★阿修羅♪ > 鰤 6dw > 100003
 
g検索 6dw   g検索 CYdJ4nBd/ys76
 前へ
鰤 6dw コメント履歴 No: 100003
http://www.asyura2.com/acpn/6/6d/6dw/6dw/100003.html
[経世済民133] 中国の「富裕化・肥満化・老化」で稼ぐ世界的製薬企業 アリババ「独身の日」セール、過去最高の昨年上回る 香港株急落、抗議活動激化で−下落の香港ドルは需給逼迫の兆し 債券市場に警告シグナル、タームプレミアムが急上昇−売り続く兆候か 9月の英物品貿易、125億4100万ポンドの赤字 欧州市場の主要指標11時半 ポンド上げ幅拡大 欧州株は全面安 投資の巨人ボンダーマン氏、ウォーレン氏支持−「富裕税」実現しない
コラム2019年11月10日 / 08:27 / 11時間前更新

中国の「富裕化・肥満化・老化」で稼ぐ世界的製薬企業
Robert Cyran
3 分で読む

[ニューヨーク 4日 ロイター BREAKINGVIEWS] - お金持ちになるのは嬉しいが、肥満と老化は避けたいものだ。しかし世界的な製薬企業にとっては3つそろうのが好ましく、急速に人口動態が変化する中国で順調に売り上げを伸ばしている。例えば米メルク(MRK.N)は第3・四半期の中国での売上高が前年同期比84%も伸びた。3つの要因に加え、製薬企業におおむね好意的な中国政府の政策方針も追い風となっており、少なくとも中国国内のライバル企業が台頭してくるまでこの潮流は続きそうだ。

米アムジェン(AMGN.O)が10月31日、中国のバイオテクノロジー企業、百済神州(ベイジーン)(6160.HK)の株式を27億ドルで取得すると発表したことは、中国市場における商機の大きさを浮き彫りにした。百済神州はアムジェンのバイオ医薬品を中国で商品化する。英アストラゼネカ(AZN.L)の中国の売上高は40%増えた。ファイザー(PFE.N)の新薬もほぼ同程度、売り上げを伸ばしている。スイスのノバルティス(NOVN.S)は2023年までに中国で50種類の新薬を認可申請する計画だ。

しかも現在、中国市場の拡大は著しい。調査会社IQVIAによると、昨年の医薬品販売高は1370億ドルで、米国に次ぎ世界第2位の市場だ。メルクの売上高の7%、アストラゼネカの20%を占めている。

人口動態でビジネスのすべてが決まるわけではないが、製薬業界にとって好影響はある。中国は急速に裕福になり、高齢化も進んでいる。2002年には65歳以上の人口が全体の7%にとどまっていたが、世界銀行の推計では2050年には26%を占める見通しだ。中国人は健康状態も悪化している。米医学雑誌アナルズ・オブ・インターナル・メディシンの調査によると、過去10年間で肥満の人の比率は3倍の14%に高まった。この結果、循環器系の疾患や糖尿病、がんの患者が増えた。

中国政府はグローバルな製薬企業に概して好意的だ。デロイトによると、多国籍企業が昨年得た新薬の認可は40件と、2016年の3件から増えた。これは売り上げ増につながる。

一部には陰りもある。中国の消費者は伝統的に国内製のジェネリック医薬品を敬遠してきたが、国内製品の質向上に向けた取り締まりなどにより、一部グローバル企業の古い医薬品の利益率は圧縮された。仏サノフィ(SASY.PA)は心臓疾患治療に使われる「プラビックス」と高血圧症薬「アプロベル」の売上高が来年50%減少する可能性があるとしている。とはいえ、より高価な処方薬は堅調だ。

中国は科学者を多数輩出しており、規制によって国内企業の研究・開発支出を後押ししている。国内の巨大製薬企業が確固とした地位を築くには長年を要しそうだ。しかし主要産業で国内企業を育成してきた中国政府の実績を考えれば、グローバル企業は今のうちにわが世の春をおう歌するべきだろう。

●背景となるニュース

*アムジェンは10月31日、中国のバイオテクノロジー企業、百済神州(ベイジーン)の株式20.5%を27億ドルで取得し、中国での事業を拡大すると発表した。

*百済神州はアムジェンの抗がん剤3種類を中国で商品化することで合意した。アムジェンの抗がん剤開発にも協力する。

*サノフィは10月31日、中国での売上高が前年同期比14%増えたと発表した。医薬品とワクチンがけん引役となった。メルクは同29日、中国での売上高が前年同期比84%増加したと発表した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
https://jp.reuters.com/article/china-drug-firms-breakingviews-idJPKBN1XF0FA

 
アリババ「独身の日」セール、過去最高の昨年上回る−16時間経過
Lulu Yilun Chen
2019年11月11日 6:29 JST 更新日時 2019年11月11日 19:04 JST
• 世界の投資家が注目するアリババの取扱高、昨年は2150億元
• 参加ユーザーはロシアなども含め5億人に達する見込み
中国で「独身の日」と呼ばれ、年間最大の電子商取引セール展開の11日、アリババ・グループ・ホールディングの取扱高は当初16時間で過去最高だった昨年の2150億元(約3兆3440億円)を超えた。
  中国のみならず、ロシアやアルゼンチンなども含め参加ユーザーは5億人に達したと推定される。アリババは今年の独身の日にも「天猫ダブルイレブン」ショッピングフェスティバルを上海で開催。テイラー・スウィフトなどの有名歌手が独身の日を盛り上げる出演者に含まれた。

最初の1時間で1000億元を超える
  独身の日のセールは、中国の経済成長が鈍化し成長率が6%を割り込む恐れがある中、同国の消費者がどの程度の購買意欲を持っているのか世界の投資家から注目を集めている。
  フロスト・アンド・サリバンのアジア太平洋ICT(情報通信技術)責任者、リチャード・ウォン氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「アリババは恐らく貿易戦争の影響を回避して、さらに事業を好転させることができるだろう」と指摘。「支出に関する現在のセンチメントと信頼感はなお比較的強い」と説明した。
  
Online Shopping
Alibaba's Nov. 11 sales have surpassed the busiest U.S. online spree
Sources: Alibaba, Adobe Analytics
U.S. data covers period from Thanksgiving through Cyber Monday
原題:Alibaba Singles’ Day Set to Challenge $31 Billion Sales Record(抜粋)
Alibaba Surpasses $31 Billion Singles’ Day Sales Record (1)

 

香港株急落、抗議活動激化で−下落の香港ドルは需給逼迫の兆し
Bloomberg News
2019年11月11日 13:08 JST 更新日時 2019年11月11日 21:12 JST
• ハンセン指数、2.6%安−MSCI香港指数は2.9%下げた
• 香港ドルの3カ月物フォワードポイントは一時76に上昇
11日の香港株式相場は急落し、ハンセン指数が8月上旬以来の大きな下げとなった。この日午前の警官による発砲で抗議参加者が負傷した後、抗議活動は一段と激化した。
  ハンセン指数は前週末比2.6%安の26926.55で引けた。香港上場の中国本土銘柄から成るハンセン中国企業株(H株)指数は2.5%安。MSCI香港指数は2.9%下げた。

西湾河の路上(11月11日)
写真家:ジャスティン・チン/ブルームバーグ
  香港ドルは0.04%安の1米ドル=7.8334香港ドル。
  一方で、香港ドルの3カ月物フォワードポイントは一時76と、2016年以来の高水準に上昇した。今年8月半ばに付けた取引時間中のピーク(46.09)を大きく上回り、外国為替市場で香港ドルの需給が逼迫(ひっぱく)する見込みであることを示唆している。



中環で警察の催涙ガスから逃れるためモール内に身を隠す人々(11月11日)
写真家:ニコール・トゥング/ブルームバーグ
関連記事
58兆円規模の香港株上昇に変調の兆し−警察のデモ参加者発砲などで

原題:Hong Kong’s $530 Billion Stock Rally Buckles as Protests Worsen、Hong Kong Dollar Forward Points Surge to Highest Since 2016 (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-11/Q0S64QDWRGG001

香港の暴力が激化、発砲や催涙ガス−自身に火を付ける男性の動画も
Natalie Lung、Iain Marlow
2019年11月11日 9:25 JST 更新日時 2019年11月11日 21:14 JST
• 地下鉄駅の外で警官が発砲、撃たれた男性は集中治療室で治療中
• 優先課題は暴力を終わらせ香港を正常に戻すこと−行政長官が会見
香港では11日、6月に抗議活動が始まって以来、最も激しい暴力が吹き荒れた。繁華街の機能はまひし、交通網は分断され、男性2人が重体となっている。
  8日に死者が出たことに怒りが収まらないデモ参加者は11日朝、通勤の妨害に動き、この日の混乱が始まった。地下鉄駅の外で警察が参加者に発砲し、撃たれた男性は現在、集中治療室で治療を受けている。
  発砲事件を受けて抗議活動家は香港の主要ショッピング地区の1つである中環での「フラッシュモブ」的な集会を呼び掛け。警察は催涙ガスを使って排除に当たった。
  ほぼ同じ時間にガソリンをかぶって自らに火を付けた男性の動画も流れた。中国紙、環球時報の胡錫進編集長は、男性が「過激な活動に抗議した」とコメント。病院当局によると、この男性は重篤な状態にあり、そのほか約50人が負傷しているという。

デモ参加者が警官に撃たれた現場(11月11日)
  衝撃的な動画は香港情勢がさらに悪化する懸念を引き起こした。11日の香港株は約3カ月で最大の下落。一部の銀行は営業時間を短縮した。
  香港政府は11日午後の声明で、「冷静かつ合理的」になるよう呼び掛けた。林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は同日の記者会見で、暴力によって目的を達することはできないと抗議活動家らに警告。警察の行動についての独立調査や普通選挙権を求める要求に対して「それは実現しないとここで明言する」と述べ、「優先課題は暴力を終わらせ香港を正常に戻すことだ」と表明した。

警察は催涙ガスを使用

警察に応戦する抗議参加者
原題:Hong Kong Violence Escalates With Bullets, Tear Gas, Man on Fire(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-11/Q0S3E16JIJUO01

 


 
9月の英物品貿易、125億4100万ポンドの赤字=国民統計局☆差替【11/11 20:13】
【ロンドン時事】英国民統計局が11日発表した9月の物品貿易収支は、125億4100万ポンドの赤字となった。輸出の伸びが輸入の伸びを下回り、赤字幅は3カ月連続で拡大した。ロイター通信の市場予想で見込まれていた100億ポンドの赤字も上回った。

9月の収支は、輸出が前月比1.2%増の298億5400万ポンド、輸入が5.1%増の423億9500万ポンド。8月分は108億2500万ポンドの赤字に修正された。

物品貿易のうち、欧州連合(EU)向けの輸出は47.6%、EUからの輸入は53.6%を占め、英国がEUから離脱すると、英経済に大きな影響を及ぼすことが改めて浮き彫りとなった。

情報提供:株式会社時事通信社株式会社時事通信社
Copyright(c) JIJI PRESS LTD., All Rights Reserved.

7〜9月期の英GDP速報値、前期比0.3%増=景気後退を回避☆差替【11/11 20:11】
【ロンドン時事】英国民統計局が11日発表した2019年7〜9月期の実質GDP(国内総生産)は、0.2%のマイナス成長に落ち込んだ4〜6月期からの反動で前期比0.3%増となり、景気後退入りを回避した。

ただ、ロイター通信の市場予想(0.4%増)をやや下回った。

GDPを生産面でみると、農林漁業が前期比0.2%減、鉱業は1.7%減。一方、建設業は0.6%増、輸送・通信業が0.6%増、企業向けサービス・金融業が0.3%増となった。

一方、前年同期比では1.0%増と、10年1〜3月期(0.8%増)以来9年半ぶりの低調な伸びを記録した。
https://fx.dmm.com/market/news/?pageId=no201911111353

欧州市場の主要指標11時半 ポンド上げ幅拡大 欧州株は全面安
2019/11/11 20:54
【NQNロンドン】11日午前のロンドン外国為替市場で、英ポンドは対ドルで上げ幅を拡大した。英国時間11時半時点では、前週末の16時時点に比べ0.0030ドルのポンド高・ドル安の1ポンド=1.2820〜30ドル。

目立ったポンド買いの材料は見当たらないものの、10時半以降にポンド買い・ドル売りが強まった。

ユーロは対ドルで横ばい圏。前週末と同水準の1ユーロ=1.1020〜30ドル。

円は対ドルで続伸。20銭円高・ドル安の1ドル=108円90銭〜109円ちょうどで推移している。

欧州株安を背景に「低リスク通貨」とされる円買いが優勢。もっとも11日は米国市場が祝日で休場となるなか値幅は狭い。

英株価指数のFTSE100種総合株価指数は11時半時点で、前週末の終値に比べ1.33%安。アジア株安が欧州市場にも波及している。香港情勢の悪化懸念や米中貿易協議の先行き不透明感から資源株や金融株など中国関連銘柄の売りが目立つ。スポーツ関連小売りのJDスポーツ・ファッションと決算発表を受けて情報・出版のインフォーマは上昇。

欧州各国の主要株式相場は総じて下落。

ロンドン原油市場(ICEフューチャーズ)で北海ブレント先物相場は1バレル61.69ドル付近に下落。前週末終値比で1%超下げている。リスク回避の売りが広がった。ロンドン地金市場協会(LBMA)の金価格は1トロイオンスドル1464.70前後に上昇。投資家のリスク回避姿勢で安全資産とされる金には買いが入った。ロンドン金属取引所(LME)で銅先物相場は1%近く下げている。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGR11H3Z_R11C19A1000000/

 
債券市場に警告シグナル、タームプレミアムが急上昇−売り続く兆候か
Liz McCormick
2019年11月11日 14:08 JST
• 同様の事態、前回には金融危機後の時期以来で最大の債券売りに
• 景気悪化懸念の後退に伴い投資家は長期債保有への不安を深める
債券市場のある指標が突然、赤信号を発した。前回に赤が灯った時には世界金融危機後の時期以来で最大の債券売りにつながっていた。
  その指標とはタームプレミアムで、米国債とドイツ国債の両方について前四半期の記録的低水準から反転上昇している。米国債タームプレミアムの3カ月での上昇は2016年後半以来の最大に向かっている。
  8月までの安定した上昇から一転し、世界の債券相場は最近数週間に下落した。貿易紛争の緩和が世界経済への懸念を和らげたことが背景にある。タームプレミアムの反発は債券売りがさらに続くことを示唆する。短期債をロールオーバーする代わりに長期債を保有する投資家が求めるプレミアムの上昇トレンドは、始まったばかりだと投資家やストラテジストが指摘する。

  10年物米国債利回りは7日に3カ月ぶり高水準となり、ドイツ国債利回りも7月半ば以来の高さとなった。フランスとベルギーではゼロを上回った。8日の日本国債利回りは5月以来の最高に達した。
  景気悪化懸念の後退に伴い、安全資産からリスク資産への資金の流れが見込まれる中で投資家は長期債保有について不安を深めている。こうした傾向はすでに利回りを押し上げ、米連邦準備制度が利下げ停止を示唆していることと相まって、タームプレミアムが上昇。欧州でも緩和的な金融政策の中でインフレ見通しが上向きタームプレミアムへの上昇圧力になっている。
  コーナーストーン・マクロのパートナー、ロベルト・ペルリ氏は、貿易問題や英国の欧州連合(EU)離脱を巡るリスクが和らいだため、「タームプレミアムは50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)程度上昇する余地がある。米金融当局は金利を据え置いており利上げの可能性はゼロなので投資家がリスクを取るインセンティブは大きい」と話した。
   ニューヨーク連銀のモデルによると、10年物米国債のタームプレミアムは8月末から約42bp上昇し、3カ月で16年以来最大の上昇に向かっている。8月はマイナス1.29%という記録的な低さだったが、先週にはマイナス0.84%まで回復した。
原題:
This Red Alert Is Now Flashing on the Bond Trader’s Radar Screen(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-11/Q0SAWZT0AFB401?srnd=cojp-v2

 
投資の巨人ボンダーマン氏、ウォーレン氏支持−「富裕税」実現しない
Amanda L. Gordon (News)
2019年11月11日 15:48 JST
• 「トランプ氏かウォーレン氏かの選択ならどちらを選ぶかは明白」
• 「ウォール街は富裕税に関心ない。いずれにせよ実現しないだろう」
2020年米大統領選の民主党の公認指名を争うエリザベス・ウォーレン上院議員は、プライベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社を批判する急先鋒(せんぽう)だが、投資業界の巨人が支持しない理由にはならないようだ。
  TPGキャピタルの共同創業者で資産家のデービッド・ボンダーマン氏は、既存のリストに掲載されている候補者の方が、トランプ大統領よりもうまくやるだろうと述べ、トランプ氏よりもウォーレン議員を選ぶ意向を示した。
  ボンダーマン氏は9日午後、ロサンゼルスで開かれた会議でブルームバーグの質問に対し、「トランプ氏かウォーレン氏かという選択になれば、どちらを選ぶかは明白だと思う」と語った。
  ボンダーマン氏は、ウォーレン氏が賢いとしながらも、提案の多くを実行できるとは考えていない。同氏は「そうは言っても、彼女は多くの点で魅力的な候補だ。ウォール街の同業者は2%の富裕税に関心を向けていない。いずれにせよ実現しないだろう」と発言した。
  

エリザベス・ウォーレン上院議員
写真家:ダニエル・アッカー/ブルームバーグ

デービッド・ボンダーマン氏
写真家:Vivek Prakash / Bloomberg
原題:Warren’s Private Equity Attacks Haven’t Stopped This Supporter(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-11/Q0SF9TT0G1L601?srnd=cojp-v2



http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/618.html

[国際27] グローバル化が生む新たな「壁」 米中2強体制シフト 宇宙を巡る米中覇権争い「見えない攻撃」で増すリスク ボーゲル氏「反中、米の総意でない」ベルリンの壁崩壊30年
グローバル化が生む新たな「壁」 米中2強体制シフト

 ベルリンの壁崩壊30年(上)

中国・台湾  ヨーロッパ 北米
2019/11/8 23:00
東西冷戦の象徴、ベルリンの壁が崩れて9日で30年たつ。壁崩壊は世界に本格的なグローバル競争の時代をもたらしたが、一方でひずみやあつれき、緊張も生んだ。所得格差、保護主義、米中摩擦――。グローバル主義の理想は30年を経て色あせ、新たな壁に突き当たっている。世界は分断の時代への後戻りを乗り越えられるのか。

画像の拡大
「ベルリンの壁」をハンマーで破壊する市民ら(1989年11月、ベルリン)=AP
ベルリンの壁跡地の一角にある東京ドーム3個分の床面積を持つ近代建築。今も年間800万人が訪れる一大観光名所は名前を「ソニーセンター」という。
再開発計画にソニーの参画が決まったのは1991年。建物は2000年に完成したが、持ち主はその後、米独投資会社、韓国年金基金、米・カナダ投資会社と3度変わった。流転の歴史が物語るのは、グローバル化した世界における日本の地盤沈下だ。
【関連記事】
・ベルリンの壁崩壊から30年 繰り返す「分断」
・独首相「壊せない壁ない」 ベルリンの壁崩壊30年で式典
壁崩壊は国境と体制の垣根を取り払い、グローバルに動き回るモノやカネの流れを生んだ。世界銀行によると、世界の貿易が国内総生産(GDP)に占める比率は80年代は4割を下回っていたが、2000年代に6割まで上昇。直接投資(純流入額)も冷戦崩壊まではGDP比で1%を下回っていたが、07年のピーク時には5.3%まで拡大した。相互依存を深めた世界で企業は競うように国境をまたいだサプライチェーン(供給網)を築いた。

画像の拡大
そんなグローバル化の受益者となったのが、01年の世界貿易機関(WTO)加盟をてこに「世界の工場」に変貌を遂げた中国だった。ヘリテージ財団が算出する貿易自由度指数でみると、中国は00年代に経済の開放を急速に進め、投資を取り込んだ。95年には「20」と日米欧(80前後)を大きく下回っていたが、08年には「70」まで上昇。10年にはGDPで日本を追い越し、米国に次ぐ世界第2位の経済大国に上り詰めた。
さらにグローバル化の好機を生かしたのが米IT(情報技術)企業「GAFA」、とりわけアップルだった。世界で10億人が使うスマートフォン「アイフォーン」は部品や材料が地球と月の間の1往復分に相当する距離(延べ)を複雑に移動し、中国に運ばれる。組み立てるのは従業員が100万人もいる広東省・深圳の受託製造会社だ。
だが、それ以上に驚くべきは、アイフォーンで始まったスマホの普及がインターネット利用者を世界人口の約半分にまで広げたことだ。SNS(交流サイト)や電子商取引、キャッシュレス決済でネット上を行き交うデータの通信量はスマホ誕生の07年に比べて千倍以上に拡大し、それを資源として新産業を生み出す「データの時代」の到来を促した。
ただし、壁なき時代の新興勢力は新たな問題も生んだ。一つはGAFAなどによるデータ独占だ。欧州では域内からの個人情報の流出に歯止めをかけるデータ保護の動きが表面化、旧西側同盟諸国にも一石を投じた。
貿易面でも米中対立が互いに生み出しつつある高関税の「壁」が、ベルリンの壁崩壊後、拡大基調をたどってきたグローバル市場に影を落とす。WTOによると19年のモノの貿易量の伸び率は前年比1.2%にとどまり、リーマン・ショックの影響で貿易が大きく落ち込んだ09年以来、10年ぶりの低い伸びとなる見通しだ。18年の世界の直接投資のGDP比も1.4%と約20年ぶりの低水準にとどまった。経済のグローバル化には変調のシグナルがともる。
GAFAの一角であるアップルやアマゾン・ドット・コムなどは中国事業の縮小に動く。アリババ集団など「BATH」と呼ばれる中国IT企業も米国で同様の傾向にある。実力が拮抗し始めた両者だが、お互いに提携も競争もしない、いびつな関係を深めている。
30年前に崩れたアイアン(鉄の)カーテンの次は「バンブー(竹の)カーテン」とも言われ始めた。日本を含め世界はそれをどう乗り越えるのか。一段上の知恵がまた試されようとしている。
(本社コメンテーター、中山淳史)
【関連記事】 勝者の民主主義に内憂  フランシス・フクヤマ氏に聞く
クリックするとビジュアルデータへ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51956520Y9A101C1MM8000/?n_cid=SPTMG053

「壁」崩壊30年、勝者の民主主義に内憂  F・フクヤマ氏に聞く
ベルリンの壁崩壊30年インタビュー
2019/11/9 8:40日本経済新聞 電子版
1989年のベルリンの壁崩壊から9日で30年になる。東西冷戦を卒業した世界は、民主主義のきしみと米国と中国による角逐の時代を迎えている。今後の世界をどう読むか、識者に聞いた。
――壁崩壊後の世界はどう進化しましたか。
「数多くの進展があったのは疑う余地がない。70年以来、民主主義国の数は30から110に増え経済規模は4倍に拡大した。私の師であるサミュエル・ハンチントン氏が『民主主義の第三の波』と…

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51979270Y9A101C1EA1000/


見えぬ「歴史の終わり」 自由主義は勝ち残れるか ベルリンの壁崩壊30年(下)
米中衝突 藤井 彰夫 経済 中国・台湾 ヨーロッパ 北米 編集委員2019/11/11 23:00
日本経済新聞 電子版
あと1カ月で世界貿易機関(WTO)が機能不全に陥る危機が迫っている。加盟国間の紛争処理を審理する上級委員会(最終審に相当)の委員は今、審理に最低限必要な3人ぎりぎり。WTOを軽視するトランプ米政権の反対で委員を補充できない状態が続いているからだ。12月10日にはさらに2人の任期が切れ、新たな紛争処理案件の審理ができなくなる恐れがある。
1995年創設のWTOは東西冷戦終結の申し子のような組織だ。…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51938920Y9A101C1MM8000/?

 

宇宙を巡る米中覇権争い「見えない攻撃」で増すリスク

ポスト冷戦の世界史ーー激動の国際情勢を見通す
2019/11/11

村野 将 (ハドソン研究所研究員)

 今日の宇宙技術は、米ソの核競争とともに発展してきた。宇宙の軍事利用に関して言えば、米ソは互いの核・ミサイル活動監視のため、人工衛星を使った早期警戒や通信、測位などの技術開発を競い合ってきた。もっとも、これらの技術は結果的に、両国の核・ミサイル活動の透明性を高め、核大国同士が安定的な関係を築くのに役立ってきた側面もある。このように宇宙の軍事利用が核戦略と強く結びついていた「第一の宇宙時代(First Space Age)」には、宇宙は(核)戦争に至らない段階での情報・通信関連活動に用いられることが主であった。

 ところが、冷戦終結後間もない1991年の湾岸戦争は「第二の宇宙時代(Second Space Age)」の到来をもたらした。米軍は開戦と同時に巡航ミサイルや精密誘導兵器を駆使して、イラク軍の組織的な防空体制を瞬く間に破壊した。この時、ソ連のミサイル活動を監視するための偵察衛星や早期警戒衛星をイラク軍の動向を把握するために戦術的に応用することで、相手に対する一方的な情報優越を確立し、それが戦闘結果に与える影響を世界に知らしめたのである。

 湾岸戦争以後も米軍は、GPSを活用した衛星誘導爆弾(JDAM)とステルス爆撃機などを組み合わせることで、24時間・全天候型の攻撃体制を確立するなど、宇宙を通して軍事作戦を洗練させていった。


宇宙軍発足を発表するトランプ大統領(UPI=KYODO NEWS)
 米軍のような近代化された軍隊にとって、安定的に宇宙を利用できる環境を維持することは、陸海空の統合作戦に不可欠な要素となっている。しかしこれは、宇宙利用を妨害できれば、陸海空で勝る相手の軍隊の作戦行動を効果的に妨害しうることの裏返しでもあった。これに目を付けたのが中国である。

 中国は、米軍の作戦行動を妨害する手段の一つとして対衛星兵器(ASAT)の開発に注力し、2007年にはASATミサイルによって高度約850キロメートル付近で老朽化した自国の気象衛星を破壊する実験を行うに至った。この実験によって生じた宇宙ゴミ(デブリ)は10万個近くとも言われている。宇宙空間で発生したデブリは、地球の引力にひかれて大気圏で燃え尽きるまで消滅せず、その間、宇宙ステーションや他の衛星の脅威となり続ける。米軍は中国のASAT能力に対する警戒を一気に高めることとなった。

 中国は、「制天権(宇宙を制すること)」が「制信息権(情報ドミナンス)」に不可欠な要素とみなし、中国版GPSと言われる測位衛星「北斗」のほか、20年代からの運用を目指す国際宇宙ステーションといった有人ミッションに至るまで、軍民双方で宇宙利用の幅を拡大させている。そうした中、ASATミサイルのような物理的破壊を伴う攻撃手段は、今後中国自身の宇宙利用にも悪影響をもたらしかねない。そこで物理的な対宇宙能力の開発を続けつつも、さまざまな非物理的な対宇宙能力を開発していると見られる。

 例えば、06年には、中国上空を通過した米国の偵察衛星が地上からレーザー照射を受けていたことが明らかになっている。こういった攻撃を受けると、偵察衛星が把握する画像の一部が不鮮明となり一時的に監視機能が損なわれてしまう(ダズリング)。こうした妨害は、ある軍事作戦の動員準備を活発化させている軍事施設周辺での様子を秘匿する場合などに有効である。

 また、既に中国はGPS信号や衛星通信帯域を妨害する能力(ジャミング)を実証しており、中国沿岸における米軍の無人偵察機の運用を妨害することを試みていると見られ、18年4月には車載式のジャミング・システムを、南沙諸島の人工島・ミスチーフ礁に配備しているのが確認されている。このほか、宇宙管制システムなどへのサイバー攻撃手段を追求している可能性が指摘されている。

自衛隊にも創設された宇宙担当
 米国の宇宙専門家の中でも、中国の対宇宙能力に対処する必要性については一致している。とりわけ、非物理的な対宇宙能力には、人間には認識が難しい、偶然か故意かをリアルタイムに判断しづらい、攻撃者の特定が難しいなどの特性があり、妨害が行われた場合に政策判断に遅れが生じやすい。こうした性質は、攻撃側が妨害行動を起こしやすく、防御側にとっては報復ベースの抑止が効きにくいという点で、宇宙空間においても平時とも有事とも言い切れない「グレーゾーン」が発生しうることを意味している。

 宇宙における「霧」が濃くなる中、各国は宇宙状況監視(SSA)の向上を第一に、組織の再編やシステムの導入を進めている。米国は独自のSSA能力の強化とともに、英国や豪州などと協力した取り組みを進め、また即時打ち上げ能力の強化と低コスト化のための官民連携も強化している。

 日本でも、航空自衛隊に宇宙担当部隊が新編され、米軍との協力を強化していくことが決まっている。また18年末の防衛大綱では、自衛隊も相手の指揮統制・情報通信を妨害する能力を開発していくことが盛り込まれた。こうした対宇宙能力の保持にあたっては、能力開発と同時に米国・関係国との運用上の連携調整を進める必要があるだろう。

現在発売中のWedge11月号では、以下の特集を組んでいます。全国の書店や駅売店、アマゾンなどでお買い求めいただけます。
■ポスト冷戦の世界史 激動の国際情勢を見通す
Part 1 世界秩序は「競争的多極化」へ 日本が採るべき進路とは 中西輝政
Part 2 米中二極型システムの危険性 日本は教育投資で人的資本の強化を
 インタビュー ビル・エモット氏 (英『エコノミスト』元編集長)
Part 3 危機を繰り返すEUがしぶとく生き続ける理由  遠藤 乾
Part 4 海洋での権益を拡大させる中国 米軍の接近を阻む「太平洋進出」 飯田将史
Part 5 勢力圏の拡大を目論むロシア 「二重基準」を使い分ける対外戦略 小泉 悠
Part 6 宇宙を巡る米中覇権争い 「見えない攻撃」で増すリスク 村野 将
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/17787

 
ボーゲル氏「反中、米の総意でない」
ベルリンの壁崩壊30年インタビュー
中国・台湾 ヨーロッパ 北米
2019/11/11 23:00
保存 共有 印刷その他
米中の分断については否定的な見方を示した(10月22日、米ケンブリッジ市のボーゲル氏自宅)
画像の拡大
米中の分断については否定的な見方を示した(10月22日、米ケンブリッジ市のボーゲル氏自宅)

1989年は天安門事件の年でもある。東アジアの専門家、エズラ・ボーゲル米ハーバード大名誉教授は中国の発展と米中対立をどう見るのか。

【関連記事】 見えぬ「歴史の終わり」 自由主義は勝ち残れるか
――ベルリンの壁崩壊で旧ソ連が消える一方、同じ共産党支配の中国は成長を遂げました。

「中国には自信があった。ソ連と違い、ものすごい勢いで学生を欧米や日本に留学させて海外の事情を勉強した。共産党の指導下でも新しい技術を全世界から取り入れ、経済を発展させた。愛国心も育った。ケ小平氏の成功で国を統一し、地方でも生活が向上して市民の不満を抑えた」

――同じ1989年の6月には天安門事件という試練がありました。

「ケ氏はこの時期、少し間違えた。ソ連のようにはならないと兵力でデモを鎮圧しようとして失敗した。事件で米国の対中世論は厳しくなった」

――中国経済が復調したのはなぜですか。

「国際的な制裁の影響を受けて低迷したが、第2次世界大戦の責任意識もあり、日本がいち早く制裁を緩めた。92年に当時の天皇陛下が訪中したころから持ち直し、93年は13%成長に達した。日本の援助は大きかった」

――中国は2001年に世界貿易機関(WTO)に加わりました。

「加盟は誤りだったという議論が米国内にあるが、違うと思う。当時の朱鎔基氏は国内の改革を多少は手掛けた。何もしなかったわけではない」

――中国が西側資本主義に近づくとの期待は裏切られたのでは。

「米欧とまったく同じとはいかない。日本でも韓国でも、近代化が進んだ国から勉強をするのは自然だ。だが公平・不公平に非常に厳しい米国人は満足しない」

――米国などの自由主義と中国の国家資本主義が衝突し始めています。

「14億人の人口、軍の拡大、アフリカや南米との長期的な関係作り。共産主義の中国に対し、米国には多大な恐怖感がある。80年代の日本への心配より格段に大きい。ワシントンでは反中の空気は超党派で非常に強い」

――7月に「中国は敵ではない」という共同寄稿をしましたね。

「反中という『ワシントン・コンセンサス』は米国の総意ではない。100人もの専門家や要人が署名した。米世論も中国と仲良くすべきだとの意見がまだ大多数だ」

――米中のデカップリング(分断)が始まったとの見方もあります。

「それは無理だ。交通と意思疎通の手段がこんなに発展したのに、分断はできない。中国政府は自国民に色々と宣伝しているが、多数の中国人が海外旅行や留学をしている。普通の国民の世論を抑えることはできない」

――習近平(シー・ジンピン)国家主席は強力な指導者でしょうか。

「厳しいのは確かだが強いかどうかは別だ。9000万人の共産党員が同じことを言うのは無理だ。米国人がみる中国より実際は非常に複雑だ」

――政権の脆弱さも見えてきそうですか。

「指導者はそう感じているだろう。日本も低成長で難しくなった。中国も2ケタ成長から6%、そして3〜4%になれば不満が強くなる。共産党も変わる可能性がある」

「ケ氏はうまくやったが、その後の習氏を含めた歴代首脳は外国にいい態度を取らず、中国は全世界に多くの敵を作っている」

――米中が協調できる余地はあるでしょうか。

「世界貿易の規則や環境保護など、違ったシステムでも協力の余地がある。よく考えて専門家を使えば悪くなりえない。トランプ大統領は取引はできても戦略がなく、大組織は動かせない。彼の後は、もう少し関係が良くなるチャンスがある」

(聞き手はワシントン支局長 菅野幹雄)

Ezra Vogel 1967〜2000年に米ハーバード大教授を務めた社会学者。戦後日本の高度成長期だった79年に日本型システムの強みを説いた「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を著し、ベストセラーになった。
 中国に関してもケ小平氏を本格的に研究した著作などで知られ、米国の東アジア研究の第一人者といわれる。今年、日中の歴史の歩みを詳細に記した「China and Japan」(邦題・日中関係史=日本経済新聞出版社から12月発刊予定)を出版した。
 皇后さまもハーバード大留学中に参加された日米交流事業を運営するなど、日本の官界や経済界に幅広い人脈を持つ。89歳。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52032960R11C19A1EA1000/
http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/707.html

[国際27] 反政府デモの標的はイラン、イラクとレバノン“第二のアラブの春” ラテンアメリカが陥った「資源の罠」 EU拡大拒否というマクロンの大きな過ち
反政府デモの標的はイラン、イラクとレバノン“第二のアラブの春”

2019/11/12

佐々木伸 (星槎大学大学院教授)

 イラクとレバノンで政治・経済改革や腐敗の一掃を叫ぶ反政府デモが拡大、それぞれ国家を揺るがす深刻な事態に陥っている。レバノンではハリリ首相の辞任に発展、イラクではこれまで、デモ隊と治安部隊の衝突で約320人が死亡した。デモの背景には両国に強い影響力を行使するイランへの反発があり、「シーア派諸国の支配」(専門家)というイラン戦略に狂いが生じている。


11日バクダッド市内で行われたデモ(AP/AFLO)
史上初の草の根運動
 両国の抗議行動は期せずして10月から始まった。イラクの首都バグダッドでは、若者らがインターネットやスマホのソシャルメディア(SNS)を通じた呼び掛けで集まり、政治改革や汚職・腐敗の一掃、雇用の拡大などを要求。その運動が電力や水、住宅不足などインフラに対する不満と直結して爆発、抗議デモは瞬く間に拡大した。

 注目されるのは、デモが発生しているのが政治を牛耳る中部以南のシーア派地域に集中している点だ。中西部に集中する少数派のスンニ派地域や北部のクルド人地域ではまだ発生していない。つまりはシーア派支配層に、同じシーア派の若者たちが反乱を起こしている構図であり、「史上初の草の根運動」(アナリスト)と指摘されるように、宗教や政治派閥に関係なく、「社会正義」の実現を目指している点が特徴だ。

 イラクの人口4000万人のうち、米軍侵攻のあった2003年以降に育った若者は60%にも達する。こうした若者は良きにつけ悪しきにつけ米国流の自由と民主主義を身近に感じ、インターネットの発達で世界情勢を目にし、自分たちの置かれた境遇とあまりにも異なる現実にショックを受けた。

 なぜなら若者たちの日常は、米軍の侵攻による内戦や過激派組織「イスラム国」(IS)とのテロとの戦いなど戦火とともにあり、満足に教育も受けられなかった上、大学を卒業しても就職先は見つからず、不満は高まる一方。イラクの豊富な石油資源の売却による国家収入が一部の支配層に詐取され、適正に分配されていない、という怒りもうっ積していた。

 若者たちの攻撃の矛先のもう1つの標的はイランである。イランはシーア派の盟主として、米軍侵攻当時からイラクのシーア派にテコ入れし、昨年の秋には「イランが思うように動かせるアブドルマハディ首相を政権に就けることに成功」(ベイルート筋)、イランによるイラク支配が強まった。

 米ニューヨーク・タイムズによると、イランが影響下に置いている官庁は内務省や労働省、通信省、社会問題省など5つに及ぶという。若者たちが、イランが支援するイラクの民兵組織や国会議員を裏で使い、イラクに汚職を振りまき、富を搾取しいていると非難しているのはそういう事情からだ。イラクにおける民衆の敵は、独立時の「反英」、米軍侵攻時の「反米」、そして現在は「反イラン」に変わった。

謎の将軍がデモ弾圧を指南
 イランへの非難が高まるにつれ、若者たちのデモも暴力的になった。11月3日には、シーア派の聖地、中部カルバラにあるイラン総領事館にデモ隊が殺到。建物に火炎瓶を投げ、イランの国旗を引きずり下ろした。南部でも、イラン支援の民兵組織「アサイブ・アルハク」の本部が襲われ、救急車で運ばれようとした幹部が殺害された。

 バグダッドのデモでは、イランの最高指導者ハメネイ師やイラクの政治を背後で操っているといわれるカセム・ソレイマニ将軍の顔写真に赤いバッテンが付けられて掲げられた。同将軍はイラン革命防衛隊のエリート部隊コッズの司令官。海外戦略を担い、その神出鬼没の行動で謎の将軍として知られる人物だ。

 イラクからの報道などによると、アブドルマハディ首相は抗議運動の激化で、一時辞任する腹を固めたが、急きょバグダッド入りした将軍が「デモは米国とイスラエルによる陰謀」などとして、首相に辞任しないよう圧力を掛けて撤回させたという。将軍はイランが民主化運動を鎮圧した事例を引き合いに出し、強硬策で当たるようイラク側に要求した。

 将軍のバグダッド入り後、イラク政府はデモ隊との対話路線を転換。治安部隊や民兵組織のスナイパーが屋上からデモ隊指導者を射殺したり、デモ隊の負傷者を手当てしようとしていた医師団を誘拐するなどした。最近では、デモ隊にスパイを送り込んで参加者の写真を撮影、携帯に写真を送って脅すなど切り崩しを図っている。

“聖域”ヒズボラへの非難
 レバノンでは、ハリリ政権が「ワッツアップ」など無料だった通信アプリに課税することを発表したことをきっかけに、若者らが10月中旬から政治改革や腐敗の撲滅、雇用の増大などを叫んで立ち上がり、反政府運動は瞬く間に全土に波及した。デモは首都ベイルートで数十万規模に膨れ上がり、治安部隊とも衝突した。ハリリ首相は課税案の撤回や国会議員や公務員の給料の半減などの改革案を発表したが、抗議行動は収まらなかった。

 デモの背景としては、経済の低迷がある。人口600万人の小国レバノンでは近年、景気が低調で、通貨の下落や失業率の高止まりなどに悩み、世界第3位の借金大国に陥った。金持ち3000人が国家収入の10分の1を稼ぐという貧富の差も拡大した。昨年、117億ドルという国際的な支援がまとまったが、支援は政治・経済改革を見てから履行するとして凍結されたままだ。

 抗議行動が周辺国を驚かせたのは、同国を牛耳り、“聖域”とされてきたシーア派武装組織ヒズボラに対する非難を激化させたからだ。強力な中央政府が存在しないレバノンは中東の柔らかい脇腹といわれ、1975年から始まった内戦下では、武装勢力が群雄割拠し、中でもアラファト議長率いるパレスチナ解放機構(PLO)が事実上支配する状況が続いた。

 しかし、PLOがイスラエルや米国によってレバノンを追われた82年以降は、イランが創設したシーア派武装組織ヒズボラが力を持ち、政治や経済ばかりか、社会全体を仕切るまでに成長した。その結果、ヒズボラがレバノンの利権を抑え、腐敗が一段とまん延した。

 ヒズボラの指導者ナスララ師は「デモは混乱を招く空白を作り出している」と非難している。この非難を受けてか、ベイルートのデモ隊の拠点がヒズボラと見られる一団に襲われる事件が続発したが、こうした行為は逆に若者らの怒りに拍車を掛けた。

 イラクとレバノンというイランの影響下にある両国の反政府行動について、イランの最高指導者ハメネイ師は「米国と西側の情報機関がこれらの国で政情不安を煽っている」と批判した。ハメネイ師自ら、米国の陰謀論を持ち出さざるを得ない現実がイランの危機感を物語っているが、“第二のアラブの春”といわれる両国の騒乱の行方は今後の中東情勢に大きな影響を与えるだろう。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/17879

イランが未申告の場所から核物質検出、IAEAが報告書
 IAEA=国際原子力機関は、イランがこれまで申告していなかった場所から核物質の検出が確認されたとする報告書をまとめました。

 IAEAは11日、イラン核合意の検証に関して報告書をまとめ、関係各国に公表しました。

 ロイター通信などによりますと、この中でIAEAは、イランがこれまで申告してこなかった場所から、核物質の天然ウラン粒子を検出したことを確認したとしているということです。イランが秘密裏に核開発を行っていることは、以前からアメリカやイスラエルなどが指摘していましたが、今回、その可能性をIAEAが認めたことは崩壊の危機にある核合意にとって大きな打撃となりそうです。

 また、IAEAのフェルータ事務局長代行は、核合意でウランの濃縮が禁じられているイラン中部のフォルドゥにある地下核施設で、濃縮活動が始まったことを確認したとしています。イランは核合意の段階的な履行停止の第4弾として、この施設でのウラン濃縮活動を再開させたと発表していました。イラン側は「IAEAとの対話は続いていて、他国により導かれた結論は矛盾しており受け入れられない」としています。

イラン軍が無人機撃墜、外国が領空侵犯と主張
9日 2時57分
イランで“未申告”核物質検出か、IAEA特別理事会
8日 3時59分
イラン、中部の施設でウラン濃縮再開
7日 10時50分
イランのさらなるウラン濃縮を非難
6日 11時18分
イラン“禁止施設”で核濃縮再開へ
6日 0時00分
米 イラン最高指導者の息子らに制裁、大使館占拠から40年
5日 18時43分

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3828201.html


 
ラテンアメリカが陥った「資源の罠」

2019/11/12

花田吉隆 (元防衛大学校教授)


チリの首都サンチアゴ
 何やらラテンアメリカがきな臭い。10月31日、チリのセバスティアン・ピニェーラ大統領は高まる国内の不穏な空気の中、ついにAPECとCOP25(国連気候変動枠組条約締結国会議)開催を断念した。米国のトランプ大統領は、急遽APECの際行うことを予定していた米中首脳会談を、どこか他で行うべく調整中とされる。APECの開催断念はこれまでなかった事態だ。

 チリでは、政府が地下鉄運賃値上げを決めたことに国民が反発、この3週間余り連日デモが続いている。ピニェーラ大統領は燃え上がる抗議の嵐を前に、18日、戒厳令を布告、更にその後、夜間外出令を出したが、抗議は収まるどころか逆に燃え上がった。大統領はやむなくこれらを解除、閣僚の8名を交代させるとともに、年金最低支給額の2割引上げ、最低賃金の引上げ、貧困層の医療負担削減等、融和策を明らかにした。しかし、既に死者20人に上り、なお混乱が収まる気配はない。

 ところで値上げされた地下鉄運賃は30ペソ、日本円にして4円ほどだ。どうして国民は少額の値上げにこれだけ怒りを露わにするのか。

 否、不穏な空気はチリだけでない。ボリビアについては拙稿「ボリビア大統領選の裏の構図」で述べた。エクアドルでは、政府が燃料補助金を廃止したことに国民が反発、デモのあまりの激しさに、大統領は首都を一時移転した。ハイチ、ホンデュラス、ベネズエラ、ペルー等、ラテンアメリカで国民の抗議は燃え盛るばかりで沈静化の気配は一向にない。一体、ラテンアメリカはどうしてしまったのか。これらは互いに脈絡なく起きているのか、あるいは、そこに共通原因があるのか。

中間層はラテンアメリカを変えるとまで言われた
 時計の針を20年ほど巻き戻してみる。ラテンアメリカが一次産品ブームに沸き、アジア共々、21世紀を担う期待の星と騒がれたのは今世紀初頭のことだ。一次産品ブームは主として中国による買い付けが背景にあった。ラテンアメリカはどこも、急速に発展する中国の需要を受け、かつてないブームに沸いた。2003年から2013年の10年間、ラテンアメリカの一人当たり成長率は3.5%を記録する。好調な経済は、それまで貧困に苦しんでいた人々を救い出し、新たな中間層が形成された。その数、約1億人という。当時、この新しい中間層はラテンアメリカを変えるとまで言われた。

 ラテンアメリカは所得格差が最も大きい所だ。一握りの富裕層が国の政治経済を牛耳り、多くの国民が貧困に泣く。社会は分断状態にあり、国民の間に連帯感がない。ここが日本などと大きく違うところだ。「総中流社会」は過去のものとはいえ、世界の中で見れば日本に極端な金持ちも、極端な貧乏人もいない。しかし、ラテンアメリカは違う。過去の植民地制度が影を落とし、今も白人が大土地所有制を維持する。貧困層から見れば、富裕層は富を私物化し、不当に貧困層を苦しめる搾取者に過ぎない。実際、ラテンアメリカは世界で最も汚職が横行するところとされる。国のトップに対する国民の信頼度は低い。こういうところに社会の連帯は生まれない

 そういうラテンアメリカが抱える宿痾ともいうべき「社会の分断」は、この一次産品ブームがもたらした新たな中間層の出現により克服されたといわれた。中間層は民主主義の根幹だ。そこがしっかりしていると社会の安定度が増す。金持ちでも貧乏でもない、社会の中間に位置する人々が増えれば、社会の分断は克服され社会は安定していく。

一次産品ブームが去り、「社会の分断」が露わに
 しかし、事実はそうでなかった。一次産品ブームが去り、経済が下降線をたどるにつれ、ラテンアメリカが根底に抱える「社会の分断」が露わになった。社会の分断は単に一次産品ブームにより隠されていたに過ぎなかった。

 一次産品に依存する経済は脆い。一次産品の国際価格は常に変動する。高値の時はいいが下落すれば目も当てられない。だから、いい時に余剰資金を使い、新たに出現した中間層を中心に産業の多角化を図るべきだった、といわれる。正論である。当の一次産品産出国自身がそれを十二分に自覚する。しかし、これは言うは易く行うは難し、である。

 チリはそれでもラテンアメリカの中では産業化の優等生だ。それにもかかわらず「銅」という資源に依存する体質から抜け出ることができない。他のラテンアメリカ諸国は推して知るべしだ。世界を見渡しても、資源国が産業化の離陸を果たせずにいるところはいくらでもある。ロシアがまさにそうだし、中東は言うに及ばずアジアでもブルネイ、東ティモール等、皆、「分かっていながらできない」。

 一つには、産業化と一口に言っても様々な要因が絡む。安価な労働力や豊富な余剰資金の存在(あるいは、調達可能性)、技術導入の意欲、それを消化できる人的資源の存在、乃至、教育による育成、政府による積極的振興政策等だ。どの国もがこれらの要因を満たし、容易に離陸できるというわけではない。それより何より、「資源の罠」といわれるものの存在がある。

「資源の罠」
 資源があることがかえって資源国に災いをもたらすということだ。資源の存在は、その争奪を巡り絶え間ない争いをもたらすし、外国の介入も招きやすい。何より、国民が安易に資源の恩恵に胡坐をかく。逆に、資源がない所は、生き残りをかけ、必死の思いで産業化を図り成功する。 

 日本がまさにそうだし、シンガポールなどもいい例だ。資源の存在がかえって産業化への離陸を阻害するとの例は決して少なくない。そしてもう一つ、ラテンアメリカの一次産品依存は植民地体制に端を発する。一次産品依存から脱し、産業を多角化するとは、植民地体制を清算するということでもある。しかし、これは一朝一夕にできることではない。新たな中間層を軸に社会全体を作り変えていくこと、即ち、社会の分断を克服していくことと密接に絡む一大作業である。ラテンアメリカは結局この作業を完遂することができなかった。

 経済が曲がり角を迎えたのが、ちょうど2010年代半ばごろだ。一次産品ブームが終わり、ラテンアメリカ経済が一様に低成長の時代に入る。成長率は2011年、4.6%あったのが2019年には0.2%まで落ちた。2019年、世界の新興国全体の成長率が3.9%とされる時にだ。今や貧困率は30%になった。ラテンアメリカの3人に1人が一日1.9ドル以下で暮らす。ラテンアメリカ諸国の政府は、国庫収入の不足を対外借入に頼った結果、対外債務の対GDP比が27.4%(2011年)から48.9%(2019年)にまで膨らんだ。

 これまで人々は年々増え続ける所得により、将来に対する明るい希望を持っていた。もともと国の中には一握りの富裕層の贅沢三昧の暮らしがある。人々はそれを見ても、やがて自分もそういう暮らしができるのだと信じむしろ憧れを抱いた。しかし、経済が下降線をたどりつつある今、そういう富裕層の生活は怨嗟の対象でしかない。所詮、彼らの贅沢は汚職でためた金だ。国民に均霑されなければならなかったものだ。元々「社会が分断」されたラテンアメリカだ。国民の間に信頼感がない。一般国民と富裕層との間に新たな溝が生まれるのに時間はかからなかった。

 これはチリだけの話でない。ラテンアメリカ全体の通弊だ。例えばブラジルでは、2003年、左派のルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領が政権を握った。同大統領は「ボルサ・ファミリア」という名のもと、貧困層に対する補助金支給政策を進め、多くの国民を貧困層から中間層にかさ上げした。2011年、ルーラ氏を継いだジルマ・ルセフ氏もその政策を引継いだが、経済が暗転、かつて高成長に踊ったブラジル経済は一転してどん底をたどっていく。

 それと共にルーラ氏、ルセフ氏の汚職疑惑が表面化、何のことはない、貧困層の味方といって華々しく労働党から大統領に上り詰めたリーダーだったが、やはり彼らも富を懐に入れていた。2018年、ジャイール・ボルソナロ氏が新たに大統領に就任した裏にはこういう事情がある(拙稿『ブラジルにも「極右政権」が誕生か』参照)。

 ボリビアでも、先住民代表として初めて大統領に就任したモラレス氏は、先住民の権利拡大等を推し進め高い支持率を誇っていたが、今回の選挙は違った。国民は、モラレス氏は結局、権力に執着しているだけでないのか、と思い始め、同氏は打って変わって低い得票率に泣く。背景に、2010年代半ばに終焉を迎えた一次産品ブームがあった。

 チリは、南米の優等生だ。1970年代、ピノチェット軍事政権の時、他に先駆けて国家主導経済から開放型自由経済に移行した。1980年代、ラテンアメリカは累積債務危機に襲われたがチリはこれも難なく乗り切った。1990年の民政移管後は一次産品ブームに乗り、高成長を続けた。しかし、その陰で所得格差が確実に広がっていく。

 民政移管後、中道左派政権が4代続き、その後、中道左派、中道右派が交互に政権を担ったが、チリでは右派、左派を問わず、経済は新自由主義が維持された。チリは国土が狭小だ、貿易にかけるしかない、国を開き、経済を自由化することが繁栄の基だ。どの政権もそう考えた。

競争至上主義の新自由主義経済は格差拡大を生む
 しかし、競争至上主義の新自由主義経済は格差拡大を生む。経済は優等生だったが、社会のひずみは拡大するだけだった。格差の指標であるジニ係数は0.46にまで上昇。ジニ係数は1に行くほど格差が広がり、0.4以上は危険とされる。チリはOECD諸国中、格差が最も大きい国となった。それでも経済が良好なうちは問題は表面化しない。経済が傾いた時、国内の矛盾が一気に吹き出してくる。チリもボリビア等他のラテンアメリカ諸国と同様、経済低迷が今の社会不安の原因となった。

 ラテンアメリカが期待の星ともてはやされたのは一次産品ブームゆえだった。ブームが過ぎ去れば社会が抱える矛盾が表に出る。新たな中間層の形成により、その矛盾は克服されたやに見えたがそうではなかった。結局、ラテンアメリカは、そこを解決しない限り発展は望めない。そことは、「社会の分断」だ。分断された社会を如何にまとめあげるか。一次産品ブームがあろうと、なかろうと、社会が一致団結して発展に向かっていけるような社会が創られない限り、ラテンアメリカの繁栄はいつになっても砂上の楼閣なのだろう。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/17868


ブラジルにも「極右政権」が誕生か?

暴漢に襲われた「ブラジルのトランプ」
2018/09/29

花田吉隆 (元防衛大学校教授)

ブラジルで、国民の怒りがかつてない高まりを見せている。その怒りは「ブラジルのトランプ」こと極右、ジャイール・ボルソナロ候補支持に向かっている。その結果、10月7日の大統領選挙は混戦模様となり誰が勝利するか見通し難い。


9月6日、遊説中に暴漢に襲われたものの一命を取り留めたジャイール・ボルソナロ候補。現在、支持率トップに躍り出ている。(写真:ロイター/アフロ)
「経済の低迷」が怒りの原因
 ブラジル国民は怒っている。1985年の民政復帰以来、ブラジル政治はうまく機能していなかったのではないか。この国の政治家は統治能力を欠くのではないか。

 1964年に軍がクーデターを起こし、以来20年にわたり軍事独裁制を敷いた。クーデターの際、軍は「政治家に任せてはおけない、エリート集団の軍が混乱した国を立て直すしかない」と血気にはやり政治刷新を断行した。しかし、当初こそよかったものの結局経済は行き詰まり、20年の軍政の後、ブラジルは民政に移行した。

 その後、国民は3000%に及ぶハイパーインフレで塗炭の苦しみを味わったものの、1994年からのエンリケ・カルドーゾ大統領の下で行われた「ドラリザソン(通貨のドルリンク政策)」により、奇跡的にインフレを克服。2003年からは、それまで万年野党だった労働党(PT)が政権に就き、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ(通称ルーラ)大統領の下、「ボルサ・ファミリア」と称する貧困対策により多くの中間層を創出、経済成長の期待が一気に高まることとなった。

 時あたかも新興国経済台頭の頃、ブラジルはBRICSの一角として一躍世界の注目を集めた。当時、世界のGDP成長率の大きな部分を新興国が占め、最早、先進国が世界経済をけん引する時代は終わったとさえ言われた。2000年代半ばのことである。その後のリーマンショックで先進国経済が大きく後退したこともあり、ブラジル、中国等の存在は更に脚光を浴びていく。

 事態が急展開したのはルーラ大統領の後を継いだディルマ・ルセフ大統領の時からだ。ルセフ大統領はルーラ大統領の官房長官として手腕を発揮、国民はルセフ大統領の下でもルーラ氏の路線が継承され繁栄が継続するものと期待した。しかし、ルセフ大統領はやがて政治家として力量が劣ることを露呈していく。ブラジル経済は2014年から16年にかけ大きく後退、ブラジルはかつてないほどのリセッションに見舞われた。政府は、ルーラ大統領の目玉だった貧困層対策どころでなくなり、国民のルセフ大統領への信頼が一気に低下していく。同大統領は2016年ついに弾劾され、副大統領だったミシェル・テメル氏が大統領に就任した。

「汚職」が蔓延するブラジル社会
 国民の怒りの根底にあるのは経済の混迷である。しかし、ブラジルの混迷はそれだけにとどまらなかった。今度は大規模な汚職疑惑が発覚する。汚職はこの国では日常茶飯事だ。政府上層部から社会の底辺層に至るまで、汚職はブラジル文化の一部ですらある。根底にあるのは、社会の一体性の欠如である。他人のことなど構っていられない、獲れるものは他人のものをくすねてでも懐に入れる、そういう空気が社会を覆う。

 汚職は誰もが行う普通のこと。いちいち目くじらを立てる方がおかしい。そういうブラジルにあって2016年、あのルーラ氏が汚職で逮捕された。建設業者から海辺の瀟洒な別荘をもらった。司法はルーラ氏に12年の刑を言い渡しクリチバの刑務所に収監した。

 しかし事はこれだけでは済まない。現在も捜査中のブラジル国営石油会社ペトロブラス社を巡る「ラヴァ・ジャト」疑獄事件では、ルーラ氏のPTだけでなく、かつてのカルドーゾ大統領のブラジル社会民主党(PSDB)や、そのほか主だった政党の有力政治家に軒並み汚職嫌疑がかかった。実にブラジル史上最大の疑獄事件である。

 テメル大統領でさえ、ワイロを要求するテープの存在が明るみに出た。しかし議会決議により何とか訴追を免れる始末。さすがのブラジル国民もあきれ果てた。国民が経済の低迷に苦しんでいる。それに有効な手を打つわけでもなく、政治家は私腹を肥やしている。

 そのとばっちりは至るところに見られる。9月2日、国立博物館が火災に見舞われた。2000万点に及ぶとされる国の重要文化財が失われた。実に国家的損失である。原因は博物館の老朽化。メンテナンスの必要性が叫ばれながら、国は経費削減を言い訳にとるべき手を打ってこなかった。

 ブラジルの治安の悪さは有名である。特に大都市がひどく、リオデジャネイロは犯罪の巣窟として有名。リオのコパカバーナ海岸の美しさは類を見ないが、そこに半ズボン、Tシャツ、サンダル姿以外で立ち入るのはご法度である。腕時計をしていれば直ちにはぎとられるし、少しでも金がありそうだと見られればすぐに襲われる。ブラジルの2016年の殺人件数は6万3千人だが、これは世界でも最悪の部類に属する。

 この国で行政サービスが機能不全に陥っているのは周知の事実である。治安も社会インフラも教育も、すべてが大きく機能低下をきたしているにもかかわらず、政治家は私腹を肥やすことに余念がない。「現在の政府に満足しているのは13%」という数字は中南米で最悪。有権者の3分の1が「投票には行かない」、もしくは「行っても白票を投じて帰ってくる」と言っている。

混迷の大統領選
 今回の大統領選挙は、当初PSDBが優勢と見られていた。ルセフ弾劾直後に行われた全国の市長選挙で5500のポストの内、803をPSDBが占めた。一方のPTは638から254へと大きく減らした。このままの流れでいけば2018年の大統領選挙はPSDBの楽勝だ。さらに今回、PSDBは中道勢力を糾合し一つにまとめ上げることに成功した。それもあって、候補者が無料で利用できる公共放送枠の44%をPSDBが占めることになった。

 ブラジル国民は、ほとんどがテレビで選挙キャンペーンの模様を知る。通常であれば同党大統領候補のヘラルド・アルキミン氏の優勢は揺るがないはずだ。しかし同氏の人気は一向に盛り上がらない。支持率は10%を切っている。同氏のあだ名は「シュシュのアイスキャンデー」。シュシュとは味のしない野菜を指す。しかし、既存政治に愛想を尽かしたブラジル国民にとって、既存政治を代表するPSDB候補は「シュシュのアイスキャンデー」でなくても支持が伸びなかったに違いない。

 一方、ルーラ氏の人気は今もって健在である。8月の調査では31%がルーラ氏を支持していた。貧困層にとってルーラ氏は英雄である。「バラマキ財政」のおかげで、貧困から脱出することができた。その記憶が今も冷めやらない。PTの下で再びバラマキをやってもらいたい、貧困層はそう願っている。無論、成長が落ち込んだ今のブラジル政府にそれだけの財政余力があるかどうかは別である。さらに、現在の混迷はルセフ大統領の失政に端を発するわけで、汚職はルーラ氏を始めとするPTの有力議員にも及んでいる。

 国民も「PTは別」と思っているわけではない。ルセフ氏を弾劾に持ち込み政権から追い出したのは怒れる国民だった。しかし、それと貧困から救ってくれたルーラ氏の人気は別。「ルーラ氏は政治的に嵌められた」「12年の刑は重すぎる」とする声は少なくない。

 ルーラ氏自身は、司法が同氏の候補者としての請求を棄却した結果、今回出馬できないことになり、代わってPTから副大統領候補だったフェルナンド・ハダジ氏が大統領候補として出馬することになった。ハダジ氏がルーラ氏の人気をどれだけ引継ぐことができるかがポイントである。

暴漢に襲われた極右候補
 しかし、注目すべきは極右のジャイール・ボルソナロ氏である。国民の怒りが泡沫候補ボルソナロ氏を一気に有力候補に押し上げており、現在、支持率は28%とトップに躍り出ている(9月24日現在)。

 もっとも、軍司令官出身のボルソナロ氏は27年間議員だった。だから既存政治家ではあるが、その言動が既存政治の枠を超えている。一言でいえば、「弱者差別」と「軍政支持」である。「ゲイの息子を持つくらいなら死んだ子供を持つ方がまし」「あの女は醜いから寝る気がしない」「あいつは逃亡奴隷の出身だ」「責任能力を14歳に引き下げ少年犯罪を防止せよ」「犯人を射殺しない警官は警官の名に値しない」。副大統領候補のアナ・アメリア氏は「どうしてもだめなら軍政に戻すしかない」と言ってはばからない。

 こういうボルソナロ氏には無論、敵も多い。9月6日、キャンペーン中に暴漢に襲われ危うく一命を取り留めた。有権者の60%はボルソナロ氏には絶対に投票しないと言っており、暴漢に襲われたとのニュースが流れるや、通貨レアルは対ドルで2%も跳ね上がった。

ブラジルもポピュリズムの波に飲まれるのか
 世界中で、社会に溜まった不満が既存の政治システムをことごとく打ち破っている。ボルソナロ氏は「ブラジルのトランプ」「ブラジルのドゥテルテ」と言われるが、米国や、フィリピンだけでなく、ハンガリー、ポーランド、オーストリア、ドイツ、イタリア、スウェーデンと、ポピュリズム勢力の躍進はとどまるところを知らない。溢れ出た不満は既存の政治システムを壊し、新たな指導者に期待する。それが社会の分断を増幅し、自由貿易を阻害し、国際協調を蔑ろにしようとも。

 先が見通せなくなったブラジル大統領選挙は、10月7日に決着がつかなければ10月28日の決選投票に移る。大統領だけでなく、下院のすべて、上院の3分の2、全国の知事、地方議会議員も併せて行われる今回の選挙が、ブラジルと世界にとって重要な意味を持つことは言うまでもない。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/14092


 
EU拡大拒否というマクロンの大きな過ち

2019/11/12

岡崎研究所

 アルバニアと北マケドニアのEU加盟が頓挫しつつある。10月17、18日に開催されたEU首脳会議は、マクロン大統領の反対によってアルバニアと北マケドニアとのEU加盟交渉の開始を拒否することになった。首脳会議の結論文書には「2020年5月のザグレブにおけるEU・西バルカン首脳会議の前に拡大の問題を再度取り上げる」と書かれているだけである。去る6月にEUは決定を持ち越していたが、再度先送りした。先送りというよりも、拒絶である。2020年5月までに情勢が変化する見通しにはない。


(GlobalP/jurisam/ Getty Images Plus)
 アルバニアには北マケドニアと比較すると、政治の安定度、腐敗、組織犯罪、法の支配において問題が多いようである。加うるに、北マケドニアは国名の変更を決断してギリシャとの関係を正常化し、EUとの加盟交渉の大きな障害を解消したという実績がある。従って、アルバニアとの加盟交渉に反対したデンマークとオランダも北マケドニアとの加盟交渉は容認する立場であったが、フランスは北マケドニアとの加盟交渉にも唯一反対した。

 マクロンは批判に晒されている。すなわち、両国に対する裏切りであり、歴史的間違いだというものである。

 マクロンの反対の論拠は、第一に、拡大の前にEU自体の改革が必要だというものである。EUは意思決定方式の合理化、ユーロ圏の強化など、やるべきことは多い。EUの強化のための改革が必要との議論は正論であろうが、それが両国との加盟交渉を認め得ない理由だというのは「ためにする議論」としか思えない。メルケルは両国との加盟交渉を後押しする立場であったが、マクロンは自身のEU改革提案に気乗り薄のドイツに対する当て付けを試みたという訳でもないであろう。

 第二に、マクロンは、拡大プロセス自体に欠陥があるとも言っている。これは、それなりに正当な議論だと思われるが、マクロンはどう是正すべきかについては何も言っていない。ルーマニアやブルガリアに見られる加盟後における法の支配の逸脱や腐敗の問題が念頭にあるのであろう。一種の「EU拡大疲れ」であろう。新たな欧州委員会が発足するので、拡大プロセスを見直し、法の支配の貫徹と腐敗の根絶の審査により重きを置くことが考えられよう。しかし、両国との加盟交渉の開始がその妨げになることは工夫次第で回避出来よう。加盟交渉はいずれにせよ長丁場である。

 マクロンが拡大に反対する真の理由は、国内的なものではないかと思われる。彼の国内の支持率には危ういものがある状況で、EU拡大はフランス国民に不評のようである。少々古いが、昨年5月の調査によると、フランス国民はEUの中で拡大に最も否定的(反対:61%、賛成:31%、不明:8%)の由である。EU首脳会議でマクロンはフランスに亡命を求める人間の中でアルバニア人が2番目に多い(それも迫害ではなく経済的な理由による)ことに言及して、そのような現状では加盟交渉を国民に正当化出来ないと遠回しに述べたともいう。ムスリムが多数を占めるアルバニアだけを標的にしていると見られることを嫌って、キリスト教多数の北マケドニアとの加盟交渉にも反対することになったらしい。そうであれば、マクロンが2022年の大統領選挙の前に方針を変えるとは想像し難い。

 国名変更まで行ってEUへの加盟を目指した北マケドニアのザエフ首相は、EUに裏切られたことを理由に議会を解散し、来年4月に総選挙を行うことを表明した。その結果次第で、EUはバルカンの貴重な友人を失うかも知れない。ザエフが国名変更に反対し大アルバニア主義を煽る強硬なナショナリストに取って代られるのであれば、バルカンは再び暗黒の日々に向かい得る。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/17821

http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/708.html

[経世済民133] 債券バブル破裂が次の米リセッションの引き金となる公算大 躊躇なく「しらを切った」のか、日銀の対話戦略 米金融当局、来年いっぱい政策据え置きか−大統領選の年では異例 TOPIX6連騰、アジア株安懸念後退と円安 債券大幅安−長期金利は半年ぶり高水準 農林中金:CLO残高が6四半期ぶりに減少、8兆円割り込
債券バブル破裂が次の米リセッションの引き金となる公算大−BofA
Vivien Lou Chen
2019年11月12日 13:25 JST
Tokyo Skyline As Japan’s Inflation Slows Again
Photographer: Akio Kon/Bloomberg
2020年代に米経済がリセッション(景気後退)に陥る場合、その引き金として最も可能性が高いのは債券市場バブルの巻き戻しだと、バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストらが予想した。

  トミー・リケッツ 、マイケル・ハートネット両氏を含むストラテジストらは11日のリポートで、11兆ドル(約1200兆円)余りのマイナス利回り債券の存在や約1%のオーストリア100年債利回り、記録的低水準になお近い世界の債券利回りを指摘。

  今後数年には、中央銀行が「ひもを押す」という「政策の無能」に陥ることが金利ボラティリティーの急上昇を招き、「最低の金利と最大の利益」という10年にわたる強気の組み合わせを終わらせると共に「資産価格のピーク」を示すだろうとストラテジストらは分析。さらに、当局が現代貨幣理論を実践しインフレ上昇を招くまで国債を発行するなどの政策ミスを犯すことも要因になると指摘した。

  「利回りの無秩序な上昇は、ウォール街がレバレッジを減らす際に大きな痛みを引き起こす可能性が高く」、必然的にその直後に、経済にさらなる痛みをもたらすだろうと続けた。債券市場のバブルは向こう10年の間に巻き戻すとの見通しの下で、債券バブル破裂のシナリオに対して、金融資産に代わり金や米財務省短期証券(Tビル)、実物資産を介してヘッジすることを勧めた。

原題:
Bond-Market Unwind Is Likely Trigger of Next Recession: BofA(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-12/Q0U58BT0G1L201?srnd=cojp-v2

 

為替フォーラム2019年11月12日 / 11:32 / 12時間前更新
コラム:躊躇なく「しらを切った」のか、日銀の対話戦略=上野泰也氏
上野泰也 みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
4 分で読む

[東京 12日] - 今年(2019暦年)のドル/円JPY=EBSの値幅は、記録的な狭さになりそうである。本稿執筆時点で、年間のドル安値は104.46円(8月26日)、ドル高値は112.40円(4月24日)。差は7円94銭にとどまっており、このまま年末までレンジを抜けない場合には(そうなる可能性が高いと筆者はみている)、変動相場制への移行後で最小になる。

イベントがなかったかというと、決してそうではない。米中貿易戦争が激化して世界経済が揺さぶられ続けているほか、先進国の中央銀行の間では、5月のニュージーランドを皮切りに「緩和競争」が展開され、米国やユーロ圏も利下げに動いた。  

弱みを見せると市場につけこまれて円高が進みかねないため、日銀は強く否定するものの、先進国の中央銀行の中で日銀は、経済に対して「毒」にならず、「薬」としての効能を高い確度で期待できそうな追加緩和カードが、最も乏しい状態だと言える。  

ところが、米国が3度にわたり予防的・保険的な利下げに動くなど、海外のあちこちで政策金利が低下する中でも、円高・ドル安が105円ラインを越えて進んだ幅・時間の長さは、意外なことに限られたものだった。その最大の理由は、本欄で前回コメントした通り、グローバルな低金利時代到来の中で行われている「イールドハント」の下で、金利が相対的に高いドルが選好されやすいことである。米国が3回利下げしても、10年米国債利回りUS10YT=RRはなお1%台後半であり、この国の30年国債US30YT=RRからは2%台の高いリターンが得られる。  

もう1つ見逃せないのが、大幅な円高回避を狙う日銀が今回の局面で展開した、巧妙なコミュニケーション戦略である。

白川方明前総裁の時代に、市場(特に外為市場)との対話の拙さが災いして、円高が急進行するきっかけを提供してしまった失敗を熟知している、プロパーの日銀幹部が主導したのだろう。  

端的に言えば、リフレ派路線で大勝負に打って出た異次元緩和初期にタマを使い過ぎてしまい、弾薬庫がすでにほぼ空っぽであるにもかかわらず、日銀は強気を装い、タマがまだ十分あるふりをしながら「ひと芝居」打ったわけである。

具体的には、次の3つのステップをたどった。1)7月の金融政策決定会合終了後の対外公表文で「特に、海外経済の動向を中心に経済・物価の下振れリスクが大きいもとで、先行き、『物価安定の目標』に向けたモメンタムが損なわれる惧れ(おそれ)が高まる場合には、躊躇(ちゅうちょ)なく、追加的な金融緩和措置を講じる」という文章を追加して、市場のテンションを高め始めた。2)追加緩和の具体的内容で政策金利の動向に注目しがちな外為為替市場を念頭に、日本経済新聞に9月上旬に掲載されたインタビューの中で黒田東彦総裁は、マイナス金利深掘りという選択肢に従来よりも強めのトーンで言及した。3)9月の金融政策決定会合終了後の対外公表文に「日本銀行は、『物価安定の目標』に向けたモメンタムが損なわれる惧れ(おそれ)について、より注意が必要な情勢になりつつあると判断している」「こうした情勢にあることを念頭に置きながら、日本銀行としては、経済・物価見通しを作成する次回の金融政策決定会合において、経済・物価動向を改めて点検していく考えである」と書き加えた──。

その間、米国の今回の利下げ局面は、リセッション対応の本格的なものではなく予防的・保険的な性格であるため年内に一巡すること、すでに述べたように前述の通り金利の絶対水準が高いドルは対円でも底堅く推移しやすく100円ラインは意外に遠いこと、世界経済減速を背景に日本でも製造業の景況は目立って悪化しているものの非製造業は底堅いこと──などが、次々と明らかになっていった。

要するに、日銀が追加緩和にあせって動く理由は見当たらず、それでも動くと合理的な説明がつけられない状況である。このため、金融市場ではマイナス金利深掘り観測が徐々に沈静化し、10月の日銀会合では現状維持が決まりそうだという方向でマスコミ各社の観測報道は足並みをそろえていった。  

とは言え、ここで最後に日銀が手を抜いてしまうと「九仞の功を一簣に虧く(きゅうじんのこうをいっきにかく)」ようなことになりかねない、そんな怖さが市場にはある。  

そこで日銀は、政策金利の新たなフォワードガイダンスを導入。ECB(欧州中央銀行にならい、日銀の政策金利には据え置きに加えて引き下げの可能性も将来はあると明示することによって、円高へのけん制に念には念を入れた。  

黒田総裁は11月5日に名古屋で行った挨拶(講演)で「この先、海外経済が一段と減速するとはみていません」、「わが国経済が大きく下振れることはないと考えています」などと言及。

この政策金利の新たなフォワードガイダンスには、1)「物価安定の目標」に向けたモメンタムと明確に関連付けたこと、2)緩和方向を意識して政策運営を行うというスタンスを反映させた──という2つのポイントがあると説明した。

筆者に言わせると、このガイダンスは具体性や客観性をほとんど伴っておらず、日銀執行部が実態として解釈権を有しているため、実に使い勝手のよい構成になっている。  

マイナス金利深掘り観測に対し、筆者は一貫して否定的な見方を貫いたのだが、10月末に深掘りが本当にあるとみていた市場関係者の一部からは、日銀は「躊躇なく追加緩和する」のでなく「躊躇なくしらを切る」といった、怨嗟(えんさ)めいた声も出ていたようである。

だが、相手の「手の内」や「心の内」を見透かす必要性は、日銀の後を追う形でユーロ圏、さらには米国でも金融政策が徐々に手詰まりの様相を強めていく中で、この先一段と増していくように思う。

*本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

上野泰也氏
*上野泰也氏は、みずほ証券のチーフマーケットエコノミスト。会計検査院を経て、1988年富士銀行に入行。為替ディーラーとして勤務した後、為替、資金、債券各セクションにてマーケットエコノミストを歴任。2000年から現職。
https://jp.reuters.com/article/column-ueno-yasunari-idJPKBN1XM06M


 

米金融当局、来年いっぱい政策据え置きか−大統領選の年では異例に
Christopher Condon、Rich Miller
2019年11月12日 19:00 JST
パウエルFRB議長は今週2回、議会公聴会で証言する
米経済と金融政策はいずれも「良好な状況」にあると繰り返すか
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は今週、金融当局として一時休止の状態にあるとのシグナルをあらためて発する公算が大きい。その場合、2020年いっぱいは政策が据え置かれるとの観測を補強することになりそうだ。

  意外かもしれないが、実際にそうなれば、米大統領選の年としては歴史的に見て例外的な事態となる。過去10回の大統領選の年を振り返ると、金融当局はいずれのケースでもずっとおとなしくしているというよりは、緩和か引き締めかのどちらかの方向に政策変更していた。

  変則的だったのは、11月の大統領選後まで利上げを待った16年と、すでに事実上のゼロ金利政策の下で金利変更はなかったものの、量的緩和(QE)第3弾として多額の資産購入を発表した12年9月のケースだ。

Election? What Election?
The Fed hasn't been shy about moving rates in presidential election years


Federal Reserve

  コーナーストーン・マクロのパートナー、ロベルト・ペルリ氏は「過去を振り返り、大統領選の年の金融当局の行動を調べてみれば、やるべきことは全て行っていたことが分かる」と指摘。当局として独立性と信頼を確保する最善の方法は「当局者自身が正しいと考えることをやることだ」と語った。

  そのようにしたからといって、必ずしも批判を浴びなかったわけではない。金融当局がもっと積極的に利下げしなかったせいで1992年の大統領選で再選を逃したと、ブッシュ大統領(父)がグリーンスパンFRB議長を非難したエピソードはよく知られている。

  トランプ大統領が容赦なく、そして公然と金融当局に対する攻撃を繰り返している現状を踏まえれば、金融当局としてその政策が経済見通しに基づいて必要とされている点を主張するのが特に重要だろう。

Fed Chairman Jerome Powell Holds News Conference Following FOMC Rate Decision
記者会見したパウエル議長(10月30日)
  パウエル議長は13日に上下両院合同経済委員会、14日には下院予算委員会の公聴会にそれぞれ臨み、当局のスタンスを説明する機会を持つ。

  議長は今年3回目の利下げを決めた10月30日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、景気拡大が過去最長の11年目にあって、米経済と金融政策がいずれも「良好な状況」にあるとの認識を示しており、今週の公聴会でもこうしたメッセージを繰り返す可能性が高い。

  ノーザン・トラストのチーフエコノミスト、カール・タネンボーム氏は「2カ月前よりも危機感は薄れた。米国の経済指標からは、崖っぷちにはないことがうかがわれる」と話した。  

原題:Fed Likely to Defy History With Rates Steady Through Elections(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-12/Q0U5YXT0AFB601?srnd=cojp-v2

クラリダFRB副議長、現行の政策枠組みに「柔軟性の利点」
Alister Bull
2019年11月12日 19:31 JST
物価目標達成に向けたインフレ「埋め合わせ」戦略との比較で
米金融当局は現在、政策枠組みの検証を進めている
米連邦準備制度理事会(FRB)のクラリダ副議長は12日、物価目標未達の時期を考慮して目標を上回るインフレを一定期間容認する「埋め合わせ」戦略と比較し、「現行の政策枠組みには政策措置の選択に当たり広範な要因や情報を評価する柔軟性を連邦公開市場委員会(FOMC)に与える利点がある」と語った。

  クラリダ氏はスイス国立銀行(中央銀行)がチューリヒで主宰した会議での講演テキストで、インフレ期待を押し下げて物価を安定化させる上での金融政策の役割の議論を含め、長期金利低下の理由を列挙した。

  その上で、「次の景気下降局面がいつになろうとも、2007年6月−16年7月に経験したように、米10年債利回りが390ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)近く低下する可能性は非常に小さいと考えられる」と述べた。

  クラリダ氏は、現在の低金利環境の下で米金融当局が政策枠組みの検証を進めている点に言及するとともに、金利がゼロに近い局面でインフレ期待を定着させ、景気を支えるのに役立つ可能性のあるインフレの「埋め合わせ」戦略を特に取り上げた。

  ただ、「埋め合わせ戦略の利点は、民間セクターがそれを理解し、将来の政策当局者が緩和策を維持する約束を順守すると信じることに大きく左右される」と指摘した。

原題:Clarida Says Fed’s Current Framework Has Benefit of Flexibility(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-12/Q0U0Z2T1UM0W01?srnd=cojp-v2


 

 


 
TOPIXは6連騰、アジア株安懸念後退と円安−建設など内需高い
河元伸吾
2019年11月12日 8:04 JST 更新日時 2019年11月12日 16:01 JST
• 香港はデモ激化も株価一時0.5%高、円は1ドル=109円20銭台に下落
• トランプ米大統領が12日講演、米中協議や香港情勢から注目度高まる
12日の東京株式相場は上昇。米中貿易協議の難航や香港情勢が警戒されて小安く始まった後、香港株の上昇や為替相場の円安推移を受けて売り圧力が後退した。建設や小売など内需関連の一角、石油・石炭製品や鉄鋼が高い。
• TOPIXの終値は前日比5.64ポイント(0.3%)高の1709.67−2カ月ぶりの6日続伸
• 日経平均株価は同188円17銭(0.8%)高の2万3520円01銭と反発
<きょうのポイント>
• 香港の抗議デモ参加者、12日も通勤妨害
o 行政長官は区議選の24日実施になお期待
• トランプ米大統領が12日にニューヨーク・エコノミック・クラブでスピーチ
• 香港ハンセン指数は一時0.5%高、アジア株安懸念薄れる
• ドル・円相場は109円20銭台に円が下落、前日の日本株終値時点は109円02銭

東証入り口
Photographer: Toru Hanai/Bloomberg
  東洋証券マーケット支援部の山本裕史ストラテジストは「米大統領選が近づき、トランプ氏は経済を優先せざるを得ない。12日の講演は米中貿易協議について無難な内容となるだろう」と述べた。
  米中協議や香港情勢への懸念継続で小安く始まり、午前の株価指数は前日終値付近でもみ合った後、午後半ばから上値を追う展開となった。前日に2.6%下落した香港ハンセン指数が盛り返してきた上、為替市場で円が弱含み、投資家はリスクテークに前向きになってきた。東洋証の山本氏は、最近の急上昇を受けて売りを仕掛けていた海外勢などが「思ったより下落しなかったため、午後に買い戻した」と話した。
  企業業績に対する慎重な見方が和らいだことも上昇を後押しした。大和証券投資情報部の石黒英之シニアストラテジストは、業績の前提レートが1ドル=105円に見直される動きが多い中、ドル・円相場は109円付近で安定推移しており「下期の業績上振れ期待につながる」と指摘、相場の支えになるとみていた。
  業種別指数の上昇率1位は建設。午後に発表した上期決算が市場予想を上回った鹿島や清水建設が上昇し、前日発表した大林組も見直し買いに乗った。このほか、親会社東芝と完全子会社化を含めて協議中の東芝プラントシステムは大幅高。

• 東証1部33業種は建設、石油・石炭製品、証券・商品先物取引、小売、海運、鉄鋼が上昇率上位
• ゴム製品、非鉄金属、電気・ガスは下落 

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-11/Q0SKEOT0AFB501?srnd=cojp-v2


 

農林中金:CLO残高が6四半期ぶりに減少、8兆円割り込む−関係者
萩原ゆき、浦中大我
2019年11月12日 15:51 JST
• CLO減少は償還期限を迎えたことが理由、売却によるものではない
• リスクリターン見極めながら引き続き慎重に投資していく−広報担当
農林中央金庫の2019年9月末のローン担保証券(CLO)保有残高は、前四半期比で微減となり、8兆円を割り込んだもようだ。投資拡大を続けてきたCLO保有残高の減少は6四半期ぶりとなる。
  非公開情報として匿名を条件に語った複数の関係者によると、減少は保有証券の償還によるもので、売却によるものではないという。具体的な残高についての言及は避けた。CLOが裏付け資産とする米レバレッジドローン指標のS&P・LISTAトータル・リターン指数が低下するなど市場環境は悪化しており、慎重な投資姿勢を取ったことで償還分が投資分を上回ったと見られる。
  農林中金のCLO保有残高は、18年3月末の約3兆8000億円から四半期ごとに増加し、19年6月末に8兆円にまで拡大。投資対象は全て「AAA」格に限定しており、市場運用資産に占める割合は約13%となっていた。 
CLO保有残高は6四半期ぶりの減少へ
農林中金のCLO保有残高推移

出所:会社発表資料
  農林中金の広報担当者は、保有残高についての言及は避けた上で、「リスクリターンを見極めながら引き続き慎重に投資をしていく」と述べた。21日に予定している決算発表で、直近のCLO投資残高についても公表する見通し。
  低金利の長期化を背景に、農林中金など日本の大手金融機関は近年、CLO投資を増加させてきた。日本銀行が先月発表した金融システムリポートによると、CLO市場での邦銀の投資残高は足元で15%を占める。
  同リポートによると、邦銀が多く保有する最上位「AAA」格のトランシェについてはリーマンショック級のストレスが発生した場合でも、「信用リスクの面での頑健性は相応に高い」としているが、「AA」や「A」格に格下げされた場合には、2割から3割程度の価格下落が発生するとして注意が必要とも指摘している。
  ブルームバーグの試算によると、農林中金は今年夏頃まで6000億ドル(約66兆円)規模のCLO市場で圧倒的なプレゼンスを持ち、欧米では昨年10−12月期(第4四半期)に最高格付けのCLOの最大半分を購入していた。それが記録的な市場の成長を支えた半面、金融庁などの監視に拍車を掛け、同市場における農林中金の動向に関心が集まっていた。
  利回りを渇望する投資家の人気を受けてCLO市場の活況は続いている。19年の発行額はすでに約1000億ドルを超え、過去最高だった昨年の1130億ドルに並ぶ水準となっている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-12/Q0S6S5DWRGG001?srnd=cojp-v2


 

債券大幅安、30年入札結果低調で売り優勢−長期金利は半年ぶり高水準
船曳三郎
2019年11月12日 7:50 JST 更新日時 2019年11月12日 15:52 JST
債券相場は大幅安。米中貿易協議の進展期待を背景としたリスク選好の流れに加えて、この日に実施された30年国債入札が低調な結果となったことを受けて売り圧力が強まった。
• 新発20年債利回りは0.32%、新発30年債利回りは0.48%と、いずれも5月以来の水準まで上昇
• 新発40年債利回りは0.51%と6月以来の水準まで上昇
• 新発10年債利回りはマイナス0.04%と4月以来の高水準 •
• 長期国債先物12月物の終値は43銭安の152円59銭で安値引け
市場関係者の見方
バンクオブアメリカ・メリルリンチの大崎秀一チーフ金利ストラテジスト
• 30年入札は利回りが上昇していたのでもっと買いが入ると思っていたが、思ったより弱い結果だった
• 潜在的な需要はあるので生命保険などが動き出せば相場も少し落ち着くが、日本銀行の国債買い入れオペが減額される中で供給が続くため、様子見になっている
• 中長期金利もかなり上昇した。キャピタル狙いの買いはありそうだが、国内投資家が買うかと言えば、マイナス金利深掘り期待が高まらないと盛り上がらない
三井住友トラスト・アセットマネジメントの押久保直也シニアエコノミスト
• 米国株が史上最高値を更新しそうな勢いで、債券相場の重しになっており、30年入札の低調な結果を受けて下げ幅を拡大した
• 債券から株式への資金フローが明確になっている
• 米中協議が大きくもの別れすることはないだろうと市場はみており、関税合戦の悪化は避けられそう。米経済指標も底堅く、景気の前向き感を意識

30年債入札
• 最低落札価格98円30銭と、ブルームバーグがまとめた市場予想98円40銭を下回る
• 応札倍率3.66倍と前回3.87倍から低下。テール(最低と平均落札価格の差)は16銭と前回6銭から拡大
• 三井住友トラストAMの押久保氏
o 今後6週間、超長期債の入札が続くので、急いで買う必要はなかったという向きもあっただろう
o 需給的に若干逆風なところがあるスケジュールで、投資家がやや悠長に構えているところもある
o 備考:過去の30年国債入札の結果一覧
背景
• この日の日経平均株価の終値は前日比0.8%高の2万3520円01銭
• 東京市場の円相場は1ドル=109円台前半で推移
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.175% -0.165% -0.040% 0.320% 0.480% 0.505%
前日比 +2.0bp +3.0bp +3.0bp +2.5bp +3.0bp +2.5bp
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-11/Q0MZXMT1UM0X01?srnd=cojp-v2

 


http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/622.html

[経世済民133] 世界の富裕層投資家、大規模な株売りに備える 米国債ファンドから1300億円超流出、見通し改善−次は利上げもありか 英就業者数、7─9月は約4年ぶりの大幅減 ドイツZEW期待指数:11月は6カ月ぶり高水準、景気底入れ近い兆し お得意先から一転、中国が最大級の頭痛の種−ドイツ ボリビア大統領、経済政策の成功が「転落」の引き金に
世界の富裕層投資家、大規模な株売りに備える
UBSウェルス調査
Joanna Ossinger
2019年11月12日 20:49 JST
2020年末までに大幅な相場下落が起きると予想
回答者の60%は手持ちの現金積み増しを検討
世界の富裕層は2020年に混乱が起こるかもしれないと考え、事態に備えている。UBSグローバル・ウェルス・マネジメント(GWM)の調査で分かった。

  富裕層投資家を対象に行った調査によると、3400人を超える回答者の過半数が来年末までに大幅な相場下落を予測しており、平均資産の25%相当を現在現金で保有している。米中貿易摩擦を最大の地政学的な懸念事項と受け止めているほか、来年の米大統領選挙も資産ポートフォリオへの重大な脅威とみている。

  GWMの顧客戦略オフィサー、ポーラ・ポリト氏は「急速に変化する地政学的環境が世界の投資家にとって最大の懸念となっている」と述べ、「世界規模での相互接続性や変化に伴う反響が、これまでのような企業のファンダメンタルズ以上に資産ポートフォリオに影響を及ぼすとみられている。過去と比べて顕著な変化だ」と指摘した。

  リポートによれば、回答者の5分の4近くはボラティリティーが上昇する可能性は高いとみており、55%は2020年末までに大規模な売り浴びせがあると考えている。調査は8−10月に、投資可能な資産100万ドル(約1億900万円)以上を持つ投資家を対象に行われた。

  回答者の60%は手持ちの現金をさらに増やすことを検討しており、62%は資産クラスのさらなる多様化を計画している。

  ただ富裕層投資家の警戒は短期的な見通しに限られており、回答者の約70%は今後10年間の投資リターンについては楽観的だ。

relates to 世界の富裕層投資家、大規模な株売りに備える−UBSウェルス調査
原題:World’s Rich Readying for Major Stock Sell-Off, UBS Wealth Says(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-12/Q0UM5HT0G1KZ01?srnd=cojp-v2

 

米国債ファンドから1300億円超流出、見通し改善−次は利上げもありか
Vildana Hajric
2019年11月12日 14:19 JST
iシェアーズ米国国債20年超ETFから過去最大の流出
10年物米国債利回りは急上昇し2%に接近した
米国株相場が過去最高付近で推移する中、投資家は長期米国債から手を引いた。ブルームバーグがまとめたデータによると、iシェアーズ米国国債20年超ETF(TLT)上場投信からは先週、12億ドル(約1310億円)以上が流出し、過去最大を記録した。 10年物米国債利回りは急上昇し2%に接近した。

米国長期債の快進撃に陰りも−デュレーション投資に巻き戻しの動き

Investors yank more than $1 billion from TLT
  BMOキャピタル・マーケッツのストラテジスト、ベン・ジェフリー氏は、「最近の売却の大部分は間違いなく、経済がうまく軟着陸するとの見通しが強まりインフレ期待も生じたことによるものだ」と先週のリポートに記した。貿易戦争解決への進展も指摘し、そうした期待が「目先、長期債の一段の値下がりを引き起こす可能性がある」と指摘した。

  米中貿易対立緩和と成長回復への期待がリスク資産の見通しを改善させ、TLTへの資金の流れを反転させた。

  ブルームバーグのデータによれば、iシェアーズ米国国債7−10年ETF(IEF)からも先週約5億5330万ドルが流出した。

  TIAAの世界市場担当プレジデント、クリス・ギャフニー氏は「リセッション(景気後退)リスクは低下している。投資家は現在、デュレーションを短縮しようとしている。金融当局による次の動きがあるとしたら、恐らく利上げなのではないか」と電話で話した。

原題:
Mega Bond Sell-Off Spurs $1.2 Billion Outflow From Treasury Fund(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-12/Q0U6QKT1UM0Y01?srnd=cojp-v2


 

ドイツZEW期待指数:11月は6カ月ぶり高水準、景気底入れ近い兆し
竹生悠子
2019年11月12日 20:01 JST
• 期待指数はマイナス2.1、市場予想はマイナス13
• ドイツの現状指数、ユーロ圏の期待指数も改善
ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)がまとめた同国の景気見通しを示す指数は11月に6カ月ぶり高水準に上昇した。下降局面になる経済が安定化しつつある可能性が示唆された。
  ZEWが12日発表した今後6カ月間の期待指数はマイナス2.1と、前月のマイナス22.8から大幅に改善した。エコノミスト予想ではマイナス13だった。ドイツの現状指数とユーロ圏の期待指数も改善した。

  エコノミストらは、特に製造業の弱さが長引く中で、ドイツ経済が7−9月(第3四半期)に定義上のリセッション(景気後退)に陥ったと見込んでいる。
  ZEWのバンバッハ所長は、「国際的な経済政策環境は近い将来に改善するとの期待が高まっている」と述べた。
原題:German Investor Sentiment Improves on Signs Economy Near Bottom(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-12/Q0UPKNT0G1KY01?srnd=cojp-v2


お得意先から一転、中国が最大級の頭痛の種に−ドイツ商業会議所調査
Bloomberg News
2019年11月12日 19:29 JST
中国の経済的苦境の影響にドイツがさらされていることを明確に示す
独企業の大半が米中貿易戦争の影響を直接か間接的に受けている
ドイツにとって最大級の海外市場、中国で商売をしているドイツ企業が悲観的な見方を強めている。

  中国のドイツ商業会議所によれば、中国で事業を展開する独企業500社余りを対象にした調査で、今年の事業目標を達成もしくは上回ると見込んでいるのはわずか4分の1にすぎなかった。

  労働コスト上昇や市場アクセスの障壁といった長期的な問題に加え、米中貿易戦争の影響を直接もしくは間接的に受けているとの回答は80%超に上った。

Down on China
German companies are increasingly worried about their China business


Source: German Chamber of Commerce in China survey conducted between July 29 and Sept. 12

Note: Shows forecasts for the year and may not total 100% due to rounding

  こうした調査結果は、中国の経済的苦境の影響にドイツがさらされていることを明確に示している。中国経済は内需低迷と高リスク債務抑制の中で、ほぼ30年ぶりの低成長となっている。20年ほど伸び続けていた乗用車販売は2年連続で減少する見込みで、ドイツ勢にとっては特に大きな打撃だ。

China Car Sales Slump
Sales of German cars flat but have held up better than overall car market


Source: CAIN

German cars include VW, Audi, Mercedes Benz, BMW, Porsche

  不確実な輸出見通しはドイツ経済を今年、リセッション(景気後退)入りの瀬戸際に追い込んでいる。同会議所によれば、2020年について独企業は一定の持ち直しの兆しを報告したが、欧州連合(EU)と中国の投資協定妥結や公平な市場アクセス改善が求められている。

関連記事
最悪の事態に備えを、IMFが欧州に警告−ドイツは危機説を一蹴
ドイツで景気後退リスク上昇、製造業不況の波及を経済諮問委が警告
原題:
China Turning Into One of Germany Inc.’s Biggest Headaches (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-12/Q0UL85T0AFB401?srnd=cojp-v2
 

 

コラム2019年11月12日 / 15:02 / 9時間前更新

ボリビア大統領、経済政策の成功が「転落」の引き金に
Anna Szymanski
2 分で読む

[ニューヨーク 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 10日に辞意を表明したボリビアのモラレス大統領は、自身がクーデターの犠牲者だと訴えた。実際のところは、成功を収めた自らの政策の犠牲になったのかもしれない。

ボリビアはモラレス氏が大統領になって貧困層が減り、同氏は約14年間の在任を謳歌した。しかし、この中間層の拡大が、選挙不正に声を上げる動きをもたらした可能性がある。こうして当のモラレス氏が辞任に追い込まれるという、皮肉な流れになった。

反モラレス氏の抗議活動は、10月20日の大統領選直後に勃発した。不自然に一時停止した暫定集計が再開されたとたんに、有力な対立候補とモラレス氏の得票率差が10%を超え、決選投票が回避されることになったからだ。

国際的な監視機関の米州機構(OAS)は、選挙で不正が行われたとする報告を発表。ボリビア軍部が同氏に退陣要求を突き付けた。

ボリビアの経済状況を振り返ると、騒乱は意外に見える。モラレス政権下で南米のどの国よりも、貧困層が大きく減少。大統領在任期間は、中南米の現職として最長だった。

国家統計庁によると、中間層の割合は2005年から17年にかけて35%から58%に拡大。国際通貨基金(IMF)は、モラレス氏在任中の国内総生産(GDP)の平均成長率が4.8%に達したとのデータを示している。

しかし、政治的な不正がなかったとしても、ボリビア経済の先行きは不透明だ。繁栄を支えた商品市況のブームは終息。貿易収支と財政収支はともに赤字だ。

原油価格の高騰を背景に、天然ガスや鉱物資源を輸出し、その収入を大規模な財政支出を通じて配分するという政策モデルは、今後、修正が避けられない。

中間層が増えたといっても、富裕な先進国の基準に照らせば、満足のいく水準ではない。IMFによると、ボリビアの国民1人当たりGDP(年間)は3500ドル前後で、南米で最も低い部類に入る。

世界開発センターのナンシー・バーゾール氏は、新興国で比較的新しく中間層に仲間入りする人々を「触媒層」と定義した。この不安定なグループが、ブラジル、トルコ、チリなどの国でも、政治腐敗への抗議行動で中心的な存在となっている。

これは、野心的な中間層が力を持ちつつある他の新興経済国にとっても教訓となる。暮らしにゆとりが出るほど、国民は政治指導者の不正に寛大でなくなることがあるのだ。そもそも指導者が良い変化をもたらすのを助けたのであっても──。

●背景となるニュース

*ボリビアのモラレス大統領は10日、軍の退陣要請を受けて辞任を表明した。モラレス氏は、先月20日の大統領選後に広がった抗議デモの鎮静化を図るための退任と説明。リネラ副大統領も同日辞任を表明した。モラレス氏は2006年に大統領に就任した。

*米州機構(OAS)はボリビアの先月の大統領選について、正確さを保証できず、投票手続きが「明らかに操作された」とした。また、モラレス氏が接戦だった対抗馬のメサ元大統領に10%ポイント以上の差をつけるのは、統計上あり得ないとも指摘した。

*ボリビアの法律は大統領と副大統領が辞任した場合、上院議長が暫定的に大統領職を継承すると定めている。しかしサルバティエラ上院議長も10日に辞任を表明した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
https://jp.reuters.com/article/bolivia-breakingviews-idJPKBN1XM0J7


 


ビジネス2019年11月12日 / 19:33 / 5時間前更新
英就業者数、7─9月は約4年ぶりの大幅減
Reuters Staff
1 分で読む

[ロンドン 12日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)によると、7─9月の英就業者数は5万8000人減の3275万3000人と、2015年3─5月以降で最大の減少を記録した。

減少幅はロイターがまとめた市場予想(9万4000人減)を下回ったが、総選挙を控え、労働市場が悪化していることが浮き彫りになった。

賃金も伸び悩み、求人も減少した。

英国では欧州連合(EU)離脱決定後も、労働市場は堅調に推移してきた。経営者が長期の投資よりも、解雇が容易な人員の採用を優先したことが背景とみられる。

7─9月の失業率は3.8%で、1975年初め以来の低水準。失業者は2万3000人減の130万6000人だった。

7─9月の賃金(ボーナスを含む)は前年比3.6%増。6─8月の3.7%増から伸びが鈍化し、ロイターがまとめたすべての市場予想を下回った。ただ、増加率は依然として約10年ぶりの高水準付近にとどまっている。

変動をならしたボーナスを除く賃金も3.6%増。すべての市場予想を下回った。

7─9月の時間当たりの生産高は前年比横ばい。4─6月は0.5%低下だった。生産性は2018年第2・四半期以降、上昇していない。

8─10月の求人数は80万人と、前年同期の85万3000人から減少。2009年末以降で最大の減少となった。
https://jp.reuters.com/article/uk-jobdata-idJPKBN1XM1A2
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/623.html

[国際27] 豚コレラ、殺処分の血で川が赤く染まる…韓国 2カ月で10万部『反日種族主義』、韓国人著者たちの受難 韓国、GSOMIAを一方的に破棄→失効直前で日本に輸出規制の撤回求める…国際社会で窮地に


豚コレラ、殺処分の血で川が赤く染まる…韓国
2019年11月13日 18:32 発信地:ソウル/韓国 [ 韓国 韓国・北朝鮮 ]

北朝鮮との軍事境界線に近い韓国・漣川郡にある臨時処分場で山積みにされた豚の死骸。地元NGOの漣川臨津江市民ネットワークが撮影、公開(2019年11月11日撮影、13日公開)


【11月13日 AFP】アフリカ豚コレラが流行している韓国で、殺処分された大量の豚から出た血が北朝鮮との軍事境界線近くを流れる臨津江(Imjin River)に流出し、川の水が赤く染まった。

 韓国ではアフリカ豚コレラの感染が9月に確認されて以降、38万頭近くの豚が殺処分された。豚コレラは人間には害がないが、豚やイノシシの間での感染力が非常に強い。豚の場合はほぼ全ての症例が致命的で、解毒剤やワクチンも存在しない。感染拡大を防ぐ唯一の方法として知られているのは、豚の大量殺処分だ。

 地元NGOの漣川臨津江市民ネットワーク(Yeoncheon Imjin River Civic Network)によると、北朝鮮との軍事境界線近くに位置する処分場には、殺処分された約4万7000頭の豚が積み重ねられていたが、先週の豪雨によってこの処分場から豚の血が流出し、10日に臨津江に漏出。これにより、川の一部が赤く染まった。

 同NGOのイ・ソクウ(Lee Seok-woo)代表は、「この地域の住民の多くが不安と懸念を抱いた」と述べ、「臭気もまた耐え難いものだった。多くの農家が、臭いに我慢できず農作業ができなかったと言っている。こうしたことが起こってはならない」と非難した。

 韓国の環境省は13日、川に流れ出た血は現在、吸引ポンプなどの装置を使用して「適切に処理」されており、周辺地域の蛇口から出る水道水に影響を及ぼすことはないと発表した。(c)AFP
https://www.afpbb.com/articles/-/3254574


 

2カ月で10万部『反日種族主義』、韓国人著者たちの受難

日本統治時代についての韓国における新たな見解
2019/11/13

崔 碩栄 (ジャーナリスト)

日本統治時代についての韓国における新たな見解
果たして日本の読者たちの評価は?
 韓国でベストセラーとなった話題の本、『反日種族主義』が日本でも出版された。韓国の経済、歴史分野の学者、ベテラン言論人など6人の共同著者が書いたこの本は、400ページを超える分厚い学術書にも関わらず7月に大型書店の総合ランキング1位を記録。わずか2カ月で10万部が売れるベストセラーになった。韓国における反日感情、そして歪曲された歴史解釈や教育を辛辣に批判するこの本は韓国でも賛否両論が沸き起こり、この夏最も話題となった本である。


『反日種族主義』(韓国版)
徴用工は強制連行ではなく、志願、あるいは動員された労働者であり、日本人労働者と同じ待遇を受けていた。
慰安婦は公娼制度の一形態であり、高賃金を受け取っていた。
日本が朝鮮半島から持って行った米は収奪ではなく、輸出であった。
朝鮮人青年たちは先を争って日本軍に志願した。
大日本帝国が朝鮮を滅亡させようと(風水でいわれる朝鮮半島の地脈や民族の精気を断つ目的で)朝鮮の領土に打ちこんだといわれている鉄杭は、実は単に測量用のものであった。

『反日種族主義』(日本版、文藝春秋)
 などといった内容は、多くの韓国人に衝撃を与えた。なぜならば、これまで学校で学び、メディアで伝えられてきた内容とは「正反対」のものばかりだったからだ。

 韓国では当然、反発の声が上がった。歴史歪曲だ、親日派だ、と。

 ことさら激しい反発をみせたのは左派陣営だ。代表例は先日ひと悶着の末に辞任した前法務長官・曹國(チョ・グク)だ。彼はSNSを通じて「反吐が出る」という痛烈な表現を使い、この本を批判した。一般的に韓国の左派がこれまで徴用工、慰安婦問題等を直接的に、あるいは間接的に支持し、支援し続けてきたことを考えれば、これは「想定内」の展開だ。

 一方の右派陣営。こちらもこの本に対しては「不快感」を表明した。保守野党の代表を歴任してきた洪準杓(ホン・チュンピョ)氏は「この本を韓国の保守ユーチューバーたちが称賛していることは理解できない。土地調査事業、鉄杭、慰安婦問題など、我々の常識からはずれ、むしろ日本の植民史観主張と類似している」と切り捨てた。

 保守野党の現役議員である張濟元(チャン・チェウォン)議員は「読んでいる間、頭痛がした」「不快感、侮辱を受けているように感じた」「歴史的自殺行為」と不快感を隠そうともしなかった。

 韓国は左派右派の対立が激しい国だ。相手陣営がなにかを言えばどうにかして揚げ足を取り、言いがかりをつける。おそらく韓国の左派、右派のメディアを長い間観察してきた日本の韓国ウォッチャーにとっては周知の事実だろう。しかし、その韓国でたまに左派右派の意見がキレイに一致することがある。その中の代表的なものが、韓国という「国家」もしくは韓民族という「民族」といった集団において「不都合な事実」であったり「隠しておきたい事実」に触れられたりしたとき、である。『反日種族主義』はまさにここに該当したのだ。

韓国の読者たちがこの本を支持した二つの理由
 政治家たちの評価はともかく、この本はベストセラーとなり、読者たちの支持を得た。これはこの本の内容に多くの人が「納得」したということを意味する。果たして読者たちはこの内容の何に対して、そしてなぜこんなにも惹きつけられたのか?

 まずは、これまで、何か違和感を覚えながらも解けずにいた頭の中のジグソーパズルが、次々と正しくはまって行くような「快感」を感じたからだろう。例えば、韓国人は日本統治期の朝鮮人たちが日本に強制連行され、無理やりしょっ引かれて行ったと学び、教えられてきた。

 だが、その「説」では同じ時期に多くの朝鮮人が日本に留学した事実や、多くの人々が日本へ密航して行ったという事実を説明できずにいた。あるいは、日本が米を収奪して行ったと学び、伝えられてきたが、同じ時期に出現した富農の存在、朝鮮米の流入に反対する日本の農民たちの声についても説明できなかった。これらの矛盾に明快な回答を示したのが『反日種族主義』であり、読者たちはこの本の示した回答に納得し「正答」と評価したのだ。

 そして、読者たちがこの本に夢中になった二つ目の理由は、この本の著者たちが韓国で最も危険な「タブー」に挑戦したからだ。慰安婦、独島、強制連行、強制動員、米収奪に対する「異説」を主張することは韓国で最も危険なタブーだ。『帝国の慰安婦』という本が社会的批判の的となり、著者である朴裕河(パク・ユハ)教授が終わりのない訴訟に巻き込まれた一件はまだ記憶に新しい。

 『反日種族主義』の著者たちもまた過去に社会的バッシング、ブーイングを受けた経験がある。それでも著者たちは各自の専門分野において、多くの資料、データを基に導き出した答えを堂々と発表した。これは韓国社会に深く根付いた常識に対する挑戦であり、その勇気に対し読者たちは拍手を送ったのである。

予想外の人気で生まれた社会現象、そして著者たちの受難
 韓国で10万部以上売れ、今年最高の話題作となると、この本を「不都合に感じる」人たちが動き出した。もともと賛否両論のある本だが、彼らは単に反対意見を表明するだけではなく、著者たちに脅迫、あるいは直接的な暴力でもって対峙したのだ。


代表著者の李栄薫 前ソウル大学教授
 今年の7月には著者の中の1人、李宇衍(イ・ウヨン)氏が所属する落星台経済研究所に男たちが押しかけ、ドアを蹴りながら李氏に対し「親日派」「売国奴」と責めたて、「顔を覚えたから、ここに通えないようにしてやる」と脅迫するとともに、顔に唾を吐きかけた事件が発生。

 続く8月には40代の男性が同研究所のドアに動物の排泄物を撒き散らした。この男は検挙されたが、9月には同研究所の前に左翼性向の市民団体が集まり、旭日旗と共に『反日種族主義』を燃やすという「火刑式」を行うなど嫌がらせは続いている。

 そしてバッシングはついに、高額訴訟へと発展した。李宇衍氏を相手に慰安婦少女像の作家として有名な夫婦によって計6000万ウォンの損害賠償を求める訴えが起こされたのだ。金氏夫婦が制作した「強制徴用労働者像」を李氏が「日本人労働者の写真をモチーフにした作品」と批判したことが事実ではないというのが訴えの理由だ。

 この本の著者たちは、本を刊行するにあたって、新聞に全面広告を出した。韓国の歴史学界や慰安婦支援団体に対し「隠れずに堂々と論戦に応じよ」と挑戦状ともいえるような文面で、公開討論を提議した。だが公開討論に応じる団体や研究者は1人も出てこなかった。結局、彼らは朴裕河教授『帝国に慰安婦』騒動の時と同様に怒りをぶちまけ、悪態をつき、そして高額の訴訟を起こすことで持って応えたのである。

 『帝国の慰安婦』も『反日種族主義』も、現時点において、韓国社会の常識に反する「異説」であり、新しい解釈である。だが、こういった「異説」が韓国社会の考え方の幅を広げてくれるなら、長期的に見れば、これらの主張は歴史認識の多様性を認めるための「薬」であるはずだ。これを思うと、韓国における著者たちの受難がいっそう残念に思えてならない。

 韓国で親日派、売国奴の本だと罵倒された『帝国の慰安婦』は日本では概ね好評を受けたが、一部のリベラル性向の研究者たちからは韓国で受けた以上の批判を受けた。『反日種族主義』の日本での評価もまた、賛否両論の評価を受けることになるだろう。だが実のところ、そうして「議論」が巻き起こることこそが著者たちの望むところでもある。怒りに任せた感情のぶつけ合いではなく、両国で冷静な議論が起きることを期待しているのだ。

 韓国の反対派たちが、無視、嫌がらせ、訴訟という形で応えたこの本に対し、日本の読者たちがどんなふうに応えるのか……楽しみである。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/17878

 


韓国、GSOMIAを一方的に破棄→失効直前で日本に輸出規制の撤回求める…国際社会で窮地に
文=渡邉哲也/経済評論家
【この記事のキーワード】韓国, アメリカ, 日本, 在韓米軍, GSOMIA

安倍晋三首相(右)と韓国の文在寅大統領(左)(写真:YONHAP NEWS/アフロ)
 日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の失効が11月22日に迫っている。

 韓国の鄭義溶国家安全保障室長は「韓日関係が正常化されれば延長を検討する用意がある」と発言しており、韓国は日本の輸出管理強化の撤回を求めている。しかし、日本としては、菅義偉官房長官の「我が国の輸出管理の見直しは、関連する国際ルールにのっとって輸出管理制度を適切に実施する上で必要な運用の見直しだ。同協定の終了とはまったく次元の異なる問題であり、韓国側の主張は認められない」という対応がすべてだろう。

 日本が7月に安全保障上の問題を理由に輸出管理を強化したことに反発した韓国は、8月に一方的にGSOMIAの破棄を決定した。その際、強い懸念と失望を表明したアメリカは、ここにきて再び韓国に圧力をかけている。11月6日、訪韓したデービッド・スティルウェル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は康京和外相らと会談し、GSOMIAの破棄を主導した金鉉宗国家安全保障室第2次長に判断の見直しを迫ったことが報じられた。

 また、11月12日には米軍の制服組トップであるマーク・ミリー統合参謀本部議長が安倍晋三首相と会談し、GSOMIAについては「期限が切れるまでに解決したい」と述べている。ミリー議長は13日から訪韓し、直接交渉で翻意を促すとされている。また、11月15日にはマーク・エスパー国防長官も韓国を訪れ、GSOMIAおよび在韓米軍の駐留経費増について、アメリカ側の意向を伝えるとされている。

GSOMIA失効の裏に在韓米軍の駐留経費問題も
 そもそも、アメリカ側への事前通告なしでGSOMIA破棄を決定した韓国の対応はアメリカの顔を潰す行為であり、このまま失効すれば米韓同盟に入った亀裂はさらに大きくなることが必至だ。現在、アメリカのドナルド・トランプ大統領は韓国に在韓米軍駐留経費の大幅な負担増を求めており、現行の5倍以上である約48億ドルを要求している。そのため、韓国国内では、GSOMIA問題を負担金交渉のカードに使うとの報道もあったが、これは逆効果にしかならないだろう。

 そもそも、トランプ大統領が韓国に負担増を求める背景には、「韓国は不当に安い値段でアメリカに安全保障を依存している」というロジックがある。そのため、かねて在韓米軍の撤退も辞さない姿勢を見せてきた。一概に比較はできないが、米軍はシリアからの撤退を決めるなど、トランプ大統領は興味を失った相手に対しては非常に冷たい一面を持つ。そんな状況のなか、今の韓国がGSOMIA問題を対米交渉のカードとして使うのは、逆にアメリカの機嫌を損ねることにしかならないだろう。

 周知の通り、韓国がGSOMIAの破棄を決定して以降、北朝鮮が再び弾道ミサイルの発射を繰り返している。アメリカのランドール・シュライバー国防次官補は「日本と韓国の関係が緊張することは、中国や北朝鮮のような国に利益を与えるだけだ」と語っており、前述のミリー議長と面会した茂木敏充外務大臣も「日米韓の足並みの乱れは地域の不安定化を招き、北朝鮮のみならず、中国、ロシアを利することになりかねない」と述べているが、まさに韓国の政策が東アジアの軍事的リスクとなりつつあるわけだ。

次のページ 日本の「戦略的放置」で窮地に陥る韓国

 韓国の対応について、日本は一貫して静観の構えを貫いているが、そもそも自ら「竹のカーテン」(共産主義陣営と反共主義陣営の境界線)をくぐって「レッドチーム」(共産主義陣営)入りしようとしている韓国を優遇する必要などないし、むしろしてはならない。前述のように、韓国は対米交渉のカードを持っておらず、北朝鮮とアメリカが直接交渉できるようになったことで、対北交渉のカードも失ったことになる。国際社会での存在価値が極めて希薄化しているのだ。

 韓国メディアの「中央日報」は、韓国政府当局者による「日本政府が今年、隠密に『韓国を相手に、助けるな、教えるな、関係を結ぶな』という3つの非公開原則を立てた」「輸出規制もこの原則に基いて立案、執行されたと把握している」という声を伝えている。この真偽はさておくとしても、日本は韓国に対して積極的に干渉しない「戦略的放置」という対応が、もっとも正しいのではないだろうか。

(文=渡邉哲也/経済評論家)

●「渡邉哲也公式サイト」

●公式ブログ「渡邉哲也(旧代表戸締役)の妄言」

●公式メールマガジン「渡邉哲也の今世界で何が起きているのか」

前のページ
1
2

『「韓国大破滅」入門』
2019年8月2日、ついに安倍政権は韓国を「ホワイト国」から除外した。反発を強める韓国はこれからどうなっていくのか。また、7月に河野太郎外務大臣は「新・河野談話」を発表、かつての河野談話を更新し、着々と韓国を追い詰めつつある。日韓関係の行方はどうなっていくのか? 一方、トランプ政権は戦時統帥権を返還し韓国を見捨てようとしている。在韓米軍撤退で起こる韓国の死活的悲劇とは? 今後の韓国、朝鮮半島、アジアの変化を完全解説!


ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2019/11/post_127904_2.html 


http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/714.html

[経世済民133] 債券でヘッジの時代は終わった「安全」再定義を クオンツファンド、グロース株離れ加速 債券上昇、アジア株安 日銀オペ減額警戒 日本株は反落 MUFG:7-9月期純利益は35%減、与信費用悪化 三井住友F:7−9月期純利益は12%減の2162億円−円高など影響 ソフトバンクが初の社債、資金調達多様化へ年度内にも発行
債券でヘッジの時代は終わった、「安全」再定義を
−JPモルガンAM
Anchalee Worrachate、Liz McCormick
2019年11月13日 14:38 JST
債券およびリスクパリティー戦略の長期リターン目標を引き下げ
未公開株や実物資産がリターン向上に役立つと予想
マイナス利回りが今後何年も続くと見込まれる中で、安全資産という概念を定義し直す必要があると、JPモルガン・アセット・マネジメント(JPMAM)が指摘した。

   同社は資金の60%を株式、40%を債券に割り当てる「60/40」ポートフォリオの投資リターンが低下すると見込み、向こう10年はプライベートエクイティー(PE、未公開株)や実物資産のような代替投資先がリターン向上に役立つと考えている。

  約2兆ドル(約218兆円)を運用するJPMAMのストラテジストらは、債券およびリスクパリティー戦略の長期リターン目標を引き下げた。同戦略は債券を株投資のリスクに対するヘッジとして組み込んでいる。

  12日のロンドンでのプレゼンテーションによると、ストラテジストらは、世界の成長率が今後10−15年にわたって2%前後で低迷する中で債券利回りは低い状態が続くと予測した。

  JPMAMのグローバルマルチアセット戦略責任者、ジョン・ビルトン氏は記者会見で、「われわれは景気循環の遅い時期にあり、成長減速環境にあると思われる」とし、 「株式、クレジットおよび代替資産投資からリターンは得られるが、単純に債券に資金配分することでリスク資産のエクスポージャーをヘッジする時代は終わった」と語った。

  緩和的な金融政策を追い風にリスク資産も債券も値上がりし、いわゆる60/40ポートフォリオは今年絶好調だ。しかし、高いバリュエーションは長年にわたる低リターンを予想させ、年金基金などは代替資産を探し求めている。また、世界の債券の4分の1がマイナス利回りとなっている今、債券はヘッジとして割高に見えつつある。

Trillions worth of global debt have yields below zero

原題:
JPMorgan AM Says Days of Simply Hedging Risk With Bonds Are Over(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-13/Q0W2GEDWX2PU01?srnd=cojp-v2


 


 
クオンツファンド、グロース株離れ加速の公算−25%増益期待高過ぎた
Justina Lee
2019年11月13日 17:47 JST
より割安な銘柄へのローテーションがさらに進む−QMAのミンツ氏
QMAはここ1年ほどバリュー株のウエートを増やしてきた
米株式市場で人気が高く割高な銘柄の株価は10−12月(第4四半期)初め、利益が今後10年にわたり毎年25%ずつ増えることを織り込んでいた。PGIMのクオンツ部門であるQMAの最新調査が示した。過去5年の実際の増益率はむしろ12%に近い。

  夏以降のグロース株からバリュー株へのローテーションに弾みがつきそうな数字だ。

  QMAのファンドマネージャー、ステイシー・ミンツ氏はロンドンでのインタビューで、グロース株投資家は「失望させられるだろう」として、 「市場がこの現実に気付き始めれば、非常に高い増益率が株価に織り込まれているグロース株から、より割安な銘柄へのローテーションがさらに進むだろう」と語った。

Earth to Growth Stocks
The priciest stocks may be projecting unrealistic rates of growth


Source: QMA

* annualized rate for next 10 years ** annualized rate in last five years. Data cover most expensive and cheapest terciles in Russell 3000 as of Sept. 30.

  実際、増収増益が見込まれていた企業の株価は8月以降、割安銘柄のパフォーマンスを下回った。グロース株のバリュエーションはバリュー株との比較で相対的にドットコムバブル期以来の高水準に達していた。

  ミンツ氏のようなクオンツ投資家は各企業の分析よりも市場全体のメトリクスに基づいて投資先を選ぶ。

  しかし同氏は、グロース株とバリュー株のバリュエーション格差には縮小の余地があると考えたため、QMAはここ1年ほど、ポートフォリオのバリュー株のウエートを増やしてきた。

  「そんなにすぐに勝利やトレンドを宣言することはできないが、何らかの変化が見られることは確かだ。小さな少しずつの前向きなニュースが全て、たたかれていた割安株の助けになっているように感じられる」と同氏は語った。

The wide valuation spread between growth and value is just starting to narrow
原題:Quant Trade of the Decade Slammed for Pricing 25% Profit Growth(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-13/Q0W836DWX2PT01?srnd=cojp-v2


 


債券上昇、アジア株安で買い圧力−日銀オペ減額警戒で上値は限定
三浦和美
2019年11月13日 15:45 JST
債券相場は上昇。米中貿易協議の進展期待が後退したことを背景にアジア株がほぼ全面安となる中、安全資産としての債券に買い圧力が強まった。一方、日本銀行による超長期債を対象にした買い入れオペを週末に控え、減額への警戒感から上値は限定的だった。

新発10年債利回りは前日比0.5ベーシスポイント(bp)低いマイナス0.045%から一時マイナス0.055%まで低下
長期国債先物12月物の終値は19銭高の152円78銭。一時は152円86銭まで上昇
市場関係者の見方
SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジスト

トランプ米大統領がきのうの講演で米中貿易協議に関して踏み込んだ発言をすると期待されていたが特に何もなく、日本株と中国株が大きく下落
債券相場はオーバーシュート気味に下落していたこともあり、株安を受けて押し目買いが優勢となった
一方、日銀が利回り曲線をできるだけ立たせておきたい意向にあるとの見方は根強く、オペ減額への不安感から大きく金利が下がる状況でもない
背景
この日の東京株式相場は反落。日経平均株価は200円安の2万3319円で終了。アジア株も中国株を中心にほぼ全面安
トランプ大統領は12日、中国との包括的貿易合意の第1段階がまとまらない場合は、対中関税を引き上げると発言
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.190% -0.175% -0.050% 0.315% 0.470% 0.500%
前日比 -1.5bp -1.0bp -1.0bp -0.5bp -1.0bp -0.5bp

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-13/Q0W88GDWX2PV01?srnd=cojp-v2


 
日本株は反落、米中貿易合意の期待がやや後退−素材や石油安い
河元伸吾
2019年11月13日 8:00 JST 更新日時 2019年11月13日 15:30 JST
中国と貿易合意なければ対中関税を大きく引き上げ−トランプ大統領
ドル・円は一時1ドル=109円割れ、香港は混乱続き株価2%超下落
13日の東京株式相場は反落。トランプ米大統領が米中貿易の部分合意がなければ対中関税を引き上げると述べ、協議の先行きに対する楽観的な見方が後退した。貿易摩擦による世界景気への影響が懸念され、石油関連や鉄鋼など素材中心に幅広い業種が下げた。

TOPIXの終値は前日比9.34ポイント(0.5%)安の1700.33−7営業日ぶりに反落
日経平均株価は同200円14銭(0.9%)安の2万3319円87銭
<きょうのポイント>
中国との包括的貿易合意の第1段階がまとまらなければ対中関税を引き上げ−トランプ大統領
米中首脳会談の日程などには言及せず
合意が近く実現する可能性はある
香港金融街に再びデモ参加者−保安局長は「想像もできない」結果警告
香港ハンセン指数が大幅下落、抗議活動拡大で
  

Tokyo Stock Exchange As Asian Stocks Rebound After Korean Fears Abate
東証内の株価ボードPhotographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは、トランプ大統領のスピーチは「注目されていた割にいつもの発言だった」と総括。マーケットは次の手掛かりになるような内容が出るかとみていたとし、「最近大きく上昇した反動で下落している」と述べた。

  小安く取引を開始した株価指数は徐々に下げ幅を広げた。混乱が続く香港のハンセン指数が一時2.2%安となりアジア株は軒並み下落。為替市場ではドル・円相場が一時1ドル=108円87銭と円高で推移し、リスク資産への投資が手控えられた。

7営業日ぶりに反落
東証1部33業種は鉄鋼、石油・石炭製品、鉱業、保険、食料品、サービスが下落率上位
繊維製品や証券・商品先物取引は上昇
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-12/Q0UFHAT1UM0X01

 
三井住友F:7−9月期純利益は12%減の2162億円−円高など影響
小野美和子、萩原ゆき、浦中大我
2019年11月13日 17:40 JST 更新日時 2019年11月13日 19:26 JST
通期純利益予想は7000億円に据え置き−株式売却益の上振れを見込み
「巨大タンカーがかじを切るような変革が必要」−太田社長
三井住友フィナンシャルグループが13日に発表した2019年7−9月期の連結純利益は、前年同期比12%減の2162億円だった。円高影響による減収や与信関係費用の悪化などが響いた。

Views of Japanese Mega Banks Ahead Of Full-Year Results
都内の三井住友銀行の店舗
  13日に開示された決算資料を基に算出した。同期の与信関係費用は268億円の負担。前年にあった大口の引当金戻り益がなくなったことで前年同期比で悪化したものの、今期(2020年3月期)目標の2000億円に対しては低水準にとどまった。本業のもうけを示す業務純益は同13%減の2854億円だった。

19年7−9月期決算の主要項目
純利益は前年同期比12%減の2162億円
業務純益は13%減の2854億円
資金利益は7%減の3263億円
役務取引等利益は4.8%増の2648億円
株式等関係損益は72%増の393億円の利益
与信関係費用は268億円の負担−前年同期は34億円の戻し入れ
  今期の連結業務純益目標は従来目標(1兆1800億円)から1兆1350億円に引き下げ。資産運用事業の下振れや為替影響が響いた。一方で、純利益予想は7000億円に据え置いた。政策保有株削減による売却益の上振れを見込んでいることが背景にある。通期予想に対する4−9月期の純利益の進捗(しんちょく)率は62%だった。

  同社の中期経営計画は今期で最終年度を迎える。進捗(しんちょく)状況は総じて順調なものの、都内で会見した太田純社長は「厳しい環境下の中で企業風土の改革が不可欠」だとし、「マインドセットを変えることが必要で、巨大タンカーがかじを切るような変革が必要と考えている」と述べた。

(発表の詳細を追加して記事を更新します)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-13/Q0VSBXT0G1KX01?srnd=cojp-v2

 


 
MUFG:7-9月期純利益は35%減、与信費用悪化−通期据え置き
萩原ゆき、小野美和子、浦中大我
2019年11月13日 16:58 JST 更新日時 2019年11月13日 19:31 JST
前年同期に戻し入れ益が生じた与信関係費用の悪化が響き減益に
通期純利益は9000億円に据え置き、景気見通しから下振れリスク留意
三菱UFJフィナンシャル・グループの2019年7ー9月期の連結純利益は、前年同期比35%減の2189億円となった。市場関連収益が増加したものの、前年同期に計上した貸倒引当金戻し入れの反動による与信関係費用の悪化が響いた。

Views of Japanese Mega Banks Ahead Of Full-Year Results
与信関係費用の悪化で7−9月期の純利益は減益にPhotographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  13日に開示された決算資料を基に算出した。本業のもうけを示す業務純益は同13%増の3189億円だった。金利低下局面を捉えた債券関係損益の増加などが寄与した。

  4−9月期累計の業務純益が増益となったのは4期ぶり。通期計画に対する同期の純利益の進捗(しんちょく)率は68%となった。

  通期(20年3月期)の純利益予想は9000億円に据え置いた。順調な進捗率にも関わらず据え置いたことについて、同日会見した三毛兼承社長は「景気見通しが不透明なため下振れリスクに留意が必要」と説明した。与信費用は当初見込みから500億円減額し、1800億円とした。上期実績は180億円だったが「クレジットサイクルが変化する可能性がある」として保守的ではないとの見方を示した。

19年7ー9月期決算の主な内容(前年同期との比較)
資金利益は横ばいの4898億円
役務取引等利益は前年同期比1.7%減の3158億円
国債等債券関係損益は943億円の利益、前年同期は242億円の損失  
株式等関係損益は62億円の損失、前年同期は228億円の利益
与信関係費用は522億円の負担、前年同期から1456億円の悪化
  営業費用は海外での業容拡大や規制対応のため増加したが、業務粗利益が伸びたことで経費率は前年同期比1.8%低下し、68.0%となった。

  また、発行済み株式総数の0.77%に当たる1億株を上限とした自社株買いの実施も発表した。取得額の上限は500億円。取得期間は14日から12月31日まで。

(会見のコメントを追加するなどして記事を更新します)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-13/Q0SIUNDWLU6E01?srnd=cojp-v2


 


ソフトバンクが初の社債、資金調達多様化へ年度内にも発行
間一生
2019年11月13日 12:22 JST
5年、7年、10年を含む中長期を中心に検討−規模は今後詰める
親会社の影響である程度高い利率が想定され期待−投資家
ソフトバンクが株式上場以来で初の社債公募を検討している。親会社ソフトバンクグループに続き、低金利下で資金調達手段を多様化する。

  事情に詳しい複数の関係者によると、ソフトバンクはすでに社債投資家への訪問を開始している。起債に必要な登録書を関東財務局に今後提出して年度内にも条件決定したい考えだ。年限は5年、7年、10年を含む中長期を中心に検討しており、発行規模とともに今後主幹事証券と詰める。ソフトバンク広報室の高橋里歌氏は起債について「コメントは控える」と述べた。

Key Speakers at SoftBank World Event Day 2
ソフトバンクの宮内謙社長Photographer: Akio Kon/Bloomberg
  ソフトバンクは当初は年内の起債も検討したがソフトバンクグループが投資先ウィーワークを巡る不透明感で信用力が影響を受けたことで関係者によると年内の起債は難しくなってきた。社債市場では年度末にかけて劣後債を含めて大型起債が相次ぐ予定で、金利水準や需給環境など見極める。昨年12月に上場したソフトバンク株はこの日、公開価格1500円を下回って推移している。

  ある関係者はソフトバンク債について、親会社で投資会社のソフトバンクグループと社名が似ており発行水準も影響を受けると話した。ある投資家も優良企業だが親会社の影響である程度高い利率を求められることが想定されるため期待していると語った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-13/Q0U4P8DWRGG101?srnd=cojp-v2

米議会、12月20日までの新つなぎ予算を計画−来週の政府閉鎖回避へ
Erik Wasson
2019年11月13日 14:54 JST
上下両院の歳出委員長が12日に会談、つなぎ予算の期間で合意
下院は現行つなぎ予算失効前に暫定予算案を採決すると民主院内総務
米議会は新たなつなぎ予算によって12月20日までの政府資金を手当てする計画だ。現行のつなぎ予算は今月21日に期限切れとなる。短期の予算が成立すれば、政府機関閉鎖のリスクは回避されるが、トランプ大統領弾劾の訴追決議案採決が年内に実施される公算が大きい中で、政府支出を巡り共和、民主両党が争う事態も起こり得ると、議員や補佐官は指摘する。

  ローウィー下院歳出委員長(民主)とシェルビー上院歳出委員長(共和)は12日の会談で暫定予算の期間について合意。ローウィー氏は会談後、新たなつなぎ予算の失効日は「12月20日になりそうだ」と語った。その後、下院スタッフ2人がこの日付を確認した。

  民主党のホイヤー下院院内総務によると、下院は来週、現行のつなぎ予算が失効する前に暫定予算案を採決する方針。

  ローウィー、シェルビー両氏はこの数週間、新たなつなぎ予算の失効日を来年1月以降にする案についても議論していたが、両党指導部が2020会計年度(19年10月−20年9月)の本予算案合意に向け圧力をかけ続けるため、より短期の暫定予算を望んだ。

  本予算で両党が折り合うためには、トランプ大統領が国境の壁の建設費として90億ドル(約9800億円)を求めている問題を解決する必要がある。

  シェルビー氏は、議員らが今後数週間で合意の取りまとめに努め、計画をトランプ大統領に示すだろうと語った。
  
  ローウィー氏はシェルビー氏と非常に建設的な議論ができたことが重要だと述べた上で、弾劾調査は「無関係」であり、歳出に関する議論への影響は全くないだろうと指摘した。

原題:Congress Plans to Punt Government Shutdown Deadline to Dec. 20(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-13/Q0W5ZW6K50XS01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/630.html

[経世済民133] ドイツの対中輸出に陰り、「蜜月」見直す声も ユーロ圏鉱工業生産、9月は予想に反して小幅増加 英CPI上昇率、10月は前年比1.5% 3年ぶり低水準 米中摩擦に揺れた今年の通貨番付、円は来年前半に弱含みか  

 
トップニュース2019年11月13日 / 11:25 / 9時間前更新
焦点:ドイツの対中輸出に陰り、「蜜月」見直す声も
Michael Nienaber
3 分で読む

[ベルリン 11日 ロイター] - 過去30年間、欧州最大の経済大国であるドイツにとって、自国製の自動車、機械、エンジニアリングツールに対する中国の旺盛な需要は、成長の安定した原動力として、歴代のドイツ政権もその恩恵をありがたく享受してきた。

だがその勢いにも陰りが出始めている。中国経済は減速し、ドナルド・トランプ米大統領の「米国第一」政策がグローバル貿易に打撃を与え、かつてはドイツ巨大企業の顧客だった中国の工場がライバルになりつつある。

<米中対立がブレーキに>

いまドイツ経済は厳しい局面を迎えており、対中貿易の減速は厄介な問題だ。ドイツは今年第2四半期に0.1%のマイナス成長となり、一部のアナリストは、11月14日に発表される予定の第3四半期の国内総生産(GDP)データも同様の減少を示すと予想している。そうなれば、2013年以来初めてのリセッションに陥ることになる。

3.4兆ユーロ(3.8兆ドル)規模を持つドイツ経済のうち、対中国貿易が占める比率は決して大きくないが、ドイツ政府としては、年々成長を期待できる数少ないGDP構成要素の1つだった。

「メイド・イン・ジャーマニー」製品に対する中国からの需要は頭打ちになっており、一部には減少を示す指標もある。経済が停滞するなかで、かつて高収益を得られた輸出市場は従来ほど頼りにならないことが判明している。

ハンブルク港でシニアマネジャーを務めるアレックス・マッターン氏は、「中国は我が国にとって最も重要な貿易相手国だが、将来のトレンドは予測しがたい」と話す。この港でも、中国経済の減速と、米中間の対立が貿易にブレーキを掛けている兆候が現れている。

ドイツ・中国間の通商関係の落日と称するには時期尚早だが、猛烈な成長が一段落したことで、近年進めてきた中国との経済的連携のいっそうの強化がドイツにとってプラスだったのかいう議論が再燃している。

産業界の一部には、貿易を通じて中国が開放的な経済と公平な市場アクセスを備えた西側スタイルの国家に変わっていくという期待から、中国における人権侵害に目をつぶってきた政治家は、騙されていたという見方もある。

「希望的観測だったことが明らかになった」と語るのは、ドイツ産業連盟(BDI)のステファン・マイア氏。同氏は、ドイツはもっと現実主義的な対中国政策をとるべきだという主張で知られている。

<成長予測は下方修正>

1989年にベルリンの壁が崩壊した頃、ドイツ・中国間の貿易量はごくわずかだった。中国政府がグローバリゼーションを支持したことで、ドイツからの輸出に占める中国向けのシェアは、1990年の0.6%から、昨年には7.1%に増大した。2016年には、中国は米国を抜いてドイツにとって最大の貿易相手国となり、現在でもそれが続いている。

この時期、ドイツが「欧州の病人」という1990年代のイメージを払拭し、他国よりもはるかに迅速にグローバル金融危機から回復するうえで、中国との関係は支えになった。

BMWやフォルクスワーゲンといった自動車メーカー、シーメンスなどの巨大工業企業から、経済の屋台骨としてドイツの「ミッテルシュタンド」(Mittelsland、中産階級の意味)と呼ばれる中小企業に至るまで、あらゆる方面に対中国貿易の恩恵は及んだ。

2000年代初頭のゲアハルト・シュレーダー前首相による対中国アプローチを引き継いだアンゲラ・メルケル現首相は、ビジネスに向けた中国指導部の歓心を買うため、中国による人権問題や知的財産権侵害に関する懸念を棚上げにした。この9月には、この14年間で13回目となる訪中を行っている。

2008─09年の金融危機以降、ドイツから中国に向けた輸出は毎年伸び続け(ただし2015年だけは、1997年以来の減少を記録している)、2018年には過去最高の930億ユーロに達した。だが、米トランプ政権と中国との貿易紛争が勃発する前から、こうした成長にはブレーキが掛かっていた。ドイツの公式統計によれば、輸出の伸びは2017年の13.3%増から2018年には8%増に、そして2019年1─9月には2.7%増まで落ちている。

ここ数ヶ月に焦点を絞れば、さらにトレンドは鮮明に見える。

中国税関のデータによれば、8月のドイツからの輸入は前年同月比で3.6%減、9月は同9.2%減となっている。中国のデータからは、年初来9月までの累計で、ドイツからの輸入が2%減少したことが分かる。

国際通貨基金(IMF)は先月、ドイツ経済の成長率予測を、2019年は0.5%、2020年は1.2%にそれぞれ下方修正した。IMFの「世界経済展望」では、中国からの需要鈍化が、貿易紛争の余波と合わせて、鉱工業生産の全般的な減速の要因になっていると述べている。

またドイツ商工会議所連盟(DIHK)は、来年、ドイツの輸出全般が金融危機以来初の減少に転じると予測する理由として、米中貿易紛争と中国経済の全般的な減速を挙げている。

<外資規制は中国が標的か>

影響はすでに表面化しつつある。バイエルン州にある同族経営の自動車部品メーカー、ブローズ・グループは先月、従業員2万6000人強のうち、2000人の削減を決めた。中国からの需要減速という要因が決断の背景にあると同社は述べている。

現在の難局については広い視野のもとで捉えるべきだという主張もある。中国との輸出入の玄関口となっているハンブルクでは、前出の港湾幹部マッターン氏が、2019年上半期には中国関係の取引が3%増加したと指摘する。

「最大の問題は保護主義的なトレンドであり、それを最もよく象徴しているのが米国政府の動きだ。そうした視点から世界を見れば、中国が最大の貿易相手国となっていることは、ハンブルク港としてはかなり好都合だ」

だが、数十年かけてドイツ製品の輸出先として中国を開拓してきたことは、国内産業には有害だったと考える人もいる。彼らは今、もっと強硬な対中国政策を望んでいる。

ドイツ当局者は、2016年にバイエルン州のロボット工学企業クカが中国企業に買収された一件は、ドイツ経済の戦略的に重要な部分を外国企業による買収から守る必要があるという警鐘になったという。

ドイツ政府は昨年、外国からの投資に対する規制を強化し、欧州以外の主体によるドイツ企業の株式購入については政府が調査した上で、必要に応じて阻止することができるようになった。中国国家の後ろ盾による投資家を対象としたものと広く受け止められている。

ドイツの対中国政策についてコメントを求められたオーラフ・ショルツ財務大臣は、中国政府が自国の金融セクターを開放し始めているという証拠はあるが、公平な競争条件を実現するには「まだ途上にある」と認めている。

ドイツの政策転換には、中国も無頓着ではいられない。

2012年から今年3月まで中国の駐ドイツ大使を務めていた史明徳氏は、9月、中国の国内メディアに対し、ドイツの最近の政策転換は中国を標的にしたものだ、と述べた。

「ドイツは表面的には貿易保護主義に反対しているように見えるが、その一方で、ドイツ自身は、別種の貿易保護主義に身を投じつつある」と同氏は語った。

(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/germany-economy-china-idJPKBN1XN05I


 


ビジネス2019年11月13日 / 20:15 / 2時間前更新
ユーロ圏鉱工業生産、9月は予想に反して小幅増加
Reuters Staff
1 分で読む

[ブリュッセル 13日 ロイター] - 欧州連合(EU)統計局が発表した9月のユーロ圏鉱工業生産指数は、前月比0.1%上昇した。市場の予想(0.3%低下)に反して8月(0.4%上昇)に続き2カ月連続の上昇となった。7月の0.5%の低下を相殺した格好だ。ドイツやイタリアの落ち込みをフランスやオランダの増加が補った。

前年比では1.7%低下。市場予想は2.3%低下だった。

9月の鉱工業生産は、前期比0.2%増となった第3・四半期のユーロ圏域内総生産(GDP)速報値の内容ともおおむね一致する。[nL3N27G3MC]GDPの確報値は14日に発表される。

食品などの非耐久消費財の生産は9月に1.0%増加した。一方、自動車や家電などの耐久財は0.7%減少した。

世界的な貿易摩擦の影響で、輸出依存度が高いドイツの製造業セクターの生産は1.0%減少。9月までの6カ月のうち、4カ月で減少している。
https://jp.reuters.com/article/euro-output-idJPKBN1XN1BK

 

ビジネス2019年11月13日 / 19:30 / 3時間前更新
英CPI上昇率、10月は前年比1.5% 3年ぶり低水準
Reuters Staff
1 分で読む

[ロンドン 13日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が発表した10月の消費者物価指数(CPI)は前年同期比1.5%上昇と、2016年11月以来約3年ぶりの低い伸びとなった。

規制当局が電力・ガス料金の上限を引き下げたことを受けて、1500万世帯の電力・ガス料金が下がった。来月の総選挙を控えて、家計の購買力がやや高まった。

ロイターがまとめたエコノミスト予想は1.6%上昇、9月は1.7%上昇だった。

ONS報道官は「エネルギー価格の上限引き下げを受けて、公共料金が下がり、インフレ率が鈍化した。ただ衣料品価格は値上がりした」と指摘した。

ガス料金は前月比8.7%低下、電力料金は同2.2%低下。自動車用燃料価格も低下した。

コアインフレ率(エネルギー、燃料、アルコール、たばこを除く)は1.7%で、ロイターがまとめたエコノミスト予想と一致した。

10月の生産者物価指数(PPI)は、投入指数が前年比5.1%低下と、2016年4月以降で最大の低下を記録。ロイターがまとめたエコノミスト予想は4.9%低下だった。

産出指数は前年比0.8%上昇で、2016年8月以降で最低の上昇率だった。

9月の住宅価格は前年比1.3%上昇。8月も1.3%上昇だった。6月は1.0%上昇と、約7年ぶりの低い上昇率となっていた。

ロンドンの住宅価格は0.4%低下で、15カ月連続の低下。8月は1.0%低下だった。
https://jp.reuters.com/article/uk-cpi-idJPKBN1XN175


 
為替フォーラム2019年11月13日 / 17:20 / 5時間前更新

米中摩擦に揺れた今年の通貨番付、円は来年前半に弱含みか

尾河眞樹 ソニーフィナンシャルホールディングス 執行役員兼金融市場調査部長
5 分で読む

[東京 13日] - 今年の外国為替市場は通商問題を巡る米国と中国の激しいせめぎ合いに一喜一憂する展開となった。両国の通商交渉は大詰めを迎えているが、年末までにまだ市場に波乱があるかもしれない。年初からの通貨の強弱感を確認し、来年の注目通貨について考えてみたい。

<上昇率トップはカナダドル>

まず、年初来のG10通貨の対円での騰落率をみると、最も上昇したのはカナダ(加)ドルだった。とはいえ、上昇幅はわずか2.4%。加ドル以外のG10各国の通貨は総じて、少なくとも現時点では、対円で下落している。

従って、円は2位で、今年は円相場が相対的に強かったことを示している。3位は英ポンドで、0.2%の下落とほぼ横ばい、4位は米ドルで0.6%の下落と、こちらもほぼ横ばいだった。

さらに、5位のスイスフラン(下落幅は2.2%)、6位の豪ドル(同3.4%)、7位のユーロ(同4.5%)、8位のデンマーククローネ(同4.5%)と続く。対円で一段と下落した下位グループは、9位がノルウェークロ―ネ(同6.11%)、10位がニュージーランド(NZ)ドル(同6.16%)、11位がスウェーデンクローナ(同9.2%)だった(すべて11月11日時点)。

<来年のポンドは「弱い通貨」に>

今年の為替相場には、いくつかの特徴がみられる。ただ、ポンドについては、やや「例外」としておきたい。欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)をめぐる混乱がポンド相場に大きく影響したことで、他の欧州通貨とは値動きが異なっているためだ。

G10通貨の中で今年最もボラティリティが激しかったペアはポンド円だった。3月頃の高値から、「合意なきEU離脱」への懸念が高まるなか、1時は15%ほど下落した。しかし、この際に積みあがったポンドの巨大なショート(売り持ち)ポジションが、EU離脱延期と共に一気に巻き戻され、終わってみれば「往って来い」で年初の水準まで持ち直した。

2020年のポンド相場は、引き続きEU離脱に翻弄されるだろう。早速、1月末にEU離脱の期限が訪れるため、それを見守るしかない。

ただ、筆者は「EUと英議会で離脱協定が合意できればポンドは上昇する」との見方には懐疑的だ。2016年の国民投票から3年以上の歳月が過ぎても、まだ先行き不透明な状況は変わっておらず、離脱を巡る国民の意見も割れたままだ。企業にとってこうしたビジネス環境は決して良いとは言えないし、すでに本社をロンドンからフランクフルトやパリに移転する企業も出ている。

英国の4─6月期国内総生産(GDP)成長率が前期比マイナス0.2%と、8年半ぶりのマイナス成長となったことにもEU離脱を巡る政治的混乱の影響が表れている。7─9月期はプラスに転じたとはいえ、前期比0.3%という低迷した水準だ。

英国民の分裂や政治の混乱が続けば英国経済にとってさらなる足かせとなろう。目先、ポンドがもう一段上昇したとしても、来年通年でみれば再び下落し、弱い通貨のグループに入るのではないかとみている。

ポンド以外の通貨について、今年の特徴を整理してみると、第1に、円は相対的に強く、第2に米ドル、加ドルなど、北米通貨も強いことが挙げられよう。

第3に、ユーロをはじめとする欧州通貨は全般的に弱く、第4には、グローバルに「リスクオン」相場であるにも関わらず、「リスクオン・オフ」の影響を受けやすいはずの豪ドルやNZドルといったオセアニア通貨も弱さが目立つ。

<米ドルは来年前半に強含みも>

このようにグループ分けしてみると、結局のところ今年は、米中貿易摩擦が大きく為替相場に影響してきたことがわかる。米国はその震源地であるにも関わらず、景気への影響はさほど深刻なものとはならなかった。

もちろん、製造業をはじめとする企業の景況感が悪化し、市場では一時米景気後退懸念が高まる局面がみられたものの、年間を通してみれば、雇用環境は総じて良好で個人消費も強く、株価は史上最高値水準にある。今後、米連邦準備理事会(FRB)による「予防的」な利下げも奏功し、景気が持ち直すに従ってドルは来年前半にかけて強含むとみている。

お隣のカナダも、良好な米経済と堅調な原油価格に支えられて、経済は相対的に堅調だった。それでも米国が3回も利下げしたため、加中銀の利下げ観測が高まる局面もあったが、結果的には政策金利は据え置かれ、10月の声明でも「保険としての予防的な利下げについては議論している」と示唆されるに留まった。

なお、加中銀の政策金利は現在1.75%だが、実はG10通貨のなかで最も高い。FRBの利上げサイクルは2015年12月に開始したが、加中銀は2017年10月にようやく利上げを開始した。このため、「相対的に金利の低い地味な通貨」というイメージが強かったが、現在はリスク選好度の高い時にはG10の中で最も買われやすい通貨となっているのだ。

2020年は米大統領選をにらみ、トランプ大統領が支持率アップを狙った政策を強化する可能性があり、それによるリスクオンが少なくとも年の前半までは続きそうだ。それを踏まえれば、加ドルは特に対円では、来年も強い通貨グループに入る注目通貨になると予想する。

<ドイツ不安定化の影>

米中貿易戦争による悪影響を、いわば「とばっちり」のような形で受けたのが欧州やオセアニア通貨だ。ユーロ円は年間を通して軟調に推移し、一時は年初来8%安まで値を下げる場面もみられた。ドイツは対中、対米の輸出が落ち込むなど、通商摩擦の影響をダイレクトに受けた。

ユーロ圏の景気悪化により、ECBは追加緩和、いわゆる「マイナス金利の深掘り」と量的緩和の再開を決定。ただ、更なる緩和策にも限りがあるうえ、マイナス金利の深掘りや量的緩和には、ECB理事から反対の声も多い。

こうしたなか、このところ議論が高まっているのは財政政策による景気刺激策だ。ただ、財政政策で重要な役割を果たすはずのドイツは、肝心のメルケル首相が依然として財政政策には慎重なうえ、同首相の政治的な求心力も弱まっている。

9月と10月にドイツの東部ザクセン州とブランデンブルク州、テューリンゲン州で行われた州議会選挙は、いずれも極右の「ドイツのための選択肢(AfD)」が躍進。メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)の後退が浮き彫りとなった。

CDUにとって財政均衡は最重要政策の一つであり、支持基盤を維持したいとなれば、財政出動は容易ではなさそうだ。米中摩擦が落ち着けば、2020年のユーロ円は上昇する可能性はあるものの、ドイツの不安定化などの政治環境や米欧の貿易摩擦も踏まえれば、上昇幅は限られよう。

今年、豪準備銀行は3回、NZ準備銀行は2回(2回目は50ベーシスポイント)の利下げを決定し、それぞれ政策金利は0.75%、1.00%となった。これらはかつて「高金利通貨」と呼ばれ、リーマンショック前の政策金利がそれぞれ7.25%、8.25%だったことを考えると、隔世の感がある。

<クロス円に一時的な下落リスク>

既に米ドルよりも政策金利が大きく下回っている環境にあっては、オセアニア通貨の相対的な流動性の低さを踏まえれば、あえてボラティリティのリスクを取って積極的に買う理由には欠ける。

ただ、中央銀行の声明などを読む限り、特に豪州の利下げ局面は一巡した様子であること、また、米中摩擦も一段落しそうであるうえ、来年もしばらくは米株高などリスクオンの地合いが続く公算が大きいことを踏まえれば、豪ドル、NZドルは、来年大幅高は期待しがたいものの、少なくとも一段の下落は免れそうだ。

これらを踏まえると、G10通貨の中で来年前半の注目通貨は加ドル、米ドルなどの北米通貨、次に横ばい圏は豪ドル、NZドルと続き、欧州通貨は一時的な上昇はあってもトレンドとしては弱い環境が続くとみている。

問題は円の順位だが、年前半のリスクオン相場では相対的に弱くなりがちだろう。ただ、注意しなければならないのは、米中貿易摩擦が激化した今年の8月、これらのG10通貨は対円ですべて下落したということだ。何らかのきっかけで市場がリスクオフに傾けば、これらクロス円相場が一時的に下落するリスクは見ておくべきだろう。

*本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

尾河眞樹氏
*尾河眞樹氏は、ソニーフィナンシャルホールディングスの執行役員兼金融市場調査部長。米系金融機関の為替ディーラーを経て、ソニーの財務部にて為替ヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析、および個人投資家向け情報提供を担当。著書に「本当にわかる為替相場」「為替がわかればビジネスが変わる」「富裕層に学ぶ外貨投資術」などがある。

(編集:北松克朗)
https://jp.reuters.com/article/column-maki-ogawa-idJPKBN1XN0W2


 



http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/632.html

[国際27] 香港デモ、一般市民の幸福を求める「義」がない 香港混乱は前例ない段階に、不安高まるー本土国営メディアは介入示唆 香港最下位、東京2位 シンガポール首位−アジア不動産投資番付

香港デモ、一般市民の幸福を求める「義」がない

瀬口 清之
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
2019年11月14日
0 22%

印刷
クリップ
全6666文字
香港の抗議活動が暴力化の度を強めている。この背景と課題を中国の事情に詳しい瀬口清之氏はこう見る。「香港政府への怒りや、共産党政権への不安は理解できる。しかし、それが、よりよい社会を作るための政策に結びついていない」。それはなぜなのか。

(聞き手 森 永輔)


抗議活動も、対応する警察も、暴力の度合いを高める(写真:AP/アフロ)
瀬口さんは最近、香港を訪問されました。どのような状況でしたか。

瀬口:香港の抗議活動は10月以降、急速に状況が悪化しています。

 6月に100万とも、200万とも言われる数の人がデモに参加していた時は、統制が取れており、平和的なものでした。しかし、リーダー格の人が拘束されるにつれてその統制が利うかなくなり、歯止めのないものになっています。

リーダーは穏健派の人々だったのですか。

瀬口:抗議活動に参加する人の主張は、穏健派から勇武派(いわゆる武闘派)まではかなりの幅があり、それぞれのグループにリーダーがいました。そうしたリーダーを含む2400〜2500人がすでに拘束されています。このため、例えば「今日のデモはこの辺でやめにしよう」と言っても、勝手に行動する集団が出てきてしまい、節度をもってやめられない状態に陥っているのです。

抗議活動の過激化を促した3つの出来事

瀬口 清之(せぐち・きよゆき
キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹
1982年東京大学経済学部を卒業した後、日本銀行に入行。政策委員会室企画役、米国ランド研究所への派遣を経て、2006年北京事務所長に。2008年に国際局企画役に就任。2009年から現職。(写真:丸毛透)
 今日に至る過程で、過激の度を高めるいくつかのポイントがありました。1つは7月に白いTシャツを着た反社会的勢力の人々が抗議運動の参加者を襲った時です。その時に警察が抗議活動参加者や一般市民を十分に保護しなかったことから反警察の機運が高まり、抗議活動の暴力化が進むきっかけになりました。

 2つ目は、香港政府が10月4日、抗議活動におけるマスクなど覆面の着用を禁止する覆面禁止法を制定したことです。これも抗議活動する人々の怒りの火に油を注ぐことになりました。

 さらにその後も、抗議活動の過激化を煽りかねない事件が起きています。その1つは、11月24日に予定される香港区議会(地方議会)議員選挙で、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏の立候補が認められなかったことです。10月末に決定が下されました。同氏は2014年に広がった雨傘革命のリーダーの一人。香港「自決(香港のことは香港人が決める)」を主張していることが理由ですが、立候補を認められた人の中には自決を求める人も含まれているので、「選挙管理委員会の判断には政治的意図がある」という見方が広がりました。

 もう1つは、デモに参加した学生が11月5日、駐車場の3階から転落し、その後死亡した事件です。これらの事件がどのような影響をもたらすのか予断を許さない状況が続いています。

次ページ香港市民まで襲われる事態に
香港市民まで襲われる事態に
 抗議活動は一般の香港市民にも害を及ぼすようになりました。襲撃や略奪が頻繁に起こっているのです。中国系銀行の香港支店は抗議活動のターゲットにされており、夜間にシャッターをこじ開けられ店内に火炎瓶を投げ入れられました。中国出身の人が営む雑貨店、携帯電話の販売店、旅行業者も襲われました。狙われるのは中国系企業だけではありません。抗議活動に参加する人々を「暴徒」と呼んだある香港人の親が経営する菓子店も略奪の対象になりました。

 こうした光景を目の当たりにした香港市民は、抗議活動の暴力行為に反対であるという意見を主張したくても、主張すれば次は自分たちがそ隊のターゲットにされるのが怖くて何も言えないようになっていると聞きました。

 11月11日には、抗議活動に参加する若者に対し、警察官が発砲しました。日本や米国だったら、必要に応じて警察部隊を増強することができるので、警察がここまで追い込まれる事態は起こさせないでしょう。警棒と盾などで対応できるレベルに抑えていると思います。

 しかし今の香港は、違法行為や暴力行為を警察が抑えられなくなっており、法執行に基づく統治の限界に達した状況と言えます。同じ状況が東京で起きたら、全国の警察が警視庁の応援に駆け付け、サポートするでしょう。しかし、香港の警察力は狭い香港の地域内に限られているため、他地域から応援を呼ぶことができません。中国の武装警察が深?に待機していますが、中国がこれを動かすことはありません。そんなことをすれば、2020年1月に控える台湾の総統選挙で民進党を有利にするだけです。来春に予定される習近平(シー・ジンピン)国家主席の訪日にも影響しかねません。

 危険度が増すにつれて中国本土から香港を訪れる人の数が減っています。10月1日から始まった国慶節の大型連休に香港を訪れた中国人の数は例年に比べて半減しました。このあおりで、土産物店、化粧品店、宝飾店などが続々と閉店するなど、香港経済は大打撃を受けています。

政策につながらない感情的怒り
抗議活動の狙いは現在どこにあるのですか。始まった当初は逃亡犯条例への反対でした。その後、経済格差への反発、香港政府・香港警察への反発、中国政府への反発(自決)などが指摘されるようになりました。

瀬口:そうですね。その3つが組み合わさっているのが実態だと思います。しかし、それに実が伴っていない。

 それゆえ一般市民からの支持が得られていません。これが現在の抗議活動が抱える課題だと思います。

 抗議活動は5つの要求をするようになりました。そのグループや時期により内容が若干変化してきましたが、およそ次のようなものです。

(1)逃亡犯条例改正案の撤回
(2)デモを「暴動」と認定したことの取り消し
(3)警察の暴力に関する独立調査委員会の設置
(4)拘束したデモ参加者の釈放
(5)後述
 逃亡犯条例は紆余曲折(うよきょくせつ)の末、香港政府が10月23日に正式に撤回しました。なので、解決したと言えます。

経済格差について。香港の経済格差は激しく、約40人の富裕層に総生産の4分の3が集中しているという数字を聞いたことがあります。

瀬口:そうですね。これに反発するのはもっともなことだと思います。不動産価格や物価が上昇し、香港はいまや中国本土から来る人と外国人しか住めない街になりつつあります。

 しかし、抗議活動に参加する人々は、どのような方法でこの格差を解消すべきだと考えているのでしょう。違法行為や暴力行為では解決できません。本来なら、不動産税や相続税、贈与税などを富裕層に課す、所得税の累進度を高める、社会保障制度を充実させる、といったことを求めるべきではないでしょうか。しかし、こうした要求は見られません。香港市民社会の安定を目指して経済格差を本気で解消するための抗議活動とは思えません。

次ページ「自決」の経験を持たない香港の歴史的悲劇
 また香港による自決が重要ならば、行政長官選挙における普通選挙を求めるべきです。5つの要求が変遷を繰り返す中で、後から普通選挙が加わりました。当初は「林鄭月娥行政長官の辞任」にとどまっていました。

 加えて、何のために普選を導入し自決するのか、その先の目標が明確ではありません。何のために自決、参政権が必要なのでしょう。

 香港政府・香港警察や中国政府への感情的な反発だけが先鋭化しているように見えます。

 これでは香港に暮らす一般市民からの支持は得られません。時の政治を変えようと思ったら、民衆の支持が欠かせません。例えば、江戸時代末期に起きた大塩平八郎の乱。元大坂町奉行所の与力だった大塩平八郎は苦しむ庶民を救うべく、彼らの強力な支持を得て、幕府に反発して命がけで武装蜂起しました。

 中国の紅巾の乱も同様でした。元の政府は内紛に明け暮れる一方、放漫財政を交鈔(編集部注:紙幣)の乱発で賄いインフレを招きました。さらに飢饉(ききん)への対応も十分でなかった。生活に苦しむ人々の支持を得て朱元璋らが立ち上がり、のちに元を倒し、明を打ち立てたのです。

 現在の香港の抗議活動には、みんなのために命がけで義を貫き通すリーダーが見当たらず、一般市民からの強い支持もないのです。

「自決」の経験を持たない香港の歴史的悲劇
なぜ、抗議活動から具体的な政策実現につながる動きが出てこないのでしょう。

瀬口:それは香港がこれまで歩んできた歴史の影響が大きいと思います。自決した経験がないのです。

 香港は、清がアヘン戦争に負けたため英国に割譲され植民地となりました。英国統治下の香港に民主主義(自決)はありませんでした。香港総督 は英政府が任命するもので、香港市民が選挙で選ぶことができなかったうえ、英国議会に議員を送り出すこともできませんでした。加えて、裁判も英国法に基づいて裁かれました。

 香港はまた、こうした参政権のない非民主的な統治体制に反発することもできませんでした。隣に巨大な中国が控えているからです。英国の“保護”がなければ、中国に飲み込まれてしまう。中でも、中国から香港に逃げてきた人々が抱く恐れは大きかったと思います。

中国から逃げてきた人々というのはどういう人たちですか。

瀬口: 中華人民共和国建国時に共産党支配から脱出した人たちや文化大革命で共産党政権に弾圧された人々です。襲撃を受け、命からがら逃げてきた。香港が中国に統治されることになり、中国の国内法が適用されることになれば、どのような目に遭うか分からない、と考えていました。

 1997年に中国に返還された後は、一国二制度を旨とする香港基本法の下で統治されることになりました。この体制も真の民主主義とは言えません。先ほど触れたジョシュア・ウォン氏のように当局が好ましくないと判断した人物は香港区議会議員選挙に立候補できません。行政長官選挙も、親中派が多数を占める選挙委員会で150人以上の推薦を得られなければ立候補できません。

 自決した経験を持たない人は、自決の仕方を知りません。「愛する香港のために、自分の命をなげうってでも自決を勝ち取ろう」という発想にならないのです。少なくともエリート層はそう見えます。抗議活動が激化するのを見ると、支持するのではなく、自分の財産をいかに守るかを考える。そして自分の移民先をどこにするかを考えるのです。

 抗議活動に参加している当の学生たちでさえ同様です。富裕層の子弟が多いので、いつでも香港の外に脱出できる環境で抗議活動を行っている人が多いと聞きます。「庶民のために」という意識でやっている学生は決して多くありません。

 これが香港問題の本質です。その証左として、抗議活動への参加者は数万人のレベルに減少してしまいました。

次ページ習近平政権は安定度を高める
習近平政権は安定度を高める
瀬口:話を中国に移します。いま中国では、奇妙なことに国内での結束が強まっているのです。

 日本の報道を見ていると、習近平国家主席が香港の抗議活動に手を焼いていて政治的に苦しい立場に追い込まれている、といった内容が目に付きます。しかし、実態は異なります。習近平国家主席の政治基盤は昨年より安定していると言われています。理由は2つ。1つは米中摩擦において、米国に対して毅然とした態度を取っていること。もう1つは、香港に対して中国本土の市民が幻滅していることです。

 これまで中国本土の市民は、中国が次に目指すべき民主的な政治モデルの一つとして香港を見てきました。しかし、こうした見方は間違いだったととらえるようになっています。事実としては、香港では民主主義による統治がなされてこなかったことは先ほど触れましたが、中国国内では香港は民主政治のモデルとしてとらえられていました。もちろん今の中国に比べて、言論の自由や資本移動の自由では勝っていますが。

 加えて、今回、“無法地帯”と化していることが連日報道されるのを見て、「香港の民主政治も決して立派なものではない」「一般市民すら危険に巻き込まれる」「今の共産党政権の下の方が安心して暮らせる」などと考えるようになったのです。

それは、香港をおとしめるプロパガンダに共産党政権が成功したからですか。暴力シーンを繰り返し報道しています。

瀬口:そうばかりとは言えません。暴力シーンを繰り返し報道しているのは全世界に共通する動向です。

 香港に住む人々と中国本土に住む人々はもともと、お互いに好ましからざる存在と認識してきました。香港人は香港を訪れる本土人を「成金」「田舎者」とさげすんできました。そうした冷たい視線を浴びる本土人も、当然、香港人に対してよい印象は持ちません。こうした感情的土壌の上に、抗議活動に関する報道の影響が積み上がったと言えます。

共産党政権は「香港の分離(独立)主義者が暴動を起こしている」と繰り返し喧伝(けんでん)していると聞きます。また、カラー革命の香港版、つまり「欧米諸国が裏で糸を引いて香港市民をたき付けている」との見方もあります。

瀬口:抗議活動が一部に分離独立を目指す意図を含んでいる、という見方はあながち事実に反してはいません。

 抗議活動に米国政府が関与しているかどうかは分かりません。ただ、米国の中国専門家は次のように話していました。「デモが平和的に行われている間は、米国政府も状況把握に動いていた。一部の米国人は心情的に応援してもいた。しかし、暴力化したのを機に応援する動きは後退した。テロを支援していると見なされる恐れがあるからだ。10月以降は様子見状態に入った」

次ページ一般市民の支持がないことを習政権は見切っている
一般市民の支持がないことを習政権は見切っている
今の香港の抗議活動は日本の60年安保闘争に似ているのでしょうか。次のような考察を読んだことがあります。デモの原動力になったのは当時の岸政権に対する反発だった。参加した学生たちの大半は新安保条約の条文すら知らずに反対していた。「友達に誘われたから」という人も数多くいた。

 香港の抗議活動も共産党政権と林鄭月娥長官が率いる行政府、警察に対する感情的な反感が主たる動機で、経済格差や自決を真に実現しようとしているわけではない、と。

瀬口:そのように見ている人もいます。

 少なくとも、香港社会を安定させるためにあるべき政策を深く考察したり、一般市民の幸福を実現するために義を貫く動機に基づいたりしたものとは思えません。だから、抗議活動に反対すれば香港人であっても襲われる。

 しかし、だからといって抗議活動に参加する人々を一方的に責めることはできません。彼らは真の民主主義の下で自決をした経験を持たないのです。彼らにとって香港は“自分たちの祖国”ではない。

 経済格差に対する怒りや、共産党政権に支配されることへの不安は厳然として存在しています。

 香港の人口は約730万人で日本の17分の1ほどでしかありません。そこに約5100万人、香港の人口の約7倍の中国人が訪れているのです。香港中が大阪の道頓堀や東京の秋葉原になったような状況です。1997年に中国に返還された後、2008年の北京オリンピックまでは、返還をポジティブに受け止める雰囲気が香港人の間にありました。しかし、中国本土の経済が急成長し、香港への投資がどんどん拡大する中で不安が強まった。

香港の地盤沈下も指摘されますね。昨年、域内GDPで、香港は深?に抜かれました。

瀬口:おっしゃるとおりです。

 こうした怒りと不安は非常に激しいものがある。けれども、歴史の制約から、これを政策に結びつけることができていないのです。自ら政策を立て、それを実行する経験を持てずにきた。それゆえ、感情のはけ口として暴力に向かうしかない。それが香港の抗議活動の今の姿だと思います。

 なので習近平政権は当分、香港の抗議活動を静観すると思います。一般市民からの支持が得られていないのを見切っているでしょう。林鄭月娥行政長官の体制の下で時間をかけ、抗議活動が内側から沈静化するのを待つ。

やはり民主化というのは、権力に弾圧され虐げられた状態でないと実現しないのでしょうか。フランス革命のように。だとすると、中国本土の民主化も難しいことになりますね。先ほどお話しいただいたように、習近平政権の下で市民はそれなりに満足している。

 加えて、西側諸国が取ってきた「エンゲージメント政策」は誤りだったことになりますね。中国が経済的に豊かになれば、民主主義をはじめとする西側の価値観を受け入れるようになる−−という発想がその根底にありました。

瀬口:そうかもしれません。ただし、中国本土は「自決」を経験しています。この点は香港と異なります。また、1990年以降に生まれた若い世代は西側の価値観をかなりの程度まで共有しています。日米欧諸国ではその点を十分に理解できていない人が多いと思います。

特派員レポート

香港での抗議活動巡り広がる「情報闘争」


上野泰也のエコノミック・ソナー

泥沼化した「日韓関係」「香港情勢」


酒井吉廣の「2020年米大統領選」?トランプ再選を占う

世界の警察に復帰したトランプ政権の欧州・中東戦略


世界展望~プロの目

1国2制度てこにした台湾統一しぼむ、香港への寛容不要に


世界展望~プロの目

日本に厳しい視線、「弱い立場の韓国になぜそこまで」


世界展望~プロの目

中国のTPP加盟、ハードルは案外低い


レジェンドたちの言葉

20年前、サイバーや災害の危機管理を訴えた佐々淳行氏


キャスター西野志海の「もっとみたい!ニュースの疑問」

大阪G20目前「習近平主席は、なぜ焦っているんですか?」
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00023/111300111/?P=5&mds


 

 
香港混乱は前例ない段階に、不安高まるー本土国営メディアは介入示唆
Iain Marlow、Natalie Lung
2019年11月14日 5:01 JST
当局は全ての学校の休校を指示、ハンセン指数は3週ぶり安値
共産党系の環球時報、人民解放軍や武装警察の介入ほのめかす
People are detained by riot police during a protest in the Central district of Hong Kong, on Nov. 13.
People are detained by riot police during a protest in the Central district of Hong Kong, on Nov. 13. Photographer: Laurel Chor/Bloomberg
香港は6月から混乱が続いているが、今週に入ってからの騒乱は別次元だ。今後の行方を巡り不安が強まっている。

  13日は地下鉄や道路が寸断され、金融街の中環(セントラル)では催涙弾が飛び交い、中心部から離れた大学キャンパスでは警察と学生が激しく衝突した。香港は3日連続でこうした機能不全に陥り、当局は今回の騒乱で初めて幼稚園から大学まで全ての学校を14日に休校とするよう指示を下した。

  これまでの抗議デモは週末にほぼ限定され、それ以外では月曜朝の通勤を混乱させようという動きがたまに見られた程度だった。混乱の激化はすでにリセッション(景気後退)入りした香港経済への懸念を再燃させ、13日のハンセン指数は1.8%安と3週間ぶりの安値で終了した。

  香港の民主化拡大を推進する「進歩的弁護士グループ」のメンバーで政治コメンテーターのケビン・ヤム氏は「現在目の当たりにしているのは暴力の激化とデモ参加者の減少だ」と指摘。「これがどこに向かっているのかは分からない。多くの点で、少し未踏の領域に入っている」と語った。

Minister Warns of ‘Unthinkable’ Consequences As Protests Rage
香港中心部の道路を封鎖するデモ参加者ら撮影:ローレル・チョー/ブルームバーグ
  香港政府は混乱収拾が可能だとあらためて市民を落ち着かせようとし、暴力行為をやめるよう呼び掛けている。一方、中国国営メディアは表現を強めている。新華社通信は論説で、香港は「最も重大な岐路」にあるとし、「黒装束の暴徒」による暴力は今やほぼテロ行為だと非難した。

  共産党機関紙・人民日報系の環球時報は13日、香港統治の基盤としている基本法に基づき、中央政府が「直接介入」に乗り出す可能性があると示唆。「暴徒らの破壊行為の現場は本土の武装警察部隊の出先機関から自動車ですぐの距離で、人民解放軍の香港駐屯地からは歩いても近い」と報じた。

  中国の介入に対する不安はデモが始まって以来あるが、事態がそこに至ったかどうかは不明だ。中国の軍や警察がデモ鎮圧に乗り出せば香港の自治に対する疑念を呼び、米国が認めている貿易上の特権を香港は失うリスクがある。

City of Unrest
Hong Kong has seen widespread protests over the past three days


Source: Bloomberg reporting

原題:
Unprecedented Hong Kong Chaos Raises Fears About What’s Next(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-13/Q0WZS8T0G1LI01?srnd=cojp-v2

 
シンガポール首位で香港が最下位、東京は2位−アジア不動産投資番付
Faris Mokhtar
2019年11月12日 14:38 JST
投資家は中国や香港を「地政学的な火種」とみている
大阪は8位−アーバン・ランドとPwC公表のリポート
アジアでは2つの不動産市場で明暗が分かれた。

  価格上昇の観点から見たアジア太平洋地域の2020年不動産投資見通しランキングで、シンガポールが首位となった。一方、数カ月にわたる暴力的な反政府デモに揺れる香港は、19年の14位から最下位に転落した。アーバン・ランド・インスティチュートとプライスウォーターハウスクーパース(PwC)が12日に公表したリポートで明らかになった。

  シンガポールは中国や香港を「地政学的な火種」として回避する投資家の関心の高まりから恩恵を受けた。シンガポールは17年のランキングでは、空室の急増や賃料の下落を受け、全22市場のうち東京やバンガロール、シドニーなどを下回る21位となっていた。 17年に香港は18位だった。

Most-Favored Nations
Singapore ranks No. 1 for real estate investment prospects while Hong Kong has plunged


2020 ranking
2017 ranking
Singapore121Tokyo212Ho Chi Minh City34Sydney49Melbourne516Shenzhen65Shanghai76Osaka815Guangzhou910Seoul1017


Source: PwC, Urban Land Institute

原題:
Singapore Beats Out Hong Kong for Property Investment Prospects(抜粋)

http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/718.html

[国際27] 米国で対中戦略新提案「“選別”で経済関係縮小を」中国資本が怒涛の高級ブランド買収、その結末は 日本人が香港デモに無関心のままではいけない理由 中国で次々に捕まる日本人、日中関係正常化は幻想 ハイテク技術で急接近、中国とロシア 「2Q14」以降ロシアとウクライナに何が起きたか
米国で対中戦略新提案「“選別”で経済関係縮小を」
米国学界最大のアジア研究機関が「部分的な不関与」を提案
2019.11.13(水)
古森 義久
世界情勢?アメリカ?中国

米国・ワシントンで貿易協議に臨んだ中国の劉鶴副首相(左)とスティーブン・ムニューシン米財務長官(2019年10月11日、写真:AP/アフロ)
ギャラリーページへ
(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 米中対立の影響が全世界に広がるなか、米国学界最大のアジア研究機関が、現在の対中関税戦争を一時休戦して“選別的”に中国との関係を縮小していくという「部分的な不関与」を対中新戦略として提案した。

 提案には、米国が日本との貿易協力関係を拡大し、やがては環太平洋パートナーシップ(TPP)に戻るという選択肢も掲げていた。提案者は超党派だが、学者だけでなく大物の元官僚や政治家も含まれており、トランプ政権に影響を及ぼすことも考えられる。

中国に対して「部分的な不関与」戦略を
 米国のアジア研究学会では最大規模の「全米アジア研究部会(NBR)」は11月上旬、「部分的な不関与=中国との経済競争への米国の新戦略」と題する政策提言報告書を発表した。

 この政策提言は、NBRのなかに組織された「米中戦略の経済的側面の変質についての調査班」の合計13人の専門家により、1年ほどの研究と調査を経てまとめられた。

 NBRが新戦略を打ち出した目的は、米国の新たな対中経済政策の形成にある。作業は、13人の同調査班メンバーのうち共和党の元下院議員のチャールズ・ボウスタニ氏とプリンストン大学教授のアーロン・フリードバーグ氏が共同議長となって進めた。両氏とも議会や政府の要職を務め、対中政策形成に長年関与してきた。

 トランプ政権は中国を米国の基本的国益と価値観を侵す有害な存在とみなして、対決していく姿勢を明らかにしている。今回、NBRが発表した報告書は、トランプ政権のそうした中国との対決姿勢に沿うことを前提としている。

4つの具体的な措置とは
 そのうえで、米中の対立が激しい経済や貿易の分野に焦点を絞り、中国に対しては今後「部分的な不関与」という戦略をとっていくことが適切な進路だと強調していた。ただし当面の戦術として、現在の対中関税戦争は一時的に休戦することが望ましいという。

報告書が提案する4つの具体的な措置
 報告書は、米国が今後とるべき対中政策として、4つの具体的な措置を提案していた。その主な内容は以下のとおりである。

(1)現在の対中関税戦争の一時休戦

 米国は、中国側から基本的な譲歩を引き出すまでは、対中圧力を減らすことになる暫定的な合意は避けるべきである。ただしこの基本線を守りながら、米国の消費者や生産者にかかってきた負担を軽減するために、中国との関税をめぐる対立を一時休止して、追加関税の対象となる中国からの輸入品を改めて選別する。

(2)米国の弱点を減らす防御措置の強化

 米国の高度な技術の中国への流出を防ぐ措置を強化する。強化策として中国側勢力の米国内での活動への監視や取り締まりを増やす。同時に中国側の特定製品、資本、要員の米国内への流入を規制する。この種の流入は、米国の官民の高度技術を入手しようとする中国側の目的に寄与してきた。

(3)技術革新と教育への投資

 米国の中国との対決や中国に対する抑止は長期化し、高度技術面での競合が大きな要素となる。その競合に勝つには、米国側が高度技術の発展や革新のための投資を官民ともに増大させなければならない。その投資を増大させるには、米国連邦政府の長年の財政赤字の減少にまでさかのぼって対処する必要がある。

対中対決があくまでも大前提
(4)同盟諸国との貿易や投資の関係の強化

 米国は、緊密な絆を保つ同盟諸国、友好諸国とともに、選別的な貿易システムの強化を推進すべきである。そのために環太平洋パートナーシップ(TPP)のような多国間協定への加盟も考える。同盟諸国とは経済発展のための技術や情報の共有も進めて、中国を抑えるという共通の目標を目指すべきだ。

トランプ政権の対中政策進化を促すことに
 こうした提案の一部は、トランプ政権の対中姿勢を和らげるような内容にもみえる。だが、中国へのこれまでの圧力を弱めず、中国との経済関与を減らすことがあくまでも大前提になっている。その意味でトランプ政権の政策の強化案とも呼べる。

 同報告書の中でとくに注目されるのは、(4)の「選別的な貿易システムの強化」であろう。対中抑止のために日本と経済・貿易面での連携を強め、その連携を通じて、すでに離脱したTPPに復帰することも考慮すべきだと提言した点は、大いに注目に値する。


 同報告書は、米国が超党派で中国への厳しい対決姿勢を強め対中経済関係を縮小する過程で、米国の消費者、生産者側がこうむる損失についても考慮することの必要性を説いている。つまり、米国の対中対決姿勢に多層な要因をインプットすることを説いているわけだ。その点でトランプ政権の対中政策の進化を促したともいえるだろう。

もっと知りたい!続けてお読みください
中国資本が怒涛の高級ブランド買収、その結末は
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58225?page=3


 

 

中国資本が怒涛の高級ブランド買収、その結末は
誰もハッピーにはなっていなかった?
2019.11.12(火)
姫田 小夏
中国

気が付けば、中国資本になっていたというブランドは少なくない
ギャラリーページへ
(姫田 小夏:ジャーナリスト)

 上海の人気百貨店を訪れて驚いた。名だたる高級ファッションブランドがこぞって中国企業に買収されていたのだ。

 100年の歴史を持つ英国の老舗ブランド「Aquascutum(アクアスキュータム)」。日本でも一世を風靡したイタリア生まれの「Roberta di Camerino(ロベルタ ディ カメリーノ)」。売り場の担当者によれば、いずれも「すでに中国企業に買収されています」と言う。

 中国繊維大手の山東如意科技集団がアクアスキュータムを買収したのは2017年3月のこと。同集団はその後、スイスのラグジュアリーブランド「BALLY(バリー)」も買収した。2010年に日本のレナウンを買収して世間を騒がせた企業、と言えば思い出す読者も多いだろう。

「ランバン」も「フィラ」も
 気がつけば、フランスの「LANVIN(ランバン)」も2018年に買収されていた。買収したのは復星国際有限公司だ。復星集団の基幹企業である復星国際は、ギリシャのジュエリーブランド「Folli Follie(フォリフォリ)」やアメリカのファッションブランド「ST.JOHN(セント・ジョン)」、イタリアの紳士服ブランド「Caruso(カルーゾ)」という3つのブランドにも触手を伸ばし、それぞれで第2位の株主になっている。

 また、韓国資本のスポーツウェアブランド「FILA(フィラ)」の中国子会社は、現在、中国のスポーツ用品大手である安踏集団(以下、アンタ)の傘下にある。

中国資本は「救世主」?
 FILAは元々1911年にイタリアで生まれたブランドだ。2003年にアメリカの投資ファンドに所有権が移り、2007年に韓国のフィラ・コリアが4億ドルで本社を買収した。この年、中国の百麗集団が3億7000万元で中国における運営権を手に入れたのだがひどい赤字に悩まされ、2009年に3億3200万元でアンタに転売した。アンタの経営によって中国でFILAブランドの売上は順調に伸び、2018年にはオリジナルブランド「ANTA」を超えてダントツの稼ぎ頭になった。

 この秋、上海では街の至るところで「FILA」のロゴを目にした。特に若者の間ではウエアのみならずリュックやスニーカーもFILA製品があふれ、「ブレイク真っ只中」であることが伺われた。


上海では「FILA」が大ブレイクしている
ギャラリーページへ
中国資本は「救世主」?
 アパレル業界に詳しい日本人の専門家は、中国資本が欧米の一流ブランドを買収する理由をこう説明する。「中国市場では高級ファッションブランドの爆発的消費が今後も見込まれるというのが最大の理由です」。

 加えて、そこには中国企業の「せっかちな性分」が見受けられるという。食うか食われるかの激甚(げきじん)な競争の中、自分たちで時間とコストをかけてブランドを育てる時間はないというわけだ。

 こうして中国企業は高級ブランドを次々に手に入れたが、買収される側の欧米ブランドにとっても抗えない事情がある。

出資先ブランドが粉飾決算
 歴史と伝統ある老舗ブランドといえども、欧米市場でひいきの顧客は高齢化の一途をたどり、消費は先細りしていく。一方、若者が飛びつくのはファストファッションや新興ブランドだ。

 中国資本による買収や資本参加は、中国市場での展開において外資企業が被るさまざまな障害やハンデが取り払われることを意味する。事業の継続を諦めかけていた経営陣にとって、中国資本による買収提案は“渡りに船”どころか“救世主”にも等しい朗報だといっても過言ではないだろう。

出資先ブランドが粉飾決算
 このように双方がウィン・ウィンを見込めるからこそ買収や資本参加の合意に至るわけだが、必ずしも目論見通りに事が運ぶとは限らない。

 1982年にギリシャで誕生したジュエリーブランドのフォリフォリが好例だ。

 フォリフォリは2009年のユーロ危機とギリシャ危機をきっかけに経営体力を失い、株式の一部を2011年に復星国際が取得した(現在も第2位の株主として16.37%の株を保有している)。フォリフォリにとって中国資本が注入されたことは、中国市場での出店が加速することを意味した。実際に中国市場でフォリフォリの店舗数は「2011年には100店舗だったが、2013年には200店舗に倍増した」(中国メディア)。

 ところが近年、米ヘッジファンドのQCMが投資家から依頼を受けて調査したところ、「フォリフォリには粉飾決算の疑いがある」との審査結果が判明した。

 QCMの調査報告によれば、「2016年の財務報告書には、販売店が630店あるとされているが、実際は289店しかない」(中国の「国際金融報」)というのだ。国際会計事務所のPwCも「2017年の実際の売上高は、財務諸表に記載されている数字より10億ユーロも少ない」(中国の「新京報」)としている。

怒涛の買収は曲がり角に
 ギリシャ資本市場委員と検察当局は捜査に乗り出し、2018年にフォリフォリグループを詐欺とマネーロンダリングで告訴、資産を凍結させた。フォリフォリは巨額の債務を抱えて極めて厳しい状況に置かれている。

 中国の「服装新聞」は、「郭広昌(復星集団CEO)氏は、当初、株式取得の理由について『このブランドは妻のお気に入りだから(出資した)』と笑って言っていたが、復星集団にとっては初めて関わった国際ブランドであり、その重要性は言うまでもない」と報じている。郭氏としてはせっかく出資した高級ブランドだが、まさかこれほどずさんな経営が行われているとは思わなかっただろう。

怒涛の買収は曲がり角に
 なんでもかんでも欲しがり、投資を拡大してきた中国企業は、大きな曲がり角を迎えている。

 アクアスキュータムを買収した山東如意も、数多くの企業買収を繰り返した挙句に巨額債務を抱え、2019年10月、格付け機関ムーディーズにB3に格下げされた。

 一方、買収された側も心境は複雑だ。復星集団は老舗バカンス会社であるフランスの「Club Med(クラブメッド)」も2012年に買収している。筆者は2019年2月、買収後の展開についてクラブメッド日本法人から話を聞いた。その際、広報担当者は「復星集団はサイレントインベスターに徹し、関係も良好」と言いながら、復星集団の傘下にあることはあまり公にはしたくない様子だった。

 買収した側も、された側も決してハッピーになっているとは言い難い可能性がある。中国企業が勢いにまかせて繰り広げた買収ラッシュは、この先どんな展開が待っているのだろうか。

もっと知りたい!続けてお読みください
また韓国人がいやがる!実は激しかった中国人の嫌韓
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58187?page=4


 

 
中国で次々に捕まる日本人、日中関係正常化は幻想だ
「人質外交」に走る習近平政権、日本政府は対抗策を
2019.10.24(木)
福島 香織
中国

中国・北京
ギャラリーページへ
(福島 香織:ジャーナリスト)

 またもや中国で日本人がスパイとして捕まった。しかも大学教授、研究者だ。

 中国が反スパイ法を根拠に拘束した日本人13人のほとんどが、たいして機密とも思えない“情報”を盗んだとして逮捕、9人が起訴され8人が判決を受け、その中には12年もの懲役刑を受けた人もいる。今回、14人目の逮捕者が出た。しかも国立大学教授、准公務員が捕まったのは初めてである。

 おりしも日本では天皇陛下の即位礼に中国の王岐山氏が賓客に招かれていた。来年(2020年)春の“桜の咲くころ”、習近平国家主席を国賓として招くことが決定している。安倍晋三首相は日中関係は完全に正常な軌道に戻ったと昨年秋の訪中時に発表し、中国の国家戦略“一帯一路”への支持も鮮明にしている

 だが、日本人が不当にスパイ容疑をかけられ、尖閣諸島接続水域に中国海警船が日常的に侵入している状況が、果たして日中関係の「正常な軌道」なのだろうか。

どんな情報に触れたのか?
 今回捕まったのは北海道大学法学部教授。9月に中国を訪問して以降、消息を絶っていた。

 防衛相防衛研究所戦史研究センターや外務省大臣官房国際文化協力室の主任研究官、外務事務管の勤務がある40歳代の男性で、専門は日中戦争史だった。かつて中国の治安機関史に関する論文を執筆したこともあるという。日本のメディア関係者によれば、今回の訪中は社会科学院の招待を受けていたという話があり、そのついでに研究のための資料集めやフィールドワークも行ったのかもしれない。帰りの空港で逮捕されたという。

 ネット上の公開情報によれば、教授は公募の研究予算をとって2018年から2021年までの期間で、日中戦争の再検討、というテーマの研究に従事していた。研究手法は、各国の文書館や図書館所蔵の多言語アーカイブを利用するものという。北海道大学は中国との研究機関や研究者との交流も深く、未公開の歴史的資料を閲覧したりする機会もあったかもしれない。

日本では野放しの中国のスパイ
古い未公開の戦争資料の中には共産党の秘密文書扱いのものもあるかもしれない。だが、中国には実際は「秘密」「機密」扱いとされ、絶対タブーとされていても、まったく国家の安全と無縁のものも、あるいは関係者、研究者なら常識と言っていいほど知られていることも山ほどある。

 例えば共産党史の抗日英雄譚「狼牙山五壮士」の捏造問題。狼牙山五壮士とは、中国の小学校国語教科書にも載っていたことがある共産党抗日烈士5人のことだ。1941年、河北省の狼牙山で旧日本軍の激しい攻撃に応戦しながら地元農民を守り、最後は日本軍に包囲され軍糧尽きて9月25日、このまま捕虜になるならば、と崖から飛び降りた、と言う美談で知られている。

 だが、これはプロパガンダ用につくられた「お話」で、本当はこの5人は村に逃げ込んだあと、銃で脅して村人の食糧を奪い、村人に暴力を振るって散々の悪行をつくして逃走。あとから来た日本軍に村人は彼らの悪事を訴え、逃げた方向を教えた。日本軍は村人の協力で彼らを追いつめ、3人を討ち取り、2人を捕虜とした。だが2人はのちに逃げ出し八路軍に戻ったあと、自分の悪行を取り繕うために、教科書に載るような美談をでっち上げた、という。この話は歴史研究者の間では結構知られているが、表だって触れてはいけない話だ。

 中国の山岳部の地形などは国家機密扱いなので、中国で登山用GPSの携帯を理由にスパイ容疑で取調べを受けることもある。私の知るケースは、たまたま初犯の観光客だったからGPS没収だけで無罪放免となった。中国では意外なものが、国家機密、タブーだったりする。

 だが歴史分野の「秘密」文書が、たとえ抗日戦争関連であっても現代の国家の安全に関わるとは考えにくい。教授の訪中目的は純粋な学術研究であろう。ただ、教授が過去に防衛研究所勤務であったことや、中国にとって近代戦争史が「プロパンガンダ戦略」上、重視されていることなども考えれば、逮捕拘束して取り調べすることで、中国がほしい情報を手に入れたり、あるいは圧力によって中国に都合のよいコマにしようとしたりする可能性だってゼロではないかもしれない。そういう想像力を働かせてしまうと今後、研究者たちはたとえ社会科学院や中国の大学の招待であっても、怖くて中国に研究やフィールドワーク、資料収集に行けなくなってしまうのではないか。詳細な情報はいまのところ何一つでていないが、今後の展開しだいでは日中の学術交流にも大きな禍根を残す事件になるかもしれない。

日本では野放しの中国のスパイ
 根本的なことをいえば、日本には英米のような本格的インテリジェンス機関はない。

 現在、中国でスパイ容疑で捕まり、有罪判決を受けている日本人の中には、法務省公安調査庁から数万円から十数万程度の薄謝を受け取って情報を提供したことが直接の原因になっているケースもある。彼らは「情報周辺者」などと呼ばれるが、実際は日本にとっても中国にとってもさして重要性のない情報である。

海外メディアが「人質外交」と批判
 北京で敏感な情報に業務上触れる立場にある日本人の「情報周辺者」と、東京で日本の政治上、治安上、技術上、研究上の重要秘密を知りうる中国人の数を比べると、人口比的にも後者の方が100倍くらい多いと言われている。

 また、在日中国人は中国政府に命じられたら、知りえた重要情報をすべて提供せねばならない法律上の義務を負っている。つまり中国の法律を基準にして考えれば、在日中国人の情報周辺者は全員がスパイ、となる。

 日本政府が民間の情報周辺者に薄謝で協力を仰ぐなら、先に日本国内にいる中国のための情報周辺者を管理し、取り締まる法律をつくるべきだろう。日本にはそういう法律がない。そうした法的整備がないまま、リスクをさほど意識していない民間人を通じて安価に情報を集めようとするから、日本の情報周辺者リストが中国にばれたりするのではないだろうか。

「人質」を取り戻そうとしない日本政府
「ボイス・オブ・アメリカ」など海外メディアは、習近平政権になって中国当局が外国人をスパイ容疑やでっち上げ罪状で逮捕するケースが急増したことを指して、はっきり「人質外交」だと批判している。

 たとえば昨年12月、中国のファーウェイのナンバー2、孟晩舟を米国に頼まれて逮捕したカナダは、自国民2人をスパイ容疑などで中国に“報復”のように逮捕された。今年9月には、FBIが中国の「千人計画」(海外で先端技術研究に従事する研究者を呼び戻す戦略的政策)の責任者であった柳忠三・中国国際人材交流協会ニューヨーク事務所主席代表を逮捕し取り調べを受けたことへの報復のように、中国で17年間続いてきた英語学習企業を創設、運営してきた2人の米国人男女を「違法越境」容疑で逮捕した。これはでっち上げの罪とみられている。違法越境は最悪無期懲役もある重罪だ。中国は外交交渉を有利に運ぶように相手国民をスパイ罪や冤罪で逮捕するのが常套手段だ。

 では、明らかに先鋭的な対立要因を抱えているカナダや米国に比べて、関係改善が喧伝されている日本の国民がなぜ14人も捕まってしまうのか。日本はそんなに対外スパイ工作が盛んなお国柄であったのか。

「邦人を返せ」と圧力を
私がここで腹立たしく思うのは、2015年に中国が反スパイ法(2014年)に続いて国家安全法を施行し、中国国内で外国人を「スパイ容疑」で捕まえ始めて以降、日本人だけですでに13人捕まり、9人が起訴され8人が有罪判決を受けているのに、日本政府は中国でスパイ扱いされている日本人を取り戻す交渉を中国政府相手にやった形跡がないことだ。

 交渉というのは、こちらの要求を聞かねば制裁を行うと圧力をかけ、要求を聞き入れられれば相手にとっての利益を考慮する、というものだ。米トランプ大統領がやっているように、恫喝と甘言を交えてゆさぶりをかけて、相手からの譲歩を引き出すやり方だ。中国にとって日本との関係正常化や経済支援、一帯一路への支持などが、米中関係で苦戦中の中国にとっての大いなる救済になるのだから、その見返りに、日本人を取り戻すことがなぜできなかったのか。さらに逮捕者が増えるとは、日本外交が中国に完全にみくびられている、とは言えないだろうか。

 中国外交部の華春瑩報道官は10月21日の記者会見で、記者の質問に答えるかたちで「中国の法律に違反した外国人は法に従って処理する。中日領事協定の関連規定に従い、日本側領事職務に必要な協力を提供する」と事実確認をした。また、この事件は日中関係には全く影響がない、とした。それは中国の言い分だ。日本は、日中関係に大いに影響ある問題として、日本人全員を取り返すまで、習近平氏の国賓訪問を延期してもらったらどうだろう。

もっと知りたい!続けてお読みください
米国の方針と真逆、安倍政権の中国への接近は危険だ
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58030?page=4


 

日本人が香港デモに無関心のままではいけない理由
一線を越えた警察の暴力、香港は戦場になった
2019.11.14(木)
福島 香織
世界情勢?中国

警察に催涙ガスを浴びせられて逃げ惑うデモ参加者(2019年11月11日、写真:ロイター/アフロ)
ギャラリーページへ
(福島 香織:ジャーナリスト)

 2019年11月9日はベルリンの壁崩壊から30年目。あの東西の激しいイデオロギー対決が終焉するまでの困難と多くの犠牲に世界が思いを馳せていたころ、極東で新たなイデオロギー対立の炎が燃え盛っていた。香港デモである。

 11月8日、初めてデモの参加の最中に犠牲者が出たことが公式に確認された。デモ参加者の間で警察の暴力に対する怒りが渦巻き、翌9日は犠牲者の追悼のためにより大規模なデモに発展した。

 犠牲者は香港科技大学の22歳の男子学生だった。5日、軍澳の近くで警官隊の催涙ガス弾に追われて駐車場の3階から2階に転落。脳内出血、骨盤骨折で重体となり搬送先の病院で死亡した。警察は警察側に責任はないとしているが、救急車の到着が警察の妨害で少なくとも20分遅れており、香港科技大学の学長は第三者による死因調査と情報公開を求め、警察の責任を問うている。

一線を超えた中国&香港当局の対応
 11月11日にはゼネストが呼びかけられ、デモ隊は交通をマヒさせるためにあらゆる所で交通妨害活動を行った。これに対し、出動した警官の暴力は常軌を逸していた。金融街のあるセントラルでは通勤客を巻き込む形で、高温で毒性の強い中国製の催涙弾を容赦なく打ち込んだ。香港島東部の西湾河では、道路にバリケードを作っていたデモ参加者に向けて、交通警察が実弾を3発発砲。1発が柴湾大学生(21歳)の腹部に当たり腎臓と肝臓を損傷して学生は重体だ。九龍半島側のバス通りで、交通妨害をしていたデモ隊を白バイが轢き殺そうとでもするかのように追い回す映像もネットに上がっていた。

 12日深夜、香港中文大学構内で警官が催涙弾とゴム弾を発射し、60人以上の学生が負傷。デモ隊も火を放って応戦し、キャンパスが戦場となった。

警察の暴力に屈した学問の砦
 大学は本来、警察の介入を拒否できる強い自治権を持つ。副学長、学長らが自ら学生と警察の間に立って交渉にあたり警察の学内侵入を防ごうとしたが、警察は交渉に応じず、大学に突入した。これは香港デモ始まって以来、警察が初めて大学の自治権を犯したということであり、香港の学問の砦が警察の暴力に屈したと国際社会は衝撃を受けた。

 香港中文大学には香港インターネットのエクスチェンジポイント(HKIX)が置かれているという。警察が中文大学を攻撃したのは、こうしたインターネットの拠点を潰すのが狙いか、という見方もでている。

 あらゆる角度からみて、11月に入ってから香港デモに対する中国、香港当局の対応は一線を越えた感がある。

 それは11月4日に林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が習近平国家主席と直接会談し、習近平から「高い信頼」を寄せているとの表明を受けたことと関係があろう。この会談前、一部米国メディアから「林鄭は辞任させられるのではないか」という予想が発せられていたが、どうやら林鄭は行政長官を続投するようである。ただし習近平が内心、林鄭の行政手腕のまずさにイラついていることは仄聞(そくぶん)している。彼女に対する習近平の高評価表明の理由を、四中全会のコミュニケなどからも想像するに、習近平政権は林鄭に全香港市民から末代まで恨まれるような汚れ仕事をさせるつもりではないか。その汚れ仕事というのは、たとえば国家安全条例の施行かもしれないし、あるいは香港基本法18条に基づく人民解放軍介入要請かもしれない、と私は最近本気で不安に思っている。

一般市民にも容赦がない警察の暴力
 そういう瀕死の香港に対して、もう1つ辛い事実は、日本人の誤解と関心のなさである。

 私もたまに日本の民放地上波の番組にゲストコメンテーターとして呼ばれることがあるのだが、日本を代表するコメンテーターたちが香港の現状について「生活に心配のない学生が暴れて、市民の多くが迷惑をこうむっている」といった解釈していたのに愕然とした。そんな単純な話ではない。

警察署内、拘置所でレイプや虐待も
 もちろん、迷惑に思っている市民は多くいるし、デモ隊を批判する市民もいる。デモ隊側の暴力性が日に日にエスカレートしているのも事実だ。デモを批判するだけで、リンチを受ける場面もある。だが、それ以上に、今の香港警察は完全に中国公安化しており、事実を隠蔽した虚偽の情報を平気で公式発表したりもしていて、警察や司法権力に対する不信感がものすごい。この不信感が、過剰な自衛意識につながり、異見者を見付けると袋叩きにしかねない攻撃性となる。

 また、中国からの公安警察が相当数香港に送り込まれ、香港警察や新聞記者、市民の姿をして香港世論や国際世論をデモ批判に誘導しようとし、過剰にデモの暴力を演出したり、市民の不安を煽って過剰な攻撃性を引き出したりしている可能性は確かにある。私自身、親中派市民が香港市民に“リンチ”に遭い昏倒していたのに、救急車が駆け付けると、とたん立ち上がって警察車両に乗り込み、そそくさと立ち去るのを目のあたりにし、友人から「あれが金で雇われた“プロ市民”だ。容赦する必要はない」と教えられてびっくりしたことがある。

 また、警察の暴力行使が、いわゆる“勇武派”の最前線にいるデモ隊に対してだけでなく、女性や子供、すでに無力化された抵抗の意思がないことを示しているデモ隊や一般市民、買い物客らに対しても容赦なく、警察署内や拘置所などでのレイプや虐待がえげつないことも、多くの証言や映像などで判明している。

 デモを迷惑だと思う市民がいること、デモの暴力を批判することと、香港の中国化を容認すること、警察の暴力を正当化することは同列には論じられない。最近の世論調査では半分以上の市民が警察に対する信用をゼロと評価し、7割以上の市民が今の警察の大幅な組織改革が必要だと考えている。暴力に対して、より暴力的な応酬しか方法がないという負のスパイラルに陥っている根本原因は、香港警察の中国化であり、その信用の欠落である。そこを飛ばしてデモの暴力化のみを批判したりすることはできない。


警察に囲まれて袋叩きに遭うデモ参加者(2019年11月13日、写真:ロイター/アフロ)
ギャラリーページへ
韓国KBSが報じた香港警察・内部関係者の告発
 最近、香港警察の内部関係者が韓国メディアKBSの匿名取材に応じて、興味深い告発をしている。

 1つ目は、香港警察に逮捕されたデモ参加者が、拘留中にレイプされたという噂に関する証言だ。過去5カ月の香港デモに対する取り締まりの中で、4人の警官が関わった、デモ参加者に対するレイプ事件が少なくとも2件あり、署内で医学的証明も行われているという。この警官によれば、実際のデモ参加者の拘留中のレイプ事件はもっと多いとのことだ

 2つ目は、7月21日の元朗駅で起きた「白シャツ集団襲撃事件」に警察上層部が関与していたという証言である。上層部から地区の警察に、白シャツ襲撃事件の通報があっても現場に急行する必要はない、との指示があったというのだ。

日本は無関心のままでいいのか
3つ目には、9月にデビルズピーク沿岸の海で発見された全裸の女性の遺体が、行方不明のデモ参加者の少女、陳彦霖であったことが10月になって判明した件だ。警察はこれを“自殺”として処理したが、遺体が発見されたとき、警察上層部から調査指針について「他殺の方向で捜査してはならない」「単なる遺体発見で処理せよ」との指示があったという。彼女は“自殺”させられた、本当は警察に殺害された、と信じているデモ参加者、市民は少なくない。

 4つ目に、警官によるデモ参加者に対する虐待、拷問事件は世間で明らかになっているよりはるかに数多くある、という証言。

 香港警察はこうしたKBSの報道を、警察に対する悪意ある中傷だと批判している。だが、警察発表に対して不信感が募っていることは確かだ。たとえば、11月11日、香港デモに批判的な男性が口論の末、正体不明の黒服の男に液体をかけられ火をつけられて火だるまになる映像がネット上でアップされた。この事件はCNNなど海外大手メディアも、デモを批判する男性がデモ隊に液体をかけられて火をつけられた、と報じた。香港警察もこの男性が「病院に搬送され、深度2の火傷を体の28%に負い、意識不明の重体」「犯人に関する情報提供を望む」と発表した。だが、不思議なことに、火をつけられた男性は、火のついたシャツをサッと脱いで、上半身裸のまま歩いて立ち去っていく様子の写真もある。

 ネット上では、その男性が中国のスタントマンであるという業界関係者の発言や、香港デモの残虐行為を印象づけるために5000香港ドルで雇われて火だるまショーをやった、といった言い出す人もでている。もちろん、この情報はデマかもしれない。直後に歩いて立ち去ったからといって、後に重体にならないとは限らない。だが今や、市民は、警察発表と、このネット上の噂とどちらが正しいか、判断がつかないという。そのくらい今の香港警察は信用されていない。

日本は無関心のままでいいのか
 林鄭は11月11日の会見で、デモ隊について「人民の敵」と非難した。これに対して、「人民の敵はお前だ」という突っ込みがネット上で一斉にあがった。

 だが、真の「人民の敵」は、中国共産党政権ではないか。なぜなら中共政権自身が、自分たちにとっての最大の敵は人民であるという認識だからだ。だから、軍事防衛費よりも治安維持費に予算をさき、全市民を管理監視するシステムの構築や世論誘導のために膨大な投資を行っている。香港市民も同じやり方で管理・監視し、世論誘導しようとしたら、香港人たちは命がけで抵抗した。中国人民は長きにわたる共産党支配に慣れ、抵抗することを忘れているが、香港人は自由と法治は命がけで守るに値すると考えたのだ。

香港で起きている対立の本質
 誤解なきように。私は暴力を絶対肯定しない。だが政権トップの言うことも警察発表も信じられない世界で、若者が命や未来を犠牲にして性急に要求を訴えることを「デモ隊の暴力が問題だ」と一蹴しては、民主主義が未完成の地域で専制に抵抗する手法として、それこそ抗議の自殺しかない、ということになってしまう。香港はすでに戦場になった。この段階に来て、「暴力反対、話し合いを」というセリフは何の説得力も持たないのだ。

 もし本気で解決の道を模索するとすれば、先に譲歩すべきは強者のほうだ。国際世論の圧力で、圧倒的強者である中国に譲歩を迫るしかない。せめて、デモ隊が要求する5大訴求のうち、警察に対する外部調査委員会を設置させ警察組織を浄化し、香港の法治を取り戻すことがまず必要だ。このまま“紛争状態”がエスカレートすれば、話し合いどころか解放軍出動の可能性が高まる一方だ。

 米国は「香港人権・民主主義法」という立法をもって中国に圧力をかける方針のようだが、日本はこのまま無関心を貫いていいものだろうか。

 ここで注意すべきは、来年春に予定されている習近平主席の国賓としての訪日の影響だ。今の予定では、習近平主席は天皇陛下との特別会見が設定される。中国共産党の歴代政権が、日本の天皇陛下との会見を国内に向けての権威強化に利用してきた経緯は今さら繰り返す必要はないだろう。だが、考えてほしい。香港情勢がこのまま悪化し、万が一、解放軍を出動するようなことになれば、天安門事件後の天皇陛下訪中と同様に、軍によって学生デモを鎮圧した専制政治に対して日本の天皇陛下が権威付けを行ったと、国際社会から受け取られるような場面も想定されるのではないか。

 香港の状況は偶発的なものではない。今がおそらく100年に一度の時代の変わり目であり、世界の価値観、秩序再構築期に入っているからこそ起きている現象だ。それは大きく言えば、これまでルールメーカーであった米国と、新たなルールメーカーになろうとする中国の価値観・秩序の衝突だ。言い方を変えるならば「開かれた自由主義社会」と「管理された全体主義社会」の対立である。この対立は世界各地で起きているが、香港で激化して、解決が一層難しそうに見えるのは、「自由と民主」を尊びながらも名目上は中国“国内”の“漢族社会”における対立だからだ。

 香港問題を極東アジアにおける自由と専制の対立と見れば、香港がこのまま中国化されてしまうと、東シナ海から南シナ海における自由主義陣営のプレゼンスにも影響してくる。逆に言えば、香港の自由主義的価値観が守られれば、それは中国の閉じられた全体主義世界の中で、唯一西側世界とつながる玄関になり、世界の完全な分断を防ぐ役割を担うことになるかもしれない。その存在が日本にとってどれほど価値あるものかは、地政学やパワーポリティクスを少し勉強した者なら想像できるのではないだろうか。

 別に政治的に介入しろといっているのではない。そんな外交実力が日本にないことは十分承知している。だが、日本人一人ひとりが香港問題に関心を持つこと、香港問題の本質が自由主義と全体主義の衝突という時代の行方を左右する戦いかもしれないと俯瞰して見ることは、日本が過去に犯した過ちを繰り返さないためにも必要かもしれない。

もっと知りたい!続けてお読みください
弾劾追及、ついに強気大統領の目に涙
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58241?page=5

 


 

ハイテク技術で急接近、中国とロシア
ただし同盟の設立は困難、その理由とは
2019.11.8(金)
渡部 悦和
アメリカ?中国?ロシア?IT・デジタル?安全保障

2019年6月5日、習近平国家主席がロシアを訪問、華為技術がMTSと5G通信網開発で合意した(写真:AP/アフロ)
ギャラリーページへ
 最近、中国とロシアの急接近が話題になっていて、「中ロ同盟の成立か?」と先走るメディアも出てきた。

 この中ロ急接近の背景には米国の国家安全保障戦略などで主張された「米国と中国やロシアとの大国間競争」がある。

 特に米中貿易戦争により米国の付加関税や中国のハイテク企業・華為技術(ファーウェイ)に対する制裁措置などの攻勢を受けている中国のロシアへの接近は、単独で米国と対峙するよりもロシアと連携してこれに対処しようとする意図が読み取れる。

 結論的に言えば、「中国とロシアの同盟の成立」は困難であると思うが、ハイテクを中心とした中ロのパートナーシップの深化は予想以上に急速に進んでいる。

 本稿では、ロシアの専門家サムエル・ベンデット(Samuel Bendetto)と中国人民解放軍の専門家エルサ・カニア(Elsa Kania)両氏による共同の論考“A new Sino-Russian high-tech partnership”を参考にしながら、中ロ間の技術協力の軌跡を追い、その技術協力から生じるリスク及び影響を評価する。

大国間競争でパートナーシップ深化
 中ロ関係は、「新時代のための包括的な戦略的協調パートナーシップ」と表現され、世界的な大国間競争が激化するにつれて存在感を増している。

 特に、中ロのハイテク・パートナーシップは、両国がハイテク開発を推進させるために互いの能力を活用しようとしていることから、今後数年間は進展し続ける可能性がある。

 中国は、ロシアのSTEM(科学、技術、工学、数学)分野の研究開発能力や科学技術力を求めてロシアに接近していることは明らかであり、ロシアは中国のハイテク能力の活用を望んでいるようである。

 このような二国間協力で支配的なプレーヤーとなっているのは中国であり、ロシアは相対的に不利な立場に置かれる傾向にある。

 ロシアには、中国のバイドゥ(Baidu)、テンセント(Tencent)、アリババ(Alibaba)のような巨大企業は存在せず、これらの企業はロシア市場を含めてグローバルに拡大し始めている。

 それにもかかわらず、ロシア政府が自国のイノベーションを活性化させようとする中で、中国を目的達成の手段と見なしているが、中国もロシアを目的達成の手段と見なしているとも言える。

 今後、中国とロシアの間のハイテク協力は、短期的に深まり加速する可能性が高い。

 中国とロシアは今まで、生命科学から情報技術、AIなどの最先端技術に至るまで、自由で開かれたSTEMの発展を活用し、その成果を独自の技術エコシステム(生態系)に適用することができた。

中ロ技術協力の背景: 冷戦時代の軍事技術…
 しかし、今日では、そのような自由なアクセスを制限する新たな政策や対抗策が米国を中心として導入されている。

 中国とロシアは、技術革新における独立性を追求し、外国特に米国の専門知識や技術への依存度を低下させようとしている。

 中国とロシアは、デュアル・ユース(軍民両用)技術の開発における協力効果を認識している。両国は軍事協力を拡大しているだけではなく、第5世代通信(5G)、人工知能(AI)、バイオテクノロジー、デジタル経済など広範な技術協力を行っている。

 中国とロシアの技術協力の深化は、米国からの圧力の高まりに対応している。

 米国は、制裁や輸出規制などを通じて、世界の技術エコシステムに対する中国とロシアの関与を制限しようとしてきた。

 これに対し、中国とロシアの指導者は、半導体チップからオペレーティング・システム(OS)に至るまで、外国、特に米国の技術に代わる技術を自国で開発しようと決意した。

 この決意が中ロ協力へのさらなる動機づけとなっている。

中ロ技術協力の背景:
冷戦時代の軍事技術協力
 中ロの技術協力の歴史は、冷戦初期の1950年にさかのぼる。

 当初、中国の国防産業はソ連の技術と兵器の利用から大きな利益を得ていたが、後にリバースエンジニアリングによる技術の窃取による兵器の国産化が進められた。

 しかし、1950年末から1970年まで続いた中ソの対立は軍事協力を中断させ、冷戦終結後まで大規模には再開されなかった。

 その後、ロシアの対中武器輸出は回復し、中国はロシアの軍事技術にかなり依存する状態になった。

 中国は伝統的に、ロシアから航空エンジンを入手してきたし、中国が最新の「S-400」防空システムを取得したことでも明らかだ。

 ロシアによるS-400の中国への提供は、中国のミサイル防衛に大きな貢献をすることであり、中ロの軍事協力の大きな象徴になった。

 2019年10月、ウラジーミル・プーチン大統領は次のように発言した。

技術進歩への戦略的パートナーシップ…
「ロシアは中国のミサイル防衛システムの開発を支援する計画である。現時点でこの技術が完全に実用化されているのは米国とロシアだけであり、ロシアはこの技術を中国と共有することで中国の防衛能力を大幅に向上させることができるであろう」

 今日、中国の技術部門と国防産業は特定の部門と技術においてロシアを上回っている。例えば、中国は現在ロシアの無人航空機(UAV)よりもはるかに優秀なUAVを開発している。

 しかし、ロシア軍は中国製のUAVを入手することに消極的で、代わりに中距離で重量のある国産の無人戦闘機を開発しようとしている。

 一方、ロシアにとって、中国の特定の製品、サービス、ノウハウの取得は、ロシアの産業、政府、軍が必要とするまさに生命線となるかもしれない。

技術進歩への戦略的パートナーシップ
 中国とロシアの戦略的パートナーシップは、ますます技術とイノベーションに集中している。

 特に、2015年の習近平国家主席のモスクワ公式訪問を皮切りに、中国とロシアの両政府は、デジタル経済を含む新たな協力分野に焦点を当てた協定に署名した。

 中国とロシア政府は、企業間の共同プロジェクトやパートナーシップの促進を含む、より深い協力を目的とした新たなフォーラムやメカニズムを数多く立ち上げた。

 時が経つにつれて、中ロのパートナーシップはますます制度化されている。

●対話・交流

 中国とロシアの政府や省庁の間で交流やパートナーシップを促進しようとする対話が増加しており、こうした取り組みは2016年以降特に顕著になっている。

 これらの新たなメカニズムは、STEMの協力ネットワークを構成しており、両国がそれぞれの科学界に関与し、今後拡大していく可能性がある。

 2016年から、中国ロシア・ハイテク・フォーラムが毎年開催されている。2017年のフォーラムでは、ロシア及び中国の技術投資家の間での直接的かつ開かれた対話の創設、並びにイノベーション及びハイテク分野における協力の拡大・多様化に取り組んだ。

 特定のプロジェクトには、中国のロシアのシンクロトロン加速器プロジェクトへの参加が含まれる。

 北京での最初の対話には、生物医学、ナノテクノロジー、新材料、ロボット工学、無人機、人工知能などの産業から100以上の中国とロシアの企業が参加し、革新的な技術を披露し、協力のための新しい協定を締結した。

●科学技術パーク…
科学技術パーク

 中ロ間の科学技術パークの数が増加していることは、協力関係が拡大していることを如実に表している。モスクワと中国政府は、科学技術パークは、持続的な二国間協力に不可欠な基盤とインフラを構築できると考えている。

 2016年6月、中ロイノベーションパーク計画が開始された。このパークは2018年に完成し、情報技術、生物医学、人工知能の企業が参加している。

 また同時期に、中ロ投資基金とスコルコボ財団は、中国に医療用ロボットセンターを建設し、医療用ロボットを製造する契約に調印した。

 2010年に立ち上げられたスコルコボ・イニシアティブは、ロシアを代表する技術革新の場である。この財団は、ディープ・マシン・ラーニングやニューラルネットワーク技術を含む多くのハイテク・プロジェクトを管理している。

 2017年12月、中ロ両国の科学技術パークは、スコルコボに中露ハイテクセンターを建設することで合意した。このセンターは、ロシアのシリコンバレーになることを目指している。

●コンテストと競争

 2018年9月、最初の 「中ロ産業革新コンペティション」 が西安新区で開催された。ビッグデータ、AI、ハイエンド製造に焦点を当てた。

 競い合ったプロジェクトには、北京航空宇宙大学の飛行ロボットプロジェクトや、仮想現実と機能的電気刺激に基づく脳制御リハビリテーションロボットが含まれた。

 中国科学アカデミーは6万7900人以上の科学者を研究活動に従事させており、ロシア科学アカデミーは5万5000人以上の科学者を雇用する国内の550の科学機関と研究センターを含んでいる。

 プロジェクトにはAIの要素を含む脳機能への集中が含まれている。ロシア側は、中国の脳プロジェクトの立ち上げを含め、中国が神経科学分野で世界をリードする地位を占めているという事実に動機づけられている。

 脳の研究は、遺伝学から心理・物理学的機能に至るまで、様々な分野の研究である。これには、神経変性疾患の研究と、神経形態学的知能に基づく人工知能システムの開発が含まれる。

 このプロジェクトへの参加はロシアにとって非常に重要である。中国はこれに多額の投資をしており、いくつかの分野で世界のリーダーになっている。

パートナーシップの優先事項…
パートナーシップの優先事項
 中ロ関係が 「新時代」 に入っていく中で、特に重視されてきた分野としては、通信が挙げられるが、これに限定されない。ロボット工学とAI、バイオテクノロジー、ニューメディア、そしてデジタル経済だ。

●次世代通信におけるファーウェイの戦い

 ファーウェイをめぐる米国と中国の覇権争いは、中ロの急速な協力関係の深化に貢献した。

 事実、プーチン大統領は、中国企業に対する米国の圧力を 「来るべきデジタル時代の最初の技術戦争」 と呼んだ。

 世界的な圧力の増大に直面しているファーウェイは、今年、ロシアの学界と連携しSTEMの専門知識を活用するためにロシアへの関与を拡大した。

 ファーウェイは2019年、ロシアの国家技術イニシアティブと人工知能に関する協力契約を結んだ。そして、ファーウェイのロシアにおける研究開発人員を4倍に増やす計画を発表した。

 2019年にはロシアで 「ファーウェイ・イノベーション・リサーチ・プログラム」 が発足し、ロシアの研究機関に対しファーウェイから様々な分野で140件の技術協力の要請があった。

 2019年末までに500人を採用し、今後5年間で1000人以上の専門家を採用する予定だ。

 現在、ファーウェイはモスクワとサンクトペテルブルクに2つの研究開発センターを持ち、それぞれ400人と150人が働いている。

 今後、さらに3つの研究開発センターを開設する計画で、ロシアは欧州と北米に次ぐ「ファーウェイ研究開発センター」の上位第3位にランクされる。同社は、ロシアの科学コミュニティ、大学、その他の研究センターと緊密に協力することを計画している。

 ファーウェイはロシア連邦での5Gテストを積極的に拡大しており、ロシアのヴィムプレコム(Vimplecom)と提携してモスクワでの5Gテストを8月から開始している。

 ファーウェイに対する米国の圧力が続く中、グーグルのOSであるアンドロイドを完全に捨て、ロシアのアブローラ(Avrora) OSに置き換える可能性さえある。

●人工知能、ビッグデータ、ロボット工学…
人工知能、ビッグデータ、ロボット工学

 中国とロシアにとって、人工知能は技術協力における最優先事項となっている。

 例えば、ビッグデータの共有を拡大するために、中ロの「ビッグデータ本部基地プロジェクト」が進められているほか、AI技術特に自然言語処理を活用して、中国とロシアの企業向けに国境を越えた商業活動を促進するプロジェクトも開始されている。

 ロシアは、技術革新において独自の強みを有しており、多くの科学技術分野において顕著な革新を達成している。中国とロシアは独自の経済的潜在力を持ち、多くの分野で協力の豊富な経験を有している。

 ロシアのAI市場における世界シェアは小さいが、その市場は成長し成熟しつつある。ロシアの科学者と中国のロボット企業が協力して、ロボット工学と人工知能の分野でさらなる飛躍を遂げることができる。

 ロボット工学の分野で中国と協力するには、医学が最も有望かもしれない。

 AIの進歩は、大規模なコンピューティング能力、機械学習するのに十分なデータ、そしてそれらのシステムを操作する人間の才能にかかっている。

 今日、中国はコネクテッド・カーや顔・音声認識技術などのAIのサブカテゴリで世界をリードしている。

 ロシアは産業の自動化、防衛・安全保障アプリケーション、監視において強みを持っている。人工知能における中ロの協力関係は、拡大することが期待される優先課題である。

●デジタル経済

 中国の巨大IT企業は、ロシアで生まれつつあるデジタル経済にビジネスチャンスを見出している。中国企業がこの市場に参入するにつれて、ロシアのデータ・センターの能力は向上している。

 例えば、この1年間で、600以上のテンセント・ラック(サーバーの置き棚)がモスクワに設置され、同社の最大のプロジェクトとなった。

 テンセントのインフラは、クラウドサービスとゲームの開発に使用される。このプロジェクトは、ヨーロッパでインターネットユーザ数が最も多いロシア・テンセント(ユーザー数約1億人:75%の浸透率)に新しい可能性を切り開くものである。

 アリババは、ロシアの億万長者アリシャー・ウスマノフ(Alisher Usmanov)のインターネットサービス会社メイル(Mail)と20億米ドルのジョイント・ベンチャーを設立した。

 1億4600万人が住むロシアで、両社のオンライン市場を統合するという。この取引はロシア政府がロシア直接投資基金を通じて支援しており、現地の投資家が共同で新事業を管理することになっている。

中ロパートナーシップの難しさ…
中ロパートナーシップの難しさ
 中ロの科学技術協力はいくつかの問題に直面している。

 例えば、ロシアは依然として西側の技術に依存し、ロシアは中国のハイテク技術を受け入れることに熱心ではない。

 中国のパートナー企業によるロシアの知的財産の盗用と偽造品の生産は広く行われていて、ロシアの学術・大学の科学センターや企業における信頼感が大幅に低下している。これは、両国間の革新的な協力を制限する大きな要因である。

 またロシアは、中国が最も優秀な科学者をヘッドハンティングするのではないかと懸念している。

 ロシア科学アカデミーのトップは、「中国がロシアのSTEM(科学・技術・工学・数学)の優秀な人材をより良い賃金と労働条件で引きつけ始めているようだ」と懸念を表明している。

 この問題は、中国とロシアの双方にとって頭の痛い問題である。

 両国の有望な若い科学者は、米国で働くことを好む。ロシアで最高の教育を受けた若者、特にすでに国際的に活躍できる職業上の地位が確立されている人々には、米国移住への強い欲求がある。

 これは特にロシアに当てはまり、カリフォルニアの快適さ、太陽、ワイン、山、海にあこがれる人たちがすでにロシアを去ってしまっている。

 また、中国では政府がSTEMに優れた人々に中国にとどまるよう多くのインセンティブを与えているが、多くの研究者が海外特に米国で働くことを選んでいる。

 中国のハイテク企業に対する情報保全上の不信感もある。

 例えば、テンセントは2017年に、同社のソーシャルメディアアプリ「WeChat」の使用が禁止された。

 安全保障上の理由で、ロシアの通信監視機関ロスコムナザール(Roskomnadzor)は、禁止されたウエブサイトの登録簿にWeChatを登録したのだ。

おわりに…
おわりに
 現在メディアなどにおいて話題になっている「中国とロシアの同盟の成立」は難しいと思う。なぜなら、同盟には相互防衛の義務が伴うが、ロシアは中国が絡む紛争に関与したくないし、中国もロシアが絡む紛争に関与したくないからだ。

 一方で、大国間競争の時代におけるハイテク分野における中ロの協調は現在進行中であり、世界に大きなインパクトを与えるであろう。

 中国やロシアが普通の民主主義国家であれば問題がないが、中国は共産党一党独裁体制を強化し、ロシアではプーチン大統領が中央集権体制を強化している。

 このような権威主義国家同士の密接な協力関係の進展は、安全保障、世界経済、人権、各国の競争力という観点で民主主義諸国において大きな懸念となっている。

 特に、中国とロシアは、検閲と監視を強化する技術についても協力しており、中国のデジタル監視社会を支えている監視技術やシステムのグローバルな拡散は望ましいことではない。

 また、知的財産窃盗、不適切な技術移転にも適切な対処が必要だ。そして、両国は国家の「サイバー主権」と「インターネット管理」において、自国にとって望ましい考えを正当化し促進し、国際基準にしようとしている。

 日本と米国は、志を同じくする民主主義国家と連携して、中ロからの技術的な奇襲のリスクを軽減し、将来の脅威を早期に回避する努力が急務になるであろう。

もっと知りたい!続けてお読みください
クルド人見殺し「次は台湾」が現実味

一帯一路からデジタル覇権へ舵切った中国の野望
世界中の独裁政権が渇望するデジタル監視技術で世界制覇狙う
渡部 悦和

中国建国70周年軍事パレードが示す本音と虚構
人民解放軍の狙いと弱点が見えた!
渡部 悦和

中国が狙う台湾侵攻の手順と方法
日本の安全保障に欠かせない台湾防衛
渡部 悦和

嘘に満ちた中国国防白書を読み解く
米国を厳しく批判する一方、消えた名指しの日本批判
渡部 悦和
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58175

 


「2Q14」以降ロシアとウクライナに何が起きたか
ロシア専門家「小泉悠×真野森作トークイベント」から
2019.11.14(木)
新潮社フォーサイト
ロシア

小泉悠氏と真野森作氏によるトークイベントの模様
ギャラリーページへ
(文:フォーサイト編集部)

 株式会社ゲンロン(東京・五反田)主催のもと9月18日に行われた、小泉悠氏と真野森作氏によるトークイベント「ロシアにとって国境とはなにか:ウクライナから北方領土まで」から一部を再録してお届けする。

 ウクライナ危機の勃発から5年、政府と親露派の対立が続く東部ドネツク、ルガンスク両州で、再び「停戦」に向けた動きが見えてきた。

 10月1日、双方の代表者が、停戦とともに親露派の地域に「特別な地位」を付与することで基本合意。29日に兵力の引き離しが始まった。もっとも、たとえ停戦合意が結ばれたとしても、前回と同様、有名無実化する可能性もゼロとは言えない。

 2013年11月、当時のヴィクトル・ヤヌコヴィッチ政権が欧州連合(EU)との連合協定を見送ったことに端を発したウクライナ危機は、政権崩壊、クリミア編入、東部2州の「独立宣言」、マレーシア航空機撃墜事件を経て泥沼化。東部2州では2015年2月に停戦合意が結ばれたものの、すぐに戦闘が再燃し、今に至っている。

 今年5月、「和平」を公約に掲げるウォロディミル・ゼレンスキー氏がペトロ・ポロシェンコ氏から大統領の任を引き継いだが、その道のりは険しい。

 一体、ウクライナ危機とは何だったのか。この問題を2つの方向から解き明かしてくれるのが、ロシア軍事の専門家・小泉悠氏の近著『「帝国」ロシアの地政学』(東京堂出版)と毎日新聞元モスクワ特派員・真野森作氏の『ルポ プーチンの戦争』(筑摩書房)だ。

 ロシアにとってのウクライナという存在を「勢力圏」や「大国志向」という概念から分析する理論的アプローチを取るのが前者なら、実際にクリミアや東部2州の現場で「生のウクライナ」を捉えたのが後者である。

覆面の民兵が銃口を・・・
真野 私はウクライナにおける2014年を、村上春樹さんの『1Q84』になぞらえて「2Q14」と表現しています。

『1Q84』は1984年から月が2つある世界に行ってしまうお話ですが、ウクライナとロシアも2014年で世界がガラッと変わってしまった。普通の2014年ではなくなってしまい、クリミアで終わらずウクライナ東部紛争、さらにマレーシア機撃墜事件と続き、大きな転機、それも不可逆的な転機となった。

何が怖かったかと言うと、民兵

 ちょうど2013年秋から2017年春までモスクワ支局に赴任していたので、17回ウクライナに入りました。

 よく「現場に行くとどんな怖いことがあるのですか?」と聞かれるのですが、特殊部隊などの統制の取れた兵士は怖くありません。


本コラムは新潮社の会員制国際情報サイト「新潮社フォーサイト」の提供記事です。フォーサイトの会員登録はこちら
ギャラリーページへ
小泉 クリミアには、アメリカの「ネイビーシールズ」のようなロシア軍の最精鋭中の最精鋭が送り込まれました。「クリミア・ナウ」みたいな自撮りをネットに上げるなど、日本の特殊作戦部隊なら絶対にやらない自由な振る舞いをしちゃうところがロシア人っぽい。

真野 でも、記者がロシア語で話しかけても一切無視するくらいの統制は取れていた。じゃあ何が怖かったかと言うと、民兵です。

 ウクライナ大統領選が行われた2014年5月25日、親露派に反対の立場を取るドネツクの大富豪の豪邸の周りに、親露派の人々が集まって抗議をしていました。その時、望遠レンズで写真を撮っていたら、覆面をした民兵と目が合ってしまい、銃口を向けられた。謝ったら許してくれましたが、非常に怖かったです。


覆面の民兵(真野氏提供)
ギャラリーページへ
小泉 覆面の向こうで凄い目をしている(笑)。

真野 大統領選の翌日、ウクライナ側がドネツク国際空港を初めて空爆して戦闘が本格化していきました。私はその時、市の中心部にいたのですが、空爆が始まったと聞いて地元記者と空港に向かった。すると、後ろから親露派武装勢力の乗ったトラックがやって来て、私たちのすぐ目の前で銃撃戦が始まった。急いで逃げました。

小泉 真野さんの本を読んで、そのシーンが凄く印象的だった。内乱みたいなものが本当の戦争に変わった瞬間ですよね。

 2014年7月くらいの段階で、ウクライナが躍進するんですよね。航空戦力、火力を持った統制の取れたウクライナ正規軍が寄せ集めの親露派武装勢力を蹴散らした。

 でも、8月にロシア軍が入ってきたら、あっという間に逆転されて、ウクライナは勝てなくなってしまった。

見事だった「クリミア制圧」
真野 クリミアの時は、ウクライナ軍も政変直後なので統制が取れておらず、動かないし動けないという状況の中で、何もできなかった。何もしなかったから血も流れなかった。

小泉 ロシア軍の動きが素早くて、ウクライナとしてはどうしようもありませんでした。

当時のロシア軍の動きが分かっている
 実はクリミア制圧については、どの部隊が何日にどこに上がったか、というレベルで研究が存在していて、相当詳細に当時のロシア軍の動きが分かっていますが、まあ見事ですね。

真野 まずあっという間にクリミアの自治共和国議会を制圧し、シンフェロポリ国際空港を制圧し、各ウクライナ軍基地を取り囲んで動けなくしたうえで、海は海で艦隊が出られないようにした。相当練り上げられていたのでしょうか。

小泉 おそらく2013年11月にキエフで騒乱が起こった段階でプランとしてはあったと思います。ロシアの参謀本部がつくったはずです。

 ただ、それを実行に移すかどうかは政治の判断。ロシア軍も本当にやることになってびっくりしたのではないかと思いますよ。

 やれと言われればやるわけですが、ロシア軍は2008年頃から大規模な改革を行い、贅肉を落としてかなり優れた軍隊に生まれ変わったので、2014年当時には相当、能力が上がっていました。その成果をまさに実証してみせた。

 ウクライナ軍の兵隊を見ると、着けている装備がいかにも古めかしい。革のベルトをしていますが、今ロシア軍はこんな格好していません。

シナリオ作りにSF作家を雇ったフランス軍
真野 最近、ウクライナ危機前に出版されたトム・クランシーの『米露開戦』(新潮文庫)を勧められたのですが、この小説の中でロシアがウクライナに侵攻する発端も、クリミアであり、ドンバス(ドネツクやルガンスクなど東部3州とロシアにまたがる広大な炭田地帯)なんですよね。ここがウクライナの弱い場所であるというのが、アメリカから見てもあった。

小泉 ソ連崩壊直後からクリミアの帰属問題がありました。そもそもクリミアのセバストーポリにいたソ連の黒海艦隊は、ロシアのものなのか、ウクライナのものなのか、という議論もあった。トム・クランシーも、ここが戦争のきっかけになると思ったのでしょうね。

 小説家の一見、荒唐無稽な思い付きが、割と現実になっちゃったりする。

 最近、フランスの国防省がSF作家を4、5人雇ったというニュースがありましたね。将軍たちからは絶対に出てこないような作戦や脅威のシナリオを彼らにつくってもらうらしい。クリエイターの想像力が軍隊にとっても必要みたいですね。

真野 常識に囚われない。

ドネツク市の警察庁舎が占拠される場面
小泉 我々がクリミア併合を予測できなかったように、プロの軍人さんがつくると「いやいや、それはさすがにないでしょ」みたいな専門家であるが故のバイアスがかかる。それを外したいのでしょう。

明らかにプロフェッショナルな人たちがいた
真野 かたやドンバスでは、ドネツク市の警察庁舎が占拠される場面に出くわしたのですが、親露派が集まっている中に、明らかにプロフェッショナルな人たちがいた。地元の記者によれば、言葉のアクセントが違っていたり、街のことを知らなかったりした。

 ですから、地元の人たちが危機感を持って立ち上がった面もゼロではありませんが、ロシア側が焚きつけてうまくやっていた面もあった。

 たとえば、イーゴリ・ストレルコフという親露派のリーダー格の1人(独立宣言とともに国防相兼安全保障会議書記に就任)は、かつてチェチェンで活動していました。そういう実戦経験を積んでいる人たちが投入されたのだろうと思っています。

 警察もあれだけの民間人がいると何もできない。あっという間にウクライナ保安庁(SBU)の庁舎も占拠されてしまった。

小泉 SBUは要するに元KGB(ソ連国家保安委員会)。それが武装解除するというのは、もの凄い話ですよ。

真野 なので地元の人も、SBUを簡単に武装解除させるなんておかしいでしょ、親露派と通じていたんだよね、と言う。

 小泉さんの『「帝国」ロシアの地政学』に「ロシアの浸透膜」というお話が出てきます。ロシアと他の旧ソ連諸国との間に国境はあるんだけど、それは浸透膜のようなもので、じわーっとロシアの汁みたいなものが滲み出ている。

小泉 「プーチンの出汁」みたいな(笑)。ウクライナの方だと薄味。

真野 お出汁が好きな人もいれば嫌いな人もいるのですが、膜のこっちと向こうを行き来している。

 その観点から言うと、プーチンの出汁がじわじわと時間をかけて浸透していた面があります。

小泉 SBUも立ち回りがうまい人たちなので、徹底抗戦はしないで適当なところで手を打ったという感じはしますよね。

「ウクライナ軍機落としたぜ」
荒廃していったドネツク
真野 その後、5月の空爆以降、ウクライナの航空戦力が出てきたのですが、ウクライナ軍機がだんだん落とされるようになったのが2014年7月頃。その中で起きたのがマレーシア機撃墜事件でした。

 最初は親露派も「ウクライナ軍機落としたぜ」などとSNSで書いていましたが、さすがにこれだけの事件になると、すぐに消した。

小泉 この事件の翌日だったか、プーチンが1日中教会にいましたよね。

 彼がいい人か悪い人か分かりませんが、一応、倫理観はあるのだろうと思うので、プーチンなりに責任を感じていたのではないかと思います。

真野 だんだんドネツクの方は荒廃していきました。子供たちが流れ弾に当たったり、クラスター爆弾をつい手に取っちゃって爆発し、何人か亡くなったりもした。

小泉 スクールバスに弾が直撃してしまった事件もありましたよね。

真野 難しいのは、前線になると、親露派とウクライナ政府側のどちらがやったのか分からないこと。どちらも相手がやったと言いますし、親露派の子供たちはウクライナ政府がやったに違いないと思っているので、「将来は僕も兵隊になって倒すんだ」と言う。

 街外れの炭鉱では、ソ連時代の地下核シェルターに住んでいる人もいました。

小泉 僕がモスクワ留学時代に住んでいた団地の地下にもありました。核シェルターというより防空壕。ちょっと地下に潜って入れる避難所があって、めちゃくちゃ臭い。旧ソ連の仲間の攻撃によってそこに潜らないといけないというのは、皮肉な話ですよね。

名前のない墓はなぜ?
真野 戦死したウクライナ兵のお母さんにもインタビューしたのですが、彼女の息子はドネツク空港からの撤退時に仲間を助けようとして捕虜になり、射殺されたそうです。

小泉 ロシア兵が東部戦線で戦死したウクライナ軍の兵士の携帯電話を取ってお母さんにかけ、「息子さんが戦死されました」と伝える動画がネットに出回っています。ロシア軍兵士も母親を傷つけないように言葉を選んで、感情を抑制しながら話している。

 携帯電話で言葉が通じる関係なのに、ここまでしなきゃダメなの?と思いますよね。

おそらくロシア軍人または
真野 ドネツク市郊外の墓地に行くと名前のない墓があります。おそらくロシア軍人またはロシア人義勇兵のものです。悲惨なのは、このウクライナ紛争に送られて亡くなったロシア軍兵士は、「戦死」という扱いにならないこと。そもそも何人亡くなっているかも分かりません。

小泉 第2次世界大戦でソ連兵はめちゃくちゃ悲惨な戦いを繰り広げたわけですが、あの時はパルチザンでさえ全員恩給の対象になりました。名誉が与えられ、社会的な尊敬を集めている。

 でもウクライナ紛争で亡くなった彼らは、ロシアが後ろ暗い戦争をしたせいで、命を投げ出して国家に奉仕したのに、栄光もなければ手当てもない。そこはプーチンさん、それでいいんですか?という気がします。

真野 あくまでも「戦争」ではないし、一切、侵略もしていなければロシア軍兵士も出していないよ、ということになっている。

ソ連崩壊はまだ終わっていない
真野 私の1つの結論は、ソ連の崩壊が終わっていないのではないかということです。

 ロシアはソ連みたいなものと思っている人たちが旧ソ連圏各国にたくさんいる。ロシアはソ連崩壊で15カ国のうちの1つになった。広いけれども、ウクライナなど大事なところがなくなってしまった。

 小泉さんは本の中で「巨人の見る夢」に見立てていましたが、私のイメージでは幻肢痛。切られてしまったのに、まだ「ある」と感じる足みたいなものなのではないかと思います。それが続いている限りソ連崩壊はまだ終わっていないのかなという気もします。

 すぐに何かあるとは思わないですが、カザフスタンも北部にはロシア系の人たちが結構住んでいる。

小泉 カザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ氏が大統領の勇退という珍しい決断をした。ウズベキスタンのイスラム・カリモフ元大統領を見る限り、死ぬまで権力を握ったら残された娘たちが悲惨なので、私は生きているうちに引退すると言って辞めたわけです。おそらく娘に継がせる気があるのでしょう。

 あからさまな世襲をする気で、一旦はカシムジョマルト・トカエフ氏に大統領を任せたけども、いずれナザルバエフ氏の娘に権力を移すとなった時に、果たしてうまくできるのか。そうならずに、カザフスタン北部にまた「礼儀正しい人たち」が「夏休み」でやってくる可能性もある。あるいはロシアの冬は寒いので避寒でやってくるかもしれませんが。

 バルト三国も、ラトビアとエストニアは国民の4分の1がロシア系住民です。彼らは結構、厳しい扱いを受けているので、ロシアがうまいこと焚きつけて・・・ということはなくはない。ただ、バルト三国はNATO(北大西洋条約機構)に入っているので、さすがにないとは思います。

後継者を見つけるという非常に難しい作業
神輿からおりつつ後継者を見つける
真野 内政についても触れておいた方がいいのかなと思うのですが、プーチン大統領の支持率の推移を見ると、2005年に一気に下がる。原因は政府の年金改革でした。そこから盛り返して、2011年12月には下院選で不正があったということでモスクワとサンクトペテルブルクを中心に反政府デモが起き、また下がりました。

 その後、大統領に再選し、ずっと60%台できていたのが、クリミア編入で9割近くに一気に上がった。しかし、やはり年金改革を行うとなって2019年に60%台に下がった。

 社会保障のインパクトが強い。「冷蔵庫」(経済)と「テレビ」(愛国プロパガンダ)の戦い。どうも冷蔵庫の方が強いのかなという感覚です。

 そのあたり小泉さんの義理のお母さん(ロシア人)の感覚はいかがですか。

小泉 めちゃくちゃ怒っていますよ、年金の話。

真野 また9月の統一地方選はつくり上げた勝利でした。モスクワ市議選では有力な無所属候補は出させないようにし、与党の「統一ロシア」の候補は無所属として出した。

 特にモスクワ、ペテルブルクでは不満がじわじわ溜まっています。

小泉 これまでプーチン政権下では「冷蔵庫」が充実してきたけれども、こうなるとみんなついてこない。昔からプーチンは「原油バブルは続かないから産業構造を変えないとダメだ」と言ってきましたが、周りの権力者との折り合いがつかない。そこが神輿の辛いところです。

 プーチンは今、軍、情報機関、ガス産業、ロシア正教会といった各利益団体が担ぐ神輿に乗っています。本人も振り落とされないように必死。振り落とされないようにしながら、うまいこと神輿からおりつつ、後継者を見つけるという非常に難しい作業に取り組んでいる最中です。

 それが果たしてうまくいくのか。そういう転機に来ているのかなと思います。

もっと知りたい!続けてお読みください
ハイテク技術で急接近、中国とロシア

アフリカでロシアが「秘密軍事工作」を静かに展開
民間軍事会社やSNSなどを使い政権中枢に食い込む
新潮社フォーサイト

ロシア航空ショー:中国が存在感示す
ロシア航空産業の協力関係は冷戦期に逆戻り?
渡邊 光太郎

「バグダディ急襲作戦」知りながら米軍シリア撤収
トランプ大統領は米軍部隊を撤収する決定を見直さず
新潮社フォーサイト

ロシアで人気、謎の日本製ウィスキー
入手困難な有名ブランド代替、ロシア産も登場へ
菅原 信夫


「旭日旗を拒否せぬ中国」に韓国メディアが大慌て
李 正宣

韓国を助けるな、教えるな、関わるな
井本 省吾

日本、悲願のファイブアイズ加盟へ、眼中にない韓国
高濱 賛

韓国のタリバン、文大統領を一刀両断
高濱 賛

一覧

ソ連極秘世界地図が捉えていた「1966年の皇居」
新潮社フォーサイト

国後、択捉への軍事力近代化を進めるロシア軍
新潮社フォーサイト

北方領土「2島先行」か「2島幕引き」か?
新潮社フォーサイト

ウラジオ柔道外交はプーチン大統領の「一本勝ち」
新潮社フォーサイト

「ロシア軍大演習に中国軍が初参加」が意味するもの
新潮社フォーサイト

品質不正の神戸製鋼所をあえて弁護する
渡邊 光太郎

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58239?page=7

http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/719.html

[経世済民133] 米ダウ・S&P最高値更新、米中協議巡る懸念なお重し 交渉「暗礁」 ドル上昇 米FRB議長「マイナス金利は不適切」利下げ休止を示唆「留意すべき」リスク指摘 米消費者物価:コア指数が前年比減速、関税よそに−家賃伸び悩む 
ビジネス2019年11月14日 / 06:56 / 1時間前更新
米ダウ・S&P最高値更新、米中協議巡る懸念なお重し
Reuters Staff
5 分で読む

[ニューヨーク 13日 ロイター] - 米国株式市場は、ダウ工業株30種.DJIとS&P総合500種.SPXが最高値を更新して取引を終えた。娯楽大手ウォルト・ディズニー(DIS.N)が大幅上昇し、指数を押し上げた。一方、ナスダック総合.IXICは下落。米中通商協議を巡る不透明感の再燃が市場全般の重しとなった。

米中協議が農産物購入を巡り「暗礁に乗り上げた」との米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道が懸念材料となった。[nL4N27T48P]

3指数はいずれも一時、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の発言を受けて上昇していた。パウエル議長はこの日、上下両院合同経済委員会で証言し、米経済の「持続的な拡大」を予想しているとの見解を示した。[nL4N27T4A4]

FRBの利下げや、予想を上回る第3・四半期企業決算、景気底入れの兆候に支援され、米株市場は過去最高値圏にあるが、米中の「第1段階」の通商合意の行方が引き続き、主要な不確定要因となっている。

チェリー・レーン・インベストメンツのパートナー、リック・メックラー氏は「中国が引き続きテーマだ。投資家は合意が署名にこぎ着けるかどうか見極めようとしている」と指摘した。

市場はまた、トランプ米大統領のウクライナ疑惑を巡る弾劾調査に関連して行われた議会証言や、民主化デモが続く香港情勢など地政学リスクにも注目している。

S&P総合500種のセクターでは、公益事業.SPLRCU、不動産.SPLRCR、主要消費財.SPLRCSといったディフェンシブ銘柄が大きく上昇。一方、金融.SPSY、エネルギー.SPNY、素材.SPLRCMなどシクリカル銘柄は下落した。

ディズニーは7.3%急伸。12日に開始した動画配信サービス「ディズニー・プラス」の加入者が1000万人を突破した。

競合のネットフリックス(NFLX.O)は3.0%安。

歯列矯正製品を扱うスマイルダイレクトクラブ(SDC.O)は20.3%の大幅安となった。第3・四半期の赤字が拡大したことが嫌気された。

リフィニティブのデータによると、S&P総合500種採用企業の第3・四半期決算は、約4分の3が市場予想を上回っているものの、全体では0.5%の減益になる見通し。

ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.17対1の比率で上回った。ナスダックでも1.35対1で値下がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は約68億株で、直近20営業日の平均とほぼ一致する水準。

終値 前日比 % 始値 高値 安値 コード

ダウ工業株30種 27783.59 +92.10 +0.33 27622.0 27806.4 27587.2 .DJI

4 0 0

前営業日終値 27691.49

ナスダック総合 8482.10 -3.99 -0.05 8455.02 8496.90 8451.34 .IXIC

前営業日終値 8486.09

S&P総合500種 3094.04 +2.20 +0.07 3084.18 3098.06 3078.80 .SPX

前営業日終値 3091.84

ダウ輸送株20種 10842.63 -116.63 -1.06 .DJT

ダウ公共株15種 844.31 +12.11 +1.46 .DJU

フィラデルフィア半導体 1732.86 +0.44 +0.03 .SOX

VIX指数 13.01 +0.33 +2.60 .VIX

S&P一般消費財 947.05 -3.65 -0.38 .SPLRCD

S&P素材 376.75 -1.81 -0.48 .SPLRCM

S&P工業 685.95 -2.75 -0.40 .SPLRCI

S&P主要消費財 629.53 +5.35 +0.86 .SPLRCS

S&P金融 490.55 -2.83 -0.57 .SPSY

S&P不動産 234.76 +2.49 +1.07 .SPLRCR

S&Pエネルギー 438.79 -2.26 -0.51 .SPNY

S&Pヘルスケア 1103.19 +1.21 +0.11 .SPXHC

S&P通信サービス 175.85 +0.74 +0.42 .SPLRCL

S&P情報技術 1518.68 +3.81 +0.25 .SPLRCT

S&P公益事業 316.28 +4.57 +1.47 .SPLRCU

NYSE出来高 8.35億株 .AD.N

シカゴ日経先物12月限 ドル建て 23345 + 45 大阪比 <0#NK:>

シカゴ日経先物12月限 円建て 23330 + 30 大阪比 <0#NIY:>

*内容を追加して再送します。
https://jp.reuters.com/article/ny-stx-us-idJPKBN1XN2RM

 


 

 

ドル上昇、パウエル氏が金利維持の可能性高いと示唆
Susanne Barton
2019年11月14日 6:28 JST 更新日時 2019年11月14日 7:00 JST
13日のニューヨーク外国為替市場では、ドル指数がほぼ1カ月ぶりの高水準を付けた。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は議会証言で、経済が軌道を維持する限り金利は据え置かれる可能性が高いと示唆した。

ブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.1%未満の上昇。一時は10月16日以来の水準に上げた。同指数はここ8営業日中、7日目の値上がり
パウエル議長は世界的な成長減速と貿易を巡る展開が「現在進行中のリスク」だと証言。インフレ圧力は「引き続き抑制されている」と述べた
10月の米消費者物価指数(CPI)統計は強弱が入り交じる内容
円とスイス・フランは主要10通貨で上昇率上位。米中貿易協議が農産物の購入を巡り難航しているとのWSJ報道を受け、逃避需要が強まった。香港での抗議デモも質への逃避を促した
米10年債利回りは4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.89%。一時は1.86%と、ほぼ1週間ぶり低水準となった
ニュージーランド・ドルは主要通貨すべてに対して上昇。ニュージーランド準備銀行(中央銀行)は政策金利を予想外に据え置いた。同中銀のオア総裁は、金利据え置きは難しい決定だったと語った
ニューヨーク時間午後4時41分現在、ドルは対ユーロで0.1%高の1ユーロ=1.1004ドル。対円では0.2%下げて1ドル=108円84銭
原題:Dollar Climbs as Fed’s Powell Sticks With Rate Path: Inside G-10(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-13/Q0XBO0T1UM0W01

 


S&P500が小幅高−米中協議で懸念残る
Randall Jensen、Vildana Hajric
2019年11月14日 6:54 JST 更新日時 2019年11月14日 7:08 JST
13日の米国株市場ではS&P500種株価指数が小幅高。前日付けた日中ベースでの最高値を上抜けられなかった。米中による部分的な貿易合意をなお不安視する向きがあるようだ。

米国株、S&P500種指数が小幅高−米中協議巡り懸念残る
米国債は上昇−10年債利回り1.89%
NY原油は3日ぶり上昇、OPEC非加盟国の供給減見通し
NY金は5日ぶり上昇、米中の部分的合意巡り楽観が後退
  S&P500種は辛うじて2日連続高。貿易を巡る期待やリセッション(景気後退)懸念の後退、金融当局の利下げを背景に10月以降、同指数は大きく上昇してきた。この日はテクノロジー株が一時下げる場面があった。米中の通商協議が農産物の購入を巡り困難な状況に直面しているとの、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の報道に反応した。

  ダウ工業株30種平均は最高値を更新。新しい動画配信サービスの好調を手掛かりにウォルト・ディズニーが急伸した。

  S&P500種株価指数は前日比0.1%高の3094.04。ダウ工業株30種平均は92.10ドル(0.3%)上げて27783.59ドル。米国債市場ではニューヨーク時間午後4時59分現在、10年債利回りが5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.89%。

  ブリン・モー・トラストの最高投資責任者(CIO)、ジェフ・ミルズ氏は「2週間前は、第1段階の合意はほぼ確実とみられていた。市場は貿易に関してかなり明るい結果を織り込み始めていた」としつつ、「前向きな方向に前進しているとは思うが、途中何の障害もなく一直線に明るい方向に進むと想定するのはばかげている」と述べた。

  ニューヨーク原油先物相場は3日ぶりに上昇。石油輸出国機構(OPEC)事務局長は、非加盟国産油国からの来年の石油供給見通しは「大幅」に引き下げられる可能性があるとOPECはみていると語った。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物12月限は32セント(0.6%)高の1バレル=57.12ドル。ロンドンICEの北海ブレント1月限は31セント上げて62.37ドル。

  ニューヨーク金先物相場は5営業日ぶりに上昇。米中貿易協議での部分的合意を巡り、楽観的な見方が後退した。トランプ大統領は12日、中国と「合意に至らなければ、われわれは対中関税を大きく引き上げる」と言明。一方で「極めて重要な第1段階の合意が近く実現する可能性はある」とも語った。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は0.7%高の1オンス=1463.30ドル。

原題:U.S. Stocks Edge Higher; Bonds, Dollar Advance: Markets Wrap(抜粋)

Oil Bounces Back as OPEC Sees Potential for Non-OPEC Supply Cuts

PRECIOUS: Gold Gains as Optimism Cools on U.S.-China Trade Deal

(第5段落にコメントを追加し、更新します)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-13/Q0XC0ZT0AFB401?srnd=cojp-v2


 


ワールド2019年11月14日 / 05:16 / 3時間前更新
米中通商交渉が「暗礁」に、農産物購入巡り=報道
Reuters Staff
1 分で読む

米中通商交渉が農産物購入を巡り「暗礁に乗り上げた」と、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが13日、関係筋の情報として報じた。上海で7月撮影(2019年 ロイター/Aly Song)
[13日 ロイター] - 米中通商交渉が農産物購入を巡り「暗礁に乗り上げた」と、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が13日、関係筋の情報として報じた。

WSJによると、中国側は米国を一方的に優先する合意は望んでいないとの立場を明示。中国高官は「状況が悪化すれば、中国はいつでも(米農産品の)購入を停止できる」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/usa-trade-china-farming-idJPKBN1XN2LQ

 
ワールド2019年11月14日 / 04:31 / 4時間前更新
米大統領、自動車関税巡り「間もなく」決断 14日の期限控え
Reuters Staff
1 分で読む

[ワシントン 13日 ロイター] - トランプ米大統領は13日、米国に輸入される自動車および自動車部品に対する関税発動について間もなく決断すると述べた。

トランプ政権は「通商拡大法232条」に基づき、国家安全保証状の観点から自動車と自動車・部品に最大25%の追加関税を課すかどうかを14日までに判断することになっている。

トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に対し「私は間もなく決断を下す」と言明。自動車関税について政府関係者から説明を受けたと明らかにしたものの、発動時期などの詳細については言及しなかった。

トランプ大統領はこの日、トルコのエルドアン大統領と会談する。会談を控え、トランプ大統領は米・トルコ間の貿易額を現行の年間約200億ドルから1000億ドルに拡大させたい意向を示した。
https://jp.reuters.com/article/usa-trade-autos-idJPKBN1XN2IR

 


米FRB議長「マイナス金利は不適切」、利下げ休止を示唆
Reuters Staff
1 分で読む

[ワシントン 13日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は13日、上下両院合同経済委員会で証言し、トランプ米大統領が求めるマイナス金利は持続的な成長や強固な労働市場、安定的なインフレを備える米経済にとって適切ではないと述べた。

パウエル議長は90分間におよぶ公聴会で、FRBの責務は通商や移民、連邦政府支出を巡る政策を定めることや民主党候補者が提案する富裕税などを支援することではないと指摘した。

欧州で導入されているマイナス金利に関する質問に対しては「現在の環境においてマイナス金利が適切ではないことは確実だ」と応じ、「米経済は強固な状況にある。米国では経済成長、堅調な消費セクター、物価上昇が続いている。成長率やインフレ率が非常に低いときにより大きな経済圏でマイナス金利が導入される傾向があるが、米国には当てはまらない」と語った。

冒頭陳述では、米経済の「持続的な拡大」を予想しているとの見解を表明。「基本見通しは引き続き良好」とし、世界経済成長の減速や米中貿易摩擦の影響といった「留意すべきリスク」は存在するものの、「FRB当局者と私は経済活動が持続的に拡大する公算が極めて大きいと予想する」と述べた。

その上で「緩やかな経済成長、堅調な労働市場、2%目標近辺で推移するインフレ率」というFRBの見通しに沿い、「現在の金融政策スタンスは引き続き適切となる公算が大きい」と述べた。

さらに「見通しが著しく再評価」されない限り、FRBが利下げ余地を活用する可能性は低いとの認識を示した。

今年3回実施した利下げは「進行中のリスクに対する保険」として正当化されたと説明。利下げの効果は完全には浸透していないものの、「時間と共に表れるだろう」と述べた。

議長はまた、連邦政府債務を巡る懸念を表明。「景気後退局面において、高水準かつ増加する債務は経済活動を支援する意欲や能力を制限する恐れがある」と警鐘を鳴らした。

この日の証言内容は、10月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で示した見解をほぼ踏襲した。FRBは同FOMCで今年3回目となる利下げを実施し、利下げを今後休止する可能性を示唆した。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-powell-idJPKBN1XN226


パウエル議長、失業率に関する発言で当局のハト派傾斜を示唆か
Matthew Boesler
2019年11月14日 6:08 JST
米国の失業率に関するパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言は、金融当局幹部の間でハト派的な傾斜があることを示唆している可能性がある。米国の政策金利は一方で、しばらくの間据え置かれると予想されている。

  上下両院合同経済委員会で13日に証言したパウエル議長は、議員からの質問に対し、「これまで分かったこと、そしてわれわれが学び続けているのは、多くの人が考えてきたよりずっと低い失業率でも米経済は機能できるということだ」と答えた。

上下両院合同経済委員会で証言するパウエル議長

出典:Bloomberg)

  パウエル議長の発言は、金融当局者が今年に入り公に話しているテーマをあらためて強調した。それは、安定したインフレと整合する失業率の最低水準を当局が高く推定し過ぎていたために、2015年から18年にかけて行き過ぎた利上げを実施したのではないかという説だ。

  今回のことを受けて当局はより謙虚になり、景気が勢いを取り戻した時に利上げ再開の衝動に駆られることが抑えられるかもしれない。

原題:
Fed’s Powell Unemployment Comments May Hint at Dovish Bias(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-13/Q0X5VI6JIJUP01?srnd=cojp-v2

 


パウエル議長、据え置き示唆を維持も「留意すべき」リスク指摘
Craig Torres
2019年11月14日 0:36 JST 更新日時 2019年11月14日 6:11 JST
世界の成長減速、低インフレ、貿易などが脅威
パウエル氏は上下両院合同経済委員会で証言
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、政策金利は当面、据え置かれるだろうとの見解を維持した一方、成長見通しが悪化すれば、利下げを再開する用意があることを示唆した。米連邦公開市場委員会(FOMC)は3会合連続で政策金利を引き下げた。

  パウエル議長は13日、上下両院合同経済委員会で証言。「景気に関する最新情報がわれわれの見通しとおおむね一致する状況が続く限り、現行金融政策のスタンスは引き続き適切となる可能性が高いだろう」と発言。「ただし、この見通しに対し留意すべきリスクは残る」と述べた。

Fed Chairman Jerome Powell Holds News Conference Following FOMC Rate Decision
パウエルFRB議長
  パウエル氏は世界的な成長減速と貿易を巡る展開が「現在進行中のリスク」だと指摘。長引く低インフレは、長期的なインフレ期待の「望ましくない」低下につながる可能性があると付け加えた。発言は10月30日の記者会見でのメッセージをおおむね繰り返す内容。連邦公開市場委員会(FOMC)は同日、今年3回目の利下げを決定した。

  同氏はまた、FOMCが政策金利を引き下げたのは成長を支援し、インフレを2%目標に戻すためだと説明。政策金利は現在1.5ー1.75%のレンジにある。経済見通しに「有意な見直し」があれば、FOMCには対応する用意があると付け加えた。

  来年いっぱいの据え置き示唆を意図したのかと議員に問われると、パウエル氏は「断じてそのようなことは言わない」と回答。経済が軌道を維持する限り、現行金融政策のスタンスは適切となる可能性が高いと、冒頭の証言内容を繰り返した。

  「金融政策は好ましい状況にあると考えているが、最新のデータを非常に注意深く見守るつもりだ」と同氏は述べた。

関連記事
パウエル議長、失業率に関する発言で当局のハト派傾斜を示唆か
  トランプ米大統領は12日にニューヨークで講演し、「われわれが払っている金利は実際に高い。金利ははるかに低くあるべきだ」と主張。他国の中央銀行のようなマイナス金利を導入しないのは、米経済に痛みをもたらしているとし、「おかげで米国は他国との競争で不利な状況だ」としていた。

  パウエル氏はこの日、米金融政策の決定はデータ分析に基づいており、政治が影響を及ぼすことは一切ないと言明。マイナス金利が「現在の環境において適切でないのは確かだ」と述べた。

  「見通しは依然として明るい。この景気拡大が持続し得ない理由はない」とし、「景気拡大11年目というまれな状況は多いに好ましいことだ。これを延ばすため、できる限りのことをやっていく決意だ」と続けた。

原題:Powell Sticks With View Rates Are Likely On Hold But Flags Risks(抜粋)

(リードを書き換え、第5段落以降を追加し、更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-13/Q0WY8A6K50XS01?srnd=cojp-v2

 


米消費者物価:コア指数が前年比減速、関税よそに−家賃伸び悩む
Jeff Kearns
2019年11月13日 22:36 JST 更新日時 2019年11月14日 1:07 JST
10月の米消費者物価指数(CPI)統計では、9月に発動された対中追加関税をよそに、食品とエネルギーを除くコア指数の伸びが前年比で減速した。
キーポイント
• 10月のコアCPIは前年同月比2.3%上昇
o エコノミスト予想の中央値は2.4%上昇
o 前月比では0.2%上昇
• 10月の総合CPIは前月比0.4%上昇−前年同月比1.8%上昇
o 総合指数の伸びは前月比、前年比ともに市場予想を上回る
Cooling Prices
U.S. core inflation climbed 2.3% in October from a year ago, missing forecasts

Source: Bureau of Labor Statistics
  10月は特に居住関連の減速が影響。家賃は前月比0.1%上昇と、2011年4月以来の低い伸び。広義の住居費も0.1%上昇にとどまった。変動の大きいホテル・モーテルの料金は過去最大となる4.4%低下。住居費はCPI全体の約3分の1を占める
  衣料品は前月比1.8%低下と、3月以降で最大の下げ。新車は4カ月連続のマイナス。一方で中古車は1.3%上昇した(前月1.6%低下)。
  エネルギーは前月比2.7%上昇と、4月以来の高い伸び。食品は0.2%上昇。医療費は1%上昇と、3年ぶりの高い伸びとなった。
  労働省が同時に発表した別の統計によると、インフレ調整後の実質平均時給は前年同月比0.2%低下。9月は変わらずだった。
  統計の詳細は表をご覧ください。
原題:U.S. Core Inflation Unexpectedly Decelerates as Rents Cool (1)(抜粋)
(統計の詳細を加え、更新します)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-13/Q0WTIHT1UM0Z01?srnd=cojp-v2


 


http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/634.html

[国際27] ガザ過激派「イスラエルと停戦合意」、エジプトの仲介で イスラエル南部の大半はまひ状態 ガザからロケット弾200発 パレスチナ側死者26人に
ワールド2019年11月14日 / 17:42 / 39分前更新
ガザ過激派「イスラエルと停戦合意」、エジプトの仲介で
Reuters Staff
1 分で読む

[ガザ/エルサレム 14日 ロイター] - パレスチナ自治区ガザの過激派組織「イスラム聖戦」は14日、エジプトの仲介による停戦にイスラエルが合意したことを受け、ガザからの攻撃を停止していると発表した。

「イスラム聖戦」のスポークスマンによると、停戦は0330GMT(日本時間午後0時半)に開始した。イスラエルが「イスラム聖戦」の最高司令官を差し迫った脅威とみなして空爆で殺害してから約48時間後となる。

パレスチナ側の犠牲者は計34人で、ほぼ半数は民間人。一方で、過激派による数百発のロケット弾によりイスラエル南部の大半はまひ状態となった。

攻撃の応酬は過去数カ月で最も深刻な事態となっている。ガザを実効支配するイスラム原理主義組織「ハマス」は関与していない。

エジプト当局者はロイターに対し、停戦が事実であると確認した。イスラエル軍のラジオによると、ガザのロケット弾の射程内にある地域に課された緊急規制は緩和されている。

「イスラム聖戦」のスポークスマンは、過激派を標的にした殺害と、ガザ境界で毎週行われるパレスチナの抗議活動での軍による致命的な発砲をやめるという同組織の要求を、イスラエルが受け入れたと述べた。

しかしイスラエルのカッツ外相は「静けさには静けさで対応する」と述べ、同国による標的殺害は終わらず、イスラエル軍がガザ境界で行う発砲の方針に変更はないと語った。

エジプトと共に停戦を仲介した国連は、ガザを巡る状況は依然不透明だと示唆。ムラデノフ国連特別調整官はツイッターで「今後数時間と数日間が非常に重要だ。すべての当事者は最大限の自制を示し、流血を防ぐために取り組む必要がある」と指摘した。
https://jp.reuters.com/article/israel-palestinians-violence-idJPKBN1XO13D


ガザからロケット弾200発 イスラエル空爆に報復か(19/11/13)
11,288 回視聴?2019/11/12


ANNnewsCH
チャンネル登録者数 83.3万人
パレスチナ自治区のガザからイスラエルに向けてロケット弾約200発が発射されました。イスラエル軍による空爆への報復とみられ、衝突の激化が懸念されています。
https://www.youtube.com/watch?v=683JeTEV_7E


パレスチナ側死者26人に イスラエル軍との衝突続く
2019年11月14日 5:05 発信地:ガザ市/パレスチナ自治区 [ パレスチナ自治区 中東・北アフリカ ]
このニュースをシェア
パレスチナ側死者26人に イスラエル軍との衝突続く? 1/6 ?? ?
パレスチナ自治区ガザ市で、イスラエル側による空爆の後に立ち上る煙(2019年11月13日撮影)。

パレスチナ自治区ガザ市にある病院の遺体安置所前で悲しむ人々(2019年11月13日撮影)。
パレスチナ自治区ガザ地区北部のベイトハヌンで、イスラム聖戦メンバーの死を悲しむ親族(2019年11月13日撮影)。(c)MAHMUD HAMS / AFP

パレスチナ自治区ガザ市にある病院の遺体安置所前で悲しむ人々(2019年11月13日撮影)。(c)MAHMUD HAMS / AFP
【11月14日 AFP】イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)のイスラム過激派組織「イスラム聖戦(Islamic Jihad)」司令官を狙った攻撃を受け、双方の軍事衝突は13日も続いた。衝突が収まる兆しがほとんど見られない中、パレスチナ側の死者数は攻撃開始から2日目の同日、26人に増加した。

 イスラエルは、パレスチナ自治区ガザ地区に対する今回の攻撃について、イスラム聖戦の拠点とロケット弾発射部隊を標的とするものと説明している。パレスチナ側はこの攻撃の報復としてイスラエルに対し新たなロケット弾による連続攻撃を行った。

 停戦協議を行うと報じられていた国連(UN)のニコライ・ムラデノフ(Nickolay Mladenov)特別調整官(中東和平担当)は13日午後、エジプトの首都カイロに到着した。空港当局が明らかにした。国連とエジプトはこれまでも、イスラエルとガザ地区の武装勢力間の戦闘をめぐり、停戦の調停を行ってきた。

 一方、停戦調停を目指す協議を知る情報筋は、戦闘が激化する可能性が依然として高いと警告している。(c)AFP/Sakher Abou El Oun with Ahikam Seri in Sderot, Israel
https://www.afpbb.com/articles/-/3254651
http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/727.html

[経世済民133] ヤフー ZOZOの株式買い付け終了 子会社に 孫氏が本領発揮、ヤフー・LINE統合に大きなうまみ 「統合」実現すれば何が起こるのか 独禁法の壁 鍵は文・韓国大統領と孫会談 
ヤフー ZOZOの株式買い付け終了 子会社に
2019年11月14日 12時40分

ヤフーの持ち株会社、Zホールディングスは、国内最大級のファッション通販サイトを運営するZOZOの株式の買い付けを終え、子会社にしたと発表しました。

ヤフーの持ち株会社、Zホールディングスはことし9月にZOZOを買収することで合意し、13日まで、ZOZOの株式のTOB=公開買い付けを行いました。

その結果が14日公表され、Zホールディングスは、ZOZOの株式の50.1%を取得し、13日付けで子会社化したということです。株式の取得金額は4007億円余りでした。

このTOBでは、ZOZOの創業者で、今回の買収を機に社長を退いた前澤友作前社長も一定の株式の売却に応じ、前澤氏の保有比率は、それまでの36%余りから、17%余りに下がりました。

Zホールディングスは、ネット通販の分野で国内トップを目指すという目標を掲げていて、ZOZOの買収で若い世代の利用者を取り込み、ライバルのアマゾンや楽天に追いつきたい考えです。
あわせて読みたい
ヤフー・LINE 経営統合へ交渉 月内に合意か17時43分
SBIと福島銀行 資本業務提携を正式発表11月11日 18時25分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191114/k10012177171000.html


 

コラム2019年11月14日 / 13:52 / 5時間前更新
コラム:孫氏が本領発揮、ヤフー・LINE統合に大きなうまみ
Liam Proud Karen Kwok
3 分で読む

[ロンドン 13日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 検索サービスのヤフーを展開するZホールディングス(4689.T)と無料通信アプリを手掛けるLINEが、経営統合に向けて検討に入った。高齢者の5人に4人が買い物の支払いを現金で行っている日本で、出遅れていたデジタル決済サービスが拡大のチャンスを迎えた。Zホールディングスの親会社・ソフトバンクグループ(9984.T)を率いる孫正義氏が、本領を発揮した形だ。

ソフトバンクグループ傘下の通信会社・ソフトバンク(9434.T)は、Zホールディングス(旧ヤフー、時価総額170億ドル)株式の45%を保有している。LINE(時価総額100億ドル)は韓国のネイバー(035420.KS)が73%の株式を保有し、LINEの日本人ユーザー数は8200万人に上る。

ロイターの13日の報道によると、統合計画には孫氏とネイバーのハン・ソンスク最高経営責任者(CEO)が関与した可能性がある。両陣営は折半出資してヤフーとLINEの支配権を持つ新会社を設立する。12日の株価に基づく新会社の企業価値は、約150億ドルだ。

今回の計画は、日本のモバイル決済市場で大規模な提携関係を生み出す点に大きなうまみがある。安倍晋三首相は、デジタル決済の比率を2025年までに現在の2倍の40%に高める目標を掲げている。

LINEのキャッシュレス決済サービス「LINEペイ」の登録者数は約3700万人。今年1─9月の同サービスを使った決済額は80億ドル弱だが、それでも巨大な顧客基盤だ。

ヤフーのスマホ決済サービス「ペイペイ」は、ソフトバンクとインドの決済フィンテック企業Paytm(ペイティーエム)との共同事業で、利用者数は1200万人余り。

LINEペイとペイペイを合わせると、電子商取引最大手の楽天を抜く。統合報道を受けて米市場に上場しているLINEの米預託証券(ADR)は、25%以上も急騰した。

孫氏にとっても実入りは大きい。折半出資の新会社設立によりソフトバンクは事実上、保有するZホールディングス株の半分をLINE株式の36%と交換することになる。アナリストによると、LINEの売上高は今後5年間に、ほぼ3倍に膨らむ見通しだ。

孫氏は、LINEの若年ユーザー層へのアクセスも拡大できる。こうしたユーザーによるLINEでの「スタンプ」送信は昨年、1日平均で約4億回に達した。

何よりもすばらしいのは、LINEのフリーキャッシュフローが、21年にはプラスになり始めるとアナリストが予想していることだ。

共有オフィス「ウィーワーク」への巨額出資で大きな損失を被った孫氏だが、風向きが「追い風」に変わるかもしれない。

●背景となるニュース

*ロイターは13日、関係者2人の話として、検索サービスのヤフーを傘下に持つZホールディングス(HD)と無料通信アプリを手掛けるLINEが、経営統合に向けて調整に入ったと報じた。ZホールディングスLINEはそれぞれ14日、「協議を行っていることは事実」とするコメントを発表した。

*計画によると、Zホールディングスの親会社ソフトバンクとLINEの親会社ネイバーが、折半出資の新会社を設立する。新会社はZホールディングスを傘下に収め、ZホールディングスがLINEとヤフーを運営する。通信大手のソフトバンクはソフトバンクグループの中核会社。

*ヤフーとLINEの経営統合報道を受けて、13日のニューヨーク市場でLINEの米預託証券が25%余り値上がりした。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
https://jp.reuters.com/article/yahoo-line-breakingviews-idJPKBN1XO0GT

 

ヤフー、LINE統合に立ちはだかる独禁法の壁

白壁 達久 他 1名
2019年11月14日
1 100%
ギフト
 
全2049文字
検索サービス「ヤフー」を手掛けるソフトバンクグループのZホールディングスと対話アプリのLINEが経営統合を視野に入れて協議をしていることを認めた。対話アプリで国内約8000万人のユーザーを抱えるLINEと、約5000万人の利用者を抱えるヤフーの統合が実現すれば、巨大プラットフォーマーが誕生することになる。ただし、乗り越えるべき壁がある。独占禁止法の壁だ。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/111400867/


ヤフーとLINE「統合」実現すれば何が起こるのか
交渉の事実は認める、カギはスマホ決済だ
田中 道昭 : 立教大学ビジネススクール教授2019年11月14日

ヤフーとLINEの経営統合が実現したら、どんなメリットがあるでしょうか(編集部撮影)
ヤフーを運営するZホールディングス(HD)とLINEが経営統合に向けた交渉に入っていることが明らかになりました。

11月13日夜に日本経済新聞などが一報を報じると、14日朝にZホールディングスは「協議を行っていることは事実ですが、現時点で決定した事実はありません」、LINEは「企業価値向上のための施策の1つとして検討を進めていることは事実ですが、当社として決定している事実はございません」とそれぞれリリースを出しました。

このまま報道の通りに経営統合が決まるかどうかは予断を許しませんが、LINEアプリの利用者は約8000万人、ヤフーのサービス利用者は約5000万人に上ります。もし、実現すれば金融やEC、小売りなども含めた大規模なサービス基盤が誕生し、国内IT産業の勢力図に大きな影響を与えることは確実です。

両社の統合にはどんなメリットがありうるのでしょうか。カギを握るのは、ヤフー傘下のPayPayが提供する「ペイペイ」、LINEが手掛ける「LINEペイ」というスマホ決済サービスです。

まず、「ペイペイ」に言及しておきましょう。

経済産業省の『キャッシュレス・ビジョン』(2018年4月)によれば、日本のキャッシュレス決済比率は、韓国の89.1%や中国の60.0%に対して、わずか18.4%にとどまっていました(2015年)。政府は、それを「大阪・関西万博に向けて、(中略)キャッシュレス決済比率40%の目標を前倒しし」「将来的には、世界最高水準のキャッシュレス決済比率80%を目指し、必要な環境整備を進めていく」としています。

2019年10月1日からの消費税増税とあわせては、「キャッシュレス・ポイント還元事業」が展開され、キャッシュレス社会への転換が図られています。

ソフトバンクグループの総力を挙げるペイペイ
そうした中、日本のキャッシュレス化を牽引、スマホ決済サービスのシェアを飛躍的に伸ばしているのが「ペイペイ」です。PayPayは、2018年6月、ソフトバンクとヤフー(2019年10月1日に会社分割を通じて持ち株会社体制へ移行、商号を「Zホールディングス株式会社」へ変更)それぞれ50%の出資で設立されました。

その後の2019年5月、ソフトバンクグループがPayPayへ追加出資したことで、PayPayの資本構成はソフトバンクグループが筆頭で50%、ソフトバンク25%、ヤフー25%へと変更されました。ソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資するインドのPaytmも技術協力し、グループ総力を挙げての事業体制を構築しています。

ペイペイは、話題をさらった2回もの「100億円キャンペーン」や「キャッシュレス・ポイント還元事業」関連施策などを通して登録ユーザー数は1900万人(2019年11月)、月次決済回数で約8500万回(2019年10月)となっています。QRコード決済サービスのユーザー利用意向ではペイペイが独走、また「現金以外で思い浮かぶ決済手段」もクレジットカードを除けばペイペイが1位となっています。

通信事業の成長が描けないソフトバンクはペイペイを「新領域」と位置づけ、システム不具合などを経ながらも登録ユーザー数と加盟店拡大に攻勢をかけています。

ペイペイはEC・リアルでの各種決済に加えて公共料金や税金の支払いにも対応し、送金や割り勘、ギフトやお年玉などP2Pソーシャル機能も付いています。ペイペイ口座からの出金といった資金移動もすでに可能で、今後はローン・小口融資・MMF・投資・保険・後払いなどの本格的な金融サービスの提供も見据えています。

ソフトバンクの宮内謙社長は11月に開いた決算説明会でアリババ・グループの金融事業会社「アントフィナンシャル」が提供する決済サービス「アリペイ(Alipay)」のビジネスモデルを引用し、この金融サービス分野こそ「これからいちばん伸ばせる」「フィンテック領域」としました。

さらに、登録ユーザー数が伸びていけばペイペイは「決済アプリ」から「スーパーアプリ」へと変貌し、「このスーパーアプリをベースにして、いろいろなビジネスを展開することができる」と高らかにうたいました。

入り口として機能するペイペイ
2019年11月現在、ヤフーは、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOの連結子会社化を目指してTOB(株式公開買い付け)を実施中です。また、10月には、ECサイト「ペイペイモール」とフリマサイト「ペイペイフリマ」をオープンさせています。

つまり、拡充される「ペイペイ」を顧客接点にして、従来の広告事業に加えてフィンテックなど金融関連事業、EC小売りやオンライン・オフラインの継ぎ目のない多様なサービスを提供していくということを狙っています。

宮内社長は決算説明会で、「アリババにTモールやタオバオがあるように、われわれにもヤフーショッピング、ペイペイモール、ペイペイフリマといった陣形ができつつある」と語っています。

筆者は、宮内社長の言葉から、ソフトバンクグループ孫社長の戦略における2つの意図を読み取ることができると考えています。

1つは、ペイペイを、EC小売り事業を先鋭化させるとともに、広範な生活サービス全般へ顧客を誘導するための入り口として機能させるということ。もう1つは、その中でもEC小売りを中核で機能させる必要があるということです。

次にLINE側を見ていきましょう。

LINEペイが競合他社に先行して2016年にリリースしたQRコード決済は「加盟店の導入費用ゼロ、今後3年間は決済手数料無料」という赤字前提の大攻勢で話題をさらいました。LINEペイの戦略は、キャッシュレス化が進んでいない中小店舗に重点を起き、キャッシュレス導入にあたって障壁になっていたコストをゼロにするものです。これにより、2018年度内に100万加盟店を確保するという目標を掲げました。

【2019年11月14日16時30分追記】初出時、LINEペイのリリース開始時期に誤りがありましたので上記のように修正しました。

LINEペイには大きな強みがあります。利用者が約8000万人に上るLINEに、デフォルトでインストールされているので、新たに専用のアプリをダウンロードする必要がないのです。ここで導入店舗が一気に拡大すれば、ユーザーにとっての始めやすさ、使いやすさの点で、大きく前進します。

中国のテンセントをベンチマーク
LINEはコミュニケーションアプリを通じて、生活サービス全般から金融事業までを垂直統合しようとしています。ベンチマークしているのは、決済アプリ「ウィーチャットペイ(We Chat Pay)」が中国市場を席巻したテンセント(Tencent:騰訊)です。

中国のQRコード決済市場ではアリババの「アリペイ」が先行しました。ウィーチャットペイの登場はアリペイに遅れて9年後。アリペイの牙城は揺るがないものと当初は思われていました。

しかしウィーチャットペイはアリペイを凌ぐ勢いで浸透しました。すでにウィーチャットペイが逆転しているとの見方もあります。この勢いの差は、アリペイがECサイトと連動するアプリであるのに対し、ウィーチャットペイはコミュニケーションアプリに連動しているという違いによるところが大きいと私は見ています。

私たちがECサイトを眺めるのは買い物をする用事があるときに限られます。一方、コミュニケーションアプリは、友人・知人から連絡があるたび、こちらから連絡をしようとするたびに「毎日、何度も」開きます。コミュニケーションアプリを閲覧する頻度は、ECサイトを閲覧する頻度の何倍にもなるでしょう。

テンセントはこうして、利用頻度において絶対的な強みを持つコミュニケーションアプリをプラットフォームにして各種金融サービスを垂直統合し、さらにはそのほかの生活系サービスを充実させていきました。

LINEは今、従来のコア事業である広告に、これらフィンテックとAIを合わせた「戦略事業」の強化を図っています。

投資にも積極的です。2018年9月、LINEは第三者割当増資を行いました。そこで調達する資金の具体的な使途として挙げられているのは、フィンテック事業とAI事業でした。

ニュースリリースには「新しいインフラ確立を目指しているモバイル送金・決済サービス『LINE Pay』の決済対応箇所の更なる拡大、ユーザー数及び送金・決済高拡大のための広告宣伝費及び販促活動費」「今後展開を目指している金融関連サービスの立ち上げ及び運営に関わる運転資金、システムへの投資、人件費、各領域における国内外の戦略的融資」として約1000億円(2021年12月まで)を、また「自社製品である『LINE Clova』や関連サービスの開発のための人件費、外注費、広告宣伝費」に約480億円(2021年12月まで)を割く、とあります。

広告事業を継続して成長させていきながら、フィンテック事業とAI事業に対して戦略的投資を行う。ここからは、ポストスマホとしてのAIスピーカーというインフラを強化する意図、そしてLINEアプリ上に展開するフィンテック事業を強化する意図の2つが見えてきます。LINEはこれを「スマートポータル」戦略として整理しています。

あらためて確認しておきたいのは、フィンテック事業の中心にあるのはLINEペイだということです。LINEペイを起点に、資産運用や保険、ローンなどの金融事業を総合的に展開するのが、LINEのフィンテック戦略だと言えます。

LINEペイは「LINE上から送金・決済をする」サービスとして2014年12月にスタートしました。そこから、プリペイドカードやQRコード決済、クイックペイへと機能を拡張してきた経緯があります。LINEアプリ内に組み込まれているため、わざわざ専用のアプリをインストールする必要がありません。その手軽さは、他社の決済アプリと比べても群を抜いています。

そして、その強みを背景として、オンライン銀行としてはみずほ銀行との合弁企業、オンライン証券としては野村證券というそれぞれの分野のガリバー企業と協業することにもこぎ着けたのです。

アリババに見える孫氏の狙い
最先端のフィンテック大国である中国では、アリババが手掛けている決済アプリ「アリペイ」と、テンセントが手がけるメッセンジャーアプリ「ウィーチャット(WeChat:微信)」のウォレット機能「ウィーチャットペイ」が熾烈な争いを繰り広げています。

アリババのビジネスモデルを見ると、アリペイは「入り口」で、そこからアリババのEC小売りサービスや金融サービス、各種の生活サービスなどに導かれる仕組みになっています。

このアリババの事業構造にこそ、ソフトバンクグループ孫正義社長の狙いを読み解く核心があります。決済ビッグデータを取得するとか、ましてやデジタルでの広告収入を伸ばそうというような「小さな」話ではないのです。アリババの筆頭株主として取締役会メンバーでもある孫社長は、このビジネスモデルを熟知、アリババとテンセントのこれまでの熾烈な争いも間近で見てきました。覇権争いの厳しさを痛感してきたことでしょう。

中国はアリババに任せるとして、日本では自分たちがそれ以上のプラットフォームをやっていかなければならないと考えたとき、最も重要な入り口となるアリペイに当たるサービスこそペイペイなのです。だから、ソフトバンクグループはPayPayの最大出資者となりました。その戦略的重要性は計り知れないほど高いと言えるでしょう。

このような中で今回明らかになったヤフーとLINEとの経営統合。LINEやPayPayから、各種の金融サービス、EC小売り、さらには旅行・通信・電力・モビリティーへと誘導する巨大なプラットフォームが形成されます。

両者の組み合わせによるインパクトとしては、顧客基盤と顧客接点が挙げられます。デジタルトランスフォーメーション時代の顧客基盤とは、ずばりスマホの中で親密な顧客接点をいかに持つかという点に集約されているなかで、LINEというコミュニケーションアプリと各種サービスを展開するソフトバンク側の企業連合は、国内ナンバーワンの顧客基盤を持つ連合として躍り出たと言っても過言ではないでしょう。
https://toyokeizai.net/articles/-/314298

ヤフー・LINE統合へ 鍵は文・韓国大統領と孫会談にあった
森岡 英樹4時間前
genre : ニュース, テクノロジー, 経済, 社会, 企業, マネー

4
4
19
41
13
コピー
 検索サービス「ヤフー」を展開するZホールディングス(ZHD)とLINEが経営統合に向けて最終調整に入った。日本経済新聞が14日朝刊一面トップで報じた。

 ZHDの株式を4割握るソフトバンクとLINEの株式を7割保有する韓国ネイバーが協議しており、月内の基本合意を目指すという。LINEの対話アプリの利用者数は国内外合わせて約8000万人で、ヤフーのサービスは約5000万人。さらに金融、小売りなど多様な事業を手掛けており、統合が実現すれば東アジアを基盤に一億人を超すユーザーをもつ「メガプラットフォーマー」が誕生することになる。

メインバンクのみずほも統合を後押し
 筆者はこの動きを週刊文春(10月10日号)のTHIS WEEK欄で「ソフトバンクグループの窮地で 孫正義が狙うLINE買収」と題して取り上げた。その裏取り取材で浮かびあがったのは、両社の統合は経済合理性があり、メインバンクも後押ししているということであった。両社の結節点にいたのはみずほフィナンシャルグループ(FG)だった。

孫正義会長兼社長 ©時事通信社
孫正義会長兼社長 ©時事通信社
この記事の画像(2枚)
 ZHDを含むソフトバンクグループ(SBG)のメインバンクはみずほ銀行であり、LINEのメインも同行。しかも、みずほとLINEは共同でネット銀行「LINE Bank」を設立、来年の開業を目指して準備を進めている。また、SBGの孫正義会長兼社長によるアーム買収(3兆3000億円)でファイナンスしたのはみずほ銀行であり、孫氏が立ち上げた「ビジョン・ファンド」にも関与している。

LINE取り込みは今年4月時点で念頭に
 SBGによるLINE取り込みは、ヤフーを会社分割して持株会社ZHDを立ち上げると発表した今年4月時点ですでに念頭にあったと思われる。ZHDは買収の受け皿となるインキュベーター(ベンチャー企業の支援を行う団体)となるもので、実際、10月1日の設立を待つように、ZOZOもZHD傘下に入った。そしてLINEである。

 SBGの買収戦略の巧みさは、組織再編と税・会計処理の妙にある。「親子・孫上場によるガバナンス上の問題はあるが、中間持株会社を巧みに使い買収を仕掛ける。同時に合法的な税的なメリットを最大限に活かしている」(メガバンク幹部)と言っていい。今回のLINEとの統合においても、SBGとネイバーは共同出資の新会社を作り、その子会社にZHDが入る形が検討されているが、これは暫定的な形態で、いずれ株式交換等によりグループ内で組織再編されることになろう。LINEは事実上、SBGに買収されると見ていい。

次のページ統合には両社の台所事情も影響

統合には両社の台所事情も影響
 両社の統合に経済合理性があるというのは、米国や中国のメガプラットフォーマーと対抗するという側面があるとともに、両社の台所事情も影響している。特にSBGについては、孫氏が創成した10兆円の「ビジョン・ファンド」が投資するシェアオフィス大手・米ウィー・カンパニー(We Workを運営)が新規株式公開(IPO)を延期したのを境に市場ではビジョンファンドが投資する他のユニコーン企業群についても疑念が持たれはじめている。直近の7〜9月期決算はビジョン・ファンドの巨額損失で「ぼろぼろ。真っ赤っかの大赤字」(孫社長)に転落した(最終損益は7001億円の赤字)。

 一方、LINEも主力の対話アプリの成長が頭打ちとなり、新たな収益源の確保に迫られている。金融事業を含む戦略事業の営業損益は赤字で金融事業のテコ入れは待ったなしである。両社が接近するのは自然の流れと言える。

7月4日、ソウルで文在寅・韓国大統領と握手を交わす孫正義ソフトバンク会長兼社長(左)と握手を交わす(青瓦台提供)
7月4日、ソウルで文在寅・韓国大統領と握手を交わす孫正義ソフトバンク会長兼社長(左)と握手を交わす(青瓦台提供)
流れを決定付けたのは孫氏の韓国政府への接近
 そして、その流れを決定付けたのが孫氏の韓国政府への接近だった。経産省関係者は、「孫正義氏は7月上旬にソウルで文在寅大統領と会って握手している。韓国から金を引っ張るつもりだ」と筆者に明かしていた。その席で何が話されたのか。ビジョン・ファンドへの協力とともに、LINEの親会社である韓国ネイバーへの働きかけがあったのではないか。
https://bunshun.jp/articles/-/15475?page=2


ヤフー親会社、ZOZOの連結子会社化を完了
2019年11月14日 13時07分 公開
[ITmedia]
印刷
52
Share
0
PR
ご存知ですか?ソフトバンクグループの大学【入学金0円】
PR
Synology Japan代表に聞く2020年に向けた展望
 ヤフーを傘下に持つZホールディングス(HD)は11月14日、ZOZOの買収が13日に完了したと発表した。9月30日から行っていたTOB(株式公開買付け)によって、約4007億円を投じ、ZOZO株式の50.1%(議決権ベース)を取得した。ZOZOはZHDの連結子会社となる。

photo
ZHDがZOZOの連結子会社化を完了(=9月12日撮影)
 ZHDは、ZOZOが運営するファッションECサイト「ZOZOTOWN」を取り込み、EC事業の購入者数、取り扱い高、営業利益を拡大する狙い。ヤフーが運営するECプラットフォーム「PayPayモール」にZOZOTOWNを近く出店させ、送客力を強化する狙いもある。ZHDが提供するモバイル決済サービス「PayPay」をZOZOTOWNに導入することも計画している。

photo
ZHDによる開示資料
 ZHDの川邊健太郎社長は、9月12日に買収を発表した際の記者会見で「2020年前半までに国内EC事業者でナンバーワンを達成する」とし、「楽天やAmazonは強いんじゃないの? と思われるかもしれないが、かなり現実的に手が届きつつある」と自信を見せていた。

 ZHDはコマース事業や決済事業の強化により、海外のプラットフォーマーにも対抗する方針で、現在はLINEとの経営統合に向けて協議している。

Copyright c ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

- PR -

関連記事
ヤフーがZOZO買収に至った理由とは? ヤフー・ZOZO・前澤氏、三者三様の思惑ヤフーがZOZO買収に至った理由とは? ヤフー・ZOZO・前澤氏、三者三様の思惑
前澤友作氏、新生「スタートトゥデイ」創業を発表 ZOZO社長を退任直後に設立、会見ではあえて触れず前澤友作氏、新生「スタートトゥデイ」創業を発表 ZOZO社長を退任直後に設立、会見ではあえて触れず
PayPay軸に「海外のプラットフォーマーに対抗」 ヤフー改め「Z」、川邊社長の狙いPayPay軸に「海外のプラットフォーマーに対抗」 ヤフー改め「Z」、川邊社長の狙い
ヤフー親会社とLINE、「経営統合」報道にコメント 「協議を行っていることは事実」ヤフー親会社とLINE、「経営統合」報道にコメント 「協議を行っていることは事実」
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1911/14/news092.html
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/636.html

[経世済民133] トランプがマイナス金利にご執心!?日本はトクしていると勘違い? パウエル議長、中国経済を理解するのは至難  いつまで続くか、日本株への海外資金流入−買い戻しなら5合目 グローバル株1年でさらに20%高も フィリピン政策金利据置 ダイムラー、メルセデスで人員削減へ−1200億円超のコスト圧縮

 
トランプがマイナス金利にご執心!?日本はトクしていると勘違い?
Japan’s Topsy-Turvy Economy Is the United States’ Economic Future

2019年11月14日(木)16時38分
ウィリアム・スポサト(ジャーナリスト)

 

ジェットコースターで成人を祝う日本人(2019年1月14日) Issei Kato-REUTERS

<かねてから金利引き下げによるドル安誘導をFRBに要求してきたトランプ米大統領が、今度は世界の国々がやっている「マイナス金利」をアメリカにもよこせ、と言い出した。そんな倒錯した世界になぜ足を踏み入れたいのか。まず、今の日本を見るべきだ>

ドナルド・トランプ米大統領が経済学の大家だなどとは誰も思わないが、金融政策についての考えは一貫している。アメリカは世界一の低金利国であるべきだ、というのだ。アメリカの製造業、特に輸出企業はこれを歓迎するだろう。低金利はドル安圧力となり、国際市場での米国製品の価格を引き下げるからだ。

とはいえ、EU、日本と利下げ競争を繰り広げれば、アメリカもマイナス金利に突入しかねない。金利引き下げに固執するトランプはFRBと真っ向から対立している。FRBは今年、政策金利の誘導目標を3回引き下げ、現在は1.5〜1.75%としているが、経済が大幅に失速しない限り、これ以上は下げないと明言している。

トランプは12日の演説で、またもやFRBを槍玉に上げた。複雑な経済問題を単純な損得勘定で考えるおなじみのトランプ節でこう言ってのけたのだ。「われわれが競争している国々はおおっぴらに金利を下げている。そのおかげで、今や多くの国が、借金をすることでカネを稼いでいる。これがマイナス金利というものだ。私もそのカネの一部が欲しい。そのカネをこっちにも回してくれ」

トランプのおねだりは叶うかもしれない。ローレンス・サマーズ元財務長官は最近、CNBCのインタビューで「もう1回景気後退」があれば、アメリカもマイナス金利に突入する可能性があると語った。「全ての国がゼロ金利にしがみつけば、我々は異次元の世界に入る」

不可解な新種の経済リスクが生まれ、容赦ない特殊な重力が働く異次元ワールドは、マイナス金利が当たり前になった日本に既に出現している。欧米諸国が好むと好まざるに関わらず、ほどなく突入する経済ディストピアがどんなものか知りたければ、今の日本を見るといい。

日銀が陥った「流動性の罠」
日本経済は1990年に不動産・株式市場でバブルが崩壊した後、長期にわたって停滞した。政府と日本銀行は「失われた20年」から脱出するため、ずるずると金利を下げて、ついにはマイナス金利に踏み切った。

物価と賃金が下がり続けるなか、政府・日銀は金利を引き下げれば企業の投資が活発化し、インフレが進むと考えたのだ。同時に、政府は大型の財政出動を繰り返し、国の借金は記録的なレベルに膨れ上がった。だが少子高齢化で思うような成果は上がらない。一体どうすればいいのか。低金利政策と大盤振る舞いを続けるほか、これといった解決策は見当たらない。

日本が主要国では初めてゼロ金利政策に踏み切ったのは1999年。日銀はデフレを止めるため、借り入れコストをほぼゼロにし、市場に資金を供給しようとした。これにより市中の銀行が優良企業に融資し、優良企業が活発に投資を行い、結果としてインフレが起きるはずだったが、そうは問屋が卸さなかった。金利が異常に低いと、投融資のリターンが低過ぎて資金は銀行口座に滞留するようになる。この「流動性の罠」のせいで、いくら通貨供給を増やしても市場には資金が回らず、経済は低迷を続けた。

次のページ長引くマイナス金利

長期の停滞から脱出しようと、強いカンフル剤を何度も打つ──そんな安易な治療用はかつて、日本経済の特殊性や日本の国民性のなせる業とみなされ、欧米のエコノミストに「ジャパン・プロブレム」と呼ばれた。だが今や、日本は例外ではなく、ほかの国々がたどる道を示す先例にすぎないとの見方が強まっている。

2013年に黒田東彦(くろだはるひこ)が日銀総裁に就任して以来、金融政策はそれまでよりはるかに攻撃的なものとなった。黒田は、2008年の金融危機の最中にFRBが主導した量的緩和を超える異次元緩和の導入を宣言。「質的・量的金融緩和」と呼ばれるこの政策は、各国の中央銀行と比べても桁違いの大盤振る舞いだった。

黒田は資金をジャブジャブ供給してデフレ思考から日本を解き放つと豪語。当初2年を目処に2%のインフレ目標を設定したが、今では楽観的過ぎたと認めている。それでも多少の効果はあった。0.5〜1%のペースで下がり続けていた物価は、現在1%弱のペースでまずまず着実に上昇している。

その間、日銀は短期金利をマイナス0.1%まで引き下げ、長期金利の指標となる10年物国債の利回りがゼロとなるよう買いオペレーションを行っている。だが、これには途方もなく大きなリスクが伴っていた。

財政ファイナンスの旨味も
日銀は目下、年間80兆円(約7350億ドル)の国債を買い入れている。証券市場にも積極的に介入し、ETF(上場投資信託)とREIT(不動産投資信託)を買い入れている。その危険性は、中央銀行のバランスシートが危険なレベルにまで膨らむ可能性があることだ。

黒田の就任以来、日銀の資産と負債は2.5倍に膨らみ、戦後初めて日本のGDPを超えた。伝統的な経済学の理論では、ここまで金融緩和が進めば、インフレの暴走が始まり、第二次大戦前のドイツのように国家が破産する事態になりかねない。

日銀が国債を買い入れてくれるのなら金利上昇で成長が阻害されるリスクもないため、政府はどんどん財政赤字を拡大できる。日銀は、国の借金を肩代わりしているという批判に強硬に反論しているが、今や国債の発行残高に占める日銀の保有比率は43%前後に上る。

もちろん、これは日本だけの現象ではない。2014年にマイナス金利を導入したECB(欧州中央銀行)は金融緩和を再開し、マイナス金利を深掘りして、9月にマイナス0.5%まで引き下げ、併せて銀行に及ぼす影響を軽減するため金利階層化を導入した。

ブルームバーグ・バークレイズ世界マイナス利回り債券指数によれば、世界のマイナス利回り債券の発行残高は今年8月時点で史上最高の17兆ドルに上った。その後ピーク時より減ったものの、現在でも世界の債券市場全体の15〜25%をマイナス利回り債券が占めると見られている。

「各国の中銀がほぼ軒並みマイナス金利に転落したが、予想よりもはるかに長く、この状態が続くことがようやく分かってきた」と、富士通総研の主任研究員マルティン・シュルツは言う。「日銀はそうしたトレンド上の点にすぎない」

次のページトランプの下心は
マイナス金利のコンセプト自体、常識に反している。後で返ってくる金が減るのに、金を貸す人がいるだろうか。2001年に東京金融取引所が取引ソフトを(マイナス入力ができるように)変更し始めた時には、懐疑的な見方が多かった。

だが金融システムの中では、投資家は幾つかの理由から少なくとも短期債についてはマイナス金利で買い入れをすることが分かった。そのひとつの理由は利便性だ。米国債など流動性の高い証券は、自己資本比率の基準をクリアするのに便利な保有手段だ。それに、マイナス金利も将来さらに引き下げられれば、債券の価値が上昇するというメリットもある。

マイナス金利が生む歪みは、金融システムに影響をもたらす。その第一の被害者が、国債の売買で利益を上げてきた銀行だ。重要な買い手は日本銀行だけで価格もほとんど変動せず、市場の流動性は失われている。

より大局的には、超低金利は銀行が利ザヤ(貸付金利と預金金利の差)を稼ぐのを難しくする。日本の優良企業は手元資金が506兆円もあるといわれ、銀行から金など借りてくれない。住宅ローン金利(固定金利)も0.8%前後で儲からない。銀行は利ザヤの縮小を理由に、リスクの高い中小企業や新興企業への融資は積極的に行わなかった。それこそ、日本経済の長期的な成長に必要だと、政府・日銀は奨励したのだが。

現代貨幣理論(MMT)の魅力
ではトランプはなぜ、この奇妙な世界に足を踏み入れたがっているのか。彼はドルの水準が高過ぎると強い懸念を示してきた。これについては、一部もっともな懸念でもある。日本政府は現在の円の対ドルレートが20年前からほぼ変わっていないと指摘したがるが、インフレ率を加味した実質実効レートでは、円は1970年代以降で最安値に近い。

トランプが低金利に関心を持つのには、もうひとつ考えられる理由がある。中央銀行が多額の国債を買い入れることで低金利を支えれば、国の借金返済はラクになる。財政赤字が1兆ドル近くに達するなか、これが連邦予算に持つ意味は小さくない。2019会計年度の米政府の債務返済コスト(利払い費用)は3760億ドルで、連邦予算の中で最も大きな割合を占める項目のひとつだ。

共和党は伝統的に政府の債務が大きくなり過ぎることを警戒してきたが、トランプが大統領になってからその慎重さは失われている。民主党の一部は、政府はインフレを引き起こすことなく、これまで考えられていた以上に多額の債務を抱え続けることができるとする説を支持しているが、この点においては共和党も実質的に同じ立場なのだ。

現代貨幣理論(MMT)として知られるこの考え方は、日本を「完璧なケーススタディー」だとしている。日本は対GDP比230%前後という高水準の政府債務を抱え、日銀のバランスシートも拡大を続けているが、急激なインフレが発生するリスクはほとんどなさそうだ。

次のページ日本自身はMMTを否定

 しかし日本自身は、MMTを認めていない。政府が赤字を積み増し、日銀が新たな債務を吸収し続けているなかでも、財務省と日銀は「日本は正常な状態に戻り、徐々にバランスシートを縮小していかなければならない」と主張している。

日本政府は最近、巨額の債務を少しでも減らし、高齢化社会に備えて社会保障費の安定した財源を確保する計画の一環として、消費税を8%から10%に引き上げた。日銀の黒田は衆議院の財政委員会でMMTについて質問を受けると、「日本の財政状況がMMTの議論を裏付けていることは全くない」と答えた。麻生太郎財務相は、MMTは「極端な考え方であり、財政規律を緩めるのは危険だ」と指摘。日本政府の金遣いの荒さを考えると皮肉にも思える発言だ。

2008年の金融危機で分かったように、流動性は一夜にして消え去る可能性がある。各種金利が歴史的な水準を回復すれば、債券保有者は大規模な評価損を抱えることになり、デフォルト(債務不履行)の連鎖が引き起こされる可能性がある。だが日本の財政についてはもう30年近く同じことが言われてきた。「中央銀行はあらゆる人の救済に前向きな姿勢を示しており、少なくとも当面の間、財政破綻のリスクは低い」と富士通のシュルツは言う。

問題は長期的な展望だ。今後の見通しに警鐘を鳴らしているひとりが、世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者レイ・ダリオだ。彼は最近、リンクトインに「世界は狂いシステムは壊れた」と題するエッセーを投稿した。この中で、富と機会の格差拡大の危険性を警告している。ダリオは、株式も債券も、余剰資金がますます問題のある投資に注ぎ込まれていると指摘。同時に、各中央銀行は永久に債券を買い入れ続けることはできず、経済の減速にともなって市場から手を引く必要があり、それが金利の急騰や株価や債券価格の暴落を招くとも主張した。

「このような状況は持続不可能であり、これ以上こうしたやり方を続けていくことはできない」と、ダリオは結論づける。しかしこの分析をもってしても、トランプの意思を揺るがすことはできないだろう。

From Foreign Policy Magazine

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13383.php


 

 
パウエル議長、中国経済を理解するのは「至難の業」−議会証言
Jeff Kearns
2019年11月14日 15:54 JST
中国のデレバレッジキャンペーン、世界的な成長鈍化の一因に
30年もの間急成長を遂げていた中国経済の成熟化にも言及
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、中国経済に何が起きているのかを知るのは困難だと述べるとともに、同国政府が進めるデレバレッジ(過剰債務の削減)キャンペーンが世界的な成長鈍化の一因であるとの見方を示した。

  上下両院合同経済委員会で13日に証言したパウエル議長は、「中国を理解するのは至難の業だ」と指摘。「どんな資料でも望めば読むことができるし、いつでもそこを訪れることが可能だが、中国経済がどのように動いているのか理解したと実感するのはまだ非常に難しい」と語った。

Fed Chair Jerome Powell Testifies Before Joint Economic Committee
上下両院合同経済委員会で証言したパウエル議長(11月13日)
  サンフランシスコ連銀のデーリー総裁もこの日、中国経済の成長鈍化の理由を知るのは容易ではないとして、パウエル議長と同様の見解を示した。

  デーリー総裁はサンフランシスコでのブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、同国経済の減速のうちどの程度が、二桁成長からより落ち着いたペースへの自然な経済成熟化によるもので、どの程度がシクリカル(景気循環的)なものなのか、はっきり理解するのは困難だと話した。

  パウエル議長も中国経済の成熟化に言及した上で、同国指導部として過去30年もの急成長からの長期的なペースダウンを果たそうとしているものと見受けられると説明。ただ、景気てこ入れの取り組みは金融危機後のものに比べると緩やかだと指摘した。

  「彼らは現在のこうした状況に大型刺激策で対応してはいない」とパウエル議長はコメント。「彼らはもっと注意深く慎重だ。ご存じの通り、彼らはこの1年ないし2年にわたりデレバレッジのキャンペーンを進め、その手を緩めていない。そして、少なくとも債務拡大に歯止めをかけようとすることで、世界的な鈍化の一因となっている」との見方を示した。

原題:Fed’s Powell Says Understanding China’s Economy Is ‘Very Hard’(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-14/Q0Y1D66K50XU01?srnd=cojp-v2

 

いつまで続くか、日本株への海外資金流入−買い戻しなら5合目
河元伸吾
2019年11月14日 17:10 JST
• 海外勢が6週連続で現物株を買い越し、累計で1.6兆円
• 買い余力は十分、18年高値の日経平均2万4448円も−大和証・石黒氏
海外投資家は6週連続で現物株を買い越した。TOPIX(東証株価指数)は8日の取引時間中に昨年10月以来の高値を付けたが、海外からの資金流入が支えた格好だ。市場では、年初から持ち高を外していた外国人投資家の買いとの見方があるが、継続性については見方が分かれる。
  東京証券取引所が14日に発表した投資部門別売買動向(東証、名証1・2部等合計)によると、11月1週(5ー8日)の買越額は4602億円。先物を含めると5801億円で5週連続の買い越しとなる。年初から9月27日までに現物株を約3兆円売り越した海外勢は、その後の6週間の買越額が約1.6兆円となった。半分ほど買い戻した計算になる。
  大和証券投資情報部の石黒英之シニアストラテジストは、海外勢の買い余力はまだ十分あるとみる。石黒氏は現物株1兆円の買い越しの感応度は日経平均で2.5%の押し上げ効果として換算できると試算し、「年末に向けて18年10月2日の日中高値2万4448円近くまで上昇する可能性がある」と数字をはじく。
  もっとも14日のTOPIXは続落した。12日まで6営業日連続で上昇したが、息切れ感も出ている。みずほ証券エクイティ調査部の三浦豊シニアテクニカルアナリストは米中貿易協議の難航や香港情勢の緊迫化から海外勢も慎重になっているため、月内は日経平均株価2万2500円までのスピード調整があると話した。
  東海東京調査センターの関邦仁ストラテジストも「もはや割安とは言えない」と指摘する。TOPIXの株価収益率(PER)が13年のアベノミクス以降の平均を上回ってきており、「米中貿易合意が確実に署名されるまで、株価の大幅な上昇は見込めない」という。海外勢の買い戻しが続くかは、世界経済に悪影響を与えた通商問題の決着に向かう流れが強まるかどうかにかかっている。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-14/Q0TZVUT0AFB401?srnd=cojp-v2

 
グローバル株1年でさらに20%高も、資金が流入に転じれば−シティ
Adam Haigh
2019年11月14日 16:17 JST
グローバル株式市場の騰勢への逆風が向きを変える兆しが表れており、その場合には株価がさらに押し上げられる可能性があるとシティグループが指摘した。
  グローバル株の指標が年初来で20%上昇する中で、投資家は株式を2300億ドル(約25兆円)相当売り越したとロバート・バックランド氏らストラテジストが13日のリポートで指摘。そのような現象は過去に2回しか起きたことがなく、トレンドが反転した段階で、資金流入により株価はその後1年でさらに20%上昇したという。
  シティのチームは「11月はこのままいけば、新興国・先進国市場の株式ファンドに2年ぶりに資金が流入する月となる。それが続けば、上昇にさらに勢いが加わることもあり得る」と分析した。

  「同じような株価と資金フローのデカップリングは2012年と16年にも起きた。いずれも資金流出が流入に転じたことに伴い、グローバル株式はその後12カ月でさらに20%上昇した」とストラテジストらは指摘した。
原題:Citi Says Next Leg in Bull Market Coming as Outflows Turn Around(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-14/Q0XYPUT0G1L401?srnd=cojp-v2


フィリピン中銀、政策金利を4%に据え置き−追加緩和見送り
Siegfrid Alegado、Ditas B Lopez
2019年11月14日 18:40 JST
ブルームバーグが調査したエコノミスト19人全員の予想通り
7−9月GDPは前年同期比6.2%増、4−6月期から成長加速
フィリピン中央銀行は14日、政策金利を据え置いた。7−9月(第3四半期)の国内総生産(GDP)成長率が持ち直したことから、追加的な金融緩和を見送った。

  中銀は指標の政策金利を4%に維持。ブルームバーグ・ニュースが調査したエコノミスト19人全員の予想通りだった。 

Philippine economic growth quickens as inflation ebbs
  ジョクノ中銀総裁は今月、今年の金融緩和は終わったと示唆していた。7−9月期GDPは前年同期比6.2%増と、4−6月(第2四半期)の5.5%増から、成長が加速していた。

原題:
Philippines Leaves Benchmark Rate Steady After Economy Rebounds(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-14/Q0YAAVDWLU6B01?srnd=cojp-v2


 


ダイムラー、メルセデスで人員削減へ−1200億円超のコスト圧縮目指す
Christoph Rauwald
2019年11月14日 18:18 JST
業績向上の取り組みの一環として、管理職の10%を減らす計画
ダイムラー株、フランクフルトでの取引で一時4.7%下げた
ドイツの自動車メーカー、ダイムラーは14日、メルセデス・ベンツ乗用車部門で人員を削減する計画を発表した。自動運転車や電気自動車への急激なシフトに対応する。

Mercedes Shows Offroad Looks for Concept Compact SUV in China
ダイムラーのオーラ・ケレニウス最高経営責任者(CEO)
  ダイムラーは人員削減に伴い2022年末までに10億ユーロ(約1200億円)超のコスト圧縮を目指す。業績を向上させる取り組みの一環として、管理職の10%を減らす計画。

  ダイムラーの株価はフランクフルトでの取引で一時4.7%下げた。

原題:Daimler Targets $1.1 Billion in Savings With Mercedes Job Cuts(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-14/Q0YAL2T1UM1601?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/637.html

[国際27] GSOMIA失効と韓国の「右往左往」 米韓制服組トップが軍事委員会、GSOMIAも議題に
GSOMIA失効と韓国の「右往左往」
2019年11月14日(木)11時36分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

119
3

日韓の国旗(日本国旗は、在日韓国大使館に日本の政治団体が抗議で掲げたもの。2012年) Yuriko Nakao-REUTERS

11月23日を以てGSOMIAが失効する。撤回は困難だろう。8日には在韓米軍駐留費の5倍増を韓国は拒否。一方、米韓合同軍事演習だけはするので北の激怒を招いた。韓国の右往左往と東アジアの地殻変動を考察する。

GSOMIA破棄の撤回は困難
今月23日に日韓のGSOMIA(軍事情報包括保護協定)が失効する。8月22日に韓国はGSOMIA破棄を宣言したのだが、その2日前の20日には中韓外相会談を行っており、もし継続すれば国交断絶もあり得るというほどの威嚇を中国側から受けていた。なぜなら日韓GSOMIAは、北朝鮮や中国などの軍事動向を偵察して、秘密裏に日本に通報するためのものだからだ。

アメリカがINF(中距離核戦力)全廃条約から離脱した後に、逆に中距離弾道ミサイル開発を積極的に強化し、その配備(ポストINF)を韓国やオーストラリアあるいは日本などに要請してきたが、それを含めて中国は韓国に激しい揺さぶりをかけていた。

そこに日本が半導体3品目の輸出審査の厳格化やホワイト国除外などの対韓輸出規制に踏み切ったものだから、中国としては日韓の亀裂を喜び、一気に韓国を中国側に引き付けようと韓国に圧力を掛けていたのである。もしポストINFの配備を承諾などしたら、THAAD(サード)配備の時のような経済制裁では済まされないと脅していたのだ。

だから韓国は当然のごとくポストINFの配備を断ったが、同時進行で日本からのホワイト国除外という厳しい措置を受けていたため、GSOMIA破棄を宣言したのであった。

しかし、そうしておきながら、韓国内の経済の低迷や反日一辺倒では世論を引き寄せることができないことに気が付いた文在寅大統領は、親日派の李洛淵(イ・ナギョン)首相を使って日本にすり寄るようなメッセージを発信させている。これは早くも8月26日に実行され、李洛淵に「日本の不当な措置が元に戻れば、韓国政府もGSOMIAを再検討するのが望ましい」と述べさせている(これに関しては8月27日付コラム<嘘つき大統領に「汚れ役」首相――中国にも嫌われる韓国>で詳述した)。

次のページ米韓合同軍事演習は中止できず
その手段は今も変わっておらず、特にアメリカの説得を受けて「撤回の検討」の余地があるような発言をまた試みているが、「あくまでも日本がホワイト国除外などの措置を撤廃すれば」という条件付きで、日本としては飲めないところだろう。韓国としても、世論(の一部)が許さない。

それでいながら米韓合同軍事演習:金正恩激怒
しかし、文在寅政権は「GSOMIA破棄は、アメリカとの同盟には影響しない」と苦しい弁解をしており、その証拠とばかりに、韓国は12月に米韓空軍による合同軍事演習を実施することを選択した。11月7日に米韓双方の政府関係者が個別に発表した。

中国の中央テレビ局CCTVは11月8日、韓国の聯合ニュースの情報として特集を組んで報道し、かつネットで「米韓合同軍事演習を挙行 北朝鮮:忍耐の限界に近付いている」というタイトルで文字起こしして報道している。 

それによれば、韓国の国防部が7日の記者会見で「米韓は11月中旬に規模を縮小したビジラント・エース(Vigilant ACE) (中国語では警戒王牌)に相当する空軍合同演習を挙行する」と表明したとのこと。

この日程に関しては、アメリカの国防総省の発表では12月としているが、「近い内に」ということに関しては変わらない。

そこで北朝鮮の外務省は「韓米合同空軍演習は、疑いもなく対(北)朝鮮への敵対行為であり、(北)朝鮮の忍耐心は極限に近づいており、絶対にこの軍事行動を座視していることはない。(北)朝鮮は長いこと、この米韓合同軍事演習を"侵略戦争の演習だ"として非難してきた」と語ったと、CCTVでは報道している。また金正恩政権は「8月には米韓合同軍事演習をやめない限り、南北会話は存在し得ないと警告してきたはずだ」と怒りを露わにしたそうだ。

CCTVは声を大にして北朝鮮の怒りを伝えたが、それは中国の米韓に対する怒りでもあると筆者には映った。

一方、11月3日には、この軍事演習をやめるという韓国政府関係者の発言があったと、同じく韓国の聯合ニュースは伝えたばかりで、数日もしないで、その方針は覆されたことになる。

ということは、韓国側としては中止したかったが、アメリカ側がそれを許さなかったということになろう。中止するというニュースは11月3日付のRFIの中国語版でも報道されていた。

次のページ在韓米軍駐留費5倍増の要求
韓国が追い詰められている様子が、こういう「右往左往」からも読み取れる。

「在韓米軍駐留費5倍増を韓国が拒否」と中国は大きく報道
中国共産党機関紙「人民日報」傘下の「環球時報」やCCTVが、待ってましたとばかりに意気揚々と報道したのが、「アメリカが韓国に要求した在韓米軍駐留費の5倍増」を韓国が拒否したという事実だ。

11月8日付のCCTVは「47億米ドル!アメリカは韓国に天文学的"保護費"を要求、韓国拒否」というタイトルで、長々とアメリカの要求を韓国が拒否した事実を報道した。

第11回目の在韓米軍「防衛費分担特別協定(SMA)」協議の中で、ワシントンは「獅子大開口(ライオンが大口を開けて弱い者を飲み込むように、貪欲に、過度に大きい物質的要求を出すこと)」をして韓国にこれまでの負担金(8.61億米ドル)の5倍の金額を要求した。これは来年、日本やNATOに対して要求する金額の基準となるものだとCCTVは解説している。

またsohu.comは「十回に及ぶ交渉は失敗に終わった、アメリカは順番に圧力を掛けているが、それは中国に良い警鐘を鳴らしてくれた」という報道をしている。

それによれば、アメリカは韓国にGSOMIA放棄を撤回させ、また韓国がアジア太平洋戦略に参加するよう求め、ヨーロッパや日本などの他の国がアメリカに上納する」保護費」の標準を樹立しようとしているが、これは失敗に終わるだろうとのこと。

そして何よりも、中国がこの事態から学ぶべき教訓は「自国を守る軍事的整備は、自国が完結させなければならず、それができないと、このような哀れな"保護費"上納というようなことをしなければならない二等国、三等国へと成り下がる。だから中国はそうならないように軍備を万全にしなければならない」(概要)ということであると、自戒している。

中国に有利な東アジアの地殻変動を招いたのは誰か?
こうして中国は軍事強国への道をさらに強化し、そして韓国を自国側に惹きつけることに余念がない。

たとえば全く無関係のようなアセアン・サミットの報道においても、11月6日付の「人民日報」は「李克強第14回アセアン・サミットに出席」という見出しで、そこに出席したアセアン10ヵ国の指導者以外の国の指導者の名前を紹介しているが、その順序が興味深い。「韓国の文在寅大統領、ロシアのメドベージェフ首相、日本の安倍晋三首相・・・」というように、トップに韓国とその指導者の名前を持ってきて報道しているのである。

次のページもし韓国が中国に付いたら
そんな細かいことと思われるかもしれないが、このような細かなところにこそ中国の真意が潜んでいて、見逃せない。

韓国がもし、中国側に付いてしまうとすれば、東アジアの大きな地殻変動が起きる。

ここまで韓国を持っていったのは、もちろん韓国自身ではあるが、その背中を押したのは日本だ。

文在寅政権になってから、慰安婦問題や徴用工問題などが日韓の間に横たわり、特に徴用工問題では、明らかに韓国が国際上の約束に反しているのだから、韓国が反省しなければならないし、また何らかの処罰を韓国が受けなければならないのは論を俟(ま)たない。

しかし、ストレートにその問題を追及すべきところ、日本は業を煮やしたのか、遂に今年7月に半導体三品目に関して輸出審査を厳しくし、またホワイト国から除外した。

ホワイト国とは、「大量破壊兵器などの拡散を防ぐための輸出管理体制が整っているとして信頼に足る国」で、そこから除外するということは「信頼できないから」であるはずだ。「大量破壊兵器などの拡散を防ぐための輸出管理体制が整っているとして信頼に足る国か否か」は即ち、「安全保障上、信頼できる国であるか否か」に掛かっている。

そこから除外したということは「安全保障上、信頼できない国と判断した」ことにつながる。

この論理構造は明快だが、日本は「次元が違う話」として位置づけている。

すなわち、安全保障上信頼できないからこそホワイト国から除外しているのに、安全保障上緊密な信頼関係にあるからこそ締結するGSOMIAには留まるべきだというのが日本政府の論理だ。

この二つは次元の異なる問題だそうな。

これではアメリカも困るだろう。

日本は初期行動を間違えてはしないか。

このままでは中国を利するのみだ。

そこにさらに中露蜜月としてのロシアが入ってくる。

この解明と分析は拙著『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』で詳述しているが、少なくともこのような状況下で、安倍首相は習近平国家主席を国賓として招くことなどやるべきでないのは確かだ。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

[執筆者]遠藤 誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』(11月9日出版、毎日新聞出版 )『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『?子(チャーズ) 中国建国の残火』、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。

≪この筆者の記事一覧はこちら≫

米韓制服組トップが軍事委員会、GSOMIAも議題に
2019年11月14日(木)16時28分

0
0

 11月14日、米軍制服組のトップ、ミリー統合参謀本部議長と韓国軍制服組トップの朴漢基合同参謀本部議長らが、ソウルで米韓軍事委員会(MCM)を開いた。MCMは米韓の参謀議長級の年次総会で、両国で1年単位で相互訪問し、会議を開いている。提供写真。2016年8月撮影(2019年 ロイター)

[ソウル 14日 ロイター] - 米軍制服組のトップ、ミリー統合参謀本部議長と韓国軍制服組トップの朴漢基合同参謀本部議長らが14日、ソウルで米韓軍事委員会(MCM)を開いた。MCMは米韓の参謀議長級の年次総会で、両国で1年単位で相互訪問し、会議を開いている。米韓の軍事協力や北朝鮮情勢などについて意見を交わすことが目的。このほか米国側は、在韓米軍の駐留費用の韓国側の負担を増やすよう求めるとみられる。

北朝鮮は前日、米国が来月予定する韓国との合同軍事演習を強行するなら報復すると警告した。最高指導機関である国務委員会が異例の声明を発表した。ただ、詳細には踏み込まなかった。[nL4N27T3V3]

23日午前0時に失効する日本と韓国との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)についても話し合われるとみられる。

ミリー議長は在韓米軍の駐留費用の分担にも言及するとみられている。

韓国軍の報道官は「ミリー議長は、駐留費用の韓国側の負担拡大とGSOMIA維持に重点を置くとみられる」と述べた。

14日午後にはエスパー米国防長官も訪韓し、15日に鄭景斗国防相らと米韓定例安保協議(SCM)を開く予定。
https://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2019/11/253464.php



http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/728.html

[経世済民133] 経団連提言 消費税率さらに引き上げも 社会保障を持続可能に 停滞するGDP、強靭化に加え成長投資にも大型の財政投入論 中国大幅鈍化 米中合意難航 FRB議長、過去最長の景気拡大 市場は懐疑 ECB追加緩和休止示唆 米S&P最高値 円上昇
経団連提言 消費税率さらに引き上げも 社会保障を持続可能に
2019年11月14日 6時37分

経団連は年金や医療、介護といった社会保障制度を持続可能なものにするため、先月、10%に引き上げた消費税率をさらに引き上げることも有力な選択肢の一つとして、国民的な議論を行う必要があるとした提言をまとめました。

それによりますと、国民の将来不安を払しょくするためには、巨額の債務を抱える財政の健全化が必要で、国民の理解を得ながら歳出・歳入両面の改革が不可欠だとしています。

そのうえで、将来世代に社会保障制度を持続可能な形で引き継ぐために、消費税率を10%からさらに引き上げることも有力な選択肢の一つとして国民的な議論を行うべきだと提言しています。

政府はことし9月、全世代型社会保障制度の構築に向けた検討会議を設置して社会保障の給付と負担のあり方について議論を進めていますが、消費税率のさらなる引き上げは現時点では検討していないとしています。

経団連は「社会保障などの歳出面の改革に加えて、国民負担の増加を伴う財源の確保は避けて通れない課題で、消費税率のさらなる引き上げについては国民的な議論を喚起すべきだ」としています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191114/k10012176631000.html?utm_int=all_side_ranking-social_004


ビジネス2019年11月14日 / 16:02 / 6時間前更新
焦点:
停滞するGDP、強靭化に加え成長投資にも大型の財政投入論
Reuters Staff
2 分で読む

[東京 14日 ロイター] - 7―9月の国内総生産(GDP)は辛うじて4四半期連続のプラス成長を確保したが、消費増税前でも潜在成長率を下回り、足取りはひ弱だ。増税や災害により10―12月はマイナス成長に陥る見通しで、来年も五輪後の特需剥落などで通年で低成長が予想されている。

政府の経済財政諮問会議では、災害からの復旧や防災など建設国債の対象となるインフラ投資だけでなく、持続的成長に必要な消費活性化や人材投資などに大規模な財政資金を投入するため、赤字国債活用の声も浮上している。

<増税前でも潜在成長率に届かず>

消費増税を前に駆け込み需要が期待された7―9月GDPは年率0.2%成長と、1%弱とされる潜在成長率を大きく下回る結果となった。

政府が需要平準化対策に力を入れたこともあり、消費増税前後の山と谷は前回より小幅となっているとはいえ「潜在成長率を下回ったという意味で、景気は消費増税を待たずに停滞していたことが確認された」(伊藤忠総研の武田淳チーフエコノミスト)との声がある。

10―12月期について、調査機関のエコノミスト35人による「フォーキャスト調査」では年率マイナス2.6%程度の落ち込みが予想されている。SMBC日興証券は「消費増税に伴う駆け込みの反動に加えて、貿易摩擦の深刻化が寄与する世界経済の失速を映じてマイナス成長へ転落する」(丸山義正チーフエコノミスト)との見方を示している。もっとも、来年前半は五輪に向けてプラス成長に復帰する見通しで、10―12月期のマイナスも景気の腰折れを示すものとは受け止められていない。

<来年の予測はわずか0.4%成長>

フォーキャスト調査では、五輪後の特需剥落を含めると、20年度全体ではわずか0.4%の低成長が予測されている。

ある政策当局者は、クレジットカードの請求が来る年明けに、使い過ぎたと感じる消費者が消費を控えることを懸念。また、増税対策として実施されているキャッシュレス決済に対するポイント還元は、20年6月末に終了する。さらに、五輪特需が終わった後の対策を促す声もある。

今月7日の経済財政諮問会議の議論では、需要減退により再びデフレに逆戻りするのではないか、との声も強まった。

安倍晋三首相は、7日の諮問会議で「3年間で7兆円のプランとなっている国土強靭化をパワーアップしていく」と述べ、台風被害なども踏まえた新たな経済対策を近く発表する予定だ。7兆円のうち、今年度終わりまでにうち7割程度の5兆円が実施される見込みだ。

政府は19年度補正予算と20年度予算を合わせて、15カ月予算を編成する。諮問会議では、来年6月以降もキャッシュレス決済を支援して消費活性化を図るほか、来年の五輪後の経済落ち込みも勘案し、スタンスの長い事業を今から次々手を打っていかなければいけないといった意見も出ている。

こうしたことから、民間エコノミストも停滞する景気は経済対策により、ある程度相殺されるとみている。

<成長投資も大規模に 赤字国債活用で>

景気対策として公共工事の拡大論ばかりが進めば、民需主導の成長を促す施策がおろそかになるとの懸念もある。

諮問会議では、財政支出の拡大に慎重な財務省の立場を代表して麻生太郎財務相が「公共工事でいくには人の絶対量が不足している」と述べ、民需主導の持続的成長を促す施策を考えるべきとした。

民間議員からも、公共事業だけでなく人材投資など成長力強化につながる無形資産にも財政資金を大規模に投入すべきとの意見が相次いだ。

竹森俊平・慶応義塾大学教授は建設国債は認められるが、それ以外のものに特例(赤字)国債がなかなか認められないという問題を提起。

「人材への投資促進は有形資産への投資ではなく、人間の頭脳の中に宿る無形資産への投資であって、国内産業の開発力、技術力を高めるのに一番大事なこと。それなのに、ここに向けて公共投資をすることが難しくなる」と指摘した。同様に柳川範之・東京大学大学院教授も、景気対策を打つなら人材投資など無形資産も対象に「税制や金融政策も総動員して、一気に押し上げていくということがやはり必要なのではないか」と述べ、大規模な対策を求めている。

新浪剛史・サントリーホールディング代表取締役社長も経済成長を第一に考えてのプランを作るべきであり、「ワイズ・スペンディングでありかつ乗数効果の高いところであれば、赤字国債も考えてもいいぐらいのプランを作っていく必要がある」と述べている。

すでに19年度予算では増税対策として2兆円の臨時・特別措置が計上されたが、これは一部20年度予算にも適用される。公共工事一辺倒の議論が諮問会議でやり玉に挙げられたことを踏まえると、五輪後に向けた新たな需要対策や、成長投資としての無形資産を対象とした「公共事業」も含め、20年度も財政支出は膨らみそうだ。

中川泉 編集:青山敦子
https://jp.reuters.com/article/japan-economy-gdp-idJPKBN1XO0Q8


 
7ー9月期GDP 4期連続プラスも低い伸びにとどまる
2019年11月14日 17時25分

ことし7月から9月までのGDP=国内総生産は、物価の変動を除いた実質の伸び率が、前の3か月と比べてプラス0.1%、年率に換算してプラス0.2%となりました。4期連続のプラス成長となったものの、個人消費が伸び悩んだほか、輸出も振るわず、低い伸びにとどまりました。

内閣府が発表したことし7月から9月までのGDPは、物価の変動を除いた実質の伸び率が、前の3か月と比べてプラス0.1%でした。これが1年間続いた場合の年率に換算すると、プラス0.2%で、4期連続のプラス成長となりました。

主な項目では、GDPの半分以上を占める「個人消費」は、プラス0.4%でした。消費税率の引き上げを前に、家電製品や日用品などで駆け込み需要がありましたが、5年前の増税の時と比べてその規模は小さかったとみられるほか、天候不順や台風などの影響もあって消費は伸び悩みました。

企業の「設備投資」は、人手不足が深刻となる中、製造業などで省力化を進めるために活発な投資が行われ、プラス0.9%の伸びとなり、「住宅投資」もプラス1.4%となりました。

しかし「輸出」は、米中の貿易摩擦を背景に中国向けの生産用機械が振るわなかったほか、輸出に含まれる日本を訪れる外国人旅行者の消費も減ったため、マイナス0.7%となりました。

今回のGDPは、消費税率の引き上げを前に、駆け込み需要が消費を押し上げたにもかかわらず、低い伸びにとどまりました。

増税後の消費の低迷で、10月からの3か月のGDPの伸び率はマイナスに転じるという見方も出ています。

専門家「駆込でもこの程度か…」
7月から9月までのGDPの伸び率について、大和総研の神田慶司シニアエコノミストは「消費の基調は確かに弱く、駆け込み需要があったのにこの程度か、という伸び率ではある。ただ全体を見ると住宅投資や設備投資など国内需要はプラスで、決して悪いというわけではない」と分析しました。

そのうえで、今後の景気の見通しについては「国内需要は、ある程度しっかりしているが、海外需要が弱く、アメリカと中国の間の貿易をめぐる協議がどう進展するかが最大の焦点になる。製造業は、すでに、かなり悪い状況になっているし、世界経済が一段と減速すれば雇用や所得への影響を通して非製造業にまで、飛び火することは否定できない」と話しました。

また、神田シニアエコノミストは、消費税率引き上げに合わせて導入されたキャッシュレス決済のポイント還元制度が今の消費を下支えしているとしたうえで、「ポイント還元制度が終わる来年の6月末にかけてまた駆け込み需要が出る可能性がある。そのあとに反動による需要の減少が起きる可能性があり、政策によって景気が振れてしまうことには警戒が必要だ」と指摘しました。
官房長官「緩やかな成長続いている」
菅官房長官は、午前の記者会見で「海外経済の減速などから輸出が低調であったものの、個人消費、設備投資、公共投資が堅調に増加し、内需を中心として、緩やかな成長が続いている」と述べました。

そのうえで、菅官房長官は「先行きについては、緩やかな回復が続くことが期待されるが、消費税率引き上げ後の経済状況について、まだ十分なデータの蓄積がなく、今後判明する客観的な経済指標を丁寧に分析していきたい」と述べました。
西村経済再生相 消費税率引き上げの影響に十分注意
ことし7月から9月までのGDPが4期連続のプラス成長になったことについて、西村経済再生担当大臣は記者会見で「海外経済の減速などから外需はマイナスに寄与したものの、個人消費や設備投資、公共投資といった内需が増加し、全体として景気の緩やかな回復を示す結果となった」と述べました。

そのうえで先行きについては、「緩やかな回復が続くことが期待されるものの消費税率の引き上げによる影響には十分注意するとともに台風などの被害からの復旧・復興の取り組みをさらに加速し、米中貿易摩擦など海外発の下方リスクによる悪影響に備える必要がある」と述べました。

また、消費税率の引き上げによる個人消費への影響について西村大臣は、「駆け込み需要は前回の増税前がプラス2%だったのと比べると前回ほどではなかったとみられる」としたうえで「消費を支えるファンダメンタルズ=経済の基礎的条件は、しっかりしているという認識だ。一方で消費者マインドは低い水準であるので、消費に与える影響については引き続き注意して見ていきたい」と述べました。
経団連 中西会長 世界経済の不透明感払拭が課題
経団連の中西会長は、GDPが小幅ながら4期連続でプラス成長を維持したことについて、記者団に対し、「対外的な不安要素はたくさんあるし、先行きの不透明性も高いが、国内の投資では特にデジタル化に向けて本気で取り組む企業が増え、そうした投資が継続している」と述べ、デジタル化に向けた設備投資の増加もプラス成長の要因になったという見方を示しました。

また今後については、米中の貿易摩擦やイギリスのEU=ヨーロッパ連合からの離脱など、世界経済の不透明感を払拭(ふっしょく)することが課題だと述べました。
あわせて読みたい
米FRB議長「今の金融政策が適切」 金利据え置く方針6時53分
街角景気調査 消費税引き上げと台風で大幅悪化11月11日 16時14分
9月の経常収支 1兆6129億円の黒字11月11日 9時01分
注目のコンテンツ
“お得感”を数値化 デジタル経済が生み出す付加価値はビジネス特集 10月31日

消費税率引き上げから1週間おはBiz キーワード解説 10月8日

世界経済の先行きは? ロッキー山脈からの警告ビジネス特集 8月29日

景気っていいの? そうでもないの?サクサク経済Q&A 7月9日

統計上の“からくり”?GDPがプラスにサクサク経済Q&A 5月20日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191114/k10012176911000.html


https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191114/k10012176911000.html


ビジネス2019年11月14日 / 12:02 / 6時間前更新
中国鉱工業生産、10月は大幅に鈍化 他の指標も軒並み予想下回る
Reuters Staff
2 分で読む

[北京 14日 ロイター] - 中国国家統計局が発表した10月の鉱工業生産は前年比4.7%増と、伸びが大幅に鈍化し、市場予想の5.4%増を下回った。

外需と内需の低迷や米中貿易戦争が依然として重しになっていることが浮き彫りとなった。

併せて発表された指標は、鉱工業以外の部門も低調なことを示し、小売売上高は約16年ぶりの低い伸び、固定資産投資は1996年以降で最低の伸びとなった。

1992年の四半期統計開始以来、最低の成長率を記録した第3・四半期に続き[nL3N2730MC]、第4・四半期に入っても厳しい状況が続いていることが鮮明となり、中国当局にはさらなる支援策を迫る形となっている。

指標発表を受けて、中国経済が貿易戦争の打撃を受けているとの懸念が強まり、アジア株が下落している。

ノムラはノートで「一連のデータは、成長への逆風が依然強く、中国経済はまだ底入れしていないという当社の見解を裏付けるもの」とし、第4・四半期の国内総生産(GDP)は前年比5.8%増と、第3・四半期(6.0%増)から伸びが鈍化すると予想した。

これまでに発表された10月の指標も、製造業をとりまく環境の厳しさを物語っている。中国国家統計局発表の製造業購買担当者景気指数(PMI)は景況拡大と悪化の分かれ目となる50を6カ月連続で下回り、生産者物価指数(PPI)は前年比1.6%低下して2016年7月以来の大幅なマイナスとなった。[nL3N27G1WO][nL3N27Q02E]

鉱工業生産統計の内訳をみると、鉱工業製品の輸出は前年比3.8%減と3カ月連続のマイナス。鉄鋼の生産は7カ月ぶりの低水準で、セメントの生産は1年あまりぶりの前年割れとなった。

米中の関税合戦が世界の需要に打撃を与え、サプライチェーン(供給網)や金融市場を混乱させている。

米中通商協議に最近、ある程度進展の兆しが見られたことを評価する投資家もいるが、米中両国の当局者からは合意を確約するような発言は聞かれない。こうした先行き不透明感が製造業セクターの重しとなっている。

キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、マーティン・リンジ・ラスムセン氏は「確かに、米中の第1段階の合意に対する期待で、企業投資が短期的に拡大する可能性はある」と指摘。

ただ「今後数カ月で部分的な合意が成立しても、次の関心は解決困難な問題に移る。貿易交渉は最終的には決裂するだろう。依然として追加金融緩和の必要がある」と述べた。

<固定資産投資は記録的な低い伸び>

1─10月の固定資産投資は前年比5.2%増。ロイターのデータがある1996年以降で最低の伸びとなった。市場予想は5.4%増だった。投資全体の60%を占める民間部門の固定資産投資は4.4%増だった。

インフラ投資の鈍化傾向に歯止めをかけようと、中国国務院(内閣に相当)は13日、一部インフラ計画の投資規制について、最低自己資本比率の引き下げを決めた。

しかし、地方政府は、減税や景気減速による税収減少で厳しい財政運営を迫られ、中央政府が成長回復に必要とする大型インフラ事業を進める余裕はない。

この日発表となった1─10月の不動産投資も伸びが鈍化した。

10月の小売売上高は前年比7.2%増。市場予想は7.9%増だった。約16年ぶりの低い伸びとなった。

ここ数カ月は豚肉などの食料価格の上昇が消費者を直撃している。

消費者が高額品の購入を控えていることから、10月の自動車販売台数は前年比4%減と、16カ月連続の減少となった。

<カウンターシクリカルな調整さらに>

中国人民銀行(中央銀行)は今月、政策金利と位置付けられる1年物中期貸出ファシリティー(MLF)金利を2016年初め以来、初めて引き下げた。

アナリストらは、人民銀の動きは小粒だが、人民銀がより積極的な姿勢に傾いている可能性があると指摘し、インフレ加速で新たな刺激措置を打てないのではないかとの投資家の懸念を和らげようとしている兆候と受け止めている。

国家統計局の報道官はブリーフィングで「経済パフォーマンスは依然、かなり多くのリスクや試練に直面しており、これらは過小評価できない。次の段階として、われわれは引き続き、カウンターシクリカルな政策調整を完全実施していく」と述べた。

李克強首相は12日、景気変動をならすカウンターシクリカルな調整を一段と効果的に活用すべきとの見解を示した。
https://jp.reuters.com/article/china-data-output-idJPKBN1XO0AP

米中、貿易合意「第1段階」取りまとめで難航−英紙FT
Kasia Klimasinska
2019年11月15日 4:52 JST
トランプ大統領
トランプ大統領 Photographer: Jeenah Moon/Bloomberg
米中の当局者は知的財産の諸規定や農産物購入、関税撤回を巡り議論を続けている。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じた。

  FTが関係者の話を引用して伝えたところによると、進展の遅れは中国が原因で、数日以内に最終合意が成立する可能性は低下した。

原題:
U.S., China Struggle to Close Phase-1 Trade Deal, FT Says(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-14/Q0Z3PKDWX2PY01


アリババ創業者、米中の貿易上の緊張20年続く恐れ−インタビュー
Kiley Roache
2019年11月15日 5:56 JST
Jack Ma
Jack Ma Photographer: Marlene Awaad/Bloomberg
中国の電子商取引会社アリババ・グループ・ホールディングの創業者で資産家の馬雲(ジャック・マー)氏は14日、米国と中国が用心しなければ両国間の貿易上の「混乱」は20年間続く恐れがあると述べた。

  同氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「われわれは非常に用心深くなる必要がある」として、「われわれは問題を解決しなければならない。より多くの問題を作り出すべきでない」と語った。

原題:
Alibaba’s Ma Says U.S., China Risk 20 More Years of Trade Tumult(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-14/Q0Z8MET0G1KZ01?srnd=cojp-v2



パウエルFRB議長の見解に市場は懐疑論−レポ市場コントロールで
Alex Harris
2019年11月15日 7:12 JST
年末のレポ金利はパウエル議長の議会証言後も高水準続く
米金融当局にはレポ金利で長期的なプランが必要−BofA
パウエル議長
パウエル議長 Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は今週、短期金利は再びコントロールされた状態にあると述べたが、誰もが納得しているわけではない。

  14日にブローカーらは、年末のレポ金利水準を現行水準より約1.5ポイント高い3.25%程度と見積もっている。ここ数カ月はほとんどが3%を超えた水準にある。これは今後数週間も上昇圧力が続く可能性を示すものであり、市場を安心させようとしたパウエル議長の試みへの懐疑論がくすぶっている証拠だ。

  FRBは翌日物一般担保レポ金利が2%前後から10%に急上昇した9月17日以来、資金調達市場に流動性を供給してきた。当局は先月、財務省短期証券(Tビル)の購入も開始しており、これらの取り組みでレポ金利はほぼ落ち着いた。しかし、市場の仕組みに対するより根本的な調整を望む声は多い。

  上下両院合同経済委員会で13日に証言したパウエル議長は、9月半ばのレポ市場の混乱について、「コントロールできたと考えている」と述べていた。

  バンク・オブ・アメリカ(BofA)の米金利戦略責任者マーク・カバナ氏は、レポ金利急上昇からの約2カ月を振り返り、「米金融当局は短期金融市場が再び機能不全になり金利が急上昇しないように応急処置を施した。短期的な修正は行われているが、長期的なプランは極めて不明瞭なままだ」と指摘した。

  市場参加者は長期的な是正策の議論の詳細を見極めるため、来週公表される10月29、30両日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨に注目するとみられる。

原題:
Powell Faces Doubt That Fed Really Has Repo Market Under Control(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-14/Q0Z6O6DWRGG401?srnd=cojp-v2

パウエルFRB議長、過去最長の景気拡大を阻むリスクはほとんどない
Craig Torres、William Edwards
2019年11月15日 4:20 JST
Birds fly past the Marriner S. Eccles Federal Reserve Board building in Washington, D.C.
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は米経済を「スター」と呼び、過去最長の景気拡大が軌道を維持することに強い自信を示した。

  パウエル議長は14日、下院予算委員会で証言し、「緩やかな成長の継続というのがわれわれの見通し、および期待だ」と指摘。「米経済はここ最近、スターエコノミーだ」とし、「リセッション(景気後退)の可能性が現時点で高まっていると考えられる理由は一切ない」と述べた。

  パウエル氏は現在の景気拡大局面について、過去2回のサイクルにおけるテクノロジーあるいは住宅市場といった「極めて活況な」セクターのないことが注目に値すると指摘。「この景気拡大は持続可能な基盤にある」とし、「他のサイクルで見られたような警告サインはない」と話した。

  金融市場も同様で、「金融安定の観点で気掛かりとなるような、経済全般に及ぶレバレッジの顕著な増大は見られない」と続けた。

原題:
Powell Sees Few Risks Likely to Derail Longest U.S. Expansion(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-14/Q0Z0IWDWX2PV01?srnd=cojp-v2

FEDに過去より過熱気味の経済運営できるぜいたく−ダラス連銀総裁
Jeff Kearns
2019年11月15日 7:07 JST
インフレの暴走は起きそうにないが、政府債務増加を背景に注視必要
来年の米成長率2%となる可能性十分−消費好調、雇用情勢もタイト
米ダラス連銀のカプラン総裁は14日、「インフレは抑えられるだろう。そのためインフレがわれわれの手を逃れて暴走するのではないかとそれほど心配することなく、過去と比べ過熱気味の経済を運営できるぜいたくが米金融当局に許されている」と語った。

  カプラン総裁はテキサス州スティーブンビルのタールトン州立大学で、インフレの暴走は起きそうにないが、政府債務が20兆ドル(約2168兆円)を上回る状況で、それはとてつもない問題になりかねず、なお注視する必要があると発言した。

  来年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つカプラン総裁は、米国の来年の成長率が2%となる可能性は十分あると述べ、消費は好調であり、雇用情勢も非常にタイトであるとの認識を示した。

原題:Fed’s Kaplan: Low Inflation Gives Luxury of Running Economy Hot(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-14/Q0ZAQNT0AFB401?srnd=cojp-v2


ECB、政策委2人が追加緩和の休止を示唆−戦略見直しに支持表明
Piotr Skolimowski、竹生悠子、Jill Ward
2019年11月15日 5:36 JST
金利は底に近いとの見方は妥当−フランス中銀総裁
非従来型措置の導入はより慎重に−オランダ中銀総裁
欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーの2人は、追加緩和を急がない姿勢を示し、ECBの戦略を真剣に見直すよう促した。

  フランス中銀のビルロワドガロー総裁は14日にフランクフルトで、「短期金利はほぼ底に近いと市場は見込んでいるが、自分の見解ではそれは妥当だ」と言明。「この低金利は持続する必要があり、実際にそうなるだろう。この段階でECBが金利を引き上げるとすれば、紛れもない誤りだ」と続けた。

  オランダ中銀のクノット総裁もフランクフルトで、量的緩和など非従来型の政策手段を利用するにあたってECBはもっと慎重になるべきだと主張、「効果がまだ完全には理解されていない非従来型の政策手段については、導入と解除の両方において」、慎重さと細心の注意が求められると述べた。

  ECBは9月に金融緩和パッケージの一部として量的緩和の再開を発表。両氏を含め政策委員会メンバーの3分の1が、これに反対した。

  両氏はこの日、ECBがとるべき戦略の再検討に支持を表明。ビルロワドガロー氏はインフレ目標の定義をECBが明確にする必要性を指摘し、銀行や保険会社に及ぶ低金利の副作用を抑制する最善策の検討を呼び掛けた。

原題:ECB Officials Signal Pause on More Stimulus and Endorse Review(抜粋)

ECB’s Villeroy Says It’s Reasonable to Assume Rates Near Bottom(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-14/Q0YYIXDWX2PY01?srnd=cojp-v2


ビジネス2019年11月15日 / 07:23 / 31分前更新
米S&Pが最高値更新、ウォルマートの好決算が支援
Reuters Staff
5 分で読む

[14日 ロイター] - 米国株式市場はS&P総合500種.SPXが小幅に上昇し、最高値を更新して取引を終えた。ネットワーク機器大手シスコシステムズ(CSCO.O)のさえない業績見通しに圧迫された一方、小売大手ウォルマート(WMT.N)の好決算に支援された。

前日に最高値を更新していたダウ工業株30種.DJIは小幅安で終了。ナスダック総合.IXICも小幅安で引けた。

シスコシステムズは7.3%急落。世界経済の先行き不透明感が一段と高まり、ルーターやスイッチなどネットワーク機器需要が低迷する中、第2・四半期の収益が予想に届かないとの見通しを示したことが嫌気された。[nL4N27U0AW]

シスコ株の下げは3指数の最大の重しとなったほか、S&P情報技術セクター.SPLRCTを圧迫。同セクターは0.1%下落した。

ウォルマートは、通期利益見通しを上方修正。第3・四半期(8─10月)の利益や米既存店売上高が予想を上回った。[nL4N27U4C2]

同社株は一時、過去最高値に上昇。終値は0.3%安だった。ただ、同社の決算を受け、S&Pの小売株指数.SPXRTと一般消費財株指数.SPLRCDは上昇した。

ユニオンバンクのシニア・ポートフォリオマネジャーは「米経済にとって重要な年末商戦期の前に消費者セクターが底堅さを見せ、健全なペースを維持している」と指摘。その上で、米中貿易摩擦や世界経済情勢が引き続き圧迫要因となっているようだとの見方を示した。

米株市場はこのところ、米連邦準備理事会(FRB)の利下げや、市場予想を上回る企業決算、景気底入れの兆候に支援され、最高値を更新してきた。

リフィニティブによると、S&P総合500種採用企業の第3・四半期決算は、発表シーズンが終盤に近付く中、約4分の3が市場予想を上回っているものの、全体では0.4%の減益になる見通しだ。

FRBのパウエル議長は14日、下院予算委員会で証言し、過去最長の拡大局面にある米経済に過熱の兆候は見られず、急激な景気後退に陥るリスクは極めて低いとの見解を示した。[nL4N27U4MT]

15日に発表される10月の小売統計が注目される。

S&Pの主要セクターでは不動産.SPLRCRが0.8%高と最大の上昇率を記録。一方、エネルギー.SPNYと主要消費財.SPLRCSは、情報技術セクターと同様に軟調となった。

百貨店のディラーズ(DDS.N)は決算が好感され、14.2%急伸した。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.34対1の比率で上回った。ナスダックでは1.21対1で値下がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は約63億株。直近20営業日の平均は69億株。

終値 前日比 % 始値 高値 安値 コード

https://jp.reuters.com/article/ny-stx-us-14-idJPKBN1XO2Z7


S&P500がかろうじてプラス圏、国債も上昇
Randall Jensen、Vildana Hajric
2019年11月15日 6:59 JST 更新日時 2019年11月15日 7:11 JST
14日の米国株市場ではS&P500種株価指数がかろうじてプラス圏で引け、3日続伸した。強弱入り交じる経済指標が発表され、米中通商協議の部分合意を巡る懸念が高まっている。米国債は上昇した。

米国株、S&P500が3日続伸−ダウは小幅安
米国債は上昇−10年債利回り1.82%
NY原油先物は反落−米在庫増、OPEC見通し
NY金は続伸−貿易問題の不透明感や中国指標など
  S&P500種は前日比0.1%高の3096.63。ダウ工業株30種平均は1.63ドル下げて27781.96ドル。ナスダック総合指数は0.1%未満の下げだった。米国債市場ではニューヨーク時間午後4時59分現在、10年債利回りが7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.82%。

  先週は米中通商合意への期待が高まったが、これまでのところそれは実現せず、逆に交渉の難航を示唆する兆しが多く示されるようになっている。

  この日はテクノロジー関連の下げが目立った。前日の引け後に市場予想を下回る売上高見通しを示したシスコシステムズが、この日は急落。通商対立による膠着(こうちゃく)感の中、企業がハードウエアの購入を先送りしている状況が示唆された。四半期決算を発表したウォルマートは上昇して始まったものの、結局下落した。

  米経済指標では10月の米生産者物価指数(PPI)が市場予想を上回る伸びとなった一方、先週の新規失業保険申請件数は予想を上回る増加となった。

  ディレクシオンのマネジングディレクター、ポール・ブリガンディ氏は電話取材に対し、「依然として貿易交渉が市場参加者のマインドに大きくかかっている。米金融当局や金利を巡る話より、相場を動かす目下最大のドライバーだ」と述べた。

  ニューヨーク原油先物相場は反落。米エネルギー情報局( EIA)が14日発表した週間統計で、同国の原油在庫が222万バレル増加し、生産が過去最大になったことが分かった。石油輸出国機構(OPEC)のバーキンド事務局長が、米国のシェール油生産見通しが引き下げられる可能性を指摘したことも材料視された。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物12月限は35セント安の1バレル=56.77ドル。ロンドンICEの北海ブレント1月限は9セント安の62.28ドル。

  ニューヨーク金先物相場は続伸。米中の貿易協議を巡る不透明感が買い材料となった。中国の10月の工業生産と小売売上高、1−10月の都市部固定資産投資が全て市場予想を下回ったことや、日本の7−9月期の実質国内総生産(GDP)の伸び鈍化で景気不安が高まり、逃避先資産の金に資金が戻った。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は0.7%高の1オンス=1473.40ドル。

原題:Stocks Edge Higher; Treasuries Rise, Dollar Drops: Markets Wrap(抜粋)

Oil Falls as U.S. Inventories Rise, OPEC Sees Surplus

PRECIOUS: Gold Rises Amid Trade Uncertainty, Asia Growth Worries

(相場を更新し、第6段落に市場関係者の見方を追加して更新します)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-14/Q0Z9K5T0G1L001?srnd=cojp-v2


円が上昇、米中貿易合意が難航との報道−ドルは下落
Susanne Barton、Robert Fullem
2019年11月15日 6:38 JST 更新日時 2019年11月15日 7:04 JST
14日のニューヨーク外国為替市場では、円が対ドルで今月に入って最大の上げ。米国と中国が貿易合意「第1段階」の取りまとめで難航していると伝わったことから、質への逃避が強まった。ドルは幅広く下落。米国債利回りは低下した。

米中の当局者は知的財産の諸規定や農産物購入、関税撤回を巡り議論を続けている。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じた。既存の関税を取り除くことがいかなる合意にとっても重要な条件だと、中国商務省の報道官はこれより先に話していた
別の報道によると、米中の次官級協議が新たに電話で開かれた
米中は当初、チリで今週末に予定されていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に際して会談し、部分的合意に署名する計画だったが、APECが中止となったため、合意の期限が取り除かれた
リスク回避のセンチメントが他市場にも広がり、株式相場はほぼ変わらず。原油は下落、金は上昇
ハンス・レデカー氏らモルガン・スタンレーのストラテジスト:
リスク選好を巡る見通しは暗くなった。政治的な不透明感の高まりだけでなく、中国やオーストラリア、日本のデータが弱いことも要因
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は2日目の議会証言で、低金利環境において米金融当局の利下げ余地は小さくなっていると指摘。製造業の弱さが波及している状況は見られないと述べた
10月の米生産者物価指数(PPI)は前月比0.4%上昇。市場予想は0.3%上昇
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.1%安。一時は10月16日以来の水準に上昇する場面もあった。米10年債利回りは7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.82%。一時は1.80%と、7日以来の低水準を付けた
ニューヨーク時間午後4時44分現在、ドルは対円で0.4%安の1ドル=108円43銭。10月31日以来の大幅安となった。円は5営業日続伸し、5月以降で最長の連続高
ドルは対ユーロで0.1%下げて1ユーロ=1.1020ドル
原題:Yen Surges on Trade Deal Hurdles; Dollar Drops: Inside G-10(抜粋)

(相場を更新し、新たな情報を追加します)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-14/Q0Z6AWDWLU6O01



http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/640.html

[自然災害22] ベネチアで記録的な洪水、過去50年で最悪 恒例行事と片付けてはいけない、年々深刻に 85%浸水 台風23号が「世界史上最強クラス」といわれる理由
ベネチアで記録的な洪水、過去50年で最悪
恒例行事と片付けてはいけない、年々深刻に
2019.11.14
太ももまである長靴を履き、水没したサン・マルコ広場を横断する人々。イタリア、ベネチアの街は53年前に次ぐ観測史上2番目の水位を記録した。(PHOTO BY MARCO BERTORELLO, AFP/GETTY)
[画像のクリックで拡大表示]
 イタリアのベネチアが記録的な洪水に見舞われている。嵐と高潮が原因で、53年前に次ぐ観測史上2番目の水位を記録。世界有数の観光都市の大部分が水没している。(参考記事:「ミステリアスで美しい、ベネチア・カーニバルの魅力」)
 ベネチアでは例年11〜12月にアクア・アルタと呼ばれる異常潮位が発生する。季節風によってベネチアを取り巻く潟(ラグーナ)の水量が増し、運河や配水管を逆流。あふれ出た水が街を水浸しにする。今回は1.8メートル超と、観測史上最も水位が上昇した1966年に次ぐ値を記録した。
 ベネチアでは、街が水浸しになると、サン・マルコ広場に高床式の歩道が設置される。しかし、複数の報道によれば、歩道はすでに撤去されているという。あまりに水位が高く、歩道が押し流される危険があるためだ。
 2018年にも、高潮と大嵐が原因で、歴史的な都市の75%が水没している。(参考記事:「2018年、水の都ベネチアが洪水で水没 悪天で高潮が発生」)
ギャラリー:2018年のベネチア洪水 写真11点

水浸しの店で一服するベネチア市民。(PHOTOGRAPH BY GIACOMO COSUA, NURPHOTO VIA GETTY IMAGES)
[画像のクリックで別ページへ]
 毎年のように水没するベネチアだが、恒例行事と片付けてはいけない。世界的な気候変動と海面上昇の影響で、ベネチアの洪水は年を追うごとに深刻さを増している。
 地中海沿岸は21世紀末までに海面が1.5メートルほど上昇するとも予測されている。もしそうなれば、海抜の低いベネチアは、現状の年平均4回より高い頻度で水害に見舞われる恐れがある。
 ベネチアのリーダーたちは街を救うため、2003年に野心的な計画を始動。可動式の防波堤で街とラグーナを守る地球工学プロジェクトMOSE(電気機械実験モジュール)だ。しかし、数十年前の技術をベースにした計画であるうえ、予算超過と汚職の問題に悩まされている。
 防波堤は2011年に完成する予定だったが、複数の関係者によれば、少なくともあと3年はかかる見込みという。(参考記事:「観光客の波がベネチアを台無しにする?」)
文=NATIONAL GEOGRAPHIC STAFF/訳=米井香織
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/111400662/

 
史上2番目の大高潮で「水の都・ベネチア」85%浸水 なぜ発生?
森さやか | NHK国際放送局 気象アンカー、気象予報士
11/14(木) 10:06
ツイート
シェア
ブックマーク
12日のベネチア・サンマルコ寺院の様子(写真:ロイター/アフロ)

水没の危機が叫ばれる世界遺産のベネチアで12日(火)、水位が観測史上2番目の高さまで上昇し、町の85%以上が浸水しました。

浸水の状況
ベネチアは、百以上の小島が数百の橋や運河でつながれた水上都市で、ユネスコ世界遺産にも登録されています。

ベネチアは潟の上に作られた都市なので、頻繁に洪水が発生します。特に近年は海面水位の上昇で水没の危機が叫ばれています。12日(火)には水位が187センチに達し、観測史上2番目の高さとなりました。町の85%以上が浸水したと伝えられています。

ナポレオンが「世界一美しい広場」と称賛したサンマルコ広場も浸水し、太ももまで水に浸かって歩いている人の姿も見られました。この広場に面して建つサンマルコ寺院も浸水し、タイルやモザイク画などが劣化した可能性があるといいます。サンマルコ寺院が洪水の被害に遭うのは、1,200年の歴史の中で6度目、ここ20年の間では4回目とのことです。


Reuters
?
@Reuters
Swimmer takes a dip in the floodwaters of Venice’s St. Mark's square after the iconic tourist attraction was submerged by more than one meter of water https://reut.rs/33IAW6d

埋め込み動画
106
7:30 - 2019年11月14日
Twitter広告の情報とプライバシー
94人がこの話題について話しています
(↑泳ぐ人もいたよう)

浸水の原因
11月から12月はベネチアの洪水のシーズンです。その状態は「高水」を意味する「アクア・アルタ(Acqua Alta)」と呼ばれています。

NASAの12日の衛星画像に筆者加筆
アクア・アルタの起きる原因は、満潮と「シロッコ」と呼ばれる南風、さらに低気圧です。これら3つが重なることで潟内の水量が増え、洪水が発生します。そもそもベネチアはアドリア海の北端に位置しているため、シロッコ(南風)が行き止まる場所にあたり、高潮が起きやすい地形なのです。

今回は12日がちょうど満月で大潮であったこと、発達した低気圧が2つも接近していたうえに、強い南風も吹いていたことから、水位が上昇したと考えられます。そのうち一つの低気圧は、メディタレニアン(地中海)とハリケーンの造語である「メディケーン」という名前の、地上に暖気、上空に寒気を伴った強い嵐でした。

これまでの最高水位は1966年11月に観測された194センチで、この時は町の90%が浸水、数千人が家を失ったといわれています。

地球温暖化と地盤沈下
ベネチアの洪水は年々増加しています。その理由は、温暖化による海面水位の上昇と、地下水のくみ上げ過ぎやプレートの沈み込みによる地盤沈下といわれています。19世紀後半に比べて海面水位が28センチも上昇しているようです。

イタリア政府は、水路に可動式のゲートを設置して、海水の浸入を防ごうとする「モーゼ計画」を2003年から実施していますが、いまだ完成には至っていません。

ツイート
シェア
ブックマーク

森さやか
NHK国際放送局 気象アンカー、気象予報士
NHK国際放送局気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に「竜巻のふしぎ」「天気のしくみ」(共著/共立出版)がある。

sayakasofiamori
sayakamorinhk
森さやかの最近の記事
台風22号から変わったサイクロン「ブルブル」南アジアに上陸へ 11/9(土) 12:55
台風23号が「世界史上最強クラス」といわれる理由 11/8(金) 13:12
冬眠できないハリネズミ増加 背景に大雨と暖秋 11/6(水) 17:35
国家の悲劇ー。豪州で数百匹のコアラが山火事の犠牲に 11/1(金) 7:01
https://news.yahoo.co.jp/byline/morisayaka/20191114-00150865/


 

台風23号が「世界史上最強クラス」といわれる理由
森さやか | NHK国際放送局 気象アンカー、気象予報士 11/8(金) 13:12

台風23号の衛星画像 (出典元: 左は気象庁、右はNOAA)
今日11月8日は暦の上で「立冬」です。立冬とは「秋が極まり、冬の気配が立ち始める時期」のこと。北海道では雪が降り、東京でも朝晩の冷えが身にしみて感じられる季節となってきました。
一方で海上ではいまだ複数の台風が渦を巻いています。
RAMMB/CIRA出典の衛星画像に筆者加筆
特に日本の南東の海上に発生している台風23号(国際名:ハーロン)は、大発達を遂げました。
気象庁によると、6日(水)の中心気圧は905hPa、最大風速は60m/sで、15号や19号より強く、今年最強の台風となりました。
実はこの台風、今年最強どころか、もしかすると「世界史上最強クラス」である可能性が囁かれています。なぜでしょう。
アメリカのウィスコンシン大学のホームページには、23号の中心気圧が推定で892hPaまで下がったと書かれてあるのです。これは、気象庁の発表した気圧と13hPaも低いことになります。
台風の解析方法の違い
●ドボラック法●
この差は、台風の解析方法の違いに起因します。
台風の強さは「ドボラック法」を用いて決定されています。ドボラック法とは、1970年代にアメリカの気象学者ヴァーノン・ドボラック氏が考案した、気象衛星画像から強度を推定する方法です。
具体的には、台風の雲のパターンから「CI数」と呼ばれる台風の強さを決定して、そこから下のような表に照らし合わせて最大風速や中心気圧を推定するのです。
気象庁気象研究所のリストを参考に筆者作成
●新ドボラック法
一方でウィスコンシン大学はドボラック法を元に独自の「新ドボラック法」を開発しています。23号の中心気圧892hPaというのは、この解析方法を用いた値です。
新ドボラック法で最強と記録されている台風は、1位がハリケーン・パトリシア(2015年メキシコ上陸)、2位が台風・ハイエン(2013年フィリピン上陸)、そして3位が台風・チップ(1979年日本上陸)となっています。今回の23号は、上位10位以内に入ってくる可能性があります。
ではどちらの方法が真実に近いのでしょう。
一例ですが、2004年のハリケーン・アイヴァンの例において、新ドボラック法の値の方が気象偵察機を飛ばして測った実測値に近い数字が出たという結果が出ています。
さよなら、23号
いずれにせよ、これほどの規模の台風が立冬のシーズンに現れるのはそうあることではありません。11月以降に中心気圧が905hPa以下に下がった台風は、1951年からこれまでに13例しかないのです。
23号の国際名ハーロン(Halong)の名前の由来は、ベトナム語のハロン湾ですが、フィリピンのイロンゴ語では「さよなら」を表す単語でもあるそうです。ハーロンは名前の通り日本から遠ざかっており、ほっとひと安心です。
***参考文献***
"Reprocessing the Most Intense Historical Tropical Cyclones in the Satellite Era Using the Advanced Dvorak Technique" (PDF)
"The Advanced Dvorak Technique: Continued Development of an Objective Scheme to
Estimate Tropical Cyclone Intensity Using Geostationary Infrared Satellite Imagery" (PDF)
"台風の強度推定" 気象庁気象研究所


森さやかNHK国際放送局 気象アンカー、気象予報士

NHK国際放送局気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に「竜巻のふしぎ」「天気のしくみ」(共著/共立出版)がある。

https://news.yahoo.co.jp/byline/morisayaka/20191108-00149881/

http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/781.html

[国際27] なぜトランプはバイデンを引きずり降ろしたいのか 台湾支持を強調するペンス対中演説 ソロモン諸島でうごめく中国マネー ウイグル人学者へのサハロフ賞授与の意義
jbpress.ismedia

なぜトランプはバイデンを引きずり降ろしたいのか 
2019/11/14

海野素央 (明治大学教授、心理学博士)

 今回のテーマは「なぜトランプはバイデンを引きずり降ろしたいのか?」です。ドナルド・トランプ米大統領は支持率が伸びないジョー・バイデン前副大統領(民主党)に対する攻撃の手を緩めません。トランプ大統領はバイデン氏の次男ハンター氏のウクライナ及び中国におけるビジネスを引き合いに出して、「腐敗している親子」というメッセージを有権者に発信しています。

 では、なぜトランプ氏は必至になってバイデン氏を引きずり降ろそうとしているのでしょうか。本稿ではその理由を説明します。


(Vitalii Abakumov/gettyimages)
バイデンにこだわるトランプ
 トランプ大統領は11月4日、南部ケンタッキー州ルイビルで支持者集会を開き、「ウクライナから見返りを求めたのはバイデンの方だ」と強調しました。バイデン氏はハンター氏の汚職捜査をしていたとされるウクライナの検事総長を解任しないと、軍事支援を行わないと語ったと言うのです。その上で、「これこそ本当の見返りだ」と語気を強めて語りました。南部ルイジアナ州モンローで同月6日に行われた集会においても、同様の主張をしています。

 トランプ大統領を応援する保守系の米FOXニュースの司会者ショーン・ハニティー氏は、同大統領の発言に呼応するかのように、バイデン前副大統領を「見返りのジョー」と呼んで揶揄しました。

 確かに、バイデン氏がウクライナ政府に軍事支援をちらつかせて、同国の検事総長解任を迫ったことを自慢げに語っている様子がビデオに映っています。ただ米メディアは、汚職の疑いのある検事総長解任が目的で、ハンター氏とは無関係であったと報じています。

 さて、ウクライナ疑惑に関する公開の公聴会が11月13日から米議会下院で始まります。トップバッターは、ウィリアム・テイラー駐ウクライナ代理大使です。米メディアによれば、テイラー代理大使は「ウクライナがバイデン親子に対する捜査を確約するまで、軍事支援は保留されると明確に理解していた」と語ったと報じています。

 トランプ大統領は公聴会に関してホワイトハウス記者団に、「ハンターが証言しなければならない」と語りました。ここからも、トランプ氏はバイデン前副大統領に対して相当なこだわりを持っていることが分かります。

強敵はウォーレンではなくバイデン
 民主党候補指名争いにおいてバイデン前副大統領とエリザベス・ウォーレン上院議員(東部マサチューセッツ州)が全国の支持率で1、2位を競っています。ところが州別の支持率をみると、トランプ大統領がウォーレン氏よりもバイデン氏を強く警戒している理由が明白になります。

 来年2月3日に開催される中西部アイオワ州での党員集会並びに同月11日の東部ニューハンプシャー州での最初の予備選挙で、ウォーレン氏が優位に立つかもしれません。しかし激戦州では、バイデン氏が勝利を収める可能性が高くなっています。

 最新の米ニューヨーク・タイムズ紙とシエナ・カレッジ(東部ニューヨーク州)による共同世論調査(2019年10月13−26日実施)によれば、中西部ウィスコンシン州でバイデン氏がウォーレン氏を14ポイントもリードしています。中西部ミシガン州では9ポイント、東部ペンシルべニア州では12ポイント、南部フロリダ州では8ポイント上回っています。

 では仮にバイデン氏とトランプ大統領が一騎打ちになった場合、上の4州でどのような戦いが予想されるのでしょうか。

 同共同世論調査によれば、バイデン氏がトランプ大統領をウィスコンシン州及びフロリダ州で2ポイント、ミシガン州並びにペンシルベニア州で1ポイントリードしており、大接戦になります。

 一方、ウォーレン氏が民主党候補に指名された場合、上の4州においてトランプ大統領が2ポイントから5ポイント引き離しています。ちなみに、ミシガン州におけるトランプ氏のウォーレン氏に対するリードは5ポイントです。

「3+1」で勝てる候補は誰か?
 一般に米大統領選挙では、「(中西部)オハイオ州を制する者が全米を制する」と言われいます。ただ、同州は共和党色が強くなっており、来年の大統領選挙ではむしろ「3+1(スリー・プラス・ワン)」の州が鍵を握るでしょう。

 以前説明しましたが、「3」はウィスコンシン州(選挙人10)、ミシガン州(16)及びペンシルべニア州(20)を指し、選挙人の合計は46になります。 2016年米大統領選挙でトランプ大統領はこれらの3州においてヒラリー・クリントン元国務長官に対し、わずか1ポイント以下で勝利でしました。それに対して、「1」はフロリダ州(29)で、トランプ氏の勝利は2ポイント以下でした。

 16年米大統領選挙においてトランプ大統領は選挙人306を獲得しています。選挙人270を獲得すれば、再選を果たすことができます。

 前回のこの獲得選挙人をベースに考えると、トランプ大統領は民主党から奪還したウィスコンシン州、ミシガン州及びペンシルべニア州の3州を落とすと、同大統領の獲得選挙人は260になり、再選が不可能になります。ただし、ウィスコンシン州とミシガン州を落としても、フロリダ州で勝利すれば選挙人をカバーできます。

 逆に民主党候補はウィスコンシン州、ミシガン州並びにペンシルぺニア州の3州を奪還すれば、トランプ大統領の再選を阻止できる公算が高まります。これらの州でトランプ氏に勝てる民主党候補はバイデン氏です。従って、トランプ大統領にはバイデン氏を引きづり降ろすことが不可欠になる訳です。

バイデンとウォーレンの「異文化連合軍」の相違
 トランプ大統領がバイデン氏を引きづり降ろしたいもう1つの理由を挙げてみましょう。

 バイデン氏はトランプ大統領の縄張りを荒そうとしているからです。それはどのような意味なのでしょうか。

 12年米大統領選挙においてオバマ前大統領は女性、若者、ヒスパニック系、アフリカ系、LGBT(性的少数派)から構成された「異文化連合軍」を形成して、再選を果たしました。それに対して、16年の選挙でクリントン氏は連合軍を組むことができませんでした。

 研究の一環として筆者は16年米大統領選挙においてクリントン陣営に入り、南部バージニア州フェアファックス市で左派のバーニー・サンダース上院議員(無所属・東部バーモント州)を支持する若者を対象に戸別訪問を行いました。彼らはヒラリー・クリントン氏が民主党大統領候補に指名されたので、投票に出向くことに消極的でした。

 筆者がサンダース支持のある白人男性の若者を戸別訪問したとき、彼は「トランプが大統領になって、最高裁が保守化したら困る」と懸念を示していましたが、クリントン選対にボランティアとして姿を見せませんでした。

 オバマ前大統領とは異なり、クリントン氏は異文化連合軍を組むことができませんでした。サンダース上院議員に若者の有権者を奪われてしまったからです。しかもアフリカ系及びヒスパニック系は、オバマ前大統領のときと比べて、クリントン氏に対する熱意が低かったことも事実です。

 では、今回の民主党指名争いにおいて支持率で首位を争っているバイデン前副大統領とウォーレン上院議員は、果たして異文化連合軍を形成できるのでしょうか。

 バイデン氏は、労働者及びアフリカ系にかなり依存した異文化連合軍でトランプ大統領に対抗するでしょう。ただ、バイデン氏は若者に人気がありません。クリントン氏と同じ轍の道を踏む可能性が高いといえます。

 一方、女性及び若者を中心に異文化連合軍を組むウォーレン上院議員は、アフリカ系の支持獲得が課題になっています。

 従って、バイデン・ウォーレン両氏の連合軍には穴があり、仮にどちらかが民主党の大統領候補になった場合、その穴を補う副大統領候補が必要になります。前回の大統領選挙では、クリントン氏は若者をエキサイティングにする副大統領候補を指名せず失敗しました。

トランプの「単一文化連合軍」
 トランプ大統領の支持基盤は、労働者、退役軍人、キリスト教右派及び白人至上主義者から構成された「単一文化連合軍」です。文化的多様性に富んだ異文化連合軍に対して、白人中心の連合軍である点が特徴です。

 トランプ大統領の単一文化連合軍とバイデン氏の異文化連合軍は、労働者の部分がバッティングしています。ここが問題になります。

 南部フロリダ州オーランドでのトランプ集会で出会った白人労働者は筆者に、「バイデンはトランプから労働者を奪う可能性がある」と語り、警戒心を抱いていました。

 民主党候補指名争いを戦っているどの候補も決め手に欠けているのですが、バイデン氏はトランプ大統領の支持基盤を崩せる可能性を秘めた唯一の候補です。

 バイデン氏がトランプ支持層の核である白人労働者、殊にミシガン州及びペンシルべニア州の労働者を切り崩すことができれば、民主党にはトランプ再選阻止の光が見てくるかもしれません。おそらく、トランプ大統領がバイデン氏を引きづり降ろしたい最大の理由はここにあるでしょう。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/17882


 
jbpress.ismedia


台湾支持を強調するペンス対中演説

2019/11/14

岡崎研究所

 10月24日、ペンス副大統領は、米シンクタンク、ウィルソン・センターで対中政策演説を行い、中国との衝突を望んでいないとしつつ、中国の権威主義的で規範を守らない多くの行動を具体的に指摘しつつ厳しく非難した。ここでは、演説の中で台湾がどのように位置づけられているか見てみる。まず、台湾に触れた個所を2か所紹介する。


(inthevisual/GBlakeley/iStock / Getty Images Plus)
1.我々は、中国共産党が中国人民の信教の自由を弾圧していることを指摘してきた。何百万もの民族的・宗教的マイノリティが共産党による宗教的・文化的抹殺と戦っている。

 我々は、新疆におけるイスラム少数派の取り扱いにつき北京に説明を求めてきた。9月、トランプ大統領は、ウイグル人その他の中国のイスラム教徒迫害のかどで、共産党幹部にビザ発給制限を課し、20の治安当局と8の中国企業に制裁を科した。

 そして、我々は、苦労の末に手に入れた自由を守ろうとしている台湾の味方である。トランプ政権下で、我々は、追加的な武器売却を承認し、世界で最も貿易が盛んな経済体としての台湾、中国の文化と民主主義のかがり火としての台湾をよく認識している。

 そして、我々は、何百万もの香港の人々が平和的デモに繰り出すたびに、彼らのために発言してきた。トランプ大統領は、当初から、1984年の中英共同宣言にある通り、香港人の権利を尊重する平和的解決がなければならない、と言ってきた。

2.トランプ政権は「一つの中国」政策の尊重を続けるつもりだが、この1年、中国は札束外交を通じて更に2か国の外交的承認を台湾から中国に替えるように仕向け、台湾の民主主義に対する圧力を強めている。

 国際社会は、台湾への関与が平和を脅かすものではないということを決して忘れるべきではない。それは、台湾と地域全体の平和を守ることになるのだ。米国は常に、台湾が民主主義を受容していることは全ての中国人により良い道を示している、と信じている。

参考:?Remarks by Vice President Pence at the Frederic V. Malek Memorial Lecture’, October 24, 2019

 ペンス演説の中核には、中国が自由、人権、民主主義、国際的規範を守らないことへの強い非難がある。演説では、台湾を、そうした中国と対照的な存在として称賛し、強く支持している。

 上記で紹介した1か所目では、新疆―台湾―香港が自由をめぐる戦いのラインとして効果的に描かれている。台湾は自由、民主主義、繁栄の象徴である。新疆、台湾、香港は、いずれも中国が「核心的利益」と位置付けている。ペンス演説からは、そういうことは認められないという米国の強い意志が伝わってくる。

 2か所目では、台湾の平和と民主主義を守ることが、台湾のみならず地域の平和と安定に資すると、国際社会に強く呼びかけている。これは、最近の蔡英文総統の「自由、人権、民主主義の価値を共有する国々が結束して中国の権威主義に対抗しなければならない」「台湾が中国から受けている嫌がらせや圧力は、明日は他の国にも降りかかり得る」といった主張と軌を一にしている。仮に来年の総統選挙で台湾に、中国との関係を重視する国民党政権が誕生すれば、中国との対決姿勢を辞さない、現在の米国の対中政策とは齟齬をきたす恐れがある。したがって、来年1月の総統選挙は、地域の安定と平和にとり極めて重要である。米国が蔡英文政権に対して事実上の支持を表明するのは自然なことである。

 なお、台湾の外交部(外務省)はペンス演説を受け、10月25日、演説に感謝を示すとともに、米国など理念が近い国家との連携を継続し、共に民主主義と国際秩序を守っていく姿勢を、改めて表明している。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/17823

 
ソロモン諸島でうごめく中国マネー

2019/11/13

岡崎研究所

 中国は、台湾の国際的活動空間を狭めることで、台湾の蔡英文政権に圧力を加えているが、最近ソロモン諸島と、次いでキリバスが台湾との国交断絶を発表し、中国との外交関係の樹立を発表した。


(RoyFWylam/vitaga/iStock / Getty Images Plus)
 これには、大きな中国マネーが動いたと言われている。10月24日号の英エコノミスト誌によれば、中国土木・建設会社は、外交関係の変更のために50万ドルの借款・贈与をオファーした。他にも、中国鉄道会社は、金鉱再生のために8億2500万ドルを貸すと約束した。中国政府はスポーツ・スタジアムを建設し、台湾への借金120万ドルを肩代わりすると申し入れた。

 国交樹立後、中国がソロモン諸島の一つ、ツラギ島をいわば租借する話が持ち上がった。9月、ソロモン諸島の地方の高官が中国のサム・エンタープライズ(China Sam)社と合意を締結した。この合意では、植民地時代ソロモン諸島の首都であった小さな島、ツラギ島の75年間の賃借が石油、ガスターミナル、漁港、「経済特区」の建設と共に定められていた。これがソロモンで政治問題化している。どう決着するのか、まだよくわからない。

 この島を賃貸する契約を結んだのはツラギの地方当局の代表であるが、地方当局にはそういう契約を結ぶ権能はないのではないかということが問題にされている。一般論としては、これについては相手が民間企業であるとすれば、権能ありとの論もなしとの論もありうると思うが、中国は中国式社会主義で企業と国家の関係が我が国のような場合とは異なる。これを考慮すれば、中国が南太平洋に島を賃借してでてくるというのは好ましいことではない。

 ソロモン諸島のマナセ・ソガバレ首相は、10月はじめ北京を訪問し、中国の「一帯一路」構想 に署名した。また首相と閣僚はChina Samと華為技術などの中国の大企業の役員と会っている。

 ソロモン諸島の隣のバヌアツ島に、中国は深海港建設の計画をもっており、これは中国海軍の本拠地にもなりうるものである。

 第2次世界大戦中、この地域は日米の激戦地であったが、これらの諸島が持つ地政学的価値があるからである。特に、これらの諸島は米国と豪州を結ぶシーレーンの上にある。日米豪印が進める「自由で開かれたインド太平洋戦略」にとって、中国の進出は、その戦略を進めていく上で、大きな阻害要因になる。これは日米豪間で話し合うべき問題であろう。

 中国は、A2AD(anti-access と area-denial)戦略をとっていると言われてきた。これは防衛的戦略とも言えるが、中国の戦略的意図はそういう防衛的な考え方からより積極的な影響圏の拡大になって来ていることを、この南太平洋への進出は示している。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/17822


 
ウイグル人学者へのサハロフ賞授与の意義

2019/11/15

岡崎研究所

 10月24日、欧州議会は、今年の「サハロフ賞」の受賞者として、中国で無期懲役の判決を受け服役中のウイグル人経済学者で人権活動家のイリハム・トフティ氏を指名した。正式には、12月18日に、仏ストラスブールの欧州議会で受賞式が開催される。


(Naeblys/Boonyachoat/iStock / Getty Images Plus)
 「サハロフ賞」とは、旧ソ連(現ロシア)の反体制派の物理学者、サハロフ博士にちなみ、欧州議会が1988年に創設した賞である。自由や人権、民主主義の擁護のために尽くした人に贈られ、これまで、南アフリカのマンデラ元大統領やミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相らが受賞した。

 受賞者の発表に際し、サッソリ欧州議会議長は、声明を発出し、「中国におけるウイグル人の権利を擁護するために人生を捧げた」と、トフティ氏の活動を評価した。トフティ氏は、インターネット等を通じ、新疆ウイグル地区の現状を伝えたり、中国で大多数を占め共産党を支配する漢族と、少数民族ウイグルとの和解や融和を説いたりしていた。

 欧州議会は、サハロフ賞の受賞者の発表と同時に、中国政府に、トフティ氏を釈放するよう強く要請した。これに対して、中国共産党政府は、欧州議会が中国の内政事項に介入し、「国家分裂罪」の判決を受けた「犯罪者」に賞を与えたことを非難した。

 今回のヨーロッパ議会のトフティ氏へのサハロフ賞授与は、歓迎されることである。中国のトフティ氏の処遇がこれで変わるとは思えないが、こういうことについては、間断なく、問題提起を続けていくことが望ましい。

 中国は、ウイグルなどの人権問題は中国の国内問題であり、内政干渉は許さないという立場をとるが、戦後の国際政治においては、人権問題は国際的関心事項として確立している。南アフリカのアパルトヘイト政策は、国内問題であるとの主張は認められてこなかった。国連憲章は、国内事項に干渉してはならないとしているが、他方で、国連は人権理事会を作っている。これは、人権が国際関心事項として確立していることを示している。

 香港人の人権も、ウイグル人の人権も、チベット人の人権も、国内問題として片付けることはできないことを、中国は認めるべきである。中国は人権規約については、A規約は批准しているが、B規約は批准していないと承知する。だが、そのことと人権問題が国内事項とは言えないというのとは別の話である。

 先般、習近平は、ネパールを訪問中に、分離主義者はその骨まで打ち砕くと恐ろしい脅しを発したが、トフティも分離主義者とされている。こういうことは問題にしていくべきであろうし、そうすることが中国をルールに基づく国際社会の一員にすることに資すると思われる。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/17824


 

http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/730.html

[経世済民133] 消費増税後も意外と堅調な個人消費、大きく落ち込むXデーはいつか 世界経済、20年と21年のリセッション入りない ヘッジファンドのアスペクト、為替リスク警戒強まる 対ドルレート円高にも円安にも大きく振れない理由 中国新築住宅上昇率鈍化ー18年3月以来の低い伸び
消費増税後も意外と堅調な個人消費、大きく落ち込むXデーはいつか
塚崎公義:久留米大学商学部教授

経済・政治 重要ニュース解説「今を読む」
2019.11.15 5:10


消費増税でも買い物
消費増税から1ヵ月半がたった今もまだ、個人消費には大きな落ち込みは見られていません Photo:PIXTA
消費増税は、駆け込み需要と反動減という好ましくない景気変動をもたらすが、今回はそれがコントロールされている模様である。その背景には、どういった要因があるのだろうか。そして、今後もこの状況は続いていくのだろうか。(久留米大学商学部教授 塚崎公義)

消費増税がもたらす2つの問題
「実質所得への効果」と「駆け込み需要」
 前回、消費税が5%から8%に引き上げられた2014年には、駆け込み需要も大きかったが、その反動減が人々の予想を上回る大きさとなった。そして、景気が腰折れするのではないかといった懸念まで広まった。

 それと比べると、今回は穏やかなスタートが切られたようだ。その理由としては、実質的な増税幅の小ささ(そもそもインパクトが小)、駆け込み需要に対する抑制策(山低ければ谷浅し)、反動減の平準化(谷をならす政策等)などが考えられる。

 消費増税は当たり前ながら増税であるから、給料が増えずに増税分だけ商品の「値上げ」になり、人々の実質所得を減らす。したがって、それが実質消費を減らし、景気にマイナスの効果が出るのは当然である。

 この点について、今回の場合は増税幅が2%と前回(3%)より小さく、軽減税率を導入したり、幼児教育無償化やポイント還元制度などによる景気対策が講じられたりしている。こうした政策によって、実質所得のマイナス効果は大きくなかったため、景気の落ち込みが軽微だったと考えられる。

 消費増税がもたらすもう1つの問題は、駆け込み需要と反動減という好ましくない需要の変動を生み出すことである。この点についても、駆け込み需要と反動減は前回ほど大きくないようだ。

 増税幅が小さかったことにより、駆け込み消費をするインセンティブが小さかったことも挙げられるが、駆け込み需要と反動減を抑制する工夫も奏功したのであろう。

次のページ

車、住宅の駆け込み需要を減少させた施策も
 例えば、乗用車(登録車)の自動車税は2019年10月以降に登録した新車から自動車税が減税されるので、この点でも駆け込み需要は大いに抑制されたと考えられる。

 住宅に関しても、 消費税率10%で購入された一定の要件を満たした住宅については、住宅ローン控除の期間が延長されるなどの措置がとられており、これも駆け込み需要を大いに抑制したといえる。

 キャッシュレスに対するポイント還元も、意外と影響が大きかったかもしれない。買う店にもよるが、例えばコンビニで日用品の買い物をキャッシュレスで行って消費税を10%払っても、2%(中小・小規模事業者では5%)のポイントが還元されるので痛税感がない。ましてや食料品を買えば、以前より実質減税になっているわけであるから、消費者マインドを冷やしにくい。

 実際には、自動引き落としとなっている電気代などは増税されているわけで、生活が苦しくなっているとしても、日々の生活で意識されにくいとすれば、人々の消費マインドが増税の割に暗くならず、消費が落ち込んでいないとも考えられる。

 こうした流れの中で、人々がクレジットカードを使う金額は以前よりも増えているかもしれない。そうだとすると、クレジットカードを利用した分は財布の中身にすぐは直結しないので、ついつい使いすぎる人もいるだろう。それが消費の落ち込みを和らげている面もありそうだ。

 こうしたことが複合的に作用して、増税後の落ち込みが緩和されているのであろうが、今後に関しては安心してもいられない。

時間をかけて少しずつ影響が出てくる可能性
 ポイント還元等は時限措置で、2020年6月末には終了する予定となっている。その時に消費が落ち込む可能性があるので、要注意である。

 それ以外にも、時限性のある対策が複数あることから、少しずつ「実質増税」が行われていくことになるのだろう。

 あるいは、クレジットカードの利用明細を見て、初めて使いすぎたことに気づいて消費を抑制する消費者が増えてくるかもしれない。

次のページ

米中貿易戦争も不透明さを増す要素に
 折しも景気の先行きは不透明になりつつあり、米中貿易戦争(実際には冷戦と呼ぶべき状況)の影響も読みにくい。政府には、景気動向をよく観察して、時限性のある対策の期間を延長するなどの、万全の対策をお願いしたい。

 今年は、大規模な災害が多数発生し、甚大な被害が発生した。亡くなられた方のご冥福をお祈りし、被災された方にお見舞い申し上げたい。その上で、あえて記しておきたい。

 今後も災害が繰り返される可能性を人々が認識したことから、国土強靭化のための大規模な対策を政府が検討することとなろう。それが景気の底支えの役割をするとすれば、不幸中の幸いといえるのかもしれない。

「支出を減らしたか」という
アンケート調査の不思議
 以下は余談であるが、言葉の使い方には気をつけたい、という筆者自身への戒めも込めて記しておきたい。

 日本経済新聞が行った世論調査(10月28日付朝刊)によると、増税後「家計支出変わらず」と回答した人は76%、「減らした」が21%だったとのことである。これは「消費税増税分だけそっくり支出額を増やしたため、買い物の数量が変わらなかった人が76%」「消費税増税分ほどは支出額を増やさなかったため、買い物の数量が減った人が21%」という意味であろう。

 金額の話なのか、数量の話なのか。聞いている人と回答している人々の認識が「数量の話である」ということで一致しているようなので、本件は問題ないのだろうが、回答者の中には「消費額を増やした」という意味で回答した人もいたかもしれない。

 質問を作成する時も、記事を書く時も、気をつけたいものである。

関連記事

消費増税のポイント還元で、「デビットカード支払い」が最もおトクな理由
松崎のり子

消費増税のポイント還元、混乱せずにしっかり得する3つの心得
消費増税で、国民の財布のヒモがきつく締まり始める「Xデー」とは
鈴木貴博

消費増税で免税事業者が4年後に直面する本当の「大問題」
野口悠紀雄


https://diamond.jp/articles/-/220619?page=3

 
世界経済、20年と21年のリセッション入りない−ムーディーズが予測
Vishal Persaud
2019年11月15日 7:42 JST
G20全体の成長率は20年に2.6%となり、21年は2.8%に上向くと予想
米は2%やや下回る潜在成長率近辺で安定し中国は着実に減速の公算
格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、20カ国・地域(G20)全体の2020年の成長率が、年率2.6%と19年と同じペースになるとの見通しを明らかにした。

  G20全体の成長率は21年には2.8%に上向くとみており、同年にかけて世界経済がリセッション(景気後退)入りすることはないと予想している。

  ムーディーズは14日のリポートで、「20年にかけて2大経済大国である米中の減速が続く」と予測。「米国の実質GDP(国内総生産)伸び率は2%をやや下回る潜在成長率近辺で安定する可能性が高い」と分析する一方、「中国は長期的な構造要因の結果として着実な減速が想定される」とした。

  

原題:Moody’s Doesn’t See Global Economic Recession in 2020 or 2021(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-14/Q0ZAVTT0AFB601?srnd=cojp-v2


 

ヘッジファンドのアスペクト、為替リスク警戒強まる−顧客需要が示す
Andreea Papuc、Sybilla Gross
2019年11月15日 11:10 JST
• 為替エクスポージャーの管理・運用を手掛ける事業は世界的に拡大
• ドルが長期にわたり上昇、投資家は当局の動き警戒−トッドCEO
ロンドンを本拠とするクオンツヘッジファンドのアスペクト・キャピタルは、為替ヘッジ商品へのオーストラリアの年金基金からの需要が高まったと感じている。
  データ分析アルゴリズムと数学的モデルを駆使し市場のトレンドを予想して投資する同社には、為替オーバーレイと外為リスクを扱う特別仕様のサービスを求める顧客が増えている。アンソニー・トッド最高経営責任者(CEO)によれば、為替エクスポージャーの管理・運用を手掛ける事業は豪州ばかりでなく世界的に拡大している。
  同CEOは「投資家はポートフォリオに潜む想定外のリスクに強い注意を払っており、管理されていない為替リスクはそうしたリスクの1つだ」とした上で、「米ドルが長期にわたって上昇してきており、投資家は総じて、今後数カ月の金融当局の動きが外為市場にどう影響するかを警戒している」と話した。

原題:Quant Hedge Fund Aspect Sees More FX Risk on Investor Radars (1)(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-15/Q0YIB86JTSEB01?srnd=cojp-v2


円の対ドルレートが円高にも円安にも大きく振れない理由
ダイヤモンド編集部 竹田孝洋:編集委員

政策・マーケット DOL特別レポート
2019.11.15 5:35

為替レート
5月中旬以降、円の対ドルレートは1ドル=105円から109円の間で推移している。円安の材料が出ても110円を超えることはなく、円高の材料が出ても105円を割り込むこともない。それはなぜなのか。背景と理由を分析した。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

米中摩擦激化によるリスクオフの円高を
日本の貿易収支悪化による円安が相殺

 なぜ、これほど円の対ドルレートが動かない状態が続いているのか。

 まず、米中貿易摩擦の激化などによるリスクオフや、日米金利差縮小で市場が円高に振れたときには、日本の貿易収支悪化と米国経済減速ペース緩和期待による円安圧力がその進行を抑制してきた。

 5月5日にトランプ大統領が対中関税追加引き上げを表明して以降、市場は投資家がリスクを回避する方向に動くリスクオフの状態になった。リスクオフの状態になると、円は高くなるのがセオリーだ。

 通常の状態であれば、円が他の通貨に比べて金利の低い通貨であるため、円で資金を借りて円以外の通貨の資産に投資するキャリー取引が行われている。

 ここでは、投資家が為替リスクをとっている。リスクオフの状態になると、キャリー取引をしている投資家は、外貨の資産を売り、手にした外貨を円に転換し、借入金を返済してリスクを減らそうとする。それゆえ円が高くなる。

 円の対ドルレートは、セオリー通り当初は110円を割ったが、108円台で円高の進行は止まった。

 円高圧力を押し戻した大きな要因の1つが、日本の貿易収支の悪化である。2018年度上半期の貿易収支は1兆1245億円の黒字だったが、2019年度上半期は241億円の赤字となった。

 米中貿易摩擦の激化による中国経済減速で対中輸出が減少していることが、貿易収支を悪化させている。

 その悪化分だけ、円を外貨に換えて代金を支払うことになるから、実需ベースでの円安圧力が高まっている。それが、リスクオフでの円高圧力による円買いを吸収している。

 海外からの配当や利息など、第一次所得収支の黒字で経常収支は黒字が続いているものの、外貨で受け取った配当や利息は必ずしも円に転換されるとは限らず、大きな円高圧力とはならない。


次のページ

円高要因と円安要因の両方の側面を持つ、FRBの利下げ

 FRB(米連邦準備制度理事会)は7月、9月、10月の3度にわたって、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)レートを引き下げた。この間、日本銀行は追加緩和には動かず、日米の金利差は縮小した。これも円高要因となる。

 ただ、FRBの利下げは一方で、米国経済の減速ペースを緩やかにする効果があり、それは市場にとってはリスクオンの円安要因となる。

 すでに触れた貿易収支悪化による実需の円安要因も背景にあり、3度の利下げの前後で円の対ドルレートは大きく変動しなかった。

 ここまでは、為替レートが円高に振れた場合に、その進行を抑制するメカニズムである。

 投資家がリスクを積極的にとろうとするリスクオンの状態のときは、経路が正反対となる。低金利の円で資金を借りて海外に投資する動きが加速する。円をドルなどの外貨に換える動きが活発になるので円が売られて安くなるのが通常の動きである。

 米中貿易摩擦に対する楽観的な見通しが浮上したり、米国経済の堅調さを示す経済指標が発表されたりすると、市場はリスクオンになり、円の対ドルレートはドル高円安方向に振れる。

 5月から現在までの半年間、円の対ドルレートが108円から109円に下落したのはそういうときだ。


次のページ

リスクオンの円売りを、日本の輸出企業の円買いが吸収する

 では、リスクオンで円安に振れた場合に、その進行を抑制する要因は何か。ここでは、日本の輸出企業のドル売り円買いが円安の進行を抑えている。

 日本の輸出企業の多くは、社内レートを1ドル=108〜110円に置いている。そのため、円の対ドルレートが110円に近づくと、輸出代金を円転するためのドル売り円買いを入れる。そのため、ドルの上昇がそこで止まってしまう。

 今後も、こうした円高にも円安にも大きく振れない均衡状態は続くのか。

 リスクオン・オフを左右する米中貿易摩擦に対しては、部分合意が浮上しているものの、完全合意までは見通せない。

 米国が問題視する中国の産業補助金は、国家資本主義の根幹に関わるものであり、中国が妥協することは考えにくいからだ。リスクオフの要因としてくすぶり続けるだろう。

 貿易摩擦が緩和の方向に向かわなければ、日本の貿易収支の悪化傾向にも歯止めはかからない。

 現在の均衡状態が大きく崩れるとすれば、可能性は低いが米中摩擦が一転、完全合意となり、リスクオンとなるか、米中両国経済の減速に拍車がかかり、世界経済も減速し、リスクオフとなるケースだろう。
 


関連記事

FRBは利下げ「様子見」姿勢へ、市場は年末にかけてどう反応するか
嶌峰義清

米国の次期景気後退入りは2020年、最大4割の株価下落に要警戒
竹中正治

再燃する「日本化」論、為替市場でのリスクを考える
山本雅文
景気減速でも最高値更新続ける米株価の「5つの死角」
西岡純子
https://diamond.jp/articles/-/220561?page=3


 
中国の新築住宅価格、10月も上昇率鈍化ー18年3月以来の低い伸び 一級都市ほど成長が悪いように見えるがピークからの下落は3級が大きい
Bloomberg News
2019年11月15日 12:15 JST
• 主要70都市の価格は前月比0.5%上昇にとどまる
• 価格の軟調は、地方の経済拠点を中心とする2級都市で最も顕著
中国の新築住宅価格の上昇率は10月に5カ月連続で鈍化した。中国の経済成長が既に貿易摩擦や内需不振で打撃を受ける中、不動産セクターがさらに重しとなる可能性があることが示唆された。
• 国家統計局が15日発表したデータによると、主要70都市の新築住宅価格(政府支援住宅は除く)は前月比0.5%上昇と、2018年3月以来の低い伸びとなった
• 価格の軟調は、地方の経済拠点を中心とする2級都市で最も顕著で、約3分の1の都市で価格が下落した

原題:Home-Price Growth in China Is the Weakest Since March 2018 (1)(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-15/Q0ZMBMT0G1KW01?srnd=cojp-v2


Chinese city tier system 


http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/642.html

[国際27] 米国防長官、クラウド契約のバイアス否定 アマゾン不服申し立て 米国防長官、韓国に在韓米軍の負担増要求 GSOMIA維持も要請  北朝鮮、金剛山の施設巡り韓国に「最後通告」 協議要求なら撤去

 
テクノロジー2019年11月15日 / 17:34 / 1時間前更新
米国防長官、クラウド契約のバイアス否定 アマゾン不服申し立てへ
Reuters Staff
1 分で読む

[ソウル 15日 ロイター] - 米国防総省のクラウドコンピューティング契約をマイクロソフト(MSFT.O)が受注したことを巡り、エスパー国防長官は15日、同省の決定にバイアスがかかっているという説を否定した。受注を有力視されていたアマゾン・ドット・コム(AMZN.O)は不服申し立てをする方針を示している。

エスパー長官は、訪問先の韓国での会見で「(発注先の選定を)外部の影響を一切受けず、自由かつ公平に実施したと確信している」と述べた。

トランプ米大統領は以前からアマゾンとその創業者のジェフ・ベゾフ氏を批判し続けている。

アマゾンは、契約先の選定手続きに政治的な介入があったとして、不服申し立てをする方針。同社の広報担当者によると、14日の社内会議で、アマゾンウェブサービス(AWS)のトップが、大統領が発注先候補の1社を激しく批判している状況で政府機関が客観的な決定を下すのは困難との見解を示したという。

エスパー長官は、息子が当初受注に名乗りをあげていたIBM(IBM.N)に勤務していることから、選定作業から自身を外していた。

長官は会見で、発注先の選定でアマゾンを外すようトランプ大統領から国防総省に要請があったのかという質問に対し、アマゾンの主張の件は承知していないと述べた。
https://jp.reuters.com/article/amazon-com-pentagon-idJPKBN1XP0QW


 
ワールド2019年11月15日 / 15:19 / 1時間前更新
米国防長官、韓国に在韓米軍の負担増要求 GSOMIA維持も要請
Reuters Staff
2 分で読む

[ソウル 15日 ロイター] - エスパー米国防長官は15日、在韓米軍の駐留経費について、韓国側の負担増額を求めた。

韓国が破棄を決めた日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)については、協定を維持すべきだとの認識を示した。

韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相との会談後に会見で述べた。

北朝鮮の核問題については、外交を通じた解決に向けて、米韓共同軍事演習を柔軟に修正する必要があると指摘した。

ただ、米韓共同軍事演習を新たに中止する計画は発表しなかった。北朝鮮は14日、米国から非核化を巡る新たな協議の提案があったが、「北朝鮮の懐柔」を目的とする協議に応じる意思はないと表明した。

<在韓米軍の駐留経費>

エスパー長官は会見で、韓国の負担を増やす方向で米軍の駐留経費分担に関する合意を年末までに取りまとめることが極めて重要と表明。「(韓国は)裕福な国なので(在韓米軍のための費用負担を)増やすことが可能であり、増やすべきだ」と強調した。

鄭氏は、在韓米軍の駐留経費分担を取り決める協定について、公正で双方にとって合意可能な内容にすべきとの見解で一致したと述べた。

ただ、どの程度の負担が公正なのかを巡って、米韓の見解が一致しているのかは不明。

韓国議員が先週明らかにしたところによると、米政府は在韓米軍の駐留経費について韓国側の負担を最大で今年の5倍以上の年間約50億ドルに引き上げることを求めている。

韓国政府系シンクタンク、韓国統一研究院が先週発表した調査によると、韓国人の96%は駐留経費の負担拡大に反対している。

北朝鮮国営の朝鮮中央通信社(KCNA)は15日、米国が在韓米軍の駐留経費の負担拡大を韓国に要求していることについて、「他国からの略奪」を通じて、アジアでの軍事力を強化しようとしていると論評した。

韓国外務省は、防衛費に関する次回の協議を今月18─19日にソウルで行うと発表した。

<GSOMIA>

エスパー長官は、韓国がGSOMIAの破棄を決めたことについて、軍の即応性に影響すると発言。「GSOMIAが失効し、日韓の摩擦が続けば、北朝鮮と中国が得をするだけだ」と述べた。

鄭氏は、エスパー長官とGSOMIAの破棄について個人的な意見交換をしたと発言。見解の差を縮めるため、GSOMIAが失効する今月23日まで、韓日両政府が努力すると述べた。ただ現時点では事態打開の兆しは見られない。

鄭氏は、エスパー長官との会談で米国による北朝鮮抑止のコミットメントと北朝鮮の非核化に向けた取り組みについて再確認したとも表明した。

*内容を追加しました。
https://jp.reuters.com/article/us-south-korea-defence-idJPKBN1XP0IS


 


ワールド2019年11月15日 / 10:43 / 4時間前更新
北朝鮮、金剛山の施設巡り韓国に「最後通告」 協議要求なら撤去
Reuters Staff
1 分で読む

[ソウル 15日 ロイター] - 北朝鮮は15日、南北協力の象徴である景勝地・金剛山の施設について、韓国が取り扱いを巡る協議を要求し続ければ、一方的に撤去するとの「最後通告」を行ったことを明らかにした。

南北関係が冷え込む中、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は先月、「みすぼらしい」同施設を撤去し、現代的な施設に建て替えるべきだと述べた。

北朝鮮はこの問題について、文書のやり取りで対応すべきとの姿勢を示している。一方、韓国側はこれまでに、北朝鮮に対し、施設の取り扱いに関する実務者協議の開催を提案。「創造的な解決」を目指すとし、韓国資産の保護を優先する方針を示している。

国営の朝鮮中央通信社(KCNA)によると、北朝鮮は「韓国当局がくだらない要求を続ければ、施設を放棄したと見なし、一方的な撤去に向け断固とした措置を取るという最後通告を11月11日に行った」という。

韓国統一省の副報道官は「南北は協議を通じてこの問題に対応すべきという、われわれの一貫した立場に沿って」冷静に対応するとした。

施設が撤去された場合の具体的な対応には言及しなかった。

金剛山の施設は、開城工業団地とともに、南北の主要な経済プロジェクトであり、南北間の協力の象徴とされてきた。

KCNAはまた、金委員長が中部の平安南道で建設中の陽徳郡温泉観光地区を視察したと伝えた。

金委員長の同地視察が報じられるのは今年4回目。10月下旬に視察した際は「気持ちが良く、元気が出る」「金剛山の観光地区とは大違いだ」と感想を述べていた。

*内容を追加しました。
https://jp.reuters.com/article/northkorea-southkorea-idJPKBN1XP04L
http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/732.html

[経世済民133] 米金利上昇を阻む「ドル化した世界」 4兆円弱の大手行保有「ベア型」投信、相場変動の激化要因 4兆円規模の災害・経済対策浮上 ECB新総裁、政策決定見直し 人民銀、最優遇貸出金利引下 マレーシアGDP減速
為替フォーラム2019年11月15日 / 18:14 / 21分前更新

米金利上昇を阻む「ドル化した世界」

唐鎌大輔 みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト
5 分で読む

[東京 15日] - 米株が断続的に史上最高値を付け、米金利も上昇基調にある中、今後1年間のドル高相場をメインシナリオとする向きも増えてきそうである。

実際、米供給管理協会(ISM)景気指数の底打ち機運などを見ると、そのようなシナリオも検討に値する。また、製造業購買担当者景気指数(PMI)を見ても、米国や中国については持ち直しの兆しも感じられる。昨年来、これほど製造業のセンチメントが悪化し、米金利も過去1年で半分以下(2018年10月の3.2%から2019年9月には1.4%まで低下)の水準となったにもかかわらず、ドル/円JPY=EBS相場はその過程で104円台までしか下がらなかった。

世界経済の減速、これに応じた米連邦公開市場委員会(FOMC)のハト派傾斜、その結果としての米金利低下は、いずれも筆者は予想してきたメインシナリオだったが、ドル/円相場の異常な底堅さだけは誤算であったとしか言うほかない。

<アップサイドリスクの広がるドル円相場>

その理由は判然としないが、本邦の対外純資産構成の変化(対外証券投資の相対的な減少、対外直接投資の相対的増加)は、ほぼ確実に寄与しているだろう。リスク許容度の毀損を受けて保有している海外の有価証券を売却する(円買い・外貨売りする)投資家はいても、買収した海外企業を売却する企業はいない

クロスボーダーM&Aの隆盛は本邦企業部門による円の売り切りを意味し、容易には巻き戻されない根雪のような外貨になっていると推測される。ドル/円相場が底堅くなった理由は他にもあるだろう。米金利は確かに大幅に下がったが、先進各国の金利が水没する中では依然として高金利だったことも事実である

ゆえにドル売りがはやらなかった側面はあろう。また、昨年来の世界経済減速をもたらしている震源地が中国やユーロ圏であって、米国の傷はそもそも浅かったというのも、ドル売りが進まなかった理由かもしれない。

いずれにせよ、企業部門の大幅なセンチメント悪化とこれに伴う米金利の急低下をもってしても、ドル/円相場が下値を攻め切れなかったことの意味は小さくない。既に、センチメントの底打ちを期待する向きも出てきており、2020年年以降のドル/円相場に関し、リスクがアップサイドに拡がっていることはある程度認めなければならない。

<「円高が進まなかった」のではなく「ドル安が進まなかった」>

しかし、アップサイドリスクの存在を認めつつも、ドル/円相場が110円台を回復し、定着、上値追いとなる展開も難しいように感じられる。そもそも2019年は「円高が進まなかった」わけではなく、「ドル安が進まなかった」というのが正確な理解だ。

実質実効為替相場(REER)を見ると、円は年初来で+2.4%、前年比では+5.0%と相応に上昇している。実効ベースで見れば、今年が「円高の年」であったことは間違いない。だが一方、ドルのREERも年初来でプラス2.8%、前年比ではプラス2.5%と上昇している。

「円も買われるが、ドルも買われる」という状況下、ドル/円相場が大きく下がるのは難しかったという話であって、「円が全く買われなくなった」わけではないことは留意したい。円買い圧力は相応に残っており、ドル/円相場の上値を重くする力はありそうである。 ちなみに、ユーロのREERを見ると年初来でマイナス0.6%、前年比ではマイナス4.4%とはっきり下落している。日米欧三極で最弱のファンダメンタルズがはっきり出ていると言える。REERの動きは2通貨間のペアよりも素直に各国の経済・金融情勢の相対的な位置関係を映し出している。

<とはいえ、「ドル化した世界」は健在>

では、米景気がこのまま再拡大の局面に入り、米金利の上昇に追随してドル/円相場が続伸するという展開があり得るのか。それもまた、難易度が高いシナリオだろう。繰り返し言われているように、金融市場にとって最大のリスクである米中貿易戦争はもはや通商問題の枠を超えた覇権争いの様相を呈しており、早期解決を期待するものではない。

トランプ大統領の一挙手一投足で明暗が目まぐるしく切り替わる状況は何も変わっておらず、現状は「明」の方に偏っているだけとも考えられる。既報の通り、トランプ米大統領は米中貿易交渉に関して予断を許さない発言を繰り返しており、状況はいつでも「暗」の方に転び得ると構えておくべきだ。

また、確かに10月FOMCを経て米連邦準備理事会(FRB)は「利下げ休止」を示唆しているが、だからといって「利上げ転換」に至る見通しが立っているわけではない。まして欧州中央銀行(ECB)や日銀が正常化に目を向けることも全く考えられない。こうした現状を踏まえれば、各国金利の上昇を前提に見通しを作ることも危ういというのが筆者の基本認識である。

なお、米金利の行方を考える上では「ドル化した世界」という論点を忘れてはならない。金融危機後の10年間で新興国(とりわけその企業部門)はドル建て債務を積み上げてきたという経緯がある。国際決済銀行の与信統計を見れば一目瞭然だが、国内総生産(GDP)比で見てもかなり大きな幅を持って積み上がっている2017─2018年でもしばしば見られたが、「ドル化した世界」では米金利が上がれば新興国・地域を中心に資本流出が促され、国際金融市場が揺らぐことになる。

より具体的な話をすれば、米金利が上がった場合、新興国・地域は資本流出を抑えるための自衛的な利上げに追い込まれ、結果として当該国・地域の消費・投資意欲が毀損する展開が懸念される。2018年後半以降の世界経済減速にはそのような側面もあったと考えられる。米金利やドルが上昇すれば外貨としてドルを借り入れている国の負担感が増すのは当然であり、今後、米金利が上昇してくれば、同様の問題が浮上するだろう。

もちろん、2018年に何度も目にしたが、米金利の上昇は米株式市場の動揺も誘う。その転換点は米10年金利で3.0%前後であったというのが当時の経験則だ。株価下落は逆資産効果を通じて米国経済の消費・投資意欲を削ぐというのが当時、最も懸念された経路である。結局FRBがハト派に急旋回し、株価が持ち直したのでそのような展開は回避されたが、こうした株式市場の動揺は今後も課題となるだろう。

要するに、フェデラルファンド(FF)金利は世界の資本コストであり、FRBは世界の中央銀行であるという理解と共に米金利や世界経済を展望する必要があるということだ。米国が如何に好調であろうと、米金利の上昇は緩やかにしか進まないという大局的な視点が相場見通しの策定に求められるのである。

<2020年もレンジ相場か>

また、大統領選挙を控えた政権を尻目に利上げ軌道に復帰するという政治的な難しさも残る。再選に意欲を見せるトランプ大統領は激しい口調になるだろうし、かつてのように更迭というフレーズが飛び交う恐れもある。国内外の経済・金融情勢に加え、そうした国内政治情勢も勘案すれば、2020年のFRBの政策運営は「現状維持」を1つの目標とするのではないか。市場参加者としては非常に苦痛な状況(実体経済にとっては非常に好ましい状況)だが、米金利の方向感が出ない以上、2020年のドル/円相場もレンジ相場に収束する可能性が高まっているように感じられる。

しかし、「金利を低位安定させることで株価を維持する」という政策運営は、いつまでも続けられるものではない。FRBは「mid-cycle adjustment」(サイクル半ばでの政策調整)と呼んだ今次利下げ局面で75bpsののりしろを使わされたが、このような局面を繰り返し、政策金利がゼロに接近してくれば株価の下支えもいずれ難しくなるだろう。そのことが意識された時に株価を筆頭とする資産価格が大崩れすることは考えられる。それが大統領選の年に起きる可能性は高く無さそうではあるが、十分警戒に値するシナリオである。

(本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

*唐鎌大輔氏は、みずほ銀行国際為替部のチーフマーケット・エコノミスト。日本貿易振興機構(ジェトロ)入構後、日本経済研究センター、ベルギーの欧州委員会経済金融総局への出向を経て、2008年10月より、みずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)。欧州委員会出向時には、日本人唯一のエコノミストとしてEU経済見通しの作成などに携わった。著書に「欧州リスク:日本化・円化・日銀化」(東洋経済新報社、2014年7月) 、「ECB 欧州中央銀行:組織、戦略から銀行監督まで」(東洋経済新報社、2017年11月)。新聞・TVなどメディア出演多数。

(編集:橋本浩)
https://jp.reuters.com/article/column-daisuke-karakama-idJPKBN1XP0TO


 

コラム2019年11月15日 / 12:19 / 6時間前更新
4兆円弱の大手行保有「ベア型」投信、相場変動の激化要因に
田巻一彦
2 分で読む

[東京 15日 ロイター] - 国内の大手銀が保有する4兆円弱の「ベア型投資信託」が、株価や長期金利の変動を増幅させる変動要因として、市場の一部で意識され出した。株価下落ヘッジ用のベア型は、想定を超えた株価急騰時の対応が難しい。今月5日の日経平均.N225の大幅上昇と6日の長期金利JP10YTN=JBTC上昇には、このベア型が影響したとされる。

今後、電撃的な米中の通商合意などがあった場合、予想外の株高と長期金利上昇の「誘因」になりかねないパワーを秘めている。

日銀が10月24日に公表した金融システムリポートは、地域金融機関に経費節減や非金利収入の拡大を促したことなどに注目が集まったが、市場関係者の多くが見逃した一節に、実は大きな意味があった。

金融機関の有価証券投資について言及した同リポートの23ページに「大手行では、引き続き株式投資信託に関して厚めの残高を維持しつつも、債券や政策保有株式等の評価損益を管理するための『ベア型』の投資信託を積み増す先がみられ、足元の残高増加のかなりの部分を『ベア型』が占めているとみられる」と記された。

そのうえで脚注には「投資残高ベースでは、『ベア型』は大手行の投資信託残高の約5割を占める」との説明が付いた。

日銀によると、2019年8月末の大手行の投信残高は約7.5兆円。ベア型は3兆円台後半で推移していたとみられている。

「ベア型」投信は、株価の下落局面でリターンを得る可能性が高まるように組成されている。日銀によると、19年8月末の大手行の株式保有残高は約6.4兆円。

多くは企業との取引関係を重視して保有する「政策保有株式」とみられ、その損失リスクを抑制するために保有したのが、「ベア型」投信だったとみられる。

昨年から米中貿易摩擦が激化し、株価下落リスクの高まりが意識され、そのことも「ベア型」の保有に大手行が傾いた要因だったようだ。

この「ベア型」が、東京市場で株価押し上げに一役買ったのが今月5日だった。米中通商交渉の部分合意観測が高まり、4日の米株が大幅高となり、5日朝から日経平均は足取り軽く上昇。午後になって一段と上げ、401円高で引けた。

複数の市場関係者によると、その背後に大手銀によるベア型投信解約による「上げ効果」が加わっていたという。

その余波は、翌6日にも続く。今度は円債市場で長期金利が一時、マイナス0.075%まで急上昇した。

この金利上昇の背景にも、短期的な株価の大幅上昇を受け、リスク量の調整を余儀なくされた大手銀などが、長期ゾーンの国債を売却したことが影響したという。

つまり、「ベア型」投信への対応を起点に、株高と長期金利上昇の幅がかさ上げされた構図になったということだ。

株価下落に備えた「ベア型」投信の保有だったが、11月上旬のような急激な株高時には、かえって株と債券の両方で損失リスクが拡大してしまった。

理想的には、政策保有株の残高を今後、一段と減少させつつ、「ベア型」投信の残高も減らすことが、大手行のリスクを減少させる近道となる。だが、規模が大きいだけに急激な残高削減は難しいだろう。

そうなると、次に大幅な株価上昇が短期間に実現した場合、今回と同じような展開になることが予想される。では、どういうときに想定されるのか──。

最も考え得るのは、足元で膠着(こうちゃく)している米中通商交渉で期待された「部分合意」が成立し、米国の関税撤廃の範囲が予想を超えるケースだろう。

そのほか想定外の出来事でリスクオン相場が急進展した場合、「ベア型」投信のまとまった解約が発生するのではないか。

しばらくの間、「ベア型」投信解約の破壊力を注視する必要があると考える。
https://jp.reuters.com/article/column-japan-banks-idJPKBN1XP09R


 

ビジネス2019年11月15日 / 17:55 / 40分前更新
アングル:
4兆円規模の災害・経済対策浮上、強靭化計画の規模など焦点
竹本能文
2 分で読む

[東京 15日 ロイター] - 政府が現在策定中の災害・経済対策の規模として、最低4兆円程度が必要との意見が出ている。これに伴って昨年打ち出した国土強靭化3カ年計画の延長・改訂も検討されているが、議論は収束していない。政府は今月末を目指し、とりまとめを急ぐ方針だ。

<6兆円の崖を意識>

政府は国内景気が緩やかに回復しているとの見解を堅持しているが、安倍首相は8日、早期の経済対策策定を指示した。1)災害対策、2)中小企業対策、3)東京五輪・パラリンピック後を見据えた景気対策、の3本柱からなる。

対策規模に関し、自民党の甘利明税制調査会長が11日の講演で、2018年度の補正予算と19年度当初予算の特別枠が合わせて約6兆円であった点を指摘。今年の景気は「昨年より少なくとも良い状況とはいえないはずだ」と述べ、「昨年より大きく劣後する対策に意味はあるのか検証すべき」と、6兆円と同等か、それ以上の対策が必要との見解を示した。

これに先立ち7日に開催された政府の経済財政諮問会議でも、竹森俊平議員(慶大教授)が「19年度予算で臨時・特別の措置で2兆円、18年度補正予算で災害対応等で4兆円、合わせて6兆円あって、これが2020年に付いていないとすると、突然、大きく公需が落ちる」と発言したことが議事要旨で明らかになっている。

政府関係者の間では、「消費増税対策としての2兆円の臨時・特別の措置は20年度も継続するので、6兆円予算が減ることはない」(経済官庁幹部)との説明もあるが、既定路線の2兆円を除いて「4−5兆円の規模は必要というのが相場感だ」(別の官庁幹部)との説明が多い。

<新・強靭化対策の構想も>

しかし対策の詳細が煮詰まるのには一定の時間がかかりそうだ。第2・第3の柱に関して、学校用パソコン普及、日米通商協定を受けた農業対策など様々な案が議論されているが、「各項目とそれぞれの予算規模の議論はこれから」(内閣府)とされる。

第1の柱である災害対策についても様々な議論がある。政府が昨年末に策定した国土強靭化3カ年緊急対策(事業規模7兆円、国費3兆円強)の延長が与党内の主論で、「2年、3年、5年延長説がある」(与党関係者)。

しかし20年度を最終年度とする現行の3カ年対策の中身は、昨年の災害被害を反映し、空港の電力対策や学校のブロック塀対策などが中心となっており、台風19号で多数発生した河川氾濫などの比重は相対的に小さくなっている。このため遊水地の整備など河川氾濫対策に重点を置き、「切り口を変えた形の強靭化対策を別個に打ち出す可能性もある」(与党幹部)という。

財務省は、人手不足による公共工事の消化率低下を背景にこれまでのところ3カ年対策の延長に慎重だが、「これまで予見できない災害が発生したと判断すれば柔軟に対応する可能性がある」(幹部)と含みを持たせている。与党内では「10年程度の強靭化対策が必要」(自民幹部)との意見もあるが、2─3年延長説が多い。「あまり長期のインフラ計画を作ってしまうと、次の政権の経済政策が作りにくくなる」(別の自民幹部)との見方もあるという。

編集:石田仁志
https://jp.reuters.com/article/japan-econimic-package-idJPKBN1XP0ST


 

為替フォーラム2019年11月15日 / 11:34 / 7時間前更新
ECB新総裁、政策決定見直しが初仕事 透明性高まるか
Swaha Pattanaik
2 分で読む

[ロンドン 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 欧州中央銀行(ECB)のラガルド新総裁は、他の主要中銀に比べて不透明なECBの金融政策決定過程を、少し見えやすくする可能性がある。主要な政策決定について公式な採決を導入することで、変化をもたらすかもしれない。

ラガルド氏は就任最初の仕事として、金融政策の決定方法について協議することを望んでいる。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、同氏は今週、ECB理事会メンバー4人から変更案を受け付ける予定だ。このうち少なくとも1人が公式な採決の導入を提案する意向を示している。

ECBの政策決定過程は米連邦準備理事会(FRB)やイングランド銀行(BOE、英中銀)に比べて非公式な側面が大きい。FRBとBOEは採決を行い、個々のメンバーの投票内容を公表している。ECBの現在の慣行は、各理事会メンバーに政策についての意見を尋ねる方式。中には政策提案に対して明確な賛成もしくは反対を表明する者もいるが、その他のメンバーは曖昧な意見を少し口にするだけで、その後はコンセンサスに従う意向を示す。総裁が採決の実施を求めるのはごくまれなケースだけだ。

ECBが他の中銀ほど透明性を受け入れていないのには、妥当な理由がある。理事会メンバーは母国の利害を離れ、ユーロ圏全体にとって何が最善かを考えることになっている。討議内容を秘密にした方が、母国で批判される恐れなく母国の利害を超越した議論をすることが容易だ。

しかしECBが9月に発表した新たな緩和策を巡って意見対立があらわになったことで、こうした理屈が成り立ちにくくなった。クノット・オランダ中銀総裁などの理事会メンバーは緩和決定への反対姿勢を明言した。しかし首尾一貫していないメンバーもいる。あるユーロ加盟国中銀の関係者によると、一部のメンバーは理事会では反対を表明せずにおいて、その後緩和策への批判を公に展開した。理事会で異議を唱えた事実だけ公表し、最終的にコンセンサスに従ったことは明らかにしなかったメンバーもいた。

公式な採決が導入されれば、このような立ち回りの余地は狭まるだろう。採決結果の公表を求める圧力は強まるだろうが、ECBは、例えば匿名の投票結果だけを開示するといった妥協が可能だ。多少の透明性は透明性が無いよりましなだけでなく、透明性が高過ぎるよりも良いかもしれない。

●背景となるニュース

*10日付のFTによると、ラガルド新ECB総裁は政策決定方法の見直しを求める声にこたえる見通し。理事会メンバーは金利決定における公式な採決の導入など、改革の必要性を訴えるとみられる。

*ECB理事会メンバーであるユーロ加盟国中銀総裁4人はFTに対し、金融政策決定について毎回採決を行うことや、総裁があらかじめ政策案を提示しないようにすることを、13日の理事会で提案する方針だと話した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
https://jp.reuters.com/article/breakingviews-ecb-idJPKBN1XM04B


 


ビジネス2019年11月15日 / 17:19 / 1時間前更新
中国人民銀、最優遇貸出金利を来週引き下げへ 物価高より成長減速を深刻視
Reuters Staff
1 分で読む

[上海 15日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は、月1回公表しているローンプライムレート(LPR、最優遇貸出金利)を来週20日に公表する。トレーダーやファンドマネジャーは、インフレが高進しているものの、人民銀行は成長減速の方をより深刻に受け止め、8月の導入後3回目の引き下げを発表するとみている。

現在、LPRは1年物CNYLPR1Y=CFXSが4.2%、5年物CNYLPR5Y=CFXSは4.85%となっている。

アフリカ豚コレラの影響で豚肉価格が急騰し、10月の消費者物価指数(CPI)上昇率は政府の目標である約3%を超え、ほぼ8年ぶりの高水準となった。[nL3N27Q02E]

一方、成長率は、外需の減少や米国との貿易戦争の影響で第3・四半期は約30年ぶりの低水準となった。

11人のトレーダーと債券運用担当者、約12人のアナリストとエコノミストは、今月はLPRが引き下げられると予想。引き下げ幅は、前週の中期貸出ファシリティー(MLF)金利の引き下げ幅と合わせて5ベーシスポイント(bp)との見方が大勢。

上海のファンドマネジャーは「典型的なスタグフレーション局面に陥っている」と述べ「総合インフレ率が来年半ばまで3%を切ることはなさそうで、目先は緩和に制約がかかっている」と指摘した。

人民銀行は10月、市場の引き下げ予想に反してLPRを据え置き、すでに深刻な債務問題に拍車をかけることを恐れて過度な緩和を控えたことをうかがわせた。

しかし、今月は違うという声が一部から出ている。人民銀行は、前週に2016年初め以来となるMLF金利の引き下げに踏み切り、15日は意表を突く1年物MLFによる資金供給を実施した。[nL3N27L0M7][nL4N27V1EA]

今月に入ってからの動きは、人民銀行がより積極姿勢に転じ、インフレ加速で新たな刺激策が打てないという投資家の懸念を緩和しようとしている兆しとみる向きもいる。

UOBグループ(シンガポール)のエコノミスト、ホー・ウォエイ・チェン氏は「人民銀行が、われわれの当初の予想より緩慢なペースで金融緩和するだろう」と述べ「成長への懸念が非常に強いだろうが、政府は長期的な金融の安定とのバランスをとるとみられる」と指摘した。
https://jp.reuters.com/article/china-economy-lpr-idJPKBN1XP0Q1


 
ワールド2019年11月15日 / 14:24 / 2時間前更新
香港司法長官が英国で「暴徒」に襲われる、中国が非難 続く抗議デモ
Reuters Staff
1 分で読む

[香港 15日 ロイター] - 香港政府は15日、ロンドンを訪れていた香港のテレサ・チェン司法長官が「暴徒」に襲われたと非難した。

同長官は紛争解決や取引の場としての香港をアピールするため、ロンドンを訪れていたが、抗議する集団から「殺人者」「恥を知れ」と罵倒され、香港政府の声明によると「身体に深刻な危害」を受けた。これ以上の詳細は明らかにしていないが、ビデオ映像では同長官が地面に倒れる姿が映っている。

香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は、同長官への攻撃を強く非難するとの声明を発表。

在英国の中国大使館は、チェン司法長官が地面に押し倒され、手を負傷したと発表。「数十人の反中や独立支持の活動家に囲まれ攻撃された」とし、「暴力的で法を守らない加害者」が暴力行為を国外にも広げていると非難した。

中国は英国に対し正式な苦情申し立てを行い、当局が加害者を処罰するよう求めた。

中国外務省の香港出先機関も、在香港の英総領事館に強く抗議したことを明らかにした。

香港では15日も抗議活動が続いている。学校が休校となっているほか、一部の主要道路は封鎖。大学には学生がバリケードを築いて立てこもっている。

前日には、頭部にブロックが当たったとみられる70歳の街路清掃員が死亡。警察側は、マスクをしたデモ参加者が投げつけた物が当たったようだと説明した。

香港島と九龍地区を結ぶ香港海底トンネルは、デモ隊がバリケードなどを使って封鎖しており、深刻な交通渋滞が発生している。政府は企業に対し出勤時間を柔軟に変更するよう改めて求めている。

中心部では昼食時間帯に抗議活動が行われ、また東部の太古地区では禁止されているフェイスマスクを着けた会社員らが「香港を解放せよ。我々の時代の革命だ」と叫んだ。

31歳の女性は「政府は暴徒を非難したが、なぜこんなに多くの暴徒がいるのか、なぜ一般市民も彼らを支持しているのか考えもしない」と語った。

ビジネス街のセントラル(中環)地区近くにある中国人民解放軍の駐屯地を映した13日の映像では、10以上の部隊が、傘を持った偽のデモ隊に対する暴動鎮圧訓練を行っているような姿が確認できる。

*内容を更新しました。
https://jp.reuters.com/article/hongkong-protests-idJPKBN1XP0F6


 

 

ワールド2019年11月15日 / 13:59 / 2時間前更新
第3四半期のマレーシアGDP、前年比+4.4%に減速 予想と一致
Reuters Staff
1 分で読む

[クアラルンプール 15日 ロイター] - マレーシア中央銀行が発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)は前年比4.4%増となり、ロイターがまとめた市場予想と一致した。

第2・四半期の前年比4.9%増から伸びが大幅に鈍化した。

第2・四半期にGDPの伸び率が第1・四半期から加速したのは、東南アジアでマレーシアのみだった。

中銀は2019年の成長率目標を4.3─4.8%に据え置いた。マレーシア政府の成長率予想は4.7%。

第3・四半期の経常収支は115億リンギ(27億8000万ドル)の黒字で、黒字額は第2・四半期の143億リンギから縮小した。

中銀は先週、流動性の供給に向けて3年ぶりとなる法定預金準備率(SRR)引き下げを実施。その数日前には政策金利を据え置いたばかりで、SRRの引き下げは予想外だった。

中銀のノル・シャムシア・ユヌス総裁は、来年に利下げする可能性を問われると、それは金融政策委員会が常に監視していることだと回答。記者団に対し「われわれは進む方向を前もって決めてはいない。外部の動向とそれが成長・インフレ見通しにどのような影響を与えるかを引き続き分析していく。データを常に注視していく」と述べた。

総裁はまた、マレーシアがFTSEラッセルが持つ懸念への対応に取り組んでいると述べた。FTSEラッセルは9月、世界国債インデックス(WGBI)から除外する方向で見直していたマレーシア国債について、流動性面の是正措置を講じるための6カ月の猶予期間を設けた。[nL3N26I2HR]

総裁は、中銀の最近の措置により、オフショア投資家は国内でポジションをヘッジするための柔軟性が増していると指摘。外為取引量は増加し、取引コストは低下していると語った。

今後も指標提供会社と投資家が持つ懸念に対応し、市場の効率性向上に向けた措置を続ける、と表明した。

第3・四半期の通貨リンギMYR=の対ドル下落率は1.1%。中銀は米中貿易戦争が長引く中、リスク回避の動きが拡大したことが背景だとした。

中銀は、第3・四半期の総合インフレは1.3%だったが、2019年は「低い」水準になる見込みだとした。2020年は控えめに上昇するとの見通しを示した。

*内容を追加しました。
https://jp.reuters.com/article/malaysia-gdp-idJPKBN1XP0E3

http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/645.html

[経世済民133] 第3四半期の香港GDP改定値、前期比-3.2% 10年ぶり景気後退 米中資本戦争あり得るとダリオ氏−貿易とテクノロジーだけでない ユーロ圏CPI改定値、10月は前年比+0.7% 9月から鈍化 欧州銀の高リスク債、債券市場で今年最高のパフォーマンスの1つに
ビジネス2019年11月15日 / 19:14 / 4時間前更新
第3四半期の香港GDP改定値、前期比-3.2% 10年ぶり景気後退
Reuters Staff
1 分で読む

[香港 15日 ロイター] - 香港政府が発表した第3・四半期の域内総生産(GDP)改定値は季節調整済み前期比で3.2%減と、速報値と一致した。

長引く抗議デモや米中貿易戦争の影響で、第2・四半期に続き第3・四半期もマイナス成長となり、10年ぶりにリセッション(景気後退)に陥った。

第3・四半期のGDP改定値は、前年比では2.9%減。速報値と一致した。2008/09年の世界的な金融危機以降で最低となった。

デモが収束する見通しが立たないなか、アナリストは、世界金融危機時や、重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した2003年よりも深刻で期間も長い不況に陥る可能性を指摘する。

香港政府は声明で「香港での社会的問題が消費関連の活動に深刻な悪影響を及ぼし、経済見通しの悪化が消費・投資マインドを冷やし、第3・四半期は内需が著しく減退した」と表明。

2019年の成長率予想を0─1%からマイナス1.3%に下方修正した。マイナス成長となれば2009年以来となる。

政府は「経済回復には、暴力を終わらせ、平静を取り戻すことが極めて重要。政府は引き続き、状況を注視し、必要に応じて企業を支援し保護する措置を講じていく」とした。

香港では、抗議デモの影響で観光客が予約をキャンセル。商店の販売が急減し、株式市場も低迷している。中国経済の減速や米中貿易摩擦の長期化も影を落としている。

8月の小売売上高は前年比23%減と過去最大の落ち込みを記録。9月も18.3%減だった。

企業活動も低迷。IHSマークイットの10月の購買担当者景気指数(PMI)は21年ぶりの低水準で、中国本土からの需要が1998年の調査開始以来最も大幅な減少となった。[nL3N27L0V6]

香港政府は8月以降、景気対策をいくつか打ち出している。ただ、米ドルにペッグする香港ドルを支援する資金を確保しておく必要もあり、これまでの対策は比較的小粒なものにとどまっている。
https://jp.reuters.com/article/hongkong-economy-gdp-final-idJPKBN1XP10H


香港デモ参加者、5日連続で金融街の交通妨害−司法官は英国で襲撃
Fion Li、Dandan Li、Daniel Flatley
2019年11月15日 9:51 JST 更新日時 2019年11月15日 15:13 JST
ショッピングエリアの銅鑼湾にも参加者が集まり始める
鄭若?司法官は訪問先のロンドンで襲われたと非難
A demonstrator stands above posters featuring Hong Kong Chief Executive Carrie Lam, right, and Hong Kong Secretary for Justice Teresa Cheng in Hong Kong.


A demonstrator stands above posters featuring Hong Kong Chief Executive Carrie Lam, right, and Hong Kong Secretary for Justice Teresa Cheng in Hong Kong. Photographer: Justin Chin/Bloomberg
香港では15日も金融街・中環(セントラル)など中心部に集まった抗議活動参加者が交通を妨害した。昼休み時の会社員も加わるこうした集会が行われるのは5日連続となる。

  香港島にあるショッピングエリアの銅鑼湾(コーズウェイベイ)や太古にもデモ参加者が集まり始めている。

Protest In Hong Kong As Unprecedented Chaos Raises Fears About What's Next
中環の抗議活動で路上にごみ箱を置く参加者ら(14日)
  香港の鄭若?司法官は14日、ロンドンを公式訪問中に攻撃を受けて「深刻な身体的危害」を被った。林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官も「野蛮な」行為だと非難した。

  香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)によると、鄭司法官は30人ほどの抗議活動参加者の集団に取り囲まれた後に転倒し、腕を負傷した。

  司法官のオフィスは声明で、「司法官は政治的理想の追求を名目に他者の正当な権利を踏みにじるあらゆる形態の暴力ならびに急進主義を非難する。香港や文明社会の利益に決してならない」と表明した。

Hong Kong Invokes Rare Emergency Powers to Ban Masks at Protests
香港の鄭若?司法官
  林鄭行政長官は今回の事件を「野蛮」だとした上で、「強く非難する」との声明を出した。

  一方、抗議デモ参加者とそれに反対する市民の衝突でれんがが頭部に当たり重体となっていた70歳の男性が14日死亡した。抗議活動関連の死者はこの1週間で2人目。医院管理局によると、催涙弾が当たって頭部を負傷したとされる15歳の少年もなお重体で入院中。

原題:Protesters Gather in Central for Fifth Day: Hong Kong Update(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-15/Q0ZHJQDWRGG101?srnd=cojp-v2


香港経済、09年以来のマイナス成長へ−政府が年間見通し引き下げ
Bloomberg News
2019年11月15日 19:10 JST 更新日時 2019年11月15日 19:49 JST
• 2019年のGDPは前年比1.3%減となる見込み
• 7−9月GDP改定値は前期比3.2%減−速報値と変わらず
香港政府は15日、今年の経済成長率予想を引き下げた。政情不安に揺れる中で、香港経済が10年前の世界的金融危機以来で初めて、年間ベースでマイナス成長に陥るとの見通しを示した。
  政府の発表によれば、2019年の域内総生産(GDP)は前年比1.3%減となる見込み。7−9月(第3四半期)GDP改定値は前期比3.2%減と、速報値から変わらず。
Hong Kong Indicators Signal Worsening Recession
■ Y/Y % change □ Below 50 shows deteriorating conditions

Sources: Hong Kong Tourism Board, Census and Statistics Department, Centaline Property Agency, HK Monetary Authority, Markit, Data compiled by Bloomberg
  香港で続く反政府抗議活動は予測不可能なだけでなく、たびたび暴力的な行動にエスカレートしており、多くの区域ではショッピングモールや飲食店、小売店が店を閉めたり、営業時間を短縮したりしている。政府の暗い成長見通しは不安定な情勢を反映している。

民主主義を支持する抗議参加者が中環の道路を封鎖(15日)
  政府は発表文で「香港経済は2019年第3四半期に突然悪化した。世界同時発生的な景気減速と米中通商摩擦から既に悪影響を受けている経済に、域内の社会的衝突が深刻な打撃を与えた」と指摘、「この社会的衝突がもたらす影響が和らぐ兆しはまだ見えず、消費と投資需要の不振は年末まで続くだろう」との見通しを示した。
  今年の消費者物価インフレ率予想は2.9%に上方修正された。中国本土で起きている豚肉の供給不足が影響していると、当局は指摘した。 
原題:Hong Kong Economy Heading For Annual Recession Amid Protests(抜粋)
  
(最終2段落を追加します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-15/Q105HYDWLU6A01?srnd=cojp-v2

 

米中資本戦争」あり得るとダリオ氏−貿易とテクノロジーだけでない
Shelly Banjo
2019年11月15日 16:25 JST
ヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者である資産家のレイモンド・ダリオ氏は、米中の衝突が貿易とテクノロジー分野にとどまらず、それ以外にも拡大する恐れがあると主張した。

  ダリオ氏はニューヨークで14日開かれた米中関係全国委員会(NCUSCR)の年次会合で、「貿易戦争があり、テクノロジー戦争があり、地政学的な戦争があり、資本戦争もあり得る。それにどのように取り組むかによって、われわれの将来が決まることになるだろう」と発言した。NCUSCRがツイートで明らかにした。

  ダリオ氏は「戦争ではなく相互理解、双方が敗者になる関係ではなくウィンウィンの関係で対処することを私は望む」と語った。

Key Speakers At The 2019 Milken Conference
レイ・ダリオ氏(5月1日、カリフォルニア州ビバリーヒルズで)写真家:パトリック・T・ファロン/ブルームバーグ
原題:Bridgewater’s Ray Dalio Warns of Capital War Between U.S., China(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-15/Q0ZYU0T0AFB401?srnd=cojp-v2


 
欧州銀の高リスク債、債券市場で今年最高のパフォーマンスの1つに
Alice Gledhill
2019年11月15日 16:42 JST
• AT1債、ユーロ建て換算でプラス20%近いリターン
• 利回り追求の投資家には「抗し難いテーマ」−ブルーベイ
欧州の製造業には低迷の兆しが見られ、経済成長も鈍化しているかもしれないが、運用者らは銀行システムだけは大丈夫だと考えている様子だ。
  そのおかげで、最もリスクの高い銀行債である「その他ティア1債(AT1債)」のリターンは、ユーロ建て換算でプラス20%近くと、そのパフォーマンスは今年の債券市場で最高の1つ。米国の投資適格債や欧州のジャンク債などのセクターよりも高いリターンを生み出す方向にある。規制変更に絡みAT1債の発行は増えているが、投資家の購入意欲も旺盛だ。
  発行残高2000億ドル(約21兆7200億円)余りのAT1債は、クーポン(表面利率)が高いこともあって平均イールドが4.7%前後。これに対しユーロ建て投資適格社債は13日の時点で平均0.5%にすぎず、米ドル建て社債は12日の段階で3%程度だった。
  ブルーベイ・アセット・マネジメントのシニアポートフォリオマネージャー、マーク・ステーシー氏は最近のリポートで、「投資家は利回りを求めており、欧州の銀行のAT1債市場ほど抗し難いテーマはほとんどない」と指摘した。
  「抗し難い」理由の1つは、近年の規制強化が金融システム崩壊を防ぐと期待されているためだ。運用者らは、リセッション(景気後退)に見舞われたとしても比較的マイルドで、銀行に深刻な問題を引き起こすこともないと暗に想定している。
A Good Year For Risky Bank Bonds
Investors reach for yield with Additional Tier 1 notes

Source: Bloomberg Barclays indexes
原題:
Risky Europe Bank Bonds Have Been One of 2019’s Top Credit Bets(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-15/Q0ZSZWDWLU6Q01?srnd=cojp-v2

 

 
ビジネス2019年11月15日 / 20:09 / 3時間前更新
ユーロ圏CPI改定値、10月は前年比+0.7% 9月から鈍化
Reuters Staff
1 分で読む

[ブリュッセル 15日 ロイター] - 欧州連合(EU)統計局が15日に発表した10月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)改定値は前年同月比0.7%上昇し、速報値から変わらなかった。市場のコンセンサス予想も0.7%上昇だった。

CPIの上昇率は9月の0.8%から鈍化した。エネルギー価格が3.1%下落し、サービスや食品・アルコール・たばこの上昇(いずれも1.5%上昇)を相殺した。

欧州中央銀行(ECB)が注目する未加工食品とエネルギーを除いたCPIは1.2%上昇し、伸び率は9月と同水準だった。

エネルギー・食品・アルコール・たばこ除くCPIは1.1%上昇。速報値から変わらず、9月の1.0%から伸びが拡大した。

同時に発表された9月のユーロ圏の貿易収支は、黒字額が187億ユーロ(206億ドル)で、前年同月の126億ユーロから拡大した。8月の147億ユーロも上回った。輸出が輸入以上に拡大した。
https://jp.reuters.com/article/euro-cpi-idJPKBN1XP15K

http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/646.html

[自然災害22] 気候変動、世界各地で災害誘発 長期的な健康被害も 「温暖化対策」100兆円をドブに、日本はバカなのか?異論を許さない地球温暖化問題はもはやカルト宗教だ
トップニュース2019年11月16日 / 07:45 / 6時間前更新
アングル:
気候変動、世界各地で災害誘発 長期的な健康被害も
Reuters Staff
2 分で読む

[シンガポール 14日 ロイター] - イタリア北部で「水の都」ベネチアが異常な高潮に襲われ、オーストラリアでは森林火災が猛威を振るい、中国でまれな病気である肺ペストが発生した。世界各地で気候変動に起因する災害が相次いでいる。研究者は地球温暖化がさまざまな形で人々の生活をむしばみ、生涯にわたる健康被害が将来の世代に引き継がれる恐れがあると警鐘を鳴らしている。


<ベネチアを壊す高潮の脅威>

ベネチアは「破局的な」高潮で歴史的寺院が水浸しになり、広場やほかの建造数百年の建物も水であふれた。市は13日に非常事態を宣言、ルイジ・ブロニャーロ市長はツイッターに「気候変動の結果だ」と投稿した。

水位は最大187センチと、1966年に記録した194センチ以来の水準に上昇。そのため大通りは水の急流に変わり、石の欄干は破損した。ゴンドラは船着き場にぶつかって、ばらばらになった。

観光客から高い人気を誇るベネチアで、高潮の脅威は常態化しつつある。ブロニャーロ市長は「ベネチアは崩壊寸前だ。被害額は数億ユーロの規模に達するだろう」とした。

南半球ではオーストラリアで今週、森林火災が拡大。4人が死亡し、住民は避難を余儀なくされた。2016年以降、北部ニューサウスウェールズ州と南部クイーンズランド州の一部で干ばつが相次いでいるが、気象当局は海面温度上昇による降雨パターンの変化が一因と指摘した。大気の温度もこの100年で上昇していることから、干ばつや森林火災は凶暴さを増している。

オーストラリアでは気候変動と異常気象の関連性は政争の具にされている。石炭業界の支持を受けている現政権は、温暖化ガスの排出量削減の必要性は認めつつ、環境問題の厳格な措置は景気を悪化させると主張。温暖化や海面上昇の影響を特に受けやすい太平洋の島しょ国と対立している。

世界的に見ても、気候変動問題で実行性のある対策を打てるのかという懸念は高まっている。トランプ米大統領は温暖化対策の国際ルール「パリ協定」から離脱、環境保護対策の撤廃に踏み出している。

気候変動の科学的な説明にあからさまに疑義を唱える首脳は、ブラジルのボルソナル大統領とトランプ氏だけだ。ところが米国ではカリフォルニア州が、ブラジルはアマゾンが、それぞれ深刻な森林火災に見舞われている。いずれも環境保護グループは、少なくとも原因の一端は地球温暖化だと訴えている。

来月はスペインのマドリードで国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)が開かれるが、トランプ氏とボルソナロ氏の姿勢は温暖化ガスの排出量削減に向けた世界的な取り組みに影を落としている。

<中国では肺ペスト流行>

政治家が気候変動の影響を否定する一方で、温暖化による健康被害への懸念は高まっている。

モザンビークは今年3月にサイクロンで、バハマは9月にハリケーンで壊滅的な被害を受けた。生き残った住民には感染症拡大の脅威がのしかかった。しかし、リスクはさらに拡大している。

科学者によると、気候変動は暴風雨の勢力を巨大化し、その被害を深刻化させるが、それとは違う新たな被害をもたらす経路にもなりうる。気温上昇が人々の病気発症の原因になるのだ。

中国の保健当局は内モンゴル自治区の住民2人の肺ペスト発症が今週、北京の医療機関で確認されたと公表した。国営メディアによると、内モンゴル自治区で長引く干ばつでネズミが爆発的に増えたためで、気候変動で干ばつが深刻化しているという。

医学誌ランセットは今週、気候変動は既に異常気象や大気汚染を通じて人々の健康を悪化させているとの研究結果を掲載した。食料不足や伝染病、洪水、異常高温などのリスクを引き起こすという内容だ。対策を講じなければ1つの世代がまるまる生涯にわたって疾病や体の不調にさらされる恐れがあるという。

調査研究をまとめたニック・ワッツ氏は「子供はとりわけ気候変動の健康リスクにさらされやすい。まだ体や免疫システムが整っておらず、疾病や環境汚染の影響をより強く受ける」と指摘。幼児期に受ける健康への打撃は持続性と広がりを持つため、影響は生涯にわたることになると警告した。
https://jp.reuters.com/article/climate-change-global-disasters-idJPKBN1XP111

 


「温暖化対策」100兆円をドブに、日本はバカなのか?異論を許さない地球温暖化問題はもはやカルト宗教だ
2019.11.15(金)
渡辺 正
世界情勢 環境

市民運動「絶滅への反逆」の呼びかけにより世界各国で気候変動対策を求めるデモが行われた。写真は英国ロンドンでのデモ(2019年10月8日、写真:ロイター/アフロ)
ギャラリーページへ
 スウェーデンの高校生、グレタ・トゥーンベリさんがスピーチで激しく怒りをぶつけた地球温暖化問題。もともとは国連の組織「IPCC」が火をつけた騒動だ。日本は国連の言うことをみじんも疑うことなく無条件に飲み込んでいる。東京理科大学の渡辺正教授(東京大学名誉教授)はこの状況を「カルト宗教めいた状況」と批判する。日本は効果のない膨大な温暖化対策費をいつまで捨て続けるのか?(JBpress)

◎本稿は『「地球温暖化」狂騒曲』(渡辺正著、丸善出版)の本文および『「地球温暖化」の不都合な真実』(マーク・モラノ著、渡辺正訳、日本評論社)の「訳者あとがき」から一部を抜粋・再編集したものです。

日本が使う100兆円、その効果は?
 過去ゆるやかに変わってきて、今後もゆるやかに変わる地球環境を気象や気候の研究者が論じ合うだけなら実害は何もない。私たち部外者のほうも、ときおり聞こえてくる研究の成果を楽しませてもらえばよい。まっとうな研究者なら、大気に増えるCO2とじわじわ上がる気温のプラス面をきっと教えてくれるだろう。

 だが、1988年、国連のもとにある「IPCC」(気候変動に関する政府間パネル)という集団が温暖化を「人類の緊急課題」にしてしまった。各国の官公庁と主力メディアがたぶん国連の権威に屈した結果、問題視するまでもないことに巨費が投入されつづけることになった。その巨費が生む「おいしい話」に政・官・財・学会がどっと群がり、日頃は政府を攻撃したがる一部メディアも声をそろえてカルト宗教めいた状況になったのが、地球温暖化騒ぎの素顔だと思える。

 いま日本では年々5兆円超(1日に150億円!)の「温暖化対策費」が飛び交っている。

 日本の「温暖化対策」は2016年秋のパリ協定発効をにらんだ同年5月13日の閣議決定をもとにしている。日本は温室効果ガス(大半がCO2)の排出量を2013年比で、2030年に26%だけ減らすのだという。

 内訳は、「エネルギー起源CO2」が21.9%、「その他温室効果ガス」が1.5%、「吸収源対策」が2.6%だという。3番目は「森林がCO2を吸収する」という非科学だが、こまかい考察をしても空しいだけなので無視したい。要するに日本は、2013年から2030年までの17年間に、CO2排出量を21.9%だけ減らすと宣言した。減らせるはずはないけれど、減らせたとしたらいったい何が起こるのだろう?

超高級な温度計でも測れない?
 2015年に世界のCO2排出量の内訳は、以下のとおりだった(欧州共同体の発表データ)。

 29.4% 中国
 14.3% アメリカ
 9.8% 欧州経済圏 
 6.8% インド
 4.9% ロシア
 3.5% 日本
 31.5% その他

 2013〜30年の18年間に、地球の気温はどれほど上がるのか? 2014年のIPCC第5次評価報告書(第2章)に登場した世界の年平均気温推移(陸地+海面)と同じ勢いなら、0.27℃になる。

 人為的CO2の寄与はその一部である。IPCCの報告書によると、過去100年で地球の気温は1℃ほど上がったと言われるが、その半分(半分以上)は数百年前からつづいてきた自然変動や20世紀後半から進んだ都市化のせいであろう。人間活動から出るCO2の効果はせいぜい0.5℃と推定できる。0.2〜0.3℃や0.1℃くらいとみる研究者もいる。

 ここでは多めにみて0.27℃のほぼ半分、0.15℃になるとしよう。それなら、CO2を世界の3.5%しか出さない日本が21.9%だけ減らしたとき、地球を冷やす効果は「0.15℃×0.035×0.219」つまり0.001℃にすぎない。超高級な温度計でも測れない変化にあたる。

 その18年間、従来のまま温暖化対策費を使いつづけるとすれば、総額はほぼ50兆円になる。また、やはり温暖化対策のためと称して2012年に民主党政権が導入した「再エネ発電賦課金」が40〜50兆円ほど使われ、それを合わせると約100兆円に迫る。

 使った巨費がエネルギー消費(CO2排出)を促すため、「0.001℃の低下」も甘い。つまりパリ協定のもとで日本の約束は、100兆円も使って地球をほとんど冷やさない営みだ。

 100兆円をつぎ込んで最大0.001℃しか冷やせない──という明白な事実を政府が正直に発表し、それをメディアが報じてくれれば、集団ヒステリーめいた「温暖化対策」騒動も沈静化に向かうのではないか。

英独の策略と京都議定書の顛末
 温暖化論や温暖化対策の話は当初から国際政治の道具となり、巨費が飛び交い続けるせいで、「まっとうな科学」ではなくなっていた。

日本はアル・ゴアの剣幕に押された?
 1997年2月採択、2005年2月発効の京都議定書を振り返ろう。京都議定書は「2008〜2012年の5年間(第1約束期間)に先進国が、CO2排出量を基準年(1990年)比でそれぞれ決まった率だけ減らす」と定め、削減率はEUが8%、米国が7%、日本とカナダが6%だった。

 採択年を考えれば、基準年は翌98年とか、キリのいい2000年にするのが筋だったろう。だがEU(とくに、排出量でEU全体の40%近くを占めていた英国とドイツ)が1990年を強く主張した(京都会議に出たドイツの環境相は現首相のアンゲラ・メルケル)。なぜか?

 ヨーロッパでは1990年から東西融合が進んだ。旧東独と合体したドイツは東独の古い工場や発電所を更新してCO2排出を大きく減らし、1997年時点の排出量は90年比で14%も少なかった。かたや英国は同時期に燃料の切り替え(石炭 → 天然ガス)を進め、CO2排出を10%ほど減らしていた。だから基準年を1990年にすれば、両国つまりEUはCO2排出を「増やしてかまわない」ことになる。

 当時の日本や米国にとって、CO2排出量を6%や7%も減らすのは不可能に近いのだが、日本政府は「6%」を呑んでしまう。なお、日本は当初「2.5%」を考えていたところ、議場に乗り込んだ米国の元副大統領アル・ゴアの剣幕に押されて「増量」したと聞く。

 私には理解できない国際政治の力学により、京都議定書の時代から2016年発効のパリ協定に至るまで、「CO2排出を減らすべき先進国」は、EU諸国の一部と米国、日本、カナダ、オーストラリア、ノルウェー、スイスに限られる。つまり「温暖化対策」の話になると、中国やロシア、インド、ブラジル、韓国、シンガポール(1人あたりGDPは日本の約1.4倍)、中東諸国やアフリカ諸国はみな「途上国」の扱いになり、排出削減を強制されない。中国が世界最大の排出国になったいま、理不尽きわまりない状況だといえよう。

 そんな状況を嫌った米国は京都議定書を批准せず、早々と2001年3月末にブッシュ(息子)政権が議定書から離脱した。カナダは2007年4月に「6%削減の断念」を発表し、2011年12月に正式離脱を表明している。

 日本では京都議定書の採択も発効もメディアと一部識者がこぞって称え、小中高校の教科書にも「画期的な出来事」だと紹介された。担当官庁になった環境省では、議定書の発効から第一約束期間終了(2012年)まで歴代の環境大臣(小池百合子氏〜石原伸晃氏の10名)が温暖化対策を率いている。

 とりわけ熱心な小池大臣(2003年9月〜2006年9月)の任期には、クールビズやウォームビズ、エコアクション、エコカー、エコバッグ、エコポイント、エコプロダクツなどなど、あやしいカタカナ語が続々と生まれて世に出回り、関連の業界を活性化させて、おそらくは国のCO2排出量を増やした。

安直な「CO2による地球温暖化」説は疑わしい
 そもそも、地球の気温は、過去どのように変わってきたのかも、どんな要因がいくら変えてきたのかも、今後どう変わっていきそうかも、まだ闇の中だといってよい。

超大物の物理学者が批判
アル・ゴアが2006年の書籍と映画『不都合な真実』で「CO2が地球を暖める」証拠に使った「CO2濃度と温度の関係」を示すグラフがある。過去42万年に及ぶ南極の氷床コア分析から推定されたCO2濃度と気温の関係を示している(下の図)。
(環境省「地球温暖化の影響 資料集」より)
ギャラリーページへ
 その推定値が正しければ、間氷期のピーク(約32万年前、24万年前、13万年前)にあたる気温は、いまの気温より1〜2℃くらい高かった。そのときCO2濃度はいまよりだいぶ低かった。つまり、単純に「CO2が温暖化を起こす」と思うのは、完璧に間違っている。
 また、以後の研究により、過去42万年間の因果関係は「まず気温の変化が起き、数百年かけてCO2濃度が変わった」とわかっている。気温が上がれば海水からCO2が出て、下がれば海水にCO2が溶け込むからだ。
 もっと古い時代にさかのぼると、たとえばCO2が現在の何倍も濃かった約4.5億年前に気温が急降下して氷河期になった。そのことだけでも、やはり安直な「CO2による地球温暖化」説は疑わしい。
人為的温暖化説を批判する科学者たち
 日本と違って海外には、人為的温暖化説を声高に批判する人が多い。米国の気象予報士アンソニー・ワッツ氏や、米アラバマ大学ハンツビル校のロイ・スペンサー博士、デンマークの政治学者ビヨルン・ロンボルグ氏、ハンガリー生まれの化学者イストヴァン・マルコ教授らがその例になる。また、当初は人為的温暖化説を疑いもせず受け入れながら、真相に気づいて「転向」した大物も少なくない。
 米国議会上院「環境・公共事業委員会」の委員だったこともあるジャーナリスト、マーク・モラノ氏が2018年2月末刊の著書 “The Politically Incorrect Guide to Climate Change”(邦訳:『「地球温暖化」の不都合な真実』)に、そんな人々の言動を詳しく取り上げている。世界の健全化を願う人たちのごく一部を紹介しよう。
・超大物の物理学者
 米国プリンストン高等研究所の物理学者、「アインシュタインの後継者」と評されるフリーマン・ダイソン博士は、左翼系人間として民主党支持を貫きながらも、オバマ政権の温暖化政策だけは手厳しく批判した。2015年にはウェブサイト『レジスター』の取材に応え、次のような発言をしている。
 環境汚染なら打つ手はあります。かたや温暖化はまったくの別物。・・・CO2が何をするのかつかめたと研究者はいいますが、とうていその段階にはなっていません。そもそも、植物の生育を助けて地球の緑化を進め、人類社会をも豊かにするCO2を減らそうというのは、正気の沙汰ではないでしょう。気候を理解したというのは、気候学者の思い上がりにすぎません。彼らが頼るコンピュータシミュレーションなど、変数をいじればどんな結果でも出せる代物ですからね。・・・私自身、科学の話ならたいてい多数意見に従いますが、ただ1つ、気候変動の話は違います。科学の目で見るとナンセンスそのものですから。
 1973年のノーベル物理学賞を江崎玲於奈氏と共同受賞したアイヴァー・ジエーバー博士も、温暖化の「脅威派」から「懐疑派」に転向した大物のひとりだ。
無責任な「2050年までに排出ゼロ」
・ガイア博士
 地球の環境を「地圈・水圏・気圏と生物界が働き合う生命体」とみなす「ガイア仮説」は、英国出身の化学者ジェームズ・ラブロック博士が1960年代に唱えた(ガイアはギリシャ神話に登場する地母神)。彼は、1980年代の末に始まった地球温暖化ホラー話をまず額面どおりに受け入れ、2006年1月(88歳)の時点でもこんなことをいっていた(『インディペンデント』紙への寄稿)。
 地球温暖化が進むと、2040年までに60億人以上が洪水や干ばつ、飢饉で命を落とすだろう。2100年までには世界人口の80%が死に、この気候変動は今後10万年ほどつづくに違いない。
 だが2010年ごろにラブロックは目覚めたらしく、2016年9月30日の『ガーディアン』紙に彼のこういう発言が載っている。
 地球の気候は複雑すぎます。5年先や10年先のことを予測しようとする人は馬鹿ですね。・・・私も少しは成長しました。・・・温暖化対策を含めた環境運動は、新興宗教としか思えません。なにせ非科学のきわみですから。
今世紀中期でも化石資源が世界を支える
 日本の政府も企業も庶民も、景気浮揚や収益・所得増を望み、メディアは温暖化問題を盛大に報じる。どれもエネルギー消費(の排出)を増やす話である。
 IT化やAI化も同類。10年近く前から増殖したスマホだけで中型火力1基分の電力を食い、国の排出を増やしてきた。そんななかCO2排減を唱える政治家や識者やメディア人は、二重人格者か偽善者なのだろう。
 今世紀の中期でも世界エネルギー消費の80%は化石資源が担う──と2016年に米国エネルギー情報局(EIA)が予測している。それを知りつつ「2050年までに、排出ゼロ」などと叫ぶ人々は、いくら自身が退職ないし他界後の話だとはいえ、無責任きわまりないと思う。
『「地球温暖化」狂騒曲』(渡辺正著、丸善出版、2018)
ギャラリーページへ
『「地球温暖化」の不都合な真実』(マーク・モラノ著、渡辺正訳、日本評論社、2019)
ギャラリーページへ
もっと知りたい!続けてお読みください

危機的状況の中国版テスラ、ニーオがつまずいた理由


https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58217

http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/782.html

[経世済民133] FRB、低金利長期化が引き起こすリスクを警告 米株最高値、米中協議への楽観 ドル下落、米鉱工業生産が低調−リスク選好で円も安い 米小売売上高、予想上回る増加率−家具など一部に消費減速の兆候
FRB、低金利長期化が引き起こすリスクを警告

Jesse Hamilton、Rich Miller
2019年11月16日 10:41 JST
• 半年に一度の金融安定性報告、FRBが15日公表
• 低金利が金融安定損ねるリスク、レポ市場の問題など言及
米連邦準備制度理事会(FRB)は15日公表した最新の金融安定性報告で、低金利が長引けば米銀の収益を圧迫し、金融機関をリスクの高い行動に向かわせる可能性があるとし、金融システム安定を脅かしかねないとの認識を示した。
  半年に一度の同報告でFRBは、銀行や保険会社が直面する利ざや縮小を強調。これがひいては融資基準を損ねる恐れがあると指摘した。


パウエルFRB議長
  FRBは「金利が長期にわたり低水準にとどまれば、銀行や保険会社、他の金融仲介業者の収益性にストレスがかかり、利回り追求の動きを助長、ひいてはその後の衝撃に対する金融セクターの脆弱(ぜいじゃく)性を高める可能性がある」と分析した。
  報告作成の大半の作業は、9月にレポ市場が混乱し、短期金融市場への流動性供給を当局が余儀なくされる以前に済んでいたが、報告書は短期レポ取引の問題にも短く言及。
  「レポ市場での圧力がフェデラルファンド(FF)市場を含む他市場にも波及した。金融当局はFF金利を目標レンジ内に維持し、十分な準備金供給を確実にするため、9月中旬から多数の措置を講じた。短期資金を調達する市場での圧力は以後、和らいだ」と説明した。
原題:
Fed Warns Prolonged Low Interest Rates Could Spark Instability(抜粋

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-16/Q11ALYDWX2PU01?srnd=cojp-v2


ビジネス2019年11月16日 / 07:55 / 13時間前更新
米株最高値、米中協議への楽観で ヘルスケア株高い
Reuters Staff
5 分で読む

[15日 ロイター] - 米国株式市場は主要3株価指数が最高値を更新。米中通商合意を巡る楽観論が追い風になったほか、ヘルスケア株の大幅上昇が寄与した。

S&P総合500種は6週連続で上昇。週間の連続上昇記録としては約2年ぶりの長さだった。ダウ工業株30種平均は初めて2万8000ドル台に乗せた。

カドロー米国家経済会議委員長は14日、中国との通商協議について、両国が電話で緊密に連絡を取り合っていると明らかにするとともに、協議は極めて建設的で合意は近いとの認識を示した。

グレンミードのジェイソン・プライド最高投資責任者(CIO)は、米中通商関係を巡る不透明感が「かなり長期にわたって市場や株式の大きな変動源であったことは明らかだ。それが何らかの形で解決すれば、多くの投資家や経営陣の心の中にある不確実性が取り除かれ株高につながる」と述べた。

セクター別では11業種中10業種が上昇。ヘルスケア株.SPXHCが上昇をけん引し、2.2%高と1日の上昇率としては1月以来の大きさとなった。医療保険最大手ユナイテッドヘルス・グループ(UNH.N)が5.3%、製薬大手ファイザー(PFE.N)が2.0%上昇した。

トランプ政権がこの日、医療価格の透明性に関して発表したことがヘルスケア株の買い材料となった。グリーンウッド・キャピタルのウォルター・トッドCIOは、規制や選挙を巡るリスクがヘルスケアセクターの2019年のアンダーパフォームにつながっており、この日の上昇はその巻き戻しとの見方を示した。

半導体・ディスプレー製造装置の米アプライド・マテリアル(AMAT.O)は9.0%高。第1・四半期の売上高および利益見通しが市場予想を上回った。

フィラデルフィア半導体(SOX)指数.SOXは0.9%上昇し、最高値を更新。ただ、米半導体大手エヌビディア(NVDA.O)が決算を受けて2.7%下落し、SOX指数の上値を抑えた。

米商務省が15日発表した10月の小売売上高は前月比0.3%増と、前月の落ち込みから持ち直した。ただ衣料や高額の家庭用品の売り上げは減り、好調な年末商戦への期待が後退する可能性がある。市場予想は0.2%増だった。[nL4N27V434]

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.84対1の比率で上回った。ナスダックでは1.50対1で値下がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は約65億株。直近20営業日の平均は69億株。

終値 前日比 % 始値 高値 安値 コード

ダウ工業株30種 28004.8 +222.93 +0.80 27843. 28004. 27843. .DJI

9 54 89 54

前営業日終値 27781.9

6

ナスダック総合 8540.83 +61.81 +0.73 8524.4 8540.8 8506.8 .IXIC

8 3 0

前営業日終値 8479.02

S&P総合500種 3120.46 +23.83 +0.77 3107.9 3120.4 3104.6 .SPX

2 6 0

前営業日終値 3096.63

ダウ輸送株20種 10876.2 +4.94 +0.05 .DJT

9

ダウ公共株15種 848.47 +2.94 +0.35 .DJU

フィラデルフィア半導体 1742.93 +15.34 +0.89 .SOX

VIX指数 12.05 -1.00 -7.66 .VIX

S&P一般消費財 951.74 +1.38 +0.14 .SPLRCD

S&P素材 378.32 -0.28 -0.07 .SPLRCM

S&P工業 692.36 +4.72 +0.69 .SPLRCI

S&P主要消費財 629.27 +0.57 +0.09 .SPLRCS

S&P金融 493.22 +2.23 +0.46 .SPSY

S&P不動産 238.11 +1.38 +0.58 .SPLRCR

S&Pエネルギー 440.43 +2.93 +0.67 .SPNY

S&Pヘルスケア 1126.75 +24.37 +2.21 .SPXHC

S&P通信サービス 177.63 +1.25 +0.71 .SPLRCL

S&P情報技術 1529.44 +12.76 +0.84 .SPLRCT

S&P公益事業 317.84 +0.84 +0.27 .SPLRCU

NYSE出来高 8.89億株 .AD.N

シカゴ日経先物12月限 ドル建て 23380 + 40 大阪比 <0#NK:>

シカゴ日経先物12月限 円建て 23365 + 25 大阪比 <0#NIY:>
https://jp.reuters.com/article/ny-stx-us-idJPKBN1XP2ET


米国株価指数は最高値、国債下落−貿易合意を楽観
Randall Jensen、Vildana Hajric
2019年11月16日 7:08 JST
15日の米株式市場ではS&P500種株価指数が再び終値ベースの最高値を更新。米国債は小幅安となった。中国との第1段階の貿易合意に近いと米当局者が示唆し、楽観が広がった。

米国株は主要株価指数が最高値更新、米中貿易合意を楽観
米国債は小幅安、10年債利回りは1.83%に上昇
NY原油先物は反発、貿易合意への楽観で2カ月ぶり高値
NY金は反落、1オンス=1468.50ドルで終了−週間では上昇
  S&P500種は週間ベースでも上げて6週連続上昇と、ここ2年で最長の連続高。クドロー米大統領国家経済会議(NEC)委員長は米中貿易協議の第1段階の合意に関して、「われわれは取りまとめに近づいている」と話した。ダウ工業株30種平均は初めて2万8000ドルを突破、ナスダック総合指数も最高値を更新した。

  S&P500種は前日比0.8%高の3120.46。ダウ平均は222.93ドル(0.8%)高の28004.89ドル。ナスダック総合は0.7%上昇。ニューヨーク時間午後4時7分現在、米10年債利回りは1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の1.83%。

  株はヘルスケアや、貿易動向に敏感なハイテク銘柄の上昇が目立った。半導体製造装置メーカーのアプライド・マテリアルズは市場予想を上回る売上高見通しを示し、株価は急伸。

Stock rally in European cyclicals versus defensives lag behind U.S. equivalent
  アドバイザーズ・アセット・マネジメントの最高投資ストラテジスト、マット・ロイド氏は電話取材に対し、「『貿易戦争だ』とか、『関税は撤回だ』といった話を聞くたびに、ある程度はそういう動きに反応して情勢は揺れ動くが、もう重要ではない」と指摘。オオカミ少年の物語と同じだと語った。

  ニューヨーク原油先物相場は反発。米中が第1段階の貿易合意取りまとめに近づいているとのクドローNEC委員長の発言を受け、約2カ月ぶりの高値に達した。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物12月限は95セント(1.7%)高の1バレル=57.72ドルで終了。週間ベースでは0.8%高となった。ロンドンICEの北海ブレント1月限は1.02ドル高の63.30ドル。

  ニューヨーク金先物相場は反落。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は0.3%安の1オンス=1468.50ドルで終了。週間ベースでは0.4%上昇した。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/igltS4fqR6jY/v4/pidjEfPlU1QWZop3vfGKsrX.ke8XuWirGYh1PKgEw44kE/576x-1.png

原題:U.S. Stocks Reach Records, Bonds Fall on Trade: Markets Wrap(抜粋)

Oil Close to Two-Month High as Trade War Positivity Hits Markets

Gold ETF Investors Dump Holdings as Trade Hopes Cut Haven Demand
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-15/Q111G5DWLU6I01?srnd=cojp-v2

 

 
ドル下落、米鉱工業生産が低調−リスク選好で円も安い
Susanne Barton
2019年11月16日 6:42 JST
15日のニューヨーク外国為替市場では、ドルが下落。週間ベースでも値下がりした。米小売売上高が市場予想を上回った一方、米製造業の活動は落ち込んだ。リスクセンチメント改善で株価が最高値を更新したのに伴い、安全逃避通貨は下落した。

ニューヨーク時間午後4時11分現在、ブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.2%下落。週間でも0.2%下げた。前日には10月16日以来の高水準を付けていた。主要10通貨ではこの日、円とスイス・フランの下げが目立った
10月の米鉱工業生産指数のうち、製造業生産は6カ月ぶりの大幅なマイナス。ゼネラル・モーターズ(GM)のストライキが響いた。11月のニューヨーク連銀製造業景況指数も低下
10月の小売売上高は前月比0.3%増と、予想(0.2%増)を上回る伸び。消費者の支出意欲は年初に比べてペースは落ちているものの、継続していることが示唆された
カナディアン・インペリアル・バンク・オブ・コマース(CIBC)のストラテジスト、ジェレミー・ストレッチ氏:
米国には「減速」リスクがあるが、想定していたほどの「ドル安は見られない」。貿易戦争による圧迫は引き続きユーロ圏など他地域の方が強い
ドルは来年いっぱい、徐々に下落するとストレッチ氏は予想
来週は20日に米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が公表される。利下げ決定に関する一段の詳細に市場の注目が集まる
この日はリスクテーク意欲が強まる中、円とフランが下落。クドロー米大統領国家経済会議(NEC)委員長は、米中が貿易協議「第1段階」の合意取りまとめに近いと述べた
米10年債利回りは1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の1.83%。週間では11bp低下
ドルは対ユーロで0.3%下げて1ユーロ=1.1053ドル。対円では0.3%高の1ドル=108円78銭
原題:Dollar Set for Weekly Loss as Haven Currencies Ease: Inside G-10(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-15/Q10ZT9DWX2PS01?srnd=cojp-v2

 

米小売売上高、予想上回る増加率−家具など一部に消費減速の兆候
Reade Pickert
2019年11月15日 22:40 JST 更新日時 2019年11月15日 23:51 JST
米商務省が発表した10月の小売売上高は、予想を上回る伸びだった。自動車ディーラーやガソリンスタンドが好調だった一方、衣類や家具は振るわなかった。

キーポイント
10月の小売売上高は前月比0.3%増
前月は0.3%の減少、速報値から修正されず
ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は、10月に0.2%の増加
飲食店と自動車ディーラー、建材店、ガソリンスタンドを除いたベースのコア売上高は0.3%増、予想と一致
  消費者の支出意欲は年初に比べてペースは落ちているものの、好調な雇用市場と賃金の伸びを背景に継続していることが示唆された。個人消費はこの数四半期の経済成長をけん引してきたが、このトレンドが10−12月(第4四半期)も続く可能性をこの日のデータは浮き彫りにした。  

  一方で10月の小売売上高では主要13項目のうち7項目が減少し、個人消費が勢いを失いつつある兆候も出てきた。家具は0.9%減少し、今年最大の落ち込み。レストラン、バーも減少した。

  この3カ月のコア売上高は年率で4%増。7−9月の6.3%増から減速した。

  オンラインショッピングを含む無店舗小売りは、前月比0.9%増。前年同月比では14.3%増加し、主要グループで最も伸びた。

  ガソリンスタンドは前月比1.1%増。自動車ディーラーは0.5%増加。前月は1.3%の減少だった。

  統計の詳細は表をご覧ください。

原題:U.S. Retail Sales Exceed Estimates, With Some Signs of Cooling(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-15/Q10J516K50XS01?srnd=cojp-v2


米小売売上高、10月は0.3%増 自動車の売り上げ回復
北米
2019/11/15 23:24
【ワシントン=長沼亜紀】米商務省が15日発表した10月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.3%増加した。2カ月ぶりの増加で、伸び率はダウ・ジョーンズまとめの市場予測(0.2%程度)を上回った。米経済をけん引する消費は堅調さを維持していることを示した。前年同月比では3.1%増加した。

10月は米自動車販売店の売り上げが伸びた(米ニューヨークの自動車販売店)=ロイター
画像の拡大
10月は米自動車販売店の売り上げが伸びた(米ニューヨークの自動車販売店)=ロイター

前月に大きく落ち込んでいた自動車・関連部品の売り上げが前月比0.5%増に回復した。全体からこれらを除いた売上高は0.2%増で、こちらは市場予測(0.4%増程度)に届かなかった。

ガソリンの値上がりで給油所の売り上げが1.1%増え、全体を押し上げた。その他はばらつきがあり、家具店や衣料品店の売り上げは減ったが、オンライン・ストアなどの無店舗小売りは0.9%増え、好調さを維持した。


類似している記事(自動検索)
米小売売上高は6カ月連続で増加(米ニューヨークの小売店)=AP
米小売売上高 8月0.4%増 予測上回る
2019/9/13 22:22
7月の米小売売上高は予測を大きく上回って増加した=ロイター
米小売売上高、7月0.7%増 5カ月連続で前月上回る
2019/8/16 6:32更新
米小売売上高は4カ月連続で増加し、消費の堅調さを示した=AP
米小売売上高 6月0.4%増 4カ月連続で増加
2019/7/16 22:00
5月の米小売売上高は、貿易摩擦や景気減速懸念にもかかわらず堅調だった=AP
5月の米小売売上高 0.5%増 3カ月連続増加
2019/6/14 22:08
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52257440V11C19A1NNE000/

http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/654.html

[経世済民133] 米富裕層の所得税率59%に引き上げへ、民主党の下院議員が法案作成中 富豪らが反論 格差拡大を食い止めろ…超富裕層への増税を要請した億万長者たち 富裕層はなぜほほ笑むのか 中国大富豪の資産に陰り、それでも進む富の集中 中国人民銀、景気下押し圧力とインフレ期待を警戒 
米富裕層の所得税率59%に引き上げへ、民主党の下院議員が法案作成中
Laura Davison
2019年11月16日 3:24 JST
キャピタルゲインも賃金所得と同等の税率適用−1月提出目指す
「最も際立つ不公平」を是正−シャコウスキー下院議員


米民主党のアレクサンドリア・オカシオコルテス、ジャン・シャコウスキー両下院議員は、米富裕層の所得税率を現行の2倍に近い59%に引き上げる法案を作成している。

  同法案はまだ草案の段階だが、キャピタルゲイン税を所得税と同等に引き上げ、いわゆる時価評価システムに移行させる案も検討されている。通過した場合、保有する投資や不動産、事業資産の値上がり分に対して納税義務が毎年発生することになる。

  シャコウスキー議員(イリノイ州)は15日、投資家の税率は看護師や電気技師よりも低いという「最も際立つ不公平」を是正すると説明した。

  法案は来年1月に提出される見通し。高所得者や投資で稼ぐ納税者などにとっては、大幅な増税となる。現在の最高所得税率は37%で、長期キャピタルゲインへの課税率は23.8%となっている。

原題:Ocasio-Cortez Plans Bill to Boost Top Individual Tax Rate to 59%(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-15/Q10R47DWLU6801?srnd=cojp-v2


 

富裕層増税、米民主ウォーレン氏台頭 富豪らが反論
「DNAに部族主義」「成功者中傷」
2019年11月16日 15:30

【ニューヨーク=宮本岳則】米大統領選の民主党予備選有力候補、ウォーレン上院議員の主張を巡り、米経営者や富豪たちが一斉に反論を始めた。米金融大手ゴールドマン・サックス前最高経営責任者(CEO)のロイド・ブランクファイン氏は14日、一方的な金持ち批判に懸念を表明した。ウォーレン氏が増税や大企業の分割など急進的な政策で支持を広げることに危機感を強めており、積極的な発言につながっている。

ウォーレン氏陣営のテレビ広告が物議を醸している。国民皆保険の財源とする富裕層増税の導入を訴える内容で、ブランクファイン氏のほか、著名投資家レオン・クーパーマン氏など富豪を非難する映像が流れる。ブランクファイン氏は14日、ツイッター上で金持ち批判は米国社会にとって良くないと発言。「彼女のDNAには(意見の違いを認めず敵を攻撃する)『部族主義』が埋め込まれている」と批判した。

米金融大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOも11月上旬、米経済テレビ局CNBCのインタビューに応じ、ウォーレン氏の発言について「成功者を中傷している」と批判した。ハイテク企業の分割など規制強化に積極的な姿勢にも懸念を表明。「米国は自由な企業活動の上に成り立っている」と述べた上で、過度な政府の介入がひどい失敗を招いてきたと警鐘を鳴らした。

米経営者らが「反撃」を始めたのは、民主党指名争いにおける中道派候補の苦戦がある。本命と目されていた中道派のバイデン前副大統領は支持率が伸び悩み、10月中旬にはウォーレン氏に首位の座を譲った。マイケル・ブルームバーグ元ニューヨーク市長も出馬準備を始めたが、出遅れは否めない。ウォーレン氏が民主党候補に選ばれれば、先行き不透明感から株価が下落したり、企業活動が停滞したりする恐れが指摘されている。

米経営者らの反論が、中道派候補への「援護射撃」になるかは未知数だ。米実業家で富豪のマーク・キューバン氏は米FOXテレビに出演し、ウォーレン氏を「トランプ的」と指摘した。トランプ米大統領は前回選挙で首都ワシントンの既存体制やエリート層を「敵」として徹底的に批判し、中・低所得者の支持を集めた。ウォーレン氏も富裕層への攻撃で所得格差に不満を持つ層をひき付ける。富豪らの反論で対立構図がより鮮明になれば、ウォーレン氏が勢いづく可能性もある。

 


格差拡大を食い止めろ…超富裕層への増税を要請した億万長者たち
Taylor Nicole Rogers
Nov. 12, 2019, 10:30 AM BUSINESS
 
マーク・キューバン

実業家のマーク・キューバンも増税を訴える大金持ちの一人だ。

Steven Ferdman/Getty Images

マーク・キューバン、マーク・ベニオフ、レイ・ダリオ、ジョージ・ソロスなどの億万長者が、富裕層に増税するようアメリカ政府に呼びかけている。
ソロスは、6月に大統領候補者に対して「中程度の富裕税」の創設を求める公開書簡を送った18人の超裕福なアメリカ人の中の一人だ。
大統領候補のエリザベス・ウォーレン上院議員が提案したような富裕税は、超富裕なアメリカ人が連邦政府に毎年純資産からわずかな割合を支払うようにするもの。
以下は、2017年以降に富裕税の創設を要求した、有名で超富裕なアメリカ人のリスト。
アメリカの非常に裕福な人々の中には、超富裕層への増税を求めて運動している人たちがいる。

ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)やジョージ・ソロス(George Soros)らの億万長者は、アメリカの富の格差の拡大に対し、健康と教育に資金を供給する方法として富裕税を提案した。 6月、アビゲイル・ディズニー(Abigail Disney)やプリツカー(Pritzker)家とガンド(Gund)家を含む18人のとても裕福なアメリカ人が、大統領候補者に富裕税創設への支援を求める公開書簡を送った。

政治家も富裕税の提案をしている。エリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員によって提案されたような富裕税は、超富裕層のアメリカ人が連邦政府に毎年純資産のわずかな割合を支払うもの。そして9月、バーニー・サンダース(Bernie Sanders)はウォーレンよりもさらに攻撃的な富裕税案を発表した。

これらの人々は、アメリカの貧富の格差が拡大し続けるにつれて、超富裕層に対する税を要求している。 2018年、アメリカの所得の不平等はここ半世紀で最高レベルに達している。カリフォルニア大学バークレー校のエマニュエル・サエズ(Emmanuel Saez)とガブリエル・ズックマン(Gabriel Zucman)による分析によると、超富裕層への課税率は平均的なアメリカ人に対するものよりも低かった。

アメリカの不平等問題を解決するために富裕税を創設するという提案は近年注目を集めているが、その有効性と合憲性に関する疑問によって妨げられているとBusiness Insiderは以前に報じた。

富裕層への増税を公に支持してきた著名な億万長者を紹介しよう。


一覧表示

スライドショー
NBAのダラス・マーベリックスのオーナーであるマーク・キューバン(Mark Cuban)は、2017年11月のツイートで、所得税減税を相殺するために富裕層に課税することを提案した
NBAのダラス・マーベリックスのオーナーであるマーク・キューバン(Mark Cuban)は、2017年11月のツイートで、所得税減税を相殺するために富裕層に課税することを提案した

Getty/Michael Kovac

ビル・ゲイツは、これまで100億ドル以上の税金を支払ったが、それだけでは十分ではないと考えている
ビル・ゲイツは、これまで100億ドル以上の税金を支払ったが、それだけでは十分ではないと考えている

Yana Paskova/Getty Images

CNBCの番組で、ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)は、億万長者の税金を引き上げることが「すばらしい市民であるが市場に関する技術を持たない人たち」を助けるための最善の方法だと言った
CNBCの番組で、ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)は、億万長者の税金を引き上げることが「すばらしい市民であるが市場に関する技術を持たない人たち」を助けるための最善の方法だと言った

Bill Pugliano/Getty

元スターバックスCEOのハワード・シュルツ(Howard Schultz)は、2月にCNNで「より高い税金を払うべきだ」と述べたが、アレクサンドリア・オカシオコルテス(Alexandria Ocasio-Cortez)議員が提案した大富豪に対する最大税率70%は「懲罰的」と言った
元スターバックスCEOのハワード・シュルツ(Howard Schultz)は、2月にCNNで「より高い税金を払うべきだ」と述べたが、アレクサンドリア・オカシオコルテス(Alexandria Ocasio-Cortez)議員が提案した大富豪に対する最大税率70%は「懲罰的」と言った

Owen Hoffmann / Contributor / Getty Images

ヘッジファンド・マネージャーのレイ・ダリオ(Ray Dalio)は、2月に放送されたTV番組「60 Minutes」で、富裕層は税金をもっと払うべきかと尋ねられたとき、「もちろん」と答えた
ヘッジファンド・マネージャーのレイ・ダリオは、2月に放送されたTV番組「60 Minutes」で、富裕層は税金をもっと払うべきかと尋ねられたとき、「もちろん」と答えた

Hollis Johnson/Business Insider

ウォルト・ディズニー・カンパニーの共同設立者ロイ・ディズニー(Roy Disney)の孫娘であるアビゲイル・ディズニー(Abigail Disney)は、アメリカの貧富の格差を縮める運動の最大の擁護者として知られている
ウォルト・ディズニー・カンパニーの共同設立者ロイ・ディズニー(Roy Disney)の孫娘であるアビゲイル・ディズニー(Abigail Disney)は、アメリカの貧富の格差を縮める運動の最大の擁護者として知られている

Sean Zanni/Patrick McMullan via Getty Images

アグネス・ガンド(Agnes Gund)と、その娘キャサリン・ガンド(Catherine Gund)も富裕税創設を求める書簡に署名した
アグネス・ガンド(Agnes Gund)と、その娘キャサリン・ガンド(Catherine Gund)も富裕税創設を求める書簡に署名した

アグネス・ガンド(中央)と娘のキャサリン(左)

Getty Images / Sean Zanni / Contributor

家族で手紙に署名したのガンド家だけではない。フェイスブック共同設立者クリス・ヒューズ(Chris Hughes)とパートナーで政治活動家のショーン・エルドリッジ(Sean Eldridge)も署名した
家族で手紙に署名したのガンド家だけではない。フェイスブック共同設立者クリス・ヒューズ(Chris Hughes)とパートナーで政治活動家のショーン・エルドリッジ(Sean Eldridge)も署名した

ショーン・エルドリッジ(左)とクリス・ヒューズ。

Chris Hughes Facebook Page

ハイアットホテルズ創業家のリーセル・プリツカー・シモンズ(Liesel Pritzker Simmons)と、その夫のイアン・シモンズ(Ian Simmons)も署名した
イアン・シモンズ

イアン・シモンズ

AP Photo/Michael Dwyer

シモンズは、引退したマサチューセッツ州の不動産開発業者、ロバート・ボウディッチ(Robert Bowditch)に電話し、書簡に署名するよう説得した
シモンズは、引退したマサチューセッツ州の不動産開発者であるロバート・ボウディッチ(Robert Bowditch)に電話し、書簡に署名するよう説得した

Shutterstock

投資家ジョージ・ソロス(George Soros)は、息子のアレクサンドル・ソロス(Alexander Soros)と手紙に署名した
アレクサンドル・ソロス

アレクサンドル・ソロス

Manny Carabel/WireImage

ジョージ・ソロス(George Soros)は、ニューヨーク・タイムズに富裕税は彼にとって「道徳的問題」を生み出すものではあるが、それを支持していると語った
ジョージ・ソロス

Yunus Kaymaz/Anadolu Agency/Getty Images

投資家のニック・ハナウアー(Nick Hanauer)は、富裕税創設はアメリカ経済にとっていいことだと考えている
投資家のニック・ハナウアー(Nick Hanauer)は、富裕税創設はアメリカ経済にとっていいことだと考えている

Courtesy of Nick Hanauer

バークシャー・ハサウェイの副社長チャーリー・マンガーの娘で弁護士のモリー・マンガーはAP通信に対し、メモリアルデー(戦没者追悼記念日)にヨットからニューポートビーチの大邸宅の空き家を見て、富裕税を検討したと語った
チャーリー・マンガー

チャーリー・マンガー

Lacy O'Toole/CNBC/NBCU Photo Bank via Getty Images

実業家エリ・ブロード(Eli Broad)は、2019年6月にニューヨークタイムズに、アメリカの資本主義は「機能していない」として、富裕税創設を主張する論説を書いた
実業家エリ・ブロード(Eli Broad)は、2019年6月にニューヨークタイムズに、アメリカの資本主義は「機能していない」として、富裕税創設を主張する論説を書いた

AP

セールスフォースの共同CEOマークベニオフ(Marc Benioff)は、10月のニューヨークタイムズで富裕税を提案した
セールスフォースの共同CEOマークベニオフ(Marc Benioff)は、10月のニューヨークタイムズで富裕税を提案した

Kimberley White/Getty Images
 


関連記事
アメリカでは、若い世代の約70%が「社会主義者」に投票したい! その背景にある5つの経済的な現実

関連記事
格差は縮まるのか…ウォーレン氏とサンダース氏の富裕税とは
[原文:Here's a running list of the most high-profile American billionaires and multi-millionaires who have asked the government to raise their taxes]

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)
https://www.businessinsider.jp/post-201997


 


 

富裕層はなぜほほ笑むのか?「As if(アズイフ)の法則」に見る行動と感情の因果関係【営業心理学#16】
若手営業パーソンのための「営業心理学」(16)
木崎涼
著者
木崎 涼
フォロー
くすいともこ
編集者
くすい ともこ
フォロー
富裕層に共通するものとは何か。

高級車、ブランド品、上品な仕草や言葉遣い――富裕層にはさまざまなイメージが付きまとうが、これらは結局人によりけりだろう。

どんな富裕層にも共通するもの、それは「表情」だ。どこか余裕が感じられる、穏やかなほほ笑み。

富裕層だからこそ、そんな表情ができると考える人もいる。しかし、富裕層が穏やかな笑みをたたえることには、理由があるのかもしれない。

今回は、行動と感情の因果関係について、有名な実験を紹介しながら解説していく。

営業ケーススタディ(16)――とある富裕層の教え
富裕層はなぜほほ笑むのか?「As if(アズイフ)の法則」に見る行動と感情の因果関係【営業心理学#16】
(画像=autumnn/shutterstock.com,ZUU online)
人材コンサルティング会社で働く及川圭佑(37)は、待ち合わせ場所にたどり着き、そわそわと落ち着きなく辺りを見回した。時計を確認すると、約束の時間まで10分を切っている。及川は身だしなみをチェックし、軽く深呼吸をした。

担当顧客である経営者の吉田に、一緒にパーティーに来てみないかと誘われたのは、つい2週間ほど前のことだ。20代の頃から担当している、気心の知れた関係だったこともあり、及川は二つ返事で了承した。

しかしふたを開けてみると、それは富裕層が集う会員制の社交パーティーだった。吉田によると、会員の紹介であれば同伴者も参加できるそうで、比較的敷居の低いパーティーであるらしいのだが、及川にとっては初めての経験だ。これから連れて行かれるのがどんな場所なのか、期待半分、不安半分が正直な気持ちだった。

「及川くん、待たせたね」

声を掛けられて振り向くと、高級車に乗った吉田の姿があった。及川は「今日はありがとうございます」とお礼を伝え、助手席に乗る。そのまましばらく車を走らせると、前方に壮観なホテルが見えてきた。

ゲートをくぐり、吉田にともなわれて建物に入る。会場内にはいくつかのテーブルがあり、吉田と及川はその1つに案内された。

パーティーの参加者は壮年から初老の男性が中心で、ほとんどが会社経営者や医師だという。また、優雅なドレスに身を包んだ若い女性の姿もちらほら見えた。会員の娘や孫娘だと吉田が教えてくれる。

最初は豪奢な調度品や高い天井、参加者の放つオーラに圧倒されていた及川だが、会話が始まると少しずついつものペースを取り戻すことができた。

人間は幸福だから笑顔になるのか、笑顔だから幸福になるのか
同じテーブルの初老の男性と話が弾む。彼は経営していた会社を息子に譲り、今は最高顧問の立場で息子を支えながら、自分は別の事業を始める準備をしているらしい。

「採用は会社にとって命綱です。いい人材が入社しなければ、どんなに実績や歴史のある企業も、一瞬で転落してしまう。及川さんの仕事は、社会的な意義の高いものです」

初老の男性は、穏やかな笑みをたたえて及川にそう言った。上品な物腰や知的な話し方など、端々に余裕が漂っている。及川は緊張しつつも、自分が日頃から考えていることを真摯に話した。

「そう仰っていただけて恐縮です。ただ私にできるのは、あくまでいい人材を発掘するためのお手伝いです。最近は、日本の教育のあり方について考えさせられることがよくあります。産学連携が進むことは、学生と企業のミスマッチを減らすことにもなるのかもしれません」

初老の男性は及川に興味を持ったようで、その後しばらく会話を楽しんだ。すると途中で、吉田が「及川くんは面白いでしょう。私は及川くんの応援団なんですよ」と茶目っ気たっぷりに話に混ざってきた。

「及川さん、幸福と笑顔に関する面白い法則があるんですが、ご存知でしょうか?」

初老の男性に問われ、思い当たることがなかった及川は、素直に首を振った。初老の男性は、重ねて及川に問うた。

「人間は、幸福だから笑顔になるのか、笑顔だから幸福になるのか、及川さんはどちらだと思いますか?」

それは奇妙な問いかけだった。及川は、何と答えようかと思案した。

あなたならどちらを選ぶ?
(1) 幸福だから笑顔になる

(2) 笑顔だから幸福になる

「As if(アズイフ)の法則」から富裕層マインドを学ぶ
  
https://zuuonline.com/archives/206976
 

 

コラム2019年11月16日 / 07:45 / 13時間前更新

中国大富豪の資産に陰り、それでも進む富の集中
Sharon Lam
2 分で読む

[香港 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国富裕層の輝きが昨年、わずかながら衰えた。UBSとPwCが8日公表した調査結果によると、電子商取引最大手アリババ・グループ(BABA.N)の馬雲(ジャック・マー)会長など中国人大富豪の純資産は12%減少し、世界の大富豪の減少ペースよりも急だった。しかし中国では大富豪の数自体も減っており、ピラミッドの頂点においてすら富の集中が進んでいることを印象付けた。

調査によると、2018年は世界の大富豪の資産が4%強減少した。

ドル建てで換算しており、中国人大富豪の資産がより大幅に減少したのは人民元の下落も一因だ。米中貿易戦争や景気減速、一部の新規経済分野における規制強化、シャドーバンキング(影の銀行)への取り締まり強化なども逆風となった。

ここ5年間、富の創造はとどまるところを知らず、中国の企業家の資産は3倍に増えて世界第2位の大富豪グループに躍進したが、その勢いが一服した形だ。もっとも、足もとで富の拡大は再開しているようで、米フォーブズ誌が先週公表した「19年中国長者番付」によると、上位400人の資産は1年前に比べて2割以上増えた。

長期的には2つの懸念が残る。第1に富の集中だ。UBSによると、中国のビリオネア(資産10億ドルを超える大富豪)の数は18年に差し引き48人減って325人となり、大富豪の資産総額9820億ドルをより少ない人数で分け合う形になった。資産総額の減少率は人数の減少率より小幅だった。

実際、クレディ・スイスが先月公表した報告書によると、世界の富裕層上位10%に入った人数は、昨年に初めて中国人が米国人を上回った。この上位10%の階層は、世界の富の82%を所有している。

第2に、データは消費についてまだら模様のメッセージを発している。新興の大富豪層となった企業家の大半は、中国の個人消費の上に帝国を築いた。火鍋レストランチェーン「ハイディーラオ(海底撈国際)」(6862.HK)の共同創業者らが一例だ。しかし景気減速と食品価格の上昇により、消費支出意欲は衰えている可能性がある。大富豪の資産は昨年12%超減少したが、キャピタル・エコノミクスによると中間層の可処分所得の伸びは前年のペースから半減した。消費減速の影響は拡散していく可能性が十分ある。

●背景となるニュース

*UBSとPwCが8日公表したリポート「大富豪調査2019」によると、世界の大富豪の資産総額は過去5年間で34.5%増えたが、18年には4%強減って8兆5000億ドルとなった。

https://www.ubs.com/global/en/wealth-management/uhnw/billionaires-report.html

*中国の大富豪の資産は12%超減少した。人民元がドルに対して下落したことが、減少の約半分に寄与した。

*18年末現在の中国大富豪(ビリオネア)の数は325人で、前年から48人減った。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
https://jp.reuters.com/article/china-rich-breakingviews-idJPKBN1XM0BD

 


中国人民銀、景気下押し圧力とインフレ期待を警戒−金融政策報告
Bloomberg News
2019年11月16日 16:30 JST
中国人民銀行(中央銀行)は、景気下押し圧力を回避するため「カウンターシクリカル(反循環的)調整を強化する」方針を示した。インフレ期待が高まる可能性には引き続き警戒するとしている。
  人民銀は16日公表した2019年第3四半期の金融政策執行報告で、投資の伸びが鈍り工業生産の低迷が続いており、中国経済は困難に直面していると説明。8月公表の前回報告時と比べ、課題が増していると強調した。インフレリスク懸念も示した。
Growth Drivers Weaken

Source: National Bureau of Statistics, Bloomberg
Note: Export data in Jan.-Mar. shows average of those three months, to remove volatility from Chinese New Year
  「現在の国外環境は複雑で、経済下押しの圧力は高まり、一部のビジネスは経営が困難な状況に直面していることに留意すべきだ」と人民銀は報告した。
  報告の内容は、経済リスク拡大にもかかわらず、政策運営余地が限られていることを示唆する。人民銀は緩和を巡り、対象を絞り抑制されたアプローチを続ける。預金準備率引き下げ継続の方針もあらためて示した。金融政策は「短期的な圧力に適切に対応する」とし、過剰な資金供給を避けつつ、インフレ期待が広がるリスクに警戒を続けるとした。
原題:China Central Bank Warns on Growth Pressure, Inflation Views (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-16/Q11SGCT1UM1101?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/655.html

[経世済民133] 財政の「あとひと押し」必要な局面 消費増税後の景気はどうなった? 災害後の復興増税が誤った選択肢である理由 介護予防の交付金倍増へ 要介護認定、有効期間を最長4年に延長 調査員の要件も緩和 厚労省 在日米軍駐留経費、5倍増を要求 政府「北方領土と言わないで」

財政の「あとひと押し」必要な局面 消費増税後の景気はどうなった?
1
2
2019年11月16日 10時0分
ざっくり言うと
街角景気を伝えてくれる「景気ウォッチャー調査」の結果を紹介している
10月分では消費増税に関する声が多く、集客が落ちたと話す家電量販店も
ここは財政政策による「あとひと押し」が必要な局面では、と筆者は指摘した
消費増税後の景気はどうなっているのか?
2019年11月16日 10時0分 東洋経済オンライン

安倍首相は「桜を見る会」批判への対応に追われている。筆者は「景気対策には念には念を」と説く(写真:つのだよしお/アフロ)

11月14日の朝、7-9月期のGDP統計が公表された。前期比で年率0.2%プラス成長。減速傾向は明らかであるとはいえ、それでも「4四半期連続のプラス」ということになった。

今回の増税局面は2014年と何が違ったのか?
中身をよくよく見ると、7-9月期実質GDPは「民間在庫変動の寄与度」が前期比−0.3%となっている。在庫投資は長い目で見ればかならずゼロになる項目だから、この分のマイナスを差し引いて考えると、夏場の景気はそれほど悪くはなかったという見方もできる。

明らかに悪かったのは外需だ。財貨サービスの純輸出の寄与度は前期比−0.2%であり、これは貿易戦争や中国経済の減速を考えると致し方ないところ。それでも今のところは、内需の伸びが外需のマイナスをかろうじてカバーしてくれているようだ。

報道のヘッドラインを見ると、「駆け込み需要で4期連続プラス成長」(NHK)と説明しているところが目立つ。つまり「7-9月期は消費税増税の駆け込みがあったからプラスだったけど、足元の10-12月期は反動が来るから相当に悪いのでは?」と疑っている様子である。

まじめな話、GDP統計は各種統計を使って作られる推計値であるから、速報値が出るのが2カ月半も後になる。今回の場合で言えば、7-9月期の結果を11月中旬になって知らされているわけで、つくづく一国の経済運営というものは、バックミラーで後方の景色だけ見ながらハンドルを握っているような、心もとないものなのである。

ただし今回の増税局面では、もっとも消費税の影響を受けそうな自動車と住宅という2つの産業が上手に立ち回った。自動車販売では、10月からの自動車税引き下げを組み合わせたこともあり、2014年のような駆け込みは起きていない。あのときは、「プリウス新型車の納車は半年待ち」などと言われ、4月1日からの増税を前に年度末のセールスが過剰に積み上がった。その後の調整には時間を要したし、2013年度の決算が上振れして2014年度が落ち込んだことも、自動車会社にとっては痛かったことだろう。

また、住宅建設では、増税の半年前が契約の締め切りとなるので、今回のケースでは今年3月がピークとなった。戸建て注文住宅の受注動向をみると、確かに3月に「山」ができている。とはいえ、それほど高くはなかったし、その後は平常の水準に戻りつつある。これは増税後に、@住宅ローン減税の3年間延長、A「すまい給付金」最大50万円支援、B次世代住宅ポイント制、C贈与税非課税枠3000万円、などの特例を用意したからだろう。

他方、大型家電や宝飾品などでは、9月に顕著な売り上げ増加がみられた。これらの商品では、10月以降に反動減が生じているはずである。化粧品やお酒など、日用品の買い置きをした消費者も少なくなかったことだろう。だからやっぱり駆け込みは起きている。しかし、すそ野が広い自動車と住宅産業の影響が限定的だから、10-12月期の反動減はそれほど大きくはならないものとみる。

考えてみれば、2014年の増税局面はそれまで5%だった消費税が4月から8%になり、なおかつ2015年10月から10%に上がるという前提だった。つまり消費者は、「2年間で5%」の増税を想定していたので、自動車や住宅の駆け込み需要が大規模になってしまった。その点、今回は2%の1回限りであり、軽減税率も入っている点が大きな違いである。

実はこの点については、財務省内でも反省があるらしい。過去にEU加盟国28カ国が付加価値税率を上げたケースが109回あるが、そのうち3%以上の増税は12回しかなかったそうだ。「消費税、上げたいときは小刻みに」というのが、財政当局が「次の増税」を目指す際の手法となりそうである。

「街角の景気」はどうだろうか?
さて、景気の実相に迫るために、先日発表されたもう一つの内閣府の統計に着目してみよう。「景気ウォッチャー調査」の令和元年10月調査結果である。別名を「街角調査」ともいい、タクシーの運転手さんや外食産業の店長、就職雑誌の編集長など、景気に敏感な職種の全国2000人を対象に、アンケート調査を毎月行っているものだ。「景気は気から」と言われるが、この調査は全国各地の「気分」を伝えてくれる。

実はこの調査の隠れた「売り」は速報性にある。月末に行われた全国アンケートの結果が、翌月の第2月曜(祝日の場合は火曜日)に公表されるのだ。この調査は2000年に始まったのだが、もともとは「景気動向をもっと早く把握する仕組み作りを検討せよ」という堺屋太一経済企画庁長官の指示により誕生したという。

今回の10月分調査結果は、10月末時点の「街角景気」を伝えてくれる。現状判断DIは9月の46.7から36.7へ、実に10ポイントもの大マイナスとなった。ところが2〜3か月後を示す先行き判断DIをみると、こちらは36.9から43.7へと大幅プラスとなっている。どうやら「消費増税」を強く意識して、「10月の景気は確実に悪くなった」「でも少し先になれば良くなるだろう」と反応しているようだ。

消費税に関する言及は確かに多い。「増税前の特需による反動で、集客が落ちている」(甲信越=家電量販店)、「消費者の購買意欲が低下している」(北海道=その他専門店)、「前回の消費税増税時よりも景気回復のタイミングは早いと思われる」(南関東=百貨店)などである。そうかと思うと、「客の半数以上を高齢者が占めているため、キャッシュレス・消費者還元事業の活用の仕方を知らない」(北海道=タクシー運転手)などという指摘もある。

その他、ラグビー・ワールドカップの効果や、韓国人観光客の減少を指摘するコメントもあって、いつもながらこの調査は味わい深いのである。

ところで地域別にみると、10月にいちばん大きな落ち込みを示したのは北陸(46.0→33.8、−12.2)であった。はて、なぜだろう?と見ると、「北陸新幹線不通の影響が非常に強く、売り上げが大幅にダウンした」(商店街)などとある。なるほど、そっちであったか。

10月調査には、台風19号の影響も色濃く影を落としている。「各種イベントも自粛傾向となり、景気は格段に悪くなっている」(甲信越=新聞販売店)、「毎週のように台風の影響があり、客の来店が少ない」(北関東=ゴルフ練習場)などとある。

前回の「東京が『世界一危ない都市』と認定されたワケ」でもお伝えした通り、自然災害による経済への影響は深刻化している。S&Pグローバル・レーティング社によれば、9月の台風15号と10月の台風19号による保険金支払額は、2兆円を超える可能性があるとのこと。すなわち、2018年に大阪を襲った台風21号と、ほぼ同規模ということになる。

財政による「あとひと押し」が必要な局面だ
こうしてみると、安倍晋三首相が11月8日の閣議で経済対策の編成を指示したことも納得である。今年度補正予算と来年度当初予算を15カ月一体で編成する、という手法で年明けの通常国会冒頭に提出する。経済対策の策定は2016年8月以来、3年ぶりのことだ。

検討される主な項目は、@災害対策、A企業・産業支援、Bポスト東京五輪対策が3本柱となる。

なかでも、台風19号による被災者の生活再建支援、水害対策を中心とする「国土強靭化計画」は喫緊の課題となるだろう。

財務省は相変わらず気乗り薄のようで、麻生太郎財務大臣も閣議後の記者会見では「今何が下方リスクかと言われると答えられる人はいない」などと答えている。確かに株価は好調で、「消費増税」も何とか乗り越えられそうな状況ではある。しかし「自然災害」や「米中貿易戦争」などの前途は楽観を許さない。日銀の金融緩和が手詰まりになっている折から、ここは財政政策による「あとひと押し」が必要な局面なのではないか。国会は「桜を見る会」騒動を続けている場合ではないと思いますぞ(本編はここで終了です。次ページでは競馬好きの筆者が週末のレースを予想します。あらかじめご了承下さい)。

さて、ここからは恒例の競馬コーナーだ。

10月とは打って変わって11月は週末ごとに好天に恵まれている。やはり「競馬の秋」はかくありたいもの。今週末もお天気は良さそうだ。

ところで、競馬界では面白い現象が起きている。11月24日に控えたジャパンカップには、外国馬が一頭も参加しないのだ。まあ、それだけ日本馬が強くなったからとも言えるし、日本の芝は独特の高速馬場で外国馬はやりにくいのだ、という説もある。

しかしそれとは対照的に、外国人騎手は短期免許で大挙して来日しているのである。さすがは労働開国のニッポン、というか、稼ぎ場として日本はおいしいし、ジョッキーのレベルが相対的に低いと見られているのであろう。

実際、2019年の障害を除くG1レースの勝利騎手をあげると、クリストフ・ルメール5勝、ミルコ・デムーロとダミアン・レーンが2勝、それにクリストフ・スミヨン1勝と外国人が計10勝。日本人騎手は武豊、福永祐一、北村友一が2勝ずつ、浜中俊1勝と計7勝にとどまっている。

しかもこのタイミングで戸崎圭太騎手が落馬負傷、福永祐一騎手が斜行により騎乗停止となり、この週末、11月17日のマイルチャンピオンシップ(京都競馬場・芝1600メートル、第11レース)は有力馬に「乗り代わり」が続出となっている。ああ、なんて予想が難しいことよ。

マイルCSの本命は池添騎手騎乗のインディチャンプ
ということで以下は結論だけ。本命はインディチャンプ(3枠5番、池添謙一騎手)。対抗はダノンキングリー(1枠1番、横山典弘騎手)。そして穴にアルアイン(5枠10番、ライアン・ムーア騎手)とレイエンダ(8枠17番、クリストフ・ルメール騎手)。以上、全部、騎手は乗り代わりである。

主戦の川田将雅騎手がそのまま乗るダノンプレミアム(7枠14番)は、たとえ1番人気でも敢えて軽視することにする。もし来ちゃったら、その際は素直にダノン陣営と川田騎手に脱帽しなければなるまいて。

東洋経済オンライン

外部サイト
東京が「世界一危ない都市」と断定されたワケ
桜を見る会中止、安倍首相「逃げ恥作戦」の成否
大阪人が最近「東京批判」をしなくなった理由
「消費税10%に引き上げ」をもっと詳しく

消費増税対策として導入されたプレミアム付き商品券 申請は3割程度
増税の消費への影響に麻生太郎氏が言及 「ひと月の動向では何も言えない」
ポイント還元制度への加盟店登録認められず 神戸市の生協が国を提訴
https://news.livedoor.com/article/detail/17388869/


 

 

災害後の復興増税が誤った選択肢である理由
THE RIGHT WAY TO FINANCE DISASTER RECOVERY

2019年11月16日(土)13時40分
浜田宏一(内閣官房参与)

70
1


災害復興のための増税は景気後退期の緊縮財政並みに的外れだ SURFSHOP BOARDROOM VIA REUTERS

<けがをした子供に重いリュックサックを背負わせるべきでないように、経済が打撃を被っているときに増税を行うべきではない>

10月に日本を襲った台風19号は、各地に甚大な被害をもたらした。今後、気候変動の影響が強まれば、深刻な自然災害はさらに増加するだろう。災害からの復興には莫大なコストがかかるが、復興予算を調達するための増税は避けるべきだ。

2011年の東日本大震災直後、尊敬すべき経済学者である伊藤元重と伊藤隆敏が、将来世代の負担を増やさないために、国債発行ではなく増税で復興予算を賄うよう提唱した。多くの経済学者がこれに賛同した。

この考え方はとんだ間違いだった。財政の理論によれば、自然災害や戦争などの一時的なショックには、財政赤字を一時的に増やす形で対処するべきとされている。

財政赤字を増やさずに歳入を増やそうと思えば、大規模増税を行うほかない。しかし、それは納税者に負担を強いるばかりか、経済にもダメージを与える。よりによって経済が最も弱っているときに、市場のメカニズムをゆがめ、経済活動へのインセンティブを弱め、効率を悪化させてしまう。

災害復興のために増税するのは、景気後退期に緊縮財政を実施するのと似たようなものだ。ギリシャなどの例からも明白なように、経済が悪化しているときに歳出を大幅に減らせば、国民所得と経済成長に悪影響が及ぶ。その結果、政府は債務の返済にますます苦労することになる。

けがをした子供に重いリュックサックを背負わせるべきでないように、経済が打撃を被っているときに増税を行うべきではない。景気後退と同様、災害復興も永遠には続かない。財政健全化は、経済がそれに耐えられる状態に戻ってから行えばいい。

2011年に私がこのような主張をしたとき、日本のメディアはあまり取り上げなかった。財源の確保に血道を上げる財務省の影響のせいで、財政赤字を拡大して政府支出を増やしても消費刺激効果がないと思い込んでいるのだ。消費者は将来の増税を予測してどうせ消費に慎重になる、というのである。

政府が支出を増やすべきとき
しかし、この想定は現実離れしている。誰もがそんなに遠い先のことを――場合によっては自分の死後のことを――考えて行動するわけではない。現実の世界では、減税を行えば消費が増えて成長が促進される。

国債発行反対派は財政破綻のリスクも指摘するかもしれないが、そのリスクも一見するほど大きくなさそうだ。最近注目を集めている「現代貨幣理論(MMT)」によれば、自国通貨を発行する国が財政赤字により破綻することはないとされる(インフレに陥るリスクはあるが)。

次のページ消費税率が引き上げられたばかり

ここにきて、主流派の経済学者も財政赤字を計上して歳出を増やすことに前向きになり始めたようだ。IMFのチーフエコノミストを務めたオリビエ・ブランシャールもこう述べている。「金利が極めて低く、公的債務について投資家から安全と判断されている国では......金融政策の限界を埋め合わせるために、財政赤字をさらに増やすことが必要なのかもしれない」

今の日本では特に、増税は避けたほうがいい。10月に消費税率が引き上げられたばかりだからだ。これまで安倍晋三首相は社会保障充実の重要性を強調してきた。消費増税による歳入増の半分は、幼児教育無償化など社会保障の拡充に回すという。

この点を考えると、復興財源を確保するための増税が近く実施されることはなさそうだ。安倍首相は財務省と異なり、経済の状況によっては――とりわけ経済が一時的なショックに襲われたときは――政府が支出を増やすべきだと理解している。

[著者]浜田宏一 KOICHI HAMADA
経済学博士、米エール大学名誉教授。内閣府経済社会総合研究所長などを経て、安倍内閣で情報提供や助言を行う官房参与に就任。主な著書に『アベノミクスとTPPが創る日本』など。

©2019 Project Syndicate

<本誌2019年11月19日号掲載>
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13398.php


 

主要ニュース(共同通信)
2019年11月16日 / 17:50 / 2時間前更新
介護予防の交付金倍増へ
共同通信
1 分で読む

 政府が年末に編成する2020年度の当初予算案で、介護の予防や自立支援に成果を上げた自治体に手厚く配分する交付金を、現在の2倍の400億円程度へ大幅拡充させることが分かった。認知症予防や要介護度の維持・改善に向けた取り組みを自治体間で競わせ、介護費の膨張を抑える狙いがある。
 医療や介護の予防に力点を置く安倍政権による社会保障改革の一環。専門的なケアが必要な重度の要介護高齢者の増加を防げれば、費用も安く抑えられると期待する。一方で、専門家の中には介護状態は簡単には改善しないとの声もあり、サービス利用の抑制を目指す「自立偏重」の方向性に批判もある。
【共同通信】
https://jp.reuters.com/article/idJP2019111601000785?il=0


 

要介護認定、有効期間を最長4年に延長 調査員の要件も緩和 厚労省


《 社保審・介護保険部会 14日 》
高齢者の要介護認定をめぐり、厚生労働省は更新時の有効期間を最長で48ヵ月まで延ばす方向で調整を進めていく。認定調査員の要件を緩和し、委託先の一部でケアマネジャー以外が担えるようにすることも検討していく。

 
14日に開催した社会保障審議会・介護保険部会で提案。委員から大筋で了承を得た。認定の質が下がらないようくぎを刺す声も出たため、慎重にディテールを詰めていく構えだ。実施までのスケジュールを問うと、老健局の担当者は「2021年度が念頭にあるがまだ明言できない」と応えた。

第85回社会保障審議会介護保険部会

認定を担う現場の負担を軽減する狙いがある。高齢化の影響で申請が増え、要介護度が出るまでにかかる日数が長期化。これまでも有効期間の延長などを重ねてきたが、平均で38.5日と十分に短縮されていない。申請は今後さらに増加していく見通しで、クオリティを保ったままどう簡素化していくかが大きな課題となっている。

新たな有効期間の延長の対象となるのは、更新の前後で要介護度に変更のない高齢者。現行では最長36ヵ月だが、これを最長48ヵ月にしてはどうかという。新規や区分変更、あるいは要介護度が変わる人の認定は、引き続き今の有効期間を維持していく。厚労省は過去の認定データなどを詳しく検証した結果とともに提案した。

認定調査員の要件の緩和は、市町村が社会福祉協議会などの「指定事務受託法人」に認定調査を委託した場合が対象。現行ではケアマネジャーしか認められていないが、これを看護師や社会福祉士、介護福祉士など(*)にも任せていくことが想定されている。ケアマネの確保が難しいことを理由に、自治体の関係者などから見直しを求める声があがっていた。

* 厚労省はケアマネになるための実務経験として認めている資格を参考に対象者を選定するとしている。
https://www.joint-kaigo.com/1/article-13/pg1185.html

 


主要ニュース(共同通信)
2019年11月16日 / 18:10 / 3時間前更新
在日米軍駐留経費、5倍増を要求
共同通信
1 分で読む



 在日米軍の駐留経費負担(思いやり予算)を巡り、トランプ米政権が日本政府に対し、現行から5倍の増額を求めていたことが分かった。7月に当時のボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が来日した際に伝え、日本側は拒否した。日本政府筋が16日、明らかにした。駐留経費負担は2019年度予算で約1974億円を計上しており、単純計算すれば9800億円以上の巨額要求となる。
 トランプ大統領は日米安全保障条約を「不公平な合意」と表明している。大幅な増額要求は来年の大統領選に向け、米国の負担軽減を得たい交渉術の一環とみられる。
【共同通信】

https://jp.reuters.com/article/idJP2019111601000815?il=0

 
国内政治ニュース(共同通信)2019年11月16日 / 17:00 / 4時間前更新
政府、「北方領土と言わないで」
共同通信
1 分で読む

 日本とロシアによる北方領土での共同経済活動のパイロット(試行)事業として10月末〜11月初旬に実施された国後、択捉両島への観光ツアーで、日本政府が委託先の旅行会社を通じ、参加者に「北方領土」という表現を現地で口にしないように注意喚起していたことが16日、分かった。政府は「4島はロシアに実効支配されており、ちょっとした言動がトラブルにつながりかねない。やむを得ない対応だ」(外務省幹部)と理解を求めている。

 関係者によると、政府は出発前に旅行会社の担当者を介し、住民との交流時には北方領土と言わずに「北方四島」と呼ぶよう参加者に協力を求めた。

【共同通信】
https://jp.reuters.com/article/idJP2019111601000702?il=0

http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/656.html

[国際27] トランプ氏弾劾への支持、公聴会後も変わらず ウクライナかすむトランプの下半身 セクハラではすまない性的暴行事件の数々
トランプ氏弾劾への支持、公聴会後も変わらず
=世論調査
2019年11月16日(土)08時11分

 

ロイター/イプソスのオンライン世論調査によると、米下院で今週始まったトランプ米大統領の弾劾調査を巡る公聴会の影響は限られ、米外交官による初の証言前後でトランプ氏の弾劾に対する支持率の変化はほぼ見られなかった。ワシントンで13日撮影(2019年 ロイター/JOSHUA ROBERTS)

[ニューヨーク 15日 ロイター] - ロイター/イプソスのオンライン世論調査によると、米下院で今週始まったトランプ米大統領の弾劾調査を巡る公聴会の影響は限られ、米外交官による初の証言前後でトランプ氏の弾劾に対する支持率の変化はほぼ見られなかった。

14日から15日午前にかけて実施された調査で、トランプ氏を「弾劾すべき」と回答した人は44%、「弾劾すべきではない」と回答した人は40%だった。週初に実施した同様の調査ではそれぞれ45%、42%だった。

また回答者の約68%が公聴会に関心を寄せており、そのうち公聴会によってトランプ氏の弾劾に対する「支持が高まった」人は41%、「支持が低下した」人は25%だった。

公聴会の生中継を視聴している人は28%。議会の弾劾手続きに関心がないと回答した人は約25%だった。
https://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2019/11/253717.php

 


 

ウクライナかすむトランプの下半身
セクハラではすまない性的暴行事件の数々
2019.11.15(金)
堀田 佳男
アメリカ?政治

ドナルド・トランプ米大統領
ギャラリーページへ
 ドナルド・トランプ大統領(以下トランプ)が迷走している。

 年内に連邦下院で弾劾訴追される公算が強くなっているが、本稿では別の側面で問題視されているトランプの負の所業に光を当てたい。

 10月22日、米国でトランプについての新刊本が出版された。

 タイトルは『大統領の女たち:ドナルド・トランプという捕食者(筆者訳)』(ハチェット・ブックス)で、トランプの女性問題を新たに浮き彫りにした単行本である。

 トランプが過去、数多くの女性と浮名を流してきたことはすでに知られているが、本書はトランプにセクハラや性的暴行、強姦されたと主張する43人の新たな被害女性たちの報告事例をまとめたものだ。

 報告された被害女性はこれまでメディアには登場していない人たちで、著者である2人のジャーナリストが様々な手法を使って被害女性たちを探し当ててインタビューしている。

 大統領になる前からトランプの女性問題はメディアに幾度となく取り上げられてきた。

 ところが、前回選挙では大きい汚点にならず、さらに当選後も大統領の地位を脅かす騒ぎまでにはなっていない。

 本書で明かされた内容は、大統領になる前に…
 本書で明かされた内容は、大統領になる前に起きたことだが、ビル・クリントン大統領がモニカ・ルインスキー氏と不適切な関係をもったことで弾劾裁判にかけられた事件に匹敵するほどの深度があると考える。

 被害女性たちはこれまで、「もう過去のことなので」とか「思い出したくない」といった理由で現職大統領を糾弾してこなかったようだ。

 しかし本書をきっかけに表舞台に出てきて、トランプの過去の犯行に責任を取らせる流れができるかもしれない。

 トランプの性的暴行事件は「下半身ネタ」であることから、いわゆる正統派の米メディアは敬遠することもあった。

 とはいえ、本件ではワシントン・ポスト紙やタイム誌、また英ガーディアン紙などが記事を書いており、ウクライナ疑惑とは別角度からトランプを攻め込んでいる。

 ワシントン・ポスト紙には被害を受けた女性が記事を書いてもいる。

 ナターシャ・ストイコフ氏はニューヨーク在住の脚本家で、2005年12月にトランプに性的被害を受けた苦い経験がある。

 当時、ピープル誌で記者をしていたストイコフ氏は、トランプ夫婦にインタビューするためフロリダのマー・ア・ラゴを訪れた。

 同氏はそれまでにも何度かトランプに話を聞…
 同氏はそれまでにも何度かトランプに話を聞いたことがあったので、緊張はなかったという。

 その日はメラニア夫人との結婚1周年を前に、今後の夫婦生活の話を聞く予定だった。

 夫人のお腹にはバロン君が宿り、「ハッピー・ストーリー」のはずだった。

 インタビューが終わり、写真撮影も済むと、メラニア夫人は2階に戻った。トランプは家の中を案内すると申しでたので、同氏はそれに従った。

 ある部屋の中に入った時である。

 トランプはドアを閉めるやいなや、ストイコフ氏を壁に押しつけて無理やりキスしてきた。その後、肉体関係を迫ったという。

 トランプ邸を去った後、怒りしかこみ上げてこなかったと書いている。

『大統領の女たち:ドナルド・トランプという捕食者』の著者2人は、本書を執筆するにあたり100人以上にインタビューをしている。

 中にはトランプに強姦された女性の話も登場…
 中にはトランプに強姦された女性の話も登場する。トランプはそうした糾弾には「政治的意図があり、すべてウソである」と取り合わない。

 確かにトランプを政治的に貶めるために虚偽の話を作り上げる女性がいないことはない。

 けれども、実名で事件の詳細を述べることがどれだけ本人にとって負担であるかを考えると、トランプの蛮行は精査され、糾弾されるべきである。

 同書の著者は「エスクワイア」誌とのインタビューで、次のように述べている。

「カネと名声を手に入れた男が女性を虐待する悪のパターンを本書で示せたかもしれません」

「被害女性の中には、本当に勇気を出して初めて語ってくれた方もいました。言いたいのは、なぜこんな女たらしの人間を社会がのさばらせておくのかということです」

 ピューリッツアー賞の受賞歴もあるワシントン・ポスト紙のロビン・ギバーン記者は書評でこう書き出している。

「トランプが女性に抱いている関係は俗悪で卑劣で、女性蔑視が含まれるばかりか、時に暴力的である」

「(中略)本書のテーマは大変シンプルだ。それはトランプがブタだということである。また性的捕食者であり、実際は犯罪者かもしれない」

 ここまでトランプの素性があぶり出され、過…
 ここまでトランプの素性があぶり出され、過去の過ちが公表されていても、いまだにトランプを支持する人たちは多い。

 共和党の中には、トランプの私生活に無関心を装う人たちも少なくない。

 米経済は底堅く、不況という文字は見えておらず、共和党内はトランプでまとまっている。

 ウクライナ疑惑の弾劾訴追でも、上下両院の共和党議員でトランプに反旗を翻している人間はほとんどいない。

 現時点では、弾劾訴追の決議案が連邦下院で可決されて上院に移っても、トランプは有罪判決を受けない可能性が高い。

 2020年秋の大統領選の頃には、「そういえば弾劾裁判なんてあったな」という笑い話に片づけられないとも限らない。

 誰も「大統領は聖人であれ」などとは思っていないだろう。

 だが少なくとも、有能な政治家であると同時に人間として世界の手本となるべき人物でなくてはいけないと願っているはずだ。

 米国の最高権力者としてホワイトハウスにいる間は、ほとんど誰もトランプの言動を矯正できないところに米国の本質的な弱点が隠されているのかもしれない。

もっと知りたい!続けてお読みください
弾劾追及、ついに強気大統領の目に涙


弾劾へ、始まった公聴会中継の中身
ニクソン氏と同じ道辿るか、トランプ大統領
高濱 賛

トランプ大統領が韓国を大嫌いな理由
マティス国防長官のスピーチライター衝撃の暴露本
高濱 賛

「温暖化対策」100兆円をドブに、日本はバカなのか?
異論を許さない地球温暖化問題はもはやカルト宗教だ
渡辺 正

日本人が香港デモに無関心のままではいけない理由
一線を越えた警察の暴力、香港は戦場になった
福島 香織

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58260?page=5
http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/740.html

[国際27] 金正恩キモ入り「高級リゾート」で続発する悲劇の背景
金正恩キモ入り「高級リゾート」で続発する悲劇の背景

2019年11月15日 5時50分 デイリーNKジャパン
三池淵(サムジヨン)郡を視察した金正恩氏(2018年10月30日付朝鮮中央通信)
写真拡大

金正恩党委員長が進める、北朝鮮北部の三池淵(サムジヨン)の再開発。「革命の聖地」として知られるとともに、風光明媚な景勝地でもあるが、その中心地に高級リゾート都市を建設するというメガプロジェクトだ。

現場には多くの兵士や労働者が動員されているが、冬は氷点下20度以下まで下がる厳しい寒さに襲われ、労働環境が悪い、事故が多発しているなどと悪評が立っていて、動員を嫌がる人が多い。あまりに人が集まらないため、当局が美装工を騙して三池淵の現場に連れて行こうとしたが、それに気付いた人々はトラックから飛び降りて逃げてしまったという。最高指導者の権威を傷つけたら、どんなひどい目に遭わされるか、じゅうぶんに理解しているにもかかわらずだ。

(参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命)

ひどい環境を改善することなく、その責任を現場に丸投げする北朝鮮当局の体質が、貴重な人命を奪う結果となった。

現地の情報筋によると、先月末に、平安南道(ピョンアンナムド)から突撃隊(半強制のタダ働き労働者部隊)として三池淵に派遣されていた労働者1人が、トウモロコシを満載し雲興(ウヌン)郡の白岩嶺(ペガムリョン)を走っていたトラックから転落し、崖から滑落した。

労働者は、木の幹にぶつかった状態で発見されたが、既に事切れた後だったという。実は、盗みの途中で足を滑らせたことによる悲劇だった。なぜこんなことが起きたのか。

三池淵はすでに、朝晩は氷点下10度近くまで冷え込んでいる。暖を取るための薪や冬服、充分な食糧があってしかるべきだが、当局は建物の建設に必要な資材の供給は行っても、そこで働く労働者に対する配給はろくすっぽ行っていない。そのため、労働者自らが「自力更生」、つまり現地で自力で調達する必要に迫られた。

突撃隊の指揮部は各部隊に対して「越冬準備を行え」との指示を下したが、平安南道大隊にはこれといった策がなかった。それでも、各小隊に上からの越冬準備を指示をそのまま丸投げした。

小隊は、労働者を出身地ごとに割り振って自宅に戻らせ、食糧や現金を入手して戻るように指示した。ただ、それすらままならない小隊は労働者に「自主解決せよ」との指示を下した。

平安南道出身の労働者2人は、市場に向かったものの食糧や薪を買う現金がなく、途方に暮れてさまよい歩いていた。ちょうどそのとき、峠の向こうからトウモロコシを満載したトラックが走ってくるのが見えた。

2人はトウモロコシを盗むことにした。トラックが坂道でスピードが落ちているすきに密かに飛び乗り、トウモロコシの入った50キロの袋をいくつか荷台から投げ下ろした。車から飛び降りようとしたところ、1人が足を滑らせて崖から滑落し、死亡したというのだ。

死亡事故の発生を受け、平安南道の大隊長が更迭されるなど、関係者の処分が行われたが、元はと言えばきちんと配給を行わない当局の責任だ。

家に返して現金を調達させても、幹部が着服してしまい、末端の隊員の福利厚生に使われることはない。それは人が死んでも変わることはない。

両江道は平均海抜が1000メートルに達する山間地帯で、道路事情も極めて劣悪で、事故が頻発している。昨年3月には、アイスバーンによる交通事故が多発し、たった1日で300人もの死者を出す凄まじい事態となった。

今回事故が起きた白岩嶺では、鉄道事故も多発している。

2010年11月初旬に首都・平壌から恵山に向かっていた急行列車が転覆し、客車が山から滑落する事故が起き、数百人の死傷者が発生した模様だと、北朝鮮向けのラジオ局の自由北韓放送が伝えている。また、2008年と2010年にも列車事故が発生し多数の死傷者を出している。

デイリーNKジャパン

外部サイト
女性芸能人たちを「失禁」させた金正恩氏の残酷ショー
若い女性を「ニオイ拷問」で死なせる北朝鮮刑務所の実態
機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇
「北朝鮮情勢」をもっと詳しく

金正恩委員長が空軍の大会視察…米韓合同訓練けん制が狙いか
北朝鮮の実態 公開処刑され「教材」にされる女性芸能人と脱北者たち
「彼らの侮辱は名誉の勲章」バイデン氏が北朝鮮メディアの罵倒に反論
https://news.livedoor.com/article/detail/17382694/

http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/741.html

[国際27] ニューヨークでは年収1000万円でもリア充になれない ニューヨークの物価情報2019〜値段比較(食費・交通費・宿泊費・観光費用を調査)
ニューヨークでは年収1000万円でもリア充になれない
2019年11月16日 21時0分
ライフハッカー[日本版]

ニューヨーク市には、全米屈指の高給な仕事がある。ニューヨーカーの30%近くは、10万ドル(約1100万円)以上の給与を稼いでいる。しかし、高給だからといって高い税金や悪名高い生活費の高さに影響されないわけではない。約24平方メートルの小さなアパートから、平均以上の値段の牛乳まで、年収10万ドルのリアルなニューヨーク市の暮らしを見てみよう。

ニューヨーク州は比較的所得水準の高い州だ。
Brendan McDermid/Reuters
出典 :Data USA
中でもニューヨーク市は、全米でも特に所得が高い。
ニューヨーク、ウォール街Brendan McDermid/Reuters
出典 :Data USA
高給な仕事を求めて、多くの人がニューヨークに集まってくる。
Mary Altaffer/AP
出典 :CNBC
ニューヨーカーの約30%が、10万ドル(約1100万円)以上の年収を稼いでいる。
Jeffrey Furticella/AP
出典 :Statistical Atlas
ニューヨークで10万ドル以上稼げる仕事は、ビジネスアナリスト、役員補佐、ソフトウエア・エンジニアなど。
Kike Calvo/AP
出典 :Indeed
ニューヨークの平均年収は6万9211ドル。
Mark Lennihan/AP
出典 :PayScale
年に10万ドルの収入があれば、裕福な暮らしができると思うかもしれない。ある意味、それは正しい。
Kike Calvo/AP
だが実際は、所得税を差し引くと手取りは6万5000ドル程度だろう。
Amr Alfiky/Reuters
出典 :Go Banking Rates
しかも、非常に高いことで有名なニューヨークの生活費も考慮しなくてはならない。
Mark Lennihan/AP
給与情報サイトのPayScaleによると、ニューヨークの生活費は全米平均より129%高い。
Andrew Kelly/Reuters
出典 :PayScale
例えば、1ガロン(約3.8リットル)の牛乳の価格は、全米平均では約3.5ドルだが、ニューヨークでは4.53ドル。
Amy Sussman/AP Images for ALDI
出典 :InvestopediaandStudying in the US
その他の支出でみると、ニューヨークでジムに通うなら、月会費の平均額は100ドル、
Brendan McDermid/Reuters
出典 :Business Insider
近所のパブでちょっとしたディナーを食べると、2人で平均57ドル、
Dan Kim/Handout/Reuters
出典 :Business Insider
男性の散髪は、平均26ドル。
Mike Segar/Reuters
出典 :Business Insider
公共交通の定期代は、1カ月121ドル。これは世界50都市の中で5番目に高額。
Keith Bedford/Reuters
出典 :Business Insider
消費税は、ニューヨーク市税が4.5%、州税が4%。合わせて8.5%。
Andrew Kelly/Reuters
編集部注:さらにメトロポリタン地区追加税として、0.375%がかかる。
出典 :New York City Department of Finance
一方、他の州では消費税は2.9〜7.25%、消費税のない州もいくつかある。
Shannon Stapleton/Reuters
出典 :USA Today
さらに住居費の問題がある。これは間違いなくニューヨークの生活費が高い最大の要因だ。ニューヨークの平均的な住居費は、全米平均より369%高い。
Mark Lennihan/AP
出典 :PayScale
固定資産税は比較的安く、0.8%。一方、ニューヨーク州全体の平均では1.65%、全米平均では1.19%。
Andrew Kelly/Reuters
出典 :Smart AssetandSmart Asset
住宅ローン情報サイトのHSHによると、ニューヨーク市の都市圏で住居を購入したい場合、年収10万5684ドルであれば、平均的な価格の住宅のローン、税金、保険の支払いが可能だ。
Jeffrey Zeldman/Flickr/Attribution License
出典 :HSH
だがこれは20%の頭金、つまり約8万ドルの貯金があることが前提となる。また、ニューヨーク都市圏での平均的な住宅価格、40万3900ドルで購入できる住宅の選択肢は限られたものとなる。
Jörg Schubert/Flickr/Attribution License
不動産情報サイトのZillowによると、ニューヨーク市の5つの区における平均的な住宅価格は68万ドル近くとなっている。
Glyn Lowe PhotoWorks/Flickr/Attribution License
出典 :Zillow
賃貸も決して簡単ではない。
Jörg Schubert/Flickr/Attribution License
住居費は年収の30%までというアドバイスに従うなら、家賃として使えるのは月2500ドルとなる。
Mark Lennihan/AP
出典 :Naked Apartments
月2500ドルは高額に思えるかもしれないが、ここはニューヨーク。
Bebeto Matthews/AP
金融情報サイトのInvestopediaによると、ニューヨークのアパートの平均的な家賃は、月3667ドル。
Bebeto Matthews/AP
出典 :Investopedia
マンハッタンでは、ワンルームの家賃は平均2550ドル。
Mark Lennihan/AP
出典 :Naked Apartments
1ベッドルームを望むなら、家賃は3100ドル近くになる。
Mark Lennihan/AP
出典 :Naked Apartments
それに加えて、仲介手数料が必要となるケースも少なくない。通常、家賃の1カ月分で契約時に支払う。
ニューヨーク、東ハーレム界隈。Seth Wenig/AP
ワンルームよりも広いアパートに住みたいなら、ルームメイトを探すことになるだろう。多くのニューヨーカーがそうしているように。
ジェニファー・アニストンとコートニー・コックスは、ドラマ「フレンズ」でルームメイトを演じた。NBC/IMDb
実際、2017年の調査によると、ニューヨークでアパートを借りている成人の40%がルームシェアをしている。
マシュー・ペリーとマット・ルブランクは、ドラマ「フレンズ」でルームメイトを演じた。NBC/IMDb
ブルックリン、クイーンズ、ブロンクスに住むという選択肢もある。安くはないが、マンハッタンよりは手頃だ。
ニューヨークのブルックリン橋。Shannon Stapleton/Reuters
出典 :Naked Apartments
ワンルームの平均的な家賃は、ブロンクスで1450ドル、クイーンズで2175ドル、ブルックリンで2350ドル。
ブルックリン、ニューヨーク。Richard Drew/AP
出典 :Naked Apartments
マンハッタンで暮らすと決めたなら、小さく暮らすライフスタイルを取り入れるといい。
Leanna Garfield/Tech Insider
ニューヨークでは、小さなアパートは珍しくない。だが、マンハッタン南部にあるカーメル・プレイス(55戸)は、さらに進化している。
Leanna Garfield/Tech Insider
出典 :Business Insider
このアパートは、小さく暮らす実験的な取り組みとして2015年に建てられた。増え続けるニューヨーク市の人口と、それに伴う手頃な価格の住宅不足に対応したもの。
Julie Jacobson/AP
出典 :Business Insider
各部屋の広さは約24〜33平方メートル。ちなみにマンハッタンのアパートの平均的な広さは約65平方メートル。
Julie Jacobson/AP
出典 :Business Insider
家賃は月2775ドルから。若干予算オーバー。
Leanna Garfield/Tech Insider
出典 :RENTCafe
だが、ジム、ハウスキーピング、ランドリー、食料品のデリバリー、交流イベントへの参加費が家賃に含まれている。また最新の電化製品と家具が備わっており、生活費の節約につながる。
Leanna Garfield/Tech Insider
出典 :Business Insider
我々はここでの暮らしを知るために、2015年に1泊してみた。
Leanna Garfield/Tech Insider
出典 :Business Insider
部屋は美しい装飾とデザインが施され、「とても住みやすそう」と感じた。毎月の家賃を支払うことができればの話だが。
Leanna Garfield/Tech Insider
出典 :Business Insider
カーメル・プレイスは、ニューヨークの多くの賃貸アパートよりも新しい。
Leanna Garfield/Tech Insider
出典 :Business Insider
だがニューヨークに住むなら、ときにスペースは犠牲にしなければならない。ユーチューバーのクリス・ビューエル(Chris Buell)は、約33平方メートルのアパートに月2600ドルの家賃を支払っている。場所は明かしていない。ニューヨーク市のどこか。
Chris Buell/YouTube
出典 :Chris Buell/YouTube
小さな寝室には、小さなクローゼット。
Chris Buell/YouTube
しかし、天井までの高さの窓から太陽光が射し込む。これはニューヨークの賃貸市場ではセールスポイント。
Chris Buell/YouTube
出典 :The New York Times
また、乗り越えるべきハードルは狭さだけではない。
Jeremy Bernier/YouTube
多くのニューヨーカーが住む建物は、最近建てられたものではない。ユーチューバーのジェレミー・バーニエ(Jeremy Bernier)も築100年の建物に住んでいる。
Jeremy Bernier/YouTube
出典 :Jeremy Bernier/YouTubeand RentHop
バーニエは2016年当時、年収15万ドルのソフトウエアエンジニアとして働き、イーストビレッジにある家賃2500ドルの1ベッドルームのアパートに暮らしていた。
Jeremy Bernier/YouTube
出典 :Jeremy Bernier/YouTubeandJeremy Bernier/YouTube
ニューヨーク市の住宅用建物の平均的な築年数は90年。そのため年収10万ドルでも、古いアパートを借りることになる可能性が高い。
バーニエが暮らしたイーストビレッジのアパートの浴室。Jeremy Bernier/YouTube
出典 :Rent Hop
あわせて読みたい
住んでいなくて良かった? ニューヨークの住宅市場に関する9つの驚きの事実
45平米、要修理でも約6600万円、悪化するサンフランシスコ住宅事情
NY市で始まった「父親教室」。「育児に対して自信が付く」と好評な理由は?
Image: YouTube, AP, Tech Insider, Flickr, Reuters, NBC
BUSINESS INSIDER JAPANより転載(2019.08.10)

外部サイト
• 無意識に“スメハラ”してない?日常的に気をつけたい「不快なニオイ」を感じるシーンとお手軽解決アイテム
• 世界から学び日本を誇れるように。JICA田中智子さんの働く理由
• 運転中に無意識のハラスメントが? 同乗者に不安・不快を感じさせない⽅法とは
「ニューヨーク」をもっと詳しく

• 米ニューヨーク日本アニメの大規模イベントが開催 4万人超が訪れる予想
• アニメの「聖地巡礼」で日本人の団体がNY図書館に 「こんなの初めて」
• カート・コバーンのカーディガンが3630万円で落札「MTVアンプラグド」着用


https://news.livedoor.com/article/detail/17391387/

 

ニューヨークの物価情報2019〜値段比較【食費・交通費・宿泊費・観光費用を調査】
目次
アメリカ・ニューヨークの2019年現在の物価事情〜ニューヨークの物価は東京と比較して高い?安い?
ニューヨークの通貨はアメリカドル($)
ニューヨーク旅行の旅費の予算目安〜いくら持っていくべき?
ニューヨークの食費〜ニューヨークの食費は高すぎる!?
外食時の注意点
外食(レストランなど)の金額の目安
朝食の参考価格・物価
ランチの参考価格・物価
ディナーの参考価格・物価
日本でもお馴染みのお店は?
水(ミネラルウォーター)の物価
ニューヨークの宿泊費〜平均ホテル代は高額
アメリカの医療費〜海外旅行保険の加入は必須
ニューヨークの交通費
地下鉄の運賃
バスの運賃
タクシー料金
ニューヨークの観光費用〜観光スポット・ミュージカルの価格
観劇費用
観光スポットの物価
その他〜日用品などの物価
アメリカ・ニューヨークの物価まとめ
【ニューヨーク在住者執筆】物価が高いイメージがあるニューヨークの2019年現在の物価情報をお伝えします。海外旅行をする上で欠かせない食費・交通費・宿泊費・観光費用について調査しました。ニューヨーク旅行に必要な予算や、観光のお得情報もご紹介します。ぜひ旅の計画の参考にしてくださいね。

ニューヨーク旅行が決まると物価が気になりますよね。
大都会ゆえニュ―ヨークはなんでも高いイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
さまざまな機関が物価調査をするなかでニューヨークの物価の高さはアメリカ国内ならば1位か2位。世界ランキングでも10位以内に入ります。
そこで気になるニューヨーク旅行中に必要な費用を調べてみました。

アメリカ・ニューヨークの2019年現在の物価事情〜ニューヨークの物価は東京と比較して高い?安い?
アメリカ・ニューヨークで物価の高いものの筆頭といえば不動産価格。
マンハッタンは島で土地が限られているせいか家賃がかなり高いです。
また不動産を投資として見る投資家のお金もかなり入ってくるので不動産価格の高騰がみられます。
不動産価格と連動して高いものが宿泊代と外食費です。

ニューヨークはビジネス客が多く年間を通してホテル需要が安定しているため、宿泊費設定が高くなっています。

外食に関しても高いテナント料をメニューに反映させるため、日本より高いです。
たとえばアメリカのチェーンレストランでもタイムズスクエアにある店舗は非常に高くなっています。
また、2016年に最低賃金改定が決定し、人件費が年々上昇しています。
ニューヨークの最低賃金は、2018年12月31日から、従業員11人以上の場合は15ドル、10人以下の場合は13.5ドルになりました。2019年12月31日から、従業員10人以下の場合も15ドルになる予定です。
東京の最低賃金も2019年10月1日より1,013円に引き上げられましたが、東京よりも高い金額になっています。
人材確保のためにますます人件費が上がり、メニュー全体の値上げをせざる得ない状況になりそうで す。

ニューヨークの通貨はアメリカドル($)
ニューヨークのの通貨は、アメリカドルです。
2019年は1ドル105円〜112円ほどで推移しています。
この記事では、1ドル107円で換算したいと思います。

ニューヨーク旅行の旅費の予算目安〜いくら持っていくべき?
ニューヨーク旅行は工夫次第で滞在費を安くすることができますが、せっかくの海外旅行を満喫するには、1日150ドル(16,050円)ほど準備しておくのがおすすめです。
ミュージカルや高級レストラン、お酒を楽しみたいかたなどはこの金額に追加してください。

ニューヨークの食費〜ニューヨークの食費は高すぎる!?


旅行中で一番の出費が食事ですね。
ニューヨークの食費は高すぎるとの情報もありますが、たしかに全体的に外食費は高めです。
しかし、1ドルピザから高級レストランまで選択肢は幅広くありますので、選択次第で食費をおさえることもできます。
タイムズスクエアや エンパイアステートビル周辺のような観光地の飲食店は概して高めで気の利いたレストランもほとんどありません。
高級レストランをお得に楽しみたいならランチのコー スがおすすめです。
また屋台やサンドイッチショップは量が多いので女性なら2人で1つでも大丈夫かもしれません。

外食時の注意点
外食時(ファーストフード、セルフサービス店は除く)に注意したいのがメニュー価格には通常税金とチップは含まれてないこと。
税金は8.875%、 チップは15から20%が目安です。
最終支払金額はメニュー価格の約1.3倍となることを頭に入れておきましょう。
2015年後半より高級店を中心にチップを廃止し、メニューの料金表示に含む店が増えています。
メニューにチップが含まれる場合は、Hospitality includedと記載されています。
くれぐれもチップの2重払いには気をつけましょう。

外食(レストランなど)の金額の目安
以下は目安の料金です。
カフェやレストランの場合は税金、チップを含んでいますが飲み物代は含んでいません。
お酒、ワインを飲む方は1回の食事でさらに30ドル前後はプラスして予算を組んでおきましょう。

朝食の参考価格・物価
クリームチーズを挟んだベーグル:2ドル(214円)
セルフ式カフェでコーヒーとクロワッサン:6ドル(642円)
人気レストラン、カフェでの朝食:24ドル(2,568円)
ランチの参考価格・物価
デリでのサンドイッチ:8ドル(856円)
カフェやレストランで食事:24ドル(2,568円)
シェイクシャック シャックバーガー 5.29ドル(約566円)
屋台:10ドル(1,070円)
ディナーの参考価格・物価
カジュアルレストラン(前菜、メイン、デザート):60ドル(6,420円)
中華系レストラン:35ドル(3,745円)
ステーキハウス:100ドル(10,700円)
最高級レストラン(前菜、メイン、デザート):375ドル(40,125円)
日本でもお馴染みのお店は?
マクドナルドのビッグマック:4.95ドル(約529円)
スタバでコーヒー(トール):1.95ドル(約209円) どちらも支店によって値段が多少異なります。 両チェーンとも支店数が多く、無料Wifiがあるので休憩にもってこいです。
水(ミネラルウォーター)の物価
街歩き途中のお水の入手はデュアン・リードのようなドラッグストアでの購入をおすすめします。
ドラッグストアならば、ミネラルウォーターは1.5ドルほどです。
観光スポットにあるホットドッグ屋台はお水1本でも2ドルから3ドルと高額ですのでご注意を。

ニューヨークの宿泊費〜平均ホテル代は高額
世界最大級の宿泊予約サイト「Hotels.com」が発表している、「2018年度 Hotel Price Index(HPI)」からニューヨークのホテル料金を見てみましょう。
このHPIは世界の旅行者が実際に支払った、1泊あたりの平均宿泊料金を調査しています。

ニューヨークの1泊あたりの平均宿泊料金は、2018年が30,467円、2017年が29,654円となっています。
各都市の2018年の宿泊料金と比較してみると、ホノルルの33,280円よりは安いですが、パリは22,708円、ロンドンは22,693円、アジアの都市はどこも2万円以下のため、ほかの多くの都市よりは、ニューヨークの方が高額です。

出典:Hotels.com、2018年度Hotel Price Indexを発表

ニューヨークのホテルは全体的に高めですが、早期に予約すれば、手ごろな価格のホテルも見つけられます。
自身のご希望やご予算にあったホテルを探してみてください。
ホテル予約の際は、口コミをよく確認することをおすすめします!

アメリカの医療費〜海外旅行保険の加入は必須
これはニューヨークだけではなくアメリカ全体でいえることですが、医療費は日本と比べ物にならないほど高いです。
ニューヨーク旅行の際は、何かあったときのために海外旅行保険の加入を強くおすすめします。

ニューヨークの交通費


ニューヨークの交通費は、日本と料金体系が異なるため、一概に比較はできませんが、地下鉄やバスは一回料金のため、短距離の移動は割高、長距離ならば割安になるイメージです。

地下鉄の運賃
地下鉄1回分:3ドル(321円)
地下鉄1回分(メトロカード利用時):2.75ドル(約294円)
※2019年10月時点情報

東京メトロの初乗り運賃170円と比べると高く感じますが、ニューヨークの地下鉄の運賃は距離別の料金体系ではなく、均一料金のため、長く乗る場合は東京より安くなる場合もあります。

ニューヨークの地下鉄の詳しい料金や乗り方については、こちら↓の記事をご確認ください。
◆おすすめ記事:【ニューヨーク地下鉄ビギナー必見!】サブウェイ乗り方〜路線図・料金も

バスの運賃
市バス1回分:2.75ドル(約294円)
※2019年10月時点情報

メトロカードは地下鉄と市バス共通で利用できます。
こちらも1回乗車ごとの料金のため、距離により東京のバスより安くなることもありますが、少し高い印象です。

バスの詳しい料金や乗り方については、こちら↓の記事をご確認ください。
◆おすすめ記事:ニューヨークのバス乗り方ガイド〜路線図、料金、おすすめ観光ルート

タクシー料金
タクシー初乗り:2.50ドル(約268円)※最初の1/5マイル(約320m)
以降:0.5ドルずつ加算(約54円)※時速12マイル以上で走っている場合、1/5マイル毎の加算/または、時速6マイル以下の渋滞時60秒ごとの加算
JFK空港からマンハッタンまでタクシーで:70ドル前後(7,490円)
※2019年10月時点情報

東京の初乗り運賃は410円(約1キロまで)なので、ニューヨークの方が少し安くなりそうですが、ニューヨークのタクシーは基本料金以外にもさまざまなサーチャージがかかります。

タクシーの詳しい料金や乗り方については、こちら↓の記事をご確認ください。
◆おすすめ記事:ニューヨークのタクシーの乗り方ガイド【2019】料金・カード払い・Uberアプリなど

ニューヨークの観光費用〜観光スポット・ミュージカルの価格


観劇費用
ジャズライブカバーチャージ:10ドル〜75ドル(1,070〜8,025円)
ミュージカルチケット:65〜648ドル(6,955〜69,336円)
オペラ鑑賞:25〜485ドル(2,675〜51,895円)
ミュージカルチケット、オペラチケットは演目・座席によりチケットの値段がかなり異なります。
トニー賞で注目を集めるようなミュージカルは売切れになることが多いです。
演目にこだわらないならTKTSと呼ばれるタイムズスクエアにあるミュージカルチケット割引きブースでの購入をおすすめします。
時間があれば並んでラッシュチケットと呼ばれる当日売出しの立見席、格安チケットを入手できる可能性があり ます。
メトロポリタンオペラは当日売出しの立見席(20ドル)もあります。ジャズライブはカバーチャージの他にミニマムフード・ドリンク代が10〜15ドル、チップと税金も加算されます。

観光スポットの物価


エンパイアステートビル展望台:メイン展望台38ドル(4,066円)、メイン展望台+トップ展望台58ドル(6,206円)
メトロポリタン美術館:25ドル(2,675円) ※3日間有効
グッゲンハイム美術館:25ドル(2,675円) ※土曜日の17時−20時はPay as you wish 
自由の女神:21.5ドル(約2,300円)
※2019年10月時点情報

ニューヨークの美術館・博物館は曜日によってPay as you wish(自分の好きな金額を払う)を設けています。
また無料開放日を設けている場所もあります。
美術館、博物館はPay As you wishの日、無料開放日を選んで訪問するとかなりお得に楽しめます。

その他〜日用品などの物価


旅行中に急に必要になるかもしれないものをピックアップしました。ニューヨークはこれらの日常雑貨も他都市と比べて高いです。

生理用品:4.49ドル(約534円)
ウエットティッシュ:2.99ドル(約320円)
バンドエイド:4.29ドル(約459円)
歯ブラシセット:2.49ドル(約266円)
旅行サイズシャンプー:2.19ドル(約234円)
たばこ:10ドル前後(1,070円)
アメリカ・ニューヨークの物価まとめ
ホテル代は高い、早期予約がおすすめ
外食費はピンキリだが高め
医療費は高額のため海外旅行保険の加入は必須
観光スポットは無料開放日・Pay as you wishを狙おう
これまでの値段を見て高いと思いましたか?それとも安いと感じましたか?
アメリカの中でも物価が高いニューヨークでは、日本より物価が安いと感じられることは少ないかもしれませんが、魅力的な街であることは間違いありません。
旅の目的と予算額に合わせて、上手に、かつ楽しいニューヨーク旅行にしてください。

ニューヨークの物価についてもっと知りたい方や具体的なものやお店の価格が知りたい方は、トラベロコのサービスを利用して、ニューヨーク在住日本人のロコに聞いてみましょう。
Q&Aは無料なので、ほかにも疑問点やお困りごとがあるときは、お気軽に相談してみてください。

ニューヨークのロコ一覧
ニューヨークの無料Q&A
https://traveloco.jp/newyork/guide/tp-gen-prices

 


 
ニューヨークの物価を比較してみてわかった!実は物価は安い?高い?アメリカ在住者が解説します

Chizuru Kimura(アメリカ現地在住ライター) CHIZURU KIMURA(アメリカ現地在住ライター) · 更新 : 2019年03月01日
旅行の行き先や、留学先として『ニューヨーク』を選ぶ方って多くいますよね。いざニューヨークへ行くことが決まったときに気になるのは、“物価”ではないでしょうか? 今回は、ニューヨークのレストランやスーパーマーケットでの食料品、地下鉄やタクシー、バスなどの交通費、賃貸の相場や生活費についてご紹介します。

こんにちは。Compathy Magazineライターのジョンソン千鶴です。
自分の住んでいない国へ旅行や留学に行くときに、事前にその国の「物価の相場」を知っておくと安心できますよね。
今回ご紹介するのは、『ニューヨークの物価』についてです。

ニューヨークは物価が高いといわれがちですが、実際に物価は高いのでしょうか?
アメリカ在住の筆者が、家賃や、交通費、飲食物を例にニューヨークのリアルな物価についてご紹介します。

■目次

1ページ目: ニューヨークと日本(東京)の物価比較と物価概要
- ニューヨークと日本(東京)の物価比較
- ニューヨークの物価概要
- 日本円との比較/物価推移

2ページ目: ニューヨークの食事(レストラン・カフェ・他外食)の物価
- 1. レストランのコースの物価・値段
- 2. マクドナルドのメニューと値段・物価
- 3. カフェのコーヒーや軽食の値段・物価
- 4. ビールやその他アルコール(バーなど)の値段・物価

3ページ目: ニューヨークの飲食物(スーパー・コンビニなどのお店)の物価
- 1. 水(ミネラルウォーター/スーパー・レストラン)の値段・物価
- 2. コーラやジュース類(スーパー/レストラン)の値段・物価
- 3. 缶ビール(スーパー)の値段・物価

4ページ目: ニューヨークの観光・移動における物価と掛かるお金
- 1. タクシーの料金・物価
- 2. 市内バスの料金・物価
- 3. 地下鉄の料金・物価
- 4. 空港からのシャトルバスの料金・物価
- 5. レンタカーの料金・物価

5ページ目: ニューヨークの生活・その他の物価と掛かるお金
- 1. 家賃(アパート、一軒家)
- 2. 旅行のお土産品(定番のメープルシロップなど)
- 3. 洋服・靴など/ブランド品
- 4. コスメ・化粧品

6ページ目: あわせて読みたい!ニューヨークの旅行・観光関連ページ
- 治安は大丈夫?ニューヨークで快適な旅行を楽しむための事前準備
- ニューヨークの移動手段は地下鉄とUber!

ニューヨークと日本(東京)の物価比較
New York City

ニューヨークといえば、物価が高い街として知られています。
実際に、ニューヨークと日本の首都である東京の物価を比較してみましょう。

ニューヨークで、2ベットルームの「お家を賃貸」した場合の平均額は、32万4400円。東京都内で賃貸した場合は、22万4100円。
約10万円ほどの差額が出ています。

続いて、「地下鉄の価格」を比較してみましょう。
ニューヨークでは、地下鉄内の全線均一で2.75ドルで、日本円にすると約302円です。東京は、初乗り価格が平均約170円。
初乗り価格では、ニューヨークのほうが100円高くなっていますが、遠くに行くことを考えると一律であるニューヨークのほうが安くなっています。

最後に、「レストランやスーパーの飲食物」。
アメリカでは、レストランで食事をした際にチップを支払ことがマナーとなっています。
チップは、食事をした合計額の約15〜20%を支払う必要があるため、メニューに記載されている金額より支払う額は多くなります。

日本国内にはチップの文化がないので、大きく異なる点です。

ニューヨークの物価概要
日本円との比較/物価推移
Japanese Yen bills

2019年2月現在、為替レート1ドルは約110円。
筆者も日本のクレジットカードを使用してお買い物をするので、こまめに調べているのですが、ここ数年108〜115円の間を行ったり来たりで、大きな変動はないように感じます。

次に気になるのが、ニューヨークの物価ですね。
実際に、ニューヨークの物価はというと、世界で13番目に高いといわれています。
近年は、ドル安の影響もあり下降傾向にあるようですが、それでも世界的には物価が高い国であるのは事実です。

次のページ >>ニューヨークの食事(レストラン・カフェ・他外食)の物価

ニューヨークにあるレストランの物価は、アメリカ国内の中でも比較的高めです。
ジャンル別におおよその相場を見ていきましょう。

モダンなアメリカ料理が食べられる高級ダイニングでは、前菜からデザートまでついたランチコースが48ドル。日本円にすると、約5,280円です。

比較的カジュアルな人気イタリア料理店では、メインディッシュのパスタが22ドル。日本円にすると、約2,420円。ピザは約23ドルで、日本円にすると、2530円。

有名なフランス料理店では、コース料理で135ドル、ワインを付けるとプラス65ドル。
合計200ドルで、日本円にすると、22,000円となります。

それにチップとして15〜20%が合計にプラスされるので、外食費は結構かかるのがニューヨークの現実です。

2. マクドナルドのメニューと値段・物価
Sparkling Times Square

マクドナルドには、共通のメニューがあり、1ドル〜3ドルで食べられる朝食メニューや、チーズバーガー、マックコーヒーなどが用意されています。

これは、アメリカ国内共通。違うことといえば、フードタックスの金額です。
ニューヨーク市では、8.875%のタックスが課税されるので、1ドルプラス8.875%分のタックスを支払うことになります。

アメリカ国内にはフードタックスを0%としているところも存在するので、そこと比べるとやはりニューヨークの物価は高めであるといえますが、レストランなどよりも価格はリーズナブルです。
しかし、ファストフード店ではチップの支払いが不要なので、旅の節約に「ファストフード店」を利用するのはとてもおすすめです。

3. カフェのコーヒーや軽食の値段・物価
coffee lover

カフェで、サンドイッチなどのセットをオーダーした場合、相場は約7ドルです。
ランチなどのメインディッシュをオーダーする場合は、約20〜25ドル。

カフェでも、カウンター式で自分で取りに行くタイプのカフェの場合チップは不要ですが、レストランのようなカフェの場合は、チップがメニューの金額に含まれていない場合、必要となっています。

4. ビールやその他アルコール(バーなど)の値段・物価
Rainy Afternoon in Manhattan, New York
ニューヨークで、クラブに訪れた場合、ビールは約6ドル、カクテルは8ドル〜12ドルが相場となっています。また、クラブにはエントランス料金を設けているところもあり、その場合料金とは別に支払う必要があります。

バーの場合、カジュアルなスポーツバーだと、ビールが約6ドル。オシャレなバーでは約8ドルが相場。カクテルは、12〜16ドルぐらいです。また、バーカウンターでお酒をオーダーする際には、バーテンダーさんへチップとして1〜2ドルを支払うのがマナーなので注意しましょう。

次のページ >>ニューヨークの飲食物(スーパー・コンビニなどのお店)の物価
 
ニューヨークの飲食物(スーパー・コンビニなどのお店)の物価
1. 水(ミネラルウォーター/スーパー・レストラン)の値段・物価
Aquafina - Bottled Water
水は、購入する場所によって金額が異なります。
ドラッグストアで購入した場合、平均1.5〜3ドル。スーパーマーケットなどのグロサリーストアでは、同じ1.5ドルでも1ガロンと大きめのサイズを購入することができます。

レストランの場合、通常無料の「Tap water」を提供してくれるところがほとんど。
有料のミネラルウォーターなどは、カジュアルなレストランで平均2ドル〜3ドル。
高級レストランでは、3ドル〜4ドルを相場とみておくと良いでしょう。

2. コーラやジュース類(スーパー/レストラン)の値段・物価
Soda
続いて、コーラやジュースなどの物価を見ていきましょう。

12缶入ったコーラが、スーパーマーケットなどでは、平均4ドル〜6ドルで購入できます。
オレンジジュースなどのジュースは、ストアブランドだとハーフガロンで平均2ドル〜3ドル前後。

カフェなどで、ペットボトルのオレンジジュースやコーラなどを購入した場合の平均は2ドル〜3.5ドル。
カジュアルなレストランで、2.5ドル〜4.5ドル。高級レストランでは、4ドル〜6ドルが相場です。

3. 缶ビール(スーパー)の値段・物価
Corona time 😃🍻😎😍
ニューヨークのビールの相場は、1本平均3ドル〜6ドル。日本でもよく飲まれているコロナは、1本3.89ドル。12本入りで12.99ドルあたりが相場となっています。
また、バド・ライトなどの缶ビールは6本入りで、6.99ドルと少し安め。

レストランやバーなどでは、倍以上の金額なので、節約をしたい方はスーパーマーケットで購入するのがおすすめです。

次のページ >>ニューヨークの観光・移動における物価と掛かるお金

ニューヨークの観光・移動における物価と掛かるお金
1. タクシーの料金・物価
New York City
ニューヨークでは、“イエローキャブ”と“グリーンキャブ”と呼ばれているタクシーが一般的に利用されています。
初乗りは、2.5ドル。約320m進むごとに、50セントずつチャージされていくシステムです。
有料の橋やトンネルを利用する場合、その通行料金も加算されます。

また、長距離の移動をする場合15%〜20%のチップも支払う必要があるので、注意しましょう。
短距離での移動には、1〜3ドルほどのチップが相場となっています。

2. 市内バスの料金・物価
K-13590 -1 270714 CPS
ニューヨークのバスは地下鉄と同様に、市内一律で2.75ドル。

料金は一律ですが、長期滞在予定の方は「メトロカード」を購入するのがおすすめです。
発行手数料込みで価格は32ドル。7日間地下鉄と市内バスを自由に乗り放題で利用できるお得なカードです。

観光にバスと地下鉄を利用する予定の方は、ぜひ購入しておきましょう。

3. 地下鉄の料金・物価
New York Subway
先述した通り、ニューヨークの地下鉄は一律2.75ドル。
遠くに行けば行くほどお得に地下鉄を利用することができます。

また、メトロカードも利用できるのでこちらもおすすめ。
駅の乗り降りを間違えてしまった時も、追加で加算されないのでニューヨーク旅行が初めてという方でも安心です。

4. 空港からのシャトルバスの料金・物価
Supershuttle
JFK(ジョン・F・ケネディ)国際空港には、空港からニューヨーク市内やマンハッタンなどの希望地まで送迎する空港シャトルバス「SuperShuttle」が運行されています。
料金は、片道約25ドル。24時間運行しているので、早朝や深夜に到着するフライトでも利用することができるのがうれしいポイント。

JFK(ジョン・F・ケネディ)国際空港以外にもNewark Liberty(ニューアーク・リバティー)国際空港から運行しているシャトルバスもあり、マンハッタンなどの希望地まで約21ドルで送迎してくれます。こちらも24時間利用できます。
LaGuardia(ラガーディア空港)からは、約18ドルで、こちらも24時間運行です。

5. レンタカーの料金・物価

ニューヨークでも、レンタカーを利用することができます。
会社により、値段が異なりますが日産の「Versa」をレンタルした場合、1日あたりの料金は約8,200円です。
もう少し大きめの中型車をレンタルする場合、トヨタ「Corolla」で約9,800円。大型車となると11,500円が相場となっています。

レンタカーを利用する際には、盗難保険や自車輌損害補償保険にも加入されているものなのか確認することを忘れないようにしてくださいね。

次のページ >>ニューヨークの生活・その他の物価と掛かるお金

 
ニューヨークの生活・その他の物価と掛かるお金
1. 家賃(アパート、一軒家)
Brooklyn - 63rd Street
先述した通り、ニューヨークの家賃の相場は約32万4400円。

マンハッタンなどの大都会では、一軒家よりもアパートが多く、学生や社会人でもアパートを賃貸して生活している方が多くいます。
アクセスの良い場所だと、1ベットルームでも30万〜40万は平均。

一軒家の場合でも部屋数が少ないものや、年数が古いものに関しては、ほぼ同額。
家族が生活できるような大きめのものは、40〜50万と価格もあがりますが、友人などとルームシェアをして利用する方が多くいるようです。

2. 旅行のお土産品(定番のメープルシロップなど)
Maple syrup in glass bottle
物価が高いといわれているニューヨーク。旅行で欠かせないお土産にどのくらいの費用がかかるのか知っておきたいところですよね。

ニューヨーク土産として人気が高いのが「メープルシロップ」。
くまの形をしたものや、かわいらしいボトルに入っているものなど、さまざまな種類のものが販売されています。

お土産屋さんなどで購入すると、サイズによって値段は異なりますが相場は7ドル〜15ドル。
グロサリーストアなどのスーパーマーケットでは、小さいサイズだと3ドルくらいから購入することができます。

また、ばらまき土産などにも使えるチョコレートは、2.5ドル〜5ドルを相場とみておくと良いでしょう。

3. 洋服・靴など/ブランド品

続いて、衣類。
ニューヨークの税率はアメリカ国内でもトップ10に入る高さで知られていますが、実はニューヨークでは、110ドル以下の衣類(服や靴など)は税金対象外で、非課税で購入することができるのです。

しかし、バックやアクセサリー類などは対象外なので注意しましょう。

110ドル以上のお買い物をした場合には、8.875%の税金が課税されます。

4. コスメ・化粧品

コスメに関しても、税金は8.875%。
値段はほかの州と比べても大きな大差はありませんが、少しでもお得にゲットしたいという方は、「TJ MAX(ティ ジェイ マックス)」などのディスカウントストアをうまく利用するのもあり。

また、アメリカブランドは日本よりも低価格で販売されているので、化粧品店「Sephora」などに立ち寄ってチェックしてみることをおすすめします。

次のページ >>あわせて読みたい!ニューヨークの旅行・観光関連ページ

あわせて読みたい!ニューヨークの旅行・観光関連ページ
治安は大丈夫?ニューヨークで快適な旅行を楽しむための事前準備

compathyCompathyログブック(旅行記)『【大都会NYを一人旅】タイムズスクエアでひとりぼっちは意外とつらい?!』by 田島知華(たじはる)さん

人生一度は訪れておきたい観光地のひとつ「ニューヨーク」。
タイムズスクエアなどの有名な街並みを歩いてみたい!と思うけれど、やっぱり“治安”も気になるところ。海外では銃を保持することができたりと、日本の文化とは大きく異なります。

なので、事前にニューヨークの治安を理解しておくことで、旅行を安全で快適に過ごすことができますよ。

関連記事
■「ニューヨーク最新治安事情!治安がいいエリア・悪いエリアと注意点」

ニューヨークの移動手段は地下鉄とUber!

compathyCompathyログブック(旅行記)『NYC』by Grzegorz Samborskiさん

ニューヨーク旅行で、どんな交通手段を利用すれば良いのだろう?と考えたことはありませんか?たくさんの魅力的な観光地があるからこそ、プランを立てて上手にまわりたいところ。

そこで、ニューヨーク初心者でも簡単に理解できる地下鉄とUber(ウーバー)の利用方法をご紹介します。

関連記事
■「ニューヨークでの移動は地下鉄とUberで!その理由と使い方」

おわりに
ニューヨークは、世界でもトップに入る物価の高さで知られています。
実際に、東京と比べてみても高めに金額が設定されているものが多くありました。

ニューヨーク旅行や留学を計画している方は、スーパーマーケットなどのグロサリーストアや、メトロカードのような乗り放題を利用して、上手に節約してみてくださいね!

Compathyでニューヨークの旅行記・旅行情報をみる
Compathyでは、ニューヨークを訪れたみんなの旅行記やおすすめの観光・グルメスポット・ホテルなどを紹介しています。


1 ... 5 6
Chizuru Kimura(アメリカ現地在住ライター)
Chizuru Kimura(アメリカ現地在住ライター)

アメリカ在住5年目。在宅ライターです。 アメリカ在住だからこそ伝えられるアメリカの魅力を、多くの方たちに発信していきたいです!

https://traveloco.jp/newyork/guide/tp-gen-prices


 



http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/742.html

[国際27] 米軍は駐留米軍「総力」で韓国を防衛する(米軍幹部)北朝鮮と戦う米軍兵士は地獄を見る 北朝鮮国境にある韓国の村 情報通信技術の最先端だった 日朝戦争なら韓国は北朝鮮の味方、日本はいつの間にか四面楚歌
米軍は駐留米軍「総力」で韓国を防衛する(米軍幹部)
U.S. Vows To Defend South Korea With Full Military Force Following Pyongyang Threats

2019年11月15日(金)14時32分
デービッド・ブレナン

16
2

2017年の演習には米韓両軍から軍用機200機以上が参加 Josh Rosales/U.S. Air Force/REUTERS

<昨年中止された米韓合同演習は今年規模を縮小して実施、これに北朝鮮側は報復も匂わせて脅しに出ているが>

来月実施される米韓合同演習に北朝鮮が軍事報復もちらつかせて反発。これに対して米軍統合参謀本部のマーク・ミリー議長は、韓国防衛のために躊躇なく駐留米軍の総力を投入する準備があることを表明した。

金正恩(キム・ジョンウン)が委員長を務める北朝鮮の国務委員会は13日、「北朝鮮の警告」にもかかわらず、米韓合同軍事演習の実施が決まったことに対して「裏切られた感がある」とする談話を発表した。合同演習の実施は、昨年のシンガポールで行われた米朝首脳会談で金正恩とドナルド・トランプ米大統領が署名した合意文書の「事実上の破棄」だと非難している。

アメリカと北朝鮮の関係は、北朝鮮の非核化、制裁緩和をめぐる協議が進展しないことからこのところ冷え切っている。北朝鮮はアメリカに対して協議の期限を今年の年末に設定し、米側に新たな提案を求めている。

来月実施される今年の米韓合同軍事演習「ビジラント・エース」は、例年より規模を縮小する予定になっている。

「軍事力行使もあり得る」
しかし13日の談話で北朝鮮の国務委員会は、北朝鮮が侵略とみなす行為に直面した場合には「自衛の権利」を有し、北朝鮮は対話を望んでいるものの「事実上の軍事力を行使することも厭わない」と表明した。さらに「アメリカは遠くないうちに大きな脅威に直面し、自身の失策を認めざると得なくなるだろう」と報復を匂わせて警告した。

一方、米軍の制服組トップ、米軍統合参謀本部議長のミリーは14日、この北朝鮮の脅しを軽くあしらった。ミリーは、ソウルで韓国軍の朴漢基(パク・ハンキ)合同参謀本部議長と定例の軍事委員会を開催し、この中で、韓国へのいかなる軍事侵略に対しても「米軍の軍事力を最大限」活用する準備ができていると述べた。

ミリーはさらに、米軍が「広範な抑止力を提供する義務を引き続き果たす」ことを強調した。

これとは別にエスパー米国防長官は、15日開催の米韓定例安保協議(SCM)に出席するためにソウルに滞在している。

エスパーはソウルで13日、北朝鮮との協議再開のために、在韓米軍の活動を「見直す」ことも考えられると発言した。韓国には現在、2万5000人の米軍部隊が駐留している。どう見直すかについてエスパーは「韓国側との緊密な連携のもと、北朝鮮に対する譲歩としてではなく、外交ルートのドアを開けておく手段として(検討する)」と述べた。

<参考記事>日朝戦争なら韓国は北朝鮮の味方、日本はいつの間にか四面楚歌?
<参考記事>北朝鮮と戦う米軍兵士は地獄を見る

次のページ演習の規模は縮小
北朝鮮は、米韓の合同軍事演習を将来的な北朝鮮への侵略の準備と見なして、長年に渡って反発してきた。

昨年のシンガポールの米朝首脳会談でトランプは、非核化協議の進展に期待して米韓のすべての合同軍事演習を凍結することに同意し、金正恩への大幅な譲歩を見せた。このことは、米国防総省も韓国政府も事前に相談を受けていなかったため、衝撃が走った。

合同軍事演習は毎年冬の初めに実施されているが、この合意を受けて昨年は実施されなかった。2017年までの演習は米軍と韓国軍からステルス戦闘機など200機を超える軍用機が参加する大規模なものだが、今年の演習の規模がどの程度縮小されるかはまだ明らかになっていない。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/-13-13-14-15scm_3.php

北朝鮮国境にある韓国の村 情報通信技術の最先端だった
有料会員限定記事

テソン村=神谷毅 2019年11月17日08時00分

シェア
ツイート
list
ブックマーク
1
メール
印刷
 韓国と北朝鮮を隔てる非武装地帯(DMZ)の中の韓国側に、一つだけ人が住む村がある。かつて、体制の優位性を北朝鮮にアピールしようと造られたテソン村だ。特別の許可を得て訪れると、韓国通信大手KTが政府、軍の特別の許可を得て、情報通信技術(ICT)の実験場を展開していた。

 テソン村があるのはソウルから北西に約65キロ。9月末、取材のためにバスで向かった。まず民間人統制線の内側に入る手続きを行わなければならず、韓国軍の兵士がバスに乗り込み、身分証明書をチェックした。

写真・図版韓国・テソン村にある、巨大な韓国国旗。掲揚台の高さは99・8メートルで、旗は縦18メートル、横12メートルもある=2019年9月30日、神谷毅撮影

 村に着くと目に入るのが巨大な韓国の国旗、太極旗だ。北朝鮮側に誇示するためにつくられた掲揚台の高さはマンションの33階にあたる99・8メートル。国旗は縦18メートル、横12メートルもある。ところが、北朝鮮側のDMZ内にあるキジョン村にも巨大な国旗が掲げられている。こちらの掲揚台の高さは165メートルで、国旗は縦30メートル、横15メートルといわれ、さらに大きい。

 テソン村から軍事境界線までは…

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

残り:1446文字/全文:1862文字

今すぐ登録(1カ月間無料)
ログインして全文を読む
980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら

関連ニュース
北朝鮮、目を疑った最先端授業 見えた正恩氏の本気度
南北朝鮮トップ、哲学の奇妙な一致 読めない行動の背景
「ルビコン川渡ってしまう」元徴用工判決、迫る資産売却
なぜ韓国は「反日」に染まったのか 特派員が見たもの
カフェ店員、時給1780円 「賃金世界一の国」の悩み

https://www.asahi.com/articles/ASMCC5T8HMCCUHBI02V.html
 


日朝戦争なら韓国は北朝鮮の味方、日本はいつの間にか四面楚歌?
If North Korea and Japan Went to War, Which One You Would Back?

2019年11月7日(木)18時24分
トム・オコナー

819
127

今夏ソウルで行われた反日集会。こじれた関係は修復できるのか Kim Hong-Ji -REUTERS

<日朝、日韓関係の悪化を狙いすましたように東シナ海や日本海で軍事演習をする中ロ、北が何度日本海にミサイルを撃っても知らないふりのアメリカ。日本に本当の味方はいるのか>

もしも北朝鮮と日本が戦争をしたら、多くの韓国人は北朝鮮側につくことが、韓国の政府系シンクタンクの世論調査で分かった。

11月6日に発表された世論調査は、韓国統一研究所のリー・サンシン研究フェローが同研究所恒例の平和フォーラム(今年で11回目)の一環として実施したもので、東アジアのパワーバランスが大きく変わりつつあるなかで、韓国の国民感情を探るために行われた。この調査で、日朝間で紛争が起きた場合、韓国人はアメリカを中心とする3国同盟のパートナーである日本ではなく、長年敵対関係にあった同胞の国に味方することが分かった。

「日朝間で戦争が起きるという極端な想定では、回答者の45.5%が北朝鮮を支援したいと答え、日本を支援すべきだと答えた人は15.1%、どちらでもないという回答は39.1%だった」と、本誌が入手した調査報告には書かれている。

リーによれば、支持政党による違いはほとんどなかった。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が推進してきた南北融和路線を考慮すれば、この結果は「さほど意外ではない」と、リーは本誌に語った。

過去70年間、韓国と北朝鮮は概ね敵対関係にあったが、20世紀前半の約35年間、日本の統治下に置かれた歴史を共有している。イデオロギー対立で南北が引き裂かれたのは、第二次大戦で連合国側が勝利し、米ソが朝鮮半島に進出してからだ。

北朝鮮は「身内の厄介者」
その後3年間続いた南北の血みどろの戦争は、休戦協定が結ばれただけで、厳密に言えばまだ終わっていない。21世紀に入って、埋めがたいとみえた南北の亀裂に橋を架ける試みが何度か行われ、今は北朝鮮の3代目の最高指導者・金正恩(キム・ジョンウン)が主導権を握る形で、北朝鮮と韓国の2国間外交はこれまでとは異なる展開を見せている。

金正恩と文在寅は南北の歴史では過去最高の3回、首脳会談を行った。加えて、金正恩は北朝鮮の指導者としては初めて、在任中のアメリカ大統領と会談した。ドナルド・トランプ米大統領との会談は3回におよび、今年6月に南北の軍事境界線上の板門店で行った電撃会談では、会談前に文在寅も合流し、3者が並んで報道陣のカメラに収まった。

北朝鮮の独裁体制と目に余る人権抑圧は今なお国際社会の批判を浴びているが、金正恩は中国の習近平(シー・チンピン)国家主席、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とも会談を行い、今や東アジア外交のキープレイヤーを自任している。とはいえ、金が知恵を絞ってきたのは、南から支援を引き出すための策略だ。政治的な亀裂が南北を切り裂いているとはいえ、元々は文化と歴史を共にする同じ民族の国。しかも、かつての敵である日本に対する反感を共有している。

「韓国人にとって、北朝鮮は身内の厄介者のような存在で、憎み、軽蔑する一方で、北朝鮮がほかの国にやられたら、守ってやらねばならない、という思いがある」と、リーは説明する。「同様に、北朝鮮は、韓国が独島(ドクド)の領有権をめぐって、日本ともめるたびに、韓国に肩入れしてきた」

<参考記事>「アメリカは韓国の味方をしない」日韓対立で米高官が圧迫
<参考記事>韓国は、日本の対韓感情が大きく悪化したことをわかっていない

次のページ日韓関係悪化で得をするのは?

独島は韓国が実効支配している島嶼群で、日本は竹島と呼び、国際社会では一般的にリアンクール岩礁と呼ばれている。この岩礁が浮かぶ海の名称も日韓の間でもめており、韓国は「東海」、日本は「日本海」の呼称を主張して譲らない。

この岩礁の領有権問題をはじめとして、日韓関係は今こじれにこじれている。特に問題になっているのは、第二次大戦中の日本による韓国人の扱いだ。韓国は、戦争中にアジアの植民地から強制的に連行された労働者に対し、日本企業は賠償責任を果たすべきだと主張している。一方の日本は、国民徴用令によって動員された労働者、いわゆる「徴用工」問題は、1965年に日韓基本条約と併せて締結された日韓請求権協定で解決済みとの立場をとっている。

日韓関係の悪化を狙いすましたように、ロシアと中国は今夏、日本海と東シナ海で初の共同飛行訓練を実施。このときロシア軍機がリアンクール岩礁上空を侵犯した疑いが持たれ、韓国、日本双方がスクランブル(緊急発進)をかけた。日韓は互いに相手国の対応を非難し、関係はさらに悪化。既に韓国に輸出規制を課していた日本は、さらに韓国を輸出優遇対象国から外し、これに怒った韓国は日韓秘密情報保護協定(GSOMIA)の破棄を決めた。

「日韓関係は、国交正常化以来最悪とも言えるレベルまで冷え込んでいる」──日本の安倍政権が、北朝鮮に対するアメリカと韓国の接近ぶりを慎重に見極めるなか、日本の外務省筋が本誌にこう語った。

北のミサイルはほぼ日本海に
一方、日朝関係も「最悪のレベル」にあると、北朝鮮外務省の報道官が述べたと、朝鮮中央通信が10 月に伝えている。安倍晋三首相は9月末に国連で行なった演説でも、金正恩と「直接向き合う」用意があると述べ、対話に意欲を見せているが、いまだに両者の会談は実現していない。

北朝鮮は、米韓合同演習に抗議して、ここ数カ月ミサイル発射を繰り返し、トランプ政権との非核化交渉を停滞させたが、米朝の協議は後退しつつもかろうじて続行されている。北朝鮮のミサイルの多くは日本海に向けて発射されており、安倍政権は厳重に抗議しているが、アメリカと韓国は見て見ぬ振りだ。

北朝鮮は韓国に対し、祖国統一に向けた対話はアメリカと日本抜きで「わが民族同士」で行うべきだとして、以前から日本と距離を置くよう働きかけてきた。安倍首相と文大統領は関係悪化のスパイラルを止めるため、今月4日訪問先のバンコクで10分ほど言葉を交わしたが、北朝鮮は日韓の歩み寄りを妨害するためかその翌日、日本が戦前と同様「侵略の準備」を進めているとして韓国に警戒を促す論評を発表した。新たな防衛計画を説明した日本の防衛白書の刊行を受けての論評だ。

「軍国主義に邁進する日本は、人類の真の敵であり、その攻撃的な牙を、人類の進歩と繁栄のために利用されるべき宇宙空間に、その攻撃的なカギ爪を突き立てる危険な敵国である」と、朝鮮中央通信の論説は述べている。

「国際社会は日本の反動勢力の犯罪行為を決して許してはならない。彼らは人間社会に深刻な大惨事を引き起こすためには手段を選ばない」

*調査報告のタイトルは「北東アジア情勢と韓国人の意識」。リーは2018年4月5日から25日、2019年4月5日から25日、9月17日から10月8日の3回に分けて、1000人に聞き取り調査を行った。誤差幅は3.1%で、信頼水準95%。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13342.php


 

 

北朝鮮と戦う米軍兵士は地獄を見る
2018年1月26日(金)14時50分
トム・オコナー

152
0

北朝鮮の軍事力は米軍に及ばないが、戦闘は予想通りには進まない KCNA-REUTERS

<北朝鮮との戦闘は米軍がこれまでに経験したことのない困難な戦いになる――米海兵隊の総司令官が、兵士たちに人間離れした強さを求めた>

アメリカが北朝鮮と実際に戦争に突入すれば、「困難な戦いになる」と米海兵隊トップが語った。

ワシントンのシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)で25日に講演したロバート・ネラー米海兵隊総司令官は、米軍はすでに北朝鮮軍との武力衝突に向けて準備を進めていると語った。北朝鮮は昨年、アメリカ本土に到達するICBMの発射実験に成功したと発表し、金正恩朝鮮労働党委員長が核兵器の保有国であると宣言した。それとの軍事衝突は、米軍がかつて経験したこともない困難な戦闘になると力説した。

「人間離れしたスタミナと身体能力、暴力的な攻撃力が必要とされる非常に厳しい戦場もあるだろう。それに対して全員が、精神的な備えをしておかなければならない」と、ネラーはCNNに語った。

「米軍兵士の訓練の際には、常に頭の隅に入れておかなければならない。身体的、精神的に完璧に準備し、鋼の精神を持ち、これまでの人生では味わったことのないような危険な戦闘に備えなければならない。総司令官のポストにいる限り、それを言い続けるのが私の使命だ」

圧力と対話が一進一退
50年代の朝鮮戦争以来、アメリカと北朝鮮は非難の応酬を繰り返してきたが、昨年北朝鮮が、米本土まで到達可能とされる新型ICBM「火星15」の発射実験と水爆実験に成功したと宣言したことで、一段と緊張が高まっている。

北朝鮮の歴代の最高指導者の例にならって、金正恩は米軍が侵攻して政権転覆を図る事態への抑止力として核兵器の開発を目指してきた。

米軍は太平洋での海軍力を強化し、同盟国である日本と韓国との合同演習の実施を増やすことでこれに対抗してきた。また最近ではドナルド・トランプ米大統領と金正恩が、ツイッターなどを通じて個人的な中傷や核攻撃をにおわせる恫喝の応酬を繰り広げ、今にも軍事衝突に発展しかねない緊張が走った。

1月9日に北朝鮮と韓国の間の南北会談が再開されたことで、米朝間の非難の応酬もいったんは収まっている。しかし朝鮮戦争時の国連軍参加国の外相らが参加して15日にバンクーバーで開催された会合には北朝鮮はもちろん中国、ロシアも参加しておらず、北朝鮮・朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は、継続中の南北会談を妨害する意図があると非難した。

次のページ『ゲーム・オブ・スローンズ』の世界?

労働新聞は25日、「アメリカはばかげた白昼夢から目覚め、世界レベルの軍事力を誇る北朝鮮の戦略的優位性と実像を直視しなければならない。北朝鮮にはアメリカの戦争ヒステリーを鼻であしらい、朝鮮半島の平和を守ることができる軍事力がある」と、報じた。

さらに「朝鮮人民軍兵士と人民は、朝鮮半島の平和と安全を破壊する行動に対して、断固として抵抗する揺るぎない意志がある」と、米軍の攻撃を牽制した。

米軍の軍事力は世界最強とみなされ、北朝鮮は軍事産業に多くの資源を割いているもののその軍事力は米軍に遠く及ばない。しかし北朝鮮は、核兵器とICBMだけでなく、膨大な量の通常兵器と化学兵器(北朝鮮は否定)を保有していると見られている。このため軍事専門家の多くは、戦争が起きた場合、双方の死亡者が多数に上り、北朝鮮に侵攻する米軍部隊にも多大な犠牲が出る可能性を指摘している。

軍事的優位はあてにならない
ネラーは今月9日、北朝鮮との戦闘を、中世を舞台にした戦争スペクタクルドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の凄まじい覇権争いになぞらえ、例え米軍が北朝鮮より軍事的に優位になっても、「戦闘は絶対に予想通りには進まない」と語った。

また昨年12月にも、ネラーはノルウェー駐留の米海兵隊員に対して「どでかい戦闘」に備えよと語ったが、敵が誰になるかは特定しなかった。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/01/post-9402.php

http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/744.html

[不安と不健康18] 「夏時間は脳に悪影響を及ぼす」研究者が警鐘 深い眠りによって脳内の老廃物が洗い流されている
「夏時間は脳に悪影響を及ぼす」、研究者が警鐘
2019年11月15日(金)16時50分

松丸さとみ


大した問題ではない、1日で慣れる、と人は思いがちだが...... Vizerskaya-iStock
<米ヴァンダービルト大学医療センターの睡眠の専門家たちが、「サマータイムは長期的にみて脳に悪影響を及ぼす」と警鐘を鳴らした......>
サマータイムは遺伝子レベルで悪影響
夏に時計の針を1時間進める夏時間(サマータイム)を導入している国は多い。時間を変えるタイミングは国によって異なるが、もっとも遅い米国も11月最初の週末に1時間戻し、今年のサマータイムが終了した。
日本でも東京オリンピックを機にサマータイムを導入しようという話が昨年の夏に盛り上がったのは記憶に新しい。オリンピックに合わせた導入は見送りとなったが、サマータイム導入案は完全になくなったわけではないようだ。
そんななか、米ヴァンダービルト大学医療センター(VUMC)の睡眠の専門家たちが、米医学誌JAMAニューロロジーに気になる解説記事を発表した。「サマータイムは長期的にみて脳に悪影響を及ぼす」という内容だ。VUMCの発表文によると、サマータイムは健康に悪影響を及ぼすという認識を高め、「サマータイムという習慣を終わらせる」ことを主張するために書いた記事だという。
VUMCによると、サマータイムで時間が変わることで睡眠のパターンが崩れ、それが概日リズム(いわゆる体内時計)のコア遺伝子のエピジェネティクスを変えてしまう可能性があるという。体内時計は、太陽の光によって実際の時刻と「同期」されることが分かっているが、サマータイムで1時間ずれることで、狂いが生じるのだ。
VUMCは、サマータイムになって時刻を変更することと、心臓発作や虚血性脳卒中などのリスクが高まることには関係があると指摘。さらに、サマータイムによる時刻の変化からの影響で、成人は睡眠が平均15〜20分短くなると説明している。この睡眠不足が原因となり、死亡につながるような事故も増える可能性があるのだという。
「1年のうち8カ月、体内時計が合っていない状態」
解説記事を執筆した睡眠の専門家の1人、ベス・アン・マーロウ教授(VUMC睡眠障害科の小児科医でもある)は、「サマータイムで時間が1時間ずれることなんて大した問題ではない、1日で慣れる、と人は思いがちだが、実は体内時計が狂ってしまっていることに気づいていない」と指摘する。
「年に2回、それぞれ1時間ずれるだけという話ではない。1年のうちの8カ月間、体内時計が合っていない状態になるということだ。サマータイムや、サマータイムと太陽の光との関係は、脳に深く根差したシステムである体内時計に多大な影響を及ぼすものだ。サマータイムは、睡眠と覚醒のパターンや、日中の注意力といった脳の機能に影響する」とマーロウ教授はVUMCに説明している。
次のページ欧州では84%が夏時間廃止を支持
VUMCの発表文によると、体内時計の柔軟性は人によって異なり、中にはすぐに順応できる人もいるという。しかしマーロウ教授は、子どもや自閉症の人にとっては、サマータイムからの影響が何週間、何カ月も続く可能性もあると指摘する。
なお、米国では州単位でサマータイムの採用状況が異なる。USAトゥデイによると、アリゾナ州(ナバホ・ネイションを除く)とハワイ州、米領サモア、グアム、プエルトリコ、バージン諸島は、サマータイムを導入していない。7州(アラバマ、アーカンソー、フロリダ、ネバダ、オレゴン、テネシー、ワシントン)は、夏時間を標準時間とする案が可決されているが、これを実際に施行するには、連邦政府からの承認を得る必要がある。
欧州では84%が夏時間廃止を支持
一方欧州では、欧州連合(EU)加盟国すべてが、3月の最終日曜日から10月の最終日曜日までの期間、時計を1時間進めてサマータイムとすることが定められている。しかしこうした全加盟国による一律でのサマータイムは、廃止の方向で話が進められている。
欧州議会で今年3月、2021年に廃止することが可決されており、今後は、各国の代表と話し合って最終的に決定が下されることになる。
欧州委員会がサマータイムの廃止を提案したのは、当時(2018年9月)の欧州委員会の発表文によると、次のような理由からだ。もともとサマータイムが開始されたのは、戦時中やオイルショックの時代に、エネルギーの節約が目的だった。しかし2018年現在、サマータイムにより節約できるエネルギーはわずかだと研究で分かってきたこと、逆に健康被害を訴える市民が増加していることなどから、サマータイムはもはや適切なものではなくなった、と判断したためだ。
欧州委員会が2018年夏に一般の人に広く意見を募ったところ、同委員会が行った公開の意見募集で過去最多という460万件の回答が寄せられた。うち84%がサマータイムの廃止を支持する内容だったという。
次のページ●動画:夏時間は脳に悪影響を及ぼす
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13391_3.php

 
深い眠りによって脳内の老廃物が洗い流されていることがわかった
研究結果
2019年11月15日(金)15時30分

松岡由希子

脳脊髄液の波が老廃物を洗い流す...... Laura Lewis
<深い眠りの状態にあると、脳脊髄液の流入が増え、脳内の老廃物を洗い流していることが明らかになった......>
睡眠は、私たちの認知機能や脳機能のメンテナンスに不可欠なものである。このほど、ノンレム睡眠のうち、脳波に振幅の大きくゆるやかな波が多く出現し、深い眠りの状態にある「徐波睡眠」において、脳脊髄液(CSF)の流入が増え、脳内の老廃物を洗い流していることが明らかとなった。
脳圧を安全なレベルに保つため?
米ボストン大学の研究チームは、高速撮像技術を用いて、ノンレム睡眠中における脳脊髄液の律動を初めてとらえ、脳脊髄液の動きと脳波の活動、血流が密接に結びついていることを示した。この研究成果は、2019年10月31日、学術雑誌「サイエンス」で公開されている。

マウスを対象とした2013年の研究結果では、脳脊髄液の流れと徐波睡眠が脳内の老廃物の除去に重要な役割を果たしていることが明らかにされたが、脳脊髄液の動きについては、これまでとらえられていなかった。
そこで研究チームは、23歳から33歳までの成人13名を対象に、脳波(EEG)ヘッドセットで脳波を測定するとともに、MRI(磁気共鳴断層撮影装置)を用いてノン睡眠時の脳脊髄液の様子をモニタリングし、脳波において周波数の低い波が多くなると、脳の血流が低下し、脳脊髄液が脳内に流れ込むことを示した。ニューロン(神経細胞)が遮断されると、それほど酸素を必要としないため血液が減り、血液が流出すると脳内の圧力が低下するので、脳圧を安全なレベルに保つべく脳脊髄液が急速に流れ込むものと考えられる。
自閉症やアルツハイマー病、加齢による障害......などの解明の糸口
この研究成果は、自閉症やアルツハイマー病など、睡眠パターンの乱れと関連する神経障害や心理障害のさらなる解明に向けた糸口のひとつとして、期待が寄せられている。
また、このような脳波と血流、脳脊髄液との関係が、正常な範囲内での加齢による障害にも影響をもたらしている可能性がある。加齢に伴って、睡眠時、脳波で周波数の低い波が少なくなるためだ。これによって、脳内の血流が減らずに、脳脊髄液の流入を妨げ、老廃物が十分に洗い流されないことで、有害なタンパク質の蓄積がすすんでいるのかもしれない。
研究チームでは、今後、脳波と血流、脳脊髄液がどのように同期をとっているのかについて、解明をすすめていく方針だ。
次のページ●動画:脳脊髄液の流入が増え脳を洗い流す


sleepwaves_lewis__001

●参考記事
意識がある? 培養された「ミニ脳」はすでに倫理の境界線を超えた 科学者が警告
加齢による記憶力低下が、電気刺激で20代並みに回復した:米研究
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13390_2.php


 


Sleep experts: daylight saving time has long-term brain effects
Nov. 4, 2019, 2:40 PM
The annual transition to and from daylight saving time (DST) has clinical implications that last longer than the days where clocks “fall back” or “spring forward.”
Sleep experts published a JAMA Neurology commentary in which they recap large epidemiological studies to advocate for ending the practice. Photo/iStock
Changes in sleep patterns that stem from clock transitions can alter the epigenetics of the core genes in the circadian clock. Over time, DST eliminates bright morning light that critically synchronizes biologic clocks. Transition seasons are associated with increased risk of heart attack and ischemic stroke, as well as other negative effects of partial sleep deprivation. Average sleep duration shrinks by 15 to 20 minutes for adults during DST transitions, which may increase the risk of fatal accidents.
To raise awareness of the health impacts from clock transitions — which change when the body gets light — sleep experts from Vanderbilt University Medical Center (VUMC) published a JAMA Neurology commentary in which they recap large epidemiological studies to advocate for ending the practice.
People think the one-hour transition is no big deal, that they can get over this in a day but what they don’t realize is their biological clock is out of sync, said Beth Ann Malow, MD, Burry Chair in Cognitive Childhood Development, and professor of Neurology and Pediatrics in the Sleep Disorders Division at VUMC.
“It’s not one hour twice a year. It’s a misalignment of our biologic clocks for eight months of the year. When we talk about DST and the relationship to light we are talking about profound impacts on the biological clock, which is a structure rooted in the brain. It impacts brain functions such as sleep-wake patterns and daytime alertness,” said Malow.
Malow is the corresponding author alongside Kanika Bagai, MD, MSCI, associate professor of Neurology at VUMC’s Sleep Disorders Division, and Olivia J. Veatch, MS, PhD, from the Center for Sleep and Circadian Neurobiology at the Perelman School of Medicine at the University of Pennsylvania.
Some people may have more flexible circadian rhythms and adjust quickly while others are more sensitive. Malow, an expert on autism and sleep, said that the transition impacts some children with autism for weeks or months.
While the sleep and circadian communities believe returning to standard time may be more biologically appropriate, gaining political buy-in for a nationwide change remains a challenge. State legislation is “all over the map,” with some states considering a return to standard time and others in favor of permanent DST. Tennessee has passed legislation supporting permanent DST, although such a change would require action from the U.S. Congress.
Related Posts:
1. Vanderbilt sleep experts offer tips to manage end of Daylight Saving Time
2. Sticking to normal sleep schedule can ease daylight saving time transition
3. Sleep specialist offers tips to deal with spring daylight saving time
4. Vanderbilt sleep specialist says begin preparing now for this weekend’s change to daylight saving time
http://news.vumc.org/2019/11/04/malow-daylight-saving-time-brain-impact-commentary/


 


Are Daylight Saving Time Changes Bad for the Brain?
Beth A. Malow, MD, MS1; Olivia J. Veatch, MS, PhD2; Kanika Bagai, MD, MSCI1
Author Affiliations
JAMA Neurol. Published online November 4, 2019. doi:https://doi.org/10.1001/jamaneurol.2019.3780

FullText
Daylight saving time (DST) begins on the second Sunday in March and ends on the first Sunday in November. During this period, clocks in most parts of the United States are set 1 hour ahead of standard time. First introduced in the United States in 1918 to mimic policies already being used in several European countries during World War I, DST was unpopular and abolished as a federal policy shortly after World War I ended.1 It was reinstated in 1942 during World War II but covered the entire year and was called “war time.” After World War II ended, it became a local policy. Varying DST policies across cities and states led to the Uniform Time Act of 1966, which mandated DST starting on the last Sunday in April until the last Sunday in October. States were allowed to exempt themselves from observing DST (including parts of the state that were within a different time zone [eg, Michigan and Indiana]).

Full Text
https://jamanetwork.com/journals/jamaneurology/article-abstract/2753446

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/794.html

[経世済民133] 「安い国」になった日本の現実は、日本人にとって幸せなことか 格差社会が「お客様」をクレーマーにし、店員に罵声 
「安い国」になった日本の現実は、日本人にとって幸せなことか
2019年11月14日(木)19時10分

4153
61
「安い国」になった日本の現実は、日本人にとって幸せなことか
中国の景気が失速しても日本への「買い物客」は増えている TOMOHIRO OHSUMI/GETTY IMAGES

米中貿易戦争の影響で中国経済が失速しているが、日本にやって来る中国人観光客の勢いは衰えていない。訪日外国人のうち3割弱を占める彼らの人数は、今年に入ってからも前年同月比で10%以上の増加が続いている。

中国が不景気であるにもかかわらず、日本にやって来る中国人観光客が増えているのは、日本での買い物が「安い」からである。かつて日本は世界でも有数の物価が高い国だったが、景気低迷が長引き、その間に諸外国が目覚ましい経済成長を遂げたことから、日本の相対的な物価は安くなった。不景気になり、中国での高額なショッピングを手控えるようになったことで、余計に日本の買い物が魅力的になった面もある。

一般的に各国の購買力の差はGDP(国内総生産)と為替レートによって決まる。1985年のプラザ合意によって日本円は10年間で1ドル=240円から80円台まで3倍近くに高騰した。同じ金額で買えるモノの量が3倍になったので、当時の日本人が海外に行くと全てが安く見えた。パリやミラノが、ブランド物を大量購入する日本人観光客であふれ返っていたのもうなずける話である。

1ドル=約80円まで進んだピーク時と比較すると、今の日本円は25%ほど減価しているが、日本人の購買力は為替の変動以上に大きく減少している。その理由は、日本以外の各国が経済成長したことによって、日本の相対的な経済力が低下したからである。

過去20年間で日本の名目GDP(自国通貨ベース)はほぼ横ばいで推移してきたが、同じ期間でアメリカは2.3倍、ドイツは1.7倍、フランスも1.7倍、中国は10.4倍に経済規模を拡大させている。1人当たりのGDPについても、ほぼ横ばいの日本に対して、アメリカは1.9倍、ドイツは1.7倍、フランスは1.6倍、中国は9.3倍になった。

1人当たりのGDPはその国の平均賃金に近いので、各国の購買力は日本の1.6倍から2倍になったと判断してよいだろう。物価も同様でやはり1.3〜1.5倍になっている(日本は横ばい)。

一般的に為替レートは物価の差で決まるとされているが(購買力平価)、必ずしも為替は物価とリアルタイムに連動するわけではない。日本円の為替レートが大きく変動していないのに、各国の経済規模や物価は1.5倍から2倍になっているわけだから、外国人の購買力は大幅に増加した。つまり、日本人が同じ金額の日本円で外国から買えるモノの量が減った半面、外国人が日本から買えるモノの量は増えたということになる。

次のページ安いことは日本人にとっていいこと?

中国人が日本にやって来て「何もかもが安い」と驚くのはこうした理由からである。「安い」ということは、ビジネスにおける魅力の1つであり、日本の成長鈍化はインバウンド需要という点において有利に働いている。だが日本の購買力が低下していることは、日本人自身の生活にはマイナスが多い。

日本はデフレと言われ、実際、国内物価はあまり上昇していないが、それは国内要因が大きい製品やサービスに限定された話。スマホや自動車、通信料金など、グローバルに価格が決定する製品やサービスは、デフレだからといって国内価格が安くなるわけではない。実際、自動車の価格は一貫して上昇が続いてきた。日本が「安い」国であることは、日本の消費者にとっては頭の痛い話でしかない。
前のページ

1
2
この筆者のコラム
「安い国」になった日本の現実は、日本人にとって幸せなことか 2019.11.14

終身雇用の限界は近い 日本型雇用を崩壊させる厄介な現実とは? 2019.11.08

年金の基礎知識と、受給額が激減するシビアな未来を生き抜くヒント 2019.10.29

住宅購入、人口減少時代でも「負動産」にならない物件を選ぶには? 2019.10.23

日本が成長できない本当の理由 企業は設備投資をドブに捨てているようなもの 2019.10.08

「批判してばかりでは経済は良くならない」という話が大嘘であるこれだけの理由 2019.09.25

「日本はもはや後進国であると認める勇気を持とう」への反響を受け、もう一つカラクリを解き明かす 2019.09.10

記事一覧へ
プロフィール

加谷珪一
経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

http://k-kaya.com/
今、あなたにオススメ
「女性議員に辞任を迫るヘイトはファシズムに道を開く」ヒラリー・クリントン氏が警告
2019.11.15
韓国、アイドルオーディション番組のヤラセ問題でK-POP離れ進むか
2019.11.13
災害後の復興増税が誤った選択肢である理由
2019.11.16
ビッグデータは現場の使命感と正確な取り扱いから生まれる。エンサイスの取組みとは?
AD(エンサイス)
嘘広告を拡散させる「フェイクブック」のひどさ(パックン)
2019.11.15
口臭なしの祖父も知ってた!ある物でうがいすると口臭が見える
AD(ゴッソトリノ on 息さわやか事務局)
人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶりに故郷の村へ
2019.11.5
https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2019/11/post-85_2.php


 

日本の格差社会が「お客様」をクレーマーにし、店員に罵声を浴びさせる
2019年11月15日(金)12時05分
印南敦史(作家、書評家)

163
2

Newsweek Japan

<カスタマーハラスメント(カスハラ)が社会問題化しているが、モンスター化しているのは実は「普通の人」たち。カスハラが広がる要因には、格差など3つの背景があった>

「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が問題になっている。サービスを提供する企業や団体の職員が、(たとえ非がなかったとしても)客から一方的に罵声を浴びせられたり、理不尽な要求をされたりすることだ。

『カスハラ――モンスター化する「お客様」たち』(NHK「クローズアップ現代+」取材班・著、文藝春秋)は、この問題に切り込んだノンフィクション。ベースになっているのは、NHK「クローズアップ現代+」で2度放映された番組である。


 スタッフは現場を歩き、いくつもの生々しい被害の実態をすくいあげて来た。それをまとめ2018年11月に放送した(『暴言に土下座! 深刻化するカスタマーハラスメント』)。番組は大きな反響を呼び、ネット上でも話題となった。(中略)さらに範囲を広げ、加害者側にも迫るなど取材を深めていったのが2019年5月に放送した第2弾である(『カスタマーハラスメント! 客の暴言で心が壊される』)。本書は2つの番組をベースにしながら、それぞれ30分の番組では取り上げきれなかった取材の成果を盛り込んだ。(15ページより)

そんなこともあり、第1章はカスハラの実例紹介に割かれている。実際にカスハラ被害に遭ったスーパー店員、コンビニ店主、タクシードライバーなどが明かす6つの事例が並んでいるのだ。

罵声を浴びせられて精神を病んでしまったり、顔写真と実名をネットに上げられて人生が大きく変わってしまったというような人も多く、読んでいるだけで嫌な気分になってくる話ばかりである。

最近のクレームの傾向としては、言い方が暴言にあたるものであったり、威嚇、脅迫、恐喝をしたり、暴力行為の領域にエスカレートするケースが多いという。しかも見るからに悪そうな人ではなく、ごく一般の人が些細な苦情を申し立てているうちに、手がつけられないような状況になってしまうというのだ。

なお、関西大学社会学部の池内裕美教授は本書で、悪質クレームが増えていることには3つの社会的な背景があると指摘している。

背景その1:サービスの飽和状況
「おもてなし」という言葉にも表れているとおり、サービスに長けているのが日本人。しかし、「なんでもしてもらって当たり前」だと思われ、それがマイナスに働くことも。

池内教授はこう言う。


おしぼり一つ持ってくるにしても、本来は「おしぼりを持ってくる」という行為だけでサービスは成立しているのです。ところが、日本人はそこに笑顔で「いらっしゃいませ」と付け加えて、サービスプラスアルファの「おもてなし」をする。
 それもひっくるめてのサービスに慣れてしまっているので、無愛想におしぼりを持ってこられたら、「なんか足りない」「態度が悪い」となってしまうのですよね。このように、「おもてなし」をして当たり前の過剰サービスが、私たち日本人の標準になってしまっている。そこが大きな苦情を生み出す一つの要因になっていると思います。(85ページより)

次のページ「一般大衆が企業を潰すなんていう事態が起きかねない」
背景その2:SNS
SNSなど情報ネットワークの発達も大きく関係している。ツイッターなどで簡単に情報交換ができる時代であるだけに、「あの店で○○を買ったらこんなことをしてもらえた」、あるいは逆に「してもらえなかった」というような情報が簡単に他者と共有できる。そのため、知らなくてもいい情報まで誰しもが知ってしまうことになる。

再び池内教授の言葉。


 今まで、一般消費者が自分の思いを簡単に吐露する場なんて無かったですよね。ところが、誰でも簡単に情報を発信することができるようになった。そうすると、多くの第三者が共感すれば、あっという間に炎上してしまう。(中略)一つ何かが起こると、その真偽を問う間もなく社会全体が便乗して、下手をすればブランド潰しや企業いじめみたいな状態になってしまう。恐ろしいですよね。一般大衆が大きなブランドを潰す、企業を潰すなんていう事態が起きかねない。(87?88ページより)

また、情報化社会により世の中全体が疲れているために苦情が増えている、ということもあるのではないかと池内教授は分析している。

働き方改革が叫ばれながらも恩恵に預かれず、長時間労働で疲れて帰宅してもSNSでやりとりをしなければならない。そうなると気の休まる暇がなくなり、感情をコントロールする余裕が失われるということだ。

高齢者にも同じことが言える。すべての高齢者がそうではないにせよ、高齢化すると感情を抑制しづらくなるものだ。認知機能の低下、病気、退職、多くの喪失体験などが強い不安や孤独感、ストレスにつながり、感情のコントロールが奪われるのである。

そのため、「コーヒーがぬるい」というだけで店員にどなり立てたりするようになるわけだ。

若者も高齢者も、その背景には心の余裕をなかなか持てない「不寛容社会」の影響を受けているということである。

背景その3:格差社会
社会的な格差も、クレームと関係する大きな問題。そしてこのまま進んでいけば、従業員と消費者との間にさらなる格差意識が生まれかねないという。お金や地位のある人は何をしても許されるという感覚が芽生え、気に食わないことがあれば立場の弱い従業員を攻撃するということである。

次のページ「特に接客業は弱い立場で、攻撃の対象になりやすい」
事実、アンケートを取ってみると、自分たちがストレスのはけ口になっていると感じている従業員は少なくないそうだ。


 特に接客業は弱い立場で、攻撃の対象になりやすい。私は、飲食業や福祉関係の仕事で不必要にエプロンをつけるのはよくないのではと感じることがあります。もちろん衛生上不可欠な場合もありますが、エプロンを付けると、どうしても「何でもしてくれる人」という印象を相手に与えてしまう。先日も福祉の仕事をしている人に、「エプロンをはずして、他の作業着に変えてみてはどうですか」と助言したところです。(93?94ページより)

いずれにしても、いろいろな要因が複合的に絡み合って成り立っているのがこの社会。そのため、何が原因で悪質クレームが増えているのかということを、シンプルな言葉で語り尽くすことなどできないだろう。

だが、これら「過剰サービスによる過剰期待」「情報化社会がもたらす影響」「格差社会の進行」などが大きく影響していることは間違いなさそうである。

しかも恐ろしいのは、カスハラをする人のタイプと傾向、そして心理だ。著者も本書の前半部分で、その点を指摘している。


 取材して感じたのは、「普通の人」の恐ろしさだ。クレームを言う側は、自分たちは何も間違っていない、正しいことをしている、と信じている。その顔を見れば、どこにでもいるようなごく普通の人たちだ。
 結果的に他人の人生を大きく変えてしまった彼らは、自分たちがこうむった被害に比して、クレームの結果は釣り合う、と考えるだろうか?
 おそらく、「自分たちのしたことは正しい」という以外、何も考えないのではないか?
 私たちの誰もがクレーマーになる可能性を持っているのかもしれない、と感じた。(65ページより)

そう、最も重要なのは、私たちひとりひとりが「自分ごと」として考えてみることだ。「カスハラをする人と自分は違う人」だと思いがちだが、もしかしたら気づかないうちに、自分たちも誰かを傷つけている可能性もあるのだから。

もちろんそれは、誰だって認めたくないことだ。しかし、敢えてそうやって考えてみれば、何かヒントを見つけることができるかもしれない。


『カスハラ――モンスター化する「お客様」たち』
 NHK「クローズアップ現代+」取材班 著
 文藝春秋

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)


[筆者]
印南敦史
1962年生まれ。東京都出身。作家、書評家。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。現在は他に「ライフハッカー[日本版]」「東洋経済オンライン」「WEBRONZA」「サライ.jp」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」などにも寄稿。『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)をはじめ、ベストセラーとなった『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)など著作多数。

次のページ働く人たちは悪質クレームに深く傷ついている(動画)

全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟の悪質クレーム啓発動画 UAゼンセンちゃんねる-YouTube


https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13388_4.php

http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/658.html

[国際27] トランプが日本に突き付けた「思いやり予算」4倍の請求書 精神医学専門家が危惧、トランプの「病的自己愛」と「ソシオパス」 前ウクライナ米大使「根拠のない虚偽の主張に基づき解任された」 平然と他人に責任を転嫁「誇大型ナルシスト」
トランプが日本に突き付けた「思いやり予算」4倍の請求書
2019年11月16日(土)19時15分
ララ・セリグマン、ロビー・グレイマー(共にフォーリン・ポリシー誌記者)


https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13400.php 

トランプ政権は日本政府に対して「思いやり予算」を現在の4倍以上に増やすように要求 Jonathan Ernst-REUTERS
<21年3月末の日米特別協定更新の期限を前に、日本が負担している約20億ドルを約80億ドルに増やすことを日本政府に求めた>

 

トランプ政権は日本政府に対して「思いやり予算」を現在の4倍以上に増やすように要求 Jonathan Ernst-REUTERS
<21年3月末の日米特別協定更新の期限を前に、日本が負担している約20億ドルを約80億ドルに増やすことを日本政府に求めた>
トランプ米大統領が日本政府に対し、在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)を大幅に増やすよう要求していることが分かった。
事情を知る米政府関係者および元米政府関係者がフォーリン・ポリシー誌に語った話によれば、トランプ政権は日本政府に米軍駐留経費負担を現在の4倍以上に増額することを求めているという。7月に日本を訪問したジョン・ボルトン国家安全保障担当大統領補佐官とマット・ポティンジャーNSCアジア上級部長(いずれも当時)が要求を伝えたとのことだ。
米政府が米軍駐留経費の負担増を要求しているアジアの同盟国は、日本だけではない。ボルトンとポティンジャーは韓国にも、経費負担を現在の約5倍に増やすよう求めたと、同じ消息筋は語っている。日本には約5万4000人、韓国には約2万8500人の米兵が駐留している。
「このように法外な要求を一方的に突き付けるやり方は、反米感情に火を付けかねない」と、元CIA分析官でもあるヘリテージ財団のブルース・クリングナー北東アジア担当上級研究員は懸念する。「同盟が揺らぎ、米軍のプレゼンスが縮小して抑止力が弱まるようなことがあれば、恩恵に浴するのは北朝鮮や中国、ロシアだ」
基地整備や兵器購入も
トランプ政権の日韓両国政府への要求は、世界規模で同盟国に国防支出を増やさせようとする動きの一環と位置付けられる。
トランプは以前から、ヨーロッパの同盟国の国防予算が少な過ぎると批判していた。そうした圧力は効果を発揮したらしい。NATO諸国は来年末までに、国防予算を2016年の水準に比べて1000億ドル以上積み増すことにした。
トランプがNATOの次に目を向けたのがアジアの同盟国だったようだ。アジアでは、中国が軍事力を増強している上に、北朝鮮の軍事的脅威も再び高まっている。日本は、アメリカとの特別協定の下、米軍駐留経費として約20億ドルを拠出している。現在の特別協定は、21年3月末に更新期限を迎える。3人の元米国防総省当局者によれば、米政府は協定更新に向けた交渉が本格化するのを前に、この予算を約80億ドルに増やすことを日本政府に求めた。
韓国も年内に同様の協定の更新期限を迎える。ある元米国防総省当局者によれば、米政府は韓国政府に対し、駐留経費負担を約50億ドルに引き上げるよう要求している。
次のページ防衛装備品の90%以上も米企業から購入
しかし、日本と韓国は既に米軍の活動のために莫大な費用を負担している。
米議会調査局によると、日本は、第二次大戦後の米軍外国基地建設プロジェクトの中でもとりわけ大規模な3つに関して費用のかなりの部分を負担する。具体的には、沖縄県の普天間飛行場代替施設建設に121億ドル(費用の全額)、山口県岩国の海兵隊航空基地建設に45億ドル(費用の94%)、そして、海兵隊員4800人が沖縄から移転することになるグアムの施設に31億ドル(費用の36%)である。
日本の経済的負担は、米軍駐留経費だけではない。日本は防衛装備品の90%以上をアメリカ企業から購入している。ロッキード・マーティン社の最新鋭ステルス戦闘機F35やボーイング社のKC46空中給油機などだ。
膨張し続けるトランプの要求に対して、日本政府は頭を悩ませることになりそうだ。
From Foreign Policy Magazine
<本誌2019年11月26日号掲載>

関連記事
「安い国」になった日本の現実は、日本人にとって幸せなことか

日韓関係悪化でも日本の映画人が多数参加した釜山国際映画祭 新たな試み次々と

アメリカが繰り返し「ウソ」を指摘......文在寅直轄「国家安保室」の暴走

香港の若者が一歩も退かない本当の理由•

no name
ID: 483dc7
通報
単純に、日本独自で軍備増強するから大丈夫ですと言えばOK
鎖を外す怖さも感じてもらわないとね。
でも、まだ時期尚早なんだよね。実際には…
30
0
返信
ツイート
12時間前
no name
ID: 303f3a
どうせ日本を命懸けで守ってくれる訳じゃないんだからそのお金で自国防衛のために使えばいい。
アメリカを敵に回す必要はないが、信じ過ぎてもだめだと思う。
59
1
返信
ツイート
12時間前
no name
ID: ce3f48
米国は一方的に米軍駐留費の4−5倍を日本や韓国に突きつけて反米感情が沸き起こるのを気にしないでいる。国内向けのアピールのみを狙って相手国の感情など無視だ。米国は相手国のためにのみ米軍が常駐しており、その費用は同盟国が支払うべきだと主張している。冷戦後、米国は自国の世界戦略に従って同盟国に米兵を常駐させてきたが、トランプ大統領は、その世界戦略はそのままに、支払いは同盟国がおこなうべきだと方針を変更し
...
続きを表示
30
1
返信
ツイート
11時間前
no name
ID: fa36c2
今までは、米国に親近感がありましたが、4倍の思いやり予算とは。
同盟国に対するあまりの請求額に、交渉ごととはいえ、そのやり方に不信感、嫌いになりそうです。
9
0
返信
ツイート
4時間前
no name
ID: 6b9f72
憲法改正の手伝いとしての発言ならありだけど、そうじゃないのならトランプは最大の味方を失う。
33
3
返信
ツイート
12時間前
no name
ID: fbd4da
金を出すなら、口も出す。
先ずは日米地位協定の改定だ。
8
0
返信
ツイート
10時間前
no name
ID: af3f61
法外な要求は無視すれば良い。そもそも「思いやり」と言うだけあって既に過大。
最悪中国側について「米帝」と争うくらいの意気込みこそ良い。と、天安門の前は考えていたんだけどね?今じゃ無理だな。結局、トランプ退陣までのらりくらりが一番かね?
7
0
返信
ツイート
12時間前
no name
ID: 9d2fed
予算を出す代わりに、基地を島根県竹島に移転してくれるなら、10倍でもokですよ。
26
3
返信
ツイート
12時間前
no name
ID: ce3f48
米国のやりたい放題には、あきれる。韓国の米韓同盟も文大統領の登場の前から見直し要望が出ていた。トランプ大統領は同盟国からの米軍の撤退が選挙の公約であるから、費用負担の要求(4−5倍)、米軍機能を同盟国に移管してくると思われる。まだまだエスカレートしてくるぞ。
6
0
返信
ツイート
11時間前
通りがかり
ID: 25f7f9
日本にいる米軍の大半は、第二次朝鮮戦争が始まった時の、国連軍と称した米軍の後方支援のためだから、全部を日本が負担するのは可笑しいだろう。
10
1
返信
ツイート
10時間前
RUSH
ID: e8eedd
日本に米軍が居ないと困るのは日本だけどアメリカとて同じでは?
たまにはそんな法外な要求するならお引き取り下さい、と言ってみたら?
5
0
返信
ツイート
2時間前
さいさい
ID: 067c12
コレだけは日本も拒否すべき。
アメリカ軍が必要だからやっている事!
中国やロシアを仮想敵国としている以上、日本に基地が必要なことは、以前から言われている。
必要無いなら、沖縄はもっと前に返還されている。
3
0
返信
ツイート
4時間前
no name
ID: 0e0221
今までも在日米軍には莫大な費用を払ってきたのに中韓の日本への領海侵犯さえみないふり
もはやあてにならない日米同盟や国連加盟は破棄してその費用を軍事増強に充てたほうがいい
核は最もおろかな兵器だが、他国が核を使い恫喝してくるようなら日本も核保有するしか自衛手段はないだろう
7
2
返信
ツイート
6時間前
no name
ID: 9d0fb7
なんかレンタカーで長年かりっぱって感じ。 流石にそろそろ法律変えていかないとアジアは面倒な国とその後ろで腕組んだ国も含めてきついよ。 遺憾砲での攻撃0ダメージに気付かなかった訳でもないだろうし。
4
1
返信
ツイート
7時間前
no name
ID: c10455
そろそろ米国ともサヨナラかな、タカリの韓国タカリの米国。ー
2
0
返信
ツイート
1時間前
おさむくん
ID: baa09f
弾劾でいっぱいいっぱい。疑惑そらしかな。
2
0
返信
ツイート
9時間前
no name
ID: b39790
ここら当たりで日本独自の防衛を考える時期に来ていると思う。米国に傭兵として駐留させる案もあるがその場合の傭兵経費は日本側で決定する必要がある。傭兵に持たせる兵器や装備も日本側から注文できなければ傭兵を雇う意味がない。また核武装も選択肢の一つにあがるが日本は核武装はするべきではないと思う。核を使用できなければ保有する意味がない。
1
0
返信
ツイート
12分前
no name
ID: 7ede2a
いやまあトランプのやり方は一部納得できるよ?そもそもアメリカの核の傘ってもんがあるわけだし、アメリカからすりゃなんで極東の小国相手に大金出さなきゃいかんのかとは理解できる。
まあでもやり方ってもんもあるし既に出してる普天間とかの金を勘案には入れるべきだとは思うけどね。トランプの得意なことはビジネスであって荒らしじゃないんだから、出したからにはこっちからも対応する幾つかの要求を通すべき。そ
...
続きを表示
1
1
返信
ツイート
47分前
まこと
ID: 61cbad
仕様がないでしょ。自国を守る気無い日本人には金で解決する以外選択肢無いよね。
0
1
返信
ツイート
24分前
no name
ID: 95d9d0
自前防衛と五倍では五倍の方が安くすむ。首相や防衛関係者の苦しみを国民は知るべきではないか。
0
0
返信
ツイート
26分前
日本人
ID: 1c0899
ジャイアンに似てるトランプ大統領(笑)
0
1
返信
ツイート
41分前
no name
ID: 586799
アメリカからしたら日本が全て払うべきって思わな。これでも少ないくらい。
0
1
返信
ツイート
1時間前

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13400.php

 

前ウクライナ米大使「根拠のない虚偽の主張に基づき解任された」

2019年11月16日(土)08時48分

トランプ米大統領のウクライナ疑惑を巡る弾劾調査で、マリー・ヨバノビッチ前駐ウクライナ大使は米下院委員会で公開証言を行い、トランプ大統領の個人弁護士ジュリアーニ元ニューヨーク市長から攻撃された後、5月に突然「根拠のない虚偽の主張」に基づき解任されたと述べた。写真は同日、公開証言に臨むヨバノビッチ氏(2019年 ロイター/Sarah Silbiger)

トランプ米大統領のウクライナ疑惑を巡る弾劾調査で、マリー・ヨバノビッチ前駐ウクライナ大使が15日、米下院委員会で公開証言を行った。

ヨバノビッチ氏は、トランプ大統領の個人弁護士ジュリアーニ元ニューヨーク市長から攻撃された後、5月に突然「根拠のない虚偽の主張」に基づき解任されたと述べ、先月の非公開で行った証言の内容を踏襲した。

ヨバノビッチ氏は「ジュリアーニ氏による攻撃の動機は理解できない。また、彼が私について広めていた主張に対し意見を述べることもできない」と述べた。

駐ウクライナ大使の職を解任されたことについては「私は定められた外交政策目標の達成のみを目指していた」とし、「このように外国や個人的な利益が米国の利益を損なうことができた状況を巡りいまだに理解に苦しんでいる」と述べた。

ヨバノビッチ氏の証言開始後、トランプ大統領はツイッターへの投稿で批判を展開。「ヨバノビッチ氏がポストに就いたすべての場所で状況は悪化した。彼女が働いていたソマリアはどうなったか?」と皮肉った。

弾劾調査を主導する下院情報特別委員会のアダム・シフ委員長(民主党)はヨバノビッチ氏に対し、トランプ大統領のツイートについて質問。ヨバノビッチ氏は「非常に威圧的だ」とし、「トランプ大統領が何を目的としているのかは分からないが、威嚇的な効果を発している」と応じた。

同委員会のメンバーであるエリック・スウォルウェル下院議員(民主党)は記者団に対し、トランプ氏によるツイッターでの批判について「証人による証言への威嚇、干渉は一段の妨害行為」とした上で、「自身の行為に対する罪悪感の表れだ。無実の人間はこのような行動は取らない」と語った。

来年の米大統領選に向けた民主党候補氏名を争うカマラ・ハリス上院議員もツイッターへの投稿で「証人への威嚇は犯罪」と批判した。


ワシントン 15日 ロイター]

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13397.php

弾劾調査:新証言でトランプ大統領「最悪の日」
<参考記事>トランプ弾劾調査の引き金になった「ウクライナ疑惑」のすべて
<参考記事>トランプ、ウクライナの次は中国にバイデンの調査を要求 民主主義に最悪の反則と元米NATO大使
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/10/post-13256.php?

 


 
精神医学の専門家が危惧する、トランプの「病的自己愛」と「ソシオパス」
2017年10月27日(金)15時00分

632
27
精神医学の専門家が危惧する、トランプの「病的自己愛」と「ソシオパス」
トランプは単にクレイジーなのか、それともキツネのようにずる賢いのか? Carlos Barria-REUTERS

<トランプの危険な人格を「警告」する義務感に駆られた専門家が寄稿した解説書は、何より米社会の「邪悪の正常化」に警鐘を鳴らす>

2015年6月16日に大統領選への出馬を発表して以来、ドナルド・トランプの常軌を逸した言動に関する話題は途切れたことがない。

ビデオやツイッターでの揺るぎない証拠があるというのに平然と嘘をつきとおし、それを指摘されたり、批判されたりすると、逆上する。そして、こともあろうか、ツイッターで個人を執拗に攻撃する。

これまでの大統領候補や大統領からは想像もできなかったトランプの言動に対し、インターネットやメディアでは「彼は単にクレイジーなのか、それともキツネのようにずる賢いのか?(Is the man simply crazy, or is he crazy like a fox?)」という疑問が繰り返されてきた。

しかし、精神科医や心理学者、心理セラピストなど精神医学の専門家の大部分は、専門的な見解は述べず沈黙を守ってきた。その主な理由は、「ゴールドウォーター・ルール」というアメリカ精神医学会の行動規範だ。

この行動規範の名前は1964年大統領選の共和党候補バリー・ゴールドウォーターから来ている。核兵器をベトナム戦争で標準兵器として取り扱うことを推奨するゴールドウォーターに対して「Fact」という雑誌が精神科医からアンケートを取り、「1189人の精神科医が、ゴールドウォーターは大統領になるには精神的に不健全だと答えた」というタイトルの特集号を刊行した。大統領選に敗戦したゴールドウォーターは名誉毀損で雑誌の編集者を訴え、勝訴した。

この経緯から、精神医学専門家の品格や信頼性を維持し、公人や有名人を名誉毀損から守るために「公的な人物について、直接に正式な検査を行なわず、また承諾を得ずして、その人の精神の健康について、専門家としての見解を述べることは非倫理的である」というゴールドウォーター・ルールが生まれた。

トランプ大統領が就任した2カ月後の3月、アメリカ精神医学会の倫理委員会は、「もしある個人が国や国の安全にとって脅威だと信じている場合に意見を述べても良いのか?」という仮の質問を挙げた上で、改めてゴールドウォーター・ルールを遵守するよう呼びかける声明を発表した。

だが、このアメリカ精神医学会の対応に疑問を抱く専門家は少なくなかった。

翌4月20日、イェール法律大学院でも教鞭をとる精神科医のバンディ・X・リー准教授が「『警告義務』も専門家の責務に含まれるのか?」というカンファレンスを企画した。

リーに招待された多くの専門家は関わるのを避けたようだが、インターネットやメディアで関心を集め、複数の大手出版社が出版を持ちかけた。執筆希望者も多く、その中から27人が3週間というタイトなスケジュールで書き上げたのが本書『The Dangerous Case of Donald Trump(ドナルド・トランプの危険な症例)』だ。

内容は大きく三部に分かれている。

次のページ指摘される「邪悪への適応」
一部の「われわれの警告する義務」では、「警告義務」は専門家と患者の間にある「黙秘義務」を覆すという立場で書かれている。「警告義務」とは、患者から特定の人物への殺意を告白されていたのに、治療者が「黙秘義務」を守ったために実際に殺人が起きたタラソフ事件が発端である。この事件で治療者は責任を問われ、現在では、第三者への危険が明らかになった場合には「黙秘義務」より「警告義務」が優先されることになっている。

この部分では、それぞれの執筆者が「検査もせずに診断はできない」というゴールドウォーター・ルールをわきまえたうえで、公の場で簡単に入手できるトランプの言動から該当する人格障害などを挙げ、「トランプは大統領として危険だ」と警告している。

二部は精神医学専門家が抱えるジレンマがテーマだ。国や人々の安全が脅かされる場合、ゴールドウォーター・ルールよりも「危険を知らせる義務」のほうが大きいのではないか、というものだ。

三部のテーマは、トランプが社会に与えた影響や、今後の危険性についてだ。

だが、読み逃してはならないのは、本文に移る前のロバート・J・リフトンによる「まえがき」だ。

朝鮮戦争のとき空軍の精神科医として日本と韓国に駐在したリフトンは、戦争と人間の心理に興味を抱くようになり、原爆の被害者、ベトナム戦争帰還兵士、ナチスドイツの医師などについて本を書いた。そんなリフトンが警告するのは、「Malignant Normality(悪性の正常性)」だ。

私たちのほとんどは、自分が暮らしている環境が「正常」だと思っている。けれども、「正常」の基準は、特定の時代の政治的環境や軍事的な動向の影響を受けて変化する。そして、私たちは、その変化にたやすく慣れてしまう。

極端な例はリフトンが研究したナチスドイツの医師たちだ。彼らは、アウシュビッツで恐ろしい人体実験や殺人を行った。

「動揺し、震え上がった者がいるのも事実だ。しかし、手慣れた者が一緒に大量の酒を飲み、援助や支援を約束するなどのカウンセリング(歪んだ心理セラピーとも言える)を繰り返したら、ほとんどの者は不安を乗り越えて殺人的な任務を果たす。これが、『邪悪への適応』プロセスだ」とリフトンは言う。ナチスドイツの医師たちの間に起こったのは、「邪悪への適応」から「邪悪の正常化」だった。

リフトンによると、近年のアメリカにも「悪性の正常性」の例がある。ジョージ・W・ブッシュ政権下で、CIAは「増強された尋問のテクニック」と称して「拷問」を取り入れた。その拷問プロトコルの作成者の中に心理学者が2人含まれていたのだ。

冷戦時代の初期には、政府が核兵器の大量貯蔵を「正常なこと」とアメリカ国民に説得させる任務を精神心理学の専門家が導き、近年では地球の温暖化を否定するグループのために専門家が働いた。

このような過去を念頭に、「(トランプ時代の専門家は)この新しいバージョンの『悪性の正常性』を無批判で受け入れることを避けなければならない。そのかわりに、我々の知識と経験を活かしてあるがままの状況を暴露するべきだ」とリフトンは主張する。

さて、肝心のトランプの精神状態だが、専門家はどう見ているのだろうか?

次のページソシオパスの性質が顕著
自己愛(ナルシシズム)の専門家でハーバード大学メディカルスクール教授のクレイグ・マルキンは、まず「pathological narcissism(病的な自己愛)」について説明する。

自己愛そのものは病気ではなく、自信を持って幸せに生きるためには必要なものだ。自己愛を1から10までのスペクトラムで測ると、4から6は健全なレベルであり、それより低かったり、高かったりすると問題が生じる。有名人は普通より高いものだが、10に近づくと「病的な自己愛」の領域になる。「自分が特別だという感覚に依存的になり、ドラッグと同様に、ハイになるためには、嘘をつき、盗み、騙し、裏切り、身近な人まで傷つけるなどなんでもする」という状態だ。この領域が「自己愛性パーソナリティ障害(NPD)」だ。

トランプの言動パターンは、この自己愛性パーソナリティ障害(NPD)と精神病質(サイコパシー)が混ざりあったときの「malignant narcissism(悪性の自己愛)」だと言う。

「悪性の自己愛」は診断名ではない。元はパーソナリティ障害の専門家であるエーリヒ・フロムの造語で、「自分のことを特別視するあまり、他人のことを自分がプレイしているゲームで殺すか殺されるかの駒としか見ていない」。いとも簡単に殺人命令を出したヒトラー、金正恩、プーチンなどが例として挙げられており、このエッセイのタイトルである「病的な自己愛と政治:致命的な混合」の意図が理解できる。

専門家としてさらに踏み込んでいるのがハーバード大学メディカルスクールの元准教授のランス・ドーデスだ。冒頭の「トランプは単にクレイジーなのか、それともキツネのようにずる賢いのか?」という疑問に対して、はっきりと自分の見解を述べている。ドーデスは、トランプの言動がもっと深刻なものであり、「精神錯乱」の徴候だと考えている。

ふつうの人間には他人への「empathy(共感、感情移入)」がある。それが欠落しているのが「ソシオパス(社会病質者)」だ。深刻なソシオパスの多くは社会から脱落するが、チャーミングで思いやりがあるフリができるソシオパスも存在する。彼らは人の操縦に長けているので、成功していることが多い。

ソシオパスはときおり「サイコパス(精神病質者)」と同様に使われるが少し異なり、上記の「病的な自己愛」の重要な側面であり、公式の診断名である「反社会的パーソナリティ障害」と同意語だとドーデスは説明する。

ドーデスは公の記録にあるトランプの言動から、「重篤な社会病質者の傾向がある」と結論づけている。そして、「これまでトランプ氏ほどの社会病質的な性質を顕わにした大統領はほかにいない」と言う。

ドーデスがこれほどはっきりと発言する理由は「重篤な社会病質によるパラノイアは、非常に大きな戦争のリスクを生む」からだ。戦争を起こせば、国の指導者として非常事態のために大きな権力を手にすることができる。この際に、憲法で保証されている人権を停止し、戒厳令を出し、マイノリティを差別することも可能になるという計算が背後にあるというわけだ。

論文を書くのに慣れている専門家たちなので、根拠もきちんと書かれており、本書を読むとトランプの精神状態への危機感を強く感じる。

この本を読了した翌日、筆者は別件でホワイトハウスを訪問する機会があった。

次のページ共和党議員も止められない
招待してくれたのは、これまで4回の大統領選挙を経験している共和党のベテラン戦略家である。彼自身は「社会的にはリベラル、経済的には保守」という立場であり、筆者がヒラリー・クリントン支持だったことも承知している。

雑談のときに率直な意見を求めたところ、彼は言いにくそうにこう語った。

「(共和党の議員たちは)みな、トランプはクレイジーだと知っている。トランプに票を投じた者の多くもそう思っている。だが、有権者は自分たちの生活を良くするために何もしてくれない議会にうんざりして、ぜんぶ捨ててしまいたいと願った。彼らは、すべてをぶち壊して、新しく何かを始めてくれる者としてトランプを選んだのだ」

最近になってようやくジョン・マケインなど何人かの共和党議員がトランプ批判に乗り出したが、いずれも再選を狙わない者だけだ。そのほかの共和党議員らが後に続かないのは、次の選挙で有権者から見捨てられるのがトランプではなく自分だと分かっているからなのだろう。

翌日のパーティでも、集まったのは共和党の人たちばかりなのだが、みな税金を湯水のように使うトランプ政権の閣僚たちに呆れ果てていた。だが、それを公に追及するのは「大人げない」という雰囲気があるのも事実だ。民主党の議員やヒラリーの支持者がトランプを糾弾するのもそうだ。「選挙に負けたのだから、潔く沈黙せよ」と批判されてしまう。

先の共和党の知人も「メディアはトランプの言動にいちいち振り回されてはならない。自分に都合が悪いことから目をそらすための目くらましなのだから」と言う。

しかし、こういう態度こそが、先に出てきた「悪性の正常化」の一種ではないかと感じた。

トランプ大統領の精神状態について最も重要な点を指摘しているのは、二部の「トランプ・ジレンマ」に寄稿したニューヨーク大学教授の精神科医ジェームズ・ギリガンかもしれない。

『男が暴力をふるうのはなぜか そのメカニズムと予防』の著者であるジェームズ・ギリガンは、エッセイの中で「われわれが論点として挙げているのは、トランプに精神疾患があるかどうかではない。彼が危険かどうかだ。危険性は、精神科の診断ではない」と主張する。

トランプの危険性を証明する言動は多く記録に残っているが、ギリガンが例として挙げているのは、「使わない核兵器を持っていることに何の意味があるのかという発言」、「戦争の捕虜に対して拷問を使うことを奨励」、「すでに無罪であることが証明している黒人の少年5人に対して死刑を要請」、「『スターならなんでもやらせてくれる』と女性に対する性暴力を自慢」、「政治集会で、自分の支持者に抗議者への暴力を促す」、「(大統領選のライバルである)ヒラリー・クリントン暗殺をフォロワーに暗に呼びかける」、「5番街の真ん中に立って誰かを拳銃で撃っても支持者は失わないと公言」といった多くのアメリカ国民が熟知しているトランプ発言だ。

次のページ戦前のドイツがおかした過ち
これらは、ギリガンも書いているようにほんの一部でしかなく、暴力の威嚇、自慢、鼓舞が次から次へと絶え間なく続いている。

「ドナルド・トランプが繰り返し暴力の威嚇をし、自分の暴力を自慢しているのに対して私たちが沈黙を守るとしたら、彼のことをあたかも『正常な』大統領、あるいは『正常な』政治的指導者だとして扱う危険でナイーブな失敗に加担し、可能にすることになる」とギリガンは訴える。

トランプが独裁者になりたがっていることは、専門家の指摘を待つまでもなく、彼の言動から明確だ。だからこそ、次のギリガンの呼びかけが重要になる。

「1930年代にドイツ精神医学会がおかした過ちを繰り返さないようにしよう」

これこそが本書の真髄だろう。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!



この筆者のコラム
#MeTooムーブメントの火付け役が暴露した、巨大メディアNBCの驚きの陰謀 2019.11.02

30年以上の時を経ていま明かされる、ディストピアSF『侍女の物語』の謎 2019.10.24

民主党予備選で着実に支持を上げるエリザベス・ウォーレン 2019.09.11

ニューハンプシャー州の民主党大会で見えたポジティブな未来 2019.09.10

日系人収容所の体験からトランプの移民政策に警鐘を鳴らすジョージ・タケイ 2019.07.23

【2020米大統領選】前回予備選で旋風を起こしたサンダースの意外な苦戦 2019.05.31

【2020米大統領選】「高齢白人男性」同士の争いを懸念する民主党の支持者たち 2019.05.07

記事一覧へ
プロフィール

渡辺由佳里
Yukari Watanabe <Twitter Address https://twitter.com/YukariWatanabe
アメリカ・ボストン在住のエッセイスト、翻訳家。兵庫県生まれ。外資系企業勤務などを経て95年にアメリカに移住。近著に『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)。新著に『トランプがはじめた21世紀の南北戦争:アメリカ大統領選2016』(晶文社、2017年1月11日発売)。

公式ブログ:「洋書ファンクラブ」
https://www.newsweekjapan.jp/watanabe/2017/10/post-37.php


 


平然と他人に責任を転嫁しがちな「誇大型ナルシスト」の特徴
Narcissists Are Less Likely To Get Depression

2019年11月15日(金)17時30分
カシュミラ・ガンダー

63
5

誇大型のナルシシストは批判されても落ち込まず、平然と他人に責任を転嫁しがちだ(写真はイメージ) skyNext-iStock

<人間関係を破壊し、社会に危険をもたらしかねない自己愛者だが、強く生きるにはいいのかもしれない...>

ナルシシスト(自己愛者) はその性格上、精神的な回復力が強く、鬱病になる可能性が低い── 。最近の心理学の研究で分かったことだ。

ナルシズムはマキャべリズム(目的のためなら手段を選ばない傾向)やサイコパシー(反社会的な人格障害)と並んで「人格のダークな3大特性」の1つとされ、さらに誇大型と過敏型に分類されている。

誇大型のナルシシストは謙虚さや慎み深さを欠き、自分を誇示したがり、支配欲が強い。対して過敏型のナルシシストは否定的評価に過敏で承認欲求が強く、他者から特別な扱いを求める。

今回の研究では軽度のナルシズムの持ち主はそうでない人よりも「精神的に強い」という主張を検証するため、質問紙による調査を20代の被験者364人、244人、144人の3グループを対象に実施した。

【参考記事】サイコパスには犯罪者だけでなく成功者もいる

調査では多くの質問を通じて、被験者がナルシシストかどうか、精神的にタフか、新しい物事を進んで受け入れるか、ストレスを感じているか、鬱病の症状があるかなどを判定した。

結果、誇大型のナルシズム特性で高いスコアを示した被験者は精神的にタフな傾向が強く、鬱病の症状を示す確率は低かったという(これとは別に、誇大型ナルシシストはストレスに強いとする報告もある)。

欧州精神医学会の学会誌に発表された論文の共著者て゛英クイーンズ大学ベルファストのコスタス・パパゲオルギオ准教授によれば、この調査は「反社会的とされるダークな人格特性が存在し続け、むしろ増加しているという矛盾の解明」が目的だった。

長所となる側面も
「ナルシズムを是とするつもりはない」、とパパゲオルギオは言う。「むしろ私たちが言いたいのは、そもそも人格特性は善悪とか社会性の有無とかで判断されるべきて゛はなく、そうした特性を持つ人の適応・不適応のレベルをさまざまな文脈で特定する必要があるということだ」

パパゲオルギオによれば、誇大型のナルシシストは何らかの困難に直面しても、自分はそれを乗り越えるにふさわしい人間だと思い込む。だから落ち込んだり、自信喪失に陥ったりしない。そして「困難を乗り越えるたびに、彼らは精神的にタフになるのだろう。そんなメンタル面の強さが精神疾患に対する抵抗力を高めている」。

【参考記事】ナルシストは危険信号 浮気がちな7つのパーソナリティを精神科医が指摘

次のページ世界最強のナルシストは
一方、今回の研究に関わっていない立場で本誌の取材に応じたアメリカの心理学者ステファニー・クリスバーグによれば、「この研究ではナルシシストが精神的に強く、自信家で粘り強く、発明や創造、指導に適している可能性が示された」。実際、「アップル創業者の故スティーブ・ジョブズをナルシシストに分類する人もいる」そうだ。

誇大型のナルシシストは批判や失敗にも落ち込まず、平然と他人に責任を転嫁しがちだ。今回の研究はそういう事実と符合するとクリースバーグは言う。

とすると、今の世界で最強のナルシシストはアメリカの現役大統領かもしれない。

【参考記事】精神医学の専門家が危惧する、トランプの「病的自己愛」と「ソシオパス」


20191119issue_cover150.jpg
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます
11月19日号(11月12日発売)は「世界を操る政策集団 シンクタンク大研究」特集。政治・経済を動かすブレーンか、「頭でっかちのお飾り」か。シンクタンクの機能と実力を徹底検証し、米主要シンクタンクの人脈・金脈を明かす。地域別・分野別のシンクタンク・ランキングも。

[2019年11月19日号掲載]

https://www.newsweekjapan.jp/stories/woman/2019/11/post-282.php

 


 


ナルシストは危険信号 浮気がちな7つのパーソナリティを精神科医が指摘
2018年6月25日(月)16時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

45
1

写真はイメージです martin-dm-iStock


<浮気経験のある女性の3分の1以上、男性では半数以上が、恋人/配偶者に不満を持っているわけではないのに浮気をしたという調査結果も...>

結婚したカップルの40%が浮気の問題に直面している── FOXニュースによると、アメリカでこれだけ多くのカップルがどちらか、または双方の浮気行為のせいで良くない影響を受けている。一部の専門家はその原因を、近代急速に発達したインターネットの功罪による部分が大きいとしているが、精神科医のケネス・ポール・ローゼンバーグは20年以上にわたる研究を経て、その原因を解き明かした。

まず、彼は著書『Infidelity: Why Men and Women Cheat』のなかで、浮気に結びつく3つの大きな要因をこうまとめている。

脳:神経構造

心理:性/ロマンスを捉え方に影響を与えた成長過程の環境

文化:セックス、愛、浮気に関して世間が持つイメージ

浮気を促す「3つのA」とは
ローゼンバーグの研究によると、浮気をする人としない人では、脳内化学物質が生物学的に違うそうだ。そしてこの差が、浮気の原因の約50%を占めるらしい。

環境上の最も大きな原因になるのが、浮気が実際問題できるかどうか、ということ。簡単であればあるほど、浮気に走る可能性が高くなる。浮気は不誠実な人だけがするものではない。条件が揃えば、真面目な人でもいとも簡単に浮気をする。

その条件を、専門家は"3つのA"と呼ぶ。Affordable(費用面をクリアし)、Accessible(相手がいて)、Anonymous(バレなければ)という条件が揃えば、浮気をする可能性が高くなる。

浮気する者はこう思っている。自分には浮気をする権利がある、もしくは自分には浮気をする価値がある。

浮気型かチェックポイント
以下の7タイプの性格の持ち主が、この思考回路を生み出しやすいらしい。

1.ナルシスト:自分を特別と思っていて、自分最優先

2.共感力に欠ける:相手の立場にたって考えることができない

3.自信家 :自分の能力、特に性的能力を過大評価していて、セックスが上手と思われたい

4.直感型:決断力があり、大事なことにも長く時間を割かない

5.ミーハーもしくはスリル好き

6.元々、恋人・夫婦という関係に向いていない、責任のある関係を望んでいない

7.自傷型もしくはマゾ

浮気は誰でもする可能性がある
ローゼンバーグのもとには、浮気に苦しむ多くの患者が訪れるという。彼らは、さまざまなバックグラウンドを抱えている。性癖だけでなく、年齢や宗教、人種、社会的立場も異なる。

サイバーセックスやインターネットポルノ、初デートでのセックス、そしてセックスフレンドの存在が当たり前のミレニアル世代もいれば、ミドルエイジ・クライシスの真っ只中で、性欲の衰退やそもそも生活全般においてやる気を失いかけている男女もいる。

年配者も例外ではない。医療の発展によって、かつてないほど長く健康的な生活を送り、性欲が衰えていないのだ。

厚い信仰心を持ちながら浮気する人もいれば、配偶者に満足しているにもかかわらず浮気をする人もいる(浮気経験のある女性の3分の1以上、男性では半数以上が、恋人/配偶者に不満を持っているわけではないのに浮気をしたという調査結果がある)。

そう、浮気は誰でもする可能性があるのだ。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/woman/2018/06/post-10458.php
http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/746.html

[政治・選挙・NHK267] 日韓GSOMIA「賢明な対応を」 防衛相、韓国国防相と会談 液体フッ化水素の韓国向け輸出許可 韓国メディア報道
日韓GSOMIA「賢明な対応を」 防衛相、韓国国防相と会談
日韓対立 政治 朝鮮半島
2019/11/17 12:58 (2019/11/17 15:08更新) 
韓国の鄭景斗国防相(右)との会談に臨む河野防衛相(17日、バンコク)=代表撮影

【バンコク=三木理恵子】河野太郎防衛相は17日午前(日本時間同日午後)、訪問先のバンコクで韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相と約40分間、会談した。23日午前0時に失効期限が迫る日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について「賢明な対応を求める」と述べ、継続を促した。鄭氏は日本による輸出管理の厳格化の撤回に触れ、従来の立場を崩さなかった。

会談で河野氏は「東アジアの安全保障環境が大変厳しい状況で日韓、日韓米の連携は極めて重要だ」と述べた。「日韓の間には様々な課題が生じ、非常に厳しい状況が続いている」とも指摘した。鄭氏は「日韓は最近は関係が行き詰まり、非常に残念だ」と語った。

河野氏は会談後、記者団に「GSOMIAについて韓国側の賢明な対応を求めた。日韓の防衛当局の関係は今後とも非常に重要だ。しっかりと意思疎通したい」と強調した。

鄭氏は記者団に「日本は外交的な解決へ努力してほしい」と河野氏に要請したと明らかにした。「6月まで韓国政府は延長するとの立場だったが、安全保障上の信頼が損なわれたため、協定終了の決定をせざるを得なかった」と伝えたことも説明した。

【関連記事】 米、GSOMIA維持へ韓国に圧力
GSOMIAは16年11月に北朝鮮の弾道ミサイル情報など、軍事機密の融通・保護を目的に日韓両政府が締結した。米国を加えた日米韓の連携が強化され、北朝鮮や中国への抑止力として機能する。1年ごとに自動更新される決まりになっている。

韓国は日本が決めた輸出管理の厳格化に反発し、8月末に突如GSOMIAの破棄を通告した。破棄決定後、北朝鮮は4度にわたり弾道ミサイルを発射した。

米国は政府高官を相次ぎ韓国に送り、GSOMIAの延長を強く要請している。しかし、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は15日のエスパー米国防長官との会談で、日本が輸出管理の厳格化を見直さない限り、GSOMIAは予定通り破棄されると伝えた。

17日午後には日米韓の防衛相会談が予定されている。日米でGSOMIAを継続するよう韓国に働きかける見通しだ。

関連記事
液体フッ化水素の韓国向け輸出許可 韓国メディア報道
2019/11/17 14:21
会談前に握手するエスパー米国防長官(左)と韓国の鄭景斗国防相=共同共同
米、GSOMIA維持へ韓国に圧力 文氏、日本に対...
2019/11/15 19:24
韓国大統領府の主要3幹部が記者会見した(左が鄭安保室長)=大統領府提供
GSOMIA破棄「原因は日本側に」 韓国高官が言及
2019/11/10 18:52
類似している記事(自動検索)
日韓防衛相、17日会談へ
2019/11/16 19:49
会談前に握手するエスパー米国防長官(左)と韓国の鄭景斗国防相=共同
米国防相、GSOMIA破棄「得をするのは中朝」
2019/11/15 15:59
河野氏、日韓防衛相会談「やぶさかではない」
2019/10/8 21:00
GSOMIAの破棄を求める市民団体(7月、ソウル)=AP
韓国、日本との軍事情報協定 更新の是非協議
2019/8/22 16:36
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52280100X11C19A1000000/

液体フッ化水素の韓国向け輸出許可 韓国メディア報道
日韓対立 朝鮮半島
2019/11/17 14:21
【ソウル=鈴木壮太郎】日本政府が7月に輸出管理を厳格化した半導体関連材料3品目のうち、液体フッ化水素の輸出を許可したと複数の韓国メディアが17日までに報じた。すでにレジスト(感光材)、フッ化ポリイミド、気体のフッ化水素の輸出は始まっているが、事実なら半導体生産に欠かせない液体のフッ化水素の輸出許可は初めてとなる。

聯合ニュースによると、日本政府が最近、フッ素化合物大手のステラケミファが申請した液体フッ化水素の韓国向け輸出を許可したと韓国側に通報してきた。半導体メモリー世界大手のサムスン電子やSKハイニックス向けという。

日本政府は7月4日からスマートフォン用の有機ELパネルの材料となるフッ化ポリイミド、半導体のシリコンウエハーに塗る高品質なレジストと、半導体製造工程の洗浄に用いるフッ化水素の3品目について輸出案件ごとに個別許可を求めるよう改めた。

フッ化水素は気体のエッチングガスについては輸出許可を下したが、最先端半導体の生産に使われる高純度の液体については輸出を認めてこなかった。

液体フッ化水素は日本メーカーが世界シェア7割以上を握る。性質上、長期間の在庫は不可能とされ、輸出できない状態が長引けば世界の半導体生産に大きな影響が出かねなかった。

韓国政府は日本政府による輸出管理の厳格化に強く反発し、世界貿易機関(WTO)に提訴した。日本と韓国の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄する方針も決め、失効期限である23日午前0時までに日本が措置を撤回しない限り、GSOMIAを延長しないと主張している。

韓国メディアは日本政府が液体フッ化水素の輸出を許可したことについて、「輸出を許可しない状況が長引けばWTOでの係争で日本が不利になると判断したため」と分析している。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52280170X11C19A1000000/

http://www.asyura2.com/19/senkyo267/msg/428.html

[戦争b23] よみがえる悪夢〜1973年 知られざる核戦争危機〜イスラエル、核の起爆を検討していた? 第3次中東戦争から50年
BS1スペシャル
「よみがえる悪夢〜1973年 知られざる核戦争危機〜」
• 2019年11月17日(日) 午後10時00分(110分)
番組内容

スクープ・ドキュメント。1973年、キューバ危機から11年後、第四次中東戦争のさなか米ソの「核兵器による脅し」がエスカレートしていた。不安定な米ソ指導者。ニクソン大統領は政治スキャンダルで職務放棄、飲酒が常態化したソ連ブレジネフ書記長は疑念が高じる。キッシンジャーは偵察衛星で核弾頭輸送の情報をとらえた。危うい綱渡り、二つの超大国は核戦争寸前の軍事警戒レベルへ。現代に重なる核戦争危機…人類の恐怖。
出演者ほか
チャンネル
2019年11月17日(日) 午後10時00分(110分
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/3115757/index.html


BS1スペシャル「1973年知られざる核戦争危機」の再放送・見どころは?
2019年11月15日
 
https://xn--68jq6k1a3xsa3e9dse1a7089l92raxj9fja449v.xyz/bs1%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB/%E6%A0%B8%E6%88%A6%E4%BA%89%E5%8D%B1%E6%A9%9F/

イスラエル、核の起爆を検討していた? 第3次中東戦争から50年
2017年6月8日 17:04 発信地:エルサレム/中東・アフリカ [ 中東・北アフリカ ]

第3次中東戦争から50年を迎える記念式典で演説するイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相(2017年6月5日撮影)。(c)AFP/MENAHEM KAHANA
【6月8日 AFP】50年前の6月に起きた第3次中東戦争(Six-Day War)の前夜、イスラエルが周辺のアラブ諸国を威嚇するために核爆発装置の起爆を検討していた可能性を示す研究論文が議論を呼んでいる。
 第3次中東戦争は「6日戦争」とも呼ばれ、1967年の6月5日〜10日にわたってイスラエルと、エジプトなど近隣のアラブ諸国の間で戦われた。イスラエルはこの戦争に短期間で勝利し世界に衝撃を与え、領土を大きく拡大した。
 これまでイスラエル自体は核保有について否定も肯定もしたことがないが、国際的には中東地域で唯一の核保有国とみなされている。イスラエル国内では今もこのテーマに触れることはタブーだ。
 だが、第3次中東戦争勃発から50年の節目に当たる5日、核拡散状況などを追跡する米シンクタンク、ウッドロー・ウィルソン国際学術センター(Woodrow Wilson International Center for Scholars)のウェブサイトに、当時イスラエルが警告として核爆発装置を起爆させることを検討していたとする論文が発表された。
 イスラエルの核開発に関する研究を専門とする歴史学者、アブネル・コーエン(Avner Cohen)氏の研究には、かつてイスラエルの兵器研究・開発の陣頭指揮を執り、2013年に亡くなったイツハク・ヤコブ(Yitzhak Yaakov)元准将のインタビューが含まれている。その中でヤコブ元准将は、1967年に単に威嚇目的で「簡易型」の核爆発装置を起爆させる計画を思いついたと述べている。エジプトのアブ・アゲイラ(Abu Ageila)にある戦略的軍事施設から約20キロに位置するシナイ半島(Sinai Peninsula)東部の山頂で装置を起爆させる計画だったという。一方、その時点でイスラエルは核兵器は開発していなかったとヤコブ元准将は強調している。
 この研究についてイスラエル外務省はコメントを控えているが、同国内では議論を呼んでいる。第3次中東戦争に関する著書のあるマイケル・オレン(Michael Oren)首相府外交担当副首相は「信頼できない」主張だとしてこれを否定している。オレン氏は「最近になって機密指定が解除され6日戦争に関する数百、数千単位の文書には、そうした主張を示唆するものは全く含まれていない」と語った。またヤコブ氏が触れているような計画が真剣に検討されていた可能性についても、疑わしいと述べている。
 ただしオレン氏は、ヤコブ氏の証言について「1967年6月の時点でイスラエルには核爆発装置を作成する能力があったことが、出所が明らかな情報源によって初めて明らかにされた」とも述べた。(c)AFP/Delphine Matthieussent
戦争・紛争 一覧へ>
https://www.afpbb.com/articles/-/3131299

http://www.asyura2.com/19/warb23/msg/120.html

[戦争b23] 中国初の国産空母、台湾海峡を航行 日米艦艇が追尾  日米防衛相、韓国にGSOMIA継続促す
中国初の国産空母、台湾海峡を航行 日米艦艇が追尾
政治 中国・台湾
2019/11/17 22:00
【台北=伊原健作】台湾の国防部(国防省)は17日、中国初の国産空母が初めて台湾海峡を航行したことを確認したと発表した。東シナ海から南方へ向かって通過したといい、米軍や日本の自衛隊の艦艇が追尾したとしている。

航行したのはウクライナ製の「遼寧」に続く中国2隻目の空母で、就役が近いとの見方が出ていた。台湾メディアでは2020年1月の総統選に向け、台湾独立志向を持つ与党・民主進歩党(民進党)をけん制したとの見方が出ている。一方、台湾主要紙「自由時報」(電子版)は17日、冬の到来に伴う天候悪化により、北部での訓練がしにくくなったため南下したとの専門家の見方を紹介した。

類似している記事(自動検索)
北京で2015年に開かれた式典で登場した中国の弾道ミサイル「東風26」=ロイター
中国、南シナ海で米警戒 空母標的、ミサイル誇示
2019/7/4 18:59
中国海軍の空母「遼寧」(共同)
中国空母が台湾一周 首脳会談前に米けん制か
2019/6/25 19:15
中国の空母「遼寧」の宮古海峡通過は3回目=防衛省提供
中国空母が宮古海峡を通過 領海侵入なし
2019/6/11 17:48更新
ボルトン米大統領補佐官は対イラン強硬派として知られる(1日、ワシントン)=ロイター
米、軍事圧力強める 中東に空母派遣 北極圏で演習
2019/5/7 19:00
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52283930X11C19A1FF8000/


 
日米防衛相、韓国にGSOMIA継続促す
政治 朝鮮半島
2019/11/17 17:30 (2019/11/17 21:48更新) 
(写真左から)韓国の鄭景斗国防相、エスパー米国防長官、河野防衛相=ロイター
画像の拡大
(写真左から)韓国の鄭景斗国防相、エスパー米国防長官、河野防衛相=ロイター

【バンコク=三木理恵子】河野太郎防衛相は17日、訪問先のバンコクでエスパー米国防長官や韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相と約70分間会談した。23日午前0時に失効期限を迎える日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を巡り協議した。エスパー氏は「日米韓の防衛協力は北朝鮮と中国の脅威に向き合うために必要だ」と指摘し、協定の継続を迫った。

河野氏は北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイル発射を踏まえ「日米韓の防衛当局の連携は継続すべきだ」と歩調を合わせた。鄭氏は日米韓の安保協力が日韓の対立により「大小の困難に直面している」と説明した。「様々な難しい課題があるが未来志向の発展に努力したい」とも語った。

協定失効まで1週間を切ったが、日本政府関係者によると、日韓が互いの立場を述べ合っただけで失効回避につながる進展はなかった。日米両国は協定が失効する直前まで韓国側への働きかけを続ける。

日米韓の防衛当局は会談後に共同声明を発表し、北朝鮮対応などで連携すると明記した。GSOMIAには直接触れず「地域における各国間の防衛に関する信頼醸成が重要だとの認識を共有する」と盛り込んだ。

これに先立ち河野氏は鄭氏と個別に約40分間会談し、GSOMIA継続を念頭に「韓国側に賢明な対応を求める」と伝えた。鄭氏は会談後、記者団に「日本は外交的な解決へ努力してほしい」と日本側に歩み寄りを求めたと明らかにした。

韓国側は協定を延長するには日本側が輸出管理の厳格化を撤回するよう求める。日本は応じない構えだ。

GSOMIAは2016年11月に北朝鮮の弾道ミサイル情報など、軍事機密の融通・保護を目的に日韓両政府が締結した。韓国は日本が7月に決めた輸出管理の厳格化に反発し、8月下旬にGSOMIAの破棄を通告した。破棄すると北朝鮮のミサイル発射などの際に日韓間で情報を円滑に共有しにくくなる。

河野氏は

【関連記事】 河野防衛相、GSOMIA継続を要請 韓国国防相と会談
一連の会談後、記者団に「韓国側が日米韓の連携が必要だとの認識で一致しているなら、韓国側が賢明な対応を取る必要がある」と指摘した。

鄭氏は会談後、記者団に「6月まで韓国は延長するとの立場だった。安全保障上の信頼が損なわれ、協定終了の決定をせざるを得なかった」と河野氏に伝えたことも説明した。

 
韓国の鄭景斗国防相(右)との会談に臨む河野防衛相(17日、バンコク)=代表撮影
河野防衛相、GSOMIA継続を要請 韓国国防相と会談
2019/11/17 15:08更新
日韓防衛相、17日会談へ
2019/11/16 19:49
ソウル駅で映し出された、北朝鮮のミサイル発射を伝える映像(24日)=AP
GSOMIA破棄の間隙 日韓の連携試した北朝鮮ミサイル
2019/8/24 22:00
GSOMIAの破棄を求める市民団体(7月、ソウル)=AP
韓国、日本との軍事情報協定 更新の是非協議
2019/8/22 16:36
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52281820X11C19A1MM8000/

液体フッ化水素の韓国向け輸出許可 韓国メディア報道
日韓対立 朝鮮半島
2019/11/17 14:21 (2019/11/17 21:49更新)
保存 共有 印刷その他
【ソウル=鈴木壮太郎】日本政府が7月に輸出管理を厳格化した半導体関連材料3品目のうち、液体フッ化水素の輸出を許可したと複数の韓国メディアが17日までに報じた。輸出管理の厳格化後、すでにレジスト(感光材)やフッ化ポリイミド、気体のフッ化水素は輸出されているが、事実なら半導体生産に欠かせない液体のフッ化水素の輸出許可は初めてとなる。

聯合ニュースによると、日本政府が最近、フッ素化合物大手のステラケミファが申請した液体フッ化水素の韓国向け輸出を許可したと韓国側に通報した。半導体メモリー世界大手のサムスン電子やSKハイニックス向けという。

日本政府は7月にスマートフォン用の有機ELパネルの材料となるフッ化ポリイミド、半導体のシリコンウエハーに塗る高品質なレジストと、半導体製造工程の洗浄に用いるフッ化水素の3品目について、輸出案件ごとに個別許可を求めるよう改めた。

フッ化水素は気体のエッチングガスについては輸出許可を出したが、最先端半導体の生産に使う高純度の液体は輸出を認めてこなかった。

韓国政府は日本政府による輸出管理の厳格化に反発し、日本と韓国の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄する方針も決めた。失効期限の23日午前0時までに日本が措置を撤回しない限りGSOMIAを延長しないと主張する。日本側には液体フッ化水素の輸出を認めれば、韓国側がGSOMIAを巡る態度を軟化させるのではないかとの期待もありそうだ。

【関連記事】 河野防衛相、GSOMIA継続を要請 韓国国防相と会談
液体フッ化水素は日本メーカーが世界シェア7割以上を握る。性質上、長期間の在庫は不可能とされ、輸出できない状態が長引けば世界の半導体生産に影響が出かねなかった。

韓国メディアは日本政府が液体フッ化水素の輸出を許可したことについて「輸出を許可しない状況が長引けば、世界貿易機関(WTO)での係争で日本が不利になると判断したため」と分析している。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52280170X11C19A1000000/
http://www.asyura2.com/19/warb23/msg/121.html

[経世済民133] 誰が得する○○ペイ キャッシュレスの闇 官製キャッシュレス普及策の限界 普及阻む“決済マフィア PayPay社長「決済」の未来図を語った
誰が得する○○ペイ キャッシュレスの闇
全4回 2019年11月15日

原 隆 他 2名
日経ビジネス副編集長
?
誌面で読む
?
クリップ
政府が10月の消費増税に合わせて始めたキャッシュレス決済のポイント還元制度。中小店舗で買い物をした消費者に税込み価格の5%分を還元する仕組みだが、ここぞとばかりに、キャッシュレス決済事業者が利用者の囲い込みに動いている。クレジットカードに交通系ICカード、QRコード……。現金信仰のあつい日本にさながら「キャッシュレス祭り」が巻き起こる。だが、政府のポイント還元制度は2020年6月末まで。国によるポイント還元がなくなれば、消費者のお得感も薄れる。〇〇ペイが広がったとしても結局、誰が得するのか。そもそも日本でキャッシュレス決済は本当に根付くのか。本誌はあえて言う。今のままでは、この国では浸透しない。その理由を明かしていこう。(写真=imaginima/Getty Images)

(原 隆、庄司 容子、鷲尾 龍一)

CONTENTS
プロローグ
「キャッシュレス祭り」の裏に垣間見える闇

PART1
1万人調査で見えた官製キャッシュレス普及策の限界

PART2
キャッシュレス普及阻む“決済マフィア”

PART3
キャッシュレス決済を成長につなげる方法とは

日経ビジネス2019年11月18日号 32〜33ページより目次
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00276/


1万人調査で見えた官製キャッシュレス普及策の限界

原 隆 他 2名
日経ビジネス副編集長
2019年11月15日
1 88%
?
ギフト
印刷
?
誌面で読む
?
クリップ
全4108文字
本誌は今回、1万人を対象にした独自調査を実施、キャッシュレス決済の動向を探った。浮き彫りになったのは、官製普及策の限界だ。付け焼き刃の政策で現場は混乱。その間隙を縫うようにソフトバンクグループのPayPayが勢力図を一気に塗り替えていた。

キャッシュレス決済普及率47都道府県ランキング

47都道府県キャッシュレス決済普及率ランキング2020調査概要
調査期間:2019年10月10〜14日
調査企画:日経BP(日経ビジネス、日経クロストレンド)
調査委託先:マクロミル
調査方法:マクロミルの調査モニターを対象にしたインターネット調査・スクリーニングを主目的とした事前調査と、QRコード決済認知者を対象とした本調査の2段階で実施した。予備調査は全国47都道府県から均等に回答者を集め(212または213人)、合計で1万人から回答を得た。その上で、都道府県と年代の分布状況が日本の人口と同様になるようにウエイトバック処理をして集計した。本調査は、予備調査でQRコード決済サービスを認知している人を対象に実施。全国47都道府県から均等に回答者を集め(103人)、合計で4841人から回答を得た。予備調査と同様のウエイトバック処理を実施した。
[画像のクリックで拡大表示]
 キャッシュレスで決済した人を対象に、税込み価格の最大5%分を還元する「ポイント還元制度」。2019年10月1日、消費税10%導入に合わせて開始されたこの制度は当初、海外と比べて低迷する国内のキャッシュレス決済比率の押し上げに大きく寄与すると期待を集めた。

 だが、プロローグで紹介したように、決して、日本中で導入機運が高まっているわけではない。それは「日経ビジネス」と「日経クロストレンド」が共同で1万人を対象に実施した「47都道府県キャッシュレス決済普及率ランキング2020」調査でも裏付けられた(調査結果の詳細は日経ビジネス電子版で公開予定)。

 同調査ではポイント還元制度によってキャッシュレス決済の金額が「増えた」と答えた人は33.3%にとどまった。61.6%は従前と「変わらない」。ポイント還元によるキャッシュレス利用の後押し効果は限定的だったと言える。

都心と地方の差が鮮明に
 キャッシュレス決済利用において、都心と地方の格差が広がっていることも調査で明らかになった。都道府県別で見たキャッシュレス決済比率のデータを見ると、広域関東圏(1都10県)は高いキャッシュレス決済比率を誇っているが、地方は現金決済が主流であることが見て取れる。特に、九州各県はランキングの下位に名を連ねているのが実情だ。

 例外的存在が全国3位につけている沖縄県だ。2003年に全日本空輸(ANA)とビットワレット(現楽天Edy)が提携。移動手段を飛行機に頼る県民にとって、マイレージを効率的にためられる手段が魅力的に映り、県下で加盟店、利用者数ともに広がった。もともとあったこうした素地に、訪日外国人の増加も相まってキャッシュレス決済環境の整備が進んでいる。

 キャッシュレス決済は利用可能な店舗と、利用できる手段を持つ消費者がそろって初めて実現する。ポイント還元制度で消費者、事業者ともに刺激しようとした「官製キャッシュレス祭り」の効果はいまひとつ。日本ではこのままキャッシュレス決済が一向に進まないのだろうか。

 唯一と言っていい光明が、度重なる「祭り」を自ら開いて一気に勢力図を塗り替えた民間事業者がいることだ。ソフトバンクとヤフーが出資して18年10月に開始した「PayPay」だ。

次ページ1年でLINE、楽天を抜く
1年でLINE、楽天を抜く
 PayPayはキャッシュレス決済事業者の中でもほぼ最後発といっていい。だが、この1年で最大20%、総額100億円をポイント還元するキャンペーンを計3回実施し、加盟店数、利用者数ともに急伸させた。

 19年第2四半期(7〜9月)で、加盟店数は前四半期からほぼ倍増の154万店舗へ、登録者数は840万人から1474万人に拡大した。加盟店開拓、利用者獲得の双方に資金と人的資源を惜しみなくつぎ込んだ結果、決済回数も9612万回と前四半期から倍増している。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00278/



キャッシュレス普及阻む“決済マフィア”

原 隆 他 2名
日経ビジネス副編集長
2019年11月15日
13 92%
?
ギフト
印刷
?
誌面で読む
?
クリップ
全6784文字
景気対策の側面から急ごしらえの準備でポイント還元制度を立ち上げた経済産業省。店舗側の対応が追い付かなかったことだけが、キャッシュレス化が進まない理由ではない。もっと深い「闇」が日本にはある。複雑すぎる業界構造そのものである。


キャッシュレス決済可能店舗は徐々に増えてきたが……(写真=小森園 豪)
 「2025年までにキャッシュレス決済の比率を40%に高める」。こんな目標を経済産業省が打ち出したのは、18年4月のことだ。まだ、消費増税対策としてのポイント還元など政策課題にもなっていなかった時期。従来は27年の達成を目指していたが、2年前倒しした。

 日本円での現金決済に慣れない外国人観光客への対応も狙いの1つだが、経産省が注力するのは、キャッシュレス化が生産性向上に役立つとみるからだ。

 店舗なら営業終了後にレジの現金を数えたり、銀行に預けに行ったりする手間を省ける。銀行でも店舗間で現金を輸送したり、ATMに現金を補充したりといった業務の負担を減らせる。こうした現金決済を支えるためのコストは年1兆円を超えるとされる。キャッシュレス化が進めば、店舗の省人化や、決済データの利活用による新ビジネス創出にもつながる。徴税当局にとっては資金の動きが把握しやすくなる。

 キャッシュレス決済の手段として既に普及しているのはクレジットカードだ。そのカード会社の担当者が経産省のキャッシュレス化に対する本気度を確信した出来事がある。

 40%目標を掲げてから4カ月後の18年8月。経産省の担当者から「キャッシュレスパッケージのポイント」というタイトルの1枚の紙を差し出された。目標達成に向けた取り組みをまとめた資料だったが、そこにキャッシュレス決済が進まない一因として「加盟店手数料の高さ」が挙げられていた。

 加盟店手数料とは、飲食店や小売店などのクレジットカード導入店舗が、決済額に応じてカード会社に支払う手数料のこと。カード会社は一般に決済額の3〜6%を徴収しており、収益源としている。経産省はこの手数料を下げろとカード会社に迫ったと、この担当者は受け止めた。

 経産省の手数料へのこだわりは、今年10月に始まったポイント還元制度でも垣間見える。カード会社を含むキャッシュレス事業者に対して、手数料の上限を決済額の3.25%にすることを求めたのだ。この上限を守らなければ、還元制度には参加できない。

 カード会社にとっては、収入が目減りしかねない条件だが、参加しなければ、利用者や加盟店がQRコードなど他の決済手段に流れる恐れがある。手数料収入の減少と顧客流出、どちらの損失が大きいか。結局は多くのカード会社が還元制度への参加を決めた。

 経産省がキャッシュレス普及の阻害要因と決めつけているようにも見える手数料。その問題意識はあながち、的外れではない。

次ページなぜ、手数料は高いのか
なぜ、手数料は高いのか
 そもそも決済額の3%超を手数料として取られれば、中小や零細企業は立ち行かなくなる。中小企業庁の「中小企業実態基本調査」によると、17年度の中小規模の小売業の売上高営業利益率は1.44%にすぎない。キャッシュレスによる合理化効果はあったとしても、多くの中小・零細企業にとって手数料の負担は重い。

 では、なぜ、手数料は高くなるのか。浮かび上がるのは、決済事業で稼ぐ多種多様な“決済マフィア”の存在だ。
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00279/?P=2&mds


キャッシュレス決済を成長につなげる方法とは

原 隆 他 2名
日経ビジネス副編集長
2019年11月15日
0 100%
全4078文字
「官製キャッシュレス祭り」の綻びが早くも露呈する日本。それでもキャッシュレス決済の利点を無視することはできない。事業者も消費者もキャッシュレスの恩恵を引き出すにはどうすればいいのか。


 国内に約1100店舗を構えるイタリア料理チェーン、サイゼリヤ。8割以上の店では現金しか受け付けていないことで知られる。QRコード決済はおろか、クレジットカードも使えない。国を挙げて推進する「キャッシュレス祭り」も、サイゼリヤにとってはどこ吹く風。堀埜一成社長が理由を語り始めた。


サイゼリヤの堀埜一成社長は「人手不足や働き方改革で現場は疲弊している」と指摘する。時機を間違えればレジでの混乱を招きかねないキャッシュレス化には慎重にならざるを得ない(写真=竹井 俊晴)
 別に、キャッシュレスを未来永劫やらないわけではありません。最終的には乗っかるんですよ。でも、究極の後出しじゃんけんをするつもりなんです。

 というのは、我々はハード(端末)の開発速度を見ている。1000店以上あると、ハードのコストがバカにならない。クレジットや電子マネーだけでなく、PayPay(ペイペイ)が入ってきたりと、端末自体今後どう変わっていくか分からない。だからそのハードに金を使いたくないのです。

 実際、今回の助成でもハードが問題になっていたでしょう。製造が間に合わなくて。だから仮に今、うちの1000店に入れてって言っても入らない。そろそろやるかな、という気はしてたんですけど、今じゃない、となりました。

 実は堀埜社長には「日本はまだ現金社会だ」と確信させた出来事があった。

 米アマゾン・ドット・コムがやってきたんですよ。(キャッシュレスを)急いでやらなくてよかった、と思ったね。

 サイゼリヤは今年7月、お釣りをアマゾンで使えるギフト券で渡すキャンペーンを都内2店舗で始めた。お釣りの額に2%分を上乗せした金額をアマゾンのネット通販や動画配信サービスで使えるようにするものだ。この話はアマゾン側から持ち掛けられた。

 一気にキャッシュレスが進んだ中国と違って、アマゾンは日本はキャッシュ信仰が続く前提なんですね。キャッシュレスでいろいろなトラブルもあったし、確信したんちゃうかな。やっぱり日本は現金だと。

 アマゾンの狙いは、現金を入り口にして、アマゾンのキャッシュレスに持っていくことでしょう。うちは単なるチャージ機です(笑)。彼らはほんとに頭がいい。よくここまで考えると思いますよ。まだ2店舗だから分からないけど、これから何をやってくれるか楽しみなんです。彼らが見る日本像が分かるわけですから。

サイゼリヤにとっても利点はある。お釣りが減るため、用意する現金を少なくできる可能性があるからだ。集金のコスト削減や店舗に大量の現金を置かない安全性といったキャッシュレスのメリットを決済手数料なしで享受できる。

 とはいえ、堀埜社長は日本には現金信仰が残るものの、キャッシュレスも同時に普及することは否定していない。

https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00280/?P=2


 

 

躍進するPayPay、社長が「決済」の未来図を語った

鷲尾 龍一
日経ビジネス記者
2019年11月18日
3 100%
印刷
?
クリップ
全3618文字
 検索サービス「ヤフー」を展開するZホールディングスと、対話アプリのLINEが経営統合に向けた交渉を進めている。両社の背中を押した要因の一つが、スマートフォンを使った決済市場での競争激化。顧客囲い込みに向けた費用がかさみ、各社とも体力勝負の様相を呈している。実際のところ、スマホ決済を含めたキャッシュレス決済の利用状況はどうなっているのか。「日経ビジネス」と「日経クロストレンド」は共同で、キャッシュレス決済の利用状況などを探る1万人調査を実施した(調査結果は日経ビジネス11月18日号特集「誰が得する〇〇ペイ キャッシュレスの闇」でご覧になれます)。

 躍進ぶりが目立ったのが、ソフトバンクとヤフーが立ち上げた「PayPay(ペイペイ)」だ。1年前と比べると認知率は57.3%から98.9%に、利用率は2.8%から37.2%に上昇した。同じQRコードを用いた決済サービスの「LINE Pay」や「楽天ペイ」を一気に抜き去り、存在感を高めている。PayPayをけん引する中山一郎社長執行役員CEO(最高経営責任者)にデジタル化で変革期を迎えている決済の未来図を聞いた。(編集部注:インタビューは11月7日に行いました)


中山一郎(なかやま・いちろう)氏
1969年生まれ、愛知県出身。94年国際デジタル通信(現IDCフロンティア)入社、13年に社長就任。16年ヤフーに入社、18年にPayPay社長執行役員CEOに就いた。(写真:陶山勉、以下同じ)
2018年10月にPayPayがスタートして1年が過ぎました。「日経ビジネス」と「日経クロストレンド」が実施した調査では、PayPayの認知率が98.9%、利用率は37.2%となり、同じQRコードを用いた決済サービスの「LINE Pay」や「楽天ペイ」を一気に抜き去りました。手応えはいかがでしょうか。

中山一郎・PayPay社長(以下、中山氏):想定を上回るスピードで広がったのは、ひとえにユーザーとストア(加盟店)の皆さんのおかげです。また、国が熱心に推進しているのも大きい。キャッシュレスが進んでいる国は、国が何かしらの政策を打っています。今回のポイント還元制度に関しても、開始1カ月前の9月ごろから普及が加速したと感じます。ただ、認知率が98.9%。100%まで1.1%足りない。これを埋めるために何ができるかという思いが強いですね。

スマートフォン決済アプリとしては後発でありながら、利用率首位となった原動力はどこにあるのでしょうか。

中山氏:キャッシュレス全体が盛り上がる中で、PayPayはPayPayにしかできないことをしてきました。

 1つはマーケティング。後発だったので、知ってもらうために2018年12月に(100億円かけた)キャンペーンを行った。その後、2〜5月に100億円キャンペーンを再び行い、ユーザーに利用を促せた。それに伴って、ストアの加盟も増え、それが今も続いていると思っています。

 SNSやツイッターで「これは手放せないよね」「スマホ1台で外に出かけられて便利だよね」という意見を見ると、本当にありがたい。今後、使い続けてもらうには、利便性の追求は大切だなと思います。

 第2に営業力。全国20カ所に営業拠点を設け、数千人の従業員が加盟店を開拓する活動も、PayPayにしかできなかった。そして今でもPayPayしかやっていない営業活動です。

 3番目は開発力。18年10月にサービスを開始してから、アプリの使いやすさの改善を進め、既に70回ほどアップデートしています。週1回を超えるペースです。来年の今ごろには、今の使い心地、アプリの画面を忘れてしまうくらい進歩したいと思っています。

 アプリの表示画面だけでなく、目に見えない裏側も改善してきました。例えば、PayPayに入金するための銀行口座の登録なら、以前は銀行のウェブ画面にたどり着くまで20超のステップがあり、15〜20分かかっていました。今はそれを6ステップ程度にし、1〜2分に短縮しました。

 こうしたスピード感で提供される決済サービスは、日本で今までなかったのではないでしょうか。社員みんなでPayPayを使って意見を出し合い、また、ソーシャルの(SNSなどに書き込まれた)意見も参考にしながら、アプリの文言や、操作順序を変えてきました。(技術面や営業ノウハウで提携しているインドのスマートフォン決済大手の)「Paytm(ペイティーエム)」の協力を得ながら、アプリをPayPay社内で改善できているのが、スピード感につながっています。

次ページ「使い方」を広げる

「使い方」を広げる
そんな中、他社も普及のためのキャンペーンなどに力を入れている。今後の競争をどう勝ち抜くのでしょうか。

中山氏:あまり競争と思ってないですよ。競争より、皆さんでキャッシュレスを一緒に盛り上げることが大事だと思います。現金に対して、どう使い勝手をよくするかということに、PayPayはフォーカスしていますし、たぶん各社もそうだと思います。


言い換えれば、まだ「対現金」の段階ということでしょうか。

中山氏:そうだと思います。まだまだですよね。

PayPayは認知率が98.9%で、利用率は37.2%。この差はどう感じられますか。

中山氏:61.7%の方はご存じいただいているのに使ってもらえていない。この人たちの声を聞かなくてはならない。1つは、使い方が分からないということがあるかもしれません。株主であるソフトバンクの携帯電話は全国のショップで販売されており、そこでPayPayの使い方を教える仕組みを始めています。また、初めて使う人やあまり使っていない人向けに表示される「PayPayはじめてガイド」も充実させようと進めています。そういった地道な活動も大事と思います。

PayPayを導入したが、1カ月の間、一度も使っていないという地方の店舗もあります。

中山氏:僕たちのデータだと、全国で使われています。もちろん、人口が多い東京の頻度が高いのは確かで、場所によってまだ差があります。地域で一番人が来るスーパーにPayPayが導入されていたら、頻度も高いとか。先ほど申し上げた、使い方が分からない、という課題があるのかもしれません。

政府はキャッシュレス決済比率を2025年に40%に高めるとしています。将来は80%というさらに高い目標も掲げています。今後、普及の加速には何がポイントになるでしょうか。

中山氏:現金と取って代わらないといけない。現金にできていないことを提供する必要があります。僕たちは、生活のあらゆる不便を便利に変えたいと思っています。現在はリアル店舗の開拓に集中していますが、(インターネット通販など)オンラインで使える場面も増やしたいですし、個人間送金も増やしたい。投資商品の販売や個人向け融資も行う中国の「支付宝(アリペイ)」やPaytmのアプリのような「スーパーアプリ」は海外では既にあります。

来年6月に国のポイント還元制度が終了した後、利用率は減るでしょうか。

中山氏:そういうふうには考えていません。一度使って、便利なら使い続けたいと思うのではないでしょうか。(ポイント還元がなくなっても)その利便性を犠牲にして元に戻れますか? 僕はもっと利便性を追求するタイプです。

次ページ官民議論に参加したい


官民議論に参加したい
今後、さらにPayPayを成長させるためにどんな手を打っていきますか。

中山氏:まず使えるお店が限られていたら、現金と代われない。現金が使えるところは、全てPayPayが使えるようにしたいですね。現金に限らず、ほかの(決済アプリやクレジットカードなど)支払い手段が使えて、PayPayは使えないところも全て使えるようにしたい。


銀行同士の送金のように、決済インフラとして成長するなら、別々のスマートフォン決済アプリ同士の送金は考えていませんか。

中山氏:面白いですね。利便性を考えれば、あるかもしれません。

キャッシュレス、ひいてはフィンテックが進むために期待する規制緩和などがあれば教えてください。

中山氏:ペイロール(編集部注:電子マネーによる給与支払い。現行の労働基準法では認められていない。政府内で解禁に向けた議論が始まっている)は関心があります。議論を見守っています。奇抜なことは考えていませんが、もし(給与の入金先の)一部がPayPayになるなら、わざわざチャージしなくてすむ。(アプリで支払いをするまでの)ステップが1つ減るので、利便性は高まるでしょう。

 あとは、KYC(編集部注:事業者による顧客確認。銀行口座を開く前の身元確認などを指す)などはどうでしょうか。色々便利な新たなサービスが出てきても、使い始めるときに毎回KYCが必要になる。これを共通化できれば、利用者も手間が省けますし、事業者側もコストが減らせてうれしい。これは一事業者でできることではないので、官民で議論が交わされるなら是非参加したい。もちろん、全て1つに統一することがいやな人もいるでしょう。そこは選べるようにすればよいと思います。あちらこちらでKYCが求められるのは、いかにも日本だなって感じがします。

1
2
3
シェア
シェア
URLコピー
?
クリップ
#イノベーション
あなたにおすすめ

1分解説

「LINE pay」「PayPay」「メルペイ」、握手の裏にいるセブン


1分解説

Yahoo!スコア、炎上からの仕様変更は「不幸中の幸い」か


1分解説

セブンとファミマのスマホ決済、初日の混乱が映すもの


1分解説

メルペイ50%還元キャンペーン、「後払い」普及に賭ける狙い


1分解説

楽天とJR東提携 キャッシュレス戦争、最終章へ


移動革命MaaS 世界が狙う新市場

動き出す移動革命 トヨタ・ソフトバンクが鳴らす号砲


テクノトレンド

東京ディズニーリゾート、アプリに最新テクノロジー


日経ビジネス最新号特集から

日本企業も引きつける、エストニアのしたたかな戦略

コメント3件
もっと見る


まっすぐな視線と意欲の伝わるgood interview。

2019/11/18 05:28:192返信いいね!


Kevin58

肩書なし

同感です!

2019/11/18 07:01:24いいね!


Kevin58

肩書なし

☆老夫婦で共にPayPayを利用している。
指紋認証のセキュリティー機能をはじめ使い易さを評価しているが、今一歩頑張って「IDタッチ決済機能」を是非とも導入して欲しい、ドコモの使用権?がネックであってもユーザー指向でトライされたい!
2019/11/18 07:01:261
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00067/111400051/
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/661.html

[国際27] マレーシア航空機撃墜、「ロシア高官の指示」=国際捜査チーム  ロシア政界の重要人物が語る日ロ交渉の行方 1米国への懸念 2日本への期待

マレーシア航空機撃墜、「ロシア高官の指示」=国際捜査チーム
? 2019年11月15日
Image copyrightREUTERSImage caption撃墜されたマレーシア航空MH17便(ボーイング777型機)の残骸
2014年にマレーシア航空の旅客機が撃墜され、乗っていた298人全員が死亡した事件で、国際合同捜査チーム(JIT)は14日、撃墜に関与したウクライナ東部の分離派指導者に、ロシア政府高官が指示を出していたとみられると発表した。
オランダ主体のJITによると、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の最側近が、ウクライナの反政府勢力と定期的に連絡をとっていたという。
JITによると、このロシア政府高官は、ウラジスラフ・スルコフ元副首相と、ロシアが2014年に一方的に併合したクリミアのセルゲイ・アクショノフ首相の2人。また、複数の電話のやりとりの中で、セルゲイ・ショイグ国防相の名前も挙がっていたという。
ロシア人らが関与
オランダのアムステルダムからマレーシアのクアラルンプールに向かっていたマレーシア航空MH17便(ボーイング777型機)は2014年7月、反政府勢力が支配するウクライナ東部の上空を飛行中にミサイルに撃墜された。
オランダ人193人、マレーシア人43人、オーストラリア人27人、インドネシア人12人、イギリス人10人、ベルギー人4人、ドイツ人4人、フィリピン人3人、ニュージーランド人1人、カナダ人1人が犠牲になった。
JITはロシア人3人とウクライナ人1人が撃墜に関わったと結論づけ、今年6月、4人を殺人罪で起訴した。
裁判は被告の出廷の有無にかかわらず、2020年3月9日にオランダで開かれる予定。
ロシアは、こうした事件の捜査や起訴は同国の信用を傷つけるためのものだと非難している。ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、JITはあらかじめ決めておいた結論につじつまを合わせるために内容を操作していると述べ、JITの主張を一蹴した。
4人の容疑者
JITや検察によると、殺人の疑いがかけられているのは次の4人。
? イゴーリ・ギルキン容疑者――ロシア連邦保安局(FSB)の元大佐。ウクライナの反政府勢力が支配していた東部ドネツクで、防衛相の役割を担っていた。本人は事件への関与を否定している。
? セルゲイ・ドゥビンスキー――ロシア参謀本部情報総局(GRU)の職員。ロシアと定期的に連絡を取っていたギルキン容疑者の代理役だった。
? オレグ・プラトフ――GRU特別部隊の元兵士。ドネツクで諜報部門のナンバー2だった。
? レオニド・ハルチェンコ――唯一のウクライナ人。ウクライナ東部で反政府の戦闘部隊を指揮していた。
捜査チームの主張
JITは、ロシアを旅客機撃墜に直接結び付けてはいないものの、盗聴された電話の音声では、被告4人のうち2人とやりとりを交わしていたとされる。
この電話音声では、MH17便についての言及は確認できない。しかし、JITはロシア政府当局者は地上で何が起きているかを把握していて、ウクライナの親ロ派が一方的に独立を宣言したドネツク人民共和国(DPR)における「行政、財政および軍事問題」に影響を与えていたと考えている。
JITは捜査の結果、撃墜に使われた地対空ミサイルは、ロシア南西部クルスクの同軍第53旅団からウクライナ東部に運び込まれたとしている。
Image captionMH17便の航路。オランダのアムステルダムを2014年7月16日の午前10時31分に離陸した飛行機は、同午後1時20分にウクライナのドネツク近郊で交信したのを最後に墜落した
ロシアが装備品準備か
JITは、ロシア連邦保安局(FSB)が、ウクライナの反政府勢力に対し、盗聴されない電話などの装備品を用意したとみている。
セルゲイ・ドゥビンスキー氏は、セミョノフという名前の人物への電話で、「これは特別な電話で、買うことはできない。モスクワから手に入れた。FSBを通じてね」と述べたとされる。
電話の内容は
DPR指導者は誰かに指示されたものではなく、自発的に行ったと主張しているが、JITは複数の証人から、ロシア政府による指示があったとの証言を得たという。
JITによると、DPRの元トップ、アレクサンドル・ボロダイ氏は電話で、「私は、命令を実行し、ただ1つの国家であるロシア連邦の利益を守っている。それが最終的に重要なことだ」と述べたという。
事件6日前の携帯電話でのやりとりを盗聴したとされる音声では、ボロダイ氏とスルコフ元副首相が、ロシアの軍事支援について相談していたとされる。
(英語記事 'Russia directed rebels' accused in MH17 disaster)
関連トピックス
? ロシア
? 政治
? マレーシア
? 航空
? 航空事故・異変
? アジア
この記事を共有する 共有について
? Email
? Twitter
? Facebook
? Messenger
? Hatena
? Mixi
トップに戻る
この話題についてさらに読む
?
マレーシア機撃墜、ロシア当局者ら4人起訴へ マハティール首相「ばかげている」
2019年06月21日
?
マレーシア航空MH17便撃墜のミサイルはロシア軍所有=調査担当者
2018年05月25日

?
Video MH17墜落はミサイルの撃墜と安全委 親ロシア派の反応は?
2015年10月16日

?
ウクライナで墜落のMH17、原因はミサイルとオランダ当局
2015年10月14日

?
Video マレーシア航空機墜落――オランダ安全委の調査で分かったこと
2015年10月14日

?
米政府、ウクライナへの武器供与を検討=特使
2017年07月25日

?
Video ウクライナ東部で戦闘再燃 通勤バスの周りで銃撃
2017年02月2日

?
Video 緊張高まるロシア・ウクライナ関係 クリミア半島近くの検問所で
2016年08月15日

?
ロシア ウクライナが「クリミアに侵入」と非難
2016年08月11日

?
プーチン露大統領、14年に旅客機撃墜を指示と明かす
2018年03月12日

https://www.bbc.com/japanese/50429061

 

ロシア政界の重要人物が語る日ロ交渉の行方[2019/11/17 20:30]
Play Video
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000169379.html

 BS朝日「日曜スクープ」は、ロシア連邦院のコンスタンチン・コサチョフ国際問題委員長の来日に合わせて独自にインタビュー取材しました。ロシア外交の“論理”を発信してきた重要人物です。日ロ首脳間で「日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速」と合意してから1年。コサチョフ委員長は日ロ関係の進展を強調しつつもINF(中距離核戦力)全廃条約を破棄した米国の動向には懸念を示しました。コサチョフ委員長発言の動画、全編を前編・後編に分けてお届けします。

(C) CABLE NEWS NETWORK 2019

https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000169379.html

 

?【独自】ロシア重要人物インタビュー1米国への懸念
ロシア重要人物インタビュー1米国への懸念[2019/11/17 20:30]
Play Video
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000169380.html

 BS朝日「日曜スクープ」は、ロシア連邦院のコンスタンチン・コサチョフ国際問題委員長の来日に合わせて独自にインタビュー取材しました。INF(中距離核戦力)全廃条約は今年8月、米国が主導する形で失効しました。ロシア連邦院のコサチョフ国際問題委員長は、米国が中国を念頭に「アジアに中距離ミサイルを配備しようとしている」と指摘。「ロシアにとって脅威になり得る」として、米国の中距離ミサイルが配備される国は「報復攻撃の標的となり得る」「配備を受け入れた国は、それがもたらす結果も理解すべきだ」と懸念を示しました。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000169381.html


?【独自】ロシア重要人物インタビュー2日本への期待
ロシア重要人物インタビュー2日本への期待[2019/11/17 20:30] 
 
 BS朝日「日曜スクープ」は、ロシア連邦院のコンスタンチン・コサチョフ国際問題委員長の来日に合わせて独自にインタビュー取材しました。安倍総理大臣とプーチン大統領が「平和条約交渉の基礎」と合意した、1956年の日ソ共同宣言は「平和条約締結後、色丹島と歯舞諸島を引き渡す」とされています。このため、「2島返還」論が取り沙汰されましたが、ロシア連邦院のコサチョフ国際問題委員長は「日本政府が4島返還から2島返還に方針を変更したとは理解していない」と指摘。日本政府が方針変更を明確にした時は「我々は協議する準備がある」と発言しました。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000169381.html

http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/749.html

[国際27] 習近平氏「容赦するな」 ウイグル族弾圧の内部文書 NYタイムズ報道 「中国式統治」で正当化 香港弾圧、監視強化―習指導部 香港の「高度な自治」縮小へ 〜共産党、締め付け強化

習近平氏「容赦するな」 ウイグル族弾圧の内部文書 NYタイムズ報道
会員限定有料記事 毎日新聞2019年11月17日 20時37分(最終更新 11月17日 21時23分)

観光名所「国際大バザール」内にかけられる赤ちょうちん=中国新疆ウイグル自治区ウルムチ市で2019年6月24日、工藤哲撮影
 中国新疆ウイグル自治区で多数のウイグル族らが「再教育施設」で強制収容されているとされる問題で、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は16日、収容者の家族に対する想定問答集や習近平国家主席(共産党総書記)による非公開演説の記録など24件で計403ページに上る内部文書を入手したと報じた。内部文書は中国政府がイスラム教徒のウイグル族らを危険視し、徹底的な思想教育に取り組んでいることを改めて示している。

 同紙は「収容について、指導者に過ちの責任がある」と考える中国政界関係者から文書の提供を受けたと説明…
https://mainichi.jp/articles/20191117/k00/00m/030/175000c

ウイグル人に「情け容赦は無用」、中国政府の内部リークで新事実明らかに 米報道
2019年11月17日 20:59 発信地:北京/中国 [ 中国 中国・台湾 米国 北米 ]
このニュースをシェア
ウイグル人に「情け容赦は無用」、中国政府の内部リークで新事実明らかに 米報道? 1/3 ?? ?
中国・新疆ウイグル自治区カシュガルで、モスクでの礼拝を終えたウイグル人らを見張る警察官(2017年6月26日撮影)。 

中国・新疆ウイグル自治区アクトにある、再教育施設とされる建物(2019年6月4日撮影)。(c)GREG BAKER / AFP
【11月17日 AFP】中国・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)の少数民族ウイグル人に対する弾圧の新たな事実が、中国政府関係者が米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)にリークした大量の内部文書によって明らかになった。NYタイムズ(New York Times)が16日付の紙面で報じた文書によれば、習近平(Xi Jinping)国家主席はウイグル人の取り締まりに「情け容赦は無用」とハッパを掛けていた。

 文書には、習主席のこれまで非公開だった演説の内容や、ウイグル人監視や支配に関する報告が含まれている。NYタイムズに文書をリークしたのは、中国政界既成勢力の匿名の人物。リークによって、習主席を含めた政権幹部らによる「ウイグル人大量拘束の責任回避」を阻止したかったという。

 人権団体や国外専門家らによるこれまでの指摘によれば、ウイグル自治区には多数の収容施設が各地に設けられ、ウイグル人を中心としたイスラム教徒100万人以上が拘束されている。

 中国共産党は米国など国際社会が批判を強めているウイグル人弾圧をひた隠しにしてきたが、今回、NYタイムズが入手した403ページの内部文書によって、これまで知られてこなかった弾圧の実態があらわになった。 

 文書によれば、習主席は2014年にウイグル自治区の鉄道駅で31人が死亡したウイグル人による無差別攻撃事件の後、当局者を対象にした演説で、「独裁の仕組み」を活用して「テロリズム、侵入、分離独立」に対する「情け容赦は無用」の全面闘争を指示している。

 2016年に陳全国(Chen Quanguo)氏がウイグル自治区の新たな党書記長に就任すると、収容施設の数が急速に拡大。陳氏はウイグル人弾圧を正当化するため、2014年の習主席の演説内容を自治区当局者らに配布し、「拘束すべき者たちを一網打尽にせよ」と促していた。
 
 また、文書によれば、中国政府は自治区に帰省したウイグル人学生らが家族が行方不明、または施設に収容されたなどと知った場合の問い合わせに対する想定問答集も作成。当局者らはこうした学生に対して、家族は「過激思想ウイルス」に感染したため、軽い病が深刻化しないうちに治療が必要だと説明するよう指導されていた。

 さらに、党内にはウイグル人弾圧を不服とする者もいることが、文書からうかがえる。

 ウイグル自治区莎車県の責任者だった王勇智(Wang Yongzhi)氏は、収容施設に拘束されていたウイグル人計7000人以上を自らの判断で釈放したが、党の指示に背いたとして2017年から18年に取り調べを受け、処罰対象となった。流出文書によると王氏は、大量拘束によって対立が激化してウイグル人の憎悪が深まることを恐れたと当局に供述している。(c)AFP
https://www.afpbb.com/articles/-/3255199


中国主席、「容赦するな」 ウイグル族弾圧で内部文書―米紙報道
2019年11月18日07時08分

 【ニューヨーク時事】17日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、中国・新疆ウイグル自治区のイスラム教徒の少数派ウイグル族らへの弾圧をめぐり、400ページ超に上る中国政府の内部文書を入手したと報じた。2014年春に自治区を視察した習近平国家主席は、ウイグル独立派による犯行とされた無差別殺傷事件などを受け、非公式の場で当局者らに徹底的な「対テロ闘争」を呼び掛け、「決して容赦するな」と発言したという。
【地球コラム】習近平氏の誤算、中国「強国路線」に逆風

 同紙によると、文書は中国で政治的地位にある人物が匿名を条件に提供した。この人物は、文書の公開により、習氏を含む中国共産党指導者らはウイグル族らの大規模な拘束の責任から逃れられなくなるとの期待を示したという。
 中国政府は、ウイグル族らを施設に収容し、テロや過激思想を防止する「教育」や「職業訓練」を行っていると説明している。米政府は、不当な拘束による強制収容だと非難し、中国当局者らの米国入国ビザ(査証)制限などの制裁を打ち出して圧力を加えている。今回の内部文書報道は、首脳会談を開いて成果文書に署名する方向で調整が続いている米中貿易協議の行方に影響を与える可能性もある。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019111700311&g=int


THE XINJIANG PAPERS
‘Absolutely No Mercy’: Leaked Files Expose How China Organized Mass Detentions of Muslims
More than 400 pages of internal Chinese documents provide an unprecedented inside look at the crackdown on ethnic minorities in the Xinjiang region.

BY AUSTIN RAMZY AND CHRIS BUCKLEY
NOVEMBER 16, 2019
???体中文版

HONG KONG ? The students booked their tickets home at the end of the semester, hoping for a relaxing break after exams and a summer of happy reunions with family in China’s far west.

Instead, they would soon be told that their parents were gone, relatives had vanished and neighbors were missing ? all of them locked up in an expanding network of detention camps built to hold Muslim ethnic minorities.

The authorities in the Xinjiang region worried the situation was a powder keg. And so they prepared.

The leadership distributed a classified directive advising local officials to corner returning students as soon as they arrived and keep them quiet. It included a chillingly bureaucratic guide for how to handle their anguished questions, beginning with the most obvious: Where is my family?
https://www.nytimes.com/interactive/2019/11/16/world/asia/china-xinjiang-documents.html


 

「中国式統治」で正当化 香港弾圧、監視強化―習指導部
2019年11月18日07時05分

中国の習近平国家主席=14日、ブラジリア(AFP時事) 

 【北京時事】中国の官製メディアが共産党による一党独裁体制を指す「中国の治(中国式統治)」に関する宣伝活動を活発に行っている。香港で続く反政府抗議活動の弾圧を正当化し、中国全土で最先端技術を駆使した監視システムを強化することが主眼だ。
 共産党は10月末に開いた重要会議、第19期中央委員会第4回総会(4中総会)で、自らの統治が経済発展と社会の安定を実現したとして「大きな優越性がある」と自賛した。これを受け、党機関紙・人民日報などは「中国の治」の宣伝活動を本格化。今月14日付の同紙は、共産党の指導が「『中国の治』の制度的秘訣(ひけつ)だ」と主張した。
 「中国の治」の柱の一つが、香港で実施している「一国二制度」。4中総会では、香港に高度な自治を認める「二制度」は「『一国』に従属する」と強調。「国家を分裂する行為を絶対許さない」という方針を決めた。習近平国家主席は14日に訪問先のブラジルで「香港で続く過激な暴力犯罪行為は、『一国二制度』への重大な挑戦だ。秩序の回復が最も差し迫った任務だ」と語り、デモ隊に対する強硬姿勢を鮮明にした。
 「中国の治」には「科学技術に支えられた社会統治システム」も含まれる。4中総会の決定には、人工知能(AI)をはじめとする最新技術を活用した「行政管理」や「治安対策の強化」が明記された。すでに中国内ではAIと連動した無数の監視カメラが設置されており、少数民族や民主活動家に対する監視や弾圧が一層厳しくなりそうだ。
 米人権団体フリーダムハウスが2018年に公表した報告書によると、中国の監視システムはジンバブエやルワンダなど18カ国に輸出されている。「中国の治」は、日本や欧米のような民主主義とは明らかに異なるが、「独裁を目指す指導者の手本」(外交筋)として世界に広がっている実態は否めない。

【国際記事一覧へ】 【時事ドットコムトップへ】
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019111700232&g=int


 

【中国ウォッチ】香港の「高度な自治」縮小へ 〜共産党、締め付け強化の方針決定〜
2019年11月17日18時00分

デモ隊に対して催涙弾を発射する香港の警官=2日【AFP時事】
デモ隊に対して催涙弾を発射する香港の警官=2日【AFP時事】

 中国共産党は今年の最重要会議である中央委員会総会で、一国二制度を適用されている香港特別行政区の「高度な自治」を事実上縮小する方針を打ち出した。中央委は、中国側の香港に対する「全面的統治権」行使を拡大する方針を決定。デモを続ける香港の反対勢力への締め付けを強化するとともに、習近平国家主席(党総書記)率いる中国指導部の意向を香港政治により強く反映させる仕組みをつくり上げる狙いがあるとみられる。

◇中央の「全面的統治権」強調

 中国共産党は10月28日から31日にかけて、第19期中央委第4回総会(4中総会)を開き、最終日に「中国の特色ある社会主義制度の堅持と改善、国家統治体系と統治能力の現代化推進における若干の重大な問題に関する決定」を採択した。

 「決定」は党中央委の採択文書としては珍しく、香港などの一国二制度について詳しく言及し、「『一国』を必ず堅持することは『二制度』の前提・基礎であり、『二制度』は『一国』に従属し、そこから派生するものであって、『一国』の中に統一される」と主張。さらに「『一国二制度』のデッドライン(許容限界線)に挑戦する行為はどんなものであっても絶対に許容しないし、国家を分裂させる行為はどんなものであっても絶対に許容しない」とした上で、以下の方針を示した。

 香港とマカオの両特別行政区を対象としているが、マカオは反対勢力がほぼ皆無なので、事実上は専ら香港が対象だ。なお、ここで言う「中央」とは、党中央の指導下にある中央政府や全国人民代表大会(全人代=国会)などの中央国家機関を指す。

 (1)愛国者を主体とする「香港人による香港統治」「マカオ人によるマカオ統治」を堅持する。

 (2)中央が(中国)憲法と(香港・マカオ)基本法に沿って特別行政区に対して全面的統治権を行使する制度を整備する。

 (3)中央の特別行政区行政長官・主要当局者の任免制度とメカニズム、(基本法で規定された)全人代常務委の基本法解釈制度を改善し、憲法と基本法が中央に与えた各種の権力を法律に沿って行使する。

 (4)特別行政区で国家の安全を守る法律制度と執行メカニズムを構築、整備する。

 (5)行政長官が中央政府に責任を負う制度を整備する。

 (6)香港・マカオ社会、特に公職者と青少年の憲法・基本法教育、国情教育、中国史・中華文化教育を強化し、香港・マカオ同胞の国家意識と愛国精神を強める。

 (7)外部勢力が香港・マカオの問題に干渉し、分裂・転覆・浸透・破壊活動を行うのを断固として防ぎ、抑え込む。

◇政治活動規制の立法へ

 (1)の「愛国者」は親中派を指す。つまり、非親中派(民主派など)が長官になったり、立法会の過半数を非親中派が占めたりすることを認めない方針は不変で、習政権1期目だった2014年の雨傘運動(道路占拠運動)の時と同様、いわゆる「真の普通選挙」を導入する気はないということだ。

 (2)の「中央の特別行政区に対する全面的統治権」は14年、中国政府が香港白書で初めて提起した概念で、基本法には書かれていない。これが法律の上位にある党中央の重要文書に明記されたことで、一国二制度の枠組みは基本法を改正しないまま、一国を強め二制度を弱める形で実質的に修正されたと言ってよい。

 (1)と(2)の基本方針に沿って、取り組むべき課題(3)〜(7)が示された。

 (3)は、中央が香港に統治権を振るいやすくするため、長官人事に対する中央の影響力や基本法解釈の権限を持つ全人代常務委の香港に対する司法介入を拡大するということであろう。

 筆者は数年前に香港で、香港を担当する中国当局者が「香港行政長官は中央による任命制にすべきだった」と言うのを聞いたことがある。もちろん、これは非現実的だが、香港各界を代表して長官を選ぶ選挙委員会(1200人)の構成を変えて、中央の指示が確実に実行されるようにすることはあり得る。

 選挙委員はこれまでも大半が親中派だったが、委員の選出方法を変更(改悪)して、民主派を排除したり、親中派の中でも必ずしも習政権に従わない財界系の委員を減らして忠実な左派政党・団体系の委員を増やしたりすることができれば、中央の「全面的統治権」はより行使しやすくなる。

 (4)は明らかに、香港基本法23条に基づく「反逆」「国家分裂」「外国政治組織との連携」などの政治活動禁止を指す。董建華初代長官は03年、23条に従って国家安全条例を制定しようとしたが、民主派の「50万人デモ」と親中派の一部(財界系勢力)の造反で断念してレームダック(死に体)化し、05年に任期途中で退陣に追い込まれた。
握手を交わす中国の習近平国家主席(右)と林鄭月娥香港行政長官=5日【AFP時事】
握手を交わす中国の習近平国家主席(右)と林鄭月娥香港行政長官=5日【AFP時事】


 一方、中央にとって優等生のマカオは09年、同種の立法を完了し、18年には「習主席の『総体的国家安全観』という重要思想を貫徹するため」と称して、国家安全保障委員会を設立した。(4)は要するに「香港はマカオに学べ」ということであろう。

 また、香港基本法18条によると、香港で「動乱」などが起きて「緊急事態」が生じたと全人代常務委が認定すれば、中国の特定の法律を香港域内に適用することが可能になる。社会主義体制である中国の治安関係法規は反政府運動の弾圧には極めて有用だろうが、こうなると、一国二制度はもはや有名無実となる。

◇「外部勢力」の影響排除

 香港基本法43条は、長官は中央政府に責任を負うと規定しており、(5)はそれに関連する制度の整備を指す。「高度な自治」という建前があるので、中央が日常的に長官を指揮することは考えにくいが、長官から中央への報告や中央から長官への指示を増やすことを想定しているとみられる。

 中央政府は今年2月、香港政府に対し、「香港民族党」の活動禁止に支持を表明した上で、この問題に関して報告を求める異例の「公式書簡」を送った。こうしたケースが今後増加し、制度化されていく可能性が高い。

 (6)は、12年に香港政府が導入を断念した「国民教育」の復活だ。多くの香港人、特に若者たちが日米欧の先進諸国に親近感を持つ一方で心理的に「中国」と距離を置きたがるのは、中国の政治制度や歴史・文化がいかに素晴らしいかをこれまでの教育が十分に教えてこなかったからとの認識を前提としている。「香港人も中国人なのだから、中国人らしく振る舞え」「経済規模が世界2位になった偉大な祖国を誇りに思え」ということだろう。

 (7)の「外部勢力」は主に米国を意味する。中国側は、香港で起きる大規模な街頭運動の背後には米国の反中勢力がいると思い込んでおり、中国の一部である香港が反中・反共基地になることを恐れている。(4)の立法が実現すれば、香港政府は「外部勢力」との結託を理由に反政府運動に対する規制を強化できる。

 香港政府はこれまで、中央からの指示または圧力を受けて、国家安全条例制定、国民教育導入、民主派を排除する長官「普通選挙」導入、中国公安当局の香港介入を可能にする逃亡犯条例改正を試みて、ことごとく失敗した。さらに、デモ取り締まりのため、英領時代から悪法の典型として知られた超法規的な緊急状況規則条例(緊急条例)まで持ち出して、大きな反発を招いた。いずれも香港人の政治意識や感情を無視した強硬路線の結果なのだが、4中総会の「決定」はこの路線を強化するもので、火に油を注ぐことになる可能性が高い。

 中国国務院(内閣)香港・マカオ事務弁公室の張暁明主任(閣僚級)も11月9日、「決定」を補足する論文を発表し、23条立法や「国民教育」の必要性を明確に指摘。特別行政区に関して、中央は基本法に明記された外交・国防などの権限以外に「制度創設権」「(長官人事など)政府の組織権」「高度な自治に対する監督権」「長官に対する指令権」を持っており、これらの制度化が必要だと主張した。

◇対応能力欠く習政権

 香港の政治勢力は普通、民主派対親中派という構図で語られることが多い。ただ、厳密に言えば、雨傘運動をきっかけに民主派から分離する形で本土・自決派(本土派と自決派)と呼ばれる新興反中勢力が台頭。この勢力は「一つの中国」に反対もしくは懐疑的という点で、「一つの中国」の枠内で民主化を目指す伝統的な民主派と大きく異なる。

 また、民主派は基本的に非暴力主義の対話路線だが、本土・自決派(特に本土派)は警官隊との衝突も辞さない街頭行動を重視する。いわば「香港民族主義者」である本土派は中国ではなく香港を自分たちの「本土」と見なして、組織によっては香港独立を主張。民族主義というより民主主義の徹底を追求する自決派は香港の「民主自決」を唱える。

 したがって、中国側が今やるべきなのは、左派と財界から成る親中派を団結させると同時に、非親中派をなるべく分断して相対的に穏健な民主派を引き寄せることだが、習政権がやっていることは全く逆だ。

 習政権が擁立した親中派の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は過度に強硬なため、本来反りが合わない民主派と本土・自決派が共闘する状況を自らつくり出してしまった。

 なお、流ちょうな日本語を話すことから日本で有名になった香港の政治活動家、周庭(アグネス・チョウ)氏は日本メディアで「民主の女神」と呼ばれることがあるが、実際には彼女は上記の区分で言うと、民主派ではなく自決派に属する。雨傘運動当時は政治団体「学民思潮」の主要メンバー(運動の途中まで広報担当)だったことから、「学民の女神」として知られた。その政治的同志が雨傘運動のリーダーとなった黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏である。

 また、習政権と林鄭氏は親中派をまとめることすらできない。逃亡犯条例改正のように、香港の国際金融センターとしての地位と機能の前提である法治を揺るがす施策は、親中派の財界勢力を不安にさせた。香港財界人の筆頭格で親中派の最有力人物である李嘉誠氏は若者の抗議活動に同情的な発言をしたため、今や中国公式メディアの批判の対象になっている。

 中国共産党はもともと、同党以外の政治勢力を取り込む統一戦線にたけていた。例えば、胡錦濤政権は10年の香港立法会(議会)選挙制度改革をめぐる駆け引きで民主派の分断に成功。この時の制度改革案は立法会で穏健民主派の賛成を得て、可決・成立している。

 これに対し、習政権は統一戦線が下手というより、そもそも人に上から命令したり脅したりするだけで、統一戦線の戦術を駆使して相手を引き寄せようという気はさらさらないようだ。こうした態度は、個人独裁と大国主義を好む習氏個人の考えを反映したものであろう。

 政治的自由を長年享受し、経済発展や法治の水準が先進国並みに高い香港の人々に対し、経済の発展段階がまだ中進国レベルで独裁体制下にある中国流の考えを押し付けるのは無理がある。

 習政権が強硬一点張りで4中総会の「決定」を実行していけば、香港は表面的な「中国化」とは裏腹に精神面の中国離れがさらに進み、その統治はますます困難を増していくと思われる【解説委員・西村哲也】。

【国際記事一覧へ】 【時事ドットコムトップへ】
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019111401017&g=int
http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/750.html

[国際27] 止まらない世界の「都市化」、エネルギー消費急増に懸念 カナダで新たな分離独立運動、背景に「温暖化」
コラム2019年11月17日 / 08:17 / 1日前

止まらない世界の「都市化」、エネルギー消費急増に懸念
John Kemp
3 分で読む

[ロンドン 13日 ロイター] - 過去40年にわたる中国の都市化は、人類史上最大の民族大移動と表現されてきた。なにしろ数億人もの人々が村から街、そして巨大な都市へと移り住んだのである。

この人口移動に伴い、労働生産性と家計所得が大幅に上昇する一方で、中国は世界最大のエネルギー消費国へと変貌した。

もっとも、都市化は世界的な現象でもある。世界銀行のデータによれば、世界の総人口のうち、村落地域に暮らす人々の比率は1960年代初頭の3分の2から、昨年は45%まで低下している。

高所得国では例外なく都市化率が高い。都市化とエネルギー消費の増加、所得の上昇は歩調を合わせて進行する。

都市化によって地方の余剰労働力が吸収され、農地をより大規模で効率的な単位に再編しやすくなり、村落地域の生産性が向上する。

また、これまでより大規模な市場を生み出すことから、いっそう複雑な製造業・サービス業の発展が可能となり、都市の生産性はさらに向上する。

中国は恐らく、過去に先進諸国が歩んできた都市化の過程(国際連合「都市・村落の人口増大パターン」、1980年)を半分ほど進んだ段階にある。

中国に続いて、やはり多くの人口を抱え、急速に成長しつつある他の開発途上国が同じ都市化のプロセスに入りつつある。

こうした国々が中国同様、大規模な都市化への道を歩むなかで、国民1人あたりのエネルギー消費量も大きく増大しようとしている。

<中国の「民族大移動」>

中国の国家統計局によれば、この国の村落人口は1995年に8億6000万人でピークに達し、2017年までに5億7700万人まで減少した。

同じ時期、都市人口は3億5200万人から8億1300万人へと増えた。増加率は年平均3.9%になる。

中国では20世紀半ばから都市化がゆっくりと進んでいたが、1978年以降、改革・開放路線の開始とともに顕著に加速した。

それでも、2017年時点で人口の41%は村落地域で暮らしており、この比率は米国(17%)、英国(17%)の2倍以上である。

中国の現在の都市化水準は、米国勢調査局のデータと突き合わせると1950年代の米国とほぼ同じである。

経済開発協力機構(OECD)加盟国と同じ道をたどると想定すると、中国の都市化は今後20─30年は続く可能性が高い。

中流階級の水準に達する家計が増えるにつれて、都市化のプロセスにより今後も国民1人あたりのエネルギー消費量は大きく伸びていくだろう。

<エネルギー消費量の増加>

最近の歴史的な事例すべてにおいて、都市化と経済発展のプロセスに伴い、国民1人あたりのエネルギー消費量は大幅に増加している。

都市中心部の人口密度が高まることで、たとえば公共交通の利用増大や、より小規模でコンパクトな住居の利用促進などにより、エネルギー消費が減少する場面もあるだろう。

だが、人口密度の高まりと都市化によって生産性が上がると所得をが増え、冷暖房や照明、動力、交通などのエネルギー関連サービスへの総需要が増大する。

どの例を見ても、都市化の進行と、それに伴う可処分所得の多い中産階級の世帯数増加によって、正味のエネルギー消費は大きく増大する結果となっている。

さらに、人口密度の高まりと市場の集中化によって、ますます多様化するエネルギー集約型の財・サービスを提供しやすくなり、これが総エネルギー消費を引き上げる傾向もある。

1978年の改革開放路線の開始以来、中国国民1人あたりのエネルギー消費量は年4%以上のペースで増大している(世界銀行「世界開発指標」、2019年)。

蘭州大学の研究者によれば、2000年から07年にかけて、村落地域から都市地域に1人移住するごとに、年間の国民1人あたりエネルギー消費量は石炭換算で1000キロ以上増えた計算になるという(「中国の都市化における家計のエネルギー消費量及び炭素排出量に関する調査」 、2011年)。

中国の都市化が続くことで、今後数十年にわたり、国民1人あたりのエネルギー消費量は大きく増大する可能性が高い。

<中国以外の都市化はどうか>

インドの総人口に占める村落人口の比率は、1980年代の80%に比べれば低下しているとはいえ、依然として67%と高い。中国に比べれば都市化は大幅に遅れており、1880年代の米国とほぼ同じ水準だ。

中東・北アフリカ(35%)、サブサハラ・アフリカ(60%)、中央アジア(40─70%)、インドを除く南アジア(60─80%)、東南アジア諸国(25─65%)も、村落人口の比率が比較的高くなっている。

中国とOECD諸国の経験が参考になるとすれば、これらの地域・国でも、21世紀中盤を大きく過ぎても都市化が続く可能性が高い。

これはつまり、開発途上国でエネルギー消費量が大幅に増加することを意味する。だからこそ、今世紀半ばまでにあらゆる資源の消費量が増加するとみられているわけだ。

エネルギー需要の増大によって、化石燃料、クリーンエネルギーいずれも消費が増える。需要に応えるには巨額の投資が必要になる。そして二酸化炭素排出量の目標達成は非常に困難になる。


米政府、ファーウェイ禁輸猶予措置を2週間延長へ=関係筋
Reuters Staff
1 分で読む

[ワシントン 15日 ロイター] - 関係筋によると、トランプ米政権は、米企業に対し、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]との取引継続を認める措置を2週間延長する見通しだ。

同措置は前回90日間延長されており、今回はかなり短期の延長となる。より長期の延長に向け作業が進められているものの、規制面の問題などで確定していないという。

米商務省は5月にファーウェイを安全保障上の懸念がある企業リストに追加し、同社に対する事実上の禁輸措置を決定。その後、地方のネットワーク事業者などファーウェイの顧客への影響を考慮し、同社が一部の米製品を購入することを認めた。

関係筋によると、2週間の延長は現行の猶予期間が切れる18日に発表されるという。

ファーウェイの広報担当者は、うわさや憶測にはコメントしないとした。米商務省はコメントを控えた。

ロス商務長官は15日、FOXビジネス・ネットワークに対し、地方のネットワーク事業者は3Gと4Gネットワークでファーウェイに依存しており、一時的な猶予措置が必要だと指摘した。

商務省は、ファーウェイへの部品売却を認めるライセンスの申請が200件を超えていることを受け、米企業に対し個別にライセンスを付与することも検討している。
(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/global-energy-kemp-idJPKBN1XP0VJ



コラム2019年11月17日 / 08:17 / 1日前
コラム:カナダで新たな分離独立運動、背景に「温暖化」
Rob Cox
4 分で読む

[モントリオール 12日 ロイター BREAKINGVIEWS] - カナダのケベック州モントリオールで今年11月9日、地下鉄プラス・デ・ザール駅のプラットホームにおいて不愉快な事件が発生した。南アジア系の女性がドミノピザの箱を抱えて乗り込んだところ、1人の男性が箱をたたき落とし、ピザが地下鉄車両の床にぶちまけられたのだ。

女性は怒りの声をあげたが、脱色して黄色に見える髪の男性は彼女に向かって中指を立てるしぐさを示し、出口へと急いだ。女性の表情は、驚愕から恐怖へと変わっていった。

「大丈夫ですか、知っている人ですか」との問いに、彼女は震えながら「いいえ、会ったこともありません」と応じた。

この事件はもちろん、少なくとも部分的には人種差別によるものだ。ショックなのは、それが予兆もなく不意に発生したということだけが理由ではない。世界に対して、とりわけ移民や難民に開放的であるという点で、他の民主主義諸国よりも先を行くカナダという国で起きたことが何よりも衝撃的なのだ。

同じ日、カナダで最も有名なホッケー解説者ドン・チェリー氏が、同国にやってきた新しい移住者は戦没者記念日の追悼の印として着用する赤いポピーの花を数ドル払って購入すべきだ、と示唆する発言をした。2日後、彼はテレビ番組「ホッケー・ナイト・イン・カナダ」の司会を降板させられた。

<息吹き返したアルバータ州の動き>

いくつかのエピソードだけで国全体を語ることはできない。だが、そこに現在のカナダの分裂状況が反映されていないとは考えにくい。

いま、同国では、エネルギー資源が豊富なエネルギー資源を持つアルバータ州と穀倉地帯であるサスカチュワン州を中心としたカナダ西部諸州で分離独立の動きが高まっている。いわゆる「ウェグジット(WEXIT)」を支持する人々が掲げる要求の1つが、移民流入の抑制だ。

しかし、彼らのより大きな不満は「経済」に対するものだ。ジャスティン・トルドー首相のもとで連邦政府が進める地球温暖化への取り組みに対し、石油資源に依存する州民の反発が強まっている背景もある。

カナダが国家分裂の試練を経験するのは初めてではない。ケベック州の分離独立に向けた動きは、1995年の住民投票において僅差で却けられた。アルバータ州でも、1905年に州となって以来、エネルギー政策や税制に関連して、繰り返して分離独立の問題が持ち上がっている。アルバータ州出身のスティーブン・ハーパー首相が政権を握っていた時期には同州の分離独立運動は沈静化していたが、トルドー政権になってから、その動きが息を吹き返した。

先週発表されたイプソスによる世論調査によれば、分離独立する方がアルバータ州は豊かになると考える住民は、わずか1年強前の25%に対し、現在は3分の1に達している。

<独立すれば世界最悪の環境汚染国に>

主な争点はカナダのエネルギー政策、より具体的にはアルバータ州で産出するタールサンドである。州政府によれば、石油埋蔵量としてはベネズエラ、サウジアラビアに次ぐ世界第3位の規模だという。関連の産業は、2017─18年に14万人を雇用し、ロイヤルティ収入として26億カナダドルを生み出した。ただし厄介なことに、タールサンドからの石油抽出には高いコストがかかる。輸送費を考え合わせれば、タールサンドは大規模なエネルギー資源としては世界で最も効率が悪いとも言える。

その上、さらに、有害物質の発生という問題がある。タールサンドからビチューメン(瀝青、超重質油)を抽出するには、実質的に、熱湯と化学物質によってタールサンドを溶かすことになるが、これによって有害な残留物が生じる。国家資源防衛委員会は、「抽出から廃棄物貯蔵に至るまで、タールサンドによる石油生産プロセスは悲惨な状況を生み出している」と主張している。

カナダ・グローバル・ニュースが引用する2019年版「ワールド・ポピュレーション・レビュー」によれば、結果として、アルバータ州は住民1人あたり62トンの二酸化炭素を発生させたことになる。これに対し、サウジアラビア国民は1人あたり約17トン、米国民は1人あたり16トンである。この指標で見れば、アルバータ州が分離独立すれば、住民1人あたりの環境汚染が最悪の国ということになってしまう。

それでも、政党化をめざす「ウェグジット・カナダ」の指導者ピーター・ダウニング氏は怯まない。英国のブレグジット(欧州連合からの離脱)運動のリーダー、ナイジェル・ファラージ氏のカナダ版とも言えるダウニング氏は、ウェグジット・カナダ政党は、アルバータ州だけでなく、サスカチュワン州、マニトバ州、さらにはブリティッシュ・コロンビア州の一部からも支持を得られるはずだと話している。

イプソスの世論調査によれば、フランス語圏であるケベック州では今も分離独立に26%の支持が集まるが、アルバータ州以外におけるウェグジット運動への支持は、実のところサスカチュワン州で1年前の18%から27%に上昇したのが目に付く程度だ。

今のところ、マニトバ州やブリティッシュ・コロンビア州では支持は広がっていない。

<石油産業とどう生きるか>

アルバータ州のジェイソン・ケニー首相は先週、州内の対立を意識し、連邦政府からの権限回復の道を探る組織として「フェア・ディール・パネル」を創設した。検討の内容としては、カナダ年金制度からの離脱、州警察部隊の創設、エネルギーセクター規制やトランスマウンテン・パイプライン拡張工事の延期といったトルドー政権に対する反撃などが考えられる。

ケニー州首相は連邦主義者を自称している。とはいえ、連邦政府や、トロントやモントリオールのいわゆる「東部エリート」に対する怒りの噴出を抑えつつ、オンタリオ、ケベックというカナダで最も人口の多い州と反目せずにいるというのは容易ではなかろう。

ダウニング氏は、フェイスブック内で26万5000人のフォロワーを抱える「VoteWexit(ウェグジットを支持しよう)」と題するページで、ケニー首相の「パネル」に関して、先行きは困難であるという見通しを示した。「トルドー首相はアルバータを破壊する構えだ。それなのにケニー氏は、この先6カ月じっくりと研究すると言う。問題を解決するのは分離独立だけだ」。

結局のところ、この議論は、カナダ国民が自らの経済的将来についてどう考えているかという点に帰着する。石油資源の抽出が地球温暖化の元凶だとされる時代にあって、石油産業とカナダはどうやって繁栄していくのか。

化石燃料の利用を削減したいと政府が考えるならば、その移行を穏やかなものにするような経済的解決を見出さなければならないだろう。イプソスの世論調査によれば、アルバータ、サスカチュワン両州住民の過半数は、連邦から公平な分け前を得ていないと考えているが、恐らくそうした見方を覆すような解決策が必要だろう。

海面の上昇が沿岸部の土地を侵食していくような温暖化が進む未来において、ロシアに次いで世界第2位の面積を持つ国土にわずか3800万人が暮らすカナダが活気ある経済を維持していれば、ほぼ確実に、移民の流入を促すことになる。モントリオール地下鉄の1件でも分るように、移民の流入はすでに対立の原因となっているが、それがはるかに大きなものになりかねない。

カナダやその南に接する米国のように、まだ歴史が新しい国々が小規模な主権国家に分裂していくかもしれないという予測は、ひどく極端なものに思えるかもしれない。だが、気候変動の影響は国家の存亡にも関わる課題となり、友好的な隣人同士を容易に分断してしまう可能性がある。アルバータ州の動向からは今後も目が離せない。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/canada-politics-breakingviews-idJPKBN1XO0QR

http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/752.html

[政治・選挙・NHK267] 桜を見る会、夕食会費の明細「ない」800人が参加―安倍首相 亀井静香氏、安倍長期政権に「『晋三もう辞めろ、オレがやる』ってヤツがいないから」 ボリビアに見る権力という「人間のさが」長期化すれば腐敗する
桜を見る会、夕食会費の明細「ない」 800人が参加―安倍首相
2019年11月18日11時50分

記者団の質問に答える安倍晋三首相(左)=18日午前、首相官邸
 

 安倍晋三首相は18日午前、首相主催の「桜を見る会」の前日に地元支援者を招いて開かれた夕食会の会費などを示す明細書について、「そうしたものはない」と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。
【図解】「桜を見る会」問題の主な論点

 首相は、夕食会の参加者数を「約800人」とした上で、その多くが翌日の桜を見る会に出席したと説明。夕食会の会費や参加者の旅費、宿泊費は「安倍事務所にも後援会にも入金はないので、領収書を発行してもいない」と強調した。
 野党が国会での説明を求めていることについては、「国会対応は党に全て任せている」と述べるにとどめた。

【政治記事一覧へ】 【時事ドットコムトップへ】
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019111800261&g=pol

 


 
亀井静香氏、安倍長期政権に「『晋三もう辞めろ、オレがやる』ってヤツがいないから」
2019年11月18日 6時0分スポーツ報知 # 社会
 
ユーモアを交えて語った亀井静香元衆院議員。背後に飾られているのは議員時代から趣味にしていた自作の油絵(カメラ・橘田 あかり)
 安倍晋三首相(65)の在職日数が20日に通算2887日となり、桂太郎元首相の記録を106年ぶりに塗り替えて史上最長になる。第1次政権は早期退陣し、再登板以降も現在野党から追及を受けている「桜を見る会」問題など数多くの批判を集めながら、なぜ長期政権を築けたのか―。新人議員時代の派閥の先輩で、現在も親交の深い亀井静香元衆院議員(83)は後継者の人材不足を挙げ「おチンチンついてるヤツがいない」と喝破した。

 現在も官邸や富ケ谷私邸に足を運び、電話でも安倍首相と頻繁な意見交換を続ける亀井氏は、異例の長期政権が続いている理由を極めて単純に解釈している。

 「そんなの簡単じゃん。『晋三もう辞めろ、オレがやる』ってヤツがいないからさ。単騎で駆け出す信長がいないんだ。誰か後ろをついて来てくれるかな…って気にしてるような。それじゃ天下は取れんわい」

 言われ続ける後継者の人材不足。今も「ポスト安倍」には岸田文雄政調会長、菅義偉官房長官、石破茂元幹事長らの名が挙がっているが、国民的期待を受けているとは言い難い。

 「石破にはアドバイスしてるんだけど『オレが代わる』とは、よう言わん。100%の政治家なんていないんだから、イチャモンつけてでもやらないと。みんな、おチンチンついてないんだ。こないだ晋三に聞いたら『辞めろ、と言われるのはやっぱりイヤですよ…』と言ってたぞ。小泉進次郎(環境相)は若手の中では良い方だと思うけど、まだちょっとなあ」

 党内事情の前に、野党が政権交代をうかがうような支持を集められず、国政選挙で安倍自民が大勝し続けていることが長期政権の呼び水になっていることは間違いない。

 「野党だって同じだよ。戦闘力のある激烈な政治家がいなくなったな。もちろん選挙区制度の問題とかはあるにしたって、組織に乗っかる甘ちゃんばかりで去勢された男たちだよ。女学校の方が元気あるぞ。コレ、ちゃんと書いといてくれよ」

 吉田茂首相はサンフランシスコ講和条約締結、佐藤栄作首相は沖縄返還。長期政権を築いた首相は政治史に残る実績を任期中に成している。安倍政権はどうだろう。

 「なーんもない。惰性で長くやってるだけだ。今、残っている日本の力は日本人の勤勉さで、政治の力じゃない。実現できていないことが多すぎる。憲法改正にしたって、誰でも言えるような程度の話しかしてない。で、アメリカのポチになってナメられてる。仲良くするってことはオネエ言葉で擦り寄ることじゃないんだ。フトコロに何か隠し持ってる危うさがないとダメだし、ホッペタ引っぱたきながら仲良くすればいい。将来に対しても同じだ。必ず再び大地震は起きるのに、竹細工をチョボチョボ作るレベルの防災意識しかない」

 1979年、新人自民議員の亀井氏は派閥「清和会」に入り、現首相の父・安倍晋太郎元外相を支えた。

 「晋太郎先生はあったかい人で、派閥を除名された時も『亀井君、帰ってこいよ』って戻してくれたりね。政治家としては…世界中をパーティーして回っただけで正直学ぶことはなかったけど…。晋三も同じで人はいいんだよ。いい子。本当にナイスガイだよ。でも、政治家としては別の話だ」

 晋太郎氏の死去後の93年、清和会に入った新人が安倍首相だった。

 「最初は『晋太郎先生の秘書』って印象しかなかったよ。派閥のみんなで酒を飲んでるとね、幹部たちと乾杯するために晋三は荒井広幸と組んでいつも宴会芸をやってたよ。なんかアーチェリーの真似事みたいなのをしたりさ。そんな子が今は総理だからなあ…。いい子だけど、もうひとつ頑張らにゃいかん」

(北野 新太)

 ◆亀井 静香(かめい・しずか)1936年11月1日、広島県庄原市生まれ。83歳。60年に東大卒業後、サラリーマンを経て警察庁入庁。あさま山荘事件などを担当した。77年、政治家を志して退官。79年、自民党公認で衆院選旧広島3区初当選。以降13期務め、運輸相や建設相、党政調会長などを歴任。2001年、党総裁選立候補。05年、郵政民営化法案に反対して離党。国民新党を旗揚げ。17年、政界引退。現在は太陽光発電企業「MJSソーラー」代表取締役会長。
https://hochi.news/articles/20191117-OHT1T50344.html

 


ボリビアに見る権力という「人間のさが」長期化すれば腐敗する

2019/11/16

花田吉隆 (元防衛大学校教授)

ボリビアでは大統領選直後から、選挙不正の噂が高まる
選挙監視をした「米州機構(OAS)」が不正の証拠を突き付ける
モラレスは、選挙のやり直しを決めるも、国民の怒りは収まらず
国を統治する者もそれに代わって代理統治する者もすべていなくなった
結局、権力は長期化すれば腐敗する

メキシコに亡命したモラレス前大統領(REUTERS/AFLO)
 ボリビアはさながら無政府状態に陥ったかのようだ。3週間に及ぶ国民の抗議活動の結果、ついにエヴォ・モラレス大統領が辞任、副大統領、上下両院議長もそれに続いた。治安は軍司令官であるウイリアム・カリマン将軍によりかろうじて維持されている。

 10月20日の大統領選挙直後から、モラレス氏側による選挙不正操作の噂が国内を駆け巡った。普通ではありえない数の無効投票が報告されている、ある選挙区では投票率が100%とされ投票済用紙が書き換えられているらしい、等。国内最大都市サンタクルスのルイス・フェルナンデス・カマチョ氏主導によるデモが毎日のように繰り返された。サンタクルスのデモは国内全土に波及、モラレス氏の辞任を要求していく。

 米州機構(OAS)による報告が決定的だった。OASは選挙監視要員をボリビアに派遣、その適正な執行を見守っていた。選挙が終わってからは30名余りからなる調査団も現地入りした。そのOASがついに報告書を公表、選挙における数々の不正を明らかにした。曰く、各選挙区の投票状況を記したリストが不正に書き換えられていた、選挙結果を通知する各選挙区と中央を結ぶコンピューターのソフトに不正が見つかった、等々。

 大統領選挙規定により、モラレス氏が、決選投票を経ることなく第一回投票で当選を決めるためには、第二位候補者に10ポイント以上差をつけなければならない。総投票数590万票のうち、モラレス氏は第一回投票で第二位候補者に対し10ポイントをわずかに3万5000票上回る票を得た。不正操作がなければ得票は3万5000票少なくなっていたかもしれない。

 OASが突きつけた不正操作の証拠を前に、モラレス氏に選択の余地はなかった。当初、モラレス氏は不正操作の噂を「陰謀」と片付け、それでも国民の抗議が収まらないのを見てやむなく「決選投票実施」を承諾した。しかし、事態はそれで収まるものではなかった。ついに10月10日早朝に至り、モラレス氏は「選挙自体をやり直す」ことを言明したが、これも国民の受け入れるところとはならない。ついに警察の一部まで治安維持を放棄しデモに参加しはじめた。

 国内は既にすべての機能がマヒしている。ストは全土に広がり、国内全ての経済活動が止まった。スーパーは午前中のみ営業が認められ、食料を積んだ車両がバリケードを通過していく。その他、通りを走るのは救急車や警察等、緊急車両のみだ。国民は勤務に向かう代わりに路上に出、抗議デモに加わる。とうとう軍が最後通牒を出した。これが止めとなった。軍の辞任勧告を受け、10日午後、モラレス氏は辞任を発表した。

国を統治する者もそれに代わって代理統治する者もすべていなくなった
 しかし、その辞任会見がさらに火に油を注ぐ。モラレス氏は、これ以上の流血の惨事を防ぐため大統領職を辞する、これは市民、政治家、警察によるクーデタだ、と述べた。この期に及んで自らの責任を認めることなく国民も加わったクーデタとは何事か。デモ参加者は怒りに任せ商店の破壊を繰り返していく。閣僚の多くは既に辞任、最高選挙裁判所長官も辞めた。一部裁判官は選挙結果の認定に不正があったとして警察に逮捕された。知事、市長は身の危険を感じるとし、既に何名かが職を辞した。

 つまり、ボリビアには国を統治する者もそれに代わって代理統治する者もすべていなくなった。デモ参加者は、家々に火を放ちバスや車両がそこかしこで破壊される状況だ。この先、国内の混乱をどう沈静化していくのか道筋は見えていない。とりあえず12日、上院第二副議長のヘアニーネ・アニェース氏が暫定大統領就任を宣言した。同氏の任務は90日以内に改めて大統領選挙を行うことだ。これに先立つ11日、モラレス氏は逃げるようにしてメキシコに亡命していった。

 最悪の事態といっていい。ボリビアの民主主義の歴史に汚点が刻まれた。

 モラレス氏は13年の治政で立派な業績を残した。同氏の在任の間、ボリビアのGDPは4倍に増え、国内の貧困は半減した。天然資源から上がる収益は遍く貧困層に均霑され、先住民の権利はこれまでになく拡大された。もし仮に、モラレス氏が4選を狙うことなく、3選で大統領を辞していたなら、ボリビアの偉大な大統領として歴史にその名を刻まれていたに違いない。

 しかし、モラレス氏は4選を目指した。わざわざ国民投票で4選の是非を問い、しかも、国民がノーと言ったにもかかわらず、4選禁止を定める憲法を米州条約違反として裁判所に提訴、そのお墨付きの下に4選に打って出た。挙句の果ては選挙の不正操作により、決選投票を経ることなく第一回投票で大統領当選が確定するようにした。どうしてこうまでして大統領職にこだわったか。

権力は長期化すれば腐敗する
 民主主義の下での選挙は二つの前提から成り立つ。一つは、敗者は野党に回り他日を期すということであり、もう一つは、勝者は、今日の敗者が他日勝利した時、潔く政権を明け渡すということだ。互いが選挙の結果を尊重し政権交代を保証する。それにより、敗者は、他日勝利し政権を取ることを期待し、今日安んじて野党に甘んじようとする。

 モラレス氏は今回、対立候補のメサ氏が勝利しかねないと知った時、政権を明け渡すことを恐れた。そういう事態を招かないよう不正を働いた。民主主義の基盤が脆弱な所では、一度大統領職を辞してしまうと敵対者に排斥される危険がある。大統領職にとどまることだけが身の安全を保障する。アフリカなどでまま見られるが、モラレス氏はだから権力にこだわったのか。

 しかし、ラテンアメリカでは民主主義が根付いて既に久しい。その間、ある時は左派が優位し、またあるときは右派が支配した。その移行は概して平和裏に行われた。モラレス氏だって、13年前、平和裏にメサ氏から政権を受け継いだ。今回、権力を手放したとしても他日を期すことはできたはずだ。それがなぜできなかったか。先住民出身大統領として、先住民の権利拡大や貧困撲滅は未だ道半ばであり、今ここで改革をやめるわけにはいかない、と考えたか。しかし、それは権力の執着以外の何物でもない。

 結局、権力は長期化すれば腐敗する。権力者にはおごりが生まれるし、次第に権力が集中していくとの危険もある。権力はそもそも腐敗するものだ。腐敗は権力に内在し、権力が長期化するにつれそれが表面化していく、と見るべきかもしれない。

 先人は、結局権力は腐敗するものだと諦観した上で、これを防ぐ仕組みを考えた。さしあたり権力者の任期を区切る。しかしそれだけでは足りない。結局、権力で権力を抑制する仕組みが必要だ。権力分立である。アメリカ独立の際、憲法起草者は権力の腐敗を防ぐ方法はこれしかないと考えた。ヨーロッパでも権力で権力を抑える仕組みが取り入れられた。

 今日、日本の民主主義は健全だ。選挙も正しく機能している。しかし、権力が権力により有効に抑制されているか、それは不断のチェックが必要だ。権力の抑制は制度がそうなっているだけでは足りない。実際に権力の抑制機能が働いているかどうか。知らず知らずのうちに抑制機能がマヒしていることはないか。

 日本で、野党が存在しないかのごとく弱体であり続ける現状は危険だ。権力のおごりを防ぐためにも、また、権力の集中を防ぐためにも、健全な野党の育成こそが今の日本に求められる。

 権力は腐敗する。人間はそういう歴史を繰り返してきた。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/17910

http://www.asyura2.com/19/senkyo267/msg/442.html

[国際27] 選挙の構図変えたウクライナ疑惑、民主本命に陰り、トランプは安定 米議会「弾劾」公聴会=与野党が世論誘導で激しい攻防 テレビ視聴者は伸び悩むも、弾劾支持者は増加
 
 
選挙の構図変えたウクライナ疑惑、民主本命に陰り、トランプは安定

2019/11/17

樫山幸夫 (元産經新聞論説委員長)

トランプ大統領の弾劾を審議する公聴会が始まる
避難されるもトランプは「でっち上げ」と意に介さず
トランプへの支持率も横ばい
一方で、民主党候補バイデンは、ウォーレンに支持率で並ばれる
急進左派を避けるため、ヒラリー・クリントンを含む第三の候補擁立の声も
結局、トランプが弾劾される可能性は低い

(Sergio Lacueva/gettyimages)
 ウクライナ疑惑≠ノからんでトランプ大統領の弾劾を審議する公聴会が先週、米下院で始まった。これまでのところ、大統領弾劾に直接結びつく証言は得られていない。

 公聴会は今後も続くが、この帰趨とは別に、この疑惑によって、1年足らずに迫った米大統領選の構図は大きく変わった。

 疑惑の被害者≠ナある民主党最有力候補に陰りがみえ、2番手が躍進したところで、混戦を見かねた第3の有力候補が出馬の構えを見せはじめた。

 大統領の支持率は自身の疑惑にもかかわらず低空飛行≠ネがら安定、張本人よりも対立候補が打撃を被るという奇妙な展開になっている。

国務省高官、大統領批判の証言
 11月13日に下院情報委員会で行われた公聴会ではウィリアム・テーラー駐ウクライナ代理大使、ジョージ・ケント国務次官補代理が証言した。

 テーラー氏は大使館職員の話として、トランプ大統領が2019年7月26日、ソンドランド駐欧州連合(EU)大使に電話で、バイデン前副大統領への捜査要請に対するウクライナの出方について質問したと証言。ソンドランド大使は「ウクライナは捜査を進める用意がある」と応じたという。

 7月26日は、トランプ氏がウクライナのゼレンスキー大統領に電話で、軍事支援の見返りとして、民主党の有力候補、ジョー・バイデン前副大統領について捜査するよう圧力をかけた翌日。ソンドランド大使は、大統領はウクライナ情勢よりもバイデン氏に関する調査に関心を持っているようだったと館員に語った。

 ケント氏は「政敵についての政治的な調査を外国に要請すべきではない」とトランプ大統領の行動を非難した。

トランプ大統領は強気崩さず
 これらはこれまで、非公開の場で行われた証言の内容を超えるものではなく、トランプ大統領は証言初日、ホワイトハウスで行われたトルコのエルドアン大統領との会談の席上、「証言は見ていない。でっち上げは許されるべきだはない」と気炎を上げた。

 大統領の一貫した強気の背景には、安定した支持率がある。今月中旬以降の最新7世論調査を見ると支持が40%−47%で平均43.9%、不支持は52%−57%。平均54‣3%(米リアル・クリアー・ポリティクス)にのぼっているが、支持率は就任以来ほぼ一定、根強い支持基盤に揺るぎがないことを示している。

バイデン氏への危惧的中
 一方の民主党。ウクライナ疑惑が明るみに出た当初の危惧が的中したというべきか。

 大統領選の候補者選びが本格化する中、オバマ路線の継承者で中道、穏健路線のバイデン氏が早くから本命視されていた。しかし、76歳という高齢、みずからのセクハラ疑惑などもあって春以降、低迷気味になっていたところに、ふってわいたようなウクライナ疑惑=Bこれで失速傾向が鮮明になった。

 ウクライナ疑惑で浮かび上がったバイデン氏と氏の次男の行動は、疑念を指摘されてもやむを得ないものであったことから、支持者の見方も変わってしまったようだ。

ウォーレン上院議員躍進
 バイデン氏をじりじり追撃していたエリザベス・ウォーレン(70)氏が、これを機会に支持率を急伸。日々変化はあるものの、11月上旬の調査ではバイデン氏の26・5%に対し26・0%と、肩を並べるに至った。献金額でもバイデン氏を凌いでいる。

 国民皆保険、公立大学無償化、富裕層への課税強化 ウォール街規制など左派色の強い政策にかかわらず格差是正を求める層を中心に支持を広げている。

 前回2016年の選挙で、最後まで予備選に踏みとどまったバーニー・サンダース上院議員(78)も、ウォーレン氏同様、保険改革、大学無償化など左派色の強い政策を掲げ、78歳という高齢にもかかわらず前回同様若者を中心として人気が高い。一貫して10数%と手堅い支持率を保っている。

人気のブルームバーグ氏参戦?
 しかし、党内には、左派色の強い候補ではトランプ氏を破ることは難しいという見方が少なくない。そういう声をバックにして参戦の機会をうかがっているのが、マイケル・ブルームバーグ氏(77)だ。

 元二ューヨーク市長、ブルームバーグ通信の創業者は、当初から出馬をささやかれていたが、「(候補者に)指名される確信がない限り出ない」と情勢を静観していた。報道担当者は先週、「ブルームバーグ氏は、今の民主党候補者の顔ぶれでは、トランプ大統領に勝てないと危機感を強めている」と明らかにした。

 もともと民主党員でありながら、同時多発テロ直後の2002年1月から、共和党の市長として3期12年間つとめた。中絶、同性婚に寛容、銃規制の強化などリベラルな政策でNYにとどまらず、全米で両党から幅広い人気を集めている。氏が参戦すれば、トップランナー躍り出る可能性がある。 

ヒラリー出馬はジョーク? 
 名前が出ては消え、消えては出る存在がある。前回、2016年の選挙で惜敗したご存じ、ヒラリー・クリントン女史(72)だ。

 11月12日、英BBCのラジオ番組に出演。「自分が大統領になっていたら世界やアメリカにどういう意味ををもっていたかいつも考えている」と大統領職になお、未練タップリの心境を吐露した。そのうえで「たくさんの人たちから(出馬を)考えるよう圧力を受けている」と述べ、「never never never say never」(絶対に絶対に絶対に、ないとはいわない)と思わせぶりな発言をしている。

 しかし、ヒラリー氏の出馬については現実味が薄い。2000年の選挙で、同様に一般投票では多数を獲得しながら選挙人数で及ばず敗北したアル・ゴア氏(民主党)が次の選挙への出馬がかなわなかった例があるからだ。

 「ヒラリーは冗談で有権者の反応を楽しんでいるのだろう」という見方が妥当だろう。

若い世代待望論も
 有力候補が高齢者揃いであることから、若い世代を待望する声も高まる可能性がある。

 11月に入ってからの一部の調査によると、インディアナ州サウスベンド市長、37歳のピート・ブティジェッジ氏が、アイオワ州で22%、夏の調査から大幅に支持率をあげ、バイデン、ウォーレン両氏のそれぞれ19、18%を押さえてトップに立った。

 アイオワ州は来年2月候補者選びのトップを切って党員集会が行われる極めて重要な州。

 氏はハーバード大卒、アフガニスタンにも従軍した経験もあり、弱々しいエリートとは異なる。台風の目になる可能性もある。

低い弾劾成立の可能性
 公聴会など下院での疑惑解明への調査はなお続くが、トランプ大統領に対する弾劾が成立する可能性は、すでに論じられているように、低いというべきだ。

 弾劾は、下院が過半数で訴追を決め、上院で弾劾裁判が行われる。最高裁長官が裁判長、100人の上院議員全員が陪審員となり、3分の2の賛成で有罪となれば大統領は職を失う。しかし、共和党が多数の下院が訴追を決めても、上院は共和党が53議席と過半数を占めていることから、造反≠ェでたとしても、3分の2が賛成する事態には至らないとみられている。

 今回の疑惑の発端は、トランプ大統領が7月にウクライナのゼレンスキー大統領と電話協議した際、軍事支援を見返りに、同国のエネルギー企業「ブリスマ」の役員をしていたバイデン氏の次男について捜査するよう要求したことだった。

 ブリスマのトップは、横領などの疑惑が取りざたされ、ウクライナの検察が捜査を進めていたが、バイデン氏が副大統領当時の2016年、同国を訪問した際、検事総長更迭をウクライナ側に強く要求した。

 トランプ大統領がゼレンスキー大統領に調査を要求したのは、こうしたバイデン氏の行動や次男の関与についてだったが、バイデン氏に政治的打撃を与えるための捜査要請なら、選挙戦に外国の影響力を利用することを禁じた連邦法に違反するため、民主党が問題視、下院で弾劾調査を決議していた。

 バイデン氏は、「私や家族が汚職にかかわったことはない。これほど錯乱した大統領は見たことがない」と潔白を主張、大統領の弾劾を強く支持しているが、氏のウクライナへの要請が、次男への捜査波及を防ぐ目的だったのではないかとの疑念は少なくないない。ウクライナ疑惑の追及が続く限り、バイデン疑惑≠煖c論され続け、氏にとっては苦しい選挙戦を強いられるだろう。

 トランプ弾劾が不発に終わった場合、政治を混乱させたとして民主党への批判、反発が一気に強まる可能性も否定できない。

 「最後に笑うのはトランプ氏(11月13日付産経新聞)という予測もああながち的外れともいえないかもしれない。  
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/17915


 


米議会「弾劾」公聴会=与野党が世論誘導で激しい攻防

2019/11/18

斎藤 彰 (ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長)


(iStock.com/flySnow/Purestock)
ウクライナ疑惑公聴会スタート、与野党が主張を展開
焦点は弾劾ではなく、見栄え、体裁(optics)に
「見返りquid pro quo」ではなく「収賄行為 bribery」
テレビ視聴者は伸び悩むも、弾劾支持者は増加
 トランプ大統領のウクライナ疑惑をめぐる公聴会が13日、米下院で正式にスタートした。全米向けにTV実況中継を通じ行われる今後の公聴会の真価は、来年大統領選控え与野党がいかに自陣の主張をアピールし、有権者の支持獲得につなげられるかにかかっている。


弾劾できなければ大統領が再選される、というプラカード(AP/AFLO)
 13日、初日の公聴会では、まず冒頭、アダム・シフ情報活動委員会委員長が「今後の審議でもし、大統領が権力濫用し、米国の選挙に外国からの介入を要請したことが明確になった場合、それをたんに見過ごすことになっても許されるのか、将来の大統領が同様行為を犯すことを当然視するのか、もしこれが弾劾に値しないとしたら、何なのかが問われることになる」として、国民が重大な課題に直面していることを強調した。

 続いてビル・テイラー駐ウクライナ代理大使、ジョージ・ケント国務次官補代理の2人が証言。

 テイラー氏によると、トランプ大統領がウクライナのゼリンスキー大統領との電話会談で対ウクライナ軍事援助の「見返り quid pro quo」としてバイデン元副大統領関連捜査を依頼した翌日の去る7月26日に、自分の部下がゴードン・ソンドランドEU担当大使とレストランで食事した際、大使の携帯電話口から漏れるトランプ氏の発言を傍で聞いた。その際、トランプ氏は「(バイデン)調査」に言及、大使とゼリンスキー大統領との協議の進展具合を尋ねた。ソンランド大使はその場で「ウクライナは(調査を)進める用意ができている」と応じたという。

 さらに同氏は「ゼリンスキーのためにトランプ大統領とのホワイトハウス会談設定を話し合うことと、対ウクライナ軍事援助凍結をテコに利用することは別問題のはずだ」として、大統領個人の言動にとくに憂慮したと改めて供述した。

 ケント氏は、大統領の顧問弁護士であるルドルフ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長がバイデン民主党大統領選候補のスキャンダル掘り出しに奔走していることに悩まされ続けたとして「米国では、政敵についての捜査着手のために他国に介入を依頼することはいかなる意味でも許されない」などと述べた。

 これに対し、共和党側は論点を絞って反論に出た。すなわち、@トランプ大統領は結果的に対ウクライナ軍事援助凍結を解除(9月11日)したのだから、民主党側が主張する「見返り」は成立せず、大統領が弾劾に値する罪を犯したことにはならないAトランプ大統領は電話会談後、ゼリンスキー大統領と会談したが、その際、「バイデン捜査」問題は話題に取り上げられなかったBテイラー、ケント両証人とも、トランプ大統領と直接話し合ったこともなく、間接情報に基づく証言であり、信用性に欠ける―というものだ。

 ジョン・ラドクリフ議員(共和)はこの点について「大統領は実際に政敵に対するいかなる捜査にも着手しなかった。そうする必要もなかった」と民主党側に反論した。

 米大統領が在任中に 弾劾の対象とされるのは、第17代アンドリュー・ジョンソン、第37代リチャード・ニクソン、第42代ビル・クリントン各大統領以来4人目だが、今回の最大の特徴は、次期大統領選と議会選挙を1年後に控え、公聴会討議内容そのものより、討議を通じ与野党の攻防とその姿勢が実況中継のTV画面やインターネット動画を通じ、いかに有権者向けにアピールできるか、という点だ。

 もしトランプ大統領を追及する民主党側が、年内にも予想される下院本会議の審議で過半数で弾劾(起訴)に追い込んだとしても、有権者に対する十分納得のいく説明を欠き、上院本会議での審決(判決)で罷免が否定された場合、来年選挙で手痛いしっぺ返しを食らう結果になりかねない。

 その逆に、下院本会議採決に先立ち公聴会での内容の濃い討議を通じ、多くの国民の目から見て大統領の犯罪性が揺るぎないものであるとの印象作りに成功した場合は、上院での罷免に及ばなかったとしても、来年11月選挙での民主党への支持が高まることになる。対照的に、共和党は国民の批判を浴び、結果的に上下両院選挙での敗退のみならず、大統領選でもトランプ再選のシナリオが崩される事態を迎える。

 このため今回の弾劾討議では、両党陣営の選挙ストラテジストたちの間でも、「optics」の重要性が繰り返し指摘されるようになってきた。「optics」とは「見栄え」「体裁」といった意味だ。つまり、弾劾審議の本筋と同等に、実況中継される公聴会での与野党の攻防ぶりが有権者側から見ていかに受け止められるかが、重要なカギとなるというわけだ。

両陣営が「optics」作戦
 去る7月、下院情報特別委員会はトランプ大統領のロシア疑惑めぐり、捜査を担当したロバート・モラー特別検察官を証人として喚問、公聴会を開催したが、その際は、民主党側が期待したような内容のある証言を得られず、かえって下院側の根回し不足がマスコミの批判にさらされた。公聴会実況のアンカーマンを務めたCNNの著名キャスター、チャック・トッド氏は当時と今回公聴会を比較し「前回は民主党側にとって optics の面で惨事 disaster だった。今回、シフ委員長はその点を十分心得ているはずだ」とコメントしている。

 実際に初日公聴会の会場内でも、両陣営の間でこの「optics」作戦の片鱗をうかがわせる“演出”が垣間見えた。

 まず、民主党側は、マルバニー大統領首席補佐官代行が去る10月17日の記者会見で「大統領は(ウクライナに対し)政治的捜査開始を軍事援助の条件とした」といったんは認めた(直後に前言撤回)ことから、その発言のさわりを大書きした横断幕をTVカメラにも目立つように壁に掲げ、「見返り」は歴然との立場で討議に臨んだ。

 これに対し、共和党側は「弾劾抜きでは、大統領再選を許すことになる!」と書いたプラカードを何枚も用意、休憩時間には傍聴席にいた党員たちがこれを掲げて廊下を練り歩いた。テキサス州出身の民主党下院議員がローカルTVとのインタビューで「わが党がトランプ大統領弾劾に向けて動き出したのは、トランプ再選を恐れるからだ」などと述べた言葉尻をとらえたものであり、国民向けに、民主党の弾劾審議の目的が大統領再選阻止にあるとのメッセージ拡散をねらったとみられる。

「見返り」ではなく「収賄行為」
 「optics」面ではナンシー・ペロシ下院議長も13日、2人の証人喚問終了後、報道陣向けにコメントを発表、その中で、これまで民主党側が大統領弾劾容疑の一つとして挙げてきた「見返りquid pro quo」との表現をあえて避けた上で「本日二人の証言は、大統領が軍事援助提供によりバイデン捜査をウクライナ側に求めた事実をさらに裏付けたものであり、明らかに『収賄行為bribery』に相当する」と強調した。

 関係筋によると、「quid pro quo」は専門用語に近く、一般国民には耳慣れない言葉であることから、よりなじみのある「bribery」に意図的に切り替えたとされ、今後は国民向けの弾劾審議を通じ、「bribery」に用語統一してトランプ氏に対する攻勢を強めていくという。

 合衆国憲法は第2章第4条で「弾劾」に触れ「正副大統領およびすべての文官は、反逆罪、収賄罪その他の重大な罪または軽罪につき弾劾訴追を受け、有罪判決を受けた時は、その職を解かれる」と明記している。

 ペロシ議長のこの日の発言は、憲法規定に基づき、トランプ大統領が明確な『収賄行為』により弾劾に十分値することを改めて国民向けに説明したものだ。

 米主要各紙の報道によると、公聴会初日のTV視聴者数は各放送局合わせ全米で1380万人で、昨年6月、ジェームズ・コーミーFBI長官(当時)がトランプ大統領のロシア疑惑について証言した公聴会(1950万人)、同年9月、ブレット・カバノウ最高裁判事承認聴聞会(2000万人)より下回った。比較的低調だった理由として、各証人の知名度が低く、証言内容の大筋は秘密聴聞会段階ですでにマスコミにリークされたことや、公聴会が1日だけでなく今後延々と続くことから、一般国民が気長に考えているとみられることなどが挙げられている。

 皮肉にも、放映したTV各社の中では、トランプ政権の“マウスピース”と揶揄されている比較的新興のFOXテレビの視聴者が290万人で、他の主要局を押さえ第1位だったという。それだけ、既成メディアによるこれまでの意欲的なトランプ疑惑追及にもかかわらず、根強いトランプ支持層がいぜん存在することを示唆している。

テレビ視聴者は伸び悩むも、弾劾支持者は増加
 しかし、その一方で、保守系のウォールストリート・ジャーナル紙がNBCテレビと共同で実施した最新の世論調査(11月3日付け)によると、トランプ大統領の「弾劾および罷免」支持率は49%で、不支持(46%)を上回った。1カ月前の同調査では、支持は43%、不支持49%だったのに比べ、その後は形勢が逆転し、民主党側に有利な展開になりつつあることを示している。

 いずれにしても、今回の一連の公聴会討議をへてクリスマス前までに予想される下院本会議での弾劾採決、そして新年明けの早い段階に開かれるとみられる上院本会議での審決に向けて、与野党の“optics 戦争”はますます熱気を帯びることになりそうだ。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/17919
http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/754.html

[政治・選挙・NHK267] アングル:安倍政権、歴代最長も果たせぬミッション 憲法改正の夢
トップニュース
2019年11月18日 / 14:44 / 3時間前更新
アングル:安倍政権、歴代最長も果たせぬミッション 憲法改正の夢
Linda Sieg
2 分で読む


[東京 13日 ロイター] - 安倍晋三首相は政権に返り咲いた7年前、高まる中国の脅威に対して防衛力強化を約束するとともに、憲法改正を目指した。首相としての任期が日本憲政史上で最長になる日が近づく中、安倍氏は最初の約束は既に果たしたものの、後者は実現の見通しが立たないままでいる。
つまり、日本は米国の同盟国として本格的に動くことになお制約を抱えている。トランプ米大統領は日本との同盟を「不公平」と呼び、日米安全保障条約の変更までちらつかせる。折しもアジアでは中国が軍備を増強し、北朝鮮が核・ミサイル開発を進めている。
安倍政権下で、それまで減少していた日本の軍事費は10%拡大した。2014年には歴史的な憲法解釈の変更を行い、第2次世界大戦以来、初めて自衛隊が海外で戦えるようになった。
しかし、安倍氏は憲法9条を改正し、自らのレガシー(政治的業績)を仕上げることまではできないでいる。遠い国で自衛隊が戦闘に加わることへの警戒感と、米国主導の戦争に巻き込まれることへの恐れが、国民の間で根強いためだ。
自民党の船田衆議院議員は「やはり日本人にとって9条はある意味でバイブル(聖書)でもある。大変重い足かせでもある」と話す。

https://graphics.reuters.com/JAPAN-ABE-LJA/0100B31K274/abe-tenure.png
保守派は米国が起草した日本国憲法を屈辱的な敗戦の象徴と見る一方、他の人たちは日本が外国の紛争に関与しないためのブレーキとみなす。
NHKが先ごろ公表した世論調査によると、有権者は安倍首相の安全保障・外交政策を高く評価しているが、朝日新聞が実施した調査では、64%が9条改正に反対し、改憲を支持したのは28%にとどまった。
<世論の反対>
日本政府が昨年発表した新たな中期防衛力整備計画は、2019年─23年の防衛費総額を25兆5000億円とし、その前の5年間から6.4%増やした。憲法解釈の変更から1年後、国会は限定的な集団的自衛権の行使を可能にする法律を施行した。
これらの措置により、9条による制約はさらに緩くなった。9条は文字通り読めば戦力の放棄を定めているが、過去の政権は解釈によって自衛隊を認めた。
「戦後の制約はほとんど残っていない」と、米マサチューセッツ工科大国際研究センター所長、リチャード・サミュエルズ氏は言う。「安倍政権下で流れは加速し、さらに9条から距離を取った」
それでも安倍首相は、世論や連立を組む公明党から影響を受け、妥協を強いられている。
カリフォルニア大学サンディエゴ校のエリス・クラウス名誉教授は「安倍氏は理論上、日本が集団的自衛権を行使し、米国の戦闘を支援する土台を作った。しかし、日本が近い将来、実際にそうした行動を起こすとは思わない」と語る。
<個人的ミッション>
日本政府は10月、イラン情勢の悪化で緊張が高まる中東の海域に海上自衛隊を派遣できないか検討に入った。米国が提唱する有志連合に参加しない独自派遣の形で、法律で許される「調査・研究」目的だ。それもリベラル層の反発を引き起こした。
安倍氏にとって、改憲は祖父の岸信介元首相が果たせなかった課題であり、その実現は個人的なミッションでもある。
「日本はもはや第2次大戦の敗北に縛られない別の国になった」という見解が根底にあると、サミュエルズ氏は解説する。
慶応大法学部の添谷芳秀教授(国際政治学)は安倍氏の根本的な哲学はナショナリズムであり、9条を変えない限り(米国の)占領体制から脱却できないというものだ。彼は決してあきらめないだろう」と言う。

https://jp.reuters.com/article/japan-abe-legacy-idJPKBN1XS0H0

http://www.asyura2.com/19/senkyo267/msg/451.html

[国際27] ロシアが超健全な金融・財政政策を続けるただ一つの理由 プーチン・ロシアの勢力拡大戦略を支える「二重基準」  迷宮ロシアをさまよう サハリンの日本遺産 姿消す統治の名残
ロシアが超健全な金融・財政政策を続けるただ一つの理由
迷宮ロシアをさまよう
2019.11.19

ロシアが1990年代に記録した様々な経済指標を立体表示したオブジェ。1998年8月に債務不履行を起こしており、ロシアにとっては屈辱の歴史のはずだが、なぜか当時の為政者エリツィンの博物館に展示されている。(撮影:服部倫卓)
強いのか弱いのか良く分からないロシア経済
今日のロシア経済は、強いのか弱いのか、良く分かりません。対外債務は非常に低い水準で、金・外貨準備は拡大し、経常収支も財政も黒字。それなのに、景気はパッとせず、おそらく2019年も1%台の低い成長率に終わると思います。

実は、肯定的な現象と、否定的な現象は、表裏一体の関係にあるのです。プーチン政権は、自国の経済の先行きについて危機感を抱いており、国家権力の主導により難局を切り抜けていかなければならないと認識しています。そのためには強い国家が必要で、金融・財政政策も健全でなければいけないというのが、プーチン政権の考え方です。

それゆえに、2019年1月の付加価値税の増税、年金受給年齢の引き上げといった措置がとられ、金融面でも高金利政策が続いています。これらの政策は、国民の消費や企業活動にとってはマイナスであるため、国家財政は安定しても、景気の低迷が続く、というわけです。

ロシアの有名なエコノミストであるアレクセイ・ベージェフ氏(ガイダル経済研究所)と9月に面談した際に、ベージェフ氏が、「今のロシア経済は、エキストラ・スタビリティの状態。なぜ政府がこんな政策を採っているのか、理解に苦しむ」と述べていたのが印象的でした。エキストラ・スタビリティ、すなわち「行き過ぎた安定性」というのが、今のロシア経済を紐解くキーワードということのようです。


ロシア中央銀行は稀に見る堅物
ロシアの「健全性」を示す代表的な指標として、ここでは金・外貨準備の数字を見てみましょう。上のグラフに見るように、(欧州中央銀行を除いた国レベルで言えば)ロシアの金・外貨準備残高は世界4位。名目GDPでは世界12位にすぎないロシアにとっては、充分すぎる備えと言っていいでしょう。ちなみに、最近になってロシア当局は、敵対する米国の財務省証券はほとんど手放し、せっせと金(ゴールド)を買っています。

現時点で、ロシアの政策金利は、6.5%。インフレ率が4%程度ですので、実質金利がプラスの正常な状態を保っています。1990年代に、新米の市場経済国だったロシアは、国際通貨基金(IMF)や西側諸国から、「利子率は必ず正に保ちなさい。それが市場経済の常識です」と、厳しく指導を受けていました。それが、今日ではロシアがその基準を律儀に守る一方、日米欧はこぞって際限なき金融緩和にのめり込んでいるわけですから、隔世の感があります。

ロシア金融当局の過剰なまでの優等生振りは、為替政策にも表れています。世界的に、輸出を促進するために通貨安に誘導したり、逆に弱い通貨を人為的に支えたりする国も少なくない中で、ロシア・ルーブルの為替レートは完全に実勢に委ねられています。以前は為替の変動を一定の範囲内に収めようとしていましたが、2014年11月10日から完全フロート制に移行し、それ以降は人為的な介入は一切行っていません。


真面目すぎる優等生? ロシア中央銀行(撮影:服部倫卓)
金融・財政政策は「国家主権」にかかわる問題
それでは、プーチン体制下のロシアでは、なぜこれほどまでに、金融・財政政策がストイックなのでしょうか? 筆者の持論は、「ロシアにとって金融・財政政策は、国家主権にかかわる問題だから」というものです。

思い起こせば、1991年暮れに社会主義のソ連邦が崩壊し、エリツィン大統領の下で船出した新生ロシアは、ソ連末期から膨らんだ対外債務の返済に四苦八苦し、IMFをはじめとする国際金融機関や、西側先進諸国による支援で、かろうじて生き永らえている状態でした。経済政策についても、ずいぶんと外部から指図されました。にもかかわらず、ロシアは1998年8月に債務不履行(デフォルト)に陥り、通貨ルーブルが暴落する憂き目にも遭いました。

ロシア当局が、IMFや欧米に要求されるまでもなく、自ら率先して超優等生的な金融・財政政策を推進するようになったのは、2000年にプーチン政権が成立して以降のことです。プーチンが絶対的に重視するのが、「国家主権」。ロシアにとっての「国家主権」とは、突き詰めて言えば、「アメリカの言いなりにならない」ということです。

まかり間違って、ロシアが再び債務不履行などということになったら、ロシアはIMF管理下に入ってしまいます。IMFはアメリカの支配下にある機関だというのがロシア側の認識であり(それはある程度正しいわけですが)、その機関に箸の上げ下げまで指図される屈辱は、何としても避けなければなりません。それは、軍事面で北大西洋条約機構(NATO)に屈服するのと同じくらい、破局的な事態だと、プーチンは考えているのでしょう。だからこそ、ロシアの金融・財政政策は、過剰と思われるほど慎重になっているのだと、筆者は理解しています。


服部倫卓
一般社団法人ロシアNIS貿易会・ロシアNIS経済研究所 副所長
https://globe.asahi.com/article/12888471

 

プーチン・ロシアの勢力拡大戦略を支える「二重基準」

ポスト冷戦の世界史ーー激動の国際情勢を見通す
2019/11/19

小泉悠 (東京大学先端科学技術研究センター特任助教)

 勢力圏という言葉は、さほど珍しいものではない。新聞や書物を開けば、「米国は南米を勢力圏と捉えている」、「列強の勢力圏争い」といった表現に頻繁に遭遇する。

 では、勢力圏とは何なのだろうか。ごく簡単に言えば、ある大国が周辺の国々に対して一方的な権力関係を行使しうるエリア、ということになろう。かつてのソ連であれば、「衛星国」と呼ばれた東欧社会主義国や、これよりもやや影響力は落ちるもののベトナムや北朝鮮といったアジアの社会主義国、そして中東のアラブ社会主義諸国が勢力圏に含まれていた。

 1991年のソ連崩壊は、このような構図を大きく塗り替えた。東欧社会主義国は次々とNATOやEUに加盟してしまい、アジアや中東に対する影響力も大幅に失われた。ソ連の直接支配下にあったバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)、ベラルーシ、ウクライナ、モルドヴァ、南カフカス諸国、中央アジア諸国も独立国の地位を得て、約2200万平方キロに及んだ国土は約1700万平方キロまで縮小してしまった。つまり、モスクワから見た場合、ソ連崩壊とは勢力圏の大幅な後退であったということになる。

 問題は、こうした「かつての勢力圏」の取り扱いである。ことにロシアが神経を尖(とが)らせてきたのは、旧ソ連欧州部に位置しながら、NATOにもEUにも加盟していない諸国─ベラルーシ、ウクライナ、モルドヴァ、アルメニア、アゼルバイジャン、グルジア(ジョージア)の6カ国であった。「狭間(はざま)の国々(In-Betweens)」と呼ばれるこれら諸国は、2000年代までにNATOとEUへの加盟を果たした東欧諸国やバルト三国と異なり、まだ「西側」に取り込まれたわけではない。ソ連崩壊後のロシアが目指してきたのは、これらの旧ソ連欧州諸国が受け入れがたい振る舞い(例えばNATO加盟)をすることを阻止し、勢力圏内にとどめることであったと言えよう。


モスクワで開かれたウクライナ領クリミア併合1周年記念行事で演説するプーチン大統領 (SASHA MORDOVETS/GETTYIMAGES)
 しかし、「狭間の国々」の態度も一様ではない。ロシアとの関係を重視し、ロシア主導の軍事同意や経済同盟に加盟しているベラルーシやアルメニアのような国もあれば、最終的にはロシアの勢力圏を脱してNATOやEUへの加盟を目指すウクライナやジョージアのような国も存在する。ロシアにとっての焦点はもちろん後者であり、これらの国々がNATO、EU、米国等に接近しようとする度にあからさまな政治・経済上の圧力や、場合によっては軍事介入に訴えてきた。14年のウクライナ政変に際し、ロシアが現在まで続く軍事介入に踏み切ったことはその好例である。

独自の論理を読み解く3つの視点
 興味深いのは、旧ソ連の「外」においては、ロシアの態度が大きく異なる点だ。昨今では「現状変更勢力」扱いされることが多いロシアだが、旧ソ連圏外の紛争ではむしろ戦後の国連中心秩序を守ろうとする振る舞いが目立つ。特に米国が国連安保理の承認を得ずに軍事力行使を行うことについて、むしろ米国こそが秩序を破壊している、とロシアは繰り返し強く非難してきた。例えば、1999年にNATOが行ったユーゴスラヴィア空爆はその代表例である。

 冷戦後に唱えられるようになった「保護する責任(R2P)」論、つまり、ある国家が自国民を十分に保護できていない場合には国際社会が介入すべきであるという議論についても、内政干渉であって認められないというのがロシアの立場であった。

 ところが、旧ソ連「内」ではロシアの振る舞いは180度逆転する。これまで見てきたように、NATO加盟のような一国の安全保障政策に公然と介入し、場合には軍隊まで送り込んできた。この二重基準は、ロシアの論理においてどのように正当化されているのだろうか。

 第一に強調されるのは、エスニックな紐帯(ちゅうたい)である。2014年のウクライナ危機前後、ロシアでは「ルースキー・ミール(ロシア人世界)」という言葉が頻繁に叫ばれた。ソ連崩壊によって新たに出現した国境線の外にも、ロシア語を話し、正教を信じる人々が存在する。特にウクライナ人やベラルーシ人は人種・言語・文化など多くの点でロシア人と似通っており、「ほとんど我々」と呼ばれる。こうした人々が、ソ連崩壊という政治的な出来事によって「他者」になってしまったということが、ロシアの民族主義からはどうしても受け入れがたい。むしろ、ロシア人の分布こそが政治的まとまりの単位となるべきではないか、という考え方が「ルースキー・ミール」である。

 第二に、「歴史的空間」という論理が持ち出される。つまり、旧ソ連諸国はロシア帝国時代からロシアの支配下にあったのであって、たとえソ連が崩壊したとしてもそこには何らかの影響が及ぼされなければならない、ということだ。この意味では、旧ソ連諸国は形式上、独立国でありながら、ロシア的世界観では半ば「国内」扱いされていると言えよう。

 ロシアの論理を理解する上でのもう一つの重要な要素として、「力」を指摘しておきたい。より具体的に言えば、軍事力である。かつてのソ連が有していた共産主義の総本山という強力なソフトパワーは失われ、経済力についても韓国と同程度でしかないが、軍事力を背景とするパワーは依然強力である。


(出所)筆者資料を基にウェッジ作成 写真を拡大
 世界第二位の戦略核戦力を持ち、通常戦力を含めて100万人もの兵力を擁するロシアに対し、それ以外の旧ソ連諸国で10万人以上の軍隊を保有している国はウクライナだけ(約20万人)であり、核保有国はロシア以外に存在しない。この力をもってすれば、ロシアは依然として旧ソ連域内において支配的な存在として振る舞うことができる。「力こそパワー」なのだ。

 さらにロシア的世界観においては、力の有無は主権の有無とも密接に結びついて理解されてきた。たとえば17年、「ドイツは主権国家ではない」とプーチン大統領が述べたことはその一例であろう。ドイツは安全保障をNATOに依存しており、それゆえに同盟の盟主である米国によって主権を制限されているのだというのがプーチン大統領の説明である。同様の発言は近年、日本に対しても頻繁に向けられるようになった。「返還後の北方領土に米国が基地を置きたいと言い出したら日本は拒否できないだろう」という論理である。ラヴロフ外相などプーチン政権の高官も同様の発言を繰り返している。

 他方、プーチン大統領は「世の中に本当の主権国家はそう多くない」と前置きした上で、インドと中国を「本当の主権国家」に数えた。ロシア的な世界観においては、経済力やソフトパワーはあまり重視されず、同盟に頼ることなく自らの力で安全保障を全うできる国だけが本当の意味で主権を持っている、と見なされるのである。この意味では、核兵器を保有して自らの対米抑止力を手に入れた北朝鮮は、ロシア的用語法でいうところの「本当の主権国家」になりつつあるのかもしれない。

ロシアと中国の奇妙な共存関係
 ロシアの中国観についてもう少し言及しておこう。

 一方においては、中国はロシアのパートナーと位置付けられる。衰退が止まらない極東部の振興を図る意味でも、経済制裁と原油安で苦しむ経済を立て直す意味でも、中国はもはやなくてはならない存在となっているためだ。すでに中国はドイツやオランダを凌(しの)ぐロシア最大の貿易相手国の地位を占め、昨年は中露の貿易高が初めて1000億ドルを突破した。また、欧米の制裁がロシアの基幹産業であるエネルギーを狙い撃ちにする中、中国はロシアのエネルギープロジェクトに資金を出してくれる貴重なパートナーでもある。

 他方、中国の人口はロシアの10倍、GDPは8倍、兵力でも2倍の差をつけており、もはや国力の差はあまりにも大きい。西側から孤立する中でロシアが中国との関係を深めようとしても、それは対等な関係たりえず、ジュニア・パートナー(格下のパートナー)としてしか扱われないだろう。政治や経済の面でも中ロは様々な軋轢(あつれき)を抱えているし、「狭間の国々」をはじめとする旧ソ連諸国に中国が進出してくることにもロシアは警戒的だ。

 ただ、それでもロシアは当面、中国との良好な関係を維持する姿勢を示している。仮に中国と決別して西側に接近しても、今度は西側のジュニア・パートナー扱いされるだけだ、冷戦後の30年間がそうだったではないか、というのがロシア側の言い分であろう。しかも中国はロシアが旧ソ連諸国を勢力圏として扱うことに異を唱えず、ロシアや旧ソ連諸国に対して米国のような民主化要求(ロシアはこれを「西側」の内政干渉であるとして強く反発してきた)を突きつけることもない。

 中ロが共通の利益で結ばれた緊密な同盟になることもまた見通しにくいとしても、このユーラシアの二大国は当面、奇妙な共存関係を続けていくのではないだろうか。

北極の氷の融解でゆらぐロシアの軍事戦略

 気候変動による北極の氷の融解は、ロシアの軍事戦略に大きな影響を及ぼしている。
冷戦期から、ソ連は北極に弾道ミサイル原潜(SSBN)を潜行させていた。北極は米ソ間を弾道ミサイルが飛行する際の最短ルートであり、ソ連が米国から攻撃を受けた際に核攻撃で報復できる状況を維持していた。そして、北極の分厚い氷が米艦船の航行を困難にし、SSBNへの攻撃を防ぎ、核抑止が成立していた。
 しかし、氷が融解すると北極海を米艦船が航行できるようになる。するとSSBNの攻撃が北極海に展開した米イージス艦のミサイル防衛システムで迎撃される可能性があり、核抑止が揺らぐ。北極海に面するロシア以外の4カ国が全てロシアと敵対するNATO加盟国であることもロシアの抱く脅威を大きくしている。
 今後、米ロ関係がさらに緊迫化し、ロシアがより核抑止力の維持に懸念を覚えるようになれば、北極をめぐる緊張は一層高まることになる。
現在発売中のWedge11月号では、以下の特集を組んでいます。全国の書店や駅売店、アマゾンなどでお買い求めいただけます。
■ポスト冷戦の世界史 激動の国際情勢を見通す
Part 1 世界秩序は「競争的多極化」へ 日本が採るべき進路とは 中西輝政
Part 2 米中二極型システムの危険性 日本は教育投資で人的資本の強化を
 インタビュー ビル・エモット氏 (英『エコノミスト』元編集長)
Part 3 危機を繰り返すEUがしぶとく生き続ける理由  遠藤 乾
Part 4 海洋での権益を拡大させる中国 米軍の接近を阻む「太平洋進出」 飯田将史
Part 5 勢力圏の拡大を目論むロシア 「二重基準」を使い分ける対外戦略 小泉 悠
Part 6 宇宙を巡る米中覇権争い 「見えない攻撃」で増すリスク 村野 将
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/17905


 


サハリンの日本遺産 姿消す統治の名残
迷宮ロシアをさまよう
2019.11.12

サハリン州地誌博物館は、かつての樺太庁博物館。(撮影:服部倫卓)
消滅する日本由来の狭軌鉄道
ユーラシア大陸の東、北海道の北に浮かぶ樺太島(ロシアでの呼び名はサハリン島)は、日露戦争後の1905年のポーツマス条約により、北緯50度線を境に南北に分割され、北は帝政ロシア(後にソ連)領に、南は日本領になりました。しかし、第二次大戦末期の1945年8月のソ連対日参戦によって、ソ連軍が南樺太を占領。以降、樺太島全土を、ソ連(後にロシア連邦)が実効支配し、現在に至ります。今日のロシアの行政区画では、樺太島は極東連邦管区の中のサハリン州に属しています(樺太島だけでなく、千島列島=クリル諸島もサハリン州に所属)。

サハリン南部には今でも、日本統治時代の遺産が、わずかに残っています。その一つに、かつて日本が敷設した軌間1,067mmの狭軌鉄道もありました。ところが、ロシアは2003年からサハリンの鉄道の軌間をロシア本土と同じ1,520mmの広軌に入れ替えるプロジェクトに着手。曲折を経て、このほど9月1日より、広軌による鉄道運行が開始されました。

こうして、サハリン島における日本統治の名残が、また一つ姿を消しました。このニュースに接して、サハリンにおける貴重な日本遺産の風景を取り上げてみたくなりましたので(あくまでも私の限られた体験の範囲内ですが)、今回はこのテーマでお送りします。

ちなみに、プーチン政権は間宮海峡(その最狭部のネベリスコイ海峡)に橋を架けてロシア本土とサハリン島を結び、ここに鉄道を通すという壮大なプロジェクトを計画しています。サハリンの鉄道をロシア本土と同じ1,520mmに作り替えたのは、将来的に大陸とサハリン島を鉄道で行き来できるようにするための布石でもあります。

下の写真は、まだ線路が狭軌だった2013年に、州都ユジノサハリンスク(かつての日本名は豊原)の駅で筆者が撮影したもの。その後、線路、車両ともに広軌のそれに一新されてしまったはずなので、今となっては貴重なショットと言えるかもしれません。

なお、「D2-007」と書かれた手前にある列車は、1986年に富士重工宇都宮車両工場で生産されたものだそうです。当時のソ連運輸通信省が、日本の鉄道車両技術を参考にする狙いもあり、10編成40車両を、当時の日商岩井を介して輸入したのだとか。寂しいことに、サハリンにおける狭軌の廃止に伴い、この列車も引退する方向のようです。


2013年、ユジノサハリンスク駅にて(撮影:服部倫卓)
博物館が代表的な建築遺産
今日のサハリンの街中を歩いてみても、日本統治時代の建築物などは、あまり残っていません。そんな中、かつて日本が建てた樺太庁博物館の建物が、現在はサハリン州地誌博物館として使用されており、日本風の建築が往時を偲ばせています(冒頭の写真参照)。樺太庁博物館は1937年に開館し、日本の城郭屋根を乗せた当時流行の帝冠様式の建築でしたが、1945年8月24日にソ連軍によって接収されました。

サハリン州地誌博物館では、ソ連体制下では、1905〜1945年の日本時代についての資料は展示されていなかったそうです。ソ連崩壊後は、日本時代の資料についても公開されるようになりました。北緯50度線の国境標石などを見ることができます(下の写真参照)。


左側が日本の国境標石、右側がロシアの国境標石(撮影:服部倫卓)
個人的に、2013年に初めてサハリン州地誌博物館を見学して、衝撃を受けた写真があります。日本は1945年に敗戦し、南樺太をソ連に明け渡したわけですが、日本人住民はすぐに本土に戻れたわけではなく、多くは2年ほど、ソ連統治下のサハリンで苦難の生活を余儀なくされたようです。下の写真は、ソ連統治下で初めて迎えた1946年のメーデーの様子。「国営オットセイ工場」という名前や、オットセイのハリボテがとぼけた雰囲気を醸していますが、笑顔のロシア人に対し、笑っている日本人は一人もおらず、彼らを襲った過酷な運命に思いを致さざるをえません。

なお、2018年に私が再度この博物館を見学した時には、このオットセイ工場の写真は見当たらなかったと思います。ひょっとしたら、もう展示はされていないのかもしれません。


オットセイは、おそらく肉や油を利用したのだと思われるが、詳細は不明(撮影:服部倫卓)
遠征軍上陸記念碑
あれは、サハリン島の南岸、コルサコフ(日本時代の呼び名は大泊)に程近いプリゴロドノエにある「サハリン2」の液化天然ガス(LNG)プラントを視察しに行った時のことでした。その近くの丘に登ってみたところ、そこに日本語の石碑がありました(下の写真参照)。

横倒しになった碑文には、「遠征軍上陸記念碑」とあります。私は確認できませんでしたが、後日、日本総領事館でうかがったところ、1905年という年号も書いてあるとのことでした。つまり、日本が日露戦争に勝利して南樺太を領有した際に、軍が当地に遠征し、それを記念したもののようです。

ちなみに、今日この地は海水浴場として地元民に人気があるようで、丘の周りは駐車された車で溢れていました。打ち棄てられた日本語の石碑、屈託のない笑顔で溢れるビーチ、そしてその向こうに見える世界最大級のLNGプラントと、なかなかシュールな風景でした。


コルサコフ(かつての大泊)近郊にある遠征軍上陸記念碑(撮影:服部倫卓)
旧北海道拓殖銀行大泊支店
そのコルサコフの中心部には、日本統治時代の建築遺産が、ひっそりと残っています。旧北海道拓殖銀行の大泊支店の店舗がそれです。私自身は訪問したことがないので、下に見るように、かつての同僚が撮った写真をお借りしました。

同行が樺太で営業を開始したのは日露戦争が終わって間もない1905年で、日本銀行の委託を受けた拓銀が社員を派遣。1907年には正式に支店となり、一部預金為替業務も開始したということです。

大泊支店はソ連の南樺太占領によって閉鎖されたものの、建物は残り、近年は日本の極真空手の道場として使われたりしていたそうです。内部は大理石の柱が立つモダンな造りながら、写真に見るように、近年は建物の傷みがだいぶ激しくなっていました。最新の情報では、シートが被せられて、修繕工事が行われていたようです。したがって、この日本遺産については、どうにか消滅を免れ、これからも日本統治時代の名残を留めてくれそうです。


旧北海道拓殖銀行大泊支店。2006年3月撮影(撮影:芳地隆之)
https://globe.asahi.com/article/12869037

こんにちはシベリア鉄道 世界最長路線を楽しむには何日間乗るのがベストか?
迷宮ロシアをさまよう
2019.11.05

シベリア鉄道の終点に当たるウラジオストク駅。モスクワからの距離9,288kmを掲げたモニュメントが設置されている。(撮影:服部倫卓)
シベリア鉄道はロマンチック?
日本では、ロシアの大動脈であるシベリア鉄道に、ロマンチックなイメージを抱いている人が多いようです。実際、「シベリア鉄道」、「憧れ」といったキーワードでネット検索すると、日本の旅行会社が企画したシベリア鉄道の旅のプランが、色々とヒットします。

まるで、オリエント急行か何かのように、ロマンチックな旅情に訴えようとするシベリア鉄道ツアーの広告などを目にするたびに、筆者などは、「ちょっと待ってよ。シベリア鉄道って、そんなに良いものじゃないんだよ」と、ツッコミたくなるのです。

もちろん、日本人がロシアの鉄道という異文化を体験することは、結構なことだと思います。「シベリア鉄道に1日乗ってみた」というくらいなら、ロシア旅行の素晴らしいハイライトになることでしょう。しかし、それが3日、4日となると、話は別です。増してや、ウラジオストクからモスクワまで、全行程を鉄道で旅するようなプランは、考え直した方がいいでしょう。

思うに、日本でシベリア鉄道が何やら情緒たっぷりの鉄道であるかのようにイメージされている一因に、「さらばシベリア鉄道」という歌があるのではないでしょうか。松本隆作詞・大瀧詠一作曲によるこの曲は、1980年に太田裕美が歌い、翌年、大瀧詠一によるセルフカバーも発表されました。念のため申し上げれば、今回のタイトル「こんにちはシベリア鉄道」は、「さらばシベリア鉄道」のパロディです。無類のパロデイ好きだった大瀧さんも、草葉の陰で喜んでくれているでしょうか。パロディの説明をするなどというのは無粋ですが、若い方はご存じないかもしれないので、解説した次第です。

ロシア人も勧めないシベリア鉄道の旅
実は、シベリア鉄道の旅については、当のロシア人が、「シベリア鉄道で旅行すべきでない理由」というコラムを書いているほどなのです。日本語の記事なので、ぜひご一読ください。ちなみに、これが載っている「ロシア・ビヨンド」というのは、ロシア国営系のメディアです。ロシア政府はしばしば、日本の経済界にシベリア鉄道の利用拡大を訴えますけど、それはあくまでも貨物輸送の話で、「シベリア鉄道で旅行してください」という話は、それほど聞いたことがありません。

前掲の「シベリア鉄道で旅行すべきでない理由」で語られているのは、主にシベリア鉄道のアメニティの問題ですが、私見によれば、そもそも不便な思いをしてシベリア鉄道に乗っても、得られる喜びが小さいのです。鉄道旅行の楽しみの一つは、窓から見える景色のはず。しかし、ロシアの旅客列車は、乗客が景色を眺める前提で作られていません。窓のガラスが曇ったり汚れたりしていて、外が良く見えないことも多いです。

また、「シベリア鉄道であれば、雄大なパノラマが車窓に広がり、ドラマチックに違いない」などと期待すると、裏切られることになるでしょう。もちろん、シベリア鉄道のどのあたりの区画を走るかにもよりますが、概して景色の変化が乏しく、単調な原野が延々と続きます。最初のうちは「自分は今まさに広大なシベリアを旅しているのだ!」と感動するかもしれませんが、何日も続けて見たいような景色ではありません。また、旧ソ連圏の鉄道では、線路沿いに防風林のような木々がずっと続いていることもあり、視界が遮られて遠くが見えないこともしばしばです。

車窓の景色に期待できないので、結局のところ、シベリア鉄道の旅というのは、「移動密室」のようなものになります。気の合う仲間と寝台コンパートメントをシェアできればいいですけど、見ず知らずの人と数日間、寝食を共にするはめになるかもしれません。まあ、もしかしたら、その結果、一生の親友や伴侶を得ることになるかもしれませんけどね。


石炭を満載して港に向かう貨物列車(撮影:服部倫卓)
圧倒的に貨物に偏重
ここで改めて、シベリア鉄道の概要を整理しておきましょう。建設されたのは帝政ロシア時代で、現在のルートで完成したのは1916年のことでした。モスクワのヤロスラブリ駅を起点として、太平洋に面したウラジオストクまで伸びる全長9,288kmの路線。これは世界最長の鉄道路線ということになります。シベリア鉄道はロシア国内の7つの時間帯を通過し、沿線にはロシアの産業の80%が集積。ロシアの鉄道事業は、潟鴻Vア鉄道による独占であり、シベリア鉄道を運行しているのも潟鴻Vア鉄道です。

ロシアの鉄道の特徴は、旅客輸送よりも、圧倒的に貨物に偏重していることです。たとえば、ロシア鉄道のパフォーマンスを、中国国鉄のそれと比較してみましょう。ロシア鉄道の貨物輸送量は、中国国鉄のそれをわずかながら上回っており、世界一の輸送量を誇ります。それに対し、ロシア鉄道の旅客輸送量は、中国の10分の1以下にすぎません。

貨物偏重は、シベリア鉄道ではさらに激しく、中でも石炭が最大の品目となっています。ロシア政府が石炭輸送を優遇していることもあり、現状でシベリア鉄道が輸送している貨物の実に3分の2近くが、石炭となっています(重量・距離ベース)。ですので、筆者のようなロシア経済の関係者が、シベリア鉄道と聞いて真っ先に連想するのは、延々と数十両も続く石炭貨車であり、そこには情緒も何もあったものではありません。

これまた古い音楽の話で恐縮ですが、かつてフュージョンサウンドで一世を風靡した渡辺貞夫の代表曲に、「オレンジ・エクスプレス」というのがあり、アメリカの西海岸を駆け抜けるような爽やかな空気感が印象的でした。筆者に言わせれば、シベリア鉄道は、「オレンジ・エクスプレス」ならぬ、「石炭鈍行」といったところです。


イルクーツク駅の待合室。電光掲示板の一番上に、「北京〜モスクワ急行」と表示されている(撮影:服部倫卓)
興味をそそられた北京〜モスクワ急行
このように、シベリア鉄道は「石炭ファースト」の鉄道で、日本人観光客の求めるような旅情がそこにあるかと言うと、疑問です。1日くらいの体験ならぜひお試しになってほしいですけど、長旅はお勧めできないというのが、筆者の見解です。

ところが、最近、ちょっとだけ心境が変わる出来事がありました。シベリア鉄道の路線上にあるイルクーツク駅に立ち寄ったところ、電光掲示板に、「北京〜モスクワ急行」という列車が表示されていました。近年、急激に関係を深めるロシアと中国ながら、両国の首都間を直接結ぶ列車が運行されているとは知らなかったので、興味をそそられたわけです。

調べてみたところ、モスクワ〜北京間の急行列車は、週2往復運行されているようです。ルートは2つあり、モスクワからウランウデ(バイカル湖に近い街)までは普通のシベリア鉄道と同じですけれど、ウランウデで2つに分かれ、一つはモンゴル経由で中国の北京に至り、もう一つは中国東北地方を経て北京に至ります。モスクワ〜北京間の所要時間は、6日前後のようです。

さすがに、モスクワから北京まで、6日間も列車に揺られるというのは辛いですけど、シベリアのイルクーツクまたはウランウデを起点とし、モンゴルを通って、北京に至る旅程だけであれば、2日くらいで済むようです。食堂車では、それぞれの国の民族料理が供されるのだとか。そんな旅行であれば、ぜひ一度体験したい気がしてきました。
https://globe.asahi.com/article/12843386
http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/762.html

[国際27] 「共産主義は敵」中国への警戒を高める米国 香港、多数の流血の可能性 米国務長官、暴力の拡大に「重大な懸念」 中国のムードは悲観的、貿易取引

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

「共産主義は敵」中国への警戒を高める米国

2019/11/19

岡崎研究所

 10月30日、ポンペオ国務長官は、ニューヨークで開催されたハドソン研究所のハーマン・カーン授賞式において、キッシンジャー元大統領補佐官等が出席する中、中国に関する演説を行なった。その概要を紹介する。


chelovek/CaoChunhai/Getty Images Plus)
・今日、トランプ政権の中心的課題として、中華人民共和国(PRC)からの挑戦がある。米中両国のシステムの基本的相違を無視することはもはや現実的ではない。このシステムの相違が米国の国家安全保障へ及ぼす影響は無視できない。

・我々は中国の台頭を後押ししてきた。時には、米国の価値や良識が犠牲になることもあった。北京と国交回復する際には、「台湾問題」を平和裏に解決することを条件に台湾との関係を見直した。天安門広場での虐殺や重大な人権侵害の後でさえ、我々は、しばしば直接人権問題やイデオロギーを持ち出すことを控えた。我々は、中国がWTO等の国際機関に加盟するのを手助けしたが、中国は市場改革等を約束しながら、ほとんど守らなかった。中国が南シナ海の領有権を主張しベトナムやフィリピンを脅した時、我々はすべき行動を取らなかった。我々は、長年、共産党中国がいつか民主化することを期待していた。が、我々は、中国がどのような変化を遂げるかを想像できなかった。

・中国に投資した米国企業の幹部らは、中国には議論の余地なく従わなければならなかったと言う。米中間に相互主義はなく、中国に赴く外交官や記者、学者等は、米国に来る中国人に比べ、ずっと自由がない。

・中国の国営メディアや政府の報道官は、米国の意図や政策目的を悪く捉え、米国人の中国や習総書記に関する見方を歪める。こういう悪しき結果は想像できた。秘密主義体制は、公平性、法の支配及び相互主義を尊重しない。

・今日、我々は、中国共産党が米国や米国の価値に敵対していることを認識した。中国は知的財産権を侵害して米国の製造業を弱体化させた。中国は、中国市場へのアクセスを盾に米国企業の表現の自由を脅かす。最近のNBAの例がそうである。

・中国は、非対称兵器を開発して米国の国家安全保障を脅かす。

・中国は、南シナ海や台湾海峡では、超法規的な領土や海洋の権利を主張する。

・中国共産党は、香港や新疆で見るように、自国民の人権を踏みにじっている。

・トランプ政権の国家安全保障戦略は、中国を戦略的競争相手と位置付けた。

・中国共産党は、マルクス=レーニン政党であり、闘争と国際支配に焦点をあてる。党の諜報機関等は、国際世論を中国に好意的に変えようとする。しかし、我々は表現の自由や自由で開かれた国際秩序を維持したい。

・中国の経済が成功することは好ましい。ただそれには、透明性、公平性、市場経済型競争性、相互主義等がなければならない。それらを前提に「第一段階の合意」に至るだろう。

・中国の軍事力は、その必要な防衛力をはるかに超えるものになっている。

・中国が平和で自由で人権を重視するようになることを願うが、今米国に必要なのは、ありのままの中国と付き合うことである。

参考:Department of State ‘Secretary of State Michael R. Pompeo remarks at the Hudson Institute’s Herman Kahn Award Gala, in New York City, New York, On October 30, 2019.’

 10月24日のペンス副大統領の対中演説から1週間も経たないうちに、ポンペオ国務長官が、似たような対中演説を行なった。それも、1年前にペンス副大統領が「新冷戦」の始まりとも言われる対中演説を行なった時と同じハドソン研究所主催の会合においてである。

 ポンペオ国務長官の演説は、ペンス副大統領のよりもずっと短く、内容もそれほど具体的ではないが、トーンは、中国に対して十分厳しいものである。今回、マルクス=レーニンまで出て来たのには驚いた。両演説に共通する特徴としては、中国のことを、?The Chinese Communist Party”、すなわち「中国共産党」としばしば呼んでいる点である。民主主義を国家の基盤に据えて標榜する米国にとって、共産主義は、真逆の概念である。共産党というだけで米国人にとっては敵の扱いとなり得る。この演説で中国が態度を変えるとは思えないが、今後もしばらく米国内では、対中警戒心は続くものと思われる。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/17884


 


米中ウオッチ】流血の可能性、権威に挑戦、デモ支援口座、アビバ
笠原文彦
2019年11月19日 13:39 JST
米中を巡る主なニュースは以下の通り。それぞれの記事を読むには、青地のリンクをクリックしてください。

香港行政長官、理工大での平和的解決を希望−区議選は暴力停止次第
香港、多数の流血の可能性に懸念拡大−理工大のデモ隊を警察が包囲
覆面禁止巡る香港高裁の違憲判断、全人代常務委の権威に挑戦−新華社
HSBCが香港民主化デモ支援口座を閉鎖か、規制上の検査実施と広報
ポンペオ米国務長官、香港での暴力の拡大に「重大な懸念」
トランプ大統領は香港情勢について発言を−米共和党上院院内総務
中国のムードは悲観的、貿易取引で−CNBC記者がツイート
米国、ファーウェイ禁輸措置の猶予さらに90日延長−ロス商務長官
アリババ香港IPOは2.7倍応募超過、1200億円の信用取引融資ー報道
英アビバ、中国とシンガポール事業を保持へ−選択肢検証後
中国:10月の対中直接投資、前年同月比7.4%増−人民元ベース
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-19/Q17728T0AFB401?srnd=cojp-v2

中国のムードは悲観的、貿易取引で−CNBC記者がツイート
Ye Xie
2019年11月19日 2:45 JST
CNBCのユーニス・ユン記者は以下のようにツイート。米中通商協議に関する楽観的な見方が後退した。

  貿易取引についての中国当局のムードは悲観的だと、政府関係筋が私に話した。トランプ米大統領が関税措置を撤回することはないと言った後、中国は困った事態に陥った。(中国は双方が原則合意したと考えていた。)協議はするが弾劾手続きや米国の選挙を理由に待つというのが現在の戦略だ。中国はまた、自国経済を支えることを優先する。

原題:From ‘Consensus’ to ‘Constructive,’ Fleeting Mood on Trade Talks(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-18/Q16BMJDWLU6E01

香港、多数の流血の可能性に懸念拡大−理工大のデモ隊を警察が包囲
Iain Marlow、Shelly Banjo、Natalie Lung、Annie Lee
2019年11月19日 8:56 JST
「数百人」がまだ大学に残っているとSCMP紙は報道
24日の地方議会選挙、実施できるか当局者からも悲観的な声
香港では、九竜地区にある香港理工大学に立てこもるデモ隊と、包囲する警察のにらみ合いが18日深夜も続き、警察の攻勢により多くの流血の事態につながるのではないかとの懸念が強まっている。

  18日の衝突では、車両が炎に包まれるなどあちこちで火が燃え盛り、警察が催涙ガスでデモ隊に応酬するなどの光景が見られた。立てこもるデモ隊を支援しようと、理工大に向かう大勢の人々と警察の衝突もあった。

Police Tell University Protesters To Surrender After Violent Weekend Protests Shut Down City
尖沙咀で女性を拘束する警察官(11月18日)Photographer: Kyle Lam/Bloomberg
  大学キャンパスの壁を乗り越え脱出に成功したデモ参加者もいたが、警察は周辺で多くの参加者を逮捕。参加者を警官が地面に押さえつけ、警棒でたたく様子も見られた。香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は、「数百人」がまだ大学に残っていると報じた。

  18日夜、香港政府は大学に立てこもるデモ隊に投降するよう警告するとともに、市民にキャンパスに近づかないよう求めた。一方、抗議活動家は警察に対抗するため結集するよう呼び掛けた。

  テレビに映る香港は金融の中心地というよりも紛争地帯の様相を呈し、香港政府政制・本土事務局の聶徳権(パトリック・ニップ)局長は記者団に、暴力のエスカレートにより24日に予定されている区議会(地方議会)議員選挙を「実施できる可能性が小さくなった」と述べた。

  香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官はフェイスブックへの投稿で、「警察は繰り返し訴えており、理工大キャンパスにいる者は耳を傾けるべきだ」とコメントした。行政長官は19日午前、週定例の記者会見を行う予定。

  ポンペオ米国務長官は、香港における暴力の激化に米国として「重大な懸念」を抱いているとして、デモ活動を巡る事件の独立した調査を認めるよう行政長官に求めた。また、米議会のマコネル共和党上院院内総務はトランプ大統領に対し、デモ隊のために声を上げるよう促した。

原題:Hundreds Trapped in Hong Kong Siege, Raising Fears of Crackdown、Pompeo Calls on Lam to Allow Independent Probe: Hong Kong Update(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-18/Q16VUF6KLVR501

ポンペオ米国務長官、香港での暴力の拡大に「重大な懸念」
Natalie Lung、Iain Marlow、Annie Lee
2019年11月19日 6:59 JST
デモ巡る事件の独立した調査を認めるよう林鄭長官に呼び掛け
事態沈静化の責任を主として担うのは香港政府だとポンペオ長官
ポンペオ米国務長官は18日、米国は香港での暴力の拡大に「重大な懸念を抱いている」と述べた上で、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官に対し、デモ活動を巡る事件の独立した調査を認めるよう呼び掛けた。

  ポンペオ長官はワシントンで記者団に対し、香港の騒乱では警察およびデモ隊の双方とも暴力は「許されない」とした上で、事態沈静化の責任を主として担うのは香港政府だと指摘した。

  この発言に先立ち、ホワイトハウスは声明で中国政府に対し、「中英共同宣言の公約を守り、香港の自由と法制度、民主的な生活様式を守る」よう求めていた。

原題:Pompeo Calls on Lam to Allow Independent Probe: Hong Kong Update (抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-18/Q16PN46KLVR401
http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/763.html

[国際27] ロシア人スナイパーが暗躍、プーチン、今度はリビアに展開 中東和平への望みを打ち砕く? トランプ政権 韓国メディア、「日米安保破棄」発言に関心
中東を読み解く
ロシア人スナイパーが暗躍、プーチン、今度はリビアに展開
2019/11/18
佐々木伸 (星槎大学大学院教授)

(ru_/gettyimages)
 シリアなど中東で影響力拡大を続けるロシアが今度は北アフリカのリビアに民間の傭兵部隊を送り込み、トリポリ中央政府に戦いを挑んでいる民兵組織「リビア国民軍」のカリファ・ハフタル将軍(75)への本格支援に乗り出した。傭兵部隊のスナイパーによる射撃ですでに犠牲者が多発しており、ロシアの介入でリビア情勢は激変しようとしている。 
ホローポイント弾
 ロシアの傭兵部隊とスナイパーの展開が明らかになったのは中央政府派の民兵組織が11月、西側メディアを首都トリポリ近郊の最前線の視察に同行したことからだ。リビア東部のトブルクに拠点を置くハフタル将軍は4月、トリポリに向けて軍団を進撃させ、内戦が一気に激化した。しかし、9月になって戦況は膠着状態に陥り、その間隙を縫って傭兵部隊約300人がリビアに入った。
 この傭兵部隊は民間警備会社「ワグネル」の所属。同社の代表エフゲニー・プリゴジン氏はプーチン大統領と近く、シリアにもアサド政権支援で地上部隊を派遣していることが分かっている。同氏は2016年の米大統領選への関与の容疑で、米国内で起訴されているいわくつきの人物だ。「ワグネル」の傭兵部隊はウクライナ東部やリビア西部、中央アフリカなどにも展開していると伝えられている。
 米ニューヨーク・タイムズ紙などによると、スナイパーは長射程の射撃で政府系民兵組織の戦闘員の頭部などを狙い、何人もが犠牲になった。弾丸は「ワグネル」の傭兵が使用することで知られるホローポイント弾で、シリアなどでも使われているとされる。この種の弾丸は貫通せずに体内に留まるため、より殺傷能力が高いのが特徴だ。バシャガ中央政府内相はロシアの介入について「まさにシリアと同じ状況だ」と指摘している。
 リビアでは2011年、カダフィ大佐率いる独裁政権がアラブの春と西側の反政府勢力支援で打倒され、各派入り乱れる内戦に発展。中央政府、「リビア国民軍」など4派に分裂した。中央政府発足には国連が主導した。アラブの春の際、西側の軍事介入を許したことを後悔するロシアは2015年ごろから、ハフタル将軍の支援を開始した。
 ロシアはモスクワで数百万ドルに相当するリビア紙幣を刷って将軍に届けたり、将軍を支援するためエジプト西部の砂漠地帯に基地を設置し、軍事顧問団を派遣したりした。しかし、支援は全体として秘密なものにとどまっていたが、今回、傭兵軍団を派遣することで、本腰を入れた介入に乗り出したことが明らかになった。その背景には2つの大きな理由があると見られている。
“第二のシリア”
 1つはプーチン大統領がシリアの軍事介入の成功で、中東での指導的な地位を固め、その存在感に自信を深めていることがある。「リビアをロシアが意のままに操る“第二のシリア”にしたい」(ベイルート筋)との思惑があると見られている。プーチン氏のこうした影響力拡大を可能にした要因には、トランプ米大統領がシリアからの部隊撤退など中東から米軍を撤収させる動きを加速していることだろう。プーチン氏は米国なき後の「力の空白」を利用しようとしているわけだ。
 プーチン氏は北大西洋条約機構(NATO)の加盟国であるトルコにロシア製の防空システム「S400」を売却し、西側とトルコに楔を打ち込んだ。米国の適性国であるイランとのつながりを強め、さらには米国の同盟国であるサウジアラビアなどペルシャ湾岸諸国を相次いで訪問し、ロシア製兵器の売り込みに努めた。
 もう1つはリビアの持つエネルギー資源の魅力だ。リビアは内戦状態の現在でも日量130万バレルの原油を生産している。その埋蔵量は世界10位だ。こうした石油大国を支配下に置きたい、とプーチン氏が考えても不思議はない。しかし、ロシア政府は傭兵派遣について「そうした情報は知らない」と否定している。
 ハフタル将軍はカダフィ政権が崩壊した後、米国に亡命。一時、中央情報局(CIA)のアドバイザーも務め、米国との関係がある。シリアの石油防衛のため、一部部隊を残留させるなど石油資源には強い関心を示すトランプ大統領も将軍と協調したい意向を示唆しているのは注目に値する。
トルコ対UAEの代理戦争
 リビアの内戦は実は外国勢力の代理戦争的な様相もある。ハフタル将軍には、ロシアが支援する前から、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、エジプト、フランスが支援してきた。中央政府にはトルコとカタールが支援、これまでに戦闘員や民間人など何千人も死亡している。
 とりわけUAEとトルコはそれぞれ、ドローンを供与し、国連によると、過去6カ月で双方合わせて900回に及んでドローンを出撃させたという。ドローンは搭載しているミサイルで相手側を攻撃し、これまでに数百人を殺害した。1機のドローンには8発の空対地ミサイルを搭載可能だ。
 このリビアの代理戦争はそのまま中東での対立の構図を反映するものだ。イランと接近したカタールに対し、サウジアラビアやUAEが断交、カタールの経済的な封じ込めを図った。その苦境に手を差し伸べたのがトルコであり、トルコはサウジの反体制ジャーナリスト、カショギ氏殺害事件でサウジとの関係を極度に悪化させた。
 ベイルートの情報筋は「ロシアの半ば公然としたリビアへの軍事介入は内戦の戦況を変える要素になると同時に、代理戦争の構図をも変え、リビアを一段と不安定化させかねない」と指摘している。プーチン氏の中東戦略の動きに注目しなければならない。

https://wedge.ismedia.jp/articles/-/17929


 


中東和平への望みを打ち砕く? トランプ政権、40年維持してきたイスラエルの「入植」に対する見解を放棄
John Haltiwanger
4h POLITICS
FACEBOOK
TWITTER
LINKEDIN
HATENA
LINE
トランプ大統領、ネタニヤフ首相

アメリカのトランプ大統領とイスラエルのネタニヤフ首相。

Drew Angerer/Getty Images

アメリカのポンペオ国務長官は11月18日(現地時間)、アメリカは長年にわたって維持してきた外交的見解を放棄し、イスラエルが占領しているヨルダン川西岸地区での入植活動を「国際法と矛盾する」とは見なさないと発表した。
ポンペオ国務長官が示した見解は、これまでの政権の政策や、1978年のカーター政権下で国務省の出した法律上の見解から大きく逸脱するものだ。
イスラエル人の入植活動は、外交問題のトピックの中でも最も激しい論争になっているものの1つだ。今回の動きは、イスラエルとパレスチナの間の和平および二国家解決への望みを砕きかねない。
パレスチナの指導者らは今回の発表に反発する一方、イスラエルのネタニヤフ首相は感謝を示している。
トランプ政権は11月19日、中東の和平を事実上、実現不可能にしかねないイスラエルに関する政策の大幅な転換を発表した。

ポンペオ国務長官は、アメリカはイスラエルが占領しているヨルダン川西岸地区での入植活動を「国際法と矛盾する」とは見なさないと語った。

これは事実上、アメリカがもはや1978年のカーター政権下で国務省の出した、イスラエル人の入植活動を国際法違反とする法律上の見解を支持しないことを意味する。

ポンペオ国務長官は「民間の入植活動を国際法と矛盾すると言っても、和平の推進にはなっていない」とし、「厳しいが、紛争に司法的な解決はなく、国際法上、誰が正しくて誰が間違っているかの議論は平和をもたらさないというのが現実だ」と語った。

オバマ政権は2016年、イスラエルが占領地で進める入植活動の停止を求める国連安保理決議案に拒否権を行使せず、棄権した。入植活動は国際法の「甚だしい違反」としたこの決議案は、賛成14、反対0で採択された。


CBS News

@CBSNews
"The Trump administration is reversing the Obama administration's approach towards Israeli settlements," Pompeo announces. The U.S. will no longer view them as inconsistent with international law https://cbsn.ws/35diTW7

埋め込み動画
140
4:43 - 2019年11月19日
Twitter広告の情報とプライバシー
268人がこの話題について話しています
パレスチナ解放機構(PLO)のサエブ・エレカット(Saeb Erekat)氏は11月19日に声明文を出し、トランプ政権の発表を批判した。

「この発表によって、トランプ政権はまたもや国際システムを脅かしている。国際法を(弱肉強食という)"ジャングルの法則"で絶えず置き換えようとしている」

「ただ今より、国際社会はアメリカのこの無責任な行動に対応し、これを阻止するために必要な全ての手段を取らなければならない。世界の安定、安全、平和に脅威をもたらすものだ」

イスラエル人による入植活動は、今も続くイスラエル・パレスチナ間の紛争に関する話題の中でも、最も意見が分かれるトピックの1つだ。入植活動は長年にわたって国際社会から違法と見なされ、アメリカ政府が目標としてきた二国家解決の主なハードルの1つと考えられてきた。

地域の安定を犠牲にして、ネタニヤフに贈り物を続けるトランプ
今回の発表は、アメリカの長年にわたる対イスラエル政策からの大幅な転換を図るトランプ政権による決断の1つだ。トランプ大統領は2019年3月にも、イスラエルがシリアから奪って占領するゴラン高原について、イスラエルの主権を正式に認めていた。今回の決断は、パレスチナの国家樹立に向けた努力をさらに損なわせかねない。

より過激さを増すイスラエル寄りのスタンスを取り続けることで、トランプ政権はイスラエルとパレスチナ間の合意の可能性を低下させている。

AP通信が入手、分析した公的なデータによると、イスラエル政府のヨルダン川西岸地区での入植活動の費用はトランプ大統領就任以来、急激に増加している。そして、トランプ政権の今回の発表は、入植地の拡大に対する"青信号"と見なされ、地域の緊張を高め、さらなる暴力につながる可能性がある。

トランプ大統領と親しいネタニヤフ首相は数カ月前から、約40万人のイスラエル人入植者と280万人のパレスチナ人が暮らす、イスラエルが占領しているヨルダン川西岸地区の全てのイスラエル人入植地を併合すると約束してきた。

8月のスピーチの中で、ネタニヤフ首相は「神の助けによって、我々は全ての入植地にユダヤ人の主権を拡大する。(聖書に書かれている)イスラエルの地の一部、イスラエル国家の一部として」と述べた。

パレスチナ自治政府のアッバス議長のスポークスマンは当時、ネタニヤフ首相の発言は「受け入れられない既成事実を引き続き作り出そうとするもので、平和や安全、安定にはつながらない」と語った。

イスラエルのネタニヤフ首相は11月18日、トランプ政権の決断を称賛した。

その声明文の中でネタニヤフ首相は、アメリカが「歴史的な誤りを正す、重要な政策を採択した」とし、「歴史的な真実を反映するものだ」と述べている。

ネタニヤフ首相は「ユダヤ人は、ユダヤやサマリアに外からやってきた入植者ではない」と言い、「事実、我々がユダヤ人と呼ばれるのは、我々がユダヤの人間だからだ」と主張している。

その上で、ネタニヤフ首相は「イスラエルはトランプ大統領、ポンペオ国務長官、そしてアメリカ政府に対し、真実と正義を支持し、和平を望む全ての信頼できる国々に同様の姿勢を取るよう呼びかけるその揺るぎない姿勢に深く感謝している」と加えた。


関連記事
米大統領選まであと1年…トランプ大統領の疑惑や民主党候補の熾烈な争いがわかる5本
[原文:Trump just upended 40 years of US policy toward Israel and may have shattered any hope of peace in the Middle East]

(翻訳、編集:山口佳美)
https://www.businessinsider.jp/post-202715

 


ユダヤ人入植地「違法でない」 ポンペオ米国務長官―中東和平一層困難に
2019年11月19日09時09分

18日、ワシントンで記者会見するポンペオ米国務長官(AFP時事)
18日、ワシントンで記者会見するポンペオ米国務長官(AFP時事)

 【ワシントン時事】ポンペオ米国務長官は18日の記者会見で、イスラエルが占領するヨルダン川西岸のユダヤ人入植地は「国際法に違反していない」との認識を示した。占領地への入植活動は国際法上違法とされ、「入植活動は正当ではない」としてきた従来の方針を転換した。入植地の撤去を求めるパレスチナ側は「米国は国際システムを脅かしている」と反発。トランプ大統領が仲介を目指す中東和平の実現はさらに困難になった。
〔写真特集〕ガザ衝突

 2020年の大統領選で再選を目指すトランプ氏の支持基盤で、親イスラエルのキリスト教福音派に配慮する狙いがありそうだ。トランプ氏はこれまでにも歴代政権の方針を覆し、在イスラエル米大使館のエルサレム移転や占領地ゴラン高原でのイスラエルの主権承認などイスラエル寄りの姿勢を強めている。

【国際記事一覧へ】 【時事ドットコムトップへ】


全てのコメントを見る
今、あなたにオススメ
韓国メディア、「日米安保破棄」発言に関心=自国にも影響
石破氏「NHK見たいと思わぬ」=N国に一定の支持も
EU、「暴力容認できず」 香港衝突激化で声明
不買運動「韓国に跳ね返る」=自民・甘利氏
旅行会社、夕食会関与せず 野党調査

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019111900201&g=int


 

韓国メディア、「日米安保破棄」発言に関心=自国にも影響
2019年06月25日16時51分

 【ソウル時事】韓国メディアは25日、トランプ米大統領が最近、日米安全保障条約破棄の可能性に言及したとのブルームバーグ通信の報道を一斉に伝え、高い関心を示した。
トランプ氏、日米安保破棄も=「一方的」と不満−米通信社報道

 聯合ニュースは「トランプ氏は条約が米国にとって不公平だとして、破棄に触れた」と報道。朝鮮日報(電子版)は「韓米相互防衛条約にも影響を及ぼしかねないことから、成り行きが注目される」と伝えた。

【国際記事一覧へ】 【時事ドットコムトップへ】
https://www.jiji.com/jc/article?g=int&k=2019062500951
http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/764.html

[経世済民133] 財務省、超長期金利支える手段として50年国債の発行検討 補正予算10兆円規模必要ー世耕 景気対策の主役は黒田日銀から財政 深掘りの余地十分ある=黒田 マイナス金利の深堀り余地「十分ある」、緩和方向意識−日銀総裁 
財務省、超長期金利支える手段として50年国債の発行検討
−ロイター
Max Zimmerman
2019年11月19日 16:31 JST
日本の政策担当者が、超長期金利に下限を設ける長期的な手段として、50年国債の発行を検討しているとロイター通信が伝えた。

  財務省当局者の1人はロイターに対し、その種の国債を発行する当面の計画はないとしながらも、そのアイデアは財務省が長い間検討しており、3年前には市場参加者の意見を聴く場も設けたと語った。

  ロイターによると、同省の別の当局者は「その可能性は完全に排除されておらず、長期的に検討する問題になる可能性がある」と述べた。

  ロイターが複数の関係者を引用したところでは、日本銀行もさらなる長期国債の発行がイールドカーブのコントロールにどう影響し得るか入念に検証しているという。

原題:Japan Mulls Issuing 50-Year Bonds to Support Yields: Reuters(抜粋)


 


補正予算、10兆円規模が必要−自民・世耕参院幹事長
延広絵美、Isabel Reynolds
2019年11月19日 15:20 JST 更新日時 2019年11月19日 16:23 JST
自民党の世耕弘成参院幹事長は19日、政府が編成中の2019年度補正予算案に関し、10兆円規模が必要との認識を示した。経済対策として「十分な規模感を持つべきだ」とした。

Day Two Of The 5th Eastern Economic Forum
世耕大臣(9月、ウラジオストク)Photographer: Andrey Rudakov/Bloomberg
  世耕氏はブルームバーグのインタビューで、災害による経済へのマイナスのインパクトが非常に大きくなっていると指摘。経済対策の延長としての災害対策・国土強靭(きょうじん)化を、「投資という感覚を持って、いかに生産活動やGDP(国内総生産)を落とさないかという発想でしっかりやっていくことも重要」と語った。

  このほか、人工知能(AI)や再生医療など最先端の研究にも思い切って投資すべきであり、「こういうことを全部合わせて財政出動をしっかりして景気を下支えしつつ、少し成長の芽を育てていくことがここから重要ではないか」との考えを示した。

  世耕氏は、アベノミクスの第2の矢である機動的な財政出動について、「第2の矢だけは1回もちゃんと打ったことがない」との認識を示した上で、「今回の補正予算はまさに正念場だと思っている」と強調した。

  一方、菅義偉官房長官は19日午後の記者会見で、補正予算案の規模については盛り込むべき施策の具体的内容を詰めた上で検討すると述べるにとどめた。

(最終段落に菅官房長官の補正予算に関する発言を追加し、更新しました)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-19/Q17DY8DWX2PT01?srnd=cojp-v2

 

 


 
景気対策の主役は黒田日銀から財政へ、副作用で上がる緩和のハードル
Chris Anstey、伊藤純夫、藤岡徹
2019年11月19日 7:50 JST
副作用で大規模金融緩和策は財政政策のサポート役に変貌中
低金利の長期化で金融政策の限界認識は先進国共通の現象に
日本銀行の黒田東彦総裁が追加金融緩和に「前向き」と発言してから1週間後の9月26日、日銀本店で開かれた日銀幹部と信用金庫業界トップの意見交換会は、例年よりも重苦しい雰囲気に包まれた。日銀が10月の金融政策決定会合でマイナス金利の深掘りを軸とした追加緩和に踏み切るとの見方が市場で広がっていたためだ。

  複数の出席者によると、会合で信金業界からは、むしろマイナス金利政策の早期解除や金融政策の正常化を求める声が相次いだ。これに対し日銀幹部は、海外経済の下振れリスクの高まりを背景に必要となれば追加緩和もあり得るとの見解を表明する一方、超低金利政策の長期化に伴う副作用の拡大にも留意しているとの考えを示したという。

Bank of Japan Governor Haruhiko Kuroda Interview
黒田東彦日銀総裁Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  長引く低金利で金融機関の預貸金利ざやは縮小の一途をたどり、年金・保険などの運用難も深刻さを増している。日銀は追加緩和に前向きな姿勢を維持し続けているが、こうした金融システムに対する副作用の拡大が、実際の追加緩和判断のハードルを高めていることは間違いない。

  安倍晋三政権の経済政策であるアベノミクスを主導した黒田日銀による大規模な金融緩和政策は、副作用の拡大とともにその役割が財政政策のサポートに変貌しつつある。黒田総裁も最近の講演や会見で、短中期金利の引き下げを中心に金融緩和に限界はないと強気の姿勢を維持する一方、財政政策との協調について踏み込んだ発言も目立つ。

  総裁は11月5日の名古屋市での記者会見で、財政との協調を問われ、「仮に政府が必要に応じて財政政策をさらに活用するということになれば、当然のことだが、財政・金融のポリシーミックスという形で、より一層、財政政策あるいは金融政策が単独で行われる場合よりも効果が高まる」との見解を示した。

先進国共通の現象
  金融政策から財政政策への振り子の振れは、総じて低金利が長期化している中で、金融政策の限界が意識されている先進国共通の現象ともいえる。日銀が2016年1月、マイナス金利政策の電撃的な導入で市場に衝撃を与えた影響力は影を潜めつつある。

Koichi Hamada Advisor To Prime Minister Shinzo Abe interview
浜田宏一氏Photographer: Yuriko Nakao/Bloomberg
  「アベノミクスが始まった当初は、私が財政政策の重要性について話すことになろうとは思ってもいなかった」。安倍首相の経済ブレーンで、積極的な金融緩和の必要性を主張していた浜田宏一内閣官房参与はこう語り、「金融政策はアベノミクスが始まった直後は非常に効果があったが、現段階では金融政策のみで大きな効果を出すことは難しくなっている」と指摘する。

  安倍首相は8日の閣議で、台風19号など相次ぐ自然災害からの復旧・復興や海外経済のリスクなどを踏まえ、経済対策の策定と2019年度補正予算の編成を指示した。自民党の甘利明税制調査会長は13日に配信した自身のメールマガジンで、経済対策は6兆円を上回る規模が必要とし、補正予算を東京五輪の景気とつなげ、五輪後を「宴(うたげ)の後」にしてしまわない工夫が必要と主張した。

  14日発表の7−9月期の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率0.2%増と4四半期連続でプラス成長を確保したが、10月からの消費税率引き上げ前の駆け込み需要にも関わらず力強さに欠けた。米中貿易摩擦の帰すうを中心に世界経済の不透明な状況が続く中、消費増税後の個人消費動向など景気の先行きは予断を許さない。頼みの内需が失速すれば、日銀が目指す2%の物価目標の実現は一段と遠のく。

Bank of Japan Watchers See Chance of More Stimulus Amid Shift at Fed And ECB
日銀本店Photographer: Akio Kon/Bloomberg
低金利活用の財政出動
  政府が経済対策に踏み切るのは、英国の欧州連合(EU)離脱問題や新興国を中心とした世界経済の減速に対応した16年度以来。日銀は同年7月の決定会合で上場投資信託(ETF)の保有残高が年間約6兆円増と従来から倍増するように買い入れを増やす追加緩和を決めた上で、政府が策定中の経済対策に言及し、金融緩和の推進により「極めて緩和的な金融環境を整えていくことは、こうした政府の取り組みと相乗的な効果を発揮する」と声明に明記。財政との連携を演出した。

  19年度補正予算と20年度当初予算の編成作業は12月にかけて本格化し、日銀が18、19日に開く次回の金融政策決定会合までには全容が明らかになる可能性が大きい。

Federal Reserve Bank Of Chicago President Charles Evans Joins IMF Panel
門間一夫氏Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
  金融緩和の副作用の拡大とともに、政治の世界から一段の金融緩和を促す声は聞こえてこないが、国土強靭化対策を中心に現在の低金利を活用した財政出動が必要との指摘は根強い。日銀前理事の門間一夫みずほ総合研究所エグゼグティブエコノミストは「次の景気後退局面では財政政策が先頭に立ってやっていかなければならないというのは、日銀で広く共有されている見方だろう」と語る。

英語記事 End of Line for BOJ Leaves Kuroda Talking Up Fiscal Firepower はこちらをご覧下さい
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-18/Q15GXKDWLU6N01?srnd=cojp-v2


 

マイナス金利の深堀り余地「十分ある」、緩和方向意識−日銀総裁
伊藤純夫
2019年11月19日 10:34 JST 更新日時 2019年11月19日 13:11 JST
国債買い入れがこれ以上できないことない、ETFも必要−国会答弁
追加緩和は副作用に配慮、金融システム不安定化リスク大きくない
日本銀行の黒田東彦総裁
日本銀行の黒田東彦総裁 Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
日本銀行の黒田東彦総裁は19日の参院財政金融委員会で、現行マイナス0.1%の政策金利について深掘りの余地は十分にあると改めて表明するとともに、市場残高の5割程度を保有する国債の買い入れ増も可能との認識を示した。

  日本の経済・物価の先行きについて、海外経済を中心に引き続き下振れリスクに注意が必要とし、「日銀は緩和方向を意識した政策運営が適当な状況にある」との考えを表明。日銀が重視する2%の物価安定目標に向けたモメンタム(勢い)は「維持されている」としながらも、「目標実現に時間がかかっており、残念」と語った。

  物価目標の実現に向けて「在任期間と関係なく最大限努力する」とし、物価上昇のモメンタムが損なわれる恐れが一段と高まる場合には「政策金利の引き下げを含めて追加緩和を躊躇(ちゅうちょ)なく検討する」との意向を示した。同総裁の任期は2023年4月まで。

  緩和手段は長短金利目標の引き下げ、資産買い入れの拡充、マネタリーベースの増加ペースの加速のほか、その組み合わせなど「さまざまな余地がある」とした上で、マイナス金利の深堀りも「余地は十分にある」と説明した。

  市場残高の5割程度を保有する国債については、「まだ市場に十分あり、買い入れがこれ以上できないということはない」とし、現時点で国債買い入れの限度も考えていないと述べた。指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れも「リスクプレミアムの過度な拡大・変動を防ぐ役割があり、引き続き必要な措置」と指摘。日銀の保有は株式市場全体の5%程度に過ぎず、「市場機能に影響を与えていることはない」との見解を示した。

  もっとも総裁は、追加緩和措置を検討する際には、政策の効果と副作用を考慮して「最適な組み合わせによる政策をとる」との考えも表明。低金利の長期化が金融機関収益の圧迫を通じて金融システムが不安定化するリスクがあるが、総裁はそうしたリスクは「現時点では大きくない」と語った。

  総裁は、10月の金融政策決定会合で決めた新たな政策金利のフォワードガイダンス(指針)について、「物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れに注意が必要な間、政策金利について現在の水準を維持する、あるいは状況によっては現在の水準よりも引き下げる方針を明確にした」と説明した。

  総裁は同委員会で、半期に一度の「通貨および金融の調節に関する報告書」の概要説明と答弁を行った。

(黒田総裁の国会答弁での発言を追加し更新しました)


ビジネス2019年11月19日 / 11:21 / 3時間前更新
マイナス0.1%の政策金利、深掘りの余地十分ある=黒田日銀総裁
Reuters Staff
2 分で読む

[東京 19日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は19日、参議院財政金融委員会で「マイナス0.1%の政策金利に深掘りの余地は十分ある」と述べ、追加緩和手段として政策金利の引き下げも排除していないとの姿勢をあらためて示した。

国債買い入れについても、市場には国債はまだ十分あるとして「買い入れることがこれ以上できないことはない」と強調した。

「通貨および金融の調節に関する報告書」(半期報告)に関する質問に答えた。

黒田総裁は追加緩和策について「無制限にいくらでもできるとか手段が無尽蔵にあるとは言っていない」と説明。その上で「ベネフィットだけでなく、コストも比較考量して最適な政策手段を決めていく」と語った。

日銀は現在、金融緩和の一環として上場投資信託(ETF)の買い入れを行っているが、市場では株価形成をゆがめる副作用を指摘する声もある。

黒田総裁は、副作用は承知しているとしながらも「ETF買い入れはこれまで株式市場のリスクプレミアムが過度に拡大することを防ぐという意味では大きな役割を果たしてきた」と述べ、理解を求めた。

ただ「ETFを買い入れている中央銀行は現時点では先進国にはない」として、注意しながら買い入れを行っているとも強調した。年間6兆円の買い入れ額については弾力的に行っていく方針をあらためて示した。

日銀は消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)で前年比2%上昇を目標に掲げているが、政策委員の2021年度の大勢見通しの中央値は前年比1.5%上昇と目標達成にはなお距離がある。

黒田総裁は2021年度に2%を達成する可能性について「きわめて低い」との見解を示す一方で、今後も2%の目標は必要だと強調。その理由として、主要国の中央銀行が2%の物価目標を掲げることで、中長期的に為替レートを安定させる効果があることなどを挙げた。

<円のデジタル通貨計画ない>

黒田総裁は円のデジタル通貨について、現時点で発行する計画はないと従来の見解を繰り返したが、将来発行する必要性が高まった時に備えて、調査・研究は進めていると説明した。

一方、リブラなどステーブルコインについては「普及がグローバルに進むと、金融政策や金融システムの安定にも影響を及ぼす可能性がある」と懸念を示した。

黒田総裁は「世界各国におけるデジタル通貨に関する取り組みは今後も注意深くみていきたい」と指摘。「主権国家が発行するデジタル通貨はリブラのような民間団体が発行するデジタル通貨と根本的に違っているので同じように扱うことはできないが、同じような問題も引き起こし得る」と述べ、今後も注視する姿勢を示した。

中国が発行に意欲を示しているデジタル人民元については、2020年の東京五輪・パラリンピック時に日本で流通する可能性はないとの見通しを示した。

中国経済に関しては当面6%程度の成長は続けられるとの見通しを示す一方で、長い目で見ればだんだん減速していくとの見方を示した。

中国をめぐっては過剰債務による債務危機リスクを指摘する声もあるが、黒田総裁は「今の時点で爆発的な債務不履行による金融システムや経済全体の機能不全が起こるとはみていない」と否定的な見方を示した。
 
https://jp.reuters.com/article/boj-kuroda-etf-idJPKBN1XT07S?il=0


 

 

 

債券は上昇、リスク回避の買い圧力−あすの20年債入札で需要期待も
三浦和美
2019年11月19日 7:45 JST 更新日時 2019年11月19日 16:14 JST
債券相場は上昇。米中の貿易協議を巡る先行き不透明感が再び強まったことからリスク回避の買い圧力が掛かった。

新発10年債利回りは前日比1ベーシスポイント(bp)低いマイナス0.10%と、7日以来の低水準
あすに20年債入札を控えている新発20年債利回りは一時1bp低い0.275%と、7日以来の水準に低下
長期国債先物12月物の終値は5銭高の153円30銭。一時16銭高の153円41銭まで水準を切り上げたが、その後は上げ幅を縮小
市場関係者の見方
SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジスト

米中貿易摩擦など海外情勢は依然として実体経済の下押し要因が目立ち、グローバルに金利は上がりにくい
加えて、日本銀行のスティープ(傾斜)化策の影響で日本の金利が欧米に対して高くなりやすく、結果として円高・日本株安を招くリスクが外国人投資家を中心に意識され始めてきた
日銀のスティープ化策への警戒は薄れてくると思われ、あすの20年債入札に期待感もある
長期国債先物12月物の日中取引推移
日銀オペ
対象は残存期間1年超5年以下と5年超10年以下。買い入れ額は各ゾーンで前回から据え置き
応札倍率は残存1ー3年が2.03倍、3−5年が3.31倍、5−10年が2.99倍といずれも前回から上昇
SBI証の道家氏
20年債入札に備えてオペでポジションを軽くしておこうという動きがあったと思われる
備考:過去の日銀オペの結果一覧
背景
中国のムードは悲観的、貿易取引で−CNBC記者がツイート
18日の米10年物国債利回りは前週末比2bp低い1.82%程度で終了。この日の時間外取引では1.79%台まで低下
この日の東京株式相場は反落し、日経平均株価は0.5%安の2万3292円65銭で終了。東京外国為替市場ではドル・円相場が一時1ドル=108円46銭とドル安・円高が進行
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.210% -0.205% -0.100% 0.280% 0.430% 0.460%
前日比 横ばい -0.5bp -1.0bp -0.5bp -1.0bp -1.5bp

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-18/Q16PY2DWRGG101?srnd=cojp-v2


 
ドル・円小幅下落、トランプ氏のドル高言及や香港混乱で−豪ドル安い
野沢茂樹
2019年11月19日 12:13 JST 更新日時 2019年11月19日 15:32 JST
東京外国為替市場のドル・円相場は小幅下落。トランプ米大統領とパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会談でマイナス金利やドル高が話題になったことや香港情勢のさらなる混乱が相場の重しとなった。豪ドルも中銀の議事要旨を受けて安い。

ドル・円は午後3時23分現在、前日比0.1%安の1=ドル108円61銭。一時108円46銭まで下げた
豪ドルは0.2%安の1豪ドル=0.6799ドル。一時は、0.4%安の0.6785ドルまで下げたほか、対円でも0.6%安の73円59銭を付けた
ドル・円は狭いレンジ内でやや弱含み
市場関係者の見方
ソニーフィナンシャルホールディングスの石川久美子為替アナリスト

米中協議で中国側が慎重な姿勢を崩さないことやトランプ米大統領とパウエルFRB議長の会談でマイナス金利やドル高が話題になったことがドル安・円高要因になっているが、一生懸命ドルを売るほどの材料ではない
米中関係のニュースが出にくいアジア時間は特に取引しづらく、きょうはほとんど動いていない。何もなければボーっとした相場のまま米国時間になってしまうだろう
マネーパートナーズの武市佳史チーフアナリスト

豪ドルは利下げ観測を背景に金利先安観が強いので流れとしては下方向。ただ、議事要旨で明らかになった利下げの議論はある程度想定されたことなので、大幅安には至らないだろう
ドル・円は108円台半ばから後半で揺れ動きながら次の材料待ちか。下値ではル買い需要に支えされる一方、200日移動平均線がある109円前後にはドル売り注文がたまっている
背景
トランプ米大統領とパウエルFRB議長が今年2回目の会談、マイナス金利やドル高などが議題に
トランプ大統領、米金利は競合する他国・地域に比べて高過ぎるとパウエル議長に抗議した−ツイート
中国のムードは悲観的、貿易取引で−CNBC記者がツイート
香港、多数の流血の可能性に懸念拡大−理工大のデモ隊を警察が包囲
豪中銀、5日に利下げ検討も緩和の効果見守る決定−議事要旨
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-19/Q16ZM6T0AFB701?srnd=cojp-v2

 
日本株は反落、米中楽観後退や円安一服−輸出や資源など景気敏感安い
長谷川敏郎
2019年11月19日 7:58 JST 更新日時 2019年11月19日 15:25 JST
中国の貿易取引ムードは悲観的とのツイート、原油や銅など市況下落
ドル・円は1ドル=108円40−70銭台で推移、18日は一時109円台
19日の東京株式相場は3日ぶりに反落。米中通商交渉に対する楽観がやや後退したことや為替の円安一服、商品市況安を受け、電機や機械など輸出関連、鉱業や非鉄金属など資源関連株が下げた。

TOPIXの終値は前日比3.99ポイント(0.2%)安の1696.73
日経平均株価は124円11銭(0.5%)安の2万3292円65銭
〈きょうのポイント〉

貿易取引についての中国当局のムードは悲観的、協議はするが待つというのが現在の戦略−CNBC記者がツイート
18日の米原油先物は1.2%安の1バレル=57.05ドルと反落、銅やニッケルなどロンドン金属取引所(LME)金属市況も安い
香港、多数の流血の可能性に懸念拡大−理工大のデモ隊を警察が包囲
きょうのドル・円相場は1ドル=108円40−70銭台、18日は一時109円台
  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鮎貝正弘シニア投資ストラテジストは「日本株は需給面では海外勢の買い戻しの第一陣が終了しつつある上、バリュエーション面からみても一区切りついた感がある」と指摘。その上で「米中協議の行方を見ようといったん様子見ムードに入ったかもしれない」との見方を示した。香港情勢も「米中交渉に影響するかもしれない潜在リスクとして市場が捉えている部分もある」とみる。

  米シカゴ先物の18日清算値は大阪取引所の通常取引終値に比べて5円安だったが、為替の円安の勢いが一服する中で日経平均は一時171円安まであった。大和証券投資情報部の石黒英之シニアストラテジストは「米中交渉は話し合いが進展している一方で、詰めの作業をしているとあってお互い神経質になるのは致し方ない」と語る。

  三菱モルガンによると、アベノミクス開始から17年度までの日経平均の平均PERは14.9倍だったのに対し、米中摩擦懸念が高まった18年度以降は12.5倍。足元では14倍を上回るなど18年度以降では最も高い水準まで到達した。「来期に向けて許容できる先高観はあるが、バリュエーション面からは高値警戒も出やすい」と、三菱モルガンの鮎貝氏は言う。東証1部売買代金は1兆9674億円と、2日連続の2兆円割れ。

  業種別では市況関連の下げが目立つ。貿易戦争が解決するとの見通しが後退し、きのうの米原油先物は反落。供給が潤沢な兆候などが需要見通しを押し下げ、LMEのニッケル相場は一時約3カ月ぶり安値に下落した。

  もっとも、東証1部の値下がり銘柄は全銘柄の54%にとどまるなど、一方的に下値を売り込む動きも限定的だった。大和証の石黒氏は「グローバル景気の底入れ期待が根強い中、現時点では米中交渉が決裂になる可能性も低いことから、安い場面があればすぐに押し目が入ってくる」とも、話していた。

反落
東証33業種では非鉄金属やゴム製品、鉱業、機械、輸送用機器、電機、石油・石炭製品が下落
業界再編期待が高まった医薬品は高いほか、不動産、その他金融、証券・商品先物取引、サービス、陸運は上昇
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-18/Q16PJCDWLU6Z01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/667.html

[経世済民133] トランプ流通商政策、次の犠牲はWTOか 紛争処理機能停止も 在韓米軍駐留費協議決裂 トランプ、米金利高過ぎるとパウエルに抗議 米金融当局の修復策がマネーマーケットに影響も−現金保管場所に変化 加州がGMやトヨタの新車購入停止へ、排ガス規制巡り対立
ワールド2019年11月19日 / 13:01 / 6時間前更新
アングル:
トランプ流通商政策、次の犠牲はWTOか 紛争処理機能停止も
Reuters Staff
2 分で読む

[ジュネーブ 18日 ロイター] - トランプ米大統領は競合国に対する一連の関税発動で世界貿易の秩序を一変させた。そして今、米国の強硬政策によって、世界貿易機関(WTO)の紛争処理制度が機能不全に陥る危機が迫っている。世界は自由貿易の後ろ盾である多国間主義の枠組みから「弱肉強食」の時代に逆戻りしかねない状況だ。

トランプ政権は2年前からWTO紛争処理制度における最終審である上級委員会の欠員補充を阻止してきた。これにより、委員の数は7人から3人に減少し、上級委員会が機能するために必要な最少人数ぎりぎりを保ってきた。しかし、12月10日にこのうち2人が任期満了を迎えるため、実質的に機能が停止する。

一方、米国は強硬姿勢を一段と強め、WTOの予算にも疑問を呈する構えだ。通商関係者はロイターに対し、WTOへの最大の資金拠出国である米国が、WTOの予算確保を阻止し、紛争処理機能の停止を早めるリスクが高まっていると語った。

米通商代表部(USTR)はWTOの予算についての問い合わせに応じていない。

米国は、上級委員会が頻繁に90日の審査期限を超えて判断を示したり、WTO加盟国が与えた権限を超えて新しいルールをつくっているとして不満を示してきた。

ベルギー出身の元上級委員、ピーター・バン・デン・ボッシュ氏は「米国は上級委員の選出を阻止することで紛争処理制度の最大の弱点を突いてきた」と指摘。

WTO紛争処理は二審制で、一審の小委員会(パネル)で判断が示された案件の約7割が上級委員会に上訴されている。現在3人の委員が示す最終判決には法的拘束力がある。

22日に開かれる164のWTO加盟国による月例会合でメキシコは118カ国の代表として、上級委員会の欠員補充の必要性をあらためて訴える見通しだが、米国は拒否権を再び行使するとみられる。WTOの決定は総意に基づいているため、反対が1票でもあれば提案は却下される。

会合の議題によると、米国はまた、上級委員の報酬についても懸念を表明するとみられる。

<上訴が実質不可能に>

WTOは過去25年間で350件以上の紛争処理案件について判断を示してきた。現在は米中関税合戦やトランプ政権が2018年に発動した鉄鋼・アルミ関税、日本の輸出制限に関する日韓の紛争、カタールと近隣国の紛争などについて審理が行われており、WTOの重要性が増しているのは疑いようがない。

しかし、これら係争中の案件についても、上級委員会自体が機能不全に陥れば、上訴が実質的に不可能になる。

欧州連合(EU)欧州委員会の高官は、法的拘束力のある最終判決を出す能力が奪われれば「不正行為に許可を与えるのも同然だ」と嘆いた。

米国の不満に対しては、多数のWTO加盟国が同調しており、ルールの明確化を提案している。それでもなお、米国は満足していない。

米国のデニス・シアWTO大使は前月、加盟国に対し、「現状に至った経緯について協議することが必要不可欠だ」と強調した。

メキシコの元WTO大使、ロベルト・ザパタ氏は、米国が懸念を深めているのは、WTOが中国や市場原理をあまり導入していない国家主導型経済に対応する体制が整っていないという認識と関係していると指摘する。

上級委員会のウジャル・バティア委員長(インド)とトーマス・グラハム委員(米国)の任期が12月10日に切れた後に何が実際に起きるかは不明だ。現行ルールは委員が在任中に担当した案件については退任後も引き続き審理できるとしている。そのような案件は10件程度ある。

ただ、グラハム委員については退任後は審理を継続しないとの観測がある。同氏からコメントは得られていない。

米国が上級委員会の予算確保を阻止すれば、突如として機能停止に陥る可能性もある。

EUはカナダおよびノルウェーと、WTOルールに基づき、元上級委員による上訴案件の審理継続を認めることで合意しており、12月10日の現委員の任期切れ後に他の諸国も賛同すると期待している。

しかし、米国は元委員による審理に予算を付けるべきではないと主張している。元上級委員のバン・デン・ボッシュ氏は、米国の主張が通れば、機能停止回避に向けたEUの暫定策は「水の泡」になると述べた。
https://jp.reuters.com/article/trump-trade-wto-idJPKBN1XT0EY

 

 

ワールド2019年11月19日 / 15:11 / 2時間前更新
米韓、在韓米軍駐留費巡る協議決裂 韓国世論の反発強く
Reuters Staff
1 分で読む

[ソウル 19日 ロイター] - 韓国外務省は19日、在韓米軍の駐留経費の分担を巡る韓国と米国の協議が決裂したと明らかにした。韓国では、同国に経費負担の大幅増額を迫る米国に世論の反発が強まっていた。

両国は互いに、相手側が駐留経費の負担で公平かつ妥当な歩み寄りをする用意ができていなかったと主張。66年にわたり同盟関係を保つ両国の意見対立が公になるのはまれだ。

韓国外務省は「われわれは、駐留経費の負担割合を定める従来の特別措置協定(SMA)の枠組み内で検討すべきとの立場だったが、米国は新たな区分を創設して、(韓国側の)防衛費負担を大幅に増やすべきとの考えだった」と説明した。

一方、米国の交渉責任者ジェームズ・デハート氏は会見で、米国が協議を切り上げた理由は「韓国に再検討の時間を与えるためだった」と説明。「同盟の精神の下で、相互に受け入れられる合意に向けて双方が取り組めるような新たな提案が出てくることを望む」とした。

その上で、「残念ながら、韓国の交渉チームの提案は、公平な負担に向けた米国の要求にこたえるものではなかった」と述べた。

韓国メディアによると、米韓の交渉官は終日続ける予定だった協議をわずか1時間で終了したという。

トランプ大統領は以前から、同盟国の防衛費負担が不十分と不満を述べてきた。今月、韓国の国会議員が米当局者から来年の在韓米軍駐留経費の負担を今年の5倍超となる50億ドルに増額するよう要請されたと明らかにし、韓国国内に衝撃が走った。

韓国外務省は米国が提案した新たなコスト区分に関するコメントを差し控えた。

韓国の法律では、軍の経費負担合意は国会の承認を得る必要があるが、与党議員は今週、従来の合意の原則や枠組みから逸脱する「いかなる協議結果の承認も拒否する」と訴えていた。

エスパー米国防長官は19日、訪問中のフィリピンで、韓国は米軍駐留経費の分担で「一段の貢献が可能であるしそうすべき」との認識を示した。

合意に至らない場合、米軍の撤退を考えるかとの質問には回答せず、国務省が交渉を担当していると付け加えた。

その上で「韓国は豊かな国で、さらなる貢献ができるしそうすべきだ。詳細の検討は国務省に任せる」と述べた。

*内容を追加しました。
https://jp.reuters.com/article/southkorea-usa-talks-idJPKBN1XT0KB?il=0


 

 

トランプ氏、他に比べ米金利高過ぎるとパウエル議長に抗議−ツイート
Jeff Kearns、Justin Sink、Josh Wingrove
2019年11月19日 13:25 JST
トランプ米大統領はパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長との18日の会談で、競合する他国・地域に比べて高過ぎると考えている米国の金利について「抗議」した。

  「実際、われわれ(米国)の金利は他の全てよりも低くあるべきだ。強過ぎるドルが製造業と成長に打撃を与えている!」と付け加えた。

原題:
Trump Says He ‘Protested’ to Powell About U.S. Interest Rates(抜粋)
Trump Says He Told Powell Fed Rate Too High Compared to Others
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-19/Q17CQQ6TTDS201?srnd=cojp-v2


 

米金融当局の修復策がマネーマーケットに影響も−現金保管場所に変化
Alex Harris
2019年11月19日 14:13 JST
米金融当局は9月の短期金融市場の混乱の後、短期金利に対する制御を取り戻したとしているが、その修復策はマネーマーケット投資家に波及的影響をもたらしている可能性がある。

  連邦準備制度の翌日物リバースレポ用ファシリティーに留め置かれた現金は18日に270億ドル(約2兆9300億円)に急増した。これは2019年上期末の440億ドル以来で最大。利用額は毎月18日ごろに増えるが、今月の増加は著しく大きかった。

Usage at the overnight reverse repo facility is the highest since June
  この増加は、当局が短期金利をコントロールするために行う財務省短期証券(Tビル)購入やレポ取引実施 によって、一部投資家が押しやられている可能性を示唆する。短期投資のために現金を保有するマネー・マーケット・ファンド(MMF)などは通常、Tビルを購入するかレポ市場で資金を貸し付ける。しかし現在は金融当局が両方の分野で活動しているため、当局のリバースレポが魅力的な代替選択肢になった可能性がある。

  ナットウェストの金利ストラテジスト、ブレーク・グウィン氏は、「伝統的なフロントエンド現金投資家は米金融当局によるTビル購入とレポ取引によって締め出されている。このため、リバースリポファシリティーの利用増を注視している」と話した。

  リバースレポファシリティの利用増は、銀行システムから準備預金を吸い上げることによって、準備預金を増やして短期市場を安定させようとする当局の取り組みに事実上逆行する恐れがある。

  もちろん、今の段階で急増は1日のみの現象であり、長期的な影響があるかを判断するには、急増がもっと定期的に発生するかどうかを見極める必要がある。

原題:
Fed’s Money-Market Fix May Be Affecting Where People Park Cash(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-19/Q174GKDWX2Q001?srnd=cojp-v2

ビジネス2019年11月19日 / 08:16 / 11時間前更新
加州がGMやトヨタの新車購入停止へ、排ガス規制巡り対立
Reuters Staff
1 分で読む

[ワシントン 18日 ロイター] - 米カリフォルニア州は18日、独自に排ガス基準を設定する同州の権限を取り消そうとしているトランプ政権の方針を支持する自動車メーカーからの新車購入を、来年初めから全面的に停止すると発表した。対象になるのはゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)やトヨタ自動車(7203.T)、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)(FCHA.MI)、日産自動車(7201.T)などだ。

2016年から昨年までにカリフォルニア州は、それぞれGMから5860万ドル相当、FCAから5580万ドル相当、トヨタから1060万ドル相当、日産から900万ドル相当の新車を州政府用の車として購入してきた。

ただ先月、GMやトヨタ、FCAと業界団体グローバル・オートメーカーズのメンバーは、連邦政府案よりも厳格な排ガス基準をカリフォルニア州が導入するのを禁止するトランプ政権の取り組みへの支持を打ち出した。

これを受け同州は来年1月以降、州の排ガス基準設定権限を認めているメーカーのみから新車を購入する意向だ。フォード・モーター(F.N)やホンダ(7267.T)、BMW(BMWG.DE)、フォルクスワーゲン(VW)(VOWG_p.DE)といった7月に新たな排ガス基準の適用に関して同州と合意した4社も購入先に含まれる。

ニューソム州知事は声明で「歴史の間違った側を選んだメーカーは、カリフォルニア州の購買力を失う側になるだろう」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/california-emission-idJPKBN1XS2MW

http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/668.html

[社会問題10] 米国の中絶率、過去最低に その理由は? 日本でも 10代における妊娠中絶率の低下 「性交経験」を有する者の割合は減少
米国の中絶率、過去最低に その理由は?

2019/11/18

BBC News


マックス・マッツァ

アメリカの人工妊娠中絶率が、 連邦最高裁が人工中絶を女性の権利として認めた1973年の「ロー対ウェイド」判決以降で最も低くなっていることが、9月18日に発表された最新の調査結果で明らかになった。専門家は、中絶率の減少理由を特定するのは難しいとしている。

中絶権を支持するガットマッハー研究所は、2017年に約86万2320件の人工中絶が行われたと推定している。これは、2011年の約20万件を下回っている。ピークだった1990年には約160万件の中絶が行われていた。

10年近くにわたり、保守的な州や自治体の政治家が中絶を規制しようと取り組んできたが、同研究所は、中絶件数の減少は必ずしも新しい法律が関係しているわけではないとしている。

では、アメリカの中絶率が史上最低を記録した理由は何なのか。5つの仮説をあげてみた。

生殖医療の改善
病院や中絶クリニックの調査をもとに定期的にまとめているガットマッハー研究所の報告書の著者は、中絶減少の理由の1つが、避妊が容易になり、女性用避妊具が改良されたことである可能性を発見した。

子宮内避妊具やインプラントは過去10年で改良されたほか、2009年に議会を通過した「負担可能医療法(Affordable Care Act、ACA)」(通称オバマケア、医療制度改革法)により、次第に保険会社に補償されるようになっている。

同研究所のエリザベス・ナッシュ氏は、ACAや州法などが避妊へのアクセスを拡大していると話す。

ナッシュ氏は、報告書は全国平均を示している一方で、個々の状況は反映していないと警告する。たとえば、2014年に中絶手術を受けるために女性が移動した平均距離は55キロだが、一部の女性はもっと長い距離の移動を強いられていた。

「自分が住んでいる街に中絶手術を受けられる施設があって、バスや電車で移動できる人がいる一方で、数百マイルもの距離を移動する人もいる」

在宅中絶
報告書によると、中絶手術ではなく在宅での医療中絶を選ぶ女性が増え始めている。ただ、記録が残されている中絶の95%は専門のクリニックで行われている。

クリニック以外での中絶を追跡することは難しい。そのことが、中絶率の減少の背景にあるとみられる。

医療中絶はいわゆる中絶ピルを使って行うもので、2017年には全体の39%を占めた。2014年の20%から増加傾向にある。

報告書によると、2017年に行われた中絶の10件に4件は、手術ではなくピルを用いたものだったという。

法的規制の強化
2011年から2017の間に、中絶に関する394の新たな州法が32の州で成立した。最も厳格な州法の一部は、ガットマッハー研究所の調査が行われた後の2018年に、保守的な複数の州で可決した。しかしその中のいくつかは、裁判所の判断を受けて施行が一時保留されている。

中絶反対派は、各地の法律の効果を証明するものとして、中絶率の減少を喜んだ。

生まれる権利を守る全米委員会(NRLC)のローラ・エシェヴァリア氏は、「地域の法律は影響を与えていると思う。大きな影響がないのであれば、なぜ中絶業界のあらゆる人たちは法律が可決するたびに憤慨するのだろうか」と述べた。

一方、ナッシュ氏は、各地の法律は国内での中絶率の減少において「確実に影響を与えている」が、「数字は事の全容を物語ってはいない」と指摘する。

「中絶率は、減少しようが増加しようが、中絶へのアクセスの指標にはならない。我々に必要なのは、個々人のために中絶制度がどう機能し、手の届く価格で利用できるかどうかを考えることだ」

2014年から2017年の間に中絶規制が可決した一部の州では、実際には中絶率が増加した。そしてクリニックを新設した複数の州では、中絶率が減少した。

総合的に見ると、この3年間ではアメリカの中絶クリニックの数は増えたものの、2017年以降は一部クリニックが閉鎖している。

出生率の減少
女性が欲しいと思う子供の数は減少しており、昨年米政府が公表したデータによると、米国内の出生率は1987年以降で最も低くなっている。

2018年の報告書によると、出生率と生殖能力は30年間で最も低いという。

アメリカの研究者は、より多くの女性が高等教育や職を求めていることが出生数の減少の要因の1つだとしている。

他の要因には、社会的期待の変化や、避妊へのアクセスが容易になったこと、育児休暇の取得に制約があることなども含まれるかもしれない。

妊娠に対する意識の向上
「生まれる権利を守る全米委員会(NRLC)」などの反中絶団体は、報告書のデータは正しいと認めている。ガットマッハー研究所が、中絶を行う医師らと密接な関わりを持っているからだ。

「アメリカ人に胎児の人間性について啓発し、中絶を規制する法令を可決することを目指す中絶合法化反対運動の取り組みは、影響を与えている」と、NRLC代表のキャロル・トビアス氏は言う。

NRLC広報担当のローラ・エシェヴァリア氏は、直近のスーパーボウルで流れた広告で、おやつを欲する胎児の超音波映像が使われていたことに言及し、「子宮内部で起きていることへの認識」は広まっていると付け加えた。

(英語記事 Why are US abortion rates at a record low?)

提供元:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-49849434
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/17932


第64巻第 2 号「厚生の指標」2017年 2 月

目的
 性に関する正しい知識の普及,エイズなどの性感染症予防,10代の望まない妊娠を回避する
ための避妊法等の啓発を目的として,釧路市では中学生と高校生を対象に,毎年,思春期保健
講座を開催している。講座終了後のアンケート調査の経年集計から高校生における性意識や性
行動の変化を探った。

方法
 産婦人科医・泌尿器科医・小児科医・助産師等の専門の講師による「人工妊娠中絶」「性感
染症」「避妊」「性の自己決定」などについての講義を行い,性意識や性行動,喫煙・飲酒に関
するアンケートを実施した。分析対象は釧路市保健所管内の高等学校10〜14校の 1 , 2 年生で,
1,761〜2,548名であった。平成13年から平成26年までの経年集計を行い,さらに「性交経験」
に関係する要因について解析した。

結果
「性交経験」を有する者の割合は減少しており,平成13年には男子27.6%,女子34.8%で
あったが,平成26年は男子13.6%,女子16.2%となり,半減している。「初めての性交経験時
に避妊を実行した者の割合」は70〜80%程度で推移していたが,最近は女子においてその割合
は減少している。「愛情のない性交渉を容認する者」は男子において高く,平成13年は35.5%
に達していたが,平成26年は14.8%と半分以下に減少している。「自分の体を大切にしている
者」は増加している。「性に関わる自分の行動・意識で影響を受けたもの」では「友人」と答
える者が最も多かった。「インターネット」と答える者は特に男子において増加しており,平
成15年は1.5%であったが,平成26年は17.3%であった。「学校の授業」と答える者も女子にお
いて増えており,平成16年は3.0%であったが,平成26年は10.6%と 3 倍以上に増加した。飲
酒率と喫煙率は男女とも激減している。ロジスティック回帰分析の結果,「性交経験あり」と
有意に関係する因子は,男子では「飲酒経験あり」,次いで「愛情のない性交渉を容認する」
であった。女子では,「愛情のない性交渉を容認する」「飲酒経験あり」「学校の授業」「喫煙経
験あり」であった。「学校の授業」は性交経験を抑制する因子であった。
結論 釧路市の思春期保健対策は着実に成果を上げており,高校生の性意識,性行動,喫煙・飲酒
行動は大きく改善した。学校において避妊と性感染症の知識を徹底的に学ぶことと,喫煙・飲
酒教育の重要性が改めて示唆された。
キーワード 妊娠中絶率,高校生,性交経験,性教育,飲酒,喫煙

投稿
10代における妊娠中絶率の低下および
性感染症の予防を目的とした保健事業の成果
−釧路市における思春期保健講座アンケートの経年集計から− 
* 2
* 1 札幌医科大学医学部公衆衛生学講座講師 * 2 同教授
* 3 釧路市こども保健部健康推進課健康づくり担当主査 * 4 同健康づくり担当専門員 * 5 同課長補佐
* 6 同保健相談主幹


T 緒   言
図 1 は,母体保護統計(平成14年以前)1)と
衛生行政報告例(平成15年以降)2)から得られ
た全国・北海道・釧路管内(釧路市保健所管
内)の人工妊娠中絶率の経年推移である。15〜
19歳の中絶率は,平成 7 年以降上昇し,平成13
年にピークに達し,その後は減少している。北
海道は15〜49歳の中絶率も高いが,特に15〜19
歳は高く,平成13年には全国の中絶率の1.7倍
に達した。その後は減少し,15〜49歳,15〜19
歳ともに全国との差は縮小している。釧路管内
の中絶率は平成 6 年以降急速に増加し,平成13
年は27.9人(人口千人当たり)であった。これ
は全国の2.1倍,北海道の1.3倍である。その後
は減少し,平成18年に一時増加するも,再び減
少している。全国・北海道との差は縮小しつつ
あるが,平成25年の15〜19歳の中絶率は,全国
の1.6倍,北海道の1.2倍であった。
 このような状況を改善すべく,釧路市は思春
期の保健対策の強化に乗り出し,平成12年より,
中学生と高校生を対象に思春期保健講座を開始
した。これは国保健康ヘルスチェック事業に加
算されたエイズ予防普及事業の一環である。講
座の目的は,生徒が性に対して責任ある行動を
とれるようにすることである。具体的には,性
に関する正しい知識を普及し,10代の望まない
妊娠を回避するための具体的な避妊法等を啓発
して人工妊娠中絶率の上昇を防ぎ,エイズなど
の性感染症を予防することである。
図 1 に示すように,講座を開始した平成12年
以降,釧路管内の10代の中絶率は大幅に改善さ
れた。平成13年からは,毎年,講座終了時にア
ンケート調査を実施し経年的な集計を行ってき
たが,性に対する行動・意識,喫煙率,飲酒率
なども着実に改善している。高校生におけるア
ンケートの回答から経年変化と性の意識,性交
経験に関係する要因の分析について報告する。

U 方   法
 平成12年より毎年,釧路管内の高等学校10〜
14校(定時制 2 校を含む)の1〜4 年生を対象
に,各校につき年 1 回ずつ思春期保健講座を開
催している。内容は「人工妊娠中絶」「性感染
症」「避妊」「性の自己決定」などで,産婦人科
医・泌尿器科医・小児科医・助産師等の専門の
講師による約 1 時間の講義である。対象の高校
生は平成14年の3,794名が最大で,平成26年は
最も少なく1,999名であった。平成13年より,
思春期保健講座終了後にアンケート調査を開始
した。アンケートは無記名で,主な内容は,
「性交経験について」「性交渉についての自分
の考え」「性に関わる自分の行動・意識で,影
響を受けたもの」「喫煙(月数回〜毎日)の有
無」「飲酒(月数回〜毎日)の有無」などであ
る。回収率は約90%である。年により対象と
なった 3 年生の人数にばらつきがあるため,今
回の報告では 1 , 2 年生を対象とした。また,
年齢が高く社会人が多い定時制高校 2 校は除外
した。結局,アンケート対象人数は,平成15年
の2,548名が最も多く,平成17年の1,761名が最
も少なかった。初めて講座を受講する者がほと
んどであるが, 1 , 2 年時両方で受講している
者も10%程度含まれる。そのため,集計結果に
多少のバイアスが入っている可能性は否定でき
ない。
0
5
10
平成 6 年 10 15 20 25
15
20
25
30

釧路管内(15〜19歳)
北海道(15〜19歳)
全国(15〜19歳)
北海道(15〜49歳)
全国(15〜49歳)
図 1  人口千人当たり人工妊娠中絶実施率
注  全国の数値は平成13年までは「母体保護統計報告」による暦年
の数値であり,平成14年度以降は「衛生行政報告例」による年度
の数値である。


 各年に集計を行い,平成13年(質問項目に
よってはその後の年)から平成26年までの経年
変化をグラフ化した。「性交経験の有無」と次
の@〜Cの質問項目の間でχ2
検定を行った。
@性交渉についての自分の考え(愛情のない性
交渉を容認する,自分の体を大切にしている),
A性に関わる自分の行動・意識で影響を受けた
もの(友人,インターネット,学校の授業),
B飲酒経験,C喫煙経験。さらに,「性交経験
の有無」を目的変数としてロジスティック回帰
分析を行い,ステップワイズ法で有意な変数を
選択した。有意水準は 5 %に設定し,集計・分
析はIBM SPSS Statistics 22で行った。
 アンケートの計画・実施は釧路市が,入力・
集計・分析は札幌医科大学が行った。本研究は
市町村が行う保健事業の一環であり,疫学研究
に関する倫理指針の適応外である。従って,倫
理委員会の審査は受けていない。
V 結   果
(1) 性交経験について
「性交経験を有する」者の割合は減少してい
る。平成13年には男子27.6%,女子34.8%で
あったが,平成26年は男子13.6%,女子16.2%
となり,半減している(図 2 )。性交経験を有
する者のうち,初めて性交渉を経験したのが
「中学生以下」であった者は,男子63.0%,女
子49.3%(平成26年)であった。「 2 人以上の
性交経験を有する」者の割合は,最近は横ばい
で,平成26年は男子44.1%,女子46.7%であっ
た(図 3 )。「初めての性交経験時に避妊を実行
した」者の割合は70〜80%程度で推移していた
が,最近は女子においてその割合は減少してい
る(図 4 )。避妊法はほとんどが「男性用コン
ドーム」である。平成26年の男性用コンドーム 0
20
10
平成13年 15 20 25 26
30
40
50

女子
男子
図 2  性交経験を有する者の割合
0
40
20
平成13年 15 20 25 26
60
80
100

女子
男子
図3 2 人以上の性交経験を有する者の割合
0
20
10
平成13年 15 20 25 26
30
40
50

女子
男子
図 5  愛情のない性交渉を容認する者の割合
0
40
20
平成14年 20 15 25 26
60
80
100

女子
男子
図 4  初めての性交経験時に避妊を実行した者の割合
70
60
50
平成20年 21 25 22 26 23 24
80
90
100

女子
男子
図 6  自分の体を大切にしている者の割合
―  ―26
第64巻第 2 号「厚生の指標」2017年 2 月
の使用率は,男子87.7%,
女 子83.7 % で あ っ た。
「女性用コンドーム」の
使用は男子4.7%,女子
6.1%であった。「膣外射
精」は男子6.6%,女子
12.2%であった。「経口
避妊薬(ピル)」の使用
はほとんどなかった。
(2) 性交渉についての
自分の考えについて
「愛情のない性交渉を容認する」者は減少し
ている。男子において高く,平成13年は35.5%
に達していたが,平成26年は14.8%と半分以下
に減少している(図 5 )。「自分の体を大切にし
ている者」は増加している。平成26年は男子
88.1%,女子91.5%であった(図 6 )。
(3) 性に関わる自分の行動・意識で影響を受
けたもの(図 7 )
「友人」と答えた者が最も多かった。男女差
はなく,最近は横ばいで19%前後である。「イ
ンターネット」と答える者は増加している。特
に男子において著しく,平成15年は1.5%で
あったが,平成26年は17.3%に増加している。
「学校の授業」と答える者も増えている。特に
女子において,変動はあるが,平成16年の3.0%
から,平成26年は10.6%と 3 倍以上に増加して
いる。
(4) 飲酒率
「飲酒する者(月数回〜毎日)」は経年的に激
減 し て い る。 平成14年 の 男 子35.2 %, 女 子
35.8%と比べると,平成26年は男子10.1%,女
子10.4%と,1 / 3 以下に減少している(図 8 )。
「毎日飲酒者」はわずかで,平成26年は,男子
1.3%(12名),女子0.4%( 4 名)であった。
(5) 喫煙率
「喫煙する者(月数回〜毎日)」は経年的に激
減している。男子の喫煙率が高く,平成14年は
男子21.1%,女子15.7%であったが,平成26年
は男子4.0%,女子2.2%にまで減少した(図 8 )。
平成26年の「毎日喫煙者」は,男子2.7%(25
名),女子1.2%(11名)であった。
(6) 性交経験の有無と性に対する考え・行
動・喫煙・飲酒との関連
 χ2
検定の結果,「性交経験の有無」と有意に
0
5
10
平成15年 20 26 25
15
20
25
30

男(友人)
女(友人)
男(インターネット)
女(学校の授業)
女(インターネット)
男(学校の授業)
図 7  性に関わる行動・意識で影響を受けたもの
0
10
平成14年 15 26 20 25
20
30
40
50

飲酒率(男)
飲酒率(女)
喫煙率(男)
喫煙率(女)
図 8  飲酒率と喫煙率
表1 「性交経験の有無」と性に対する考え・行動・喫煙・飲酒との関連 (χ2
検定)
(単位 %)
男子 女子
経験あり
(n=127)
経験なし
(n=798) P値 経験あり
(n=150)
経験なし
(n=758) P値
性交渉についての自分の考え
 愛情のない性交渉を容認する 31.3 12.1 <0.001 22.9 4.6 <0.001
 自分の体を大切にしている 85.8 89.4 0.23 86.9 92.9 0.01
性に関わる自分の行動・意識で
影響を受けたもの
 友人 24.8 19.0 0.12 24.8 17.1 0.02
 インターネット 19.4 17.1 0.53 9.8 10.3 0.85
 学校の授業 5.4 5.7 0.9 3.9 11.9 0.003
飲酒経験あり 33.1 6.9 <0.001 29.7 8.0 <0.001
喫煙経験あり 14.2 2.7 <0.001 9.3 1.2 <0.001
―  ―27
第64巻第 2 号「厚生の指標」2017年 2 月
関連していたのは,男子では「愛情
のない性交渉を容認する」と「飲酒
経験」「喫煙経験」であった。女子
では「愛情のない性交渉を容認す
る」「自分の体を大切にしている」
「友人」「学校の授業」「飲酒経験」
「喫煙経験」であった。男女とも
「性交経験」を有する者は「飲酒経
験」と「喫煙経験」のある者が多
かった。「性交経験の有無」と「性に関わる自
分の行動・意識で影響を受けたもの」の関係は
女子において高く,「友人」から性に関する影
響を受けたと回答したのは「性交経験」を有す
る女子に多かったが,「学校の授業」と回答し
たのは「性交経験」がない女子に多かった(表
1 )。
 ロジスティック回帰分析で有意な変数の選択
を行った結果,「性交経験あり」に関係する因
子は,男子では「飲酒経験あり」(オッズ比5.68,
95%信頼区間(以下,95%CI)3.50-9.21)で
あり,次いで「愛情のない性交渉を容認する」
(同2.81,95%CI 1.77-4.49)であった。女子
では,「愛情のない性交渉を容認する」(同4.04,
95%CI 2.31-7.07)であり,次いで「飲酒経験
あり」(同3.45,95%CI 2.12-5.61),「学校の
授業」(同0.42,95%CI 0.18-0.99),「喫煙経
験あり」(同2.94,95%CI 1.06-8.18)であっ
た。女子においては「学校の授業」が選択され
たが,「性交経験あり」を抑制する因子であっ
た(表 2 )。
W 考   察
 全国の15〜49歳の妊娠中絶率は昭和28年の
50.2人(女子人口千人当たり)をピークに減少
し,平成13年に少し増加したが,以後も漸進的
に減少している1)2)。北海道は中絶率が高いが,
同様の傾向で推移している。中絶率が減少した
主な理由は避妊法の普及にあると思われる。一
方,全国の15〜19歳の妊娠中絶率は,図 1 に示
すように,平成 7 年以降に増加し平成13年に
ピークに達した。北海道は大きく増加し,特に
釧路管内は平成 7 年から平成13年までの 5 年間
で2.2倍に増加した。この時期はバブル経済崩
壊後の経済低成長期に相当するが,平成 8 年に
「援助交際」という言葉が流行語大賞を受賞し,
インターネットの普及が進んで,10代の女子の
性が一気に開放的になった時代でもある。イン
ターネットの人口普及率は平成 9 年には9.2%
であったが,平成13年には44.0%に達してい
た3)。
 学校で性教育が行われるようになったのは,
喫煙・飲酒教育よりはるかに前である。第 2 次
世界大戦後,GHQの指導のもとで,男女の生
殖器,月経,射精,青年期の身体的変化につい
て中学校で学習することとなった。マスコミの
影響が大きくなり性に関する情報があふれ出し
た昭和40年代に,学習指導要領の改訂で高等学
校での性に関する指導が大きく取り上げられた。
内容は主に結婚や家族計画についてであった。
昭和56年に日本で初めてAIDS症例が報告され
てから,AIDS教育に重きを置くようになっ
た4)5)。平成12年頃からは,過激な性教育に対
するバッシングも起こったが,図 1 で示したよ
うに,未成年の中絶率は減少しており,性教育
の効果はあると考えていいだろう。
 第 7 回青少年の性行動調査6)によると,高校
生( 1 〜 3 年生)の性交経験率は,平成17年は
男 子26.6 %, 女 子30.3 %, 平 成23年は男子
15.0%,女子23.6%であった。本調査のそれは,
高校1,2 年 生 で あ る が, 平 成17年 は 男 子
19.3%,女子25.5%,平成23年は男子14.5%,
女子23.6%であった。調査対象は少し異なるが,
釧路地域の高校生の性交経験率が全国と比べて
高いとはいえない数字である。にもかかわらず
表 2   「性交経験あり」に影響を与える性に対する考え・行動・喫煙・飲酒
(ロジスティック回帰分析)
回帰係数 オッズ比(95%信頼区間) P値
男子
飲酒経験あり 1.74 5.68(3.50-9.21) <0.001
愛情のない性交渉を容
認する
1.04 2.81(1.77-4.49) <0.001
女子
愛情のない性交渉を容
認する
1.40 4.04(2.31-7.07) <0.001
飲酒経験あり 1.24 3.45(2.12-5.61) <0.001
学校の授業 -0.87 0.42(0.18-0.99) 0.039
喫煙経験あり 1.08 2.94(1.06-8.18) 0.045
―  ―28
第64巻第 2 号「厚生の指標」2017年 2 月
妊娠中絶率が高かったのは性教育の不足が原因
ではないかと考え,釧路市は思春期の保健対策
の強化に乗り出したのである。
 北海道や釧路管内の妊娠中絶率が全国と比べ
て高い理由は,性行動も含めた生活習慣全体に
対する意識に問題があるからとも考えられる。
北海道は喫煙率が高いことに注目すべきである。
2013年の成人喫煙率の全国平均は男性33.7%,
女性10.7%であったのに対して,北海道の喫煙
率は男性39.2%,女性17.8%であった。都道府
県別の順位では男性は第 3 位,女性は断トツの
第 1 位であった7)。釧路市も喫煙率が高い。釧
路市は40代以降の年代別の喫煙率を公表してい
るが,平成23年の40代男性の喫煙率は47.1%
(全国平均は40.2%),40代女性は29.1%(全
国平均は16.5%)であった8)。高校生の喫煙率
については,健康日本21(第二次)の分析評価
事業では,平成24年の高校 3 年生の喫煙率(調
査日を含む30日間に 1 回でも喫煙した者の割
合)は男子5.6%,女子2.5%であった9)。平成
24年の本調査では,高校 1 , 2 年生の集計であ
るにもかかわらず,男子6.1%,女子3.8%と高
かった。
 未成年者の飲酒率は,全国平均が男性21.7%,
女性が19.9%(平成22年)に対して,釧路市は
男性19.9%,女性19.8%(平成23年)であっ
た8)。また,健康日本21(第二次)の分析評価
事業によると,平成24年の高校 3 年生の飲酒率
(調査日を含む30日間に 1 回でも飲酒した者の
割合)は,男子16.1%,女子16.6%であるが9),
平成24年の本調査の高校 1 , 2 年生の集計では,
男子14.0%,女子13.7%であった。
 喫煙率と比べると飲酒率はずっと高く,本調
査でも男子10.1%,女子10.4%(平成26年)が
飲酒するのに対して,喫煙率は男子4.0%,女
子2.2%(平成26年)であった。「喫煙」と「飲
酒」をクロス集計すると強い関連がみられたが,
喫煙者の77.0%が飲酒をしていたのに対して,
飲酒者のうち喫煙する者は23.7%であった。
「喫煙」と「飲酒」は男女ともに「性交経験の
有無」と有意な関係にあったが,ロジスティッ
ク回帰分析では,割合の高い「飲酒」の方が選
択され回帰係数も大きかった。10代において性
行動と喫煙・飲酒の間に関連があることは報告
されている10)11)。高校生の飲酒場面として「冠
婚葬祭」「家族との食事の席」「クラスのパー
ティー時」「友達の家」「パブやカラオケボック
ス」などがあり,少量飲酒群では「冠婚葬祭」
「家族との食事の席」がほとんどであるが,飲
酒群や問題飲酒群では「クラスのパーティー
時」「友達の家」「パブやカラオケボックス」で
の飲酒も多い12)。飲酒は自制心を低下させ性的
衝動が抑制できなくなる可能性が高く,高校生
の飲酒場面が性交経験へと向かいやすい環境に
あることも,性交経験と飲酒が強く関連する理
由であろう。
 高校生の性意識・性行動に影響を与えるもの
として「インターネット」が増加している。特
に男子において著しいが,男女とも性交経験と
の関連はなかった。「学校の授業」も増加して
いるが,女子においては性交経験に対して有意
に抑制的に働いている。性意識・性行動を良い
方向へ向かわせるためには,やはり「学校の授
業」による性教育・喫煙や飲酒に関する健康教
育が最も大切であると考えられる。その結果と
して,愛情を伴った性交渉を望むように意識が
変わっていくのではないだろうか。
 釧路市の思春期保健対策は着実に成果を上げ
ており,高校生の性意識,性行動,喫煙行動,
飲酒行動は着実に改善しているが,本調査に
よって今後の課題がふたつみえてきた。ひとつ
は「 2 人以上の性交経験を有する」者(図 3 )
が減少しないことである。性交経験の人数に関
してはネットの出会い系サイトが影響している
可能性がある。平成26年の本調査によると,性
交経験のある者で「出会い系サイトを利用した
経験がある」のは14.9%であったが, 2 人以上
の性交経験がある者では20%を超えていた。も
うひとつは「初交時に避妊を実行した」者の割
合(図 4 )が増加しないことである。女子は逆
に減少している。性交時に避妊をしないのは
「めんどくさいから」「準備していないことが
多いから」という理由が多いことから,妊娠や
性感染症に対する危険性の認識不足が大きいと
―  ―29
第64巻第 2 号「厚生の指標」2017年 2 月
思われる。本調査では,初交時のみならず現在
の性交渉も聞いているが,避妊の実施率は低く,
「いつも避妊している」者の割合は男子で
64.6%,女子で45.8%であった。また,近年,
日本ではAIDSや梅毒などの性感染症がすべて
の年齢で増加している。15〜19歳のAIDS感染
の報告は2000年に 4 例であったが,その後増加
し,2014年は16名報告されている13)。梅毒も
15〜19歳の男女で増加しており,先天梅毒は年
間数例報告されている14)。淋菌感染症も減少し
ているとはいえない14)。20代女性の子宮頸がん
も増加している15)。本調査の「性について知り
たいことはなにか」という質問に対して,「エ
イズ」と「性感染症の知識」は毎年回答率の高
い項目である。初交年齢は中学生以下が多いこ
とを考えると,高校はもちろんのこと中学での
性教育も大切で,特に避妊と性感染症の知識を
徹底的に学ぶことが重要と思われる。
文   献
1 )厚生労働省.母体保護統計報告(http://www.estat.go.jp/SG1/estat/GL08020101.do?_toGL0802010
1_&tstatCode=000001024040&requestSender=dse
arch)2015.6.18.
2 )厚生労働省.衛生行政報告例(http://www.e-stat.
go.jp/SG1/estat/GL08020101.do?_toGL08020101_&
tstatCode=000001031469&requestSender=dsear
ch)2015.6.18.
3 )総務省.平成14年 通信利用動向調査(http://
www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/
data/030307_1.pdf)2015.6.18.
4 )松下清美,玉江和義.性教育の現状と課題−性教
育の歴史的変遷に着目して−.宮崎大学教育文化
学部紀要 2012;25・26:9-20.
5 )山本信弘,大道乃里子,戸田百合子,他.性教育
の歴史的変遷の文献的一考察.大阪教育大学紀要 
1991;39(2):203-15.
6 )日本性教育協会.第 7 回青少年の性行動調査
http://www.jase.faje.or.jp/jigyo/youth.html
2015.7.23.
7 )厚生労働省.平成25年 国民生活基礎調査(http://
www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/
k-tyosa13/index.html)2015.9.30.
8 )釧路市.健康くしろ21(http://www.city.kushiro.
lg.jp/kenfuku/kenkou/tsukuru/kushiro21/cat
00000468.html)2015.9.30.
9 )厚生労働省.健康日本21(第二次)分析評価事業
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/
kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21/kenkou
nippon21/data05.html#c04)2015.9.30.
10)李美錦,川畑徹朗,菱田一哉,他.中学生の性行
動と心理社会的変数との関連.学校保健研究 
2012;54:418-29.
11)野々山未希子,江守洋子,永井秦,他.10代女性
のSTI感染とその影響要因.母性衛生 2008;48
(4):531-41.
12)江藤和子.神奈川県内の中学生・高校生の問題飲
酒群の飲酒行動.学校保健研究 2012:54(4):
340-4.
13)厚生労働省.エイズ発生動向年報(http://api-net.
jfap.or.jp/status/2014/14nenpo/hyo_06_01.pdf)
2016.1.13.
14)厚生労働省.性感染症報告数(http://www.mhlw.
go.jp/topics/2005/04/tp0411-1.html)2016.1.13.
15)国立がん研究センター.がん情報サービス(http://
ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html)
2016.1.20.
https://www.hws-kyokai.or.jp/images/ronbun/all/201702-04.pdf
http://www.asyura2.com/18/social10/msg/258.html

[国際27] ロシア製ミサイルは破棄しないと米大統領に言明=トルコ大統領 トルコとロシアがシリアで8回目の合同パトロール「難民に最大の支援をしている国はトルコ」 トルコ国防省、北キプロスの国旗を燃やしたギリシャ側を断固非難
ワールド2019年11月19日 / 19:57 / 2時間前更新
ロシア製ミサイルは破棄しないと米大統領に言明=トルコ大統領
Reuters Staff
1 分で読む

[アンカラ 19日 ロイター] - トルコのエルドアン大統領は19日、先週トランプ米大統領と会談した際、ロシアから購入した地対空ミサイルシステム「S400」について、米国の要求に応じて破棄することはないと言明したことを明らかにした。エルドアン大統領が率いる与党の公正発展党(AKP)の議員らに語った。

両大統領は先週、ミサイル購入やシリア情勢など米国とトルコの間に山積する問題の解決を探るため会談した。米国政府は「S400」が米国の最新鋭ステルス戦闘機「F35」の脅威になるとして、「F35」の共同製造プログラムからトルコを除外した。また、「S400」を破棄しない場合はトルコに制裁を科す可能性があると警告したが、まだ制裁の発動には至っていない。

エルドアン大統領は、米国が「F35」について妥協しない姿勢を貫けば、トルコは中期的な防衛上の必要を満たすため他の選択肢を模索しなければならないとトランプ大統領に伝えたことも明らかにした。

https://jp.reuters.com/article/usa-turkey-erdogan-idJPKBN1XT1AF



トルコとロシアがシリアで8回目の合同パトロール
トルコ軍とロシア軍が、シリアのユーフラテス川の東側地域で、8回目の合同地上パトロールを行った。
18.11.2019 ~ 19.11.2019
トルコとロシアがシリアで8回目の合同パトロール

トルコ共和国国防省から行われた発表によると、シリアのユーフラテス川の東側地域にあるアイン・アル・アラブ地区で、トルコ軍とロシア軍が、それぞれ車両4台と無人航空機を使い、8回目の合同地上パトロールを行った。

パトロールは国境から10キロの範囲、長さ34キロのエリアで行われた。

(2019年11月18日 月曜日)
https://www.trt.net.tr/japanese/toruko/2019/11/18/20191118-002-1308551



チェリキAKP報道官、キプロス島ギリシャ側で北キプロス・トルコ共和国の国旗が燃やされたことに反発
公正発展党(AKP)のオメル・チェリキ報道官は、キプロス島ギリシャ側で北キプロス・トルコ共和国の国旗が燃やされたことに反発を示した。
19.11.2019 ~ 19.11.2019
チェリキAKP報道官、キプロス島ギリシャ側で北キプロス・トルコ共和国の国旗が燃やされたことに反発

公正発展党中央執行委員会がレジェプ・ターイプ・エルドアン大統領が議長となって招集された。

会議後に開かれた記者会見でチェリキ報道官は発言した。

チェリキ報道官は、キプロス島ギリシャ側で北キプロス・トルコ共和国の国旗が燃やされたことに反発を示した。

チェリキ報道官は、キプロス島ギリシャ側の政治家たちがこの醜い行為や挑発を行う者らを勇気づける発言をしていると強調した。

この醜い行為は挑発者数人だけが行った行為ではなく、組織的な活動であると明かしたチェリキ報道官は、ギリシャとキプロス島ギリシャ側の政治家の挑発的な発言がこの行為に影響を与えたと語った。

前日ノルウェーでコーラン経典が燃やされた行為を厳しく非難するとも明かしたチェリキ報道官は、

「イスラム敵視のイデオロギーを持つ組織によって行われたこの行為は、ムスリムに対してだけでなく、同時に全人類に対して行われた行為である」と述べた。

(2019年11月19日)
https://www.trt.net.tr/japanese/toruko/2019/11/19/tierikiakpbao-dao-guan-kipurosudao-girisiyace-debei-kipurosutorukogong-he-guo-noguo-qi-garan-yasaretakotonifan-fa-1308819


エルドアン大統領 「難民に最大の支援をしている国はトルコ」
レジェプ・ターイプ・エルドアン大統領が、トルコ軍がシリアに駐留している理由は原油ではなく人間であると述べた。
18.11.2019 ~ 19.11.2019
エルドアン大統領 「難民に最大の支援をしている国はトルコ」
エルドアン大統領は、イスタンブールのドルマバフチェ宮殿で開催された第2回イスタンブール国際オンブズマン会議で演説した。

エルドアン大統領は、トルコはテロ組織の攻撃から経済の罠まで長年多くの脅威に晒されながらも敢然と踏みとどまり、いつもその力をうまく高めてきたと述べた。

世界最大の後進国や難民に最大の支援をしている国はトルコだと述べたエルドアン大統領は、

「原油の分け前を取ろうとしている者もいる。我々にも原油を差し出してきた。『我々にとっての問題は原油ではない』と言ってやった。我々にとっての問題は人間だ」と語った。

エルドアン大統領は、シリア難民を爆弾のもとに送ることは決してないと述べた。

エルドアン大統領は、

「自ら築いた壁の後ろで今日望みもなく自由や繁栄の演技をしている者は、明日になってガラスの別荘が自分に向かって倒れてくれば、他の人々が感じていることをしっかりと理解するだろう」と語った。

(2019年11月18日)
https://www.trt.net.tr/japanese/toruko/2019/11/18/erudoanda-tong-ling-nan-min-nizui-da-nozhi-yuan-wositeiruguo-hatoruko-1308368

【トルコからの支援の手】 シリアの村に電気が来た
トルコ軍が電気と水がなかったシリアのラス・アルアイン地区の村に、発電設備を設置した。
18.11.2019 ~ 19.11.2019
【トルコからの支援の手】 シリアの村に電気が来た

トルコ共和国国防省がツイッター(Twitter)で行った発表によると、電気と水がなかったラス・アルアイン地区のヌクラ村で生活を正常な状態に戻すための活動が続けられている。

この活動において、ヌクラ村の電気の問題を解決するために調達された75キロワットの発電設備の設置がトルコ軍により行われた。

発表で、発電設備設置に関するビデオも公開された。
https://www.trt.net.tr/japanese/toruko/2019/11/18/20191118-003-1308600


防省「トルコ軍は安全地帯構築において国際法の枠組みで行動」
国防省が、トルコ軍はシリアでの安全地帯構築に向けたすべての活動において、トルコ国法と国際法の枠組みで行動していることを伝えた。
18.11.2019 ~ 19.11.2019
国防省「トルコ軍は安全地帯構築において国際法の枠組みで行動」
国防省のツイッターのアカウント上でのシェアで、次のように述べられた。

「民族浄化、化学兵器、民族・宗教的差別は、我々の栄光ある歴史と倫理的価値の中に存在しない。また、北大西洋条約機構(NATO)の軍であるトルコ軍は、安全地帯構築に向けたすべての活動において、トルコ国法と国際法の枠組みで行動している」

(2019年11月18日)
https://www.trt.net.tr/japanese/toruko/2019/11/18/guo-fang-sheng-torukojun-haan-quan-di-dai-gou-zhu-nioiteguo-ji-fa-nowaku-zu-midexing-dong-1308614

トルコ国防省、北キプロスの国旗を燃やしたギリシャ側を断固非難
トルコ共和国国防省が、キプロス島のギリシャ側で発生したデモ行為で、北キプロス・トルコ共和国の国旗が燃やされたことに対し、断固たる非難を表明した。
18.11.2019 ~ 19.11.2019
トルコ国防省、北キプロスの国旗を燃やしたギリシャ側を断固非難

トルコ共和国国防省はツイッター(Twitter)で、「国旗は国の誇りである」という題で投稿を行い、「キプロス島のギリシャ側で発生したデモ行為で、北キプロス・トルコ共和国の国旗が燃やされたことを断固として非難する。キプロス島のギリシャ側の代表らがけしかけたこの人種差別攻撃によって、北キプロス・トルコ共和国の国旗がキプロス島で永遠にはためくことが阻止されることは断じてあり得ない」と表明した。

(2019年11月18日 月曜日)
https://www.trt.net.tr/japanese/toruko/2019/11/18/20191118-004-1308610


トルコがキプロス島ギリシャ側を強く非難した。
17.11.2019 ~ 19.11.2019
トルコがキプロス島ギリシャ側を強く非難
トルコ外務省から出された声明で、北キプロス・トルコ共和国の建国36周年記念目にキプロス島ギリシャ側で北キプロス・トルコ共和国の旗が燃やされたことが非難され、北キプロス・トルコ共和国当局のこの件における声明を全面的に支持するということが伝えられた。

声明で、

「キプロス島ギリシャ側からこの憎悪に満ちた行為を非難する声明が一切行われず、犯人が尋問を受けていないことは、この行為が公式に支持されているということを指し示している。この件において、北キプロス・トルコ人に向けた憎悪を煽る声明を出したキプロス島ギリシャ側、そしてギリシャ当局に責任があることを確信している」と述べられた。

外務省の声明では国際社会にも呼びかけが行われ、

「このような条件のもと、国際社会がキプロス島ギリシャ側とギリシャに対し、国連事務総長の最新報告書でも指摘されたとおり、キプロス島の緊張をさらに悪化させるような発言を避けるよう呼びかけることを期待している」と述べられた。

(2019年11月17日)

キーワード: キプロス島ギリシャ側 , 北キプロス・トルコ共和国 , トルコ
注目ニュース
国防省「トルコ軍は安全地帯構築において国際法の枠組みで行動」
https://www.trt.net.tr/japanese/toruko/2019/11/17/torukogakipurosudao-girisiyace-woqiang-kufei-nan-1307948

http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/766.html

[経世済民133] G7で2番目に高い日本の相対的貧困率。そこで何が起きている? 革新的理論の礎となった「貧困の経済学」 
G7で2番目に高い日本の相対的貧困率。そこで何が起きている?

松本 健太郎
株式会社デコム データサイエンティスト 
2019年11月19日

3 62%全4790文字

 公的統計データなどを基に語られる“事実”はうのみにしてよいのか? 一般に“常識“と思われていることは、本当に正しいのか? 気鋭のデータサイエンティストがそうした視点で統計データを分析・検証する。結論として示される数字だけではなく、その数字がどのように算出されたかに目を向けて、真実を明らかにしていく。
※文中にある各種資料へのリンクは外部のサイトへ移動します
連載バックナンバーはこちら
 日本は、貧困国でしょうか。
 「貧困」と聞いて大勢の人がイメージするのは、アフリカの貧困国のように、極端に背が低くガリガリに痩せ細った子どもたちの姿かもしれません。しかしGDP規模が米国、中国に次ぐ第3位の日本において、そのような光景を目の当たりにすればそれは「事件」です。
 そうした貧困は「絶対的貧困」と呼ばれ、世界銀行では「1日1.90米ドル(約200円)未満で生活する人々」と定義されています。2015年には全世界で約7.36億人いると試算されています。
米国に次いで高い日本の「相対的貧困率」
 貧困にはもう1種類、「相対的貧困」と呼ばれる指標があります。その国の文化・生活水準と比較して困窮した状態を指し、具体的には「世帯の所得がその国の等価可処分所得の中央値の半分に満たない人々」と定義されています。
 日本の相対的貧困率は、12年は16.1%、16年は15.7%もありました。約6人に1人は「相対的貧困」なのです。「OECD経済審査報告書(2017年)」には、国別の相対的貧困率が掲載されています。日米欧主要7カ国(G7)のうち、日本は米国に次いで2番目に高い比率になっています。

日本の相対的貧困率はG7の中で米国に次いで高い

出典:OECD (2017g)、OECD Income Distribution (データベース)

[画像のクリックで拡大表示]

 「昔はもっと貧しかった」と主張される方もいます。では、ご自身の学生時代を江戸時代と比較して「あなたは昔に比べて裕福だった」と言われたら、どのような気分になるでしょうか。それと一緒で、成長を続ける現代において昔との比較は意味がありません。
 相対的貧困とは、あくまで相対的なものであり、概念であり、目で見えにくい。だからこそあまり注目を集めず、今も苦しんでいる人たちがいます。ちなみに国立社会保障・人口問題研究所が17年7月に実施した「生活と支え合いに関する調査」によれば、「ひとり親世帯(二世代)」の約36%が食料の困窮経験について「あった」と回答しています。
食料の困窮経験が「あった」世帯の比率

出典:内閣府の子供の貧困対策「子供の貧困に関する現状」

[画像のクリックで拡大表示]

 持続可能な社会を目指すなら、相対的貧困は低い方が良いといわれています。実際、SDGs(持続可能な開発目標)では、「目標1」として「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」と掲げるだけでなく、「目標10」に「各国内および各国間の不平等を是正する」と掲げ、相対的貧困層の減少を訴えています。
 それは、なぜでしょうか?
次ページ「相対的貧困層」は若者、老人、ひとり親の家庭に多い
「相対的貧困層」は若者、老人、ひとり親の家庭に多い
 まず、相対的貧困層とはどのような人たちが多いかを調べてみます。
 貧困に関する研究の第一人者である阿部彩先生の「貧困統計ホームページ」に、詳細な分析結果が掲載されています。

出典:阿部彩(2018)「日本の相対的貧困率の動態:2012から2015年」科学研究費助成事業(科学研究費補助金)(基盤研究(B))「『貧困学』のフロンティアを構築する研究」報告書

[画像のクリックで拡大表示]

 この結果から、主に10代後半〜20代前半の若者と70代以上の高齢者の相対的貧困率が高いと分かります。70代後半の女性の4人に1人が相対的貧困というのは、なかなか衝撃的な結果です。
 少し違った角度で見てみましょう。20〜64歳における世帯構造別・男女別の相対的貧困率は以下の通りです。

[画像のクリックで拡大表示]


出典:阿部彩(2018)「日本の相対的貧困率の動態:2012から2015年」科学研究費助成事業(科学研究費補助金)(基盤研究(B))「『貧困学』のフロンティアを構築する研究」報告書

[画像のクリックで拡大表示]

 母子・父子家庭を意味する「ひとり親と未婚子のみ」の相対的貧困率が他世帯構造と比べて高いと分かります。もちろん、その家庭で暮らす子どもも「相対的貧困」に含まれます。
 子どもの貧困率(子ども全体に占める貧困線に満たない子どもの割合)は「平成28年国民生活基礎調査」によると13.9%、実に7人に1人の子どもが貧困だと分かりました。ひとり親の場合、貧困率は50%を超えます。
 10代後半〜20代前半の若者、70代以上の老人、そして母子・父子家庭(子ども含む)。この3つの層に、相対的貧困が多くいると言えるでしょう。
次ページ「相対的貧困」家庭の子どもは相対的貧困に陥りやすくなる
「相対的貧困」家庭の子どもは相対的貧困に陥りやすくなる
 20歳未満の若者・子どもが、相対的貧困の場合、それはどのような影響を及ぼすでしょうか?
 「全国的な学力調査(全国学力・学習状況調査等)の平成29年度追加分析報告書」に、家庭の「社会経済的背景(SES)」と小学6年生、中学3年生の学力の関係を分析した結果が掲載されています。
※社会経済的背景(Socio-Economic-Status、SES):子どもたちの育つ家庭環境の諸要素(特に保護者の学歴・年収・職業など)のこと。ただし固定的な定義があるわけでなく、調査によって定義や分類に使われるデータは異なる
 この調査では、家庭の社会経済的背景(SES)を「Lowest」「Lower middle」「Upper middle」「Highest」の4階層に分け、それぞれの家庭収入、父親の学歴、母親の学歴について以下のようにまとめています。

出典:文部科学省「全国的な学力調査(全国学力・学習状況調査等)の平成29年度追加分析報告書」

[画像のクリックで拡大表示]

 この中では、Lowestが相対的貧困層に比較的近いのではないかと考えます。
 家庭の社会経済的背景(SES)別の小学校6年生の平均正答率は、以下のようになっています。棒グラフは平均正答率、丸い円が変動係数(標準偏差を平均値で割った値で高いほど正答率にばらつきがある)を意味しています。
小学6年生におけるSES別の平均正答率と変動係数

出典:文部科学省「全国的な学力調査(全国学力・学習状況調査等)の平成29年度追加分析報告書」

[画像のクリックで拡大表示]

 どの科目も、家庭の社会経済的背景(SES)が高いほど平均正答率が高まり、変動係数は低くなるという結果でした。では、中学校3年生の平均正答率も見てみましょう。
中学3年生におけるSES別の平均正答率と変動係数

出典:文部科学省「全国的な学力調査(全国学力・学習状況調査等)の平成29年度追加分析報告書」

[画像のクリックで拡大表示]

 同じような結果を示しました。家庭の社会経済的背景(SES)が平均正答率と何らかの関係があるとうかがわせます。
 もっとも、この結果だけでは「両親の学歴が低い・年収が低いから、子どものテストの点数も悪くなる」と言えません。なぜならLowestの変動係数が相対的に見て高いということは、高い学力水準を持つ生徒もいると言えるからです。あくまで「平均正答率の平均値が低い」だけしか分かりません。
 ただ、平均正答率の平均値が低ければ、大学に入学せず就職したり、職場でも単純労働に従事したりするなど、その後の生涯収入に影響を及ぼす可能性があります。
次ページ捕捉率の把握を目的とした継続的な統計データは無い
 09年公表と、少し古いデータになりますが、東京大学の大学経営・政策研究センター「高校生の進路と親の年収の関連について」によると、両親の年収別の高校卒業後の進路は以下の通りでした。年収が高まるほど大学に進学するか浪人する比率が高まり、かつ就職する率が低くなります。
両親年収別の高校卒業後の進路

出典:東京大学 大学経営・政策研究センター「高校生の進路と親の年収の関連について」

[画像のクリックで拡大表示]

 また、19年に発表された内閣府の子供の貧困対策「子供の貧困に関する現状」によると、子どもの大学(専修学校等含む)進学率の推移は、ひとり親家庭、生活保護世帯など金銭的な問題が考えられる世帯は、全世帯に比べて相対的に低い結果となりました。
子どもの大学(専修学校等含む)進学率の推移

出典:内閣府「子供の貧困に関する現状」

[画像のクリックで拡大表示]

 本人が自らの意志で「大学に行かない」と選んだならともかく、「大学に行けない」と言わざるを得なかった。「学ぶ環境」が無く、適切に学業を修められなかった。これこそが貧困が与える影響でしょう。その結果、その家庭に生まれた子どもも相対的貧困に陥りやすくなる。結果、貧困は連鎖し、再生産されてしまう。
 これこそが「持続可能性が無い社会」なのでしょう。こうした状況を「学ばないおまえが悪い」と斬って捨てるほどの自己責任論者にはなれません。このような状況を放っておいてよいはずがありません。
捕捉率の把握を目的とした継続的な統計データは無い
 貧困から抜け出すための手段の1つは生活保護です。しかし日本は海外に比べて捕捉率(生活保護を利用する資格がある人のうち実際に利用している人の割合)が低いといわれています。
 日本弁護士連合会(日弁連)が作成したリーフレットでは、日本の捕捉率は15.3〜18%としています。一方でドイツは64.6%、フランスは91.6%と高水準とされています。しかし少なくとも日本の数値は推測であり、真の実態は不明です。実は、捕捉率の把握を目的とした継続的な統計データは無いのです。
 旧民主党政権下の10年4月に、厚生労働省に「ナショナルミニマム研究会」が開催され、初めて生活保護の捕捉率の推計が公表されました。ただし「国民生活基礎調査」(07年)を用いた類推です。ちなみに、政権交代の影響か以降の捕捉率は公表されていません。
 生活保護を受給するには、「収入要件」や「貯蓄要件」(貯蓄残高が生活保護基準の1カ月分未満)のほかに、「就労要件」(働けるか否か)、家族による扶養義務者の有無(家族の中で扶養してくれる人がいるか否か)など、さまざまな要件をクリアする必要があります。これらのうち後者2つは「国民生活基礎調査」からは分かりません。
次ページ貧困率が下がると捕捉率も下がる不思議
研究会の資料によると、所得が生活保護の「収入要件」より低い低所得世帯は、全4802万世帯中597万世帯(12.4%)でした。
一方、「貯蓄が保護基準の1カ月未満で住宅ローン無し」という生活保護の「貯蓄要件」に当てはまる世代は229万世帯(4.8%)となりました。
 当時の生活保護世帯は108万世帯ですから、所得要件のみで判定すると、捕捉率は15.3%(108万人/108万人+597万人)となります。資産要件のみで判定した捕捉率は32.1%(108万人/108万人+229万人)となります。これではいろいろな要件を加味した実際の捕捉率は分かりません。
貧困率が下がると捕捉率も下がる不思議
 そんな中で、学術研究の一環として就業構造基本調査の「オーダーメード集計」を用いて、都道府県別の貧困率、ワーキングプア率、子どもの貧困率、生活保護の捕捉率を集計した論文を発表されたのが山形大学の戸室健作准教授です。
※「オーダーメード集計」:既存の統計調査で得られた調査票データを活用して、調査実施機関等が申し出者からの委託を受けて、そのオーダーに基づいた新たな統計を集計・作成し、提供するもの
 論文によると、全国の捕捉率(所得のみ)は92年14.9%、97年13.1%、02年11.6%、07年14.3%、12年15.5%と推移しています。10%台前半で推移というデータは日弁連が作成したリーフレットともだいたい合っています。
 論文の中に掲載された都道府県別の貧困率と捕捉率で散布図を作製すると意外なことが分かります。
都道府県別の貧困率と捕捉率の散布図

出典:山形大学戸室健作「都道府県別の貧困率、ワーキングプア率、子どもの貧困率、捕捉率の検討」より松本が2012年の数字を使い作製

[画像のクリックで拡大表示]

 都道府県別に見て、貧困率も捕捉率もこんなに散らばっています。貧困率が高くてもしっかり捕捉している大阪に対して、ほぼ同じ貧困率なのに捕捉できていない宮崎。この差はいったいどこにあるのでしょう?
 また、貧困率が低いと、捕捉率が低くなる傾向にあるのも気になります。捕捉率は「生活保護が必要な世帯に保護が行きわたっているか」を表す指標なので、本来はこの2つの指標は無相関になってもおかしくありません。それなのに、貧困率が低いと補足率が低くなる(貧困なのにそう見なされていない人が多くなる)のはなぜでしょうか。貧困率が低いことに安住して、捕捉率を高める自治体の努力がおろそかになるなら問題です。予算をかけて早急に改善すべきではないでしょうか。
 さらにいえば、「どこに住んでいるか」によって捕捉率が異なるなら、所得だけでなく場所ですら「貧困を生む要因」になりかねません。「私は〇〇県だったから生活保護ももらえず貧しい人生を過ごす羽目になった」なんて、絶対にあってはならないことです。
 数字を見えないままにしておくと、あるはずの現実も無いことになってしまいます。それが生活保護を巡る現状です。貧困の実態は3年に1回の国民生活基礎調査(厚生労働省)と、5年に1回の全国消費実態調査(総務省)のデータを加工しないと分からないのが現状です。こうした状況でよいのでしょうか? これは、行政を動かす政治家の仕事です。

河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学
海外からも揶揄される貧しき長寿国ニッポン
もう一度読みたい
「高齢者の貧困率9割」時代へ
もう一度読みたい
革新的理論の礎となった「貧困の経済学」
世界展望~プロの目
テロリストは貧困層でなければならないのか?
データから“真実”を読み解くスキル
最低賃金を上げると、本当に貧困層を救えるのか
もう一度読みたい
ハーバードを見て米国のビジネススクールと思うなかれ
合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学
「無職の専業主婦」呼ばわりと低賃金容認社会の闇

上野泰也のエコノミック・ソナー
消費増税「駆け込み需要の大小」はあまり重要でない
コメント3件
もっと見る
コンサル企業経営
自動車部品メーカー取締役及びコンサル会社経営者
私のように法人を経営し、年金カットされるのがバカバカしいので、家族を役員にして家族年収はそのままに、私の年収を下げたものはこの方の言う貧困層になるんでしょうねえ。統計は嘘をつく。ただ、ジニ係数が悪化している実感はあるね。
2019/11/20 05:35:331返信いいね!

佐々木進
完治しない複数慢性病持ち療養中
なんと貧しい国でしょう。早急に記事中にある通りの対策が必要です。
2019/11/20 05:47:582返信いいね!

やらかしまん
江戸時代、結構裕福な生活を送っていたらしい
とくに江戸城下の街では世界でも有数の文明的生活を送っていたとの事
今の時代と相対的に比較すると下手をすると裕福な生活となる可能性もある
2019/11/20 06:51:53
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00067/111200016/?P=5&mds


 

革新的理論の礎となった「貧困の経済学」デュフロ教授に連なる貧困研究の歴史

澤田 康幸
2019年10月18日
0 57%
全8377文字
 スウェーデン王立アカデミーは14日、2019年のノーベル経済学賞を米マサチューセッツ工科大学(MIT)のアビジッド・バナジー教授(インド出身)、共同研究者であり妻である同エスター・デュフロ教授(フランス・パリ出身)、そしてマイケル・クレーマー米ハーバード大学教授(米国出身)の3氏に授与すると発表した。貧困削減に貢献する経済学とは、どのようなものだろうか。2013年6月17日に日経ビジネスオンラインに掲載した、元東京大学教授の澤田康幸アジア開発銀行チーフエコノミストによる貧困研究の歴史とその展開に関する解説を再掲載する。関連して、本稿に登場するダロン・アセモグル米マサチューセッツ工科大学(MIT)教授へのインタビューも同時に再掲載する。

 「貧乏」というと、自分には縁遠い話と感じる読者がいるかもしれない。たとえば、1984年のバブル初期に発売され、ベストセラーとなった渡辺和博の「金魂巻」を覚えている読者も多いであろう。「マルキン」・「マルビ」というラベルで医者のような職業でもビンボーがいる「驚き」を描き、一世を風靡した。

 だが、日本における「格差社会」「生活保護受給者の増大」は、まさに貧困問題の現れである。特に貧困高齢者の健康状態は劣悪だ。他方、日本の子供の貧困率も経済協力開発機構(OECD)諸国の中ではより深刻なグループに属している。そして、貧困が世代を超えて再生産されている可能性も大いにある。こうした日本の「貧乏」の問題が、失われた20年に特有の問題かといえば、そうでもなさそうだ。貧困の問題は、長らく日本の経済学の中心的な課題だった。

大正時代に日本で紹介された経済学の貧困研究
 例えば代表的なマルクス経済学者だった京都帝国大学(現・京都大学)の河上肇教授は1916年(大正5年)の9月から約3か月間、大阪朝日新聞の一般読者向けに「貧乏物語」を連載している。これは恐らく、日本で初めて本格的に経済学的な貧困研究を紹介した作品だろう。

 この「貧乏物語」の、特に上編と中編を読んで感心することが4つある。第1に、全体として実証主義を貫いている点だ。主に当時のイギリスにおける貧困研究が、データと共に手際よく紹介されている。貧困問題の実証研究がイギリスから始まっていることが分かると同時に、こうしたエビデンスに基づく議論は、「マル経」を感じさせない。

 第2に、貧乏線(現代では「貧困線」と呼ぶのが普通である)やローレンツ曲線(原文では「ロレンズ氏の曲線」と呼んでいる)といった、現代社会で貧困・所得不平等を計測するうえでの基本概念が、諸外国のデータと共に解説されていることである。とはいえ、「日本のことはよるべき正確な調査が無いからしばらくおくも」とも書いており、当時は貧困に関する議論を展開できる十分な世帯調査・マイクロデータが、日本になかったことも分かる。

 第3に、イギリス・ブラッドフォード市で実施された、貧しい児童を対象とした学校給食支給実験による、児童の体重の変化を研究した結果が紹介されていることだ。小規模の実験結果を受けて大規模な政策介入をするという、貧困対策の政策プログラム評価手続きともいうべき議論を、大正時代に既に紹介しているのである。

 最後に特筆すべき点は、ある時点における貧乏線以下の人口比率という「静学的」な議論だけでなく、時間軸を考慮した貧困研究も紹介していることだ。特に、「おもたるかせぎ人は毎日規則正しく働いていながらただその賃銭が少ないため」という形で、貧乏人比率が半分以上にのぼっていたイギリス・ヨーク市の研究結果を紹介し、「はたらけどなおわが生活楽にならざり」というのが貧困の特徴であることを議論している。これは、現代風にいえば貧困動態(POVERTY DYNAMICS)研究における「慢性的貧困(CHRONIC POVERTY)」の問題である。

次ページ金字塔となった国際半乾燥熱帯作物研究所の調査
 こうした貧困の研究は、過去に流行の波が何度か訪れた。貧困(貧乏)研究の第1人者である米ジョージタウン大学のマーティン・ラバリオン教授は、GOOGLE BOOKSの膨大なデータを基にした研究で、「貧困」言説には、18世紀後半と20世紀後半以降に2つの流行の波があったことを発見している。(*1)このうち「第2の波」については、1970年代における「人間の基本的ニーズ(BHN)論」に源流を遡ることができる。さらに90年代後半以降、「貧困」削減重視の潮流が、とりわけ発展途上国の国際開発協力の分野で顕著となってきた。

 過去20年の動きとして特筆すべき点は、国際連合や世界銀行などの国際機関やG7(G8)を主体として、実務レベルで貧困削減に向けた様々な具体的な目標を設定し、取り組むようになったことだろう。(*2)こうした「貧困削減」の潮流が、最終的には2000年9月の国連ミレニアムサミットで国連加盟国の支持を得て採択された「ミレニアム開発目標(MILLENNIUM DEVELOPMENT GOALS: MDGS)」として、数値目標へと結実した。

*1 RAVALLION, MARTIN (2011), “THE TWO POVERTY ENLIGHTENMENTS,” POLICY RESEARCH WORKING PAPER 5549, WORLD BANK.

*2 具体的な試みとしては、例えば、OECDの開発援助委員会(DAC)が1996年に採択した「新開発戦略」や、1999年6月の 世界銀行・IMF 総会で採択された貧困削減戦略書(PRSP)が重要である。

 MDGSは、2000年の国連ミレニアム総会で採択された決議である「ミレニアム宣言(55/2)」を具体化したもので、8つの目標からなる。2015年までにそれぞれの分野において達成すべき具体的な数値目標が明記されている。MDGSには、第1目標として「極度の貧困と飢餓の撲滅」が含まれ、「1人1日1ドル以下の人口の割合を1990年から2015年にかけて半減すること」を数値目標の「ターゲット1」としている。MDGSの最終年が近づいたことで、近年、貧困をめぐる「ポスト2015年開発目標」に向けた学術・政策面での議論が活発になっている。

 貧困線以下の人口比率、つまり貧困人口比率で貧乏の程度を把握するという考え方の背後にも、ノーベル賞経済学者、アマルティア・セン教授の「公理アプローチ」に基づいた「望ましい貧困指標」の導出や、アンソニー・アトキンソン教授が生み出した、「確率優位 (STOCHASTIC DOMINANCE)」の概念による特定の貧困線によらない貧困の把握手法など、注目すべき理論的な発展が礎にある。しかし、貧困言説の「第2の波」が訪れたのは、おそらく貧困の実態把握が目覚ましく進歩したことが大きいだろう。質の高いマイクロデータが、先進国だけでなく多くの途上国でも得られるようになり、貧困問題に関するエビデンス(科学的証拠)の蓄積が進んだのだ。

金字塔となった国際半乾燥熱帯作物研究所の調査

ICRISAT-VLSの調査対象となっている村の風景
 研究史から見て最も重要だった調査の1つが「国際半乾燥熱帯作物研究所 (INTERNATIONAL CROPS RESEARCH INSTITUTE FOR THE SEMI-ARID TROPICS; ICRISAT)」(*3)による村落調査(VILLAGE LEVEL STUDIES, VLS)データである。ICRISAT-VLSデータは、10年にわたる長期の家計パネルデータで、リスク・貧困・消費や労働・農業生産・投資などミクロレベルの動学・計量経済分析を可能にした、開発経済学における「黄金のパネルデータ」ともいうべきものである。

次ページ世界全体の貧困人口把握に役立った世銀プロジェクト
ICRISATは1972年にインド・ハイデラバード郊外に設立された農業研究の国際機関で、75年から村落調査(VLS)を開始している。VLSでは、インドの半乾燥地域から6村落を抽出し、各村落から40家計を無作為抽出し、住み込み調査員(RESIDENT INVESTIGATOR)が訪れて、3-4週間ごとに継続的な調査をした。特に、3つの村の104世帯については10年間調査が続けられ、世帯パネルデータが構築された。(*4)長期のパネルデータが強みとなり、時間の経過を通じた貧困動態の分析や、リスクと貧困の関係に関する研究が深まっていく原動力の1つになった。VLSデータを用いた学位論文は世界中で100件以上に上り、数多くの一流の経済学者たちがVSLデータを解析した論文が「ECONOMETRICA」、「AMERICAN ECONOMIC REVIEW」、「JOURNAL OF POLITICAL ECONOMY」など経済学のトップジャーナルに掲載されてきた。

*3 「イクリサット」と呼んでいる。

*4 WALKER, THOMAS S. AND JAMES G RYAN (1990), VILLAGE AND HOUSEHOLD ECONOMIES IN INDIA'S SEMI-ARIDO TOPICS, JOHNS HOPKINS UNIERSITY PRESS. 近年、再調査が行われている。詳しくは、オックスフォード大学、STEFAN DERCON教授のウェブサイトを参照されたい。

 例えばロバート・タウンゼンド教授による、1994年「ECONOMETICA」論文が代表例だ。この論文では、村落共同体における分け合い・助け合いの仕組みが消費の保険として有効に作用しているかどうかが厳密に検証された。(*5)また、貧困状態をみると、慢性的な貧困に置かれている世帯より、一時的な貧困状態に陥るリスクに直面している世帯のほうが数が多いことや、農村では大型の家畜が貯蓄の手段になっているものの、貧困化するリスクに直面して貯蓄としての家畜を(売却などで)「取り崩そう」とすると大きなコストを伴うこと、貧困層にとっては結婚がリスク分散の重要な手段であることなど、新たなエビデンスが次々と明らかになってきた。

 ICRISATにやや遅れ、世界銀行は1980年に「家計生活水準計測調査(LIVING STANDARDS MEASUREMENT STUDY;LSMS)」プロジェクトを開始した。LSMSの目的は、世界各国の政策立案者・政策担当者が貧困問題、雇用・医療や教育の問題にしっかり取り組むことができるよう、質の高い世帯調査を実施することである。

世界全体の貧困人口把握に役立った世銀プロジェクト
 LSMSでは、発展途上国における世帯調査の設計、実施、データの分析を一貫して実施する。調査活動の改善及び統計担当機関の能力向上にまで踏み込むため、生活水準を把握するために必要な調査の「質の向上」を目指すプロジェクトであるといえる。長期のパネルデータであるICRISAT‐VLSと異なり、LSMSは主に複数時点でのクロスセクションの調査である。調査設計については米プリンストン大学のアンガス・ディートン教授などが中心的な役割を果たし、この調査データもまた世界中で数多くの学術論文や博士論文・修士論文に用いられてきた。(*6)

 そしてLSMSの最も重要な貢献は、LSMSにより統一された調査の枠組みが、貧困実態を国際比較するうえで極めて重要な役割を果たしたことである。ある国の1人1日1ドル以下の貧困人口比率が世界全体でどの程度に位置するのかは、LSMSなくしては把握できなかったといっても過言ではないだろう。

 LSMSをはじめ、世界中の家計調査を活用した先のラバリオン教授らによる研究に基づいて、(*7)現在、貧困な生活水準の境界である「貧困線」の金額は一人一日1.25ドルということになっている(次ページの図参照)。この図から明らかなように、中国の貧困が劇的に削減された結果、東アジア太平洋地域(東アジア・東南アジア)全体の貧困人口比率が、1980年の約80%から、30年間で20%以下へと大幅に低下した。より注目すべきは、世界の最貧困地域とされてきた南アジアでも、近年貧困人口比率の低下が加速しつつあることだ。

*5 TOWNSEND, ROBERT M. (1994), ‘RISK AND INSURANCE IN VILLAGE INDIA,' ECONOMETRICA 62, 539-591.

*6 DEATON, ANGUS (1997), THE ANALYSIS OF HOUSEHOLD SURVEYS: A MICROECONOMETRIC APPROACH TO DEVELOPMENT POLICY, OXFORD UNIVERSITY PRESS.

*7 CHEN, SHAOHUA, AND MARTIN RAVALLION (2008), “THE DEVELOPING WORLD IS POORER THAN WE THOUGHT, BUT NO LESS SUCCESSFUL IN THE FIGHT AGAINST POVERTY,”QUARTERLY JOURNAL OF ECONOMICS, 125(4), 1577-1625.

次ページパランプール村と速水村の実績
図 世界各地域における、1人1日1.25ドル以下の生活を営む貧困人口の比率

(データ出所) Regional aggregation using 2005 PPP and $1.25/day poverty line, Data last updated: April 18, 2013, Povcal Net, World Bank.
[画像クリックで拡大表示]
パランプール村と速水村の実績
 駆け足で貧困に関する調査手法の流れを紹介してきたが、ここでさらに、ICRISAT‐VLSと同時期に開始された先駆的な家計パネル調査を2つ紹介したい。1つは、イギリスの研究チームによる、インドのウッタル・プラデシュ州のパランプール(Palanpur)という村を対象とした調査である。(*8)

台風被害を受けた速水村の一コマ
 これは、デリー大学の研究者による村落調査を引き継ぐ形で、1974-75年、英オックスフォード大学のクリストファー・ブリス名誉教授とロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のニコラス・スターン教授が詳細に調査したものだ。そして1983-84年・93年にスターン教授と現世界銀行のピーター・ランジョウ博士が再調査をした。その結果、20年にわたるインドの農村の個別世帯・個人の生活の変化が明らかになった。さらに2009年にも再調査され、デリー大学による当初調査からみれば約半世紀にわたり、インドの農村家計の生活動態を調査し続けているのである。これら一連の研究では、カーストの低位に属する世帯や農業労働者の世帯はさらに貧困するリスクを抱えており、そうした状況から抜け出せない「罠」に陥っていることが明らかにされている。
 もう1つは、故速水佑次郎教授らを中心として精力的に進められたフィリピン・ロスバニョス近郊にある、1つの稲作農村「東ラグナ村」を対象とした40年にもわたる家計調査である。(*9)1966年の梅原弘光教授による全数調査以降、1974年から2013年までの間に、国際稲研究所(International Rice Research Institute; IRRI)との連携による18回もの家計調査が実施された。㊟IRRIは、フォード財団、ロックフェラー財団の多大な資金援助によって設立された国際機関であり、米の高収量品種開発を通じて60年代のアジアにおける「緑の革命」の中心となった。現在はICRISATなどともに国際農業研究協議グループ(CGIAR)の一角をなしている。1970年代から90年代の調査は速水教授・菊池眞夫教授が中心となり、2000年以降の5回の調査は加治佐敬教授、不破信彦教授、ジョナ・エステュディリョ教授と筆者らが中心になって実施した。
*8 例えば、[http://www2.lse.ac.uk/asiaResearchCentre/countries/india/research/palanpur.aspx]を参照のこと。
*9 例えば、[http://www.ier.hit-u.ac.jp/primced/documents/DB_Sawada-etal_Philippines_121126_revised.pdf]を参照のこと。
次ページアセモグル、デュフロの革新性とその礎
 速水教授らの研究の結果、「緑の革命」による収量の増加と米価の低下により農家の所得が上昇し、貧困世帯の食糧事情が改善したことや、所得上昇に伴って教育投資が増え、世帯のみならず村全体が農業主体の経済活動から非農業主体の活動へと構造変化を遂げていった様子が鮮やかに示されている。本研究もまた、数多くの国際的な学術論文や英文書籍としてまとめられており、「速水村(Hayami’s village)」の調査として知られている。(*10)
アセモグル、デュフロの革新性とその礎
 本シリーズのインタビューにも登場している米マサチューセッツ工科大学(MIT)のダロン・アセモグル教授らによるマクロレベルの政治経済発展の議論は、いわば山脈全体の生態系を把握し、貧困の背後にあるメカニズムに迫ろうとする壮大な試みだ。他方、同エスター・デュフロ教授らの研究は、最先端の技術を用いて木の生育メカニズムや木々の構成を科学的に明らかにしようとする画期的な試みである。(*11)いうまでもなく、実態の把握には森も木も見る必要があり、これらの研究は相互に補完的だ。一方で今回紹介したICRISAT-VLSなど長期の村落調査は、いわば身の回りの里山をじっと虚心坦懐に観察し、見守り続けることに似ている。ミクロ計量経済学の分析手法の進化、大量のデータ解析を可能とする計算機の機能改善、アセモグル教授やデュフロ教授らが推し進めてきたような新しい研究手法が深化してきたことも、貧困言説の「第2の波」の背景にあるのは間違いない。とはいえ、長期にわたる地道な調査から得られた知見が、こうした新しい波の原動力のひとつでもあったことは、忘れてはならない。
 映画監督サタジット・レイ(Satyajit Ray)の「オプの物語」という、おそらくインド史上最高の3部作映画がある。この作品の時間の流れは、小津安二郎映画のように一見ゆったりとしているが、貧乏の背後にある、人生や家族、宗教や社会の因習・政治に関する極めて強力なメッセージが込められている。
 サタジット・レイと同じく、詩聖ラビンドラナート・タゴール(ノーベル文学賞を受賞した作家)ゆかりのシャンティニケタンで学んだインド人のアマルティア・セン教授は、地域全体で1人当たり食物生産が改善していたにもかかわらず300万人以上もの人々が亡くなったベンガル飢饉の原因をさぐり、その貢献もあって1998年にノーベル経済学賞を受賞した。
*10 これ以外にも、米ランド研究所がマレーシアやインドネシアで実施してきた家計パネル調査である、家庭の生活実態調査(Family Life Survey)、国際食糧政策研究所(International Food Policy Research Institute, IFPRI)がパキスタンなど世界各国で実施してきた膨大なパネル調査など注目に値する数々の調査がある。
*11 両教授の研究概要については、「2013−14年版 新しい経済の教科書」日経ビジネスを参照されたい。
 冒頭でも触れたが、「飢饉」「貧困」や「貧乏」と呼ぶと何か我々日本人とはかけ離れたもののように感じるかもしれない。しかし、「貧困は別世界で起こるのではない、国や文化の違いを越えて我々の生活とは連続したものなのだ」という現実感を、サタジット・レイの映画は教えてくれる。セン教授も、「文化や社会の特殊性を越えて、我々の生活と同じように個人レベルに還元される現実の多様性を鮮やかに描いている」とレイ映画を評している。(*12)貧困の研究とは、「1人1日1ドル以下の貧困」を、レイ映画のように鮮やかに描き、その作業を通じて人々の貧乏と苦悩とを軽減する「鍵」を探す作業でもあるのだと考える。
*12 Amartya Sen (1996) “Satyajit Ray and the art of Universalism: Our Culture, Their Culture” The New Republic, April 1, 1996, p.32.

ノーベル経済学賞 リチャード・セイラー教授に聞く
ノーベル賞セイラー教授の「にんげんだもの」の経済学
インターネットの父・村井純が語るデジタル革命の本質
“ネットの父”が徹底解説!デジタルで不可能はなくなる

もう一度読みたい
米国で進化論を信じる人が過半数超え
ハーバード流 起業マネジメント講座
「流動性のなさ」はチャンス/ハーバード教授に聞く#04
ハーバード流 起業マネジメント講座
市場の失敗から価値を生む/ハーバード教授に聞く #03
ハーバード流 起業マネジメント講座
市場の仕組みを設計しよう/ハーバード教授に聞く #02
上野泰也のエコノミック・ソナー
世論調査が浮き彫りにした「ニッポン人の微妙な心情」
ハーバード流 起業マネジメント講座
インターネットで起業が変わった/ハーバード教授に聞く#05

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00059/101800212/?P=5&mds

消費増税「駆け込み需要の大小」はあまり重要でない
法人税の税収はピークを過ぎた可能性

上野 泰也
みずほ証券チーフMエコノミスト
2019年9月17日
 厚生労働省が8月9日に発表した19年春闘における主要企業の妥結状況で、定期昇給を含めた賃上げ額(平均妥結額、賞与除く)は6790円(前年比マイナス243円)。賃上げ率は2.18%(同マイナス0.08ポイント)で、2年ぶりに低下した。
 他の調査結果についても触れておくと、連合による第7回(最終)集計では2.07%(前年比横ばい)、日本経済新聞による最終集計では2.17%(同マイナス0.17ポイント)、日本経団連による最終集計では2.43%(同マイナス0.10ポイント)であり、連合以外はすべて前年よりも低い伸び率になった。企業業績が低迷してきている中では、「官製春闘」であっても、賃金の上昇率は鈍らざるを得なかったと言える。
 また、19年夏のボーナス支給額の調査結果は、経団連による最終集計で前年同期比マイナス3.44%(2年ぶり減)、日本経済新聞による最終集計(7月1日時点)で同マイナス0.37%(7年ぶり減)である(厚生労働省による公式統計は未発表)。
 このように所得環境の改善が鈍っている、あるいは止まった上に、消費者のマインドは悪化している。「老後2000万円問題」で先行き不安が強まったことも、陰に陽に影響している可能性が高い。消費動向調査で消費者態度指数(二人以上の世帯・季節調整値)は、19年8月まで実に11カ月連続の低下。内閣府の基調判断は「弱まっている」である。
消費の現場、混乱もあり得る
 そうした中で、10月1日に8%から10%に消費税率が引き上げられる。軽減税率やポイント還元に対応するための売り手側の準備は小規模店舗を中心に出遅れ感が強い。10月の増税直後には、消費の現場が混乱する場面が出てくることも予想される。
 耐久消費財や住宅など価格が高いものを消費税率が高くなる前に購入しようとする「駆け込み需要」については、14年4月の前回消費増税の前に比べれば総じて目立たないとするマスコミ報道が多い。
 「前回、半年以上も前から駆け込み需要が発生した新車需要は盛り上がりを欠く。一方、家電製品は活気が出るなどまだら模様」(2019年8月29日付時事通信)になっており、その原因は、新車販売には政府による駆け込み需要の抑制策(10月からの税制変更)があるからだ。車種によっては、10月以降に買った方が支払う税金が安くなる場合もあるという。
 その一方で、テレビ・洗濯機・スティック形掃除機といった家電には、そうした販売の平準化策がない上に、09年に家電エコポイント制度を使って購入した製品の買い替えサイクルが到来していることが追い風になっているという(19年8月29日付時事通信)。
 なお、トイレットペーパーなど日用品の駆け込み購入(いわゆる買いだめ)は、消費増税直前の1カ月以内に集中して出てくる公算が大きい。百貨店などは、コートなど冬物の重衣料を増税前に買うようキャンペーンを展開するなど、少しでも前倒しの購入需要を喚起しようとしている。
 耐久消費財などの駆け込み需要については、政府と日銀で、その規模感について温度差がある。内閣府幹部は「駆け込みが全くないとは言わないが日銀ほど出ているとは考えていない」とコメント(19年9月1日付日本経済新聞)。茂木敏充経済再生担当相は8月30日に「駆け込み需要は見られない」と明言。菅義偉官房長官は9月2日の記者会見で、この見方に同調する発言をした。
次ページ個人消費の悪化は避けられない
 ここで決して見逃してはならない重要な点は、「駆け込み需要とその反動」というのは、消費増税前後の個人消費動向を見ていく上で「サブ」の問題にすぎないということである。「メイン」の問題点は、消費税の税率引き上げ分の販売価格への転嫁によって、実質所得の水準が一段と切り下がることにある。筆者は14年の前回増税時にこの点を重視した上で景気が悪くなるだろうと予想した、数少ないエコノミストの1人である。
 厚生労働省の毎月勤労統計で実質賃金(物価の騰落を調整した1人当たり賃金)を見ると、「アベノミクス」開始後の円安を受けた身近な品目の値上がりで減少してきたところに、14年4月の消費増税が加わり、季節調整済指数は大きく押し下げられた<図1>。
■図1:毎月勤労統計調査 現金給与総額、実質賃金 季節調整済指数

(出所)厚生労働省

[画像のクリックで拡大表示]

個人消費の悪化は避けられない
 今回は為替が円高に動いていることや、税率引き上げ幅が2ポイントで、かつ軽減税率も導入されることが前回とは異なる。それでも、今回の消費増税によって1ポイント程度の実質賃金の下方シフトは避けられまい。税率が2桁に乗ることによる心理的な悪影響も大いに警戒される。いずれにせよ19年度の後半に、個人消費は悪化が避けられまい。
 日本の景気は昨年秋にピークをつけてすでに後退局面入りしていると、筆者はみている。業況の悪化がこれまでのところは世界経済の動向を反映しやすい製造業中心であり、非製造業はなお底堅さを残しているため、景気後退の度合い(深度)はまだ浅いと言える。だが、消費増税が実施された後は、深度がそれまでよりも厳しいものになるだろう。
 最後に、景気後退説を補強する統計として、法人税の税収を取り上げたい。
 筆者がチェックしている経済統計の中に、財務省が月次で公表している「租税及び印紙収入、収入額調」がある。その7月分が9月2日に発表された。
 7月の一般会計分の税収・印紙収入計は6兆4442億円で、前年同月比マイナス3.4%。税目別の内訳では、所得税源泉分が3兆2440億円(同マイナス6.2%)になったが、これは大手通信会社グループの資金取引に絡んで約4000億円の還付が生じたことが主因とみられる(時事通信)。また、景気・企業収益の動向を反映しやすい法人税はわずか598億円(同マイナス43.9%)で、3月期決算企業の還付金が増えたことが主因だという(同)。
 このように、7月の税収は特殊要因で押し下げられたわけだが、筆者が気になるのは、7月末時点の累計が前年同月比マイナス7.2%という大幅マイナスになっていることである。4月末時点はマイナス(還付超)、5月末時点は前年同期比マイナス15.2%、6月末時点も同マイナス15.2%で、19年度はラップの数字が一度も前年同時期を上回っていない。これは、近年にはなかった出来事である。
 各月末時点の前年同期比をここ数年間について調べてみると、以下のようになる。
<16年度> 4月末 マイナス、5月末 +10.7%、6月末 +2.3%、7月末 マイナス5.1%
<17年度> 4月末 マイナス、5月末 マイナス17.2%、6月末 マイナス1.9%、7月末 +3.4%
<18年度> 4月末 マイナス、5月末 +4.6%、6月末 +6.1%、7月末 +7.3%
 麻生太郎財務相は8月30日の記者会見で、「例年通り税収の伸びが決して悪いわけではありません」と述べていた。だが、実際の税収の動きは変調してきているように見える。
国内景気は18年秋に山、すでに後退局面入り
 すでに述べた通り、日本の景気は18年秋に山をつけてすでに後退局面入りしていると、筆者は推測している。景気サイクルと同時並行的に動く有効求人倍率が3カ月連続で低下したことも、その傍証になる。
 景気動向指数の基調判断は「悪化」から「下げ止まり」にいったん上方修正されているが、近い将来「悪化」に再び引き下げられるだろう。そうした中で、景気動向指数の遅行系列に入っている「法人税収入」(還付金を含む;内閣府が独自に算出している季節調整値)の動向も、注視すべき対象になる<図2>。
■図2:法人税収入(還付金を含む;内閣府が独自に算出している季節調整値)

(出所)内閣府

[画像のクリックで拡大表示]

 直近の景気の谷(12年11月)から7カ月遅れの13年6月(8332億円)をボトムに、この法人税収入は増加基調をたどった。季節調整のゆがみでイレギュラーに高い数字になった月があるほか、月ごとの振れがあるわけだが、19年1月(1兆2215億円)に直近のピークをつけた可能性が出ている。その場合、18年中に景気はすでに後退局面入りしていたという筆者の見方と整合することになる。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00122/00035/?P=2&mds



http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/670.html

[経世済民133] 米中貿易協議は既に破綻しかけている トランプ「合意達しなければ関税上げる」TikTokにあってファーウェイにない 米、ファーウェイ禁輸猶予再延長 東南アジア主要6か国GDP 米中貿易摩擦の影響で明暗 中国・香港株=中国、2週間ぶり大幅高 香港続伸 中国歳入+3.8% 中国は台湾選挙に毎日介入=蔡英文 日米貿易協定衆院通過

米中貿易協議は既に破綻しかけている
2019年11月18日(月)17時10分

815
2

米中貿易協議は既に破綻しかけている
今年2月に北京で対面したライトハイザー米通商代表と劉鶴副首相 Mark Schiefelbein/Pool-REUTERS

<「原則合意」と報じられながら難航する米中貿易協議は16日、再度閣僚級電話会談を行った。新華社通信は「建設的議論だった」と説明するが、交渉は実際にはかなり行き詰まっている。2週間前の発表との比較でそれは読み解ける>

北京時間の今月16日午前、米中両国代表が貿易問題についての閣僚級電話会談を行った。翌17日、中国の新華社通信はこの会談について次のように配信した。

「11月16日午前、米中貿易協議の中国側代表である劉鶴・共産党中央政治局員・国務院副総理は、(米国側の)要請によりライトハイザー米通商代表部代表とムニューシン財務長官と通話した。双方は第1段階の協議を巡り、各自の核心的関心について建設的な議論を行った。(双方は今後)引き続き密接な交流を保っていく」

以上は新華社通信の配信記事の全文であるが、これは18日付の人民日報2面にも掲載された。この新華社の記事は中国側の正式報道であり、中国政府の正式発表にも相当する。

発表の内容自体は驚くほど短くて簡潔であるが、今までの米中貿易協議の経過を熟知している人なら、それを読んで直ちにいわゆる「第1弾の合意」に向けた米中貿易協議はすでに行き詰まり、かなり難航していることを悟ったはずである。

どうしてそう思うのか。それは、11月1日に行われた前回の米中閣僚級電話協議に関する中国側の正式報道の内容と比較してみれば一目瞭然である。

前回の米中閣僚級電話協議が行われたのは北京時間の11月1日夜であったが、2日に、新華社通信は次のような記事を配信した。

「11月1日夜、中米中貿易協議の中国側代表である劉鶴・共産党中央政治局員・国務院副総理は、(米国側の)要請によりライトハイザー米通商代表部代表とムニューシン財務長官と通話した。双方は各自の核心的関心(問題)の妥当な解決について真剣かつ建設的な議論を行い、原則的な合意に達した。双方はまた、次のステップの協議の段取りについて討論した。(中国側からは)鐘山商務部長(商務大臣)、易鋼中国人民銀行頭取などが通話に参加した」

「記事1」と「記事2」の比較
以上は、11月2日の人民日報にも掲載された新華社通信の配信記事の全文であるが、それを丹念に読んでいれば、11月16日の米中閣僚級電話協議に関する新華社記事との違いが直ちに浮かび上がってくる。ここでは、文章上の便宜のために、11月1日の閣僚級電話協議についての新華社通信記事を記事1と呼び、11月16日閣僚電話協議についての新華社記事を記事2と呼ぶ。

両者を丁寧に読み比べれば、記事1にはあって記事2から完全に抜けている重要な部分があることに気がつく。

次のページ新しい協議の方がむしろ大きく後退
まずは記事1には、「鐘山商務部長(商務大臣)、易鋼中国人民銀行頭取などが通話に参加した」との記述があるが、記事2にはそれはない。つまり、中国側の実務部隊の責任者である商務大臣や人民銀行(中央銀行)頭取などが前回11月1日の電話協議に参加したが、16日の電話協議には参加していない。

2番目に、記事1には「双方は各自の核心的関心(問題)の妥当な解決について真剣かつ建設的な議論を行い、原則的な合意に達した」との記述があるが、記事2ではそれは「双方は第1段階の協議を巡り、各自の核心的関心について建設的な議論を行った」に変わった。記事1の記述からは「真剣に」という表現が消えただけでなく、「原則的な合意に達した」というもっとも重要な箇所が抜けている。

そして最後、記事1では今後の協議に関して「双方はまた、次のステップの協議の段取りについて討論した」との具体的な記述はあるが、記事2ではそれは「引き続き密接な交流を保っていく」と述べるに止まった。

2つの記事を比較してみれば、少なくとも中国側の認識においては、11月16日の閣僚級協議は11月1日のそれとは大きく変容したことがわかる。

11月1日の米中閣僚協議の場合、中国側からは商務大臣や中央銀行頭取などの実務トップも参加し、双方は「第1段階の合意」に向けて「真剣かつ建設的な議論を行い、そして「原則的な合意」にも達した。さらに、次の協議の段取りなどについて協議した。

つまり、中国側の認識においては、前回の11月1日の電話協議はかなり「真剣」的かつ実務的なものであって、合意に向けて進展のあった協議であって、次のステップにもつながったような実りの多い協議であるが、16日のそれは随分様変わりした。

交渉難航の最大のポイントは?
少なくとも中国側の発表からすれば、11月16日の電話協議には、実務トップの参加もなく、何らかの合意に達したこともなく、次の協議はいつにやるかについての段取りの相談もない。つまり、前回の協議よりも、今回の新しい協議の方がむしろ大きく後退している。いわゆる「第1段階の合意」に向けての米中貿易協議は完全に難航している模様である。

この原稿を書いている11月18日午前10時現在、16日の閣僚級米中協議に関するアメリカ側の発表は見当らない。この時間はワシントン時間の17日日曜日の夜であるが、ワシントン時間の18日月曜日になると、アメリカ側から何らかの発表や情報提供があるかもしれない。しかし、北京時間の16日午前に電話協議が行われてから丸2日が経過しても、アメリカ側からは何の発表もなく、あるいはツイートが好きなトランプ大統領から何の言及もなかったことからしては、やはりアメリカ側にとっても16日の閣僚級会議はあまりに進展なく、協議が難航していると推測できよう。

それではどこが難航しているのか。それはやはり、中国側が米国産農産物の大量購入との引き換えに強く求めている「制裁関税の段階的撤回」に対して、米政府、特にトランプ大統領が難色を示したことに大きな原因があろう。これについて本コラムは別途考察するが、中国側の事情から米中貿易協議を考える一端としては、10月3日掲載の本コラムが参考になろう。

【参考記事】10月3日掲載コラム「米中貿易戦争で迷走の習近平に『危機管理できない』疑惑」

20191126issue_cover150.jpg
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます
11月26日号(11月19日発売)は「プラスチック・クライシス」特集。プラスチックごみは海に流出し、魚や海鳥を傷つけ、最後に人類自身と経済を蝕む。「冤罪説」を唱えるプラ業界、先進諸国のごみを拒否する東南アジア......。今すぐ私たちがすべきこととは。

前のページ

1
2
この筆者のコラム
米中貿易協議は既に破綻しかけている 2019.11.18

香港トップ会談で露呈した習政権の無責任体質 2019.11.07

NBA騒動に学ぶ「かんしゃく国家」中国との付き合い方 2019.10.15

米中貿易戦争で迷走の習近平に「危機管理できない」疑惑 2019.10.03

香港対応に見る習近平政権のだらしなさ 2019.09.17

香港長官「条例撤回」は事実上のクーデター 2019.09.06

記事一覧へ
プロフィール

石平
(せき・へい)
評論家。1962年、中国・四川省生まれ。北京大学哲学科卒。88年に留学のため来日後、天安門事件が発生。神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。07年末に日本国籍取得。『なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか』(PHP新書)で第23回山本七平賞受賞。主に中国政治・経済や日本外交について論じている。
https://www.newsweekjapan.jp/sekihei/2019/11/post-4_2.php

 


トランプ大統領「合意達しなければ関税上げる」 米中貿易交渉


2019年11月20日 6時56分

アメリカと中国の貿易交渉で詰めの協議が続く中、トランプ大統領は「合意に達しなければ関税をさらに引き上げるだけだ」と述べ、合意に応じるよう改めて中国への圧力を強めました。

アメリカと中国の貿易交渉では第1段階の協定署名に向けて詰めの協議が続いています。

これについてトランプ大統領は19日、ホワイトハウスで行われた閣議で「中国との関係は良好だ。どうなるかわからないが、今は非常にハッピーだ」と述べ、早期の協定の署名に向けて交渉での手応えをにじませました。

その一方で「中国は私が好む合意を実現しなければならない。合意に達しなければ、関税をさらに引き上げるだけだ」とも述べ、合意に応じるよう改めて中国への圧力を強めました。

トランプ政権の高官は先週、第1段階の協定署名に向けて最終合意が近いことを示唆しましたが、中国との間では、アメリカ産の農産品の具体的な購入規模や、中国が強く求める関税の一部撤廃などについて、意見の隔たりが残されています。

このためトランプ大統領の発言は強硬な姿勢を見せることで、中国に歩み寄りを迫ったものとみられます。

あわせて読みたい
東南アジア主要6か国GDP 米中貿易摩擦の影響で明暗11月19日 6時55分
米政府 ファーウェイ禁輸措置の一部猶予を延長11月19日 6時25分
米中が電話で貿易問題協議 関税の一部撤廃で意見交換か11月17日 13時40分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191120/k10012183611000.html

 


コラム2019年11月19日 / 10:56 / 12時間前更新
コラム:
TikTokにあってファーウェイにないもの
Gina Chon
2 分で読む

[サンフランシスコ 18日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国の動画投稿アプリ「TikTok」と同国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]は、共通の問題を抱えている。中国政府とのつながりを懸念する米議会から攻撃を受けているのだ。

TikTokは米国内で味方が少ないかもしれないが、TikTokを運営する北京字節跳動科技(バイトダンス・テクノロジー)にはTikTokを売却・スピンオフ(分離・独立)するという選択肢がある。だが、ファーウェイは長期的に抜き差しならない状況に追い込まれているようだ。

両社は勝ち目のない戦いを強いられている。TikTokの朱駿・最高経営責任者(CEO)はニューヨーク・タイムズ紙に対し、中国政府からユーザー情報の提供を求められても断ると発言。ファーウェイの創業者で人民解放軍出身の任正非CEOも、中国政府による米国でのスパイ活動を支援することはないと主張している。

だが、そうした主張を証明するのは難しいし、中国政府がいずれにせよ何らかの方策を見出すという懸念を抑えるのも難しい。このため、米国の議員はTikTokを利用する若者の親にTikTokを削除するよう呼びかけ、米政府も他国にファーウェイ製品を利用しないよう訴えている。

ファーウェイは少なくとも米国に強力な味方がいる。クアルコム(QCOM.O)やインテル(INTC.O)などの米半導体大手から商品を購入しているためだ。依然として米政府の輸出規制の対象になっているが、米商務省は18日、一部の米国企業がファーウェイとの取引を続けることを認めた。ファーウェイを巡る問題が、米中貿易合意に盛り込まれる可能性もある。

だが逃げ道を見つけるいう点では、TikTokのほうが勝算が高いとみられる。TikTokのスピンオフや売却が可能だからだ。TikTokの月間アクティブユーザーは約15億人。親会社のバイトダンスは2017年に米動画アプリ「Musical.ly」(ミュージカリー)を買収したが、買収価格はユーザー1人当たり900万ドルだった。これをTikTokに当てはめると、TikTokの企業価値は135億ドルとなり、楽に株式上場ができる。米国のデータは米国内に保存しており、TikTokを分離しても失うものはそう多くない。

ファーウェイのほうは「脱中国化」がはるかに難しい。昨年の売上高は1050億ドルで事業内容は複雑だ。米国では来年の選挙を控えて、人気の高いTikTokがやり玉に挙げられているが、ファーウェイに対する国家安全保障上の懸念と5G市場の競争相手としての懸念は超党派的なもので、トランプ政権が幕を閉じても消えそうにない。

バイトダンスにとって、TikTokの売却やスピンオフは苦しい決断となるだろう。だが少なくともバイトダンスには、TikTokが集中砲火を浴びた場合の選択肢がある。針のむしろから逃れるのは、ファーウェイのほうが難しい。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
https://jp.reuters.com/article/breakingviews-tiktok-idJPKBN1XT060


 


テクノロジー2019年11月19日 / 02:50 / 17時間前更新
米政府、ファーウェイ禁輸猶予期間を90日間再延長
Reuters Staff
1 分で読む

[ワシントン 18日 ロイター] - トランプ米政権は18日、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]に対する米国製品の禁輸措置の猶予期間を再び90日間延長した。

米商務省は5月に安全保障上の理由で、米政府の許可なく米企業から部品などを購入することを禁止する「エンティティーリスト」にファーフェイを追加。その後、地方のネットワーク事業者などファーウェイの顧客への影響を考慮し、同社が一部米国製品を購入することを認めた。 [nL5N27X0ZG]

ロス商務長官は声明で「一時的な延長により地方へのサービス継続が可能になる」とし、「米国の革新的な技術が米国の国家安全を脅かす者の手に落ちないよう、商務省は技術の輸出を厳格に監視し続ける」とした。

米企業の間からファーウェイに部品を販売できるよう個別に許可を認定するよう要請が出ているが、商務省はこの件に関する決定は発表しなかった。

ファーウェイは同日、禁輸猶予期間の延長は「いずれにせよファーウェイの事業に実質的な影響はない。今回の決定はファーウェイが引き続き不当に扱われているという事実を変えるものではない」と指摘。「ファーウェイをエンティティーリストに追加するという判断により、ファーウェイよりも米国の方が多くの痛手を被っており、ファーウェイと取引している米企業に大きな経済的損害を与えている」とした。

*内容を追加しました。
https://jp.reuters.com/article/us-extend-huawei-license-idJPKBN1XS279

 


 

 

東南アジア主要6か国GDP 米中貿易摩擦の影響で明暗
2019年11月19日 6時55分

東南アジア主要6か国のことし7月から9月までのGDP=国内総生産の伸び率は、中国から生産拠点が移転しているベトナムなどが好調だった一方、中国向けの輸出が低迷するタイやシンガポールなどで低い水準が続き、米中の貿易摩擦などの影響が明暗を分けています。

東南アジア主要6か国のことし7月から9月にかけてのGDPの伸び率は域内で経済規模が最も大きいインドネシアがプラス5.0%と、わずかながらも3期連続で縮小が続きました。

また、マレーシアがプラス4.4%と前の3か月と比べて、0.5%下回ったほか、シンガポールは横ばいのプラス0.1%、タイはわずかに改善したもののプラス2.4%と低い水準にとどまりました。

これらの国では、中国向けを中心に輸出が低迷していて米中の貿易摩擦やそれに伴う世界経済の減速が景気にブレーキをかけています。一方、米中の貿易摩擦を受けて、中国からの生産拠点の移転が進むベトナムはプラス7.3%と、伸び率が加速したほか、政府支出が伸びたフィリピンもプラス6.2%と前の3か月を0.7%上回りました。

長期化する米中の貿易摩擦や世界経済の減速は全体として東南アジア経済のリスク要因となっていますが、こうした中でも各国で明暗が分かれる形となりました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191119/k10012182211000.html? 


東京外為市場ニュース2019年11月19日 / 18:46 / 4時間前更新
中国・香港株式市場・大引け=中国続伸、2週間ぶりの大幅高 香港も続伸
Reuters Staff
3 分で読む

(香港市場のリポートを追加しました。)
[上海 19日 ロイター] -
中国  終値 前日比 % 始値 高値 安値
上海総合指数< 2,933.9908 + 24.7906 + 0.85 2,904.2783 2,933.9908 2,902.8550
.SSEC>
前営業日終値 2,909.2002
CSI300 3,947.039 + 39.110 + 1.00 3,904.100 3,947.039 3,902.378
指数
前営業日終値 3,907.929
香港  終値 前日比 % 始値 高値 安値
ハンセン指数<.HS 27,093.80 + 412.71 + 1.55 26,671.32 27,093.80 26,605.63
I>
前営業日終値 26,681.09
ハンセン中国株指 10,696.56 + 140.00 + 1.33 10,531.38 10,704.65 10,508.76

前営業日終値 10,556.56

中国株式市場は続伸して引けた。2週間ぶりの大幅高となった。中国人民銀行(中央
銀行)が前日に7日物リバースレポの金利を引き下げ、政府が追加の景気支援策を打ち出
すとの期待が高まった。
上海総合指数 終値は24.7906ポイント(0.85%)高の2933.
9908。
上海と深センの株式市場に上場する有力企業300銘柄で構成するCSI300指数
終値は39.110ポイント(1.00%)高の3947.039。

金融指数は0.34%高。生活必需品指数は0.92%高
。不動産指数は1.65%高。ヘルスケア指数は2.10%高

深セン総合指数は1.83%高。深セン証券取引所の新興企業向け市場「創
業板(チャイネクスト)」総合指数は2.77%高。

香港株式市場も続伸し、1週間ぶりの高値で引けた。香港市場でも、中国人民銀行が
7日物リバースレポの金利を引き下げたことが依然、支援材料となっている。また、上場
を控えたアリババ・グループに旺盛な需要が集まったことも好感された。
ハンセン指数 終値は412.71ポイント(1.55%)高の2万7093.
80。
ハンセン中国企業株指数(H株指数)終値は140.00ポイント(1.3
3%)高の1万0696.56。
中国の電子商取引大手アリババの香港市場への重複上場に関する機関投資家向けブッ
クビルディングが、旺盛な需要を受けて従来の予定より早く終了するとのニュースを受け
、アリババの上場は香港で続く抗議デモの影響をあまり受けていないと投資
家らは受け止めた。アリババの上場は11月26日の予定。
一方、米中通商協議を巡る先行き不透明感が世界の投資家を神経質にさせている。C
BNCは18日、中国側には合意の見通しに関して悲観的なムードが漂っていると伝えた
。一方、米国が中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ) に対する米国製
品の禁輸措置の猶予期間を再び90日間延長するなど、歩み寄りの兆しも見られる。[nL3
N27Y1ON]


(リフィニティブデータに基づく値です。前日比が一致しない場合があります)
https://jp.reuters.com/article/idJPL3N27Z2MB?il=0


 

ビジネス2019年11月19日 / 18:27 / 5時間前更新
中国の歳入、1─10月は前年比+3.8%
Reuters Staff
1 分で読む

[北京 19日 ロイター] - 中国財政省が19日発表した1─10月の歳入は、前年同期比3.8%増加した。

1─10月の歳出は同8.7%増だった。
https://jp.reuters.com/article/china-economy-revenue-idJPKBN1XT11Z?il=0


 


東京外為市場ニュース2019年11月19日 / 20:02 / 3時間前更新
中国は台湾の選挙に「毎日」介入している=蔡英文総統
Reuters Staff
1 分で読む

[台北 19日 ロイター] - 台湾の蔡英文総統は19日、中国が台湾の総統選に「毎日のように」介入し、台湾の民主主義にダメージを与えようとしていると批判した。

台湾の与党・民主進歩党(民進党)が来年1月11日に行われる総統選に出馬する現職の蔡英文総統と組む副総統候補に同党の頼清徳・前行政院長(首相)を起用すると発表した17日、中国初の国産空母が艦隊を組んで台湾海峡を通過した。台湾は、総統選を控えて中国が台湾を威嚇しようとしているとの見解を示した。

総統選と同じ日に立法院(国会に相当)選挙も実施される。中国は蔡英文総統と民進党が台湾の正式な独立を目指すのではないかと警戒している。

正式に選挙登録を済ませた蔡英文総統は記者団に対し、反政府デモが激化する香港情勢や中国政府からの圧力に言及し、総統選は重要な時期に行われると指摘した。

台湾の独立を支持するのかとの質問に同総統は、台湾にはすでに主権があると述べた。「われわれには主権があり、政府があり、民主的な自由な制度がある」と強調した。

中国の空母が台湾海峡を通過した件に関する質問には、中国は台湾の民主主義にダメージを与えようとしており、中国が台湾の選挙に関与しようとしているのは明白だと述べ、「大国として、中国には国際的にも地域でも、平和と安定を維持する責任がある」と語った。「中国は台湾の選挙に毎日介入している」とも発言した。

一方、「個別のケース」だとして中国の空母に直接言及することは控えた。
https://jp.reuters.com/article/taiwan-election-idJPL3N27Z2UG?il=0


 
ワールド2019年11月19日 / 13:56 / 9時間前更新
アングル:
日米貿易協定承認案が衆院通過、交渉再開時期など焦点に
Reuters Staff
2 分で読む

[東京 19日 ロイター] - 衆院本会議で日米貿易協定の承認案が可決し、与党側は12月9日の会期末までの参院承認、来年1月1日からの発効を目指す。今後は米国による自動車・部品関税の扱いが焦点になるほか、米国側は将来的にはサービス分野も含めた広範な自由貿易協定(FTA)締結を目指しており、交渉再開の時期や内容も注目される。

<交渉再開に向けて思惑が交錯>

発効後を見据えて、問題となるのは日米交渉第2弾の時期だ。9月の日米首脳会談の際にはライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は、来年日米で再交渉の対象分野を議論する方針を明らかにしている。米国側には金融、保険分野などに加えて、「農業分野でも乳製品などを議論したい」(交渉関係筋)との意見がある。日本側は米国への自動車および部品の関税引き下げを議論したいとの立場だが、「下手に再交渉すると数量規制を蒸し返されるリスクがある」(政府関係者)として、交渉に慎重な声もある。また第2弾での交渉が合意されても発効は米大統領選後となるため、現時点でトランプ政権内での優先順位は高くないとの憶測も聞かれる。

これまで米国は対米貿易赤字の削減を交渉の目標に掲げ、貿易赤字の最大の要因である自動車について米国現地生産拡大と日本からの輸出削減を求めてきたが、交渉関係筋によると「8月末のフランスでの日米首脳会談で、安倍晋三首相が米国からのトウモロコシ大量購入を提言した効果があった」という。

ある与党関係者によると「米下院がトランプ大統領の弾劾調査を進め始め、トランプ政権として、米国内でも異論のある、金融市場を下押しするような激しい保護貿易政策を採りにくくなったのも一因だ」と解説する。

もっとも、環太平洋連携協定(TPP)には盛り込まれていた日本から米国に輸出される自動車や部品に対する関税の撤廃が除外されたため、日米の貿易量に占める関税撤廃率が小さく、撤廃率9割を目安とする世界貿易機関(WTO)のルールに違反すると野党は批判している。

政府は10月、日米貿易協定が発効すれば国内総生産を0.8%底上げするとの試算を公表しているが、試算では米国の自動車・部品関税の撤廃を前提としている。

<来週にも参院通過の見方が優勢>

これまでの国会審議では野党の反発姿勢が目立っていたが、与党側は月内の参院承認を見込んでいる。今後30日以内に参院が議決しない場合、衆院の優越により自然成立させるためには、国会期末を12月9日から延長する必要があるが、与党内では「来週27−29日の参院本会議で通過可能」との見方が多い。

日米貿易協定では、米国の牛肉や豚肉、小麦、乳製品の一部などで現在のTPP並みに関税を引き下げる。米側は日本車への追加関税や数量規制を発動しないことを約束した。

農業分野では日本側の関税引き下げがTPPの範囲内に収まったほか、TPP交渉で米国が要求していたコメの輸出枠を取り下げたことなどが評価されている。

最大の焦点だった自動車についても、懸念された日本から米国に輸出する自動車に対する数値目標や、追加関税も盛り込まれなかった。茂木敏充外相は「トランプ大統領に2度確認した」(10月1日、自民党部会)と強調しており、今回の交渉の最大の成果とされる。

*見出しの一部表現を修正しました

竹本能文 編集:内田慎一
https://jp.reuters.com/article/japan-trade-bill-idJPKBN1XT0HI
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/671.html

[国際27] イランのデモ、死者100人超か 鎮圧に過剰攻撃の指摘 ガソリン値上げ抗議 1000人拘束 デモ封じにネット遮断 在イラン日本企業も決裁できず 親イラン政権に打撃 イラク市民デモで死者100人超 エジプトで異例の2週連続デモ エクアドル、燃料費への補助金削減を中止 抗議拡大で チリ、抗議活動激化で経済成長率を下方修正
イランのデモ、死者100人超か 鎮圧に過剰攻撃の指摘
有料記事

テヘラン=杉崎慎弥 2019年11月20日07時14分
 
写真・図版イラン中部イスファハンで17日、デモ隊によって火をつけられて焼け焦げた警察署=AFP時事
 
 イランでガソリン価格の値上げを機に起きた反政府デモについて、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは19日、100人以上の参加者が死亡した可能性があるとの報告を公表した。一方、イラン当局が地元メディアに明らかにした死者数は4人にとどまり、大きな隔たりがある。国際社会の批判を恐れて、政府が実際の人数を公表していない可能性もある。

 アムネスティは、イラン国内の目撃者や国外の人権活動家の調査など、信頼性のある報告に基づき、21都市で少なくとも106人のデモ参加者が死亡したと説明。平和的なデモ隊に対して、治安部隊が過剰に殺傷力のある攻撃を加えたと指摘しており、死者が200人に上る可能性もあるとしている。

 一方で、国連人権高等弁務官事…
https://www.asahi.com/articles/ASMCN11QNMCMUHBI035.html


 


 
イランデモで1000人拘束 最高指導者が「暴徒」を批判
イラン緊迫 中東・アフリカ
2019/11/18 17:59 
【ドバイ=岐部秀光】イランのメディアによると、政府によるガソリン価格引き上げに端を発した市民らの抗議デモで、当局は18日までに1000人を拘束した。治安部隊との衝突で10人以上が死亡したとの情報もある。一部で銀行や商店が襲撃されたことを受け、最高指導者ハメネイ師やロウハニ大統領が暴徒を強く批判し、デモの拡大を抑えようとしている。
 
交通を妨害し、ガソリン価格の引き上げに抗議する市民ら(16日、テヘラン)=WANA・ロイター

イラン政府は15日、ガソリン価格を予告なしに5割引き上げた。突然の値上げに怒った人々が首都テヘランなどイラン各地で抗議の声を上げた。

イラン経済は、2018年に核合意からの一方的な離脱を表明した米国が復活させた制裁で大きな打撃を受けている。原油輸出を大きく制限された政府の財政は急速に悪化している。ガソリン価格を低めに抑えるため支給していた燃料補助金が重荷となり、これを削減する必要に迫られた。

パキスタンなど周辺国へのガソリン密輸も横行しているようだ。これがイランのガソリン需給の引き締まりにつながっているとの見方もある。

国際通貨基金(IMF)は19年のイランの実質成長率をマイナス9.5%と予想する。通貨リアルの実勢レートは対ドルで大きく下落し、インフレ率は35.7%に達した。イランでは17年12月にも経済難を背景とした大規模な抗議デモが主要都市に広がった。


類似している記事(自動検索)

イランでデモ、ガソリン値上げ抗議 治安部隊と衝突[映像あり]
2019/11/17 19:02更新
チリでは反政府の抗議活動が過激化し、収束の兆しを見せない(4日、サンティアゴ)=ロイター
チリ、抗議活動激化で経済成長率を下方修正
2019/11/5 7:08
燃料費への補助金削減の中止を喜ぶ市民ら(13日、キト)=ロイター
エクアドル、燃料費への補助金削減を中止 抗議拡大で
2019/10/15 5:16
イランの人口の約7割は1979年の革命後に生まれた=AP
経済悪化で指導者批判も
2019/8/13 10:00
エジプトの首都カイロでは治安部隊が配備され、デモを抑えるため厳戒態勢がとられた(27日)=ロイター
エジプトで異例の2週連続デモ シシ政権統治に揺らぎも
2019/9/29 21:43
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52309750Y9A111C1FF2000/?n_cid=SPTMG002


 

イランでデモ、ガソリン値上げ抗議 治安部隊と衝突
イラン緊迫 中東・アフリカ
2019/11/17 4:26 (2019/11/17 19:02更新) 
Play Video
【ドバイ=岐部秀光】イランの首都テヘランやシーラーズなど各地で16日、ガソリン価格の引き上げに抗議するデモが発生した。国営メディアによるとデモ隊は一部で治安部隊と衝突し、少なくとも1人が死亡した。2017年12月以来の大規模な抗議デモに発展している。当局は非常対応としてインターネットの接続を制限しているもようだ。

最高指導者ハメネイ師は17日、「破壊や放火をしているのは我々の国民ではない」と述べ、一部で暴徒化したデモ隊を批判した。「値上げは専門家の意見にもとづいて実施されたものだ」と述べ、撤回しない考えを強調した。

政府は15日、事前の予告なしに1リットル1万リアル(公定レートで約33円)だったガソリン価格を1万5000リアルに引き上げた。さらにこの「配給価格」で買うことができるガソリンの量を自動車1台につき1カ月60リットルに制限するとした。それ以上を購入する場合には1リットル3万リアルの価格が適用される。

公共交通機関の整備が遅れているイランでは通勤や通学で多くの人々が自動車に頼っている。

有力産油国であるイランは燃料補助金によって世界で最も安いガソリン価格を維持してきた国のひとつだ。

イランの財政は、対立する米国による度重なる制裁で厳しい状況に追い込まれている。石油の精製施設ではスペアパーツの不足で国内向けの精製能力の拡大が間に合わなくなっているとされる。

イランでは17年末にも各地で経済難に抗議するデモが各地で発生した。この際、デモ対の一部が批判の矛先を最高指導者ハメネイ師にも向けた。

16日、イラン北部の都市サリでガソリン値上げに抗議する人々=AP 

  
類似している記事(自動検索)
交通を妨害し、ガソリン価格の引き上げに抗議する市民ら(16日、テヘラン)=WANA・ロイター
イランデモで1000人拘束 最高指導者が「暴徒」を批判
2019/11/18 17:59
イラクでは6日もデモ隊と治安部隊の衝突が続いた=AP
親イラン政権に打撃 イラク市民デモで死者100人超
2019/10/7 18:37
イランの人口の約7割は1979年の革命後に生まれた=AP
経済悪化で指導者批判も
2019/8/13 10:00
イランへの追加制裁を発表したトランプ大統領=ロイター
米、ハメネイ師を制裁対象に イランに追加措置
2019/6/25 3:34更新
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52279690X11C19A1000000/


 

デモ封じにネット遮断 在イラン日本企業も決裁できず 

テヘラン=杉崎慎弥 2019年11月19日10時21分

 
写真・図版イラン国内のインターネットはグーグル検索ができなかったり、日本のホームページなどに接続できなかったりする状態が続く=18日、テヘラン、杉崎慎弥撮影

 
 ガソリン価格の値上げに抗議する反政府デモが激化したイランで16日以降、インターネットが一部を除いて大幅に遮断された。18日も復旧せず、市民生活や企業活動に深刻な影響が出ている。外国との通信や娯楽を断たれた市民や在留邦人は「いつネットがつながるのか」と頭を悩ませている。

 「まるで世界から切り離されたようだ」。テヘランの会社員ナザニンさん(33)はそう言って嘆いた。国内の銀行送金につかうアプリや国営メディアのホームページにしかアクセスできず、国外へのネット接続が遮断されているためだ。

 イランでは、ガソリン価格の値上げが発表された15日夜から反政府デモが全土に拡大。デモ隊と警官隊の衝突などで少なくとも3人が死亡し、1千人以上が拘束された。政府はSNSなどによるデモの呼びかけを封じようと、ネットを大幅に遮断することで事態の収拾をはかっているとされる。

 ナザニンさんは、英語教師の資格を取るため隣国トルコにある英語学校のオンライン講座に登録。毎週月曜日に課題をメール送信する必要があるが、無料メールサービスの「Gmail」が使えないため、課題を送れないという。

 「このままでは、資格がもらえ…

残り:850文字/全文:1334文字
 
関連ニュース
イラン、ガソリン価格が3倍に 全土で反政府デモ
イランで油田発見 大統領、トランプ政権に対抗心あらわ
去りゆくアメリカ、識者が警鐘 「日米同盟は試練の時」
英女王の威厳にマリアの心 元補佐官が語る緒方貞子さん
突然現れたアマゾン創業者 信じ難い新発表に問いかけた
https://www.asahi.com/articles/ASMCM10JLMCLUHBI056.html


 


イラン、ガソリン価格が3倍に 全土で反政府デモ 

テヘラン=杉崎慎弥 2019年11月17日20時16分 
写真・図版イランの首都テヘランでは16日、ガソリン価格の値上げに抗議した市民らが幹線道路に自動車を停車して通行できないようにした=ロイター

写真・図版
写真・図版
 イランで15日夜以降、ガソリン価格の値上げに抗議する反政府デモが全土で続いている。政府が15日にガソリン価格を最大約3倍に値上げしたためだ。イランメディアによると、デモ参加者らは反政府のスローガンを叫び、高速道路を封鎖するなどしており、少なくとも1人が死亡した。

 デモはイラン全31州のうち20州以上で起きた。首都テヘランでは市民が道路を封鎖するなどした。他の都市では暴徒化したデモ隊の一部が、パトカーや銀行などに火をつけたとの情報もある。南東部ケルマン州シルジャンではデモに参加した市民1人が死亡したが、治安部隊による銃撃を受けたのかどうかなどは分かっていない。

 政府は、全土で携帯電話によるインターネットの接続を大幅に制限するなどして対応にあたっている模様だが、事態を収拾できるかは不明だ。

 デモの引き金になったガソリン…
https://www.asahi.com/articles/ASMCK138SMCJUHBI02P.html 


 

親イラン政権に打撃 イラク市民デモで死者100人超
2019/10/7 18:37 
【カイロ=飛田雅則】イラクで発生した反政府デモを巡り6日、デモ隊と治安当局との衝突による死者数が100人を超えた。2018年秋に発足したアブドルマハディ政権に対し、人口の6割を占めるイスラム教シーア派の有力指導者が首相退陣を要求した。親イランの同政権は窮地に立たされている。イランと対立するサウジアラビアの思惑も絡み、混乱が長期化する恐れもある。

イラクでは6日もデモ隊と治安部隊の衝突が続いた=AP
画像の拡大
イラクでは6日もデモ隊と治安部隊の衝突が続いた=AP

1日に首都バグダッドで始まったデモは、中部ディワニヤや南部バスラなど各地に広がり、治安当局は催涙弾や実弾でデモ隊の排除に乗り出していた。ロイター通信によると、内務省の報道官は6日の国営テレビで、これまでに少なくとも104人が死亡し、6000人以上が負傷したと明らかにした。

エコノミスト出身のアブドルマハディ氏はシーア派だが、デモ参加者は高い失業率や公共サービスの不足、横行する汚職などの問題に対処できていないとして、抗議に立ち上がっていた。

デモの拡大を受け、シーア派の有力指導者でイラク最大の政党連合を率いるサドル師は4日、首相退陣と早期の総選挙の実施を要求した。イラクのシーア派最高権威であるシスタニ師も同日、デモ隊と治安部隊の双方に自制を呼びかけ、改革が遅れる政権を批判した。支持基盤であるシーア派の離反はアブドルマハディ氏にとって打撃だ。

イラクは多数派のシーア派と少数派のスンニ派、クルド人の主に3つのグループからなる「つぎはぎ国家」といわれる。米軍の侵攻で崩壊したフセイン政権はスンニ派主体。同政権崩壊後、シーア派から冷遇されたスンニ派の不満の受け皿となったのが、14年に「国家樹立」を宣言した過激派組織「イスラム国」(IS)だった。

一時はイラクと隣国シリアの広範な地域を支配したIS掃討で両国での存在感を高めたのがイランだ。精鋭の革命防衛隊や民兵を送り込み、両国の政権に一定の影響力を持つようになった。これに危機感を抱くのがスンニ派の盟主サウジだ。

首相退陣を要求したサドル師は反イラン・反米を掲げ、17年にサウジを訪問して以降、同国との関係を深めている。サドル師の退陣要求の背景にはサウジの思惑が働いているとの見方もある。

中東のイエメン内戦は、サウジとイランの代理戦争の様相を呈し、泥沼化している。イラクが新たな代理戦争の舞台となり事実上の内戦に逆戻りする懸念は拭えない。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50700690X01C19A0FF8000/?n_cid=SPTMG002


 


イラク、レバノン反政府デモ拡大 米・イラン対立影響も
イラン緊迫 中東・アフリカ
2019/11/6 21:58
保存 共有 印刷その他
【イスタンブール=木寺もも子、カイロ=飛田雅則】イランの影響力の強い中東の国々で政治不安が広がっている。生活苦や汚職に反発する市民のデモが広がり、イラクではサレハ大統領が早期の総選挙実施を表明、レバノンではハリリ首相が辞表を提出した。イランと、同国の封じ込めを狙う米国の対立も混乱に拍車を掛けており、世界経済の重荷となる可能性もある。

レバノンの反政府デモはハリリ首相の辞意表明後も続く(2日、北部トリポリ)=ロイター
画像の拡大
レバノンの反政府デモはハリリ首相の辞意表明後も続く(2日、北部トリポリ)=ロイター

有力産油国であるイラク各地では10月初めから反政府デモが激しくなり、これまでに270人以上が死亡した。サレハ氏は10月31日、早期に国会選挙(総選挙)を実施すると表明したが、デモは収まっていない。

「イランは出て行け」。3日夜から4日未明には、イラク南部のイスラム教シーア派聖地カルバラではデモ参加者がイラン領事館の敷地に侵入を試みる事件が起きた。治安部隊が発砲し、AFP通信によると少なくとも4人が死亡した。

デモ参加者の矛先が隣国のイランに向かうのはイラクの連立政府を主導するシーア派政党がイランの支援を受けているためだ。イラクの人口の6割はイランと同じシーア派が占める。高失業率や電力不足などの問題を解決できない政府とイランを重ねている面がある。 ロイター通信は「イランと協力する政党は(イラクにとって)害毒だ」と話すデモ参加者の声を伝えた。サレハ氏はシーア派のアブドルマハディ首相が辞任する用意もあると明かし、デモを収束させようと躍起になっている。

イランは過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討でイラク軍を支援し、同国への影響を強めてきた。米国が国際テロ組織に指定するイラン革命防衛隊はイラク国内に拠点を確保している。イランと敵対する米国の部隊もイラクに5000人規模が駐留する。「米国やイスラエルなどがイラクの紛争や混乱を扇動している」。イラクの親イラン勢力からはこんな声も上がっている。

東地中海に面したレバノンでは10月29日にハリリ氏が辞表を提出した。アウン大統領はこれを受理したうえでハリリ氏を暫定首相に指名した。新内閣の発足には時間がかかると見られている。

10月中旬に始まった反政府デモのきっかけは、政府が「ワッツアップ」など無料の通信アプリへの課税を打ち出したことだった。もともと失業や汚職に不満を持っていた若者らが首都ベイルートの広場などに集まり、混乱が広がった。

レバノン情勢にも米国のイラン敵視政策が影響している可能性がある。レバノンではイラン革命防衛隊の傘下のシーア派武装組織ヒズボラの政治部門が国政に関与する。米国の同盟国でイランと敵対するサウジアラビアはヒズボラを意識し、数年前からレバノンへの援助を大幅に縮小しているとされる。ロイター通信によると、米国はレバノンへの1億ドル(約110億円)の軍事支援の実行を留保する。

主に1980年代、異なる宗教・宗派間の長い内戦を経験したレバノンでは、大統領がキリスト教マロン派、首相はイスラム教スンニ派、国民議会議長はシーア派などと定める。国政選挙でも宗教・宗派ごとに議席を割り振る。宗派バランスに配慮した統治は各宗派が事実上の拒否権を持つことで「決められない政治」の常態化につながっている。デモ参加者は機能不全に陥った統治制度の刷新も要求している。

米国とイランは同国の核問題を巡って激しく対立している。世界の石油生産の3割強を担う中東の輸送の大動脈であるホルムズ海峡周辺でのタンカー攻撃やサウジの基幹施設への攻撃など供給途絶リスクが繰り返し意識されている。

国際通貨基金(IMF)は10月の世界経済見通しで、世界の実質成長率が2019年の3.0%から20年は3.4%に回復すると予想する。中東を含む新興国の景気が上向くとの予測が背景だ。20年の中東・中央アジアの実質成長率は2.9%に達すると見込むものの、地域の政情不安は回復シナリオを妨げかねない。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51874690W9A101C1FF1000/?n_cid=SPTMG002


 


エジプトで異例の2週連続デモ シシ政権統治に揺らぎも
2019/9/29 21:43
保存 共有 印刷その他
【カイロ=飛田雅則】エジプトで27日、強権支配を続ける軍出身のシシ大統領の退陣を求めるデモが発生した。デモが事実上禁じられ、弾圧される恐れがある中、国民が2週連続で抗議行動に出るのは異例だ。言論弾圧や経済運営に不満が高まり、シシ政権の統治に揺らぎが生じている可能性がある。政権側は武力を背景に取り締まり強化に動くが、かえって国民の暴発を引き起こすリスクが高まっている。

エジプトの首都カイロでは治安部隊が配備され、デモを抑えるため厳戒態勢がとられた(27日)=ロイター
画像の拡大
エジプトの首都カイロでは治安部隊が配備され、デモを抑えるため厳戒態勢がとられた(27日)=ロイター


画像の拡大
21日にもエジプトの首都カイロでシシ大統領の退陣を求めるデモが発生した=ロイター
画像の拡大
21日にもエジプトの首都カイロでシシ大統領の退陣を求めるデモが発生した=ロイター

カイロ近郊のワラクで27日のイスラム教の金曜礼拝後、「シシ(大統領)は退陣しろ」とデモ隊が練り歩いた。ロイター通信によると約1千人が参加し、生活改善を求め、政権汚職を批判。治安部隊は催涙弾で退散させた。南部ケナでも住民が反政府デモで訴えた。

1週間前の20〜21日には首都カイロ中心部やアレクサンドリア、北東部のスエズでデモ参加者がシシ氏の退陣を求めた。スエズでは治安部隊がデモ隊に実弾を発砲したとの報道もある。

デモの発端は、スペイン在住のエジプト人実業家が「現政権は公金で、豪華な大統領宮殿を建設している」などと政権や軍の腐敗をネットで暴露し、シシ氏の退陣を求めるデモを呼びかけたことで、たちまち拡散した。実業家は建設業を営み、建設代金を巡って軍とトラブルになり国外に逃亡したとされる。

治安悪化を恐れた投資家による株式売却の動きが殺到し同国証券取引所は22日、取引の一時停止に追い込まれた。その後、再開されたが同日の株価指数は前営業日に比べ5%安で取引を終えた。29日時点の株価もデモ以前の水準を回復していない。通貨はデモ前とほぼ同水準の1ドル=16.30エジプトポンド台を中心とする値動きで「当局が介入して通貨安を抑えているのではないか」(金融関係者)との観測も浮上する。

今回のデモが政権転覆に直結するとの見方は少ない。しかし、国民が拘束される危険を冒してまで政権に抗議する行動に出始めたことは、シシ政権による反対派を強権的な手段で押さえ込むという統治が限界に近づきつつある可能性がある。

エジプトでは2011年の民主化運動「アラブの春」でムバラク独裁政権の崩壊後、同国初の自由選挙で誕生したモルシ大統領を、シシ氏が13年に事実上の軍事クーデターで追放し実権を握った。14年の選挙を経て大統領に就任し、これまで政権に批判的だった活動家やジャーナリストを拘束するなど批判する声を封じ込めてきた。国民は公の場で政府を批判することはできないなど社会には閉塞感が漂う。

経済面では財政再建のために国際通貨基金(IMF)のプログラムを受け入れ、国民に増税や公共料金の引き上げなど負担を強いている。経済成長率は15年以降、4%超が続くが、恩恵を受けるのは幅広く経済活動をする軍系列企業に限られているとして、国民の不満は募っている。

20日のカイロに続き、27日にカイロ近郊で反政府デモを防げなかったことで、強力なリーダーシップのもとで維持してきた安定が見た目ほど強固ではない可能性がある。人口約1億人でアラブ圏最大の人口を抱えるエジプトが揺らげば、周辺のアラブ諸国にも混乱が波及するリスクがある。混乱に乗じて過激派が台頭する恐れもはらむ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50369240Z20C19A9FF8000/?n_cid=SPTMG002


 
チリ、抗議活動激化で経済成長率を下方修正
中南米
2019/11/5 7:08
保存 共有 印刷その他
【サンパウロ=外山尚之】チリ政府は4日、2019年の経済成長率の予測を従来の2.6%から、2.0〜2.2%に下方修正すると発表した。同国では10月中旬から大規模な反政府の抗議活動が発生し、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の開催を断念したばかり。商業活動のみならず、最大の産業である銅の生産にも影響を及ぼすなど、経済への打撃が深刻化している。

イグナシオ・ブリオネス財務相は「第4四半期(10〜12月)は完全に(従来と)異なる状況だ」と述べ、反政府デモやストライキの影響で「経済活動の減少を記録するだろう」との見解を示した。首都サンティアゴを中心に抗議活動の長期化により商業が停滞しているほか、主要輸出品である銅産業もストライキで減産が始まっている。

国際通貨基金(IMF)によると、18年までの過去10年間のチリの平均経済成長率は約3.1%だった。銅価格が落ち込んだ16〜17年に1%台に減速していたが、18年は4%だった。今年に入ってから中国の景気減速の余波で停滞気味となっており、今回の抗議活動でさらに下押しされることとなった。

チリ政府は抗議活動のきっかけとなった地下鉄の運賃引き上げを撤回したほか、最低賃金や年金の引き上げなどを含む社会保障改革を提案。国民の批判を集めた閣僚も交代したが、事態収束のメドは立っていない。地元メディアは近日中にガソリンなどの燃料が不足する可能性があると伝えている。


 


 
エクアドル、燃料費への補助金削減を中止 抗議拡大で
2019/10/15 5:16
保存 共有 印刷その他
【サンパウロ=外山尚之】エクアドルのモレノ大統領は13日夜、財政再建のために取り組むとしていた、燃料費への補助金削減を中止すると発表した。国民の反発が大きく、1000人を超える逮捕者が出たほか、石油生産が減少するなど、経済に大きな影響を与えていた。抗議活動は沈静化する見通しだが、補助金削減は国際通貨基金(IMF)の支援を受けるための条件で、新たな火種となる可能性がある。

燃料費への補助金削減の中止を喜ぶ市民ら(13日、キト)=ロイター
画像の拡大
燃料費への補助金削減の中止を喜ぶ市民ら(13日、キト)=ロイター

抗議活動に加わっていた先住民のグループとモレノ大統領が会談し、ガソリンや軽油への補助金を削減する「法令883条」を見直す代わりに、抗議のためのストライキを解除することで合意した。モレノ氏は「政府は883条を新しいものに取り換える」と発言し、先住民のリーダーも「決定があれば、国は落ち着くべきだ」と応じた。

今回の抗議活動はモレノ氏がIMFとの合意に基づき、10月上旬に燃料費引き上げを含む財政再建策を打ち出したことに端を発する。モレノ氏と対立する反米左翼のコレア前大統領が抗議活動をあおったことで一部が暴徒化し、デモ隊と治安当局が衝突。政府が首都機能を抗議活動が激化するキトから第2の都市グアヤキルに一時移転するなど、混乱が拡大していた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51785010V01C19A1000000/?n_cid=SPTMG002

 

#冷戦終結=>グローバリズム拡大

=>民主主義と社会保障が未熟な新興国の急成長

=>先進国内の格差拡大の進行 

=>先進国での左右ポピュリズムの拡大と、保護主義化

=>グローバリズム巻き戻し

=>新興国での急激な景気後退

=>失業拡大による若年層の貧困化と不満の拡大

=>世界的な政治体制の不安定化

予想されていた通りの展開が起こっている


http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/767.html

[政治・選挙・NHK267] 安倍政権が歴代最長に、トランプ大統領再選なら総裁4選論拡大も 次期自民党総裁選への立候補意欲「全くない」=菅官房長官
安倍政権が歴代最長に、トランプ大統領再選なら総裁4選論拡大も
延広絵美

2019年11月20日 7:00 JST 更新日時 2019年11月20日 9:52 JST

トランプ氏相手に日本のかじ取りできるのは安倍首相−自民・世耕氏
日米貿易協定で譲歩、うまくやっているか分からない−岡田元副総理

安倍晋三首相の通算在職日数が20日で2887日となり、戦前の桂太郎氏を抜いて歴代最長となった。自民党総裁としての任期は2021年9月だ。首相自身は続投には否定的だが、良好な関係にあるトランプ米大統領が来年の選挙で再選された場合、同党内で任期延長や連続4選に向けた動きが具体化する可能性があるとの見方も出ている。

  安倍首相は20日午前、「短命に終わった第1次政権の深い反省の上、政治を安定させるため日々全力を尽くしてきた」と記者団に語った。残りの任期に取り組む課題については「デフレからの脱却、少子高齢化への挑戦、戦後日本外交の総決算、その先には憲法改正もある」と述べ、挑戦者の気持ちで取り組んでいくとの意欲を示した。

  安倍首相に近い自民党の世耕弘成参院幹事長は、「まさかこんなに長く続くとは思わなかった」と振り返り、経済政策で成果を出し、国際社会でも存在感を増したことが長期政権の理由だと解説する。

  厳しさを増す安全保障環境や不透明な世界経済の下で、トランプ氏ら「非常に難しいリーダーの相手」をしながら、日本のかじ取りができるのは「やはり安倍首相しかいない」という状況に数年前からなってきていると話した。

  岩屋毅元防衛相は、自民党総裁4選について、「米国の大統領がどうなるかによって考え方が違ってくる」との見方を示す。日本の首相は、日米関係を良好に保ちながら国益を追求することが不可欠であり、安倍首相は「トランプ政権に対して国益を損ねることがないよう振る舞ってきている」と評価した。

Day Two of President Trump's Visit to Japan
居酒屋でくつろぐトランプ米大統領と安倍首相(5月26日、都内で)Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  こうした声は安倍政権を中枢で支えてきた他の自民党議員からも出始めている。時事通信によると、甘利明税制調査会長も11日の講演で、トランプ米大統領ら強烈な個性の指導者をつなぎ、世界全体をまとめる役割を期待されているとして、総裁任期延長も選択肢の一つとの考えを明らかにした。

  茂木敏充外相は10月発売の月刊誌「文芸春秋」に掲載されたインタビューで、政治状況によって総裁任期を1年、2年延長することは十分に考え得ると語った。二階俊博幹事長も19日の会見で、安倍首相が4選を決断すれば党として全面的に支援したいとの立場を示した。

アベノミクスの成果についての検証記事はこちらをご覧下さい

  15−17日に実施された読売新聞の世論調査では、安倍政権の支持率は49%となり、前回(10月18−20日)の55%から6ポイント低下した。前回調査の後、閣僚2人の辞任と「桜を見る会」を巡る問題で野党の追及が強まった。政党支持率は自民党37%に対し、野党第1党の立憲民主党が7%と大きな開きがある。

  次の首相にふさわしい人を問うと、石破茂元幹事長が21%と最多。2位は小泉進次郎環境相で18%、3位は安倍首相の15%だった。

日米協定では譲歩
  旧民主党政権で副総理や外相を務めた岡田克也衆院議員は、与党内などから日米首脳の個人的関係が強調されることについて、安倍首相が「トラブルにならないように自らの信念を捨てて合わせている」にすぎないと冷ややかな見方を示す。

  10月に署名された日米貿易協定では、農業分野などで「かなり譲ってしまっており、今後さらに要求が出てきた時に切るカードがない状態」と指摘。両首脳が本当にうまくやっているか、「まだ分からない」と見る。

  岡田氏は、長期政権の弊害について「チェックが働かないと思ってなんでもやってしまう」と指摘。安倍首相の後援者が多数参加し、批判を受けたことで来年度の中止が決まった「桜を見る会」は「その典型だ」とした。安倍政権長期化の背景には「世界経済が比較的順調だった」ことがあり、その状況が変われば首相を取り巻く状況も「様変わりする可能性はある」という。

4919P_SPOL_ABE_02_CMS
参院選開票で当選バラをつける安倍首相(7月21日)Photographer: Toru Hanai/Bloomberg
  第2次安倍政権発足時、内閣府特命担当相として入閣した山本一太群馬県知事は、「戦略的で野党が言うべき政策の軸を奪い取った」と話す。時間外労働の上限規制などを導入した働き方改革や幼児教育無償化は、野党支持層が関心の高い政策で、「過去の政権よりもウイングをさらに広げ、したたかにいろいろな政策を取り入れている」ことが、長期政権を維持してきた理由の一つだと説明した。

  外務副大臣などの経験もある山本氏は、トランプ政権が続く限り、安倍首相のように同氏と交渉できる人でなければ「日本の首相はできない」と指摘する。自民党内から総裁連続4選を期待する声が出ている背景には「選挙に勝ち続け、政権維持するために首相にいてほしいという政治的思惑」があると語った。

安倍首相の歩み(第2次政権以降)
2012年 12月 衆院選で自民・公明が勝利、第2次政権発足
2013年
4月 日本銀行が量的・質的金融緩和を決定

7月 参院選で与党が勝利、「ねじれ国会」解消

2014年
4月 消費税率5%から8%に引き上げ

12月 衆院選で与党が勝利、第3次政権が発足

2015年 9月 自民党総裁に無投票再選、安全保障関連法が成立
2016年 7月 参院選で与党が勝利、衆参で改憲勢力が3分の2超に
2017年
1月 トランプ米大統領が就任

10月 衆院選で与党が勝利、11月に第4次政権が発足

2018年
3月 森友学園を巡る問題で佐川国税庁長官(当時)が辞任

9月 自民党総裁選で石破元幹事長を破り、連続3選

12月 米国抜きの環太平洋連携協定(TPP)が発効

2019年
7月 参院選で与党が勝利、改憲勢力は3分の2を割り込む

10月 消費税率8%から10%に引き上げ

(第2段落に安倍首相のコメントを追加して更新しました)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-19/Q0HLKCDWX2PU01?srnd=cojp-v2


 

ワールド2019年11月20日 / 17:03 / 2時間前更新
次期自民党総裁選への立候補意欲「全くない」=菅官房長官
Reuters Staff
1 分で読む

[東京 20日 ロイター] - 菅義偉官房長官は20日午後の定例会見で、次期自民党総裁選に立候補する意欲について「残念ながら全くない」と否定した。自身も候補と取り沙汰されるポスト安倍に求められる資質について「首相任期が2年近くあり、そうした話をするのは早い」とした。安倍晋三首相4選を求める声をどうみるかとの質問に対しても「首相任期はまだ2年あり、今はやるべき政策を前に進めるのが大事」と述べるにとどめた。

桜を見る会の招待者選定に関し、安倍首相は8日の参院予算委員会では関与していないと答弁したが、20日参院本会議では推薦者について意見を述べることもあったと答えた。この件について、「最終的に内閣官房で取りまとめるわけなのでそのプロセスには関与していない」と説明した。
https://jp.reuters.com/article/suga-election-idJPKBN1XU0UN
http://www.asyura2.com/19/senkyo267/msg/492.html

[経世済民133] 「巨大リスクイベント」控える2020年はヘッジを有効活用せよ ヘッジファンド弱気派代表、空売ポジション過去最大 個人消費堅調も一般消費財の株価さえず、原因はアマゾン Tビル購入でFRBのバランスシート拡大、株高要因 米金融政策据え置き、確信の程度 

 「巨大リスクイベント」控える2020年はヘッジを有効活用せよ−TD
Vivien Lou Chen
2019年11月20日 12:58 JST
• 米大統領選でボラティリティー急上昇の可能性
• 魅力的なヘッジは10年物米国債の買い、金相場上昇の公算も指摘

Photographer: Jacquelyn Martin/AP Photo
トレーダーは2020年のボラティリティー上昇を覚悟すべきだ。米大統領選挙という「巨大リスクイベント」が控えているからだと、TDセキュリティーズが指摘した。
  同社はトランプ大統領が再選を目指す中で下院で弾劾される初の米大統領になると予想。ボラティリティーが急上昇し、最近の市場の静けさは打ち砕かれるとみている。同社は19日のリポートで、有効なヘッジの方法を幾つか提案した。
  そのうち2つは、金と10年物米国債の買いだ。米金融当局は20年に市場が予想する0.25ポイントではなく、0.5ポイントの利下げをする可能性があるとの見方に基づいている。米国債は「魅力的なヘッジ」であり、一段の緩和シナリオで金相場も上昇する公算があると指摘。米中通商交渉については部分的合意には至るが来年中の包括的合意はないとみている。

  リチャード・ケリー、 ジェームズ・ロシター、 プリヤ・ミスラ、マーク・マコーミック氏らストラテジストは 「残念ながら、2020年に構造的な不確実性による打撃や痛みから解放される兆候は見られない」と指摘した。
  ストラテジストらは、米国および世界の債券利回りは来年も低くとどまる公算だとして、円に対しドルをショート(売り持ち)にする取引も勧めている。米当局が緩和する一方で日本銀行は恐らく政策を据え置き、ドルの上昇余地は限られると予想する。
原題:
‘Giant Risk Event’ Makes Hedging a Good Bet in 2020, TD Says(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-20/Q18YG1T0AFB401?srnd=cojp-v2

 

ヘッジファンドの弱気派代表、空売りポジションを過去最大に積み上げ
Nishant Kumar
2019年11月20日 12:13 JST
• ラッセル・クラーク氏のファンド、ネットショートが総資産の111%
• 今年のリターン、10月まででマイナス27%−年べースで最悪へ

Photographer: John Taggart/Bloomberg
ヘッジファンド業界の弱気派として知られるラッセル・クラーク氏も、今ほど悲観的になったのは初めてだ。
  同氏は自身が運用するホースマン・グローバル・ファンドのネットショートポジションを総資産の111%に引き上げた。18日送付の投資家宛て書簡で明らかになった。著名空売り投資家の同氏は2012年以降、株式相場下落を見込むポジションを一貫して取っている。
  史上最長に属する上昇相場の中でS&P500種株価指数は最高値更新を繰り返しているが、クラーク氏は「市場に存在するあらゆる問題が見て取れる。それがどのように展開し、われわれがそこからいかに利益を得られるかが私には分かる」と、10月に顧客に語っていた。 「問題はタイミングだ」という。
  ホースマン・グローバル・ファンドはホースマン・キャピタル・マネジメントの旗艦ファンド。クラーク氏は2桁台のリターンを数年にわたって記録後、16年はマイナス24%への悪化を経験した。今年は10月末まででマイナス27%と、このままでは年ベースで最悪の結果に終わりそうだ。同氏はニュースレター以上のコメント提供を控えた。
Bullfighter
Clark's annual returns since he turned net short equities

Source: Investor document
2019 return is through October
原題:
Hedge-Fund Bear Clark Ups Short Bets to Record as Losses Mount(抜粋)
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
LEARN MORE
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-20/Q18WFJT0G1KZ01?srnd=cojp-v2


 
Tビル購入でFRBのバランスシート拡大、QEではなくても株高要因
Alex Harris
2019年11月20日 15:33 JST
米連邦準備制度は財務省短期証券(Tビル)購入プログラムについて、量的緩和(QE)ではないと説明しているが、当局のバランスシート拡大と共に上昇する米国株の動きは、効果の点ではQEとあまり変わらないかもしれないと一部では受け止められている。

  当局は流動性注入によって資金調達市場を安定させる必要に迫られTビル購入を決めた。バランスシートは8月末の3兆7600億ドル(約408兆円)から今では4兆500億ドルに拡大し、2017年後半以来の圧縮幅の40%近くを実質上、既に取り戻してしまった。この間にS&P500種株価指数は7%超上昇し、今週は最高値を更新した。

The Fed has reversed close to 40% of its balance-sheet normalization
  資金調達市場を落ち着かせ、短期金利の制御を強めるため、当局はレポ取引やTビル購入を実施している。Tビル購入はこれまでの資産購入プログラムと異なり長期金利を押し下げて景気を下支えするのが目的ではないため、QEではないと当局は論じる。

  しかし、ブリークリー・ファイナンシャル・グループの最高投資責任者(CIO)、ピーター・ブックバー氏によれば、「市場は連邦準備制度のバランスシート拡大をQEとみなす」。バランスシートが2カ月ほどで約2500億ドル拡大したことが「株価上昇を後押ししたことは間違いない」と同氏は18日の顧客向けリポートで指摘している。

関連記事
米金融当局の修復策がマネーマーケットに影響も−現金保管場所に変化

原題:
Fed’s Fix for Repo Turmoil May Be Helping the Rally in Stocks(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-20/Q194XJT0G1KW01


 

米金融政策据え置き方針、確信の程度示されるか−FOMC議事要旨で
Alister Bull
2019年11月20日 15:21 JST
先月末に今年3回目となる米利下げを決定して以降、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長をはじめとする金融当局者の発言回数の多さが際立っている。

  そうした中にあっても、連邦公開市場委員会(FOMC)の同会合の議事要旨は、金融政策をしばらくの間据え置くとする方針について当局者の間の確信がどの程度強いのかをさらに明らかにするだろう。

  先週2回、議会証言に臨んだパウエル議長は、経済見通しの「重大な再評価」がない限り、10月30日の利下げを受けて政策金利は適切な水準にあるとの見解をあらためて表明した。

Fed Chair Jerome Powell Testifies Before The House Budget Committee
パウエル議長(11月14日)
  FRBは米東部時間20日午後2時(日本時間21日午前3時)にFOMC議事要旨を公表する。なお今年最後のFOMCは12月10、11両日に開催予定だ。

  ナットウェスト・マーケッツのエコノミストであるケビン・カミンズ、ミシェル・ジラード両氏は今週のリポートで、「議事要旨が中期的な政策見通しに意味のある変化をもたらすとは考えていない」が、「FOMC見通しの『重大な再評価』とは正確に何を意味するのかについて、市場参加者は手掛かりを求めるだろう」と指摘した。

Powell's `star economy' traced to robust consumption, strong job market
原題:
Fed Minutes Seen Reinforcing Message of Rates on Prolonged Hold(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-20/Q196D8DWX2PS01?srnd=cojp-v2

 

トップニュース2019年11月20日 / 15:13 / 4時間前更新
アングル:個人消費堅調も一般消費財の株価さえず、原因はアマゾン
Chuck Mikolajczak
2 分で読む

[ニューヨーク 15日 ロイター] - 米国の消費の強さは、経済を支える柱の1つに挙げられることが多く、S&P総合500種が足元で最高値を更新している理由にもなっている。ところが一般消費財株の値動きは、ここ数カ月間さえないままだ。

S&Pの一般消費財セクター.SPLRCDが最高値を記録したのは7月15日で、それ以降総合500種は上昇を続けているのに対して、一般消費財は4%近く下落。上値を試しては突破に失敗して水準がじりじりと切り下がり、下降トレンドに入っている様子がうかがえる。

米企業は国内で堅調な消費が維持されていると指摘し続けているのに、一般消費財セクターの株価のほうは振るわない。

実際、今月15日に発表された10月の米小売売上高は持ち直し、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの消費者信頼感指数も反発基調がより鮮明になった。一方、リフィニティブのデータによると、一般消費財セクターで第3・四半期の業績が予想を上回った企業の割合は65%と、S&P総合500種全体の74.6%に届かなかった。同セクターの第3・四半期の前年比増益率も0.9%と、年初に期待されていた9.9%から大きく鈍化した。

アメリプライズ・ファイナンシャルのチーフ市場ストラテジスト、デービッド・ジョイ氏は「業績は全般的にかなり勢いがなくなっている。これは消費にやや一服感が出ている表れかもしれない。消費支出は底堅いとはいえ、頑健というわけではない」と述べた。

調査会社CFRAは、年末商戦期の11月と12月の小売売上高が4.3%増加して1兆500億ドルに達すると予想する。ただ同社の小売りアナリスト、カミラ・ヤヌシェフスキー氏は、売上高が伸びるのは政府機関閉鎖の影響があった前年同期と比べるからという面が強く、実態として1年前ほど消費は強くないとの見方を示した。

ボケー・キャピタル・パートナーズのキム・フォレスト最高投資責任者は「小売りセクターに目を向けている投資家にとって今は非常に事態が分かりにくい。売上高はどうなるのだろうか」と述べた。

ヤヌシェフスキー氏は、一般消費財セクターの動きを左右する大きな要素の1つに米中貿易協議を挙げた上で、第1段階の合意が正式調印されて第2、第3段階の合意への道筋がはっきりしたとの楽観論が出てくれば、同セクターに対して年初のような明るい見方が復活する可能性があると付け加えた。

現在の一般消費財セクターの低迷は、20%強と圧倒的なウエートのアマゾン・ドット・コム(AMZN.O)の不振が原因だ。投資家は金融やエネルギーといったこれまでに売り込まれて割安化したセクターに資金を移動させ、これらの株価は今月に入って3%余り上昇した。

ナショナル・セキュリティーズのチーフ市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏は、一般消費財セクターは、ちょうど投資家が他の出遅れ分野への物色に乗り出そうとした時期に株価がピークアウトしてしまったと説明した。それでも18日からの週は、一般消費財セクターが少なくとも下げ過ぎているとみなす機運になるのではないかとみている。
https://jp.reuters.com/article/us-economy-stock-idJPKBN1XS0AI


 
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/675.html

[経世済民133] 円強含み、香港人権法案可決で米中貿易交渉に不安−ドル108円台半ば 債券上昇 香港人権法案、全会一致で可決 中国反発 香港問題、米中ゲームの危険なピースに 中国の銀行、経済成長支援のため資金供給増やすべきだ−人民銀行総裁

 
円強含み、香港人権法案可決で米中貿易交渉に不安−ドル108円台半ば
小宮弘子
2019年11月20日 12:07 JST 更新日時 2019年11月20日 15:23 JST
東京外国為替市場では円が強含み。米上院による香港人権法案可決を受けて、米中貿易交渉への悪影響を懸念したリスク回避の動きが出た。

ドル・円は一時前日比0.2%安の1ドル=108円36銭と4営業日ぶりの水準まで円買いが進行。午後3時18分現在は108円52銭
米中貿易合意期待に言及したロス米商務長官の発言を受けて108円58銭までいったん戻すも、中国の対米報復表明で円買いが再燃
円はドル以外の通貨に対しても強含み。オーストラリアドルの対円相場は0.2%安の1豪ドル=73円94銭
ドル・円は108円半ば
市場関係者の見方
外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長

米国の法案可決は米中通商協議への懸念が深まる材料
ただ、米中貿易戦争は円買い材料であると同時にドル買い材料。オフショア人民元に対してドル高になっているようにドルも強いので、ドル・円の下値もある程度堅い
目先は日本株や中国、上海株の動き次第だが、中国の利下げもあり、一気にリスクオフムードにはなっていない。ドル・円が108円を割れるほどのインパクトは今のところなさそう
三井住友信託銀行ニューヨークマーケットビジネスユニットの持田拓也調査役

米中を巡るヘッドラインで一喜一憂する展開は続くが、進ちょくしているとか少し雲行きが良くないといったレベルだともはや慣れてしまっている。 ドル・円は108円台の居心地のいいところを行ったり来たりしているだけ
市場を動かす材料は米中絡みのリスクオフ・オンと金融政策しかないが、米金融政策についてはしばらく様子見を市場も織り込んでおり、20日公表のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録はノーイベントだろう
背景
米上院本会議は19日、香港人権法案を全会一致で可決した。同法案はデモ参加者らを支援し、デモを暴力的に制圧しないよう中国に警告するのが目的
中国外務省は20日、同法案が成立すれば報復するとウェブサイトであらためて警告。香港政府は「極めて強い遺憾」を表明
日経平均株価は前日比144円安で取引を終了。米株価指数先物や中国株も下落
中国人民銀行(中央銀行)は20日、1年物ローンプライムレート(LPR)を4.15%に下げると発表。1年物中期貸出制度(MLF)金利や7日物リバースレポ金利の引き下げに続く動き
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-20/Q18S7GT0AFB401?srnd=cojp-v2


 
債券は上昇、20年債入札順調で買い優勢−長期金利は2週間ぶり低水準
日高正裕
2019年11月20日 7:33 JST 更新日時 2019年11月20日 15:53 JST
債券相場は上昇。長期金利や超長期国債利回りは2週間ぶりの低水準を付けた。この日実施の20年債入札が順調な結果となったことが好感されたほか、株式相場の下落や米長期金利の低下も買い手掛かりとなった。

新発10年債利回りは前日比2ベーシスポイント(bp)低いマイナス0.115%と5日以来の低水準
新発20年債利回りは2.5bp低い0.255%、新発30年債利回りは2bp低い0.41%、新発40年債利回りは0.5bp低い0.455%と、いずれも7日以来の低水準
長期国債先物12月物の終値は18銭高の153円48銭。20年債入札結果を受けて上げ幅を拡大し、一時は153円51銭と2週間ぶりの水準まで上昇
市場関係者の見方
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミスト
20年債は強めの結果になり、国内勢からの押し目買いが入った
株価の下落や米長期金利が時間外間取引で一段と低下したことも好感
50年債発行を巡る観測記事については、来年度いきなり発行される公算は小さく材料視されてない
来年度の市中発行額の方が重要。財務省は前倒借換債で対応するとみられ、市中発行額の増額圧力にはならないとみている
新発20年国債利回りの推移
20年債入札
最低落札価格は100円60銭と、ブルームバーグがまとめた市場の予想中央値を上回る
応札倍率は前回3.91倍を上回る4.21倍、テール(最低と平均落札価格の差)は3銭と前回の9銭から縮小
備考:過去の20年債入札の結果一覧
背景
19日の米10年物国債利回りは前日比3bp低い1.78%程度で終了。この日の時間外取引では一時1.74%付近まで低下
この日の東京株式相場は続落し、日経平均株価は0.6%安の2万3148円57銭で終了
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.215% -0.220% -0.115% 0.255% 0.410% 0.455%
前日比 -0.5bp -1.0bp -2.0bp -2.5bp -2.0bp -0.5bp

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-19/Q170CIDWX2PW01

 


ワールド2019年11月20日 / 09:32 / 7時間前更新
香港人権法案、米上院が全会一致で可決 中国が反発
Reuters Staff
2 分で読む

[ワシントン 19日 ロイター] - 米上院は19日、中国が香港に高度の自治を保障する「一国二制度」を守っているかどうか米政府に毎年検証を求める「香港人権・民主主義法案」を全会一致で可決した。

下院では既に可決されており、今後上下両院の調整を経た上で、トランプ大統領に送付される。

上院はまた、香港警察に催涙ガスや催涙スプレー、ゴム弾、スタンガンなど特定の軍用品を輸出することを禁じる法案も全会一致で可決した。

ホワイトハウスはトランプ大統領が香港人権法案に署名する意向かどうかをまだ明らかにしていない。ある米政府当局者は最近、決定はまだ下されていないと述べたほか、トランプ氏側近には対中通商交渉への悪影響を懸念する向きと、人権や香港問題を巡り中国に明確な態度を示すべきと主張する向きがあるため、激しい議論が交わされるだろうと予想した。

共和党のルビオ上院議員は「香港の人々は何が待ち構えているかを分かっている。自治権と自由を損なおうとする着実な動きがあることを理解している」と述べた。

法案は、香港への優遇措置継続の是非を判断するため、一国二制度に基づく高度な自治を維持しているかどうか、米国務長官に毎年検証することを義務付ける内容となっている。

民主党のシューマー上院院内総務は「習近平国家主席に対してわれわれはメッセージを送った。あなたの自由を弾圧する行為は、香港であれ、中国北西部であれ、どこであれ容認されない。自由を妨害し、香港の人々、若者や年配者、抗議を行っている人々に対してこんなに残虐な行為を行えば、あなたは偉大な指導者ではなく、中国も偉大な国にはなれない」と強調した。

<中国は反発>

中国外務省は20日、同法案の上院可決を非難し、国家の主権と安全保障を守るために必要な措置を取ると表明した。

外務省は声明で、米政府は香港と中国の問題への介入をやめ、香港関連法案の成立を阻止する必要があると主張した。

外務省報道官は声明で「事実と真実を無視している。ダブルスタンダードが適用されており、香港情勢をはじめとする中国の内政に露骨に干渉している」と表明。

「国際法と国際関係に関する基本的な規範に深刻に違反している。中国は非難し、断固として反対する」と述べた。

米国が香港情勢など中国の内政への介入を直ちに中止しなければ「悪い結果が跳ね返ってくるだろう」とも述べた。

ポンペオ米国務長官は18日、米政府は香港情勢を深く懸念しているとし、香港当局に対し市民の懸念に対応するための明確な措置を打ち出すよう呼び掛けた。

*内容を追加しました。
https://jp.reuters.com/article/hongkong-us-senate-idJPKBN1XU018


 

コラム2019年11月20日 / 12:48 / 6時間前更新
コラム:香港問題、米中ゲームの危険なピースに
Jeffrey Goldfarb
2 分で読む

[香港 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 香港問題は通商協議をめぐる米中の駆け引きにとって、単なる手駒ではなくなった。5カ月以上続く混乱が新たな展開を見せ、国際的に注目度が増している。米議会はデモ隊への支持を表明し、トランプ大統領にも同調するよう圧力を強めている。同大統領にとって最も重要な中国の習近平国家主席との交渉事を危うくするかもしれない。

デモ隊側が立てこもる香港理工大では激しい攻防が続き、警察が包囲。香港情勢の緊迫は新たな段階に入った。

一方、香港高等法院(高裁)が18日、デモ参加者がマスクなどで顔を隠すことを禁止する「覆面禁止法」を違憲と判断。中国政府は19日、香港の裁判所に合憲性判断の権限はないと表明し、状況はさらに深刻化している。

中国政府の強硬姿勢で、香港に高度な自治を認める「一国二制度」がむしばまれているとの懸念がさらに高まるだろう。中国は1997年の香港返還に当たり、50年間は香港に「一国二制度」を認めると約束していた。

米議会では既に、香港を支持し中国に制裁を加える機運が高まりつつある。上院は19日、中国が香港に高度の自治を保障する「一国二制度」を守っているかどうか米政府に毎年検証を求める「香港人権・民主主義法案」を全会一致で可決した。米下院は同法案を可決済みだ。

トランプ氏はこの問題に気乗り薄だが、議会ではトランプ氏の拒否権を覆すのに十分な支持が集まるかもしれない。

共和党の上院トップ、マコネル院内総務は18日、天安門事件を引き合いにして香港理工大の状況を戦地に例え、法案を支持した。またトランプ氏に「香港情勢についてはっきりと自分で物申すのをためらわないよう」進言もした。

これはトランプ氏にとって難しいかもしれない。きつい言葉を使えば、香港政府の林鄭月娥行政長官への支持を公言している習氏を刺激するリスクがある。中国は、米議会で法案が成立すれば報復措置を取ることもちらつかせる。

トランプ氏は大統領選対策として中国との通商合意を切望している。弾劾公聴会から国民の気をそらす方策を探してもいる。ところが米中通商協議はあまり進展が見られず、米中両国は関税などの問題で合意に達するのに苦労しているところだ。そんなときに今の香港問題は、米中通商戦争のゲームで一段と危険なピースになるばかりだ。

●背景となるニュース

*香港高等法院(高裁)は18日、デモ参加者がマスクなどで顔を隠すことを禁止する「覆面禁止法」は違憲との判断を示した。

*これに対して中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は、香港の裁判所には「覆面禁止法」などの合憲性を判断する権限はないと表明した。新華社が19日伝えた。

*一方、香港・九竜地区の香港理工大では17日以降、デモ隊と警察のにらみ合いが続いている。火炎瓶や催涙弾をかいぐぐって、一部デモ参加者はキャンパスから脱出するなどした。

*米上院は19日、中国が香港に高度の自治を保障する「一国二制度」を守っているかどうか米政府に毎年検証を求める「香港人権・民主主義法案」を全会一致で可決した。下院では既に可決されており、今後上下両院の調整を経た上で、トランプ大統領に送付される。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
https://jp.reuters.com/article/hongkong-us-china-breakingviews-idJPKBN1XU0CD

 


中国が米大使館当局者に強く抗議、人権法案巡り−香港では再びデモ
Natalie Lung、Iain Marlow
2019年11月20日 11:48 JST 更新日時 2019年11月20日 15:59 JST
馬朝旭外務次官は米大使館のウィリアム・クライン氏を呼び抗議
香港保安局長は理工大に残る抗議活動参加者に投降呼び掛け
中国外務省の馬朝旭次官は20日、在中国米大使館の当局者ウィリアム・クライン氏を呼んで香港人権法案について強く抗議した。米上院は19日に全会一致で同法案を可決。香港民主派の運動がワシントンの後押しを受ける形になっていた。

  一方、香港の李家超保安局長は20日、香港理工大学に引き続き立てこもっている抗議活動参加者に投降を呼び掛けた。他のデモ隊は同日午前に再び交通を妨害。抗議活動現場近くで負傷した大学生が約2週間前に死亡してから増した勢いを維持しようとしていた。

HONG KONG-CHINA-POLITICS-UNREST
香港理工大学内での駐車場の床で眠るデモ隊(20日)Photographer: Nicolas Asfouri/AFP via Getty Images
  マスク姿の人や会社員など数百人のデモ参加者が昼休みに中環(セントラル)地区の歩道を占拠。交通妨害はほぼなかったが、警察側は力で排除すると警告した。

  朝の通勤妨害の呼び掛けにデモ参加者らが応じたことで、午前は鉄道が複数の路線で運転を見合わせ、または減速運転を余儀なくされた。

  李保安局長は理工大に残るデモ隊について、「いつまでも長引かせるわけにはいかない」とし、「平和的、秩序ある形で」警察に投降するよう呼び掛けた。

  中国は香港人権法案が成立すれば報復するとあらためて警告。中国外務省の耿爽報道官は米国に法案成立の回避に向けて即時に措置を講じるよう促した。

原題:Security Chief Urges End to University Siege: Hong Kong Update、U.S. Senate Passes Hong Kong Democracy Bill, Drawing China’s Ire(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-20/Q18VD8T0G1KZ01?srnd=cojp-v2


 

中国の銀行、経済成長支援のため資金供給増やすべきだ−人民銀行総裁
Bloomberg News
2019年11月19日 23:50 JST
中国人民銀行(中央銀行)は19日の会合で、市中銀行に国内経済に対する資金供給を増やすよう要請した。

  現在の融資状況に関する銀行界幹部との会合を終えた後で人民銀行は、声明を発表。金融業界は実体経済を支え、経済成長が合理的なレンジを確実に保てるようにしつつ、「発展を第一の優先課題」にするべきだと主張。「経済の下振れ圧力は増し続けており、社会融資の縮小圧力も依然として一部分野で続いている」と指摘した。

  この声明によると、人民銀の易綱総裁は会合で、景気支援のため融資増加による後押しが必要で、全般的なマネーサプライと社会融資総量が名目国内総生産(GDP)とともに伸びていくべきだと述べた。

People's Bank of China Governor Yi Gang Exclusive Interview
中国人民銀行の易綱総裁写真家:Qilai Shen / Bloomberg
原題:
PBOC’s Yi Calls for More Credit to Keep Economic Growth on Track(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-19/Q17UKXDWRGG301?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/676.html

[国際27] 「弾劾公聴会」開始でなぜかトランプ支持率向上の謎 米国民は大統領の弾劾を望まない? ウクライナ疑惑、それでもトランプ支持は鉄壁?世論の風向きを変えたい民主党、不可能ではないが困難 米NSC高官「トランプのウクライナへの捜査要請は不適切」 弾劾調査で証言
「弾劾公聴会」開始でなぜかトランプ支持率向上の謎
米国民は大統領の弾劾を望まない?
2019.11.20(水)
古森 義久
アメリカ 

米下院公聴会で証言したヨバノビッチ前駐ウクライナ大使(2019年11月15日、写真:AP/アフロ)
ギャラリーページへ
(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 11月13日、米国議会においてトランプ大統領の「ウクライナ疑惑」に関する弾劾公聴会が始まった。弾劾の是非を巡って政府高官が次々に証言したが、公聴会が始まってからトランプ大統領の支持率が上昇するという意外な現象が起きている。

 同時に、一般米国民の間で「主要メディアが民主党と一体になり、トランプ大統領を攻撃している」という認識が増えたことを示す世論調査結果も報道された。民主党のトランプ大統領攻撃は、図らずも自らを傷つけるブーメランになってしまっているようだ。

皮肉な結果を示した全米世論調査
 大手世論調査機関、米ラスムセンは、11月13日から始まった米国連邦議会下院でのトランプ大統領に対する弾劾調査の公聴会に合わせて、同大統領の支持率を測る世論調査を実施した。

 ラスムセンの発表によると、11月13日にトランプ大統領の支持率は46%だったが、公聴会が終わった翌14日は48%へと上昇した。さらに15日は50%、週明けの17日も50%を維持した。

 この間、下院の公聴会では11月13日にケント国務次官補代理(ウクライナ問題担当)とテイラー駐ウクライナ臨時代理大使がそれぞれ証言し、15日にはヨバノビッチ前駐ウクライナ大使が証言した。証言内容は、トランプ大統領に対する批判的な発言が多かった。

米国民多数派がメディアに不信感

 これら公聴会の模様は、全米にテレビで放映された。ラスムセンの世論調査のタイミングは、米国の一般国民がテレビで公聴会の模様を見たり、その論評などを読んだりした時期に重なる。そのため、調査結果は今回の弾劾公聴会への一般米国民の最初の反応と捉えることができる。

 ラスムセンは数ある米国の世論調査機関のなかで、大統領の支持率、不支持率を週末を除いて毎日調査する唯一の機関である。2年ほど前までは米ギャロップも大統領支持率を毎日調査していたが現在はラスムセン1社となった。調査を継続しているラスムセンが発表する支持率は信頼度が高いと言われ、2016年の大統領選挙期間中は、ラスムセンによるトランプ候補やヒラリー・クリントン候補の支持率調査結果が最も正確だったことが明らかにされている。

 そのラスムセンの全米世論調査によって、弾劾で攻められる側のトランプ大統領の支持率が下がらず逆に上がるという皮肉な結果が示されたのだ。

米国民の多数派がメディアに不信感
 1998年には民主党ビル・クリントン大統領に対する弾劾裁判が行われた。その際も、攻める側の共和党が支持率を減らし、次の上下両院議員選挙では大幅に負けたという実例がある。

ほとんどの記者は民主党支援?

 米国の一般国民は大統領の弾劾を必ずしも好まない。その理由としては、民主主義の究極の執行手段である一般選挙で選んだ大統領を、選挙ではなく「弾劾」で解任する異常事態や手続き自体に抵抗を感じる人が多いからと指摘されている。

 同じラスムセンが11月14日に実施した全米世論調査では、米国民のニュースメディアへの不信も明らかになった。

 調査対象となった米国の有権者のうち53%が弾劾調査に関して「各メディアのほとんどの記者たちは、民主党側によるトランプ大統領弾劾を支援する報道をしていると思う」と答えた。「記者たちは単に事実を報道しているだけだと思う」と答えた有権者は32%に過ぎず、米国民の多数派がメディアへの不信感を抱いていることが改めて明らかとなった。

 ちなみに「ほとんどの記者たちは民主党支援の報道をしている」と答えた人は共和党支持者のなかでは76%、民主党支持者では36%、無党派層では48%だったという。

 同じ調査では、有権者の86%が「下院での弾劾調査についての報道を詳しく追っている」と答え、一般国民の弾劾への関心の高さを裏づけた。しかし、その関心の高さが必ずしもトランプ大統領への批判とはなっていない流れが、今回の世論調査結果で示されたというわけだ。

もっと知りたい!続けてお読みください
弾劾公聴会第2幕:致命傷となるか軍人証言
1
2
3
あわせてお読みください

弾劾へ、始まった公聴会中継の中身
ニクソン氏と同じ道辿るか、トランプ大統領
高濱 賛

弾劾追及、ついに強気大統領の目に涙
長男は法律違反覚悟で内部告発者の実名公表、ワシントン騒然
高濱 賛

ウクライナ疑惑、それでもトランプ支持は鉄壁?
公聴会で世論の風向きを変えたい民主党、不可能ではないが困難
The Economist

「桜を見る会」炎上、「菊を見る会」に飛び火必至
「園遊会」の原点に戻り、政治家主催は廃止・再検討が妥当
伊東 乾

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58306?page=3


 

ウクライナ疑惑、それでもトランプ支持は鉄壁?
公聴会で世論の風向きを変えたい民主党、不可能ではないが困難
2019.11.20(水)
The Economist
アメリカ 政治(英エコノミスト誌 2019年11月16日号)


11月15日、米下院の公聴会で証言する前駐ウクライナ大使(写真:AP/アフロ)
ギャラリーページへ
 11月13日午前8時には、米国連邦議会下院の歳入委員会室に通じる廊下に、すでに長い行列ができていた。公聴会は午前10時以降に開始予定であるにもかかわらずだ。

 建物の入り口にはカメラが何台も据えられていた。議会のインターン(実習生)、ジャーナリスト、政治マニアなどが少しでもいい場所を取ろうと満員電車に乗っているかのごとく押し合いへし合いし、通り道を確保しようとする警察官は次第にいら立ちを募らせていった。

 観客が待っていたのは、米国ではめったに見られない政治ドラマだった。

 民主党はもう2カ月近く、大統領弾劾に向けた調査を非公開で進めてきた。その公聴会が文字通り公の場で行われることになった。

 今後2週間、米国はドナルド・トランプ大統領のウクライナ疑惑についての証言を、証人本人の口から聞くことになる。

 ウクライナの天然ガス会社の取締役だったハンター・バイデン氏――民主党の大統領候補指名争いの先頭を走るジョー・バイデン前副大統領の息子――を調査することをウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が発表するまで、ウクライナへの軍事援助を留保せよとトランプ大統領が命令したのではないか、という疑惑である。

 これから開かれる一連の公聴会は、この疑惑について最もよく知っている人々の証言を国民が聞く唯一の機会になるかもしれない。

 上院は共和党が支配しており、上院での弾劾裁判のルールは上院の投票で決められるからだ。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58295


 

 
米NSC高官「トランプのウクライナへの捜査要請は不適切」 弾劾調査で証言
2019年11月20日(水)11時27分

7
0


トランプ米大統領のウクライナ疑惑を巡る弾劾調査で、国家安全保障会議(NSC)でウクライナ問題を担当するビンドマン陸軍中佐(右)は19日、米大統領が選挙戦での対立候補の捜査を外国に要請したことは「不適切」だったとの認識を示した(2019年 ロイター/ERIN SCOTT)

トランプ米大統領のウクライナ疑惑を巡る弾劾調査で、国家安全保障会議(NSC)でウクライナ問題を担当するビンドマン陸軍中佐は19日、下院情報特別委員会の公聴会で、米大統領が政敵の民主党バイデン前副大統領の捜査をウクライナに要請したのは「不適切」だったとの認識を示した。

この日は、ペンス副大統領の外交顧問を務めるジェニファー・ウィリアムズ氏も証言に臨んだ。2人はトランプ大統領がウクライナのゼレンスキー大統領にバイデン氏親子を捜査するよう求めた7月25日の電話会談を傍聴しており、ともにトランプ氏の要求が本質的に国内政治に絡んでいるとの印象を受けたと述べた。

ビンドマン氏は公開証言で、「米大統領が外国政府に対し、米国民かつ政敵の捜査を要求するのは不適切」と指摘。「会談を傍聴していて耳を疑った。ある意味、対ウクライナ政策を巡って最も恐れていたことが起きているようでショックだった」と胸の内を明かした。

またウィリアムズ氏も会談内容は国内の政治問題に関わると感じられ、異常かつ不適切だったとした。

一方、元ウクライナ担当特別代表のカート・ボルカー氏も証言し、バイデン氏親子を巡る疑惑を米政府は追及すべきではなかったとの見解を示した。バイデン氏批判に「説得力はなかった」とも述べた。ボルカー氏はウクライナ政府に汚職捜査を公約するよう迫った米政府当局者の1人。

同氏は、バイデン氏の息子が役員を務めていたウクライナのガス会社「ブリスマ」に関する捜査依頼が、実際はバイデン氏への捜査要請だとは認識していなかったと言明。「後から考えれば、違和感を感じるべきだった。そうすれば私なりに異議を唱えていたはずだ」と述べた。

トランプ氏がウクライナは腐敗した国だと述べ、同国に批判的だったとも語った。

人格を攻撃
トランプ大統領はこれまで、ウィリアムズ、ビンドマン両氏をツイッターで「ネバー・トランパー(何が何でもトランプ氏を認めない人)」だと攻撃してきた。

ビンドマン中佐は公聴会に軍服姿で出席。大統領の弾劾調査で証言する公務員の「人格を攻撃」する行為は「非難に値する」と訴えた。ビンドマン氏の家族は40年前にソ連から亡命している。

同氏の証言中もホワイトハウスの公式ツイッターアカウントには同氏の見解を非難する投稿が行われた。トランプ氏の息子ドナルド・トランプ・ジュニア氏はこれとは別に、ビンドマン中佐は「レベルが低い党派色丸出しの官僚で、それ以上ではない」とツイートした。

米当局者は匿名を条件に、ビンドマン氏に安全面での懸念があれば、家族と共に軍施設内に移り住む可能性があると明らかにしている。

一方、共和党の上院トップ、マコネル院内総務は、下院がトランプ氏を弾劾訴追した場合、上院で開かれる弾劾裁判で議員の3分2が賛成するとは「考えられない」とコメントした。

ロイター/イプソスの米国内の世論調査によると、トランプ氏弾劾への賛成は46%、反対派は41%と分かれている。

*見出しを差し替え、本文に内容を追加しました。


[ワシントン 19日 ロイター]
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/nsc-2.php

http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/770.html

[経世済民133] 週刊不景気ニュース 事業撤退やリストラが話題   都道府県「幸福度」ランキング2019  シャドーバンクや銀行の収益力低下、ユーロ圏の金融不安定要因=ECB


週刊不景気ニュース、事業撤退やリストラが話題


最新記事
債務超過でKlabがシンガポール子会社「Klab Global」を解散(11/20)

「東邦出版」が民事再生法申請へ、
スポーツ関連書籍出版「東邦出版」が民事再生法申請へ、スポーツ関連書籍出版 (11/20)
米乳製品最大手「ディーン・フーズ」が破産法、
牛乳需要減で米乳製品最大手「ディーン・フーズ」が破産法、牛乳需要減で (11/20)
MTGの19年9月期は267億円の最終赤字へ、中韓販売不振MTGの19年9月期は267億円の最終赤字へ、中韓販売不振 (11/19)
三菱電機が自社ブランドの太陽光発電システムから撤退三菱電機が自社ブランドの太陽光発電システムから撤退 (11/19)
理化学機器卸「エル・エム・エス」が民事再生法、負債60億円理化学機器卸「エル・エム・エス」が民事再生法、負債60億円 (11/19)
中古品買取の「七豊物産」が破産、1598年創業の呉服店中古品買取の「七豊物産」が破産、1598年創業の呉服店 (11/19)
サンデンの希望退職者募集に215名が応募、想定1割上回るサンデンの希望退職者募集に215名が応募、想定1割上回る (11/18)
千代田化工建設がタイ子会社を解散、元・製油所建設工事千代田化工建設がタイ子会社を解散、元・製油所建設工事 (11/18)
ダイヤモンドエレクトリックが中国子会社「東莞田淵電機」を解散ダイヤモンドエレクトリックが中国子会社「東莞田淵電機」を解散 (11/18)
→最新記事一覧
アクセスランキング
理化学機器卸「エル・エム・エス」が民事再生法、負債60億円理化学機器卸「エル・エム・エス」が民事再生法、負債60億円 (11/19)
サンデンの希望退職者募集に215名が応募、想定1割上回るサンデンの希望退職者募集に215名が応募、想定1割上回る (11/18)
BSチャンネルの「Dlife」が20年3月で放送終了、ディズニー系BSチャンネルの「Dlife」が20年3月で放送終了、ディズニー系 (11/15)
東京ボード工業が継続企業の前提に疑義注記、工場稼働遅延東京ボード工業が継続企業の前提に疑義注記、工場稼働遅延 (11/15)
ペッパーフードの19年12月期は25億円の赤字へ、44店舗閉鎖ペッパーフードの19年12月期は25億円の赤字へ、44店舗閉鎖 (11/14)
ファミリーマートが希望退職者募集で800名を削減、全社員1割ファミリーマートが希望退職者募集で800名を削減、全社員1割 (11/14)
エコナックが祖業の繊維事業を廃止、1926年創業の日本レースエコナックが祖業の繊維事業を廃止、1926年創業の日本レース (11/14)
東京の印刷業「千明社」が民事再生法申請、負債30億円東京の印刷業「千明社」が民事再生法申請、負債30億円 (11/14)
医療機器製造「ヒロセ電子システム」に破産決定、負債83億円医療機器製造「ヒロセ電子システム」に破産決定、負債83億円 (11/13)
南都銀行が30店舗を閉鎖へ、隔日営業の導入も南都銀行が30店舗を閉鎖へ、隔日営業の導入も (11/11)
注目記事
不景気なスケジュール(随時更新中)不景気なスケジュール(随時更新中)
東京オリンピックの応援サイト「2020東京2020.com」東京オリンピックの応援サイト「2020東京2020.com」
デフレ.com
デフレ.comは、楽天・ヤフー・アマゾンからデフレ商品を探すショッピングサイトです。
www.defure.com

デフレ.com最新記事
サンディスクのmicroSDXCカード128GBが1500円 、海外パッケージ版
コナカのメンズスーツ福袋が送料込み5390円、春夏・秋冬を選択可
耳掛け式イヤフォンが送料込み170円の激安特価
機内持ち込みサイズのスーツケースが送料込み2680円
9.5インチポータブルDVDプレイヤーが送料込み4980円
不景気ニュース | 企業不況 | 赤字決算 | 国内倒産 | 海外倒産 | 国内リストラ | 海外リストラ | 雇用問題 | 買収合併 | 景気対策 |

https://www.fukeiki.com/news/


11月11日から17日までに起こった不景気な出来事を総括する「週刊不景気ニュース」。事業撤退やリストラが話題の1週間となりました。 事業撤退や拠点閉鎖では、地方銀行の「南都銀行」が30店舗を閉鎖し、「JR東日本」が気仙沼線と大船渡線の一部を ...記事全文 (2019/11/17)
「ほの国百貨店」が来年3月で閉店、旧・豊橋丸栄から45年
「ほの国百貨店」が来年3月で閉店、旧・豊橋丸栄から45年愛知県豊橋市の「ほの国百貨店」は、2020年3月中旬をもって閉店すると発表しました。 元東証・名証1部上場の百貨店「丸栄」の子会社として設立され、1974年に「豊橋丸栄」を開業すると、ピーク期には100億円を超える売上を計上するなど、豊橋市 ...記事全文 (2019/11/16)
BSチャンネルの「Dlife」が20年3月で放送終了、ディズニー系
BSチャンネルの「Dlife」が20年3月で放送終了、ディズニー系「ウォルト・ディズニー・カンパニー」の日本法人「ウォルト・ディズニー・ジャパン」の子会社で、BS放送事業者の「ブロードキャスト・サテライト・ディズニー」は、運営するBSチャンネルの「Dlife」(ディーライフ)について、2020年3月31日 ...記事全文 (2019/11/15)
四国急行フェリーが瀬戸内海の「宇高航路」を休止
四国急行フェリーが瀬戸内海の「宇高航路」を休止高松港(香川県高松市)と宇野港(岡山県玉野市)を結ぶ「宇高航路」でフェリーを唯一運航する「四国急行フェリー」は、12月16日をもって同航路の運航を休止すると発表しました。 1910年に旧国鉄の連絡船により開設された宇高航路は、1956年から ...記事全文 (2019/11/15)
JR東日本が気仙沼線と大船渡線の一部を廃線、津波被害で
JR東日本が気仙沼線と大船渡線の一部を廃線、津波被害でJR東日本は、気仙沼線(宮城県)の柳津駅-気仙沼駅間と大船渡線(岩手県・宮城県)の気仙沼駅-盛駅間について、11月12日付で国土交通大臣に鉄道事業廃止の届出を行ったと発表しました。 両区間は、2011年3月に発生した東日本大震災による津波の ...記事全文 (2019/11/13)

週刊不景気ニュース11/10、引き続き赤字発表が多く

週刊不景気ニュース11/10、引き続き赤字発表が多く11月5日から10日までに起こった不景気な出来事を総括する「週刊不景気ニュース」。先週に引き続き赤字業績の発表が多い1週間となりました。 破産申請(準備含む)により倒産したのは、島根のホテル運営「あいらんど」、新潟の印刷業「明間印刷所」、大 ...記事全文 (2019/11/10)
19年8月の生活保護は163万6646世帯に減少、人数も減少
19年8月の生活保護は163万6646世帯に減少、人数も減少厚生労働省が発表した「被保護者調査」(概数)によると、2019年8月の生活保護受給世帯数は、前の月に比べて618世帯減の163万6646世帯となりました。 被保護世帯数および被保護実人員:厚生労働省調べ 被保護世帯数被保護実人員 2019年 ...記事全文 (2019/11/ 8)
丸井が「川越モディ」を20年1月で閉店、賃貸ビルに転換
丸井が「川越モディ」を20年1月で閉店、賃貸ビルに転換東証1部上場のファッション小売「丸井グループ」は、埼玉県川越市で運営する「川越モディ」を2020年1月末で閉店することになりました。 前身だった「丸井川越店」を改装し2007年に開業した川越モディは、川越駅の近くに立地する地上5階・地下1階 ...記事全文 (2019/11/ 5)


週刊不景気ニュース11/4、赤字業績の発表が多い1週間

週刊不景気ニュース11/4、赤字業績の発表が多い1週間10月28日から11月4日までに起こった不景気な出来事を総括する「週刊不景気ニュース」。赤字業績の発表が多い1週間となりました。 破産申請により倒産したのは、大阪のネジ類製造「アサヒ金属製作所」、千葉の水産練製品製造「千代田食品」、三重の建 ...記事全文 (2019/11/ 4)
京都マルイが20年5月で閉店、開業からわずか9年で
京都マルイが20年5月で閉店、開業からわずか9年で東証1部上場のファッション小売「丸井グループ」が運営する「京都マルイ」(京都市)は、2020年5月末をもって閉店することが明らかになりました。 2010年に閉店した阪急阪神百貨店の「四条河原町阪急」の後継店舗として、2011年4月にオープン ...記事全文 (2019/11/ 1)
ドコモが3Gサービス「FOMA」と「iモード」を26年3月末で終了
ドコモが3Gサービス「FOMA」と「iモード」を26年3月末で終了東証1部上場の携帯通信大手「NTTドコモ」は、第3世代移動通信方式(3G)の「FOMA」および携帯電話向けインターネット接続サービスの「iモード」を2026年3月31日に終了すると発表しました。 1999年2月にサービスを開始したiモードは ...記事全文 (2019/10/29)
週刊不景気ニュース10/27、倒産やリストラが話題に
週刊不景気ニュース10/27、倒産やリストラが話題に10月21日から27日までに起こった不景気な出来事を総括する「週刊不景気ニュース」。倒産やリストラが話題の1週間となりました。 破産開始決定を受け倒産したのは、北海道の衣料品卸「中川商事」、大阪の工業用パッキング製造「親和パッキング」、山口 ...記事全文 (2019/10/27)
ラーメンチェーンの「スガキヤ」が36店舗を閉店、全店舗の1割
ラーメンチェーンの「スガキヤ」が36店舗を閉店、全店舗の1割中部地方を中心にラーメン店の「Sugakiya」を展開する「スガキコシステムズ」は、全店舗の約1割に相当する36店舗を閉店したことを明らかにしました。 今年5月から9月末にかけて、本社のある愛知県内の店舗を中心に、中部・近畿・北陸地方で36 ...記事全文 (2019/10/24)
4コマ漫画誌「まんがタイムスペシャル」が休刊、30年の歴史に幕
4コマ漫画誌「まんがタイムスペシャル」が休刊、30年の歴史に幕出版社の「芳文社」は、4コマ漫画誌の「まんがタイムスペシャル」を10月21日発売の12月号をもって休刊すると発表しました。 1989年に創刊の同誌は、4コマ漫画誌「まんがタイム」グループのなかでも、女性をターゲットにした月刊4コマ漫画誌とし ...記事全文 (2019/10/22)
福岡の商業施設「天神ビブレ」が20年2月で閉館へ、再開発
福岡の商業施設「天神ビブレ」が20年2月で閉館へ、再開発イオン傘下の「OPA」が運営するファッションビルの「天神ビブレ」(福岡県福岡市)は、2020年2月をめどに閉館することが明らかになりました。 1976年に「ニチイ天神店」として開業し、1982年に天神ビブレへ業態を転換すると、福岡・天神地区 ...記事全文 (2019/10/21)
週刊不景気ニュース10/20、事業撤退が話題に
週刊不景気ニュース10/20、事業撤退が話題に10月15日から20日までに起こった不景気な出来事を総括する「週刊不景気ニュース」。事業撤退や拠点閉鎖の話題が多い1週間となりました。 破産申請(準備含む)により倒産したのは、山口の食品加工「福八」、東京の子供服販売「RONI WORLD」 ...記事全文 (2019/10/20)
札幌の商業施設「ススキノラフィラ」が20年5月に閉店、老朽化
札幌の商業施設「ススキノラフィラ」が20年5月に閉店、老朽化北海道札幌市の商業施設「ススキノラフィラ」は、2020年5月17日をもって営業を終了すると発表しました。 1974年に「札幌松坂屋」として開業すると、1979年に「ヨークマツザカヤ」、1994年に「ロビンソン百貨店札幌店」へと営業体制を転換 ...記事全文 (2019/10/18)
ゲームセンターの「ウェアハウス川崎店」が閉店、内装が話題も
ゲームセンターの「ウェアハウス川崎店」が閉店、内装が話題もレンタルビデオ・中古品販売チェーンの「ゲオ」が運営するアミューズメント施設の「ウェアハウス川崎店」(神奈川県川崎市)は、11月17日をもって閉店すると発表しました。 2005年に開業のウェアハウス川崎店は、ゲームセンター・ダーツ・ネットカフ ...記事全文 (2019/10/16)
BCリーグ「福井ミラクルエレファンツ」の福井県民球団が清算へ
BCリーグ「福井ミラクルエレファンツ」の福井県民球団が清算へプロ野球独立リーグの「ルートインBCリーグ」に所属する球団「福井ミラクルエレファンツ」を運営する「株式会社福井県民球団」は、2020年シーズンにおける同リーグへの加盟更新を行わず、清算手続に入ることを発表しました。 前身企業から2010年に ...記事全文 (2019/10/15)
競馬情報誌「競馬最強の法則」が休刊、28年の歴史に幕
競馬情報誌「競馬最強の法則」が休刊、28年の歴史に幕出版社の「KKベストセラーズ」は、月刊誌の「競馬最強の法則」を10月12日発売の11月号をもって休刊したと発表しました。 1991年に創刊の同誌は、馬券予想を中心とする競馬情報誌として支持を得たものの、出版不況に伴う発行部数の減少などにより ...記事全文 (2019/10/15)

https://www.fukeiki.com/news/


ビジネス2019年11月20日 / 19:49 / 3時間前更新
シャドーバンクや銀行の収益力低下、ユーロ圏の金融不安定要因=ECB
Reuters Staff
1 分で読む

[フランクフルト 20日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は20日、半年に一度の金融安定報告を発表し、ユーロ圏の金融不安定性の最大要因として規制があまり行き届かないシャドーバンク(影の銀行)と従来型の銀行の収益力の弱さなどを挙げた。

居住用不動産価格が過大評価されていることも政策の介入を要すると述べる一方、かつて活況だった商業用不動産市場が減速し、投資家が引き揚げる可能性が出てきて急落のリスクが高まっていると指摘した。

超低金利政策で銀行の収益力が低下し、借り入れが増え、過度なリスクテークを助長しており、ユーロ圏の金融セクターはここ数年、不安定さを増している。金利は2020年代に入ってもしばらく低水準にとどまるとみられ、ゆがみが一段と進む可能性がある。

規制が緩く、当局の監督権限が及ばないシャドーバンクセクターの急速な伸びは、とりわけ懸念されると指摘。

ノンバンクの間で見られる利回り追求の動きは不安定さを一段と高める可能性があるとし「与信と流動性のリスクはここ数年で高まったもようだ」とした。

「ノンバンクについては、マクロプルーデンシャル・ツールがまだ未熟でさらに発展させる必要がある」とし、マクロプルーデンシャル措置は、従来型の銀行システム以外の不安定要因に効果的に対処できないと指摘した。

従来型の銀行については、なお収益力が最大の懸念とし、低金利が利益を圧迫し続けるとした。

不動産価格の上昇に警鐘を鳴らし、住宅ローンの急速な伸びや家計が抱える高水準の債務が多くの国で不安定要因になっていると指摘した。

「資金を借りやすい状況で、ユーロ圏の多くの国で住宅市場は拡大局面にある」とし市場は過大評価されていると述べた。

市場の過熱を冷やすために、ECBは、より多くの国が、銀行向けのカウンターシクリカル資本バッファーを導入すべきと指摘した。
https://jp.reuters.com/article/eurozone-ecb-stability-idJPKBN1XU19A


↑世間の暗いニュース 不景気が好きな人たち向け

↓その一方で 


 

都道府県「幸福度」ランキング2019

ダイヤモンド編集部 林 恭子
ライフ・社会 日本全国SDGs調査ランキング
2019.11.19 5:35
47都道府県で「幸せ」と答えた人が多い都道府県とは?(写真はイメージです) Photo:PIXTA
 日本の幸福度は世界58位――。これは国連の関係団体である持続可能開発ソリューションネットワークが発行する『世界幸福度調査』で明らかになった世界幸福度ランキングの結果だ。日本は2010年代前半に40位台だったが、16年以降は50位台へと順位を下げている。
 このように幸福度が世界的にも低下傾向にある日本の国内では、地域によって幸福度にどのような違いがあるのだろうか。各都道府県の住民へのアンケートによって「幸福度」を明らかにしたのが、ブランド総合研究所の実施した「都道府県『幸福度』ランキング」だ。
 このランキングは、ブランド総合研究所が今年初めて行った住民視点で地域の課題を明らかにする『地域版SDGs調査』によるもの。それでは早速、47都道府県の住民へのアンケートでわかった「都道府県『幸福度』ランキング」を見ていこう。
※アンケートはインターネットにて実施。1万5925人から回答を得た(一部を除き各都道府県から約340人)。調査時期は2019年7月12日〜19日。住民に対し「あなたは幸せですか」という問いを投げかけ、「とても幸せ」「少し幸せ」「どちらでもない」「あまり幸せではない」「全く幸せではない」の5段階から1つ選んでもらった。回答はそれぞれ100点、75点、50点、25点、0点として全回答の平均を「幸福度」とした。
1位宮崎県、2位熊本県、3位福井県
幸福度は「西高東低」の傾向あり
「都道府県『幸福度』ランキング」1位は、宮崎県で72.4点となった。幸福度2位は熊本県の71.0点。そして3位は、『全47都道府県幸福度ランキング2018年版』(〈一財〉日本総合研究所)でもトップの常連になっている福井県(70.6点)だった。
 一方で、40位以下に目を移すと、東北地方の5県が並ぶ(40位宮城県、43位青森県、福島県、46位岩手県、47位秋田県)など、東北各県の幸福度が低い結果となった。また、関東も40位以下に神奈川県(41位)、東京都(45位)がランクイン。このことから、東日本の順位が総じて低いのに対し、西日本の幸福度は相対的に高い結果となった。

次のページ
都道府県「幸福度」ランキングを紹介!


3位の福井県が「幸福度」以外は
30位台に沈んでいる不思議な現象も
 結果をより詳しく見ていこう。1位になった宮崎県は20代の幸福度が78.3点と日本一。30代でも福井県に次いで2位の76.1点と高かった。ところが、40代になると65.3点、50代も66.8点にまで低下する。60代は76点にまで回復するものの、全国的には上位に入っていない。つまり、宮崎県では20代〜30代若者の幸福度が高いことで順位が引き上げられているようだ。
 3位の福井県は、アンケートで「とても幸せ」と答えた人が33.6%と47都道府県中、一番多かった。30代では80.3点とダントツ1位だ。しかしこの結果から気になるのは、同調査がほかに行った「満足度(35位)」「定住意欲度(34位)」「愛着度(38位)」などのランキングでは順位が低いのに、幸福度だけが上位という点だ。つまり、個人の幸福度と生活環境への満足度が異なる結果になっている。これについて、調査を行ったブランド総合研究所の田中章雄社長はこう分析する。
「福井県は文科省が行っている小学生・中学生の全国学力テストで、常にトップクラス。それくらいの年齢の子どものいる親世代が30代であるため、幸福度が高くなっているとも考えられる。そして、もう1つの要因として考えられるのが別の幸福度調査などで『幸福度1位』の常連になっている点だ。『福井県は幸福度が高い』という長年の刷り込みによって、今回の調査でも『幸せ』と答えた人が多いのではないか」
 今回の調査でユニークなのは、福井県のように「幸福度」だけが高い都道府県がほかにもある点だ。例えば徳島県は、幸福度は4位にもかかわらず、満足度40位、愛着度38位、定住意欲度は44位だった。
「これまで他の調査で示されてきた『幸福度』は、合計特殊出生率などの客観的なデータを基にしたものが多い。今回の調査での満足度や愛着度、定住意欲度と幸福度との乖離を考えると、実際の住民の『幸せだ』という感覚とはかけ離れている可能性がある」(田中社長)
秋田県は30〜40代の
働き盛り世代の幸福度が課題に
 下位についても見ていこう。今回47位だった秋田県は、満足度47位、愛着度45位、定住意欲度は47位というほかの指標でも下位になっている。さらに、当連載で取り上げた住民1人当たりの悩みの個数を聞いた「悩める住民が多い都道府県ランキング」でも、秋田県は4.26個で1位だった。
 秋田県は20代と60代で「全く幸せではない」と答えた人はそれぞれ1.5%、4.3%と少なかったが、40代では全都道府県の中でも最も多い14.4%が、30代では12.8%が「全く幸せでない」と答えており、働き盛りの世代で幸福度が低い傾向にあるようだ。
 エリア別に幸福度を見ていっても、北海道・東北は64.0点、関東は65.3点、中部67.9点、近畿67.7点、中国・四国67.0点、九州68.9点となった。このように東北地方や関東で相対的に幸福度が低い理由については、住民が感じている悩みや地域にある社会課題をつぶさに調べ、一つ一つ明らかにして、解決していくことが大切だろう。
(ダイヤモンド編集部 林 恭子)
関連記事

都道府県&市区町村魅力度ランキング2019【47都道府県・完全版】
ダイヤモンド編集部,林 恭子

「ストレスが少ない」都道府県ランキング男性編【47都道府県・完全版】
一般社団法人ストレスオフ・アライアンス

「ストレスが少ない」都道府県ランキング女性編【47都道府県・完全版】
一般社団法人ストレスオフ・アライアンス

地元愛が強い都道府県ランキング【完全版】
ダイヤモンド・オンライン編集部


https://diamond.jp/articles/-/220931?page=4



http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/677.html

[経世済民133] 無責任政治が「賃金底抜け」と「年金破綻」を助長する 力強さに欠ける国内景気と堅調な株価、先行きは 途切れた「火曜日の株高」、海外勢の買い一巡を不安視 安倍政権の後継者問題、政治の安定失えば日本株売
無責任政治が「賃金底抜け」と「年金破綻」を助長する
金子 勝:立教大学大学院特任教授・慶應義塾大学名誉教授

経済・政治 DOL特別レポート
2019.11.21 5:30
Tweet

印刷する
A A
無責任政治が「賃金底抜け」と「年金破綻」を助長する
Photo:PIXTA
 香典や運動員への過大な報酬など、公職選挙法違反が疑われる“ばらまき”で閣僚2人が相次いで辞任したのに続き、首相側近の萩生田光一文科相の「身の丈」発言で、民間英語試験の導入見直しを余儀なくされるなど、安倍改造政権は発足2ヵ月で早くも“末期症状”だ。

 税金でまかなわれる「桜を見る会」の招待に、首相自身の後援会事務所が関与していた“公私混同”が明らかになり、来春の見る会は中止となり、20日には首相自身が招待客の推薦に「関与」したことを認めた。

 政治家の無責任や弛緩は目を覆うばかりだが、深刻なのは、「無責任政治」によって、国民生活の基盤さえも崩れ始めていることだ。

厚労政務官の「口利き疑惑」
が物語る政治の“深刻”さ
 菅原一秀経産相と河井克行法相の辞任で、陰に隠れた形になったが、上野宏史・元厚労政務官の外国人労働者受け入れを巡る「口利き疑惑」と、年金財政検証の公表先送りは、その象徴だろう。

次のページ

外人労働者受け入れで“手数料”稼ぎ?
 上野衆議院議員が厚労政務官を辞任したのは、8月28日。その後も安倍政権の不祥事が続くなか人々の記憶から遠のき始めているが、辞任の引き金になった週刊誌が報じた疑惑は次のようなものだ。

 上野元政務官は、飲食店やドラッグストアなどに外国人労働者を派遣している人材派遣会社「ネオキャリア」の外国人労働者の在留資格申請について、出入国在留管理局に対して許可を早めるように働きかけることで、1人当たり2万円の「報酬」をネオキャリアから得ようとしたとされる。

 秘書との打ち合わせとされる録音テープが報じられ、秘書もテープは「本物」だと認めたようだ。

 その後も、ネオキャリアへの仲介者とされる女性経営者と上野議員のやりとりという新たな録音テープの存在も報じられた。その中で、上野元政務官は、1件につき「3でも5(万円)でも」「月に100万円に」なれば、とも語っている。

 一連の疑惑報道に対して、上野議員は全面的に否定をしたが、厚労政務官を辞任した。

 仮に報道が事実だとすれば、法律を厳正に運用すべき法務省が、政治の言いなりになり、口利きという斡旋利得罪の疑いの対象になる異常な事態だと言ってよい。

 外国人労働者受け入れ拡大を目指した改正入管難民法は、衆議院の審議時間はわずか17時間。衆参法務委員会でも審議は合わせてわずか33時間だった。

 審議過程で、低賃金や過酷な労働条件で働かされかねない外国人労働者の人権をどう守るかが問題にされたが、安倍首相は「あらゆる手段を尽くし悪質ブローカーを排除していく」(2018年12月6日)と答弁していた。

 しかし、口利きが行われたとしたら、内閣の担当政務官自身が外国人労働者の受け入れで“手数料”をかせぐ「悪質ブローカー」だったことになる。

現役世代は賃金低下
高齢者は年金不安に
 改正入管難民法がもたらす問題は、外国人労働者にとどまらず、賃金と雇用条件の底割れを作り出す点にある。

 90年代には労働者派遣法が改正され、低賃金・不安定の非正規雇用が拡大して、賃金と雇用を破壊した。

 今回の改正で、14の分野(外食、宿泊、介護、ビルクリーニング、農業、漁業、建設、造船・舶用工業など)で、「外国人技能労働」の受け入れが始まったが、非正規労働者に加え、低賃金の外国人労働者が増加することで、働く人全体の「賃下げ」をもたらす可能性が強い。

次のページ

年金公表延期し「不都合な真実」隠蔽?
 日本は有効求人倍率がバブル期並みの1.8を超える「人手不足」にもかかわらず、実質賃金が持続的に下落、今年に入ってからは名目賃金も低下する「異常」な状況が一段と悪化しかねない。

 さらにこの問題は年金制度にも波及する。

 現役世代の賃金の低下は、高齢者の生活を直撃することにもなる。実質賃金が持続的に下落する状況が続けば、年金財政が成り立たなくなっていくのだ。

 年金に対する不安が強まっているなかで、安倍政権は、例年なら6月に公表する年金財政検証を8月の参議院選後まで先延ばしした。

「老後の貯蓄不足2000万円」問題が急浮上し、年金問題が参院選の争点になるのを恐れたからだが、年金担当の厚労政務官だった上野議員は、参院選前から、年金財政検証で概ね所得代替率は50%以上を確保できるかのような国会答弁をしてきた。

 選挙への影響を少なくするため、年金の「不都合な真実」を隠蔽したといってもいい。

 参院選でなんとか勝利し改造内閣を発足させた後の10月4日、安倍首相は所信表明演説で、「8割の方が65歳を超えて働きたい」と願っていると言い、「70歳までの就業機会を確保します」と強調した。

 この発言の根拠は、2014年度の「高齢者の日常生活に関する意識調査」とされるが、調査ではそんなことにはなっていない。

 調査によると、就労希望年齢を65歳以上としている人は「8割」ではなく全体の55.3%だ。一方で、65歳以上で「家計が苦しく、非常に心配である」と答えた人が60.2%を占めている。

 多くの人々が「働きたい」というのは、年金はじめ社会保障の削減が続き、老後に不安があるから働かざるを得なくなってきているということだろう。

年金制度は「維持」されても
給付削減で老後不安強まる
 この問題でも政治の責任は大きい。

 年金不安の第1の原因は、人口推計で、少子高齢化の予測を甘くしてきたことがある。

 国立社会保障・人口問題研究所の高位、中位、低位の3つの人口推計のうち、政府は常に中位の推計を選んできたが、少子化や高齢化の実際の数字はずっと中位の推計を下回ってきた。

 予想以上に、年金給付をもらう人が増えて、年金保険料を納める人が減っていけば、年金財政が悪化するのは当然だろう。

次のページ

深刻な母子家庭や非正規社員の老後
政府は今後、2004年に導入されたマクロ経済スライドをフルで発動しようとしている。マクロ経済スライドは、保険料を納める被保険者数の減少と平均余命の伸びに応じて年金給付水準を削減する仕掛けだ。

 その結果、今回の財政検証では、成長実現のケースでは、マクロ経済スライドが効いて、30年には給付が2割減になり、国民年金(基礎年金だけ)なら約3割も削減になる。

 経済成長が実現できないベースラインケースで見ると、国民年金なら約4割の削減になる。国民年金は現状で約6万5000円だが、30年にはいまの物価水準で考えると4万円前後になってしまう。

 マクロ経済スライドを適用することで、給付水準を削ることができて、結果として年金財政全体は維持できることになる。しかし制度が維持されたところで、給付水準が大幅に削減された年金では生活できなくなってしまう。

 とくに問題となるのは、ロストジェネレーション(ロスジェネ)や母子家庭である。

 一方で政府は制度維持の対策として、年金受給の開始年齢を引き上げることやパートや契約・派遣労働者の厚生年金適用を拡大していくことを掲げている。

 だが年金受給年齢を引き上げるといっても、年金をもらえるようになるまでの高齢者の雇用が簡単に確保できるとは思えない。厚生年金の適用拡大も、労賃コストの割合が高い小規模事業者などは、企業拠出金を負担できない可能性が高く、一定の限界がある。

シミュレーションとは言えない代物
ご都合主義の「中長期試算」
 年金不安の第2の原因は、年金財政検証の基礎になっている「中長期の財政経済に関する試算」(以下「中長期試算」)に無理があり、したがって年金財政検証のシミュレーションも現実にあり得ない無理な数値を前提としていることだ。

「中長期試算」は内閣府が半年ごとに改訂しているが、年金財政検証は、まずは最初の10年間は、「中長期試算」の成長実現ケースとベースラインケースのシミュレーションを前提にして、それ以降は6つのケースに分けて年金財政の状況を予測・分析している。

 ケースT〜Vは、「中長期試算」の成長実現ケースで労働参加が進むケースになる。ケースW〜Yはベースラインケースであり、そのうちWとXは労働参加が進むケースで、Yは労働参加が進まないケースになる。

次のページ

現実にはあり得ない数値の組み合わせ
この手の「試算」では、物価上昇率を低めにして名目GDP成長率がそれを上回るようにすれば、実質GDP成長率を上げていくことができる。
 同時に、財政赤字を膨らませないよう(プライマリーバランス=基礎的財政収支を黒字)にするには、名目GDP成長率が名目長期金利を上回っていくことが必要条件になる。
 だが、アベノミクスの効果が落ちているために、こうした条件を満たそうとすると、どんどん現実にはあり得ない数値の組み合わせになってしまう。とてもシミュレーションとはいえない代物になってしまっているのだ。
「中長期試算」のうち経済成長が最もうまくいくケースを見てみよう。
 第2次安倍政権が発足し日銀が異次元緩和を始めた4ヵ月後の2013年8月の「試算」と直近の2019年7月末の「試算」を比べてみると、行き詰まりがはっきりわかる。

拡大画像表示
 図1は、2013年8月の「中長期試算」の経済再生ケースだ。2年で2%の物価上昇率が実現するという異次元緩和が成功した場合で、名目GDP成長率が急速に上昇するとともに、消費者物価上昇率も名目長期金利もそれにつれて上がっていくシナリオが描かれている。
 これに対して図2は、2019年7月の「中長期試算」の成長実現ケースだ。

拡大画像表示
 これを見ると、2018年に名目GDP成長率が0.5%だったのに、19年1.7%、20年に2.0%、24年までに3.4%まで急上昇していく。これだけ急速な経済成長があるなら、物価上昇率も長期金利も上昇していくのが自然である。
 ところがそうはなっていない。

次のページ
実質賃金が不自然に上昇する年金検証

物価上昇率は3年間0.7%に止まり、20年に0.8%の後、急激に24年に目標の2%まで急上昇する。
 長期金利にいたっては、2017年から22年までずっと0%で、安倍政権の4期目が終わった後の23年から急速に上昇することになっている。
 しかも、それでもプライマリーバランスの達成時期を2025年から27年に先延ばしせざるを得なかった。
 つまり、経済成長がうまくいく一方で、東京オリンピックや安倍首相の自民党総裁任期(21年9月)が終わるまでは、本来なら成長率と連動して上がるはずの物価の上昇率は低く、長期金利も極端に低いゼロのままで推移するというわけだ。
 安倍首相の在任期間中は、そこそこの経済成長で財政赤字も大きくは膨らまないように見せ、首相の任期が終わった後から、物価や金利が急上昇するというのは、あまりにご都合主義すぎる。これでは「試算」自体を信頼できない。
実質賃金があまりに
不自然に上昇する
 今回の年金財政検証では、この「中長期試算」のうえに、20〜30年間の数値の仮定を設けてシミュレーションをしている。
 しかし、表1に示すように、その数値もまた非現実的なのである。

拡大画像表示
 例えば、全てのケースで、実質賃金上昇率が実質GDP成長率を上回っている。
 とりわけ20〜30年間の長きにわたって、実質経済成長率がゼロからマイナス0.5%なのに、それでいて実質賃金がプラスになるとはとても考えにくい。
 この20年近くにわたって実質賃金はマイナス基調で、2019年も含めて安倍政権期に入っても、実質賃金がプラスだったのは2016年と2018年だけだ。
 しかも18年は厚労省による賃金統計改ざんの年で、実際はマイナスである。こんなあり得ない数値をならべてシミュレーションをしても、検証としてはほとんど意味をなしていない。

次のページ
いずれ国民生活の底が抜ける日が来る

 もし、これまでと同じく実質賃金がマイナスの場合はどういったことが起きるだろうか。
 実質賃金が下がった分だけ、保険料水準も年金給付額も目減りしていく。その一方で、実質賃金がマイナスだと、マクロ経済スライドが効かなくなる。
 年金給付も下がりながら、年金財政も悪化してしまう。つまり、今回の年金財政検証からは現実に起こり得る「最悪のケース」が外されているのだ。
失敗した成長戦略
国民生活の底が抜ける
 こうした成長率や実質賃金などの無理を前提による「粉飾」が行われてしまうのは、内閣府や厚生労働省のせいというより、安倍政権の成長戦略が失敗しているためなのだが、「安倍一強」の長期政権のもとで、失敗や法律違反に痛痒を感じなくなっている政治や官僚のモラルダウンが影を落としていると言わざるを得ない。
 放漫財政と異常な金融緩和によって“景気拡大”を演出し、政権を維持してきたが、日本はイノベーションがなく産業の衰退が著しいがゆえに、金融緩和による円安とともに、雇用制度の改悪による賃下げに頼って、既存の製品の輸出で稼いでいるだけである。
 産業政策の失敗で次世代先端産業を育てきれない中、このままではじわじわと格差と貧困が拡大していく。現役世代の賃金だけでなく、退職世代の年金給付も削減が続き、国民の生活の底が抜ける日が来る。
(立教大学大学院特任教授・慶應義塾大学名誉教授 金子 勝)
関連記事

「年金なんてどうせもらえない」と未納を続けた49歳男性に残された道
横山光昭

「年金手取り額が少ない」都道府県庁所在地ランキング、住む場所でこんなに違った!
深田晶恵

「人手不足でも名目賃金下落」の異常事態が起きたメカニズム
野口悠紀雄

年金に実態以上の過剰な不安を抱く日本人が多い理由
大江英樹
https://diamond.jp/articles/-/220821?page=7

力強さに欠ける国内景気と堅調な株価、先行きはどうなるか
鹿野達史:三菱UFJ モルガン・スタンレー証券 景気循環研究所 副所長
政策・マーケット DOL特別レポート
2019.11.21 5:02
写真はイメージです Photo:PIXTA
国内景気は力強さを欠く一方で
先行き懸念が弱まる世界景気
 11月に入り日経平均株価が昨年10月以来の高値を付けるなど、株価は堅調な推移が続いている。国内の景気指標は、力強さを欠くものが多く、加えて、19年10月の消費税率引き上げの影響も見極めがついていない。一方で、世界経済の先行きに対する懸念が弱まり、企業収益の回復への期待が高まっており、株価の上昇の背景となっている。
 世界経済の先行き懸念の弱まりは、10月に米中貿易協議が再開され、交渉の進展で米中摩擦の激化に歯止めがかかるとの観測が大きいが、足元で減速が続いてきた世界経済に持ち直しの兆しが現れていることもある。
 世界経済の動向を示す指標としてよく用いられるのが、企業の景況感を示す製造業景況指数(PMI)だ。世界全体の製造業PMIは、19年8月に1年4ヵ月ぶりに前月比で上昇し、その後、9、10月も水準を切り上げている。
半導体部門は世界的に復調
来年も増勢が続く見込み
 製造業PMIの持ち直しの背景として、半導体部門の世界的な復調がある。データセンター投資が回復傾向にあり、次世代通信規格5Gの関連需要も予想以上に拡大している。人工知能(AI)の深層学習の利用が拡大し、データセンターが高機能化しているほか、韓国や米国では5Gの商用化が始まっており、半導体需要に下げ止まりの動きが出ている。
 米国半導体工業会(SIA)が毎月発表する世界半導体売上高(3ヵ月移動平均)は、19年4月を底に増加に転じている。同売上高は、毎年この時期に増加する傾向にあり、季節要因も大きいが、筆者が推計する季節調整値でも、19年に入り前月比減少幅の縮小が続き、10月には前月比年率で13%増と急増している。世界の半導体売上高は、季節要因を除いても増加に転じた可能性がある。

次のページ
世界経済は持ち直しが続く公算

 もちろん、ひと月だけの動きでは判断しにくいが、別の指標も半導体需要の強まりを示している。台湾の半導体メーカー販売額は、世界の半導体の需要動向に敏感に反応し、世界半導体売上高に先行して動く傾向にあるが、この販売額も回復している。
 半導体生産の一大拠点である台湾の受託製造(ファンドリー)の2大企業である台湾積体電路製造(TSMC)と聯華電子(UMC)の合計販売額(台湾2大半導体メーカー販売額)は、19年2月を底に増加基調に転じており、10月はボトムである2月に比べ21%弱増加している(筆者推計の季節調整値)。
 さらに、世界半導体売上高に先行する台湾の電子・情報通信機器の輸出受注も急回復している。同輸出受注額は、台湾2大半導体メーカー販売額と同じように19年2月を底に増加基調となり、最新値である9月は、2月比で2割近く増加しており、増勢が加速している(図1参照)。過去、同輸出受注額は、世界半導体売上高に、3〜6ヵ月程度、先行しているケースが多い。足元の同輸出受注額の急回復から判断すると、世界半導体売上高の増加は、2020年にかけて続く公算が大きいといえる。

拡大画像表示
世界経済は持ち直しが続く公算
国内半導体生産も堅調に推移する見込み
 経済協力開発機構(OECD)が作成・発表している景気先行指数も、世界経済の持ち直しが続くことを示唆している。OECD加盟国にOECD未加盟の主要6ヵ国(BRICs諸国であるブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカとインドネシア)を加えた景気先行指数の前月比は、世界全体の製造業PMIに先行して動くケースが多いが、前月比の持ち直しが19年9月まで続いている。10ヵ月前後のタイムラグを考えると、世界全体の製造業PMI は2020年夏頃まで上昇基調が続く可能性がある。
 日本企業の半導体関連の生産も持ち直している。電子部品・デバイスの生産は、19年4月を底に増加基調に転じ、四半期ベースでは7−9月期に前期比で3.5%増加している。さらに、半導体需要の回復期待から半導体製造装置の需要も増加している。日本半導体製造装置協会発表の日本製半導体製造装置の販売高(3ヵ月移動平均・筆者推計の季節調整値)は、6月を底に急増し、10月は6月比で21%強増加しており、6ヵ月比でみた伸び率も大幅に上昇している(図2実線参照)。
 過去、半導体製造装置の販売高や生産は、半導体需要の変動に遅れて動くことが多く、先行き、堅調な推移が続くことが見込まれる(図2参照)。世界的な半導体需要の復調を受け、今後、国内の半導体関連部門の生産が堅調に推移することが見込まれ、景気の下支えが期待できる。

拡大画像表示

次のページ
期待される経済対策の大規模化

期待される経済対策の大規模化
株価の堅調地合いが続く期待
 足元では、10月の消費税率引き上げなどの影響で、個人消費を中心とした景気の落ち込みが確認されつつあるが、駆け込み需要は14年4月の引き上げ時に比べ小さく、ネットの増税額も相対的には小規模でマイナス効果は小幅とみられている。
 一方で、政府は新たな経済対策の策定の方針を示しており、自民党からは10兆円規模との見方も出ている。世界的な半導体部門の復調、世界経済の回復に加え、景気の持ち直しと企業収益の回復が日本で確認されることで、2020年春にかけて株価は堅調な推移が続くことが十分に考えられる。
(三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所副所長 鹿野達史)
関連記事

クアルコム、7-9月期決算は予想上回る 状況の好転を示唆
The Wall Street Journal

デフレ脱却の熱意が冷めてきたアベノミクスの行方
鈴木明彦

日本景気にリスクは見えるか?悪化する製造業と好調な非製造業
鹿野達史

消費増税直前に検証、景気下振れリスクと求められる政府の対応
鹿野達史

https://diamond.jp/articles/-/221221?page=3

 


ビジネス2019年11月21日 / 13:20 / 9分前更新
アングル:途切れた「火曜日の株高」、海外勢の買い一巡を不安視
水野文也
1 分で読む

[東京 21日 ロイター] - 東京株式市場では日経平均.N225が大幅続落し、11月1日以来となる2万3000円割れとなった。米中対立がさらに激化するとの懸念に加えて、「火曜日の株高」が途切れたことで海外勢の買いが一巡したのではないかとの見方が出ている。

財務省が21日発表した11月10─16日の対内株式投資 (指定報告機関ベース)は1103億円の買い越しとなった。買い越しは続いたものの、それまでの5000億円ペースから規模は縮小した。

大和証券のチーフテクニカルアナリスト、木野内栄治氏は、株価は8月以降、毎週火曜日の上昇が続いていたが、それが今週途切れたことを指摘する。

木野内氏によると、海外勢がリバランスを行うのが週明けで、それを日本株に反映させるのは火曜日になるため、海外勢の姿勢が変わった可能性があるという。その上で「今週に入って売り越しに転じた可能性もあり、これもきょうの株安に拍車をかけた」とみる。

また、21日の東京株式市場では、米中対立への懸念も強まった。

ホワイトハウスに近い関係者などは20日、米中通商協議の「第1段階」の合意が来年にずれ込む可能性があると明らかにした。 両国が対立姿勢を強めている香港情勢に関連しても、米上院に続き下院で「香港人権・民主主義法案」が可決されトランプ大統領が署名する見通し で、中国のさらなる反発が予想される。

市場では「株高の前提となっていた米中通商協議の進展期待が後退したことで一気に不安が広がった」(キャピタル・パートナーズ証券・チーフマーケットアナリストの倉持宏朗氏)とされ、海外勢などから売りが強まったとみられている。

一方、需給面は来週以降、改善するとの見方もある。「11月30日を挟む週は2000年から1度しか下げていないアノマリーがある。これは配当金の株式再投資と密接に関係がありそうだ」(岡地証券・投資情報室長の森裕恭氏)という。

今回の3月期企業の中間期配当金は、市場推定で約4兆3000億円。このうち少なからず株式に再投資されると想定されており、「これで需給面が改善されれば、下げも限定的になるのではないか」(木野内氏)との予想も出ている。

編集・グラフ作成:田中志保
https://jp.reuters.com/article/stock-market-nikkei-idJPKBN1XV0D4?il=0


 

ビジネス2019年11月21日 / 08:05 / 35分前更新
アングル:安倍政権の後継者問題、政治の安定失えば日本株売りも
伊賀大記
3 分で読む

[東京 21日 ロイター] - 金融市場で「ポスト安倍」への警戒感が強まり始めた。安倍晋三首相続投の可能性が低下したとの見方が広まる中、次の本命候補が一向に浮上してこないためだ。政治の安定は日本市場の数少ない長所だけに、「後継者問題」がうまく解決されなければ、日本株売りの材料にされかねないと不安視されている。

<「蜜月」の終わりを意識>

第2次安倍政権が始まった2012年12月以来、日経平均株価は2.3倍に上昇した。投資家にとって安倍首相は歴代首相のなかでも「最も儲けさせてくれたうちの1人」だ。経済や物価はあまり伸びなかったが、株高を背景に支持率も安定、マーケットとの「蜜月」時代が続いてきた。

そのマーケットポジティブな政権の終わりを市場は意識し始めている。安倍首相の通算在任期間が歴代最長となり「記録」を樹立。念願の憲法改正にめどは立っていないが、来年の東京オリンピック・パラリンピックを終えた後に、引退すれば美しい花道となる。

安倍首相の自民党総裁任期は2021年9月。現在三選中であり、自民党党則では四選は禁止されている。四選を果たすためには、党大会で党則を変える必要があるが、来年3月8日に決まった党大会まで時間は乏しい。早期の解散・総選挙でもない限り、四選は難しいとの見方が強くなっている。

しかし、後継者の本命候補は依然見えない。「日本に詳しいポートフォリオマネージャーほど安倍首相の後に有力な後継者がいないとみている。誰になっても日本株のショートを考えると話す海外勢が多い」と、海外投資家動向に詳しい外資系証券の営業担当者は指摘する。

<「政治の安定」を失う懸念>

アベノミクスへの期待感は後退している。「次の時代を担う産業、企業が育てられなかったのが最大の失敗」(ニッセイ基礎研究所のチーフエコノミスト、矢嶋康次氏)というのが、マーケットの一般的な見方だ。政策継続への期待感が強いわけではない。

市場が警戒するのは、政治の安定が失われることだ。政治が不安定化すれば、政策の予見可能性が低下する。投資家は不透明感を嫌う。アベノミクスの評価が下がりながら、株高を保ってこられたのは、政治が安定していたことが大きい。

安倍政権は第2次から現在の第4次まで12月で7年に及ぶ。世界を見渡しても、先進国で数少ない長期政権だ。日本の首相は毎年変わると言われていたころとは様変わりで、現在の日本株に乗る数少ないプレミアムとなっている。

海外勢の日本株投資は現物と先物を合わせて12年11月のアベノミクス相場スタートから、累計で一時25兆円近く買い越したが、今年8月には売り越しに転じた。足下は買い越しているが、ほぼニュートラルに戻ったとみていいだろう。しかし、政治が不安定化すれば日本株ショートの可能性が強まる。

<米中の狭間で求められる外交手腕>

「ポスト安倍」に求められているのは、ゆがみも目立ってきた国内経済への対応はもちろんだが、外交手腕の重要性がさらに増すとみられている。

BNPパリバ香港・アジア地域機関投資家営業統括責任者の岡澤恭弥氏は「中国が経済圏、軍事圏を広げていくの避けられない。米国との対立は今後も続く。こうした中、地政学的に米中の中間に位置する日本は、米中間をうまく渡っていければ、メリットを受けることができる」と指摘する。

マーケットがみる「ポスト安倍」の筆頭候補は、岸田文雄自民党政調会長と菅義偉官房長官だ。

菅官房長官は、国内向け政治手腕には定評があり、知名度も「令和おじさん」としてアップした。しかし、「外交経験が乏しい」(外資系投信)と市場は懸念する。

その点、外務大臣を務めた岸田政調会長は、外交に一定の経験がある。さらに岸田派の領袖であり、安倍首相との関係からみて「禅譲」の可能性が一番高いとみられている。しかし、こちらは「国内をまとめ切れるか未知数」(シンクタンク系エコノミスト)との不安が市場にはある。

<「再々登板」のシナリオ>

そこで、市場でささやかれているのが、安倍首相が一度辞めて、それから復帰するという再々登板のシナリオだ。自民党党則では「1期3年、連続3期まで」となっているので、一度辞めれば、四選禁止を避けられる。

また実際に復帰する必要はない。もしかすると再登板するかもしれないという見方を維持できれば、影響力を保つことが可能だ。安倍首相が「院政」を敷いて、にらみを効かせば、新首相のバックアップになる。アベノミクスが継承されれば、市場との良好な関係も続く。

しかし、長い目で見て日本にとってそれが良いことかは別だ。「安倍政権が若い世代を中心に高い支持率を保ってきたのは、痛みをともなう改革を避けてきたからだ。経済や企業にゆがみも目立ってきた。次期首相にはアベノミクスの後始末が求められる」とピクテ投信投資顧問のシニア・フェロー、市川眞一氏は指摘する。

残された時間はあまりない。何かのきっかけでインフレが進めば、いまの金融・財政政策は立ちいかなくなる。マーケットを味方につけながら、外交で器用に立ち回り、国内の雇用改革や成長戦略を進めることができるか。後継者の担う課題は安倍時代よりもさらに重くなることだけは間違いない。

編集:青山敦子
https://jp.reuters.com/article/abe-market-japan-idJPKBN1XU2UO

http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/679.html

[不安と不健康18] 認知症の疑いのある高齢者を救う、森田療法的アプローチ うつ病の治療に効果が見込める「サプリ」PUFA 葉酸 NアセチルCys
認知症の疑いのある高齢者を救う、森田療法的アプローチ
繁田雅弘:東京慈恵会医科大学精神医学講座主任教授・メモリークリニック診療部長

健康 森田療法を活用するパイオニア医師たち
2019.11.21 4:45


印刷する
A A
関連するキーワード

認知症 アルツハイマー
認知症の疑いにも森田療法が応用されている
写真はイメージです Photo:PIXTA
100年前の1919年、私たち日本人が今まさに直面する超高齢社会、ストレス社会を予期していたかのごとく、森田正馬(もりた まさたけ)博士(慈恵医大精神神経科初代主任教授)が提唱した神経症の治療「森田療法」。「きわまった感情をあるがまま放置し、自然消失させる」という正馬の教えは、近年、神経症の治療のみならず、認知症、慢性の痛み、心身症など多診療領域に応用されはじめています。森田療法創始100年の節目として連載された「中村敬 森田療法式 心の健康法(全9回)」に続き、森田療法的アプローチを導入して効果を上げているパイオニア医師たちをご紹介させていただきます。第1回は、高齢者の認知症に森田療法のエッセンスを応用して治療の幅を広げ、認知症や軽度認知機能障害(認知症の疑いを含む)の初期対応・症状改善に成果を上げている、認知症治療の第一人者、東京慈恵会医科大学精神医学講座主任教授・メモリークリニック診療部長の繁田雅弘医師にお話を伺います。(談/東京慈恵会医科大学精神医学講座主任教授・メモリークリニック診療部長 繁田雅弘、構成/医療・健康コミュニケーター 高橋 誠)

認知症の疑いに
森田療法を生かす
 アルツハイマー型認知症の進行は、最近10〜20年の間に半分から3分の1になりました。また、軽度の期間が2〜3倍になり、軽度のまま人生を全うする人も増えました。2019年10月の日本森田療法学会では「新時代の森田療法、来たるべきもの」とのテーマで森田療法の有用性についての科学的検証をしました。もの忘れタイプの軽度認知症に対し最近になって導入され始めた森田療法的アプローチは、症状といかに付き合うかを明示し、80歳を過ぎても心身ともに元気で、趣味や旅行、スポーツ、健康な生活を長く楽しむための有効な処方箋の1つとして、森田療法の汎用性を改めて実証しています。

次のページ

料理の手際が悪いのは、認知症の始まり?
料理の手際が悪いのは、認知症の始まり?
70代後半、元会社員男性の苦悩
 今回は、認知症ではないか不安になった70代後半・元会社員男性の事例をご紹介します。20代の結婚当初から共働きの奥様よりも料理が上手で、ハードな仕事をしながら家庭料理はほとんど担ってきました。海外駐在経験が豊富な国際派のご夫婦。お互いのビジネスキャリアを支えあう平等なパートナーシップを築いてきました。リタイア後は料理学校に通い、奥様と外食に行くとそのレシピの再現を自宅でチャレンジするなど、さらに腕前に磨きをかけていました。

 ところが、75歳を過ぎてから料理の手際が悪くなり、日常生活でのもの忘れが目立つようになりました。毎年楽しみにしていた同窓会にも出席しなくなっていました。「2〜3年前に比べるとすべてにおいて70%くらいのパフォーマンス。ひょっとしたら認知症が始まったのではないか」と心配になり、奥様に連れられて、「メモリークリニック」を受診、相談しました。

相談の内容
得意の料理がうまくできないし、もの忘れも頻繁
 得意だった料理がうまくいかないことが何よりもショックでした。1年ほど前からは、たまに大切な調味料を忘れることがありました。鍋とフライパンとの2つの料理の同時進行が苦になってきました。時間も余計にかかるようになり、味わいも少し変化してきたように感じます。当初は気にかけていなかったのですが、味見など、徐々に奥様に手助けを頼むようになりました。学生時代の友人や会社の元同僚と出かけるときに、財布や携帯を忘れてしまうことがしばしばで、支払いに困って奥様に届けてもらうこともありました。

「もう以前のようにおいしく作れないのではないか。このままでは、さらに料理のパフォーマンスが悪くなるのではないか。忘れ物もしょっちゅう。妻に迷惑が掛かっている。認知症が進んでいるのかもしれない」と自信と意欲を失い、だんだん元気がなくなってきました。

繁田医師の回答
「本来の生活を取り戻してみませんか」
◎認知症かどうかではなく、これからの生活を考えましょう

 初診時の患者さんは、緊張、不安、戸惑いのご様子がうかがえましたが、抑うつ的な気分は特段見られず、お話の筋もしっかり通っておられました。

 診断の結果を伝える前に、患者さんに念を押すように、「これから認知症の検査をします。○○さんが心配でおられる状態が、認知症であろうと、認知症ではなく老化などであろうと、検査結果によって一喜一憂しないでください。今の状態にお困りで、今後が心配だから、今ここにいらっしゃるわけですよね?結果にかかわらず、これからどうしていくかを一緒に考えていきましょう」と伝え、患者さんと奥様のご理解を得ました。

 一連の認知症を確かめるテストは、MMSE(スクリーニングテスト)26点(23、24点未満は認知症の疑い)、FAB(前頭葉の働きのテスト)13点(14点以上が望ましい)、ADAS9点(0点から70点の間で少ないほうが良い)と、いう結果でした。

「○○さんが心配でいらっしゃる状態は、認知症のごく初期も否定はできませんが、もの忘れのタイプの軽度認知障害(MCI) と判断できます。MCIとは、半分認知症になった状態と受け取る人もいらっしゃいますが、そうではありません。認知症の疑いがある状態、認知症のリスクが高まった状態、と理解してください」と伝えました。患者さんが少しほっとした表情を浮かべられましたので、

「いやいや、○○さん。だからといって安心しないでくださいね。現に生活でお困りのことがあるわけですし、もう1〜2年すると認知症という診断がつくケースかもしれないのです。いわばグレーゾーンで保留の状態。認知症ではないので、少しのお薬はそのまま続けていただきながらも、見失ってしまった生活から、本来の生活を取り戻すような養生の仕方を、ご一緒に探っていきましょう。グレーゾーンで保留の状態、中途半端の状態から、少しでも建設的な状態に近づいていきましょう」と伝えました。

次のページ

認知症の疑いを、緩やかに自然回復させていきます
◎忘れていたものを思い出す、いわば“生活の再発見”です

 特段、新しいことに取り組むのが森田療法ではありません。例えば、朝、新聞を取ってきて、それを広げて読むなど、ずっと習慣としてやってきたこと、好きでやってきたこと、本来の生活を思い出すだけなのです。これが、森田療法でいうところの”生活の再発見”ということです。

 ですので、奥様には「○○さんがいかに忘れっぽくなったからといって、新聞を代わりに取ってあげるとかではなく、『新聞取ってきてね』とさりげなく思い出させてください。同居の家族として、見ていて効率が悪くてイライラすることがあるかもしれませんが、じっと辛抱して、好きなようにやらせてあげることがとても大切です。ずっとそうやって人生を過ごしてきたのですから、頭ごなしに否定をせずに、ご主人の生き様を尊重してあげてください」とお願いをしました。

◎認知症の疑いを、緩やかに自然回復させていきます

 クロスワードパズルとか、数独など脳トレがはやっていますが、米国学会でも、これらのメソッドによる治療効果のエビデンスは存在しません。だからこそ、本来の生活を取り戻すという、きわめてオーソドックスな森田療法的アプローチにスポットが当たってきているのです。

 何かに悩むときに、サプリメントや新しい行動にチャレンジするケースは多いと思います。しかし、長い人生の中で培ってきた本来の生活にフォーカスし、バラバラになりがちな記憶をつなぎとめることが大切なのです。何もしない、ただ、思い出すだけです。「認知症の疑い」という症状からの緩やかで自然な回復を、あるがままに促す、それが森田療法的アプローチです。

◎認知症の疑いから、1〜2年で回復する人もいます

「認知症の疑い」という診断の方でも、森田療法的なアプローチによって、本来の生活を取り戻すことができるようになると、もの忘れがなくなった人もいます。つまり、「認知症でもなんでもなかった、何の病気でもなかった」ということになります。

 認知症でなく、うつ病や糖尿病などの体の病気で認知機能の成績が悪くなることもあります。アルツハイマー型などの認知症のこともありますが、仮に認知症だとしても、嗜銀顆粒性(しぎんかりゅうせい)認知症や神経原繊維変化認知症という、あまり進行しない認知症もあります。このようなケースでは、身の回りのこと、すなわち本来の生活をずっと長く続けることができるというわけです。

◎自分らしくない、新たなチャレンジを棚上げしましょう

 さて、先の患者さんに戻って、治療経過を振り返ることにしましょう。

 初診2ヵ月後、3回目の診察では、

「できそうもないことに、無理して挑戦していることはありませんか。それができれば自信を取り戻せるのではないか、と無理しているところはありませんか」と問いかけました。

「友人のアドバイスで、最近はナンプレ(数字のパズル)やクロスワードパズル、数独をやっています。サプリメントも試しています」とおっしゃるので、

「それらは、時に難しくありませんか(笑)。脳のトレーニングということでしょうが、本来の生活ではないかもしれませんね。何かをして自信を取り戻したいのでしょうが、それが○○さんらしい生き方なのでしょうか?不安などの精神的な症状に対する治療に、森田療法という治療法があります。森田療法では、心配や不安はあっても、それは当然のことと理解します。自分はいつまでも人の役に立ちたい、自分のことは自分でやりたいという気持ちが強いほど、病気になりたくない、病気だったらどうしようと不安になります。不安は、よくありたいという気持ちの裏返し。当たり前のことと受け止めましょう。チャレンジするなら、ほんの少しだけ難しいくらいのことにとどめてくださいね」

 と、無理なチャレンジを棚上げすることを促しました。患者さんは、森田療法のことは聞いたことがある、と治療法をポジティブに受け止めておられました。

次のページ

小さな記憶の回復を、少しずつ積み重ねてゆきましょう
◎人生の定例イベントは従来通りにこなしましょう

 初診4ヵ月後、5回目の診察では、

「毎年楽しみにしていた同窓会にも出席しなかったそうですが、認知症の可能性を心配しすぎていませんか?その結果、自信をなくしていませんか?自信をなくすと、料理にしろ、日課にしろ、自分のしていることが、うまくできていないと感じてしまいます。注意力や集中力も下がって、ますます料理や日課の出来も悪くなる悪循環ですよ」と問いかけました。

「同期の友人たちは、いまだに元気にゴルフをしたり、旅行に行ったり、車を運転しているので、ついつい置いていかれたような気になってしまって。しかも最近の不安な気持ちで参加しても、なおさら楽しめないと思いまして」とおっしゃるので、

「国際派の○○さんなのですから、外での会食こそ本領発揮の場ではないですか?ご友人たちに得意料理のレパートリーが増えた話をして、その場を楽しんでみてはいかがですか?あれこれを思い煩うよりは、まずは当たり前のようにその場に行って、その日1日の行動を充実させましょう。ご自身がお持ちの能力を発揮しない状態が続くと、使っていない能力が下がってしまいます。これまでやってきた料理や日課を続けながら、定例のイベントにはできるだけ出席するようにしましょう。あえて本来の生活を変えることを選択する必要はありません」と助言しました。

◎小さな記憶の回復を、少しずつ積み重ねてゆきましょう

 初診6ヵ月後、7回目の診察では、

「頭の中が、もの忘れのことばかりになっていませんか。心配する気持ちはやむを得ない当然の気持ちです。いつまでも元気でいたい、奥様においしい料理を作ってあげたいと考えるほど、認知症だったらどうしようと不安になるのは当然です。○○さんの心配は、いつまでも自分らしく元気でいたいという気持ちの表れです。しかしながら、これまで全部自分でやっていた料理を、奥様に味見をお願いしたり、手伝ってもらったりなどは、人の助けを借りて本来の生活を継続できることであり、素晴らしいことです。1人でやろうと無理しないでくださいね。どんどん人の助けを借りて、ストレスを減らし、能力を発揮してください。そして今日やり遂げたことは何か、部分的にでも手を付けたことがあれば、それも思い出してみましょう。振り返ってみれば、いろいろな成果に気付くはずですよ。ああ、こんなこともできたんだ、と思えたらいいですよね」と問いかけました。

「最近、得意だったパスタの隠し味に、アンチョビを忘れていたことを思い出しました。それを加えると、今までの味と同じになり、妻も喜んでくれました。料理も手際良くなってきました」とおっしゃるので、

「素晴らしい充実感ですね。ずいぶん自信がつき、表情も明るくなってきましたね。もの忘れをしたときの不安な気持ちも、少し改善したようですね。もの忘れをしたときは、そのまま放置して、手際よくなった料理のことなど、ポジティブな小さな成功体験にフォーカスしていきましょう」と促しました。

 初診10ヵ月後、9回目の診察時には、

「料理の手順が戻ったように思います。料理が終わるころには、台所の片付けも終わっているような、そんな手際の良さも戻ってきました。妻の味見も不要になりました。もの忘れは気にしないようにしています。以前ほど、認知症か否か、進行するか否かにこだわらないでおこうと思えるようになりました」と非常に前向きな発言になられました。

 本来の状態に戻りつつあるときは、気持ちもずいぶん楽になっていますが、これからが大切なときでもあります。

次のページ

生活再発見、自信回復、早期治療に森田療法を
「体調に気を配るのも良いことですよ。1日の終わりに体の疲れをちゃんと感じられるか、お風呂に入った後にさっぱりとした気持ちを感じられるか、よく観察してみましょう。また、失敗したときにその気持ちを話せる人は奥様のほかにいらっしゃいますか?失望する自分を許すこと、それを分かち合ってくれる人がいることが大切です。決して自分を責めないでくださいね。そして、がっかりしながらも、昔やっていたことに、少しだけでも手を付けてみませんか?」とさらに本来の生活に近づくように助言しました。

◎生活再発見、自信回復、早期治療に森田療法を

 初診1年後、10回目の診察時には、

「先日、同窓会に出席してきました。2年ぶりの再会にみんな歓迎してくれ、本当に行って良かったと思いました。集合時間を間違えて、30分早く着いてしまいましたが、さほど気にならなかったです(笑)。このような定例会の楽しみは、いくつも持ちたいなと思いました。もしも認知症だったら治らないことは分かりましたが、そうであっても自分らしく楽しく暮らすことができることも分かりました。料理もこのまま一生続けていけるのでは、という自信が戻っています。また料理教室にも通い始めました。妻とも、かつて駐在していたイギリスへの旅行を計画しています。気持ちが変わると、こんなにいろいろなことができるんだと、自分に驚いています」との発言がありました。

 認知症診断テストは、MMSE(スクリーニングテスト)28点(1年前26点)、FAB13点(同13点)、ADAS6点(同9点)と、1年前より改善傾向を示しました。

「本来の生活を取り戻されて良かったですね。その調子で、奥様との海外旅行も楽しんでくださいね。何をしたら良いか迷われたときには、自分に素直になって、人に言われるのではなく、自然な気持ちでやりたくなるものを探す、それが○○さんらしい生活につながります」と、検査結果はギリギリではありましたが、認知症の診断はMCIのまま保留とし、半年に1度の「メモリークリニック」に通院していただき、経過観察としました。

 このまま、もの忘れが進行しない可能性もありますが、進行する可能性もあります。1〜2年以内に認知症の診断がつく展開もあり得ます。このように、認知症の疑いの段階から、森田療法的アプローチにより早期に治療を始めておくことが、いずれ認知症の診断がついた場合でも、医師と患者の信頼関係が構築されていますから、治療がスムーズに開始され、経過も安定し、軽度のまま進行を抑え、軽度の期間を長くできる可能性が広がります。本症例は、早期の治療開始が、人生100年時代の健康寿命、ADL、QOLの上昇に大変有効であると実証できた症例でした。

 日本でも、精神科受診への抵抗は少し和らいではきていますが、最初に一歩踏み出す勇気が皆様の生活を守ることになるかもしれません。認知症という病気としてではなく、「もの忘れ」を心配して早めに相談にいらっしゃる、という比較的緩い気持ちで「メモリークリニック」にお越しいただくのもいいかもしれません。認知症と子どもの知的障害以外には何でも対応できるといわれていた森田療法。今では、認知症の治療にも応用される時代になりました。

※本稿は実際の事例・症例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため相談者の個人名は伏せており、人物像や状況の変更などを施しています。

◎繁田雅弘(しげた まさひろ)
東京慈恵会医科大学精神医学講座7代目主任教授、東京慈恵会医科大学附属病院メモリークリニック診療部長。日本老年精神医学会 副理事長、日本認知症ケア学会 理事長など。東京慈恵会医科大学医学部卒、スウェーデン・カロリンスカ研究所 老年病学教室 研究員、首都大学東京 副学長を経て、2017年4月より現職。著書に『気持ちが楽になる 認知症の家族との暮らし方』(池田書店)など。若年性認知症のケア施設「SHIGETAハウス」にも力を入れている。
◎次回予告

 第2回は、「人生100年時代」を健やかで楽しく生きるための、慢性痛(肩こり、腰痛、ひざ痛)に対する森田療法的アプローチの効果を、八千代病院痛みセンター平林万紀彦センター長に伺います。

1 2 3 4 5 5


今、あなたにオススメ

うつだけど病院に行かない…「放置うつ」の真実
うつ病の治療に効果が見込める「サプリ」の正体
ダイエット、食事を減らさず成功も!おすすめ「低GI食品」
大腸がん予防、科学的に実証or効果が期待できる10の習慣
https://diamond.jp/articles/-/221145?page=5

 
うつ病の治療に効果が見込める「サプリ」 5メチルテトラヒドロ葉酸 Nアセチルシステイン
井手ゆきえ:医学ライター

健康 カラダご医見番
2019.10.30 4:20
カラダご医見番・効くメンタルサプリは?
写真はイメージです Photo:PIXTA
 タンパク質やビタミン類など、身体に良い栄養素の知識が一般に浸透してきた。

 一方、心や精神状態に良い栄養素は?となると、あまり意識されていないかもしれない。

 英国とオーストラリアの研究グループは、精神疾患の治療において、サプリメント(サプリ)の安全性と有効性を評価した「質の高い」横断解析33件、1万0951人分のデータを詳細に分析。

 うつ病や不安障害、統合失調症などの気分障害および精神疾患と、オメガ3多価不飽和脂肪酸(PUFA)と葉酸(ビタミンB9)などのビタミン類、マグネシウムや亜鉛などのミネラル類、およびアミノ酸系サプリとの関係を調べた。

 このうち最も強い治療効果が認められたのは、大うつ病に対するPUFAで、抗うつ薬との併用で有意な上乗せ効果が認められた。

 一方、メンタルヘルスに良いとされている葉酸については、活性化された「5メチルテトラヒドロ葉酸」が、大うつ病と統合失調症の陰性症状──意欲の欠如や判断力の低下に対する上乗せ効果があると認められた。

 また、アミノ酸の「Nアセチルシステイン」は、気分障害全般と統合失調症の補助療法としてまずまずの効果が見込めるようだ。その他の栄養素は、有効性を示す確固とした証拠に欠けていた。

 研究者は「サプリの評価は両極端になりがち」と指摘し、エビデンス(科学的根拠)に基づいて賢く活用すべき、としている。

 ただ気を付けたいのは、サプリの効果も普段の食事あってのこと、という点だ。心が辛いときはどうしても食事が不規則になり、栄養不良やカロリー過多から心身の健康を損なってしまう。そこで一つのサプリやマルチビタミンに頼るのは本末転倒というもの。

 何より本研究の対象になった栄養素は、全て食事から摂取できる。たとえば、大うつ病に効果ありと判定されたPUFAは青魚やサケから、もし魚が嫌いならナッツ類や大豆油由来のαリノレン酸から摂取できるのだ。

「自分の身体は、自分が食べたものでできている」。この真理は「心」にも通じる。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)
https://diamond.jp/articles/-/218730
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/795.html

   前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 鰤 6dw > 100003  g検索 6dw

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。