考えるなら、妥当な結果といえるかもしれない。だが、日本を欧米並みの先進国と見なすのであれば(つまり日本は、中国や韓国、トルコなどとは違う国であると考えるのなら)、この順位に甘んじているのは大きな問題だろう。
 では日本の公的年金制度は、先進諸国と比較してどこに問題があるのだろうか。
 ランキングを決める評価項目は、「年金が十分に支払われているか」「年金制度に持続性があるか」「制度が誠実に運用されているか」の3つである。一般論として、年金をたくさん払えば年金財政が悪化し、逆に財政の健全化を優先すると給付は少なくなる。また、制度の仕組みや運用体制がしっかりしていない場合、過度なバラマキが行われたり、運用リスクが大きくなるといった理由から、安定した給付ができなくなる可能性がある。

総合経済力でランキング上位のドイツ

 今回のランキングで最高ランクのAに分類されたのはオランダとデンマークだった。Bプラスのカテゴリーにはオーストラリアが、Bにはフィンランド、カナダ、シンガポール、ドイツ、スイスといった国が入っている。Aランクの2カ国、オランダとデンマークは3項目すべてにおいて高得点を獲得しており、十分な給付と持続性を両立している。OECD(経済協力開発機構)が調査した年金の所得代替率(現役世代の年収の何%を年金としてもらえるか)の比較調査でも、両国はトップクラスだったので、給付水準は本当に高いと考えてよい。少なくともこのランキングを見る限り、給付水準と持続性の両立は可能ということになる。

給付が低水準でも高齢者の生活水準が高いドイツ

 もっとも、年金制度は各国によって異なるため、一律の比較が難しいのも事実である。例えば、オランダやデンマークは、公的年金に加えて義務的な私的年金もあり、事実上の公的年金の一部を形成していることから、日本と比較すると年金が手厚くなる。両国の所得代替率が極めて高いことにも、こうした事情が関係していると考えられる。
 一方ドイツは、私的年金は義務付けられておらず、賦課方式の公的年金をベースにするという点では日本とよく似ている。ドイツの所得代替率は38.2%と日本よりは高いものの、他の欧州各国と比較すると低い。
 また、この調査では家計収入や資産の保有状況なども考慮しているので、単純に年金制度だけを比較したものではない点にも注意が必要である。年金の給付水準が低くても、経済が豊かで家計の貯蓄や資産額が大きい国は「十分性」が高いと判定される。
 たとえば今回のランキングでドイツの十分性は高い順位となっているが、この項目は賃金や貯蓄など家計の経済力を総合したものである。日本と比べて圧倒的に豊かなドイツの場合、年金の給付が低水準であっても、現実の高齢者の生活水準は高いので、ランキングも上位になる。

「死ぬまで働く」ことが前提?

 これに対してフランスは所得代替率が60%以上もあり、給付水準という点ではドイツよりもはるかに手厚い。しかし、保険料率はかなり高く、現役時代の負担は大きいと考えた方がよいだろう。
日本は「死ぬまで働く」ことが前提?
 日本は各項目の点数が低く、残念ながらDにカテゴライズされた。特に点数が低かったのが持続性の項目だ。
 日本は諸外国と比較して、人口減少や高齢化が進んでおり、年金財政には大きな逆風が吹いている。日本と同様、各国の年金制度も税金による補填があるが、日本の政府債務は世界でも突出して高い水準にある。これらの条件を総合すると、日本の持続性が低く出てしまうのは、やむを得ないだろう。
 加えて言うと、日本は年金の所得代替率が極めて低く34.6%しかない。政府は現時点における所得代替率は61.7%と説明しているが、これは専業主婦世帯を想定していることや、現役世代の収入と年金収入で異なる基準を適用するなど、諸外国とは定義が異なっている。日本の所得代替率には多くの問題があり、OECDの調査における所得代替率の方が現実に近いと思ったほうがよい。
 そもそも日本の公的年金は、家族による扶助を補完するためのものであり、高齢者が単独で生活できるよう支援する制度になっていない。
 個人単位で相応の生活を送るには、公的年金の保険料に匹敵する金額を、毎月、私的な年金や運用に充当する必要があるが、多くの人は、公的年金だけで十分と考え、個人的な資産形成をほとんど行ってこなかった。退職後、年金だけでは暮らせない人が続出していることにはこうした背景がある。
 さらに言えば、日本の賃金水準が経済の低迷から低く推移していることも影響している。
 日本の全人口に対する就業者数の比率は50%を超えており、これは先進国としては高い数値である。しかも日本の労働者の平均的な引退年齢は70歳を突破しており、これも諸外国と比較してかなり高い。ドイツは平均65歳、フランスは62歳、英国も65歳で引退している。

日本の年金が抱えた3つの問題

 日本の労働者は現役時代に十分な賃金をもらえず、年金で老後の生活をカバーできる仕組みにもなっていないため、事実上、一生涯の労働を余儀なくされている。政府は企業に対して70歳までの雇用延長を求めているが、これも現状を追認した結果に過ぎないと解釈した方がよいだろう。

日本の年金が抱えた3つの問題

 整理すると、日本の年金制度には以下の大きな課題があると認識できる。
 1つ目は、年金の基礎的な位置付けである。
 公的年金について、個人単位で老後の生活を支える制度であるとみなすのであれば、現在の保険料水準では到底、財源が足りない。現状の水準を維持するということならば、制度本来の趣旨を徹底し、老後については家族が面倒をみるか、自助でカバーするとの割り切りが必要となる(筆者はそうは思わないが)。逆に個人単位で老後の生活を支える制度と見なすなら、保険料徴収をさらに強化する必要があるだろう。
 2つ目は、人口減少と高齢化に対する認識である。
 年金が賦課方式である以上、高齢化と少子化が進めば、給付水準は減らさざるを得ない。人口減少は数十前から予想できていたことであり、もしその影響を軽視していた、あるいは意図的に無視していたのであれば、国民が主権者である以上、国民全員の責任である(誰を政治家にするのか決めるのはほかでもない私たち自身である)。
 人口減少はすぐに効果が得られるものではなく、これを解決するには大規模に移民を受け入れるしか方法はないが、日本人は基本的に移民に否定的であり、この方策は実施できない。
 3つ目は経済の基礎体力である。ドイツのように年金制度がそれほど手厚いものではなくもて、経済が豊かで賃金が高く、国民が十分に資産形成をできる状況であれば何の問題もない。基本的に老後の生活水準はその国の経済力に比例すると考えた方がよい。
 日本人は過去20年、変化を激しく嫌い、その間に、経済力という点で他の先進国に致命的な差を付けられてしまった。日本のGDP(国内総生産)は過去20年、ほぼ横ばいだったが、諸外国は1.5倍から2倍に規模を拡大させている。今後、日本が諸外国と同じ成長率を実現したとしても、実質的に諸外国の半分になった経済格差は埋まらない。
 諸外国と同レベルの年金(あるいは老後の生活)を実現するのであれば、諸外国の2倍の成長を実現する必要があるが、これは極めて難易度が高く、しかも私たち国民には相当の覚悟が求められる。現実的には給付水準の低下と保険料の引き上げという現実を受け入れるしか方法はなさそうだ。

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ビジネス2019年12月2日 / 17:00 / 4時間前更新
日経平均は大幅反発、円安基調と中国経済指標を好感
Reuters Staff
2 分で読む

[東京 2日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は大幅反発。前週末の米国株式市場はさえなかったものの、為替の円安基調や中国の堅調な経済指標が好感され、輸出関連株中心に幅広く物色された。終値ベースでは11月12日に付けた年初来高値2万3520円01銭を上回った。商いはやや細り、東証1部の売買代金は4日連続の2兆円割れとなった。

前週末の米国株式市場は、主要3指数が軟化。米中通商協議を巡る懸念に加え、年末商戦の幕開けとなる感謝祭明けの「ブラックフライデー」での店舗の集客が例年よりも少なかったことで小売株が売られた。

一方、外為市場ではドル/円が5月30日以来の高値をつけ、109円台半ばで安定的に推移。また、中国国家統計局が発表した11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は市場予想に反し、景況拡大と悪化の分かれ目となる50を7カ月ぶりに上回った。

日経平均はこれらを好感し寄り付きで急上昇。前場の取引時間中に財新/マークイットが11月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)を発表、51.8と前月の51.7から上昇し、2016年12月以来の高水準となったことも追い風となった。後場は2万3500円台前半での膠着状態が続き、値幅は上下43円53銭にとどまった。

TOPIXも反発。東証33業種は、鉱業、石油・石炭製品を除く31業種が買われ、海運業、ガラス・土石製品、卸売業などが値上がり率上位となった。

市場からは「中国の11月製造業購買担当者景気指数(PMI)が予想を上回ったことで、景気敏感株により関心が集まるようになっている。円安も追い風となり、強い基調が続きそうだ」(SBI証券・シニアマーケットアドバイザーの雨宮京子氏)との声が出ていた。

また「想定以上に強く、アジア株の中でも一段高。今週は機関投資家が中間配当を再投資に回すとされていることも影響しているのではないか」(東海東京調査センター・シニアエクイティマーケットアナリストの仙石誠氏)との指摘もあった。

個別銘柄では任天堂(7974.T)、ソニー(6758.T)、村田製作所(6981.T)、キーエンス(6861.T)、NTT(9432.T)、富士通(6702.T)などの多数の銘柄が年初来高値を更新した。

東証1部の騰落数は、値上がり1515銘柄に対し、値下がりが542銘柄、変わらずが100銘柄だった。

日経平均.N225

終値      23529.50 +235.59

寄り付き    23388.63

安値/高値   23,378.40─23,562.05

TOPIX.TOPX

終値       1714.49 +15.13

寄り付き     1705.99

安値/高値    1,705.23─1,717.35

東証出来高(万株) 94696

東証売買代金(億円) 16942.62
https://jp.reuters.com/article/tokyo-stx-close-idJPKBN1Y60M7

 

 
ビジネス2019年12月2日 / 17:35 / 3時間前更新
10月税収実績は前年比1.5%増、累計で同3.5%減=財務省
Reuters Staff
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[東京 2日 ロイター] - 財務省が2日発表した10月の税収実績は、前年同月比1.5%増の3兆8826億円だった。前年同月比でのプラスは7カ月ぶり。源泉所得税の増加が税収を押し上げた。

源泉所得税は前年同月比7.6%増の1兆0279億円、消費税は同3.1%増の1兆5318億円だった。10月からは消費税率が8%から10%に引き上げられたが、「消費税引き上げ分の納付は10月にはほとんどない」(財務省)という。

10月までの累計税収実績は前年同月比3.5%減の20兆5842億円だった。進ちょく率は32.9%で、前年同月の35.3%を下回って推移している。

財務省は税収見通しについて「課税実績や経済見通しなどさまざまな要素を踏まえる必要があり、現時点で具体的な見通しを言うことは難しい」とコメントした。

麻生太郎財務相は11月19日の閣議後会見で、2019年度の税収見通しについて、当初計画の62.5兆円を「下回る可能性が十分にあり得る」と語っている。

志田義寧
https://jp.reuters.com/article/japan-october-tax-income-idJPKBN1Y60MJ

 

ワールド2019年12月2日 / 11:44 / 9時間前更新
消費主義は信仰蝕む「ウイルス」、ローマ教皇が買い物自制呼びかけ
Reuters Staff
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[バチカン市 1日 ロイター] - ローマ教皇フランシスコは1日、クリスマスに向けて買い物が増える時期に際し、過剰な消費主義に抵抗するよう呼びかけた。また、消費主義は信仰に挑戦し、貧しい人々を攻撃するウイルスだと批判した。

教皇はミサの講話で、「物のために暮らせば、物はけっして充分とはならない。欲望がふくらみ、他者が競争の障害となる」と指摘。今日、世界の多くの場所で「消費主義が君臨している」と述べた。

この日は米国のブラックフライデーとサイバーマンデーの間に当たった。

教皇は、「消費主義はあなたの(家の)扉を叩く兄弟を忘れさせるゆえに、信仰を蝕むウイルスだ」と述べた。

その上で、クリスマスに向けて「今月にいたるところで煌めき、目をくらませる閃光である消費主義に抵抗するように」と人々に呼びかけた。
https://jp.reuters.com/article/usa-holidayshopping-pope-idJPKBN1Y605I


 
中間決算後の大手銀行株:金利に連れ高で希少な投資機会に
金融テーマ解説
大槻 奈那 2019/11/29
大手行の中間決算は材料薄の無難な内容
• 邦銀株はますます金利依存度を高める
• 業績上のリスクは、下期の減損、与信費用増、円高だが…
• 主体性を失った銀行株。金利上昇に伴う希少な上昇相場となる可能性
・邦銀大手行の中間決算は60%の達成率と平年並み。利鞘縮小や為替要因で資金利益は全行でマイナスで、手数料も振るわなかったが、債券等売却益と費用抑制で持ちこたえ。
・決算は大きな材料とはならなかったが、このところの株価は堅調。主因は、景気回復期待等による日米金利上昇とみられる。中長期ゾーンの金利が上昇しても実は収益へのプラス影響は軽微であるが、材料難で、金利や為替に銀行株が一層敏感になっている。
・近年、下期には大手行にネガティブニュースが少ない傾向がある。大手行の配当利回りはほぼ4%台と高く、中期的には還元強化もありうる。このため大手行株は、主体性なく金利に連れ高し、極めて希少な投資機会となる可能性がある。
大手行の中間決算は材料薄の無難な内容
大手行5グループの中間決算とこれに関わる説明会が一巡した。会社計画に対する当期利益の達成率は約60%と、概ね平年並みのレベルだった(図表1-1,1-2)。
(大手行5グループは、三菱UFG FG、三井住友FG、みずほFG、三井住友トラストHD, りそなHD)


決算の内容としては、利鞘は引き続き縮小し、加えてこの上期でみると円高となったことから、海外の金利収益が目減りし、資金利益は全行で前年同期比でマイナスとなった。更に、手数料も、不動産仲介等成長した項目もあるものの、みずほの横ばい以外全行で減少した。国内の店舗改革等地道な経費カットに注力し、海外やIT投資の増加をカバーし横ばいに抑えた。
外債を中心とする債券等売却益の増加で何とか持ちこたえ、地銀と異なり与信費用の増加も見られなかったことから、前述の通り、会社計画に対して60%の達成という無風で材料に乏しい決算となった。
邦銀株はますます金利依存度を高める
そんな中、株価は、決算発表後にするすると上昇している(図表2-1)。主因は、全体の株高、特に、景気回復期待による金利上昇とみられる。マイナス金利発表の2016年1月以降の不遇の時代にも、銀行株は、2016年後半、17年後半、そして今回と、3回のラリーを経験している。これらはいずれも、日米の金利上昇、特に米国の金利上昇に大きく影響を受けている(図表2-2)。


実は、中長期ゾーンの金利が上昇しても、銀行収益へのプラス影響は軽微である。貸出の大半は、短期金利に連動しているためである。しかし、銀行セクターに材料が乏しい中、金利上昇はますます銀行株上昇の“必要条件”となっている。
逆に、金利が上昇しても銀行株があまり反応しない場合もある。例えば、2018年の半ばは、金利は上昇したが、邦銀株はその前の下落分を取り戻した程度で、すぐに腰折れた。これは、当時は、海外の地政学リスクで円高に振れ、これに連れて日銀の追加緩和懸念が発生したこと等が主因とみられる。為替が円高に振れると、日銀の金融緩和懸念が高まり、銀行株が売られやすくなる。このため、近年は、銀行株の為替に対する(特に下方の)感応度が増している(図表3)。


業績上のリスクは、下期の減損、与信費用増、円高だが…
当面の大手行株のリスク要因は何か。下期の業績については、子会社株式の減損リスク(三菱UFJの米ユニオンバンク、同インドネシア・ダナモン銀行)や、与信費用の増加などが懸念材料である。しかし、前者については、既に市場では織り込まれており、後者については、利益に対するインパクトとしては軽微にとどまりそうだ。
むしろ、株価的には、再び日銀の追加緩和が囁かれ始めることの方が大きなリスクだろう。物価上昇率が弱いことは周知なので、むしろ、為替が大きく円高に振れた場合がこれに当たる。このため、地政学リスク、特に香港情勢および米中問題には注意すべきだろう。
主体性を失った銀行株。金利上昇に伴う希少な上昇相場となる可能性
近年、下期には大手行関連のネガティブ・ニュースがやや少ない傾向がある。現在の配当利回りは、3%台後半〜4%台後半と極めて高い(図表4)。銀行セクターでは、赤字決算にでもならない限り減配はまずありえないと考えてよい。昨年度、83%の大幅減益でも期初予想配当を維持したみずほの例からも、銀行の配当維持の意思の強さは明らかだ。
しかも、海外の銀行等の大きな買収も一服しており、中期的には更なる株主還元強化も期待できる。
株価水準も、PBR(株価純資産倍率)=0.5倍〜0.6倍と、多少上昇してもなお安い。前述の通り、下方リスクがないとは言えないが、材料難の中、主体性なく金利に連れ高を続け、マイナス金利導入後3度目という極めて希少は上昇相場となる可能性もあるだろう。大手5グループの中でも、特に、株主還元強化が期待できる三井住友FG(8316)や、手数料が拡大しており高齢者ビジネスにも強い三井住友トラストHD(8309)に注目したい。


大槻 奈那
マネックス証券株式会社 チーフ・アナリスト 兼 マネックス・ユニバーシティ長 マネックスクリプトバンク株式会社 マネックス仮想通貨研究所所長
東京大学卒、ロンドン・ビジネス・スクールでMBA取得。スタンダード&プアーズ、UBS、メリルリンチ等の金融機関でリサーチ業務に従事、各種メディアのアナリスト・ランキングで高い評価を得てきた。2016年1月より、マネックス証券のチーフ・アナリストとして国内外の金融市場や海外の株式市場等を分析する。現在、名古屋商科大学大学院教授、二松学舎大学国際政治経済学部の客員教授を兼務。東京都公金管理運用アドバイザリーボード委員、貯金保険機構運営委員、財政制度等審議会委員。ロンドン証券取引所アドバイザリーグループのメンバー、内閣府規制改革推進会議委員も務める。 テレビ東京「ニュースモーニングサテライト」等、メディアへの出演も多数。 著書: 『本当にわかる債券と金利』(日本実業出版社)、 『1000円からできるお金のふやし方』 (ワニブックス)
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• 2019/11/12SBI、福島銀行提携発表:他行も背中を押される可能性で、低位地銀株に投資余地
• 2019/10/31日銀政策決定会合:フォワードガイダンス微調整のみ。銀行にはやや安心感
• 2019/10/18米大手行7-9月決算:利下げの逆風でも意外と強い。引き続き「強気」
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https://media.monex.co.jp/articles/-/12855

 

ユーロ圏製造業:PMI改定値が上方修正、不振和らぐ−雇用減は継続
竹生悠子
2019年12月2日 19:15 JST
ユーロ圏の製造業は活動状況を示す指数が11月に3カ月ぶり高水準となったものの、雇用減少が続いた。
  IHSマークイットが2日発表した11月のユーロ圏製造業購買担当者指数(PMI)改定値は46.9と、速報値の46.6から上方修正されたものの、依然として拡大と縮小の分かれ目である50を下回った。新規受注の落ち込みは和らいだが、雇用は7カ月連続で減少した。  
  IHSマークイットのチーフビジネスエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「10−12月(第4四半期)のデータはこれまでのところ、四半期で製造業が1%余りの縮小となるペースだ」とした上で、PMIは「それでも、英国の欧州連合(EU)離脱と貿易戦争などに関連して新たな悪い展開がない限り、ユーロ圏の製造業にとって最悪期は過ぎたという幾分の明るいシグナルを送った」と指摘した。

原題:Euro-Area Manufacturing Slump Eases But Job Losses Continue(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-12-02/Q1VNPPT0AFBC01?srnd=cojp-v2

 


 
米国債投資家は確信持てず−悲観論維持しつつ景気見通し改善にも備え
Emily Barrett
2019年12月2日 14:46 JST
• 米国債利回りは低位安定とみつつ、スティープ化見込むポジションも
• 米中貿易協議が進展し成長見通し改善ならユーロに恩恵との見方浮上
今年の感謝祭で投資家が感謝したものの1つに、昨年の今ごろと比較した金融市場の静けさがあったかもしれない。しかし、米国債市場の参加者は恐らく、次のステップに向けてもう少し確信が持てたらと望んでいる。
  米国債相場は数カ月ぶりの落ち着きを見せ、10年物利回りは1.78%前後の狭い範囲で安定している。背景には米国株の好調と経済統計の安定化の兆しがある。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は米経済成長について最近、コップは半分以上満たされているとの受け止め方を示した。
  しかし、アバディーン・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ジェームズ・エイシー氏は、「経済見通しに関して非常に悲観的なわれわれの見方は依然正しいと考えている」と言う。ただし、万が一のポジティブサプライズに備えて2年債を引き続き選好、イールドカーブのスティープ化を見込むポジションを取っているという。
  今週発表の米雇用統計がそうしたサプライズになる可能性もあるが、少なくとも当分の間、利回りはかなり抑えられるとエイシー氏はみている。また、米金融当局の利上げの条件である実質的かつ持続的なインフレ圧力が生じる可能性は低いと考えている。
  コロンビア・スレッドニードルの投資ストラテジスト、エド・アルハッサイニー氏も短期債利回り低下を見込んでいる。来年の積極的な米利下げの可能性がなおあるとみているためだ。ただ、米中貿易協議が進展し成長見通しが改善する可能性に備え、インフレへのヘッジを行うと同時に貿易摩擦解消の恩恵を受けそうなユーロを購入しているという。

原題:
Even Blockbuster Jobs Won’t Move the Needle for Treasury Bulls(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-12-02/Q1V5ATDWLU6801?srnd=cojp-v2

 
コラム2019年12月2日 / 18:00 / 3時間前更新
コラム:
豪中銀、量的緩和へのアプローチはゆっくり
Clara Ferreira-Marques
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[香港 2日 ロイター BREAKINGVIEWS] - オーストラリア準備銀行(豪中銀、RBA)は、金融政策対応の余地がまだある。これは他の中央銀行にとって羨ましいかぎりだろう。豪中銀のロウ総裁は、他の中銀が数年前から実施している資産買い入れに踏み切る前に、あと2回利下げして景気を支援できる。豪中銀がゆっくり対応する合理性は十分ある。

豪中銀は、6月以降3回利下げし、政策金利を過去最低の0.75%とした。しかし、その効果といえば、今のところ住宅価格の回復くらいだ。失業率は9月に低下したものの、10月は5.3%に上昇。雇用は過去3年で最大を落ち込みを記録し、消費者信頼感は低迷している。ロウ総裁は、債券買い入れなどの非伝統的措置は政策金利が0.25%まで下がらないと選択肢にならない、と述べている。経済は減速しているが、クラッシュはしていないことを踏まえると、ロウ総裁は時間をかけて緩和を進める余裕がある。

他の多くの中銀幹部と同様、ロウ総裁も政府にもっと景気支援に取り組んで欲しいと考えている。しかしモリソン首相の腰は重い。38億豪ドル(26億米ドル)の財政支出を迅速に実施する計画は歓迎できるが、今後18カ月に支出されるのはわずか18億豪ドル、国内総生産(GDP)の約0.1%にとどまる見込みだ。豪政府はなお、2019/2020年度の財政収支を黒字と想定している。

これまで財政面の対応が遅くても何とかなったのは、ひとつに豪中銀が景気支援に向け緩和をしていたからだ。ただ真の変化をもたらすことができるレバーをコントロールするのは政府だ。豪政府は、早ければ今月の予算中間評価で、給与引き上げという条件付きの法人税減税を提案するといった可能性がある。

豪中銀は、適切なタイミングで金融緩和しなければ、中銀の責務を放棄したことになると懸念しているかもしれない。しかし、ロウ総裁には、あまり伝統的でない措置の採用を強いられることを懸念するもっともな理由がある。中銀幹部、特にユーロ圏の中銀幹部は、資産買い入れは停止するより始める方が簡単だということに気づいた。彼らの経験をみれば、RBAは同じ道を急いで進むことに不安を覚えるだろう。

●背景となるニュース

*豪中銀は12月3日に理事会を開催する。同中銀は6月以降、3回利下げし、政策金利は現在、過去最低の0.75%。

*ロウ総裁は11月26日、量的緩和(QE)が必要になる段階には達していない、との認識を示すものの、必要となれば、流通市場で政府債を購入することになると発言。

*ロウ総裁は、QEは政策金利が0.25%の時点で検討対象となるとの認識を示す。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
https://jp.reuters.com/article/australia-asset-buying-breakingviews-idJPKBN1Y60MV


 

ワールド2019年12月2日 / 18:30 / 24分前更新
トルコ成長率、第3四半期は4期ぶりにプラス 予想にほぼ一致
Reuters Staff
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[イスタンブール 2日 ロイター] - トルコ統計庁が発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)は前年比0.9%増と、ロイターがまとめた市場予想(1.0%増)とほぼ一致した。前年の通貨リラ急落に伴う景気後退の影響を克服し、4期ぶりにプラス成長に転換した。

前期比(季節・日数調整後ベース)では0.4%増と、3期連続のプラスとなった。

第3・四半期は、農業の生産が3.8%増加したほか、工業部門が1.6%、サービス部門も0.6%それぞれ拡大しGDPを押し上げた。建設部門は7.8%のマイナスだった。

リラTRYTOM=D3は1ドル=5.7550リラと、発表前の5.74リラから小幅下落している。

景気回復とともにインフレも鈍化。中銀の利下げのおかげで、融資の伸びも加速している。

また第2・四半期GDPは前年比1.6%減に改定された。

トルコ中銀は経済の支援に向けて7月から積極的な金融緩和を継続、10月下旬も予想以上の大幅な利下げで政策金利を14%とした。その後、ウイサル総裁は、数カ月にわたる大幅な利下げで、利下げ余地は狭まったという認識を示している。[nL3N27G4W2]

トルコ政府は、今年の経済成長率予想を大幅に引き下げ0.5%とした。来年は5%を見込む。

同国のアルバイラク財務相はツイッターに投稿し、第4・四半期の先行指標は経済成長の勢いが増し続けていることを示していると述べた。

しかし、政府目標の達成は難しい可能性があるとエコノミストは指摘している。

ラボバンクの新興国市場担当の為替ストラテジストは「家計や企業に依然としてあまり信頼感がないことが最も気がかりだ」と述べた。

IHSマークイットとイスタンブール商工会議所が2日に発表した11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.5となり、10月の49.0から若干上昇したものの、好不況の分かれ目となる50を下回った。[nL4N28C1MD]

また、同日発表の貿易統計によると、11月の輸出は前年比でほぼ横ばいだった一方、輸入は9.2%増加し、貿易赤字は21億5000万ドルと前年同月の3倍以上に膨らんだ。

*内容を追加しました。
https://jp.reuters.com/article/turkey-economy-gdp-idJPKBN1Y60P7?il=0
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/755.html

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