自民党憲法改正草案の実態は改悪草案!(第二回)
自民党改正案の狙いは、憲法の根本原理の転換!
改悪の実態は人権の制限、国家権力の暴走促進化!
T.「改憲論者が反対する自民党憲法改正草案 」:小林節教授
1.憲法96条のハードルを下げるのは不公平!3分の2以上は国際常識!
2.安倍内閣は憲法を理解していない! 「憲法観が間違っている」!
3. お坊ちゃん世襲議員が上から目線で作った草案
4.四月二十八日は、真の「主権回復の日」ではない
U.自民党改正案の狙いは、憲法の根本原理の転換!
1.メディアは安倍自民党礼賛のまま、参院選に突入する構え!
2.衆参の3分の2以上での賛成による発議で適正!
3.発議要件の緩和は、「認めるべきだと論議を誘導」する大マスコミ!
4.自民党改正案の狙いは、憲法の根本原理の転換!権力の暴走促進化!
5.日本を「戦前に引き戻そう」とするのが「自民党の憲法改正草案」!
6.自民党案が施行=表現の自由、結社の自由は著しく制限される!
7.政府への大規模批判行動を、内閣総理大臣が「封殺できる」改悪案!
8.民主主義を守るため、自民党憲法草案の逐条論議が必要不可欠!
9.民主党が反辺野古・反消費税増税・反TPP・反96条改正を明示すべき!
以上は第1回で投稿済みです。以下は、その続きです。
V.民主党・鳩山首相の「憲法9条観について」
(09〜10年末年始合併号特別対談より抜粋:伊藤真氏対小林節氏)
編集部 : さきほど、民主党のマニフェストにかかれた憲法観についてお聞きしました
が、選挙公示の直前に「憲法9条あなたの考えは?」というアンケートを、「マガジン9条」のほうから、民主党の候補者全員に出しました。その結果、鳩山さんからは資料2)のような回答がありました。
これは、もちろん首相になる前の鳩山由紀夫という名前での回答ですが、民主党のほかの候補者も、これに倣って答えている方が数名おり、民主党の一つの「模範解答」となっているのかな、とも思いました。これについては、どう思われますか?
資料2)「憲法9条あなたの考えは?」のアンケート回答
鳩山由紀夫:「自衛の範囲を超えた武力行使や、国連決議によらない海外での武力行使を結果的に認めるような改憲には反対です。一方で、いくら9条を墨守してみても時々の内閣の都合で“事実上の解釈改憲”が進んでいます。政府が行う自衛権行使や国際協力について、国民が憲法の明文できちんと歯止めを設ける必要性が高まっています。自衛隊の「できないこと」を明確にするという観点であれば、条文を変えた方がより良くなる余地があると考えます。」
小林節教授 : この考えは、私と全く同じです。実は昔、彼とは憲法論議をやっているんです。9条についても、2年ぐらいに渡って議論をしています。鳩山さんは、東大工学部卒ですから、憲法というものについての予備知識がないんです。そこへ、真っ当な憲法論が入っていったわけですよ。
編集部 : 憲法を学ぶ上で、鳩山さんが理系だったから、かえって良かったと。
小林 : そうです。この回答を読むと、まず「自衛の範囲を超えた武力行使」とありますが、これは、いけませんに決まってますね。そして「国連決議によらない」、つまり、世界の常識に反する「海外での武力行使も、結果的にどういう理屈をつけようが認めるような改憲は反対です」。これは、私がいつも言っていることと同じことですね。
一方で、「幾ら9条を墨守してみても、時々の内閣の都合で“事実上の解釈改憲”が現に進んでいます。」そう、護憲派は、9条が守られていると喜んでいるが、私に言わせりゃ、9条なんかずたずたじゃん、と。あれだけ、自民党政府によって拡大解釈が行われている9条を、いまだに「汚れていない」なんて言うから「ばかやろう」と言いたくもなる。
「政府が行う自衛権行使や国際協力について、国民が憲法の明文できちんと歯止めを設ける。」そうなんですよ。“自民党によるずたずたな解釈改憲ができないように”、憲法9条でできること、できないことを書きなさいよ、と。これ、いつも私が言っていることと同じことでしょう。
自衛隊の「できないこと」を明確にするという観点であれば、これが「立憲主義」じゃないですか。そういう意味では、条文を変えたほうがよりよくなる余地があると考えます。私、これもまた100点だと思う。
編集部 : 小林先生が、鳩山さんに憲法指導をされていたとは、知りませんでした。
小林: 別に教えるというつもりはなかったけれど、彼と2年ぐらい一緒に昼飯を食っているうちに、彼がいろんなことを聞いてくるわけです。僕のことを憲法学者だと知っているから。そして、ある時彼は、憲法私案の下書きを持ってきたので、僕が徹夜で真っ赤にして返したことがある。当然その後、激論を交わしましたが、1点をのぞいては、考え方が共有できました。外国人参政権については意見が一致しなかった。僕は反対、彼は賛成。彼は宇宙人ですから。僕は日本人ですから。宇宙に国籍ないからね。(笑)
伊藤 真弁護士: 立憲主義という観点からは、この文言は極めて真っ当な発言です。これを、鳩山さんが正しく理解しているように、民主党議員や他の政党の国会議員にも理解してもらえると、ありがたいなと思いますね。
その上で、最後に書かれている「憲法に明確にするという観点で条文を変える」ということのメリット、デメリットを、具体的に検討し議論する。そういう場がいろいろと出来ていけば、より良いのではないかと思うんです。
たとえば、「自衛隊にできないことを明確にする」という観点で、そういう善意で条文を変えるとしても、それを時に悪用したりする輩が出てきたときに、きちんとそれに対して歯どめをかけられるだけの力、つまり立憲主義の力を国民がつけることなどが、前提として必要だと私は思いますから、そういう議論などを含めて、よりよくなる余地があるのかを検討し議論することは意味があると考えます。憲法を変えることによるメリット、デメリットをきちんと検討していくということはありなんじゃないでしょうかね。
編集部 : 立憲主義を正しく理解している鳩山さんが、まさに今、私たちの国の首相だということは、とてもいい状況なんですね。
小林 : そうですよ。小泉とか安倍とか麻生とか、鳩山とは真反対の「おばかで悪人」が続いた後に、真っ当な立憲主義を理解している鳩山内閣が立ったんですよ。喜ぶべきことなんです。
編集部: そうですね。そういった中で、国民投票法が来年5月には施行されるわけですけれども、一方で、憲法審査会が凍結されているという現状もあります。この点について、引き続きお聞きしていきます。
W.安倍首相の正体は、タカ派「沖縄差別主義者」!
自衛隊の国防軍化や愛国心教育の推進に驀進!
「政治経済評論家・植草一秀氏の『知られざる真実』」2013/05/03より抜粋)
1.安倍首相は 筋金入りの 「沖縄差別主義者」である!
いまから66年前の今日、日本国憲法が施行された。
そこで5月3日が憲法記念日とされ、国民の祝日とされた。
安倍晋三首相は日本国憲法がお嫌いのようである。
5月3日よりも4月28日の方が好きなのだろう。
4月28日は沖縄を切り捨てることによって日本が主権を回復した日。
沖縄にとっては「屈辱の日」である。
この「屈辱の日」に記念式典を実施するというのは、「筋金入りの沖縄迫害主義者」、「沖縄差別主義者」である。
沖縄はいま、県をあげての抗議と怒りに包まれている。
サンフランシスコ講和条約は第6条に、日本の主権回復の後の、速やかな駐留外国軍隊撤退を定めている。
しかし、敗戦から67年が経過したいまも、占領軍が依然として日本に駐留し続けている。
サンフランシスコ講和条約とともに吉田茂が日米安全保障条約に署名したからである。
2.“「日本の主権回復」は「偽装看板」!真相は、「日本の属国化」”である!
“日米安全保障条約というのは、サンフランシスコ講和条約第6条が定めた駐留外国軍隊の撤退条項を無効にするもの”である。
サンフランシスコ講和条約第6条には但し書きが書き加えられており、この但し書きを有効にするべく、日米安全保障条約が締結された。
したがって、4月28日の持つ第一義は、「日米安保」であり、「米国による日本支配」である。
“「日本の主権回復」は表向きの「偽装看板」であり、看板のなかに隠れている真相は、米軍の日本駐留継続であり、「日本の属国化」”である。
つまり、4月28日を日本の新たな記念日にするとの提案は、日本が米国に「臣下の礼」を取ることを意味している。米国に対して「恭順の意」を示すことに他ならない。
3.安倍首相の正体は、タカ派! 国防軍化や愛国心教育の推進に驀進!
その一方で安倍氏は、「タカ派の本性」を剥き出しにし始めている。
安倍内閣の閣僚による靖国参拝に対して近隣諸国から反発が示されると、「いかなる脅しにも屈しない」とのメッセージが発せられる。
近隣諸国からは、それはこっちのセリフだという言葉が聞こえてくる。
安倍氏はネット選挙のイベントでは、迷彩服をまとって戦車に乗り込んでアピールする行動まで示している。
「米国に対する隷従」と「近隣諸国に対する高圧的な姿勢」は、一種の倒錯であるが、日本近現代史研究家でオーストラリア国立大学名誉教授のガバン・マコーマック氏はこの点を次のように指摘する。
「安倍晋三首相は戦前の価値観に回帰する憲法をつくるため、国家に『誇り』を持つよう歴史の修正を試みてきた。自衛隊の国防軍化や愛国心教育の推進、国旗掲揚や国歌斉唱の義務化などの動きを続けている。」
4.“近隣諸国への高圧的な姿勢は、米国への卑屈な隷従姿勢の裏返し”
「日本はジャパン・ハンドラーを通じて米国の国益にかなう政策をくみ取り、実行してきた。一方でその屈辱的な国の在り方は正当化せねばならず、安倍首相は勇ましい姿勢や国歌賛美の姿勢を通し、実態を覆い隠そうとしているのだろう。
『ねじれ国家体制』を最も体現していると言える。その結果が今回の(主権回復)式典だ。」
(琉球新報社によるガバン・マコーマック氏インタビュー記事より抜粋)そのうえで、マコーマック氏は、4月28日の式典強行実施に対して、「日本政府に異議」を申し立てる沖縄県民の行動について次のように論評する。
「県民の奮闘には偉大な価値があり、現代史の支えになるほど重要だ。民主主義、立憲主義、真実の追求のため力を注ぎ続ける県民から、私は多くを学んでいる。」
(上記琉球新報社インタビュー記事より転載)
マコーマック氏の指摘は正鵠を射るものだ。
安倍首相は「屈辱的な国の在り方」という実態を覆い隠すために勇ましい姿勢や国歌賛美の姿勢を示している。
これをマコーマック氏は「ねじれ国家体制」と表現している。
“近隣諸国に対する高圧的な姿勢は、米国に対する卑屈な隷従姿勢の裏返し”の行動なのである。
弱い者は、強い者にひざまずく一方で、相手を下と見ると高圧的に対応する。
真に強い者は、強き者に対してもひるむことなく振る舞い、弱き者に対しては敬意をもって対応するものだ。
5.公明党も96条改正反対勢力に加わるべきである!
安倍首相は、メディアが安倍政権を絶賛する風を活用して参院選を乗り切り、憲法改正を一気呵成に実現することを目論んでいる。
このなかで参院選争点として掲げられているのが96条改正である。
憲法改正要件を定めた条文だ。
現行規定では衆参両院の3分の2以上の賛成がなければ憲法改正案を発議できない。
これを、衆参両院の過半数の賛成で発議できるように、規定を改正することが提案されている。みんな・維新の本質は「対米隷属」にある。
日本を支配する米国は、日本政治を自民・みんな・維新に支配させようとしている。
公明党は96条改正に慎重姿勢を崩していない。
安倍自民は選挙結果を見て、公明を切ってみんな・維新と手を組む。
公明党は、自民党から切り捨てられる運命にある。
この点を洞察して、公明党も96条改正反対勢力に加わるべきである。