170. 2011年11月09日 20:23:56: 4H3DHXB7rc
1986年4月26日、チェルノブイリ原子力発電所4号機で起きた爆発事故では、広島に投下された原子爆弾400発分の放射性物質が放出された。
当時、旧ソビエト政府は住民のパニックを恐れ(冷戦下でもあり)、この事故を数日公表しなかったため(もちろん避難指示もなく)、近隣の村は大量の放射性物質を浴びることになった。
事故後の復旧作業にあたった作業者53万人の平均被ばく量(全身=実効線量)は117ミリシーベルトに上った。避難した近隣住民11万5千人の平均被ばく量は、全身=実効線量で31ミリシーベルト、甲状腺では490ミリシーベルトと報告されている。さらに、チェルノブイリに近い、ベラルーシ、ロシア、ウクライナ、の640万人の住民については、全身で平均9ミリシーベルト、甲状腺で102ミリシーベルト、その他全ヨーロッパ(トルコ、コーカサス、アンドラ、サンマリノを除く)では、それぞれ0.3ミリシーベルト、1.3ミリシーベルトと見積もられている(国連科学委員会UNSCEAR2008年報告附属書D)。
この事故による小児甲状腺がんの発症は、国際原子力機関(IAEA)の公式見解では、2006年までに発見された患者が4,000人、死亡が確認されたのは9〜15名、とされている。
事故の正式発表や避難措置が遅れ、放射線に汚染された飲食物が規制されず、甲状腺に特異的に放射性ヨウ素が集まったため、人為的・必然的に起きたことであった。
1979年3月28日、アメリカのペンシルヴェニア州スリーマイル島の事故では、@減速材(放射線、詳しくは中性子線のエネルギー放出を抑えるための資材)として水を使用していた、A核分裂は停止していた、B格納容器があった、ということで福島のケースに近いことが分かる。長期の詳細な調査が行われたが、事故が、住民の健康に有意な影響を与えたという結論は出ていない。
福島第一原発の事故は、2011年4月12日、国際的な事故評価尺度(INES)で「深刻な事故」とされるレベル7に引き上げられた。チェルノブイリと同一レベル。ただし、放射性物質の外部への放出量は1ケタ小さいとされる。国際原子力機関(IAEA)は「レベルは同じでも、事故の構造や規模では全く異なる」とコメントしている。