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うまき gqSC3IKr コメント履歴 No: 100014
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[社会問題10] 若者の言動に抱く「違和感」を「好奇心」に変えよ 若者に対する嘆きをプラスの力に変える処方箋(後編) 
若者の言動に抱く「違和感」を「好奇心」に変えよ
若者に対する嘆きをプラスの力に変える処方箋(後編)
2019.3.15(金) 小林 麻理
若者も上司も互いを理解するには「学び」が必要だ。
「最近の若者は・・・」という、いつの時代もある上司の嘆きに象徴されるような若者と上司世代*1の価値観の相違が、職場で深刻な問題を引き起こしている。そこで、その価値観の相違を乗り越え、両者がともに幸せに働くためのヒントを探るために、若者の育成に長年取り組むリクルートマネジメントソリューションズの桑原正義(くわはら・まさよし)氏に話を聞いた。

 前編では「若者責任論」から脱却し、「若者からも学ぶ」というスタンスが提示された。後編では、若者に学ぶ理由やその際のポイントについて深堀りしていきたい。

【前編】「『若者責任論』から脱却し、その価値観に学べ」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55589

*1:本稿では、若者とはミレニアル世代(1980年以降、2000年前後生まれ)を指しており、それ以上の世代を便宜的に「上司世代」と呼んでいる。

弱いと思っていた若者のほうが、実は強かった?
――かつては桑原さんご自身も若者の価値観に対して違和感を持っていたというお話でした。

桑原正義(くわはら・まさよし)氏。リクルートマネジメントソリューションズ 事業開発部 主任研究員。1992年人事測定研究所(現リクルートマネジメントソリューションズ)入社。2005年から「新人・若手が育つ組織づくり」に関するコンサルティングやトレーニングに携わる。2017年、中竹竜二氏(日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター)と共同で「オトマナ(大人はなぜ若者に学べないのか)プロジェクト」を発足。
桑原正義氏(以下敬称略) はい。若者が持つ、ある部分の価値観や行動に対しては、違和感や驚きを感じることがありました。

 たとえば驚いたのは、情報共有の考え方。組織がベースという価値観で行動する私たち世代にとって、同業他社と情報共有や意見交換を積極的にする考えはありません。競争相手ですから、むしろ情報は隠すのがアタリマエの感覚です。

 しかし、今の若者は就職活動のときから、情報をシェアしていて、就職後もその仲間で集まって勉強会などを開いていたりします。彼らにとって同業他社は競争相手というだけでなく、同じ目的を目指す仲間でもあるという感覚に驚き、ある意味、視点が高いと感じさせられました。

 また、そうした勉強会や意見交換の場では、相手の意見を否定することはほとんどありません。いわゆるSNSの「いいね!」文化です。

「仲間や同僚とも鍛え合うべき」という私世代の価値観からすれば、「いいね」ばかりで、意見をぶつけたり戦わせようとしないことに物足りなさを感じていました。

 しかし、「VUCAの時代」*2という言葉に象徴されるように、これまでの経験則が生かされず、正解のない今のビジネス環境では、相手の考えを否定することなく新しい情報や意見をどんどんシェアしていくという若者のほうが強いのではないかと思うようになりました。

*2:「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」という4つのキーワードの頭文字をとった、現代のビジネス環境の特徴を表した言葉。

VUCAの時代、過去の成功体験は通じない
――VUCAのビジネス環境を実感することが、桑原さんご自身もあったということでしょうか。

桑原 はい、当社の営業も良い例です。以前は、商品・サービスをいかに数多くのお客さまに訪問し提案するかの件数が重要でした。「とにかく訪問100件」が成功につながり、そうした経験の多い上司が、部下に経験をもとに指導すればよかったのです。

 しかし、今はお客様の要望は高度化・多様化していて、ただ件数をこなしても成功につながらないことはもちろん、経験豊富な上司でさえ、お客さまの期待に応えるのは難しくなっています。

 以前より成果を出すのが難しいという状況で、業績のプレッシャーもある上司も非常にストレスフルです。

 こうした状況では、社内競争を意識して個人で頑張るよりも、社内外にこだわらず、さまざまな人と仲間意識でつながり、最新情報やノウハウをどんどんシェアして、試行錯誤をしながらより良いやり方を模索する。つまり若者の価値観である「支え合う」職場のほうがいいのではないか、と思い始めたわけです。

「いいね」と言うだけのぬるく見えた若者のコミュニティには、所属組織にとらわれずに学び合おうという視点があり、場には自分が否定されないという「安心感」があります。否定されない安心感と、「一人ひとりの考えや価値感を尊重する」スタンスが混ざりあつことで、新しい発想やイノベーションが生まれやすくなるんだと気づいたとき、私は若者はむしろ「学ぶ」相手だと思うようになったのです。

「安心感」と「安全」の職場がトライを引き出す
――「安心感」は「失敗したくない」という傾向が強いという若者たちに、トライを促すヒントにもなりそうですね。

桑原 そのとおりです。私たちは2005年くらいから、新人たちがのびのび育っている職場を調査し続けた結果、そうした職場には「何を言っても受け止めてくれる」と言う「安心感」や、「今はうまくいかなくてもいつかできると信じてくれている」という「信頼感」がある、ということが分かりました。

 こうした安心感や信頼感が土台となって、トライや自由な発想、コラボレーションが生まれるのです。若者に「やる気」や「能力」がないのではなく、ダメ出しなどの厳しさには慣れていないゆえに「不安や恐れ」を感じてしまい、本来持っている力が出ていないだけなのです。

 そうしたことを裏付けるものも出てきました。それは、社員が自律的に行動する次世代型組織モデルとして話題になった「ティール組織」における「安心・安全」への言及や、パフォーマンスの高いチームのカギとして昨今注目されている「心理的安全性(psychological safety)」という概念などです。

 また、若者に限らず「失敗」に対して、多くの日本人はネガティブに捉えすぎだと思います。私は、サッカーの本田圭佑氏の「(日本と違い)世界では、失敗は次の学びやイノベーションにつながるからと肯定的にも捉えられる。日本でも失敗の定義を『何かにチャレンジした人』に変えたほうがいい」という趣旨の発言に非常に共感します。

 上司世代も、たくさん失敗をしてきているはずです。ですから、100件訪問して営業成績を上げたという成功体験だけでなく、「新人の頃は、こんなミスをした」といった失敗談こそ、たくさん、若者へ伝えてほしいですね。そうした等身大の関わりが、若者の安心感につながり主体的なトライが生まれていくと思います。

「上下関係」の呪縛は若者と接することで克服する
――桑原さんは、若者に対して「学び」があると気づかれたわけですが、そうしたことに抵抗感がある、という上司世代の方も多いのではないでしょうか。

桑原 日本には、たった1年の差でも、先輩後輩といった年齢の「上下関係」意識が根強くあります。そのため、「上」の者が「下」の者に学ぶ、ということに強い抵抗感があるのだと思います。言葉遣いやマナーなど、ビジネスの基本が未熟な部分があれば、なおさら教えるモードになりがちです。

 しかし、最近の強いスポーツチームを見ると、先輩後輩の関係はとてもフラットです。中には、先輩が雑用をして下級生の練習時間を増やすことで常勝軍団になったチームもあります。企業に限らず、年齢の「上下」にこだわっていては強いチームは作れなくなっていくと思います。

――どうすれば、抵抗感をなくせるでしょうか。上司世代の方へアドバイスをいただければと思います。

桑原 一番良い方法として、どんどん自分から若者の中に飛び込み、若者と接していくことをお勧めします。たとえば私は今、NPO法人青春基地で、大学生(若者)が高校生(若者)に教育を届ける活動に参加しています。

 生徒たちの想いやよいところを引き出し自発的なトライを生んでいくという目的は私たち企業と同じですが、その教育論や考え方にはとても新鮮なものがあり、私にとっては毎回が「学び」の宝庫です。

 経験豊富な上司世代であっても、これまでの知識や経験則で今後のビジネス環境を生き残れると自信満々な方は少なく、新しい学びが必要、ということには薄々気づいている方が多いと思います。

 だからこそ、もし若者の言動に自分たちの常識とは違うという「違和感」を感じたら、それを「好奇心」に変え、学びにつなげてみてはいかがでしょうか。「訪問件数に意味を感じません」というメンバーがいたら、「これだから今の若者は・・・」と諦めたり、頭ごなしに叱るのではなく、「どうして?」とフラットに問いかけてみると、その答えには意外な学びのヒントがあるかもしれません。

 これは、若者に迎合するという意味ではなく、お互いのよいところから学び合おうということです。それが、上司世代を成長させてくれるヒントにもなると思います。もちろん、若者に対して教えることもたくさんあるでしょう。ですから、上司世代にとって若者は、教える相手であり、学ぶ相手でもある。それは若者も同様です。

 若者と上司世代がお互いに学び合えば、非常に強く愛着もわく組織が出来上がると思います。そしてそれは、この先の見えない時代に、幸せに働くということにもつながるのではないでしょうか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55590
http://www.asyura2.com/18/social10/msg/143.html

[経世済民131] 日銀、薄氷の景気判断維持 鍵握る年後半回復シナリオ  株式市場が急回復した理由と今後のシナリオ 
2019年3月15日 ロイター
日銀、薄氷の景気判断維持 鍵握る年後半回復シナリオ
日銀、薄氷の景気判断維持
3月15日、日銀は金融政策決定会合で、足元の輸出・生産の大幅な落ち込みにもかかわらず、年後半に海外経済が持ち直すことを前提に、景気が「緩やかに拡大している」との認識を維持した。2017年2月撮影(2019年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 15日 ロイター] - 日銀は15日の金融政策決定会合で、足元の輸出・生産の大幅な落ち込みにもかかわらず、年後半に海外経済が持ち直すことを前提に、景気が「緩やかに拡大している」との認識を維持した。ただ、春闘での大手企業の賃上げは前年実績を下回る回答が相次ぎ、内需が力強く持ち上がる「絵」は描けず、4月末会合で公表される「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、経済・物価見通しが一段と下振れる可能性が高まっている。

 年後半に世界・日本経済が持ち直すシナリオを維持できるのか、日銀は薄氷を踏む思いで新年度を迎えることになる。

 会合後の黒田東彦総裁の会見では、海外経済の減速を背景に輸出・生産が大きく落ち込む中で、世界・日本経済の先行きと、景気が悪化した場合の政策対応に関する質問が目立った。

 黒田総裁は、景気判断を維持した理由について「国内需要は堅調であり、前向きの循環メカニズムに変化は生じていない」ことを挙げた。輸出・生産の下振れが設備投資など内需に波及する可能性を「リスクとしては否定しない」としながらも、世界経済は、米経済が相対的に好調を維持する中で、政策効果を背景に年後半に中国経済も回復に向かうと楽観的な見通しを繰り返した。

 ただ、日銀も年後半に日本経済が持ち直していくシナリオに自信を持っているわけではない。日本経済が踊り場に入りつつある中で、むしろ「日本経済は重要な局面にある」(幹部)との警戒感がある。

 4月末に公表する新たな展望リポートでは、経済・物価の見通し期間が現在の2020年度から21年度までに延びる。

 世界・日本経済の先行き不透明感が広がる中で、市場では1─3月期の実質国内総生産(GDP)が、再びマイナス成長に落ち込む可能性が指摘されている。19年の企業の春季労使交渉(春闘)では、基本給を底上げするベースアップ(ベア)の前年割れが相次いでおり、需要拡大を通じた物価上昇の気運はうかがえない。

 すでに日銀では、現行の見通し期間である20年度までの物価2%目標の実現は困難とみているが、経済・物価見通しの下振れは一段の達成時期の先送りに直結する。

 もっとも、実体経済の悪化が確認されたとしても、日銀には政策対応余地が限られるのが実情だ。すでに超低金利状態が長期化しており、一段の利下げや資産買い入れの拡大がさらなる需要の喚起につながるのか疑問を呈する声が少なくない。

 市場機能や金融システムへの副作用なども踏まえれば、追加緩和のハードルは相当に高いといえる。

 現時点で日銀は、年後半にも世界・日本経済が持ち直していくとの見通しを維持できれば、現行の金融緩和政策を「粘り強く」続けていくことで対応するとみられる。

 ただ、さらなる金融緩和の長期化は、副作用をさらに拡大させることになる。

 麻生太郎財務相は15日の会見で、日銀が掲げる物価2%目標について「物価が2%に上がらなかったから『けしからん』と言っている国民は、1人もいないように見える」と述べ、「2%にこだわり過ぎると、おかしくなるということを考えないといけない」と語った。

 市場では、現行のイールドカーブ・コントロール(YCC)政策の効果について、海外金利の上昇に伴う円安の進行などの追い風が前提であり、低位であっても金利を固定化する政策は逆風下で「矛盾が露呈する」(国内証券)というシニカルな見方もある。

 経済・物価と金融緩和の関係が複雑化する中で、さらなる金融緩和政策の長期化は、物価目標のあり方や、金融政策の枠組みについても議論を高めることになりそうだ。

(伊藤純夫 編集:田巻一彦)
https://diamond.jp/articles/-/197176

 

2019年3月15日 The Wall Street Journal
株式市場が急回復した理由と今後のシナリオ
ニューヨークの証券取引所
Photo:iStock/gettyimages
――筆者のジェームズ・マッキントッシュはWSJ市場担当シニアコラムニスト

***

 今年持ち直した株式相場がここにきて失速して見える理由を考えるには、そもそも株価がなぜ回復したのかを理解しておく必要がある。

 資産価格を形成する要因は市場心理(センチメント)と経済の基礎的条件(ファンダメンタルズ)の2つが大きく、いずれも完璧に合理的だ。そのどちらの面から見ても、2018年末の株価急落と今年の急反発は驚くほど急な動きだった。

 まずファンダメンタルズを見てみよう。株安と時を同じくして世界経済への懸念、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めペースへの懸念、米国が高率の対中関税を課すことへの懸念が高まった。その後FRBが利上げを棚上げし、貿易協議に前進の兆しが見られ、経済への不安は「景気後退(リセッション)」から「景気減速」に弱まったことで株価は回復した。

 では現状はどうなのか。3つの懸念のうち最も和らいだのが利上げ懸念、最も変わっていないのが世界経済への懸念だろう。CMEグループのフェデラルファンド(FF)金利先物は以前は今年2〜3回の利上げを織り込んでいたが、現在は7%の確率で利下げが予想され、利上げは全く予想されていない。

 FRBの動向に敏感なセクター――債券に似た位置づけの「ボンドプロキシー」銘柄である公益企業株と不動産株――は、相場下落直前の昨年9月末以降のパフォーマンスが最も好調だ。国債利回りが12月の最低水準から散発的な反発にとどまっていることも追い風となっている。

 景気減速の影響が最も少ないセクターも健闘しており、生活必需品株は昨年9月末の水準近くまで戻している。

 中国経済への不安と貿易摩擦への懸念は切り離しにくいが、米半導体銘柄はとりわけ関税に敏感であり、最近の上げ幅は市場全体を上回っている。米中貿易よりも中国景気に敏感な銅相場も反発し、こちらは9月の水準を上回った。ただ半導体株と同様、9月以前に大きく落ち込んでいた分までは取り戻せていない。

 さて、残る問題は世界経済だ。年初からの大幅な株価回復は、米国のリセッション懸念が和らいだからだと説明されている。だが現実はどうかというと、世界経済は順調とは言えず、中国の景気刺激策の効果が表れるまでには時間がかかり、欧州と日本は製造業の不振に苦しんでいる。

 センチメントのレンズを通すと世界は少し違って見える。米投資家は株価急落の前は楽観的だった。その後、クリスマスまでには過度な悲観に転じ、年が明けると再び株価を一気に押し上げた。上値余地が残らないほどにだ。

 センチメントを測定する科学的方法はないが、全米個人投資家協会(AAII)の調査によると、2月末までに強気派が昨年10月初めの水準に戻り、弱気の投資家は減っている。世界経済の同時成長が話題になった昨年初めほどの熱狂はないものの、株価急落前の「慎重な楽観論」が戻ってきたようだ。他の市場心理の尺度もほぼ同様のパターンを示す。

 センチメントとファンダメンタルズは密接に関連する。相場急落前、投資家は楽観的だった。それがFRB、貿易、景気への強い不安感で一変した。今年に入ってファンダメンタルズが改善したことで、市場はそれらの懸念を乗り越えた。ただ投資家はまだ悲観から完全には脱したとは言えず、少しでも予想を超える悪材料に反応しやすかった。

 現在は強気筋が弱気筋を上回っている。だが前途の波乱に警告を発さなくてはならないほど過度に楽観的ではない。それゆえ投資家はファンダメンタルズにもっと意識を集中すべきだ。FRBは変化のきっかけにはならなそうだ。いま利下げに踏み切れば、恐らくは米経済が深刻な状態にあるという不安を招くだけだろう。欧州中央銀行(ECB)が先週、金融政策をやや緩和方向に戻したことでこの危険は示された。投資家はECBの措置をプラス材料とは受け止めず、ECBの行動の背景にある悪いニュースに注目し、結果的に株価は下落した。

 今なお貿易を巡る懸念は大きく、もし米中協議が合意に至れば、株価を押し上げるはずだ。合意を持続させる実施メカニズムが策定されればなおよい。逆にもし交渉が決裂すれば、市場は再び暗転するだろう。

 堅調な経済成長に戻ることで、昨年末に高まった懸念の壁を登り切れれば、市場に最大の恩恵が訪れるだろう。だが残念ながら経済指標は厳しい数字を示している。アトランタ地区連銀が発表する国内総生産(GDP)の推計値「GDPナウ」によると、1-3月期の米経済成長率は年率わずか0.2%にとどまる。また各種調査では中国、日本、ユーロ圏の鉱工業生産は減少しつつあるようだ。

 経済成長の見通しは薄暗く、相場は昨年つけた高値に戻る途中にある。その中で米株市場が特に魅力的に見えるわけではなく、かと言って再び株価急落を引き起こすほどのリセッション懸念が高まる兆しもない。株価が方向感を失うのは無理のないことだ。

(The Wall Street Journal/James Mackintosh)
https://diamond.jp/articles/-/196985
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/517.html

[経世済民131] 中国経済減速で「4兆元景気刺激策」も限界、日系企業の輸出急減 米中の「プラザ合意2.0」到来か、ドル円影響は 

2019年3月15日 週刊ダイヤモンド編集部
中国経済減速で「4兆元景気刺激策」も限界、日系企業の輸出急減
習近平国家主席と李克強首相
債務拡大によるリスクを抑制しつつ、景気対策を講じる隘路に中国ははまっている Photo:AFP/アフロ
『週刊ダイヤモンド』3月16日号の緊急特集は「米中依存メーカーの分水嶺」です。自由貿易を前提に、生産・開発・販売戦略を立ててきた日系メーカーは、米中分断で大幅な戦略の修正を迫られています。そんな折、中国経済の減速が日系メーカーの業績を直撃。米中に依存する日系メーカーは、試練の時を迎えました。(本記事は特集からの抜粋です)

 下支えが精いっぱい。3月5日に開幕した中国の全国人民代表大会(全人代、日本の国会に当たる)冒頭、李克強首相が行った政府活動報告で発表された景気刺激策に景気を持ち上げる力はない。

 2018年の経済成長率は6.6%。李首相が示した19年の成長率の目標は、それを下回る6.0〜6.5%。刺激策が減速に歯止めをかけるほどの規模ではないことを政府自らが認めている。

 刺激策の中身を見てみよう。

 まずは、付加価値税に当たる増値税減税や社会保障費負担減による企業負担の軽減が約2兆元。そして、地方政府に認める特別債の発行枠が2.15兆元である。インフラ投資は前年比400億元増の5776億元だ。そのほか、新エネルギー車購入補助などが打ち出された。

 合計すると、リーマンショック後の対策規模4兆元を超える。しかし、「地方政府などが金融機関からの借り入れを膨らませた結果、当時実際に投じられた資金規模は4兆元で収まるような額ではなかった」(西M徹・第一生命経済研究所主席エコノミスト)とみられている。

 加えて、リーマンショック当時の中国のGDP(国内総生産)の規模は30兆元台だったが、今や90兆元前後に膨張している。今回の対策のインパクトが小さいことは明らかだ。

 中国経済の減速に歯止めがかからないとなれば、当然日本企業の業況に大きく影を落とす。

足元の対中輸出が急減
 対中輸出は足元で大きく減少した。12月が前年同月比7.0%減、1月が同17.4%減。中でも、半導体製造装置、電子部品、建設機械などの減少が大きい。また、18年の自動車の新車販売台数は28年ぶりに減少し、合弁会社の業績などを通じて日本の自動車関連の企業の業績を悪化させている。

 今回、新エネルギー車限定とはいえ、対策が講じられる自動車や、インフラ投資拡大で需要が見込める建設機械は、業況悪化がやや緩和される公算がある。一方、半導体製造装置、電子部品など中国のハイテク企業に絡む分野は、業況の停滞・悪化が懸念される。

 期限が延長された米中の貿易協議。全人代では、米国が問題視する知的財産権保護の強化の方針が示され、外国企業に対する技術移転の強要を禁止する外商投資法も成立する見通しだ。これらの点では、米中に合意が成立する公算はあり、そうなれば少なくとも、米国による追加の関税引き上げは回避されそうだ。

 ただ、その場合でも、ハイテク分野への米国の締め付けは継続するだろう。政府活動報告では、ハイテク分野での研究開発などを後押しする「中国製造2025」には触れなかったが、国有経済、非国有経済双方の発展がうたわれた。技術の強制移転などと同様に、米国に問題視されている、国有企業への補助金が削減される公算は小さい。米国をはじめとする政府調達からの排除など、中国のハイテク企業の苦境は続く。

 地方政府などの財政赤字・債務拡大は将来のリスクを増大させる。そのため、今回の刺激策は景気下支えレベルの規模にとどまっている。米中協議の決裂、さらなる関税の引き上げといった事態にならない限り、刺激策の追加はないだろう。今年も製造業を中心に日本企業が中国経済減速に悩まされることは避けられない。

 
為替フォーラム2019年3月14日 / 12:50 / 6時間前更新

米中の「プラザ合意2.0」到来か、ドル円影響は

高島修 シティグループ証券チーフFXストラテジスト
4 分で読む

[東京 14日] - 筆者が定期的にアップデートしている「ファンダメンタルズ・モデル」に基づくドル/円のフェアバリュー(適正価格の推計値)は、現在120円前後に位置する。実際の相場は110円前後と10円近く下振れているが、この推計値と実勢は上下最大10円程度かい離することが多い。

瞬間的に104円台へ急落した「フラッシュクラッシュ」で始まった今年のドル円相場だが、筆者が下振れ余地は限定的で、むしろドル高/円安余地が残されているとの見方を示してきた一つの理由は、このモデル分析の示唆による。

現在も年央から秋口にかけ、ドル円はジリ高で推移するとの見方を維持している。

<フェアバリューは上昇基調>

このモデルの詳細は割愛するが、日米金融政策のギャップを反映する3つの変数と、日本の国際収支を反映する2つの変数を用いている。

過去を振り返ると、2015年夏にドル/円の実勢相場が125円でピークアウトした際、フェアバリューはその直前に118円前後で頭打ちとなった

実勢相場が100円前後に下落した2016年前半から年央にかけては、105円付近まで低下した。その後は110円前後を上限に横ばいで推移していたが、昨年になって上昇基調を取り戻し、現在に至っている。

こう書くと、このモデルの的確さをアピールしているように聞こえるかもしれないが、筆者の本意はそうではない。上述の通り、相場を取り巻くその時々の環境次第で、実際は推計値から上下に10円程度振れる。

確かに決定係数が0.8を超えるなど、統計的な信頼度はかなり高いと言えるが、逆に言えば、そこが月次統計を基礎とするファンダメンタルズ・モデルの限界である。為替相場ではそうした10円の上振れ、下振れが市場参加者の関心を捉え、損益を支配する。

フェアバリューから実勢相場がかい離する動きを市場の「ミスプライシング」と呼ぶなら、その差異を追求することこそ筆者のようなアナリストに求められる仕事だ。フェアバリューは、ミスプライシングをより的確に把握するための道具に過ぎない。

つまり、いま考えるべきは足下のドル円はなぜ推計値から10円近くも下振れているのかということになる。しかも、ドル円が推計値から下方にかい離するのは、対ユーロを中心に全面的なドル安のときが多いが、過去1年間はドル高基調の中で下振れてきた。

<中国の返り血を浴びたトランプ米政権>

前回、こうした事態が大規模に発生したのは2010年前後だった。当時は欧州債務危機でユーロ安/ドル高が進む中、リスク回避の円高圧力が強まった

今回は、米株が急落した2018年2月の「VIX(恐怖指数)ショック」に端を発し、新興国市場を巻き込み、同年末まで続いたリスク回避相場の影響が大きかったと考えるのが自然だろう。

その震源地となったのは中国だ。同国における著しい債務拡大を最大のリスク要因として、市場が不安を募らせる中、トランプ政権がし烈な貿易戦争を仕掛け、元安観測に火をつけた。中国からの資金逃避懸念につながった。これが昨年のリスクオフ相場の本質だと筆者は考えている。

だが、中国リスクを警戒して発生した昨年終盤の米株急落で、対中関税の返り血を浴びることになったトランプ政権は、いったん中国との休戦に動き始めたようだ。

こうなると、これまで中国政府が財政、金融、通貨の各政策を総動員してきた景気押し上げ効果が、顕在化してくる公算が大きい。市場のセンチメントもリスクオンへと転換し、ドル円は上昇圧力を受けそうだ。

注目すべきは、今回の米中合意に人民元安回避という通貨政策の取り決めが含まれるとみられていることだ。ムニューシン米財務長官は中国に元安誘導を控えるようを要請すると語り、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表も元安回避に期待をにじませる発言をしている。

すでにハト派に傾いている米連邦準備理事会(FRB)は、元安防止のため一段とその色合いを強める可能性がある。中国にとっては通貨が下落して資本が流出するリスクが低減することから、金融緩和や財政出動など政策の柔軟性が高まり、人民元高に苦しむ経済を下支えすることが可能になる。中国経済の安定は、米国からの輸入拡大に必須の要件である。

海外勢の間では、円高不況回避のために日銀が低金利政策を続けた1985年の日米合意になぞらえ、「プラザ合意2.0」と呼ぶ向きさえ出てきた。

こうなると市場はリスク選好に傾き、上で述べた「ドル/円ジリ高シナリオ」のがい然性も高まる。ただし、中国は元高に伴う輸出競争力の低下を避けるため、対ドルで円安やユーロ安、韓国ウォン安が進むのを嫌がるだろう。

トランプ政権は、中国が元安回避の約束を守る限り、円安やユーロ安には静観を決め込むとみられる。

しかし、仮に円だけでなく、ユーロやウォンもそろって対ドルで下落した場合、米国はドル高が自国経済に与える影響もさることながら、元安誘導を控えるとした約束を中国が反故にするかもしれない、と警戒を強める可能性がある。日銀や欧州中央銀行(ECB)の金融緩和に対する風当りも強まるだろう。

<米国は円の独歩安なら黙認か>

具体的には、ユーロ/ドルが1.10ドルを割り込み、ドル/円が115円を超えるような展開になると、こうしたシナリオへの警戒感を強める必要が出てくる。

米中による「プラザ合意2.0」の下では、円の独歩安は黙認されやすいとみられるが、ドル全面高の中で円安が進行すると、米国から日本に対し、通貨政策面での圧力が強まる恐れがある。向こう1年程度の時間軸を展望する中では、念頭に置くべきシナリオだろう。

一方、今後数カ月程度の時間軸で警戒すべきリスクは、むしろ米中通商協議が予想外に頓挫することだ。トランプ政権が対中追加関税を発動する不安が高まるような状況に逆戻りした場合、米中株安などリスク回避的な市場変化がドル円を反落させる。

また、米財務省が4月半ばに公表する為替報告書で、中国を為替操作国に認定する可能性も格段に高まる。昨年のこの時期にそうしたニュースが流れ、中国が米債投資を抑制するなどの見方が市場に広がった際には、米金利が上昇する中で、リスク回避のドル安が円やユーロに対して進んだ。

気になるのは、2月末にベトナムのハノイで開かれた米朝首脳会談が失望を招く結果に終わったことだ。昨年6月にトランプ大統領が対中関税政策を発表したのは、シンガポールで開催された最初の米朝首脳会談から3日後だった。

2回目の米朝首脳会談に同席したポンペオ米国務長官が、合意内容が万全でなければトランプ大統領が席を立つ準備がある、と語ったことに象徴されるように、対中交渉を巡る米政府関係者の発言は、ここに来て慎重になってきたと筆者は感じている。

短期的には調整によるドル円反落リスクを警戒している。

(本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

*高島修氏は、シティグループ証券のチーフFXストラテジスト。1992年に三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行し、2004年以降はチーフアナリスト。2010年シティバンク銀行入行、チーフFXストラテジストに。2013年5月より現職。

(編集:久保信博)
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-plazaaccord-osamu-taka-idJPKCN1QV0BE

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/518.html

[経世済民131] 過剰債務と財政拡張、世界経済の楽観論に潜む米中の「病巣」
コラム2019年3月15日 / 23:12 / 1時間前更新
過剰債務と財政拡張、世界経済の楽観論に潜む米中の「病巣」
田巻一彦
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[東京 15日 ロイター] - 世界経済は今年後半に回復する──。このメーンシナリオに死角があるとすれば、過剰債務に直面する中国経済が、経済対策を打ったにもかかわらずズルズルと失速するか、財政拡張に傾く米トランプ政権によるマクロ政策の副作用で、想定外の米長期金利上昇が起きることではないかと予想する。可能性は小さいものの、リスクが顕現化した際の破壊力は大きく、この両国の抱える「病巣」からは目が離せない。

<多数説は年後半の回復>

15日の日銀金融政策決定会合の終了後、会見に臨んだ黒田東彦総裁は、短期的に中国や欧州が減速しているとしたものの「中国では大幅な景気対策が打たれており、どんどん減速する状況ではない」と指摘。対中輸出に影響が出ている欧州も含め「年後半には回復するのがメインシナリオ」との見通しを示した。

この黒田総裁の想定は、グローバルマーケットでの主流的な見方でもある。実際、中国経済に対する海外投資家の評価は悪くないようだ。

中国商務省が15日に発表した1─2月の同国への海外直接投資は、前年同期比5.5%増の1471億1000万元(218億9000万ドル)で、米国からの投資は前年同期比44.3%増となった。

<バブル崩壊後の日本に似る過剰債務の中国>

しかし、中国の過剰債務問題は深刻化している。内閣府が国際通貨基金(IMF)や国際決済銀行(BIS)のデータをもとに試算した2017年9月末の中国の民間非金融部門債務残高の対名目GDP(国内総生産)比は、約275%に達している。

また、16年の名目GDPが2000年の約10倍なのに対し、債務残高は17倍に膨張していた。

過剰債務を抱えた企業に対し、金融機関が新規に融資を実行しても、新たな設備投資には向かわず、利払いに当てられるいわゆる「追い貸し」状態に陥りやすいことは、バブル崩壊後の日本でみられた現象だ。

また、多くの企業で債務返済を同時に始めると、そのことが需要減少に結びついて、デフレ的現象を生むことになるのも、日本で経験したことだ。

その中国で、2019年に企業の税金や手数料を約2兆元(2983億1000万ドル)削減するなどの経済対策が打ち出されても、どの程度の需要押し上げ効果を持つのか、疑問の声を上げるエコノミストは少なくない。

さらに米中通商交渉が予想を超えて長期化し、米国の対中高関税がかかったままの状況が続けば、中国経済にはボディーブローのようにダメージが蓄積されると予想される。

こうしたリスクシナリオが顕在するなら、年後半に中国経済が回復軌道に復帰するのは難しいだろう。

<トランプマジックの功罪>

一方、好調な景気を維持する米国だが、別のリスクを抱えている。トランプ大統領が11日に議会に提出した4兆7000億ドルの2020年度予算教書に対し、超党派の「責任ある予算委員会」は、米国の債務が向こう10年間で10兆5000億ドル増加すると試算。

与党・共和党のマイク・エンジ米上院予算委員長は13日、米政府の赤字は近く、年1兆ドルを超えるとし「われわれは明らかに不吉な方向に向かっている」と語った。

財政拡張的な政策は、当面の米景気を支えるうえでは「プラス」だろう。しかし、不気味なデータもある。

8日に発表された2月米雇用統計で、2月の時間当たり平均賃金が前年同月比3.4%上昇と09年4月以来の大幅な伸びとなった。

単月の振れが大きなデータではあるが、86億ドルも投じて万里の長城並みの壁を建設するとなれば、多くの労働力が投入され、さらに人件費を押し上げる展開も予想される。

<米国発のリスク顕在化シナリオ>

その時にマーケットがどのように判断するのか。ここが大きな分かれ道ではないだろうか。財政赤字の拡大と労働コストの上昇をみて、米長期金利が3%を超えて上昇するのか、それとも先進国に共通の低成長の未来を予見して、2%後半で推移するのかだ。

もし米長期金利が上がり出せば、米株下落を伴って世界の金融・資本市場はかなり混乱する可能性が出てくる。

このケースでは、労働コストが上昇しているので、米連邦準備理事会(FRB)は株価下落が大幅なものになっても、利下げで対応できそうもないという「困難」にも直面するだろう。

日本経済は、少子高齢化の進展によって、国内市場の収縮が止まらない。海外経済への依存度を高めつつ、中国と米国のリスクが顕在化すると、そのダメージを吸収する余力が極めて少ないことがわかる。

楽観的なメーンシナリオ通りに米中経済が進展することを祈りつつ、リスクシナリオの芽が出てこないか、日々、丹念に経済情報の分析に時間を充てるしか、東京市場の参加者にできることはないのかもしれない。
https://jp.reuters.com/article/uscn-column-idJPKCN1QW1BT
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/519.html

[経世済民131] 地銀の「時限爆弾」、新リスク規制は再編促すか  日銀、生産・輸出を下方修正 総裁「景気拡大メカニズムは変化なし」 
為替フォーラム2019年3月15日 / 09:56 / 5時間前更新

地銀の「時限爆弾」、新リスク規制は再編促すか

大槻奈那 マネックス証券 執行役員チーフ・アナリスト
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[東京 15日] - 昨年末、銀行に動揺が走った。一部の株や債券の価格が1週間で10%近く暴落する中、いくつかの銀行で、含み損のレベルがあらかじめ決まっていた「アラームポイント」に抵触したためだ。

問題はそこからだ。通常、このポイントにひっかかると、含み損の出ている証券を注視し、さらに損失が広がった場合、「ストップロス・ルール」により損切りをしなければならない。2003年に起きた「VaR(バリュー・アット・リスク)ショック」と呼ばれる債券相場の急落以来、多くの銀行でこうしたルールを厳格化している。

ところが今回、一部の銀行はアラームポイントや、ストップロス・ルールの執行を一時停止し、ポジションをキープしてしまった。久々のボラティリティー上昇に、なかなか踏ん切りがつかなかったようだ。

この結果、大手地銀7行の12月末時点の外債等の含み損益(評価損益の「その他有価証券」で「その他」に記載される項目)は、ふくおかフィナンシャルグループ(FG)(8354.T) 以外の全行で悪化、コンコルディアFG(7186.T)と山口FG(8418.T)の含み損(山口は単体合算)は、9月末時点からそれぞれ3倍と2.4倍に拡大した。

その後、市場は若干持ち直したものの、ピークからはまだ遠い。この3月末には損切りを迫られる銀行が続出しそうだ。みずほFG(8411.T)が6日発表した「外国証券の含み損処理等」による1800億円の有価証券売却損もその一環とみられる。

本来アラームポイントやストップロスのルールは、リスク拡大を避けるために設けられたもので、安易に緩和すべきではない。今回は、結果オーライだったが、今後はこのような牧歌的な管理手法は通用しにくくなるとみられている。

<新たな金融規制「IRRBB」で何が変わるか>

金融庁は今月末より、地方銀行など国内のみで業務を展開する金融機関を対象に、国債や外債、預金、貸出などの金利リスクについて、「銀行勘定の金利リスク(IRRBB)」と呼ばれる新たな金利リスク規制を導入する。

銀行は、そもそも預かった資金を運用し、さや抜きでもうけるのが基本だ。短期預金をあまりに長期の貸し出しや有価証券で運用してしまうと、急に預金が引き出された時に手元資金が足りなくなってしまう。

このため銀行は、金利リスクテークをほどほどに抑えるよう、規制されている。かつて金利リスクといえば債券リスクに限った話だったが、08年のリーマンショック後、管理の範囲が貸し出しなど、「銀行勘定」の資産・負債全体に及ぶようになった。

この厳格なルールは昨年3月、まず大手行などの国際基準行に適用され、今年3月末から国内基準行にも適用範囲が拡大される。

具体的には、2つの点が大きく変更される。

第1に、リスクの測定方法が厳しくなる。これまで金融庁は、過去5年間の実際の金利変動からリスク量を計算することを容認していた。  ここ5年といえば、「毎日、金利が動かないことを確認するのが唯一の業務」などと円債関係者が揶揄(やゆ)されるような静かな市場だった。そのため、そこから計測されるリスク量は極めて限定的だった。

ところがルール改正後は、円建ての場合は金利が上下1%幅、ドル建ての場合は上下2%幅で変動した場合、どれだけの損失が出るかを算出しなければならない。この変動幅は通貨ごとに異なり、例えば、南アフリカランドであれば、4%の変動幅でリスクを計算する。

日本国債の金利が1%動くなどという仮定は、夢のまた夢のような気もするが、自己資本の十分性を保守的にチェックしようというのが、この改正の趣旨だ。

このように計算された「まさか」の時の損失が、自己資本の15─20%を上回った場合、金融庁が状況を分析した上で、金融機関と「深度のある対話」を行い、対応策を求める。さらに、改善策を履行しているかどうかを、同庁がフォローアップする。こうした改善に至るプロセスの明確化が変更の2点目だ。

現在でも、金融機関が過度な金利リスクを負った場合、当局が相応の対応を促すことは可能だ。しかし実際には、リスク量が小さく出るため、それに抵触する金融機関は、ほとんどなかった。新たなルールでは、潜在的なリスクが浮き彫りになり、高いリスクを抱える金融機関に対して、抜本的な改善策を促す仕組みが確立する。

なお、この規制議論の過程では、金利リスク量が規定を上回った場合、即刻是正を強制すべきとする強硬意見もあった。しかし、これは国債のボラティリティーを高めかねないとの配慮から却下され、資本賦課(ふか)を求めない「第2の柱(Pillar 2)」と呼ばれる緩やかな枠組みに落ち着いた。また、現在ゼロとされている先進国の国債のクレジットリスクを引き上げるべきかどうかという点も並行して議論されていたが、あまりにセンシティブであるため、一旦棚上げされた。

<地域金融機関の金利リスクは>

18年3月にIRRBBが先行して導入された国際基準行の場合、金利リスク量は問題のない水準だった。メガバンクの中で最もリスク比率が高かった三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)(8306.T) でも同年3月末時点で10.6%、それ以外の大手行も4─10%程度と、国際基準行の上限である15%を余裕でクリアした。

では、地域金融機関ではどうか。これらの銀行では、金利リスク量の上限が20%と、国際基準行よりは甘い。

だが、日銀が昨年10月に公表した金融システムレポートによれば、地銀や信金の自己資本に対する平均金利リスク比率は円貨だけで30%を超える。

実際には、コア預金などさまざまな計測方法の違いで、これよりは小さくなるとみられるものの、円貨のほかに外貨の金利リスクもある。日銀は、これが大手行、地銀ともに約5%程度と試算。中には、もっと高い金融機関もあるとみられ、IRRBB規制は大手行ほど影響がないとは一概に言い切れない。

<厳しい状況に陥る地域金融機関は>

仮に、規定の上限をオーバーした場合、どの程度ポジションを圧縮しなければならなくなるのだろうか。

 3月15日、銀行に残された収益の防衛手段は、経費構造の抜本的見直しだが、この点、地域金融機関は大手行から大きく遅れをとっている、とマネックス証券の大槻奈那氏は説く。都内で2016年撮影(2019年 ロイター/Toru Hanai)
現在、地銀の金利リスク量は、貸出と債券投資で、2対1程度の割合になっている。単純計算では、自己資本の30%を超える金利リスクを負った地域金融機関が、同比率を20%以下に圧縮するには、全ての保有債券を売却する必要に迫られる。

地銀が保有する国内債券の総額は、2018年9月末で60兆円程度となっている。さほど大きくはないが、地元企業の私募債などがこれ以上引き受けにくくなるというだけでも、局地的に大きなインパクトを与える可能性がある。

では、どんな地域金融機関が厳しい状況に陥りやすいのだろうか。IRRBBとは異なる算出方法ではあるが、現在でもショック時の金利リスク量は年次ベースで開示されている。新庄信用金庫や高知信用金庫など一部の信用金庫で18年3月末の自己資本に対する比率が17─30%に達するなど、相対的に高い水準にある。

地銀でも、同3月末で10%前後の銀行が散見される。

これら金融機関の共通点としては、預証率が高く、有価証券利回りが高いなどの点がある。特に、地方の信金については、地元に有力な貸し出しが少ない場合などは有価証券の運用にプレッシャーがかかっている可能性が高いとみられる。

銀行が保有している有価証券の平均利回りは、かつて購入した高金利の債券が満期を迎えるにつれ、じわじわと低下している。欧米でも金融政策の正常化を停止している状況下では、日銀の緩和政策にも出口は見えないだろう。

だが、この2、3年間、新たな収益源として狙いを定めた投融資先は、さまざまな理由から、ことごとく下火になっている。エネルギー向けのプロジェクトファイナンス、クレジットカードローン、投資用マンション融資、そして外債などがその例だ。

銀行に残された収益の防衛手段は、経費構造の抜本的見直しだ。その点、地域金融機関は大手行から大きく遅れをとっている。

最大の施策はやはり業界再編であろう。マイナス金利導入から4年目を迎える来年度は、いよいよ地域金融機関の再編が活発化すると予想する。

*本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*大槻奈那氏は、マネックス証券の執行役員チーフ・アナリスト兼マネックスユニバーシティ長。東京大学卒業。ロンドン・ビジネス・スクールで経営学修士(MBA)取得後、スタンダード&プアーズ、メリルリンチ日本証券などでアナリスト業務に従事。2016年1月より現職。名古屋商科大学大学院教授、二松学舎大学客員教授、クレディセゾン社外取締役、東京海上ホールディングス社外監査役を兼務。財政制度審議会財政制度分科会委員、東京都公金管理アドバイザリー会議委員などを務める。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

編集:下郡美紀
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-nana-otsuki-idJPKCN1QV0UT

 
ビジネス2019年3月15日 / 18:47 / 5時間前更新
日銀、生産・輸出を下方修正 総裁「景気拡大メカニズムは変化なし」
Reuters Staff
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[東京 15日 ロイター] - 日銀は、14─15日に開いた金融政策決定会合で、現行の金融政策維持を決めた。生産や輸出、海外経済の判断を下方修正するなど、海外経済を起点とした不透明感は高まっているが、黒田東彦総裁は「景気拡大の基本メカニズムに変化は生じていない」と述べ、現行の金融緩和政策を継続することで物価安定目標2%達成を目指す姿勢を改めて示した。

日銀は、生産や輸出、海外経済の判断を下方修正したが、総括判断の下方修正には踏み込まなかった。

景気の総括判断は「緩やかに拡大」を据え置きつつ、「輸出・生産面に海外経済の減速の影響が見られるものの」という文言を付け加え、足元の弱さを表した。先行きについても「緩やかな拡大を続けるとみられる」との見通しを維持しながら「当面、海外経済の減速の影響を受けるものの」との文言を加えた。

総括判断を維持したのは、日銀内で、先行きを「もう少し見極めたい」という声が強いためだ。現状で景気が減速しているのは中国や欧州だが、「中国は大規模な景気対策がすでに決定し、実行されつつあり、どんどん減速していく状況にはない」(黒田総裁)という認識にあるほか、排ガス規制など欧州の一時的要因の剥落、ITサイクルの回復などにより、年後半に回復するという見方を基本としている。こうした見方に沿って推移すれば、生産や輸出の落ち込みも一時的なもので終わり、足元堅調な内需に悪影響を及ぼすこともない。海外経済がどんどん減速し、内需にも波及することの「リスクはあるが、メインシナリオとして予想されるものではない」と黒田総裁は述べている。

中国など海外経済の悪化が企業マインドに悪影響を及ぼすかは、4月に発表される「企業短期経済観測調査」(日銀短観)も重要な点検材料となる。

個別項目では、1月の生産や輸出が落ち込んだことを受けて、生産については「足元では弱めの動きとなっているが、緩やかな増加基調にある」、輸出については「足元では弱めの動きとなっている」とし、それぞれ「増加基調」としていた判断を引き下げた。また、海外経済についても「総じてみれば着実な成長」から「減速の動きが見られるが、総じてみれば緩やかに成長している」に下方修正した。

こうした判断を受けて、短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度とする長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)付き量的・質的金融緩和政策の現状維持を賛成多数で決定した。反対したのは、原田泰審議委員と片岡剛士審議委員。片岡委員は「先行きの経済・物価情勢に対する不確実性がさらに強まる中」と従来以上に強く警戒感を示した上で「金融緩和を強化することが望ましい」との考えを示した。

麻生太郎財務相は、2%の物価安定目標について「少し柔軟にやってもおかしくない」などと述べているが、総裁は「2%目標は日銀政策委員会が自ら決定したもの。物価安定という日銀の使命を果たすためには、これを実現していくことが必要」と述べ、達成に向けて強い決意を示した。

また、2%の物価目標をできるだけ早期に達成するという方針についても「これを変更する必要があるとか変更が好ましいとは思っていない」との考えを示し「現在の政策委員会のメンバーも同じ意見だと思っている」とした。

総裁は、2%の物価目標に向けた「モメンタムは維持されている」と繰り返したが、目標達成には「なお時間を要する」という状況が続いている。

清水律子
https://jp.reuters.com/article/boj-mpc-idJPKCN1QW1A3
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/520.html

[政治・選挙・NHK258] 日本の若者が極右化しているのではなく 革新=リベラルが絶望的に退潮している [橘玲の日々刻々]

2019年3月14日 橘玲 :作家
日本の若者が極右化しているのではなく
革新=リベラルが絶望的に退潮している
[橘玲の日々刻々]
橘玲のメルマガ 世の中の仕組みと人生のデザイン 配信中
 2012年12月、早稲田大学社会科学総合学術院准教授の遠藤晶久氏は、早稲田大学の学生を50人ほど集め、PC画面上で世論調査に回答してもらい、アイトラッカー(視線測定調査)を使って画面のどのあたりを見ているか調べていた。

 だがプログラム設計時のミスで一部の回答データが記録されていなかったため、50人ぶんの動画を再生して個別に確認しなければならなくなった。そこで遠藤氏は、奇妙な体験をする。

 学生はまず、自分自身のイデオロギー位置について尋ねられるのだが、マウスカーソルはふらふらと画面をさまよい、回答に躊躇していた。次に自民党の位置を尋ねられても、同様にカーソルはさまよっている。さらに(旧)民主党、公明党、共産党についても回答を躊躇しているようだった。しかし(橋下徹氏時代の)日本維新の会の位置を尋ねる質問に画面が切り替わると、即断で選択肢がクリックされた。――「革新」側に。

 最初にその回答行動を見たとき、遠藤氏は、「早稲田の学生なのに、維新を「革新」と思っているのか……」と落胆したという。しかし、次の学生も、その次の学生も同様の回答パターンを示した。けっきょく、維新を「保守」側に位置づけた回答者は五十数人中わずか3、4人だった。

 なぜこんなことになるのか疑問に思っていたときに、2012年衆院選時に実施したウェブ調査のデータが届いた。それを年代別にしてイデオロギー位置の平均をとったところ、大学生どころか40代まで同様の認識を持っていることがわかった。

 こうして、日本では40代を境にして「保守」と「革新(リベラル)」が逆転していることが発見された。この傾向は5年後の2017年に行なわれた読売新聞・早稲田大学共同世論調査ではさらに顕著で、若い世代は共産党を「保守」、維新を「リベラル」に分類し、自民党は共産党や(旧)民進党より「リベラル」だと認識していたのだ。

 拙著『朝日ぎらい』(朝日新書)では、このデータを紹介して、「私たちは右と左が逆になった『不思議の国(鏡の国)のアリス』のような世界に住んでいる」と論じた。メディアや政治評論家がいまだ当然のように使っている「保守」対「革新(リベラル)」という分類は、まったく使い物にならなくなっているのだ。

 遠藤晶久/ウィリー・ジョウ『イデオロギーと日本政治』(新泉社)では、日本社会における政治イデオロギーの逆転をはじめとして、ビッグデータを駆使してさまざまな「通説」が実証的に検証されている。そこからわかるのは、「日本の右傾化」や「若者の保守化」など、当たり前のようにいわれていることのほとんどに根拠がないという驚くべき「事実(ファクト)」だ。

「日本の若者は右傾化しているのか?」
『イデオロギーと日本政治』で扱われているテーマは多岐にわたるが、ここでは「日本で極右支持は広がっているか?」と、「日本の若者は右傾化しているのか?」を見てみたい。

 西欧諸国の先行研究では、極右支持者は年齢が若く、男性で、宗教には入っておらず、教育程度が低く、社会経済的地位の低い単純労働者や自営業者、無職に多い傾向があるとされている(失業は極右支持を促す実質的な要因としてよく指摘される)。職業と宗教は社会への統合を働きかける重要な機能を果たしており、社会に統合されていないひとたちが極右的(ナショナリスティック)な政策を求めているのだ。

 極右支持者の信念体系の根本的な特徴は(アドルノによって定式化された)「権威主義パーソナリティ」で、多元主義や平等原則への拒否、攻撃的なナショナリズムの擁護、マイノリティへの差別を特徴とする。また、政治システムに対する不満は、しばしば既存の民主制度やプロセスへの不信につながっている。

 日本でも極右が広がっているのかを検証するには、こうした欧米の定義がどの程度当てはまるのかを実証的に調べてみる必要がある。そこで遠藤氏らは、2014年東京都知事選での田母神俊雄候補の支持層に注目した。

 田母神候補は自衛隊航空幕僚長時代に日本の侵略行為を否定する論文を発表して辞任、その後は保守派の論客として活躍し、極右支持者(ネトウヨ)のアイコンとなった。だとしたら、都知事選前後に行なわれたウェブ調査から田母神候補の支持層の属性を調べることで、日本の「極右」の実態が明らかになるはずだ。

 2014年の都知事選は舛添要一、宇都宮健児、細川護熙の3候補の争いで、田母神候補は「泡沫」と扱われたが、おおかたの予想を超える60万票以上(全体の12.6%)を集めてマスメディアや政治学者・知識人らを驚かせた。出口調査の結果はさらに衝撃的で、20代の投票者は舛添候補の36%に次ぐ24%もが田母神候補に投票したとみられる。こうして、若者は「保守化」どころか「極右化」しているという話になっていった。

 実際、保守か革新かのイデオロギー質問(0が革新、10が保守の11件尺度)で、保守側の端の2値(9と10)を「極右」としてまとめると、全体のおよそ10%がこのカテゴリーに入るが、田母神投票者では22.5%とその割合の高さは際立っている。田母神投票者のイデオロギー自己位置の平均値は6.6で、他の3候補と比べればかなり保守側に寄っている(舛添投票者5.8、宇都宮投票者4.3、細川投票者4.4)。日本社会において田母神投票者のイデオロギー的な立場が(右に)急進的であることは疑いない。

 田母神投票者の平均年齢は42.6歳で、他の3候補の投票者より5歳以上若い。ウェブ調査全体の男女比は55対45だが、田母神投票者では63%が男性だ。これは、「極右支持者は若い男性に多い」という西欧諸国の知見と整合的だ。

 しかし「田母神投票者=極右」という予想に合致するのはここまでで、それ以外の指標ではどんどん「極右」像から離れていく。

田母神投票者は「日本人アイデンティティ主義者」
 まず、田母神候補に投票した75%が職についていて他の候補者より4%は高く、その職の社会的な地位が低かったり、給料が安かったりすることもない。正規・非正規の雇用形態でも田母神投票者は他の回答者と変わりはなく、家計が経済的な圧力にさらされている証拠もない。

 ウェブ調査の回答者全体の24.2%は世帯収入が400万円未満だが、田母神投票者では22.5%と若干低い。欧米ではリベラルの支持者の方が経済的に恵まれているが、都知事選においては、(リベラルな)宇都宮候補(28.7%)や細川候補(25.2%)への投票者の方が世帯収入の低い層が多かった。

 田母神投票者の教育程度が低いということもない。そればかりか、田母神投票者の12%ちかくが大学院の学位を有していると回答している。その差は統計的に有意ではないとはいえ、日本には大学院卒が1.25%しかいないのだから、この数字が事実とすれば驚くべきものだ。多額の税を投入されている日本の大学関係者は、大学院がほんとうに「極右の巣窟」になっているのかを検証し、その実態を納税者に説明する責任があるだろう。

 都政レベルでも国政レベルでも、田母神投票者が舛添投票者と同様、かなりの満足感を示していることも興味深い。政治システムにもっとも不信を募らせているのは宇都宮投票者で、安倍政権を支持し原発再稼働に賛成する田母神投票者を「極右」の特徴である「抗議票」とすることはできない。

 ポピュリズムに関する質問では、田母神投票者は、「もっとも重要な政策決定は、政治家ではなく人々がおこなうべきである」という意見への同意がもっとも「少なく」(43.8%、全体で50.8%)、「一般的にいって政治家は庶民感覚がない」という意見への賛意も同様に「低い」(62.5%、全体で73.5%)。「政治とは究極的に善と悪の闘いである」という意見についてもほとんど差がなかった。ここからわかるのは、田母神投票者はそもそもポピュリストではない、ということだ。

 その一方で、「権威ある人々にはつねに敬意を払わなければならない」という意見に対しておよそ半数(49.7%)の田母神投票者が賛成しており、他の投票者より有意に高い。「伝統や慣習にしたがったやり方に疑問を持つ人は、結局は問題をひきおこすことになる」という意見についても田母神投票者の36.6%が賛成しており、これも他の候補者より高い数値を示している。

 さらに、田母神投票者の圧倒的多数は「子供たちにもっと愛国心や国民の責務を教えるよう、戦後の教育を見直さなければならない」という意見に賛成で(87.6%、全体で57.6%)、「国旗・国家を教育の場で教えるのは当然である」という意見も同様だ(94.5%、全体で全体で71.9%)。

 また、日本人と見なすための条件を尋ねていく質問では、(日本語を話せる、人生の大半を日本に住んでいる、日本の法律や政治制度を尊重している、など)3分の2の田母神投票者が先祖が日本人であることを重要としており、他の回答者(5割以下)より多かった。

 田母神投票者は、外国人についても肯定的な感情を抱いていない。とりわけ中国人と韓国人に対しては顕著で、欧米の反移民感情を説明するときの、「安価な労働力によって自国民の雇用機会が喪失する」という経済的脅威仮説でも、「見た目で少数派とわかる人々を忌避する」というヴィジブル・マイノリティ仮説でも説明できない。

 田母神投票者は「極右」でも「ポピュリスト」でもないが、「隣国への敵対的傾向を持つ愛国者」であることは間違いない。『朝日ぎらい』ではこれを「日本人アイデンティティ主義者」と名づけたが、ここにはその特徴が顕著に表われている。

田母神候補への投票と強く結びついた変数はナショナリズムと排外主義
 ウェブ調査のビッグデータを統計的に回帰分析すると、田母神候補への投票と強く結びついた変数はナショナリズム(「日本人」を「民族」に由来するものと定義する考え)と排外主義(外国人への敵意)だ。

 年長の投票者では、政治システムへの満足度が高いほど田母神への投票率も高いという、西欧の知見とは反対の結果が示されているものの、自己のイデオロギーとは関係なく、田母神候補への投票はナショナリズムと排外主義で説明することができる。

 興味深いのは、年少層では、ナショナリズムや排外主義と独立して、保守的な思考が田母神投票と結びついていることだ。

 これらの結果を私なりに解釈すると、2014年都知事選で田母神候補に投票したのは「極右」「ポピュリスト」ではなく、日本の保守層のうち「愛国」や「嫌韓・反中」に強く影響を受けているひとたちだ。

 田母神投票者のうちの年長層は1990年代から「新しい歴史教科書をつくる会」の運動に賛同し、慰安婦問題などから戦後民主主義的なリベラルに批判的で、「保守論壇」や「嫌韓・反中本」の熱心な読者でもある。彼ら/彼女たちは戦後日本の主流派でもあるから、日本の政治・社会システムへの満足度が高かったり、「権威には敬意を払うべきだ」と考えるのも不思議はない。欧米であれば「保守本流」とか「右寄りの保守」などと呼ばれる層で、「極右」とは見なされないだろう。

 若者のあいだで独自の「保守的な思考」が生まれているというのは、インターネット(SNS)を中心に広がっているサブカルチャーとしての「ネット論壇」のことだろう。これは年長層には影響力を持たないが、若い世代に対しては田母神候補への投票を促す要因となったと考えられる。

「日本人アイデンティティ主義者」は自分が「日本人」であるということに強いアイデンティティを持つひとたちで、「愛国者」を自負し「売国奴」をはげしく攻撃する。彼らのアイデンティティは、「日本人(俺たち)と「日本人ではない者(奴ら)」を区別することによって成り立っており、歴史的な経緯から、「日本人ではない者」は「中国人・韓国人」とされる。(不幸なことに)そのなかでも日本人への同化が進んだ在日韓国・朝鮮人に怒りの矛先が向けられており、これが欧米の「移民問題」とは大きく異なる理由だろう。

 ただし、「日本人アイデンティティ主義者」はアイデンティティに関わらないことについては関心がなく、「嫌韓・反中」以外では「極右」的な主張をするわけでもない。そこで次は、「若者はほんとうに保守化しているのか?」が問題になる。

「日本の有権者全体において保守化が起こっていないだけでなく、むしろ右から遠ざかっている」
 衆院選でも参院選でもさまざまな出口調査で、他の世代と比べて、18歳から20代の有権者による自民党への投票割合は高く、(旧)民進党や立憲民主党のような野党は高齢の有権者からの得票率が著しく高い。アメリカの若者たちがバラク・オバマを初の「黒人大統領」に押し上げ、「民主社会主義者」バーニー・サンダースを熱狂的に支持したように、世界的には若者の「リベラル化」が進んでいるにもかかわらず、日本だけは若者の「保守化・右傾化」が進んでいるとされてきた。

 そこで遠藤氏らは、世界各国の社会文化的、道徳的、宗教的、政治的価値観のちがいを調べる国際プロジェクト「世界価値観調査」の「1995〜1998年」「2005〜2009年」「2010〜2014年」を使ってこの「通説」を検証した。

 ここから明らかになったのは、各国の若者を比較すると、この20年間で他の国と同様に「日本で保守化は起こっていない」というファクトだ。2010年代の日本の若者の右派は10.8%で、1990年代の10.3%とほとんど変わらないし、2000年代は6.9%とかなり低い。自民党政権の新自由主義的な政策や近隣諸国との緊迫化によって日本の若者が右傾化しているという証拠はない。

 日本の若者の右派比率はオーストラリアやドイツよりは高いかもしれないが、ニュージーランドやスウェーデン、アメリカと比較するとずっと低い。スウェーデンは世界でもっともリベラルな社会だとされているが、自分を右派と見なす若者は2割ちかくもおり、日本の倍だ。

 より興味深いのは、日本の非若者(シニア層)においても右派の割合が減少していることで、これは他の国との際立ったちがいだ。欧米ではシニア層が右傾化し、若者の右派が減って世代間ギャップが拡大しているが、日本においては逆に世代間のイデオロギーのちがいが縮小している。「日本の有権者全体において保守化が起こっていないだけでなく、むしろ右から遠ざかっている」のだ。

 日本の若者は保守化していないだけでなく、自らを左派に位置づける割合が1990年代の10.3%から2010年代の17.0%へと大きく増えている。日本の若者の「左傾化」のペースは他の先進諸国のいくつかと比べても早い。ただし、2010年代においても日本の若者の左派比率は他のほとんどの国と比べても低い。

 ではなぜ、若者の自民党への投票率が高いのか。それを知るために、若者(39歳まで)に「明日もし選挙が行なわれるとしたらどこに投票するのか」を訊き政党選択を調べた。

 その結果を見ると、「左派」「穏健左派」「穏健右派」「右派」の(自分の)イデオロギー位置が右に行くほど自民党の選択率が上がるものの、「左派」の間ですら3割近い若者が自民党に投票すると回答し、その割合は(旧)民主党にほぼ並ぶ。また、「右派」を除いた3つのカテゴリーにおいて、(旧)民主党への選択率は比較的安定している(「左派」の若者が「穏健右派」の若者より民主党に投票するわけではない)。

 さらに、「右派」の若者の17.5%が「支持する政党がない」といっているのに対し、「穏健左派」では42.7%、「左派」では50%にも及ぶ。他の民主国家では右派でも左派でも若者と政党との距離は同程度だが、日本では左派の若者は、右派と比べて政党との距離がいちじるしく遠いのだ。

若者の内閣支持率は低く、不支持も低いという奇妙な結果
 若者の自民党への投票率が高いのと同時に、安倍政権への支持が高いことも繰り返し指摘されている。そこで遠藤氏らは、2013年1月から2017年の総選挙まで4年9カ月に及ぶ時期の時事通信による世論調査(18〜29歳)を使ってこの「通説」を検証した。

 それによると、意外なことに若者の内閣支持率は必ずしも高くなく、むしろどちらかといえば有権者全体の内閣支持率より低いという。その一方で、内閣不支持率については、支持率と同様にその値は一貫して全体より低い。

 支持も低く、不支持も低いという奇妙な結果になるのは、この調査に「わからない」という選択肢があるからだ。多くの若者は、森友・加計問題のような政治スキャンダルをそれほど重視しておらず、政権への支持・不支持を決めかねている。

 自民党への支持率も同様で、2012年の政権交代直後は有権者全体とほとんど同じだったが、その後は一貫して若者の自民党支持率は低い。

 若い世代の政党支持で特徴的なのは、安倍政権(自民党)への支持が高いことではなく、野党への支持が極端に低いことだ。高齢層では10%ちかくが野党第一党(旧民主党・民進党)を支持していたものの、若者のあいだでは2%に満たない。その一方で、右側の政党と見られている自民党は、左派や穏健左派の若者からもかなりの支持を得ることに成功している。

 この状況を著者たちは、「若者自体はイデオロギー軸上の真ん中に留まって、政治に関心を払ったり払わなかったりしているのだが、それと同時に、左側の選択肢に対する信頼を失っているという状況が、表面上は保守化のように見えるのであろう」と述べている。若者には棄権するか、自民党に投票するかの選択しかないため、自民党への投票割合が他の世代に比べて高くなるというのだ。

 これはたしかに説得力があるが、『朝日ぎらい』で指摘したように、若い世代では男女で自民党(安倍政権)への支持率が大きくちがう。2017年10月の日経新聞の調査では、18〜19歳の女性の自民党支持率は33%で女性の平均(36%)より低いが、男性の支持率は55%で平均(43%)を大きく上回っている。20代でもこれは同じで、女性の支持率は37%で男性は54%だ。これほど大きなちがいは、やはりなんらかの説明が必要だろう。次は「若い男性の自民党(安倍政権)支持」についても通説を検証してほしい。

日本社会は革新=リベラルが絶望的なまでに退潮している
 現代日本における政治イデオロギーを実証的に検証した『イデオロギーと日本政治』を読んで感じるのは、日本社会は保守化・右傾化しているのではなく、革新=リベラルが絶望的なまでに退潮しているということだ。革新政党を自認する共産党は、若者からは「保守政党」と見なされている。それ以外の生まれては消えていく野党も、保守かリベラルかというイデオロギー対立以前に、そもそも政治勢力として扱われていない。

 日本の「左翼」は、冷戦下に「護憲」「非武装中立」という非現実的な理想にしがみつき、冷戦が終焉してグローバル世界のルールが大きく変わっても自らの政治イデオロギーを修正することができず、エリート的な「無謬神話(自分はぜったい間違えない)」で巨大な墓穴を掘ることになった。そのなれの果てが現在の「安倍一強」だと考えれば、そこになんの不思議もない。

「リベラル」を自称するひとたちは「立憲主義を踏みにじる」安倍政権をさかんに批判するが、その声高なプロパガンダが若者たちからほとんど相手にされないのは、安倍政権を生み出したのが自分自身だという「事実(ファクト)」から目をそらせているからだろう。こうして、「民主主義を守れ」とこぶしを振り上げれば上げるほど若者たちは政治を忌避するようになる。――日本の大学では、政治の話をするとKY(空気が読めない)のレッテルを貼られて仲間外れにされるのだという。

 実証データからわかるのは、日本の若者も他国の若者たちと同じように「リベラル化」しており、変化や「革新」を求めていることだ。ところが日本の「リベラル」はそうした期待にまったくこたえることができず、憲法から築地市場移転まで「変える」ことに頑強に反対してきた。その致命的な失敗を自覚しないかぎり、日本において「リベラルの復権」はあり得ない。

『イデオロギーと日本政治』の最後で著者たちは、イタリアとの比較で、日本の政治イデオロギーの特殊性に触れている。イタリアでは冷戦時代の政党がすべて消滅するほどの大きな変化が起きたにもかかわらず、「右派」「左派」のような政治イデオロギーの指標は世代にかかわらずすべての有権者に共有されているのだ。

 このちがいを著者たちは、「多くの国では、社会的な亀裂は共通の政治体験と政治的言説を次の世代に伝達する役割を果たしている。日本においてはそのような亀裂がないため、若い有権者が政治の複雑な世界にうまく向き合いにくくなっている」と説明する。欧米は階級・宗教・地域社会、あるいは人種的な亀裂に基づいて分断されているが、日本にはそのような分断がないため、政治イデオロギーが固定せずに浮遊してしまうのだ。

 これは、「日本において民主主義の原則と制度が疑問視されていない」ということでもある。著名な国際政治学者であるイアン・ブレマーは、「大国の中で民主主義が比較的うまく機能しているのが日本だ」と述べているが、それも国民の統合度の高さから説明できるかもしれない。

 ここで紹介した以外にも、2017年の衆院選において希望の党を率いた小池百合子東京都知事の支持基盤が「リベラル」であった(リベラルを「排除」したのは政治的な大失態だった)など、『イデオロギーと日本政治』ではさまざまな興味深い指摘がなされている。

 今後、日本の政治についての議論は、本書で提示された実証データや知見を無視しては成立しなくなるだろう。

橘 玲(たちばな あきら)

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作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ヒット。著書に『「言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮新書)、『国家破産はこわくない』(講談社+α文庫)、『幸福の「資本」論 -あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』(ダイヤモンド社刊)、『橘玲の中国私論』の改訂文庫本『言ってはいけない中国の真実』(新潮文庫)、『もっと言ってはいけない』(新潮新書) など。最新刊は『人生は攻略できる』(ポプラ社)。

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[自然災害22] 次は南海トラフではない? 「隠された地震」の怖さ 2019年に危ないのはのはどこか
https://diamond.jp/articles/-/197075
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2019年3月16日 AERAdot.
次は南海トラフではない? 「隠された地震」の怖さ 2019年に危ないのはのはどこか
北海道胆振東部地震の影響であちこちで山肌が崩れた Photo:PIXTA
 2018年の世相を表す漢字は「災」。大阪北部地震や北海道胆振東部地震のほか、西日本の広い範囲を襲った西日本豪雨など、日本中で災害が相次いだ1年だった。
 近年は自然災害が相次いでいて、その範囲も日本各地に広がっている。では、2019年以降はどのような災害が予想されているのか。
 政府の地震調査研究推進本部(地震本部)によると、今後30年以内にマグニチュード(M)8〜9クラスの巨大地震が起こる確率は、静岡県から九州沖合にかけての南海トラフ沿いが70〜80%と予測されている。
政府の地震本部が発表した地震動予測地図。今後30年間に震度6弱以上の揺れが予想されている(作成/地震本部) 拡大画像表示
 さらに、北海道東部の千島海溝沿いを震源とする巨大地震も警戒されている。地震本部が昨年6月に発表した「全国地震動予測地図」の最新版によると、今後30年以内に震度6弱以上の地震が発生する確率は、釧路市で約70%、根室市で約80%となっている。
 だが、「次の巨大地震はどこか」となると、警戒すべきは南海トラフや千島海溝沿いだけではない。東京大学地震研究所の古村孝志教授は、こう話す。
「南海トラフ地震はおおむね100〜200年の間隔で繰り返し発生していて、前回は1944年の昭和東南海地震と46年の昭和南海地震が該当します。一方、その前後では43年の鳥取地震や長野地震、45年の三河地震など、内陸部を含む複数の地域でM7クラスの地震が頻発しています。南海トラフや千島海溝沿いの地震の確率が高まっている今の日本は、日本海側や内陸部であっても、いつM7クラスの地震が起きてもおかしくありません」
 鳥取地震の死者・行方不明者は1083人、三河地震は2306人。ところが、戦争中の地震は情報統制で十分な調査が行われず、これらの地震は現在でもわかっていないことが多い。昭和東南海地震と同様に「隠された地震」と呼ばれているが、海溝型の巨大地震の前後に直下型の地震が頻発していたことは、歴史の教訓として知っておく必要がある。
 さらに、昨年発生した2つの地震にも学ばなければならない。大阪北部地震では、高槻市の小学校に設置されていたブロック塀が倒れ、小学4年生の女児が死亡した。
 ブロック塀についてはかねてから専門家から危険性が指摘されていたものだ。78年の宮城県沖地震では、死者28人のうち18人がブロック塀などの倒壊で犠牲になり、子供が多かった。その後に法改正があり、宮城県では生け垣に変更するなど対策が進んだが、全国には広まっていなかった。
 北海道胆振東部地震では41人の死者が出たが、大半が大規模な土砂崩れの犠牲となった。被害の多かった北海道厚真町では、住宅近くの「土砂災害危険箇所」の43カ所で土砂崩れが発生し、うち22カ所が「土砂災害警戒区域」に指定されていたなかった。指定が進んでいれば、被害が軽減されている可能性もあった。自分が住んでいる地域で、きちんと対策が取られているかをまず知ることが必要だ。
 では、いつ起こるかわからない地震に対して、どのような対策をすべきか。
「まずは震度6強程度の強い揺れでも建物が倒壊しないように建物を強くすること。震度7で建物が倒壊したとしても、完全に潰れず空間があれば命は助かります。耐震基準が高まっているので揺れに強い建物は増えていますが、室内の家具の転倒防止策を取っていない人は今でも多い。そのための対策もしておかなければなりません」(古村教授)
 家具の壁固定や転倒防止のストッパーを付けることは地震対策の基本中の基本だ。だが、現在でも地震のケガの原因は約30〜50%が家具類の転倒や落下によるものだ。すべての家具に対策できなくとも、居間や寝室など生活の中心となる場所だけでも効果は大きい。地震によるケガがなくても、家具の転倒で出口がふさがれたら避難できない可能性もある。火事が発生すれば逃げ場もない。耐震性が高い建物に住んでいても、家具が固定されていなければ意味がないのだ。
「地震対策というと水や食料の確保を重視する人がいますが、家を強くすること、家具の固定で身の安全と逃げ道を確保できるようにしておくことの方がより大切です。都市部で大きな地震が起きれば、救急車や消防車は圧倒的に足りない。まずは自助努力でできることを確実に対策しておきましょう」
 地震大国の日本では、どこで大地震が起きてもおかしくない。新しい年のスタートに、まずは災害への備えを十分にしておきたい。(AERA dot.編集部・西岡千史)
※AERA dot.より転載

https://diamond.jp/articles/-/197075
http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/660.html

[経世済民131] 中国首相、景気てこ入れのための量的緩和行わず−減税を確認 株が上昇-中国が景気刺激策の堅持 「高揚」に近づく米株式市場
中国首相、景気てこ入れのための量的緩和行わず−減税を確認
Bloomberg News
2019年3月15日 13:14 JST 更新日時 2019年3月15日 15:17 JST
今年の雇用創出規模は1300万人に−銀行の預金準備率など利用へ
対米通商協議に良い結果希望、スパイ行為疑惑には反論−李首相
中国は現在行っている的を絞った景気刺激の戦略を堅持し、量的緩和(QE)や公共投資の大幅な拡大などの大規模な措置を講じようという誘惑に抵抗すると、 李克強首相が15日、北京で開催していた全国人民代表大会(全人代=国会)の閉幕に際し、記者会見で表明した。

  首相は、経済への「下押し圧力に対応して強い措置を取る必要が確かにある」とした上で、「無差別なアプローチは短期的にはうまくいくかもしれないが、将来の問題につながる可能性がある。従って、これは実行可能な選択肢ではない。われわれの選択は市場参加者を活性化することだ」と語った。

Li Keqiang
李克強首相(3月15日)Photographer: Giulia Marchi/Bloomberg
  景気対策として全人代では主に減税など「的を絞った」措置が議論された。景気減速の深刻化に伴い失業率が上昇しており、この状況に合わせた刺激策を求める圧力が高まっている。

  李首相は成長減速を受けて大量の失業者が出るのを防ぐことを政策の新たな焦点とする方針をあらためて強調。「雇用第一」戦略では、雇用が財政および金融政策と同じレベルの優先順位となると説明した。首相によると、今年の雇用創出規模は1300万人と、先週の経済政策報告で示した目標の1100万人を上回る見込み。

  先週発表された減税の規模は、提案されていた今年の計画の2兆元(約33兆円)を上回る可能性がある。これには、付加価値税の最高税率の3ポイント引き下げなどが含まれていた。また、当局は昨年以来何回か銀行の預金準備率を引き下げているが、この手段の活用が継続されることも首相は示唆した。

  「銀行の預金準備率や金利などの価格ツールを利用できる。金融緩和の方向には進まないが、実体経済を効果的に支えている」としている。

  このほか李首相は、付加価値税の引き下げは4月1日から実施し、社会保険料は5月1日から引き下げると確認。「主要経済指標が適切な範囲から外れることは阻止する」と表明した。また、政府は既に国営企業や銀行から移管させた利益で1兆元を集めたとした上で、「特定の金融機関や一部の国営企業に、彼らが国庫にもたらす利益を増やすように求める決意だ」と述べた。

  米中関係を巡っては、ここ数カ月の中国の主張を踏襲し、両国の間には「幅広い共通の利益があり、双方にとって有利な」成果を追求すべきだと語った。通商交渉はまだ進行中であり、中国は「一連の協議から良い結果がもたらされることを希望している」と言明した。

  一方、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)が中国政府のスパイ行為を手助けしているという米欧の批判に反論し、スパイ行為は「中国の法に一致せず、中国はそのような振る舞いはしない」と明言。「これまでもしていないし、将来もしない」と強調した。

Disappearing Dissent
Votes against Chinese government reports continue dropping under Xi Jinping


Source: National People's Congress, Xinhua News Agency, data compiled by Bloomberg

Note: There are about 3,000 delegates to the National People's Congress each year.


原題:China Vows to Stick to Targeted Stimulus Amid Jobless Pressure(抜粋)

(首相演説の詳細を追加して更新します.)
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【米国株・国債・商品】株が上昇-中国が景気刺激策の堅持を表明

Jeremy Herron、Vildana Hajric
2019年3月16日 6:20 JST
15日の米株式相場は上昇。世界的な株高の流れを引き継いだ。中国が景気刺激策の堅持を表明したことが手掛かり。各国中央銀行が緩和策を継続するとの見方も強まっている。米国債も上昇した。

米国株は上昇、中国が景気刺激策の堅持を表明
米国債は上昇−10年債利回り2.59%
NY原油は小幅安−OPECの減産方針で週間では上昇
NY金は上昇、ドル下落や中国の需要期待で
  前日発表されたブロードコムの好調な決算を受けて、この日は情報技術が大きく上昇。S&P500種株価指数は、週間ベースでは昨年11月以来最大の上げとなった。出来高は大きく増え、相場の変動も高まった。株価指数と個別株の先物とオプション取引が期限を迎えるクアドルプル・ウィッチングとなったことが背景にある。米国債市場では10年債利回りが2.6%を割り込んだ。この日は日本や欧州でも株価が上昇。中国が付加価値税の引き下げを発表したことで、同国の景気回復への期待が高まった。

  ブロードコムは上場来高値に上昇。他の半導体株も連れ高となった。ボーイングは一時の下げから反転し、小幅高で引けた。737MAXのソフトウエア更新に関する報道が手掛かり。アドビは下落。利益見通しが市場予想に届かなかった。テスラは大幅安。最新の「モデルY」に対する評価がまちまちとなったことが背景にある。

  S&P500種株価指数は前日比0.5%高の2822.48。ダウ工業株30種平均は138.93ドル(0.5%)上げて25848.87ドル。ナスダック総合指数は0.8%上昇。ニューヨーク時間午後4時54分現在の米国債市場では、10年債利回りが4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.59%。

  ニューヨーク原油先物相場は小幅安。週間では2週続伸となった。石油輸出国機構(OPEC)が供給超過の回避に向けた取り組みを続ける姿勢を示したことが手掛かり。主要産油国は今週末、アゼルバイジャンで会合を開催する。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物4月限は今週4.4%高。15日の取引では9セント安の1バレル=58.52ドル。ロンドンICEの北海ブレント5月限は7セント下げて67.16ドル。

  ニューヨーク金先物相場は上昇。ドルの下落が手掛かりとなった。また世界最大の金消費国である中国が大幅な減税計画を発表したことを受け、同国で需要が高まるとの楽観が強まった。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は7.80ドル(0.6%)高の1オンス=1302.90ドルで終了。

原題:Tech Spurs U.S. Stocks to Best Week Since November: Markets Wrap(抜粋)
Oil Closes Near 4-Month High After Second Straight Weekly Gain
PRECIOUS: Gold Rises on Weaker Dollar, China’s Record Tax Cut

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「高揚」に近づく米株式市場、金融方針転換後の安堵感が拡大
Elena Popina
2019年3月16日 15:09 JST
S&P500種はFOMC開催前の週として16年12月以来の大幅上昇
「米金融当局が情勢を一変させた」−フロント・バーネットCIO
米金融当局が1月にハト派寄りに姿勢を転換した際に投資家が抱いた安堵(あんど)感は、さらに確かなものになりつつある。

  米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合を19、20両日に控え、今週のS&P500種株価指数は年初来の大幅上昇。EPFRグローバルがまとめたデータでは、米国の株式ファンドには11日までの1週間で254億ドル(約2兆8300億円)と、1年ぶりの多額資金が流入した。S&Pは計2.9%上昇し、FOMC開催前の週としては2016年12月以来の上げ幅となった。

  フロント・バーネット・アソシエーツのマーシャル・フロント最高投資責任者(CIO)は、「米金融当局が情勢を一変させ、市場はその機を捉えて躍進した」とし、市場はもはや金融当局について心配しておらず、米中間の関税問題を乗り切って、成長見通しも改善するとの「楽観ムードがある」と述べた。

  

Gaining Momentum
Stocks posted the best week preceding the Fed's rate decision since 2016


Source: Bloomberg

The S&P 500's rebound leaves it less than 4% below the record high
原題:Powell Peace Starting to Look a Little Like Euphoria in Equities(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-15/POFD6N6S972801?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/527.html

[経世済民131] 中国の米国債保有2カ月連続拡大、通商対立の中−2位の日本も増やす 米国債に投資妙味なし、市場はFOMCを「誤解」−利上げ

中国の米国債保有2カ月連続拡大、通商対立の中−2位の日本も増やす
Andrew Mayeda、Katherine Greifeld
2019年3月16日 6:14 JST
中国の1月末時点の米国債保有残高は2カ月連続で増加した。トランプ米政権との間で貿易を巡る対立が続く中、中国が米国債の購入を増やしていたことが分かった。

  米財務省の15日発表によれば、中国の米国債保有は1兆1300億ドル(約126兆円)。昨年12月は1兆1200億ドルだった。外国勢で米国債保有残高が中国に次いで大きい日本は1兆700億ドルと、12月の1兆400億ドルから拡大した。    

統計表
統計表(国・地域別、英語)
原題:China’s Holdings of U.S. Treasuries Climbs for Second Month(抜粋)

米国債に投資妙味なし、市場はFOMCを「誤解」−利上げ終了はまだ
Anooja Debnath
2019年3月16日 2:11 JST
市場では米国債保有の積み上げを投資家に促す動きが強まっているが、イートン・バンス・マネジメント(運用資産4930億ドル=約55兆円)のアンドルー・シュチュロフスキ氏はこれと逆の方向に動いている。

  シュチュロフスキ氏が運用する国債ファンドは、この3年間で同種ファンドの97%を上回るパフォーマンスを上げた。同氏はデュレーションをアンダーウエートとしており、連邦公開市場委員会(FOMC)は今のところ利上げを停止したとの市場で広く受け止められている見解には賛同していない。シュチュロフスキ氏は、貿易戦争や芳しくない経済統計など、米国債を支えてきた要素は今年下期には薄れ始めるだろうとみている。

Eaton Vance's Szczurowski predicts 2-year yields toward 3% by end 2019
  シュチュロフスキ氏は「米国債については、もう価値がないと考える」と述べ、「市場はFOMCを若干誤解している。個人的には当局が利上げを終了したとはみていない」と述べた。

  同氏はFOMCが年内1回、もしくは2回の利上げを実施することさえあり得ると予測。2年債利回りが年末までに3%に向かって再び上昇するというシナリオは「理にかなっていないわけではない」と述べた。

原題:Markets ‘Misinterpreting’ Fed, Warns Manager Shunning Treasuries(抜粋)


https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-15/POEXQ66TTDS601
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/528.html

[経世済民131] バフェット氏も現代金融理論を批判「支持する気には全くなれない」 リスク資産への恐怖を捨てるべき時だ−JPモルガン
バフェット氏も現代金融理論を批判「支持する気には全くなれない」
Katherine Chiglinsky、Katia Dmitrieva
2019年3月16日 12:24 JST
インフレ急上昇につながりかねず「危険領域に踏み込む必要ない」
パウエルFRB議長やサマーズ元財務長官らがすでに相次ぎ批判
赤字支出に肯定的な「現代金融理論(MMT)」の主張に対し、米資産家ウォーレン・バフェット氏が新たに批判の輪に加わった。

  MMTの論旨は、自国通貨で借り入れを行う国の場合、財政破綻に陥ることはないとして、現在の米国のように低金利の下では特に、通常考えられているよりも赤字計上によって支出を増やす余地があるというものだ。

  バークシャー・ハサウェイを率いるバフェット氏は15日の電話インタビューで、「MMTを支持する気には全くなれない」と指摘。赤字支出はインフレ「急上昇」につながりかねず、「危険な領域に踏み込む必要はなく、そうした領域がどこにあるのか正確には分からない」と語った。

Key Speakers At The Goldman Sachs 10,000 Small Businesses Summit
ウォーレン・バフェット氏写真家:Andrew Harrer / Bloomberg
  MMTを巡っては、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長やサマーズ元財務長官、ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)、ダブルライン・キャピタル共同創業者のジェフリー・ガンドラック氏らが相次いで批判。ガンドラック氏は「大規模な社会主義的プログラム」を正当化するために利用されている「完全なナンセンス」だとし、パウエル議長も「全く誤り」だと述べている。

  一方、MMT支持者の一人であるアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員(民主)は、気候変動に対処するため、赤字支出の拡大を提唱している。

原題:Buffett Joins Scorn of Modern Monetary Theory and ‘Danger Zones’(抜粋)


リスク資産への恐怖を捨てるべき時だ−JPモルガンのコラノビッチ氏
Lu Wang
2019年3月15日 15:49 JST
米中貿易協議で合意の可能性高く、主要な中銀がよりハト派的な姿勢
全てが19年後半の景気回復の舞台を整えているとストラテジストら
昨年のクリスマス以来リスク資産を避けてきた投資家は、そろそろ投資すべき時だと、マルコ・コラノビッチ氏らJPモルガン・チェースのストラテジストが指摘した。

JPMorgan urges investors to embrace risky assets such as stocks and commodities
Marko Kolanovic
マルコ・コラノビッチ氏Source: Bloomberg
  同社は顧客に、商品の保有を増やし、国債などの比較的安全な資産を減らすことを勧めている。米中貿易協議で合意の可能性は高く、世界の主要な中央銀行がよりハト派的な姿勢となるなど、全てが2019年後半の景気回復の舞台を整えているとストラテジストらは論じた。

  「リスク資産は将来的なファンダメンタルズを織り込む傾向があるため、市場は足元の軟調局面を無視し下期の成長回復をますます織り込む可能性が高いとみられる。米国と中国の間の貿易紛争が解決を見れば、特にそうだ」と顧客向けリポートで指摘。「これらの動きがリスク資産への追い風となるはずだ」と結論付けた。

原題:JPMorgan’s Kolanovic Says Time to Get Over Your Fear of Stocks(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-15/POE7NT6TTDS001?srnd=cojp-v2



http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/529.html

[戦争b22] イスラエル軍がガザ地区を空爆、テルアビブへのロケット弾攻撃に報復 
イスラエル軍がガザ地区を空爆、テルアビブへのロケット弾攻撃に報復
Amy Teibel
2019年3月15日 21:23 JST
イスラエルはハマスを非難、ハマスは否定−偶発的な発射との見方も
テルアビブへの攻撃は2014年以来、イスラエルは来月9日に総選挙
15日未明、イスラエルのガザ地区からテルアビブに向けてロケット弾2発が発射された。この報復でイスラエル空軍は同地区の数十カ所を空爆したが、これに対してパレスチナ人武装勢力はイスラエル南部にロケット弾を打ち込んだ。来月9日のイスラエル総選挙を控え、緊張が一気に高まった。

  テルアビブが標的とされたのは2014年のイスラエルとイスラム原理主義組織ハマスの紛争以来だった。ロケット弾が着弾したのは市街地ではなく、これまでのところ双方で死傷者は報告されていない。

  報復の連鎖を終わらせるため、エジプトが仲介に乗り出している。ガザを実効支配するハマスはこれ以上の対立激化を望んでいないとみられ、1年近く続いている毎週金曜日の対イスラエル抗議運動は中止となった。

  イスラエル軍はテルアビブへの攻撃はハマスに責任があると主張しているが、ハマスはこれを否定している。今のところ犯行声明は一切出ていない。ウェブニュースサイトのYnetは、テルアビブに向かったロケット弾は偶発的に発射されたとの見解が軍の間で広がりつつあると報じた。軍はこの報道についてコメントを控えた。

PALESTINIAN-ISRAEL-GAZA-UNREST
ガザ地区に対するイスラエル軍の空爆Photographer: Mahmud Hams/AFP via Getty Images
原題:Israel Strikes Gaza After Tel Aviv-Area Attack as Vote Nears (2)(抜粋)
Efforts to Defuse Gaza-Israel Flareup Intensify as Vote Nears
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-15/POEL266KLVR601?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/570.html

[国際25] ボーイング、米中協議絡みの大量受注期待に暗雲 737MAXソフト修正で多額の費用発生 墜落現場、原因究明部品を発見
ビジネス2019年3月15日 / 11:52 / 14時間前更新
アングル:
ボーイング、米中協議絡みの大量受注期待に暗雲
Reuters Staff
2 分で読む

[シアトル/パリ/上海 14日 ロイター] - 米政府関係者らは、米中貿易協議に関連して中国が間もなく米航空機大手ボーイング(BA.N)の旅客機を近く大量受注すると期待していたが、エチオピアで墜落事故を起こした737MAXを中国が運航停止としたことで、期待に冷や水が浴びせられた。複数の業界筋が明らかにした。

米中協議が一定の進展を見せたここ数週間で、中国がボーイング機を100機以上、100億ドル超相当を定価で発注する可能性が浮上していた。

関係筋らによると、両国が貿易戦争を繰り広げてきた間、中国の公的部門が購入を抑えてペントアップ需要(繰り越し需要)が積み上がっていた兆しがあるのに加え、中国民間部門も2018年にボーイング機を1機も発注していないことから、大量発注の期待が高まった。

しかし中国が737MAXの運航停止を決めたことで、発注がいつになるか不透明になったと関係筋らは言う。

ティール・グループの航空アナリスト、リチャード・アブラフィア氏は「中国はボーイングにとって最大の輸出市場なので、今回の問題が(米国側の)懸念材料リストに載ったのは間違いない」と語る。

中国は10年以内に米国を抜いて世界最大の航空市場となると見られている。同国はボーイングに加えて欧州エアバス社の航空機を大量に購入するとともに、国内でも航空機事業の育成に投資してきた。

現在、ボーイング機の4分の1は中国が購入している。同社は中国が今後20年間で自社製ジェット機7700機、1兆2000億ドル相当を発注すると予想している。

中国はこれまで、重要な外交イベントに合わせて定期的に大量の旅客機を発注してきた。例えばトランプ米大統領による2017年の訪中時には、ボーイングのジェット機を300機購入する取り決めを結んだ。

ただアナリストによると、これは新規受注だけでなく過去の発注との重複分や、将来的な購入契約を合わせた数字なので、貿易摩擦による影響は把握しにくい。

航空業界で過去に交渉に当たった人物によると、今後新たに大量発注が発表されるとしても、同様の状況が当てはまるかもしれない。

中国は、ペントアップ需要を満たすためにエアバス機の発注を増やす可能性もある。中国の航空会社は、貿易戦争への干渉を避けたいとの考えや景気減速を背景に、エアバス機の発注も抑えてきた。

フランスのマクロン大統領の側近は14日、エアバスが中国と長期間にわたって交渉してきたナローボディー機(通路が1本の航空機)の購入について、契約締結に近づいているとの見方を示した。

米中が防衛戦争を繰り広げる中、ボーイングは中国で事業の足場を広げる一方で、公な商談の場ではトランプ大統領と衝突しないよう、慎重な言動に徹してきた。

(Eric M. Johnson記者 Tim Hepher記者 Brenda Goh記者)
https://jp.reuters.com/article/boeing-us-china-idJPKCN1QW09V

ボーイング、737MAXソフト修正で多額の費用発生も−アナリスト
Alan Levin、Richard Clough、Mary Schlangenstein
2019年3月16日 17:15 JST
エチオピア航空機墜落事故を受けて世界中で運航停止となっている旅客機737MAXのコンピューター飛行制御システムの修正に伴い、米ボーイングは何十億ドルもの費用を負担する可能性がある。

  カナコード・ジェニュイティーのアナリスト、ケン・ハーバート氏によれば、解決に6−8週間かかった場合、ソフトウエア修正だけで費用は5億ドル(約560億円)前後に上る場合がある。

  当局の運航停止措置が続けば、納機の遅れや航空各社への補償で1カ月ごとに費用はさらに20億ドル上積みされる可能性があると、ハーバート氏は語った。納機が速やかに再開されれば、ボーイングは費用の多くを回収することができる。

  だが同氏によると、これは最善のシナリオであり、エチオピア航空機事故の調査で新たな問題などが見つかれば、ソフト修正費用は「大幅に膨らむ恐れがある」という。

原題:Boeing Software Fix to Max Will Be Costly Following Twin Crashes(抜粋)


737MAX墜落現場、原因究明の手がかりとなる部品を発見
Alan Levin
2019年3月15日 22:55 JST
部品は急降下するよう設定されていた可能性を示唆−関係者
事故機のブラックボックス、パリで解析作業始まる
エチオピアで墜落したボーイング737MAXの残骸から見つかったスクリューのような部品が、墜落直前の状況を究明する手がかりとなっている。一方、現場から回収された事故機のブラックボックスは、パリで解析作業が始まった。

  調査状況に詳しい関係者によると、発見されたのは機首の角度を調整するトリムと呼ばれる装置に使用される「ジャックスクリュー」と呼ばれる部品。この部品の状態から、機体が急降下するよう設定されていた可能性が初期段階の調査結果で示唆されたという。

  衛星データの分析結果にこの部品の発見が加わり、米連邦航空局(FAA)は昨年10月に同機種が起こした事故と今回の事故との類似性を認め、運航停止に踏み切った。関係者は事故調査の内容に関する話だとして、匿名を条件に語った。

Emergency Services Work At The Crash Site Near Bishoftu Of Ethiopian Airlines ET302 To Nairobi
エチオピア航空ET302便の墜落現場で作業する調査員ら写真家:Jemal Countess / Getty Images
原題:Crash Wreckage Yields Clue as Work Begins on 737’s Black Boxes(抜粋)

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ボーイング、737MAXソフト修正で多額の費用発生も−アナリスト
ドイツ銀:人材確保の手当て、プログラム見直しに応じず−関係者
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-15/POESLJSYF01S01
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/706.html

[国際25] 苦境のドイツ銀、政府が合併協議入りを迫る理由 ドイツ銀:人材確保の手当て、プログラム見直しに応じず 

トップニュース2019年3月15日 / 14:47 / 13時間前更新
アングル:
苦境のドイツ銀、政府が合併協議入りを迫る理由

Tom Sims and John O'Donnell
3 分で読む

[フランクフルト 13日 ロイター] - ドイツ政府は金融大手ドイツ銀行(DBKGn.DE)に対し、国の支援を受けるコメルツ銀行(CBKG.DE) との合併協議に入るよう圧力をかけている。国内最大のドイツ銀の健全性に懸念が生じているためだと、状況に詳しい当局者は説明する。

独政府が今回、異例の動きに出た背景を整理した。

●政府がドイツ銀行に懸念を抱く理由

欧州随一の経済大国である同国で最大の規模を誇るドイツ銀は、金融危機を無傷で乗り切ったが、その後、足元が揺らいでいた。

2016年、国際通貨基金(IMF)はドイツ銀について、他行との関係の緊密さゆえに、世界の主要行の中でも、金融システムにとって最大の潜在的リスクになっていると評した。

独当局者は、たとえば景気が後退局面入りしたり、巨額の罰金を科されたりすることがあれば、同行の危なっかしい経営再建が迷走するのではないかと懸念している。

独政府は、自動車や工作機械で知られる輸出主導型のドイツ経済を支えるために、信頼性の高い国内主力銀行の存在を望んでいる。

ドイツ銀を筆頭とする欧州各国の銀行は金融危機からの回復に手間取り、より強力な米国のライバルに押され気味だ。

●なぜコメルツ銀行なのか

ドイツ国内の大手銀行といえば、相次ぐ合併によりドイツ銀以外ではコメルツ銀しか残っていない。ドイツ政府は金融危機の際に同行救済のために株式の15%を取得しており、経営に関して大きな発言権を有している。

コメルツ銀はドイツ銀と同様に経営再建が難航しており、独当局者によれば、外国からの買収攻勢にさらされやすいという。国際的なライバル行がコメルツ銀を買収すれば、ドイツ銀にとっては国内での競争も激化することになる。

また独政府は、ドイツ経済の屋台骨である中規模企業への融資というコメルツ銀の得意分野を自国資本のもとに維持しておきたいと考えている。

●合併後の姿は

合併後の銀行は、融資や投資などの資産が総額約1兆8000億ユーロ(約226兆円)、株式時価総額は約250億ユーロとなる。独国内のリテール銀行市場の約5分の1の規模だ。

ドイツ、コメルツ両行を合わせると国内に2500支店を抱え、世界全体で14万人を雇用することになる。両行の労働組合によれば、合併によって少なくとも1万人の人員が削減される可能性があるという。

●誰が合併に賛成し、誰が反対しているのか

合併推進派としては、独政府の他に、双方の銀行の株主である米投資会社サーベラスなどが挙げられる。反対しているのは、それ以外のドイツ銀株主の一部と双方の労働組合だ。

ドイツ銀のゼービング最高経営責任者(CEO)としては、合併に踏み出す前にもっと時間をかけて自行を安定させたいと望んでいると、関係者複数が話す。

●合併協議の現状は

ドイツ銀の経営委員会は、2月にゼービングCEOに対してコメルツ銀との予備協議入りにゴーサインを出したと、事情に詳しい関係者は明かす。この人物によれば、少数の経営幹部のあいだではすでに接触が持たれているが、合意に至らず協議が終る可能性はあるという。

合併に向けた協議の存在が明らかとなり、独政府が合併を後押ししている中で、両行は統合に必要な手順を見極め、その成否を判断するプレッシャーにさらされている。数週間以内に判断が下されるとみられている。

●合併のリスクは

最大のリスクの1つは、合併に伴って両行による投資の一部についてバリュエーションの調整が起きた場合、それによって生じる財務上の穴をどう埋めるかという問題だ。ある当局者はロイターに対し、その規模は「数十億ユーロ」に上ると話した。

たとえば、コメルツ銀はイタリア国債などの債券を約308億ユーロ保有しているが、現在の評価額は277億ユーロで、31億ユーロの評価損となっている。合併によってこの損失が確定する可能性がある。ドイツ銀は保有する債券を時価で計上している。

合併が実現すれば、独政府が国内最大の銀行の株主ということになるが、幹部らは政府の影響力を低減したいと考えるだろう。

また両行がさまざまな技術システムの統合などの再編作業に忙殺され、ライバルに後れをとる可能性もある。

●合併以外の選択肢はあるか

独当局者はドイツ銀とスイスの金融大手UBS(UBSG.S)の合併についての予備協議を行ったが、事情に詳しい人々によれば、UBS側はほとんど関心を示さなかったという。

独当局者らは、ドイツ銀が現在進めているコスト削減とハイリスク事業の縮小という方法では、経営状況を反転できる見込みはほとんどないと考えている。

政府からの圧力が続き、ドイツ銀が単独で経営を続けることは難しくなっている。当局者の考えでは、国家資本が入った金融機関との合併が安全な逃げ道だという。

だが、合併に向けた協議が頓挫すれば、ドイツ銀は、特に米国における投資銀行業務をもっと縮小するよう求める一部投資家からの圧力に対応できるだろう。

●ドイツ銀行に対する報道はなぜ批判的なものが多いのか

ドイツ銀は、以前から一般のドイツ国民からの評判が芳しくなかった。行き過ぎた資本主義の象徴と見る人が多かったためだ。

同行のイメージは、多くの訴訟や数十億ドルもの罰金によって傷ついている。

たとえば、金融市場での価格操作を狙った「陰謀疑惑」や、ロシアから海外への資金移転を可能にするモスクワとロンドン間の架空取引といった疑惑がある。

最新の財務諸表によれば、ドイツ銀は訴訟費用として約12億ユーロを計上している。これまでの年度に比べれば少ないが、それでも2018年の利益の3倍以上だ。

●ドイツ銀の取り組みで成果があったものは何か

ドイツ銀は金融危機以来多くの訴訟を解決してきており、財務状況も改善している。昨年は2014年以来となる利益を計上し、ゼービングCEOは「(同行グループは)正しい軌道に戻った」と宣言した。だが独当局者は納得しておらず、引き続きコメルツ銀との協議を後押ししている。ゼービングCEOも今やこのプレッシャーに屈した格好だ。

(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/commerzbank-m-a-deutsche-bank-idJPKCN1QW07L


ドイツ銀:人材確保の手当て、プログラム見直しに応じず−関係者
Sonali Basak
2019年3月16日 10:42 JST
複数の幹部がプログラムの見直しを求めていた
昨年の株価下落を受け特別賞与の価値が急減
ドイツ銀行で人材確保を狙った特別賞与の価値が昨年急減して、さらなる人材流出を招く可能性が生じ、成績トップクラスの行員らは手当てプログラムの見直しを求めたが、同行は要求を受け入れなかった。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

  関係者によれば、同行はここ数週間に主要スタッフに対し、同プログラムを修正しないと伝えた。部外秘のやり取りだったことを理由に関係者が匿名を条件に語った。株価が手当の全額支給に必要な水準を大きく下回ったことを受け、投資銀行部門の共同プレジデント、マーク・フェドーシク氏を含む複数の幹部が見直しを求めたという。一部の行員はコメルツ銀行と合併することになれば今後報酬が減る可能性を懸念し、キャリアの選択肢を模索している。

  ドイツ銀は2017年、約5500人を対象に同プログラムを導入したが、支給に最大6年かかり、半分は同社株価が一定の目標水準に達しない場合に支給が保留される株式の形となっている。ドイツ銀の株価は18年に56%下落し、必要とされる水準の半分に満たなかったと関係者は述べた。

  ドイツ銀の担当者はコメントを控えた。

  ドイツ銀の行員は18年分のボーナスについて通知を受け、多くは大きく減額されたと、事情に詳しい関係者が今月初めに明らかにしていた。

原題:Deutsche Bank Is Said to Reject Sweetening Retention Bonuses(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-16/POFM2YSYF01T01
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/707.html

[国際25] トランプ氏、初の大統領拒否権を行使−非常事態宣言を維持 
トランプ氏、初の大統領拒否権を行使−非常事態宣言を維持
Justin Sink
2019年3月16日 5:56 JST
ドナルド・トランプ氏は15日、米大統領としての拒否権を初めて行使した。メキシコとの国境に壁を建設する費用を確保するために発令した非常事態宣言を維持し、2016年の大統領選挙運動での公約を果たすことが狙い。米連邦議会上院は今週、この非常事態宣言を無効とする法案を可決したが、大統領拒否権を覆すには票差が足りなかった。

  議会が可決した法案は米国民を「深刻な危険」に陥れると、トランプ氏は非難。ホワイトハウスの大統領執務室で、犯罪の犠牲者遺族や警官らが見守る中、拒否権行使の文書に署名した。

原題:Trump Issues First Veto on Bill to Block His Border Emergency(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-15/POFBZV6TTDS501


トランプ氏、初の拒否権発動 非常事態宣言無効の決議に
 

ワシントン=土佐茂生 2019年3月16日10時12分
 
議会が可決した国家非常事態宣言を無効とする決議案に対し15日、拒否権を発動するトランプ大統領=AP

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 トランプ米大統領は15日、メキシコ国境の壁建設費用を捻出するために出した国家非常事態宣言を無効とする連邦議会の決議に対し、拒否権を発動した。トランプ政権で拒否権を行使するのは初めて。与野党の反発を受けても、非常事態宣言や拒否権といった強攻策で目玉政策の実現を図っている。

 トランプ氏は大統領執務室で、国境警備の職員や不法移民に家族を殺された遺族を前に「議会は数え切れない米国民を非常に危険な状態にさらす危ない決議案を可決した」と批判。「全ての米国民の安全を守るため、無謀な決議案に拒否権を発動する」と語った。

 トランプ氏は先月、軍の施設を建設する基金などの予算を、予算権限をもつ議会の承認なしに壁の建設費に組み替えられる国家非常事態を宣言。80億ドル(約8900億円)の建設費を捻出することを決めた。

 これに対し14日の上院採決で、10人以上の共和党議員が「三権分立に反する」などと反発し、宣言を無効とする決議案に賛成した。トランプ氏は15日、記者団に「議会には、この決議を可決する自由がある。私には、それを拒否する義務がある」と一蹴した。

 大統領が拒否した決議は議会に…

残り:186文字/全文:660文字
https://www.asahi.com/articles/ASM3J24K1M3JUHBI00C.html
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/708.html

[経世済民131] 自社株買いを擁護できない理由 新興国株式「不良債権」暗雲、海外投資家も警戒 衛星画像や旅行予約、中国統計「穴」どう埋める
為替フォーラム2019年3月16日 / 10:08 / 13時間前更新

自社株買いを擁護できない理由
Edward Hadas
3 分で読む

[ロンドン 13日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米ゴールドマン・サックスは最近公表した調査リポートで、企業の自社株買いを巡る誤解のいくつかを解き明かそうとしている。しかし、現代資本主義に批判的な多くの人々にとって自社株買いは制度腐敗の象徴となっており、こと自社株買いについては反対派に理がある。

米証券取引委員会(SEC)が1982年に規則を設けるまで、企業が市場で自社株を買い戻すのは容易ではなかった。専門家の間では、自社株買いは社外の投資家にとって不公平な制度だという見方が大勢を占めていた。社内関係者でなければ自社株買いの有無や価格、規模を知りえないためで、担当する経営幹部が立場を悪用する恐れもある。

しかも株主還元には既に配当という手段もあり、その方が優れていて開放性も高い。配当と自社株買いの主な違いは、配当が公平で公開されているのに対して自社株買いは不透明な点だ。企業が通常の配当を維持したいのなら、特別配当を実施することができる。

しかしSECは1980年代に高まった規制緩和を求める圧力に屈し、おおよその規模や期間を明らかにすることを条件に自社株買いを適法化。他の国の規制当局もSECに追随した。

SECの決定を受けて税務当局は経済的な考察を行い、自社株買いを配当とまったく同じに扱うべきだった。実際には、自社株買いを税制面で優遇し、政府の税収がいくらか減るという副作用も招いた。

会計事務所も経済的な現実に目をつぶる道を選んだ。株式分割や株式による配当支払いのときに行う調整を自社株買いには適用しなかった。自社株買いによって企業の1株当たり利益を人為的に押し上げることができるから、経営者も自社株買いを好んだ。

経営陣は自社株買いに熱心になった。ゴールドマンが1880年以降のS&P総合500種構成企業の株主還元を調べたところ、2009年第3・四半期に始まった現在の景気回復局面では総額8兆ドルが株主に還元され、その60%余りを自社株買いが占めた。

株主還元のせいで設備投資が減っているとの批判が出ることは少なくない。トランプ大統領の先の大型減税で企業の手元キャッシュが増えているだけに、こうした懸念は高まっている。ゴールドマンのまとめによると、企業利益に占める株主還元の割合は1971─82年は半分程度だったが1983─2001年には70%に上昇。2002年以降は90%に高まっており、こうした懸念が裏付けられた形だ。

ただ、ゴールドマンのリポートは株主還元率について、1880─1980年の78%を現在の数字と比較し、還元率は過去40年間で徐々に正常化しているという逆の結論を導き出した。あり得ないことだ。1959年に関連会社決算の連結化が義務付けられるまで、企業決算は現在と比べて利益が少な目になっていることが多い。また、当時は株主から株主から増資を求める声ももっと頻繁に出ていた。

ゴールドマンのリポートは自社株買いを事実上の配当として正しく扱っており、自社株買いの改革を主張する人々にとって攻撃材料も提供している。

リポートは自社株買いに関する情報の不均衡といった従来からの懸念に取り組んでいないが、非公開の自社株買いは市場を歪めるというのは的を得ている。

また比較的新しく、あまり知られていないことだが、自社株買いには指数連動型投資を歪曲するという問題もある。非公開の自社株買いで発行済み株式数が減ると当該企業の正確な時価総額が把握できない。

こうした問題はいずれも些細なことに思えるかもしれないが、株式市場は公平でなければならない。市場の歪み、とくに企業の内部関係者に有利な歪みは、富裕層や権力を有する層が優位な立場にあるという疑念を引き起こす。

解決が難しい問題もあるが、自社株買いを阻止するのは簡単だ。厳格な会計基準や配当と同等の税制を設け、即時の情報開示を義務付けるのはそれほど難しくはない。世界中の規制当局が単に1980年代のミスを認めるなら、それ以前の状態に戻ることができる。

●背景となるニュース

・米ゴールドマン・サックスは7日、「企業のキャッシュ利用の優先度と自社株買いを巡る誤解」と題する調査リポートを公表した。
https://jp.reuters.com/article/bv-column-hadas-idJPKCN1QV0LO


 

トップニュース2019年3月16日 / 17:04 / 7時間前更新
焦点:
新興国株式に「不良債権」の暗雲、海外投資家も警戒の声
Tom Arnold
3 分で読む

[ロンドン 11日 ロイター] - 新興国株に対する投資家のセンチメントが、今年に入り改善したことを受けて、株価が急伸している。しかし、多くの銀行で不良債権が増加していることへの懸念が、一部で投資家の熱狂に水を差している。

インドでは、総与信残高に占める不良債権の割合が、世界的にみて高水準となる10%近くに達している。中国やメキシコ、インドネシア、ロシア、トルコとアルゼンチンでも、今年は不良債権比率が上昇すると、アナリストは予想している。

格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がトルコとアルゼンチンについて公表した悲観的な見通しは、昨年両国で起きた通貨危機の余波がすでに織り込み済みだとの市場想定を裏切るものだった。

大規模な水準に積み上がった不良債権は、金融セクターや経済成長の妨げになるだけでなく、新興国で台頭する中間所得層に対するエクスポージャーの獲得手段として、長年リテール銀行に対して投資してきた海外投資家にとっても、特別なリスクをはらむ。

世界銀行のデータによると、ブラジル、ロシア、インド、中国と南アフリカの新興5カ国(BRICs)における新興国銀行の貸し出しが、2017年には国内総生産(GDP)の平均128%に達し、2007年の同98%から大きく膨らんだ。

だがこのような動きは、クレジットサイクルの変化に脆弱なため、一部ですでに慎重姿勢に転じたファンドマネージャーもいる。

英ファンド運用会社アッシュモア・グループは、中国、マレーシア、韓国、台湾、トルコ、メキシコ、ロシアの新興7カ国における銀行に対してネガティブな見方をしている。ポジティブなのは、インドネシアとインド、ペルーのみだ、と同社で新興国市場を担当する株式ポートフォリオ・マネージャーのエドワード・エバンス氏は言う。

一部の新興国では中央銀行による金融緩和の兆候もあり、商業銀行の一部は、為替エクスポージャーを縮小し、バランスシート上のリスク削減に向けて動いている。

とはいえ、2019年年頭の全般的な金融情勢は、米国における数回の利上げや世界経済の減速懸念から、1年前に比べてタイトになっている。

どの銀行セクターについて暗い見通しを持っているかという問いに対し、資産運用会社イートンバンスで新興国企業ストラテジストを務めるアクバル・コーザー氏は、中国の経済減速が継続した場合のリスクを挙げた。

また、トルコとアルゼンチンの銀行見通しも「それほど強いものではない」と、同氏は付け加えた。

通貨リラの下落と景気後退入りは、借り手の返済能力を阻害するため、トルコの銀行は足場が不安定になっている。11日公表されたデータによると、2018年末の同国GDPは前年比で3%縮小した。

S&Pは先月のリポートで、トルコの不良債権比率が、これまでの予想の倍近い今年6%程度に拡大するとの見通しを示した。公式データでは、1月時点での同比率は4%となっている。

<対外債務リスク>

トルコや南アフリカ、インドネシアやメキシコでは、海外資金への依存度の高さがリスクになっている、と資産運用会社オッペンハイマーファンズのシニアリサーチアナリスト、タン・グエン氏は言う。

これらの国の対外債務は合計1兆3700億ドル(約152兆円)程度に膨らんでいる。加えて、これらの国を拠点とする企業では財政的圧迫が強まっており、債務返済が困難となって不良債権が膨れ上がる恐れがあると、グエン氏は警告する。

S&Pは今月、メキシコの22金融機関に対してレーティングの見直しを行い、うち数行について見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。この中には、米金融大手シティグループの現地子会社シティバナメックスや、同国の富豪カルロス・スリム氏が率いるバンコ・インブルサも含まれていた。

S&Pは一方で、貸出姿勢を慎重化すれば、メキシコの銀行は不良債権の急拡大を回避できるだろうと指摘した。

特にトルコについて、より差し迫ったリスクを危惧する投資家もいる。トルコ中銀は先週、政策金利をインフレ率を上回る24.00%に据え置いた。

「金利が高く、通貨が弱いということは、債務不履行に陥る企業や不良債権が増加する確率が高まっていることを意味する」と、TSロンバードで新興市場マクロ戦略のマネジング・ディレクターを務めるジョン・ハリソン氏は言う。

新興国の銀行の中でも優良な貸し手と評価されているトルコ第2の商業銀行ガランティ銀行(GARAN.IS)ですら、昨年の不良債権比率は予想を上回る5.2%だった。

インドでは、銀行が1900億ドル規模に上る不良債権の処理に追われてる。だが、モディ政権に近いとされるシャクティカンタ・ダス氏が昨年12月、インド準備銀行(中央銀行)総裁に就任してから、そうした圧力も弱まっている。

「これが意味するところは、銀行がこの問題を直視せずに済むようにしたことで、短期的な危機の可能性を回避したということだ。だがそれは、長期的な貸し出し成長が犠牲になる」と、ハリソン氏は分析する。

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)
https://jp.reuters.com/article/emerging-loans-idJPKBN1QT0QV


 
トップニュース2019年3月16日 / 17:04 / 7時間前更新
アングル:衛星画像や旅行予約、中国統計の「穴」どう埋めるか
Reuters Staff
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[東京/シドニー/ニューヨーク 12日 ロイター] - 中国政府が発表する経済統計の正確性には長年にわたり疑念が持たれており、外国人投資家やアナリストは経済実態を把握するため、各々独自の方法を編み出している。

利用するのは衛星画像から運輸データ、電力消費量、旅行予約サイトまで幅広い。

「多くの人々は公式統計だけを見るのではなく、成長率を代替するデータを探そうとしている」と語るのは、アバディーン・スタンダード・インベストメンツ(英エジンバラ)のファンドマネジャー、ロス・ハチソン氏だ。

公式統計によると、中国の2018年の国内総生産(GDP)成長率は6.6%で、同国では過去28年間で最低だが、世界平均の3.7%に比べると倍近くの水準を保った。

米ジョーンズトレーディングの首席市場ストラテジスト、マイケル・オルーク氏は「GDPには常に疑問がつきまとう」と指摘。「大半の米国人投資家はこの数字を少し割り引く。数字がXだとすると、本当の数字は『X引く何か』ではないかと考える。それに絶対値ではなく数字の基調を見極めようとする」と話した。

中国国家統計局はコメント要請に答えなかった。

<フィルター>

米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の中国販売が不振で投資家が懸念を募らせていた頃、アバデイーンのハチソン氏はナイキの決算が予想を上回り、中国での売上高が2桁の伸びを示しているのに着目していた。

「アップルを巡る懸念は中国経済の失速を告げる炭鉱のカナリアではなく、アイフォーンがますます高価になる一方、かつてほどクールではなくなっただけのように感じた」

UBSアセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ピーター・バイ氏も、データ数値にフィルターをかける必要性を強調する。バイ氏が消費者需要を見極めるために活用するのは、旅行予約サイトや、中国人観光客を相手にする化粧品・食品会社による状況説明だ。

米国のヘッジファンドを運用するテディー・バリー氏は、中国の信用拡大と世界の原油や銅の市場に強い相関があるため、中国の通貨供給量M1の伸びに注目している。

<衛星画像>

GAMインベストメント・マネジメント(チューリヒ)のポートフォリオマネジャー、ジャン・シー・コーテシ氏は、サンフランシスコのスペースノウ社が開発した中国衛星製造業指数SKI-CSMI-INDEXを注視している。

この指数は衛星画像とアルゴリズムを駆使して中国の工業施設を分析し、製造業活動の活発度を測っている。

欧州資産運用会社アムンディのシニアエコノミスト、クィンウェイ・ワン氏は、貨物・乗客輸送のデータと建設中の事務所スペース、電力消費量を組み合わせた社内モデルを利用している。

しかし多くのアナリストにとって、現場を訪れるのに勝る分析手法はないようだ。4Dインフラストラクチャのグローバル・ポートフォリオ・マネジャー、サラ・ショー氏は「北京をぶらつくとどこも満員で、レストランにも入れないし電車にも乗れない。経済状態がまだ割と大丈夫な証拠だろう」と語った。

(Daniel Leussink記者 Swati Pandey記者 Trevor Hunnicutt記者)
https://jp.reuters.com/article/china-markets-tealeaves-analysis-idJPKBN1QT0PZ
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/530.html

[国際25] 裏口入学は割に合うか、米一流大不正事件の「損得勘定」
トップニュース2019年3月16日 / 10:08 / 12時間前更新
焦点:裏口入学は割に合うか、米一流大不正事件の「損得勘定」
Ann Saphir and Howard Schneider
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[サンフランシスコ/ワシントン 14日 ロイター] - 大学には行く価値があると専門家も認める。だがそれは、どのような代償を払っても、ということなのだろうか。

子どもを名門大学に入学させるため、入試で不正を働いたり賄賂を贈ったりした疑いで、米国の芸能人や企業幹部ら50人以上が訴追された。高等教育への進学が目的だったとしても、罪を犯しては報われないという教訓を、手痛い形で学ぶことになった。

関連記事:コラム:史上最悪の裏口入学事件、米大学には「予期せぬ恩恵」

彼らは刑事処分を受けることになるだろうが、同事件はまた、次のような疑問を提起している。

親が支払ったカネは、今後子どもが長期にわたって手にするであろう経済的利益に果たして見合うものなのか──。

カリフォルニア州の不動産投資会社ウッドサイド・プロパティー(WP)インベストメンツの共同創業者、ブルース・アイザックソン夫妻は2015年7月、娘をカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)にサッカー選手枠で入学させるため、当時25万1000ドル(約2800万円)相当だったフェイスブックの株式2150株を譲渡したことを、刑事告訴状は示している。もし譲渡していなかったら、現在その価値は約37万3000ドルになっていただろう。

夫妻はその後、下の娘をボート競技選手と偽って南カリフォルニア大に入れるために、さらに35万ドルを費やした。

ヘラクレス・キャピタル(HTGC.N)のマヌエル・エンリケス最高経営責任者(CEO)と妻のエリザベスは、娘をジョージタウン大に入学させるため、試験で不正を行い、娘がテニス選手であると偽るために50万ドル以上を支払った疑いで、ニューヨークで逮捕された。

また、当局によると、有力選手でないにもかかわらず、サッカー特待生として女子生徒をイエール大に進学させるために親戚が120万ドル支払ったケースもあるという。

子どもの願書を良く見せるため、共通テストの結果を改ざんするのに1万5000ドルを支払い、訴追された親たちもいる。

こうしたカネはすべて、学費や生活費など他の初期費用の前にかかる。いずれのケースにおいても、犯罪は報われたといえるのだろうか。

<損か得か>

5年前、サンフランシスコ地区連銀のメアリー・デイリー総裁(当時は調査部門のアソシエートディレクター)は、大学費用は長期的に見ると、その費用に見合うことが多いと、論文で主張した。2014年の時点で年間2万1200ドルの費用を支払っていた4年制大学の学生は、38歳までに高卒の人と損益の差がなくなり、定年退職するまでには累計83万1000ドル多く利益を得ることになると結論づけている。

しかし、入学するために120万ドルを事前に使い、その後、学費やら生活費やらで年間7万ドル超かかる前出のイエール大に入学した女子生徒の場合はどうだろうか。卒業までに計148万ドルかかる計算だ。

デイリー氏のアプローチを手がかりに、平均所得に関するより新しい政府データを加味してロイターが分析したところ、年間の学費7万ドルを払った大卒者は、生涯仕事をする中で、高卒者よりも収入が130万ドル多いことが分かった。

だがこの女子生徒の場合、親戚が賄賂を贈ったことで、イエール大を卒業するまでにかかる正規の費用の5倍以上かかったことになるため、全費用は彼女が64歳になるまで回収できないことになる。

裕福な親が関与するケースの多くでは、子どもの将来的な収入は、自分の子どもがイエール大やスタンフォード大で学んでいると自慢できることに比べ、あるいは、有力な一流大卒業者とのコネクションを築けることに比べ、重要ではないようだ。

とはいえ、今回逮捕されていなかったら、子どもが得られる収入だけ見ても「収穫」といえるケースもあった。

UCLAのような費用が比較的安い大学では、前出のアイザック被告の場合、賄賂25万1000ドルと4年間の学費などの費用14万ドルを合わせたコストの全体は39万1000ドル。娘の生涯所得は120万ドル超のプラスとなる。

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一方、テレビドラマ「デスパレートな妻たち」などへの出演で知られる女優フェリシティ・ハフマン被告のような親の場合、子どもの入試の点数をかさ上げするために1万5000ドルしか支払っておらず、「収穫」はより大きくなっていただろう。この子どもが卒業したと仮定すると、高卒者と大卒者の平均年間所得の差である2万2000ドルだけみても、初期の「投資」は容易に回収できるだろう。

<無形資産>

長期的に見ると、一流大卒には高収入のほかにも利点がある。大卒者の方が失業率が低く、仕事の満足度も高い。

トロント大の経済学教授であるフィリップ・オレオプーロス氏は、大卒者の仕事以外での利点を調査。その結果、賃金の違いを考慮しても、大卒者は離婚率が低く、健康状態も良好で、全体的に幸福感を感じているという。

同教授は 「金銭的な利益をはるかに超えている」と述べる一方で、親による不正入学は「極めて不公平」だとして絶対に支持できないと付け加えた。

まだ全容が明らかになっていない今回のスキャンダルは、裕福な家庭の子どもを合法的に優遇することもある大学入試プログラムによって悪化した経済格差を浮き彫りにした。その一方で、学費ローン残高が1.56兆ドルに達していることを、連邦準備銀行のデータは示している。

金銭面だけで見るならば、少なくとも一部の賄賂や不正は、純粋な利益をもたらしたことをロイターの分析は示唆している。ただし、そのカネを賄賂や不正に使わなかったらどのように投資していたかを検討しない場合の話だ。

裏口入学にかかった平均額25万ドルを、長期のフィナンシャルプランナーが広く計算に使っている年率6%で運用した場合、そのリターンは、高校を卒業してから65歳までに390万ドルになる計算だ。

120万ドルの場合、リターンは最大1860万ドルに達する。

次の機会では、母親にただカネをくれと頼んだ方がいいかもしれない。

(翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)
https://jp.reuters.com/article/us-college-scandal-idJPKCN1QW13X
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/709.html

[国際25] ロシアで着々と進む「ソ連帝国」復活の動き 非行少年を愛国軍事キャンプで「洗脳」再教育 見逃される「フェイクニュース」
ロシアで着々と進む「ソ連帝国」復活の動き
非行少年を愛国軍事キャンプで「洗脳」再教育
2019.3.17(日) 黒井 文太郎
プーチン大統領、早急な生活改善を約束 年次教書演説
ロシア首都モスクワで、年次教書演説を行うウラジーミル・プーチン大統領(2019年2月20日撮影)。(c)Alexander NEMENOV / AFP〔AFPBB News〕

(黒井 文太郎:軍事ジャーナリスト)

 プーチン政権がロシア社会の「愛国」化を着々と進めている。中でも注目されるのは、「非行少年を愛国軍事キャンプで洗脳する」という話だ。

 3月12日、プーチン政権で安全保障政策を統括するニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記が「2019年中に、非行少年は愛国的な軍事キャンプに送られることになる」と発言した。単なる更生施設ではなく、愛国心を叩き込む軍事キャンプである。

 軍隊式に愛国心を叩き込まれたら、少年たちの多くはそのまま揺ぎ無き信念の愛国戦士に変貌し、いわばプーチン親衛隊予備軍のような人材に育っていくだろう。

 旧ソ連の「ピオネール」はいわば少年洗脳機関だったが、他にも、孤児を独裁者の私兵集団に育てたルーマニアのチャウチェスク政権の秘密警察「セクリターテ」や、少年少女兵を人民弾圧の先兵に使ったカンボジアのポルポト派などの例が示すように、子供の頃から政権支持の詰め込み教育を軍隊式に行う取り組みは、古今東西の共産主義体制・独裁体制にしばしば見られた。ロシアの場合も、プーチン政権による、いわばソ連式全体主義社会の復活の一貫といえるだろう。

愛国主義でロシアを「ナチス化」
 そもそもこうした動きの発端は、2014年のクリミア併合でロシアの民族主義が高まったことを受け、2015年4月に、プーチン大統領が学校での愛国教育の強化の必要性を語ったことを発端としている。

 プーチン大統領は同時に、教育科学省(現・教育省)に愛国教育の拡大を命令。さらに連邦青少年問題局(ロスモロデジ)に、2016年から2020年までの5カ年計画として「ロシア国民愛国教育計画」を計画させた。同計画では、「国を誇りに思う」と考えるロシア国民を8%増加させることが目標とされた。

 そして、プーチン大統領は2016年2月、教育とメディアによって広められる「愛国心」を国の唯一の指針と宣言した。その後、ロシアの小学校や中学校では「愛国教育」との触れ込みで、銃器の扱いも含めて基礎的な軍事教育をイベント形式で教える試みが始まっている。今回のパトルシェフ書記の「非行少年を愛国軍事キャンプに」発言は、その延長ということになる。

 なお、プーチン大統領の「愛国主義」政策は、少年たちの洗脳に留まらない。たとえば、2018年7月には、ロシア軍内に新たに「軍事政治局」が設置され、軍内での愛国主義の徹底が指示された。これはそのまま、かつての旧ソ連の軍内の政治総本部の復活とみられる。かつて旧ソ連は階級闘争イデオロギーである共産主義を掲げて全体主義を図っていたが、今のプーチン政権はとにかく愛国主義で全体主義化を図っているといえる。思想的には、ソ連復活というより、むしろロシア社会のナチス化を目指しているといったほうが適切かもしれない。

ドイツの学校でのナチス式敬礼、1934年(資料写真、出所:Wikipedia)
少年たちをSNSに近づけてはいけない
 3月12日のパトルシェフ書記の発言では、もう1点、興味深い発言があった。特にSNSの悪影響に言及し、それが少年たちを犯罪に駆り立てていると指摘したのだ。

 それに対応するため、パトルシェフ書記は、彼らが言う「有害な」サイトを少年たちから徹底的に遮断すべきと語った。たとえば、彼によれば、禁止されたサイトを遮断する特殊なソフトをロシアの学校にインストールしたことで、少年犯罪を18%減らすことができたという。

 パトルシェフ書記の言う少年犯罪には、いわゆる反政府抗議行動も含まれる。ロシアで行われる反政府集会には、多くの未成年者も参加しているが、ロシアは未成年者を無許可集会に参加させることを禁じている。

 なお、少年たちをネット上の自由言論から遠ざけることは、もともと旧KGB出身でFSB(連邦保安庁)長官を長く務めたパトルシェフ書記のかねての持論である。彼は過去にも、少年たちに愛国心を植え付ける目的でウェブ上で活動する「インターネット旅団」の創設を提案したことがある。

 なお、ロシアではすでに、教育省の正式な施策として、SNSを使って少年を愛国教育するプログラムが発足している。2017年3月に発表された「愛国教育計画」である。ロシアの少年たちは、SNSを日々使うなかで、こうした愛国主義のメッセージを常に目にすることとなっている。

見逃される「フェイクニュース」
 しかし、それでもネットは基本的には自由空間だ。誰もが好きなことを書き込めるが、それは旧ソ連型の管理社会を目指すプーチン政権には都合が悪い。そこで、この3月13日、ロシア上院で可決されたのが「フェイクニュース禁止法案」だ。これは、ロシア当局が有害と見なすフェイクニュースをネットにアップした場合、最大150万ルーブル(約250万円)もの罰金を科すことができるという新法である。

 さらに、「ロシア政府、政府の公式シンボル(プーチン大統領を意味する)、憲法、政府機関を侮辱する情報」の拡散にも、最大30万ルーブルの罰金と15日間の懲役を科すことができることになる。これらの新法案は上院を通過したので、まもなくプーチン大統領が署名して施行されることになる。

 ロシアでは、プーチン政権の宣伝機関である「RT」や「スプートニク」、あるいは国営テレビ「ロシア1」などこそがフェイクニュースの最大の供給源である。だが、プーチン政権が運用することになる法律が、そうしたフェイクニュースを取り締まることはあり得ない。逆にプーチン政権に不利になる情報がフェイクニュースと断定され、むしろ真実の情報を発信した人が罰せられるのは明白だ。言論弾圧以外の何物でもない。

 このように、ロシア社会では自由な言論は封じられ、プーチン政権側の情報だけが拡散することになる。特に少年たちには愛国主義が強烈に刷り込まれ、愛国を主導するプーチン大統領を無批判に崇拝する大量のロシア国民が、システマティックに生産されていく。

 どこかでロシア国民がそれに抵抗し、心の自由を手放さないことを期待したいが、プーチン政権の巧妙な国内世論誘導を見ると、それもなかなか厳しそうだ。少なくともプーチン大統領やパトルシェフ安全保障会議書記ら、旧KGB出身のロシアの強権政権指導者たちは、こうした数々の国民「洗脳」手段を講じ、ロシアに全体主義を導入しようと画策しているのである。きわめて危険な状況といえよう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55772
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/713.html

[国際25] いつまで続く? イギリスの「EU離脱」迷走劇 「大国幻想」にとらわれたポピュリズムが招く直接民主主義の末路 
いつまで続く? イギリスの「EU離脱」迷走劇
「大国幻想」にとらわれたポピュリズムが招く直接民主主義の末路
2019.3.16(土) 舛添 要一
英議会、EU離脱延期を可決 協定案は再採決へ
英ロンドンの首相官邸から出るテリーザ・メイ首相(2019年3月14日撮影)。(c)ISABEL INFANTES / AFP〔AFPBB News〕

(舛添要一:国際政治学者)

 EU離脱に関するメイ首相の提案をめぐって、今週は、イギリス下院で、3月12日、13日、14日と三日連続で審議、採決が行われた。

 まず、政府が提案したEU離脱協定案が採決にかけられ、賛成242票、反対391票で否決された。149票もの大差である。メイ首相は、前日の11日にEUのユンケル委員長と会談し、アイルランド国境問題について法的拘束力を持つ打開策を講じることで合意したが、その甲斐もなく議会で承認されなかった。

終わりが見えぬ「決められない政治」
 2カ月前の1月15日の採決では、メイ首相の提案するEU離脱案が、202票対432票で否決されており、そのときよりも差は縮まったが、保守党内の離脱派の反対は覆らなかった。その背景には、コックス法務長官が、「政府提案だとイギリスがEUの関税同盟から抜けられない可能性がまだ残る」という見解を表明したことがある。政府の一員でありながら、「法の支配」の原則を守ったこの説明で、保守党の強硬派は反対に回ったという。

 2度目の否決で、3月29日までにEUと合意した形で離脱する可能性はなくなった。

 13日には、議会は、「合意なき離脱」を回避することを、賛成321票、反対278票で支持することに決した。しかし、投票前に、政府案に対して、期限を設けずに今後一切「合意なき離脱」は行わない旨の修正が行われた。

 メイ首相は、「合意なき離脱」が現実のものとなる可能性を残し、それをいわば「脅し」材料として、政府案を承認させる戦略であったが、この手も使えなくなったのである。これだといつまでも延期となり、EUからすれば、「いつまで待てばよいのか」という苛立ちが募ることになる。いかなる離脱案であれ、EU側の承認が必要であり、イギリスだけの自由で決められるものではないからである。

 メイ首相も、「延期が長引けば、5月のヨーロッパ議会選挙にイギリスも参加せざるをえなくなる」と、離脱強硬派に再考を求めている。欧州議会選挙もまた一つの節目となろうが、「決められない政治」はいつまで続くのであろうか。

英議会、EU離脱案を再び否決
英議会前でデモを行う英国の欧州連合(EU)離脱に反対する人々(2019年3月12日撮影)。(c)Tolga AKMEN / AFP 〔AFPBB News〕

 14日には、離脱を6月30日まで延期するかどうかの採決が行われた。EU離脱延期案は413票対202票の賛成多数で可決された。この延期には、EUとの間でメイ首相がまとめた離脱協定案を3月20日までに可決することが条件として付されている。しかし、これまで2回否決された協定案が3度目に可決されるかどうかは不明である。

 今回の採決で、反対票の93%の188票は与党・保守党の議員であり、バークレイ離脱担当大臣ら閣僚の多くや保守党幹部も反対票を投じている。またEU側は、延期理由の明確な説明を求めているし、延期にはEU27カ国の承認が必要である。

 状況はまだ混沌としていると言ってよい。

「独立独歩路線」を待ち受ける茨道
 このイギリスの迷走劇を巡っては、国際政治の観点からも民主主義論の視点からも、様々な論点が浮かび上がってくる。今回はその問題点を論じてみたい。

 第一は、パックス・ブリタニカは70年前に終わったのに、イギリス人がいつまでもそれが続いているかのような幻想を抱いているのではないか、ということである。

 18世紀初頭にイギリスは、オランダを抑えて、7つの海を支配する覇権国となった。「世界一の大国」イギリスが支配する世界秩序をパックス・ブリタニカと呼ぶが、それは、第二次世界大戦終了まで約250年間続く。その後を襲ったのがアメリカで、今はパックス・アメリカーナの時代である。

 19世紀半ばに、ドイツやイタリアが統一すると、イギリスは欧州大陸諸国間の調整役を任じてきた。第一次大戦後、ドイツに対して寛大な政策をとったのは、対独強硬派のフランスとのバランスをとるためである。ヒトラーに対して宥和政策を展開したのもそうであり、ナチスをボルシェヴィキのソ連に対する防護壁として利用したのである。この政策がヒトラーを増長させ、第二次世界大戦へとつながるのであるが、バランサーとしての強大なイギリスの力がよく理解できる。

 しかし、第一次世界大戦も第二次世界大戦も、イギリスが勝利できたのは、アメリカの参戦のおかげであり、1945年以来、世界の覇権国はアメリカに移っている。イギリスが、欧州大陸を、まして世界を支配する時代は終わっているのである。さすがに今は欧州大陸のバランサーの役割を担うつもりはないだろうが、欧州大陸と手を切って独立独歩で生きていくというEU離脱強硬派の態度は、19世紀のパックス・ブリタニカ時代の「栄光ある孤立(Splendid Isolation)」政策を思い出させる。しかし、21世紀は最早そういう時代ではないのである。

「戦争なき世界の構築」が欧州統合のそもそもの理念
 第二に、なぜ第二次大戦後にヨーロッパの統合が推し進められ、現在のEUにまで至ったのかということである。それは、「二度と戦争のない世界を作ろう」という崇高な理想に基づいたものなのである。

 普仏戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦と近代の戦争は、フランスとドイツの争いであった。したがって、戦争の原因となった資源(鉄と石炭)の獲得競争を終わらせるため、ヨーロッパ全体で資源管理を行おうという発想が出てきたのである。

 そこで、まず設立されたのが欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)や原子力共同体(EURATOM)である。次いで、市場を統合し、EECという経済共同体に発展し、その後、通貨の統合にまで至ったのだ。加盟国も増加し、イギリスは1973年に加盟している。統合の度合いも深まっていった。こうしてEUの今日があるのである。今や、かつての敵同士、フランスとドイツが協調してEUを支える状況になっている。

 第二次大戦までは、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアというヨーロッパの大国が世界に対して大きな発言権を持っていた。しかし、第二次大戦後は、アメリカとソ連、そして今はアメリカと中国という大国に対して、ヨーロッパが団結しなければ重みを持たない。欧州統合は、国際社会における地位という観点から重要な意味を持つのである。欧州大陸から孤立したイギリスでは、世界で枢要な役割を果たせない。

 しかも経済がグローバル化した今日、イギリスにある自動車工場が、世界各地、とりわけ欧州大陸から部品を調達しているように、EUから離脱して関税を課すことは大きなマイナスをもたらす。「合意なき離脱」に備えて、企業がイギリスから撤退しているのは当然である。

 第三の問題点は、民主主義の行方である。今のイギリスの混乱の発端は、2016年に行われたEUからの離脱についての国民投票にある。2015年12月の世論調査ではEU残留派が過半数で、残留派のキャメロン首相は安心して国民投票に踏み切った。ところが蓋を開けてみれば結果は離脱派の勝利。ブレグジット(Brexit)が決定づけられた。

 代議制(間接)民主主義の国で、国民投票や住民投票といった直接民主主義的手法を採ることの是非は議論されねばならない。三権分立の国、アメリカの大統領選は、いわば国民投票であり、トランプのような人物でも選ばれてしまう。モンテスキューやルソーの理想が体現されたとはいえ、問題が多いのは今のアメリカを見ればよく分かる。

 その点で、イギリスや日本のような議院内閣制は、国民が議員を選ぶが、首相は議員が選ぶというように、ワンクッション置いている。そのことで、直接民主主義のリスクを軽減できているのである。しかし、国民投票にはそのメリットはなく、ポピュリズムの嵐をもろに受けることになる。

 国民投票にはもう一つ、単一争点主義(single issue politics)という問題もある。政治は多くの分野の問題に取り組まねばならず、政党は、政策全体をパッケージとして有権者に提示し、選挙で審判を受ける。国民投票は、単一問題を争点として国民の判断を求めるものである。現在のイギリス議会は、EU離脱協定案という単一の争点をめぐって、政党の枠を超えて賛否が分かれているのである。単一争点主義は賛否をめぐって国論を二分することにつながるが、今のイギリスがその典型である。

 ポピュリズムに晒される現代社会で民主主義が生き残れるのか否か、大きな岐路に立っている。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55779
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/714.html

[国際25] 夢見る韓国・文政権は北朝鮮の実態を見つめ直せ  軍部が牛耳る北朝鮮〜ベトナムとの違いはどこで生まれたのか 
夢見る韓国・文政権は北朝鮮の実態を見つめ直せ
軍部が牛耳る北朝鮮〜ベトナムとの違いはどこで生まれたのか
2019.3.16(土) 川島 博之
北朝鮮に発射準備の動きか? 韓国軍がミサイル施設を厳重監視
北朝鮮の国旗(資料写真)。(c)JOHN MACDOUGALL / AFP〔AFPBB News〕

 ベトナムのメリア ハノイ ホテル(先の会談の際に金正恩が滞在した)でこの原稿を書いている。今のベトナムは1960年代の日本によく似ている。経済成長の真最中であり、そこかしこで工事が行われている。たくさんのオートバイが行き交い、街は喧騒で溢れている。2人乗りも多いが、一昔前のように1台のバイクに3人も4人も、まるで家族全員が乗っているような光景には滅多にお目にかかれなくなった。一家に複数のバイクが普及したのだろう。自動車が増えたために、中心部では頻繁に渋滞が起こる。

 そんなベトナムは北朝鮮と友好な関係を有する世界でも数少ない国である。それは1957年にベトナム建国の父、ホーチミンが北朝鮮を訪問したことに始まる。翌年には、金日成が当時の北ベトナムを訪問した。その後始まったベトナム戦争において、北朝鮮は北ベトナムを積極的に支援している。その友好関係は60年以上にわたって続いている。

 そんなハノイで2月27、28日に、トランプ大統領と金正恩委員長の会談が行われた。その結果については、ここで述べる必要はないだろう。本稿では大の仲良しの北朝鮮とベトナムが、なぜこのように異なった道を歩むようになってしまったかについて考えてみたい。

案外民主的なベトナムの権力継承
 ベトナムも北朝鮮と同じくらい孤立していた。しかし、その後、1986年に「ドイモイ」と呼ばれる改革開放路線に転じて徐々に経済を市場化し、また海外との交流を深めた。ハノイで米朝会談が開催されたことからも分かるように、ベトナム戦争を戦った米国とも友好な関係を作ることに成功した。

 ベトナムと北朝鮮を分けたのは、権力の継承の仕方である。北朝鮮が血統による権力の継承を採用したのに対し、ベトナムは概して民主的な方法を採用した。それが、その後の国のあり方を決めた。

 ベトナムと北朝鮮は一党体制を採用している点において似ている。 しかし、ベトナムのトップの決定方式は意外にも民主的である。 たとえば、ベトナム国民議会の選挙は5年ごとに行われる。人々はそれぞれの地方から中央に送る代議員を投票によって選ぶことができる。

 ドイモイが始まって以降、書記長の任期は最大でも2期10年であった。1986年以降、今日まで6人が書記長を勤めており、その数は米国の大統領と同じである。

 米国の大統領は国民の直接選挙で選ばれるが(厳密には代議員を選ぶ選挙)、ベトナムの書記長は党内のコンセンサスによって決まる。その選び方は日本の自民党の総裁選びによく似ている。党内の選挙もあるが、選挙以前に行われる派閥間の駆け引きが重要である。まさに自民党政治と言ってよい。

 中国では権力が共産党のトップに集中するが、ベトナムでは権力は共産党書記長、国家主席、首相の3人が分掌する。党書記長といえども全てを1人で決めることはできない。そして派閥のコンセンサスで選ばれたトップは、日本と同じようにあまり強くない。これは中国には強い帝国が出現し皇帝に権力が集中していたこと、一方、ベトナムには強い王権が出現したことがなかったことを反映しているように思う。その政治感覚は、日本と同じようにコンセンサスを重視する村社会的である。

金正恩の重荷になっている“先軍政治”
 ベトナムは開発途上国にしては珍しく、軍が大きな政治力を保持していない。日本と同様に、経済的な利権を主軸として派閥抗争を行ってきたために、軍のプレゼンスが弱くなってしまった。現在のベトナムを見ていると、米国に勝利した栄光あるベトナム軍はどこに行ってしまったのかと思うほどである。この軍のプレゼンスの低下が北朝鮮とベトナムの明暗を分けた。

 北朝鮮では1994年に金日成が死亡した際に、息子の金正日が権力を継承した。これは儒教の影響が強かったためと思われるが、血によって政権を継承しても権力を維持することは難しい。カリスマ性のない金正日は政権の維持に苦慮した。その結果として軍の力を借りざるを得なくなり、“先軍政治”を始めることになった。

 それは成功したと言って良い。金正日は権力の保持に成功して、畳の上で死ぬことができた。しかし先軍政治を始めたことは、その後継者である金正恩の重荷になっている。軍が強い力を持ってしまい、路線変更ができなくなってしまった。

 軍に大きな予算を与え続けた結果、北朝鮮は原爆、そして水爆を持つことに成功した。その強い軍が担ぐ神輿に乗っていれば、権力者であり続けることができる。叔父や兄を殺すこともできる。

 しかし軍の意向を重視していると、国際的に孤立してしまう。国を発展させることができない。今回のハノイでのトランプ大統領との会談は、その矛盾を炙り出したと言ってよい。米国だけでなく中国も含めた国際世論は、北朝鮮が核兵器を持ったまま、経済成長路線に転換することを許さない。

特権的な生活を続けたい北朝鮮の軍部
 金正恩が最も恐れているのは北朝鮮の軍部である。JBpressにおいて右田早希氏は、金正恩が列車を使って60時間もかけてベトナムに行った理由を、飛行機を管理している北朝鮮空軍が怖いからだと書いている(参考:「北朝鮮、これから始まる『粛清の嵐』と『軍の台頭』」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55681)。もし、金正恩がトランプ大統領に対して大幅な譲歩を行えば、軍部は帰りの飛行機を爆破するかも知れない。金正恩は交渉において、少しでもフリーハンドを残しておきたいと考えて、列車で移動したのだろう。

金正恩氏が平壌に到着 国営メディア報道
ベトナム北部ランソン省のドンダン駅で列車に乗り込む前に手を振る北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(2019年3月2日撮影、資料写真)。(c)Vietnam News Agency / AFP〔AFPBB News〕

 金正恩は軍部の意向に逆らった政治を行うことができない。その立場は、戦前の昭和天皇や近衛文麿首相に似ている。当時、日本の指導者は米国と妥協点を見出して、国際的な孤立から脱したかったのだが、軍部がそれを許さなかった。暗殺をほのめかして妥協を封殺した。2.26事件を経験した政治家にとって、それは単なる脅しではなかった。

 北朝鮮の軍部は日本の歴史をよく学んでいる。いくら米国から圧力をかけられ、かつ挑発されても、真珠湾を攻撃するようなことはしない。暴発すれば全てを失うことを知っている。だから反発するにしても、せいぜい日本近海にミサイルを飛ばす程度である。軍の幹部連中は、先軍政治の下で豪奢で特権的な生活を続けたいと思っているだけである。そして、その最大の犠牲者は北朝鮮の一般民衆である。

 北朝鮮は今後も核兵器を持ち続ける。軍部が力の源泉を手放したくないからだ。そして国際社会は永遠にそれを容認しない。

 韓国はこれからも長い期間にわたり、核兵器を持つ北朝鮮と対峙して行かなければならなくなった。それは韓国にとって重荷以外の何もでもない。だが北朝鮮との平和的な統一を志向する文政権は、このような状況を理解することができないようだ。だから、支持率を上げるために日本を非難するなどといった子供じみたことを行う。

 大きな目で見れば、今度の会談の真の敗者は、北朝鮮との友好を基軸においていた文政権と言ってよいだろう。

(川島 博之:東京大学大学院農学生命科学研究科准教授、ベトナム・ビングループ主席経済顧問)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55741
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/715.html

[国際25] シャンゼリゼで略奪、破壊 仏デモ、大統領休暇中止 警備する警官隊も攻撃の対象となり、投石や暴行
シャンゼリゼで略奪、破壊 、大統領休暇中止
ヨーロッパ
2019/3/17 8:55 
【パリ=共同】フランスで16日行われたマクロン政権に抗議する黄色いベスト運動のデモで、一部の参加者や便乗した過激派が暴徒化し、パリのシャンゼリゼ大通りに並ぶ複数のブランド店で略奪、老舗カフェなど数々の店舗を破壊した。放火も相次ぎ、18週連続のデモとなった今回、極めて深刻な被害が出た。警察はパリで230人以上を拘束した。

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マクロン大統領は休暇を取って同国南部ピレネー山脈でスキーを楽しんでいたが、事態を受けて16日夜、急きょパリへ戻り、内務省での危機対策会議に出席。「起きたことはもはやデモとは呼ばない」と非難し、再発防止のため断固とした措置を取ると表明した。

https://www.nikkei.com/content/pic/20190317/96958A9F889DE6E0E7E5EBE3E7E2E3E5E2E1E0E2E3EB9BE2E2E2E2E2-DSXMZO4257878017032019I00003-PN1-4.jpg
16日、パリ中心部で燃えさかるバリケード=ロイター

デモには反資本主義的思想の無政府主義者ら過激派も加わっていた。老舗の高級カフェ、フーケッツや高級ブランド店などを主な標的として破壊や略奪を行ったほか、新聞や雑誌を売る路上の売店が相次ぎ放火された。共同通信パリ支局が入居するビルの扉のガラスも割られた。

警備する警官隊も攻撃の対象となり、投石や暴行を受けるなどした。催涙ガスや放水などで応じたものの暴力行為を阻止できず、野党からは政府の対応が不十分だったと批判する声も出ている。

内務省は全国のデモ参加者は約3万2300人だったと明らかにした。前週9日の約2万8600人から増加したが、約28万人が参加した昨年11月の初回に比べて規模は大幅に縮小。今回は昨年11〜12月に目立った暴力の再燃が際立った。
 

「黄色いベスト」を着たデモ参加者が2日、パリ市内を行進した=ロイター ロイター
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2019/3/4 7:52
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バリケードを築いて治安部隊をけん制する「黄色いベスト」参加者(8日、パリ)=ロイター
仏デモ、拘束2000人に 次回は15日に呼びかけ
2018/12/10 8:20更新
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42579150X10C19A3I00000/
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/716.html

[経世済民131] 日銀の最悪の選択(大機小機) 激動欧州経済、尋常ではない金融政策転換
日銀の最悪の選択(大機小機)
2019/3/15 17:30日本経済新聞 電子版
 欧米の金融政策方針が一気にハト派方向へ修正され、国内景気の雲行きも怪しくなるなか、日銀の追加緩和観測が出てきた。筆者は、あらゆる追加緩和策では副作用が効果を上回るため、その実施には強く反対する。だが残念なことに「効果・副作用のいかんにかかわらず何らかの対応をせざるを得ない」との考えのもと、日銀が年内にも実施する可能性は相応に高まっている。それでも、追加緩和はしばらく温存され、実施は向こう1〜2カ月といった目先ではないだろう。

 引き金になりそうなのは、本格的な景気後退、1ドル=100円を超えるような円高進行、政府の大型景気対策の3つだ。今年は選挙と消費増税が重なる特殊な年である。政府は景気変調や円高進行に過敏に反応して、安易に大型景気対策を打ちやすい。その際に日銀は、協調策として追加緩和を強いられる。

 日銀は、2016年9月に追加緩和の4つの選択肢を示している。(1)マイナス短期金利の引き下げ(2)10年金利目標値の引き下げ(3)上場投資信託(ETF)などリスク資産の買い入れ増額(4)マネタリーベースの増加ペースの加速――だ。(4)は、再び国債とマネタリーベースという量に高い目標を設定することを意味する。

 日銀が現在想定しているのは(1)ではないか。金融機関の収益見通しに与える打撃を十分に認識したうえでのことだ。2%の物価安定目標達成のためというより経済・金融情勢の急激な悪化を受けた緊急措置と位置づけるだろう。状況が改善すれば早期にマイナス0.1%まで戻し、それを将来のマイナス金利撤廃への布石とする可能性もある。

 しかし、16年のマイナス金利導入が社会不安を招いたことを記憶する政府は、選挙の年にそうした措置を望まないのではないか。むしろ、国民が痛みを感じにくい(4)を日銀に要求するかもしれない。

 日銀がこれを受け入れれば、過去2年半に及ぶ国債買い入れ減額は台無しになってしまう。国債市場の流動性が極度に低下し、市場のボラティリティーが著しく高まるリスクも生じる。最悪の場合、グローバル金融危機の引き金となる可能性さえあるのではないか。政府の意向に背くことができずに、日銀がこうした最悪の選択をしないことを願うばかりだ。

(神羊)


 
激動欧州経済、尋常ではない金融政策転換
2019/3/8 10:50日本経済新聞 電子版
 日本電産の永守重信会長は2018年10〜12月期連結決算会見で、一転して大幅減益となったことについて「ガタンガタンと受注・出荷が落ち込み、私の体験でも見たことのない、尋常ではない変化が起きた」と表現した。

 この感覚はドイツ中心の欧州企業でも共有されている。「18年11〜12月に売り上げがストンと落ちた」というコメントが市場では頻繁に聞かれる。対中依存度の高い日欧経済が米中貿易戦争のあおりをまともに食らった状況が鮮明だ。

 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁も、18年後半には欧州経済の立ち直りを語り、量的緩和は18年末までに終了、利上げも検討と語っていた。

 ところが、18年末からECB理事会ごとにスタンスが慎重になった。市場では、利上げ先送り、場合によっては、量的緩和実施前に行った銀行への低利融資による資金供給策の再導入が予想されるに至った。

 7日に開催されたECB理事会は波乱の展開になった。まずユーロ圏GDP成長率見通しを3カ月前の年率1.7%から1.1%へと急激に引き下げた。

 「緊急事態」に対応してドラギ総裁は異例ずくめの金融政策転換を決断した。18年末に終了したばかりの量的緩和政策にかわり、量的緩和政策導入前に実施していた銀行への低利融資による資金供給策(TLTRO)の再開を決定した。

 利上げ開始も、これまでの19年夏以降から20年以降と変更が明示された。マイナス金利脱却などいつになるか見当もつかない。しかも、満期を迎えるECB保有国債も全額を再投資という緩和政策は「かなりの期間」継続となった。

 筆者が驚いたのは、マネーばらまき策に強い抵抗を示すタカ派ドイツのバイトマン連銀総裁までが、今回の金融政策転換を支持したことだ。

 歴史的な視点でのサプライズは、このままだと10月に退任予定のドラギ総裁がついに「利上げ未体験」の中銀総裁として名を残すことだ。

 イタリア経済は2期連続マイナス成長で正式に「景気後退期入り」が宣告され、一帯一路への参加宣言で中国依存政策があらわになったばかりだ。しかも、極右・極左連合政権は親プーチン派である。コンテ首相がモスクワを訪問したときには「この国にいたほうが心地よい」と語っている。

 ドイツにとって従来は最優良顧客であった中国が「中国製造2025」により、一転してライバル国になったとの危機感がみなぎる。ドイツの景況感指数は18年11月ごろからストンと落ち込んだ。

 英国の欧州連合(EU)離脱混迷は、EU諸国にも経済的ダメージを与え、英・EUの共倒れリスクを秘める。

 そこに、米中通商交渉一時休戦後の次の標的として欧州が浮上中だ。ライトハイザー通商代表部(USTR)代表は早くも厳しいけん制発言で臨戦モードをあらわにして見せる。

 政治的にもフランスが駐イタリア大使を召還した。「次は国交断絶」とされる異常な外交的措置だ。5月の欧州議会選挙をにらみ、イタリアのポピュリスト相乗り政権幹部がフランス国内の極右政党に接近したことが「過去にない内政干渉」と批判されているのだ。

 政治経済とも風雲急を告げる状況で、ECBの危機対応手段も限られている。量的緩和がもはや限界に近いからだ。寄り合い所帯のユーロ圏では、国別にECBが買える国債の量が、一定配分で制限されている。最優良のドイツ国債などは既にかなり買われてしまった。かといって、財政不安のイタリア国債を大量に購入することは「財政ファイナンス」のそしりを受けかねない。苦肉の策としてTLTRO復活に至ったわけだ。

 市場の懸念は欧州経済が悪化して危機的状態になった場合に、もはやECBに有効な金融政策手段が残っていないことだ。

 ブレグジットはじめ欧州経済波乱は「対岸の火事」として冷ややかに見る傾向があるニューヨーク株式市場でさえ、7日のECB理事会決定はサプライズとなり、寄り付き後にはダウ200ドル超の急落を招いた。

 欧米市場の目は日銀にも向けられる。「次は日銀」と問われるが、その質問の意味がこれまでと異なる。「日銀の出口はいつか」から「日銀の追加緩和あるのか」に変ってきたのだ。

 世界的に金融正常化が進むはずの19年が3月には早くも逆戻りの様相だ。市場ではマネーが様子見ながら、おろおろ株式と債券の間を行ったり来たりの状況である。外為市場もドル、ユーロ、円、人民元の「弱さ比べ」のごとき展開だ。


豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuo.toshima@toshimajibu.org
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42187680Y9A300C1000000/
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/539.html

[経世済民131] 財政政策の限界も直視せよ 金融政策の限界を直視せよ マイナス金利は経済冷やす?功罪論争、日銀に影響も
財政政策の限界も直視せよ

渋澤健

2019/03/14 09:03


金融政策の限界を直視せよ: 日本経済新聞
なぜ金利がこれほど低いのか。「長期停滞論」で説明できるのか。次の景気後退期の金融政策の効果を見通す上でどんな意味を持つのか
r.nikkei.com


金融政策に限界があるという主張は、私も賛同します。

「中銀が構造的な需要不振に直面し、物価を押し上げたい場合には、信用供与(貸し出し)を拡大し、債務を増大させる方向に誘導するだろう。だがその結果、物価の上昇は実現できない一方で、債務危機を招くという事態に陥るかもしれない。つまり、インフレを起こすどころかデフレに陥るということだ。」

信用与信を提供している中央銀行のバランスシートに、我が国の場合は、リスク資産を積み上げている。これは良いわけがありません。インフレを起こすどころかデフレに陥いた先には、通貨の番人が信用を失うというハイパー・インフレのリスクが潜めています。

ただ、

「民間部門が投資したがらなければ、公的部門がやるべきだ。」

というところからは、疑問が湧きます。直ぐに財政に解決策を求めることは、そもそも何故「民間部門」が投資したがらないのかという重要な課題のWHYの深化がないからです。

「中銀に依存した金融政策は、長い目で見ると、むしろ問題を悪化させる。必要なのは他の政策だ。今こそ財政政策から始めるべきだ。」

いやいや、財政政策の悪影響も吟味しなければ、同じことになります。現状の対処、食いつぶしで、世の中の将来世代に「よりよい明日」を残さないからです。財政を活用するのであれば、あくまでも、それは未来への長期投資。この大事な視点が欠かせないと思います。

そういう意味で、財政支出を官民連携の投資に活用することは、色々な課題があるものの、検討すべき政策です。

https://comemo.nikkei.com/n/n621f6b261823


金融政策の限界を直視せよ
2019年3月14日 2:00

Financial Timesなぜ金利がこれほど低いのか。「長期停滞論」で説明できるのか。次の景気後退期の金融政策の効果を見通す上でどんな意味を持つのか。金融政策の代わり、あるいは景気対策効果を高めるには、他にどんな政策を試してみる必要があるのか。これらはマクロ経済上、最も重要な問いだ。そして議論が大きく分かれる問いでもある。

■先進国、危機前から長期停滞に陥っていた

英中央銀行イングランド銀行のリサーチアドバイザーを務めるウ…

By Martin Wolf

(2019年3月13日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/

(c) The Financial Times Limited 2019. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
 
マーティン・ウルフ
FT commentators
チーフ・エコノミクス・コメンテーター
Martin Wolf 英国生まれ。経済政策の間違いが第2次世界大戦を招いたとの問題意識から経済に関心を持つ。世界銀行のエコノミストなどを経て87年にFT入社。一貫して経済問題を執筆。現在最も影響力のあるジャーナリストとされ、その論評、発言は各国の財務相や中央銀行総裁も注目するという。
 
金融緩和「劇薬」にはリスク[FT]
2016年5月26日 
金融の革新阻む超低金利
上杉 素直 Deep Insight Deep Insight
3月8日
金融の革新阻む超低金利
緩和縮小、世界で後退 
3月8日
緩和縮小、世界で後退
世界経済、中国依存でいいのか(The Economist) 
中国・台湾 ヨーロッパ 北米 The Economist
3月6日
世界経済、中国依存でいいのか(The Economist)
利上げ停止、来年か20年か FRB割れる 
2018年11月10日
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO42409200T10C19A3TCR000?s=2

 

マイナス金利は経済冷やす? 功罪論争、日銀に影響も
2019/3/16 1:31 
中央銀行が経済を刺激するために政策金利を0%未満にする「マイナス金利政策」に世界の有力な学者やエコノミストが疑問を投げかけている。導入した欧州と日本で経済の回復が弱いうえに、金融緩和として物価を上げる効果すら疑う説が出てきたためだ。世界経済の減速を前に、市場関係者の関心は金融緩和に向かっている。しかしマイナス金利の評価が割れたままでは、緩和政策の展開は一段と難しくなる。

マイナス金利は銀行の貸し…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42553090V10C19A3MM8000/


http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/540.html

[不安と不健康18] 英国の平均余命縮む、保険会社には恩恵も アルコール摂取量の多さや運動不足などが主因か 余命が縮まることで収入は良くなる
2019年3月18日 The Wall Street Journal
英国の平均余命縮む、保険会社には恩恵も アルコール摂取量の多さや運動不足などが主因か
英国の平均余命縮む
Photo:iStock/gettyimages
――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 禁煙や心臓病治療の改善もあって平均寿命は大幅に延びたが、それも終わりを迎えたようだ。少なくとも英国では、平均寿命が短くなってきた。

 これは65歳間近の人にとって厳しい現実だが、生命保険会社にとっては予期せぬ現金収入となっている。長期的には一部の米保険会社の利益も増加することになるだろう。米国のプルデンシャル・ファイナンシャルや相互保険のパシフィック・ライフといった企業は英国人が平均寿命よりも長生きするリスクを引き受ける大手再保険会社となってきた。

 今月には英国の生命保険各社が相次いで通年利益の増加を報告した。準備金のリリースが総額で20億ポンド(約3000億円)近くに達したことが大きかった。準備金のリリースはアビバの7億8000万ポンドが最大で、プルデンシャル(米プルデンシャル・ファイナンシャルとは別会社)の4億4100万ポンド、リーガル・アンド・ゼネラルの4億3300万ポンドがそれに続いた。

 カナダの銀行大手ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)のアナリストによると、向こう数年間にリリースされる準備金はさらに増える可能性が高い。生保では平均寿命の情報更新が遅れているのだ。寿命に関して統計をとっている英機関は今月、65歳時点の平均余命の予測値をこれまでで最も大きく引き下げた。2012年には女性の65歳時点の平均余命が25.5年以上、男性は23.26年だった。2018年には女性が24.2年に、男性が21.9年に縮まった。

 平均寿命が短くなる背景は完全には明らかになっていないが、不健康な食事、アルコール摂取量の多さ、運動不足などが主な要因とみられている。米国で多くの死者を出している医療用鎮痛剤「オピオイド」依存症を懸念する政治家もいる。とはいえ、公式統計を見ると、50歳以上の麻薬関連死は微増にとどまっている。医療コストの上昇、限られた医療資源も寿命が短縮している要因かもしれない。

 生命保険会社は年金給付の長期コストを賄うための準備金を積み立てている。2000年代初めには平均寿命が伸び続けていたため、保険会社は積立金を増やさざるを得なかった。年金給付コストの継続的な増加を招く平均寿命が延びるリスクに備えるために、プルデンシャル・ファイナンシャルのような大手保険グループから再保険も購入してきた。

 ところが今や、平均寿命が短くなりつつあるように見えるため、英国の準備金はリリースされる可能性がある。会計規則が異なる米国で保険会社の利益が増加するのは、単に平均寿命の数値が変更されたときではなく、実際の給付金に変化が生じた際だ。つまり、米保険会社の投資家がその恩恵を受けるまでの期間は英国よりも長くなる。

 将来の年金受給者にとっての朗報があるとすれば、株主リターンの増加と退職後の余命が縮まることで、生きている間の収入は良くなるはずだということだろう。

(The Wall Street Journal/Paul J. Davies)
https://diamond.jp/articles/-/197147?
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/729.html

[政治・選挙・NHK258] 日本人拉致被害者に生存者なし?金正恩が明言か 米朝首脳会談で話し合われたはずの内容が表に出て来ない本当の意味 
日本人拉致被害者に生存者なし?金正恩が明言か
米朝首脳会談で話し合われたはずの内容が表に出て来ない本当の意味
2019.3.18(月) 高濱 賛
トランプ米大統領夫妻、拉致被害者の家族と面会
東京・元赤坂の迎賓館で、横田めぐみさんの母・早紀江さん(中央)ら北朝鮮による拉致被害者の家族と面会したドナルド・トランプ米大統領(左、2017年11月6日撮影)。(c)AFP/Kimimasa MAYAMA〔AFPBB News〕

安倍首相に振り回される拉致被害者家族と日本メディア
 米国のドナルド・トランプ大統領は2月28日、ベトナムで行った北朝鮮の金正恩労働党委員長との首脳会談で日本人の拉致問題について言及した。

 会談後の3月1日、帰途の機中から安倍晋三首相に電話してそう明らかにしたと、安倍首相は電話会談直後、記者団に語っている。

 3月5日付の読売新聞は、あたかも電話会談を盗み聞きしたかのようにこう報じている。

 「金正恩氏は核・ミサイル問題が(米朝首脳会談の)最初の議題と想定していたのか、(トランプ大統領が会談の冒頭で拉致問題を取り上げたことに)『驚いた表情』を見せたという」

 安倍首相はトランプ大統領との電話会談(午後7時半から同40分)を挟んで首相官邸で谷内正太郎国家安全保障局長、佐々江賢一郎前駐米大使、藪中三十二、斉木昭隆両元外務次官と夕食をとっていた。

 同席者のうちの誰かが「トランプ大統領は私(首相)に『金正恩氏は驚いた表情をしていた』と言っていた」という首相発言を会談後聞き、それを記者にもらしたのだろう。

 もっとも別の関係者(例えば首相秘書官が外務省幹部)ということもありうるが・・・。

安倍首相はなぜ日朝首脳会談に意欲を見せたのか
 驚いた金正恩委員長がトランプ大統領の言及に対して「驚いた表情」でどう反応したのか。それについては安倍首相は記者団に何もコメントしていない。

 その部分は「空白」のまま、安倍首相は「次は私自身が金正恩委員長と向き合わなければならない」と日朝首脳会談の実現に意欲を示したことになっている。

 何とも肝心かなめの金正恩委員長の発言がないまま、「トランプ大統領が拉致問題について言及した」ことが大ニュースになっている。

 拉致被害者の家族たちは、トランプ大統領が米朝首脳会談後行われた記者会見で拉致問題については一切言及しなかったことに失望の色を隠し切れずにいる。

 (米国報道第一主義の)米同行記者が拉致問題について質問しないのははともかくとして、あれだけたくさんの日本人特派員が会見場にいたのに、なぜ、大統領に拉致問題について質問しないのか。

 米朝首脳会談を取材する日本人記者にとって非核化も重要だが、拉致問題は国家の一大事なはず。手を挙げればトランプ大統領は指してくれるはずだ。

 それはともかくとして、安倍首相がトランプ大統領からの電話の内容を総理官邸記者団を前に公表したことを踏まえて記者たちが書いた報道に対する日本の世論の反応はどうだったか。

 「トランプ大統領は米朝首脳会談の冒頭で拉致問題に言及するほど、この問題を重視してくれている。ありがたいことだ」(東京在住のノンポリ自称の主婦の一人)

 だが、(水を差すようで申し訳ないが)大統領が拉致問題をそれほど「重視」してくれていると考えること自体、大きな「誤解」だ。

米国の関心事は「オットー・ワームビア君の死因」
 トランプ大統領に限らず、その後行われた国務省高官(ステファン・ビーガン北朝鮮担当特別代表とみられている)のブリーフィングでも日本人拉致問題を巡るトランプ大統領と金正恩委員長のやりとりについては一切明かされていない。

https://www.state.gov/r/pa/prs/ps/2019/03/290084.htm

 米大統領はじめ政府高官は、非人道的な立場から自国民が外国勢力に捕まったり、人質になったりすることには敏感だ。

 サウジアラビアのジャーナリストがサウジアラビア政府関係者によって殺害されたとき米官民はこぞって抗議した。元々人権問題は民主主義の根幹と考えている。

 現に2回目の米朝首脳会談で16年に北朝鮮を旅行中にスパイ容疑で逮捕され、1年3か月間拘束され、釈放され、帰国後死亡した米バージニア大学の学生オットー・ワームビア君(23)の話が出た。

 トランプ大統領は記者会見で「金正恩委員長はワームビア君のことは帰国するまで全く知らされていなかったと答えていた。私は委員長の言ったことを信ずる」と発言した。

 ワームビア君の両親はじめ関係者は「死因は北朝鮮当局による拷問のせいだ。独裁国家の最高指導者が命じた可能性大だ」と訴えてきた経緯がある。

 米メディアは、「金正恩委員長に責任はない」と言い切ったトランプ大統領に集中砲火を浴びせた。

 一つの外交案件は特定の国にとっては最重要外交案件だが、他の国とってはそれほど重要なものではない。

 拉致問題は日本にとっては(特に安倍首相にとっては政治生命を懸けるほどの)最重要だが、米国自身にとってはさほど重要ではない。対北朝鮮交渉では枝葉末節な案件でしかない。

「トランプ大統領の『言及』はあくまで手短でおざなり」
 トランプ大統領にとっての拉致問題を国務省OBの一人は筆者にこうコメントしている。

 「ブッシュ(息子)、オバマ、トランプの歴代政権は、日本人拉致問題が日本政府にとって極めて重要な事案であることを理解してきた」

 「したがって大統領や政府高官が北朝鮮の指導者や政府高官と会談した際には、拉致問題についての日本サイドのメッセージを伝えることで日本政府と指導者をサポートすべきだと考えてきた。それを実行してきた」

 「ただ大統領が日本側のメッセージを北朝鮮に伝達する場合、手短でおざなりなものなるのはやむを得ない」

 「それに北朝鮮は拉致問題に限らず第三国との問題について米国に反応を示すことを極力嫌っている。言い換えると、トランプ政権を含め3代にわたる政権の拉致問題の扱いには大きな違いはない」

 「ただトランプ大統領がブッシュ、オバマ大統領と違うのは、安倍首相とは異常なほど馬が合っている点だ」

 「ある国務省官僚の一人は私に『二人はじゃれ合っている(Flirt with one another)フシがある』と表現している」

 「トランプ氏が当選した直後に安倍首相は電撃的に会いに行った。初対面から意気投合したのだろう。口の悪いジャーナリストの中には『2人のIQ(知能指数)は同じ程度だ』という者もいる」

朝鮮半島専門家たちが注目する「Tatsumi論文」
 2回目の米朝首脳会談でトランプ大統領が言及した日本人拉致問題について、米メディアは一切報じていない。

 そうした中で首脳会談の直前に権威ある対北朝鮮外交専門サイト「38 North」に興味深い論文が掲載された。

 筆者は日本出身の国際政治学者のYuki Tatsumi(辰巳由紀)米スティムソン研究所東アジア共同部長兼務日本部長*1。

*1=辰巳氏はキヤノングローバル戦略研究所主任研究員も兼務。在ワシントン日本大使館専門調査官を経て米シンクタンク入り。中曽根康弘奨励賞を受賞したり、日本政府の国家戦略室「世界で活躍し、『日本』を発信する日本人プロジェクト」により表彰されている。

https://www.38north.org/2018/10/ytatsumi102618/

「拉致問題を対北朝鮮非核化交渉と切り離せ」
 この論文で辰巳氏は、日本政府から得たと思われるデータや見解を基に、日本から見た拉致問題についてワシントンでも通用するロジックでいくつかの点を指摘している。

(だからこそ権威ある「38North」が取り上げたものとみられるし、著名なスティムソン研究所の東アジア共同部長の職にあるわけだから同研究所がトランプ政権内部の当局者から得た情報にも基づいた分析と見ていい)

一、日本は日本人拉致問題を解決しない限り、北朝鮮の非核化には重きを置こうとしない(Remain marginalized)。拉致問題を「完全に解決」(Completely resolved)しない限り、北朝鮮と関わり合い(Engage)を持つことを拒否してきている。

二、日本が拉致問題で「完全に解決」するという意味は(日本政府が)日本政府認定の拉致被害者および北朝鮮に拉致された疑いが拭えない特定失跡者が全員解放され、無事に帰還することである。

三、安倍首相は北朝鮮との拉致問題交渉を手がけた日本の政治家の一人であり、拉致被害者の家族からも信頼されている。また拉致問題解決に対する安倍首相のコミットメントはホンモノである。

四、北朝鮮は2回目の米朝首脳会談を前に反日レトリックを強めている。特に日本が対北朝鮮非難決議案*2の国連人権理事会への共同提案国になっていることを激しく批判している。こうしことから拉致問題で日本と交渉するだけのインセンティブはなさそうだ。

*2=日本は過去10年、毎年、対北朝鮮非難決議案を国連人権理事会にEU(欧州連合)などと共同提案してきた。菅義偉官房長官は3月13日、2019年は共同提案国になることを見送る意向を表明している。

五、拉致問題を打開するためには安倍首相は新たなアプローチが必要だ。例えば、拉致問題を非核化、ミサイル実験禁止と切り離す(Decouple)することだ。つまり拉致交渉を継続するというコミットメントを北朝鮮から取りつけるために拉致交渉を非核交渉から分離することだ。

六、拉致問題は日本人にとっては「(国民)感情的側面」(Emotional dimension)があり、任期切れを2021年に迎え、「政治的資本」(Political capital)が少なくなっている安倍首相にとっては、従来の立場を取り下げることは政治的には不人気となる。したがって新たなアプローチをとるとしてもそれはかなり先のことになりそうだ。

七、安倍首相が拉致問題最優先という方針を修正することを決断できるかどうかによっては、北朝鮮の非核化と将来的には朝鮮半島統一に向けて、日本がどこまで影響力を発揮できるかが決まるかもしれない。

 端的に言えば、安倍首相は国民感情に逆らっても拉致問題優先方針を変えるべきだ、と主張しているのだ。だがその大前提は拉致被害者たちはまだ生存しているという確固たる信念がある。

 では北朝鮮の言うように「生存者はいない」ということになった場合、安倍首相はどのような手を打つのか。

「拉致被害者生存者なし」を前提に対北交渉できるか
 「生存者はいない」という前提にした論議を提案して物議をかもしたのは、ジャーナリストの田原総一朗氏*3だ。

 「拉致被害者が生きているということを前提にする交渉以外の選択肢があってしかるべきだ」という主張だった。

*3=田原総一朗氏は2009年、テレビ朝日の「朝まで生テレビ」で拉致被害者の横田めぐみさん、有本恵子さんに関して「生きていない」などと発言。有本さんの両親は同発言をとらえて、名誉棄損で民事訴訟を起こした。

http://www.egawashoko.com/c006/000296.html

 日本政府の見解を着実に「代弁」した「辰巳論文」をめぐって英米外交専門家たちに意見を聴取した。みな英米情報機関の情報にも精通している。

 その過程で筆者は驚くべき「怪情報」を得た。

 ある専門家は、「辰巳論文は大前提で問題があるのではないのか」と指摘した。

 そして「生存者に関して安倍首相の説を取るのか、あるいは北朝鮮が従来から主張している説を取るか、それによって拉致問題の全容は変わってしまう。辰巳論文はあくまでも安倍首相説を前提に論じているところに弱点がある」とつけ加えた。

 この専門家はそのうえで、以下のような「怪情報」を筆者に囁いた。

一、安倍首相は実質的にはすでに拉致問題と非核化とを切り離している。日本の国民感情をおもんぱかって公式には拉致・非核・非ミサイルを対北朝鮮制裁解除の条件としているだけだ。

 安倍氏の政権復帰の際の保守勢力との約束事になっている以上、拉致問題の完全解決の旗は降ろせない。拉致問題は安倍首相にとっては政権維持のための「浮力」のようなものだ。

二、安倍首相も日本政府も2002年に金正日国防委員会委員長(当時)が解放した拉致被害者以外の被害者は生存していないことを知っている。北朝鮮はそう主張してきている。日本のメディアも薄々知っているが国民感情を配慮して報道できないのではないのか。

三、このことについてはトランプ大統領も認識している。トランプ大統領が金正恩委員長に安倍首相からの伝言を伝えているのは一種の「カブーキー」(Kabuki)*4にすぎない。

 拉致問題が安倍首相にとっていかに政治的に重要かを知っているトランプ大統領と安倍首相の「秘密の約束事」なのだろう。

*4=「歌舞伎」が英語化した。「形式上、見せるためだけの行為」の意味。

 この「怪情報」が事実だとしたら、日本の外交というものはいったい何なのか、という疑念を持たざるを得ない。

 しかもトランプ大統領をはじめとする米政府高官たちが極秘裏にその事実を知っている日米関係とは。

 日本人拉致問題を第三者として冷静に分析している米外交専門家の論文を最後に紹介しておこう。

 筆者は釜山大学政治外交学部のロバート・ケリー教授だ。

 「北朝鮮が1970年代から80年代にかけて数十人の日本人を拉致した事件はすでに知れ渡っている」

 「実は数百人の韓国人も北朝鮮により不法拘束されていることはあまり知られていない。韓国政府はこの点についてあまり指摘していない」

 「日本では日本にとって満足できる合理的な方法で解決すべきだということが論議の焦点(A defining problem)になっている」

 「安倍首相は拉致問題を日本の政治における大問題にさせてしまったし、対北朝鮮とのデタントを進めるうえでどうしても拉致問題を解決する必要に迫られているのだ」

https://nationalinterest.org/blog/buzz/trump-kim-summit-hanoi-needs-be-about-more-just-nuclear-weapons-45322

 ケリー教授の目には、拉致問題=日本外交と映っている。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55762

 


February 22, 2019 Topic: Security Region: Asia Blog Brand: The Buzz Tags: North KoreaSecond SummitHanoi SummitKim Jong-unDonald Trump
The Trump-Kim Summit in Hanoi Needs To Be About More Than Just Nuclear Weapons
There are other pressing issues that also need resolution.

by Robert E. Kelly
In the next week, U.S. President Donald Trump will meet North Korean leader Kim Jong-un in Hanoi, Vietnam. There is much talk about how the meeting will shake out. The divisions on the American side are stark, and most of the debate will be over North Korea’s nuclear weapons.

As it should be. The North’s nuclear weapons are clearly the most destabilizing change in regional politics in a while. There are widespread fears the North will proliferate or sell them, exhibit poor command and control, use them to blackmail South Korea and Japan, or even launch them in extreme circumstances.

But it is worth noting that there is a multitude of other issues in the U.S.-North Korea relationship, or more properly put, in North Korea’s relationship with the rest of the world. Ideally, some of these issues will at least be mentioned. And some of them demand at least some movement, if not resolution, if any durable deal with the North is to be clinched.

These other concerns include both immediate strategic or military issues, as well as larger political issues. Beyond nuclear weapons, strategic issues Trump will need to address at some point include:

Missiles: This goes without saying. North Korea has no reliable delivery vector for its nuclear weapons beyond missile platforms. Its air force is clapped out and woefully inferior to allied air power. Moreover, other delivery scenarios include outlandish terrorist ideas like driving a small boat or submarine up the Han River into Seoul. It is unclear how many intercontinental ballistic missiles (ICBMs) the North has (less than one hundred, I hear), but if Trump only focuses on ICBMs, America’s regional allies, most obviously Japan, will feel that Trump has abandoned them.

Missile Launchers: North Korea has learned from the Soviet Union. Unlike the Americans who put their large missiles in underground silos, the North Koreans drive them around, presumably to avoid U.S. satellite coverage. Here the numbers of transporter-erector-launchers (TELs) they have are even more speculative than the number of ICBMs they possess. There is also reasonably good evidence that their TELs come from China , which is a sanctions violation, but means China must somehow be involved in reducing their numbers.

Other weapons of mass destruction: North Korea has long been rumored to have developed chemical and biological weapons. Public information is very sketchy. U.S. Secretary of State Mike Pompeo tried to bring this up with Pyongyang after the Singapore summit, but to no avail. Even if the nuclear threat is reduced, the biological and chemical threat to Asian cities near North Korea will remain.

Beyond these strategic issues—all of which are likely part of the Trump outreach negotiations—are larger political issues. Some movement on these is almost certainly necessary for non-military, political concessions like a peace treaty, exchange of liaison offices, or recognition. There are many groups in South Korea, Japan, and the United States with deeply vested interests in the liberalization of North, and they will almost certainly push back on a Trump deal that simply sidelines these issues to pursue an agreement on strategic problems only. These issues include:

Human rights: This is the big one, arguably the most important stumbling block to moving North Korea’s relationship with the world beyond narrow, reciprocal arms control swaps. If North Korea is genuinely going to “come in from the cold” and rejoin the international community, by, say, joining the International Monetary Fund and World Bank, or opening a liaison office in Washington, D.C., it will have to be more normal in its treatment of its own people. The most definitive statement on North Korean human rights analogizes the regime to the Nazis and the camps to Auschwitz. Many states and groups will simply not interact with a regime whose human rights record is worse than ISIS’. One could easily see daily demonstrations in front of a North Korean liaison or embassy in Seoul or Washington, DC. Human rights advocates and conservatives in America, South Korea, and Japan will fight bitterly any final status deal that leaves North Korea’s internal Orwellian structure unchanged.


Abductees: It is well-known by now that North Korea abducted several dozen Japanese citizens in the 1970s and 80s. Less well-known is that several hundred South Koreans are also being illegally held in North Korea. (South Korean governments do not mention this often.) In Japan especially, this issue has become a defining problem which simply must be resolved in some at least reasonably satisfactory way. This is likely why Trump agreed to Japanese Prime Minister Shinzo Abe’s request to mention abductees at Hanoi. Abe himself helped make this issue into a huge one in Japanese politics, and now he needs to some kind of resolution if Japan is to go along with détente with North Korea.

Liberalization generally: Beyond these human rights issues, the sheer awfulness of North Korea—the totalitarianism, the cult, the police state, and so on—make any kind of long or even medium-term deal with North Korea very hard. A large number of citizens in democratic states will instinctively reject normalization with a state, literally, akin to George Orwell’s 1984. This means that no deal with an unchanged North Korea will ever really stick. It will always be contested, if only on moral grounds. South Korean conservatives , for example, are implacably opposed to normalization, and when they re-take power, they will almost certainly try to roll-back the détente of current President Moon Jae-In. Neo-conservatives in the West will think the same, and liberal parties in the West too will have real trouble stomaching North Korea’s extreme brutality at the same time they seek to develop a less belligerent, post-Iraq, post-Trump foreign policy. Trump may not care about human rights or the lightening of the regime’s harsh rule, but enough others do that it will constantly undercut any deal struck.


This brief list illustrates the huge strategic and ideological gaps faced at Hanoi. They do not mean a deal is impossible. But they do portend that any deal will likely be narrow, focused on specific, verifiable swaps. The broad-front détente Moon Jae-In seeks is much harder for many to swallow given the character of the North. At some point, if Trump really wants a viable re-orientation of the relationship, he (and Moon) will have to confront that.

Robert E. Kelly is a professor of international relations in the Department of Political Science and Diplomacy at Pusan National University. More of his work may be found at his website, AsianSecurityBlog.wordpress.com.

Image: Reuters
http://www.asyura2.com/19/senkyo258/msg/597.html

[国際25] 大統領弾劾を諦めたペロシ下院議長、どうなる米国  米社会の分断を恐れた決断だが、トランプ大統領の再選シナリオが現実化 

大統領弾劾を諦めたペロシ下院議長、どうなる米国
米社会の分断を恐れた決断だが、トランプ大統領の再選シナリオが現実化
2019.3.18(月) 堀田 佳男
トランプ氏、提案拒否の下院議長を非難 政府閉鎖、歩み寄りの兆しも
ドナルド・トランプ米大統領(左、2019年1月19日撮影)と民主党のナンシー・ペロシ下院議長(同1月3日撮影)。(c)Jim WATSON and Alex Edelman / AFP〔AFPBB News〕

 政権誕生時から取り沙汰されていたドナルド・トランプ大統領(以下トランプ)の弾劾の可能性が、ほとんどなくなった。

 というのも、政敵と言っても過言ではない民主党ナンシー・ペロシ下院議長(以下ペロシ)が白旗を揚げたからである。

 11日付『ワシントン・ポスト・マガジン』のインタビューの中で、ペロシははっきりと「弾劾を支持しません」と否定的な態度を表した。

 「これまでメディア関係者に(弾劾について)明言したことはありませんでした」と前置きし、トランプを弾劾する意向がないことを告げた。

 だがそれはトランプのロシア疑惑が消えたことを意味しない。ペロシの弾劾否定がすぐにトランプの身の潔白に結びつくわけではないからだ。

 ロバート・モラー特別検察官による同疑惑の報告書はまだ司法長官に提出されていない。

 いまでも2016年大統領選でトランプがロシア政府と共謀した可能性はある。むしろ、何らかの違法行為をしていた嫌疑の方が強いくらいだ。

 にもかかわらず、早々とペロシは1人で白旗を揚げてしまった。

 報告書の内容によってはトランプを窮地に追い込める可能性が残っており、民主党のリベラル議員や左派勢力は弾劾を諦めていない。

 ペロシは下院議長という立場であることから、弾劾手続きを進めた場合、議員の意見を調整する責任を担う。

 実際の審議は下院司法委員会からスタートされるが、少なくとも下院議長としてトランプ弾劾の流れを作るのがペロシだった。同誌インタビューで述べている。

 「弾劾は国家を分断させます。やむにやまれぬ証拠があったり、圧倒的と言えるような超党派の力で弾劾を推し進められない限り、すべきではないと考えます」

 この発言を聞いて、トランプはどれだけ喜んだことだろうか。

 ほとんどの共和党議員は目の前にあった障害物が突然なくなったことで胸を撫でおろしているに違いない。何しろトランプにとって、2020年の再選に向けての最大のハードルがロシア疑惑だったからだ。

 ペロシはこれまで、トランプは大統領としての資質に欠けているばかりか、思想的にも政策的にも米国にとって好ましい指導者ではないと述べてきた。

 できれば罷免したいとの思いが心中にあっても不思議ではない。

 ところが弾劾が与える悪影響を重視した。

 連邦下院で弾劾法案を可決できたとしても、上院の裁判で3分の2以上の賛成票を得てトランプを罷免することは実質上無理があることを、ペロシは熟知している。

 上院は共和党が主流派であり、造反者がでたとしても3分2以上の賛成票は無理である。

 米史上、弾劾で罷免された大統領が1人もいない点を考慮しても、弾劾の難しさが分かる。

 リチャード・ニクソン大統領は弾劾手続きの途中で辞任し、ビル・クリントン大統領は上院で罷免を免れた。

 ペロシは無理に弾劾を推し進めると、議会の審議時間が取られるばかりか、メディアを含めて米社会の分断がこれまで以上に深まることを危惧した。

 現行の弾劾プロセスにトランプを引き込めたとしても、トランプは生き残るのだ。

 その結果、トランプは勝者であることを誇示でき、政治的に優位な立場につく。

 それでなくとも大統領選は現職が有利であるため、罷免できない弾劾裁判を長期間にわたって行う利点を見出すことはできない。

 シカゴ大学のチャールズ・リップソン政治学部教授はペロシの判断は政治戦略からきていると分析する。

 「ペロシが弾劾を求めない判断をしても、弾劾というドアが完全に閉められたわけではないです。やむにやまれぬ証拠がでてくれば可能性はあります」

 「ただ政治的に熟考された明敏で戦略的な決断でした」

 それは取りも直さず、トランプの罷免は不可能であることを意味している。弾劾裁判を進めてもマイナス面の方が大きいということだ。

 それではペロシが白旗を揚げたいま、下院の民主党議員たちは彼女に追随するのだろうか。

 結果から述べると、分断しているのが現状だ。白旗を支持する議員もいれば、反旗を翻す議員もいる。

 一般的に、法案の賛否の段階で下院議長はかなり強い力を持っている。

 「かなり」と述べたのは、米議会では日本のような党議拘束がないため、議員が独自の判断で投票する権利があるためだ。

 党のトップに反対する形で投票をすることは米国の日常でもある。

 しかしトランプが発令したメキシコ国境の壁予算を盛り込んだ非常事態宣言の採決では、民主党議員たちはペロシの下で団結して否決した。

 それでも今回の「弾劾せず」のペロシの判断は党内を割ることになってしまった。

 ペロシの考えに反対する代表格は下院金融サービス委員会マキシン・ウォーターズ委員長だ。米テレビMSNBCでこう発言している。

 「(弾劾については)モラー特別検察官が決めるのではなく、連邦議会が決めるべきなのです。トランプが憲法を冒涜していることは明白で、弾劾の必要があると信じています」

 ペロシの顔色などうかがう必要がないといった強い口調である。トランプの弾劾こそが民主党議員の使命であるかのような態度を崩さない。

 一方で慎重派もいる。下院でペロシとならびキーマンと呼べる下院司法委員会ジェロルド・ナドラー委員長がそうだ。

 ペロシの言うように「国家を2分することはよくない」と述べながら、弾劾すべき証拠が出揃った時には「やらなくてはいけない」と、やや日和見的な態度でいる。

 実は過去2年間、下院ではトランプを弾劾するための法案・決議案が何本も提出されてきた。しかし可決されていない。

 反トランプの立場にある民主党議員ですら「トランプ弾劾」では、党内がまとまっていないのだ。

 しかもマラー報告書が司法長官に提出されても、内容は全面公開されない予定で、トランプの違法行為が詳述されていたとしても今後の見通しははっきりしていない。

 それは取りも直さず、トランプの思う壷ということである。

 弾劾をかわし、民主党を分断させて来年の再選で勝利するというシナリオが、トランプの中で組み立てられているということでもある。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55790
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/720.html

[経世済民131] 大手低調も人手不足の外食は健闘、平均賃上げ率2.16%−2019年春闘 輸出は3カ月連続のマイナス−貿易収支は黒字転換 
大手低調も人手不足の外食は健闘、平均賃上げ率2.16%−2019年春闘
占部絵美、竹生悠子
2019年3月15日 17:55 JST
自動車・電機は前年割れ、ベースアップは0.62%と6年連続実施
外食では要求額上回る回答も、「圧倒的に人手不足の問題」との指摘
世界景気の減速懸念などを背景に、2019年春闘はこれまでけん引役となってきた自動車・電機大手を中心に賃上げペースが鈍化した。一方、外食やサービスなど人手不足の一部企業に賃上げが加速する動きが見られた。

  連合が15日発表した午前10時時点の第1回集計結果によると、19年春闘での平均賃上げ率は2.16%と、前年の第1回集計に比べ横ばいだった。このうち毎月の基本給を引き上げるベースアップは0.62%と、前年第1回集計の0.77%から低下した。ベア実施は統計公表を始めた14年以降6年連続となる。

過去30年の賃上げ推移
中小企業は、全体の水準を下回る傾向


出所:連合・平均賃金方式での賃上げ状況の推移

  神津里季生連合会長は同日の記者会見で、「マクロ・ミクロの経済状況や個別の産業・企業の事情も十分に織り込んで要求しており、要求対比では物足りないと言わざるを得ない」と指摘。「毎年同じような感じで本当にデフレ脱却できるのかということは経済団体・経営側としても十分に考えてもらいたい」と語った。菅官房長官は13日、「経済の好循環のさらなる拡大に向けて、賃上げの流れが今後も続くよう期待を持って交渉結果を注視していきたい」と述べていた。

  世界経済の不透明感が増す中、昨年10ー12月の法人企業統計で経常利益が10期ぶりの減益となるなど企業業績に陰りが出ている。今春闘では、昨年5月に就任した中西宏明経団連会長が過去5年続いた政府が企業に賃上げを促す「官製春闘」に難色を示し、働き方や仕事の変化に合わせてベアにこだわらない労使交渉を呼び掛けた。


要求 回答
トヨタ 平均12000円 平均10700円
日産 平均9000円 平均9000円
ホンダ ベア3000円 ベア1400円
電機12社 ベア3000円 ベア1000円
王将フード 平均9500円(ベア2500円) 平均12677円(ベア5043円)
トリドール 平均9294円(ベア3578円) 平均9294円(ベア3578円)
マツキヨ 平均8500円(ベア5189円) 平均8500円(ベア5189円)
  13日の集中回答日には、自動車・電機大手で前年比割れの回答が続出。自動車総連の高倉明会長は、「経営側は最後まで厳しい姿勢を崩さず、一時金要求に対しても第4四半期の収益悪化やグループ会社との水準かい離を背景に強い懸念を示し続けてきた」と説明した。

  けん引役の低調な交渉結果を受けて、神津連合会長は、かつての春闘で代表銘柄の賃上げ水準が形成してきた「天井感は悪しき常識。あくまで土台だという受け止めで交渉に臨んでもらいたい」と後に続く他業界や中小企業に求めた。賃上げで大手に後れを取る中小企業に適正な成果配分が行われれば、日本企業の労働分配率の低さや膨らむ内部留保は「もう少しまともな姿になる」とも語った。

餃子の王将
餃子の王将Photographer: Yuzuru Yoshikawa/Bloomberg
  一方、健闘が目立つのがUAゼンセンに加盟する外食業界だ。丸亀製麺を運営するトリドールホールディングスは満額回答、餃子の王将を展開する王将フードサービスは要求を上回る回答となった。UAゼンセンの松浦昭彦会長は、「人材不足がさらに強くなっている状況の中で、従業員や社員をきちんとつなぎ止める、これからの産業競争力につなげるという思いが労使としてある意味一致点を得たのが去年を上回る形の妥結が続いている」との見方を示した。

  東海東京調査センターの武藤弘明チーフエコノミストは、「景気減速と企業収益の見通しは悪くなっているので企業に余裕はないが、それでもベースアップはプラスになる」と予想する。「景気が良いとかそういう話ではなくて、圧倒的に人手不足の問題が背景にある」とし、こうした状況は特に中小企業に顕著と指摘。「要は労働需給の崩れであり、あまり企業にとって前向きな話ではない」と判断している。


 


2月の輸出は3カ月連続のマイナス−貿易収支は黒字転換
占部絵美
2019年3月18日 8:57 JST 更新日時 2019年3月18日 10:24 JST
輸出1.2%減、輸入6.7%減ーいずれも市場予想を上回る減少
中国減速の影響でアジアの戻り鈍い、日本に波及−農林中金の南氏
財務省が18日発表した2月の貿易統計(速報)によると、輸出は3カ月連続で前年実績を下回った。自動車や鉄鋼などの輸出が鈍化した。一方、原粗油や石油製品などの輸入も減少したため、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は5カ月ぶりに黒字に転じた。
         

キーポイント
貿易収支は3390億円の黒字(ブルームバーグ調査の予想中央値は3051億円の黒字)−前月は1兆4156億円の赤字
輸出は前年比1.2%減(予想は0.6%減)の6兆3843億円と3カ月連続減少−前月は8.4%減
輸出数量指数は0.6%減と4カ月連続の減少
輸入は6.7%減(予想は6.4%減)の6兆453億円と2カ月連続減少−前月0.8%減
          
輸出の推移
エコノミストの見方
農林中金総合研究所の南武志主席研究員:

アジアの戻りは鈍い、アジア全般に中国減速の影響が出て、日本に波及している
日本からアジア向けの輸出は半分を占め、ここが伸びないと輸出頼みの成長がうまくいかなくなる
今のところ「緩やかな回復」を政府も日本銀行も変えない。景気判断を変えてしまうと増税できなくなる可能性がある。よほど経済指標が悪化しない限り、景気判断から「回復」を取ることはできない
みずほ証券の宮川憲央シニアエコノミスト:

強いリバウンドではないが、少なくとも輸出がどんどん大きく落ちていく状態ではないことを示した
中国経済の減速、世界的なITセクターの調整、米中貿易摩擦が日本の輸出の上昇を抑えている要因。輸出が日本経済をけん引していく力がないことは明らかだ
今日のデータを見ると、やはり日本経済が景気後退に陥っているわけではないという見方でよいのではないか。日本銀行としても、まだ足元の弱さは一時的であり今年後半には戻ってくるという見方を維持できる      
詳細
中国向け輸出は1月の17.4%減から2月は5.5%増に反転、1−2月の合計では前年同期比6.3%減−財務省担当者
春節に限らず、輸出入の動向はさまざまな内外の経済情勢や価格動向によって決まる。特定の要因として断定できるものはない−財務省
米国向け輸出は2.0%増と5カ月連続のプラス、EU向けは2.5%増で2カ月ぶりプラス、アジア向けは1.8%減で4カ月連続のマイナス
背景
中国の2月の輸出はドルベースで前年同月比20.7%減少、春節休暇や米国との貿易摩擦が影響。輸入は5.2%減だった。
2月の工作機械受注額は5カ月連続の前年実績割れ、外需は前年同月比29.8%減少
日銀は15日、「景気は緩やかに拡大している」との見方を維持する一方、海外経済と輸出、生産について現状判断を下方修正した
(詳細を追加し、エコノミストコメントを差し替えて更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-17/POCM5B6KLVR501
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/548.html

[経世済民131] 中国のもう一つの憂鬱 「未富先老」迫る 中国は直接金融重視へ−「強い資本市場」必要と債券・株式市場強化 
中国のもう一つの憂鬱 「未富先老」迫る

論説委員長 原田 亮介

中進国の罠、どう回避
核心2019/3/18 2:00
米中首脳会談が4月にも開かれ、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が貿易戦争の回避で合意するとの観測が出ている。実現すれば日本経済にもプラスだが、中国はその先で「中進国の罠(わな)」からどう脱するかという重荷も背負っている。成否は今後10〜20年の世界経済の行方も左右するだろう。

https://www.nikkei.com/content/pic/20190318/96958A9F889DE6E0E7E0E2EBEAE2E3E7E2E1E0E2E3EB869180E2E2E2-DSXMZO4252096015032019TCR001-PB1-2.jpg
中国の国会にあたる全国人民代表大会。李克強首相は5日の政府活動報告で、汗を拭きつつ「経済の下押し圧力が強まっているが、合理的な範囲からはみ出さないようにする必要がある」と述べた。
2018年秋から年初にかけての世界的な株価調整は、米連邦準備理事会(FRB)の連続利上げと中国景気の先行き不透明感が理由だった。
中国では、米国が高率の関税を発動する前に輸出を増やした反動で、18年末にかけて生産が大きく収縮した。日本企業が19年3月期決算で減益に転じる原因にもなった。
李首相は全人代で米政府や議会を刺激する「中国製造2025」に言及せず、貿易摩擦の解消に注力する姿勢を強調した。米中首脳会談の合意を急ぎ、目先の苦境をしのぐのに腐心する演説にみえる。
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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42520980V10C19A3TCR000/

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/549.html

[経世済民131]  中国は直接金融重視へ−「強い資本市場」必要と債券・株式市場強化 
中国は直接金融重視へ−「強い資本市場」必要と債券・株式市場強化
Bloomberg News
2019年3月18日 9:42 JST
• 昨年のファイナンス323兆円相当中、債券・株式発行は4分の1弱
• 当局者は十分でないとみている−直接金融の後押し目指す
景気減速と銀行システムに対する圧迫増大を目の当たりにした中国の政策立案当局は、企業の資金調達支援で本土の株式・債券市場の役割を高めるべき時が到来したと判断した。
  ブルームバーグが集計した中国人民銀行(中央銀行)のデータによれば、昨年の同国でのファイナンス2兆9000億ドル(約323兆円)相当のうち、債券・株式発行によるものは4分の1弱だった。金融システムへのリスクを大きく高めずに企業の資金調達を改善する方法を探る当局者らによれば、この比率は十分ではない。
  銀行保険監督管理委員会(銀保監会)は郭樹清主席は先週閉幕した全国人民代表大会(全人代=国会)で、「強い資本市場の創出が必要だ」と明言。「直接金融のために特に資本市場、つまり株式市場と債券市場でもっとできることがあるだろう」と述べた。
Bankers' Domain
Direct financing, via bonds and equity raising, is low in China

Source: People's Bank of China
Note: Data shows outstanding borrowings by end of February
  当局はまた、金融セクターの対外開放を進めるとも表明している。本土金融サービス合弁で外資による持ち分過半数保有を認めるほか、本土と香港との株式・債券市場接続を通じ海外投資家は本土市場にアクセスしやすくなっている。MSCIなどの指数を扱う各社はそれぞれが算出するグローバル指数で本土証券のウエートを高めている。
  BNPパリバ中国部門の頼長庚最高経営責任者(CEO)はインタビューで、外国勢が7年以内に本土の業界において十分大きなシェアを握り、有意義な変化を後押しし、これが中国当局の野心実現に手助けする可能性があると指摘。「今は新たな段階だ。金融リソースは国有企業から一般の人々に広がる必要がある。債券・株式市場を発展させるべきだとの認識が大きくなっている」と語った。 
原題:China Wants Its Stock, Bond Markets to Step Up Funding Role(抜粋)

李首相は全人代で米政府や議会を刺激する「中国製造2025」に言及せず、貿易摩擦の解消に注力する姿勢を強調した。米中首脳会談の合意を急ぎ、目先の苦境をしのぐのに腐心する演説にみえる。
だがそれに続く発言には習近平体制の別の悩みがにじんでいた。「目前の状況にとらわれて短期的な強い刺激策を講じ、新たなリスク要因を生み出すことはできない」
過剰な財政支出や金融緩和が構造調整を先送りし、それが中期的に中国経済を弱らせることを心配しているのだ。
ここで中国経済の変遷をおさらいしておこう。
中国は1990年代に、最高実力者のケ小平により改革開放にかじを切った。「社会主義市場経済」を党大会で打ち出したのが92年。2000年代初めには「世界の工場」に躍り出て、その後はインフラや住宅・ビルの建設投資などで内需を底上げしてきた。
だが今やそのイメージは古びている。日銀で北京事務所長を務めた瀬口清之キヤノングローバル戦略研究所研究主幹は、最近の日本での中国悲観論は経済構造の急速な変化を見過ごしているという。
輸出・投資から消費へ、製造業から第3次産業へ、国有企業から民営企業へ――3つの主役交代を進め、技術力を備え生産性の高い経済に変わることが中国の課題だ。急がないと「未富先老」、つまり豊かさを実現する前に高齢化が深刻になる恐れがある。
すでに成長の主役は消費だ。18年の実質成長率は前年比6.6%。どこまで実態を示すかはひとまず目をつぶるとして、統計上はその大半の5ポイントが消費の寄与分だった。
外需はこの10年をならせば成長にはほぼ中立的だ。公共投資や設備、住宅投資を合わせた固定資本形成も、成長を押し上げる力は鈍っている。
第3次産業への主役交代も進んでいる。国内総生産(GDP)に占める第3次産業の比重は12年に第2次産業に並び、18年には52%を占めた。アリババ集団の電子商取引や決済ビジネスの爆発的な成長は「新経済」の象徴だ。
瀬口氏は「日系企業の中では、消費市場をにらむ現地の事業拡大論と、東京本社の慎重論に大きなギャップがある。中国経済が厳しかったのは、今よりも15〜16年の景気停滞時の方だ」と話す。
問題は国有から民営への企業の主役交代である。改革開放のスローガンは民営企業が躍進し、国有企業は後列に退くという「国退民進」だったが、その後は逆に「国進民退」が進んでいる。今回の景気の下振れでも民営企業は運転資金が足りず苦境にある。
野村資本市場研究所シニアフェローの関志雄氏は「国有企業は合併で大きくなり政府の支援も受けている。だが民営企業は資金繰りに苦しみ経営破綻も多い」と指摘する。
国有企業の寡占が進めば経営効率は二の次になり、独自技術も生まれにくい。米中のハイテク覇権の争いの影響で、外国の技術を安く手に入れることも今後は難しい。労働力人口や農村からの出稼ぎの減少もあり、中国の潜在成長率の低下は避けられない。
1人当たりGDPが1万ドルを超えるあたりから、途上国の経済成長が停滞する――。「中進国の罠」である。戦後これを回避できたのは日本などごく一部の国だ。習近平体制も、20年までは表向き6%成長を死守するとして、その後の成長率の低下をどこまで抑えられるだろうか。
ロンドンに本社を置く調査会社キャピタル・エコノミクスは独自に中国の実質成長率を推計し、18年は公式統計より1.3ポイント低い5.3%とみている。構造改革が進まないと、20年代末までに「2%まで下がる恐れがある」とチーフエコノミストのニール・シアリング氏はブログで指摘している。
一つの処方箋は米国の外圧を国内の改革に使うことだ。「01年の世界貿易機関(WTO)加盟は外圧となり、中国を変えた。もう一度それができるかどうか」(関氏)
いま中国では1日あたり1万8千社の会社が生まれている。1週間で日本の年間の新設法人数に匹敵する規模だ。問題はこうした旺盛な起業家精神をどのようにイノベーションにつなげるかだ。
例えば日本企業からも悪名高い、技術やノウハウを中国に「強制移転」するよう求める制度がある。米中摩擦でも争点となり、中国は見直す方針だ。知財を保護しなければ国内起業家も不利益を被る。既得権を壊し、世界に通じるルールづくりを急ぐ時だ。


https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-18/POJAIR6TTDS001?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/551.html

[政治・選挙・NHK258] 韓国の「読み方」 日本は韓国より立場が弱くなったのか? 日韓関係の構造的変化を考える(4) 
韓国の「読み方」

日本は韓国より立場が弱くなったのか?

日韓関係の構造的変化を考える(4)
2019/03/18

澤田克己 (毎日新聞記者、元ソウル支局長)

 日韓関係がここまで悪化している背景には、冷戦終結の時期を前後して起きた両国関係の構造的変化がある。そうした認識からこれまで、主として韓国側の事情に焦点を当てたコラムを3本書いてきた。簡単に振り返ってみると、▽現在の韓国では「反日」は重要なイシューとなっていない(第1回 韓国国会議長による「天皇謝罪」発言の裏側)▽冷戦終結によって韓国は自由に行動できるようになったし、経済成長にも成功したので日本への依存度が低くなった(第2回 「日本は韓国にとって”特別な国“」は冷戦終結で終わった)▽1987年の民主化によって歴史上の不正義を正そうとする「過去の清算」という動きが表面化するようになった(第3回 韓国の民主化の「副作用」、日本への配慮を忘れていった社会)——ということである。「日韓関係の構造的変化を考える」と題したシリーズの最後となる今回は、日本側の事情について考えてみたい。


(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
日本にとって「防波堤」だった冷戦下の韓国
 まずは政治について考えてみよう。日本は冷戦時代、共産主義勢力に対する盾として韓国を見ていた。韓国では1960年に李承晩が退陣に追い込まれた内政混乱の後、朴正煕がクーデターを起こした。この時に首相を退いて間もない岸信介は「釜山まで共産主義が浸透してきたときの日本の地位を考えるとき、ことに近接した中国地方の山口県などからみると、非常に治安上、重大な問題だと思う」と語った。そして、「革命を起こした朴正煕その他の連中がやっていることは、ある意味からいって《自由韓国》を守る“最後の切り札だ”」と、朴正煕政権を支える必要を力説して回った。(大岡越平「『自由韓国』を守る」、中央公論1962年1月号)

 韓国が北朝鮮とにらみ合ってくれているおかげで、日本は軽武装の経済重視路線を突き進むことができた。クーデターの大義名分を経済再建に求めた朴正煕は日本の資金と技術を必要としたが、安定した韓国の政権を作ることは日本の国益にもかなっていたのだ。そして日韓を協力させることは、互いの同盟国である米国からの強い要求でもあった。

 こうした考え方は、1969年の日米首脳会談での共同声明に「朝鮮半島に依然として緊張状態が存在することに注目。韓国の安全は日本自身の安全にとって緊要」と盛り込まれた。これは「韓国条項」といわれ、その後の日米首脳会談や日韓首脳会談で踏襲された。

 そして全斗煥政権は1981年、安全保障と経済協力を直接関連させて60億ドルの借款を日本に求めた。「韓国の立場から見て、冷戦の前哨で戦っている韓国に自らの安全保障の多くを依存している日本は、韓国が果たしている戦争抑止の努力に対して応分の支払いをしなければならないと考えられた」(南基正「戦後日韓関係の展開 —冷戦、ナショナリズム、リーダーシップの相互作用—」『GEMC Journal』No.7、2012年3月、69ページ)ということだ。日韓両国は1983年、40億ドルの借款を日本が韓国に提供することで合意した。

日本にとっての韓国の戦略的重みは変わっていない
 冷戦終結によって、この構図は激変した。韓国にとっては総じて前向きな変化だったと言えるだろうが、日本には違う光景が見える。北朝鮮が核・ミサイル開発を進めて日本にとって直接の脅威となったのは冷戦終結を受けてのことだし、中国も冷戦後のグローバリゼーションの中で急速に台頭して覇権主義的な行動を取るようになってきた。どちらも日本の安全保障にとってマイナスの動きである。

 朝鮮半島情勢に詳しい日本の外交官は「冷戦時代の韓国にとって、日本は(1)経済協力の提供者(2)軍事政権にとっての米国への影響の経路(3)未だ国交を有していない中国への経路といった戦略的な位置付けを持っていた。一方で日本にとっての韓国は、北朝鮮及び北朝鮮を通じてのソ連の脅威への防波堤だった。ところが、冷戦構造の崩壊と韓国の民主化、日本のバブル崩壊などがあって、韓国にとっての日本の戦略的な位置付けは3つとも失われた。ところが、日本にとっての韓国の位置付けは『ソ連』を『中国』に置き換えれば、現在もそのまま変わらない」と話す。

 問題はそれだけではない。日本にとっての直接的な脅威となった北朝鮮の問題に対処するためにも、韓国の協力を取り付けるかどうかは大きい。韓国の協力など不要だと切り捨てるなら、日本の負う政治・経済的コストは増大する。米中の対立激化という状況についても、韓国がどのような態度を取るかは日本に大きな影響を与える要素となった。在韓米軍の撤退などという事態になれば、日本の安保政策は根本的な見直しを迫られる。日本の財政がその負担に耐えられるかは疑問である。

 基本的な要素として韓国の国力伸長も見逃せない。冷戦時代の韓国は弱小国だったから国際社会での影響力は極めて小さかった。ところが現在はG20(主要20カ国・地域)のメンバーであり、世界10位前後の経済力を持つ。国際政治というゲームの中で簡単に無視できる相手ではない。

経済は相互に依存する水平分業に
 経済面でも大きな変化が起きた。財務省が公開している「貿易相手国上位10カ国の推移(輸出入総額、1995〜2017年)http://www.customs.go.jp/toukei/suii/html/data/y3.pdf」を見ると、韓国の定位置は米中に次ぐ3位、シェアは6%前後で安定している。冷戦終結を前後して貿易相手国の多角化が一気に進み、日米のシェアが急落していった韓国とは様相が異なる。日本はそれ以前から経済大国として世界中の国々と貿易をしていたから、韓国ほど急激な変化がないのは当然だろう。

 サムスン電子やLG、現代自動車といった韓国企業が世界市場で広く認知されるようになったのも冷戦終結後のことだ。米インターブランド社が2000年から算出している世界ブランド価値ランキングでは、2000年に上位75社に入ったのは43位のサムスンだけ。2005年に現代が84位、LGが97位と初めて上位100社の仲間入りをした。2018年のランキングで上位100社に入ったのはサムスン6位、現代36位、起亜71位だ。ちなみに同年の上位3社は、アップル、グーグル、アマゾンの順で、日本企業トップはトヨタの7位だった。

 日経新聞は3月14日付朝刊で「韓国、日本の経済制裁警戒」という記事を国際面トップに載せたが、これは「韓国側が身構えている」というだけの内容ではない。サブ見出しにある「水平分業 双方に打撃」という点を無視しては語れないのが現在の状況だ。サムスン電子など韓国を代表する企業が日本の部品・素材に依存しているのは事実だが、逆もまた真なりであって、日本の部品・素材メーカーにとって韓国企業は大切な大口顧客になっている。近年は東レなどが先端工場を韓国に建設しているが、大きな理由のひとつは納入先企業との協業体制を築くことだ。

 韓国の部品メーカーが力を付けてきている点も無視はできない。統計分類コードの種類によって若干のずれはあるが、日韓間の自動車部品貿易に関しては2014年ごろに収支が逆転した。ずっと日本の黒字だったのが、韓国の黒字に変わったのだ。東日本大震災の際に日本製部品の供給中断に見舞われた韓国の完成車メーカーが日本製部品への依存度を下げたことや、韓国製部品の性能向上を受けて日本の完成車メーカーが韓国からの部品輸入を増やしたことが背景にあるという(韓成一「日本の対韓国自動車部品貿易の赤字転換と九州自動車産業への影響」『東アジアへの視点』2015年12月号)。

 韓国における日本の存在感は、政治(安全保障)と経済の両面で1980年代後半から一本調子で低くなってきた。これに対して日本にとっての韓国の存在感というのは、それほど単純ではない。冷戦時代に弱小国だった韓国が国力を付けたことによって、むしろ存在感は高まったといえる。中国の台頭という冷戦後の地域情勢は、韓国においては単純に日本の存在感低下を招いたが、日本の受け止め方は全く違う。そういった違いがあまりにも軽い韓国の対日外交を生むと同時に、日本側の対応を極めて難しいものにしている。そう考えると、日本の方がある意味で弱い立場に立たされていると言えそうだ。

「日本はない」と「韓国はない」?
 最近の日韓関係に憤り、1993年に韓国でベストセラーになった本『日本はない』(田麗玉著)を引き合いに出して、「小欄も『韓国はない』と思うことにしようか。」と結ぶ新聞コラムがあった(「産経抄」『産経新聞』2019年3月2日)。

 そう言いたくなる気分がわからないでもないが、この本を引き合いに出すのは注意すべきだ。この本は、さまざまな事例を挙げながら「日本なんてたいしたことない」「日本はひどい国で、手本にするようなことは何もない」と声高に主張するのだが、それは実は「そう思いたい」という韓国人の願望を代弁するものだったからだ。著者はこの本のあとがきで、日本式経営や社員教育などを追い求める当時の韓国の風潮を「しかたのない面もありますが、これはむりやり我々に日本式の方法を強要しているにすぎません」と強く主張した。この訴えは、バブル経済に浮かれて絶好調だった日本に押しつぶされるのではないかと恐れる韓国人の悲鳴のようだった。

 興味深いのは、この著者が10年後の2003年に再び日本をテーマに書いた本だ。著者はこの本の前書きで、日本での楽しい思い出がたくさんあるけれど、今まで書いたことはないと告白する。そして、こう続けたのだ。

私が暮らした1990年代初め——スーパーパワーになろうという野望を持ち、貪欲でギラギラすることをやめようとしなかった(あの時の)「日本はない」。今の日本は「かつての日本」ではない。だから、穏やかな気持ちで、日本について軽く書くことができた。(田麗玉『札幌でビールを飲む』、カッコ内は筆者注)

 日本と韓国が互いを見つめる視線の変化は、こうした言葉によく表れているのだろう。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15665
http://www.asyura2.com/19/senkyo258/msg/600.html

[国際25] 銃撃犯につかみかかり、追いかけ……大勢の勇気 ニュージーランド銃撃  Facebook、乱射動画を150万本削除
銃撃犯につかみかかり、追いかけ……大勢の勇気 ニュージーランド銃撃

2019/03/18

BBC News


ニュージーランド・クライストチャーチで15日に発生したモスク(イスラム教礼拝所)銃撃事件で、参拝者や地元警察官によるか図化すの勇敢な行動が明らかになった。この事件では50人が死亡し、数十人が負傷した。

襲撃されたモスクにいた男性信者は犯人に立ち向かい、クレジットカードの読み取り機を投げて応戦したという。

また、主犯のブレントン・タラント容疑者(28)を追いかけて逮捕した警察官2人のうち、1人は拳銃しか持ち合わせていなかった。

ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相によると、タラント容疑者は車に爆発物を乗せており、さらに襲撃を行う予定だったという。

アーダーン首相はこの事件を「テロ攻撃」と呼んでいる。18日には、内閣が銃規制の強化について協議する見通しだ。

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捜査当局は犠牲者の検視を進めており、遺体は20日までに遺族の元に戻される予定。

犠牲者への追悼が続く一方、現在も34人が病院で治療を受けている。うち1人は4歳の少女で、重体だという。

2カ所目の襲撃現場となったリンウッド・モスクにいたアフガニスタン生まれのアブドゥル・アジズさん(48)は、誰かが発砲したという叫び声を聞いた。

モスクが襲撃されたと気付いたアジズさんはクレジットカードの読み取り機を取り、襲撃犯の方へ走り、武器を補充しに車に戻っていた犯人に向かって投げつけた。犯人が自分に向けて発砲すると、車の間に隠れたという。

アジズさんは事件当時、4人の子どもと共にモスクを訪れていた。犯人が落とした銃を取って引き金を引いたが、弾は空だった。アジズさんは空の銃を手にしたままモスク内に戻り、再び犯人と向き合った。

ロイター通信に対してアジズさんは、「私がショットガンを持っているのを見て、犯人は銃を落として車へと逃げました。追いかけると相手は車内に座っていたので、持っていた銃を窓に向かって矢のように投げつけた。犯人は私をののしって逃げていった」と説明した。

リンウッドでイマーム(イスラム指導者)代行を務めるラテフ・アラビ師はAP通信に、アジズさんが銃撃犯を怖れずに立ち向かわなければ、同モスクでの死者は増えていただろうと語った。

その後、この近辺にいた地元の警察官2人が犯人を追跡し、車を制止させてタラント容疑者を逮捕した。この様子は目撃者が撮影し、ソーシャルメディアで拡散された。

アーダーン首相は16日、「(警察官は)何よりニュージーランドを最優先した」と称え、警官2人を表彰する方針を明らかにしている。

銃撃は15日午後1時40分(日本時間午前9時40分)ごろ、リンウッドから5キロほど離れたクライストチャーチ中心部のアルヌール・モスクで、金曜の礼拝中に起きた。

白人至上主義を掲げるタラント容疑者は、フェイスブックで銃撃の様子を生中継した。

ビデオでは、パキスタン出身のナイーム・ラシドさん(50)が、撃たれる前に犯人につかみかかる様子が映っていた。ラシドさんは病院に運ばれたが亡くなった。

ラシドさんの兄弟のクルシド・アラムさんはBBCに、「犯人を止めようとして何人かの命を救ったという目撃証言があります。誇りに思うが、それでも喪失は大きい。腕を切り落としたみたいです」と話した。

ラシドさんの息子のタルハさん(21)も亡くなった。タルハさんは最近新しく就職し、近く結婚する予定だったという。ラシドさん一家は2010年からニュージーランドに住んでいた。

パキスタンのイムラン・カーン首相はツイッターで、ラシドさんを表彰することを明らかにした。

アルヌール・モスクの女性礼拝室にいたとされるホスネ・アラさん(42)は、車椅子に乗っていた夫を探している最中に亡くなった。夫のファリド・ウッディンさんは助かった。

ウッディンさんによると、アラさんは事件当時、女性や子どもたちをモスクから逃がそうとしていたという。

「妻のしたことを誇りに思います。妻は善行のために亡くなった。正に自分が愛する通りに、私が愛する通りに行動したのです」とウッディンさんはBBCの取材に答えた。

「私は妻を亡くしたが、犯人を憎んではいません。人として犯人を愛しています。彼を許し(中略)彼のために祈ります」

マイク・ブッシュ警察総監は、警察は通報から6分後にアルヌール・モスクに到着し、36分以内にタラント容疑者を逮捕したと説明した。アルヌール・モスクでは41人が亡くなっている。

ニュージーランド議会は19日に、犠牲者を追悼する。

タラント容疑者は16日にクライストチャーチ地裁に出廷。留置所の白いシャツに手錠のまま、報道陣に向かって微笑んだ。今のところ殺人容疑1件で訴追されているが、今後さらに容疑は増える見通し。

ブッシュ総監によると、タラント容疑者は単独犯だったとみられており、この事件に絡んで訴追されたのも同容疑者1人のみ。

(英語記事 Stories of heroism emerge from NZ attacks)

提供元:https://www.bbc.com/japanese/47607156


 
Facebook、ニュージーランド乱射動画を150万本削除したと説明
2019年03月18日 08時48分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]
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 米Facebookは3月17日(現地時間)、ニュージーランドのクライストチャーチで起きたモスクでの乱射事件関連の動画を、事件発生後24時間で150万本削除したと、公式Twitterアカウントでツイートした。


Facebook Newsroom

@fbnewsroom
· 2019年3月17日
返信先: @fbnewsroomさん
Update from Mia Garlick, Facebook New Zealand: "We continue to work around the clock to remove violating content using a combination of technology and people...


Facebook Newsroom

@fbnewsroom
In the first 24 hours we removed 1.5 million videos of the attack globally, of which over 1.2 million were blocked at upload...

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12:14 - 2019年3月17日
Twitter広告の情報とプライバシー
1,020人がこの話題について話しています

 「150万本のうち、120万本以上はアップロードの段階で削除した」という。また、「この悲劇の影響を受けた人々の気持ちを尊重し、残酷な画像は含まれないように編集されたバージョンの動画もすべて削除した」としている。

 この事件は15日、単独犯がクライストチャーチのモスクで銃を乱射し、50人を射殺、多数の負傷者も出た。犯人はあらかじめネットで“マニフェスト”を公開し、そこで告知したFacebookライブ動画のリンクで犯行をライブ配信した。この動画は多数の視聴者が保存し、それがFacebookだけでなく、TwitterやYouTube、Redditなどに拡散していった。

 Facebookは15日、警察からの報告でオリジナルの動画とその動画を配信したユーザーのFacebookおよびInstagramのアカウントを削除したとツイートしていた。

 Facebookの元CSO(最高セキュリティ責任者)で現在はスタンフォード大学の非常勤教授であるアレックス・スタモス氏は自身のTwitterアカウントで、拡散してしまったコンテンツを100%削除するのがいかに難しいかを説明した。

 ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は17日に開いた記者会見で、「(FacebookのCOOである)シェリル・サンドバーグ氏から連絡を受けた。同氏と直接話してはいないが、連絡を取ってきたのはニュージーランドで起きたことを認識しているということだ」と語り、「この問題について、Facebookと直接話し合うつもりだ」とした。

fb
Facebookとこの問題について直接会談すると語るニュージーランドのアーダーン首相
 アーダーン首相はこの会見を、自身のFacebookページで公開している。

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https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1903/18/news071.html
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/723.html

[経世済民131] 3メガ銀、20年春の新卒採用2割減 ピークの3分の1に 人材枯渇の危機  銀行カードローンに逆風 融資残高8年ぶり減少
3メガ銀、20年春の新卒採用2割減 ピークの3分の1に
金融機関
2019/3/18 1:31日本経済新聞 電子版
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3メガバンクが2020年4月入社の新卒採用数を計1800人程度とし、19年4月予定に比べ2割以上、減らす方針だ。ネットバンキングやキャッシュレスの普及で店舗で必要な人員が減少。業務を効率的にするIT(情報技術)の導入も進み、採用数はピーク時の3分の1に落ち込む。長引く低金利や異業種の参入で経営環境は厳しく、人員配置を最適にして生産性を高める。

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新卒が集まらない 地銀波乱・人材枯渇の危機
金融機関 地域総合
2019/2/20 0:27日本経済新聞 電子版
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地方銀行が人材難に揺れている。地元では自治体と並んで安定した職場の代名詞として、かつて優秀な人材の受け皿になっていた。厳しい経営環境を背景に就職の人気は下がり、新卒を思うように集められない。幹部候補となる中堅や若手の転職も急増している。マイナス金利や不良債権に加え、人材枯渇の危機も地銀経営を圧迫する要因に浮上してきた。

2018年12月の日曜日、東京都中央区の京橋。朝から雑居ビルの一室である会場…

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銀行カードローンに逆風 融資残高8年ぶり減少
政策研究 経済
2019/3/18 1:31日本経済新聞 電子版
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銀行のカードローン事業が曲がり角を迎えている。国内の融資残高は2018年末に減少に転じた。過剰融資の恐れがあるとの批判を受け、審査を厳格にしたことが直接の原因だ。ただ、こうした要因がない米国でも伸びが鈍化している。低金利環境の長期化で貸し付けがじわじわと増加し、家計が債務に耐えきれなくなりつつあることも背景にある。(荒木望)

日銀のまとめによると、国内の銀行カードローンの融資残高は18年12月末…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42581450X10C19A3NN1000/


 
銀行カードローン、8年ぶり減 日銀調べ
金融機関
2019/2/8 18:31
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日本銀行が8日公表した統計によると、銀行カードローンの融資残高は2018年末時点で前年末比0.8%減の5兆6995億円となった。減少は8年ぶり。無担保で使い道が自由なカードローンをめぐっては、利用者の返済能力を上回る過剰融資につながっているとの批判があった。全国銀行協会は審査の厳格化や広告の自粛を申し合わせており、融資の増加に歯止めがかかった格好だ。

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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41080400Y9A200C1EA4000/?n_cid=SPTMG053
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/553.html

[経世済民131] 迷走する日本の「働き方改革」への処方箋 競争社会がやってくる、「弱肉強食」の正体とは?
迷走する日本の「働き方改革」への処方箋

競争社会がやってくる、「弱肉強食」の正体とは?

2019/03/18

立花 聡 (エリス・コンサルティング代表・法学博士)

 日本の「終身雇用」は崩壊しつつある(参照:崩壊に向かう日本の「終身雇用」)。終身雇用制度が崩壊すれば、競争社会がやってくる。競争が激化すれば、弱肉強食が始まる。これは一般的に描かれた競争社会の構図だが、日本社会は果たしてそうなるのか? まずは一般論として「弱肉強食」の本質を掘り下げてみたい。


iStock / Getty Images Plus / Jay_Zynism
「弱者の仕分け」が必要
 弱肉強食という現象には善悪の判断を差し挟む余地がなく、存在するある種の事実である。どうしても悪というのなら、悪しき事実の存在としてこれを認識しなければならない。台風や地震と同じようにだ。

 私たちを取り巻く環境は全般的に厳しい。いや、過酷だ。競争の激化は、資源全体の成長(拡大)停止ないし減少、そして人間の欲望に起因する。人間の欲望も事実の存在であり否定のしようがないし、善悪の判断を差し挟む余地もない。このような客観的な外部環境を非難しても、改善する手立てがない以上、非建設的で無価値である。

 競争の世界では、争奪対象となる資源の総量が限られている以上、必ず勝ち組と負け組から成るいわゆる「弱肉強食」現象が生じる。そこで弱者が同情され、強者が非難される構図はいかにも日本的な風景である。

 弱者に同情を寄せる。日本社会の普遍的倫理観である。生活保護制度は弱者救済の制度だとすれば、受給者が弱者となる。その例を見てみよう。

 パチンコで遊んでいる生活保護受給者が多いことから、2015年10月の計5日間、大分県別府市役所の職員35人が連日出動し、パチンコ13店と市営競輪場を巡回して合計25人の生活保護受給者を見付け、市役所に呼び出して注意したという。

 生活保護への財政投入はさておき、35人の公務員が数日パチンコ店を巡回するという人件費だけでも100万円を超えていた。100万円以上の税金をかけて何をしたかというと、パチンコで遊ぶ生活保護受給者を探し出して注意をしただけ。これが税金の使い方であり、弱者救済の取引コストでもある。

 パチンコ遊戯はまだしも、犯罪となると話が違ってくる。向精神薬の密売で逮捕された者には、元生活保護受給者や母子家庭も含まれていた。そうしたニュースもある。生活保護受給者の医療費は全額公費負担である。生活保護受給者は複数の病院を回り、担当医に処方増量を依頼し、自分が飲む量の倍以上の向精神薬をタダで入手しそれをネットで転売する。それで服やバッグの購入費、飼いネコの餌代といった小遣いを稼いでいたという。

 明らかに「弱者=善」という捉え方は間違っている。弱者は単なる弱者である。中には、本物の弱者と偽物の弱者、勤勉な弱者と怠惰な弱者、善の弱者と悪の弱者、被害者の弱者と加害者の弱者が混在している。弱者救済といっても、それほど簡単ではない。弱者の仕分け作業それ自体に大きな取引コストが伴う。救済コストも取引コストも社会全体が負担しなければならない。

「弱肉弱食」の世界とは?
 弱者と同じように、いわゆる強者にもいろんな強者が存在する。ただし、その分類や仕分け作業は弱者のそれとやや異なる。弱者の場合、救済の判断に資する基準が必要であり、最低でも真偽の分別が欠かせない。強者は救済不要で、むしろ放っておけばよいかというと、そうではない。

 そこで必ず出てくる話は、「弱肉強食」。強者が弱者を踏み台にしてさらに強化され、弱者の権利を侵害したりその利益を横取りした場合、これを是正する必要がある。故に、強者の場合、「強弱の相互関係」から考察しなければならない。

 まずは法律の制裁面。法律に違反した場合はどうなるのか。こればかりは強者も弱者も差がなく、平等に法の制裁を受けることになる。弱者とされる生活保護受給者が生活保護を不正に受給したり、無料医療を受けてそこで受け取った向精神薬を転売して収入を得たり、違法行為に及んだ場合は法的制裁を受ける。一方、強者である資産家が最低賃金以下の給料で労働者を働かせて搾取したり、所得をごまかして脱税したりすると、これも法的制裁を受ける。

 次に法律の規制面。何を以て規制するか、どこまで規制するか、規制による副作用にどう対処するかなどの問題だ。ここでは強弱差別対処の濃淡差が現れる。強者に対する規制をより厳しくし、弱者救済や援助をより手厚くする。

 冒頭に思いつくものは、税金。強者にもっと高額な税金を課す。しかし、グローバル時代だけに、高所得者は事業分布や所得の調整をしたり、低税金の国・地域を活用したりすることによって、節税策を講じることも可能だろう。当局と納税者のいたちごっこだ。最終的に高所得者や企業は根こそぎ海外に移転する手もある。そうなったら、国内に税金が落ちなくなるだけでなく、雇用まで失われる。結局のところ、弱者がより不利な立場に追い込まれる。

 賃金規制も難しい。法律で最低賃金を引き上げると、企業は賃金の安い国・地域に事業をもっていく。すると、同じように国内税収と雇用を失う。

 さらに問題がある。たとえば最低時給を1000円から1200円に引き上げたとする。企業はいままで3人を雇って人件費総額3000円でやっていた仕事を、新賃金に引き上げて総額2400円で2人にやらせる。どうしても仕事が終わらなかったら、残業代600円を出して2人に残業をさせる。ブラック企業が生まれるわけだ。

 賃金の引き上げによって、3人だった労働者から1人がリストラされ、失業者を社会に送り出す。どの人がリストラされるかというと、その3人の中で一番弱い人(低生産性)がリストラされるのである。気が付くと、「弱肉強食」ではなく、「弱肉弱食」になっていたのではないか。弱者同士の戦いで、一番底辺にいる最弱者が次弱者によって淘汰される。生き残った2人は次弱者であっても、淘汰された最弱者に比べると、相対的強者になる。

「強肉強食」の時代がやってくる!
 では、残った2人の相対的強者は安泰かというと、決してそうではない。さらに賃金コストが上がったとする。2人分の給料が3000円から4000円に上がる。そこで企業は1人に3000円を払ってその仕事はできないかと模索し始める。製造現場では産業ロボットが2人のワーカーを製造ラインから追い出したり、ホワイトカラーの場合は、AI(人工知能)が最後の1人の仕事まで取り上げたりもする。

 弁護士や司法書士など強者とされる「士業」にも失業の時代がやってくる。法律や判例のデータベース検索や定型法務書類の作成は、AIによって取って代わられる。弁護士業や法務市場でも生き残りを賭けた熾烈な競争が繰り広げられようとしている。もはや「弱肉強食」ではなく、「強肉強食」の世界である。

 そもそも「弱肉強食」という概念は決して、単純な「強」「弱」の二項対立ではない。自然界の「弱肉強食」は食物連鎖という大きなサイクルになっている。最強が次強を食べ、次強が強を食べ、強が次弱を食べ、そして次弱が最弱を食べる、という連鎖である。資本家と労働者という強弱の二項対立は、マルクスが生きていた時代の現象だった。現下の世界ではより複雑化、相対化しているのである。

 故に、繰り返しているように、「弱肉強食」というのは、善悪ではなく、ある種の自然の摂理である。

誰が強者? 誰が弱者?
「弱者」の話、「強者」の話、そして「強弱関係」の話を縷々と説いてきたが、最後に、強者になる必要があるか、どうやって強者になるかに触れてみたい。

 まず強者になる必要はあるか。それは人によって異なる答えがあっていい。自分の描きたい絵を一生描き続け、ついに貧困のどん底から一度も這い上がることがなかった画家。言いたいことが言えず忍耐に忍耐を重ね、ただひたすら宮仕えのエリートサラリーマン人生に徹し、ついにトップの座に上り詰めた矢先、会社の不正事件で責任を問われ、辞任に追い込まれる大会社の社長。どっちが強者どっちが弱者、どっちが勝者どっちが敗者、どっちが幸せどっちが不幸……。私には分からない。本人に聞くしかない。

 強者や弱者、勝ち組や負け組。社会的な一般論としての評価基準もあろうが、最終的に本人が判断して結論を出すものであろう。

連載:迷走する日本の「働き方改革」への処方箋
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15660

 

「お一人様」「ランチ」… 変わる送別会、世相を反映
関西 社会
2019/3/18 6:30

異動や退職といった別れが多い3月。「盛大な宴会で」というイメージが強い職場の送別会が様変わりしつつある。周囲を気にせず主役が1人で開く「ソロ送別会」やランチ会に代える企業が登場。「飲みニケーション」を見直す世相が反映された形で、専門家は「職場の交流のあり方は変わっていく」と指摘する。

「新しい会社で頑張ってください」。大阪府豊中市の和食レストラン「ごちそう村」で3月中旬の夜、店員の音頭に合わせ
て… 
関連記事
酒の力、もう借りない 様変わりする企業の酒席[有料会員限定]
2018/12/21 9:36
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42558110W9A310C1AC1000/?n_cid=NMAIL007
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/554.html

[経世済民131] 米国がAI分野で中国との競争に躍起になる理由 米サブプライム危機、今度は自動車ローンか? 好景気の米国で デフォルト急増
世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

米国がAI分野で中国との競争に躍起になる理由

2019/03/18

岡崎研究所

 2月11日、トランプ大統領はAI(人工知能)の研究開発を強化することを指示する大統領令に署名、「米AIイニシアティヴ」を発表した。トランプ大統領は2月5日の一般教書演説でも、AIにおいて米国のリーダーシップが継続することが米国の経済および国家安全保障を維持する上で最高に重要だ、と強調していたが、それを肉付けしていく動きと言える。


(Matrosovv/michaeljung/Pakpoom Makpan/iStock)
 米AIイニシアティヴは、次の5つの骨子を含む。(1)AIの研究開発への投資の強化、(2)AIに関するリソースの解放:連邦政府が持つAIに関するデータや技術を米国のAI研究開発者に利用可能にさせる、(3)AIに関するガバナンス基準の設定、(4)AI研究開発者を増やす、(5)AIの研究開発を後押しする国際的環境を促進;米国のAI産業に対し市場を開放させていく;米国のAI技術の戦略的競争相手に対する優位を守る施策を講じる。

 トランプは大統領指令の中で「米国のAI技術を、戦略的競争相手や敵対的国家がこれを取得しようとする企てから守る」と述べている。 2月11日のホワイトハウスの発表は、「米国はAIの分野で先駆者となりリーダーとなることで莫大な利益を得てきたが、世界中でのAIイノベーションのペースが高まる中、我々は手をこまねいているわけにはいかない。我々は、アメリカ人の創意工夫がAIを前進させ続け、米国の価値を反映し、アメリカ人の利益のためになるようにしなければならない」としている。いずれも、名指しはしていないが、当然、中国を強く念頭に置いていることは明白である。AI技術等の輸出強化を進める方針である。

 トランプ政権がAIの分野で中国との競争に躍起になるのには、もっともな理由がある。第一に、言うまでもないことであるが、AI技術は今後の軍事技術にとり、死活的に重要な役割を果たすことは確実だからである。第二に、それにも拘わらず、米国のAI技術への投資は、中国と比較すると圧倒的に不足している。米ブルッキングスの2月12日付けブログ記事‘Assessing Trump’s artificial intelligence executive order’は、中国は今後10年で1500億ドルをAI技術の開発に投じる一方、米国は公開されている分は年に11億ドルに過ぎない、と指摘する。第三に、2月18日付けのワシントン・ポスト紙の社説‘The Trump administration sounds an alarm bell as China forges ahead on AI’なども問題提起しているが、米国のAI技術開発は民生に偏り、軍事利用については閑却しているきらいがある。これは、ペンタゴン(2月12に日AIに関する独自の報告書を発表している)を除く官庁にも、民間企業にも当てはまる。上記ワシントン・ポスト社説によれば「米国のAI開発者は、米軍を助けることよりも、自動運転技術の開発に照準を合わせている」。

 AIをはじめとする米中の技術競争は、今や両国の「生存競争」となりつつあるといって過言ではない。しかし、AIをめぐる米中競争は、米国、ひいては西側にとり必ずしも楽観できないと思われる。

 米国は、今後、中国へのAI技術等の輸出規制に加え、同盟国やパートナー国に対しても戦略的競争相手や敵対国家にAI技術を渡さないよう、強く働きかけてくるであろう。昨年成立した「国防権限法2019」に含まれる、輸出管理改革法(ECRA)は、「米国の国家安全保障にとって重要な新基本技術(AIはこれに含まれると考えられる)」を、「外国への新基本技術の拡散の制限に関して課せられる輸出規制の有効性」を勘案しつつ、米国からの輸出と米国への再輸出を規制し得ると定めている。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15609


 

米サブプライム危機、今度は自動車ローンか?
好景気の米国で不可解な統計、若い借り手の間でデフォルト急増
2019.3.18(月) Financial Times
自動車輸入は「安全保障上の脅威」 米商務省の報告書、関税発動に道筋か
米アラバマ州バンスの工場で製造される独自動車メーカー、メルセデス・ベンツ「Cクラス」(2017年6月8日撮影)。(c)Andrew CABALLERO-REYNOLDS / AFP〔AFPBB News〕

(英フィナンシャル・タイムズ紙 2019年3月14日付)

 ウォール街で「サブプライム」という言葉を口にすれば、多くの投資家がたじろぐだろう。無理もない。

 10年前に世界金融危機が発生した主な理由は、信用ブームの時期に米国で組まれた高リスクの住宅ローンのデフォルト(債務不履行)が始まったことだった。

 あれ以来、規制当局も銀行も借り手も、自分の身の丈に合わない住宅を競って買うというクレージーな状況を繰り返すのはごめんだと心に決めている。

 ありがたいことに、サブプライム住宅ローンの災いが再来する兆しはほとんどない。

 それどころか、ニューヨーク連邦準備銀行が発表した消費者債務の最新データによれば、住宅ローンはここ数カ月間ほとんど横ばいで、2008年よりも低い水準にとどまっている。

 悪いニュースは、消費者信用の他の部門で妙な動きが見られることだ。

 消費者の借り入れは、全体的には安定したペースで増えているが、自動車の購入に関係するローンだけはここ1年で急増しているのだ。

 FICOの消費者信用スコアが620(米国では、コンベンショナル住宅ローン=政府機関による支払い保証がつかない住宅ローン=が組めるギリギリの水準)に満たない、リスクの高い借り手による「サブプライム・カテゴリー」の部類では特に増加が著しい。

 そして、さらに衝撃的なことに、このサブプライム自動車ローンのデフォルトが急増した模様なのだ。

 「信用スコアが620未満の借り手では、延滞に陥る割合が第4四半期に8%(移動合計による年率)を超えた」

 ニューヨーク連銀のエコノミストたちはブログにそう記している。

 また、今のところ自動車ローンを延滞(90日以上の支払い遅延)している米国人は700万人ほどで、2010年の実績より100万人多いとも指摘している。「景気と労働市場が好調な時期だけに意外な展開だ」という。

 歴史は繰り返す、ということなのだろうか。いや、そこまではいかない。

 これらの新たなサブプライムローンが新たな金融ショックに火をつけることは考えにくい。サブプライム自動車ローンセクターの規模は3000億ドルに過ぎず、サブプライム住宅ローンセクターよりもはるかに小さいからだ。

 しかし、このデータを見た専門家は当惑している。数字が間違っているかもしれない、少なくともいずれ改定されるだろうとの声まで上がっている。

 ある大手の貸付債権ファンドのトップは「統計の一時的な逸脱かもしれない」と述べている。他の消費者信用の数字とは異なるトレンドを描いているからだ。

 サブプライム自動車ローンのデータが(ニューヨーク連銀の言うように)正しければ、その説明としてまず考えられるのは、金利が非常に低いために金融会社が後先を考えずに貸し込んでいるというものだ。

(筆者のもとには金融会社から、ローンを組まないかというジャンクメールが津波のごとく押し寄せている。そこから判断するなら、十分にあり得ることだと思う)

 次に考えられるのは、最近の好景気においても持てる者と持たざる者の格差が広がっている、ということ。

 民主党の大統領候補になることを目指しているカーマラ・ハリス氏は先日、およそ「40%の米国人は、400ドルの急な出費に対応できる現金もないと話している」と指摘していた。

 もし、経済的に不安定な世帯が自動車ローンを借りているのであれば、その家計の脆弱さでデフォルトの増加を説明できるかもしれない。

 しかし、これもあり得るかもしれないと筆者が注目している見方がある。

 消費者行動が変化しているのかもしれない、そしてそのせいでデフォルトについての予測をエコノミストたちが外しているのかもしれない、という見方だ。

 もしそうだとしたら、これは初めてのケースではない。10年前のサブプライム住宅ローンの時もそうだった。

 経済学者たちが消費者行動のモデルを編み出した20世紀の終わり頃には、債務のデフォルトに踏み切る家計はクレジットカード、自動車ローン、そして最後に住宅ローンという順番でデフォルトすると想定されることが多かった。

 それが昔からのパターンだったし、住宅が重視される文化であることを考えれば理にかなっているようにも思われた。

 しかし、2000年代の初めにはこの順番が変わり始めていたようだ。

 消費者は自動車ローンやクレジットカードよりも先に、住宅ローンをデフォルトし始めたのだ。

(見たところ、住宅を明け渡すことが以前よりも受け入れられるようになったが、米国で暮らすにはクレジットカードが欠かせないという事情もあるのだろう)

 消費者の行動を現場で見ている人なら――例えば人類学者とか、非主流派の投資家とかなら――借り手を単に観察するだけでこの変化に気づくことができたかもしれない。

 だが、ほとんどの経済学者やエコノミストはこれを見逃した。将来は過去と同じような動きをするという前提でモデルを組んでいたからだ。

 ひょっとしたら今、これと同じようなことが再び起きているのかもしれない。

 ニューヨーク連銀のデータによれば、サブプライム自動車ローンのデフォルトを細かく分析すると、デフォルト率が最も大きく上昇しているのは30歳未満の借り手であり、30〜39歳の借り手がこれに続くという衝撃的なことが分かるという。

 ひょっとしたらこれは、いわゆるミレニアル世代の経済的な不安定さを反映しているのかもしれない。

 あるいは、大学の学費のローンが重くのしかかっていることの反映なのかもしれない。

 だが、もっとシンプルな説明があるのかもしれない。つまり、この世代は親の世代ほどには自動車に頓着しない、ということではないだろうか。

 消費についての、そしてデフォルトについての優先順位が変化したのではないだろうか。

 これはまだ推測の域を出ない。しっかりした研究はまだほとんど行われていない。

 しかし、もしこの新種の「サブプライム・サプライズ」が一時的な逸脱以上のものなら、我々に大事なことを一つ思い出させてくれるはずだ。

 将来の予測において過去を頼りにすることには危険が伴う、というのがそれだ。

 時には、普通ではない統計を解釈する唯一の方法は、住宅ローンバブルとその破裂の際にほとんどのアナリストがしそこねたことを実行することだ。

 先入観を捨てて街に出て、消費者の暮らしの様子を自分の目で観察するのだ。

By Gillian Tett

c The Financial Times Limited 2019. All Rights Reserved. Please do not cut and
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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55796
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/555.html

[経世済民131] 日銀内で21年度の2%達成厳しいとの見方、4月展望リポート 日本株続伸、米金融緩和 米政策金利はあと1回引上げでピーク 
日銀内で21年度の2%達成厳しいとの見方、4月展望リポート
日高正裕、藤岡徹
2019年3月18日 15:55 JST
• 「もう少し考えを柔軟にやってもおかしくない」−麻生財務相
• 2%目標変更の必要があるとか変更が好ましいと思わない−黒田総裁

黒田東彦総裁
Photographer: Toru Hanai/Bloomberg
日本銀行は4月末に2021年度の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)前年比の見通しを新たに示すが、物価目標として掲げる2%を達成するのは21年度も厳しいとの見方が日銀内の一部で出ている。複数の関係者への取材で明らかになった。
  日銀は4月24、25両日の金融政策決定会合で経済・物価情勢の展望(展望リポート)を策定し、見通し期間を1年延長し21年度までの経済、物価見通しを示す。複数の関係者によると、21年度の物価見通しについてはまだ正式な議論が始まっていないが、日銀内の一部の関係者は、物価が上がりにくい状況が続いていることから21年度も2%に達するのは難しいとみている。

  日銀は13年4月、黒田東彦総裁の下で、約2年を念頭に2%の物価目標の達成を目指すとして異次元緩和を開始。累次の追加緩和を行ったが、足元の物価上昇率は1%に満たず目標は遠い。達成時期は6回先送りされ、昨年4月に公表自体を取りやめた。超低金利政策が長期化する中、金融機関経営への影響など副作用が累積しており、異次元緩和への批判的な声が強まる可能性もある。
  麻生太郎財務相は12日の国会答弁で、2%物価目標は「もう少し考えを柔軟にやってもおかしくないのではないか」と言明。15日の記者会見では「2%にこだわり過ぎると、そちらの方がおかしくなる点は考えておかねばならない」と述べた。日本商工会議所の三村明夫会頭は7日のインタビューで、「弊害もいろいろ出てきている」として、2%にこだわらずより柔軟な政策運営を行うべきだとの考えを示した。
  黒田総裁は15日の記者会見で、2%物価目標を「変更する必要があるとか、変更することが好ましいとは思っていない」との考えを表明。一方で、達成時期については「長期にわたる低成長やデフレの経験などを踏まえると、物価上昇率が高まるには相応の時間かかる可能性がある」との見方を示した。
さらに読む
• 日銀総裁:2%実現を目指していく方針に変わりない−物価目標
• 日銀は2%物価目標にこだわらず柔軟な金融政策を−三村日商会頭
• 日銀が気をもむインフレ動向、夏までに上昇率ゼロ%に向け下げ加速か

  1月時点のコアCPI前年比の見通し(政策委員の中央値)は19年度が1.1%上昇、20年度が1.5%上昇。実質成長率は19年度0.9%増、20年度1.0%増と潜在成長率並みで、経済、物価とも「下振れリスクの方が大きい」としていた。日銀は15日の金融政策決定会合で、景気の総括判断について「緩やかに拡大している」との従来の表現に、「輸出・生産面に海外経済の減速の影響がみられる」との文言を加えた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-18/POJR7F6TTDS101?srnd=cojp-v2

 

 
日本株は続伸、米金融緩和の長期化期待でリスク選好−輸出や素材高い
長谷川敏郎
2019年3月18日 7:44 JST 更新日時 2019年3月18日 15:21 JST
• 米NY連銀製造業指数は予想下回る、VIXは昨年10月以来の低水準
• 東エレクなど半導体株が買われる、中国株大幅高も押し上げ要因
18日の東京株式相場は続伸。先週末の米国株が金融緩和の長期化期待を背景に上昇したことから、半導体をはじめとする電機や機械など輸出関連、化学や非鉄金属などが買われた。
• TOPIXの終値は前日比11.05ポイント(0.7%)高の1613.68
• 日経平均株価は同133円65銭(0.6%)高の2万1584円50銭
  15日の米国では3月のニューヨーク(NY)連銀製造業景況指数や2月の鉱工業生産指数が市場予想を下回り、グローバルな金融緩和が継続するとの見方が広がった。シカゴ・ボラティリティー指数(VIX)は12.88と昨年10月3日以来の低水準。きょうの中国上海総合指数は一時1.6%高と大幅に続伸。
  サクソバンク証券の倉持宏朗チーフマーケットアナリストは「米国で指数影響度が大きいテクノロジー株の業績懸念が後退してリスクオンムードとなり、日本株市場もその流れを引き継いだ」と述べた。米中首脳会談が6月に先送りされる可能性が出ていることについては、「中国が歩み寄りの姿勢のため話し合いは進展しているとみられる」と話し、相場の不安材料にはなっていないという。
  2月の輸出低調で株価指数は伸び悩む場面があったが、半導体関連の上げに支えられてプラス圏を維持した。東海東京調査センターの平川昇二チーフグローバルストラテジストは「米景気は減速していても景気後退にはほど遠い。インフレ予想も後退し、金融緩和を止めるような雰囲気はない」と話し、「ゴルディロックス(適温)状況からボラティリティーはさらに低下するだろう。日本株にとって良い状況だ」と指摘した。
半導体関連の上昇についてはこちらをご覧ください

• 東証33業種では化学や証券・商品先物取引、その他金融、石油・石炭製品、機械、保険、非鉄金属、電機が上昇率上位
• 鉱業は下落
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-17/POJ7N76S972801

 


米政策金利はあと1回の引き上げでピーク−エコノミスト調査
Christopher Condon、Catarina Saraiva
2019年3月18日 13:06 JST
• 調査の回答者らは中央値で9月の利上げを見込む
• 政策金利レンジの上限は2.75%でピークに達すると予想
米連邦準備制度は、今年後半にもう1回利上げをした後、今回の引き締めサイクルを終了させるだろう。ブルームバーグが実施した最新のエコノミスト調査でこのような予想が示された。
  3月13−15日にかけて実施した調査の回答者らは中央値で、9月利上げを予想した。昨年12月の調査では2019年に2回の利上げが見込まれていた。エコノミストらはまた、9月の利上げで政策金利は今回の引き締めサークルにおけるピークに達すると予想。政策金利レンジの上限は2.75%になるとみている。3カ月前には3.25%がピークとの見方だった。
  米連邦準備制度理事会(FRB)のバランスシートについては、当局が今週、第4四半期に縮小プログラムを停止する方針を明らかにすると、エコノミストらは見込んでいる。
Downside Risks Still Dominate

Economists' view of risks to growth and inflation

Balance Sheet Distribution
Economists see the maturity distribution of the Fed's balance sheet either reflecting outstanding Treasuries or skewing toward short-term securities

Source: Bloomberg survey
原題:Fed Seen Hitting Rate Cycle’s Peak After One More Hike: Survey(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-18/POJLDE6JIJUP01?srnd=cojp-v2


http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/558.html

[経世済民131] 人民元相場巡り米中合意なら「ブレトンウッズV」体制も ドイツ銀 コメ銀と合併協議 中国革命「聖地」不動産ブーム地方リスク
人民元相場巡り米中合意なら「ブレトンウッズV」体制も−ドイツ銀
Enda Curran
2019年3月18日 14:48 JST
厳しい元相場管理に戻す約束を交わせばアジアはドル圏に戻る公算大
アジア外為市場での元の影響力は自然に低下すると分析
米中貿易交渉の結果、人民元をより厳しい為替相場管理に戻す約束が取り交わされた場合、アジアはドル圏に戻る可能性が高い。

  アジアの金融政策への人民元の影響が現在よりも弱まり、米連邦準備制度の影響が強まることを意味するこのテーマは、ドイツ銀行の香港在勤エコノミスト、ジュリアナ・リー、マイケル・スペンサー両氏による「ブレトンウッズV」と題する文書で提示された。1944年のブレトンウッズ協定は、ドルを基軸通貨とする固定相場制という国際金融体制を確立した。

  両アナリストは、米中がこのような約束を交わせば、「恐らく人民元に対する圧力はほぼマイナスにならざるを得ず」、アジア外為市場で元の影響力は自然に低下すると分析。これは中銀の利下げ余地を小さくし、財政当局に支出拡大を迫る可能性があると指摘した。

  アナリストらはその上で、「中国当局が安定的な為替相場を維持するとの了解が米中の政府間に存在すれば、他の通貨に多大な影響を及ぼすことが考えられる」とした。

原題:Trump’s Yuan Pact May Herald Bretton Woods III, Deutsche Says(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-18/POJQ7D6JIJUP01?srnd=cojp-v2


 

ドイツ銀、コメルツ銀と正式に合併協議入り−経営改善努力実らず
Aaron Kirchfeld、Steven Arons、Dinesh Nair
2019年3月18日 2:34 JST 更新日時 2019年3月18日 8:41 JST
両行とも収入の伸び回復に何年も取り組んできた
ドイツ政府は人員・コスト削減を妨げないと示唆したと関係者
Pedestrians pass a Deutsche Bank AG bank branch in Frankfurt, Germany, on Thursday, March 7, 2019.

かつて欧州で最有力の金融機関だったドイツ銀行は数年来の経営改善の闘いで敗北を認め、政府主導のコメルツ銀行との合併協議の開始に同意した。

  ドイツ銀行の経営首脳は、経営難の2行を合併させ、持続可能な世界的規模の銀行を創り上げたいというドイツ当局者の望みに屈した。しかし、たとえ両行が合併で合意したとしても、懐疑的な顧客や投資家の問題はもちろんのこと、大規模な人員削減や政治の混乱、欧州経済の悪化、トランプ大統領との取引を巡る米当局捜査、非常に困難な統合といった難題が待ち受けている。

  ドイツ銀のクリスティアン・ゼービング最高経営責任者(CEO)は従業員向けの書簡で、「ドイツおよび欧州の銀行セクターの統合がわれわれにとって重要な問題であることを私は常に強調してきた」とし、「その具体化においてどのように役割を担うかをわれわれは考える必要がある」と述べた。

  両行は17日の声明で、正式な合併協議入りしたことを確認した。合併についてはこの数カ月にわたって憶測が飛び交うとともに、両行は財務省と水面下での交渉を行ってきた。両行は投資銀行部門の大幅な人員削減後、収入の伸びを回復できずにいる。また利上げ期待を後退させた景気下降も合併協議入りを後押しした。

  独財務省は電子メールで送付した声明で、両行の協議入りの決定に「留意」するとした上で、当事者全員と「定期的に連絡」を取ると表明した。事情に詳しい関係者によると、ショルツ財務相とクキース副財務相はドイツの輸出主導型経済を支える銀行を確保したいとして合併を支持してきた。独政府はコメルツ銀救済後、なおかなりの持ち分を有している。

  主要労組代表としてドイツ銀行監査役会のメンバーに名を連ねるヤン・ドゥシェック氏は電子メールで配布した声明で、大量の人員削減につながる可能性があるとして合併に反対を表明。事情に詳しい複数の関係者によれば、合併すれば最大3万人が失業のリスクにさらされる。

  事情に詳しい関係者によると、両行はドイツ政府が必要な人員・コスト削減を妨げないと示唆したことを受け、正式な合併協議入りで合意した。協議に関して説明を受けた関係者は、ドイツ銀は交渉に向こう1カ月を費やすと予想していると語った。

  合併が実現すれば、資産規模約1兆8100億ユーロ(約228兆円)と欧州4位の銀行が誕生することになる。両行の合わせた時価総額は約250億ユーロと、株価の長期下落で比較的小さくなっている。両行ともピークの時価総額から90%超縮小した。

  合併の形態はまだ明らかになっていないものの、規模の大きいドイツ銀行が買い手になるとみられる。DZバンクのクリスチャン・コッホ氏によると、合併に伴い、ドイツ銀は約80億ユーロが必要になる見込みで、傘下の資産運用事業のDWSグループなどの持ち分売却を通じてか、株主から調達する可能性がある。

  アリアンツはDWSに関心を示しており、自社の資産運用部門とDWSの統合を模索している。事情に詳しい関係者が明らかにした。

  また事情に詳しい関係者によれば、ドイツ政府は保有するコメルツ銀の15.6%株式を統合後の銀行の持ち分に転換する選択肢が好ましいとみている。

原題:Deutsche Bank in Talks With Commerzbank as Turnaround Fails (1)(抜粋)
   Germany Is Said to Eye Keeping Bank Stake After Deutsche Merger

(独財務省声明や今後の見通しを追加して更新します.)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-17/POIN4M6JTSE801?srnd=cojp-v2


 


トップニュース2019年3月18日 / 14:11 / 3時間前更新
焦点:
中国革命の「聖地」で不動産ブーム、地方リスクを露呈
Yawen Chen and Ryan Woo
4 分で読む

[延安(中国) 13日 ロイター] - 集合住宅の建築模型がずらりと並ぶ中国北西部の地方都市・延安のショールームでは、たくさんの間取り図を眺める若いカップルが、難しい決断を迫られている。

北京や上海といった大都市では、住宅価格に沈静化の兆候が見受けられるが、延安など多くの中小都市では価格高騰が今も続いている。Jia Luyuさん(30歳)夫妻のような購入希望者は、今買わなければ手が出なくなってしまうというプレッシャーにさらされている。

思い悩んだ末、この夫婦は、虎の子の貯金をはたいて3寝室あるマンションを110万元(約1830万円)で購入することを決意した。場所は、延安を取り巻く黄土の丘陵に新たに造成された地区だ。

警察署で事務員として働くJiaさんは、購入契約書にサインしながら、「この辺りでは値上がりが急すぎる」と語る。初めての出産を予定する夫婦として、住宅確保は大切だと彼女は言う。

ここ10年で最長となった不動産ブームを抑制しようと、中国政府は大都市における不動産価格の沈静化に努めているものの、延安のように経済基盤の弱い都市については放置したままだ。

国内経済の減速が、対米貿易紛争によってさらに深刻化する影響を懸念する中国政府は、延安など数百もの中小都市における不動産価格については、急騰するままに任せている。

金融緩和政策と不動産市場への公的介入によって、価格急騰がさらにあおられている。これにより、地方政府がある種の住宅バブルを生み出す一方で、中央政府の抑制方針にもかかわらず、地方の債務負担を膨らませているのではないかとの懸念が広がっている。

小規模な地方都市を中心とした336都市を調査対象とする中国の不動産協会によれば、そのうち200を超える都市で昨年、不動産価格が2桁の上昇を記録。延安も12月、前年同月比で15%を越える上昇を記録した。

一部の新規プロジェクトの価格は昨年、2倍近くに上昇したと、ロイターが取材した10数人の住宅購入者や不動産仲介業者は語った。

建設ブームによって、延安はここ数年のあいだに、1930年代の中国共産主義革命の中心地として有名だった小さな町から、200万人の人口を抱える活気に満ちた都市へと変貌を遂げた。

だが、繁栄する中国沿海部の地域から800キロ以上も離れた同市は、価格下落に苦しむ原油生産に大きく依存したままであり、成長の鍵は不動産セクターだと、地元当局は考えている。

延安市当局は、住宅市場に介入。融資の解禁や、老朽化住宅の取り壊しによる在庫削減で、新築住宅の販売を促進しようとしている。

また市当局は、延安の新地区開発にも巨額の投資を行っている。Jiaさん夫婦が、建設の進む新しい学校や病院に魅せられてマンションを購入したのも、この新地区だ。Jiaさんが勤務するオフィスも、多くの政府機関とともに、延安旧市街から新地区に移転した。

「少し前なら、このあたりで家を買おうなどと思う人など、ほとんどいなかった。価格は今の半分以下だったのに、皮肉な話だ」とJiaさんは言う。

需要拡大の原因を探れば、延安が全国規模で行われているスラム街の再開発計画に加わったことに突き当たる。計画資金はもっぱら中国開発銀行(CDB)などの政策銀行が提供。これによって、延安では過去2年間で9万戸以上の住宅が取り壊された。

取り壊しの対象となった住民には、数十万元から数百万元の補償金が提供されたことが、延安市民への取材と、ネットで公開されている市政府の提案書で明らかになった。

32歳のタクシー運転手、Li Xingさんは、農産市場の裏にあった泥壁の自宅が今年取り壊される予定であり、その補償金を新しいマンションの頭金に充てようと計画している、と語る。

Wangという姓だけ明かしてくれた市の住宅局職員は、延安の住宅在庫は「ほぼゼロ」になったと語る。この職員は、延安市は現在の住宅政策を続けるだろうと話した。

中国指導部は12月、不動産市場の下降リスクが高まっているため、今年は都市レベルでのさらなる政策緩和が容認されるだろうと示唆している。地元の事情に基づいてそれぞれの不動産市場を「安定させる」任務が各都市に与えられるとしている。

とはいえ、延安市は不動産ブームが目立たないよう配慮しているようだ。住宅局は9月、住宅価格の月次データ公表を中止。政府系メディアの人民日報は、延安市の住宅価格上昇が陝西省で最も激しかったと報じたが、市住宅局はコメントを拒否した。

<ブーム維持は「政府次第」>

価格上昇につれて、延安新地区などの開発プロジェクトにはデベロッパーが群がるようになった。陽光城集団(000671.SZ)はこの地域で住宅開発プロジェクトの建設を進めており、その規模はサッカー用グラウンド70面ほど、価格は1平方メートル当たり平均8600元だ。

融創中国控股(1918.HK)や新城発展(601155.SS)などの大手デベロッパーも、同地域内の用地取得入札に積極的に参加しており、数百戸のマンション建設を計画している。

延安の新城発展で24人の営業チームを率いるZhang Ning氏は、昨年10月以降は販売ペースがやや鈍っているが、楽観していると話す。

「年末までには完売すると思う」と語るZhang氏の新城発展は、約800戸のマンションを計画している。延安新地区の住宅用地価は、2015年以来約5倍に上昇したという。

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多数の新築住宅販売を認めたことは、明らかに地元経済にとってプラスに働いた、と市当局は言う。不動産セクターは延安市の2017年の経済成長率を0.4ポイント押し上げ、他の関連産業にも「明らかにポジティブな影響」を与えたと指摘する。

2018年の不動産投資は倍増した。ロイターが中指研究院のデータを基に計算したところ、1─11月の土地売却額は総額28億元に達し、前年比で450%以上増加している。

「このブームを市場が維持できるかどうかは、政府が財政難に陥るかどうかにかかっている」とZhang氏。「少し調べれば、この新地区建築に市政府がどれだけ債務を重ねたかは想像できるだろう」

「急速に市況が冷え込む兆候が見えたら、彼らは確実に不動産市場の安定を維持しようとするだろう」と彼は言葉を加えた。

延安市政府にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

<内在するリスク>

中国人民銀行(中央銀行)の顧問を務めるSheng Songcheng氏は、1月開催されたフォーラムで、中小都市のリスクを懸念している、と発言。住宅価格の対所得比で見ると、中国の住宅バブルは、1990年代に崩壊した当時の日本のバブルより大きくなっているという。

「オーバーシューティングのリスクがあるのは確かだ」と中国民生銀行研究所の金融センター(北京)でディレクターを務めるWang Yifeng氏は言う。

中国人民銀行に近い当局者はロイターに対し、同中銀は不動産リスク抑制に努めていると述べ、「地方政府は、不動産購入者に抜け道を与え、高価格を維持できる方法を常に見つけるだろう」と認めた。

だが、CDBのLiu Yongチーフエコノミストは、不動産市場の減速が地方経済の成長を阻害するとの懸念を一蹴。CDBの各支店は状況を監視しており、プロジェクトの再評価と政策調整を行っている、と述べた。

「どんな状況にも通用する万能のアプローチはない」とLiu氏はロイターに語った。

リスクがあるとはいえ、住民の多くは、中国共産党の伝承における延安の役割を考えれば(習近平国家主席も、若い頃、この地域の村で10年近く働いていた)、不景気とは無縁でいられると感じている。

延安でマンション2戸を民泊仲介のエアビーアンドビーを使って運営しているYang Quanさんは、今年は市内に新たな住宅を買う予定だと語る。「習近平氏が権力を握っている限り、延安の不動産価格は上がり続けるだろう」

(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/china-economy-property-idJPKCN1QZ0BL

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/559.html

[経世済民131] ボラティリティー渇望の債券トレーダー、FOMCを恐れる 米ジャンク債慎重に 巨大M&Aの影で衰退、経済暗雲 超長期債下落
ボラティリティー渇望の債券トレーダー、FOMCを恐れる
Katherine Greifeld
2019年3月18日 12:37 JST
• 10年債利回りの2月の月間変動幅は11.6ベーシスポイント
• 19年末まで10年債利回りが2.5−2.8%と予想−ソシエテ
15兆8000億ドル(約1763兆円)規模の米国債市場は異例の穏やかさだ。ボラティリティーを渇望する債券トレーダーらは、連邦準備制度が変動を一段と抑制すると懸念している。
  連邦公開市場委員会(FOMC)を週内に控え、バンク・オブ・アメリカ(BofA)のMOVE指数はこのところの低下を続け、2017年に記録した過去最低に近づいている。ボラティリティーは、米国債利回りの変動幅が小さくなるとトレーダーが予想すれば低下する。市場はあまりに静かで、10年債利回りの2月の月間変動幅は11.6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と過去最低の部類だった。
  20日のFOMCの決定はさらにボラティリティーを低下させるかもしれないと、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントとソシエテ・ジェネラルは警告する。昨年12月には、FOMCメンバーの金利予想であるいわゆるドットプロットが19年の利上げ2回を示唆していた。モルガン・スタンレーのポートフォリオマネージャー、ジム・キャロン氏は、今週発表される最新のドットプロットは1回の利上げしか示唆しないだろうとみている。当局者らは利上げに関して慎重な発言を繰り返し、市場は昏睡状態から抜けられない。
  キャロン氏は「FOMCメンバーの金利予想は引き下げられ、当局は安定的な低金利環境を確認するだろう。年内にもしかしたら利上げという、形ばかりの警告はあるかもしれないが、誰も実施を信じないだろう。ボラティリティーは死ぬ」と話す。

  10年物スワップの3カ月物オプションの年平均ボラティリティーは、48.7bpと過去最低を記録した。
  クレディ・アグリコルのストラテジスト、 アレックス・リー氏は「米国を中心とした中央銀行が提供する総合的な透明性」が、低ボラティリティー環境を作り出したと指摘する。
  ソシエテのスバドラ・ラジャッパ氏は、利回りが横ばいで推移し続けると予想。19年末まで10年債利回りが2.5−2.8%の間にとどまるとみている。
原題:Volatility-Hungry Bond Traders Fret That Fed Will Add to Malaise(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-18/POJK506JIJUO01?srnd=cojp-v2


 
米ジャンク債、慎重になるべき時とのシグナル発信か
Molly Smith、Jeremy Hill、Sebastian Pellejero
2019年3月18日 14:36 JST
• 格下げが増加、最も高リスクの債券の値戻り鈍い
• ジャンク債は米国の固定利付き商品の中で最高のパフォーマンス
米ジャンク債に慎重になるべき時だと警告する早期の兆候がある。
  投資家は高利回り債の中の最も弱い部分について買いに消極的になっているもようで、これは将来のトラブルの兆候である可能性があると、シティグループのストラテジストが指摘した。ブルームバーグがまとめたデータによると、投機的格付け企業の格下げの格上げに対する割合は2016年初め以来の高さになっている。 また、今月はサイエンティフィック・ゲームズ・インターナショナルなどの発行体が、ディーラーの想定よりも高い利回りを支払うことを強いられた。
  今のところ、多くの投資家はこれらの懸念材料を気に留めていない。ジャンク債は今年、最高値を更新しており、米国の固定利付き商品の中で最高のパフォーマンス。13日までで年初来6.4%余り値上がりした。バンク・オブ・アメリカ(BofA)の米クレジットファンド運用会社調査によると、ハイイールド債と投資適格級社債双方について、投資家の警戒感は2014年以来の最低水準にある。
  BofAのストラテジストであるオレグ・メレンティエフ、エリック・ユ両氏は8日、別々のリポートで、「このような相互に関連したリスクについて多くの投資家が依然として油断していると思われる」 と指摘した。「こうした姿勢はここ2週間ほどで変わり始めた兆候もあるが、総じてそのままだ」という。

  シティグループのストラテジスト、マイケル・アンダーソン、フィリップ・ドブリノフ両氏によれば、慎重になるべき理由の1つは、トリプルCクラスを中心に低格付けの銘柄が、ジャンク債の中で最も安全なダブルBクラスに比べ値戻りが鈍いことだ。 CCC債のリスクプレミアム(スプレッド)は、ハイイールド債が低迷し始めた昨年10月上旬の水準よりも、依然として約2.4ポイント大きい。一方、最高格付けのジャンク債は損失の大半を取り戻し、スプレッドは昨年10月に比べて0.33ポイント大きいだけだ。CCC債がそのように出遅れるのは珍しいと、アンダーソン氏は指摘している。

原題:U.S. Junk Bonds May Be Signaling That It’s Time to Be Cautious(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-18/POJP1E6TTDS001

 
コラム2019年3月17日 / 09:31 / 1日前

巨大M&Aの影で「金のガチョウ」衰退、経済に暗雲
John Foley
2 分で読む

[ニューヨーク 13日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 金のダチョウ(大型合併)1羽と金のガチョウ(小型合併)の群れを比べると、どちらが良い兆しか──。米テュレーン大法科大学院で今月開かれる買収・合併(M&A)業界の年次会議で、バンカーや法律家はこうした問題を突き付けられるだろう。

現在、大型合併は活発だが、より内容の濃い小規模な合併は枯渇している状況だ。

規模100億ドル超の合併が世界で50件近くに達した昨年の再来は望めないとしても、今年も大型合併は続いている。米製薬大手ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMY.N)による同業セルジーン(CELG.O)の買収と、米金融技術プロバイダーのフィサーブ(FISV.O)による電子決済サービスのファースト・データ(FDC.N)買収を筆頭に、今年に入って発表されたM&A計画は上位4件だけで合計1800億ドルを超える。リィフィニティブのデータによると、1、2月に世界で発表されたM&A計画の額は、前年同期から約10%しか減っていない。

しかし、金のガチョウの健康状態はやや優れない。3月11日までに米国で発表されたM&A案件の平均規模は約2億ドルで、過去5年の平均約1億3000万ドルを上回り、少なくとも2009年以来、どの四半期平均よりも大きかった。つまり、大型案件が数字をかさ上げしているのだ。昨年1、2月に比べると、発表済みの小型案件の数は40%ほど減っている。これは世界的な減少率の約25%よりも大きな落ち込みだ。

大型案件と小型案件とでは性質が異なる。大型統合は人員とコストの削減に頼って効果を生み出すことが多い。今年発表された中で3番目に大規模の米地銀BB&T(BBT.N)による同業サントラスト・バンクス(STI.N)の買収と、ブリストルおよびフィサーブの案件は、合計で年間コストを50億ドル削減する内容となっている。これに対し、小規模な企業は成長に重点を置く傾向が強い。そして今、1年前に比べて成長機会は乏しそうだ。

これは留意すべき問題だ。M&Aの活発化は最高経営責任者(CEO)が状況を楽観している兆しであり、その件数の減少は、リスクを取りたいCEOが減っていることを示している。こうした企業に助言を行うバンカーと法律専門家にとっても、企業の信頼感が揺らいでいる兆しは懸念すべきだろう。

●背景となるニュース

・リフィニティブのデータによると、今年1、2月に発表されたM&A件数は4900件弱で、うち29%は国境を超えた案件だった。前年同期は6663件で、国境を超えた案件は26%だった。

・米国企業が関わるM&Aの件数は40%強減って1197件となった。

・年初から現在までで、米国企業が関わるM&Aの平均規模は2億0100万ドル。過去5年の平均は約1億3000万ドルだった。

・第31回テュレーン企業法研究会が14、15日にニューオーリンズで開催される。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/bv-column-dealmakers-idJPKCN1QV0N7


 


超長期債が下落、20年入札控えて上値重いーFOMC見極めで取引慎重
船曳三郎
2019年3月18日 7:50 JST 更新日時 2019年3月18日 16:00 JST
債券市場では超長期債が下落。先物市場で買いが先行したものの、その後は20年債入札を翌日に控えた超長期ゾーンの上値が重くなり、午後は売りが優勢になった。米連邦公開市場委員会(FOMC)を見極めようとして積極的な取引が手控えられたとの見方も出ていた。

新発30年物61回債利回りは0.575%、新発40年物11回債利回りは0.64%と、それぞれ日本相互証券の前週末午後3時の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)上昇
長期国債先物6月物の終値は前週末比1銭安の152円78銭。一時152円85銭まで上昇した後、午後に軟化
新発10年物353回債利回りは横ばいのマイナス0.04%で、午後にようやく取引成立
市場関係者の見方
みずほ証券の上家秀裕債券ストラテジスト
米国金利が下がっても円債は超長期ゾーンを中心に上値が重く、10年マイナス0.05%や20年0.4%の節目水準も意識され、こう着感が強い
超長期債は年度末の需要がどれだけ残っているか不透明で、上値を追って買う人も少なく、期初に金利が反転上昇するリスクも警戒される
米10年金利の2.5%台は売り戻されるリスクも高い上、日本が休日の21日に結果が発表されるFOMCが思ったほどハト派化しなかった場合は影響も大きく、積極的にポジションを取りづらい
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジスト

明日の20年債入札を0.4%を割り込んだ水準で迎えることへの警戒意識は強いとみられ、水準的な買い難さが相場の重し
日銀買いオペ
残存期間1年超3年以下と3年超5年以下、それぞれ3500億円と4000億円と据え置き
応札倍率はいずれも3.26倍で前回から低下。3−5年の平均利回り差マイナス0.003%
みずほ証券の上家氏は、いずれの結果も無難と指摘
過去の国債買い入れオペ結果一覧
背景
15日の米国市場では10年国債利回りが4bp低下の2.59%程度、一時2.57%台と1月4日以来の低水準。この日の時間外取引は2.59%台でやや上昇
2月の米鉱工業生産と3月のNY連銀製造業景況指数が市場予想を下回り、19−20日のFOMC結果がハト派的になるとの見方
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.165% -0.170% -0.040% 0.395% 0.575% 0.640%
前週末比 横ばい 横ばい 横ばい 横ばい +0.5bp +0.5bp

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-17/POI6A46JIJUO01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/560.html

[国際25] アイルランドを悩ますブレグジットの「天国と地獄」 なぜこれほど迷走するのか 3月29日EU離脱「物理的に不可能」英財務相

コラム2019年3月14日 / 11:20 / 1日前


アイルランドを悩ますブレグジットの「天国と地獄」

Peter Thal Larsen Aimee Donnellan
4 分で読む

[ロンドン 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ダブリンの空に、再び建設用クレーンがそびえるようになった。悲惨な資産価格の暴落から10年、アイルランドの首都では、再び猛烈な勢いで建設工事が行われている。アイルランド紙アイリッシュ・タイムズは今年1月、同紙のオフィスから100基以上のクレーンを確認した。3年前の3倍である。

新たなオフィスビルやショッピングセンターの建設ラッシュが起きていることは、「エメラルド島」とも称されるアイルランドの経済復活を証明している。英国で事業を展開する企業にとって、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)後の拠点を探すうえでダブリンは最有力候補となっており、英シンクタンクのニューフィナンシャルのデータによれば、すでに100社がダブリンに拠点を設けているという。

ロンドンの金融街シティから事業の移転を進めている英大手銀行バークレイズ(BARC.L)や米金融大手バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)(BAC.N)が、米アルファベット傘下のグーグル(GOOGL.O) や米フェイスブック(FB.O)といったテクノロジー企業と事業用地やオフィスの争奪戦を繰り広げている。他のユーロ圏諸国では景気が減速しているのに、アイルランドの国民総生産(経済の開放度を考えれば、国内総生産よりも精度が高い)は、昨年5.6%の成長を示した。

だがその復活が、アイリッシュ海を挟んだ政治的混乱によって脅かされている。

英国が3月29日に合意無しにEUから離脱するリスクが消費者心理に重くのしかかり、海外投資を滞らせているからだ。金融機関や一般企業の経営者のあいだには、合意なきブレグジットで英領北アイルランドとの国境管理が再び厳格化されれば、かつてのような暴力的な宗派対立が再燃し、ダブリンにも影響が及ぶのではないかと懸念する声もある。

ブレグジットは、アイルランドを経済的な試練に追い込んでいる。

アイルランド政府は、一方では、現在ロンドンに拠点を置く銀行や保険会社、ファンドマネジャーのEU内での新拠点確保のニーズによる恩恵を被っており、バラ色の未来へ向かおうとしている。シティグループ (C.N)傘下のシティバンクとバンカメは、在英子会社をそれぞれの既存のアイルランド事業部と合併させ、資産総額500億ドル(約5兆500億円)以上という、相当な規模の現地法人を創設した。バークレイズでは、最大で2500億ユーロ(約31兆円)相当の融資やその他の証券関連業務を、新設したアイルランド事業部に移転させる計画だ。

これらの事業所は単なる看板ではない。アイルランド政府やEU金融当局からの圧力を受け、これらの金融機関は主力スタッフもダブリンに移しつつある。

たとえば、バンカメのブルース・トンプソン副会長も、今やダブリンを本拠とする企業幹部の1人だ。ブレグジット交渉の結果如何にかかわらず、こうした動きがすぐに反転することはないだろう。

これまで、こうした銀行の雇用はほぼ常にロンドン中心だった。現在ではダブリンが、パリやフランクフルトの新たなトレーディング拠点と並んで、シティと人材や資金を奪い合っている。またニューフィナンシャルによれば、ダブリンは資産管理会社の誘致においても頭一つ抜けており、ブレグジット後の拠点を求める英国企業の43%がダブリンに集まっているという。

このミニブームは1900人以上の職員を抱えるアイルランド中央銀行にも及んでいる。同中銀は、辛い過去を記憶するかのように、リフィー河岸に建つ人目を引くビルを占拠している。当初、金融機関としてアイルランド史上最悪の経営破綻を起こしたアングロ・アイリッシュ・バンクが入居する予定だったビルだ。

だが、雇用創出という点では、金融機関とは比較にならないのがテクノロジー産業だ。

アイルランド中央統計局によれば、このセクターの雇用数は現在33万2000人で、10年前より75%増加している。国庫管理庁がまとめたデータによれば、フェイスブック、米アップル(AAPL.O)、 米アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)、グーグルの4社が合計で1万8500人をアイルランド国内で雇用している。アイルランドは多国籍企業が節税目的のためだけに設立するダミー企業の聖地とされていたが、そうした国際的な悪評を否定する数字だ。実のところ、現地のエコノミストらによれば、税務調査が厳しくなったせいで現実にダブリンへの事業移転を加速させた企業も一部にあるという。

だが、ブレグジットは成長のブレーキになるだろうし、アイルランド経済が暗闇に陥ってしまう可能性さえある。

昨年、アイルランドからのモノの輸出の11%は英国向けで、アイルランドの輸入の5分の1以上は英国からの輸入品が占めた。その相手国とのあいだで貿易摩擦が少しでも増加すれば、アイルランドの経済成長も減速してしまう。アイルランド中銀の試算によれば、秩序あるブレグジットになったとしても、アイルランドのGDPは1.7%減少するという。混乱を伴う「合意なき」ブレグジットともなれば、初年度にアイルランドの成長率は4ポイント下がり、景気回復は事実上ストップしてしまう。

確かに、2年間で生産量が1割以上も減少した10年前に比べれば、現在のアイルランドは経済的ショックに対応する体制が改善されているのは事実だ。借入を重ねた挙げ句に崩壊した当時とは異なり、最近の景気回復はほぼ債務に頼っていない。対GDP比で見た政府債務総額は、ピーク時の125%以上に比べ、2018年第3四半期には69%に下がり、家計の債務返済も進んでいる。アイルランド銀行(BIRG.I)とアライドアイリッシュ銀行は昨年、金融危機後で初となる総融資残高の増加を報告した。

だが、たとえ秩序無きブレグジットが経済に与える直接的な影響に耐えられたとしても、潜在的な政治への後遺症は耐え難いものになるだろう。円満な離脱を確保できなければ、ほぼ確実に、英国の一部である北部諸州とアイルランドのあいだには再び国境が設定される。この国境地帯は、1998年の「ベルファスト合意」によって終息するまで、数十年にわたって暴力と犯罪にさらされてきた。

ダブリンの企業経営者らは、国境管理の厳格化は、20年前まで北アイルランドの日常となっていた政治的暴力が復活する契機になるのではないかと恐れている。そうなれば、アイルランド経済回復の頼みの綱である外国人投資家が脅えて逃げてしまう。そう考えれば、アイルランド政界がほぼ一致して、国境管理の厳格化に反対するバラッカー首相を支持しているのも頷ける。また同首相の主張は、これまでのところ他のEU諸国からも支持を得ている。

英国が秩序あるブレグジットを達成できれば、アイルランドとしては投資の誘致により英国の成長鈍化を相殺することができるはずだ。アイルランドは英語を公用語とする唯一のEU加盟国となり、法制度も英国に似ている。だが、英国の政治家たちが秩序なきブレグジットの可能性をもてあそんでいる限り、この諸刃の剣がもたらすアイルランドの悩みは尽きないだろう。

(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/ireland-brexit-breakingviews-idJPKCN1QV05Z


 

「ブレグジット」はなぜこれほど迷走するのか
くすぶる「合意なきEU離脱」の偶発リスク
中村 稔 : 東洋経済 記者 2019年03月16日

イギリスのメイ首相(写真:共同通信)
カオス(混沌)はさらに先へと持ち越されるのか――。

イギリスの欧州連合(EU)からの離脱、いわゆる「ブレグジット」をめぐって、イギリス議会下院が3月12日に離脱協定の修正案を大差で否決。13日には「合意なき離脱」を否決し、14日には離脱期限を今月29日から欧州議会開会直前の6月末まで「延期」することを可決した。

ただ、この期限延期は20日までに離脱協定案を再び議会で採決し可決されるという条件付きだ。もしまた否決された場合は「さらに長期の延期が必要になる」という方向だけが示され、具体的な方針は明記されていない。今後も視界不良の迷走が続く懸念は強い。

新聞各紙は議会や政権を批判
イギリス内の混迷ぶりは、現地の新聞各紙の1面トップを見れば明らかだ。議会が離脱協定を否決した後、各紙は次のように報道している。

離脱支持派のサン紙は「またもカオスに突入。国民投票から993日たってもEU離脱に近づいていない」と書き、デイリー・メール紙は「“愚かな下院”がブレグジット遂行の約束を破った」と議会を痛烈に非難した。

一方、野党・労働党寄りのガーディアン紙は「(メイ首相にとり)離脱期限16日前の破滅的な敗北」と強調し、デイリー・ミラー紙は「メイ氏の降伏はイギリスをさらに数カ月のカオスに直面させる」と保守党のメイ政権を批判。また、経済紙のフィナンシャル・タイムズ紙は、「メイ氏はブレグジットの制御を失った」「メイ氏の権威はズタズタに」と、現政権によるEU離脱政策の失敗を厳しく指摘している。

なぜ、これほどまで迷走しているのか。イギリス議会下院が1月に続いて大差で離脱協定案を否決した最大の理由が、アイルランド国境管理をめぐる「バックストップ(安全網)」の問題だ。イギリスがEUから離脱すれば、イギリス領北アイルランドとEU加盟国アイルランドとの国境で何らかの国境管理が必要となるが、検問所などの厳格な国境を設けないことまではイギリスとEUの間で合意している。1960〜90年代の北アイルランド紛争のような悲惨な宗派対立の再発を防ぐためだ。ただ、国境管理の具体策については決まっておらず、今後の懸案となっている。

離脱協定案では2020年末までの移行期間の間に国境管理の具体策が決まらない場合、保険的な措置として、具体策が見つかるまで北アイルランドを含むイギリス全体がEUの関税同盟に残ることとした。これがバックストップである。だが、これではEUから離脱したはずなのに、第三国との自由な通商交渉が行えず、半永久的にEUの「属国的状況」が続くことになるとして、議会は1月15日に大差で協定案を否決。そしてメイ首相は3月12日の再採決直前、安全網を時限的な措置とする協定案でEUと合意したが、その法的保証が不十分として再び議会に否決されたのだ。

今後想定されるシナリオは
今後はどんな展開が予想されるのか。20日までに行う離脱協定案の再採決を経て、イギリスは離脱延期について21日から始まるEU首脳会議で協議を行う見込みだ。延期にはイギリスを除くEU加盟27カ国の承認が必要で、イギリス議会が「3度目の正直」で協定案を可決すれば、6月末までの延期が承認されるのはほぼ確実。イギリスは延期期間中に法制化作業など必要な手続きを経たうえで6月末にEUを離脱する。

イギリス議会が協定案を再び否決した場合、メイ政権としてはより長期の期限延期をEUに申請すると見られる。ただ、EU側は期限延期の明確な目的を求めており、メイ政権がそれをどう説明するかが問題だ。

可能性としては、現状の協定案のまま、安全網の非永続性に対する法的保証を強化したうえで保守党の強硬離脱派など反対勢力への説得工作を続け、再採決に持ち込むシナリオが考えられる。また、EUの関税同盟や単一市場に残留するなどの穏健な離脱方針に転換し、1〜2年といった長期の離脱期限延期で合意したうえでEUとの協議をやり直すというシナリオも想定される。期限延期の場合には、イギリスが5月に欧州議会選挙を実施することをEU側から求められる公算が大きい。

最悪の場合、29日までに期限延期が決まらず、「合意なき離脱」に陥る可能性もなお残っている。合意なき離脱となれば、2020年末までイギリスがEUの単一市場、関税同盟に残ったまま新たな通商関係を模索する「移行期間」もなく、ただちにEUから離脱することになる。そうすると、これまでなかった税関手続きなどがいきなり発生し、EUからの輸入の遅れによる商品の品切れや、関税復活による物価の高騰など、生活や経済に多大な影響が出る可能性が高い。EU側も「合意なき離脱」の回避方針では一致しているが、交渉が難航して偶発的に一線を越えてしまうリスクはくすぶっている。

国民投票やり直しというシナリオも完全には消えていない。イギリス議会では14日に国民投票を実施する議員提案も出され、否決された。国民投票を2回行うことについては民主主義の観点から抵抗は強い。ただ、ブレグジットをめぐる混迷で、経済界や一般国民の経済面での危機感は確実に高まっている。ホンダのイギリス工場閉鎖発表は従来からの採算低迷が最大理由としても、国民の大半はブレグジットの影響と受け止めており、雇用や税収など経済的損失の象徴ともなっている。ほかの大手メーカーの生産縮小計画も相次いでいるほか、イギリス最大の強みである金融業界においてもほかのEU諸国への一部機能の移転が進んでおり、国際金融センター・ロンドンの地盤沈下が危惧されている。

こうした経済界の危機感や世論の変化を背景に、イギリス議会内で国民投票を再実施せよとの機運が醸成される可能性は否定できない。議会解散で総選挙となり、労働党が勝利すれば、その可能性が高まる。ただ、再実施には法的手続きや準備に相当の時間が必要で、離脱期限をより長く延長する必要がある。仮に2度目の国民投票の結果、EU残留支持が多数となれば、ブレグジット撤回へ。まさに大どんでん返しである。

「不確実性」の早期払拭が必要
欧州情勢に詳しい日本経済研究センターの林秀毅・特任研究員はブレグジットの最終的な結末として、「ノルウェー型」の離脱で合意するか、離脱撤回かのどちらかではないかと見る。ノルウェー型というのは、EUには加盟しないが、欧州経済領域(EEA)に加盟することにより、従来同様に単一市場への自由なアクセス権と移動の自由を確保する選択だ。ただ、EUの政策決定に関与できないにも関わらず、EU予算への拠出を求められる。強硬離脱派からの反発は強いが、「企業のサプライチェーンなど経済への影響を考えれば、離脱の中でも現実的な選択」(林氏)と見られる。

離脱を撤回すれば、現状維持となり、日本を含めた世界の産業界や金融市場が歓迎することは間違いない。イギリスはこうした結論をできるだけ早く世界に示すことにより、不確実性を払拭することが何より必要だ。

欧州ではブレグジットだけではなく、イタリアなどにおけるポピュリズム政党の勢力拡大やドイツを含む経済失速など懸念材料が山積している。ベルリンの壁崩壊から30年、共通通貨ユーロ発足から20年の節目にある今年は、欧州全体にとっても分裂解体と地盤沈下の危機を食い止められるかの重大な正念場となる。

https://toyokeizai.net/articles/-/271432
 

3月29日のEU離脱は「物理的に不可能」 英財務相
4時間前
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イギリスのフィリップ・ハモンド財務相
イギリスのフィリップ・ハモンド財務相は17日、BBCの番組「アンドリュー・マー・ショー」に出演し、イギリスが3月29日に欧州連合(EU)を離脱するのは「物理的に不可能だ」との見解を示した。

英下院(定数650)は14日夜、ブレグジット(イギリスのEU離脱)を延期するようEUに要請する案を可決。テリーザ・メイ首相は、EUへの要請の前に離脱協定を3度目の採決にかけるとしていた。

しかしハモンド財務相は、保守党議員およびメイ首相と閣外協力する北アイルランドの民主統一党(DUP)から支持を取り付けなければ、採決を今週行うことはできないと話した。

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イギリスは法的にはなお、3月29日にEUを離脱する予定となっている。

メイ首相は、3月20日までに協定が承認されれば、6月30日までの短期間の延期を申し出る見通し。

一方、協定がまたしても否決された場合はさらに長い延期を求めることになる。その場合、イギリスは5月末に予定されている欧州議会選挙に参加する必要がある。

離脱延期にはEU全27カ国の合意を得る必要があり、EU首脳は3月21日に行われる首脳会談(サミット)でこれを話し合う予定だ。

DUPとは財政的解決も
ハモンド財務相は「アンドリュー・マー・ショー」で、DUPに協定を支持してもらうため、北アイルランドへの財政支援を約束する可能性を否定しなかった。

DUPは現在、下院に10議席を持ち、政府はこの議席を合わせないと過半数とならない。DUPは閣外協力の一環で、北アイルランドへの10億ポンド(約1480億円)を投資するよう交渉していた。

ハモンド氏は、協定への支持を得るための具体的な金額は「まだ」固まっていないとしている。

その上で、DUPの支持を取り付けても議会で法案を通すには「短い延期」が必要だとして、3月29日の離脱は「物理的に不可能」だとの見解を示した。

「そしてもし、私がイギリスのために良いものだと思っているこの協定が過半数の支持を得られなかった場合は、さらに長い延期が必要となり、我々は未知の領域に踏み込むことになる」

一方、採決は今週行われるかとの質問には、「答えはいいえ、絶対にありえない」と答えている。

「保守党とDUPの議員が協定を支持し、議会を通る見込みが十分立つまでは協定を再び提出することはない」

「名誉ある妥協」
メイ首相は17日付の日曜紙サンデー・テレグラフに寄稿し、議員らに「名誉ある妥協」を呼びかけた。

その上で、協定を支持しなければ「イギリスがEUから離脱できたとしても、何カ月も後のことになる」と指摘した。

デイヴィッド・デイヴィス前EU離脱相を含む保守党の離脱派議員15人も、保守党議員にブレグジット実現のために協定を支持するよう求める書簡を発表している。

一方、チャーリー・エルフイック議員(ドーヴァー選出)はBBCに対し、離脱協定を支持するには「トップの交代」が不可欠だと話した。ドーヴァーはイギリスと欧州大陸をつなぐ海港や海底トンネルがあり、ブレグジットによる影響を最も受ける地域の1つとされている。

ナイジェル・エヴァンズ議員(リブル・ヴァレー選出)も、ブレグジットが6月30日以降となりイギリスが欧州議会選挙に参加することになった場合には、メイ首相は辞任すべきだと指摘した。

労働党は野党結束を呼びかけ
こうした動きに対し最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、離脱協定に代わる超党派的な妥協案を策定するよう、他の野党議員に呼びかけている。

コービン党首は自民党のヴィンス・ケーブル党首、DUPのナイジェル・ドッズ党首、スコットランド民主党のイアン・ブラックフォード議員、プライド・カムリ(ウェールズ党)のリズ・サヴィル=ロバーツ議員、緑の党のキャロライン・ルーカス議員に書簡を送り、メイ首相の「失敗した」ブレグジット交渉による「不必要な不透明性と懸念を終わらせる施策」を見つけるために緊急会議を開きたいと申し出た。

またスカイニュースの取材でコービン党首は、今週の議会で労働党議員に2度目の国民投票を求める修正案に投票するよう党議拘束を行うと発言。さらに、メイ首相の離脱協定がまた否決された場合には、内閣不信任案を提出すると述べた。

(英語記事 No Brexit deal vote 'without DUP support')

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http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/725.html

[経世済民131] 少子高齢化や労働人口減、成長率引き上げる=日銀総裁 事務系仕事だけの人は淘汰AI 不動産バブル崩壊の予感 株価大きく下落

ビジネス2019年3月18日 / 18:01 / 20分前更新
少子高齢化や労働人口減、長い眼で見て成長率引き上げる可能性=日銀総裁
Reuters Staff
1 分で読む

[東京 18日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は18日、参院予算委員会で、少子高齢化や労働力人口の減少は「日本経済にとって大きな課題のひとつ」としながらも、イノベーションを促すことによって「やや長い目で見たわが国経済の成長率を引き上げていく可能性がある」との見方を示した。

足元、日本において、労働を代替する設備投資やソフトウエア投資が活発化しているほか、AI(人工知能)などの新しいイノベーションも起きているとし「この数年、G7の中で労働生産性が一番上昇している国は日本」と述べた。

薬師寺みちよ委員(無ク)の質問に答えた。

人口減少や高齢化の金融セクターへの影響について、総裁は、一般論として、経済成長率が低下すると資金需要が伸び悩み、低金利環境が続きやすいとし「金融セクターの収益への影響について注視していく必要がある」と述べた。一方で、人口動態の変化に対応しようとする企業活動の前向きな変化やイノベーションを促すとも指摘。それを支えるための貸し出しやM&Aなど新しい金融サービスへのニーズも生まれてくるとした。

さらには「高齢者の増加によって、家計の資産運用ニーズが高まっていく。かなり大きなビジネスチャンスの拡大にもつながっていく」とし「金融セクターにとっては成長の機会ともなり得る」と述べた。

清水律子
https://jp.reuters.com/article/boj-kuroda-idJPKCN1QZ0SC

 

事務系仕事しかできない人を待つ「淘汰」の未来

AI時代に「10年後なくならない」仕事は何か?
橘 玲 : 作家 2019年03月18日

働き方はクリエイター、スペシャリスト、バックオフィスに分けられます。AI時代に淘汰される仕事とは何でしょうか(写真:bee/PIXTA)
人生に必勝法はないけれど、ゲームと同じように「こうしたほうがいいこと」と「やってはいけないこと」がある。テクノロジーがとんでもない勢いで進歩する中、「AI(人工知能)により今ある仕事の約半分が自動化される」など、これからの仕事や働き方についても、さまざまなことが言われている。『人生は攻略できる』の著者である作家の橘玲氏に、これからの働き方について語ってもらった。
会社に属すひとと属さないひと
働き方には大きく3つある。クリエイター、スペシャリスト、バックオフィスだ。これはとても大事なことだけど、日本ではなぜか誰も教えてくれない。

クリエイターというのは、「クリエイティブ(創造的)」な仕事をする人で、スペシャリストは「スペシャル(専門)」を持っている。それに対してバックオフィスは「事務系」の仕事だ。

これらのいちばんの違いは、会社に属しているか、属していないか、だ。

クリエイターというとマンガ家やミュージシャンを思い浮かべるだろうけど、プロスポーツ選手やベンチャー起業家も含まれる。日本でも世界でも彼らには際立った特徴がある。それは「会社員ではない」ことだ。

サラリーマンをしながらライブハウスのステージに立つミュージシャンは、音楽活動で会社から給料をもらっているわけではない。会社勤めのプロ野球選手はいないし、ベンチャー起業家(自分で会社を立ち上げる人)が会社員というのはそもそも定義矛盾だ。

それに対してバックオフィスは、非正規やパート、アルバイトなど雇用形態に違いはあっても、全員がどこかの組織に所属している。事務系の仕事というのは、その「事務」を発注して管理する会社がないと成り立たないのだ。

スペシャリストはこの中間で、組織に属さずに仕事をする人もいれば、どこかの組織に属している人もいる。典型的なのは医者で、自分の病院を持てば「開業医」、どこかの大きな病院で働けば「勤務医」と呼ばれる。弁護士や会計士・税理士、プログラマーやコンサルタント、トレーダーなどにも、組織に属している人と属していない人がいる。

組織に属していないクリエイターとスペシャリストは、「フリーエージェント」とか「インディペンデント・ワーカー」と呼ばれる。要するに自営業者のことだ。ここまでは世界共通だけど、スペシャリストとバックオフィスの扱いでは、日本と世界は大きく異なる。

いまでは欧米だけでなく中国なども含め、「外資系」の会社では、組織の中でスペシャリストとバックオフィスがはっきり分かれている。投資銀行でいえば、スペシャリストは株式や債券を売買したり、顧客(機関投資家)に営業したりする人で、バックオフィスはその取引を記帳するのが仕事だ。この2つはまったく違う世界で、彼らは相手のことを「同僚」だなんて絶対思わない。

それに対して日本では、バックオフィスの仕事は主に非正規という「身分」の労働者が行っているが、正規の「身分」の労働者、すなわち正社員の中にもバックオフィスの仕事をしている人がいて、混然一体となっている。そのうえ正社員の中で、誰がスペシャリストで誰がバックオフィスなのかもよくわからない。

ひとを「身分」で差別してはいけないというのは、近代市民社会の最も重要な約束事だ。ところが日本の会社は、社員を「正規」と「非正規」という身分に分けている。これは現代の身分制そのもので、いま日本社会の大きな問題になっている。これを世界標準の働き方にそろえようというのが「働き方改革」だ。

拡張可能な仕事と拡張できない仕事
次に、この3つの仕事を別の角度から見てみよう。

映画俳優と演劇俳優はどちらも同じような仕事をしているけど、映画はクリエイター、演劇はスペシャリストの世界だ。これは、その仕事が「拡張」できるかどうかで決まる。

テクノロジーの進歩によって、あらゆるコンテンツがきわめて安価に(ほぼゼロコストで)複製できるようになった。

『スター・ウォーズ』のように大ヒットした映画は、映画館、テレビ、DVD、インターネット配信など、さまざまなメディア(媒体)によって世界中に広がっていく。ネットの配信数には上限はないから、理論上は、地球上に住むすべての人がお金を払って映画を楽しむことができる。これは、富にも上限がないということだ。

それに対してバックオフィスは時給計算の仕事だから、収入は時給と労働時間で決まり拡張性はまったくない。時給1000円の仕事を8時間やれば8000円で、それ以上にもそれ以下にもならない。

このように考えると、医師や弁護士、会計士などの仕事も拡張性がないことがわかる。テレビドラマに出てくる天才外科医は1回の手術料がものすごく高いかもしれないが、手術件数には物理的な上限があるから、富が無限に拡張していくことはない。同様に、弁護士や会計士も扱える事件やクライアントの数には上限があるだろう。彼らは極めて高い時給で働いているが、それでも拡張不可能な世界の住人なのだ。

クリエイティブな仕事をしていても、クリエイターは拡張可能で、スペシャリストは拡張不可能だ。このようにいうと誰もがクリエイターに憧れるだろうけど、成功するのはごく一部という厳しい世界で、タダ働き(ときには持ち出し)になることもある。

それに対してスペシャリストは働けば必ず収入が得られるし、年収2000万円や3000万円になることも珍しくない。ただしそれに伴って、責任も大きくなっていく(医者は誤って患者を死なせてしまうと医療過誤で訴えられる)。

だからこれは、どちらがよくてどちらが悪いということではない。共通するのはクリエイティブな仕事をしていることだから、クリエイターとスペシャリストを合わせて「クリエイティブクラス」としよう。

それに対してバックオフィスは、仕事の手順がマニュアル化されているからクリエイティブなものはほとんどない。そのうえ時給は、スペシャリストに比べて大幅に低い。

だったらバックオフィスの仕事にはなんの魅力もないのだろうか。そんなことはない。そのいちばんの特徴は「責任がない」ことだ。マニュアルどおりにやるのが仕事なのだから、それによってなにかとんでもなくヒドいことが起きたとしても、責任を取るのはマニュアルをつくった会社(経営陣)でバックオフィスの労働者ではない。

世の中には、労働は生活のための単なる手段で、余った時間を趣味に使いたいという人が(かなりたくさん)いるが、そんな彼ら/彼女たちにぴったりの仕事だ。

どのような仕事を目指すかは自由だけど、このように分類すると視界がかなり開けるのではないだろうか。

機械はマニュアル化した仕事がものすごく得意
.
クリエイター、スペシャリスト、バックオフィスの仕事は一長一短あって「職業に貴賤はない」けど、将来性はかなり異なる。それはAI(人工知能)をはじめとしてテクノロジーが急速に進歩していて、これからは人間だけでなく機械とも競争しなければならないからだ。

将棋や囲碁でプロを超えたことで、いずれすべての仕事はAIに取って代わられるのではないかといわれている。それに対して、単にルールが決まったゲームに強いだけで、自然な会話とか臨機応変の対応なんて全然できないのだから、ちょっと出来のいいコンピューターにすぎないという反論もある。

どちらが正しいかは未来になってみないとわからないけど、1つだけ確かなことがある。機械はマニュアル化した仕事がものすごく得意だということだ。

コンピューターの言語はアルゴリズムで、これは作業手順をすべてマニュアル化したものだ。逆にいえば、うまくマニュアル化できない作業は機械にはできない。

AIとビッグデータによって、医者や弁護士のようなスペシャリストの仕事すらなくなるといわれている。でもそこで例に挙げられるのは、画像診断から病変を見つけるとか、膨大な裁判記録から関連する判例を探し出すとかの仕事だ。

難しい試験を通った優秀な人たちを集めて、こんな作業で膨大なマンパワーを浪費するのはあまりにもったいない。面倒なことはすべてAIにやってもらって、専門家本来の仕事に専念してもらったほうがずっといい。

将来的にはロボット医師やロボット弁護士が登場するかもしれないが、それはまだずいぶん先のことで、当面は、AIのような新しいテクノロジーは(優秀な)スペシャリストの収入を大きく引き上げるだろう。

それに対して、バックオフィスの仕事の雲行きはかなりあやしい。いうまでもなく、それがマニュアル化された仕事の集まりだからだ。


その典型が銀行のバックオフィス部門で、お金を計算したり、ある口座から別の口座に移したり、外国のお金に両替したりすることは、コンピュータ―が最も得意とすることだ。

そのため、近い将来銀行の仕事の多くは機械に置き換えられて、銀行そのものもシリコンバレーのグローバル企業に吸収されるか、淘汰されるのではないかといわれている。

アマゾン銀行やグーグル銀行が登場すれば、日本の銀行はみんな消えてしまうだろう。ブロックチェーンを利用して「1アマゾン」とか「1グーグル」という通貨が発行されるかもしれない。

かつては大学生の人気就職ランキングで常連だった大手銀行が軒並み順位を大きく落としているのは、10年後には会社ごとなくなっているのではないかと思われているからだし、この不安には根拠がある。

男性の多くが仕事を失った

ただし、時給で給与が払われる仕事の中にもAIでは代替できないものがある。代表的なのは看護や介護などの仕事で、そこでは患者や顧客への共感力が重要になる。

IQは知能指数だが、EQ(Emotional IQ)は「こころの知能指数」といわれる。EQの高い人は、他人の感情を理解し、自分の感情をコントロールする能力が高い。EQの定義には諸説あるけれど、すくなくとも共感力については、男性よりも女性のほうが高いことがさまざまな研究で明らかになっている。本格的なAI時代が到来しても、女性は機械を補助にしてずっとうまく適応できるのだ。

そしてこれは未来予測ではなくなっている。アメリカでは自動車工場などの仕事が外国に移転され、あるいは機械化されて、人間をあまり雇わなくてもよくなってきた。こうして多くの労働者が職を失ったのだが、その大半は男だ。それに対して、「ピンクカラー」と呼ばれる共感力を必要とする女性の仕事はあまり影響を受けていない。

これは、たんなる外国の話ではない。機械がバックオフィスの仕事を次々と代替していけば、日本でもいずれ同じことが起きるだろう。


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不動産バブル崩壊を予感させる融資現場の異変
「かぼちゃ」後遺症で銀行が不動産融資にノー
一井 純 : 東洋経済 記者
2019年03月18日

「不動産価格は高すぎる」の声が日増しに強まっている(デザイン:新藤 真実)
「アパート用地をお売りできます。ご興味ありませんか。これまで土地を買ってくれていた会社がアパート建設から撤退して、残っているのです」
西日本のアパート建設業者に数カ月前、不動産業者から電話が入った。電話を受けた担当者は難色を示した。「経営環境が厳しいのはウチも同じ。アパートの購入希望者を見つけても銀行からの融資を受けられず、販売できない。昨年からですね、ここまで風向きが変わったのは」。
3月18日発売の『週刊東洋経済』は「不動産バブル崩壊前夜」を特集。2018年は投資用不動産業界にとって悪夢のような1年だった。上期はシェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開するスマートデイズが破綻。土地の販売業者などと結託し、無茶な利回り想定など不適切な手法で個人投資家に物件を販売していた。下期は東証1部上場のアパート建設会社TATERU(タテル)の融資書類改ざんが発覚。預金残高を水増しし、銀行から不正に融資を引き出していた。
アパート建設業者と金融機関のいたちごっこ
これらの事件を経て「不動産業者に対する金融機関の姿勢は急に厳しくなった」(前出のアパート建設業者)。都内の信用金庫幹部は言う。「昨年後半から、今まで付き合いのなかった不動産業者が物件を持ち込んでくることが増えた。地方銀行が一斉に手を引いたため、うちにすがりついてきたようだ」。銀行・信金によるアパートローン(個人による貸家業向け貸し出し)の新規融資額は16年をピークに右肩下がりになっている。

投資家への融資が実行されなければ、物件が在庫として残り、資金を回収できないため、不動産業者は必死だ。冒頭のアパート建設業者は、「融資が受けられるように物件価格を値下げした。その差額はこちらがかぶった」とこぼす。物件価格を下げれば融資の必要額を減らすことができるし、利回り(=賃料収入÷物件価格)もアップして、金融機関から融資を引き出しやすくなる。

『週刊東洋経済』3月18日発売号(3月23日号)の特集は「不動産バブル崩壊前夜」です。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします
だが、いたちごっこ。金融機関も融資のハードルを一段と引き上げている。前出の信金幹部は、「案件がたくさん持ち込まれるようになってから、融資条件を引き上げた」と明かす。従来アパートローンは、物件価格の1割の頭金があれば融資していたが、2割に引き上げたのだ。
「簡単に融資を承認すると、『あそこなら融資が受けられるぞ!』という話が業界内で広まり、どんどん案件が持ち込まれてしまう。不動産業界向け融資の比率を高めるとリスク管理上問題があるので、いい案件に絞って融資するようにしている」(信金幹部)。東海地方が地盤の地銀も、融資に当たってのストレステスト(健全性審査)の条件を厳しくした。
「そこまでするのか」。不動産投資家の依田泰典氏は、横浜銀行の担当者の話に思わず声を上げた。同行は昨年10月から自己資金確認書類の提出を厳格化した。TATERUの不祥事発覚から1カ月後のことだ。
横浜銀行によると、不動産融資の際、これまでは預金通帳のコピーでよかったが、原本の提出も義務づけた。ネットバンキングなら複数人で画面を確認し、確認時の日付を記録することをマニュアルとして定めたという。
融資手続きを厳格化 法人スキームにもメス
ほかの地銀でも手続きの厳格化が進む。業者や投資家から「融資を受けやすい」と評されるオリックス銀行でさえ、昨年後半から「表明保証」という新たな手続きを取っている。顧客の提出書類について、原本の写しと相違ないと顧客が署名捺印のうえ表明し保証する文書の提出を義務化したのだ。
手続きの厳格化だけではない。「りそな銀行が一部の投資家にローンの返済を求めているようだ」。今年に入り、不動産投資家の間でこんな噂が駆け巡った。
一部の投資家とは、「1法人1物件スキーム」と呼ばれる手法を用いている投資家のこと。購入したい物件ごとに法人を設立し、各法人が融資を受ける。投資家個人の信用情報には借り入れが記載されないため、より多くの融資を引き出せ、資産規模を一気に増やす方法として広まった。

法人を複数設立して融資を引き出すこと自体は違法ではない。問題なのは、複数の法人を設立して融資を受けているにもかかわらず、金融機関にはポートフォリオ全体の状況を伝えていない場合だ。金融機関が確認できるのは融資を求める法人が保有する資産のみ。収益性に難のある物件をほかの法人が保有していても見破るのは難しい。「確定申告書や投資家へのヒアリングなどで保有資産を調べはするが、すべてを把握することはできない」(首都圏の地銀幹部)。
当のりそな銀行の幹部は、「1法人1物件スキームを用いている投資家に対して、昨秋から『資産の全体を見せてください』と厳格に言うようにした」と認める。全体を見せてもらったうえで、信用が悪化している人に対しては今までよりも高い金利や融資の返済を求めたりすることがあるという。
同スキームについてはりそな銀行以外の金融機関も調査を始めている。信金幹部は言う。「合同会社からの申し込みにはとくに気をつけている」。同スキームの法人は合同会社として設立されることも多い。株式会社より設立時や設立後の費用が安く済むからだ。この信金が調べた中では、1人で10の合同会社を設立して不動産投資を行っている人がいた。
金融機関が融資姿勢を厳格化している背景には、金融庁の動きもある。「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査」──。昨年10月下旬、金融庁は全国の金融機関にアンケートを送付した。1棟建てのアパートやマンションなどの融資実行額、件数、債務者数、貸し出し利回りなどを事細かに記載させる。

金融庁が金融機関へ送付したアンケートの一部。不動産業者名まで細かく記入させる欄も(記者撮影)
とくに全42問中33問を割いて聞いたのが、「1棟建てアパート・マンション・シェアハウスなどの土地・建物双方を購入するための融資」に関するもの。金融庁が問題視していることが伝わってくる。「立地や賃料水準から見て不動産価格が妥当かどうか検証しているか」「空室・賃料減のリスクを債務者に説明しているか」などと質問し、「融資姿勢に問題がある金融機関を巧妙にあぶり出そうとしている」(金融機関関係者)。
金融庁はアンケートの回答に加え、投資用不動産向け融資について議論が行われた取締役会や経営会議の議事録の提出も求めた。全国各行から回収したアンケート結果を基に、「個別ヒアリングを検討中」(金融庁)だ。
「不動産は買い時」 投資意欲はまだ強い
金融機関の融資姿勢は厳格化しているが、足元で不動産投資に対する意欲は衰えていない。1月、東京ビッグサイトで開催された「資産運用EXPO」。アパートやマンションなど投資用不動産のブースには説明を受ける個人投資家が連なり、セミナーも満席が相次いでいた。不動産仲介大手の野村不動産アーバンネットが同じく1月に会員に対して実施したアンケートでも、4割近い投資家が「不動産は買い時だ」と答えている。
恐怖シナリオとしてチラつくのが、1990年に大蔵省(当時)が金融機関に発した「総量規制」のようなことが再び起きるのか、ということ。地価上昇が続く中で、不動産向け融資の伸び率を全体の伸び率以下に抑制するよう通達した結果、融資が急縮小、不動産や株の価格が下落し、平成バブルの崩壊につながった。
しかし、今の金融庁はアンケートやヒアリングを通じて金融機関に注意を喚起してはいるものの、融資量についての制限までは指示していない。「量の規制は民間部門への過剰介入になりかねず、金融庁が踏み込むことはないだろう」(金融機関関係者)というのが大方の見方だ。
アパートローンなど不動産への新規融資はすでに減速している。また、物件価格高騰に伴うリスク増大で金融機関は、不動産向け融資に一層慎重になる可能性がある。金融庁による規制強化がなくても総量規制時に近い金融収縮や、そこからのバブル崩壊が起きかねない状況にある。
『週刊東洋経済』3月23日号(3月18日発売)の特集は「不動産バブル崩壊前夜」です。
https://toyokeizai.net/articles/print/271322

英ポンドの戻りもそろそろ一巡の可能性が高い
先週は、何より英国の欧州連合(EU)離脱を巡る英議会での採決の結果が1つの市場の関心事として大いに注目されました。
その結果は、以前から大方想定されていたとおり、最終的には「EUからの離脱の延期」をEUに求める政府動議が採択されることに。今週20日までに英議会が「英・EU合意案」を承認することを条件として、3月29日とされてきた離脱期限を6月末まで延期するという方向性が示されるに至りました。
メイ英首相がEUから取り付けてきている離脱合意案を再度議会が否決した場合、今後の主導権は議会に移すとされており、その場合には総選挙や2回目の国民投票の可能性も浮上してくる可能性があります。
よって、今週もブレグジット関連の報道からは目が離せないということになりそうです。少なくとも「合意なき離脱に突き進む可能性は大幅に低下」といった部分は相場に十分織り込まれており、足下の英ポンドの戻りもそろそろ一巡となる可能性が高いと個人的には見ます。
先週、英ポンド/米ドルは一時1.3380ドルまで値を上げる場面がありましたが、週足チャート上では62週移動平均線や一目均衡表の週足「雲」下限の水準に再び上値を押さえられるような格好となりました。
この週足「雲」は相当に分厚く、かなり手ごわい上値の“壁”として意識される可能性が高いと見られます。まして足下の英ポンド/米ドルは、月足チャート上においても非常に分厚い月足「雲」の存在に上方の行く手を阻まれるような状態となっており、チャート・フェイス的にはそろそろ要警戒ゾーンです。
一方で、先週はユーロ/米ドルも基本的に戻りを試す流れに乗ることとなり、週末15日には一時1.1344ドルまで値を戻す場面もありました。
FOMC日程通過までドル買いは様子見ムードか
少し振り返れば、3月7日行われたECB理事会の結果を受けて大きく値を下げたものの、そこで目先のユーロ売り材料は一旦出尽くしとなり、むしろ「事実で買い」の展開となったわけです。もちろん、当面のユーロの戻りにも自ずと限界はあると見られ、今週あたりからはそろそろ反落リスクへの警戒が必要になってくるものと思われます。
実のところ、ユーロ/米ドルは今年1月初旬以降「下降チャネル」を形成していると見ることができ、現在もなお同チャネル内での価格推移が継続しています。思えば、2月28日高値はチャネル上辺、3月7日安値はチャネル下辺に到達しており、現在は再びチャネル上辺水準に近付いていることに要注目ということになると思われます。
【図表1】ユーロ/米ドル(日足)2018年10月〜

出所:筆者作成
仮に、今週あたりから英ポンドやユーロを買い戻す勢いが再び衰えてくるとすれば、次の番はまたドルに回ってくるということになるわけです。
しかし、今週は3月19〜20日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が行われることとなっており、少なくとも、この日程を通過するまではドル買い様子見といったムードが続いてもおかしくないと見られます。
市場では、今回のFOMCにおける政策論議がよりハト派に傾くと見る向きもあるようで、その実、先週末の米株市場は弱めの指標結果を受けても比較的堅調に推移しました。
言うまでもなく、米株価が堅調に推移すれば、連れて日本株も強気の展開になりやすいうえ、さらに中国株までもが強含みで推移すると、ますます日本株の下値は堅くなります。
そのことが米ドル/円の下支えにもなり、なおも1月初旬から形成されている「上昇チャネル内」での動きは継続。再び200日移動平均線を上抜ける動きも見られており、週末にかけては112円台に再トライする可能性もあると見ます。
https://media.monex.co.jp/articles/-/11185

 

 


「株価は大きく下落する」と読むこれだけの理由 実態は悪化しているのに市場は見て見ぬふり
馬渕 治好 : ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト 2019年03月18日

秋には消費増税も控えているが「中国も景気対策を打っているし、日銀も金融緩和してくれるから日本の株価は大丈夫」、といった楽観論で大丈夫だろうか(写真:Ryuji / PIXTA)
当コラムでは、通常アメリカなどの情勢を中心に書くことが多いので、今回は日本の経済実態などを詳しく述べてみたい。

すでに日本経済は景気後退に陥った?
筆者にとってかなり意外感があった経済指標は、3月7日に公表された「1月の景気動向指数」だった。この動向指数のなかで、景気一致指数(CI、コンポジットインデックス)が、昨年10月をピークに3カ月連続で低下した。通常、3カ月連続の低下は、景気が後退していることを示しており、内閣府は景気の基調判断を「下方への局面変化を示している」に下方修正した。

内閣府の基調判断の修正は、ほぼ単純に景気一致指数の数値から機械的に行なわれるものだ。だが、「下方への局面変化」とは、「事後的に判定される景気の山が、それ以前の数カ月にあった可能性が高いことを示す」という意味合いとなっている。つまり「すでに日本経済はリセッション(景気後退)入りした可能性が高い」ということだ。

やや固い話になるが、できるだけわかりやすく説明するのでお付き合いいただきたい。景気一致指数の1月の低下の中身をみてみよう。景気一致指数は、鉱工業生産指数など、9つの経済データを合成して算出されている(現時点で未発表のデータもあるが、それも推計値を用いて計算、後日そのデータが発表後修正)。

1月の景気一致指数は、前月から2.7ポイント幅低下したが、その寄与度(9つのデータのうち、どのデータがどれだけ全体の指数を押し下げたか)をみると、最大の押し下げは投資財出荷指数(除く輸送機械)でマイナス0.77ポイント、次が鉱工業生産指数でマイナス0.65ポイントであった。上位2つの指標の寄与度合計がマイナス1.42ポイントで、全体の下げ幅である2.7ポイントの半分強に達する。

上記のうち「投資財」とは、「資本財」(企業が生産活動に用いる機械類などで、半導体製造装置、工作機械、産業用ロボットなどや、耐用年数が長い金型なども含む)と「建設財」(構造建築物を建てる際に使われる、エレベータ、サッシや橋梁そのものなど)を指す。つまり、設備投資や建設投資の動きに影響を受ける財だ。

1月の貿易統計を合わせてみると、輸出金額が前年比8.4%も減少し、2カ月連続の前年比マイナスを記録したが(輸出数量は3カ月連続のマイナス)、大きく足を引っ張ったのは、アジア向けの半導体製造装置(前年比34.0%減)であった。中国をはじめとするアジア経済の悪化(特に設備投資や建設投資の不振)が、日本の投資財の販売に打撃を与え、加えて生産全般を圧迫したと推察される(投資財の生産は、鉱工業生産全体のほぼ4分の1を占める)。

3月14日から15日に開催された日銀の金融政策決定会合では、輸出と生産についての見通しが下方修正されたが、これは前出のような景気一致指数や輸出統計の内容と符合する。

本当にすでに日本の景気は後退期に入ったのか?
冒頭では景気一致指数について、「筆者にとってかなり意外感があった経済指標」だったと述べた。内閣府の基調判断の下方修正もあって、「日本経済はすでに昨年10月で山を付け、後退に向かっている」との論が力を得ている。もしそうした「昨年10月ピーク説」が正しければ、現在の景気拡大は2012年11月の景気の谷から始まっているので、71カ月の拡大期間で終わったことになる。戦後の景気回復の最長記録は73カ月(2002年1月〜2008年2月)なので、1月の閣議後の茂木敏充経済再生担当相による「景気回復期間が戦後最長になったとみられる」との表明は、誤りだったことになる。

まあ、73カ月の記録を抜くか抜かないかは、誤差の範囲なので特に気にすることもなかろうが、景気一致指数の3カ月連続の悪化は、解説したように、1月のアジア向け(特に中国向け)の投資財などの輸出減によるところが大きい。

ただ、1月に輸出が下振れしたのは、中国の春節休暇の日程の影響だとの指摘が聞かれる(それが本当かどうか、筆者にはわからないが)し、日本の正月三が日が土日と重ならず、日本の輸出品生産工場の操業が落ちた点もあるかもしれない。2月の日本の貿易統計は、この原稿が東洋経済オンラインで公開された直後の、3月18日(月)午前8時50分に発表予定で、輸出額が1月の反動で戻る可能性もある。また筆者はすでに日本経済が後退期に入ってしまったというのは、少し早すぎるようにも感じられる。

とは言っても、日本の株価は、こうした経済情勢の陰りを、無視しすぎているように感じられる。2月の輸出額が増加するとの期待が強いのであれば、かえってそれが裏切られた場合の失望に警戒する必要があるだろう。また、世界的な景気悪化の流れは変わらないと見込むので、2月の輸出額がいったん強くても、輸出の状況が先行き悪くなっていくとの動きは、傾向的に続くと考える。

一方、目を日本の個人消費に転じれば、消費者心理を示す消費者態度指数は、2017年11月、12月、2018年1月のタイ記録のピークである44.6からの悪化傾向が止まらず、直近のデータである今年2月の41.5まで低下を見せている。こうした心理悪化により、企業が値上げをすると売れ行きが落ちる、という現象が、小売でも外食でも頻繁に見受けられる。あたかも「デフレ心理」がまた広がっているようだ。

ではそうした景気の陰りに対して、政策面で有効な手が打たれるかと言えば、極めて悲観的にならざるを得ない。

前述のように、日銀は輸出と生産の見通しを下方修正したが、景気全般については「所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している」という、いわゆるトリクルダウン(企業収益が改善すると賃金が伸び、個人所得が増えるので消費も増加して、経済全般が拡大するといった、上から下へ滴り落ちるように好調さが伝播していくこと)の「呪文」を唱え、見通しを下方修正していない。輸出と生産を修正しながら経済全般の見解を変えない、というのは、整合性がとれていないように思われる。

なぜ全体の見通しを下方修正しなかったのか。日銀として経済全般に対する見解を悲観方向に動かせば、当然追加緩和しなければおかしいことになる。しかし日銀は、すでに緩和の方策を全弾撃ち尽くして、有効な追加緩和の方策がないため、見通しを直さなかった、と邪推されても仕方がないだろう。

これに対して、「景気が悪くなっているのだから、当然追加緩和がいずれ行なわれるだろう」という説が市場にはびこり、株価を支え、為替相場も円安方向にしているように思われる。そうした説の支えとなっているのは、黒田東彦総裁が国会などでたびたび、追加緩和の可能性について言及していることだろう。確かに追加緩和が全くできないわけではないだろうが、これまでの緩和策がさまざまな限界(国債の買い入れ額がすでに大きいことや、金融機関の収益を圧迫していることなど)に達していることを踏まえれば、「効果的な追加緩和策」はもうない、と考えられる。

また、黒田総裁の発言も、仮に総裁が「景気が悪くなったとしても、実はもう効果的な追加緩和策はない」と語れば、どれほどの騒ぎになるかを想像してみれば、「景気が悪くなれば日銀は追加緩和で景気を支えられる」と述べる以外の選択肢がないことがわかるだろう。とすれば、市場の日銀に対する期待が過度な分、将来の失望が懸念される。

消費増税をすれば個人消費がどうなるかは明らか
しかも財政面では、景気を支えるどころか、逆風だ。消費者態度指数の悪化と、値上げによる買い控えを述べたが、こうした状況で消費税率を引き上げれば、個人消費がどうなるかは明らかだ。だが消費増税を前提とした2019年度予算案は、3月2日にすでに衆議院を通過しており、消費増税は既定路線だ。もちろん、それでも増税撤回は不可能ではなかろうが、今後日本経済が悪化し、気が付けば消費増税も撤回不可能なタイミングになっている、という展開は十分ありうるだろう。

こうした諸状況を踏まえ、日経平均株価が年央1万6000円程度に達する、との見通しは変わらない。ただし、短期的には、内外株式市況が根拠の薄い楽観のまま、上に走ってしまう展開も否定はできない。大きな株価下落の流れの中で、目先は上下どちらにも株価が走りうる、という想定のもと、今週の日経平均株価のレンジを2万1000〜2万1700円で予想する。
https://toyokeizai.net/articles/print/271592
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/563.html

[社会問題10] 私の引きこもり生活がある日ふと終わったワケ 風呂に入らず、昼夜逆転も 不登校新聞 
私の引きこもり生活がある日ふと終わったワケ
風呂に入らず、昼夜逆転も
不登校新聞
2019年03月17日

小学4年生で不登校になった原野有里さん。自身の経験をふり返って語る「健全なひきこもり」とは?(写真:不登校新聞)
小学4年生で不登校をし、現在はフリースクール「東京シューレ流山」でスタッフを務める原野有里さん(29歳)にお話をうかがった。原野さんは、自身の不登校をふり返って「健全にひきこもれたのがよかった」という。
――不登校になったのはいつからですか?
きっぱり行かなくなったのは、小学校4年生の9月1日からですね。でも思い返すと小3ぐらいから学校がしんどかったなと思います。まじめで几帳面な性格だったんです。小学校中学年になると宿題やミニテストが増えてくるんですが、先生の言うことやまわりの空気を読み取って完璧にこなそうとしていました。

当記事は不登校新聞の提供記事です
たとえばノートに10種類の漢字を5回ずつ書く宿題があると、チラシの裏に何十回も練習してからノートに清書していましたね。
ほかにも、女の子たちと同じものは好きじゃなかったし、あんまり明るい性格でもなかったから、目立つ子たちから嫌がらせや陰口を言われてハブられるようになったんです。
小4夏休み明け“体が動かない”
仲のよい子はいましたけど、どんどん疲れていきました。それでも小3の1年間と小4の1学期は行ったり行かなかったりの「五月雨登校」を続けていました。完璧主義だったので、行くからにはキッチリやらなきゃいけなかったし、学校へ行かなければ自分には価値がないと思っていたんです。
でも、小4の夏休み明けに、学校へ行こうと思ったら、起きられない、体が動かない、パジャマから着替えられないという状況になりました。
親には学校がしんどい理由を言えなかったですね。自分でも整理できていないから表現できないし、当時は「理由がわからなかった」というのが本当のところです。今こうやって話せているのは、大人になってふり返れるようになったからだと思います。
――不登校になったとき、ご家族の反応はどうでしたか?
母も最初のうちは「着替えなさい」「ちゃんとご飯食べなさい」「学校の時間はテレビ観ちゃダメ」みたいな感じでした。だから家にいても学校のプリントやミニテストで勉強していましたね。
家で勉強するのはイヤでしたが「ただでさえ学校へ行ってないのに、こんなに不真面目になった」という引け目があったからです。そういう自己否定感がありました。
適応指導教室に通う生活へ
そのうち適応指導教室(現・教育支援センター)というのが近くにあるのを見つけて行くことになったんです。部屋に入ると、ちょうど同い年くらいの女の子や、ちょっと上のお姉さんが数人いました。お絵描きが好きでおとなしそうな、安心して話せる感じの不登校の子たちでした。
自分以外にも不登校の子がいて、みんな不まじめなわけじゃない、仲間がいるんだと思って心強かったですね。仲間に会えたという意味では、適応指導教室があってよかったと思っています。
その適応指導教室には週に1回、自分の予定を決めるという時間がありました。ずっと遊んでいてもいいんですが、まわりの子が給食や好きな授業時間、放課後だけ学校へ行くという予定を書いていたんですよね。
ほかの人の予定を見て、私も週に3回くらい給食登校をしていました。
――不登校の子への対応はどんな感じでしたか。
適応指導教室ですから学校へ戻そうという働きかけはつねにありましたよ。
私の通った適応指導教室は、文字どおり「学校への適応」を指導するところでした。給食登校も、ただ給食を食べに行くだけじゃないんです。学校復帰のためのワンステップに位置づけられていました。
そういう指導のなかでは「今度、授業へ行ってみない」と聞かれたら、行くしかなかったんです。だって断れない人間だったし、行かないと自分で自分を認められる要素がなくなってしまう。
「行ってみたら」という声がけは、私にとっては「行きなさい」と、ほぼ同義でした。
そんな生活を続けていましたが、小6の春か夏ごろに、今までがんばって張りつめていたものがパチンと切れてひきこもりました。お風呂にすら入らず、昼間は寝ていました。食事も冷蔵庫のものを全部食べる日もあれば、一日中何も食べない日もありました。
――なんで昼夜逆転しちゃうんでしょうか。
朝は一般社会の動き出すときだからイヤなんです。自分と同じくらいの年齢の子たちが目の前の道路を通ったりするから。でも夜は静かで「こうしなきゃいけない」のある世の中からちょっと離れた感じがするんです。
みんなとちがう世界にいられる夜は居心地がよいので、自然に昼夜逆転していきました。
朝食の準備をしている母に、夜中のテレビやラジオ番組の内容を話し続け「あぁスッキリした! 寝るわ」と言って自分の部屋にこもる生活でしたね。
母は「そうなんだ」「へぇ」と言って、ただ聞いてくれていました。今思い返してみると、どんなときも母は何も言わなかったですね。どんなに長いあいだ、お風呂に入ってなくても「お風呂に入ったら」とは言わなかったです。
――お母さんが聞くだけでいてくれたんですね。
母がすべてを受けいれてくれたので、落ち着きましたね。だからひきこもっていた時間は、今の自分のことを精いっぱい考えられた時間でした。ひきこもって本当によかったと思っています。あのまま流されるままに生きていたら、手首を切っていたんじゃないかなと思います。
私は不登校だけでなく、ひきこもりも肯定しています。ひきこもりって「健全なひきこもり」と「不健全なひきこもり」があると思うんです。健全なひきこもりは家のなかを居心地よく感じていて、自由にすごせます。
一方で「ちゃんとしなさい」とか「いつまで寝てるの」という空気が家のなかにあって、子どもが追いつめられちゃうのはひきこもりのほうが「不健全だな」と。
事件で見聞きするようなひきこもりは「不健全さ」ゆえに追いつめられたからだと思っています。
親の気持ちが外に向かうと
――でも不登校で子どもが家にいると親もストレスがたまります。将来の見えない不安もあるし……、どうしたらいいんでしょう。
私がひきこもったころ、母は親の会を立ち上げたんです。その親の会などで学んでいたんだと思います。
それと母は押し花が好きで、家にいないことも多かったんですね。家でも外でもいつも楽しそうにしている母の姿を見ていました。だからお母さんは家にいないほうがよいと思うんですよね。
お母さんは好きなことのために家にいない、子どもは家や安心できる居場所ですごすというのがベストじゃないでしょうか。
――ひきこもりはどうやって終わったんですか。
自然に終わりました。小6の春に、兄と楽しく遊んでいたころの夢を見たんです。目が覚めて「楽しいときがあったなぁ」と思い、兄弟で遊ぶために外に出てみたんです。
こんなふうにパッと外に出られたのは「ゆっくり休めた」からだと思っています。ひきこもってゆっくり休めたからこそ、外に出られたんですよね。
ひきこもりを終えてから「○○しなきゃいけない」という気持ちは、少しやわらいでいました。給食登校をしなくてもいい、適応指導教室だけですごしてもいい。そう思えるようになり、中学生時代は、家と適応指導教室と学校、3つの場を行き来していました。
学校を休んでも大丈夫だよ
――最後に不登校や学校に行きたくない子に向けてメッセージをお願いします。
学校は休んでいいよってことですね。でも、そういう子たちってどんなこと言われても届かないと思うんですよね。だから保護者の方に向けてのメッセージにします! 
学校に行かなくても、大人になる道はいくらでもあることを伝えたいです。内申書がなくても受けられる高校はたくさんありますし、私が卒業した高校は入学試験もありませんでした。フリースクールという道だってある。もし学歴が心配だったら「高等学校卒業程度認定試験」もありますね。
高校へ行かずに就職している大人や、フリースクールに通ったことで不登校を1ミリも否定的に捉えていない人もたくさんいます。それに学歴をつけなくても安心できる居場所で安心できる仲間たちとすごしていたら、いくらでも楽しい大人になれるんです。
楽しくすごしていた人は、どこに行っても楽しめるから平気なんですよね。子どもは自分のことを自分でちゃんと考えて、自分に合った道を自分で探します。
だから保護者の方も、情報収集をして高校以外にも進める道がたくさんあることを知ってほしいです。
――ありがとうございました。
(聞き手・赤沼美里)
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https://toyokeizai.net/articles/print/271206

http://www.asyura2.com/18/social10/msg/157.html

[社会問題10] 働き方のコンパス 「老子の『足るを知る』を実践しよう」理想と現実の間で迷うライターの悩みを、哲学者が解決 • #働き方#
働き方のコンパス
「老子の『足るを知る』を実践しよう」理想と現実の間で迷うライターの悩みを、哲学者が解決
• #働き方#哲学2019.03.13.
• 「働き方のコンパス」はビジネスパーソンの悩みに、哲学者や社会学者、経済学者などの研究者が答えていくシリーズです。それぞれの学問的な見地から、仕事の悩みはどう分析できるのでしょうか。今回は、哲学者の小川仁志さんが回答者です。

哲学者
山口大学国際総合科学部准教授
小川仁志さん
大学で新しいグローバル教育を牽引する傍ら、「哲学カフェ」を主宰するなど、市民のための哲学を実践。また、テレビをはじめ各種メディアで哲学の普及にも努めている。
今回のお悩み
Q.私だけのライフワークを探したい
仕事は楽しく、やりがいもあるのですが、時折、なにか自分にしかできないようなライフワークを見つけなければいけないのでは、という焦燥感に駆られることがあります。成長し続け、新しいことを発信していかないと、この先必要とされなくなるのではないか。そんな風に考えながら、3年くらい経ちました。ライフワークはどうしたら見つかるのでしょうか。それとも、そんなものは無理に探すようなものではないのでしょうか。(35歳、女性、フリーランス)
A.老子の「足るを知る」を実践しよう
断言しよう、哲学で悩みは解決する
私は哲学で人生の悩みの大半は解決する、と考えています。哲学を学び、自分の頭で考えることを通して、視点を変えることができるからです。ものの見方が変わって、抱えている問題が悩みと感じられなくなったら、悩み自体がなくなってしまいますよね。哲学者の役目というのは、相手がとらわれている思考の枠に気づかせること。考える手助けをすることなんです。
前置きはこの辺にして、本題に入りましょう。あなたは「自分にしかできないようなライフワークを見つけなければいけないのでは」と思っているわけですね。では、「自分にしかできないようなライフワーク」というのは一体なんなのでしょうか。
これは、いわば「理想」だと言えるでしょう。理想に惹かれるのは、人間の普遍的な性質です。古代ギリシアの時代にも、これについて考えていた哲学者がいるのですから。そう、プラトンですね。プラトンのイデア論というのは、完全な理想の世界である「イデア」が存在し、現実はその影に過ぎないという考え方です。
理想を追い求めるのが楽しいうちはいいんです。大いに理想を追ってください。でもあなたは「焦燥感に駆られている」と言っています。つまり、楽しい状態じゃないんです。なんとなく、理想というものを追わなければと、追い立てられるような気持ちになっている。それは、よくないですね。
プラトンで行き詰まったなら、老子を持ち出してみる
今あなたは、仕事が楽しく、やりがいがある状態です。それでいいはずなのに、ライフワークと言えるような、もっと立派な仕事をしなければと思っている。これは、思い込みにとらわれているのだと考えられます。「成長し続け、新しいことを発信していかないと、この先必要とされなくなる」というのは、本当のことでしょうか。
例えば同じモノづくりを長年続けていて、依頼が途絶えることがない職人さんがいますよね。そういう方は、新しいことに挑戦しているようには見えないかもしれないけれど、とても重宝されている。そういう人の存在意義は確実にあるんです。
私は、世の中の競争を煽るような言説や、イノベーション信仰みたいなものには、懐疑的です。あなたがいま「こうしなければいけない」と思っているのは、SNSで発信力の強い人が言っていたから、だったりしませんか? そうした「世間の声」から離れて、あなた自身がどうしたいのかを考えてみてください。
考えが行き詰まったときは、他の哲学をきっかけにして視点を変えてみましょう。この場合は、老子がヒントになると思います。理想を追い求めると、人間はないものに目を向けて、「あれが足りない、これが足りない」と思ってしまう。でも、あなたも必ず持っているものがあるんです。その、持っているものに目を向けてみてください。これが老子の言う「足るを知る」ということです。
老子の思想を実践するなら、徹底的に
「足るを知る」と言うのは一見簡単なように思えます。今ある幸せに感謝、みたいなね。あなたも、現状が幸せだとは感じているのでしょう。でも「ライフワークを探さなければいけないのでは」という迷いがある。この迷いがある時点で、「足るを知る」が実践できているとは言えません。
実践するならば徹底的にやること。「今あるもので十分幸せなんだけれど、理想も追い求めないといけないかな」なんて思うのは、南の島のバカンスにノートパソコンを持っていっているようなものです。それでは、心から休暇を楽しむことはできないでしょう。本当の意味で足るを知っているわけではないんです。
老子は老齢になってから、人里を離れて行方をくらませたと言われています。さらなる道を追い求めたとも言われていますが、彼はその時の自分のあり方に満足していたのではないでしょうか。特に大きく出世したり、国を統一したりといった功績があるわけではありませんが、現代でも老子の思想は高く評価されています。彼の思想自体が、本質的に価値のあるものだからでしょう。
徹底的に「足るを知る」を実践したら、またプラトンのように理想を追い求めたくなるかもしれません。「足るを知る」で満足して、そのまま人生を全うするかもしれません。それはどちらでもいいんです。自分がその都度求める生き方を、後押しするようなかたちで哲学者の叡智を使う。これが、幸せに、納得して生きるコツです。
(文・崎谷実穂)
悩めるあなたにこの一冊
『老子』(岩波文庫)
「老子はいくつか翻訳がありますが、岩波文庫版をお勧めします。NHK「100分 de 名著」でも老子の解説をされていた、中国思想史の研究者・蜂屋邦夫さんの詳細な訳注付きのため、平易な訳でわかりやすく読むことができます。さすが長年支持されているベストセラーだけあって、発想の転換を促す珠玉の言葉に溢れています」

小川仁志(おがわひとし)
1970年、京都府生まれ。哲学者・山口大学国際総合科学部准教授。京都大学法学部卒、名古屋市立大学大学院博士後期課程修了。博士(人間文化)。商社勤務(伊藤忠商事)、フリーター、公務員(名古屋市役所)を経た異色の経歴。徳山工業高等専門学校准教授、NHK・Eテレ「世界の哲学者に人生相談」では指南役を務めた。専門は公共哲学。著書も多く、ベストセラーとなった『7日間で突然頭がよくなる本』や近著『AIに勝てるのは哲学だけだ』をはじめ、これまでに約100冊を出版。

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https://www.asahi.com/and_M/20190313/708724/

http://www.asyura2.com/18/social10/msg/158.html

[国際25] 「3人死亡」とユトレヒト市長 オランダ中部 発砲事件
2019.03.18
「3人死亡」とユトレヒト市長 
 【ブリュッセル共同】ロイター通信によると、オランダ中部ユトレヒトの発砲事件で、同市の市長は「3人が死亡した」と述べた。
https://www.iwate-np.co.jp/article/kyodo/2019/3/18/236056


 

Gunman opens fire on Dutch tram, killing three, injuring many in ‘terror attack’
Dutch police have identified a man wanted in conjunction with a shooting on a tram in Utrecht, killing at least three people and injuring nine.

Ellen Whinnett, staff writers
News Corp Australia NetworkMARCH 19, 20191:14AM
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Police Respond to Scene of Tram Shooting in Utrecht, Netherlands

Dutch authorities have named a 37-year-old Turkey-born man as linked to the tram shooting in the central Dutch town of Utrecht.

Three people have been confirmed dead in the shootings.

Police showed the picture of a bearded man sitting on public transport and dressed in a dark blue top with a hood tucked in his neck. Police identified him as Gokmen Tanis.

It was the first image distributed of someone linked to the shooting. Police warned citizens not to approach the man but call authorities instead.

Dutch police are seaching for this man, Gokmen Tanis. Picture: Police Utrecht via AP
Dutch police are seaching for this man, Gokmen Tanis. Picture: Police Utrecht via APSource:AP

Earlier, police surrounded a building where the suspected gunman “with a possible terror motive” was said to be holed up.

The gunman, who may not have been acting alone, opened fire on a tram in the Dutch city of Utrecht, killing at least one person and injuring many others.

Police raised the terror alert in Utrecht to its maximum level and put local schools into lockdown as gunshots were reported in several areas of the city, a university town about 45 minutes’ drive south of the capital Amsterdam.

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Politie Utrecht

@PolitieUtrecht
The police asks you to look out for the 37 year old Gökman Tanis (born in Turkey) associated with the incident this morning at the #24oktoberplein in #Utrecht. Do not approach him but call 0800-6070.

648
10:33 PM - Mar 18, 2019
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Pieter-Jaap Aalbersberg, the head of the Dutch counter-terrorism agency, said in a statement that the “threat level has gone to 5, exclusively for the Utrecht province,” referring to the highest level, adding that the shooting “appears to be a terrorist attack”.

‘The culprit is still on the run. A terror motive cannot be excluded,’ he said in a Twitter message. He called on citizens to closely follow the indications of the local police.

Utrecht police said multiple people had been injured and at least one killed as they opened an investigation into what they said was a possible terror motive behind the attack.

Three hours after the initial attack on the tram at the 24 October Square, Utrecht police took to social media urging people across the city to stay indoors.

Rescue workers install a screen on the spot where a body was covered with a white blanket following a shooting in Utrecht, Netherlands on Monday. Picture: AP Photo/Peter Dejong
Rescue workers install a screen on the spot where a body was covered with a white blanket following a shooting in Utrecht, Netherlands on Monday. Picture: AP Photo/Peter DejongSource:AP

“New incidents are not excluded. The police are currently still looking for the offender,’’ the police tweeted.

They urged “everyone to stay (inside) in Utrecht.’’

There was carnage on a morning tram when at least one gunman opened fire at 10.45am local time (8.45pm Monday night AEDST).

Police said “multiple people’’ were injured when the gunman apparently fired indiscriminately into the commuters.

A map of Utrecht in the Netherlands shows the location of the shooting, which police are describing as a terror attack. Picture: Supplied/BBC
A map of Utrecht in the Netherlands shows the location of the shooting, which police are describing as a terror attack. Picture: Supplied/BBCSource:Supplied

One person was later confirmed dead.

“Investigation into shooting incident #24oktoberplein #Utrecht is underway,’’ Utrecht police tweeted.

“We also take into account a possible terrorist motive.’’

The incident happened at the 24 October Square tram stop just outside the centre of the city, in a residential area of the popular university town, which has a population of around 350,000 people.


Politie Utrecht

@PolitieUtrecht
The police is investigating the shooting at the #24oktoberplein in Utrecht this morning. An possible terrorist motif is part of the investigation.

479
8:00 PM - Mar 18, 2019
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957 people are talking about this

Politie Utrecht

@PolitieUtrecht
A shooting occurred on the #24oktoberplein in #Utrecht. The incident has been reported at 10.45 hour. Multiple people have been injured. The surrounding area has been cordoned off and we are investigating the matter.

1,563
7:44 PM - Mar 18, 2019
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2,677 people are talking about this
The police issued social media appeals asking people to clear the area to allow emergency services vehicles to access the scene.

“Multiple people have been injured,’’ police said.

“The surrounding area has been cordoned off and we are investigating the matter.’’

Three trauma helicopters at the scene, as is a police anti-terrorism unit.

Police and emergency services at the scene. Picture: Robin van Lonkhuijsen/ANP/AFP/Netherlands OUT
Police and emergency services at the scene. Picture: Robin van Lonkhuijsen/ANP/AFP/Netherlands OUTSource:AFP

The square is named for the United Nations, which was signed into existence on October 24, 1945.

Dutch Prime Minister Mark Rutte called a crisis meeting, and security was boosted across the Netherlands including in Amsterdam and The Hague, and as far afield as the German border.

Mosques in the city were also asked to shut their doors, and public transport was shut down.

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Arshad Mahmood
@arshadm1988
Shooting incident in a tram in #Utrecht, The #Netherlands. It's still under investigation. Several wounded, but no specific numbers yet.

4
8:44 PM - Mar 18, 2019
See Arshad Mahmood's other Tweets
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More to come

オランダのテロ対策機関の責任者であるPieter-Jaap Aalbersberg氏は、「ユトレヒト州だけで、脅威レベルは5になった」と述べ、射撃は次のようになっていると付け加えた。テロ攻撃」

「犯人はまだ実行中です。テロの動機は排除できない」と彼はTwitterのメッセージで述べた。彼は市民に地元警察の指示に厳密に従うように求めた。

ユトレヒト警察は、複数の人々が怪我をしており、少なくとも1人が彼らが言ったことの調査を開始したときに殺害されたと述べた。

10月24日の広場での路面電車への最初の攻撃から3時間後、ユトレヒトの警察は市内の人々を屋内にとどめるように促したソーシャルメディアを利用しました。

月曜日のオランダのユトレヒトでの射撃の後、救助隊員は身体が白い毛布で覆われていた場所にスクリーンを設置した。写真:APフォト/ Peter Dejong
月曜日のオランダのユトレヒトでの射撃の後、救助隊員は身体が白い毛布で覆われていた場所にスクリーンを設置した。写真:AP写真/ Peter Dejongソース:AP

「新しい事件は除外されません。警察は現在も犯罪者を探しています。

彼らは「みんながユトレヒトに(中に)いるように」と促した。

現地時間の午前10時45分(月曜日の夜のAEDSTの午後8時45分)に少なくとも1人のガンマンが発砲したとき、朝の路面電車に大虐殺がありました。

警察によると、一人の男が無差別に通勤者に発砲した際に「複数人」が負傷したという。

オランダのユトレヒトの地図は、警察がテロ攻撃として説明している射撃の場所を示しています。 Picture:付属品/ BBC
オランダのユトレヒトの地図は、警察がテロ攻撃として説明している射撃の場所を示しています。 Picture:供給/ BBソース:供給

一人が後に死んでいることが確認された。

「ユトレヒト警察は、「ユトレヒトの撮影事件#24ユトレヒト#ユトレヒトの調査が進行中です」とツイートした。

「また、テロの可能性を考慮に入れています。」

事件は10月24日広場のトラム停留所で、街の中心部のすぐそば、人気の大学街の住宅街にあり、人口は約35万人です。


政治ユトレヒト

@PolitieUtrecht
 警察は今朝ユトレヒトの#24oktoberpleinでの射撃を調査しています。考えられるテロのモチーフは調査の一部です。

479
20:00 - 2019年3月18日
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957人がこれについて話しています

政治ユトレヒト

@PolitieUtrecht
 #Utrechtの#24oktoberpleinで撮影が行われました。事件は10.45時間に報告されています。複数の人々が負傷しています。周辺地域は封鎖されており、我々はこの問題を調査中です。

1,563
19:44 - 2019年3月18日
Twitter広告の情報とプライバシー
2,677人がこれについて話しています
警察は緊急救急車が人々にアクセスすることを許可するために地域を撤去するように人々に求めるソーシャルメディア上訴を発令
https://www.news.com.au/world/europe/gunman-opens-fire-on-dutch-tram-several-hurt/news-story/7f38d3a3607a7ae6a800626cf6b0a08b

Netherlands shooting: Police name man linked to shooting on tram in Utrecht that killed one
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The shooting took place in a residential area of the central Dutch city of Utrecht, according to authorities.

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Updated 7 minutes ago
Dutch Prime Minister Mark Rutte says that the Netherlands has been hit by an attack in Utrecht and that terrorism isn't excluded, after one person was killed in a tram shooting along with an unknown number of wounded.

Rutte says that "our nation was hit by an attack in Utrecht. It is clear there were shots on tram passengers in Utrecht, that there are wounded," without specifying how many. He said that "a terror motive is not excluded."

Rutte said that throughout the nation, "there is a mix of disbelief and disgust."

He said "if it is terror attack then we have only one answer: our nation, democracy must be stronger than fanaticism and violence."

Dutch authorities have named a 37-year-old Turkey-born man as linked to the tram shooting.

Authorities immediately raised the terror alert for the area to the maximum level and said they are considering the possibility of a "terrorist motive" in the attack. Dutch military police went on extra alert at Dutch airports and at key buildings in the country as the Utrecht manhunt took place.
Police, including heavily armed officers, flooded the area after the shooting Monday morning on a tram at a busy traffic intersection in a residential neighborhood. They later erected a white tent over an area where a body appeared to be lying next to the tram.

Utrecht police said trauma helicopters were sent to the scene and appealed to the public to stay away. As the manhunt continued, heavily armed anti-terror officers gathered in front of an apartment block close to the scene.

Dutch Prime Minister Mark Rutte called the situation "very worrying."

Police spokesman Bernhard Jens said no one had been detained yet in the shooting, and one possible "explanation is that the person fled by car." He did not rule out the possibility that more than one shooter was involved in the attack.

"We want to try to catch the person responsible as soon as possible," Jens said.

A German police spokesman said German authorities near the border were initially told to look out for a red Renault Clio compact sedan but were later told it had been found abandoned in Utrecht. There was no immediate confirmation on that from Dutch police.
The Netherlands' anti-terror coordinator raised the threat alert to its highest level around Utrecht. Pieter-Jaap Aalbersberg said the "threat level has gone to 5, exclusively for the Utrecht province."

"The culprit is still on the run. A terror motive cannot be excluded," he said in a Twitter message.

After the shooting, Dutch political parties halted campaigning ahead of a provincial election scheduled for Wednesday that will also determine the makeup of the Dutch parliament's upper house.

In neighboring Germany, police stepped up their surveillance of the Dutch border. Heinrich Onstein, a spokesman for federal police in North Rhine-Westphalia state, said additional officers had been detailed to watch not only major highways, but also minor crossings and railway routes.

German police are in close contact with authorities in the Netherlands and have a description of the suspect, he said, but would not elaborate for security reasons.

This is a developing story. Check back for updates.

Mark Rutte首相は、オランダがユトレヒトでの攻撃に見舞われ、1人の人物が未知数の負傷者と共にトラム射撃で殺害された後、テロは排除されないと述べている。

「わが国はユトレヒトでの攻撃に見舞われた。ユトレヒトで路面電車の乗客に打撃があったのは明らかだが、負傷者は何人いるかは明記されていない。」 「テロの動機は排除されない」と彼は言った。

ルッテ氏は、「不信と嫌悪が混在している」と述べている。

彼は言った、「それがテロ攻撃であれば、私たちにはただ一つの答えがあります。私たちの国、民主主義は狂信と暴力よりも強いに違いありません」

オランダ当局は、路面電車の射撃に関連したトルコ生まれの37歳の男性を指名しました。

当局は直ちにこの地域に対するテロ警戒態勢を最大レベルに引き上げ、攻撃における「テロ動機」の可能性を検討していると述べた。ユトレヒトの捜査が行われたため、オランダの軍警察はオランダの空港と国内の主要ビルで警戒を強めました。
武装した警官を含む警察は、月曜日の朝の射撃の後、住宅街の混雑した交通交差点で路面電車を使ってこの地域を溢れさせた。彼らは後で体が路面電車の隣に横たわっているように見えた場所の上に白いテントを建てました。

ユトレヒト警察は、外傷ヘリコプターが現場に派遣され、遠ざかることを公衆に訴えたと述べた。捜索が続いている間に、非常に武装した反テロ将校が現場近くのアパートのブロックの前に集まった。

オランダのマークルッテ首相は、この状況を「非常に心配している」と述べた。

警察のスポークスマン、Bernhard Jens氏は、銃撃でまだ拘禁されている人は誰もいないと語った。彼は一人以上の射手が攻撃に巻き込まれたという可能性を除外しなかった。

「できるだけ早く責任者を捕まえようとしている」とJens氏は語った。

ドイツの警察スポークスマンは、国境近くのドイツ当局は最初は赤いルノークリオコンパクトセダンを探していると言われたが、後にユトレヒトで放棄されたことが判明したと言われたと述べた。オランダ警察からの即時確認はありませんでした。
オランダのテロ対策コーディネーターは、ユトレヒト周辺での脅威の警告を最高レベルに上げました。 Pieter-Jaap Aalbersberg氏は、「脅威レベルは、ユトレヒト州だけで5になった」と述べた。

「犯人はまだ実行中です。テロの動機を排除することはできません」と彼はTwitterのメッセージで述べた。

射撃の後、オランダの政党は水曜日に予定されている地方選挙に先立つキャンペーンを中止した。これはオランダ議会の参議院の構成も決定する。

近隣のドイツでは、警察がオランダとの国境監視を強化しました。ノルトライン=ヴェストファーレン州の連邦警察のスポークスマン、ハインリッヒ・オンスティン氏は、主要幹線道路だけでなく、小さな交差点や鉄道路線も見張るために追加の将校が詳細に説明されていたと述べた。

ドイツの警察はオランダの当局と密接に連絡を取り、容疑者の説明を持っている、と彼は言ったが、安全上の理由から詳しくは述べないでしょう。

https://abc7news.com/netherlands-shooting-at-least-one-dead-on-tram-police-say/5202552/
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/726.html

[経世済民131] 銀行員よりワンルーム営業マンがエリートになる「下剋上」社会 世界は「フラット化」、なぜ経済格差が広がるか 63%資産貧困
銀行員よりワンルーム営業マンがエリートになる「下剋上」社会
2019年03月19日 06:00

内藤 忍
内藤 忍
昨日の日本経済新聞の報道によれば、メガバンク3行が2020年4月入社の新卒採用数を前年比で2割以上減らすようです(図表も同紙電子版から)。

かつては、エリートと見なされた大手銀行員ですが、マイナス金利によって銀行の利ザヤが縮小し、収益が悪化。今や、銀行員は高コストで付加価値を生み出せない人たちに変わりつつあります。

私もかつては銀行員でしたが、銀行員が提供してきたサービスの多くは、創造力が要求されるというより、定型的な業務を如何に正確にこなすかという性質のものでした。今では、AI(人工知能)などの技術で代替して自動化できてしまいます。

例えば、銀行員のエリートが配属されていた融資審査の仕事は、AIに任せれば、熟練した銀行員より短時間でより正確に意思決定できます。

実は、銀行員の仕事の多くは、このように機械で簡単に置き換える程度のものなのです(もちろん中には付加価値の高い仕事をしている人もいます)。

銀行は、これから支店などの拠点を減らし、リストラによって人件費削減に乗り出すはずです。もはや、銀行員はエリートサラリーマンというより、これから無くなっていく斜陽族という立ち位置になっているのです。

対照的なのが、例えばワンルームマンションの営業マンです。不動産業界は金融に比べてワンランク下の業界と考えられていました。その中でも、ワンルームマンションの販売というのは、大手不動産会社やマンションデベロッパーに比べ、下位に位置付けられていたのです。

銀行や証券会社はおろか、マンションデベロッパーにさえ門前払いを食らって、入社試験すら受けられなかった、面々が今やワンルームマンション業界で頭角を現しています。抜群の営業成績を上げて、年収数千万円を稼ぐようになっている人も珍しくありません。中には独立して、有名芸能人との交際を派手にスクープされている人もいます。

銀行員からすれば、相手にすらしてなかったワンルームマンションの営業マンが、今や自分の年収の数倍を軽々と稼いでいる。しかも、お客様に喜ばれ、さらに紹介で顧客層を広げている。

そんなサラリーマンの世界での下剋上が知らないうちに起こっている。学歴に関係なく、如何に付加価値を提供するかによって新しいヒエラルキーが生まれているのです。これは何とも痛快な出来事です。

日本の社会は戦国時代のような大きな転換期です。これからもこのような下剋上が、様々な業界で次々と起こっていくことでしょう。

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http://agora-web.jp/archives/2037854.html


 

世界は「フラット化」するのに、なぜ日本では経済格差が広がるのか?
2019年01月16日 11:30

内藤 忍
新興国に旅行に行くと、日本との富の格差が急激に縮小していることを感じます。特に、経済発展が続く新興国の首都の中心部に行くと、今や日本の地方都市よりも豊かではないかと思ってしまうほどです。

その背景にあるのは「フラット化」と呼ばれる現象です。インターネットによって、世界が均一化していく流れの中で、先進国・新興国という区分けが曖昧になっていくのです。

その一方で、日本国内では経済的な格差が一段と大きくなっている気がします。

銀座や六本木の繁華街にいくと、シャンパンを大きなグラスに1本入れて飲んでるような景気の良い人たちがいる。そうかと思えば、経済的に追い込まれ、日々節約に勤しみ、これからの未来に不安を抱えている人もいます。

経済的に豊かな人とそうではない人の違いは、どこから生まれるのでしょうか?

「リスクを取っているかどうか」だと私は思います。

今の日本は、リスクに対するリターンが非常に大きくなっています。つまりリスクを取った方が有利なのです。

例えば、私が大学生の頃、起業と言えば、全人生を賭けてやる大勝負でした。生命保険に入り、失敗したら自分の命で返済する。それぐらいの覚悟が必要でした。ハードルが高い割に成功の確率は低く、リスクを取ることが割に合わなかったのです。

しかし、今では資本が無くても、学生でもアイディアさえあればカジュアルに起業でき、成功すれば莫大な利益。失敗しても、失うものはほとんどありません。

「リスクを取ったもん勝ち」なのです。

多くの日本人は、未だに大企業に入って安定した仕事を続けるのが、経済的に最もメリットが大きいと思っています。しかし、これは昭和な価値観です。

私も社会人になってから、従業員数千人の大手信託銀行、社員4人のネットベンチャー、そして一人で起業とリスクを取りまくってきましたが、それに伴い大きなリターンを得られるようになりました。

大手企業で懸命に働いても、これからは豊かな老後は実現できません。なぜなら、大企業であっても環境変化による経営悪化のリスクが高まっています。安泰とは必ずしも言えないからです。

また、平均寿命の伸びによって、ライフスタイルが大きく変わりました。リタイア後の期間が長くなり、より大きな経済的基盤が必要になっています。これは、定年まで会社に勤めているだけでは得られません。

このような世の中の構造的変化に気がつき、いち早く対応していくことが、これからますます重要になっていくのです。

国内の経済格差はこれからさらに拡大すると予想します。手遅れにならないうちに、リスクをとって行動することが、後から後悔しないために必要なことです。

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Shingo Fujimoto
中段以降に書かれているリスクテイクも、新興富裕層がボリュームを増し都市部の活況を担っている一因として理解できます。
革命や内戦を経験した国にいたことがあるので、個人やファミリーの浮き沈みが単に政治に巻き込まれた結果や運によるものではなく、才覚や縁をフルに使って自ら掴みに行く人がそれなりの結果を得ていると実感しています。
「フラット化」という意味が格差解消であるなら、彼の国内での格差は更に極端になっていますが、先進国と途上国の富裕層を比べるなら同じような生活レベル、情報の共有、先進技術の利活用が出来ていると思います。
援助関係だったので、日本とは比べ物にならない貧困や治安問題の解消=国内格差の問題のほうが気になりますので、そういう都市部が強欲なままだと結局国情が不安定になるのではないかと危惧しています。。

内藤 忍
資産デザイン研究所社長
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http://agora-web.jp/archives/2036725.html


 

米国の子供たちの63%以上が資産貧困
22.02.2019

Credit: CC0 Public Domain

 オレゴン州立大学の研究チームの調査研究で、米国の子供たちの63%以上とアメリカ人の55%が資産貧困に悩んでいる事実が明らかになった。過半数の米国人は、失業、医療危機、連邦政府閉鎖など、経済的緊急事態に頼るべき資産をほとんど有しない現実が明らかになった。(Rothwell et al., Children and Youth Service Review 96, 409, 2019)。

資産貧困とは

 車、住宅、普通預金口座、投資などの資産を欠く資産貧困の家族は、金融危機を乗り切るのが難しい。資産貧困はこれまで考察されてこなかった経済的安定の因子だが、今回初となる資産貧困の調査によって、アメリカの家族、特に子供の世代の経済的不安要素が浮き彫りになった。

 幼児期の貧困経験が生涯に影響を与える可能性が高いとされる。過去の研究では、貧困で育った子どもたちは教育課程で厳しい環境に置かれ、仕事に就いても一生を通じて収入が少なくなり、家族の不安定を経験する可能性が高い。最近の研究では、両親の資産レベルが学業成績、教育的機会および大学入学および卒業の可能性影響力を持つことが明らかになっている。資産があれば収入が打撃を受けたときの財政的ストレスや負担が軽減できるからだ。

 注目すべき事実は、資産貧困の比率が、家族の収入貧困よりも高いことである。カナダの家族を対象とした2018年の調査で、資産貧困が所得貧困の2〜3倍であることがわかった。資産貧困の家庭は不況、自然災害、政府の閉鎖などの経済ショックをもろに受ける。 資産は予期せぬ経済変動に対する保険となり、危機的状況を乗り越えることにつながる。

 研究チームはアメリカ、オーストラリア、イギリス、フィンランド、イタリア、ノルウェーの25万以上の世帯からの収入と資産データを分析した。

子供の資産貧困率トップの米国

 その結果、米国とオーストラリアがそれぞれ62.9%と最も高い子供の資産貧困率で、次に52.2%のイギリス、48.9%のイタリアと47.6%のフィンランドが続いた。最も低い資産貧困率は34.4%のノルウェーであった。この6カ国のうち3カ国で、子どもの半数以上(特にシングルマザーの子供たち)が資産貧困に苦しんでいる。

 国によって比率に差があるが、子供たちの間で資産貧困が非常に高い、すなわち「子供たちは弱い立場にある」ことが明らかになった。特に米国の子供たちは他の国よりも資産貧困にある比率が高い。他の国々では、米国より健康保険制度、失業、住宅、その他の社会的支援を受けやすいため、米国の社会的セーフティネットが脆弱なためと考えられる。資産貧困の蔓延は、短期的な不安を相殺し、長期的な発展を促進するための革新的な政策は米国の重要課題となっている。

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https://www.trendswatcher.net/211118/geopolitics/%E7%B1%B3%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%AD%90%E4%BE%9B%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%AE63-%E4%BB%A5%E4%B8%8A%E3%81%8C%E8%B3%87%E7%94%A3%E8%B2%A7%E5%9B%B0/
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/569.html

[自然災害22] 小氷期による冷却が続く太平洋深海 前回地球を襲った大寒波の冷たい名残 地球寒冷化が世界経済に与える脅威 
小氷期による冷却が続く太平洋深海

Photo: jpl.nasa.gov

ウッズホール海洋研究所とハーバード大学の研究チームは、小氷期(Maunder Minimum)による深海の寒冷化を見出した。(Gebbie et al., Science 363, 70, 2019)。地球の気候は、中世の暖かい時期から約700年前の小氷期への移行で寒冷化した。19世紀末のHMSチャレンジャーの観測地と20世紀末の観測データを海洋循環モデルと組み合わせると、表層海洋と大西洋深部の水温は温暖化を反映しているものの、太平洋深海は小氷期の影響で冷却されており、1750年以来の地球全体の熱収支は25%下方修正されることがわかった。

これまでの研究では、太平洋の海水が最低水深まで循環するのに非常に長い時間がかかるとされていた。地表の水が底に達するまでに、おそらく数百年もの長い時間がかかると理解されていた(研究チームが2012年に考えていた時間スケール)。そのため太平洋の底の水温は何100年も前の表面温度を反映している。

このことを確かめるために、研究チームは2キロメートルの深さまで海洋測定をしたアルゴプログラムと呼ばれる国際研究グループからデータとともに、比較のためにHMS チャレンジャーの乗組員によって集められた1872年から1876年の期間の2キロメートルの深さまで太平洋の水温データを解析して、過去1世紀半にわたる太平洋の水の循環をシミュレートする計算機モデルを完成した。


https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=666x10000:format=jpg/path/scd774bedd0916381/image/idf44da086bc487be/version/1547090359/image.jpg
Credit: Science

このモデルは、1.8から2.6キロメートルの深さの太平洋の海水温が20世紀の間に寒冷化したことを示している。定量性はまだ改良の余地があるものの、温度変化0.02と0.08℃の間である可能性が最も高いとしている。寒冷化の原因は1300年からおよそ1870年まで続いた小氷期(Little Ice Age)によるものである。中世の温暖期間(Medieval Warm Period)に続くミニ氷河期の影響で海水温度が下がり続けている。
https://www.trendswatcher.net/211118/science/%E5%B0%8F%E6%B0%B7%E6%9C%9F%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E5%86%B7%E5%8D%B4%E3%81%8C%E7%B6%9A%E3%81%8F%E5%A4%AA%E5%B9%B3%E6%B4%8B%E6%B7%B1%E6%B5%B7/


 
PUBLIC RELEASE: 3-JAN-2019
前回地球を襲った大寒波の冷たい名残が太平洋の深海で見つかった
AMERICAN ASSOCIATION FOR THE ADVANCEMENT OF SCIENCE


新しい研究によって、何世紀も続いた寒波の冷たい名残が太平洋の深海で見られることがわかった。その研究結果によれば、太平洋深海で観測される現在進行中の寒冷化は、太平洋深海が小氷期(1000年ほど前に始まった寒冷な期間)に発生した海面寒冷化に今もなお対応し続けている証だという。小氷期と呼ばれる共通紀元後の気候異常は、かつて地球上の多くの地域に非常に低い年間平均気温をもたらしたものであり、世界中の古気候記録や歴史記録に残っている。こうした歴史的気候イベントは海面温度に影響を与えており、また海洋が循環しているために、小氷期のような異常に関連した信号が、太平洋深海をゆっくり循環する海水の中で記憶のように保存されているかもしれないという説がある。しかし、こうした信号が過去の海面状態の特徴を正確に表しているかどうかはもちろんのこと、予測可能かまたは検出可能かどうかもまだ明らかでないという。Geoffrey GebbieとPeter Huybersは、海洋循環モデルと現代および過去の測定値とを組み合わせることで、太平洋深海内部における小氷期の寒冷化の影響を検出・定量化した。その結果、太平洋深海で現在観測される寒冷化は、寒冷だった小氷期に海面にあった冷水が流入を続けていると考えれば説明がつくことがわかった。GebbieとHuybersのモデルによる予測は、1870年代の英国軍艦チャレンジャー号の探検航海で得られた測定値と現代の温度観測結果との間に見られる温度変化によって、おもに裏付けられている。さらにこの結果は、地球の熱収支における深海の役割を強調するとともに、1750年以降の太平洋深海における熱損失が海洋上層における地球の熱利得の4分の1近くを相殺していることを示唆している、と著者らは述べている。
https://www.eurekalert.org/pub_releases_ml/2019-01/aaft-5_8010219.php

 


地球寒冷化が世界経済に与える脅威
30.12.2017
 

Credit: GOES

地球温暖化仮説には決定的な科学的な根拠がないまま、不完全な地球モデルからの外挿値にこだわり、温室効果ガス排出量規制の名目で化石燃料が批判の対象になっている。地球表面の平均温度は計測値の選定の任意性が高く、これまでの地球モデルは正確に気候を記述できるレベルにない。

アカデミズムも大多数は地球温暖化に懐疑的だが、米国物理学会のように学会が温暖化説を支持するなど、科学者の統一見解は得られない。北極の氷床が減少する一方で南極では増大しているのだが、それすら衛星データに批判的な気象学者もいるほどである。それでも国連主導の排出量規制の動きは欧州は脱化石燃料の政策に舵を切った。

一方で確実に進行しているのが長周期の太陽活動の低下による地球の寒冷化である。寒冷化は太陽活動の変化と対応し、データが蓄積されているので太陽の放出するエネルギーの変化の予測精度や信頼性もはるかに高い。2017年、欧州と北米は過去3年間で最も寒冷な冬を迎えたが、偶然ではない。

地球上の農作物の収穫量は寒冷化に極めて敏感である。気温低下のみならず光合成のエンジンである日照量が減少が重なると、農作物の収穫が低下し食料価格が上昇、最終的に食糧危機を引き起こす。また農作物の収穫量が減ると食糧事情が悪化すると生活環境が悪化して感染症が流行する。寒冷化が人類にとって深刻な危機となる理由である。現在、世界的に食物の価格は上がり始めているのは食糧不足がすでに始まっているとも取れる。


Credit: Wiki

上図の青い線が太陽活動の指標となるC14同位体の観測値を説明するモデルで、1650-1700年の極小期はMaunder Minimum、1800-1840年の極小期がDalton Minimumに相当する。太陽の周期活動は異なる周期の重ね合わせでできる「うねり(beat)」のせいで複雑な変動となるが、太陽活動は2024年ごろにピークを迎える。NASAはすでに黒点の密度データから太陽活動が減少し寒冷期に突入したことを認めている。

実際、2017年には27%にあたる96日間に渡って無黒点の状態が継続した。2015年には無黒点の日数は無かったが、2016年には9%になり2017年には27%となった。太陽活動が低下すれば放出エネルギーも低下するから寒冷化は避けられないが、寒冷化が食糧危機と感染症の流行で世界経済と強くリンクしている。太陽活動の長周期(300年)は経済活動周期と一致している。

NASAは新しい観測機材(TSIS-1)をISSに設置して太陽の照射量減速の精密測定を開始している。NASAは太陽活動の短周期(11年周期)の極小と長周期が重なると、急激な寒冷化が起きると予測する。

1916年にも寒冷化が起きた。この時は戦争と重なり1918-1919年に流行した感染症の原因となった。実際、この期間での感染者数は世界全体で5億人にも達し、戦争による死者数よりも感染症(スペイン風邪)によるもの(2000-5000万人)が大きいとされている。

大気のCO2濃度は直線的に増加しているが、地球温暖化は過去3年間進んでいない(下図)。地球寒冷化の方は確実に進んでいて2014年に最大となる。どちらを優先させるかは明白だ。トランプ大統領がTwitterで温暖化を皮肉ったことが話題となっているが、温暖化政策に決別する決断の正しい評価は2024年までにはっきりするだろう。

とここまで書いて、年明けに北米の最低温度がマイナス36度になるという予測が飛び込んできた。これはシベリアでは珍しくない気温だが、北米の記録を塗り替えることになる。この記事ではその先にある世界経済への影響を強調した。2024年はもうすぐだ。


Credit: c3headlines

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Updated 01.01.2017

新年を迎えてフランスのアルプスに近い地域が、稀に見る大雪に見舞われている。もともと冬はスキー客で賑わう降雪量の大きい土地であるが、大雪で交通機関がマヒした。

 


The Little Ice Age and 20th-century deep Pacific cooling
1. G. Gebbie1,*,
2. P. Huybers2
See all authors and affiliations
Science 04 Jan 2019:
Vol. 363, Issue 6422, pp. 70-74
DOI: 10.1126/science.aar8413
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Deep Pacific cooling
Earth's climate cooled considerably across the transition from the Medieval Warm Period to the Little Ice Age about 700 years ago. Theoretically, owing to how the ocean circulates, this cooling should be recorded in Pacific deep-ocean temperatures, where water that was on the surface then is found today. Gebbie and Huybers used an ocean circulation model and observations from both the end of the 19th century and the end of the 20th century to detect and quantify this trend. The ongoing deep Pacific is cooling, which revises Earth's overall heat budget since 1750 downward by 35%.
Science, this issue p. 70
Abstract
Proxy records show that before the onset of modern anthropogenic warming, globally coherent cooling occurred from the Medieval Warm Period to the Little Ice Age. The long memory of the ocean suggests that these historical surface anomalies are associated with ongoing deep-ocean temperature adjustments. Combining an ocean model with modern and paleoceanographic data leads to a prediction that the deep Pacific is still adjusting to the cooling going into the Little Ice Age, whereas temperature trends in the surface ocean and deep Atlantic reflect modern warming. This prediction is corroborated by temperature changes identified between the HMS Challenger expedition of the 1870s and modern hydrography. The implied heat loss in the deep ocean since 1750 CE offsets one-fourth of the global heat gain in the upper ocean.
Downcore temperature profiles found in boreholes from the Greenland (1) and West Antarctic ice sheets (2) enable the recovery of past surface temperatures. These borehole inversions indicate a globally coherent pattern of cooling from the Medieval Warm Period to the Little Ice Age that is also documented in recent land (3) and ocean (4) proxy compilations. The ocean adjusts to surface temperature anomalies over time scales greater than 1000 years in the deep Pacific (5, 6), which suggests that it too hosts signals related to Common Era changes in surface climate (7). But whether these signals are predictable or detectable in the face of three-dimensional ocean circulation and mixing processes, let alone invertible for surface characteristics, has been unclear.
To explore how Common Era changes in surface temperature could influence the interior ocean, we first inverted modern-day tracer observations for ocean circulation using a previously described methodology (8). In this inversion, the net effects of sub–grid-scale processes on advective and diffusive transport are empirically constrained at a 2° resolution in the horizontal and 33 levels in the vertical. When integrated with prescribed surface values, the estimated circulation gives accurate predictions of interior δ13C (9) and radiocarbon values (6). The relative influences of Antarctic Bottom Water and North Atlantic Deep Water are also captured (8) and agree with estimates made using related approaches (10).
It is also possible to represent the transient oceanic response to changing surface conditions. A 2000-year simulation is performed by initializing our empirical circulation model at equilibrium in 15 CE and prescribing globally coherent surface temperature anomalies (4) that propagate into the ocean interior (see supplementary materials). The resulting estimate, referred to as EQ-0015, indicates that disparate modern-day temperature trends are expected at depth (Fig. 1). At depths below 2000 m, the Atlantic warms at an average rate of 0.1°C over the past century, whereas the deep Pacific cools by 0.02°C over the past century.

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Fig. 1Simulated interior ocean response to Common Era surface temperature anomalies.
(A) Global average (black line) and regionally averaged (colored lines) surface temperature time series θb, for a simulation initialized from equilibrium in 15 CE (EQ-0015). Regional variations are plotted for the Antarctic (ANT), North Atlantic (NATL), sub-Antarctic (SUBANT), and North Pacific (NPAC). Prior to globally available instrumental surface temperatures beginning in 1870 CE, global changes are prescribed according to estimates from paleoclimate data. (B) Time evolution of the Pacific-average potential temperature profile from EQ-0015. (C) Similar to (B) but for the Atlantic-average profile. Atlantic and Pacific averages are taken north of 35°S and 45°S, respectively, and color shading has a 2.5-cK interval from –35 to 35 cK. Note the expanded time axis after 1750 CE.
The pattern of temperature trends can be understood as a basic consequence of an advective-diffusive adjustment to surface conditions. Deep Atlantic waters are directly replenished by their formation in the North Atlantic, but deep Pacific waters must propagate from the Atlantic and Southern oceans. Radiocarbon observations (11) indicate that most waters in the deep Atlantic were last at the surface 1 to 4 centuries ago, whereas most deep Pacific waters have longer memory due to isolation from the atmosphere for 8 to 14 centuries (6). As a result of differing response times, Atlantic temperature trends reflect warming over recent centuries, including that associated with anthropogenic influences, whereas the Pacific is still cooling as a consequence of ongoing replacement of Medieval Warm Period waters by Little Ice Age waters.
The simulated magnitude of temperature changes also reflects an advective-diffusive response to surface conditions. EQ-0015 indicates deep-Pacific cooling of 0.1°C following the temperature maximum associated with the Medieval Warm Period, whereas the faster-responding deep Atlantic cools by as much as 0.3°C. Ocean circulation can be likened to a filter through which interior water properties inherit a temporally smoothed version of surface signals. Signals in the deep Pacific are more heavily smoothed and have a more attenuated signal than their Atlantic counterparts because they are subject to mixing over a longer journey (12). The incomplete response of the subsurface to rapid surface changes also leads to delays seen in EQ-0015 being shorter than those indicated by radiocarbon-age analysis (13).
Implicit in the EQ-0015 simulation is that temperature anomalies are transported according to a statistically steady ocean circulation. Estimates of circulation strength over the Common Era, however, suggest variations by as much as ±25% for components of the Atlantic circulation (14, 15). If we instead modify circulation rates to covary with surface temperature anomalies such that advective and diffusive fluxes are changed by ±25% in the Little Ice Age relative to the 1990s, the magnitude of our results is altered (fig. S3), but not the qualitative pattern. In a general circulation model not subject to such simplified assumptions, the centennial-scale subsurface temperature response is also well approximated by the transport of an unchanging circulation (16). Of course, it cannot be excluded that changes in deep circulation—for example, in response to altered deep water formation rates or winds (17)—counteract the basic pattern of temperature response expected from modern circulation. The results of EQ-0015 are thus considered a prediction that requires further testing.
Differences in the simulated timing and magnitude of temperature trends between the Atlantic and Pacific offer a fingerprint of historical changes in surface temperature. To compare this fingerprint against observations, we turn to the deep-ocean temperature measurements from the HMS Challenger expedition that were obtained near the beginning of the instrumental era, 1872–1876 CE. There were 5010 temperature observations along the cruise track, including 4081 observations below the mixed layer and 760 observations from deeper than 2000 m (Fig. 2). Previous analysis (18) showed a 0.4°C warming between the 1870s and 2000s in the upper 500 m of the ocean, tapering off to values indistinguishable from zero at 1800 m depth. Challenger temperature trends were not assessed at deeper levels, however, over concerns regarding depth-dependent biases.

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Fig. 2Observed and simulated deep-ocean temperature changes.
Observed ocean temperature changes are diagnosed by differencing WOCE and Challenger temperature measurements. WOCE temperatures are linearly interpolated to the location of Challenger temperatures, and differences are plotted after averaging between 1800 and 2600 m depth (colored markers). Simulated temperature changes for the same depth interval are diagnosed from OPT-0015. Color scaling is equivalent for observed and simulated temperature changes.
Our focus is to test the model prediction of deep-Pacific cooling. Therefore, we guard against observational biases that would predispose results toward such a trend. In particular, we adjust Challenger temperatures to be 0.04°C cooler per kilometer of depth in keeping with a previously used correction for the effects of compression (18, 19). Another concern is that the rope used for measurements may not have paid out entirely in the vertical, causing depths to be overestimated. But comparing Challenger reports of ocean depth against modern bathymetry (20) indicates that, if anything, depths are underestimated, possibly because the hemp rope used aboard the Challenger stretched (fig. S4). We apply no further depth corrections because underestimates would only bias our analysis toward showing greater warming. The exception is in the Southern Ocean, where strong currents are expected to cause greater horizontal deflection of the line (18); data south of 45°S are therefore excluded. Finally, the max-min thermometer used on the Challenger would have been biased in regions with vertical temperature inversions. To mitigate the influence of such reversals, we also exclude the 164 data points that are located in temperature inversions in modern climatology (21), leaving a total of 3212 observations.
The most recent top-to-bottom global assessment of ocean temperatures comes from the World Ocean Circulation Experiment (WOCE) campaign of the 1990s. Interpolating WOCE observations (21) to the Challenger data locations permits for comparison of temperatures across more than a century. The squared cross-correlation between WOCE and Challenger temperatures is 0.97 and remains high at 0.92 after removing a global-mean vertical profile from each individual profile. Comparison of other 20th-century hydrographic data also indicated only minor density perturbations on the basic oceanic structure (22). Similarity of the oceanic temperature and density structure over time supports the interpretation of changes in circulation since the Little Ice Age as involving only minor perturbations.
Despite overall consistency, there are systematic differences between WOCE and Challenger temperatures. The upper 1000 m of the ocean hosts pervasive warming (Fig. 3), as found earlier (18). Basin-wide warming is also found to 2800 m depth in the Atlantic and is significant at the 95% confidence level. Significance levels are computed accounting for the effects of high-frequency motions incurred by internal waves, mesoscale eddies, and wind variability (see supplementary materials). In the deep Pacific, we find basin-wide cooling ranging from 0.02° to 0.08°C at depths between 1600 and 2800 m (Fig. 3) that is also statistically significant. The basic pattern of Atlantic warming and deep-Pacific cooling diagnosed from the observations is consistent with our model results, although the observations indicate stronger cooling trends in the Pacific. Note that the difference between Atlantic and Pacific trends is particularly diagnostic because it is insensitive to choices regarding depth-dependent bias corrections.

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Fig. 3Vertical profiles of temperature change.
Difference between WOCE and Challenger temperatures is shown as a function of depth with 95% confidence intervals averaged over the Pacific (blue) and Atlantic (red). Features of the WOCE-Challenger temperature difference are reproduced in a simulation initialized from equilibrium at 15 CE (EQ-0015, dashed curves) and an inversion constrained by the observations (OPT-0015, solid curves). WOCE-Challenger temperature differences are calculated using a weighted average that accounts for the covariance of ocean temperatures and their uncertainties based on the expected effects of high-frequency oceanic variability (markers and error bars with darker colors). For comparison, a simple average for each basin and depth level is also shown with uncertainties that are empirically estimated (lighter colors).
The bulk of the Challenger observations that indicate 20th-century cooling are found in the Pacific between 2000 and 4000 m depth. We estimate the integrated rate of heat loss in this Pacific layer to be 1 TW. Although a warming trend was identified in repeat hydrographic observations available over recent decades for the abyssal ocean below 4000 m (23), trend estimates specifically for the deep Pacific between 2000 and 4000 m depth were found to be insignificant at 6 ± 7 TW (5 to 95% confidence interval) over the period 1991–2010 (24). Reanalysis products augment the hydrographic data with other observational and numerical model information, but no consensus on the sign of deep-Pacific temperature trends has emerged amongst these estimates (25). Some reanalyses do, however, show a pattern of Atlantic warming and deep-Pacific cooling that is congruent with our findings (26, 27) (see supplementary materials). Whereas it was suggested that this deep-Pacific cooling in reanalyses originates from model initialization artifacts and weak data constraints (25), our results indicate that such temperature drifts should be expected on physical grounds. We also emphasize that there is a major caveat in all these comparisons, in that rate estimates may be sensitive to decadal variability and the time periods over which trends are computed (7).
The EQ-0015 simulation is independent of the Challenger observations, and these two indications of deep-ocean temperature trends can be combined to give a more detailed estimate. We first average Challenger-to-WOCE temperature trends over the Atlantic and Pacific basins as a function of depth. These basin-wide average trends are used to relax the assumption of globally uniform changes in surface conditions and to constrain regional temperature histories for 14 distinct regions over the Common Era by a control theory method (see supplementary materials). The result, referred to as OPT-0015, fits the observed vertical structure of Pacific cooling and Atlantic warming (Fig. 3). Global surface changes still explain the basic Atlantic-Pacific difference in OPT-0015, but greater Southern Ocean cooling between 600 and 1600 CE leads to greater rates of cooling in the deep Pacific over recent centuries. Regionally inferred variations in North Atlantic and sub-Antarctic surface temperatures also reproduce an Atlantic warming minimum at 800 m. Because OPT-0015 is constrained using only basin-wide averages, regional temperature patterns can be independently compared against observations. Notable in this regard is that OPT-0015 produces greater rates of cooling in the deep North Pacific and greater warming in the vicinity of the Atlantic deep western boundary current. Similar patterns are evident in the Challenger observations (fig. S7) as well as the average across multiple ocean reanalyses (25).
Regional surface temperatures in OPT-0015 can also be compared against ice-core borehole inversions. OPT-0015 places the coldest Antarctic conditions in the 1500s and the coldest North Atlantic in the 1800s, both of which are amplified relative to the global average (Fig. 4). This interhemispheric sequence of peak cooling aligns with the minimum surface temperatures estimated from boreholes in Antarctica (2) and Greenland (1). A second, weaker cool interval inferred from Greenland boreholes between 1400 and 1600 CE (1) is, however, not found for the North Atlantic in OPT-0015. The inference of amplified temperature anomalies in the Antarctic and North Atlantic oceans is also consistent with stronger positive feedbacks at high latitudes. Amplification of high-latitude signals could also stem from greater winter than summer cooling during the Little Ice Age (28) and from the greater sensitivity of deep-water formation to winter conditions (29). The combination of greater volatility in winter surface conditions and greater sensitivity of interior waters to these conditions may explain observations of amplified mid-depth temperature variability relative to the surface over the Holocene (30, 31).

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Fig. 4Regional surface temperature variations and changes in ocean heat content over the Common Era.
(A) Surface temperature time series after adjustment to fit the HMS Challenger observations (OPT-0015), including four major surface regions (colored lines) and the global area-weighted average (black line). (B) Time series of global oceanic heat content anomalies relative to 1750 CE from OPT-0015 as decomposed into upper (cyan, 0 to 700 m), mid-depth (blue, 700 to 2000 m), and deep (black, 2000 m to the bottom) layers. Heat content anomalies calculated from an equilibrium simulation initialized at 1750 (EQ-1750, dashed lines) diverge from the OPT-0015 solution in deeper layers. (C) Similar to (B) but for the Pacific. Heat content anomaly is in units of zettajoules (1 ZJ = 1021 J).
The OPT-0015 results provide an estimate of full-ocean changes in heat content over the Common Era. With regard to changes in heat content in the upper 700 m of the ocean (Fig. 4), there is excellent consistency between OPT-0015 and results from observational analyses (32) and model simulations (33), each indicating ~170 ZJ (1 ZJ = 1021 J) of heat uptake between 1970 and 2010 (Fig. 4). Over a longer period, 1875–2005, OPT-0015 gives 330 ZJ of global upper-ocean heat uptake, equal to the central estimate from an earlier analysis of upper-ocean heating using Challenger observations (18). More generally, OPT-0015 indicates that the upper 2000 m of the ocean has been gaining heat since the 1700s, but that one-fourth of this heat uptake was mined from the deeper ocean. This upper-lower distinction is most pronounced in the Pacific since 1750, where cooling below 2000 m offsets more than one-third of the heat gain above 2000 m.
The implications of the deep Pacific being in disequilibrium become more apparent when compared to a counterfactual scenario where the ocean is fully equilibrated with surface conditions in 1750 CE. That the deep Pacific gains heat in this scenario, referred to as EQ-1750, confirms that heat loss in OPT-0015 results from the cooling associated with entry into the Little Ice Age. Moreover, the EQ-1750 scenario leads to 85% greater global ocean heat uptake since 1750 because of excess warming below 700 m. It follows that historical model simulations are biased toward overestimating ocean heat uptake when initialized at equilibrium during the Little Ice Age, although additional biases are also likely to be present (34). Finally, we note that OPT-0015 indicates that ocean heat content was larger during the Medieval Warm Period than at present, not because surface temperature was greater, but because the deep ocean had a longer time to adjust to surface anomalies. Over multicentennial time scales, changes in upper and deep ocean heat content have similar ranges, underscoring how the deep ocean ultimately plays a leading role in the planetary heat budget.
Supplementary Materials
www.sciencemag.org/content/363/6422/70/suppl/DC1
Materials and Methods
Supplementary Text
Table S1
Figs. S1 to S9
Movie S1
References (35–46)
http://www.sciencemag.org/about/science-licenses-journal-article-reuse
This is an article distributed under the terms of the Science Journals Default License.
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Acknowledgments: We thank C. Wunsch for highlighting the potential influence of past climate events in the modern ocean; D. Halpern for pointing us to the HMS Challenger data; U. Ninnemann, K. Nisancioglu, T. Eldevik, T. Furevik, Y. Rosenthal, D. Roemmich, L. H. Smedsrud, and T. Stocker for discussions; and three anonymous reviewers for suggestions. Funding: Supported by the James E. and Barbara V. Moltz Fellowship and NSF grant OCE-1357121 (G.G.) and by NSF grant OCE-1558939 (P.H.). Author contributions: G.G. and P.H. performed the research and the writing. G.G. contributed as lead author; P.H. contributed as the co-author. Competing interests: The authors declare that they have no competing financial interests. Data and materials availability: Data to reproduce the findings are available at the National Centers for Environmental Information, accession number 0178641.
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来るべき地球寒冷化の可能性を考える(2)
Opinion
9月
22
2012
〜米国のペンタゴンレポート2003年の衝撃の中身〜

(2)

もう一方の南半球シナリオ

南半球の気候力学については少なからず不確実性がある。それは主として北半球に比べて利用できる古気候学のデータがあまりないためだ。

南半球の主要な地域の気候様式は北半球のそれに従えば寒冷化乾燥化するだろう。

即ち気候システムが熱力学の法則により釣り合いを取るように働き、暑さは回帰線から北半球へ流れ反対に南半球は寒冷化乾燥化する。

(それとも)二者択一的に、気候システムのバランスから北半球の寒冷化が南半球の温暖化、降水量暴風雨の増進に至るかもしれない。つまり、温室効果ガスによる温暖化が海流(の変化)により閉じ込められることによりますます増進しそれが赤道地域からはなれて南半球を温暖化するということだ。

どちらにしても、突発的気候変動における気候変化は世界中の主要な人口密集地帯、増進地帯をほぼ同時に極端な気象状況にするであろう事は疑う余地がない。

2010年から2020年の地域状況

上記のグラフィックは、シナリオで描写した気候様式の解釈を簡単に示している。

ヨーロッパ

気候変動の影響を最も激しく受ける。

つまり、10年間で年平均気温は華氏6度(摂氏3.4度)低下し、特に北西海岸に沿った地域では極めて劇的な変化となる。北西ヨーロッパの気候はまさにシベリアのように寒冷化、乾燥化、暴風化します。南ヨーロッパの変化はより僅かだが、それでも鮮明な断続する寒冷化、急激な温度変化にさらされる。

ヨーロッパの至る所で降水量が減少しそれが原因で土地が枯れ食料の供給が不足しだすだろう。ヨーロッパはスカンジナビアや北ヨーロッパの国民が暖かさを求めて移住してくることや同様にアフリカやその他の地域でひどい打撃を受けて移住してくる人たちとの間で問題が多発しだすだろう。

アメリカ合衆国

寒冷化、暴風化、乾燥化はアメリカ合衆国の至る所で食物生産期間の短縮と食物生産量の減少を起こすだろう。特に合衆国の西南地域は乾燥化が長引く。砂漠地帯はますます増大する暴風に直面する。その一方で農業地帯は強風及び大地の乾燥化がおこり耕地の損失に悩まされる。

気候の乾燥化は特に南部の州で顕著だろう。沿岸地帯は温暖化時代と同様に海岸線に沿って海水準が上昇する危険性を継続して受ける。アメリカ合衆国は内政中心へとその政策を変換することになる。即ち、合衆国自身の人口を食べさせる為の資源を確保しその境界を支えて尚且つ世界の緊張の増進を管理するようになるだろう。

中国

巨大な人口が食料供給に対して高い必要性を持っている中国は季節風による降雨が規則性(信頼性)を無くすため激しく打撃を受けることになる。夏場の季節風による時折の降雨は歓迎されるものでした、しかし一般に土地が裸にされた為氾濫を招き破壊的な影響を出すようになったのである。より長くより寒い冬およびより暑く降水量が減少して乾燥化した夏は既に厳しいエネルギー供給、水供給に対して緊張を強いるものとなる。広範囲にわたる凶作は無秩序と本質的な苦闘の原因となり、冷淡で空腹な中国の民はロシアを横切って西方の境界のエネルギー資源を嫉妬深く見つめるようになる。

バングラデッシュ

不断の台風襲来と海水面上昇はかなりの沿岸を侵食する原因となる強襲する大波を引き起こす。そしてそれはバングラデッシュのほとんどを居住に適さないようになる。さらに進んで、上昇してくる海水面は内陸奥地の飲料水の供給源を塩水化汚染し人道的危機状態となる。大規模な移民が起こり、それが中国とインドの緊張状態の原因となり、そして彼ら自身が抱える国内的危機を処理する為奮闘し始めるだろう。

東アフリカ

ケニア、タンザニア、およびモザンビークは、わずかに暖かい天候となる。しかし、不断の旱魃にも直面することになる。乾いた状況に慣れているこれらの国々は気候が変化する状況にそれほど影響を及ぼされないだろう。しかし、彼らの食料供給は主要な穀物を製造する地域が困窮するにつれて食料供給の困難に直面するようになる。

オーストラリア

主要な食料供給者であるオーストラリアは世界中の食料を供給しようと努力することになる。その農業は気候の変化がそれほどでなく厳しい衝撃をあたえられないだろう。

天然資源への衝撃

気候様式の変更と海洋温度の変化は農産物、水産物、野生動物、水、およびエネルギーに影響を及ぼす。作物の産出量は気温と水のストレスと同じようにその作物が生長している期間が10-20%減少することに影響される。

そしてまた、そのことはどの地域が温暖化から寒冷化する傾向にあるかを予測し得ない。いく種類かの農業病害虫は気温変化のために死にますが、他の種類は乾燥化強風化のために簡単に拡大するだろう。つまり、代わりの殺虫剤をもちい取扱を厳しく統制することが必要になる。一般的に特定地域に漁業権を持っている商業漁民達は彼らの獲物が大規模な移動をする為漁業装備を整えなおす災難に見舞われる。

世界において(アメリカ合衆国、オーストラリア、アルゼンチン、ロシア、中国、インド)この地域はたった5ないし6種類の穀物を栽培している状態であり、一部の地域での気象条件が悪化した場合世界的な食料の差引勘定からの余剰は不十分となる。世界の経済上の相互互助制度は、局所的な気候の変化によって引き起こされた主要な農産物の経済上の混乱および世界の人口数が多すぎる事により、ますますアメリカ合衆国を窮地に陥れる。悲劇的な水とエネルギーの不足は-それは今日現在でも世界中で言われていることだが-迅速に克服されるはずはない。

国家安全保障への衝撃

人類文明は地球の気候が安定化温暖化することにより始まった。気候の不安定な寒冷化は人類が農業を発展させずに頻繁な移住をする必要性を促した。ヤンガードリアスの終了時点で気候が温暖化安定化し、その後、人類は農業のリズムと気候が生産力を維持するような場所に定住することを学んだのである。

現代文明はこのシナリオで概略述べたような絶え間ない混乱した気候状態を経験したことがない。結果として、この報告書で概略述べた国家安全保障との密接な関係は単に仮説にとどまる。

実際の衝撃は気候状態への認識の仕方、人間の適応性、政策立案者の方策によっては非常に異なることだろう。

突然の気候変化によって引き起こされるで、あろう緊張した暴力的混乱状況は今日我々が慣れている国家安全保障への脅威とは異なるタイプだ。

軍事的な対決は、イデオロギー、宗教、国家的栄誉の争いではなく、エネルギーや食料や水といった天然資源に対する絶望的な必要性から引き起こされるかも知れない。立ち向かう為の動機付けを誘発する為には国家は安全保障の脅威を現存する警告としてもっと社会が敏感になるようにする事だろう。

各国が争う事の調査として資源強制と自然環境挑戦への長く続く学研的範囲をこえた討論がある。ところで、何人かの人は、国家は単独で2国間がお互いに攻撃するようにできると信じている一方で、他のものはそれらの主要な影響が先に存在している国家のグループに対してその国家間での争いを誘発すると主張している。

とにかく、厳しい環境問題が世界的な争いへとエスカレートするであろう事を、否定できない。共同観察者と大統領によって設立された太平洋の環境と安全保障に関する研究開発組織のピーターグリックは突発的気候変動(気候ジャンプ)により当惑される国家安全保障に関して3つの基本的な挑戦しなければならない難問を提起する。

1. 農業生産の減少の結果における食糧不足

2. 洪水や干ばつの結果の真水の利用可能性と質の劣化

3. 海氷や暴風の結果の戦略上重要な鉱物資源への入手の分断

突発的気候変動の場合には、食料、水、エネルギーの強制が第一に経済問題を通り越して政治的に行われるかもしれない。そして外交上は条約破棄及び通商禁止といった方法を採るかもしれない。時間がたつにつれて土地と水をめぐる争いはより厳しく乱暴になるだろう。そしてますます絶望的な状態になるので、交戦の為の圧力は増大するだろう。

生存収容力の減少

このグラフは突発的気候変動(気候ジャンプ)が、生態系の変化によって(人類の生存する為の)資源の不足から戦争を誘発して生存収容力を減少させることを示唆している。今日、地球そしてその自然生態系が人類社会の経済文化システムをサポートしておりこの惑星が養いうる生存収容力には限りがあるという現実に(我々人類は)世界中で挑戦されようとしているのだ。国際エネルギー機関によると、全世界の石油の需要はこれからの30年間に66%増大するとしている。しかし、どこがそれを供給するのか明確になっていない。きれいな水は、世界中の多くの地域で同様に強奪されるだろう。

(今現在でも)世界では8億1500万人の人々が生存するのに不十分な状態に置かれており、このような状態の地球は(既に)我々を生存させる生存収容力を失っている。(すなわち地球には)我々の生存を支える充分な天然資源が(既に)ない事を意味している。全地球の生態系を管理する手段としての可能性のある多くの技術開発、 如何にも技術進歩が時とともに生存収容力を増進しているように見える。世紀を超えて、我々はより多くの食料を生産する方法や、エネルギー、水の供給を確保する方法を学習した。

しかし、この筋書きで概略を述べられたような危機に直面するとき、新しい科学技術の潜在力は充分効力があるのだろうか?

突発的気候変動は、(科学技術による対応策による)生存収容力増進の試みを打ち砕き、まさしく地球の生存収容力は限界を超える危機的状態を招くかもしれない。そして、生存収容力が再編成されるような大自然の傾向や要求がある。突発的気候変動が全世界の生存収容力を低くする結果、食料や水、エネルギーをめぐって攻撃的な戦争が起こりそうだ。戦争による死者と同様に餓死、病死が人口減をもたらし、最終的には地球の生存収容力と再び釣りあるようになるだろう。生存収容力を地域や国家のレベルで見る場合、一部の国家は高い生存収容力を明白に持っていそうだ。

たとえば、アメリカ合衆国や西ヨーロッパは現在の彼らの人口サイズから考えると突発的気候変動に対してもっとも的確に対応できそうである。

この事が持つ者と持たない者との心理をより厳しい状況に押し上げるかもしれない。即ち、高い生存収容力を持つこれらの国家へ怒りが向けられるという事だ。

その事は、金持国家はより多くのエネルギーを消費する傾向があり、より多くのCO2といった温室効果ガスを大気中に排出してきた事に対して、指差し非難するに至るかもしれない。CO2排出と気候変化との因果関係が科学的に証明されているかどうかが重要なのではなく、国家が遭遇している知覚された現実が重要なのだ。

生存収容力と戦争状態との関連

Steven LeBlanc と言うハーバード大学の考古学者が生存収容力「Carrying Capacity」と名付けた新刊書で生存収容力と戦争との関係を描写している。

豊富な考古学のまた民俗学のデータを基にして、LeBlancは、歴史的に人類は多種多様な理由により組織的な戦争状態を起こしてきたが、その中に資源や環境の争奪が原因の戦争状態があった事はたしかであると主張している。

人類は彼らの持っている自然環境の生存収容力を勝ち取る為に戦う。

狩猟民族/農耕民族の略奪者、権力者、から初期の複合社会が成立する過程で、戦争は起こり、人口の25%の成人男性は死んだ。生存収容力が上がったときに平和はやって来た。

即ち、農業技術が発明された時がそうであり、効率的な官僚政治が新たに起こったときがそうであり、遠方との貿易が可能となったときがそうであり、科学技術が発展した時がそうだ。また、大きな時間目盛りで捉えてみた場合、例えば疫病は長時間の後、死または再生を作り出す。ヨーロッパは主要な疫病によってそうだった。また北米の原住民はヨーロッパから持ち込まれた疫病によって抹殺された。(ジェームズダウン植民地の失敗とプリマスロック植民地の成功との違いもそうだ)

しかし、このような穏やかな期間は短命だ。なぜならば生存収容力が押し上げる為人口はもう一度急激に増加するからである。

まあ、1000年間単位では、ほとんどの社会は、彼らの戦争を行う能力に従って彼ら自身明確にします。そして戦士文化は深く染み込んでいるようになる。最も闘争的な社会は、残存するものなのである。

しかし、過去3世紀について、LeBlancは指摘する。たとえ個々の軍事および大虐殺が一定規模においてより大きくなったとしても、高度な国は、着実に死者数を低くした。伝統的な彼らの敵国をすべて虐殺する方法ではなく、国家は勝利を得るのに充分なだけ殺し、そして、それから彼らの新たに拡張された経済圏における仕事をさせる生存者を残したのである。国家はまた、彼ら自身の官僚組織を使って、生存収容力を高める先端技術や国家間がより念入りな国際協調を結ぶような国際的取り決めを作ろうとしている。

すべてのこれら進歩している行いが崩壊してしまったとしたら、至る所で生存収容力は突発的気候変動によって突発的に徹底的に低められるだろう。

人間性は減少する資源のために人間性本来の標準的な恒常的戦争状態に戻ってしまうだろう。そして長期的には戦争自身が気候の影響をはるかに超えて資源の減少をもたらす事だろう。もう一度、戦争状態は人類の生存を限定することになるだろう。

<気候変動からの帰結としての衝突シナリオ>

〜2010-2020〜

2012: 厳しい旱魃と寒冷化は北欧人たちを南方へ押し出し、EUから押し返される。

2015: 食料及び水供給に端を発した小衝突と国家間の緊張がEU域内で起こる。

2018: ロシアはエネルギー供給者としてEUに加わる。

2020: スペインおよびイタリアへオランダおよびドイツのような北国から移住する。

2010: バングラデッシュ、インド、中国との間で国境を巡って小競り合いと衝突が起こり、大量の住民がビルマへ向けて移動する。

2012: 地域の不安定性に対処する為、日本はその企画能力を軍事展開指揮する。

2015: シベリアとサハリンのエネルギー資源に関して日本とロシアとの間に戦略上重要な協定が結ばれる。

2018: 中国は反逆者犯罪人により定期的に分断されたパイプラインを守る為、カザフスタンに侵攻する。

2010: 水に関する合衆国とカナダ、メキシコとの間の意見の相違は緊張を増す。

2012: カリブ海の島々からアメリカ合衆国南東部及びメキシコへ避難民の洪水が押し寄せる。

2015:(大部分は金持の)ヨーロッパ人達がアメリカ合衆国へ移住する。

2016: 西欧諸国が漁業権をめぐって衝突する。

2018: 北アメリカの安定のためにアメリカ合衆国とカナダ、メキシコは安全保障同盟関係を結ぶ。

2020: 国防総省はカリブ人およびヨーロッパ人の避難民の為、国境を管理する。

〜2020-2030〜

2020: 海を越えて渡ってくる移住者との小競り合いが頻発。

2022: フランスとドイツとの間にライン川の商業利用権をめぐって小競り合いが起こる。

2025: EUは崩壊に近づく。

2027: アルジェリア、モロッコ、エジプト、イスラエルと言った地中海諸国への移住がますます増大。

2030: 10%近くのヨーロッパ人の人口は異なる国々へ移住。

2020: 南東アジアは絶え間ない衝突状態となる:ビルマ、ラオス、ベトナム、中国

2025: 中国の国内の状態は、内戦、および境界戦争に至り、劇的に悪化。

2030: ロシアのエネルギーを巡って中国と日本との間に緊張が高まる。

2020: ペルシャ湾、カスピ海での衝突が石油供給を脅かす為、石油価格が高騰。

2025: サウジアラビアの国内問題を発端として中国及びアメリカ合衆国の海軍は港(ペルシャ湾)を巡り直接対決。

この図表は気候変動と軍事との密接な関係についての幾つかの可能性の概要だけを記したものである。気候変動の結果として起こる突然の生存収容力の減退による最もありそうな反応は大きく2分類される。

それは即ち防御するか攻撃するかだ。

アメリカ合衆国とオーストラリアの方策は彼らの国の周りをあたかも防御要塞とする。

何故ならばこれらの国々は自給自足できる資源と資産を持っているからだ。さまざまな気候に変化していく中でも、富や科学技術、豊富な資源はアメリカ合衆国を悲劇的な損失なしで厳しい気候状態により周期的に成長を減じられたとしても生き延びる事が可能である。カリブ海から(特に厳しい問題を持った)、メキシコや南アメリカからの必要とされない飢えた移住者を押しとどめる為に国の周り全体の国境は厳重にされることになる。エネルギー供給は(経済上、政治上、道徳上)高価な代償を通して支えられることになる。エネルギー供給の選択肢とは原子力、水素エネルギー、そして中東との契約の継続だ。

漁業権の面倒な小競り合いを超えて、農業援助、災害援助は普通に行われるだろう。

アメリカ合衆国とメキシコとの間の緊張が増し、アメリカ合衆国はコロラド川からの水の流れを保障する1944年の条約を取り消す。交替労働者は東海岸の南部に沿っての洪水と内陸部の激しい乾燥状態に対応するために動員されるだろう。

しかし、この続けざまの非常事態でさえ、他の国々に比較するとアメリカ合衆国は充分幸せな立場だといえる。国家が直面する手に負えない問題は世界中で起こる軍事的緊張を静める事につながる。突発的気候変動によりもたらされる凶作、疫病、気象災害の襲来のため、多くの国々はその本来の生存収容力を失い、生存需要を満たす事が出来なくなる。この事は自暴自棄の意思を作り出す事になるだろう。

それは優位を取り戻す為の攻撃的な侵略行為をもたらすだろう。

東ヨーロッパ諸国は食料、水、エネルギーの供給が落ち、彼らの国民を生存させる事に奮闘していると想像される。そして彼ら東欧諸国はすでに人口が衰退しているロシアに注意深く目を向け、穀物、鉱物、及びエネルギー供給を受けようとする。

あるいは、日本の状況は沿岸都市が洪水により被害を受け、真水供給設備が汚染され、海水脱塩工場及び農業生産強化の為のエネルギー源としてサハリンの石油及び天然ガスに注意深く目を向けているかもしれない。すべて核武装しているパキスタン、インド、中国の国境での避難民が川の水や耕地を巡って起こす小競り合いを想像してください。

スペインとポルトガルの漁民は、漁業権をめぐって実際に海上で武力衝突するだろう。

そして、アメリカ合衆国を含む国々は彼らの国境をより完全なものにする。

200以上の川の流域は多数の国家に面しているので、飲料水を引き込み輸送する為に衝突が起こるであろう事を我々は予想する事ができる。

ドナウ川は12の国家に属している。ナイル川は9つの国家を流れ、アマゾン川は7つの国家を流れている。

このシナリオで、我々は、都合よい同盟国を予想することができる。アメリカ合衆国とカナダは国境管理を簡単にして1国になるかもしれない。あるいは、カナダは、アメリカの引き起こすエネルギー問題に対する為、その水力発電能力を自国に保っておくようにする可能性もある。

北朝鮮と韓国は、1つの専門的博識、即ち核武装させた実体を作るために、提携するかもしれない。ヨーロッパは攻撃者からの保護を考慮に入れて、ヨーロッパ人の国家間で移住問題を抑制する統一されたブロックとしての役目をはたすかもあいえない。

その豊富な鉱物、石油、天然ガスをもつロシアは、ヨーロッパに加わる可能性もある。

この世界の闘争する国々では原子力兵器の拡散は不可避。

寒冷化が需要を押し上げるので、現存する炭化水素の供給は薄く張り詰められる。エネルギー供給の不足により、入手する必要性が増大し、核エネルギーは決定的な力の源となる可能性がある。そしてこれは各々の国家の国家安全保障を隔日にする為、核濃縮技術及び核再処理能力開発を促し核兵器は拡散することになる。

中国、インド、パキスタン、日本、韓国、グレート・ブリテン、フランス、およびドイツはすべて核兵器能力を持つだろう。それに、イスラエル、イラン、エジプト、および北朝鮮もすべて同様になる。軍事的政治的緊張、即ち時折の小競り合いから戦争の脅威、これらを管理する事は一種の挑戦となるだろう。

日本といった国、即ちたくさんの社会的選択肢をもっており政府がその行政手法を変えるときにその人口を有効に活用出来る意味において、このような国は多分もっとも幸運だと言えるだろう。その多様性が故に既に衝突を生じている、インド、南アフリカ、インドネシアのような国々は、規律を維持する問題が生じることになる。

資源入手可能性と適応性が鍵となるだろう。

おそらくもっとも挫折感を引き起こす事とは、我々人類にとってどのくらいの期間それが続くのかを予測できないことだ。即ち、突発的気候変動への挑戦が、気候変化シナリオへの突入からいつまで続くのか、何年続くのか、つまり、10年間か、100年間か、1000年間かということであり、熱塩循環が新たにスタートを始め、温暖化した元の気候状態になるまで生き残っていられるのかと言う不安である。生存収容力が突発的に低下したとき、文明は今日では想像できない新しい挑戦に直面することになる。

これは本当に起こるのだろうか?

世界的にもっとも格式がある組織の海洋、大地、大気に関する何人かの科学者達は、過去10年間に渡った新しい証拠を暴露した。そしてその証拠は、ほとんどの科学組織が主張していた事より、またおそらくすべての政治的組織が準備していたよりも、厳しく急激な気候変動が起こる可能性が非常に高い事を示唆している。もしその事が起これば、この驚くべき現象は一般的に知られた漸次の地球温暖化傾向を中断させるだろう。

そして古気象学の証拠はこのような突発的気候変動が近い将来始まる事を示唆している。

Woods Hole海洋学研究所は、北大西洋を囲む海が過去40年間を通じて塩分濃度が減少した事を、そして北大西洋の深海の塩分濃度が次々と減少しつつある事を報告している。この傾向は大洋循環が崩壊または減速し突発的気候変動が始まる事を意味している。

その証拠とは熱塩循環崩壊が差し迫ったかもしれないという事である。つまり、北大西洋は周囲の海がこの40年間を通じてあまり塩を含まなくなり、その為ますます淡水化していると言う事だ。1950年以来フェロー諸島岸の水路が運ぶ北欧海から大西洋に至る水流が減少している。北部大西洋深海の急激な淡水化が過去40年間に渡って起こっていた。

2 Adapted from I Yashayaev, Bedford Institute of Oceanography as seen in Abrupt Climate Change, Inevitable Surprises, National Research Council.

上記の2つのヘッドラインは、2001および2002に別々に自然マガジンに載りました。これらは、北大西洋の塩分水準が低下し、熱塩循環が崩壊する見込みを増やしている事を示唆している。地質学の記録の中に少なくとも8回の突発的気候変動があった。

それは以下のような質問事項を提起する。

:それは何時起こるのですか?

:そのことにより何に影響が出るのですか?

:そして、我々はその事にどのような方策で対処すれば良いのですか?

:もっともそれより、そのことは本当に起こるのですか?

我々は歴史がまた同じ事を繰り返すためそれへの準備をすべきなのだろうか?

気候変化による人間活動への影響について世界中の新聞で討論がある。経済的繁栄がエネルギー使用と温室効果ガスの排気と関連させられている為、それはしばしば経済進歩が気候変動を誘発したのだと主張されている。色々な証拠は、人間活動が気候変動を生じさせるであろう事を確かに示唆している。それにもかかわらず、気候変動は現実に目に見える形で現代社会に起ころうとしている。

地球環境の人間への影響を理解する事は重要である。それとともに、何が加速したか減速したか、(あるいはおそらく逆回転したか)を気候変動の傾向として理解する事もまた重要なのである。燃料や温室効果ガスの排出抑制及び省エネ努力はどちらか一方やってみる価値はある。さらに我々は突発的気候変動による不可避の影響の為の準備をすべきなのである。すなわち、人間活動の努力にもかかわらず突発的気候変動は、おそらく、やって来る。

ここに突発的気候変動(気候ジャンプ)に対応する為のアメリカ合衆国が準備すべき幾つかの勧告がある。 :

1) 予測する為の気候モデルの改良

さらに進んだ調査は行なわれるべきだ。その事により、より多くの信頼性が気候変動予測に対して生じる。海洋パターンと気候変動との間の関係についてより深い理解を得る必要性がある。この調査は歴史上の、現在の、将来の軍事力にも焦点を当てるべきだ。

そしてまたその目標は突発的気候変動への理解を進める事だ。即ち、どのようにそれは起こり、どのように我々はそれが起こっている事を知るのかという事だ。

2) 気候変化モデルが予測する包括的な影響についての情報を収集してください。

実質的な調査は、突発的気候変動(気候ジャンプ)が自然生態に対して、経済に対して、社会に対して、政治に対してどのような影響を及ぼすかを調べる必要がある。

洗練されたモデルおよびシナリオは、可能なかぎり局所的な状態を予期するために、開発されるべきだ。システムは、気候変動が社会上の、経済上の、そして政治上の全体的な状態にどのように衝撃を与えるかを明らかにするために、作り出されるべきである。

これらの分析結果は実際に衝突が起こる前にそれを軽減する潜在的情報源として利用する事ができる。

3) もろさの測定基準

測定基準は国家がもつ気候変動より受ける衝撃へのもろさを理解するために作られるべきだ。測定基準は、生存する為の農業、水、鉱物資源:技術力:社会の団結力、社会の適応性、これらを含むかもしれない。

4) 後悔のない戦略

後悔のない戦略とは、食料供給、水の供給について信頼できる入手手段を確実にするよう識別して実施することだ。そしてそれが国家安全保障を確実にする事なのである。

5) 適応反応のリハーサル

適応反応の為の組織は設立されるべきだ。それは不可避の気候変動が迫っている事を演説し用意させる為である。すなわち、大規模な移住や病気、感染症の発生、食料及び水の不足に対応する為なのだ。

6) 局所的な連座(密接な関係)の調査

気候変動の最初の影響は局所的です。一方、我々は変化に対してあらかじめ手を打つ事が可能である。それは害毒が優勢で、厳しく、かつ農業生産性が変化してもだ。

(観察者の)一人はとても明確に位置を特定するように観察する必要があり、害毒がもたらす懸念を熟知していて、作物や地域が傷つきやすく、またどのくらい厳しく影響を受けるであろうかを見つけ出すべきである。このような分析は特に戦略上重要な食糧生産に関わる地域で引き受けられるべきである。

7) 気候を制御する地球科学の選択肢の調査

今日、それは気候を寒冷化させるよりも温暖化させるほうがより簡単である。そして、それは寒冷化した大気に(hydrofluorocarbonsのような)様々なガスを加えることにより可能だろう。このような行為はもちろん注意深く研究されるべきだ。

<結論>

10年間以内に差し迫った突然の気候変化の証拠がはっきりして、信頼できるようになることが事実上明確である。我々のモデルがもっと我々が成り行きを予測できるようにすることが、同様に可能だ。この出来事において、アメリカ合衆国が必要とするで、あろう緊急措置を実施する事により、かなりの衝撃を軽減できる。外交上の取り組みにより、特にカリブ海諸国、アジア諸国に対して、これら地域に潜伏している地域衝突の危険性を最小限にする必要性がある。

しかしながら、このシナリオから大規模な人口移動は不可避。

これらの人口がどのように処理されるかを知れば、これら避難民が起因して起こす国境の緊張は決定的だろう。新しい形式の安全保障条約はエネルギー、食料、水、の必要性を明確に取り扱うものとなる。

要するに、合衆国がそれ自身で比較的暮らしが楽であり、より多くの適応できる収容力をもつだろうとしても、世界全体としてその事を見た場合、ヨーロッパの内部では苦悩があり莫大な数の避難民がその海岸線を埋め尽くし、同じようにアジアにおいては食料と水を巡る決定的な危機が存在する。混乱および争いは、生存する上での風土的特徴となるだろう。

海洋熱塩循環

この研究によれば、気温がある閾値を越えると、突然10年間に3〜6℃の速度で気温が下がり始め、それが長期間続くことがあると言う。例えば、8,200年前に海洋熱塩循環が崩壊した時には寒冷な気候が約1世紀続いた。極端なのは12,700年前のヤンガードライアス期でこの時は1000年続いた。

8,200年前の気候変化

・毎年平均気温がアジア・北アメリカで2.8℃、北ヨーロッパで3.6℃下がった。

・毎年平均気温がオーストラリア、南アメリカ、南アフリカで2.2℃上がった。

・ヨーロッパ、アメリカ東北部では旱魃が10年間続いた。

・冬の嵐が起った。

・西ヨーロッパと北太平洋では風が強く吹いた。

このように気候が突然変わると、争いが起き易く戦争になることもある。

1.農業生産が減ることによる食糧不足。

2.洪水と旱魃が頻発することによる上水の不足。

3.海の凍結と嵐によるエネルギー不足。

資源のある国はその資源を守るために守りを固める。ない国は近くの仲の悪かった国の資源を強奪しようとする。宗教、イデオロギー、国の名誉よりも生存するための資源が重要になる。米国は次のような対策を取るべきだ。

・天気予報の改善。

・突然気候が変わった時に食料、水、エネルギーにどのような影響が出るかを予測する。

・気候変動に最も弱い国を予想する。その国は暴力的になるかもしれない。

・今何をしておけば後悔しないで済むかを明らかにする(水管理など)。

・柔軟な対処ができるように演習する。

・近隣諸国との友好。

・気候をコントロールする方法の開発。

近年北大西洋では過去40年間に、氷河の解凍、雨量の増大、水の流出により海水の塩分が減っている。これは海洋熱塩循環を遅らせる可能性がある。
来るべき地球寒冷化の可能性を考える(2)
Opinion
9月
22
2012
〜米国のペンタゴンレポート2003年の衝撃の中身〜

(2)

もう一方の南半球シナリオ

南半球の気候力学については少なからず不確実性がある。それは主として北半球に比べて利用できる古気候学のデータがあまりないためだ。

南半球の主要な地域の気候様式は北半球のそれに従えば寒冷化乾燥化するだろう。

即ち気候システムが熱力学の法則により釣り合いを取るように働き、暑さは回帰線から北半球へ流れ反対に南半球は寒冷化乾燥化する。

(それとも)二者択一的に、気候システムのバランスから北半球の寒冷化が南半球の温暖化、降水量暴風雨の増進に至るかもしれない。つまり、温室効果ガスによる温暖化が海流(の変化)により閉じ込められることによりますます増進しそれが赤道地域からはなれて南半球を温暖化するということだ。

どちらにしても、突発的気候変動における気候変化は世界中の主要な人口密集地帯、増進地帯をほぼ同時に極端な気象状況にするであろう事は疑う余地がない。

2010年から2020年の地域状況

上記のグラフィックは、シナリオで描写した気候様式の解釈を簡単に示している。

ヨーロッパ

気候変動の影響を最も激しく受ける。

つまり、10年間で年平均気温は華氏6度(摂氏3.4度)低下し、特に北西海岸に沿った地域では極めて劇的な変化となる。北西ヨーロッパの気候はまさにシベリアのように寒冷化、乾燥化、暴風化します。南ヨーロッパの変化はより僅かだが、それでも鮮明な断続する寒冷化、急激な温度変化にさらされる。

ヨーロッパの至る所で降水量が減少しそれが原因で土地が枯れ食料の供給が不足しだすだろう。ヨーロッパはスカンジナビアや北ヨーロッパの国民が暖かさを求めて移住してくることや同様にアフリカやその他の地域でひどい打撃を受けて移住してくる人たちとの間で問題が多発しだすだろう。

アメリカ合衆国

寒冷化、暴風化、乾燥化はアメリカ合衆国の至る所で食物生産期間の短縮と食物生産量の減少を起こすだろう。特に合衆国の西南地域は乾燥化が長引く。砂漠地帯はますます増大する暴風に直面する。その一方で農業地帯は強風及び大地の乾燥化がおこり耕地の損失に悩まされる。

気候の乾燥化は特に南部の州で顕著だろう。沿岸地帯は温暖化時代と同様に海岸線に沿って海水準が上昇する危険性を継続して受ける。アメリカ合衆国は内政中心へとその政策を変換することになる。即ち、合衆国自身の人口を食べさせる為の資源を確保しその境界を支えて尚且つ世界の緊張の増進を管理するようになるだろう。

中国

巨大な人口が食料供給に対して高い必要性を持っている中国は季節風による降雨が規則性(信頼性)を無くすため激しく打撃を受けることになる。夏場の季節風による時折の降雨は歓迎されるものでした、しかし一般に土地が裸にされた為氾濫を招き破壊的な影響を出すようになったのである。より長くより寒い冬およびより暑く降水量が減少して乾燥化した夏は既に厳しいエネルギー供給、水供給に対して緊張を強いるものとなる。広範囲にわたる凶作は無秩序と本質的な苦闘の原因となり、冷淡で空腹な中国の民はロシアを横切って西方の境界のエネルギー資源を嫉妬深く見つめるようになる。

バングラデッシュ

不断の台風襲来と海水面上昇はかなりの沿岸を侵食する原因となる強襲する大波を引き起こす。そしてそれはバングラデッシュのほとんどを居住に適さないようになる。さらに進んで、上昇してくる海水面は内陸奥地の飲料水の供給源を塩水化汚染し人道的危機状態となる。大規模な移民が起こり、それが中国とインドの緊張状態の原因となり、そして彼ら自身が抱える国内的危機を処理する為奮闘し始めるだろう。

東アフリカ

ケニア、タンザニア、およびモザンビークは、わずかに暖かい天候となる。しかし、不断の旱魃にも直面することになる。乾いた状況に慣れているこれらの国々は気候が変化する状況にそれほど影響を及ぼされないだろう。しかし、彼らの食料供給は主要な穀物を製造する地域が困窮するにつれて食料供給の困難に直面するようになる。

オーストラリア

主要な食料供給者であるオーストラリアは世界中の食料を供給しようと努力することになる。その農業は気候の変化がそれほどでなく厳しい衝撃をあたえられないだろう。

天然資源への衝撃

気候様式の変更と海洋温度の変化は農産物、水産物、野生動物、水、およびエネルギーに影響を及ぼす。作物の産出量は気温と水のストレスと同じようにその作物が生長している期間が10-20%減少することに影響される。

そしてまた、そのことはどの地域が温暖化から寒冷化する傾向にあるかを予測し得ない。いく種類かの農業病害虫は気温変化のために死にますが、他の種類は乾燥化強風化のために簡単に拡大するだろう。つまり、代わりの殺虫剤をもちい取扱を厳しく統制することが必要になる。一般的に特定地域に漁業権を持っている商業漁民達は彼らの獲物が大規模な移動をする為漁業装備を整えなおす災難に見舞われる。

世界において(アメリカ合衆国、オーストラリア、アルゼンチン、ロシア、中国、インド)この地域はたった5ないし6種類の穀物を栽培している状態であり、一部の地域での気象条件が悪化した場合世界的な食料の差引勘定からの余剰は不十分となる。世界の経済上の相互互助制度は、局所的な気候の変化によって引き起こされた主要な農産物の経済上の混乱および世界の人口数が多すぎる事により、ますますアメリカ合衆国を窮地に陥れる。悲劇的な水とエネルギーの不足は-それは今日現在でも世界中で言われていることだが-迅速に克服されるはずはない。

国家安全保障への衝撃

人類文明は地球の気候が安定化温暖化することにより始まった。気候の不安定な寒冷化は人類が農業を発展させずに頻繁な移住をする必要性を促した。ヤンガードリアスの終了時点で気候が温暖化安定化し、その後、人類は農業のリズムと気候が生産力を維持するような場所に定住することを学んだのである。

現代文明はこのシナリオで概略述べたような絶え間ない混乱した気候状態を経験したことがない。結果として、この報告書で概略述べた国家安全保障との密接な関係は単に仮説にとどまる。

実際の衝撃は気候状態への認識の仕方、人間の適応性、政策立案者の方策によっては非常に異なることだろう。

突然の気候変化によって引き起こされるで、あろう緊張した暴力的混乱状況は今日我々が慣れている国家安全保障への脅威とは異なるタイプだ。

軍事的な対決は、イデオロギー、宗教、国家的栄誉の争いではなく、エネルギーや食料や水といった天然資源に対する絶望的な必要性から引き起こされるかも知れない。立ち向かう為の動機付けを誘発する為には国家は安全保障の脅威を現存する警告としてもっと社会が敏感になるようにする事だろう。

各国が争う事の調査として資源強制と自然環境挑戦への長く続く学研的範囲をこえた討論がある。ところで、何人かの人は、国家は単独で2国間がお互いに攻撃するようにできると信じている一方で、他のものはそれらの主要な影響が先に存在している国家のグループに対してその国家間での争いを誘発すると主張している。

とにかく、厳しい環境問題が世界的な争いへとエスカレートするであろう事を、否定できない。共同観察者と大統領によって設立された太平洋の環境と安全保障に関する研究開発組織のピーターグリックは突発的気候変動(気候ジャンプ)により当惑される国家安全保障に関して3つの基本的な挑戦しなければならない難問を提起する。

1. 農業生産の減少の結果における食糧不足

2. 洪水や干ばつの結果の真水の利用可能性と質の劣化

3. 海氷や暴風の結果の戦略上重要な鉱物資源への入手の分断

突発的気候変動の場合には、食料、水、エネルギーの強制が第一に経済問題を通り越して政治的に行われるかもしれない。そして外交上は条約破棄及び通商禁止といった方法を採るかもしれない。時間がたつにつれて土地と水をめぐる争いはより厳しく乱暴になるだろう。そしてますます絶望的な状態になるので、交戦の為の圧力は増大するだろう。

生存収容力の減少

このグラフは突発的気候変動(気候ジャンプ)が、生態系の変化によって(人類の生存する為の)資源の不足から戦争を誘発して生存収容力を減少させることを示唆している。今日、地球そしてその自然生態系が人類社会の経済文化システムをサポートしておりこの惑星が養いうる生存収容力には限りがあるという現実に(我々人類は)世界中で挑戦されようとしているのだ。国際エネルギー機関によると、全世界の石油の需要はこれからの30年間に66%増大するとしている。しかし、どこがそれを供給するのか明確になっていない。きれいな水は、世界中の多くの地域で同様に強奪されるだろう。

(今現在でも)世界では8億1500万人の人々が生存するのに不十分な状態に置かれており、このような状態の地球は(既に)我々を生存させる生存収容力を失っている。(すなわち地球には)我々の生存を支える充分な天然資源が(既に)ない事を意味している。全地球の生態系を管理する手段としての可能性のある多くの技術開発、 如何にも技術進歩が時とともに生存収容力を増進しているように見える。世紀を超えて、我々はより多くの食料を生産する方法や、エネルギー、水の供給を確保する方法を学習した。

しかし、この筋書きで概略を述べられたような危機に直面するとき、新しい科学技術の潜在力は充分効力があるのだろうか?

突発的気候変動は、(科学技術による対応策による)生存収容力増進の試みを打ち砕き、まさしく地球の生存収容力は限界を超える危機的状態を招くかもしれない。そして、生存収容力が再編成されるような大自然の傾向や要求がある。突発的気候変動が全世界の生存収容力を低くする結果、食料や水、エネルギーをめぐって攻撃的な戦争が起こりそうだ。戦争による死者と同様に餓死、病死が人口減をもたらし、最終的には地球の生存収容力と再び釣りあるようになるだろう。生存収容力を地域や国家のレベルで見る場合、一部の国家は高い生存収容力を明白に持っていそうだ。

たとえば、アメリカ合衆国や西ヨーロッパは現在の彼らの人口サイズから考えると突発的気候変動に対してもっとも的確に対応できそうである。

この事が持つ者と持たない者との心理をより厳しい状況に押し上げるかもしれない。即ち、高い生存収容力を持つこれらの国家へ怒りが向けられるという事だ。

その事は、金持国家はより多くのエネルギーを消費する傾向があり、より多くのCO2といった温室効果ガスを大気中に排出してきた事に対して、指差し非難するに至るかもしれない。CO2排出と気候変化との因果関係が科学的に証明されているかどうかが重要なのではなく、国家が遭遇している知覚された現実が重要なのだ。

生存収容力と戦争状態との関連

Steven LeBlanc と言うハーバード大学の考古学者が生存収容力「Carrying Capacity」と名付けた新刊書で生存収容力と戦争との関係を描写している。

豊富な考古学のまた民俗学のデータを基にして、LeBlancは、歴史的に人類は多種多様な理由により組織的な戦争状態を起こしてきたが、その中に資源や環境の争奪が原因の戦争状態があった事はたしかであると主張している。

人類は彼らの持っている自然環境の生存収容力を勝ち取る為に戦う。

狩猟民族/農耕民族の略奪者、権力者、から初期の複合社会が成立する過程で、戦争は起こり、人口の25%の成人男性は死んだ。生存収容力が上がったときに平和はやって来た。

即ち、農業技術が発明された時がそうであり、効率的な官僚政治が新たに起こったときがそうであり、遠方との貿易が可能となったときがそうであり、科学技術が発展した時がそうだ。また、大きな時間目盛りで捉えてみた場合、例えば疫病は長時間の後、死または再生を作り出す。ヨーロッパは主要な疫病によってそうだった。また北米の原住民はヨーロッパから持ち込まれた疫病によって抹殺された。(ジェームズダウン植民地の失敗とプリマスロック植民地の成功との違いもそうだ)

しかし、このような穏やかな期間は短命だ。なぜならば生存収容力が押し上げる為人口はもう一度急激に増加するからである。

まあ、1000年間単位では、ほとんどの社会は、彼らの戦争を行う能力に従って彼ら自身明確にします。そして戦士文化は深く染み込んでいるようになる。最も闘争的な社会は、残存するものなのである。

しかし、過去3世紀について、LeBlancは指摘する。たとえ個々の軍事および大虐殺が一定規模においてより大きくなったとしても、高度な国は、着実に死者数を低くした。伝統的な彼らの敵国をすべて虐殺する方法ではなく、国家は勝利を得るのに充分なだけ殺し、そして、それから彼らの新たに拡張された経済圏における仕事をさせる生存者を残したのである。国家はまた、彼ら自身の官僚組織を使って、生存収容力を高める先端技術や国家間がより念入りな国際協調を結ぶような国際的取り決めを作ろうとしている。

すべてのこれら進歩している行いが崩壊してしまったとしたら、至る所で生存収容力は突発的気候変動によって突発的に徹底的に低められるだろう。

人間性は減少する資源のために人間性本来の標準的な恒常的戦争状態に戻ってしまうだろう。そして長期的には戦争自身が気候の影響をはるかに超えて資源の減少をもたらす事だろう。もう一度、戦争状態は人類の生存を限定することになるだろう。

<気候変動からの帰結としての衝突シナリオ>

〜2010-2020〜

2012: 厳しい旱魃と寒冷化は北欧人たちを南方へ押し出し、EUから押し返される。

2015: 食料及び水供給に端を発した小衝突と国家間の緊張がEU域内で起こる。

2018: ロシアはエネルギー供給者としてEUに加わる。

2020: スペインおよびイタリアへオランダおよびドイツのような北国から移住する。

2010: バングラデッシュ、インド、中国との間で国境を巡って小競り合いと衝突が起こり、大量の住民がビルマへ向けて移動する。

2012: 地域の不安定性に対処する為、日本はその企画能力を軍事展開指揮する。

2015: シベリアとサハリンのエネルギー資源に関して日本とロシアとの間に戦略上重要な協定が結ばれる。

2018: 中国は反逆者犯罪人により定期的に分断されたパイプラインを守る為、カザフスタンに侵攻する。

2010: 水に関する合衆国とカナダ、メキシコとの間の意見の相違は緊張を増す。

2012: カリブ海の島々からアメリカ合衆国南東部及びメキシコへ避難民の洪水が押し寄せる。

2015:(大部分は金持の)ヨーロッパ人達がアメリカ合衆国へ移住する。

2016: 西欧諸国が漁業権をめぐって衝突する。

2018: 北アメリカの安定のためにアメリカ合衆国とカナダ、メキシコは安全保障同盟関係を結ぶ。

2020: 国防総省はカリブ人およびヨーロッパ人の避難民の為、国境を管理する。

〜2020-2030〜

2020: 海を越えて渡ってくる移住者との小競り合いが頻発。

2022: フランスとドイツとの間にライン川の商業利用権をめぐって小競り合いが起こる。

2025: EUは崩壊に近づく。

2027: アルジェリア、モロッコ、エジプト、イスラエルと言った地中海諸国への移住がますます増大。

2030: 10%近くのヨーロッパ人の人口は異なる国々へ移住。

2020: 南東アジアは絶え間ない衝突状態となる:ビルマ、ラオス、ベトナム、中国

2025: 中国の国内の状態は、内戦、および境界戦争に至り、劇的に悪化。

2030: ロシアのエネルギーを巡って中国と日本との間に緊張が高まる。

2020: ペルシャ湾、カスピ海での衝突が石油供給を脅かす為、石油価格が高騰。

2025: サウジアラビアの国内問題を発端として中国及びアメリカ合衆国の海軍は港(ペルシャ湾)を巡り直接対決。

この図表は気候変動と軍事との密接な関係についての幾つかの可能性の概要だけを記したものである。気候変動の結果として起こる突然の生存収容力の減退による最もありそうな反応は大きく2分類される。

それは即ち防御するか攻撃するかだ。

アメリカ合衆国とオーストラリアの方策は彼らの国の周りをあたかも防御要塞とする。

何故ならばこれらの国々は自給自足できる資源と資産を持っているからだ。さまざまな気候に変化していく中でも、富や科学技術、豊富な資源はアメリカ合衆国を悲劇的な損失なしで厳しい気候状態により周期的に成長を減じられたとしても生き延びる事が可能である。カリブ海から(特に厳しい問題を持った)、メキシコや南アメリカからの必要とされない飢えた移住者を押しとどめる為に国の周り全体の国境は厳重にされることになる。エネルギー供給は(経済上、政治上、道徳上)高価な代償を通して支えられることになる。エネルギー供給の選択肢とは原子力、水素エネルギー、そして中東との契約の継続だ。

漁業権の面倒な小競り合いを超えて、農業援助、災害援助は普通に行われるだろう。

アメリカ合衆国とメキシコとの間の緊張が増し、アメリカ合衆国はコロラド川からの水の流れを保障する1944年の条約を取り消す。交替労働者は東海岸の南部に沿っての洪水と内陸部の激しい乾燥状態に対応するために動員されるだろう。

しかし、この続けざまの非常事態でさえ、他の国々に比較するとアメリカ合衆国は充分幸せな立場だといえる。国家が直面する手に負えない問題は世界中で起こる軍事的緊張を静める事につながる。突発的気候変動によりもたらされる凶作、疫病、気象災害の襲来のため、多くの国々はその本来の生存収容力を失い、生存需要を満たす事が出来なくなる。この事は自暴自棄の意思を作り出す事になるだろう。

それは優位を取り戻す為の攻撃的な侵略行為をもたらすだろう。

東ヨーロッパ諸国は食料、水、エネルギーの供給が落ち、彼らの国民を生存させる事に奮闘していると想像される。そして彼ら東欧諸国はすでに人口が衰退しているロシアに注意深く目を向け、穀物、鉱物、及びエネルギー供給を受けようとする。

あるいは、日本の状況は沿岸都市が洪水により被害を受け、真水供給設備が汚染され、海水脱塩工場及び農業生産強化の為のエネルギー源としてサハリンの石油及び天然ガスに注意深く目を向けているかもしれない。すべて核武装しているパキスタン、インド、中国の国境での避難民が川の水や耕地を巡って起こす小競り合いを想像してください。

スペインとポルトガルの漁民は、漁業権をめぐって実際に海上で武力衝突するだろう。

そして、アメリカ合衆国を含む国々は彼らの国境をより完全なものにする。

200以上の川の流域は多数の国家に面しているので、飲料水を引き込み輸送する為に衝突が起こるであろう事を我々は予想する事ができる。

ドナウ川は12の国家に属している。ナイル川は9つの国家を流れ、アマゾン川は7つの国家を流れている。

このシナリオで、我々は、都合よい同盟国を予想することができる。アメリカ合衆国とカナダは国境管理を簡単にして1国になるかもしれない。あるいは、カナダは、アメリカの引き起こすエネルギー問題に対する為、その水力発電能力を自国に保っておくようにする可能性もある。

北朝鮮と韓国は、1つの専門的博識、即ち核武装させた実体を作るために、提携するかもしれない。ヨーロッパは攻撃者からの保護を考慮に入れて、ヨーロッパ人の国家間で移住問題を抑制する統一されたブロックとしての役目をはたすかもあいえない。

その豊富な鉱物、石油、天然ガスをもつロシアは、ヨーロッパに加わる可能性もある。

この世界の闘争する国々では原子力兵器の拡散は不可避。

寒冷化が需要を押し上げるので、現存する炭化水素の供給は薄く張り詰められる。エネルギー供給の不足により、入手する必要性が増大し、核エネルギーは決定的な力の源となる可能性がある。そしてこれは各々の国家の国家安全保障を隔日にする為、核濃縮技術及び核再処理能力開発を促し核兵器は拡散することになる。

中国、インド、パキスタン、日本、韓国、グレート・ブリテン、フランス、およびドイツはすべて核兵器能力を持つだろう。それに、イスラエル、イラン、エジプト、および北朝鮮もすべて同様になる。軍事的政治的緊張、即ち時折の小競り合いから戦争の脅威、これらを管理する事は一種の挑戦となるだろう。

日本といった国、即ちたくさんの社会的選択肢をもっており政府がその行政手法を変えるときにその人口を有効に活用出来る意味において、このような国は多分もっとも幸運だと言えるだろう。その多様性が故に既に衝突を生じている、インド、南アフリカ、インドネシアのような国々は、規律を維持する問題が生じることになる。

資源入手可能性と適応性が鍵となるだろう。

おそらくもっとも挫折感を引き起こす事とは、我々人類にとってどのくらいの期間それが続くのかを予測できないことだ。即ち、突発的気候変動への挑戦が、気候変化シナリオへの突入からいつまで続くのか、何年続くのか、つまり、10年間か、100年間か、1000年間かということであり、熱塩循環が新たにスタートを始め、温暖化した元の気候状態になるまで生き残っていられるのかと言う不安である。生存収容力が突発的に低下したとき、文明は今日では想像できない新しい挑戦に直面することになる。

これは本当に起こるのだろうか?

世界的にもっとも格式がある組織の海洋、大地、大気に関する何人かの科学者達は、過去10年間に渡った新しい証拠を暴露した。そしてその証拠は、ほとんどの科学組織が主張していた事より、またおそらくすべての政治的組織が準備していたよりも、厳しく急激な気候変動が起こる可能性が非常に高い事を示唆している。もしその事が起これば、この驚くべき現象は一般的に知られた漸次の地球温暖化傾向を中断させるだろう。

そして古気象学の証拠はこのような突発的気候変動が近い将来始まる事を示唆している。

Woods Hole海洋学研究所は、北大西洋を囲む海が過去40年間を通じて塩分濃度が減少した事を、そして北大西洋の深海の塩分濃度が次々と減少しつつある事を報告している。この傾向は大洋循環が崩壊または減速し突発的気候変動が始まる事を意味している。

その証拠とは熱塩循環崩壊が差し迫ったかもしれないという事である。つまり、北大西洋は周囲の海がこの40年間を通じてあまり塩を含まなくなり、その為ますます淡水化していると言う事だ。1950年以来フェロー諸島岸の水路が運ぶ北欧海から大西洋に至る水流が減少している。北部大西洋深海の急激な淡水化が過去40年間に渡って起こっていた。

2 Adapted from I Yashayaev, Bedford Institute of Oceanography as seen in Abrupt Climate Change, Inevitable Surprises, National Research Council.

上記の2つのヘッドラインは、2001および2002に別々に自然マガジンに載りました。これらは、北大西洋の塩分水準が低下し、熱塩循環が崩壊する見込みを増やしている事を示唆している。地質学の記録の中に少なくとも8回の突発的気候変動があった。

それは以下のような質問事項を提起する。

:それは何時起こるのですか?

:そのことにより何に影響が出るのですか?

:そして、我々はその事にどのような方策で対処すれば良いのですか?

:もっともそれより、そのことは本当に起こるのですか?

我々は歴史がまた同じ事を繰り返すためそれへの準備をすべきなのだろうか?

気候変化による人間活動への影響について世界中の新聞で討論がある。経済的繁栄がエネルギー使用と温室効果ガスの排気と関連させられている為、それはしばしば経済進歩が気候変動を誘発したのだと主張されている。色々な証拠は、人間活動が気候変動を生じさせるであろう事を確かに示唆している。それにもかかわらず、気候変動は現実に目に見える形で現代社会に起ころうとしている。

地球環境の人間への影響を理解する事は重要である。それとともに、何が加速したか減速したか、(あるいはおそらく逆回転したか)を気候変動の傾向として理解する事もまた重要なのである。燃料や温室効果ガスの排出抑制及び省エネ努力はどちらか一方やってみる価値はある。さらに我々は突発的気候変動による不可避の影響の為の準備をすべきなのである。すなわち、人間活動の努力にもかかわらず突発的気候変動は、おそらく、やって来る。

ここに突発的気候変動(気候ジャンプ)に対応する為のアメリカ合衆国が準備すべき幾つかの勧告がある。 :

1) 予測する為の気候モデルの改良

さらに進んだ調査は行なわれるべきだ。その事により、より多くの信頼性が気候変動予測に対して生じる。海洋パターンと気候変動との間の関係についてより深い理解を得る必要性がある。この調査は歴史上の、現在の、将来の軍事力にも焦点を当てるべきだ。

そしてまたその目標は突発的気候変動への理解を進める事だ。即ち、どのようにそれは起こり、どのように我々はそれが起こっている事を知るのかという事だ。

2) 気候変化モデルが予測する包括的な影響についての情報を収集してください。

実質的な調査は、突発的気候変動(気候ジャンプ)が自然生態に対して、経済に対して、社会に対して、政治に対してどのような影響を及ぼすかを調べる必要がある。

洗練されたモデルおよびシナリオは、可能なかぎり局所的な状態を予期するために、開発されるべきだ。システムは、気候変動が社会上の、経済上の、そして政治上の全体的な状態にどのように衝撃を与えるかを明らかにするために、作り出されるべきである。

これらの分析結果は実際に衝突が起こる前にそれを軽減する潜在的情報源として利用する事ができる。

3) もろさの測定基準

測定基準は国家がもつ気候変動より受ける衝撃へのもろさを理解するために作られるべきだ。測定基準は、生存する為の農業、水、鉱物資源:技術力:社会の団結力、社会の適応性、これらを含むかもしれない。

4) 後悔のない戦略

後悔のない戦略とは、食料供給、水の供給について信頼できる入手手段を確実にするよう識別して実施することだ。そしてそれが国家安全保障を確実にする事なのである。

5) 適応反応のリハーサル

適応反応の為の組織は設立されるべきだ。それは不可避の気候変動が迫っている事を演説し用意させる為である。すなわち、大規模な移住や病気、感染症の発生、食料及び水の不足に対応する為なのだ。

6) 局所的な連座(密接な関係)の調査

気候変動の最初の影響は局所的です。一方、我々は変化に対してあらかじめ手を打つ事が可能である。それは害毒が優勢で、厳しく、かつ農業生産性が変化してもだ。

(観察者の)一人はとても明確に位置を特定するように観察する必要があり、害毒がもたらす懸念を熟知していて、作物や地域が傷つきやすく、またどのくらい厳しく影響を受けるであろうかを見つけ出すべきである。このような分析は特に戦略上重要な食糧生産に関わる地域で引き受けられるべきである。

7) 気候を制御する地球科学の選択肢の調査

今日、それは気候を寒冷化させるよりも温暖化させるほうがより簡単である。そして、それは寒冷化した大気に(hydrofluorocarbonsのような)様々なガスを加えることにより可能だろう。このような行為はもちろん注意深く研究されるべきだ。

<結論>

10年間以内に差し迫った突然の気候変化の証拠がはっきりして、信頼できるようになることが事実上明確である。我々のモデルがもっと我々が成り行きを予測できるようにすることが、同様に可能だ。この出来事において、アメリカ合衆国が必要とするで、あろう緊急措置を実施する事により、かなりの衝撃を軽減できる。外交上の取り組みにより、特にカリブ海諸国、アジア諸国に対して、これら地域に潜伏している地域衝突の危険性を最小限にする必要性がある。

しかしながら、このシナリオから大規模な人口移動は不可避。

これらの人口がどのように処理されるかを知れば、これら避難民が起因して起こす国境の緊張は決定的だろう。新しい形式の安全保障条約はエネルギー、食料、水、の必要性を明確に取り扱うものとなる。

要するに、合衆国がそれ自身で比較的暮らしが楽であり、より多くの適応できる収容力をもつだろうとしても、世界全体としてその事を見た場合、ヨーロッパの内部では苦悩があり莫大な数の避難民がその海岸線を埋め尽くし、同じようにアジアにおいては食料と水を巡る決定的な危機が存在する。混乱および争いは、生存する上での風土的特徴となるだろう。

海洋熱塩循環

この研究によれば、気温がある閾値を越えると、突然10年間に3〜6℃の速度で気温が下がり始め、それが長期間続くことがあると言う。例えば、8,200年前に海洋熱塩循環が崩壊した時には寒冷な気候が約1世紀続いた。極端なのは12,700年前のヤンガードライアス期でこの時は1000年続いた。

8,200年前の気候変化

・毎年平均気温がアジア・北アメリカで2.8℃、北ヨーロッパで3.6℃下がった。

・毎年平均気温がオーストラリア、南アメリカ、南アフリカで2.2℃上がった。

・ヨーロッパ、アメリカ東北部では旱魃が10年間続いた。

・冬の嵐が起った。

・西ヨーロッパと北太平洋では風が強く吹いた。

このように気候が突然変わると、争いが起き易く戦争になることもある。

1.農業生産が減ることによる食糧不足。

2.洪水と旱魃が頻発することによる上水の不足。

3.海の凍結と嵐によるエネルギー不足。

資源のある国はその資源を守るために守りを固める。ない国は近くの仲の悪かった国の資源を強奪しようとする。宗教、イデオロギー、国の名誉よりも生存するための資源が重要になる。米国は次のような対策を取るべきだ。

・天気予報の改善。

・突然気候が変わった時に食料、水、エネルギーにどのような影響が出るかを予測する。

・気候変動に最も弱い国を予想する。その国は暴力的になるかもしれない。

・今何をしておけば後悔しないで済むかを明らかにする(水管理など)。

・柔軟な対処ができるように演習する。

・近隣諸国との友好。

・気候をコントロールする方法の開発。

近年北大西洋では過去40年間に、氷河の解凍、雨量の増大、水の流出により海水の塩分が減っている。これは海洋熱塩循環を遅らせる可能性がある。
http://www.yamamotomasaki.com/archives/1479
http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/663.html

[社会問題10] 世界共通の普遍的道徳規範とは 
世界共通の普遍的道徳規範とは
25.02.2019

Photo: dailyhunt.in

 オックスフォード大学の人類学研究グループは、普遍的道徳理論を世界60カ国で検証した結果、7つの普遍的な道徳的ルールを発見した。尊重されるべきその7つの道徳規範とは、@家族を助けること、A所属しているグループを助けること、B他人に恩恵を与えること、C勇敢であること、D上司に敬意を表すこと、E公平に資源を分かち合うこと、そしてF他人の財産を尊重することである。これらは世界中の60カ国の文化を調査した結果、普遍的であることがわかった(Currry et al., Current Anthropology online Feb. 08, 2019)。

オックスフォード大の人類学研究チームは600以上の情報源からの60万以上の単語を含む60の社会からの倫理の民族誌的記述を分析した。この研究は、これまでに実施された最大かつ最も包括的な道徳の異文化間調査となる。以前の調査でもこれらの道徳規範の一部は明らかにされていたが、大規模な調査は今回が初めてとなる。

 道徳に関する普遍主義者と相対主義者の議論は何世紀にもわたって継続されてきたが、この調査研究で7つの道徳的規範は文化を超えて普遍的であり、すべての人が共通の道徳的規範を共有していることが明らかになった。また同時に「道徳規範が進化して社会の協力を促進した」と考える理論の検証にもなった。

 「協力のための道徳」理論は、人々が家族に対して特別な責任感を感じる理由や近親相姦を嫌う理由を説明できるほか、相互主義が集団や連合を形成する原動力となることも理解できる。社会的交流が、私たちが他人を信頼し、好意を表彰し、罪悪感と感謝を感じ、償いをし、互いを許すこと、人々の寛大さ、自分の上位の人間への隷属、資源を公正な分配、他人の所有物を認めることなど様々な社会規範の理由となっているのである。

 調査によれば、これら7つの規範は、ほとんどの社会で見られ、これらをガイドラインとした協調行動が常に道徳的に良いと考えられ、これらの行動が道徳的に悪いと見なされた社会はなかった。この調査ではすべての社会は7つの基本的な道徳規範が、(優先順位付けは差が見られるものの)これらの道徳規範は大陸を越えても成立するため、普遍的規範とみなすことができる。

 このことはこの道徳規範を守りさえすれば、移民がどの国に行っても問題を起こすことはなさそうに思えるが、欧州の混乱や米国の不法移民をみると現実にはそうなっていないようにみえる。道徳規範の優先順位付けの問題というより、「協力のための道徳」に優先する因子が存在することが示唆されるが、我々がそれとどう共存していくかが問われる。
https://www.trendswatcher.net/211118/geopolitics/%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%85%B1%E9%80%9A%E3%81%AE%E6%99%AE%E9%81%8D%E7%9A%84%E9%81%93%E5%BE%B3%E8%A6%8F%E7%AF%84%E3%81%A8%E3%81%AF/


 
Is It Good to Cooperate? Testing the Theory of Morality-as-Cooperation in 60 Societies
Oliver Scott Curry, Daniel Austin Mullins, and Harvey Whitehouse
Oliver Scott Curry is Senior Researcher, Daniel Austin Mullins is Postdoctoral Researcher, and Harvey Whitehouse is Chair of Social Anthropology at the Institute of Cognitive and Evolutionary Anthropology, University of Oxford, 64 Banbury Road, Oxford OX2 6PN, United Kingdom (oliver.curry@anthro.ox.ac.uk).
SUBMITTED: May 13, 2016
ACCEPTED: Dec 22, 2017
ONLINE: Feb 08, 2019
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Abstract
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What is morality? And to what extent does it vary around the world? The theory of “morality-as-cooperation” argues that morality consists of a collection of biological and cultural solutions to the problems of cooperation recurrent in human social life. Morality-as-cooperation draws on the theory of non-zero-sum games to identify distinct problems of cooperation and their solutions, and it predicts that specific forms of cooperative behavior—including helping kin, helping your group, reciprocating, being brave, deferring to superiors, dividing disputed resources, and respecting prior possession—will be considered morally good wherever they arise, in all cultures. To test these predictions, we investigate the moral valence of these seven cooperative behaviors in the ethnographic records of 60 societies. We find that the moral valence of these behaviors is uniformly positive, and the majority of these cooperative morals are observed in the majority of cultures, with equal frequency across all regions of the world. We conclude that these seven cooperative behaviors are plausible candidates for universal moral rules, and that morality-as-cooperation could provide the unified theory of morality that anthropology has hitherto lacked.
Online enhancements: supplemental appendix
Anthropology has struggled to provide an adequate account of morality. In 1962, the philosopher Abraham Edel (1962) complained that “anthropology has not furnished a systematic concept [of morality]” (67), and has avoided “the problem of morality, what it is, what identifying marks are to be sought for it, and how to go about mapping it” (56). Four decades later, little had changed. The anthropologist James Laidlaw (2002) lamented:
There is no anthropology of ethics … there is no sustained field of enquiry and debate. There is no connected history we can tell ourselves about the study of morality in anthropology, as we do for a range of topics such as kinship, the economy, the state, or the body. (311; see also, Laidlaw 2013)
Fortunately, the situation is now beginning to change. In recent years, the study of morality has become the focus of a thriving interdisciplinary endeavor, encompassing research not only in anthropology, but also in evolutionary theory, genetics, biology, animal behavior, psychology, neuroscience, and economics (Haidt 2007; Shackelford and Hansen 2016; Sinnott-Armstrong 2007). A common view in this body of work is that the function of morality is to promote cooperation (Curry 2016; Greene 2015:40; Haidt and Kesebir 2010:800; Rai and Fiske 2011:59; Sterelny and Fraser 2016:981; Tomasello and Vaish 2013:231). This cooperative account has the potential to provide anthropology with the unified theory of morality it has hitherto lacked. However, previous cooperative accounts have been limited in two main ways.
First, previous accounts have focused on a relatively narrow set of cooperative behaviors (typically kin altruism and reciprocal altruism) and omitted others (e.g., coordination and conflict resolution), and have thus attempted to explain morality from an unnecessarily restricted base. They have not used the mathematical analysis of cooperation, offered by the theory of non-zero-sum games, to provide a more systematic taxonomy of cooperation, and to thereby furnish a broader, more general theory of morality.
Second, previous empirical work has not established whether the cooperative account of morality applies cross-culturally, or whether there are cultures that provide counterexamples to the theory. In the absence of any agreed-upon theory of morality, previous work on cross-cultural moral variation has been patchy and inconsistent; different researchers have used different measures in different places, making the results impossible to combine or compare. In the absence of definitive empirical evidence, opinions have varied wildly, with some claiming that some morals are universal (Brown 1991), and others claiming that there are no such universals (Prinz 2007).
The present paper attempts to overcome these two limitations. First, we use non-zero-sum game theory to provide the cooperative approach to morality with a rigorous, systematic foundation. We show how this approach—which we call “morality-as-cooperation”—generates a rich, principled explanatory framework that incorporates more types of cooperation, and thus explains more types of morality, than previous approaches. Here we focus on seven well-established types of cooperation: (1) the allocation of resources to kin (Hamilton 1963); (2) coordination to mutual advantage (Lewis 1969); (3) social exchange (Trivers 1971); and conflict resolution through contests featuring displays of (4) hawkish and (5) dovish traits (Maynard Smith and Price 1973), (6) division (Skyrms 1996), and (7) possession (Gintis 2007). And we show how each type of cooperation explains a corresponding type of morality: (1) family values, (2) group loyalty, (3) reciprocity, (4) bravery, (5) respect, (6) fairness, and (7) property rights.
Second, to resolve uncertainty about the cross-cultural applicability of morality-as-cooperation, we test the theory’s central prediction that each of these specific forms of cooperative behavior (helping kin, helping your group, reciprocating, being brave, deferring to superiors, dividing disputed resources, and respecting prior possession) will be considered morally good wherever they arise, in all cultures. We do this by investigating the moral valence of these cooperative behaviors in the ethnographic records of 60 societies, and examining their cross-cultural frequency and distribution.
Morality-as-Cooperation: An Overview
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The theory of morality-as-cooperation argues that morality consists of a collection of biological and cultural solutions to the problems of cooperation recurrent in human social life (Curry 2016). Below we review the general argument, before proceeding to look at specific types of cooperation and the corresponding types of morality that they explain.
Life begins when molecules start making copies of themselves. These “replicators” are “selfish” in the technical sense that they promote their own replication (Dawkins 2006[1976]). They can promote their replication at the expense of other replicators. These competitive interactions have a winner and a loser; one’s gain is another’s loss; they are zero-sum games (Maynard Smith 1982; Von Neumann and Morgenstern 1944). But replicators can also replicate in concert with other replicators (Dawkins 1998). These cooperative interactions can have two winners; they are win-win situations; they are non-zero-sum games. Natural selection for genes that employ such cooperative strategies has driven several “major transitions” in the evolution of life on Earth, including the formation of cells, chromosomes, and multicellular organisms (Maynard Smith and Szathmáry 1995). Natural selection has also favored genes for cooperation between individuals, in a wide variety of species (Dugatkin 1997), including humans. Humans descend from a long line of social primates; they have spent 50 million years living in social groups (Shultz, Opie, and Atkinson 2011), and 2 million years making a living as intensely collaborative hunter-gatherers (Tooby and DeVore 1987). Evolution has equipped humans with a range of biological—including psychological—adaptations for cooperation. These adaptations can be seen as natural selection’s attempts to solve the problems of cooperation. More recently, improvisational intelligence and cultural transmission (Boyd, Richerson, and Henrich 2011; Pinker 2010) have made it possible for humans to attempt to improve upon natural selection’s solutions by inventing evolutionarily novel solutions—“tools and rules”—for further bolstering cooperation (Binmore 1994a, 1994b; Hammerstein 2003; Nagel 1991; Popper 1945). Together, these biological and cultural mechanisms provide the motivation for social, cooperative, and altruistic behavior—leading individuals to value and pursue specific mutually beneficial outcomes. They also provide the criteria by which individuals recognize, evaluate, and police the cooperative behavior of others. And, according to the theory of morality-as-cooperation, it is precisely these multiple solutions to problems of cooperation—this collection of instincts, intuitions, inventions, and institutions—that constitute human morality (Curry 2005, 2016).
Which problems of cooperation do humans face? And how are they solved? Evolutionary biology and game theory tell us that there is not just one problem of cooperation but many, with many different solutions (Lehmann and Keller 2006; Nunn and Lewis 2001; Robinson and Goforth 2005; Sachs et al. 2004). Hence morality-as-cooperation predicts that there will be many different types of morality. Below we review seven well-established types of cooperation: (1) the allocation of resources to kin; (2) coordination to mutual advantage; (3) social exchange; and conflict resolution through contests featuring (4) hawkish displays of dominance and (5) dovish displays of submission; (6) division of disputed resources; and (7) recognition of possession.
Allocation of Resources to Kin (Family Values)
Genes that benefit replicas of themselves in other individuals—that is, genetic relatives—will be favored by natural selection if the cost of helping is outweighed by the benefit to the recipient gene(s) (Dawkins 1979; Hamilton 1964). So, evolutionary theory leads us to expect that under some conditions organisms will possess adaptations for detecting and delivering benefits (or avoiding doing harm) to kin. This theory of kin selection explains many instances of altruism, in many species (Gardner and West 2014), including humans (Kurland and Gaulin 2005; Lieberman, Tooby, and Cosmides 2007). Morality-as-cooperation leads us to expect that this type of cooperative behavior—caring for offspring, helping family members, and avoiding inbreeding—will be regarded as morally good.
Coordination to Mutual Advantage (Group Loyalty)
Game theory models situations in which individuals are uncertain about how to behave to bring about a mutual benefit as coordination problems (Lewis 1969). Humans and other animals use a variety of strategies—such as focal points, traditions, leadership, signaling, badges of membership, and “theory of mind”—to solve these problems (Alvard 2001; Boos et al. 2011; McElreath, Boyd, and Richerson 2003) and form stable coalitions and alliances (Balliet, Wu, and De Dreu 2014; Bissonnette et al. 2015; Harcourt and de Waal 1992). Morality-as-cooperation leads us to expect that this type of cooperative behavior—forming friendships, participating in collaborative endeavors, favoring your own group, and adopting local conventions—will be regarded as morally good.
Social Exchange (Reciprocity)
In game theory, social dilemmas—prisoners’ dilemmas, public goods games, tragedies of the commons—arise when the fruits of cooperation are vulnerable to exploitation by “free riders,” who accept the benefit of cooperation without paying the cost (Ostrom and Walker 2002). This problem can be overcome by a strategy of “conditional cooperation” or “reciprocal altruism,” such as tit-for-tat (Axelrod 1984; Trivers 1971). Evidence for various aspects of conditional cooperation have been found in numerous animal species (Carter 2014), including humans (Cosmides and Tooby 2005; Henrich et al. 2005; Jaeggi and Gurven 2013). Morality-as-cooperation leads us to expect that this type of cooperative behavior—trusting others, reciprocating favors, seeking revenge, expressing gratitude, and making amends—will be regarded as morally good.
Contests between Hawks (Bravery) and Doves (Respect)
Conflict over resources—food, territory, and mates (Huntingdon and Turner 1987)—presents organisms with an opportunity to cooperate by competing in less mutually destructive ways (Maynard Smith and Price 1973). There are three ways of achieving this: contests (featuring the display of hawkish and dovish traits), division, and possession.
Game theory has shown that conflicts can be settled through “contests,” in which individuals display reliable indicators of their “fighting ability,” and defer to the stronger party (Gintis, Smith, and Bowles 2001; Maynard Smith and Price 1973). Such contests are widespread in nature (Hardy and Briffa 2013; Riechert 1998), and often form the basis of dominance hierarchies where resources are allocated by “rank” (Preuschoft and van Schaik 2000). Humans have a similar repertoire of status-related behaviors (Fiddick et al. 2013; Mazur 2005; Sell, Tooby, and Cosmides 2009), and culturally elaborated hierarchies (Boone 1992; Rubin 2000). Morality-as-cooperation leads us to expect that these types of cooperative behavior—hawkish displays of dominance (the “heroic virtues” of bravery, fortitude, skill, and wit) and dovish displays of submission (the “monkish virtues” of humility, deference, obedience, and respect)—will be regarded as morally good (Curry 2007).
Division (Fairness)
When the contested resource is divisible, game theory models the situation as a “bargaining problem” (Nash 1950). Here, one solution is to divide the resource in proportion to the relative (bargaining) power of the protagonists (Skyrms 1996). In the case of equally powerful individuals, this results in equal shares (Maynard Smith 1982). Evidence for a “sense of fairness” comes from nonhuman primates’ adverse reactions to unequal treatment in economic games (Brosnan 2013). With regard to humans, rules such as “I cut, you choose,” “meet in the middle,” “split the difference,” and “take turns” are ancient and widespread means of resolving disputes (Brams and Taylor 1996). And “equal shares” is a spontaneous and cross-culturally prevalent decision rule in economic games (Henrich et al. 2005) and similar situations (Messick 1993). Morality-as-cooperation leads us to expect that this type of cooperative behavior—dividing disputed resources, reaching a compromise, being fair—will be regarded as morally good.
Possession (Property Rights)
Finally, game theory shows that conflicts over resources can be resolved by recognition of prior possession (Gintis 2007; Hare, Reeve, and Blossey 2016; Maynard Smith 1982). The recognition of prior possession is widespread in nature (Strassmann and Queller 2014). Humans also defer to prior possession in vignette studies (DeScioli and Karpoff 2015; Friedman and Neary 2008), experimental games (the “endowment effect”; Kahneman and Tversky 1979), the law (Rose 1985), and international relations (Johnson and Toft 2014). Private property, in some form or other, appears to be a cross-cultural universal (Herskovits 1952). Morality-as-cooperation leads us to expect that this type of cooperative behavior—deferring to prior possession—will be regarded as morally good.
Summary
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Thus morality-as-cooperation uses the theory of non-zero-sum games to identify distinct problems of cooperation and their solutions, and thereby generates a deductive framework in which to make sense of morality. The present incarnation of the theory incorporates seven well-established types of cooperation—helping family, helping group, exchange, resolving conflicts through hawkish and dovish displays, dividing disputed resources, and respecting prior possession—and uses this framework to explain seven types of morality—obligations to family, group loyalty, reciprocity, bravery, respect, fairness, and property rights.
Morality-as-cooperation’s theory-driven approach provides broader and more detailed coverage of the moral domain than previous approaches that are not guided by these theories of cooperation. For example, whereas morality-as-cooperation proposes seven moral domains, moral foundations theory (MFT) proposes only five: care, fairness, ingroup, authority, and purity (Graham et al. 2011; Haidt and Graham 2007). MFT’s scheme omits several well-established types of cooperation: there is no foundation dedicated to kin altruism, or to reciprocal altruism, or to hawkish displays of dominance such as bravery, or to property rights.1 And MFT includes two foundations—care and purity—that are not related to any specific type of cooperation (and which morality-as-cooperation predicts will not constitute distinct moral domains). “Care”—like “altruism”—is a generic term that does not distinguish between forms of prosocial behavior with different ultimate and proximate roots. And “purity”—avoiding “people with diseases, parasites [and] waste products” (Haidt and Joseph 2004:59)—has no explicated connection to cooperation at all.2 Moreover, whereas morality-as-cooperation can look to advances in game theory to identify new forms of cooperation, and thereby generate new predictions and explanations of moral phenomena, MFT’s avowedly ad hoc approach (Haidt and Joseph 2011) is unable to make any such predictions.
Thus, by using the logic of game theory, morality-as-cooperation is able to state the cooperative thesis with greater precision, and explain and predict a broader array of moral phenomena, than previous cooperative accounts of morality. And it is to those predictions that we now turn.
Is Cooperation Considered Morally Good in All Cultures?
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As we have seen, the theory of morality-as-cooperation predicts that specific forms of cooperative behavior—helping kin, helping one’s group, reciprocating costs and benefits, displaying hawkish and dovish traits, dividing disputed resources, and respecting prior possession—will be regarded as morally good. Conversely, the theory predicts that the corresponding forms of uncooperative behavior—neglecting kin, betraying one’s group, free-riding, cowardice, disrespect, unfairness, and theft—will be regarded as morally bad. Moreover, morality-as-cooperation predicts that, to the extent these problems of cooperation are universal features of human social life, these cooperative behaviors will be considered morally good in all moral systems, in all cultures—there will be no cultures in which any of these types of cooperative behavior are considered morally bad.3 These seven moral values will be universal.
Previous empirical work on morality in diverse cultures—comparative anthropology and questionnaire-based research—provides some support for these predictions (see table S1).
Helping Kin
A survey of the ethnographic records of “Pleistocene-appropriate foragers” found that kin altruism was “socially favored” in 10 of 10 societies (Boehm 2008). In addition, a survey of family values involving student samples from 30 countries (Byrne and van de Vijver 2014; Georgas et al. 2006; Graham et al. 2011) and responses to items in the World Values Survey, conducted in over 65 societies (Inglehart and Baker 2000), indicate that “helping kin” is widely considered to be morally good.
Helping Your Group
A review of the Standard Cross-Cultural Sample reveals that loyalty to the local community is “moderate” to “especially high” in 77 of 83 cultures for which there is data, loyalty to the wider society is “moderate” to “especially high” in 60 of 84 cultures (Murdock and White 2006, V778–V779; Ross 1983), and loyalty within ethnic groups is “middle” to “high” in 45 of 86 cultures (Lang 1998; Murdock and White 2006, V1771).4 In addition, responses to the Ingroup items in the Moral Foundations Questionnaire from “Eastern” and “Western” internet samples (Graham et al. 2011), and responses to items from the Schwartz Basic Values Survey, from student samples in 20 countries (Schwartz 1992), indicate that “helping your group” is widely considered to be morally good.
Positive and Negative Reciprocity
There is evidence that “cheating” is considered morally deviant in 5 of 10 foraging societies (Boehm 2008). Taking revenge is prescribed in 48 of 80 cultures for which there are data (Murdock and White 2006, V704), and kin group vengeance is considered legitimate in 90 (and a moral imperative in 38) of 168 societies for which there are data (Ericksen and Horton 1992; Murdock and White 2006, V2008). In addition, endorsement of the norms of positive and negative reciprocity in student samples (Eisenberger et al. 2004), in Britain and Italy (Perugini et al. 2003), and responses to some items in the Values in Action Inventory of Strengths in 54 countries (Park, Peterson, and Seligman 2006; Peterson and Seligman 2004) and Schwartz’s Values Scale (Schwartz 1992) indicate that “reciprocating costs and benefits” is widely considered to be morally good.
Hawkish Traits
Toughness (encompassing fortitude, aggression, and competitiveness) is among the traits widely inculcated in children in a majority of cultures (Barry et al. 1976; Murdock and White 2006, V294–V305, V322–V325). In addition, a series of investigations into the concept of honor among students in the United States and Turkey (Cross et al. 2014) indicates that various hawkish traits are considered to be morally good.
Dovish Traits
Obedience is also among the traits widely inculcated in children in a majority of cultures (Barry et al. 1976; Murdock and White 2006, V294–V305, V322–V325). In addition, responses to the Authority items in the Moral Foundations Questionnaire (Graham et al. 2011) and to items from the Schwartz Basic Values Survey (Schwartz 1992) indicate that “respecting superiors” is widely considered to be morally good.
Dividing Disputed Resources
Responses to items in the Merit Principle Scale in student samples (Davey et al. 1999) indicate that “dividing disputed resources” is considered to be morally good.
Possession
Recognition of private property is present in 70 of 84 cultures for which there is data (Murdock and White 2006, V704; Whyte 2005). In addition, punitive attitudes to “theft” in six cultures (Newman 1976) and responses to items in the World Values Survey (reported in Weeden and Kurzban 2013) indicate that “respecting property” is widely considered to be morally good.
Unanswered Questions
However, these heterogenous studies were not designed to, and indeed do not, test fully morality-as-cooperation’s specific predictions. Comparative anthropology has not systematically assessed the moral valence of all seven forms of cooperative behavior: moral values relating to hawkish and dovish traits in the adult population, and dividing disputed resources, are conspicuously absent from the literature. And no previous questionnaire research has evaluated all seven types of cooperative behavior posited by the theory: existing scales typically measure something other than moral valence (e.g., they ask whether a person or a society possesses a particular trait, rather than whether the trait is moral); and the disparate samples are typically university students, or people in Western, educated, industrialized, rich, democratic (WEIRD) societies (Henrich, Heine, and Norenzayan 2010), or people with access to the internet, which limits their external validity and generalizability to “humanity” at large.
Thus, as Machery and Mallon (2010) put it:
We do not know whether moral norms are present in every culture … because … researchers have simply not shown that, in numerous cultures, there are norms that fit some rich characterization of moral norms. (35)
And this uncertainty is reflected in the diversity of opinions about the universality or otherwise of moral values—opinions which range from one extreme to the other.
At one end of the spectrum, it has been argued that morality is universal. A classic statement of this position was provided by the philosopher David Hume (1751), who argued that moral judgments depend on an “internal sense or feeling, which nature has made universal in the whole species” (6–7), and that as a result certain qualities—such as “truth, justice, courage, temperance, constancy, dignity of mind … friendship, sympathy, mutual attachment, and fidelity” (238–239)—are “the most universal, established principles of morals” (238), “esteemed universally, since the foundation of the world” (241), “in all nations and all ages” (239). More recently, the anthropologist Donald Brown (1991) has claimed that moral notions of reciprocity, generosity, empathy, etiquette, hospitality, sexual modesty, and property are universals, present in every society.5
At the other end of the spectrum, it has been argued that morality is not universal, but varies dramatically. The philosopher John Locke (1690), for example, argued:
He that will carefully peruse the history of mankind, and look abroad into the several tribes of men … will be able to satisfy himself, that there is scarce that principle of morality to be named, or rule of virtue to be thought on … which is not, somewhere or other, slighted and condemned by the general fashion of whole societies of men. (19)
More recently, the Executive Board of the American Anthropological Association (1947) has argued:
Ideas of right and wrong, good and evil, are found in all societies, though they differ in their expression among different peoples. What is held to be a human right in one society may be regarded as anti-social by another people, or by the same people in a different period of their history. (542)
And the philosopher Jesse Prinz (2007) concluded that “it is difficult to find examples of moral universals. The rules by which people abide vary across cultural boundaries” (380). “If there are substantive universal moral rules or moral domains, they have yet to be identified” (387). “Moral rules show amazing variation across cultures” (403).
Thus it remains unclear whether morality-as-cooperation’s predictions hold across all cultural groups. And so, to provide a robust test of these predictions, in a way that overcomes the limitations of previous research and resolves lingering uncertainty over cross-cultural variation in moral values, we surveyed the moral valence of the seven cooperative behaviors in a single, homogenous, coherent source of high-quality ethnographic data, collected from a sample of 60 societies specifically chosen to provide as representative a sample of humanity as possible—a sample that provides the best chance of identifying potential counterexamples to the theory.
In addition to reporting the moral valence of these cooperative behaviors, we also report their cross-societal frequency and distribution. After all, it is possible that even if morality-as-cooperation’s predictions regarding the moral valence of cooperative behaviors are supported, these behaviors and their corresponding moral values may still turn out to be rare, present in relatively few societies, or in only some regions but not others.
Methods
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To test the prediction that the seven cooperative behaviors would be regarded as morally good, and to establish the cross-cultural prevalence of the moral values that result, we undertook a content analysis of the ethnographic record of 60 societies, using the holocultural method (Ember and Ember 2009; Otterbein 1969).
We began by assembling ethnographic descriptions of morality from the digital version of the Human Relations Area Files (eHRAF)—an archive of thousands of original, full-text ethnographies from hundreds of societies of varying complexity, from simple hunter-gatherer bands to kingdoms and modern states. For this study we focused on the 60 societies that constitute the Probability Sample Files, a stratified random sample of well-attested human societies, drawn from the six regions of the globe (Sub-Saharan Africa, Circum-Mediterranean, East Eurasia, Insular Pacific, North America, South America; Lagacé 1979). This sample of societies was constructed to minimize the effects of “Galton’s problem”—the nonindependence between cross-cultural data points (Atkinson and Whitehouse 2011; Mace et al. 1994; Naroll 1967). The ethnographic coverage of these 60 societies conforms to rigorous ethnographic criteria, including the requirements that at least 1,200 pages of reliable, well-rounded cultural data are available for each society, and that one or more professionally trained ethnographers stayed in that society for more than a year and had a working knowledge of the native language(s) (HRAF 1967). For the specific geographic location of these 60 societies, see figure 1.

Figure 1. Locations of 60 Probability Sample Files Societies.
Relevant ethnographic material was identified and collected from eHRAF in two phases. In the first phase, we extracted paragraph-level ethnographic materials indexed by professional anthropologists for the eHRAF as Ethics or Norms.6 The extraction of materials indexed as Ethics resulted in 2,519 paragraphs from 400 documents across the 60 societies sampled. The extraction of materials indexed as Norms resulted in 1,605 paragraphs from 263 discrete documents across 58 of the societies sampled. We then conducted a second phase of data collection to exhaust all relevant material in the ethnographic archive. In this phase, the entire archive was searched using a combination of relevant indexical headings (e.g., “Mutual Aid”) and keyword combinations (Altheide 1987; Krippendorff 2012; for the full search syntax, see table S2). This phase identified 1,737 paragraphs from 355 discrete documents across the 60 societies. When duplicate paragraphs were removed (i.e., 2,401 paragraphs identified in more than one phase), we were left with a total of 3,460 paragraphs, containing 606,556 words, from 603 unique sources, published over a period spanning 300 years.7
We then operationalized the seven types of cooperative behavior under investigation and constructed a codebook that specified how to identify and code them in the ethnographic source material (shown in table 1). For kinship and mutualism, we looked for cases in which family or group were helped or given special treatment. Reciprocity included both positive and negative (revenge) forms. Because hawkish displays of prowess encompass several different behaviors—strength, bravery, generosity—we decided to focus on one particular example, bravery. For dovish displays, we focused on respect for, and allegiance to, elders and chiefs. For division, we looked specifically for instances in which dividing a resource resolved or forestalled a conflict (and not merely cases in which resources were “shared”). And finally, we looked for cases where objects or resources were controlled by their possessor.

Table 1. Morality-as-cooperation codebook
Having identified instances of the cooperative behaviors of interest, the next task was to determine whether they were presented in a morally valenced way, and if so whether the valence was positive or negative. Thus the code book instructed coders to record whether the behavior was described as good, right, moral, ethical, or virtuous, or as an obligation, duty, or moral norm, and so on. It could also be indicated by morally valenced words. For example, the mere mention of “family loyalty” or “property rights” would suffice to indicate the presence of a positive moral valence.
The coding procedure involved making 24,220 (3,460 × 7) coding decisions—that is, deciding whether or not each of the 3,460 paragraphs indicated that any of the seven cooperative behaviors had a positive or negative moral valence.8 Raters 1 and 2 (authors O.S.C. and D.A.M.) independently coded the full set of 3,460 paragraphs and then conferred to resolve ambiguities and discrepancies. This resulted in a total of 1,426 paragraphs that contained material germane to one or more moral domain. A hypothesis-blind independent coder (rater 3) then coded each of these 1,426 paragraphs before discussing coding discrepancies with raters 1 and 2. Of the 1,426 × 7 = 9,982 initial coding decisions compared between the two sets of codes, there were 8,704 decisions in agreement and 1,278 decisions on which the raters disagreed—thus there was “moderate” agreement between the two initial sets of ratings overall (κ = .58, P < .005) (Cohen 1960, 1968; Landis and Koch 1977). By type of cooperation, the degree of agreement between the two sets of ratings were: “helping kin” (κ = 0.52; “moderate”); “helping your group” (κ = 0.47; “moderate”); “reciprocity” (κ = 0.66; “good”); “bravery” (κ = 0.65; “good”); “respect for superiors” (κ = 0.56; “moderate”); “dividing disputed resources” (κ = 0.14; “poor”); “property” (κ = 0.75; “good”).9 Raters 1, 2, and 3 met to discuss and analyze discrepancies using the resolution method (Ember and Ember 2009). On closer inspection it was discovered that the poor level of agreement with regard to “dividing disputed resources” was the result of rater 3 including cases of generic “sharing.”10 These and other rating discrepancies were reviewed and resolved until complete agreement was reached (κ = 1).
In the final analysis, of the 3,460 paragraphs reviewed, 761 contained information about the moral valence of one or more of the seven cooperative behaviors. This gave rise to 962 observations of moral valence in total.
Results
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In 961 out of 962 observations (99.9%), cooperative behavior had a positive moral valence. The results for each type of cooperative behavior are given in table 2. The one exception to the rule—among the Chuuk, “to steal openly from others is admirable in that it shows a person’s dominance and demonstrates that he is not intimidated by the aggressive powers of others” (Caughey 1977)—appears to be a case in which one form of cooperation (respect for property) has been trumped by another (respect for a hawkish trait, although not explicitly bravery).11

Table 2. Paragraphs attesting to the moral valence of cooperation
Most of these positively morally valenced cooperative behaviors were observed in most societies (see table 3 and figure 2). The average number of behaviors observed per society was: mean = 4.4, SD = 1.5, median = 5, mode = 5.5 (minimum = 1, maximum = 7). A repeated-measures general linear model (with Bonferroni correction for multiple comparisons) revealed that there were significantly more societies in which “property” was observed than “bravery,” “respect,” and “fairness” (P-values ≤.001); and there were significantly fewer societies in which “fairness” was observed than all other types of moral behavior (P-values ≤.001). All other differences were nonsignificant. There were no societies in which any of the seven cooperative behaviors had a negative moral valence. (The “exception” reported above was itself an exception—seven other paragraphs attested to the positive moral valence of property among the Chuuk).

Table 3. Positively morally valenced cooperative behavior by society

Figure 2. Percentage of societies in which positively morally valenced cooperative behavior was observed.
When aggregated by cultural region, all seven positively morally valenced cooperative behaviors were observed in all six regions—with the sole exception of “dividing disputed resources” in Central America (for which there were no data).12 Crucially, the positively morally valenced cooperative behaviors were observed with equal frequency in all regions: one-way ANOVAs revealed no significant difference between regions (all F-statistics ≥0.5 and ≤1.28, all P-values ≤.78 and ≥.29).
Discussion
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A survey of 60 diverse societies found that the moral valence of seven cooperative behaviors was uniformly positive. In every society for which there were data, these seven cooperative behaviors were considered morally good. There were no counterexamples, that is, societies in which these behaviors were considered morally bad. The survey also found that these cooperative morals were widespread—with most appearing in most societies—and that they were observed with equal frequency across all cultural regions.
As such, these results provide strong support for the theory of morality-as-cooperation, and no support for the more extreme versions of moral relativism. In short, Hume was right, and Locke was wrong. When you “look abroad into the several tribes of men” there are some widely held morals that are not elsewhere “slighted or condemned,” and they include precisely those morals predicted by morality-as-cooperation. As Hume (1748) put it: “history informs us of nothing new or strange in this particular.” By way of illustration, “the moral values reinforced during traditional Amhara adolescence … [include] … the importance of loyalty to kin” (Levine 1965:134), and “flouting kinship obligation is regarded as a shameful deviation, indicating an evil character” (Messing and Bender 1985:247). In Korea, there exists an “egalitarian community ethic [which includes the values of] mutual assistance and cooperation among neighbors [and] strong in-group solidarity” (Brandt 1971:25). “Reciprocity is observed in every stage of Garo life [and] has a very high place in the Garo social structure of values” (Majumdar 1978:138). “Those who cling to warrior virtues are still highly respected” among the Maasai; “the uncompromising ideal of supreme warriorhood [involves] ascetic commitment to self-sacrifice … in the heat of battle, as a supreme display of courageous loyalty” (Spencer 1988:131). The Bemba exhibit “a deep sense of respect for elders’ authority” (Maxwell 1983:63). The Kapauku “idea of justice” is called “uta-uta, half-half … [the meaning of which] comes very close to what we call equity” (Pospisil 1958:287). And “respect for the property of others is the keystone of all interpersonal relations” among the Tarahumara (Fried 1951:167). As such, and in the absence of any counterexamples, these seven forms of cooperative behavior remain plausible candidates for universal moral rules.
When interpreting these results, two considerations should be kept in mind. First, the ethnographic source material analyzed here was not originally collected to test morality-as-cooperation’s hypotheses, and hence the moral valence of cooperative behavior was recorded somewhat serendipitously (if at all). As such, it is likely that our results are an underestimate of the cross-cultural prevalence of these moral values—absence of evidence is not evidence of absence. Indeed, there was a positive correlation between observed moral values and the total number of paragraphs describing that society in the HRAF archive (r = 0.43, P = .001). This suggests that much of the variation in observed morals per society can be attributed to variation in the ethnographic coverage of that society; had there been more information on a given society, we would likely have observed more of the seven moral values more frequently.
Second, methodological details to do with the categorization and coding of the moral domains may have introduced some artifacts into the data that partly explain why some morals were observed more frequently than others, and why some were relatively rare. Some coding categories focus on one of several possible solutions to a problem; and the more solutions there are, the lower we should expect the frequency of any one of them to be. For example, as noted above, hawkishness can be displayed not only by bravery but also by other costly signals such as generosity (and other conspicuous displays of wealth), which may partly explain why “bravery” was relatively rare. And some coding categories were broader than others, capturing a wider variety of behaviors, which may have skewed the apparent frequency of a moral value. For example, there are many ways to “help kin,” but only one way to “divide resources to forestall a dispute”—this may partly explain why “family values” were very common and “fairness” was relatively rare. Similarly, although “property rights” were present in nearly all societies, there appeared to be considerable variation in who (males, females, children, chiefs) could own what (land, movable property, each other), and had we attempted to code for these smaller, more specific categories, the frequency of any given trait would have been lower.
And of course, the present study has its limits. First, the study investigated the moral valence of only seven cooperative behaviors—it did not investigate the moral valence or prevalence of the other cooperative traits encompassed by morality-as-cooperation (such as forgiveness or generosity). And it remains to be seen whether the theory can be extended to provide cooperative explanations of other moral phenomena, including those encountered in this ethnographic review—industry and laziness, truth-telling and honesty, chastity and fidelity, hospitality and gossip, the virtues expected of a leader, some forms of purity, and the behavior expected by gods, spirits, and ancestors.
Second, the present study employed a sample of 60 cultures to minimize “Galton’s problem” of the nonindependence of cross-cultural data points. Hence this review cannot exclude the possibility that there are other societies—beyond these 60—that have moral values that provide counterexamples that refute the theory. Nor does the selected sample of 60 cultures completely solve the problem of nonindependence of cross-cultural data points (Ember and Otterbein 1991).
Third, the nature of the source material meant that we were able to code only for the (binary) presence or absence of the cooperative moral; we were not able to measure within- or between-society variation in how strongly these various moral values were held or endorsed, or how conflict between these different moral values was resolved. As such, we were not able to test morality-as-cooperation’s further prediction that, far from being identical, moral systems will vary as a function of variation in the value of different types of cooperation under different conditions—in other words, to the extent that individuals (or societies) face different cooperative problems, and benefit from different solutions, they will prioritize different moral values (Curry 2016). Consistent with this view, our impression of the source material was that, even if all societies shared the same moral values, they varied in how they prioritized or ranked them. In some societies, family appeared to trump group; in other societies it was the other way around. In some societies there was an overwhelming obligation to seek revenge; in other societies this was trumped by the desire to maintain group solidarity. And of course our study found that moral obligations to members of one’s family, one’s group, and to senior members of one’s hierarchy were relatively frequent, but (positive) reciprocity and fairness were relatively rare. Morality-as-cooperation would predict that this was partly because, in our sample of societies, cooperative interactions with kin and group and high-status individuals occurred more frequently (or conferred greater benefits) than cooperative interactions with anonymous, mobile strangers of equal status.13But further research will be needed to test this conjecture.
To overcome these limitations, future work should aim to investigate the moral valence of a wider range of cooperative behaviors, in more societies, using more sophisticated methods. Theorists should mine the game theory literature to look for further accounts of cooperation that could perhaps explain further aspects of morality, and they should investigate whether the cooperative approach can be extended to as yet undertheorized aspects of morality such as sexual, religious, and political ethics (McKay and Whitehouse 2014). Ethnographers should employ new statistical techniques, including multiple imputation and two-stage instrumental variables regression, that now make it possible to overcome Galton’s problem at the analysis stage (Brown and Eff 2010; Eff and Dow 2009) and thereby potentially test morality-as-cooperation against eHRAF’s full sample of approximately 200 ethnographically attested cultures.14 And psychologists, anthropologists, and historians should also investigate the relationship between particular moral values and the corresponding individual- and societal-level indicators of cooperation—such as family size and dispersal, group size, mobility, subsistence strategy, reliance on trade, frequency of warfare, degree of inequality, political structure, age structure, resource base, and territory size (Gelfand et al. 2011; Turchin et al. 2012; Turchin et al. 2015). These predictions could be further tested by gathering new data on the full range of moral values, using survey and questionnaire methods, from representative cross-cultural samples (Curry, Jones Chesters, and Van Lissa 2019). Such work would help to move the debate on from arguing about whether or not morality varies, to explaining precisely how and why it varies, and thereby steer a middle way between the extremes of unbending moral absolutism and anything-goes moral relativism, and toward a more theoretically nuanced, and empirically tractable, view of moral variation (for one such example, see Wong 2006).
Conclusion
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We have shown how morality-as-cooperation, through the use of game theory, exhibits a theoretical precision and explanatory scope that supersedes that of previous cooperative accounts of morality. And we have shown how one of the theory’s central predictions—that cooperation is always and everywhere considered moral—is supported by an extensive cross-cultural survey of moral values. As such, we have removed two major obstacles to the theory’s wider adoption. Thus, we recommend morality-as-cooperation to the field, and encourage fellow anthropologists to join us in testing its many further implications.
Acknowledgments
This work was supported by a Large Grant from the United Kingdom’s Economic and Social Research Council (REF RES-060-25-0085) entitled “Ritual, Community, and Conflict” (to O.S.C. and H.W.) and an award from the John Templeton Foundation entitled “Axial-Age Religions and the Z-Curve of Human Egalitarianism.” (to D.A.M. and H.W.), an Advanced Grant from the European Research Council under the European Union’s Horizon 2020 Research and Innovation Program (grant agreement No. 694986 to H.W.), and an award from the Templeton World Charity Fund entitled “Cognitive and Cultural Foundations of Religion and Morality” (to O.S.C. and H.W.). We thank Arran Davis, Cesca Hill, Susan Moore, Ben Mullins, and especially Martha Newson for research assistance. We thank Rosalind Arden, Helena Cronin, Matthew Jones Chesters, Darragh Hare, and the reviewers at Current Anthropology for providing critical feedback. We thank Roberto Andorno, Ashar Awan, Pradeep Chakkarath, Andrew Churchill, Bill Johnson, Marc Kilgour, Steven Pinker, and Lara Pourabdolrahim for supplying references and responding to queries. And we thank Helena Cronin, Darragh Hare, Mark Alfano, Caspar J. Van Lissa, Max Krasnow, and Samuel Mehr for providing critical feedback on our reply.
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Comments
Paul Bloom
Department of Psychology, Yale University, PO Box 208205, New Haven, Connecticut 06520, USA (paul.bloom@yale.edu). 15 III 18
Morality is ultimately about fairness and justice. Or it is about maximizing the welfare of sentient beings. Or intertemporal choice, giving up immediate satisfaction for long-term gain. Or maybe it is really all about altruism. Morality has one foundation—harm. Or it has three foundations: autonomy (which includes harm), but also divinity and community. Or five foundations: care, fairness, loyalty, authority, and purity. Or perhaps six—do not forget about liberty. Morality is innate and universal, a modular system of the sort proposed by Chomsky and Fodor for language. Or it is innate and universal, but nothing like a modular system. Or it is partially innate and partially learned. Or entirely learned. At least we know that morality is a distinct domain, a cognitive natural kind. Unless it is not.
Each view is defended by contemporary scholars. I have my own dogs in these fights (see, e.g., Bloom 2013), but it is fair to say that nobody yet knows which views, if any, are correct.
This valuable paper adds a lot to these debates, defending the position that morality consists of solutions to the problems of cooperation that emerge in social life. Looking at 60 cultures, Curry, Mullins, and Whitehouse find that seven forms of cooperative behavior—helping kin, helping your group, reciprocating, being brave, deferring to superiors, dividing disputed resources, and respecting prior possession—are always seen as morally good. They conclude that this favors their morality-as-cooperation theory as a unified account of morality. As they are careful to point out, they are not the first to see cooperation as central; to take just one example, Haidt (2012), claims that the purpose of morality is “to suppress or regulate self-interest and make cooperative societies possible” (202). Still, the cross-cultural data are original and important, and this paper deserves a lot of attention.
It has its limits, though. This is not a psychological theory. The authors say nothing about the proximate mechanisms through which we come to have moral judgments; they say nothing about the role of reason and the emotions; nothing about brain structures, social forces, or development. They claim that moral judgments are universal due to multiple forces working together—a “collection of instincts, intuitions, inventions, and institutions.” But they makes no specific claims about what’s innate, what’s learned, and what arises from personal choice.
This left me uncertain as to what would falsify their theory. Suppose we found a society where, say, respecting prior possession was not seen as morally good. Would this be a problem for the morality-as-cooperation theory? Would it make a difference if all the members of the society were 2-year-olds? I have utilitarian friends who argue that the bonds of kinship have no special moral weight; and there are communities of anarchists who would reject the ethics of deferring to your superiors. Are these quirky moral views problems for the theory, or can we put them aside?
One important component that’s missing is that we’re never told why these behaviors are thought to be moral. When doing their study, the authors looked at whether each behavior was “described as good, right, moral, ethical, or virtuous, or as an obligation, duty, or moral norm, and so on”—and this makes perfect sense. But why is cooperation related to notions such as virtues and obligations and duties? Why is not it simply positive, in the same way that most of us find ice cream positive? (See Stanford 2018.) To put the point differently, all sorts of creatures cooperate with one another and respond differentially to the cooperative and noncooperative behavior of others. But rats and dogs presumably do not have notions such as right, moral, ethical, and so on. This means that the demands of cooperation are not sufficient to explain the emergence of morality.
Finally, to show that morality-as-cooperation is correct, it is not enough to show that we moralize cooperative behavior. We also have to show that we do not moralize other sorts of behavior. And, actually, the category of morality is bigger than cooperation. We care a lot about the treatment of the dead, for instance. (Is there a culture where people are entirely indifferent to what you do with the corpse of a loved one?) And, as the authors concede, we care a lot about sex. There is no culture in the world where the people are morally indifferent toward behaviors such as masturbation, homosexuality, bestiality, rape, and infidelity.
Many scholars, including myself, see much of the morality of sex as a biological accident—essentially a misappraisal of disgust reactions that have evolved for different purposes (Bloom 2004, 2013)—whereas others believe that the morality of sex ultimately reflects intuitions about harm, including self-harm (e.g., Gray, Schein, and Ward 2014). But a cooperation-based account seems like a nonstarter here. When people get outraged at a man caught having sex with a pig, it is hardly plausible that they are upset that he’s a bad cooperator!
Or, as a simpler case, consider hitting. I am not a cultural anthropologist, but my intuition is that if you go to a community anywhere in the world, walk up to someone, and punch them in the face, you will have a lot to answer to. Hitting someone is a foundational moral violation. Mikhail (2011) argues the act of intentionally striking someone without their permission—battery—has a special immediate badness that all humans respond to. Indeed, these sorts of physical infractions are found to be morally wrong by the youngest babies we can test (Bloom 2013). This might be at core of morality, as opposed to more subtle and later developing capacities such as valuing bravery or respecting the possessions of others.
Universal Principles of Human Morality
Herbert Gintis
Santa Fe Institute, 1399 Hyde Park Road, Santa Fe, New Mexico 87501, USA (hgintis@comcast.net). 18 IV 18
In a marvelously ambitious and widely useful article, Curry, Mullins, and Whitehouse validate a morality-as-cooperation model of the communality of moral principles across 60 societies. These common principles include helping kin, helping and being loyal to one’s group, exhibiting positive and negative reciprocity, being brave, compromising with others, being fair, and respecting property rights. This study strongly supports the analysis of Samuel Bowles and myself in our recent book (Bowles and Gintis 2011) and my recent Current Anthropology article (Gintis, van Schaik, and Boehm 2015) on the evolutionary origins of human political behavior.
My basic point is that society is a game with rules, people are players in this game, and politics is the arena in which we affirm and change these rules. Unlike the rules in standard game theory, however, social rules are continually subject to change as the material and environmental conditions for survival change. The distinctiveness of human social life flows from the fact that we construct and then play social games. Other animals are playful and have rules that govern their social life. But other animals do not make up the games they play. They do not change the rules of the game to suit their purposes. Similarly, other animals live in societies. But the rules of the game for nonhuman societies are inscribed in the genome of the species, whereas ours are not.
Playing games with socially constructed rules requires a moral sense. People gain satisfaction by playing by the rules, are ashamed when they break the rules, and are offended when others break the rules. Indeed, individuals often reward others who play by the rules and punish others who break the rules even at considerable personal cost and without a prospect of personal return in the future. This is why the results of Curry, Mullins, and Whitehouse are so important: a cooperative act invites material and psychic rewards from others, even from others who may not be involved with or gain from the act.
The emergence of cooperative breeding in the hominin line (Hrdy 2000), together with environmental developments that made a diet of meat from large animals adaptive, as well as cultural innovations in the form of fire, cooking, and lethal weapons, created a niche for hominins in which there was a significant advantage to individuals with the ability to communicate and persuade. These forces added a unique political dimension to human social life that, through gene–culture coevolution, became Homo ludens—Man, the game player.
Strong social interdependence plus the availability of lethal weapons in early hominin society undermined the standard social dominance hierarchy, based on pure physical prowess, of multimale/multifemale primate groups, characteristic, for instance, of chimpanzees. The successful political structure that ultimately replaced the ancestral social dominance hierarchy was an egalitarian political system in which the group controlled its leaders. Group success depended both on the ability of leaders to persuade and motivate, and of followers to submit to a consensual decision process. The heightened social value of nonauthoritarian leadership entailed enhanced biological fitness for such traits as linguistic facility, political ability, and indeed for human hypercognition itself (Gintis 2016).
The most plausible hominid development leading to morality as cooperation, paradoxically enough, was the emergence of lethal weapons (Bingham 1999). Lethal weapons, developed for hunting game, could be used to carry out collective punishment against norm violators, thus radically lowering the cost of punishing transgressors. More important was the fact that any man could kill any other, for example, in his sleep or when caught off guard, so the traditional hominid political hierarchy based on the pure physical prowess of the alpha male was shattered. The pieces were picked up through the growth of political structure based on the persuasive skills and intelligence of individuals who vied for group leadership and were rewarded not by arbitrary power but by enhanced biological fitness (Boehm 1999).
In sum, our primate ancestors evolved a complex sociopolitical order with cultural innovation in the domestication of fire and of collective child rearing. This created a niche for hominins in which there was a high return to coordinated, cooperative, and competitive scavenging. This development was accompanied by the likely use of clubs, spears, and long-range projectiles as lethal weapons.
Hominin society increasingly required sophisticated coordination of collective action, the critical reliance on resources produced by cooperative hunting, and procedures for fair sharing. Lethal weapons helped to stabilize this system because it undermined the tendencies of dominants to exploit others in society. Thus two successful sociopolitical structures arose to enhance the flexibility and efficiency of social cooperation in humans. The first was the reverse dominance hierarchy, through which leaders were kept weak and their reproductive success depended on an ability to persuade and motivate, coupled with the rank-and-file ability to reach a consensus with such leadership. The second was cooperative child rearing and hunting, which provided a strong psychological predisposition toward prosociality and favored internalized norms of fairness.
Morality Is Not Always Good
Kristopher M. Smith
Robert Kurzban
Department of Psychology, University of Pennsylvania, 3720 Walnut Street, Philadelphia, Pennsylvania 19014, USA (kurzban@psych.upenn.edu). 12 IV 18
Morality-as-cooperation (MAC) proposes that morality is a suite of biological and cultural solutions to cooperative problems in social interactions. Drawing on insights from non-zero-sum games, the authors argue that there are a set of universal norms that lead individuals to pursue mutually beneficial outcomes in a variety of contexts. We, in contrast, argue that morality often reduces aggregate outcomes, prohibits behaviors unrelated to cooperation, and is used by individuals to further their own self-interest.
According to MAC, moral dilemmas arise when a cooperative behavior conflicts with another cooperative behavior, requiring a trade-off to be made. This predicts that “the only time a form of cooperative behavior will be considered morally bad will be when it is pursued at the expense of some other larger form of cooperation.” Yet moral cognition is nonconsequentialist; people frequently do not consider trade-offs when making moral judgments and condemn behaviors that violate norms even when they lead to aggregate better outcomes (DeScioli and Kurzban 2009). The most prominent example is the trolley problem (Foot 1967); people judge sacrificing one person to save five other people as impermissible (Mikhail 2007). Here, saving five lives is a larger form of cooperation than not killing one person; the best non-zero-sum outcome would be for people to sacrifice the one person. Compare this to the burying beetle, which will kill some of its own offspring and feed the bodies to the remaining larvae (Mock 2004). Natural selection solved the problem of helping kin in the burying beetle by designing a decision-making system that sacrifices some kin to save others. Interestingly, people do say they are more willing to kill one sibling to save five siblings than they are to kill one stranger to save five strangers, yet they judge the two acts to be equally morally impermissible (Kurzban, DeScioli, and Fein 2012). This indicates that morality and kin-directed cooperation are opposing forces.
Many moral norms across societies have nothing to do with social interaction, and many of these norms produce negative, even fatal, outcomes. Consider the norm in India that prohibits the killing or eating of cows. Because of this norm, the cow population has overgrazed, starving people and cows alike (Fox 2003). This norm in no way polices social interactions related to cooperation, and it causes immense suffering; morality is such a strong, insidious force that people would rather starve to death than violate the norm.
To take another example, consider the prohibition against people selling their own organs, such as kidneys. This prohibition prevents people from reaching mutually beneficial (cooperative) arrangements, and leads to tangible losses (Barnieh et al. 2013). Some evidence suggests concerns such as undue or unjust inducement or the crowding out of altruistic donations are inflated (Allen and Reese 2013). In fact, the only opposition to kidney sales not possible to rule out is that the human body has an intrinsic, sacred value that cannot be bought. Notably, concerns of coercion or reduced altruism would be examples of uncooperative behavior explained by MAC, yet these are not the reasons people oppose kidney sales. It is the sacred, inviolable value of the human body, and not the outcomes, that drives opposition to financial incentives for organ transplants, despite the suffering that results from such prohibitions. Similar rules prohibiting consensual, mutually beneficial behaviors abound across cultures, and many of these norms are similarly destructive.
There is also variability within cultures of endorsement of various norms, and this variation is often predicted by self-interest. This is particularly the case for norms that have nothing to do with cooperation. For example, monogamous individuals who invest much of their resources into a single relationship are more likely to oppose recreational drug use than promiscuous individuals (Kurzban, Dukes, and Weeden 2010). This may be because drug use is associated with promiscuity, and by cutting down on behaviors associated with promiscuity, monogamous individuals can prevent the costs associated with mate poaching. For similar reasons, monogamous individuals are more likely to oppose to gay marriage, particularly among those who associate homosexuality with promiscuity (Pinsof and Haselton 2016). These norms against recreational drug use or homosexuality are not relevant to cooperation, yet people use these norms to advance their own self-interest, often at a cost to others.
Even with norms that do police cooperation, people endorse specific versions that benefit themselves. For example, fairness norms could prescribe equality, in which resources are redistributed regardless of input, or equity, in which resources are redistributed proportional to contributions. In one experiment, people played an economic game in which they worked to earn an endowment. The first player did three times the amount of work of the second player, and the first player decided how to split the endowment; the player could choose to split it evenly between the two of them or split it such that the first player received three times as much as the second player. When asked how moral and fair each split was, the first player thought the equitable split was more fair, whereas the second player thought the equal split was more fair (DeScioli et al. 2014). In short, each player favored the particular fairness rule that benefited himself or herself.
It is of course the case that many moral norms across cultures do indeed police behavior relevant to cooperation, and many times these norms do so in ways that encourage better outcomes for all involved. Yet many norms are also irrelevant to cooperation and produce worse outcomes for all involved. Further, even when norms do police cooperation, people favor rules that are beneficial to themselves, not those that are mutually beneficial. So, although morality can facilitate and enhance cooperation, it can also be selfish and destructive. Understanding the evolution of morality will require dealing with both sides of the moral coin.
David B. Wong
Department of Philosophy, Duke University, 211 W Duke Building, Durham, North Carolina 27708, USA (d.wong@duke.edu). 25 III 18
Curry, Mullins, and Whitehouse provide a systematic articulation of the theory that morality is a collection of biological and cultural solutions to problems of cooperation. They identify seven forms of cooperative behavior that their theory predicts will be regarded as morally good across societies. They conclude, with some important qualifications about the limitations of their data set, that the theory is confirmed by a body of ethnographic data from 60 societies.
This commentary will primarily concern the conceptual setup of the theory, with some remarks on the theoretical implications of the data for that setup. There is a strong case for holding that a core function of morality is to foster and structure social cooperation. However, another related but distinct function for morality may be fostering and regulating intrapersonal coherence of motivation through presentation of ideals of character and of the fulfilling and worthwhile human life (Wong 2006). The two functions are related because social cooperation requires an ordering of potentially conflicting motivations within the individuals who are cooperating. It is no accident that ideals of the good human life often emphasize relationship with others: an evolutionary adaptation enabling human beings to cooperate may be the disposition to find relationship with others satisfying for their own sake (Moll et al. 2006; Tomasello 2016). However, the intrapersonal function is distinct because moral ideals of worthwhile human life can require more or other than whatever serves cooperation. An interesting question, for example, is whether the authors’ schema of seven valued cooperative behaviors can accommodate what is often held to be the moral value of autonomy, which includes freedom, within limits, to pursue one’s conception of a worthwhile human life.
The authors’ main objection against Graham and Haidt’s moral foundation of purity is that it is not related to cooperation. In contemporary developed societies, however, some believe that certain expressions of sexuality are moral perversions, whether or not there is an impact on nonconsenting others. This looks like a case of purity entering into their conceptions of morality. Furthermore, ideals of the worthwhile life sometimes contain an aesthetic dimension that is not reducible to helping make cooperation work. The Confucian appreciation of various rituals is of this nature. Conventionalized ways of greeting others, of taking meals with them, and of marking major life passages such as birth, coming of age, marriage, death, and mourning are admired when their performance shows a degree of mastery, spontaneity, and gracefulness. The line between the aesthetic and socially functional is blurred in this case. Rituals are valued as expressions and enactments of socially important attitudes such as concern and respect, but they are also appreciated for their beauty as well. Later in their paper, the authors do seem to allow for the possibility that some moral phenomena may not be explicable through the cooperation function: “industry and laziness, truth-telling and honesty, chastity and fidelity, hospitality and gossip, the virtues expected of a leader, some forms of purity, and the behavior expected by gods, spirits, and ancestors.” This theoretical modesty seems appropriate.
One important issue posed by the authors’ conclusions is how to explain the variance in greater frequency of occurrence of the different cooperative behaviors: there are significantly more societies in which property is observed than bravery, respect, or fairness, the latter being the least frequently observed. One possible explanation the authors present is variation in the extent and depth of the ethnographic data for different societies. Perhaps more complete data for some societies will reduce the variation. Another possible explanation is the way the cooperative forms are categorized and coded, with some forms more than others admitting a variety of ways they can be fulfilled. A third explanation is that different societies, because of their different circumstances and perhaps stages of development, will focus on different types of cooperative forms because these forms are suited, or at least thought to be suited, to the local circumstances. It is a serious possibility that none of the above strategies will fully explain all existing variation. It may be that the very concept of “cooperation” is too indeterminate and broad in content to allow for sufficiently fine-grained judgments as to which forms of cooperation are most appropriate to a given set of conditions. Culturally evolved and even biologically based behaviors may become prevalent due to a contingent set of factors that do not justify those forms as better promoting or sustaining cooperation.
Moreover, the authors observe that they “were not able to measure within- or between-society variation in how strongly these various moral values were held or endorsed, or how conflict between these different moral values was resolved.” From a philosophical, normative perspective on how conflicts between moral values are to be resolved, it is not at all apparent that a conceptual framework exists that justifies uniquely correct resolutions of all serious conflicts of values. Conflicts between duties to family and duties to uphold public justice are commonly recognized in the moral and literary texts of different societies: the conflict experienced by Antigone between her duty to bury the body of her brother and King Agamemnon’s order that the body of a traitor not be buried; Confucius’s declaration that a son is not to bring to authorities his father’s theft of a sheep (Analects 13.18) versus the later Confucian philosopher Xunzi’s declaration that a son is to follow righteousness, not his father, in case of conflict (Xunzi, chap. 29, “The Way of the Son”). Further, societies may very well vary in the extent to which they emphasize the importance of autonomy versus duties to family and the group, or even to the welfare of humanity at large. This is why pluralism, and neither extreme relativism or strict universalism, may be the most viable conclusion. The authors deserve much credit for bringing the field closer to the right questions to ask.
Reply
Oliver Scott Curry
Daniel Austin Mullins
Harvey Whitehouse
Morality-as-cooperation (MAC) is the theory that morals are solutions to the problems of cooperation recurrent in human social life. There are many such problems, hence many different solutions, including helping one’s family, helping one’s group, returning favors, displaying hawkish and dovish traits, sharing equitably, and respecting prior ownership. In the present paper we test the most straightforward prediction of the theory—that “if morals are what we call solutions to problems of cooperation, then these solutions will be called moral”—using ethnographic accounts of the ethics of 60 societies. And we find that, as predicted, these cooperative traits are indeed considered morally good all around the world.
We are grateful to the commentators for their thoughtful responses to the paper, and to Current Anthropology for providing a forum in which to address them. We are glad that, for the most part, the commentators welcome the contribution that our findings make to ongoing debates about the nature of morality, and that our work is consistent with much previous research in the field (Gintis). However, we note that the commentators also raise important questions about the underlying theory. Below we offer some preliminary answers.
Bloom questions whether MAC is a “psychological theory,” and doubts whether it has anything to say “about the proximate mechanisms through which we come to have moral judgments.” In response, we would argue that MAC is a higher level theory about the function of morality from which predictions about psychological and other proximate mechanisms can be, have been, and are being derived.
For example, MAC predicts that, because there are many types of cooperation, there will be many types of morality; and it predicts that these types will include the seven listed above. MAC predicts that each of these types of cooperation will be regarded as morally relevant—that is, as falling within the moral domain—giving rise to specific moral domains dedicated to family, groups, reciprocity, heroism, deference, fairness, and property. MAC also predicts that, because the value of these different types of cooperation can vary independently, moral values in each domain will vary independently too. Hence moral values will exhibit a multifactorial structure, varying on these seven dimensions. All of these predictions have been tested and supported (Curry et al. 2019). Further research will be needed to test the subsequent prediction that individual (and cultural) differences in moral values will reflect the value of cooperation at different stages of development (Curry 2005:182; Sheskin et al. 2014), and under different social conditions.
MAC also predicts that behavior not tied to a specific type of cooperation will not constitute a distinct moral domain. For example, MAC predicts that harm—including “hitting someone” and “intentionally striking someone without their permission”—is not a foundational moral violation. Instead, the moral valence of harm will vary according to the cooperative context: uncooperative harm (battery) will be considered morally bad, but cooperative harm (punishment, self-defense) will be considered morally good, and competitive harm in zero-sum contexts (some aspects of mate competition and intergroup conflict) will be considered morally neutral—“all’s fair in love and war.” Thus cooperation explains the conditions under which “harm” is, and is not, justified. Similarly, MAC predicts that “disgust”—the avoidance of potential pathogens—is not a foundational moral domain. Rather, disgust is moralized only when employed to solve a cooperative problem. This includes regulating behavior that puts other people at risk of infection—public health hazards like the disposal of corpses—and extends to other cooperative problems for which “avoidance” is part of the solution. These problems may include avoiding inappropriate sexual partners (as in incest); expelling “ideologically impure” heretics from the body politic; containing bad behavior that is copied, and spreads like a contagion (Jones and Jones 2000); avoiding cheats by “walking away” (Aktipis 2011; Jeon, Kim, and Choe 2016); and distancing oneself from low-status activities or people (e.g., “unclean” castes). By contrast, disgust responses in noncooperative situations, like avoiding rotten food, are not part of the moral domain. Thus cooperation explains the conditions under which “disgust” is, and is not, moralized. Further research will be needed to test these predictions.
Furthermore, if we add to the functional theory the auxiliary hypothesis that there is at least some innate adaptive machinery underpinning moral thought and behavior (some of which we review in the paper), then MAC predicts that morality will be, at least in part, the product of multiple innate psychological adaptations for cooperation—as opposed to the view that morality is solely the product of a single more general “norm acquisition device” (Sripada and Stich 2006), the content of which is entirely learned (Prinz 2007; Sterelny 2010). If so, then we may make the further prediction that morality in each of these domains will be moderately heritable, and subserved by distinct genetic “common pathways” and brain structures. Tests of these predictions are under way. Only by integrating genetic and environmental approaches—including social constructionism (Gintis)—will we fully understand how moral culture is evoked and transmitted across time and place (Whitehouse 2016).
Bloom also asks whether MAC is falsified by cases in which these cooperative traits are not considered moral—for example, by utilitarians who do not recognize special duties to kin, or anarchists who disapprove of deference to superiors. We agree that these are interesting cases, which is why our survey methodology explicitly set out to find them. The fact that we did not find any suggests that such beliefs are not representative of the views of humanity as a whole, but are “outliers.” How might MAC explain them? Are they just the tail ends of normally distributed moral beliefs? Are they more likely to occur among people who do not face the corresponding cooperative problem, for example, among people who have relatively few family commitments? Are they attempts to invent new morals, destined perhaps to fail precisely because they are not stable cooperative solutions? Or are they deemed immoral because they conflict with some other more valuable cooperative opportunities? Questions about how and why “philosophical” views of morality differ from “folk” views should be a focus of future research for MAC—similar to investigations in the cognitive science of religion into the differences between “theologically correct” religion and more intuitive folk variants (Barrett 1999; Slone 2004).
Bloom, Smith and Kurzban, and Wong also correctly point out that another way to falsify the theory would be to identify areas of morality that are not about cooperation. In particular, Bloom argues that “a cooperation-based account” is a “nonstarter” when it comes to explaining sexual morality, including prohibitions against “masturbation, homosexuality, bestiality, rape, and infidelity.”
We agree that it remains to be seen whether MAC can explain all moral phenomena. And we agree that sexual morality in particular is at present undertheorized, and hence poorly understood. However, we hypothesize that, on closer inspection, many aspects of sexual morality will turn out to be the products (or by-products) of cooperative mechanisms. If morals are solutions to the problems of cooperation recurrent in human social life, then perhaps sexual morals are solutions to the problems of cooperation recurrent in human sexual life, and we should view sexual morality as cooperation about sex. As such, MAC predicts that cooperative sexual behavior will be regarded as morally good, and uncooperative sexual behavior will be regarded as morally bad. Candidate examples can be found across all seven of the cooperative domains we have identified. First, kinship. Inbreeding has deleterious effects on the reproductive success of close kin; this could explain why incest is regarded as morally wrong (Lieberman, Tooby, and Cosmides 2003). Second, mutualism. Men and women often “team up” to raise offspring, to the mutual benefit of all involved; this could explain why long-term committed relationships such as marriage are seen as morally good, and why short-term uncommitted relationships—involving premarital, or promiscuous sex—which threaten the stability of long-term relationships are seen as morally bad (Kurzban, Dukes, and Weeden 2010; Pinsof and Haselton 2017; Price, Pound, and Scott 2014). Third, reciprocity. Long-term relationships such as marriage often involve an exchange of sexual exclusivity for resources (Baumeister and Vohs 2004); this could explain why violating this sexual contract—through infidelity, adultery, cheating—is considered morally bad, and why “dads” who do not invest are seen as “cads” (Kruger, Fisher, and Jobling 2003). Fourth, hawkish traits. Humans can resolve conflicts over mates by displaying sexually selected mate-winning traits, rather than coming to blows (Curry 2007). This could explain why cues of high mate value among men (virility, bravery, generosity) and women (fertility, chastity, beauty) are considered virtues, and why cues of low mate value—such as masturbation and bestiality for men (suggesting an inability to attract a mate), and masturbation for women (a correlate of “unrestricted sociosexuality”; Penke and Asendorpf 2008)—are considered shameful vices. Fifth, dovish traits. In traditional societies, parents, elders, and other authority figures often arrange marriages; this could explain why defying their wishes (e.g., by eloping) is considered morally bad, and why punishing this defiance is considered by some to be “honorable.” Sixth, fairness. Conflict over mates is also reduced by “sharing them out equally” (Henrich, Boyd, and Richerson 2012); this could explain why monogamy is regarded as morally superior to polygamy, and why divorce (serial monogamy) has been regarded as morally bad. Seventh, property rights. Conflict over mates is also reduced by respecting prior possession (“Hands off, he’s mine!”); such “sexual proprietariness” could explain why “attracting someone who is already in a relationship” is referred to as “poaching” (i.e., “stealing”; Schmitt and Buss 2001), and why some types of sexual crimes (e.g., rape) have been treated as a form of theft (Wilson and Daly 1992). Thus MAC suggests that there is more to sexual morality than the “misappraisal of disgust,” and instead derives from first principles testable predictions about moral attitudes to incest, marriage, infidelity, the sexual virtues, honor killings, monogamy, and mate poaching. MAC also predicts that individual and cultural variation in sexual morals will reflect the value of different types of sexual cooperation for different people under different conditions. Far from being a “nonstarter,” MAC could mark the beginning of a productive new research program on sexual morality.
Similarly, Smith and Kurzban point to food taboos, specifically the prohibition against killing cows, as another candidate example of morality without cooperation. We are not so sure. Killing cows may be taboo because they are viewed as family (“‘Gai hamari mata hai’—the cow is our mother!”), as symbolic markers of group identity, as deserving of gratitude for all they provide, or as hawkish signals of wealth and status (“artha”; Fox 1999). Analyzing these and other apparently anomalous moral beliefs—distinguishing their functional aspects from their functionless by-products—should be a goal of future research.
Bloom also argues that humans have the sense that morality is not merely subjective, but is instead objective and external (Stanford 2018); and he argues that this feature is not explained by cooperation: “the demands of cooperation are not sufficient to explain the emergence of morality.” Stanford himself, however, makes the opposite case—that “moral externalization” is “a cooperation-building machine.” If so, then “externalization” follows from, rather than contradicts, MAC. Moral judgments feel like they are related to an objective reality because cooperation is an objective reality (Curry 2005:125; Sterelny and Fraser 2016). Some things promote cooperation, and some things do not, whether we like it or not. And the demands of morality are imposed on us externally—by other people. Thus it is no surprise that would-be cooperators appeal to, and attempt to create a consensus about, these objective problems and solutions. Whereas, for individuals acting alone, subjective preferences suffice. Additional research on cooperation, including coordination and common knowledge, will help to shed further light on the psychology of externalization.
Wong argues that a “fulfilling and worthwhile human life” involves more than cooperation, and includes the contemplation of beauty and the exercise of autonomy. True, humans have a range of goals and values, only some of which are cooperative (and hence, according to the theory, moral). Some are uncooperative, some competitive, and some not social at all. The most fulfilling life would presumably involve achieving them all; and doing so may require a degree of autonomy—the freedom to pursue one’s own interests, including the freedom from being coerced to join other people’s cooperative schemes. Nevertheless, by retaining the distinction between cooperative and uncooperative goals, we retain the ability to distinguish between morally good and morally bad ways of living, however fulfilling each may be.
Finally, Smith and Kurzban raise as potential objections to MAC the fact that morals are self-serving, nonconsequentialist, often suboptimal, and sometimes destructive. True; but this too follows from, rather than contradicts, the theory. MAC’s claim that morals are biological and cultural strategies for cooperation (as opposed to altruism) predicts that they will be (ultimately, genetically) self-serving, and that, given the choice of cooperative equilibriums, people will prefer those that benefit themselves the most. MAC also predicts that morals, qua conditional strategies, will resemble conditional rules, not open-ended consequentialist calculations—consistent with the standard view in evolutionary psychology that “individual organisms are best thought of as adaptation-executers rather than as fitness-maximizers” (Tooby and Cosmides 1992:54). And MAC predicts that such strategies will not always be successful (let alone globally optimal), and will inevitably have some negative side effects—especially with regard to evolutionarily novel problems (e.g., organ transplants). As such, the pertinent question is not: “Do morals sometimes go wrong?” They do. Rather, the question is: “Do morals go wrong in ways that reflect the inevitable limitations and by-products of cooperative strategies, or is some other explanation required?” Answering this question is another important goal of future research.
In summary, by drawing on the mathematics of cooperation, MAC makes principled predictions about the nature of morality and its proximate instantiations that distinguish it from other theories in a crowded field. By testing these predictions, we will discover whether MAC provides what has been missing from anthropology and the behavioral sciences in general—a grand unified theory of morality.
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Notes
• Go to
1. MFT conflates reciprocity (a solution to iterated prisoners’ dilemmas) with fairness (a solution to bargaining problems). What’s more, there are no items pertaining to reciprocity in the questionnaire designed to measure the moral foundations (Graham et al. 2011).
2. Indeed, “purity” is described as an “odd corner” of morality precisely because it is not “concerned with how we treat other people” (Haidt and Joseph 2004:60).
3. Moral dilemmas arise when one form of cooperative behavior is incompatible—and comes into conflict—with another, and some decision or trade-off must be made between them. Thus the theory of morality-as-cooperation predicts also that the only time a form of cooperative behavior will be considered morally bad will be when it is pursued at the expense of some other larger form of cooperation—as in the case of thieves loyally cooperating to rob a bank. Conversely, the only time a form of uncooperative behavior will be considered morally good will be when it facilitates some larger cooperative outcome—as in the case of a whistle-blowing employee disobeying her boss to report a crime. In other words, cooperative behavior will only ever be considered morally bad relative to some other, greater opportunity for cooperation. In all cases the underlying moral criterion remains: “Does this behavior promote cooperation?”
4. Variables shown for Murdock and White (2006) refer to the “Standard Cross-Cultural Sample: Codebook,” http://eclectic.ss.uci.edu/~drwhite/courses/SCCCodes.htm.
5. Note that Human Universals (Brown 1991) does not provide any data, and no such data exist. And so these claims should be viewed as hypotheses awaiting evidence, rather than evidence in themselves.
6. eHRAF describes the subject code Ethics (577) as follows: “Abstract ethical ideals (e.g., truth, righteousness, justice); ideals of individual virtue (e.g., honesty, loyalty, industry, courage, temperance, tolerance, filial piety); notions of right and wrong; conception of conscience and character; incidence and causes of, and attitudes toward breaches of ethics (e.g., lying, cowardice, flouting of kinship obligations); conflicts between ideal values and practical considerations; gender-typed attitudes and values; etc.” And eHRAF describes the subject code Norms (183) as: “Native and scientific definitions of custom (e.g., as ideal patterns, as ranges of variation within limits, as statistical inductions from observed behavior); positive and negative norms (e.g., folkways, taboos); verbalized and covert norms; investment of norms with affect and symbolic value (e.g., mores, idealization); discrepancies between ideals and behavior; configurations of norms (e.g., culture complexes, institutions); etc.” Full descriptions of all eHRAF subjects can be found here: http://hraf.yale.edu/online-databases/ehraf-world-cultures/outline-of-cultural-materials/.
7. Year of publication: n = 603, mean = 1961, SD = 30, median = 1967, minimum = 1704, maximum = 2009.
8. The instructions to coders were as follows: “Please read through the following paragraphs. Your task is to decide, for each paragraph, whether it contains evidence that any of seven behaviors explained in table 1 is considered morally good or bad. ‘Moral goodness’ may be indicated by comments to the effect that the particular behavior is good, right, moral, ethical, or virtuous, or that it is an obligation, duty, or moral norm, and so on. It may also be indicated by morally-valenced words. For example, the mere mention of ‘family loyalty,’ or ‘property rights’ would suffice. Moral goodness can also be indicated by evidence that not performing the particular behavior is bad, wrong, immoral or unethical, etc. Similarly, moral badness maybe indicated by comments to the effect that the particular behavior is bad, wrong, immoral, unethical, or sinful, or that it is taboo, shameful, prohibited, and so on. If there is evidence that the particular behavior is considered morally good, then type ‘1’ in the adjacent box. If the behavior is considered morally wrong, then type ‘−1.’ Please bear in mind that any given paragraph may contain evidence that several different behaviors are considered moral (or immoral).”
9. All P-values <.001. Although there was some disagreement about whether particular paragraphs should be coded as positive or not, there was no disagreement about whether a paragraph should be coded as positive or negative. And so although the coding of any given paragraph could be challenged (and altered), any such alternation would be very unlikely to alter the sign of the data (from positive to negative), and as such would not make any substantive difference to the main result. Also, although “explicit moral indifference” to a cooperative behavior was not coded during the official review process, in response to a reviewer query we can confirm that: (a) any such cases would have certainly caught our attention; and (b) there were no such cases.
10. With respect to “dividing disputed resources,” the raters agreed on the absence of evidence of fairness in 1,219 cases and the presence of fairness in 22 cases. However, raters 1 and 2 rated 37 cases as containing evidence of fairness when rater 3 rated them as absent, and rater 3 rated 148 cases as containing evidence of fairness when raters 1 and 2 rated them as absent. There was indeed ample praise for “sharing” (along with generosity, largesse, and condemnation of stinginess). However, like the term “altruism,” it was difficult to determine whether such sharing was directed at kin, group members, friends, or people in general, and thus often impossible to code.
11. There were 18 other examples of these seven moral values coming into conflict: nine examples of conflict between helping family and helping group; two of conflict between helping family and being brave; two of conflict between helping family and deferring to authority; and one example each of conflict between helping family and reciprocating, helping group and being brave, reciprocating and being brave, being brave and being deferential, and being deferential and respecting possession. However, in these cases, the moral values were portrayed as being in conflict, rather than one being good and the other bad.
12. As noted above, although there were several accounts of individuals in Central America “dividing resources equally” and contributing their “fair share,” these were not sufficiently specific to be counted as “fairness” under our strict coding procedures.
13. More generally, morality-as-cooperation has the potential to explain the historical shift “from status to contract” in social relations (Maine 1861), as well as the more recent observations of a division between “communal” and “contractual” values (Schwartz 1992) and between “binding” and “individual” moral foundations (Graham et al. 2011).
14. Larger numbers of societies per region would also make statistical tests of cross-regional variation more powerful.
© 2019 by The Wenner-Gren Foundation for Anthropological Research. All rights reserved.

https://www.journals.uchicago.edu/doi/10.1086/701478


http://www.asyura2.com/18/social10/msg/159.html

[国際25] ロシアのクリミア併合から5年、膨らみ続けるコスト 平均賃金は月約5万円で停滞 クリミア併合5年も ロシア国内で反政府デモ
ロシアのクリミア併合から5年、膨らみ続けるコスト
Natasha Doff
2019年3月19日 2:52 JST
• クリミア併合関連の制裁、2014年以降にロシア経済を6%下押し
• 賃金は停滞、外国投資は枯渇−世論にも変化表れる

A monument to scuttled ships stands off the shore of Sevastopol, Crimea, on Tuesday, Feb. 28, 2017.
Photographer: Misha Friedman/Bloomberg
プーチン大統領がウクライナのクリミアを併合して5年たつが、ロシアが支払うコストは膨らみ続けている。
  ロシアのクリミア併合は依然として大半の国が認めず、ロシアを処罰するため米欧が主導して制裁など幅広い措置を打ち出している。一方、ロシアは新たな発電所や本土とクリミアを結ぶ大橋への巨額の投資など、クリミアを自国経済に統合しようと躍起だ。だが、主要輸出品である原油の価格低下ですでに打撃を被っていたロシアと同国市民は、外国投資の落ち込みと上がらない賃金という痛みも強いられている。最近の調査によると、クリミア併合への市民の強い支持は失われつつある。
  以下に5つのチャートでクリミア併合でロシアが負ったコストを示す。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ij28yvSicpAw/v1/576x-1.png

  ブルームバーグ・エコノミクスのアナリストらは、制裁が過去5年間にロシア経済を最大6%下押ししたと推定している。アナリストのスコット・ジョンソン氏が昨年末に発表した調査によると、現在のロシア経済は2013年末に予想されていた水準を、10%余りに相当する1500億ドル(約16兆7100億円)下回る。このうち4%は原油安が原因だが、残りは制裁やその他の要因だという。
Sanctions Squeeze
Number of Russian companies and individuals subject to U.S. sanctions

Source: U.S. Treasury
  制裁が近く解除される見込みは薄い。そればかりかロシアは2016年の米大統領選に介入した疑いを持たれているため、制裁が強化される可能性すらある。米国が制裁対象に加えたロシアの企業や個人の数は2014年以降に4倍増え、700余りに達した。米政府内では追加制裁案を準備しており、年内に制裁対象がいっそう拡大する展開もあり得る。
Stagnant Incomes...
...except in Crimea, where they are catching up with the higher base in Russia

Source: Russian Federal Statistics Service
  景気低迷は、ロシアの一般市民に賃金として行き渡る資金の量が減ることを意味する。クリミア併合以降、ロシアの平均賃金は月3万ルーブル(約5万円)をかろうじて上回る水準で停滞する。クリミアの平均賃金は伸びているが、もともと低かったためロシアの他地域に並ぼうとする動きが後押ししている。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iFoRaQ3JJR6M/v2/pidjEfPlU1QWZop3vfGKsrX.ke8XuWirGYh1PKgEw44kE/576x-1.png
  外国直接投資はトランプ米大統領誕生で制裁が緩和されるとの期待が浮上した2017年にやや上向いたが、最近は落ち込みが激しい。昨年にはマイナスにすら転じた。
How did the Crimea annexation affect Russia?

Source: Survey of 1,500 Russians conducted by the Public Opinion Foundation on March 2-3
  経済的な圧迫がロシアの一般市民を苦しめる中で、クリミア併合を巡る世論にも変化が表れている。モスクワを拠点とする世論調査機関「世論基金(FOM)」が14日発表した調査によると、併合がロシアに害よりも利益をもたらしていると考える人の割合は39%と、2014年末の67%から大きく減少した。
原題:Russia Still Paying Price for Crimea Five Years After Annexation(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-18/POKNGVSYF01S01


 


クリミア併合5年も ロシア国内では反政府デモ 
3月18日(月)
ニュース

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ロシアがクリミアを併合してから18日で5年となります。現地ではプーチン大統領も出席してロシアによる様々な祝賀行事が予定される一方、国内ではプーチン政権への反発も広がっています。クリミア併合5周年を前にモスクワでは17日、プーチン政権の打倒を掲げる人々およそ2,000人が集会を開きました。併合当時は9割近くに達したプーチン大統領の支持率も欧米の経済制裁や景気の低迷を受け、6割台まで低下しています。こうした中、プーチン大統領は18日に、クリミアを訪れ、ロシアが建設した火力発電所の稼動を祝うセレモニーなどに出席する予定です。
https://www.tv-tokyo.co.jp/mv/nms/news/post_173530
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/727.html

[政治・選挙・NHK258] 沖縄から米軍基地をなくすたったひとつの方法 いまや原発に匹敵する「迷惑施設」となった米海兵隊
2019年3月18日

沖縄から米軍基地をなくすたったひとつの方法
[橘玲の日々刻々]
 沖縄・辺野古の米軍基地建設への賛否を問う県民投票で、「反対」71.7%の「民意」が示されました。

 この問題の背景には、米軍基地が「迷惑施設」になったという現実があります。

 日本は敗戦で連合軍(米軍)の統治下に入り、1952年のサンフランシスコ講和条約で占領が終わりますが、沖縄はそれから20年間、アメリカの「植民地」でした。

 敗戦直後の日米の「経済格差」はとてつもなく大きく、ゆたかな米軍は日本人の憧れでした。それに比べて、「日本を破滅に追いやった」旧軍の後継である自衛隊への視線はきわめて冷たく、災害救援でも自衛隊の活動はいっさい報じないのがマスコミの常識でした。

 それが変わってきたのは高度経済成長の時代で、円高で米軍基地が地元経済に貢献しなくなり、いつの間にか米兵は「迷惑なひとたち」になりました。大きな転換点は1995年で、阪神・淡路大震災(1月)での献身的な救援活動で自衛隊が大きく評価を上げる一方、沖縄ではアメリカ海兵隊員らが12歳の女子小学生を拉致・集団強姦する事件が起き(9月)、米軍基地撤廃を要求する大規模な集会が開かれました。この事件をきっかけに、住宅地の真ん中にある普天間基地を移設することになり、その候補地として辺野古が選ばれたのです。

 その後の複雑な経緯はとうていここでは書ききれませんが、沖縄の反基地感情はますます高まり、自民党に所属していた翁長知事が辺野古建設反対へと態度を変えたことで決定的になりました。翁長知事の死にともなう県知事選や今回の県民投票でも、「迷惑施設はもう御免だ」という沖縄のひとびとの強い意思は明らかです。

 これもいちいち説明する必要はないでしょうが、問題は辺野古以外の代案がないことです。鳩山元首相が「最低でも県外」と約束した民主党政権が、迷走の挙句、けっきょく辺野古への移設を容認せざるを得なくなったことが日本政府の苦境を象徴しています。「沖縄の負担軽減のため本土移設を」と述べる論者もいますが、これはただいってみただけで、いまや原発に匹敵する「迷惑施設」となった米海兵隊を受け入れる自治体など見つかるはずはありません。

 こうして安倍政権は辺野古の海の埋め立てを強行し、民主党時代の失態で脛に傷を持つ野党も批判は口だけで、沖縄の怒りと絶望はますます募るという悪循環にはまっています。

 それでも代案を出せといわれたら、唯一実現可能性が(わずかに)あるのは、「日本から米軍に出ていってもらう」ことです。トランプ大統領は、「アメリカが負担する軍の海外駐留は認めない」と断言しているのですから、首脳会談で「思いやり予算(在日米軍駐留経費負担)はもう払えません」といえば「解決」する話です。

 そうなれば日本は真に「独立」して、大量の核兵器を持つロシア、中国、北朝鮮という隣国から自力で国民・国土を守ることになります。当然、「核兵器保有」を求める大きな政治勢力が登場するでしょう。米軍の「核の傘」があるからこそ、日本の右傾化=軍事化が抑えられてきたのです。

「沖縄に米軍基地はいらない」というリベラルは、この不愉快な現実とちゃんと向き合わなければなりません。

『週刊プレイボーイ』2019年3月11日発売号に掲載

橘 玲(たちばな あきら)

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作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ヒット。著書に『「言ってはいけない?残酷すぎる真実』(新潮新書)、『国家破産はこわくない』(講談社+α文庫)、『幸福の「資本」論 -あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』(ダイヤモンド社刊)、『橘玲の中国私論』の改訂文庫本『言ってはいけない中国の真実』(新潮文庫)、『もっと言ってはいけない』(新潮新書) など。最新刊は『人生は攻略できる』(ポプラ社)。

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沖縄から米軍基地をなくすたったひとつの方法 [橘玲の日々刻々][2019.03.18]
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[政治・選挙・NHK258] 日ロ交渉の真実、日本の一方的勘違いの歴史だった 日本のメディアが報じない「本当の日露交渉史」年表  
日ロ交渉の真実、日本の一方的勘違いの歴史だった
日本のメディアが報じない「本当の日露交渉史」年表
2019.3.19(火) 黒井 文太郎
 日ロ首脳が会談、北方領土交渉の打開に至らず
ロシアの首都モスクワで行われた日ロ首脳会談の後、共同記者会見のため会場に入るロシアのウラジーミル・プーチン大統領(左)と安倍晋三首相(右、2019年1月22日撮影)。(c)Alexander NEMENOV / POOL / AFP 〔AFPBB News〕

(黒井 文太郎:軍事ジャーナリスト)

3月15日付のロシア大手紙「コメルサント」が、プーチン大統領がロシア財界人との会合で語った内容を報じた。「日本との平和条約交渉の速度が失われている」「日本はまず日米同盟を破棄しなければならない」「日本との対話は続けるが、ひと息つく必要もある」などである。

 ここで最重要なのは「日本はまず日米同盟を破棄しなければならない」だろう。平和条約を締結しても、日ソ共同宣言にある色丹島と歯舞群島の引き渡しには日米同盟破棄、すなわち日米安全保障条約の破棄が条件の1つだとの認識を示しているからだ。日本政府が日米同盟を破棄することはあり得ないから、2島引き渡しの可能性がゼロ%であることは明らかだ。

 これに先立ち、3月12日にはロシア大統領府のべスコフ報道官も会見で、「(日本側と)議論しているのは平和条約締結交渉で、島の引き渡しではない」と発言。ロシア政府が日本側と北方領土の引き渡しについては交渉していないことを明言した。

 対日交渉の責任者であるラブロフ外相も2月24日に「(領土問題を解決して平和条約を締結するとの安倍首相の発言に対して)その確信の理由が分からない。プーチン大統領も自分も、そんな発言の根拠は一切与えていない」と公式に語っている。

 これらロシア側の発言で、事実上の2島返還での平和条約締結を目指していた安倍首相は、完全に梯子を外された格好になった。日本政府からの対露交渉についての情報発信も、ほとんど止まってしまった。

 こうしたロシア側の冷たい態度に「ロシア国内世論の反対で、プーチン政権が態度を硬化させた」というような解説が散見される。しかし、筆者がJBpressへの寄稿記事などで再三指摘してきたように、ロシア側はこれまで一度も「2島なら返還する」などとは発言していない。プーチン大統領が「日米同盟破棄がまず必要だ」と語ったことも、けっして予想できなかったことではない。ロシア側はそうした条件を持ち出す布石を、これでまで着々と打ってきているからだ。つまり、ロシア側はもともと2島を引き渡す意思がなかったのである。

 ところが、これまで日本のメディア各社の多くは、あたかも「領土返還交渉が進展している」かのような報道を繰り返してきた。なぜそうなったのかというと、日露交渉の経緯を、日本側関係者の証言だけに基づいて報じてきたからだ。日本側でだけ報じられてきた日露交渉の経緯は、日本側関係者たちの願望そのもので、事実とはほど遠い。いわばファンタジーのようなものだ。

 では、実際の日露交渉はどういった経緯だったのか? 旧ソ連時代からの流れのポイントを年表形式で示してみよう。

北方領土交渉のこれまでの経緯
【1956年10月 日ソ共同宣言署名】

「平和条約締結後に2島引き渡し」項目が盛り込まれる。ただし、択捉・国後両島への言及がなかったため、日本側が4島返還への協議継続を主張。平和条約には至らず。当時、アメリカも反対。

【60年6月 改定日米安全保障条約・発効】

 ソ連が態度を硬化。「在日米軍撤退」を条件に加える。

【61年9月 フルシチョフ書簡】

 フルシチョフ首相が池田勇人首相に対する書簡で「領土問題はすでに解決済み」。

【90年 ソ連経済壊滅】

 日本側でだけ「カネで領土が買える」論が急浮上する。しかし、ロシア側では一切動きなし。

【91年3月 小沢一郎・自民党幹事長が訪ソ】

 巨額の経済支援と引き換えの領土返還をゴルバチョフ大統領に打診するも拒否される。

【91年4月 ゴルバチョフ訪日。日ソ共同声明】

 海部俊樹首相とゴルバチョフ大統領が会談。領土問題が明記されるが、ソ連側は日ソ共同宣言への言及を拒否(なお、これに先立ち、ソ連政府はイーゴリ・クナーゼらの学者グループに領土問題についての国際法的・歴史的経緯についての検討を指示。ソ連側の正当性を一部疑問視する報告が上げられていた)。

【91年12月 ソ連崩壊】

 ソ連・ロシア経済は困窮を極め、日本側ではますます領土返還への期待が上がる。他方、ロシア側では領土返還に関する議論・検討の動きは皆無。

【92年3月 クナーゼ提案】

 渡辺美智雄外相=コズイレフ外相会談の非公式の場で、同席していたクナーゼ外務次官がいくつかのプランの1つとして「平和条約締結後の2島引き渡し」の可能性に言及。日本側はロシア政府のプランと捉えたが、あくまでクナーゼ次官個人のプランの1つであり、ロシア政府内では検討の形跡はない。

【93年10月 東京宣言】

 細川護熙首相とエリツィン大統領の会談で、ロシア政府の正統性と日露協力を確認。4島の帰属問題が明記され、ソ連時代の条約等も引き継がれることを確認。しかし、ロシア側は返還について触れることは拒否。

【97年11月 クラスノヤルスク合意】

 橋本龍太郎首相とエリツィン大統領が経済協力プランに合意。2000年までに平和条約締結を目指すことにも合意したが、ロシアは領土返還についての言及は拒否。

【98年4月 川奈提案】

 橋本首相とエリツィン大統領が会談。「4島の北に国境線を引くが、当面の施政権をロシアに認める」との日本側の提案に対し、エリツィン大統領が「面白い」と反応。しかし、ロシア側の大統領補佐官がすかさずエリツィンに耳打ちしたことで、話が打ち切られる。

 一部の日本側関係者は「もう少しで4島の帰属を勝ち取れるところだった」と捉えているが、ロシア側では検討の形跡は一切ない。

【2001年3月 イルクーツク声明】

 森喜朗首相とプーチン大統領が会談。56年の日ソ共同宣言を「平和条約締結に関する交渉プロセスの出発点を設定した基本的な法的文書であることを確認」する。また「相互に受け入れ可能な解決に達することを目的として、交渉を活発化」と明記。

 日本側関係者の多くが「プーチン政権は2島返還で決着したがっている」と捉えたが、ロシア側は今日に至るまで、そう明言することを回避している。また、これ以降、日本側では「2島は確実。問題は2島先行か4島一括か?」という論点が中心になるが、ロシア側では2島返還すらも現実的な選択肢としては議論されていない。

【2003年1月 日露行動計画】

 小泉純一郎首相とプーチン大統領が会談。政治・経済・社会の具体的な協力を明記。領土問題に関しても言及があるが、これ以降、ロシア側は4島帰属問題を明記した東京宣言に言及することを拒否するようになる。

【2006年12月 麻生太郎外相「面積2分割論」発言】

 麻生外相が国会で発言。だが、ロシア側ではその発言に対する議論も検討も皆無だった。

【2009年2月 サハリン首脳会談】

 麻生首相とプーチン大統領が会談。ロシア側が「独創的で型にはまらないアプローチ」を提案し、合意する。日本側の一部では領土分割を期待するが、ロシア側にはそんな検討は皆無。

ロシア、北方領土に新たな軍事施設建設
北方領土の国後島を訪問し、ソビエト時代の要塞近くを歩くドミトリー・メドベージェフ大統領(当時)(2010年11月1日撮影、資料写真)。(c)AFP/RIA-NOVOSTI/KREMLIN POOL/MIKHAIL KLIMENTYEV〔AFPBB News〕

【2012年3月 プーチン大統領「引き分け」発言】

 日本側では「2島返還の意味だ」と捉えられたが、ロシア側は一切そうした説明はしていない。

【2012年7月 メドベージェフ首相「わずかでも渡さない」発言】

 プーチン大統領の完全なイエスマンであるメドベージェフ首相が、国後島を訪問した際に発言。

【2013年4月 モスクワ首脳会談】

 安倍晋三首相とプーチン大統領が会談。日本政府関係者から日本のメディア各社に「プーチン大統領が面積折半方式に言及した」とリークされ、「3.5島返還」論などが大きく報じられる。ただし、ロシア側メディアではそうした話は皆無。発言内容が漏れる可能性のある首脳会談でプーチン大統領がそうした発言をすることはほぼあり得ず、おそらく日本政府関係者の誤解もしくは虚偽。

【2015年9月 モルグロフ外務次官「領土問題は70年前に解決済み」発言】

【2016年5月 ソチ日露首脳会談】

 日本側から「新たなアプローチ」提案。以後、日本政府は領土返還要求よりも経済協力を先行させる方針に大きく転換していく。

【2016年5月、プーチン大統領「領土をカネで売り渡すことはない」発言】

【2016年12月 プーチン大統領「領土問題は存在しない」「日ソ共同宣言には2島引き渡しの条件も、主権がどちらになるかも書かれていない」発言】

【2016年12月 山口県で日露首脳会談】

 経済協力推進で合意する。だが、領土返還への言及は一切なかった。

【2018年9月 ウラジオストッで東方経済フォーラム】

 プーチン大統領が「前提条件なしでの同年中の平和条約締結」を提案。

【2018年11月 シンガポール日露首脳会談】

「日ソ共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速」合意。これを受けて日本のメディア各社は「2島先行返還で領土返還交渉が進展か」と大々的に報じる。

 しかし、翌日、プーチン大統領が記者会見で「共同宣言には引き渡す条件も、主権がどうなるのかも一切書かれていない」と発言。日本側の期待が一気に萎む。

【2018年12月 日本外務省、日露交渉について一切ノーコメントになる】

【2019年1月 河野太郎外相=ラブロフ外相会談】

 ラブロフ外相が「日本は4島のロシア主権を認めよ」「北方領土という言葉を使うな」「日ソ共同宣言は日米安保条約改定前のもの。状況は変化している」などと発言。ロシア側が2島引き渡しすら考えていないことがほぼ明らかになる。

【2019年1月 モスクワ首脳会談】

 領土問題に触れず、経済協力関係の大幅拡大に合意。

【2019年2月 外相会談】

 一切進展なし。

【2019年6月 大阪G20サミット】

 日露首脳会談予定。

※   ※   ※

 以上が、北方領土問題に関する日露交渉の大まかな流れである。

 これまでどの時点を振り返っても、ロシア側は領土を1ミリでも引き渡すことを明言しておらず、日本側が希望的観測で勝手に期待値を上げてきたことが明らかだ。

 相手は海千山千のロシアである。希望的観測で期待して交渉しても、実は1つも得られまい。まずはロシアの意思を冷静に分析し、認識する必要がある。

 現状がどう進んでいるかというと、2島引き渡しを棚上げされたまま、一方的に4島の領土要求の放棄を公式に迫られている。しかもそれだけでなく、さらなる経済協力だけがどんどん拡大させられようとしている。

 しかし、ロシア側の意思を冷静に認識できれば、ロシアの歓心を買おうと、日本側から一方的に妥協するのは逆効果でしかないことが分かる。ロシアとの交渉はきわめてハードなもので、簡単に相手の妥協は引き出せないが、それでも少しでも日本側の利益を求めるなら、より強い態度で臨むべきだろう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55783
http://www.asyura2.com/19/senkyo258/msg/622.html

[国際25] EU大手術を訴えるマクロンに「パリ炎上」の冷や水 高級ブランド店の略奪まで正当化し始めたパリの破壊者集団 
EU大手術を訴えるマクロンに「パリ炎上」の冷や水
高級ブランド店の略奪まで正当化し始めたパリの破壊者集団
2019.3.19(火) 林 路郎
フランスで18週目の「黄ベスト運動」、ブランド店で略奪も
仏ボルドーで行われた「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)」運動のデモ参加者ら(2019年3月16日撮影)。(c) MEHDI FEDOUACH / AFP〔AFPBB News〕

 昨年秋以来、土曜日ごとにフランス各地で繰り広げられる抗議デモ「黄色いベスト運動」への「回答」としてマクロン大統領が1月中旬に始めた全国各地の国民との「対話集会」行脚が3月15日、終幕を迎えた。

 世論の吸い上げという点で一定の効果があったかに見えたが、翌16日には、デモに便乗した激しい破壊活動が再発。パリの目抜き通りシャンゼリゼは大荒れとなった。5月下旬の欧州議会選挙を前に欧州連合(EU)加盟国に広がる「反EUのナショナリズム」に戦いの狼煙をあげたマクロン氏だが、足元では抗議の炎がくすぶり続けている。

 仏内務省によると、16日のデモには約3万2300人が参加。初回の約28万2000人に比べ、その数は1割強にまで縮小した。だが、破壊活動の激しさは、凱旋門に傷が付くなどした12月1日を彷彿とさせた。1500人超とみられる破壊者集団がシャンゼリゼ通りに結集。カルティエ、オメガ、スワロフスキーといった高級ブランド店やブティック、19世紀以来の伝統を持つ高級ホテル・フーケツの有名なブラッスリーやスターバックスなど90軒以上の店舗で暴行を働き、商品を略奪し、放火するなどの行為に及んだ。

フランスで18週目の「黄ベスト運動」、ブランド店で略奪も
仏パリのシャンゼリゼ通りで行われた「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)」運動のデモで略奪被害を受けた紳士服ブランド「ヒューゴボス」の店舗の写真を撮る女性(2019年3月16日撮影)。(c)HERVE BAR/ AFP〔AFPBB News〕

 メンバーの一人は仏テレビに「高級店オーナーたちは生活に困っていない。襲撃は仕方ないだろう」とうそぶいた。カルティエの店舗壁面には「また来週!」と再度の襲撃を予告するような落書きが残された。「社会正義が暴動を正当化する」との落書きもある。地元経済界幹部は「年商の3〜4割が破壊行動によって失われる」と悲鳴をあげる。路上では警察や機動隊の車両、新聞スタンド、郵便ポストなどが破壊・放火された。デモ隊と治安部隊が衝突する場面も相変わらず。検挙されたデモ参加者は144人に上った。デモ隊の42人、治安部隊の17人、消防隊の1人が負傷したという。

「対話」行脚には好印象
 11月中旬、最初のデモに28万人以上が参加した時、マクロン氏はその規模に衝撃を受け、一時は引きこもりに近い状態になったと伝えられた。だが、それから18週間。3月16日の週末は、外遊先のアフリカから戻ってピレネー山脈でスキー休暇を取っていた。2カ月の「対話」の成果に自信を深め、リラックスしていたに違いない。世論懐柔策として1月中旬から全仏を回り、「対話集会」を重ねてきた。支持率は回復し、昨年12月のイフォップ社の調査で23%に落ち込んだ数字は3月上旬、28%に回復していた。

 マクロン氏は地方へ出向き、国民の声に耳を傾け、自らの政策を雄弁にアピールした。本人は不在でも、大統領に賛同して地方自治体の首長らが主催した集会は約1万回にのぼる。コミューン(日本の市町村に相当)役場などの窓口で住民に要求や提案を自由に書いてもらう「嘆願陳情書」はノート約1万6000冊分に達した。国民がインターネット経由で政府に出した意見や要求は約150万件。草の根の声を集める官製世論調査というべきプロジェクトだった。

 国民の意見は多岐にわたる。「田舎から消えた医療、行政サービス、商業施設を復活してほしい」「減税で生活を楽にして」「年金生活者から社会保障税を徴収するな」「公共交通機関の拡充を」「燃料税は廃止を」といった生活に直結した訴えは多い。「租税回避の取り締まりを強化せよ」と富裕層への反感を込めた声や、「国民が直接発議する国民投票の導入を」「大統領の罷免手続きを定めよう」「国会議員の定数を減らせ」「比例代表制を導入せよ」「上院はいらない」といった政治制度にまつわる意見もかなり出た。

 住民対話も活発だった。税制、気候変動対策、民主主義といったテーマで議論が行われ、参加者の声はそのまま政府あての資料に記録された。抗議デモの引き金となった燃料税は「大きな航空会社から徴収すればいい」などの声が出た。「必需品を付加価値税(日本の消費税に相当。フランスでは価格の20%)の課税対象から除外して」「高級官僚や公務員の給料を公開せよ」「国の予算で運営されるテレビ局の記者たちはジャーナリストといえない。予算を減らせ」「警官の給料を引き上げて」などの声も強く、フランス人が共有する「平等」「社会正義」といった観念の健在ぶりも浮き彫りになった。

 自らの国が抱える課題を近所で話し合う、民主主義の実践そのものだった。デモのスローガンに「指導者が国民から遊離している。マクロンは辞職せよ」という要求があったことを踏まえれば、政権が住民に政治参加の機会を提供したことは道理にかなっていた。

 マクロン氏にとってのメリットも多かった。出張先まで大統領を追うメディアへの露出が増え、国民と語る姿をアピールできた。「力強いが尊大な男」との人物評がついて回る中、イメージアップの効果も多少あったはずだ。ネットを通じた政府への提案は、マクロン支持層の多くの人から回答が寄せられたことが世論調査会社の調べでわかっている。「対話」がマクロン氏の支持基盤を結束させる効果もあったといえるだろう。

問われる「成果」
 だが、裏を返せば他政党への広がりには欠けたことを意味している。オランド前大統領を支えた社会党からはマクロン氏のメディアへの露出ぶりに「5月下旬の欧州議会選挙に備えた運動か」と皮肉る声が出た。「議員や労組代表の頭越しに有権者と直接取引している。民主主義の骨抜きだ」と嫉妬するような声も政界から上がった。さらに、多くの自治体で、参加者の大半が50歳代以上だったと報告されている。子育て世代や若者の声が吸い上げられたかどうかはわからない。

 デモのそもそもの出発点は地方住民の「生活苦」だった。人々の台所の苦しさが解消したわけではない。支持率が多少回復しても、中間層の生活苦を改善する「成果」をもたらさない限り、抗議の火はくすぶり続ける。そんな認識を、地方自治体の多くの首長や国会議員らは抱いている。なかなか収束しないデモと、付随する暴力の拡散が、それを証明している。

 炎上し、黒煙の上がるシャンゼリゼの16日の映像をスキー場で見たマクロン氏は、ツイッターに「さまざまな手を打ってきたが、まだやることがある。早い時期に再発防止のための強力な措置を取る」と書き込んだ。野党勢力が「政権の失態」を批判する中、翌17日には休暇を切り上げてパリへ戻り、フィリップ首相や担当閣僚らとの緊急対策会議に臨んだ。会議後、首相府は「16日の破壊行為を予測できず、暴力も封じられなかった。分析の結果、対策が十分でなかったことがわかった」との声明を出し、失策を認めざるを得なかった。政府は治安対策の強化に乗り出すが、仏メディアには、2カ月の対話行脚でマクロン氏は一定の地歩を築いたが、パリの炎によって「政局は元の鞘へ戻った」(ル・モンド紙)との辛辣な評価もある。

照準は欧州議会選へ
 努力が水泡に帰すかのような事態の展開にマクロン氏は内心、苛立っているはずだ。目下の最大の懸案は、5月下旬にEU加盟国で一斉に行われる欧州議会選挙である。排外主義の極右やナショナリスト(国家主義)、あるいは権威主義体制を指向する政治勢力が「反EU」を掲げて各国で台頭しており、第2次大戦後の欧州で政治を動かしてきたキリスト教民主主義、社会民主主義、自由主義の既成主要政党が持っている議席を相当程度奪うとの懸念が強まっているためだ。

 EU政治の心臓部は加盟国による合議と執行機関の欧州委員会だが、欧州議会もEUの意思決定過程では不可欠の機関である。そこで反EU勢力の力が増すことは、EU全体の機能不全を招きかねない。

 マクロン氏は3月5日、EU加盟国の28のメディアに寄稿し、欧州が直面する危機に対処するための「抜本改革」を呼びかけた。その詳細は次稿に譲るとして、マクロン氏の行動は、欧州の運命を左右しうる極めて貴重な存在となりつつある。EUで独仏伊に次ぐ4番目の経済規模を誇り、EU予算の1割強を拠出してきた英国は、いずれEUを離脱する。イタリアは排外主義の極右「同盟」とポピュリスト政党「五つ星運動」の連立政権が「反EU」の牙を剥き、「親EU」のマクロン氏の足を引っ張るかのように「黄色いベスト運動」への支持を煽っている。求心力を体現してきたメルケル独首相は、与党党首の座を後進に譲り、影響力低下は隠せない。

 旧東欧に目を向ければ、ハンガリーやポーランド、ルーマニアといった国々では、政権が野党やメディア、市民団体を抑圧し、司法を統制するような反民主化・権威主義化に傾斜している。欧州全体が世界の勢力図で地盤沈下しつつある時代にあって、マクロン氏だけがEUを鼓舞する旗を振り、賛同者を募り続けているのだ。

マクロン氏もポピュリストか
 マクロン氏の立ち位置は、17年大統領選に勝利した時のそれと変わっていない。「反ナショナリズム」「左右の既成政党に属さない新たな政治勢力」「親EU」「親グローバリズム」は彼のブランドである。だが、「黄色いベスト」に直面して100億ユーロ超の財政出動を決め、その政策運営にポピュリスト的な側面が加わったのも事実だろう。

「仏企業や欧州のグローバル市場における競争力の向上やEU統合深化などの経済・外交課題にさえ取り組んでいればよく、人々の困窮にはあまり耳を貸さない」。そんな印象を仏国民が抱いたからこそ、「マクロンやめろ」の抗議デモは起きた。財政出動や対話集会は必要な路線修正といえる。

 だがその抗議デモは、完全には収束しそうにないばかりか、今や暴力的なイメージが先行しつつある。生活者集団を代弁するはずの「黄色いベスト」運動の参加者と、「破壊者たち」を切り離すため、フィリップ首相は18日、破壊者が混じったデモを禁じる方針を発表したうえで、警察幹部を更迭した。だが、それが真の「対策」となるのか、心許ない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55815
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/728.html

[政治・選挙・NHK258] 外国人労働者受け入れ拡大、「問題置き去り」の声も 「消えた留学生」、東京福祉大「所在不明0人」と報告  

ワールド2019年3月19日 / 09:23 / 41分前更新
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外国人労働者受け入れ拡大、「問題置き去り」の声も
Reuters Staff
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[東京 19日 ロイター] - 政府は労働力不足に対応するため、新たな外国人受け入れ制度を4月からスタートさせる。「移民政策はとらない」としてきた安倍晋三首相が初めて本格的な外国人労働者の受け入れにかじを切ることになるが、労働組合からは、国際人権団体などの批判が強かった外国人技能実習制度における問題点が、改善されていないとの指摘が多い。

ロイターは近年急増しているベトナム人労働者や労組関係者、学者などに話を聞き、新たな受け入れ制度について取材した。

「モッ、ハイ、バー、ウォン(1、2、3、飲んで)!」ベトナム式の「乾杯」の声があちこちで響く。先月半ば、埼玉県川口市のカトリック教会では、ベトナムの正月を祝う祭りが開かれていた。晴れ着のアオザイを着た若い女性や、おしゃれした青年たちはみなベトナム人。技能実習生と留学生が多くを占める。

ファム・ヴァン・ホックさん(22歳)は、1年4カ月前に技能実習生として日本に来て、建設業で働いている。

ベトナムの実家は農家で、知り合いから日本に行けば1カ月で15万円稼げると聞き、日本に行くために90万円くらいの借金をした。実際には月に約13万円程度を稼ぎ、最初の1年間は買い物もせず節約して借金を全て返したという。

ベトナムに帰ったら何をしたいか聞くと「日本語を使う仕事をしたい。日本語の先生とか」と答えた。ベトナムで建設業に就くつもりはない。

<技能実習から労働者としての受け入れへ>

技能実習制度は、日本で培われた技能・技術の開発途上地域への移転を目的とし、「人づくり」に寄与する国際協力という名目で1993年に始まった。

しかし、労働力不足に悩む製造業や建設業にとって、実際は安価な労働力確保の手段として使われた面があり、外国人実習生に対する賃金未払いや暴力、セクハラなどがたびたび問題となってきた。

今後ますます深刻化する労働力不足に対応するため、政府は4月から入管法を改正し新たに「特定技能」という在留資格を創設、実習生ではなく労働者として外国人を受け入れる制度を始める。5年間で最大34万5000人を受け入れる計画だ。

安倍首相は「移民政策はとらない」としているが、今回の入管法改正は、実質的に移民政策に踏み込んだとの見方が強い。

全統一労働組合の佐々木史朗書記長は、新たな制度を導入した背景について「技能実習制度で、バックドアから(労働者を)入れようとしていたことが破綻をきたし、正面から受け入れざるを得なかった結果」とみている。 

<急増するベトナム人>

近年、日本で働くベトナム人が急増している。厚生労働省によると、2018年10月末現在、ベトナム人労働者は31万6840人で中国人に次いで多く、前年比伸び率では31.9%とトップを占めている。技能実習生の数でも2016年以来、ベトナムが最大の送り出し国となっている。

この理由について、JETRO(日本貿易振興機構)の研究員・石塚二葉氏は「中国からの技能実習生が減る一方、ベトナムでは高学歴の若年層の失業率が高く、海外に働きに行きたい若者が多い」と分析する。

数が増える一方で、ベトナム人実習生は失踪率が高いなどの問題もある。ベトナム人が留学生や技能実習生として日本に来る場合、本当の目的は出稼ぎというケースが多い。

ベトナム側の送り出し機関に農家の若者などを紹介するブローカーが多数存在し、平均で100万円程度の融資を受けさせて手数料や授業料を払わせるという。「日本で働けば、借金はすぐに返せる」という言葉を信じて来日するが、事前に聞かされていたのとは異なる劣悪な環境で働かされることも多い。

全統一労組が相談を受けた事例では、福島県でベトナム人男性3人が原発事故の避難区域で放射能の除染作業に従事させられた例や、愛媛県では妊娠が判明した女性が、中絶か帰国かを迫られた例もあるという。

さらにSNSなどでこうした窮状を訴える実習生に、ブローカーが、「もっと条件の良い仕事を紹介する」などと言って実習先から逃げることを促すこともある。この場合、実習先から失踪した時点で在留資格を失うので、不法滞在となってしまう。

法務省と厚労省、外国人技能実習機構(OTIT)は3月11日付で、技能実習生に対しても日本の労働関連法が適用されるため「婚姻、妊娠、出産等を理由として解雇その他、不利益な扱いをすることは認められない」とする通達を発表した。

<技能実習制度の問題点は積み残し>

技能実習制度の下で起こっている問題は、新たな制度の下でも起こり得るとの見方が強い。

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技能実習制度では、OTITが「技能実習の適正な実施および技能実習生の保護を図る」との目的で監督を行っていた。新たな制度ではこれにあたる機関はなく、違法な契約や人権侵害をチェックする機能が不透明だ。

賃金については「日本人と同等」とされているが、技能実習制度では法定最低賃金を下回る給料しかもらえなかったケースや、家賃の名目で数万円を給料から天引きされるケースが多く報告されている。こうした問題は、新たな制度のもとでも起こり得る。

新制度の下での特定技能1号では、労働者として最大5年間働けるにもかかわらず、家族を帯同できない。

新潟県見附市の第一ニットマーケティング株式会社で婦人服の縫製をする技能実習生として働くベトナム人のグエン・ティ・トゥイ・フォンさん(29)は、ベトナムに夫と小学生の子どもを残して来ている。

ロイターの取材に対し、彼女は「最初はお金を稼ぐために日本に来たけれど、住んでみると日本は便利だし、空気もきれい」なので、できれば家族で日本に住みたいがそれは許されない、と語った。

<共生を模索する地方自治体>

政府は2018年12月、新たな制度の発足をにらんで「外国人材受入れ・共生のための総合的対応策」を公表、増加が予想される外国人住民への支援策を提起した。実際に外国人の住民が生活することになる地方自治体の多くは、これらの対応に追われている。

ベトナム語での労働相談窓口を設置するなど、先駆的に外国人支援に取り組んできた神奈川県の黒岩祐治知事は、ロイターのインタビューで「多文化共生は県が取り組んでいる大きな政策の柱でもある」とし、今回政府が新たな受け入れ制度を始めることについて「スピード感を持って法案成立までいった」と評価した。

一方、「置き去りにされている問題は、たくさんあると思う。ただ、単なる労働力不足の駒として使うという発想であるならば、必ず大きな問題が生じると思う」と語った。

1970年代にベトナムから迫害を逃れて日本に渡って来た元インドシナ難民の1人、高山貴氏(55歳、現在は日本国籍)は、川口カトリック教会の新年の祭りで、楽しそうにはしゃぐ若者たちを、少し離れたところで見守っていた。

同氏は1979年に兄と弟と3人でボートに乗って来日、これまでたくさんのベトナム人が日本で苦労するのを見てきた。今は若いベトナム人が急増しているが、将来については楽観していない。

「(リーマン・ショック後の)派遣切りの時は、ショックだった。日本人は外国人に対する寛容さがあったのに。オリンピックが終わったら、また、悲しいことが起こるのではないか。それが心配だ」──。高山氏、ベトナム名・カオ・ソン・クイ氏はつぶやいた。

宮崎亜巳 編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/japan-labor-foreigner-idJPKCN1QZ2R5


 


【現場から、】「消えた留学生」、東京福祉大「所在不明0人」と報告
TBS NEWS更新日:2019/03/18
 

3年間でおよそ1400人の留学生が所在不明となっている東京福祉大学の問題です。柴山文科大臣は国会で大学側が2017年度分について、「所在不明者は0人」と文科省に報告していたと明らかにしました。

東京福祉大学で3年間におよそ1400人の留学生が所在不明となっていた問題は、18日の国会でも取り上げられました。

「過去3年間で1300人以上の留学生が、全部研究生ですけれども、行方知れずです。即刻調査を指示していただきたい」(立憲民主党 石橋通宏議員)

野党側の質問に対し、柴山文部科学大臣は驚くべき事実を明らかにしました。

「平成29年度については今委員から出された資料とは異なり、退学者数193名、除籍者495名、所在不明者0名の計688名と報告を受けていた」(柴山昌彦文科相)

2017年度の留学生の状況について、大学側は、当時、「所在不明者は0人」と報告していたというのです。しかし、JNNなどが入手した大学の内部資料には2017年度についても除籍者の多くが所在不明が理由であることが記され、大学も今年になって文科省に2017年度の所在不明者はおよそ500人だったと回答しました。

「文部科学省・法務省双方で把握している情報について情報共有を行い、早急に実地調査を行って参ります」(柴山昌彦文科相)

こうした中、東京福祉大学の元職員の男性がJNNの取材に応じ、「日本語が全くできない学生も受け入れていた」などと実態を証言しました。

「ひらがなも書けないし、読めない。簡単な単語も分からないという学生もいる。日本語ができない学生の方が、所在不明になっているイメージ」(東京福祉大の元職員)

所在不明となっているのは学部生になる準備などを目的とした「研究生」と呼ばれる非正規の留学生です。選考は書類と面接だけと、ハードルは低く設定され、大学側も「合格率は90%以上」と認めています。募集要項の条件には日本語の日常会話が理解できることなどがあげられていますが、別の現役職員からも・・・

「日本語学校での成績が悪く、進学できずに帰国するしかないような人たちも、研究生として受け入れている」(東京福祉大学現役職員)

JNNが探し出した、所在不明とされている元研究生たちも・・・

「入るのも簡単、テストも簡単だし。自分の国名とか会話を書いて(テストは)できた」(所在不明とされるモンゴル人)

Q.どうして東京福祉大学を選んだ?

「どこも行けなかったから」(所在不明とされるネパール人)

研究生は、正規の留学生と違い、定員の制限がありません。東京福祉大学は2016年度から募集を始め、これまでの3年間に正規の留学生の6倍を超えるおよそ5700人が入学。早稲田大学と比べると、研究生の占める割合が異常に高いことがわかります。

一方で、研究生の受け入れを開始して3年間で学費収入はおよそ12億円増加しました。外国人労働者の救済にあたってきた弁護士は、収入をあげるために受け入れを拡大させた結果といえ、制度の穴が浮き彫りになったと批判します。

「大学として授業料を納めてもらって、大学としてもうかるということが目的でやって、それでその環境の中で所在不明の人が(1年間で)700人もいたということだと思います。文科省が何人以上は駄目だとか、そういう基準を定めているわけではないので、今まで見過ごされてきたのだと思います」(指宿昭一弁護士)

大学側は「留学生を増やすという国策に沿ってやっている。日本語学校を出ても受け入れ先がないという現実があり、研究生の受け入れは感謝されている」としています。(18日17:22)
https://gunosy.com/articles/Rjx7K
http://www.asyura2.com/19/senkyo258/msg/627.html

[経世済民131] 貧すれば鈍するか、チャイナマネー拒めず 日本に来て人格を変える中国人が急増中 大コケ中国シェア自転車、日本が学ぶべき教訓
貧すれば鈍するか、チャイナマネー拒めず
Ferdinando Giugliano
2019年3月18日 15:43 JST
• 中国が欧米主要国の団結にくさび、イタリアは一帯一路に参画方針
• 米政権にとっても教訓−米国第一に賛同した政党が中国に接近
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Photographer: Print Collector/Hulton Archive


イタリアと中国の通商関係は長い。ベネチアの商人で旅行家のマルコ・ポーロが13世紀に見た東洋の様子は「東方見聞録」に残され、シルクロードを通じた両国間の繊維貿易は何世紀も栄えた。それを考えれば、イタリアが欧米主要国として初めて現代版シルクロード構想「一帯一路」を巡る覚書に調印するかもしれない事実は、100%ショックというわけではないだろう。
  中国の習近平国家主席の肝いりで2013年に始まった一帯一路はアジアと欧州、それにアフリカを結ぶ大掛かりなプロジェクトだ。すでに欧州からはポルトガルとギリシャ、ハンガリーなど数カ国が協力。だが中国の影響力拡大のための手段だと懸念する欧州連合(EU)と米国は、警戒心を抱く。このため、月内にイタリアが中国政府と一帯一路の覚書に調印する方針とのニュースは、伝統的な同盟国とたもとを分かつ重要な動きを示唆する。
  最も驚くべきことは、アジアへの軸足シフトを主導するイタリア政府の政党色だ。与党の「同盟」と「五つ星運動」は一般的には、グローバル化や自由貿易、外国勢による国内企業買収に懐疑的な「イタリア第一」を主張する連立政権だとされている。繊維などイタリアの国内重要産業の競争相手となる中国の世界貿易機関(WTO)加盟に何年も反対してきた右派政党の同盟が、政権与党の一翼として今は中国にイタリアの扉を開いているのは皮肉だ。
  もちろんこれまでの政権も中国と緊密なビジネス関係を築いてきた。14年には中道左派のレンツィ政権下で、中国の国家電網がイタリアのガス・電力ネットワークの多くの株式を握る投資事業体CDPレティに35%出資。ギリシャはピレウス港の過半数権益を中国遠洋海運集団に売却し、ポルトガルでも中国はエネルギーから航空、銀行システムに至るまで大きく投資するなど、他のEU諸国も中国からの大規模投資を受け入れている。
  それでもイタリアによる対中姿勢の変化には目を見張る。イタリアは最近、中国を含む外国勢による欧州企業買収の抑制を図る新たなEU投資審査メカニズムを支持しなかった。欧州のスタンス厳格化はフランスとドイツが強く提唱し、イタリアの前政権も賛同していた。それが現政権は、対内投資にEU同盟国が口出しするのを嫌って反対に回っている(審査にはEU域内での一定の情報共有が必要)。
  イタリアの中国接近は、中国政府に対してEUが一致した立場を取るのがいかに難しいかを浮き彫りにしている。ポルトガルやギリシャ、そして今度はイタリアと財政難に苦しむ政府が、欧州の連帯のためにチャイナマネーを拒否することは難しい。だが、こうした選択は近視眼的だろう。EUが一致団結して中国政府と交渉すれば、1カ国単独でよりももっと良い条件を引き出すことができるはずだが、将来のいずれかの時点でより大きな見返りが得られるとの約束は、より手近な報酬の追求を加盟国にやめさせる上で十分ではない。
  米政権にとっても教訓になる。トランプ米大統領は貿易を含めEUに対決的な姿勢を取るが、多国間より2国間の関係を重視する同大統領が、将来的に米国の利益に反する道をイタリア政府が潜在的に選択するのを止めることはできなかった。イタリアのポピュリスト政権の指導者はトランプ大統領と同大統領が掲げる「米国第一」に非常に好意的だが、米国の欧州での影響力低下をあらためて印象付ける。国内外で国家主義を唱えては、協力の欠如に文句を付けるのは難しい。
  マルコ・ポーロは死の床で「私は自分が見た半分は語っていない」と述べたとされる。欧州における中国の影響拡大を巡る話も、まだ半分しか書かれていない。
  (フェルディナンド・ジュリアノ氏はブルームバーグ・オピニオンで欧州経済についてのコラムと論説を担当しています。イタリア紙レプブリカの経済コラムニストでもあり、英紙フィナンシャル・タイムズの編集委員会のメンバーも務めました。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)
原題:China Finds a G-7 Ally for Belt and Road: Ferdinando Giugliano(抜粋)
This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.
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メイ首相のEU離脱案、3回目の採決を英議会議長が事実上禁止
Tim Ross
2019年3月19日 2:49 JST
• 議会がすでに拒否したのと同じ案、再び採決にはかけられない−議長
• メイ首相、EU首脳会議で離脱の長期延期を要請せざるを得ない公算

メイ首相
Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg
英下院のバーコウ議長は、メイ首相の欧州連合(EU)離脱案を3度目の議会採決にかけることを事実上禁止した。予想外の展開は、首相の戦略に大きな狂いを生じさせた。

バーコウ英議会議長
bloomberg
  バーコウ議長は18日、すでに議会が拒否した案を再び採決に付すには、中身が大幅に異なるものでなくてはならないと指摘。これまでとほぼ同じであれば採決を許可しないと言明した。メイ首相のEU離脱交渉は完了し、3月29日の離脱まで時間はほとんどない。
  メイ首相は21日に始まるEU首脳会議の前に英議会で自らの離脱案に対する承認を取り付けようと、そのための採決を19日に行う意向だった。だが、バーコウ議長の決定で、首相のもくろみは宙に浮いた公算が大きい。首脳会議でメイ首相は、長期の離脱延期を要請せざるを得ない情勢だ。
  議長の決定を受け、ポンドは下落した。
  首相府はいまのところ議長の決定への対応を示していない。スラック首相報道官は記者団に対し、首相のチームで影響を検討していると明らかにし、「議長は声明を発表することも、その内容についても事前に通知してこなかった」と述べた。
原題:Speaker Wrecks May’s Brexit Plan by Banning Another Vote on Deal(抜粋)
Speaker Wrecks May’s Brexit Plan by Banning New Vote on Deal (2)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-18/POKNGVSYF01S01


日本株は反落、原油高によるコスト増加懸念で化学や電力安い
長谷川敏郎
2019年3月19日 7:55 JST 更新日時 2019年3月19日 9:19 JST
• 米原油先物はことし高値、減産継続の方針で
• 米国時間19日からFOMC、為替などへの影響見極めムード
19日の東京株式相場は反落。原油価格の上昇によるコスト増加懸念から化学や電気・ガス、陸運などが安い。精密機器や電機など輸出関連も下落。
• TOPIXは前日比9.88ポイント(0.6%)安の1603.80−午前9時7分現在
• 日経平均株価は126円89銭(0.6%)安の2万1457円61銭
  18日の米ニューヨーク原油先物は1%高の1バレル=59.09ドルと、ことしの高値を付けた。石油輸出国機構(OPEC)の加盟国と非加盟主要国で構成する「OPECプラス」が減産を続ける方針を確認したことが材料となった。
  米国時間19日から米連邦公開市場委員会(FOMC)が始まるため、為替動向などを見極めたいとのムードがある。SMBC日興証券投資情報部の松野利彦氏は「FOMCで市場観測に沿った内容が出てこなければ米国株がややネガティブに反応する可能性があるほか、利上げ打ち止め色はドル安要因になるため会合前に手を出しにくい」と話していた。

• 東証33業種では精密機器や電気・ガス、小売、陸運、化学、医薬品が下落
• 保険やその他金融は上昇
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-18/POL2O86KLVR701

 

日本に来て人格を変える中国人が急増中
日本のアニメがもつ感化力の秘密とは
2019.3.19(火) 瀬口 清之
アニメ「ナルト」に登場した「一楽ラーメン」店が上海にプレオープン
アニメ「ナルト」に登場した「一楽ラーメン」店が上海にプレオープン(2019年2月25日撮影)。(c)CNS/王岡〔AFPBB News〕

1. 四川省成都市は歴史文化が豊かなアニメ産業都市
 四川省成都市は中国でも有数の教育文化都市で、毎年20万人以上の大学生が成都市内の大学を卒業する。しかも、中国国内でも優秀な学生が集まる有名大学が多い。

 また、同地は三国志の蜀の都だったことから、市内には劉備玄徳、関羽、張飛、諸葛孔明らを祀る武侯祠があるなど、歴史文化都市でもあり、日本で言えば京都のような街である。

 若い世代が多く住む成都市ではアニメ産業が10大産業の一つとなっている。

 1月中旬にこの成都を訪問した際に、当地の事情に詳しい日本人のアニメ専門家の方から非常に興味深い話を伺った。

 最近、中国人の若い人たちが1、2週間日本に旅行や出張に行くと、人格が変わるという話をよく耳にするそうである。

 その人たちの共通点は幼い頃からよく日本のアニメを見ていたことである。以下では日本のアニメと中国文化の意外なつながりを紹介する。

2.日本のアニメは外国のアニメと本質的に異なる
 前述のアニメ専門家によれば、日本のアニメは日本以外の国々のアニメとは本質的に大きく異なる、独特なものだそうである。

 一般に外国のアニメは、主人公がかっこいい、あるいはかわいい、ストーリーにスリルがある、あるいは感動的なドラマがある、そして、ストーリーが1話で完結するといった特徴がある。

 これに対して日本のアニメは元々紙の上に書かれた日本独特のコマ割りの漫画がベースになっている。ストーリーは1話で完結せず、延々と展開していくことが多い。

 また、日本のアニメは主人公やそれを取り巻く登場人物のキャラが立っていて、人間模様のストーリーが展開していくのが大きな特徴である。

 サザエさん、ちびまる子ちゃん、ドラえもん、アンパンマン、ワンピース、スラムダンク、キャプテン翼など、主人公は決してかっこいいだけのヒーローではない。

 バカボンのパパのような常識外れの人物やルパン三世のような悪役の主人公までいる。

 加えて、脇役もそれぞれが独特のキャラである。

 ドラえもんに出てくるいじめっ子のジャイアン、アンパンマンの悪役バイキンマンなど、確かにストーリーの中では敵役ではあるが、どこか憎めないキャラである。のみならず、バイキンマンは悪役にもかかわらず結構ファンも多い。

 1月の出張で成都の後に訪問した北京や上海で、多くの中国の友人たちにこの日本のアニメの特徴について話したところ、全員がことごとく賛同した。

 日本通の中国人の親友は、もし中国人がアンパンマンのストーリーを描いたら、バイキンマンは第1話で退治されて、第2話以降、決して出てくることはないと語った。

 その場にいた中国人はもちろん、その後で私がこの話を伝えた中国人も、全員が全くその通りだと言って大笑いした。

3. 日本に行くと人格が変わる中国人
 前述のアニメ専門家によれば、こうした日本独特のアニメは日本人にしか作ることができないそうである。

 日本人が作るので、日本のアニメの中には日本の伝統精神文化が自然に内包されている。思いやり、おもてなし、恥の文化などが代表例だ。

 多くの中国人が幼い頃から日本のアニメを夢中になって見ているうちに、その日本の伝統精神文化が無意識のうちに心の中で共有され、深く浸透していく。

 一つひとつ心を込めた丁寧なおもてなし、相手の心情を察した細やかな思いやり、不都合な結果に関して他者を責めず自らの努力不足を問う自責の念、外面的な一律の基準で定められたルールに反すること以上に自分の内面の良心に反することを恥じる恥の文化・・・。

 もちろん日本人でもこれらの精神文化を徹底して生きている人間はほとんどいない。

 ただ、そういう姿を見れば素晴らしいと思うし、完璧ではないが、自らもある程度は実践している人が多い。

 一方、現在の中国における日常生活では、それらを中国人が実践する機会は少ない。

 そんな日本の伝統精神文化への共感を心の中に抱く中国人が、10代、20代で旅行や出張で1〜2週間日本へ行くと、その精神文化の中で生きている日本人の世界に初めて出会う。

 すると、無意識のうちに自分の心が素直にその周囲の日本人と共に動き出し、自分の心の中に育まれていた思いやり、おもてなし、恥の文化などへの共感が形になって現れ出す。

 アニメを通じて幼い頃からなじみ親しんだ心のかたちを共有する人たちと心地よい時間を過ごす喜びを味わっている自分に気づくのである。

 日本のアニメを見て育った中国人の心の中にあった種が、直接日本人の世界に接して芽を吹き、開花する。一度開いた花は元の種には戻らない。

 中国へ帰っても元に戻らないため、周囲の人たちから見ると人格が変わってしまったように見える。

 実は、中国ではこうしたことと類似の現象は以前からよく知られていた。

 中国人が欧米に留学しても中国人のまま帰国するが、日本に留学した中国人は半分日本人になって帰国すると言われているそうである。

 これについても多くの中国の友人たちに確認したところ、確かにその通りだという答えが返ってきた。

4.日本文化の感化力の背景
 これが日本の感化力である。実は中国人のみならず、アメリカ、ヨーロッパ、アジアの国々から日本を訪れる人々は少なからず日本の伝統精神文化に感化される。

 ある米国人の友人が、子供と一緒に10日間ほど日本を旅行したところ、それまでいくら礼儀作法や道徳を守る大切さを教えても身につかなかったにもかかわらず、日本から帰国すると別人のように礼儀正しく道徳を大切にするようになり、逆に親の方が子供から注意されるようになったという話を聞いたことがある。

 中国の友人たちに聞いた話を総合すると、どうやらその日本の感化力は特に中国人に対して強く働くようである。なぜか?

 1月後半の中国出張の間、多くの中国人とこのテーマについて語り合いながら、その理由を考えた。そして次のような答えにたどり着いた。

 思いやりは「仁」、恥の文化は自分の悪を恥じる心、すなわち「義」、おもてなしは「礼」。いずれも中国古典の中で最も重視される人間としての基本的内面規範である。

 ちなみに、「智」はどこの国でも重視され、「仁」「義」「礼」「智」が備わる人物は誰からも信頼される。

 すなわち、「信」である。

 ここに東洋思想が重視する内面規範である「五常」、仁義礼智信が揃う。日本のアニメを支える精神文化の原点がここにある。

 日本の伝統精神文化の起源は中国の伝統精神文化が凝縮された中国古典に由来する。

 多くの尊い命を奪い合った戦国時代を経て、江戸時代に入り、徳川家康は日本の統治を安定させるため、教育重視の方針を打ち立てた。

 藩校、私塾、寺子屋といった様々な教育機関を通じてすべての日本人の間に中国古典を学ぶ仕組みを定着させた。その教育システムを通じて、四書五経をベースとする東洋思想の精神文化が日本全国に浸透した。

 江戸時代の末期には日本全体の識字率が97%に達していた。当時としては世界で最高の教育レベルだったはずである。

 これを実現したのは江戸時代の教育の成果である。

 エリート教育に関していえば、当時も中国、インド、欧州諸国など、様々な国にすぐれた教育システムがあった。

 しかし、日本のように広く一般庶民を含めて一定水準の教育を普及させた国は他にはなかったようである。

 しかも日本の特徴は、精神文化が心の中だけにとどまらず、日々の生活上での実践を通じて社会全体に生活習慣として根づいたことにある。

 江戸時代において、鈴木正三、石田梅岩らは、日々の仕事や商売の中で仁義礼智信などの道徳を実践することによって自己の内面を磨く精神的鍛錬を通じてこそ、充実した人生を送ることができるという意識を一般庶民に浸透させた。

 明治維新後、特に戦後は、学校教育の場において、そうした中国古典を学ぶ機会は少なくなった。

 しかし、日常生活の中に根づいた東洋思想の意識は親から子へ、無意識のうちに代々引き継がれているため、今も伝統精神文化が日本の社会に生きている。

 それが日本の漫画やアニメの中に表現されているため、日本の精神文化の起源である中国人の心に心地良く浸透する。

 中国人は日本のアニメを通じて自分自身の心の故郷に帰って安心するのではないだろうか。これは東洋思想がもつ感化力である。

5.東洋思想の現代的意味
 最近、欧米諸国では所得格差の拡大を主因に社会の分裂に直面している。

 米国におけるトランプ政権の誕生、英国のブレグジット、フランスのイエロー・ジャケット運動、ドイツの極右台頭などはいずれも社会の分裂に起因する。

 この深刻な社会分裂問題に対処するには東洋思想の伝統精神文化が有効であると筆者は考えている。

 欧米諸国の社会分裂の共通原因は政治・経済・社会のリーダー層が一般庶民の苦しみに対して真摯に対応せず、長期にわたって問題を解決しないまま放置したことにある。

 もしリーダー層が国民全体の幸せを最優先に考える東洋思想の道徳的規範を共有し、一般庶民の苦しみを自分の苦しみと受け止め、真摯に解決策に取り組めば、こうした一般庶民の不満は大幅に解消するはずである。

 一方、日本にも問題がある。

 多くの日本人は日本の伝統精神文化の素晴らしさを十分には認識していない。もっと世界に目を向け、世界中の人々の苦しみに対する思いやりを共有すれば、社会を安定させる精神文化を実践している日本だからこそできることに気づくはずである。

 そこに気づいた人から、先頭に立って、自分なりのやり方で世界に向けて日本の伝統精神文化を発信し、グローバル社会の安定に貢献するべきである。

 同時に、世界中の国々から日本への青少年訪問を促進し、日本の精神文化を直接体験してもらう機会を増やすことも大切である。

 これらは政府だけがやる仕事ではない。個人でも企業でもNGOでも、誰もがその気になればできることである。

 明治維新以来150年間にわたって、欧米社会思想をベースに西洋型政治・経済・社会制度を構築し、定着させてきた日本人だからこそ、東洋思想の本質を欧米諸国の人々にわかりやすく伝えることができる。

 これは少なくとも現時点において日本人だけができることである。

 西洋思想に基づくルール・ベースの社会制度の上に東洋思想の内面規範ベースの道徳観を導入することにより、世界が直面する社会分裂の苦しみを打開する。

 言い換えれば、西洋と東洋の知の融合によりグローバルコミュニティの精神的安定基盤を醸成するのが日本の歴史的使命である。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55791

 

大コケの中国シェア自転車、日本が学ぶべき教訓は?時代の寵児だった「ofo」、あっという間に経営危機に
2019.3.19(火) 姫田 小夏
経営難のofoが「割引商店」開店 シェア自転車の保証金は金券で返す?
ofoのシェア自転車(2018年3月14日撮影、資料写真)。(c)CNS/厳大明〔AFPBB News〕

「mobike」とともに中国のシェアサイクルサービスの二大巨頭の1つと言われた「ofo(小黄車)」。日本でもサービスを展開したが、開始から撤退までわずか8カ月と、つむじ風のように去って行った。

 現在、創業者兼CEOの戴威氏の名前は、中国の最高人民法院のブラックリスト(信用失墜執行者リスト)に入れられている。中国では債務危機の嵐が吹き荒れているが、戴威氏はまさにその当事者なのだ。

政府の政策転換が大打撃に
 中国のシェアサイクルブームは2014年に始まった。シェアサイクルは、高速鉄道、ネットショッピング、モバイル決済とともに“中国の新四大文明”の1つとも言われ、「乗り捨て型」とスマホアプリを組み合わせた中国独自のサービスは、日本でも大きな注目を集めた。

 上海でも、各社の自転車が街のいたるところを走り回っていた。駅やバス停から自宅までの“ラストワンマイル”を繋ぐシェアサイクルが中国人の生活に大きな利便性をもたらしたことは言うまでもない。

 ところがほどなくして市場は過当競争に突入する。自転車が過剰に市場投入されたため、市民の目の前に“邪魔になった自転車”が積み上げられるようになった。北京、上海、広州、深センなどの都市では、乗り捨てられた大量の自転車が社会問題となった。

大量の解体済みシェア自転車が放置される 雲南・昆明
解体されたシェア自転車(2019年1月3日撮影)。(c)CNS/任東〔AFPBB News〕

 そして2017年8月、業界の風向きが大きく変わる。交通運輸部が規制強化に乗り出し、運営会社が新規の自転車を投入できなくなったのだ。その結果、自転車生産にストップがかかり、サプライチェーンが総崩れとなった。

ついに起きた取り付け騒ぎ
 ofoのCEO、戴威氏は、国内市場の飽和と政府による規制強化を見通していたのだろう。2017年7月、ofoはアリババや滴滴出行などから7億ドルを調達し、8月には米・シアトル、英・オックスフォードなど海外への進出を加速させた。

 日本の地方自治体とも手を組んだ。2017年9〜12月にかけて、シェアサイクルの導入に積極的だった和歌山県和歌山市と事業化について具体的な詰めを行い、2018年3月からサービスを開始した。続いて、4月には福岡県北九州市、滋賀県大津市でもサービスが始まった。北九州市のメディアは「国内2カ所目に選ばれた」と誇らしげだった。

 しかしその頃、中国におけるシェアサイクルサービスの戦いは最終局面に突入していた。

 前述したように、業界はすでに潮目が変わっていた。多くのシェアサイクル企業が運営不能に陥り、全国77社あったと言われる運営会社の淘汰が始まっていたのだ。

 その頃、ofoは文字通りの“自転車操業”に陥っていた。戴威氏は、中国メディアの取材に対して当時の状況をこう語っている。

「2017年末〜2018年初めにかけて、資金繰りに困窮していた。それでも、利用者にデポジットを返還し、サプライヤーに債務の返済を行うべく努めた」

 2018年8月になると、中国国内で「ofoが危ない」という噂が流れた。戴威氏は、このとき自転車メーカー複数社から債務不履行による訴訟を起こされていた。和歌山市のサービス開始からわずか5カ月のことである。

 それから4カ月後の2018年12月、北京の寒空の下で“取り付け騒ぎ”が起こる。北京の一部市民が99元のデポジットの返金を求めて、ofo本部が入るオフィスビルを取り巻いたのだ。すでにアプリ上では返金を申請してもスムーズな対応がなされない状態にあった。

100人に1人がブラックリスト入り
 そして今、戴威氏の名は、「履行能力がありながらも債務履行を拒否した人物」「信用失墜した被執行者」として北京市海淀区人民法院のブラックリストの中にある。

 ブラックリスト入りした戴威氏は、飛行機での移動や高級ホテルの宿泊ができない。不動産の購入や高級オフィスビルの賃借もできないなど、消費活動が制限されている。

 中国で、このブラックリスト制度は2013年10月から施行された。以来、リスト入りする人の数は増え続け、2018年2月3日時点で1308万6000人、3月3日時点で1323万5166人の名前が中国最高人民法院のリストに掲載されている(1カ月で約15万人が増えた)。今や中国の約100に1人が“債務返済しない人”という計算になる。

 現在、ofoジャパンの公式サイトは、「Not Found」と出て、表示されない状態である。日本のある大手企業の管理職は「これからofoとビジネスをしようとする矢先だった」と肝を冷やす。

 中国企業の債務危機は対岸の火事ではない。日本では、ある時期から中国ビジネスの先進性が賞賛の言葉とともに紹介されるようになった。しかし、ビジネスパートナーとして安易に飛びつくと大ヤケドする可能性があることを肝に銘じる必要がありそうだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55781

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/572.html

[経世済民131] 「高邁な理想主義がなぜ失敗する?」の根本に迫る『1%の富裕層のお金でみんなが幸せになる方法』家計金融資産、前年1.3%減
HONZ特選本

「高邁な理想主義がなぜ失敗する?」の根本に迫る

『1%の富裕層のお金でみんなが幸せになる方法』

2019.3.19(火) HONZ
本当に読むに値する「おすすめ本」を紹介する書評サイト「HONZ」から選りすぐりの記事をお届けします。

(文:堀内 勉)

1%の富裕層のお金でみんなが幸せになる方法
作者:クリス・ヒューズ 翻訳:櫻井 祐子
出版社:プレジデント社
発売日:2019-01-29
 本書は、今でもなお残されている、古き良き「アメリカの良心」を代弁する、社会変革のための提言書である。

 なぜ5億ドルもの資産を持つ大富豪である本書の著者が、上位1%の超富裕層への課税強化を提唱するのか。本書の後書きに出てくる彼の言葉に、その思いが集約されている。

“資本主義の潮流は否応なしに不平等へと向かうため、市場を富裕層だけでなく万人のために機能させるには、不断の警戒が欠かせない。・・・なぜなら、ほとんどの人が基本的に公正な世界を望んでいるからであり、また近年のペースで富の集中が続けば資本主義の崩壊を招きかねないからでもある。・・・もしも僕らの息子が、ほかの人や周りの世界に対して自分が負っている責任を理解せずに育てば、僕は親として失格ということになる。”

「1%の人々」を生んだ要因が不平等ももたらした
 アメリカの中流家庭に育った著者は、努力型の秀才で、名門私立高校フィリップス・アカデミーから奨学金つきでハーバード大学に進学した。そして、たまたま大学寮のルームメイトがフェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグだったことで、自身も共同創業者として20代の若さで巨万の富を手にした。

 そこから先が個人の感性の問題なのだが、著者はこの運の良さの上にあぐらをかくのではなく、運の良し悪しが何世代かかっても解消できないほどの格差を生む「勝者総取り社会」に疑問を感じ始めた。ほとんどのアメリカ人が、自動車事故や入院などの突発的な出費も捻出できない状況に置かれている中、自分は20代で億万長者になった。それは、自分の優秀さや努力の賜ではなく、運が良かったからに過ぎないと考えたのである。

 過去40年間、アメリカで行われてきた様々な経済的・政治的決定が、「1%の人々」と呼ばれる少数の幸運者に空前の富をもたらした。@グローバリゼーションの進展、Aテクノロジーの進歩、Bファイナンスの拡大の3つの要因が、グーグルのラリー・ペイジ、アマゾンのジェフ・ベゾス、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグといった大富豪を生み出してきた。

本コラムはHONZの提供記事です
 そして、この少数者に思いがけない収入をもたらしたのと同じ要因が、同時にその他の人々の成功を阻んでいるのである。アメリカの不平等は、今や世界大恐慌が始まった1929年以来最悪の水準に達しており、労働者は本来期待できたはずの利益を一層手に入れにくくなっている。

 そんな社会は何かが間違っていると考えた著者が辿り着いた実現可能な解決策が、「保証所得(a guaranteed income for working people)」である。しかも、その財源の全ては「上位1%の富裕層への増税」だけで賄えるのだという。

「ベーシック・インカム」とは別物
 本書を読む上で絶対に間違ってはいけないのは、「保証所得」は「ユニバーサル・ベーシック・インカム」とは別物だということである。ユニバーサル・ベーシック・インカムは、所得や就労の有無に関わらず、全ての人が無条件で月1千ドルを受け取れる仕組みであり、それを実現するための国家予算は数兆ドル規模になる。

 これに対して、労働者に対する保証所得は、より狭い範囲の受給者、具体的には困窮労働者を対象としており、例えば、著者が提案する年収5万ドル未満の世帯の労働者に毎月500ドルを配る方法であれば、追加予算は2900億ドルですみ、それで9千万人の生活を改善し、2千万人を貧困から救い出すことができる。富の格差の最も有効な解決策は、最もシンプルな方法、即ち、最も必要とする人達に現金を渡すことだというのが、経験則から導き出された著者の結論なのである。

 アフリカの支援史上最も高くつき、しかも多くの混乱をもたらしたとも言われる「ミレニアム・ビレッジ」のような、受益者の主体性と自主性を尊重するのではなく、トップダウンで経済的不平等と貧困撲滅を目指す支援プロジェクトは、活動に携わる人々がどんなに誠実で頭が良くても、大きな効果を上げる保証はないと著者はいう。

 また、これほどの規模の格差問題は、慈善で解消できるものでもないという。ビル・ゲイツとウォーレン・バフェットというアメリカを代表する二人の大富豪が立ち上げた、生涯で資産の半分以上を慈善団体に寄付することを世界中の富豪に呼びかける運動、「ギビング・プレッジ」を通じて寄付された金額を全て足し合わせても、アメリカで必要とされる保証所得の1年分にしかならない。

豊かさに対するペナルティではない
 保証所得を長期的に持続可能にするのは公共政策の変更であり、そのために最もシンプルで有効なのは、アメリカの所得最上位層、つまり近年の経済構造の変化から莫大な利益を得ている著者のような人達に、財産のわずかな割合を恩返しとして支払ってもらうことである。著者に言わせれば、上位1%への増税は、豊かさや富裕層に対するペナルティではない。より公正で公平な社会は、全ての人々の利益になるのである。

 経済的窮乏から解放されることによって、人の自由は大きく広がる。最低生活水準から遠ざかれば遠ざかるほど、根本的な問題をじっくり考えられるようになる。自分は何を欲しているのか、それをどうやって手に入れるのか、自分は何に価値を置くのか、このお金を何に投資するのか──保証所得は全ての人に内在するこうした自主性(自らの未来を切り拓く力)を尊重し、後押しするものなのである。

 貧困層が一見劣っているように見えるのは、多くのアプリケーションを走らせると動作が遅くなるプロセッサーと同じで、彼らの処理能力が別のことに使われているからなのである。日々の生活費の心配をすることがもたらすIQの低下は、一睡もせず徹夜明けでテストを受けた場合の影響に匹敵するという。言い換えれば、経済的安定を欠く人は、疲弊し精神的余裕のない、徹夜明けのような状態で日々を過ごしているのである。

 現金を支給するという考えには反対論も多い。典型的な批判は、最も重要なのは教育やスキルだというものである。確かに、「魚を与えるより魚の釣り方を教えよ」という諺があるが、問題は、スキルを高める教育機会があってもそれを利用できるお金がないことなのである。たとえ釣りの仕方を教えても、釣り竿やリールやエサを買うお金がなかったら、一体何になるのかということである。

深い洞察とシンプルな解決策の提示
 著者は、公民権運動の指導者だったマーティン・ルーサー・キング・ジュニアが、保証所得について書いた次の文章に深い感銘を受け、聖書の言葉のように大切にしているという。

“人が自分の人生についてみずから決定することができ、安定した収入が得られるという安心があり、自己改善の手段をもっているときにこそ、個人の尊厳が花開くのだ。”

 右派、左派を問わず、多くの活動家や思想家が、どんな人でも金銭的安心がなければ真に自由にはなれないと言っている。1967年にキングが保証所得を求める運動を始めたとき、アメリカの貧困層は4千万人だった。それから50年経った今も、まだ4千万人のアメリカ人が貧困に苦しみ、更に多くの下位中流階級の人々が経済破綻寸前の状態にある。

 しかしながら、この状況はまだ変えることができる。上位1%が負担する月500ドルの保証所得は、2千万人を貧困から救い、彼らに経済的に自立する公正なチャンスを与えることになる。「外に出るには、入ってきた扉を使えば良い」という、孔子の格言があるが、単純な解決策があるなら、それを使わない手はないのである。

 人間の尊厳とは何か、働くとは何か、なぜ多くの人々は貧困から抜け出せないのか──こうした問題についての深い洞察と、それに対するシンプルな解決策の提示というセットは、リベラルを代表する雑誌『ニュー・リパブリック』を買収し、その立て直しに失敗した実体験から得られたものだという。

 現実的で実践的な根拠に欠けるやみくもな理想主義は、結果的に望ましくない結果をもたらす。トランプ政権誕生やBREXIT(英国のEU離脱)問題以降、世界が直面する、「高邁な理想主義がなぜ失敗するのか?」という深刻な問題の根本原因に迫り、その解決策を提示する良書である。


堀内 勉
邦銀、外資系証券を経て大手不動産会社でCFOを務めた後、一旦は引退して自由気ままな人生を歩み始めたものの、結局、現在はリゾート開発会社会長、アートマネジメント会社社長、大学教授、学校・財団法人・NPOの理事などで超多忙な生活に逆戻り。そうした中でも、ライフワークである資本主義とソーシャルファイナンスの研究は継続中。趣味は料理、ワイン、アート鑑賞、工芸品収集と読書で、読書のジャンルは経済から哲学・思想、歴史、科学、芸術、料理まで、知的興味をそそるものであれば何でも。

◎こちらもおススメ!
・『アート戦略 コンテンポラリーアート虎の巻』ルールはシフトした、視覚から頭脳へ
・『いま世界の哲学者が考えていること』21世紀の哲学は、現実社会の問題に対してどう向き合って行くのか?
・『ごみ収集という仕事 清掃車に乗って考えた地方自治』ごみ収集の現場は、ティール組織そのもの
・『20億人の未来銀行 ニッポンの起業家、電気のないアフリカの村で「電子マネー経済圏」を作る』
・『自衛隊元最高幹部が教える 経営学では学べない戦略の本質』絶対に負けられないことを前提に
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55775

 


12月末の家計金融資産、前年比1.3%減の1830兆円 日銀統計
経済・政治
2019/3/19 8:57
日銀が19日発表した10〜12月期の資金循環統計(速報)によると、家計が保有する金融資産の残高は12月末時点で前年比1.3%減の1830兆円だった。民間企業が保有する金融資産のうち、現金・預金の残高は3.8%増の262兆円だった。

12月末時点で日銀が保有する日本の国債の残高は478兆円。保有者全体に占める比率は43%(9月末時点は43%)だった。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

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3月末の家計金融資産、前年比2.5%増の1829兆円 日銀統計
2018/6/27 8:57
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL18HMC_Y9A310C1000000/
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/573.html

[経世済民131] 「75歳まで働きたい」と思える仕事をしているかどうかで生涯の金融資産は決まる 定年後すぐに仕事が決まる人「7つの心構え」
【第30回】 2019年3月19日 柴山和久 :ウェルスナビ代表取締役CEO

「75歳まで働きたい」と思える仕事をしているかどうかで生涯の金融資産は決まる

瀧俊雄さん(マネーフォワード取締役)×柴山和久さん(ウェルスナビCEO)特別対談前編
なぜ起業を目指していたわけでない2人が、フィンテック・スタートアップを興すに至ったのか? 自動家計簿サービスなどを展開するマネーフォワード取締役兼Fintech研究所長の瀧俊雄さんと、資産運用のロボアドバイザーサービスを展開するウェルスナビ代表取締役CEOの柴山和久さんが、マネーフォワード設立の秘話や、「どう生きるか」と「どう資産運用をするか」のバランスについて議論します。(構成:大西洋平、撮影:疋田千里)

瀧さんが明かす、マネーフォワードの設立秘話とは?
柴山和久さん(以下、柴山) 瀧さんがマネーフォワードの起業を思い立ったときの問題意識を以前ちらっとうかがって、私がウェルスナビを興した理由と相通じるところがあるようにも感じています。個人のお金が、貯蓄から投資に回っていない点に問題を感じられたのがきっかけと伺っていますが、そのあたりの経緯をあらためて伺えますか。


瀧 俊雄(たき・としお)
株式会社マネーフォワード取締役 兼 Fintech研究所長
1981年東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村證券入社。野村資本市場研究所にて、家計行動、年金制度、金融機関ビジネスモデル等の研究業務に従事。スタンフォード大学経営大学院、野村ホールディングスの企画部門を経て、2012年よりマネーフォワードの設立に参画。
瀧俊雄さん(以下、瀧) 野村證券で研究所に勤務していた頃、僕は個人金融資産の分析をメインに研究していました。当時から「日本の個人金融資産の50数%は現金・預金に集中している」という分析結果を発表し続けていて――つまり、現在に至るまで何十年間も、ほとんど変わっていないわけです。

「貯蓄から投資へ」いかにすればシフトできるのか考えていたのですが、2009?2011年に米スタンフォード大学へMBA留学した際、現地で面白いサービスの存在を知りました。フィナンシャル・エンジンズというスタートアップで、米国の確定拠出年金(DC)である401(k)プラン向けにロボアドバイザーのサービスを提供していて、ちょうどIPO(株式新規公開)を果たしたのです。僕は「これだ!」と思いました。

柴山 資産運用を自動化したロボアドバイザーは、米国で先行してスタートしましたね。その動きに注目されていたんですね。

瀧 「現金・預金のまま寝かせていたら税制上のメリットを受けられない」など、日本にいるときにいろいろ訴えてきましたが、日本人の預貯金信仰は揺らぎませんでした。だから、ロボアドバイザーで自動化して投資に誘導するしか、「貯蓄から投資へ」を実現する術はないと思ったんです。

ETF(上場投資信託)を用いたラップ(投資一任勘定)口座のサービスを日本で立ち上げ、いずれは対面販売の証券会社も設立するという構想を辻庸介(マネーフォワード代表取締役CEO)に持ちかけたのもその頃です。

柴山 辻さんは東海岸のペンシルバニア大学ウォートン校、瀧さんは西海岸のシリコンバレーにいたわけですよね。そもそも、どうやって出会ったのですか?

瀧 周囲に片っ端から聞いてまわって見つけたんです。

「貯蓄から投資へ」を実現するようなサービスを日本で作りたかったのですが、僕のような研究者は起業しても会社を潰してしまうだろうから、強いリーダーシップを発揮する人物が必要だと思いました。それで、「インターネットと金融に強い人はいない?」と片っ端から聞いて回ったら、「マネックス(証券)から来ている人がいるよ」と教えてくれたのです。2010年の大晦日に初めてメールを送り、それから3ヵ月くらいはスカイプでディスカッションして、実際に会ったのは2011年の4月でしたね。

柴山 最初、辻さんはどういう反応をされたんですか?

瀧 まずは、やんわりと諭されました。「セゾン投信が何年の歳月を費やしてブランドイメージを築き上げたのかを知っていますか? 独立系の運用会社が世で認知されていくのがどれだけ大変なことなのか、わかったうえでの話ですか?」と言われましたね。それでも僕がしつこく食い下がったら、二度、三度は聞く耳を持ってくれたものの、「これだけ言ってもわからないの?」と最後は呆れられました(笑)。

柴山 確かに、当時は、米国で先行事例があったとはいえ日本にロボアドバイザーはありませんでした。独立系の運用会社も苦労していたわけですし、辻さんのおっしゃる点もうなずけます(笑)。

瀧 辻が指摘した通り、僕も理想論に走りすぎていました。ただ、辻の中にも日本の現状に対する問題意識があったようです。そこで、「(預金から投資へと)お金を動かす」という行動の手前にある意思決定に関わるビジネスはないものかとディスカッションを重ねてきました。次第に、「マネーフォワード ME(自動家計簿サービス)」の前身となるサービスが固まっていきました。

柴山 二人の問題意識が折り合った地点で、マネーフォワードが生まれたんですね。

母親のように信頼を寄せてもらえるサービスにしたい
瀧 もう一つ、起業を後押ししてくれたのは、日本で大企業型の人生モデルが崩壊してきたことです。ビジネスモデルの賞味期限もどんどん短期化していますし、自己革新を図るためのキャリア設計も変わってきています。会社が終身雇用を保証してくれるという時代は、1979年という高度成長期の終焉とともに終わったと僕は考えています。


柴山和久(しばやま・かずひさ)
ウェルスナビ株式会社代表取締役CEO
次世代の金融インフラを日本に築きたいという思いから、2015年に起業し現職。2016年、世界水準の資産運用を自動化した「ウェルスナビ」をリリースした。2000年より9年間、日英の財務省で、予算、税制、金融、国際交渉に従事。2010年より5年間、マッキンゼーにおいて主に日米の金融プロジェクトに従事し、ウォール街に本拠を置く資産規模10兆円の機関投資家を1年半サポートした。東京大学法学部、ハーバード・ロースクール、INSEAD卒業。ニューヨーク州弁護士。
柴山 そこは本当に同感です。特に冷戦後に経済のグローバル化が進み、終身雇用を中核とする日本型経営が立ち行かなくなりました。しかし、そのことが広く認識されるのには時間がかかりました。一世代以上に渡る終身雇用の成功体験があまりにも強烈だったからです。

瀧 日本では、大企業型の人生モデルをよしとする風潮はなかなか変わらなかった。自分で意思決定しなくても不自由しなかった世代が、その経験をもとに80年代以降も子ども世代にアドバイスを行ってきたからです。

大企業に依存しない人生モデルがきちんと提示されていない中で、お金だけ「自己責任で『貯蓄』から『投資』へ!」といくら呼びかけたところで、マインドセットはなかなか変わらないはずです。だから、かつての大企業みたいな安心感を与えられる金融サービスを提供したいと考えました。幼児が母親に全幅の信頼を寄せるように、「ここにお金に関するあらゆるデータを預けておけば大丈夫だ」とお客様から思われるようになりたい。それを軸としたうえで、近似したサービスを付随させていくことが資産運用におけるフィンテックの役割だと僕は考えています。

柴山 瀧さんが留学していた頃(2009〜2011年)の日本では、まだETF(上場投資信託)がさほど普及していませんでした。資産配分の決定や資産の管理などを一括で行う「ラップ」のようなサービスも、大手証券など一部での取り扱いにとどまっていました。にもかかわらず、そういったソリューションを用いようと考えたのはなぜですか?

瀧 2004年に野村證券に入社して以来、7年間にわたって米国の証券市場の調査を続けてきて、ある潮流の変化に気づいたことが理由の一つです。米国では2002年頃を境に、証券会社の稼ぎ方が変わっていきました。具体的には、利益の軸足が「取引手数料」ではなく「預かり資産残高に応じた手数料」へと移っていったんです。

柴山 ビジネスモデルが変わってきていたんですね。取引ごとに手数料をいただくのではなく、預かり資産の残高に対して手数料をいただく。ロボアドバイザーもそうですが、後者はお客様の預かり資産の増減と、証券会社の利益の増減が連動します。お客様と証券会社が同じ方向を向くことになります。

瀧 そうですね。ビジネスモデルの変化とともに、米国の証券会社が取り扱う金融商品も変わっていきました。その中で最も大衆的なサービスと位置づけられていたのがETF(上場投資信託)によるロボアドバイザーでした。米国では税制上のメリットがありましたし、小口から買うこともできます。世代や個々の事情を踏まえたストラテジック・アセット・アロケーション(戦略的資産配分)という観点からも、金融資産が3000万円以下という一般の層にとって、ETFのロボアドバイザーが最適解であると思いました。

若いうちは、自分自身が資源であることに目を向けよ
柴山 若いうちはリスクの高い株式のウエートを高く、年齢を重ねるにつれてリスクの低い債券へのシフトを進めていく、といった配分調整も、ロボアドバイザーなら容易に行えますからね。

瀧 そうなんです。僕はジョン・キャンベル教授(ハーバード大学)のヒューマン・キャピタル論に、強い感銘を受けていました。キャンベル教授は「自身の将来所得を債券に近いアセットクラス」、と捉えていますが、その考え方を応用すれば「若い人は資産運用よりも、自分の体が資源であることに目を向けるべきだ」と考えられるわけです。つまり、高いモチベーションで長く働き続けられることが最も重要で、「75歳まで働きたい」と思える仕事に就いているかどうかに金融資産のあり方も左右されていくということです。公的年金などへの期待値が下がっている状況下では、なおさらです。

さらに言えば、野村時代に郵便局が取り扱う投資信託の調査に関わった際、ターゲットイヤー・ファンドが挙げられたことに気づきを得たことも関係しています。

柴山 定年など目標とする年(ターゲットイヤー)に向けて当初は積極的な運用を行い、次第に安定的な運用へとシフトしていくというファンドですね。


ターゲットイヤー・ファンドに疑問を感じたという瀧さん
瀧 年齢とともに資産配分を変えていくということ自体はいいのですが、2040年に65歳を迎える人のすべてが押しなべて同じ運用を行うという前提を奇妙に感じたのです。終身雇用が約束されている大企業に属している人と、スタートアップで働いている人とでは、明らかに選ぶべきファンドは異なってくるはず。それなのに、郵便局の窓口ではどちらにも同じファンドが提案される、というのはおかしいでしょう。

ちなみに、キャンベル教授の下で研究をされていた方には、「むしろ瀧さんの場合、年齢の増加とともにリスク資産のウエートを増やすべきだ」と提言されました。

柴山 面白いですね。

瀧 スタートアップで働くのは、かなり高いエクイティ・リスクを取っていることを意味するからです。なので、たとえば、ここが僕にとって最後の職場であれば、期待される勤続年数が毎年減るにつれて、所得に含まれるエクイティ・リスクは低下していくことになります。だから、目の前の資産運用では債券を中心としたほうがいいと忠告されたわけです。

柴山 つまり、ヒューマン・キャピタルまで含めて考えると、現状の瀧さんはリスクを取りすぎているので、資産運用では債券を中心とした安定的な運用をすることによってバランスを取るべきだということですね。

瀧 ええ。仮に僕が65歳までマネーフォワードに籍を置くとすれば、それからはフルにリスクを取った運用を始めるのが最適だという話になります。とにかく、人それぞれでライフスタイルが多様化している時代なので、ターゲットイヤー・ファンドではもはや個々のニーズを満たせないということです。

投資も車の運転と同じ。実際にドライブに出ないと始まらない
柴山 日本は世界の中でも最も資産運用が求められている国です。しかし残念ながら投資信託の純資産残高は横ばいです。いったいなぜだと思いますか?

瀧 米国でも個人が株式に投資するカルチャーができたのは、確定拠出年金(DC)へのシフトが進んだ70年代以降のことです。


S&L破たんに始まった金融危機の影響を指摘する柴山さん
柴山 インフレが進んだこともありますし、80年代にはS&L(貯蓄貸付組合)の破たんに端を発する金融危機が起きたことも影響していますね。

瀧 そうですね。日本人はそういった大きな階段の手前で踏みとどまっている気がします。以前、投資のイベントで、「すでに4回参加して話をうかがいましたが、私に投資はまだ早すぎる気がします」と深刻な顔で相談されたことがあります。

それを聞いて、投資も車の運転と同じだなと思ったのです。知識や技能を身につけて免許を手に入れたところで、実際にドライブに出かけて車を無傷で戻せなければ、運転ができるようになったとは言えませんよね。結局、教育だけで乗り越えられるものではありません。

柴山 おっしゃるとおりで、まずは実践することが大切なのだと思います。先ほどのヒューマン・キャピタル論の観点から言えば、日本人は決して投資と相性が悪いわけではありませんよね。たとえば昨2018年の秋からマーケットが乱高下を繰り返し、世界経済のピークアウト観測が強まっています。米国の人たちの多くは即時解雇のリスクを負っていて、給与収入の安定性が著しく低くなります。ただし日本では、正社員であれば容易には解雇されづらい。ヒューマン・キャピタル・リスクがかなり低いと言えるでしょう。つまり日本人は、本来、不景気になって株価が下がった際に、グローバルに見て最も投資余力があるはずです。(後編につづく)
https://diamond.jp/articles/-/196914


 

2019年3月19日 週刊ダイヤモンド編集部
定年後、すぐに仕事が決まる人に共通する「7つの心構え」
仕事の基本を愚直に大切にし、身に付けているシニアは強い Photo:iStock/gettyimages
新卒と違ってキャリアの量も質もばらばらのシニアの採用は難しい。人事のコンサルタントたちは、「仕事が早く決まる人、決まらない人には明確な違いがある」と厳しく指摘する。*本記事は『週刊ダイヤモンド』2018年7月14日号『定年後も稼ぐ!働き方』を再構成したものです。
 シニアの転職や再就職における最大のミスマッチは、採用される側とする側の能力評価をめぐる認識の食い違いだ。シニアは、自身の経験やキャリアに自信があり、定年前に上位役職者であった人ほどその傾向が強い。しかし企業側から見ればしょせん、そこそこの年配者でしかないのだ。
 シニアの就職あっせんや紹介を行ってきたコンサルタントたちの話を聞いていくと、転職や定年後の再就職では、「仕事が早く決まる人、決まらない人」の間に明確な違いがある。一口で言えば、「60歳までのキャリアを一度リセットできるかどうか」だ。
「再就職で最も仕事が決まりにくく、かつ採用先から嫌われるのが、現役時代のキャリアやプライドを引きずっている人」
 人材紹介会社、CEAFOMの郡山史郎社長はそう指摘する。現役時代の高給を当たり前と思っており、それと同レベルの給与を求める。しかしそんなケースは、よほど特殊な技能を持っていない限りあり得ない。
 郡山氏が相談を受けた、大企業の子会社社長だった人のケースでは、スケジュール管理は秘書任せで、ワードもエクセルも使えない。なのに現役時代と変わらぬ報酬を求めていた。「あなたは何ができるのですか」の問いに、「社長ができます」と真顔で答えたという。「彼がプロ経営者として使える人物であるならばとっくに売れているはずだ」(郡山氏)。このようなケースでは結局、条件を徐々に下げざるを得ず、職探しに時間がかかることになり、就職先はますます見つかりにくくなる。
 逆に、採用する側に喜んで迎えられ、その働きに感謝さえされるのが、報酬額で仕事のえり好みをするのではなく、「自分が必要とされているならばどんな条件でもよいから仕事をさせてほしい」という心構えの人だ。そういう人はゼロからのスタートを厭わず、業種や職種にもこだわらない。
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 実際、週2回の出社で月給は10万円ほどの仕事でも、その能力が評価されて他社への紹介が広がり、数十万円を稼ぐまでになっている人は珍しくない。
 一方、採用する側の企業には、シニアに最低限求めている条件がある。安い、辞めない、休まないの「3Y」だ(右図参照)。企業の人件費は限られており、高い給与を出せるわけではない。すぐに辞められては採用コストが無駄になる。突然休まれては人員配置が狂うので、勤務日は少なくても休まずにきちんと働いてくれる人がいい。「3Yにコミュニケーション能力が加われば、採用の最低条件はクリアできる」(郡山氏)。
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 その上で、シニアが職場で受け入れられるための心構えをまとめたのが下図の「シニアの心得七カ条」だ。「頼まれたら何でも引き受ける」「アドバイスは短く、控えめに話す」「昔話は聞かれない限りしない」「清潔で身ぎれいにする」など、当人にとっては耳が痛い話ばかりだが、それがシニアを見る世間の目であり現実なのだ。
「自ら仕事を見つけ、新しいことを学び続ける姿勢の人は、それだけで採用先から高い評価を得ている。それは見方を変えれば、変化することを恐れず、変化を当たり前だと思っているからで、そうした人物なら採用する側も仕事を創造しやすく、学びも多くなる」(前出の大杉潤氏)
シニアの職探しでは
同業種にこだわらず異業種も探してみる
 「【Column】人手不足で活況の転職市場 シニアの選択肢も広がるか」でも触れたように、直近の転職市場では、業種の壁を越えた転職が増えてきている。それはシニアの場合にも当てはまる。
 就職・転職支援のリクルートキャリアで建設不動産業界を担当するシニアコンサルタントの平野竜太郎氏は、「人手不足を背景に“転職35歳限界説”が崩れつつある中で、『能力の越境の可能性』が注目されてきた」と指摘する。
 建設業界の転職では、専門知識の有無など採用の明確なベンチマークとなる能力があるが、その一方で、人材育成力やコミュニケーション力、さらには営業力といった、想定外の能力も評価されるようになってきているのだ。
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 同じくリクルートキャリアの柴田教夫氏も、「転職ではポータブルスキル(どの会社でも通じる共通スキル)の高さが評価されてきた。ここに来て、辞令一本でさまざまな仕事をこなしてきたジェネラリストの力に注目する企業が出てきている」と語る。
 シニア専門のライフデザインアドバイザーの木村勝氏は、「自分の軸が明確でない人は優先順位の判断ができず、採用でもネガティブポイントになる」とした上で、「ロクゲン主義」の徹底を訴えている。ロクゲンとは、現場・現物・現実の「3現」と、原理・原則・原点の「3原」だ。
 「ロクゲンを究めるとは、疑問点を徹底的に調べ、曖昧さを残さないことであり、これは特定分野の専門的な能力の問題ではなく、仕事の基本的なやり方を示したものだ。この基本がしっかりとできていれば自分軸が明確になり、判断にぶれが出てこない」
 仕事を早く決められるのは、謙虚な心構えを持ち、愚直に基本を大切にしてきた人なのだ。

https://diamond.jp/articles/-/196903

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/574.html

[国際25] プラダ株急落、18年10月以来の大幅安−中国不振で18年は予想外の減益 中国の華為:1−2月の売上高36%増、逆風の中で
プラダ株急落、18年10月以来の大幅安−中国不振で18年は予想外の減益
Daniela Wei、Robert Williams
2019年3月18日 16:10 JST
中国人観光客による香港・マカオでの購入が細ったことが響いた
4年連続で利益が減少、14年のピークからは半分以上減っている
イタリアの高級ブランド、プラダ株は18日の香港市場で、下落率が一時2018年10月以来の大きさとなった。中国市場での不振が響き、18年通期で予想外の減益となった。

  人民元安を背景に中国人観光客による香港・マカオでの購入が細ったことがプラダのアジアでの業績下降を招いた。グッチなど他の高級ブランドは中国人観光客による購入落ち込みの影響を本土での売り上げ増で補っているが、プラダは本土で同様の伸びが得られなかったとシティグループのアナリスト、トマ・ショーベ氏は指摘。シティによると、プラダの中国売り上げは1−6月(上期)に17%増となった後、通年では横ばいと「大きく振れた」。ほぼ30年ぶりの低い成長率と米国との貿易摩擦を受け、中国消費者は慎重な姿勢に転じている。  

  15日に発表された18年通期営業利益は10%減の3億2380万ユーロ(約410億円)と、アナリスト予想の3億7800万ユーロに届かなかった。18日の同社の株価は一時10.2%安。

  プラダは4年連続で利益が減少し、14年のピークからは半分以上減っている。今年は3000ドルの「シドニー」ショルダーバッグなど新作バッグの好調で売り上げは増加に転じているが、電子商取引やソーシャルメディアへの投資など新たなコストも生じた。

Falling Profit
Prada's operating profit plunged 66% over 4 years


Sources: company filings

原題:Prada Loses $700 Million in Value as China Slowdown Hits Profits(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-18/POJUGO6K50XS01?srnd=cojp-v2

 

中国の華為:1−2月の売上高36%増、逆風の中で増収ペース加速
Bloomberg News
2019年3月18日 17:22 JST
任CEOがロシア人科学者向けに発言−華為も確認した
華為の2018年増収率は21%−今年については約15%と予想
米国が起訴した中国の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)は、同社への警戒が世界に広がる逆風の中でも、1−2月の売上高を伸ばした。

  華為創業者の任正非最高経営責任者(CEO)はロシア人科学者のグループ向けに行ったスピーチで、1−2月期の売上高が前年同期比36%増加したと述べた。同社はその後、同CEOの発言内容を確認した。華為の2018年増収率は21%で、今年については約15%と予想しており、それを上回るペースで売上高が増えたことになる。

  ニューヨーク市ブルックリンの米連邦地裁での14日の罪状認否で、華為は対イラン制裁に違反し銀行を欺いたなどとする罪を否定し、無罪を主張した。

Huawei CFO Braces For Court Fight As Canadians Languish In Jail
華為の孟晩舟CFO写真家:Jimmy Jeong / Bloomberg
  米国の要請によりカナダで逮捕され、米国への身柄引き渡しを巡りカナダの裁判所で審理に諮られている華為の孟晩舟最高財務責任者(CFO)は任CEOの娘。

原題:Huawei Defies Global Troubles With Accelerating Sales Growth(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-18/POJX7J6TTDS701?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/729.html

[経世済民131] 「戦後最長」景気に黄信号、判断引き下げなら3年ぶり FRB利上中止の背景ゾンビ企業「アメリカニズム終焉」認めたくない日本

「戦後最長」景気に黄信号、判断引き下げなら3年ぶり

占部絵美、竹生悠子
2019年3月19日 7:47 JST
• 1月の景気動向指数、後退局面入りの可能性を示唆
• 日銀同様、政府も景気判断を引き下げる可能性高いーSMBC日興
景気動向指数の基調判断が引き下げられたのを受けて、20日公表の月例経済報告で政府がどのような景気判断を示すかに注目が集まっている。総括判断が3年ぶりに下方修正されるようなら、戦後最長の景気拡大の可能性があるとの政府の認識はいずれ見直しを迫られ、今後の政策判断にも影響しかねない。
  1月の景気動向指数では、一致指数の基調判断が景気後退局面に入った可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に下方修正された。この表現が使われるのは、消費税率8%への引き上げの影響が続いていた2014年11月以来。中国の景気減速や米中貿易摩擦の影響などから足元で輸出や生産の指標の弱さが目立つ中、日本銀行は15日の金融政策決定会合で海外経済と輸出、生産の現状判断を引き下げた。
日銀:景気判断を下方修正、輸出・生産に海外経済減速の影響
  SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストはリポートで、日銀が景気判断を引き下げたため、「政府も同様に引き下げる可能性が高い」と今後に注目。政府が判断を引き下げたなら、消費増税のために用意した景気対策の前倒しや追加対策が期待されるようになり、増税延期の可能性も出てくると予想した。
  茂木敏充経済財政相は1月の月例報告公表時に、第2次安倍内閣が発足した12年12月からの景気拡大局面が1月で74カ月と「戦後最長になった可能性がある」との認識を表明。その後も政府は「緩やかに回復しているとの従来の認識に変わりはない」(菅義偉官房長官)としている。月例の総括判断は18年1月に「緩やかに回復している」へ上方修正されて以降、据え置かれている。引き下げがあれば16年3月以来。
      
足元で弱さが目立つ経済指標

出所:内閣府、財務省、経済産業省、日本工作機械工業会
備考:鉱工業生産と機械受注は前月比(%)、輸出と工作機械受注は前年比
      
  景気の山と谷は専門家で構成する内閣府の景気動向指数研究会の議論を基に決定され、通常は判定に1年以上を要する。安倍政権はリーマンショック級の出来事がない限り消費増税を実施する考えを繰り返し表明している。
  小泉政権で経済財政相を務めた竹中平蔵東洋大学教授は、月例報告の総括判断について、「担当統括官はそれをいつ変えようか、変えるべきタイミングが近づいていると感じているはずで、どのタイミングで変えるかは重要な節目になる」と指摘。今年10月の消費増税への影響に関しては、「景気の局面が変わったというだけの理由で一度決めた消費税引き上げを変えるのは難しい」との見方を示した。
  一方、農林中金総合研究所の南武志主席研究員は、「景気判断を変えてしまうと増税できなくなる可能性があるため、よほど経済指標が悪化しない限り、『回復』を取ることはできない」と指摘する。第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストもリポートで、米中貿易戦争の決着次第とした上で、中国の景気対策効果が4−5月にも表れる可能性があり、「景気後退の判定を急ぐ必要はない」と記した。
               
最近の経済指標 ポイント
貿易統計
(2月) 輸出は3カ月連続減。春節の影響などとみられる1月の急減から2月は減少率縮小も、アジアの戻りの鈍さを指摘する声
鉱工業生産指数
(1月) 3カ月連続低下し、指数は18年1月以来の低水準。基調判断は「生産は足踏みしている」に引き下げ
景気動向指数
(1月) 一致指数の基調判断を「下方への局面変化」に引き下げ、景気後退局面に入った可能性が高いことを示す
工作機械受注
(2月) 5カ月連続で前年実績割れ。減少率は2009年10月以来の大きさで、25カ月ぶりに1100億円を割り込む
法人企業景気予測(1−3月) 製造業の景況判断BSIは大企業が3四半期ぶりにマイナスになるなど、全ての事業規模で悪化
機械受注
(1月) 民間設備投資の先行指標となる船舶・電力除く民需の受注額は3カ月連続減少、3カ月連続マイナスは17年4ー6月以来

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https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-18/POCJJN6JTSE801

 

FRB利上げ中止の背景にゾンビ企業
02.02.2019

Photo: shabbir.in

 米連邦準備制度李議会(FRB)は30日、これまで続けてきた段階的な主要政策金利の引き上げを停止、年2.25~2.50%に据え置くことを決めた。貿易摩擦、政府機関閉鎖の影響や中国経済の減速による米国経済並びに世界経済の不透明感が増している情勢を主な理由とした。だが、米株式・経済に与える金利の上昇による最大なリスクが「ゾンビ企業」の増加とそれらの企業の倒産である。

増加を続けるゾンビ企業

 ゾンビ企業とは、創立10年以上の企業でインタレスト・カバレッジ・レシオ(営業利益+金融収益(受取利息配当金))÷支払利息が3年連続で1未満の企業のことである。インタレスト・カバレッジ・レシオは会社の活動で生み出す利益がどの程度支払利息を上回っているか、企業の安全性、財務上の健全性を示す指標である。1未満の会社は金利負担能力がないことを意味し、すでに経営破綻しているが淘汰されず、低金利政策でゾンビ状態を保ちながら存続している。

 国際決済銀行は2018年9月に「増加するゾンビ企業−その原因と結果」と題するレポートを発表している。先進14カ国(米国、英国、オーストラリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、日本、オランダ、スペイン、スウェーデン、スイス)の上場企業約32,000社を1987~2016年の期間を対象に調査した。レポートによると、1987年に上場企業に占めるゾンビ企業の割合が2%であったのが2016年には12%まで増加している。

 米国のS&P1500でみると、2000年に3%であったゾンビ企業の割合は2017年には15%以上にまで増えている。実に6社に1社がゾンビ企業である。2018年にはゾンビ企業の割合が25%以上にまで増加する見通しもでている。

ゾンビ企業をつくりだした低金利

 2008年のリーマン・ショックによる金融危機後の金融緩和政策の長期化によって、ゾンビ企業は増加、又それまでのゾンビ企業の生存率も上げた。低金利は、「倒産のない資本主義」の状況をつくったのである。経済学者ヨーゼフ・シュンペーターによると、金利の役割は資本の不適切な利用を制限することである。資本主義の原動力である創造的破壊は投資判断となる金利の設定で起きる。金利をゼロに切り下げると、資本調達コストは低いため倒産企業は少なくなる。このような企業の市場からの撤退がないため、生産性伸び率は低下、本来創出されるはずの新たなビジネスに資本が回らない状況を生みだすのである。

 FRBの第1次金融緩和(QE)の発動で金融機関の破綻を防ぐことはできたが、QE2以降は企業の設備投資より金融資産への投資や低い借入コストによってゾンビ企業の増加を招いた。

ゾンビ企業を葬り去るには

 金利の引き上げで、資本調達コストは上がり、ゾンビ企業の存続が難しくなる。米上場企業の4社に1社がゾンビ企業になれば、経済危機を回避するためにFRBは金利引き上げより再び金利引き下げの政策転換に転じる可能性は高い。


https://www.trendswatcher.net/211118/geopolitics/frb%E5%88%A9%E4%B8%8A%E3%81%92%E4%B8%AD%E6%AD%A2%E3%81%AE%E8%83%8C%E6%99%AF%E3%81%AB%E3%82%BE%E3%83%B3%E3%83%93%E4%BC%81%E6%A5%AD/


 

「アメリカニズムの終焉」を認めたくない日本
Opinion
11月
11
2018
大きな話題になることはなかったが、平成バブルがはじけた1993年に佐伯啓思氏の「アメリカニズムの終焉」という名著が出版されている。氏はこの本の中で戦後一貫してアメリカ的なるもの、アメリカ文明的なるものを参照枠として思考の基軸に据えてきた日本という国の危うさを適確に指摘。すでにこの時点で現在のグローバリズムをもたらしたアメリカニズムの行き詰まりを予見していた。また、高坂正堯氏も著書「文明が衰亡するとき」のなかで、アンドレ・マルローの<一つの文明の結末を、それと意識しながら生きるのは妙なことだ。ローマの末期以来、こんなことはなかった。>という言葉を紹介している。パックスアメリカーナの終焉をはっきりと戦後の保守言論人を代表する高坂氏も意識していたのである。ところが現在、そのような冷静な思考フレームを日本のマスメディアでは、全く見ることができない状況になっている。

そこで今回は、興味深いエピソードを紹介しながら、現在の日本を呪縛しているアメリカ共同幻想について考えてみたい。

アメリカニズムの終焉

現在でも公式資料では、2018年8月末時点でもアメリカの金保有高は、8133トンで第2位のドイツが3369トンだからダントツの第1位である。ちなみに日本は765トンで第9位である。ところが、今から8年前(2010年1月)にパキスタン・ディリーが対外決済のために中国が米国から受け取った5600本、400トロイオンスの金塊が偽物であったという報道したことがある。

「中国の役人たちは驚愕した。中はタングステンであり、周りに金メッキが施されていたのである。しかももっと凄いことがある。これらの金塊は打刻されたアメリカ製であり、数年間は米国財務省金管理庫において管理されていたものだったのである。」

このことを調査した中国によれば、こういった金塊がすでに6、000億ドル以上、不法に売買されていることが判明したとのことである。2008年にはエチオピア中央銀行から南アフリカに送金した金塊が同じく偽物であることが判明した事件もあった。この事実関係を英国のBBCが報道している。巷間、ロスチャイルドがロンドンにおいて金の値段を実質上、決めていると言われていた歴史を踏まえると、2004年4月の時点で世界有数の投資銀行であるロスチャイルド・アンド・サンズ社が金を含む商品取引から撤退しているのも意味があるがはずだ。何らかの背景があって撤退したとしか考えられないのである。もちろん、閉ざされた言語空間にある日本のマスコミでこう言ったニュースが報道されることは決してない。最近では2013年に米国第七艦隊を舞台にした大規模な収賄事件(「太っちょレオナルド(Fat Loenard)」汚職事件)が日本を含む東アジアで起きている。内容はアメリカ海軍史上最大規模の汚職事件でマレーシアの建設業者が米軍からの契約を取ろうとして、米海軍の将官たちを接待し、賄賂を渡し、3500万ドル(約38億円)の契約を成立させていたというもの。日本の大手メディアは全く取り上げなかったので、多くの日本人は全く知らないはずである。

 それでは英国BBCや海外メディアで報道されることが、どうして日本マスコミでは報道されないのだろうか。

それは戦後、日本という国が米国情報機関(CIA(中央情報局)、NSA(国家安全保障局))によるいわゆる「心理戦」によって強力なマインドコントロール下に置かれているためである。ところが2017年、反グローバリズムの政治家トランプが登場し、臨界点に達したパックスアメリカーナに急速に幕を引く動きが米国内で始まっている。そしてトランプは着々とリトリート(撤退)政策を進めるための布石を打っている。もちろん、本年6月にシンガポールで行われた米朝会談、同7月にヘルシンキで行われた米ロ会談はその流れを強力に推し進めるためのものである。政府広報であるNHKをはじめとする大手メディアは必死にこのことを隠蔽しようとしているが、「従米路線」しか外交戦略をもたない日本政府は、朝鮮半島を巡る六ヵ国協議からロシアが日本を外すように提案していることに象徴されるように徐々に蚊帳の外に置かれるような状況になってきている。現在、日本に残っている役割は世界経済を回すために世界最大の債権国として世界中にお金をばらまくキャシュディスペンサーとしての役割だけだと言っても過言ではない状況に陥っているのが現実だ。 

考えてみれば冷戦下の日本においては、GHQの民主化政策で導入された6・3・3制の戦後教育制度の中で、巧みコントロールされたマスコミ報道、ハリウッド映画、アメリカのテレビドラマによって私たち日本人は、パックスアメリカーナの共同幻想の中で温々と安眠を貪ることができた。現在、現役の日本の政治家はほとんどがその環境下で育った世代である。たしかにそれは自由主義陣営のショウインドウとしての日本に高度経済成長という果実=実利をもたらした。私たち日本人は「平和憲法」に守られながら、アメリカが行う戦争(朝鮮戦争、ベトナム戦争、中東戦争等)によって世界に冠たる経済大国になることができたのである。つまり、冷戦時代の日本という国はアメリカが行う戦争経済の最大の受益者であったということである。

振り返ってみれば、私自身も日本人なのに能や歌舞伎よりハリウッド映画の方をよっぽどよく知っている。ビビアン・リー主演の「風と共に去りぬ」は20回以上見たし、オードーリー・ヘップバーン主演の「ローマの休日」も10回以上見ている。現在まで見たハリウッド映画は、おそらく、邦画の何百倍の本数である。このように戦後のアメリカ文化の日本への浸透にはすさまじいものがある。私たちの世代は、訳もわからず、「トムとジェリー」というアニメを見させられ、「ベン・ケイシー」や「コンバット」、「パパは何でも知っている」、「奥様は魔女」というアメリカのテレビドラマの再放送をずっと見させられ、米国の中流家庭の文化的な生活に憧れを抱くように誘導されてきたのである。小学校でも授業時間内にディズニィーのアニメ映画を何回も見せられた記憶がある。「巨人の星」という人気漫画に出てくるスプリングの塊の「大リーグ養成ギブス」、まさにアメリカメジャーリーグに対する憧れそのものである。その流れがあったからこそ、私たちは、野茂、イチロー、松井秀喜のメジャーリーグでの活躍に心を躍らせたのではないか。その流れのなかで現在も、NHKは莫大な放映権料をMLBに払って衛星テレビで放送しているのである。

 ところで、上智大学の渡部昇一氏のような人々が1960年安保、1970年安保は日本にとって正しい選択だったと力説していたことがあるが、本当だろうか。

今から考えてみれば甚だ疑問である。そのために日本が独立国に近づく機会をみすみす放棄し、1980年代以降、特に85年のプラザ合意以降、莫大な国富を米国に貢ぐ道に誘導されただけではないのか。今こそ、ジョヴァンニ・アリギの「長い20世紀」のような客観的な分析が必要だろう。

長い20世紀

よくよく考えておかしなことだと思うのだが、戦後学校教育の中には、今では英語学習を小学生から積極的に取り入れているにもかかわらず、本当の意味で日本の本質(哲学、思想、宗教、文化)を教えられる機会がほとんどない。その意味では、日本の教育は独立国家としての体をなしてないと考えてもいいのではないか。

かつて岡倉天心は「アジアは一つ」と言った。日本人として、欧米に対する対抗意識をはっきり表明したわけである。もちろん、宗教、哲学の底流に流れるものが同じであるという意味で言った言葉であって、アジアを一つにまとめる哲学・思想が彼によって表明されたわけではない。

岡倉天心が「茶の心」、つまり日本人の心をたった10項目に要約しているので紹介する。

茶の本

1.西洋人は、日本が平和のおだやかな技芸に耽っていたとき、日本を野蛮国とみなしていたものである。だが、日本が満州の戦場で大殺戮を犯しはじめて以来、文明国とよんでいる。

2.いつになったら西洋は東洋を理解するのか。西洋の特徴はいかに理性的に「自慢」するかであり、日本の特徴は「内省」によるものである。

3.茶は衛生学であって経済学である。茶はもともと「生の術」であって、「変装した道教」である。

4.われわれは生活の中の美を破壊することですべてを破壊する。誰か大魔術師が社会の幹から堂々とした琴をつくる必要がある。

5.花は星の涙滴である。つまり花は得心であって、世界観なのである。

6.宗教においては、未来はわれわれのうしろにあり、芸術においては現在が永遠になる。

7.出会った瞬間にすべてが決まる。そして自己が超越される。それ以外はない。

8.数寄屋は好き家である。そこにはパセイジ(パッサージュ=通過)だけがある。

9.茶の湯は即興劇である。そこには無始と無終ばかりが流れている。

10.われわれは「不完全」に対する真摯な瞑想をつづけているものたちなのである。

一部の日本人にはあまりも残念なことかもしれないが、戦後、我々日本人の頭の中に張り巡らされたアメリカという共同幻想が雲散霧消する(アメリカが普通の国になる)時が近づいている。多極化政策を進めるトランプによってドルが基軸通貨でなくなり、アメリカが覇権国でなくなる日が刻々と迫っているからだ。パックスアメリカーナの下で既得権を獲得した日本のイスタブリシュメントは、今もパックスアメリカーナを維持したいと懸命に抵抗を続けているが、1945年8月15日のような大転換の節目がくることを回避することはもはや、不可能に思われる。

このことは、明治維新以降、欧米金融資本によって国民国家としての道をある意味、強制的に歩ませられた日本に真の独立国になるチャンスが訪れることも意味しているのだが、もしかすると、現在の日本のエリートは独立国になる気概すらすでに奪われてしまったのかもしれない。 

おそらく、その気概を創るための新しい思想家が日本に出てくる必要があるのだろう。言うならば、その意味で二十一世紀の岡倉天心の出現が望まれる。日本、東アジア、をゆるやかにまとめていくことのできる哲学・思想を語ることのできる思想家が今、時代の要求なのである。

「ひとことで言えば、自他ともに幸せになり、その社会を人間の望みうる理想のものとするには、日本を見習うべきだということなのである。―――もし自然が生活に必要なもの、そのすべてを与えたとしたら、そして、もしその国が国民の勤勉により、世界に例を見ないまでに発展しているとしたら、その国は外国に頼るこなしに存在できるのである。これは大きな利点である。これによって他国より来る邪悪、放蕩,軽薄、戦争、変節などに乱されることなく、国内に大きな問題も起こらず、危急の場合、外国の攻撃から身を守ることができるのである。これこそ日本が他国よりすぐれている点である。」著者の生前は出版されることのなかったケンペル著「日本誌」の一節から岩松睦夫著「緑の大回廊〜森が語る日本人へのメッセージ」(1984年 東急エージェンシー)より

(ペリーが黒船で日本を脅す前に読んでいた日本についての情報は、ケンペルの『日本誌』によっていた。シーボルトが日本にくる前に読んでいたのもケンペルの『日本誌』である。ケンペル以降に日本に来た外国人の大半は『日本誌』を読んでいる。世界的なベストセラーだった。江戸時代の日本を西洋人は上記のように理解したのである。)

明治維新から150年、私たちはこの150年の近代史を今一度、あらゆる思い込みを捨てて冷静に振り返り、21世紀の日本のあるべき姿を考える時を迎えている。ペリー来航から165年、そろそろ米国を卒業する時を迎えていることだけは間違いないのではないか。

もうすぐ、平成時代も終わる。元号が変わるとき、まことに不思議な事に日本の歴史は大きく動き出すのである。

Posted by m.yamamoto at 5:27 PM
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http://www.yamamotomasaki.com/archives/2322


 

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/575.html

[自然災害22] 米中西部で「歴史的」規模の洪水、3人死亡 近隣州にも拡大の恐れ 行方不明少なくとも1人 64郡で非常事態宣言
米中西部で「歴史的」規模の洪水、3人死亡 近隣州にも拡大の恐れ
3/19(火) 12:14配信 AFP=時事
米中西部で「歴史的」規模の洪水、3人死亡 近隣州にも拡大の恐れ
米イリノイ州フリーポートで、洪水に見舞われ孤立した家屋(2019年3月18日撮影)。【翻訳編集】 AFPBB News
【AFP=時事】米中西部で、ネブラスカなど複数の州が雪解け水と暴風雨の影響による歴史的な規模の洪水に見舞われている。18日までに3人の死亡が確認されたほか、多くの住民が避難生活を強いられ、多数の家屋や商業施設が損壊するなどの被害が出ている。

【関連写真】河川の増水で水没した道路

 雪解け水で既に河川の水位が上がっていたところへ、先週の豪雨と降雪が加わって増水した河川が氾濫。洪水はネブラスカ州の広域を襲い、アイオワ、ウィスコンシン、サウスダコタ州などでも一部地域に被害が出ている。洪水は隣接州にもおよぶ恐れがあるという。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は18日、中西部の洪水を「壊滅的」と評し、ホワイトハウス(White House)は引き続き各州当局と緊密に連携していくと述べた。

 ネブラスカ州では54都市と4つの先住民居住区に非常事態宣言が発令され、数百人の住民が救助された。先週末には同州フレモント(Fremont)に達する道路が洪水で冠水し、住民2万5000人以上が孤立。食料などの支援物資が途絶える状態が17日まで続いた。

 このほか、アイオワ州でも30以上の郡で非常事態宣言が発令された。

 ネブラスカ州では農家の男性が洪水で立ち往生していたオートバイに乗っていた人を助けようとして水にのまれたほか、80歳女性は洪水で同州郊外の自宅に取り残されて亡くなった。アイオワ州では55歳男性が運転していた車ごと洪水に流されて死亡。18日までに確認された死者はネブラスカ州2人、アイオワ州1人の計3人となった。

 米国立気象局(NWS)の予測によれば、今後も中部の広範囲で大規模洪水や歴史的な大洪水が続くという。【翻訳編集】 AFPBB News

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https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190319-00000019-jij_afp-int

ワールド2019年3月19日 / 12:33 / 14分前更新
米中西部で洪水、死者3人・行方不明少なくとも1人 歴史的被害か
Reuters Staff
1 分で読む

[18日 ロイター] - 米中西部を襲った爆弾低気圧の影響で洪水が発生し、18日時点で死者3人、行方不明者が少なくとも1人出ているほか、数億ドル規模の被害が発生している。

被災地の大半で水が引き始める中、ネブラスカ州当局者らは被害状況の調査にあたっている。同州では、93郡のうち64郡で非常事態宣言が発令された。

同州のリケッツ知事は、午後の電話会見で記者団に、「これは明らかに、我が州史上最も広範囲な災害だ」と述べた。

また州当局者らは電話で、これまでに290人がレスキューチームなどに救助されたと述べた。

同州農業当局は、畜産部門の被害は推定4億ドル前後、春の植え付けシーズンに対する全体の影響はまだ不明としている。

一方、運輸当局は、州内のハイウエーに数億ドル規模の損害が生じているとした。

ホワイトハウスのサンダース報道官はツイッターで、ペンス副大統領が19日にネブラスカ州を訪れ、被害状況を視察すると明らかにした。
https://jp.reuters.com/article/usa-weather-idJPKCN1R008L
http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/664.html

[自然災害22] インドネシア鉄砲水、がれきから乳児救出 搬送時の映像 死者は79人に 
インドネシア鉄砲水、がれきから乳児救出 搬送時の映像 死者は79人に
3/19(火) 11:15配信 AFPBB News

(c)AFPBB News

【3月19日 AFP】インドネシア東部パプア(Papua)州で16日に発生した鉄砲水で、これまでに死者数が79人に上った。当局は18日、倒壊した建物のがれきに埋まっていた生後5か月の男児が救出され、父親と再会を果たしたと発表した。

 男児は17日、被害が大きかったセンタニ(Sentani)で、自宅のがれきの中から救出された。男児の父親は無事だったが、母親ときょうだいは遺体となって見つかった。

 同州の軍報道官はAFPに対し、「男児は容体が安定したため退院した。父親は憔悴(しょうすい)していたが、わが子と再会し喜んでいた」と述べた。

 また国家災害対策庁のストポ・プルウォ・ヌグロホ(Sutopo Purwo Nugroho)報道官によると、「死者数はさらに増える恐れがある」という。

 政府は災害対応に当たるため、14日間の国家非常事態を宣言した。

 映像前半は救出された赤ちゃん。後半はセンタニの被害状況と犠牲者の遺体安置所。17日撮影。(c)AFPBB News

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最終更新:3/19(火) 11:15
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190319-00010001-afpbbnewsv-int
http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/665.html

[経世済民131] 5Gが破壊的インベーションにならない理由 AbemaTV地上波超える野望 どん底、JR貨物を再生に導いた「運命の2日間」
5Gが破壊的インベーションにならない理由
03.03.2019

Photo: renegadetribune.com

 Sub-6Gと呼ぶ6GHz以下の領域の擬似的5Gを5Gとして、詐欺的商法を行うキャリアがある。例えばATTはLTE-Advancedを5Gサービスとしているが、LTE-Advancedは4Gに区分されるべきものである。国内では各社が5Gへの積極的な取り組みをみせているが、各社の5Gネットワーク構築へのロードマップは不透明で、要するに技術課題が多すぎて長期計画が立てられない状況の中で、5Gネットワークが独り歩きしていることに危惧を覚える。

5Gの致命的な欠点
 5Gをミリ波(28GHz)と定義するならば、広域通信媒体に使うには致命的な欠点がある。直進性が大きく吸収減衰が大きいために、建物の壁や大気、雨などで減衰してしまい回り込みがきかないため、それこそ無数の送受信機器を設置しなければならないからだ。5Gネットワークは仮にできてもアンテナだらけの街になり、郊外での設置は期待できない。残念だがこの致命的な欠点は周波数に特有の、つまり固有の問題であり、技術開発でなんとかなるものではない。いたるところに小型の送受信システム配置は可能で、無数のスモールセルをリンクしてあたかも広域通信のように見せかけることはできても都市部に限られるだろう。

 慎重なドコモも当初はその進化形であるeLTEを維持する戦略で、スタンドアローン5Gと呼ばれる4Gネットワークに依存しない5Gネットワーク構築は最終段階としてとらえ、4Gの広域ネットの傘の中に5G基地局展開を具現化するスモールセルで覆い尽くす構想である。スモールセル間の同期通信には、Facebookの開発した通信ソフトなど、特殊なソフトやアレイアンテナなどの専用送受信機材が必要になり、5Gネットワークの展開は相当長い期間、スポット的な利用に限られる。

国内企業は焦る必要はない
 一方でファーウエイが基地局機材や5G端末の販売を急いでおり、それに遅れをとったとして国内に危機感を煽る記事が溢れかえるが、焦る必要は無用だ。つまり5G広域展開には基本的な問題があり、インフラ構築に時間がかかったあげく実用化できない可能性も否定できないからだ。

 5Gが4Gから独立するフェーズは最終段階とされるが、明らかに4Gを置き換えることは不可能にもかかわらず、4Gを置き換えるイメージ戦略に無理がある。米国では1万個以上の衛星で広域をカバーしようとする企業も数社出てきたが、たとえ衛星を使っても大気の吸収でミリ波の伝搬特性が改善されるわけではない。

 結論をいえば5Gの代名詞とされるミリ波(28GHz)は、原理的に広域通信は適さないない媒体なので、高速大容量通信の意味があるアプリケーションやコンテンツ開発(ユーザーの希望があればの話だが)に時間をかけるべきだと思う。スタンドアローン5GネットワークはIoTで社会を変革するインパクトがあるとされるが、広域ネットワークが実現できての話であり、現時点ではインフラに不安を抱えた不透明なビジョンにすぎない。

破壊的イノベーションとならない理由
 5Gの周波数帯はこれまで商業サービスに使われてこなかったことから、健康被害リスクアセスメントが不十分である。それでも、民間主導で「5G=IoTによる産業革命」の名の下に進められている。キャリアや機材メーカーなどIT企業の新規ビジネス開拓の都合が見え隠れする。蛇足だがスマフォ市場は明らかに飽和状態に達していて、折りたたみスマフォや怪しげな5G対応端末を歌ってもスマフォと4Gで新たな価値が生まれたかつての市場の勢いを取り戻せるとは思えない。

 同様にIoTの代表であるコネクテッドカーが標準になっても車の販売が増えるとも思えない。要するに過度に期待したIT産業の限界が見えてきたため、突破口としての新たに付加価値を考え出したととれる。4Gとスマフォが連携して働いた結果、クリステンセンの定義する破壊的イノベーションとなったが、破壊的イノベーションになるためには、万人がその登場を歓迎するというヒューマンファクターがあったはずだ。それがない「メーカーに踊らされた」イノベーションでは破壊的にならない。誰でも電磁波による健康被害を避ける権利があるが、スタンドアローン5Gネットワークの中で生活する人々は、「受動喫煙」のように電磁波漬けになる。これを万人が好まない限り破壊的イノベーションにはなり得ない。


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2022年からフォード車の標準装備になるコネクテッドカー
ファーウエイリスクを米国が欧州に警告

https://www.trendswatcher.net/211118/geopolitics/5g%E3%81%8C%E7%A0%B4%E5%A3%8A%E7%9A%84%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84%E7%90%86%E7%94%B1/


 


 
ビジネス2019年3月18日 / 13:11 / 4時間前更新
アングル:
若者の拡散力に賭けるAbemaTV、地上波超える野望
Reuters Staff
3 分で読む

[東京 18日 ロイター] - 10代の女子高生から絶大な支持を集める雑誌「Popteen(ポップティーン)」の表紙を飾る専属モデルの座を獲得するのはだれか──。2月22日夜、都内のテレビスタジオで「あやみん」や「きょうきょう」など可愛らしいニックネームを持つ10代のモデル12人が、緊張した面持ちでその瞬間を待っていた。

<若者をターゲットに>

インターネットテレビ「AbemaTV」で人気急上昇となった「Popteenカバーガール戦争」は、日本のテレビの新しい方向性を示しているのかもしれない。

米国の新興メディア、ネットフリックス(NFLX.O)などはコストがかかる「シリーズもの」のドラマやスターが出演する映画などを配信することで伝統的なテレビ局のビジネス領域に侵食しているが、AbemaTVは低予算の中で、ソーシャルメディアで拡散力を持つ世代に焦点を当てた番組づくりを進めている。

この戦略は何百万人もの若い視聴者を引きつけるとともに、もうかるビジネスに大化けする可能性があるとして、広告主や業界アナリストも納得させた。

地上波などのテレビ局は、全世代を意識した番組づくりをしているため、若者にとっては物足りなく感じることもある。

これに対し、AbemaTVは若者に的を絞っているだけに展開が速い。サイバーエージェント(4751.T)の谷口達彦執行役員(AbemaTV編成制作本部制作局長)は「情報処理に長けた世代なので、問題なくついてくる」と指摘。ドラマは「イメージだが、2倍の脚本をぎゅっと詰め込んでいる感じだ」と語った。

<赤字続きも先行きに自信>

AbemaTVは、2015年4月にサーバーエージェントとテレビ朝日(9409.T)が共同で立ち上げた。

サイバーエージェントは、インターネット広告やゲームとともに収益の柱として育てたい考えだが、足元ではまだ実績を出せていない。AbemaTVの2018年9月期の営業損益は、先行投資がかさみ208億円の赤字だった。2019年9月期も200億円の営業損失を見込んでいる。

インターネットテレビを巡っては、海外プレーヤーの参入も相次ぎ、競争環境は厳しさを増している。

彼らは保有する豊富なコンテンツに字幕を付けて提供するだけでなく、ネットフリックスの恋愛リアリティーショー「テラスハウス」のように日本発の番組も提供しながら、日本の視聴者を取り込んでいる。

しかし、サイバーエージェントの藤田晋社長は、事業の先行きに自信を示す。

AbemaTVは2016年4月の開局以来、ダウンロード数が3700万件にのぼり、1週間あたりの視聴者数(WAU)はこの年末年始に918万人に達した。

ゴールドマン・サックス証券のアナリスト、杉山賢氏は2020年9月期に事業が黒字転換し、2024年9月期に売上高が1621億円、営業利益が721億円になると予想している。

最終消費者が対象の企業は、インターネットで効果的な広告機会を模索している。その際、問題となるのが広告を出すにふさわしいコンテンツ不足だ。杉山氏は「インターネットではプロがつくるコンテンツが必要とされているが、特に日本では不足している」と語った。

良質なコンテンツを提供できれば、広告売り上げを伸ばせる余地は大きい。

<ソーシャルメディアでの反応>

AbemaTVは、オリジナルの生放送コンテンツやニュース、音楽、スポーツなど約20チャンネルを無料で視聴できる。ソニー(6758.T)の4Kテレビ「ブラビア」などにAbemaTVボタンを搭載、伝統的なテレビ局の番組視聴者も取り込みながら、視聴者数を増やしている。

有料ビデオやダウンロード機能などを備えた月960円の有料会員は、この1年間で約8万人から35万8000人まで増えた。今後は広告と課金の2本柱で収益を拡大していく。

AbemaTVのヒット番組には、元SMAPメンバーが出演した「72時間ホンネテレビ」や、恋愛リアリティーショー「オオカミくんには騙(だま)されない」シリーズなどがある。

「オオカミくん」は本気で恋をしたい女子高生が、イケメン男子とデートを繰り返しながら恋に落ちて行くまでを追いかける番組。

イケメン男子の中には、気を引くために嘘をついている「オオカミくん」が紛れ込んでおり、視聴者は投票で「オオカミくん」を脱落させることができる。

「Popteen」番組も視聴者参加型で、視聴者ランキングは専属モデル選びの重要な要素となった。制作局の月岡愛理氏は「単に可愛いというよりも、自分の弱いところなどをさらけ出した子が結果的に得票につながった」と話す。ソーシャルメディアでの反応が番組の行方を盛り上げた。

<テレビに迫るネット広告>

サイバーエージェントが60%、テレビ朝日が40%を出資して設立したAbemaTVは昨年10月、電通(4324.T)と博報堂DYメディアパートナーズへの第三者割当増資を実施。現在の出資比率は、サイバーエージェントが55.2%、テレビ朝日が46.8%、電通が5.0%、博報堂DYメディアパートナーズが3.0%となっている。

この出資により、AbemaTVは広告拡販に加え、コンテンツ調達の強化を目指す。

電通は2月、2018年のインターネット広告費が前年比16.5%増の1兆7589億円になったと発表した。5年連続の2桁成長となり、地上波テレビ広告費1兆7848億円に迫る数字となっている。

電通の曽我有信・最高財務責任者(CFO)は「新しいメディアを育てていきたい」と語った。インターネットテレビが、伝統的テレビを超える日はそう遠くないのかもしれない。

サム・ナッセイ 翻訳編集:志田義寧 
https://jp.reuters.com/article/abema-tv-idJPKCN1QZ09R

 


日銀の国債保有シェアが低下、異次元緩和開始の13年以降で初
日高正裕
2019年3月19日 10:59 JST
• 金利低下による時価変動と短期国債買い入れ減少が影響−日銀
• 海外は保有残高134兆円、シェア12.1%といずれも過去最高

日本銀行の国債保有比率(シェア)が2013年の異次元緩和開始以降で初めて低下した。日銀が19日発表した昨年10−12月の資金循環統計(速報)で明らかになった。
  日銀が昨年12月末時点で保有する国債等(国庫短期証券と国債・財投債の合計)が市場全体に占める比率は42.99%と昨年9月末(43.00%)からわずかに低下した。国債等の残高は前年同期比1.6%増の1111兆円と過去最高を更新。日銀の保有残高も478兆円と過去最高を更新したが、シェアは12年3月末以来の減少に転じた。
  調査統計局の二宮拓人経済統計課長は日銀の保有シェア低下の理由について「日銀が保有する国債と市場全体の構成が異なるため、金利低下による時価変動が影響したほか、日銀が短期国債の買い入れを減らしていることが影響した」と説明した。
  日銀は13年4月、2%の物価目標実現を掲げ異次元緩和を開始。14年10月の追加緩和で国債保有残高の年間増加ペースを80兆円まで拡大したが、16年9月に金融調節の操作目標を量から金利に変える長短金利操作を導入。国債の年間増加ペースは「めど」として80兆円という数字は残したが、足元では30兆円前後まで買い入れペースを縮小している。
  日銀が大量の国債を買い入れる異次元緩和の下、預金取扱機関(金融機関)は国債保有残高を落としており、12月末の残高は167兆円と過去2番目に低い水準で、シェアは15.1%と過去最低となった。対照的に買い入れを増やしているのが海外で、保有残高は134兆円、シェアは12.1%といずれも過去最高を更新した。

  12月末の家計の金融資産は前年同期比1.3%減の1830兆円と、株価の下落の影響で10四半期ぶりに減少した。暦年ベースで減少したのはリーマンショックに見舞われた08年以来。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-19/POLALM6JIJV001

 

どん底、JR貨物を再生に導いた「運命の2日間」
海運、空運のプロは経営再建請負人だった
大坂 直樹 : 東洋経済 記者 2019年03月18日

北海道のターミナルに停まる貨物列車 。JR貨物は「冬の時代」を越えて好調が続く(撮影:吉野純治)
JR貨物が元気だ。本業にもかかわらず長年赤字が続いていた鉄道ロジスティクス事業が2016年度に黒字化を果たし、連結経常利益を100億円台に乗せた。
2018年度は6月の大阪北部地震、7月の豪雨、9月の台風24号と度重なる自然災害に悩まされた。しかし、その後急ピッチで輸送量が回復し、2018年4月〜2019年2月の輸送実績は前年同期比92.2%という水準まで持ち直した。山陽線の一部区間で工事や徐行運転が行われていることもあり、今も一部の列車が運休している。もしこれらが動いていれば、2月単月については「前年とほぼ変わらぬ水準」(真貝康一社長)という。
昨今のトラック運転手不足や環境問題の高まりなどJR貨物を取り巻く状況は明らかに追い風だ。しかし、その追い風を捉えて見事に浮上することができたのは、2013年に同社会長に就任した石田忠正氏(現相談役)の経営手腕によるところが大きい。
石田氏は日本郵船副社長、日本貨物航空社長を歴任。2011年にはまったく畑違いのがん研究会有明病院の理事長補佐に就任し、病院経営を黒字化させた実績もある。海運業と陸運業のプロはどのような経営手法でJR貨物の鉄道事業を黒字化に導いたのか。石田氏に聞いた。
「意識改革」にはこう取り組んだ
――JR貨物に来て、まず改善しなくてはいけないと思ったことは?

外部の人間がいきなりやってきて「こんな問題がある」「解決するためにはここを直さないといけない」と言ってもうまくいかない。もちろん表面上は変わるだろうが不十分。たとえ私が100点満点の提案をしても、人から言われてやるのでは意味がない。社員一人ひとりが「これは私の仕事だ」という気づきを得て、本気で取り組むという意識改革が必要だ。

一人だけが気づいても、回りにも同じ考えの人がたくさんいないと、組織としての行動にはならない。どの企業にも目に見えない不文律があって、社員自らを縛っている。それを解き放してあげないと「変わらなきゃ」という行動は起きない。これはどこの組織でも同じ。病院でもそうだった。JR貨物が国鉄の体質を引きずっているのは承知していたので、意識改革を本格的にやらないと経営改革はできないと強く意識していた。


2013年の会長就任後、最初に取り組んだのは「意識改革」だったというJR貨物の石田忠正相談役(撮影:吉濱篤志)
その意味で、JR貨物に来て最初にやったことは2日間の役員合宿。社長以下、役員全員、部長、支社長も集まった。私は「ああしろ、こうしろ」とはいっさい言わなかった。「自由闊達」「役職は無関係」「何を言ってもよい」といったルールだけ決め、参加者の間でガンガン議論を行い、JR貨物の現状と問題点を洗い出し、解決策を考えてもらった。

JR貨物をどういう会社にしたいのか、そのためには何をすべきかを1つの表にまとめたら、ちゃんと形になって、全員が「できる」と思った。翌週の経営会議からガラリと変わりましたよ。また、各支社長は支社ごとに合宿をやって、現場長たちも職場で部下たちと議論をした。こうなると本物だ。

減らしていた営業マンを増員
――JR貨物が変わったのは、2日間の合宿だったということですね。では、鉄道黒字化に向け、どんな行動をしたのですか?

例を一つあげると、今までは赤字を減らすために営業部の人員を減らしてきたが、そうすると売り上げがさらに減るという悪循環になる。そこで、最初にやったのが営業マンを増やすこと。今まではお客様(荷主)への営業はトラック会社(通運事業者)に丸投げして、自分たちではほとんどしていなかった。これを改めて、自らお客様の所に営業をしに行くようにした。

――集荷して配達する両端の部分はトラックですが、間に鉄道を入れてくださいと荷主にお願いするのですか?

そう。われわれが新たな顧客を見つけてくると、両端の通運業者も喜んでくれる。ただし、単にコンテナを積めばいいというものでもない。列車の収支は「往復」で見る。片道のコンテナの稼働率が100%でも、逆方向がカラだったら稼働率は50%にしかならない。その空コンテナにも運転士の費用、電力費、線路使用料などのコストがかかるので、稼働率50%では食べていけない。

だから、今は「ラウンド収支」をどうやって改善できるかを考えるようにしている。空コンテナの回送率は、毎年ものすごい勢いで下がっていますよ。

提案営業も積極的に行うようになり、2017年1月にはアサヒビールとキリンビールが組んで関西の工場から北陸エリアへ鉄道コンテナによる共同輸送を開始した。従来は名古屋の工場からトラックでビールを運んでいたが、鉄道に切り替えた。

われわれにとっては鉄道貨物の利用率が低い下り路線(関西→北陸方面)の有効活用にもなる。現在はサントリー、サッポロも加わり、4社の共同輸送をそのほかの路線で行っている。とにかく提案営業を続けることで、お客様に直接提案できる会社に変わった。

黒字になったことによって、新しい投資に資金を回せるようになった。また、社員の意識改革の結果として黒字化できたわけだから、意識改革の根源である人事制度を4月から全面的に変える。今以上に働きやすくやりがいがある職場になる。

――日本の物流の主役はトラック輸送ですが、トラック輸送から鉄道コンテナ輸送に切り替えると、荷主にとってコストは安くなるのですか?

長距離輸送なら鉄道コンテナ輸送のコストは安い。鉄道輸送の強みは大量輸送。1本の貨物列車で大型の10トントラック65台分を一度に運べる。CO2排出量もトラックの11分の1で環境にもやさしい。しかも鉄道輸送は運行頻度も多い。定時運行率も94%と非常に高く、運行頻度も船と比べると高い。

トラック運転手不足が追い風に
――鉄道貨物のメリットがそれほどたくさんあるなら、もっと使われてもよいのでは?

われわれの営業努力が足りなかった。でも現在はトラックの運転手不足という問題があるので、長距離輸送の部分を鉄道に置き換えられないかという要請をトラック会社からいただいている。

――首都圏では貨物列車は深夜に出発することが多いですが、首都圏を昼間にあまり走れないことはネックになりませんか。

そういう部分はある。ただ、どのメーカーでも昼間作って夕方から夜にかけて出荷することが多い。夜中に鉄道で運んで朝到着するのでムダがない。宅配便などで昼間に運ぶ需要もあるが、圧倒的に多いのは夜間の需要だ。

――欧米では物流に占める鉄道貨物の比率が10〜30%ありますが、日本は5%程度にすぎません。営業が頑張れば、日本の鉄道貨物の比率は欧米並みになりますか。

いやいや。われわれにそこまでの輸送能力はありませんよ。

――でも、引き合いは多いのですよね?

需要が欧米並みに増える可能性はある。イギリスさえもサウザンプトン港では鉄道輸送の比率は二十数%ある。あの小さい国ですら、鉄道輸送の比率は高い。

――需要がぐんぐん増えれば、車両を増やして対応するとか……

もちろんそうなるのだが、問題が1つある。昼間は旅客列車がたくさん走っているので、貨物列車をいくらでも増やせるというわけにはいかない。もちろん路線によってはもっと増やせる余地があるし、土日はかなり余裕がある。でも東海道線などすでに過密状態の路線もあるので、現在の5%という比率をすぐに10%、20%に高めることは残念ながら難しい。

――鉄道貨物以外の事業では、東京貨物ターミナル駅に大型の物流倉庫「東京レールゲート」を建設していますね。

2棟から構成され、2020年、2022年に完成予定。東京ベイエリアで最大級の物流拠点になる。すでに鴻池運輸と賃貸借予約契約を結んでおり、メーカー、小売業、倉庫業者など引き合いは多い。

これと同じようなものを札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡にも展開する。東京レールゲートのすぐそばに東京湾も羽田空港もある。今はレールの上だけだが、今後は船と結んでシー・アンド・レール、飛行機とも結んでレール・アンド・エアといった陸海空の総合物流業に展開していきたい。

「目標の明確化」で業績を伸ばす
――日本郵船や日本貨物航空時代の経験についても教えてください。


石田忠正(いしだ・ただまさ)/1945年生まれ。1968年慶應義塾大学経済学部卒業、日本郵船入社。2004年同社副社長。2007年日本貨物航空社長。2011年がん研究会有明病院常務理事・理事長補佐。2013年JR貨物会長。2018年より現職(撮影:吉濱篤志)
日本郵船では、アジア代表としてシンガポールに駐在していた時、二十数カ国に及ぶアジア各国の現地法人社長とすべて交渉した。それをまとめるとアジア全体の目標値が決まる。現地法人の社長は自分の国に帰って、部長や課長と相談して部門ごとの利益目標を決めていく。課長は課員一人ひとりの目標を決めていく。アジア全体の目標が一人ひとりの目標に落ちていくのです。外国人の社員は目標を明確化すると、競い合うように頑張って成果を出してくれる。

その後ロンドンに転勤して、今度はヨーロッパを統括したが、欧州の人たちはアジアの人たちよりもドライ。「頑張って働くからきちんとペイをくれ」ということで、ものすごく働いてくれて、業績も伸びた。本社に戻って、今度は全社の収支管理を北米、南米、オセアニアなど世界6極に移管した。世界中が一つになって頑張ってくれた。

日本貨物航空でも同じように各極に分けて収支管理をやったが、アジアとヨーロッパを結ぶ便のように日本発着ではない国際線もある。そうなると日本からあれこれ言ってもどうにもならず、現地同士で頑張るしかない。でも、その結果、現地同士の絆はものすごく強くなった。また、当時は古い機材ばかりだったので燃費が悪かった。新しい機材に切り替えることで投資効果が出てきた。こうしたことを通じて万年赤字から黒字に転換できた。

――病院経営でも収支を改善しました。

私が勤務した病院には日本トップレベルの医師や研究者が500人もいた。看護士やそのほかの職員も献身的に働く。患者さんは列を成していた。

――それなのに赤字。これもマネジメントの問題ですね。どのように黒字化したのですか。

私は、医療はずぶの素人だから「ああしろ、こうしろ」とは言わなかった。やったことは先生方や看護士さんたちに収支を見せたことだけ。でも、みんなおそらく初めて見たのだと思う。収支を見て目の色が変わった。先生方、看護士さん、事務職、みんなを集めて合宿した。そうするとみんないろいろなことを言い出した。先生方も気づくことがたくさんあった。それが改善活動に変わり、収支が改善された。先生や看護士さんの給料は上がり、最新の医療機器もどんどん導入した。

官民協力で鉄道インフラ強化を
――日本郵船、日本貨物航空、がん研、どの経験もJR貨物につながる話ですね。ところで、石田さんをJR貨物に招いたのは誰ですか?

それはちょっと言えませんが、国の要請です。

――国側も社員自らに気づいてもらうような経営改革を期待していたのですか?

どうでしょうね。私は今お話ししたようなことはご存じないと思う。

――では、海運や空運での経験をJR貨物で活かしてほしいという前提だった?

そういうことです。でも、私が「ああしろ、こうしろ」と言っても意味がない。社員自身に気づいてもらうから価値がある。

――最後に、JR貨物が抱えている課題について教えてください。


2018年の豪雨で一部区間が不通となった山陽本線を迂回して走った貨物列車(写真:JR貨物)
JR貨物は鉄道輸送の業績が改善し、不動産事業も堂々たるものだから、100億円を超える経常利益をこれから出していけると思うが、1つだけ前提条件がある。それは、鉄道輸送はレールというインフラがあってこそということだ。昨年の豪雨で山陽線が長期にわたって止まってしまった。レールがないとわれわれは働きようがない。

道路や空港、河川は何かあると国や自治体がすぐに直してくれるし、トラブルを未然に防ぐような整備もしてくれる。それと同じように鉄道のインフラ整備も必要だ。問題が起きそうな危険箇所はわかっているのだから、優先順位を付けてできるところからぜひ整備をお願いしたい。われわれも努力をするからぜひ官民協力で。3〜5年続ければ日本のインフラ基盤が本当に強化される。
https://toyokeizai.net/articles/print/271327

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/579.html

[経世済民131] 日銀の国債保有シェアが低下、異次元緩和開始の13年以降で初 ニッポンの賃金水準、世界に劣後 時給、20年で9%下落
日銀の国債保有シェアが低下、異次元緩和開始の13年以降で初
日高正裕
2019年3月19日 10:59 JST
• 金利低下による時価変動と短期国債買い入れ減少が影響−日銀
• 海外は保有残高134兆円、シェア12.1%といずれも過去最高

日本銀行の国債保有比率(シェア)が2013年の異次元緩和開始以降で初めて低下した。日銀が19日発表した昨年10−12月の資金循環統計(速報)で明らかになった。
  日銀が昨年12月末時点で保有する国債等(国庫短期証券と国債・財投債の合計)が市場全体に占める比率は42.99%と昨年9月末(43.00%)からわずかに低下した。国債等の残高は前年同期比1.6%増の1111兆円と過去最高を更新。日銀の保有残高も478兆円と過去最高を更新したが、シェアは12年3月末以来の減少に転じた。
  調査統計局の二宮拓人経済統計課長は日銀の保有シェア低下の理由について「日銀が保有する国債と市場全体の構成が異なるため、金利低下による時価変動が影響したほか、日銀が短期国債の買い入れを減らしていることが影響した」と説明した。
  日銀は13年4月、2%の物価目標実現を掲げ異次元緩和を開始。14年10月の追加緩和で国債保有残高の年間増加ペースを80兆円まで拡大したが、16年9月に金融調節の操作目標を量から金利に変える長短金利操作を導入。国債の年間増加ペースは「めど」として80兆円という数字は残したが、足元では30兆円前後まで買い入れペースを縮小している。
  日銀が大量の国債を買い入れる異次元緩和の下、預金取扱機関(金融機関)は国債保有残高を落としており、12月末の残高は167兆円と過去2番目に低い水準で、シェアは15.1%と過去最低となった。対照的に買い入れを増やしているのが海外で、保有残高は134兆円、シェアは12.1%といずれも過去最高を更新した。

  12月末の家計の金融資産は前年同期比1.3%減の1830兆円と、株価の下落の影響で10四半期ぶりに減少した。暦年ベースで減少したのはリーマンショックに見舞われた08年以来。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-19/POLALM6JIJV001

 
ニッポンの賃金(上) 賃金水準、世界に劣後 時給、20年で9%下落
2019/3/19付
日本経済新聞 朝刊
 日本の賃金が世界で大きく取り残されている。ここ数年は一律のベースアップが復活しているとはいえ、過去20年間の時給をみると日本は9%減り、主要国で唯一のマイナス。国際競争力の維持を理由に賃金を抑えてきたため、欧米に劣後した。低賃金を温存するから生産性の低い仕事の効率化が進まない。付加価値の高い仕事への転換も遅れ、賃金が上がらない。「貧者のサイクル」を抜け出せるか。

https://www.nikkei.com/content/pic/20190319/96959999889DE6E0E4E3E4E3E5E2E3EAE2E1E0E2E3EB9F9FEAE2E2E2-DSKKZO4262695018032019MM8000-PB1-2.jpg

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19年春闘、賃上げ2.16% 連合1次集計は横ばい
経済
2019/3/15 18:30
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連合は15日、2019年春季労使交渉の第1回回答集計の結果を発表した。定期昇給と基本給の底上げ部分を示すベースアップ(ベア)を合わせた賃上げ率は平均2.16%で、18年交渉の1次集計と横ばいだった。定期昇給が伸びに寄与した一方、世界経済の先行き不透明感が増し、ベアの伸び率は前年を下回った。

労組が経営側から受けた回答を15日午前10時時点で集計した。対象は626組合。6月下旬に最終集計をまとめる。賃上げ額は前年より138円多く、6653円だった。

賃上げのうちベアと定昇を区別できる405組合をみると、ベア部分の引き上げ率は0.62%で18年交渉を0.15ポイント下回った。最終集計まで不透明な面があるものの、米中貿易摩擦の激化や英国の欧州連合(EU)離脱交渉の行方など世界経済の先行きが読みにくく、19年交渉で経営者はベアに慎重になったようだ。

企業別の回答を見ると、電機や自動車などの製造業大手は6年連続でベアを実施するものの、多くが18年実績を下回った。一方で人手不足が深刻な運輸や外食などでは大幅な賃上げが目立った。

電機大手は統一交渉で月額3000円以上のベアを求めたが、18年より500円低い1000円で妥結した。中国景気減速などが響いたようだ。

自動車ではホンダやスズキなどのベアの妥結額が18年より下がった。自動運転や電動化への対応には巨額の投資が必要で、固定費の増額となるベアには「慎重にならざるを得ない」(ホンダ)。日産自動車は2年連続の満額回答だった。

一方、福山通運がトラック運転手1万3500人を対象にベアを18年比3倍の7500円に引き上げた。「餃子の王将」を展開する王将フードサービスは労組の要求(9500円)を大きく上回る1万2677円で妥結した。

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2019年の春季労使交渉は13日、主要企業がベースアップ(ベア)に相当する賃金改善などの一斉回答を始めた。トヨタ自動車は、会社側が1万700円の賃上げを回答。組合要求の1万2000円を下回った。ホンダや電機大手はベアを6年連続で実施するものの、大手製造業を中心に上げ幅は前年実績を下回る。中国景気の減速などで会社側の業績悪化懸念が強まっているようだ。

労使交渉の回答状況をボードに書き込む金属労協の職員(13日午後、東京都中央区)
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労使交渉の回答状況をボードに書き込む金属労協の職員(13日午後、東京都中央区)

トヨタは成長への危機感を強める会社側と、一律配分にこだわった組合側で溝が大きく交渉が難航。06年以来となる回答日当日まで交渉がもつれる異例の展開となった。賃上げ額にはベアに相当する賃金制度改善分も組み込んだ。ベア相当分の実額は非公表。

一時金は組合要求の年6.7カ月分に対して、夏120万円とし、冬の分については秋にも開く労使交渉で決めて支給するとした。回答額は組合要求を下回ったものの、賃金改善や上位資格の導入など一般職の処遇改善、期間従業員の手当の拡大などを盛り込んだ。

今春の賃上げ交渉を巡っては、前年を下回る水準での妥結が相次ぐ。ホンダの労使はベアで、前年実績を300円下回る月1400円で妥結した。パナソニックや日立製作所、三菱電機など電機大手も同500円下回る1千円で妥結した。

政府は14年から産業界に賃上げを要請しているが、19年交渉では18年には示した数値目標を掲げなかった。国がけん引する「官製春闘」が転機を迎えるとの見通しで始まった賃上げ交渉は、景況悪化への懸念が高まったことで、前年実績を下回る妥結が相次ぐ形となった。

日産自動車は13日、ベアに相当する賃金改善分について、組合が要求していた3000円に満額回答したと発表した。18年の交渉でも組合要求の3000円に満額回答していた。19年交渉の一時金は基準内賃金の5.7カ月とし、組合要求に満額回答した。

19年の賃上げ交渉では、人手不足に悩む流通、外食産業や中小企業がどこまで賃上げを実施し、従業員をつなぎ留めることができるのかが焦点の一つだ。流通や外食、繊維などの労働組合で構成するUAゼンセンでは、パート1人当たりの賃上げ要求幅は約4%と過去最高となった。

福山通運は今回の交渉で、トラック運転手に対し、前年比3倍の月7500円のベアを実施する内容で妥結した。

 

ヨーカ堂7年連続ベア 18年比微増の2008円で妥結
賃上げ交渉 小売り・外食
2019/3/13 22:58
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セブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカ堂は13日、2019年春季労使交渉で賃金改善に当たるベースアップ(ベア)を月額2008円にすることで労働組合と妥結した。ベアは7年連続で、18年春の2000円をやや上回った。定期昇給分と合わせた賃上げ幅は1.77%(月額6341円相当)となった。事業環境が厳しさを増すなか、待遇改善で優秀な人材をつなぎ留める。

労組はベア4056円、定昇分含めた賃上げ幅は2.34%(8389円相当)を要求していた。

このほか、パート従業員は2.87%(時給29.75円相当)の賃上げで妥結した。パート従業員のベアも7年連続で、昨年の賃上げ幅の2.50%を上回った。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42521210V10C19A3EA6000/?n_cid=SPTMG002

 

最低賃金引き上げは生産性向上が前提だ
2018/7/26 0:52 
働く人には少なくともこれだけは支払わなければならないという最低賃金が、2018年度は時間あたり26円上がる見通しになった。16、17年度の25円を上回り、最低賃金が時給で示されるようになった02年度以降で最大の上げ幅となる。上がり方が急なため副作用の心配もある。

中小企業の負担は増す。政策として最低賃金の引き上げを積極的に進めるなら、中小企業の成長力強化の後押しも政府の役割としてより重要になる。生産性向上の支援に力を注ぐ必要がある。

厚生労働省の審議会の小委員会が、都道府県ごとに定める最低賃金の上げ幅の目安を時間あたり平均26円とすることを決めた。最低賃金の年3%程度の引き上げをめざす政府方針に沿った形だ。全国平均の時給は874円になる。

最低賃金の引き上げは消費を刺激する効果が見込め、非正規労働者の処遇改善にもつながる。日本の最低賃金はフランス、ドイツなどと比べ低い水準にあり、引き上げが求められているのは確かだ。

ただし、最低賃金の引き上げは、企業の生産性向上と歩調を合わせて進めるべきものだ。

人手不足で中小企業にも賃上げが広がるが、賃金水準が最低賃金の近辺の企業も少なくない。人件費負担が重くなり雇用削減を招く事態になっては本末転倒だ。

12年末に第2次安倍政権が発足して以降の最低賃金の上げ幅は、18年度が目安通りになれば計120円を超える。最終的に上げ幅を決める都道府県は地域経済への影響を十分考慮して判断すべきだ。

政府は賃上げに努める中小企業の人件費負担を和らげるため助成金を出しているが、企業の競争力向上につながるわけではない。

政府がもっと強力に進めるべきは、企業が無理なく継続的に賃金を上げていくための環境整備だ。成長分野への進出を促す規制改革や従業員の能力を高める職業訓練の充実など、生産性向上の支援に多面的に取り組まねばならない。

下請け企業への過度な値下げ要求など、不公正取引の監視強化も課題になる。中小企業自身、低賃金の労働力に頼らずに済むようにするために、経営改革に力を入れる必要があるのはもちろんだ。

最低賃金を守らない企業の取り締まり強化も求められる。外国人労働者の受け入れ拡大を円滑に進めるためにも、企業は法令順守を徹底しなくてはならない。
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO33421450W8A720C1EA1000/?n_cid=SPTMG002
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/580.html

[国際25] 米女性エコノミスト、ほぼ半数が性差別を報告−経済学会調査 
米女性エコノミスト、ほぼ半数が性差別を報告−経済学会調査
Jeff Kearns
2019年3月19日 15:05 JST
人種・民族に基づく差別も−報酬面で不当に扱われたと黒人回答者
9000人余りの現・旧会員が調査に回答を寄せた
米国の女性エコノミストのほぼ半数が性差別を経験している。18日に公表された米国経済学会(AEA)の調査で明らかになった。

  女性エコノミストの48%が性別に基づく不当な差別を受けことがあると回答し、22%は配偶者の有無や子育て・介護の義務を巡り差別を受けたと答えた。調査の依頼は4万5000人以上に送付され、昨年11月から今年2月にかけて9000人余りの現・旧会員が回答を寄せた。

  他のエコノミストや学生からの性的暴行を報告した女性は85人。179人が暴行未遂を報告し、405人が同業者から望まない注目を受けたと答えた。調査では性別に加え、人種や民族に基づく差別も報告された。黒人回答者の27%が昇進で差別を受けたと回答し、3分の1以上が報酬の面で不当に扱われたと答えた。

  「多くの会員が職務を遂行する中で、あからさまな行為やより目立たない形でのハラスメント(嫌がらせ)や差別に苦しめられてきた。こうしたことは受け入れがたい」とAEAのベン・バーナンキ会長、次期会長に選出されているジャネット・イエレン氏、オリビエ・ブランシャール元会長が調査結果に合わせて公表された会員への書簡で指摘。AEA幹部らはこの問題を「極めて真剣に」受け止め、行動規範の導入など昨年着手したステップを一段と拡大する意向だ。

原題:Almost Half of Female U.S. Economists Report Sex Discrimination(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-19/POLJ7M6K50XS01?srnd=cojp-v2


http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/733.html

[経世済民131] ビットコインが4000ドル突破、1月9日以来−重要な節目 パラジウム、史上初めて1600ドル上回る−世界的供給ひっ迫懸念
 
ビットコインが4000ドル突破、1月9日以来−重要な節目
Vildana Hajric
2019年3月19日 12:50 JST
重要な節目になると仮想通貨への強気で知られるトム・リー氏
昨年12月には3150ドル近くまで下げていた
仮想通貨ビットコインは1月上旬以降で初めて4000ドルを突破した。数週間にわたる横ばいでの取引を経た4000ドル超えは、重要な節目になると仮想通貨への強気で知られるトム・リー氏は考えている。

  ファンドストラット・グローバル・アドバイザーズ共同創業者である同氏は、「4000ドル超まで戻し、それをはっきり突破することは非常に重要だ」と指摘した。

Bitcoin tops $4,000 for first time in months
  2018年の下落局面でビットコイン相場を注視してきた投資家の多くにとって、それは重要な水準だ。昨年12月には3150ドル近くまで下げていた。18日の4000ドル超えは平日の取引として1月9日以来となる。

原題:Bitcoin Breaches $4,000 for First Time in More Than Two Months(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-19/POLFMH6K50XU01


 


パラジウム、史上初めて1600ドル上回る−世界的な供給ひっ迫懸念で
Ranjeetha Pakiam、Rupert Rowling
2019年3月19日 18:59 JST
19日のロンドン市場で、パラジウム価格が史上初めて1オンス=1600ドルを超えた。世界的な供給逼迫(ひっぱく)で、上昇が鈍化する気配はほとんど見られない。

  パラジウム価格は昨年8月に付けた直近の安値からほぼ2倍に跳ね上がった。厳格化される自動車排ガス基準に対応するため、自動車排ガス浄化触媒のメーカーがパラジウム確保を急いでいることが背景にある。中国は自動車販売が鈍化しているものの、特にこの傾向が著しい。

  ロンドン市場のパラジウムスポット価格は前日比1.4%高の1オンス=1601.52ドル。年初からの上昇率は27%に達した。バンク・オブ・アメリカ(BofA)メリルリンチは今年の平均価格予想を1800ドルに引き上げ、2000ドルを付ける可能性もあると示唆した。

Prices keep setting fresh records
原題:Palladium Tops $1,600 as Metal Sets New Highs on Supply Shortage(抜粋)

日本株は小反落、原油高による業績懸念で電力など内需安い−金融支え
長谷川敏郎
2019年3月19日 7:55 JST 更新日時 2019年3月19日 15:40 JST
NY原油はことし高値、ZOZOやツルハHD売られ小売が下げ主導
米国時間19日からFOMC、為替などへの影響見極めムード強い
19日の東京株式相場は3日ぶりに小反落。原油価格の上昇によるコスト増不安から電気・ガスや空運、化学が売られ、業績懸念でZOZOやツルハホールディングスなど小売の下げが目立った。銀行や保険など金融は上昇。

TOPIXの終値は前日比3.45ポイント(0.2%)安の1610.23
日経平均株価は同17円65銭(0.1%)安の2万1566円85銭
  18日のニューヨーク原油先物は1%高の1バレル=59.09ドルと、ことしの高値を付けた。石油輸出国機構(OPEC)の加盟国と非加盟主要国で構成する「OPECプラス」が減産方針を確認したことが材料となった。米国時間19日から米連邦公開市場委員会(FOMC)が始まる。

  三井住友アセットマネジメント株式運用グループの平川康彦シニアファンドマネジャーは「FOMCでハト派的な内容が出てもコンセンサス通りで、大きく株価を押し上げる状況は想定しづらい」とし、「もしハト派発言が出なかった場合、金利が上昇して株価が下がることを少し警戒する向きがある」と指摘。イベント接近により「戻りが良かったグロースの内需関連を売り、出遅れの金融を買う銘柄入れ替えの動きが出ている」と言う。

  業種別指数では小売が下落率、TOPIXの下落寄与度とも1位。JPモルガン証券が格下げしたZOZOや、四半期決算が低調だったツルハHDが大幅安となった。

19日は3日ぶり反落
  東証1部売買代金が2日連続で2兆円を割り込み、投資家の様子見ムードが強い中、日経平均は一時前日終値を上回り下値を売る動きは限られた。SMBC日興証券投資情報部の松野利彦氏は「米国では金融政策の変更姿勢からリセッションではなくソフトパッチにとどまるとの見方が増えている。米国株は史上最高値を目指す循環物色の動きで、そうなれば日本株の出遅れ感はさらに強まりそう」と話していた。

東証33業種では小売、電気・ガス、陸運、繊維製品、食料品、精密機器、海運、空運、化学が下落率上位
米金融株高を追い風に保険や銀行、その他金融が上昇、機械や鉄鋼も高い
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-19/POLX9C6VDKHS01?srnd=cojp-v2


http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/584.html

[国際25] 2月の印パ対立、一時制御不能の瀬戸際に 米介入で回避
トップニュース2019年3月19日 / 15:53 / 5時間前更新
焦点:
2月の印パ対立、一時制御不能の瀬戸際に 米介入で回避
Reuters Staff
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[ニューデリー/イスラマバード 17日 ロイター] - カシミール地方の領有権を争うインドとパキスタンの関係は2月末に急速に緊迫化し、一時は制御不能になりかねない状況に陥ったが、米政府の介入でより深刻な衝突は回避された──。ロイターが5人の関係者を取材した結果、2008年以降で東南アジア最悪の軍事的な危機となった今回の事態の全貌が明らかになった。

西側外交筋やインド、パキスタン、米国の政府当局者の話では、今回の対立で、インド側が一時、パキスタンに少なくとも6発のミサイルを発射すると脅し、パキスタンが「3倍返し」を示唆する場面があった。カシミール地方が、核を保有する両国の急激な関係悪化と戦争の引き金になりかねない、世界有数の「火薬庫」のままであることが浮き彫りになった。

幸いにも両国は威嚇だけにとどまり、発射を示唆したミサイルも通常弾頭のみだった。とはいえ、今回の事態は米国や中国、英国の政府関係者を大いにうろたえさせた。

インドとパキスタンの関係が緊迫化したきっかけは、2月26日にインド軍機が実効支配線を越えてパキスタン側のイスラム過激派拠点を空爆し、その翌日に両国戦闘機が交戦したことだった。インド軍機の越境は1971年の第3次印パ戦争以来。

パキスタン機はインド機を撃墜し、パイロットを拘束。数時間後に負傷したパイロットの画像がソーシャルメディアに公開されたことなどから、インド政府の反発が強まった。

4─5月に総選挙を控え、インドのモディ政権は強硬な態度を取らざるを得なかった。

今回、あるパキスタンの閣僚とイスラマバード駐在の西側外交官の1人はそれぞれ、インドがパキスタン領内の目標に6発のミサイルを発射するとほのめかしたことを認めた。インド側のだれが、パキスタン側のだれに対してメッセージを発したかは分かっていないが、この閣僚によると、インドとパキスタンの情報当局は戦闘中だけでなく、今もなお相互に連絡を取り合っているという。

またこの閣僚は「インドが1発発射すれば、われわれは3発反撃する。インドが何をしても、われわれは3倍にして仕返しすると述べた」と明かした。

折しもこの危機が勃発したのは、トランプ米大統領がハノイで北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との会談に臨んでいた時期に重なった。

ニューデリー駐在の西側外交官とインド政府高官は、ボルトン米大統領補佐官(安全保障問題担当)が2月27日夜と翌28日の2回にわたりインドのアジット・ドバル国家安全保障担当補佐官に電話し、対立を和らげるよう呼びかけたと話した。

その後ポンペオ米国務長官もインド、パキスタン両国に危機回避を求める電話をかけた。米国務省のパラディノ副報道官は「ポンペオ長官が外交的な働き掛けを直接主導し、両国の緊張を冷やす上で重要な役割を果たした」と強調した。

ニューデリー駐在の西側外交官や複数の米政府高官によると、米国の働き掛けは、パキスタンが拘束していたインド軍パイロットの早期解放と、インドにミサイル発射の脅しを撤回させることに集中した。

トランプ政権のある高官は「われわれは事態の危険性を完全に認識していたので、インドとパキスタンに事態収拾を促すことで国際社会を巻き込むために多大な努力を払った」と語った。

先のパキスタンの閣僚は、中国とアラブ首長国連邦(UAE)も関与してきたと述べた。

これらの動きを経て、2月28日にトランプ氏が危機は間もなく終わるとの見通しを表明。パキスタンのカーン首相が議会で、インド軍パイロットを送還する意向を示した。

いずれにしても複数の外交専門家は、今回の危機でインドとパキスタンが互いにシグナルを読み違える可能性があることや、両国関係の予測不能性があらわになったと指摘する。

元ホワイトハウス高官でもあるジョンズ・ホプキンス大学のジョシュア・ホワイト氏は「インドとパキスタンの首脳はずっと、対立抑止に向けたシグナルの相互理解が可能で、事態悪化を回避できると自信を見せてきた。(ところが)この危機に関する最も基本的な事実、狙い、意図した戦略的シグナルの一部が依然として謎に包まれているということは、危機が始まっても両国がたやすくコントロールできる態勢にはないという厳しい現実を思い出させてくれる」と分析した。

(Sanjeev Miglani and Drazen Jorgic記者)
https://jp.reuters.com/article/india-pakistan-crisis-idJPKCN1R00AZ
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/734.html

[国際25] 英EU離脱、議会が合意案不支持なら合意なしか離脱なし=担当相 英就業者数、予想大幅上回 独成長率予想引下 ZEW予想以上
ワールド2019年3月19日 / 18:14 / 2時間前更新
英EU離脱、議会が合意案不支持なら合意なしか離脱なし=担当相
Reuters Staff
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[ロンドン 19日 ロイター] - 英国のバークレー欧州連合(EU)離脱相は19日、議会がメイ首相の離脱協提案を承認しなければ、「合意なき離脱」となるか、離脱そのものがなくなる可能性があると警告した。

バークレー氏はBBCラジオに、英国がEUから離脱しないリスクが高まっているとの認識を示し、議会は一体となってどのように進めるか決める必要があると強調した。

「(離脱)合意するか、合意なし(の離脱)となるか、あるいはEU離脱がなくなるかだ」と述べた。

*カテゴリーを追加します。


 

ワールド2019年3月19日 / 18:14 / 3時間前更新
メイ氏離脱案採決週内見送りへ、議長見解受け=英EU離脱担当相
Reuters Staff
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[ロンドン 19日 ロイター] - 英国のバークレイ欧州連合(EU)離脱担当相は19日、メイ首相の離脱協定案が週内に英議会で採決にかけられることはおそらくなく、短期間の離脱延期が必要になるとの見方を示した。

同相はスカイに対し「下院議長の見解が(採決の)バーを引き上げたと思う。採決が週内に行われる可能性は低くなったのではないか」と指摘。「同じ動議を提出することは可能だが、状況が変わった」とした。

英下院のバーコウ議長は18日、議会で2回にわたり否決されたEU離脱(ブレグジット)協定案を再採決することはできないとの見解を示した。
https://jp.reuters.com/article/britain-eu-brexit-idJPKCN1R00UG


 

英就業者数、11─1月は22.2万人増 予想を大幅に上回る
Reuters Staff
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[ロンドン 19日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が発表した統計によると、英国の就業者数は2018年11月─19年1月の3カ月間に22万2000人増え、増加幅は3年超ぶりの大きさとなった。

これに伴い失業率は1975年初め以来の低水準となる3.9%まで低下した。

ロイター調査によるエコノミスト予想は12万人増だった。

ボーナスを含めた賃金は前年比3.4%増。伸び率はロイター調査による予想中央値(3.2%)を上回った。

10─12月の賃金伸び率は3.5%に小幅上方改定された。これは08年半ば以来の高水準。

ボーナスを除いた平均週間賃金も前年比3.4%増。伸び率はロイター調査と一致した。

統計発表後、ポンドは小幅に上昇した。

予想を上回る雇用や賃金の改善は、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る不透明感を和らげる上で家計にはプラスだが、雇用の急増は企業の警戒感を反映している可能性もある。

企業は設備投資を抑制しており、景気が悪化した場合に解雇できる労働者の雇用を増やしている可能性がある。

コメルツ銀行のエコノミスト、ピーター・ディクソン氏は「労働市場は引き続き力強いが、誰もが知っているように、これは遅行指標であり、われを忘れてはならない」と指摘。

「労働市場がこのペースをいつまで維持できるのかを問う必要がある」と述べた。

今回の統計は0930GMT(日本時間午後6時半)に公表される予定だったが、統計局のミスにより予定より早く発表された。
https://jp.reuters.com/article/uk-jobs-idJPKCN1R0181?il=0


 


独賢人委、19年の成長率予想を0.8%へ引き下げ
Reuters Staff
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[ベルリン 19日 ロイター] - ドイツ政府の経済諮問委員会(5賢人委員会)は19日、今年の成長率見通しを0.8%へ引き下げ、英国の欧州連合(EU)離脱、貿易摩擦、中国経済の予想を上回る減速に関するリスクは引き続き高いと指摘した。同委員会は昨年11月時点では1.5%の伸びを見込んでいた。

しかし化学と自動車業界の問題などにより成長は著しく鈍化したとの見方を示し、保護主義的な措置が拡大すればリセッション(景気後退)に陥る恐れがあると警告した。

ただ賢人委員会のクリストフ・シュミット氏は「独経済ブームは終わったが、内需が堅調なため現時点で景気後退は想定していない」と述べた。

委員会は2020年の成長率を1.7%と予想した。
https://jp.reuters.com/article/germany-economy-idJPKCN1R016V

独ZEW景気期待指数、3月は予想以上に改善 ブレグジット懸念緩和で
Reuters Staff
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[ベルリン 19日 ロイター] - ドイツの欧州経済センター(ZEW)が発表した3月の独ZEW景気期待指数は予想を大幅に上回る改善となった。英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)が延期される可能性があるとの期待が支援要因となった。

英議会は今月14日、EU離脱延期を要請する案を賛成多数で可決した。

3月の独ZEW景気期待指数はマイナス3.6で、前月のマイナス13.4から改善。エコノミスト予想はマイナス11.0だった。

現況指数は11.1で、前月の15.0から低下。エコノミスト予想は11.7だった。

ZEWのワムバッハ所長は「英EU離脱延期の可能性とEU離脱協定への新たな期待で金融市場関係者の楽観度が高まったようだ」と指摘。「米中貿易協議の進展も寄与した可能性がある」と述べた。

ただ、ワムバッハ所長は「ZEW指数は、今年前半は比較的弱い成長となることを示す」と述べた。

輸出型企業は世界経済の減速や米国が引き起こした貿易戦争で打撃を受けている。英国が合意なくEUを離脱をすれば、さらなる打撃となる。

ドイツ政府の経済諮問委員会(5賢人委員会)は19日、今年の成長率見通しを0.8%へ引き下げ、英国のEU離脱、貿易摩擦、中国経済の予想を上回る減速に関するリスクは引き続き高いと指摘した。

賢人委のクリストフ・シュミット氏は「独経済ブームは終わったが、内需が堅調なため現時点で景気後退は想定していない」と述べた。[nL3N2162G6]
https://jp.reuters.com/article/germany-economy-zew-idJPKCN1R0151
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/735.html

[経世済民131] 異次元緩和の副作用膨大に、銀行統合で解消せず=西日本シティ会長  19年公示地価、地方圏の全用途・住宅地が27年ぶり上昇
ビジネス2019年3月19日 / 19:44 / 2時間前更新
異次元緩和の副作用膨大に、銀行統合で解消せず=西日本シティ会長
Reuters Staff
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[福岡 19日 ロイター] - 西日本シティ銀行の久保田勇夫会長は、ロイターのインタビューに応じ、今年4月で導入から6年間が経過する日銀の異次元の金融緩和策について、異例の政策が長期間続くことで「副作用の蓄積が膨大になっているように感じる」と述べた。イールドカーブをコントロールする政策は伝統的な銀行モデルに悪影響を及ぼし「銀行の統合では問題が解消されない」との見方を示した。

久保田氏は1966年に旧大蔵省入省。国際金融局次長などを歴任し、1999年に国土事務次官。2006年に西日本シティ銀の頭取に就任し、14年から会長を務めている。日銀の黒田東彦総裁は久保田氏より1年遅く、1967年に旧大蔵省に入省した。

インタビューは18日に英語で行われた。主なやり取りは以下の通り。

――黒田総裁のもとでの日銀の金融政策の評価は。

「彼は2%の物価目標をおおむね2年で達成することができるし、またすべきでもあると勇気をもって言明した。自分の意図を明確に示し、強くその政策にコミットしていることを表明したのは良かった」

「率直に言って、物価の伸びは期待されたほど速くはなかった。現在、もし彼が政策へのコミットメントにこだわるなら、少なくとも今後2―3年は、現行の異例の緩和政策が続くだろう」

「日本では、為替レートは事業判断にある意味、重要過ぎるほどの影響がある。黒田総裁の政策がもたらした円安は、肯定的に評価されるべきだ。第2のポイントは、この緩和政策が需要を呼び起こしたことだ。この異例の緩和政策は経済成長に貢献した。これらの2つの側面をわれわれは黒田総裁の政策がもたらした資産だとみなすべきだ」

「一方で、様々な方面で重要な負の効果が出てきている。異例の緩和政策が導入されて6年になる。欧州では、低金利政策が一般に銀行の業績や金融システムにネガティブな影響をもたらすと認識されている。また、年金基金は特定の金融資産から得られるリターンに依拠しているため、非常に低い金利は社会保障制度をも、ある程度脅かす。こうした認識は欧州には存在するが、日本にはあまりない。金融政策を評価する際には、こうした問題をよく検討する必要がある」

「日本では、物価への影響にだけ焦点が当てられがちだ。最近は、異次元の緩和が銀行セクターや金融システム、そして年金システムにもネガティブな効果をもたらしているとの理解が高まりつつある。これらの負のインパクトが認識されるのは、日本では多少遅い傾向がある」

――異次元の緩和政策の問題点は。

「この種の緩和政策の問題は、継続期間だ。導入から6年が経ち、副作用の蓄積が膨大になっているように感じる。ただ、日銀が(現行政策を)やめるべきかどうかや、その政策が正しいかどうかについて言及する立場にない」

「欧州では量的緩和を導入し、その後、マイナス金利を導入した。状況は日本と似ているが、イールドカーブには手を付けなかった。長期金利は市場の調整力に委ねた。しかし、日本ではイールドカーブコントロール政策のもと、長期金利もコントロールしている。日本は当局が短期金利、長期金利、流動性のいずれも管理している。どこに市場が機能する余地があるのか疑問だ」

「現在の政策で日銀は長期金利をゼロパーセントに、短期金利はマイナス0.1%にしようとしているが、その差は非常に小さい。技術的に見て、金融機関の収益は圧迫される。日銀が意図するとせざるとに関わらず、金融機関の資源は圧迫される。こうした現象は、銀行の統合では決して解消されない」

「マイナス金利は伝統的な銀行モデルには悪影響がある。問題はその蓄積だ。短期間の、緊急の対策としてなら(異例の金融緩和は)効果がありうるし、有用になりうる。しかし、その政策が続けば続くほど副作用は累積する」

木原麗花、和田崇彦 編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/interview-nishinippon-city-bank-idJPKCN1R015B

 
ビジネス2019年3月19日 / 18:04 / 3時間前更新
19年公示地価、地方圏の全用途・住宅地が27年ぶり上昇 商業地も堅調
Reuters Staff
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[東京 19日 ロイター] - 国土交通省が19日に発表した今年1月1日時点の「地価公示」によると、地方圏の全用途と住宅地の上昇率が1992年調査以来、27年ぶりのプラスに転じた。全国ベースでみても全用途、商業地、住宅地のいずれも上昇幅が拡大しており、札幌、福岡など地方の主要4市を中心に地価の回復傾向が地方圏にも広がっている。

<商業地、4市除く地方も下落脱出>

全用途の全国平均は同1.2%上昇し、前年の0.7%上昇から伸び率が拡大。4年連続のプラスとなった。地方圏では同0.4%上昇し、27年ぶりのプラスとなった。前年は横ばいだった。

このうち商業地は全国平均で同2.8%上昇となり、前年の同1.9%上昇から伸びが拡大。2008年(同3.8%上昇)以来、11年ぶりのプラス幅となった。

特に札幌市、仙台市、広島市、福岡市の地方4市は同9.4%上昇と前年の同7.9%上昇から伸びが加速し、地方圏全体でも同1.0%上昇と1991年(16.3%)以来のプラス幅に拡大。地方4市を除く「その他」の地方圏は横ばいとなり、1992年以来、27年ぶりに下落から脱した。

東京、大阪、名古屋の3大都市圏も同5.1%上昇(前年同3.9%上昇)に伸び率を高めた。

国土交通省によると、商業地の不動産需要は、景気回復に伴う企業業績の改善が続く中で、収益性の高まりや、金融緩和による良好な資金調達環境もあって「法人投資家などによる不動産取得意欲が強い」という。

具体的には、働き方改革などに対応したオフィス環境改善のための拡張・移転のほか、外国人観光客をはじめとする国内外からの訪問客の増加、インフラ整備や再開発事業などの進展による利便性の向上によって「主要都市の中心部などでは、店舗、ホテルなどの進出意欲が依然として旺盛」としている。

<住宅地、地方全体で27年ぶり上昇>

住宅地は全国平均で同0.6%上昇し、昨年(同0.3%上昇)から伸び率を高めた。

地方4市が同4.4%上昇と高い伸びを示しており、地方圏全体では同0.2%上昇と1992年調査以来、27年ぶりの上昇に転じた。3大都市圏も同1.0%上昇と前年の同0.7%上昇からプラス幅が拡大した。

国土交通省は住宅地について、雇用・所得環境の改善が続く中で、低金利環境の継続や住宅取得支援施策などによる需要の下支え効果もあり、「交通利便性や住環境の優れた地域を中心に需要が堅調」としている。

19年公示地価は全国2万6000の調査地点(うち、福島第1原発事故の影響による7地点は調査休止)を不動産鑑定士2408人が鑑定し、土地鑑定委員会が審査した。

伊藤純夫
https://jp.reuters.com/article/japan-land-price-idJPKCN1R00TI
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/585.html

[国際25] ダライ・ラマ、継承者問題と中国「次の一手」 
ワールド2019年3月19日 / 16:58 / 5時間前更新
インタビュー:
ダライ・ラマ、継承者問題と中国「次の一手」
Reuters Staff
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[ダラムサラ(インド) 18日 ロイター] - 自分の死後に継承者となる生まれ変わりは、60年来の亡命先であるインドで見つかる可能性があり、中国政府が指名する継承者は尊敬されないだろう──。インド亡命から60年を迎えたチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は18日、ロイターの取材にこう語った。

ダライ・ラマは、緑の丘や雪を頂いた山に囲まれたダラムサラの町にある寺の事務所で取材に応じた。前日に、兵士に扮装してインドに亡命してから60年の節目を迎えたばかりだ。

ダライ・ラマは、中国支配への蜂起が失敗した1959年にインドに逃れ、以来、チベットの言語的、文化的自治を守ろうと世界で支持を呼び掛けてきた。

1950年にチベットを管理下に置いた中国政府は、ノーベル平和賞受賞者で83歳になったダライ・ラマを、危険な分離主義者とみなしている。

自分の死後のことについて、ダライ・ラマは、中国政府がチベットの仏教徒に継承者を押し付けようとすると予測した。

「中国は、ダライ・ラマの生まれ変わりを非常に重要視している。私よりも、次のダライ・ラマの方に関心がある」と、伝統的な赤と黄の法衣をまとったダライ・ラマは語った。

「将来、もし自由の国であるこの地から出た人と、中国政府に選ばれた人との2人のダライ・ラマが出てきたときに、(中国が選んだ方は)誰も信じないし、誰も尊敬しない」と、ダライ・ラマは笑って付け加えた。

中国の指導者には、中国皇帝から継承した権限の一部として、ダライ・ラマの継承者を承認する権利があるというのが中国の立場だ。

だが、ダライ・ラマの死去とともにその魂が後継者となる子供の身体に宿り、生まれ変わりが起きると信じられているチベットでは、住人の多くが、中国のいかなる「口出し」も、チベットへの影響を強めようとする策略だと疑っている。

1935年生まれの現在のダライ・ラマは、2歳の時に前のダライ・ラマの継承者と認められた。

中国管理下のチベットに住む600万人超のチベット人は、中国政府がその写真を飾ったり公の場で信心を示すことを禁じているのにもかかわらず、今でもダライ・ラマを敬っている。

<議論の対象に>

ダライ・ラマによると、チベット在住のチベット人と亡命中のチベット人の間の接触は増えているが、中国政府と亡命政府側の会談は2010年を最後に行われていない。

だが非公式には、退官した中国政府関係者や、中国政府にコネクションを持つ実業家らが、時々訪ねてくることがあると、彼は明かす。

自分の死後のダライ・ラマの役割については、それを存続させるかどうかも含めて、今年後半にインドで行われるチベット仏教の会議で議論される可能性があると、ダライ・ラマは話した。

また、ブッダの生まれ変わりはいなかったが、それでもその教えは受け継がれている、とも述べた。

「もし(チベット人の)過半数が本当にこの制度を維持したいのならば、継続されるだろう。その上で、生まれ変わりであるダライ・ラマ15世の問題が出てくる」と、ダライ・ラマは説明した。

また、もし継承者が出るにしても、その継承者は「政治的な責任は負わない」とも述べた。ダライ・ラマ自身は2001年に政治的な職務を手放し、インドに住む最大10万人のチベット人向けに民主的な仕組みを作り上げた。

<中国の僧院>

中国青海省で9日、ダライ・ラマ14世が生まれたタクツェル村に入ろうとするカメラマンを押しとどめる中国の武装警察官(2019年 ロイター/Thomas Peter)
ダライ・ラマはロイターとのインタビューで、宇宙学や神経生物学、量子物理学や心理学への情熱を熱く語った。

もし故郷訪問を許されることがあれば、こうした学問について中国の大学で講義したいと話す。

だが、中国が共産党の支配下にある間は、帰国が実現することはないと予測する。

「中国は、歴史の古い偉大な国だが、政治体制は全体主義的で、自由がない。従って、私はこの国にいる方を好む」

ダライ・ラマは、現在の中国青海省のチベット高原の端に位置するタクツェル村の農家に生まれた。

ロイターの記者が最近タクツェル村を訪問しようとした際は、自動小銃で武装した警察官が道をふさぎ、警官や10人以上の私服警察官が、村は地域住人以外立ち入り禁止だと話した。

「私たちの力は、真実から来ている。中国の力は、銃から来ている」と、ダライ・ラマは話す。

「短期的には銃の方が決定力を持つが、長期的には真実がより力を持つ」

(Krishna N. Das記者、Sunil Kataria記者)
https://jp.reuters.com/article/china-tibet-dalai-lama-idJPKCN1R00MT


http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/736.html

[国際25] EUは崩壊するのか?混在する悲観論と楽観論
世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

EUは崩壊するのか?混在する悲観論と楽観論

2019/03/19

岡崎研究所

 3月29日の英国のEUからの離脱、いわゆるBrexitを控え、欧州問題を考えてみたい。EUは、現在、Brexit以外にも様々な問題に直面していることは、ご存知の通りである。EU諸国がそれらの諸問題を解決し、新たな未来を開いて行くことができるのか。欧州の将来に関しては、悲観論と楽観論が混在する。


(THPStock/GlobalP/iStock)
 悲観的な見通しについては、例えば、2月18日付のウォールストリート・ジャーナル紙に掲載された米国バード大学のウォルター・ラッセル・ミード教授の論説がある。彼は、「EUは、1991年の旧ソ連のように崩壊する」と警告するジョージ・ソロスの指摘を引用している。しかし、この予告は、悲観的に過ぎると思われる。

 EUが掲げてきた理想はすでに実現不可能になった、EUは失敗したプロジェクトであるなどと断言するのは、時期尚早であると思われる。

 人間が作った社会制度は、作った後は、壊すのもなかなか大変である。だから、崩壊もなかなかしないと見た方が良い。当初の目標が実現されなくなっても、なんとか続いていく例が多い。

 ましてEUは、既にその創設時にから拡大・深化し、巨大な官僚組織であるEU委員会、EU本部、EU議会、EU司法裁判所等を有す。これらに従事するヨーロッパ人は多く、EUの理念以上に、これらの組織を破壊する方が、ほぼ無理である。

 英国に関しては、EUから離脱するということで、メイ首相は頑張っているが、離脱協定は議会で通らず、合意なき離脱の経済的コストが明らかになる中、英国の離脱の行方も不透明になっている。2016年のBrexit派が勝利してから、この3月29日にBrexitの期限が来るが、英国とEUとの離脱交渉は、結局、民主主義の源の英国議会で否決され、合意なきまま、離脱延期がなされるだろう。英国の国境管理は既に始まっているが、EU諸国内の雇用は、3月29日以降もそのままの形態で継続することが決まっている。国民投票のやり直しの話も出ては消え、消えては出てくる。

 イタリアのポピュリスト政権も、EU離脱をほのめかしているが、英国の苦労を見て、躊躇するのではないか。何よりも、EUとの交渉の難しさよりも、経済的マイナス効果は、イタリアにとって、英国以上に受け入れられない状況であろう。イタリアの憂鬱は、頻繁にイタリアの沿岸にやってくる大勢の移民問題であり、イタリアが求めるように、EU全体でもっと負担をしてあげれば、その不満は緩和されるかもしれない。

 ハンガリーやポーランドの非民主主義的な対応は、EUの基本的理念に反するものであるが、だからと言って、EUがこれら諸国を追い出すことはないし、両国とも、EU加盟で得たものは多く、自らEUを離脱することはないであろう。英国には、EU内のこれら東欧諸国の「移民」が英国人の職を奪ってしまうのでBrexitに賛成だと言う人もいる。一方、英国人がやりたがらない職を、これら移民が支えていると言う人もいる。例えば、ハンガリーの問題は、多くのハンガリー人が他のEU諸国に移り住んでしまうという問題がある。それに対して、最近、ハンガリー政府は、人口減少を懸念して、出産・子育て支援政策を打ち出した。

 EUは、結局、移民への対応その他多くの問題を抱えつつも、存続して行くものと思われる。

 EU内の独仏連携は、EUの礎石であるが、今のところ、しっかりしているとみておいてよいであろう。マクロン大統領は、2017年に大統領に当選し任期は5年、「黄色いベスト運動」等、国内問題では悩まされているが、ドイツとの緊密な関係やEU重視の姿勢に関しては揺るぎなく支持者も多い。メルケル首相は、既に退陣の意志を明らかにしてソフト・ランディングできそうである。次期ドイツ首相も、EUやフランスとの連携重視は変わらないだろう。それは、ドイツが統一された時のドイツの生き残りの1つの道でもあった。そして、ドイツ自身、EUが拡大・深化する中で、多くの恩恵を得て来た国の1つでもある。

 EUは拡大を急ぎすぎ、異質な分子を入れすぎたきらいがある。が、それを逆転させる手立てはなく、このままで行くしかないであろう。そして、多くのヨーロッパ人は、それを受け入れている。

 欧州が世界の超大国になるというのはもともと無理な願望であったように思われるし、そう期待した人があったとしたら期待しすぎである。大きな期待を持ちすぎ、それが実現されないので、悲観的になりすぎるのは愚である。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15614
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/737.html

[国際25] 欧州エアバス、737MAX停止でも上昇気流に乗れず 米民主党指導部、トランプ関連のマッサージ店創業者の捜査要求
コラム2019年3月19日 / 12:38 / 9時間前更新

欧州エアバス、737MAX停止でも上昇気流に乗れず
Ed Cropley
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[ロンドン 18日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米航空機大手ボーイング(BA.N)は、5カ月間で2度の墜落事故が起きた新小型旅客機「737MAX8」の航空会社への納入が停止する恐れがあり、理屈の上ではボーイングのライバルの欧州航空機大手エアバス(AIR.PA)に追い風が吹きそうだ。

しかし残念ながら、エアバスは、生産ラインが既にフル稼働の状態で、受注も数年分に達しており、敵失に乗じた大幅な増産は見込み難いのが実情だ。

航空機市場で圧倒的なシェアを握るボーイングとエアバスは、常に互いの動きに目を光らせている。その好例がエアバスの新型旅客機「A320neo」を巡る動きだ。座席数200のA320neoは最先端のエンジン2基を搭載し、燃費が15%改善。コストに敏感になっている航空会社がA320neoに飛び付いたことから、ボーイングも中距離用旅客機737に同じエンジンを導入した。こうして誕生した737MAX8は2017年に商業利用が始まり、たちまち最大の売れ筋となった。

ボーイングが4600機の受注を抱える737MAX8で事故が連続した衝撃は、今月10日のエチオピア航空機墜落後にボーイングの株式時価総額が230億ドル吹き飛んだことにも表れている。737MAX8が完全な製造停止にならないとしても、ボーイングにとっての逆風はエアバスにとって追い風だ。格安航空のライアンエアーが135機の購入を予定するなど、航空会社は737に大量の発注をかけており、今回の事故で不安を感じれば、購入先を別のメーカーに切り替えることになるだろう。

しかし、エアバスは株価がエチオピア航空機事故以来、5%以上値上がりしたとはいえ、時価総額の増加分は50億ユーロ弱にとどまっている。航空会社は航空機の購入先を変えれば違約金を支払うことになり、エアバスは魔法のように数百機もの新航空機を製造することはできない。A320neoは受注が3600機に達し、生産ラインはフル稼働している。毎月50機を生産しているが、それでも受注分をこなすのに6年ほどかかる計算だ。

生産ラインの拡張には数年と多額の投資が必要だが、ボーイングはそれまでに問題への手当てを終えるだろう。航空会社がボーイング機に不安を感じてメーカーを変えても、6年の行列の最後に並ばされるだけに終わりそうだ。今回の墜落事故はエアバスにとって強い上昇気流とはならず、世界中で航空機の供給が減るだけとなるのではないか。

●背景となるニュース

・エチオピア運輸省は17日、同国で10日に墜落したエチオピア航空の米ボーイング製737MAX8型機から回収したブラックボックスの初期解析を行ったところ、今回の事故と昨年10月のライオン航空機事故との間に「明確な類似性があった」と発表した。

・各国の当局は安全性を巡る懸念から737MAX8の運航を停止。ボーイングは信用が失墜して株価が急落した。

・ボーイングのライバルである欧州航空機大手エアバスはエチオピア航空機事故以来、株価が5.6%上昇し、15日に過去最高値を更新。株式時価総額が48億ユーロ膨らんだ。一方、ボーイングの株価はこの間に10.3%下落し、250億ドルの時価総額が吹き飛んだ。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/bv-column-airbus-boeing-idJPKCN1R008W


ワールド2019年3月19日 / 19:14 / 2時間前更新
米民主党指導部、トランプ氏関連のマッサージ店創業者の捜査要求
Reuters Staff
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[ワシントン 18日 ロイター] - 米民主党の議会指導部は連邦捜査局(FBI)に対し、トランプ大統領の知人とされるフロリダ州のマッサージパーラーチェーン創業者を捜査するよう求めた。同党のペロシ下院議長とシューマー上院院内総務は18日、その他4議員の署名が入った書簡を公表。「(マッサージ店創業者である)Li 'Cindy' Yang氏によるとされる活動、および彼女と大統領の明らかな関係に関する公表されたリポート」を捜査するよう求めた。

書簡によると、Yang氏が創業したマッサージパーラーチェーンは人身売買、および「セックスワーカー」として勤めることを強制された女性移民を巻き込んだ売春に「関与した疑い」が持たれている。

また、Yang氏は「GY US」投資と呼ばれるビジネスを生み出したとされており、書簡はこのビジネスについて「中国からの顧客に大統領や大統領の家族へのアクセス権を売っているかもしれない」としている。

Yang氏の代理人だというフロリダ州の弁護士ミシェル・マーソン氏はウェブサイトに投稿した動画の中で、Yang氏は疑惑を否定していると明らかにした。

FBIは書簡についてノーコメントとした。ホワイトハウスからは今のところコメントを得られていない。

中国外務省は今回の件について、他国の内政に干渉しないという原則に従うとした。
https://jp.reuters.com/article/usa-trump-massageparlors-idJPKCN1R0108
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/738.html

[経世済民131] 昨年の特許申請、ファーウェイが世界首位 アジア勢が過半 激しさ増す米中新冷戦、中国にとってトランプはむしろ救世主?

 
テクノロジー2019年3月19日 / 16:03 / 6時間前更新
昨年の特許申請、ファーウェイが世界首位 アジア勢が過半
Reuters Staff
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[ジュネーブ 18日 ロイター] - 世界知的所有権機関(WIPO)が19日公表した年次報告書によると、世界の企業による特許申請件数で、昨年は中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]が世界首位となった。

ファーウェイの申請件数は5405件と、前年の4024件から増加。WIPOのフランシス・ガリー事務総長は記者会見で、あらゆる主体の中で過去最高記録だと説明した。

ガリー氏によると、アジアを拠点とする企業が全申請件数の50.5%を占めた。「歴史的に見て実に異例のことだ。歴史的に重大な局面であり、極めて重要な結果だ」という。

国別の首位は米国だったが、中国が猛烈な勢いで伸びているため、今年か来年には首位を奪いそうな情勢。中国は2017年に日本を抜き、18年に9.1%増えて5万3345件となったのに対し、米国は同年に0.9%減って5万6142件だった。

企業別の2位は三菱電機(6503.T)の2812件、3位は米インテル(INTC.O)の2499件だった。

大学による特許申請件数でも中国は躍進し、上位10校に中国の大学が4校食い込んだ。

首位はカリフォルニア大の501件で、2位はマサチューセッツ工科大、3位は深セン大、4位は華南理工大、5位はハーバード大だった。

ガリー氏は、中国の大学はイノベーションに極端に力を入れている上、基礎研究の商業化と世界第2位の調査・開発費が追い風になっていると説明した。

WIPOの報告書は、特許、商標、工業意匠の申請件数を集計したもの。
https://jp.reuters.com/article/patent-huawei-idJPKCN1R00H7


 

チャイナ・ウォッチャーの視点

激しさ増す米中新冷戦、中国にとってトランプはむしろ救世主?

2019/03/19

小原凡司 (笹川平和財団 上席研究員)


(写真:ロイター/アフロ)
 3月5日から15日の間、開催された全国人民代表大会(全人代)は、5日の開幕直後から、中国国内の政治不安を露呈した。習近平総書記を中心とする中国共産党中央の方針とは必ずしも一致しない経済政策が打ち出されたのだ。

 5日に李克強首相が行った政府活動報告では、冒頭の2018年を回顧する部分で、「中米経済貿易摩擦により、一部の企業の生産経営などが影響をこうむった」と述べられた。通常は自らの成果を強調する報告の中で、控えめではあっても、否定的な内容を述べるのは異例のことである。

 また、李克強首相を抑え込み、経済政策も対米政策も習近平総書記一人が掌握してきたことを考えれば、この一文は、これまでの経済政策および対米政策に誤りがあったと習近平総書記を批判するものであるとも受け取れる。抑え込まれていた李克強首相が、習近平総書記を批判し、自らの経済政策を表明するまでに中国国内での権威を回復している可能性を示唆するものなのだ。

李国強の緊張、習近平の憤り
 続いて、政府活動報告は2019年の経済目標として、「財政赤字のGDPに対する比率は2.8%とし、18年の予算より0.2ポイント引き上げる」として、2019年の財政支出を6.5%増の23兆元強とした。同時に、大規模な企業向けの減税、電気料金の平均10%下げ、中小企業向けの通信料の引き下げを掲げ、併せて、社会保険料負担の大幅軽減を打ち出し、年間で企業の税負担と社会保険料の負担を2兆元弱(2兆元は約33兆円)軽減させるとした。

 さらに、鉄道投資8000億元(約13兆円)、道路・水運投資1兆8000億元(約30兆円)を達成し、交通や災害対策などのインフラ投資にさらに力を入れるとし、次世代情報インフラの整備を強化し、昨年より400億元増やして5776億元(約9兆5000億円)を投資するとした。極めて大きな景気刺激策であると言える。

 実は、中国の中でも、習近平総書記を中心とする共産党中央と李克強首相が代表する国務院(政府)の経済政策はほとんど正反対である。習近平政権は財政再建を目指してきたが、国務院はインフラ投資等の景気刺激策の拡大を主張している。政府を代表して李克強首相が行った政府活動報告は、共産党中央の、すなわち習近平総書記の経済政策を否定するかのうように見受けられた。

 政府活動報告を行っている最中に李克強首相の顔に汗が吹き出し、それを聞いている習近平主席は、終始、不愉快そうな仏頂面をし続け、参加者から拍手が起こる場面でも拍手をしなかった。こうした二人の様子を、習近平氏に挑戦状を叩きつける李克強氏の緊張と、自らの相対的な権威低下を象徴するライバルの復活を見せつけられた習近平氏の憤りとして捉えるならば、非常にドラマチックな場面であったといえよう。

中国の対米政策・経済政策の失敗
 習近平氏の権威低下と李克強氏の復権の背景には、米国の中国に対する強い姿勢がある。2018年前半まで、紆余曲折を経ながらも、習近平氏は全ての権力を掌中に収めることに成功しつつあるかのように見えた。しかし、米国企業との取引を禁止されたZTEが倒産の危機に陥り、米中双方が追加関税をかけあって貿易戦争が激化すると、中国経済はダメージを受け始める。この頃から、習近平政権に対する批判が出始める。最初は、習近平氏の側近たちに対して、対米政策や経済政策の失敗を理由に非難が始まり、年末には習近平氏本人にも批判が出ていると言われた。

 習近平氏の権威が落ちることによって、経済政策に関する権限も取り上げたはずの李克強首相および政府側に行動の余地が生まれたのだと考えられる。しかし、習近平氏も経済刺激策を認めざるを得なかっただろう。何しろ中国は、何が何でも自らの経済を発展させなければならないのだ。米国の圧力によって企業の業績に悪影響が出るのであれば、政府が中国経済を支えるしかない。

 そして、米国の経済的圧力は、より強くなる。2018年8月にトランプ大統領が署名して成立した国防権限法は、中国通信機器大手のファーウェイとZTEならびに監視カメラ大手など、中国5社から政府機関が製品を調達するのを、2019年8月から禁じるとした。また、2020年8月からは5社の製品を使う企業との取引も打ち切る。

 これは、世界市場を二分化する試みであるとも言える。米国と商売したければ中国と縁を切れ、ということだからだ。日本企業も踏み絵を踏まされることになる。

 米国の国防権限法2019には、輸出規制を強化する輸出管理改革法(ECRA)と、外国投資リスク審査近代化法(FIRRMA)とが合わせて盛り込まれている。米国は、中国を念頭に置いた技術流出防止を理由に、貿易および投資といった経済活動を法的に規制する動きに出ているのだ。

 国際的な市場を政治的・法的手段を用いて二分化する試みは、米中新冷戦を構造化する動きであるとも言える。冷戦とは、二国間の軍事力による直接対決を避け、他の手段によって、自らの優勢と敵の劣勢を創り出そうとするものであり、米国は、この冷戦を米国に仕掛けたのは中国であると認識している。

露骨な世論工作が米国の警戒感を高める
 中国は、米国が必ず中国の発展を妨害すると信じ、これを防止するため、米国の対中認識が悪化しないよう、米国内において積極的にパブリック・ディプロマシーを展開してきた。しかし、中国の露骨な世論工作は米国の警戒心を高める結果となり、中国の第5世代移動通信システム(5G)支配の意図が見え始めると、米国議会や経済界もこぞって対中強硬姿勢を強めた。

 5Gの利用は新しい産業革命を生むとも言われている。桁違いの情報量に基づいて、自動運転や遠隔手術などのIoTの精度が画期的に向上するほか、現在では思い付きもしないような利用がされるはずだ。そして、歴史を見ても、産業革命を起こした国が、世界の覇権を握ってきた。イギリス、日本、そして現在は米国だ。

 中国は、イギリスで起こった産業革命によって、世界の経済的覇者の地位を失った。それだけではなく、アヘン戦争に敗れて以降の100年間、産業革命の恩恵を受けた欧米列強に屈辱を与えられ続けた。中国は、今こそ、5Gを支配して、欧米から覇権を取り戻すべき時だと考えているのだ。

経済力があって初めて軍備も増強できる
 米国の、中国に覇権を握られるという警戒感は、中国が仕掛けた冷戦を撃退し始めた。中国のパブリック・ディプロマシーは、シャープパワーと呼ばれ、米国内から排除され始めたのだ。米国は、中国のシャープパワーを排除しただけではない。冷戦を仕掛けたのは中国かも知れないが、米国は、米中新冷戦を構造化しようとしているかのように見える。

 米国は、米国および同盟国等の市場から、中国製の電子デバイスを排除しようとするばかりでなく、エネルギー資源の市場も利用しようとしている。2019年3月12日、ポンペオ米国務長官は、石油業界に対し、アジアや欧州をはじめとする地域で外交政策の目標を追求し、世界の「悪者」となっている諸国に制裁を加えるために協力を呼び掛けたのだ。

 ポンペオ国務長官は、米国内に潤沢に埋蔵されていることが判明したシェールオイルや天然ガスが「外交政策上の米国の立場を強める」という。「投資を促進し、パートナー国に米国からの購入を奨励し、悪者を罰することでわれわれは競う必要がある」と強調する米国は、ベネズエラ、イラン、ロシアを念頭に置いているが、中国も例外ではない。

 ポンペオ国務長官は、中国について、「威圧的な手段によって南シナ海でのエネルギー開発を阻止している」と批判し、東南アジアの諸国は2兆5000億ドル強に相当する可採埋蔵量にアクセスできなくなっているとしている。米国は、外交および安全保障に関する問題に対応するために経済的手段を用いているのだ。

 国家の活動を支えるのは経済力である。経済力があって初めて軍備も増強できる。米ソ冷戦を終結させソ連を崩壊させたのが、米国の戦略防衛構想(SDI:Strategic Defense Initiative)、通称「スターウォーズ計画」であるという見方がある。米国が、ソ連に対して軍備増強の競争を仕掛け、ソ連が経済的についていけず敗北したということだ。

米中新冷戦はソフトからハードへ
 そして、トランプ大統領は、新たなスターウォーズを仕掛けようとしている。2018年8月9日、ペンス米副大統領は、国防総省で演説し、トランプ大統領が創設を表明した宇宙軍について、2020年までに設立すると表明した。宇宙軍は、創設されれば、陸海空軍、海兵隊と沿岸警備隊に続く第6の軍となる。中国やロシアが宇宙空間での軍事力を向上させているのに対抗するのが目的であるとしていることから、米国が中国やロシアと宇宙において軍備増強を競うという意図が理解できる。

 米国は、INF全廃条約からも撤退し、中国の中距離および準中距離の対艦弾道ミサイルや極超音速兵器に対抗する意思を鮮明にした。さらに米国は、環太平洋合同演習(リムパック)から中国を排除し、台湾への武器供与を進める。

 米中新冷戦は、ソフトからハードへ移行しようとしている。中国のソフトパワーがシャープパワーと言われて排除され、貿易戦争の激化とともに経済問題に安全保障上の問題が含まれ始めた。そして、軍備競争へと発展している。軍備競争は経済力の勝負でもある。市場を二分して対立しつつも、直接の軍事衝突を避け、兵器開発や軍備増強で競争するのは、まさに冷戦構造である。

 しかし、1980年代とは異なり、貿易を始めとする国際的な経済活動は複雑になっている。しかも、米ソ冷戦でさえ、SDI構想などは米国経済にも打撃を与えた。米中新冷戦は、米国の思惑どおりに中国を抑え込むことができたとしても、米国だけでなく、日本や他の同盟国の経済にも悪影響を及ぼす可能性がある。

中国に残された時間は……
 米中新冷戦の行方を不透明にしているのはそれだけではない。トランプ大統領が、新冷戦を終える前に中国とディールする可能性があるからだ。反対に、現在では、米国議会と経済界が対中強硬の姿勢を強めている。トランプ大統領就任当時は、中国にとって最大の脅威はトランプ大統領であると認識されたが、相手を完全に打ち負かさなくとも自らのポイントになると考えればトランプ大統領はディールするということが、中国にも理解されてきた。皮肉なことに、トランプ大統領は、中国にとって救世主になるかもしれないのだ。

 トランプ大統領がいなくなれば、米国の対中強硬姿勢を変化させることは難しくなる。中国にとっては、トランプ氏が大統領でいる間に、米国とディールしなければならないということである。これまで、時間は中国の味方だと言われてきたが、トランプ大統領の任期を考えると、中国に残された時間は多くないかもしれない。

http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15671

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/586.html

[経世済民131] 日銀、長短金利操作の影響は限定−マネーと物価の分析必要「状況変化なら追加緩和」限界論けん制 金融庁は市場分断リスク回避を
日銀、長短金利操作の影響は限定−マネーと物価の分析必要
日高正裕
2019年3月20日 9:57 JST
大方の委員は「強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが適切」
一部で指摘されている緩和限界論に反論していく必要あるとの発言も
日銀の黒田総裁
日銀の黒田総裁 Photographer: Toru Hanai/Bloomberg
日本銀行の政策委員の間から、長短金利操作が物価に及ぼす影響は限定的で、現在の金融緩和策と物価との関係についてさらなる分析と検討が必要との声が出ていたことが20日公表された1月22、23日の金融政策決定会合の議事要旨で分かった。

  ある委員は長短金利操作について「実質金利を低位に維持することで実体経済の拡大に一定程度貢献している」が、物価や予想物価上昇率への影響は「これまでのところ限定的」との認識を示した。その上で、長短金利の水準やマネタリーベースと物価上昇率などの関係について「さらなる分析と検討が必要」と指摘した。

  日銀は13年4月、黒田東彦総裁の下で、約2年を念頭に2%の物価目標の達成を目指して異次元緩和を開始。累次の追加緩和を行ったが、足元の物価上昇率は1%に満たず目標は遠い。16年9月に金融調節の操作目標を量から金利に変える長短金利操作を導入。同時に、消費者物価指数(除く生鮮食品)前年比が安定的に2%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続すると表明した。

  先に公表された同会合の主な意見で「長短金利の水準あるいはマネタリーベースと物価上昇率等の関係について、さらなる分析と検討が必要」との主張が掲載され、発言者が一段の金融緩和を求めるリフレ派なのか、正常化を志向する委員なのか、金融市場の一部で憶測を呼んでいた。

  同会合では、大方の委員は「強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが適切」との認識を共有した。しかし、ある委員は「状況の変化に対しては追加緩和を含めて迅速、柔軟かつ断固たる対応を取る姿勢を強調するとともに、一部で指摘されている緩和限界論に反論していく必要がある」と発言。複数の委員は「経済・物価情勢が大きく悪化するような場合は政府との政策連携も一段と重要になる」と述べた。

  これに対してある委員は、不確実性の高い状況の下で急いで政策を変更すると「かえって金融不均衡の蓄積や実体経済の振幅拡大につながるリスクもある」と言明。十分に情報を収集・分析した上で、「その時々の状況に応じて適切に対応していくことが大事である」との認識を示した。

  10月の消費増税については、一人の委員が「消費税率引き上げと教育無償化政策という制度変更を一つの政策対応として捉えると、物価に対する影響は比較的軽微にとどまる」と指摘。特定の要因を見通しから除外する扱いは「限定的とすることが望ましい」と述べた。その上で、委員は「今後は基本的には両方の影響を織り込んだ見通し計数を中心に説明していくことが考えられる」との認識を共有した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-20/PON3246JIJUP01?srnd=cojp-v2


 


「状況変化なら追加緩和」1月日銀決定会合要旨、限界論けん制の声
2019/3/20 10:53
 
日銀は20日、1月22〜23日に開いた金融政策決定会合の議事要旨を公表した。金融緩和の手段が乏しく緩和の副作用も指摘される中、政策の限界などを巡り議論。委員の中には「状況の変化には追加緩和を含めて迅速、柔軟かつ断固たる対応を取る姿勢を強調する」とけん制する声が上がった。物価見通しでは、消費税率の引き上げと教育無償化の影響を含めることで認識を共有した。

日銀は1月の決定会合で大規模な金融緩和政策の維持を決めた。2%の物価安定目標に向けて粘り強く現状の政策を続ける姿勢を示した。昨年7月の政策修正以降、政策変更をしていない。

ある委員は「当面は政策変更がない、という予想が過度に固定化されてしまうことを防ぐ必要がある」と指摘。別の委員は「何か大きな危機が起きるまでは行動しないという態度は望ましくない」としたうえで「緩和限界論に反論していく必要がある」と発言した。

一方、世界経済の不確実性の高まりを踏まえ「急いで政策を変更することは金融不均衡の蓄積や実体経済の振り幅拡大につながるリスクがある」との慎重論もあった。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42692900Q9A320C1MM0000/

 

 
ビジネス2019年3月20日 / 10:35 / 1時間前更新
政策対応で議論、変更急げば副作用拡大の声 政府との連携も=日銀議事要旨
Reuters Staff
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[東京 20日 ロイター] - 日銀が20日に公表した1月22・23日の金融政策決定会合の議事要旨によると、世界経済や金融市場の不確実性が増す中で、会合では先行きの金融政策運営について多くの議論が展開されている。追加緩和の必要性を主張する声が出る一方、拙速な政策変更は副作用の拡大などにつながり、慎重に対応すべきとの意見もあった。複数の委員が、政府との政策連携の必要性も指摘している。

当日の会合では、大方の委員が物価2%目標に向けたモメンタム(勢い)は維持されているとし、「現在の金融市場調節方針のもとで、強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが適切」との認識を共有。金融政策運営は、賛成多数で現状維持を決めた。

もっとも、中国を中心とした海外経済の減速懸念や、昨年秋以降の金融市場の不安定などを背景に、先行きの政策運営ではさまざまな意見が示された。

多くの委員は、現在のプラスの需給ギャップを持続するよう、「経済・物価・金融情勢をバランスよく踏まえつつ、現在の緩和政策を粘り強く続けていくことが必要」との見解を表明した。

一方、ある委員は「大きな危機が起きるまで行動しないという態度は望ましくない」として、「状況の変化に対しては、追加緩和を含めて迅速、柔軟かつ断固たる対応をとる」重要性を指摘。別の委員も「当面は政策変更がないという予想が過度に固定化されてしまうことを防ぐ工夫も必要」と述べた。

これに対してある委員は「急いで政策を変更することは、かえって金融不均衡の蓄積や実体経済の振幅拡大につながるリスクがある」と指摘し、「十分に情報を収集・分析したうえで、その時々の状況に応じて適切に対応していくことが大事」と強調した。

複数の委員は、海外経済の下振れが顕在化し、経済・物価情勢が大きく悪化する場合には「政府との政策連携も一段と重要になる」との見解を表明している。

会合後に公表された「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、2020年度までの消費者物価(除く生鮮食品)見通し計数について、「消費税率引き上げ・教育無償化政策の影響を除くケース」が参考として示された。

会合では、「今後は、両方(消費増税と教育無償化)の影響を織り込んだ見通し計数を中心に説明していくことが考えられる」との認識が共有され、次回の4月の同リポートから両方の要因を含んだ見通しに一本化される方向だ。

伊藤純夫
https://jp.reuters.com/article/boj-policy-minutes-idJPKCN1R104U


 

 


金融庁は市場分断リスク回避に道筋を、G20で連携図る−氷見野審議官
萩原ゆき、中道敬
2019年3月20日 6:00 JST
各国による規制の矛盾、重複、導入時期の不一致がリスク高める
欧米の規制強化で邦銀はコスト負担や人材充当強いられるケースも
金融庁は、日本が議長国を務め6月に大阪で開催される20カ国・地域(G20)首脳会合で金融市場分断リスクの回避に向け連携を呼び掛ける。各国の監督当局による規制が矛盾しているケースなどグローバル展開する金融機関の負担が増えてきており、こうした問題に対処するための道筋をつけることを目指す。

Financial Services Agency Japan Vice Commissioner Ryozo Himino Interview
氷見野良三金融国際審議官Photographer: Toru Hanai/Bloomberg
  氷見野良三金融国際審議官は8日のインタビューで、各国の規制が市場分断のリスクを不必要に高めるケースとして、規制の矛盾、重複、導入時期の不一致を挙げ、問題が放置された場合、金融システムの安定性だけでなく経済成長にも影響を与えかねないとして、「各国間の調整をより効率的かつ効果的にするためのプロセスの改善」を図りたいと述べた。

  具体的には、国内規制立案の初期段階で海外市場参加者の意見を聞くガイダンスを設けるほか、金融機関が二つの規制当局から矛盾した要求を受けた場合には、3者が電話会議をした上で書面に見解をまとめるプロセスに合意するなどの案がある。ただ、氷見野氏は、各国固有の事情に応じて考慮すべきニーズが異なることから慎重に議論を進める必要があるとしている。

  2008年のリーマンショックの後、主要国は自国の市場構造や課題を勘案した規制強化に取り組んできた。その結果、グローバルに事業展開する金融機関が母国と現地当局の規制の矛盾に直面したり、重複した規制への対応を迫られ板挟みになったりする例も目立ち始めている。英国の欧州連合(EU)離脱により欧州域内の規制の分断が負担となる可能性も指摘されている。

  金融庁の働き掛けを受け、世界のデリバティブ(金融派生商品)取引を行う金融機関で構成する国際スワップ・デリバティブ協会(ISDA)は今年1月、この問題への対処案を提示。金融システムを監視し安定性確保を目指す金融安定理事会(FSB)は2月、市場分断の実態と潜在的影響などを調査した上で、各国当局が規制分断によるリスクに対処できるツールを特定すると表明している。

邦銀の海外事業拡大
  国内大手銀行は、マイナス金利政策や少子高齢化による市場縮小を背景に海外事業を拡大している。18年9月現在、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の海外事業比率は約37%、三井住友フィナンシャルグループは市場部門を含めた比率で32%、みずほフィナンシャルグループは市場部門を除く対顧客部門で約37%となっており、拠点は世界各地に点在する。

  ところがEUは、域内で事業展開する大手外国銀行に中間持ち株会社設置と自己資本積み増しを求める一方、米金融当局も米国での事業規模が大きい銀行に対し同様の措置を講ずるよう求める規制強化を進めている。危機時の破綻処理での納税者負担を回避し、資産・権利の移転を円滑にするのが目的だが、金融機関にとっては組織改編も伴うコスト負担と人材の充当を強いられる。

  全国銀行協会は、欧米の金融当局に対しコメントや提案を行ってきたが、個別ルールごとの対応となっているのが現状だ。MUFGの18年4−9月期の決算資料によると、規制・制度対応のための経費が前年同期比で約350億円増加した。

  全銀協の藤原弘治会長(みずほ銀行頭取)は、金融機関のみならず顧客にも影響し得る「決して無視できない問題」と危機感を示した上で、政府がG20でこの問題を取り上げることは意義深く、自国主義などで対立を深める「グローバリズムの巻き戻し」に対しても一石を投じると期待していると語った。

  みずほ総合研究所金融調査部の蔵原千咲主任研究員は、日本の当局はこれまでも国際議論の場で規制と市場の分断の問題を指摘してきたと述べた上で、G20の議長国を務めることは問題解決に向けたリーダーシップを発揮しやすくなるという点で相当の意義があるとコメントした。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-19/POK0SP6KLVSF01
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/595.html

[経世済民131] 機関投資家、株式保有を2016年以来の低水準に FOMCは「ニュースで買って事実で売れ」に 日本株は電機や精密安く、非鉄
機関投資家、株式保有を2016年以来の低水準に
メリルリンチ調査
Ksenia Galouchko
2019年3月20日 1:33 JST
2019年の株式相場が大幅上昇するとの見方に投資家の間から懐疑的な声が上がっていることが、バンク・オブ・アメリカ(BofA)メリルリンチの調査で分かった。調査対象となった投資家の運用資産は計5570億ドル(約62兆円)に上る。

  株式相場は世界的に回復傾向にあるものの、BofAによれば機関投資家は今月に入って株式のエクスポージャーを16年9月以来の低水準に減らした。同調査によると、投資家は現金や不動産投資信託(REIT)などのディフェンシブな資産をロング(買い持ち)にし、英国やユーロ圏の株式といった循環的な運用商品をショート(売り持ち)にしている。

  金融政策がより緩和的になる中、株式相場は年初から世界的に力強い回復を遂げている。だが、多くの投資家は18年末にかけての相場急落で痛い目に遭った後、様子見姿勢のままだ。

relates to 機関投資家、株式保有を2016年以来の低水準に−メリルリンチ調査
  BofAのグローバル調査の期間は3月14日までの1週間、参加者186社だった。

原題:Investors With $557 Billion Cut Equity Holdings to 2016 Low(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-19/POME636K50XS01?srnd=cojp-v2


 
FOMCは「ニュースで買って事実で売れ」に−ストラテジストの見方
Joanna Ossinger
2019年3月20日 3:02 JST
「辛抱強い」とは何を意味するのか。「ドットプロット(金利予測分布図)」はどう配列されるのか。インフレ目標やバランスシートの縮小へのアプローチはどうか。20日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が発表する政策決定を、投資家は固唾(かたず)をのんで待っている。米国だけでなく、欧州や日本、中国の中央銀行に関しても先行きが見通しやすくなったとの楽観が市場にはある一方、想定外のワイルドカードへの警戒もある。マーケットはこの状況をどう乗り切るのか、アナリストやストラテジストに話を聞いた。

UBSのスチュアート・カイザー氏(ニューヨーク)
  これまでにドットが引き下げられた時の反応では、ユーロはS&P500種株価指数や米10年債利回りなどに比べ、平均でも絶対値でも大きく変動している。円もドットの下げに反応したが、ユーロほどではない。

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  「為替の変動が示唆するのは世界的なリスク・オンの動きであり、インプライドボラティリティーの低下はFOMCにとって選択肢の広がりを意味する」とUBSは分析している。

ゴールドマンのザック・パンドル氏(ニューヨーク)とイアン・ライト氏(ロンドン)

  FOMCが当面は金融状況の引き締めから距離を置くことを確認できるかに、ゴールドマンとしては注目している。この見方などを基に中期的にドルを弱気としているからだと、パンドル氏は15日付のリポートで説明。

  イアン・ライト氏らは18日のリポートで、「米当局が平均インフレ目標にシフトする可能性が依然注目されており、これがブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)と実質金利が反対方向に動く最近の現象に貢献している可能性は高い」と指摘した。

relates to FOMCは「ニュースで買って事実で売れ」に−ストラテジストの見方
BMOキャピタル・マーケッツのジョン・ヒル、イアン・リンジェン両氏(ニューヨーク)
  「ニュースで買って事実で売れ」になる可能性は高いと、ヒル、リンジェン両氏は18日付のリポートで予想。市場の期待が極めてハト派に傾いているためだという。

  両氏が注目するのは2年債と10年債の利回り曲線で、「発表までの相場の動きが数週間ぶり安値を試すようなものであれば、なおさら注目に値する」という。「少なくともこのベンチマーク・カーブにおいて、そうした動きは決定発表に至るまでのモメンタムが明らかにフラットニング方向に傾いていることを示し、2019年のドット中央値が追加利上げゼロを意味した場合、20ベーシスにまで急速にスティープ化する可能性が開かれる」と分析した。

  「米金融当局は間違いなく、静かで閑散な状況を維持したいだろう」と両氏は指摘。しかしFOMC会合はリスクイベントとなり得るものであり、「結果として出来高が急増すれば、パウエル議長による政策ミスと判断される可能性が高い」と続けた。

原題:How to Trade Around a Fed Meeting Full of Potential Wild Cards(抜粋)

日本株は電機や精密安く、非鉄や商社高い−FOMC見極めで小動き
長谷川敏郎
2019年3月20日 8:00 JST 更新日時 2019年3月20日 11:13 JST
米中通商協議の進展鈍いと関係者、FOMCは日本時間21日結果公表
ソニーや任天堂が売られる、グーグルがゲーム市場参入
20日の東京株式市場は株価指数が前日終値付近で推移している。米金融政策会合の結果公表を控えて積極的な売買が見送られる中、米中通商問題への楽観的な見方がやや後退し、年初からの上げが大きい電機や精密機器が安い。金属市況高で非鉄金属や商社は上昇。

TOPIXは前日比0.04ポイント高の1610.27−午前10時57分時点
日経平均株価は同36円80銭(0.2%)安の2万1530円05銭
  米連邦公開市場委員会(FOMC)は米国時間20日に結果を公表する。新しいドット・チャートやバランスシート縮小計画などに市場の注目が集まっている。中国の通商交渉担当者は中国製品への関税を撤回するとの確約をトランプ政権から得られていないとみて、交渉に対する積極姿勢を後退させていると関係者が明らかにした。米S&P500種のEミニ先物は小安く推移している。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の荒井誠治投資ストラテジストは「FOMCの結果を受けた米国や新興国株の動きが日本株市場に大きく影響する。日本はあす休日ですぐに対応できないため投資家は様子見」と述べた。株式相場はFOMCでことしの利上げ回数がゼロになる可能性や資産圧縮計画を早々に見直すことを期待して上昇してきたとし、「声明やパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見内容が利益確定売りの材料にされる可能性がある」と言う。

  業種別では年初来の上昇率が高かった精密機器、情報・通信、電機などが下落。個別ではグーグルのゲーム市場参入でソニーや任天堂が安い。

前日比で下落と上昇を繰り返す


英マンのCIO:資産運用業界はクオンツ運用シフトで「大騒ぎ」
Saijel Kishan、Jeff Kearns
2019年3月20日 11:05 JST
クオンツ運用への順応怠れば、役立たずとなる憂き目も
資産運用業界は例外との考えは「たわ言」−ラトレーCIO
ヘッジファンド運用会社、英マン・グループのサンディー・ラトレー最高投資責任者(CIO)は、クオンツ・トレーディングへの順応を余儀なくされている資産運用業界が「大騒ぎしている」と述べた上で、それを無視するマネーマネジャーは役立たずとなる憂き目を見ることになりかねないと述べた。

  ラトレーCIO(49)は19日にニューヨークで開かれたトレーディングにおける人工知能(AI)・データサイエンスと題した会合で、マネーマネジャーをウーバー・テクノロジーズの配車サービスや自動運転車の脅威に直面するタクシー運転手になぞらえた。

Sandy Rattray
サンディー・ラトレーCIO写真家:ブルームバーグ
  同CIOは「欧州で多く行われるように、全ての通りを封鎖して抗議することもできるし、『この変化に一体どうしたらいいのか」と言ってすぐにこうした新技術を取り入れようとすることもできる」と指摘。最も優秀なマネーマネジャーの場合、自身が余剰人員になってしまうのを回避する方法を見つけ出し、資金の運用管理に自然言語処理(NLP)を組むようにしていると付け加えた。同社は運用資産の約3分の2でクオンツ技術を利用している。

  ポイント72アセット・マネジメントとコーチュー・マネジメントなどのヘッジファンドも、科学者を採用してクオンツ戦略を導入している。

  ラトレーCIOによると、売買注文の執行は機械学習を適用できる最も容易な分野の1つだという。膨大な量のデータがあるため、トレーダーは自分の注文を処理するのに最適な銀行を示す明確なパターンを見つけることができる。マンは年間約6兆ドル(約670兆円)から7兆ドルの取引を行っており、ほぼ全ての取引の執行で機械学習を利用しているという。

  同CIOは「以前は、トレーダーはおいしいランチをごちそうしてくれる銀行をひいきにするケースも見られたが、トレーディング判断で実に悪い方法だと思った」とコメント。一部の資産運用者が自分は例外との感覚を持ち、アルゴリズムが重要な役割を果たし得るのはヘルスケアと運輸であり、資産運用ではないと考えていることについて、同CIOは「たわ言だと思う」と語った。

原題:Man CIO Says Managers ‘Kicking and Screaming’ in Quant Shift (2)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-19/POMEX06K50XU01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/596.html

[国際25] 英首相、EUに離脱期日の延期要請へ 協定案の議会再採決は困難 3週間猶予−延期3カ月か来年までか決断迫る 重要日程目白押
ワールド2019年3月20日 / 05:59 / 6時間前更新
英首相、EUに離脱期日の延期要請へ 協定案の議会再採決は困難
Reuters Staff
2 分で読む

[ロンドン 19日 ロイター] - 英下院議長が議会で否決された欧州連合(EU)離脱協定案の再採決はできないとの見解を示し、同案の再採決の実現が難しくなったことを受け、メイ首相はEUに対し29日に迫っている離脱期日を少なくとも3カ月延期するよう要請する公算が高まった。

バーコウ下院議長は18日、議会で否決された離脱案と同じ案を再び採決することはできないとの見解を表明。これを受けメイ首相が目指していた離脱協定案の再採決の実現が難しくなっており、21─22日のEU首脳会議で英国の離脱延期を巡る最終決定が見送られる可能性が高くなっている。

賛成52%、反対48%で離脱方針が決まった2016年の国民投票から約3年。離脱期日が10日後に迫り、先行き不透明感が一段と高まる中、メイ首相がトゥスクEU大統領に対し、離脱期日の延期を要請する書簡を19日か20日に送付することが首相報道官の話で明らかになった。報道官はどの程度の期間の延期を要請するのかについては明らかにしなかったが、できるだけ短期間にとどめるとしている。

一方、英BBC放送の政治担当エディター、ローラ・クエンスバーグ氏はこの日の閣議を受け、「メイ首相はEUに対し離脱期限の延期を要請する書簡をきょう送付する。離脱期日の6月30日までの延期を要請し、離脱を最大2年先送りする可能性についても要請する」とツイッターに投稿した。

EU首脳会議が21─22日に迫る中、加盟国は離脱期限の2─3カ月の延期、もしくはより長期的な延期の2つの選択肢を検討。

英離脱を巡るEUのバルニエ首席交渉官は、メイ首相の離脱協提案が議会で批准される確率が高まる場合のみ、延期は理にかなうとの見解を表明。長期にわたる延期はEUにとって経済的、政治的な重しとなるとの見方を示したほか、メイ首相は短期的な延期と長期的な延期の双方を同時に要請することはできないとの立場も示した。

ドイツのメルケル首相は、残された時間は残り少なくなっているとしながらも、英国がEUと条件などで合意した上で離脱できるよう、29日の期日まで努力を続けていく姿勢を表明。このほかこの日は、仏大統領府の当局者がいかなる離脱延期の要請も明確で堅固な理由が必要との考えを示した。

EU加盟各国は英国の対応が二転三転することに疲労感を覚えながらも、期日の29日に条件などで合意しないまま英国を離脱に追いやることはしないとみられている。
https://jp.reuters.com/article/brexit-may-seek-delay-idJPKCN1R02MO


 


英首相に3週間猶予−延期3カ月か来年までか決断迫るとEU高官
Ian Wishart
2019年3月20日 5:02 JST 更新日時 2019年3月20日 9:16 JST
• 長期延期か3カ月後に「合意なき離脱」の危険冒すか判断する必要
• 首相が賭けに出て失敗してもEUが再延期を認めないのはほぼ確実

メイ首相
Photographer: TOLGA AKMEN/AFP
メイ英首相は欧州連合(EU)離脱について、2020年になるまで延期するか、3カ月後に「合意なき離脱」の危険を冒すか、4月半ばまでに決断するようEUから迫られる可能性が高い。EUの高官の1人が明らかにした。
  EUが21、22日にブリュッセルで開く首脳会議では、現在の離脱合意案を7月までに議会で通す可能性に賭けるかどうか、3週間以内に決めるようメイ首相に最後通告が突き付けられることになりそうだ。
  EU高官によれば、メイ首相ができると判断し賭けに出れば、裏目となった場合でも、離脱延期を求めるさらなる要請をEUが拒否するのはほぼ確実であり、7月に合意なき離脱のリスクが生じる。3カ月で議会の承認を得ることは無理だと首相が判断すれば、EUは来年以降への延期を認める方向とされるが、英国内で政治的に有害な影響が予想される。
  バーコウ英下院議長が、大幅な修正がない限りメイ首相の離脱案の3度目の採決を許可しないと今週発表したことで、首相の離脱戦略は機能不全に陥った。しかしEU当局者らは、離脱案の英議会通過を目指す首相を助ける努力を続けており、これを「プランA」と位置付けている。離脱延期長期化の可能性が離脱推進派の政治家を恐れさせ、離脱案への支持を促すとEU当局もある程度期待しているという。
  EU高官によると、英議会の離脱推進派に延期を受け入れ難くするため、何カ月も離脱が延期されても、現在の離脱協定案の再交渉は受け入れられないとEU首脳らはあらためて主張する公算が大きい。
  複数のEU当局者によれば、メイ首相が今の議会の行き詰まりをどのように打開するか明確な説明を行う場合に限り、EU首脳は長期の離脱延期を認める見通し。英国との離脱交渉を担当するEUのバルニエ首席交渉官は、19日にブリュッセルで開かれたEU各国政府の会合で、「新たな国民投票か選挙の予定」という形もあり得ると語った。
What’s Next for Brexit?

原題:EU Said to See Mid-April Date for U.K. to Decide Brexit Fate (1)(抜粋)
(バルニエ首席交渉官の発言などを追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-19/POMM8W6VDKHS01

 

英EU離脱、次の展開は−サミットや離脱期限など重要日程めじろ押し
Emma Ross-Thomas
2019年3月20日 3:53 JST
英国の欧州連合(EU)離脱予定日が迫る中で、メイ首相はいまだに自らの離脱案を議会で成立させることに奮闘している。首相は3月29日の離脱期限を乗り切ったとしても、3カ月後に再び正念場を迎えそうだ。

  今後の主要日程は以下の通り。

3月21−22日
EU首脳会議。EU首脳は英国の離脱延期を認めるとみられるが最終決定は下さず、メイ首相にもう一度、議会採決を実施する機会を与える見通し。ただ、英下院のバーコウ議長が採決を許可することが条件になる
3月25日
メイ首相はこの日、EU離脱の選択肢について議論することを議会に約束している
3月25−29日
この週、メイ首相は自らの離脱案を再び議会採決にかける可能性がある。議会に問う内容は、自らの案を支持するか、EU離脱を長期延期するかの二者択一になるとみられる。首相案が否決されれば、EUは離脱延期を正式決定する
3月29日
英国の離脱予定日。ただ、偶発的な合意なき離脱が起こらない限り、何も変わらないという結果になる公算が最も大きい
What’s Next for Brexit?

4月12日
英国は欧州議会選挙を公示しなければならず、それまでに法整備を終えておく必要がある。公示がなされず、EU離脱合意への進展が見られていない場合は再び危機モードに入る。市場の変動が拡大する恐れがある
4月18日
欧州議会が解散し、7月2日までEUと英国の離脱合意を批准することができなくなる
5月23−26日
欧州議会選挙
7月1日
英国が欧州議会選挙に参加せず離脱合意も成立していない場合は、EU加盟国としての資格を失い、法的に曖昧な状態に置かれる
7月2日
欧州議会が開会、新たな任期入り
原題:What Next in Brexit? Two Cliff-Edges and a Summit: The Timeline(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-19/POMJYL6VDKHS01?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/746.html

[国際25] 中国「一帯一路」参加をめざすイタリアの前途多難 中国が通商協議で積極姿勢を後退、米当局者が懸念 
トップニュース2019年3月20日 / 10:55 / 31分前更新
焦点:
中国「一帯一路」参加をめざすイタリアの前途多難
Crispian Balmer
4 分で読む

[ローマ 15日 ロイター] - 古代の「シルクロード」は中国からイタリアまで伸びる交易路のネットワークで、商品や技能、思想が地球半周分の距離を行き交っていた。

それから2000年の時を経て、イタリアは今、中国の習近平国家主席が生み出した「新シルクロード」において重要な役割を果たしたいと考えている。だが、「シルクロード復活」への参加については賛否が分かれており、現代におけるローマの政治指導者にとってリスクとなっている。

コンテ首相は、21日からの習近平氏のローマ訪問の際に暫定合意に調印する予定だ。これによってイタリアは、中国の通商網の改善を意図した数十億ドル規模の巨大プロジェクト「一帯一路」に参加することになる。

イタリアが主要7カ国(G7)の先頭を切ってこの野心的な事業への参加を推進していることは、米国政府を怒らせ、欧州連合(EU)本部も警戒心を示している。

欧州でも最も裕福な諸国の市場に容易にアクセスできる港湾を備えているイタリアを引き入れれば、中国にとって将来有望であり、プロジェクトの格も上がる。

イタリア政府が「一帯一路」支持の見返りとして期待しているのは、輸出と投資の加速により、停滞する自国経済を、この10年間で3回目となるリセッション(景気後退)から引っ張りあげることだ。

だが、イタリア政府は地政学的なリスクを考慮しておらず、西側諸国のパートナーと協議もせず、中国のグローバルな野心の台頭に対する懸念の高まりも過小評価している、と外交アナリストやコンテ首相の政敵らは指摘する。

「これまでのところ、『一帯一路』の扱いについては、実質的に何の調整もなく、あまりにも素人仕事だったのではないかと懸念している」と地政学を扱う有力誌「リメス」のディレクターを務めるルチオ・キャラッチオーロ氏は指摘。

「私が心配しているのは、結局イタリアがどちらの方面でも負けるのではないか、つまり中国からは実質的に何も得られず、一方で中国政府に近づきすぎたことで米国からは報復を受ける、ということだ」と同氏は語った。

<旧態依然>

中国寄りの政策のかじ取りをしてきたのは、ポピュリスト政党「五つ星運動」の党首であるディマイオ副首相である。彼は経済発展省内に中国担当タスクフォースを設立し、イタリアを「一帯一路」の「特別パートナー」にするという目標を公然と掲げている。

ディマイオ副首相はこの8カ月の間に中国を2回訪問し、現時点で最も慎重さを要する外交問題の1つであるにもかかわらず、実質的に外務省を脇役に押しやっている。

ディマイオ副首相のタスクフォースを率いるのはジェラーチ経済発展省次官で、2018年の入閣以前に10年にわたり中国で暮らしていた。ジェラーチ、ディマイオ、コンテ3氏とも、昨年以前には国際外交の経験は皆無だった。

中国語を話すジェラーチ氏は、中国政府との関係強化を熱心に支持しており、イタリアはパートナー諸国に後れをとっていると言う。

かつては経済学教授だったジェラーチ氏は先月、ロイターに対し「イタリアに帰国したら、旧態依然であることが分かった。追いつく必要がある」と語った。

「『一帯一路』には他国がすでに開拓しつつある、非常に大きなポテンシャルがある」とジェラーチ氏は言う。

だが、まさにイタリアが新しい立場をとろうとしている今、他の欧州諸国は考え直そうとしているように見える。

欧州委員会は12日、中国を「体系的なライバル」として位置付け、EU諸国の指導者らに、中国の国営企業に対する規制強化案を支持するよう呼びかけた。

欧州連合は中国の市場開放ペースの遅さや、EUの重要セクターにおける中国企業による買収急増に対する苛立ちを強めており、国内市場に歪みをもたらしていると批判している。

イタリア政府は、そのような懸念があるとしても中国の関係強化を止めるべきではないとして、ハンガリー、ポーランド、ギリシャ、ポルトガルを含む13のEU加盟国がすでに中国との覚書(MOU)に署名している点を指摘する。

だが、ベルリンのメルカトル中国研究所のルクレツィア・ポゲッティ研究員によれば、欧州最大の対中輸出国は中国とのMOUを結んでおらず、すでにMOUを締結した国も見るべき成果を挙げていないという。

「これらの国は、曖昧な表現で中国が約束した経済機会がほとんど実現していないことに苛立っている」とポゲッティ氏はロイターに語った。

「地政学的な要素を計算に入れず、また具体的な要求を行うことなく『一帯一路』に参加し、いつかは何かしら経済的な見返りが得られるだろうと期待するのは、あまりにもナイーブだ」と彼女は言う。

<米国の怒り>

「一帯一路」プロジェクトは中国の外交戦略の柱となっており、2017年には中国共産党規約にも盛り込まれた。中国がグローバル規模でリーダーシップを発揮することを望む習氏の意向を反映したものだ。

米国は、この習氏の取組みが中国の政治的・軍事的影響力を高めることを意図しており、西側諸国の権益を監視できるテクノロジーの拡散に使われるのではないかと懸念している。

「中国の国威発揚のためのインフラ整備プロジェクトにイタリア政府がお墨付きを与える必要はない」。ホワイトハウスの国家安全保障担当顧問の広報官は15日、こう述べた。最も安定した同盟国の1つを公然と批判するのは珍しい。

イタリア政府はMOU撤回は拒否しつつも、その原案を公表し、具体的なコミットメントは何も提示しておらず、米国政府が憂慮するような種類の技術移転には言及していないことを示し、米国を安心させようという姿勢を見せた。

その一方でイタリア政府は、中国寄りの政策が成果を挙げつつあることを示すことにも熱心で、3月21─23日に予定されている習氏のイタリア訪問のあいだに50件の合意文書が調印されるという報告をリークしている。そのなかには、エネルギー会社のENI (ENI.MI))、ガス関輸送スナム(SRG.MI)、造船会社フィンカンティエリ(FCT.MI)が参加する契約も含まれている。

またイタリアは、ジェノア、トリエステ、パレルモといった港湾経由での貿易を拡大するプロジェクトを発表したいとも考えている。 中国遠洋控股(チャイナCOSCOホールディングス)(601919.SS) (1919.HK)はギリシャ最大の港湾を買収したが、イタリアは、自国の港湾の方が欧州市場への玄関口として優れていると主張している。

好条件の契約を多数結べれば、ディマイオ副首相が切実に必要としている勝利になるだろう。米国の不機嫌をなだめるのに悪戦苦闘しているだけでなく、連立相手である極右政党「同盟」に親中政策を売り込むのも一苦労だからだ。

ジェラーチ氏は「同盟」の党員だが、中国との合意が間近であるというニュースが先週明らかになった時点では、「同盟」への根回しはなかったようだ。「同盟」党首のサルビーニ副首相は、中国によってイタリアが「植民地化」されると警告している。

ディマイオ氏と共に副首相の座にあるサルビーニ氏は、「いま検討しているところだ」と言う。「トリエステやジェノアといった港湾への外部からの投資を認める前に、今一度どころか、100回でも考え直したいところだ」

(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/china-italy-diplomacy-idJPKCN1R00Q9


 
中国が通商協議で積極姿勢を後退、米当局者が懸念
Jenny Leonard、Saleha Mohsin、Jennifer Jacobs
2019年3月20日 4:14 JST 更新日時 2019年3月20日 8:57 JST
中国側は関税撤回の確約をトランプ政権から得られていないと認識
USTR代表と米財務長官が25日の週に訪中し中国高官と協議
米中貿易協議で中国側が米国の要求に抵抗しているとの懸念を、複数の米当局者が抱いている。事情に詳しい関係者が明らかにした。合意に向けた協議の進展は鈍いという。一方で、トランプ大統領は再選の可能性を高め得る米中合意の実現に楽観的な見解を示した。

  関係者のうち2人が匿名を条件に語ったところによれば、中国の交渉担当者は知的財産に関する政策の変更には同意しながらも、中国製品への関税を撤回するとの確約をトランプ政権から得られていないとみて、スタンスを変えている。

  中国はまた、医薬品のデータ保護を巡る当初の約束を後退させたほか、「パテントリンケージ」改善計画の詳細を示しておらず、データサービスに関する問題でも譲歩を拒否している。米国の見解について知る関係者1人が述べた。中国側は、通商合意で規定されるルールは中国の法律に準拠する必要があるとの文言を盛り込もうとしているという。

  トランプ大統領は19日、ホワイトハウスでブラジルのボルソナロ大統領と共同記者会見に臨んだ際に受けた質問に対し、「中国との交渉は極めて順調に進んでいる」と述べた。

  政府高官が匿名条件に明かしたところによると、通商代表部(USTR)のライトハイザー代表とムニューシン米財務長官は合意取りまとめを目指し、3月25日の週に北京を訪問し中国高官との協議に臨む。両氏は中国の劉鶴副首相と19日に電話でこの計画に同意。劉副首相はその後に訪米するが、日程はまだ確認されていない。訪米計画は19日に米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が先に伝えた。

  同高官は協議が順調で、向こう数週間でまとまる見通しだと述べた。

U.S. And China Negotiators Hold Trade Talks
ワシントンで開かれた米中協議に臨んだライトハイザーUSTR代表(2月21日)Photographer: Al Drago/Bloomberg
  中国の商務省と国務院新聞弁公室に通商協議についてコメントを求めたが、現時点で返答はない。ホワイトハウスの広報担当者にもコメントを要請したがこれまでに返答を得られていない。

原題:U.S. Said to See China Trade Pushback as Trump Touts Talks (2)(抜粋)

(北京での協議日程に関する政府高官の話を追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-19/POMJIM6JIJUO01
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/747.html

[国際25] ドルに挑む「人民元」市場が主導するシェア拡大 通貨の覇権争いの「胎動」、 経済成長で 存在感増す「元」
WEDGE REPORT

ドルに挑む「人民元」市場が主導するシェア拡大

通貨の覇権争いの「胎動」、 経済成長で 存在感増す「元」
2019/03/20

李 智雄 (三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト)

 米中の摩擦をさまざまな形で目にしない日はなくなってきた。米国という大国に対して、「開発途上国」といわれてきた中国が台頭してきたことで、多くの次元において対立が起こっている。重要なポイントは、米中の貿易摩擦という対立の構図が、単に一大統領や、一政党によるものではなく、「覇権争い」によって生じたものであることだ。その覇権とは、「経済、技術、軍事、通貨」という4つの分野にまたがるものである。どちらかがその覇権争いを放棄しない限り、両国の対立と、その表れとしての保護主義、貿易摩擦は続く可能性が高い。


(BLOOMBERG CREATIVE PHOTOS/GETTYIMAGES)
 米中貿易摩擦問題の発端は、中国の急速な経済発展にある。それが「経済」覇権争いである。米国経済の低成長と中国経済の高成長の結果、顕著となったのは米国の世界に占めるGDP(名目、ドル換算)シェアの低下である。IMF(国際通貨基金)によると、米国は2002年に31・5%とピークを迎えたが、18年には24・2%と低下しており、23年に22・7%まで低下すると予想されている。

 一方で中国のそれは00年に3・6%、18年に15・9%と上昇を続けており、23年には18・0%まで高まることが見込まれている。このままいくと30年頃までには米中のGDPシェアが逆転する可能性が高いとみられている。

 さらにいえば、長期的な二国間の為替レートの目安となる購買力平価をベースとした経済規模では、中国はすでに14年時点で米国を抜いているのだ。米国の中国に対する警戒感の発端は、このような経済の勢力図変化にある。

 「経済」覇権以外に重要な要素が、「技術」覇権の争いである。「中国は長らく続く知的財産の窃盗、強制的な技術移転や他の構造的な問題など米国経済のみならず世界の経済に与えてきた重荷に対して取り組む必要がある」というペンス米国副大統領の言葉を引用するまでもない。中国の技術力を直接測るのは困難であるが、中国のそれは米国が神経を尖(とが)らせるレベルまで高まっているということだ。

 例えば米国商務省産業安全保障局は、バイオテクノロジーやAI、ロボティクスなど14の先端技術を指定し、それらが中国などへ流出しないように米国企業のみならず、第三国企業に対しても輸出規制を課す準備を進めており、今年1月にパブリックコメントも終えている。

 米中の対立は技術問題だけにとどまらない。その技術が使われる「軍事」覇権の争いもある。世界の軍事費は00年以降、大きく増加している。世界の防衛費に占める中国の割合は13・1%と米国(36・5%)にはまだまだ及ばないものの、着実に上昇してきている。米国にとっては潜在的脅威であることは間違いない。

 最後に「通貨」覇権の争いである。基軸通貨といえばドルである。それに対して、人民元は本当に基軸通貨、あるいは国際取引通貨としての位置付けを向上させてきたのだろうか。

 例えばBIS(国際決済銀行)によれば、OTC(相対)為替取引に占める人民元の割合は01年には0・004%だったが、16年には1・9%まで上昇してきた。SWIFT(国際銀行間通信協会)による資金決済では人民元の割合は12年初の0・25%から、19年1月末には2・15%まで上昇している。その速度は緩慢とはいえ、着実に人民元の市場におけるプレゼンスは高まっているといえる。


(出所)IMF資料を基に三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成 写真を拡大
 人民元を基軸通貨と呼ぶにはまだまだ程遠い。しかし、中国政府はこれまで人民元クロスボーダーの貿易決済を拡大、その後直接投資やポートフォリオ投資における人民元利用のルートを拡大してきた。また人民元の利用を促すための国際協力も進めており、海外中央銀行との通貨スワップ協定に加えて、一部中央銀行は人民元を外貨準備に加えている。また、16年10月からはIMFのSDR(特別引出権)の構成通貨に採用されている(右図)。コモディティの元建て取引も開始されており、少しずつだが、国際取引通貨への足取りを進めているようにもみえる。

日本企業が迫られる
人民元建て取引
 日本との貿易関係においては、貿易取引に占める通貨別の割合を確認してみると、日本から世界への輸出では人民元は取引の1・6%を占めている(18年下半期)。依然ドルが50・4%と大きな割合を占めているが、徐々に人民元の割合は増えてきている。ちなみに日本の財務省発表の「貿易取引通貨別比率」において人民元が「その他」の項目から独立して登場したのは13年下半期からである(当時の日本からの輸出に占める人民元の割合は0・6%)。日本からの輸出に占める取引通貨の割合ではそれまでのロシア・ルーブルにかわって5位の地位になり、増え続けてきた。

 さらにいえば、経済産業研究所の調査(下図)によると、対象の日本企業151社の中国向け輸出に占める人民元建て比率は12・3%まで増えている。また、人民元建て取引を行っている企業の数が着実に増えていることもわかっている。同調査によると「人民元での支払いのニーズが増えてきた」という回答が多いのは業種別にみると繊維製品など。一方で、「人民元での受け取りの取引が増えてきた」との回答が多いのは輸送用機器などである。中には中国子会社とのやり取りの中で為替リスクを現地法人に負わせないためや、「米ドル→人民元→日本円の二重の為替リスクを回避するため」などの理由もあるようだ。


(出所)独立行政法人経済産業研究所(2018)「日本企業の為替リスク管理と インボイス通貨選択」 写真を拡大

(出所)独立行政法人経済産業研究所(2018)「日本企業の為替リスク管理と インボイス通貨選択」 写真を拡大
 だが筆者が接している企業からは異なる声も聞こえる。例えば、電子部品や輸送用機器部品の企業の幾つかは、これまで日本や欧米であった最大顧客が、旺盛な需要を受け中国企業に変わった。その結果、最大顧客の意向として、従来中国企業に負担させていた為替リスクを、日本企業側が負担せざるを得なくなってきたという話である。

 筆者は16年末から、人民元を取引通貨として取り入れるか否かの相談を受けていたが、その多くは断るという選択肢などはなく、人民元を取り扱うことの正当性(IMFのSDR構成通貨入りや中国取引の拡大など)をどのように説明すればよいか、という内容であった。つまり、圧倒的な購買力が、交渉力へと変わっているのである。

 具体的には、世界の貿易総額に占める中国の割合は10・3%と米国の13・2%に大きく接近してきた(17年末)。中国が巨大な顧客となることで、今後取引通貨の取り決めにおいて人民元を要求し、為替リスク負担を要求してくる割合が徐々に高まってきている。一部、すでにその動きとして、企業のIR資料内の、為替感応度の表にはこれまで見慣れなかった人民元という項目が表れてきている。

 もちろん、人民元は先物取引など流動性が十分ではないが、実際に貿易を行うにあたり必要とする企業が増加している事実だけでも、国際化が着実に進んでいることを示唆している。

中国が手にしたいドルの持つ「法外な特権」
 それではなぜ中国は人民元の国際化を目指すのであろうか。端的にいうと「基軸通貨」になれば、経済的利益につながり儲(もう)かるからである。米国という基軸通貨国の持つ強力な利得に「法外な特権(exorbitant privilege)」と呼ばれるものがあり、これは基軸通貨の通貨発行権、あるいはそれを利用した収益を指す。例えば、米国は1980年代末から債務国化し、世界最大の債務国であるにも関(かか)わらず、低金利で調達した資金をリスク性資産に投資することで、正の超過収益を得ていることなどに表れている。

 実際、セントルイス連邦準備銀行が運営する経済統計データサイト(FRED)によると、GDP比率で39・6%(17年)もの対外純「負債」残高から得ている第1次所得バランスは、名目GDPのプラス1・13%にも達する巨額なものである。米国からすれば、この「法外な特権」を脅かすいかなる通貨も許容できない。一方で、中国はこの「法外な特権」を手中に収めたい、というわけだ。

 それ以外にも、為替に伴う取引コスト低減、為替ヘッジリスク軽減などがある。基軸通貨国の企業は、為替リスクを大きく気にする必要がないことを考えればよりわかりやすいだろう。現在の世界では、米国企業は多くの取引がドルで完結するため、為替リスクを気にする必要はほとんどない。

 だが人民元は、基軸通貨はおろか、国際取引通貨にも一朝一夕でなれるものではない。おそらく中国はこれから短期、中期、長期で三つの課題に直面するだろう。短期的な課題は、一言でいえば「人民元安への対処」であろう。

 一般的に、景気の減速への一つの対策は金融緩和であり、それは通貨の減価をもたらすことが多い。行き過ぎた減価は、資本流出などを通じて、さらに減価をもたらすという悪循環に陥る。ただ短期的には通貨の減価は輸出にとってプラスとなることもある。経済が減速した際、中国は金融緩和によって、自国通貨の減価という毒にも薬にもなりうる動きに直面することになる。15年に急激に進んだ人民元安、いわゆる「チャイナショック」の一連の動きがまさしくこの過程だった。

 中期的には、貿易拡大に伴う為替リスク増大にどう対処すべきか、という課題がある。基軸通貨は流動性が増す分、通貨価値の抑制はより難しくなる。通貨の安定化が難しいとなれば、通貨が安定しなくとも対処しうる耐性を、例えば外貨準備の積み増しや堅調な経済などを通じてつける必要がある。

 長期的には、「人民元の価値の維持」が課題となろう。基軸通貨のドルを持つ米国は、過去、金との兌換(だかん)を停止するという1971年のニクソンショックによってその通貨の価値がいったんは大きく落ち込んだ。しかしその後の累積的な貿易赤字にもかかわらず、実質貿易加重ベースのドル指数はその価値が毀損(きそん)され続けることはなかった。中国経済は中長期的な所得の上昇に伴い、純輸出国から純輸入国に転じる可能性が高いが、その中でも通貨の価値はある程度保たれなければならない。

 そのような課題を抱えながらも、人民元は徐々にだが、着実に国際化を進めている。その流れの一つが、中国国債の保有構造の多様化である。中央国債登記結算有限責任公司によると、今年2月末時点の中国国債の外資系保有は1兆3531億元(海外投資家と外資系銀行の合計、全体の9・9%)と、過去最高を更新した。実際筆者には最近、日本国内の金融機関から中国国債に関する問い合わせが着実に増えている。国内の企業による人民元需要の増大もさることながら、金融資産としての価値を見いだし始めているようだ。

 それは3%を上回る国債の利回りに加えて、今後中国経済の減速は利回りの低下を示唆、つまりそれは債券価格の上昇を意味するからである。為替リスクも考慮する必要があるものの、仮に日米関係において円高に誘導された歴史が、米中関係において繰り返されるならば、中長期的な観点から、中国国債への投資は妙味がある、というわけだ。金融資産としての価値を離れても、取引通貨の観点から人民元建ての資産を持つ必要は生じる。例えば諸外国の中央銀行も外貨準備としての人民元建て資産の保有を増やしている。


(出所)Bloomberg資料を基に三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成 写真を拡大
独自の決済システムを構築
圧倒的な量で目指す国際化
 さらに興味深いのは、中国独自の決済システムの構築である。中国人民銀行は2015年10月にクロスボーダー人民元決済システム(RMB CIPS)をリリースしたが、第一財経日報によればすでに高度に構築されたSWIFTに頼らずに人民元のクロスボーダー決済が可能になり始めているという。これまで多くの国はすでに構築されたシステムにいかに組み込まれていくかに注力してきたが、中国は独自システムを構築しようとしている。

 同じような流れは他にもみられる。例えば自国旅客機の開発がそうだ。日本の国産旅客機は米国や欧州の型式証明取得が必須条件のように語られることが多い。一方で、中国の国産旅客機であるARJ21は、中国民用航空局の型式証明を取得したのみで米欧の証明は取得していない。だが、すでに量産体制に移行、一定以上の距離の飛行をこなし、利用客を増やすことで実績を固めつつある。

 これまで構築された枠の中ではなく、圧倒的な量をこなすことで、世界に打って出ようという戦略である。それを可能にしているのが、中国の経済規模であろう。つまりは冒頭に論じた覇権争いのうち「経済」覇権へと戻ってくるのである。

 米国が焦るようにさまざまな制裁を中国に課している理由は、自国経済の低迷と、自国に影響を与える他国の興隆という相対的な地位の変化にある。大国であることそれ自体、その市場の大きさによって、購入時の価格交渉力の大きさを意味する。「量による圧倒」で「デファクト・スタンダード」となり、他の小国にまで影響を与える。これが中国の基軸通貨化に向けた長期戦略の一つであり、ゆっくりではあるが確実にその歩みを進めている。

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■人民元の虚像と実像 「元の国際化」を目論む中国のジレンマ
PART 1   ドルに挑む「人民元」 市場が主導するシェア拡大
INTERVIEW 1年で急成長を遂げた人民元建て原油先物市場の行方
Part 2 政治に左右される為替管理 国家資本主義・中国の限界
Part 3 通貨の覇権を巡る百年戦争
Part 4 挫折した円の国際化とドル・元の攻防
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15637
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/748.html

[原発・フッ素51] 田部康喜のTV読本 NHKスペシャル「廃炉への道2019核燃料デブリとの闘いが始まった」原発事故の調査報道は続いている
田部康喜のTV読本

NHKスペシャル「廃炉への道2019核燃料デブリとの闘いが始まった」原発事故の調査報道は続いている

2019/03/20

田部康喜 (コラムニスト)


(写真:ロイター/アフロ)
 NHKスペシャル「廃炉への道2019 核燃料デブリとの闘いが始まった」(3月16日、再放送予定・3月21日午前1時〜)は、原発事故の廃炉に向けた側面から、調査報道を続けてきたシリーズの今年の報告である。デブリの正体を明らかにするとともに、廃炉作業に取り組んでいる従業員のほとんどが地元の人々であることを示して、彼らの志を伝える。

 さらに、最も興味深いのは、デブリの本丸は原子炉格納容器ではなく、原子炉そのものに大量のデブリが存在する可能性が高いことを明らかにしたことである。

 「廃炉への道」シリーズのなかでも、出色のドキュメンタリーである。再放送は深夜にわたるので、録画による視聴をお勧めしたい。

デブリが存在する本丸は?
 東京電力福島第1原子力発電所は、1号機と2号機、3号機がメルトダウンして、格納容器の底にデブリと呼ばれる金属が解けた物質が溜まっている。「廃炉への道2017」では、デブリを探るロボットの開発試験と、デブリを冷却したあとの大量の汚染水を貯めておく巨大タンクに実態に迫った。

 東日本大震災から8年目に当たって、原発事故によって避難をよぎなくされた住民の声と、デブリの状態を映しだした映像が、新聞とテレビなどのメディアで繰り返された。

 今回のシリーズは、継続してきた原発事故の調査報道の実績の上に、新たな問題を浮かび上がらせた。メディアが伝える「デブリ」という漠然とした言葉が、その正体を現した。

 2号機の格納容器に対するロボットによる調査が、今回の白眉である。ロボットは、格納容器の横から管を貫通させて、そのなかを這うように進ませたうえで、下部に降ろされた。採取された金属の分析によって、原発の運転具合を調整する制御棒と、これを包むチャネルボックスであることがわかった。

 つまり、核燃料ではなかったのである。専門家は、核燃料の融点が2000数百度であるのに対して、制御棒やチャネルボックスの融点は1500度程度で相対的に低いことから、後者が先に溶け落ちたと推定している。

 となると、格納容器内のデブリの正体がそのようであるとすると、格納容器の上部にある原子炉こそ、核燃料などの高い放射線を放つデブリが存在する本丸である可能性が極めて高い。

周辺住民の帰還と同時進行する廃炉作業
 ところが、原子炉内の状況を探るロボットなどの機器の開発と、作業手順は手探りの状態が続いている。原子炉にロボットなどを上部から降ろすには、オペレーション・フロア(オペフロ)に散乱する瓦礫を除去しなければならない。しかし、オペフロの放射線量は極めて高い。作業員が年間に許容される線量が、たった20分で達してしまう。

 2号機は、1号機と3号機とは異なって、建屋の水素爆発が起こっていないので、ウランがオペフロに充満している。

 いずれも、格納容器は水で冷やされ続けている。デブリの状況はそれぞれで問題を抱えている。3号機はロボットによる格納容器の調査を進めたところ、堆積物に金属の筒が刺さっていてデブリの取り出しが難しい。金属物は原子炉から落下してきたものと推定されている。1号機はさらに困難を極めている。デブリに金属片があって、ロボットによるデブリの確認作業が進んでいない。

 廃炉作業に取り組んでいる作業員は、1日当たり約4000人。そのほとんどが原発周辺の住民であることは、原発事故以前に働いていた住民が多いことは想像していたものの、その数には驚かされる。

 地元の原発関連企業で働く、佐藤哲男さんはいま、原発内の排気塔の解体作業に取り組んでいる。地元の浪江町からは、原発の象徴のように高い排気塔が見える。

 「もともと、原発の作業員として働いていた。排気塔がなくなれば、廃炉作業が進んいることを周辺の住民に知らせることができると考えている」という。

 福島原発事故の収拾に向けて、廃炉作業は、周辺住民の帰還と同時進行しているという、世界でも初めての試みなのである。

 富岡町には約900人が帰還している。地元の小中学校では、室内と校庭の計3カ所で生徒たちが放射線量を調べている。数値は国の基準を上回ることはない。一方で、放射線に対する回避行動などの授業も始まっている。

 原発敷地内に林立している、汚染水を貯めたタンク計950基の問題も住民にのしかかっている。国の原子力規制委員会は、トリチウムを除去基準値以下にして、海に流すのが合理的である、としている。漁業者は風評被害を恐れる。原発事故によって、漁業が禁じられた水域の操業が徐々に認められ、魚の出荷もその種類が約200と事故前の水準に戻っている。

 漁業者の小松諒平さんは「ようやく高い壁を乗り越えたと思ったら、(汚染水の海洋放出は)突き落とされるような思いだ」という。

 NHKスペシャルは、原発事故のメルトダウンについても、シリーズでその原因を探ってきた。原因を探ると同時に、廃炉の課題を提示する調査報道が今後も続いていくことを願わずにはいられない。それは、他のメディアについてもいえることである。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15686
http://www.asyura2.com/19/genpatu51/msg/231.html

[環境・自然・天文板6] 死んだクジラ、胃に40キロ分のプラスチック 
死んだクジラ、胃に40キロ分のプラスチック

2019/03/20

BBC News


3月初めにフィリピンに打ち上げられたクジラの死体から、重さ計40キロにもなる大量のプラスチック袋が見つかった。地元の自然科学博物館が16日、明らかにした。

若いオスのアカボウクジラは死体となって、フィリピン南部ミンダナオ島ダヴァオの東に打ち上げられた。16日に死体を回収したディボーン収集博物館の研究者によると、「クジラの体内にこれほど大量のプラスチックを見つけるのは初めて」だとフェイスブックに書いた。

クジラの胃の中には「大量のプラスチック袋」や米袋16枚などが入っていたという。

博物館はフェイスブックに「とんでもないことだ。水路や海をごみ捨て場のように扱う連中を、政府は取り締まらなくてはならない」と書いた。

https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=2689346287758609&id=216407245052538&__tn__=-R

博物館の創設者、ダレル・ブラッチリー館長はCNNに「まさかこれほど大量のプラスチックが出てくるとは、思ってもみなかった」と話した。「あまりに大きい塊で、プラスチックの石灰化が始まっていた」という。

使い捨てプラスチックはフィリピンを含め、一部の東南アジア諸国で大きな社会問題となっている。

2015年に海洋保護団体とマッキンゼー・ビジネス環境センターが発表した報告書によると、海に流れ込むプラスチックごみの6割は、中国、インドネシア、フィリピン、ヴェトナム、タイのアジア5カ国から排出されるものだったという。

昨年6月にはゴンドウクジラがプラスチック袋80枚を飲み込み、タイ南沖で死亡しているのが見つかった。

英政府は昨年3月、海に流れ込むごみを減らす対策を進めなくては、海にプラスチックごみの量は10年間で3倍に増えると警告する報告書を発表している。

(英語記事 Dead Philippines whale had 40kg of plastic in stomach)

提供元:https://www.bbc.com/japanese/47621048


http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/703.html

[自然災害22] モザンビーク直撃のサイクロン「アイダイ」犠牲者は1千人 マラウイも少なくとも122人 見たことない光景 負傷1500以上
モザンビーク直撃のサイクロン「アイダイ」 犠牲者は1千人 

2019/03/19

BBC News


アフリカ南部モザンビークのフィリペ・ニュシ大統領は18日、サイクロン「アイダイ」による死者が1000人に上る可能性があると発表した。

ニュシ大統領は18日に被災地を訪れ、氾濫した河川には犠牲者の遺体が浮いていると説明した。

最大風速40メートルのアイダイは14日にモザンビークに上陸し、人口50万人の港湾都市ベイラでは地すべりが発生した。しかし、ベイラに救援隊が到着したのは17日だった。

国連の救援隊員はBBCに、ベイラにある全ての建物が被害を受けたと話した。

国連世界食糧計画(WFP)のジェラルド・ブーケ氏は、「被害のない建物はない。電気も止まっている。通信手段もない。道路は落下した電線でいっぱいだ」と話した。

「多くの家屋で屋根や壁が落ちてしまっている。たくさんの人が家を失った」

モザンビークに加え、隣国ジンバブエとマラウイでも被害が出ている。

イギリス政府はモザンビークとマラウイに600万ポンド(約8億8600万円)相当の人道支援物資を送るほか、モザンビークにはテントやシェルター設備なども供給するとしている。

モザンビークでの洪水と暴風による犠牲者は、公式の発表ではこれまでに84人。アフリカ南部全体では少なくとも180人に上る。

国際赤十字赤新月社連盟(IFRC)は、サイクロンの被害は「甚大で恐ろしい規模」だと説明している。

IFRCの調査チームを率いるジェイミー・ルスール氏は、木の上に逃げた人たちの救助が必要だったと話した。

ベイラの被害状況は?
当局によると、これまでに死亡が確認された犠牲者の多くはベイラ周辺の住民。ベイラは人口約50万人のモザンビーク第4の都市。

首都マプトの当局者はBBCの取材で、倒木や屋根の崩落などで1500人以上が負傷したと語った。

ベイラのあるソファラ州のアルベルト・モンドラネ知事は17日、「ほとんど何もかもが災害の影響を受けた。現在進行形で苦しんでいる人たちがいる。今も木の上にいて、急ぎ助けを必要としている人もいる」と話した。

ルスール氏はBBCのニュース番組「ニュースデイ」に主演し、ベイラの地元住民は街の道路を再開しようと「一生懸命に」働いていると語った。

ベイラとモザンビーク全土をつなぐ主要道路は被害を受けたが、空の便はすでに再開している。ニュシ大統領は、モザンビークに囲まれたエスワティニ(旧スワジランド)の被災地も訪問している。

ジンバブエとマラウイも被害に
ジンバブエ政府によると、アイダイによって少なくとも98人が死亡し、東部と南部で合わせて217人が行方不明となっている。

政府関係者によると、同国では災害宣言が発令されたほか、エマーソン・ムナンガグワ大統領は「直接的な対応を取るため」に、訪問中のアラブ首長国連邦(UAE)から早期帰国する。

モザンビーク国境に近いチマニマニ地区の病院では生存者が、洪水が家や家族を飲み込んだ様子を語った。

ジェイン・チツロさんはAFP通信の取材に、「娘ががれきのどこに埋まっているのか分からない。家具も服もなくなって、がれきと石しか残っていない」と話した。

マラウイでもサイクロンの前に降った雨が洪水と土砂崩れの原因となり、国連傘下のリリーフウェブによると、少なくとも122人が亡くなった。

今後の天候は?
BBCウェザーのクリス・フォークス気象予報士は、「モザンビーク北部やマラウイ南部では、今後数日にさらに雨が降る危険性がある」と分析している。

雷雨になる恐れもあるものの、「状況は複雑で、アイダイによる分厚い雲の層が残っており、これが雷雨を防ぐ可能性もある」という。

<分析>見たこともない光景――シンガイ・ニョカ、BBCアフリカ、ジンバブエ東部
チマニマニ地区への旅は、道の中央に現れた巨大なクレーターによって突然終わった。道路の下では川が唸りを上げ、大勢の人が道路の両側に立っていた。

これは、ムタレの街からチマニマニ地区へつながる幹線道路だ。それが切断され、救援隊も行く手を阻まれた。

地元住民は、見たこともない光景だと話している。その場に居合わせたエドソンさんとミリアムさん夫婦は、チマニマニ地区にいる親類と連絡が取れていないと言っていた。

(英語記事 Hundreds feared dead after Cyclone Idai)

提供元:https://www.bbc.com/japanese/47620596
http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/666.html

[自然災害22] サイクロン襲来のモザンビーク、死者1000人超か ジンバブエ死者98  トランプ、記録的な寒波を受け、地球温暖化を皮肉る
サイクロン襲来のモザンビーク、死者1000人超か
2019年3月19日 5:34 発信地:ベイラ/モザンビーク [ モザンビーク アフリカ ]
  
 
モザンビークのベイラで、サイクロン「アイダイ」の襲来後の被災地の様子、国連世界食糧計画(WFP)提供(2019年3月18日公表)。(c)AFP PHOTO / UN WFP / DEBORAH NGUYEN

【3月19日 AFP】モザンビークのフィリペ・ジャシント・ニュシ(Filipe Jacinto Nyusi)大統領は18日、国民向けの演説で、先週アフリカ南部を襲った熱帯サイクロン「アイダイ(Idai)」の死者が1000人を超える恐れがあると述べた。隣国ジンバブエでも100人近い死者と200人余りの行方不明者が出ているとみられている。

 アイダイは14日、モザンビーク中部のベイラ(Beira)に大きな被害をもたらした後、ジンバブエを直撃。暴風と鉄砲水により道路が冠水し住宅が押し流された。

 ニュシ氏は国民に向けた演説で「現時点での公式死者数では84人だが、被災地の状況を把握するためけさ上空から見た限りでは、死者数が1000人を超える恐れがある」と述べた。

 同氏は「これは深刻な人道的危機」だとし、「10万人余りが危険にさらされている」と警告した。

 キリスト教系非営利団体「ミッション・アビエーション・フェローシップ(MAF)」が公表した航空写真には、洪水で窓の高さまで家屋が浸水し、その屋根の上に取り残された人々の様子が捉えられている。国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)によると人口約53万人のベイラとその周辺地域の約9割が「損壊あるいは全壊」したという。

 AFPがまとめた集計によると、隣国のジンバブエではアイダイの被害による死者は98人、行方不明者は少なくとも217人となっている。AFPの写真記者によると、一部の道路で巨大な陥没穴(シンクホール)ができ、橋は鉄砲水で崩壊した。(c)AFP/Adrien BARBIER with Zinyange AUNTONY in Chimanimani
https://www.afpbb.com/articles/-/3216376


 

「一体どうなってるんだ? 」トランプ大統領、記録的な寒波を受け、地球温暖化を皮肉る
Sarah Gray
Jan. 30, 2019, 11:10 AM POLITICS5,192
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トランプ大統領

アメリカのトランプ大統領。

Jabin Botsford/The Washington Post via Getty Images

アメリカ中西部と北西部は今週、激しい寒波に見舞われている —— 気温がものすごく低いだけでなく風も強く、気象学者は「危険」な寒さだとしている。
この寒さについて、アメリカのトランプ大統領は「温暖化は一体どうなってるんだ? 」とツイートした。
天気と気候は違う。気候変動は、地球全体の気温が上昇しているという科学的理解だ —— その日が暑いか寒いかで定義されるものではない。
アメリカ中西部は今週、激しい寒波に見舞われている —— 気温がものすごく低いだけでなく風も強く、気象学者は「危険」な寒さだとしている。

この寒さについて、トランプ大統領は1月28日にツイートした。

「温暖化は一体どうなってるんだ? 」

「頼むから早く戻ってこい、きみが必要だ! 」

トランプ大統領は気候変動に疑問を呈する手法として、こうしたコメントを以前から繰り返している。しかし、"寒いから温暖化は存在しない"という前提がそもそも間違っている。

天気と気候は違う
アメリカ海洋大気庁(NOAA)が説明しているとおり、「天気は毎日、大気中で起こるさまざまな出来事が入り混ざったもの」だ。天気は「気圧、気温、湿度、風速、風向」などの影響を受けて、時間とともに変化する。

「天気が大気の短期的な変化である一方、気候は特定の地域の長期的な天気傾向を説明するものだ」とNOAAのウェブサイトは続く。天気とは異なり、気候は長い期間にわたって変化する。ある1日の天気が気候全体を定義するのではない。NOAAが良い例えをしている —— 天気は特定の日に何を着たらいいか教えてくれ、気候はクローゼットにどんな服を揃えておけばいいか教えてくれる。

科学者たちは気候変動が起きていると警告
気候変動は、地球全体の気温が上昇しているという科学的理解だ —— その日が暑いか寒いかで定義されるものではない。

アメリカ航空宇宙局(NASA)によると、気候変動は「20世紀半ば以降の人間の活動の結果である可能性が非常に高く(95%以上の可能性)、これまでにない速さで進んでいる」。

2018年11月にアメリカ政府が発表した、気候変動とその影響に関するレポート『第4次全米気候評価(Fourth National Climate Assessment)』は、「これまでの自然変異のペースに比べ、地球の気候は急速に変化し続けている」と説明している。

「平均気温や海面上昇、海洋表層貯熱量、陸上の氷の融解、北極海の海氷、永久凍土の融解といった世界のトレンドとその他の気候変数は、地球温暖化の一貫した証拠を提供している」

つまり、気候と天気は2つの異なる概念だが、気候の変化は天気に影響する。同レポートによると、気候変動は「異常気象事象の頻度、継続時間、規模の大きさ」に影響を及ぼしている。

こうした異常気象事象には、台風やハリケーンを含む熱帯低気圧や極端な暑さ・寒さ、激しい雷雨、竜巻、冬の嵐などが含まれる。


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[原文:Trump tweets falsehoods about climate change and cold weather — again]

(翻訳、編集:山口佳美)
https://www.businessinsider.jp/post-184243

温暖化で深刻被害、トランプ氏「信じない、米はきれい」
ワシントン=香取啓介 2018年11月27日21時21分

 
26日、ホワイトハウスで記者団からの質問に答えるトランプ米大統領=ワシントン、ランハム裕子撮影

 
 地球温暖化が米国の経済に深刻な被害をもたらすとした米政府の「国家気候評価書」について、トランプ米大統領は26日、「私は信じない」と述べた。「我が国はかつてないほどきれいだ」として、中国と日本を名指しし、他国が対策をしない限り、これ以上の対策は取るつもりはないと強調した。

 評価書はエネルギー省など13の政府機関が携わり、4年に1度作られる。感謝祭休暇中の23日に公表され、温暖化に関連するハリケーンや山火事などの被害で、2015年以降だけで4千億ドル(約45兆円)の損失が出たとしている。米メディアによると、評価書は、適切な対策が取られなければ2100年までに米国の国内総生産の最大10%の経済損失が出ると指摘している。

 この日、評価書について記者団に問われたトランプ氏は「一部を読んだ。良かった」と述べたが、経済に破壊的な影響があるとの内容について問われると「私は信じない。(報告書は)中国や日本やすべてのアジアの国、そのほかのすべての国にも向くべきだ」と反論。「米国はかつてないほどきれいだ。米国だけがきれいになっても、他国が汚ければ、それは良くない」と持論を展開した。

 トランプ氏は17年に、温暖化対策の国際ルール「パリ協定」について、中国などと比べて、米国の経済に不利だと主張し、離脱を表明した。日本に言及した理由は不明だ。(ワシントン=香取啓介)https://www.asahi.com/articles/ASLCW2RMWLCWUHBI00D.html?iref=pc_rellink

http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/667.html

[自然災害22] 気候変動での年間死者25万人は“控え目な予測”と最新論文。日本も例外ではない 気候変動が海上の雲を壊して温暖化を加速 
気候変動での年間死者25万人は“控え目な予測”と最新論文。日本も例外ではない
大倉瑶子
Jan. 22, 2019, 05:00 AM LIFE
 
「気候変動は、健康上の緊急事態だ」

世界で最も歴史を誇る米医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」の最新論文で、研究者たちが警鐘を鳴らした。

氷面が減り追い詰められるホッキョクグマ

地球温暖化や気候変動の問題は誰もが知っているが、その深刻さは想像以上だと指摘する声が出ている。

shutterstock / Alexey Seafarer

異常気象が次々と観測される中、「地球温暖化」「気候変動」という言葉はもはや耳慣れたものとなった。

2018年10月には、国連の気候変動に関する政府間パネルのレポートが、2030年にも世界の気温が産業革命前に比べて、1.5度上昇すると警告したばかりだ。この気温の上昇により、洪水や干ばつ等の異常気象のリスクが高まり、海面も2100年までに0.26〜0.77メートル上がると予測されている。

死者数への影響はもっと複雑
栄養失調の男の子

気候変動による死者と予想される25万人には、多くの子どもたちも含まれている。

Getty / Daniel Berehulak

気候変動が我々の生活に及ぼす影響は、健康・医学分野も例外でない。

5年前、世界保健機関(WHO)は気候変動が現状のまま進行すれば、熱中症やマラリア等の感染症が深刻化し、このような病気による死者が2030〜50年には、現在より年間で約25万人増加するとの予測を公表した。

この25万人のうち、高齢者の熱中症が3万8000人、マラリア感染者が6万人、そして、子どもの栄養不足が9万5000人だ。

しかし、先日発表された最新論文では、年間25万人の死者数は控えめな予測であると断言した。

研究共著者のアンディ・ヘインズ氏はCNNの取材に対して、「死者数への影響はもっと複雑で、穀物等の食糧の生産量や気温の上昇による農家の生産性、さらには、気候変動による人口移動も考慮する必要がある」と取材で述べている。

日本でも変わる野菜や果物の収穫
さつまいもを収穫している様子

日本では野菜の生育状況にも変化が現れている。

shutterstock / hiroshi teshigawara

気候変動の大きな要因となっているのは温室効果ガスの排出だが、数ある温室効果ガスの中でも、二酸化炭素の影響は深刻だ。論文ではこの二酸化炭素の濃度が上昇することで、米や麦等の穀物の栄養価(プロテインやビタミンB)が下がると指摘。さらに、2050年には野菜や果物の収穫量も減少し、約53万人もの死亡につながるとするデータを紹介している。このような死亡例の大半は、南アジアと東アジアで起こるという。

食糧供給への影響は、日本も例外ではない。

環境省も、気候変動の影響が全国の野菜の生産に現れていることは「明らかである」と言い切っている。特にキャベツなどの葉菜類や大根などの根菜類では、収穫が早まる傾向にあるほか、生育障害の発生頻度の増加もみられると予測されている。野菜は、栽培時期の調整や適正な品種選択により、生産ができなくなる可能性は低いとしつつも、今後さらなる気候変動が、野菜の計画的な出荷を困難にする可能性があるという。

一方で、果物は気候への適応が非常に低いうえ、一度植栽すると同じ樹で 30 〜40 年栽培するため、特に1990年代以降の気温上昇に 適応できていない場合が多いとしている。

医療施設・従事者も気候変動へ対応を
パソコンに向かう医師

病院や医者のキャパシティが試される。

Alexander Gatsenko / Shutterstock.com

対応策が講じられない限り、高温や空気汚染による病気や媒介性の感染症が広がるうえ、食糧不足による栄養失調も進み、人々の疾病率と死亡率は増加する。

論文では、このような状況に対応できるよう、病院や医者のキャパシティも試されていると、医学界に呼びかけている。例えば、海面温度・気温上昇によって変わる感染症の発生時期や場所を把握して、予防・適応策を講じるほか、医療施設が洪水等のリスクにさらされていないか、立地も再考する必要がある。

本記事の筆者も、米系国際NGOのMercy Corpsで、「Zurich Flood Resilience Alliance」という洪水防災の5カ年プロジェクトを担当している。洪水の被害を、適切な政策や投資によって、最小限にとどめることが最大の目標だ。ただ、気候変動により増加する洪水被害を考える際には、現場の知識やプログラム運営に加えて、学問的データも必要となるため、チューリッヒ保険やロンドン・スクール・オブ・エコノミクスと組み、官民学が連携する形で事業を進めている。

十分な医療施設がないことで広がる被害
日本でも、この100年間で国内の主要10都市すべてが2度以上、高くなっている。2018年の夏は特に記録的暑さとなり、熱中症で過去最多の9万5000人が救急搬送され、160人が死亡した。高齢化が進む中、救急搬送者の約半数が65歳以上であったことも、特筆すべき点だ。

また、地球温暖化が進めば、海水からの蒸発が盛んになり、大量の水蒸気が大気中に蓄えられ、より強い熱帯低気圧が発達しやすくなる。2017年にプエルトリコを襲ったハリケーン・マリアの犠牲者のうち、3人に1人の死因は、強風や大雨の直接的被害ではなく、十分な医療施設やヘルスケアがなかったためであることは、あまり知られていない。

もちろん、気候変動の根本的な要因の根絶や現状への対応をするには、あらゆる分野と人々が力を合わせる必要がある。しかし、このような健康・保健上のリスクが明らかになっている中、緊急時に頼りとされる医学界も気候変動に取り組まなければいけないということだ。

論文と合わせて発表された医学雑誌の社説でも、化石燃料の使用等による環境破壊が、空気汚染や熱中症などの健康被害にどうつながるか、医師ならではの立場を活用し、人々の理解を促すことができると、懸命な呼びかけが綴られている。

「私たちも、気候変動がコミュニティや未来の子どもたちの健康に及ぼす影響を恐れている。しかし、ただただ絶望するのではなく、自分たちの声を最大限活用して、医学生に環境にやさしい行動を呼びかけたり、同様な問題意識を持った研究者とつながったり、政策決定者と対話をしたりする必要がある。アメリカには現在100万人以上の医師がいるが、行動に責任を持たなければならない。次の世代に、“気候変動に対して何をしたか“と聞かれたときに、しっかりと答えを提示したい」

と、締めくくっている。

大倉瑶子:米系国際NGOのMercy Corpsで、官民学の洪水防災プロジェクト(Zurich Flood Resilience Alliance)のアジア統括。従業員6000人のうち唯一の日本人として、防災や気候変動の問題に取り組む。慶應義塾大学法学部卒業、テレビ朝日報道局に勤務。東日本大震災の取材を通して、防災分野に興味を持ち、ハーバード大学大学院で公共政策修士号取得。UNICEFネパール事務所、マサチューセッツ工科大学(MIT)のUrban Risk Lab、ミャンマーの防災専門NGOを経て、現職。インドネシア・ジャカルタ在住。
 
  
https://www.businessinsider.jp/post-183577


 

 

気候変動が海上の雲を壊して温暖化を加速、最新シミューレーション結果で判明
2019年2月26日 by Devin Coldewey
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気候変動が世界中の天気やエコシステムに影響を与えていることは周知の事実だが、正確に何がどのように起きているかは今も学者たちが真剣に研究しているところだ。超高速コンピュータで可能になった最新シミュレーションによると、二酸化炭素が一定濃度に達すると、海上の雲が消滅し、温暖化が加速して悪循環に陥る可能性がある。

Natureで公開された論文には、最新のシミュレーションによる雲の形成および太陽光の与える影響が詳しく書かれている。カリフォルニア工科大学の研究者らは、従来のシミュレーション技術の精度ではメートル単位での影響を調べることはできかったと説明した。

従来のモデルでは海上に浮遊する層積雲の予測が特に苦手で、それが大きな問題だった、と彼らは書いている。

層積雲が熱帯海洋の20%を覆い、地球のエネルギーバランス(短波放射の30〜60%を反射して宇宙に戻している)に著しい影響を与えるにつれ、その気候変動のシミュレーション結果は地球全体の気候応答を示している。

気温の変化と温室効果ガスの濃度がどのように影響を与えているかを知るためには、雲のより精密なシミュレーションが必要になる。テクノロジーはそれに貢献できる。

高速コンピューターと雲のラージエディーシミュレーション(LES)が進化したおかげで、研究者は「限定された領域内の積層雲をかぶった境界層の統計的に安定した状態を正確に計算できる。ここで『限定された領域』というのは、詳しくシミュレーションされている5 km四方の領域のことだ。

Weather and climate-related disasters cost the US $80 billion in 2018, but go ahead and say climate change isn’t real


改善されたシミューレーション結果は不安を誘うものだった。二酸化炭素濃度が1200 ppmに達すると、増加した入射電磁波によって雲の上端の冷却が妨害され雲の形成が突然破壊される。その結果雲は容易に作られなくなり、太陽光の入射が増えて温暖化問題が悪化する。このプロセスは亜熱帯地方の温暖化を8〜10度上昇させる可能性がある。

もちろんまだ抜けている点はある。シミューレーションはシミューレーションにすぎない。ただしこのシミューレーションは今日の状況をよく予言しており、雲系の中で起きているさまざまなプロセスを正確に反映しているようだ(しかも起きうる誤差は悪い方に働くかもしれない)。現在の世界は1200 PPMにはまだ遠く、NOAAの現行測定値は411だが、一貫して増加している。

https://techcrunch.com/wp-content/uploads/2019/02/noaanasaPPM.png

これが起きるまでには数十年かるだろうが、一度おきてしまえば被害は壊滅的でおそらく戻すことはできない。

なお、火山噴火などの大きな気象イベントによって、こうした数字が一時的だが劇的に変わることがある。過去に地球は気温や二酸化炭素濃度の急激な変化を経験しており、雲の消失とその結果起きる温暖化のフィードバックループがそれを説明している。(Quantaの記事に現状と背景が詳しく書かれているので興味のある方には一読をおすすめする)。

積層雲の不安定化の可能性についてはさらに調査を重ねて、現在モデルで推測している部分を埋めるデータを得る必要がある。多くの頭脳(とGPUクラスター)が参加するほど、気候変動が今回のような特定の気象系に与える影響についてよいアイデアが見つかるだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook )
https://jp.techcrunch.com/2019/02/26/2019-02-25-climate-change-kills-off-clouds-over-the-ocean-in-new-simulation/


 


地球温暖化で自然災害の深刻さは増すばかり ── 2018年、記録やぶりとなった自然災害を振り返る
Peter Kotecki
Dec. 10, 2018, 03:00 PM NEWS 

炎が燃え広がることを防ぐ消防士。カリフォルニア州パラダイス。2018年11月9日。

Justin Sullivan/Getty Images

2018年は、山火事、ハリケーン、地震などさまざまな自然災害によって数千人が亡くなった。
こうした自然災害は地球温暖化の進展とともに深刻さを増すと科学者らは述べた。
2018年、死者数や風速や降水量などで記録破りとなった自然災害を見ていこう。
2018年、自然災害が世界中の地域を破壊した。数千人が命を落とし、被害額は数十億ドル相当にのぼった。

9月には、マグニチュード7.5の地震が発生し、高さ最大20フィート(約6メートル)の津波がインドネシアを襲い、少なくトオ1900人が死亡した。

翌月の10月にはアメリカ本土に上陸したハリケーンの中で、過去50年で最も勢力の強いハリケーン「マイケル」がノースカロライナ州、サウスカロライナ州を襲い、十数人の命を奪った。

その直後にはアメリカ史上最悪とも言える火事がカリフォルニア州で発生した。車は溶け、遺体は骨になるまで焼かれ、町全体が焼き尽くされた。

こうした記録的な自然災害の多くは、陸地や海での気温上昇によって引き起こされた。地球温暖化によって、自然災害の深刻さは大きくなる一方と科学者らは語った。

2018年に発生した自然災害を振り返ろう。


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スライドショー
10月、フロリダ州パンハンドルを直撃したハリケーン「マイケル」は、同地域に上陸したハリケーンの中で最も勢力が強いハリケーンとなった。死者は60人にのぼった。
ハリケーン「マイケル」が去った後、瓦礫が残った。フロリダ州、メキシコビーチ。2018年10月11日。

ハリケーン「マイケル」が去った後、瓦礫が残った。フロリダ州、メキシコビーチ。2018年10月11日。

Gerald Herbert/AP

海沿いの小さな町メキシコ・ビーチは、最も被害を受けた地域の1つ。ハリケーンの中、人口約1000人のうち、およそ285人が避難せずに家に残った。
ハリケーン「マイケル」に破壊された家の残骸の中に立つ女性。

ハリケーン「マイケル」に破壊された家の残骸の中に立つ女性。

Joe Raedle/Getty Images

山火事「キャンプ・ファイア(Camp Fire)」は11月8日に燃え広がり、カリフォルニア史上、最悪の山火事となった。死者は少なくとも88人。
山火事「キャンプファイヤー」と戦う消防士

山火事「キャンプファイヤー」と戦う消防士。カリフォルニア州パラダイス。2018年11月8日。

Noah Berger/AP

多くの住民には、電話による避難指示が届かなかった。住民の1人は、パラダイス市から避難する途中、渋滞に巻き込まれ歩いて避難しなければならなかったとBusiness Insiderに語った。
山火事「キャンプ・ファイア」の後に残された車の残骸

山火事「キャンプ・ファイア」の後に残された車の残骸。カリフォルニア州パラダイス。2018年11月9日。

Justin Sullivan/Getty Images

同時に発生したもう1つの山火事「ウールジー・ファイア」は記録やぶりなものではなかったが、今年、最も衝撃を与えた山火事の1つとなった。2人の死者を出したうえ、高級住宅街マリブに迫り、海岸沿いの多くの邸宅を焼失させた。
カリフォルニア州マリブ、マリブ湖付近の住宅を燃やす山火事「ウールジー・ファイア」。2018年11月9日。

カリフォルニア州マリブ、マリブ湖付近の住宅を燃やす山火事「ウールジー・ファイア」。2018年11月9日。

AP Photo/Ringo H.W. Chiu

カナダ・ブリティッシュコロンビア州でも記録的な山火事が発生した。8月、約5020平方マイル(約1万3000平方キロメートル)が焼失、2017年の被害を上回った。
カナダ・ブリティッシュコロンビア州の山火事

カナダ・ブリティッシュコロンビア州、キャッシュクリークの町の北東部で燃える山火事。2018年7月18日。

Ben Nelms/Reuters

熱波が続き、複数の国で最高気温を記録した。
パリで日傘を差す観光客

日傘を差しながら、パリ・ノートルダム大聖堂を訪れるスペイン人観光客。2018年8月6日。

Michel Euler/AP

アルメニアでは7月、最高気温を記録した。日本でも7月に41.1℃を記録、最高気温を更新した。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校では7月6日、観測地点史上最高となる華氏111度(摂氏約43.8度)を観測した。

またワシントン・ポストも、北アイルランドのベルファスト、カナダのモントリオール、南のロシアの一部でも最高気温を更新したと伝えた。

世界最高の最低気温は華氏109度(摂氏約42.8度)、6月28日、オマーン・クリヤットで記録した。
サイクロン「メクヌ」によって分断された道路を見守る人々

サイクロン「メクヌ」によって分断された道路を見守る人々。オマーン・サラーラ。2018年5月26日。

Kamran Jebreili/AP

観測史上最低の降水量により、多くの地域で深刻な干ばつが発生した。
干上がったライン川の川底

干上がったライン川の川底。草が生え始めた。ドイツ・レーンドルフ。2018年8月17日。

Wolfgang Rattay/Reuters

例えば、ドイツの国際放送ドイチェ・ヴェレによると、2018年の夏と秋はドイツ史上、最も雨が少なかった。

干ばつによって湖や川の水位が下がり、農家は大打撃を受けた。

ハンガリーでもドナウ川の水位は観測史上最低を記録した。干ばつによって、河川輸送が妨げられているとロイターは報じた。

一方で、ボルチモアなどの都市の年間降水量は史上最高となった。
水没した道路を調べる市の作業員

水没した道路を調べる市の作業員。インド、ムンバイ。2018年7月3日。

Rajanish Kakade/AP

インドネシアの地震では1900人以上が命を失い、数千人が行方不明となった。地震と地震による津波の規模は同国史上最大というわけではなかった。しかし、被害が大きかったこと、そして警報システムが機能しなかったためニュースに大きく取り上げられた。
捜索にあたる救助隊

捜索にあたる救助隊。インドネシア・スラウェシ州パル。

Antara Foto/Muhammad Adimaja/ via REUTERS

夏にはインド南部ケララ州を襲った洪水で少なくとも350人が死亡した。
水没するバス

Raj K Raj/Hindustan Times via Getty Images


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[原文:Natural disasters set records around the world in 2018. These were some of the worst.]

(翻訳:Yuta Machida、編集:増田隆幸)
https://www.businessinsider.jp/post-180959
http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/668.html

[国際25] 米国の大学に押し寄せる中国人は、金の卵かスパイか 中国の台頭が楽園にもたらすトラブル 一帯一路巡る誤解は回避しがたい
米国の大学に押し寄せる中国人は、金の卵かスパイか
米超有名大学で発覚したスキャンダルが炙り出したもう一つの大問題
2019.3.20(水) 高濱 賛
超有名大学スキャンダルの陰であまり目立たなかったが、英語力テストの不正で中国人6人が逮捕された
大学不正入学スキャンダル
セレブは私立名門校、中国人は公立名門校
 ハリウッドスターや投資会社CEO(最高経営責任者)などを顧客に子弟を名門大学に裏口入学させていた裏口入学斡旋業者(自称、進学指導経営)が逮捕された。

 米メディアは「史上最大の不正入学スキャンダル」と騒いでいる。

 一言でいうと、受験の答案を書き換えさせたり、名門校が運動選手を優遇する「スポーツ奨励制」を悪用し、運動部のコーチを買収してスポーツの実績を水増しさせて子弟たちを裏口入学させていたのだ。

 業者は総額2500万ドルを懐に入れた。収賄、司法妨害など有罪判決を受ければ最高禁固10年、罰金25万ドルが科せられる。

 対象となった大学は、イエール、スタンフォード、ジョージタウン、南カリフォルニア(USC)といった私立の名門中の名門。

 確証はないのだが、筆者が何度か聞いた噂がある。米名門大学の中には、大学への施設寄付など「大学の地位向上への貢献」した親の子弟や親が同窓の子弟の入学には一定の便宜を図っているという。

 また今や大学スポーツは花盛り。大学チームがフットボールやバスケットボールで活躍すれば、それだけ知名度を上げることができる。

 それだけ志願者も増えるし、愛校心に目覚めた同窓生からの寄付が増加する。テレビ中継料や入場料収入も期待できる。大学がスポーツに力を入れるのは当然だ。

悪徳コーチの中にはオバマ一家のテニスコーチも
 そこでできるだけ優秀な運動選手を獲得しようとする。

 スポーツ特待生奨学金や学費免除などをちらつかせてスカウトする大学はざらだ(このあたりは日本でも甲子園常時出場高校などと同じだ)。

 また名門校でもスタンフォードなどは「一芸に秀でた学生」を正規の枠とは別枠でスポーツ選手を入学させる学校もある。

 つまり今回のような「大学入学を巡る過去最大のスキャンダル」(ニューヨーク・タイムズ)を生む土壌は昔からあるのだ。

 今回の手口の一つは、特定のスポーツの大学コーチを買収し、一般入試では到底合格できないような運動能力しかない受験生に下駄を履かせて優秀運動選手枠で裏口入学させていたこと。

 だが、ここまで大規模な収賄事件が露呈するとなると、当該大学にとっては伝統も名声もあったもんではない。

 スキャンダルの余波は広がっている。これらの大学に入ろうとして不合格になった志願者の家族が当該校を相手取って集団訴訟を起こしている。

 「セレブがカネを使って成績の悪い子弟を大学に押し込んだ結果、当然合格していた自分たちの娘息子が入学できなかった。大学当局の責任は重い」という訴訟だ。

 今回の不正入学スキャンダルで注目されるのは、親たちの大半が民主党支持層でリベラル派であることだ。

 逮捕されたコーチの中にはバラク・オバマ前大統領の娘たちにテニスをコーチをしていたジョージタウン大学の黒人コーチもいた。

 裏口入学には保守派もリベラル派もないのだ。保守系メディアは、鬼の首でも取ったような喜びようだ。

 「民主党のリベラルは教育の平等だ、貧富の格差是正だと言いながら実際には娘息子をカネで名門校に不正入学させようとしていた。偽善そのものではないか」(保守派コラムニストのトミ・ラーレン氏)

https://insider.foxnews.com/2019/03/14/tomi-lahren-college-admissions-scandal-hypocrisy-hollywood-elites

セレブの裏口入学は20万ドルから650万ドル
中国人の「替え玉受験」はたった400ドル
 ところがこのセレブ名門校不正入学スキャンダルが大々的に報じられた3月13日、大学不正入試でもう一つのスキャンダル事件が公になっていた。

 セレブ不正入学に比べると、報酬額も少なく、規模も小さい。そのため米メディアは大々的には報じていない。

 しかも不正入学を周旋、加担したのが名門大学の関係者やコーチではなく、収賄したのがセレブではなく、言ってみれば、地位も名もない中国人だった。

 米国土安全保障省傘下の米市民権移民局(USCIS)が同日、発表したリリースは以下のようなものだった。

 「米司法省当局は、学生ビザを取得しようとしていた中国国籍者に代わって『外国語としての英語能力検定試験』(TOFEL)を受けるために人を雇う陰謀の件で5人を逮捕した」

 逮捕された5人はいずれも米国在住の中国人。全員中国籍。首謀格のリュウ・カイ容疑者(23)はカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)を卒業している。

 他の4人は23歳から24歳の男3人、女1人。逮捕状はもう1人出ているが、その男(33)は現在台湾に住んでいるとされている。いずれも米大学に留学した経験がある。

 5人の手口は、米国留学を目指す中国在住の若者たちの旅券を偽造、彼らに成りすましてオンラインでTOFEL試験を受け、合格に必要な成績を取り、それを基に志望する大学の入学許可を取得するというもの。

 このための費用として1人当たり400ドルを請求していた。セレブの不正入学とは支払い額では雲泥の差だ。

 カオ容疑者の場合は、2015年から2016年の間に14人の中国人になりすまして替え玉受験していたという。6人がこの手口で40人の中国人を入学させていた。

https://www.uscis.gov/news/news-releases/5-arrested-scheme-hired-people-take-english-proficiency-exam-behalf-chinese-nationals-seeking-student-visas

年間8000人の中国人留学生が退学
 こうしたTOFELを巡る不正行為は今に始まったわけではない。

 2015年にはペンシルバニア州立大学ではTOFEL受験で不正行為をして入学していた中国国籍留学生15人がいたことが発覚し、米連邦検察当局が起訴。

 2016年にはオハイオ州立大学で中国人留学生が受験不正行為を働いていたことが発覚して起訴された。

 同じくカリフォルニア大学アーバイン校とアリゾナ州立大学でも、TOFEL替え玉受験をしていた中国人学生が起訴されている。

 まさに中国人による不正受験は「年中行事化」していた。

 対象となる米大学は、「1年間にベンツが1台買えるほど授業料(年間約5万6000ドル)がかかる」(父兄の一人)私立大に比べ、授業料が格段に安い(年間約1万4000ドル)州立大学だった。

 不正入学を請け負った中国人たちは、1人から400〜1000ドルの謝礼を受けていた。懲役5年、罰金25万ドルの判決を受け、刑期終了後は国外永久追放だ。

 もっとも、こうして入学した全く英語力のない中国人留学生が大学でまもとに授業を受けられるはずもない。

 毎年8000人以上の中国人留学生が入学後も続けるカンニングや論文盗作など不正行為や成績不振で米大学から退学処分されている。

 これは米国に拠点を置く中国語サイト「博訊」(ボシュン)が報じている。

 中国人の替え玉受験は何も米大学入試に限ったものではない。中国で毎年行われている「全国統一大学入試」(高考)でも受験生になりすまして替え玉受験するケースが頻繁に起こっているという。

中国人理系に「学生の衣を着たスパイ」
 中国人が「米大学に留学して箔をつけたがる“雑魚”」だけなら米司法当局がこれほど血眼になって不正入学を捜査はしない。

 「雑魚」をとっ捕まえて国外追放すればいい。

 しょせん、資金難で学校経営が苦しい米公立大学が過去10年間、授業料を全額出してくれる中国人留学生を必死になってリクルートした結果、中国から「雑魚」を集めすぎた代償ともいえる。

 問題はなぜ、中国人の若者がそれほど米大学に入りたがるのか、だ。

 中国事情に詳しい米国務省関係者によれば、米留学を希望する中国人には2種類あるという。

 一つは、北京大学など中国のエリート校に入れなかったもの。米大学を出て箔をつけて帰国し、政府や中国共産党の要職に就こうとする若者だ。

 もう一つは、中国のエリート校を卒業し、さらに大学院で専門分野を極めようとする学者の卵やすでに博士号を取得し、米国の先端技術を学ぼうとする研究者たちだ。

 米司法当局が狙っているのは後者だ。

 ドナルド・トランプ大統領は、2017年12月、「国家安全保障戦略」(National Security Strategy)と銘打った大統領令を発令した。

 その一項に「米政府は、知的所有権を有する研究分野を保護するために指定された国から留学しているSTEM(科学・技術・工学・数学の教育分野)専攻学生に対する制約を検討する」という項目が盛り込まれた。

https://foreignpolicy.com/2017/12/18/five-takeaways-from-trumps-national-security-strategy/

 「指定された国」は言うまでもなく中国を指している。

 この大統領令を受けて、米政府はそれまで5年間の有効期限だった中国人大学院留学生のビザ期限を1年に短縮する一方、博士号を取得後、米国内の研究所、機関で働いている中国人に対する永住権取得を容易にする方策を打ち出している。

 こうしたトランプ政権の中国人学生対策の基本方針は、反中国強硬派のステファン・ミラー大統領補佐官兼主席スピーチライターの発案とされる。

 同補佐官は、中国人留学生が米研究機関から先端科学技術を盗み出し、それを本国に持ち帰っていると主張してきた。

 同補佐官の主張は、「米国の知的所有権窃盗行為に関する委員会」がまとめた実態調査からも裏づけられている。

http://www.ipcommission.org/press/IPC_press_release_030818.pdf

 ところが、中国人のSTEM専攻研究者に対する制約強化案には米国内でも反対する声が出ている。

 米国際戦略問題研究所(CSIS)やイエール大学の研究者たちの主張はこうだ。

(1)中国人留学生を十把一絡げにしてスパイ扱いすれば、中国共産党・政府の反米宣伝を煽るだけだ。

(2)中国からの留学生は米中交流促進に役立っている。

(3)中国からの優秀な研究者たちは米国の科学技術強化に貢献している。

(4)中国からの留学生36万人は米大学経営にとっては重要な財源となっており、そのうち8割から9割は学位取得後米国に残る意思表示をしている。

https://defense360.csis.org/bad-idea-banning-chinese-students-from-studying-in-the-united-states/

https://yaledailynews.com/blog/2018/11/30/federal-scrutiny-on-chinese-students-causes-campus-concern/

 中国人留学生を巡るスキャンダル事件とトランプ政権の対中国人学生対応策。米中の国家安全保障・通商摩擦を絡み合いながら複雑な実情も浮き彫りになっている。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55800


 
2019年3月20日 The Wall Street Journal
中国の台頭が楽園にもたらすトラブル
フィジーの海岸
Photo:iStock/gettyimages
――筆者のウォルター・ラッセル・ミードは「グローバルビュー」欄担当コラムニスト

***

 【ビティレブ島(フィジー)】筆者は最近フィジーを訪れ、素晴らしい南太平洋の島々が依然として世界中で最も楽園に近い姿を維持していることを確認できた。しかし、光り輝く透明な海と美しいサンゴ礁の近くで、何やら黒い影がうごめいているのも目にした。

 米国と中国の覇権争いが激化するのに伴い、オセアニア地域に散在するこの人口密度が低い島々は今後、地政学上の火種になるだろう。両国の争いはすでに、これら島しょ諸国の脆弱(ぜいじゃく)な社会に緊張をもたらしている。これらの小規模かつアクセス手段が極めて限られる島しょ諸国に対し、米中、そしてオーストラリアが政治的影響力を強めようとするなか、こうした緊張状態はさらに深刻化するだろう。

 米国が南太平洋に持つ利害関係は根深い。米捕鯨船員の保護から始まったこの海域での米海軍のプレゼンスは200年の歴史を持つ。米国の政治家はずっと以前から、自国の安全保障は太平洋地域での米国の影響力に依存すると信じてきた。ジョン・タイラー大統領(当時)は1842年、モンロー主義をハワイにまで広げた。その1世紀後には、第2次世界大戦中の激戦により、この地域の重要性が強く印象付けられた。多くの米国民が国外への積極的介入の抑制を望んでいる時代でさえ、有権者も政府当局者も引き続き、南太平洋の治安と安定の維持に関心を向けるだろう。

 長年にわたり、この地域での外交のドラマは、台湾と中国による外交的承認をめぐる争いを中心に展開されてきた。島しょ諸国は包括的援助と引き替えに、台湾と中国のどちらかを承認することに同意してきた。輸出産品を多く持たない小規模な国々にとって、外交承認は魅力的な道具となった。台湾と外交関係を維持している世界の17カ国のうち、6カ国は南太平洋か中部太平洋にある。

 一方で中国はこのところ、太平洋島しょ諸国との関係を強化しつつある。パプアニューギニア、バヌアツ、フィジーなどに対する大規模投資や援助の計画は、オーストラリアやニュージーランドに警戒感を抱かせるものとなっている。さらに中国は経済圏構想「一帯一路」への参加を望む国に大規模なインフラ支援措置を提示している。トンガの中国に対する債務残高は同国国内総生産(GDP)の約3分の1の規模に達している。

 太平洋地域の一部諸国は中国の新たな活動を歓迎している。シーレーンや海軍基地の確保をめぐる欧米諸国と中国の争いは、中国と台湾の外交的地位をめぐる単純な競争より魅力の大きいものと映るからだろう。こんな風に地政学を見ている国が金銭で買収されやすいことを外国人は嘲笑しがちだが、これら諸国に罪の意識を感じている余裕はない。

 例えばフィジーは、米中央情報局(CIA)刊行の「CIAワールド・ファクトブック」によれば、人口が92万6000人で国内総生産(GDP)は49億ドル(約545億3700万円)と小さい。それでも同国は居住者のいる110の島に対してインフラと基本サービスを提供しなければならず、48万6000平方マイル(約125万8700平方キロ)の海域に広がる200以上の無人島を含む領域の監視も必要だ。フィジーの北側に位置するキリバス群島はアラスカ州の2倍の規模の海域に広がる国だが、人口は10万9000人、GDPは1億9700万ドルしかない。

 これらの島々では良い仕事を見つけるのが難しい。大学を卒業した若者は、シドニーやニュージーランドのオークランドといった都会に吸い寄せられていく。島々には製造業がほとんどないか全くないため、燃料、繊維から薬品に至るまでの物資を輸入に頼っている。そして産業の中心地から距離が離れているため、これらの価格は通常高い。こうした状況にあるため、島々には地理的立場を利用して金銭的および外交的な恩恵を得ようとする動機がある。

 米国と同盟国(依然としてこの地域に領土を持つフランスと英国を含む)の優先事項は、中国との間で危機や衝突を生じさせるリスクを低減しながら、こうした国々を欧米諸国側に引き込み、安定的で深化した関係を築くことだ。

 これは一筋縄ではいかないだろう。パプアニューギニアのような国々の経済発展は、鉱物資源開発に依存している。パプアニューギニアは1975年までオーストラリアが統治していたが、現在の主な輸出先は中国であるため、中国政府と緊密な関係を持つことは間違いない。中国が港湾や鉄道インフラの建設費用を融資する意向を示していることで、この関係はますます緊密になる公算が大きい。

 南太平洋における米国の権益を守ることは、競争が激化する世界で米国が直面する課題のうち、最も難しいものでも、最も高くものでもない。しかし、その成功は中国などに対し、中国の台頭がもたらす幅広い地政学的な影響に米国がどう対応するかの重要なシグナルを送ることになる。そして失敗すれば、結局は高くつくことになる。

(The Wall Street Journal/Walter Russell Mead)
https://diamond.jp/articles/-/197462


 

ワールド2019年3月20日 / 16:20 / 3時間前更新
中国の「一帯一路」巡る誤解は回避し難い=外務次官
Reuters Staff
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[北京 20日 ロイター] - 中国外務省の王超次官は20日、習近平国家主席の訪欧を前に記者会見し、自国の巨大経済圏構想「一帯一路」を巡って誤解が生じるのは「回避し難い」ことだと述べた。

王次官は、同構想に関する中国との覚書にイタリアが署名する方針であることについて同国内で論争があることについて問われると、「新しいことには、進展プロセスが付き物だと思う」と語った。

その上で「一帯一路の建設を進める過程において誤解が起きるのは回避し難い。もちろん、事実が最良の証拠だ」と指摘。150以上の国と地域、国際グループが既に一帯一路の協力協定に署名していると付け加えた。

習主席は21─26日の日程でイタリア、フランス、モナコを訪問する。
https://jp.reuters.com/article/china-europe-idJPKCN1R10K2


ビジネス2019年3月20日 / 18:10 / 41分前更新
イタリアがパンダ債発行検討、中国主席の訪問に合わせ覚書署名か
Reuters Staff
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[ローマ 20日 ロイター] - イタリアは主要7カ国(G7)で初めてとなる中国債券市場での資金調達を目指している。中国の習近平国家主席による今週のイタリア訪問では中国の巨大経済圏構想「一帯一路」を巡る覚書の調印が見込まれているほか、関係筋によると、30件以上の合意案件も進行中だという。

両国の交渉に詳しい関係筋2人がロイターに明らかにしたところによると、この中にはイタリアの預託貸付公庫(CDP)によるパンダ債(海外発行体による中国本土投資家向け人民元建て債券)の発行を認める協定が含まれている。

CDPは経済・財務省が権益の8割超を握っている。

関係筋の1人は「CDPと中国銀行は話がまとまれば22─23日の間に、おそらく経済省とともに、中国に投資するイタリア企業に協調融資するためのCDPによるパンダ債プログラム開始を認める覚書に署名するだろう」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/china-italy-pandabond-idJPKCN1R10UW?il=0
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/751.html

[経世済民131] 人民元高求めるトランプ氏、図らずもそれが得られる訳 日本もファーウェイ排除を、曖昧は国を亡ぼす、米中ハイテク覇権で世界は

2019年3月20日 The Wall Street Journal
人民元高求めるトランプ氏、図らずもそれが得られる訳

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 「将軍は一つ前の戦争を戦う(前回の戦略を採用してしまう)」という格言がある。中国の2018年の輸出が堅調に維持されたのは、人民元の大幅な下落も背景となった。米国のドナルド・トランプ大統領と貿易担当の「将軍」たちは、中国が再び競争優位に立つために元相場を操作しないよう、中国政府との通商合意に元相場の安定を保証する項目を盛り込むことを求めている。

 実際には、11月以降に対ドルで3%上昇したものの、このところの元相場はまずまず安定している。その理由は通商合意の可能性が強まったことだけではない。中国が長期的な元相場の制約に合意する公算は小さい。その半面、市場の現状と経済動向を踏まえれば、現時点で元の対ドル相場を安定させるのは中国政府にほとんど負担が掛からない。

 中国の輸出は下押しされているが、成長減速と原油価格の急落を受け、18年終盤から輸入の減少が一段と激しくなっている。17年と18年の大半で、輸入の伸びは輸出の伸びを約10ポイント上回っていた。12月以降は輸入が失速し、中国の貿易収支改善と通貨下支えに寄与している。

 米連邦準備制度理事会(FRB)がハト派姿勢を強めたことも追い風となった。昨年11月には、中国国債の利回りは米国債10年物の利回りをわずか0.25パーセント・ポイント上回る程度だったが、今ではその差は倍になっている。こうした利回り格差は、年初からの中国株式相場の急回復とともに元建て資産の投資妙味を増し、元を押し上げている。

 これら全てが意味するのは、元相場は中国の政策当局による直接的な支援がほとんどないまま上昇しているということだ。貿易問題の緊張がほぼ頂点に達し、利回り格差が3%を超えていた昨秋、中国の外貨準備は一時的に減少したが、その後は増加に転じた。国内銀行による外貨売買の売り越しも解消し、資本流出圧力は和らいでいる。

 現在、本当の不確定要素となっているのは中国国内の住宅市場だ。14年終盤には不動産価格が急落し、中国人民銀行(中央銀行)がやむなく本格的な緩和サイクルに入った結果、翌年には大量の資本流出が起こった。歴史的な株式バブルももたらし、その後のバブル崩壊が資本流出圧力をさらに強めることになった。

 中国の不動産市場はまたも減速し、株式市場にはバブルの気配が漂う。直近の不動産市場の不安定さは前回ほどの大惨事にはつながらないとみる相応の理由はある。ただし、実際に不動産価格が再び急落に見舞われれば、人民銀はさらに積極的な政策緩和で対応することはほぼ間違いない。その時点で、元への賭けは全て止まる。

(The Wall Street Journal/Nathaniel Taplin)
https://diamond.jp/articles/-/197464


 

日本もファーウェイ排除宣言を、曖昧は国を亡ぼす
米中ハイテク覇権で世界はブロック化、欧州とは地理的条件異なる
2019.3.20(水) 渡部 悦和
中国企業を利用したスパイ活動「決してない」 李克強首相
中国・北京の人民大会堂で開かれた全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の閉幕後、記者会見する李克強首相(2019年3月15日撮影)。(c)FRED DUFOUR / AFP〔AFPBB News〕

「米中ハイテク覇権争い」により世界はブロック化する
 北京で開催されていた2019年の全国人民代表大会(全人代)が終了した。

 米ドナルド・トランプ政権を刺激する「中国製造2025」に言及する者はいなかった。あたかも、米中貿易戦争下において、ケ小平の「韜光養晦(とうこうようかい)」(才能を隠しながら、内に力を蓄え、強くなるまで待つこと)が復活したような状況である。

 李克強首相は、中国政府が中国企業にスパイ行為をさせているという欧米の批判に対して、次のように反論した。

 「(スパイ行為は)中国の法律に適合せず、中国のやり方ではない。スパイ行為は現在も将来も絶対にしない」

 しかし、私はこの主張を全く信じないし、これを信じる中国専門家はほとんどいないであろう。

 中国は、過去において国家ぐるみで先端科学技術などの入手を目的としたスパイ活動を活発に行ってきたし、現在も行っていて、将来においても必ず行うであろう。

 李首相の発言は、中国要人の「言っていることとやっていることが違う」という言行不一致の典型である。

 習近平主席が「中華民族の偉大なる復活」「科技強国」「製造強国」路線を放棄するわけもなく、トランプ政権が求める構造改革に応じず、結果として「米中の覇権争い」、特に「米中のハイテク覇権争い」は今後長く続くであろう。

 米中ハイテク覇権争いの焦点になっている華為技術(ファーウェイ)は、全人代開催中の3月7日、「米国で2018年8月に成立した国防権限法によってファーウェイの米国事業が制約を受けているのは米憲法違反だ」として米国政府を提訴し、全面的に戦う姿勢を見せている。

 ファーウェイの第5世代移動通信システム(5G)は、スウェーデンの通信機器大手エリクソンやフィンランドのノキアなどの競合他社を性能と価格で凌駕していると評価されている。

 世界の通信事業者にとってファーウェイは魅力的な選択肢である一方、米国側にはファーウェイを凌駕する代替案がないのが現実である。

 トランプ政権は、安全保障上の脅威を理由にして、ファーウェイを米国市場のみならず同盟諸国などに圧力をかけて世界市場からも排除しようとしている。

 その結果、世界は米国のブロックと中国のブロックに二分されようとしている。

 しかし、米国の同盟国のファーウェイ排除の動きは一致団結したものにはなっていない。

 日本やオーストラリアなどは米国の意向に沿う決定を一応下しているが、ドイツや英国は米国のファーウェイ排除の要請に対してあいまいな態度を取っている。

 その理由は、なぜファーウェイが安全保障上の脅威であるかを証明する具体的な証拠を米国が提示していないこと、トランプ大統領が同盟諸国に対して同盟を軽視するような言動を繰り返してきたことに対するドイツなどの欧州主要国の反発などであろう。

 米国は、5Gにおいて世界を米国のブロックと中国のブロックに二分する政策を取りながら、米国ブロックに囲い込まなければいけない欧州主要国の明確な支持を取りつけられていない。

 このような状況下で、英国の有力紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は「ファーウェイ、排除ではなく監視が必要」 という社説を掲載し、「各国政府はファーウェイ製品の使用を禁じるよりも、監視を続けていくことが自己利益につながる」*1と主張した。

*1=FT、“Huawei needs vigilance in 5G rather than a ban”

「ファイブ・アイズ」で異なるファーウェイ排除の姿勢
 米国主導で機密情報を共有する5カ国の枠組み「ファイブ・アイズ」の国々のファーウェイ排除の姿勢はバラバラになっている。

 かつて米国と密接不可分な同盟関係にあった英国は、ファーウェイ排除の姿勢を明確にはしていない。

 英政府通信本部(GCHQ)の指揮下にある国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)が、「ファーウェイ製品を5G網に導入したとしてもリスクを管理することは可能だ」という結論を出した。

 英国はこの春にファーウェイの処遇を決めるが、ドイツとともに排除しない方向に傾いている可能性がある。

 これに対して、英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)の報告書*2は、「ノキアやエリクソンではなくファーウェイの通信機器を使用するのは甘い考えと言うしかなく、最悪の場合は無責任ということになる」と批判している。

 安全性のはっきりしない機器は、これを排除する方が安心だという。英国の有力な機関が全く違う見解を公表しているわけだ。

 一方、豪国防信号局は「通信網のいかなる部分に対する潜在的脅威も全体への脅威となる」として、ファーウェイを5Gに参入させないよう求めている。

 オーストラリアやニュージーランドは5G網にファーウェイ製品を使わないことを決定している。

ドイツは米欧州軍司令官の警告を受けた
 米欧州軍司令官(NATO=北大西洋条約機構の軍最高司令官を兼務)スカパロッティ(Curtis Scaparrotti)大将は、3月13日の米下院軍事委員会において、次のように発言した*3。

 「5Gの能力は4Gとは圧倒的な差があり、NATO諸国の軍隊間の通信に大きな影響を与える。NATO内の防衛通信において、(ドイツや欧州の同盟国がもしもファーウェイやZTEと契約するならば)問題のある軍隊との師団間通信を遮断する」

 この発言は、ファーウェイの5Gを導入する可能性のあるドイツなどを牽制する下院議員の懸念に答えたものだ。このスカパロッティ大将のドイツに対する警告は、日本への警告と受け止めるべきであろう。

 ドイツは、ファーウェイを名指しでは排除しない方針だが、アンゲラ・メルケル首相は「米国と協議する」と発言している。

 また、ドイツで5G網の整備を目指す英国のボーダフォンCEO(最高経営責任者)は「ファーウェイ製品を使わなければ整備は2年遅れる」と指摘して、ドイツの5G網の整備をめぐる苦悩は大きい。

*2=英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)、“China-UK Relations-Where to Draw the Border Between Influence and Interference? ”

*3=House Armed Services Committee、“HASC 2019 Transcript as Delivered by General Curtis Scaparrotti”

新たに判明したファーウェイの野望
 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は3月14日付の記事*4で、世界のインターネット網の支配を巡る米中の海底バトルを紹介している。

 米中の海底バトルとは、海底ケーブル(海底に敷設された光ファイバーの束)を巡る戦いだ。

 現在、世界で使用されている海底ケーブルは約380本あり、それらが大陸を連結する音声・データトラフィックの約95%を伝送していて、ほとんどの国の経済や国家安全保障にとって不可欠な存在となっている。

 ファーウェイはこの海底ケーブル網に食い込んでいる。

 ファーウェイが過半数の株式を保有する華為海洋網絡(ファーウェイ・マリン・ネットワークス)は、全世界において驚くべきスピードで海底ケーブルを設置し、業界を支配する米欧日3社に急速に追いつきつつある。

 海底ケーブル分野では米国のサブコムとフィンランドのノキア・ネットワークス(旧アルカテル・ルーセント)の2社による寡占状態にあり、日本のNECが3位につけ、ファーウェイは4位につけている。

 ファーウェイが海底ケーブルに対する知識やアクセス権を保有することで、中国がデータトラフィックの迂回や監視をするデバイスを挿入したり、紛争の際に特定の国への接続を遮断する可能性が指摘されている。

 こうした行為は、ファーウェイのネットワーク管理ソフトや沿岸の海底ケーブル陸揚げ局に設置された装置を介してリモートで行われる可能性があるという。

 米国などの安全保障専門家は、海底ケーブルに対するスパイ活動や安全保障上の脅威について懸念を表明し、次のように述べている。

 「ファーウェイの関与によって中国の能力が強化される可能性がある」

 「海底ケーブルが膨大な世界の通信データを運んでいることを踏まえれば、これらのケーブルの保護が米政府や同盟国にとって重要な優先事項である」

 ファーウェイは一切の脅威を否定し、「弊社は民間企業であり、顧客や事業を危険にさらす行為をいずれの政府にも要請されたことはない。もし要請されても、拒否する」と反論している。

*4=“America’s Undersea Battle With China for Cotrol of Global Internet Grid”

デジタル・シルク・ロードとファーウェイの関係
 中国は広域経済圏構想「一帯一路」の一環として、海底ケーブルや地上・衛星回線を含む「デジタル・シルク・ロード」の建設を目指している。

 中国政府のDSRに関する戦略文書では、海底ケーブルの重要性やそれに果たすファーウェイの役割が言及されている。

 中国工業情報化省付属の研究機関は、海底ケーブル通信に関するファーウェイの技術力を称賛し、「中国は、10〜20年以内に世界で最も重要な国際海底ケーブル通信センターの1つになる態勢にある」と述べた。

 ファーウェイ・マリンは、「一帯一路やDSR計画で正式な役割は一切果たしていない」と説明しているが、ファーウェイが中国政府の大きな戦略に組み込まれていることは否定のしようがないであろう。

米国側につくか、中国側につくか?
我が国は曖昧な態度を取るべきではない
 既に記述した米欧州軍司令官スカパロッティ大将の「(ドイツや欧州の同盟国がもしもファーウェイやZTEと契約するならば)問題のある軍隊との師団間通信を遮断する」という警告は、日本にも向けられていると認識すべきだ。

 日本にとってのファーウェイ問題は、米国が安全保障上の脅威と認識する以上、その意向を無視するわけにはいかない。

 なぜならば、我が国が直面する中国の脅威は、欧州諸国が直面する脅威とは比較にならないくらい大きいからだ。

 我が国の報道では、2018年12月10日の関係省庁申し合せ「IT調達に係る国の物品等又は役務の調達方針及び調達手続きに関する申し合わせ」を根拠として、防衛省・自衛隊がファーウェイ等の中国企業から物品役務を調達することはないとされている。

 しかし、この申し合わせには中国企業名が列挙されているわけではなく、あいまいさが残る。

 よもやそんなことはないと思うが、もしも自衛隊の装備品にファーウェイの技術や製品が入っている場合、米軍は「自衛隊との通信を断つ」と宣言するであろう。

 米軍にそう引導を渡されて慌てふためくことがないように、今から断固としてファーウェイやZTEなどの中国企業の製品を排除すべきだろう。

 その点で、日本政府のファーウェイなどの中国企業名を明示しないというあいまいな態度はいかがなものか。

 米国政府は、本気でファーウェイ等の中国企業を米国市場から排除しようとしている。我が国は、ドイツや英国のようなあいまいな態度を避け、断固として米国の側につくべきである。

 気になるのは、安倍晋三首相の3月6日の参院予算委員会での発言だ。

 安倍首相は、日中関係について「完全に正常な軌道へと戻った日中関係を新たな段階へと押し上げていく」「昨年秋の訪中で習近平国家主席と互いに脅威とならないことを確認した」と発言した。

 しかし、本当に日中関係が「完全に正常な軌道」に戻ったのか、本当に中国は脅威ではないのか?

 このような楽観的な対中認識は、トランプ政権の厳しい対中認識とは明らかに違う。

 「米国側につくか、中国側につくか、日本は曖昧な態度を取るべきではない」という注意喚起は、サミュエル・ハンチントンが「文明の衝突」で日本に対して与えた警告でもある。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55817

 
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/599.html

[国際25] ブラジル大統領、親米を鮮明に 外交で世論支持狙う トランプ、ブラジルのNATO入り支援 ブラジル、米国企業への発射場開放
ブラジル大統領、親米を鮮明に 外交で世論支持狙う
北米 中南米
2019/3/20 18:43
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【ワシントン=外山尚之】1月に就任したブラジルのボルソナロ大統領の外交が活発だ。19日にはワシントンでトランプ米大統領と会談して連携を確認。中国やロシアには、米国と敵対するベネズエラのマドゥロ政権への支援停止を働きかける。長く続いた左派政権では国際社会で存在感を発揮できなかったブラジルが姿勢を転換し始めた。経済再建には時間がかかるため、外交で有権者に成果を誇示する狙いだ。

19日、ホワイトハウスで会談を終え握手するブラジルのボルソナロ大統領(左)とトランプ米大統領(ワシントン)
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19日、ホワイトハウスで会談を終え握手するブラジルのボルソナロ大統領(左)とトランプ米大統領(ワシントン)

ボルソナロ氏はトランプ氏との会談後の会見で「(2020年の米大統領選で)再選されることを確信している」と述べ、トランプ氏を持ち上げた。訪米にあわせ米国人に対する観光や短期商用の査証(ビザ)の免除を発表し、ブラジル国内のロケット発射場を米国企業に開放するなど、米国への配慮をちりばめた。

米国の協力を得た上で、北大西洋条約機構(NATO)に「協力国」として関わることや、経済協力開発機構(OECD)への加盟を目指す方針を表明した。トランプ氏も会見で「ブラジルとの関係はかつてないほど良好だ」と応じた。

ブラジルは中南米で最大の経済規模を持つ地域大国だが、米国には一定の距離を置いていた。2003年に労働党の左派政権が誕生してからはその傾向が強まった。成長する有力な新興国として国際会議などで米国と対立する場面もあった。だが、左派政権は資源価格低迷の環境で経済を再建できず、治安悪化を招いた。左派を見限った有権者の支持で当選したボルソナロ氏は過去の米国との緊張関係を改めた。

ボルソナロ氏の親米姿勢は鮮明だ。15日までの2日間、ブラジル南部クリチバで開催した主要新興国との高官級会合でブラジル側は、ロシアや中国に対し、マドゥロ政権の支援をやめるよう水面下で働きかけたようだ。

親米外交を主導するのがアラウジョ外相だ。外務官僚時代、マドゥロ政権と親密だった歴代ブラジル左派政権を厳しく非難し、トランプ政権の対中強硬姿勢を称賛し、異端視された。だがボルソナロ氏と意気投合した。

ボルソナロ氏が外交に力を入れる背景には、国民の目を外に向けさせる意図がある。同氏は財政再建のため、年金受給開始年齢の引き上げに取り組むが、有権者の反発は根強い。成果をあげるには時間がかかる。

だが、親米外交は国内世論の抵抗が小さく、歴代政権との違いを容易にアピールできる。特に隣国ベネズエラには国民の関心が高い。「左派の反米政策が経済を崩壊させた」というボルソナロ氏の主張はわかりやすい。


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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42714270Q9A320C1FF8000/


 


トランプ大統領、ブラジルのNATO協力国入り支援
トランプ政権 ヨーロッパ 北米 中南米
2019/3/20 8:26
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【ワシントン=外山尚之】トランプ米大統領は19日、ホワイトハウスでブラジルのボルソナロ大統領と会談し、ブラジルの北大西洋条約機構(NATO)協力国入りを支援する意向を表明した。1月に親米を公言するボルソナロ政権が誕生したことを受け、軍事面での協力関係を深める。ベネズエラのマドゥロ政権に対する圧力強化でも一致した。

19日、記者会見するトランプ米大統領(右)とブラジルのボルソナロ大統領(ワシントン)
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19日、記者会見するトランプ米大統領(右)とブラジルのボルソナロ大統領(ワシントン)

トランプ氏は会談後の記者会見で「ブラジルはNATOの同盟国になるだろう」と述べた。ボルソナロ氏は記者会見で「ブラジルがNATOの域外協力国になることについて議論した」と説明した。

協力国になれば米国製の軍事装備品を購入しやすくなるほか、軍事面で米国との協力を深めることができるようになる。ボルソナロ氏は「軍事協力の拡大は防衛網を発展させるための連携となる」と述べた。

両首脳はベネズエラ情勢に関する協力でも一致した。トランプ氏は人道支援物資の搬入などに対するブラジルの協力に謝意を表明。ボルソナロ氏は「ベネズエラの独裁政権に対し、ブラジルは役割を履行する準備ができている」と述べ、米国の進める圧力強化の支援に意欲を見せた。

両国首脳は経済面でも関係を拡大することでも一致した。トランプ氏はブラジルの経済協力開発機構(OECD)加入を支援すると表明したほか、両国の経済界トップの交流事業も再開するとした。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42692150Q9A320C1000000/ 


 

ブラジル大統領、米国企業への発射場開放を発表
自動車・機械 北米 中南米
2019/3/19 8:05
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【ワシントン=外山尚之】ブラジルのボルソナロ大統領は18日、全米商工会議所で講演し、米国企業に対し、ブラジル軍が管理するロケットを打ち上げる発射場を開放すると正式に発表した。鉱業や農業でも2国間の協力を拡大するほか、ベネズエラ情勢でも連携する姿勢を示した。

18日、全米商工会議所で講演するブラジルのボルソナロ大統領(ワシントン)
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18日、全米商工会議所で講演するブラジルのボルソナロ大統領(ワシントン)

ボルソナロ氏は「アルカンタラ発射場の利用について、パートナーシップを結んだ」と述べた。同日、ポンテス科学技術相らが米国企業に利用を許可する覚書に署名した。同発射場は赤道に近く、燃料を節約できる利点がある。

ボルソナロ氏は「ブラジルは変わった。我々はあなた方の声を聞く準備ができている」と述べ、米国企業との協力拡大を目指す意向を示した。同日講演したゲジス経済相は「民営化を推進する」としており、米国企業にも投資を呼びかけた。

ボルソナロ氏は19日にトランプ米大統領と会談する。ボルソナロ氏は「ベネズエラに自由を取り戻すためにも、両国にできることは多い」と発言し、混迷が続くベネズエラ情勢をはじめ、外交面での関係強化を提案する。


https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42635870Z10C19A3000000/ 

http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/752.html

[国際25] 異常な北朝鮮融和策で国際的に孤立していく韓国 米国も国連も、北朝鮮の非核化を阻害する文政権に非難集中 
異常な北朝鮮融和策で国際的に孤立していく韓国
米国も国連も、北朝鮮の非核化を阻害する文政権に非難集中
2019.3.20(水) 古森 義久
韓国大統領、「日本政府はもっと謙虚な態度取るべき」
韓国大統領府(青瓦台)で記者会見を行う文在寅(ムン・ジェイン)大統領(2019年1月10日撮影、資料写真)。(c)Jung Yeon-je / POOL / AFP〔AFPBB News〕

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が、米国政府と国連の両方から非難された。いずれも北朝鮮に対する融和的な言動が北朝鮮の非核化を阻害し、世界に良からぬ結果を招いているとする非難である。国際社会の常識から見ても文在寅大統領の思考や政策が尋常ではないという現実の反映だとも言えよう。

北朝鮮への批判を抑えるよう圧力
 北朝鮮の完全非核化を推進する米国トランプ政権にとって、文在寅大統領の言動はますます障害とみなされるようになってきた。非核化よりも北朝鮮との融和や交流を優先させる傾向が顕著だからだ。

 ベトナム・ハノイでの第2回米朝首脳会談はもの別れに終わった。その直後に、トランプ大統領は文大統領に電話をして、仲介者としてもっと積極的な役割を果たしてほしいと訴えた。文政権への不満がそれだけつもり重なっていたということだろう。

 トランプ政権の文大統領に対する不信は、3月14日に公表された国務省の「世界各国の人権報告書」でも明確に表明された。

 同報告書は韓国の人権問題として以下の諸点を挙げていた。

・文政権は北朝鮮からの脱走者たちの組織に対して、北朝鮮への批判を抑制させる圧力をかけるようになった。

・その圧力の実例としては、過去20年も続けられてきた脱北者の組織への公的資金援助を打ち切ったこと、風船などを使った北朝鮮への政治文書散布を中止させるようになったこと、警察当局が脱北者団体を頻繁に訪ねて財政状況などを調査するようになったこと、などが挙げられる。

・文政権は、脱北者たちとその団体に対して、文政権の北朝鮮への融和・関与政策を公開の場で批判しないよう厳しく要求するようになった。

 以上のように国務省報告書は、文政権の脱北者に対する要求や圧力を「言論や表現の自由という基本的な人権の抑圧」であると断じていた。

 また、米国メディアの3月17日の報道によると、国連の北朝鮮に対する制裁措置を監視する調査委員会が3月中旬、韓国政府の“不正”を報告した。韓国政府が2018年中に北朝鮮に提供した合計300トンの石油関連製品の移転を、同委員会に届け出なかったというのである。

 この石油関連製品は朝鮮半島の南北合同の経済プロジェクト用で、北朝鮮への経済制裁の違反とはならないが、その提供の届け出は国連の規定で義務づけられていた。韓国政府はこの規定に違反したというわけだ。

 文在寅大統領はこのように同盟相手の米国だけでなく、国連からも違反行為を指摘され、内外で批判を浴びるようになった。

支持率が異例の低水準に
 文大統領は、「北の非核化」を揺るぎない目標にすることを大前提に、北朝鮮と米国との仲介役として両国首脳会談の実現に貢献してきたとされ、国際的な評価を受けてきた。だが、その評価がここにきて一気に下落してきた。北朝鮮が文大統領の思い描くようには動かないという現実のせいだと言えよう。

 ワシントン・ポストの3月17日の報道によると、文在寅大統領の韓国内での支持率は45パーセントと同国大統領としては異例の低水準にまで下降した。

 また同報道は、朝鮮半島情勢の米国人専門家、クリストファー・グリーン氏の言葉として「妥協しようとしない北朝鮮の言動パターンは、文在寅大統領の融和的な手法による仲介役の限界を示してしまった。2018年から文大統領の『外交技量』が受けてきた国際的評価は誤っていたと言える」という手厳しいコメントを紹介していた。

 確かに現状では、文大統領は米国からも国連からも非難され、国際的に孤立した状態と言っても過言ではない苦境に追いこまれたようである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55808
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/753.html

[経世済民131] 世界経済は5月以降反転へ、悲観無用な5つの根拠 キャリートレード再び人気、足元は理想的環境 FOMC利上げバイアス残すか
為替フォーラム2019年3月20日 / 15:20 / 3時間前更新
オピニオン:
世界経済は5月以降反転へ、悲観無用な5つの根拠
青木大樹 UBS証券ウェルス・マネジメント本部 日本地域CIO兼チーフエコノミスト
5 分で読む

[東京 20日] - 世界経済の後退懸念が足元で高まっているが、1─3月期の弱い数字は一時的な要因によるものが大きく、5月以降は復調がはっきりする、とUBS証券ウェルス・マネジメント本部の最高投資責任者(CIO)、青木大樹氏は予測する。

ただ、中国は経常収支の赤字化懸念がくすぶってV字回復が見込めない上、米国も政治リスクの台頭や市場予測に反して9─12月に利上げが実施される可能性があるなど、年末にかけてボラティリティー(相場変動)が高まる可能性は十分にあると指摘する。

同氏の見解は以下の通り。

<「景気減速」は一時的>

輸出や投資データの急速な悪化から、世界的に景気の後退懸念が市場に広がっている。だが、景気減速に対する過度な悲観論は不要とみている。1─3月期の落ち込みは、5つの一時的な要因によるところが大きい。短期的に弱い数字が続く可能性はあるが、5月以降は復調が明確となり、株価は再び上昇基調に入るだろう。

まず、中国の輸出減速は、駆け込み需要の反動によるところが大きい。今年1月1日から対中関税を引き上げるとしていたトランプ米大統領の方針を受け、中国からの輸出は昨年10月をピークに急増。だが、11月に入って米中交渉が開始され、12月1日の首脳会談で「一時休戦」が成立すると急減した。中国の輸出の減少幅は非常に大きいが、多くは一時的なものだ。

次に、昨年10月以降の株価下落の影響で、米企業などが設備投資を延期したり、家計支出が鈍るといった「負の資産効果」が生じ、これが1─3月期の数字に表れた。しかし、当時の株価下落はアルゴリズム取引が主因であり、株価が戻るにつれて影響は減退し、今後はリバウンドが期待できるだろう。

もう1つ大きな要因が、急激な米金利上昇だ。米10年債利回りは、昨年10月に3.2%台まで上昇した。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長はこれも踏まえ、年初からハト派姿勢に転じ、利上げに慎重な態度で臨む考えを強調している。金利上昇の影響は次第に薄れてくるだろう。

昨年10月以降に原油価格が急落し、米国のシェールガス投資が急減速したことも要因だ。シェール投資は、当社試算で2017年の米経済成長率2.2%の0.5%ポイントを占める極めて大きいものだが、これが1─3月期は前期比でマイナスになると見込まれる。しかし、原油価格は中国の需要復調に加え、米国による経済制裁を受けたイランの生産減少、石油輸出国機構(OPEC)の減産もあり、徐々に戻してくるとみている。

最後に12月─1月の米政府機関閉鎖の影響が挙げられるが、これもむろん一時的要因だ。

UBS証券は1─3月期の米国内総生産(GDP)が1%成長に届かず、プラス0.5%程度まで落ち込む可能性もあると予想している。だが、これまで検討した5つの要因から、減速は一時的なもので、4─6月期に強いリバウンドが期待できると予測する。

もう1つ強気の材料となるのは2017年に実施された米所得税改革の影響で、2019年は過去の平均より大きな還付金が見込まれる点だ。当社試算では、今年1─5月の還付金額合計は過去平均より200億ドル(約2兆2300億円)増えると予想され、4─6月期の消費に追い風となるだろう。

中国に視線を移すと、鈍化していた融資の伸びが今年1月に明確にボトムアウトしている。昨年実施された景気刺激策の効果が金融市場にも表れ始めたことがうかがえる。

<パウエル・プットは信頼できるか>

とはいえ、過熱もしなければ冷めすぎもしない、低金利・低インフレ・低政治リスクのいわゆる「ゴルディロックス(適温)」相場が再現されるかといと、そうではない。悲観する必要はないものの、過度に楽観することもできない。特に、年末にかけてはボラティリティーが高まりやすくなる可能性もある。

楽観できない1つ目の理由は中国の状況だ。中国政府は今月の全国人民代表会議(全人代)で、昨年の倍近い2兆元(約33兆円)の個人・企業向け減税や、400億元規模のインフラ支出拡大など、合計23兆元の意欲的な財政支出を示した。一方、財政赤字目標はGDP比2.8%と、2018年の目標2.6%に対してほぼ横ばい、実績値4.2%からは改善を考えているようだ。

財政拡大を公約として掲げる割に、財政赤字を増やすというメッセージにはなっていない。ここに、中国が抱えるジレンマが表れている。

中国は内需拡大を進めており、今回の積極財政も内需を念頭に置いている。一方で、財政赤字の拡大は、すでにギリギリのところにある経常収支の赤字化懸念を高める。外貨準備高が急減して資本が流出すれば、為替の安定が損なわれ、国内貯蓄でファイナンスされているシャドーバンキング(影の銀行)を巡るリスクも再燃しかねない。

つまり、内需を拡大して輸入を増やす政策は打ち出しにくい。中国政府は経常収支や外貨準備の動向をにらみながら、慎重に政策を遂行していくことになるだろう。

過度な楽観を慎むべき理由のもう1つは、パウエルFRB議長だ。1月以降に急速に政策スタンスを修正させることで市場を安定化させたいわゆる「パウエル・プット」を、どこまで信用できるかという問題だ。

UBS証券は人工知能(AI)で連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録と声明文を読み取り、「ハト派度」と「タカ派度」を数値化する「FRB態度指数」を作成した。これを政策金利に対する期待を示す米フェデラルファンド(FF)金利先物(6カ月変化)と対比すると、直近では大きな乖離(かいり)がみられる。

つまり、態度指数は依然として年内1回の利上げの範囲内にあるのに対し、足元のFF金利先物の変化は、一部利下げまで織り込んでいるのだ。議事録と声明文から読み取れる以上に、パウエル氏の数々の発言は「ハト派」寄りの態度を市場に織り込ませていることになる。

問題は、どちらが正しいかということだが、前述した当社の米国の景気見通しやFRB態度指数が正しいなら、9─12月に1回の利上げがあると予測する。市場はまったく利上げを織り込んでいないため、実際に実施されれば市場の混乱を招く恐れがある。

トランプ大統領も、過度に楽観できない材料の1つだ。トランプ氏は中国への姿勢をいったんは和らげているが、景気や株価が回復してくれば、2020年の大統領選を念頭に、再び厳しい要求を突きつけるかもしれない。

また、メキシコ国境の壁建設を巡る民主党との溝も不安材料だ。10−11月に資金が枯渇するため債務上限引き上げで対立が激化し、米国のデフォルト(債務不履行)懸念が高まる恐れがある。また、いわゆるロシア疑惑の展開も大統領選挙に向けた焦点となろう。

<8─9月がピーク>

こうしたリスクをはらみつつ、世界経済は5月以降に株価が再び上昇基調に転じ、8─9月ごろピークを迎える可能性が高い。この中で投資戦略は、米国株ならプット・オプション(売る権利)などを付けることが基本になる。債券は、過度に売られている欧州やアジアの中で社債、ハイイールド債などを選別的に拾うのがいいだろう。

日本株は、米国株がピークを迎えるのに合わせて上昇余地はあるが、積極的に買われる材料があるわけではない。上げても2万3000円程度ではないだろうか。

ドル円相場は、米金利の上昇余地が限られていることから、上値は1ドル=112円程度だろう。1年以上の中期的なスパンでみた水準は、過剰に割安なユーロが買われてドルが下落する結果、1ドル=105円程度まで下がる可能性がある。ただ年内は、下がっても108円程度までとみている。

*本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載された青木大樹氏へのインタビューです。同氏の個人的見解に基づいて書かれています

(聞き手:山口香子)

青木大樹氏(本人提供)
*青木大樹氏は、UBS証券ウェルス・マネジメント本部の日本における最高投資責任者(CIO)兼チーフエコノミスト。2001年より内閣府で政策企画・経済調査に携わった後、2010年にUBS証券入社。2016年、インスティテューショナル・インベスター誌による「オールジャパン・リサーチチーム」調査の日本経済エコノミスト部門にて5位(外資系1位)に選ばれる
https://jp.reuters.com/article/opunion-daiju-aoki-idJPKCN1R10E9


 
トップニュース2019年3月20日 / 14:10 / 5時間前更新
焦点:
キャリートレードが再び人気、足元は「理想的環境」
Reuters Staff
2 分で読む

[ロンドン 18日 ロイター] - 今年に入って資産価格のボラティリティが急低下したため、投資家の間でいわゆるキャリートレードが人気の取引の1つになっている。この流れはそう簡単に途切れないというのが大方の見方だ。

キャリートレードは、低金利通貨で資金を調達し、新興国市場などの高利回り資産に投資する手法。成果を発揮するためには、潤沢な流動性や世界経済の落ち着いた状況のほか、何よりも通貨のボラティリティがほぼゼロになっていることが必要だ。そして足元では、ほぼこれらの条件が備わっている。

ボラティリティは、主要中央銀行が利上げの手を休めると決めたことを受けて大きく下がった。ソシエテ・ジェネラルのアナリスト、キット・ジャックス氏は、年初からの市場の「天下泰平」ぶりこそ、キャリートレード成功の完全な処方せんだと話す。実際、外国為替市場のボラティリティは数年ぶりの低水準近くにとどまっている。

その結果、HSBCのグローバルFXキャリー指数に基づくと、今年これまでのキャリートレードのリターンは5.5%に達する。米金利上昇に伴って新興国市場から一斉に資金が流出した昨年のリターンはマイナス1.4%だった。

アムンディ・アセット・マネジメントの外国為替責任者アンドレアス・ケーニヒ氏は、現在はキャリートレードを手掛ける上でまさに教科書通りの環境にあると強調した。

<調達通貨と投資先>

ケーニヒ氏は、トルコリラとブラジルレアルに投資している。いずれも利回りはゆうに2桁台だ。

ロシアの10年物国債を買っている投資家が得られる利回りは8.5%で、メキシコでも利回りは8%。これらのリターンは、現地通貨相場の上昇でさらに高まっている。例えばルーブルはドルとユーロに対して最大6%も上がった。

反対に円、スイスフラン、ユーロは低利回りのため、キャリートレードの資金調達通貨として利用されやすい。スイスの指標国債の利回りはマイナス0.35%、ドイツはプラス0.07%しかない。ただ今年は調達通貨としてとりわけユーロが好まれている。欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏の景気減速が続いていることを受け、金融引き締めをさらに先送りしたからだ。

<良好な環境は続くか>

アナリストによると、キャリートレードはしばらく続く。少なくとも金利水準が低く、経済データがある程度強いが、中銀に方針の再検討を迫るほどでない状況が終わらない限り。

BNPパリバのエコノミストチームは、目先の主要国の成長率は「あまり冷え込まないものの過熱しないことは確かだ」と予想。そうした見通しは、キャリートレードを維持してボラティリティをショートにする取引の前途が明るいことを意味すると説明した。

<低迷組も>

過去の経緯を見れば、キャリートレードにもリスクがあることが分かる。

米国の経済成長が弱まったり、世界的な貿易摩擦が激化するか、あるいは10年に及ぶ株式の強気相場が幕を下ろした場合、ボラティリティが跳ね上がり、円やユーロ、スイスフランといった安全通貨が高騰する一方、リスクの高い新興国資産は打撃を受ける。

しかし全体としてキャリートレードに追い風が吹いている局面でさえ、一部の資産を対象とする取引はうまくいかないケースもあるだろう。

確かに昨年3.8%下落したMSCI新興国通貨指数は年初来1.6%上がっているが、その裏でいくつかの個別通貨は低調な値動きにとどまっている。

国際金融協会(IIF)のエコノミスト、ロビン・ブルックス氏は、米連邦準備理事会(FRB)が1月に予想外のハト派転換を見せて以来、南アフリカランドやトルコリラは実際には弱含んだ一方で、インドルピーやマレーシアリンギといったアジア通貨は上昇したと指摘。この「謎」をもたらしたのは、FRBの軌道修正に対する投資家の反応ではなく、米中貿易協議合意への期待だとの見方を示した。

キャリートレードは既にポジションが相当積み上がっているという事実も軽視できない。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータでは、投機筋のドルに対するメキシコペソの取引姿勢は1月は中立だったが、直近では23億ドルの買い持ちとなっている。

アムンディのケーニヒ氏は、年初来の高利回り通貨の力強い反発を踏まえると、ボラティリティの復活のみならず相場水準自体にもリスクがあると警戒し、これからのキャリートレードは望ましい戦略とは言えないと付け加えた。

(Tommy Wilkes記者)
https://jp.reuters.com/article/carry-trade-idJPKCN1R10AX?il=0


 

FOMCの注目点、利上げバイアス残すか−声明と経済予測公表へ
Steve Matthews
2019年3月20日 14:17 JST
• 投資家が注目の「ドット」、パウエル議長は全体像見失うと警告
• バランスシート縮小の終了時期も発表か−10〜12月が有力視
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、次の金利の動きが引き上げなのか、引き下げなのか金融当局に偏りはないと話す。しかし、他の当局者はもっとタカ派的なメッセージを発する可能性もある。
  20日まで2日間の日程で開催の連邦公開市場委員会(FOMC)は、米東部時間午後2時(日本時間21日午前3時)に声明のほか、最新の金利予測分布図(ドット・プロット)や経済予測を公表し、2時半からはパウエル議長が記者会見する。
  ブルームバーグが調査したエコノミストによれば、FOMC参加者は今回、今年の利上げ回数見通しを1回とし、計2回としていた昨年12月の予想から下方修正するとともに、2020年にもう1回の利上げを見込むとみられている。ただ予断は許さない。
  FOMCは声明で将来の金利の「調整」について、引き続き「辛抱強く」なるとあらためて表明するとともに、現在進めている4兆ドル(約446兆円)規模のバランスシートの段階的縮小をいつ終了するかについて発表すると予想される。
  パウエル議長への質問では、FOMC参加者の金利見通しが明確な焦点だ。同議長は8日の講演で、ドット・プロットの各点をフランスの画家ジョルジュ・スーラの点描絵画になぞらえ、「少数の点に集中し過ぎれば全体像を見失いかねない」と語った。

  モルガン・スタンレーの米国担当チーフエコノミスト、エレン・ゼントナー氏は「今年については、極めて顕著なドットの下方シフトがあるだろう」とした上で、「年内利上げを1回とするかゼロとするかでほぼ意見が二分され、極めて不透明な結果となるだろう」と述べた。
  20、21両年とそれ以降の時期を巡っては、当局者の見通しに多少の相違があることがドット・プロットで浮き彫りとなりそうだ。12月の前回予測は、フェデラルファンド(FF)金利が中央値で両年に3.125%でピークに達し、大半の予想も同水準の周りに点が集まる形となっていた。だが最新版では、何人かの当局者があと数回の利上げを見込む一方で、他の何人かは追加利上げゼロか、利下げさえも予想するなどもっと拡散することになるかもしれない。

  こうした見通しは、米金融当局が利上げを打ち止めにしたとする投資家の見方に冷水を浴びせるものと考えられる。金融当局者の間で見通しに関する自信が弱まり、世界的にも成長が鈍化したことで、米2年債利回りは昨年11月初め以降、0.5ポイント低下した。
  コーナーストーン・マクロのパートナー、ロベルト・ペルリ氏は「多くの投資家は米金融当局が引き締めを終了したと想定しているが、当局はそのようなことは言っていない。ドット・プロットは12月よりはおそらく下方にシフトするだろうが、引き締めサイクルが終わるまでにはあと1回ないし2回の利上げを反映する可能性があり、多くの人々にとってはサプライズとなるかもしれない」と話した。
  エコノミストはまた、金融当局がバランスシート縮小の終了時期を発表すると予想し、具体的には今年10−12月(第4四半期)となる公算が最も大きいとみる。バランスシートの規模はこの段階で3兆5000億ドル前後になっていると見込まれる。先の金融危機後には最大4兆5000億ドルに膨らんでいた。

原題:Fed May Retain Bias to Hike Interest Rates: Decision-Day Guide(抜粋)

日本株は反発、米金融政策期待で輸出や資源高い−FOMC見極め
長谷川敏郎
2019年3月20日 8:00 JST 更新日時 2019年3月20日 16:21 JST
• FOMCは日本時間21日に結果公表、ことしの利上げ回数減との見方
• 緩和強化は株価にプラス、サプライズなら為替に注意−三井住友信託
20日の東京株式市場は反発。米金融政策会合の結果公表を控えて様子見ムードが強い中、金融緩和による恩恵を受けやすい自動車など輸出関連の一角、金属市況高が追い風となった非鉄金属や商社が上げた。
• TOPIXの終値は前日比4.16ポイント(0.3%)高の1614.39
• 日経平均株価は同42円07銭(0.2%)高の2万1608円92銭
  米連邦公開市場委員会(FOMC)は米国時間20日に結果を公表する予定で、新しい金利予測分布図(ドット・プロット)やバランスシート縮小計画などに注目が集まっている。中国の通商交渉担当者は米中交渉に対する積極姿勢を後退させていると関係者が明らかにした。
FOMCの注目点についてはこちらをご覧ください
  三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストはFOMCについて、「足元の景気は悪い状況ではないため、利上げをしばらく止めることで景気がサポートされるようなメッセージが出てくれば株式市場にプラス」とみる。半面、「サプライズが出るとドル・円相場がどうなるのか心配」と話した。日本株については「政治の不透明さから上値をなかなか追っていけない。方向性が見えない」と指摘した。
  株価指数は前日終値を挟んで方向感に欠ける展開だった。いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は「企業の来期業績予想はかなり弱めとみられ、投資家は中国を含めた世界の景況感と違いがあるかを見極めようとしている」と語った。

• 東証33業種ではパルプ・紙や卸売、非鉄金属、食料品、サービスが上昇率上位
• 証券・商品先物取引や鉱業、情報・通信、小売は下落
(見出しを変更します.)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-20/PONEGY6TTDS001?srnd=cojp-v2



http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/600.html

[政治・選挙・NHK258] 安倍首相は「黒田総裁の手腕を信頼」、「日銀はハト派」と黒田総裁 物価2%のモメンタム損なわれれば、当然追加緩和=日銀総裁
安倍首相は「黒田総裁の手腕を信頼」、「日銀はハト派」と黒田総裁
日高正裕
2019年3月20日 17:42 JST
2%目標巡る発言修正の必要問われ、麻生財務相は「全くありません」
追加緩和は「国債買い入れ増額を含め、さまざまな手段」と黒田総裁
安倍晋三首相は20日の参院財政金融委員会で、日本銀行の金融政策について、雇用など実体経済で成果を上げており、黒田東彦総裁の手腕を信頼していると評価した。

  麻生太郎財務相が2%物価目標に関してもう少し柔軟に考えてもよいとの考えを示したことについて問われ、安倍首相は「手段は日銀に委ねている。私も麻生副総理も、黒田総裁の手腕を信頼している」と述べた。

  異次元緩和開始後ほぼ6年たっても目標の2%に達してないことについては「物価目標を追求することによって、例えば雇用に働き掛けた結果、正規の有効求人倍率が全ての都道府県で1倍を超えるなど、実体経済において大きな成果を上げている」と指摘。「私どもとしては日銀の政策を了としている」と語った。

  麻生財務相は12日の国会答弁で「もう少し考えを柔軟にやってもおかしくないのではないか」と発言。15日の閣議後会見では「2%にこだわり過ぎると、そちらの方がおかしくなる点は考えておかねばならない」と述べた。

  麻生財務相は20日の参院財政金融委員会で、これらの発言を修正する必要があるか問われ、「全くありません」と言明。2%目標を掲げ続けることで「雇用その他いろいろな波及効果がある」と述べ、目標として掲げることに「黒田総裁、安倍首相との間にそごはない」と語った。

  安倍首相は金融政策が「本来の目標である実体経済に十分効果を発揮している中で、今の段階で2%に到達していないことについて政府としては理解している」と指摘。麻生財務相の発言について「そういう状況なので、すぐに2%をやるためだけに何か政策をとる必要はない、という意味で言われたのだろう」と弁護した。

日銀はハト派
  黒田総裁も同委員会に出席した。渡辺喜美氏(無所属)は、日銀が金融緩和を志向するハト派か、金融引き締めを志向するタカ派かと質問。黒田総裁は「量的・質的金融緩和を通じて大幅な金融緩和を粘り強く続けている」とした上で、「自分で言うのも変だが、恐らく日銀はハト派ということになると思う」と答えた。

  黒田総裁は「経済、物価、金融情勢を踏まえ、仮に物価目標に向けたモメンタムが損なわれる状況になれば当然、追加緩和を検討していく」と言明。手段は短期政策金利の引き下げ、長期金利目標の引き下げ、資産買い入れの拡大、マネタリーベース拡大ペースの加速など「さまざまな対応が考えられる」と述べた。

  さらに、「その際、政策のベネフィットとコストを比較考慮しながら、国債買い入れの増額を含め、さまざまな手段を組み合わせて対応するなど、その時々の状況に応じて適切な方法を検討していく」と語った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-20/PONNVV6K50XT01


 

ビジネス2019年3月20日 / 18:10 / 40分前更新
物価2%のモメンタム損なわれれば、当然追加緩和を検討=日銀総裁
Reuters Staff
1 分で読む

[東京 20日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は20日の参院財政金融委員会で、物価2%目標に向けたモメンタム(勢い)が損なわれることになれば、「当然、追加緩和を検討していくことになる」と語った。渡辺喜美委員(無)の質問に答えた。

追加緩和の手段としては、長短金利目標の引き下げ、資産買い入れの拡大、マネタリーベースの拡大ペースの加速など「さまざまな対応が考えられる」とし、その際には「政策のベネフィットとコストを比較考量しながら、さまざまな手段を組み合わせるなど状況に応じて適切な方法を検討する」と述べた。

また、日銀は金融緩和に前向きなハト派か、引き締めを狙うタカ派かを問われ、「大幅な金融緩和を粘り強く続けており、おそらくハト派ということになる」と語った。

16年9月に長短金利操作付き量的・質的金融緩和を導入して以降、海外の金利が大きく上昇するような局面でも、日本の長期金利はゼロ%付近で安定的に推移しているほか、貸出金利も既往最低水準で推移。貸出残高も増加していることなどを踏まえ、黒田総裁は「日銀としては、YCCの枠組みを通じて、極めて緩和的な金融環境を作り出し、企業や家計の経済活動をしっかりサポートしている」との認識を示した。

中国経済のシャドーバンキング問題は「ピークアウトして安定した状況になりつつあるように思う」とした一方で「実体経済がやや弱めの動きが広がっている」と指摘した。ただ、すでに大規模な景気対策を決定・実施しつつあることから「先行き、おおむね安定した成長経路をたどる」との見通しを示した。

伊藤純夫 清水律子
https://jp.reuters.com/article/boj-kuroda-idJPKCN1R10UB


 


http://www.asyura2.com/19/senkyo258/msg/672.html

[政治・選挙・NHK258] 景気判断「下方修正」でも消費増税を再々延期する必要性はない 月例報告基調判断下げ先送り、増税延期につながる表現回避
2019年3月20日 熊野英生 :第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト
景気判断「下方修正」でも消費増税を再々延期する必要性はない
消費増税の再々延期の可能性は
Photo:PIXTA
 内閣府が発表した1月の景気動向指数で、CI一致指数の基調判断が「下方への局面変化」へと下方修正された。

 昨年11月から3ヵ月連続で一致指数が前月比マイナスを続けていることが根拠だ。鉱工業生産指数などの生産関連のデータが軒並み悪化していて、典型的な外需主導の景気後退の様相を呈している。

 ここで考えさせられるのは、果たして安倍政権は公約通りに2019年10月の消費税率引き上げを実行するかどうかという点だ。

「消費税増税をまたまた延期するのでは」という声も聞こえてくるが、どうだろうか。

「景気後退」の判断を
急ぐ必要はない
 政府は、一応「リーマンショック級の出来事がない限り」は、税率10%への引き上げを実行すると表明している。

 また、景気の「山」「谷」は、随分、後になって景気動向指数研究会が決めるわけで、実際に景気が後退局面に入ったかどうかは、まださだかではない。

 1月の月例経済報告では、戦後最長の景気拡大期間になった可能性が高いとしたばかりである。

 まずは、今回の基調判断のもとになった経済指標の変化から読み解いていこう。

 景気動向指数の一致指数は、鉱工業生産指数との関連が深い。だから、生産動向に注目すると、景気の先行きが読める。

 1月の生産指数は、速報で前月比3.7%のマイナスだった。これは、中国が旧正月(春節)の手前で工場の操業を停止することが多かったため、中国向け輸出が落ちた影響だと考えられる。

 昨年よりも今年の方が旧正月前の休みが長くなって、中国向け輸出減が目立ったのである。

 こうした特殊要因を加味したことで、鉱工業生産の予測指数は2月はプラス5.0%と盛り返す見通しだ。

 この予測指数は、実績で下方修正されることもあり、このプラス5..0%はかなり割り引かれると見られる。それでもプラスは維持されて、一致指数も4ヵ月連続のマイナスは回避できると予想される。

 ただこれは、いわばテクニカルな要因だ。もっと広い視野でみると、問題は米中貿易戦争が終息するかどうかにかかっている。

 米中間での協議がまとまり、例えば、すでにかけられた制裁関税(2500億ドル)の関税率が一転して0%にする合意がまとまった場合には、目先の景気動向指数の悪化はごく短期で終わる。

 米中協議は、米国による追加関税実施期限が、米中首脳会談が開催される3月27日にまで、延期された。さらに、その首脳会談開催も4月上旬くらいまで延期される公算が高まっている。

 米中協議が終わらないと、「景気悪化」の行方を見極められないというのが、正直なところだろう。

 中国も3月5日から始まった全国人民代表大会で米国の要求に応える対応を示すとともに、成長減速に対応するため景気対策実施へとかじを切っている。

 早ければ、2019年4〜5月にも金融緩和などの効果が表れると予想される。

 そうなれば、中国向けの輸出回復で生産も持ち直す可能性があり、従って景気後退の判断を急ぐ必要はないと考えられる。

「消費増税再々延期」は
統一地方選の結果次第
 頭に入れておかなくてはいけないのは、日本の政治日程であり、政治の判断だ。

 4月は統一地方選挙があり、7月は参議院選挙が予定されている。統一選の情勢をみて、参院選が不利になりそうなら、安倍首相は10月の増税を再々延期する荒技を繰り出す可能性はある。

 例えば 2019年10月の増税時期を2020年4月にして、増税の反動不況を東京五輪ムードで帳消しにすることを狙うだろう。これで景気へのハト派姿勢を安倍政権はみせることができる。

 野党は、4月の統一地方選の前後で、「消費増税たたき」を熱心にやり過ぎると、参院選前に増税再々延期を与党が決めたときに完全にはしごを外される。過去にも思い出される痛い教訓だ。

 もうひとつ注目すべきは 6月の大阪G20サミットのときにどうするかだ。

 サミットには、トランプ大統領も習近平主席も日本に来る。いまの見通しでは、この時には、米中協議が、いい方向であれ、決裂であれ、はっきりしているはずだ。

 もし貿易戦争が泥沼化して、世界経済の景気悪化がより現実味をおびるようになっていたら、安倍首相は、議長国として、米国に厳しい姿勢をとるしかない。

 日本以上に景気が厳しい欧州の首脳も同調して、中国・欧州と日本が景気悪化の火元であるトランプ大統領に対して景気後退の責任を追及することになろう。

 それによって、消費増税の再々延期が“正当化”される空気が生まれる可能性もある。

 結局、安倍政権のスタンスは、3月末の米中協議を待ち、4月の統一地方選挙(前半7日、後半21日)の結果をみるというのが、基本になるだろう。

 6月のG20サミットのときに、景気後退を認めるのは、サミットの成功を演出するうえでも、やはり不都合だ。だから、ぎりぎり7月の参議院選挙の前が、「景気後退の宣言+消費増税の再々延期」ということになる。

可能性が高いのは
増税+大型景気対策
 だが、これは、あくまで「悪夢のシナリオがあるとすれば」という話である。

 可能性が高いのは、景気後退を宣言することはなく、むしろ増税の不安に対して、大型公共事業をさらに2019年度中に積み上げるような政策対応だろう。

 筆者が考えるメインシナリオは、景気後退は宣言しないまま大型景気対策を打ち出すというものだ。

 なぜなら、消費増税の再々延期となれば、安倍政権はリーマンショックに準じるような景気悪化を招いたことになり、1月までの「戦後最長」の景気拡大はアベノミクスの成果として認められなくなるからだ。

 野党から、アベノミクスの化けの皮がはがれ、脆弱な経済政策だったことを指弾されるのは目に見えている。これは消費増税の先送りへの批判よりも、政権にとっては、不都合だろう。

 また直前で増税を見送って参院選でかりに勝利できたとしても、2021年9月までの任期中に財政再建をどう前進させるかが問われる。

 3期目の安倍政権は年金改革、高齢者雇用見直しに取り組む構えをみせている。社会保障政策に軸足を置くのならば、財源を確保したうえで、制度改革を唱える方が、国会論議などで弱点が少なくてよいと考えられる。

 こうしたことを考えると、安倍首相は、増税延期と増税+αの政策をてんびんにかけて、しばらくは様子をみると予想される。

必要なのは
不確実性を払拭する政策
 常識的な判断として、消費増税するときに、本当に個人消費が激減するのなら、増税はやめた方がよい。筆者もそう考える。

 しかし、現在、人々がおびえているのは、消費税率を引き上げたときに、何が起こるかわからないという不確実性である。

 情勢が見えにくいことを理由にして増税を延期するのは、先行きが見通しにくいから先送りするという心理にすぎない。

 これでは、企業も消費者もずっと先々まで不確実性におびえ続けることになるだろう。これこそが「デフレマインド」の正体だ。

 したがって、これから消費税率を10%に引き上げようとするときに、私たちの社会が直面している課題とは、そのための準備をしっかりとやって、その不確実性を乗り越える挑戦をすることだろう。

 企業の収益体質が強くなっていることに自信を持ち、数年間、続けた賃上げによって勤労者の所得・消費も強い体質に変わったことを自覚することだ。

 筆者は、これまでの消費増税対策はやり過ぎたと思うが、それでも仕方ないと考えているのは、不確実性におびえる心理からの決別が必要だと考えるからだ。

 消費増税をまたまた延期するのか、増税を逃げず、「+α」の政策で企業や人々を前向きにさせるのか、安倍政権は、いずれ重要な判断を迫られる。

(第一生命経済研究所首席エコノミスト 熊野英生)
https://diamond.jp/articles/-/197333


 

ビジネス2019年3月20日 / 18:15 / 35分前更新
焦点:
月例報告基調判断下げ先送り、増税延期につながる表現回避
Reuters Staff
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[東京 20日 ロイター] - 政府は3月の月例経済報告で、景気の基調判断の引き下げを事実上先送りした。景気認識の引き下げが消費増税の延期につながった過去もあるだけに、明確な「意思表示」を避けたかたちだ。ただ、政府内には輸出・生産判断の引き下げの大きな要因になった中国経済の動向を含め、海外経済の先行きを警戒する声もあり、国内景気は「視界不透明」なままだ。

<内需支えに回復の表現維持>

基調はしっかりしている――。20日の関係閣僚会議で内閣府幹部はA4版13枚の資料を携え、こう力説した。貿易協議を巡る米中対立が中国経済の減速を招き、「輸出や生産の一部に『弱さも』みられる」と、現状判断は下向きに変えた。

ただ、輸出は国内総生産(GDP)の18%に過ぎず、さらに輸入を差し引いた「純輸出」では、成長率への寄与度はほぼゼロという論拠を背景に、これまでの「緩やかに回復している」との基本認識そのものは、維持するとの見方で押し切った。

内需の柱となる個人消費や企業の設備投資が増加している現状を踏まえれば、「回復基調が途切れたと判断するのは時期尚早」と、別の政府関係者は話す。

内閣府は、2015年秋まで「上方修正」「下方修正」「据え置き」のいずれかで景気の基調を示していたが、当時の甘利明・経済再生担当相が『白黒判断』に異論を唱え、景気の基調と、現状とを切り離すようになった。

今回、内閣府が輸出、生産の一部で弱さを認め、16年3月以来3年ぶりの下方修正となったのは「総括判断」との位置付け。基調そのものの見方を崩さなかったことについて、ニッセイ基礎研究所の斉藤太郎経済調査室長は「(基調判断の見直し)判断を先送りした。海外経済は減速局面で、下振れのリスクは今後も残り続ける」と指摘する。

<不透明な中国経済の先行き>

政府内にも国内景気の先行きに懸念を示す声もある。ある政府関係者は「輸出・生産の下方修正の主因になった中国経済の先行きが、本当に回復するのかどうか。そこが不確かなままでは、回復の2文字をいつまで継続できるのかわからない」と話す。

別の政府関係者は「将来の悪化の可能性も含め、先行きの不透明感は強い」と語った。

民間エコノミストの1人は、29日に発表される2月鉱工業生産の動向がカギを握ると予測する。2月の生産、3月の予測値を含め、1─3月期の平均のレベルが下げ止まりを示せば、「回復」を残した政府の見通しに近づく。

しかし、1─3月期のレベルが、10─12月期を大幅に下回るようなら、1─3月期の国内総生産(GDP)の前期比伸び率がマイナスになる可能性が高まり、景気後退への懸念を意識することになるだろうとみている。

<注目される消費増税との関連>

後者のシナリオが実現するなら、政府が表明している今年10月の消費税率引き上げの判断にも影響を及ぼしかねない。

また、月例経済報告は、政府の経済財政政策の土台になる先行指標とされ、安倍晋三首相が14年11月と16年6月に消費増税の延期を表明する前に、いずれも基調判断を引き下げた経緯がある。

政府関係者の1人は「安倍首相が『最大の経済対策』と位置付ける19年度予算案の審議中に、景気腰折れが鮮明になるのは得策ではない」と話す。

強弱の表現が入り混じった「月例文学」の先に何が待ち受けているのか、中国経済を含む海外経済の動向が、大きな影響を与えそうだ。

マクロ政策取材チーム 編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/monthly-report-japan-economy-idJPKCN1R10V0


 

ビジネス2019年3月20日 / 18:05 / 1時間前更新
総括判断3年ぶり下方修正、「緩やかな回復」は維持=月例経済報告
Reuters Staff
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[東京 20日 ロイター] - 政府は、20日の月例経済報告に関する関係閣僚会議で、景気の総括判断を2016年3月以来、3年ぶりに引き下げた。中国経済の減速で輸出の伸びが鈍化し、企業の生産活動に弱さがみられる現状を反映した。一方、国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費や設備投資は堅調とし、「緩やかに回復している」としてきた基調判断は今回も維持した。

3月の月例経済報告で政府は景気の総括判断を「輸出や生産の一部に弱さもみられるが、緩やかに回復している」に引き下げた。2月は「緩やかに回復している」としていた。今回の月例経済報告では、輸出や生産の弱さを念頭に「当面、一部に弱さが残る」とする先行きの見通しも併せて示した。

輸出は「このところ弱含んでいる」に据え置いた。中国向けの輸出の伸び悩みで19年1月に下方修正して以降、3カ月連続で踏襲した。生産については、輸出の鈍化が生産用機械や電子部品・デバイスに影響していると判断し、「一部に弱さがみられ、おおむね横ばいとなっている」と2カ月連続で下方修正した。

一方、内需の柱となる消費の持ち直しや設備投資が増加している現状を踏まえ、基調そのものの見方は維持した。戦後最長の景気回復が続いている可能性について、内閣府幹部は「(今回の月例判断で)途切れたとは考えていない」としている。

海外の景気に関しては「アジアと欧州の中では弱さがみられるものの、全体としては緩やかに回復している」との認識を示した。アジア地域のうち、景気判断を引き下げたのはインドだけで、中国は3カ月連続で「緩やかに減速している」とした。
https://jp.reuters.com/article/japan-monthly-report-idJPKCN1R10TR

 
主要ニュース(共同通信)2019年3月20日 / 17:50 / 27分前更新
政府、景気判断3年ぶり引き下げ
共同通信
1 分で読む

 政府は20日発表した3月の月例経済報告で、景気の全体像を示す総括判断を2016年3月以来、3年ぶりに引き下げた。前月までの「緩やかに回復している」との基調は維持した上で「このところ輸出や生産の一部に弱さもみられる」との文言を加えた。個人消費や設備投資が堅調だとして景気の後退局面入りは否定したが、中国経済減速などによる一定の変調を認める内容に見直した。

 先行きも一部に弱さを残しつつ、緩やかな回復が続くとの見通しを示したが、米中貿易摩擦など海外情勢に不安を抱える。10月の消費税増税を前に失速懸念がぬぐえなければ、追加の経済対策を求める声も出そうだ。

【共同通信】
https://jp.reuters.com/article/idJP2019032001001765?il=0
http://www.asyura2.com/19/senkyo258/msg/673.html

[政治・選挙・NHK258] 麻生発言、物価2%へ直ちの日銀政策は必要ないとの理解=安倍首相 日銀、長短金利操作の影響は限定−マネーと物価の分析必要
ビジネス2019年3月20日 / 16:55 / 2時間前更新
麻生発言、物価2%へ直ちの日銀政策は必要ないとの理解=安倍首相
Reuters Staff
1 分で読む

[東京 20日 ロイター] - 安倍晋三首相は20日午後の参院財政金融委員会で、日銀が2%の物価目標に「こだわり過ぎるとおかしくなる」とした麻生財務相の発言について、金融緩和が雇用を中心に実体経済に効果を発揮している中で、物価2%目標達成だけのために政策対応をすぐにとる必要はない、との意味と理解していると語った。風間直樹委員(立民)への答弁。

麻生太郎財務相は15日の会見で、日銀が掲げる2%の物価上昇率目標について「物価が2%に上がらなかったから『けしからん』と言っている国民は、1人もいないように見える」と述べ、「2%にこだわり過ぎると、おかしくなるということを考えないといけない」と語った。

この発言について見解を求められた安倍首相は、「本来の目標である実体経済において(金融政策が)効果を発揮している中で、今の段階で2%に到達していないことを政府として理解しているということだ」とし、麻生発言は「今すぐに2%をやるためだけに、何か政策手段をとる必要はないという意味で言ったと理解している」と語った。

日銀の金融政策運営については「手段については日銀に委ねており、黒田総裁の手腕を信頼している」と強調。

物価上昇率は目標の2%に達していないものの、「物価安定目標を追求することによって、雇用・実体経済に大きな成果を出している。我々は現在の日銀の金融政策を了としている」と述べ、政府と日銀の共同声明について「共同声明にある目標に向けて、今後も日銀が努力していくことを期待している」と語った。

また、麻生財務相は物価2%目標に対する考え方について、安倍首相、黒田東彦日銀総裁と「齟齬(そご)はない」と述べた。

伊藤純夫
https://jp.reuters.com/article/japan-abe-aso-price-boj-idJPKCN1R10NZ


 

日銀、長短金利操作の影響は限定−マネーと物価の分析必要
日高正裕
2019年3月20日 9:57 JST
大方の委員は「強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが適切」
一部で指摘されている緩和限界論に反論していく必要あるとの発言も
日銀の黒田総裁
日銀の黒田総裁 Photographer: Toru Hanai/Bloomberg
日本銀行の政策委員の間から、長短金利操作が物価に及ぼす影響は限定的で、現在の金融緩和策と物価との関係についてさらなる分析と検討が必要との声が出ていたことが20日公表された1月22、23日の金融政策決定会合の議事要旨で分かった。

  ある委員は長短金利操作について「実質金利を低位に維持することで実体経済の拡大に一定程度貢献している」が、物価や予想物価上昇率への影響は「これまでのところ限定的」との認識を示した。その上で、長短金利の水準やマネタリーベースと物価上昇率などの関係について「さらなる分析と検討が必要」と指摘した。

  日銀は13年4月、黒田東彦総裁の下で、約2年を念頭に2%の物価目標の達成を目指して異次元緩和を開始。累次の追加緩和を行ったが、足元の物価上昇率は1%に満たず目標は遠い。16年9月に金融調節の操作目標を量から金利に変える長短金利操作を導入。同時に、消費者物価指数(除く生鮮食品)前年比が安定的に2%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続すると表明した。

  先に公表された同会合の主な意見で「長短金利の水準あるいはマネタリーベースと物価上昇率等の関係について、さらなる分析と検討が必要」との主張が掲載され、発言者が一段の金融緩和を求めるリフレ派なのか、正常化を志向する委員なのか、金融市場の一部で憶測を呼んでいた。

  同会合では、大方の委員は「強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが適切」との認識を共有した。しかし、ある委員は「状況の変化に対しては追加緩和を含めて迅速、柔軟かつ断固たる対応を取る姿勢を強調するとともに、一部で指摘されている緩和限界論に反論していく必要がある」と発言。複数の委員は「経済・物価情勢が大きく悪化するような場合は政府との政策連携も一段と重要になる」と述べた。

  これに対してある委員は、不確実性の高い状況の下で急いで政策を変更すると「かえって金融不均衡の蓄積や実体経済の振幅拡大につながるリスクもある」と言明。十分に情報を収集・分析した上で、「その時々の状況に応じて適切に対応していくことが大事である」との認識を示した。

  10月の消費増税については、一人の委員が「消費税率引き上げと教育無償化政策という制度変更を一つの政策対応として捉えると、物価に対する影響は比較的軽微にとどまる」と指摘。特定の要因を見通しから除外する扱いは「限定的とすることが望ましい」と述べた。その上で、委員は「今後は基本的には両方の影響を織り込んだ見通し計数を中心に説明していくことが考えられる」との認識を共有した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-20/PON3246JIJUP01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/senkyo258/msg/675.html

[経世済民131] そんなに甘くない! 中小企業「働き方改革」の現実 中小企業はここから変えよ(第1回) 
そんなに甘くない! 中小企業「働き方改革」の現実
【短期集中連載】中小企業はここから変えよ(第1回)
2019.3.20(水) 野崎 大輔

(野崎大輔:組織人材開発コンサルタント)

 この4月から、昨年成立した働き方改革関連法の適用が始まります。

 企業に義務付けられる内容を簡単に言えば、「労働時間の削減」、「5日間の有給休暇の消化」、「同一労働同一賃金」などです。

 これらを中小企業の経営者はどう受け止めているか。多くの中小企業と付き合っている経験から言えば、ほとんどの経営者の本音は「そんなの関係ねえ」です。そもそも中小企業は、絶対的な人手不足という状況にあります。もし業績が上がっているような会社であれば、なおさら人手が足りていないので、社員に休んでもらってはいっそう困る。つまり、中小企業は人手が足りないので働き方改革に手を付ける余裕はない。それが現実です。

「働き方改革」で自宅に仕事を持ち込む社員が続出?
 だから経営者は、社員の労働時間を削減する前に、「全然採用ができない現状をどうしようか」で頭がいっぱいです。働き方改革をニュースなどで取り上げていることは知っていても、自分の会社で実施しようなんて、ほとんど考えていません。

 もちろん大企業は違います。働き方改革を進めなかったら、社員から「うちの会社のコンプライアンスはどうなっているんだ」などと不平が出ます。だから大企業はやるのです。従業員の数も多く、経営的な体力もあるのでさまざまな対応が可能です。でも中小企業は同じようにはできません。なにしろ社員がいないのですから。

 監督する労働基準監督署だって、いちいち中小企業を個別にチェックすることはできません。「ウチの会社、ものすごい違反がある」などと社員からの通報でもあれば調査に来るでしょうが、そうでもなければ「有給休暇を5日間消化させているかどうか」なんて分かりません。

 そもそも社長の視点で見れば、休んでいる日にも給料を支払う有給休暇は「コスト」でしかありません。もちろん、社長の意識も変わってきているので、「休みを取らせよう」という風潮は以前に比べればだいぶ出てきてはいますが、「有給休暇100%消化」というところまではまだいっていません。私が関わっている企業の経営者にも、「世の流れも変わってきていますから、できる範囲で、なるべく休みを取れるようにしてきましょう」という現実的な対応をしているのが実態です。

 しかし、だからといって中小企業で働き方改革が実現できないというわけではありません。ごく一部の会社は、働き方改革も進んでいます。

 上手くいかない会社は、働き方改革の本質を見ないで取り組みを始めています。「働き方改革=労働時間削減」という発想で、「残業しちゃダメ」「6時には帰れ」と号令を発してしまうのです。

 こういう取り組みが招く結果は目に見えています。まず社員が抱えている仕事が終わらなくなります。なにしろ、仕事の量は今までと変わらないのです。だから6時で退社しても、自宅に仕事を持ち帰ることになります。あるいは帰宅途中の喫茶店でパソコンを叩いたりしているかもしれません。


 だから単に退社時間を早めさせただけでは、会社として体裁を保つことはできても、裏側で社員にしわ寄せが行ってしまいます。

 有給休暇だって同じです。いくら社長が「有休をとれ」と言っても、社員の方は「俺がやらないと終わらないんだから」といって、出勤記録上は休んだことにしながら、実際は出社して仕事をしていたりする。

 これが「働き方改革」が上手くいかない会社の典型例です。「うちは残業禁止、有休消化を社員に徹底させています」なんていう会社ほど、裏で社員が帳尻合わせをさせられている。これでは無意味どころか害悪です。

 そこで、中小企業の社長さんたちには「働き方改革」の本質を考えてもらいたい。それは何かと言ったら「生産性の向上」なんです。だって、いままで10こなしてきた仕事を8に減らしていい、ということじゃない。仕事量は10のまま、労働時間を減らそうということなんです。とすると、社員一人ひとりの能力を高めなきゃいけないわけです。

「そんなこと分かってんだよ! じゃあどうすればいいんだ」

 そんな怒声が聞こえてきそうですので、結論を急ぎます。最初に取り組むことは、まず「社員が離職しないようにすること」です。

輸血の前に止血を
 最初にも書きましたが、そもそも中小企業は人手が足りないのです。しかし一方で、大企業に比べたら社員の離職率も高い。だから、社員を増やすことを考える以前に、社員が辞めないようにすることが大事なんです。

 辞めずに働き続けてくれる社員は仕事のスキルも上がっていきます。経験値が増していきます。当然、生産性も上がっていくのです。逆に、社員の入れ替わりが激しいと、スキルの向上がなされず、それだけで生産性が下がります。ベテランを付けて教育係にさせたりすると、さらにベテランの生産性も下がってしまう、という悪循環に陥ってしまいます。だから誤解を恐れずに言えば、中小企業では、まず「辞めさせない」ことが大事なのです。

 社員が辞めなければ、仕事はなんとか回ってきます。そこがスタートで、そこから業務改善が進み、そして「休みをどうしようか?」という話になるのです。そういう順番で進めずに、いきなり「休みを取れ」では失敗します。

 ゆえに私は、支援先の会社に伺って、離職率が高いようであれば、まず辞めないような職場作りから始めてもらいます。「輸血する前に傷口をふさいで出血を止めろ」ということです。

 そこで必要なのが、「社員教育」です。実例を出して説明しましょう。

 私は最近、複数の動物病院の経営改善に関わっています。実は動物病院は離職率が非常に高い業界です。社員が辞めてしまう主な理由の一つは、院長との人間関係です。

 流行っている動物病院はトリマーなどを抱えているところも多く、多くのスタッフを抱えるようになってきているのですが、動物病院の院長は、大学で獣医師としての知識・技術は学びますが、人材のマネジメントは習ってきていません。勢い、どうしてもスタッフのマネジメントが下手なのです。

 お客様も増えて売り上げは伸びてきているけれど、組織作りと人材で悩んでいる動物病院の院長が多いのです。

 動物病院は女性社員も多く、男性とは違ったマネジメント法が求められるのに、男性の院長は、声の掛け方や気配りに無頓着で、スタッフからの信頼を得られないというケースが多いのです。

 そうした中で6年前から関わっている病院は、当時社員6人でしたが、今は30人にまで増えています。動物病院の中ではかなり大きい病院です。この3〜4年に限れば、辞めた人は一人もいません。

 入社時には何もできない新入社員も、病院が新入社員の受け入れ体制を整えられていますし、先輩の仕事に取り組む姿勢を見習いながら、徐々に育っていきます。

 先輩が後輩に教える時間はコストになります。定着率が高ければ先輩スタッフが何度も同じことを教えるということはなくなりますので、それだけでも生産性は下がることはありません。業務に支障が出ないようにシフトを組んで有休もちゃんと消化しています。職場での人間関係も良いので今のところ病院を嫌で辞めるスタッフが出ておらず、毎年数人採用してきた結果、気づいたら人数が増えていたという感じです。定着率が高くなり、生産性も少しずつ高くなってきたことでできることが増えてきたということになります。

 このようなことが自然にできていることが働き方改革の本質だと思います。

社員自ら課題解決していく習慣づけを
 では、辞めないような職場づくりのために、私がクライアント企業にやってもらっていることは何か。難しいことじゃありません。まず最初に全社員に、自分の会社の問題点を紙に書いてもらうんです。「理想とする職場のイメージ」、「現状」、「組織の課題」、「自分の課題」。この4つを書いてもらいます。

 非常にシンプルなことですが、実はこれをやるだけで会社の問題点と課題が相当クリアに見えてきます。「職場の課題」が明確になれば、何をやるかが決まってきます。そこで、「そのために自分は何をすればいいのか」を自分たちで考えてもらうのです。

 例えば「スタッフ間のコミュニケーションが悪い」という課題が出てきたら、どうすれば改善するかを自分たちで考え、その改善法を自分たちで実践していく。それが仕事を通じて社員が成長できる教育なんです。これを継続的にやらせるということが教育になる。自分たちで考え、実行し、失敗すれば改善法も自分たちで考える。つまりPDCAを繰り返していくわけです。

 自分達で会社の課題を整理し、出てきた課題を自分たちで一つずつ解決していく。上手くいかなかったら新たな改善策を実践する。そしてこの作業を繰り返す――これが人材育成において重要なプロセスなのです。

 一般的に、「社員教育」といえば、研修を受けさせたりということになるでしょうが、これだと効果は一過性になってしまうことがほとんどで、業務改善にはあまり結びつきません。でも自分たちで考え、自分たちで実行する習慣を身につければ、PDCAは無限に回っていきます。

 社内の問題を解決するにあたりコンサルタント主導ではなく、社員主導型の自社改善で進めていくと最初は進みが遅いですが、結果的には早く良くなっていきます。そして社内の良い気質は、常に改善をしていくことでより強固な土台となっていきます。

 この手法で職場の課題解決をしていけば、職場の環境・雰囲気はどんどん良くなっていきます。職場が良くなれば社員も辞めなくなります。よって生産性が向上し、「残業廃止」「有休消化」も達成できるというサイクルが生まれるのです。

(次回に続く)


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55792
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/602.html

[国際25] ブレグジット迷走の根っこにある疑心と誤解の歴史 ぶつかり合う伝統、偏見、無知、嘘――英国とEUの厄介な関係 
ブレグジット迷走の根っこにある疑心と誤解の歴史
ぶつかり合う伝統、偏見、無知、嘘――英国とEUの厄介な関係
2019.3.20(水) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2019年16/17日付)

EU大統領、ブレグジットの「大幅延期あり得る」との見解示す
欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長(右)と英国のテリーザ・メイ首相。エジプト・シャルムエルシェイクで開かれた会談の様子(2019年2月24日撮影、資料写真)。(c)Francisco Seco / POOL / AFP〔AFPBB News〕

 欧州共通の歴史書の物語ほど、かつてないほど厄介な英国と欧州連合(EU)の関係を見事に描写するエピソードはないだろう。

 EU加盟国からそれぞれ1人の歴史家が選ばれ、1章ずつ書くよう委託された。

 ところが英国人の歴史家が、エリザベス朝の海の英雄で1588年にスペイン無敵艦隊を撃破したサー・フランシス・ドレイクのことをスペイン人の歴史家がただの「海賊」として片づけたと文句をつけた後、プロジェクトは頓挫した。

 経済政策、人の移動の自由、国家主権、欧州統合の適切な度合いをめぐる論争が、英国がEU離脱へ向かっている主な理由だとよく言われる。

 しかし、ぶつかり合う伝統や誤解、偏見、無知、そして全くの嘘が、英国が1973年に当時の欧州経済共同体(EEC)に加盟したほとんどその日から、英国のEU加盟がいつつまずいてもおかしくない石ころだった。

 時折、英国はやられる側に立っていた。

 フランスのジャック・シラク元大統領はかつて、ドイツのゲアハルト・シュレーダー元首相とロシアのウラジーミル・プーチン大統領を相手に英国人に関するジョークを披露し、「料理があれほどまずい国のことは、とにかく信じられない」と言ったことがある。

 しかし、英国人の側もそれなりに愚弄や暴言を繰り出してきた。

 ジェレミー・ハント英外相が昨年、EUをソ連になぞらえた比較はただ単に、1980年代後半以降に英国、もっと正確に言えばイングランドから出てきたとんでもない愚行のうち、最新かつ最も侮辱的なものにすぎない。

 欧州の他国の政府や市民も時折、思いつくままにEUを批判する。だが、自国の問題をEUのせいにし、何事についても絶対にEUの功績を認めない政界エリートの本能が英国以上に強い国はほかにない。

 EUの現在の形が英国によるところが大きいことを考えると、これはなおのこと驚きだ。

 英国は、単一市場の創設と冷戦後の中東欧へのEU拡大の原動力になった。だが、現実と虚構が争う英国の競争では、ほぼすべての場面において、虚構が結局勝つことになった。

 この責任の一端は、英国の主流メディアが冷静なEU像を描けなかったことにある。

 EUの活動について意図的なナンセンスを売り込むことにかけては、ハント氏の前任の外相で1990年代前半にデイリー・テレグラフ紙のブリュッセル特派員だったボリス・ジョンソン氏の上を行く人はいない。

 「ブリュッセル(EU本部)は、欧州の肥料の臭いが確実に同じになるよう、鼻が利く人材を採用している」

 次の保守党党首および英首相としてテリーザ・メイ氏の後を継ぐことを期待しているジョンソン氏は、こんなことを書いていた。

 もっと大きな意味では、英国の学校と大学は1973年以降、EUの知識を普及させる努力が全くもって足りなかった。

 英国が加盟国である期間が長くなるほど、教育システムにおいて欧州の言語が学ばれる時間が減っていった。

 こうした事情がすべて重なり、2016年の英国の国民投票に向けたキャンペーンで散見された欧州に関する虚偽やカリカチュア、妄想が肥沃な土壌にばらまかれることになった。

 英国人有権者のぎりぎり過半数が国民投票でEU離脱を支持するよう説得された理由が、これでかなり説明できる。

 しかし、これはもっと長く、もっと陰鬱な構図の一部でしかない。

 国民投票の何年も前、ロンドンの代々の英政府は、EUと加盟国のムードと政策論争を読み誤ることで自ら問題を招いた。

 際立つ事例が、保守党政権と、保守党政権のドイツとのつき合い方にまつわるものだ。

 ドイツ政府とブンデスバンク(ドイツ連邦銀行)が英ポンドを欧州為替相場メカニズム(ERM)内にとどめるために何の手も打たなかった1992年の「ブラックウェンズデー(暗黒の水曜日)」の大混乱の後、英国人は手助けするドイツの意思の限界を理解したと考えてもおかしくないだろう。

 にもかかわらず、メイ氏の前任にあたるデビッド・キャメロン前首相は、2016年の国民投票でEU残留を勝ち取るために、英国の加盟条件についてドイツのアンゲラ・メルケル首相から十分な譲歩を引き出せると自信を持っていた。

 キャメロン氏は完全に間違っていた。

 あの当時、ドイツの優先課題は、ユーロ圏危機と難民危機の余波を食い止めることによりEUの結束を保つことだった。

 すでにいいとこどりをしているように思える英国のために、一肌脱いだりしない。

 何しろ英国は、EU予算の払い戻しと単一市場への自由なアクセスを含むEU加盟の恩恵を享受する一方で、欧州の通貨同盟と国境検問なしで人が行き来できる「シェンゲン協定」に加わる義務はなかった。

 至極真っ当な理由から、ドイツ人などは20世紀半ばの不幸な歴史を過去のものにし、緊密化する欧州国家の同盟を築くことに必死になっていた。

 だが、多くの人は、このプロジェクトに対する英国人の大きな疑念に共感を抱くのは難しいと思っていた。

 英国人は1945年以降、民主的で国家主権に基づく自分たちの制度機構が、まさにナポレオン戦争と第1次世界大戦を切り抜けたように、英国史上最も危険な歳月を無傷で生き延びたことに大きな誇りを感じていた。

 しかし、もし大陸欧州の人々が本当にミスを犯したのだとすれば、それは皮肉に満ちたミスだった。

 2016年の国民投票の結果が出た直後、「perfidious Albion(不実の英国、英国の狡猾な外交手法を指す軽蔑的な用語)」の伝統にどっぷり浸かった英国の交渉担当者らはおそろしく賢いため、離脱協議でEU側の交渉担当者を悠々と負かすという不安をEUの政治家が口にするのを聞くのは珍しくなかった。

 いかにも英国的な控えめな表現をするなら、筆者は今、この不安は少しばかり的外れだったと言うことができる。

By Tony Barber

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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55823
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[政治・選挙・NHK258] 景気回復途切れておらず、戦後最長更新の可能性と認識=茂木経財相
ビジネス2019年3月20日 / 19:50 / 2時間前更新
景気回復途切れておらず、戦後最長更新の可能性と認識=茂木経財相
Reuters Staff
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[東京 20日 ロイター] - 茂木敏充経済再生・経済財政担当相は20日、月例経済報告関係閣僚会議終了後の会見で、個人消費や設備投資などの内需がしっかりしており「現時点で景気回復が、途切れたとは考えていない」との認識を示した。そのうえで今景気回復が今年1月に戦後最長を更新した可能性があるとの認識に「変わりはない」と述べた。

20日の月例経済報告では「輸出や生産の一部に弱さもみられる」と、下方修正の文言を付け加えながらも「緩やかに回復している」とし、景気の基本認識そのものは維持した。

茂木担当相は、基本認識を維持した背景として、国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費や設備投資といった内需の柱の増加基調が続いており「内需が腰折れする状況ではない」との認識を示した。

また、世界経済についても、4分の1を占める米経済が「極めて堅調」であることを挙げ「世界経済がリスクに直面していた2016年当時とは異なっている」と述べた。

中国経済については、中国政府が市場予想を上回る規模の経済対策を打ったことから「効果がどのタイミングでどう出るかを含めて動向を注視したい」と述べた。

消費増税を延期した2016年は「世界経済がさまざまなリスクに直面し、内需も腰折れしかねない状況だった」と振り返った。

茂木担当相は「中国経済の先行きや、通商問題の動向など海外経済のリスクには十分注意しつつ、経済運営には万全を期していきたい」としながらも、今年10月に予定されている消費税率の10%への引き上げについては「法律で定められている通り、今年10月に10%に引き上げる予定」と述べた。

清水律子 編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/eoconomy-minister-economic-recovery-idJPKCN1R1155
http://www.asyura2.com/19/senkyo258/msg/676.html

[経世済民131] 10連休に円高リスク 円売り、巻き戻しで急騰懸念 日銀の国債保有比率、6年9カ月ぶりに低下  「日銀はハト派」黒田総裁
10連休に円高リスク 円売り、巻き戻しで急騰懸念
2019/3/20 21:43日本経済新聞 電子版
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皇位継承に伴う10連休中に円高・ドル安が進むリスクが浮上している。足元では投機筋による先物の円売りポジションが拡大しているが、連休中に流れが反転する可能性が出ているためだ。連休中も市場が開く海外株式市場の動き次第では急に円高に振れる可能性もあり、多くの個人投資家が痛手を被った「年初の円急騰」の再来を懸念する声が広まっている。

米商品先物取引委員会(CFTC)によると、投機筋の先物取引で円買いの建…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42732320Q9A320C1EN2000/

 

日銀の国債保有比率、6年9カ月ぶりに低下
経済
2019/3/20 21:00
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日銀がまとめた2018年10〜12月の資金循環統計(速報)によると、市場全体に占める日銀の国債保有比率は12月末時点で42.99%と、9月末の43%からわずかに低下した。低下は12年3月末以来27四半期(6年9カ月)ぶりで、日銀が国債の大量購入を打ち出した異次元緩和の開始以来初めて。短期債の保有残高減少や長期債の買い入れペース減速が背景にある。

日銀が最大の国債保有者であることは変わらない。12月末時点の市場全体の日本国債(財投債含む)の残高は前年比1.6%増の1111兆円と、統計を遡れる05年3月以降で最高。そのうち日銀の残高は478兆円で前年比6.3%増えた。

ただ日銀は16年9月に政策目標の軸足を資金量から金利に移し、短期国債の保有残高を減らしている。昨年7月の政策修正以降、国債市場の機能改善を目的に長期債の買い入れも徐々に減額しており、全体に占める保有比率が小幅に低下した。

日銀の保有比率低下の一因には、海外勢の日本国債取得が増えたこともある。昨年12月末の海外勢の保有残高は134兆円と前年比9.5%増え、保有比率は12.1%と過去最高を更新した。

昨年末にかけて米国など世界の金利が低下したが、ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏は「日本国債は日銀の政策で利回りが大きく下がらないと見られたため魅力的だった」とみる。米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、足元では長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りはほとんど動いていない。

SMBC日興証券の末沢豪謙氏によると米英の中銀の国債保有比率は1〜3割程度となっており、日銀の保有比率の高さは世界でも突出している。保有比率が5割を超えると日銀の国債の保有残高が国内総生産(GDP)を上回ることになる。

末沢氏は「日銀は緩和政策の出口戦略も念頭に5割を超えないように国債の購入ペースを調整している」と指摘。短期国債の残高の削減が進んでいることから、今後は長期国債の買い入れペースを減速して調整することになると予測する。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42730240Q9A320C1EE8000/


 

 
「日銀はハト派」、黒田総裁が答弁
2019/3/20 21:00
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日銀の黒田東彦総裁は20日、参院財政金融委員会で政策スタンスを問われて「日銀はハト派」との認識を示した。金融市場では緩和に積極的な中央銀行を「ハト派」、引き締めを志向する中銀を「タカ派」と呼ぶことが多い。追加緩和については「物価安定の目標に向けたモメンタム(勢い)が損なわれたら検討する」と改めて述べた。

無所属の渡辺喜美議員が現状のマイナス金利政策などを念頭に「日銀はハト派なのかタカ派なのか」と質問。黒田総裁は、日銀が2%の物価安定目標に向けて大規模な金融緩和を「粘り強く続けている」としたうえで「おそらく日銀はハト派ということになると思う」と述べた。

これに対して渡辺氏は「日銀は(タカより体が大きい)ワシ派だと思う」と日銀の金融政策が経済に及ぼす影響の大きさを指摘。景気が下降局面にあるとの認識を示しつつ、追加緩和の余地の有無を質問した。

黒田総裁は追加緩和の手段について「政策のベネフィットとコストを考えながら組み合わせる」とした。金利の引き下げや資産買い入れの拡大などから、経済状況に応じて検討するとみられる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42731730Q9A320C1EE8000/



http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/603.html

[政治・選挙・NHK258] 景気判断、外需を見極め 政府「消費など内需は増加」 消費税率引き上げの延期論が出てきかねないことへの警戒
景気判断、外需を見極め 政府「消費など内需は増加」
経済
2019/3/20 20:57 
政府は20日公表した3月の月例経済報告で、設備投資や消費の底堅さを理由に緩やかな景気回復が続いているとの見方を強調した。輸出や生産の落ち込みで後退局面に入っているとの見方を打ち消した格好だ。ただ今後も中国経済などの減速が続き、内需まで下押しされるようだと景気判断は大きな下方修正を余儀なくされる。このため当面は外需の動向を慎重に見極める構えだ。

経済財政相が閣僚会議に提出する月例経済報告は政府の公式な景気判断になる。複数の指標から機械的に景気の向きをはじく景気動向指数は1月に景気後退局面入りの可能性を示唆する「下方への局面変化」となっていたため、政府の正式な判断が注目されていた。

最大の焦点は総括判断で「回復」の文言を残すかどうかだった。アベノミクス開始後に景気回復の兆しが出てきた2013年7月以降、政府は景気の総括判断で「回復」を使い続けてきた。仮に削除すれば、12年12月に始まった現在の景気回復局面は転換点にきたとのメッセージになる。

今回の総括判断で政府は「輸出や生産の一部に弱さもみられる」と付け加えた上で「緩やかに回復」の文言は残した。茂木敏充経財相は20日の記者会見で「(景気回復が)今年1月に戦後最長を更新した可能性があるとの認識は変わっていない」と述べた。

根拠は内需の強さだ。個人消費と設備投資を合わせると、国内総生産(GDP)構成比の7割程度になる。内閣府はこうした内需について「ファンダメンタルズ(基礎的条件)はしっかりしている」と説明。足元の景気の弱さの原因は一時的な海外要因だと分析する。

ただ海外の減速が本当に一時的かどうかは不明だ。1月に前年比17.4%減と急激に落ち込んだ中国向け輸出は、2月に同5.5%増えたが戻りは鈍い。米中貿易戦争の行方によっては中国経済に一段とブレーキがかかる懸念もぬぐえない。

海外景気の変調が続くようだと、頼みの内需にも影が落ちる。農林中金総合研究所の南武志氏は「外需の落ち込みをカバーするほど民間消費に力強さはない」と指摘する。輸出不振による生産の減少が企業の設備投資計画の見直しにつながっていけば、内需の柱も揺らいでしまう。

今後さらに生産が悪化すれば、景気動向指数は「悪化」へともう一段下がりかねない。同指数のうち現状を判断する「一致指数」は構成9項目のうち4項目を生産関連が占めるためだ。そうなれば政府の景気判断で「回復している」という表現を使い続けるのは、さすがに難しくなってくる。

政府が景気回復が続いていると強調する背景には、1月の同報告で「戦後最長になった可能性が高い」と宣言したばかりの景気に水を差したくないとの思惑もありそうだ。景気への不安が過度に伝わると、企業や消費者の心理が悪化し、消費や投資の慎重姿勢が強まって、実際に景気を下押ししてしまうためだ。

もう一つ、今年10月の消費税率引き上げの延期論が出てきかねないことへの警戒も見え隠れする。日銀内にも「政府が景気後退の判断を示せば、増税見送りにつながる」との声が出ている。

政府内には中国政府が打ち出した2兆元(約33兆円)規模の経済対策の効果も間もなく表れるとの期待もある。今回の月例報告には、景気の変調が一時的であってほしいという政府の願いも込められているように映る。
 
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2019/1/29 10:15更新
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42731750Q9A320C1EA2000/
http://www.asyura2.com/19/senkyo258/msg/678.html

[経世済民131] 欧州市場の主要指標11時半 ポンドは安値圏 独の農薬大手バイエルが急落 英消費者物価、2月1.9%上昇 半年ぶりに拡大
欧州市場の主要指標11時半 ポンドは安値圏 独の農薬大手バイエルが急落
2019/3/20 20:57

【NQNロンドン】20日午前のロンドン外国為替市場で、英ポンドは対ドルで安値圏で推移している。英国時間11時半時点では、前日の16時時点に比べ0.0050ドルのポンド安・ドル高の1ポンド=1.3210〜20ドルだった。

9時30分発表の2月の英消費者物価指数(CPI)をきっかけにポンドは下げ幅を拡大した。その後は米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果待ちや、英国の欧州連合(EU)離脱の延期期間をめぐる先行き不透明感から方向感に乏しい。

ユーロは対ドルでやや上げ幅を拡大。同16時時点に比べ0.0010ドルのユーロ高・ドル安の1ユーロ=1.1350〜60ドル。

円は対ドルで小動き。同20銭円安・ドル高の1ドル=111円50〜60銭で推移している。東京市場の流れを継いで円売り・ドル買いが優勢で始まった。その後はFOMCの結果発表を前に積極的な取引は手控えられている。

英株価指数FTSE100種総合株価指数は同11時半時点で、前日の終値に比べ0.07%安。

主力の鉱業株が売られ、株価指数を押し下げている。鉄鉱石世界最大手ヴァーレのブルクツ鉱山が再開の見通しとなり、供給過剰を意識した売りが出た。一方、ポンド安を背景に海外で収益を得る医薬品株と酒類のディアジオが上昇している。

ドイツ株式指数(DAX)では医薬・農薬大手のバイエルが急落している。米国で係争中の傘下の米モンサントが販売していた除草剤の発がん性をめぐる裁判で、19日に陪審団がバイエル側の主張を認めなかったことから、先行きを懸念した売りが膨らんだ。DAXは前日比で1%以上、下げている。

ロンドン原油市場(ICEフューチャーズ)で北海ブレント先物相場は1バレル67.44ドル付近に小幅下落。ロンドン地金市場協会(LBMA)の金価格は1トロイオンス1304.03ドル前後に下落。一方、ロンドン金属取引所(LME)で銅先物相場は小動き。

 
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https://www.nikkei.com/article/DGXLASGR20H1T_Q9A320C1000000/


 
英消費者物価、2月1.9%上昇 半年ぶりに拡大
英EU離脱 ヨーロッパ
2019/3/20 20:41 
【ロンドン=篠崎健太】英政府統計局が20日発表した2月の英消費者物価指数(CPI)は、前年同月比1.9%上昇した。伸び率は前月より0.1ポイント高まり、2018年8月以来半年ぶりに拡大した。食料品やアルコール飲料、たばこなどが指数を押し上げた。年初に適用された電気料金の上限規制の効果で、英中央銀行イングランド銀行の政策目標(2%)には達しなかった。

2月の上昇率は調査会社リフィニティブがまとめた市場予想(1.8%)を上回った。労働需給の引き締まりを背景に、平均賃金は足元で3%台前半と物価を上回る上昇率になっている。

一方、英住宅市場は鈍化傾向が鮮明になっている。政府統計局が同日発表した1月の住宅価格指数は前年同月比1.7%の上昇だった。伸び率は前月より0.5ポイント縮み、13年6月以来5年7カ月ぶりの水準に低迷した。

とりわけロンドン地区では1.6%下がり、下落率が0.9%ポイント広がった。リーマン・ショック後の09年9月以来のマイナス幅だ。欧州連合(EU)離脱に伴う経済環境の先行き不透明感から資金流入が細っている。

 
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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42731650Q9A320C1FF8000/
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/604.html

[経世済民131] 世界の株主還元、10年で倍増 18年度、最高の265兆円 最近の商品価格 米金利動向 株価10%割高 上昇は1年で終わる
世界の株主還元、10年で倍増 18年度、最高の265兆円
【イブニングスクープ】
2019/3/20 18:00

世界の企業が株主に回すお金を増やしている。配当と自社株買いの合計額は2018年度に過去最高の2兆3786億ドル(約265兆円)と金融危機の影響が強く出る前の08年度比倍増する見通しだ。世界の設備投資額にも匹敵する規模に膨らんでおり、企業のお金の使い方を表す資金配分の長期的な変化を表している。金融緩和で資金が大量に出回っているところに、企業がさらに還元を通じてお金を資本市場に配分することでカネ余りを増幅している。

イブニングスクープ
翌日の朝刊に掲載するホットな独自ニュースやコラムを平日の午後6時ごろに配信します。
QUICK・ファクトセットで継続比較可能な世界100カ国、約1万5千社を集計した。足元で減速感もある世界経済だが日米欧の企業業績は過去最高水準。利益増を背景に企業は株主還元を増やしており、18年度は前年度比2割弱の高い伸びになりそうだ。

世界銀行によると世界の国内総生産(GDP)合計は約80兆ドル(17年度)。株主還元額は3%弱に相当する規模で、10年前の2%弱から比率が高まっている。

従来は企業の主要な資金振り向け先だった設備投資額は伸び悩む。17年度に2兆2554億ドルと直近ピーク(14年度)比6%減の水準だ。一方で企業はより長期の成長分野を探る研究開発費は増やしており、世界全体の研究開発費合計は17年度に過去最高の0.67兆ドルだった。それでも設備投資と研究開発費の合計でみても、10年前に倍以上離れていた還元額との差は直近で2割程度まで縮小した。

底流には産業のけん引役の交代がある。かつてのモノづくりからデジタル技術へと主戦場は移った。企業の稼ぎ頭は多額の設備投資を行う鉄鋼など素材や自動車・電機など加工・組み立て業から、米「GAFA」に代表される巨大IT企業群に替わった。知識集約型で多くは大規模な生産設備を必要としない。

設備投資に回らない企業部門の資金は、高株価を武器にしたM&A(合併・買収)などに回り、市場のカネ余り感を一段と強めている。

株主還元という選択は他に有望な投資先のない消去法の側面もある。

米アップルは18年度に595億ドルの純利益を稼ぎ出したが、それを上回る規模の727億ドルを自社株買いに回した。他に18年度に自社株買いを増やした企業の上位にはバンク・オブ・アメリカやウェルズ・ファーゴなど銀行も目立つ。カネ余りをもたらした超低金利下で利益確保に走り、成長企業に資金を回す本来の役割を果たせていない。

企業部門には還元を増やしても使い切れないお金が積み上がる。世界合計の企業の手元資金額は17年度に初めて5兆ドルを突破した。

お金がたまると、投資家は資金効率の観点からさらなる還元姿勢を強める。本来、成長分野にお金を回す役割を担う株式市場で還元重視が行き過ぎれば「富が特定の企業に集中し、市場がそれを増幅する動きが強まりかねない」(みずほ総合研究所の高田創チーフエコノミスト)との指摘がある。

市場を通じた格差拡大の弊害も無視できず、米国では一部で行き過ぎた自社株買いを規制する議論も浮上している。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42710160Q9A320C1SHA000/?n_cid=NMAIL007


最近の商品価格について
(近藤 雅世)

世界情勢と金・原油価格
 世界の景気は成長率が減速し、景況感が悪化している。
 しかしそうと言いながら不況に陥っているほどではなく、景気は一時的な調整で、近い将来回復するという経済評論家もいる。まさに先行き不透明となっている。商品価格についても金価格は昨年夏と年末の米国株価下落を受けて金が安全資産として買われ、ことに欧州で金ETFが売れた。
 しかし、今年に入って株価は反発し、その分金価格は下押しされている。原油価格もほぼ横ばい状態で大きなトレンドは出ていない。
金融政策の変化
 各国中銀は利上げを停止、ないしは予定されていた利上げを延期している。米連邦準備制度理事会は半年前には政策金利を2020年に3.5%近くにするため、19年に3回利上げすることを想定していた。
 最近は当面の利上げ休止を示唆し、短期金利は2.5%弱にとどまっている。ヨーロッパ中央銀行は、19年のインフレ率を1.6%から12%に引き下げ、成長率予想を1.7%から1.1%に下方修正した。その上で年内の利上げを断念し、9月に量的金融緩和を再び行うとしている。インドやオーストラリアでは利下げされ、カナダと英国では利上げが先送りされている。
 いずれも足下の経済が停滞し始め、世界経済が想定外の後退局面に陥ることを防ぐための金融政策の転換である。政治的な不透明さは、米中貿易摩擦や英国の欧州連合離脱計画等である。3月12日の時点ではどちらも決着はついておらず、今後難しい交渉がどのような妥協点に落ち着くかが見物となっている。
NY金価格
 昨年末に大きく落ち込んだダウ平均株価に対して金は買われ、昨年夏の8月9日1176.2ドルだったNY金価格は、今年の2月19日1343.3ドルと、1300ドルの大台を超えたが、その後達成感もあり1290ドル台に反落している。

 昨年はもっぱら株価というより、ドルインデックスとの逆相関が強かった。2017年安くなっていたドルインデックスは、2018年FRBの利上げの都度ドル高となり、新興諸国等の為替は通貨安となった。
 金価格もドル建てであるため、ドルが強くなった分だけ金安となっていた。
 今年はドル高の修正が行われるのではないかと思っていたが、これまでのところはドルは横ばい中であり、予想外に弱い雇用統計が公表された3月8日にはドルは急落し、金価格は急上昇したが、ドル安は一時的なものとなり、ユーロ安から再びドル高となっている。
 そのため、昨年はドルと金は▲0.80という高い逆相関であったが、昨年初めからこの3月までグラフを引き延ばすと、逆相関は▲0.65と関連性が薄れている。

 金に関するニュースとしては、政府保有金が増加していることであろう。中国は先週、外貨準備高を公表した。これによると、昨年停止していた外貨準備としての金の購入を今年から再び初めており、2月に3か月連続で金の政府保有額が増加して794億9,800万ドルになったという。数量では1864トンから1874トンに約10トン増やした。人民銀行は金を買う理由を特に説明していないが、米中貿易摩擦からドル資産を増やすことを少なくしようとの意図であろう。中国の外貨準備高は昨年10月頃まで減少傾向だったが、その後増加に転じている。また、貿易収支も増加傾向にある。
 昨年ロシア政府は積極的に金を購入し、また、世界第3位の産金国であるロシアは、国内で生産される金の大半をロシア中央銀行が購入している。
【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座/「金融リアルタイムライブ」講師
株式会社コモディティーインテリジェンス 代表取締役社長
近藤 雅世
3月7日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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【前回の記事】国内株式相場足元の動き(藤本 誠之)

国内株式相場足元の動き(藤本 誠之)

相場の考え方
 相場展開を考える基本的な考え方として、株価=EPS × PERであることが挙げられます。株価は、1株当たりの利益と株価収益率が掛け合わさったものなのです。現実の数字である1株当たりの利益に対し、PERはその夢の大きさであり、現実と夢の掛け算で株価はできあがっているのです。
 また、EPSは1年分の利益なので、PERはその何年分かと考えればよく、それがPERの倍率ということになるわけです。世界的には14倍から18倍が、先進諸国の標準と言えます。
予想EPSと株価の連動

 日経平均の予想EPSと日経平均株価の推移をグラフで見てみます。野田前首相が解散宣言をし、アベノミクスが始まったその日からの動きを見ると、やはり予想EPSが上がることで、実際の日経平均が上がったということがわかります。企業業績が良くなったから株価が上がったという、非常に教科書的な動きをしています。
 よく見ると、予想EPSより、日経平均の方が若干先行して上げてきています。予想EPSが上がるから日経平均が上がり、予想EPSが横ばいで動くのを見て日経平均も横ばいの動きとなっています。EPSが上がるのを見越して株価は先に上がっているということです。EPSが長い間上がらなくなっているところでは、日経平均もぐだぐだと下げてきていて、その後EPSが上がる兆しが見えると、再び日経平均は先んじて上昇しているという場面も見られます。
 ただ、直近の所ではEPSが保たれているのに日経平均が下落する動きになっています。ここでは市場がEPSが下がるというふうに思っていたからこの動きになったのでしょう。やはり10-12月期の決算発表で、米中貿易摩擦によって中国の状況が非常に悪くなってきたことで、日本にも悪影響が出て、企業業績も悪化するだろうと見られていたのです。
 また実際に業績も悪化しました。トヨタが5000億円のマイナスを出したり、日立が3000億の特損を出したりしたことで、EPSは1790円程度まで上がっていたものが1720円台まで落ち、足元は1740円程度になっています。ただそれでもたった50円しか落ちていないわけですが、株価はその動きを増幅した形で落ちてしまったということなのです。足元EPSが高止まっているにもかかわらず株価が戻ってきた動きは、この開きを縮小する動きだと言えます。今後はEPSのグラフが下がり、株価が上がり、その2つが近づく動きとなるでしょう。
 ただその後、4月1日以降はまた変化が予想されます。今のEPSは、2019年3月期、今期末の予想値によるものですが、4月以降は今期は終わり、2020年3月期、1年先の予想ということになってきます。そのタイミングでEPSが大きく動くわけです。
 今回に関してはやや下がりやすい、減益になるという予想を織り込む動きが出てくるのではないかと思います。
 ただ、足元はEPSが少し下がってきたことで、2020年3月期の予想との差が少し縮まるので、結局は今期に関してはこのままの水準で、その後の来期2020年3月期に関しても、EPSはそれほど強烈に下がることはないだろうと思います。日経平均も緩やかに、一旦は戻るという形になるということが読み取れると思います。
国内株式相場今後の動きへの読み

 アベノミクス相場の平均値を見ると、予想EPSは15.06倍であります。高いところでは18倍、低いところでは10.87倍と、11倍割れまでありました。平均すると15.06倍ということで、もしそこまでPERが高くなれば、日経平均は2万6214円という水準が出てきます。これはさすがにないとは思いますが、足元で考えた場合、14倍程度はあっても不思議ではない状態だと思います。
 日経平均は3ヶ月前からは下がっています。目先で考えた場合、やはり問題は、5月1日からの10連休だと思います。ここから連休までのスケジュール感から相場の動きを考えてみます。
 今年、年末年始は6連休になりましたが、その間に日経平均はドスンと下がる動きになりました。この経験から連休は不安という投資家も多いでしょう。しかも私が証券会社に入ってから、10連休というのは一度も体験したことがありません。日本で10連休になったことなど、これまでなかったのです。銀行も、病院も止まってしまったら、一体どうなってしまうのか、生活面でも大変なことが起こると思います。それでも10連休はやってくるわけなので、いろいろ考えると投資にも慎重にならざるを得ません。その間にもNYダウは動いてしまうのです。そして、休み中、日本株は売買できないのです。ゴールデンウィークに遊びに行くのにも、株が下がったとなると気分が悪いので、やはり皆その手前で売るのではないかと思われます。様々なリスクを考えると、4月末に向けて売られやすい局面になると言えるのです。
 ではその場合、どこで売るのかと考えると、1つには3月末の権利確定日が挙げられます。そのタイミングまでは日経平均は全体として値を保つと思います。
 なぜなら、東証1部だと2.14%、日経平均だと1.96%の配当利回りがあるので、これは取りたいと思うのです。株主優待も結構な銘柄数あるので、これも取りたいという人が個人投資家の中にも多いと思います。そこまでは何とか株価は持つのではないでしょうか。ただそこから4月前半にかけてはぐだぐだと下がると予想します。4月末には売られるということがわかっているので、なかなか買いづらいということになります。そのように下がっていくわけですが、逆に言えば、4月末にかけて下がった後、5月の連休後には上がる可能性もあると考えられるので、少し戻してゴールデンウィーク、10連休に突入という流れになると思います。
 スケジュールの面から言うと、もう一つ大きな問題があるのが決算発表です。日本の場合、7割程度が3月期決算ですが、その決算期、3月末が終了してから、45日以内に決算発表しなければならないというルールがあります。3月末から45日後となるのが5月15日です。決算発表がスタートするのは毎年、4月23日ごろで、おそらく日本電産が最初に発表することになります。そこから多くの企業の決算発表が始まります。例年はゴールデンウィーク中でも数日は取引日があるので、そういう日にも決算発表をしていました。
 しかし、今回はそれがありません。しかもゴールデンウィークが10連休ということで、普通に考えるとその手前に前倒ししてくる可能性が高いと思います。それにより決算発表も集中してしまうので、ただでさえ発表する日が少ないところへ集中し、一日に何百銘柄も出てくることになるわけです。決算内容への判断がなかなかつきづらく、それによって株価が乱高下するということも考えると、4月末、決算発表が始まるところで株は持っておきたくないという心境も出てくるでしょう。
 今後の展開としては、一旦は3月頭に買われると思います。2月いっぱいはNYダウも日経平均もずっと上がり続けたので、リスクが低くなっているからです。通常大きな値動きがあるとボラティリティーが高くなって、そのことで株は売られます。大きな資金を運用する人は、債券にするのか、株にするのか、為替に投資するのかいろいろな選択肢の中で、できるだけリスクを抑えた運用をします。そうすると下がったものは売らなければならず、大きな変動があるものも売らなくてはなりません。しかし、ゆっくりと上がっているものについては、リスクが落ちているということになり、そこに対して投資を行うわけです。
 したがって、3月頭にはいわゆるマルチアセット型のファンドと言われている、非常に大きな資金を運用しているファンドの株式買いが入ってくる可能性があります。
 そのように3月の始めは高くなり、半ばはやや下がって、また権利確定に向けて高くなると見ています。そしてその高値はどのあたりまでかと考えると、私は2万2000円台から2万3000円あたりまでが可能性としてあり得ると思います。2万3000円にワンタッチあってもおかしくないでしょう。
 しかしそこからは休憩してくるという展開になってきます。4月は下げますが、4月末には少し戻したところで、ゴールデンウィークに入り、5月の10連休に何ごともなく、NYダウが上がっていれば、連休後最初の取引は窓を開けて上がる可能性すらあり得ます。あとはもちろん決算発表が重要です。基本的には、2020年3月期の会社予想値とアナリストの見立て、会社側の発表後、数日から1週間でアナリストが予想を出してくるのでそれを見て、海外投資家、機関投資家等は判断をして株を買うという形になるので、この動きが注目になると思います。

 一方、マザーズは、主要銘柄の下落で崩れた後、徐々に戻りを見せています。そして、もともとマザーズ指数には割安感がある状況です。週足の3年チャートで見ても安いところにあるのがわかります。まだまだ戻っていく動きが期待でき、4月末までに、去年12月の高値、1041ポイントや、その前の高値、1086ポイントをつけるような値動きになる可能性もあるのではないかと思います。
【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座/「金融リアルタイムライブ」講師
財産ネット株式会社 企業調査部長
藤本 誠之
2月27日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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【前回の記事】GEがバイオ医薬事業売却、何が起きているか(大前 研一)


https://asset.ohmae.ac.jp/mailmagazine/backnumber/20190313_1/

 


米国株の金利動向が示す将来の動き株価は10%ほど割高 上昇は1年程度で終わる

ズバリ!江守哲の米国市場の”今”
江守 哲 2019/03/20
• 現在の株価は10%ほど割高との判断
• 株価の上昇はあと1年程度で終わる可能性
現在の株価は10%ほど割高との判断
米国株は依然として堅調です。昨年12月までの急落を取り戻すかのように買い戻しが入っています。
米中通商協議への期待が高まっているようですが、この協議は米国が満足するまで終わりません。つまり、それまで現状の関税は維持され、貿易や企業業績に大きな影響が出ます。第1四半期の景気指標や企業業績は、この影響で昨年第4四半期を下回る結果になるでしょう。そうなれば、今の株価の上昇は一時的なものになる可能性が高いでしょう。
リフィニティブによると、ほぼ出そろったS&P500採用企業の2018年第4四半期決算は、前年同期比16.8%の増益となる見通しです。しかし、S&P500採用企業の今後4四半期(2019年第1〜4四半期)の予想PERは16.7倍にまで上がっています。
【図表1】米金利とS&P500の推移

出所:各種資料からエモリキャピタルマネジメント(株)が作成
過去平均が15倍程度であることを考えると、現在の株価は10%ほど割高との判断になります。今後企業業績が伸びない限り、現在の株価水準は正当化しづらいところまで上がってきています。
株価の上昇はあと1年程度で終わる可能性
バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAML)が公表した投資資金動向調査によると、世界の株式ファンドにはこの1年で最高額の142億ドルが流入したもようです。
モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)が先進国と新興国の株式から算出している株価指数は、2018年末から16%上昇しています。相場の変動性が低下し、各国中央銀行が利上げに慎重なハト派姿勢を再び示している中、投資家のリスク選好は全体的に高まっているようです。
もっとも、株式ファンドに流入した資金の大半はETFに向かっています。指数が崩れると、投資家の売りが大量に出やすいポジション状況にあるとも言えます。インデックスに連動するパッシブ運用が主流になっている現在では、株価が下げ始めると、その下げが大きくなりがちです。今後もこの動きには要注意でしょう。
一方、米金利はなかなか上がってきません。これが何を意味するのかを考える必要がありそうです。米2年債利回りはフェデラルファンド(FF)金利を下回る事態に陥っています。
しかし、このような傾向が顕著になった場合は、ドル安が進行する可能性があります。過去に2年債利回りがFF金利を下回ったときには、FRBが政策を転換し、景気後退が発生しています。
そのため、2年債利回りがFF金利を下回ったことで、今後2年間で金融緩和が必要になるとの見方が高まる可能性があります。
これまでのFRBの一連の利上げ後にこの現象が起きたのは、最近の事例ではハイテクバブル崩壊の2000年半ばと、サブプライムローン問題が発生する目前の2006年半ばです。その後の2001年3月と2007年12月に景気後退が発生しています。そして、いずれのケースでも、FRBは2年債利回りがFF金利を下回った後に利上げを停止しています。
これらのケースが発生した後、株価は大きく調整しています。もっとも、2006年のケースでは、株価がピークアウトして下げに転じるまでに1年4ヶ月かかっています。今回のケースでこのタイムラグを考慮すれば、株価は来年6月ごろまでにはピークアウトすることになりそうです。つまり、株価の上昇もせいぜいあと1年程度で終わることになります。
上記で指摘したように、すでに株価は割安ではなくなっています。さらに、金利動向からも株価の上昇期間はある程度見えています。これからの株価上昇に期待して資金を投入しても、リターンは限定されるでしょう。むしろ、いまは高値を追いかけるのではなく、長期的な買い場を待つのが賢明と考えます。
https://media.monex.co.jp/articles/-/11201

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