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2008年のような金融危機の再発を防ぐべく、中核的自己資本比率の強化等を盛り込んだ新たな国際的銀行規制である[バーゼルIII] の来年初めからの施行の雲行きが怪しくなってきました。
ロイター より
■欧州、「バーゼルIII」導入を先送りする公算=EU筋
[ブリュッセル 27日 ロイター] 欧州連合(EU)の複数の関係者によると、欧州は米国と同様、新たな銀行規制「バーゼルIII」の導入を先送りする方向にある。「バーゼルIII」は、国際的に事業展開する大手銀行を対象に来年1月1日から段階的に導入されることになっているが、欧州は、導入を6カ月程度先送りする可能性がある、という。
★導入の先送りは不透明感をもたらし、金融危機再発防止に向けた「バーゼルIII」導入に関する国際的な合意を台無しにする恐れがある。
EU関係者の1人は匿名を条件に「何があろうと2013年1月1日に新規則は導入できない。年央が現実的だろう」と語った。
欧州は、米国が「バーゼルIII」の導入先送りを決定したことで欧州の銀行が米銀よりも不利な立場になることへの懸念も示している。
ドラギの口先介入で預金の流出ペースが落ちたとは云え、保有する債券等の市場価格の下落などの為にEUの救済資金による資本注入が必要なスペインの銀行などでは、現行のバーゼルII の順守だって覚束ないのでしょうからね。
この様な規制を振りかざす機関への金融機関側の不信感は根深いのですが、親切に警告してもくれるのです。
★New Crash Warning Comes From Proven Source
実績のある情報源からの新たな暴落の警告
世界経済への警告は、前回の暴落の前に懸念を表明した - 国債決済銀行(BIS)からやって来た。
国際決済銀行(BIS)は奇妙な組織である。
元々は、ドイツからフランス、英国その他への第1次世界大戦の賠償金支払いを手助けすべく1930年代に設立されたものであり、それ以降、中央銀行達のクラブへと変身したのである。
余り知られていないのは、それが第2次世界大戦の後にもう少しで解体されるところであったという事だ。
同行は、賠償政策の失敗及び名高いナチスを取締役会に加えていた事により醜聞に塗(まみ)れていた。
これ以上如何なる目的を持つのか?として、他の何事よりも - 最終的に同行を解体させようと、一人のノルウェー人が1944年のブレトン・ウッズ会議において働きかけた。
これに対して英国人達は異議を唱えたが、アメリカ人達によって却下され*、BIS を解体する事で同会議は合意したのだ。
しかし結局その約束は忘れられ、BIS は生き残ったのである。
そして、多くのエコノミスト達は異議を唱えるであろうが、良い事でもあったのだ。
★今日(こんにち)、最終的に2008年の危機へと繋がったリスクと不均衡を我々に警告してくれた数少ない国際的機関の一つとして、BIS は名声を得たのである。
それこそ、同行が更に新たな警告を発したという事を今日我々が記している理由なのである。BIS の最新の四半期レビューによると、金融市場は、幾つかの点で暴落の前に彼等が演じたのと同じ振る舞いを始めている。
特に、経済の見通しはそれ程良く無いという事実にも拘わらず、投資家達は、よりリスクの高い資産を追い求めている様に見えるのだ。
ここに、BIS のレポートからの一節がある:
「幾つかの資産クラスは、それらのリスクの度合いとの関係において歴史的な高値であると見え始めた。例えば、世界の高利回り社債のスプレッドは、2007年後半のそれと匹敵する水準にまで低下したが、これらの社債のデフォルト率は3%付近で推移しており、2007年後半におけるそれは1%に近かったのである。
投資適格級社債
新興国市場社債
担保化された社債
Bond yields are yields on Bank of America Merill Lynch global bond indices. The collateralised index comprises bonds backed by residential morgages, commercial morgages, credit card receivables and other assets. Growth forecasts are approximate annualised three-year-ahead forecasts constructed from projections for the current and three subsequent calendar years. 1 For advanced economies. 2 For emerging markets.
債券利回りと経済成長予測
「しかし同じ事が、それぞれデフォルト率が1%を僅かに超える物と0.5%付近の物の投資適格級社債のスプレッドにも言えるのである。 実際、以前に比べてリスクに対する見返りが少なく感じると数多くの債券投資家達が語っているのだが、多くの銀行の預金金利がゼロに近く、他の低リスクな投資先の供給が減少する中で、彼等は僅かな選択肢しか持っていなかったのだ。
通常、債券利回りは広範な経済成長見通しに従って変化するのだが、この数か月間でこれらの二つの線は明らかに乖離し始めているのだ。
★何かが進行しているのである。
少なくとも、あり得そうな説明の一つは、- これは BIS では無く私の解釈であるが - 量的緩和策を通じ、バンク・オブ・イングランド及びFRBを含めた中央銀行達によって緩和され始めたマネーの洪水が資産価格を押し上げる燃料を供給しているという事だ。
★しかし、何れにせよそれは、正に暴落の予想について最初に警告した機関が、資産市場において同じ類の行動が起きている事に関して再び警告を発しているという警報なのである。
(*これに関する米財務長官のヘンリー・モーゲンソーとの対立の後、ジョン・メイナード・ケインズは実際に心臓発作で倒れたのである。その直後に彼は死んだと、欧州の新聞各紙によって誤って伝えられたのだ。)
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バブル崩壊後の不良債権処理に苦しんでいた日本の金融機関を狙い撃ちするかの様に、保有する金融資産を「時価」で評価するよう国際会計基準(IFRS)が定めた「時価会計」が2001年から日本企業に強要されました。しかし、2008年の金融危機で膨大な不良債権を抱えてしまった欧米の金融機関は、この「時価会計」の基準を自分達に都合良く緩和して生き延びているのです。
「バーゼルIII」も「IFRS の時価会計基準」も満たしていない最たるものはECBであると思うのです。