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[原発・フッ素44] 朝日新聞:福島原発によりモミの木が突然変異・足が欠落したり曲がった昆虫・猿、魚やカエルにも異常が見つかる(ENENews ナルト大橋
2. 2015年12月25日 15:54:34 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[1]
2015年12月25日 週刊ダイヤモンド編集部
いまだ危険なイメージが消えない福島への誤解
竜田一人×開沼博対談(1)
2016年3月で東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故からちょうど5年経つ。この間福島は、それを取り巻く世論はどう変わったのか。廃炉作業の日常を実際に作業員として働きつつルポマンガで描いたマンガ家と、福島生まれの気鋭の社会学者が語り合った。本稿では『週刊ダイヤモンド』12月21日発売号の特集「2016年総予測」に収録しきれなかった対談内容を、3回にわたってお届けする。(聞き手・構成/週刊ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

――開沼さんは福島県いわき市出身で、06年から浜通りの原発立地自治体の状況について研究をされ、震災発災後も継続的に浜通りでフィールドワークを行っていらっしゃいます。一方、竜田さんも12年から第一原発で廃炉作業員として勤務してこられました。その経験を踏まえて、現在の福島の浜通りの状況と、原発廃炉の状況について教えてください。


かいぬま・ひろし/福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員、福島県いわき市生まれ。06年から福島県原発立地地域の研究を続ける。著書に『漂白される社会』(小社刊)『はじめての福島学』(イーストプレス)など。
開沼 当初はがれき処理や物資不足など喫緊の問題があり、その奥にある問題が見えなくなっている状態だったのですが、現在はそれが解消したことで、課題は整理されてきました。

 まず、風評問題。一次産業と観光業の「イメージの復興」は進んでいません。たとえば農業。米の生産量が震災前比で85%回復しているなど生産自体は再開していますが、市場に流通する際の価格は、作物によりますが、3割、4割と大幅に下落しています。観光も同様に90%回復しているものの、福島への修学旅行での訪問数は震災前と比べて半減している状態がつづいている。もともとゴルフ、温泉、スキーなどの観光資源があり、外国人にも人気がありますが、例えば、震災前は年4万人来県していた韓国人観光客、今は3000人台になってしまっている。これだけ「爆買い」とか「インバウンド」とか言われているにもかかわらずです。

 生活面では、避難や賠償問題は落ち着きつつも尾を引いています。避難者数はピークをすぎ減少傾向にあるものの、いまだ残る問題は一筋縄ではいかないものばかりです。例えば、双葉町に丁寧なメンテナンスが行き届いたバラ園があって重要な観光地だったんですが、ここにあるバラには賠償基準が定められている「草木」の金額を超える付加価値があるわけです。数字に換算できない損害。そういうものの落としどころをどう見つけていくかのフェーズに来ています。

危機的な状況は脱したのに
「福島はめんどうくさい」化はつづく


たつた・かずと/大学卒業後職を転々としながらマンガ家としても活動。震災を機に被災地で働くことを志し、12年から福島第1原発で作業員として働く。現場の労働の模様を克明に淡々と描いた「いちえふ」は新人としては異例の初版15万部を記録。世界的に話題となった。
竜田 原発は危機的な状況は脱しており、場内の整備をしつつこれからどうするか考える、といった段階ですね。冷却をどうしよう、建屋が崩れるのでは、放射性物質の大量放出がまた起きる、などの「何か起こったらヤバイ」状態はもう過ぎている。水素爆発で中身が露わになった姿が何度も報道された4号機と3号機ですが、4号機はカバーも付いて燃料取り出しは終わり、3号機も上部の鉄骨瓦礫がほぼ撤去され姿を大きく変えています(*1)。

 汚染水を浄化するためのALPSシステムも安定的に動いています。当初あった、濃縮されたストロンチウムの入った汚染水の処理はすでに終わっていて、仮に流れ出ても問題ない状況になっています。よく汚染水漏れで報道された、ボルト型のフランジ型タンクは解体され、溶接型の大きなタンクがどんどん立っている状況です。遮水壁も完成して汚染水の漏出問題については、現在はもうほぼなくなったといっていい。現在手つかずなのは、原子炉の格納容器本体くらいじゃないでしょうか。

開沼 一方、僕が『はじめての福島学』で書いた「福島はめんどうくさい」という状態はより進行している。福島をめぐる報道や言論をステレオタイプの再生産でずっと続けている人たちがいるからです。

 震災後満5年たつ2016年3月11日に向けても、「原発・放射線・除染・避難・賠償金・こどもたち」というこれまでの固定キーワードに絡めながら「福島はこうです」という、ろくに取材もしないで、2011年当時の福島のイメージにもとづいた「答えありき」でお手軽に寄せ集めた情報を垂れ流してウケ狙いしようとする報道や情報がたくさん出てくるのでしょうね。また「復興が遅れてる」とか知ったようなこと言うんでしょうが「遅れてるのはあんたの頭の中だよ。プロなら愚直に手足動かして情報をあつめて現実をつかめ」っていう話でしかない。現場はもうそういうステレオタイプとは関係なく、いいものもわるいものも目まぐるしく動いている。メディアを通して語られる福島の姿と実際のギャップは広がるばかりです。実際に現場に取材に来た人は、「あれ、なんか思っていたのと違う」と気が付くのでどう報じていいのかわからなくなってそういう安直な描写に走るんでしょうが。

――放射能の状況についても、とかくセンセーショナルに伝えられることが多いですね。

竜田 「放射能についてわからないことがある」というのは、全体の半分がわからないのではなく、100あるうちの1以外は、汚染状況についても健康影響についてもほぼすべて解明されている、くらいのイメージなんですけどね。

 例えば、汚染水関係で現在よく漏れたと騒がれるのは雨水ですが、実際に数値を見ても大した数値ではない。ですが、漏れた事実だけが騒がれる。実際にこうしたニュースの後の周辺海域の魚に対しても放射性セシウムND(検出限界値以下)がほぼ99%以上です(*2)。そこは地元漁協ももっと自信をもって言うべきですよね。

開沼 福島の海が汚染されたのは事実です。ただ、いまでもセシウムが検出される魚は、震災前から生きていて事故直後に原発付近の餌をたべたとか、明確な理由があるごくごく一部でしかない、ということが明確にわかってきている。にもかかわらず、あくまでも「全体がダメで、今後も危ない」かのように主張し、報道する。

 いや、これから大変な作業も残っているのは事実ですよ。デブリ取り出しとか作業環境の改善とか、まだまだ大きな課題です。こっちに残る課題をどうするか議論を盛り上げようというならわかります。ですが、そういう丁寧な取材が必要なことをせず、この的外れなことを針小棒大に話を盛りまくってでっち上げてウケ狙いしようとする浅はかな行為が、結局本来語るべき本質的な問題を先送りしてしまう。こういうことが5年たってもいまだ起こっていることこそが一番の問題です。

 竜田さんがおっしゃった雨水問題にしてもそうですけど、「福島めんどうくさい」化が進む中、悪しき相対主義というか、ニセ科学を両論併記の一方にのせて正当化してしまうような報じ方しかできなくなっているのも問題ですね。「なぜあんまり理解してないのにそんな適当な報じ方をしたんですか」という質問に対して返ってくるのは「福島のことを報じ続けるのが義務だから」「風化を防ぎたい」という答えです。ですが、デタラメ流すのは逆効果。それが風化を招いている。そもそも自分が触れている問題の基礎知識を報じている側が理解・判断ができていない。

――福島を取り巻く世論の変化をどうご覧になりますか?この5年で変わったことはあるのでしょうか。

竜田 正義を目的に福島を語って来た人は、いまでもあまりスタンスは変わっていないんじゃないですかね。最初からそこまでの主義主張がなくて、ふわっと正義に触れることを言ったりして最初のころはそっちの意見につられていた人が、冷静さを取り戻してきていることはあると思います。そういう人に対して「今の現場ではこうなんだよ」ということを伝えることは効果があるのではないかなと。

開沼 一時に比べればよくも悪くも落ち着きつつあるんじゃないでしょうか。ただ、風化と風評というキーワードがよく出てきていますが、多くの人は風化を懸念しますが、圧倒的に風評の問題の方がよほど大きくせり出してきていて、それによる誤認識が課題解決を遠ざけていることに気づいていない。福島の農家で話を伺うと「変な噂が流れ続けるくらいなら忘れてもらった方がいい」という方はとても多いです。

 あと、いまだに原発周辺地域のイメージが福島全体と思われている可能性はある。さらにその原発周辺地域ですら、現在の情報は知られていない。たとえば、原発の立地自治体である大熊町には、今東京電力の750戸の社宅が建設中で、作業者向けの給食センターもできてトラクターが元気に田畑を耕している状態です。

 いまもたまに「原発がある町には何万年と人が住めなくなってしまった」とか情感たっぷりで書いた文を目にしますが、「いやいや、事故をおこした1−4号機がある自治体にはもう人住むんですが」っていう話。そういう基本的な現状認識を知らないままモノが語られるケースが多すぎるんです。

「『不幸なフクシマ』のままでいてほしい」人が
たくさんいる


竜田 今の現場からの情報発信が足りていないんじゃないでしょうか。結局ぼくが『いちえふ』を描いたあとに続く原発ルポマンガは現時点までに出てないし。事故直後はルポライターみたいな人が入って、結構デマっぽい記事も出ましたが。伝える側も、新しい情報を仕入れようとしていないですよね。

開沼 これは伝える側の問題だけではなく、視聴者や読者もわかりやすいセンセーショナルな非日常を求めるんでしょうね。被災地復興に限らないですけど、課題も希望も日常・正常の中に隠れているものなのに。現場感覚が欠けています。「『不幸なフクシマ』のままでいてほしい」人たちがたくさんいますよね。

 まあ、こういう無意識のバイアスに基づくイメージの再生産に依存するメディア・言論の薄っぺらい構造であったり「マイノリティ憑依」「ヘッドライン寄生」は他の分野でも散々やられてきたことですが。「きれいな目をした子供たちがいるアフリカ」みたいな。「きれな目」をしてないと急に怒り出す。現場からしたら「知らねえよ、あんたの意のままに動く玩具じゃないんだよ」っていう話です。まあそうしたメッセージの出し方が現地にメリットがあるならいいのですが、逆に迷惑をかけているとなると放ってはおけません。

竜田 ただ、現場からの発信、といっても難しい面はあるんですよね。さっきの大熊町の話も、本来なら住んでいる人が伝えるべきなんでしょうが、現在人が住んでないですからね。給食センターのおばちゃんくらいしかいない。かといって東電が発信したところで「やつらの言うことだから信用できない」という受取り方をされてしまう。第三者が実際のところを伝えていくしかない。そこに関心のあるメディアが行って正しく伝えていただくしかないのかなと、思います。

>>12月26日(土)公開予定の第2回に続きます。

*1 Q 原発周辺は今も放射線量の高い「死の町」なの?

A 特別対談にもあるように、現在廃炉作業員として約7000人が働いており、原発までの作業員の通勤ルートである国道6号線は、朝晩慢性的な渋滞が発生しているほどだ。事故直後にむき出しになった4号機にはカバーが付いた。

 2011年は作業員の拠点となっていたJビレッジから、原発まで全面マスクとタイベック(放射線防護服)装備で移動していたが、現在では原発構内の汚染数値も大幅に下がり、そのため屋外も含む原発構内の多くの部分で、通常の作業服で行き来ができる。


*2 Q 汚染されている福島の食品が流通しているんでしょ?

A 事故直後、放射性物質が検出される可能性がある食品には全て出荷規制がかけられた。その後出荷基準値を超えた物は市場に流通させない仕組みもできた。これまで、福島県、各農協・漁協などで出荷前検査を行い安全性が確認された物だけが流通している。検査数は県だけでもこれまで累積で100万件を優に超える。

 現在、出荷基準値を超える食品は、出荷を前提としない検査用の野生の獣肉などに限られ、その比率も全体の0.3%程度しかない。

 主食の米についてはさらに全量全袋をスクリーニング検査する方法が取られ、毎年1000万袋以上が検査された上で、出荷基準値を超えない物のみが出荷される。

 現在福島県内で生産者が出荷を自粛している主な物は近海魚類だが、事前の3万件のモニタリング調査から、一定期間以上検出限界値(装置で測定できる限界)未満が確認されている魚種67種に限って、出荷前に検査の上、福島県近郊を中心に流通している。

 原発事故前から、日本人は大気・大地・宇宙線などから年間2.1ミリシーベルトの自然被ばくをしていた。事故を契機に国は長期的な目標として年間での追加放射線被ばく量1ミリシーベルトという目標を定めたが、これは「超えると人体に影響が出る」数字をはるかに下回る、あくまでも管理上の長期目標。出荷基準値は「日常的に汚染された食品を食べ続けた」と仮定しても、この目標に届かないとして設定された基準にすぎない。放射性物質は量の概念が最も重要で、実際に食べる形に調理し日本人の食生活に合わせた場合の数値で見る必要がある。日本の基準は世界と比べてもかなり安全に設定されている。
http://diamond.jp/articles/-/83687

http://www.asyura2.com/15/genpatu44/msg/581.html#c2

[経世済民103] 急拡大するアジアのガソリン需要、米国産原油の受け皿に(ロイター) 赤かぶ
4. 2015年12月25日 22:18:43 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[2]

原油安で産油国通貨や石油会社の社債が代替投資対象に
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ブラジル・ペトロブラスの生産施設(リオデジャネイロ) PHOTO: YASUYOSHI CHIBA/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
By
IRA IOSEBASHVILI
2015 年 12 月 24 日 08:46 JST
 原油価格の反転を予想するトレーダーの一部が、間接的な投資を始めている。原油の代わりに石油会社の債券や産油国の通貨を購入し始めた。
 こうした投資戦略が採用された一因は、石油先物価格で時折起こる順ざや(コンタンゴ)にある。これは石油のスポット価格が、先物価格より低い状況だ。今年は、この順ざや現象が支配的だったため、原油先物を購入するコストが上昇した。先物契約が期限を迎えた際に、その先の先物を購入するために高い価格を払わなければならなくなったのだ。
 この高値の先物を避けるためにトレーダーらは、原油の代替投資先に向かい出した。主要産油国の一つノルウェーの通貨クローネもその対象だ。11月初めからは2.8%の値下がりで済んでいる。この間ブレント原油先物は27%下落、11年ぶりの低水準となった。ブラジルの国営大手石油ペトロレオ・ブラジレイロ(ペトロブラス)のドル建て債券価格は同時期に10%値下がりした。
 ソシエテ・ジェネラルの世界コモディティー(商品)調査担当、マイケル・ヘイグ氏(ニューヨーク駐在)は、コモディティー自体に投資するのは「もはや時代おくれ」と指摘する。「最近はロング・ショート戦略を取るなど、もっと変わった投資戦略を使っている」という。
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11月1日以降の価格変動率
 米国の原油価格は22日、4年ぶりに世界市場の原油価格を上回った。ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の軽質スイート原油先物2月限価格は1バレル当たり0.33ドル(0.9%)上昇し36.14ドルをつけた。世界的指標のブレント原油の同限月の価格は同日、0.24ドル(0.7%)下落して36.11ドルとなり、04年7月以来の安値となった。
 原油先物の順ざやだけが、こうした代替投資を促しているわけではない。多くの投資家が産油国通貨や石油会社債券価格はいずれ反発するとみている。また、他の素材市場で被ったような巨額な損失を避けたいとの判断もある。
 そのために、例えばペトロブラスの債券など利回りを生む資産を購入したり、原油関連の投資に他のモノの反対方向の投資を組み合わせるなどしてリターンを上げようと試みる者もいる。
 ヘイグ氏は大幅に落ちた原油価格の反転に賭けて、原油価格動向に敏感なルーブルやノルウェークローネ、メキシコペソ、カナダドルなどで構成される通貨バスケットへの投資を顧客に勧めている。どの通貨も下落しているものの、今年に入っての米国原油価格の32%低下と比べれば依然小さい。
 ただ、多くのトレーダーはこの代替投資戦略にもリスクがあると指摘する。この戦略は、誤った手を打つ確率を上げ、市場が荒れた時や各資産の連動度合いが崩れた時に損失を拡大させ得るというのだ。
 シカゴ大学の金融大学院のトビアス・モスコビッツ教授は「1つの変数で正しく投資するのでさえ十分難しいのに、(この戦略では)最低2つを正しく読まなくてはならない」という。
 例えば原油価格の反発に掛けて通貨に投資するには、原油に厳密には関連しない金融政策や米ドルの動向を勘案しなければならない。エネルギー各社の証券は、その会社固有の要因や、市場全体の売りムードなどからの悪影響で値下がりする可能性もある。債券投資には金利動向と発行会社の信用度を慎重に見極めることが必要となる。
 さらにモスコビッツ教授は、過去に存在だった価格の連関がふとしたはずみに無くなくなることもあると指摘する。
 同教授は「こうした価格モデルは長期の観察に基づいて作られるが、市場に極端なストレスがかかるときは根本的な変化が起こり、その上、たいがい不利な方向に行くものだ」と話した。
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http://si.wsj.net/public/resources/images/MI-CN402A_CONTA_16U_20151222183009.jpg 

 

企業アンケート:来年のリスク要因、1位は新興国経済

[東京 25日 ロイター] - 主要企業は2016年、中国をはじめとする新興国経済の動向を引き続き懸念材料とみていることがわかった。ロイターが実施したアンケートで、2016年の経営におけるリスク要因を聞いたところ、2位は株・為替などの相場変動、3位は個人消費や設備投資などを含む国内経済動向となった。

三菱ケミカルホールディングス(4188.T)の越智仁社長は「地政学リスクなどによる原油価格の急激な変動」などを挙げた。また、中国を含む新興国の景気減速のほか「個人消費の回復の遅れと設備投資の回復の腰折れ」(三菱電機 (6503.T)の柵山正樹社長)といった国内景気動向を挙げる声も多い。2017年4月の消費再増税の行方を左右するだけに、2016年の国内経済動向の注目度は高い。

このほか、三井不動産 (8801.T)の菰田正信社長は「金利上昇や建築費の高止まり」と答えるなど、業界の懸念が色濃く出ている。

米国が12月に7年続いたゼロ金利政策の解除を実施したことで、2016年は米国の出口戦略の世界経済への影響がリスク要因として意識されていることがわかった。大和証券グループ本社(8601.T)の日比野隆司社長は「出口戦略に伴うドル高による新興国経済への影響」を挙げている。

アンケートでは50社の主要企業に対し質問し、36社から回答を得た。

懸念材料 件数

中国・新興国の経済動向 20

株・為替などの相場変動 16

国内の経済動向 8

米国出口戦略による世界経済への影響 7

資源・エネルギー価格の変動 7

欧米景気動向 6

世界情勢の不安定化 3

自然災害の発生 2

(以下は2014年12月実施の調査結果)

懸念材料 件数

中国・新興市場の失速・停滞 20

為替水準・変動 18

日本の景気回復の遅れ・消費減退 13

原材料価格 11

世界経済の減速 7

投資マネー流出入による商品相場への影響 7

地政学リスク 6

欧州の停滞 4

米金融政策の転換・国際金融不安 3

人手不足・建築工事の高騰 3

国内事業の競争激化・市場動向 2

天候不順 2

電力不足 2

その他 4

*見出しを修正して再送します。

(企業・金融チーム)
http://jp.reuters.com/article/management-problem-idJPKBN0U807820151225?sp=true

 

 
今度はラニーニャ現象の公算、農産物市場への「嵐」に懸念

エルニーニョ現象が終わると、その逆の現象であるラニーニャが起こることが少なくない(写真は大豆の苗) PHOTO: BLOOMBERG NEWS
By LUCY CRAYMER
2015 年 12 月 25 日 10:39 JST

 【香港】エルニーニョ現象(東太平洋赤道付近で海面温度が上昇する現象)が今冬にピークを迎えるなか、投資家たちは既に、その逆のラニーニャ現象(海面温度が低下する現象)が天候パターンをほぼ逆転させ、農産物市場に大打撃をもたらすかもしれないと身構えている。

 オーストラリアと日本の気象当局は最近、現在のエルニーニョ現象が既にピークに達した可能性があるとし、東太平洋の海面水温が低下するのに伴い、2016年上半期にかけて緩和するだろうとの見通しを示した。

 今年のエルニーニョは1997―98年以来最強で、海面水温をところどころで12月初めまでにセ氏約1.7度以上上昇させ、パーム油、砂糖や乳製品などの相場を急騰させた。

 エルニーニョ現象が終わると、その逆の現象であるラニーニャが起こることがしばしばだが、必ず到来するわけではない。CMEグループのシニアエコノミスト、エリック・ノーランド氏は、エルニーニョとその影響の方がよく知られているかもしれないが、価格ボラティリティの尺度を基にすると、ラニーニャ現象期は大豆やトウモロコシ、小麦といった作物の相場がさらに50%ほど動く可能性があると指摘する。

 ノーランド氏は「現在のエルニーニョが近くピークに達し、16年の終盤から17年初めにかけて潜在的に強力なラニーニャ現象が起こる公算に、農業市場参加者は細心の注意を払うべきだ」と述べた。

 ラニーニャ現象は貿易風と呼ばれる東風が強まると発生する。これは太平洋の中心部と東側の海面水温を下げる。その結果、世界中の天候が一変する可能性がある。この現象の強さは、海面水温と風のパターンの変化で計測する。ラニーニャは米国の一部の州と南米に通常より乾燥した天候をもたらすことが多い。このほか、オーストラリア、パプアニューギニア、インドネシアと中米に通常より湿った空気をもたらす。太平洋で熱帯低気圧が発生する確率も高くなる。

 シドニー大学経済学部の講師を務め、異常気象とコモディティ価格との相関関係に関する論文を執筆しているデービッド・ユビラバ氏は、「エルニーニョが話題になる一方で、ラニーニャには十分な注目が集まっていない」と指摘。例えば、カナダと米国はエルニーニョの年よりもラニーニャの年の方がより多くの干ばつが起こる可能性が高いとし、それは食料供給を逼迫(ひっぱく)させ、相場を押し上げかねないと付け加えた。

 BMIリサーチのコモディティ担当シニアアナリスト、オーレリア・ブリッチ氏は、「強いラニーニャ現象は潜在的に農業市場にエルニーニョ以上の影響をもたらす恐れがある。とりわけ米国やブラジルなど、多くのコモディティの主要生産・輸出国の天候に影響を及ぼすからだ」と述べる。BMIリサーチはラニーニャがトウモロコシ、大豆、小麦、砂糖、綿花とコーヒーに最大のリスクをもたらすとみている。

2012年にラニーニャ現象による旱ばつに見舞われたアルゼンチンのトウモロコシ畑 PHOTO:
BLOOMBERG NEWS
 ちなみに2010年7月にラニーニャが確認されてからの12カ月間で、シカゴ商品取引所の小麦相場は21%、大豆は39%前後上昇したほか、ニューヨークの砂糖先物相場は67%上昇した。

 ラニーニャ現象が起こるか否か、また、その影響がどれほど深刻になるかを予測する方法はない。しかし、日本の気象庁によると、過去15回のエルニーニョ現象のうち、それに続いてラニーニャ現象が11回発生しているという。

 ラニーニャ現象の影響は農業にとどまらないかもしれない。CMEグループによれば、1998年から2000年まで続いたラニーニャ現象は、米国とカナダで例年よりも寒冷な冬が到来し、天然ガス価格を上昇させた。

 豪メルボルンに本拠を置くメリックス・キャピタル(3億5000万米ドルの農産物などソフトコモディティのファンドを運用)の最高投資責任者(CIO)、エイドリアン・レドリック氏は、投資家たちは現在のエルニーニョ現象と、今後のラニーニャ現象の可能性が及ぼす影響を過小評価しているかもしれない、と述べている。

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インドと中国、移民の送金データから見える違い

世界銀行が発表した「移民と送金ファクトブック2016」では各国移民の送金状況が分かる(写真はカラチの外貨両替所で紙幣を数える男性)

2015 年 12 月 25 日 14:23 JST

 海外で働く移民の中で今年本国への送金額が最も多かったのはインド人と中国人だった。だが、その送金パターンは全く異なる。

 世界銀行が先週発表した「移民と送金ファクトブック2016」によると、他国からインドおよび中国への今年の送金額はおよそ1360億ドル(約16兆3500億円)だった。これは、送金額ランキング3?7位の5カ国の合計額より多い。

 首位はインドで、1400万人余りの移民による送金額は720億ドル前後に上った。中国への送金額は640億ドル前後で、1000万人近い移民によるものだ。

 このお金はどこから送られているのだろうか。世銀がデータを詳しく分析したところ、中国とインドでは送金元の国・地域が異なることが分かった。

 中国への送金元は米国、香港、日本、カナダ、韓国が上位5位となっているのに対し、インドの上位5位はアラブ首長国連邦(UAE)、米国、サウジアラビア、パキスタン、クウェートだ。

 インドのデータを見ると、新興国から他の新興国に向かう人が増えていることがよく分かる。

 世銀はプレスリリースで「南から南への移民は南から北への移民よりも多い」とし、「2013年の全世界の移民のうち、新興国から他の新興国に移った人は38%強だったのに対し、新興国から先進国に移った人は34%だった」ことを明らかにした。

 今年は全世界の移民の数が過去最大の2億5000万人以上になるとみられる。世銀の報告書によると、今年はこうした移民による家族への送金額が計6010億ドルに達した。

 送金データによれば、総額ではインド人がトップだが、1人当たりの送金額では中国人に軍配が上がるようだ。

 平均すると、1人当たりの送金額は中国がインドを約30%上回る傾向にある。平均年間送金額はインドが5000ドル前後、中国が6500ドル余りとなっている。

 移民の教育水準については、インドと中国は似通っている。世銀の報告書によれば、両国の移民はともに15%強が大卒だった。ちなみに、メキシコ、ロシア、パキスタンの移民では大卒の割合は10%に満たない。

 フィリピンの移民は教育水準が最も高いグループの1つで、大卒の割合は25%近くに達する。

関連記事

「中国の夢」破れ、反撃に出る労働者たち
中国がエリート教育見直し、西側の価値観浸透警戒
http://jp.wsj.com/articles/SB10421733196172483684504581437182157039812?mod=wsj_nview_latest


 
コラム:新興国通貨の対ドル下落はまだ序の口=竹中正治氏
竹中正治
竹中正治龍谷大学経済学部教授
[東京 25日] - 2014年下期以降、主要な新興国の通貨は米ドルに対して大幅に下落してきた。しかし、これはまだ下落の序曲かもしれない。その可能性は十分にある。

その場合、ドル超低金利時代にドル負債を膨張させ、自国通貨などに転換して投資していた新興国の企業や諸機関は一層の為替損失増加に追い込まれる。それが通貨・金融危機として激発的な形で実現するか、あるいはボディーブローのように新興国経済の足を引っ張るか、どちらのシナリオになるかはわからないが、大きなリスク要因として注目しておこう。

とりわけ、日本ではブラジルレアルやトルコリラの高金利につられて、こうした通貨の対ドル買い持高(ロングポジション)を組み込んだ投信などが、過去大量に個人向けに販売されてきた。こうした投信は基準価格の下落ですでに大幅な含み損を抱えているが、損失はまだ膨らむ公算が高いと思う。

<実質ドル相場指数が示唆するドル一段高の余地>

まず主要新興国通貨の対ドル相場の現状を確認すると、2014年6月末から現在(12月18日引値)まで、各通貨の下落率は大きい順に次の通りだ。ロシアルーブル109%、ブラジルレアル80%、トルコリラ37%、インドネシアルピア17%、インドルピー10%、中国人民元4.5%。

これほど対ドルで下落しているのにまだ下落する公算が高いと思うのはなぜか。それはこれら途上国通貨の相場は2010―14年前半の時期に割高過ぎたからだ。これまでの急落はこれら通貨の割高修正を意味するだけの可能性がある。

通貨の割高・割安は2国間のインフレ率を調整した実質で見ないとわからない。主要通貨に対して米国の貿易シェアで加重平均されたドル相場指数を、米連邦準備理事会(FRB)は名目ベースとインフレ率調整後の実質ベースの双方で公開している。

さらに名目と実質の双方について、主要通貨ベース(Major)と広域通貨ベース(Broad)の2種類が公開されている。前者は、海外の外為市場で自由に売買できる国際通貨から構成されており、円、ユーロ、英ポンド、カナダドル、スイスフラン、オーストラリアドルなど主要先進国通貨に対するドル相場指数だ。一方、後者は、米国の貿易シェアで主要な部分を占める先進国から途上国までの通貨(現在26通貨)で構成される広範囲のドル相場指数である。

実質相場指数とは、相対的購買力平価からの市場相場の乖(かい)離度を指数化したものだ。市場相場(名目相場)が相対的購買力平価からかい離と回帰を長期的に繰り返す限り、実質相場指数は長期の平均値を中心にかい離と回帰を繰り返すことになる。

途上国通貨だけを対象にしたドル相場指数はないのだが、新興国通貨を含んだ実質ベースのドル相場指数Broad(新興国通貨のウエイトは最近時点で46%)を見ると、2010年から14年前半までの時期は長期の平均値を大きく下回ったドル安・他通貨高だったことがわかる(下の掲載図、赤線が実質ベース)。とりわけ09年後半から11年にかけて急騰している。

図中に示した黄色い水平の点線は1973年以来の実質ドル相場指数Broadの平均値だ。上下の平行の黄色い線は、平均値から1標準偏差かい離した水準であり、ドル指数は3分の2の確率で上下の平行線の中に収まっていることを示している(平均値からプラス・マイナス1標準偏差の間に全体のデータの約68%が含まれる)。2015年11月の水準は長期の平均値からわずか3%ドル高・他通貨安なだけである。

ちなみに、同実質指数で見た2000年代のドル高のピークは02年2月であり、長期平均値からのドル高方向へのかい離率は17.8%、また1973年以降のドル高のピークは85年5月で、かい離率31.5%である。

今後ドル金利が穏やかながらも上昇を続ける一方、BRICSブームの終焉による新興国経済の相対的不振が続くならば、ドル相場の上昇余地(新興国通貨の下落余地)はまだ大きいと判断した方が良いだろう。

また、個別通貨ごとに対ドルの実質相場指数(消費者物価指数ベース)と、その1995年以降の長期平均値を計算すると、12月21日時点でトルコリラは長期平均値より3%のリラ安(過去最大のかい離幅は81%のドル高リラ安)、同じくロシアルーブルは17%のルーブル安(過去最大80%)、ブラジルレアルは30%のレアル安(過去最大60%)である。ブラジルレアルはある程度レアル安・ドル高に振れていると言えそうだが、トルコリラとロシアルーブルの通貨安方向への振れはまだ「微温」な程度にとどまっている。

ちなみに、先進国通貨だけからなるドル相場のMajor指数は、これまでの円やユーロなどに対する大幅なドル高の結果、実質ベースでは長期平均値からすでに14%ドル高・他通貨安になっており(11月現在)、Broad指数よりドル高への振れが大きい。Major指数もまだドル相場が上昇する可能性はあるが、その上昇余地は新興国通貨を含むBroad指数に比べると限られていると見るのが自然だろう。

とりわけドル円相場について言うと、120円台前半の相場は実質ベースで1980年代前半の超ドル高時代の水準をすでに上回る変動相場制移行以来で最大の円安オーバーシュートの水準にある。市場参加者をリスク回避に走らせるような何かしらのショック(米国景気の不振、大型新興国の金融危機など)が起これば、円ショートポジションの巻き戻しで短期的にも円高に揺れ戻す可能性が高い。

<ドル高に脆弱な国はどこか>

では、ドル相場の上昇に対して最も脆弱なのはどの国か。それはこれまでのドルの超低金利に誘われて債券発行やローンの形でドル負債を増加させ、自国通貨などに転換してバランスシートをドルショートに傾けている企業や機関の多い国である。市況解説などでは「ドル金利の上昇が途上国のドル債務者の資金コストを増加させる」と金利コストに注目したコメントが目立つが、問題は1%やそこらの金利上昇ではなく、ドル高に伴う莫大な為替損の発生である。

2015年10月の国際通貨基金(IMF)の調査レポート(Global Financial Stability Report)によると、14年末時点で国内総生産(GDP)に対する信用総残高が過去のすう勢的な水準から大きく上昇している(信用膨張過多懸念の)新興国は、その程度の大きい順に、中国、タイ、トルコ、ブラジル、インドネシア、マレーシアである。

また、企業部門の負債に占める外貨建て負債比率の高さで見ると、外貨負債比率50%超がハンガリー、インドネシア、メキシコ、30%から50%未満がチリ、トルコ、ロシア、ポーランド、10%から30%がフィリピン、ブラジル、南アフリカ、マレーシア、タイ、インド、中国である。

このようにして見ると、双方の上位にランクされるトルコ、ブラジル、インドネシアなどがドル高の際に金融的に最も脆弱であると言えるだろう。中国は信用膨張過多懸念ではトップだが、企業部門の債務に占める外貨建て比率は10%で、相対的に低い。ただし、負債の規模自体が大きいので、外貨負債残高では上位にランクする。

また、資産サイドに注目すると、資産に占める天然資源事業関連の比率が大きい産業・企業を有する国(ロシア、ブラジルなど)は、世界的な天然資源価格の下落で大きな損失に直面し、すでにGDPはマイナス成長だ。

<激発性の新興国危機は回避されるか>

最後に新興国通貨相場の下落が1997―98年のアジア通貨危機型の危機を引き起こす可能性について考えてみよう。当時、タイ、マレーシア、インドネシアなど東南アジア諸国連合(ASEAN)主要国で、自国通貨建てローンに比較して金利がはるかに低かった短期のドル建てローンで資金調達し、そのドル資金を自国内の投資に充当する取引が急増した。

これは財務上のドル建て負債(ドルショート持高)の膨張を意味した。その点を見透かしたヘッジファンドなどが当該諸国の通貨売りを仕掛け、各国通貨相場が下落し始めたのが危機の始まりだった。

自国通貨安・ドル高の動きが、大きくドルショートに傾いていた企業や機関を慌てさせ、彼らは為替損失を回避するためのドル買いに殺到した。その結果、雪崩が起こるようにこれら各国の対ドル相場は暴落した。各国政府は当初ドル売り・自国通貨買いの介入で相場の維持を図ったが、介入可能な規模をはるかに上回るドル買い・自国通貨売りに抗しきれず、介入を断念した。その結果、ドルショート持高を積み上げていた企業に莫大な為替損が生じ、ドル建てローンは返済不能となった。必然的にそれを融資していた銀行は不良債権の急増に直面し、金融危機に陥った。

果たして同様のことがまた起こるのだろうか。2015年10月1日付の国際金融協会(IIF)の調査レポート(Capital Flows to Emerging Markets)は、新興国(対象39カ国)への15年の海外からの資金流入は、14年の1兆0740億ドルから5480億ドルに半減し、資金流出と差し引きしたネットベースでは1988年以来初めて5400億ドル(年間)の流出超過になると見込んでいる。また、2016年も金額はやや減るものの15年に近い規模の流出超過が続くと予想している。

しかし、このような大規模な資金流出が新興国通貨の大幅な下落を伴ってすでに起こっているにもかかわらず、今のところアジア通貨危機のような激発性の危機にはなっていない。その1つの理由は、これら諸国の外貨準備の厚さが緩衝剤になっているからだろう。

アジア通貨危機当時と比較してこれら新興国の外貨準備は大きく積み上がり、各国政府がそれを取り崩すことで外貨不足に対応していると思われる。実際、世界各国の外貨準備総額は途上国を中心に2000年以降13年まで平均14.4%のテンポで積み上がってきた。それが14年から一転して取り崩しとなっている。

BRICS諸国にメキシコ、インドネシア、マレーシア、タイ、トルコを加えた10カ国を見ると、インドを除く9カ国で程度の違いこそあれ外貨準備が減少している。10カ国合計では、前年末残比で2014年はマイナス1.3%、15年はマイナス7.7%、累積でマイナス9.0%、金額では5197億ドル減少している。この外貨準備の減少額は、前掲のIIFのレポートが見込んでいる年間の資金流出超過額と見合う規模であることに注目しておこう。

もっとも、各国政府はアジア通貨危機時のようにドル売り介入で外貨準備を大きく減らしてまで固定的な相場を維持しようとはしていないようだ。その結果、すでに見たようにかなりの幅の自国通貨下落を許容する柔軟な方針を採っている。

ただし、この点で中国はやや特殊で、同国の外貨準備残高は2014年の3.9兆ドルから3.4兆ドルまで急速に減少したが、今までのところ人民元の元安方向への振れは抑制されている。中国の外貨準備残高は依然巨額である。しかし、ドル売り介入に使用可能な外貨準備は公式残高ほどないとの観測もあり、予想外の人民元安の可能性も排除できない。仮に大幅な人民元安が起これば、新興国通貨全体を巻き込んだ大暴落相場になるリスクがあろう。

いずれにせよ、外貨準備はあくまでもマネーフロー流出への緩衝剤であり、本格的な資本逃避が起これば、危機的な雪崩現象になろう。また、それを回避することができても、ドル高・自国通貨安により外貨負債の大きい企業の財務上のコスト(為替損)は増加し、マクロ経済にボディーブローのような負の効果をもたらすだろう。

ただし、救いもないわけではない。新興国通貨相場の下落はいずれ当該国の輸出拡大を通じたプラス効果をもたらし、経済全体では通貨安による為替損を相殺し得る。もちろん、それまでにはまだ時間がかかる。2016年の新興国経済は「春の訪れ」というよりは「冬の時代」が続き、「冬の冷え込み」が一段と厳しくなる局面に備えておくべきだろう。

*竹中正治氏は龍谷大学経済学部教授。1979年東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、為替資金部次長、調査部次長、ワシントンDC駐在員事務所長、国際通貨研究所チーフエコノミストを経て、2009年4月より現職、経済学博士(京都大学)。最新著作「稼ぐ経済学 黄金の波に乗る知の技法」(光文社、2013年5月)

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)
http://jp.reuters.com/article/column-masaharutakenaka-idJPKBN0U718S20151225


 

 
焦点:来年のソブリン格付け、最注目は南ア・仏とブレグジット

[ロンドン 24日 ロイター] - 来年のソブリン格付け動向で最も注目すべきは南アフリカとフランス、さらに欧州連合(EU)離脱を国民が支持した場合の英国になる──。格付け会社が公表している格付け見直しの日程からは、こうした構図が浮かんでくる。

スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)やムーディーズ、フィッチをはじめとする格付け各社は、EUの規則によって欧州と大半のアフリカの国々の格付けについて見直し時期を明らかにすることが義務付けられている。

南アフリカは、ロシアやブラジルに続いて投資適格級から転落するのではないかとの恐れが高まってきた。

S&Pとフィッチは現在、南アフリカの格付けを投資適格最下位の「BBBマイナス」に設定。S&Pは格付け見通しを「ネガティブ」としており、最初の見直しを6月3日に行う。

ところが同国の主力輸出品であるコモディティの需要は低調で、国内では慢性的な電力不足の問題も抱えている。今月には市場の評価が高かった財務相の更迭という悪材料まで加わった。

S&Pは南アフリカの国内総生産(GDP)伸び率が同社の見立て通りに改善しないか、国営企業が現在想定されている以上に政府支援が必要となる場合、格下げに動く可能性があると表明した。

またS&Pは「AA」としているフランスの格付け見通しを1年以上も「ネガティブ」にしたままで、4月22日もしくは10月21日に何らかの決定を下すはずだ。

一方で英国は来年後半にEUを離脱すべきかどうかを問う国民投票を実施する見通し。S&PはもしもEU離脱、いわゆる「ブレグジット」が実現してひどい状況になれば、同国の格付けを2段階下げる場合があるとしている。

欧州格付け会社DBRSのソブリン格付け責任者ファーガス・マコーミック氏は「来年の欧州が直面する最大のリスクは恐らくブレグジットになる」と述べた。

そのほかスペインではいずれの政党も過半数議席を獲得できなかった総選挙結果を受け、連立政権の陣容がはっきりしない形で新年を迎えそうだ。

こうした中でフィッチは、現在「BBBプラス」で見通しは「安定的」としている同国格付けを1月29日に見直す予定で、スペインにとって最初の試練になる。続いてムーディーズの見直し日が2月19日に設定されている。

新政権が発足したがその行く末が不透明なポルトガルについては、DBRSが4月29日と10月21日に見直しを予定している。

現在の格付けは「BBB(low)」で、S&Pなどの「BBBマイナス」に相当する。これが引き下げられるとポルトガル国債の欧州中央銀行(ECB)の受け入れ担保区分が低くなり、銀行の資金調達コストを押し上げることになる。

ソブリン格付け引き上げの方は、ハンガリーやインドネシアが投資適格級を獲得する可能性があり、インドも視野に入ってくる。

ただ、格付け各社は来年は引き上げより引き上げの案件が多くなるだろうとみている。

(Marc Jones記者)
http://jp.reuters.com/article/ratings-idJPKBN0U806P20151225?sp=true

 
【第268回】 2015年12月25日 莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
“国際通貨”人民元による日本への挑戦が行きつく先
?11月30日、IMF(国際通貨基金)が人民元をSDR(特別引出権)の構成通貨として採用すると正式に決定した。中国のメディアはそれを「歴史的な一歩」と評価し、民間でも人民元が国際通貨へと大きな一歩を踏み出したと見て歓迎している。


?SDRは国際的な主要通貨で構成される架空のバスケット通貨だ。外貨不足に備えた各国の準備資産を補完する手段のひとつとして活用されている。

?現状ではドル(構成比率41.73%)、ユーロ(同30.93%)、円(8.33%)、ポンド(8.09%)の4通貨のみで構成されている。この4通貨のいずれも国際通貨の中でも世界的に評価が高いハードカレンシーだ。その意味では、SDRは国際通貨のエリートクラブと言われるほどの存在だ。

?IMFのこの決定により、人民元は来年10月にようやくこのクラブに入ることができると言えよう。しかも、人民元がドル、ユーロに次ぎ、新たに10.92%の比率で入ることになる。先輩会員の円、ポンドをいきなり抜いての堂々3位だ。

?だから、一部のメディアは、「経済の減速、株価のバブルとその崩壊など、必ずしも明るい知らせばかりではない中国にとっては国威発揚にもつながる」と報じている。

?実際、日本国内にも、長い間、人民元のSDR入りが不可能と見る世論が一部ながら、存在していた。実際、「いずれにせよ、IMFのSDRに人民元が認証されるなんて、あり得ない未来だと言えるでしょう」と公言するところもあった。

?しかし、人民元が国際通貨になる道のりはまだまだ険しいものがある。国際通貨の仲間入りといっても、人民元の国際通貨としての現時点での実力は必ずしも高いとは言えない、と指摘する声がある。

?その意味では、人民元が国際通貨としての実力を発揮するには、中国経済の健全化と安定化が不可欠だと言えよう。直近の課題としては、経済低迷からの脱出が必要だ。

ジンバブエによる人民元の
法定通貨採用が意味すること

?一方、農村から都会を包囲する中国革命が成功を収めた秘訣のように、人民元の国際通貨への道のりもその傾向を見せている。数日前に、筆者の目を惹いたニュースがある。

?中国がジンバブエとの関係をさらに強化するため、年内に期限を迎える債務4000万米ドル(約48億5000万円)の返済を免除した。一方、ジンバブエは自国の新たな法定通貨として人民元の採用を決め、2016年から現在流通している米ドルなどと併用させると予告した。中国に対する負債も今後、人民元で返済することになった。

?ジンバブエは2012年時点の統計で、総人口が約1372万人。タバコや綿花などが主な農産物だ。鉱産物としてプラチナ、クローム、ニッケル、金、ダイヤモンドなどを採掘しているが、近年、経済が非常に厳しい状態にある。元法定通貨のジンバブエドルは15年に廃止することになった。その代わり、米ドルや南アフリカ・ランド、英ポンドが通貨として流通している。

?こういう状態で人民元を法定通貨に指定したことは、中国の債務放棄へのお返しであると同時に、ドルによる経済のコントロールからの一種の対抗策または逃避策でもある、と言えよう。

国際通貨を目指した
人民元の長かった闘い

?中国メディアの報道によれば、アフリカでは一部の国々が中国との金銭決算においては、すでに人民元を使用している。たとえば、南アフリカは中国との貿易においては、30%以上の金額を人民元で決済している。

?しかし、ここまでやってきた人民元の国際通貨化の道のりは波乱万丈そのものだった。1997年、アジア金融危機が発生した際、ジョージ・ソロスなどが率いるヘッジファンドが一斉に資金逃避したため、タイをはじめとするアジア諸国は貨幣の為替レートが軒並み暴落し、経済が壊滅状態に陥ってしまった。そのとき、人民元は頑として切り下げせずにアジア金融危機の嵐の襲来に耐え抜いた。当時、中国のこの措置を「アジア金融の防波堤」と評価する声もあった。

?自由に両替できず、1978年の改革・開放以来、暴落し続けて中国国民のなかでも人気がなかった人民元ははじめて注目の存在となり、その動きがアジア、そして世界の関心の的となった。一方、アジアの代表通貨の座を目指して、これまでの地位を強固にしようと動く円と日増しにその存在感を強めつつある人民元もその辺から激しい攻防戦を始めた。

?やはりその頃から、中国では「亜元」という言葉がやけに目につくようになった。米ドルのことを中国では“美元”と呼ぶ。ユーロは“欧元”。だから、この“亜元”とは、アジアン・ドルのことを言う。

国境を越えた人民元は
日本への挑戦を加速する

?当時、経済の持続的な高度成長によって自信を高めた中国国内は、次第にアジアの統一通貨「亜元」を語り始めた。2003年5月29日に発売された「ファーイーストエコノミックレビュー」も、「The New Asian Dollar」というタイトルで中国の通貨人民元の台頭に関する特集を組んだ。

?中国経済の成長の勢いをそのまま保っていけば、GDPが2010年にドイツを、20年には日本を超えてしまうだろう、現在中国領土外に流通している人民元はすでに300億元を超えており、いずれはドル、円、ユーロと並ぶ第4のハードカレンシーとなるに違いない、というのがこの特集の主な論調だ。

?当時、私も自分がもつコラムのなかでこうした動きを取り上げた。北京の学者からも、「私たちはまず東アジア自由貿易地域(EAFTA)を築くことから、東アジア貨幣(EAC)を作ればいい」といった大胆な提案が出された。

?しかし、日中間の政治的確執が続く中で、「亜元」を作りだす環境が形成できなかった。そこで人民元は「ファーイーストエコノミックレビュー」が描いた予想図の通り、ドル、円、ユーロと並ぶハードカレンシーの方向へ舵を切った。

?12年前に、「亜元」を取り上げたコラムの中で、私は、「日本はこれから製造業だけでなく、金融の面でも中国からの挑戦を受けることになるだろう」と予言したが、人民元が国境を越えたいまは、まさに、日本は日増しに、中国から金融面の挑戦を受けている。さて、これからはどうなっていくのか。興味津々だ。
http://diamond.jp/articles/-/83823


 
一帯一路構想は、中国にとってペイするものか米ブルッキングス研究所のミレヤ・ソリス日本部長に聞く

2015年12月25日(金)森 永輔

TPPが大筋合意に至り、焦点は中国やインドなど新興国が講じる次の一手に移った。中国はTPPに対してどのようなスタンスで臨むのか。米ブルッキングス研究所で日本部長を務めるミレヤ・ソリス氏に聞いた。同氏は日米の政府関係者や専門家らが対話する「富士山会合」(日本経済研究センターと日本国際問題研究所が共催)第2回年次大会に参加している。(聞き手:森 永輔)
TPPが大筋合意に達しました。まず、その意義についてお伺いします。

ソリス:経済的な視点から見ると、ブレトン・ウッズ体制に基づく現行の貿易体制・ルールと、国際経済の現実との間にあるギャップを埋める意義があります。


ミレヤ・ソリス
米ブルッキングス研究所日本部長。アメリカン大学の准教授も務める。日本の対外経済政策の専門家。日本と東アジアの交易に関する書籍を多数執筆。(写真:加藤 康、以下同)
 この20年の間に、地域生産ネットワーク、グローバルバリューチェーンが急速に発展しました。残念ながらWTO(世界貿易機関)はこの動きと現行ルールとの間にある溝を埋められていません。このため我々はTPPやその他のメガFTA(自由貿易協定)を通じて、現在必要とされる新しい形のガバナンスのあり方を考えているのです。

 TPPは一般的な経済利益ももたらします。米国、日本、そして他の産業国はサービス産業において競争力を有しています。例えば米国のサービス貿易黒字は巨額です。サービスに関する条項を設けたTPPは経済的なメリットをもたらすのです。

 日本の参加は米国にもう1つの便益をもたらします。TPPは日米間の最初の自由貿易協定だからです。これまで両国間に真の自由貿易協定はありませんでした。

誰が21世紀の貿易ルールを作るのか

ソリス:加えて、地政学的な意義もあります。誰がルールを作るのかを示しました。

 アジアには中国が主導するメガFTA(自由貿易協定)のRCEP(東アジア地域包括的経済連携)があります。これは経済大国も、まだ自由化が進んでいない途上国も参加するもので、意義のある取り組みです。しかし、RCEPは高い基準のルールを持つものではありません。

 TPPが批准されない一方で、RCEPが批准された場合、我々が信じるものとは異なる貿易ルールが出来上がることになります。だから米国は、21世紀の経済の現実に適合する体制、つまりTPPをアジアの国として提案したのです。

「中国を排除しない」とのメッセージ


ソリスさんはある論文の中で「TPPは、太平洋の国として米国のパワーを統合する」という表現を使っています。これはどういう意味ですか?

ソリス:アジアは21世紀において最も活力のある地域となるでしょう。太平洋国家である米国にとって重要な地域です。一方、中国の台頭によって、大きなパワーシフトが起きている地域でもあります。従って、地政学的な意味においても、米国はこの地域に関与していくでしょう。

 オバマ大統領がアジア・リバランスを進める背景にはこうした事情があります。米国はアジアに改めて関与し、アジアの一部であり続けるということです。

 リバランスには2つの異なる面があります。私はこれを2本の“足”と呼んでいます。1本は軍事の足。もう1本は経済の足です。

 経済の足は不可欠なものです。かつ、軍事の足よりも訴求力があるでしょう。この経済の足によって2つのことができるからです。1つは経済的繁栄を共有し、この地域全体に利益をもたらすことです。ここで言う「地域」は広いものでアジア・太平洋地域を指します。

 加えて、経済の足によって、米国のリバランスが中国を排除しようとするものでも、囲い込もうとするものでもないというメッセージを効果的に発することができます。

TPPは中国囲い込み策ではない。

ソリス:ありません。

 中国もTPPに関する見方を変えつつあります。中国は当初、TPPを「囲い込み」や「排除」と見て身構えていました。しかし、今はそのようなことはありません。国内改革とTPPへの加盟を調和させる可能性について考えようとしています。

 TPPの究極の目的は、中国に国内改革を進める意欲を持たせ、国際的な貿易と投資のルール――バランスが取れていて、誰にとってもフェアなルール――に則って行動できるようにすることにあります。

 我々が話し合いに基づいてルールを作るのはこのためです。線を引き、いつ何時でも中国はお断り、という考えではありません。それとは反対に、我々はまず、このルールに合意することができるこのメンバーで始める。その後、加盟国拡大を考えるという筋道を考えています。

TPPとTTIPには巨大新興国が参加していない

米国はTPPに加盟するよう中国を促しますか。

ソリス:米国は、中国が高いレベルの基準を受け入れるならば、中国がTPPに加わる可能性を歓迎するとのシグナルを発していると思います。時々「米国は中国がTPPに加わることを公式に歓迎することはない」と言う人がいます。しかし、それではTPPがうまく機能しなくなってしまいます。TPPはその基準に基づいて行動するすべての国に対して開かれています。

 米国の通商政策には矛盾があります。それはTPPとTTIP(環大西洋貿易投資協定=米国と欧州諸国が参加するメガFTA)が存在することです。どちらの取り組みも新興国に対して直接関与していません。インドも、ブラジルも、中国も加盟していないのです。それゆえに我々は、TPPや TTIPの次に来るものについて考える時、新興国に対して責任ある役割を担うよう、そして我々のルールに沿って行動するよう促す必要があります。

 森さんの質問に戻ってお話しすると、中国がTPPに加盟するよう促す方法は、まずもってTPPを批准し発効させることです。

中国がFTAAP を支持する理由を考える


ソリス:一方、昨年のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の場で、議長国を務めた中国はFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)*を支持し始めました。このため、FTAAPが新たな選択肢になる可能性があります。

*:APEC加盟国が参加するメガFTA

 中国がFTAAPを推すと決めたのは興味深いことです。FTAAPは米国が作ったコンセプトですから。中国がFTAAPに積極的になる一方で、米国が「FTAAPは脇に置いて、まずはTPPに集中しよう」と言っているのは非常に面白い状況ではないでしょうか。逆転現象が起きているのです。

 なぜ中国はFTAAPの推進に興味を示しているのでしょう? 中国はRCEPを推しています。なのに、なぜFTAAPも推すのでしょう。

 今からお話しするのはただの仮説です。実際に起きているかどうかは分かりません。もし中国がTPPへの参加を希望した場合、その交渉は中国にとってタフであるとともに一方的なものになるでしょう。中国が加盟することに関して既に加盟した国々の承認を求める交渉となるからです。中国は多くの譲歩をせざるを得ない。さらに、TPPは既に出来上がっているものなので、そのあり方について、中国がどうこう言うことはできません。

 しかし、中国がFTAAPを推し、次のようなイメージを抱いているなら、中国は重要な地位を得ることができます。まずTPPとRCEPがそれぞれ実現する。その後、これらをFTAAPの大きな傘の下で統合するかを考える。この時、TPPのリーダーである米国・日本と、RCEPのリーダーである中国がこの地域のより広いアーキテクチャーのあり方について相互に話し合うことになります。

 ただし、TPPとRCEPを統合するための交渉は容易なものではありません。非常に多様な国々が加盟するFTAAPの本質を定めることは困難だからです。

 TPPの交渉に対する米国の反応を見れば分かる通り、米国内には様々なステークホルダーが存在します。その一部は、TPPが定めた高いレベルのルールを引き下げることに賛同しません。彼らはTPPについても、既に多くの譲歩をしたと感じています。

 もし中国もしくは他の途上国が、FTAAPを考える時に、TPPより低い水準のルールを想定するならば、米国のこうした勢力はどう反応するでしょう。

 FTAAPは考慮すべき道筋の1つです。この先、どう展開していくのか、興味を持って見守っています。

TPPのルールはレベルが高すぎ?

TPPが求める高いレベルのルールには賛否両論があります。これを受け入れるよう米国に強要されたと見る人々もいます。中国がRCEPを進めるならば、そちらにつこうという動きが出るのではないかと心配しています。

ソリス:その可能性はありますね。TPPが求める基準に則るのは容易ではありません。TPP交渉にこれだけ長い時間がかかったことが、その難しさを示しています。TPP参加国は非常に多様です。TPPは知的財産権やバイオ医薬品、著作権、投資の保護などの条項を設けています。これらは、協議に参加したすべての国が米国の立場に賛同したわけではない困難な問題です。そして、これらの国々には、TPP以上に現状に適した、満たすべき要求の少ない選択肢を中国が処方してくれると考えたい誘惑もあります。

 なので、これらの国々にとって、低い水準の貿易協定の方が参加が容易だというのは確かに正しいでしょう。しかし、それでは得られるものも少ないのです。その国が低い水準の貿易協定に加わらないと決めた時、外国企業はその国を投資すべき魅力的な国と見なすようになるのです。

TPPとNAFTAは異なる


米議会はTPPを批准できますか。

 米国はかつて、NAFTA(北米自由貿易協定)を締結することでカナダやメキシコとの間にあった貿易赤字を縮小したいと考えていました。しかし実現できなかった。それゆえ、TPPがもたらす効果にも疑念を持っているのではないでしょうか。

ソリス:森さん、議員たちはまさに、いま指摘された貿易赤字をTPPの評価軸に用いようとしています。しかし、貿易赤字は適切な評価軸ではありません。貿易赤字の多寡をもって通商合意を考えることが正しい方法ではないことをより多くの人に理解してもらいたいと思います。

 NAFTAは米国に多大な貿易上の利益をもたらしました。北米において一体化した生産拠点を作り出したのです。カナダやメキシコが何かを輸出する時、その中には膨大な数の米国製部品が使われています。つまり、米国経済にも多大の恩恵がもたらされるのです。

 NAFTAのお蔭で3国間の貿易は3倍になりました。NAFTAはとても素晴らしい利益をもたらしたのです。NAFTAに対する先ほど言われたような批判は「経済的な真実」を表わしていません。「政治的な戦い」なのです。

 TPPで大筋合意するため米国はいくつかの妥協をしました。この点は、医薬業界や、それと関係を持つ米上院のキーパーソンを満足させていません。

 それゆえ、民主党議員はTPPを支持していません。彼らの選挙基盤が危機にさらされるからです。大統領に通商交渉権限を一任する「貿易促進権限(TPA)」法案に賛成票を投じた民主党議員は28人しかいませんでした。このためTPPの批准に関して、共和党議員の動向が重要になっています。私が不安を感じているのは、幾人かの共和党議員が、TPPの成果に対し「非常に満足しているわけではない」と言っていることです。

 ただし、私は批准できると考えています。TPPがもたらす経済的・地政学的な利益は非常に大きいので、民主党議員からの批判は解決することができるでしょう。

 とは言え、批准は容易ではありません。いつできるのか、あらかじめ知ることはできません。2016年は大統領選があり、普通の年ではないからです。

AIIBの取り組みにリビジョニストの意図はない

次の質問はAIIBについてです。中国は米国に加盟するよう言っています。米国がAIIBに加盟することはありますか。

ソリス:可能性が非常に高いとは考えていません。今はAIIBがどのように展開するか観察することが大事でしょう。ウェイト・アンド・シー・アプローチ(wait and see approach)ですね。

 AIIBは中国が国際経済を運営する上で最も重要な構想です。中国はブレトン・ウッズ体制が行ってきたことに不満を抱き、改革を強く求めました。これに対して米国はIMF(国際通貨基金)の出資割当額の変更などを行うことができませんでした。そのことが中国に、独自の機関を設立する時だと思わせたのです。

 私はAIIBの取り組みにリビジョニストの意図があるとは思いません。新興国が活躍する場を作ろうとしているのだと思います。中国がより大きな発言権を求めるのは理解できることです。

 我々はブレトン・ウッズ体制下の諸機関をどう改定するか考えなければなりません。もし、これらの機関がグローバル経済の現実と合っていないにもかかわらず、そのままにしておくならば、我々と新興国とは分断に至るでしょう。そして、我々が同意することができないような改革の動きが生じかねません。

 ただし、AIIBが持つ融資基準には疑問が浮かびます。中国は次のことを知っています――すべての人がAIIBの動向に注目しており、それゆえAIIBは最善の基準と最善の実践をする必要がある。中国のリーダーシップがどれほどのものか、AIIBの活動を基に世界が判断するからです。


 中国は、世界銀行や他の開発銀行が非常に官僚主義的になっている、インフラ開発に対する融資とは別の目的に取り組んでいると考えています。これは的を射たものだと思います。

 しかし、中国ならこうした課題を解決できるのか、我々は見極める必要があります。そして中国は、既存の開発銀行には困難だった諸問題をどうすれば解決できるのか我々に示す必要があります。

 我々は、環境や人権を犠牲にするつもりはありません。融資の審査に長い時間がかかるのは、これらの規範を守ろうとしていることが1つの理由です。中国は迅速さと規範の順守をどう両立させるのか。この点が不透明なので、ウェイト・アンド・シー・アプローチを取る必要があるのです。

一帯一路構想は、中国にとってペイするものか

ソリス:だから、AIIBについて私はあまり懸念していません。心配しているのはむしろ一帯一路構想です。この構想は何をするものなのか非常に不透明です。この取り組みをてこに、中国がこれまで以上に声高に権利を主張するようになると考えるのは自然なことでしょう。

中国は一帯一路構想を進めることで、中国独自のルールが通用する地域を作ろうとしているのでしょうか。

ソリス:たくさんのルールができるのかどうか、率直に言って確信が持てません。私の理解では、インフラ開発がけん引役となるでしょう。一帯一路構想は巨大なインフラ開発プロジェクトで、中国が主導する開発銀行はその前線であり中心でもあります。中国は興味深いことに西を向いています。

 ただ、何が優先政策なのか、どれだけ明確なのか、一帯一路構想とAIIB構想はどのように連携するのか、といった点が明確でないのです。こうしたやり方が中国の戦略的な手法で、我々の注意を引きつけるのでしょう。

 中国は他の国とどのように協働するのか、特に中央アジアの国々とどのように関係を築くのかは、注目ポイントです。しかし、この構想によって、中国が簡単に影響力を高められるとは思いません。構想されているすべてのインフラ開発計画を成功させ、利益を上げ、うまく運用するのは容易なことではありません。したがって、中国にとっても野心的なものと言えます。だからこそ、我々は中国がどう展開するのか見極める必要があるのです。

一帯一路構想は政治的な目論みではなく、経済的な取り組みなのですね。

ソリス:いえ、両方の要素があると思います。この地域においてより大きな役割を手にするための取り組みでしょう。中国の取り組みにはいつも政治的もしくは外交的な理由があります。それに加えて経済的な理由もあります。三位一体の政策です。

 しかし、中国がインフラ開発計画への融資を通じて、巨大な債権者になった時、中国はその収益性を考えるようになるでしょう。そして、どのプロジェクトは先に進め、どのプロジェクトはやめるかを選択するようになるでしょう。

このコラムについて
キーパーソンに聞く

日経ビジネスのデスクが、話題の人、旬の人にインタビューします。このコラムを開けば毎日1人、新しいキーパーソンに出会えます
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/238739/122200108/


 

 

世界経済にかつてなく大きな影響を及ぼした中国2016年も世界経済を左右する重要な国になるが、その影響は異なる?
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45638
2015.12.25(金) Financial Times
(2015年12月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

外交的には成功のAIIB、問われる中国の運営能力
中国は今年、かつてないほど大きな影響を世界経済に与えた。2016年はどうなるか〔AFPBB News〕
?中国はこの1年、かつてないほど大きな影響を世界経済に及ぼした。中国の景気減速はエネルギーやコモディティー(商品)の生産国に苦痛を与えただけでなく、ほかの途上国にとっても深刻な経済成長減速要因となり、世界全体の成長率を押し下げた。

?また、同じくらい衝撃的だったのは、この夏の株価急落と手際の悪い通貨切り下げのために米連邦準備理事会(FRB)が9月の金利引き上げを延期したことだ。

?金融政策の立案に当たってFRBほど外部の影響に反応しない中央銀行はない。

?そのFRBがこの点で予想外の敏感さを見せたことは、中国の台頭によって世界がいかに大きく変化したかを物語る出来事だった。

?さらに、中国政府はついに、人民元を国際通貨基金(IMF)の準備通貨のバスケットに採用してもらうという大願も成就させた。

効果を発揮し始めた景気刺激策、政策の方向性に注目

?来たる2016年も、中国は再び、世界経済の動向と資金の流れる方向を左右する非常に重要な存在になるだろう。だが今度は、景気減速が云々という話にはならない。鉱工業生産指数からうかがえるように、景気刺激策は効果を発揮している。また、特に地方政府によるインフラ投資の改善に反応する形で、投資が上向いている。国有企業も投資を増やしている。

?これは中国政府がかねて脱皮しようとしていた、投資・輸出主導の古い経済成長モデルへの回帰にほかならない。予想をはるかに上回る景気減速に直面した今年、中国共産党の幹部たちは方針を転換した。比較的古い産業で失業が高水準になれば社会不安が生じ、共産党による権力維持の脅威になりかねないと恐れたに違いない。

?来年には、経済における消費の割合を増やしたり金融の自由化を続けたりする当初の計画が放棄されたか否かを示す、決定的な証拠が明らかになるだろう。もし放棄されたのであれば、中国は高くつく資源配分の誤りを永続させることになり、後でさらに高い代償を払うことになる。

?中国以外の国々も代償を払うことになるだろう。

?持続不可能な経済成長モデルは、中国が世界全体の生産能力の余剰に寄与したために多くの産業で利益率が落ち込むという悪影響を外部に及ぼしている。

?あまり指摘されていないが、これは米国と大半の欧州諸国で金融危機以降に企業の投資が低迷していることの1つの要因だ。

人民元切り下げの行方

?最も大きな疑問の1つは通貨戦争に関するものだ。中国の産業界は、競争力のない人民元レートに苦しんでいる。上昇の著しい米ドルにペッグしていることが、この問題をさらに悪化させている。

?今月になって中国当局が、通貨バスケットに基づく指数に切り替えたことは、表向きは市場で決まる部分が大きい為替レートへの移行に寄与する。中国人民銀行(中央銀行)が人民元レートを切り下げるときの煙幕にもなる。また生産者物価が急低下していることも、人民元の実質ベースの下落に寄与している。

人民元と円の直接取引、6月1日から開始 安住財相
ここへ来て人民元の動きが注目を集めている〔AFPBB News〕
?先進国が需要不足に苦しんでいることを考えれば、秩序ある切り下げなら、世界のほかの国々にとって元安は対応可能かもしれない。

?原油価格が下落して消費者の所得が押し上げられていることに加え、中国から輸入される製品が値下がりすれば、消費を刺激することに役立つと思われるからだ。

?ただ、もっと急激な人民元切り下げとなれば(実行されるとすれば、日本がさらに競争的な通貨切り下げを図るときに促される可能性がある)、話は別かもしれない。大統領選挙が行われる年に米国で保護主義的な感情を燃え上がらせてしまう場合は特にそうだ。

?米国経済全体に占める貿易可能財セクターの割合は比較的小さいものの、輸出業者が連邦議会に対して行使するロビイング力はかなり強い。

?とはいえ、グローバルサプライチェーンの存在は、グローバル化が始まる前に比べれば、貿易保護主義の主張が抑制されたものになるかもしれないことを意味している。

中国マネーが各国でバブルを生む可能性

?中国の当局者らが金融改革に対する意欲を取り戻すようなことがあれば、別の種類のショックがほかの場所で感じられるかもしれない。

?完全な資本勘定の自由化に向けた動きは、莫大な貯蓄のプールを解き放ち、外国市場に向かわせるだろう。財産権がより強固でガバナンス(統治)が安定した国々へ投資を多角化させようとする衝動は、圧倒的に大きいはずだ。そうなると、バブルが生まれるだろう。発展途上国世界の比較的狭い市場では特にそうだが、先進国でも生じるはずだ。経済には、それより悪いことが起き得るものだ。

By John Plender

 

「富豪ランキング」は「豚殺しランキング」
富豪の監獄入りに喝采を送る中国の庶民たち
2015年12月25日(金)北村 豊

 2009年12月16日、香港株式市場に上場する中国企業、「茂業国際控股有限公司」(略称:茂業国際、証券コード:848HK)の“董事長(取締役会長)”である“黄茂如”が公安当局によって連行された。茂業国際は広東省“深圳市”を本拠とする百貨店業界の雄で、中国全土に40以上の支店を有し、その従業員は数万人に及んでいる。黄茂如は中国国内の“富豪榜(富豪ランキング)”の常連で、その少し前にも中国で著名な富豪ランキングである“胡潤百富榜(胡潤富豪ランキング)”や“福布斯富豪榜(フォーブス富豪ランキング)”<注>の2009年版にランクインしていた。ちなみに、前者では黄茂如・“張静”夫妻として第46位(資産:145億元≒2900億円)、後者では黄茂如家族として第51位(資産:104億元≒2080億円)であった。
<注>「フォーブス(Forbes)」は米国の雑誌、中国でも中国語版を発行している。
たとえ服役中でも富豪
 黄茂如が連行されたのは、中国最大の家電量販店“国美電器”の創業者である“黄光裕”が絡む経済事案に関与した容疑によるものであるとされた。黄光裕は、胡潤富豪ランキングでは2004年版と2005年版で第1位に輝いたし、フォーブス富豪ランキングでも2004年版で第2位、2006年版で第1位となった。また、2008年版では胡潤富豪ランキングで第1位(資産:430億元≒8600億円)、フォーブス富豪ランキングで第2位(資産:184億元≒3680億円)であった。黄光裕は立志伝中の人物で、2004年版の胡潤富豪ランキングで第1位、フォーブス富豪ランキングで第2位にランクインされた時は35歳という若さであった。
 黄光裕は2008年11月に逮捕され、2010年5月に一審判決で違法経営、インサイダー取引および組織的収賄の罪により、懲役14年、罰金6億元(約120億円)、財産没収2億元(約40億円)に処せられた。一方、連行された黄茂如は公安当局による取り調べを受けたが、1週間後の2009年12月21日には釈放されて業務に復帰し、「黄茂如が連行された」という噂によって急落した株価は回復したのだった。なお、2015年版の胡潤富豪ランキングでは、今なお服役中の黄光裕が黄光裕家族として第87位(資産:220億元≒4400億円)、黄茂如・張静夫妻が第133位(資産:170億元≒3400億円)に、それぞれランクされている。
 さて、2009年12月19日付の“新華網(ネット)”は「“殺猪榜另一面是光栄榜(豚殺しランキングの別の一面は栄誉ランキング)”」と題する文章を掲載した。これは12月16日に黄茂如が公安当局に連行され、それが黄光裕の犯罪に関連したものであるというニュース報道を基に、各種の富豪ランキングにランクインすると問題が極めて出現しやすくなると述べたものであった。
ランクイン49人の失敗に喝采
 その根拠となったのは、胡潤富豪ランキングを発表している“胡潤研究院”が2009年8月29日に初めて発表した『胡潤富豪特別報告』であった。同報告は1999年から2008年までの10年間に胡潤富豪ランキングにランクインした富豪1330人のその後に関する調査報告で、その大部分は依然として経営する企業を発展させているが、不幸にも問題があった49人について次のように分析したものであった。
 これら49人の内訳は、刑罰を下された者:16人、まだ判決を言い渡されていない者:3人、当局に取り調べを受けている者:10人、行方不明の者:7人、かつて当局による取り調べを受けた者:7人、すでに死去した者:6人となっていた。すなわち、現時点(2008年末時点)で、刑罰を下された者および判決待ちの者は合計19人であり、これは1330人中の1.4%に過ぎない。
 上述したように1330人から49人を除いた1281人の富豪は何も問題なく、彼らが経営する企業を発展させている。これは喜ばしいことであり、彼ら富豪たちには才能ある卓越した人物が少なくないだけでなく、彼らは総じて人々から信頼を得ているということを意味している。但し、中国では長きにわたって“重農抑商(農業を重視し、商業を抑える)”とか“学而優則仕(学問が良くできれば役人になる)”といった観念の影響を受けたことにより、商売の創造的活力は厳しく抑制されていた。そこに役人と商人に間の“権銭交易(権力とカネの癒着)”や国有資産の流出などの現象が多発したことにより、庶民はこうした不正によって金持ちになった商人に反感を持ち、“為富不仁(金持ちには思いやりの心がない)”ということに敏感となり、“仇富(金持ちを憎む)”という気持ちが社会に蔓延するようになった。この結果、庶民は富豪に問題が起こることを歓迎し、喝采を送るようになった。
 こうして、庶民は毎年各種発表される富豪ランキングを、裏では“殺猪榜(豚殺しランキング)”と呼び、次に「殺される豚」すなわち「逮捕される富豪」は誰かを楽しみに待つようになったのである。この心理の根底にあるのは、富豪たちと庶民の間に横たわる巨大な所得格差であり、悪事を働くことで不正なカネを稼いだ富豪たちに鉄槌を下し、失脚させたいという庶民の願望が渦巻いている。しかし、それは所詮、庶民の富豪に対する妬みに過ぎないのだが。
本当の「豚殺しランキング」
 上記の文章に憤慨したのは胡潤研究院だった。同研究院は1999年に「胡潤富豪ランキング」の発表を始めてから今日に至るまで、毎年「胡潤富豪ランキング」を発表して来ている。胡潤富豪ランキングは、多大な時間と労力を費やして富豪たちの資産を個別に調査して取りまとめたもので、血と汗の結晶と言うべきものである。それを「豚殺しランキング」と呼ぶのはひどいのではないか。「そう呼ぶのなら、やってやろうじゃないか」と、これに反発した胡潤研究院が翌年(2010年)の12月30日に発表したのが、本当の“殺猪榜(豚殺しランキング)”、すなわち、「食肉用豚を解体する(=殺す)能力の企業別ランキング」であった。下表参照。

上表に記載された企業の代表者の中で胡潤富豪ランキングにランクインしているのは、“新希望集団”の“劉永好家族”(2015年版の第25位、資産:450億元≒9000億円)と、“大衆食品”の“明金星”(2015年版の第1093位、資産:35億元≒700億円)だけで、残りの5人は残念ながらランクインしていない。要するに、胡潤研究院は、この表を発表することにより、胡潤富豪ランキングが豚殺しランキングと呼ばれる筋合いではないことを敢えて示したのだった。それはともかく、1企業が年間に2500万頭もの豚を食肉用に処理していると考えると、「すごい」の一言に尽きる。さすがに13.7億人の人口を持つ国である。“中国肉類協会”の統計によれば、中国人の豚肉消費量は年間に1人平均42kgだというが、これに対して日本は2013年の農水省統計で13kgに過ぎない。
 それはさておき、胡潤研究院は12月15日に第4回目となる『中国富豪特別報告』を発表した。上述したように『中国富豪特別報告』の第1回目は2009年8月29日に発表されたが、その後は2011年1月18日に第2回目、2014年4月19日に第3回目と、不定期ながら継続的に発表がなされ、今回が第4回目であった。第4回目の『中国富豪特別報告』の概要は以下の通り。
平均的問題富豪は44歳で逮捕、刑期10年
【1】1999年から始まった胡潤富豪ランキングには、2015年までの17年間に3087人の富豪がランクインした。そのうち “問題富豪(問題があった富豪)”は35人で、全体の1.1%を占めた。その内訳は、投獄されている者:18人、すでに出獄した者:11人、まだ判決が下っていない者:5人、死刑が執行された者:1人であった。なお、残りの富豪3025人は何も問題なく、自己の企業を率いて健全に発展させている。
【2】問題富豪の平均刑期は10年である。問題富豪は平均して41歳で問題が起こり、44歳で逮捕され、47歳で判決を受けている。平均刑期は10年だから、本来なら57歳で刑期満了となるが、実際には54歳で釈放になって出獄する。なお、刑期が最も長いのは無期懲役の2人、次に長いのが懲役19年の2人である。この懲役19年のうちの1人は、かつて上海市第一の富豪と呼ばれ、失脚した元上海市党委員会書記の“陳良宇”に連座する形で逮捕された“周正毅”である。
【3】問題富豪の比率は多くの人々が想像するよりも低い。この5年間で1.4%から1.1%まで下がった。2015年版の胡潤富豪ランキングにランクインしている1877人中に含まれている問題富豪はわずか6人で、全体に占める比率は0.3%に過ぎない。この6人の中には上述の黄光裕(懲役14年、但し、2012年11月と今年11月に各々1年減刑された)が含まれている。
【4】35人の問題富豪が関与した罪名の合計は83件に及び、1人平均の罪名は2.8件であった。彼らの主たる罪名は、(A)社会主義経済秩序破壊、(B)汚職賄賂、(C)財産侵害であり、その人数構成は(A)18人、(B)12人、(C)9人であった。例えば、黄光裕の場合は(A)および(B)に分類された。
【5】1人だけ死刑が執行されたのは、四川省の省都“成都市”に本拠を置いた“漢龍集団”の法人代表であった“劉漢”である。劉漢はならず者から富豪に駆け上った人物で、暴力団を組織して違法行為を行うことにより企業を巨大化させた。劉漢の死刑は2015年2月9日に執行された。
【6】35人の問題富豪を業種別に見ると、不動産業が最も多く11人、次いで金融投資業の9人となっている。また、地域別では、上海市が最多で8人、次が北京市で7人、3番目が深圳市で4人、“広州市”と成都市が各2人となっている。
 第4回『中国富豪特別報告』の内容を知った中国の庶民たちは、問題富豪とされた35人は不運であっただけで、残る3025人の富豪もいつ何時犯罪者として司直の手に落ちるか分からないと考えている。それは、中国で民営企業を経営して富豪と呼ばれるまでの成功を収めるには、あらゆる分野の官僚を買収して種々の許認可を取得しなければならないからである。官僚は賄賂を受け取るのが役得だと思っているから、賄賂を贈らなければ民営企業が必要とする許認可を下ろさない。江戸時代の日本なら、芸者に席を外すように命じた料亭の一室で、悪徳商人の越後屋が代官に賄賂を贈り、受け取った代官が「越後屋、お主も悪よのう」と言えば、越後屋が「お代官さまほどでは」と笑いながら応じるという図式である。
 従い、時の権力者に媚びない限り、富豪になることなどできるはずがない訳で、富豪と言われる人々は少なからず官僚に対する贈賄という罪を犯しているに違いない。ところが、その官僚が派閥抗争などで失脚すると、その取り調べの中で収賄が明るみに出て、災いは贈賄を行った富豪にまで及び、富豪は問題富豪の一員となって獄舎につながれることになるのである。
寄付はアリババ馬雲1人で88.5%
 ところで、12月16日付の香港紙「東方日報」は、“中国社会科学院”の“企業社会責任研究中心(企業の社会的責任研究センター)”が12月15日に発表した『企業公益青書(2015)』が示した問題点を報じた。それは、中国の富豪ランキングの上位100人に名を連ねる企業家のうち、昨年(2014年)に明確に寄付を行った富豪はわずか26人だけで、74人の富豪の企業家は全く寄付を行っていないということである。
 『企業公益青書』によれば、富豪の企業家26人が寄付した総額は165.6億元(約3312億円)で、このうち情報技術関連企業グループの“阿里巴巴(アリババ)集団”を率いる“馬雲”が146.5億元(約2930億円)で、全体の88.5%を占めた。また、寄付額の上位10人(馬雲を含む)の総額は161.6億元(約3232億円)で、全体の97.6%を占めたという。寄付を行った富豪の企業家が26人いると言っても、上位10人を除いた16人の比率が全体の2.4%というのでは個々の寄付金額が微々たるものであることは明白である。
 この点について、東方日報は、次のようなネットユーザーの声を報じた。
(1)海外では寄付金は免税なのに、国内では免税にならないという不合理が、富豪たちを寄付から遠ざけている。
(2)富豪たちに道徳の枷(かせ)をはめて寄付を強要するべきではないが、富豪であるなら寄付をすることで社会に還元して模範となるべきではないか。
(3)富豪が寄付をしないのは、中国全土に汚職役人が横行しているからである。寄付したカネは汚職役人に横領されるから、富豪は寄付をしたがらない。従い、汚職役人の家財を没収して寄付金に充当すれば、寄付の目標額は容易に達成できる。
 富豪たちの大部分が寄付による社会還元をしないことも、庶民が富豪の失脚に喝采を送る一因となっているのだろう。貧富の格差がますます拡大する中で、庶民が「富豪ランキング」を「豚殺しランキング」と呼ばなくなるのは、相当先のことになりそうだ。



世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」
日中両国が本当の意味で交流するには、両国民が相互理解を深めることが先決である。ところが、日本のメディアの中国に関する報道は、「陰陽」の「陽」ばかりが強調され、「陰」がほとんど報道されない。真の中国を理解するために、「褒めるべきは褒め、批判すべきは批判す」という視点に立って、中国国内の実態をリポートする。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/101059/122300031/?ST=print 

http://www.asyura2.com/15/hasan103/msg/801.html#c4

[経世済民103] 2016年はISM景況感指数で株と為替を見通す(会社四季報オンライン) 赤かぶ
1. 2015年12月25日 22:29:30 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[3]
市場予想、シンプルな考え方が最善

By JASON ZWEIG
2015 年 12 月 25 日 13:18 JST

 来年を予想する時期がまたやってきた。

 年末になると、金融界のストラテジストのように株式や債券の投資収益を予想しようと考えるかもしれないが、コンピューターがはじき出した不可解な結果を読み解く必要がある。だが、単純な考え方が複雑な分析に勝るとしたらどうだろう。

 大手投資会社バンガード・グループを創設したジョン・ボーグル氏は25年前、投資成績を左右する「収益源」を判断するために、株式と債券の運用実績の分析を公表し始めた。

 ボーグル氏はジャーナル・オブ・ポートフォリオ・マネジメント最新号で、自身の分析成果を更新した。投資収益を1915年までさかのぼって分析した結果、わずか3つの要素を勘案すれば、株式の過去の投資成績を説明することが可能で、かなり正確に将来の投資収益を予想できることが判明した。

 一見、あまりに単純すぎて間違いだと思えるだろうが、複雑な仕組みを予想する上で極めて基本的な方式が優れていることが多いことに多くの分野の研究者が気づいている。

 ボーグル氏があげる3要素の最初は、年間配当を株価で割った配当利回りだ。米国株の配当利回りは現在、およそ2.2%だ。2つ目は利益の伸び率だが、これは過去の平均が約4.7%だ。この2つは企業が生み出す現金に基づいており、ボーグル氏が「投資収益」と呼ぶものを構成する。

 3つめは「投機収益」だ。つまり投資家が株式にどれだけ資金を投じたいかという群衆心理の程度だ。S&P500種は現在、株価収益率(PER)が23倍近くになっている。投資家は1ドルの利益に対し約23ドルを払っているかたちだ。

 PERが今後10年間で約10%上昇して25倍になれば、株式の投資収益は年間およそ1%増える。一方、現行水準から10%以上も下がり20倍になると、今後10年間の投資収益は年平均で約1%減る。

 配当利回りの2.2%と利益の伸び率4.7%を合計すると、7%弱になる。市場の株価評価が年1%上がると平均投資収益率は約8%になり、反対に同程度下がると約6%に低下する。

 債券についてボーグル氏は、基本的に知る必要があるのは金利収入を債券価格で割って得られる最終利回りだとしている。1906年までさかのぼり10年ごとに分析した結果、債券の投資収益の最低9割が当初の利回りで説明できると判明した。売買損益はほとんど影響しない。現在、バークレイズの米国債・社債総合指数は利回りが2.6%となっているが、これが予想の基準値になる。

 これらの数字はいずれもインフレを勘案していない。米連邦準備制度理事会(FRB)は年率2%をインフレ目標にしている。購買力の損失を勘案するためにインフレ率を控除すると、長期的な株式の平均投資収益はおよそ5%で、債券は1%未満となる。

 これらは今後10年間についての予想で、来年の見通しではない。来年を予想するのは、至難の業だと誰もが知っている。

 予想投資収益を左右する要素をこのようにはっきりと分解し、ボーグル氏は誰もが使える一つのモデルを提供している。「(配当利回り以外の)わたしの数字が気にいらなければ、ご自分の数字をあてはめれば良い」と同氏は言う。つまり、利益の伸びが高くなるとかPERが上昇すると思うならば、予想収益はそれに応じて上がるし、今後悪化すると考えるならば下がることになる。

 どの金融資産についても同じ原則が当てはまる。商品(コモディティー)を例にしてみよう。投資会社リサーチ・アフィリエイツの投資ストラテジスト、ライアン・ラーソン氏によると、石油と金、大豆などの資産に分散投資した場合、投資収益は歴史的にみて4つの主要要素から得られる。

 1つ目は、限月交代の際に得られる「ロール収益」だ。もう1つは購入資金を調達する際の担保につく金利だ。3つ目は市場価格の上げ下げで、最後は「リバランス」と呼ばれる持ち高調整だ。運用担当者は、一番値上がりした資産を売って、その資金で一番値下がりした資産を買うなど、資産構造を入れ替えることができる。

 多くの商品はロール収益がマイナスになっている。担保につく金利はほぼゼロだ。リサーチ・アフィリエイツでは、今後10年間の商品投資利回りはインフレ控除後で実質年3.6%と予想している。ただ、ラーソン氏も認めるように、ほぼすべてが仮定のもので、リバランスや市場価格の動きに左右される。ロール収益や担保収益などの要素からの追い風は受けていない。いまのところ、商品でしっかり稼ぐには、群衆心理を味方につける必要があるだろう。

 2016年が近づく中で、金融界が示す詳細な予測は無視しよう。冷静になって、長期を見据え単純に考えよう。

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ウォール街トップストラテジストの2016年市場見通し


 

金融市場のトレンド、来年明らかに=アナリスト

By PAUL VIGNA
2015 年 12 月 25 日 15:17 JST

 山を張って勝負するのが好きなトレーダーにとって、2016年は実り多い年になるだろう。

 こう予測するのは、市場調査会社モメンタム・ストラクチュラル・アナリシス(MSA)を運営するマイケル・オリバー氏だ。同氏の持論によると、2015年は多種多様な資産クラスにおけるさまざまなトレンドの形成期にすぎず、それは来年になって明らかになる可能性が高いという。オリバー氏が指摘するように、トレンドを見いだすこととそのタイミングを読むことは別物であるため、ここでは「可能性が高い」としておきたい。

 MSAはやや異なる観点から市場に目を向けている。ほぼ全ての人が注目する価格は重視せず、モメンタムを追いかけている。オリバー氏は、3年平均や四半期ごとのモメンタムといった長期トレンドのチャートを見ている。同氏の見立てによると、そうすることで長期間かけて築かれたトレンドがあぶり出され、深みや持続力が増す。彼の見るチャートは今何を語っているのだろうか。

 オリバー氏は24日付の顧客向けリポートで、「MSAはこうしたモメンタムのチャートから、新たに重要なトレンドが生まれるという点で、2016年は最も実りの多い年の一つになるとの結論に至った」と指摘している。

 株式相場を見てみよう。米国株式市場では、代表的指標のS&P500種指数が過去3年に比べ、かなり狭い値幅で推移した。振り返れば、同指数は1年の大半を通じて2050?2100という極めて狭いレンジにとどまった。オリバー氏は年初から(実際には2014年10月から)株式市場の上昇モメンタムは途切れていると主張してきた。また、2015年のパターンを(背中を丸めた)胎児の姿勢になぞらえ、金相場が2012年に形成した天井と比較し、下向きのモメンタムが到来していることがうかがえると述べた。「備えを万全にした方がいい」という。

 オリバー氏はこれ以上の詳細に踏み込んでいないが、今年は終始、株式市場は頭打ちとなり、S&P500種指数は1800台前半に向かうと主張してきた。同指数は8月に1867まで下落したが、この水準には短期間しかとどまらなかったため、同氏の下値目標は間違っていたと言うこともできる。だが、指数の上昇モメンタムが今年途絶えたことは間違いない。247日の営業日を経て、わずか0.3%しか上昇していないのだ。

 オリバー氏は、とりわけ足元の相場下落を踏まえ、2016年は国際商品価格に特に注目するという。実際、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の原油先物については、最初の3カ月で1度でも月末終値が1バレル=49ドルを超えた場合、1-3月期中に急伸すると予想している。ここで言う急伸とは、下げ相場が一服したような短期的な上昇ではなく、長期の上昇トレンドの始まりのことだ。トウモロコシと綿花、小麦の相場も同様に、低迷を脱するとみられている。同氏は、今や誰の目にも明らかな商品相場の暴落は収束の過程にあるとし、「2016年の最も衝撃的な出来事は商品相場の最初の反発になるだろう」と指摘した。

 同氏のリポートは、自身がトレーダーだった1970年代の逸話で締めくくられている。E.F.ハットンでの駆け出し時代、当時の商品部門責任者が最初の相場の教訓を与えてくれた。「『反転上昇について説明する上でファンダメンタルズ(基礎的諸条件)に理由を求めてはならない』。思い出す限りこんな言葉だった」。

 「反転上昇はほとんどの場合、単純に適正な均衡点を超えて売られすぎた市場のテクニカルな反動に、ショートカバー(空売りの買い戻し)が重なって起きる。ファンダメンタルズがはっきりするのは、新たな強気トレンドの半ばに入ってからだ」としている。

 これこそ、本記事の第2段落で「可能性が高い」と強調した理由だ。タイミングは予測不可能で、相場の本物の底は、底を付けているときにはほぼ分からない。昨年夏以降の原油相場を見ても、本物の底より偽物の方がはるかに多い。2009年に底を付けたとき、底だと見極めていたのはごく少数で、誰もがそうした見方に否定的だった。

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米政府の債務問題、表面下では進展も
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ルー米財務長官 PHOTO: LAZARENKO MYKOLA/ZUMA PRESS
By
JON HILSENRATH
2015 年 12 月 24 日 09:52 JST
 今年を振り返るこの時期に、米国がレバレッジサイクルのどこに位置しているのか確かめてみるのも有益なことだろう。このサイクルは2007年〜09年の金融危機を引き起こす上で重要な役割を果たした。では、米国は景気減速につながった債務問題に対処してきたのだろうか。
 表面上、米国は07〜09年の金融危機以降、債務負担の削減において大幅な進展は遂げていないようだ。実際、非金融部門の債務総額は08年の対国内総生産(GDP)比240%から今年7-9月期時点で245%へ増大しており、1990年代に一般的だった185%付近の水準を大幅に上回ったままだ。
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債務の対GDP比率。家計(青)、企業(緑)、政府(赤)
 だが一皮むくと、米経済のバランスシートは重要な変化に直面しており、債務負担が以前より持続可能なものになっていることを示唆している。家計と金融部門はより良い状態にあるが、政府債務は急増した。企業債務は増加しているが、それほど大幅ではない。
 家計債務はGDP比100%付近から78%へ減少している。企業債務はここ15年の大半を通じ、同60%〜70%で推移している。一方、政府(主に連邦政府)債務は10年前の同61%から100%近くへ急増し、今年わずかに改善した。金融部門の債務は、金融危機時の同120%超から85%まで減少している。
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債務の対GDP比率。非金融部門(青)と金融部門(緑)
 連邦政府は家計や銀行よりも低い金利での借り入れが可能だ。さらに、政府の調達計画は長期かつ安定しており、投資家は満期を迎える米国債を常に新発債と交換できる。このため、債務総額のGDP比率は低下せず、一部で懸念を引き起こしているが、債務の構造が異なっており、持続可能性は以前より高いように思われる。
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http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-LV147_financ_G_20151222153546.jpg 

 
米国債の予想変動率低下、政策軌道疑問視か

By MIN ZENG
2015 年 12 月 24 日 15:37 JST

 米国債価格の予想変動率を対象とするMOVE指数が、約1年ぶりの低水準まで下がった。米連邦準備制度理事会(FRB)が2016年に繰り返し利上げする見通しについて、投資家が依然として懐疑的な様子がうかがわれる。

 MOVE指数は、シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)が株式市場の不安感を示す「恐怖指数」と呼ばれるように、米国債市場全般の投資家心理の手掛かりとされている。

 クレディ・アグリコルの資料によると、MOVE指数は21日の終値が、2014年12月以降では最低となる66.37となった。

 1日遅れで公表されるこの指数は、FRBが9年半ぶりの利上げを決めた16日の前日、2カ月ぶりの高値79.57をつけた。この指数は、高ければ債券投資家が大幅な値動きを予想していることを、低ければその反対を意味する。

 指数の低下は、FRB当局者の予想が示す経済見通しの通りに米経済が成長しFRBが来年4回利上げできるかどうかについて、投資家が不安を抱いていることを浮き彫りにしている。

 証券会社レイモンド・ジェームズの債券取引責任者、ケビン・ギッディス氏は、「FRBが(急速な利上げで投資家に)ショックを与えるとは市場は予想していない。2016年に金利の動きが大きすぎたり早すぎたりする公算は小さい」と語った。

 指標銘柄の10年物米国債利回りは23日の終値が2.26%程度で、FRBが利上げを決める前の2.3%を下回っている。 FRBの利上げによる影響は、政策見通しの変更にかなり敏感な短期債の方が大きい。2年物米国債の利回りはFRBの利上げ発表後に、10年以来初めて1%を超えたが、その後低下して23日は0.985%で取引を終えた。

 先物市場では、金利がゼロ程度に戻る可能性がある程度意識されていることも一因となり、今後数年についてはFRBの見通しよりも低い金利水準を織り込んでいる。例えば、16年12月については、FRB当局者らの見通しに基づくフェデラルファンド(FF)金利は1.375%だが、先物市場は0.76%としている。

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視点:内部留保活用と抑止力強化=ケビン・メア氏
NMVコンサルティング上級顧問/元米国務省日本部長
[東京 25日] - 今の日本に必要なことは、経済再生に向けては産業界が内部留保の有効活用によってリーダーシップを示すことであり、安保においては日米の防衛力統合などにより抑止力の強化に努めることだと、元米国務省日本部長のケビン・メア氏(NMVコンサルティング上級顧問)は指摘する。

同氏の見解は以下の通り。

<民間企業の巨大内部留保を有効活用>

安倍政権は財政・金融政策や、アベノミクスが掲げる「3本の矢」に関連した真の経済改革において、リーダーシップを示してきた。日本の経済界・産業界トップもこれと同様のリーダーシップを示し、自国の経済復興に向けて自らの責任を果たす必要がある。

日本の民間企業の内部留保は、国内総生産(GDP)の65%に相当すると推定される。通常、企業が蓄積した内部留保は設備投資や配当増加、賃金引き上げに活用される。しかし、大半の経営者はそのいずれも行わず、代わりに安全に保管することを選択してきた。これは非常に非生産的な金融資産だ。

私の個人的見解では、彼らはただ決断力を欠き、妥当な範囲でリスクを冒す自信がないだけのように思うが、それは恐らく彼らが、バブル経済崩壊後の「失われた20年」の間に現在の地位に上り詰めたからだろう。

だが、もはやバブル崩壊の痛みを克服してよい頃合いであり、日本経済を成長させるためには自らが戦略的役割を担う必要があることを認識するべきだ。

16年春の賃上げ交渉においては、過大な内部留保を従業員の実質賃金の大幅な引き上げに回すことがとりわけ重要だ。もしこれが実現しなければ、それはアベノミクスの失敗ではなく、日本の経済界・産業界リーダー側の責任という結果になるだろう。

<日本は抑止力の強化が必要>

安倍政権の最初の3年間では、現実的な安全保障政策の導入において歴史的な進歩が見られた。このことは日本国民を守るとともに、地域の平和維持に大きく貢献するだろう。

特筆すべき変化は、「国家安全保障戦略」の策定、「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」の見直し、「特定秘密保護法」の成立、武器輸出を許可する新ルール「防衛装備移転三原則」の導入、「集団的自衛権」の行使を認める安全保障政策の転換、そして安全保障関連法の成立だった。安倍首相はまた、防衛費を11年ぶりに増額に転じさせた。

日本はこうした安全保障政策の転換をすばやく実行に移すため、新たな安全保障法制の枠組みに肉付けを行い、防衛力増強に向けた具体的な取り組みを継続していくべきである。そのためには、防衛費の大幅な増額が求められる。

同時に、日米の防衛力の統合とネットワーク化を推進することも重要だ。これによってもたらされる戦力倍増効果は、中国や北朝鮮、そしてますます強まるロシアからの極めて現実的な脅威に日米がともに立ち向かう上で、最も現実的かつ効率的な方法だ。

戦力のネットワーク化を強化する上で重要な分野は、相互運用性と統合化だろう。次世代戦闘機「F35」や早期警戒機の「E2D」、イージス艦を先端システムの「CEC(共同交戦能力)」や「IFC(統合火器管制)」と統合させることに加え、「ISR(情報収集・警戒監視・偵察)」や共同ミサイル防衛システム、「ASW(対潜水艦戦闘)」も重要性を増すものと思われる。

日本に差し迫った脅威はないと信じている人々は、武器を搭載した中国軍艦が尖閣諸島付近を定期的に航行していることと、そして尖閣諸島は沖縄県に位置していることを認識する必要がある。これは日米にとって抽象的な事案ではない。

*ケビン・メア氏は、駐日大使館安全保障部長、沖縄総領事、国務省日本部長などを歴任した米国の外交官。現在は、リチャード・ローレス元米国防副次官らが設立したNMVコンサルティングの上級顧問。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの特集「2016年の視点」に掲載されたものです。http://jp.reuters.com/article/view-maher-kevin-idJPKBN0U60N620151225?sp=true

 
企業アンケート:来年の剰余金使い道、国内設備投資やM&A

[東京 25日 ロイター]主要企業が2016年の剰余金の使い道として、国内の設備投資、合併・買収(M&A)を重視していることがわかった。 - 15年は株主還元が断トツのトップだったが、企業が今後の成長や需給拡大などを意識して資金を使う姿勢が裏付けられた。

ロイターが実施したアンケートでわかった。

剰余金を国内設備投資に使うと回答したのは、NTT(9432.T)、味の素 (2802.T)、旭化成(3407.T)など計21社。

使い道の2位に挙がったのはM&A。成長のための経営ツールとして、M&Aが日本企業に定着したのを裏付ける。

トムソン・ロイターによると、2015年の日本企業によるM&Aは、2000年以降で最高水準となる21兆円超。特に海外M&Aは11兆円超(701件)で金額、件数ともに過去最高を更新し、成長のための新たな商圏を海外に求める姿が鮮明に表れた。

21日に米業務用冷凍冷蔵庫メーカー、ハスマンの買収で合意したパナソニック(6752.T)は、今回の調査でもM&Aを選択したほか、国内設備投資とその他(研究開発の強化)と回答。任天堂(7974.T)は国内の設備投資とM&Aを挙げた。

株主還元と答えた企業も17社と多かった。コーポレート・ガバナンス・コードの導入で、株主対応が意識されていることがうかがえる。

反面、非正規労働者の時給アップなど待遇改善を実施すると答えた企業はゼロだった。安倍晋三政権が目指す国内経済の成長には、個人消費の改善がカギを握るが、非正規労働者にそうした好循環が浸透するには時間がかかりそうだ。正社員への賃上げと回答した企業も、三菱ケミカルホールディングス(4188.T)、セブン&アイ・ホールディングス(3382.T)など6社にとどまった。

アンケートは50の主要企業を対象に実施し、36社から回答を得た。剰余金の使い道として、1)賃上げ(社員への還元)、2)パートタイマーの処遇改善、3)株主還元(増配・自己株取得)、4)国内設備投資、5)海外設備投資、6)M&A、7)その他──から3つ選択するよう回答を求めた。

剰余金の使い道 件数

1) 賃上げ(社員への還元) 7

2) パートタイマーの待遇改善(時給UP) 0

3) 株主還元(増配・自己株取得) 17

4) 国内設備投資 21

5) 海外設備投資 15

6) M&A 19

7) その他

有利子負債の削減 2

新製品や技術の研究開発 9

内部留保         2

(以下は2014年12月実施の調査結果)

剰余金の使い道 件数

1) 賃上げ 6

2) 株主還元(増配・自己株取得) 34

3) 国内設備投資 18

4) 海外設備投資 10

5) 企業買収 8

6) 内部留保 8

7) その他 14

(その他のうち: 研究開発)  6

(企業・金融チーム 編集:宮崎大)
http://jp.reuters.com/article/nextyear-capitalinv-idJPKBN0U808U20151225


 
日銀版コアコアCPI、11月は前年比+1.2% 3カ月連続で同水準

[東京 25日 ロイター] - 日銀は25日、生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価(日銀版コアコアCPI)の前年比上昇率が11月にプラス1.2%になったと発表した。9月から3カ月連続で同水準となった。

日銀では、2%の物価安定目標の実現に向け、物価の基調的な動きを重視しているが、昨夏以降の原油価格の急落を受けてエネルギー価格の変動が激しくなる中、目安とする生鮮食品を除いた消費者物価指数(コアCPI)では基調が判断しづらくなっているとみている。

このため、コアCPIからエネルギーを除いた指数を総務省が公表している消費者物価指数をもとに独自に試算している。

足元ではコアCPIがゼロ%程度での推移を続けているが、日銀版コアコアCPIはプラス1%台前半に伸び率を高めている。もっとも11月までは3カ月連続でプラス1.2%と足踏み状態にあり、今後、再び上昇に向かうかが物価の基調を判断するうえで重要なポイントになりそうだ。

総務省によると、11月の消費者物価の前年比上昇率は、総合がプラス0.3%、コアがプラス0.1%、食料(酒類を除く)とエネルギーを除いたコアコアがプラス0.9%だった。

また、同時に日銀が公表した価格変動の大きい上下10%の品目を除いて算出する「刈込平均値」は同プラス0.6%となり、前月と同水準。価格が上昇した品目の比率から下落した品目の比率を差し引いた値は42.2%ポイントで、前月の39.7%ポイントから上昇した。

*内容を追加します

(伊藤純夫)
http://jp.reuters.com/article/cpi-nov-idJPKBN0U808W20151225


 

 


GPIF10人合議制に、執行部の長と労使代表含む経営委−厚労案 (2)
2015/12/25 17:34 JST

    (ブルームバーグ):厚生労働省は25日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を理事長の独任制から10人で構成する経営委員会の合議制に改編し、意思決定・監督と執行を分離する案を提示した。次期通常国会への法案提出を目指す。
厚労省が同日開催の社会保障審議会年金部会に提出した「GPIFガバナンス強化のイメージ」案によると、新たに設ける経営委員会は、厚労相が任免する任期5年の経営委員(委員長を含む)9人と執行部の長で構成し、うち2人は労使の代表となる。中期計画などで基本ポートフォリオの策定や財務諸表、役職員の報酬など組織運営上の重要事項を決定し、職務執行を監督する。1人以上の常勤を含む3人以上の経営委員からなる監査等委員会も設置する。
現在のGPIF首脳に相当する「執行部」は、執行部の長、運用担当理事と理事の3人で構成。2人の理事は執行部の長が経営委員会の同意を得て任免するが、運用担当理事の任免には厚労相の認可が必要だ。理事の任期は執行部の長が自身の任期内で定める。
厚労省案では、公的年金の管理運用が「専ら被保険者の利益」にそぐわない目的にゆがめられる懸念を払拭(ふっしょく)し、国民の信頼を高めるためと指摘。運用の多様化・高度化が進む中で、リスクを適切に管理しつつ、機動的な対応を可能にする必要があるとした。厚労相は運用に関する最終責任者として、中期目標の策定・指示や中期計画の認可、経営委員や執行部の長の任免・承認などを担う。
東洋証券投資情報部の檜和田浩昭シニアストラテジストは、「統治体制の変化は今の時流に乗ってきている。今までは年金は独任制の運用だったが、こうやって一つの国としてリスクを取って行く方向に向いてきているのは前向きに評価はできる。ただ本格的に具体化するのはまだ先だろう」と述べた。
この日の年金部会では、駒村康平委員(慶応義塾大学教授)が「組織改編においては性善説ではなく性悪説に立つべきだ」と指摘。意思決定と執行の分離、両者の円滑な意思疎通のバランスについては、伊藤隆敏委員(米コロンビア大学教授)が「独立性が高く、国会に対して説明責任を負っている日本銀行とGPIFを比べるのは不適切だ」としたほか、植田和男部会長代理(東大大学院教授)は、日銀審議委員を務めた経験から「執行部が経営委に1人しか入らなくても、実際にはさまざまなレベルで意思疎通があるので困らない」と語った。
また、GPIF運用委員の武田洋子委員(三菱総合研究所チーフエコノミスト)は、「法律で担保するのは賛成だが、GPIFの実態はすでに合議制に近いということが国民に分かりやすい記述にしてほしい」と要望した。神野直彦年金部会長(東大名誉教授)は、厚労省案に各委員から出た意見を反映させて、同部会としての案をまとめていく考えを示した。一方、次回の部会ではGPIFの運用改革について、GPIFからヒアリングを行うことを明らかにした。
年金運用に関する会議体
GPIFは厚生年金と国民年金の運用資産135.1兆円を抱える世界最大規模の年金基金。政府の有識者会議などから国内債券への偏重見直しやリスク資産の拡大で収益向上を求める圧力に直面し、昨年10月末に2006年4月の設立以来、初めて資産構成を抜本的に見直した。
GPIFを所管する塩崎恭久厚労相は昨年9月の就任前から、運用見直しと法改正が必要となる組織改革を「車の両輪」だと主張。年金部会は昨年12月の作業班会合で改革案を取りまとめたが、今年1月の年金部会では意見集約に至らなかった。国会はGPIFに総務担当の理事1人を追加する法案を4月に可決した。
厚労省は25日のGPIF改革案で、主に年金制度などを議論する年金部会とは別に、社会保障審議会に年金運用に関する会議体を新設する案を提示。GPIFをめぐる中期目標や中期計画など重要事項を議論する方針を示した。
GPIFは7−9月期の運用収益額が約マイナス7.9兆円と、前身の年金資金運用基金で自主運用を始めた01年度以降で最悪を記録。ただ、長期的に安定した収益を確保するため、リスク資産への投資を続ける意向を示している。ブルームバーグの試算によると、9月末に年金特会の管理分も含めた資産139.3兆円のうち、国内債の残高が約54.3兆円、国内株は約29.7兆円、外債は約18.9兆円、外株は約30.1兆円だった。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 野沢茂樹 snozawa1@bloomberg.net;東京 Tom Redmond tredmond3@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 崎浜秀磨, 青木 勝
更新日時: 2015/12/25 17:34 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NZWD2Y6TTDS001.html

日本株下落、円高警戒し輸出や資源、電力安い−売買代金ことし最低に
2015/12/25 15:36 JST
    (ブルームバーグ):25日の東京株式相場は下落。為替のドル安・円高推移が嫌気され、機械など輸出関連株の一角が軟調、米国でエネルギー株が下落した流れから鉱業や石油、商社など資源株も下げた。電力や鉄鋼、銀行株にも売りが優勢。クリスマス休暇、週末で取引が見送られ、東証1部の売買代金はことし最低だった。
TOPIXの終値は前日比7.43ポイント(0.5%)安の1516.19と続落、日経平均株価は20円63銭(0.1%)安の1万8769円6銭と5日続落。
ドルトン・キャピタル・ジャパンの松本史雄ファンドマネージャーは、「来年は米国の利上げが緩やかで、日本も原油安と原子力発電所稼働で貿易黒字基調となれば、1ドル=120円を中心としてあまり円安にはなりにくい」と指摘。円安による企業業績への期待感が後退すれば、機関投資家は積極的に上値を買う状況ではないと言う。また、個別銘柄の値動きについては、「この2日間は個人の年末の税金対策売りによる一方向の動きになりやすい」と話した。
主要株価指数は朝方高く始まったものの、その後はマイナスとプラスを繰り返すなど明確な方向感は出なかった。需給面では、25日は米国や英国、フランス市場などがクリスマスの休場で、日本株売買代金の7割を占める海外投資家の動きは期待できない状況だった。さらに、受け渡しベースできょうは年内最終日。個人に人気の高い銘柄などで節税対策売りが優勢となった上、少額投資非課税制度(NISA)の年内駆け込みや12月期決算の権利取りなど需給面でのプラス効果は限定的だった。国内新興市場では、マザーズ指数やジャスダック指数も安い。
24日のニューヨーク為替市場ではドルが下落。原油相場が週間ベースで約4カ月ぶりの大幅高となり、世界的なインフレ見通しが強まった。きょうのドル・円相場は一時1ドル=120円7銭と、東京株式市場の前日終値時点120円53銭に対し円高方向に振れた。短縮取引の前日の米国株は、エネルギー株中心にS&P500種株価指数が4日ぶりの反落だった。
業種別では、資源関連セクターが終日弱い動き。原油在庫の減少や掘削装置(リグ)稼働数の減少などを材料に、24日のニューヨーク原油先物は1.6%高の1バレル=38.10ドルと上昇したが、市況高は好感されなかった。内藤証券の田部井美彦市場調査部長は、「原油価格が足元で上がっても、産油国の増産などを考慮すれば、ボトムアウト感から買いを入れる状況ではない」とみる。また、相場全般についても日本銀行や財政政策に対する期待感も薄れがちで、「市場参加者が少ない中、動きが出てくると下に出てくる」と、現在の日本株の環境を解説した。
一方、米労働省が24日に発表した先週の新規失業保険申請件数は、前週から5000件減少の26万7000件と4週ぶりの低水準だった。ブルームバーグがまとめた予想中央値は27万件。野村証券投資情報部の若生寿一エクイティ・マーケット・ストラテジストは、「米国は雇用と消費の好循環が期待できる状況が続いている。来年は緩やかな利上げが続けられる可能性が高い」と指摘。ただ、次の利上げが3月か6月かを織り込む決定的な材料がなく、「クリスマス休暇明けのISMや雇用統計待ち」とも言う。
相場全般を下支えしたのは内需、ディフェンシブセクター。内藤証の田部井氏は、「原油や為替などの外的要因は読みづらい。外的要因にリスクを感じ、それらに左右されないディフェンシブの高PER銘柄がさらに買われている」としていた。
東証1部の業種別33指数は電気・ガス、鉄鋼、鉱業、銀行、卸売、機械、石油・石炭製品、不動産、海運、非鉄金属など26業種が下落。水産・農林、保険、小売、医薬品、食料品など7業種は上昇。東証1部の売買高は19億1288株、売買代金は1兆6049億円で、代金は昨年12月26日以来、ほぼ1年ぶりの低水準。上昇銘柄数は509、下落は1362。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 長谷川敏郎 thasegawa6@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Sarah McDonald smcdonald23@bloomberg.net 院去信太郎
更新日時: 2015/12/25 15:36 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NZVWEL6JTSE901.html



債券先物が反発、米債高受け買い先行−高値警戒感やオペ見送り重し
2015/12/25 15:36 JST


    (ブルームバーグ):債券市場では先物相場が小幅反発。前日の米国債相場が株安などを背景に反発に転じた流れを引き継ぎ、買いが先行した。その後は、日本銀行が長期国債買い入れオペを見送ったことや高値警戒感などから上値が重くなった。
25日の長期国債先物市場で中心限月3月物は、前日比3銭高の148円95銭で開始し、いったんは148円98銭まで上昇した。日銀が長期国債買い入れオペを見送ると上げ幅を縮小。午後は148円95銭付近でもみ合ったが、取引終了間際に横ばいまで伸び悩み、結局は1銭高の148円93銭で引けた。
3月物の日中売買高は8028億円にとどまり、中心限月ベースでは昨年12月29日(7517億円)以来の低水準となった。
現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の341回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値と横ばいの0.275%で開始し、しばらく同水準で推移した。午後3時すぎから0.5ベーシスポイント(bp)高い0.28%を付けている。新発20年物の155回債利回りは横ばいの1.005%で開始し、その後は1.01%で取引された。新発30年物の49回債利回りも横ばいの1.265%で開始後、1.27%で推移した。
三井住友アセットマネジメントの深代潤債券運用グループヘッドは、「年末で大きな動きはないが、米国経済も一筋縄では行かない感じの中で、円債市場は日銀の買い入れにより需給が締まっていく見通し。ある程度買わなければいけない分を買うという動きだろう」と話した。
24日の米国債相場は小幅高。10年債利回りは前日比1bp低下の2.24%程度で引けた。ニューヨーク原油先物相場が上昇し、いったんは2.26%まで売られたが、その後は米国株相場の下落などを背景に買いが優勢となった。
JPモルガン証券の山下悠也債券ストラテジストは、「海外は休みで材料に乏しい。発行計画はほぼ予想通りで、日銀の補完措置の影響もいったん消化した」と指摘。米債市場については、「今後の米利上げペースについての見方に変化はなく、クレジット市場などが急激なリスクオフにならない限り、米長期金利は2.2%から2.3%のレンジをうろうろしそうだ」と話した。
日銀は午前10時10分の定例金融調節で国庫短期証券(TB)買い入れオペ5000億円を通知した一方、長期国債買い入れオペは見送った。SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジストは、日銀長国オペについて、「今日オファーがあるとすれば1―5年と10年超だが、見送られると予想する」と指摘していた。
高値警戒感
長期金利は18日に0.265%と11カ月ぶりの低水準まで達した。日銀が同日に異次元緩和の補完措置や来年1月以降の長期国債買い入れ方針でほとんどの年限を増額する見通しを発表したことを受けた。しかし、その後は高値警戒感が強まり、0.2%台後半でのもみ合いとなっている。
JPモルガン証の山下氏は、「利回り曲線はフラット化の方向だが、実際に1月から日銀の買い入れが増加する一方で発行が減少し、具体的に需給にどう影響してくるか見ながら緩やかに進むのではないか」と話した。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 山中英典 h.y@bloomberg.net;東京 船曳三郎 sfunabiki@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 山中英典, 青木 勝
更新日時: 2015/12/25 15:36 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NZUQEJ6K50XU01.html

 

 

企業アンケート:来年の高値は株2万2000円・ドル127.4円

[東京 25日 ロイター] - ロイターが実施したアンケートに回答した企業が予想する高値の平均値は2万2096円で、足主要企業は2016年の金融市場について、日経平均株価.N225の一段高を予想している。元から17%上昇した水準となる。安値の平均値は1万8467円で、下値は限られるとの見通しだ。

第一生命保険 (8750.T)やJT(2914.T)は、2万5000円までの上昇を見込んでいると回答した。最安値は、三井物産 (8031.T)や東京海上ホールディングス (8766.T)など4社が挙げた1万7000円。

ドル/円JPY=EBSは、安値の平均が116.9円、高値が127.4円となった。1ドル120円付近にある現行の水準から、円高、円安どちらにも大きく振れる予想とはなっていない。

ドル/円、ユーロ/円 、日経平均株価の見通しは以下の通り。


USD/JPY EUR/JPY NIKKEI225

low high low high low high

キリンホールディングス (2503.T) 120 125 130 135 19500 21500

アサヒグループホールディングス (2502.T) 115 130 120 140 19000 22500

サントリーHD[SUNTH.UL] 120 125 132 138 20000 22000

味の素(2802.T) 120 125 125 140 18000 22000

JT (2914.T) 115 130 120 140 17000 25000

セブン&アイ・ホールディングス (3382.T) 120 125 130 140 18000 20000

旭化成 (3407.T) 120 125 130 135 19000台

住友化学 (4005.T) 120 125 ─ ─ ─ ─

三菱ケミカルホールディングス (4188.T) 120 130 ─ ─ 18000 22000

花王 (4452.T) 115 125 130 140 18000 22000

武田薬品工業 (4502.T) 120 125 130 135 19000 20000

新日鉄住金 (5401.T) 110 125 120 140 18500 22000

JFEホールディングス (5411.T) 120 130 130 135 20000 22000

クボタ (6326.T) 120 130 130 135 20000 22000

ダイキン工業 (6367.T) 115 125 130 140 19000 22000

日立製作所 (6501.T) 110 130 120 140 19000 21000

三菱電機 (6503.T) 115 130 125 135 19000 22000

NEC (6701.T) 115 130 120 140 18000 22000

富士通 (6702.T) ─ ─ ─ ─ ─ ─

パナソニック (6752.T) 120 125 ─ ─ 19000 21000

シャープ (6753.T) ─ ─ ─ ─ ─ ─

ソニー (6758.T) ─ ─ ─ ─ ─ ─

日産自動車 (7201.T) ─ ─ ─ ─ ─ ─

任天堂 (7974.T) 118 128 120 135 18500 21000

三井物産 (8031.T) 115 120 118 135 17000 22000

ユニ・チャーム (8113.T) 115 125 130 140 18000 23000

三井不動産 (8801.T) 115 125 ─ ─ 18000 22000

三菱地所 (8802.T) ─ ─ ─ ─ 18000 22000

大和証券グループ本社 (8601.T) 118 128 125 135 17500 22500

野村ホールディングス (8604.T) 120 135 125 135 20500 24000

損保ジャパン日本興亜HD (8630.T) 117 132 123 138 18000 23000

三井住友フィナンシャルグループ (8316.T) 117 127 122 138 18000 22000

MS&ADインシュアランスGH (8725.T) 118 128 125 140 18000 22000

第一生命(8750.T) 118 132 125 145 18000 25000

東京海上ホールディングス (8766.T) 115 135 130前後* 17000 22500

日本郵船 (9101.T) 110 120 ─ ─ 20000 21000

日本航空 (9201.T) ─ ─ ─ ─ ─ ─

NTT (9432.T) 115 125 ─ ─ 17000 22000

平均 116.90625 127.344 125.4 137.96 18467.7419 22096.7742

(企業・金融チーム)
http://jp.reuters.com/article/2016equ-fx-idJPKBN0U809K20151225

 

 
消費者物価5カ月ぶり上昇、11月は0.1%−消費弱く成長率に懸念 (1)
2015/12/25 10:33 JST

    (ブルームバーグ):11月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、前年同月比で5カ月ぶりに上昇した。足元の原油価格の下落を受けて、CPIの低迷が長期化するとの見方が出ている。
総務省が25日発表した11月の全国コアCPIは前年比で0.1%の上昇。ブルームバーグがまとめた予想中央値は横ばいだった。物価の基調を見る上で参考となる食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合、いわゆるコアコアCPIは0.9%の上昇。事前の予想(0.8%上昇)を上回った。前月は0.7%上昇だった。
コアCPIは8月に0.1%低下、日本銀行の異次元緩和導入以来2年4カ月ぶりにマイナスとなり、10月まで同じマイナス幅だった。日銀は物価の基調を見る上で独自に公表しているエネルギーと生鮮食品を除くCPIを重視しており、10月分は前月と同じ同1.2%上昇だった。11月分は午後2時に発表する。日銀は物価の基調に影響を及ぼす重要な要素として賃金も注視しており、来春の春闘に関心を寄せている。
SMBC日興証券(金融経済調査部)の宮前耕也日本担当シニアエコノミストは、昨年同時期の急落に比べると原油安が緩やかだったとして、11月のコアCPIについて「市場予想よりやや上振れて自社予想に一致」とリポートに記した。今後は原油安がコアCPIを当面抑制するだろうとして、日銀の物価目標2%の安定的な達成は「まだ遠い」と予想した。
ドバイ原油は足元で1バレル=30ドル台前半にまで下落している。日銀の2016年度のコアCPI前年度比見通し(政策委員の中央値)は1.4%上昇、ドバイ原油は「50ドルを出発点に、見通し期間の終盤にかけて60ドル台前半に緩やかに上昇していく」と想定している。
春闘
先行指標の東京都区部12月中旬速報はコア指数が0.1%上昇と、前月(0.0%)を上回った。コアコアCPIは0.6%上昇と前月の伸びと同じだった。事前の予想はそれぞれ0.1%上昇、0.6%上昇だった。
日銀が24日公表した11月18、19日の金融政策決定会合の議事要旨によると、委員は来年の春闘で「基調的な物価上昇率の高まりが賃上げに反映されることが重要」との認識を共有。複数の委員は「基調的な物価上昇率を反映して賃金が上昇しなければ、先行きエネルギー価格下落の影響も一巡するもとで、 家計が食料品や日用品の値上げに対する抵抗感を再び強めるリスクにも留意が必要」と指摘した。
大和証券の野口麻衣子シニアエコノミストは15日のリポートで、16年度春闘をめぐり「海外動向を中心に、昨年以上に景気の先行き不透明感が高まっていることなどを踏まえると、ベースアップが昨年の伸びを上回るのは難しいだろう」としている。
ブルームバーグのエコノミスト調査によると、来年1月の追加緩和予想は減少して、3月ないし4月緩和予想が増加している。
消費
総務省がこの日発表した11月の家計調査は、実質消費支出(2人以上の世帯)で1世帯当たり 27万3268円と前年同月比で2.9%低下した。3カ月連続のマイナスで、予想(2.2%低下)以上に減った。交際費、自動車関連費、テレビ・パソコンといった教育娯楽用耐久財が減った。勤労者世帯の消費支出は29万4905円と同4.1%減少した。
宮前エコノミストは、耐久財や非耐久財も減少傾向が続いているとして「消費の弱さを天候要因だけで説明できるわけでもない」と指摘した。その上で10月、11月の数値を踏まえて「10−12月期はプラス成長との見方がコンセンサスであろうが、その確信を大いに揺るがせマイナス成長の可能性も考えざるを得ない」と予想した。
総務省が発表した11月の完全失業率は3.3%と、前月に比べて0.2ポイント上昇(悪化)した。予想は3.2%だった。厚生労働省が発表した有効求人倍率は1.25倍と、前月に比べて0.01ポイント上昇(改善)した。予想は1.24倍だった。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net 上野英治郎, 広川高史、浅井秀樹
更新日時: 2015/12/25 10:33 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NZU6ZE6KLVR401.html

 

コラム:ドル110円視野へ、国際収支も円高示唆=亀岡裕次氏
大和証券 チーフ為替アナリスト
[東京 25日] - 黒田日銀総裁が6月10日、「実質実効為替レートでは、かなり円安の水準になっている」「ここからさらに実質実効為替レートが円安に振れるということは、普通に考えればありそうにない」と発言して以来、ドル円は米5月雇用統計発表後の6月5日ピーク125.86円を超えていない。

円の名目および実質実効為替レートは2015年6月をボトムに反発し、年後半はドル円でこそ程度は軽いもののクロス円を中心に円高が進んだ。

すでに円高は始まっており、円安基調に戻る可能性は低いだろう。2016年の為替市場は、米国を含む世界景気減速によるリスク許容度の低下、利上げ期待の後退による米長期金利の低下から、110円近くへと円高が進行すると予想している。

<国際資本フローは円高に働き始めている>

円高に作用する要因には、日本の国際収支もある。経常収支と金融収支(外貨準備増減を除く)を合わせると、現在も資本流出超過である。ただし、これをもって資本フローが円安に作用しているとは言い難い。

2015年の年間ベースの資本流出超過幅は、5月までの5.8兆円をピークに縮小に転じ、10月まででみると2.6兆円となっている。明らかに日本からの資本流出幅は縮小しているのだ。過去には、12年2月に資本流入幅がピークアウトして円安傾向に転じたケースもあり、資本流出入と為替との相関性は高い。15年6月以降は、経常収支の資本流入拡大が金融収支の資本流出拡大を上回り、資本流出幅の縮小とともに円高傾向に転じた。金融派生商品収支などが、金融収支の資本流出を抑える一因となった。

金融収支の構成項目のなかで、証券投資収支は資本流出超過幅の拡大傾向が続いている。対内証券投資の資本流入幅が2015年4月から頭打ちの一方、対外証券投資の資本流出幅が拡大しているためだ。対内証券投資については、世界的に株価がピークアウトするなか、対内株式投資が縮小している。15年6月までの円安・株高局面では、海外投資家の日本株投資の多くが為替ヘッジされていたとみられるだけに、対内株式投資増加の円高効果も、対内株式投資減少の円安効果も小さいだろう。

一方で対内債券投資が拡大しているが、中長期債投資は増えておらず、短期債投資が拡大している。利回りの低い短期債への投資増加は、価格上昇期待や円高期待によるものではなく、ドル・プレミアムが上昇して海外投資家のヘッジ付投資が有利になったことによるものではないか。円高効果は小さいとみられる。

<16年後半に対外債券投資が減少する可能性>

対外証券投資については、対外株式投資の増加が頭打ちになりつつある。2015年6月に主要株価や円安がピークアウトした後に株価先高観や円先安観が弱まったこと、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用改革による外国株式運用比率の上昇が進んで投資増加がペースダウンしやすくなったことなどが原因として考えられる。

GPIFの運用委託先でもある「銀行等の信託勘定」の対外証券投資は頭打ちになっている。対外株式投資による資本流出は今後も拡大しにくいだろう。

一方、対外債券投資は2015年6月に縮小した後、中長期債を中心に拡大している。円安が進むと対外債券投資が減少し、円高に振れると投資が増加する傾向にある。つまり、為替相場に逆張り的に対外債券投資が変動しているわけで、これは国内投資家が円安見通しと円高見通しのどちらかに大きく偏っているわけではないからだ。

円高時には対外債券投資の増加が円安要因となり、円安時には対外債券投資の減少が円高要因となる。ただし、円安更新せずに円高傾向が1年以上続いた場合、逆張り的ではなくなり、円高でも順張り的に対外債券投資が減る方向に変化することが多いので、2016年後半の対外債券投資の動向には注意が必要だろう。

2015年後半に債券投資を中心に対外証券投資が増加したのは、投資家部門別には「銀行・信託の銀行勘定」、建値通貨別には「ドル建て」の対外証券投資が増えたことが主因だ。銀行勘定の対外証券投資は、非居住者から調達したドル資金を非居住者のドル建て債券で運用するなど、為替変動リスクを伴わない取引が多くを占めるので、為替相場への影響は小さい。銀行勘定を除く部門の対外証券投資増加が鈍く、銀行勘定の対外証券投資が増えるだけでは、円安効果は小さいと言える。

<資本流出から資本流入に傾き円高圧力強める要因に>

為替ヘッジした対外債券投資は2016年度には減る可能性がある。15年12月の米利上げを前にドル調達圧力が増し、円を担保にドル調達する追加的なコストが上昇。その後、ドル・プレミアムは低下したが、日米短期金利差が拡大し、為替ヘッジコストは1年で140ベーシスポイント(1bp=0.01%)程度に高止まりしている。日米2年国債金利差は100bp程度とヘッジコストを下回るので、米短期債へのヘッジ付投資は割に合わない。一方、日米5年国債金利差は170bp程度、10年国債金利差は200bp程度と為替ヘッジコストを上回るので、米中長期債への投資は堅調に推移している。

しかし、今後は米利上げで日米短期金利差が一段と拡大し、為替ヘッジコストが上昇する一方で、米景気減速懸念や米利上げ期待後退から米長期金利が低下し、日米長期金利差が縮小する可能性がある。米金利曲線のフラット化によりヘッジ付投資が不利になっても、円高リスクが高まるなかではヘッジ比率を下げるわけにもいかないので、ヘッジ付外債、オープン外債ともに対外債券投資は次第に減りやすくなるだろう。金融収支の資本流出が鈍化し、日本の国際収支が経常収支に連動するように資本流入に傾くことが、円高圧力を強める可能性が高い。

<ドル円の変動率は拡大に転じる公算大>

ドル円変動の1サイクルは8年前後のケースが多く、目下のところ今回も2007年6月の円安ピークから8年後の15年6月に円安ピークをつけている。ドル円は11年10月に底打ちし、15年6月まで3年8カ月上昇したが、円安が4年目を迎えた15年は円安のピークを迎えやすい年だった。

なお、相場格言は、「未(ひつじ)辛抱」、「申(さる)酉(とり)騒ぐ」。2015年は、ドル円の年初値に対する年間変動率が、ザラ場ベースで8.4%、日次(NY正午)ベースで7.3%と非常に小さく、まさに「未辛抱」の年だった。

これほど年間変動率が小さい年は連続しにくいので、2016年は「申騒ぐ」の格言通りに年間変動率が大きくなる可能性が高い。

*亀岡裕次氏は、大和証券の金融市場調査部部長・チーフ為替アナリスト。東京工業大学大学院修士課程修了後、大和証券に入社し、大和総研や大和証券キャピタル・マーケッツを経て、2012年4月より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)
http://jp.reuters.com/article/column-idJPKBN0U80CO20151225


ドルは辛うじて120円割れを回避、下値リスク残る

[東京 25日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前日ニューヨーク市場午後5時時点に比べドル安/円高の120円前半。ドルは前日つけた2カ月ぶり安値を下回り120円に迫ったが、午後3時までの取引では、実需勢の押し目買いなどに支えられ、120円割れは辛うじて免れている。

主要な海外市場がクリスマス休暇で薄商いとなるなか、ドルは早朝の取引で120.12円付近まで下落。ただ、約2か月ぶり安値圏という値ごろ感から、国内の輸入企業や個人投資家がドル買い/円売りに動いたことで、ドルは一旦120.35円まで反発した。

ただ、その後は、120円割れを狙う一部投機筋の仕掛け売りも手伝って、120.07円まで下落した。

テクニカル分析では、前回10月半ばの安値118.06円と8月24日の上海危機時の安値116.15円を結んだ支持線をドルは既に下回っており、下値リスクが意識されやすい環境となっている。

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また、ドル/円相場は前日、一目均衡行の雲の下限も下回り、上値抵抗線が120.92円まで切り下がってきているという。

財務省がきょう発表した対外及び対内証券売買契約等の状況(指定報告機関ベース)によると、12月13日―12月19日の週に本邦勢は外国の中長期債投資を1472億円の買い越した。買い越し額は前週の3218億円の買い越しから半減した。

対外株式・投資ファンド持分は2008億円の買い越しで、前週の218億円の買い越しから大幅に拡大した。

本邦勢の外国債の買い越し額の減少について、市場では「ヘッジコストの高騰などを受けて、外債のポートフォリオを圧縮する金融機関が増えているようだ」(外銀)との指摘が出ている。

総務省が発表した11月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は103.4となり、前年同月比0.1%上昇した。ロイターがまとめた民間予測は0.0%だった。コアCPIは5カ月ぶりの前年比上昇となった。ドル/円の反応は限定的で、市場では「予想から大きなかい離もなく、材料視しにくい」(国内金融機関)との声が出ていた。

ドル/円JPY=  ユーロ/ドルEUR=  ユーロ/円EURJPY=

 午後3時現在 120.11/13 1.0966/70 131.72/76

 午前9時現在 120.18/20 1.0969/73 131.84/88

 NY午後5時 120.37/39 1.0967/72 131.96/00

*本文最終段落の脱字を補って再送します。

(為替マーケットチーム)
http://jp.reuters.com/article/tokyo-forex-idJPKBN0U80BL20151225
 

 

 


コラム:量的緩和は「期待外れ」に終わるのか

James Saft

[22日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が利上げ局面に入った今、他の主要国の中央銀行としても、「特例措置」への情熱が冷めていることに気づいているのかもしれない。

あるレベルでは、低成長・低インフレ国の中央銀行としては、金融緩和の根拠はいっそう増えている。FRBの動きは、グローバルな金融条件を引き締めたが、他の中央銀行がこれに呼応する動きはまったく出てこない。米国の利上げによってドル.DXYは上昇したが、他国の中央銀行としては、特例的な金融政策を続けることによって自国通貨安を維持し、新たな輸出市場を獲得することができる。

だが、16日のFRBによる政策金利の25ベーシスポイント引き上げ以前でさえ、他国の中央銀行は、さらなる利下げと資産買い入れに対して優柔不断になっていた。

欧州中央銀行(ECB)は12月はじめ、マイナス金利を拡大したもののわずか10ベーシスポイントの利下げに抑え、債券買い入れプログラムについても拡大ではなく期間延長に留めることによって、市場を落胆させ、ECB内部での意見の対立を裏付けた。

日本銀行はFRBによる利下げ決定の後、債券買い入れプログラムを修正した。だが日銀はそれに先立つ10月30日、より大規模な新規の措置を発表せず、その一方で2%のインフレ達成という目標の達成を自ら先送りしたことで投資家を驚かせている。

さらに、日銀が18日に発表した金融緩和の補完策は結局、日経平均.N225の急落を引き起こした。

ヘッジファンド、SLJマクロ・パートナーズのスティーブン・ジェン氏は、顧客に対する書簡のなかで、「先進各国の中央銀行は、非伝統的な政策の成果が『収穫逓減』となるポイントに達してしまっており、さらなる金融緩和を正当化することに困難を感じている。全体として、これ以上市場に『衝撃と畏怖』を与えることは不可能だ」と述べている。

「2016年には、悪いニュースはもはや良いニュースにならず、経済にとって良いニュースがリスク資産価格にとって悪いニュースになるのではないかと推測している」とジェン氏は言う。

2008年の深刻なリセッションのさなかにFRBが集中的な市場支援措置を開始して以来というもの、悪いニュースは投資家にとって奇妙な魅力を帯びるようになった。悪いニュースがあれば、各国中央銀行からさらに大規模かつ思い切った支援が約束されるからだ。そうした支援は金融資産価格の下支えを意図したもので、実際にそのような効果をもたらしている。支援措置が終了するにつれて、反対の効果、つまり資産価格の下落が予想される。

米国における良いニュースによってFRBの利上げ継続が可能となり、国外での悪いニュース、あるいは評価の分かれるニュースがECBまたは日銀による新たな支援措置の呼び水にならないとすれば、なおさら資産価格は下落するだろう。

<(まだ)存在しない資産の買い入れ>

日本は特殊なケースだが、日銀が発表した変更内容を見れば、量的緩和(あるいは資産買い入れ)が迷走しつつある様子を実感できる。

日銀は、より残存期間の長い国債を買い入れることにしたほか、不動産投資信託(REIT)の銘柄ごとの買い入れ限度額を引き上げ、「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる」企業を対象とした新たな上場投資信託(ETF)買い入れに年間3000億円を投じると発表した。

だが、少し気になる。そのようなETFが日本に存在するようには思えない。いわんや、そのような企業とはどのようなものか、衆目の一致する定義など見当たらない。

他方で、「日本設備投資・人材投資ETF」を立ち上げることが夢だったという人にとっては、非常に資金力の豊富な金融機関がファンドの購入に手を挙げてくれたことになる。

日銀はすでに日本で発行されているETFの半分を保有している。ただし、日銀によるETF買い入れは、主要な日本の株価指数と連動するファンドを対象としてきたという事実がある。

ここでの日銀の狙いは明らかである。そして、量的緩和の実際の効果について日銀がいら立ちを感じていることも露呈している。

量的緩和を支える大義名分の一つは、円安JPY=と資金調達コストの低下を受けて新規市場を模索している企業が、新たな生産に向けた投資を決意するような条件を創出することだ。

もしそうした効果が生じているのであれば、生産も賃金も上昇しているはずだ。だが日本企業は逆に、(高齢化という)人口動態を理解していることもあって、社内留保を積み増しするだけで、賃金上昇という形で利益を配分することに消極的だった。

日銀の緩和補完措置のニュースを受けて日経平均が下落したのは、恐らくそれが理由だろう。こうした考え方を敷衍(ふえん)すれば、論理的には、量的緩和とはもっぱら企業およびその株主である富裕層に対する補助金であるという結論に至ることになる。

2016年は、データの裏付けに従って、各国中央銀行が金融引き締め、あるいは現状維持を選ぶ年になってもらいたいものだ。さらに緩和を拡大すべきとする根拠は強くないのだから。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
http://jp.reuters.com/article/column-qe-idJPKBN0U80BE20151225

http://www.asyura2.com/15/hasan103/msg/802.html#c1

[経世済民103] 東証小幅下落 終値20円63銭安の1万8769円(SankeiBiz) 赤かぶ
1. 2015年12月25日 22:34:49 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[4]
視点:米景気悲観は無用、株高継続の根拠=武者陵司氏

武者リサーチ代表
[東京 25日] - 米国が金融政策の正常化に向かい、中国が景気減速感を強める中、2016年の成長エンジン不在が懸念されるが、武者リサーチの武者陵司代表は、米国主導の世界経済回復シナリオは健在だと指摘する。ドル円は130円手前、日経平均株価は年前半に2万2000円から2万5000円に届くと見る。

同氏の見解は以下の通り。

<米景気拡大継続を示唆する5つの好材料>

2016年の世界経済は、ナンバーワンのポジティブ(米国経済)と、ナンバーツーのネガティブ(中国経済)のバランスによってどうなるかが決まる。私の予想では、ポジティブがネガティブに勝り、世界経済全体としては着実な成長を実現し、世界的な株高も継続、リスクテイクが引き続き報われる年になる。

巷(ちまた)では米連邦準備理事会(FRB)の利上げに伴う米国景気の失速が懸念されているが、そのような心配は無用だ。米景気拡大に期待を持てる理由は5つある。まず原油価格下落だ。米国の化石燃料の年間輸入額は対国内総生産(GDP)比で約2%。シェールガス・オイルなど自前のエネルギー生産が多いとはいえ、経済にはプラスに働く。

ちなみに、原油価格動向が実体経済に影響を与えるまでには、ざっと18カ月のタイムラグがあるといわれる。マイナスの影響はすでに見えたが、プラスの影響はまだ見えてない。16年はプラス面が顕現化してくるだろう。

第2は、消費の堅調さだ。失業率も5%まで低下し、賃金上昇にもようやく弾みがつき始めている。家計消費は年率3%のペースで増加している。また、消費の中身はモノよりサービスであり、労働市場でもサービス主体の雇用創造が起きている。これは、米景気回復のドル高耐性が強いことを意味する。


2016年の株式市場について武者リサーチ代表の武者陵司氏は、米国経済が中国のネガティブな要素をカバーして、世界的な株高の流れが継続していくだろうとの見方を示した。
第3に、米国の住宅市場にかなり大きな期待を持てることだ。これまで住宅建設が著しく抑制されていた影響で、住宅需給が好転している。持ち家比率が大きく下がった反動で、今後はいよいよ借金をして住宅を取得するという動きが本格化してくるだろう。

第4に、これまで景気の重石となっていた財政部門が景気を押し上げる役回りに代わることだ。リーマンショック後、GDP比で10%超まで高まった財政赤字(基礎的財政収支赤字)が今では2%前後まで低下している。もはや財政削減は不要であり、むしろ財政支出による需要拡大、例えばインフラ整備が政策課題として浮上してくるだろう。

実際、地方での財政支出は増加し始めている。減り続けていた公的部門の雇用も増加傾向にある。財政の景気に対する寄与が大幅なマイナスからプラスへ大きく転換するのは明らかだ。次期米大統領選の民主党有力候補であるヒラリー・クリントン氏も、老朽化したインフラの整備を選挙アジェンダとして取り上げている。

第5に、信用循環だ。米景気は、ひとえに信用の拡大・収縮の循環である。過去50年を振り返れば、おおむね10年サイクルだ。そして1970年代以降、信用のボトムは必ず「1」の年に訪れている。71年、81年、91年、2001年、11年だ。つまり、信用循環から見ても、今回の景気はまだ若い。

家計、企業部門はむしろこれから債務を増やしてリスクをとる場面に入る。これまでは借金を返したり、バランスシートを整理したり、信用による需要創造の面では後ろ向きの時代だったが、今後は前向きになって勢いを増す局面だ。

こうなると、懸念されるのがFRBの利上げペースだが、インフレもまだ緩やかなので、16年半ば頃までは様子見になるのではないか。利上げは16年末にかけて、あるとしても、あと2回だろう。よって、実質金利が上昇し、景気を冷え込ませるような事態にはまだ至らないと思う。

<ドル円は130円、日本株は2万5000円まで上昇余地>

では、こうした前提に立つと、16年の為替、株価はどうなるのか。私はまずドル円については、130円台手前までのドル高・円安はあると思う。最大の理由は米国経済の強さだが、加えて日銀のさらなる緩和も期待できるからだ。

日銀は12月18日、年間80兆円の国債購入を柱とする従来の金融緩和の継続を決める一方で、新たな指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れ枠の設定や買い入れる長期国債の平均残存期間の長期化などの緩和補完策を打ち出した。ただ、私は、日銀は早晩、この補完策を超える追加緩和に乗り出すとみている。

追加緩和のインセンティブは主に3つある。第1に、円安を通して輸入物価を上げること。第2に、資産価格を押し上げること。第3に、ユニット・レーバー・コスト(単位労働コスト)を押し上げて実質賃金を引き上げることだ。最初の2つは金融政策で動かしやすく、最後の1点は金融政策だけでは難しい。

このうち日銀にとって追加緩和の最大の誘因は、これまでの円安の一巡で輸入物価の上昇率がこれから低下してくることだ。むろん原油安の影響もはく落するが、円安効果の一巡が勝り、おそらく16年後半は物価への下押し圧力が強まるだろう。

また、そもそも企業が賃上げにいまだ積極的にならない局面でインフレ率を高めるには、さらなる円安と資産価格の押し上げが不可欠だ。2%という目標が遠のくところで、もう1段の追加緩和を日銀は迫られると思う。市場の期待がかなり低下している局面で実施すれば、大きなサプライズとなるだろう。

こうした状況を受けて、株価については、日経平均で言えば年前半に2万2000円から2万5000円への上昇は十分にあり得ると考える。ただ、年後半は中国のネガティブ要素の悪循環が起これば、一本調子とはならない可能性もある。

もう一度繰り返すが、ベストシナリオは米国が着実に成長し、中国が短期的な経済の悪循環を回避できることだ。この場合、株式市場は年後半も上昇気流に乗るだろう。ただ、悪いシナリオは、米国経済の成長が若干スローで、中国経済の悪化を十分にカバーしきれないことだ。可能性としては低いと私は考えるが、特に年後半については警戒を怠らないほうが良いだろう。

<アベノミクス成功の重要な鍵は株高>

最後にアベノミクスに1つ注文したい。端的に言って、日本経済の最大の問題点は、企業収益が過去のピークを更新しているにもかかわらず、持続的な景気拡大、需要創造に結びついていないことにある。政府は経済界に対して3%の賃上げを求めているが、鶴の一声だけで貯蓄過剰が解消されるとは思えない。

では、どうすれば企業所得を広範な需要につなげられるのか。端的に言って、その最大の鍵は株高だと思う。企業の留保利益の増加は当然、株式資産価値を引き上げる。

日経平均が3万円になれば、株式時価総額は300兆円増える。4万円では600兆円増える。こう話すと絵空事と思われるかもしれないが、私の試算では日本株のフェアバリューは4万円だ。

また、インカムゲインの比較で見ても配当利回りは2万円時点で2%弱。4万になっても1%弱見込める。0.3%程度の長期国債利回りや、ほぼゼロの銀行預金よりはるかに魅力的だ。株式がフェアバリューに向かえば、家計だけでなく企業のアニマルスピリットが大きく刺激され、需要創造の好循環も回り出すだろう。

振り返れば、バブル崩壊後の株価や不動産価格の異常な低迷で、日本経済は不必要な重荷を背負ってきた。言い換えれば、オウンゴールによって経済困難やデフレに陥った。日本以外、どの国もバブル崩壊後に株価が半減したままなんてことはなかった。株価の水準をなるべく高く、経済心理を壊さないのが普通の金融政策だ。日本はそれを徹底的に壊した。明らかに政策のミスマネージメントだった。

株価重視の発想に対しては、投機をする人たちや富裕層だけを潤し、格差拡大を招くとの批判があるが、結局のところ、人々が注目する経済の体温は株価だ。株式本位制が必要とまでは言わないが、株高は紛れもなくアベノミクス成功の重要な経路である。


武者リサーチ代表の武者陵司氏は、人々が最も信頼する経済の体温は株価であると指摘し、株価を回復させるための政策を実行することが日本経済回復のカギを握っていると述べた。
*本稿は、武者陵司氏へのインタビューをもとに、同氏の個人的見解に基づいて書かれています。

*武者陵司氏は、武者リサーチ代表。1973年横浜国立大学経済学部卒業後、大和証券に入社。87年まで企業調査アナリストとして、繊維・建設・不動産・自動車・電機エレクトロニクスなどを担当。その後、大和総研アメリカのチーフアナリスト、大和総研の企業調査第二部長などを経て、97年ドイツ証券入社。調査部長兼チーフストラテジスト、副会長兼チーフ・インベストメント・アドバイザーを歴任。2009年より現職。
http://jp.reuters.com/article/view-ryoji-musha-idJPKBN0U719620151225

2015年12月25日 週刊ダイヤモンド編集部
五輪前にピークアウト?地価高騰はいつまで続くか
リニア効果で、対前年比40%超の地点もあるなど“爆騰”する名古屋駅前の基準地価。大規模開発も進行中だ
Photo by Mikio Usui
「2020年の東京五輪後も、インフラ投資により東京都心の発展は続く」
「アベノミクスのほころびが来年以降あらわになり、バブルがはじける」
 今後数年間の不動産市場の見通しをめぐって、専門家の間でも意見が真っ二つに分かれている。
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 15年9月に公表された基準地価。三大都市圏(東京・大阪・名古屋圏)の商業地はリーマンショックで下落後、13年以降は上昇に転じており(右図)、都心の上昇幅が特に大きいことが話題となった。
 とりわけ顕著だったのが名古屋(右表)である。27年のリニア中央新幹線品川〜名古屋間開通を見越して、前年比45%増という“爆騰”ぶりだ。
 東京でも、特に上昇幅が大きい銀座、虎ノ門では再開発プロジェクトがまさに進行中だ。大阪は、主にアジア地域からのインバウンド(外国人訪問客)需要の取り込みに成功し、ミナミの商店街やブランドショップが海外からの買い物客で沸く。
 こうした活況を支えているのが、日本銀行による異次元の金融緩和だ。ジャブジャブとなった緩和マネーが投資先を求めてうごめき、規模の大きな不動産市場に流れ込んでいるのだ。
 加えて海外の投資家も日本に熱い視線を送っている。地価が高止まりしているシンガポールや台湾、香港などに比べると、日本の不動産は出遅れ感があり、アジア勢にとっては賃料が上がらなくても投資妙味がある。
 最近では14年10月、「パシフィックセンチュリープレイス丸の内」をシンガポール政府投資公社が1700億円で取得、15年8月には銀座の商業ビル「キラリトギンザ」をアゼルバイジャンの政府系ファンドが523億円で買った。こうしたど派手な取引が、地価押し上げに一役買ったのは間違いない。
楽観、悲観が交じる
業界からは達観の声
 では、こうした好調ぶりはいつまで続くのか。最大の鍵を握るのが、日銀の金融政策の動向だ。
 みずほ証券経営調査部の石澤卓志上級研究員は、黒田東彦日銀総裁が任期を終える18年以降も、何かしらの手法で金融緩和は続くとみる。その上で、「東京五輪に合わせて東京湾岸の交通インフラ整備が進めば、23区の東側でも不動産価格の上昇が見込める」と話す。もともと不動産需要の強い東京であれば、再開発をしても、五輪後に市場が急激に冷え込むことはない、というわけだ。
 さらに、不動産コンサルタントのジョーンズラングラサールは、東京のAグレードオフィスビルの価格が今後、20年にかけて15%、賃料は20%上昇するとの予測を示し、海外からの投資を呼び込もうとしている。
 しかし、こうした楽観論に対して、ドイツ証券の大谷洋司シニアアナリストは「五輪や円安など、もっともらしい期待感があるだけだ」と警鐘を鳴らす。
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 その理由は、不動産投資に対する利回りの低下。東京都心では表「2016年中に東京都心で竣工予定の主なオフィスビル」のように、来年だけでも巨大オフィスビルの開発がめじろ押しで、20年の供給面積は04年以降で最高水準となる見通しだ。その半面、都内で働く人数は漸減する。ただでさえ上昇幅が小さいオフィス賃料は、ますます伸び悩むというわけだ。加えて大谷氏は、実体経済の脆弱性を挙げる。15年10月の2人以上の世帯の消費支出は前年同月比で実質マイナス2.4%(速報値)、勤労者世帯の実収入は実質マイナス0.9%であり、「17年4月の消費増税に耐える力はない」。こうした日本経済の“実力”の弱さが、「アベノミクス」を猛然と推し進めてきた現政権を揺さぶる可能性は大きい。
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 さらに懸念材料として挙げられるのが、不動産融資の行方だ。
 日銀などからは、過熱気味の不動産融資に対する警戒感が見え隠れしている。地方銀行などが大都市圏で積極的に推進している姿も目立っているからだ。
 これまでの不動産バブル崩壊の局面においても、当局の警告を受けた金融機関が融資を縮小し、地価下落の引き金となったケースは少なくないだけに、神経質にならざるを得ないのだ。
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 こうした楽観論、悲観論に挟まれたかのように、ニッセイ基礎研究所が15年1月に実施した不動産の実務者や専門家向けのアンケート調査(図「不動産価格のピーク予想」)では、不動産価格がピークを迎える時期について「16〜17年」と答えた割合が、51.7%と過半数を占めた。
 金融政策の先行きが見通せない中、「18年以降の不動産市場はもう、分からない。今以上に都心の土地を仕込んで大規模開発を進めることはない」(大手不動産幹部)という達観じみたつぶやきが、業界関係者の偽らざる本音のようだ。
 一方、人口減少著しい地方では不動産市場の低迷が相変わらず続く。そんな中、インバウンド需要で意外にも潤っているのが広島市だ。米国の口コミ旅行情報サイトのトリップアドバイザーが調査した15年度版の「外国人に人気の日本の観光スポットランキング」では、2位に広島平和記念資料館、3位に厳島神社がランクイン。広島市内には、広島電鉄の路面電車網が張り巡らされており、乗り換えの便利さが外国人客に好評だ。
 こうした効果もあってか、中心部には商業施設の進出が進み、同市中区「金正堂ビル」の基準地価は15.6%上昇した。
 片や、「苗場スキー場」がある新潟県湯沢町。バブル期に建てられたリゾートマンションが1戸当たり数十万円で投げ売りされ、地価の下落が止まらない。スキー人口の減少も痛手だ。
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 もっとも、広島市は地方圏とはいえ大都市だ。ならば島根県出雲市に目を転じると、出雲大社前の基準地価は、対前年比で2.9%上昇している。「観光客はまだまだ国内が中心」(市観光交流推進課)というが、観光需要の取り込みの可否が、地価の動向にも大きく影響している。地方にとっても、人をいかに呼び込むかが明暗を分けるといえるのではないか。
消費税駆け込み不安
「反動減は深くなる」
 不動産市場といえば一般の人にとって、マンション価格の動向も関心が高いはずだ。都心のマンション用地はただでさえ適地が限られる上に高騰しており、そこへ、建設コスト上昇が拍車を掛ける。これらを織り込んで価格設定されたマンションの供給が「五輪の直前までは続くだろう」(大手不動産関係者)。
 対して販売戸数は減少に転じており、将来ますます価格は跳ね上がることになる。
 不透明なのは、いわゆる「杭」問題と、税務当局による「タワマン節税」への規制強化だ。
 だが杭については、ゼネコン各社が今後、杭工事の確認作業を徹底すれば、その手間はむしろ、コストに跳ね返る。一方でタワーマンション節税への規制については「実需による購入も多く、相続税対策は全体で見ればわずか」(同)との見方もあるが、これは当局の出方次第かもしれない。
 とはいえ下図のように、上昇しているのは価格だけではない。年収倍率(価格に占める地域の消費者の平均年収の割合から、買いやすさを示す指標。低いほど買いやすい)も東京、神奈川、京都では14年、ついに10倍を超えた。17年4月に10%への消費増税を控え、駆け込み需要を見込む向きもあるが、こうした事情から「8%増税時より山は小さく、谷(反動減)は深くなるかもしれない」(マンション業界関係者)との声もある。
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 そもそも消費者の平均年収が増えなければ、「人生最大の買い物」に踏み切れるはずもない。多くのサラリーマンにとってマンションは今後もしばらく、“高値”の花であり続けることだろう。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 岡田 悟)
http://diamond.jp/articles/-/83600


http://www.asyura2.com/15/hasan103/msg/800.html#c1

[経世済民103] 日本の1人当たりGDP、香港・イスラエルに抜かれる 14年 過去最低の20位(日経新聞) 赤かぶ
2. 2015年12月26日 22:31:08 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[5]

「日本病への診断書」

    ■ 冷泉彰彦:作家(米国ニュージャージー州在住)

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(冷泉彰彦さんからのお知らせ)

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的にお読みいただければ幸いです。購読料は税込み月額864円で、初月無料。登録
いただいた時点で、月初からのバックナンバーが自動配信されます。

直近2回の内容を簡単にご紹介しておきます。

第094号(2015/12/15)「テッド・クルーズの躍進はホンモノか?」「『弱さの権力
化』、そのメカニズムを巡るディスカッション」「フラッシュバック70(第75回
)」「Q&Aコーナー」

第095号(2015/12/22)「『本格候補ルビオ』の浮上はあるのか?」「日本企業の国
際展開、2つの懸念」「フラッシュバック70(第76回)」「Q&Aコーナー」

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 ■ 『from 911/USAレポート』               第706回
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 人類の文明の実験場であり、また多様な社会が衝突と共存の歴史を作ってきた欧州
では、それぞれの時代において「衰退に瀕した国家」が存在していました。そのよう
な国家のことを、同時代のジャーナリズムや後世の史家は「欧州の病人」と呼んで批
判をするのが通例となっています。古くは19世紀末から20世紀初頭のオスマント
ルコや、オーストリア帝国がそうであり、特に有名なのは1970年代の英国です。

 日本では、この英国については、「欧州の病人である英国」という表現を少し変え
て、日本独特の形容として「英国病」という言い方がされていました。人類に先駆け
て第一次産業革命を実現し、日の沈むことはないという大英帝国を創り上げた栄華は
過去のものとなり、人材育成のミスマッチなどから競争力を喪失する一方で、組合主
導の高コスト社会が動きが取れなくなっていたのでした。

 明治維新以来、その英国を複雑な思いと共に目標に戴いてきた日本としては、その
ような英国の衰退は「英国に特有の問題があるからだ」という印象が強かったのでし
ょう。また、当時は飛ぶ鳥を落とすような経済成長を続け、二度の石油ショックも技
術力などで乗り切っていた日本としては、英国への落胆と蔑視の感情も交じる微妙な
言い方として「英国病」という表現は、どこかで納得がされたものです。

 その英国は、サッチャーによる痛みを伴う改革を経て高コスト体質を清算、そして
90年代のグルーバリズムに乗る中で、現在は自他共に「欧州の病人」という形容は
返上しています。その一方で、2015年の日本は、70年代の英国がそうであった
ように「病」に臥せりがちの経済に苦しんでいます。

 経済の国際比較の指標として、「一人あたりGDP」というのは全てを語るもので
はないかもしれません。ですが、「たかがGDP、されどGDP」ということで、こ
の「一人あたり」を見てみると、時代の推移は歴然としています。

 例えば、日本政府(内閣府)は12月25日に、2014年の日本の1人当たり名
目GDPが36200ドルであったと発表しています。これは、前年比6%減であり
、OECDに加盟する34か国のうち上から20番目(前年は19位から1位ダウン)
でした。これは、「統計が確認できる1970年以降」では最も低い順位だそうです。

 この政府発表には円ベースの数字もあり、こちらは前年度比1・7%増の385万
3000円です。3万6千ドルを「1ドル=121円」で換算すると4万ドルを大き
く超えるはずですが、生産額の元が円ベースのものと、ドルベースのものがある中で
の計算ですから、そう単純ではありません。

 一方でIMFが毎年出している統計では、2014年の日本の1人当たりGDPは、
36221ドルで、この政府数字とほぼ一致しています。但し、IMFは187カ国
中のランキングとして出しているために、日本は27位とランクを下げています。

 そのIMFのランキングの上位はベネルクスや北欧などの小規模国と産油国が占め
ていますが、大国の中でも米国(54370ドル、11位)、カナダ(50304ド
ル、15位)、ドイツ(47773ドル、17位)には大きく離されたばかりか、
「英国病」とかつては見下していた英国(45729ドル、19位)にも、そして
「長期バカンスを取る国」と生産性の低さを批判していた対象のフランス(4433
1ドル、20位)にも抜かれているのです。それどころか「幸福度だけ高いが経済は
ダメ」という印象で見ていたイタリア(35334ドル、28位)が僅差で迫ってき
ているのです。

 同じアジアの中では、かつては「アジアの4小龍」とか「NIES」などと勝手に
命名していたシンガポールは56286ドル(9位)で日本の155%、香港も40
032ドル(25位)で日本の110%となっています。

 更に言えば、「4万ドル以上」のクラブは香港(25位)までであり、日本の属す
る「3万ドル台」のグループに入っているのは、「イスラエル、日本、イタリア、ス
ペイン」の4カ国で、そのすぐ下には韓国が迫っている、そんな構図になっています。

 かつて、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」などと賞賛と畏怖の対象となり、事実
この一人当たりGDPでは米国を抜いて、人口2千万以上の大国の中では堂々のトッ
プに君臨していた「経済大国」の面影はどこにもありません。

 これは自他共にある種の「病」であると認めなくてはならない事態です。1989
年の「バブル崩壊」によって金融危機が引き起こされ、経済が大きく痛手を被ったと
いうことに直接の理由を求めることは、もはや何も説明していないのと同じです。こ
の急速な衰退は、事故や怪我といった外的要因に基づくものではなく、内発的な「病
気」であり、その診断が急がれると思うのです。

 その「日本の病気」つまり「日本病」とは何なのでしょうか? 少々長い前口上と
なりましたが、年末年始の議論の材料にしていただければ幸いです。


(1)コミュニケーションと言語の特殊性
 現在、世界のビジネスの現場におけるコミュニケーションは、英語が基本になって
います。特に国境を超えるビジネスはそうですし、各地域のローカルのビジネスであ
っても上場をしている場合は株主や当局とのコミュニケーションは英語が中心です
し、契約書や紛争処理においても英語が中心です。

 また、コンピュータの分野、機械工学、薬学、化学、といったテクノロジーに関す
るビジネス、そして金融というビジネスにおいても英語が標準語です。英語が母語で
ない、大陸ヨーロッパにおいても、英語を共通語として使用しています。アジアにお
いても、ビジネスにおいて成功しているシンガポール、香港では英語がビジネスの重
要なインフラになっています。

 ですから、日本のビジネスの世界において「余り英語が通じない」というのは、そ
れだけで大きなハンデとなります。これに加えて、日本語には顕著な特殊性がありま
す。それは、「高コンテキスト」言語であるということと、「上下関係を規定する敬
語表現」に縛られているという問題です。

 まず「高コンテキスト言語」というのは、どういうことかというと、言語に現れな
い「暗黙の共通理解、情報の共有」というのがコミュニケーションの前提になってい
る、そのような行動様式であるわけです。「空気」という言い方を良くしますが、と
にかく言外の「共通認識」が確認できればその部分は言葉にしないし、言葉にしない
ことで認識の共有化が強く確認できる、そのようなコミュニケーション様式が日本語
には濃厚です。

 このことは「暗黙の了解があるか、ありそうなこと」は「基本的に言葉にしない」
という態度として、日本語の表現を作っています。それは書き言葉でもそうですが、
話し言葉でも顕著です。悪いことに、そのような「面と向かって、あるいは共通の場
にいる」という物理的な対面を前提にして、「物理的に対面しているが言語化はしな
い」という経験が「最も濃厚なコミュニケーション」であり、それはエモーションの
濃さという意味でも、ファクトの確認という意味でも、コマンドの有効性という意味
でもそうなります。

 これは多くの局面において「メールで済む」話を「対面コミュニケーション」にし
ないと「いけない」という行動様式につながっています。ですから、日本の会社は社
内においては会議を好み、日本の会社の営業は「相手との個人的な信頼関係」を作る
として「訪問して対面のコミュニケーション」を極めて重視します。

 その結果として、社内における意思決定や手続きの変更、社外を相手にした受注や
サービスの提供ということが、ものすごい時間と手間を要することになります。少し
でも例外であったり、重要であったりするケースは、言語をメールで届けるだけでは
ダメで、対面コミュニケーションを行って、言外の領域でも相互に納得をしないと組
織も人も動かないようにできているからです。


(2)上下関係のヒエラルキー
 ここからは言語に加えて、組織論も重なっていきますが、もう一つ、日本語でのコ
ミュニケーションの特質は、上下関係を規定する敬語という問題を伴っているという
ことです。そのために、管理監督者は指揮命令の対象に対して、人格的に優位に立っ
ていると錯覚して、横柄なコミュニケーションが許されていることがほとんどです。
そのために、様々な非効率が発生しています。

 一つには、儀式的なヒエラルキーの確認に、個人の自尊心の満足感を刺激する形
で、昇進昇格人事が行われているということです。管理監督というのは、未来の未経
験の事態に対してチームのパフォーマンスを最大にして問題解決を行うためのリーダ
ーシップであるべきですが、得てして「過去の功績の論功行賞としての昇格」が横行
するために、不適格者、能力欠格者が管理監督の権限を与えられて、人格的に優位に
立ったという錯覚を前提とした権力行使を行うことが多くあるわけです。そのために
問題が解決できず、ビジネスチャンスが生かせないという膨大なロスが日本経済の足
を引っ張っています。

 これは組織における管理監督者の配置の問題であり、その背景にある「年功序列」
とか「ゼネラリスト育成のための人事異動」などが問題の本質にはありますが、更に
コミュニケーションにおけるヒエラルキー文化が重なることが問題を複雑にしている
と言えます。

 もう一つは、得てして現場が持っている「最先端の情報」「危機の発端となるマイ
ナス情報」が決定権限のある人間に上がっていかないという問題。更には、問題が生
じた際に、迅速に「対策の立案と実施」に進む前に「責任者の謝罪という儀式」に時
間を取られるという問題があります。

 個々のコミュニケーションの局面だけでなく、産業間や、一つの産業内の機能と機
能の間にも暗黙のヒエラルキーが存在しています。親会社と子会社、グループの中核
企業と新興企業、伝統と格式のある会社の信用、ベンチャーにおける資金調達の困難
など、意味のないヒエラルキーが多く存在することで、様々な非効率が発生していま
す。


(3)東京一極集中は何故ダメなのか?
 こうした問題を象徴しているのが「東京一極集中」です。東京への一極集中がどう
していけないのかというと、地方が衰退するとか、東京の住環境が悪化する、あるい
は災害時にバックアップが無いという問題が指摘されます。ですが、そうした表面的
な問題以上に、もっと本質的な問題、つまり「東京という街の抱えた病=東京病」と
いうものが指摘できるように思います。

 それは、一つにはここまで議論したような「高コンテキストで非効率な対面型コミ
ュニケーション」の束縛ということがあります。多くの機能が東京に集まっているの
は、このためであり、そうした「対面型」を要求すればするほど、ビジネスの手順は
非効率になって行く、東京というのはそのような街であるのです。

 もう一つは、東京は「ヒエラルキー文化にまみれた街」だということです。そこに
は東京が威張っているとか、中央政府が地方を見下しているという問題もあります
が、もっと罪深いのは「東京というのは明治以来の欧米への劣等意識にまみれた街」
だということです。

 そこで起きるのは、「地方<東京<欧米」という歪んだヒエラルキー意識であり、
また、地方が海外の知見なり市場なりと結びつくには、「一旦東京を経由しなくては
ならない」という非効率を産んでいるとも言えます。この2つの問題、つまり「対面
型の非生産的なコミュニケーションを象徴する街」であり「地方に対して君臨し、欧
米に対して拝跪するという巨大な田舎根性の街」というところ、そこに東京一極集中
の最大の問題があるように思います。

 この年の瀬に至って、問題となっている東芝、キリンの経営こそ、その典型例であ
ると言えます。東芝は、米国の原発事業を買収した後の経営に難渋し、しかも問題の
本質に直面することから逃げて不正な方法で会社の体面を取り繕うとしたことから更
に大きなトラブルへと陥っています。キリンも、ブラジルで買収した事業の経営悪化
をグループ全体の問題として正視するのが数期遅れたことが問題を深刻にしています
が、いずれも「東京経由の国際化」の底の浅さを示す良い例だと思います。


(4)産業構造が高付加価値型になっていない
 長い間、日本は自他共に認める先進国だと思ってきました。ですが、一人当たりG
DPの「4万ドルクラブ」から脱落した現在、その地位はかなり怪しくなっていま
す。それは、ここまで議論したような文化的な効率の悪さということもありますが、
それ以前の問題として、現代の先進国に必要な「高付加価値産業」へのシフトができ
ていないというのが、最大の問題です。

 例えば輸送用機器では、船舶から自動車・鉄道車両といった段階では、今でも競争
力がありますが、付加価値という点で更に一段上の「宇宙航空」に関する技術力で
は、どう考えても最先端に届いていません。

 また、製薬の分野では最先端に必死になって「しがみついて」いるものの、欧米と
の格差は大きなものがあります。

 最大の問題はエレクトロニクスとコンピュータ関連の技術の分野です。この領域で
は、ハードからソフトへという大きな潮流に、日本は全く乗ることができませんでし
た。亡くなったスティーブ・ジョブズは、いつも「自分はソニー製のビデオカメラを
偏愛していた」としながらも「そのソニーを含めた日本のエレクトロニクス産業は死
んだクジラが砂浜に打ち上げられたような状態だ」という厳しい指摘もしていました。

 原因はハッキリしています。コンピュータ科学の分野は「余りにも高い専門性が要
求される」ので、日本の大企業の中枢を担う「幹部候補のキャリアパス」にはならな
かったのです。そのために、「コンピュータのソフトウェアの専門家」は、特殊な専
門職種だということになり、社会的な尊敬と、必要な報酬を与えられなかったので
す。優秀な若者がそこに集まることはなく、気がついた時点では深刻なまでの遅れを
取っており、しかもそのことの深刻さを認識する能力も喪失していたのです。

 今から考えれば、2000年代前半の「デジタル三種の神器」というのは、まるで
日本のエレクトロニクス産業の「破滅の前の幻」であったと言えます。今は、スマホ
の高度化によってデジカメというカテゴリは危機に瀕していますが、そのことより
も、デジカメというデバイスを販売するというビジネスモデルよりも、デジタル写真
を道具としてネット環境上に巨大なコミュニケーションのプラットフォームを築くと
いうSNSというビジネスモデルが巨大な産業になって行ったということです。

 そのような利用者の心理を見ながら、ネット上のサービスを拡大していくビジネス
モデルは日本ではなかなか生まれませんでした。そして気がついた時には、薄型ディ
スプレイも、デジタルカメラもコモディティ化するか消滅の危機に瀕しています。ま
た、BDストレージに至っては、世界市場でのニーズもそれほど出ませんでした。


(5)苦手でも金融をやるしかない
 日本人は金融が苦手だとよく言われます。例えば、「リスクを取らないというリス
ク」という概念を理解しないとか、「ハイ・リスクからロー・リスクの各種の商品を
組み合わせたポートフォリオ」の概念が分からないということがよく言われます。売
却益や配当収入を「不労所得」だとして蔑視するカルチャーもあります。

 ですが、自分が得意だと思っていた「モノづくり」がもはや大きなカネを産まなく
なって来ている21世紀の現在、これだけの高度な教育を受けた人口を抱えた国とし
ては、金融を産業として育てていくことは必要と思います。それ以前の問題として、
多くの産業化プロジェクトが「石油ショック以来の資金不足」で潰れていったことを
考えると、金融の技術力の底上げを図る中で、世界からカネを集めてくることは、今
後の産業構想転換のためにも必要と思われます。

 それこそ「英国病」に瀕していた英国は、金融に関する大胆な規制緩和を行いまし
た。それは、一旦はロンドンがウォール街の軍門に降るということを意味しました
が、時間とともにノウハウと人材が定着する中で、今では、潰れたリーマンの優良部
分をバークレイが買うなど、米系に伍した戦いができるようになっています。そし
て、英国は日本よりはるか上位の「一人当たりGDP」を謳歌する中で、その相当な
部分を金融業とその派生で補っているのです。


(6)無駄だらけの教育システム
 もしかしたら、「日本病」の最大の問題は教育かもしれません。とにかく、中学な
ら中学、高校なら高校の教育内容について「その内容それ自体が若者の知性を鍛え、
知識として蓄積される」ようになっていないのです。中等教育というものは、それ自
体の意味もなければ、高等教育への接続にもなっていない、そうではなくて、高等教
育機関である大学には「入学試験」というものがあって、その試験に合格することが
下位の学校の唯一のテーマとなっているのです。

 そこで高校でその受験勉強を教えてくれれば良いのですが、多くの、特に都市部の
高校では十分な指導ができないので、塾や受験産業が必要とされるという奇怪な状況
となっています。つまり中等教育までの段階では、「教わったことはそれ自体に意味
はなく、次の段階の学校の入試に受かるかどうかという一点のみの関心と利害が学習
の目的と動機」になっていて、しかもその目標達成には「学校以外の塾に行かねばな
らない」という非効率になっているのです。

 更に大学での履修内容も、理系を除いては「企業や官庁で必要とされているスキル
や知識」とは異なっており、就職後に「学び直し」を強制されるのです。その一方
で、大学以下の学習内容は必ずしも高度ではありません。高校の時点、すなわち大学
入試の出題範囲は狭く、微分方程式もなければ、関数電卓を使った高度な数値の操作
も要求されません。

 一部のエリート候補向けとされる「中学入試」では、xやyを使った方程式も禁止
されるという馬鹿げた規制の元での「頭の体操」を強いられるという奇怪な現象すら
あります。要するに形式的で、正確性ばかりを要求されるが、内容はちっとも高度で
はないというバカバカしい教育が「受験地獄」として、意味のない労力の浪費を若者
に強いており、しかもそれは社会に出たら「使えない」という無駄なことになってい
るわけです。その壮大な無駄の積み重ねが日本の競争力喪失の大きな理由の一つだと
思います。

 私は先日、日本に一時帰国した折に、東京の水道橋駅で大勢の女子高校生が電車に
乗ってくるのに遭遇しました。制服と校章から、東京大学の多くの合格者を出してい
る日本版の「プレップスクール」と分かりましたが、彼女らが電車の中で一心不乱に
なって見ているのが、「文科省検定済みの生物2の教科書」だったのです。私はその
ことに愕然としました。

 生物2を履修しているというのは、恐らくは理系志望で東京大学の理科科類に入学
していく女性たちなのでしょうが、16歳から17歳の柔軟な頭脳の時期に、最先端
の学術論文や、サイエンス誌、あるいは問題提起型の科学哲学や科学と社会の関係の
専門書などではなく「生物2」の教科書を必死になって勉強している、それは定期試
験のためなのでしょうが、そのレベルの低さ、そして何も言わずに暗記をしていると
いう作業の低付加価値に愕然としたのです。そんなことをやっている場合ではない、
多くのアジアや欧米の同年代の女性たちは、仮に基礎能力が優秀であれば、もっと高
度なことをやっているのです。

 日本の教育システムが時代遅れであり、しかも無駄だらけで「易しすぎる」という
こと、そのことも今後の国際競争力維持においては問題視していかねばなりません。

 そんなわけで、「日本病」というのは、どうやら複合的な疾病のようです。日本の
カルチャーが持っている特質は、中付加価値製品の設計と製造には適していたのかも
しれませんが、高付価値型のビジネスのためには、むしろ弊害となっていると考えれ
ば、そうした問題点の多くを日本特有の「病」であるとして、克服をしていくことは
急務ではないでしょうか。

 いずれにしても、本稿は、年末年始の皆さまの議論の材料にしていただければと思
って書いております。かなり荒削りな部分もあるのですが、それは「一人当たりGD
P4万ドルのクラブ」から叩きだされ、英国にもフランスにも抜かれ、今は「3万ド
ルグループ」に留まることができるかの瀬戸際で、イタリアにも抜かれそうだという
ことのショック、そして、日本国内の報道ではそんなに「ショックが感じられていな
い」ということへの二重のショックから、どうしても荒っぽくなってしまったのかも
しれません。

 いずれにしても、この「診断」はあくまで「叩き台」として、具体的な改革へと考
え方を練りあげて行きたいと思います。末筆とはなりますが、読者の皆さまにはどう
ぞ良い年をお迎えください。
 
------------------------------------------------------------------
冷泉彰彦(れいぜい・あきひこ)
作家(米国ニュージャージー州在住)
1959年東京生まれ。東京大学文学部、コロンビア大学大学院(修士)卒。
著書に『911 セプテンバーイレブンス』『メジャーリーグの愛され方』『「関係の空
気」「場の空気」』『アメリカは本当に「貧困大国」なのか?』『チェンジはどこへ
消えたか〜オーラをなくしたオバマの試練』。訳書に『チャター』がある。 最新作
は『場違いな人〜「空気」と「目線」に悩まないコミュニケーション』(大和書房)。
またNHKBS『クールジャパン』の準レギュラーを務める。

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[アジア19] 韓国の元慰安婦、日韓外相会談の結果に強い不満「われわれの訴えはすべて無視された」―韓国メディア 赤かぶ
3. 2015年12月29日 08:47:25 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[6]
韓国の訴訟件数は日本の100倍以上、偽証600倍
なぜこうも日本と違うのか、その歴史的背景を探る
2015.12.29(火) 森 清勇
産経新聞前ソウル支局長に無罪判決、韓国
韓国ソウルの裁判所に出廷する産経新聞の加藤達也前ソウル支局長(2015年12月17日撮影)〔AFPBB News〕
 「大山鳴動して鼠一匹」と言うが、産経新聞前ソウル支局長加藤達也氏の裁判が無罪で一件落着した。

 加藤コラムの基になった朝鮮日報の記者がそもそも何の咎も受けていない。それを引用し、韓国証券界の噂を加えて論評した支局長を名誉棄損で告訴すること自体に一貫性もなかったわけである。

 公判の焦点は言論の自由や報道の自由など、民主主義国家の根幹にかかわる問題であった。

 しかし、名誉棄損では、罪の成立に不可欠な大統領の被害感情が問われないままに終わり、またコラムが本当に問いたかった7時間の空白が何一つ解明されないまま終わる不完全燃焼となった。

 検察は「証言や携帯電話の記録から噂は虚偽」と主張したが、高校生多数を乗せたセウォル号の転覆事故という緊要時の大統領の所在と行動が国民に明示されなければ、300余人の犠牲者や家族の鎮魂にはならないであろう。

問われた韓国の法治

 加藤裁判で、韓国の検察は告訴要因の1つに大統領を誹謗する目的があったとし、それは「官邸への出入り禁止への報復を動機とした攻撃」であるとした。

 ここで「報復」という態様が出てくるが、これは韓国でこうしたことが容易に起きてきた状況から想起されたことのように思われる。

 全斗煥と盧泰愚両大統領はその後就任した金泳三大統領によって不正を暴かれ、牢屋に入れられた。また、盧武鉉大統領は日本人に協力した人物の財産を没収する法律を作った。

 このように、大統領は爾後法を作って過去を裁き、罪人を作って処罰してきた。国家の姿勢を正すという意味で行ったのであるが、民主化、民族主義、反日などと称される主義主張からくる報復のようにも思える。

 新大統領が悪を許さないとか自分の政治信条である、さらには国民との約束だと言えば格好はいいが、実態は近代国家にふさわしくない遡及法を作って平然とした国家であるということでもある。

 シンシアリー氏は『韓国人による恥韓論』で驚くべき韓国の法意識を紹介している。2011年に法律専門市民団体が全国の成人男女2937人に法意識に関するアンケートをした結果である。

 「韓国社会では法がちゃんと守られていると思いますか」という質問に対し、77%の人が「そうじゃない」と否定している。

 そして、42%の人が「法を守れば損をする」と答え、81%が「有銭無罪、無銭有罪」(お金があれば無罪となり、お金がなければ有罪になる)と答え、67%が「ポピュリズム的な、また不当な裁判結果が多い」と答えたそうである。

 氏は、一夜でこうした韓国になったわけではなく、「韓国人は、昔から国の法を信じていません」という。

 お金があれば無罪という認識がいきわたっているように、大韓航空機で、いわゆる「ナッツ・リターン」事件が起きた時、韓国の財閥関係者が起こす事件の多くでカネがものを言っていることをいろいろな報道が明かしていた。

 日本でも、政治家などは嫌疑をかけられると入院したりするが、「韓国の財閥総帥たちは何かあれば患者になって重い判決から逃れる」という。ここまでは同じであるが、この先の意思表示が全く異なる。

 日本では被疑者は隠れたままであるが、韓国では裁判直前に何かの病気を謳い、「車椅子に乗って法廷に入ってくることが多い」という。近年ではさらにインパクトを持たせるため「ベッドに横たわって入る人もいました」と、シンシアリー氏は言っている。

 また、「政治家たちの無罪判決も多く、また何かあれば赦免され」るという。

 2012年の総選挙に候補登録した人たちの中で、男子582人中94人が兵役免除者であり、実に16.7%である。4年前の2008年の時も16.2%だったそうで、韓国人が最も不公平と感じることだそうである。

 米国は訴訟天国と言われるが、韓国も負けず劣らずのようである。韓国の告訴・告発は人口比で毎年、日本の100倍を軽く超えており、2012年2月15日付「ヘラルド経済」紙によると、何と146.4倍だという。起訴率は20〜25%だそうであるが、いずれにしても大変な件数である。

 中でも偽証が日本の数百倍で、年度によっては600倍を超えるそうである。気に入らない相手はとにかく告訴し、選挙ならば嘘をついてでも落とすという。韓国の王朝ドラマでも、嘘で相手を貶めるシーンがしばしば登場する。

 シンシアリー氏は「法というシステムを適用する方も、利用する方も、両方が歪んでいるわけです。法が法ではなくなったのです」と、 自嘲気味に語っている。

偽証は韓国人の生きる手段か

 そもそも韓国は反日でなければやっていけない国に戦後つくられた。

 曰く「日帝の我が国に対する植民地支配は、憲兵警察を先頭にした強圧的な武断政治であった」「朝鮮総督府は全国農地の約40%を収奪した」「日本語を強要して言葉を奪った、文化を奪った」「創氏改名を強要した」などなどである。こうした歴史認識はどうしてつくられたのだろうか。

 李榮薫(イ・ヨンフン)ソウル大学教授は『大韓民国の物語』で、「日本の植民地時代に民族の解放のため犠牲となった独立運動家たちが建国の主体となることができず、あろうことか、日本と結託して私腹を肥やした親日勢力がアメリカと結託し国を建てたせいで、民族の生気がかすんだのだ。民族の分断も親日勢力のせいだ。解放後、行き場のない親日勢力がアメリカにすり寄り、民族の分断を煽った」というような民族主義的な見方が蔓延ってきたからだという。

 民族主義者のこうした認識が誤りであったことは、日韓併合時代における実態を具体的な数字をもって解き明かした英国のアレン・アイルランド著『ザ・ニュー・コリア』という日韓併合分析書などで明らかになってきた。

 600ページを超す大著で、政府組織、司法制度と裁判所、警察と監獄、政府の財政、教育、医療・公衆衛生・社会福祉、経済発展に区分して細説している。

 日本の統治を善政とまでは言わないが、西欧列強が行った植民地から富を搾取する経営とは天と地ほどの差があったことは確かである。西欧は本国を富ます策源地として利用し、植民地の経済やインフラ設備、教育など、すなわち、民生向上は一顧もしなかった。

 しかし、日本は本国と同化する政策をとり、正しく「内鮮一体」を目指したのである。

 また、朝鮮統治について、韓国人や韓国系外国人を含む多くの専門家の著書を分析し検証した著書に、ジョージ・アキタとブランドン・パーマー共著の『「日本の朝鮮統治」を検証する』がある。

 この最終章は「九分どおり公平(フェア)だった朝鮮統治」となっている。これが偽らざる朝鮮統治であった。

 日本が朝鮮を統治したことは紛れもない事実であるが、万一中国やロシアが統治したらどうなっていたであろうか。想像する以外にないが、李氏朝鮮の継続か西欧列強と同様に振る舞われ、今日のような近代国家を名乗り得たであろうか。

 小中華を自称してきた韓国では中国同様、騙すことに何の痛痒も感じない遺伝子が組み込まれている。先の調査もそのことを示している。アイルランドの著書などによって、知識人たちは日本統治の実態が分かっているであろう。しかし、国内事情から真実が語れない状況である。

 民族主義者等による親日分子に対する攻撃に反撃すればいいと思うのが日本的思考で、韓国人には戦うよりも反日に逃れる方が容易であり、そこから反日でしか生きていけないと思い込むのであろうか。

 李榮薫教授の著書の副題は「韓国の『国史』教科書を書き換えよ」である。

 日本の「新しい歴史教科書をつくる会」は自虐史観の払拭で苦労を重ねているが、李教授の苦労は、民族主義史観に染まったほとんどの韓国人を相手にする闘いであり、日本人の想像を絶する厳しいもののようである。

肝心の問題は解明なし

 加藤コラムの問題提起は国家の重大事における最高指導者の行動であった。日本の総理大臣の動静は分単位で公表されている。同じ自由民主主義の政治体制をとる韓国においても、分単位はともかくとして、大統領の行動は国民に分かる状態になければならないとみるのが日本人である。

 男女関係の揶揄が目的でなかったことは裁判でも明らかになった。ましてや高校生多数が乗船していた船が転覆した非常時である。

 大統領がどういう行動をとったかについて韓国人は言うまでもなく、文化をはじめ政治・経済、安全保障で密接な関係にある日本が関心を持つのも当然である。

 名誉棄損で告訴・起訴されたが、裁判の過程でも本人から被害感情は聞けずじまいにおわり、(他の人々の)証言や携帯電話の記録から判断する以外になく、罪の成立に不可欠な要素が問われないままになった。

 もう1つが、肝心の7時間の空白の解明である。コラムの狙いはここにあったはずである。韓国国会の場での解明が提起されているが、すんなりいきそうにないとも言われている。

 日本の外務省が韓国との関係を紹介するホームページから「基本的な価値を共有する」という文言を削除したのは「法の支配」や「言論・報道の自由」もさることながら、大統領の行動自体に疑義がもたれているにもかかわらず積極的に解明しようとしないことにもあるであろう。

 問題の解決を妨げる点では、『帝国の慰安婦』の著者の起訴も同じである。

 同書は新たな視点から慰安婦問題を研究したものである。日本軍とかかわった慰安婦という次元から、帝国というシステムとして慰安婦を研究したのである。ところが著者は韓国人慰安婦たちの名誉を傷つけたとして在宅起訴された。

 慰安婦は韓国軍にもその他の国の軍隊にも存在したのであり、日本(軍)のみを論うのは偏った議論であるという主張から、「韓国(軍)も・・・」という話になり、このことが韓国の慰安婦たちの主張を相対的に弱め、日本に謝罪と補償を求める運動をあやふやにするということのようである。

 せっかく慰安婦問題の本質を研究しようという問題提起が行われたにもかかわらず、今また、一部の人たちの主張に押されて、その芽を摘もうとしている。

 しかし、近年韓国軍のベトナムにおける慰安婦施設の運営や、韓国政府による在韓米軍(及び韓国軍)のための基地村運営が明らかになり、韓国人慰安婦やベトナム人慰安婦から韓国政府が謝罪と補償を求められる事態が起きている。

 日本だけを攻撃しておればよいという時代ではなくなり、韓国自身が正面から向き合わなければならない時代がやってきたのである。

おわりに

 本文章を書いている途中で、文章が次々に消えてしまった。同じ文脈の小論を書いていた前回もかなり苦労した。他の文書作成時はほとんど問題がないので、何らかの邪魔があるのではないかと思う。

 加藤氏の告訴、起訴、その後の裁判を通じて、日韓の物事に処する違いが一段と明確になってきた。これまでの日本は、譲歩すれば落着すると安易に考えてきたが、中韓との間では決してそうではないことが明確になったのである。

 日韓、日中、日中韓首脳会談が数年ぶりに開催され、またまた安易に未来志向で進むとみる日本人も多い。しかし、中韓は慰安婦問題で依然として手を緩めていない。『帝国の慰安婦』の著者の起訴も、日本の慰安婦では譲歩しないというシグナルではなかろうか。

 韓国は日韓基本条約で「戦後処理は完全かつ最終的に解決されたことを確認する」(第2条)と謳ったにもかからず、「人道支援」は別だなどと言いがかりをつけている。

 インドが独立した時、英国人の個人資産は返却したように、韓国が独立した時、日本が残した資産(総司令部調査で53億ドル)を返還してもらえばよい。

 日韓基本条約で日本は無償3億ドル、有償2億ドル、民間借款3億ドルの合計8億ドルを支払った。当時の韓国の国家予算の2.3倍と試算されている。

 基本条約を反故にして人道支援を強要する韓国に対しては、日本が残した53億ドルの返還要求で対抗したらいかがであろうか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45635

http://www.asyura2.com/15/asia19/msg/359.html#c3

[自然災害21] マックの撤退が実現する見込みだが、その意味は日本壊滅? taked4700
3. 2015年12月29日 08:53:42 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[7]
外資の対日投資成功事例 - サクセススト−リ−

日本に進出した外資系企業にインタビューし、日本進出の理由、日本でビジネスをする上での工夫、今後の日本でのビジネス展開など、対日投資のサクセスストーリーを紹介しています。

ディーエスエムジャパン エンジニアリングプラスチックス株式会社
オランダ発祥のライフサイエンス及びマテリアルサイエンス事業を展開するDSM社の一部門である、ディー
エスエムジャパン エンジニアリングプラスチックス社は2003 年東京に株式会社を設立。2013 年には横
浜にジャパンテクニカルセンターを開設し、日本国内のみならず海外にも高い技術を活かしたソリューショ
ンを提供している。
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産業 企業名 本社の国 日本の進出先 掲載年月
その他製造業 ディーエスエムジャパン エンジニアリングプラスチックス株式会社JETRO オランダ 関東 2015/12
バイオテクノロジー/ライフサイエンス ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社JETRO 米国 関東 2015/11
その他製造業 ダウ・ケミカル日本株式会社 北米 関東 2015/10
サービス/その他 マルクラ・ジャパン株式会社JETRO アラブ首長国連邦 東京 2015/09
サービス/その他/観光 HRS-ホテル・リザベーション・サービス株式会社JETRO ドイツ 東京 2015/08
観光 株式会社 CTRIP JAPANJETRO 中国 東京 2015/08
サービス/その他 チケットエクスペリエンス株式会社JETRO スペイン 東京 2015/07
自動車関連 ゼット・エフ・ジャパン株式会社 ドイツ 東京 2015/06
ICT エースジャパン株式会社JETRO ミャンマー 東京 2015/04
自動車関連 シェフラージャパン株式会社 ドイツ 神奈川 2015/02
自動車関連 株式会社ヴァレオジャパン フランス 東京 2015/01
小売 イケア・ジャパン株式会社JETRO スウェーデン 東京 2015/01
観光 デルタ航空会社(274KB) 米国 東京 2014/12
バイオテクノロジー/ライフサイエンス メルク株式会社(299KB) ドイツ 東京 2014/12
金融/保険 アクサ生命保険株式会社(277KB) フランス 東京 2014/11
その他製造業 日本コカ・コーラ株式会社(276KB) 米国 東京 2014/11
その他製造業 シュナイダーエレクトリック株式会社(257KB) フランス 東京 2014/11
観光 上海吉祥航空(275KB)JETRO 中国 沖縄・大阪 2014/09
環境/エネルギー 株式会社Ciel Terre Japan(370KB)JETRO フランス 東京 2014/09
小売 GUESS JAPAN 合同会社(277KB)JETRO 米国 東京 2014/08
小売 Zebra Japan 株式会社(382KB)JETRO デンマーク 東京 2013/11
環境/エネルギー juwi自然電力株式会社(273KB)JETRO ドイツ 東京 2013/10
ICT ネオフォトニクス日本合同会社(293KB)JETRO 米国 東京 2013/09
小売 Tommy Bahama(276KB)JETRO 米国 東京 2013/08
小売 ヴェラ・ブラッドリー・ジャパン株式会社(478KB)JETRO 米国 東京 2013/06
観光 日本春秋旅行株式会社(336KB)JETRO 中国 東京 2013/02
その他製造業 株式会社ダイヤコジャパン(472KB)JETRO 台湾 東京 2013/01
その他製造業 Seasonic Japan株式会社(272KB)JETRO 台湾 東京 2012/10
その他製造業 フレックス・ディー株式会社(246KB)JETRO シンガポール 広島 2012/09
ICT/コンサルティング インフォシスリミテッド(257KB)JETRO インド 東京・愛知 2012/09
その他製造業 Earthquake Protection Systems Japan株式会社(236KB)JETRO 米国 東京 2012/03
ICT LitePoint Japan 株式会社(180KB)JETRO 米国 東京 2012/03
サービス/その他 GOLFZON Japan株式会社(254KB)JETRO 韓国 東京 2012/03
その他製造業 マグ・イゾベール株式会社(159KB)JETRO フランス 三重 2012/03
観光 エアアジアX(385KB)JETRO マレーシア 東京 2011/03
観光 オズベルトホテルズ株式会社(846KB)JETRO 香港 宮城 2010/10
コンサルティング カーミカエルフィッシャー 日本支店(275KB)JETRO オーストラリア 東京 2010/08
観光 エアプサン株式会社(334KB)JETRO 韓国 福岡・大阪 2010/08
ICT snowflake株式会社(449KB)JETRO スイス 千葉 2010/03
サービス/その他 IPSTAR Company Limited 日本支店(408KB)JETRO タイ 埼玉 2010/03
その他製造業 晟田(せた)科技工業有限公司 日本支店(420KB)JETRO 台湾 愛知 2010/03
ICT サムテックジャパン株式会社(416KB)JETRO ベルギー 愛知 2010/03
観光 DBS クルーズフェリージャパン(532KB)JETRO 韓国 鳥取 2010/03
サービス/その他 株式会社エラネックス・ジャパン(708KB)JETRO 米国 福岡 2009/03
サービス/その他 ミューラージャパン株式会社(776KB)JETRO 米国 神奈川 2009/03
その他製造業 HAWE 大同ハイドロリック株式会社(703KB)JETRO ドイツ 愛知 2009/03
環境/エネルギー インスター・イッツ・ジャパン株式会社(759KB)JETRO チェコ 兵庫 2009/03
サービス/その他 日本平義国際株式会社(733KB)JETRO 中国 福岡 2009/03
https://www.jetro.go.jp/invest/success_stories/case_studies/
http://www.asyura2.com/15/jisin21/msg/190.html#c3

[原発・フッ素44] ≪不気味≫福島県でカラスが大量死、75羽の死骸!鳥インフルは陰性反応!ネットでは放射能を指摘する声も・・・ 赤かぶ
7. 2015年12月29日 17:21:59 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[8]
福島県鏡石町のカラス大量死、胃の内容物や油揚げから殺虫剤「シアノホス」検出
2015年12月29日16時19分  
福島県鏡石町の県立岩瀬農業高校周辺で今月末、カラスの死骸が大量に見つかった問題で、福島県は28日、死骸のカラスの5羽の胃の内容物と、そばに落ちていた油揚げから、有機リン系殺虫剤「シアノホス」が検出されたと発表した。福島民友などが伝えた。
同紙によると、国立環境研究所が検査を行い、5羽のカラスの胃の内容物からは51〜750ppmのシアノホスが検出され、油揚げからは5万1000ppmと高濃度のシアノホスが検出された。一方、県ではシアノホスの致死量については知見がないため、死因との関係は不明としている。今後、獣医らに相談して対応するという。
別のカラス9羽では鳥インフルエンザの遺伝子検査も行われたが、全てが陰性だった。また、福島県中家畜保健衛生所では細菌検査や病理検査も行ったが、死因となるような細菌や異常は確認できなかったという。
岩瀬農業高校周辺などでは、今月21〜25日の間にカラスの死骸計86羽が見つかっていた。
シアノホスは、市販されている有機リン系殺虫剤で、果樹園や畑で農薬として使われている。2013年に横浜市内の路上でカラス20羽が死骸で見つかる問題があったが、この時も一部のカラスの胃の内容物からシアノホスが検出されていた。

http://www.asyura2.com/15/genpatu44/msg/564.html#c7
[経世済民103] 日経平均は続伸、中小型株物色が下支え 郵政3社は反落(ロイター) 赤かぶ
1. 2015年12月29日 21:39:00 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[9]

ヘッジファンドの展望、「苦あれば楽あり」
By
LAWRENCE C. STRAUSS
2015 年 12 月 29 日 08:26 JST
•不振だったヘッジファンド
 11月末現在、ヘッジファンド業界全体のパフォーマンス指標のHFRIファンド・ウェイテッド・コンポジット指数は年初来0.27%の上昇となった。12月中旬時点での上昇率はさらに高まったものの、1%にも満たず話にならない。あるベテランのヘッジファンドマネジャーは、不振の原因は根本的なミスマッチだと言う。つまり、典型的なヘッジファンドは複雑な手法によって付加価値を生み出そうとするが、過去2年間の市場は単純さが全てだった。
 株式市場全体は年間で横ばいだったが、大半の銘柄が下落する中、一部銘柄が大幅に上昇して株価指数を押し上げる形となった。トップは約150%上昇した動画配信大手のネットフリックス(NFLX)。大きく離れてグーグルの親会社であるアルファベット(GOOGL)が約45%の上昇、フェイスブック(FB)が約33%の上昇だった。2兆9000億ドル規模のヘッジファンド業界の中で株の空売りに特化したヘッジファンドはほんの一握りしかなく、全体的な市場の下落に乗ることができたマネジャーは多くなかった。また、ミューチュアルファンド業界と同様、上記の大幅上昇銘柄に投資しなかったヘッジファンドのパフォーマンスは低迷した。
 ヘッジファンドに投資しているバンク・オブ・アメリカのグローバル・ウェルス・アンド・インベストメント・マネジメント部門の最高投資責任者(CIO)のクリス・ハイジ氏は別の見方をしている。市場全般の見通しに懸念を持った多くのマネジャーが過剰なヘッジをし、投資機会を逃したのではないかというのだ。欧州の大手ヘッジファンドであるブルークレスト・キャピタル・マネジメント、ジョン・ポールソン氏、グレンビュー・キャピタル・マネジメントのラリー・ロビンズ氏などが特に苦戦した。
 一つの指数が全てを語るわけではないが、ヘッジファンド・リサーチ(HFR)がヘッジファンド戦略を4つに区分したサブカテゴリーのいずれでも立派な成績を収めたものはない(11月30日現在)。株式ヘッジが0.33%の上昇、イベント・ドリブンは2.3%の下落、マクロは0.49%の上昇、そして債券やその他の戦略を含むレラティブ・バリューは0.68%の上昇となった。特に大きな打撃を受けたのはエネルギーや素材に注目したファンドで、平均7.68%の下落となった。
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 少ないながら勝ち組もある。テクノロジー/ヘルスケア指数は6.3%上昇し、一連のボラティリティの機会をうまくとらえたファンドも平均で6.5%の上昇とパフォーマンスが良かった。
 56億ドルの運用資産をヘッジファンドに投資するエバンストン・キャピタル・マネジメントで最高経営責任者(CEO)兼CIOを務めるアダム・ブリッツ氏は、2015年はマネジャー選別の年だったと語る。「過去数年に比べると個々のマネジャーのパフォーマンスに大きな差が出たはずだ」「個々のマネジャーのパフォーマンスには非常に大きなばらつきがあった」と述べた。
•2016年のパフォーマンスに楽観論
 新年を前に、パフォーマンスに対する楽観的な見方が出てきている。80億ドルでファンド・オブ・ヘッジファンドを運用する、オーロラ・インベストメント・マネジメントのスコット・シュバイグハウザー社長は、米連邦準備制度理事会(FRB)による金利引き上げにより、金利の方向性がはっきりし、不透明感が払しょくされたと言う。同氏は投資機会の一例としてイベント・ドリブンの特にM&A(合併・買収)に注目したファンドを挙げる。「企業は、金利が高くなり過ぎる前に事を済ませたいだろう」とみている。
 欧州や日本の中央銀行が金融緩和を続ける中でのFRBによる金融引き締めは、株式・債券・通貨・金利などを含む全ての資産クラスを通じて市場に一段の変動をもたらすという見方が、ヘッジファンドにとっての強気論の根拠の一つとなっている。ばらつきが大きくなることによって、ロングにおいてもショートにおいてもポートフォリオマネジャーがスマートなトレードをする機会が増えるだろうという理屈だ。同様の議論は以前にもあったが、結局、多くのヘッジファンドのパフォーマンスは可もなく不可もない結果となった。昨年のヘッジファンドの上昇率は平均で3%程度だった。米金利が上昇局面入りしたからには、この見方の正当性が試されることになるだろう。

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通貨安の輸出押し上げ効果が低減、その理由は
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ドイツの自動車部品メーカー、ロバート・ボッシュの工場(ブライヒャッハ、ドイツ) PHOTO: KRISZTIAN BOCSI/BLOOMBERG NEWS
By
PAUL HANNON
2015 年 12 月 28 日 14:29 JST
 今年は世界中の中央銀行が金融緩和を通じて自国の為替相場を押し下げ輸出を支えようとした。
 普通なら、こうした動きは他国を犠牲にする「通貨戦争」につながるといった議論に火が付くものだが、今回はそうした動きは見られない。
 このように平静が続いている理由、すなわち、貿易動向の変化が通貨安の影響を弱めていることを裏付ける証拠が増えつつある。
 両者の相関はずっと強まる可能性がある。世界の中銀の中で特に影響力が大きい米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)の金融政策が正反対の方向に向かっており、それと並行してドル相場とユーロ相場も対照的な動きになると思われるためだ。
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米ニュージャージー州のニューアーク港 PHOTO:JULIO CORTEZ/ASSOCIATED PRESS
 貿易動向の変化の一つとして、輸出企業の部品の調達先が変わった。製造業企業はかつて部品の大半を国内で調達していた。現在は調達先を海外に求める企業が増えている。結果として、輸出品に占める輸入部品の割合が大きく伸びている。
 確かに、ユーロが下落すれば、ドイツ製品の米国での販売価格は下がるが、ドイツ企業が輸出品を製造する際に使う輸入部品の価格も上昇する。
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 グローバル・サプライチェーン(国際供給網)が貿易動向に及ぼす影響の測定については、経済協力開発機構(OECD)と世界貿易機関(WTO)が研究課題として取り組んでいる。両機関のエコノミストは世界中の詳細な経済統計を用いて、各国の輸出品に海外部品が占める割合を調べた。その結果、この割合が1990年代半ば以降に大きく伸びていることを確認した。例えば、フランスの輸出品に占める海外部品の割合は2011年に25%と、1995年の17%から上昇した。欧州全域で起きている同様の変化を反映した格好だ。
 国際通貨基金(IMF)と世界銀行のエコノミストはこの尺度を用い、為替の動きが輸出入に及ぼす影響について現在と過去を比較した。そして、その影響が時間とともに実際に薄れていることを突き止めた。30%も低減した国もあったという。
 政策当局はこのことに気付き始めている。ECBのオピニオンリーダーの1人であるクーレ専務理事は先月カリフォルニアで行った講演で、「国際的なバリューチェーンを通じて国々の垂直統合が強化されているため、為替レートの変化が交易条件に及ぼす影響は減るだろう」と述べた。
 クーレ専務理事は、このプロセスにより為替相場の「衝撃吸収材」としての役割(世界の需要を経済力の強い国から弱い国へ向かわせる役割)は低下すると結論づけた。
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(左)ドルの対円相場、(右)日本の輸出高の前年比変化率
 為替相場が大きく下落しても輸出押し上げ効果は以前より小さいということは、日本の例を見れば歴然だ。日本銀行が2013年4月に大規模な緩和策を導入し、円の供給を拡大すると、円はドルやユーロに対して急落した。
 この戦略は、日本経済を長期低迷から脱却させる包括策の柱の一つだった。だが、その後の反応はやや期待外れに終わった。円安になっても日本の輸出はさほど伸びず、経済成長は上向かなかった。これに困惑した政策当局は、世界経済の需要の弱さが原因と指摘したが、仮にその通りだとしても、日本の輸出企業の市場シェアは拡大していたはずだ。
 ECBが今年1月に量的緩和の導入を決めると、同じような展開が見られた。円と同様、ユーロも下落した。14年初頭からのドルに対する下落相場が続き、足元では下落率が20%程度に達している。
 15年初めの時点では、ECBの導入した量的緩和によって輸出が拡大し、ユーロ圏の経済成長が加速すると期待されていた。だがまたしても、通貨安の効果は限定的だった。それどころか7-9月期は、輸入の伸びが輸出を上回り、ユーロ圏の経済成長を押し下げた。鉱工業生産は横ばいにとどまった。
 通貨安の反応が期待外れだったからといって、FRBとECBの大きな政策乖離(かいり)が為替相場に何も影響しないというわけではない。FRBが今月およそ10年ぶりの利上げに踏み切ったことで、これは米企業にとって大きな不安材料となっている。ECBはその数週間前に追加緩和を発表したばかりだった。エコノミストの多くは、米国の輸出がやや落ち込む一方、ユーロ圏の輸出がいくらか持ち直すとの見方を変えていない。
 また、IMFと世銀のエコノミストが指摘するように、為替相場が輸出の拡大や減少にどの程度影響するかは、輸出品に占める海外部品の割合次第だ。経済全体で見ると、米国の輸出品に占める海外部品の割合は15%程度と、世界でも特に低い水準にある。対照的にドイツは25%を超える。
 OECDの貿易エコノミスト、セバスチャン・ミロウド氏は「米国に関しては、海外部品の割合が低いため話がより複雑だ」と述べた。
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2016年の米金利、上昇懸念は無用
By
AMEY STONE
2015 年 12 月 28 日 12:49 JST
 ずばり本題に入ろう。2016年に金利がどれくらい上昇するかを心配しているのなら、答えは「あまり上がらない」だ。
 米連邦準備制度理事会(FRB)がようやく利上げの道を歩み始めたところで、これは大胆な意見に聞こえるかもしれない。だが実際にはこれが債券ストラテジストの総意だ。歳出拡大、失業率の低下、堅調な自動車・住宅関連部門などを踏まえると、低インフレ・低成長の米経済にはまだ余力があり、あと数回の利上げに耐えられることは極めて明らかだ。
 金利は全ての年限で上昇する可能性が高いが、利回り曲線は平らになり続けるだろう。大半のストラテジストは2016年末の10年物米国債利回りを、現在の水準(25日時点で2.24%近辺)よりやや高い2.5%前後と予想している。
 利上げにもかかわらずなぜ低金利が続くと考えられのかを理解するには、世界的視野に立つと分かりやすい。米経済には弱い部分がいくつかある。世界経済成長の低迷やドル高が米製造業を圧迫し、エネルギーなどの商品(コモディティー)関連部門に打撃を与えてきた。多くの先進国(欧州、中国、日本)は脆弱(ぜいじゃく)な経済のてこ入れに最善を尽くしている。米国が反対方向へ急ぎ過ぎることは絶対にできない。トレードウェブによると足元の10年物ドイツ国債利回りは0.62%で推移しており、そうした中で2.2%という米国債利回りはドイツの投資家にとって投資妙味が高い。米金利が上昇すれば、米国債の買い手も増えるだろう。
 だが、落ち着いた金利動向を見込むあまり気を緩めてはならない。JPモルガン・アセット・マネジメントの債券部門グローバルヘッド、ボブ・マイケル氏は、2016年が債券投資家にとって厳しい年になるとみており、「政策変更が増えるため、ボラティリティー(相場の変動率)は上昇の一途をたどるだろう」と指摘する。
 マイケル氏が予想するのは、FRBが3月と6月に利上げしフェデラルファンド(FF)金利を0.75%〜1.0%に引き上げるものの、以降は「選挙を避けて」小休止するというシナリオだ。債券利回りはそれ以後徐々に低下する公算が大きいと言う。
 2016年前半は特に波乱含みだ。原油は14年末に急落したので、前年比での原油安はあまり影響せず、インフレがいくらか上向くはずだ。そしてサービス業部門は引き続き堅調だ。インフレが予想以上に上昇し、経済が弱まりつつある中でFRBが積極的に利上げする恐れがある。投資顧問会社エドワード・ジョーンズの投資ストラテジスト、トム・カースティング氏は「景気拡大が少し年老いつつある」と指摘した。
 米経済の明るい見通しは、個人消費が引き続き強いことを前提としている。投資会社フランクリン・テンプルトンで債券委員会副議長を務めるマイク・マテラッソ氏は、消費者が雇用増、ガソリンや暖房費の下落、輸入物価の低下の恩恵を受けると予想している。FRBの利上げが株式市場を破壊しない限り、堅調な消費が減速する設備投資を押し上げるはずだ。
 運用会社オッペンハイマーファンズの最高投資責任者(CIO)、クリシュナ・メマニ氏は、「われわれは信用サイクルの後半にあり、その終わりにいるのではない」と言う。同氏は投資対象として、投資適格社債、シニアローン債権、一部の高利回り債の順で好んでいる。戦略的な投資を望むならば、来年に向けて「(投資が)枯渇した場合に利用できる手元資金」を持っておくことが理にかなっていると指摘。「3年の見通しを維持する度胸をしっかり持つことだ。この8月に切り抜けねばならなかったような荒れ相場が何度もあるだろう」と語った。
 そのような度胸のない投資家は、リスク投資を減らすべきだ。例えば、投資適格社債の利回りは4%あるので、リスクの高いジャンク(投資不適格)債にあえて収益を求める理由はあまりない。ウェルズ・ファーゴの資産投資管理部門CIO、ダレル・クロンク氏は、「2016年には、みなさんにあらためて利回りを追求しないよう教える必要がある。攻めるよりも守りを固めるべきだ」と指摘した。
 エドワード・ジョーンズのカースティング氏は、「株式相場がかなり調整すれば、投資家は債券を持っていて本当に良かったと思うだろう」と述べ、相場が不安定で金利が上がっている場合、分散投資が債券を保有する主な理由だと語った。
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世界の短期金利(左上)、世界の長期金利(右上)、米国債の利回り曲線(左下)、米各種債券利回り(右下)
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FRB、マイナス金利導入の可能性も
By BEN LEVISOHN
2015 年 12 月 29 日 11:02 JST
 米連邦準備制度理事会(FRB)は2006年以来の利上げに踏み切ったばかりだというのに、すでに誰もがイエレン議長らはいつまた利下げを余儀なくされるだろうかと考えている。

 利下げ前には、利下げは景気減速、場合によってはリセッション(景気後退)さえ招きかねない間違いを犯すことに等しいと主張していた人はほとんどいなかったようだ。だが現在は、景気が鈍化し始めたときに予想されるFRBの政策について書かれた調査リポートがいくつも公表されている。米投資銀行キーフ・ブリュエット・アンド・ウッズ(KBW)のフレデリック・キャノン氏らが執筆した24日付のリポートは、米国でマイナス金利が導入される可能性を考察している。以下はリポートからの抜粋だ。

 「米経済は2016年も拡大を続け、FRBは徐々に金利を引き上げるとみている。しかし、経済成長減速やインフレ期待の後退につながる多くの悪材料が浮上するシナリオも考えられる。そのような場合、FRBは緩和的な金融政策の推進を望むだろう。とはいえ、マイナス金利政策の実行を決めない限り、利下げの選択肢は限られている。当行では、マイナス金利が検討されると考えており、その場合は銀行株が売られる恐れがある。ただ、量的緩和(QE)の拡大の方が可能性としては高いと思う。信用スプレッドの縮小や金融資産価値の押し上げにつながるQE拡大は、銀行にとってよりプラス効果が大きいだろう」

 「当行の見立てでは、FRBがマイナス金利を推進するなら、欧州で提案されているように金融システムを階層化し、階層ごとに影響が及ぶ対象を限定する公算が大きい。米国の場合、マイナス金利は最も流動性の高いユニバーサルバンク(総合銀行)が対象となるだろう。規制制度においては、世界の金融システム上重要な銀行はそうでない銀行よりもはるかに厳しい規制が課せられ利益率も低い、といったようにすでに階層構造が採用されており、当行の予想通りなら金利政策もこれに倣う格好となる。従って、景気減速下では大手銀行が最も強い圧力を受ける見通しだ」

 だが、マイナス金利を導入しなくても銀行はすでに圧迫されている。12月16日の利上げ以降、銀行株は軒並み売られており、バンク・オブ・アメリカは3.7%安、JPモルガン・チェースは2%安、シティグループは2.9%安、ウェルズ・ファーゴは2.4%安といった具合だ。同じ期間にS&P500種指数は1%安にとどまっている。

 これが何を意味し得るのかについては考えたくもない。

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マイナス金利、その不思議な世界
米ゼロ金利解除【特集】


マイナス金利、その不思議な世界

スイス国立銀行(写真)は預金金利を0.75%に設定している PHOTO: GIANLUCA COLLA/BLOOMBERG NEWS

By TOMMY STUBBINGTON
2015 年 12 月 10 日 11:06 JST

 かつては銀行にお金を預けることが良いことだった。

 現在、デンマークの企業は現金を手放すために早めに税金を支払っている。スイスのある小規模銀行では、顧客の預金が年間0.125%減る見通しだ。

 ただ、悪いことばかりではない。デンマークでは、住宅ローンを変動金利で借りている住民が毎月、取引銀行から利子を受け取っている。

 銀行が資金を預け入れた顧客に金利を支払うのではなく手数料を課すマイナス金利の世界では、こうした逆転現象が起きている。

 欧州中央銀行(ECB)は先週、預金金利をマイナス0.2%からマイナス0.3%に引き下げた。

 ユーロ圏の近隣国で、相対的に規模が小さいデンマーク、スウェーデン、スイスの3カ国は、ECBの利下げを受けて政策金利をマイナス圏まで引き下げた。その結果、異様な出来事がいくつも起きており、大手企業や消費者、またそれ以外の誰もが影響を受けている。これら3カ国の状況を見れば、ユーロ圏がマイナス金利という道をさらに進めば何が起きるかを垣間見ることができる。

 ハンデルスバンケンのデンマーク担当チーフエコノミスト、イエス・アスムセン氏は、こうしたマイナス金利の流れが止まったとは思わないとした上で、「エコノミストとして訓練を受けた際、マイナス金利は教科書に載っていなかった。ただ今はそれが現実で、その変化はとどまるところを知らない」と話した。

 マイナス金利というシナリオは実現しないものと考えられていた。経済学では、金利の下限はゼロとされている。しかし、欧州の景気低迷があまりにも長引き回復が難しいため、欧州諸国の中央銀行は利下げで自国経済を後押ししている。金利を1%から0.5%に、そして0.5%からゼロに引き下げることが景気の後押しにつながるのだとしたら、マイナス0.5%を試さない理由などあるだろうか。

 欧州のマイナス金利という冒険は始まったばかりで、どのような結末になるかは全く分からない。ECBのマイナス預金金利はユーロの価値押し下げに貢献している。自社製品が海外の買い手にとって割安となるユーロ安は、欧州の輸出企業にとって好都合だ。だが、欧州経済は辛うじてプラス成長を達成している程度で、インフレ率もまだゼロ近辺に張り付いている。

 とはいえ、根本的な疑問が残る。マイナス金利に経済的な恩恵はあるのか、中央銀行がマイナス幅をさらに大きくすれば経済成長は回復するのか、それともマイナス金利の異様な姿は現金を抱え込む動きや住宅などの資産バブル、制御不能なンフレといった深刻な影響の前触れなのか、といった疑問だ。

 理論的には、マイナス金利は融資の促進という形で消費者や企業に恩恵を及ぼす。そのため、現金は緩和策が生み出した厄介な存在となり、誰もが現金を保有するよりも使いたがるはずだ。

 今のところ、マイナス金利の効果が統計上、確認できたとまでは言えない。ユーロ圏では銀行融資がわずかに伸び、緩やかながら安定した景気回復を支えている。それでも、インフレ率は回復せず、11月は0.1%にとどまった。スウェーデンも2013年以降はインフレ率がゼロ近くにとどまる。2月に「マイナス金利クラブ」入りしたというのに、だ。ECBはインフレ率を2%弱で維持することを目指している。

 スイス国立銀行(中央銀行)は過度のフラン高を抑えるため、フラン紙幣を増刷してフラン売り・ユーロ買いを長らく行っていたが、買い入れによる外貨建て資産増大への懸念から2015年1月にこうした無制限の市場介入を中止した。

 国内輸出企業にとって打撃となるフラン高の影響を抑えるため、スイス中銀は2014年12月にマイナス金利の導入を発表した。金利がマイナスになると、その通貨を保有する魅了は薄れることが多い。ところが、フランはユーロに対し急騰し、以降はマイナス金利導入前より約11%高の水準近辺でのレンジ相場が続いている。

 スイスと対照的に、デンマーク国立銀行(中央銀行)はマイナス金利の導入で通貨の安定化に成功した。欧州中央銀行(ECB)の利下げを受けてデンマーククローネには投機筋の買いが殺到していたが、マイナス金利はこうした投機筋の撃退に一役買ったのだ。デンマークの経済成長は比較的しっかりしており、2015年の成長率は1.6%と予想されている。

 それでも、デンマークとスウェーデンのマイナス金利は住宅価格の上昇を招き、主要都市では住宅バブルへの懸念が広がっている。集合住宅の平均価格を見ると、デンマークでは2015年前半に8%上昇し、スウェーデンでも一年前より16%高い。

 他にも奇妙な影響が現れ始めている。デンマークでは数千人もの住宅保有者の住宅ローン金利がマイナスになった。つまり、住宅ローンの借り手は銀行に対し毎月、元本と利子の合計ではなく元本から利子を差し引いた金額を返済するということだ。

 デンマークの住宅ローン最大手ニュークレジットのソレン・ホルム最高財務責任者(CFO)は「できればこれが一時的な現象だといいのだが」と語った。マイナス金利の管理は順調だが、銀行から現金を受け取っている借り手もいるという事実は大々的には公表していないと言う。「これをマーケティング手段として使うつもりはない」と述べた。

 デンマークの銀行ロビー団体によると、国内銀行がマイナス金利の影響で今年被った損失は10億クローネ(約180億円)を超える。

 ユスケ銀行の資本市場部門マネジングディレクター、エーリク・ゲードベルグ氏は「コストを負担しているのは銀行だ」とし、状況が悪化すれば同行に預金している中小企業や個人客に手数料を課す可能性もあると述べた。「何とかしてこれを市場に転嫁しなければならない」と話した。

 スイスでは、すでに預金客からの手数料徴収を決めた銀行が1行ある。中小銀行のオルタナティブ・バンク・スイスは10月、顧客に対し書簡でこの方針を伝えた。

 スイス中銀の預金金利はマイナス0.75%だが、ABSのマーティン・ローナー最高経営責任者(CEO)はもういい加減にしてほしいとの思いから、全ての預金金利をマイナス0.125%に設定した。マイナス金利が銀行の利益を圧迫していると言う。

 一方、スイスの大手銀行の場合、大口の法人顧客に対してマイナス金利を導入している銀行は多いものの、個人客から手数料を取る銀行はまだない。だが、金利のマイナス幅がさらに拡大すれば、状況は変わる可能性がある。

 金利がどこまで下がるかだが、厳密な下限はない。商業銀行が個人客を相手に一斉にマイナス金利を設定し始めれば、現金で手元に置いておいた方が良さそうだということになるかもしれない。結局のところ、現金保有の金利はゼロだが、コストがかからないわけではない。安全な保管場所が必要であるほか、オンラインでの買い物には使えない。

 それでも、一部のエコノミストは、中銀が完全に使いこなせるのであれば、マイナス金利は強力な景気刺激手段になり得ると指摘した。

 ミシガン大学のマイルズ・キンブル経済学教授は、中銀に対して金利を大幅なマイナス水準へ引き下げるよう訴えている。同教授は、深刻なリセッション(景気後退)期のように資金需要が低い時は、中銀は市中銀行に報酬を与えてでも借り入れを必要な限り容易にすべきだと主張する。

 キンブル教授は現金保有問題に関して、銀行券の価値を下げるという斬新なやり方で対応すれば良いと考え、米連邦準備制度理事会(FRB)が紙幣と電子マネーの交換レートを設定してはどうかと提案している。例えば金利をマイナス1%にしたいのであれば、1年間預金した100ドル紙幣は銀行口座で99ドルになると定めることができる。

 FRBはこの7年間、政策金利をゼロ近辺だがプラス圏に据え置いている。イエレンFRB議長は来週の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げする用意があると示唆してきた。

 大幅なマイナス金利は全くの空理空論というわけではない。先進国の大半では金融危機後の回復が何年も続く中で金利は(事実上の)ゼロにとどまるため、中銀関係者は、再びリセッション入りした時に利下げ余地があまりないことに気づくかもしれない。

 キンブル教授は「中銀の政策手段が尽きたと言うのは誤りだ」とし、「マイナス金利であれば次のリセッションが到来する前から利用できる。どこまで下げても限界はない」と述べた。


FRB内の意見対立、2016年はさらに深まる恐れ

来年FOMCの議決権メンバーとなる(左上から時計周りに)カンザスシティー連銀のジョージ総裁、クリーブランド連銀のメスター総裁、ボストン連銀のローゼングレン総裁、セントルイス連銀のブラード総裁 PHOTO: CLOCKWISE FROM TOP LEFT: ALBUQUERQUE JOURNAL/ZUMA PRESS, BLOOMBERG NEWS,
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By BEN LEUBSDORF
2015 年 12 月 29 日 10:07 JST

 米連邦準備制度理事会(FRB)は来年、米経済の健全性を評価し、追加利上げの時期や程度を検討するにあたり、これまで以上に当局者間の意見の違いが明確になる可能性がある。

 FRBは今月16日に約10年ぶりとなる利上げを決定したが、来年の連邦公開市場委員会(FOMC)議決権メンバーの入れ替えでは、これより前から利上げを主張していた地区連銀総裁が今年コンセンサスに沿う投票をしてきたメンバーと交代する。利上げ前の議論が追加利上げをめぐる対立の前兆であるならば、来年は政策に対して反対意見が強まる恐れがあると言えるかもしれない。

 セントルイス地区連銀のブラード総裁は11月、「経済が想定以上に力強く推移していることを理由に(利上げを)加速するという選択肢も維持すべきだ」と述べた。ブラード総裁は来年、FOMCの議決権を持つ。

 来年はこのほか、カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁、クリーブランド地区連銀のメスター総裁、ボストン地区連銀のローゼングレン総裁が議決権を取得する。

 ジョージ総裁は一貫してFRBの緩和策に反対姿勢を示しており、2013年にはFRBが債券買い入れ措置の縮小に着手するまで政策に反対票を投じていた。

 ブラード総裁は15年初めの利上げを望み、利上げ開始を待ち過ぎれば後手に回りかねないと警告していた。ただ、経済指標に基づいて政策を機動的に調整すべきだと主張した。

 メスター氏も12月のかなり前から利上げを支持していた。だが議決権を有していた14年には反対姿勢を明示せず、「段階的な」利上げを望むイエレン議長に同調していた。

 金融危機後にFRBが打ち出した刺激策を支持してきたローゼングレン総裁は、来年議決権を新たに取得する4人のうち唯一今年初めに利上げを支持していなかったメンバーだ。同氏は緩やかなペースでの金利引き上げが必要との見解を明らかにしている。

 来年の入れ替えで議決権を失うのは、シカゴ地区連銀のエバンズ総裁、リッチモンド地区連銀のラッカー総裁、アトランタ地区連銀のロックハート総裁、サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁。このうち、ラッカー総裁だけが今年9月と10月の会合で利上げ開始を主張し、2度にわたり政策据え置きに反対票を投じた。

 FOMCは7人のFRB理事(現在は2人欠員)と12人の地区連銀総裁のうち5人で構成されている。ニューヨーク連銀総裁は常に議決権を持ち、残りは11地区連銀総裁から4人が毎年輪番で選ばれる。ただ、全ての地区連銀総裁が会合には出席し、議論に参加する。

 常任メンバーがイエレン議長の意見に反対することは少なく、主導権を握るのは引き続きイエレン議長となる。議長は12月中旬、「将来的な政策行動は当然ながら完全雇用と2%のインフレ率というFRBの責務に照らして経済がどのように進展しているか次第だが、(金利引き上げは)段階的に進む公算が大きい」と発言した。

 ライトソンICAPのチーフエコノミスト、ルー・クランドール氏は、議決権メンバーが入れ替わっても「政策の大筋はまったく変わらない」と指摘。FRBはコンセンサスに沿って政策を決定する傾向があり、議決権メンバーは反対票を投じることはできるが、議決権がなくても講演など公の場で反対姿勢を示すことができる。クランドール氏は「議長は政策声明の最後に記載される投票結果と同様にFRBのコミュニケーション全体のまとまりも気にかけている」と述べた。

 イエレン議長はコンセンサス形成能力に長けている。2015年に反対票を投じたのは2人で、これは2009年以来の少なさだ。12月の会合で短期金利をゼロ近辺から0.25?0.5%に引き上げたのは、全会一致での決定だった。

 追加利上げペースについては、FRB幹部らの意見がすでに分かれている。12月時点では2016年末のフェデラルファンド(FF)金利の予想中央値が1.375%で、来年0.25%の利上げが4回行われることが示唆されている。だが個別の見通しでは2回から7回の利上げが見込まれており、その差は大きい。

 年明け最初の会合は1月26・27日に予定されている。1月1日付でコチャラコタ総裁に代わりミネアポリス地区連銀連銀に就任するカシュカリ氏も参加する。

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中銀インフレ目標、来年は「2%懐疑論」に勢いか
By TODD BUELL
2015 年 12 月 29 日 10:34 JST
 世界の中央銀行の動向に関して来年注目すべきポイントの一つは、主要中銀の年間インフレ目標は2%が妥当との共通認識を改めるよう圧力が高まるかどうかだ。

 エネルギー価格が低迷し、景気の弱さが続く中、主要国はここ数年、2%のインフレ率を回復するのに四苦八苦している。ユーロ圏のインフレ率が2%を付けていたのは3年ほど前の話で、最低でもあと数年はこの水準に戻ることはなさそうだ。欧州中央銀行(ECB)はインフレ率を中期的に2%弱で維持することを目指している。

 米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数も、3年半にわたり目標の2%を下回る。今月発表されたFRB理事と地区連銀総裁の見通しでは、同指数が目標水準に届くのは2018年以降との見方が示された。

 エコノミストの間では、目標水準を引き上げれば中銀はさらに思い切った緩和策が必要になるとの見方から、目標引き上げを求める声もある。だが、当局者は正反対のこと、つまり、人口高齢化や過剰生産能力に直面する中で目標値をより現実的な水準へ引き下げるよう提案している。

 前ドイツ連邦銀行(中央銀行)総裁で現在はUBSの会長を務めるアクセル・ウェーバー氏は11月、「目標を頻繁に変えることには賛同しないが、インフレ率が長期的に落ち込んでいることは確かだ」と述べた。

 ECBのインフレ目標引き下げを支持する向きは、欧州の高齢化社会が意味するのは域内経済の成長減速ないし縮小であり、生産と投資は落ち込み、物価に下押し圧力が掛かる恐れがあるとみる。これは日本を何年も苦しめている問題だ。ECBはこの1年に金融緩和策を拡充し、ユーロ圏が日本型のデフレに陥るのを回避しようとしてきた。

 言うまでもないが、ウェーバー氏は金融緩和策に批判的なことで知られる。ドイツ連銀のバイトマン現総裁などウェーバー氏に考えが近い当局者は、極端な緩和策のリスクと副作用を繰り返し警告している。具体的には、資産価格バブルや商業銀行の収益減少、一部諸国の経済構造改革意欲の低下といったものがある。同氏のようなタカ派にとってインフレ目標を引き下げるメリットの一つは、中銀に対してそうした大胆ではあるがリスクも高そうな措置を求める圧力が緩和することだ。

 少なくともECBに関しては、インフレ目標の早期見直しはないと考えるべきだろう。ECBのメルシュ専務理事は先般、「適当な手段が尽きて戦略を変える人がいる」が「私はその1人ではない」とし、「インフレ目標は危機のさなかに変えるものではない」と語った。

 とはいえ、最近のECBのように、中銀がインフレ見通しの引き下げを余儀なくされ続けた場合、メルシュ専務理事など中銀関係者は新年早々、インフレ目標を疑問視する声を数多く耳にする可能性がある。

原文(英語):Will the 2% Inflation Goal Face More Scrutiny in 2016?

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世界情勢予測ーハーバード大の著名教授に聞く
By VITO J. RACANELLI
2015 年 12 月 29 日 08:46 JST
? ファーガソン教授は、欧州、中国、サウジアラビアで問題が増加すると予想

 ハーバード大学のニーアル・ファーガソン教授は、「Civilization: The West and the Rest(邦題:『文明:西洋が覇権をとれた6つの真因』)をはじめ、数多くの著書があり、経済学、ファイナンス、地政学を総合した観点から世界を眺め、米国が世界の警察の役割から降りたことが世界経済の低迷の一因と主張する。中国の真の市場経済体制への移行は失敗すると予想し、サウジアラビアではちょうど1979年のイランのように、動乱の機が熟していると述べる。

本誌:米国経済は年2〜3%の成長率だが、エンジン全開といかないのはなぜか?

ファーガソン教授:少なくとも三つの理論がある。まず、金融危機後の二日酔い状態が7年続いたが、ようやく来年すっきりするというもの。次に、経済は長期的な低迷状態にあるという理論もある。私は第三の地政学的な理論に魅了されている。米国の歴史を振り返ると、国力が強い時は経済成長率も高く、国力が弱ると成長率も低下している。経済成長率がなぜ低いかを理解するには三つの理論を組み合わせる必要がある。長期平均と比べると現在の経済成長率はさほど低くないが、冷戦時代と比べると低い。2001年9月11日の同時テロ以降、米国の状況は悪化し続けている。グローバル経済は、紛争抑制や公海の自由の確保のためなどに強力な覇権国家が必要だ。19世紀にはイギリスが、20世紀のかなりの時期は米国がその役割を果たしていた。しかし2013年にオバマ大統領は、今や世界の警察は存在しないと発言した。世界最強の国が主導権を放棄した場合は悪影響が出て来る。

Q:例えばどのような影響か?

ハーバード大学のニーアル・ファーガソン教授 ENLARGE
ハーバード大学のニーアル・ファーガソン教授 PHOTO: JARED LEEDS FOR BARRON’S
A:世界全体が予想より元気がない理由の一つは、欧州が米国よりも調子が悪く、さらに難民の流入問題も加わったことだ。シリアなどの国々で秩序が崩壊した結果だが、米国が中東から手を引いたことが直接的な影響を与えた。東アジアでは中国の台頭に対する懸念がある。日本は依然として経済大国ではあるが、再び景気後退中で、停滞している。エコノミストは、モデルに組み入れていない地政学的要素は軽視しがちだが、世界の秩序や安定を誰かが引き受けねば、勝手に全てうまく行くというものではない。

Q:米国が世界の警察であるべきということか?

A:誰かがやらねばならない。中国やロシアでない方が良いだろう。市場経済制度は、法の支配を実現できる国家を必要とする。国際的にも世界が不安定になるとビジネスにとっても安全性が低下する。地域的な権限を中国やロシアに譲った世界では、法の支配が後退する。グローバル化の時代がアメリカによる下支えにいかに依存していたかは過小評価されがちだ。今は徐々にその体制が崩れつつある。

Q:アメリカは平和を維持する余裕があるか?

A:米国は根本的な問題を抱えている。国家安全保障が社会保障、特に医療保険制度によって圧迫されつつある。また、金利上昇による連邦債務の利払い負担増加という重荷もある。世界最大の経済大国であれば、軍備増強の余裕があるべきだが、実際は予算の一括削減で、無差別に防衛予算も削られた。米国は主導権を維持するために投資すべきだ。特に、サイバーセキュリティのようにぜい弱な部分を手厚くすべきだ。新しい戦争の脅威に対峙するには、航空母艦の数が多くても技術的な進歩とは言えない。

Q:しかし、米国の財政は苦しい。

A:各種の給付金が明らかに問題だ。共和党は、給付金を削減しようとすると大統領選が苦しくなると分かっている。しかし、技術の導入で費用は安くて効率的な医療制度ができると私は楽観視している。医薬品などの物質面だけでなく、どの医者や病院が一番良いかも分かるようになってきている。スマートフォンを利用した配車サービスを展開するウーバーが交通を変革しているように医療業界を変革する会社も現れてくるだろう。

Q:米国における訴訟と規制の有害性についての著述があるが、改革の見込みはどの程度あるか?

A:トンネルの先に光は見えない。連邦の文書庫は膨れ上がるばかりだ。2010年の金融規制改革法(ドッド・フランク法)や医療保険制度改革法(通称オバマケア)は途方もない量の規制を作り出した。環太平洋連携協定(TPP)は、ドッド・フランク法より膨大な文書を生み出している。気持ちを高揚させるものではなく、こういうのは逆風だ。

Q:米国の税率が高いため、米国企業が海外で得たキャッシュを本国に持ち帰りたがらないが。

A:所得税法はもっと簡素化する必要があるし、法人税は国際的に競争力のある税率に引き下げる必要がある。さもなければ、企業は税負担の軽い場所に逃げていくだろう。税制改革は次の大統領が1年目に取り組むべきだ。税制改革は政治家も有権者も納得するため実現するだろうが、複雑な規制になると、それで得をしている人が多過ぎるために改革はより困難だ。

Q:中国を新興国市場とみるのはばかげているというのはなぜか?

A:今や、世界第二位の経済大国で、購買力平価ベースでは世界一だ。10年後に中国がもっと市場経済主義に傾いているかどうかは分からない。一党独裁の国家が、国民の経済的自由を増大させ続けるのは危険だ。習近平国家主席は、何より権力に興味があり、このあたりのことは良く分かっている。従って、民営化、金融制度の自由化、資本勘定の自由化の計画は常に計画のままだろう。中国は歴史上最大の中産階級を作り出した。しかし、中産階級は所有権を求めるが、それは公正な裁判制度や腐敗していない公務員を前提とするもので、そんな要求をした途端に一党独裁に支配を緩めろと言っていることになる。

Q:習主席の外交政策が世界の市場に及ぼす影響は?

A:一党独裁の政治体制の正当性を確保するため、武力の誇示も辞さないだろう。また、金に物を言わせる外交も行っており、これまで米国がないがしろにしてきた国でインフラを建設し、影響力を強めている。

 インド経済は、中国経済よりも速いペースで成長しているようにみえる。中国は一人っ子政策のために労働人口が減少しているが、インドは人口動態を含めて良好な要因がある。インドには法の支配が存在している。民主的に選出された政府があり、報道の自由がある。これらは強みだ。私はインドの将来に強気だ。インドが抱える問題はインフラや住宅などであり、解決可能だ。中国の問題はもっと難しい。

Q:中東が市場を混乱させるようになるか?

A:来年はもっと動乱が起きると予想している。2011年のアラブの春以降、軍事衝突による死亡者は4倍、テロ事件は6倍に増加したことを認識していない投資家が多い。パリのテロ攻撃は、ジハーディスト(聖戦主義者)のネットワークはイスラム圏だけでないことを印象付けた。欧州のどこでも、米国でも起きるかもしれない(インタビューはパリの同時テロ直後)。ネットワークは増殖し続けている。イスラム国(IS)への支持が強いサウジアラビアでは、王家の腐敗や偽善性を標的にすることもあり得る。1979年のイランのように、今やサウジアラビアが崩れやすい部分になっている。サウジアラビアの動向は、市場を動かす可能性がある。

Q:ドルが強く、コモディティー価格は低迷している。ブラジルやロシアへの影響は?

A:投資家が、「魅力的な価格だ」と思う時がやってくるものだ。ドル高がいつまでも続くとは考え難い。重視すべきは、魅力的な価格と政治的な安定だ。インドネシアや、恐らくマレーシアも含め政治的問題のない新興国市場に資金が戻り始めている。ロシアの債券は、今年は素晴らしいパフォーマンスだった。誰もがネガティブになり過ぎていたからだ。アルゼンチンは今年の良い投資場所だった。ブラジルはひどい状態で、短期的な解決はないと思う。アルゼンチンは事態が良くなるだろう。南アフリカは政治的に問題がある。

Q:世界の市場で最大のリスクは何か?

A:中国だ。金融危機を通じて、経済成長の重要なエンジンだった。中国で政策上の間違いがあれば、相当不安定になる。政府はクロスボーダーの資本の流れを制限するかもしれず、そうなると中国から資金が流出して西側の資産に投資される。もし中国が突然に人民元を20〜30%切り下げたりした場合の人民元やその他の新興国市場への影響を想像してほしい。習主席が歴史を逆戻りさせるようなことがあれば、大きな下振れリスクになる。

Q:欧州は大丈夫か?

A:欧州は三つの大きな課題に直面している。シリアの運命に影響を与えるような外交政策を取りたいが、自身の軍事力を削減したため米国抜きという訳にはいかない。第二に、欧州は難民の流入を止められない。欧州の国境線は途方もなく長く、海に面する距離も長い。さらに、欧州で最大の問題は、自分が属する欧州の国家に対して忠誠的でない市民がいることだ。聖戦に参加したり賛同したりする一派となる可能性がある。難民流入で欧州の人口動態上の問題の解決につながるなどと考える人は、パリの郊外を見たことのない人だ。


 

新作映画にみる大不況や金融危機の原因

映画「マネーショート 華麗なる大逆転」でクリスチャン・ベール演じるヘッジファンド・マネージャー、マイケル・バリー PHOTO: JAAP BUITENDIJK/PARAMOUNT PICTURES VIA ASSOCIATED PRESS
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GREG IP
2015 年 12 月 29 日 14:59 JST

 金融市場の災難は、悪しき振る舞いに責任があるのだろうか。それとも経済システムが悪いためなのだろうか。

 クリスマスの週に全米で公開された映画「ビッグショート(邦題:マネーショート 華麗なる大逆転)」を見る限り、答えは明白だ。マイケル・ルイスの同名(邦題:世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち)のベストセラー小説に基づくこの映画は、サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン債権のバブルは崩壊すると見当をつけた一握りの抜け目のないトレーダーらが、「空売り」を仕掛ける姿を描いている。アダム・マッケイ監督は、責任を明らかにしながら口汚い言葉や金融知識、喜劇的要素をちりばめて、面白い作品に仕立てている。投資家は犯罪者のように行動し、しかも罰を逃れる。この映画は、大半の一般大衆と、政治家らの共感を呼ぶだろう。

 歴史を振り返っても、同じ事が言えるのだろうか。1930年代の世界大恐慌では、世論や政治家の見方はどのような展開をみせたか振り返ってみよう。

 シティグループの前身であるナショナル・シティ・バンクは当時、全米で最も信頼される企業の一つで、同行創業の中心人物がチャールズ・ミッチェル会長だった。そして33年初頭、議会上院銀行通貨委員会のフェルディナンド・ペコラ委員長は、この銀行とその証券部門が「ありとあらゆる不穏当な行為」にどのように関わってきたかを暴き出した。セント・ジョンズ法科大学院のマイケル・ペリーノ教授がペコラ委員会の聴聞を年代記にまとめた「ウォール街の地獄の番犬」によると、「(同行は)リスクを完全に開示せず投資家に価値のない債券を販売し、自社や他社の株価を操作し、この国が不況に陥る中、役員に多額の報酬を支払った」。聴聞が終わった時点で、ミッチェル会長は辞任に追い込まれた。

 その数週間後、フランクリン・ルーズベルト大統領は就任演説で、大衆の怒りを金融界に振り向けた。「不謹慎な両替商(銀行)の活動が、一般国民の意見で裁かれ、人間の理性により否定された」と断じた。

 ところが今日、大恐慌の原因が金融界にあったとする研究者はほとんどいない。ミルトン・フリードマンとアンナ・シュワルツの歴史的共著「米国金融史」では、ミッチェルについてはニューヨーク連銀理事としての立場でしか論じていない。彼らや、後に連邦準備制度理事会(FRB)議長を務めたベン・バーナンキ氏をはじめとするその後の研究者は、大恐慌の原因は株式市場から投機を一掃するためにFRBがたびたび利上げし、銀行システムがその流れに本質的に耐えられなくなっていたことや、世界の為替相場が金本位制だったため、相場急落とその後の銀行破綻に対する中央銀行の対応力を邪魔していたことにあるとしている。

 同じように、最近の危機について、大半のエコノミストはその原因を金融界の不正行為にではなく、もっと大きな経済的な力に求めている。低金利と世界にあふれた資本が、住宅バブルをあおったのだ。金融技術の革新を追い風に、「影の」銀行の伸びによりレバレッジ(資金借り入れ)が大幅に増加し、規制監視の目を逃れつつ融資組成の基準が弱まった。持ち家比率を高めようとする政治家の強迫観念が、連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)や連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)、民間金融機関などの行き過ぎた融資行動に目をつぶる結果につながった。

 筆者は、こうした力が誤った安心感を生み出したのだと考える。インフレの一掃やリセッション(景気後退)の緩和、87年の株価急落のように断続的に起きる金融市場の混乱阻止にFRBが成果を挙げたため、投資家や政治家、そしてFRB自身が、より大きな債務を負っても安全だと納得してしまったのだ。

 住宅を購入する人々も住宅ローンの貸し手も、住宅価格が大幅に下がることは決してないと信じたがために、融資基準が崩れてしまった。これが直近の大不況下で起きたことだが、FRBは二度と同じことは起きないとまだ証明してはいない。

 金融技術の革新で安心感は強まった。住宅ローン担保証券(MBS)は貸し手を地域的な住宅相場の急落から守り、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)で貸し手は対象となる融資債権のデフォルト(債務不履行)から守られた。この二つの利用が拡大し、融資や住宅価格、レバレッジが膨れあがった。原作に描かれたが映画には登場していないモルガン・スタンレーのトレーダー、ヒューイ・ヒュブラー氏は、映画の主人公と同様に住宅市場に対して弱気で、サブプライムのMBSを売り持ちにした。だが同時に、トリプルA格の債券に対して強気に攻めたが、こちらも急落し大きな損失を出した。このように、住宅市場が崩壊すると正しく見抜いたトレーダーでさえ、金融技術の革新で一部の市場はその影響から守られると考えたのだ。

 それでも、こうした力の顕在化に人間が果たした役割を、研究者らは忘れてはいけない。映画に登場した一握りにとどまらず多くの人々が、何かがうまく行かなくなると考え、修羅場を避け、警鐘を鳴らそうとした。金融市場の投資家が法を破っていないとしても、資金を相場に賭けることで、投資家は最悪の事態に目をつぶり、トリプルA格に対する不安を見過ごす動機が明らかに生じるのだ。「自分の給料が自分に分からないこと次第なら、物事を理解するのは難しくなる」という小説家、アプトオン・シンクレアの明言があるが、原作者ルイス氏も「何かを信じる動機づけがあれば、それを信じるだろう」と述べている。

 金融危機のような出来事に関わった人々の顔や名前が次第に表に出なくなるにつれ、エコノミストや研究者らが数字や理論に焦点を当てるようになるのは当然のことだ。だが、筆者のように危機は本来、経済全般の力が生み出したものだと考えるとしても、そうした力は人間を介して広がると認識することが重要だ。歴史から、両者の関与を覚えておく必要がある。今回の映画や、ペコア委員会を手本にした金融危機調査委員会の報告などが、その役割を果たしている。

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米利上げ後の新時代、勝者と敗者は
16年は手元現金が潤沢で負債の少ない企業にチャンス
By BEN LEVISOHN
2015 年 12 月 29 日 08:35 JST
?利上げ局面での勝者と敗者

 ボブ・ディランは1965年のニューポート・フォーク・フェスティバルで、アコースティック・ギターをエレキ・ギターに持ち替えてステージに登場した。これは一つの時代の終わりと新たな時代の始まりを告げるものだった。

 これと同様に、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げは、一つの投資パラダイムの終わりと新たな投資パラダイムの始まりを示すものと言えよう。新たな時代を切り抜ける方法を知っているか否かが、2016年にブーイングを受けるか、拍手喝采を浴びるかの分かれ目となるかもしれない。

 「グレートリセッション」の発生以降、FRBは金利を可能な限り低水準にとどめることによって景気浮揚を図ってきた。経済に対するその効果については異論のあるところだが、低利の借入金を事業拡大に充当することのできた企業や株式にとっては大きな追い風となった。しかし、イエレンFRB議長の利上げ決定を受けて、こうした企業は圧力にさらされるだろう。2016年はバランスシート上に現金を抱え、最低限の負債しか抱えていない大手企業に注目が集まる可能性がある。

 マーケットフィールド・アセット・マネジメントのマイケル・ショール最高経営責任者(CEO)は、低利資金を利用して必要以上に多くのテレビ番組や映画を制作したり、スポーツ・イベントの放映権獲得に巨額の資金を投じたりしてきたメディア企業は「脆弱(ぜいじゃく)にみえる」と指摘する。また、過剰供給による打撃を受ける企業としては、集合住宅開発業者が挙げられる。2014年の賃貸物件の建設数は36万戸と20年ぶりの高水準を記録した。バイオテクノロジー企業も、米食品医薬品局(FDA)が上市される新薬の供給について懐疑的な見方をする場合、その影響を被る可能性がある。

 そうした痛みをかわす処方箋がある。すなわち、お金のある場所に向かえばよいのだ。何年にもわたる低金利を背景に、巨額の現金を抱える企業のバリュエーションは多額の負債を抱える企業とほぼ同じ水準にあった。ところが、FRBの金融引き締めによって、これまでの状況は変わるだろう。

 バンクオブアメリカ・メリルリンチのストラテジスト、サビタ・スブラマニアン氏は、借り入れを必要とする企業にはより高い金利を払う必要が生じると述べた上で、「成長のための資金を充当できる、健全なバランスシートを抱えた企業は投資判断を見直され、負債を抱えた企業はもっと痛みを感じる可能性がある」と指摘している。

 つまり、質の悪い企業よりも質の良い企業を選好し、資本市場に資金調達を依存する小規模企業よりも、事業資金を自力で賄える大手企業を選好すればよいということになる。

 小型株よりも大型株を選好する理由はもう一つある。それは流動性だ。規制当局は米国経済の修復に当たり、低金利の維持に加えて、金融システムの安全性強化を図ってきた。これを受けて、銀行は全面的な売りの場面で介入して買い方に回りづらくなっている。そのため、サード・アベニュー・フォーカスト・クレジット・ファンドの今月の清算決定に見られるように、小型株やジャンク債などの一部では売買が一段と困難になるだろう。小型株は過去16年の大半にわたり大型株に対するプレミアム価格で取引されてきたが、今後ディスカウントで取引される可能性があると、スブラマニアン氏は述べている。

?注目の小型株

 ただし、小型株の中でも注目に値する銘柄はある。マタリン・キャピタル・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ラルフ・クータント氏は、共同購入クーポンサイトを運営するリテールミーノット(SALE)を挙げている。同社は2013年に新規株式公開(IPO)を果たしたが、株価は減収・減益を理由に2014年に49%下落し、今年も年初来で29%下げている。現在、株価純資産倍率(PBR)は1.1倍と割安で、バランスシートに計上されている現金は2億7100万ドル、負債を差し引いても1億9600万ドルに上り、年間5000万ドルのキャッシュフローが生み出されている。

 IPO実施当時ほどの成長力はないものの、「投資家が勝つには、良好な状態から素晴らしい状態に変化する必要はなく、悪い状態から並みの状態に変化するだけでよい」とクータント氏は述べている。

 

http://www.asyura2.com/15/hasan103/msg/879.html#c1

[経世済民103] 投資資金、金融市場や商品資産に流入=BAML(ロイター) 赤かぶ
1. 2015年12月30日 09:32:21 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[10]

米国株:上昇、S&P500種は年間ベースで下げ取り戻す (1)
2015/12/30 07:51 JST
    (ブルームバーグ):29日の米国株は上昇。S&P500種株価指数は年間ベースでこれまでの下げを取り戻し、プラスに転じた。この日は薄商いの中で小売株やテクノロジー株が上げをけん引した。
アマゾン・ドット・コムを中心に小売株が続伸。グーグルの親会社アルファベットも上昇。最高値を更新した。テクノロジー株の伸びはアップルがけん引した。ペップ・ボーイズは8.8%高。カール・アイカーン氏が買収提示額を引き上げたことが好感された。
S&P500種株価指数は前日比1.1%高の2078.36。ダウ工業株30種平均は192.71ドル(1.1%)上げて17720.98ドル。ナスダック100指数は1.5%上昇した。出来高は約50億株と、3カ月平均を30%下回った。
ウェドブッシュ・セキュリティーズの株式トレーディング担当マネ ジングディレクター、マイケル・ジェームズ氏は「トレーダーの大半は年末の取引を終え、精彩を欠いた2015年のページを閉じることに集中している」と述べた。
この日の上げでS&P500種は月間ベースでの下げをほぼ埋めた。年間ベースでは1%高で、このままプラスが続いた場合4年連続高となる見通し。今年は一時3.5%上昇をつけた一方で、8月には9.3%安を記録した。
シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX)は4.9%低下して16.08。先週は24%と大幅に低下した。
S&P500種産業別10指数はすべて上昇。テクノロジーやヘルスケア、選択的消費銘柄が特に買われた。生活必需品株ではアルトリア・グループやウォルマート・ストアーズが値上がりした。
テクノロジー銘柄は半導体メーカーが好調。フィラデルフィア半導体指数は1.2%上昇。サイプレス・セミコンダクターやクアルコムが高い。クアルコムは中国特許ライセンス契約を結んだことが買い材料だった。その一方で、サンエディソンは下落。先週発表した財務関連情報が売りを誘った。
この日のエネルギー株はチェサピーク・エナジーやコンソル・エナジーがけん引した。ニューヨーク原油市場でウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は反発。30日に発表される原油在庫が2週連続で減少するとの思惑から買いが入った。
原題:S&P 500 Restores 2015 Gain as U.S. Stocks Rally Near Year End(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Anna-Louise Jackson ajackson36@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Cecile Vannucci cvannucci1@bloomberg.net Alex Longley
更新日時: 2015/12/30 07:51 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O0523R6VDKHT01.html


大納会の日本株は3日続伸へ、為替安定と原油高−4年連続高の見通し
2015/12/30 08:00 JST

    (ブルームバーグ):大納会を迎えた30日の東京株式相場は3日続伸する見通し。為替市場で円が対ドルで安定推移し、国際原油市況の反発や欧米株堅調も好感される。電機や自動車など輸出関連、商社や石油など資源関連株中心に買いが優勢となりそうだ。年間では、TOPIXと日経平均株価が4年連続で上昇する可能性が高い。
SMBC日興証券投資情報部の太田千尋部長は、「昨日の世界的に落ち着いた動きを好感、1年の締めくくりとして上昇して終われそうなことをみて、安心感がある」と言う。
米シカゴ先物市場(CME)の日経平均先物(円建て)の29日清算値は1万9105円と、大阪取引所の通常取引終値(1万8980円)に比べ125円高だった。TOPIXの前日までの2015年パフォーマンスはプラス9.7%、日経平均はプラス8.8%。
30日早朝の為替市場では、ドル・円相場が1ドル=120円50銭付近と前日の日本株市場の終値時点120円32銭に比べ安定推移している。米主要株価指数の29日終値は、S&P500種株価指数が1.1%高の2078.36、ダウ工業株30種平均が1.1%高の17720.98ドル。S&P500は年間でこれまでの下げを取り戻し、プラスに転じた。欧州では、ストックス欧州600指数が1.4%高だった。
また、29日のニューヨーク原油先物は2.9%高の1バレル=37.87ドルと上昇。30日に発表される原油在庫が2週連続で減少するとの思惑から買いが入った。
個別材料では、日本製紙が4−12期月営業利益が2割減の150億円になるもよう、と30日付の日本経済新聞朝刊が報道。円安で原燃料コスト膨らんでおり、売りが先行する可能性がある。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 竹生悠子 ytakeo2@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Sarah McDonald smcdonald23@bloomberg.net 院去信太郎
更新日時: 2015/12/30 08:00 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O055UE6JTSEK01.html


株式見通し=3日続伸、欧米株高が支援 1万9000円回復へ
[東京 30日 ロイター] - きょうの東京株式市場で日経平均株価は、3日続伸となる展開が想定されている。前日の欧米株の上昇などを支援材料に買いが先行し、節目の1万9000円を4営業日ぶりに回復して始まる見通し。

ただドル/円が引き続き120円台と円高基調を継続。手掛かり材料は乏しく、主力株の一角には上値の重さも意識されそうだ。

日経平均の予想レンジは1万9000円─1万9200円。

前日の米国株式市場では、主要3指数がそろって1%超の上昇。S&P総合500種は年初来でプラスに転じた。アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)とアップル(AAPL.O)が堅調に推移し相場をけん引。原油相場の持ち直しを受けてエネルギー株も値上がりした。

シカゴの日経平均先物3月限(円建て)清算値は、大取終値比125円高の1万9105円。序盤の東京市場ではこの水準が意識され、買いが優勢となるとみられている。ただ、このところドル/円が120円台での値動きを続けており、一段の円高進行に対する警戒感も根強い。外部環境を好感した買いが一巡した後は、一進一退を続ける形となると予想されている。

きょうは大納会。年末のため取引参加者が限られ、連日薄商いが続いているが、きょうも売買代金は低調となるとみられている。

SMBC日興証券投資情報部部長の太田千尋氏は「ここ数日の相場展開と似た形となりやすい」としたうえで、天皇誕生日の前日から大納会までの間は、株価は上昇する傾向にあると指摘。過去20年間の平均上昇率を当てはめると「日経平均は今年の場合は1万9150円近辺になる」とし、比較的堅調な展開となるとみている。

日中は日銀が「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」を発表する予定。海外では米11月中古住宅販売仮契約指数(全米リアルター協会)などが公表される予定となっている。

*内容を追加しました。

前営業日終値 年初来高値 年初来安値

日経平均.N225      18982.23 20952.71 16592.57

+108.88 2015年6月24日 2015年1月16日

シカゴ日経平均先物3月限 19105(円建て)

(長田善行)
http://jp.reuters.com/article/today-tokyo-stx-preview-idJPKBN0UC1SC20151229?sp=true



http://www.asyura2.com/15/hasan103/msg/900.html#c1

[経世済民104] 本格的に始まる金利上昇(アメリカ) (NEVADAブログ) 赤かぶ
2. 2015年12月30日 11:36:46 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[11]
FOMC、議決権メンバー入れ替えも政策変更は見込まれず
来年FOMCの議決権メンバーとなる(左上から時計周りに)カンザスシティー連銀のジョージ総裁、クリーブランド連銀のメスター総裁、ボストン連銀のローゼングレン総裁、セントルイス連銀のブラード総裁 PHOTO: CLOCKWISE FROM TOP LEFT: ALBUQUERQUE JOURNAL/ZUMA PRESS, BLOOMBERG NEWS, BOSTON GLOBE/GETTY IMAGES, BLOOMBERG NEWS
By BEN LEUBSDORF
2015 年 12 月 30 日 05:15 JST

 新年の到来は米連邦公開市場委員会(FOMC)議決権メンバーの入れ替えを意味する。だがカレンダーが1月になったからといって、米連邦準備制度理事会(FRB)の計画に何らかの変更があると期待すべきではない。

 FOMCは12の地区連銀からワシントンの理事会に権限を移管した1935年の改革で現在のハイブリッド的な構造になった。理事と地区連銀総裁の全員が政策会合に出席し、議論に参加するが、常に議決権を有する各理事とニューヨーク連銀総裁を除く残り11人の地区連銀総裁が毎年4枠の議決権を輪番で担当する。

 今年の議決権が割り振られたシカゴ地区連銀のエバンズ総裁、リッチモンド地区連銀のラッカー総裁、アトランタ地区連銀のロックハート総裁、サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁がそれを失う。代わって来年は、セントルイス地区連銀のブラード総裁、カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁、クリーブランド地区連銀のメスター総裁、ボストン地区連銀のローゼングレン総裁が議決権を取得する。

 新たなFOMCは、これまでに比べてタカ派色が強まるとみられる。今年の議決権メンバーで早期利上げを求めていたのはラッカー総裁のみだったが、ブラード、ジョージ、メスターの各総裁は12月より前から利上げを支持していた。議決権を持たないメンバーも公の場での発言を通じて追加利上げペースなどに反対姿勢を示し、FRB内の意見対立を浮き彫りにする可能性もある。

 12月時点では2016年末のフェデラルファンド(FF)金利の予想中央値が1.375%で、来年0.25%の利上げが4回行われることが示唆されている。だが個別の見通しでは2回から7回の利上げが見込まれており、その差は大きい。

 だが結局のところ、議決権メンバーが入れ替わってもFRBの政策に大きな変化がみられる可能性は低い。実質的に主導権を握るのはイエレン議長で、議長は12月16日の記者会見で引き締め軌道は段階的になるとの見方をあらためて強調した。議長はまた、12月の利上げ決定が全会一致だったように、コンセンサス形成能力の高さも証明している。

 FRBウォッチャーにとっては、政策声明の最後に記載される投票結果が全てではない。ウォール・ストリート・ジャーナルが金融政策の先行きを占う上で誰の発言に最も注目するかをエコノミストに問いたところ、イエレン議長、フィッシャー副議長、ダドリー総裁、ロックハート総裁、ウィリアムズ総裁の名前が挙がった。

 ロックハート総裁とウィリアムズ総裁は来年議決権を持たないが、FRBが追加利上げを検討する中で5人全員の発言が今後も注目されるはずだ。ブラード総裁とローゼングレン総裁の発言はやや有用ながら中立派とみられている一方、ジョージ総裁とメスター総裁の注目度はやや低かった。


 

 
米住宅価格、10月も力強い伸び=S&P/ケース・シラー
スタンダード&プアーズが29日発表した10月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で5.2%上昇した PHOTO: WILFREDO LEE/ASSOCIATED PRESS
By
LAURA KUSISTO
2015 年 12 月 30 日 00:27 JST
 米国の住宅価格は10月に一段と堅調な伸びを示した。直近の指標は販売件数が年末に近づき大幅に減少したことを示唆したが、住宅価格はなお力強い上昇が続いた。
 スタンダード&プアーズ(S&P)が29日発表した10月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で5.2%上昇した。9月の同4.9%上昇を上回り、年初来屈指の伸びを記録した。
 主要10都市指数は5.1%上昇(9月は4.9%上昇)、20都市指数は5.5%上昇(同5.4%上昇)した。
 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のエコノミスト調査で20都市指数は6%上昇が予想されていた。
 S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのマネジングディレクターで指数委員会委員長を務めるデービッド・ブリッツァー氏は、「おおむね良好な経済情勢が引き続き住宅価格の上昇を支えている」と述べた。その上で、消費者が低インフレとさらなる経済成長を期待していることや、このところの一戸建て住宅および集合住宅の新築件数増加が住宅市場に追い風になっていると指摘した。

米住宅購入、ミレニアル世代に好機到来
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2015年の米住宅所有率は48年ぶりの低水準を記録した PHOTO: STEVE DIPAOLA/REUTERS
By
STEVEN RUSSOLILLO
2015 年 12 月 29 日 14:14 JST
 1980年代から2000年代初頭に生まれた米国の「ミレニアル世代」は慌てて両親の家を離れる気はないようだ。だがおそらくそうすべきだろう。
 ピュー・リサーチ・センターによると、このミレニアル世代に当たる18歳〜34歳の年齢層で両親と同居している人の数が過去最高に達した。そして、親元を離れた同世代については、住宅を買うよりも賃貸住まいを選択する人が増えている。2015年の住宅所有率が48年ぶりの低水準を記録した主な理由の一つがこれだ。
 とはいえ、環境は変わりつつある。雇用見通しは改善し、賃金は上昇の兆しを見せている。これらの要因からだけでも、住宅の買い手にとって好ましい状況であることがうかがえる。それでも、ミレニアル世代は過去最高額を記録した学資ローンが重荷となり、住宅購入の好機を逃す可能性がある。
 10月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数が29日に発表される。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が行ったエコノミスト調査では、10月の全米住宅価格指数は前年同月比5.2%上昇と、9月の同4.9%上昇から伸びが加速すると予想されている。
 住宅価格はこのところ年率4〜5%のペースで上昇し、危機前の最高値に迫っている。
ENLARGE
S&P/ケース・シラー20都市住宅価格指数の前年比上昇率 THE WALL STREET JOURNAL
 当然ながら、これは現在の住宅保有者には朗報だ。インフレ率の2倍以上の速さで住宅価格が上昇し、その恩恵にあずかれるからだ。しかし、初めての住宅購入に消極的なミレニアル世代にとってはうれしい話ではない。住宅価格が上がれば、20%の頭金をかき集めることは一層難しくなる。
 さらに、超低水準にある住宅ローン金利の恩恵は永遠には続かない。米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)によると、30年物固定金利型住宅ローンの平均金利は12月時点でまだ4%を下回っている。連邦準備制度理事会(FRB)は2016年も慎重なペースで利上げを続けると見られ、住宅ローン金利も上昇するはずだ。
 例えば、30年物住宅ローン金利が今後1年で1%上昇し、なおかつ住宅価格がさらに5%上昇すれば、住宅ローンの毎月の支払い額は約18%増える可能性がある。
 中高年世代は住宅価格と金利の上昇を歓迎するかもしれないが、まだ不動産を買ったことのない世代にとっては厳しい情勢だ。
 好機を逃すことへの不安(Fear Of Missing Out、昨今の子供たちは頭文字を取ってFOMOと呼ぶ)を抱き、ミレニアル世代はすぐに行動すべきだろう。
関連記事
• 賃貸に住む米若者の95%、住宅購入望むも買えず
http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-LV848_TAPE12_M_20151224150133.jpg 


 
2016年のテクノロジー業界、5つの予測
サムスン電子が発売した初の消費者向けVRヘッドセット「ギアVR」 PHOTO: MARIO ANZUONI/REUTERS
By CHRISTOPHER MIMS
2015 年 12 月 30 日 09:03 JST

 テクノロジーのことになると、筆者は年がら年中、批判していることで知られている。だが2016年は今までとは違うものになると確信している。厳しいながらも、波乱に富んだ面白い1年になるだろう。

予測1:流血は避けられない

 非上場IT(情報技術)企業の評価額が微調整されているが、これで実態に見合った水準になったと考える人には、電子商取引の新興企業ジェット・ドット・コム(Jet.com)の未公開株をお薦めする。来年は、新興企業の勝ち組と負け組が相応の場所に選別されるだろう。真のユニコーンとデカコーン(評価額がそれぞれ10億ドル、100億ドルを超える新興企業)はさらに資金を集め、その他の多くの企業は評価額が下がるだろう。

 これは悪いことではない。それどころか素晴らしいことだ。市場原理が働いているからだ。このシステムに欠陥があると、新興企業の未公開株市場は比較的流動性が低くなり、こうした企業の真の能力や可能性について入手できる情報が限られてしまう。 

 パワーポイントのスライドと、従来とは異なる投資家の新規資金による巧妙なトリックを見破るという嫌な役目を担うアナリストがその役目を果たせば、膨大な数の有名新興企業の評価額が引き下げられるだろう。

 しかしそれはまだ序の口だ。一部の新興企業は来年、現在の地位を失う可能性がある。食品デリバリーや広告技術、フィンテックなどあらゆるセクターが破壊と統合の時期を迎えている。前回のハイテクバブルの教訓は、創造的破壊は既存企業だけの話ではないということだ。「ニュー」ニューエコノミーの浸透過程では同士討ちが相次いで起きる。そうした中から次のIT大手が誕生するだろう。

予測2:IT大手がメディア資産を取得

 ITで財を成した人が従来型メディアに取って代わりたいと思うのはよくある話だ。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)はかつて、自身の目標の1つは世界で最も素晴らしい新聞をつくることだと語った。そのコンテンツを提供するのは誰になるだろうか。ジェフ・ベゾス氏の米紙ワシントン・ポストや、阿里巴巴集団(アリババグループ)の馬雲(ジャック・マー)会長の香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)はどうか。

 メディア業界では今年、非常に多くの買収が行われたため、残り物は少なくなっている。だが、CEOたちをあらゆる業界の征服に駆り立てるようなエゴは、インクをたるで買って初めて獲得できる支配力を求めている。

予測3:将来の予測があきれるほど容易に

 ビッグデータの成果である予測アルゴリズムは至る所に存在するため、われわれはそれが当たり前だと思っている。最も先進的な金融機関が顧客の信用リスクが低いことを知っているのは予測アルゴリズムを利用しているからで、天気予報の精度が上がったのも予測アルゴリズムのおかげだ。これらのアルゴリズムの背後にあるコードと、アルゴリズムの利用に必要な知識が広がるにつれて、われわれは正しいデータを集めれば、ビジネスの多くの部分の動き(内部構造から顧客の行動に至るまで)について有効な予測を探り当てることができる世界にどんどん入り込んでいる。 

 だからといって、CEOたちは水晶玉に何でも予測してもらえるというわけではない。ビッグデータで気を付けなければならないのは、どのような要因によって望ましい結果が予測されるかが分からないことだ。しかし、あなたの会社がデータサイエンティストを雇っていないのなら、雇っている競合他社に食われてもいいのか自問自答した方がいい。

予測4:仮想現実(VR)との愛憎入り交じった関係 

 韓国のサムスン電子はホリデーシーズンに間に合うように、かなり上質で価格も比較的手頃な初の消費者向けVRヘッドセット「ギアVR」を発売した。残念ながら、サムスン製スマートフォンにしか対応していないが、フェイスブック傘下のオキュラスや台湾の宏達国際電子(HTC)などの多数の製品が16年初めに発売される予定だ。つまり来年はわれわれの多くがVRを初めて体験する年になるということだ。

 はっきり言おう。VRはすごい。一方で、使用すると吐き気を催したり、少なくとも方向感覚を失ったりすることも多い。これは、ヘッドセットを装着すると大半の人がいつか経験することだ。VRで何時間もゲームをしようとしても、あなたの体質にもよるが、それは不可能かもしれない。残念ながら、こうした状況が変わることは当面なさそうだ。

予測5:テクノロジー予測には代金を支払う価値

 私は今年、ほぼ年間を通じてコラムを書き、アナリストたちの発表する「Xの将来市場」などに関するグラフが後から考えればいかに間違っているかを論じた。 

 テクノロジーは直線的に成長したり減速したりするものではなく、予測不可能な選言のゲームだ。次に自信に満ちた数値予測を見かけたら、そのことを覚えておくといい。なぜなら、それに添付されているグラフはその他の一連の前提よりも当該予測の方が妥当性が高いことを示すものではないからだ。 

 とはいえ、競争上の優位性としてのデータ分析を筆者が高く評価していることを考えれば、マイケル・デル氏がビッグデータは次の「1兆ドル」産業になると言うのに異論を挟む資格が私にあるだろうか。デル氏はスケジュールを提示していないため、同氏の予測が当然の帰結となるまで、そのグラフのX軸を解読する必要はない。

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フィンテック先進国、中国に見る現状と課題
中国のモバイル決済総額は今年25兆6300億円へ
アリババグループの電子決済サービス会社、支付宝(アリペイ)のユーザー数は4億人に上る ENLARGE
アリババグループの電子決済サービス会社、支付宝(アリペイ)のユーザー数は4億人に上る PHOTO: BRENT LEWIN/BLOOMBERG NEWS
By GILLIAN WONG AND JURO OSAWA
2015 年 12 月 30 日 11:02 JST

 【北京】中国が急成長する革新的なオンライン金融セクターの抑制に動いている。ここでは、いずれ他国も経験するであろうお金の扱い方を垣間見る機会が提供される一方、目を見張るような不正事件を数多く見ることもできる。

 中国のインターネット企業は一般的なスマートフォン(スマホ)を、キャッシュレスでの取引や銀行振替、融資、投資を行うプラットフォームに変身させてきた。これらは米国で一般的に見られるレベルをはるかに超越している。中国ではクレジットカード決済を一気に飛び越し、マネー・マーケット・ファンドの購入やレストランでの割り勘、タクシーから持ち帰り用の料理に至るさまざまなサービスの決済を、全て同じスマホアプリで処理する人が多い。

 昨年、中国の全人口の4分の1近く(米国の総人口よりも多い)がオンライン決済を利用した。調査会社ユーロモニター・インターナショナルの推計によると、中国におけるモバイル決済総額は今年2130億ドル(約25兆6300億円)となり、米国の1635億ドルを上回る見通し。中国の決済サービス最大手は阿里巴巴集団(アリババグループ)の電子決済サービス会社である支付宝(アリペイ)で、ユーザー数は4億人に上る。

中国におけるモバイル決済総額の推移(単位は10億ドル、2015年以降は予想値) ENLARGE
中国におけるモバイル決済総額の推移(単位は10億ドル、2015年以降は予想値)
 インターネット企業はスマホにオンライン専用の銀行口座を開くようユーザーに促し、自撮りの写真で本人確認を行う。米金融大手モルガン・スタンレーによると、オンラインネットワークを通じて資金の貸し手と借り手を結びつける「ピアツーピア(P2P)融資」では、中国における今年の融資額が332億ドルに迫っており、米国を43%上回るばかりか、向こう2年で金額が3倍になる可能性すらあるという。

 現在、中国当局は基準となる規制の策定に乗り出している。当局は28日、決済プラットフォームの利用範囲を定めたガイドライン(指針)を発表したほか、P2P融資業界を規制する暫定措置を提示した。爆発的に成長するP2P融資業界では不正疑惑もあふれている。

 また、規制当局は物理的な店舗や現金自動預け払い機(ATM)を通す必要なしに、フルサービスのオンライン銀行口座を開設させる顔認識システムなどの技術を認可するのに抵抗してきた。

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 中国人民銀行(中央銀行)は25日、同国にはバイオメトリクス認証技術の基準がなく、金融セクターでそれを利用する際の国および業界の基準もないと指摘。「このため、預金者の身元を確認する主要な手段としてバイオメトリクス技術が利用される環境にはまだ達していない」と述べた。

 デロイト中国で金融サービス業界の担当責任者を務めるティム・パジェット氏は、「ご存じの通り中国では、モバイルとインターネットのプラットフォーム上で初めて起きていることが多い」とし、近く中国の消費者がスマホで自動車や保険を購入するようになるかもしれないと付け加えた。インターネット金融がどのくらい広範囲に利用されているかについては「中国は世界の他の国よりはるか先を行っている」と述べた。

中国ではモバイル決済が日常生活の一部となってきた。動画ではWSJ記者が現金を持たずに深セン市で一日を過ごし、どのようにしてデジタルで支払いを済ませられるかを紹介する(音声は英語) Photo: Diana Jou/The Wall Street Journal
 インターネット金融は中国経済の各部に入り込もうとしている。学生から農民、トラック運転手に至るまで、中国では多くの人が国有銀行システムの与信利用を長く拒絶してきた。港町の天津市で長距離トラックを運転するシ・ジャンツさんは2年前、輸送運賃の低下と顧客の支払い滞納で苦境に陥った。シさんは「基本的にトラックを維持することもできない状況に追い込まれた」とした上で、「銀行は私たちのような一般人に融資してくれなかった」と当時を振り返った。

 P2P融資プラットフォームを通じ、オンラインでトラック業者への融資サービスを行う開元金融は、修理とメンテナンス、ガソリン代としてシさんに月当たり3万元(約56万円)を融資した。同氏は「徐々に支払いができるようになり、最終的に苦境を乗り越えた」と語る。シさんの家族は今年、この追加収入を利用して小さなトラック販売事業を立ち上げた。

 中国でインターネット金融が爆発的に増加した主な理由は、既存の銀行が投資商品など資産を増やす手段へのアクセスを多くの個人に提供してこなかったためだ。銀行は主に国有企業への融資にほぼ専念してきたが、これは暗黙的であれ明示的であれ、返済に対する政府の後ろ盾が付いているからだ。

 規制当局は、こうした金融サービスが国内消費と起業を促進させるという政府目標を後押しする可能性を見抜き、現在まで様子見姿勢を保ってきた。インターネット金融会社と取引実績のある投資助言会社、華興資本(チャイナ・ルネサンス)の包凡・会長兼最高経営責任者(CEO)は、中国が「大きなグレーゾーン」に当たると指摘。「非常に創造的になれる。やりたいことは何でもできる」と話した。

 騰訊控股(テンセントホールディングス)やアリババの関連会社、螞蟻金融服務集団(アント・ファイナンシャル・サービシズ・グループ)などインターネット大手は、次の手段としてネット専業銀行の開設に取りかかっている。

 浙江省杭州市で事業を営むフ・ユーさん(24)は、「伝統的な銀行は貯蓄だけに使う」と話した。同氏はテンセント系のネット銀行を利用してマネー・マーケット・ファンドに4万元を投資した。ファンドの利回りは年8%で、銀行の預金金利をはるかに上回る。

 インターネット大手はスマホ搭載カメラで顔を認識するソフトウエアを通じ、顧客に新たな口座を開設させることを提案している。こうした技術により、利用者は遠隔地から通常の銀行口座を開設できるほか、銀行も預金を受け入れることができる。

 銀行規制当局はこれを認可していないが、業界関係者らは関連企業との交渉が続いていると話した。

 P2P融資業界では毎月、複数のプラットフォームが閉鎖される。運営業者が投資家の資金を持ち逃げするからだ。広東省の当局は9月にあるP2P詐欺事件を解決したが、ここでは広東省、上海市など11省市に住む90人以上が合計1000万元以上をだまし取られていた。当局者によると、3人の容疑者が逮捕された。

 オンライン決済に関する人民銀行の新規制では、利用者の本人確認を強化し、口座移管できる金額に上限を設けることを企業に義務付けている。

 これが最初に公表された時、伝統的な銀行の欠点を補うために決済プラットフォームが生み出した利便性を、規制の多くが損なってしまうという批判が噴出した。

 こうしたサービスに対する暫定的な規制案には、投資家保護を狙った動きとして、P2Pプラットフォームが利用者の資金を管理・保管する「カストディアン」の役割を実在する銀行に委託する必要があると記されている。ただ、業界関係者や専門家らは、大部分がオンライン決済プラットフォームを通じて処理されるインターネット融資サービスについて、大半の銀行で準備が整っていないと話す。規制案は28日に公表され、パブリックコメント(意見公募)に出された。

 関係者からは、当局による規制の押しつけは既存銀行が追いつくための時間稼ぎにすぎないという見方も出ている。

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米国人が中国のスマホをうらやむ5つの理由
http://si.wsj.net/public/resources/images/MI-CN478_CFINAN_16U_20151228133305.jpg
http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/109.html#c2

[経世済民104] 円高論は誤り、来年は1ドル135円に向かう(東洋経済) 赤かぶ
1. 2015年12月30日 20:22:13 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[12]

ロシアルーブル、対ドルで年初来安値を更新 原油安を嫌気

[モスクワ 30日 ロイター] - 30日の欧州外為市場でロシア通貨ルーブルが対ドルで3日続落し、一時1ドル=72.97ルーブルと年初来の安値を更新した。原油価格の下落が嫌気された。

0755GMT(日本時間午後4時55分)時点で、対ドル相場RUBUTSTN=MCXは0.8%ルーブル安・ドル高の1ドル=72.80ルーブル。対ユーロEURRUBTN=MCXでは0.8%ルーブル安・ユーロ高1ユーロ=79.66ルーブルで推移。

http://jp.reuters.com/article/russia-markets-idJPKBN0UD0MZ20151230


 


ドル・円は120円台前半、海外市場警戒で円売りの動き限定的
2015/12/30 15:34 JST

    (ブルームバーグ):東京外国為替市場ではドル・円相場が1ドル=120円台前半で推移。日米の株価上昇を背景に円買い圧力が緩和した一方で、国内が休場となる31日にかけての海外市場の動向に対する警戒がくすぶり、円の下値は限定的となった。
30日午後3時半現在のドル・円相場は120円39銭付近。一時120円58銭と2日ぶりの水準までドル高・円安が進んだが、午後には日本株がやや伸び悩む展開になると、円が120円35銭まで値を戻す場面も見られた。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは、東京市場は年末モードの中、「株価以外に手掛かりになる材料がもうない」と言い、日米で株価が持ち直してきていることを背景に、ドル・円相場はやや水準を切り上げる展開になっていると説明。ただ、日本が休みに入る31日の海外市場の原油や株価の動向に対する警戒感が残る面もあるとし、市場参加者が少ない中で上下ともに限定的な相場展開になりやすいとしていた。
この日の東京株式相場は日経平均株価が3日続伸して取引を開始。一時は前日終値からの上昇幅が130円まで拡大したが、午後には35円高まで上昇幅を縮小し、51円48銭高の1万9033円71銭で大引けした。
29日のニューヨーク原油市場でウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物が反発。30日に発表される原油在庫が2週連続で減少するとの思惑から買いが入った。上田ハーローマーケット企画部の山室宏之氏は、「原油価格にリスクセンチメントが左右される傾向が強く、動意の鈍い中で、原油価格の強弱からリスクオン・オフの様子をうかがう展開になりそうだ」と指摘。原油相場が上昇すれば、株式市場の支えとなり、リスクオンの動きにつながるとみていた。
前日の米株式相場は上昇し、S&P500種株価指数は年間ベースでこれまでの下げを取り戻す格好となり、プラスに転じた。ダウ工業株30種平均とナスダック100指数も上昇した。
みずほ銀行のトレーダー、日野景介氏(ニューヨーク在勤)は、「米国で株と金利がこれだけ上がっても、ドル・円は上がれないので、やはりまだ下方向なのではないか」と言い、「120円台半ばから上は厳しい」と指摘。その上で、「1回120円を割れて、ドルロング(買い持ち高)がはけないと、上昇は難しい」とみる。
来年はドル130円突破の可能性も
ドル・円相場は6月には一時125円86銭と、2002年6月以来の水準までドル高・円安が進行。昨年末の終値119円78銭を上回って年内の取引を終えると、4年連続でドル高・円安トレンドが維持され、1973年の変動相場制移行後で最長記録となる。1月に付けた年初来の円高値115円86銭から安値までの値幅は10円にとどまる見通しで、昨年の18円88銭を下回り、やや円安の勢いが鈍化している傾向も見られる。
三菱モルガンの植野氏は、「ことしは過去3年間続いた猛烈な円安の踊り場」とした上で、来年にかけてはスピードダウンしながらもドル高・円安の寿命が延びる最終局面になる」と予想。「円高に転じるのは17年以降」と言い、来年は「3月、6月、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、非常にゆっくりとしたペースの利上げが確認されていくプロセスのどこかで、ドルが130円を上抜ける」と見込んでいる。
日本銀行の金融政策について、植野氏は、「時期尚早な円高トレンドへの転換リスクが高まれば、追加緩和の可能性がある」と言い、「円安のアクセレレーターにはもうならないが、円高のストッパーという役割が日銀に期待される」としている。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 三浦和美 kmiura1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:山崎朝子 tyamazaki@bloomberg.net 青木 勝, 崎浜秀磨
更新日時: 2015/12/30 15:34 JST


http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O056P66KLVRB01.html


 

PIMCO旗艦ファンド、年間運用成績で上位復帰−グロース氏退社後
2015/12/30 14:25 JST

    (ブルームバーグ):パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の旗艦ファンド「PIMCOトータル・リターン・ファンド」から今年は推計527億ドル(約6兆3500億円)が流出したが、こうして資金を引き出した投資家はハイウエーで車線変更したのに後れを取ったドライバーのような気分かもしれない。
ブルームバーグのデータによれば、かつて最大の債券ファンドだったトータル・リターンは同ファンドの元運用担当者ビル・グロース氏の退社後初の暦年となった今年、12月28日時点でのリターンがプラス約1%で、同種のファンドの89%を上回る運用成績を上げた。トータル・リターン戦略のファンドにブルームバーグが分類し、1−11月で新規資金流入が多かった上位5本のファンドのうち4本のファンドのパフォーマンスを上回った。
運用成績が2年間にわたって大半の同種ファンドを下回った後に持ち直したことが、2014年9月のグロース氏退社に伴う急激な資金流出ペースの鈍化につながった。同氏はトータル・リターンの資産を13年のピーク時に2930億ドルまで膨らませた。現在の運用資産は920億ドル。同ファンドの3人の共同運用担当者のうちの2人であるスコット・マザー、ミヒル・ウォラー両氏によると、同ファンドは多くの投資家に損失をもたらしたエネルギー企業の社債や新興市場債、他の高利回り債への投資を避けた。
ウォラー氏はPIMCO本社の会議室で「われわれは守りの姿勢だった。今後は選択的な攻めの姿勢を取ることになる」と述べた。
両氏は16年について、メキシコ国債を含むエネルギー関連投資のほか、ロシア・ルーブルやノルウェー・クローネ、カナダ・ドルなどの通貨に収益機会があるとみている。PIMCOでは原油価格が1バレル=70ドルと、最近の安値の約2倍にまで上昇するとの予想だ。
ウォラー氏は「リターンをもたらす次の機会は目の前にある。それはエネルギー市場と新興市場だ。向こう6カ月から1年半に恐らく次の収益機会が訪れるだろう」と語った。
原題:Pimco’s Main Fund Climbs Back Near Top in Year After Gross Exit(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ロサンゼルス John Gittelsohn johngitt@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Christian Baumgaertel cbaumgaertel@bloomberg.net Andrew Bachmann
更新日時: 2015/12/30 14:25 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O05L0B6S972901.html

 


アングル:2016年の米金融市場の悪材料は
[ニューヨーク 28日 ロイター] - 本来であれば2016年は米国株式市場にとって良い年になるはずだ。米連邦準備理事会(FRB)の利上げは景気に自信があることを示唆するものであり、大統領選挙の年は例年、投資家は恩恵を被る。

専門家の大半は現在の強気相場が7年目に突入すると予想しており、最新のストラテジスト調査によると、2016年末のS&P500指数は現在の水準より概ね8%高の約2207という予想結果が出た。

しかし、多くのことが首尾よく運ばない可能性もある。回答者のストラテジストは同時に、波乱含みの大統領選挙から地政学的リスクに至るまで、株式市場に大きな打撃を及ぼす長い懸念事項リストも示している。

以下がその懸念事項の一覧表だ。楽観的であり続けたいと考える人には、古くからあるウォール街のことわざを思い出してほしい。「強気相場は心配の壁を登る」。

<企業業績の改善にブレーキも>

ロイターの調査対象となった30人のストラテジストが挙げた懸念事項の中で突出しているのは企業業績の悪化だ。S&P500種企業の2015年の利益成長は横ばいと予想されており、株価は既に割高水準にある。現在の株式市場は利益の概ね19.3倍で取引されており、過去の株価収益率の平均である15倍を大きく上回っている。企業業績に何らかのつまずきが見られれば、株価の割高感が一段と増すだろう。

ロイターの調査では2016年の増収率予想は現在3.9%で、コスト高によって利益は2年連続横ばいに抑えられる見通しだ。ヌビーン・アセット・マネジメントのチーフ・エクイティ・ストラテジスト、ボブ・ドール氏は「労働コストがわずかに上昇し始め、支払利子が増えると、利益率の改善を続けるのは難しくなる」と指摘する。

<ドル高がもたらす痛み>

2015年にドルは主要通貨に対して8.4%上昇しており、米国が利上げを継続する一方で他国は緩和的な金融政策を維持することから、来年は一段のドル上昇も見込まれる。

ドル高によって米国製品が海外でますます割高となるため、海外事業比率の高い米国企業にとっては販売面でのさらなる圧力となりそうだ。

「前年と同様の展開になれば、米国企業に対して約280億ドルの打撃になる」とファイアーアップスのウルフガング・コースター最高経営責任者(CEO)はみており、海外事業を抱える米国企業の2016年第1・四半期の1株利益は0.03─0.04ドル押し下げられると指摘した。

<米大統領選で泡沫候補が当選すれば>

歴史的にみて大統領選挙の年に株価のパフォーマンスは良好だ。株式市場年鑑のストック・トレーダーズ・アルマナックによると、1950年以降に行われた16回の大統領選挙の年に、民主、共和どちらの候補が勝利したかとは無関係にS&P500指数が13回上昇している。

しかし、ストラテジストたちは、ドナルド・トランプ氏やバーニー・サンダース氏のいわゆるアウトライヤー(非主流派)が出馬表明している2016年は例外的な年になるのではないかと疑っている。

アリアンツ・グローバル・インベスターズの米国投資ストラテジスト、クリスティーナ・フーパー氏は「極端な候補が増えれば増えるほど、通常は株式相場に歓迎されないことが多い」と指摘。来年を通じて大統領選挙が相場のボラティリティ上昇要因になると予想している。

<FRBが積極利上げに動いた場合>

12月16日にFRBが利上げを発表するとともに、将来の利上げに関してはゆっくりと行動すると表明したことを受けて、株式市場は急騰した。

しかし、FRBが仮にインフレ率の上昇や企業業績の改善なしに利上げを継続すれば、株価の押し下げ要因となる。ソラリス・グループのティム・グリスキー最高投資責任者は「利上げは一貫して懸念材料になるはずだ」との見方を示した。

利上げが進めば、株式が債券など他の資産に比べて魅力が低下する可能性があるためだ。

<コモディティの下落>

原油価格の下落で、エネルギー企業だけでなくこれらの企業に対する資金供給源である銀行や株主も痛手を被ってきた経緯があり、投資家に動揺を与えてきた。

ウェルズ・ファーゴ・ファンズ・マネジメントのチーフ株式ストラテジスト、ジョン・マンリー氏は「コモディティ全体で下向きの制御が利かなくなる可能性がある」と述べた。

<消費に勢い見られず>

米国のガソリン価格は1ガロン当たり2ドルを下回る状況だが、消費ブームの勢いはない。追加利上げが実施されれば、消費者はさらに貯蓄傾向を強めるかもしれない。

S&P500種の株価売上高倍率は前回のピークを既に上回っている、とBMOプライベート・バンクのシニア・ポートフォリオ・ストラテジスト、ジェフ・ウェニガー氏は指摘する。販売が伸びなければ、経済成長が企業業績の伸びを促し、株価が上昇するという枠組みが消滅する可能性があるという。

<中国のハードランディングは>

アリアンツのフーパー氏は「中国は800ポンドのゴリラだ」と述べ、及ぼす影響の大きさに警戒心を強めている。

中国の株式市場は8月に下落し、米国市場にもしわ寄せが及んだ。世界第2の経済大国の景気は依然として弱く、投資家はコモディティ需要や外貨準備高の状況に悪影響を及ぼすと懸念している。さらに中国景気の悪化は世界に波及し、新興国から米国まで打撃を与える可能性がある。

<地政学リスク>

調査対象のストラテジストのうち最低でも9人は2016年の株式市場の最大の懸念材料としてテロや中東の政情不安を挙げた。

フェデレーテッド・インベスターズのスティーブ・オース最高投資責任者は「旅行や貿易の流れを止める何らかの地政学的イベントは明らかなリスクだ」と話す。

原油価格の急落は株式に悪材料であることが分かっているが、その逆が必ずしも買い材料になるとは限らない。中東全体に危機が及べば原油価格はいとも簡単に上昇し、消費者や企業にとってコスト上昇要因となるからだ。

ウェルズ・ファーゴのマンリー氏は「世界経済から生気が失われてしまったというリスク」を懸念しているという。同氏は「私が最も深く恐れているのは、我々が6年前に問題を修復せずにそれをしばらくの間問題解決を遅らせてきたことだ。われわれは深い裂け目に落ちて沈んでいるのではなく、じわじわと水が漏れて沈んでいるのではないか。それは私が考えていることではなく、私が心配していることだ」と話した。

(Caroline Valetkevitch記者)
http://jp.reuters.com/article/wall-street-in-idJPKBN0UD0UT20151230?sp=true

 

2016年の世界経済成長、期待はずれで不均衡に=IMF専務理事

[ベルリン 30日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は、30日付の独紙ハンデルスブラットに掲載された寄稿記事で、2016年の世界経済の成長は期待はずれなものになるとの見通しを示した。

専務理事は「金融セクターが依然としてぜい弱な国が多く、新興国市場では金融リスクが高まっている」とし、「これはすべて、2016年に世界経済の成長が期待はずれで不均衡なものになるということを意味している」と指摘した。

また、低水準の生産性、人口の高齢化、世界的な金融危機の影響が成長の足かせとなっており、中期的な見通しを悪化させたとした。
http://jp.reuters.com/article/imf-lagarde-idJPKBN0UD0RS20151230

 

債券は下落、米債安や入札控え売り優勢―先物は大納会初の149円台
2015/12/30 16:26 JST
    (ブルームバーグ):債券相場は下落。前日の米国債市場で10年物が大幅安となった流れを引き継いだほか、年明け以降の入札を控えて、売りが優勢となった。半面、日本銀行による長期国債の買い入れオペ実施で下げ幅は限られ、長期国債先物の中心限月は大納会で初となる149円台で取引を終えた。
30日の長期国債先物市場の中心限月3月物は前日比5銭安の149円ちょうどで始まった後、一時8銭安の148円97銭まで下落し、2営業日ぶりに149円台を割り込む場面があった。その後は徐々に下げ幅を縮小し、午後には一時1銭高の149円06銭まで値を戻したものの、結局、1銭安の149円04銭で引けた。同水準は昨年末の終値147円79銭を1円25銭上回っている。
現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の341回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の利回り参照値を1ベーシスポイント(bp)上回る0.275%で始まった後、若干水準を切り下げ、0.27%で推移している。昨年末の終値水準は0.33%だった。
新発30年物の49回債利回りは1bp高の1.28%で始まった後、徐々に水準を切り下げ、1.27%に下げている。新発20年物155回債利回りは変わらずの1%で始まった後、0.995%に下げている。
来週の1月5日には10年国債入札、同月7日には30年国債入札が実施される。マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長は、「10年債入札に向けては中期から長期ゾーンの売り圧力が高まり、入札は無難な結果ではないか。30年債入札は日銀の買い入れや生保などの超長期ゾーンへの乗り換えの連想などから、堅調な結果になるとみている」と述べた。
岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「円債も年明け早々に10年債と30年債の入札があるため、日銀の補完策を受けて利回りが低下する中、覚悟を決めて買うのか見極める必要がある」と指摘。一方で、「来週は3回の日銀国債買い入れオペが見込まれ、増額もされるため、需給はバランスしやすい」とも語った。
日銀が今日実施した長期国債買い入れオペ(総額1.1兆円)の結果によると、対象となる残存期間の1年超3年以下、3年超5年以下、5年超10年以下の銘柄全てで応札倍率が前回から上昇した。
ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、「日銀の国債買い入れオペがあることは分かっていたし、ほぼ予想通りの結果で相場に大きな影響はなさそう。投資家や業者筋の在庫は軽くなったと思う。流動性が落ちている中で、閑散に売りなしという状況で、現物債が吸収されると、相場は下がらない」と分析した。
日銀は来年から長期国債買い入れオペの平均残存期間を7−12年程度と現在の7−10年程度から長期化する上、現在の政策の下で必要な国債の買い入れ額も、保有国債の償還増に伴い、約120兆円と15年中に比べ10兆円増やす見込み。
マスミューチュアルの嶋村氏は、「新年度相場入り後は、日銀による新たな買いオペのスタートで利回り曲線は、ブルフラット化する方向でイメージしている」と説明。一方で、「新年入りということで、担保ニーズが切れる2年債が売られ、海外を中心とした売りがかさむ可能性もある。これが7年ゾーンなど先物周りに波及する可能性もあり、ツイスト気味にフラットニングする可能性も頭に入れておきたい」とも語った。
29日の米国債市場で10年債利回りは前日比7bp上昇の2.31%程度で引けた。同日実施された5年債入札では、最高落札利回りが2014年9月以来の高水準となり、投資家の需要を測る指標の応札倍率が09年7月以来の低水準だった。28日に実施された2年債入札でも需要は09年以来の低水準を記録した。同日の米国株式市場では、S&P500種株価指数が年間ベースでこれまでの下げを取り戻すなど、主要株価指数は上昇して引けた。
30日の東京株式相場は続伸。日経平均株価は前日比51円48銭高の1万9033円71銭と、終値ベースでは17日以来となる1万9000円台を回復して取引を終えた。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 池田祐美 yikeda4@bloomberg.net;東京 崎浜秀磨 ksakihama@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 崎浜秀磨, 青木 勝
更新日時: 2015/12/30 16:26 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O055JJ6JTSE901.html


米金融当局の大いなる実験:規制監督措置で資産バブル封じ込め可能か
2015/12/30 12:14 JST

    (ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめとする金融規制監督当局が18日に発表した共同声明は一見、当たり障りのない書き出しで始まった。それは金融機関に対し、「商業用不動産融資のための慎重なリスク管理慣行に関する既存の規制指針」を「再認識」させるのが狙いとされた。
だがFRBと連邦預金保険公社(FDIC)、通貨監督庁(OCC)が全米の金融機関に連名で発したのは、実は重要な警告だった。北東部ボストン、南部ダラス、北西部シアトルなど各都市で活気づいている不動産市場にあおられて、融資基準が緩んだり不健全な融資が集中したりする事態を、連邦当局は大いに警戒しているという趣旨だ。
こうした警告を通じた戦術が効果を発揮してくれれば、16日に約10年ぶりの政策金利引き上げを決め、今後も緩やかな利上げを志向する米金融当局にとって、政策運営の自由度が増す可能性を意味する。規制監督措置によって潜在的な資産バブルを封じ込めることができれば、急ピッチで利上げをせずに済み、2%のインフレ目標達成に向けて景気を十分加速させることができるためだ。
米シンクタンク、ピーターソン国際経済研究所のシニアフェロー、エンジェル・ユビデ氏は米金融当局について、「彼らは景気刺激の方向に踏み込んでおり、金融の安定性に対するリスクは常にある」と指摘。そうした状況では、規制監督措置を積極的に講ずることでハト派的な金融政策とのバランスを取ることが理にかなうと、ユビデ氏は説明した。
サブプライム危機
サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン市場崩壊の悪夢に付きまとわれながらも、3年余りにわたってインフレ率が目標を下回って推移しているとして、米金融当局者は緩和気味の政策を維持したい意向だ。このため当局は資産バブルの芽をまだ小さなうちに摘んでしまおうと以前よりも早く、正確かつ積極的に規制監督措置の圧力を金融機関にかけている。
シアトルを拠点とするコミュニティーバンク、ホームストリート・バンクのマーク・メーソン最高経営責任者(CEO)は、「金融当局がこれまでよりも敏感となっているのは明らかだ」とした上で、「前回、受動的だった彼らは、先手を取る必要があるのだ」と解説した。
矢継ぎ早の利上げという武骨な手段に訴えずに、経済全体に混乱が生じる前に金融の安定性への脅威を取り除くのが一連の行動の目的だ。突然の金融引き締めは、まだ脆弱(ぜいじゃく)な回復を損ない、リセッション(景気後退)への逆戻りにつながりかねない。
しかし、このような脅威を規制監督措置で除去しようとする試みには1つだけ問題がある。それは、実際に期待通り機能する実体的な証拠がないことだ。
ウォーゲーム
6月、FRBや地区連銀のスタッフが参加してウォーゲーム(軍事演習)さながらの「机上訓練」が行われた。ボストン連銀の主催者は、想定される危機シナリオを複数提示して、参加者に規制監督のいわゆるマクロプルデンシャル措置を使ってどのように対応するのがベストかを尋ねた。
参加者らは、まず監督指針や「窓口指導」的な措置で金融の安定性への問題に対処することを選好し、それに続いて自己資本比率や流動性基準の要件強化などの追加措置を列挙した。マクロプルデンシャル措置は個々の金融機関を対象とするのではなく、金融システム全体に行き過ぎが生じることを防ぐ。
ナティクシス・グローバル・アセット・マネジメントのチーフ市場ストラテジスト、デービッド・ラファティ氏は「マクロプルデンシャル措置は理論上は極めて良いものだ」としつつも、「実行して正しく運用するのは非常に困難だ」との見方を示す。
またFRBのフィッシャー副議長は6月の講演で、「全ての金融の不安定性の問題に対処できるだけの十分強力なマクロプルデンシャル措置があるかどうかは明らかでなく、金利政策の活用の可能性を排除しない方が賢明だ」と話していた。
TDセキュリティーズの米金利ストラテジスト、ジェナディ・ゴールドバーグ氏(ニューヨーク在勤)は、「金融危機後の規制監督環境は、不安定性の多くに先制的に取り組む上で大幅に改善された」とした上で、米金融当局にはマクロプルデンシャル措置に加えて金利政策も使う心構えが必要だろうとの考えを示した。
原題:Fed’s Asset-Bubble Focus Tries to Clear Path for Gradual Hikes(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先: Washington D.C. Christopher Condon ccondon4@bloomberg.net;ワシントン Jeanna Smialek jsmialek1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Carlos Torres ctorres2@bloomberg.net
更新日時: 2015/12/30 12:14 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O0426J6K50YF01.html

http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/117.html#c1

[経世済民104] 日経平均は3日続伸、1万9000円回復 プラス圏維持の大納会に(ロイター) 赤かぶ
2. 2015年12月30日 21:27:22 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[13]
2016年の株と相場を大予想!
米国大統領選挙の年、米国株は上がるのか?
ドル/円、金、原油の行方と注目の2銘柄も!
<今回のまとめ>
1.米国株のバリュエーションは適正
2.高PER株を見る投資家の目は厳しくなる
3.米国の消費は堅調と予想
4.大統領選挙の年の株式市場は堅調
5.米国では利上げ後、ドル安になるのが通例
6.ゴールド、原油、新興国には強気
7.工業株に注目せよ
■2016年の予想
2016年の米国株は堅調な消費とドル安による企業業績の伸長に支えられ+8%前後上昇すると見ています。 
ドルは対円で−3%程度のドル安になると予想します。 
ドル安局面では、ドル建てで取引されているゴールドや原油の価格は反発しやすくなると思います。したがってそれらについては強気です。 
日本株は円安が株価の支援材料になってきたので、円高になると上昇しにくいと思われます。2016年は±0%程度に終わると考えています。 
■米国株は割高でも割安でもない
現在、米国の株式市場は21倍の株価収益率(PER)で取引されています。下は1990年までさかのぼった、米国の株価収益率のグラフです。 

上のグラフのうち、2008年はリーマンショックで企業業績が落ち込み、その結果、株価収益率が異常に高くなりました。2001年はドットコム・バブルの崩壊と、9/11同時多発テロがあった年です。 
この二つの年は特殊事情があったので、それらを除外して考えると、S &P500指数のこの期間の平均PERは22倍になります。つまり現在の水準とほぼ一致しているわけです。このことから現在の米国のPERは、特別割高でもないし、割安でもないと言えると思います。
■株価評価は今後下がる
なお、米国の株価評価は今後下がる、別の言い方をすればPERは下がると思います。これは専門用語では「マルチプル・コントラクション」といいます。 
その理由は12月16日の連邦公開市場委員会(FOMC)を皮切りに連邦準備制度理事会(FRB)は利上げに転じているからです。 
一般に、株式と金利は競争関係にあると理解されます。なぜなら株式投資というリスクをわざわざ取らなくても、銀行にお金を預けただけで魅力的な利子が付くのなら、そちらの方が有利だからです。金利が上がるのであれば株式の相対評価が下がる……それがマルチプル・コントラクションという概念の理論的な根拠です。 
ただ現状としては預金に付く利子はスズメの涙ほどです。だから利上げが開始されたからといって株式から得られるリターンが、銀行預金に負けるということは、いまの時点では心配する必要はありません。 
だから気を付けないといけない点としては 高PER株を見る投資家の目は、2016年には厳しくなるという点です。
下はレラティブPERのグラフです。計算方法は、その年の個別株の平均PERをS &P500指数の平均PERで割算します。その結果が「1」であれば、個別株のPERは市場平均と一致していたという風に解釈するわけです。

するとレラティブPERが「1」よりも大きければその株の評価は高くなっていると言えるし、逆に「1」以下なら低評価に甘んじていると言えるわけです。 
リーマンショック後の世界的な景気の停滞期には、景気全般が同であろうと、個別企業の勢いの強さで、自らの運命を切り拓いてゆける企業に市場は高い評価を喜んで付与しました。上の例で言えばスターバックス(ティッカーシンボル:SBUX)やアルファベット(ティッカーシンボル:GOOGL)がそれに該当します。 
しかし今回、FRBが利上げに踏み切れたということは、米国経済全般が元気を取り戻してきていることに他ならないわけですから、 個々の企業の成長が以前ほどの希少価値を持たなくなると予想されます。
したがってひとつの投資戦略として高PER株の組み入れを減らし、低PER株を増やすということが考えられます。 
■消費は堅調と予想される理由
消費は米国経済の70%を占める極めて重要な要素です。2016年の消費は、それなりに堅調だと予想されます。 
そう考える第一の理由は失業率が5%と、低い水準にある点です。また平均時給もだんだん上昇し始めてい ます。消費者は、職が安定し、お給料が上がりはじめている局面では将来に対し楽観的になります。

加えて現在、全米平均レギュラー・ガソリン価格は、ちょうど2ドルで取引されています。これは低い水準です。 

日本の首都圏で通勤といえば電車が一般的ですが、アメリカ人はもっぱらクルマ通勤です。そのことはガソリン代が高いからといって運転を止めることは出来ないことを意味します。逆に昨今のガソリン価格の下落は、消費者にとってプラスです。 
これらのことから米国の消費の先行きに関しては、楽観的で良いと思います。 
■大統領選挙と株式市場
2016年は大統領選挙がある年です。過去の大統領選挙の年の株式市場は、平均して+5.8%上昇しました。 
なお1886年以前はCowles、その他の指数を使用
つまり大統領選挙のある年の米国株のパフォーマンスは総じて良いわけです。 
■ドル
ドル/円相場が変動相場制に移行したのは1971年のニクソン・ショックの後です。それ以来、FRBが金融緩和から金融引締めに転じたケースは8回ありました。そのうちの6回は利上げ後1年でドル安になっています。 

平均すると−8.5%のドル安でした。 
このうち変動相場制移行直後の1970年代のドル安は、構造調整の意味合いが強かったので下落幅がとりわけ大きかったです。現在はこのような大幅なドル安は起こりにくいと思いますので、最近の例の方が参考になるでしょう。 
今回もドル安になるのであれば、過去2年間ドル高に苦しんできた米国企業はほっと一息つけることを意味します。 
■ドルとコモディティ価格
ゴールドや原油はドル建てで取引されています。この関係でドルが弱含むと金価格や原油価格は上昇しやすいです。つまり逆相関の関係があるわけです。 
もし2016年はドル安の年になるのであれば、この理屈からいけばゴールドや原油は反発することが予想されます。 
■ドルと新興国
米国の投資家はドル高局面では海外投資、とりわけ新興国への投資を絞り込むことで知られています。逆にドル安になるのであれば新興国への投資には積極的になります。 
2015年を通じて新興国通貨は大きく売られました。このことはそれらの新興国の輸出競争力は逆にUPしたことを意味します。米国の景気が良いのであれば、米国に対する輸出も拡大することが期待されるわけで、これは新興国株式にとっても強気材料です。 
■どんな銘柄が良いか?
さて、2016年はどんな銘柄に投資すれば良いのでしょうか? 
一般に米国の景気が現在のように拡大基調にあり、金利が上昇しはじめる局面では、工業、素材、消費循環、エネルギーなどのセクターがアウトパフォームしやすいことが知られています。 
そこで二つ銘柄のアイデアを出します。 
一つ目は プラクセアー(ティッカーシンボル:PX)です。
同社は窒素、酸素、水素などの産業用ガスの大手です。半導体、飲料、医療などが顧客になります。製造業では金属の切断や溶接の過程で同社のガスを使います。食品では冷凍や飲料向け炭酸などで同社のガスが活躍します。 
というロジスティクスが重要になります。プラクセアーの場合、下に見られるような分散された経路でガスを顧客に届けています。 ガスのビジネスは、それをどうやって顧客に届けるか? 
【略号の読み方】DPS:一株当たり配当、EPS:一株当たり利益、CFPS:一株当たり営業キャッシュフロー、SPS:一株当たり売上高
産業用ガスのビジネスは、他の化学会社よりも需要が安定しています。その関係でプラクセアーの業績も安定的に推移しています。 
次の銘柄は インターナショナル・ペーパー(ティッカーシンボル:IP)です。
同社は世界最大級の製紙会社です。段ボールなどの工業向け梱包、印刷用紙、紙コップなどの消費者向け紙製品が主力です。 
このうち工業向け梱包の北米でのマーケットシェアは32%で首位です。同社の工場は最もローコストで、競争力があります。それは税引き・利払・償却前利益マージン(23%)にも反映されています。 
段ボールの需要はリーマンショック後、横ばいを続けていますが、価格はじりじりと上昇しています。今後、ボリュームは着実に増加してゆくものと思われます。 
インターナショナル・ペーパーの業績。【略号の読み方】DPS:一株当たり配当、EPS:一株当たり利益、CFPS:一株当たり営業キャッシュフロー、SPS:一株当たり売上高
http://diamond.jp/articles/-/83999 


 


 

主要国・地域の企業債務残高
2016年世界経済の焦点 米利上げで中国の企業債務危機も
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20151227-00000502-biz_san-nb
SankeiBiz 2015/12/27 11:10

 2016年の世界経済最大の焦点は、中国の企業債務問題のようである。15年は中国の生産過剰が世界のモノの市場を揺さぶった。今度はカネ版チャイナリスクである。株式を含む世界の市場が中国製債務爆弾に脅かされるのか。
 グラフは、主要国・地域の企業債務残高の推移で、国内総生産(GDP)で米国の約6割の中国が米国をはるかにしのぐ。党支配の異形市場経済がつくり出した金融バブルである。
 中国人民銀行は08年9月のリーマンショック後、党中央の指令を受けて国有商業銀行を通じて国有企業などに巨額の融資を行ってきた。可能にしたのは米連邦準備制度理事会(FRB)による量と金利両面での史上空前絶後の超金融緩和政策である。海外にあふれ出たドル資金の多くが中国に向かい、人民銀行はそれを吸い上げて人民元に置き換えた。地方政府は不動産開発に熱中し、国内需要を盛り上げる。企業は借り入れては生産設備や不動産に投資し、供給能力を肥大化させてきた。
 ところが13年から14年にかけて不動産バブルがはじけ、景気は失速した。中国需要減退の影響で国際商品市況は総崩れとなってきた。モノ版チャイナリスクである。
 米FRBは14年10月末に量的緩和を打ち止め、FRBは金融政策の正常化に踏み出した。近い将来のゼロ金利解除予想が市場に広がり、余剰ドル流入に支えられた新興国市場が調整局面に入った。FRBは15年12月に続き、小幅で緩やかながら利上げを継続していく考えのようで、16年にドル資金のUターンの流れはさらに強まるだろう。
 グラフに戻ると、中国と米国を除けば世界の企業債務の縮小が続いている。通常、景気の後退局面で需要が低迷する場合、企業は債務の圧縮に努める。日欧のパターンがそうだ。新興国の場合、米利上げ予想と中国需要減退による打撃が重なったために、債務縮小は早く始まった。
 対照的に、中国企業のほうは相変わらず債務を膨らませている。デフレ圧力を受けた企業は返済ができず、金融機関の潜在的な不良債権が増える。中国の製品価格指数を見ると、3年末にマイナスに転じた後、下落幅は広がる一方で、15年10月には前年比マイナス7・4%となった。企業の借入金利は14年秋の6%が1年後には4・35%まで下がったが、企業にとっての実質金利負担は12%近い。
 日本ではありえない異常な高金利だ。中国の場合、国有企業は党幹部の口利きで銀行から返済繰り延べや追加融資を受けられる。さらに高利回りの理財商品発行によって資金難から当面は逃れる。理財商品を含む中国の国内債務証券発行額は15年3月末で4・7兆ドルに上り、前年比で10%伸びている。特に、不動産業大手が債務証券発行を急増させている。
 中国側の統計によれば、対外債務は銀行融資・証券合わせて1・3兆ドルで前年比21%増と膨らんでいる。1件でも「デフォルト」となれば国際金融市場を揺さぶるだろう。それは上海株暴落時のケースから見ても明らかだ。
 債務問題緩和のためには、人民元の大幅切り下げが一番手っ取り早い。そうすれば国内産業界の輸出増強とデフレ圧力を緩和できる。その元は16年10月から国際通貨基金(IMF)・特別引き出し権(SDR)構成通貨となる。IMFは、元を数年後には変動相場制に移行させるよう求めているので、この際、管理変動相場制を放棄して、市場実勢にまかせるまま元安を放置すればよい。
 ところが、習近平政権にはその気は全くないようだ。
 今でも資金流出は止まらず、人民銀行は外貨準備を取り崩して元を買い支えざるをえない。「元安容認」となると、資本逃避に加速がかかる。外準は14年6月の4兆ドルから15年11月には3・44兆ドルまで落ち込んだ。約5兆ドルとみられる対外負債を考慮すると、外国からの借金が減ると雲散霧消しかねない。中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)は対外借り入れを容易にするための隠れみのなのだ。
 ドル相場は円、ユーロなど主要通貨に対して上昇基調にある。中国がドルにほぼ連動させる外国為替市場の管理変動相場制を続けると、元高によるデフレ圧力がかかる。今後、米国が追加利上げに踏み切ると、中国の債務不安はさらに深刻化する恐れがある。日本としては、中国の債務爆弾に振り回されないよう、財政・金融の両輪をフル稼働させ、内需主導の成長を確保するしかない。消費税増税どころではない。(編集委員・田村秀男)
http://www.asyura2.com/15/hasan103/msg/837.html 

 


 
ガソリン安、米国家計への影響は

米国のガソリン価格はクリスマス前にガロンあたり2ドルを割り込んだ PHOTO: GLEN STUBBE/ASSOCIATED PRESS
By
SPENCER JAKAB
2015 年 12 月 30 日 15:04 JST
 クリスマスの前週、米国ではガソリン平均価格が1ガロン=2ドルを割り込み、大きな朗報となった。
 問題は、アナリストらがこれほど安い無鉛レギュラーガソリンの価格をどう受け入れるべきかだ。これは数多くの理由から重要なのだが、特にガソリン安になるとその差額が消費に回るか貯蓄に回るかはともかく、米国の家計がその大きな恩恵を受けることが重要である。
 米国の家計1世帯あたりで見た差の合計は年間約800ドルで、前回ガソリン価格がピークだった2014年7月からだと約1900ドルとなる。
 ただし、国際商品(コモディティー)価格の乱高下は、それが原因で相場が暴落する場合もあると理解されている。そして、実際にそれが明らかになるには時間がかかるかもしれないが、今回も同じ結果になる可能性がある。
 原油相場が急激かつ大幅に下落したことで、石油輸出国機構(OPEC)加盟国などの主要産油国は減産に動かなかったかもしれないが、米国のシェールオイル業者やカナダのオイルサンド業者といった小規模な供給の担い手にはすでに影響が出ている。ただ、今回は米国のシェールオイルの減産分をイランがすぐ穴埋めしてしまうだろう。

月次で見た過去1年間の走行距離の増減
 では、消費者の動向はどうだろうか。ガソリン需要の価格弾力性に関する研究は数多いが、通常の研究はガソリン価格が上昇した場合を想定している。
 多くの人々にとって公共交通機関がないか、あっても不足している米国では特に、自動車利用の習慣はなかなか変わらないと考えられている。自動車購入については話が異なる。自動車は購入すれば数年間保有するものだが、消費者が購入時に燃費効率を重視するかはガソリン価格次第で毎月のように変わるからだ。
 例えば、ガソリンが高かった2009年は、人気上位5車種の平均で見ると1ガロンあたりの走行距離が最低に近かった2000年より3マイル(約4.8キロメートル)伸びている。だが、小幅な変更以上の何かを起こすには、自動車販売台数の伸びが低調すぎる。
 しかし、需要への影響はこれだけではない。自動車による外出やショッピング・モールへの立ち寄り、さらには相乗りなどを行う傾向についても影響があるとの研究結果が出ている。
 例えば、直近の月次ベースで見た過去1年間の走行距離で見ると、米国では自動車利用の傾向が復活している。10月時点で、同距離は前年同月より3.4%増加した。前回これがここまでの増加を示したのは、2000年夏だった。
 2014年6月の伸びはわずか1%増に過ぎなかった。この大きな違いが示しているのは、原油安に泣く国内石油業者だけでなく、これを歓迎しているドライバーもいることで原油市場は均衡を保っている、ということだ。
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2016年の原油相場、非OPEC産油国の動向が鍵

2016年の原油相場はロシアなど非OPEC産油国が鍵(写真はロシアの原油採掘現場) PHOTO: ANDREY RUDAKOV/BLOOMBERG NEWS
By
NICOLE FRIEDMAN
2015 年 12 月 30 日 14:55 JST
 今年、米国産と中東産の産油量が想定外に多かったため、原油価格は約10年ぶり低水準へと押し下げられた。ただ、相場がそろそろ底打ちするか見極めようとしている投資家にとって不確実性の元となっているのは、米国や中東以外の産油国の生産ペースだ。
 ロシア、ブラジル、ノルウェーの2015年産油量は、注目度の高い国際エネルギー機関(IEA)や米エネルギー情報局(EIA)の予想を上回った。一方、数十年先の生産開始を見込んだ探査・掘削計画が先送りや中止される中で、原油価格がまだ高かった数年前に投資が始まった油田での生産が開始されようとしている。
 投資家の間では、米国や石油輸出国機構(OPEC)以外の産油国の生産動向に対する注目が高まっており、世界的供給過剰の規模に関する不確実性が浮上している。この供給過剰で、過去1年半に原油価格は1バレル当たり60%を超える下げを強いられた。
 EIAによると、2015年の世界原油生産は日量228万バレル増加した。伸びの大半はOPECと米国だが、ブラジル、中国、カナダ、ロシアなどの生産も伸びている。EIAは16年については日量25万バレル(0.3%)増を見込んでいる。
 米国以外の非OPEC産油国が増産姿勢を変えなかったため、原油価格下落を受けてこうした産油国がすぐ減産に転じる、とみていたアナリストや投資家の間に当惑が広がった。
 ヘッジファンドのアーマード・ウルフの最高投資責任者(CIO)、ジョン・ブラインジョルフソン氏は「これだけ原油が下がればOPECやロシアなど有力産油国が減産する、との考えは間違いだ」とし、「今後数年間は生産が需要を上回るだろう」と述べた。

NYMEX原油先物相場の推移
 ただ、これに異を唱えるファンドマネジャーもいる。強気派の投資家は、16年の非OPEC産油国の供給が急減し、価格は年内に反発する可能性があるとみている。有力産油国は原油価格の下落前から支出削減の圧力に直面しており、削減ペースは15年に加速していた。投資銀行チューダー・ピカリング・ホルトによると、過去5年間に産油国で延期または中止された原油生産規模は日量1300万バレルで、現在の世界生産の約14%に当たる。これには、本来2020年までに生産されていたはずだが価格下落で先送りされた日量500万バレルが含まれる。
 ギネス・アトキンソン・アセット・マネジメントのCIO、ティム・ギネス氏は「需要は増加し、供給は縮小している」と言う。同氏は、ブレント原油が16年中に1バレル=75ドルを回復するだろうとしたうえ、「世界はバランスを失っていた。これからバランスを取り戻すだろう」と述べた。
 また、石油プロジェクトは開発に数年を要するため、少なくとも17年までは支出削減の影響が感じられないとみる向きもある。
 石油・ガス業界専門調査会社のJBCエナジーのシニアコンサルタント、ジュリアス・ウォーカー氏は16年の生産について、「投資はすでに行われ、油井掘削も実施されている」と指摘する。同社は米国を除く非OPEC産油国の生産に対して、支出削減が16年に大きく影響することはないとみている。シェールオイル掘削の開始や停止が比較的柔軟に行える米国について同社は、15年の支出減が16年の減産につながるとみている。
 EIAの推定によると、米国の産油量は15年4月に43年ぶりピークの日量960万バレルに達したが、11月には同920万バレルに減少した。年初の予想を下回る減少ペースだ。EIAは米国の生産が16年9月には同850万バレルまで減少し、その後は再度増加に向かうと見込む。
 さらに、原油と石油製品の在庫が世界的に過剰となっていることが来年の価格に対する圧迫要因になるとみられる。在庫はこの数カ月で過去最高へ増加しており、一部地域では貯蔵施設が不足するとの懸念を呼んでいる。
 石油投資家はこの1年、消極姿勢を維持してきた。米国のシェールオイル生産はすぐ減少するという当初の見込みが外れたためだ。アナリストらは2014年、原油価格が1バレル=80ドルを割り込めばシェールオイル生産は急減すると予想していた。だが、生産業者は効率性を高め、コスト削減を行った。業者の間では現在、価格が60ドルを回復すれば増産が可能だとの声も聞かれる。
 こうした効率性の向上は世界各国で見られる。ゴールドマン・サックスは16年の原油生産について、メキシコ湾岸地域、カナダ、アルゼンチン、ブラジル、ロシアおよび北海油田での増加を予想している。
 ダンスケ・インベストのマクロおよび戦術的アセットアロケーション部門トップ、ボ・クリステンセン氏は「シェールオイルの経験は少しばかり警戒すべき教訓となっている」としたうえ、「専門家を自称し、『非OPEC産油国がさらに増産することはあり得ない』と主張している人々は、2年前を振り返り、まさに専門家らがシェールオイルについて何と言っていたか考えるべきだ」と指摘する。
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英国の新たな資本バッファー、過大な期待は禁物
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イングランド銀行(写真)は、カウンターシクリカル資本バッファーが1%引き上げられても国内の借り入れコストの上昇率は0.05〜0.1%にとどまると予想 PHOTO: REUTERS
By
PAUL J. DAVIES
2015 年 12 月 30 日 14:43 JST
 金融リスクの高まりに応じて資本を積み増すよう銀行に求めることは非常に理にかなっているように聞こえる。英国は近くこれを開始し、ブラジルや米国、スウェーデン、ノルウェーなどと肩を並べることになる。
 だが、この「カウンターシクリカル(景気循環の影響を抑える)資本バッファー」の実際の効果はごくわずかなようだ。しかもこれは全ての銀行に一律に課す単純な措置であり、個別銀行が抱える、ないし生み出した現実のリスクをもっとよく反映することができる銀行ごとの資本要件に取って代わるというのだ。
 同バッファーのメリットとしては、透明性の向上や、過剰融資が深刻化した時点での銀行の頑健性を高めることが挙げられている。だがこれは融資にそれほど積極的ではない金融機関にとっては慎重さを薄れさせるだけで、さらに本来の目的とされる信用収縮防止を達成できない恐れもある。

 カウンターシクリカル資本バッファーとは、過剰融資が続いている間に徐々にではあるが着実に資本を積み上げておき、危機が顕在化し例のごとく融資が縮小した時点で、これを取り崩すという仕組みだ。
 
ただこれは信用サイクルの制御を意図したものではない。英中銀イングランド銀行は、金利操作に加え、特定の融資を明確に制限することができる「マクロプルデンシャル(金融市場全体の安定性を維持する)政策」を通じてその制御に当たる考えを示している。
 事実、カウンターシクリカル資本バッファーが銀行の融資意欲に与える影響は最小限でしかなさそうだ。同バッファーの規模は、英国基準のリスク加重資産に対して0〜3.5%の間で設定される。イングランド銀行は、同バッファーが1%引き上げられても、国内の借り入れコストの上昇率は0.05〜0.1%にとどまると予想している。
 このバッファーに関してより重要な点は、信用収縮局面に転じて損失が実現し始めた時点で、規制当局がバッファー水準を引き下げることができるかどうかだ。規制当局が突然、銀行に同バッファーは不要だと表明すれば、資本要件は満たしているのに損失が拡大する銀行が出てくることもあり得る。つまり、その時点で銀行が融資をいきなり絞る可能性は低いということだ。
 カウンターシクリカル資本バッファーは最高で3.5%まで引き上げられるが、これで英国内の全銀行が普通株等ティア1(基本的項目)での確保を義務付けられる資本比率は平均で約1.4ポイント高まるにすぎない。だが、英国に重点を置くロイズ・バンキング・グループといった金融機関の負担は重く、それ以外のHSBCなどの負担が軽いことは明白だ。
 もっとも、金額ベースで見ると、国内全ての銀行のグループ全体の資本総額およそ3000億ポンドに対する上乗せ額は、最大で350億英ポンド(約6兆2700億円)程度だ。これだけあれば衝撃吸収材として十分のように思える。しかし、特に融資に積極的な個別銀行の場合、それだけでは信用収縮局面で与信引き締めの手を緩めることはできないかもしれない。
 一方、より慎重な銀行にとって同バッファーは収益圧迫要因となるだけで、競合行よりも早い段階で警戒姿勢を強める可能性がある。
 カウンターシクリカル資本バッファーと違い、銀行ごとに異なる資本の上乗せを義務付ける形であれば、透明性は劣るかもしれないが、各行の事業モデルや経営状態に合わせて調整することができる。
 こちらの方が、融資に積極的な経営状態の悪い金融機関が問題を引き起こし、社内外に影響を及ぼすのを防ぐ可能性は高いと思われる。
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米企業収益の「リセッション」到来か−今年も市場予想下振れ
By KEVIN KINGSBURY
2015 年 12 月 30 日 15:27 JST

 投資家は相次いで発表される2016年の市場予想を選別するにあたり、中には大きく外れる予想もあることを覚えておくのが得策かもしれない。

 例えば、昨年の企業の業績見通しを振り返ってみよう。

 2014年に葉が色づき始めたころ、S&P500種指数を構成する企業の15年利益見通しは12%増だった。だが実際には、年末にかけて原油安やドル高が進んだため、年明けに見通しは8%増に引き下げられた。

 ところが、原油安とドル高というマクロ経済動向が企業収益に与える影響はアナリストらが考えていたよりも大きいことが判明し、さらには経済成長の低迷がこれに追い打ちをかけ、実績は下方修正後の見通しにさえ届かないもようだ。2015年半ばまでには、S&P500種指数構成企業はわずか1%の増益というのがコンセンサス予想となった。10-12月期もあと数日となった現在の予想は、トーマス・ロイターのアナリスト調査では横ばい、ファクトセットの集計では0.7%減だ。

 2015年の実際の数字がどうなろうと(アナリストはたいてい四半期決算発表前に予想を過剰に引き下げるため、例年通りなら実績は現時点での予想をやや上回る可能性が高い)、収益という点では敗北の一年だった。事実、現在の状況を「収益のリセッション(景気後退)」と呼ぶ人もいる。

 経済成長が頭打ちとなる中、2016年もあまり改善は見込めない。だが16年の見通しは15年10-12月期中にすでに大きく引き下げられている。アナリストらは10月1日時点で、S&P500種指数構成企業の16年の増益率を10%と予想していた。それ以降、予想は2.5%引き下げられており、前年同期の下げ幅にほぼ等しい。今年これまで起きた出来事を考えれば、7.5%増という現在の予想さえ多くの投資家に歓迎される公算が大きい。

 とはいえ、下方修正がまだ足りない可能性もある。

 ファクトセットによれば、2014年の利益見通しは年初の10.5%増から最終的に5%増まで下がった。13年は9%増でスタートし、最後はその半分程度だった。

 同社は2013年1月に同年の収益見通しを調査した際、1997年から2011年までの年初のアナリスト予想は実際の1株当たり利益(EPS)を平均10%上回っていたと指摘した。ファクトセットが集計した15年12月30日時点の16年見通しを10%引き下げると、15年の予想EPSをやや下回る水準となる。

 企業収益の伸びが2年連続でゼロかマイナスにとどまれば、「収益のリセッション」入りであることは間違いない。そして、これが実際に経済全体のリセッションにつながる可能性もある。

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[経世済民104] カードも暗証番号も不要!? イオン銀、国内初の「指紋認証ATM」 3月から実証実験(SankeiBiz) 赤かぶ
1. 2015年12月30日 23:46:15 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[14]
橘玲の世界投資見聞録
2015年12月30日 橘玲
先進国で強まる課税逃れ防止策の強化とタックスヘイヴン[橘玲の世界投資見聞録]
 2015年7月に出国税の適用が始まり、国外財産調書の申告漏れや虚偽記載にも罰則が科せられるようになった。こうした規制強化は日本だけのことではなく、アメリカやヨーロッパなどOECDに加盟する先進国はどこも国境を越える課税逃れの防止にやっきになっている。その標的がタックスヘイヴン(租税回避地)であることはいうまでもない。

 フランスの若手経済学者ガブリエル・ズックマンの『失われた国家の富 タックス・ヘイブンの経済学』(NTT出版)は、世界規模の“税戦争”でなにが起きているのかを知る貴重な資料だ。

 ちなみにズックマンの大学院時代の指導教官はトマ・ピケティで、『21世紀の資本』(みすず書房)にも協力している。ピケティと同じく政治的立場はリベラル左派でタックスヘイヴンに対してはきわめて批判的だが、だからこそ随所に興味深い知見が登場する。

プライベートバンクは「ユダヤ人の資産をナチスから守るため」は間違い!?

 ズックマンはまず、タックスヘイヴンの象徴としてスイスを取り上げる。

 スイスの名高いプライベートバンク神話のひとつは、銀行秘密法はナチスの魔の手からユダヤ人の資産を守るために1935年に制定された、というものだ。だがズックマンは、これはまったく史実とは異なるという。

 スイスの金融機関に国外から資金が流れ込んできたのは1920年代(14%増)で、それに比べて1930年代は1%増でしかない。その理由は明らかで、フランスで1921年と1925年に富裕層に対する課税が強化されたからだ。当時は株式や債券は無記名で、名義人の台帳もなく、資産は無条件に保有者のものとされた。資本市場に投資する富裕層は、自宅の金庫のほかに銀行の貸金庫にも証券を預けたが、ほどなくして海外(スイス)の金融機関を利用すればフランスに税金を納める必要がないことに気がついた。

 1935年の銀行秘密法は、こうした海外の富裕層に便宜をはかるために制定された。最初に資金の流入があり、それを守るために法律をつくったのであって、迫害されているユダヤ人の資産を保護するために先回りして法を準備したわけではないのだ。第二次世界大戦後、ホロコーストが人類の悲劇として語られるようになると、スイス金融界は自分たちの暗い過去を隠蔽するために偽りの歴史をでっちあげたのだ。

 終戦直後の混乱期を乗り越えると、1950年代からスイス金融界は黄金時代を迎えた。1973年のオイルショックで原油価格が急騰し、ペルシア湾岸の王族たちが大金持ちになると、その資金はこぞってスイスに流れ込んだ。アラブの顧客たちが求めたのは課税逃れではなく(国の支配層である彼らは税金を気にする必要はなかった)匿名性だった。実名で資金をアメリカ市場などに投資すると、口座を凍結されるのではないかと恐れたのだ。このときも、スイスの「鉄壁の守秘性」が顧客獲得に大きな威力を発揮した。

 1980年代になると、金融自由化によって香港、シンガポール、ジャージー、ルクセンブルク、バハマなど世界各地に新たな資産運用の拠点が誕生した。このグローバルな競争によって一見、スイス金融界の成長は鈍化したように見えるが、これは上辺のことにすぎないとズックマンはいう。香港やシンガポール、カリブ海諸国につくられた銀行の多くはスイスの金融機関の子会社だからだ。このグローバル化によって、スイスに対するアメリカやEUからの風当たりが強くなっても、預かり資産をアジアなどのより隠しやすい国に容易に移転できるようになった。

 現在(2013年)でもスイスは1兆8000億ユーロの外国人資産を保有しており、「銀行の秘密業務の時代は終わった」と宣言された2009年のG20以降、14%も増加している。その理由は、フランスやドイツの課税強化によって「小口(預かり資産数億円の口座)」の顧客が減っても、それを上回る大口の資金が流入してきたからだ。彼ら超富裕層は法人や信託、ペーパーカンパニーを自在に使いこなせるから、国際課税のルール変更など関係ないのだ。


チューリッヒの金融街 (Photo:©Alt Invest Com)

タックスヘイヴンには約750兆円の金融資産が保有されている

 ズックマンのいちばんの成果は、タックスヘイヴンに保有されている金融資産(すなわち「失われた国富」)を概算したことだ。

 こうした計算は、それぞれのタックスヘイヴン国の海外からの投資額を合計すればかんたんなように思えるが、この方法はうまくいかない。なぜなら、タックスヘイヴン国はそのような「国家機密」を公開しようとは思わないから。

 そこでズックマンは、コロンブスのタマゴのような方法を考えついた。

 フランス人のA氏が、スイスの口座で米国市場(たとえばグーグル)の株式を保有しているとしよう。これをアメリカ側から見ると、外国人が自国の資産を保有しているのだから、対外負債として計上される。

 それに対してスイスでは、自国の銀行にグーグルの株式が預けられていることは認識するものの、それを対外資産とは見なさない。なぜならそれはスイスのものではなく、フランス人投資家A氏の財産だからだ。

 ところがフランスでも、この資産が計上されることはない。グーグル株はタックスへイヴンであるスイスに預けられていて、税務当局やフランス中央銀行には知る術はないのだから。

 こうしてズックマンは、タックスヘイヴンが存在することで各国の対外負債勘定と対外資産勘定に齟齬が生じることに気がついた。それをたんねんに追っていけば、すかし絵のように空白の部分が浮かび上がってくるのだ。

 こうした根気のいる作業の末にズックマンは、タックスヘイヴンには総額5兆8000億ユーロ(約750兆円)の金融資産が保有されていると推計した。そのうち3分の1の1兆8000億ユーロ(約240兆円)はスイス、残りの3分の2(3兆8000億ユーロ=約500兆円)はシンガポール、香港、バハマ、ケイマン諸島、ルクセンブルク、ジャージーなど他のタックスヘイヴンが保有している。これを見ても、タックスヘイヴンにおけるスイスの存在感は圧倒的だ。

 ちなみに、2013年末時点の世界の家計資産の合計額はおよそ73兆ユーロ(約9500兆円)だから、タックスヘイヴンはその8%を保有していることになる。

 このズックマンの推計は、タックスヘイヴンをめぐる議論に混乱を引き起こすことになった。これまでタックスヘイヴンの“闇の資金”は、税の正義を求める「タックス・ジャスティス・ネットワーク」が推計した21兆ドル(約2500兆円)から32兆ドル(約4000兆円)とされており、これに基づいて「世界の富の3分の1(ないしは5分の1)はタックスヘイヴンに隠されている」というのが常套句になっていたからだ。ところがズックマンが正しいとすると、タックスヘイヴンの“脅威”ははるかに小さくなってしまう。

 ズックマンによれば、従来の推計は国際的な銀行預金の総量を基準にしているが、そこにはビジネスでタックスヘイヴンを使う合法企業の預金も含まれているから、それらをすべて租税回避の資金と見なすのは明らかに過大評価なのだ。

 だが「最小」の推計値でも、タックスヘイヴンの資産に課税する効果は大きい。たとえばフランスでは、2013年度に約170億ユーロ(約2兆2000億円)の税収が不足したが、これはフランス人がタックスヘイヴンに保有する3600億ユーロ(約47兆円)に課税すれば全額埋め合わせることができるのだ。

タックスヘイヴンの金融資産に対する課税をどうするのか?

 タックスヘイヴンに隠された金融資産にどのように課税するのか。これについてズックマンは、これまでの国際社会の取り組みにはほとんど効果がなかったと辛口の評価をする。

 初期のタックスヘイヴン対策は、海外の税務当局から問い合わせがあれば答える、というオンデマンド型の情報提供に応じることだった。しかしこれは調査対象者がタックスヘイヴン国に口座を保有している証拠が必要だし、スイスなどでは消極的脱税は違法行為とは見なされないから、「照会基準に該当しない」といわれてしまえばそれまでだ。

 だが問題はこれだけではない。ズックマンによれば、真の災厄はタックスヘイヴン国がこの無意味な規制を受け入れることでOECDのブラックリストからなんなく抜け出したことだ。タックスヘイヴン対策はタックスヘイヴンを「合法化」し、彼らのビジネスを太らせただけだった。

 その反省から、現在はオートマティック型の租税情報交換が主流になっている。顧客(それぞれの国の居住者)の口座情報を当該国の税務当局に自動的に提供する制度はオンデマンド型よりも効果はありそうだが、これであぶりだされるのは小口の顧客だけで、真の富裕層にとっては、信託や財団、ペーパーカンパニーを使って情報交換の適用対象から外れるのはかんたんだという。

 アメリカが鳴り物入りで導入したFATCA(外国口座税務コンプライアンス法)は、海外の金融機関に対し、米国籍を持つ顧客の情報をIRS(内国歳入庁)に提供するよう義務づけるものだ。しかしその罰則はアメリカ市場で得た取引に30%の懲罰的な源泉徴収課税を行なうだけで、もともと米国内で取引していない金融機関に対してはなんの効果もないと、ズックマンは批判する。

 しかしそのFATCAもEUが導入した貯蓄課税指令よりはずっとマシだ。これはヨーロッパの金融機関に対し、EU居住者の口座情報を当該国の税務当局に提供することを義務づけるものだ。しかしズックマンは、この制度は利子(すなわち銀行預金)しか対象にしていないため、株式や債券、ファンドなど配当の支払われる金融商品に乗り換えることでかんたんに規制を逃れることができるという。

 さらにEU全加盟国が同一条件で参加したわけではなく、(EU内のタックスヘイヴン国である)ルクセンブルクとオーストリアは特別な枠組が認められ、顧客情報の提供の代わりに利子の35%に源泉課税し、その4分の3を当該国に(顧客に代わって)収めることで守秘性を維持することが認められた。この結果、スイスなど他のタックスヘイヴン国にも同じ条件を認めるほかなくなったのだ(2015年1月にEUのこの特例は廃止され、スイスとも2018年から口座情報を交換するよう協議中)。

 だが最大の問題は、FATCAと同じく、この規制が個人にしか適用されないことだ。

 2004年末に、スイスの銀行口座のうちヨーロッパ人の実名によるものが25%、法人(ペーパーカンパニー名義)が50%だったが、EU貯蓄課税指令の源泉徴収がスタートした2005年末には、実名口座が15%(10%減)、法人名義が60%(10%増)になった。BVI(ブリティッシュヴァージンアイランズ)のペーパーカンパニーやリヒテンシュタインの財団に資金を移すことで、大物はみんな逃げ出してしまったのだ。

 このようにタックスヘイヴン規制にはほとんど効果はない。だったらどうすればいいのか?

タックスヘイヴンの問題点とは?

 経済学者であるズックマンは、タックスヘイヴン国における金融ビジネスを否定しているわけではない。問題なのはそれが周辺国の公正な徴税を阻害し、損害を与えていることだ。

 タックスヘイヴン国の金融機関が競争上の優位を確保できるのは、守秘性の壁によって顧客情報が守られているからだ。この壁は法によってつくられているのだから、これはいわば金融機関への補助金(非関税障壁)と同じだ。

 だとすれば、「タックスヘイヴン国には貿易制裁で対抗すればいい」とズックマンはいう。たとえばドイツ、フランス、イタリアの居住者はスイスの金融機関に合計5000億ユーロ(約65兆円)の資産を保有し、この3カ国はそこから150億ユーロ(約2兆円)の税収を失っている。そこから逆算すると、この3カ国はスイス製品に30%の懲罰的関税を課す権利を持つことになる。もしこのような制裁が実現すれば、スイスはもはや守秘性を維持するメリットはなくなるのだから、租税の透明性はすみやかに実現するだろう。

 ただしこの手法にはひとつ重大な欠陥がある。ヨーロッパの代表的なタックスヘイヴンのうち、ルクセンブルクがEU加盟国(というかEU創設メンバーのひとつ)であることだ。EU加盟国に対しては、このような懲罰的な関税を課すことは禁じられている。

 この問題に対するズックマンの解決策はさらに大胆だ。

 2020年には、ルクセンブルク内の生産から得られる所得(GNP)のうち50%は外国人のものになると推計されている。ルクセンブルクは「主権」をグローバル金融機関に売り渡してしまったのだから、もはや国家を名乗る資格はない。だとしたら、ルクセンブルク(現在のEU議長国で、ジャン=クロード・ユンケル元首相は欧州委員委員長)をEUから除名し、そのうえで懲罰的関税の対象にすればいいのだ。


ルクセンブルク。森の向こうが金融街 (Photo:©Alt Invest Com)

 タックスヘイヴンに保有されている金融資産に対して適切な課税ができないのは、その内訳を外部から知る方法がないからだ。そこでズックマンは、IMF(国際通貨基金)が世界じゅうの株式、債券、投資ファンドなど流通するすべての金融商品の保有者を記入した帳簿(金融資産台帳)をつくることを提案する。有価証券は現在は電子化されて、日本では「ほふり(証券保管振替機構)」が管理しているが、その世界版をイメージすればいいだろう。

 国際的な証券保管機構にはすでにベルギーのユーロクリアとルクセンブルクのクリアストリームがあるから、そのデータを各国の証券保管機構と接続すればグローバルな金融資産台帳の構築は技術的には不可能ではない。

 もしこれが実現すれば、金融資産から得た利益だけでなく、資産そのものに課税することも可能になる(資本課税)。たとえばIMFが金融資産評価額の2%に課税し、フランスの資本課税が1.5%だとすると、顧客はフランスの税務当局に資産を申告することで0.5%分の税還付を受けることができる。

 このように世界的な資本課税は、顧客に税の申告を促す強力なインセンティブになる。申告しなければ税は払い損になってしまうのだから、ペーパーカンパニーや信託、財団を使った「節税策」はすべて無意味になるはずだとズックマンはいう。

グローバル企業に課税する方法は?

 最後にして最大の問題は、各国の税法のすき間をついて税逃れをするグローバル企業だ。スターバックスは、イギリス国内で大きなビジネスを行なっているのに、税率の安いオランダやルクセンブルクに利益を移転して税金をほとんど払っていないとしてデモの標的になった。

 こうした国際的な租税回避を防ぐには、世界規模で利益に対して課税するしかない。この利益は会計操作の難しい販売量(売上)に基づいて配分するのが現実的で、これによってより公正な課税が可能になるだろう。

 だがズックマンも認めるように、税の配分にあたっては各国の利害が真っ向から衝突するため、すべての国が納得する魔法の配分方式は見つかりそうにない。だがEUでは、販売量、賃金総額、資本を3分の1ずつカウントする単純な配分式によって域内の利益を分配することが検討されている。もしこれが実現したら、EUとアメリカを統合することでこの方式を広げていくことができるとズックマンは期待を寄せている。

 こうした提言はいずれもきわめて大胆なもので、現在のところ実現可能性はなきに等しい。だが本書が、タックスヘイヴンやグローバル資本主義を批判するひとたちにひとつの「道」を提示したことの意義は大きい。

 将来、リーマンショックのような世界規模の不況によってふたたび経済格差が重大な社会問題になれば、ズックマンの提案がひとびとの注目を集め、リベラル左派の政治家(あるいはポピュリスト)によって公の場に持ち出される可能性はじゅうぶんあるだろう。


橘 玲(たちばな あきら)

作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』(ダイヤモンド社)など。中国人の考え方、反日、歴史問題、不動産バブルなど「中国という大問題」に切り込んだ『橘玲の中国私論』が絶賛発売中。最新刊は、『「読まなくてもいい本」の読書案内』(筑摩書房刊)●橘玲『世の中の仕組みと人生のデザイン』を毎週木曜日に配信中!(20日間無料体験中)
http://diamond.jp/articles/-/83520
http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/115.html#c1

[経世済民104] 中国経済はどこへ向かうのか? 発展と貧困併存(Wedge) 赤かぶ
1. 2015年12月31日 10:22:40 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[15]

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45678
岐路に立つ中国経済
「計画中毒」から脱却し、市場化路線を歩めるか
2015.12.31(木) 浜田 宏一
北京や上海のような主要都市は、開発政策の成功を体現している(写真は上海 (c) Can Stock Photo)
 9月初旬、筆者はほぼ10年ぶりに中国を訪問した。前回の訪問からこれほど時間が経っていたため、中国が繁栄したところ――そして、引き続き苦労しているところ――を見て取るのは容易だった。

 中国の主要都市は、ケ小平が1980年代に着手した開発政策の目覚ましい成功を体現している。

 こうした都市はわずか20〜30年で極度の貧困から救い出された数億人の中国人の大半が暮らす場所だ。

 北京と上海は、キラキラ光る超高層ビルが立ち並び、明るいネオンで飾られ、ますます国際化する市民で満ち溢れており、その規模と活力に圧倒されるほどだ。

 こうした活気のある都市の街頭に立つと、中国の国内消費の増加を示す最近の統計をより深く理解することができる。人々は最新の技術を使っており、国際的な高級ブランドの名前の付いたショッピングバッグを抱えている。彼らの繁栄は、ますます豊かになる中国人観光客が「爆買い」に勤しむ東京とソウルの小売りセクターにも反映されている。

ちゃんと機能しない一流ホテルの電話

 だが、筆者が抱いた近代的な資本主義経済の印象はすぐに、北京の一流ホテルのちゃんと機能しない電話によって汚された。ある米国人の友人は、恐らく日本政府の顧問としての筆者の役割のために、電話が盗聴されているのではないかと勘ぐっていた。

 このような主張は、もちろん、控えめに言っても確認するのが難しい。ただ議論の余地がないのは、北京訪問が終わった1週間後に、北京で買い物をするために使った筆者のクレジットカード番号が、ニューヨークの中国系スーパーでの買い物に使われたということだ。

 個人情報の窃盗は決して中国だけの問題ではないが、そのような経験は、中国の技術的な近代化は、規制とデータセキュリティーのインフラを上回るペースで進んでいるのかもしれないという印象を生む。

 そして、空気の質の問題がある。今年、北京は度重なる深刻な大気汚染を経験し、今月は2度「赤色警報」が発令された。筆者が2005年に、第2次世界大戦終結60周年記念の直後に北京を訪れたときは、空は澄んでいた。

 もちろん、10年前にはすでに大気汚染は中国にとって問題だった。

 だが、記念式典の前に、中国政府は(車のナンバープレートに基づき)多くの車の運転を禁止し、選ばれた工場の操業を停止し、一部の企業には一時的に市から移転することを強いた。

中央計画に頼る中国

 このアプローチ――中国経済のような中央計画経済でしか追求できない取り組み――は、一時的な問題の軽減をもたらした。だが、突き詰めると、ほとんど役に立たなかった。実際、問題を覆い隠すことで、効果的な行動を遅らせてしまった可能性もある。

 中国が長期的な進展をもたらせない――場合によっては進展を阻害さえする――短期的解決策を講じるために中央計画を駆使したのは、これが初めてでもなかったし、唯一のケースでもなかった。

 例えば、今年の夏の株式市場暴落は、自然な調整として広く認識されていた。なぜなら、株価は主に政府の介入に駆られる形で、それまでの1年間で経済的なファンダメンタルズに見合う水準を大きく超えるところまで上昇していたからだ。それでも、株価が急落したとき、政府は即座に動き、かなりの数の銘柄の売買を停止し、日本が1990年代に追求したものに似た株価維持対策を実施した。

中国株急落、1200以上の銘柄が売買停止
2015年夏の中国株急落は世界に波紋を広げた〔AFPBB News〕
 このようにして中国政府は大暴落を食い止めることができ、一見すると、統制経済では経済危機や金融危機は起きないというマルクス主義の見方を裏付けたようだった。

 実際、中国の指導者たちは、株価維持対策は結局、自分たちが適切と考える形で株価を操作する効果的なメカニズムだと確信しているように思える。筆者の最近の訪問時に、とある中国政府顧問が言ったように、「株価指数の動きは、経済の実態とは全く関係がない」のだ。

 中国の政策立案者たちが理解していないように思えるのは、そのような介入には重大な長期的代償が伴うということだ。政府がいつ何時でもルールを変えることのできる市場に投資したいと思う人はまずいない。

 為替市場に対する中国の最近の介入も、矛盾したシグナルを送った。

 当局は長年、人民元の国際化を追求する中で、元相場を支える傾向があった。この努力は、「特別引き出し権(SDR)」と呼ばれる準備資産を構成する通貨バスケットに人民元を加えることにした国際通貨基金(IMF)の最近の決定に至った。

自由市場に向かう道を進め

 しかし、株式市場の暴落からほどなくして、当局は人民元の下落を容認した。中国はこの道を歩み続け、自由市場経済で主流な金融政策のアプローチ――物価と雇用の適切な組み合わせの確保を目指したもの――を追求すべきである。

 継続的な元安は、ちょうどアベノミクスを通じた円安が日本を長引く景気後退から脱却させる助けになったように、減速する中国経済に弾みを与えられるはずだ。

 2015年が終わろうとしている今、中国の指導者たちは岐路に立っている。経済を統制しようとし続けるのか、真に市場志向のシステムを築くという約束を最後までやり通すのか決めなければならない。中国のために、そして近隣諸国のために、指導者たちが自由市場に向けた計画を貫くことが望まれる。
http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/121.html#c1

[戦争b16] ロシアとの連携を強めているイラクで政府軍がラマディを奪還、シリアでもISなど侵略軍は劣勢に(櫻井ジャーナル) 赤かぶ
3. 2015年12月31日 10:48:41 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[16]
ISより大量殺戮、シリアで国民を苦しめる諸悪の根源
イスラム国とシリア情勢、情報の正しい読み解き方(後篇)
2015.12.31(木) 黒井 文太郎
アサド政権、和平協議に参加へ 外相が表明
シリア国民を苦しめる諸悪の根源はアサド政権だ。訪問先の北京で、中国の王毅外相との会談後に記者会見するシリアのムアレム外相(2015年12月24日撮影)。(C)AFP/WANG ZHAO〔AFPBB News〕
 IS(イスラム国)とシリア情勢をめぐるニュースで、その複雑さから、つい「カン違い」しがちなことが、いくつかある。前回(「有志連合とロシアの空爆はまったく違う」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45646)は、以下の4つの基本的事実を紹介した。

(1)フランスもアメリカもロシアも、ISを壊滅させる規模の軍事介入をしているわけではない

(2)有志連合の空爆は、ISの進撃を阻止するのに成功している

(3)有志連合の空爆が住民の犠牲を抑えるように制限されたものであるのに対して、ロシア軍の空爆は無差別攻撃であり、多くの現地住民が殺害されている

(4)ロシアはIS討伐を口実に、実際には反ISのシリア反体制派を攻撃している

 今回は、その他の誤解されがちな3つの基本的事実を紹介したい

(5)諸悪の根源はISより、むしろアサド政権である

 現在、欧州に殺到しているシリア難民が大きなニュースになっている。彼らがなぜ欧州を目指すのかというと、シリアにいては空爆によって生命が危険であり、さらに周辺国の難民キャンプでの生活が劣悪だからである。まさに生存のための逃避行だ。

 もともと全人口が約2200万人程度のシリアで、住居を逃げ出して難民あるいは国内避難民となっている人は、約1100万人を超えている。国民のほぼ半分が流浪の民と化しているわけだが、それだけ彼らは日常的に生命の危機にさらされているということである。

 では、彼らを殺しまくっているのは誰か? これについて誤解している人が非常に多い。多くの読者の方は、シリア難民のほとんどはISから逃げたのだろうと考えていると思うが、事実は大きく違う。彼らが難民化する最大の理由は、アサド政権による住民への無差別攻撃から逃れるためなのである。

 これは、斬首動画をネットに公開したり、外国人の人質を惨殺したり、海外でのテロを扇動したりするなどの過激な行動から、ISが大きくニュースに登場したため、相対的にアサド政権の暴虐があまり報じられていないことが背景にある。

 例えばシリア人権監視団によると、アサド政権は2014年10月20日から2015年11月20日までの13カ月間に、4万2234件の空爆によって、実に6889人の民間人を殺害してきたという(うち女性は969人、子供は1436人)。この空爆の内訳は、軍用機による空襲が1万9864件、樽爆弾による無差別攻撃が2万2370発である。

 また、2015年10月にシリア全土で確認された民間人犠牲者960人(うち女性が135人、子供が191人)のうち、アサド政権とロシア軍の空爆で殺害されたのは495人(うち女性が70人、子供が130人)、アサド政権の刑務所で拷問死した民間人が51人、アサド政権やトルコ軍の砲撃あるいは爆弾テロなどで殺害されたのが330人(うち女性は45人、子供は42人)となっている。最後の330人の内訳は不明だが、攻撃頻度から考えてアサド政権の砲撃が主であることは疑いなく、合計すると10月だけで民間人犠牲者960人中おそらく700〜800人程度はアサド政権とロシア軍に殺害されたものとみていいだろう。

 これに対し、ISに処刑された民間人は30人。有志連合の空爆で殺害された民間人は2人、ISや反IS系反体制派、クルド民兵などの砲撃で殺害された民間人は39人である。アサド政権と、ISあるいはその他の反体制派による犠牲者数は、桁がひとつ違うほど大差がついているのだ。

 また、同様にその前月の2015年9月をみても、民間人死者1201人(うち女性が141人、子供が257人)のうち、アサド政権の空爆によるものが489人(うち女性が66人、子供が104人。なお、これにアサド政権による砲撃の犠牲者は含まれない)、ISによる処刑が41人(うち女性4人)、有志連合の空爆によるものが18人である。

 同じく8月をみると、民間人死者1205人のうち、アサド政権に殺害された人が実に965人を占めている。それに対し、ISを含む諸勢力の砲撃で殺害された人は162人、ISに処刑されたのは32人に留まる。

 つまり、ISや反体制派よりも圧倒的にアサド政権による一般住民の被害が大きいということが、こうした調査からも裏づけられる。

 シリア人権監視団によると、2011年3月18日から2015年10月15日までの約4年半でのシリア内戦での犠牲者総数は25万0124人。そのうち民間人の犠牲者は11万5627人(うち女性が8062人、子供が1万2517人)である。

 これらの民間人被害の圧倒的多数が、上記したようにアサド政権によるものだが、そこにカウントされた以外でも、同団体の報告によれば、アサド政権に拘留されて生死が不明な人が2万人以上、政府軍の進撃の後に行方不明となった住民が数千人もいるという。

 他方、同団体の調査では、2014年6月にISがカリフ国宣言をして以降、2015年10月末までにISに処刑された民間人は1941人という。決して少ない数字ではないが、アサド政権による暴虐に比べたら桁違いに小さい。IS以外の反体制派による民間人殺害も、同様にアサド政権による大量殺人とは比較にならない。

 他方、シリア人権ネットワークの統計では、アサド政権による民間人殺害が、10月末までに18万879人に達している(※人権監視団と人数が違うが、シリアでは一般住民のなかに、フルタイムの反政府軍戦闘員でない地元の自警団や自治組織に近い微妙な立場の人々も多くいることなどによるカウントの違いがあるようだ)。

 それに比べて、反体制派(反IS系イスラム過激派「ヌスラ戦線」を除く)によるものが2669人、ISによるものが1712人、クルド人勢力によるものが379人、ヌスラ戦線によるものが347人、ロシア軍によるものが263人、有志連合によるものが251人である。

 また、同じく11月末までの統計では、拘留後の拷問死が、アサド政権によって1万1644人、ISによって22人、クルド人勢力によって15人、(ヌスラ戦線を除く)反体制派によって15人、ヌスラ戦線によって12人である。

 もとより紛争地域で正確な調査は困難であるし、統計の仕方にも各団体で違いはあるが、それでもこれだけ数字に大差がついていれば、殺戮の構図は一目瞭然である。さまざまな勢力が入り乱れて殺し合っているシリア内戦において、民間人を桁違いに殺しているのがアサド政権であることは明白だ。

 シリアで日常的に起きていることは、住民たちが、次々とアサド政権に無残に殺害されているという地獄図なのである。

 こうして家族や親族、友人を理不尽に殺害された人々は、命がけの抵抗を続けるだろう。その中にはイスラム過激派に身を投じる人もいる。仮に軍事的にISの勢力を封じ込めたとしても、アサド政権が続くかぎり、状況が収束することはないだろう。

 アサド大統領の側も、これほど国民を殺害してきた以上、権力を失うことは死を意味する。独裁は刃向かう者を殲滅することでのみ存続できるシステムだ。アサド政権は自身のサバイバルのため、今後も住民の殺戮をどこまでも継続していくだろう。

 こうしてシリアはひどい状況が続くことになるが、このように諸悪の根源はアサド政権なのである。

(6)どの国も、自ら望んでISを空爆しているわけではない

 反米陰謀論的な言説の中には、例えばアメリカが金儲けのためにシリアを空爆しているとの言説も散見されるが、典型的な根拠なき推測である。

 米国防総省によれば、イラクとシリアでの空爆のため、2014年8月の空爆開始以降、米政府はこの12月までに52億ドルを支出している。ISのテロを抑えるという安全保障上の動機はあるが、それはアメリカだけの問題ではない。

 シリア内戦に関しては、直接的にはアメリカの安全保障上の脅威ですらない。アメリカは2014年6月にイラクの首都バグダッドやクルド自治区の中心都市アルビルの近郊までISが迫ったことから、ようやく撤退したはずのイラクでの軍事的プレゼンスをしかたなく復活させた。シリアでの空爆はその延長にある。つまり、できればあまり関わりたくないところを、無理やり引きずり出されたようなものだ。

 フランスも、アメリカに同調するかたちでイラクとシリアでの空爆に参加したが、きわめて小さな活動にすぎなかった。それが11月のパリ同時多発テロで多大な犠牲を出したことで、ISへの報復攻撃に乗り出さざるを得なくなった。フランスの空爆は政治的な意味合いが強く、本気でISを潰すことを狙うような規模にはならないが、それもフランス政府としては、テロによって引きずり出されたかたちである。

 ロシアもまた、自分から望んで参戦したわけではない。事実上の同盟関係にあるアサド政権が、反体制派の攻勢で劣勢に陥り、イランとともにそのテコ入れのために軍事介入に動かざるをえなくなった。

 このロシアの決断には、おそらくNATOの介入を避ける意味もある。ロシアが空爆を開始する直前の8月に、アメリカとトルコがシリア北部の一部地域を「安全保障地帯」化することに合意していたからだ。アメリカとトルコがシリア北部に少しでも軍事的プレゼンスを展開するということは、すなわちNATOが介入するということであり、そうなればロシアとしては後から介入するリスクが限りなく高くなる。

 ロシアはこうした事態を避けるため、先手を打って軍事介入を行わざるを得なかった。ISへの空爆は、アサド政権支援の口実である。

 ロシアは今、原油安の影響と、ウクライナ問題での西側の経済制裁で非常に経済が厳しい状況にある。ところがロシア空爆によっても反体制派は壊滅せず、アサド政権は一部で勢力を盛り返したものの、全体的にはいまだ勝利できていない。

 ロシアとしては、アサド政権を防衛するためには長期にわたって軍事介入しなければならない状況だが、ロシアにとっての勝利は見えず、完全に泥沼にはまりつつあるといえる。

(7)ロシアと有志連合は仲間ではない

 ロシアは反体制派への攻撃に有志連合を介入させないため、対ISの空爆作戦での協調を盛んに有志連合、とくにアメリカとフランスに持ちかけている。フランスもアメリカも、ロシアが反体制派への攻撃ではなく、対IS攻撃に軸足をシフトするなら、そこに限定して協力関係を容認してもいいという意向を示している。

 そのため「ロシアと有志連合はかなり接近している」との印象の言説が散見されるが、基本的に有志連合とロシアはシリア内戦において敵同士であり、その構図は変わっていない。また、ロシアが対IS戦でのキープレイヤーとしているアサド政権について、有志連合側は協力を一貫して拒否している。

 12月18日、国連安保理では、シリア和平案が合意された。停戦から、将来的に選挙による新体制への移行までの民主化プログラムである。このため、和平が着実に進んでいるかのような印象を持った人もいるかもしれないが、実際にはそうではない。ロシアはアサド政権の存続を前提とし、米英仏はアサド退陣が前提で、そこに歩み寄りはない。

 欧米主要国を恐れるアサド政権と、アサド政権の存続を狙うロシアは、盛んに有志連合との協力が進んでいるかのような印象の情報を発信しているが、彼らの願望にすぎない。和平交渉を実行するにあたり、アメリカ側が「アサド大統領の即時退陣」から「交渉プロセスを通じて退陣」に若干歩み寄ったことで、さもアメリカはアサド容認に転じたかのような言説が散見されるが、そういうことではない。

 実際のところ、オバマ大統領は対ISを優先し、ロシアとの駆け引きのために事実上のアサド去就問題の棚上げともいえる政策をとっているが、仮にも民主制度の指導者が、アサド大統領のように、ここまで自国民を大量殺害した戦争犯罪人を公式に容認することはできまい。

 オバマ大統領とすれば、アサド大統領はともかく、ロシアのプーチン大統領とは交渉したいと考えているかもしれないが、対外政策で強硬路線を貫くプーチン大統領との妥協の余地はあまりない。

アサド政権とロシアのプロパガンダの手法

 シリア情勢のニュースが分かりづらい1つの要因に、アサド政権とロシアによるプロパガンダが一部で拡散していることもある。典型例が次の2点だ。

「反体制派も多くの住民を殺害しており、住民の支持を得ていない」
「欧米と湾岸産油国が武器を持ち込んで内戦を煽った」

 これらはいずれも、「一部の情報をさも全体のように誇張」する典型的なプロパガンダの手法である。

 たとえば前者でいえば、前述したように、反体制派による民間人殺害は実際に起きている。しかし、その比率はアサド政権によるものとは桁違いに少ない。反体制派による民間人殺害が、全体からすれば例外的な事例に留まるのに対し、アサド政権は住民の虐殺そのものを「政策」として組織的に大規模に行っている。「どっちもどっち」ではないのだ。

 また、後者でいえば、これも多少はあるものの、その数がきわめて小さいことは、シリア国内から伝えられる動画から明らかである。2015年夏頃からサウジアラビアが反体制派に供与しているとみられる米国製対戦車ミサイルが出回ってきたことが、それらの動画から伺えるが、それ以前は反体制派の武器の主流は、アサド政府軍から鹵獲(ろかく)したものが中心だった。

 こうしたことは、現地から日々膨大にアップされている動画から読み取れる。いまや現地ではスマートフォンが広く流通しており、現地から証拠性のきわめて高い動画がリアルタイムでネット上にあげられているのだ。

 アサド政権による無差別空爆(とくに樽爆弾によるもの)とロシア軍による空爆によって、今でも一般住民が毎日、数十人の規模で殺害され続けていることも、大量にアップされている動画によって証明されている。

 それに対し、ISを除く反体制派の暴力を喧伝する情報など、アサド政権やロシアを擁護する情報には、証拠動画の裏づけがほとんどない。多くはアサド政権、ロシア、イランの政権御用メディアの根拠なき主張だけに基づいている。

 こうした初歩的なプロパガンダを見分けるコツは、情報の根拠をチェックし、ネット上の証拠動画の傾向が分析されているか否か、あるいはそうした分析に論拠が基づいているか否かを確認することだろう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/45647
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/734.html#c3

[経世済民104] やっぱり2016年は円高トレンドの1年になる 日米の金利差だけで円安は続かない(東洋経済) 赤かぶ
5. 2016年1月01日 00:25:12 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[17]

コラム:アベノミクス初の円高局面入りか=山田修輔氏
バンクオブアメリカ・メリルリンチ チーフ日本FXストラテジスト
[東京 28日] - 国内外の市場関係者の中では、ここ2―3年は「円安派」が多勢だったが、2016年は「円安派」と「円高派」に割れそうだ。筆者もこれまで円安派だったが、16年に関しては円高派に属する。16年は、アベノミクスの円安要因が剥落する中で外部環境がドル円を支配する展開を予想する。

安倍政権下での円安進行、円高圧力軽減は、以下の3つの要因が支えてきた。

●安倍政権は支持層を広げ政治基盤を強化すべく、リフレ的で、株式市場・ドル円・景気に対してフレンドリーな経済政策を優先している。

●その根幹として、政府・日銀がデフレ脱却と2%の物価安定目標の達成を目指し日銀が量的質的緩和(QQE)を遂行する一方、米連邦準備理事会(FRB)が正常化に向かう中、日米金融政策の乖(かい)離が進む。

●そうした政策環境が直接的、間接的に国内投資家の安全資産からリスク資産へのポートフォリオリバランスを推し進める。

この政策パッケージは円安(13年、14年)要因であり、円高圧力を軽減しドル円の歴史的安定(15年)に寄与した。また、こうしたストーリーの下、海外マネーもドル買い円売りを進めた。しかし、この円安環境に陰りが見える。

対外環境は15年にすでにドル高・円高圧力をかけていたが、その構図が継続し、筆者は安倍政権下では16年に初めて対ドルでも多少の円高を見込んでいる。16年3月までは政策かい離を背景にドル円がドル高円安方向への上昇トレンドを維持する可能性はなお小さくないが、春先以降のリスクはドル安円高方向への下振れである。

<人民元下落がドル円下落に作用する可能性>

FRBが利上げに踏み切り、市場ではひとまず米国短期金利が上昇している。ただ、当社は16年に3回の利上げを予想しており、約2回の利上げを織り込んでいる市場の追加的織り込み余地は大きくない。

よって、ドルに対するリスク要因は外部から舞い込んでくる可能性が大きい。日本の政策当局も現行の為替水準を適当と見なしている可能性が高いため、為替に関してはより消極的な政策対応が予想される。

14年後半から「ドル高・原油安」が市場を形づくっている。この間、米国が金融政策正常化を模索する中、新興国の金融環境はタイト化し、供給側要因も相まって、コモディティーの需給バランスが急激に緩み、「交易条件ショック」が発生した。

為替相場ではドルの需給が逼迫(ひっぱく)したが、ドル指数が90を超えるあたりからドル高の弊害が米国株式市場でより明確に認識され、コモディティーや新興国通貨下落の圧力がドル買いのみでなく、ファンディング通貨である円買いにも波及した。

ドル高、新興国通貨安の水準調整が進んだことで、16年に過去18カ月間見られた規模のショックは予想されない。しかし、調整の終わってない可能性が高い通貨がある。中国人民元である。FRBが利上げに踏み切る一方で、中国は金融緩和を模索しており、中国人民銀行が徐々に為替介入を緩める中で人民元が市場想定を超えて下落する可能性が高い。

人民元下落は新興国(アジア)通貨全般にもネガティブで、一時的に中国からの資本流出を伴いドル需給の逼迫が予想される一方、中国の購買力低下はコモディティー需給にネガティブな意味合いを持つ。

ブレント原油価格が16年に底打ちするシナリオを描いてはいるものの、反転の勢いは弱く、下方リスクを見ている。もし原油価格下落に歯止めがかからなければ、サウジアラビアによる通貨切り下げという「究極のテイルリスク」が現実味を帯びてくる。

<追加緩和でも「質」重視なら為替への影響は限定的>

当社は16年もドルが(円や、いくつかの通貨を除き)全体としては上昇すると予想しているが、米国経済が依然として2%そこそこの成長基調にある中、さらなる米国経済成長の加速に裏付けられない(外部要因が引き起こす)追加的なドル高は、緩慢な利上げサイクルの加速を拒み、米国の実質金利を押し下げる可能性がある。

過去の原油価格下落と米国実質金利低下の局面では、円は買われてきた。よって、ドルが円やユーロといったファンディング通貨対比で上昇するためには、日銀と欧州中銀(ECB)の追加緩和が必要となる。

確かに、経済物価情勢や政治日程を考慮すると、16年前半に日銀が追加緩和に踏み切る可能性は残っている。米利上げサイクル入り直後に追加緩和が発動されれば、政策かい離が印象付けられ、一時的にドル円は125円を超えて上振れる可能性もある。しかし、追加緩和があるとしても、上場投資信託(ETF)購入ペース倍増など質的緩和の側面が強く、為替への持続的影響は限定的となろう。

12月の日銀政策決定会合で発表された補完措置に対し、ドル円や日本株がネガティブに反応したのも、市場が日銀の緩和オプションの限界について警戒を強めている証左と言える。

<国際収支についても資金流出ペースは減速へ>

次に国際収支の基調だ。筆者の試算では、14年夏に本格化した年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と3共済の外国証券へのリバランスはすでに半分以上進展しており、残り数兆円が15年度末までに大方終了すると推測される。

それまではドル円サポート要因だろうが、これら公的年金のリバランスが終了すれば、対外証券投資は鈍化するだろう。FRBの緩慢な利上げサイクルや依然緩やかな世界経済成長(15年の3.1%から3.4%へわずかに加速)を前提とすると、他の投資家層が年金の買い越し減少分を取り戻すほど外国証券投資を活発化させるとは予想し難い。

また、確かに原油価格が回復すれば経常黒字は16年にわずかに縮小するかもしれないが、対外直接投資も円安や内需主導の成長により減速する可能性がある。

総じて、基礎的国際収支の対外流出傾向は恐らく保たれるだろうが、より中立的となり、この円相場の水準をさらに押し下げる力に欠けるだろう。

<「無敵の日銀」前提が崩れれば、ドル110円も視野に>

最後に政治だ。16年は7月に参議院選が予定されている。この選挙は、その後の衆議院解散や総裁任期の特別延長がなければ、自民党総裁の任期が18年に到来する安倍首相にとって最後の国政選挙となる見込みだ。また、政治日程を考慮するとダブル選挙となる可能性も指摘されている。

与党圧勝となる可能性は十分あるものの、憲法改正を自らの政治使命としてきた安倍首相が、選挙後にこれまでと同等に経済政策に政治的資本を最優先に投下する確約はない。経済政策の優先度が相対的に低下すれば、市場の期待に影響が及ぶ可能性もあろう。

このように見ていくと、16年春以降は、これまでドル円を支えてきた環境が変化する可能性が高い。16年末のドル円予想は120円とするが、さらなる円高方向のリスクには注意が必要だ。円高が発生した場合、1ドル=115円と想定される黒田プットが試される。過去3年間、市場は「日銀に逆らわない」姿勢を学んできたが、市場では昨今、日銀の手詰まり感が意識され始めており、日銀の信認が試される形でドル円、クロス円ともに下落圧力が強まるシナリオも念頭に置きたい。

円高に対応できなかった場合、「無敵の日銀」の前提が崩れ、ドル円が110円程度まで下落する可能性も16年に関しては無視できず、付利引き下げを含む政策フレームワーク変更の可能性も出てくる。

*山田修輔氏はバンクオブアメリカ・メリルリンチのチーフ日本FXストラテジスト。PIMCOをはじめとして米国の金融機関でマクロ経済、市場分析に従事し、2013年より現職。2005年マサチューセッツ工科大学(MIT)学士課程卒、2008年スタンフォード大学修士課程卒。CFA協会認定証券アナリスト。石川県小松市出身。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-shusukeyamada-idJPKBN0UA0A920151228?sp=true

コラム:円高ロジックの落とし穴=政井貴子氏
新生銀行 執行役員・金融市場調査部長
[東京 28日] - 「2016年の為替は」と問われて、「15年よりも円高傾向だろう」と答える方が、体内時計には素直だ。というのも、変動相場制移行後、4年以上継続した円安局面はない。いわゆるローソク足で年足を見た場合、年初の始値よりも年末の終値が円安水準となる年、つまり「陽線」が連続するのはせいぜい2年だ。

3年目には年初の始値が年末の終値よりも円高で終了し、後続年も円高傾向で推移するパターンが多い。3年目も年足が陽線となっているのは、1995年から97年と、今回の円安局面である2012年から14年の2回のみだ。

このうち1995年から続いた円安局面は、4年目の98年に1ドル=147円台の大幅円安をつけたものの、ロシア危機が勃発。非常に短期間の間に暴力的に円の買い戻しが進行し、年間の高安差が約36円という振れ幅を伴う円高の年となった。

また、わずか1年で60円を超える円高を誘発し、その後の日本経済に大きな影響を与えたプラザ合意のあった1985年の前数年は、カーター政権のドル防衛策や米金利の高止まりによって円の安値が年々ドル高方向へ切り下がるドル高円安傾向が続いていた。つまり、円安傾向が長期間続けば続くほど、円高方向への揺り戻しは、大きいものだったという苦い経験則がある。

翻って、2015年は円安傾向4年目となり、前年の円の安値を超え125.86円をつけたものの、年間取引レンジが約10円という変動相場制以降で最小の変動幅で終わろうとしており、異例だ。これまでの経験則からすれば、16年あたりには円高に切り返すほうが、しっくりくる。

また、現象面からも一層の円安は限界的に見えやすい。まず、約10.4兆円の貿易赤字を記録し約2.6兆円という過去最小の経常黒字だった2014年と比べて、15年は10月時点ですでに経常黒字が10兆円を超えて通年で久しぶりに11年来の規模になることが確実だ。貿易赤字も15年は10月までで約5700億円と、10兆円近くの円安フローが消滅した。対外直接投資は15年も10兆円規模を維持しているが、相当改善されている。

当局の姿勢にも変化が見られる。2015年7月の国際通貨基金(IMF)による対日4条協議の総括では、円の水準がファンダメンタルと整合的な水準よりも減価していると評価した上で、円安に過度に依存した状態を回避すべきだと指摘している。

また、市場心理も、これ以上の円安進行は輸入物価上昇につながり消費マインドを冷やすとの見方から、政府・日銀がこれ以上の円安を望んでいないのではないかとの思惑に傾きやすい。さらに、米議会が日本の輸出優位につながる実質円安水準(1970年代並みの実質実効為替レート)を容認しないのではないかとの憶測もある。こうしたことから、一層の円安予想が難しくなっている。

<緩やかな米利上げペースとともに円も「じり安」へ>

しかし、果たして足元で過度な円安は本当に進行しているのだろうか。実は、2014年に比べれば、一方的な円安は解消されつつある。ドル以外のその他通貨に対して、15年は円高が進行した年だった。

ブラジルレアルや南アフリカランド、トルコリラといった通貨に対しては、20%以上の円高。カナダ、ノルウェー、オーストラリアといった先進国の資源国通貨に対しても10%以上の円高だ。量的緩和を強化しているユーロに対しても円高が進行している。わずかながらでも年初来円安となっているのは、対スイスフランとドルぐらいだ。追加緩和政策の影響で、全方位的に円安が進行した2014年とは対照的だ。また、ドル円を見ても、14年後半以降、単純移動平均に対して実勢レートの円安方向へのかい離が進んだが、今ではほぼ解消している。

日米の貿易財価格比、実質金利差やマネタリーベースを基にした為替の推計値と実勢レートを比較しても、まだ円安方向にかい離はしているものの縮小傾向だ。長期的な円の方向性を示唆する日米物価格差を基に計算される購買力平価は、原油安で日米ともに名目インフレ率はゼロ近辺で推移しており、傾きは失われた状況が続いている。

米国側から見た、ドルの貿易加重平均為替レートを確認すると、確かにドル高は進行しているが、日本を含む主な貿易相手国7カ国ベースの指数は94程度と、過去の平均値近くでの推移となっており、ここ数年の歴史的なドル安水準から平均値に回帰してきたとの見方ができよう。

また、円キャリーの規模を図る1つの目安とされる外国銀行在日支店の本支店勘定の資産規模を確認すると、2015年5月の約11兆円をピークに10月は約7兆円と縮小傾向。過去最大規模(07年の20兆円超)より相当に小さい。何らかのショックでキャリー解消が急激に起こったとしても、リーマンショック時ほどの事態は考えにくい。

こうした状況に鑑みれば、過度な円安が進行中だとは言い切れない。120円台といった絶対値に対する経験上の高値認識はあるものの、日米金融政策の方向性を素直に評価し、2016年を見通すべきではないかと考えている。

米国は、12月に9年半ぶりに政策金利を引き上げた。その折、ドル円は120円台からじわじわと円が売られ、123円をうかがう展開となった。日米2年債金利差は1%に迫り、短期の金利差が実際に拡大すれば相応に円安に反応することを確認したと言えよう。

2016年中の利上げ回数は米連邦公開市場員会(FOMC)のメンバーの予想で4回。市場の先物価格によれば、約2回の利上げが織り込まれている。16年も、低成長、低設備投資、金融緩和傾向継続から、金利差優位が全体のメインシナリオとなるのであれば、緩やかなペースの米利上げとともに、円もじり安傾向と見ている。この見通し通りに米国が進むかを見極めるために、原油安の企業業績への影響、大統領選挙といった様々な材料が市場の関心事となっていくだろう。

<市場に脱デフレの本気度を問われている>

最後に、円の水準感をつかむ1つの目安として、2013年以降の日米2年債金利差とドル円の関係を確認すると、金利差が1%に拡大した時のドル円の水準は130円超えとなっている。120円を割れそうな足元の地合いからは、かなりかい離した風景だ。

この原因は、資源価格安を主因とした株安が不安心理を増幅し、安全通貨としての円の価値を高めているという部分もあるかもしれない。だが筆者は、市場が日本のデフレ脱却に対する本気度を確認している側面もあるのではないかと受け止めている。短期的には次のように解釈できるのではないだろうか。

12月18日に日銀による補完措置発表後、金融政策の専門家以外にはわかりにくかった側面もあり、123円台から円が急騰、年末に向かって徐々に流動性が失われる中、テクニカルにドルの上値を重くしてしまい、年内反発のきっかけはつかみにくい状況となっている。そんな中、補完措置に関して専門家の中には、手詰まり感を指摘する声が多いように見受けられる。量的な緩和余地が乏しいとの発想から、円買い戻しとの整理だ。

2016年は、1月4日に通常国会が召集される。1月末には再び日銀の政策決定会合が予定されている。改めて政府・日銀のデフレ脱却姿勢が確認されれば、日米金利差に準じた緩やかな円安傾向に回帰するだろうと見ている。

*政井貴子氏は、新生銀行執行役員・金融市場調査部長。トロントドミニオン銀行、クレディ・アグリコル銀行などを経て、2007年5月新生銀行に入行。キャピタルマーケッツ部部長、市場営業部部長などを歴任後、2013年4月に新生銀行初の女性執行役員として、市場営業本部市場調査室長に着任。同年7月より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-takakomasai-idJPKBN0U80RD20151228?sp=true
http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/111.html#c5

[経世済民104] 出口なき麻薬経済から抜け出せない世界経済の正確な見通し(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
1. 2016年1月01日 09:57:38 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[18]

米新規失業保険申請が7月以来の高水準、雇用市場減速の兆しか
[ワシントン 31日 ロイター] - 米労働省が31日発表した今月26日までの週の新規失業保険申請件数は、季節調整済みで前週比2万件増の28万7000件と7月以来の高水準となった。

クリスマス休暇シーズンだったことが件数の増加に一部寄与しているとみられるが、雇用市場減速の兆しを示している可能性もある。

申請件数は市場予想の27万件を上回ったものの、ここ数カ月間はほぼ42年ぶりの低水準で推移している。申請件数は30万件を切ると雇用市場が引き締まっていることを示すとされるが、43週連続でこの水準を下回っている。これは1970年代以来の長さとなる。

労働省のアナリストは、統計に影響を及ぼすような特殊要因はないとしているが、クリスマス休暇の期間中だったことで統計の数字がゆがんだ可能性もある。

雇用市場のすう勢をより正確に反映するとされる4週間移動平均は4500件増の27万7000件だった。

2週間以上手当てを受けている失業保険受給者総数は19日の週までに3000件増の219万8000件だった。

米雇用市場はことし大きく改善した。連邦準備理事会(FRB)は今月16日に約10年ぶりとなる利上げに踏み切り、2007─09年の金融危機から経済が回復してきたことを示す節目となった。

エコノミストの多くは、失業率こそ来年は現在の5%付近からさらに低下するものの、雇用改善のスピードは落ちるとみている。失業保険申請件数は数年間にわたって大きく減り、ことしの中ごろ以降は安定している。
http://jp.reuters.com/article/usa-economy-unemployment-idJPKBN0UE16D20151231

米国株(31日):下落、S&P500種は年間で2011年以来の下げ (1)
2016/01/01 07:26 JST
    (ブルームバーグ):31日の米国株は下落。S&P500種株価指数は年間ベースで下げた。この日はアップルを中心にテクノロジー株が売られた。
アップルは5営業日のうち4日で下落。年間ベースでは4.6%安と、2008年以来で最悪だった。S&P500種に採用されているエネルギー株はこの日は上昇したが、年間ベースでは7年ぶりの大幅な下げとなった。
S&P500種株価指数は前日比1%安い2043.94。年間ベースで0.7%下げた。ダウ工業株30種平均は178.84ドル(1%)下げて17425.03ドル。
スタンスベリー・アンド・アソシエーツのアナリスト、ジェフ・クラーク氏は「基本的に相場は変わっていない。上昇や下落を試したことはあったが、年間を通じていら立たしい展開だった。モメンタムは今のところ弱気だ」と述べた。
S&P500種産業別指数のうち9指数が下げた。エネルギー株は原油が1%安を埋めたことが好感され上昇した。
1月1日は元旦で休場。今週は薄商いが続き、前日の出来高は年初来で最低だった。  今月は米金融当局による利上げを材料にした大幅な下落・上昇が見られた。S&P500種は月間ベースでは1.8%安と、12月の下げとしては2002年以来で最悪だった。
今年大幅に値上がりした銘柄にはネットフリックスやアマゾン・ドット・コムがある。いずれも株価は2倍以上に値上がりした。その一方でチェサピーク・エナジーやコンソル・エナジーは76%超の大幅下落となった。
原題:Final-Day Selloff Sends S&P 500 to First Yearly Drop Since 2011(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Anna-Louise Jackson ajackson36@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Cecile Vannucci cvannucci1@bloomberg.net Alex Longley
更新日時: 2016/01/01 07:26 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O08QQ6SYF01S01.html

NY外為(31日):ドル指数は3年連続上昇、円は4年連続安 (1)
2016/01/01 07:27 JST

    (ブルームバーグ):2015年はドルが主要16通貨すべてを凌ぐパフォーマンスとなった。米連邦公開市場委員会(FOMC)は12月の定例会合でほぼ10年ぶりとなる政策金利引き上げに踏み切った。
主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は年間ベース3年連続プラスで越年する。FOMCは事実上のゼロ金利の解除に耐えられるだけの力強さがあると判断した。円は年ベースで過去最長の4年連続マイナス。ユーロは2年連続下落。米国が利上げに踏み切った一方で、日本とユーロ圏では景気刺激措置を継続している。
2015年は政策引き締めに近づいていることを米金融当局が示唆する一方で、それ以外の中央銀行は緩和政策を続け、政策のかい離が外国為替市場のキーワードとなった。ドルは1−3月に急伸した後、期待外れとなった経済統計や当局者からのハト派的発言をきっかけに失速。12月にようやく利上げが現実のものとなった後は、一進一退を繰り返しながら緩やかな上昇にとどまっている。
BNPパリバの通貨ストラテジスト、バシーリ・セレブリアコフ氏 (ニューヨーク在勤)は「今年の大半においてドルが強いというより、むしろ外国通貨が弱いという状況だった。つまり米利上げ期待がドルの下落を抑制していたようだ」と分析する。政策かい離において「2015年は国外サイドが注目されたが、16年はもっと米国サイドが重要になるだろう」と述べた。
ニューヨーク時間午後5時現在、ブルームバーグ・ドル・スポット指数は1232.59。年初からは9%上昇した。
円は対ドルで1ドル=120円22銭。年初からは0.4%下げ、ブルームバーグのデータがさかのぼれる1971年以降で最長の4年連続下落となった。ユーロは年初から対ドル10.2%下落。日本の金融市場は31日は休場だった。
先物市場では2016年に約2回の追加利上げが織り込まれている一方、米金融当局の予測では4回となっている。来年のドルは主要10通貨のうち7通貨に対して上昇が予想されている。
サクソバンクの通貨戦略責任者、ジョン・ハーディー氏は「ドルは来年も上昇すると予想する。実際の利上げ回数が市場が今想定しているより多くなるとの見方は、欧州中央銀行(ECB)を含め他の主要中央銀行との違いをさらに鮮明にするだろう」と述べた。同氏は2016年の年末までに1ユーロ=95米セントまでユーロが下げると予想しており、実際にそうなれば2002年以来のユーロ安となる。
ブルームバーグがまとめたエコノミストの予想中央値によると、日本銀行による金融緩和と米金利上昇が相まって、円は来年さらに4%下げる見通し。
三菱東京UFJ銀行の外為ストラテジスト、リー・ハードマン氏は 「政策かい離に基づいたトレードは来年も続くだろう」と話す。「対円、対ユーロでのドルはここまでずいぶんと上げてきたが、小幅ながらもまだ上昇の余地は残っている」と述べた。
原題:Year of the Dollar Ends on a High as Monetary Policy Wins Out(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Rachel Evans revans43@bloomberg.net;ロンドン Anchalee Worrachate aworrachate@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Paul Cox pcox16@bloomberg.net Netty Ismail
更新日時: 2016/01/01 07:27 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O07TI26K50XS01.html
http://www.bloomberg.co.jp/apps/data?pid=avimage&iid=iYVRudzHht0M



ドルが対通貨バスケットで前年比9%超上昇=NY市場
[ニューヨーク 31日 ロイター] - ニューヨーク外為市場は、ドルが対主要通貨バスケットで、前年比9%超上昇して、年内最後の取引を終えた。薄商いの中、運用資産を調整する動きが出て、ドルを押し上げた。

この日の取引で、ドルの主要6通貨.DXYに対するドル指数は一時、約1週間ぶり高値の98.750をつけた。月間では1.5%下落した。

ドルは対ユーロEUR=で前年比約10%高と、2年連続で上昇した。この日は、ユーロは対ドルで約1週間ぶり安値の1.08530ドルをつける場面があった。

みずほ銀行の通貨ストラテジスト、シリーン・ハラジュリ氏は「運用資産を調整する動きが間違いなく、(この日の)ドル高に関係している」と話した。

ドルは対円JPY=で前年比0.4%高と、4年連続で上昇した。ただ、この日の取引では、約2カ月ぶり安値の120.005円をつけた。12月のシカゴ地区購買部協会景気指数が予想に届かず、安全資産とされる円が買われた。

今年のドル高の背景には、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ開始や、日銀、欧州中央銀行(ECB)の金融緩和政策が、ドルを引き続き下支えするとの市場期待があった。

アナリストらは、金融政策の方向性の違いが引き続き、少なくとも2016年第1・四半期にかけての注目点と話す。

ウェストパックのシニア通貨ストラテジスト、リチャード・フラヌロビッチ氏は「FRBが3月に2回目の利上げを行う可能性があるが、完全には織り込まれていない。このことが、ドルを新たに下支えするだろう」と分析した。

ドルはスイスフランCHF=EBSに対して1.3%高の1.00150フラン。一時、約3週間ぶり高値の1.00240フランをつける場面もあった。年間では0.7%高と、2年連続で上昇した。

ドル/円 NY時間終値     120.19/120.21

前営業日終値          120.47

ユーロ/ドル NY時間終値   1.0863/1.0866

前営業日終値          1.0930
http://jp.reuters.com/article/ny-forex-close-idJPKBN0UE1FG20151231


米国債(31日):上昇、16年も楽観は禁物とゴールドマンなどは警告 (1)
2016/01/01 06:42 JST
    (ブルームバーグ):2016年の債券投資のリターンは恐らく、15年と同様にさえないだろうと大口投資家はみている。
JPモルガン・チェース、フィデリティ・インベストメンツ、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)、ゴールドマン・サックス・グループはいずれも、あまり楽観的にならないよう注意を呼び掛けている。ゴールドマンは指標の米10年債利回りが16年末までに3%に上昇するとみる。
ブルームバーグ世界債券指数に基づくと、15年の米国債の年初来リターンはプラス0.7%、先進国ソブリン債はマイナス2.5%だった。米金融当局は12月16日に約10年ぶりに政策金利を引き上げ、先物市場は16年内に1回以上の利上げがある可能性を約94%と織り込んでいる。これが世界的に債券利回りを押し上げそうな背景だ。
JPモルガン・チェースのグローバル調査責任者、ジョイス・チャン氏は30日のブルームバーグとのインタビューで「当社では債券市場のリターンを1桁台前半から半ばとみている」と発言。「これは債券市場全体に当てはまる。5%未満の上昇と考えている米国株式市場と大差ない」と続けた。
31日の米国債市場では10年債が上昇。ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後2時現在、10年債利回りは前日比2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.27%。同年債(表面利率2.25%、2025年11月償還)価格は7/32上げて99 27/32。
米証券業金融市場協会(SIFMA)の勧告に基づき、米国債市場はこの日、米東部時間午後2時までの短縮取引だった。あす1月1日は終日休場となる。
ゴールドマンのマクロ・市場調査共同責任者、フランチェスコ・ガルザレリ氏(ロンドン在勤)は12月30日のリポートで、「米国債利回りは当社が1年前に想定していた水準を下回っている」と述べた。16年は米国の利上げとインフレ上昇、経済成長で利回りが上昇するとみる。
ブルームバーグが集計したデータによると、ゴールドマンの利回り予想が正しければ、投資リターンはマイナス3.2%前後となる。ゴールドマン、JPモルガンともプライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)22社の一角を占める。
パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のトニー・クレセンツィ氏は30日のブルームバーグのインタビューで、利回りは「ゆっくりと上昇する」可能性があると指摘。10年債利回りについては2.25−2.75%のレンジとなりそうだと述べた。
金融当局はフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25−0.5%のレンジに引き上げた。16年末時点でのFF金利は、政策当局者らの予想の中央値で1.375%と見込まれている。
フィデリティ・ガバメント・インカム・ファンドのマネジャー、ビル・アービング氏は「市場は極めて遅いペースでの引き締めを織り込みつつある。政策当局者の予想中央値よりもゆっくりとした引き締めだ」と指摘。「これは、予想よりも速いペースで金利が上昇するリスクがあることを示している」と加えた。
原題:Biggest Investors Say Beware the Bond Market as Fed Raises Rates(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:シンガポール Wes Goodman wgoodman@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Paul Cox pcox16@bloomberg.net Michael Aneiro
更新日時: 2016/01/01 06:42 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O082UR6TTDS001.html


中国、個人の外貨購入で取り締まり強化へ
[北京 31日 ロイター] - 中国国家外為管理局(SAFE)は31日、年明けから個人の外貨購入に関する取り締まりを強化することを明らかにした。資本流出の抑制が狙いだ。

SAFEは声明で、銀行における外国為替取引を監視する新しいシステムを年明けから導入すると表明。現在、個人は最大で年間5万ドル相当の外貨購入が許されている。新制度では、上限超過が見つかった個人はSAFEが管理する「監視対象者一覧」に載る。

中国政府は不法な資金の流出や資本逃避を押さえ込むことに力を入れており、外国為替市場にもかつてなかったようなやり方で取り締まりをかけている。強引な取引には罰金を科したり、いくつかの銀行には取引を断るよう促したりしている。

ロイターは30日、中国人民銀行(中央銀行)が少なくとも3行の外資系銀行に対し、外国為替業務の一部について来年3月末まで停止するよう命じたと報じた。
http://jp.reuters.com/article/china-frx-plcy-regs-idJPKBN0UE19R20151231


NY原油(31日):反発、2年での下げは過去最悪−供給超過の長期化で
2016/01/01 06:20 JST
    (ブルームバーグ):31日のニューヨーク原油市場でウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は反発。ショートポジションが買い戻された。世界的な供給超過が続く中で米原油在庫が拡大し、年間では大きく下落、2年間での下げは記録上の最大となった。
ストラテジック・エナジー・アンド・エコノミック・リサーチ(マサチューセッツ州ウィンチェスター)のマイケル・リンチ社長は「大量の原油が貯蔵されている。価格が回復し始めるには、在庫が目に見えて減り始めなくてはならない」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物2月限は前日比44セント(1.20%)高い1バレル=37.04ドルで終了。年初からは30%下落し、2015年の平均価格は2004年以来の安い水準となった。
原題:Oil Caps Record Two-Year Loss as Supply Glut Seen Prolonged(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Mark Shenk mshenk1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: James Herron jherron9@bloomberg.net; David Marino dmarino4@bloomberg.net Angelina Rascouet
更新日時: 2016/01/01 06:20 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O08QG7SYF01T01.html


原油・ガソリン値下がり率、2年連続の2ケタ
[31日 ロイター] - 原油・石油製品先物相場は31日、今年最後の取引となるなか、2年連続で2ケタの値下がり率となった。

北海ブレント原油先物LCOc1の清算値は1バレル37.28ドル。年間では35%安、昨年は48%安だった。

米国原油の指標であるWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)原油先物CLc1は1バレル37.04ドル。年間では30%安、昨年は46%安。

米ガソリン先物RBc1は1ガロン1.2671ドル。年間では12%安、昨年は48%安。

米ヒーティングオイル先物HOc1は1ガロン1.1007ドル。年間では昨年に続き40%下落した。
http://jp.reuters.com/article/oil-yearend-settlements-idJPKBN0UE1F120151231

http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/146.html#c1

[経世済民104] 迫る消費再増税で住宅購入額が百万円以上増も!来年秋に壊滅的な住宅不況が襲う恐れ(Business Journal) 赤かぶ
1. 2016年1月01日 09:59:42 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[19]
自工会会長:国内生産維持「もう限界」、重税で自動車メーカー正念場
2016/01/01 00:00 JST 
    (ブルームバーグ):日本自動車工業会(自工会)の池史彦会長(ホンダ会長)は、少子高齢化が進む日本の自動車生産について、ユーザーへの税負担が増しており、「これ以上、出生率下がったら生産拠点は維持できない」と危機感を示した。
池会長は昨年末の新春向け会見で、生産拠点の国内維持のため自動車各社は生産量と利益との損益分岐点を下げてきたが、「もう限界」に近づきつつあると述べた。少子高齢化が進む中、車に興味を持つ若者の数も減ってきている一方、政府は「あまりにも高い税金」を自動車ユーザーに課し続けていると指摘した。
自動車取得税は消費税10%へ増税する2017年4月に廃止予定だが、政府・与党は昨年12月、これに代わる新たな税制を創設する方針を決めた。登録車は燃費・環境性能により0−3%、軽自動車は0−2%の税率を購入時に課税するもので、取得税廃止と同時の開始を目指している。
池会長は、消費税と取得税の二重課税を解消したはずなのに、「課税当局は財源の中で減った分を補てんという発想」で制度設計しており、「税制中立と言いながら、自動車にはどんどん増税されている」と批判。その上で、日本に生産現場がなければ「付加価値の高いイノベーション」が難しいとして、中長期的にはものづくりの再構築が必要という見方を示した。
また、来年4月の消費税率引き上げで消費の冷え込みが予想され、「自動車に日本経済を引っ張れと言われても難しい」と述べた上で、「自動車メーカーとしてはある種の正念場でもある」という考えを示した。
国内の自動車販売は、1990年の約778万台をピークに減少傾向にあり、14年は約556万台だった。輸出分を含めた国内生産台数は、08年の世界金融危機後に進んだ円高の影響を回避しようと、国内自動車各社は需要のある市場に生産拠点を移す方針をとってきたため、09年以降は1000万台割れが続いており、14年は約977万台だった。
日本の自動車関連諸税は、1954年度に道路整備を進めるための特定財源制度が創設されて以来、増税や新税が繰り返されており、自動車ユーザーが負担する税金は、米国の約5倍となっている。自動車関係諸税は2015年度当初予算で国の租税総収入の8.7%を占める8兆3000億円。
自工会は年末の税制改正に向けた要望で毎年、自動車関係諸税の負担が重いとし、改善を求めてきた。16年度の税制改正に関する要望では、諸外国の水準を大幅に上回る過重な税負担が課せられ、不合理、不公正としている。さらに10%への消費増税により、国内市場が落ち込み、国内生産や雇用に深刻な影響が及ぶことが懸念されると指摘していた。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 萩原ゆき yhagiwara1@bloomberg.net;東京 Ma Jie jma124@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Chua Kong Ho kchua6@bloomberg.net 浅井秀樹, 宮沢祐介
更新日時: 2016/01/01 00:00 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NZWOI56JTSE801.html
http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/145.html#c1
[政治・選挙・NHK198] 前代未聞…日銀黒田総裁は“ブン投げ”辞任の可能性もある(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
2. 2016年1月01日 10:01:24 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[20]
安倍首相:1億総活躍・元年の幕開け、少子高齢化に挑戦−年頭所感
2016/01/01 00:00 JST 
    (ブルームバーグ):安倍晋三首相は1日付で年頭所感を発表した。少子高齢化に挑戦するため、2016年を「1億総活躍・元年」と位置付け、国内総生産(GDP)600兆円、希望出生率1.8、介護離職ゼロの「的」に向けて新しい「3本の矢」を放つ決意をあらためて表明した。
首相は、人口が初めて1億人を超えた半世紀前は高度成長期の真っ最中で、「頑張った人が報われる、今日よりも明日はもっと豊かになる。その実感があった時代だ」と振り返った上で、「半世紀後の未来でも、人口1億人を維持する」と述べ、誰もが活躍できる社会実現は「次世代に対する責任」だとした。
16年は日本が国連安全保障理事会の非常任理事国を務めることや、5月に日本が議長国となり主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を開くことを挙げ、「日本がまさに世界の中心で輝く1年だ」と指摘。不透明さを増す世界経済やテロとの戦い、気候変動などの国際的な課題に対し、「日本はしっかりとリーダーシップを発揮していく」と表明した。
第2次安倍政権発足後の政権運営については「経済の再生に全力を挙げてきた」と述べ、「もはやデフレではない。私たちは、3年間でそういう状況を作ることができた」と強調した。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 高橋舞子 mtakahashi61@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Andrew Davis abdavis@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net 谷合謙三, 林純子
更新日時: 2016/01/01 00:00 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O03UE36JTSEB01.html
http://www.asyura2.com/15/senkyo198/msg/901.html#c2
[経世済民104] 出口なき麻薬経済から抜け出せない世界経済の正確な見通し(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
2. 2016年1月01日 10:07:40 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[21]
2016年の市場を動かすのはー中国、石油そしてFRB
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左図:左図:中国のGDP成長率、中央図:産油国のGDP成長率、右上図:S&P500種企業の1株あたり利益の前年比変動率、右下図:米政策金利水準の変化:青=2014年末のFRBの見通し、赤=15年末のFRB見通し、黄=先物が示すFFレートの先行き
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GREG IP
2015 年 12 月 31 日 15:31 JST
 2015年の世界の金融市場には2つの拮抗する力が働いていた。1つは堅調な米雇用市場に後押しされた米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げへの決意だ。2つ目は中国の経済成長の鈍化とコモディティー価格の下落を背景とする世界の大半での利下げ圧力である。
 そうした綱引きの結果として生じたのが、ドルの急騰、米ジャンク債の急落、米国債利回りの低位安定、ほぼ年初と変わらない水準で年末を迎えた躁鬱(そううつ)的な米株式市場である。
 こうした緊張は2016年も継続するだろう。その結果、世界経済は景気後退を免れるが、株式は打撃を受け、投資家は神経をすり減らすことになる可能性が高い。
 最初に注目すべき火種は中国である。中国経済が急減速することへの懸念は少なくとも10年前からあったが、2015年にそれが頂点に達した。それもそのはずだ。中国の官民合わせた総債務残高は国内総生産(GDP)の244%に急増した(2008年にはGDPの148%だった)。2015年のGDPの予想成長率は6.8%で、やはり2008年の9.6%から減速している。
 8月には中国のマクロ経済運営に対する世界の信頼が揺らいだ。その背景には当局による株価暴落対策の不手際や人民元のドルペッグ(連動)制の緩和が急激過ぎたことがある。世界の株式市場は大きく売られ、米国株は4年ぶりの「調整」――直近の高値から少なくとも10%の下落――を経験した。
 中国政府にとって2016年の優先課題は、過剰生産能力に苦しむ2大分野、重工業と建設から個人消費とサービスへの経済成長エンジンの移行を継続させることである。この移行は経済成長の鈍化を余儀なくするので、政府が非公式に定めた2016年の成長目標6.5%にはまず届かないだろう。
 中国政府の市場原理に対する姿勢は状況に左右されやすい、また暴落の伝染やより広範な金融危機を防ぐためなら介入を辞さない姿勢を示している。したがって中国はまたしてもハードランディング、つまり4%未満の経済成長率は回避するだろう。
 2つ目の火種は石油である。サウジアラビアは米国のシェール石油生産業者から市場シェアを奪い返すために2014年に価格戦争に踏み切った。2015年、その戦争のおかげで原油価格は31%も下げ、1バレル=36.75ドル前後となった。
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左:米FRBが利上げした12月16日の株式トレーダー、中央:昨年、世界のショッピング街で賃料がトップだった香港にある商業施設、右:サウジアラビアの油田施設 PHOTO: FROM LEFT: GETTY IMAGES, BLOOMBERG NEWS, EUROPEAN PRESSPHOTO AGENCY
 原油価格の下落はおおむね終わったが、地政学的影響、金融界への影響は継続している。それは2015年にジャンク債市場(シェール石油生産業者の主な資金調達源)をかき乱したが、2016年にはそうした企業に貸し付けている銀行も打撃を受けるはずだ。
 世界的にも原油安はすでにロシアを深刻な景気後退に陥らせ、ベネズエラの与党、統一社会党(PSUV)の過半数議席を失わせ、カナダの保守党政権の敗北にさえも貢献した。
 2016年に注目すべき国はサウジアラビアである。原油収入の急減で同国の財政赤字はGDPの15%に達した。同国政府の対応は燃料、水道、電力の補助金を削減するというものだった。しかし、モントリオールに拠点を置く調査会社BCAリサーチが警告しているように、補助金の削減には社会的緊張を招くリスクがある。
 サウジアラビアは通貨リアルをドルにペッグ(連動)させている。これは同国がFRBに続いて利上げを実施せざるを得ないということを意味している。とはいえ、一般的に輸出が減少しているときは、低金利、通貨安の方が望ましい。
 そうしたことから、ドルペッグ制の見直し、または廃止への圧力が高まるだろう。同国には依然として膨大な外貨準備高(6510億ドル)があるが、2014年8月以来減少し続けている。BCAリサーチは同国の2年物国債の利回りは米2年物国債よりも1.6%ポイントほど高いと指摘するが、リアルの売り圧力を抑えるのに十分な水準とは言えない。
 2015年と同様、FRBは2016年も市場に大きな影響を及ぼすだろう。2008年から主要政策金利の誘導目標を0%近辺に維持し続けた後、FRBは12月にそれを0.25〜0.5%に引き上げた。1年前に考えられていたよりも数カ月遅い利上げ開始となった。
 金利に関する市場とFRBの見解の相違は今も続いている。FRBの高官たちは2016年末の目標金利を1.25〜1.5%と考えているが、市場は1%を上回らないとみている。
 FRBが金融引き締め局面に入ったのは、失業率が5%に下がったので物価やコストの上昇も時間の問題と考えたからだ。アトランタ地区連銀の分析によると、一般的な労働者の賃金成長率は2014年初めの2〜2.5%から3.1%に上昇しているので、当初はFRBの判断が正しかったと評価されるだろう。同様に、FRBが重視する商務省のコア個人消費支出(PCE)価格指数(変動の大きい食品とエネルギーを除く)も現在はわずか1.3%だが、ドル、原油価格、医療費などからの物価下落圧力が弱まるに連れてじりじりと上昇するだろう。
 今や景気拡大が比較的成熟したことで、債券市場はFRBによる金融引き締めが景気を後退させてしまうのではないかと懸念している。2016年の下期にはFRBもおそらくこれに同意し、それ以上の引き締めを見送ることになるだろう。
 こうした逆風もあり、2016年は米国株にとってマイナスリターンの年となりそうだ。米国株の強気相場は今や6年半も継続しており、過去4番目の長さとなっている。
 強気相場が抱えている問題はその継続年数だけではない。その燃料も不足し始めているのだ。S&P500種指数を構成する企業の1株当たり利益は2015年に6%減少したと予想されている。エネルギーセクターの大幅な減益がなければ、5.6%増になっていたはずではあるが。
 2016年の企業収益が18%も増加するというアナリストたちの予想が的中するとは思えない。株価が割安であれば収益の冷え込みにもある程度寛容になれるが、株価は決して割安ではない。FRBによる利上げサイクルが始まった上に、S&P500種指数は1株当たり営業利益の19.5倍で取引されているのだ。
• ガソリン安、米国家計への影響は
• 米企業収益の「リセッション」到来か−今年も市場予想下振れ
• サウジ、国内燃料価格と公共料金を大幅引き上げ=報道


ハイイールド債、15年は再び名に恥じない利回り提供
By RICHARD BARLEY
2016 年 1 月 1 日 03:37 JST

 ハイイールド(高利回り)債市場では2014年半ば、新しい名称が必要なのではないかとの疑問が湧き始めていた。バークレイズによると、当時米国では利回りが5%を割り込み、欧州でも4%を下回っていた。だが15年末の現在、ハイイールド債は相応の名称を付与されていると言えそうだ。

 米利回りは8.8%と、11年以来の高水準で1年を締めくくる見通しとなっている。年間では約2.3%上昇した。欧州の利回りは5%と絶対値では高くないが、極めて低水準にある欧州国債利回りに比べれば高水準だ。

 もちろん、既存のハイイールド債投資家にとっては朗報ではない。今年は「サード・アベニュー・フォーカスト・クレジット・ファンド」の清算が市場を揺るがすなど、厳しい1年だった。

 市場の混乱は借り手にも影響を及ぼした。調査会社ディールロジックによると、10-12月期の米ハイイールド債発行額は、リーマン・ブラザーズの破綻で市場がほぼ機能不全に陥っていた08年以来の低水準となった。世界全体の発行額も今年は23%減の3665億ドルと、11年以来の低水準に縮小した。

 ハイイールド債市場は来年もさらなる試練に直面するだろう。デフォルト率は上昇する見込みで、企業の資金調達は一段と困難になる可能性がある。だが投資家は少なくとも、リスクテイクに対してより大きな報酬を得ることができている。

 ハイイールド債投資家はデフォルトに対する補償が必要なため、常に相対利回りではなく絶対利回りに注目すべきだと言える。その観点では、今年はハイイールド債が力を取り戻した1年だった。

http://si.wsj.net/public/resources/images/NA-CI321B_CAPAC_16U_20151230111813.jpg 

 


 
主要中銀の政策かい離、世界経済の試金石に
FRBが利上げを実施した12月16日のニューヨーク証券取引所 ENLARGE
FRBが利上げを実施した12月16日のニューヨーク証券取引所 PHOTO: RICHARD DREW/ASSOCIATED PRESS
By JOSH ZUMBRUN
2015 年 12 月 31 日 11:24 JST
 世界経済は2016年、主要中央銀行の政策がかい離するという異例の状況に直面する。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを続けるとみられる一方、欧州と日本の中銀は全力で金融緩和を実施しているためだ。

 投資家が米利上げを見込み始めた1年半前から、ドルはすでに25%近く上昇した。ドル高は輸出不振を招き、米国にデフレ圧力をかけ、来年の米経済を揺るがすリスクとなる可能性がある。

 キャピタル・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、ポール・アシュワース氏は「興味深い実験になる」とし、「各中銀の政策がどれほどかい離するか次第だが、米輸出がさらに圧迫されるのは確かだろう」と述べた。

 欧州中央銀行(ECB)、英中銀イングランド銀行、FRBの3中銀は1999年のユーロ発足以来、おおむね足並みを揃えて政策を展開してきた。1990年代後半は世界経済が活況を呈していたため3中銀ともに2000年にかけて利上げを実施し、01〜03年にはITバブルの崩壊を受けて揃って利下げに動いた。日本銀行さえも2000年には金利誘導目標を一時引き上げたが、01年に再びゼロ金利に戻した。

 世界金融危機の前後にもこのパターンが繰り返された。世界の中銀は06年と07年に利上げを行ったものの、リセッション(景気後退)の深刻さが明確になるにつれて金利を大幅に引き下げた。

 各国の金融政策が調和すると、通貨の過度な変動を抑えることができる。中銀が揃って利上げを実施すれば、特定の通貨に圧力がかかりにくい。だが米国の金利が欧州を大幅に上回っていれば、世界の投資家に一段のドル買いを促すことになりかねない。

上図:主要中銀の政策金利、左下図:ドルの対主要通貨レート、右下図:2006年をゼロとした輸出の変動率 ENLARGE
上図:主要中銀の政策金利、左下図:ドルの対主要通貨レート、右下図:2006年をゼロとした輸出の変動率
 政策のかい離は極めて大きくなる可能性がある。FRBは量的緩和から脱却し、12月に0.25%の利上げに踏み切った。FRB当局者らは向こう3年間に毎年1%の利上げを見込んでいる。一方、ECBは同月に預金金利をマイナス0.2%からマイナス0.3%に引き下げ、債券買い入れ措置を17年3月まで延長することを決めた。

 利上げが米経済を過度に圧迫するようであれば、FRBは利上げを一旦止めるか、方向転換を迫れられるかもしれない。ECBもFRBが緩和策を進めていた11年に一度利上げを試みたが、欧州株式市場が急落し、債務危機が悪化するなど、すぐにユーロ圏経済が金利上昇に耐えられるほど強くないことが明らかになり、利下げを余儀なくされた。

 ジョン・ハンコック・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト、ミーガン・グリーン氏は、米国でも同様の結果にならないとは断言できず、FRBは政策の転換を迫られる可能性があると指摘。「(FRBの)使命が金融安定にあるならば、資産価格の乱高下に対応する責任がある」と述べた。

 一方、欧州と日本の中銀が政策の変更を余儀なくされることも考えられる。ドル高の裏を返せばユーロ安と円安で、これは各国の経済を押し上げて製造業を活発化させ、より効果的な景気刺激策となり得る。グリーン氏は「FRBが日銀とECBの仕事を代わりにやっているようなものだ」と述べた。

 かい離が進めば米輸出企業と製造業者は特にリスクにさらされる恐れがある。米国では10年から14年にかけて、輸出の増加を背景に耐久財製造業で80万人以上の雇用が生まれた。だが15年3月以降は再び減少傾向をたどっている。

 全米製造業者協会(NAM)のチーフエコノミスト、チャド・モートレイ氏は「製造業はやや期待外れとなっている」とし、「FRBは利上げ続行の是非を判断するにあたり広範な経済情勢をみるが、それには当然ながら製造業も含まれる」と話した。

 ドル高は商品(コモディティー)価格に対する下押し圧力にもなりやすい。輸入価格の下落から恩恵を受ける企業や消費者には追い風となるが、石油業界には引き続き逆風を吹かせることになる。石油業界も14年は雇用が伸びたが、足元では縮小している。

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http://si.wsj.net/public/resources/images/NA-CI279A_OUTLO_16U_20151229182411.jpg
http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/146.html#c2

[政治・選挙・NHK198] 覚醒した政治意識を ─ 年初にあたり(永田町徒然草) 赤かぶ
2. 2016年1月01日 10:39:18 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[22]
平成28年1月1日
安倍内閣総理大臣 平成28年 年頭所感

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 あけましておめでとうございます。

 「石の上にも三年」

 東北の被災地では、災害公営住宅への入居が進んでいます。新たな産業の芽も育ち、復興は、新たなステージに移ろうとしています。

 地球儀を俯瞰する視点で展開してきた、平和外交、そして経済外交も、大きな実を結びつつあります。平和安全法制によって、あらゆる事態に万全の備えを行い、戦争を未然に防ぐ。私たちの子や孫の世代に、平和な日本を引き渡していく基盤を築くこともできました。

 そして、20年近く日本経済を低迷させる原因となってきた、デフレとの闘い。この3年間、経済の再生に、全力を挙げてきました。

 その結果、雇用は100万人以上増え、17年ぶりの高い賃上げ。昨年、青森、秋田、徳島、高知、福岡、熊本、沖縄の7県で、有効求人倍率が過去最高を記録するなど、地方創生も着実に進んでいます。

 もはやデフレではない。私たちは、3年間で、そういう状況を創ることができました。

 すべては、安倍政権の改革に、ご理解とご協力を賜り、大きな力を与えて下さった、国民の皆様のおかげです。4年目の年頭にあたり、改めて、心より感謝申し上げたいと思います。

 「築城三年、落城一日」

 政府には、常に、国民の厳しい目が注がれている。そのことを肝に銘じ、さらに高い緊張感を持って、政権運営にあたっていかなければならない。その思いを、新年にあたって、新たにしています。

 本年、新たな挑戦が始まります。

 「少子高齢化」という構造的な課題に、真正面から、立ち向かう。「一億総活躍」社会への挑戦です。

 半世紀前、初めて、日本の人口が一億人を超えました。高度成長の真っただ中で、頑張った人が報われる、今日よりも明日はもっと豊かになる。その実感があった時代です。

 半世紀後の未来でも、人口一億人を維持する。お年寄りも若者も、女性も男性も、一度失敗を経験した人も、難病や障害のある方も、誰もが、もう一歩前に踏み出すことができる。「一億総活躍」の社会を創り上げることは、今を生きる私たちの、次世代に対する責任です。

 「戦後最大のGDP600兆円」、「希望出生率1.8」、「介護離職ゼロ」という3つの明確な「的」を掲げ、新しい「三本の矢」を放ちます。いよいよ「一億総活躍・元年」の幕開けです。

 いずれも、最初から設計図があるような、簡単な課題ではありません。困難は、もとより覚悟の上です。しかし、「未来」は、他人から与えられるものではありません。私たちが、自らの手で、切り拓いていくべきものであります。

 そのスタートを切る本年は、挑戦、挑戦、そして、挑戦あるのみ。未来へと、果敢に、「挑戦する一年」とする。その決意であります。

 本日から、日本は、国連安全保障理事会の非常任理事国に就任し、世界の平和と安定に大きな責任を担うこととなります。さらに本年、伊勢志摩に、世界の主要なリーダーたちを招き、サミットを開催します。日本とアフリカの首脳たちが一堂に会するTICADも行います。日中韓サミットも日本が議長国です。

 日本が、まさに世界の中心で輝く一年であります。

 不透明さを増す世界経済、テロとの闘い、貧困や開発の問題、さらには、気候変動。世界は、常に、様々な課題に直面しています。より良い未来、より良い世界を築くための、国際社会による挑戦に、終わりはありません。

 そうした世界の中にあって、日本は、しっかりとリーダーシップを発揮してまいります。

 最後に、国民の皆様の一層の御理解と御支援をお願い申し上げるとともに、本年が、皆様一人ひとりにとって、実り多き、素晴らしい一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。

平成28年1月1日
内閣総理大臣 安倍 晋三
http://www.asyura2.com/15/senkyo198/msg/900.html#c2

[経世済民104] 年収2百万円未満の人、安価な米・パンに食偏重で病気も…肉・野菜の摂取少(Business Journal) 赤かぶ
3. 2016年1月01日 11:03:23 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[23]

野菜やタンパク質が高すぎるのが問題

これでの穀物自給優先、特に票田であった既得権層の兼業米農家偏重は止め、


野菜、豆、鶏、魚養殖などの大規模生産者へ厳しい監視と引き換えに

補助金を給付することが望ましい



http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/143.html#c3

[経世済民104] ゆうちょ銀行に「大量満期」襲来の一大事(週刊新潮) 赤かぶ
1. 2016年1月01日 16:38:54 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[24]

ゆううちょ銀は、国債など債券運用を中心とする単なる国策投資ファンドであって、経済発展にとってほとんど意味はないし、現在、預金は余っている。

アベノミクスの停滞(成功?)で、国債発行が減っていくので、ゆうちょからの放出増は日銀の緩和政策にとってプラス。

つまり預金流出が続き、最悪、潰れてしまっても全く問題はない。

http://www.jp-bank.japanpost.jp/aboutus/financial/pdf/zim2015q4_gaikyo.pdf
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL15HIK_V10C15A5000000/
ゆうちょ銀、国債保有を20兆円減らす 運用比率は51.8%に低下

http://www.jkri.or.jp/PDF/2015/Rep142furukane.pdf

限界近い日銀の量的・質的金融緩和 
 
日銀の国債保有比率急上昇で市場の流動性低下の懸念

http://www.japantax.jp/iken/file/20151228_2.pdf
一億総活躍社会に必要なのはワーキングプア対策

物価と賃金
日銀は注目された10月末の金融 政策決定会合で、2%の物価目標 の達成時期を従来の「2016年度前 半」から「16年度後半」に遅らせ たにも関わらず、追加金融緩和を 見送った。黒田東彦総裁は「コミ ットメントに変わりはない」とし、 あくまでも早期達成にこだわる姿 勢を強調するが、頼みの賃金は上 昇ペースが期待を大きく下回って おり、金融政策の手詰まり感が強 まっている。
「賃金が上がらずに物価だけが 上がることはない」。黒田総裁は 賃金と物価は連動して上昇すると 主張する。逆を返せば、物価目標 の達成には賃金上昇が欠かせないということだ。労働市場の硬直性 が強い日本では、賃金改定は春闘 の時期に集中するため、黒田総裁 も「今後の春闘交渉を重大な関心 を持って見守る」と注目する。

昨年10月のサプライズ緩和は、 表向きは原油安や個人消費の低迷 で、物価の基調を大きく左右する 予想物価上昇率が低下するリスク が強まったため実施したとされ る。しかし政策委員の1人は「春 闘交渉に影響を与えるには、あの 時期に追加緩和するしかなかっ た」と説明。真の狙いは賃金への 働きかけだったと打ち明ける。
16年春闘では、自動車や電機の 労組からなる金属労協はベアの統 一要求を「3千円以上」とする方 向で、15年の「6千円以上」の半額程度にとどまる見通しだ。足元 の物価がマイナス圏で低迷してい ることや業績不振な一部企業に配 慮した結果だ。このまま行けば全 体の賃金上昇率は今年を下回るの は避けられず、物価上昇ペースも 一段と鈍る可能性が高い。
日銀は春闘交渉が期待はずれに 終わった場合、どう行動するのか。 過去最高水準の企業業績が雇用・ 所得環境の改善につながり、緩や かな物価上昇をもたらすというシ ナリオは崩れ去ることになり、常 識的には追加緩和が必要との結論 になる。しかし打てる手は限られ 効果も不透明なのが現実で、日銀 は苦しい立場に追い込まれること になりそうだ。
http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/152.html#c1

[自然災害21] トカラ列島近海の地震と桜島噴火 taked4700
1. 2016年1月01日 18:36:09 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[25]

>大地震の発生直前の地震数の減少があまり観察できない

所詮、地震数の変動から、巨大地震や噴火を予知しようとしても、ほとんど期待できないという当然の結論か


http://www.asyura2.com/15/jisin21/msg/197.html#c1

[経世済民104] 遺伝子「組み換えでない」にダマされるな!使用隠蔽が横行、食肉の飼料は100%(Business Journal) 赤かぶ
2. 2016年1月01日 18:58:22 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[26]

>遺伝子組み換え食品として販売されるケースがあるといわれています。たとえ5%でも、その安全性が確定しているわけではない

遺伝子組み換え食品に限らず、安全性が確定している食品など存在しない

無駄な心配をする暇があったら、まず暴飲暴食やたばこは止め、

野菜や魚をとって、規則正しくストレスをためない生活をし

きちんと適度に運動する方が100万倍有効だろう


http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/144.html#c2

[経世済民104] 全国民に月額11万支給で話題のベーシックインカムの罠…国民をどんどん貧困に(Business Journal) 赤かぶ
5. 2016年1月02日 08:35:00 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[27]

BIに限らず、社会保障支出の拡大で、貧困解消に成功するかどうかは、その国の産業構造と生産性次第。

ボリビアのような資源頼みの貧困国で行えば、市況次第で悲惨なことになる。

現在の日本であれば、既にデフレを脱却し、食糧などではインフレが高まっているから

働かず年金も生活保護も得られない底辺層は救われても、インフレ加速による全体としての貧困化は加速するだろう。

既得権者である年金高齢者や、予備軍である多くの中流世帯が反対するから、国民の合意形成は無理だろう。

http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/171.html#c5

[経世済民104] 全国民に月額11万支給で話題のベーシックインカムの罠…国民をどんどん貧困に(Business Journal) 赤かぶ
6. 2016年1月02日 08:41:48 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[28]
>>05 ボリビア

べネズエラ

http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/171.html#c6

[経世済民104] 2016年日本経済の課題~アベノミクス新三本の矢を考える(ZUU) 赤かぶ
2. 2016年1月02日 08:49:43 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[29]

安倍政権のイニシアティブで「消費力」喚起へ、日経平均2万4000円も
2016.1.2(土) 武者 陵司
謹賀新年 2016年 From 武者リサーチ
「消費力の国際競争」が2016年のテーマとなるでしょう。IT革命とグローバリゼーションによる世界的な生産性上昇が進展しています。企業が超過利潤を得る一方、労働と資本の余剰は深刻です。その解決には「消費力の向上=生活水準の向上」が鍵となります。
 いち早く米国では国民のサービス消費力が向上し、ほぼ失業が解消、ゼロ金利解除を果たしました。欧州では空前の貯蓄余剰(経常黒字)が積み上がる一方、南欧で消費力の立ち遅れが顕著です。
 日本では企業の内部留保が空前規模に膨れ上がる一方、政府の賃上げキャンペーンも功を奏さず、消費力は停滞しています。政策のイニシアティブに期待が高まる局面ですが、安倍政権の実行力には期待が持てそうです。
 他方、中国は所得配分の壁が、投資から消費への転換を阻んでいます。改革は困難、しかし財政と金融の弥縫策で景気の底割れ回避の努力が行われ、不安はあるものの一定の経済安定化が期待されます。
「消費力」の振興には、制度改革が必須です。また民主主義の成熟度合いが問われます。各国の経済力の強さ、資本主義の健全さが「消費力」によって検証されようとしているのです。当然投資機会もそこにあるはずです。市場経済の合理性、正当性も問われます。
 2016年が新たな世界繁栄の入り口でありますように、皆様の投資活動が実りの多いものでありますように。
武者 陵司
(1) 政策がサプライズをもたらす可能性は高い
失速気味の経済と株価、世界投資家の期待減衰
 2016年の世界経済では、IT革命の下で将来の展望が切り開かれつつある米国と、過剰投資の後遺症で急失速している中国との相克、がモチーフをなすだろう。
 両者の狭間にある日本経済は、2014年の消費税増税の後遺症、中国経済不振のあおりを受けている。鉱工業生産の回復は2014年以降、完全に頭打ちとなっており、日銀短観による業況見通しも先行きについて緩慢な悪化と予想されるなど、アベノミクススタート当時の力強さは減衰しつつある。また、株価も2015年8月の中国為替切り下げをきっかけとした世界株安以降、上昇力が失われ、世界投資家も日本株に失望、日本株式投資比率を引き下げる動きもみられる。
 しかし他方で、企業業績は史上最高で2015年度は15%程度の増益が見込まれている。また企業の内部留保(利益剰余金)は350兆円に達するなど、10年前には大問題であった日本経済の「稼ぐ力」は大きく復元している。ここにある企業所得をいかに広範な需要創造につなげ、成長率の加速を図り、デフレ脱却を確実にするか、政策の発動が強く求められる局面である。
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政策が市場を驚かせる能力健在、むしろ高まる
 安倍政権のイニシアティブが再度待たれる場面であるが、それは期待できるのではないか。何よりも重要なのは、安倍首相がデフレ脱却と成長復元(2020年GDP600兆円)に対して強い決意と実行力を持っていることである。
 2016年は金融・財政の両面から、シニカルに見ている市場を驚かせる政策が打ち出されるだろう。2012年11月からのアベノミクス相場第一弾、2014年10月からのQQE2(量的金融緩和第二)相場に次ぐ、第三の政策発動をきっかけとする上昇相場が想定できるのではないか。
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QQE3必至に、黒田政策懐疑論を払しょくへ
 金融政策面では2%インフレ目標の達成が後ずれし、市場では失望感が強まっているが、日銀は12月末に新金融補完措置(買い入れ国債の償還期限延長等)を打ち出し、さらなる量的金融緩和(第三弾)に道を開いた。より長期の国債を買い入れることでさらなるベースマネーの増加が可能になる。
 しかし、新金融補完措置の発表が実効の乏しい兵力の逐次投入であると見なされ、株価は乱高下した。また、エコノミストのコンセンサスでは2%のインフレ目標達成は困難とされる中で、円ドル124円はかなりの円安と為替水準に言及したり、2014年には消費税増税の遂行を主張する黒田氏に対し、その毅然たる決意を市場は疑うようになっている。2%インフレが絶対目標であり、為替水準や増税などは主目的に対する従属要因(または主目的を達成するための手段)であるはずなのに、従属要因が主目的を阻害しかねない、と市場は疑い始めている。
 そうした市場の懸念を放置しておくわけにはいかず、次のアクションによって払しょくされるだろう。「量的金融緩和は無力であり失敗した、政策を変えるべきだ」という多くの専門家の主張を、黒田総裁は容認することは絶対できない。早晩量的金融緩和第三弾が打ち出されるのではないか。
増税財政再建から成長財政再建へ
 また財政面では、新年の補正予算、財政出動に加えて、消費税増税の延期などが俎上に上るのではないか。
 安倍首相は2017年4月から予定されている消費税2%引き上げ(5兆円弱の増税効果)に際しての軽減税率適応範囲を拡大させ、増税負担の軽減を図った。
 そのプロセスでは、世論を誘導し増税推進の既成事実化を図ってきた財務省当局とその代弁者である自民党の税務調査会の指導力を大きく希薄化し、官邸イニシアティブを確立した。安倍首相は2014年12月の総選挙により2015年10月に予定されていた消費税増税を1年半延期したことが正解であったことに、強い自信を持っている。もし予定通り実施されていたなら、日本経済は再度リセッションとデフレに逆戻りし、アベノミクスは失敗、国家100年の計は水泡に帰していたかもしれない。増税推進を主張した財務省、多くの学者とエコノミストは深刻に反省しなければいけない。
 今後、米国のように予算作成権限を官僚(財務省)から議会(米国では議会予算局CBO)と官邸(米国では大統領府下の行政管理予算局OMB)へと移行させる方向が見えてくるのではないか。
 さしあたっては、20兆円近くに達すると推計される外国為替特別会計の巨額の余剰金などを活用した財政の積み増しが予想される。また場合によっては、2017年の消費税増税が棚上げされることも考えられる。
 以下のようなバランスの取れた議論が台頭している。(1)2017年4月に延期された次期の増税実施も慎重でなければならない、(2)デフレ脱却と成長復元を取るか、2%の消費税増税を取るかでは、長期財政バランスの観点から前者の方が望ましい、など。
 安倍政権は遅かれ早かれ(消費税増税前か後かは別にして)「増税による財政再建路線から成長による財政再建路線へ」と舵を切るだろう。2016年度予算案によると、アベノミクススタート前の2012年度から4年間で税収は13.6兆円増加、内消費税要因6.3兆円、その他(主に成長要因)7.3兆円となっており、財政再建に成長が最も有効なのは明らかである。
 7月に予定されている参議院選挙が衆参両院選挙となる可能性も高まっており、年前半の金融・財政面での経済テコ入れは、市場の予想を上回るサプライズになる可能性がある。
(2) 稼ぐ力を取り戻した今、日本に喫緊の株式評価問題
株高はアベノミクス成功への必須の経路
 米国好調、中国不振の狭間にあって、日本株高はデフレ脱却を掲げるアベノミクスの必須の経路と言える。
 日本において特に大きい過剰貯蓄は、様々な金融資産間の投資リターン格差を著しく広げている。預金金利はほぼゼロ%、国債利回りは0.3%、配当利回りは2%、REITは3%から6%、株式の益回りは7%、そして過去に投資した事業のリターンは10%以上、と大きく開いている。つまり、同じお金を投下してもリターンには極端なギャップがある。これが今の日本の貯蓄の大きな特徴であるが、リターンが著しく低い預金と国債に日本の国民貯蓄のほぼ7割が吸収されているのである。これはアベノミクスとの関連で、日本の政策への大きなインプリケーションを持っている。
 日本経済の課題は、2000年ごろの企業の稼ぐ力の衰弱ではもはやない。企業の稼ぐ力は大きく向上し、企業収益は史上最高となっている。にもかかわらず、景気が思わしくないのは、企業の儲けが実際の需要に結びついてないからである。
 企業は収益のかなりを内部留保としてため込み、配当にも給料にも投資にも回していない。この企業の利益をいかに需要につなげるかが重要な課題になっていることは、安倍政権が一貫して主張していることである。
 しかし、安倍政権が求める3%程度の賃上げでは企業の大幅な貯蓄余剰は解消できない。では政府が借金による財政需要を大きく創造すればいいかというと、ほとんどの官僚や学者は政府の借金に反対であるから、それも容易ではない。ということは、企業が儲かったまま、経済は良くならず、日本の経済体質がどんどん悪化していくのを見過ごすしかないのだろうか。
 最重要のチャンネルはおそらく、日経平均が4万円になることなのではないか。日経平均が4万円になると今600兆円ある日本の株式資産が1200兆円になり、3割の外国人持ち分を除いても400兆円、日本人の財産が増える。400兆円というのは国民1人あたり400万円、そのごく一部が消費に向かうだけでも大きな資産効果、経済浮揚効果をもたらすだろう。景況感は一変し、人々のアニマルスピリットは大いに喚起されるに違いない。
 では、日経平均4万円になったらバブルか、モラルハザードかというと、まったく違う。今7%株式の益回りは3.5%まで低下し、今2%の配当利回りが1%に低下するが、それでも国債利回りの3倍以上であり、国債や預金のリターンと比較すると決して割高とは言えないことは明白である。また、留保利益の増加自体が株式価値を高める要素であり、(賃上げや増配がなくても)株価上昇が広範な購買力引き上げをもたらす、という連鎖の経路もあり得る。
日本のオウンゴール、不必要かつ有害だった資産デフレ
 つまり日経平均4万円になるだけで多くの問題が解決するということもあり得るのである。
 なぜこのようなことになるかというと、実は日本の異常な長期デフレの最も重要な原因の1つが、株価と不動産の理屈に合わない過度の下落であったからである。そのおかげで不必要な不良債権の処理や、値下がりの損失を引き起こし、それが日本経済や日本企業に過剰な負担を与えた。資産価格のミスプライシングの復元、つまり過剰値下がりの是正ということは当然であり必要なことなのである。
資産インフレなくして2%インフレ無し
 バブル崩壊後に半減した住宅・不動産価格や株価を放置するなどということは、日本以外のどの国でも起きていない。株価など資産価格の水準をなるべく高く維持し、経済心理を壊さないのが普通の金融政策だ。日本はそれを徹底的に壊した。明らかに政策のミスマネージメントだった。
 株価重視の発想に対しては、投機をする人たちや富裕層だけを潤し、格差拡大を招くとの批判があるが、結局のところ、人々が注目する経済の体温は株価だ。株高は紛れもなくアベノミクス成功の重要な経路である。
 安倍首相と黒田日銀総裁は2013年以降がそうであったように、大方の学者やメディアの批判に惑わされることなく断固として資産価格重視の(あえて言えば資産インフレ誘発の)政策を推し進めるべきである。
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(3) 世界経済は消費力に焦点が
米国で見られる新時代の消費力
 2006年以来9年ぶりの米国の利上げは、米国経済がリーマン・ショックの後遺症を完全に払しょくした自信の表れと言える。
 リーマン・ショック後の大不況の困難は、2000年以降のIT革命の進行による生産性の上昇により生まれた余剰労働力、余剰資本が2007年まで建設部門(=バブル産業)に吸収されていたものが、バブルの崩壊により一気に顕在化し、戦後最大の失業・賃金停滞とカネ余り・低金利を引き起したことにある。この労働力と資本の余剰が辛抱強い量的金融緩和により、ほぼ解消しつつある。
 失業率は2009年のピーク10.0%から直近では5.0%まで低下した。また米国企業のフリーキャッシュフローを見ると、2000年以降の大幅な余剰がほぼなくなっている。設備投資額の増加が好調なキャッシュフローに追いついてきたためである。
 さらにようやく労働賃金が上昇し始め、2000年以降急低下していた労働分配率が底入れから上昇に転じ始めた。この労働分配率の低下こそ、企業収益を歴史的水準に押し上げた主因であり、企業の過剰貯蓄の根本原因でもあった。
 米国の雇用がどこで増加したのかを図表7で見ると、教育医療、専門サービス、娯楽観光など、ひとえに個人向けサービス分野であることが鮮明である。IT革命の下でのイノベーションと個人のライフスタイルの向上が進行し、個人向けサービス需要が急増しているのである。情報化時代の新ビジネスモデルと新ライフスタイルが垣間見える。在宅勤務、ビジネスマンの兼業の一般化、アウトソーシングの一般化、新ネットワークビジネスの誕生、ネットによる物流が主チャンネルになりつつあることなどにより、一層の個人生活のフレキシブル化が進行している。実際、米国の個人消費をけん引しているのがサービス分野であることは、ISM非製造業指数の上昇を見ても明らかである。
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 企業収益段階にとどまっていたIT革命の成果がようやく個人のライフスタイルを変え、生活水準の一段の向上に結び付きつつあり、それは米国において歴史を画する情報ネット新時代の萌芽が見られ始めていると評価できる。
 米国においてはデフレに陥る危機は去ったと考えられる。米国の長期金利が日欧のそれを1%以上、上回って推移しているのはそれを如実に示している。それは米国株式の高バリュエーションにも表れている。2015年12月16日の9年ぶりの米国利上げを可能にしたものは、そうした労働余剰と資本余剰の顕著な減少であった。
 2016年は米国流の新ライフスタイルの向上と個人生活水準向上が、ユーロ圏や日本などの先進国に伝播していくものと見られる。日本では2016年度予算にみられる子育て支援関連、三大都市圏の物流ネットワーク整備、介護施設・人材関連などの目玉が盛り込まれ、消費力を高める配慮がうかがわれる。
(4) 再度日本株式に注目が集まる公算大
デフレ=低バリュエーションか、インフレ=高バリュエーションか
 適切な政策イニシャティブを前提とすれば、世界の他国で有利な投資対象が見当たらなくなる中で、日本株式は最も魅力的資産となり得るのではないか。
 日米欧の先進国間で、最も経済が強いのは米国であることは論を待たない。だが、米国の株価は既に大きく上昇してきたため、上値余地は小さい。それに対し、日本株のPBR(株価純資産倍率)などのバリュエーション(株価評価)は、先進国最低水準で割安さが際立つ。それは日本が世界で唯一長期デフレに陥り、名目経済の収縮を前提とした株式バリュエーションが定着してきたからである。
 しかし今、デフレ脱却が確実となる過程で、株式バリュエーションは大きく転換することになる。そうしたパラダイムの転換(価値観の転換)に伴う価格変化こそ、最も大きな投資チャンスであることは論を待たない。
 上値余地から考えると、日本株は最も魅力的な市場となっている。アベノミクス相場が始まって以降、株価は最大2.4倍となったが、企業の大幅増益により、割安感は薄まっていない。中国経済次第という側面はあるものの、2016年の日経平均株価は2万4000円を目指すだろう。
 過去20年間に主要国の名目GDPが3倍、4倍と成長する中、日本経済だけが麻痺したかのように成長が止まっていた。その日本が20年間の雌伏の時を超えて復活しようとしていることに疑いはない。
(*)本稿は、武者リサーチのレポート「ストラテジーブレティン」(第153号・2016年1月1日)からの転載記事です。
(*)本記事の情報に基づく損害について株式会社日本ビジネスプレスは一切の責任を負いません。投資対象および銘柄の選択、売買価格などの投資にかかる最終決定は、必ずご自身の判断でなさるようにお願いします。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45689 

 

FT執筆陣が占う2016年の世界
恒例の大予測:原油価格から米大統領選、サッカー欧州選手権まで
2016.1.1(金) Financial Times
(2015年12月31日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

2016年はどんな年になるのか (c) Can Stock Photo
 新年が手招きする中、本紙(フィナンシャル・タイムズ)は今再び、向こう12カ月間の出来事を予測する恒例の儀式にふける。本紙の専門家と解説者が普段の慎重さを封印し、米国の大統領選挙からサッカーの欧州選手権(ユーロ2016)に至るまで何が起こるかを予想する。

 その前に、1年前の予測の結果をざっと見てみよう。

 エド・クルックスは原油価格の続落を正確に予測した。原油価格がすでに半値になった年の終わりだけに、これは勇気ある予想だった。

 マーティン・ウルフは欧州中央銀行(ECB)が全面的な量的緩和(QE)を導入すると予測し、その通りになった。

 クライブ・クックソンは、2015年末までに西アフリカのエボラ出血熱が根絶されるとの予想を的中させた。ギデオン・ラックマンは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナや欧州で別の地域を併合することはないと述べていた。2014年末の時点でそう公言していた向きは多くなかった。

 外した予測も1つあった。1年前には、英国の総選挙はハングパーラメント(宙づり議会)に終わると予想した向きが多く、本紙のジョナサン・フォードもその1人だった(おまけに彼は挙国一致内閣が作られるとさえ書いていた)。

 これ以外では、本紙は予測の内容ではなく、どんなテーマについて予測をするのかという問題設定でつまずいた。具体的には、「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」の支援によるテロがフランスで発生することを予測できなかったし、ロシアがシリアで軍事行動を取ることも、移民危機が欧州連合(EU)にとって深刻な脅威になることも予測していなかった。2016年にも、まだ本紙の想像を超えている出来事が起こるのだろう。

(James Blitz)

■ヒラリー・クリントン氏は米国大統領選挙に勝利するか。

 答えはイエスだ。大統領選は流れがころころ変わる選挙、そして記憶にある限り最も見苦しい戦いになるだろう。クリントン氏は共和党の候補者テッド・クルーズ氏から、性格の面で欠点があるとか米国の敵と対峙したときに弱腰になるといった批判を受けるだろう。多くの有権者が、クリントンという名前を今日の米国の悪いところ――そして堕落しているところ――すべての象徴だと見なすだろう。

クリントン氏、領事館襲撃を議会で証言 共和党の攻勢に対抗
ヒラリー・クリントン氏がホワイトハウスの主になるか〔AFPBB News〕
 だが、選挙というものの勝敗は、まだ中道(あるいは中道の残骸)で決している。クルーズ氏は、ホワイトハウスの主になるには平均的な有権者よりあまりに右寄りすぎるということになるだろう。

 世論調査での際どい接戦にもかかわらず、クリントン氏は選挙人団の投票では地滑り的な勝利を収めるだろうし、民主党は議会上院の主導権を奪い返すだろう。しかし、大統領としての第1期は、ひどく2極化したワシントンで始まることになる。「ハネムーン*1」はないだろう。

(Edward Luce)

*1=就任後100日間、議会やメディアが大統領批判を手控える期間のこと

■2016年に予想される国民投票で英国はEU離脱を選択するのか。

 答えはノーだ。国民投票ではEU残留が選択されるだろう。といっても熱意や高揚感を伴った判断ではなく、英国の有権者がもともと持っている良識が最終的に勝るためだ。

 デビッド・キャメロン首相が再交渉で好条件を引き出せるかとか、ブリュッセルへの拠出金を投資や貿易の規模拡大で取り戻せるかといった細かい話はこの際忘れ、離脱論と残留論の主唱者が誰であるかを考える必要がある。

 結局のところ有権者は、ジョン・メージャー元首相が冷静に説いた論理と、英国独立党(UKIP)のナイジェル・ファラージ氏のポピュリズムのどちらかを選ぶことになるのだ。

 筆者はメージャー氏の方に賭ける。もしこの予想が外れたら、英国は本当に不穏な時代に直面することになる。

(Philip Stephens)

■バシャル・アサド大統領は12カ月後も権力を保持しているか。

 保持している。アサド氏は2016年も、名目上はシリアの大統領であり続けるだろう。実際にはもう国家の支配者ではなく、最大の地方軍閥の地位に滑り落ちているとしても、だ。

シリア大統領一族の有力者が殺害される、民兵組織の創設者
シリアのバシャル・アサド大統領〔AFPBB News〕
 軍事面では、敵である反体制派を標的に据えたロシアの軍事介入という支援材料を得ている。政治的には、数週間前に合意された米国とロシアの計画で18カ月間の移行期間が想定されており、その計画自体もリスクをはらんでいる。

 和平プロセスに弾みがついた場合でも、アサド氏はこれを遅らせ、ダマスカスの権力の座にとどまるべく全力を尽くすだろう。

(Roula Khalaf)

■イングランド銀行は2016年についに利上げに踏み切るか。

 踏み切らない。イングランド銀行は2016年の大半を通じて利上げをちらつかせ、市場をじらすだろうが、最終的には実行しないだろう。決断の先送りにはそれなりの理由がある。まず、インフレ率は0%からごくゆっくりとしか上昇しないだろうし、賃金の伸びも弱々しい。原油価格は下がっている。財政赤字の削減も好景気の到来を妨げるだろう。

イングランド銀行、インフレ背景に政策金利を5.50%に - 英国
イングランド銀行はどう出るか〔AFPBB News〕
 また、イングランド銀行は政策金利について考える前に、信用規制に関する新たな権限を試したがっている。

 さらに、インフレ率が目標値をしばらくの間上回ることがあっても、その影響は限定的だ。

 2016年の後半には行動する決断を下すかもしれないが、仮に決断したとしても、大した変化は生じないだろう。金利に関する限り、英国は2016年以降もしばらくの間、マーク・カーニー総裁の言う「低位が長引く」世界にとどまることになる。

(Chris Giles)

■2016年には主要20カ国・地域(G20)から国際通貨基金(IMF)に支援を要請する国が少なくとも1つは出るか。

 出るだろう。同じG20でも、先進国のメンバーは救済を必要としない。公的債務の規模を考えれば、唯一候補になり得るのはイタリアだが、この国は金融の量的緩和をはじめとするECBの施策に守られている。

 G20には新興国も10カ国含まれている。その中には、コモディティー価格の急落で打撃を受けているところがある(アルゼンチン、ロシア、サウジアラビアが典型例だ)。

 巨額の経常赤字を出しているところもある(ブラジルや南アフリカとともに、再び思い浮かぶのがサウジアラビアだ)。

 インドと南アフリカはともに、財政赤字が結構多い。また、ブラジルなどその他の国は、財政赤字こそ小さめだが、公的債務の負担は大きい。

 このような不安定要因がすべて該当するのはアルゼンチン、南アフリカ、ブラジルの3カ国だ。この3カ国はストレスにさらされており、最近、財務大臣が交代している。また、アルゼンチンでは新政権が新しいアプローチを公約している。IMFの準備はできている。これらの国々の少なくとも1つがIMFに救済を要請するだろうか? その可能性は高いように思われる。

(Martin Wolf)

■アンゲラ・メルケル氏は2016年末にもドイツ首相の座にとどまっているか。

 答えはノーだ。先日の与党・キリスト教民主同盟(CDU)の党大会ではメルケル氏を称えるスタンディングオベーションがあったが、2016年は、同氏が首相として国を率いた長い時代が終わる年になりそうだ。

メルケル独首相、国内流入難民数の削減誓う 具体数には触れず
10年を超えたアンゲラ・メルケル首相の在任期間も終わりが近いのか〔AFPBB News〕
 2015年だけで約100万人もの難民がやって来たことによるプレッシャーにもかかわらず、あのようなスタンディングオベーションが見られたことは、メルケル氏の雇用が安泰であることの決定的な証拠のように思われた。

 しかしメルケル氏は、受け入れる難民の数を来年は減らすと約束している。そして、この約束は果たすことができそうにない。密航業者の手を借りて必死に逃げのびてきた移民の流入が続くからだ。

 首相の勇気と道義的なリーダーシップに対する称賛は、不確実性と不平不満に取って代わられるだろう。最初に亀裂を入れるのは、押し寄せてくる難民の数をさばききれないと断言している地方政府の反発かもしれない。もしそうなれば、ついにCDU内からメルケル氏に挑む動きが出て、その座が揺らぐことになるだろう。

(Gideon Rachman)

■サッカーの欧州選手権(ユーロ2016)で勝つのは誰か。

 ベルギーが勝つ。最近の国際サッカー連盟(FIFA)ランキングによると、ベルギーは世界最高のチームだ。この難解な係数はベルギーの質を誇張しているが、法外な差で誇張しているわけではない。スカウトと指導の高度なシステム――そして移民に対するリベラルな帰化政策――を通じて、脆い政府の下にあるこの小国はエリート選手を続々と生み出してきた。

アザールの決勝点で本大会に王手!ベルギーがキプロス破る 欧州選手権予選
2016年欧州選手権で優勝するのは、ずばりこのチーム?〔AFPBB News〕
 ベルギーはエデン・アザール、ケビン・デブライネ、ロメル・ルカクの攻撃トリオを投入できる。この3人は合計した市場価値が1億5000万ポンドに達するイングランド・プレミアリーグのスター選手だ。

 ドイツのチームはより経験豊富で、スペインのチームはより結束力があるが、技術的な質そのものにおいてベルギーに欠けるものはほとんどない。フランスが開催国であることから、ホームアドバンテージに似たものもある。

(Janan Ganesh)

■ブラジルのジルマ・ルセフ大統領は、オリンピック(五輪)がリオデジャネイロで始まる前に弾劾されるか。

 答えはノーだが、際どい情勢になるだろう。今のところ、ルセフ氏は恐らく議会で弾劾手続きを阻止できるだけの支持を得ている。しかし、時間が経てば経つほど、ブラジルの景気後退が悪化し、大統領の政治的な支持が低下していく。

 たとえ下院が投票で手続き開始を決めたとしても、弾劾手続きが始まるのは恐らく2月10日になってからだろう。

 その後、複雑な手順に丸180日かかると仮定すると、ルセフ氏は8月半ばに弾劾される可能性がある。これは五輪が8月5日に正式に始まった後になる――やれやれ――が、8月16日の高跳びの決勝にはまだ間に合うタイミングだ。

(John Paul Rathbone)

■中国は新年に人民元を大幅に切り下げるか。

 イエス。中国には、2016年に対ドルで人民元を安定させておきたいと考える妥当な理由がある。商品貿易の多額の黒字、莫大な外貨準備、そして「レッドバック(人民元の呼称)」が立派な準備通貨であることを世界に示そうとする願望だ。

人民元と円の直接取引、6月1日から開始 安住財相
米ドルの「グリーンバック」という呼称にひっかけ、「レッドバック」と呼ばれるようになった人民元〔AFPBB News〕
 だが、人民元はやはり、現在の1ドル=6.48元前後から約7元まで下げる可能性が高い。米ドルが米連邦準備理事会(FRB)の継続的な金融引き締めに支えられる一方で、低迷する中国経済は恐らく、新年に少なくとも2度の利下げが必要になるからだ。

 そのために中国からの資本流出は高水準が続き、通貨に下落圧力がかかる。人民元の軌道は滑らかなものにはならないだろう。2016年は多分に、中国の通貨にとって最も振れの大きい年になる。

(James Kynge)

■ジェレミー・コービン氏は今から1年後も英国労働党を率いているか。

 イエス。それも複数の理由がある。1つ目は、労働党の議員はそうではないとしても、党員の大半が続投を望んでいることだ。世論調査における労働党の成績不振にもかかわらず、一般党員は党が取っている方向性に満足しているように見える。

 そのうえ労働党議員の生来の忠誠心がある。保守党と異なり、労働党は「暗殺」を得意としたことがない。また、いずれにせよ、今その可能性が高く思えるように、コービン氏が労働党の不明瞭な党首選規則を変更し、何があろうと現職が候補者名簿に載るようにすれば、どんな挑戦もひいき目に見ても非現実的だ。

平和主義を掲げる最後の労働党党首だったジョージ・ランズベリーを1935年に退任に追い込むには、アーネスト・ベビンの全力を挙げた弁舌が必要だった。当時、労組のリーダーだったベビンは、ファシズムに立ち向かうよう党を説得した。今日の労働党にはまだ、ベビンがいない。2016年に姿を現すことはなさそうだ。

(Jonathan Ford)

■アベノミクスは2016年に失敗するか。

安倍首相、アジアに1100億ドル投資を表明 AIIB資本金上回る
アベノミクスは害よりも大きな利益を日本経済に与えてきた〔AFPBB News〕
 答えはノーだ。アベノミクスの実績はまちまちだが、全体としては、日本経済に害よりも大きな利益をもたらした。この状況は2016年も続くだろう。

 確かに、中心となる目標――インフレ率を2%に引き上げること――は達成できなかった。石油価格が急落したために、通常の尺度で測ったインフレ率はまだゼロ近辺で推移している。

 安倍晋三首相率いる政府は、消費税を早計に引き上げることで問題を悪化させた。消費者が支出してくれることを望んでいたまさにそのときに、人々のポケットからお金を奪ってしまったのだ。

 だが、アベノミクスの全般的なリフレ目標は、うまくいっている。

 エネルギー価格を除外すると、インフレ率は約1%だ。名目国内総生産(GDP)に対する比率では、公的債務の増加は止まった。日本企業は記録的な利益を計上している。

 安倍氏の問題は、2017年に消費税を再び引き上げると誓ったことだ。危機的な状況が訪れかねないのは、そのときだ。

(David Pilling)

■ロシアの陸上選手は2016年五輪に出場するか。

 イエス。ソ連時代の大量ドーピングを復活させたことについてロシアを罰しようとする政治的な意思は存在しない。ロシアは2015年11月、薬物を使っていないことを証明できるまで無期限で陸上競技への出場停止処分を受けた史上初の国になった。

だが、ロシアと西側諸国は、陸上史上最悪の部類に入るような薬物使用をリストアップした第三者報告の困惑を最小限に抑えたいと思っている。

 リオデジャネイロ大会に出場するためには、ロシアはドーピング計画に加担した当局者を全員解任し、未解決の規律違反案件をすべて解決し、国のドーピング文化について調査し、行動を改めたことを実証してみせなければならない。ロシア側は、これには3カ月かかると話している。

(Malcolm Moore)

■2016年には、ディーゼルエンジンを搭載した自動車の販売が欧州で減少するか。

VWの米11月新車販売、前年比25%減 排ガス不正が影響
フォルクスワーゲン(VW)の販売台数は主要市場で大幅に落ち込んでいる〔AFPBB News〕
 イエス。欧州の自動車購入者はすでにディーゼルエンジンへの熱意を失い始めており、フォルクスワーゲン(VW)が全世界1100万台のディーゼル車について排ガス試験で不正を働くためにソフトウエアを搭載したことが秋に発覚した一件は、販売減少に拍車をかけるだろう。

 欧州の新車に占めるディーゼル車のシェアは2010年の55%でピークを付けており、補助金が減額され、環境に対する影響への懐疑論が高まったフランスでは急激に低下している。

 VWはディーゼルエンジンでは特に規模の大きいメーカーであり、スキャンダル勃発後の11月には主要市場における自動車販売台数が20%以上減少した。2016年には、ディーゼルのシェアが急激に低下し、自動車市場全体の伸びを相殺してしまうだろう。

(Brooke Masters)

■北海ブレント原油は年末に50ドルを超えているか。

 イエス。2015年の石油市場は、前年の暴落からの急反発を信じていた人にとって、ひどく厳しいものになった。米国シェール産業の粘り強さとイラクとサウジアラビアの産油量急増は、世界が原油で溢れかえることを意味した。新年には、イランに対する制裁の解除によって、さらに多くの石油が市場に出回る可能性がある。

原油価格はようやく持ち直すか (c) Can Stock Photo
 それでも、世界中の石油生産業者の財務の厳しさから、各社はプロジェクトの中止と掘削プログラムの削減を強いられ、将来の石油供給が抑え込まれており、そのインパクトが明白になるだろう。

 1バレル50ドルを下回るブレント原油相場は、業界が増大する世界需要を満たすために必要な投資を行うには、低すぎる。世界経済が景気後退に突入しない限り、2016年は石油価格がより持続可能な水準に持ち直す年になりそうだ。

(Ed Crooks)

■ジョージ・オズボーン英財務相は「3月予算」で年金の税額控除を廃止するか。

 廃止するだろう。財務相は11月の「秋の演説」で、この問題について決断を下すのを先送りしたが、広範に及ぶ変化が訪れるという強い合図を送った。年金拠出金の事前税控除は現在、財務省に年間500億ポンド近いコストを強いている。

 議論されている「年金版ISA(個人貯蓄口座)」は、この費用を削減することになる。労働者は定年退職時に無税で引き出せる保証を得て、課税済み所得から貯蓄を積み立てるようになるからだ。

 制度変更は、実行に移すのに何年もかかるだろう。納税者は、4月の税制年度末までに年金に最大限の拠出金を払い込むことで将来に備えることができる。

(Claer Barrett)

■2016年はバーチャルリアリティー(仮想現実、VR)がついに離陸する年になるか。

米フェイスブック、VR技術企業を20億ドルで買収
バーチャルリアリティー(仮想現実)が本格的に始動するのは、まだ先かもしれないが、多くの人が初めて体験することになりそう〔AFPBB News〕
 答えはノーだ。だが、多くの人が初めて、いつの日かあらゆる技術の中でも最も大きな変革を起こす可能性を秘めた技術を体験する年になるだろう。

 VRヘッドセット――別の現実の3D(3次元)バージョンを見るために使われる分厚いゴーグル――を通して見た最初の光景は、大半の人にとっては、忘れられないものだ。しかし、素晴らしいデモだけでは産業は生まれない。

 VRゲームが登場し始めているものの、VR装置用のコンテンツは不足している。また、VRを主流にするアプリケーション――仮想空間で医師を訪れたり、社内会議を開催したりするもの――は現実というよりは夢だ。それでも、VR技術は人々の想像を魅了するはずだ。物理的な現実はもう2度と同じには思えなくなるだろう。

(Richard Waters)


http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/45649

http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/165.html#c2

[戦争b16] ロシア トルコからの野菜及び果物の輸入禁止を導入 あっしら
1. 2016年1月02日 09:05:22 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[30]
トルコのロシア輸出は全体の4.6%、輸入は10%
 最大の貿易相手国のドイツへは輸出 9%、輸入9.6%なので
 対ロシアのシェアーは大きいので制裁は効く(もちろんロシア側にも同様の悪影響あり)

*ちなみに対 日本へは 輸出が0.3%、輸入が1.4%

(2013年の貿易資料、ジェトロ) 
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/745.html#c1

[経世済民104] 韓国企業は「身を切るリストラ」を迫られる 2016年は「緊縮経営」と「構造調整」の年(中央日報エコノミスト) 赤かぶ
1. 2016年1月02日 09:16:44 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[31]

韓国は日本の後を追いかける

http://agora-web.jp/archives/1597961.html
韓国を襲う3つの空洞化

第一の空洞化は、製造業の海外流出による生じてくる空洞化です。 


http://japanese.joins.com/article/800/207800.html?servcode=100§code=110
危機の韓国輸出、政府の対策が見えない

10月の輸出がマイナス15.8%で2009年の通貨危機以降で最大の下落幅を記録した。輸出量も9.4%減った。今年に入って輸出下落は趨勢的な流れで回復しなかった。むしろ経済成長率を引き下げる主要因として作用した。それでもこれまで当局は世界の景気萎縮にともなう現象であるとか原油安と為替相場効果などを挙げて短期的現象と説明しようとする傾向が強かった。崔ギョン煥(チェ・ギョンファン)経済副首相も最近「輸出が回復すれば今年3%後半台の成長も可能だ」とし輸出が依然として韓国経済の牽引車の役割を担えることを説破した。

しかし貿易業界と経済専門家らは、構造的であり長期的下落だと指摘する。最近韓国の輸出の柱である自動車と船舶の輸出が急激に落ち込み、鉄鋼や石油化学など10大主力産業のうち半導体と携帯電話など一部情報通信製品を除くとすべて下り坂だ。世界の輸出市場でのシェアは2010年以降3%水準で足踏み状態となり、世界の輸出市場1位品目数も2009年の73品目から2013年には65品目に減っている。

韓国にとって最大の原材料と中間財輸出市場である中国の低成長とともに中国製造業の技術競争力拡大は韓国の輸出の足を引っ張る暗礁だ。特に最近中国が市場競争力を大幅に引き上げている産業は韓国の10大産業と重なる。価格と技術競争力が次第に高まる中国商品と同じ品目で世界市場で競争しなければならない。韓国の立地は狭まるほかない。韓国の10大産業輸出依存度は1980年の55.9%から2014年には86.3%に高まった。

いま最も大きい問題としては「危機意識が弱い政府」が挙げられる。中国の浮上と産業の重複克服に向けた国内産業構造調整と新成長産業発掘、持続的経済成長に向けたサービス業活性化、投資環境改善を通した産業空洞化解消など経済体質改善課題は10年以上にわたり指摘されてきた。だが、政府と関連法を制定しなければならない国会は実行の意志を見せなかった 


http://japanese.joins.com/article/478/195478.html?servcode=100§code=110
労働市場の柔軟性、韓国だけが逆行している

2008年のグローバル金融危機を体験しながら先進国は労働市場の柔軟性を高めてきた。これとは対照的に韓国は、正規職の保護がより一層強化するなど労働市場がむしろ硬直化している 

国家別の平均労働時間や賃金水準・採用形態・解雇手続き・解雇費用などを比較分析した結果、経済協力開発機構(OECD)加盟国の労働市場の硬直性指数は2006年平均29.5から2013年は28.3に下がった。非OECD加盟国も平均35.0から31.5に下がった。一方韓国は28.3から35.8へと大幅に上がった。唯一、韓国だけが反対に向かったのだ。

その結果、国別労働市場の柔軟性の総合評価で韓国は2008年は107カ国中38位だったのが2013年には70位に転落した。60歳の定年延長・賞与金の通常賃金包括・労働時間短縮のような政策に、過度な雇用・賃金・福祉部門の大企業労組のあらゆる要求を見回すと、競争力の退行は疑いの余地がない。労組の超強硬闘争に、国会と政府のポピュリズム政策が絡み合いながら正規職だけの雇用天国を作ってきたのだ。

こうした雇用制度は持続し難い。青年失業者を量産し、必ず産業空洞化を誘発する。すぐに正規職・非正規職の奇形的な両極化から解消していくことが労働改革の核心課題だ。 

http://www.nli-research.co.jp/report/researchers_eye/2015/eye151113.html
日韓比較(10):非正規雇用-その4 なぜ雇用形態により人件費は異なるのか?―賃金水準や社会保険の適用率に差があるのが主な原因―

http://www.nli-research.co.jp/report/researchers_eye/2015/eye151005-4.html
日韓比較(7):医療保険制度-その2 保険料率―固定資産に対して異なる政策を実施している日韓の医療保険制度

保険料率は韓国に比べて日本が高く、その分給付水準も高い。ここで一つ注目したのは、保険料率を算定する際に日本では資産割が段々なくなっていることに比べて、韓国では日本より幅広く、固定資産に対する保険料が適用されている点である。すでに言及した通りに日本では資産割の二重課税、低所得者層の負担の大きさ、他の保険料との衡平性などが問題点として指摘され、資産割を廃止している市町村が増加している。現在の日本のシステム上ではたとえ、億ションや高級外車を保有していても所得が少なければ、家や車も保有せずパートやアルバイトで働いて、家賃負担等をしている人より少ない保険料を納めることも可能である9。高齢者の増加による保険料率の上昇で国民の負担が毎年増加していることや国民の間に所得格差が広がっている現状を考えると、財産や実質の生活水準に余裕がある所得階層がより税金や保険料を負担する仕組みを構築することが望ましく、本文で紹介した韓国の制度は日本の保険料算定方式を改善するのに参考になると思われる。

一方、国民健康保険の「低負担、低給付、低診療報酬」を原則にしている韓国の場合は、より財源を確保し、給付を拡大する必要がある。実際、韓国国民の多くが国民健康保険の低い給付水準が原因で、民間の医療保険制度に加入している。韓国が公的医療保険の給付水準を改善するためには保険料率の引き上げにより財源を確保することが何より大事である。しかしながら保険料率引き上げに対する国民の拒否感が強く、政治家の場合も選挙での勝利を優先的に考えており、保険料率引き上げよる財源の確保がなかなか難しい状況である。韓国は今後高齢化の進行により医療保険の財政がさらに悪化することが予想されており、より早い段階で財源確保のための対策を実施することが要求されている。韓国より先に少子高齢化を経験し、高齢者に対する医療制度を実施してきた日本の事例から韓国の政策プランナーが学ぶところは多いだろう。


http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/167.html#c1

[戦争b16] 今日のビックリ 第2弾  『ISISのラジオ局がアフガニスタンの米軍基地に設置されていた』(リュウマの独り言) 赤かぶ
1. 2016年1月02日 09:31:38 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[32]

>アフガニスタン国会のラフマーニー議員は、この問題を認めると共に、「このISISのラジオ局の設置においてアメリカは重要な役割を果たしている」

どうせデマ

http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/748.html#c1

[戦争b16] 内戦ではなく、内戦であったことなどなかったシリア(マスコミに載らない海外記事) 赤かぶ
1. 2016年1月02日 09:33:24 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[33]

つまり、この世界に内戦は存在しないという主張


http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/747.html#c1

[経世済民104] パート主婦の手取りは減ってしまう!?「130万円の壁」助成策に渦巻く疑問の声(SankeiBiz) 赤かぶ
1. 2016年1月02日 09:43:24 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[34]

配偶者(妻または夫)が保険料を負担することなく年金を受け取れる制度自体を廃止して既得権をはく奪し、

国民年金への加入を義務化すればこうした問題は全て解決する


https://www.hokende.com/static/pension/features/woman/3/
国民年金の「第3号被保険者」になると、保険料を負担することなく年金を受け取ることができます

http://members3.jcom.home.ne.jp/mu-isawo_rosha/nen07.html
国民年金の第3号被保険者は、国民年金の第2号被保険者(厚生年金か共済組合員ア))の配偶者で、第2号被保険者に主として扶養されている人のことです。社会保険関係の配偶者は法律婚に限定されず、事実婚も含まれます。なお、性別は関係ありませんので、男性も第3号被保険者になります。
 ただ、配偶者であれば誰でも第3号被保険者になるわけではありません。一つは、年齢の関係。もう一つは、年収によって扶養されているか判断されます。なお、自分自身が第2号被保険者の場合の場合は第3号被保険者になりません。つまり、パート等であっても、職場で社会保険に入っている場合は、第3号被保険者になりません。

 最初に、年齢ですが、自分自身は20歳以上60歳未満である必要があります。もし、19歳で婚姻した場合は、たとえ健康保険で被扶養配偶者になっても、国民年金第3号被保険者にはなりません(20歳になった日に被保険者になります)。また、配偶者にも年齢の関係があります。厚生年金は70歳までイですが、65歳以上の人は、原則として第2号被保険者になりませんウ。ですので、配偶者が65歳になれば、自分自身が60歳未満でも第3号被保険者から第1号被保険者になります。当然ですが、配偶者が退職して、厚生年金等の被保険者でなくなったら、自分自身は第3号被保険者でなくなります。

http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/163.html#c1

[戦争b16] にわかに危険度の増す米ロ核戦争、発端は間違い 先端技術でなくなり、二線級に任されている核管理 赤かぶ
3. 2016年1月02日 11:05:04 : oLShHzBbYM : Eeyw9@1MG64[35]
対イラン新制裁の発動、米政権が延期
By JAY SOLOMON
2016 年 1 月 1 日 16:12 JST

 【ワシントン】イラン核合意をめぐる米国とイランの緊張が高まるなか、米オバマ政権がイランの弾道ミサイル開発プログラムに対して新たな経済制裁を科す計画を遅らせたことが分かった。複数の米政府高官が明らかにした。

 制裁発動の先送りは12月30日に決まった。米政府高官たちはいつ発動されるのかについて明言を避けた。ホワイトハウスが議会に送った通知によると、制裁発動は30日午前にワシントンで発表されることになっていた。

 イランのロウハニ大統領は12月31日午前、米国が制裁の準備をしているという報道を受けて、弾道ミサイルの開発を急ぐことを防衛相に指示したとツイッターに投稿した。

 コメントを求められた米国務省のカービー報道官は、弾道ミサイル関連の制裁発動の延期は、31日のイラン大統領の脅しめいた発言や昨年にイラン政府と合意した核問題の包括的解決に向けた枠組みとは関係がないと述べた。米国務省は延期の理由を一切説明していない。

米オバマ政権、対イラン経済制裁発動の構え
ケリー米国防長官とイランのザリフ外相(9月) PHOTO: CRAIG RUTTLE/ASSOCIATED PRESS
By JAY SOLOMON
2015 年 12 月 31 日 06:42 JST

 イランの新型弾道ミサイル問題をめぐり、米オバマ政権はイランと香港、アラブ首長国連邦(UAE)の約12の企業と個人に対し、開発に関与した疑いで経済制裁を発動する構えだ。複数の米政府高官が明らかにした。

 米財務省が計画するこの措置は、イランが7月に主要国と核開発問題で合意に達して以降、米国による初の制裁となる。

 米政府高官は財務省が国際テロや人権侵害の支援組織に加え、ミサイル開発への関与が疑われるイラン企業を監視対象とする権限を持つと指摘した。高官らはこうした活動を核合意とは無関係とみなしている。

 イラン政府は新たな制裁の可能性についてコメントしていない。

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 米政府筋によると、イランは7月の核合意以降、10月と11月の2度にわたり弾道ミサイルの発射実験を行った。

 国連安全保障理事会の専門家委員会は今月、10月の発射実験がイランの弾道ミサイル開発を禁じる安保理の決議に違反したとの判断を示した。

 イランはミサイル開発プログラムの実施を認めつつも決議違反を否定し、あくまで防衛用だと主張している。
http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-LU375_USIRAN_M_20151220174907.jpg
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/746.html#c3

   

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