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アメリカが日銀に異次元金融緩和させた目的は日本の銀行と大企業の乗っ取り
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/393.html
投稿者 中川隆 日時 2020 年 12 月 12 日 15:06:17: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 経済学の歴史、信用貨幣論、MMT 投稿者 中川隆 日時 2020 年 12 月 11 日 18:48:52)

アメリカが日銀に異次元金融緩和させた目的は日本の銀行と大企業の乗っ取り


日銀の異次元緩和でマネタリーベースが増えた分は外資が所有する日本株や日本の不動産の金額です:


1. 日本の民間銀行は日本国債を日銀に売った
2. 日本の民間銀行は日本国債を売って得た円をドルに変えてアメリカ国債を買った
3. 日本の民間銀行にドルを売って円を買った外資は、その円で日本株や日本の不動産を買った
4.外資に日本株や日本の不動産を売った日本の投資家はその金を銀行に預金した
5.銀行はその金を利子が付く日銀当座預金に変えた


つまり、外資が日本株や日本の不動産を買うのに使ったドルが安い円に変えられて日銀当座預金に溜まっている。日銀の異次元緩和でマネタリーベースが増えた分は外資や外資と取引する日本人投資家の投資に使われる金額になります。


これから超円高になる前に外資は日本株や日本の不動産を売って銀行預金に変え、日経株が大暴落して底値になった時に爆買いします。
平成バブルで外資は日本株の3割を底値で買ったので、今度のバブル崩壊で日本株の7割は外資の所有になります。
日本のメーカーの重役はこれからは全員欧米人ですね。


アベノミクスで日本が米国債を買いまくった為に、1ドルが70円以下になると日本の対外純資産はマイナスになり、日本の資産はすべて外資に乗っ取られる。特に日本国債を日銀に売って、その金でアメリカ国債を買った日本の銀行はすべて債務超過になって欧米資本に乗っ取られる。


世界の草刈り場にされる日本(Live配信2020/11/24)


米国のMMT政策は日本を破壊(Live配信2020/11/17)


アベノミクスとは何だったのか(Live配信2020/9/1)


2018.5.28「安倍首相の売国政策を糾弾する」大西つねきの週刊動画コラムvol.28


資金不足を続けている対外純債務国(10兆ドル;1,100兆円)が発行する米国債は、ゼロ金利の日本・欧州の金利と、2%から2.5%の金利差(イールド)があるという理由から、売れていきました。
しかし今は、コロナショックからのFRBの緊急利下げで、米国債も金利ゼロです。ゼロ金利のドル国債を買うと、日本、欧州、中国からはドル安のリスクを、金利ではカバーできません。


短期で投機的なドル先物買いの動きは別ですが、2年単位の中期では、債務国の通貨のドルに金利差がない時は、基軸通貨とは言っても「円に対してドル安」の材料になります。
 

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コメント
1. 中川隆[-9339] koaQ7Jey 2020年12月12日 15:07:25 : eIoE9QZswE : VkQxbW1yT1RGa0U=[18] 報告
アダム・スミス2世の経済解説  2015-05-10
アベノミクスがもたらした株価上昇による100兆円の損失
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/blog-entry-184.html


アベノミクスの評価は、現時点においてもさまざまである。その中で多くの人たちが認める功績は、株価を上昇させたことであろう。アベノミクスの否定論者でも、アベノミクスは株価を上昇させたこと以外にメリットは存在しないという評価を下す人は多い。

株価を引き上げたことは功績であるにしても、現在の株価は上がりすぎであり、バブルであるとの批判は存在する。

今回は、アベノミクスが株価上昇により巨額の損失を日本経済に与え、最近ではその累計額が100兆円にまで到達したという事実を説明する。

最後に、このような巨額の損失が発生した原因として、最近、株価の需給コメントのシリーズで書いているものと同じ内容を記すことにする。

繰り返すが、アベノミクスの否定論者でも、株価を上昇させたことだけは功績として認める人が多い。一方、私は、株価上昇のプラス面、マイナス面の両方を今までに何度も書いてきた。今回はプラスの面には触れず、マイナスの面だけに触れることにする。唯一の正しい見方ではないが、一つの有力な観点から見た場合、大変大きなマイナスにもなりうる、ということを書くことにする。

そもそも、利益、損失、純資産の増加、純資産の減少というものは、会計基準によって変わるものである。民間企業でも、日本会計基準、国際会計基準、米国会計基準によって利益や純資産は異なる。利益、純資産というものは、万人の意見が利益、純資産であると一致するものは当然存在する。しかし、利益か利益でないか、純資産の増加か増加でないか、専門家の間で意見が分かれるものも当然存在する。そのため、会計基準によって利益や純資産は異なってしまう。

正確性が他の会計基準より明らかに低い会計基準は、過去には使われていた。しかし、そのような会計基準は修正され、現在では使われていない。現在使われている複数の会計基準の利益、純資産の中で、どの基準が一番正しいかは、専門家の間でも一致してはいない。そもそも会計基準というものは、国や時代が異なれば、「正しい」内容が異なっても当然なのかもしれない。

より難しいのは、民間企業以外の利益、あるいは純資産である。日本という国レベルで、純資産が毎年どれだけ増加、または減少しているかについての会計基準は、事実上、一つしか存在しない。現在、日本で使われている日本の純資産に相当するものは、国民経済計算ベースでの国富(=正味資産)である。この会計基準は、いろいろと問題点が指摘されることが多い。しかし、現在、国ベースでどれだけ資産を増やした、あるいは減らしたかを認識できる統計は、国民経済計算ベースの国富しか存在しない。問題点があることは頭に入れながらも、事実上、一つしか存在しない日本の国富を表すグラフを下記に示す。


国富
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/img/20150510172757912.gif/


国富の大半は非金融資産である。それ以外は、金融資産の一部である対外純資産だけである。国富の大半をしめる非金融資産が減少傾向を示している最大の原因は、地価の下落である。対外純資産は増加傾向にある。

国富には、対外純資産以外の金融資産が存在しない。これは、金融資産が存在すれば、必ずそれに等しい金融負債が存在していると国民経済計算では考えるからだ。この場合、株価が上昇しても、株価の時価総額の増加額に等しい金融負債が増加していると考えるのである。この考え方に基づけば、アベノミクスの結果株価が上昇しても、プラスは発生しない。株価の時価総額と同金額の金融負債が同時に増加すると考えるからだ。株式保有金額の増加額のうち海外投資家による日本株保有分については、海外投資家の資産増加と、国内部門の負債の同金額の増加が発生すると考える。これを日本から見れば、国内の負債の増加分と同金額の国内資産が増えているのではなく、同金額の対外負債の増加だけが発生していると見える。対外負債の増加であるから、対外純資産の減少、すなわち国富の減少を意味する。日本の株価が上昇すればするほど、資産は増えず、対外負債だけは増加し、対外純資産と国富は減少する。

国民経済計算は年1回公表され、最新のものは2013年度版である。非金融資産については国民経済計算が唯一の統計である。しかし、対外純資産を含む金融資産については、国民経済計算に準じるものとして、日銀の資金循環統計が存在する。これは年4回公表、最新のものは2014年版である。両者の会計基準は、主体や項目などの分類の定義に違いがあり、一致しない数字も多いが、理論的には同種のものと考えてよい。そのため、前回と同様に、国民経済計算ではなく資金循環統計の数字を使って、株価上昇による損益を計算する。なお、国民経済計算の株式は未上場株をも含めたすべての株式が対象であり、上場株だけの数字を求めることはできない。ここで使う数字は、資金循環統計における上場株だけの数字である。

2014年末における投資部門別の株式保有金額(上場株だけが対象)を表すグラフを下記に示す。


投資部門別保有金額
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/img/2015051017282459d.gif/


2014年末における最大の大株主は海外投資家であり、その金額は165兆円、全体の31%を占めていた。

次に、アベノミクス相場の開始以降、上記の株式保有金額がどれだけ増加したかを表すグラフを下記に示す。


投資部門別保有金額の増加額
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/img/201505101728253d4.gif/


アベノミクス相場の開始日は、野田前総理が衆議院解散を明言した2012年11月14日である。しかし、その日からの統計は存在しないので、代わりに2012年9月末を基準にした。保有金額にだいたいは比例しており、海外投資家による株式保有金額の増加額が95兆円と一番大きい。

次に、アベノミクス相場開始以降の投資部門別の売買状況を表すグラフを下記に示す。

投資部門別売買
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/img/201505101728224f6.gif/

このグラフの起点も、2012年9月末にした。見てわかるとおり、買いの大半は海外投資家である。2014年から公的資金が買い始めたので、信託銀行が少し買い越しになっている。最大の売り越し主体は家計、すなわち個人である。

次に上記の2つの表で示される金額の差を表す投資部門別の調整額というグラフを下記に示す。

調整額
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/img/20150510172758332.gif/

調整額の定義は、資産の変動金額と売買金額の差である。具体的には、調整額の大部分は株価の値上がり益であり、かなり広い意味ではあるが統計上の不突合が一部に含まれている。最大の大株主である海外投資家が一番大きな株価の値上がり益を獲得している。

最初に示した国富の中の対外純資産は、フローベースでは「経常収支+資本移転等収支」の累積金額になる。一方、ストックベースではそれ以外のさまざまな資産価格の変動の影響を受ける。さまざまな資産価格の変動の中で最も寄与度が高いのは、為替レートと株価の変動分である。

日銀の資金循環統計ベースの対外純資産は、2012年9月末の277兆円から、2014年12月末の376兆円まで98兆円の増加となっている。このうち、海外投資家の日本株投資残高は、先のグラフで示したとおり95兆円、うち買越金額は20兆円、調整額、すなわち株価の値上がり益は75兆円である。海外投資家は日本の株価上昇により、75兆円前後の値上がり益を獲得した。このため、日本の株価が2012年9月と2014年末が同じであったと仮定するならば、対外純資産は376兆円より75兆円多い451兆円になっていたはずである。株価が上昇したがために、75兆円もの対外純資産と国富が減少したことを意味する。

しかし、アベノミクス開始以降の対外純資産は、株価上昇によるマイナス効果以上に円安によるプラス効果の方が大きかった。フローベースの「経常収支+資本移転等収支」の金額は小さかった。そのため、主として円安の結果として対外純資産は増加し、株価上昇によるマイナス効果は見えにくかった。

株価上昇によって海外投資家が獲得した75兆円の調整額は、2014年末の金額である。2015年に入ってからも、日本の株価は上昇している。ここで海外投資家の保有株式金額はTOPIXと同じ動きをすると仮定する。今年に入って、海外投資家は現物株を買い越しているが、残高との比率では大きな数字にならないので、ここではゼロと仮定する。この仮定に基づいて、2014年末からの海外投資家の日次の調整額累計を表すグラフを下記に示す。


海外投資家の調整額
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/img/201505102339329ee.gif/


調整額の起点である2012年9月末の株価は、2012年11月14日の株価より少し高い。従って、基準点が2012年11月14日のグラグが作成可能であったと仮定したならば、その金額は上記のグラフの金額を少し上回ることになる。それ以外の調整額についての仮定も、実際の調整額より少なく算出される仮定になっている。ただし、統計上の不突合は上下のどちらにも存在する。それでも、より正確なデータが存在すれば、上記のグラフの少し上を進んでいる可能性が高い。

少しばかりの仮定をおいて算出される累積調整額は、2015年4月22日に100兆円に到達した。この金額は、アベノミクス相場開始以降、日本の株価上昇によって失われた国富の金額にほぼ等しい。アベノミクスによる株価上昇が原因で失われた国富は、4月22日についに100兆円に到達してしまったのである。4月22日は実に悲しむべき日である。しかし、4月22日という日は、2000年4月14日以降、日経平均株価の終値が2万円台で引けた記念すべき日でもある。株価が上がってめでたし、めでたしの日でもあった。私が悲しむべきと考える日と、みんながお祝いをしている日が、同じ日になってしまった。

アベノミクス相場の開始以降の株価上昇による(上場株だけから発生した)国富の損失100兆円という数字は、多少の誤差があるとしても、ほぼ正しい金額である。

ただ問題点は、国民経済計算という会計基準、その会計基準に基づいて算出された国富の金額が、正確な富の変動を本当に表しているかどうかという点である。会計基準を少し変えれば、100兆円の損失が大きく変わる可能性はありうる。会計基準に絶対的に正しいという基準は存在しない。

国民経済計算という基準、中でも、ストック統計の会計基準についてはいろいろな批判が存在する。しかし、日本という国レベルで、純資産、あるいは国富が毎年どれだけ変動しているかを知るための会計基準は、事実上、一つしか存在しない。その唯一の基準とも言うべき国民経済計算という基準を使えば、アベノミクスによる株価上昇で失われた国富の累計額が、4月22日に100兆円前後に到達したという事実を動かすことはできない。

株価上昇はアベノミクスの最大のメリットというのは正しくない。国民経済計算という有力な会計基準を使った場合、アベノミクスは、株価上昇の結果として日本の国富を100兆円も失わせた。アベノミクスがもたらした株価上昇の結果は、大変大きな利益ではなく、100兆円という巨額の国富の損失であったという観点が存在することは重要であり、この事実を忘れてはならない。

最後に、最近、株式需給コメントのシリーズに書いているものと同じ内容、すなわち100兆円の巨額の損失が発生してしまった原因とその対策を記すことにする。
 

政府・日銀の犯罪的な政策について

日本企業の株というものは、日本国民にとっての大変貴重な財産である。それに対して政府・日銀が過去にとってきた政策は、1989年12月29日の高値38,915円から2009年3月10日の安値7,054円まで、19年強の期間、最大で82%も日経平均株価を下落させたことである。

そして、国内投資家に、株価はもう上がらないという非常に強い予想、期待、確信と、株価が戻れば売らなければならないという非常に強固な信念を抱かせてしまった。そして、1991年以降、結果として取引所という流通市場だけで92兆円、発行市場も含めた国際収支ベースでは114兆円もの日本の現物株を国内投資家が海外投資家に安値で売り渡すことになってしまった。

これは犯罪的とも言えるレベルの政策である。アベノミクス相場が始まってからも、国内投資家は取引所という流通市場だけで20兆円の現物株を海外投資家に売り渡しており、犯罪的な政策は是正されていない。


ここまで来てしまった以上、完全に手遅れであり、経済をデフレ不況に戻すことなくこの問題を解決する方法はもはや存在しない。できること、可能なことは、損失のさらなる拡大をくい止めることだけである。そのためには、国内投資家が株を買い越すようになるまで金融緩和の強化を続けるしかない。

2013年4月の異次元緩和は、あまりにも遅すぎであり、金額も少なすぎた。実施の翌週に、国内投資家が過去最高の金額の現物株を海外投資家に売り渡すという非常に大きなマイナス効果が現実のものになってしまった。2014年10月の第2弾の翌週も、国内投資家が海外投資家に現物先物合計で過去最高の金額を売り渡すという巨額のマイナス効果しかもたらさなかった。

現在も効果がマイナスという状態が続いている。金融緩和を大幅に強化すれば、巨額の残高が存在する国債という運用先を失った国内投資家は、高値でも株を買わざるをえなくなる。この場合、国内投資家に、安く海外投資家へと売り渡した株をバブルに匹敵する高値で買い戻すように誘導することになる。実にバカバカしいことだ。しかし、これ以上海外投資家に株を売り渡せば、株価上昇と並行して増える損失がさらに拡大する。過去の政策があまりにも犯罪的すぎたので仕方がない。

株価が2万円前後にまで戻っても、国内投資家がまだ海外投資家に大量に株を売り渡し続けているという現状は異常である。過去における政府・日銀による犯罪的な政策を容認し、現在の異常な状態を異常と思わない人が多すぎることは、大問題である。
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/blog-entry-184.html


アダム・スミス2世の経済解説 2017年6月第3週 株 コメント


日銀の量的質的金融緩和策には効果がある。第2週の2万円を少し下回ったところでは個人を中心に買い越しを維持していた。しかし、2万円台を抜けて上昇すると個人と投信の現先合計で週間5000億円以上の売り越しになってしまう。

これは、金融緩和に効果はあるが、不足しているから起こる現象である。

アベノミクスが始まってから、株高によって100兆円前後というとてつもない国富の損失が発生している。しかし、その損失はほとんど認識すらされていない。

ここでテーパリングではなく思い切った金融緩和の強化を実施すれば、国内投資家が上値でも買い越しになる可能性が高まる。

海外投資家に安く売った株を高値で買い戻す。実に馬鹿馬鹿しい買いである。

しかし、株価上昇による損失拡大とデフレ不況の両方を避けるためには、国内投資家は今からでも買うしか方法がないのである。
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/blog-entry-328.html#more

2. 中川隆[-9338] koaQ7Jey 2020年12月12日 15:10:44 : eIoE9QZswE : VkQxbW1yT1RGa0U=[19] 報告
「アベノミクスの成果」【事実をいえば……】

安倍政権の発足直前(2012年10月〜11月)、政府は、80円台から105円(2013年12月)への円安を生むため、30兆円のドル買いを、秘密裏に、郵貯・かんぽ生命等の政府系金融機関に、行わせています。

25円(30%)の円安目的の、「円売り/ドル買い」マネーが、米国系投資銀行に入って、ヘッジファンドから、2012年末から日本株の買い越し(5兆円規模)になり、日経平均が8,500円台だった株価が、1万4,000円に上がっています(2013年末)。

これが、「アベノミクスの成果」とされたのですから、内実は白々しいことでした。当時の当メールマガジンにも書いたことです。

通貨と株価の大きな変化には、いつも、資金量をもっとも大きくできる政府と中央銀行、および政府系金融機関が関与する原因があります。
https://www.mag2.com/p/money/911417


▲△▽▼

日本円が超円安になった理由
「アベノミクス」の正体

日本食潰す金融投機資本に貢ぐ 2013年5月17日付


安倍政府が発足して以後、「アベノミクス」と呼ばれる異次元の金融緩和や公共投資を中心とする政策が台頭し、急激な円安と株高の局面があらわれている。

昨年11月に民主党・野田政府が解散を表明した時点で8600円台だった日経平均株価は、半年たった今年5月中旬には1万5000円台まで急騰し、為替相場は1j=79円台だったものが102円台まで円安になるなど、世界的に見ても例がないほど大きな変動が起こっている。

海外投資家が時価総額のうち七割を占めている株式市場が熱狂し、さらに円安でトヨタをはじめとした輸出企業が過去最高益を上げるなど、金融緩和と為替マジックで金融資本や一部大企業がバブルに浸っている。

ところが一方で、燃油や穀物を中心に日本国内では生活必需品の価格が急騰し始めるなど、国民生活に深刻な影響が広がっている。「アベノミクス」でいったいなにが起きているのか、どうなっていくのかが重大な関心を集めている。


 
 バブルに群がる海外投資家

 この間、日経平均株価はリーマン・ショック以前と同レベルの価格まで急騰してきた。それほど好景気なわけでもなく、むしろ怒濤の首切りや製造業の海外移転を経て失業や貧困が全国的な範囲で広がり、生活実感としては悪化しているにもかかわらず、「日本株、年初から45%の上昇率」「1万5000円台回復」が叫ばれている。今後はさらに1万6000円台、1万7000円台まで上昇するとエコノミストたちが煽っている。

 しかし株式市場もよく見てみると、東証一部の約6割にあたる1000近くの銘柄が値下がりしている。株価が急騰している4割のなかでは円安効果の恩恵を受けた自動車産業や、ソニー、パナソニック、三菱電機といった企業が年初から倍近い株価をつけている。逆に株価が急落している企業としては不動産関係や、国内小売りのヤマダ電機、イオン、東芝などの企業群だ。

 東証の株式時価総額は昨年10月末には261兆円まで落ち込んでいたのが、今年4月末の段階では411兆円にまで膨れあがっている。わずか半年で150兆円がなだれ込んでいる。この半年の推移を見てみると、11月に14兆円増加し、12月には26兆円増加、1月に29兆円、2月に13兆円、3月に23兆円、4月には46兆円とすさまじい勢いで資金が流入しているのがわかる。

 このなかで投機の中心的なプレイヤーとして振る舞っているのが海外のヘッジファンドや投資家といわれ、時価総額の大半は国内資金ではなくこうした海外資金であることが明らかになっている。

サブプライム危機で行き場を失った膨大な余剰資金がヨーロッパを食い物にし、ギリシャ、スペインなど南欧諸国の国家破綻でボロもうけした後しばらくは中国や新興諸国のバブルに巣くっていたが、それも一段落ついて今度は「アベノミクス」バブルに大集結していることを反映している。


 世界3大投資家の一人であるジョージ・ソロスがわずか3カ月で970億円を稼いで

「黒田はガッツがある」

「緩やかに死に向かっていた日本市場の目が覚めた」

などと褒めちぎり、

「しかし円が雪崩のように下落する恐れがある」

などと発言する状況ができている。こうした抜け目ない守銭奴は、日本経済が低迷しているといわれた時期に底値で株式を買い取るなど仕込みを終え、現在のように素人が「株がもうかる」と思い始めるような段階には見切りをつけて売り抜けている。

カモにされるのはいつも決まって素人で、証券会社にそそのかされた年寄りや、中流世帯が巻き込まれて泣きを見ている。


 加熱する米国債の購入 日銀の金融緩和で


 国債市場は株式市場よりも規模が大きく、世界的には株式市場の3倍にもなるとされている。この間の円安で輸出企業は潤ったといわれているものの、円安そのものが国債暴落で、1j=80円の段階で例えば1万円の日本国債の価値がドルベースで換算すると125jだったのが、いまや1j=100円超えなので、その価値は100jと大幅に下落することになった。

 こんな日本国債を持っているよりは、ドル建ての米国債を購入した方が儲かるという判断が働いて、日銀が金融緩和すればするほど米国債買いが加熱して、海の向こうに資金が流れ出していくことになっている。

円建ての日本国債を売り払って円を調達し、その円を売り払ってドルを買って米国債を購入するのが流れになり、あるいは国債を売り払った資金で株式市場に投機する動きとなった。


 安倍政府、日銀による異次元の金融緩和は、米国債購入という形で吸い上げられ、あるいは国際金融資本の博打の源泉として食い物にされる仕組みになっている。

リーマン・ショック後に、米国ではFRBが気狂いじみた量的緩和を実行し、銀行群の損失処理にあたり、ヨーロッパではECBが負けず劣らずの量的緩和をやり、市場に資金を供給してきた。そうしたマネーに寄生し、バブルを渡り歩いてきたのがヘッジファンドで、熱狂した後に売り浴びせることは、過去に日本市場でも経験済みだ。


 円安でも拠点を戻さず 海外移転の大企業

 日本国内ではこの数年、大企業が円高を理由に海外移転を繰り返してきた。ところが円安になったからといって日本に拠点を戻すわけでもなく、多国籍企業のようになって出ていく。内部留保を散散貯め上げたうえで、そうした過剰な資本は国民生活の水準を引き上げるためには用いられず、より利潤の得られる後進諸国への資本輸出や進出へと向けられている。ベトナム、ミャンマーといった進出先のインフラ整備までODAで日本政府に肩代わりさせるのだから、国民の面倒は見ずにもっぱら寄生するだけの存在というほかない。

 その株式を保有しているのが米国をはじめとした海外の超富裕層や、錬金術に長けた金融資本で、人為的な円安、株高政策にせよ、TPPにせよ、日本の富を米国富裕層の個人資産に移し替えてくれる「アベノミクス」だからこそ大歓迎している。

 グローバリゼーションのもとで、かつてなく世界を股に掛けた投機が横行し、産業集約が進んでいる。金が溢れて投資先に困るほど、生産は社会化して富は増大している。ところがその金は一%にも満たない超富裕層が握りしめて離さないことから、九九%がますます貧困に追いやられ、モノが売れずに経済活動は停滞。金融が破綻すれば損失を国家に転嫁するというデタラメがまかり通っている。

 ヘッジファンドが食い荒らしている日本市場の姿と、その資金をせっせと提供している「アベノミクス」の存在が暴露されている。
http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/enyasukabudakanokagedekyuurakusurukokusai.html


▲△▽▼


安倍「官製相場」の正体。国民生活が疲弊し対米従属は加速する=吉田繁治 2016年10月20日
http://www.mag2.com/p/money/24781


2012年12月に発足した安倍内閣はアベノミクスを標榜し、株価上昇をその支持基盤としてきました。あれから約4年、いよいよ「株価政権」の総括検証をすべき時期が来ています。(『ビジネス知識源プレミアム』吉田繁治)

※本記事は有料メルマガ『ビジネス知識源プレミアム』2016年10月19日号を一部抜粋・再構成したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した内容(約5,000文字)もすぐ読めます。

なぜ株価は景気を反映しなくなったのか?官製相場の欺瞞を斬る

安倍首相の「スタートダッシュ」

消費税10%法案を通した野田民主党の自滅により、自民党は2012年12月、3年4ヶ月ぶりに政権に復帰しました。首相自ら「アベノミクス」と呼ぶところの、安倍政権の経済・金融政策の始まりです。

安倍首相は前回の失敗から、「スタートダッシュが肝心」と決めていました。自公政権が確実になった12年10月に明らかになったのは、
◾脱デフレの大きなマネー増発策
◾10年で200兆円の国土強靱化の公共投資

でした。日銀法を改正し、独立権を奪ってでも、マネーを増発させるという強いものだったのです。

国土強靱化は、財政赤字を200兆円分拡大して危険だ、という財務省の反対で消えました。東日本大震災の復興予算として、別途、28兆円の政府支出が必要だったからです。

マネー増発を推進するミッションを持ち、黒田総裁・岩田副総裁体制になった日銀は、異次元緩和(量的・質的金融緩和)を開始します。

量的緩和は、金融機関がもつ国債を買ってマネーを増発する政策です。質的緩和は、日銀が日経平均(株式ETF=上場投信)とREIT(不動産投信)を買いあげて、価格を上げるものです。

日銀による株買い(ETFの購入枠は6兆円/年)、これは普通、中央銀行が禁じられていることです。

恐慌の研究家である前FRB議長のバーナンキは、「日銀がケチッャプを買えば物価上がる」と言っています。あるいはヘリコプターでお金をばらまけばいいとか、ニコリともしないで異常なことを言う。

日銀が増刷した円で店頭商品を買えば、需要の超過になり物価は上がります。車を100万台(3兆円)、住宅を100万戸(30兆円)買ってもいいが、さすがにそれはできない。そこで株を買う。

日銀の株買いは迂回(うかい)して行われた

金融機関は、国債をはじめとする債券と貸付金で預貯金や基金を運用しているので、余分な現金は持ちません。

量的・質的緩和を政策にした日銀が、郵貯、年金基金(GPIF)、かんぽがもつ国債を買う。政府系金融と基金(GPIF)はそこで得た円で、日米の株とドル国債を買う。ワンクッションおいていますが、日銀が直接に日米の株を買い、米国債を買うことと同じです。

日銀は直接買うETF(年6兆円の枠)以外に、迂回路をとり数十兆円の株買いを行ったと言えます。方法はごまかしめいて姑息ですが、マネーの流れとしては露骨です。

日銀は量的・質的緩和として、円を下げ、株を上げ、インフレに誘導する「可能な手段の全部」をとってきたのです。

株価上昇は、株主の資産(東証一部時価総額511兆円 ※16年10月18日時点)を増やします。同時に企業の増資コストを下げます。資産が増えた株主は、資産効果で消費を幾分か増やします(しずくのようにわずかなのでトリクルダウンという)。百貨店で、100万円級の機械式時計が売れたのが、この資産効果です。

株価は理論的には、企業の将来の税引き後の予想純益を、期待金利(リスク率を含む株式益回り:6.6% ※16年10月18日時点)で割ったものと等価です。これが表現するのは、株価は企業の予想純益の結果ということです。

しかし多くの人々には、「株価が上がった→景気がよくなったからだ」と理解されます。下がっていた血圧が輸血で上がったから健康に戻った、と思うような本末転倒ですが、投資家と上場企業は歓迎します。支持率が上がるので、政府与党も喜ぶ。

株価が下落し、支持率も低くなった前回の反省を踏まえた安倍首相は、スタートダッシュで円安の誘導、株価の上昇に躍起になりました。円安の誘導は、輸出を増やし、株価を上げるためでした。

マネーの流れ

ヘッジファンドは保有しているドル国債を日本に売り、得た円で、出遅れていた日本株を買う。そして実は、総資金量が420兆円と日銀よりも巨大な政府系金融(現在名ゆうちょ銀行、かんぽ保険、GPIF:総資金量420兆円)は、日銀に国債を売って得た円で、米国債も買っています。

公的年金の残高139兆円(15年12月)を運用しているGPIFの、15年12月のポートフォリオ(分散投資)は、「円国債38%、国内株23%、外国債券(主は米国債)14%、外国株23%」です。

※日銀がGPIFの国債を買いあげる→GPIFは得た現金で国内株、米国債、米国株を買う→GPIFに米国債を売ったヘッジファンドはそのマネーで日本株を買う

マネー運用には遅滞が許されないので、この迂回路取引がコンピュータの中で、一瞬で起こります。

安倍政権の初年度だった2013年には、外国人(ヘッジファンド)からの15.1兆円もの巨大買い越しがありました。

外国人の売買は、東証一部の年間売買額460兆円のうち320兆円(約70%:16年7月水準)です。国内勢(金融機関と個人投資家)は、1990年のバブル崩壊後の損失の累積で資産を減らしたため売買がとても少ない。国内勢の売買は140兆円です。

他方、多くがオフショア(タックスヘイブン:租税回避地)からであるヘッジファンドの売買が320兆円です。東証はこのヘッジファンドの支配下です。

ヘッジファンドの日本株買いと、円先物売りのマネーの多くは、GPIFにおけるような迂回路をとって日銀が買い続けている、政府系金融の国債の現金化から来ています。

安倍政権前から始まっていた「官製相場」

政治相場(あるいは官製相場)は、14年10月末に発表された「日銀の追加緩和」と「GPIFの運用方針の変更」から始まったように言う人が多い。

しかし、マネーの流れを比較貸借対照表で調べると、安倍政権が始まる前の12年の10月から秘密裏に開始されています。最初は、円安介入のための30兆円の政府系金融マネーでした。

※総資金量420兆円の政府系金融3機関が、日銀に国債を売ったマネーで、米国債を30兆円買った→米国債を売ったヘッジファンドが日本株買い/円の先物売りを行った

安倍政権が確実になる前、12年9月の日経平均の予想PER(加重平均)は、1ドル80円台の円高の中で12倍付近と低かった。米国ダウのPERは15倍と3倍高かった。

上場企業(東証一部2000社)においては、輸出製造業の株価シェアが大きい。円安/ドル高になると、利益が数倍に増えます。このため、円安で日本の株価は上がり、円高で下がる基本性格があります。

通貨の低下は、普通、国力(政治力)と経済力の低下を示します。しかし日本では、ドルでは同じでも円での輸出価格が上がる。このため、上場企業の利益が増える予想がたち、株が買われます。
(注)予想PERは、株価の時価総額を次期予想純益で割った株価/収益倍率であり、株価の高さ、低さを判断するための指標です

PERが15倍なら将来15年分の、未実現の企業純益を株価が含んでいます。16年10月の日経平均の加重平均のPERは、14.3倍付近です。単純平均のPERでは18倍と高い。日経平均は、ユニクロ(ファーストリテイリング)の34倍のような高PER銘柄を含むからです。

2016年10月現在、日経平均は1万7000円付近です。米国ナスダックの予想PER(単純平均)は現在21.9倍で、バブル価格の水準です。他国をあげると、インド18.2倍、英国17倍、米国ダウ16.8倍、上海総合14.4倍、ドイツ13.3倍、ロシア6.8倍です。


円安誘導という名の「米国債買い」を実行

安倍政権誕生の2ヶ月前、1ドル77円(12年9月)だった円は、その2ヶ月前から下がりはじめ、10月に80円、11月に83円、12月には87年円と13%の円安になっています。続く13年1月に92円、2月には93円と下がり、6月には岩盤に見えていた100円も超えたのです。
(注)円安のピークは、15年6月の125.8円です。16年2月のマイナス金利以降は、逆に円高になり16年10月は104円付近です

円安は、世界の外為市場(円の売買が日量120兆円:2016年)での「円売り/ドル買い」が「円買い/ドル売り」を超過することで起きます。なぜ50%(1ドル120円)もの円安になったのか?

ここで、財務省の外貨準備($1.26兆:126兆円:16年10月)は、目立つので使われなかった。かわりに、ゆうちょ銀行、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、かんぽに、推計30兆円の「円売り/ドル買い」を行わせたのです。

前述のように、日銀がゆうちょ、年金基金、かんぽがもつ国債を買い、政府系3機関は、そこで得た円で、円安誘導を目的にしたドル債買いを実行するわけです。

さて、米国政府は、為替介入を行う国を「為替操作国」と強く非難します。しかし、円売り/ドル買いで得たドルで米国債を買うと途端に沈黙します。この理由は何でしょうか?


アメリカ政府の債務は2000兆円

米政府の総債務(自治体と社会保障の債務を含む)は、日本国債の2倍の$20.0兆(2000兆円:16年)に膨らんでいます。米国債も$15兆(1500兆円:同年)に増えています。

財政赤字は毎年、$7000億付近(16年度は$7130億)です。17年には、公的医療費($2.8兆:280兆円:12年)の増加で、赤字は$1兆を超えるでしょう。

米国の人口ピラミッドは、日本の10年遅れです。医療費では診療単価が約2.5倍高く、総額で$2.8兆(280兆円:12年)です。3.2億人の国民の、健康な人を入れた1人あたり年間医療費は$9000(90万円)です。

日本の医療費は、40兆円で1人あたり31万円/年。米国は1人あたりで3倍も多い。米国の医療費は信じられない高さです。盲腸の手術や流産で200万円とか…日本は世界的には医療費は安い。

米国政府は、この高すぎる医療費のため、日本の10年遅れで高齢者が増えるとつぶれます(ほぼ確定でしょう)。

米国は、新規国債のうち50%は、経常収支が黒字の中国と日本に売らねばならない。米国内では50%分しか買い手がない。米国は、海外からマネーを借りる構造を続けています。円でドル国債を買うことは、マネーの流れとしては米国への貸し付けです。

経常収支の赤字国は、感覚では逆ですが、資本収支では黒字になります。資本収支の黒字とは、マネーが流入することであり、現象形は、海外の金融機関が米国債、株、社債、MBS(住宅ローン担保証券)を買って、ドル預金をすることです。

わが国の民間では、国内の運用先がない三菱UFJグループ(総資産281兆円:16年6月)が、米国運用を増やしています。米国経済は、海外資金が大挙して引き揚げるとひとたまりもない。このため、米国はユーロや円より約2ポイントは高い金利を続けねばならない。


米国が利上げしなければならない本当の理由

米国が14年10月に、3回行った量的緩和(QE:$4兆:400兆円)を停止し、2015年12月にFRBが0.25%利上げした本当の理由は、金利が低いままだとドル債が売られ、海外から来たマネーが逃げる恐れがあったからです。逃げはじめてからの利上げでは、間に合わない。

米政府とFRBが、日本に金融緩和を強く勧めるのも、米国債と株を買ってもらうためです。異次元緩和にも米国への資金環流という条件がついていました。リフレ派は亡国のエコノミストに思えます

リーマン危機のあと、400兆円のドルを増発した3度のQE(08年〜2014年)でマスクされていた米国の「大きな対外不均衡」は、今も世界経済における根底の問題であり続けています。

米国の対外総債務は、$20兆(2000兆円)、対外資産を引いた純負債は$8.8兆(880兆円)と巨大です(15年末)。

一方で日本は、官民で948兆円の対外資産をもち、対外債務は609兆円です。339兆円の純資産があります(15年末:財務省)。経常収支が黒字になり、バブル経済で世界ナンバーワンと言われた1980年代以来、企業と金融機関が営々と貯めてきたものが、対外純資産になっています。

関連して言うと、中国は、公式には$2.1兆(210兆円:14年)の対外純債権国とされています。しかし、15年と16年に民間で起こった「元売り/ドル買い」に対抗して、政府が行った「元買い/ドル売り」により、今は、純債務国に転落していると推計できます。

2015年12月で$3.3(330兆円)とされている外貨準備では、銀行の持ち分と政府の持ち分が二重に計上されています。中国の4大銀行は、全部が国有です。選挙と議会制度がない共産党国家・中国の経済統計には、かつてのソ連と同じ問題があります。


ヘッジファンドによる円売り・日本株買いのカラクリ

アベノミクスとは、インフレを目標にした、

1.日銀の国債買いによる通貨増発
2.ドル買い/円売りによる円安誘導
3.政府系金融とGPIFによる日本株買いと米国債買い


です。

2%のインフレを目標にしたのは、年金・医療費・介護費(社会保障費)が年率3%(3兆円)で増え続け、それが国債の増発に繋がって、債務比率(政府総債務1277兆円/名目GDP505兆円=253%)が拡大することを防ぐためです。

分母の名目GDPが年率で3%以上増え続けないと、債務比率が大きくなり、近い将来の財政破綻が確定するからです(名目GDPの下限目標=実質GDP1%+インフレ率2%)。

仮にインフレになっても、企業所得と税収が増える中で世帯の所得が増えない場合、国民の生活は苦しくなっていきます。年金支給額が固定されている年金生活者3100万人(15年:厚労省)と、円安では企業所得が減る多くの中小企業の雇用者4100万人(06年:経産省)、合計で7200万人は、インフレで実質所得が減ります。

しかし、それらは構わない。政府にとっては、差し迫る財政破綻の防止がはるかに大切だとされたのです。


円安と株価上昇には有効だった量的・質的緩和

需要が増えることによる物価上昇に効果がなかった量的・質的緩和は、12年末から15年までの円安と株価上昇には有効でした。13年と14年の物価上昇は、円安での輸入価格上昇が主因です。世帯消費と企業の設備投資は増えていません。

東証では、年間420兆円の売買額の70%が、オフショアからのヘッジファンドによるものです。国内の個人投資家と金融機関は、90年からのバブル崩壊、00年のIT株崩壊、08年9月からのリーマン危機で3回の大きな損失を被ったことから、売買額が30%に減っています。

個人投資家700万人の多くは、上がるときは損失を回復するため売り越す、下がるときは難平(なんぴん)買いで買い越すという行動を取ります。


2012年末以降の日本株式市場の売買構造

このため、わが国の株価を決めているのは、70%のシェアになったヘッジファンドの売買です。


1.ヘッジファンドが買い越せば上がり、売り越せば下がる

2.下がっては、政府と投資家が困る

3.ヘッジファンドが売り超になると、3つの政府系金融(総資金量420兆円)と日銀(同459兆円:16年10月)が買いをいれる

という単純な基本構造が、2012年末から2016年10月まで続いているのです。

しかし2016年は、政府系金融と日銀の買いに対する株価上昇の反応が鈍い。この理由は、

1.アベノミクスによる株価上昇が政治相場(または官製相場)であることを皆が知った

2.このため二番目に大きな売買シェアを持つ個人投資家(700万人)が、政府系金融に追随した買いを入れなくなった

ことにあります。


米国の後追い。2015年から日本でも自社株買いが増加している

1日平均売買額が2.9兆円(15年平均)だったものが、2.3兆円(16年7月)に減った現在の東証一部で、大きく増えているのは自社株買いの4.3兆円です(16年1月〜9月)。

これは、事業法人の買い超に含まれます。年間では5.7兆円の買い超になるでしょう(13年1.5兆円、14年2兆円、15年3兆円)。

自社株買いは、市場で流通する株式数を減らします。会社利益は同じでも、1株あたり利益は上がったようになり、株価も上がります。タコが自分の足を食べることに似たこの自社株買いは、上場大手企業が留保利益で将来投資をせず銀行預金として貯まった、現金100兆円で行われています。

自社株買いでも、買いが増えれば株価は上がるので「株価上昇という形の株主配当」とされています。経営者が株主サービスとして行うのです。問題は、自社株買いは、いつまでも続けることはできないことです。

米国の2012年以来の自社株買いは、とても大きい。16年の第一四半期で$1820億(18.2兆円)です。年間では73兆円という巨額です。米国では、日本よりはるかに個人株主の要求度が高い。株価が1年も下がり続ければ、資産を失った株主により、株主総会で経営者が追放されます。

このため、経営者は米国FRBの量的緩和と、わが国と同じ将来投資の少なさから滞留したキャッシュフローで、年間73兆円もの自社株買いで事実上の減資をしているのです。

時価総額で世界一のアップル($6091億=60兆円:16年9月)は、社債を発行しゼロ金利マネーを得て、それで巨額の自社株買いを行っています。米国のダウやナスダックの大手企業の株価は、大きな自社株買いで20%から30%は高値になっているでしょう。

本稿執筆時点のダウは1万8161ドル、ナスダックは5243ポイントで史上最高値圏です。過去10年の純益を元にしたシラーP/Eレシオ(26.6倍:16年10月)が示すように、数十%のバブル性があると見ることができます。株価維持のために膨らみすぎた自社株買いの減少があれば、下がります。

自社株買いは、政府主導の官製相場と同じく、3年も5年もと続けることはできません。事実、2016年は米国の自社株買いはピークアウトして、今後は減少する傾向も見えます。

米国の自社株買いの傾向に注目してください。これが減ると、米国株は下がります。米国株が下がると、日本と欧州にも即日に波及します


株価が景気を反映しなくなった理由

ポートフォリオ投資とHFT(超高頻度売買)を組み合わせた売買シェアが、60%まで増えています。10年代の国際金融は、ネットワークで、リアルタイムに連結されているからです。

世界中の国債や株の売りも買いも、コンピュータ画面で一瞬です。株と債券の金融市場は、インターネットで変容しています。売買を叫ぶ「場立ち」があった「のどかな市場」ではない。

それでなくても、わが国の日経平均は米国ダウの子供です。米国株を売買しているヘッジファンドがポートフォリオ(分散投資)で、日本株をたとえば12%と一定割合にしているからです。米国株が下がると、ポートフォリオの中の米国株が減少します。かわりに、12%枠と決めている日本株の構成比が上昇します。これでは日本株の下落リスクが大きくなる。

株価罫線を分析するトレンド理論(傾向理論)とは違う、ランダムウォークの理論では、向こう3ヶ月で10%上がる確率があるときは、10%下がる確率も同じです。このため、ポートフォリオでのリスクが、コンピュータが自動計算する数値で大きくなる。

従って、米国株が下がると日本株を売って減額調整するプログラムが組み込まれています。ヘッジファンドのほとんどの売買で行われているHFT(超高頻度売買)がこれです。人間は関与せず、現物・先物・オプションの売買を組み合わせ、瞬時に売買が行われます。

ファンドマネジャーの関与は、ポートフォリオの割合(パラメータ)を変えるときです。以上の売買構造が増えたため、日米の株価の動きは同時化します。日米だけではない。

世界の株式市場(時価総額6000兆円:世界のGDPの1倍)が、ほとんど瞬間連動して動きます。基礎的な経済指標によるファンダメンタル理論(端的に言えば、景気がよくなると株価が上がる)は、ほとんど関係がなくなっているのです。
http://www.mag2.com/p/money/24781

3. 中川隆[-9337] koaQ7Jey 2020年12月12日 15:13:16 : eIoE9QZswE : VkQxbW1yT1RGa0U=[20] 報告
アベノミクスは単なる為替操作だった

売国政治家列伝 _ 安倍晋三 _ 「アベノミクスの成果」【事実をいえば……】
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/789.html#c1

安倍首相辞任の裏に「CSISと朝鮮・田布施システム」! 米に見捨てられ実は逮捕寸前だった…暴かれた二階と今井の親中政治とは!?
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1149.html

ジェームズ斉藤 菅義偉の黒い正体 ― スパイ、田布施システム、MI6、小渕恵三との繋がり
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1148.html


▲△▽▼


日本のマネタリーベース、マネーストック、貨幣乗数
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/992.html

経済成長率、GDPデフレーター、潜在成長率とGDPギャップ
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1099.html

1ドル 30円から40円が適正価格
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/597.html

紙幣の刷り過ぎでドルが暴落する
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1039.html

GDP戦後最大の落ち込み 日経平均の金換算グラフ
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1001.html

日銀の金融緩和はアメリカの出口戦略に協力していただけだった
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/369.html

米国債は誰が保有しているのか・・・グラフにしてみた
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/958.html

日経平均株価が上がる程 日本人はどんどん貧しくなっていく _ アベノミクスがもたらした株価上昇による100兆円の損失
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/188.html

東証1部 公的マネーが大株主 8割 
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1127.html

国債を買って日銀に売るだけで確実に儲かる
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/969.html

日本が米国債を買いまくった為に、1ドルが70円以下になると日本の対外純資産はマイナスになり、日本の資産はすべて外資に乗っ取られる
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/149.html

次のバブル崩壊はこうして起こされる
http://www.asyura2.com/17/lunchbreak54/msg/784.html

日本を滅ぼす MMT (現代貨幣理論)
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/792.html

れいわ新選組 大西つねき : MMTは詭弁、赤字国債大量発行は貧富の差を拡大し階級社会を完成させる
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/711.html

▲△▽▼

日本の異次元緩和はアメリカに資金提供するために行われた
http://www.asyura2.com/13/ban6/msg/744.html

日銀の金融緩和はアメリカの出口戦略に協力していただけだった
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/596.html

中央銀行の金融緩和こそがデフレの原因
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/890.html

4. 中川隆[-9114] koaQ7Jey 2020年12月21日 23:05:47 : 3zP1R1s2bc : MG41NHJjem1sTW8=[73] 報告
田村秀男ひとりがたり#32
脱コロナ恐慌!貢ぎ続ける日本!日米金融同盟の本質と円高が続く日米経済の行方を占う!
2020/12/21







5. 中川隆[-9113] koaQ7Jey 2020年12月21日 23:06:47 : 3zP1R1s2bc : MG41NHJjem1sTW8=[74] 報告

7割がデジタル関連予算 国難に乗じて外資呼び込む布石 73兆円の補正予算の中身とは?
2020年12月21日
 菅政府がコロナ禍における追加経済対策を盛り込んだ2020年度第三次補正予算案を決定した。国の借金である国債発行(22兆3950億円)、予備費や予算の残りもつぎ込むため一般会計の追加支出は15兆4271億円だが、全事業規模は73・6兆円になっている。だがその内訳を見ると、新型コロナの拡大防止策に充てるのはわずか6兆円で、全体の約7割を占める52兆円規模を「デジタル改革」や「グリーン社会の実現」に大盤振舞する内容となった。「コロナ対策」と称して、マイナンバーカードを軸にした行政のデジタル化を一気におし進め、大企業のエコビジネス支援や外資呼び込みのテコにしていく火事場泥棒的な内容が露わになっている。

「雀の涙」のコロナ対策費と対照的に 

 菅政府は8日に73兆円規模の「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済政策」(追加経済対策)を閣議決定し、15日の臨時閣議で追加経済対策実施に向けた第三次補正予算案を決定した。この補正予算案は来年1月の通常国会に提出し、同月中の成立を目指す予定で、年明けの国会で対応が決まることになる。

 追加経済対策は3本柱で、「新型コロナウイルス感染症の拡大防止策」が6兆円、「ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現」が51・7兆円、「防災・減災、国土強靱化の進展など安全・安心の確保」が5・9兆円となっている。

 それぞれの中身を見るともっとも急がれるべき「コロナ感染拡大防止策」では、@医療供給体制の確保と医療機関への支援、A検査体制の充実、ワクチン接種体制等の整備、B知見に基づく感染症防止対策の徹底、C感染症の収束に向けた国際協力等、さまざまな項目は列記している。しかし医療機関支援策で実際に厚労省第三次補正予算案で示したのは、医療支援の都道府県向け緊急包括支援交付金増額(1兆1763億円)、診療・検査医療機関の感染拡大防止策支援(212億円)、医療機関・薬局の感染拡大防止策支援(858億円)、小児科等に対する支援や感染症回復患者の転院支援に係る診療報酬特例措置(71億円)、ワクチンの接種体制の整備・接種の実施(5736億円)等で、予算の追加額は約1・9兆円にとどまっている。

 国民生活に密着した防災・減災対策関連の予算も、総額は5・9兆円規模だが、老朽化した防災設備の更新や防災設備のデジタル化に力点を置いている。そのほか「自衛隊の安定的な運用体制の確保」「戦略的海上保安体制の構築」等を重視し、家屋倒壊などに直面した生活や災害の復旧にはなかなか回らない内容となっている。

 他方、こうした「コロナ感染対策」や「防災対策」の8倍をこす52兆円規模の予算をつぎ込んだのが「ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現」に向けた施策だった。それは「攻めの視点」の項で「行政デジタルの遅れ、東京一極集中など感染症を契機に浮き彫りとなった課題に対処」し、「グリーンやデジタルをはじめ成長分野に民間投資を呼び込みながら、生産性を高め、賃金の継続的な上昇を促し、所得の継続的な拡大と成長力強化につながる施策に資源を集中投下」すると強調し、ここぞとばかりにデジタル改革や経済構造転換を一気におし進めていく姿勢を浮き彫りにしている。

 ちなみに「デジタル改革・グリーン社会の実現」の項では次のような施策の実行を明記している。

【デジタル改革】

▽クラウド活用を原則とした自治体情報システムの標準化・共通化を今後5年で確実に実現▽マイナポイントによる消費活性化策の拡充▽健康保険証や運転免許証との一体化などマイナンバーカードの更なる普及促進▽オンライン学習システムの全国展開▽GIGAスクール構想の拡充▽保育所や児童相談所におけるICT(情報通信技術)化促進▽オンライン診療・服薬指導の恒久化▽5G(第5世代通信規格)やビヨンド5G(6G=第6世代通信規格)の研究開発、AI(人工知能)戦略研究開発拠点への支援▽スーパーシティ構想の推進▽書面、押印、対面の見直し等デジタル改革に向けた規制改革の推進▽テレワークの普及・促進▽バーチャル株主総会の実現(次期通常国会に関連法提出)

【グリーン社会の実現】
▽2050年カーボンニュートラル(2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにするという目標)に向けた革新的技術開発(次世代蓄電池、水素、カーボンリサイクル等)に継続的支援をおこなうための2兆円の基金の創設▽再エネ電力や充放電設備の導入と組み合わせた電気自動車・燃料電池自動車の普及促進▽企業の脱炭素化投資を促進する税制導入

 しかし、こうした施策の多くは、日本全体がコロナ対応で切羽詰まっているときに、どうしても必要な施策ではない。コロナ禍の混乱に乗じて、これまでできなかった経済政策を一気に実行へ移していく動きがあらわれている。第三次補正予算ではすでに、各省庁が細かい事業項目に数百億円単位で予算を計上している。

 さらに「経済構造の転換・イノベーション(技術革新)等による生産性向上」の項では、事業拡大を図る中小企業を行政が手厚く支援する施策や、日本に国際金融センターをつくり国内市場における外資のビジネスを全面バックアップする施策を盛り込んでいる。

 「中小企業支援」関係では「業態変更とあわせて事業を拡大する事業者を対象にした事業再構築補助金の創設(最大1億円)」を明記している。「イノベーションの促進」では「世界レベルの研究基盤を構築するための10兆円規模のファンド創設」「宇宙、海洋、AI、量子技術、ゲノム、バイオ、マテリアル等のイノベーション促進」を示している。そして「サプライチェーン(供給網)の強靱化と国際競争力の向上」の項では「対日直接投資の促進など海外活力の取り込み」を重視し「法人設立手続き等のオンライン化や英語対応、外国人の感染対策を含む医療・保険分野や教育・雇用分野など生活面での安心確保等を通じたビジネス環境・生活環境整備を加速する」と明記している。

 また「世界に開かれた国際金融センターの実現」の項では「海外で資産運用業等を行ってきた事業者や人材が、同様のビジネスを国内で行いやすくするため規制・税制面でのボトルネックを除去する」と明らかにしている。同時に「官民一体の“金融創業支援ネットワーク”の構築」に言及し「国・地方公共団体・民間一体で、資産運用業等を始める外国人の法人設立・事業開始・生活立上げへのシームレスな支援、事前相談から登録・監督等までの新規海外運用会社等への英語対応、在留資格の緩和や優遇措置の拡充を図る」「安心して日本でのビジネスを検討できる環境を整備する」と強調している。

 菅政府は「コロナ対策」「コロナ後を見越して」と主張し、73兆円規模の追加予算を投じて日本全体のデジタル化をおし進めているが、それは日本国内に外資を呼び込み、外資が日本市場を食い物にしていくための下準備にほかならない。
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/19534

6. 中川隆[-8676] koaQ7Jey 2021年1月03日 09:36:36 : FN5ePxnIHg : QTVvd0FDb0FsLms=[4] 報告
令和3年度税制改正大綱の闇 簿記が暴く税金の真実(室伏謙一×森井じゅん)
2021/01/03



7. 中川隆[-7102] koaQ7Jey 2021年2月25日 16:15:47 : h1tuRvn9W2 : VUY4cE01L0hTT2M=[14] 報告
2021.02.21 投資戦略
コロナ禍の大規模金融緩和でインフレになるか?金価格の下落と過去30年の日本が示すもの。どんな状況下でも安心できる投資とは?
https://tsubame104.com/archives/13814


金融緩和=貨幣価値の低下

今週は「これからインフレが起きるか」について書きたいと思います。

コロナ禍における経済対策として、各国が金融緩和の度合いを強めています。金融緩和には「質的緩和」と「量的緩和」があります。質的緩和とは主に金利を引き下げることで、量的緩和とは市中に出回るお金の量を増やすことです。

金利が下がると企業や個人がお金を借りるハードルが下がりますし、お金の量(=銀行の手元資金)が増えると銀行もお金を貸しやすくなります。政府はこれによってお金を使う企業や個人が増え、経済が活性化することを期待しているのです。

しかし、歴史的に見ればこれが行き過ぎるとインフレを引き起こします。お金を手に入れるハードルが下がるので、みんなが欲しいもの、例えば石油などを先回りして買おうという動機が生じ、価格が上昇します。物への需要に対し、貨幣の供給が上回るためです。これは同時に「貨幣価値が下がる」ことを意味します。

貨幣価値が急激に下がると、経済は混乱します。預金が価値を失ってしまい、年金生活者は生活に困窮することになってしまいます。ソ連崩壊後のロシアでは、インフレにより年金生活者が家庭菜園でしのがなければならない事態が発生しました。

目下行われている異常なほどの金融緩和を考えると、私たちは将来インフレが発生する可能性に今から備えなければならないのです。

原油価格↑、長期金利↑、金価格↓が意味すること
ところが、ここにきてそう簡単にインフレにならなそうな気配も漂っています。

まず、金融政策です。歴史上多くの国がインフレによる社会の混乱に苦しめられてきました。そのため、インフレの予兆を察知すると、政府・中央銀行はすかさず金利を引き上げ、金融緩和を終了させる可能性があるのです。

米FRBは、インフレ率2%までは大規模緩和を続けると言及していますが、逆に言えば2%を超えると金融緩和を終了させる可能性を示唆しています。

足元では原油価格の上昇が見られます。原油は世の中のさまざまな商品に関連しますから、これが上がれば物価の上昇は避けられません。そこへ原油価格の上昇を見込んだ投機資金が流れ込めばますますの混乱を招きますから、政府・中央銀行は必要な措置を行うでしょう。


【出典】楽天証券
この状況を見越してか、長期金利は引き上がりつつあります。金融市場は常に政府の動向に先回りして動こうとするからです。この辺りは、原油に限らず不動産価格についても同様のことが言えます。


【出典】SBI証券
また、インフレに対する備えとして代表的なものが「金」です。

コロナ禍の当初、金価格は一時急激に上昇しました。しかし、8月をピークにひたすら下落を続けています。これは、投資家が「実はそれほどインフレにならないのではいか」と考えていることを示唆しているように見えます。


【出典】みんかぶ
インフレとは別の意味の「貨幣価値の低下」
金価格の推移が示すように、これだけ大規模な金融緩和を行ってもインフレにならないということがあり得るのでしょうか。

その可能性を暗示しているのが、日本の状況です。日本の政策金利は、1990年代半ばに1%を下回ってから一度も1%を超えることなく推移しています。いわば、すでに30年近く金融緩和を続けている稀有な国ということです。

そんな状況の中で、皆さまご承知の通りインフレどころかデフレが長らく続きました。アベノミクスにより「黒田バズーカ」で一段の金融緩和が行われてからは何とかプラスに持ち直しましたが、目標の2%に届く気配はありません。

お金は安く借りられるのに、物価が上がらないとはどういうことか。それは、人々が消費に対する意欲を失っているからだと考えます。若者の自動車離れ、お酒離れなど、○○離れが叫ばれて久しいですが、これこそが消費意欲の減退を意味しています。

ではなぜ消費しなくなったのかと言えば、一応30台半ばの自分に言わせて貰えば、お金を使わなくても十分楽しめる要素が増えたからです。

インターネットやスマートフォンの発達により、通信料さえ払っていればほとんど「無料」で遊びを見つけられるようになりました。車がなくても必要な買い物はネットでできますし、飲み会をしなくてもSNSで友人とつながれます。

そんな状況下でこのコロナ禍です。飲み会はリモートになり、出勤もしなくて良くなりました。もはやお金を使って遊ぶ必要などなくなってしまったのです。いわば、インフレとは別の意味での「貨幣価値の低下」です。お金にあまり意味がなくなってしまったのです。これが、日本だけでなく世界中で起きているのです。

すなわち、いくら金融緩和を続けても、昔のようにインフレにはならず、かといってお金はあまり回らないので過去30年の日本のような低成長時代が世界中で訪れる可能性があるのではないかと考えています。

インフレになってもならなくても安心できる投資とは?
このような状況下で、株式投資家としてはどう考えたら良いのでしょうか。

実は答えは難しくありません。まず、インフレになるとしたら、きちんと売れる物を作っている会社なら物価の上昇にしたがって収益も増えますから、株価も上昇することになります。

逆にインフレにならなかったとして、必ずしもそれによって株価が下がるということでもありません。例えば、低成長時代が長く続いたとしても、世の中の変化に対応するため、あるいは人々が生活する上で必要不可欠な商品を作っている企業は業績を伸ばすでしょう。

実際に低成長下の日本でも、ファーストリテイリング(ユニクロ)やニトリなど、一部の対応した企業はしっかりと株価を伸ばしてきました。

ファーストリテイリング
ニトリ
これらは「デフレ銘柄」と総称されますが、そこは本質ではありません。これらの企業が成長できたのは、時代に対応して顧客が求める商品を作り続けた結果に過ぎないのです。

私自身この20年来、ユニクロやニトリの商品にはお世話になり続けています。それは単に安いからではなく、値段に対して必要なクオリティを満たし、そしてどこでも手に入る安心感があるからです。いずれも強烈なカリスマ経営者の企業ですが、彼らが健在な限りこれからも伸び続けるでしょう(株価には割高感が漂いますが)。

個別株投資家の強みは、この柔軟性にあると考えます。素晴らしい商品を作っている企業を適正な価格で買えば、インフレだろうと何だろうと、しっかりと株価は伸びていくものです。これは経済全体の情勢に左右されるインデックスでは得られない特権です。

今からあらゆる社会の変化に対応するため、ぜひ株式投資、できれば個別株投資を始めましょう。これをマスターすれば、経済で怖いものはありません。

https://tsubame104.com/archives/13814

8. 中川隆[-6696] koaQ7Jey 2021年3月09日 12:30:22 : jYfMRWGpzc : dG5QRVRuR3NmRWs=[74] 報告
日銀ETF買い入れ減額?「ステルス・テーパリング」で急な株価下落に注意
2021/03/08





9. 中川隆[-14500] koaQ7Jey 2021年12月22日 06:18:19 : dFWaWpqW2w : MDFPdlB3Uno4eFE=[10] 報告
日銀の金融政策
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1392.html

日本銀行は日本政府の子会社である
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1385.html

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