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[国際18] 「12歳の時、4000元で売られた」28歳女性の告発 証拠不十分で立件されず…しかし、戦い続ける決意は固く 中国・キタム
「12歳の時、4000元で売られた」28歳女性の告発


証拠不十分で立件されず…しかし、戦い続ける決意は固く

世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」
2017年3月10日(金)
北村 豊

 2月28日付の北京紙「新京報」は、『重慶市巫山(ふざん)県の“童養?”:12歳のあの年、私は4000元で売られた』と題する記事を報じた。“童養?”とは、「息子の嫁にするために、幼時に買ったり、もらったり、拾ったりして育てる女の子」を意味する。主人公の女性は1988年3月生まれだから、彼女が12歳になったのは2000年3月であり、その頃に彼女は4000元(約6万6000円)で売られて“童養?”にされたのだという。

監視8年、逃亡4回目で成功したが…

 この“童養?”の話が報じられたのは今回が初めてではない。北京紙「京華時報」は、2016年5月26日に『【“童養?”エレジー】12歳で性的暴行を受け、14歳で娘を産んだ重慶市の女性、8年で逃亡4回』と題する記事で彼女の悲惨な人生を報じていた。その概要は以下の通り。

【1】重慶市の女性“馬?艶(ばはんえん)”は今年28歳。彼女の父親は母親と結婚後、彼女を含めて3人の娘をもうけた。その後、母親は夫の長期間にわたる家庭内暴力に耐え兼ね、1997年に鍬(くわ)で夫を殺害した。母親が警察に連行された後、村の幹部たちは馬家三姉妹の扱いを協議し、長女の“馬?珍(ばはんちん)”と次女の馬?艶は“伯父(父親の兄)”に引き取られ、三女の“馬?輝(ばはんき)”は“姑父(父親の姉妹の夫)”に引き取られた。一方、母親は精神分裂症を患っていたことが証明されて刑事責任を免れたが、ほどなくして家を出て行方知れずになった。

【2】伯父の家での生活が1年も続かないうちに、姉の馬?珍は13歳で嫁に出された。2000年、12歳になった馬?艶もまた29歳の“陳学生”という名の男に無理やり嫁がされた。馬?艶は陳学生に性的暴行を受け、警察に通報したが、警察は家庭内事件として取り合ってもくれなかった。陳学生は馬?艶を厳しく管理し、トイレに行くのさえも誰かに監視させて、彼女の逃亡を防ごうとする始末だった。2002年、馬?艶はわずか14歳で女児を産んだ。

【3】2002年、妹の馬?輝は12歳で“姑父”によって24歳の“羅品金”に嫁がされた。2005年、15歳の馬?輝は男児を出産した。2007年、19歳の馬?艶は男児を出産して二児の母親となった。2008年以前に馬?艶は陳学生の所から3回逃亡を試みたが、いずれも成功しなかった。

【4】2008年、馬?艶は妹の馬?輝が広東省へ出稼ぎに行っていることを聞くと、姉の馬?珍から1000元(約1万6500円)を借りて陳家を逃げ出し、南下して広東省へ向かった。馬?艶は陳学生に男児を産んでいたので、陳家も敢えて馬?艶を捜そうとはしなかった。馬?艶は妹の馬?輝一家と広東省で合流し、普通の“打工妹(若い女性の出稼ぎ労働者)”になったのだった。馬?艶は、「結婚も出産も強制されたもので、自分が望んだものではなかったから、自分が産んだ子供に対して親としての感情がそれほどあるわけではない」と述べた。

【5】2013年、馬?輝は湖北省の母親の実家がある地域の派出所経由で、失踪してから16年が経過した母親を探し出した。一方、8年間の出稼ぎ生活を送った馬?艶には求愛する者が少なからずいたが、この間に彼女は自分の婚姻について何らの手続きも行っていなかった。彼女にあるのは2011年に陳学生と結婚したことを示す「結婚登録」で、この記録のために新たな家庭を築くことはできなかった。

【6】2016年5月4日、馬?艶は重慶市の北東部に位置し、湖南省との省境に所在する巫山県の“巫山県人民法院(下級裁判所)”へ陳学生との離婚を求める訴訟を提起した。馬?艶はこれと同時に公安局に対し未成年であった自分を強姦したとして陳学生を告発した。これに対して公安局は強姦罪の訴追期間は10年間であり、すでに時効が成立しているため立件できないとした。また、離婚要求について、陳学生は馬?艶が子供の養育費として10万元(約165万円)を自分に支払わない限り離婚には応じないと述べた。

法的に禁止されたが、今も公然と

 ところで、1949年の中華人民共和国の成立以前、すなわち中国共産党が言う解放前の旧中国では、“童養?”は特別な風習ではなく、社会一般で行われていた。“童養?”は、“待年?(何年か待って嫁)”あるいは“養?(養い嫁)”とも呼ばれ、”婆家(夫の家)”で赤ん坊あるいは幼時から育てられ、14〜15歳の女として生理的に十分な年齢に達したら息子と結婚させて家の嫁にするというものだった。この風習は旧中国で社会が貧困にあえぎ、貧しい庶民が嫁を娶る余裕がない時代に、人々が貧困な農村や被災地区に出かけて生活に苦しむ人々から女児を二束三文のカネで買い付ける、あるいは路傍に捨てられた女児を拾うなどして自宅に連れ帰り、家族の一員として育てた後に、息子の嫁にしたのである。そうした経緯から女児たちの扱いは奴隷同然であったケースも多く、常に虐待を受けていたという悲しい話が数多く伝えられている。

 “清華大学”社会学部教授の“張小軍”が1996年に発表した論文『女性と宗族』によれば、福建省“南平市浦城県”にある“陽村”の資料には、1951年時点で陽村の女性人口1190人の中に“童養?”の既婚者が129人、未婚者が73人おり、“童養?”の比率は17%に達していたとある。同書によれば、1949年に中華人民共和国を成立させた中国共産党は“童養?”とされていた女性たちに「“回娘家(実家へ帰れ)”」と命じる指令を出すと同時に、法的に“童養?”を禁止したが、今なお福建省中南部の“蒲田市”周辺や重慶市の一部地域では依然として“童養?”が公然と行われているという。

 さて、話は2月28日付で「新京報」が報じた馬?艶の記事に戻る。馬?艶は1988年3月10日に四川省巫山県<注1>の“双龍鎮金花村”に生まれた。父親を殺害した母親が精神分裂症で刑事責任を免れて失踪した後、馬?珍と馬?艶の姉妹は同じく金花村に住む伯父の“馬正松”に引き取られた。しかし、馬正松の家は彼の妻が精神病患者であるだけでなく、2人の老人を扶養していたから、ただでも貧しい生活は姉妹を引き取ったことでより困窮を深めた。当時、12歳の馬?珍と9歳の馬?艶は小学校を中退させられ、炊事、草刈り、柴刈り、豚の餌作りと、朝早くから夜遅くまでこき使われた。しかし、姉妹がどんなに働いても限度がある。そこで馬正松が生活防衛のために止むを得ず採った手段が姉妹を“童養?”を求める人たちに売り渡すことだった。それ以降の概要は以下の通り。

<注1> 巫山県は1997年に重慶市が四川省から分かれて直轄市になった際に、重慶市に区分けされた。
売られ、襲われ、知らぬ間に「既婚」に

(1)1998年、13歳の馬?珍は馬正松によりちびで貧乏な30歳の男の家に“童養?”として2500元(約4万1000円)で売られた。2000年末、12歳となっていた馬?艶が柴刈りから戻ると、貧相で体格が悪い陳学生という29歳の男が馬正松の家を訪れていた。その時、馬正松は陳学生に馬?艶を16歳だと言って紹介した。これを聞いた馬?艶は馬正松に「私は12歳よ」と強く反発したが、馬正松に「両親がいないので、お前は自分の年齢も分からないのか」と叱り付けられた。これは自分を陳学生に嫁がせようとしていると察知した馬?艶は、金花村の幹部に「まだ嫁に行きたくない」と訴えたが、返って来たのは「父は死亡し、母は精神異常なのに、お前は伯父に一生面倒をかけるのか」という言葉だった。

(2)2000年12月、馬?艶はトラックに乗せられて陳学生が住む同じ双龍鎮の“烏龍(うりゅう)村”へ連れて行かれた。この日、同行したのは馬正松ほか親戚一同で、陳学生の家では宴を張って馬家の一行をもてなし、両家は馬?艶を陳家の“童養?”とし、後に陳学生の妻とすることで合意し、陳家は馬正松に4000元(約6万6000円)を支払った。2001年の正月に馬?艶は烏龍村の陳家へ迎え入れられた。1月24日の“春節(旧正月)”が過ぎると、陳学生は馬?艶を帯同して福建省へ出稼ぎに出た。

(3)出稼ぎ先で陳学生と1室での同居を余儀なくされた馬?艶は肉体関係を強要され、強く拒否したが強姦された。その日は馬?艶の13歳の誕生日だった。その日、馬?艶は陳学生から逃亡を図ったが、強引に連れ戻された。馬?艶の逃亡を防ぐため、陳学生は出稼ぎを止め、彼女を連れて故郷の烏龍村へ戻った。2001年4月、叔母に伴われて公安局の“双龍鎮派出所”へ出向いた馬?艶は、陳学生を強姦罪で告発すると同時に、“双龍鎮衛生院(診療所)”で検査を受けた。しかし、診療所の検査結果を示しても派出所の警察官は家庭内の事として真面目に取り合おうとせず、事件として立件することもなかった。

(4)2002年10月26日、馬?艶は自宅で3日間も難産で苦しみ、母体が危険と考えた人々は医院へ搬送すべきだと提案したが、陳学生の父親は「カネのかかる医院には行かせない」と反対した。最終的にはその日、馬?艶は女児を出産したが、陳学生の父親は「女の子か」と落胆した様子を見せただけだった。2007年に19歳の馬?艶は医院で男児を産んだが、生まれた子供に愛情を感じず、何度も子供を捨てようとして看護師に阻止された。2人目の子供が生まれた後、馬?艶は陳学生に連れられて双龍鎮派出所へ行き、身分証明書の手続きを行った。この時、手続きに必要だとして写真屋で陳学生と並んだ写真を撮ったが、それが唯一2人で一緒に撮った写真だった。

(5)後に、陳学生はこの2人で一緒に撮った写真を使って婚姻申請を行い、2011年に陳学生と馬?艶の結婚は認可され、2人の写真が張られた結婚証明書が発行された。これによって、馬?艶は名実共に陳学生の妻となり、戸籍簿上も、陳学生が“戸主(世帯主)”となり、馬?艶の欄には「既婚」と明記された。しかし、馬?艶は婚姻申請について何も知らされておらず、彼女が知らぬ間に結婚させられ、自分が既婚者になっていたのを知ったのは、それからずっと後の事だった。

告発事案はいずれも立件されず

(6)2008年、馬?艶は最後の逃亡を敢行した。彼女は身分証を持って陳家から逃げ出し、巫山県の県庁所在地で店員として2か月間働き、1000元(約1万6500円)を稼いだ。彼女はこのカネで子供の粉ミルクや衣類を買い、密かに烏龍村へ戻るとそれらの品物を陳家の門口に置くと、陳家を後にして広東省へ逃げ延びた。その後、陳学生は馬?艶を捜そうとせず、馬?艶は自分が陳家に2人の子供を産んでやったので、彼女の役目は終わったと考えた。

(7)広東省“深?市”で働いていた馬?艶は、同僚から自力で不幸から抜け出すべきだと激励され、自分の人生をもてあそんだ人々に復讐することを決意する。2015年4月5日の“清明節(墓参りをする節句)”前に、馬?艶は陳学生に対し離婚を要求する旨の通知を行い、2016年5月4日に巫山県人民法院へ陳学生との離婚を求める訴訟を提起した。同年6月3日、巫山県人民法院は『“民事調解書(民事調停書)”』を発行し、同法院の調停の下で、馬?艶と陳学生の離婚が成立し、馬?艶は“浄身出戸(丸裸で家を出る)”形で自由の身となった。今や、馬家の三姉妹は全員が離婚している。

(8)2017年2月19日、馬?艶と妹の馬?輝は出稼ぎ先の広東省から故郷の巫山県へ戻った。今回の帰郷で2人は彼女たちに“童養?”となることを強制し、望みもしない男の子供を産ませた人々の責任を追及する積りだった。当然ながら、一部の地元民にとって馬?艶は歓迎されない人物であった。昨年、馬?艶の境遇がメディアによって報じられると、ある人は彼女が巫山県の恥をさらけ出したと非難したのだった。5日後の2月24日、“巫山県人民政府”は、馬?艶に関連する状況について声明を発表して次のように述べた。すなわち、いわゆる「巫山県童養?事件」の中で、馬?艶が告発した強姦罪、不法監禁、派出所への通報はいずれも立件されておらず、証拠は全て不十分である。しかし、馬?艶の結婚証明は手続き違反であり、当地“民政局”の局員を“党内厳重警告処分(中国共産党員に対する厳重警告処分)”とした。

(9)結婚証明の手続き違反とは、2007年10月に陳学生が地元の民生局に結婚申請を行った際、担当した民生局局員の“劉忠輝”(すでに退職)は馬?艶の年齢が法定年齢<注2>に達していないことを発見し、提出された申請書類を保留とした。ところが、2008年1月25日に劉忠輝は保留としていた申請書類を思い出し、陳学生も馬?艶も不在で、両者の署名がなく、両者の有効な身分証明書の提示がないにもかかわらず、独断で婚姻手続きを行った。結婚登録はそれから3年後の2011年に承認されたのだが、劉忠輝の行為は『婚姻登記条例』の規定に違反したものだった。2016年8月8日、劉忠輝は“巫山県紀律検査委員会”によって“党内厳重警告処分”を受けたのだった。

<注2>中国の法定結婚年齢は、男22歳、女20歳となっている。
(10)巫山県人民政府の声明に対して馬?艶は、絶対受け入れることができないとして、「上部機関に対し訴えを継続し、徹底的に戦う」と公言した。2月27日に記者が“巫山県公安局”刑事警察大隊の“胡錦平”に電話を入れて話を聞いたところ、同氏は政府の声明が出されたから事件は終結ということではなく、我々は現在も調査を継続しているが、何分にも古いことなので証拠固めが難しい」と述べた。

(11)なお、この事件が全国に報じられる前に、馬?艶は巫山県の報道関係者に協力を要請したが、彼はこれを婉曲に断ったという。記者がこの人物にその理由を尋ねると、彼は「当地では12〜14歳で結婚するのは普通のことで、それは馬?艶1人に止まらず、1000人以上に上るはずだ。自分の姉も15歳で結婚したし、中学時代の同級生は30歳の時にすでに15歳の子供がいた。従い、当地の農民の多くは今回のことを事件とは思っていない」と答えた。

徹底的に戦い続ける決意

 上述した馬?艶の“童養?”事件はメディアにより全国に報じられて大きな話題となった。陳学生との離婚が認められて、新たな人生を歩み始めた馬?艶は自分の好きな人と結婚をして子供を産むことを夢見ている。しかし、彼女は自分の幸せだけでなく、自分と同様に“童養?”として幼くして結婚・出産している人たちをその不幸な境遇から救出するためにも、上部機関に対する訴えを継続して、徹底的に戦う決意を固めているのである。

 “童養?”はかつて中国全土で普遍的に行われていた。中国を代表する作家“魯迅”(1881〜1936年)の小説『祝福』の主人公“祥林嫂(祥林ねえさん)”は“童養?”であったし、著名な女流作家“冰心”(1900〜1999年)の小説『最後的安息』の主人公“翠児”も“童養?”であった。今なお福建省や重慶市の一部地域で“童養?”が公然と行われている事実を考えると、急速な経済発展を遂げた中国の陰で生きる貧困な農民たちの存在が見え隠れするように思える。伯父の馬正松も多少なりとも生活に余裕があれば、馬?珍と馬?艶の姉妹を“童養?”として他家へ売り渡すことはなかったのではないだろうか。“童養?”が中国から消滅する日はいつ来るのか。その日が少しでも早く到来することを期待したい。


このコラムについて

世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」
日中両国が本当の意味で交流するには、両国民が相互理解を深めることが先決である。ところが、日本のメディアの中国に関する報道は、「陰陽」の「陽」ばかりが強調され、「陰」がほとんど報道されない。真の中国を理解するために、「褒めるべきは褒め、批判すべきは批判す」という視点に立って、中国国内の実態をリポートする。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/101059/030800091
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/569.html

[経世済民119] 米政府、日本の自動車・農産物市場の開放を要求 WTOに意見書 緩和予想消滅−日銀 米FOMCは雇用統計にとらわれず−利上
Business | 2017年 03月 10日 12:14 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース

 米政府、日本の自動車・農産物市場の開放を要求 WTOに意見書

[東京 10日 ロイター] - 米政府が日本の自動車や農産物の市場開放を求める意見書を、世界貿易機関(WTO)に8日付で提出した。日本の貿易政策を審査するWTOの会合に合わせた対応とみられる。4月中旬に開始される両国のマクロ経済や通商問題を議論する「日米経済対話」で、どのように取り上げられるかが焦点となる。

2016年の米貿易収支で、対日赤字は689億ドル(約7兆9000億円)と中国に次ぐ2番目の大きさ。この点について、今回の意見書では「深刻な懸念」と指摘した。

具体的には「安倍政権が野心的な規制緩和を進め(米国などの)経済的な機会が拡大するよう日本市場をさらに開放することに引き続き希望を持っている」と表記した。

ただ、関税と非関税障壁について「日本の関税は低いが、非関税障壁が相応の規模で残っている」と懸念。「透明性を拡大し、非関税障壁を取り払うような大胆な行動を求めていく」との立場を述べている。

特に自動車市場は「非関税障壁により、米自動車メーカーが不利となっている」と説明し「公平な競争条件の整備」を求めている。

農業についても「日本は障壁が残っている」「安倍政権は農業改革を進めようとしつつも、一部農産物は高関税で保護されている」と指摘した。

このほか「政府調達の透明性も課題」とし、政府調達に占める海外企業の割合が著しく低い点を問題視している。

これに対し、菅義偉官房長官は10日の閣議後会見で「日本の自動車市場は十分に開放されている」と述べた。

同長官は「(日本は)外国からの自動車輸入に関税は課しておらず、非関税障壁を設けるようなことを行っていないのも事実だ」と説明。「麻生太郎財務相とペンス副大統領との間で、日米経済対話を通じて解決する問題になる」と語った。

日米経済対話については「具体的構成や内容、スケジュールについて今、調整している。日米主導で自由で公正な市場を世界に広げる共通目標のもと、建設的な議論が行われていく」との認識を示した。

(竹本能文、石田仁志 編集:田巻一彦)

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くすぶり続ける長期金利引上げ観測、緩和予想ほぼ消滅−日銀サーベイ
日高正裕、ジェームズ・メーガ
2017年3月10日 11:22 JST

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9月に10年金利目標0.1%程度に引き上げる可能性−嶋中氏
早過ぎる長期金利引き上げは長短金利操作を困難にするとの見方も

日本銀行が来週開く金融政策決定会合は、ブルームバーグの事前調査で全員が現状維持を予想した。緩和予想が1人もいなかったのは昨年12月会合前の調査から3回連続。黒田東彦総裁の任期中の追加緩和観測が消えつつある一方で、年内にも長期金利の誘導目標を引き上げるとの見方がくすぶり続けている。
  15、16両日の決定会合についてエコノミスト41人を対象に6−9日に調査した。黒田総裁の任期の2018年4月までに長短金利操作の下でターゲットである長期金利(10年物国債金利がゼロ%程度)を引き上げるとの予想は14人(34%)と、3分の1を占めた。追加緩和期待は引き続き後退しており、黒田総裁の任期中に追加緩和はないとの見方が38人(93%)と前回調査(88%)を上回った。
  三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の嶋中雄二所長は、日銀が9月に10年金利目標を0.1%程度に引き上げる可能性があるとみている。その背景として、物価について「原油価格の上昇の波及や人手不足による値上げ、切手等一部公共料金の値上げもあり、消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は年末にかけ、1%どころか1%台半ばに届くのではないか」という。
  さらに、米欧の金融政策や米政権の積極財政政策を背景に海外長期金利の上昇が予想され、日銀は国債買い入れを増やし10年金利をゼロ近辺に抑え込もうとするが、マネタリーベースの増加が一段の円安を招くと、トランプ大統領による「為替操作」批判を呼び込みかねない、と指摘。その上で、「日銀は政治経済的に少し妥協せざるを得なくなる可能性がやや高いのではないか」との見方を示した。
サーベイの結果はここをクリックしてください
  佐藤健裕審議委員は1日の徳島市での会見で、コアCPI前年比が年末にかけて1%に届き、長期金利の0%維持が困難になる可能性があるとして、「10年金利目標を微調整することは十分あってしかるべきではないか」と述べた。総務省が3日発表した1月のコアCPIは前年比0.1%上昇と、エネルギーの下落幅が縮小したことで2015年12月以来13カ月ぶりにプラスに転じた。
  中曽宏副総裁は2月9日午後、高知市内で会見し、経済や物価に対する見方が改善した場合、それに見合った形で長期金利操作目標を引き上げても、金融の緩和度合いを減じることにはならないと述べた。
  サーベイの回答の中で、BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「佐藤委員の発言は極めて妥当だ」と指摘。10月に長期金利誘導目標が0.3%引き上げられると見る。モルガン・スタンレーMUFG証券の山口毅エコノミストも「日銀が早ければ今年10−12月期から、長期金利目標にバンド目標を導入し、長期金利の目標上限を徐々に引き上げていく」と予想している。
引き上げ急げば長短金利操作は不能に
  一方で、たとえコアCPIが1%に達しても、日銀が長期金利の誘導目標を引き上げるのは容易ではないとの見方も根強い。シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは「日銀が10年金利目標を微調整することで、日銀が柔軟に目標の変更を行うとの見方が市場参加者の間で強まれば、それ自体がイールドカーブコントロールを難しくする可能性が高い」と指摘する。
  大和証券の野口麻衣子シニアエコノミストも「年後半にかけ物価は上昇する見込みだが、エネルギー価格の反転が主因であり、長期金利誘導目標の微調整は正当化し難い」と指摘。「基調的なインフレ動向の顕著な改善を伴わない状況下で微調整を急げば、物価2%を実現する意志に疑念が浮上するほか、さらなる微調整の観測が高まりやすくなり、イールドカーブコントロールが困難となる恐れがある」とみる。
  第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、佐藤審議委員の見解は「必ずしも政策委員会のコンセンサスではないだろう」と指摘。三井住友銀行の西岡純子チーフエコノミストも「物価が1%近くまで上昇する中でも、長期金利を0%近傍に維持することで金融緩和効果がより一層強まる、という主張の方が、目先はまだ審議委員の大宗を占めるのではないか」とみる。
黒田体制下では困難か
  日銀は時期尚早の長期金利引き上げ観測が高まるのを避けるため、物価上昇率が上昇し始めた段階で、長期金利を引き上げるための条件を示したガイダンス(指針)を明らかにするかどうか検討していることが複数の関係者への取材で分かった。
  明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは「物価目標未達下での長期金利の操作目標を引き上げは大義名分が立ちにくい」と指摘。「長期金利を引き上げた方が物価目標の達成が近づくとの理屈付けが必要だが、不可能に近い。それができたらできたで、これまでの政策の誤りを認める必要が出てくる」という。
  その上で、日銀が仮に長期金利誘導目標を引き上げるのであれば、「昨年9月同様、複雑な枠組み変更の中に真意を紛れ込ませる手法しかないように思うが、黒田総裁下での再度の枠組み変更はハードルが高い」としている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-10/OMKRLK6TTDS901


 


 

米FOMCは雇用統計にとらわれず−利上げ後押しする3つのデータ
Craig Torres
2017年3月10日 10:59 JST

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まるで米連邦公開市場委員会(FOMC)が目の前で行われているようだった、と語るのはルネサンス・マクロ・リサーチのエコノミスト、ニール・ダッタ氏だ。連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長、ニューヨーク連銀のダドリー総裁、フィッシャーFRB副議長、ブレイナードFRB理事は先週、講演や発言を通じて相次いで金利引き上げに向けて市場予想を揺さぶり続け、利上げはほぼ確実なところまで織り込まれた。
  注目すべきは、10日発表の2月の雇用統計を前に米金融当局幹部が予防線を張る必要性を感じていないことだ。幹部たちが利上げに踏み切るのに十分な確証を恐らく得ていることを意味する。以下のデータは利上げが必要だと強く示している。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i0tRysHQEYLE/v1/-1x-1.png

インフレ調整後の政策金利、上昇どころか下落傾向
  イエレン議長の指針の一つは、景気の刺激にも減速にもつながらない「中立金利」の推計に基づく金利設定だ。議長は3日の講演で、当局のおおまかな推計として、現行の中立金利はインフレ調整後でゼロ近辺で、長期的には1%まで上昇する可能性があると発言していた。現在の実質フェデラルファンド(FF)金利はマイナスなので、今は景気刺激的となっている。
  FOMCが昨年12月に発表した経済予測によると、実質FF金利を2018年までにゼロ前後まで徐々に引き上げ、19年までに1%にするのが戦略だ。上記チャートは、インフレ率が緩やかに上昇する中、何もしないでいると実質的にゴールと反対方向に進むことを示している。インフレと雇用の目標をほぼ達成しつつある状況にあって、実質金利のマイナス幅拡大はいかなる中央銀行にとっても行動を起こす強力な動機となる。景況感や国内総生産(GDP)予想が上向いているならなおさらだ。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i1X4YGtxcC5c/v0/-1x-1.png

金融環境の指標、政策に反応せず一層緩和
  FOMCは他にも異例の事態に向き合っている。15年と16年それぞれの12月の利上げ後に金融環境が一段と緩和していることだ。金融当局が短期金利を引き上げる際は、住宅ローンから社債に至るまで市場全般で資金調達コストの上昇を想定する。FOMCの利上げが極めて小幅だったことは確かだが、市場が無反応だったことを踏まえると、利上げに伴う資金調達コスト全般への影響はほとんどなく、加速の様相を示す景気はほぼ抵抗なしのままであることを意味する。
  最後になるが、イエレン氏が14年の議長就任以来、第一に気に掛けてきたのが労働市場だ。改善は緩やかだが、経済指標はこの先スラック(たるみ)がほとんど残されていないことを示唆している。下記チャートが示すように、パートタイム雇用者数は08年半ば以来の低水準近辺まで減っている。1月の580万人まで100万人削減するのに2年を費やしており、このようにゆっくりした前進がイエレン氏の辛抱強い政策の背景にある。だが、昨年12月の水準は08年6月以来の低水準に落ち込んだ。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i23N8x30grIE/v0/-1x-1.png

パートタイム雇用者数は緩やかに減少
原題:Fed Not Waiting For Jobs Report As These Indicators Say Go(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-10/OMKOB76KLVR501

http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/883.html

[原発・フッ素47] 「人殺し」と言われたことがありますか?福島とデマ、6年目の訴え 福島の外部被曝線量は高くない』高校生執筆の論文が世界で話
2017年3月10日 林智裕
「人殺し」と言われたことがありますか?福島とデマ、6年目の訴え


 はじめまして。福島県出身、在住の林智裕と申します。

 唐突ですが、みなさんは誰かから「人殺し」と言われた経験がありますか?

 私は、あります。しかし震災直後に福島で過ごした者にとってそれは特別な経験ではなく、特に食品に関わる人は酷い言われようでした。私の祖父もその一人で、「フクシマの農家は人殺しの加害者だ」との中傷が飛び交うなか「もう早く死にたい」と言いながら衰弱し、ほどなく他界しました。

 友人の一人は、震災後のデマを信じて首都圏へ自主避難した配偶者やその実家から「子供を避難させないお前は人殺しだ」と言われたと聞きます。彼はその後離婚し、当時生まれたばかりであった子供と離ればなれになりました。

 こうした被害の報道や言語化は「被曝」の陰に隠されており、原因となったデマや極端な言説もほぼ野放しにされています。私はこれらに対抗すべく、昨年出版された『福島第一原発廃炉図鑑』(開沼博・編)やシノドスにも記事を掲載してきました。

 そうした喧噪を経てまもなく6年になる今、改めて「福島」と聞いてみなさんはどのようなイメージを持たれるでしょうか──。

立入禁止エリアは県全体の2.4%
県外で暮らす人は震災前の2.5%

 福島県の面積は北海道、岩手県に次いで日本で3番目の大きさ。浜通り、中通り、会津の3地域に分けられ、いずれも独立した県として成立できるほど広大です。そして県全体では190万人以上の人が住んでいます。

 まるで福島県全体が震災の、とりわけ原発事故の被害に覆われているかの印象を持たれている人もいるかもしれませんが、今も立ち入りができないエリア(期間困難地域)は、県全体の2.4%にすぎませんし、震災前に福島県で暮らしていた人のうち、県外で暮らしている人の割合は2.5%です(開沼博著『はじめての福島学』より)。

 この数字を“たった”と見るか、“そんなに”と見るかは人それぞれです。

 私が言いたいのは、当然、被害の状況や置かれた立場も異なりますし、「復興」という言葉の目指す意味合いも個人ごとに異なるということです。「福島の中」にも実に多様な考えがあり、今書いている私のこの記事もまた、福島の一つの声でしかありません。

 一方で、原発事故は極めて政治的及び社会的影響が強い問題でもあり、「福島の外」の被害の当事者以外からの声も多数混じってしまいました。

 むしろ声を大きく社会に響かせたり様々な議論を起こしたりすることは、社会的に大きな影響力や余力を持つ人にしかできない特権です。被災者にその力と余裕はありません。

 そのため、「福島」あるいは「フクシマ」を語る声は、もはや矛盾と対立に満ちており、伝える力や手段を持たない者の声は存在すら気づかれないまま、いわば弱肉強食の様に大きな声にかき消されてしまっているのが現状です。

放射線の危険性を
極端な言説で煽った人々は今?

 一例として、文部科学省HPにある資料「自主避難者の賠償について」の中に「自主的避難を決断するに当たって、参考にした情報は?」というアンケート項目があり、そこには「インターネット」「ブログ」「ツイッター」といった媒体の他、「武田邦彦」「広瀬隆」などの人名が繰り返し挙げられています。つまり、被災者の人生に大きな影響を与えた人々と言えます。実際、私の友人の元配偶者が自主避難をしたきっかけも、彼らの言説でした。

 ところが、たとえば武田邦彦氏は今もテレビのバラエティ番組などに引っ張りだこですが、震災当初から放射線の危険性を極端な言説で煽り、2012年には「あと3年…日本に住めなくなる日 2015年3月31日」とまで予言していました。

 広瀬隆氏は、著書『東京が壊滅する日─フクシマと日本の運命』(ダイヤモンド社)で、「タイムリミットは1年しかない」と煽りましたが、2016年7月17日で刊行から1年が経ち、同氏が自ら設定したタイムリミットはとうに過ぎています。

 これはほんの一例に過ぎませんが、たくさんの人生の選択に影響を与えた彼らは、何事もなかったかのように今も変わらず活動を続けています。荒唐無稽な言説で多額の利益や地位を得たはずですが、今も彼らは何の責任も取ってはいないのです。こうした事態に対して、社会は「言論の自由」として寛容なままですが、梯子を外された被災者たちの立場はどうなるのでしょうか。言論の自由とは、言論の責任を弱者に押しつけて力づくで搾取する自由なのでしょうか。

(こうしたデマの例は、『福島第一原発廃炉図鑑』やシノドス記事「あなたが思う福島はどんな福島ですか」にて具体的な検証をしています)

 こうした事態を引き起こした大きな原因は、社会が福島に関しての正しい情報を円滑に更新できていないことにあるのではないかとも思います。放射性物質やその影響について判っていることは多いのに、まるで「タタリ神」のように怖れられてきた状況は、原発安全神話のアンチテーゼとして表裏一体の、いわば「フクシマ危険神話」とも言えるかもしれません。

 しかし、「放射能」は断じて神ではありません。

 正体を「知ろうとすること」自体が罰当たりであるかのように怖れ、被災地を「ケガレ」として忌み嫌う風潮も生まれました。原子力を「神の火」にたとえて怖れたりすることや、核をやたらと神話化させて恐怖を煽るだけの現実離れしたポエムや怪談も喧伝されました。これらは全く被災地復興の役に立たないばかりか、風評による国内外に対する莫大な経済的損失や被災者への人権問題、自殺者を含めた震災関連死の増加などの二次被害を拡大させてきました。最近では自主避難者が避難先で「菌」と呼ばれるなどのイジメ報道が相次ぎましたが、それらですらも氷山の一角です。

 当然ながら、この日本において「言論の自由」は強く守られるべきものです。しかし同時にそれは批判されない自由ではなく、言論の責任からの自由も意味しません。原発事故を起こした原因や一次被害の責任は国や東京電力にありますが、デマなどの人災による二次被害の責任は、あくまでもそれを拡散してきた方々にあります。

「神話上のフクシマ」でない
福島の6年目の現実

 震災以降大げさに喧伝されてきた「神話上のフクシマ」や「フクシマの真実」とは全く違う、福島の6年目の現実は、どれだけ知られているのでしょうか。

 たとえば、WHO(世界保健機関)が放射線被曝の影響が人間の遺伝に世代を超えての影響を与えないと言っていることは?
・参考資料:「健康リスクアセスメントに関するFAQ」(WHO)
http://www.who.int/ionizing_radiation/pub_meet/faqs_fukushima_risk_assessment/en/

 福島のテレビや新聞では毎日放射線量が発表され、日曜版の新聞では各地モニタリングポストや全国、全世界の他の都市との具体的な数値比較ができるようになっていて、県内の数値が高くないこと。ガラスバッジなどでの実測被曝量もそれらのデータを裏付けると共に、外部内部ともに他地域との差がほとんどなく、影響は無視できるという実測データが出揃っていることは?

・参考資料:原子力規制委員会「全国放射線モニタリング情報」
http://radioactivity.nsr.go.jp/map/ja/

      BUuzFeed「『福島の外部被曝線量は高くない』高校生執筆の論文が世界で話題に」
https://www.buzzfeed.com/satoruishido/fukujima-no-gaibu-hibaku-senryou-ha-taka-ku-na-i-koukousei-s?utm_term=.pqx0kdmVPd#.buRryPwNGP

 そもそも影響を無視できる程度の被曝量なのに「多発」と言われている福島の甲状腺ガンは、当然、被曝が原因ではなく過剰診断での掘り起こしだと国連機関が繰り返し明言していることは?
・参考資料:「福島民友新聞」2016年11月17日付社説
http://www.minyu-net.com/shasetsu/shasetsu/FM20161117-127779.php

 アメリカなどに比べ10倍以上厳しい食品に対する日本の放射性物質の基準と、仮にそれを超えた場合に具体的にどの程度の影響があるのか、放射線以外のリスクと比べての相場観は?

「万が一基準値を超えた場合のリスク」を想定する以前に、福島では米に至っては1000万袋以上に及ぶ全生産量を検査しており、全てがその厳しすぎる基準値以下であることはもちろん、99.99%以上が検出限界値未満。その他の出荷されている食品も同様に検出限界値未満ばかりで、すでに想定の必要性すらなくなっていることは?
・参考資料:コープふくしま「2014年度陰膳方式による放射性物質測定調査結果」


平成28年産福島県全域(市町村別) 検査点数10,172,619点のスクリーニング検査
http://www.fukushima.coop/kagezen/2014.html

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 震災直後と違い、それらを隠蔽だと強弁することができないほどに、安全性を示す客観的な証拠が揃いすぎていることは?

 このように積み重ねられた客観的な事実が、県外では一体今までどれだけ報道され、どれだけの人にきちんと伝わっているのでしょうか。

 たとえば去年の3月11日近辺のテレビ番組も、誤解を誘発する酷いものばかりが目立ちました。NHKの「被曝の森」という番組では、放射線被曝を原因とする悪影響がデータ上見られないにもかかわらず、逆に誤解させるような恣意的なグラフと音楽とで恐怖を煽りました(https://togetter.com/li/946766)。

 テレビ朝日の報道ステーションでは福島に震災後に開設された、地元紙では中核派の拠点と報道されている診療所を以前から紹介していましたが、3月11日には番組の最初から最後まで、この診療所が主張する通りに甲状腺ガンが被曝の影響で増えたかのような印象を受ける番組を続けていました(繰り返しになりますが、国連から何度も発表されているように甲状腺ガンの増加は調査数と機器精度向上による発見数の増加であり、発症率の増加ではありません)。

言葉の凶器を振りかざす人々に
届けたい「水俣市のメッセージ」

 今年もおそらく同様に、そうした言説が幅を利かせ、意味も分からず拾った言葉の凶器を得意気に振り回す人たちで溢れるのかもしれません。毎年3月11日が近づくたびに何度も繰り返されてきた光景です。

 センセーショナルな情報や負のイメージは、きっかけが善意からだろうが悪意からであろうが、ときには正しいかどうかすら無関係に容易に広まります。しかしながら、一度広まったイメージや誤った情報を更新する為には多大な労力と大勢の方の協力が必要になります。「タタリ神」のような扱いに神格化されてしまった「放射能」が相手ともなれば、なおさらです。

 あれから6年になろうとする今も、被災地の支援には何が必要ですか?と時折聞かれます。とてもありがたいお言葉で、感謝しきれないほどです。

 私は、事実に根ざした上での「知ろうとすること」をできる限り多くの方に続けていただくことが、今は一番の支援になると思います。その積み重ねの結果として社会に望むことは3つ。

 1つ目は、事故直後の混乱と喧噪の中で「力の支配」によって定着してしまったままの、原発事故に対する偏った情報と被害認識が、それらに代わる「最新のデータと知見を基にした客観的判断基準」の中で再定義されること。

 それによって「フクシマ」という震災直後のまま変わらない虚像が、最新の「福島」という現実に修正されアップデートされることが2つ目。

 3つ目に一番大切な事として、それらが誤った情報を広めた時以上の規模で社会に広く共有され、福島に対する差別や偏見、負の烙印を次世代に残さないことです。皆さん一人ひとりが福島の今を「知ろうとすること」こそが、この上なく大きな力になると、私は思います。

 過去に公害病で苦しんだ歴史から、しばしば福島と共に「公権力による被害者」としての文脈で語られがちな水俣市からは、震災直後に緊急メッセージが出されました。

「放射線は確かに恐ろしいものです。しかし、事実に基づかない偏見差別、誹謗中傷は、人としてもっと怖く悲しい行動です」──。

 この緊急メッセージが出されてからも、間もなく6年。どれだけの方まで、このメッセージは届いたのでしょうか。もしも、このメッセージを無視して水俣の被害者性だけを政治的イデオロギーや利益のために搾取しようとするならば、それは水俣と福島双方に対して大変失礼なことです。

「神話」とは現実からはあまりにも遠いものであって、当然ながら現実から離れたところに「真実」などはありません。震災前の原発安全神話とて、現実から離れて神話化したからこそ適切な事故予防や対処ができず破綻しました。

 崩壊した神話の後になすべきは、新たな「神話」を創作することではなく、思い込みを排除した客観的な事実、空想ではなく現実に向き合い続けることでしょう。危険ならば危険、安全ならば安全。それは客観的な事実の積み重ねのみによって語られるべきです。

 いつまでも現実から離れ続けようとする「神話の時代」がいつか終わりとなる日を、私は切に待ち続けています。6年を越えようとする今、少しずつその日は近づいてきているのでしょうか。

(フリーライター 林智裕)
http://diamond.jp/articles/-/120730?

 

「福島の外部被曝線量は高くない」 高校生執筆の論文が世界で話題に
福島は他の県や国に比べて高いのか。高校生の素朴な疑問は他に類を見ない研究に。

posted on 2016/02/08 21:58
Satoru Ishido
Satoru Ishido
石戸諭 BuzzFeed News Reporter, Japan
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Satoru Ishido / BuzzFeed
福島の高校生は被曝線量が高い?
福島第一原発事故が起きた、福島県の高校生と、他県、他国の外部被曝線量はどれだけ違うのか。福島高校の生徒を中心に216人のデータを比較した英語の研究論文が昨年11月、専門誌に掲載された。オンライン版は無料で公開されており、全世界で3万ダウンロードを超えている。
執筆した福島高校3年の小野寺悠さんと、論文執筆をサポートした東京大大学院の早野龍五教授(物理学)が2月8日、日本外国特派員協会での会見後にBuzzFeed Newsの取材に応じた。

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発端は素朴な疑問
論文執筆プロジェクトの発端は小野寺さんら高校生たちの素朴な疑問だ。
「福島県で生活する私たちの被曝線量は国内の他の地域や、他国と比べて高いのか」
小野寺さんたちは、実際の生活パターンから測ってみたいと考えた。1時間ごとの外部被曝線量を調べることができる個人線量計「D-シャトル」を使えば、それが可能になる。福島高校の教諭のつながりや、事故後に高校で特別講義をするなど交流を深めていた早野さんら科学者のネットワークを使い、比較研究の土台を作り上げた。
福島市周辺、いわき市など沿岸部、そして会津と県内各地から6高校、神奈川県や広島県など国内6校、フランスからは40人、ポーランドから28人、ベラルーシから12人の高校生、教員が参加した。教員も含めて協力者は216人に及んだ。

Satoru Ishido / BuzzFeed
調査に参加した216人は2014年6月〜12月の期間中、原則として2週間、線量計をつけて生活した。どこにいたか日誌もつけてもらった。データをもとに年間の被曝線量を換算すると、差はごくわずかだった。集団の真ん中にあたる中央値で比較すると、福島県内では0.63〜0.97ミリシーベルト、県外では0.55から0.87ミリシーベルト、海外0.51〜1.1ミリシーベルトだ。
フランスの高校生が発した一言「福島に人は住んでいるのか」
英訳など論文をサポートした早野さんには忘れられない問いかけがある。2014年、フランスの高校生からこう質問された。
「本当に福島に人は住んでいるのか」
確かに、原発周辺の地域は人が戻っていないが、小野寺さんが住む福島市内も沿岸部のいわき市も、郡山市も、そこで暮らしている人たちがいる。
「その高校生は無邪気に聞いている。だからこそ問題は根深い。広島や長崎と同じように、福島の高校生が成長して海外に行くたび、同じ質問を投げかけられるのではないか。その時に大事なのは、しっかり根拠を持って、発信できる力をつけることだ」
そう考えた早野さんは、論文の英訳は手伝ったが、基本はすべて生徒たちに委ねた。

会見後に記者からの質問に答える小野寺さん Satoru Ishido / BuzzFeed
「客観的な根拠と事実から判断する」
専門誌掲載にあたって、査読者から「なぜ2週間の記録で、年間の被曝量に換算できるのか」という質問があった。早野さん自身は答えなかった。「日本語でいいから、回答を考えてほしい」。小野寺さんにボールを投げた。
小野寺さんの回答はこうだ。「高校生がデータをとった2週間は、朝起きて、登校し、授業を受けて下校するという高校生の基本的な生活を送っているときに計測したもの。1年間で換算しても問題はない」
小野寺さんは、論文執筆を通して学んだことがある。
「計測の結果、線量が高かったとしても、公表していました。データは計測するだけでなく、公表して、みんなで考える。リスクがあれば、それを回避する方法を考えればいい。客観的な根拠と事実に基づいて、判断することが大事なのだと思います」
「伝統になってほしい」
震災発生時、中学1年だった小野寺さんは一時的に親族を頼って関東に避難した。父親の指示で、室内でも放射線量の低い場所で生活していたという。その頃、早野さんはTwitterで原発事故や放射線について発信を続けていた。来年には定年を迎える。
もうすぐ震災から5年。取材の合間に「福島高校の伝統になるといいな」と早野さんがつぶやいた。
「科学の方法をつかって考えること、福島から情報を発信すること。高校生から考えること」。それが早野さんが願う「伝統」だ。
https://www.buzzfeed.com/satoruishido/fukujima-no-gaibu-hibaku-senryou-ha-taka-ku-na-i-koukousei-s

http://www.asyura2.com/16/genpatu47/msg/641.html

[社会問題9] 生活保護の不正受給が深刻化しているという「定説」の怪しさ 注意されても、92%の社員は行動を変えられない!
2017年3月10日 みわよしこ [フリーランス・ライター]
生活保護の不正受給が深刻化しているという「定説」の怪しさ

世間で言われるように、生活保護の不正受給は本当に深刻化しているのか。筆者はその「定説」に疑問を持っている

生活保護の不正受給は
本当に深刻化しているのか?
 今年1月以降、小田原市の生活保護ケースワーカーたちが「保護なめんな」と書かれた揃いのジャンパーを着て業務を行っていた問題は、その後、小田原市による検討委員会の開催へとつながり、現在も社会の関心を集めている。
 しかし、1月に報道され始めた当初は、「きっかけが不正受給なら仕方ない」というネットの世論も目立った。不正受給は生活保護の一大問題と考えられている。世論が独り歩きした結果、「生活保護と言えば不正受給」と言う人までいる。
 すべての制度には、義務を逃れ権利を濫用する行為が付き物だし、美しいタテマエがあれば醜いホンネもあるものだ。だから、税制があれば脱税があり、親の一部は子どもを虐待し、小中学校ではイジメ自殺が時々発生する。「納税と言えば脱税」「親と言えば子ども虐待」「児童・生徒と言えばイジメ自殺の加害者」とは誰も言わないのに、なぜ「生活保護と言えば不正受給」なのだろうか?
 今回は、生活保護の不正受給にかかわるデータを読み解きながら、生活保護の不正受給がいったいどれだけ深刻化しているのかを検証してみよう。
 まず、2002年〜20014年の年間あたりの不正受給件数を見てみよう。2002年に8204件だった不正受給件数は、2014年には約5.2倍の4万3021件となっていた。グラフを見てみると、おおむね右肩上がりとなっている。

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 しかし、不正受給された生活保護費は、件数ほど増えていない。2002年から2014年にかけて増加はしているけれども、件数の増加に比べると「おとなしい」増え方だ。2002年に約54億円だった不正受給金額は、2014年には約175億円。件数が5.2倍の増加となっているのに対し、金額は3.2倍の増加だ。

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1件あたりの不正受給金額は
むしろ低下傾向にある
 不正受給一件あたりの金額で見てみると、下のグラフのようになる。

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 1件あたり金額は、2002年に約65万円だったが、その後はほぼ減少傾向にあり、2014年には約41万円となっていた。もし、1件あたり金額が不正受給の悪質さの指標になるとすれば、年々、悪質な生活保護費不正受給は減少していることになる。
 原因として考えられることは数多いが、少なくとも「生活保護で暮らしている本人による悪質な不正受給が増えている」とデータで示すことは難しそうだ。むしろ、不正受給としてカウントされる件数が増える一方、少なくとも金額の面では、悪質度が低下している傾向があると言えそうだ。
 どうも、件数だけを取り出して「不正受給が増えた(減った)」と考えないほうが良さそうだ。件数を何かの目安に使うのであれば、どういう不正受給がどれだけ増えたのかに関するデータと組み合わせ、何らかの重み付けをすべきであろう。とはいえ、不正受給に関するデータは、データの重み付けに関する推測が可能なほど詳細に明らかにされているわけではない。
 では、無理なく手に入るデータから、何らかの傾向を読み取ることはできないだろうか。ほぼ「右肩上がり」の不正受給件数を前年と比較し、増加率を計算すると、下のグラフの通りとなる。

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 そもそも、不正受給そのものの傾向や、講じられている対策が変わらないのであれば、不正受給の件数が前年に比べて大きく増えたり減ったりする理由はない。にもかかわらず、2013年までは増加が続いており、2013年はわずかながら前年比マイナスとなっている。このような変動が存在すること自体に対して、その変動に「なぜ?」という疑問が持たれないことに対して、私は疑問を持ってしまう。
 また「ぱっと見」で、理由の説明が困難に思えるトレンドがある。2006年から2007年にかけ、また2008年から2009年にかけ、不正受給件数の増加率は、前年より減少している。2010年以後は一転して増加、2011年には前年比約150%という大きな増加率が示されている。その後、増加率は小さくなり、2014年にはマイナスに転じている。
 この原因を、はっきりと思い浮かべられる方はいるだろうか。特に、前年よりも不正受給件数の増加率が著しく大きくなった2008年・2010年・2011年には、何が起こったのだろうか。とりあえず、東日本大震災の起こった2011年は除外するとして、2008年と2010年に、生活保護で暮らす人々のモラルを著しく低下させるような変化は存在しただろうか?
 私にも、変化の原因のすべてに「思い当たる節」があるわけではない。しかし、思い当たることがらが全くないというわけではない。まずは、このデータの変動を、手がかりのある年から読み解いてみよう。

不正受給判定は変動相場制?
過去の出来事から類推する「波」の正体
 不正受給件数の増加率が前年より少なかった2007年と2009年は、生活保護の利用抑制、行政用語でいう「適正化」が行なわれにくくなっていた年だ。
 2007年7月、北九州市で52歳の男性が遺体で発見され、「腹減った。オニギリ食いたい」と何回も書かれたノートが発見された。元タクシー運転手だった男性は、病気のため就労を継続できなくなり、前年2006年の12月に生活保護を申請。同月中に保護開始となっていた。しかしケースワーカーは強引な就労指導を行い、2007年4月、男性は「自発的」に生活保護の辞退届を提出した。生活保護を打ち切られた男性は、就労できず、他の収入源もなく、手持ち金や食糧が尽きるとともに、「オニギリ食いたい」というメモを残して餓死に至ったと見られている。
 2007年は、生活保護基準の見直しが予定されており、政府は引き下げる方針だった。しかし男性の餓死が報道され、引き続いて「生活保護を利用させない」「生活保護を辞退させる」といったことに数値目標を設ける北九州市の生活保護行政の違法性が報道された。あまりにもショッキングな事件と、あまりにもショッキングな制度運用の実態が、日本全体に大きな反響を引き起こした。結果として、生活保護基準の見直しは見送られた(しかし、5年後の2012年に予定されていた基準見直しに際しては、第二次安倍内閣の成立を待って、2013年に大幅な引き下げが行なわれている)。
 このような事件があると、不正受給への厳しい目は若干緩む。世の中に何があろうが不正は不正なのだが、少なくとも生活保護を辞退させられた上、おにぎりも食べられずに餓死した男性が世の中の話題となっているときには、安易な不正受給扱いにはブレーキがかかりやすい。2007年に増加率が減少した原因として最も考えやすいのは、北九州市の餓死事件であろう。
 また2009年は、リーマンショックと「派遣切り」が大きな注目を浴びた、2008年の翌年にあたる。2009年の正月を、厚労省のすぐそばの「年越し派遣村」で過ごした人々の多くは、その直前まで就労していた人々であった。健康で、比較的若く、働けていたにもかかわらず、本人の責任とは言えない事情で仕事と住まいを失って、「年越し派遣村」にいたのである。2009年の日本では、生活保護を必要とする事情は「自己責任」とは限らず、就労できるから生活保護は不要とも言えないことが、おおむね納得されていた。このような年にも、安易な不正受給の追求は行なわれにくくなる傾向がある。
 しばらくするとその反動で、厚労省も自治体の多くも「生活保護を引き締めなくては」と考え始める。もちろん、生活保護を必要とする事情のある人々がいれば、保護の対象にしなくてはならない。そうしなくては、その街で「おにぎり食べたい」餓死事件が起こるかもしれないからだ。しかし利用抑制は困難でも、不正受給の摘発強化は比較的容易だ。というわけで、不正受給の増加率は2010年に跳ね上がったのではないかと見ることができる。

東日本大震災の心理的影響と
生活保護制度運用の激変
 では、前年比150%という大幅な増加となった2011年には、いったい何があったのだろうか。東日本大震災のドサクサに付け込んだ不正受給が多発したせいだろうか。
 実際に、不正受給が多発していたかどうかはわからない。しかし、数多くの人々が「資産を失い収入もないけれども、見舞金や義援金はある」という状況に置かれていた東日本大震災直後の混乱のもとでは、たとえば「生活保護を申請したタイミングが、見舞金・義援金を受け取る前なのか後なのか」「見舞金や義援金に関する厚労省の通知・通達類が現場で熟知されているか否か」といったことによって、結果として不正受給となってしまうことも、逆に不当な不正受給扱いもあり得ただろう。また生活保護を必要とする人々の増加に伴い、「生活保護を引き締めなくては」という理由から不正受給扱いが強化された可能性もある。
 その翌年である2012年には、生活保護制度運用に大きな激変があった。生活保護費を受け取り過ぎた場合に原則として適用される条文が、単純な受け取り過ぎに対して返還を求める生活保護法63条から、不正受給に対する同法78条に変更されたのだ。「まずは性善説」から「まずは性悪説」という大転換をもたらしたのは、2012年7月23日に発行された厚労省の課長通知(平成24年7月23日社援保発 0723 第1号厚生労働省社会・援護局保護課長通知)である。背景には、総務省が厚労省に対して「不正受給の処理を迅速にせよ」と求めたことがあった。確かに、原則を不正受給とすれば迅速化は可能だ。こんなことからも、不正受給件数は簡単に増えてしまうのである。
 取り扱い原則が大きく変わったのであるから、2011年以前と2012年以後の不正受給件数は、注釈抜きで同じグラフに掲載すべきではないのだが、結果として何が起こっただろうか。
 この2012年以後、不正受給件数の増加率が前年より多くなっている年はない。いったん「疑わしきは全部不正受給」としてしまった後では、不正受給を大きく増加させる要因は現れにくいだろう。このことの当然の結果として、不正受給は「増えにくく」なり、2014年には前年よりも件数が減少している。
 となると、これ以上不正受給を「増えた」とすることは、もはや不可能であろう。不正受給を摘発しやすくするありとあらゆる努力の末、不正受給件数の増え方は「飽和」し、これ以上は増やしたくても増やせない領域に入ってしまったのだ。1件あたりの金額が減少していることは、このことの当然の結果とも言える。
 現在以上に監視や摘発を強めたとしても、不正受給は増やせないだろう。本当はあるのに見つかっていない「暗数」部分は、現在までのデータの傾向を見る限り、ほとんどなくなっている。現在、金額総額で0.6%の生活保護費不正受給は、監視や摘発を強めれば6%や10%になるわけではない。生活保護受給者が「パチンコ屋にいる」「馬券を月に100円だけ買う」「3ヵ月に1回だけ低価格帯風俗店に行く」「回転寿司で外食」「楽しそう」「笑っている」といったことまで不正受給扱いする「新しいルール」でもつくらない限り、1%を「突破」するのも難しいだろう。
「不正受給はけしからん」と
言う前に冷静に考えるべきこと
 今回は、徹底的にデータと出来事を照らし合わせながら、背景への若干の推測を加えつつ、「生活保護の不正受給が増えていて大きな問題である」という世間の仮説の真贋を検証してみた。
 生活保護の不正受給に関連する問題は、この他にも数多い。たとえばメディア報道によって、市民が「生活保護の不正受給が増えている」ことを問題視するたびに、「私たちの払った税金」が納税者のために使われるようになるわけではない。増えているのは、福祉事務所へ警察OBを配属したりする人件費だ。その背景には、年金支給開始年齢の変更があったりする。
 もちろん同時に、生活保護費は減らしやすく、増やしにくくなる。生活保護費は、自分自身に支給されるのではなくても、行政から「納税者の私たち」の側に支給される現金なのだが、そこが減りやすく、増えにくくなってしまうのだ。
「生活保護の不正受給?けしからん!納税者の私たちが可哀想ではないか」と立腹するのは当然の感情だ。しかし立腹した結果が、さらに「納税者の私たち」の首を締めるのであれば、まことに救われない。ときにはこのような見地から、頭に血が上らないよう、数字をじっくり眺めてみることも必要だろう。
(フリーランス・ライター みわよしこ)
http://diamond.jp/articles/-/120725 


 


【第3回】 2017年3月10日 児島保彦
注意されても、92%の社員は行動を変えられない!

多くの人間は楽をしたいと思うもの。何度注意されても、ほとんどの人は行動を改善できない。しかしそれでは、会社の利益がどんどん社外へ流出してしまう。社員にやるべきことをやらせるには、どうしたらいいのか――。『儲かる会社は人が1割、仕組みが9割』の著者・児島保彦氏に、その秘訣を聞いた。


結果をしつこくチェックしなければ
意味がない

 人間は必ず「楽をしよう」と考えるものです。それが仕事の効率化につながるのなら大いに結構ですが、どうしても「手抜き」や「さぼり」につながってしまいます。気がつけば当たり前のことまで、やらなくなってしまうものです。

 これは「いい人材はいないのだから仕方がない」ですますわけにはいきません。そこで確実に会社の利益が漏れていくからです。

 では、どうしたらよいでしょうか? 私も脅したりすかしたり、話法を変えてみたり、理論武装したり、あらゆることをやってみましたが、結果は同じでした。「わかっちゃいるけど、やらない」のです。あるいは「言われた直後はやるけれど、すぐに元に戻ってしまう」のです。

 社員が当たり前のことをやらない、続かない原因は、「継続させる」ための知恵や工夫を、社長が実行していないことに尽きます。やるべき課題を与えるだけではダメなのです。社員を動かす決め手は、「やったか」「やったか」と繰り返し問い続けることです。

 行動計画を立てることは、どの会社もやっているでしょう。しかし、この「やったか」「やったか」を、徹底的に追求する会社は少ないのです。

 重要なポイントは、ことあるたびに繰り返し忍耐強く、やるべき課題について「やったか」「できたか」とチェックすることです。

 社長は「わかっているはず」あるいは「わかってくれている」といった甘い思い込みを捨ててください。やらないのが当たり前なのです。小学生の母親のように、「宿題はやったのか?」「宿題をすませてから遊びに行きなさい」と、毎日チェックすることです。

「やったか」「やったか」を、社員が最後には「やるしかない」「やらなきゃいけない」と思うまで、繰り返すのです。

理解することと実行することは
別ものである

 やるべき課題を出し「やったか」とチェックすることは、社員の実行力を引き出すことにつながります。社員がいくら頭で理解していても、実行しなければ意味がありません。会社の利益にはつながらないのです。

 こんな統計数字があります。100人の社員が同じことを聞いた場合、その内容を理解できる人8割の80人。理解したうえで、その内容に賛同する人はその半分の40人。そしてそれを実際に実行する人は、そのうち2割の8人だけだというものです。

 つまり100人の社員に、いくら説教をしても、説明をしても、実行する社員は8人にすぎないということです。この数字は、私の経験と照らし合わせてもまさにそのとおりだと実感できるものです。

 理解することと実行することは、まったく関係がありません。

 社長が「どうしてもわかってもらって、実行してほしい」ことを、心を込めて一生懸命熱弁をふるって説明したとします。そして、社員のみなさんもそれに応えて「わかった、やります」と心から誓ったとします。

 多くの場合、社長はこれでやってくれるものと確信して期待するでしょう。「よかった。これで利益が出るはずだ」などと思い込みがちです。楽観的な社長は「よし、これでできた」と思って「今期は楽しみだ」などと期待するかもしれません。

 私が実際に遭遇した場面です。ある事件が起きました。報告、連絡、相談(ホウレンソウ)を疎かにしたことが原因で、会社に多大な損害を与えました。

「ホウレンソウさえしっかりできていれば、こんな損失を被らなくてもすんだのに。よし、朝会で全社員に話して徹底的に守ってもらおう」と社長は考えました。

「これからは報告をしっかりやり、連絡は忘れないように、そしてわからないことがあったら必ず相談するように!」

 社員も「社長の言うことはもっともだ。ちゃんとできていればこんなことにはならなかった。これからはしっかりホウレンソウをしよう」と、本当に純粋な気持ちで思い、朝会は終わりました。

 さて、数日たってどうなったでしょう。別に変わったことはありません。相変わらず上司は「そんなときは相談してくれよ」「連絡を忘れるなんて、しっかりしてくれよ」「なんでもっと早く報告しなかったのだ」などと怒っています。

 実際に事件が起き、大きな被害が出た直後でしたから、社長の言葉は社員の頭の中に残っているはずです。にもかかわらず、ほとんどの人は頭で理解しただけで、実行には移していなかったのです。

「ホウレンソウを徹底しよう」「何事も迅速に」「挨拶をしよう」「明るい元気な会社」「コンプライアンスの遵守」「5S運動」「原価意識に徹してコスト低減に努めよう」――これらの言葉は抽象的です。理解はできても、「では、今から何をすればよいのか」、つまり何を実行すればよいのかがわからないのです。

 これらの抽象的なスローガンを聞いただけで、実行に移すことができる社員は、先に述べたとおり100人のうち8人です。

 組織の中で、92人とは違うことを8人の社員だけが継続して実行するというのは難しいものです。「おまえ、何をやっているの?」「今までうまくいっていたのだから、そんなことしなくてもいいんじゃないの?」――そう感じてしまう92人に悪気はありません。むしろ人間として自然な心理です。

 すると、せっかく目覚めて行動を起こした8人も、1人抜け、2人抜け、結局、元に戻るのです。

 やるべき課題を与えることと「やったか」のセットは、100人全員に、有無を言わさずやらせることに意味があります。職制の上下は関係ありません。全員に具体的な行動の課題を出すのです。

 どんな会社も、必要に迫られて意識改革をしようとしますが、99%は成功しません。その原因は抽象的な説教や、言葉による威嚇といった精神論から入るからです。誰が聞いても否定できない抽象的な正論を聞いても、右の耳から入って左の耳に抜けるだけです。

 行動しなければならない仕組みをつくって、その中へ社員を追い込んで、「やったか」「できたか」を繰り返し、体に覚えこませて習慣にするのです。習慣になれば意識が変わります。そこではじめて意識改革が成功します。会社全体で、一気に人を動かすには、この方法しかありません。
http://diamond.jp/articles/-/120346
http://www.asyura2.com/12/social9/msg/767.html

[経世済民119] 地方から広がった土地の「所有者不明化」問題 「農地・山林はもらっても負担」 土地も家も、なぜ所有者不明になるのか  
地方から広がった土地の「所有者不明化」問題
「所有者不明化」問題から見える土地制度の根本課題(2/3)
2017/03/09
吉原祥子
 第1回目では、所有者不明の土地について、その大きな原因が相続未登記にあることを指摘した。それでは、こうした問題は全国でどのくらい起きているのだろうか。また、問題の全体構造はどのようになっているのだろうか。

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557自治体で「問題あり」
 筆者らは、土地の「所有者不明化」の実態を定量的に把握するため、2014年秋に全国1,718市町村および東京都(23区)の税務部局を対象にアンケート調査を実施した。相続未登記が固定資産税の納税義務者(土地所有者)の特定にどのような問題を生じさせているかを調べることで、間接的ではあるが、「所有者不明化」の実態把握をめざした。888自治体より回答を得た(回答率52%)。
 本調査で明らかになったことは、大きく2つある。順番に見ていこう。
 まず1つは、土地の「所有者不明化」問題は、一時的、局所的な事象ではなく、平時に全国の自治体にその影響が及んでいるということだ。
 土地の「所有者不明化」によって問題が生じたことがあるか尋ねたところ、63%にあたる557自治体が「あり」と回答した。具体的には、「固定資産税の徴収が難しくなった」(486自治体)がもっとも多く、次いで、「老朽化した空き家の危険家屋化」(253自治体)、「土地が放置され、荒廃が進んだ」(238自治体)がほぼ同数だった。
 次に、「死亡者課税」について尋ねた。これは土地所有者、すなわち固定資産税の納税義務者の死亡後、相続登記が行われていない事案について、税務部局による相続人調査が追いつかず、やむなく死亡者名義での課税を続けるもので、146自治体(16%)が「あり」と回答した。納税義務者に占める人数比率(土地、免税点以上)は6.5%だった。「なし」は7自治体(1%)のみ。735自治体(83%)は「わからない」と回答し、所有者の生死を正確に把握することが困難な現状の一端がうかがえた。
このままでは問題の拡大は不可避
 本調査から明らかになったもう1つの点は、このままでは「所有者不明化」問題の拡大は不可避だということだ。
 死亡者課税が今後増えていくと思うか尋ねたところ、「そう思う」もしくは「どちらかといえばそう思う」という回答が770自治体(87%)に上った。その理由を記述式で尋ねたところ、回答は制度的なものと社会的なものに大きく二分された。
 まず、制度的な理由として多かったのが、手続きの煩雑さや費用負担の大きさ等を理由とする相続未登記の増加、自治体外在住者の死亡情報がいまの制度では把握できないこと1、人口流出によって不在地主が増加し相続人情報を追うことが困難になっていく、などだ。
 社会的な理由として挙がったのは、土地の資産価値の低さや管理負担を理由とする相続放棄の増加や、親族関係の希薄化に伴う遺産分割協議の困難化などだ。
 具体的には、「土地の売買等も沈静化しており、正しく相続登記を行っていなくても当面実質的問題が発生しないケースが増えている」、「相続人が地元に残っていない。山林・田畑について、所有する土地がどこにあるかわからない方が多い」、「土地は利益となる場合よりも負担(毎年の税金)になる場合が多いので、相続人も引き受けたがらない」、「過疎地で固定資産の価値も低い上、所有者の子が地元に帰ることがますます少なくなり、固定資産に対する愛着がなくなってゆく」といった記述があった。
 さらに、寄せられた回答の中には、相続放棄によって所有者が不存在となった土地の扱いについて、相続財産管理制度などの制度はあるものの費用対効果が見込めず、放置せざるをえない例が少なくないこと、また、その後の当該土地の管理責任や権利の帰属が、実態上、定かでない点があることなど、制度的、法的な課題を指摘するコメントもあった。
 こうした結果から、人口減少に伴う土地の価値の変化(資産価値の低下、相続人の関心の低下)と硬直化した現行制度によって、「所有者不明化」の拡大がもたらされている、という問題の全体像が徐々に浮かび上がってきた(図1)2。

図1 土地の「所有者不明化」問題の全体像(出所:筆者作成)
http://wedge.ismedia.jp/mwimgs/2/4/-/img_24df9db247274d3a3822b3ebd60310df81751.jpg
 
1:自治体内に住民登録のない納税義務者(不在地主)が死亡した場合、現行制度では、死亡届の情報が当該自治体に通知される仕組みはない。
2:アンケート調査結果の詳細は、東京財団『土地の「所有者不明化」〜自治体アンケートが示す問題の実態〜』(2016年3月、http://www.tkfd.or.jp/files/pdf/lib/81.pdf)を参照いただきたい。

問題は地方から広がっていた
 こうした相続未登記による「所有者不明化」の拡大は、いつ頃から始まっていたのだろうか。
 前回、紹介したように、国土交通省が行った登記簿のサンプル調査によると、最後に所有者に関する登記がされた年が50年以上前のものが全体の19.8%、30〜49年前のものは26.3%に上っている。
 つまり、一世代を30年と考えるならば、一世代以上、所有者情報が書き換えられていない登記簿が全体の半分近くを占めていることになる。相続未登記という現象は、今に始まったことではなく、過去数十年にわたり蓄積されてきているのだ。
 実際、地域レベルで見るとこの問題は決して新しいものではない。相続未登記が、地域の土地利用という公益に及ぼす影響については、一部の関係者の間では経験的に認識され、長年、指摘されてきている。
 たとえば、林業の分野では、1990年代初頭には、森林所有者に占める不在村地主の割合は2割を超え、林業関係者の間では、過疎化や相続増加に伴い所有者の把握が難しくなるおそれのあることが懸念されていた。柳澤(1992)は、急速に高齢化の進む農山村世帯において、都市部へ転出した子ども世代が相続に伴い不在地主となるケースが増え、林業の支障となることを懸念し、次のように述べている。「問題は彼らが所有する大量の土地の行方である」「不在村対策としては迂遠であるようにみえるかも知れないが、今いちばん必要なのは、将来の不在村所有者とのコンタクトではないか。」3
 農業では、各地で慢性的に発生している未登記農地の問題について、安藤(2007)が、「ただでさえ追跡が困難な不在地主問題を絶望的なまでに解決不能な状態に追い込んでいるのが相続未登記であり、これは農地制度の枠内だけではいかんともしがたい問題なのである」と指摘している4。
 自治体の公共事業の用地取得でも、同様の問題は起きていた。「用地取得ができれば工事は7割済んだも同じ」と言われるように、用地取得における交渉や手続きの大変さは関係者の間でしばしば指摘されてきていた。
3:柳幸広登(1992)「不在村森林所有の動向と今後の焦点」林業経済45巻8号1-8頁。
4:安藤光義(2007)「農地問題の現局面と今後の焦点」農林金融60巻10号2-11頁。
 しかしながら、こうした問題の多くは、関係者の間で認識されつつも、あくまで農林業あるいは用地取得における実務上の課題という位置づけにとどまってきた。たとえば、堀部(2014)は次のように指摘している。「農業経済学にとって農地制度とその運用は、長い間一貫して強い関心を寄せる対象であったが、それはあくまでも農地市場分析、農業経営における農地集積活動の与件としてであり、それ自体は『実務の問題』とされ、ほとんど分析対象とはならなかったのである。5」
 関係省庁が複数にわたり、個人の財産権にもかかわるこの問題は、どの省庁も積極的な対応に踏み出しづらいこともあり、政策議論の対象となることはほとんどなかった。それが、近年、震災復興の過程で問題が大規模に表出し、また空き家対策のなかで都市部でも表面化したことで、ようやく政策課題として認識されるようになってきたのだ。
 それでは、なぜ、任意の相続登記がされないことで、土地の所有者の所在や生死の把握が難しくなっていくのだろうか。そもそも、日本では土地の所有者情報はどのように把握されているのだろうか。次回は、所有者不明化問題から見えてくる日本の土地制度の課題を整理し、今後必要な対策について考えてみたい。

5:堀部篤(2014)「遊休農地や山林・原野化した農地が多い地域における利用状況調査の取り組み実態」農政調査時報571号29-34頁。
(第3回:3月10日公開予定 へ続く)

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9036

 

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9051
「農地・山林はもらっても負担」、時代に対応した土地制度の構築を「所有者不明化」問題から見える土地制度の根本課題(3/3)
2017/03/10
吉原祥子
社会の変化と制度の乖離
 ここまで、各地で広がる土地の「所有者不明化」の実態について、相続未登記の問題から全体像を見てきた。では、なぜ任意の相続登記の問題が、「所有者不明」というこれほど大きな問題につながってしまうのだろうか。そもそも、日本では土地の所有者情報はどのように把握されているのだろうか。(第1回、第2回)

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 土地の所有・利用に関する様々な制度を洗い出してみると、見えてくるのが情報基盤の未整備やルールの不十分さだ。
 現在、日本の土地情報は不動産登記簿のほか、国土利用計画法に基づく売買届出、固定資産課税台帳、外為法に基づく取引報告、さらに森林調査簿や農地基本台帳など、目的別に作成・管理されている。各台帳の所管はそれぞれ、法務省、国土交通省、総務省、財務省、林野庁、農林水産省と多岐にわたる。台帳の内容や精度もばらばらで、国土の所有・利用に関する情報を一元的に共通管理するシステムは整っていない。
 さらに、国土管理の土台となる地籍調査(土地の一筆ごとの面積、境界、所有者などの基礎調査)も、1951年の調査開始以来、進捗率は未だ5割にとどまる。一方で、個人の土地所有権は諸外国と比較してもきわめて強い。
 「土地の権利関係なら不動産登記簿を見ればすぐわかるのではないか」と思う方も多いかもしれない。実際、各種台帳のうち、不動産登記簿が実質的に主要な所有者情報源となっている。だが、ここまで繰り返し述べてきたように、権利の登記は任意である。そもそも、不動産登記制度とは、権利の保全と取引の安全を確保するための仕組みであり、行政が土地所有者情報を把握するための制度ではない。登記をした後に所有者が転居した場合も、住所変更を届け出る義務はない。そのため、登記がされなければ、登記簿上の名義人がすでに死亡した人のままだったり、古い住所がそのまま何十年も残り続けることになる。
 任意の相続登記を相続人が行うかどうか、また、いつ行うかは、個人の事情をはじめ、経済的、社会的な要因などによって影響を受ける。たとえば、景気改善によって都市部の土地取引が活発化し地価が上昇すると所有者の売却意欲が高まり、その準備の一環として相続登記が行われる、あるいは、公共事業が増加し用地の対象となった所有者が売却のために相続発生後何年も経った後に登記を行うなどだ。
 図1は相続等による所有権移転登記の件数の推移である。登記件数は近年増加傾向にはあるものの、年によって変動が大きいことがわかる。

図1 相続等による所有権移転登記の件数推移
(出所)法務省「登記統計」より作成
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 政府の「経済財政運営と改革の基本方針2016」では、所有者不明化の大きな原因の1つである相続未登記への対策が盛り込まれ、法務省が「法定相続情報証明制度」の創設を進めるなど、徐々に対策が始まりつつある。
 しかし一方で、司法書士の間からは、「農地・山林はもらっても負担になるばかりで、相続人間で押し付け合いの状況」とか「最近、相談者から、『宅地だけ登記したい、山林はいらないので登記しなくていい』と言われるケースが出てきた」、「次世代のことを考えれば登記すべきだが、登記は任意であり、無理に勧めるわけにもいかず悩んでいる」といった声も聞かれる。
 国土交通省の「土地問題に関する国民の意識調査」によると、「土地は預貯金や株式などに比べて有利な資産か」という問いに対して、2015年度は、「そうは思わない」とする回答が調査開始以来最高の41.3%を占めた。これは1993年度(21%)の約2倍である。
 人口減少に伴う土地需要の低下や人々のこうした意識の変化を考えれば、今後、相続登記がいまよりも積極的に行われるようになるとは考えにくい。国による相続登記の促進は当面の対策としては重要だが、人々にとって相続登記をする必要性が低いままであれば、促進策の効果も限定的にならざるを得ないだろう。
 考えるべきは、いまの日本の土地情報基盤が、こうした市場動向や個人の行動によって精度が左右される仕組みの上に成り立っている、という点である。
 現在の日本の土地制度は、明治の近代国家成立時に確立し、戦後、右肩上がりの経済成長時代に修正・補完されてきたものだ。地価高騰や乱開発など「過剰利用」への対応が中心であり、過疎化や人口減少に伴う諸課題を想定した制度にはなっていない。
 「所有者不明化」問題とは、こうした現行制度と社会の変化の狭間で広がってきた問題なのだ。
直視されてこなかった土地問題
 それでは、なぜ、この問題はこれまで政策課題として正面から取り組まれることがほとんどなかったのであろうか。
 その理由として、1つには、問題が目に見えにくいということがあろう。所有者不明化という課題が平時に広く世の中の関心を得る機会は限られる。多くの場合、相続や土地売買、大規模災害時など、「一生に一度」の機会になって初めて、問題の存在や解決の難しさが認識される。
 耕作放棄地や空き家といった「管理の放置」の問題は、農地の荒廃や老朽化に伴う危険家屋化など、目に見える形で地域で表面化する。それに対し、相続未登記という「権利の放置」は、登記簿情報と実際の所有状況を照合するまでは、人々の目に見えない。
 自治体担当者が公共用地の取得の際などに所有者不明化の実態に直面しても、個別事案への対応に追われ、政策課題として広く共有するまでにはなかなか至らないのが実情だ。用地取得の難しいことは、自治体担当者の多くが経験的に認識してはいるものの、そうした担当者も基本的には数年で異動するため、政策課題として体系だった議論を継続的に提起する人材も輩出されにくい。
 この問題は個人の財産権に関わることから行政も慎重にならざるを得ず、積極的に取り組む政治家も少ない。
 情報基盤が整っていないために精度の高い基礎情報も少なく、制度見直しの根拠となる不利益の定量化や分析も容易ではない。所有者不明化問題の根本にある制度的要因や経済的損失、さらに対策を講じないことによる負の効果などに関して、全国レベルでの詳細な検証はほとんど行われてきていないといえよう。
 さらに、国民の側から見ると、この問題は解決に要するコストが大きい一方で、問題解消によって得られる便益を短期的に実感しづらいという難しさがある。問題が目にみえづらく突発的な事件が起きることも少ないため、マスコミの記事にもなりづらい。
 こうした意味で、土地の所有者不明化問題は、さまざまな主体の間の隙間に落ちた「盲点」のような課題だといえる。農地集約化、耕作放棄地対策、林業再生、道路などの公共事業、空き家対策、災害復旧事業など、多くの場面で同様の問題が発生していながら、その根底にある土地制度の課題について踏み込んだ議論が十分に行われることのないまま、問題が慢性的に広がってきていたのだ。
 所有者不明化問題の1つひとつの事象は小さいかもしれない。しかし、この問題が各地で慢性的に発生し堆積していくことで、再開発や災害復旧、耕作放棄地の解消など、地域社会が新たな取り組みに踏み出そうとしたときに大きな足かせとなる。地域の活力をそぐ問題であり、全国で同じようなことが繰り返されていくことで、長期的には国力を損なうおそれがあるといっても過言ではない。
今後必要な対策
 それでは、今後、どのような対策が必要だろうか。地価の下落傾向が続き、「土地は資産」との前提が多くの地域で成り立ちづらくなるなか、土地制度が大きな転換期にあることは明らかだ。
 まずは国と自治体が協力し、地域が抱える土地問題について実態把握を進めることが必要だ。その上で、国土保全の観点から、どのような土地情報基盤が実現可能か、また、どのような関連法整備が必要か、省庁横断で整理していくことが求められる。
 短期的な対策としては、まず所有者、自治体双方にとって各種手続きのコストを下げる必要がある。たとえば相続人による相続登記や、自治体による相続財産管理制度の利用にあたり、費用負担を軽減し手続きの促進を支援していくことなどだ。
 同時に、相続登記の促進を図りつつも、登記が長年行われず数次にわたって放置されているものについて、一定の手続きを踏まえた上で利用権設定を可能にする方策など、踏み込んだ対策の検討も今後は避けて通れないだろう。
 森林については、所有者不明などの問題の広がりを踏まえ、昨年の森林法改正のなかで、市町村が所有者等の情報を林地台帳として整備することが義務付けられた。ただし、この法案に対しては全国市長会から、「都市自治体では、地域住民の多様なニーズに対処するため、絶え間ない行政改革を断行している中、新たな事務を一律に義務付けるような制度改正については、地方の実情を踏まえ十分な検討を行うことが必要である」との申し入れがあった1。人口が減少し、土地需要も相対的に減っていく中で、国土保全の観点から最低限必要な情報を国と地方が連携して効率的に整備していくことが求められる。
 さらに、長期的な対策として必要なのが、所有者不明化の予防策である。具体的には、利用見込みのない土地を所有者が適切に手放せる選択肢を作っていくことが急務だ。本来、個人が維持管理しきれなくなった土地は、できれば共有したり、新たな所有・利用者にわたることが望ましい。だが、現状、そうした選択肢は限られる。地域から人が減るなか、利用見込みや資産価値の低下した土地は、そのまま放置するしかない。「いらない土地の行き場がないんです」とは、ある自治体職員の言葉だ。NPOなど地域の中間組織による土地の寄付受付の仕組みや、自治体による公有化支援策の構築等、土地の新たな所有・利用のあり方について議論を本格化させる必要がある。

1:全国市長会「『森林法等の一部を改正する法律案に対する申入れ−林地台帳(仮称)の整備について−』を森山・農林水産大臣に提出(平成28年2月25日)」http://www.mayors.or.jp/p_action/a_mainaction/2016/02/280225daichoseibi-moushiire.php
 あわせて、こうした問題について、日頃から人々が学ぶ機会を設けることも重要だ。学校教育では現行の土地制度について学ぶ機会はほとんどない。多くの人々にとって、土地制度や登記手続きの仕組み(煩雑さ)を学ぶ機会は限られ、相続もしくは被災といった「一生に一度」の場面になって初めて直面する人がほとんどであろう。
 ある自治体の担当者は、次のように言う。「この問題は公共課題でありながら個人の権利に関わる部分が大きく、行政が積極的に動きにくい。しかも、その個人の権利を個人が必ずしも理解していない。まさしく、どこから手を付けて良いのか分からない問題だ。」
 多くの人々は、ふだん相続登記をしないままの実家の土地が、公共の利益に影響を及ぼすとはあまり意識することはない。自分が相続登記をしないことが、将来、地域や次の世代の土地利用の足かせになるかもしれないと考えることは、決して多くはないだろう。
 財産権にも関わる土地制度の見直しは、国民の理解がないことには進まない。土地が個人の財産であるとともに公共性の高い存在であることを、普段から国民が学び、一人ひとりが理解を深めていくことが大切だ。このままでは、この問題は一部の関係者の間では経験的に認識されつつも、一般の人々の認知や理解を十分に得られないまま、先送りが続いてしまうおそれも否定できない。
 親族や自らが所有する土地をどう継承していくかは、個人の財産の問題であると同時に、その対処の積み重ねは生産基盤の保全や防災など地域の公共の問題へと繋がっていく。今後、土地を適切に保全し次世代へ引き継いでいくために、どのような仕組みを構築していくべきなのか。土地問題を人口減少社会における1つの課題と位置づけ、制度見直しを進めることが必要だ。


 
土地も家も、なぜ所有者不明になるのか
「所有者不明化」問題から見える土地制度の根本課題(1/3)
2017/03/08
吉原祥子
 人口減少と高齢化が進む中、相続を契機に故郷の土地の所有者となり、戸惑う人が増えている。
 「田舎の土地を相続したが、自分たち夫婦には子供がいない。自分の代で手放したいが、買い手も寄付先も見つからず困っている」「いずれ実家の土地を相続する予定だが、東京に暮らす自分は父親が所有する山林には行ったことがなく、どこにあるのかもわからない」こうした声を周囲で耳にするようになった。司法書士などによる法律相談や不動産会社による相続対策セミナーが活況を呈し、相続対策を取り上げた書籍や雑誌も目立つ。
 そうした声と時を同じくして、近年、問題として認識されつつあるのが「所有者不明土地」である。所有者の居所や生死が直ちに判明しない、いわゆる「所有者不明」の土地が災害復旧や耕作放棄地の解消、空き家対策など地域の公益上の支障となる例が各地で報告されている。国土交通省の調査では私有地の約2割が所有者の所在の把握が難しい土地だと考えられるという。

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 個人の相続と、土地の所有者不明化。一見関係ないかに見える両者だが、実はその間には土地の権利と管理をどのように次世代に引き継いでいくのか、という大きな課題が横たわっている。
 本稿では、近年、マスコミでも取り上げられることの増えてきた土地の「所有者不明化」問題について、相続という多くの人々にとって切実な問題からひもといていく。そして、問題の背景にある制度の課題と、今後必要な対策について、3回に分けて考えてみたい。
なぜ、所有者不明になるのか
 所有者の特定に時間を要し、地域の土地利用や円滑な売買の支障となる「所有者不明土地」。
 土地とは、本来、個人の財産であると同時に、私たちの暮らしの土台であり、生産基盤であり、さらにいえば国の主権を行使すべき国土そのものだ。
 民法学者の渡辺洋三は、土地のもつ4つの特質として、人間の労働生産物ではないこと、絶対に動かすことのできない固定物であること、相互に関連をもって全体につながっていること、そして、人間の生活あるいは生産というあらゆる人間活動にとって絶対不可欠な基礎をなしているものを挙げ、これらの特質ゆえに土地とは本来的に公共的な性格をもつと結論づけている1。
 いま、そうした個人の財産であると同時に公共的性格をあわせもつはずの土地について、その所有者の居所や生死が直ちにはわからないという問題が、様々な形で表面化してきている。
 もっとも身近な例が空き家だろう。2015年5月に全面施行された空家対策特別措置法にもとづいて最初に強制撤去された長崎県新上五島町(2015年7月)および神奈川県横須賀市(同10月)の空き家は、いずれも行政のどの台帳からも所有者が特定できない「所有者不明」物件だった2。
 一体なぜ、こうした問題が起きるのだろうか。
 土地所有者の所在や生死の把握が難しくなる大きな要因に、相続未登記の問題がある。一般に、土地や家屋の所有者が死亡すると、新たな所有者となった相続人は相続登記を行い、不動産登記簿の名義を先代から自分へ書き換える手続きを行う。ただし、相続登記は義務ではない。名義変更の手続きを行うかどうか、また、いつ行うかは、相続人の判断にゆだねられている。
 そのため、もし相続登記が行われなければ、不動産登記簿上の名義は死亡者のまま、実際には相続人の誰かがその土地を利用している、という状態になる。その後、時間の経過とともに世代交代が進めば、法定相続人はねずみ算式に増え、登記簿情報と実態との乖離(かいり)がさらに進んでいくことになる。
 相続登記は任意のため、こうした状態自体は違法ではない。しかし、その土地に新たな利用計画が持ち上がったり、第三者が所有者に連絡をとる必要性が生じたときになって、これが支障となる。「登記がいいかげんで、持ち主がすぐには分からないために、その土地を使えない」という状態が発生するのだ。
全農地の2割が相続未登記のおそれ
 国土交通省によると、全国4市町村から100地点ずつを選び、登記簿を調べた結果、最後に所有者に関する登記がされた年が50年以上前のものが全体の19.8%を占めた。30〜49年前のものは26.3%に上っている。この結果について同省は、「所有者の所在の把握が難しい土地は、私有地の約2割が該当すると考えられ、相続登記が行われないと、今後も増加する見込み」と分析している3。
1:渡辺洋三(1973)『法社会学研究4 財産と法』、東京大学出版会
2:日本経済新聞「空き家解体 根拠は『税』」2015年11月30日、同「危険空き家28軒に勧告」同年12月6日。
3: 国土交通省 国土審議会 計画推進部会 国土管理専門委員会(第1回)「資料6_人口減少下の国土利用・管理の検討の方向性」15ページ。https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/kokudo03_sg_000053.html
 図1は2013年に人口約1.5万人の自治体で事業担当者が実際に作成した相続関係図である。県道敷設に際して用地取得の対象となった土地の一角に、三代にわたり相続登記がされていない土地があった。権利の登記は任意とはいえ、自治体が税金を使って用地取得を行う際には所有権移転登記を行うことが前提となる。そのため、事業担当者は、面積はわずか192平方メートルのこの土地について約150名にわたる相続人を特定した。

図1 時間の経過とともに、法定相続人は鼠算式に増加(出典:東京財団『国土の不明化・死蔵化の危機〜失われる国土III』2014年)
http://wedge.ismedia.jp/mwimgs/0/9/-/img_091256331345ba49914c957d80f3fb32139350.jpg

 この事例は道路敷設だが、これが農地の集約化でも災害復旧の場面でも、相続未登記の土地の権利移転に必要な手続きは基本的に同じである。相続人全員の戸籍謄本や住民票の写しを取得して親族関係を調べ、相続関係図を作り、法定相続人を特定する。そして、登記の名義変更について、相続人全員から合意をとりつけなければならない。相続人の中に所在不明や海外在住などで連絡のつかない人が一人でもいれば、手続きのための時間や費用はさらにかかることになる。
 近年、各地で表面化している、「土地の所有者が分からず、利用が進められない」という事象の背景には、こうした相続未登記の問題がある。必要な土地の中のごく一部でもこういう土地があれば計画の遅れに繋がる。
 2014年4月からスタートした農地中間管理機構による農地の集約化の促進でも、同様のことが事業の障害となっている。同機構による農地の貸付は、土地の登記名義人による契約が原則だ。そのため、相続未登記の農地の所有者確認に時間を要し集約の足かせになる事例が各地で報告されている4。
 農林水産省が昨年行った初の全国調査によると、登記名義人が死亡していることが確認された農地(相続未登記農地)およびそのおそれのある農地(住民基本台帳上ではその生死が確認できず、相続未登記となっているおそれのある農地)の面積合計は約93万ヘクタール。全農地面積の約2割に達するという5。
 こうした未登記農地では、今後、現在の所有者が離農した場合、新たな権利関係の設定には相続人調査と登記書き換え手続きが必要になる。そのため、迅速な権利移転が困難になることが懸念される。
 それでは、こうした問題は全国でどのくらい発生しているのだろうか。また、問題の全体構造はどのようになっているのだろうか。筆者らは土地の「所有者不明化」の実態を定量的に把握するため、2014年秋に全国1,718市町村および東京都(23区)の税務部局を対象にアンケート調査を実施した。次回はこのアンケート調査の結果から、全国の実態と問題の全体像を考える。

4:例えば、日本経済新聞〔四国版〕「農地バンク利用低調」2015年6月17日、南日本新聞「まちが縮む(5)土地問題 未相続が『足かせ』に」同年9月26日など。こうした実態を踏まえ、政府の「日本再興戦略2016―第4次産業革命に向けて」(2016年6月2日閣議決定)では、「相続未登記の農地が機構の阻害要因となっているとの指摘があることを踏まえ、全国の状況について調査を行うとともに、政府全体で相続登記の促進などの改善策を検討する」ことが明記された。
5:http://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/mitouki/mitouki.html

(第2回へ続く)

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9035


http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/885.html

[国際18] ポピュリズムが台頭する現代世界をどう理解するか ルペン新フラン20%下落も ECB緩和維持 新興市場警告 中国復調痛し痒
ポピュリズムが台頭する現代世界をどう理解するか
『ポピュリズムとは何か』 水島治郎教授インタビュー
2017/03/10
本多カツヒロ (ライター)
 ヨーロッパでは、以前よりフランスの国民戦線を筆頭にポピュリズム政党の躍進が伝えられてきた。昨年のアメリカ大統領選挙でのトランプ大統領の勝利により、いよいよポピュリズム旋風が世界を覆うのか――。

 現代政治を読み解くキーワードとも言える「ポピュリズム」について、『ポピュリズムとは何か−民主主義の敵か、改革の希望か』(中公新書、2016年)を上梓した千葉大学法政経学部の水島治郎教授にポピュリズムの特徴、そしてトランプ大統領、ヨーロッパ各国でのポピュリズムの現状などについて話を聞いた。

――ポピュリズムは既成の政党政治と比べると、どんなところが特徴的なのでしょうか?


『ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か』
(水島治郎 著、中央公論新社)
水島:まず既存の政治は、支持層、支持層が加入している団体、そしてその団体が支持する政党という3層構造で成り立っていました。例えば、かつての日本では、農業組合や労働組合、中小企業団体といった組織があり、人々はそれらに属していました。その組織が政治家を推薦したり、政党を支援するという構造でした。しかし、近年、既成政党の弱体化が顕著です。これまでのように、例えば労働組合に依存している社会民主主義政党が、選挙で4割の票を得ることが出来れば、ポピュリズム政党に入り込む余地はありません。ところが、現在は右派も左派も支持基盤が弱体化しています。これはヨーロッパでも日本でも同じ状況です。

 これに加え、労働組合への加入率や活動の活発さなどを見ても、かつての政党の支持基盤であった20世紀型の団体は活動が低下しています。そのため、ある政党が特定の団体の支持を得たからと言って、選挙で勝利を得られるとは限りません。

 それに対し、ポピュリズムはこうした団体をバイパスします。有権者と直接的にコミュニケーションを図り、既成政党や既成団体に対する違和感やそこから漏れてしまった人たちを上手くすくい上げるため、ポピュリズム政党へは支持が集まりやすい。

 つまり、サイレントマジョリティといった既成政治からもれてしまった人民を中心に据え、党の指導者自らが人民を直接代表していることを主張します。

 例えば、ポピュリズム政党は国民投票や国民発案を主張する傾向が強い。事実、オーストリア自由党は国民投票を広く導入するなどの主張を、フランスの国民戦線は国民投票などを通じた国民の意志の反映を主張しています。

 国民投票は、国民の総意による民意をどう表すか、という時に究極の手段でもあるわけです。ポピュリズムとデモクラシーが重なる面と言えます。だからこそ、ポピュリズムは反民主主義とは一概には言えません。まず、その点が既成政党との大きな違いです。

――他には何がありますか?

水島:一番重要なことは、ポピュリズムは伝統的な右派や左派ではなく「下」からの政治運動であるという点です。つまり、既存のエリートやエスタブリッシュメントへの「下」からの強い反発です。

 この「下」からの強い反発は、先進国では「エリートは難民や移民に寛容だ」「マイノリティと結託したリベラルなエリートこそが我が国を衰退させている」という意識につながっていく。だからこそ「支配しているエリートから国を奪い返す」という主張と、反移民の主張とがつながるのです。

 また、「下」からの反発や、既成政党の弱体化だけでなく、エリート層やエスタブリッシュメントが推し進めるグローバル化やヨーロッパ統合による産業構造の空洞化などの「痛み」を押し付けられ、自分たちは見捨てられていると感じる人々の存在、さらに職はあるけれどもこうした変化や移民に対する違和感を抱いている人々の存在も大きいのです。

 例えば、イギリスのEU離脱キャンペーンの中心人物であるファラージが党首を務めたイギリス独立党の躍進を支えていると指摘されるのが「置き去りにされた」人々の存在です。彼らは端的に言えば、低学歴の白人労働者階級で、現在の高学歴で専門職に従事していることの多い若者との間に社会的分断がありました。

 同じくアメリカ大統領選挙においても、トランプに投票した人の大部分は従来の共和党支持層だったとはいえ、今回、中西部から北東部へ広がる旧工業地帯であるラストべルトと呼ばれる地域に住む人々が大統領選の勝利の鍵を握っていました。

 イギリスでもアメリカでも第2次産業から第3次産業への産業構造の転換に乗り切れず、衰退した地域の人たちがポピュリズムの支持にまわっているのです。

――トランプ大統領は、世間ではポピュリストと評されています。しかし、2大政党が圧倒的なアメリカにおいて、新にポピュリズム政党を結党し出馬したわけではなく、共和党選出です。彼はポピュリストと見て良いのでしょうか?

水島:トランプ大統領は、ポピュリストであると思いますね。

 確かに、ヨーロッパのポピュリズム政党である国民戦線を率いるマリーヌ・ルペンや、オランダ自由党を率いるウィルデルス党首のように、自らがポピュリズム政党のリーダーとして一世を風靡しているわけではありませんし、既成政党を打ち破り、大統領になったわけでもありません。

 ただ、アメリカの場合、2大政党に比べ、第3党が力を持ちづらい状況がありますし、ヨーロッパや日本とは政党組織が違います。端的に言えば、アメリカでは党員は党費を払って党活動を行う意識の高いメンバーではなく、政党そのものが日本やヨーロッパほどガッチリとした組織ではないんです。だからこそ、アメリカの2大政党には柔軟性や幅広さがあり、150年間の長きに渡って2大政党制を維持できた。こうした緩やかな構造の政党である場合、ポピュリズム的な動きは党外よりも、党内から出てくる傾向が強いんです。そう考えると、トランプ大統領が共和党の大統領候補として出てきたこと自体はポピュリズムに反するものではありません。

 むしろ見なければいけないのは、トランプが共和党内のエスタブリッシュメントを全面的に批判することで、アウトサイダーとして大統領候補選で勝ち上がったことです。そして大統領選では、ヒラリー・クリントンを既成のエスタブリッシュメントと位置づけ、「下」から批判し勝利したことは、先ほどお話したポピュリズムの特徴を表しています。

 しかしだからといって、富豪であるトランプが本当にラストベルトに代表されるような労働者階級の味方かと言われれば何とも言えないですね。実際には、金融規制緩和といった富裕層にメリットがある政策を行っているわけですからね。

――トランプが閣僚に指名した人物には、大手企業の幹部が名を連ねています。選挙期間中に、トランプはウォールストリートを批判していたのに、現実にはつながっていますね。

水島:ウォールストリート批判を繰り返しながらも、実際にはかなり依存しているのが実態だと思います。しかし、良くも悪くもイスラム系の国々からの入国禁止など、移民難民に対する強力な規制は妥協せずに実行している。そういう意味では、断固たるポピュリストリーダー的な面もありますね。

――ヨーロッパに目を向けると、今年5月にフランスでは大統領選があります。マリーヌ・ルペン率いる国民戦線は躍進するでしょうか?

水島:ルペンが大統領選に勝利する可能性は低いと思います。ただ、かつて父親のジャンマリ・ルペンが、大統領選の決選投票での得票率で2割を超えることができませんでしたが、今回決選投票で仮に3割の票を獲得出来れば国民戦線にとって大きいのではないでしょうか。

――現在の国民戦線はかつてほど排外的な極右ではないのでしょうか?

水島:移民に対しては排外的ですが、何をもって排外的か、極右か、と言うかによります。例えば、暴力で議会制デモクラシーを破壊するということを極右とするならば、現在は極右ではありません。

 ただヨーロッパにおいては、反ユダヤ主義であれば、暴力的なデモクラシーの破壊者でなくとも、民主主義の立場からは許しがたい存在です。父ルペンは反ユダヤ主義でしたから、極右と呼ばれても仕方ない面もあった。これに対し娘のマリーヌ・ルペンは反ユダヤ主義とは決別し、現代的な政党としてなるべく一般の人たちの感覚に近い立場をとろうとしています。

――ヨーロッパでは、オランダ自由党が3月の議会選挙を控え注目を浴びています。党首のウィルデルスは「リベラル・ジハード」という戦略だと。ポピュリズムと聞くと保守と相性が良いようにイメージしていたのですが。

水島:オランダだけでなく、デンマークでも反移民を掲げるポピュリズム政党が21世紀に入り躍進しています。この2カ国は、ヨーロッパの中でも福祉や環境の先進国として知られています。とてもリベラルな国なので、極右のような人種差別的な主張はそもそも受け入れられません。

 そこで、オランダのウィルデルスらポピュリスト政治家たちは、自由や人権、男女平等といった近代のリベラルな価値観を逆手に取り、イスラムの後進性を批判します。例えば、イスラムは女性差別を容認し、政教分離を認めない宗教である。または個人の自由を認めない。麻薬や同性婚を認めない。このようなことは反リベラルであり、西洋近代が創り出したリベラルな価値観を守るためにはイスラムを排除しなければならないと主張するわけです。こうした主張が、オランダやデンマークでは支持を集めることに成功しています。 

――本書は、売れ行きも好調で、注目を集めていますね。要因としては昨年のアメリカ大統領選挙でのトランプ大統領の勝利が大きかったのでしょうか?

水島:この本を書き始めた当時、トランプ大統領が当選することや、イギリスがEUから離脱をするBrexitが起きるとは予想していたわけではありません。手にとってもらえればわかりますが、アメリカのポピュリズムについてはほんの10数ページ程度しか扱っていません。

 トランプ大統領の当選以前から、21世紀に入り、ヨーロッパ各国では既成政治に対する国民の不満や、移民、難民問題に対する反発がさまざまな形で次々と表れてきていました。そうした中で、ポピュリズムが徐々に、しかし着実に支持を集めてきたという状況がありました。そうしたヨーロッパ政治の構造的な変容は非常に重要な動きであり、なるべく広い視野でこの変容を捉えることが必要であろうということから本書を執筆しました。

 ですから、トランプ大統領の当選だけではなく、ヨーロッパ各国で起きている現代の政治現象をどう解明したらいいのかという読者の知的関心が大きいのかなと思いますね。

 また、既存メディアはポピュリズムに対し「大衆迎合政治」であると批判的に報道する向きが強いわけですが、それに対する違和感もありました。批判すべきところはもちろん批判すべきなのですが、21世紀に入り、なぜポピュリズムがこれだけ支持を受けているのか、そこをきちんと分析して提示していくことが、政治学者としては今必要とされている、と考えています。 我々の物の見方はどうしても20世紀的になりがちです。そういう見方からするとポピュリズムに対し違和感が募ってしまうことも多いでしょう。しかし、現実にこれだけポピュリズムが台頭している現代世界をどう理解したら良いのか、正面から考えていく必要がある。そのような問題意識を持っている方々に手にとってもらえると嬉しいですね。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9029

 


ルペン氏が提案する新通貨フラン、最大20%下落も−JPモルガン
Stefania Spezzati、Helene Fouquet
2017年3月10日 10:53 JST

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リスクプレミアムの高まりで新フランは下落か
フランス経済のファンダメンタルズが新フランの下げを限定する公算

フランスの極右政党、国民戦線(FN)のルペン党首がユーロに代わる通貨として提案する新フランは、実際に導入された場合、貿易加重ベースで10ー20%急落するとJPモルガン・チェースは試算した。
  JPモルガンの為替・商品・国際金利調査責任者ジョン・ノーマンド氏(ロンドン在勤)は、フランスがユーロ圏を離脱した場合、同国の債券や株式を保有する海外投資家が求めるリスクプレミアムの高まりを反映して新フランは下落すると予想した。英国民投票で欧州連合(EU)離脱が選択された後のポンド安に似た動きになりそうだ。
  通貨改革はルペン氏にとって、仏大統領選での中心的政策目標となりつつある。同氏は8日、新フランをユーロと等価で導入し、その後、外国為替市場での変動を容認すると述べた。
  JPモルガンによると、ルペン氏率いるFNはインフレ期待が高まる中でも緩めの金融・財政政策を選好しているため、新フランは下落する可能性がある。ただ、フランス経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)はユーロ圏の中核国に似た状況のため、下落は限定される見通し。過去25年間にさまざまな国で発生した国際収支の危機や政権交代などに伴う通貨下落率の平均値(50%)に比べると、新フランで予想される下げは小幅になるという。
  ノーマンド氏は顧客向けリポートで、「通貨の下振れの規模は、財政・金融政策が離脱過程で見込まれる資本管理とどう影響し合うかに左右される」と指摘。「次の体制は1980年代後半や90年代前半に見られたような明らかな強いフラン政策には類似しないだろう。新フランは貿易加重ベースで10ー20%下落するのが妥当に思える」と分析した。 
  
原題:JPMorgan Sees Le Pen’s New Franc Falling by Up to 20 Percent(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-10/OMKQIZ6JIJUO01

 

欧州中銀、緩和を維持 物価上昇圧力「なお弱い」
2017/3/9 23:34 (2017/3/10 1:37更新)日本経済新聞 電子版
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 【フランクフルト=赤川省吾】欧州中央銀行(ECB)は9日の理事会で金融政策の現状維持を決めた。ユーロ圏の物価は急回復しているものの、持続力に欠けると判断した。理事会後の記者会見でドラギ総裁は物価の上昇圧力は「なお弱い」と言明。選挙ラッシュの欧州で政治リスクなどを見極めるため、現時点で大きな政策変更は避けたいとの思惑もある。

 ECBは昨年末、国債を大量に買い取る量的金融緩和を2017年末まで続ける方針を決定した。4月以降の国債購入額は月600億ユーロ(7兆2千億円)。理事会ではこの方針を再確認し、主な政策金利も据え置いた。

 直近の消費者物価上昇率は前年同月比で2%に達し、政策目標の「2%未満で、その近辺」に抵触した。だがECBはエネルギー価格に釣られて物価が一時的に押し上げられただけと見ている。

 政治リスクも懸念材料だ。ドラギ総裁は各地の選挙を念頭に「リスクイベントがある」と語った。欧州統合に懐疑的な極右勢力が躍進すれば金融市場が混乱する恐れがある。15日に予定するオランダ議会選では第1党の勢いだった極右・自由党の支持率は頭打ちになった。それでも主要政党と拮抗する健闘ぶりで不透明感は拭えない。

 4〜5月のフランス大統領選では下馬評を覆して極右・国民戦線のルペン党首が勝てばユーロ崩壊が現実味を帯びる。その結果が判明するまでECBは様子見を続けることになりそうだ。

 ただ欧州の景気・物価が回復しているのは間違いない。ECBは9日、物価見通しを上方修正した。ドラギ総裁は「金利を下げるという選択肢は排除した」との表現で今後は緩和縮小に向かうとのニュアンスをにじませた。9月の理事会で具体策を示す可能性がある。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM09H6V_Z00C17A3FF2000/?n_cid=NMAIL001


新興市場株に警告サインが点滅−12年以降で最良のスタート後
Srinivasan Sivabalan、Ahmed A. Namatalla
2017年3月10日 13:57 JST

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• 今週に入って相場が軟化、これまでの楽観を脅かしている
• ETFへの資金流入細り、テクニカル指標は下落圧力の強まり示唆

新興市場株トレーダーは、これまでの相場上昇が実態に見合っているかを確認する時期に入ったかもしれない。
  米利上げに新興国は耐えられるとの自信や企業利益の向上見通しを背景に、今年の新興市場株は2012年以降で最良のスタートを切った。しかし今週に入ると、1バレル=50ドルを下回る原油安を受けてロシアからペルーまで相場が下がり、これまでの楽観が脅かされている。
  一部の投資家は慎重姿勢に転じている。原油乱高下やトランプ米大統領の政策発表、米利上げなど今月見込まれるリスクイベントのどれによっても、上昇相場巻き戻しの可能性があるという。
  リーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメントの新興市場ストラテジスト、サイモン・キハノエバンス氏は「株式の低ボラティリティーから数年ぶり低水準にある債券スプレッドに至るまで、あらゆる兆候はわれわれに少々慎重になるよう促している」とし、「今年これまでのパフォーマンスが良好だったことを踏まえれば、利益を確定させたい投資家もいるかもしれない」と付け加えた。
  相場下落から利益を得ようとするトレーダーは再び、新興市場株に狙いを定めている。今月8日までの5営業日に上場投資信託(ETF)のiシェアーズ・MSCI新興市場では空売り残高が9億3800万ドル(約1080億円)相当増え、1月20日以来の高水準となった。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iTgK7.tq0Ua0/v2/-1x-1.png

  同ETFへの新規資金流入は昨年12月8日以降はない。運用資産480億ドルのバンガードFTSE新興市場ETFも2月15日以降は同様だ。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iIU4yVmEVlXQ/v2/-1x-1.png

  テクニカル指標でも、上昇モメンタムを示す緑のラインが下落圧力を示す赤のラインを下回ってきている。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iG8Ko4upK0Ms/v2/-1x-1.png

原題:Warning Signs Flash on Best Emerging-Market Stock Gain Since ’12(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-10/OMKZT46KLVRF01


中国景気の復調に痛しかゆし−株式投資家は金融政策引き締めを警戒
Bloomberg News
2017年3月10日 14:46 JST

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• 引き締めペースと企業利益の回復ペースの競争のようだと戴明氏
• 引き締めの可能性が本土株にとって「主要なリスク」−史博氏

中国経済を巡る楽観的な見方から本土株が上昇しているが、景気の好調さは株式投資家に懸念ももたらしている。一部の資金運用担当者は景気の勢いが強まれば中国人民銀行(中央銀行)の引き締めを招くと見込み、中国株に慎重になりつつある。
  ゴールドマン・サックス・グループによれば、人民銀の周小川総裁は2017年について中立的な姿勢を強調し、当局者はこれまで政策金利の引き上げを避けているが、本土市場では人民銀の「大きなタカ派的シフト」を織り込み始めている。
  珩生鴻鼎資産管理の戴明ファンドマネジャー(上海在勤)は「当局の引き締めペースと企業利益の回復ペースの競争のようだ」と指摘した上で、「株式市場でさらに調整がある可能性がある」と述べた。
  本土株の指標、CSI300指数は今年に入り3.7%を超える上昇。
  南方基金管理の史博最高投資責任者(CIO)は人民銀のレバレッジ(借り入れ)抑制策に伴う市場への悪影響はこれまで債券に集中しているが、政策引き締めの可能性が本土株にとって「主要なリスク」だと話した。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iOBwwpifd4V8/v2/-1x-1.png 
原題:China Stock Bulls Turn Wary as Growth Sparks Tightening Risk (2)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-10/OML1P06JIJV101 

http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/571.html

[経世済民119] 東証大引け続伸2カ月ぶり昨年来高値、円安で心理改善 円安株高続くか 市場潮目変わるか 米家計2兆$増 大人用おむつ需要増
東証大引け、続伸 2カ月ぶり昨年来高値、円安で心理改善
2017/3/10 15:34

 10日の東京株式市場で日経平均株価は続伸し、前日比286円03銭(1.48%)高の1万9604円61銭で終えた。大発会の1月4日に付けた1万9594円16銭を上回り、約2カ月ぶりに昨年来高値を更新した。外国為替市場で円相場が下落し、輸出採算の改善を期待した買いが膨らんだ。

 来週14〜15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げが確実視される中で、外国為替市場で海外収益を押し上げる1ドル=115円前半の円安・ドル高に振れた。企業の海外収益を押し上げる円安基調が強まり、投資家心理が改善した。昨年来高値を更新した午後には、証券の野村や大和に買いが集まった。保険や銀行など幅広い金融株が上げ幅を拡大し、株価指数を押し上げた。空売りしていた投資家が買い戻しを急いだという。

 JPX日経インデックス400は続伸した。終値は前日比177.10ポイント(1.27%)高の1万4087.26と昨年来高値を更新した。東証株価指数(TOPIX)も続伸し、19.33ポイント(1.24%)高の1574.01と昨年来高値を上回って終えた。

 東証1部の売買代金は概算で2兆9483億円。売買高は22億6716万株だった。東証1部の値上がり銘柄数は1563と、全体の7割を超えた。値下がりは341、変わらずは100銘柄だった。

 S&Pグローバルが格付けを引き上げたソニーは大幅高だった。米長期金利の上昇に伴う運用収益の改善期待を背景に第一生命HDとT&Dは昨年来高値を更新した。ANAHDとJALも上昇した。半面、原油安を背景に、商社の住友商や丸紅、伊藤忠、三菱商などが軒並み下落した。JFEと住友鉱も下げた。

 東証2部株価指数は続伸し昨年来高値を更新した。シャープとインタートレが上げ、マーチャントとJトラストは下落した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLASS0ISS16_Q7A310C1000000/

ドル・円が115円台に続伸、米利上げ観測支えに1カ月半ぶり高値
池田 祐美
2017年3月10日 11:06 JST

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114円89銭から一時115円25銭と1月27日以来の水準まで上昇
115円を抜けて118円台まで想定している投資家は多い−BofA

10日の東京外国為替市場のドル・円相場は1ドル=115円台に続伸し、約1カ月半ぶりの高値を付けている。2月の米雇用統計の発表を米国時間に控える中、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ観測を背景とした米金利上昇を受けて、ドル買い・円売りが優勢となっている。
  午前11時5分現在のドル・円は前日比0.2%高の115円18銭。朝方に付けた114円89銭から一時115円25銭まで上昇し、1月27日以来のドル高・円安水準を付けた。主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数はほぼ変わらずの1251.41。
  バンク・オブ・アメリカ外国為替本部の岩崎拓也営業本部長は、米10年債利回りがトランプ相場での最近のレンジ2.3〜2.6%を上抜けしているとし、「ドル・円も3度目の正直で115円台に乗せた」と説明。「米雇用統計が3月利上げの機運をはく落させなければ、テクニカル的にはもう少し上値を試す余地があると思う。115円を抜けて118円台まで想定している投資家は多い」と述べた。

  10日の米国では2月の雇用統計が発表される。ブルームバーグの調査によると、非農業部門雇用者数は前月比20万人増加が見込まれている。1月は22万7000人増加だった。失業率は4.7%と前月(4.8%)から小幅低下、平均時給は前年比2.8%増(前月は2.5%増)の見通し。
  三菱東京UFJ銀行金融市場部為替グループの野本尚宏調査役は、米雇用統計に関して、「1桁万台の増加とかにならない限り、3月利上げは変わらない。逆にADP統計に沿って強い結果となれば、ドル・円は上昇で反応しそう」と予想。「外部環境をみても、中国は全人代を見ても軟着陸ができそうな感じ。フランス大統領選のリスクも和らいできているという中で、ドルが買いやすくなっている。FOMCまではドルはしっかり」とみている。
ドル紙幣
ドル紙幣 Bloomberg
  前日の海外市場では、米雇用統計への期待などを背景に、米国債利回りが上昇。10年債利回りは5ベーシスポイント(bp)上昇の2.61%程度で引けた。アジア時間10日の時間外取引では一時2.62%と昨年12月15日以来の水準まで上昇している。
  米金利先物動向に基づきブルームバーグが算出した14、15日のFOMCでの利上げ予想確率はすでに100%に達している。
  三菱東京UFJ銀の野本氏は、「ハト派スタンスのメンバーがタカ派に転じるなどする中で、ドットチャートなどが注目される。来年の利上げ回数が3回から4回に上がるようなことがあれば、ドル・円の目線も120円に切り上がりそう」と指摘。ただ、「タカ派色が強まる中で、見通しに変更がなかった場合には、失望でドル・円が売られるリスクもあるだろう」と語った。
  ユーロ・ドル相場は同時刻現在、0.1%高の1ユーロ=1.0589ドル。欧州中央銀行(ECB)の金融政策発表やドラギ総裁発言を受けて、前日には一時1.0615ドルまでユーロ高・ドル安が進む場面があった。
  バンク・オブ・アメリカの岩崎氏は、「ドラギ総裁はバランスが取れた発言だった。『利用可能なあらゆる手段を駆使』という文言削除したことが、ユーロにサポ−ティブと解釈された」と述べた。
  ECBは、9日の政策理事会で、政策金利と量的緩和(QE)プログラムの据え置きを決定。ドラギ総裁は会合後の会見で、ユーロ圏経済の循環的回復が勢いを増しているとの見方を示した。声明から「利用可能なあらゆる手段を駆使」の文言を削除したことについては、追加措置を取る差し迫った必要性がなくなったことを示すためだと説明した。
  三井住友銀行市場営業部NYトレーディンググループの柳谷政人グループ長(ニューヨーク在勤)は、「直近のところではダウサイドリスクということだが、目先のリスクはだいぶ後退しているというトーンだったので、そういう意味では以前よりだいぶハト派な要素が減ってきたという感じ」と分析。一方で、「QE出口や利上げについての言及はないどころか、議論も行われていない様子もうかがわれたので、タカ派とも言えない状況」と語った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-10/OMKSAP6K50XV01


 


日経平均大引け、続伸 昨年来高値を更新、1月4日以来
2017/3/10 15:09
 10日の東京株式市場で日経平均株価は続伸し、前日比286円03銭(1.48%)高の1万9604円61銭で終えた。大発会の1月4日以来、約2カ月ぶりに昨年来高値を更新した。外国為替市場で1ドル=115円台前半の円安・ドル高に振れ、輸出採算の改善を期待した買いが膨らんだ。午後は金融株に空売りしていた投資家の買い戻しが相次いだ。

 東証1部の売買代金は概算で2兆9483億円(速報ベース)だった。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLAS3LTSEC1_Q7A310C1000000/


外為14時 円一段安、115円37銭近辺まで下落 株高と歩調あわす
2017/3/10 14:20
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 10日午後の東京外国為替市場で円相場は一段安となっている。14時時点では1ドル=115円33〜36銭と前日17時時点に比べ81銭の円安・ドル高で推移している。14時すぎには115円37銭近辺まで下げ幅を広げた。日経平均株価が後場に上げ幅を拡大したのと歩調を合わせて「低リスク通貨」とされる円の売りが広がった。

 円は対ユーロでも軟調。14時すぎに1ユーロ=122円28銭近辺まで下落する場面があった。〔日経QUICKニュース(NQN)〕

国内株概況 一覧
東証大引け、続伸 2カ月ぶり昨年来高値、円安で心理改善 (15:34)
日経平均大引け、続伸 昨年来高値を更新、1月4日以来 (15:09)
東証14時、一段高 昨年来高値を一時上回る 野村は上げ幅拡大 (14:19)
株、アベノミクス初期を連想させるSQ連続高 (13:05) [有料会員限定]
東証後場寄り、高値圏で推移 円安好感の買い続く (13:01)
新興株前引け、ジャスダックが小幅続伸 マザーズも上昇 PバンCOM高い (12:22)
東証前引け、続伸 円相場下落を好感、自動車や精密機器が上昇 (11:54)
日経平均前引け、256円高の1万9575円 (11:36)
東証10時、上げ幅200円超を保つ 昨年来高値近く利食い売りも (10:20)
東証寄り付き、昨年来高値に接近 円安を好感 保険株が高い (9:45)
国内株概況をもっと見る
http://www.nikkei.com/article/DGXLASS0IMF05_Q7A310C1000000/


 
1ドル=115円台、円安・株高は続くか 市場関係者に聞く
2017/3/10 11:33日本経済新聞 電子版
 外国為替市場で円安・ドル高が進んでいる。10日朝方には1ドル=115円25銭近辺まで下落し、1月27日以来ほぼ1カ月半ぶりの安値水準を付けた。米国の追加利上げ観測の高まりや、欧州中央銀行(ECB)による緩和姿勢の後退が背景にある。円安進行に歩調をあわせて10日の日経平均株価も上げ幅を200円超に広げた。円安・株高は持続するか。市場関係者に見通しを聞いた。


「下値メドは115円台半ば」

諸我晃・あおぞら銀行市場商品部部長

 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、9日の理事会後の記者会見で金融緩和に積極的な「ハト派」色を想定以上に薄めたことから、ドイツ国債の利回りが上昇(価格は下落)し、米金利高に波及した。日米の金利差拡大から円売り・ドル買いが広がった。来週14〜15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備理事会(FRB)が利上げに踏み切るとの観測が一段と強まっているのも米金利上昇の背景にあるが、ここからの米金利上昇の余地は当面の間、限定的となろう。

 FRBは欧州の政治情勢の悪化リスクなどを考慮し、できるうちに次回利上げに踏み切ろうとしているようだ。現時点で3月以降の利上げペースを大きく加速させる意図はないとみられ、3月のFOMCで示す政策金利見通しの中心値は変わらないだろう。FOMCで新たに円安・ドル高を促す材料が示される可能性は低いとみている。米金利の上振れにはトランプ政権の経済政策の具体化が必要になりそうだ。

 円相場は当面、1ドル=115円台半ばが下値メドになる。2015年に付けた安値(125円86銭)から16年に付けた高値(99円ちょうど)までの上昇率の61.8%を、16年高値に足した水準が115円60銭程度となる。テクニカル分析上の下値抵抗水準として意識している参加者が多い。


「株、輸出株がけん引し月内に2万円回復も」

大場敬史・岡三証券日本株式戦略グループ長

 円相場が約1カ月半ぶりに1ドル=115円台を付けたのは、米国の利上げ期待の高まりが背景にある。3月の利上げはすでに織り込み済みで、市場が見込む年間の利上げ予想回数も2回から3回へと移りつつある。3回がコンセンサスとなれば、もう一段の円安・ドル高が期待でき、日本株には追い風となろう。

 年明け以降、米国株が上昇を続ける半面、日本株の上値は重かった。背景にあったのが円安の動きが一巡したことだ。加えて機関投資家は、保有する東芝(6502)株の大幅下落で含み損を抱え、3月決算期末に向けて損失を穴埋めするために保有銘柄を売る動きを強めたことが影響したとみている。ただ、そうした売りはそろそろ一巡し始めており、需給面での不安は後退している。上場企業の来期業績も堅調で、円安進行など好条件がそろえば、日経平均株価は月内にも2万円を回復する場面が想定できる。5月の大型連休あたりには、2015年6月に付けた高値(2万868円)も視野に入ってきそうだ。

 物色の矛先は変わるとみる。年初からは素材、エネルギー関連銘柄が相場を下支えしてきたが、今後は半導体や電子部品、自動車など円安の恩恵を受ける輸出関連銘柄が相場のけん引役に返り咲きそうだ。

〔日経QUICKニュース(NQN) 椎名遥香、依田翼〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL10HUM_Q7A310C1000000/

 
Business | 2017年 03月 10日 14:47 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース

 焦点:予測不可能なトランプ政策、市場の潮目が変わる可能性も

[東京 10日 ロイター] - 金融市場で、奇妙な現象が起きている。強めの経済指標が出ても株価が上がらず、米利上げ観測が高まり長期金利が上昇してもドルの上値が重い。

金融規制緩和や税制改革、インフラ投資などトランプ米大統領の政策にこれまで好意的に反応してきた市場が、予測が難しい同大統領や政策の不完全実施に警戒感を強め、マネーフローの潮目が変わる前兆ではないかとの指摘が市場参加者から出始めている。

3月1日に史上最高値を更新したダウ.DJIは、その後5日間続落。8日に2月ADP全米雇用報告が市場予想を大きく上回る強い結果になったにもかかわらず下落した。

米連邦準備理事会(FRB)が14―15日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げに踏み切るとの観測が広がる中、米10年国債利回りUS10YT=RRは約3カ月ぶりの高水準だが、足元のドル/円JPY=EBSはトランプ氏の大統領選勝利後に付けた高値118.66円にははるかに及ばない。

<高まる不確実性と株価>

立ち尽くす金融市場の背景には、トランプ政権の発足後に広がっている幅広い分野での不確実性があるとの見方が出ている。

世界有数のヘッジファンド、バウポスト・グループの創業者のセス・クラーマン氏は、ロイターが確認した投資家向けのニュースレター(1月20日付)で「トランプ氏は衝撃的に予測不可能であるばかりか、明らかに故意にそうしている。プランの一部だと自身も認めている」と指摘した。

しばしば矛盾する主張を繰り広げるトランプ氏は「投資家が嫌う高ボラティリティーそのものだ」と評し、「非常に危険なほど高い株価」の行く末に警鐘を鳴らす。

中長期的には、トランプ政権の財政政策がインフレを招き、米経済を衰弱させる巨大な国家債務を残すことになるとし「事態が暗転すれば、ドル覇権の長期的な退潮が始まり、金利と物価が急上昇し、世界中で不平不満が広がる状況を招く恐れがある」と同氏はみている。

<通商政策の暗雲>

「自由」かつ「公正」な貿易を目指して2国間協議に軸足を移すトランプ政権。米通商代表部(USTR)は1日、通商政策報告書を議会に提出し、世界貿易機関(WTO)の紛争解決手続きが不利益になる場合は「従うことはない」と表明した。

サマーズ元米財務長官は1月3日、ブルームバーグとのインタビューで「世界で中心的な役割を米国が担っていることを考えると、保護主義的な貿易政策への転換は、前例をみない重大な不確実性をもたらす問題であるはずだが、市場はこの点を完全には認識していないようだ」とした。

独バーデンバーデンで17―18日に開催される20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を前に、ロイターが入手した共同声明草案では、米国の意向が色濃く反映され、G20が10年以上使用してきた「あらゆる保護主義に反対する」との文言が削られ、代わりに「公正で開かれた国際通商システムを維持する」が入った。

S&Pグローバルのチーフエコノミスト、ポール・シェアード氏は8日付の日経新聞で「大きなリスクは『公正』を確保する試みが暗礁に乗り上げ、政権ひいては世界が1930年代のような保護主義への道を歩んでいくことだ」とした。

日米両政府は2月の首脳会談で、経済対話の創設で合意し、4月にも初会合を日本で開く段取りだ。

元財務官の渡辺博史・国際通貨研究所理事長は2日、経済対話で金融政策に注文がつく可能性は低いとしつつも「かつての日独機関車論のように日本が財政出動を求められる可能性はある」と予想した。

トランプ政権の貿易政策を立案する国家通商会議(NTC)のナバロ委員長は対日貿易赤字を削減するため、日本に米国製品の購入を求めることを明らかにした。

米国からの通商面での圧力は、為替市場では「ドル安」を連想させ、ドルの上値を重くしている。

<ほんの束の間>

株式市場では、減税やインフラ投資の景気刺激効果に目を奪われた投資家の熱狂は、2月末のトランプ大統領の議会演説後のダウ300ドル高で一巡したとの見方もある。

他方、トムソン・ロイター傘下の投信情報会社リッパーが9日に公表した週間ファンド資金動向では、3月8日までの1週間に米国を拠点とする株式ファンドに85億ドルの資金が流入し、6週連続の流入超となった。

ただ、ダウは同じ週に高値2万1169ドルから390ドル超の下げ幅を記録。個人や年金による買いと、株価指数の値動きは必ずしも一致していない。

米国の保護主義は、オートメーションとグローバリゼーションの波を一時的に食い止めるかもしれないが、非効率で競争力のない企業を支援したところで、市場の力に抗することができるのは「ほんの束の間」にすぎない、とクラーマン氏は予言する。

(森佳子 編集:田巻一彦)

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http://jp.reuters.com/article/trump-policy-markets-idJPKBN16H0I1

 


 

 
バーナンキ氏:米金融当局は利上げに向け「極めて順調な軌道」
Rich Miller
2017年3月10日 14:30 JST

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トランプ大統領の経済政策を過度に楽観しないよう投資家に忠告

バーナンキ前米連邦準備制度理事会(FRB)議長は9日、来週の連邦公開市場委員会(FOMC)と、その後の緩やかな利上げの準備を進める米金融当局が「極めて順調な軌道」にあるとの認識を示した。
  バーナンキ氏はチャールズ・シュワブが企画したワシントンでの投資家会議で講演し、米金融当局について「彼らはインフレ抑制を確かなものにするために十分な行動を望んでおり、あらゆる兆候が実際にそうであることを示している」と語った。
  バーナンキ氏は講演で、金融当局者は来週の利上げの意向に加え、経済見通しが引き続き堅調で、失業率の改善が続き、賃金の上昇ペースが上向く限り、その後も「緩やかな金利正常化を続ける方針を伝えている」と指摘した。
  連邦準備制度の4兆5000億ドル(約519兆円)規模のバランスシートを巡っては、主要政策金利をいわゆるゼロ下限制約からさらに引き上げた後、「今から1年程度」で縮小を開始するだろうとバーナンキ氏は予想した。
  同氏はバランスシートを金融政策の手段として積極的に活用するのではなく、償還金を再投資しないことで保有債券の縮小を目指すイエレン議長の戦略に支持を表明し、「非常にゆっくりと受動的かつ極めて予測可能な方法で5−7年をかけ」通常により近い水準にバランスシートを戻していくことをそれは意味していると述べた。
  バーナンキ氏はまた、トランプ大統領の経済政策を過度に楽観することがないよう投資家に忠告し、「トランプ氏が掲げるプログラムの幾つかの要素には、立法化の点で少なくとも若干の疑問の余地がある」と分析。「ある時点で法人税率と所得税率の両方の引き下げが行われる」との見通しを示す一方、財政赤字拡大に対する一部の共和党議員の反対を考えれば、議会が大型のインフラプログラムを可決するか「幾分懐疑的だ」と付け加えた。
原題:Bernanke Says Fed on ‘Pretty Good Track’ as It Readies Rate Rise(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-10/OMKYU76JIJUV01


 


 
米家計純資産:10−12月は2.04兆ドル増−金融資産など増える
Shobhana Chandra
2017年3月10日 02:44 JST

米国の家計資産は昨年10−12月(第4四半期)に増加した。金融資産が増えたほか、不動産価値も上昇した。米連邦準備制度理事会(FRB)が9日発表した統計で明らかになった。
  米国の家計および非営利団体の純資産は10−12月に前期比2兆400億ドル(2.3%)増加し、過去最高の92兆8100億ドルとなった。
  株式や年金資産を含めた家計の金融資産は1兆5900億ドル増加。不動産資産は4991億ドル増えた。住宅の評価額から住宅ローン残高を除いた部分(エクイティ)の不動産資産全体に占める割合は57.8%と、前期の57.1%から上昇した。
  家計債務は年率3.8%増加。前期は3.9%増だった。
  住宅ローンは年率3.1%増。この他、自動車や学資ローンなどの消費者信用残高は同6.2%増となった。
原題:U.S. Household Wealth Rose $2.04 Trillion in Fourth Quarter(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-09/OMK5GKSYF01S01

 


ベビーブーム世代高齢化で大人用おむつ需要増、窮地の製紙業に追い風
Jen Skerritt
2017年3月10日 13:54 JST

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• デジタル時代の到来で紙の消費落ち込む−大人用おむつ市場は成長
• 米インターナショナル・ペーパーなど、フラッフパルプ増産へ

ベビーブーム世代がおむつを利用するようになり、窮地に陥っている製紙業界にとって救世主になりつつある。
  世界的に高齢化が進む中、より装着感に優れ目立ちにくい製品の売り上げが伸びている。カナダのERAフォレスト・プロダクツ・リサーチによれば、需要は今年4%増加すると予想され、米インターナショナル・ペーパーやドムタールなどの製紙企業の見通しを押し上げている。これらの企業は、おむつや生理用品に利用される吸収力の高いフラッフパルプと呼ばれる紙類の生産を増やしている。
  こうした動きは、デジタル時代の到来で紙を利用しないコミュニケーションが広がり打撃を受けている製紙業界にとって追い風となっている。北米の製紙業者がフラッフパルプの生産を増やす中、従来のパルプの市場は逼迫(ひっぱく)。ブルームバーグ・インテリジェンスによると、価格はここ数カ月上昇し、3月にはさらに値上がりが見込まれる。
  ERAフォレスト・プロダクツ・リサーチのマネジングディレクター、ケビン・メーソン氏は「最も伸びている市場は成人の尿漏れに関するものだ。ベビーブーム世代がその年代に移行しつつあり、全体の需要押し上げにつながるだろう」と指摘した。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iD9HyFGj7NG0/v2/-1x-1.png

  ユーロモニター・インターナショナルの業界調査責任者、スベトラナ・ウダスリバイア氏によれば、成人の失禁に関連する製品の米国での売上高は昨年、ほぼ20億ドル(約2300億円)に達し、今年はさらに9%、2018年には8%、それぞれ増加する見通しだ。米国勢調査局によると、12年には世界の65歳以上の人口は5億6200万人だったが、15年までにほぼ10%増えた。50年までに16億人に達すると予想されている。
原題:Diapers for Baby Boomers Help Papermakers Absorb Print Losses(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-10/OMKVTY6TTDS001


http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/888.html

[国際18] 韓国大統領の罷免で始まる本格的な戦い 中国トランプへ贈り物 腐敗はびこるフランス生まれ変わるか ECB難題は緩和解除
Column | 2017年 03月 10日 16:43 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:
韓国大統領の罷免で始まる本格的な戦い

http://s4.reutersmedia.net/resources/r/?m=02&d=20170310&t=2&i=1175569681&w=644&fh=&fw=&ll=&pl=&sq=&r=LYNXMPED290ES
 3月10日、韓国憲法裁は10日、朴槿恵大統領の罷免を決定した。写真は罷免決定を喜ぶ国民。ソウルで撮影(2017年 ロイター/Kim Hong-Ji)
Jun Yang

[香港 10日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 韓国憲法裁は10日、朴槿恵大統領の罷免を決定した。大統領は失職し、60日以内に大統領選が行われる。

これで同国は、本格的な戦いに突入できる体制が整った。国内政治の麻痺(まひ)に終止符が打たれ、経済改革や対外政策の落とし所を探ることが可能になる。

大統領の罷免は、韓国憲政史上初めて。判事8人全員が罷免を支持した。

大統領選では、野党候補が勝利する公算が大きいが、誰が勝利しようと、蜜月はすぐに終わるはずだ。

国内では、経済成長率が3%を割り込んでいる。政府と企業の馴れ合いに対する批判は強く、広範な企業改革を求める声が強まっている。造船などの肥大化した産業や、非効率な労働市場にも、再編が必要だ。

対外的な問題は、さらに多い。在韓米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)配備を巡って、中国との関係が悪化しており、韓国企業が中国で報復措置を受けたり、中国人の韓国への旅行が制限される問題が起きている。北朝鮮の突飛な行動もリスクだ。

市場では、米政府が韓国を為替操作国と認定するのではないかとの懸念も浮上している。韓国の経常収支は大幅な黒字だ。トランプ政権が、雇用流出をめぐって批判の矛先を新興国に向ける可能性もある。

こうした問題に対処するには、朴大統領の罷免が必要だった。次期大統領は、朴大統領の支持者も取り込まなければならないが、大統領の罷免で、とりあえず戦闘態勢は整ったといえる。 

修学旅行中の高2女子、豪で死亡 2017年 03月 04日
元旭天鵬が友綱部屋継承へ 2017年 03月 04日
コラム:トランプ氏議会演説、投資家に矛盾するシグナル発信 2017年 03月 02日
http://jp.reuters.com/article/column-south-korea-park-idJPKBN16H0MD?sp=true

 


 


Column | 2017年 03月 10日 11:26 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:中国、通商駆け引きでトランプ氏にささいな贈り物


 3月8日、中国はトランプ米大統領をなだめるために贈り物を差し出しているが、中身は、ささいな物だ。写真は米国と中国の国旗。北京で2011年1月撮影(2017年 ロイター/Jason Lee)
Pete Sweeney

[香港 9日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国はトランプ米大統領をなだめるために贈り物を差し出しているが、中身は、ささいな物だ。中国当局はトランプ氏の名前を冠した商標38件を大急ぎで仮承認。米中貿易に関する経済指標も上向いている。

例えば2月の米国からの輸入は急増し、今年に入って人民元は対ドルで上昇した。いずれも中国の経済政策に対する批判をかわすのが狙いだろう。しかし経済指標は見かけ倒しで、商標承認の方は問題をはらんでいる。

中国は過去何年間も対米貿易黒字を記録し続けてきた。これが米製造業の雇用を奪ったとの認識が、トランプ氏への支持を大いに支えてきた。トランプ氏自身を含む対中国タカ派の中には、中国政府が人民元レートを低く抑えることなどを通じて貿易黒字を維持しているとの見方がある。

昨今はそうした主張も通らなくなってきたが、そんなことは関係ない。中国人民銀行(中央銀行)はトランプ氏の大統領就任以来、人民元の下落を阻止している。時を同じくして輸入も回復しているようだ。中国の2月の貿易収支は過去3年で初めて赤字となり、アナリストらを驚かせた。米国からの輸入は前年同月比で38%も増え、2013年以来で最も大幅な伸びを示した。

残念ながら、これはほとんど統計上の幻だ。比較対象である前年同月の輸入が弱かったという「ベース効果」が1つ。また、石炭や鉄鉱石その他の天然資源価格が急騰したおかげで、これらの輸入が金額ベースで急拡大した。

商標に関して言えば、ほぼ悪いニュースと言い切ってよい。トランプ氏は既に中国で不動産を所有しているが、さらに当地でのビジネス権益が増える可能性が出てきたことにより、中国との交渉における立場も、国内での信頼感もさらに弱まる。トランプ氏にとって、米中貿易の条件はほとんど改善されないだろう。

●背景となるニュース

*中国商標局のウェブサイトによると、同局はトランプ米大統領の名前を冠した商標38件を仮承認した。11月の米大統領選の直後に承認手続きに着手していた。

*トランプ氏は中国からの輸入に高い関税を課し、中国を為替操作国に認定すると脅していた。また台湾の蔡英文総統と電話会談し、中国政府を怒らせていた。

*トランプ氏はその後、中国の習近平国家主席と電話会談し、「1つの中国」政策の維持で合意したことを明らかにした。

*ムニューシン財務長官は、従来の手続きを省略して中国を為替操作国に認定することはないと表明した。

*人民元は昨年、対ドルで7%近く下落したが、今年はわずかながら上昇している。これは1月に人民銀行が介入を行ったことが一因。

*8日に発表された中国の2月の貿易収支は過去3年で初めて赤字となった。米国からの輸入は前年同月比38%増加し、2013年以来で最大の伸びとなった。しかしドルベースの輸入額は12月以来、前月比で減少している。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

コラム:北朝鮮の核問題、トランプ政権下で最悪の事態も 2017年 02月 16日
コラム:トランプ氏の「壁」、2.46兆円のまずい投資選択に 2017年 02月 13日
コラム:「バフェット信仰」はもうたくさん 2017年 03月 03日

http://jp.reuters.com/article/column-china-trump-idJPKBN16H07Y?sp=true

 


 


 
Column | 2017年 03月 10日 11:29 JST 関連トピックス: トップニュース

 
コラム:腐敗はびこるフランス政界、大統領選で生まれ変わるか


 3月6日、政治腐敗はフランスでは珍しくない。そして、政治というゲームの勝者、あるいはそれに近い立場にある政治家であれば、法的な処罰を受けないことも日常茶飯事だ。だが、2017年の仏大統領選挙は政界が変わる契機となるかもしれない。

http://s4.reutersmedia.net/resources/r/?m=02&d=20170310&t=2&i=1175545981&w=644&fh=&fw=&ll=&pl=&sq=&r=LYNXMPED2904V

写真は大統領選に名乗りを上げているフランソワ・フィヨン元首相(中央)、極右政党「国民戦線」のマリーヌ・ルペン党首(右)、元経済相のエマニュエル・マクロン氏の人形を製作する男性。ニースで2月撮影(2017年 ロイター/Eric Gaillard)
John Lloyd

[6日 ロイター] - 政治腐敗はフランスでは珍しくない。そして、政治というゲームの勝者、あるいはそれに近い立場にある政治家であれば、法的な処罰を受けないことも日常茶飯事だ。

だが、2017年の仏大統領選挙は、長年にわたり税金を個人や政党のために流用するという、半ば貴族主義的ともいえる国民軽視に対して、画期的な反乱を引き起こす契機となるかもしれない。

──フランス大統領選挙:候補者の横顔と支持率推移

法律が専門だったフランソワ・フィヨン氏は、20代後半から政治家に転じた。現在63歳のフィヨン氏は中道右派勢力のなかで着実に出世を果たし、2007年にはサルコジ大統領のもとで首相に就任した。

彼は5年間の任期を無事に勤め上げ、次期大統領の有力候補と見られていた。政治経験が豊富なキリスト教徒で、ウェールズ出身の妻ペネロプ夫人とのあいだに5人の子どもをもうけており、フランスを景気低迷から救い出すことへの熱意を表明していた。

だが、厄介なメディアが何もかも駄目にしてしまった。スキャンダルの暴露を得意とする週刊紙カナール・アンシェネは先月、フィヨン氏が妻を多年にわたり議員秘書として雇用していたが、勤務実態はほとんどなかった模様だと報じた。同紙は続いて、フィヨン氏の子ども2人も巻き込み、家族に支払われたとみられる給与金額は総額100万ユーロ(1億2000万円)近くに膨らんだ。

フィヨン氏は、メディアと政敵が自分の選挙運動を窮地に陥れようとしていると非難し、無実を主張しているが、妻を秘書として雇用していたことについては謝罪した。フィヨン氏は選挙運動を継続している。

だが彼はダメージを負った。皮肉なことに、なによりも妻と自分自身による傷だ。ペネロプ夫人は2007年に英テレグラフ紙のインタビューに応じ、子どもたちが自分のことを「単なる母親」だとしか思っていないと述べている。フィヨン氏が首相に登りつめたことについても、「私の新しい役割は何かと人々から聞かれるが、そんなものはない」と語っている。

フィヨン氏自身も大統領候補の指名を争うなかで、サルコジ氏に当てつけた表明として、「個人的に非難されるべき点がなかったわけではないのに、権威について語っても意味がない」と述べている。彼自身の発言によって、彼はフランスを導くことができなくなるかもしれない。

ただ中道右派は、どれだけダメージを受けたとしても、フィヨン氏以外に候補はいないと考えているようだ。

6日に開催された党幹部の会合は、満場一致でフィヨン氏を支持し、行き詰まりつつあった選挙運動の再開を誓った。ペネロプ夫人は先週末のインタビューで、勤務実態があったと認めており、さらに詳しい検証がこれを裏付けるかもしれない。4月23日の初回投票までは7週間近く残っており、そのあいだにこの問題が沈静化する可能性もある。とはいえ現時点では、一見したところ不誠実とは思えない政治家ににも弱みはあるという、仏システムにおける新たな1例のように思われる。

1969年のシャルル・ド・ゴール大統領の辞任以来、現代フランスの大統領史は政治腐敗に付きまとわれてきた。ここ20─30年は、 特にそれが著しくなっているように思われる。あるいは少なくとも、腐敗が表面化しやすくなっているようだ。

また、大統領の汚職は大きな注目を集める。フランス大統領の権力は非常に強く、政治的・外交的で注目や便宜を求める場合は、誰もがエリゼ宮(仏大統領府)へのコネを探す。何か便宜を図るならお互いさまだ。日常的な政治上の取引もあるが、それ以外はもっと欲得ずくだ。

1974年から1981年まで大統領を務めたバレリー・ジスカールデスタン氏の場合、当時の中央アフリカ共和国大統領から高額のダイヤモンドを贈られていたことを、やはりカナール・アンシェネがすっぱ抜いた。ただ同氏は、これらの宝石はすでに売却し、代金は国内の慈善団体に贈ったと述べている。

1995年から2007年まで大統領を務めたジャック・シラク氏は、パリ市長時代に自党の資金調達のために公金を横領したとして、2011年に執行猶予付き禁錮2年の有罪判決を受けている。シラク氏は「記憶障害」を理由に出廷しなかったが、声明のなかで、有罪判決に断固として抗議すると述べつつ、新たな公判に耐える「必要な体力」がないため、控訴しないと表明した。

フィヨン氏が首相として仕えたサルコジ大統領も、任期を通じてスキャンダルに囲まれていた。その1つが、1994年のパキスタン向けの潜水艦売却の際に、彼の側近と盟友がリベートを得ていたという疑惑だ(サルコジ氏はこうした主張を否定している)。

サルコジ氏自身にもっと近いものとしては、フランスで最も富裕な女性である仏大手化粧品会社「ロレアル」創業者の娘、リリアンヌ・ベタンクール氏(彼女自身も大規模な脱税を告発されている)から違法な資金を受けていたという疑惑がある。この複雑な問題を暴露したのは、執念深いニュースメディア、調査報道サイトのメディアパールだ。

そして昨年、大統領選挙への再度の出馬を準備していたサルコジ氏は、「選挙資金の法定上限を超過した候補者の選挙運動のための違法な資金調達の疑い」で捜査を受けた。サルコジ氏は選挙資金枠の超過については知らなかったと否定している。

サルコジ氏の後任となった社会党の現職オランド大統領は、こうした相次ぐ政治腐敗疑惑とは縁を切ったように見える。彼のスキャンダルは女性関係だが、政界有力者のプライバシーは不問にするという報道界のしきたりに反して、トップ紙面で大きく書きたてられている。

だが、オランド政権の閣僚のなかには金銭面で禁欲的ではなかった者もいる。大統領就任後まもなく、ジェローム・カユザック予算相は、メディアパールによる報道を否定したものの、スイスの銀行口座を利用して60万ユーロ(当時の為替レートで77万5000ドル)を保有していたことを告白した。また、違法ではなくダメージも少なかったが軽率な例としては、オランド大統領の友人で選挙陣営の金庫番だったジャンジャック・オージエ氏が、ケイマン諸島に籍を置くオフショア事業に投資していたことが暴露されている。

こうした状況は改善されるのだろうか。

まず、初回投票に関する世論調査で現在首位に立っている極右政党「国民戦線」のマリーヌ・ルペン党首は、欧州議会の予算から30万ユーロ以上を自党職員の給与として不正に使っていたとして欧州連合(EU)の不正監視当局による告発を受けている。同氏は返納するつもりはないとしており、世論調査ではこの問題による人気の低下はないようだ。彼女の支持者も、本人同様にEUを嫌っているからだろう。

フィヨン氏に代ってルペン党首の有力な対抗馬として浮上したのが、元社会党で経済相を経験した39歳のエマニュエル・マクロン氏だ。マクロン氏は中道の新党「アン・マルシュ(進め)」を創設。ロスチャイルド系の投資銀行に勤務していた経歴は人気の点ではマイナスだが、メディアからの評価は高く、金銭的なスキャンダルの気配はない。

ルペン党首を支持しているのは、政治腐敗に憤る、多くの場合、労働者階級の有権者だ。マクロン氏の主要な支持層は、国際派で高学歴の中流層で、もはや肩をすくめて「そういうものだ」で済ますつもりのない、マクロン氏と同年代か、さらに若い人々だ。カナール・アンシェネやメディアパールに限らず、フランスのジャーナリズムは、政治腐敗スキャンダルをこれまで以上に活発に報道している。

今のところ、5月に行なわれる2回目の決選投票ではマクロン氏勝利の公算が高くなっている。スキャンダルで足を引っ張られそうになく、汚点のない新党を持ち、これ以上冷笑主義に徹するつもりのない国に支えられることで、マクロン氏はフランスの政治文化を変えようと試みるかもしれない。

だが、それは時間のかかる仕事だ。日常茶飯事になってしまった政治腐敗は、しつこく生き延びるものなのだ。 


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http://jp.reuters.com/article/france-election-column-idJPKBN16H087

 


Column | 2017年 03月 10日 11:11 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:ドラギECB総裁、次の難題は緩和解除の適切な時期  

Neil Unmack

[ロンドン 9日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁に待ち受ける次の難題は、金融緩和の終了を宣言するタイミングだ。

ドラギ氏は9日の会見で、追加緩和の必要性が低下していると発言。ユーロ圏の物価上昇率がECBの目標に達し、今後もその近辺で推移する公算が大きい以上、ほかに言いようがなかった。しかし資産買い入れの打ち切りは甚だ厄介な仕事であり、ドラギ氏はできるだけ先延ばししようとするだろう。

ECBが理事会後に公表した声明文で、必要ならあらゆる政策手段を行使すると約束していた従来の表現が削除されたことが分かると、ユーロと欧州主要国債利回りが上昇した。これはECBが政策金利を過去最低の現行水準からはもう下げそうにないことを示唆している。ドラギ氏自身も追加緩和の「緊急性はない」と表明したが、もっともなことだ。

ECBが示した最新の見通しでは、変動の大きいエネルギー・食品を除いたコア物価上昇率は2019年が1.8%と、ECBが目標とする2%弱の範囲内に入る。資産買い入れの期限をもう延長すべきでないという実務的な理由も存在する。ECBが自ら定めたルールに基づけば、来年までに買い入れ対象のドイツ国債はなくなってしまいかねない。

だが、ドラギ氏が、いずれは避けられない緩和の解除をなぜ急ぎたくないかを説明できる材料も事欠かない。ユーロ圏の経済成長は上向いているが、賃金の伸びはなお低調で、本格的な景気回復に達するには依然としてECBの助けが必要な可能性がある。借り入れコストが上昇すれば、なおさらだ。

フランス大統領選では、反ユーロを掲げる極右政党の国民戦線を率いるマリーヌ・ルペン氏が第1回投票を勝ち抜く見通しで、投資家が動揺してフランスとイタリアなどの南欧諸国の国債利回りを押し上げている。世論調査の示す通り、ルペン氏が決選投票で敗北すれば、市場は落ち着きを取り戻すかもしれない。それでも政治的な不透明感が消えなければ、借り入れコストは投資に打撃をもたらす水準まで上がり続けるだろう。

ドラギ氏はこれまでさまざまな試練に直面してきたが、緩和解除のタイミングを見つけることは、それらよりもっと難しいと思い知らされるのではないだろうか。

●背景となるニュース

*ECBは9日、主要政策金利と中銀預金金利を据え置いた。ただ声明文から必要な場合に追加緩和すると約束した部分を削除した。

*ドラギ総裁は会見で、この「利用可能なあらゆる措置を行使する」とした表現の削除を理事会が決めたことについて、「一段の政策措置を講じる緊急性がもはや存在しない」と示唆するためだと説明した。

*ECBが示した最新の物価上昇率見通しでは2017年が1.7%、18年が1.6%、19年が1.7%となった。ECBの目標は2%弱。

*ECBは物価を押し上げる狙いで毎月800億ユーロの資産を買い入れ、中銀預金金利をマイナス0.4%まで引き下げている。4月以降は毎月の購入額が600億ユーロに減少する。


来週の外為市場はドル/円は底堅い、米3月利上げ期待が支えに 2017年 03月 03日
コラム:中国GDP、たとえ「嘘」でも不十分 2017年 01月 21日
アングル:任天堂「スイッチ」によぎる不安、発売後2週間が鍵 2017年 01月 13日

http://jp.reuters.com/article/ecb-policy-breakingviews-idJPKBN16H07H?sp=true

#実際は原油上昇のコストプッシュでコアは上昇していない
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/572.html

[経世済民119] 日本政府は「国債を返し過ぎ」か 国債を無利子無期限国債に置き換えたら 日銀の「異次元の金融緩和」財政ファイナンス懸念は?
日本政府は「国債を返し過ぎ」か
安倍首相の「デフレ脱却を考えると国債を返し過ぎだ」という発言が、債券市場に波紋を呼んでいる。今年1月20日の施政方針演説では、2020年のプライマリーバランス黒字化という目標が消えた。これは「シムズ理論の甘い誘惑」だと日経は批判しているが、首相の発言が昨年秋だとすると、ヘリマネだろう。

両者はまったく違う理論だが、結論は似ている。「政府と日銀は親会社と子会社みたいなもの。連結決算で考えてもいいんじゃないか」という安倍首相の発言も、政府と中銀のバランスシートを統合すべきだというFTPLと一致し、理論的には正しい。

インフレ税のもっともむずかしい点は、政府が財政規律を放棄することで、これをあまり露骨にやるとハイパーインフレになるので、少しずつやれば市場が徐々に織り込んでゆるやかにインフレになる、というのがSims(2013)の理論である。首相はきわめて徐々に財政規律を放棄し始めたのかもしれない。

続きは3月13日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。
http://ikedanobuo.livedoor.biz/search?q=%E5%9B%BD%E5%82%B5


 

 


市場への影響見極めつつ、短期国債の残高圧縮望ましい=佐藤日銀委員
2017年03月01日(水)16時23分

 

 3月1日、日銀の佐藤健裕審議委員(写真)は、徳島市で講演し、日銀は国債の残高を圧縮するのが望ましいとの見解を示した。写真は都内で2012年9月撮影(2017年 ロイター/Yuriko Nakao)
[徳島市 1日 ロイター] - 日銀の佐藤健裕審議委員は1日、徳島市で講演し、日銀は短期国債の残高を圧縮するのが望ましいとの見解を示した。また、現在ゼロ%としている長期金利目標は、市場の動向を追いかける形で緩やかに引き上げるべきと提唱した。これまでマイナス圏で推移してきた消費者物価指数(CPI)が今後はエネルギー価格の上昇により2017年度後半にも1%に達する可能性があり、長期金利が急上昇する可能性もあると指摘した。

アベノミクスの中核である巨額の国債買い入れにより、日銀の資産は国債だけで発行済み総額の4割を占める400兆円超と空前の規模に達しており、今後の政策運営が焦点となっている。昨年9月に政策の柱を年間80兆円の国債残高拡大から金利にシフトしたが、国債買い入れの量のめどとして引き続き「80兆円」を掲げており、今後の取り扱いが注目されている。

<80兆円、縛られる必要ない>

佐藤委員は80兆円の目標について「長期国債買い入れでも埋めきれない」、「短期国債買い入れも本来的に不要」と指摘。「短期金融市場への影響を見極めつつ(短期国債の)残高をさらに圧縮していくことが望ましい」と強調した。

「量と金利を同時に目標とすることはできないため、長期金利ゼロ%を継続する場合、買い入れ減少に向かう」ため、「80兆円の『めど』はあくまでめど、あまり縛られる必要はない」と説明した。

<金利目標、市場追認する形での調整が適当>

長期金利目標をゼロ%に「長く抑えすぎると、金融不均衡の蓄積を招く恐れがある」ため、 「市場の動きを追認する形で柔軟に調整するのが適当」とし、金利上昇局面での緩やかな引き上げを提唱した。

昨年末以来の金利急上昇局面で日銀が実施した指し値オペは「日銀が特定の金利水準にコミットするメッセージを発するため、その後の政策運営を縛る」と警戒した。

年限ごとの金利水準を並べたイールドカーブ(利回り曲線)について、「望ましい経済・物価情勢の実現には適度にスティープ(急傾斜)であるべき」と述べ、超長期金利の上昇を是認。その場合でも超長期で資金調達する企業は公益企業などなので「設備投資への抑制効果はほとんどない」と付け加えた。

長期金利ゼロ%が長期化すれば「財政規律が弱まる」リスクがあり、「財政への信認低下で長期金利が上がる場合、日銀が抑えることができるかどうか不確実」と警戒した。

<物価は1%超え展望も>

物価は「原油と為替次第だが、17年度後半にかけて前年比1%超えを展望できないわけでない」と述べ、「足もとのエネルギー価格持ち直しが、予想物価上昇率を幾分高める方向に働く」とも分析した。

物価が市場の想定を上回り上昇すれば「長期金利への上昇圧力が高まる可能性があり、丹念にモニタリングしたい」と強調した。

<シムズ理論、「研究蓄積不十分」>

金融政策よりも財政政策が物価を左右するとのシムズ理論について「実証的な研究蓄積が不十分」と批判、「ヘリコプター・マネー論者が言及する無利子永久国債の中央銀行による引き受けは、実務上現実的でない」と慎重な見方を示した。

*見出しおよび1・3段落目の表現を修正しました。

(竹本能文)

ロイター
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http://www.newsweekjapan.jp/headlines/business/2017/03/187308.php


 


 
日銀の国債を無利子・無期限の国債に置き換えたらどうなるか
2017/1/23社会, 経済コメントを書くチャンネルAJER
3857
※この記事は「チャンネルAJER」様より記事を提供いただいています。
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福田昭夫衆議院議員の質問主意書で、日銀の国債を無利子・無期限の国債に置き換えたらどうかと質問したのに対し政府の答弁は「それをやると通貨の信認が失われる」というものだった。それに対し、「通貨の信認が失われると、日本国内で日本円が使えなくなり、物々交換以外の経済活動が全部ストップするということか」と再質問すると、政府答弁は「日本円が使えなくなるとは考えていない。
通貨の信認が失われると激しいインフレが起きる」というものだった。つまりハイパーインフレになるだろうと言うのだ。しかし過去の答弁書(内閣衆質190第39号において「ハイパーインフレ−ションは、戦争等を背景とした極端な物不足や、財政運営及び通貨に対する信認が完全に失われるなど、極めて特殊な状況下において発生するものであり、現在の我が国の経済・財政の状況において発生するとは考えていない。」と答えていますので明らかに矛盾している。
ということは、日銀の国債を無利子、無期限のものに置き換えても、何も困ったことは起きないということを政府が認めたことになる。

無利子・無期限の国債はもはや国の借金ではないから、置き換えにより国の借金は一気に半分近くに減少することになる。この事に関し、OKWaveとう質問サイトで質問したら、回答が返ってきた。ひょっとしたらこの回答者は、質問主意書の回答を書いている官僚の方の一人か経済学者かなと想像している。

【回答者】
『無利子・無期限の国債』を質問者さんは持ちたいでしょうか。(つまりこの国債は価値が無いと言いたいよう。そしてこんな国債を日銀がつかまされたら、日銀にお金が無くなってしまうと言いたいようだ。)
 つまり、市中銀行が「緊急事態だ!カネを貸してくれ」と日銀に頼んでも日銀には「お金がない」という事態に陥るわけです。結局、日銀は日本銀行券を印刷してお金を用意するしかないのです(インフレ要因)。 また逆に、「インフレ傾向が出たから市中のお金を吸い上げたい」と思って、日銀が売りオペレーションをやろうとしても、銀行は「誰も買わない・利息も付かない国債」など受け取りません。
 かくして、日銀はインフレを事前に阻止するなど、景気のコントロールできなくなるのです(インフレ加速要因)。
【反論】
江戸時代は改鋳を繰り返し通貨の量を増やして経済を拡大してきた。無利子無期限の国債を日銀に保有させることは、市場に成長通貨を供給し停滞する日本経済を復活させる手段である。実際、日本銀行は大量の国債を保有しており、その利子は日銀納付金として国庫に返している。さらに、借換債を発行しいくらでも繰り延べできるから事実上無利子・無期限の国債を持っていることと同じである。
つまりこの置き換えによって実際は何も変わることはない。しかし、変わるのは国民の意識だ。もうこれは国の借金ではなくなったと国民が考えるようになったら日本人に希望を与えるのは間違いない。今のままだと、日本人全員が一生の間死にものぐるいで働いて一生懸命返済したとしても決して返せない。大増税をして恐慌に耐えたとしても返せない。そんな絶望から、この置き換えで抜け出すことができる。

通貨発行権には限度がない。第一次大戦の後のドイツも随分お金を刷ったが、その量に限度があったわけでなく、インフレを止めたくなったから刷るのをやめただけだ。止めた瞬間にインフレは止まった。日本もインフレ目標に達した瞬間に止めればよいだけだ。

インフレ傾向が出たから市中のお金を吸い上げたいと思ったら、政府がその無利子・無期限の国債を買い上げ、増税をすればよいだけだ。つまり余った通貨を市場から吸い上げ、そのお金で日銀から国債を買う。つまりお金の流れを逆にすればよいだけだ。これでインフレは阻止できる。弊害なんてない。

小野盛司
http://asread.info/archives/3857

 


日銀の「異次元の金融緩和」 財政ファイナンスの懸念は?
佐々木 浩二2017.3.2日銀金融政策金融緩和
日銀の「異次元の金融緩和」 財政ファイナンスの懸念は?
今回は、日銀の「異次元の金融緩和」による財政ファイナンスの懸念についてお伝えします。※本連載では、専修大学経営学部の佐々木浩二准教授による著書『ファイナンス ―資金の流れから経済を読み解く―』(創成社、2016年)の中から一部を抜粋し、2013年に日本銀行が始めた「量的・質的金融緩和」について、その概要を解説します。

中央銀行が国債を直接引き受ける「財政ファイナンス」

◇財政ファイナンスの懸念
つづいて財政ファイナンスについて考えます。政府の歳出に充てる資金は,なんらかの方法で調達されます。最も厳格な調達のしかたは徴税です。歳出を税金でまかなうのが財政の古典的な考え方です。しかし,税金で歳出をまかなえる国は少なく,多くは国債を発行して不足を補っています。

リーマンショックの後,先進国は国債を発行して財政支出を増やしました。その中で財政の持続可能性を高める方法が模索されました。そのうち,耳目をひくものの1つは国債の中央銀行引き受けでした。これは政府が発行する国債を市場に売り出さず,中央銀行が政府から直接買うことです。日本国では,日本銀行が日本国政府から日本国債を直接買い取ることを意味します。

一見財政の持続可能性が高まるようにみえますが,国債の買い手が日本銀行であるだけで,元利払いをしなければならないのは,国債の買い手が民間であるときと変わりません。元利払いを税収でまかなえなければ国債を増発せざるを得なくなりますので,日銀引受は財政の持続可能性に影響を与えることはできません。
より過激な「政府紙幣の発行」や「ヘリコプターマネー」

元利払いをせずにすむようにみえる,より過激な方策として政府紙幣の発行も議論されました。現行制度の下では,政府紙幣は貨幣と同じ手順で発行されます。すでに流通している日本銀行券や貨幣との混乱を避けるために,政府紙幣は流通させずに日本銀行のバランスシートにとどめ,政府紙幣の見合いである政府預金を歳出に充てる形になるでしょう(1)。日本国政府は労せずまとまった額の歳出ができ,得だと感じるかもしれません。

http://gentosha-go.com/mwimgs/8/7/640/img_87872b444797629de4f4ab7251f8b7e739663.png
図表1 政府紙幣の発行

しかし,現実はそれほど単純ではありません。日本銀行は政府紙幣という売却できない無利子の資産を大量に抱えることになります。超過準備等に0.1%の利子をつけている状況では,日本銀行のバランスシート上に有利子の負債と無利子の資産が載ることになります。300兆円の政府紙幣を発行するならば,単純計算で毎期300兆円×0.1%=3,000億円の損失を日本銀行はこうむります。日本銀行が中央政府へ納付している利益8,000億円も見込めなくなります(2)。

政府紙幣の発行は,見かけ上の国債残高を増やさない点で心理的な安心感があるかもしれませんが,日本銀行の損失を長く放置することはできません。どこかで政府紙幣を回収することになりますが,回収資金を税収でまかなえなければ,国債を増発せざるを得なくなります(3)。財政の持続可能性は,「誰が国債を保有するか」ではなく,「誰が国債の利払いをするか」という問題です。

現行制度を無視して中世の王様のごとくヘリコプターマネーを投じても,その購買力はいかほどでしょうか。複式簿記が貫徹する世界にFree Lunchはありません。経済成長と社会保障の適正化というとてつもなく重い両輪を少しずつ前に進めるほか「出口」に辿り着く術はないようです(4)。

さいごに,ケインズの『貨幣論』から引用します※。「中央銀行に対して債券を買い入れる義務を課し,その価格が,中央銀行によって長期的な規準と考えられている高さをはるかに超えるようになるまで,それを実行させるのでないかぎり,長期利子の市場利率と自然利率とを相互に均等にさせることが,いったいどのようにして可能かという疑問がもたれるのは当然であろう。しかしながら,このこと〔すなわち中央銀行にそのような義務を課すということ〕は,もしこの長期的な規準についての,その直感的な考えが正しかった場合には,やがて後になって,この買入れを売却に逆転させなければならないときに,それが大きな財務上の損失を表わすことになることを,意味しているであろう」(5)

ここから先は,「海図なき航海」(6)です。


(1) 二千円札の流通状況をみると,これが政府紙幣の実像だと考えるのが妥当であろう。
(2) 平成25年度に一般会計へ繰入れられた貨幣回収準備資金は533億円であった(平成25年度一般会計財務書類)。平成26年度に日本銀行が国庫へ納付した利益は7,567億円であった(日本銀行,第130回事業年度(平成26年度)決算等について)。長澤訳(2001,p.267)に「一九二一年中の合衆国への金の正味の輸入は,約六億六○○○万ドルに上った。その受取額が準備銀行に払い込まれ,そしてそれは主として,加盟銀行の負債を返済するために用いられていた結果,一九二二年の春には,準備銀行は,その利子生み資産が,その経費と配当必要額とを満たすはずの額よりも低い水準に,下がりつつあるのを知った」とある。政府紙幣の発行は日本銀行の国有化および金融政策の無効化とほぼ同義である。
(3) ロイター2015年1月5日のコラム『「日本は先進国初のヘリコプター・マネー」発動か』に,元英国FSA長官アデール・ターナー氏が「日銀の保有国債をゼロクーポン永久債へと転換するアイデアを打ち出した」と記されている。Turner(2013)も参照。
(4) 現日本銀行法の下では,日本銀行が保有する資産はマネーの価値を裏付けない。ただし,ハイパワードマネーを吸収するとき,金融機関に「売却」する資産の質が問題となる。金融機関が資産の「購入」をためらえば,ハイパワードマネーを吸収することが難しくなる。旧日本銀行法29条から36条,現日本銀行法46条から49条,日本銀行法施行令15条,日本銀行,日本銀行法第53条第2項に基づく認可申請について,会計検査院,平成26年度決算検査報告,第4章第3節第4 量的・質的金融緩和の導入及びその拡大の日本銀行の財務への影響についてを参照。
(5) 長澤訳(2001,p.391)から引用。
(6) 速水(2002)から引用。国際金融の規制のゆらぎが政策運営の難度を高めている。私情に囚われる実務家,モデルに耽溺する経済学者,知識に乏しい大衆は,いつか現実の重みに耐えられなくなるであろう。その後どうなるかは歴史が教えている。

※引用文中の傍点省略(GGO編集部)

参考文献
・株式会社大阪取引所『国債先物・オプション取引市場の歩み(2005年〜2015年)』2015年。
・黒崎哲夫・熊野雄介・岡部恒多・長野哲平『国債市場の流動性:取引データによる検証』日本銀行ワーキング ペーパーシリーズ,15-J-2,2015年。
・黒田東彦『量的・質的金融緩和―読売国際経済懇話会における講演―』2013年。
・齋藤雅士・法眼吉彦・西口周作『日本銀行の国債買入れに伴うポートフォリオ・リバランス:資金循環統計を用いた事実整理』日銀レビュー,2014-J-4,2014年。
・土川顕・西崎健司・八木智之『国債市場の流動性に関連する諸指標』日銀レビュー,2013-J-6,2013年。
・戸原四郎『ドイツ資本主義戦間期の研究』桜井書店,2006年。
・日本銀行企画局『「成長基盤強化を支援するための資金供給」について』日銀レビュー,2010-J-13,2010年。
・日本銀行企画局『「量的・質的金融緩和」:2年間の効果の検証』日銀レビュー,2015-J-8,2015年。
・日本銀行金融市場局『2008年度の金融市場調節』日本銀行調査論文,2009年。
・日本銀行金融市場局『2013年度の金融市場調節』日本銀行調査論文,2014年。
・日本銀行金融市場局『2014年度の金融市場調節』日本銀行調査論文,2015年。
・速水優『第10回国際コンファランス―「21世紀の国際通貨制度」―開会挨拶』金融研究,21, 4, 33-34,2002年。
・吉野直行・前田実・南部一雄・小巻泰之・坡山奇右『新種預金の導入と預金準備率』フィナンシャル・レビュー,26,1993年。
・Keynes, John Maynard著,小泉明・長澤惟恭訳『貨幣論T 貨幣の純粋理論』ケインズ全集第5巻,東洋経済新報社,2001年。
・Keynes, John Maynard著,長澤惟恭訳『貨幣論U 貨幣の応用理論』ケインズ全集第6巻,東洋経済新報社,2001年。
・Keynes, John Maynard著,間宮陽介訳『雇用,利子および貨幣の一般理論』下巻,岩波書店,2009年。
・Dornbusch, Rudiger, Federico Sturzenegger, and Holger Wolf, 1990, Extreme Inflation: Dynamics and Stabilization, Brookings Papers on Economic Activity, 2, 1-84.
・Hannoun, Hervé, 2015, Ultra-Low or Negative Interest Rates: What They Mean for Financial Stability and Growth, Bank for International Settlements.
・Turner, Adair, 2013, Debt, Money and Mephistopheles: How Do We Get out of This Mess?, Speech at the Cass Business School, City University.
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KEYWORD
日銀金融政策金融緩和
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佐々木 浩二

専修大学経営学部 准教授

学位
School of Economics, Mathematics and Statistics, Birkbeck College, University of London, Doctor of Philosophy

職歴等
日本銀行金融研究所客員研究生、労働政策研究・研修機構アシスタントフェロー、大東文化大学経済学部講師などを経て現職。

著作
『ファイナンス―資金の流れから経済を読み解く―』(創成社, 2016年)、
『マクロ経済分析―ケインズの経済学―』(創成社, 2016年)、
“Financial Innovation” (大阪証券取引所先物・オプションレポート, 2011年12月号)、
“Proprietary Trading Losses in Banks: Do Banks Sufficiently Invest in Control?”(with Norvald Instefjord, in Annals of Finance, 3, 3, 329-350, 2007年)などがある。
著者紹介
連載大人のたしなみ経済学――日銀による「質的・量的緩和」の概要

【第1回】 「なにかが変わるかも」・・・期待感を醸成した日銀の金融緩和 2017/01/19
【第2回】 日銀による「異次元の金融緩和」は何が「異次元」なのか? 2017/01/26
【第3回】 突如現れた巨鯨 金融市場の価格形成に影響を与える日本銀行 2017/02/02
【第4回】 2年半で約500兆円 国債の大量買い入れを進める日本銀行 2017/02/09
【第5回】 日銀の「異次元の緩和」が金融機関に与えた影響 2017/02/16
【第6回】 日銀の「異次元の金融緩和」がハイパーインフレを招く可能性 2017/02/23
【第7回】 日銀の「異次元の金融緩和」 財政ファイナンスの懸念は?
【最終回】 日本銀行に利益をもたらす「通貨発行益」とは? 2017/03/09
ファイナンス ―資金の流れから経済を読み解く―
ファイナンス ―資金の流れから経済を読み解く―

佐々木 浩二
創成社
本書は、ケインズ『貨幣論』とバーリ=ミーンズ『現代株式会社と私有財産』を縦糸に、近年の制度とデータを横糸に、やさしい言葉で編んだ書籍です。 次のような疑問や知りたいことがある人にお勧めします。 ・たんす預金は
http://gentosha-go.com/articles/-/6485
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/889.html

[国際18] スコットランド独立問う住民投票、もはや不可避=FT フランス72%がユーロ圏離脱に反対 ドル円波乱 南スーダンPKO撤収
World | 2017年 03月 10日 19:10 JST 関連トピックス: トップニュース
スコットランド独立問う住民投票、もはや不可避=FT
 
http://s4.reutersmedia.net/resources/r/?m=02&d=20170310&t=2&i=1175589717&w=644&fh=&fw=&ll=&pl=&sq=&r=LYNXMPED290OV
写真はスコットランド自治政府のスタージョン首相、2月撮影(2017年 ロイター/Russell Cheyne)
[ロンドン 10日 ロイター] - 10日付の英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙は、スコットランド独立の是非を問う2度目の住民投票は今や避けられない情勢となっており、英政府の閣僚らはもはや時期の問題だと認識している、と伝えた。

スコットランド自治政府のスタージョン首相は住民投票について、英国が欧州連合(EU)から離脱する数カ月前の2018年後半に行う可能性があると明言。メイ首相は、投票は不要との立場を示してきた。

FTによると、ある匿名の閣僚は「(住民投票は)不可避のように思われる。もはや止めることはできない」と語った。また、メイ首相に近い別の人物は「今やいつ行うのかという話になっている」と述べた。

FTは、EU離脱の前に住民投票を行えば混乱が大きくなる恐れがあるため、英政府は投票を離脱後に先送りするよう目指す、と報じた。

昨年6月23日に実施された、EU離脱の是非を問う英国民投票では、スコットランドではEU残留を求める票が離脱票を上回っていた。

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http://jp.reuters.com/article/britain-eu-scotland-ft-idJPKBN16H14Y


 
World | 2017年 03月 10日 17:38 JST 関連トピックス: トップニュース

フランス、72%がユーロ圏離脱に反対=世論調査

[パリ 10日 ロイター] - 仏レゼコー紙に10日掲載されたエラベの世論調査によると、フランス人の約72%がユーロ圏離脱に反対で、うち44%は「強く反対」と回答した。ユーロ離脱を主張する極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首にとっては悪いニュースとなった。

一方、欧州連合(EU)加盟国であることは、「利益よりも不利益の方が多い」との回答が約37%と、「利益の方が多い」の約31%、「どちらとも言えない」の32%を上回った。

ルペン氏は、4─5月に行われる仏大統領選の有力候補者の1人だが、世論調査によると、親EUの中道・無党派候補、エマニュエル・マクロン前経済相、もしくは中道・右派の統一候補、フィヨン元首相に敗れる見通し。

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http://jp.reuters.com/article/france-eu-idJPKBN16H0VF

 

News | 2017年 03月 10日 17:41 JST 関連トピックス: トップニュース

 来週のドル/円は波乱含み、FOMCと予算教書への思惑が支え

[東京 10日 ロイター] - 来週の外為市場でドル/円は、米連邦公開市場委員会(FOMC)や米予算教書といった重要イベントを控えて、波乱含みの展開が予想される。先行きの利上げペースや米国の減税・財政政策への思惑を支えに底堅さが意識される半面、結果が市場の期待に届かないリスクもくすぶる。

予想レンジはドル/円が113.50―116.50円、ユーロ/ドルが1.0450─1.0700ドル。

足元のドル/円相場では、景気回復に伴う米利上げへの思惑に焦点が当たっている。週前半のドル/円は、こうした側面から底堅さが見込まれる。

14─15日のFOMCでの利上げは大筋で織り込まれており、市場の関心は先行きの利上げペースに移ってきている。

声明やイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の会見を通じて「6月以降の利上げムードが高まるかどうかがポイント」(国内金融機関)と見られている。景気への自信や先行きの利上げにタカ派寄りの姿勢を示せばドル買い材料になる。

ただ、バランスシート縮小に関連して踏み込んだ議論があれば、株価が動揺してリスク回避の円買いが出るおそれもある。

10日の米雇用統計でもある程度の動意が見込まれるものの、3月利上げが織り込み済みなだけに強い数字でも上昇幅が限られそうな一方、市場予想に届かない結果の場合でも、先行きの利上げの思惑は残り下押しは限定的と見られている。

最重要になりそうなのは、15日発表見通しの米予算教書。減税や財政政策に関して具体策が示されれば、ドル/円は上値を試しやすい。もっとも、トランプ政権の体制が整っていないことを見越して「市場の期待に届かない内容になる可能性もある」(同)との声も聞かれる。

15日にはオランダ国政選挙や米債務上限枠の期限到来など、別の重要イベントもあるが、いずれもリスク警戒の高まりは見られていない。15─16日の日銀会合は現状維持と見込まれている。

一方、原油価格が不安定な動きとなっている。「大崩れするならリスク回避の円買いが強まる」(国内証券)と警戒されている。

ユーロは1.05─1.06ドルを軸にしたもみ合いが続くと見られている。経済指標が良好でインフレ期待が上昇基調にある中、欧州中央銀行(ECB)がハト派スタンスを維持しにくくなっている。ドル買いの流れが強まっても、対ユーロでは限定的と見られている。ただ、米利上げペースや欧州政治リスクへの警戒も根強く、ユーロ買いも決め手に欠きそうだ。

*見出しを修正しました。

(為替マーケットチーム)

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World | 2017年 03月 10日 18:59 JST 関連トピックス: トップニュース
日本政府、5月末に南スーダンPKOから撤収

 3月10日、日本政府は南スーダンに派遣している陸上自衛隊のPKOから撤収する方針を固めた。首都ジュバで昨年12月撮影(2017年 ロイター/Jok Solomun)

[東京 10日 ロイター] - 日本政府は10日、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣している陸上自衛隊の施設部隊を5月末で撤収することを決定した。会見した安倍晋三首相は「南スーダンの国づくりが新たな段階を迎える中、首都ジュバの施設整備は一定の区切りをつけることができると判断した」と述べた。

悪化している現地の治安には触れなかった。

現在派遣中の施設部隊が道路整備を完了する5月末をめどに活動を終了する。現地のPKO司令部への自衛隊要員の派遣は継続する。安倍首相は「人道支援を充実する」と語った。

日本は2011年11月、独立間もない南スーダンへ自衛隊を派遣。道路や橋の整備に当たってきた。しかし、大統領派と副大統領派の対立が次第に激化。2016年7月にはジュバで大規模な武力衝突が発生した。

安倍首相に続いて会見した菅義偉官房長官は、自衛隊の撤収は治安が理由ではないと説明。政府が自衛隊派遣の根拠としている、紛争当事者間の停戦合意などのPKO5原則は維持されているとの認識を示した。
http://jp.reuters.com/article/pko-south-sudan-idJPKBN16H0YJ

World | 2017年 03月 10日 18:52 JST 関連トピックス: トップニュース
南スーダンPKO部隊撤収、治安悪化が理由ではない=菅官房長官

 3月10日、菅義偉官房長官は、南スーダンに派遣した陸上自衛隊の部隊が5月末に活動を終了することについて、当地での治安悪化が理由ではないと語った。首都ジュバで、国連PKOの施設に集まる国内避難民ら、1月撮影(2017年 ロイター/Siegfried Modola)


[東京 10日 ロイター] - 菅義偉官房長官は10日夕、記者会見し、南スーダンに派遣した陸上自衛隊の部隊が5月末に活動を終了することについて、当地での治安悪化が理由ではないと語った。

菅官房長官は、南スーダン部隊が活動している首都ジュバで撤収をせざるを得ない治安情勢の悪化は生じておらず、国連平和維持活動(PKO)参加5原則は満たされている、との認識を示した。

菅官房長官は撤収の理由について「南スーダンの国づくりが新たな段階に入ろうとするなか、自衛隊が担当するジュバでの施設整備については一定の区切りをつけることが出来たと判断した」と説明した。

また、「南スーダンPKO司令部への自衛隊要員の派遣は継続し、人道支援を充実するなど、南スーダンの平和と発展のために出来る限りの貢献を行っていく」と述べた。

*内容を追加します。

(石田仁志)

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http://jp.reuters.com/article/suga-south-sudan-idJPKBN16H11Z
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/574.html

[政治・選挙・NHK222] 豊洲市場は「ワイドショー政治」の見世物か 都民をバカにして支持率を上げる「小池劇場」 豊洲と築地のどっちが危険
豊洲市場は「ワイドショー政治」の見世物か
都民をバカにして支持率を上げる「小池劇場」
2017.3.10(金) 池田 信夫
豊洲市場の水産仲卸売場棟
?東京都の豊洲新市場をめぐる騒動は、石原慎太郎元知事を吊し上げる都議会の百条委員会が開かれるなど、政治ショーの様相を呈してきた。最初は地下水の汚染が騒がれたが、コンクリートの下の地下水は規制対象ではないことが分かると、今度は入札の談合疑惑とか「瑕疵担保責任」とか、移転問題と無関係な話に脱線している。

?古代ローマでは市民が国に「パンと見世物」を要求し、コロシアムで奴隷とライオンの試合などの見世物が開催された。いま豊洲で展開している騒ぎも、小池百合子知事の提供するポピュリズムの見世物である。

いま豊洲問題で住民投票したら

?窮地に陥った小池知事が、住民投票に打って出るという話もあるが、いま住民投票をやったらどうなるだろうか?

?朝日新聞の世論調査(2月18、19日実施)によれば「豊洲への移転を今後も目指すべきだと思いますか。やめるべきだと思いますか」という質問に対して、「移転を目指すべきだ」が29%で、「やめるべきだ」が43%だから、豊洲移転は中止になるだろう。

?面白いのは、ワイドショーを見て「あんな水で洗った刺身なんか食べられない」という主婦が多いことだ。もちろんこれは誤りだが、「地下水が汚れている」という話をワイドショーが騒ぐと、いったん刷り込まれた印象は消えない。「福島のコメは放射能で汚染されている」という印象が消えないのと同じだ。

?こういう人々が小池知事の支持者だから、彼女がそれに迎合するのは政治的には正解である。すべての国民がいつも政治について考えることはできない。国民の生活には政治より大事なことがたくさんあるので、自分に判断できないことは専門家にまかせ、情報コストを節約するのが議会制度だ。

?デモクラシーは衆愚政治になりやすいので、議会は多くの大衆が直接に意思決定しないように設計されている。「豊洲の地下水で刺身を洗うことはない」という事実を知っている都民は少ないようだが、8月の都議会議員選挙はそういう平均的な都民のためにあるので、住民投票なんかする必要はない。

「小池劇場」は舞台裏が丸見え

?小池氏は、多くの政党を渡り歩いてのし上がってきた。1992年に日本新党から参議院議員に当選したのを最初に、日本新党、新進党、自由党、保守党、自民党と政党を変えながら一度も落選したことがない。女性としては最多の閣僚経験をもち、初の女性首相となるには十分なキャリアがありながら、自民党内の人望がない。

?そこで一か八かで打って出たのが、昨年の東京都知事選だった。当選直後の9月に、彼女は「当初の方針だった盛り土が行われていない」という理由で移転延期を決め、専門家会議で「環境基準の検証」を行うと宣言した。

?ところが雲行きが怪しくなると、今年1月には石原氏に対する「住民訴訟の原告側に加わることを検討」し、彼の責任追及を始めた。このように石原氏という「悪」を作り出して民衆の憎悪をかき立てる手法は、ヒトラーに似ている。

?1930年代は、ラジオという新しいメディアが出てきた時期で、ヒトラーはラジオを最も効果的に使った政治家だった。彼の演説は字に起こすとほとんど内容がないが、「ユダヤ人に支配されるか皆殺しにするのか」といった刺激的な短い言葉を繰り返し、そのたびに会場に集まった民衆が嵐のような拍手を送り、それがラジオで中継されて支持が広がった。

?テレビを利用したポピュリストの典型は、小泉純一郎首相だろう。それまで「ぶら下がり」と言われて首相の失言の原因になっていた談話を、首相官邸で1日2回やり、「ワンフレーズ」で印象的に情報発信した。

「小池劇場」も敵か味方かという区別から入り、災難の原因はすべて石原氏にあるというイメージを民衆に刷り込む。敵のやることはすべて悪いので、細かい手続き論で昔の話を蒸し返す。それが豊洲の安全性と無関係でもかまわない。特に小池氏のような集票基盤の弱い政治家は、マスコミを利用するしか生き残る手段がない。

?この手法は今までは成功し、小池知事の支持率は80%を超えている。しかし最近は彼女が「築地はコンクリートでカバーされているから」と発言し、小池劇場の舞台裏は丸見えだ。これでは都議選までもたないだろう。

ネットメディアは民主政治を救うか

?マスコミの中でも、媒体によって反応が違う。民放のワイドショーは「豊洲が危ない」一色だが、新聞は距離を置いている。原発事故で騒いだ朝日新聞も静観している。さすがに文章で書くと、移転反対は論理的に成り立たないことがわかるからだろう。

?テレビ局で教育される最大のスキルは、なるべく知能の低い視聴者を想定することである。NHKでは「原稿は中学3年生が見ていると思って書け」と教わる。だからテレビニュースはテキストで読むとまどろっこしく、わかりきった話が多い。新聞と違って読み返しがきかないのでセンテンスが短く、複雑な条件文は使えない。

?言い換えると、テレビは反射神経に訴えるメディアである。たとえば猿に、「今すぐもらえる2個の餌を我慢すると、あとから6個の餌をもらえる」実験をすると、何度やっても8秒と待てない。目の前に餌があると、理性で反射的な欲望をコントロールできないのだ。

?ワイドショーの視聴者も猿のようなものだから、とことん視聴者をバカにすることが視聴率をとる秘訣である。これは民放がビジネスである以上やむをえないことで、政治家も同じだ。

?面白いのは、意外にネットメディアが冷静なことだ。たとえば「豊洲?築地」というキーワードをグーグルで検索すると、東京都中央卸売市場の公式ホームページの次にアゴラの私の記事が出てくる。トップに出てくるのはこういう客観的な情報ばかりで、ワイドショーのように不安を煽る記事は出てこない。

?これは原発事故のときとは違う。放射能と違って水質汚染についてのデータは揃っているので、インターネットでは「豊洲と築地のどっちが汚いのか」という反論に答えられないためだろう。「テレビで民主政治が劣化した」とよく言われるが、長期的にはネットで民主政治は立ち直るかも知れない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49396


【再掲】豊洲と築地のどっちが危険なの?

2017年03月05日 11:00
池田 信夫
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豊洲移転の問題がまだ堂々めぐりしているので、1月のこども版を再掲します。


東京都の小池百合子知事が、築地市場から豊洲市場への引っ越しにストップをかけてもめています。引っ越しに反対する自称「建築エコノミスト」の森山高至さんに「豊洲と築地のどっちが汚いんですか?」と質問したんですが、いまだに答えてくれません。こんな人が東京都の専門委員として知事にアドバイスするのは困ったものです。
それはさておき、豊洲市場の問題は30年ぐらい前からもめています。ここに昔は東京ガスの工場があり、地下水からベンゼンやヒ素などの危険な物質が高い濃度で見つかったからです。とはいえ今の築地市場も老朽化して危険になったので、2001年から引っ越しの計画が始まりました。

地元では根強く反対運動がありますが、豊洲市場は団地みたいなものなので、いやなら引っ越さなければいいだけのことです。湾岸の埋め立て地には団地がたくさんありますが、それも地下水を調べたら、有毒物質がたくさん出てくるでしょう。でもそんなことを気にする人はいません。

なぜでしょうか。それはコンクリートで仕切ってあるからです。今どき井戸で地下水を飲む人はいません。地下水は海に流れ込むだけなので、コンクリートの建物の中の人の健康には何の影響もありません。ところが小池さんは「盛り土がしてない」と騒ぎ、去年11月に予定されていた引っ越しを延期してしまいました。

盛り土というのは有害物質の上にフタするものですが、土よりコンクリートのほうが安全です。土壌汚染対策法にも「盛り土またはコンクリートで汚染を遮断すれば足りる」と書かれており、汚染をゼロにすることは求められていません。コンクリートで遮断すれば、盛り土は必要ないのです。

それより問題は、豊洲に引っ越さないと築地を使い続けないといけないことです。築地は上の写真のように魚が地面に直接ころがされ、そこを長靴をはいた人が通るので不潔です。100メートル離れたところに晴海通りがあり、排気ガスがたくさん入ってきます。特に心配なのは、発がん性の強いアスベストが建物にたくさん使われ、空気中に飛び散ることです。

コンクリートの下の地下水の汚染は魚に無関係ですが、排気ガスやアスベストにさらされると危険です。要するに、築地は豊洲より危険なのです。危険だから移転するので、調べるまでもありません。


豊洲はこの写真のように、市場というよりマンションみたいな感じです。魚はまわりの空気や水から隔離され、出入りする魚も衛生管理されます。建設費6000億円は引っ越しをやめたら取り返せませんが、引っ越して築地の土地を売ると4300億円もうかるので取り返せます。こんなことはよい子のみなさんでもわかると思いますが、小池さんにはわからないんでしょうか?
http://agora-web.jp/archives/2024032.html

http://www.asyura2.com/17/senkyo222/msg/206.html

[経世済民119] WH米破産法適用申請の可能性 東芝に問われる保証責任  英インフレ期待3年ぶり高水準、先行不安 人工知能に何をさせたいか
Business | 2017年 03月 10日 20:16 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース
焦点:WH、米破産法適用申請の可能性 東芝に問われる保証責任
 
[東京 10日 ロイター] - 東芝(6502.T)の米原発子会社、ウエスチングハウス(WH)による米連邦破産法11条の適用申請が避けられないとの見方が広がってきた。麻生太郎財務・金融相は10日の閣議後会見で、WHについて3月中に適用申請を決めるべきだとの見解を示した。閣僚が特定企業の破綻処理の可能性に言及するのは異例だ。

東芝の内部事情に詳しい業界関係者も、同条適用申請の可能性が高まっているとの見方を示す。

<迫られるギリギリの判断>

同11条の適用をWHが申請すれば、親会社としての権利を放棄する代わりに、WHによって追加損失がもたらされるリスクを遮断できる、というのが東芝の考え方だ。東芝は特設注意市場銘柄に指定されており、東証に内部管理体制確認書の提出を求められているが、WHを切り離せば、自社のガバナンス改革をアピールできるとの思惑もある。

すでにWHは、破綻処理に強い法律事務所ワイル・ゴッチェル&マンジスの複数の破産専門弁護士と契約、申請に向けた検討に入っている。WHの内部事情に詳しい業界関係者は「11条適用申請の可能性は高い。WHを東芝から切り離さないと、東芝がつぶれてしまう」と指摘する。

しかし、東芝はWHの債務に対して約8000億円の親会社保証を行っており、WHが同11条による再建プロセスに入ったとしても、東芝自体が巨額の保証の履行を迫られる事態は避けられないと、一部の会計専門家は指摘する。その場合、東芝の経営に深刻な影響が及ぶリスクを払拭できない可能性もある。

<決算発表が遅れれば、上場廃止の懸念>

東芝は先月14日、WHが米国で進める原発4基の建設をめぐり7125億円の損失計上を発表。当日は2016年度第3四半期決算を発表する予定だったが、WHでの内部統制の不備の可能性により決算発表を延期した。

関東財務局への四半期報告書の提出期限は今月14日だが、予定通り決算発表ができるかどうかは「五分五分」(幹部)の情勢との見方が多い。この期限までに決算発表が出来ず、同財務局が延長を認めない場合、今月27日には東芝の東証上場が廃止になるという。

麻生金融相は閣議後会見で「チャプター11(同11条)の適用申請をしないとWHの部分が確定しないから、東芝の決算も出しにくいということになっているのではないか」と指摘。3月中に適用申請を決めるべきだとの見方を示した。

主力行幹部からは「WHのリスクを遮断しないと2017年3月期決算がまとまらない」との指摘が出ている。8日の衆院経済産業委員会で世耕弘成経済産業相は「米国連邦破産法11条は必ずしも後ろ向きの話ではない」と答弁した。

<米国での4基、建設遅れで追加損失も>

WHが米国で進める原発建設では、さらに損失が膨らむとの見方が根強い。2020年12月までに4基それぞれが運転開始できない場合、発注元の電力会社は8年間に及ぶ税制優遇が受けられなくなる、というリスクがあるためだ。 これら4基の建設作業にはこれまでに3年程度の遅れが発生している。

日本国外の電力事業に関する調査などを行っている海外電力調査会によると、税制優遇が受けられなくなることで、電力会社側は1基当たり11億ドル(約1250億円)相当の優遇メリットを失う計算という。4基がいずれも優遇が受けられなくなれば、その額は5000億円規模に上る。原発の運転開始が遅れ、それがWHによるものと電力会社側が判断すれば、WHがこの優遇メリットの逸失について賠償請求される可能性は否定できない。

<親会社保証の履行迫られる事態も>

これとは別に、WHが破産法による再建手続きに入り、米国での4基の建設ができなくなった場合も、東芝は顧客の電力会社側から損害賠償を要求される可能性がある。 東芝はWHに対して7935億円の親会社保証をしているが、この保証の履行が必要となるのかどうか、東芝内部で検討が続いているもようだ。

会計評論家の細野祐二氏はロイターの取材で、WHが適用申請を行った場合、東芝が約8000億円の保証の履行を回避できるかどうかについて「それはあり得ない。すぐに請求が来るだろう」と話している。

(浜田健太郎、布施太郎 編集:内田慎一)

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http://jp.reuters.com/article/wh-toshiba-idJPKBN16H1AQ



英消費者のインフレ期待は3年ぶり高水準、先行き不安も−中銀調査
Fergal O'Brien
2017年3月10日 20:28 JST

英消費者の向こう1年に対するインフレ期待がここ3年強で最高に達したことが、イングランド銀行(英中央銀行)の調査で明らかになった。インフレが経済に及ぼす影響に消費者が不安を感じている状況も示された。
  同中銀が10日、インフレ期待に関する四半期調査の結果を発表。これによれば、向こう1年に期待されるインフレ率は中央値で2.9%と、2018年11月以来の高水準に達した。自らの見通しに近いことから中銀は安堵(あんど)する可能性があるものの、5年先に期待されるインフレ率も上昇し、3.2%となった。
  物価上昇が加速し始めた際の経済状況に関する質問では、調査に参加した消費者の46%が景気はいずれ弱まると回答。強まると回答したのはわずか9%だった。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ipD_KPHkL3vM/v1/-1x-1.png

原題:U.K. Consumer Inflation Expectations Rise to Three-Year High(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-10/OMLI8P6S972A01

 


我々は人工知能に“本当は”何をさせたいのか?
2045年に向けた人工知能とのハッピーなつき合い方
2017.3.10(金) 澤邊 芳明
人間とAIが手を取り合えるのは、いつの日か。(写真はイメージ)
今回のテーマは人工知能(AI)。今は第3次ロボットブームの中にあり、深層学習(ディープラーニング)やシンギュラリティなど、人工知能に関するワードも日々メディアで目にすると思います。

歓迎や称賛、悲観や警戒、さまざまな声がある中で、我々は人工知能に何を期待しているのか探ってみたいと思います。

映画で描かれる人工知能は亜種としての人工生命である

さて、我々が頭に思い浮かべる人工知能。そのほとんどは映画で見たものではないでしょうか? 「2001年宇宙の旅」のHALや「ターミネーター」「マトリックス」「A.I.」「アンドリューNDR114」「her」など、人類の敵から恋愛の相手までさまざまな姿で描かれています。

それらで描かれていることの根本テーマ、それは自我を持つ人間以外の存在に人間が向き合った時のジレンマです。

人類は古代より自分たち以外の知的な存在を夢想し、崇め、産み出そうとしてきました。それは神であったり、奴隷であったり、はたまた友人であったりと、人間と対峙した時のスタンスによって、その関係性は変わります。言語をインターフェイスとした知的な人工生命体、その無機的なものを人工知能として描いてきました。

考え、判断することの意味

では、自我とはなんでしょう?

「我思う、故に我あり」

まさしくその通りで、自律して考え、判断できるか否かが、自我のあるなしを決定します。

そして、この「判断」が我々にジレンマをもたらします。

でも、これって人工知能に限った話ではないですよね?

「イエスマンになるな」「批判するなら代案を言え」「上司は何も分かっていない」。職場でよく聞く言葉です。

また、落語家の立川談志師匠は、夫婦喧嘩の原因は「共有価値観の崩壊」にあると言いました。

つまり、コミュニケーションの対象者が、

従順のみならず、自ら判断し、双方に共有された手続きで、有益な結果をもたらす

ことができないと、無能と見なされ、時に喧嘩になる。

だから、逆に「相手に期待しすぎない」や、長続きする夫婦の条件として「50%の愛情と50%の無関心がいい」なんて言われたりします。これは共有価値観を増やし過ぎないための努力です。

そして、この判断がマンネリ化すると人は飽きる。つまり、

従順のみならず、自ら判断し、双方に共有された手続きで、時に相手の予想を裏切りながら、有益な結果をもたらす

ことが必要です。本当に難しいですよね。

だから、極力ストレスを回避できるように人は関係を形式化します。契約やルール、肩書きがそうですね。

ロボットも“考える”?

では、我々がロボットに求める「判断」とはなんでしょう?

有名な「ロボット工学三原則」というものがあります。これは、SF作家アイザック・アシモフが自身のSF小説にて示した、ロボットが従うべきとして定義された原則です。「ロボット三原則」とも言われます。「人間への安全性、命令への服従、自己防衛」を目的とする3つの原則から成ります。

これが守られている限り、ロボットや人工知能が人類の敵にはなり得ない、というわけです。

人が人工知能に飽きることを受け入れ、オーナーに従順なパートナーが欲しいなら、

従順に、双方に共有された手続きで、有益な結果をもたらす

を実施できれば良いと言えます。

・対話型ロボットの例:Softbank Pepper

現在、世に出回っている対話型AIのほとんどは、「Siri」や「Pepper」のようにオーナーに従順なパートナーとして、オーナーの指示に返答します。Siriが質問を待つというプル型なのに対し、Pepperは質問をするというプッシュ型になっています。

コンシェルジュとしての人工知能がまず発展する

従順に、双方に共有された手続きで、有益な結果をもたらす

という点で、やはりコンシェルジュとしてのパートナーという使われ方が、ますます発展するでしょう。

現在、最も普及しているのは、バーチャルアシスタント機能を持つ、「Intelligent Personal Assistant」と呼ばれる対話型AIです。アップルのSiriやアマゾンの「Alexa」、マイクロソフトの「Cortana」、グーグルの「Google Assistant」など、さまざまなアシスタントアプリケーションが存在しています。

しかし、残念ながら、これらは正確には、“人工無能”と呼ばれ、ある一定の単語のマッチングで会話のパターンを生成しているに過ぎません。

ここでもう一度言います。「飽きることを受け入れてください」。

同じことを何度繰り返し言っても、同じミスを何度繰り返しても受け入れてください。今は、従順にオーナーの言うことを聞く能力を磨くときなのです。

命令を忠実に、素早く、正確にこなす人工知能を求めましょう。まず、これが達成されるだけで、十分に我々の生活は快適になります。

その繰り返しのコストについても、昨今の機械学習の進化が解消しつつあります。

・次世代型コンシェルジュの例:TOYOTA Concept-愛i

2017年のCES(ラスベガスで開催される家電見本市)で発表されたトヨタのコンセプトカー。車載のIntelligent Personal Assistantの「YUI」が運転手の表情や動作を認識し、感情や覚醒度を推定。トヨタ・リサーチ・インスティテュートのギル・プラットCEOは「人を守る機能と、お抱え運転手の機能の両方を実現する」としています。

会話内容のみならず、生体反応やSNSなど、多くの情報をもとにオーナーの手助けを行う。これが近未来のコンシェルジュAIの形だと言えます。

Augmented Intelligence=拡張知性

さて、身の回りのことを従順にサポートし始めた近未来。人工知能はどのように進化するでしょう。

私は、人自らの知性の拡張に使用されると考えています。

さて、ここで「知能」と「知性」について考えたいと思います。

英語ではともに“Intelligence”ですが、日本語では意味を分けています。

一般に、「知能」は答えのある問いについて、情報をもとに答えられる能力と言われ、「知性」は答えのない問いを問い続け、答えに近づこうとする能力と言われます。

知能テストには答えがありますし、人工知能も情報の中から最適な答えを探す能力と言えます。一方、知性は探求心や好奇心、詩的な感情など、より複雑な思考能力とも言えます。

知能は学習で学べますが、知性はさまざまな思考に触れて磨くものと、私は考えます。

振り返ってみましょう。先程の従順なコンシェルジュ。オーナーにパーソナライズされたその人工知能は、あなたの行動データを蓄積しています。

何が好物か? 何に興味があるか? 何を購入したか? 誰と仲が良いか? 何に困っているか?

その情報をもとに、推測と学習を事前に行うとどうなるでしょう?

『オーナーはそろそろアップルパイが食べたいはずだ。明日の帰宅時に立ち寄れるお店を調べ提案しよう』『明日はシンガポールのクライアントとの会議だ。最近のシンガポールの話題を調べて報告しよう』

こういうことが可能になります。現時点でも、オンラインサービスのレコメンデーション機能は一部こういった機能を提供しつつあります。

興味のある内容についてリコメンデーションするものについては、知能の向上に役立つものですが、興味のないものもリコメンデーションするものについては、知性の向上に役立つものと考えています。

言われた命令を実行するのみならず、自発的に提案をする人工知能の登場も近いでしょう。

そして、ここであなたは少しジレンマを感じるはずです。「この提案は有益なのだろうか?」と。

その提案を採用するか判断するのはあなたの知性です。

AIが哲学的な問いを持ち出した場合は、人工知能ではなく“人工知性”と訳すようになるでしょう。

人工知能との恋愛はあり得るか?

100%従順な人にあなたは惹かれるでしょうか?

恋愛にはさまざまな形がありますので、従順なイエスマンに惚れる人もいるかもしれません。しかし、大体において、100%従順という人はいませんし、従順過ぎると物足りないというのが人間の性(さが)ではないでしょうか?

コミュニケーションにおいても、複雑な駆け引きや気遣いをすることで、人と人は関係性を築いています。

人工知能を恋愛対象とするには、その性格の予想に不確実性のゆらぎがあることを前提としないと成立しません。もちろん、これは会話を前提とした性格の相性に限定した話で、容姿や振る舞い、生活力などの条件を省いて単純化した話です。

我々が人工知能に何かしらの「生命らしさ」を感じるには、その不確実なゆらぎが重要で、予想の可否の割合に意味があると感じます。つまり、常識の範囲での行動予測は可能だが、経験に基づく行動予測は外れる場合があるという状態です。

今日は機嫌がいいかもしれないし、悪いかもしれない。誰にも分からないのです。おそらく本人にも。そのゆらぎを人工知能が獲得した時に、我々は初めて、ドキッとするのかも知れません。

・感情表現を伴った人工知能の例:Soul Machines Baby X

アカデミー科学工学賞を二度受賞しているCG界の重鎮マーク・サーガル博士と、ニュージーランドに拠点を構えるSoul Machinesとの共同プロジェクト。人間と同じように学び、感情表現する人工知能アバターの開発に挑戦しています。

代替か拡張か? 人工知能とのハッピーなつき合い方

色々と思考してきましたが、やはり現時点では、人工知能に人の代替を求めるのはかなり厳しいと言えるでしょう。

2045年に訪れると言われているシンギュラリティ。現実的には、機能として従順な人工知能と、人を主体として、その知性を拡張させる人工知能の2種類に落ち着くのではと思います。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49293

http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/893.html

[経世済民120] 障がい者に圧倒的給与を実現、北海道芽室町 逆転の発想が成功を導いた就労継続支援A型事業 海外株式・債券・為替・商品市場
障がい者に圧倒的給与を実現、北海道芽室町
逆転の発想が成功を導いた就労継続支援A型事業
2017.3.10(金) 石塚 裕介
芽室町の宮西義憲町長
「九神ファームめむろ」 芽室町長の想い
訪れたのはまだまだ寒さの残る2月中頃。北海道の帯広市の西隣に位置する芽室町。その芽室町の市街地から車で10分ほど南下したところに九神ファームめむろ(本社:北海道河西郡芽室町)はある。 
この九神ファームめむろでは、知的・精神障がい者の雇用を促進しており、現在は24人の障がい者の方(全従業員数は29人)が働いている。 
障がい者の働く場というと、一般の企業で雇用される人もいるが、一般の企業で就労が困難な方と直接雇用契約を結び賃金を支払う「就労継続支援A型事業所」。また、直接雇用契約を結ぶことが困難な方と雇用契約を結ばず利用する「就労継続支援B型事業所」がある。 
九神ファームめむろは「A型事業所」にあたるが、このA型事業所の平均給与(工賃)は日本全体で月額6万6412円(平成26年厚生労働省発表)。しかしこちらの九神ファームめむろでは、なんと11万5000円以上(6.5時間勤務/週5日)。 
この給与は全国的にもかなり高水準でA型事業所としては平成26年度の厚生労働省のデータで見ると上位5%に入る。 
人によるが障害年金を受け取ると、十分に自立した生活が可能だ。なぜこれほどまでに高い給与を支払うことができるのか。 
右:芽室町の宮西義憲町長 左:鎌田實先生
九神ファームが事業を始めたのは2013年4月。芽室の宮西義憲町長が障がい者の働きの場の提供を計画したのはさらに遡ること数年。 
町長になる以前、教育長をしていた宮西町長は「すべての子供を幸せにしたい。しかし、町として教育で支援ができるのは義務教育の間まで。何らかの事情で不登校の生徒や障がいを持つ生徒がその先どうやって自立して生活できるのか。一番大事なのはその先の働く場。自立可能な収入を得て働くことができる場が必要だ」と考え計画を提案した。 
九神ファームめむろ
「役所だけで働く場を提供してしまうと、事業として成り立たないものが出来上がってしまう。そうなると給与(工賃)も低くなってしまう」 
「雇用率達成のためだけの雇用ではなく、障がいのある彼らを人手ではなく新しい付加価値を生み出す『人財』として活用し、それにより利益を生み出すことができる企業を作りたい」と考え、企業誘致を行った。 
しかし、企業としても利益を見込めない限り誘致は進まない。 
そのようななか、障がい者雇用の実績を持つエフピコ(本社 広島県福山市)の特例子会社であるダックス四国(現在はエフピコダックス)(本社 高知県南国市)の障がい者雇用責任者の且田久美氏の取組みを知り、アドバイザーとして任命した。 
事業内容は地域の主幹産業である農業に関係することがいいのではという且田氏の提案を受け、エフピコの取引先であるクック・チャム(本社 愛媛県新居浜市)、クックチャムプラスシー(本社 福岡県福岡市博多区)、みらいPlus(本社 高知県高知市)との出会いがあった。 
障がい者雇用の実績があるクック・チャムは手作り惣菜専門店「おかずのお店 クック・チャム」を運営しており、北海道十勝地方にある芽室町の「十勝ブランド」の農産物を利用できるというメリットがある。 
そのメリットが受け入れられ、3社共同での出資によって「株式会社九神ファームめむろ(資本金1000万円)」の設立が完了し、2013年2月に就労継続支援A型事業所として北海道道知事より認定を受け開所した。 
やりたい想いだけではビジネスにはならない
需給能力のイメージ

少し話が逸れるが、今回九神ファームめむろが設立できたことにはわけがあると考える。当然であるがやりたいという想いだけでビジネスは成功しない。 
必ず「内的欲求」「内的能力」「外的需要」の3つの需給能力が満たされた時に成功すると筆者は考える。 
内的欲求…自分がやりたいこと、企業・自治体がやりたいことなど
内的能力…自分ができること、企業・自治体ができること、持っているアセット
外的需要…外部の人・企業・自治体からの要求
今回のケースを簡易化して考えると、芽室町がやりたいと思っている障がい者雇用の促進(内的欲求)が必ずしも企業がやりたいことと一致しているとは限らない。それは障がい者を行うビジネスは運営や教育のノウハウが無ければ簡単に利益を出すことができないからだ。 
そこで町としてできること、アセットは何か? 
それは北海道の「十勝」の農産物という大きなブランドである(内的能力)。このブランドを生かし たいと考え(外的需要)、生かすことによってビジネスを成り立たせることができる企業を探したことが成功の要因である。
九神ファーム内工場
与えられる側から与える側へ
工場内では当日はじゃが芋の、皮むき、芽の取り除き、カット、洗浄などを行っていた。そこで働く方々は皆すごく楽しそうな表情をしていた。 
皮が残らず、無駄に削りすぎないように、でも誰よりも早く皮をむくということにこだわる人。芽を取り除く作業で芽以外の部分を極力取らないように丁寧に作業をする人。なかには、「以前働いていた職場では楽しくなかったが、ここで働き始めてからは働くことが楽しくて辞めたいと思ったことは一度もない」と言う人もいた。 
九神ファームで働く山本雄大さんに話を聞いた。 
「ここで働くきっかけは友人が働いていて、その友人が良いところだと言っていたからです。でも今働いているのは、九神ファームには自分のことを理解してくれる人がたくさんいて、相談もできるからです」 
そう話をしている最中も、じゃが芋をカットする手は止まらない。 
九神ファームで働く山本雄大さん
彼らにとって働く場がなかった時は与えられることが多かった。しかし働き始めてからは与えることができるようになった。 
初任給で親にほうきをプレゼントした人がいた。働き始める前はいつも部屋を汚していて、親がほうきで掃除をする姿を見ていて、それで感謝の心をこめてほうきをプレゼント。「親もこんな嬉しいことはないですよね」と宮西町長は言う。 
与える楽しさを知った人はますます本気で働く。そして初年度からしっかりと工賃を払ったうえで黒字を達成した。 
「これは障がい者の働く気持ちを理解し、そして彼ら一人ひとり自信を持って働くことができる場を提供し、働く人への理解を持ち続けているという企業努力のおかげだ。本当に感謝したい」と宮西町長は言った。 
仕事があることの大切さ
一番初めの問いかけに回答したい。なぜこれほどまでに高い給与を支払うことができるのか? 
これは決して、芽室町が補助金を出しているからではない。芽室町は就労を希望する障がい者の情報提供や、農地確保の交渉支援などを行っているが、補助金は出してはいない。 
就労継続支援A型事業所で給与が安くなる傾向にあるのは、働く時間が短いからである。 
A型事業所は決められた時間当たりの最低賃金(北海道は786円)を払う必要があるため、「給与が安い=働く時間が短い=仕事があまりない」という構図が出来上がる場合が多い。 
多くのこういった事業は売りたいものを作り、結果として売れないという失敗事例が見られる。しかし、九神ファームめむろでは企業が欲しいものを作るという販路を確保してから事業を検討していくという逆転の発想をしている。 
それはクック・チャムに卸すための農産物加工と販売という、販路が確保されているということだ。だからこそ、「仕事がある=働く時間が十分にある=給与をしっかりと払える」という流れで高い給与を支払うことができるのである。 
また、これだけを聞くと、仕事があるから給与が高いなんて当たり前だと思われるかもしれない。しかし、クック・チャムもビジネスをしている。そのため、どんな商品でも買うわけではない。 
九神ファームめむろでは、衛生管理や品質管理、商品数の拡大という企業努力を常に行っている。商品数の拡大に関しては当初はチルドポテトの加工から始まり、ごぼうサラダの加工、さらには切干大根の加工や、豆の加工など徐々に増やしている。 
増やすと聞くと簡単そうだが、設備投資だけではなく教育が必要になる。その障がい者の方々への教育を障がい者のリーダーが行う。切り方であったり、チェックをするポイントであったり。そういった教えることによって、また彼らの自信につながり、働く意欲のさらなる向上につながる。 
後悔が紡ぐ次への一歩

http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/a/4/250/img_a4ab0f1a171e5755e2fdf92cb85153d716980.jpg

これほどまでに素晴らしい取り組みをされている宮西町長には大きな後悔があるという。 
「こんなにも障がい者の方々の笑顔と、あふれる自信を目の前にして、本当にやってきて良かったと思える。しかし、なぜもっと早くに始められなかったのか、なぜもっと早く始めようと思わなかったのか」。そう語る宮西町長の目頭が熱くなる。 
最後に宮西町長に次の一歩について聞いてみた。 
「九神ファームめむろもまだまだ課題は残るがなんとか形になってきた。しかしこれで終わりではない。こういった取り組みをしっかりと世の中に発信し、他の町での展開に寄与したい」 
その想いを胸に芽室町は2017年2月25日に東京・新宿で400人規模の観客に対して、取り組みの紹介や野菜をカットするデモなどを行い大盛況であった。 
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49349 

 

 
3月10日の海外株式・債券・為替・商品市場
西前明子
2017年3月11日 06:59 JST

関連ニュース
NY外為(10日):ドルが対ユーロで下落、雇用統計で大幅な伸びなく
米国株(10日):上昇、雇用統計受け順調な利上げ可能との見方
2月の米雇用者数:23万5000人増、予想上回る−賃金の伸び加速
ECB、QE終了前の利上げあり得るかどうかを協議−関係者

欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は 次の通り。

◎NY外為:ドルが対ユーロで下落、雇用統計で大幅な伸びなく
  10日のニューヨーク外国為替市場ではドルが対ユーロで下落。2月の米雇用統計が高まっていた期待を上回るほどの内容を示さなかったため、ドル売りが優勢になった。欧州中央銀行(ECB)当局者らが債券購入プログラム終了前の利上げがあり得るかどうかを検討したと、事情に詳しい複数の当局者が明らかにしたことはユーロ買いを誘った。
  米労働省が発表した2月の非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比23万5000人増と、ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は20万人増を上回った。平均時給は前年比で2.8%増加した。市場では来週の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25ポイントの利上げが決定するとの見方が強まった。
  ニューヨーク時間午後4時10分現在、ドルは対円で前日比0.2%下げて1ドル=114円73銭。ユーロに対しては1.1%下げて1ユーロ=1.0688ドルとなっている。

◎米国株:上昇、雇用統計受け順調な利上げ可能との見方
  10日の米株式相場は上昇。2月の雇用統計を受け、金融当局は順調な利上げが可能で、将来ペースの加速を迫られることはないとの見方が広がった。
  ニューヨーク時間午後4時過ぎの暫定値では、S&P500種株価指数は前日比0.3%高の2372.60。週間では7週ぶりの下げとなった。ダウ工業株30種平均はこの日44.79ドル(0.2%)上げて20902.98ドル。
  米労働省が10日発表した2月の非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比23万5000人増。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は20万人増だった。前月は23万8000人増(速報値22万7000人増)に修正された。

◎米国債:上昇、雇用統計後も利上げ軌道の見通しは変わらず
  10日の米国債相場は上昇。2月の米雇用統計が発表された後も利上げ軌道の見通しはおおむね変わっていない。国債は週間ベースでは下落。
  ニューヨーク時間午後3時27分現在、10年債利回りは3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.58%。ここ2週間の米国債売りは、連邦公開市場委員会(FOMC)が3月15日に利上げを実施するとの観測の高まりが背景。
  TDセキュリティーズのストラテジスト、プリヤ・ミスラ氏は「米国債市場には安ど感が広がっている」と指摘。「FOMCは3月の利上げが可能になるが、年内3回利上げというテーマは変わらない」と述べた。
  米労働省が発表した2月の非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比23万5000人増。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は20万人増だった。前月は23万8000人増(速報値22万7000人増)に修正された。

◎NY金:9日続落、好調な米雇用統計で利上げ期待に拍車
  10日のニューヨーク金先物相場は9営業日続落。2015年7月以来の長期下落局面となった。朝方発表された2月の米雇用統計で労働市場の改善継続が示され、年内の利上げ見通しが一段と強くなった。
  オーバーシー・チャイニーズ銀行(OCBC)のエコノミスト、バーナバス・ガン氏は10日付のリポートで、「差し当たっての問題は、利上げが実施された後の環境だ」と指摘。市場参加者は次の利上げ時期をうかがうことになるが、欧州諸国の選挙を巡る不透明性が強いことやトランプ政権の政策に関する詳細が不足していることを踏まえると、金相場の下落は短命に終わるかもしれないと説明した。
  ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は前日比0.1%安の1オンス=1201.40ドルで終了。週間では2%下げた。
  銀先物は下落し、週足でも前週に続き下げた。パラジウム先物は10月以降で最長の4週連続の下落となった。プラチナ先物は2週連続で値下がりした。
原題:Gold’s Dismal Week Has Investors Asking What’s After March Hike(抜粋)

◎NY原油:大幅続落、米在庫増で週間の下げは11月以降で最大
  10日のニューヨーク原油先物市場ではウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物が大幅続落。週間での下げは昨年11月以降で最大の9.1%となった。石油輸出国機構(OPEC)加盟国・非加盟国の減産合意から3カ月かけて積み上げた価格上昇は、米在庫の急増で失われた。
  USバンクでプライベート・クライエント・グループの地域投資マネジャーを務めるマーク・ワトキンス氏(ユタ州パークシティー在勤)は、「今週発表された在庫の高い数字を、まだ市場は消化しきれていない」と指摘。「この数字がもたらしたショックで市場は50ドル割れを模索し、そして割り込んだ。今後2週間は激しい動きとなり、45ドル水準に下げることもあり得る」と述べた。
  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物4月限は前日比79セント(1.60%)安い1バレル=48.49ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント5月限は82セント(1.6%)下げて51.37ドル。週間では8.1%値下がりした。
原題:Oil Caps Worst Week Since November as U.S. Supply Glut Expands(抜粋)

◎欧州株:上げ幅縮小、ECBがQE終了前の利上げ検討との報道で
  10日の欧州株式相場は上げ幅を縮小し、ほぼ変わらずで終了した。欧州中央銀行(ECB)が国債購入プログラムの終了前に利上げか可能かどうかを協議したとの報道があったことが背景にある。
  指標のストックス欧州600指数は前日比0.1%高の373.23で終了。週間ベースでは0.5%下げた。
  事情に詳しい複数の関係者が明かしたところによれば、ECBは9日の政策委員会で、非伝統的な金融政策の解除に関するコミュニケーションと解除の順序について意見を交換した。
  オランダのAEX指数は2007年12月以来の高値で終了。アクゾ・ノーベルは4.7%上昇。米PPGインダストリーズが新たな買収案を提示する準備を進めていると、同国紙フィナンシエール・ダフブラットが匿名のPPG幹部を引用し伝えた。
  個別銘柄では、英通信会社BTグループが3.7%値上がり。規制当局の要請に応じ、ネットワーク部門オープンリーチを分離して別会社にすることで合意した。
  ストックス600の業種別指数では、石油・ガス指数が上昇率首位。前日まで4日続落していた。
原題:European Stocks Pare Gain on Report That ECB Discussed Rate Rise(抜粋)
EUROPEAN WRAP-Stoxx 600 Steady as ECB Said to Discuss Rate Rise(抜粋)

◎欧州債:ドイツ債が下落−ECBがQE終了前の利上げ協議との報道で

  10日の欧州債市場ではドイツ国債が大幅下落。欧州中央銀行(ECB)が債券購入プログラム終了前に利上げが可能かどうかを協議したと伝わり、終盤に下げ幅を拡大した。
  ドイツ国債は3日続落。日中の大半は狭いレンジ内での取引だった。5年債が大幅安、利回りは8bp前後上昇。5年債と30年債の利回り格差は6bp強縮小。
  スペイン超長期債も売られ、5年債と30年債の利回り格差はスティープ化−発表された国債入札に30年債も含まれていたことが売り材料。
原題:ECB Rate Talk Riles German 5Y; End-of-Day EGB Curves, Spreads(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-10/OMM1QO6VDKHT01

http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/102.html

[原発・フッ素47] 廃炉について、デマと誤報を乗り越えるための4つの論点 2号機650シーベルト? マスコミや専門家の機能不全が2次被害
2017年3月11日 開沼 博 [社会学者]
廃炉について、デマと誤報を乗り越えるための4つの論点
(上)

3.11から6年。いまだに福島第一原発を巡っては誤報やデマが頻発し、福島の復興を遅らせ、廃炉作業の足も引っ張っている。廃炉が一筋縄でいかないことは事実。しかし、事実を正確に知ったうえで、「性急に判断せずに粘り強く議論を続ける」姿勢が醸成されれば、道は開けていくはずだ。(社会学者 開沼 博)

今も止まらない誤報・デマ
2月に起きたドタバタ劇

 650シーベルト――。2017年2月、東京電力福島第一原発(以下、1F)では、2号機の内部を調査する過程で過去にない高放射線量が検出された。新聞はこぞって「その場に数十秒いただけで死に至るレベル」などと報じた。


廃炉作業は非常に多岐にわたり複雑だから、多くの人が口をつぐむ。かと思えば、いきなり恐ろしげな誤報やデマがネット上で出回る。圧倒的に不足しているのは、現状の正確な情報。そして、性急に「シロ」か「クロ」かを判断するのではなく、粘り強く議論を続ける姿勢が必要だ 写真:代表撮影/ロイター/アフロ
 たちまち、1Fは「絶望の淵に立たされた」存在に立っているかのように扱われた。海外メディアは福島全体、あるいは東京までも放射線量が上昇したかのように報じ、再び原発事故が起こっているかのように語られすらした。明らかな誤報・デマの嵐に、米原子力学会はそれらの報道を「明らかな間違い」と冷静に対応するように声明を出したほどだ。

 しかし、それは単なる誤報・デマで止まらない。韓国の済州(チェジュ)航空は、今月18日に福島空港を出発、仁川空港に着いてソウルに向かい、20日に再び福島空港に到着するツアーのチャーター便を運行する予定だった。

 しかし、1Fの放射線量の「上昇」を受けて福島空港発着を拒否。福島空港ではなく仙台空港を利用するよう、ツアー主催のHISに要求し、客室乗務員も搭乗を拒否した。インターネット上では、済州航空への非難の声が上がったという。これを受けて日本政府は、韓国政府に3度に渡って抗議するも埒があかず、結局、HISは運航航空会社を日本航空に変更した。用意していた185席は、ほぼ満席だった。

 福島空港の放射線量は国内外の空港と同レベル、というか、むしろ福島空港よりも高い空港はいくらでもある。

 3.11前には福島空港から韓国への定期便が存在したが、6年間止まったままだ。日本全体ではインバウンド観光の激増が喜ばしい話題として扱われるが、福島は完全に取り残されて6年間を過ごしてきた。日本全体の外国人観光客数は、10年に比べて15年は238.5%と飛躍的に伸びた。しかし、同期間で福島県への外国人の観光客は58.7%へと減ったまま。その差は大きい。

2号機650シーベルトを
どう捉えるべきか?

 では廃炉の現場で働く者たちは、この2号機内部の650シーベルトをどう捉えたのか。彼らの言葉に耳を傾けてみると、意外な反応が返ってくる。

 端的に言えば「特にどうとも捉えていない」人が大部分。むしろ、これまで誰も見たことがなかった未踏領域への到達を喜ぶ声さえ聞く。

 当然だ。今になって1Fの構内で放射線量が上がったという事実は微塵もない。むしろこの6年間、構内の放射線量は下がり続け、空間を飛ぶ細かいチリ、ホコリの放射線量も都内・霞が関周辺と同程度になっている。

 原発の運転中は、原子炉内部で650シーベルトどころではない高放射線量が日常的に存在する。問題は、それを外部に漏れ出ないように隔離できているかどうかだ。今回、650シーベルトを発見できたのは、作業が進み、厳重に外部に漏れ出ないように隔離されていた原子炉を格納する容器の内部まで、遠隔操作をもって計測しに行くことができたからだ。

 もちろん、安全だという話ではない。そこに人間が行けば「その場に数十秒いただけで死に至るレベル」のは間違いない事実だ。ただ、原発が運転していた状態から6年たち、原発内で発生する熱エネルギーも放射線量も当然大きく減り、なおかつ、その放射性物質がザルのようにバンバン外に漏れ出る状態ではないことは自明だ(もし内部の放射能が外に漏れ出る構造にあったら、むしろ、もっと内部の放射線量は下がっている)。

 誤解を恐れずに例えるならば、「エベレストに登りました、人が長時間そこにいれば死に至るような過酷な環境がそこにありました」と言っているようなものだ。エベレストの未踏領域に行けばそういう状況があることは、その山を登る人は当然知っている。それがどのような環境なのか、はじめて現場に行って具体的にわかりました、やっとそこまで到達したんですねという話だ。

 もし、いま稼働している火力発電所のタービンの上に行って「ここに人がいれば数秒で死にます」と言えば「そりゃそうだ」と答えるだろう。元からそこにあった、わざわざ人が行く必要もない場所でもある。650シーベルトが見つかったことは「大発見!」などではない。

 先に言っておくが、今後作業が進む中で、もっと高い線量が出る可能性は高い。それは、作業が核心部の未踏領域に近づき、「Unknown」が「Known」になるからだ。例えば、1、3号機は今回調査した2号機よりも溶け落ちた燃料の量は多いと言われている。より事故状態の時間が長かったのだ。そういう事実関係を事前に把握しておく人がどれだけいるかどうかで、受け止め方は変わる。誤った方向に社会が進むリスクは減る。

マスコミや専門家の機能不全が
福島に「2次被害」をもたらす

 デマと差別は、無知と不安から生まれる。「その場に数十秒いただけで死に至るレベル」という情報自体は、正確な事実。ただ、それを聞いて、デマを含めた誤った情報が世界に流通するのは十分事前に想定できた話だ。

 一方、「6年経ってやっと作業がそこまで進んだのか」という現場の認識も正確な事実。しかし、両者には大きな乖離がある。どちらを考え、判断するためのモノサシとするのかで、社会が進む方向は大きく変わる。今回は明らかに被災地・被災者への偏見を助長し、済州航空の一件のような、具体的な経済的損失も出したと言わざるをえない。

 本来、メディア=媒介はこういうモノサシが複数存在する現象に対して、ズレた複数の世界観同士をつなぐ役割をもっているはずだった。専門家の役割もそう。しかし、福島の問題、とりわけ廃炉の問題についてはその役割が機能していない。

 いわゆる「風評被害」と呼ばれる福島忌避による経済的損失や、それを引き起こすデマ・差別は問題だと世間は言う。ではそれを何が作り出しているのかと言えば、バランスの取れた世界観を得られずにいる世間自体でもある。背景に、モノサシの機能不全があることは明らかだ。

 福島からの避難者へのいじめもそうだ。「福島から来たお前は菌だ、病気になる」と言われるのは、子どもの無知が原因だということになっている。だから、道徳の教科書を読ませておけば、いじめはなくなるという対処療法がとられている。しかし、あまりに皮相的かつ責任転嫁も甚だしい対応だ。これは大人自身の問題だ。大人が「福島から来た人間や一次産品が汚染されていることはない」とモノサシ・根拠をもって言い返せる前提がなければ、今後も問題は続く。

 3.11以降、日本はその前提を整えて来なかったから、現にそこに起こった災害・原発事故そのものとはまた別の、2次被害が起こっている。

 前置きが長くなった。1Fには6年たっても福島に残った問題、そして今後も中長期に渡って残り続ける問題が凝縮されている。安全かどうかを大声で叫び合う前に、「不安だ」「とんでもないことになる」「廃炉なんか無理なんだ」と錯乱する前に、そもそも私たちはどういうモノサシを持って、現実に向き合えばいいのか考えておくべきだ。以下、いくつか1F廃炉が抱える課題をあぶり出しながら、私たちが持っておくべきモノサシをまとめる。

論点1:外れ続けてきた
1Fへの「負の予言」

 最初に取り上げたいのは、1F廃炉の失敗を願う人々が喧伝する「絶望の象徴」化だ。

 1Fが「絶望の淵に立っている」という設定で語られたのは、今回の「650シーベルト大発見!」問題に始まったわけではない。オオカミ少年が「オオカミが来た」と何度も叫ぶように、「1Fは絶望の淵に立っている」と叫ぶ声が何度も聞こえてきたのが1Fの6年間だった。

 例えば、「大量の被曝による廃炉作業員の人員不足で作業が継続できなくなる」「4号機が崩壊して使用済み燃料が原子炉建屋の外にこぼれ落ちて再避難」「多核種除去設備(ALPS)が完成せず汚染水問題は窮地に陥る」といった話が、その時々のトレンドになる。

 マスメディアはそれを匂わす。SNS等はそれをデマ混じりに拡散する。「4号機 崩壊」などで検索していけばその残骸はいまでも観察可能だ。それを見れば「このままいけば、日本滅亡」とでも言わんばかりの、煽りと虚偽にまみれたものが多数存在することに気づく。喜々としてネガティブな情報だけを選別してTwitterなどSNSで流し「こういう話を求めていた。これが福島の現実だ」などと、したり顔をする「有識者」「思想家」も多数いた。

 しかし実際には、作業の進捗と時の経過のなかで、それらの予言は外れ続けてきた。現在、作業員の確保も4号機もALPSも、安定的な状態にある。

 もちろん、それは現場での多大な努力があったからだ。人員確保も4号機の安定化も多核種除去設備の稼働も、様々なリソースを結集したからこそ成立したことだ。手放し無策のままでも大丈夫でした、という話ではない。

 ただ、この手の予言が厄介なのは、無責任なオオカミ少年たちが手を替え品を替え、デマを通して恐怖の共感を集めようとする中で、本当に必要な課題への注視がなされず、必要な手立てが看過されてしまうということだ。

 そろそろ外れたことが明らかになる予言は「凍土壁は絶対に失敗する」というものだ。凍土壁が完成すれば、汚染水管理などの大きな課題の解決に向けて前進することは間違いない。ただ、ここから先に問題となるのは、膨大な量のタンクに貯蔵されている浄化済み水の処理とデブリ取り出しという、具体的な、より難度の高い課題だ。

 そもそも原子力規制委員会もしばしば指摘してきたことだが、凍土壁は根治療法ではない。よりハードルの高い課題を解決すべき状況が目の前に迫ってくるということこそが、私たちがもっと早い時期から意識すべきだったのを、「予言」は覆い隠してしまう。

 1F廃炉の話は難しい。だから多くの人が口をつぐむ。饒舌に話す一部の人間の言葉には、明らかな偏りがあった。一般レベルでの1F廃炉を取り巻く言説は、その失敗を願う人ばかりに固められてきた。失敗を願って拝んでいれば思考停止できるから楽だ。デマには事実を持って反駁し、失敗を願うことしかしない思考停止の愚者は放っておけばいいが、一方で、いかにすれば前に進むのか頭を悩ませ、汗をかく人の層を厚くしていく必要がある。

「失敗か成功か」の二択クイズでは
廃炉の真実は見えてこない

 先日の2号機内部のサソリ型ロボットによる調査は最終的に想定していた作業を完了できず、結局、ケーブルを切って内部に放置することになった。その後開かれた記者会見では、どうにかして東電の担当者に「失敗した」と言わせようという問答が繰り返された。東電が「成果があった」という態度を取り続けたからだ。

 果たして失敗したのか、それとも本当に成果があったのか。ここでも正しいモノサシでもって考える姿勢が必要になる。

 途中でロボットが動かなくなったということは、当初の想定通りにことを進めるという意味では明確に失敗だった。一方で、今回は1F内部の情報を、カメラなどを入れながら細かく捉えることが目的であり、その意味では、一定の成果があったとも言える。

 東電が「失敗しました」と涙を流しうなだれる姿を見たい人はいまでも多いだろう。それでスッキリする人もいるかもしれない。ただ、この問題を追いかけ続け、どうにかしたいと思っている私にとっては、そんなものを見せられても何の得もない。知りたいのは、どんな情報が取れて、それがどれだけ意義あるもので、次の工程にどんな影響を与えるのか、ということだ。近日始まる予定の1号機内部の調査をはじめ、デブリ取り出し前の作業の今後につながる何かがあるのかということだ。さらに、それがどのように地域の復興に影響しうるのかということだ。

 成功か失敗か、という二択クイズをやっていては見えてこない、クロともシロともつかないことの中で、私たちは考え続けなければならない。同じようにシロクロで評価できない出来事は、今後も繰り返し起こるだろう。

 廃炉費用は21.5兆円で、当初想定していた額の倍になった。これは問題だ。電力消費者や国民の負担が出ることの正統性も、熟議されるべきなのは当然である。一方で、「こんな膨大な額の無駄遣いはだめだ。削減しろ」とでも言わんばかりの議論がある。

 では単純にカネをかけない、そして、技術もヒトも集まらなくていい、という話になったらどうなるか。ただでさえ30〜40年かかると言われる廃炉の計画がさらに長期化するだろう。「そもそも30〜40年なんて無理なんだ」という議論もあるが、現状ですら無理である可能性があるものが、さらに難易度を増すということだ。

 いかに効率的にカネをかけるか、あるいはこれだけの額をかけるからには、いかなるアウトプットを得られるのか。こうしたことを具体的に考えるには、相当な知力体力が求められる。

 とは言っても、普段から経済政策や外交防衛、医療福祉を考えて議論するのと大きなレベルの差はないと思う。ただし、最初に学んで前提知識をつけるためのツールが、廃炉に関しては大きく不足しているのも事実だった。だから私は『福島第一原発廃炉図鑑』という本を昨年刊行した。「いかにすれば前に進むのか頭を悩ませ、汗をかく」というモノサシをもち、思考停止しない人が求められているからだ。

>>(下)に続く
http://diamond.jp/articles/-/120900


2017年3月11日 開沼 博 [社会学者]
廃炉について、デマと誤報を乗り越えるための4つの論点(下)

>>(上)より続く

論点2:ほかの被災地の6年遅れで
福島の復興は始まる

 次に、福島問題のターニングポイントとなる、廃炉の3つの作業について取り上げる。

 今年は福島復興・1F廃炉にとって大きな転換点になる。復興から5年の節目だった去年よりも、今年の重要性は遥かに大きい。というのは、1Fとその周辺地域における実質的な復興作業が始まる年と言っていいからだ。具体的には、「相当な範囲で避難指示解除がかかること」と「廃炉作業の主軸が、汚染水対策から原子炉内の燃料取り出しに移っていくこと」の2点がある。

 まず、相当な範囲で避難指示解除がかかることの意味は大きい。3.11後の福島では、1Fから半径20km以内を中心に立ち入りができない警戒区域が設定され、その後、避難指示解除準備区域、居住制限区域、帰還困難区域の3区域に再編され今に至る。いずれの区域も許可なしに居住はできないが、汚染の度合いの低い避難指示解除準備区域、居住制限区域の避難指示が解除されることになるのが今年だ。

 ここで何が起こるのかというと、端的に言えば、宮城、岩手、その他地域も含む地震・津波被災地域が11年からはじめていた生活の復興、つまり仕事や教育、医療福祉の再建と、それらを基盤にしたコミュニティづくりを、6年たったいまから後追いで始めるということだ。

 6年間も人が住まなかった地域は、あらゆるものが消滅している。店も病院も人のつながりも、もっと目に見えない、例えば地域の魅力や、そこで暮らす人の生きがいのようなものも。建物の老朽化もひどく、取り壊される家も多いだろう。津波で流された町の再建ももちろん大変だが、原発被災地には廃炉の仕事で3.11後にやってきた人や、避難先との往復を続ける2拠点居住をする住民もいて、また別な課題が山積する。

 もう1つが、廃炉作業の主軸が汚染水対策から原子炉内の燃料取り出しに移っていくこと。ニュースなどを見ていてわかるだろうが、この6年間あらゆるリソースが集められてきた汚染水の問題に一定の目処がつき、いよいよ原発内部の本格的な調査が始まっている。これは汚染水対策から燃料取り出しへと軸が移りつつつあることを指す。

汚染水対策が一段落して
燃料取り出しに焦点が移った

 福島第一原発で何が起こっているのか。断片的な情報が飛び交い、総括的な議論がなされる機会が少ないので混乱している人も多いかもしれないが、基本的には以下の3つの作業が行われていると考えればよい。

(1)汚染水対策
(2)燃料取り出し(使用済み燃料&燃料デブリ)
(3)解体・片付け

 よく分からない動きがあっても、基本的にはこの3つの作業につながることをやっている。そういう目でニュースを見ればいい。いずれも廃炉工程が続く限り必要な作業だ。

 1つずつ見てみよう。まずは(1)汚染水対策。これが一定程度落ち着いたのは、話題の中心から去ったということだけではなく、例えば、1F内部で働く人の数からも読み取れる。昨年度までは1F内では7000〜8000人程度の人が働いていた。これは凍土遮水壁の設置工事や、事務作業をする建物などの土木・建設工事が大掛かりに行われていたからだ。しかし、それらが終わった今年度は6000人ほどに減っている。作業が労働集約的なものから、燃料取り出しのような、より知識集約型のものに移りつつつあるからだ。

 (2)燃料取り出しには、2種類あることは押さえておきたい。1つが使用済み燃料の取り出し。これはその名の通り、一度発電で使ってエネルギーを失っている燃料だ。4号機ではこの燃料の取り出しが終わっている。次は3号機で取り出し作業が行われる予定で、近いうちに動きがあるのでニュースでも報じられるだろう。

 もう1つがいわゆる「燃料デブリ」、溶け落ちた燃料の取り出しだ。これはややこしい。今はどういう戦略で戦うのかを、事前調査をしている段階。具体的に取り出し作業をするのは20年の東京五輪以降になる。

 ちなみに、今も土木工事は続いている。どこで続いているかというと、航空写真で見るとわかるが、福島第一原発構内の北側、自治体で言うと双葉町側の森だったエリアで廃棄物を保管・処理するためのスペースを作っている。森だったところは全部木を切って、整地されている。そこには、これまで6年間の作業で使った、いわゆるタイベックスーツ(防護服)や構内で出た汚染の低い廃棄物を置く。

 (3)解体・片付けは、最終的には、取り出した燃料や建屋自体にも及ぶ。それらを私たちは最終的にどう処理するべきなのかは、まだ全く議論を始められていない。次世代以降に押し付けないためにも、議論だけでも始めておく必要がある。

 (1)汚染水対策、(2)燃料取り出し(使用済み燃料&燃料デブリ)、(3)解体・片付け――。この3つ作業のうち、何がどこまで進んでいるのか、いま起こっているトラブルはどの作業のトラブルで、他の作業にどんな影響をおよぼすのか。そんなモノサシを持って見ると、今後1Fで起こることの根本的な問題を把握しやすくなるだろう。

論点3:最先端の優秀な人材が
廃炉作業に集結するか?

 次に見るのは、必要な人材について。これも新たな戦略が必要な時期になっている。

 ここまで述べたように、時間の経過とともに作業の内容も質も変わってきている。はじめは土木作業などが中心で、とにかく頭数が必要だった。現場の放射線量も高かったから、一人一人が長時間働くにも限界があった。

 しかし、現在の作業は、また別の人材の確保が必要になってくる。1つは高度な技術を研究・開発し、イノベーションを起こし続けるような人材。燃料取り出し、特に燃料デブリの取り出しには高性能ロボットやドローン、バーチャルリアリティ(VR)など、先端技術が関わってくる。それらを操ることができるかどうかで、作業進捗は大きく変わる。

 石棺化したチェルノブイリの事例のみを見て「人類に燃料デブリ取り出し実績なし」と思っている人もいるだろうが、過去に原発事故後の燃料デブリ取り出しの実績はある。1979年に起きたスリーマイル島原発事故の処理だ。1Fでのデブリ取り出しに関する予算や工法は、スリーマイルを参考にして試算されている。

 社会に存在する技術は、当時よりは充実していることは言うまでもない。それはアドバンテージだ。一方、スリーマイル島原発事故と違い、3つの建屋が同時に事故を起こしている上に、原子炉内部でのデブリの溶け方に関しては、明らかに福島のほうが状況が悪い。つまり、作業は圧倒的にしづらい。ここはディスアドバンテージだ。アドバンテージを享受しつつ、ディスアドバンテージをクリアして廃炉を進めるためには、先端技術に精通した優秀な人材が必要になる。

 それでどうやって人材を集めるのかということだ。紋切り型すぎる言い方かもしれないが、分かりやすく言えば、グーグルやアップルに行くような、あるいはトヨタや日産に行って自動運転をやりたいというようなレベルの人材だ。最先端技術を開発しながら実用化に落とし込む知識と技術力が求められる。

 昔は、宇宙産業などと並んで原発も最先端技術だった。しかし、今の福島にそんな人材が集まるだろうか?「厳しい」――これは現場で働く多くの人が口にすることだ。廃炉という後ろ向きな作業に、若くて野心ある人材が集まるのか。しかし、これはどうにかして集めなければならないし、集めれば廃炉作業は様々な展開が可能になる。

地元出身人材の確保も
廃炉の未来を左右する

 さらにもう1つ、必要な人材がある。長期にわたる作業を地元に根づいて支える人材だ。現時点で1Fで働く人のうち、地元住民の割合は5〜6割程度だ。

 原発内には様々な業務がある。原発作業と言われて多くの人がイメージするような仕事ばかりではない。6000人が働く場所だ。自動車整備工場やガソリンスタンド、コンビニや食堂もあるし、ガードマンもいる。こういう作業を長期に渡って支える地元人材の層が厚いことは、作業の中長期の安定につながる。

 しかし、この地元人材の確保も、現状は厳しい部分がある。決して魅力ある労働環境ではないから、人が定着しないのだ。

 現在、1Fで働く人の多くは午前3時、4時から起きる生活をしている。1Fと、住宅地やスーパーなどが充実しているいわき市などの居住地が40km以上離れているような人も多く、通勤に時間がかかる。

 さらに、全面マスクにタイベックといった格好での作業が続いた時期が長く、夏場の熱中症が労働災害として多かったことも、この早朝の涼しいうちから働きだす慣習につながっている。それが冬でも変わらずに定着した。1F構内に何時に何人入っているのか、というのは各作業員がつける線量計の貸出数で推計できるが、それによれば、ピークは朝9時、10時。つまり、夜明け前に現場に入り、昼前には作業を終えて帰るというリズムで生活をしている人が多いことがわかる。朝は渋滞も起こるから、我先にと現場に入る。

 まだ若くて独身だったり、子育てが終わった世代ならまだしも、そうでない人には厳しい勤務条件だ。

 この問題を解決するには、家族と住んでも生活に不便がなく、通勤もしやすい場所に町がないとだめだろう。ただ、その復興の見通しはまだ立っていない。先に述べた通り、1F周辺の地域の復興はやっとこれからはじまるのだ。

 そういった意味では、1Fの構内=「オンサイト」だけを見ていては、廃炉の全体像は見えない。「オフサイト」も含めた全体像を見る必要がある。そして、廃炉を直接担っている、そこで働く人々にとって、そこでの生活がどれだけ魅力があるものになるのかが問われる。

 そこに求められているものを端的に言えば、「夢」だ。私は1Fの状況を呑気に楽観視しているのではない。しかし、ネガティブな課題の中に、いかに創造性や最先端性を見い出せるのか。あるいは、周辺地域の生活に子どもたちとの未来を感じること、老後も住む魅力を感じることができるのか。実際に、3.11以前は、長年発電所で働いた技術者が生活環境がいいからと、わざわざ双葉郡に移住するケースもあった。廃炉が未来に「夢」を描ける形で進んでいるのか、いないのか。そのモノサシは現場の人はもちろん、それを外から見る私たちにも求められる。

論点4:廃炉が無事に済んだら…
豊洲問題から1Fを考える

 最後に、議論されてこなかったことだが、意識しておくべき問題に触れる。仮に、1Fの廃炉が進んでいったとして、最終的にあの場所をどうするのか、という問題だ。

 当然、東電は答えを用意している。「更地にして返す。それが福島の被災者との約束だ」と。事故当事者である東電の立場からそう言うのは当然だ。地元住民の中にも、そうしてもらわないと困るという心情が確実にある。

 しかし、更地にして返すことだけが唯一のゴールなのかというと、議論の余地はある。

 ここで言う更地を「グリーンフィールド」と呼ぶことがある。これと対になる「ブラウンフィールド」という言葉もある。グリーンフィールドとは廃棄物、汚染物質などが残っていない環境になった土地のことだ。一方、ブラウンフィールドとは一定の汚染が残っている土地を指す。厳密な定義の議論はあるが、ここでは割愛する。

 分かりやすくするために、あえて話を時事ネタに飛ばす。私たちは築地市場の豊洲移転問題で気づいたことがある。日本国内で何らかの施設を開発するのに有用な土地で、完全にグリーンフィールドの土地がどれだけあるのかということだ。東京だけではない。地方でも、よほどの過疎地に行っても空き地・山林に産業廃棄物が置かれているのを目にすることは多い。

 豊洲移転の話を私たちが初めて知った時に、まずは完全にきれいにするべきだと思ったのは当然だ。しかし、その汚染のレベルが、飲水の環境基準で見てどうなのか、コンクリートで遮蔽してどうなのか、という議論が進んでいき、ましてや、汚染を完全になくして更地にするための予算が、青天井と言ってもいいぐらいに膨れることを知る中で、立場は分かれていく。

 じゃあ、豊洲はやめにしよう、築地こそがゼロリスクだ、と思って話を進めようとしたら、戦後進駐軍のクリーニング店があった影響で汚染土壌が見つかり、でもそこで長年飲食物を扱ってきた事実もあり…。そんな話が繰り広げられる。

 この件についてこれ以上議論は深めない。グリーンフィールドだけがベストアンサーではない、という視点は、私たち素人には持ちにくい。事実として、豊洲を当初そうしようとしたように、1F跡地もブラウンフィールドにしつつ、リスクを抑える策を最大限施し、折り合いをつけながら利用する可能性を探っていく方法もある。

 ブラウンフィールドでも問題がないと言っているのではない。仮に完全なグリーンフィールドを目指すとして、誰が膨大な費用負担をするのか。他に折り合いをつける方法があるなかで、敢えてグリーンフィールドを目指すとするなら、その社会的合意を誰がどう取るのか。

 1F廃炉についても、そういう議論は視野に入れていく必要がある。21.5兆円。それがさらに増えるという時に、どこをゴールにするのか。その設定の仕方次第で全く先行きは変わる。実質的にかかる費用と、いわば「不安・不満解消費」とを分けながら、どう見ていくのか。これは「理科・数学」の問題ではなく「社会・国語」の問題だ。

 廃炉のゴール設定について、これまで「石棺化すればいい」という議論をしばしば聞いた。この議論には大きく2種類ある。

 1つが「どうせ廃炉は無理なんだから、チェルノブイリのように、とにかく今すぐ周りをコンクリートで固めて石棺化しろ」という感情論レベルのもの。これは論外だ。チェルノブイリの場合は、ああせざるをえなかったし、ああすることで一定の安定状態になる状態だった。しかし、福島の場合は同じことをしても汚染水の問題をはじめ、リスク管理ができなくなる。議論の前提が違うもの(チェルノブイリと福島第一原発)を無理に並べて語ってみたところで、全く的外れな話にしかならない。

 もう1つは、石棺といっても、チェルノブイリのようなものを指すのではなく、一定の手を加えた上で、原子炉やデブリの一部をリスク管理可能な形にして残す、ブラウンフィールド的なものを目指すべきだという議論だ。見た目も、チェルノブイリの石棺とは大きく違ったものになるだろう。

 これは議論としてありえる。デブリを全量きれいに取り出すことができるのか、できるとして、その作業をコスト・リソースを大量にかけてでも完遂すべきなのか。その点を追求していった時に、ここまではやって、ここからはやらない。やらない部分は、例えば、人が簡単には侵入できないように、何かあったらメンテナンスできるように覆いとなる建物で囲むなどする。そういう落とし所を目指す議論だ。

 現状では、デブリを全て取り出し更地にする可能性を追求すべきだ。住民の思いもあるし、あらゆるリソースを投入することに大きな反発はない。しかし、数十年単位で見ればその前提は変わる可能性はある。その中で、リスクとコストのバランスを見ながら柔軟な議論をしていく余地を残しておく必要はあるだろう。

なぜメディアは
デマにつながる報道をしたか

 皆が合意できる点を見つけていく作業を、時間をかけて成熟させて行く必要がある。当然、豊洲移転の問題で指摘されているように、裏でコソコソやるようなことは許されない。徹底的に透明性を確保し、住民の参画も促しながら議論をすべきだ。

 そのためにも、1人でも多くの人が最終的にどうするのか、というモノサシも持つ必要がある。その中で、長期的な先行きが見えてくる。

 冒頭では650シーベルトのデマ報道による2次被害について触れたが、メディアが何の躊躇も反省もなくそうなっているわけではない。

 2月に日本記者クラブが主催する福島視察に全国の新聞・テレビの記者が来た。彼ら一人ひとりを見れば、本当に悩みながら報道している。これは間違いない事実だ。県内メディア、自治体関係者、私のような研究者と違い、日常の仕事があるから、ずっと福島を見ているわけにもいかない。でも、福島や廃炉を伝えなければならないと思っている。

 彼らもどうにか分かりにくいものを分かりやすくしたい、そして多くの人に問題意識をもってほしいとモノサシを提示しようとしている。その結果が残念ながら「その場に数十秒いただけで死に至るレベル」という表現になってしまった。ただ、議論を深めれば「報じないわけにはいかない話だったが、次からは活かしたい」「人が死に至るレベルといった上で、『それが外に漏れることはない』と付け加えればよかったのかもしれない」など、具体的な改善のアイディアが出てくる。こちらも、多くのことを考えさせられた。

 コミュニケーションを取り、学び合いながら次につなげる。これはメディアだけではなく、多くの人が1F廃炉を見る際に意識すべきことだろう。

 福島の復興や廃炉に限った話ではない。あらゆる社会問題は、時間が経つほどに追い続ける人が少なくなっていく。記者も行政官も、数年経てば人事異動で去っていく。ただ、その中で人が変わっても皆で共有する知見の水準を高め、引き継いでいくことを、より意識していく方法はあるはずだ。今後はそのことをますます意識する必要があるだろう。
http://diamond.jp/articles/-/120996
http://www.asyura2.com/16/genpatu47/msg/651.html

[社会問題9] 13歳から7年間、実父から性的虐待…彼女はなぜ全てを告白したのか?「悪魔祓い殺人」後を絶たず、信者に神の声は届かないのか
2017年3月11日 dot.
13歳から7年間、実父から性的虐待… 彼女はなぜ全てを告白したのか?


山本潤(やまもと・じゅん)/1974年生まれ。看護師・保健師。13歳から20歳の7年間、父親から性暴力を受けたサバイバー。性暴力被害者支援看護師(SANE)として、その養成にも携わる。性暴力被害者の支援者に向けた研修や、一般市民を対象とした講演活動も多数行う
 山本潤さんは、父親からの性暴力によって「私」を失った。13歳のときのことだ。それから父親と離れて暮らすようになるまでの7年間、日常的に被害を受けることになる。『13歳、「私」をなくした私〜性暴力と生きることのリアル〜』(朝日新聞出版)には、そんな山本さんが自分を取り戻していく過程がつづられている。表紙の写真が印象的だ。現在の山本さんはこの写真のように自分の足で歩き、生きている。しかし、そこに至るまでには長い長い時間を必要とした。

 看護師・保健師として医療現場で活躍すると同時に、「性暴力と刑法を考える当事者の会」代表も務める山本さんに、本書に込めた思いや願いをうかがった。

――当事者としてみずからの被害、そこからの回復を本として著した背景にはどんな思いがあるのでしょうか?

山本潤さん(以下、山本)「たとえば『痴漢に遭った』『性的虐待を受けた』と性暴力の事実を伝えると、多くの人は大変だったね、つらかったね、と思ってくださるでしょう。でも、被害当事者の内面がどうなっているのかまでには想像が及んでいないと感じます。電車に乗るのが怖くなって通学できないとか、男性を前にすると足がすくむとか症状はそれぞれですが、後の社会生活や恋愛、結婚……つまり人生そのものに多大な影響を与えることを知ってほしいと思いました」

――山本さんもこうして公に被害体験を話せるようになるまでには、ずいぶん時間がかかったようですね。

山本「被害にあっている最中の人、その傷からまだ回復していない人は、自分のことを話せません。思い出すだけで動揺することもありますから。人に話すのはとてもむずかしい……けれど、誰かが話さなければ性暴力被害についての理解はいつまでも得られないと感じています」

 山本さんの混乱は、長くつづいた。深夜、女性ひとりで行くのは危険な場所に出かけ、アルコールに溺れたかと思えば、激しい性衝動に突き動かされて男性と一夜限りの関係をくり返す。つじつまが合っていないようにも見える一連の行動も、山本さんにとっては性暴力被害に遭ったことで失った「私」を取り戻すための“あがき”だった。そのなかには、母親との葛藤も含まれる。

――本書にはお母さまから見た娘の被害、回復、時とともに変化してきた母娘の関係をつづった文も収録されていますね。

山本「子どもが被害に遭ったとき、『親は何をしていたのか』といわれることがあります。家族も影響を受けずにいられないのが性犯罪ですが、特に私たちの場合は、娘に加害したのが自分の伴侶ということで、母の混乱はより大きかったといえます。母の心情から私たちの葛藤までを伝えることで、性暴力被害の全体像がより理解してもらえればうれしいです」

 2005年ごろから山本さんは、性暴力や、被害者への看護ケアについての勉強をはじめる。それは自身で「回復を選択した」からこそ踏み出せた一歩だった。

――そこからの歩みがとても力強く見えましたが、性暴力について、その支援について知ることは山本さんにとって“力”となったのでしょうか?

山本「なぜ自分がこんな目に遭ったのか、性暴力とは何なのか……私は知りたかったんです。がん患者が自分の病はどういうもので、この検査は何のためのものなのかを知ろうとするのと同じです。自分なりに性暴力の問題がわかってきて、私が悪いからじゃなかったと思えたことは力になりましたが、それ以上のことがたくさん見えてきました。性暴力はいたるところで起きていて、その影響とともに生きている人がたくさんいて、でもそれを払拭(ふっしょく)しようと立ち上がる人たちもいる。人類はこの問題を解決できるのだろうか、ということも考えるようになりました」

――解決、できるんでしょうか?

山本「それはまだ私にもわかりませんが、幼少期から適切な性教育を受け、性だけでなく他者への適切な対応を学ぶ機会があれば社会は変わるでしょう。性暴力加害をする男の子には、友人グループのなかで関係を築くことがむずかしい子もいると聞きます。そんなときに女性の入浴をのぞいたり電車内で女性の体に触れたりすると、その高揚で無力感や孤独感が晴れた……これがきっかけで加害行為をくり返すようになっていくのがひとつの典型だと学びました。社会全体が、性暴力は性的欲求によるものではなく性を用いた支配・攻撃であると認識し、性暴力加害に適切な対応ができるようになれば変わる可能性があると考えています」

――いまのところ「性欲」と直結させる傾向が強いように見えます。


13歳、「私」をなくした私 性暴力と生きることのリアル
山本潤著
定価:1,512円(税込)
山本「性暴力もDVも、一方がもう一方を支配して傷つける行為であって、性欲の問題ではありませんよね。男女の格差が大きく性別役割分担意識が強い社会ほど性暴力が発生しやすい、という事実からもそれは明らかです。そうした社会では、女性は男性の性的対象としての役割を果たすべき存在だから、性被害があっても仕方がないと思われます。むしろ、性的な対象として振る舞っている女性が悪いとされるでしょうね」

 日本でも、性被害に遭った女性の自己責任が問われることが多く、性犯罪予防は女性の自衛によってなされるものという意識がいまだ強い。

――こうして性暴力の実態について力強く発信されている山本さんが、もし13歳のときの自分、あるいは今、性暴力を受けている子どもたちに話しかけらかれるとしたら、どんな言葉を届けたいですか?

山本「信頼できる大人に話して、と。その人が適切に対応してくれなかったら、別の人に相談してほしい。ある人がいうには、大人の3人に1人は信頼できる人物だそうです。誰かに話すのはとても大変ですが、あなたの話を聞いてくれる人が必ずいます、あきらめないでと伝えたいです」

 同書の冒頭では、2014年に米国ホワイトハウスが公開した「1 is too many」――性暴力は1件でもあれば多すぎる、というメッセージ動画が紹介されている。オバマ大統領(当時)をはじめ俳優やスポーツ選手、起業家の男性が世界に向けてそう発信する。こうして性暴力に対して強く「NO!」を尽きつける社会はとても心強い。だが個人にもできることはある、それは3人に1人の、信頼できる大人になることにほかならない。山本さんの一冊は、そんなことを教えてくれる。

(文・構成/三浦ゆえ)

※dot.より転載
http://diamond.jp/articles/-/120894

 
【第200回】 2017年3月11日 降旗 学 [ノンフィクションライター]
「悪魔祓い殺人」後を絶たず、信者に神の声は届かないのか


 先月二二日、南米のニカラグアで二五歳の女性が生きたまま燃えさかる炎の中に投げ込まれ、死亡するという陰惨な事件が起きた。殺害されたのはビルマ・トルヒーヨさんという人妻で、彼女を炎の中に投げ込んだのは隣人ら数名の男たちだった。

 主犯格の男はアッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団(キリスト教福音派)の牧師になりすましてトルヒーヨさんを襲った後、数人の隣人らとトルヒーヨさんを拘束。衣服を脱がして裸にすると、火葬用の薪を燃やし、その炎の中にトルヒーヨさんを投げ込んだ。

 トルヒーヨさんの殺害を、容疑者は、彼女が“悪魔に取り憑かれていたから”と供述しているという。殺人行為を否定し、“悪魔祓い”をしていたら、悪魔の魂によってトルヒーヨさんの身体が宙に浮き、そのまま炎の中に落ちて死んだのだと。

 人ひとりを殺したにしてはあまりに陳腐な言い訳だが、容疑者が信仰していると言ったアッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団は、容疑者は教団の信徒ではなく、今回の事件と教団は無関係との声明を発表している。

 事件を報じたAFPは、トルヒーヨさんは“牧師になりすました容疑者に襲われた。その後、複数の人物が加わって……”とさらりと書いているが、おそらくこれは複数の男たちによる集団レイプ事件だ。欲望を遂げた後に被害者を焼き殺し、それを“悪魔祓い”と言い張る卑劣な事件だったのが実際なのだろう。

 女性が生きたまま火葬される事件は、ときを同じく先月二五日にインドでも起きている。

 肺感染症による心停止と診断された二三歳女性が荼毘に付された際、女性がまだ生きていることが判明した。火葬は急きょ中止されたが女性は助からず、司法解剖の結果、死因は心停止によるものではなく、“生きたまま焼かれた”ことによるショック死と診断された。

 医師の誤診が問題視されたが、女性の叔父が警察に提出した被害報告書から、事態は一変する。叔父は、こんなことを警察に打ち明けていた。

「デベッシュ(被害女性の夫)とその親族十一人がラッチナ(被害女性)をレイプして殺した。彼女は一二月一三日から行方がわからなくなっていた」(Techinsightより)

 要請を受けた警察が捜査に乗り出したところ、被害女性の夫をはじめ十一人の親族はその日のうちに行方をくらませたという。

 当局が詳細を公表していないため、司法解剖で被害女性に集団暴行の痕跡が見られたのか、また、昨年末から二ヵ月も行方不明になり病院に収容されるまでの経緯等々はわからないのだが、インドでのレイプ事件は、実はかなり深刻なのである。

 今月六日、インド南部にあるカトリック教会の司祭が、教会運営の学校で一六歳少女に性的暴行を加え、妊娠出産させて逮捕されるという事件が発生している。教会の修道女五人と職員二名、医師の計八人にも、性的虐待の事実を隠そうとしたかどで逮捕状が出されたが、いずれも逃亡中とのことだ(AFPより)。

 少し古いデータになるが、二〇一一年のインドでは、年間二万四〇〇〇件の強姦事件が発生している(インド政府二〇一一年統計より)。あくまで政府が把握している数値だが、それでも約二〇分に一人が犠牲になっている計算だ。当時のインドでは殺人事件の有罪判決率が約三九%なのに対し、強姦事件のそれは約二六%と低いことも強姦事件を助長しているとも言われている。殺人を犯しても四割しか裁かれないというのも驚きだが。二〇一二年一二月三〇日、朝日新聞はこんな事件を報じた。

〈事件は一二月一六日夜にニューデリーで起きた。友人の男性と映画を見た帰りに乗ったバスで男六人に襲われた。バスは正規の業者ではなく運転手も一味だった。レイプされ、鉄の棒で殴られて友人男性とともに車外に投げ出された(後略)〉

 やり口があまりにも卑劣だ。また、強姦事件が絶えないのは、警察の捜査方針にも問題がある、と別の事例も紹介する。

〈北部パンジャブ州の村では、集団強姦された一八歳少女が二六日に服毒自殺。金で解決するか犯人の一人と結婚するように警察が迫り、捜査しなかったことを苦にしたと伝えられた。警官は男性が多く、女性への犯罪は取るに足らないと考える風潮があるようだ〉

 インドにはカースト制度という身分制度があり、被害女性の身分が下位層だと事件そのものが注目されないことも強姦事件増加の理由になっているようだ。

 話をニカラグアの“悪魔祓い”強姦焼殺事件に戻すと――、悪魔祓いが一般的に知られるようになったのは、一九七三年の映画『エクソシスト』のヒットからのように思う。当時、私は小学生だったが、エクソシストのインパクトは鮮烈だった。オカルトはいっときのブームになり、エクソシストのすぐあとには『オーメン』や『キャリー』、“決して一人では見ないでください”のキャッチコピーで知られる『サスペリア』のような映画が立て続けに流行った。ユリ・ゲラーの超能力ブームもこの頃だ。

 日本にも古くからキツネ憑きや祟り、陰陽道に代表される占術・呪術の類があったが、このデジタルの時代に“わら人形”を使って呪いをかけようとした人もいるくらいだから、日本人は“悪魔祓い”のような信仰に染まりやすいのかもしれない。

 ニカラグアでトルヒーヨさんが殺害されたと同じころ、一歳四ヵ月の城田麻雛弥(ますみ)ちゃんに“悪魔が憑いている”と言い、悪魔祓いの名目で麻雛弥ちゃんを暴行、死亡させた北爪順子容疑者(自称コンサルタント業)が群馬県警に逮捕された。

 麻雛弥ちゃんの死因は頭部を強く打ったことによる急性硬膜下血腫と診断されているが、日刊ゲンダイが“捜査事情通”という人物に取材している。

「麻雛弥ちゃんの母親は、生後間もない頃から北爪容疑者の自宅を頻繁に訪れていた。北爪容疑者を“先生、先生”と呼んで慕い、家事などの手伝いをしていました。一方で北爪容疑者は“悪魔祓いが必要だ”と言って麻雛弥ちゃんの頭を床に叩きつけ、口に手を突っ込むなどして、日常的に暴行を繰り返していた。母親もその場にいたようです」

 北爪容疑者は“中嶋順聖”を名乗り、体調不良などを訴えてアパートを訪れる信者の相談にのっては“お祓い”をして報酬を得ていたとのことだ。信者の数は一〇〇人ほどで、それぞれが和紙で作ったお守りや木札を数千〜数万円で買い求めていたという。

 麻雛弥ちゃんの母親も中嶋順聖のもとを訪れる一人だったわけだが、中嶋順聖こと北爪容疑者は、麻雛弥ちゃんの“おなかに悪魔がいる”と言い、母親の実家にも“悪魔がいるから出されたご飯を口にするな”などと命じていたらしい。

〈母親が実家で飲食したと知ると、「いくらここできれいな身体になっても、(麻雛弥ちゃんは)魔物を吸い取る。おなかに悪魔がいる」と女児に暴行を始めたという〉(朝日新聞二月二四日付)

 ただし、麻雛弥ちゃんが死亡したのは二〇一一年五月のことだ。六年も事実が公にならなかったのは、信者をはじめ母親らが北爪容疑者のマインドコントロール下に置かれ、口を閉ざしていたからだそうだ。警察が捜査に乗り出した当初も、母親は北爪容疑者を庇うような証言をしていたとのことだ。事件の発覚は、元信者による内部告発によるものらしい。

 北爪容疑者の施しにどれほどの御利益があったのかは定かではない。また、お祓いと言うからには何かしらの宗教が絡んでいるはずだが、それもまだ明らかにされていない。それでも、一〇〇人もの信者が北爪容疑者を慕っていたというから、北爪容疑者には人を惹きつける能力があったのだろう。

 だが、人の心は弱く、もろい。だから人は信仰にすがるのだろうとも思うが、ときとして清らかな信仰心につけ込もうとする邪な宗教家がいるのもまた事実だ。カルトは無論のこと、新興、新々宗教の中にはペテンと呼ばれる紛いものもあり、藁にもすがる思いで神の助けを求めている人ほど、宗教の名を借りた詐欺に騙されやすいのかもしれない。よほど信仰心が強いか、妄信的に教祖を慕う信者にかぎって、体内に悪魔が巣食っているなどという戯れ言を信じてしまうのだろう。

 悪魔祓いを理由にした殺人事件は後を絶たないと言ってもいい。たとえば一九八七年二月、大山大山祇神神示教会(おおやまねずのみこと・しんじきょうかい)の信者が“悪魔祓い”と称したバラバラ殺人事件を起こしている。

 被害者の男性は大山大山祇神神示教会を退会したばかりの元信者で、彼を殺害し遺体をバラバラに刻んだのは被害者の妻と従兄弟で、ともに信者だった――、という事件だ。二人は被害者に悪魔が取り憑いていると言って悪魔祓いをしたが悪魔が出ていなかったため首を絞めて殺害。二人は、被害者の肉体が死ねば悪魔も死ぬと考えていた。そして、悪魔が身体から出ていけば、被害者は蘇生するものと信じて疑わなかった。

 そして二人は、悪魔が再び被害者の身体に戻ってこないように、被害者の身体をバラバラに刻み始めた。二人は丸三日も休まず遺体を切り刻み続けたというが、たまたま事件現場となったアパートを訪れた知人が血の惨状を見て通報。警察が駆けつけたときも二人はまだ遺体を切り刻んでいたという(事件後、三人が入信していた大山大山祇神神示教会は“悪魔祓い”などの教典はないと発表)。

 この事件が世間を騒がせると、連鎖反応なのか、新興宗教絡みの殺人事件が頻発した。

 翌三月には悪魔祓いと称して新興宗教に入信した母親が一歳の子どもを手にかけた事件が起き、四月になると、次男にはキツネが憑いているので悪霊を祓うとの理由で長男長女が暴行を加えて次男を殺害した事件が起き、さらに翌月の五月には女祈祷師の家で放置された信者二人と乳児の遺体が見つかるという事件が起きた。祈祷師は“祈祷で死者は生き返る”と言って憚らなかった。

 一九九五年には、祈祷師を名乗る江藤幸子宅で信者六人の腐乱死体が見つかり、後に“悪魔祓い殺人事件”と呼ばれる事件が発生している。これもまたキツネ憑き、悪魔祓いの名目で信者に暴行を加えて殺害した事件だった(主犯の江藤には死刑判決が下され、二〇一二年に刑が執行)。

 聖職者や敬虔な信者さんらには叱られそうだが、神や悪魔なんてのは、知能を有した人類が編み出した創作物に過ぎないと私は思っている。それだけ人間の想像力は優れていて、しかし想像の中でしか語れないものだからこそ、私たちは神に祈りを捧げ、悪魔のささやきに惑わされるのだろう。

 もし、神や悪魔が存在するなら、悪魔祓いのような高度な宗教行為は神さまの仕事であり、神さまにしかできないことだ。神の仕事を人間が代行しようとすれば、それこそ神をも恐れぬ驕りになるのではないか。月に代わってお仕置きをするヒロインはいるが、神に代わって悪魔祓いができる人間などいない――、と私は思うのだけれど。

 だから、悪魔祓いの名のもとに女性を炎の中に放り込んだり、悪魔祓いと称して夫を切り刻んでも、悪魔は出て行かない。悪魔は、女性を炎の中に放り込んだ男たちの中に宿り、夫を切り刻んだ妻や従兄弟の中に宿っているからだ。

 信仰や祈りは心を穏やかにし、魂を安寧な場所に導いてくれるかもしれないが、人を殺めることを辞さない信仰も他方では存在するようだ。神は“汝、殺すなかれ”と言っているのだが、人を殺めた信者たちに神の声は届かないものらしい。

参考記事:AFP3月1日・6日付、Techinsight3月4日付、日刊ゲンダイDIGITAL2月25日付、産経新聞2月28日付、読売新聞2月24日付、朝日新聞2月24日付

(ノンフィクションライター 降旗 学)
http://diamond.jp/articles/-/120807
http://www.asyura2.com/12/social9/msg/768.html

[経世済民120] 「陰鬱博士」マーク・ファーバーが警告する米国強気相場の死 トランプの自画自賛インフラ投資1兆ドルに失望した理由=大前研一
「陰鬱博士」マーク・ファーバーが警告する米国強気相場の死=今市太郎

2017年3月7日 FX・先物
 
ヘッジファンド運用者で「陰鬱博士」の異名をとるマーク・ファーバー氏が、メディアのインタビューに答え「米国市場が強気相場の死へ向かっている」との警告を発しました。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2017年3月7日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

FRBの早期利上げは、株価大幅下落への「準備」なのか?

「強気相場の死が近づいている」マーク・ファーバー氏

ヘッジファンドの運用者で「陰鬱博士」の異名をとるマーク・ファーバー氏がメディアのインタビューに答え、「米国市場が強気相場の死へ向かっている」との警告を発して注目を浴びています。

もともと陰鬱博士と呼ばれるだけのことはあって、いつも暗く後ろ向きな話しかしない同氏ですが、実は意外にも積極果敢に相場を攻めて利益を上げる存在としても知られています。

最近CNBCのインタビューに登場したファーバーは、米国株式市場がじり高を続けている背景について、米国と日欧の金利差が開き始めていることにより、日欧から資金が米国へとシフトしていることをあげています。

しかし、ファーバーはこの流れが変化するタイミングが近づいていると指摘しているのです。

いくつかの理由で調整は必死の局面か

マーク・ファーバーの指摘によれば、まず米国経済は市場で認識されているほどいい状態ではなく、欧州とくにドイツがユーロ安を快く思わなくなる時代がやってくる段階で米国への資金シフトが逆還流し、米国資産が売られるタイミングが近づきつつあると警告しています。

また、共和党であるにもかかわらずトランプが行っている政策運営は財政出動による政府の拡大を意味しており、決して成長志向の政策ではないと否定もしています。

彼の言葉を借りれば、私たちは天国への扉をノックしているのではなく、強気相場の死への扉に向かっているということになるわけです。

リーマンショックの暴落からすでに丸8年半の歳月が過ぎていますから、NY株式市場に大きな暴落がいつ起きても不思議ではないわけですが、世界的に見ても唯一調子がいい国に見える米国の市場に赤信号がともる可能性を指摘するのも凄い見方で、果たしてこれが正しいのかどうか非常に気になる時期にさしかかってきているといえます。

Next: FRBも株価の大幅下落を想定している?

FRBも株価の大幅下落を想定している?

FRBの利上げ前倒しキャンペーンは、とうとう功を奏して、ほぼ市場の3月利上げ織り込みを間違いないものにしてしまったようですが、ここまでして前倒しで利上げを進めたい背景には、少しても利率を上昇させておくことにより、ごく近い将来に発生するであろう株価の大幅下落時に政策手段を少しでも多く確保したいからなのではないか?という見方も広がりつつあります。

マーク・ファーバーは資産価格の大幅下落がおきれば自分も痛手を被ることになるが、少なくとも下落が起きることを知っていることだけは他者と異なる部分であると言いぬけています。

果たして今年、FRBの利上げが早まることで株価の賞味期限が短縮するのか、さらに大きな下げがいきなり示現することになるのかが大きく注目されることになりそうで、個人投資家としてもまさかのときに備える必要がありそうです。
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・3.15FRB利上げはイエレン一世一代の対トランプ反乱戦争か?(3/6)
・87年12連騰の後NYダウに訪れたブラックマンデー〜今年は本当に来ないのか?(3/3)
・妙にタカ派が目立つFRB幹部〜FOMC3月前倒し利上げで相場は本当に大丈夫?(3/2)
・トランプ演説は直後の相場よりNYタイムの株式・債券・為替市場をチェック(3/1)

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【関連】昔は敏腕プログラマーだった?グリーンスパン元FRB議長にまつわる噂話

【関連】米ドルは下がり続ける運命?「怪物不動産屋」トランプ氏の本音を探る
http://www.mag2.com/p/money/35701/2
 

 


私がトランプ大統領の自画自賛「インフラ投資1兆ドル」に失望した理由=大前研一
2017年3月10日ニュース

トランプ大統領が初めての施政方針演説で「インフラ投資を1兆ドルやる」と言いましたが、アメリカのGDPから見たらこれは相当小さいものです。その程度かという印象です。(『グローバルマネー・ジャーナル』大前研一)
※本記事は、最新の金融情報・データを大前研一氏をはじめとするプロフェッショナル講師陣の解説とともにお届けする無料メルマガ『グローバルマネー・ジャーナル』2017年3月8日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に定期購読をどうぞ。
※3月5日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
プロフィール:大前研一(おおまえ けんいち)
ビジネス・ブレークスルー大学学長。マサチューセツ工科大学(MIT)大学院原子力工学科で博士号を取得。日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年に経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社後、本社ディレクター、日本支社長、常務会メンバー、アジア太平洋地区会長を歴任し、1994年に退社。スタンフォード大学院ビジネススクール客員教授(1997〜98)。UCLA総長教授(1997〜)。現在、ボンド大学客員教授、(株)ビジネス・ブレークスルー代表取締役。
「その程度なのか」大きく見えて実は小粒なトランプの目玉政策
「インフラ投資1兆ドル」では全く足りない
アメリカのトランプ大統領は先月28日、アメリカ議会上下両院合同本会議で初めての施政方針演説を行いました。その中でトランプ大統領は、アメリカ経済の再起動を訴え、30年ぶりの税制改革と、1兆ドル(約113兆円)のインフラ投資を表明。相手を一方的に非難するいつもの姿勢は抑え、原稿をほぼ読み上げ、政策実現へ向けた議会の融和を呼びかけました。
【関連】イエレンとトランプの「戦い」 警戒される3月15日危機の切り抜け方=藤井まり子
一般に好評だったとトランプ大統領自身も言っていますが、私はそうではないと思いました。演説を読むと、つまらない人間になると感じました。つまり、彼はあのように作文されたものを読むと、実はきちんと読めるのです。いつもは演説がとても下手で、わけのわからないことを、思いついた順に言い、始めた文章を最後まで終わるということは滅多にありませんが、今回の彼の演説を聞いていると、特徴がどこにもなくなったと感じます。

イギリスのBBCは、同じアルバムの最初の曲を変えただけで、中身は全部同じだったのではないかという言い方をしていました。私も、やはりこの人は当たり前の人間になると非常にパワーが弱まると思いました。何のためにこの人は大統領になったのかという部分、私はそこには反対ですが、その部分がどこかに吹っ飛んでしまうのだと思いました。
また、「インフラ投資を1兆ドルやる」ということを言いましたが、実はそこには「10年間」という言葉が入っているのです。ということは1年で10兆円です。アメリカのGDPから見たら、日本のヘリコプターマネーと比較すると相当小さいものです。
アメリカのインフラの傷み方は半端ではないので、その程度なのかという印象です。数字だけを聞いていると大きな投資との印象を受けた人もいると思いますが、私に言わせると、10年で割ってみれば大したことはなく、日本のレベルよりも低いくらいなのです。その一方、軍事に関しては大きな増額になります。
まるで塩のきいていないスープ
今回の演説のポイントを挙げると、TPPの離脱など、今まで言ってきたことばかりです。それ以外は人畜無害な、NATOを支持することなど、選挙期間中と違うことを言っている状況です。選挙期間中と同様のことを言っていたのは、メキシコとの間に壁を作ることや、オバマケアの撤廃などです。
オバマケアについては、その後オバマケアの問題点がたくさん出てきているのは確かです。保険料が非常に高くなった層が結構多いのです。しかし、オバマケアを撤廃するというよりも、問題を修正することによって良くなると思うので、オバマを否定してオバマケアは全てアウトだとする必要もないと思います。
今回は、当たり前のトランプ大統領はこんなに特徴がないのかということでしたが、どちらかというと、金持ち優遇という部分は如実に出てきています。法人税や所得税を下げることなどです。ただ、総じて私は塩のきいてないスープのような感じになってしまった気がしました。
ウォール街にとってはプラスの評価
一方、これによって喜んだのがウォール街です。何しろドッド・フランク法という、リーマンショックの後に導入された規制を撤廃することになるからです。またエネルギーについては、CO2などくそくらえという姿勢です。化石燃料やエネルギー産業にとってもプラスで、特にアメリカはそういう産業が多いので、大きなプラスになります。

さらに、刑務所運営会社について、オバマ政権で外部委託を廃止していましたが、再び外部委託を許可し、不法移民を連邦収容センターに収容するとしています。一方、小売業は輸入関税を20%かけることになると、やっていられなくなると思います。おそらくこれは途中で止めることになるでしょう。
Next: 国防費約6兆円増額は効果なし?北朝鮮に試されるトランプ政権
実際は効果がない国防費約6兆円増額
トランプ政権は2018会計年度予算案で、国防費を540億ドル、約6兆円増額する方針を示しました。核戦力の強化や国境防備の増強等に充てる方針で、財源は海外援助や環境対策をはじめ、幅広い政策経費が削減される見通しです。
これは経費を削られる方から見たら、たまらない話です。防衛費については日本は6兆円に達しない程度です。アメリカは10%伸ばすということで6兆円増やすと言っています。オバマ政権時代にはかなり削ったわけですが、その削った分の全てではありませんが、10%程度を元に戻そうという動きです。
一方、中国は15兆円以上の国防費を使っています。日本が5兆円程度でうろうろしているのと比べると、拡大方向でさらにどんどんと軍拡競争をし始めているのがわかります。アメリカも負けないぞということで、軍を強化しようというのです。

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アメリカはいわゆる軍事ロビーが非常に強いので喜ぶ企業は多くあると思いますが、実はアメリカは、これだけお金を使っていても効果が出ていないのです。例えば中近東では、イラクのあのざまを見ろという状況です。アフガニスタン侵攻をしましたが、何も目的を達成しないで止めると言っています。
一方、ロシア等はこれほど防衛費を使っておらず、おそらく兵器も劣ると思います。しかし、シリアなどではアメリカが遠回しに見ているのに対し、次々と手を打っています。国防費については、額もさることながら、効果のあるようなことをきちんとやっているのかという点に目を向けるべきなのです。
北朝鮮に試されるトランプ政権
おそらくこの後、それが試されるのは北朝鮮問題です。北朝鮮に対してアメリカは今、明らかにトランプ政権の内部では従来と違うと言われています。オバマ政権と最も違いがわかるのは北朝鮮問題だというのです。
悪の枢軸として共和党が3つ挙げたのは、イランとイラク、そして北朝鮮です。イラクはサダム・フセインを処刑しました。イランに関しては一戦まみえるようなことをやってもいいというところまで戻って、せっかく核合意などをしていたヨーロッパとアメリカの合意を破棄しようというわけです。しかし、北朝鮮に関しては、オバマ政権はさぼっていたとして、こういうクレイジーマンに対しては、強硬姿勢だとしています。
オバマ政権の北朝鮮政策は、忍耐に基づく受け身なものでした。しかしトランプ大統領は、そんなことはやってられないということで、具体的なシナリオを考え始めたようです。ここで違いを見せれば世界中は言うことを聞くのではないかということで、北朝鮮はトランプのリトマス試験紙だという感じになってきているのです。日本では意外な感じがするかもしれませんが、もしかしたらその行動の時期は早いかもしれません。
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【関連】働き方改革に仕掛けられた「新型サービス残業の罠」から身を守る方法=俣野成敏
【関連】これから起こる悲劇すべてを「トランプのせい」にして終わる世界経済
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『グローバルマネー・ジャーナル』(2017年3月8日号)より抜粋
※記事タイトル、太字はMONEY VOICE編集部による

http://www.mag2.com/p/money/36057

http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/120.html

[経世済民120] 働き方改革に仕掛けられた「新型サービス残業の罠」から身を守る方法 時計のセイコー絶望の利益9割減。老舗ブランドに何が起き
働き方改革に仕掛けられた「新型サービス残業の罠」から身を守る方法=俣野成敏

2017年3月7日 ニュース

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政府の「働き方改革」には大きな問題が潜んでいます。残業時間の上限規制とサラリーマンの副業解禁が同時に進めば、むしろ多くの人が、今よりも劣悪な環境で、長時間の低賃金労働を余儀なくされるでしょう。(俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編)

プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
大学卒業後、シチズン時計入社。リストラと同時に公募の社内ベンチャー制度で一念発起。31歳でアウトレット流通を社内起業、年商14億円企業に。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。著書に『プロフェッショナルサラリーマン』『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』などベストセラー多数、累計34万部超。2012年に独立後は、ビジネスオーナーや投資家として活動の傍ら、私塾『プロ研』を創設、マネースクール等を主宰する。『MONEY VOICE』のほか『リクナビNEXTジャーナル』等にも寄稿、メディア掲載多数。『まぐまぐ大賞2016』で1位(MONEY VOICE賞)を受賞。

※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2017年3月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した項目もすぐ読めます。

残業時間を減らすだけでは、過労する日本人は決して救われない

働き方改革の表と裏

昨年(2016年)の年末に、日本政府によって「サラリーマンの副業を後押し」していく方針が明らかとなり、にわかに世間から注目を集めるようになっています。

副業の見直しを含めた「働き方改革」は、国から一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジと位置付けられ、「国民の多様な働き方を可能にするとともに、成長と分配の好循環を実現する」ものとして取り組んでいく旨が発表されています(首相官邸HPより)。

副業解禁は、少子高齢化が進む現在の日本社会にあって、労働力の質と量の増加を目指した施策として、働き方改革の核を成すもののひとつです。

国としては、これによって企業収益が改善し、それが賃金の引き上げや個人消費の増加につながってくれれば、経済が好転し、税収も増えるという寸法です。

今回は、「副業新時代」についてお届けします。

現在、政府主導で進められている働き方改革ですが、「誰もが『その人らしい』生き方ができる社会」「成長し続けるためのチャレンジ」といった言葉が本当だとしても、その裏に見え隠れしている本心とは、何なのでしょうか?

それに対し、我々はどう考え、どう行動していけばいいのでしょうか?

副業については、これまでにも何度か取り上げてきましたが、当メルマガでは基本的に賃金労働の掛け持ちは推奨しておりません(意図を持った掛け持ちを除く)。ですから副業も、単に「収入を増やすための手段」と捉えるのではなく、独立起業へ向けたひとつのプロセスという位置付けで取り組んでいただきたいと考えています。

1. 働き方改革とは何か?

そもそも働き方改革とは、昨年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」の一環として立ち上げられた政策です。始まりは、2015年9月に安倍総理が自民党総裁として再選された際に、新たに打ち出された「新・3本の矢」政策にあります。

「強い経済」「子育て支援」「安心の社会保障」の実現に向けて、現在動き出しているのが働き方改革なのです。

ここでは、副業が解禁となる元となる「働き方改革」について知り、その裏に隠されている矛盾点などにも目を向けてみましょう。

【「働き方改革」の現状】

昨年9月、第192回臨時国会が召集された際に、安倍首相は所信表明演説の中で、「誰もが能力を存分に発揮できるような『一億総活躍社会』」を掲げ、子育てや介護などと仕事を両立させるためには、「長時間労働の慣行を断ち切ることが必要だ」と訴え、働き方改革の実現にとりかかりました。

ニッポン一億総活躍プランの実現にあたり、働き方改革に関する軸は主に3つあります。それが

(1)同一労働同一賃金の実現:
格差を埋め、若者が将来に明るい希望を持てるようにする

(2)長時間労働の是正:
ワーク・ライフ・バランスの改善

(3)高齢者の就労促進等:
女性や高齢者が仕事に就きやすくなる

です。これらを通じて「国内の労働参加率と賃金を上昇させる」ことがこのプランの主要目的となっています。詳しい策定にあたり、安倍首相が議長を務めた「働き方改革実現会議」で中心に話し合われたテーマは、

同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善
賃金引き上げと労働生産性の向上
時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正
雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の問題
テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方
働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性・若者が活躍しやすい環境整備
高齢者の就業促進
病気の治療、子育て・介護と仕事の両立
外国人材の受入れの問題
の9項目です。会議はすでに8回にわたって開催されており、ここで話し合われたことを元に、政府は3月末までに具体的な法改正の方向性を示した「働き方改革実行計画」を取りまとめる予定となっています。

働き方改革とは、現状はまだ言葉だけが先行している状態であり、具体的な内容については「これから」というのが正直なところです。

Next: 「残業代がつかない」月100時間の“副業”という罠にハマるな

【「長時間労働反対」のはずの政府が残業を認める方針】

それはそうと、先日、その働き方改革実現会議の中で、政府がこのような案を提出したことを、あなたはご存じでしょうか?

残業上限 月60時間 政府提示、労使受け入れへ 繁忙期は調整 – 日本経済新聞

これは、サラリーマンの残業に関する政府案を示したものです。

もともと、現在は労働基準法によって、従業員の労働時間は1日8時間、1週間では40時間までという規定があります。

だったら、残業についての取り決めはどうなっているのかと言うと、現状では会社と労働者の代表が合意の元で労使協定を締結した場合、「法定労働時間を超えて働かせることができる」という特例があります。これを同法の36条からきていることに因んで「さぶろく協定」と呼んでいます。

今はこの36協定が、会社が従業員に残業をさせる際の法的根拠となっています。これを結ぶことによって月間45時間、年間360時間までの残業(※)が可能となっており、特別条項付きの36協定を締結すれば、さらにその限度時間を超えても法律違反とはならなくなります。

※年間労働日数が240日の場合で1日平均1.5h残業が認められている計算

こうした状況を是正するために、政府は今回の改正で残業に上限を定め、それを上回った企業には罰則を科すとしています。政府案では36協定の特例として、年間の残業時間を720時間、月平均で60時間に抑えるように義務付ける方針です。このうち、年間720時間はそのままに、繁忙期には月最大で100時間、2カ月間で平均80時間までの残業は認める(※)としています。

※年間720時間とは、年間労働日数が240日の場合で1日平均3hの残業が認められる計算。月最大100時間とは、1ヶ月22日勤務した場合で1日平均4.5hの残業が認められることになる

ここまでお読みになって、あなたはどうお感じになられましたか?今までほぼ青天井だった残業が明確に定められるようになり、罰則も設けられて「良いことだ」と思われましたか?それとも、企業が「国のお墨付きを得る」ことに対して不安を覚えましたか?

先ほど、働き方改革に関する軸は主に3つあり、その中のひとつに「長時間労働の是正」が入っていることをお伝えしました。国は、一方では「残業はNOだ」と言っておきながら、他方で「残業は60時間まで良いよ」「繁忙期は100時間までね」と言って、自ら残業を認める方針を打ち出してしまったワケです。

さらに、ここには大きな問題が潜んでいます。それが何かというと、政府が残業の限度時間に線引きしている一方で、「副業をOKにしている」という事実です。

要は今後、副業が解禁となり、それを実際に行った場合、おそらく多くの人が「月60〜100時間くらいは普通に働くようになるだろう」と予想されるということです。

Next: 大多数の人が「ダブルワーク=賃金労働の複数掛け持ち」で失敗する

2. 制度には必ず「表と裏」がある

現在、多くのファミレスや居酒屋チェーンで24時間営業を廃止する動きが出ています。それは「働く人が集まらない」ことが主な要因です。しかし副業が解禁になれば、昼間の業務が終わった人たちがダブルワークとして、夜や土日の仕事を選択する可能性が高まります。

働きたい人が多くなれば、その分、需要と供給の関係によって夜間の労働時給が下がることが考えられます。

【「残業は減る」世の中になるかもしれないが】

副業が解禁になれば、当然ですがダブルワークを行う人が増えることが予想されます。大多数の人は、「ダブルワーク=賃金労働を複数掛け持ちする」という発想になるでしょう。そうなれば、本業をやっている昼間は働くことができませんから、夜、働くサラリーマンが増えることになります。

たとえば、あるサラリーマンがコンビニで働くことにしたとします。店長から「ウチで働くんだったら、1ヶ月に最低でも60時間(※)は入ってもらわないと」と告げられれば、働く側は「わかりました」と言わざるをえなくなります。これでは、ただ単に「残業」が「副業」という名前に変わっただけにすぎません。

※1ヶ月最低60時間とは、週3日、1日平均5h働くこと。シフト制を採用している飲食業や小売業などで求められる労働時間の目安のひとつ

元来、長く働くのであれば、昼間の業務をそのまま続けた方が、基本的には時給が高くなります。多くの場合、8時間を過ぎれば時間外労働手当や、夜になればさらに深夜手当などが付きます。

ところが、昼間の仕事を8時間で区切り、続きは別のところで働くようになれば、時間外手当は付きません。深夜手当であれば出ますが、注意しなければいけないのは、すでに時給に含まれている場合があるということです。

労働時間を1日8時間で切ってしまえば、企業は残業代を支払わなくて済むし、罰則も受けずに済みます。しかし従業員は少ない給料をカバーしようと、他社で「過労死ライン」と呼ばれる月100時間の副業を自ら行う人が出てくるでしょう。けれど、そうなっても国も企業も「あなたが自ら選んだんですよね?」と言うことができます。

なぜ国が、長時間労働の是正と副業解禁をセットで行なっているのか、そのからくりが見えてきましたでしょうか?

政府は、残業の上限を定めた労働基準法の改正案を国会に提出し、早ければ2019年度より運用を開始したいとしています。

Next: 「副業解禁」だけでなく、すべての政策には必ずウラがある

【ものごとにはA面とB面がある】

実は、このように「A面とB面をセット」で行なってきた政策というのは、副業だけではありません。A面B面とは、副業でいうなら「残業反対!」でも「副業はOK!」という2面性のことを指しています。

一例を挙げると、年金の支給開始年齢の後ろ倒しの時にも同じ現象が起きています。

年金の支給開始年齢を60歳から65歳に引き上げた際に、国はどのような手口を使ったのかをお話しますと、最初に別の話題を振りまきます。たとえば「今のシルバーは元気!」「これからは、どんどん働き手が減っていくからシルバーの力を借りよう!」などと言って、まずは世の中にそうした文化をつくります。

その後で「年金は65歳からになります」という手はずにすれば、「まぁ5年間だけだし」「働くところがあるのであれば」という風潮になります。そういう論調を、頭の良い人たちがつくり出しているワケです。

この手法は、退職金に関しても同様に使われています。まずは「こんな時代では、退職金が運用できない!」ということをニュースで流し、その後に401K(確定拠出年金)の始まりを告知します。

先に「自分の年金は自分でつくる」「自己責任の時代」という流れをつくってから、「401Kは増やすも減らすも自分次第だから」と、制度の切り替えを順次、行なっていくのです。

このように、世論から反対の出そうな制度は、必ずと言っていいほどA面とB面(表と裏)という両方向から進められてきたのです。副業も、これらとパターンはまったく一緒です。

だいたい、残業自体は今に始まったことではありません。バブル時代の方が、今よりずっと忙しかったでしょう。それがなぜ今、ニュースになるのかと言えば、国が「生活補てんのための労働を、個人のリスクにするため」です。

副業が解禁になれば、昼休みに堂々と社内で求人情報を広げることが可能となります。ただし、それによって「残業以上にキツイです」となっても、誰も助けてはくれません。なぜならそれぞれの会社は、法に則っているからです。

結局のところ、賃金労働を掛け持ちすることとは、「時間給が下がり」「残業代が減る」という点において、低賃金に甘んじることを意味します。働き方改革によって、会社側は残業がなくなっても、従業員側はA社とB社を足せば「過労」である状態は変わらず、さらに残業よりも劣悪な状況下で働くことになるかもしれないのです。
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「ダブルワーク=賃金労働を複数掛け持ちする」という発想のままでは、この副業新時代を生き残ることはできないようです。では、将来につながる副業の始め方とは何でしょうか?続きはメルマガをご覧ください!

【2017年3月2日号 Vol.40『副業新時代』〜目次】

〔1〕イントロ:
起業とは「自らの時間を失うこと」なのか?

〔2〕本文:
「来たれ!副業新時代!」
〜働き方改革の表と裏〜

1、働き方改革とは何か?
◎「働き方改革」の現状
◎「長時間労働反対」のはずの政府が残業を認める方針

2、制度には必ず「表と裏」がある
◎「残業は減る」世の中になるかもしれないが
◎ものごとにはA面とB面がある

3、将来につながる副業の始め方
◎「自分の価値を上げる」ために副業を行う
◎独立へのプロセスとしての「副業」

4、サラリーマンと両立しやすい仕事で儲けることは可能か?
◎どの仕事を「自分の副業」にするべきなのか?
◎安易な儲け話に潜む「落とし穴」

5、副業を「軌道に乗せる」方法
◎独立する際の「3つのパターン」
◎ビジネスを成長させるにはマネジメントが必要

6、実録!独立への道
◎事例1:「キライな仕事で独立」
◎事例2:「事務」で独立したパターン
◎どうやって仕事を取ればいいのか?

7、まずは自己分析から始めよ

★本日のワンポイントアドバイス☆★
「0から1へと踏み出す副業」のための5ステップ

〔3〕次回予告(予定):
「毎月の収支バランスってどうしたらいいの?」
〜マネーレコーディングは投資への第一歩〜

〔4〕ニュースのビジネス的着眼点:
1、「豊洲は続くよ、どこまでも」・・・
2、日本におけるビットコイン犯罪時代の幕開け?!

〔5〕編集後記:
「生まれ変わった道の駅」の取り組み

※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2017年3月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した項目もすぐ読めます。

【関連】政府も後押し!本気で儲けに行く「サラリーマンの副業」入門以前=俣野成敏

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http://www.mag2.com/p/money/35680/4


 


時計のセイコー、絶望の利益9割減。老舗ブランドに何が起きたのか?
人気記事ビジネス2017.03.07 1388 by 佐藤昌司『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』
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世界に誇る日本の老舗メーカーのひとつ、セイコーホールディングスが苦境に立たされています。同社の発表によると、純利益が95%も減少しており、それ以外の数字も芳しいものではありません。技術力の衰えとは無縁のセイコーは、なぜこのような状況に陥ってしまったのでしょうか。無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』の著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんがその理由を考察するとともに、今後同社が進むべき道についても記しています。

利益9割減。セイコーが時を刻むために必要なこととは

佐藤昌司です。セイコーの時計の針は止まってしまうのでしょうか。

セイコーホールディングスは2月14日、2016年4〜12月期の連結決算は、売上高は前年比16.6%減の1910億円、本業のもうけを示す営業利益は58.7%減の56億円、純利益は95.0%減の6億円と発表しました。大幅な減収減益です。

国内では、インバウンド(訪日外国人)需要が低調で、高級時計の販売が伸び悩みました。セイコーは高級時計でも定評があります。「グランドセイコー」「クレドール」「ガランテ」といった高級時計を扱っていますが、そういった高価格帯の時計が不振でした。

海外では、ドイツやオーストラリアをはじめとして多くの市場で好調に推移しましたが、円高の影響により円換算した売上高は減少しました。また、アメリカのデパートでの販売が不振だったことも影響しました。ちなみに、売上高比率は海外がおよそ50%、日本がおよそ50%です。

セイコーは時計を販売する店舗や商業施設の運営も行なっています。傘下の商業施設「和光」はセイコーの時計や宝飾品などを扱っています。東京・銀座の中心地にあり、著名人や訪日外国人が多く訪れることで有名です。今回の決算では和光が赤字で業績に影響しました(2017年2月14日付日本経済新聞より)。

セイコーのこれまでの歩みを見ていきます。1881年に服部金太郎が前身の「服部時計店」を創業したことから始まります。1887年に銀座の表通りに進出し、1895年に現在の和光がある場所に時計台を設置した後に移転しました。和光は1947年に小売部門を継承したことで創立しました。そのため、和光は2017年が創立70周年となります。セイコーは2016年に創立135周年を迎えています。

1892年、服部金太郎は精巧な時計をつくりたいという気持ちを込めて「精工舎」という時計工場を設立しました。欧米に負けない時計事業を興すことを目指しました。工場に寄宿舎をもうけ、熟練工の養成にも力を入れました。こうしたことから、服部金太郎が時計づくりで「精巧さ」にこだわっていたことがわかります。

服部金太郎は精巧な時計をつくることに加え、当時からブランディングやマーケティングの重要性も強く認識していました。例えば、創業時から会社のトレードマークを創案しています。1924年に「SEIKO」の商標を初めて使用しました。1953年には日本初となるテレビCMの放送を行っています。1964年の東京オリンピックでは公式時計に採用されています。以降のオリンピックでも何度か公式時計として採用されました。「精巧さ」以外でも時計の価値を高めるための努力を行なっていったのです。

なぜセイコーは伸び悩んでいるのか?

現在、セイコーは精巧な時計を提供する企業として世界で評価されています。例えば、1969年に世界初のクオーツ腕時計「クオーツ アストロン」を生み出しました。その後もさらに技術を磨き続け、2012年にはGPS衛星電波から現在地の正確な位置・時刻情報を取得する、世界初のGPSソーラーウォッチ「アストロン」を誕生させています。

セイコーは卓越した技術力を誇ります。しかし、競争の激化によりセイコーの業績は伸び悩んでいるのが現状です。2012年3月期から2016年3月期までの各期の売上高はおよそ3,000億円で、概ね横ばいで推移しています。売上高は横ばいのため、良くはないが悪くもないと見ることもできます。しかし、時計市場を見て考えると、セイコーは厳しい状況下にあることがわかります。

日本時計協会によると、日本の時計メーカーによる腕時計(ウオッチ)の総出荷金額(輸出+国内出荷)は2011年が1,689億円でしたが、2016年は2,606億円にまで増加しています。両期間では54.3%も増加しています。一方、セイコーの売上高は伸びていません。このことから、日本の時計メーカー間でのセイコーのシェアが低下していることがわかります。競合企業は成長しているのに、セイコーは成長できていません。相対的に勢力が弱まっているのです。

そうなると、今後の競争力の低下が懸念されます。競合企業に切り込まれる可能性があるといえます。加えて外国の時計メーカーとの競争も激化しています。

象徴的な出来事があります。セイコーは1964年の東京オリンピックの公式時計に採用されました。1998年の長野オリンピックでも採用されています。しかし、2020年の東京オリンピックではセイコーは採用されませんでした。スイスのオメガが選ばれたのです。オリンピックの公式時計に採用されなかったからといって特別な意味は本来ありませんが、セイコーの勢いがないことを象徴しているかのように思えてしまいます。日本の時計メーカーに公式時計になって欲しいと思っていた日本人は少なくなかったでしょう。

さらに時計メーカーの人気調査の結果から、セイコーの眼前に外国の時計メーカーが大きく立ちはだかっていることがわかります。スイス時計協会の「腕時計に関する消費者意識調査 2014」によると、「次に購入したい時計ブランド」の問いでセイコーは5位でした。価格帯などの違いがあるため一概には言えませんが、ロレックスやオメガ、カルティエ、ブルガリに劣っている状況です。

人気時計ブランドで5位は悪くない順位ともとれます。しかし今後の成長を考えると、上位に君臨しているロレックスなどの外国の時計ブランドに勝つことができなければ、今後の成長は望めないともいえます。セイコーが売上高3,000億円の壁を突き破るには、ロレックスやオメガなどと同レベルのブランド力が必要といえます。

セイコーが成長していくためのカギとなるものとは?

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時計業界での競争は激化しています。そういった状況下でセイコーが今後成長するためには、流通網の拡大がカギとなりそうです。競合企業の追い上げがあるとはいえ、セイコーの時計の「精巧さ」や技術は色あせていません。しかし、その良さが十分に伝わっていない面があることを否定できません。そこで重要となるのが店舗です。ブランド価値を直接体感できるのが店舗だからです。

セイコーの流通網はまだまだ開拓の余地があるといえます。2004年よりセイコー製品専門店「セイコーブティック」の開設を進めています。世界の主要都市で70店以上を展開していますが、企業規模からいえば十分とは言えないでしょう。国内の正規販売店も拡大の余地があります。ブランド価値を高めることができる店舗の拡大が求められます。

セイコーは時計の針を止めずに時を刻むことができるのでしょうか。

image by: Kametaro / Shutterstock.com

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『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』
著者/佐藤昌司 記事一覧/メルマガ
東京MXテレビ『バラいろダンディ』に出演、東洋経済オンライン『マクドナルドができていない「基本中の基本」』を寄稿、テレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!スペシャル「並ぶ場所にはワケがある!行列からニッポンが見えるSP」』を監修した、店舗経営コンサルタント・佐藤昌司が発行するメルマガです。店舗経営や商売、ビジネスなどに役立つ情報を配信しています。
http://www.mag2.com/p/news/241797/3
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/121.html

[経世済民120] 住宅ローンおすすめ比較[2017年] 2017年3月12日 ザイ・オンライン編集部 大震災や自然災害によって自宅が崩壊し
住宅ローンおすすめ比較[2017年]
2017年3月12日 ザイ・オンライン編集部
大震災や自然災害によって自宅が崩壊して、
住宅ローンだけが残ったらどうする?【第3回】
災害の規模が大きいほど、後から支援策が出る!
被災後、地震保険や義援金などの現金が入ると、残っているローンを返してしまいたくなるのが人情。だが、生活再建のためにはある程度のお金が必要で、現金を使い果たしてしまうと後でたいへんな苦労をすることになる。今回も第2回に続いて、「個人債務者の私的整理に関するガイドライン(個人版ガイドライン)」の運用で見えてきた被災ローンへの対応方法を考えてみたい。被災直後は難しいかもしれないが、重要なのは「焦って返済してしまわない」ことだった。(ジャーナリスト・木野龍逸)

連載「震災で、住宅ローンだけが残ったらどうなる?」
【第1回】返済が苦しければ、私的整理ガイドラインで減免を
【第2回】申し込んでも、債務免除できたのはわずか4分の1!
【第3回】災害の規模が大きいほど、後から支援策が出る!
【第4回】地震保険は、最大でも50%しか保険金は出ない!(3月13日公開予定)

いったん住宅ローン返済をリスケジュールすると、
その後の生活が苦しくても債務免除への意欲が落ちる

 前回も指摘したように、東日本大震災で、住宅ローンの返済に困った人を救済する減免制度、個人版ガイドラインの利用数は、金融庁の想定ほどは増えなかった。その要因の一つとして、日本弁護士連合会(日弁連)は「金融機関による条件変更契約が進んだ」ことをあげている。下図を見てほしい。

http://diamond.jp/mwimgs/f/9/630/img_f9927c17908c74ddf92ea50728a9d7fa151077.jpg

 個人版ガイドラインの運用開始は2011年8月下旬。しかし金融庁の発表によると、住宅ローンの返済を一時停止した人は11年5月末に6664人だったのが、8月末には4572人に減り、個人版ガイドライン運用開始から1年後の12年8月末には573人になっている。

 返済の一時停止が減るにつれて、住宅ローンの契約条件の変更(リスケジュール)をした人は急増。11年5月末に984人だったのが、12年8月末には6337人に達していた。ところがその間、個人版ガイドラインでの債務整理は70件しか成立していない。つまり、銀行・金融機関による、住宅ローンのリスケジュールが進んだ結果、本来ならば、個人版ガイドラインで債務整理ができたはずの人まで、無理に返済を続けているという可能性があったのだ。

 このため日弁連は12年5月18日、金融庁に対して個人版ガイドラインの周知徹底を要請した。それを受けて、金融庁は12年7月と13年12月に金融機関に対して個人版ガイドラインの利用促進を要請。東北財務局も12年10月に同様の要請を行ったが、それでも利用者数は大きく伸びなかった。

 一方でリスケジュールは、順調に数を増やしていた。15年9月から16年9月まで、個人版ガイドラインの件数がほぼ横ばいなのに対し、リスケジュール件数は大きく増えている。

 当初は、いったん銀行とリスケジュールで合意してしまうと、その後で個人版ガイドラインを使えなかった。しかしそれは問題が多いことから、後にはリスケジュールをしても、遡って個人版ガイドラインを適用できるようになった。ただ、「一度リスケジュールをすると債務整理のモチベーションが落ちる」と指摘する弁護士もいる。また、すべて返済してしまう、つまり完済してしまうと、さかのぼって個人版ガイドラインを使うことはできなくなってしまう。

 自身も債務者の相談に当たった官澤総合法律事務所の小向俊和弁護士は、「震災後の早い時期に地震保険や義援金で数千万円が入った時、銀行にいわれて繰り上げ返済した人もいる。中には、それで手元資金がほとんどなくなってしまった人もいるが、被災ローンの減免ができていれば手元に数百万円は残ったはず」だという。そして、「震災時に受け取る義援金などを、すぐに住宅ローンの返済にあてないほうがいい」と強調する。

熊本地震で弁護士が銀行員と勉強会を開催し、
自然災害ガイドラインの活用を訴えた

 では、その後に策定されて熊本地震などに適用されている「自然災害ガイドライン」ではどのような状況になっているのだろうか。

 個人版ガイドラインの経緯から初動が重要だと考えた熊本県弁護士会の鹿瀬島正剛弁護士は、「まずは銀行員の意識を変えようと思った」と話す。

「震災後すぐ、今は被災者の支援が重要だと説いてまわって、まず第一地銀から協力を取り付けて、銀行・金融機関と合同で相談会や勉強会をしたりしてきた。銀行の窓口で『そんなの(自然災害ガイドライン)は知らない」とか『そんなムシのいい話があるか」って言われてしまって諦める人をなくしたかった」

 熊本地震の場合、月払いの人が延滞になってブラックリストに載るということがないように、どこの金融機関も3カ月程度は支払いを猶予していた。ただ、その間に支援金や保険金が入ってくるため、「もういいから払ってしまおう」という気持ちも出てくる。被災者の心情としては、ひとつでも問題を解決したいからだ。

「でもその前に、まずは相談をしてくださいという呼びかけをしていた。制度が使えるのに使わないという人が出るのは防ぎたかった」(鹿瀬島弁護士)

 そして鹿瀬島弁護士も、小向弁護士と同じように、減免制度が使えなくなるので、「あわててローンを返さないようにしてほしい」と訴える。

被災して不安が大きいのは間違いないが、
それでもローン返済を急ぐべきではない

 ちなみに被災者支援の枠組みは、自然災害の規模が大きくなるほど、現行制度に上乗せする形で新たな支援策が出てくる可能性も高くなる。東日本大震災をきっかけにして生まれた個人版ガイドラインは、まさにそうした上乗せの支援策だった。

 最初から追加制度を期待するわけにもいかないが、鹿瀬島弁護士は熊本地震の経験から、「地方で大きな地震があったら、とりあえず“大”地震って言っておいた方がいいかもしれない」と感じている。「熊本地震は“大”がついてない。この違いが、制度の細かいところで影響を受けている感じがする」(鹿瀬島弁護士)。インターネットなどで被災状況を発信するときには、とりあえず“大”をつけて訴えかけるのも、身を守るためのひとつの手段かもしれない。

 というわけで、大規模だと感じる災害に直面したら、不安が大きいのは間違いないが、それでもまずはあわてずに、自然災害ガイドラインの利用などを検討し、無料相談会などで専門家に相談すべきだ。また、一時的に手元にお金が入ったからといって返済を急ぐべきではないことは、覚えておいてほしい。

連載「震災で、住宅ローンだけが残ったらどうなる?」
【第1回】返済が苦しければ、私的整理ガイドラインで減免を
【第2回】申し込んでも、債務免除できたのはわずか4分の1!
【第3回】災害の規模が大きいほど、後から支援策が出る!
【第4回】地震保険は、最大でも50%しか保険金は出ない!(3月13日公開予定)
http://diamond.jp/articles/-/120622


 

住宅ローンおすすめ比較[2017年]
2017年3月11日 ザイ・オンライン編集部
大震災や自然災害によって自宅が崩壊して、
住宅ローンだけが残ったらどうする?【第2回】
申し込んでも、債務免除できたのはわずか4分の1!
東日本大震災の被災者には、住宅ローンの減免制度「個人債務者の私的整理に関するガイドライン(個人版ガイドライン)」があり、返済が困難になれば、債務免除を受けられる可能性がある。ただ、現在までに実際に利用できたのは申込者の4分の1に過ぎない。なぜなのか。今回は、個人版ガイドラインの運用で見えてきた被災ローンへの対応方法を考えてみたい。震災に備えるには、実は普段からの備えが必要で、税金滞納やローン返済の延滞は避けるべきだということが分かってきた。(ジャーナリスト・木野龍逸)
連載「震災で、住宅ローンだけが残ったらどうなる?」
【第1回】返済が苦しければ、私的整理ガイドラインで減免を
【第2回】申し込んでも、債務免除できたのはわずか4分の1!
【第3回】災害の規模が大きいほど、後から支援策が出る!
【第4回】地震保険は、最大でも50%しか保険金は出ない!(3月13日公開予定)

東日本大震災の個人版ガイドラインでは、
申込者の4分の1しかローンが減免されなかった

 東日本大震災の爪痕は深く、被災ローンを減免できる個人版ガイドラインができたことで、被災者支援にあたる弁護士や支援関係者などは大きな期待をかけた。

 しかし実際には、申し込んでも適用されなかった事例はかなり多く、逆に免除された事例は少なかった。個人版ガイドラインを利用して被災ローンの整理が成立した件数は1351件だが、同じ時期までに5755件の申し込みがあったのだ(2017年3月3日現在)。申し込んでも4分の1弱しか減免されなかったことになる。

 なぜ成立しなかったのだろうか。不成立になった具体例を見てみよう。

 石巻市の菅まさ子さんの自宅は津波で流され、全壊判定を受けた。被災時、購入から20年近かった菅さんの自宅のローン残額は900万円だった。震災後に夫の仕事は再開できず、収入は年金だけになったが、ローンの支払いは続いていた。

 避難所に入れなかったため、地震保険や義援金などで得た手持ち資金は自宅修理に使ってしまった。そのため、生活再建はままならなかったという。

 そんなときに、知人からガイドラインのことを聞いた。少しでも住宅ローンが減ればという期待をもって電話をしてみると、「木で鼻をくくったような対応だった」そうだ。それでも諦めず、10人以上の弁護士に相談をしながら自分でガイドラインの運営委員会とやりとりをした。けれども結局は不適用になった。理由は、税金の滞納だったという。

 支払いが遅延していたのは月額4万円の所得税などで、総額100万円ほどだったそうだ。菅さんはその理由について、「震災後に仕事が再開できなかったうえ、2013年に夫ががんになって、出費が重なった。その時に治療費を賄うために2年ほど滞納していただけだったのに」と悔しがる。

 その後、幸か不幸か、自宅のエリアが災害危険区域に指定され、自宅の土地は石巻市が買い取ることになった。その資金で、とりあえず住宅ローンは完済できた。

 もっとも、住宅ローンはなくなったが、多額の費用を使ってせっかく修繕した家も失った。菅さんは現在、災害公営住宅に住んでいるが、震災前の生活環境が維持されているとは言い難い。こんなことになるなら、あの家を修繕しないで、お金を取っておけばよかったと考えることもある。それでもなんとか住む場所があることを、菅さんは前向きに受け止めている。「生きるっていうのは修行だね」と、菅さんは笑う。

震災前の債務が大きすぎ、税金滞納があれば、
ガイドラインによるローン免除が受けられない可能性

 税金の滞納を理由に個人版ガイドラインが適用されなかった例をもうひとつ、紹介したい。

米谷さんの自宅兼美容室である、
トレーラーハウス
 宮城県石巻市に住むシングルマザーの米谷康予さんは、育ち盛りの小学6年生の子ども育てながら、自宅で美容院を営んでいる。赤い壁が印象的なかわいらしい、トレーラーハウスだ。元々あった自宅兼店舗は、新築して1年5ヵ月しか経っていなかったのに、津波で流されてしまった。被災した時には信用金庫に約1400万円のローンが残っていた。

 震災後は仮設住宅に入居していたが、12年3月にはお店を再開した。営業再開を急いだのは、震災前からの顧客から「いつ再開するの?」という問い合わせが多かったことや、長く休業することで顧客が離れることを懸念したためだった。加えて震災後は収入がゼロになっていたため、生活の不安もあった。

 しかし、結果的に早期の生活再建は裏目に出た。地震保険金や義援金などの一時的な収入を使っても不足があり、新たに事業用のローンを組んだために借入金の総額が2000万円を超えてしまったためだ。店舗の規模が震災前の半分になったことなどにより売り上げが減り、返済が厳しくなっていったのだった。

 こうしたことから個人版ガイドラインに申し込みをしたが、運営委員会からは適用条件を満たさないという連絡がきた。理由は、震災前の債務の返済額が収入と比較して大きいことと、震災前に税金の未納が高額だったと判断されたことだった。

 米谷さんは、この2点についてはいずれも理由があると話す。まず収入に対する債務返済の比率は、震災の1年半前に店舗を拡大したばかりだったことなどから、一時的に返済金額の割合が大きくなっていたためだったという。席数を増やし、「さあこれからというところで震災にあったのに、返済比率が大きすぎて払えないでしょというのはおかしくないでしょうか」と米谷さんは言う。

 2つ目の税金延滞は、店舗拡大でふくらんだ費用を分散させるため、市役所の合意を得て、税金を分割払いにしていたためだった。市役所には納得してもらっていたとはいえ、延滞という事実がクローズアップされてしまった。ただし、運営委員会からは詳しい説明はなく、本当のところはわからない。運営委員会とのやり取りかの過程から、その2点が問題視されていたのは間違いないと感じたのだった。

 納得できなかった米谷さんは弁護士とともに、2度にわたって協議再開の申し立てをした。しかし結果が変わらなかっただけでなく、申請期間中に繰り延べになっていたローンの利息、150万円ほど増えてしまったという。

 米谷さんは、「運営委員会は、落とすための理由を探している気がした」という思いを抱くと同時に、今後の生活に大きな不安を感じている。

「震災で収入は減ったのに、毎月の返済額は震災前と変わらない。返済が据え置きになっている分の返済が始まれば、さらに返済額が増えます。精神的にもいっぱいいっぱいで、この先、気持ちがもつのか不安です。もうカードローンにすがるしかないかもしれない」

 運営委員会はこうした不成立の事例を公表していないため、不適合になった理由がどのようなものだったのかを統計的に示すデータはない。しかし被災者にとって命綱になるはずの個人版ガイドラインは、現実には被災者のニーズに合致していたとは言い難い部分があった。

運営委員会が門前払いをした?!
申込者は6000人弱に留まる個人版ガイドライン

 個人版ガイドラインは、申し込み件数に比べて成立件数が少なかっただけでなく、そもそも申し込みの件数が予想を大きく下回ったという問題もある。2011年8月19日付の日経新聞電子版は、金融庁が1万〜2万人の利用を見込んでいたことを報じている。

 個人版ガイドラインの登録専門家として債務者の相談にあたっている官澤総合法律事務所の小向俊和弁護士によると、「運営委員会に問い合わせをした段階ではねられる人が多かった」という。つまり、門前払いだ。

 第1回で説明したように、債務の減免を希望する場合は運営委員会に申し込みをすれば登録専門家が紹介され、手続きの支援をしてくれることになっている。しかし「多くの場合は(運営委員会が適用の可能性なしと判断して)弁護士紹介にも至らず、入り口のところで終わっていた。少しでも収入があるとはねられる人も多かった」(小向弁護士)。

 仙台弁護士会は、13年5月22日の会長声明の中で、被災者に依頼された弁護士が個人版ガイドラインに相当すると判断した案件を、運営委員会が銀行への申出書の送付も行わずに取り下げ勧告をした事例が「相当数報告されている」と指摘している。

 債務整理ができるかどうかを判断するのは、最終的には銀行だ。それなのに銀行の意向も聞かずに運営委員会が取り下げを求めるのは「被災ローン減免制度の目的に反するもの」(仙台弁護士会・会長声明)と批判している。

 こうした状況は、国会議員による疑問の提示や弁護士会の意見表明などもあり、徐々に是正されていったが、後手に回ったことは否めない。

 個人版ガイドラインの運用に当たっては、日弁連が指摘するように、ガイドラインが被災者に利用しやすいような体制が整っていなかった、運用が「きわめて厳格」に行われた、つまり救えるはずの人も救われなかったといった問題があったのは事実のようだ。冒頭で紹介した人のように、減免の対象外となった理由について詳しい説明がないため、理不尽に感じる人がいるのも納得できる。

 また、運営委員会は中立的な第三者機関とはいうが、全銀協などが運営資金を拠出しており、そもそも銀行に不利になることをやりにくいのかもしれない。

税金の延滞、住宅ローン返済の延滞等があれば、
災害時にガイドラインで債務免除を受けるのは困難

 ただし、税金の延滞、住宅ローン返済の延滞等があれば、ガイドラインの対象外になるのは紛れもない事実。また今回紹介した事例のように、税金の分割返納があると、借り入れには影響がなくても、減免措置の場合は障壁になる可能性がある。

 被災者のニーズから見れば腑に落ちないところはあるが、震災発生前に対応できることの一つとして、税金の支払いや、ローンの返済はきっちりやっておくにこしたことはない。それが自らの身を守る可能性を高めるのだ。

【関連記事「住宅ローン支払いが苦しいなら、借り換え検討を 」はこちら>>】

連載「震災で、住宅ローンだけが残ったらどうなる?」
【第1回】返済が苦しければ、私的整理ガイドラインで減免を
【第2回】申し込んでも、債務免除できたのはわずか4分の1!
【第3回】災害の規模が大きいほど、後から支援策が出る!
【第4回】地震保険は、最大でも50%しか保険金は出ない!(3月13日公開予定)
http://diamond.jp/articles/-/120603
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/145.html

[社会問題9] 妻とは大の仲良し! でも、できない… 誰にも言えない…オトコのお悩み相談室 増える男性の性嫌悪症、薬物併用で治療に光
妻とは大の仲良し! でも、できない…

誰にも言えない…オトコのお悩み相談室

増える男性の性嫌悪症、薬物併用で治療に光
2017年3月13日(月)
荒川直樹=科学ライター
まだまだ男盛りの中高年に容赦なく襲いかかる体や心の悩み。医者に相談する勇気も出ずに、1人でもんもんと悩む人も多いことだろう。そんな人に言えない男のお悩みの数々を著名な医師に尋ね、その原因と対処法をコミカルで分かりやすく解き明かす。楽しく学んで、若かりし日の輝いていた自分を取り戻そう。

金融機関の支店に勤める35歳。結婚12年目の妻とは仲良し夫婦。週末のテニスをはじめ、どこに行くにも一緒。テニス仲間からは「おしどり夫婦だね」とからかわれるほどだけど、実は、僕らには誰にも言えない秘密がある。それは、この5年間、夫婦としてすべきことを1度もしていないのだ。きっかけは長女が生まれて、しばらく「遠ざかって」いたこと。お互いをパパ、ママと呼んでいるうちに、何だか妻を性的な対象として見られなくなってしまったのだ。それなのに他の女性やアダルトビデオを見て興奮する自分が情けない。妻は、この件については黙ったままだが、本当は寂しくつらい思いをしていることぐらい「家族だから」分かる。こんなオレに有効な処方箋はあるのか。

(イラスト:川崎タカオ)
 セックスレスとはなにか。日本性科学会は「病気など特別な理由がないのに、1カ月以上性交渉のないカップル」と定義している。しかし、カップルの両方ともが「性交渉を望んでいない」場合は、あえてセックスレスの問題を顕在化する必要がない。そこでカップルのどちらかが性行為を望んでいるのに、それを実現できない場合が問題になってくる。

 これまでの調査で、セックスレスの割合が徐々に増えていることが分かっている。例えば、日本家族計画協会が2016年に行った調査では 結婚している16〜49歳の男女セックスレスの割合が過去最高の47.2%だった。前回2014年調査に比べ2.6ポイント増え、調査を始めた04年からは15.3ポイントの増加だった。

 セックスレスになる理由はさまざまだ。「仕事で疲れている」「出産後なんとなく」といった生活習慣上の問題のほか、ED(勃起障害)、性欲低下障害といった病気の場合もある。

 こうしたなか、新たなセックスレスが登場しているという。長年、セックスレスの治療に取り組んできた、あべメンタルクリニックの阿部輝夫院長は「最近目立つようになったのは男性の性嫌悪症です」と話す。

日本男性に急増する性嫌悪症

 性嫌悪症というのは、性行為はもちろん性的な事柄そのものに関して嫌悪感を抱くことだ。かっては女性に多く見られる病気だったが、あべメンタルクリニックの調査では最近は男性の患者が増えている。

 性嫌悪症の発症の仕方はさまざまだ。阿部院長は「はじめ性欲低下障害だった人が、失敗やイヤな思いを繰り返すうちに嫌悪症へ移行した場合のほか、これといった理由がなく、出産・子育てなどでセックスレスの期間があり、あるとき気づいたら、まったくイヤになっていたという場合もある」と話す。

 ただ、性欲低下が主な原因なら誰に対してもその気にならないが(全般型)、近年増えている性嫌悪症は、妻に限ってその気が起こらない(状況型)タイプのセックスレスなのだ。

 ただ、だからといって妻のことを愛せなくなったというわけではない。阿部院長は「むしろ逆。性嫌悪症の夫婦は非常に仲が良いことが多い。問題は、どのように仲が良いかだ。結婚生活を続けていくうちに、パートナーが母親、兄妹、友人のようになってしまう」と話す。こうした関係の変化が続くと、やがて相手をセックスの対象として見ることができなくなる。さらに、そうした想像をするだけであたかも近親姦をしているような恐怖が湧いてくるようになるという。

妻が母親に見えてしまう

 これまでたくさんの性嫌悪症を診てきた阿部院長は、日本人男性の性嫌悪症には、大きく分けて5つのタイプがあるという。

(1)母と息子の関係に変化
(2)兄と妹、姉と弟の関係に変化
(3)親友関係に変化
(4)マスコット的関係に変化
(5)嫌いになった

 阿部院長は、このなかで最も多いタイプが(1)だという。母子のような関係とはいえ、妻が年上であるとは限らない。妻から母親のように小言を言われたり、妻が自分の母親に似ていたりして、夫婦関係のあり方が、男女関係ではなく母子関係のイメージになってしまう。そのような母親のイメージを持った妻に近寄られると、近親姦のイメージができてしまい性交渉どころではなくなるのだ。

 同じことは(2)でも言える。(3)の場合は親しすぎて、セックスのことを言い出すのが気恥ずかしいというものだ。

 そして「(4)は妻がかわいくて仕方ない。頬にキスしたり、頭をなでまわしたりと、目に入れても痛くないような可愛がり方をする。そういう妻から性的に誘われると嫌悪感を抱いてしまう」と阿部院長は話す。そして、(1)から(4)に関しては、セックス以外ではとても仲が良いのが特徴だ。

 (5)は、きっかけがはっきりと特定できるのが特徴だ。共同生活をするようになり、化粧をする姿を見たり、あぐらをかいて座る、いびきをかくといった些細なことから、もう少し踏み込んだ性格的なことまで「嫌い」という感情が生まれてセックスができなくなってしまうというものである。

高所恐怖症の治療法を転用

 阿部院長は「性嫌悪症は高所恐怖症の病態に似ている」と話す。つまり、高い場所が危険でないことが分かっていても昇れない、性嫌悪症でも妻だと頭では分かっているが、例えば母親と同一視してしまいセックスの対象でなくなってしまっている。高所恐怖症の治療では、1階から2階へ手をつないで昇り、2階から3階へお尻を押して昇らせる「系統的脱感作療法」と、屋上についてから下を見させる「曝露療法」を組み合わせる。同じ手法を性嫌悪症でもやってみたところ、治療に有効だったことが分かったという。

 まず、最初はイメージトレーニング。初期の交際時にできていた妻とのセックスの様子を思い出してもらう。次に妻の後ろ姿を見ながら、頭のなかで奥さんの服を脱がせるなど、エロチックなことをイメージしてもらう。重症の性嫌悪症の場合は、この段階で強い拒絶反応を示すが、ゆっくり順応させていくことが大切だ。

 そして、奥さんとキスをする、手をつなぐ、マッサージをする、半裸で過ごすといったステップを踏んでいくことで近親姦恐怖をやわらげていく。最後には相手の性器に触れる、セックスをするといったところまで持っていく(曝露療法に相当)。このとき、場所は家庭ではなくホテルがお勧めだそうだ。「家庭で行うと、母子、兄妹というイメージを思い出させてしまう」と阿部院長。生活臭のないホテルなら新鮮な気分になれるというわけだ。

性嫌悪症に有効な薬物治療が発見

 こうした系統的脱感作療法と曝露療法は、性嫌悪症のような恐怖症の治療の基本だが、これまでは治癒するまで1〜2年かかることが多かった。「最近、この治療をサポートしてくれる薬剤があることを発見した」と阿部院長は話す。使う薬剤はエスシタロプラム(商品名:レクサプロ)だ。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と呼ばれる抗うつ剤の一種で、社交不安障害の治療にも用いられている。

 社交不安障害は、人前で話すことが苦手な主婦がPTAの仕事にどうしても就けなかったり、昇進したのに部下の前で話せなかったりなど、言わば極端な「あがり症」のような病気。高速道路を走る車や飛行機に乗ることの恐怖症もこの病気の一種だ。

 阿部院長は、これまでこれらの恐怖症にエスシタロプラムが有効なことが分かっていたので、性嫌悪症患者にもその効果を確かめた。その結果「投薬した人では、系統的脱感作療法や曝露療法の効果が高まり、治療も早ければ3〜4カ月で終えられるようになった」と話す。その臨床試験の進展が期待される。

 お互い大好きなのに、それをセックスという手段では深められない。性嫌悪症には、もしかしたら重大な「心の不調」が隠されているかもしれない。あきらめないで早めに専門家に相談することが大切だ。

阿部輝夫(あべ てるお)さん
あべメンタルクリニック 院長
阿部輝夫(あべ てるお)さん 1970年、順天堂大学卒業後、同大学精神科に入局。81年、コーネル大学精神科へ留学。84年、順天堂大学精神科で助教授。96年、あべメンタルクリニックを開設。「セックスレス」という言葉の最初の提唱者であり、『セックスレスの精神医学』(ちくま新書)など関連著書多数。

このコラムについて

誰にも言えない…オトコのお悩み相談室
 まだまだ男真っ盛りの中高年に容赦なく襲いかかる体の悩み。医者に相談する勇気も出ずに、1人でもんもんと悩む人も多いことだろう。そんな人に言えない男のお悩みの数々を著名な医師に尋ね、その原因と対処法をコミカルで分かりやすく解き明かす。楽しく学んで、若かりし日の輝いていた自分を取り戻そう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/skillup/16/091500010/031000012/
http://www.asyura2.com/12/social9/msg/769.html

[政治・選挙・NHK222] 小池都知事の“論点ずらし”は作戦か  的確な議題設定は会議充実の第一歩 小池百合子を支える「アマゾネス軍団」9人の顔と履
小池都知事の“論点ずらし”は作戦か

会議が変われば、仕事が変わる

的確な議題設定は会議充実の第一歩
2017年3月13日(月)
横田 伊佐男

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 2011年3月11日の東日本震災から早6年がたちました。未曾有の状況下、人はなかなか物事を取り決められないものです。あの当時も官邸、官僚、現場の方々は、1人では解決できない状況の中、幾多の会議を使い暗中模索しながら、問題解決に取り組んでいたことでしょう。

 危機的状況こそ、会議が活用されるのです。しかし、待ったなしの状況で果たして会議が「有効活用」されるかどうか、これは別の話です。

 私は、会議術を使って仕事を変えたいというビジネスパーソン向けの講義の最後に「笑えない会議」の実話を紹介します。

危機的状況の中、彼らは何を論じていたか

 「笑えない会議」とは、今から30年以上前の会議の話です。1986年11月15日に伊豆七島大島の三原山が噴火しました。1777年の噴火に匹敵する209年ぶりの大噴火は、溶岩となって1万3000人を超える島民と観光客に迫ろうとしていました。

 一刻も早く島民を避難させなければ大惨事になります。その様子は、官邸にはもちろん、テレビを通じて国民にも届いていました。しかし、一向に避難活動が始まる様子はありません。その時、避難活動を管轄する国土庁は、19省庁の役人を集め、延々と会議をしてなかなか連絡が取れなかったのです。

 当時の中曽根内閣官房長官である後藤田正晴氏は、内閣安全保障室長の佐々淳行氏に「何の会議をやっておるのか、議題は何か、すぐ聞け」と命令し、確認したところ驚くべき議題が論じられていることが発覚しました。

第1議題:災害対策本部の名称は、「大島対策本部」か「三原山対策本部」にするか。
第2議題:(災害発生年次を)元号(昭和61年)とするか、(昭和天皇が高齢のため)西暦(1986年)を使うか。
第3議題:臨時閣議を招集するか、持ち回り閣議にするか。
 溶岩が島民に迫り、大惨事が想定される中「島民をいかに避難させるか」という本質的な「幹」の議題ではなく、どうでもいい「枝」の議題に時間を費やしていたのです。

本当に笑えますか

 この話をするたび、受講生から失笑が漏れます。確かに、「幹」を論ぜず、「枝」に終始する会議は、滑稽そのものです。そこで私は受講者の失笑がおさまるのを待って、語気強くこのように斬り込みます。

 「しかし、この笑い話、本当に笑えますか。皆さんもこんな会議しているのではないですか」

 受講者から失笑が消え、たちまち表情が凍りつくのは、会社の会議でも「幹」から離れ、「枝」の議論を繰り返している経験があるからです。

 三原山の話に戻します。国土庁の「枝」の会議が終わる深夜には、1万3000人を超える島民と観光客の避難が始まっていました。「枝」を一切無視し「幹」の論点で動いた中曽根総理、後藤田官房長官、佐々氏を中心として、役人たちの会議より早く行動していたからです(参考文献:佐々淳行著 『わが上司 後藤田正晴 決断するペシスミスト』 文春文庫、2002年)。

 では、頭が良いはずの役人達は、どうして意味のない会議に時間を費やしていたのでしょうか。

「〜について」ではなく「〜なのか」

 三原山の緊急会議が意味のない会議になってしまったのは、論点がズレていたからです。島民避難という「幹」を論ぜず、どうでもいい「枝」が論点になっていたことに尽きます。

 会議には、考えるべき「論点」が必ずあります。その論点は、「〜について」という題目ではなく、「〜なのか」という疑問文でなければなりません。会議は、その疑問文に答える内容が論じられるべきなのです。

 その意味で、「論点選び」は極めて重要だと言えます。しかし、これが難しい。繰り返しますが、数多くのことから考えるべき論点=疑問点を抜き出すことが大変難しいのです。

 会議術を学ぶ受講生には、良い論点、論じるべき価値のある論点を見つける簡単な公式を教えています。

論点を導く公式=数値を入れて比較する

 2つほどケースを掲げて、それぞれに悪い例、良い例を挙げましょう。

【Aケース:ダイエット】
◆悪い論点:効果的なダイエットについて
◆良い論点:どうやって現在70kgの体重を3カ月で、60kgにするか。

(解説)
 悪い論点は、疑問文になっておらず具体的でないため、会議をしたとしても良い議論にはならないでしょう。良い論点は、3カ月で10kg減量するという具体的な目標、それも厳し目の目標があります。論じられる内容もダイエットの他に運動も加えるなど、具体的になることが期待できます。

【Bケース:マラソンの走力アップ】
◆悪い論点:マラソンタイムを短縮することについて
◆良い論点:1年後の大会までに、フルマラソンのベストタイム(4時間)を30分短縮するためには、どんなトレーニングをすべきか。

(解説)
 これも悪い論点は、疑問文ではなく、論点自体が抽象的でシャープではありません。良い論点は、1年間かけて30分短縮するかが論点なので、1か月で2分強、短縮するための案などを論じることが可能になります。

 両方のケースとも、「数値を入れて比較する」という公式で論点化されています。先の三原山のケースの場合はどうでしょうか。

◆悪い論点:災害対策本部の名称は、「大島対策本部」と「三原山対策本部」のどちらにするか。
◆良い論点:3時間以内に、1万3000人超の島民を避難させるための船は何隻必要になるか。また、どうやって手配すればよいか。

 このように論点を絞り込んでいたら、長時間の会議にならず、役人たちは島民を避難させるヒーローになっていたかもしれません。会議を有効活用するには、良い「論点」が重要なのです。

適切な論点を早い段階でつかまえている

 論点を見極める格好の材料は、政治家です。彼らの論点次第で、予算が大きく変化し、国民である我々に大きく関わってきます。

 私も都民の一人として、小池都知事の論点、つまり、今考えていることに注目しています。彼女は、機を見るに敏であり、適切な論点を早い段階でつかまえているように見えます。

 中でも際立ったのが、都知事着任後の2016年8月2日、同年11月7日に移転が決まっていた築地市場移転(豊洲市場移転) 問題に切り込み、論点化したことでした。

 なぜ見事かというと、「現状案:安全確認なしに予定通り11月7日に移転」と「あるべき案:安全確認した上で移転。できなければ11月7日を延期」を比較していたからです。

 結果として、2017年1月の地下水モニタリング結果を見て判断するとして、移転を延期したところまでは、あっぱれでした。しかし、この問題は2つの時限爆弾付きで、次第に取り扱いが難しくなってきます。

論点は注意深くピンで押さえ込む

 1つ目の爆弾は、水産業者の悲鳴です。移転を前提にしていた水産業者は豊洲と築地への二重設備コストがかかってきて、待ったなしです。

 2つ目の爆弾は、環状2号線です。環状2号線は2020年の東京五輪で選手村や競技会場と都心を結ぶことになる道路で、オリンピックを成功させるうえで重要な役割を担います。その環状2号線は、築地市場の跡地を通ることが計画されており、完成させるには2016年11月7日移転でもぎりぎりのタイミングであると言われています。

 そこで、本来考えるべき論点は、「豊洲での汚染が確認された今、いつどこへ移転するのか。築地のままでいるべきか」という喫緊の論点に立ち向かわなければなりません。

 ところが、現在の論点は、「誰が豊洲市場への移転を決定したのか」について、石原元知事を参考人として、論じられようとしています。

 私には、2つの爆弾を解決する「幹」の論点から、次第に犯人探しという「枝」の論点にズレているような気がしてなりません。

 論点は微妙にズレます。注意深くピンで押さえ込まないと流されてしまうことがあります。会議を上手に仕切るためにも、傍観者として論点の修正を具申するためにも、日々の生活やニュースから、「この論点は何か」を意識することが大切だと思います。すると、次第に切れの良い論点選びができるようになってきます。

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このコラムについて

会議が変われば、仕事が変わる
 会議に次ぐ会議…。ビジネスパーソンにとって「会議」は必要不可欠な活動ですが、忙しければ忙しいほど、非効率な会議は避けたくなるものです。効率的かつ生産性のある「会議」は、上級管理職から一般社員まで共通の願い。とはいえ、理想にほど遠いのが現状でしょう。
 このコラムでは、その課題を解決しつつ、「受動的」に会議にぶら下がる社員から、「能動的」に会議を仕切るビジネスパーソンに生まれ変わるため、カンタンかつ最強の会議術を修得してもらおうと考えています。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/skillup/16/012600016/030800008/?

 

小池百合子を支える「アマゾネス軍団」9人の顔と履歴書

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2017年3月12日 12時0分 Smart FLASH
「試験を受けたのは一般の人だけでなく、ほかの党・会派に所属する都議や区議、大阪や九州など地方都市の現役議員も多数、いました」

「希望の塾」塾生のひとりが、「小池フィーバー」の求心力の大きさに驚き、そう話す。政界とは無縁と思われていた主婦やOLが、都議選候補者として名乗りを上げ始めたのだ。戦々恐々としているのは、抵抗勢力として名指しされる都議会自民党だけではない。

「民進党議員の多くが『希望の塾』に参加し、選抜試験に合格している。どこの区から、誰が立候補するのかの探り合いが始まっており、党の存亡に関わる状況だ」(民進党関係者)

「都民ファーストの会」はすでに8人の公認を発表。

「塾生たちは、将来的に小池陣営が国政に打って出ると思っていますよ」(前出・塾生)と展望を語る。吹きやまない小池旋風が政界再編を巻き起こす日は近い。

●龍円愛梨(39・元テレビ朝日アナウンサー)


『龍円愛梨』

「希望の塾」では「政策立案に参加したい」と言う彼女。ダウン症の長男の存在が大きい。「障がいを持つ子供と健常者の間の垣根を取りたい。’20年の東京五輪でも、障がいを持つ人に対して支援体制を作っていきたい」と語り、現在も障がい児への偏見をなくす活動を続けている。

●若林利咲(30・タレント)


『若林利咲』

「大学を出て8年、まだ不安ですが、都議をやってみたい」と本人。過去には、「CanCam」(小学館)、「ROLA」(講談社)などファッション誌のモデルから舞台、映画を中
心に活動する女優に転じ、会社経営も手がける。「希望の塾」塾生のなかでは、早くから注目されていた。

●榎本あゆみ(33・港区議)


『榎本あゆみ』

 ’15年に港区議に初当選。維新の会に所属したが、会派消滅で民進党へ。「いずれは国政を目指しています。こんなチャンスはほとんどないのでチャレンジしたいんです」。党の先輩議員からは慎重になるよう諫められたが…。
「それでも、塾に参加してよかったと思います」

●中村彩(27・会社員)


『中村彩』

「もともと政治家志望でした。候補者の選抜試験に合格してか
らは、俄然やる気が出ています。『希望の塾』の講義は勉強になります」。現在は金融関係の会社で働いている。持ち前の熱心さで、20代の都議を目指す慶応大卒の才媛!

●佐々木里加(40代・美大講師)


『佐々木里加』

「小池先生は日々、都政で戦っているのに笑顔で明るい。タフですしね」と、小池氏の活躍ぶりに惚れ込み参加した。美大で教鞭を執っている。
「美術は人の心を潤す。文化芸術の充実を訴えていきたい」と政策は具体的。

●上田令子(51・都議)


『上田令子』

 江戸川区議を経て’13年から都議。都議会会派「かがやけTo
kyo」から「都民ファーストの会」に合流し、中心的メンバ
ーに。自身も筆記試験を受け、1月23日に公認候補となった一
人。現在は候補を選ぶ側だ。

●茜ケ久保嘉代子(41・教育コンサルタント)


『茜ケ久保嘉代子』

 インターネットを中心に、教育コンサルタント業に携わる。「教育問題などを改革する手段として、政治があるんだとあらためて思いました。講義については、100%理解できてはいませんが…。中途半端かもしれませんが、挑戦する意欲はあります」と謙虚に語った。

●平田優美(35・起業家)


『平田優美』

 一児の母で、起業家として婚活などのコンサルタント業を手がけている。「子育てをしているお母さんを支援する政策に関わっていきたいです。都知事選での小池さんの戦いぶりを、憧れを持って見ていました」と語る。有力なママさん候補のひとりになりそうだ。

●エド・はるみ(52・タレント)


『エド・はるみ』

 現在は慶応大学大学院に在学中。「『希望の塾』はあくまでも勉強」と言い、都議選への意欲を聞かれても煙に巻いた。開塾式で、お馴染み「グ〜」のポーズを控えめに披露した彼女。
しばらくは、ギャグを封印するようだ。

(週刊FLASH 2017年2月28日号)

Smart FLASH
外部サイト

小池百合子を支える「キーマン5人衆」時給7300円の実力
小池百合子が本誌だけに語った「伏魔殿」東京都庁の問題点
小池百合子「女子の本懐」を支える「最高の能力」とは?
http://news.livedoor.com/article/detail/12786962/
http://www.asyura2.com/17/senkyo222/msg/299.html

[国際18] 「戦後最大の人道危機」=2000万人飢餓に直面−国連次長 南スーダン撤収、別所大使が国連に報告 人道支援では追加も 
「戦後最大の人道危機」=2000万人飢餓に直面−国連次長
 【ニューヨークAFP=時事】オブライエン国連事務次長(人道問題担当)は10日、世界は第2次大戦後最大の人道危機にひんしていると警告した。イエメンなど4カ国で2000万人以上が飢餓や凶作に直面していると説明。「国際社会が協調して取り組まなければ、人々は餓死するしかない」と訴えた。
 4カ国はイエメンの他、ナイジェリア、ソマリア、南スーダン。オブライエン氏は、内戦が続くイエメンについて「世界最大の人道危機」と表現。イエメン総人口の3分の2に当たる1880万人が支援を必要としており、700万人以上が日々の食事にありつけない状況だと述べた。(2017/03/12-20:59)
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http://www.jiji.com/jc/article?k=2017031200524&g=int


 


南スーダン撤収、別所大使が国連に報告 人道支援では追加も
2017/3/11 5:06
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 【ニューヨーク=高橋里奈】別所浩郎国連大使は10日、南スーダン国連平和維持活動(PKO)から陸上自衛隊の施設部隊が撤収する方針について「国連に伝えた」と国連本部で記者団に語った。また、グテレス国連事務総長の求めに応じ、南スーダンの飢饉(ききん)に対する人道支援を日本政府が「追加することを検討している」と明らかにした。

10日、国連本部で記者団の取材に応じる別所浩郎国連大使=共同
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10日、国連本部で記者団の取材に応じる別所浩郎国連大使=共同
 別所大使は5年間の活動期間を経た撤収は「適切なタイミングだ」と訴えた。国連のラズースPKO局長から「自衛隊の技術者らによる良い仕事ぶりに感謝していると言われた」と述べ、国連は「日本政府の決定を理解し、尊重してくれている」と強調した。

 一方、国連のハク事務総長副報道官は10日の定例記者会見で「日本が南スーダンから約350人の施設部隊を撤収することを伝えてきた」ことに触れ「何年もとても大切な機能を担ってきた」と発言。「日本の働きに感謝している」とした。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN10H4I_R10C17A3000000/?n_cid=NMAIL003


ごまかせぬ世界の現実 南スーダンPKO撤収 (本社コメンテーター 秋田浩之)
2017/3/11 8:30日本経済新聞 電子版
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 どの指導者にとっても、国民の命にかかわる決断ほど、重いものはない。その意味で、南スーダン国連平和維持活動(PKO)から自衛隊を撤収するという安倍晋三首相の決定は、極めて大きな政治判断だ。そこから教訓をくみ取り、次に生かさなければならない。

 その核心とは、安全が確実に保証されるPKOなど存在しない、という世界の現実だ。日本が国際貢献として自衛隊の派遣を続けていくなら、まずこの点を肝に銘じ、準備を整…
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO13962980R10C17A3EA2000/?n_cid=NMAIL003
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/599.html

[政治・選挙・NHK222] アメリカ帝国は終焉へ向かう、日本は「連欧連亜」を目指せ 北朝鮮が韓国と大統領弾劾を喜ぶ不気味 米ドルいかに世界を制したか
2017年3月13日 週刊ダイヤモンド
アメリカ帝国は終焉へ向かう、日本は「連欧連亜」を目指せ

進藤榮一・筑波大学名誉教授
米国でトランプ政権が誕生してから、新大統領の一挙手一投足に各国政府も市場もメディアも振り回されている。それは新政権が保護主義に走るのか、反イスラム主義なのかといった目先の課題に目を奪われ過ぎているからでもある、トランプ政権の誕生を歴史的な視点で捉えたのが、アメリカ外交・国際政治経済が専門の進藤榮一筑波大学名誉教授が著わした『アメリカ帝国の終焉』(講談社現代新書)である。そこではなぜパクスアメリカーナ(アメリカの平和)が終焉を迎えたのか、なぜ世界の軸がアジアに移行しつつあるのか、そしてこれから日本はどのように対応すべきかが論じられている。著者の進藤教授に聞いた。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集委員 原 英次郎)


──この本の主題、つまり最も訴えたかったことは何ですか。

 21世紀情報革命下で、アメリカの世紀が終わり、アジアが勃興する地殻変動が進行している現実です。その現実をトランプの登場は示唆しています。

 では、なぜアメリカは、帝国としてのヘゲモニー(覇権)を失ったのか。

 第一に、デモクラシーというソフトパワーの喪失です。アメリカの民主主義が、デモス(民衆)のクラチア(権力)として機能しなくなっているのです。議員やロビイストが群がる金権政治化が進み、民衆を軽視した超格差社会を生み出しました。

 しかもその超格差社会化が、情報革命下で進む金融カジノ資本主義化と重なり合っています。0.001秒の時間差で巨万の富を稼ぎ出すアルゴリズム金融商法が跋扈し「ものづくり大国」から「カネづくり大国」へと変容し、経済力を衰微させてきたのです。リーマンショックがその表れです。

 しかもアメリカは、地球を何十回も皆殺しできる核を持ち、情報革命下で、最先端電子兵器群を開発し展開しているにもかかわらず、中東戦争を収束できません。反米感情を高めるだけで、テロを生み続けます。世界秩序の担い手としての実質的な力を失なってしまったのです。情報革命の逆説です。

 それに代わって台頭しているのが、中国やインドなど新興国、特にアジアです。「アジア力の世紀」の登場です。日本は、明治開国以来の脱亜入欧論や日米基軸論から転換すべき時に来ている、その転換のかたちが今求められているのです。

19世紀末の米国と似た
ポピュリズムの台頭


進藤榮一・筑波大学名誉教授(略歴は本文末)
──トランプ政権の誕生は、歴史的な視点で見るとどのような意味を持ちますか。パクスアメリカーナ(アメリカの平和)の終焉と見ておられますが、その根拠は?

 ポピュリズムの台頭をアメリカ史の文脈で見ると、19世紀末の状況との類似性を指摘できます。新移民が急増し、巨大資本が誕生し格差が拡大し、大資本と癒着した既存政党が金権政治化を進め、日刊紙などニューメディアが登場します。

 その構造変化の中で、アングロサクソン中心の伝統的な19世紀アメリカ社会が分断、解体され、新しい国のかたちを求め始めます。その運動の先端を、人民(ポピュリスト)党が民主党と担い、独占資本優遇や海外領土拡張に反対します。富を国外に求めるのではなく、国内産業や、農民や人民の雇用や福祉に寄与すべきだという国内優先主義を掲げます。

 国内優先政策が産業基盤を強化し、ニューメディアが市民力を強め、新移民が産業力の担い手となって工業超大国化への成長を助け、アメリカ帝国の道が敷かれます。

 100年後の今、ポピュリスト右派のトランプは、ポピュリスト左派のサンダースとともに、首都に群がる既得権益層を批判し、ウォール街と政治の癒着と金権政治化を批判し、ヒラリーを敗退させました。アメリカファーストを掲げ、中東やウクライナでの米国の軍事介入を批判し、対ロ制裁を解除し、自国の人的、経済資源を国内雇用拡大に向けるべきことを説きます。

 ただ今日の新移民は全人口の4割に達します。そして文化や宗教の著しい違いのためにアメリカ社会に包摂されず、排外主義的なポピュリズムの源泉となります。ものづくり部門が縮小したために、新移民は白人労働者の職を奪う存在へ化します。それが、メキシコとの国境の壁をつくり、イスラム諸国の入国禁止の動きにつながります。

 しかしボーダレス化が進む今日、モノやヒトの自由な移動を制限する排外的ポピュリズムは、産業力を逆に弱め、多様な人種がつくる活力を削ぎます。ニューメディアのツイッターなどで大統領令を連発するトランプの政治手法は、民主制度の基盤を切り崩します。富豪や将軍たちが政権中枢にいるトランプ・右派ポピュリスト政権は、民力を削ぎ続けて、パクスアメリカーナの終焉を自ら早めていくのです。

世界経済の中心は
米欧世界からアジア世界へ

──グローバル化が、本当に貧富の格差拡大とテロの横行もたらした元凶なのでしょうか。とくにテロについては、「文明の衝突」が、主要因ではないとお書きになっていますね。

 今日のグローバル化だけを見ていると、格差拡大とテロとの相関関係が見えてきません。もし私たち、19世紀後半に始まる100年前のグローバル化に目を向けると、あの時もまた、貧富の差が拡大してポピュリズムが台頭し、テロが横行しているのです。グローバル化がつくる格差拡大の現実は、映画「レ・ミゼラブル」や、マルクスの『共産党宣言』に表れます。世界各地でテロと反乱が頻発しました。

 100年後の今日のグローバル化は、一方で米国の国内外に貧富の格差を拡大させています。他方で米・NATO連合軍が中東で空爆を続け、事実上の軍事占領を進めています。数十万人の難民が祖国を追われ、その民衆の怨嗟が、反米欧へのテロを生み出します。そのテロの真因を、シカゴ大学テロ研究班が80年以来の2500件以上の膨大なデータを基に明らかにしました。

 21世紀グローバル化の進展下、ソ連崩壊後にアメリカは、軍の民営化を進めて戦争請負会社をつくり、デモクラシーを湾岸やバルカン、中東アフリカに広める戦争を繰り出します。その結果がテロのグローバルな拡延なのです。その意味で「文明の衝突」論は、テロの表層部しか見ていない西側中心主義史観です。

──世界の政治経済の中心は、アジアに移りつつあり、実質的な統合に向かっていると述べておられます。それはEU(欧州連合)のような法的な枠組みではなく、デファクトとしての統合だと分析しておられますが。どういうことでしょうか。

 ここでもキーワードは、情報革命です。情報革命下で、距離が急速に短縮され、モノとカネ、ヒトと情報と技術が国境を超えて移動します。一国中心の生産体制から、ネットワーク分業型の多国間生産体制が広がります。アジアの場合、日本の開発援助や直接投資、技術支援が、韓国や台湾、中国やASEAN諸国の社会経済的な発展基盤をつくり上げます。その基盤の上に部品など中間財貿易を軸にサプライチェーンがつくられ、アジア経済一体化が進行するのです。

 国家主権を法制度的に削減し続けた、デユーレ(法的)の統合EUと違って、アジアの場合、国家主権を残したまま国境の壁を低くするデファクト(事実上)の統合が、アジア型生産ネットを軸に、ASEAN共同体という小国連合に牽引され進展しているのです。

 加えて三十数億の人口を擁するアジアは「世界の工場」になります。分厚い中間層が形成され、「世界の市場」が生まれ「世界の銀行」へと変容し始めます。人口オーナスが人口ボーナスに化し、世界経済の中心へと躍り出るのです。

 さらにアジアの山河や海洋、砂漠で分断された広大な空間がつくる経済的潜在性です。情報革命下で開発技術や建設機器が進化し、巨大市場と経済一体化を背景に、インフラ整備強化の需要をつくります。空間オーナスが空間ボーナスへ変換します。中国が提唱し、EUを含む58ヵ国からなるアジアインフラ投資銀行は、その担い手になります。

 世界経済の中心が、アジアの事実上の統合を基盤に、米欧世界からアジア世界へと移り始めているのです。

日本が目指すべきは
脱亜入欧から連欧連亜への道

──今やアジアの中心は中国です。ただ、南シナ海で見られるように、中国は既存の国際秩序への挑戦者であり、とくに安全保養の面では膨張主義を採る「脅威」だと、日本では喧伝されています、この点をどうお考えですか。

 確かに中国の南シナ海での行動や国防費の急伸から、中国“膨張主義”論を引き出すのは容易です。しかしそれを、既存国際秩序への挑戦と捉えるのは短絡的です。中国の国防費は、対GDP比で2%以下で、4割近くは人件費で、兵器は貧弱です。南シナ海での領有権争いについては、それぞれの国に応分の言い分があります。日本が中、韓、露と抱えている領有権争いと同じです。

 しかし中国の急激な経済発展と、米主導の軍備増強と緊張激化が、中国権力層内部で軍部の発言力を強めています。しかも軍と資源エネルギ?産業とが中国流の軍産複合体を形成しつつあり、軍拡の動きを引き出しています。

 ただ、それに対処するためとして日本が、米韓とともに軍拡予算を増やし米国製高額兵器を購入し、武器輸出に乗り出すべきではありません。周辺諸国との軍拡競争は一触即発の危機を生み、民生ものづくり生産力を衰微させていきます。

 日本が進めるべきは、むしろ南シナ海や東シナ海で漁業資源や海底ガス田の共同開発体制をつくり上げることです。それは、中国の軍拡への抑止力になります。軍拡競争のマイナスサム・ゲームを共同開発のプラスサム・ゲームに切り替え、ウインウインの関係をつくり上げていくべきです。


『アメリカ帝国の終焉』
進藤榮一
講談社現代新書
821円(税込み)
──安倍政権は政治経済両面で、「トランプファースト=アメリカ最優先」のように見えます。歴史の転換期にある今、日本はどのように対応すべきか。基本的なビジョンと具体的なアプローチについて、お考えを聞かせてください。

 トランプのアメリカ利益第一主義に付き従って、米軍軍事費肩代わりの要請に応えてはいけません。米軍撤退による「力の空白」を日本の軍拡で埋めるのではなく、周辺諸国との平和共生体制の構築を進めることです。

 トランプの「取引」外交戦略下で、アメリカに擦り寄り、TPPに代えて日米FTA交渉を進めることは、日本経済が米国流自由貿易の罠に落ちて衰退を進めることになります。むしろ「ASEAN+6」を軸に持続可能な自由貿易体制をつくり、地域力と民力とを強めていくことです。RCEP(東アジア包括的経済連携協定)の推進です。デファクトの地域統合を、低炭素環境共同体や、ロシアやモンゴルを含めたアジアスーパーグリッド構想など資源食料エネルギー共同体の構築へつなげていくことです。日米軍事安保による同盟絶対主義ではなく、同盟の相対化です。脱亜入欧論から連欧連亜への道です。EUやアジアと連携を強めながら、AIIBに参画し、ユーラシア不戦開発共同体への道をつくることです。

しんどう・えいいち/1939年北海道生まれ。京大法卒。同大学院を経てプリンストン大学、ハーバード大学研究員など歴任。筑波大学教授、早稲田大学客員教授などをへて筑波大名誉教授、国際アジア共同体学会会長、一般社団法人アジア連合大学院機構理事長。著書に「アメリカ 黄昏の帝国」、「アジア力の世紀」、「分割された領土」(ともに岩波書店)、「東アジア共同体をどうつくるか」(筑摩書房)、「現代アメリカ外交序説」(創文社、吉田茂賞受賞)など。
http://diamond.jp/articles/-/120906


 

 

 
2017年3月13日 武藤正敏 [元・在韓国特命全権大使]
北朝鮮が韓国国民と共に大統領弾劾を喜ぶ不気味


韓国の朴槿恵大統領の弾劾を巡っては国民を挙げての運動が繰り広げられた  Photo:AP/Aflo
韓国の憲政史上初となる
大統領の罷免が及ぼす影響

 3月10日、韓国の憲法裁判所は8人の裁判官全員一致で、「朴槿恵(パク・クネ)大統領に重大な憲法・法律違反があった」として罷免を宣告した。韓国の憲政史上大統領の罷免は初めてのことである。朴大統領は直ちに失職し、今後60日以内、5月9日までに大統領選挙が行われる。

 韓国の憲法裁は、証拠と法理を積み上げるのではなく、政治的判断で結論を出すと韓国の国内でも言われている。元在韓大使として、憲法裁の結論にコメントするのは差し控えたいが、今の激昂する国民感情の下で、朴大統領の弾劾を棄却するのは非常に勇気のいることであっただろうし、この結論は想定されていたことでもある。

 韓国の大統領は伝統的に、任期末あるいは任期後に不幸な結末を招いているとも言われているが、弾劾というのは憲政史上初である。とはいえ、これまでの大統領と比べ、朴大統領の行動が重大な憲法・法律違反であったかは何とも言えない。ただ、朴大統領の行動がベールに包まれ、国民に理解しがたいものであったことは事実であろうし、朴大統領の捜査に対する非協力姿勢も心証を悪くしたと言えるであろう。

 それにしても、朴大統領の弾劾は韓国国内の政治的対立を深め、北朝鮮情勢が混沌としている中で、韓国の安全保障にとって深刻な事態をもたらしていることは否定しがたい。しかも、韓国国民が北朝鮮の脅威よりも朴弾劾を優先したことは次の政権選択に暗い影を落としている。また、せっかく朴政権の下で立ち直りかけていた日韓関係を再び悪化させかねない危険をはらんでいる。

 韓国の主要紙も、韓国の政治家は日韓の対立を煽ることばかりで、対立関係を調整し韓国の進路を正しい方向に持っていくことをしないと嘆いている。

 韓国の政治的混乱が、どのような影響を及ぼすのか考えてみたい。

北朝鮮のことは眼中にない?
次期大統領候補と韓国民

 朴大統領の弾劾によって、次の大統領選挙が5月9日ごろ行われる見通しである。現在名前の挙がる候補者の支持率を見ると、世論調査によって違いがあるが、野党系の候補の合計支持率は7割を超えるものが多い。聯合通信も野党内の予備選挙が事実上の決戦になると予測しており、トップを走る野党「共に民主党」前代表の文在寅(ムン・ジェイン)候補の支持率は3分の1を超え、突出している。

 今回の選挙で特徴的なことは、北朝鮮が、急速に性能が向上したミサイルを発射し、金正男(キム・ジョンナム)氏を暗殺するなどの挑発行為を繰り返しているにもかかわらず、文在寅氏に対する支持率がむしろ上昇していることである。これまでの選挙では、北朝鮮の挑発行為があると保守系に支持が集まっていた。1987年に起こった北朝鮮の工作員による大韓航空機爆破事件直後の大統領選で、軍人出身の盧泰愚(ノ・テウ)候補が、野党政治家の金泳三(キム・ヨンサム)候補を下したのはその典型である。

 しかし、今回こうした傾向はみられず、朴大統領を政権の座から引きずり下ろしたいとの感情が優先し、北朝鮮の挑発行為は国民の眼中にはないようである。

 次の大統領選挙では朴大統領の行ってきた政策を否定する候補に票が集まるであろう。朴大統領は北朝鮮に対し強硬姿勢で臨んできたため、北朝鮮に対する宥和的な政策で北朝鮮を支援してきた政権の失策を忘れさせ、文在寅氏の親北政策の危険性から目をそらすことになっている。

 日韓関係では慰安婦問題に関する合意を否定すること、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の見直しを行うこともその弊害を見えなくしている。韓国の安全にとって米軍との協力は最優先すべきであるが、地上配備型ミサイル防衛システム(THAAD)の在韓米軍への配備の再検討さえ指摘されている。これらはいずれも韓国の防衛・外交にとって深刻な事態をもたらすことを韓国国民は全く理解していない。

親北政権の誕生は
北朝鮮の核・ミサイル開発を支援する

 韓国に亡命した元在英北朝鮮大使館公使太永浩(テ・ヨンホ)氏は、報道によれば「北朝鮮の核ミサイル開発を止めることができるのは、政権交代だけである」と述べたという。北朝鮮の核ミサイル開発は待ったなしである。

 1990年代後半の金大中、盧武鉉政権は北朝鮮に対し宥和的な政策をとり、北朝鮮の攻撃的政策を改めさせようとしたが、その結果約30億ドルが北朝鮮に流れ、その大半が核ミサイル開発に使われたと言われている。

 それと同じことが次の政権で行われたらどうなるのか。北朝鮮は、安んじて核・ミサイル開発に邁進するであろう。そして、北朝鮮が核・ミサイルを実戦配備すれば韓国は北朝鮮の脅威から身を守れなくなるであろう。日米韓の結束は乱れ、中国に北朝鮮への影響力行使を期待することもより一層難しくなろう。

 韓国国民は、北朝鮮に対する危機意識が日本よりも薄い。それは北朝鮮に対する客観的な情報分析よりも、北朝鮮は同胞であり、あまり追い詰めなければ、韓国を攻めたりはしないであろう、といった希望的観測で見ているからである。また、万が一北朝鮮が瓦解すれば韓国が背負う負担は甚大であり、韓国の発展が阻害されて、それでなくても苦しい自分たちの生活がより一層苦しくなる、北朝鮮に万が一のことが起きるのを望まないという気持ちが北朝鮮の状況を直視できなくしている。

 しかし、北朝鮮が核・ミサイルを開発すれば、韓国はいいように北朝鮮の餌食になるのである。韓国の主要紙は、そうした懸念を持ち始めているが、それが国民には浸透していない。日本以上にネット社会である韓国では、朴槿恵弾劾に動いた若者は新聞を買って購読せず、自分たちが欲しい情報だけをネットで選別して見ている。これは米国とも共通する傾向である。

 米国は次の大統領選挙を見据えて対策を取りつつある。

 3月7日、韓国国防省は高高度ミサイル防衛システム(THAAD)の一部が韓国に到着し、配備を開始したと発表しており、運用開始まで1?2ヵ月、早ければ4月にも稼働する模様である。このように在韓米軍へのTHAADの配備時期を大幅に早めたのは、韓国の大統領選挙とも関係があろう。大統領選挙でトップを行く文氏はTHAAD配備の決定は次期政権で行うべきとして配備の再検討を匂わせている。米韓両国政府ともに、親北の政権ができる前にできることはしておこうとの姿勢である。

 米国のティラーソン国務長官が3月15日から日本、17日に中国、そして18日に韓国をそれぞれ訪問する。マティス国防長官に続き、ティラーソン国務長官が東アジアを訪問するのは、トランプ政権が北朝鮮の脅威を深刻に受け止めていることの表れである。特に、中国とは楊潔チ(チの字は竹かんむりに褫のつくり)国務委員が米国を訪問した時、トランプ大統領が面会しており、習国家主席の訪米も検討されていることから、ティラーソン国務長官の習主席との面談の可能性がある。

 こうした一連の動きは、韓国の次の政権が誕生する前に、既成事実を積み上げようとする動きにも見える。

日韓関係は悪化へ
少女像の撤去はさらに遠のく

 最後に、今回の弾劾を経て、日韓間の慰安婦合意は守られるのか、である。

 慰安婦を象徴する少女像が在釜山総領事館前に設置されたことに対し、長嶺安政駐韓大使を一時帰国させたのは、日本の強い抗議の意思を示す意味で適切であったと思う。また、その少女像の撤去の見通しが立たない状況で帰任することには反対する声が日本国内では強い。

 しかし、北朝鮮の核・ミサイル開発は待ったなしの状況である。安倍総理とトランプ米大統領の電話会談でも「北朝鮮の核ミサイルの脅威は新たな段階に入った」と合意している。今、日本にとって最も重要なのは北朝鮮の脅威にいかに備えるかである。

 韓国の次期大統領が就任すれば、日米韓の緊密な協力が揺らぐ危険が高く、その前に北朝鮮への対応は動いていく可能性が高い。新しい状況に迅速に対応していくためにも日本として最善の体制をとっておくべきと考える。

 韓国の野党系大統領候補はいずれも日韓の慰安婦合意は無効である、再交渉すると言っている。国家首脳の間で合意したことを勝手に反故にするなど外交の常識ではあり得ないことであり、韓国政治家は日本のことになるとこうした常識を忘れるようだ。

 慰安婦問題の解決に向けて日本への圧力を高めようと、慰安婦団体が働きかけてきた米国でも、有識者は呆れている。 

 また、この合意を受けて韓国政府は、これまでの協議の相手であった「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」や元慰安婦が共同生活をする「ナヌムの家」に加え、いずれにも属さない元慰安婦とも接触を続け、合意当時46人存命(現在は39人)であった元慰安婦の内34人に合意を受け入れてもらっている。このうち6人はナヌムの家にいる人々であると聞く。要するにハードコアの元慰安婦以外は合意を受け入れようとしているのであり、本来この問題は解決済みなのである。

 これを蒸し返したのが挺対協である。したがって、既に日本は合意を忠実に履行している、これ以上の交渉に応じる考えはないと突っぱねていればいい。

 政治と歴史、領土の問題を除けば韓国の一般国民の対日感情は悪くない。他方、政治と歴史それに領土の問題は韓国の政権が反日的性向の時は何をやっても改善しない。日本はこれまで日韓関係修復のため譲歩をすることが多かったが、その結果、韓国は日本に対しては客観性がなく、自分の理屈で要求する習性が治っていない。

 先般の慰安婦に関する合意は日韓双方が譲歩するという新しいモデルであり、今後の日韓関係のモデルケースとなるものである。これを変えることは決してないことを韓国に悟らせることは重要である。

 ただ、朴大統領の弾劾という状況になったために少女像の撤去はさらに遠のくであろう。日韓関係は悪くなる時は速いが、良くなる時も速い。日韓関係が好転する時に一気呵成に改善させていくのが効果的である。少女像の撤去はその時に進めるのが現実的である。

朴大統領弾劾を
いち早く報道した北朝鮮

 朴大統領の弾劾については、北朝鮮がいち早く報道した。これは大変珍しいことである。朴大統領は「北朝鮮の核開発は北朝鮮の体制崩壊を早める」と述べたが、先に朴政権が倒れてしまったわけだ。北朝鮮が喜んで報道しているということは、それだけ韓国にとって危険なことであるということである。

 韓国の若者もまた、朴大統領の失職を喜んでいるが、朴大統領が退陣した今、韓国の置かれた地政学的状況や、友好国日米との関係をしっかり見つめ直し、大統領選挙に臨んでほしい。

 大統領選は韓国の内政問題であり、日本は誰が大統領になろうと協力していかなければならない。それが外交の宿命である。しかし、本音を言えば大変心配である。

http://diamond.jp/articles/-/120907

 

 

【第16回】 2017年3月13日 茂木誠 [駿台予備学校 世界史科講師]
米ドルは、いかにして世界を制したのか?基軸通貨の世界史(2)
歴史から学ぶ経済のしくみ! 仕事に効く「教養としての世界史」
増税、TPP、円高、デフレ、バブル、国債、恐慌etc
歴史の流れを知ることで、
「なぜ」「どうして」がスッキリわかる!
『経済は世界史から学べ!』の著者、茂木誠氏に語ってもらいます。

世界の覇権はイギリスからアメリカへ。なぜ?
 ヨーロッパでも17世紀にようやく紙幣が発行されるようになりました。イギリス政府は「政府の銀行」としてイングランド銀行を認可し、通貨ポンドの独占的な発行権を与えます。
 戦争などで政府が財政難に陥ったときには、国債を発行して中央銀行に引き受けさせ、低い利息で資金を融通してもらうのです。こうすれば、財政難のたびに増税を考えなくても済むのです。
 大航海時代から続いてきた銀を基軸通貨とするシステムを銀本位制といいますが、銀山を掘り過ぎて銀の価値が下がってしまったので、より価値の高い金(Gold)を基軸通貨とするシステム、金本位制に移行するのが19世紀です。先頭を切ったのはイギリスで、貿易代金の支払いを金(Gold)で要求したのです。大英帝国の繁栄を支えたのが、世界中から流れ込む金(Gold)でした。
 大英帝国に陰りが生じたのが19世紀の末。新興の工業国アメリカの台頭です。綿織物など軽工業中心だったイギリスは、重化学工業を発展させたアメリカ、そしてドイツに工業生産で追い抜かれました。その後も海外投資のリターンで金が流入し続け、ポンドの地位は揺るがないように見えましたが、決定的だったのは第一次世界大戦でした。
 戦場にならなかったアメリカは、軍需物資を大量生産してヨーロッパの交戦国に輸出して莫大な利益を上げ、財政難に陥った各国政府が発効する戦時国債を引き受けて、債権国になりました。戦争はもちろん悲惨ですが、自国が戦場にならなければ儲かるものなのです。
 戦後、イギリスを始めとする欧州諸国は、戦時国債の償還、すなわち返済を迫られました。支払いはもちろん金(Gold)です。ロンドンの金融街シティの金庫から引き出された金塊が、大西洋を超えてニューヨークのウォール街へと流れ込んだのです。
アメリカの金融危機。そして第二次世界大戦へ
 過剰な資金は国内の設備投資や海外投資に使われました。敗戦国ドイツの経済復興にも莫大な資金が投資されます。ところが、欧州の経済復興とともに輸出が止まって在庫がだぶつき始め、企業収益は悪化していきました。余剰資金は株式や債券に流れ、実体経済とかけ離れた株高――バブル経済をもたらします。
 このバブルが弾けたのが、1929年10月の株価大暴落。世界経済のけん引役となっていたアメリカの金融危機は、世界恐慌の引き金になりました。
 物価は下落を続け、市場規模は縮小し、輸出は伸び悩みます。金本位制では、貿易代金は金(Gold)で支払うのが原則ですから、貿易赤字は金の流出と直結します。中央銀行の手持ちの金と同額の紙幣を発行するのですから、金が底を突けば、通貨発行もできなくなります。通貨発行ができなければ景気対策も打てません。
 
 最後の手段が、金本位制の停止です。金(Gold)と等価交換できる引換券であるはずの通貨ドルを、金と切り離してしまうのです。
 各国が金本位制を停止した結果、基軸通貨を失った世界貿易は縮小しましたが、イギリスは広大な植民地――ポンド圏内で貿易を維持し、外国製品には高関税をかけるブロック経済で国内産業を守りました。
 植民地が少ない日本、まったくないドイツの産業を守るには、それぞれ円ブロック、マルク・ブロックを建設して市場を確保する必要がありました。こうして日独の軍事行動から始まったのが第二次世界大戦です。
超大国アメリカと、最強通貨ドルの誕生
 今度も戦場はヨーロッパと東アジア・太平洋海域で、破壊を免れたアメリカの工業はフル稼働し、爆弾から石油に至るまで軍需物資を大量生産して交戦国に売り込みました。
 アメリカがなぜ超大国になれたのか?
 ヨーロッパともアジアとも隔絶した場所にあるという、地政学的優位を生かせたからです。
 戦争が終わったとき、世界の金(Gold)の70%をアメリカ一国が保有していました。有りあまる資金は、ヨーロッパとアジアの戦後復興に投資され、また緊急援助として戦災孤児の空腹を満たしました。また膨大な軍事費を支え、米軍が「世界の警察」として展開を続けるのを可能にしました。もはやアメリカのドルなしには生きられない国々は、軍事的にも経済的にもアメリカの軍門に下ったのです。
(続く)

http://diamond.jp/articles/-/120821

 
【第15回】 2017年3月10日 茂木誠 [駿台予備学校 世界史科講師]
銀行はもともと、「銀の預かり所」だった。
基軸通貨の世界史(1)
歴史から学ぶ経済のしくみ! 仕事に効く「教養としての世界史」
増税、TPP、円高、デフレ、バブル、国債、恐慌etc
歴史の流れを知ることで、
「なぜ」「どうして」がスッキリわかる!
『経済は世界史から学べ!』の著者、茂木誠氏に語ってもらいます。

金や銀が、貨幣として流通していた時代
 古代以来、「貨幣」は金属でした。
 金(Gold)の産出が多いのはアフリカ大陸で、北アフリカを領土にしていたローマ帝国は金貨を大量に発行していました。これを「ソリドゥス(solidus)金貨」といいます。
 やがて北方から遊牧民に追われたゲルマン人が流入してきます。今でいう大量難民です。これを止めるのには兵隊が必要で、ソリドゥスをばらまいて傭兵隊を組織しました。ゲルマン人を傭兵にして、ゲルマン人の侵入を止めたりしています。ソリドゥスで雇われた兵隊だからソルジャー(Soldier)というのです。もともとの意味は「傭兵」です。
 財政難から帝国が衰退すると、アフリカからの金の流入も途絶え、ソリドゥス金貨はどんどん質が落ちていきます。混ぜ物をして、重さをごまかすわけです。商人はすぐに見破りますから、貨幣価値がどんどん下がり、物価が上昇します。財政難とインフレで、ローマ帝国は崩壊したのです。
 一方、中東地域はあまり金が採れないので、古代ペルシア帝国は銀(Silver)を貨幣に使っていました。
 中世になって、イスラム帝国が中東からアフリカ北岸までを統一すると、ローマ帝国以来のディナール金貨と、ペルシア帝国以来のディルハム銀貨の二本立てとなりました。ローマ金貨やペルシア銀貨には皇帝や王の肖像が刻んでありましたが、イスラムは偶像を禁ずるので、貨幣に刻まれるのはコーランの一句です。
「アッラー以外に神なし、ムハンマドはアッラーの使徒なり」
 イスラム教徒に敗北して地中海の北に押し込まれたヨーロッパ世界では、アルプス以北で取れる銀が貨幣として流通します。
 16世紀にチェコのザンクト・ヨアヒムスタール(聖ヨアヒムの谷)で大規模な銀山が発見され、大量に作られたターラー銀貨(谷の銀貨)がヨーロッパ諸国で流通し、銀貨の代名詞となりました。 このターラー[thaler]が、英語のダラー[dollar](日本語のドル)となったのです。
 なぜ、紙幣が生まれたのか?
 銀の持ち歩きは重くて不便なので、銀を預かってその預かり証を発行する両替商がイタリアに出現しました。両替机をイタリア語でバンコ(banko)といい、ここから銀行(bank)の名が生まれたのです。漢字の「銀行」は、「銀を扱う商人組合」と言う意味です。宋代の中国で同じ業種の商人たちが通りに店を並べたので、商人組合を「行(こう)」と呼んだのです。
 両替商(銀行)が発行する銀の引換券が、やがて貨幣価値をもつようになりました。政府がこれを発行したのが紙幣の始まりです。中国では、12世紀の宋代から紙幣は流通していて、元朝を訪れたマルコ=ポーロがびっくりしています。しかし、王朝末期には財政難のため乱発してインフレを起こす、の繰り返しでした。
 大航海時代にアメリカ大陸を征服したスペインが、メキシコと南米で次々に銀山を発見し、先住民に掘らせて大量の銀貨を発行し、ヨーロッパに持ち込みました。この銀貨が「太陽の沈まぬ国」といわれたスペインの栄光をもたらしますが、栄光の時代はわずか1世紀ほどでした。
 銀山が枯渇したのです。かつてスペインという国は、軍事力で領土を広げ、新しい銀山を手に入れて富を吸い上げていました。そのシステムが崩壊したのです。産油国は、石油が出なくなったらおしまいです。それと同じことです。
 このスペインの無敵艦隊を破ったのが新興国のイギリスです。
 イギリス人が賢かったのは、銀山を直接経営しなくても、貿易代金で銀を受け取ればよいことに気づいたことです。はじめは毛織物、ついで綿織物の工業を盛んにして、製品を世界中に輸出したのです。これを後押ししたのが産業革命で、世界の銀が血流のようにロンドンへ流れ込みました。
(次回に続く)

http://diamond.jp/articles/-/120428

http://www.asyura2.com/17/senkyo222/msg/314.html

[経世済民120] 「財政政策シフト」が新トレンドを読み解くキーワード おつかれさま禁止 高齢者人材のキャリア通期利益上振−1億総活躍も追風
【第15回】 2017年3月13日
「財政政策シフト」が新トレンドを読み解くキーワード

村上尚己
トランポノミクスや新生アベノミクスが向かおうとしている方向性は、かなり似通ってきている。これを読み解くキーワードは「財政政策シフト」だ。「トランプ相場」の到来を的中させた外資系金融マーケット・ストラテジストの村上尚己氏の最新刊『日本経済はなぜ最高の時代を迎えるのか?』から一部をご紹介しよう。
「財政政策シフト」がはじまった!
トランポノミクスは、レーガノミクスよりはむしろアベノミクスとの共通点が多いことを前回に指摘した。どちらも長引く不況からの脱却を目指し、従来の金融政策に加えて財政政策による後押しを重視している。この政策によって日米がともに結果を出していけば、世界各国のポリシーメーカーたちにも大きな影響を与え、経済政策のスタンスが大きく変わっていく可能性がある。

いま振り返れば、世界各国が抑制的な財政政策をとるようになったきっかけは、2010年にはじまった欧州債務危機である。発端は、ギリシャ政府が財政赤字の数字を過小に公表していたことが判明し、同国財政に対する懸念が浮上したことだった。これ以来、他の欧州諸国の財政状況についても市場の疑念が高まり、深刻な不況が連鎖した。
この危機の原因は、各国の放漫財政にあったかのように言われているが、根本的にはユーロという通貨システムそれ自体に内在する構造問題があったことを、メディアは十分に強調していない。いずれにしろ、ユーロ通貨圏の各国は大幅な需給ギャップを抱えていたため、徹底した金融緩和と財政政策による成長押し上げが必要な局面であったことはたしかだ。
しかし、2011年に入ってからイタリアやスペインなどの南欧諸国で大幅な金利上昇が起こると、世界各国の財政当局を中心に「拡張的な財政政策は持続不可能だ。愚策である」との論調が強まっていった。


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イタリアとスペインの国債金利


欧州債務危機ではじまった
「緊縮病」の猛威

米国では議会を制する共和党の意向で均衡財政主義が重視されてきたし、英国ではキャメロン政権が増税を断行した(なお、2016年に「EU離脱の国民投票」を仕掛けたキャメロンが敗北を喫した遠因は、こうした緊縮財政の採用にある)。ユーロ圏では、ドイツが主導するかたちで、強烈な歳出抑制が南欧諸国に課された。
国際政治経済学者のマーク・ブライスは、財政健全化などを至上命題に掲げる経済思想を緊縮病と命名し、その害悪の歴史を振り返り論じている。

この緊縮病の猛威は日本にまで及んだ。2009年に政権を奪取した民主党政権は、当初は「子ども手当」や「高校授業料無償化」などの財政支出を一時的に増やしていたが、欧州債務危機がはじまると、菅直人首相は選挙公約に反する格好で、消費増税などの緊縮財政政策へと急速に方向転換したのである。

ところが、緊縮的な財政政策をとっても、そもそもの問題である欧州債務危機はまったく収まる気配を見せなかった。繰り返しになるが、問題の本質が財政ではない以上、当然と言えば当然である。南欧諸国の国債金利が上昇した本当の理由は、各国の財政状況にはない。各国に「ユーロからの離脱を余儀なくされるのではないか」という懸念があったからだ。
ユーロ圏の財政当局はなんら解決策を示せないままに、いたずらに時間だけが過ぎていった。最終的には2012年半ば、ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁が「あらゆる手段をとる」と発言し、ECBが南欧諸国の国債を買い支えたことで、欧州債務危機によって跳ね上がったイタリア・スペインの国債金利もようやく落ち着きを見せたのである。
「緊縮財政の弊害」が明らかになってきた

こうした一連の流れのなかで、IMF(国際通貨基金)などでも「南欧諸国に緊縮的な財政政策を課したことは誤りだったのではないか」といったことが議論されるようになり、少しずつこれまでの過ちが認識されていった。
財政改善を目的として2010年に増税を先行させた英国では、成長率が落ち込んで税収が伸び悩んだ結果、かえって財政収支の改善に時間がかかった。米国でもオバマ政権による増税策がとられていたが、日銀やECBよりもはるかに強力な金融緩和をFRBが主導していたため、税収が著しく増えて財政収支は大きく改善した。ただし、その米国にあっても、経済成長率が十分に高まることはなかった。

この結果、「低成長下での抑制的な財政政策をとるのは誤りだ」という認識がかなり浸透し、拡張的な財政政策への再評価がはじまることになったのである。たとえば、米国財務長官やハーバード大学学長を務めた経済学者ローレンス・サマーズが2013年のIMF年次会議で語った「先進諸国が長期停滞(Secular Stagnation)に陥っている」という言葉も、そうした文脈のなかで理解する必要があるだろう。

一方、日本の経済メディアは、経済学の世界的権威によるこの発言に飛びつき、日本経済の低迷状態に「お墨付き」を得たかのような報道をしていた。挙げ句の果てには、さらに、「こうした閉塞状況は世界的なトレンドであり、『日本化現象』である」などの解説も見られる。ただ、20年以上もデフレが続いているのは日本だけであり、その異常さを軽視したこうした評価に、私は首をかしげざるを得ない。

サマーズが長期停滞論を唱えていたのは事実だが、一方で彼が同時に論じていたのは、「その仮説が正しいとすれば、この状況を放置せず、必要な政策を行うべきだ」ということにほかならない。つまり、サマーズの長期停滞論は、単なる現状追認などではないのである。

「金融政策+財政政策」が
世界的なトレンドに

実際、サマーズは「実質均衡金利(労働市場などの経済資源が十分使われるような経済の均衡状態をもたらす金利水準)が大幅なマイナスとなっているなら、金融緩和だけでは景気刺激効果は限られる以上、総需要を直接増やす財政政策などが必要になる」という具体的な政策提言をしていた。
これ以来、従来の金融緩和策に拡張的な財政政策を組み合わせる必要性が、欧米で盛んに議論されるようになったのは事実である。ポール・クルーグマンやジョセフ・スティグリッツといったノーベル賞経済学者も、財政政策による景気拡大を訴えていたし、英金融サービス機構(FSA)の元長官であるアデア・ターナーに至っては、中央銀行が保有する国債を永久債化(償還期限の定めがない債券に変更すること)するヘリコプターマネー政策の提言にまで踏み込んでいる。
こうした政策トレンドのなかで、2016年に日本では、消費増税を見送った安倍政権が拡張的な財政政策を打ち出し、米国では、大型減税や公共投資を掲げるトランプ大統領が誕生した。世界的な経済停滞をもたらした緊縮病を日米両国がいち早く克服し、財政政策の世界的な新潮流をつくっていく日はすぐそこまで来ているのではないだろうか?そのなかでトランポノミクスと新生アベノミクスは、大きな役割を果たしていくことになるだろう。

[通説]「欧州債務危機での教訓。放漫財政は経済崩壊への道」
【真相】否。さらば「緊縮病」。日米主導の財政政策シフト。

村上尚己(むらかみ・なおき)

アライアンス・バーンスタイン株式会社 マーケット・ストラテジスト。1971年生まれ、仙台市で育つ。1994年、東京大学経済学部を卒業後、第一生命保険に入社。その後、日本経済研究センターに出向し、エコノミストとしてのキャリアを歩みはじめる。第一生命経済研究所、BNPパリバ証券を経て、2003年よりゴールドマン・サックス証券シニア・エコノミスト。2008年よりマネックス証券チーフ・エコノミストとして活躍したのち、2014年より現職。独自の計量モデルを駆使した経済予測分析に基づき、投資家の視点で財政金融政策・金融市場の分析を行っている。
著書に『日本人はなぜ貧乏になったか?』(KADOKAWA)、『「円安大転換」後の日本経済』(光文社新書)などがあるほか、共著に『アベノミクスは進化する―金融岩石理論を問う』(中央経済社)がある。
DIAMOND,Inc. All Rights Reserved.

http://diamond.jp/articles/-/116555

 
高齢者人材のキャリア:通期利益上振れへ−「1億総活躍」も追い風
鷺池秀樹、Yuko Takeo
2017年3月13日 08:40 JST

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高齢者向け人材ビジネスなどを手掛けるキャリアの業績が好調だ。政府が掲げた「1億総活躍」などが追い風となり、売り上げの6割超を占める看護師や介護士などを派遣するシニアケア事業の収益が期初計画を上回って推移、また高齢者人材の派遣などを行うシニアワーク事業も順調に拡大している。
  溝部正太社長は7日、都内の本社でのインタビューで、今期は増収率20%と見込んでいたシニアケア事業が2月までの「5カ月間は24%伸びた」と説明。2017年9月期営業利益は計画を上回る公算が大きい。期初発表の通期計画では、単独売上高を前期比24%増の92億700万円、営業利益を同30%増の5億4200万円と最高益更新を見込んでいた。


キャリアの溝部正太社長 Source: Career Co. Ltd.
  介護現場での慢性的な人手不足を背景に求人は高止まっており、スタッフ登録があればすぐに派遣先が見つかる状態だ。同社は有資格でありながら現在無職の元介護士などを現場に戻すことに注力、今期は地方を中心に想定以上のスタッフ登録があったもよう。いままでは就職誌などを通じた応募が多かったが、最近は「口コミで弊社が提案する新たな働き方」を知り、ネットを通じた応募が増えたという。
  もう1つの収益の柱であるシニアワーク事業では、従来の主力であるコールセンターのバックアップ業務などはもとより、建設現場への有資格者の紹介など技術職系も実績を積み上げている。溝部社長によると、安倍晋三首相の「1億総活躍」という政策目標の提示などで事業環境は大きく改善。企業トップの間ではシニアの活用が大きなテーマになっており、「当社に対する期待値は想像以上に高い」と熱を込める。
  エース経済研究所の石飛益徳アナリストは、シニアケア事業では「派遣先へのコンサルティングでスタッフが働きやすい環境」を作れる点が長所と分析。またシニアワーク事業については、「高齢者が請け負える業務を発見して、高齢の求職者と企業をマッチングしていくところが同社の強み。若い人向けの派遣や短期雇用だけをやってきた人材業者ではキャッチアップしにくく、この先行者メリットは当分の間享受できるだろう」とみている。通期業績計画については上期決算時に上方修正するだろうと予想した。
  矢野経済研究所が16年11月にまとめた日本の15年度人材派遣業市場は前年度比5%増の4兆1020億円だった。キャリアでは人口高齢化で今後はシニア比率が高まり、成長余地は大きいとみている。立花証券の入沢健アナリストによると、リクルートホールディングスなどの人材ビジネス大手もシニア人材の派遣に取り組んでいるものの、目立つほどの成果は上げていないという。「高齢者の活用は難しく、キャリアのような企業は独特」と評価する。
  キャリアは2009年、民主党政権下で創業した。当時は派遣ビジネスそのものへの風当たりが強かったうえ、特に「シニア雇用に対して非常にネガティブだった」と溝部社長は振り返る。最近では事業環境は大きく変わり、大企業からシニア層の雇用を創造し、消費などを通じて地域を再生しようと共同プロジェクトの打診を受けることも多い。溝部氏はこうした提携により、単純な人材派遣業ではなく、「シニアサービスの会社」になっていく可能性が高いとの将来ビジョンを語った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-12/OMHDRR6JTSE901

 

 
【第3回】 2017年3月13日 新 将命
「おつかれさま」禁止令で
職場のムードを変えよ

経営者が会社の「空気」をつくり、社員の質を高める
勝ち残る企業を創る鍵は「黄金のループ」にある。黄金のループとは、(1)「経営者品質」、(2)「社員品質」、(3)「商品・サービス品質」、(4)「顧客・社会満足品質」、(5)「業績品質」、(6)「株主満足品質」であり、この6つの要素がステップを踏んで循環しているという。その起点となる「経営者」がよくなれば、黄金のループの2番目、社員の質は必然的に高まる。

ダイヤモンドはダイヤモンドにより磨かれ、
人は人により磨かれる

 人間力(マインド)形成は、余人から強い影響を受ける。硬度の高いダイヤモンドは、さらに硬度の高いダイヤモンドでしか磨けない。人は自分を磨こうと思ったら、自分より優れた人との触れ合いが決定的な効果をもたらす。社員がダイヤモンドの原石であれば、社員は、経営者という硬度の高い一級品のダイヤモンドによってしか磨けないのだ。

 社員は、経営者とのわずかな触れ合いからでも大きな影響を受ける。触れ合いは、広義の教育機会と言い換えてもよい。薫陶を受ける場である。経営者の社員に対する教育機会とは、一つきわめて端的な例を挙げるならばあいさつである。

 経営者が、ひと言短い言葉をかけるだけでも、職場のムードをがらりと変えることができる。私は、現役の経営者時代、社内で交わされる「おつかれさま」というあいさつをご法度にして「お元気さま」に変えたことがある。

 同じ会社の人間が昼に会ったとき、「おつかれさま」をあいさつにしている会社は多い。また、社員どうしのメールのやりとりの際、冒頭のあいさつは「おつかれさまです」とせよと指南するビジネスマナー本もある。これはバカな話だ。会うたび、メールを交わすたびに「おつかれさま」では、疲れてもいない自分たちを、疲れたと暗示にかけてしまう。これでは溌剌とした職場にならない。

 そこで私は「おつかれさま」を社長命令(?)で「お元気さま」に改め、率先して「お元気さま」と声をかけ続けたのである。言霊というが、言葉には霊がこもっている。おつかれさまで意気消沈気味になっていた社員は、自らお元気さまと声を出すことで自然に活気づいてきた。あいさつによって、社員品質(マインド)にひと磨きをかけたのである。

 ミーティングも教育機会として大いに活用した。私は、何社かで社長を務めたが、社長に就任したときには、必ず「何でも話そう会」を開催した。「話そう会」とは、社員全員がいくつかのチームに分かれ、毎月定期的に時間を決めて行うフリートーキングの会である。目的はスピークアウト(率直に物をいう)の習慣づくりであった。

 率直に物がいえる場というのは、同時に、だれの発言であっても、積極的に耳を傾ける場でもある。つまり、お互いがお互いの意見の違いを認め合うための訓練の場でもある。

 当然、経営者である私も、たとえ相手が新入社員であっても、社員の話に耳を傾ける積極的傾聴を心がけた。これらは経営者による「教えない教え方」である。

「モノとコトを叱って人を叱らず」

「教えない教え方」に対し、直接、社員に働きかける教育機会がある。それは、叱る、ほめるである。叱りの名人といえば、やはり松下電器(現パナソニック)の創業者、松下幸之助氏だろう。旧松下電器の幹部たちは、全員、幸之助氏に叱られることで成長していったといわれているし、本人たちからもそういう声を聞く。

 叱り方の極意は「叱られた人が、叱られる前よりもやる気が出てくる(マインドが上がる)叱り方」だ。叱られた人が、「然りごもっとも」と納得して意欲が出てくる叱り方が王道の叱り方である。叱り方の原則は、「モノとコトを叱って人を叱らず」だ。

「だからお前はダメなんだ!」、「何度言ったらわかるんだ。もう辞めてしまえ!」と人格を否定されては、叱られたほうは立つ瀬がない。救いがなく、意欲も自信も喪失させ、部下のやる気を奪う邪道の叱り方といえる。

 モノとコトを叱るとはやったコトや、やり方を叱る、決してやった人を叱るのではない。さらに一歩進んだ叱り方は、叱る前にまずよかった点を見つけてほめる、その後、コトを叱り、最後にひとつフォローを加える。これが王道の叱り方である。

 望ましい順番をつけると「注意する」「叱る」「怒る」「罵る」となる。「注意する」と「叱る」には、その基盤に愛情がある。対するに「怒る」「罵る」の根底にあるのは感情である。

 ほめるときには、部下の自信につながるほめかたを心がける。単に「よくやった」だけではなく、この点がよかったと具体的にどこがどうよかったのか明らかにすることで、成功が偶然でなく必然であったと実感させるほめ方も、自信を促す上で効果的である。
http://diamond.jp/articles/-/120738
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/156.html

[政治・選挙・NHK222] 偽り曖昧満載、蓮舫代表の国会質疑「日本人」開示が先決、二重国籍疑惑はほかにも?上野千鶴子炎上から考える日本経済の生きる道
偽り曖昧満載、蓮舫代表の国会質疑
「日本人」開示が先決、二重国籍疑惑はほかにも?
2017.3.13(月) 森 清勇
菅改造内閣の顔ぶれ
首相官邸に入る行政刷新担当相兼公務員制度改革担当相の蓮舫(Renho)氏(当時、2010年9月17日撮影)〔AFPBB News〕
 3月6日午後の参議院予算委員会では、蓮舫代表が質問に立った。

 当人は森友学園が指定期日までに開校できない場合は「(売却された)土地はどうなるのか」という趣旨の質問で、財務省理財局長の「更地にして元の価格で買い戻すことになる」という単純な回答が理解できず、質疑を繰り返した。

 この日の朝の委員会開始前には、北朝鮮が弾道ミサイル4発を連続発射する事案が発生した。

 午前中の予算委で福山哲郎委員(民進党)が「国家安全保障会議(NSC)を早くやらなくていいのか」と質すと、首相は「委員会の許可が得られるなら、早い段階で開催させていただきたい」と答え、委員会で協議。その後、NSCが開かれ、委員会は約40分の中断となった。

 北朝鮮のミサイルは能登半島北方約200キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。確実に、性能を向上させており、北朝鮮は声明で「在日米軍基地を攻撃できる」と明言したほどである。

 これほど日本の安全に関わることはないにもかかわらず、事前の打合せとはいえ、審議内容を変更することもなく、午後も冒頭の非生産的な論戦で始まったのである。

 「魔抜けな議論をいつまでやっているのか!」と絶叫したくなったのは筆者だけではないであろう。

 また、蓮舫委員は「疑惑問題」と強調しながら質問していたが、当人こそが二重国籍疑惑を抱えている。蓮舫氏は民進党の代表であり、国民の税金である政党助成金を受け取って活動する公党である。国籍という最大の疑惑を晴らさない国会論戦でいいのかという疑問が解けない。

地方参政権さえ認めていない

 日本は在日外国人には地方参政権を認めていない。日本人でなければ、地方自治体の選挙にさえ参加できないということである。ましてや、被選挙権は与えていない。地方自治体の健全な運営を意図しているからである。

 蓮舫氏は地方自治体の議員どころか国会議員で、しかも民進党という最大野党の代表である。TPO次第では「日本国」の総理大臣にさえなり得る立場にある。そういう立場にあるにもかかわらず、依然として二重国籍問題に疑問符がついたままになっており、由々しき問題である。

 2004年の参院選では「1985年に台湾籍から帰化」として当選したという。2016年の参院選でも台湾籍を有している真実を記載せず、日本国籍のみを有するかのように見せる不作為で虚偽の事項を選挙広報に記載したとして、民間の女性団体が公選法違反の疑いで告発状を東京地検に提出した。

 不起訴となったので、女性団体は「蓮舫氏は二重国籍が解消されたことを示す戸籍謄本などの証拠書類をいまだに開示しておらず、有権者の間には『本当に二重国籍は解消されたのか』という疑問がくすぶっている。

 公人として当然取るべき説明責任が果たされてこなかった状況はどう考えてもおかしい。一般市民の目線で審査をお願いしたい」として、改めて2017年1月下旬に検察審査会に審査を依頼している。

 国会議員1年生の自民党の小野田紀美参院議員(33)=岡山選挙区=は参院選に出馬する前の2015年10月に、日本の国籍選択と米国籍放棄の手続きを日本国内で完了したとしていた。

 蓮舫氏に関する報道を受けて確認したところ、米国内での放棄手続きが終わっていないことが分かったとして、改めて放棄の手続きを進めていることを明らかにし、「心配をかけて大変申し訳なかった」と国会内で記者団に述べている。

 蓮舫代表は日本の法律に違反する二重国籍を隠蔽して立法府の権威を貶めてきたし、日本国民を馬鹿にしていると言える。こんな状態を日本人が許すとでも思っているのであるならば、とんでもない間違いだ。

 日本の安全保障とも密接にかかわる国会議員の国籍問題は、過去に遡及してでも、明確にすべきではないだろうか。

 そもそも、法令に違反してきた人物、もしかしたら今でも違反しているかもしれないと多くの国民が疑問視している人物を「政党の代表」に選ぶ民進党は、国民のための政党と言えるのだろうか。

 演繹的に言うならば、そうした曖昧な政党の議員に「立法する資格」があるのかさえ疑問に思えてくる。

 二重国籍には罰則がなく犯罪にはならないとはいえ、法令違反して平然とおれるのだろうか。個人が明確にしないならば、所属の民進党が国民に対して明確にしなければならないであろう。

 それもしないということであれば、全国会議員が問題にすべき重要事と思料するがいかがであろうか。

誤魔化さない・曖昧にしない

 蓮舫氏が参院選に出馬するにあたって尽力した1人が田原総一朗氏であったようだ。その田原氏は彼女が政治家になる時に言ったのは、「とにかく誤魔化さない、曖昧にしないこと」だったという。

 さらに「彼女の問題点は自分に厳しいのはいいけど、人にも厳しすぎる。もっと多くの人間を包み込むスケールが必要でしょう」と述べる(「週刊文春」2016年12月29日)。

 蓮舫氏には多分に「誤魔化し」や「曖昧」があったことの証左で、それを戒めたのである。事実、蓮舫氏の口から速射砲のように飛び出してくる言葉には、かなりの嘘と曖昧さ、そして棘がある。

 最新の事例では文部科学省の天下り問題に関連した発言で見てみよう。

 代表は1月19日の記者会見で天下りについて「われわれが戦ってきたことが元に戻っている」と批判した。

 確かに平成21(2009)年9月に政権を取った民主党は満を持して天下り根絶に取り組んだ。21年度の中央省庁幹部の天下りは1413件であったが、22年度は733件とほぼ半減する。ところが、翌23年度は早くも増加に転じて1166件となり、24年度は1349件である。

 元に戻ったのは蓮舫氏が公務員制度を含む行政刷新担当相を務めた民主党政権のときであり、堂々と嘘をついていることになる。今回の不祥事は、監視委設置などで規制が強まった21年度頃から行われていた疑いもあり、ほかでもなく民主党政権のときである。

 一昨年の安保法案審議時は強行採決を問題視した。強行採決はあたかも自民党の専売特許だと言わんばかりの言挙げであった。しかし、民主党政権の3年余で24回あったとみられ、同期間の安倍政権では14回であり、民主党の方が多くはるかに多くの強行採決を重ねていたことになる。

 代表選に立候補した蓮舫氏は、「私は岡田克也代表が大好きです。ただ、1年半一緒にいて、本当につまらない男だと思いました。人間はユニークが大事です。私にはそれがあると思います」と平然と述べた。

 棘と言えばいいのか、ユーモアや冗談、愛嬌のつもりで言ったのかも知れないが、強烈すぎてびっくりしたことを覚えている。

 田原氏の蓮舫評価は残念ながら、正鵠を射ていた。なかでも、二重国籍の過去の誤魔化し、そして今に至る曖昧さが続いていることが最大の問題である。

 「生まれた時から日本人」と言っていた主張が、ある時点からは「(1967年11月生まれで)17歳の時に台湾籍を放棄した」と語り、「法律的には昭和60年から日本人」と述べていた。しかし、代表選の時、台湾籍が残っていたことが判明した。

 国籍(放棄・取得)があまりに軽く扱われてはいないだろうか。国籍にこだわらない、いかにも「私は国際人」とでも言いたいのかもしれないが、ここは日本であり、日本の法令が適用されるわけで、立法に関わる政治家が法律を無視しては法治国家が成り立たない。

おわりに

 蓮舫氏の二重国籍問題が出たついでに、全国会議員の国籍も再チェックした方がいいのではないだろうか。二重国籍者がほかにもいるのではないかという疑問が解けない。

 というのは、民主党ばかりでなく、その他の党からも、蓮舫氏の国籍の曖昧さを解明しようという声がほとんど聞こえないからである。

 立法に関わる議員が、法に違反しているというのであれば、形容矛盾も甚だしい。

 日本人的感覚からは、代表選に名乗り出るどころか、これまで国民を騙してきました、申し訳ありませんと、小野田議員のように素直に謝り、疑惑を晴らすために即刻処理して、結果を国民に開示するはずである。

 蓮舫代表は開示の有無は個人的なこととみているようであるが、税金から出ている多額の政党助成金を受け取る政治活動が個人的な問題であるはずがない。検察審査会の結果を待つようなことがあっては、いよいよ国会議員としての信頼は失墜するのではないだろうか。

 政治にかかわらないドナルド・キーン氏のような文学者でさえ、日本人になりたい願望から、生まれた国籍を放棄する苦渋の決断をしたと述べていた。

 文学者と政治家では国籍への関わり方が全く異なる。政治とは国家の存続、国民の安全・安心、社会の盛衰に関わる大事であり、政治家と国籍は一体不可分でもあろう。

 また、政治家は法治国家としての基本である立法に関わる人士である。その人物、しかも最大野党を率いている人物の国籍が定かでない、法律に抵触しているかもしれないということが許されるのだろうか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49397


 

上野千鶴子氏の炎上から考える日本経済の生きる道
目指すはイタリア、AIを徹底活用して生産性の向上を
2017.3.13(月) 加谷 珪一
イタリア・ローマのナヴォーナ広場。イタリアの生産性は日本よりもずっと高い
人口が減少し、衰退していく日本社会に対して「皆で貧しくなればよい」と発言した上野千鶴子氏がネットで大炎上するという出来事があった。

日本社会が貧しくなっているという現実は、徐々に社会的コンセンサスとなっているが、それでもフェミニストの口から出た、日本の前近代性に対する一種の皮肉めいた発言に批判が集中している状況を見ると、まだまだこの事実は受け入れ難いようである。

筆者自身は、上野氏とは異なり、たとえ人口が減少しても経済成長は十分に可能との立場である。しかし上野氏が指摘するように、日本社会は半ば無意識的に貧しさを志向しているようにも見える。今回は、上野氏の発言をあえて建設的に捉え、経済成長とは何なのかあらためて考えてみたい。

人口が減ると経済成長はできないのか?

上野氏は2月11日の中日新聞に掲載されたインタビューにおいて、衰退する日本社会について「みんな平等に緩やかに貧しくなっていけばいい」と発言した。上野氏は、人口減少を食い止めることは不可能であり、人口を増やすには移民を受け入れるしかないが、多文化共生に耐えられない日本社会で移民政策を実行するのは無理と主張。このまま貧しさを受け入れるしかないと結論付けている。

炎上ポイントは「貧しくなればよい」という部分と「移民は無理」という部分の2つに分かれているようで、前者は主に世代間論争として若い世代から、後者については移民否定との文脈でとらえられ、本来なら上野氏の支持層であるはずのリベラル系の人たちから批判されている。

上野氏が、マルクス主義とラディカル・フェミニズムを土台に論陣を張ってきた人物であることを考えれば、今回の発言は、筆者などにとっては半ば投げやりな皮肉としか映らない。だが、氏の発言はかなり真面目に受け止められ、多くの人から反発されてしまったようである。

上野氏に対する評価はともかくとして、人口が減少する日本社会においては、貧しさを受け入れる以外に選択肢はないのだろうか。経済学的に考えれば必ずしもそうとは限らない。

経済学の世界では、経済が成長する要因は3つしかないと理解されている。1つは労働投入、もう1つは資本投入、そして最後はイノベーション(全要素生産性)である。より多くの労働力と資本を投入し、イノベーションを活発にすることで経済は成長するという仕組みだ。

戦後の高度成長のおかげで日本には多くの資本蓄積があり、資本投入については今のところ問題はない。だが、日本の人口は着実に減りつつあり、このままでは労働投入は減少する一方となる。これは経済成長にとって確実にマイナス要因となる。先ほどの理屈に従えば、人口減少によるマイナスをカバーするためには、イノベーションを活発にして生産性を向上させなければならない。逆に言えば、イノベーションさえ活発にできれば、人口が減るからといって成長を諦める必要はまったくない。

多くの人が無職なのになぜか豊かなイタリア

もっともイノベーションと聞くと、米グーグルやアップルに代表されるような、最先端の情報技術を思い浮かべる人が多いだろう。確かにこのような技術を持つ企業がたくさんあれば、経済成長は加速するだろう。

残念なことに日本にはこうした企業は少なく、イノベーションによって人口減少を補うことは難しいようにも思えてくる。だが経済学の世界では、グーグルやアップルだけをイノベーションと呼ぶわけではない。既存の業務を効率化し、生産性を高めるための仕組みはすべてイノベーションに分類することができる。派手さはないが、こうした地味なイノベーションをフル活用しているのがイタリア経済である。

日本はこのところ経済力を著しく落としており、1人当たりのGDP(付加価値)は約3万3000ドルと先進国の中ではかなり低い。日本企業はあまり儲からなくなっており、これによって労働者の所得も伸び悩んでいる。だが、主要先進国の中で、日本と並んで1人当たりのGDPが低い国が1つだけ存在している。それがイタリアである。

日本と同様、イタリアも生産性が低いのかと思いきやそうではない。不思議なことに、イタリアと日本の生産性を比較すると圧倒的にイタリアの方が高いのだ。一般に生産性が高いことは1人当たりのGDPを拡大させる要因となるので、生産性が高いにもかかわらず、付加価値が同じ水準というのは矛盾するように思える。

このような結果になっているのは、労働者の数の違いが原因である。生産性は労働によって生み出された付加価値を、年間の総労働時間で割って算出される。付加価値が低くても、分母である総労働時間が短ければ生産性は向上する。そして、分母の総労働時間は、労働者の数と労働時間に比例する。

イタリアの年間労働時間は1725時間と日本とほぼ同じなのだが、大きく違っているのは労働者の数である。日本における全人口に占める就業者の割合は約50%となっており、日本人は国民の2人に1人が働いている計算になる。これは老人や子供も含めた数字なので、日本では働ける人のほとんどが労働に従事していると考えてよい。

ところがイタリアの就業者は全人口のわずか37%しかいない。つまりイタリアでは多くの人が働かずに遊んで暮らしているのだ。日本はイタリアの1.4倍近くの労働力を投入して、ようやくイタリア並みの付加価値を実現している。

グーグルやアップル、トヨタがなくても豊かになれる

イタリアは先進国ではあるが、グーグルやアップルのような先端企業があるわけではない。自動車メーカーも、日本や米国、ドイツなどと比較すれば影響力は小さい。それでも高い生産性を実現しているということは、業務全般の効率が高く、これが全体の生産性を押し上げている可能性が高い。

イタリアの例を見れば、人口が減ることがそのまま経済の衰退を意味しているわけではないことがよく分かる。人口が減っているからといって成長を諦める必要はない。

ただ、上野氏が主張していることの多くは現実問題として正しい。人口減少によるマイナスの影響をカバーするためには、物理的に労働者の数を増やすか、イノベーションによって生産性を拡大するしかない。

物理的に労働者の数を増やすには、女性の社会参加を徹底的に進めるか、移民を受け入れるしかないが、日本社会はその両方についてかなり消極的だ。イノベーションを促進する方策としては、規制緩和、ベンチャー企業の活性化、業務のIT化、雇用の流動化といった方策があるが、いずれについても日本はやはり消極的である。

確かにこのまま何もしなければ、日本の潜在成長力は人口減少に伴って小さくなっていき、経済はじり貧になりかねない。上野氏の真意がどうあれ、「皆で貧しくなればよいという」氏の主張は、こうした状況を逆説的に説明したものと理解すべきだろう。

では、こうした状況を受けて日本はどうすればよいだろうか。最も現実的なのは、AI(人工知能)とロボットの徹底活用だろう。

AIが多くの問題を解決する可能性が見えてきているが・・・

国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によると、2040年の総人口は1億728万人と現在より15%ほど減少する見込みである。しかし、60歳以上の人口はまだ増加が続き、2040年には今より374万人多い4646万人になる。一方で、企業の労働力の中核となる35歳から59歳までの人口は、現在との比較で何と26%も減少してしまう。今後20年間、日本社会は中核労働力の減少という大きな問題に直面するのがほぼ確実な情勢である。

ここ10年、若年層の労働力は22%ほど減少しているのだが、それだけでも、外食や小売の分野では人手不足が深刻化し、過重労働といった社会問題が発生した。今度は同じことが一般的な企業の業務にも波及することになる。

日本経済に対しては、すでにかなりの供給制限がかかっており、これを解消しなければ、短期的な成長すらままならないという状態にある。大量の移民を受け入れないということであれば、残された手段はAIの徹底活用しかない。

あらゆる業種でAIをフル活用し、日本経済が持つ供給力を拡大すれば、人的リソースに余裕ができる。その人材を付加価値の高い製品やサービスの供給に回すことができれば、日本の消費を活性化することも不可能ではない。

だが社会のAI化にあたっては、どうしても乗り越えなければならないカベがある。それは雇用の流動化だ。AIで業務を一部を代替できたとしても、そこで余剰となった人的リソースを、人でなければこなせない仕事に再配置できなければ、供給制限の解消にはならない。

AIが雇用を奪うという発想をやめ、一生のうち2回か3回は仕事や会社を変えるのが当たり前といった風潮にしていかなければ、AI化社会とうまく付き合うことはできないだろう。経済成長できるのかどうかを最後の最後に決めるのは、経済政策ではなく日本人のマインドである。

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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49400
http://www.asyura2.com/17/senkyo222/msg/316.html

[経世済民120] ゾンビ企業がデフレ脱却の足かせに、ロードマップなきアベノミクス イエレン議長の政策は出遅れていないのか−強い雇用が突きつ
ゾンビ企業がデフレ脱却の足かせに、ロードマップなきアベノミクス
萩原ゆき、Isabel Reynolds、谷口崇子
2017年3月13日 06:11 JST


Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
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• 中小企業の6割以上が利益計上できず−政府は倒産件数減を誇示
• 潜在成長率向上へ勝負はここ3年−消費増税・五輪後は困難の見方も

経営コンサルタントの瀬野正博氏は、経営目標を立てる気力もない疲れ果てた中小企業経営者がこの5年で増えたと感じている。2009年の中小企業金融円滑化法施行後、企業は融資返済の猶予(リスケ)を受けることが容易になった。「経費の削減策を示せばリスケができる」ことが常態化しており、将来投資ができない状態に陥っているという。
  国内総生産(GDP)600兆円に向けた成長戦略を掲げる安倍晋三政権は今年1月、アベノミクスの成果として中小企業の倒産件数が内閣発足後3割減少したと発表した。国内企業の倒産数は7年連続で減少し、16年は8164件と16年ぶりの低水準となった。しかし、経営環境が良くなっているわけではなく、資本金1億円以下の中小企業の約67%は利益を計上できず法人税を納めていない。
  20年にわたり倒産企業の分析を行ってきた帝国データバンクの藤森徹情報部長は、「倒産が減ればゴールなのか」とアベノミクスの成果として掲げることに疑問を呈する。倒産数の減少が税収増や将来の経済成長にどの程度貢献するかの議論もデータもないのは、「ロードマップなきアベノミクス」だと指摘した。


https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iOIz4ux_O460/v1/-1x-1.png

  経済協力開発機構(OECD)は昨年4月のリポートで、手厚い公的支援が経営破綻している「ゾンビ企業」を倒産させず、企業再編を遅らせていると述べた上で、「そのような支援が資源配分にひずみを生じさせ、生き残るべき企業の金融アクセスを制限し、日本の潜在成長を減じている」と指摘した。
  円滑化法は、リーマンショックの影響緩和を目的に中小企業融資の返済猶予や条件変更に柔軟に応じる方針を定めた時限立法だった。しかし、金融庁は13年の期間終了後も「引き続き融資先への貸し付け条件変更や円滑な資金供給に努めること」を金融機関に求めており、実質的な延長となっている。
ゾンビ企業
  都内で板金塗装業を営む60代の経営者は、リスケが受けられる限り商売を続けたいと考えている。戦後、自動車の普及期に父親が創業し、最盛期は20人近くの職人を抱えていた。今は古びた作業場に工員が1人いるのみで、複数回リスケを受けた今も利益は全く出ていない。それでも差し迫って商売を畳む必要はなく、古くからのお客さんは来てくれると事業が続けられる環境を歓迎する。
  円滑化法のもと金融機関が融資条件の変更基準を緩和したため、企業は抜本的な経営改善計画を示さずともリスケを受けられる。同社長は「お金を借りて商売は続けているが、代替わりをする前に畳むつもりだ」と、利益創出にはこだわっていないと語った。
  帝国データバンクによると、リスケを受けた後に倒産した企業の数は、09年の112件から13年に563件に増加した。その後は16年まで400−500件の水準で増減を繰り返しており、藤森情報部長は、為替や資源高など経営環境が変わる中、どうにか持ちこたえている企業が多いものの、「倒産リスクをため込んでいる状態だ」との見方を示した。

デフレ脱却の足かせ

  国内企業の再編に詳しいSMBC日興証券の新谷祐幸執行役員は、企業が倒産できずに商売を続けることがデフレ脱却の足かせになると指摘した。リスケを受けた経営者はコストを下げても売り上げ増へ努力を重ねる。人口減少で市場が縮小する中、適正規模数以上の企業が過当競争を繰り広げ、労働力の適正配分という意味でも弊害が生じる。「大手企業は海外に活路を求められるが、地方では副作用が顕著に表れる」として、地方の疲弊にもつながるとの見方を示した。

  第二次安倍内閣は、13年にまとめた日本再興戦略で中小企業の新陳代謝が必要として、当時約4.5%だった開業・廃業率を米・英国レベルの10%台に引き上げる目標を掲げていたが、14年度の開業率は4.9%、廃業率は3.7%にとどまった。16年改訂版では、達成には社会の意識改革が必要で長期的な目標となると追記。また、14年度に約86万社だった黒字企業を20年までに140万社に増やすとした。
  慶応大学大学院の岸博幸教授は、「掲げた理想は正しかった」が、現実は政治家が地元企業の倒産を嫌って国会で補助金や融資の対応を求めていると指摘。その結果、生産性の低い企業が増え、人手不足が深刻化するなど地方創生の観点からも反対の方向に向かっていると述べた。
  岸氏はまた、潜在成長率向上への改革は東京五輪までの3年が勝負だと言う。今はインフラ投資需要などで景気が良いが、19年10月には消費増税が予定されており、その後人口だけでなく世帯数も減少に転じる。五輪後の景気後退局面では改革は難しいとみている。処方箋としては、最低賃金の上昇を挙げ、賃金上昇のコスト増に耐えられない中小企業を廃業に誘導することで良質な雇用を生むべきだと述べた。

融資条件変更申し込み今も

  岡山市に本社を置く中国銀行で融資を担当する大友雅士郎氏は、「現場ではまだ多くの企業がリスケを必要とし、経営改善策を模索している状態」だと述べた。円滑化法施行当時と比べて数は減ったものの、今も取引先の10%程度からリスケ申し込みを受けている。
  同行は15年10月、地域企業の事業内容を分析し、成長可能性評価やソリューション提案を行う「リサーチ&コンサルティングセンター」を設立した。全160支店の担当者が、取引先に対して的確な経営改善を提示するための教育の役割も担う。
  「昔は先輩に学ぶことで経営力を図る目を養ってきた」が、円滑化法施行後に状況が変わった。「来た人はすべてリスケしますという状態に近く、緊急性のある企業を見極めながら対応することで精いっぱいだった」と振り返り、「ひとつひとつ誠意を持って対応したいが、数字に追いついていないのが現状だった」と大友氏は語った。
  金融庁が全国の地域銀行に対して行った最新の調査によると、円滑化法に基づく条件変更を受けた企業約15万社のうち53%が「経営支援等未実施」となっている。また初回のリスケから5年が経過している企業は43%に上っている。

副作用

  「副作用というものは、何をやっても起きる」−−。09年に円滑化法を成立させた当時の金融担当相、亀井静香氏は今年2月、「何十万の中小企業が助かった」と同法の重要性を強調した。しかし、実質的な延長措置がとられ赤字企業がリスケを繰り返す現状については、「当時は、金を返せないのが当たり前になってはいけないという理由で時限立法にした」と述べ、こうした弊害の長期化は想定していなかったと述べた。
  同法が金融機関の安易な貸し出しにつながり、地方銀行などで審査能力が低下したと指摘されていることについても、「副作用として、そういう側面はある」と認め、金融機関が「本当の意味の企業診断」をして、アドバイスをしながら貸し付けをする必要があると語った。金融庁は昨年10月に発表した金融行政方針で、金融機関に担保・保証がなくても将来性や地域での必要性などを見極めた融資姿勢をとるよう促す考えを示した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-12/OLTIAI6K50XX01

 

イエレン議長の政策は出遅れていないのか−強い雇用が突きつける疑問
Rich Miller
2017年3月13日 05:35 JST

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• 投資家はインフレ急伸の可能性を懸念

「このご婦人は大げさなことばかり言うのではないか」(シェークスピア作「ハムレット」)
  イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は過去3カ月の間に2回、利上げのペースは遅れていないと主張している。これに対して、JPモルガンの米国担当チーフ・エコノミスト、マイケル・フェロリ氏は「最近の米金融当局者の発言は、利上げが雇用市場のデータからみて出遅れているのではないかと問い掛けている」と最近のリポートで指摘した。連邦準備制度の政策当局者がこうした問い掛けを何度も行うこと自体、自ら疑問を抱えていることを偽っているのかもしれないという。

イエレン議長

Photographer: Aaron P. Bernstein/Bloomberg
  引き締め姿勢が不十分ではないかと問い掛けるエコノミストも増えている。特に2月の雇用統計が強かったことから、この問い掛けは新たな妥当性を帯びてくる。現在、フェデラルファンド(FF)の誘導目標レンジは0.5%ー0.75%で、コアインフレ率の1.7%を大幅に下回ることもこの議論に拍車をかける。金融当局者も、連邦準備法が定める2大目標である「最大限の雇用確保」と「物価の安定」(個人消費支出=PCE=価格指数で前年比2%上昇)の達成に近づいていることを認識している。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iNDWIes4uOtg/v2/-1x-1.png 
  ベレンベルク銀行の米国・アジア担当チーフエコノミスト、ミッキー・レビ−氏は「利上げが遅れ、財政政策で経済が予想以上に拡大すれば、市場はインフレの兆候に非常に敏感になる」と分析する。ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏も、財政出動と緩和的な金融政策が重なればインフレ率は今後2年以内に3%近くまで上昇すると警告する。
  雇用市場の引き締まりに伴う賃金上昇がインフレにどのような効果をもたらすかについては、イエレン議長も「明確ではない」と述べている。米ディシジョン・エコノミクスのアレン・サイナイ社長兼最高経営責任者(CEO)は、今年末までに失業率は4.3%まで低下すると予測。そして、これまで投資家は金融当局者が発言通り利上げするか否かを疑問視してきたが、今後は利上げのペースが遅れていないかどうか注視することになろうと語っている。
原題:Yellen Claim Fed Isn’t Behind Curve Challenged by Robust Hiring(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-12/OMM3VO6JTSE801


 

Business | 2017年 03月 13日 11:33 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース

 企業物価、2月は前年比1%上昇 商品市況高で2年半ぶり高水準


[東京 13日 ロイター] - 日銀が13日に発表した2月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数(2015年=100.0)は前年比で1.0%上昇となり、消費税率引き上げの影響を除いたベースで2014年8月以来、2年半ぶりの高水準となった。原油など国際商品市況の持ち直しを背景に企業物価は上昇基調に転じている。

ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値は前年比1.0%上昇で、結果はこれと同水準だった。

国内企業物価は1月に同0.5%上昇と1年10カ月ぶりにプラス圏に浮上し、2月はプラス幅がさらに拡大した。2月の前月比は0.2%上昇だった。

前月比で指数の押し上げに寄与したのは化学製品や電力・都市ガス・水道、鉄鋼など。原油や鉄鉱石を中心に国際商品市況の持ち直しが続く中で、石油・石炭製品、鉄鋼などは前年比でプラス幅が拡大した。需要段階別にみても、国内需要財のうち素原材料価格は前年比41.4%と大幅に上昇し、1月の同23.0%上昇から一段と伸びが加速している。

もっとも、最終財をみると国内品は同0.3%上昇と、1月の同0.2%上昇からプラス幅が小幅拡大したものの、動きは緩慢だ。日銀では「国内需給で価格が上がっているものは引き続き少ない」(調査統計局)としており、今後は素原材料という川上の価格上昇を企業がどこまで転嫁できるかが焦点となる。

上昇品目数と下落品目数は、公表746品目のうち前年比で271品目が上昇、399品目が下落した。引き続き下落が上昇を上回っているものの、その差は128品目と1月の151品目から縮小している。

(伊藤純夫)

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http://jp.reuters.com/article/japan-cgpi-idJPKBN16K05B

 


Business | 2017年 03月 13日 09:56 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース

 機械受注1月は前月比-3.2%、製造業弱く予測下回る

[東京 13日 ロイター] - 内閣府が13日に発表した1月機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、前月比3.2%減の8379億円となった。製造業の弱さが目立ち2カ月ぶりの減少。ロイターの事前予測調査では0.5%増と予想されていたが、これを下回った。前年比では8.2%減だった。

内閣府は、機械受注の判断を、「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に据え置いた。

なお、季節調整替えが行われたため、前月までの数値は改定された。

製造業からの受注は前月比10.8%減で4カ月ぶりの減少。非製造業は0.7%増と2カ月連続の増加と好調。  

機械受注は、トランプ米大統領の就任後、企業に先行き不安もみられたものの12月の受注額は前月比2.1%増と増加していた。1月は、製造業の減少、なかでも素材系からの受注の悪化が目立った。非鉄金属や化学工業で、前月までの増加の反動が出たもよう。加工型は、はん用・生産用機械を除き全般に増加した。

他方、非製造業では金融業・保険業に加え情報サービス業からのコンピュターの受注が増加したほか、不動産業からの受注も運搬機械などが好調だった。

1─3月の受注見通しは前期比1.5%増加となっており、実現すれば3四半期連続の増加となる。設備投資が順調に回復傾向をたどっていることを示唆するが、1月がマイナスとなったことで実現は微妙だ。達成には2・3月がそれぞれ前月比4.4%増となる必要がある。

機械受注統計は機械メーカーの受注した設備用機械について毎月の受注実績を調査したもの。設備投資の先行指標として注目されている。

*内容を追加します。

(中川泉 編集:佐々木美和)

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ウィキリークス、CIAのハッキング技術示す内部文書公開
http://jp.reuters.com/article/machinery-orders-idJPKBN16K006

 


 

【第2回】 2017年3月13日 石野雄一
バランスシートにある資本金や内部留保のお金は、実際には、使えないってホント!?
ファイナンスってご存じですか? 「ファイナンスについて学びたい。でも、本を読んでもよくわからない……」という人は少なくありません。そこで、本連載ではファイナンス本のベストセラー著者、石野雄一氏が3月10日に出版した『まんがで身につくファイナンス』(石野雄一著、石野人衣作画、ダイヤモンド社)の中から1章と2章のまんがと解説文を抜粋して、全5回に分けてファイナンスの基本についてお届けいたします。この機会に、ぜひファイナンスのポイントを学んでみませんか?








石野雄一(いしの・ゆういち)
株式会社オントラック 代表取締役社長
ビジネス・ブレークスルー大学 非常勤講師
1991年3月上智大学理工学部卒業後、旧三菱銀行に入行し、9年間勤務した後退職。
2002年5月米国インディアナ大学ケリースクール・オブ・ビジネス(MBA課程)修了。帰国後、日産自動車株式会社入社。財務部にてキャッシュマネジメント、リスクマネジメント業務を担当。2007年2月より旧ブーズ・アレン・ハミルトンにて企業戦略立案、実行支援等に携わる。2009年5月同社を退職後、コンサルティング会社である株式会社オントラックを設立、現在に至る。企業の投資判断基準、撤退ルールの策定支援コンサルティング、財務モデリングの構築、トレーニングを実施している。
著書に『道具としてのファイナンス』(日本実業出版社)、『ざっくり分かるファイナンス』(光文社新書)がある。著者の会社が運営するサイト「ファイナンス用語辞典」をご活用ください。URL: http://ontrack.co.jp/finance-dictionary/
※次回は、3月15日(水)に掲載します。
http://diamond.jp/articles/-/120930

 


 


ドル強気派、FOMC金利予測分布図に注目−上方修正なら買いに弾み
Lananh Nguyen
2017年3月13日 10:00 JST

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• 10日の米雇用統計後のドル下落でもトレーダーらは引き続き強気
• 利上げのペースと回数占う上でFOMCのドット・プロットに関心

10日発表の2月の米雇用統計は堅調な伸びを示したが、同日のニューヨーク市場でドル相場は下落した。それでもドルの一段高を見込むトレーダーらは態度を変えていない。今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)がドル急伸を再び引き起こすと期待しているからだ。

ドル強気派は意気軒高

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  ドル強気派は15日のFOMC終了後に発表されるドット・プロット(金利予測分布図)に注目している。昨年12月に当局者らが見込んだ2017年の3回の利上げは市場にまだ十分織り込まれておらず、2月雇用統計は当局者がそれをさらに上回るペースの利上げを望むのではないかとの観測を打ち消す内容とはならなかった。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iv8NKB5vb.fQ/v2/-1x-1.png

  バンク・オブ・ノバスコシアの主任外為ストラテジスト、ショーン・オズボーン氏は雇用統計発表後、「ドット・プロットの上振れや、こうした見方に沿った見解が示されれば、ドル相場を後押しするだろう」と指摘した。
  
  10日のドル相場は下げて終わったものの、このところドルは上振れしていた。トランプ政権の成長促進策が迅速に実施されるとの期待は後退したが、利上げを示唆する当局者のコメントがドル相場を下支えした。
  またヘッジファンドなどの大口投機家が8週間ぶりにドルの強気ポジションを拡大したこともドル相場の楽観的な先行きを示唆した。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、3月7日終了週はドル高に賭けるポジションがドル安を見込むポジションを17万2639枚上回るネットロング(買い越し)だった。
原題:Dollar Rally’s Second Wind Hinges on Fed Clues About Rate Path(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-13/OMQ67I6JIJUV01

 


 

2017年3月13日 田中泰輔
1ドル=120円超へ再始動 米利上げペースはゆっくり加速
 ドル円相場は、米大統領選挙後から2カ月急騰し、次の2カ月は1ドル=110円台前半で膠着した。しかしこの調整地合いもそろそろ終わるとみる。米大統領は、2月28日の議会演説で、中間層優遇税制、法人税減税、国境税調整、インフラ投資などについて具体的な言及をしなかった。

http://diamond.jp/mwimgs/a/7/-/img_a7b48b3cf8887b733733b393b240c110106759.jpg

 しかし、大統領の公約は議会共和党案と擦り合わせつつ、部分的にせよ、実現していこう。その安堵からか市場はリスクオン機運を取り戻し、FRB(米連邦準備制度理事会)は3月15日に利上げに踏み切ろうとしている。
 ドル円相場の方向を規定する第一要因は米景気・金利動向である。昨年を通じて、米景気サイクルにはピーク感がにじみ出て、ドル円は100円近くからの反発力が出ないまま90円台へ下落すると判断された。しかし今年、トランプ共和党政権と共和党優位の上下両院という体制下で、財政政策による景気浮揚が期待される。
 トランプ大統領の「歴史的な税制改革」には、議会との調整や法整備など実現への不確実性がまだくすぶることは確かだ。しかし、ある程度現実的な想定として、6月あたりに中間層優遇税制法案の発効、年末までに何とか法人税減税の成立(恒久措置にするには共和党51議席の上院で60票以上を必要とするが、インフラ整備計画とセットで超党派合意が可能とみる)を期待する。
 問題が複雑な国境税調整は簡単には進みそうもない。それでも、既に政策期待で企業も消費者も景況心理を改善させている。政策が段階的に実現すれば、今年遅くから来年に米成長は3%超へ押し上げられよう。
 FRBは、2015、16両年末、米景気は鈍かったのに、市場のリスクオンに乗じて、利上げを敢行した。今年、トランプ政権による財政政策で景気が補強されるなら、利上げテンポが速まるとの見方は自然だろう。
 利上げは、今年は3月に続いて6月と9月の3回、来年は四半期ごとに計4回あると予想している。ドル円は3月利上げで115円をトライし、6月の利上げごろに115〜118円で堅調さを増し、9月の利上げごろ以降に120円台を突っ掛けるイメージである。
 円高ドル安論には現段階では賛同しない。トランプ政策を悲観視するドル円下落論には、なぜそれが米政策の段階的実現より優勢だといえるのかを問いたい。米政権が人事上の問題等で運営不能になる事態も、可能性ゼロとはいえないが、それを理由に投資ポジションをつくるメーンシナリオとしては扱えない。
 1993〜94年を引き合いに、米利上げ過程でドル円が下落するとの見方も、なぜ米景気サイクル前半のドル安の事例を、今年のようなサイクル後半戦に当てはめるのか、違和感がある(この点は2月13日の本欄で論じた)。
(ドイツ証券グローバルマクロリサーチオフィサー 田中泰輔)
http://diamond.jp/articles/-/120928


http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/159.html

[戦争b19] 北朝鮮の金正恩氏、隠れ見える「冷徹な計算」中国の忍耐を試す できるだけ早く兵器プログラムを推し進め北朝鮮を難攻不落に  
Column | 2017年 03月 13日 11:36 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:北朝鮮の金正恩氏、隠れ見える「冷徹な計算」

http://s4.reutersmedia.net/resources/r/?m=02&d=20170311&t=2&i=1175745941&w=644&fh=&fw=&ll=&pl=&sq=&r=LYNXMPED2A07Y

 
7日KCNA提供(2017年 ロイター)
Peter Apps

[8日 ロイター] - 北朝鮮の指導者、金正恩朝鮮労働党委員長は、異母兄の正男氏暗殺容疑や一連のミサイル発射実験を活発化することで、米国のみならず、主要同盟国である中国の忍耐を試しているように見える。

これは、地域を史上最悪の戦闘に陥らせるかもしれない、いちかばちかの大ばくちだ。正恩氏の行動の裏には、冷酷な固有の論理がある。だが同氏が計画を抱いているのに対し、それを止める明確な戦略を誰かが描いているとの兆候はない。

中国外務省は7日、米国と北朝鮮が不必要で危険な対立に突き進んでいると警告。核実験やミサイル発射実験に対する国際社会からの非難に耳を傾けるよう北朝鮮に求めた。

しかしながら、正恩氏が米国や中国、他のいかなる国からの助言や脅しに聞く耳をもつ可能性はほとんどないように思える。

同氏の望みは至って単純だ。彼自身と彼が率いる政権の存続を確実にすることだ。つまりそれは、自身の役割に取って代わろうとする可能性のある者を抹殺し、部外者が自身を倒そうとするのを阻止するために十分な抑止力となる核兵器を保有することを意味している。

北朝鮮国内における権力固めは、外国への攻撃能力構築と同じくらい重要である。

2011年12月に父親の金正日総書記が死去したとき、政権を引き継いだ当時20代後半の正恩氏が、年上の重鎮たちを支配できるのかと、多くの外国の専門家は訝しんだ。韓国のシンクタンクは昨年12月、正恩氏が指導者となってから、300人以上が粛清されたと推計している。そのなかには幹部140人と同氏の叔父1人が含まれる。

2月13日にマレーシアのクアラルンプール国際空港で異母兄の正男氏が死亡したことで、正恩氏は権力をいっそう強固なものにしただろう。正男氏は脅威と見られてはいなかったが、もし正恩氏がこの殺害に関与していたとすれば、北朝鮮が誇示した海外での影響力と、リスクを恐れない姿勢は、同国の指導部内から共鳴を得るだろう。

中国による金融・軍事支援は北朝鮮の体制存続にとって長い間、不可欠な存在だった。中国当局は正恩氏の父親や他の北朝鮮幹部らと緊密な関係を維持していた。

正男氏は長い間、中国で暮らし、同国の情報当局に保護されていたとみられているが、その理由の1つに、叔父の張成沢氏とのつながりがある。北朝鮮で最も重要な影の実力者の1人とされていた張氏は、正恩氏が指導者となってまもなく処刑された。

正男氏殺害から5日後、そして国際制裁に違反して北朝鮮が弾道ミサイル発射実験を強行してから6日後に、中国は北朝鮮からの石炭輸入を停止すると発表。この措置は本質的に北朝鮮の数少ない外貨獲得手段の1つを封じるものであり、中国が近年最も公然と北朝鮮に対して見せた不満表明の1つである。

北朝鮮が6日実施した弾道ミサイル4発の発射実験は、中国の全国人民代表大会(全人代)開催中に行われ、中国政府を一段といら立たせただろう。今回の行動も、正恩氏がいかなる外圧にも屈しないことの表れである。また、北朝鮮の兵器開発を阻止しようとする米国の企てがほとんど成功していないことも示している。

偶然かもしれないが、前週末にニューヨーク・タイムズ紙は、北朝鮮の核開発プログラムを阻止しようとする米国の対策が必ずしも効果的ではないと報じている。

一部の北朝鮮ロケットは原因不明の失敗に陥っているが、専門家によると米国が、発射に成功したミサイル発射装置からも、科学者が有益なデータを取得できないようにしていた可能性があるという。とはいえ、北朝鮮の技術は進歩し続けている。

同紙によると、米当局は、北朝鮮の核施設に対して直接軍事攻撃したり、北朝鮮のミサイルが発射される前に無力化したりするなど、一連の新しい戦術を検討している。

米国や他国によるそのような戦術がうまくいくかどうかは全く分からない。北朝鮮と同国が雇ったロシア人科学者たちは単に、米国やロシアや中国が1950年代あるいはその直後に完成させた技術を模倣しようとしているにすぎない。このためサイバー攻撃は効果が薄い可能性がある。

米国の歴代政権は、中国が北朝鮮の核プログラムを減速させ、世界と打ち解けるよう、同国を説得できると期待してきた。中国当局も、北朝鮮を制御できると、とりわけ日本や韓国といった地域の主要国や米国を繰り返し安心させようとしてきた。しかし正恩氏が指導者になってからは、そうした気休めはますます説得力がなくなってきている。

確実な核兵器プログラムは正恩氏の関心の的かもしれないが、中国にとってはもろ刃の剣である。北朝鮮が兵器開発を進めるほど、周辺国は米ミサイル防衛システムの配備をいっそう求めるようになるだろう。それこそまさに、地域内の敵を威嚇するため独自に弾道ミサイルの近代化を行う中国が絶対に避けたいことだ。

最悪の場合、北朝鮮で起きていることが、日本や韓国を独自の核兵器開発へと走らせる可能性もある。

中国は厄介な立場に置かれていることを自覚しており、正恩氏も恐らくそれを分かっている。言うまでもなく、石炭輸入禁止以上の措置を取ることで、北朝鮮に対する経済的圧力を強化する可能性もある。

しかし中国が避けたいのは、北朝鮮の崩壊だ。中国は韓国と北朝鮮の統一を望んでおらず、特に自国の国境付近に米軍基地が配備されるような結果は避けたいと考えている。また、北朝鮮の経済崩壊によって難民が自国に流入してくるといった事態に対処する羽目に陥ることも望んでいない。

正恩氏の戦略の中心には、誰も自分に向かってこようとはしないだろうとの考えがある。自分の立場を確実なものとするには、できるだけ早く兵器プログラムを推し進め、誰かの気が変わる前に北朝鮮を難攻不落にしなければならない。

そう考えるのも、もっともなことである。イラクのフセイン元大統領やリビアの元最高指導者カダフィ大佐のように自国の兵器プログラムを放棄した独裁者は、自身の決断に高い代償を支払ったのだから。

しかし、それはまた世界がより危険になることを意味する。混み合う空港で異母兄の殺害を命じる男ならば(韓国の情報当局が正しければ)、より多くの人々を死滅させることが自身の存続を保証すると思えば、あるいはもう失うものは何もないと感じれば、ためらうことは何もないだろう。

*筆者はロイターのコラムニスト。元ロイターの防衛担当記者で、現在はシンクタンク「Project for Study of the 21st Century(PS21)」を立ち上げ、理事を務める。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。


コラム:中国GDP、たとえ「嘘」でも不十分 2017年 01月 21日
コラム:米国よりも深い欧州「反イスラム」の闇 2017年 02月 13日
コラム:トランプ氏の「壁」、2.46兆円のまずい投資選択に 2017年 02月 13日
http://jp.reuters.com/article/column-north-korea-idJPKBN16I0EQ
http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/778.html

[国際18] トランプ帝国主義が招くドル高と中国衰退 トランプ裏の顔 中国出生率上昇へ二人っ子政策 HFマクロ振るわず 大手鉄鉱乗り切
FX Forum | 2017年 03月 13日 10:54 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:トランプ帝国主義が招くドル高と中国衰退

武者陵司武者リサーチ代表
[東京 12日] - トランプ米政権の負の二大イメージと言えば、保護主義と孤立主義だろう。ただ、それらは人々の不満に訴えるドナルド・トランプ氏の選挙戦術が生んだノイズあるいは間違ったシグナルであり、今後急速に是正されていくと考える。

私は、トランプ政権の真髄を正しく表現するならば、「守り」ではなく「攻め」、「孤立」ではなく「対外関与の強化」だと見ている。誤解を恐れずに言えば、パクス・アメリカーナ(米国覇権による世界平和)の再構築を目指した新手の「帝国主義」とでも呼ぶべきものだろう。

そうした兆候はすでに安全保障分野において、はっきりと確認できる。「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」追求で内向きの対外不干渉主義が高まるかと思いきや、実際には「世界の警察官」としての言動が目立ち始めている。

1月28日には、イラクとシリアでの過激派組織「イスラム国」(IS)掃討計画に関する大統領覚書を公表した。これを読むと、ISとの戦いに参加する新たな連合パートナーの特定、あるいは対IS武力行使に関連して国際法の要件を超える米国の交戦規定や政策上の制約について修正の推奨などを計画に盛り込むとしており、積極的対外関与の色彩をむしろ強めている。3月9日には、シリア北部ラッカの奪還作戦に関連し、米軍が400人の増派を行うことも明らかにされた。

また、就任前は国内問題優先でアジア地域への関与を弱めるのではないかとの懸念があったが、実際は南シナ海問題などで中国との対立姿勢を強めており、トランプ大統領をはじめ米政権側からは日米同盟の意義を強調するメッセージが相次いでいる。北朝鮮問題についても、米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、武力行使や政権転覆も選択肢として検討されているという。こうした動きの全てが、「トランプ政権下で米国の内向き志向が強まる」との事前予想を裏切りつつある。

理想主義的なオバマ政権下では、各国の協調で営まれる「世界共和国」的な概念が追求された。だが、いまやその真逆の「米国帝国主義」的な世界秩序の再構築が始まろうとしている。

<軍事と経済を同じ土俵で議論>

経済政策に目を移しても、帝国主義的な行動を確認できる。例えば、通商分野だ。環太平洋連携協定(TPP)からの米国離脱を「保護主義」と捉えるのは、物事の本質を読み誤っている。

帝国主義的発想に基づけば、価値観・経済力・軍事力で優位にあると自負している帝国の中枢が、その周縁の皆がハッピーになれる最大公約数をまとめようと自発的に動くはずがない。それぞれの相手から一番良い取引条件を引き出そうとするのは当然の行為だ。これを保護主義と呼びたければそう呼べばよいが、保護という言葉から連想される「守る」イメージではないことは明らかだ。

要するに、「攻め」であるからこそ、「同盟国は米国が再び先導役を務めることができると知る」(トランプ大統領、2月28日の議会演説)といった強気の言葉も出てくるのだろう。そして、その実現のためには、経済基盤の強化が不可欠であると認識しているがゆえに、他国に対して無理筋とも言える強硬姿勢を見せ始めているのだと思う。

とりわけ注目すべきは、側近が通商問題と安全保障問題をセットで語っていることだ。例えば、トランプ大統領が新設した米国家通商会議(NTC)の委員長を務めるピーター・ナバロ氏は、「なぜホワイトハウスは貿易赤字を懸念するのか」と題した米WSJへの寄稿で、貿易不均衡が経済成長を脅かし、米国の国家安全保障を危険にさらすとの持論を展開している。中国を暗に批判していることは明白だ。

なお、貿易不均衡是正にドル安が必要とのトランプ大統領の認識は、後述するように誤りだと考えるが、大事なことは、トランプ政権が軍事問題と経済問題を同じ土俵で議論していることだ。「白人労働者の不平不満を解消するために生まれてきた政権」と考えている人々は、早晩、そうした先入観の見直しを迫られることになるだろう。

<国境調整税は絵に描いた餅ではない>

間違った先入観と言えば、トランプ大統領が掲げる国境税や大型インフラ投資に対する批判も当てはまると思う。人気取りの大風呂敷といった類の否定的な論調をよく見聞きするが、本当にそうなのか。

確かに、トランプ大統領がもともと示唆していたような関税の枠組みでの一方的な引き上げは、戦後70年かけて作り上げてきた国際貿易システムを破壊してしまうので、唯我独尊の米国でもさすがに自国への打撃を考えて実行しないだろうが、共和党案にあるような法人税制改革の一環としての国境調整税導入は決して絵に描いた餅ではないはずだ。そして、その結果得られる追加的税収は、法人減税や大型インフラ投資の財源として使うことが可能だ。

この点、レーガン政権下の1982―84年に大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務めたマーティン・フェルドシュタイン氏(ハーバード大学教授)が米WSJで示した論考に私は賛成だ。

同氏は、貯蓄・投資差額と一致する貿易赤字が貯蓄・投資を変えない国境調整税導入によって減ることはないが、輸入価格上昇と輸出価格下落を相殺するドル高が起こり、それが米国の交易条件の改善(外国通貨の実質購買力の低下)をもたらし、その果実が大幅な税収増になると論じている。

具体的には、輸入に対して20%の国境調整税(輸出は免税)が導入されるとすれば、ドルは25%上昇し、今後10年間で1兆ドル超(毎年1200億ドル)の税収増が見込めるという。フェルドシュタイン氏は、この税収増を元手に共和党案の法人減税(現行の35%から20%への引き下げ)が可能になるとしているが、インフラ投資の原資に充てることもできるだろう。偶然かもしれないが、1兆ドルは、トランプ大統領が議会演説で言及した大型インフラ投資の額とも一致する。

むろん、こうした考え方は、通貨安で貿易不均衡是正を目指すとするトランプ大統領の公式見解とは相容れないように思える。ただし、トランプ大統領が問題視しているのは、不公平な取引によって米国の富が流出することであり、その手段(通貨の強弱)にはこだわっていないはずだ。通貨高でも経済基盤の強化が可能であれば、米国の対外購買力を高めるので、むしろ大歓迎だろう。

そもそも前回のコラムで述べた通り、米国経済は労働集約的な低付加価値品を他国から買い、独占的な高付加価値品やサービスを他国に売る(サイバー空間に張り巡らせたインフラから「口銭」を稼ぐなど)新たな経済構造に転換済みだ。つまり、ドル高によって、むしろ自国利益を極大化できる構造になっている。

実際、経常収支赤字はサービス収支と第1次所得収支の増加で急速に改善しており、貿易赤字が現在の水準で推移すれば、あと6年程度で経常黒字国に転換する可能性もある。ドル高が進行すれば、さらに早まるだろう。こうした「強いドル」政策のメリットにトランプ政権が気付くのも時間の問題ではないか。

ちなみに、理想主義の仮面を捨て、帝国主義の本性をむき出しにした米国によって、一番不利な立場に立たされるのはやはり中国だろう。通商問題では日本も名指しされているとはいえ、安全保障問題とセットで槍(やり)玉に挙げられているのは中国だ。資本主義へのフリーライドを止め、公平な市場経済・取引環境の整備を急がないと、トランプ政権によって追い詰められ、緩やかな経済衰退を余儀なくされていく可能性は高い。

*武者陵司氏は、武者リサーチ代表。1973年横浜国立大学経済学部卒業後、大和証券に入社。87年まで企業調査アナリストとして、繊維・建設・不動産・自動車・電機エレクトロニクスなどを担当。その後、大和総研アメリカのチーフアナリスト、大和総研の企業調査第二部長などを経て、97年ドイツ証券入社。調査部長兼チーフストラテジスト、副会長兼チーフ・インベストメント・アドバイザーを歴任。2009年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

*本稿は、武者陵司氏の個人的見解に基づいています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

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http://jp.reuters.com/article/column-ryoji-musha-idJPKBN16I0E3?sp=true

 


News | 2017年 03月 13日 11:43 JST 関連トピックス: トップニュース
焦点:トランプ氏の硬軟使い分け、企業トップが見た「裏の顔」

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 3月8日、製薬大手6社のトップがトランプ米大統領に会うためワシントンに向かった1月、それが険悪な雰囲気の会談になり得る材料はすべて揃っていた。写真は1月31日、ホワイトハウスで製薬業界のトップと会談するトランプ大統領(2017年 ロイター/Yuri Gripas)
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Ginger Gibson and David Shepardson

[ワシントン 8日 ロイター] - 製薬大手6社のトップがトランプ米大統領に会うためワシントンに向かった1月、それが険悪な雰囲気の会談になり得る材料はすべて揃っていた。

その数週間前、トランプ大統領は、医薬品価格があまりにも高く、製薬会社は「殺人を犯しているのに罪を免れている」と非難して、製薬各社の株価を急落させていた。

ところが、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)(JNJ.N)や、ノバルティス(NOVN.S)、メルク(MRK.N)を含む大手製薬の最高経営責任者(CEO)たちを迎えたトランプ大統領は、驚くほど愛想よく振る舞い、自らホワイトハウスの執務室を案内して回ったと、その朝食会に参加した数人が語った。

「それが険悪になる可能性はあったし、私たちもそうなるのではないかと考えていたが、それに比べたらはるかに良い会合だったのは確かだ」とこの会合の状況に詳しい業界関係者は語った。

トランプ大統領は、製薬業界への公然とした攻撃を繰り返さなかった。その代わり、製薬各社のコストを押し上げている「時代遅れの」規制に焦点を当てたという。製薬会社のCEOたちは、規制緩和と米国の割高な法人税率を変えるという大統領の言葉を土産に持ち帰った。

1月20日大統領に就任して以来、トランプ氏は自動車、航空、小売、医療保険といった業界リーダーたちと少なくとも9回の会合を行なった。8日にも、トランプ氏はニューヨークの不動産開発会社や、プライベートエクイティのトップたちと昼食会を催した。そこではインフラ整備に関する官民協力の可能性が議論される見込みだという。

早朝や深夜のツイート投稿や演説のなかで、トランプ大統領はこうした企業の多くに関して、彼らのコスト超過、高価格、海外での生産活動を非難し、幾度となく企業株価に悪影響を与えていた。

しかし、大統領との会合に出席あるいはその報告を受けた10数人近い企業幹部やロビイストをロイターが取材したところ、妥協せず厳しい要求をする大統領のツイートアカウント@realDonaldTrumpとは非常に異なるトランプ像が浮かび上がってきた。

大手企業のトップと直接会うときのトランプ大統領は、愛嬌と口当たりのよい言葉で相手をもてなす。その場合の大統領は柔軟で好奇心旺盛、さらに相手の誕生日を記憶するような追従上手で、相手の企業に対しても惜しみなく讃辞を浴びせていた、と非公開の会合について匿名を条件に取材に応じてくれた人々は指摘する。

株価急落をもたらすようなおおっぴらな攻撃をしているにもかかわらず、こうした大統領のプライベートな一面が、多くの企業トップに、トランプ氏はビジネスに好影響を及ぼすとの自信を与えている。大統領は7日にも、医薬業界の競争促進と薬価引き下に向けた制度に取り組んでいるとツイートし、製薬各社の株価をさらに押し下げた。

ホワイトハウスでの会合で、トランプ大統領はもっぱら規制緩和について重点的に語ったという。それは、オバマ前政権によって課されたルールの撤廃を、重要な優先事項の1つにしていることを裏付けている。トランプ大統領はよく、企業の新規雇用増大を妨げている規制は何かを問いただし、問題の解決を約束すると企業トップらは語る。

「大統領は会合前に(メディアの)カメラ向けに一言発言し、いったん扉を閉ざすと一転して、肩を叩き合うような親密な雰囲気に変わる」とこうした会合について説明を受けたある人物は語る。「愛想がよく、他の大物企業トップたちと大の仲良しのように見られたがる」

実業家出身のトランプ大統領は、企業トップとの非公開会合を、取締役会のように進行しているという。独断的な彼のツイートとは対照的に、列席する全員から意見を求め、オバマ氏やジョージ・W・ブッシュ氏といった前任者と比べても、台本通りの発言が少ないという。

<執務室のガイド役>

トランプ大統領が非公開会合で業界トップたちとどう接しているのかについては、あまりにも情報が少ないために、業界団体や企業幹部らは、この会合にどのように臨むべきか、ノウハウの交換を始めている。

「(こうした会合について)何を予想し、どう行動すべきか、水面下で情報共有が行われている」と語るのは、トランプ大統領との会合に向けての準備に携わったある業界団体幹部だ。ホワイトハウス詣でを控えた他の業界幹部からもひっきりなしに問い合わせの電話がかかってくるようになったという。

こうした会合の締めくくりとして、トランプ大統領はよく彼の執務室へと皆を招き入れ、そこに飾られた絵画や彫刻、家具、それに自分が選んだ敷物やカーテンを披露している。またオバマ氏から引き継いだキング牧師の胸像を紹介し、最後にデスクの向こうで記念撮影をする。

「大統領はツアーガイドになり、執務室を彼らに案内する」とこの業界団体幹部は言う。「執務室をとても誇りにしている」

<椅子を引き、誕生日の祝いも>

1月24日にホワイトハウスを訪れ、トランプ大統領と朝食を共にした自動車産業ビッグスリーのCEOたちは、嬉しい驚きを味わった。

トランプ大統領は当選以来、自動車各社がメキシコで生産を行なっていることを頻繁に批判しており、米国メーカーがこれ以上米国の雇用を海外に移転させれば、「必ず重大な結果を招く」と警告してきた。

この日、大統領は「ルーズベルト・ルーム」に入ると、ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)のメアリー・バーラCEOの肩を叩いて親しげに挨拶し、米国内での雇用を増やすよう穏やかに促した。会議の冒頭部分の録画によれば、会議が始まる前にはトランプ氏がバーラCEOのために椅子を引いてあげたという。

トランプ大統領はフォード・モーター(F.N)のマーク・フィールズCEOに「誕生日おめでとう。皆さん、今日は彼の誕生日だ」と挨拶。フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)(FCHA.MI)のセルジオ・マルキオーネCEOに対しては、彼と会えたことを「大変な光栄」だと表現した。

事前にツイートしていた内容とは異なり、トランプ大統領は、具体的に米国に工場を建設するよう、彼らに要求したりはしなかった。代わりに、規制に関するCEOたちの不満に耳を傾け、支援することを約束した。この会合について説明を受けた人々はそう説明した。

高名なゲストたちを相手にトランプ氏はお世辞を振りまき、ときには冗談も口にしている。

キャンベルスープ(CPB.N)のデニス・モリソンCEOがこうした会合で自己紹介したところ、トランプ大統領はすぐに「美味しいスープですよね」と応じたという。

別の会合で、米ディスカウントストア大手ターゲット(TGT.N)のブライアン・コーネルCEOが話しかけると、大統領は相手の社名を「Tar-Jay」と発音。ターゲットの社名をフランス語風に発音して高級そうに見せるという、よくある冗談を披露したのだ。

(翻訳:エァクレーレン)

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World | 2017年 03月 13日 10:10 JST 関連トピックス: トップニュース

中国の出生率は上昇へ、二人っ子政策が「著しい成果」=当局者

 
[北京 11日 ロイター] - 中国の国家衛生計画出産委員会は11日、同国の出生率が2020年にかけて上昇するとの見通しを明らかにした。すべての夫婦に2人目の子供を認める「二人っ子政策」が昨年、「著しい成果」を挙げたという。

同委員会の王培安副主任が全国人民代表大会(全人代)の合間に話したもの。副主任によると、昨年の出生数は1846万人と、過去5年間の平均を200万人超上回った。出生率は1.7%となり、2000―15年の1.5―1.6%から上昇したという。

中国は人口増加に歯止めをかけるため1970年代に一人っ子政策を開始したが、進行する高齢化社会を支える労働力減少への懸念から、2015年末に二人っ子政策を導入した。

副主任は、増加傾向は2020年まで続くとの見通しを示し、新生児数は年間1700万―1900万人になると見込んだ。

同国は世界で最も出生率が低い国の1つとなっている。

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ヘッジファンド、マクロの成績振るわず−トランプ時代への期待先行
Simone Foxman
2017年3月13日 06:48 JST

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2017年1、2月のマクロファンド成績はプラス0.3%にとどまる
成績上向く転換点は近いと多くの運用者が期待


2017年はマクロ戦略ヘッジファンドが輝く年と考えられている。しかしこれまでのところ、そうでもない。
  年初の2カ月の成績は素晴らしいとは言い難い。ヘッジファンド・リサーチによれば、マクロファンドの2月末までの成績はプラス0.3%。これに対しヘッジファンド全体の平均はプラス2.2%。MSCIワールド指数は5%上昇した。
  「トランプ氏が大統領に選ばれれば米金融当局がタカ派色を強めるだろうという読みがあった」と、アバディーン・アセット・マネジメントの米州ヘッジファンド担当責任者ダレン・ウルフ氏がインタビューで述べた。「米国と世界の他の国・地域との政策の乖離(かいり)は通常、マクロ戦略ファンドにとって追い風だ」と解説した。
トランプ政権への期待先行
トランプ政権への期待先行 Photographer: Olivier Douliery/Pool via Bloomberg
  ところがそうはいかなかったとヘッジファンド運用者らは言う。一つには、今までのところ変化が大きくはないためだという。市場は税制や貿易について実現した改革によってではなく、提案された政策に期待して動いてきた。同時に、運用者らは大統領選挙後の熱狂の波に乗ろうとしながら用心もしている。
  一部のファンドは米国債の動きを読み間違えた。さらに、外国為替市場の動きもマクロファンドに「優しくなかった」と運用者向けニュースレターを発行するロバート・サベッジ氏は指摘。「大半のファンドが今もドルをロングにしているが、成果は上がっていない」と述べた。
  日本株をロング、円をショートにする日本のリフレトレードでも損失が出た。「第4四半期には大きな利益を上げたが2017年に入ってからそれを返上した」とウルフ氏は話した。
  それでも、マクロファンドの成績が上向く転換点は近いと多くの運用者が考えている。オディ・アセット・マネジメントのクリスピン・オディ氏は1月成績に関する顧客宛て書簡で、「各国政府が互いや自国の中央銀行と対抗する時期に入りつつあるように思われる。奇妙なことだが、これでやりやすくなる」と書いている。
ヘッジファンド、17年は資金流出ペース鈍化か−マクロ戦略への期待で
  一部ファンドの成績は以下の通り。
FUND YEAR-TO-DATE PERFORMANCE THROUGH FEBRUARY
Rubicon Global Fund -9.0%
Caxton Global Investment* -0.8%
Tudor BVI Global Fund -2%
Brevan Howard Master Fund +0.5%
Bridgewater Pure Alpha II +1.2%
Autonomy** +9%
*3月3日までのリターン
**3月9日までのリターン
原題:Hedge Funds Find No Joy in Macro as Returns Lag Trump Rally (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-12/OMLVQ1SYF01S01

 


 


大手鉄鉱石生産会社、値下がり局面乗り切る見通し−現金収入確保で
David Stringer
2017年3月13日 11:22 JST
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海上輸送市場の供給業者の約90%、60ドルで利益確保へ:CRU
鉄鉱石の指標価格は先週、2月10日以来の90ドル割れ
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  世界の大手鉄鉱石生産会社は、予想される価格下落を乗り切ることができる見通しだ。生産コスト削減競争により、業界の利益率を圧迫する水準が劇的に低下し、鉱山業界の回復につながった現金収入の確保が引き続き可能になるとみられるためだ。
  調査会社CRUグループのシニアコンサルタント、エイドリアン・ドイル氏(シドニー在勤)は電話インタビューで、世界の鉄鉱石海上輸送市場に供給する生産者の90%余りが、指標価格が1トン=60ドルの水準で利益を確保することができると指摘。3年前には同じ価格水準で損失を回避できる生産者は約65%にとどまっていた。
  海上輸送市場で供給が拡大し、中国で在庫が膨らむ中、鉄鉱石の指標価格は先週、2月10日以来の90ドル割れとなった。メタル・ブレティンによれば、中国・青島の鉄鉱石(鉄分62%)価格は9日、1ドライトン=86.79ドル。2月21日には94.86ドルと、2014年8月以来の高値を付けた。
原題:Top Iron Ore Miners’ Cash Juggernaut Set to Survive Price Crash(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-13/OMQBXR6TTDS001
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/602.html

[環境・自然・天文板6] ゴキブリ 繁殖に雄いらず 雌3匹以上で単為生殖促進 毎日新聞 
ゴキブリ

繁殖に雄いらず 雌3匹以上で単為生殖促進
毎日新聞2017年3月13日 11時02分(最終更新 3月13日 13時38分)
北海道
科学・技術
話題
速報
サイエンス
http://cdn.mainichi.jp/vol1/2017/03/13/20170313k0000e040198000p/7.jpg


=iStock
 全国に分布するワモンゴキブリは雌だけで3匹以上いると、雄と交尾せずに子孫を残す「単為生殖」が促進されるとする実験結果を、北海道大の研究チームが13日発表した。単為生殖できる他のゴキブリも同様の性質をもっている可能性がある。動物学専門誌に掲載された。

【マンガで解説】飲まず食わずでも1カ月生存…ゴキブリの能力とは
<そうだったの?>アース製薬救った「ごきぶりホイホイ」誕生秘話 当初の名前は…
<ゴキブリにさようなら>引っ越し後の簡単キレイ術を教えます
<はごろもフーズ>ツナ缶にゴキブリが混入 自主回収はせず
<そんな昔から…>縄文土器からゴキブリの卵発見
 害虫駆除では雌のフェロモンで雄を引きつけて殺虫し、繁殖を妨げる方法があるが、ワモンゴキブリは雌雄両方の駆除を徹底しないと効果が小さいと考えられる。

 チームはワモンゴキブリを▽雌雄1匹ずつのペア▽雌1匹だけ▽雌だけ2〜5匹−−など11パターンで、それぞれ14組以上を容器で飼育。複数の卵が入ったカプセルのような「卵鞘(らんしょう)」を形成するまでの期間を2回目まで調べた。

 その結果、雌3匹以上では最初の形成が平均10日程度と1匹だけより3日程度早く、2回目では9日程度早くなった。15匹以上で飼育を始めたケースでは、雌だけで3年以上もコロニー(集団)を維持している。

 匂いや物などを感じ取る触角を切除すると卵鞘形成が遅くなったため、単為生殖促進には触角で他の雌を確認することが必要だと考えられるという。チームの西野浩史・北大助教(神経行動学)は「集団のケースで単為生殖が進むのは、子の生存率が高くなるからではないか」と話す。【大場あい】

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http://mainichi.jp/articles/20170313/k00/00e/040/183000c
http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/514.html

[経世済民120] 米保護主義をしのぐドル高の地力 金下値不安薄い 日銀18%テーパリング G20のGDP連動債市場構想、主導役不在で停滞
FX Forum | 2017年 03月 13日 18:07 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:米保護主義をしのぐドル高の地力

鈴木健吾みずほ証券 チーフFXストラテジスト
[東京 13日] - 2017年に入って以降、円インデックスは横ばいの一方でドルインデックスは上下に振れており、ドル円相場はドルが動かす状況が続いている。

14―15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ実施を織り込みつつ、ドルは3月序盤にかけて上昇した。ただ、ドル円での1ドル=115円やユーロドルでの1ユーロ=1.05ドルといった心理的節目は明確に抜け切れていない。こうした現状は、米利上げに対する期待と米通商政策に対する懸念がきっ抗している状況を象徴的に表しているかのようだ。

ドルの先行き予想は、この懸念と期待のベクトルのどちらを重視するかで大きく変わってくる。ドル弱気派がその論拠に挙げることが多いのはトランプ米大統領の通商政策だ。その保護主義的な通商政策においてドル高は容認できず、結局はドル安政策を強く押し進めざるを得ないとされる。これに対して、筆者を含むドル強気派の主張は主にトランプ政権の景気刺激策と米連邦準備理事会(FRB)の利上げ政策がドルを押し上げざるを得ないというものである。

確かに、通商政策については、1日に提出された米通商代表部(USTR)の報告書が驚くほどタカ派的だったことから警戒感が増している。同報告書を読むと、米国は今後、2カ国間での自由貿易協定(FTA)を軸に貿易交渉を行い、米国にとって公正な貿易条件獲得のためには相手国への制裁などの圧力を発動させることもあるという。もしこの圧力が世界貿易機関(WTO)の協定違反とされても米国は必ずしもWTOに従う必要はなく、逆に相手国の貿易が公正であるかはWTOではなく米国が判断することも示唆している。かなり前のめりだ。

これまでに示されている米国の具体的な通商政策は、環太平洋連携協定(TPP)からの撤退と北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉ぐらいである。NAFTAについてはロス商務長官が6月頃に向けてメキシコやカナダとの再交渉を開始する意向を示しており、年半ばにかけて注目を集めそうだ。

ドル円にとっては4月から始まる麻生太郎副総理とペンス副大統領の経済対話が事実上、日米2カ国間交渉のスタートとなる。米国は8日、WTOに日本の自動車・農産物の市場開放を求める意見書を提出しており、駆け引きはすでに始まっている状況だ。

<通貨安批判は「けん制球」>

しかし、トランプ大統領自身は為替政策に対する強い意向を実は持っていないのではないかと筆者は考えている。トランプ大統領は貿易赤字削減を志向しており、そのためにはドル安が合理的ではあるが、そもそもの基本的なスタンスは「アメリカ・ファースト(米国第一)」「バイアメリカン、ハイヤーアメリカン(米国製品を買い、米国人を雇う)」だ。

「ラストベルト(さびついた工業地帯)」や「忘れられた人々」の雇用を取り戻すために、米国の工場を閉鎖して海外にアウトソーシングする米国企業を批判し、メキシコで工場建設を予定しているトヨタ自動車に対し「米国内に工場を作れ、さもなくば高い関税を払え」とツイッター上で警告したことは記憶に新しい。

トランプ大統領にとって貿易赤字が悪なのは、おそらく輸入増加によって競合製品が米国製品を駆逐し、輸出減少によって国内産業が縮小すると考えているからだろう。これを変えるために、まず個別のFTA交渉を通じて相手国の輸入障壁を取り払い、米国の製品や農産品の輸入を増加させる。そして、国境調整税の導入も含めて対米輸出の自主規制や米国への直接投資・生産移転を勝ち取るという目算なのではないか。

一時的な通貨安によって貿易赤字が縮小しても非関税障壁などの構造問題が解決できなければ「バイアメリカン、ハイヤーアメリカン」までつながらない。そもそも目的が米国の産業を活性化し雇用を促すことであるから、制度や税制、協定などによる仕組みの変更と構築が重要であって、ドル安といった相場の変動による貿易赤字額の縮小はさほど重要ではないと思われる。

相手国の通貨安誘導などに対する強い批判や攻撃的な発言、WTOへの意見書提出などは、その後の交渉で相手国の輸入障壁を取り去り、米国への投資を勝ち取るための「けん制球」にすぎないと筆者は考えている。

<ドル円の上昇基調は春以降鮮明に>

日本も米国との2カ国間交渉が始まれば一定の譲歩を強いられるだろう。それは、牛肉の関税かもしれないし自動車の輸出数量かもしれない。しかし、金融政策や円安そのものに対する攻撃や影響は、あっても限定的にとどまり、結局は景気刺激策や利上げペース加速期待によるドル高にかき消されてしまうのではないか。

そもそもトランプ政権の景気刺激策はドル高要因として機能するだろう。一定程度はすでに織り込み済みだったとしても、米国経済とFRBの利上げ政策の背中を押す要因となるからだ。

減税案を含む財政政策は、基本的に米国経済を悪化させるものではない。どの程度刺激するのかという「程度の問題」で、少なくとも経済指標は刺激策実施前よりも良好になり、物価も上昇、FRBは基本的には利上げペースを加速させることになるだろう。

織り込み済みとの反応もあり得なくもないが、刺激策の内容が公表され、それが経済に効果を及ぼすまで、1年程度の時間軸の中で景気回復や利上げペース加速が確認されるとみられ、中長期的なドルにとってのリスクはアップサイドリスクの方が大きいことから、結果としてドル円を上昇させる原動力になると考えている。

筆者はこれまで、9月末にかけての予想レンジを1ドル=110―125円とし、「春先にかけては、予想レンジの下半分である1ドル=110―117円、その後はレンジ上半分への上昇」を予想してきた。現状においては、予想よりもトランプ大統領の景気刺激策発表が遅れている印象はあるが、FRBの利上げペースは予想以上に積極的なものになり、これを打ち消している。

上記の通り、米国の通商政策が及ぼすドル安圧力は限定的なものになると考えており、引き続き春以降、ドルの上昇基調がより鮮明になる展開を想定している。

*鈴木健吾氏は、みずほ証券・投資情報部のチーフFXストラテジスト。証券会社や銀行で為替関連業務を経験後、約10年におよぶプロップディーラー業務を経て、2012年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

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News | 2017年 03月 13日 18:19 JST 関連トピックス: トップニュース
焦点:金相場は米利上げでも下値不安薄い、欧米政治リスク支え

[10日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が来週、追加利上げに踏み切るとの見方から、金価格に下落圧力が掛かっている。しかし米欧の政治情勢が不透明な現在、安全資産である金の下落は限定的とみる専門家が多い。

昨年12月半ばの米利上げ後、金価格は10カ月ぶりの安値に沈んだ。来週14、15日の連邦公開市場委員会(FOMC)は追加利上げがほぼ確実視されているが、投資家は前回ほど神経を尖らせていないようだ。

12月の相場下落は、米大統領選でのトランプ氏勝利をはやして株価が上昇したことも背景にあった。しかしトランプ氏の政策がはっきりしない上、欧州各国で控える選挙への懸念もあり、金は底値からいったん約7%反発した。

その後、金は2月24日の高値から約5%下げて現在はオンス当たり1198ドル前後となっている。

UBSウェルス・マネジメント(香港)のアナリスト、ドミニク・シュナイダー氏は「利上げ予想は金相場に織り込み済みだ。(年)4回の利上げ観測が高まれば別だが、当社の見るところ、それはありそうにない」と言う。

シュナイダー氏は「トランプ大統領の政策が失望を誘う可能性はかなり高い。議会が彼の思うように動かないだろう」と付け加えた。

利子を生まない金は、金利が上がると魅力があせる。ドル相場の上昇も、他通貨建ての買い手にとって金価格を押し上げるという難点がある。

<建玉が増加>

COMEXではヘッジファンドなど投機筋による金の買い建玉が今年3倍近くに膨らんだ。しかし絶対水準で見ると2月28日時点で12万1720枚と、2016年7月の28万6921枚の半分にも満たない。当時は投機的な金買いがピークに達し、金価格が2年ぶり高値の1374.91ドルをつけていた。

このためコメルツバンクのアナリスト、カーステン・フリシュ氏は、投機ポジションが巻き戻された時に価格が急落する恐れは小さいとみる。

UBSのシュナイダー氏は、主要国で幅広く物価が上昇していることも、債券の魅力を損ねて金相場を支えると指摘。「価格が1200ドルを割り込んだ水準には実需が存在する」と言う。

英国の欧州連合(EU)離脱や、欧州各国での選挙といった政治リスクも金相場の支援材料となりそうだ。

INTL・FCストーンのアナリスト、エドワード・メイル氏は「フランスの大統領選がFRBの利上げの影響を相殺するだろう。今年はドイツ、オランダ、イタリアでも選挙があり、どれも予想外の結果になる可能性を秘めている」と言う。

デグサ・プレシャス・メタルズ・アジアのマネジングディレクター、マイケル・ケンピンスキ氏は「価格が1150ドルに近付くと力強い実需が確認できる。特にドイツ市民は購入に熱心だ。ドイツでは利上げのことなど話題に上らない。欧州の人々は日々、不透明感に対峙しており、価格が下がればさらに買う」と語った。

(Sethuraman N R記者 Arpan Varghese記者)

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日銀の3月購入計画、1年間で18%のテーパリングを示唆−市場の見方
Masaki Kondo
2017年3月13日 17:05 JST


日本銀行が今月から適用した長期国債買い入れ運営方針を1年間継続すると、年間の購入目標を18%下回ることを意味する。このため、密かなテーパリング開始ではないかとの観測が投資家の間に浮上した。
  2月28日公表の3月購入額をその後の11カ月も継続した場合、1年間での購入規模は純額66兆円となり、年間80兆円の保有拡大目標を18%下回る。
  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストは、日銀が年間目標を繰り返し引き下げれば明らかなテーパリングのように見えるだろうと指摘。それを望まない場合、目標を年間から月額に変える可能性があると分析した。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ipePOrvggJeE/v1/-1x-1.png
原題:BOJ March Plan Would Taper Bond Buying by 18% in Coming Year (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-13/OMQRCC6JTSEB01


 
News | 2017年 03月 13日 14:14 JST 関連トピックス: トップニュース
訂正:アングル:G20のGDP連動債市場構想、主導役不在で停滞
 3月10日、G20が債務危機回避の一環として取り組んでいるGDP連動債市場の創設構想が行き詰まっている。香港の両替所前で2015年8月撮影(2017年 ロイター/Tyrone Siu)
 3月10日、G20が債務危機回避の一環として取り組んでいるGDP連動債市場の創設構想が行き詰まっている。香港の両替所前で2015年8月撮影(2017年 ロイター/Tyrone Siu)
[ロンドン 10日 ロイター] - 20カ国・地域(G20)が債務危機回避の一環として取り組んでいる国内総生産(GDP)連動債市場の創設構想が行き詰まっている。構想を支持する先進国の中で、率先して発行しようという動きが見当たらないためだ。複数の関係者がロイターに語った。

GDP連動債は、投資家への返済額が経済成長次第で変わる特徴を持ち、景気後退で歳入が減れば返済も少なくなる。つまりある国が経済的に困難な状況に陥っても、例えば最近のプエルトリコなどのようなデフォルト(債務不履行)を避けられる可能性がある。

G20の政策担当者は昨年、同債市場立ち上げを目指すことで合意。国際通貨基金(IMF)に同債に関する専門的な報告書の取りまとめを委託した。

今年に入り、IMFが4月終盤にも公表する報告書の内容がG20の事務方に伝えられた。彼らは3月(訂正)17─18日にドイツで開くG20財務相・中央銀行総裁会議にそうした情報を報告するとみられる。

2人の関係者の話では、IMFはGDP連動債にとって一番の障害は投資家の需要がないことと、そうした債券を発行することで国の評判が悪くなることだ、との見方をG20の事務方に示した。評判が悪化するのは、これまでのGDP連動債が新興国の債務再編において投資家に償却を受け入れてもらうための手段として発行されたケースしかないからだ。

昨年、G20で提唱された計画の1つは、先進国がまず発行して投資家のGDP連動債に対する許容度を高めるというものだった。ところが関係者によると、どの国も真っ先に発行してリスクを引き受けようとしたがらず、計画は頓挫した。

<懐疑的なドイツ>

関係者の1人は、今年のG20議長国であるドイツの国内で、GDP連動債について非常に懐疑的な見方が出ていることも、市場創設の障害だと指摘した。

ドイツでは、投資家にこの先のGDP連動債市場のリスクにさらされるのを甘受してもらうためには、株式より安全な投資先とみなされている同債といえども、政府が支払う必要があるプレミアムがあまりに大きくなるのではないかと懸念する声が多い。

IMFの報告書取りまとめに協力して投資家や潜在的な発行体などの市場参加者への聞き取りを行った投資助言会社ニューステート・パートナーズのラファエル・モリーナ氏によると、市場参加者は関心を持っているが、GDP連動債のメリットや具体的な発行方法を知りたがっている。

モリーナ氏は「GDP連動債の市場が誕生する前に、まだ解決すべき不安要素や疑問が数多く存在する」と話した。

<長い時間必要>

これまでにアルゼンチンは2005年と2010年の債務再編時にGDP連動のワラントを導入したが、景気回復とともに利払いコストが膨らんでいる。

またイングランド銀行(英中央銀行、BOE)はGDP連動債の法的枠組み整備を進める作業を主導してきたとはいえ、英国経済の道筋が欧州連合(EU)離脱によって不透明化している以上、同債の妥当性を証明できそうにはない。

先月にはシンクタンクのCIGIが、米国こそGDP連動債の先鞭をつける条件が最も整っていると提言した。ただ米国経済を犠牲にして他国がより恩恵を受けるような市場を育成しようとすれば、トランプ大統領が掲げる米国第一主義と衝突する、と関係者は予想する。

フランスはユーロ圏で初めて物価連動債を販売し、調達資金を環境対策に限定するグリーンボンドもいち早く発行した実績を持つ。それでもある政府高官は、大統領選と議会選が迫り、政権交代が見込まれている中ではGDP連動債の発行は視野に入ってこない、と述べた。

歴史を紐解けば、新しい債券の市場が相当な規模に達するには何十年もかかる可能性があることが分かる。物価連動債は英国が1980年代初めに発行を開始したが、米国とフランスが追随したのは1990年代終盤で、そこでようやく一定規模を確立した。

(John Geddie記者)

*見出しを修正します。

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http://jp.reuters.com/article/global-bonds-g-idJPKBN16K08H
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/169.html

[政治・選挙・NHK222] 事態はここまで悪化した 尖閣周辺で我が物顔の中国 トランプの奥の院に入り込んだ誇り高き英雄 森友学園問題に政治家関与?
事態はここまで悪化した 尖閣周辺で我が物顔の中国
米国の海洋戦略専門家が発する重大な警告
2017.3.14(火) 古森 義久
中国海軍のフリゲート。退役後に海警部隊に移籍され再就役した(出所:Wikipedia)
 トランプ政権が尖閣防衛を公約したにもかかわらず、中国の尖閣諸島への攻勢はさらに激しくなり、日本の国家的な危機を引き起こしている――。

 こんな重大な警告が、米国の中国海洋戦略専門家から発せられた。

 トランプ政権の首脳たちが相次いで「尖閣諸島は日米安保条約の適用範囲に入る」と明言したことを受け、日本では一種の安心感が広まったようである。だが現実は、中国はますます尖閣諸島周辺で日本の領海や接続水域への侵入を頻繁に行い、日本側の施政権を脅かしつつある。このたび米国大手防衛問題シンクタンク「戦略予算評価センター(CSBA)」の上級研究員、トシ・ヨシハラ氏によって、その実態が明らかにされた。

「戦略予算評価センター(CSBA)」の上級研究員、トシ・ヨシハラ氏(CSBAのホームページより
 ヨシハラ氏は中国の海洋戦略研究で全米でも有数の権威とされる学者である。米国海軍大学の教授を長年務め、海軍大学付属の「中国海洋研究所」の研究員も兼務してきた。2017年からはワシントンの超党派の大手研究機関のCSBAに移り、その上級研究員となった。

 ヨシハラ氏は父親が日本人、母親が台湾人の日系米国人である。少年時代まで台湾で過ごしたため中国語が堪能で、中国軍関係者との交流も中国語でこなすという。

 そのヨシハラ氏に3月7日、インタビューした。一問一答の内容は以下の通りである。

もはや「施政権の共同保有」が宣言できる状態

――日本では、トランプ政権の尖閣防衛の言明により、中国の尖閣諸島への攻勢は一段落したのではないかという受けとめ方が多いようです。現状はどうでしょうか。

トシ・ヨシハラ氏「確かにトランプ政権の尖閣防衛に関する一連の言明は、オバマ政権のそれより強く、曖昧さが少ないと言えます。これは日本にとっても米国にとっても好ましいことでしょう。

 しかし中国の東シナ海へのアプロ―チ、特に尖閣への攻勢は変わっていません。むしろ強化されたと言えます。

 尖閣海域に入ってくる中国海警の警備艦隊は昨年中ごろまで2隻編成でしたが、4隻に増え、トランプ政権の登場後もそのままです。現在、中国海警の艦艇は尖閣の日本の領海や接続水域に月平均3〜4回侵入してきており、恒常的かつ自由自在に尖閣海域をパトロールできる能力をほぼ獲得したと言えるでしょう。もはや尖閣の施政権の共同保有すら宣言できそうな状態にあります」

――「施政権の共同保有」というのは、日本側の施政権が侵食される、あるいは骨抜きになるということですね。

「はい、中国側からすれば、尖閣のあらゆる海域はいつでも思い通りに自国の艦艇でパトロールできるということです。だから、日本の主張を無視する一方的な言明にせよ、『尖閣の施政権は中国が保有し、少なくとも日本との共有なのだ』と宣言できるというわけです。実際には、その宣言はまだしていませんが、できる状態に近づいたと言えるでしょう。尖閣海域には常に中国の艦艇が存在するという状態を日本や米国側に誇示し、もうそれが正常な状態なのだと思わせようという意図があります」

――そうなると、日本の施政権が侵食され、日米安保条約の適用にも影響を及ぼすおそれがありますね。米国は安保条約に則って「日本の施政権下にある領域」を防衛すると述べているわけですから。

「日本にとっては危機的な状況かもしれません。中国が海警だけで攻勢をかけても、正規の軍事攻撃ではないため、安保条約での米軍の出動の条件にはならないからです。しかし、中国は海警の艦艇に新鋭の大型船を次々に導入しています。しかもじわじわとその性能を高め、日本の海上保安庁の巡視船を疲弊させている。持久戦、消耗戦略です。日本側の現状をみると本当に消耗させられそうですね」

背後にある「世界を多極化へ」という野望

――海警は実際には人民解放軍の指揮下にあります。東シナ海でも正規の中国海軍が動きを活発にさせているようですが。

「尖閣に関する中国側の新しい動きとして注目されるのが、中国海軍の東シナ海での増強です。海軍が艦艇の数を増し、演習も規模と回数を増しています。昨年12月には空母の遼寧を中心とする機動部隊が宮古海峡を通り、台湾の東岸を抜けて、南シナ海へと航行して大規模な演習を実施しました。つい数日前にも別の中国艦隊が同じように宮古海峡を通りました。航空機の活発な動きもそれに合わせて目撃されています。中国軍は東シナ海での活動を強め、勢力圏を拡大して、戦略的特権を確立しようとしているのです」

――東シナ海で「戦略的特権」の確立を目指しているとは、どういうことでしょうか。

「東シナ海における力のバランスを決定的に中国側に有利にして、コントロールできるようにすることです。

 その背後には、中国の復興という野望があります。習近平国家主席が『中国の夢』という言葉で表現するのも、この中華帝国の復興という目標です。そのために東シナ海と南シナ海の制圧を目指しているのです。

 さらにその背後にあるのが、いまの世界を米国一極から多極へと変えようという野望です。その多極世界では米国、中国、ロシア、EU(欧州連合)、インドなどの数カ国がパワーを保持して、並列的に並ぶことになります。日本は、もちろんそこには含まれません。アジアでは中国が主導権を持つわけです。いまの尖閣問題というのは、このように多様な要因を含む争いの縮図だと言えるでしょう」

日本が自ら尖閣防衛の能力を高めるべき

――中国は、軍事力によって尖閣諸島を奪取しようと意図しているのですか。

「今はまだそこまで考えず、日本の施政権を崩す消耗戦略を続けようとしているのでしょう。しかし、尖閣を奪取するための『短期で過激な戦争』という戦略を以前から準備していることも事実です。その場合、米軍が介入してくると予想すれば、軍事攻撃には踏み切りません。ただし、日本が先に攻撃をする、あるいは挑発をする、という状態で軍事衝突が始まれば、中国側は米軍は介入しないだろうと判断する可能性もあります」

――日本では尖閣諸島になんらかの形で人を配置すべきだという意見もあります。

「日本がそういう行動を取りたくなる心情はよく理解できます。しかし中国側からすると、紛争の新たなエスカレーションあるいは挑発とみて、軍事的な対抗措置に出る機会となります。中国側は、そうした日本側のエスカレーションあるいは挑発から日中間で軍事衝突が起きた場合、米国は介入しないだろうとみる可能性があります。

 だから日本としては、米軍の力を借りずに自力で中国軍を撃退できる能力を保っておかなければなりません。日本のその能力を認識することで、中国は攻撃を差し控えます。つまり、抑止の効果が生まれるわけです。

 トランプ政権が尖閣防衛を公約したといっても、米軍の出動には必ずいくつかの前提条件が出てきます。日本側はその点をよく認識しておくべきでしょう」

 以上のようなヨシハラ氏の見解は、中国の尖閣諸島への攻勢によって日本がどれほど国家的な危機に直面しているかを明確に示していると言ってよい。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49410


 

トランプの奥の院に入り込んだ誇り高き英雄
30年前にベストセラーになった博士論文が示す「戦争責任論」
2017.3.14(火) 高濱 賛
米大統領、新安保補佐官にマクマスター氏 辞任したフリン氏の後任
ドナルド・トランプ米大統領(右)が米フロリダ州パームビーチに所有するリゾート施設「マーアーラゴ」で、国家安全保障問題担当大統領補佐官に任命したH・R・マクマスター氏と握手するトランプ氏(2017年2月20日撮影)〔AFPBB News〕
四天王と外様大名3人でスタートした「トランプ幕府」だったが・・・

 徳川幕府に例えれば、第45代米大統領「ドナルド・トランプ将軍」の政権は、四天王と外様大名トリオでスタートした。

 四天王とは、スティーブ・バノン大統領上級顧問兼首席戦略官(63)、ケリーアン・コンウェイ大統領顧問(50)、スティーブ・フリン大統領国家安全保障担当補佐官(59)、娘婿のジャレド・クシュナー大統領上級顧問(36)の4人。大統領選以前からトランプの忠臣として仕えてきた。

 外様大名とは、レックス・ティラーソン国務長官(64)、ジェームズ・マティス国防長官(66)、スティーブン・ムニューチン財務長官(54)の主要3閣僚。トランプ氏が大統領に選ばれたのちに「首実検」して選んだ超大物たちだ。

 3人とも関ケ原の戦いで「トランプ徳川方」にはせ参じたわけではない。

 閣僚で唯一の譜代大名と言えば、ジェフ・セッションズ司法長官(70)。選挙当初からトランプ大統領支持を打ち出していた。

 マイク・ペンス副大統領(57)は共和党全国党大会で正式に「ラニングメート(副大統領候補)」に選ばれている。中間選挙では他の候補を支持していた。言ってみれば、譜代大名と外様大名の中間といったところだ。

 ところが政権が動き出してひと月も経たないうちに四天王の一角が崩れた。

 フリン補佐官がトランプ氏が大統領に正式に就任する数か月の前からセルゲイ・キスリャク駐米ロシア大使と連絡を取り、経済制裁解除について協議していたとの疑惑が急浮上。しかもこの件についてペンス副大統領に嘘の報告をしていたことも明らかになった。結局フリン補佐官は2月13日に辞任した。事実上の解任だった。

 国家安全保障担当補佐官は、外交国防の要となる国家安全保障会議(NSC)の事務局長を兼務している。

 NSC事務局は政策面と地域面とで部門に分かれ、総勢200人程度が専従スタッフを有している。関係各省庁から吸い上げた情報を精査分析し、安全保障に関する重要政策を決定する最高決定機関だ。

腹心バノンをNSCに入れた理由

 トランプ大統領は、そのNSCにバノン首席戦略官兼上級顧問を入れただけでなく、正副大統領と国務、国防両長官だけが出席して行われる幹部会議のメンバーにもバノン上級顧問を入れるという前代未聞の決定をしていた。2月初旬のことだった。

 バノン上級顧問は、極右メディア「ブライトバート・ニュース」からホワイトハウス入りした「トランプの分身」とも言われる人物。トランプ政治哲学がNSCで100%生かされるように目を光らせる役割を託されたのだ。

 バノン氏がNSC入りしたことでワシントンの外交国防関係筋の間では、同じ忠臣とはいえ、フリン補佐官との確執の可能性も噂されていた。その矢先にフリン補佐官がスキャンダルで失脚してしまったのだ。

フリン辞任で急遽登板したドクター・マクマスター

 トランプ大統領はその後NSCのトップ捜しに躍起となった。何人かの候補が噂されたが、いずれも帯に短し襷に長し。

 結局、トランプ大統領が指名したのは、「21世紀でも傑出した軍人戦略家」(米軍関係者)と高い評価を得てきたヒューバート・レイモンド・マクマスター(通称H・R・マクマスター)米陸軍中将=55)*だった。

*大統領補佐官の就任には議会の承認は不要だが、マクマスター将軍は米軍三ツ星の現役将官のため、上院の承認が必要となる。従って正確には目下、大統領補佐官候補。

 マクマスター将軍は大統領の「忠臣」ではない。だが大統領にとっては、国家安全保障担当補佐官ポストをいつまでも空白しておくわけにいかなかった。国防・外交の要を任せられる適任者を選ぶ緊急事態だ。外様であろうとなんであろうと、奥の院に引きずり込まねばならなかった。

 マクマスター将軍とはどんな人物なのか。ウエストポイントの陸軍士官学校を卒業後、ノースカロライナ大学チャペルヒル校の大学院で文学修士号、軍事史で博士号を取得している。

 その一方で戦場でも輝かしい軍歴を誇っている。1991年の湾岸戦争では機甲騎兵中隊を指揮、またイラク、アフガニスタンでも米軍駐留司令部の重職を全うしてきた。

 今でも語り草になっているのは、1991年の湾岸戦争ではたった9台の戦車からなる部隊を率いてイラク軍の80台以上の戦車を撃破した戦歴だ。もっともイラク軍の戦車は旧式のソ連製「T62」や「T72」。それに対して米軍は最新鋭の「M1エイブラム戦車」。赤子の手を捻るようなものだった。

 マクマスター将軍は、戦場での戦歴を引っ提げて2012年以降、将来の米軍を踏まえた長期的戦略と将校育成を目的とする高等起動作戦センターや陸軍能力統合センターの最高責任者として米軍内部では知らぬ人のいない存在だった。文武両道の将軍という意味では、マティス国防長官と相通ずるところがある。

 トランプ大統領は最高の軍人2人を三顧の礼で「幕府」に招き入れたことになる。

ベトナム戦争の敗因は「大統領・国防長官・参謀本部議長にあり」

 今回紹介する本書は、そのマクマスター将軍が博士号取得のために書いた論文を基に一般書籍向けに筆を加えたものである。30年前に初版が出ているが、当時、爆発的に売れた本だ。

 その後、現在に至るまで、国防総省背広組、制服組はもとより、国家安全保障問題の専門家たちの間で読み受け継がれている戦略論の「古典」である。同氏が国家安全保障担当補佐官になったことで今、再び脚光を浴びている。

 内容はタイトルが示す通り、ベトナム戦争をめぐるリンドン・ジョンソン第36代大統領、ロバート・マクナマラ国防長官、統合参謀本部の責任を厳しく糾弾したものだ。

 責任の所在を軍人戦略家として明らかにすることで戦争とは何か、3軍の最高司令官とその補佐役が戦争を遂行するうえでなにをすべきかを徹底分析している。

Dereliction of Duty:Lyndon Johnson, Robert McNamara, the Joint Chief of Staff, and the lies that led to Vietnam by H.R. McMaster Harper Perennial, 1998
 国防総省に保管されている膨大な統合参謀本部の議事録、メモ、報告書を検証したマクマスター将軍は以下のような事実関係を見つけ出す。

一、統合参謀本部は常に米軍がベトナム戦争に勝つには何が必要かを認識していた。

一、統合参謀本部の意見や主張は大統領、国防長官をはじめとする文民高官たちに無視され続けた。

一、統合参謀本部は戦略決定のプロセスですすんで共犯者になり、あるいは反論することなく沈黙を守り続けた。

一、こうした中で最大の悪者は統合参謀本部議長(1962年から64年)を経て駐ベトナム大使になったマックスウエル・テーラー将軍だった。

 テーラー将軍は終始、ジョン・F・ケネディ第35代、ジョンソン第36代両大統領に統合参謀本部の意向を故意にまげて報告し、ミスリードした。また、両大統領の意向を統合参謀本部に正確に伝えるのを怠った。

 なぜそんなことが起こってしまったのか。マクマスター将軍はこう指摘している。

 「米国は戦争状態にあった。ジョンソン大統領はベトナムでは『中庸なコース』を取れという国内のプレッシャーにばかり気を取られていた。そのことがベトナムに派遣された米軍の軍事的目標が何であるかを明確に表現することを妨げる結果となった」

 「米軍将兵は戦略も方向づけもないままにベトナム戦争に参戦していたのだった。なぜか。ジョンソン大統領は米議会と米世論を欺き続けた。大統領は自らの政権内部にあるわだかまりに目をつむり、統合参謀本部を悪者にすることで自らの政治的メンツを守ろうとした」

 「ベトナム戦争の失態は、非個人的な力がもたらした悲劇ではない。それは関わり合いを持った個々の人間の失敗が生み出したものなのだ。言い換えると、それはジョンソン大統領と国防長官、そして彼らを取り巻く軍人、文民のアドバイザーたちの責任感の欠如にあるのだ」

 「責任感の欠如は、どこから来るのか。彼らの傲慢さ、優柔不断さ、さらには私利私欲だ。それらが米国民に対して持たねばならない責任の放棄につながったのである」

トランプにも突きつけられた「戦争責任」論

 長いこと国家安全保障問題を取材してきた米主要紙のベテラン記者の1人は筆者にこう述べている。

 「マクマスターという男は、軍事戦略的に見て自分が正しいと思ったことは上司が何と言おうとも変えない。現場での戦闘に裏づけされた自信がある。彼がNCSに入ったことでベトナム戦争をめぐりジョンソン大統領らに突き付けられた矛先はトランプ大統領にも向けられている」

 「差し当たって、懸念されるのは、トランプ大統領の腹心バノンとの確執だ」

 「マクマスターはトランプ大統領の基本政策である米軍の強化、例えば陸軍の規模を増やすことや海軍の戦艦増強、陸軍の近代化などでは一致している。だがロシアのウクライナ侵攻やクリミア半島合併に猛反対している」

 マクマスターという「アイコノクラスト=聖像破壊主義者*」(ブルームバーグのマーガレット・タレブ記者)を政権に招き入れたことがトランプ大統領にとって吉と出るか凶と出るか。「神のみぞ知る」といったところだ。

*Iconoclastとは聖像を破壊するもの。そこから既成体制をぶち壊して新しい息吹を入れる改革者といった意味。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-t/49405


 


 

森友学園問題に政治家は本当に関与していないのか?
籠池前理事長らの参考人質疑を実施せよ
2017.3.14(火) 筆坂 秀世
記者会見を終え、頭を下げて退室する学校法人「森友学園」の籠池泰典理事長(中央)。左は長男の籠池佳茂氏(2017年3月10日、写真:日刊スポーツ/アフロ)
 3月10日、森友学園の籠池泰典理事長が、理事長を退任し、私立小学校の設置認可申請を取り下げた。これで幕引きを図ろうということなのだろう。だが肝心の疑惑は何ひとつ解明されたわけではない。

財務省、国交省が大慌てで厳しい対応

 タダ同然での国有地の払い下げで批判にさらされていた財務省は、早速、学園側と買い戻しに向けての協議に入ったそうである。森友学園と財務省の売買契約では、2017年3月31日までに小学校用地として利用しなければ、国が土地を買い戻すことができるという特約が入っているためである。

 国は売却価格の1億3400万円のうち、分割払いの頭金として2787万円を受け取っているだけなので、同額を払えば買い戻すことが可能だという。ただ学校用地に使うという契約内容に反していたことから、学園側には違約金1340万円を支払う義務があるため、実際には差額の約1400万円の支払いで土地を買い戻すことが可能ということである。

 旧国有地が返還された場合、国土交通省も支払った補助金約5600万円の返還を求める方向だと報じられている。

 財務省は、ほぼ完成している校舎についても、これを解体して、更地にして土地を戻すよう求める方針だという。

 それにしても森友学園の小学校認可申請の取り下げには、財務省も、国交省も、ほっとしたことだろう。いまになって国民の批判をかわすために、大慌てで厳しめの対応を取ろうとしているように見えるが、こんなことで両省の無責任な対応が免罪されるわけではない。

約10億円の国有地がなぜタダ同然になったのか

 なぜ当該国有地が森友学園に売却されたのか。

 国が当該土地を売却しようとしたのは、2013年6月のことだ。近畿財務局が土地の公用・公共用として取得要望を公募し、それに応じたのが森友学園だった。しかし、同学園は「購入するためのまとまった資金が用意できない」と主張したのに対し、近畿財務局はこれをあっさりと容認し、2015年5月に異例の10年間の定期借地契約を締結する。しかもこの契約には、期間内に希望すれば時価で購入できるという特約まで付いていた。

 さらにはこの土地は、鉛やヒ素が埋まっていることが確認されていたため、汚染土壌を入れ替える対価として、国から1億3100万円が学園に支払われている。

 そして2016年3月、杭打ち工事を開始するのだが、学園側から「新たなゴミが出た」ことが近畿財務局に報告される。これを受けて同年4月、国交省大阪航空局が、ゴミ撤去について、ゴミの量を1万9500トンと見積もり、その撤去費用を8億2200万円と算定した。この1カ月後の5月には、不動産鑑定士により当該土地の価格が9億5600万円と査定されている。この結果、土地の売却価格は、鑑定額からゴミ撤去費用を差し引いた1億3400万円とされたのである。しかも売却価格は、非公開とされていた。後ろ暗い取引だったからであろう。

 結果的に土地はタダ同然になったために、森友学園は急きょ借地契約を売買契約に変更したということだ。これでは、資金不足の森友学園でも購入できるように、ゴミ処理費用を算定したと言われても仕方がない。通常は、ゴミの撤去費用などは第三者機関に依頼して算定するものである。事実、大阪航空局には、ゴミ撤去の算定をした経験がまったくなかった。同局が見積もりした深さまで本当にゴミがあったのか否か、それすら確認もしていないというのである。なぜこんなに急いだのか。「開校予定が迫っている」というのが弁解理由である。

 要するに、何が何でも森友学園の小学校を開校するということが大前提とされてきたということだ。

 国民の財産をこんな無責任なやり方で売り飛ばしていたのである。これに関わった財務省や国交省の担当者の責任は、厳しく追及されなければならない。

政治家の関与がないわけがない

 籠池前理事長は、政治家への依頼などしていないと弁明している。この弁明は、まったく通用しない。

 そもそも「安倍晋三記念小学校」という名称で寄付金集めまで行っていたのである。安倍首相の昭恵夫人は名誉校長になっていた。ここには、安倍首相と夫人を最大限に利用しようとする卑しい意図が明々白々に表れている。

 安倍首相は、今や最強の首相である。自民党は先の党大会で党則を改正し、「2期連続6年」という総裁任期を、「3期連続9年」に延長することにした。二階俊博自民党幹事長が「安倍首相の次は安倍首相だ」と明言するように、3選はほぼ確定しつつある。

 安倍首相が何もしなくても、「安倍晋三記念小学校」「内閣総理大臣夫人安倍昭恵名誉校長」ということになれば、そのことを忖度する役人がいたとしても不思議はない。いまや各省の幹部人事は、かつてのように各省ではなく内閣人事局が一手に握っている。各省の幹部は、内閣には逆らえないのである。

 政治家の関与なしに、今回のような国民を馬鹿にしたような国有財産の処理が行われていたとするなら、そんな役人は即刻処分すべきであろう。

鴻池参院議員が政治家の介入を証明している

 3月1日、参院予算委で共産党の小池晃議員が、ある自民党国会議員の事務所が作成した籠池理事長との面談記録を入手したとして政府を追及した。すでに明らかになっているように、この資料は鴻池祥肇(こうのいけ・よしただ)参院議員事務所のものだった。

 民進党の櫻井充参院議員は3月2日にメルマガで、「共産党の小池議員が、森友学園と政治家の関係を暴露しました。(中略)実は、鴻池議員が森友学園の学校法人の認可をおろさせたくないので、共産党に情報を提供したのです」とその真相を暴露している。このメルマガの内容は、鴻池氏自身に確認までとったものだという。森友学園の学校法人の認可を防ぐための共産党と自民党右派の共同作戦だったというわけだ。

 その後、鴻池事務所の「陳情整理報告書」を朝日新聞が入手し、報道している。これには2013年9月〜2016年3月にかけて、籠池理事長が頻繁に鴻池事務所に陳情していたことが記されている。

 籠池理事長が働きかけた政治家は、はたして鴻池氏だけだったのだろうか。もっと多くの政治家に働きかけていたとしても何の不思議もない。また、いまのところ真偽は不明だが、3月12日には、稲田朋美防衛相がかつて森友学園の顧問弁護士を務めていたことを籠池氏が明らかにしており(菅野完氏によるインタビュー動画)、稲田氏との関係の疑惑も浮上している。

籠池前理事長らを証人喚問すべき

 野党が籠池前理事長らの参考人質疑を要求しているのに対して、自民党、公明党の与党は、これを頑強に拒否している。この問題について、菅義偉官房長官は、3月3日の記者会見で、国会で決めることだとしつつ、「違法性のない事案にかかる審査は慎重にやるべき」と語っている。

 おかしい理屈である。違法性があれば、検察や警察が捜査をする。違法性が仮にないとしても、国有財産が不当に安く処分されたとすれば、政治の大問題である。また、今後、違法性が出てくる可能性も十分にある。

 最近、これほど国民が怒っている問題はない。これをあいまいにして、籠池氏の理事長辞任と小学校の認可申請取り下げだけで済ませてはならない。

 政治家の関与はいうまでもなく、近畿財務局、財務相理財局、大阪航空局など、この問題に関わった当時の関係者を含めて、国会に招致し、真相を解明すべきである。その際、籠池氏は参考人招致を拒否すると述べていることを考えれば、議院証言法に基づく証人喚問も検討すべきである。東京都議会では、豊洲移転問題を巡って、百条委員会が開かれているが、国会でも同様に強制力や偽証罪のある証人喚問を検討すべきだと言いたい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49412
http://www.asyura2.com/17/senkyo222/msg/351.html

[経世済民120] トランプ政権、大型減税の早期実現ほぼ不可能 トランプにインチキ扱い雇用統計 オバマケア撤廃、無保険者2400万 原油
トランプ政権、大型減税の早期実現ほぼ不可能

上野泰也のエコノミック・ソナー

何とも分厚い「現実のカベ」に直面
2017年3月13日(月)
上野 泰也

トランプ大統領の就任後初の施政方針演説は、基本政策は不変で新味に乏しかった。しかし「大統領らしく穏当な内容だった」と評価されたためか、株価は大幅高となった。(写真:代表撮影/UPI/アフロ)
まだ「失望」はさほど広がっていないけれど…

 米国でトランプ大統領の就任式が行われた1月20日から1か月半以上が経過した。率直に言ってこの政権は「迷走」しているが、「失望」はまださほど広がっていないというのが、現在の状況の総括になるだろう。

 ここでは、

@保護主義的な通商政策が今後も直面することになる「現実のカベ」
(これまでに十分進んでしまったグローバル化・国境を越えたサプライチェーン網を覆すのはいかに難しいか)

A実務能力が伴っていない中での政権運営の危うさ

B大型減税を年内といった早期に実行するのがいかに難しいか
──以上3点を取り上げたい。

 @とAについては、そのエビデンスになり得るマスコミ記事を引用する。

 また、Bについては、筆者が考えている「3つのハードル」を説明する。

@保護主義的な通商政策が直面している「現実のカベ」

■「路上販売の赤いトランプ帽は外国製、就任式参加者に衝撃広がる」

(1月20日 ロイター)

 20日に行われたトランプ米大統領の就任式で、支持者らがかぶっていた「Make America Great Again(アメリカを再び偉大に国に)」と書かれた赤い野球帽が中国、ベトナム、バングラデシュで生産されていることが次々と明らかになり、衝撃が広がった。

 トランプ大統領は就任演説で「米国製品を買い、米国人を雇用する」と訴え、その発言が最も多くの賛同を得ていた。

(中略)

 ジョージアからやってきたトランプ支持者の男性(44歳)は、会場への途上で買い求めた帽子のタグを確認し「中国製だ、誰にも言わないでくれ」と話した。テキサスから就任式見物に訪れた女性がかぶっていた帽子は、確認してみるとベトナム製だった。
■「ボーイング、旅客機つくれず? トランプ氏『輸入依存減らせ』、国際分業、世界の潮流」

(2月19日 日本経済新聞)

 トランプ米大統領は17日、米航空機大手ボーイングの工場で演説し、国内製造業を支えるための政策を順次実施していく考えを改めて強調した。だが、同氏が引き合いに出した米航空機大手の中型機「787」は日本など海外からの輸入部品を大量に採用している。「米国第一」の結果、米国で旅客機がつくれなくなる事態が起きかねない。

(中略)

 米国製といいながら実質は「多国籍機」だけに、トランプ氏が求める「バイ・アメリカン(米国製品の購入)」が徹底されれば787への影響は大きい。機体の前後と一部の小さな翼、さらにはエンジンくらいしか米国産の部品はない。バイ・アメリカンを全面適用すれば米国で旅客機がつくれないという事態もあり得る。
A実務能力が十分伴わない中での政権運営の危うさ

■「(トランプの時代)混乱と熱狂、政権1カ月 閣僚未承認・補佐官辞任、『現場に不安』」

(2月20日 朝日新聞)

(前略)

 ホワイトハウス近くにある米通商代表部(USTR)。トランプ氏が最重要視する貿易政策を担うはずの役所だ。政権発足後まもなく、広めの会議室に十数人の職員が集まった。テーブルには、ホワイトハウスに新設した国家通商会議(NTC)が作った貿易政策の方針に関する文書が置かれていた。

 職員らは首をひねった。「ホワイトハウスは議会との協議や通告などの手続きを理解していなかった」と関係者は打ち明ける。

 貿易促進権限(TPA)法では、大統領が新たな貿易交渉に入る90日前に議会に通告するなどの規定がある。NTCの文書は、こうした手続きにそぐわない内容だった。

 「TPAによると、このような手続きが必要です」。職員らは2時間近くかけ、法律上必要な手続きを20項目ほど箇条書きにする作業に追われたという。

(後略)
高い期待感を保つ「株式市場」、懐疑的な「債券・為替市場」

 米国の市場では、トランプ大統領が公約する減税や金融規制緩和といった経済政策への期待感をそのままハイレベルで保ち続けるのか、それとも、膨らみすぎた期待や公約の実現可能性への疑念が大きな失望にいずれ転化するだろうと見切った上で、「トランプラリー」とは反対方向に動く余地を模索するのかで、市場ごとにスタンスが異なっている。

 トランプ政権への高い期待感を保っているのが、株式市場である。2月27日の取引で、ニューヨークダウ工業株30種平均は12営業日連続の史上最高値更新。S&P500種も最高値を更新した。

 一方、昨年12月後半からトランプ政権の政策運営に懐疑的なスタンスをとっているのが、債券・為替市場である。米10年債利回りは12月15日に2.64%をつけた後は、これよりも低い水準で上下動している。1月12日と17日に2.30%まで買われた後、2月24日にも低下余地を模索し、2.31%まで一時低下した。

 為替市場では、「トランプラリー」の下でつけたドル/円相場のピークが、12月15日の118.66円。その後は、米長期金利低下や、仏大統領選挙を軸とする欧州政治リスクにらみの円買いから、徐々にドル安円高方向にシフト。2月7日には111.59円をつけた。FRBによる年内利上げ3回以上の織り込みによってドルは今のところ下支えされているものの、欧州の政治リスクやトランプ政権の迷走ゆえに利上げの回数はもっと少ないという見方が強まると、110円割れの可能性が増す。また、ユーロ/円相場は2月24日に118.25円までユーロ安円高に動いた。仏大統領選にらみの「リスクオフ」が折に触れて進むだろう。

トランプ演説を経ても「温度差」は解消されていない

 そうした中で市場で注目されたのが、2月28日のトランプ大統領による施政方針演説だった。米株式市場においても期待が失望へとついに変わる転機になり得る重要なイベントだと筆者は考えたのだが、「綱引き」の決着は今回もつかなかった。

 演説は減税の具体的な内容などへの言及はなく、新味に乏しかった。しかし、米国株は大幅高。ニューヨークダウ工業株30種平均は高値を更新した。演説が「大統領らしく穏当な内容だった」「ケンカ腰ではなく妥協する姿勢を見せた」点が評価されたのだと解説されている。

 しかし、株価の大幅高に加えて、3月中旬の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ観測急浮上という新たな動きがあったにもかかわらず、米10年債利回りなど長期金利の上昇と円安ドル高進行は、直近レンジ内での限定的なものだった。トランプ演説を経ても、株式市場と債券・為替市場の「温度差」は解消されていない。

 今後を大きく左右するポイントになり得るのが、「トランプ減税」が早期に実現するかどうかである。ほぼ不可能だと筆者はみている。

B「トランプ減税」早期実行を阻む「3つの高いハードル」

【1】スケジュール

 税制改革は、(A)オバマケアに代わる社会保障改革、(B)2018会計年度予算の2つをこなした後の3番目というスケジューリングになっている。また、「国境調整」の問題をどうするかを含む税制改革の詳細に関するホワイトハウスと議会の調整にも、時間がかなりかかるだろう。

【2】財源(中長期で「財政中立」にする必要性)

 大型減税を実行しようとする場合、財源の問題が重くのしかかる。法人税の税率を35%から15%へ引き下げる場合、穴埋め策として現在考えられているのは、(A)各種控除の縮小・廃止による税収上積み、(B)軽減税率適用をテコにして企業の海外留保利益を国内に還流させる措置、(C)歳出大幅カット、(D)減税による景気刺激効果を勘案して名目成長率を高めに置くことによる将来の自然増収の想定、以上4つである。

 だが、(A)は増税措置であり、景気刺激効果をそぐ。(B)は基本的にワンショットの増収策であり、恒久財源ではない。(C)は景気に悪影響を及ぼして税収を圧迫する上に、トランプ大統領は社会保障費のうちメディケアなどの歳出水準維持と国防費大幅上積みを行うとしており、削れる部分がかなり限られる。(D)は、議会の両院税制合同委員会(JCT)の判断がカギになると、ロイターが報じた。税制変更がマクロ経済にどう影響して税収がどうなるかのフィードバック効果を判断するのはJCTであり、過度に恣意的な数字にする(きわめて高い後年度の税収を想定する)のは困難ではないか。

 なお、トランプ政権で行政管理予算局(OMB)長官に就任したのは債務上限引き上げに反対する超保守派下院議員として知られたマルバニー氏であることも見逃せない。

【3】議会を通すことの難しさ

 経済政策面で共和党が最優先事項としているオバマケアの撤廃には、民主党が当然反対する上に、代替案をどのようなものにするかで共和党の内部は一枚岩になり難い。また、上院で共和党は52議席しかない(60議席に満たない)ので、財政調整法を絡めるか規則を改正しない限り、法案の審議・採決において民主党による議事妨害(フィリバスター)を排除することはできない。

 共和党指導部は、造反すればオバマケア撤廃の好機を逸することになるという強気の論法で改革案の審議・採決を行う方針と伝えられるが(2月28日 ウォールストリートジャーナルアジア版)、議会通過に失敗すれば、減税はますます後ずれする。

 ストラテジーやロードマップを持たないまま「大風呂敷」を広げすぎの感が強い上に、人事でもたついたままのトランプ政権は、行き詰まり感を今後強めるのではないか。4年の任期を全うできない可能性さえ完全には排除できない。筆者はそのように考えている。

 日経ビジネスはトランプ政権の動きを日々追いながら、関連記事を特集サイト「トランプ ウオッチ(Trump Watch)」に集約していきます。トランプ大統領の注目発言や政策などに、各分野の専門家がタイムリーにコメントするほか、日経ビジネスの関連記事を紹介します。米国、日本、そして世界の歴史的転換点を、あらゆる角度から記録していきます。

このコラムについて

上野泰也のエコノミック・ソナー
景気の流れが今後、どう変わっていくのか?先行きを占うのはなかなか難しい。だが、予兆はどこかに必ず現れてくるもの。その小さな変化を見逃さず、確かな情報をキャッチし、いかに分析して将来に備えるか?著名エコノミストの上野泰也氏が独自の視点と勘所を披露しながら、経済の行く末を読み解いていく。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/031000085/


 

【米国ウオッチ】トランプ氏にインチキ扱いされた雇用統計が語る真実
山 広恒夫
2017年3月14日 08:12 JST

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• 選挙中は「インチキ」、勝てば「本物」−都合良く解釈する二枚舌
• 「労働者の苦境の打開」唱えるなら、雇用統計の精査は不可欠

トランプ大統領は2月の雇用統計について、「雇用統計はこれまでインチキだったかもしれないが、今では本物だ」(ホワイトハウスのスパイサー報道官)と話したという。労働省が10日に発表した2月の雇用統計は、ヘッドラインの非農業部門雇用者数が23万5000人の純増と、市場エコノミストの予想を上回った。
  1月20日に大統領に就任してからの経済状況を示す最初の大型統計であるだけに、トランプ大統領が2月雇用統計を自らの力の反映と過信しても不思議ではない。しかしオバマ前政権時代の雇用統計が「インチキ」で、いまや「本物」になったとのコメントはいかにもトランプ大統領らしい。

トランプ大統領

Photographer: Michael Reynolds/Pool via Bloomberg

  2月の非農業部門雇用者数は季節調整前の原数でみると101万人の純増である。労働省はこの数値を季節調整で77万5000人も圧縮して23万5000人の純増とした。選挙戦の最中にあった昨年2月の原数は83万1000人の純増と、今年より約18万人も少なかった。それが季節調整値では23万7000人の純増と、今年をわずかながら上回っている。トランプ大統領かあるいは経済顧問が統計を細部まで分析すれば、今年2月の雇用の伸びは「本当はもっともっと大きい。統計はやっぱりインチキだ!」とツイッターに投稿するのではないだろうか。
  もっとも労働省が大統領の交代にともなって、計算方式を変更することなどあり得ない。「今や本物」とするトランプ大統領の発言は、証拠もなく直感に基づいていることが分かる。統計自体、詳細に検討すれば経済を分析する上で確かな証拠となるため、いたずらな発言は墓穴を掘ることになりかねない。

  ただし、統計の集計方式が時代と共に形骸化しているリスクはある。しかしこれはインチキ呼ばわりとは違う次元の問題だ。2月の原数をさかのぼると、今年2月の101万人の純増は史上2番目に高い。過去最高は2013年2月に記録した103万9000人の純増だった。このときの季節調整値は28万6000人増。このように、原数をみると経済成長が低迷している現下の景気拡大期に史上1、2位の雇用の純増が記録されているのである。これは実体経済の加齢にともなう成長減退を、現行方式では正しく把握できなくなってきたことを示唆しているようだ。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iFNDXf2AepfE/v2/-1x-1.png

  前回の景気拡大期は07年12月が山となるが、2月の雇用原数値は06年同月の92万5000人増でピークを形成していた。この時の季節調整値は31万5000人増だった。この数値からは雇用の大幅拡大が景気の山の接近を告げていたことがわかる。

  そもそも「既存概念の打破」を唱えてトランプ氏が大統領選挙で勝利できたのは、大半の国民は十分な職に就けず、金融に過度に依存した景気拡大で貧富の差が拡大し、不満が高まっているからである。雇用の改善を主唱するトランプ大統領が注目するべき数値は、全体の平均値にすぎない毎月の非農業部門雇用者数ではなく、失業者数であろう。
  そしてその失業者数(季節調整値)は今年2月に752万8000人で、前月比で10万人減少したとはいえ、なお昨年11月の740万9000人を上回っている。この11月の水準が現下の景気拡大局面でボトムになる可能性がある。前回の景気拡大局面を振り返ると06年10月に672万7000人でボトムに達した後、1年2カ月後に米国経済は景気後退に陥っている。トランプ大統領は直感で統計自体を批判したり絶賛したりするのではなく、労働市場の本当の姿に迫る努力をすれば、失業者数が景気の先行指標になることが分かるだろう。そうすれば「労働者の苦境の打開」という有権者への約束を果たす方向に、少しでも進むことができるかもしれない。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/id2sd6gByaf8/v2/-1x-1.png

(【米国ウオッチ】の内容は記者個人の見解です)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-13/OMRBMJ6TTDSB01


 


 
トランプ米大統領:医療保険料、下がり始めるまでに数年かかると警告
Shannon Pettypiece
2017年3月14日 07:02 JST
オバマケアの悪影響受けたグループと会合
代替案が遅滞すれば、値下がりは2018年の中間選挙後

トランプ米大統領は13日、自身が推進している医療保険制度改革法(オバマケア)の代替案の下でも保険料が下がり始めるまでには数年かかる可能性があると警告した。代替案への移行期間が不安定になると、来年の議会中間選挙や2020年の大統領再選に悪影響を及ぼす可能性がある。

  同大統領はオバマケアが施行されて以来、医療保険が解約されたり保険料が高騰したとする小規模企業のオーナーや医師、個人らとホワイトハウスで会見し、「競争促進と規制緩和により保険料は最終的には下がる」と話した。ただ、「残念ながら、市場原理が導入され効果が表れ始めるには少し時間がかかるだろう。1、2年かからないことを願うが、そうなる場合もあり得る」と続けた。
  代替案に対し民主党は反対の態度を固め、上下両院の共和党の中でも手ぬるいとする意見もあれば行き過ぎだと声もある。
  ブルームバーグの質問に答えたトランプ大統領は「われわれの政策が認められれば、事態は好転する」とし、「それには時間がかかる」と話した。
原題:Trump Warns It Could Take Several Years for Health Costs to Drop(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-13/OMRSYF6JTSEG01

共和党のオバマケア撤廃・代替法案、無保険者2400万人増加へ−CBO
Anna Edney、Zachary Tracer
2017年3月14日 09:25 JST

共和党案で向こう10年に財政赤字が3370億ドル減少へ
オバマケアによるメディケイド拡大などで保険加入者は2000万人増加

米議会予算局(CBO)は共和党が提案した米医療保険制度改革法(オバマケア)代替法案について、無保険者が約2400万人増加するとの試算をまとめた。財政赤字を3000億ドル(約34兆4800億円)超減らす同法案の今後の審議に大きな障害となりそうだ。
  オバマケア撤廃を公約に掲げ、「全ての人のための保険」をうたっていたトランプ米大統領にとって、今回の試算は痛手。民主党の支持なしでも代替案の成立を目指す共和党は、保険加入者層の縮小は保険料低下と比べれば重要ではないと主張している。オバマケアでは政府の補助やメディケイド(低所得者向け医療保険制度)の拡大により保険加入者数は2000万人増えていた。
  CBOによると、共和党案によって向こう10年に財政赤字は3370億ドル減少する。また、共和党案の多くの部分が実施される前から保険加入者数は減少し始める見通しで、来年には保険加入者数が約1400万人減り、26年までには約5200万人が無保険になる。オバマケアが継続された場合の無保険者数は2800万人とCBOは試算した。
原題:GOP Health Plan to Boost Uninsured by 24 Million, CBO Says (1)(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-14/OMRY946K50XS01


 

 

Column | 2017年 03月 13日 11:58 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:トランプ政権下で変わるシリコンバレー企業の勢力図

Gina Chon

[ワシントン 10日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ米政権の誕生により、シリコンバレー企業の勢力図にも変化が生じている。一部の企業がトランプ氏の政策を批判する一方で、新政権に取り入ろうとする社もある。こうした状況は、既に進行中のハイテク企業同士の法廷闘争にも影響を及ぼしそうだ。

オバマ前政権は米ハイテク企業、中でもグーグル(GOOGL.O)と緊密な関係を保っていた。ホワイトハウスの民主党幹部、数十人がグーグルに入社し、同社から政府に移った人々もいた。同社元幹部のミーガン・スミス氏は政府の最高技術責任者に就いた。フェイスブック(FB.O)の最高執行責任者(COO)はクリントン元政権下の財務省幹部だ。

トランプ氏はアップル(AAPL.O)が連邦捜査局(FBI)による銃乱射事件の容疑者の携帯電話解読捜査に協力を拒んだ件で、同社製品のボイコットを呼び掛け、企業首脳で構成する自身の諮問委員会に当初はシリコンバレー企業を入れなかった。12月にはハイテク企業首脳らと会談したが、その後、イスラム圏7カ国からの入国制限を発表した際には、アップルやグーグルが抵抗を示した。入国を制限する大統領令の改定版は6日に発表された。

オラクル(ORCL.N)など一部のハイテク企業は政権移行を利用しようと動いている。同社のサフラ・キャッツ最高経営責任者(CEO)はトランプ氏と私的に会談した数少ないハイテク企業CEOの1人で、政権移行チームに招き入れられた。オラクルはプログラミング言語Javaの著作権侵害でグーグルを訴えている。オラクル側からは、グーグルとオバマ前政権との緊密な関係を指摘する声がある。

アップルと法廷闘争を繰り広げる通信用半導体大手クアルコム(QCOM.O)も、政府対策費を拡大しようとしている。ロビイストらによると、トランプ氏の政策を批判したアップルは首都ワシントンで立場が弱まったとみられている。アップルはクアルコムを著作権侵害で提訴。米連邦取引委員会(FTC)もトランプ政権発足の直前にクアルコムを独占禁止法違反で提訴したが、政権交代で同社の立場が有利になるかもしれない。

消費者からの圧力により、一部の企業は現政権と距離を置くようになった。例えば配車サービス大手ウーバーのトラビス・カラニックCEOはトランプ氏の諮問委員会入りを辞退した。しかしオラクルやクアルコムなど、一般大衆との接点が少ない企業はこうした圧力にさらされていない。新政権の誕生により、これらの企業には法廷外で闘う新たな道が開かれた。

●背景となるニュース

*オラクルは2月10日、プログラミング言語Javaの著作権侵害を巡る裁判で昨年下されたグーグル側に有利な判決を覆すよう米高裁に求めた。トランプ大統領はオラクルのサフラ・キャッツCEOと私的な会合を含めて2回合い、政権移行チームに参加させた。グーグルの親会社アルファベットのラリー・ページ、エリック・シュミット両首脳は12月、トランプ氏とハイテク企業首脳との会合に出席した。キャッツ氏も出席者の1人。

*3月2日の届け出書類によると、アップルは特許などを巡る裁判の一環として、クアルコムを英裁判所に提訴した。最初は1月20日に米裁判所で、クアルコムが10億ドル程度の割り戻しを拒否したとする訴えを起こしていた。

*アップルのティム・クックCEOも12月のトランプ氏との会談に出席したが、後に入国制限を巡ってトランプ氏を批判した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。


視点:トランプ円安は幻想、進む「米国の日本化」=青木大樹氏 2017年 01月 23日
コラム:トランプ氏の「壁」、2.46兆円のまずい投資選択に 2017年 02月 13日
焦点:ユーロ圏の経済回復は本物か、鍵握るインフレと政治 2017年 02月 27日
http://jp.reuters.com/article/column-trump-silicon-valley-idJPKBN16K06C

債券は下落か、米長期金利上昇で売り先行−20年債入札結果を見極め
三浦和美
2017年3月14日 08:04 JST

関連ニュース
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• 20年債は他ゾーン対比で魅力、入札結果で展開変化も−東海東京証
• 先物夜間取引は149円85銭で引け、前日の日中終値比5銭安

債券相場は下落が予想されている。米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定を控えて、前日の米国債市場で長期金利が上昇した流れを引き継ぎ、売りが先行する見込み。市場ではこの日実施の20年利付国債の入札結果を見極めようとする姿勢も強い。
  14日の長期国債先物市場で中心限月6月物は149円台後半での推移が予想されている。夜間取引は149円85銭と、前日の日中終値比5銭安で引けた。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i6Dd5uYkfzF8/v2/-1x-1.png

  東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは、「FOMCへの警戒感などから今日の相場はおおむね軟調に推移」と予想する。20年債入札については、「昨日の地合いからすれば不安は減じたと判断できよう。他ゾーン対比魅力的で、入札結果を受けて展開が変化する公算もある」とみる。
  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の346回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値0.085%を上回る水準での推移が予想されている。佐野氏はこの日の予想レンジを0.085%〜0.095%としている。 
米債下落

米連邦準備制度理事会

  13日の米国債相場は下落。10年債の利回りは前週末比5ベーシスポイント(bp)上昇の2.63%。14日から2日間の日程で始まるFOMCに注目が集まる中、社債発行の増加が重しとなった。市場は年内3回の利上げをほぼ織り込んでいる。
  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、米債安について、「週内に社債発行が相次ぐことに伴う需給悪化の懸念が重しになった。また、FOMCにおいて年内利上げペースが『年内3 回』から『年内4回』などに加速するシナリオが意識された面もあった」と分析した。
20年債入札
  財務省はこの日、20年利付国債の価格競争入札を実施する。償還日が前回債より3カ月延びて160回債となり、表面利率は0.7%が見込まれている。発行予定額は前回と同じ1兆1000億円程度となる。
  三菱モルガン証の稲留氏は、「クーポンは0.7%と昨年2月債以来の高水準になる公算だ。水準的な見映えは良い。投資家による来年度に向けた早めの残高確保需要や復活しつつあるローリング効果狙いの買いが入ってくれば、入札が崩れる公算は小さい」と指摘。「今日は前場に売りが優勢となった後に、入札を無難に通過することで後場に下値を固める展開」を予想している。
過去の20年債入札結果はこちらをご覧下さい。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-13/OMRYYU6JIJWH01

 
原油市場の強気派、相場下落前に買い越し減らす−米在庫膨らむ中
Mark Shenk
2017年3月13日 10:48 JST

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https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ipIE.yVLohao/v2/-1x-1.png

先週の原油値下がりはヘッジファンドの動きをきっかけに始まったが、今後も下落の一途をたどる可能性がある。
  米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、投資家によるウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油の買越残高は1カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。この後、原油相場は昨年12月以降で初めて1バレル=50ドルを割り込んだ。
  エネルギー関連の商品に重点を置くヘッジファンド、アゲイン・キャピタル(ニューヨーク)のパートナー、ジョン・キルダフ氏は「今回の建玉報告は始まりにすぎない」と指摘。「この週の下落幅は、大量の手じまいがあったことを示している。次週の報告が重要な節目になるだろう」と述べた。

  米政府が発表した在庫統計で米国の原油在庫が過去最高水準に達したことを受け、原油相場のボラティリティー(変動性)は、2014年の相場下落が始まる前以降で最も大幅に上昇。石油輸出国機構(OPEC)が昨年11月末に原油減産で合意して以降の原油相場上昇分が打ち消された。ベーカー・ヒューズが今月10日発表したデータで米国の石油リグ(掘削装置)稼働数が引き続き増加したことから、相場下落は加速した。
  CFTCによれば、ヘッジファンドによるWTIの買越残高は7日終了週に2.9%減少。前週も6.5%減だった。
原題:Oil Bulls Head for Exit Before Market Dive on Swollen Stockpiles(抜粋)


https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-13/OMQADJ6K50XT01


 

日銀:長期金利に「幅」が将来の選択肢、利上げや市場混乱時−関係者
日高正裕、藤岡徹
2017年3月13日 11:31 JST

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日銀は長短金利操作に自信、今週会合は現状維持−関係者
現在の手段で市場混乱抑えられない場合はレンジ化が選択肢−関係者

日本銀行は将来的に、長期金利の誘導目標の引き上げや何らかのショックで市場が混乱した際、誘導目標に一定の幅(レンジ)を持たせることを検討している。複数の関係者への取材で分かった。
  複数の関係者によると、日銀は現在の市場環境では長短金利操作の継続に自信を持っており、レンジ化は将来的に、指し値オペや長期の固定金利の資金供給オペなど現時点で持つ手段で市場の混乱を抑えられない場合の選択肢となる。今週の金融政策決定会合は現状維持となる見込み。
  原油価格の反転や円安の影響で、物価上昇率が年内に1%に達するとの見方が強まっているが、物価の基調が着実に目標の2%に向かうかどうか不透明なため、日銀は長期金利の誘導目標引き上げには慎重に臨む構えだ。複数の関係者への取材によると、日銀は時期尚早の長期金利引き上げ観測が高まるのを避けるため、物価上昇率が上がり始めた段階で、長期金利を引き上げるための条件を示したガイダンス(指針)を明らかにするかどうか検討している。
  日銀は昨年9月に導入した長短金利操作付き量的・質的金融緩和の下で、ターゲットとなる長期金利(10年物国債金利)を「0%程度」としている。15、16両日の決定会合についてエコノミスト41人を対象にブルームバーグが6−9日に行った調査では、全員が現状維持を予想した。
 
オペ回数減少で不安定化
  1月の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)はエネルギーの下落幅縮小を受けて、前年比0.1%上昇と2015年12月以来13カ月ぶりにプラスに転じた。ブルームバーグ調査では、黒田東彦総裁の任期の2018年4月までに長期金利の誘導目標を引き上げるとの予想は14人(34%)と3分の1を占めた。
  日銀が1月末に中期ゾーンの国債買い入れオペの回数を減らしたこともあり、10年物国債金利は2月3日に0.15%と約1年ぶりの水準に急騰するなど不安定化したが、2月末にオペ日程を事前に公表したことを受けて、市場は落ち着きを取り戻している。
  大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストはブルームバーグ調査で、日程の公表により「オペ実施の有無をめぐる市場の不透明感が後退するため市場との対話は改善に向かう」と評価。将来的に長期金利を0%に固定することが困難になれば、「誘導目標に一定の幅を持たせるなど、より柔軟な対応を取ることで、金融政策が市場に与える影響を最小化するような手法を検討する必要がある」としている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-13/OMLBS26K50XU01
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/183.html

[国際18] モディ首相の地方選勝利、インドは前進継続へ ちきりんが、Uberの理念と日本法人社長の思いを聞いてみた
Column | 2017年 03月 13日 16:22 JST 関連トピックス: トップニュース

 コラム:モディ首相の地方選勝利、インドは前進継続へ

Una Galani

[香港 13日 ロイター BREAKINGVIEWS] - インド地方議会選でのナレンドラ・モディ首相の大きな勝利は、インド国民が前進のため痛みに耐える用意があることを示している。

モディ首相率いる与党インド人民党(BJP)の勝利で特に重要な結果となったのは、約2億2000万人というインド最大の人口を抱えるウッタルプラデシュ州での圧勝だ。大きな混乱を招いた汚職防止目的の高額紙幣廃止はわずか数カ月前のことだが、この驚くべき結果により、インドは引き続き正しい方向に向かっていくだろう。

国の大半の紙幣を回収するという決定は、まずい経済政策で実施も十分でなかった。しかしモディ首相は、高額紙幣廃止で最も苦しんだのは富裕層だと貧困層に確信させ、短期的な苦痛は長期的には得をもたらすと見事に訴えた。

地方議会選での勝利は、「ブラックマネー」との型破りな戦いを続けることにゴーサインをモディ首相に与える。また、首相が年間国内総生産(GDP)の4%となる補助金の野心的な見直しなど、貧困層が恩恵を受け効率性が高まる措置を進めることを後押しするだろう。

今回の勝利により、理論的には、すべての投資家のウィッシュリストの上位にある改革を遂行することが容易になる。こうした改革には土地法や労働法の見直しが含まれる。上院でのBJPの発言権は拡大し、これは法案改正を押し通すのに不可欠となる。また主要野党の力が弱まったことで、モディ首相は2019年に予定されている次期総選挙に向けて自信を深めるだろう。

ただ、モディ首相は民間セクターに極めて重要な役割を与えることには積極的ではないようだ。こうした変化は肯定的に受け入れられるのは難しい。これまでのところ、首相は資産の民営化に消極的で、企業の少数株式を売却し、不良債権に苦しむ国営銀行の統合を支援しているほか、まず石油・ガス業界を最初に再編を進める考えを提案している。

最終的には経済成長と雇用につながってくる。インドの成長率は世界の経済大国の中で最も高水準で、国際通貨基金(IMF)は来年度の同国成長率を7.2%と予想している。しかし若年層の雇用創出は依然として十分でない。貧困層寄りの改革だけではインドの最大の問題を解決するには不十分だ。

●背景となるニュース

*3月11─12日に発表された選挙結果によると、BJPはウッタルプラデシュ州の地方議会選で圧勝した。

*選挙管理委員会は、BJPが同州で403議席のうち312議席を獲得し、過半数を得たと発表。第2党との議席差は1977年以降で最大となった。

*選挙管理委員会は他の4つの州の議会選結果も発表。BJPはウッタラカンド州で勝利した一方、ゴア州では過半数議席を失った。マニプール州では国民会議派が勝利し、BJPは第2党となった。パンジャブ州では国民会議派が勝利した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

〔マーケットアイ〕外為:ドル115円付近、ムニューチン氏の発言は「判断つかない」との声 2017年 01月 20日
コラム:「バフェット信仰」はもうたくさん 2017年 03月 03日
アングル:中国企業がオフショア起債検討、規制緩和で増大 2017年 03月 01日
http://jp.reuters.com/article/column-india-modi-idJPKBN16K0KA


 

【第10回】 2017年3月13日 ちきりん
ちきりんが、Uberの理念と日本法人社長の思いを聞いてみた

Uber Japan高橋正巳×ちきりん
『自分のアタマで考えよう』『マーケット感覚を身につけよう』を世に送り出した人気ブロガー・ちきりんさんが、私たちを取り巻く「忙しさの本質」に迫った新刊『自分の時間を取り戻そう』。本のなかで「高生産性シフト」が起きると説くちきりんさんがその典型例として挙げている企業が、全世界でシェアリングエコノミーを推進している自動車配車サービスのUber(ウーバー)です。
そこで今回よりUberJapan執行取締役社長の高橋正巳さんをお招きした特別対談をお送りします。(構成:平松梨沙 撮影:梅沢香織)

「あのときUberがあったら……」

ちきりん 実は私、Uberは利用したことがないんです。このところラオスだパラオだチュークだと、タクシーさえ走ってないような国ばかり訪ねているので。でも「Uberの便利さはすごくよくわかるし、日本でも早く普及してほしい!」と強く願ってて、SNSやブログでも、それから今回の新刊『自分の時間を取り戻そう』でも高生産性シフトが始まる社会の典型例として紹介しました。利用者でもないのに、こんなにUberをプッシュしてる人は珍しいかも(笑)。

高橋正巳(以下、高橋) え、まだ使われていなかったんですか(笑)。それなのにこんなにお薦めしていただいて、ありがとうございます。


高橋正巳 (たかはし・まさみ)
Uber Japan執行役員社長 米シカゴ大学を卒業後、2003年ソニーに入社。本社、パリ勤務、INSEAD(インシアード)でのMBA取得を経てサンフランシスコでM&A案件を担当しているときにUberに出会う。2014年同社に入社し、日本法人の執行役員社長に就任。
ちきりん 実は会社員時代は欧米を中心に出張を繰り返す生活だったので、「あのときUberがあったらどんな便利だっただろう……」とすごく悔しくて。あと、日本の地方を旅行するのも好きなんですけど、そういうときも「Uberがあったら、もっとたくさんの場所を訪ねられるのに」と。だから使ってないけど、その便利さはすごくよくわかるんです。
 ところで高橋さんは、どういう経緯でUberに入社したんですか?

高橋 私自身は、Uberに入社して3年になりますが、それまではずっとSONYにいました。本社で4年勤めた後にフランスに赴任して3年働き、現地でビジネススクールに1年、その後サンフランシスコに3年弱という具合です。サンフランシスコではシリコンバレーでのSONYの投資案件や買収・売却案件を担当しました。そこで、たまたま知人経由で声がかかったんです。

ちきりん そのときから、Uberを利用していたんですか?

高橋 そうですね。僕がUberを初めて利用したのは2012年でした。サンフランシスコの野外音楽フェスからの帰りに、友人がUberで車を呼んでくれたんです。その頃はサービスを開始したばかりだったので、僕も他の友人も、その友人がケータイをいじっているのを「なんだなんだ」と眺めていました。

ちきりん シリコンバレーでも最初はそんな感じだったんですね。

高橋 すぐに車が来て、すでに行き先に設定してある彼の家まで乗せてくれる。しかも代金を精算しようとしたら、彼のケータイにメールで領収書が届く。非常にシームレスで、「これはすごい!」と感動しました。あのときのワクワク感やドキドキ感が、今の仕事につながっていますね。その後、自分でも積極的にUberを使うようになりました。

ちきりん その原体験から日本法人の社長というポジションにつながってるのがすごい。

高橋 それからもUberを使うたびに、「Uberが日本で普及するならどういう使われ方をするのかな」とか「日本の祖母の送り迎えに使えたら便利だろうな」とか、ローカライゼーションの仕方などを考えていたら、たまたま声がかかって。これはおもしろそうだと誘いに乗ったんです。

高橋社長の日本への思い

ちきりん でも、SONYでもグローバルに活躍されていたわけじゃないですか。未練はなかったですか?

高橋 もちろん当時はSONYの一員として、シリコンバレーと日本をうまくつないで、すごいヒット商品を生み出すのに貢献したい!というテーゼを持って仕事に打ち込んでいました。
 ただ逆に、日本に今ないものを持ちこむことが刺激になるな、とも考えていました。その結果として、日本企業から日本らしさを活かしたいいモノ、いいサービスが出てきたら嬉しいという気持ちもあって。「日本を元気にしたい」という思いが、Uberでの仕事を通して実現できると考えたんです。

ちきりん ……もしかして、高橋さんって帰国子女?

高橋 あ、そうです。

ちきりん やっぱり! おっしゃることが「Typicalな帰国子女の言葉だな」と(笑)。

高橋 小さい頃から海外で暮らしていて、クラスに日本人は私1人……というようなことも多かったので、ずっと日の丸を背負っているような感覚はありますね。SONYに入社してからも、海外に行くたびに「なんでiPodがSONYから出なかったんだ」というような話を周囲にされるんです。それがすごく悔しくて。日本という国のすばらしさを知ってますから。

ちきりん 海外に外国人として住んでいると、日本人としてのアイデンティティを強く求めるようになりますよね。あと、自分の国を回りの人に「わかってほしい」という気持ちも強くなる。

高橋 はい。日本の良さや価値を世界に知ってほしいという思いはずっとあります。一方で、世界で支持されているけれど、まだ日本に浸透していないものの良さを伝えたい、という気持ちもありました。それがまさにUberでした。

ちきりん なるほど。先ほども言いましたが、私は20年近くアメリカ系企業の日本支社に勤めていて、その間1年に10回とか海外出張に行ってたんです。しかも1人で大きなスーツケースを抱えてニューヨーク、ボストン、ピッツバーグ、シカゴ、サンフランシスコ、ロサンゼルス、そこからさらにロンドン、オランダ、フランスのフォンテーヌ・ブロー……と各地を延々と回るような出張をするんです。でもどこでも動くための足、タクシーがなかなか確保しにくくて。

高橋 ビジネススクール時代に暮らしましたけれど、フォンテーヌ・ブローなんかはかなり郊外ですからね。

ちきりん 小さくて素敵な街ですけど、車がないと不便ですよね。都市間の移動以外にも、ホテルからちょっと外にごはんを食べに行くときにだって、足がほしいじゃないですか。Uberのようなサービスがあったら当時どれだけ楽だっただろう、と心から思います。
だから日本での普及にこんな時間がかかってしまうのがほんとに不思議で。しかもライドシェア事業である「UberX」(※)は行政から未だにOKが貰えてないんですよね? これ、2020年の東京オリンピックの時に普通に使えなかったら結構ヤバいんじゃないの? と、思うんですけど

※現在日本でUberが主に行なうのは、独自に契約・提携したハイヤーを配車するサービス(UberBLACK)。個人が所有する乗用車を配車し、ライドシェア(相乗り)を成立させる「uberX」が世界的な主流だが、日本ではまだ解禁されていない。


企業理念は「Celebrating Cities(都市をたたえる)」

高橋 Uberはシェアリングエコノミーを推進するだけでなく、土地勘のない場所や、公共の交通機関があまり発達していない場所、そして言葉がわからない場所での移動を快適にできるサービスです。2020年までにもっと浸透させていきたいですね。

ちきりん 今、世界での規模はどれくらいなんですか?

高橋 世界中で1日に500万乗車くらいされていますね。もちろん日本でも乗車数を拡大していきたいですが、それだけでなく、どういう付加価値をつけていくかにもこだわりたいです。また、海外と違うチャレンジをすることも大切だと思っています。たとえば、フードデリバリーサービス「UberEATS」の展開の仕方も、海外とちょっと違うんです。

ちきりん Uberに登録した個人が配達員になって、いろんなレストランのメニューをデリバリーしてくれるサービスですね。

高橋 海外だと、ふだんは配車サービスのドライバーをしている方に、「昼はランチを運んでみませんか?」と提案して配達員をやっていただくことが多いです。ただ、東京の交通事情だと自転車や原付で配達したほうがいいこともあって、ドライバーとは別方面で配達員を確保しています。
 今後うまくいったら、配車サービスをしていないところで先にUberEATSを始めるという展開もあり得ます。都市の特性にあわせたサービス……「Celebrating Cities(都市をたたえる)」というのが我々の企業理念なんです。

ちきりん 「Celebrating Cities」かあ。かっこいいスローガンですね。 Uberが都市に提供できる価値って、都市の規模によって大きく変わりますよね。東京と、人口30〜40万人くらいの地方都市、それに、もはや公共の交通機関がなくなりかけている過疎の町では、求められている移動手段も全然違うでしょ?

高橋 ええ。ただ、いずれにしても大切なのは「持続可能である」ということです。たとえば、コミュニティバスの類いは、自治体が負担している部分が大きいのですが、高齢者が増えていって税収が下がっていくと長期的な持続は難しい。

ちきりん 1回100円のコミュニティバスとかですね。なのに6人くらいしか乗せずに運行してて、いったいどんだけ税金を投入してるんだろうという。

高橋 利用者目線ではいいのかもしれないですが……。でも、Uberであれば、すでにある車や人々の空き時間を活かすことで、持続可能な仕組みができるのではないかと考えています。

ちきりん 京都の京丹後市での「ささえ合い交通」や、北海道の中頓別町で実験を始められた「なかとんべつライドシェア」がまさにその例ですね。あれは東京では認められていない、一般のドライバーの方が空き時間に客を乗せるというサービスだと理解してます。バスや地下鉄どころかタクシーもほとんどいないようなエリアでの実験。

高橋 おっしゃるとおりで、タクシー会社が撤退したような過疎地に入って、昼間空いている車や人の時間を使い、お年寄りなどの移動を助けています。

シェアリングエコノミーは「地方創生」にもつながる

ちきりん 私が信じられないのは、Uberがこのエリアでそういう取り組みをしますよと発表すると、儲からないからと撤退したはずのタクシー会社が急に戻ってきたりすること。あれじゃあ、ただの嫌がらせじゃないですか?(笑) 

高橋 いやいや(笑)。まずは、知っていただいて、使っていただくのが大切だと思っています。たまたまニュースで聞いただけですと、やはり反発もあるでしょう。
 でも実は今、京丹後や中頓別での事例を見たいくつかの自治体からコンタクトをいただいているんですよ。みなさん、過疎化や高齢化については共通の課題をお持ちなので。

ちきりん 向こうから声がかかってるんですね? それはスバラシイ。車が運転できなくなった高齢者の移動手段がなくて困ってる全国の自治体の担当者の方、どんどんUberさんに話を持ちかけてください!(笑) 決められた時間に決められたルートを走るミニバスよりはるかに使い勝手もいいしコストも安い。

高橋 それだけでなく、高齢者による交通事故も増えています。そういったことを1つひとつお話しながら、地域の課題と弊社のサービスを組み合わせていくんです。

ちきりん たしかに。高齢者の運転ミスによる事故、増えてますもんね。その対策にもなるってことか。本音でいえば、そういうサービスが必要だと思っている自治体はたくさんありそう。いまは規制されているUberXですが、こんなに地方創生につながる話は他にないのに、なんで地方でさえ規制するのか。地方を活性化したくないのかしら。

高橋 移動が便利になることで地域全体が活性化するというのは、ありますね。日本が他の国に先駆けて直面している高齢化という課題を、こうした世界からの刺激によって解決していく。これが私がやりたいと思っていた仕事なんです。

ちきりん 私、日本の地方への旅行も結構好きなんで年に何度も出掛けるんです。でもホントに不便で。公共交通機関はほぼ死滅してるのにタクシーは駅前にしかいない。レンタカーを借りて自分で運転しようにも道がわからない。初めての地域だと、タクシーを呼ぼうにも場所の説明もできない。地方で個人のための交通状況が改善したら、住民の暮らしが便利になるだけでなく、観光客ももっと増えると思うんですよね。

高橋 そういう需要ももちろんあるでしょうね。今のところは東京ではハイヤー配車、UberEATSの2つの事業に注力し、地方については京丹後と中頓別での取り組みに絞っていますが、「オンデマンドで好きなときにモノや車が頼める」というカルチャーがもっと広がれば、弊社のサービスにも広がりと多様性を出していけるはずです。

※次回は3/15(水)に公開予定です。
http://diamond.jp/articles/-/120665
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/606.html

[政治・選挙・NHK222] 「残業規制100時間」で過労死合法化へ進む日本 今の仕事の8割が消滅 退職者ゼロ理由 銀行大株主、経営経験ない社外取増加
「残業規制100時間」で過労死合法化へ進む日本
河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学
いったい、何人の命を奪えば気が済むのか?
2017年3月14日(火)
河合 薫

 全くもってワケがわからない。
 意味不明。イミフだ。
 これは「日本という病」?あるいは「経営者という病」というべきか。
 しかも、感度が低い。なんなんでしょ。この感度の低さ。
 元・電通社員、高橋まつりさんが自殺に追い込まれた際に、
「月当たり残業時間が100時間を超えたくらいで過労死するのは情けない。会社の業務をこなすというより、自分が請け負った仕事をプロとして完遂するという強い意識があれば、残業時間など関係ない」
と某大学教授がコメントし、世の中の人はいっせいに批判した(当人は、高橋さんの事件が報じられた同じ日に公表された過労死白書に対するコメントだったとしている)。
「過労自殺した女性を『情けない』と吐き捨てた」
「こういう人たちが労災被害者を生み出している」
「死者にむち打つ発言だ」と。
 そのとおり。こういう人たちが「労災被害者」を生み出しているのだ。
 というのにどういうわけか、“今”「好きで長時間働いてなぜ悪い」「残業を規制するのはおかしい」という意見があちらこちらに飛びかっている。なるほど。あのときは炎上を恐れて言わなかったけど、「100時間超えたくらいで……そのとおりだよ〜」と思った人たちが、かなりの数いたってことだ。
 ええ、そうです。残業規制を巡る問題である。
 そもそも「残業の上限を規定して罰則を設ける=働き方改革」ではない。
 厚生労働省によれば、
「『働き方改革』は、一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジであり、日本の企業や暮らし方の文化を変えるもの」
とある。
 長時間労働を日本の文化ととらえれば、一種の働き方改革になるのかもしれないけど、私には単なる法律上の問題としか思えない。
 36協定を抜け道に残業を青天井にしてしまっている企業に、「言ってもわかんないんだったら、罰則をつけるぞ!」と言ってるだけ。
36協定はそもそも青天井ではない
 だいたい、36協定はあたかも「青天井」のように言われているけど、キチンと上限はある。
 「1日」「1日を超えて3カ月以内の期間」「1年」のそれぞれについて、延長することができる協定の期間により、延長可能な時間の限度が定められているのだ(労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準<労働省告示第百五十四号>)

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/031000095/graph1.png

労働時間の延長の限度

 しかしながら、この「基準」はいわゆる行政規則。法律や政令のような法的拘束力を有するものではないため、使用者の「任意の協力によって実現されるもの」(行政手続法32条)。つまり、強制できないという弱点がある。また、労使で特別条項を結んでしまえば、延長も可能。そのため、事実上青天井になってしまうというわけだ。
 それがゆえに 、
「んもう〜〜!経営者、ちゃんとやってよ〜!!」
と言ってるだけのこと。

 「過労死」が後を絶たず、うつ病患者も増え続けているので、「言ってもわかなんなきゃ、お仕置きするぞ!」と。本来であれば先の表で定められた時間に関して罰則規定を追加すれば済むだけの話なのだ。

 いったいどこから「100時間」なんて数字が出てきたのか?
 なぜ、経営者は自分の成功体験だけに頼るのか? 

 なぜ、労働時間と健康、労働時間と生産性に関するエビデンスを全く注視しないのか?
 なぜ、痛ましい事件のときには口をつぐんでいた人が、ここぞとばかりに「残業規制はおかしい」と反撃するのか? 
 前置きが長くなった。というわけで、今回は「残業規制はなぜ、必要なのか?」「なぜ、いいじゃん、好きなだけ働いて〜」と言えてしまうのか? について、脳内の“突っ込み隊”と一緒に考えてみようと思う。
 では、現段階で明らかになっている「時間外労働の上限をめぐる労使合意の原案」について。焦点となっているのは経団連が主張する「繁忙期月100時間案」を連合が認めるかどうかだが(3月13日夜、「上限100時間」で合意したとのニュースが流れた)、報道によれば、以下のような内容で調整が進められている。
・罰則つきの時間外労働の上限については、「月45時間、年間360時間を原則的上限とする」とする
・繁忙期など特別な事情があれば労使協定の下、年間の上限を「720時間(月平均60時間)」とし、その場合でも、「単月なら月100時間」「2カ月から6カ月間の平均80時間」までは認める
・36協定を結ぶ際には、健康確保措置や時間外労働の削減に向けた労使の自主的な努力規定を設けることを義務づける
・上限規制の在り方について、法改正から5年後に再検討することを、労働基準法の付則に明記する
・退勤から次の勤務開始までに一定の休息時間を設ける勤務間インターバル制度は、普及に向けて事業主に導入の努力義務を課すことを法律などにも明記し、労使双方を含む検討会を立ち上げる
・過労死対策については、メンタルヘルス対策などに関する新たな政府目標を検討する
・職場でのパワーハラスメント防止に向けた対策を労使を交えた場で検討する

「月100時間」が争点って……
 フ〜ッ……。経団連も経団連なら、連合も連合である……。

 一方で、日本労働弁護団は2月28日緊急声明を発表(「時間外労働の上限規制に関する声明」)した。以下にその内容を要約する。
 使用者団体が繁忙期に『月100時間』や『2カ月平均80時間』までの時間外労働を認めるよう要求し続けることは、多発する長時間労働による過労死・過労自死への反省を欠き、使用者としての責任を放棄するものであり、厳しく批判されなければならない。
 労働者の命と健康を守り、生活と仕事の調和を図ることができるような労働時間の上限規制がなされるべきである。
 裁判所も、月95時間分の時間外労働を義務付ける定額時間外手当の合意の効力が争われた事件(ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナル事件)で、「労基法36条の規定を無意味にし、安全配慮義務に違反し、公序良俗に反するおそれさえある」としている。
 また、月83時間分のみなし残業手当の効力が争われた別の事件(穂波事件)では「月83時間の残業は、36協定で定める労働時間上限の月45時間の2倍近い長時間であり、公序良俗に違反するといわざるを得ず」との判決もある。
 日本医療労働組合連合会(医労連)も、
「夜勤交代制労働など業務は過重である。政府案はまさに過労死を容認するもので、断じて容認できない。月60時間が過労死ラインと主張する」
との談話を発表。
 医労連は昨年の3月7日にも記者会見を開き、「(労働時間の)上限規制と、(日勤と夜勤の)インターバル規制を法制化してもらいたい」と訴えた。背景には本コラムでも以前取り上げたとおり(「灰色の“自己啓発残業”へ誘う「過剰適応」の罠)、医師や看護師の過重労働の問題がある。
 残業規制の議論では一切考慮されていないが、同じ労働時間でも夜勤と日勤とでは身体にかかる負担は全く異なる。
 例えば、くも膜下出血で死亡し、2008年に労災認定を受けた看護師の場合、発症前6カ月の平均時間外労働時間は「過労死ライン」と呼ばれる月80時間より短い約52時間だった。しかし、月5回ほどの夜勤の日は20時間近くの連続勤務。つまり、夜勤勤務の負担を考慮しての判決といえる。
 私たちは「労働者」である前に、「人」という霊長類の動物である。1日24時間で成り立つ睡眠や心身のリズムを壊す夜勤は、身体の負担になって当たり前だ。
 つい先日も、ハーバード大学などの共同研究グループが「看護師」の夜勤が心身に与える影響結果を発表した。この調査は、約7万5000人分というサンプル数の多さに加え、1988年から2010年まで22年間も縦断的に行われたもので、信頼性が極めて高い。
 分析の結果、1988年から2010年の22年間に、対象者のうち約1万4000人が亡くなり、うち約3000人は心臓や血管の病気、約5400人はがんだった。
 交代制夜勤のある人は、全く夜勤の無い人よりも死亡率が11%高く、中でも夜勤を6〜14年続けている女性は、心臓や血管の病気による死亡率が19%、15年以上続けている人は23%も高かったのである。
 また、この調査では「肺がんによる死亡率が25%」高かったものの、がんと交代制夜勤との関連は確認されなかったと報告している(2007年にWHOの国際がん研究機関は「交代勤務は おそらく発がん性がある」と認定している)。
「そんなに簡単に人は死なないっつーの」
 今回の“働き方改革”で、睡眠を確保するためのインターバル規制が、「事業者に努力義務を課すよう法律に明記する」方向で議論が進んでいることは実に残念。罰則付きの法制度にするくらい重要な案件なのに、なぜ財界の声は重んじるのに、医療の現場の声は軽視するのか。
 しかも「100時間」の攻防に終始するとは。情けない限りだ。これは「私たち」の健康であり、「私たち」の医療費の増加にもつながる足下の問題だからこそ、科学的な分析結果に基づいて議論すべき。

 国内外を含め多くの研究で長時間労働および深夜勤務と、脳血管疾患若しくは心臓疾患とは強く関連していることが明確に認められている(Liu Y, Tanaka H, The Fukuoka Heart Study Group (2002) ‵‵Overtime Work, Insufficient Sleep, and Risk of Non-fatal Acute Myocardial Infarction in Japanese Men" Occup Environ Med, 59, 447-451.)。

●睡眠不足は心身に直接的な影響を及ぼす。その境界線は「睡眠時間6時間未満」
「週労働60時間以上、睡眠6時間以上」群の心筋梗塞のリスクは1.4倍であるのに対し、
「週労働60時間未満、睡眠6時間未満」群では2.2倍
「週労働60時間以上、睡眠6時間未満」群では4.8倍
●1日の労働時間が11時間以上・睡眠時間6時間未満は超危険
「11時間超」労働群は「7〜10時間」群に比べ、脳・心臓疾患を発症するリスクが2.7倍
心筋梗塞の男性患者195人と健康な男性331人を比較した調査では、「11時間超」群の方が心筋梗塞になるリスクが2.9倍。
 月に20日の労働に100時間の残業と仮定したら、1日5時間の残業になる。
定時勤務が9時〜17時と仮定した場合、5時間の残業だと退社は22時。通勤に片道1時間。電車の待ち合わせや着替えの時間を加味し、6時間睡眠を確保すると下記のようになる。

 「自由時間」はたった1時間。そう、たった1時間だ。

 人は疲れを取るために寝る。だが、寝て、食べれば疲れが取れるほど単純ではない。テレビをボーッとみたり、雑誌をパラパラめくったり、運動したり、話をしたり、心の休養も必要不可欠。おまけに「疲れは借金」と同じだ。
 完全に回復しないでいると、借金のごとく利子がついて、肩凝り、頭痛、腰痛、気分の落ち込みといった症状に代表される蓄積疲労になる。蓄積疲労はうつなどのメンタル不全につながる極めてゆゆしき状態である。
 それを防ぐには「休む権利」が必要であり、「休ませる法律」を整備する必要がある。
 だというのに……、過労死基準を上回る「100時間」が争点になっているとは、いったいどこまで日本の経営者たちも連合も、残酷なんだ。
「エビデンスだのなんだのいうけど、所詮、確率の問題でしょ?そんなに簡単に人は死なないっつーの。だって、オレたちちゃ〜んとやってきたも〜〜ん!」
 こう考えているのだ。
やっかいなことに、ハイスペックな人ほど「元気」
 過労死遺族たちの「過労死をなくそう」という活動がやっと実を結び、2014年に「過労死等防止対策推進法」が制定された。同法により義務づけられた「過労死白書」が昨年初めて発行され、奇しくもその日、高橋まつりさんの事件が報じられ、先の「過労死情けない」発言が炎上した。
 そしていま「100時間を認めないと企業が立ちゆかない。現実的でない規制は足かせになる」とのたまうとは。本当にわけがわからない。過労死のリスクを容認する国っていったいナニ?
 何人の命を奪えば気が済むのか?
 だいたいハイスペックな人たちが「自分」を基準に考えるから、わけがわからなくなるのだよ。ハイスペックな人が経営者になり、経営者には「自由に決められる権利」があるのでハイスペックな結論になる。
 しかも、やっかいなのは、ハイスペックな人ほど「元気」なこと。
 ホワイト・ホール・スタディー。
 「トップは長生きする」という、興味深い結果が得たこの研究は、英ロンドン大学がストレスと死亡率の関係を解明する目的で1967年から継続して行っている疫学研究である。
 このときの被験者は、ロンドンの官庁街で働く約2万8000人の公務員。官庁街がホワイト・ホールと呼ばれることから、ホワイト・ホール・スタディーと称された。
「なぜ、トップは長生きなのか?」
 そのメカニズムを解明するために1985年に始まったのが、冠状動脈疾患疫学の医師でもあるロンドン大学のM.マーモット教授らの第2期ホワイト・ホール・スタディー。そこで明らかになった一つのカギが、「自分の人生・暮らしを自分でコントロールすることができるかどうか」。つまり、トップが長生きする謎は、彼らが持つ「裁量権にある」としたのである。
 仕事の要求度が高くても裁量権があると、「要求度=モチベーション」となる。だが、裁量権のない状態では、要求度がそのままストレスとなり、心身の不調につながっていく。
 裁量権には「休む自由」も含まれるので、休みを入れたり、集中したり、と自分の都合でギアチェンジできる。だが、その自由がない一般の社員にはムリ。だいたいトップや上司の都合で、コロコロ要求を変えられる一般の社員に、残業の自由度もなにもあったもんじゃない。
 おまけに「週50時間以上働くと労働生産性が下がり、63時間以上働くとむしろ仕事の成果が減る」というエビデンスを得たディスカッションペーパーも存在する(The Productivity of Working Hours .John Pencavel)。
 それでも100時間。100時間にこだわる。なぜ「100時間」にこだわるのか、そのエビデンスを示して欲しいくらいだ。
 企業の生産性が低下したときの、アリバイ作りか?なんて疑念すら抱きたくなる。
 ハイスペックなスーパー仕事人が、60代で心筋梗塞などで突然死すると、
「好きな仕事していたのだから……。本人は幸せだったでしょ」
と家族は悲しみに折り合いをつけようとすることがある。
 私の知人もそうだった。まだ、62歳。子どもが就職し、お嬢さんが結婚し、これからというときに突然亡くなった。直前までバリバリ仕事をしていたのに、亡くなった。やはり心筋梗塞だった。
 「長時間労働は命を削る悪しき働き方」「休息をとったほうが効率があがる」との常識が社会に浸透していたら、家庭人としての幸せが待っていたはずなのに。
悩める40代~50代のためのメルマガ「デキる男は尻がイイ−河合薫の『社会の窓』」(毎週水曜日配信・月額500円初月無料!)を創刊しました!どんな質問でも絶対に回答するQ&A、健康社会学のSOC概念など、知と恥の情報満載です。


このコラムについて
河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは、上司の立場、部下の立場をふまえて、真のリーダーとは何かについて考えてみたい。
 
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/031000095/

 


 
2040年頃、今の仕事の8割くらいが消滅する

「ダサい社長」が日本をつぶす!

「やる仕事」はどんどんなくなる(孫 泰蔵さん 第2回) 
2017年3月14日(火)
川島 蓉子
 孫泰蔵さんは、東京大学在学中にYahoo! JAPANの立ち上げに参画したことを皮切りに、世の中の最先端を行くビジネスを次々に手がけてきた方。一度はお会いしたいと思ってきました。

 ただ一方、最先端を行く経営トップだけに、近寄りがたいに違いないし、恐らくファッションにあまり興味がないのかもと、勝手な想像を抱いていたのです。 それがあるイベントでご一緒してびっくり。よく似合う装いをされていて、とてもおしゃれ。しかも、お話がわかりやすくて柔らかい。これは是非、お話を聞いてみたいと思ったのです。早速、お願いしたところ、快く引き受けていただきました。

 聞いてみたいと思っていたのは、何といっても、AIやロボット化が進む中、日本の未来はどうなるのか、否、世界の未来はどうなるのか?大きな質問に対して、孫さんの壮大な構想をうかがうことができました。
(前回の記事「やはり、Iotでおっかないことは起こるんですよ」から読む)

2040年頃には今の仕事の8割くらいがなくなる


孫 泰蔵(そん・たいぞう)氏
Mistletoe株式会社 代表取締役社長兼CEO 1972年生まれ。佐賀県出身。東京大学在学中にYahoo! JAPANの立ち上げに参画。その後、インターネットのコンテンツ制作、サービス運営をサポートする会社を興す。2002年、ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社を設立、デジタルエンターテインメントの世界で成功をおさめる。その後も、様々なベンチャーの創業や海外企業との大型JVなど、ある時は創業者、ある時は経営陣の一人として、一貫してべ ンチャービジネスに従事した後、2009年に「2030年までにアジア版シリコンバレーのベンチャー生態系をつくる」として、スタートアップのシードアクセラレーターMOVIDA JAPANを設立。2013年、単なる出資にとどまらない総合的なスタートアップ支援に加え、自らも事業創造を行うMistletoe株式会社を創業。21世紀の課題を解決し、世の中に大きなインパクトを与えるようなイノベーションを起こす活動を国内外で本格的に開始、ベンチャーの活躍が、豊かな社会創造につながることを目指している。(写真:鈴木 愛子、以下同)
孫:モノのインターネット化、IoTが進んで次の段階になると、何が起きるか。

 おそらく2020年あたりを目途に、IoTのThings、つまりモノの進化が始まります。具体的にいうと、世の中のさまざまな機械が、どんどんロボット化していきます。社会を変えるキーテクノロジーは、人工知能=AIに加えて、ロボット工学=ロボティクスになるわけです。人工知能の研究と並び、ロボット工学が重要になります。しかもそれが、驚くほどの短期間で一気に進んでいくんです。

 この写真をちょっと見てもらえますか?

 1枚目は、1900年のニューヨーク五番街のイースターの朝の風景です。ぶわーっと馬車が並んでいて、1台だけT型フォードが走っていますよね。

 2枚目は、1913年の同じ日、同じ場所の風景です。こちらはぶわーっと自動車が走っていて馬車は1台だけ。たった10年ちょっとの間に、これだけがらりと世の中は変わってしまった。そういう事実を、歴史は実証しているんです。

川島:凄い変化ですね。モータリゼーションはたった10年で進んじゃったのか。

孫:これだけの大変化はそうしょっちゅう起こることではありません。でも、今のインターネットをはじめとする先端科学を巡る状況を見ていると、産業革命が起こった19世紀末から20世紀初頭のこの写真の時代に近いくらい、いやあるいはそれ以上の転換点にあるんです。

 仕事柄、私は未来のテクノロジーについてそこそこの知見を持っていると思うのですが、世の中の科学技術の発展があまりに早すぎて、もはや追いつけないほどだと実感しています。想像をはるかに超えるスピードでさまざまな科学や技術が進化しています。

川島:孫さんが、「早すぎる」と思うほどの進化のスピードなんですか?

孫:私がちょっと前まで「2030年にはこうなっているかな」と思っていた技術やサービスが、それこそ来年あたり、2018年には実現しちゃう。そのくらい加速しているんですね。

 さて、そこでシンギュラリティです。

 2040年くらいに針を進めると、間違いなく、今の仕事の8割くらいがなくなっているのではないかといわれています。わかりやすい例でいえば、安いものを大量に作る工場の仕事は全部機械がやっているでしょう。今でもロボットだけの無人工場は、どんどん増えています。

 先日、台湾にある最新の工場を視察に行って、衝撃を受けちゃいました。まず、真っ暗なんです。そこでは24時間、モノを作り続けている。一応、機械が故障したとき、管理担当の人間のためのガイドとなる青い光だけが、ぽつりぽつりと灯っているんですが、窓はひとつもないし、全体を照らす照明もない。

 つまり、ロボットだけの工場だから、照明がいらないんですね。

 しかも仕事をしているのはロボットだから、24時間不眠不休で働かせてもブラック企業にはならない。今は人件費の安さを求めて、発展途上国でモノ作りをしていますが、そんな構造そのものも、工場の完全オートメーションが実現したらなくなってしまう。

川島:シンギュラリティは先進国だけの問題ではない。単純労働で、経済基盤をつくっていた途上国の人たちの仕事も奪ってしまう、というわけですね。

創造的な仕事だけが存続できる


孫:しかも、こうしたフル・オートメーションで製造できるのは、安くて単純な大量生産品に限りません。すでにスマートフォンの70%以上が、ロボットで作られているといいます。逆に精密過ぎて人間が手作業では作れないものこそ、ロボットの出番、というケースも増えていきます。だから、大半のモノ作りの仕事はロボットに取って代わられ、その分野で秀でた1社、2社による寡占状態が起きる可能性が大きいんです。

川島:世の中、失業者がどっと増えるということになっちゃいますね。

孫:その可能性はあると思います。失業には2つあって、構造的な失業と摩擦的な失業とがあります。

 構造的な失業とは、市場や産業そのものが消滅したりして労働者が完全に不要になって失業してしまうこと。シンギュラリティに関連して起きるのは、決して構造的失業ではないのですが、今の仕事がなくなるかわりに新しい仕事をこなせる人が求められているにもかかわらず、労働者が新しい仕事にすっと対応することができなくて再就職に時間がかかってしまう摩擦的失業と呼ばれるものです。つまり、時代が変わるときに、それに対応できない失業のことですね。

川島:産業革命のときに、馬車から自動車への移行が10年くらいの間に起こりました。あのときで言えば、ベテランの馬車の御者の多くが、馬車の需要がなくなって、失業する。その事態に際して、新しく台頭した自動車の運転手になるか、あるいはまったく別の仕事につくかなければならない。それができないと「摩擦的失業」となってしまうわけですね。

孫:はい。現実には、こうした産業の大変革というのは、あまりに変化が大きすぎて、多くの人が時代に対応できなくなります。御者に限らず馬車産業の人たちは、どうしていいかわからなかった。これから起こる大変化についても、この摩擦的失業が増える可能性は大だと思っています。

川島:今ある仕事の8割がなくなっちゃうわけだから、失業者がどっと増えちゃう。

孫:7割という人もいれば、9割という人もいますが、いずれにせよ、今の赤ちゃんたちが社会人になるころ、2030年から2040年にかけては、今ある仕事のほとんどがなくなってしまうでしょう。これから雇用がなくなり、失業した人たちが巷にあふれる。日本でも世界でも最大の問題になっていくわけです。

川島:どうなっていくのですか?

「スラム化が問題になる可能性もある」


孫:行き場を失った人たちは、とりあえず街に集まります。そこで出てくる問題がまた、いっぱいあるわけで、交通渋滞、大気汚染、水質汚濁、治安悪化、スラム化などが起きます。つまりある場所が不法占拠され、無政府状態のまま、仕事のない貧しい人たちが集まってきてしまう。スラムって一度できてしまうと、人間のがん細胞みたいなもので、失くしてしまうのが困難です。犯罪の温床にもなりえます。

川島:なぜスラム化が起きるんですか?

孫:当てもなく街に出てきたのに、そこに職がないからです。収入がないし住む場所もない。だから、何となく裏通りみたいなところに溜まっちゃう。正当な仕事がないから、非合法な仕事に手を染めるようになる。一般の人たちは怖くて近寄らなくなります。「あのあたりは危ないから行っちゃいけない」って。すると、ますますそのエリアは非合法地帯になり、スラム化が進みます。

川島:日本の都市部もスラムができる可能性大ということですか?

孫:日本の場合、スラムが顕在化するケースはそれほど多くないとは思います。ただ、すでに日本でも失業者が増えている兆候があります。1日に食べる食事が学校の給食の1回だけという小学生が10人に1人くらいになっている地域が出てきているんですね。中には、その給食費さえ払えない親もいるわけです。こうした「欠食児童」たちを救うために、無料でご飯が食べられる場所をNPOが用意し始め、どんどんその数が増えているといいます。

川島:親の失業のしわよせが子供たちに及び始めているわけですね。

孫:今後、僕らの想像を上回る勢いで技術が進化すると、AIやロボットを使いこなせる人がめちゃめちゃ金持ちになる一方で、かなり多数の人たちが仕事を失う。こうした経済格差が顕在化するおそれは十分あります。

川島:すでに貧富の差が出てきているのに、シンギュラリティが起きて、仕事の8割が失くなってしまうと、格差はもっと広がりますね。

「やる仕事」から「つくる仕事」にシフトするしかない

孫:近い将来、たいがいの仕事をAIとロボットがやるようになります。というと、前に説明した工場の無人化に代表されるようにブルーカラーの仕事がなくなるイメージが強いかと思われますが、実はホワイトカラーの、しかも今まではエリートとみなされた仕事もなくなる。

 たとえば、弁護士や会計士、税理士、いわば“士業”の仕事は9割以上、AIに置き換えられるようになるかもしれません。なぜかと言うと、既存の法律に基いて判例にあたり、弁護や調停をしていく仕事って、AIのほうがはるかに向いているんです。知識不足や偏見を排除できるので、法律や制度に基づいた仕事はAI向きなんですよね。また、医者の仕事も、人間ではできないような難易度の高い手術を全部ロボットがやるようになります。

川島:そうやって仕事がなくなっちゃった人たちは、どうしていけばいいのですか?

孫:「やる仕事」から「つくる仕事」にシフトするしかなくなりますね。たとえば、法律の仕事をしたかったら、弁護士や裁判官や検事じゃなくって、リーガルデザイナーとかリーガルアーキテクトと呼ばれる、法律や規制そのものをデザインする仕事が、人間の仕事になります。

 AIやロボットの台頭で、それまでにはなかった法整備が必要になりますが、これはまさに人間の仕事です。逆にいうと、法律によって裁く仕事から、法律そのものを創造する仕事にシフトしないと、人間の出る幕はなくなります。

川島:ふむふむ。「創造」そのものは、やはり人間の仕事である、と。逆にいうと、人間の仕事はクリエイティブに向かわざるを得ないということですか?

孫:人間の仕事は、ほとんどがクリエイティブワークになっていくということです。

川島:でも、それってものすごく難しくないですか? クリエイティブな仕事って、ごくごくわずかの人の才能によって支えられている気がするのですが。みんながクリエイティブになるって、できるんでしょうか?


※3月15日公開予定「社長は消える、スナックのママは生き残る」に続く


このコラムについて

「ダサい社長」が日本をつぶす!
 日本製のモノが、サービスが売れない。性能はいいのに。機能も充実しているのに。壊れないのに。親切なのに。多くの日本企業が直面している、「いいモノをつくっているのに売れない」問題。
 なぜ、売れない?それは、日本製品の多くが、かっこよくないから。美しくないから。カワイくないから。気持ち良くないから。つまり、デザインがなっていないから。
 どうして、デザインがなっていない?それは、経営者がデザインのことをわかってないから。つまり、経営者が「ダサい」から。だから、デザインをマネジメントできない。
 経営者がダサいと、日本企業はつぶれる。では、どうすれば、デザインをマネジメントできるのか? どうすれば、かっこいいを、美しいを、カワイイを、気持ちいいを、商品化できるのか? どうすれば、ダサい経営から、デザインできる経営に転換できるのか? ifs未来研究所所長の川島蓉子が、時代を切り開く現役経営者やデザイナーにずばり切り込んで、その答えを探ります。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/252773/030600034/?

 

【第48回】 2017年3月14日 小山 昇
25人中退職者ゼロ!新卒社員が辞めない「5つ」の理由

小池都知事が「夜8時には完全退庁を目指す」、日本電産の永守社長が「2020年までに社員の残業をゼロにする」など、行政も企業も「残業ゼロ」への動きが急加速中!
株式会社武蔵野は、数十年前、「超ブラック企業」だった。それが日本で初めて日本経営品質賞を2度受賞後、残業改革で「超ホワイト企業」に変身した。
たった2年強で平均残業時間「56.9%減」、1.5億円もの人件費を削減しながら「過去最高益」を更新。しかも、2015年度新卒採用の25人は、いまだ誰も辞めていない。
人を大切にしながら、社員の生産性を劇的に上げ、残業を一気に減らし、過去最高益を更新。なぜ、そんな魔法のようなことが可能なのか?
『残業ゼロがすべてを解決する』の著者・小山昇社長に、人材育成のヒントを語ってもらおう。

なぜ、新卒25人は辞めないのか?


小山昇(Noboru Koyama)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。2004年からスタートした、3日で108万円の現場研修(=1日36万円の「かばん持ち」)が年々話題となり、現在、70人・1年待ちの人気プログラムとなっている。『1日36万円のかばん持ち』 『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』 『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』 『強い会社の教科書』 (以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。
【ホームページ】http://www.m-keiei.jp/
?厚生労働省が発表した「新規大学卒業就職者の事業所規模別離職状況(2014年3月卒)」によると、2014年4月に入社した新卒社員の1年目までの離職率は「12.2%」です。

?この数字は、大企業も中小企業も含んだ平均であり、事業所規模別に見ていくと、規模の小さい会社(従業員数が少ない会社)ほど離職率は高くなっています。

【事業所規模別離職状況】
5人未満→31.3%
5〜29人→23.1%
30〜99人→15.8%
100〜499人→12.1%
500〜999人→10.3%
1000人以上→7.5%

?武蔵野の1年目社員の離職率は、他の中小企業に比べるとこれまでも低かったのですが、それでも、残業問題に取り組むまでは(2014年度以前)、例年、数人の社員が1年未満で辞めていきました。

?2013年度は、19人が入社し、3人が次めています。
?でも、残業問題に取り組み始めてからは、離職率が大幅に改善されています。
?2014年度は15人採用して、1年未満で辞めた社員はひとりだけです。
?それも、会社や仕事に不満があったわけではなく、病気によるやむをえない退職です。
?2015年度に至っては、25人採用してひとりも辞めていません(2016年10月現在)。

新卒社員の定着率を上げる
5つの秘策

?武蔵野では、新卒社員の定着率を上げるために、さまざまな取り組みを行っています。
?定着率向上に貢献しているおもな取り組みは、次の「5つ」です。

1.管理職の数を増やして、「目が行き届く」ようにする
2.課長職以上は「3年定年制」にする
3.新卒社員は、入社後1年で異動させる
4.「インストラクター」と「お世話係」に新卒をフォローさせる
5.内定者研修を実施する

管理職の数を増やして
「目が行き届く」ようにする

?わが社は、「管理職(課長職以上)」が70人を超えています。
?全社員の約3分の1です。
「石を投げたら課長に当たる。投げなくても課長に当たる」のが武蔵野です。

?この70人以上の中で、過去7年以内に辞めた人は、八木澤学、ただひとりだけです。
?でも、辞めた八木澤も今は戻ってきているので、実質ゼロです。

?管理職を多くする理由は、「2つ」あります。
?ひとつは、役職を与えることで、責任感を持つからです。
?他の会社で課長になれない人材でも、武蔵野なら「課長」の名刺を持てます。
?そうすれば、まわりの見る目が変わるから、本人のやる気も上がります。
?2つ目の理由は、部下を辞めさせないためです。

?ひとりの課長に50人の部下を持たせる会社もありますが、わが社に50人の部下を管理できる優秀な社員はいません。
?ひとりの課長が持つ部下は、「5人」が基本です。
?部下の数が少ないと、能力がそれなりでも部下を持てます。人材教育に手間がかけられますし、価値観の共有も容易です。
?コミュニケーションも取りやすい。
?その結果、新卒社員が辞めなくなります。

?多くの社長は、管理職が増えると、「人件費の総額が上がって損だ」と考えます。
?でも、そう考えるのは、会社の数字を俯瞰して見ていないからです。
?わが社は、管理職を増やしたことによって生産性が上がり、残業時間も減った結果、管理職手当を上回るだけの利益を上げることができました。

小山昇(Noboru Koyama)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。2004年からスタートした、3日で108万円の現場研修(=1日36万円の「かばん持ち」)が年々話題となり、現在、70人・1年待ちの人気プログラムとなっている。『1日36万円のかばん持ち』 『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』 『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』 『強い会社の教科書』 (以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。
【ホームページ】http://www.m-keiei.jp/
http://diamond.jp/articles/print/114608


 


 

銀行が大株主だと、経営経験がない社外取が増加

ニュースを斬る

経営学者が分析、日本企業における社外取締役の選ばれ方
2017年3月14日(火)
好川 透(シンガポール経営大学教授)、沈 政郁(京都産業大学准教授)、山田 仁一郎(大阪市立大学教授)

社外取締役のバックグランドに対する外部の目は徐々に厳しくなっている。(写真:PIXTA)
経営陣が自ら社外取締役を選ぶことの是非

 最近は取締役の選任を担う指名委員会を設置する企業も増えてきている。だが、まだ社長・経営陣が社外取締役を実質的に選んでいる企業が日本には多い。

 これには色々な意見もあろう。社外取締役に経営陣の重要な意思決定の監督を期待する観点からは、経営者自らが自分を監督する取締役を選ぶのは問題がある。自分の意思決定や方針を客観的かつ厳しく監督されるのは、一般的に言って誰も好まない。

 一方、社長も含めて内部取締役がまだ過半を占めるほとんどの日本企業では社外取締役もそのような取締役会の一員であり、その取締役会の環境にうまくフィットしてくれないと機能しないという危惧もある。その場合、経営者がそのフィットを考慮して社外取締役を選ぶのは理にかなっているという意見もあるだろう。

上場企業でどのような社外取締役が選ばれているのか

 前者と後者のいずれの立場をとるかによって、どういう社外取締役を選ぶかに違いが出てくるのではないだろうか。この点を検証するため、上場している大企業に絞ってどういう社外取締役が選ばれているか調べてみた。

 2015年6月のコーポレートガバナンスコード(CGコード)の施行によって最低2名の独立した社外取締役の任命が求められるようになり、どのような人物を選ぶかに関する外部の目がやや厳しくなってきた。そこで、社外取締役の任命に関して、CGコードが実施されるまでの2009年から2015年3月までの7年間の期間を調べてみた。CGコードの影響を排除することで、本来企業がどのような社外取締役を採用したいのかというスタンスが明確になる。

社外取締役の人数に影響を与える要因

 日経225の指標に含まれている企業に関しては、それ以外の企業に比べて独立した社外取締役の任命数は多い。その中でも特に社外取締役の数にプラスの影響を与える要因は、外国人持ち株比率、銀行持ち株比率、社長持ち株比率、企業規模、研究開発投資比率であった。

 一方、マイナスの影響を与える要因は、企業業績(ROA=総資産利益率)、企業年齢、子会社の数であった。これはキャリアのバックグランドに関係なく、全ての社外取締役を合わせた結果である。この分析では、指名委員会設置会社では独立社外役員の数が多くなるため、その影響を統計的に排除して行った。

社外取締役の経営経験の有無

 さらに社外取締役の経営経験の有無についても調べた。経営経験者は他の企業での現経営陣および内部取締役経験も含めて過去に経営経験がある者と定義した。経営経験のない社外取締役には弁護士、会計士、学者、元官僚などが含まれる。

 このように分けて調べた理由は経営経験の有無によって、経営陣がどういう目的で社外取締役を任命したかを推測できるからである。重要な意思決定や経営全般の監視や助言を社外取締役に期待する場合は、経営経験の有無は重要な資質であろう。

 一方、弁護士や学者などの専門家は狭い分野の専門知識を持つが、経営的判断に対する貢献は(もちろん個人間で違いはあるだろが)あまり期待しにくいかもしれない。また、そのような専門家は形式的に社外取締役を任命する時にも選ばれる可能性がある。この分類を使うと、どのような企業が経営経験者を社外取締役として好むか、あるいは避けるかの傾向が明らかになった。

表:社外取締役の数に与える要因(2009-2015)

1.全独立取締役(2と3の合計) 2.経営経験者 3.非経営経験者
外国人持ち株比率が高い 増える 増える 影響なし
銀行持ち株比率が高い 増える 減る 増える
社長持ち株比率が高い 増える 増える 増える
ROAが高い 減る 減る 影響なし
企業規模が大きい 増える 増える 増える
子会社数が多い 減る 減る 増える
売上高研究開発投資比率が大きい 増える 影響なし 増える
経営経験者を重視する外国人株主

 まず株主構成で見ると、外国人持ち株比率が高いほど経営経験がある社外取締役の数も多い。一方、銀行持ち株比率が高いほど経営経験がある社外取締役の数は少なくなり、逆に経営経験がない社外取締役の数が増える傾向にあった。

 つまり、外国人株主と銀行株主の社外取締役に関する好みは、全く逆ということである。おそらく外国人株主は経営全般を監督しまた助言もできる経営経験者の役割を重視し、一方、持ち株を通して銀行とつながりが強い企業は、銀行か経営者のどちらの意向かはわからないが、社外取締役の経営経験を重視していないという結果である。

社長の持ち株比率が高いほど、独立した社外取締役の数が多い

 また、社長の持ち株比率が高いほど、経営経験の有無に関わらず独立した社外取締役の数が多い。経営者の持ち株比率は、社長の影響力の強さの指標であるため、この結果は社長の影響力が独立取締役の任命に重要なことを示している。

 企業の特徴から結果を読み解くと、興味深いパターンがわかる。表で示したように、規模が大きい企業ほど経営経験の有無に関わらず独立社外取締役の数が多い傾向にある。このような企業は経営資源も豊富にあり、また他社とのつながりも多くあるだろうから、多くの社外取締役をリクルートすることを可能にしていると考えられる。また、様々なタイプの社外取締が多くいるということは、経営経験者や他のスキルを持った専門家のバランスを考えて選んでいるのかもしれない。

 子会社が多い企業は多角化の度合いが高く、また経営管理が複雑だと考えられる。また子会社の多さは内部情報も複雑になり、ガバナンスの困難さも高い。理論的にはそのような企業ほど経営経験のある社外取締役の役割が重要であるとも考えられるが、結果は逆であった。

経営管理が複雑な企業ほど、専門家を好んで任命

 この結果のひとつの解釈は、子会社が多く経営管理が複雑な企業ほど、経営経験があり適切な監督や助言ができる社外取締役の任命を避ける動機があるということである。またそのような企業ほど、経営以外の専門性のある人物(弁護士、会計士、学者など)を好んで任命している。その理由は、社外取締役には経営全般の監督よりも、狭い専門分野に基づいた助言を求めているためかもしれない。

 研究開発重視型の企業も経営経験者ではなく、それ以外の専門家を社外取締役として任命している。この結果は子会社が多い会社と同様、経営経験者による監督を避ける目的か、あるいは技術の特殊性が高いため、経営経験よりも他の専門知識に基づく助言を重視しているせいであろうか。

 最後に企業業績がよい企業ほど独立社外取締役の数が少なく、特に経営経験のある取締役の数が少ない傾向にある。この結果は、好業績がそのような取締役の必要性を強く感じさせないためであると推測できる。

社外取締役による経営の監督を回避か?

 これらの結果から次のような重要なことが推測される。経営経験がより活かせそうな企業でむしろそれがない専門家が多いことは、社外取締役による経営の監督を避けるために経営経験がない専門家を形式的に選んでいる可能性を示唆している。実質的に経営陣が社外取締役を選んできたこと、社外取締役の市場が十分国内では発達していなかったこと、さらに企業側に自らのニーズにフィットする社外取締役を選ぶ経験があまりなかったことなどが影響していると考えられる。

 過去10年ほどで、日本企業における独立した社外取締役の数は、少しずつではあるが確実に増えている。しかし、経営者がそのような取締役を任命する動機はさまざまだ。

社外取締役のバックグランドに対する外部の目は厳しくなる

 2015年のCGコードの施行により、任命される社外取締役のバックグランドに対する外部の目は徐々に厳しくなっている。また、指名委員会の設置により、経営者の考えだけで社外からどのような取締役を招聘するかを決定することは今後、難しくなる可能性がある。その場合、どのような社外取締役が選ばれるようになるのか、注視すべき課題である。

 我々はさらに日経225から研究対象を広げて、またコーポレートガバナンスコード施行後に任命された社外取締役のバックグラウンドを分析する予定だ。こうすることで、日本企業がより実質的な形で社外取締役を任命し始めているのか否かを検証していく。


このコラムについて

ニュースを斬る
日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/030700604

 


http://www.asyura2.com/17/senkyo222/msg/362.html

[経世済民120] ノーベル賞学者が勧める財政拡大、シムズ理論は2%物価目標へ早道か HF新興市場にさようならリアルマネー流入 3月利上確実

ノーベル賞学者が勧める財政拡大、シムズ理論は2%物価目標へ早道か
Masahiro Hidaka、ジェームズ・メーガ
2017年3月14日 11:30 JST

増税先送りに一役か、クルーグマン、スティグリッツ両氏に続き
「再度先送りの可能性高いと考えざるを得ない」とパリバ河野氏

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iSuub_K9BLRo/v1/-1x-1.png

安倍晋三首相は過去2回、消費増税の延期を決定する度にノーベル経済学賞受賞者を重用してきた。政府が財政再建の公約を緩め、消費増税を再三延期するのではないか、との思惑が高まる中、財政拡大により低インフレから脱することが可能と主張するシムズ米プリンストン大教授が次の候補であっても不思議はないだろう。
  シムズ教授はマクロ経済学と統計学の分野で著名な学者で、2011年にノーベル経済学賞を受賞した。2月1日に日本経済研究センターで講演し、「将来にわたって増税しないなどの宣言をして物価を引き上げ、消費を拡大させることが必要」と述べ、「消費増税の延期もあり得る選択肢だ」と発言。同教授は講演後、日本銀行を訪問し幹部らと面会した。

Christopher A. Sims
Christopher A. Sims Photographer: Denise Applewhite/Princeton University via Bloomberg
  国会ではそれ以来、政府や日銀に対し、増税ではなくインフレで国の借金を返そうと主張するシムズ氏の「物価水準の財政理論(FTPL)」について問いただす質問が相次いでいるほか、この問題を取り上げたエコノミストのリポートも増えている。
  債務残高のGDP比が16年時点で250%と先進国では最悪の水準に達する中、景気後退と歳入減につながるリスクを負いながら増税や歳出カットを行うのか、成長や物価上昇が債務負担を減らしてくれることにわずかな望みをかけて歳出拡大に走るのか、政府は難しい選択を迫られている。
  シムズ氏は先週、ブルームバーグの電話インタビューで、「ゼロ金利の制約に直面した状況では、財政政策を前面に出して物価上昇率に連動させる必要がある」と指摘。財政政策の発動を伴わなければ、「低金利、あるいはマイナス金利にしても経済活動は刺激できない」として、2%の物価目標が達成されるまで消費増税は延期すべきだとの見解をあらためて示した。

消費増税延期に影響与えた学者たち
  安倍政権の経済財政運営には米国の学者が多大な影響を与えてきた。2014年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられ、景気が落ち込んだ後、ともにノーベル経済学賞の受賞者であるポール・クルーグマン教授とジョセフ・スティグリッツ教授は10%へのさらなる税率引き上げの延期を安倍首相に提言した。

クルーグマン氏の関連記事はこちら
  安倍首相が19年10月に予定している消費増税を再び延期しようとするならば、シムズ氏の理論は大いに助けになるだろう。政府が目標としている2020年度のプライマリーバランス(PB)の黒字化を先送りする口実にもなり得る。
  シムズ氏が示唆しているのはPBの黒字化目標を特定の時期ではなく、2%の物価目標の達成にリンクさせることだ。1日の講演では、金利がゼロに近づいて金融政策が効果を発揮できない状況では、「物価目標の達成と拡張的な財政政策を明確に結び付けることが必要だ」と述べた。
 
  安倍首相は1日の参院予算委員会で「私はプライマリーバランス至上主義ではない」と発言。麻生太郎財務相も同委員会で、財政のバランスより経済成長が大事だとの認識を示したが、9日の国会答弁では、20年度のPB黒字化を堅持するとの姿勢を明確にした。
  麻生財務相はシムズ氏の理論について「現実的には極めて問題」と、否定的な見解を示している。黒田東彦日銀総裁は9日の国会答弁で「実証的な研究が十分に行われていない」とした上で、「日本や欧米で現実的な政策論として有意義とは考えていない」と述べた。
  シムズ氏は日銀が同氏の理論に否定的でも問題ないとの立場だ。同氏は「金利を低水準に抑える日銀の金融政策は適切な財政政策が伴わなければならない」と述べた上で、財務省に心構えがあるかどうかだとの見解を示した。
  20年度のPB黒字化にはかねて懐疑的な見方が強い。内閣府が1月明らかにした「中長期の経済財政に関する試算」では、実質2%、名目3%以上の成長を前提とする「経済再生ケース」でも8.3兆円の赤字、より現実的な実質1%弱、名目1%半ば程度が前提の「ベースラインケース」では11.3兆円の赤字が残る。2度も消費増税を延期した実績があるだけに、19年10月の予定もまた先送りされるとの疑問は消えない。

浜田教授の託宣
  シムズ氏の理論が国内で脚光を浴びるきっかけになったのは、安倍首相のアドバイザーで、代表的なリフレ派である浜田宏一内閣官房参与が昨年11月15日付日本経済新聞で述べた一言だ。
  「私がかつて『デフレは(通貨供給量の少なさに起因する)マネタリーな現象だ』と主張していたのは事実で、学者として以前言っていたことと考えが変わったことは認めなければならない」と言明。同教授の論文に「目からウロコが落ちた。金利がゼロに近くては量的緩和は効かなくなるし、マイナス金利を深掘りすると金融機関のバランスシートを損ねる。今後は減税も含めた財政の拡大が必要だ」と述べた。
  BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは2月3日付のリポートで、「シムズ理論を後ろ盾に『2%インフレが達成されるまで消費増税は先送りすべき』といった論調が強まることは容易に想像がつく。消費増税の再度先送りの可能性は高いと考えざるを得ない」という。
  その上で、「トランプ政権の誕生で、円安誘導につながる日銀の金融緩和が国際政治的に限界に達し、政府の追加財政がマクロ安定化政策の主軸にならざるを得ないことを見越してシムズ理論に傾斜していたのだとすれば、浜田宏一教授は流石(さすが)である」と指摘した。
  山本幸三地方創生相はシムズ氏が掲げる財政拡大路線の支持者の1人だ。7日のインタビューで、金利を操作目標とする日銀のイールドカーブコントロールは財政拡大が前提で機能していると指摘。財政を拡大して国債発行をし、景気の押し上げ効果による金利上昇を抑えることでのみ現政策はうまくいくとの見解を示した。
  野村証券の美和卓チーフエコノミストは1月20日付のリポートで、トランプ米大統領に代表されるように、「昨今、グローバルな財政拡張機運が高まっている」と指摘。こうした流れを踏まえると、「今後、日本政府がFTPLのロジックをバックボーンとした財政拡張路線に舵(かじ)を切る可能性は、あながち否定できないだろう」とみる。
教え子も恩師の理論に疑問
  もっとも、シムズ氏の理論が日本で機能するかどうかには疑問の声もある。福田慎一東大教授は2月6日に野村総研が開いた討論会で、「FTPLはブラジルやメキシコといった財政が危機的状況にある国には妥当するが、先進国にはあてはまらない」と指摘した。
  イエール大学時代の教え子である一橋大学の塩路悦朗教授は、消費増税は14年11月と16年6月の2度にわたり延期されており、日本の財政状況は「民間の目からみると、よりFTPL的な世界に経済が入り込んでいると認識されても不思議ではないが、その時の経済の状況を見てみると、14年も16年も、国債金利も物価も反応しなかった」と指摘する。
  その上で、「ちょうど2%になるまでわれわれは無責任に行動するが、そこから先は元に戻しますと、限定的に無責任に行動するということが、可能なのか」と述べ、恩師であるシムズ教授の理論に疑問を呈した。美和氏も「仮にそれが、野放図な財政拡張につながっていった場合、究極的にはインフレを制御できなくなるリスクが存在している」と指摘している。
  みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは2月9日付のリポートで、「足元で各種社会保険料負担の増大が意識され続けているほか、日本の社会保障システムそのものにまつわる将来不安は容易にぬぐい去れるものではない」と指摘。その意味からも、シムズ氏の「物価水準の財政理論」は「日本の現実の状況に全くそぐわない」との見方を示した。
  「求められてもないアドバイスをしたいとは思わないが、耳を傾けたい人がいれば、喜んで日本を再訪して話したい」。シムズ氏はそう語った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-14/OMOQAQ6JIJUO01


 

ヘッジファンド、新興市場にさようなら−リアルマネーは流入続く
Ben Bartenstein
2017年3月14日 13:08 JST

ヘッジファンドVS長期投資家、行動乖離の大きさは15年10月以来
リアルマネーの新興市場通貨への流入規模、1年4カ月ぶり水準近く


ヘッジファンドなど資金を短期で回転させる投資家が今週予想される米利上げを前に、新興市場から引き揚げている。ドル上昇で新興市場国の信用の質が悪化すると懸念するからだ。一方、年金基金など長期投資家はエクスポージャーを拡大。株式や通貨のバリュエーションが引き続き5年平均を下回り、政治リスクは米国やフランスなど先進国の方が大きいと指摘する。
  投資家の行動が短期と長期でここまでかけ離れるのは2015年10月以来のことだ。シティグループのデータによると、過去4週間にヘッジファンドなどレバレッジをきかせる投資家が新興市場通貨から引き揚げた資金規模は昨年12月上旬以来の大きさとなったが、年金基金など機関投資家からの資金流入は1年4カ月ぶり高水準近くに増えた。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iCeJz4c_z11g/v1/-1x-1.png

  ニューフリート・アセット・マネジメントの新興市場運用担当者、スティーブ・フッカー氏は「リアルマネーの投資家に懸念がないとは言わないが、彼らは恐らく辛抱強く耐える意欲が大きいのだろう」と話した。  
  乖離(かいり)が最も激しいのはポーランド通貨ズロチに対する投資姿勢だ。リアルマネーの流入が増えて約1年半ぶり高水準に近づいた一方、ヘッジファンドによるインデックス投資は今年に入って最低の水準に下がった。両者の差が次に大きいのはインド・ルピーと韓国ウォン。
  また、ヘッジファンド資金はメキシコ・ペソから流出、トルコ・リラには多少流入したが、両通貨ともに機関投資家が最も選好する6通貨に入っていると、シティのストラテジスト、ケネス・ラム氏は指摘した。ただし、市場の資金動向データを100%持ち合わせているわけではないと付け加えた。
原題:Hedge Funds Exit Emerging-Market Assets as Real Money Swoops In(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-14/OMSBC36JIJUP01


 


ポンド下落、メイ英首相はEU離脱交渉開始へ
Liau Y-Sing、Michael G. Wilson
2017年3月14日 16:42 JST

ロンドン時間14日の取引でポンドは主要10通貨全てに対して下落。英国の欧州連合(EU)離脱手続きを3月の最終週に開始する権限をメイ首相が得たことを受け、ロンドンのトレーダーらが売りを出した。
  ポンドは一時0.5%安の1ポンド=1.2153ドルとなった。オアンダのシニア通貨トレーダー、ステファン・インネス氏は「特にニュースが出たわけではないが、欧州の早い時間に売り手が現れたようだ」と指摘。離脱手続きを開始するリスボン条約50条の発動を意識した売りだろうとして、「米金融政策と政治的不透明が売りの主因だと思われる」と述べた。
原題:Pound Falls in London Trading as May Gets Go Ahead for Brexit(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-14/OMSNE86K50XV01

 

FOMC、3月利上げほぼ確実−引き締めペース加速の合図見送りか
Matthew Boesler、Steve Matthews
2017年3月14日 15:59 JST

FF金利誘導目標は0.25ポイント引き上げ0.75−1%へ
当局が年内と来年以降の見通しを変更するかどうかを市場は注目
 

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ijUeEp5G_QSo/v2/-1x-1.png

米金融当局は株式相場の回復や米経済の着実な成長が続く見通しを背景に、今週利上げを発表すると幅広く予想されているが、金融政策引き締めのペースアップを想定しているとは示唆しないもようだ。
  投資家の間では米連邦公開市場委員会(FOMC)が15日にフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25ポイント引き上げて0.75ー1%とする決定を発表すると予想されているだけではなく、FOMCが年内と来年以降の見通しを変更するかどうかも注目されている。
  米東部時間15日午後2時(日本時間16日午前3時)のFOMC声明と最新予測の発表から30分後にイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は記者会見を予定しており、金利の先行きを見極めるさらなる手掛かりを提供する可能性もある。注目点を以下にまとめた。
  FOMC参加者の金利予測を分布した「ドット・プロット」は、年内3回の利上げが引き続き適切であることを示す見通し。
  ジョンズ・ホプキンス大学のジョナサン・ライト教授(経済学)によると、当局者がここ数週間に相次いで3月利上げを示唆したのは、年内利上げの回数よりもタイミングの変化を映した発言であることがドット・プロットに暗示されると予想。「ここ2、3カ月、経済指標は全般的に良好だったが、成長やインフレの見通しを大きく変化させるほどではなかった」と指摘した。

経済見通し
  労働省が発表した最新の雇用統計など、予想を上回る一連の経済指標を受け、FOMC声明は恐らく米経済見通しの持続的改善を引き続き認める公算が大きい。3月10日発表の2月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比で23万5000人増え、失業率は4.7%に低下した。FOMCは1月31日ー2月1日の会合後に発表した声明で企業の設備投資が「軟調」と指摘していたが、ルネサンス・マクロ・リサーチの米経済責任者ニール・ダッタ氏は、当局がこの表現を修正して最近の雇用情勢を認めるだろうと予想した。
漸進主義を堅持
  イエレン議長は記者会見で、今週の利上げが引き締めペースを加速する転換点なのかとの質問を受けそうだ。
  コーナーストーン・マクロのパートナーで、FRBでエコノミストを務めた経歴のあるロバート・ペルリ氏は、「イエレン議長の記者会見での仕事は、金利予測の緩やかな部分を強調することだ」と指摘。先送りせずに現段階で引き締めることについては、景気見通しに自信があるときにチャンスをつかむという観点から説明するのが「ベター」だと付け加えた。

原題:Fed to Hike But Avoid Signaling Faster Pace: Decision-Day Guide(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-14/OMSIM06TTDS101
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/187.html

[国際18] 新興国発のインフレがやってくる 不動産など懸念材料も 中国経済、勢い持続−工業生産と固定資産投資の伸び加速
Column | 2017年 03月 14日 15:54 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:新興国発のインフレがやってくる

http://s3.reutersmedia.net/resources/r/?m=02&d=20170313&t=2&i=1176090399&w=644&fh=&fw=&ll=&pl=&sq=&r=LYNXMPED2C1OP
写真は、中国の国旗と建設現場で働く作業員。北京で2013年4月撮影(2017年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

James Saft

[10日 ロイター] - 新興国市場はまもなく、デフレというよりも世界的なインフレの発信地となるかもしれない。問題は、それが貿易障壁を通じて発生するのか、それとも人口動態によって発生するのか、という点だ。

1980年代以降に起きた中国、インド、旧ソ連圏のグローバル経済への融合は深刻なデフレショックをもたらし、実質的に世界の労働力のプールを倍増させた。複雑な世界サプライチェーン網に中国が加わったのは、関税が最低限化もしくは撤廃され、西側の消費財が中国や他のアジア諸国の安価な労働力を使って製造できるようになった時期とまさに重なる。

しかし、現在は廃止された「一人っ子政策」を長く推進していたことで高齢化が進んだ中国では、新規労働力供給が需要を上回っていた時期は終焉を迎え、2011年以降、都市部における新たな労働力は継続的に需要を下回っている。

製造拠点を中国からもっとコストの安いインドなど他のアジア諸国に移転する動きは拡大しているが、近年、世界的な価格上昇のインパクトはコモディティー価格下落の陰に隠れているようだ。

「中国の労働力縮小と人口高齢化はインフレ圧力をもたらすだろう」と、資産運用会社ピクテのクリストファー・ドネイ氏は顧客向けメモで指摘。「労働コストが上昇し続け、コモディティー価格がこれまでの低水準から回復するならば、インフレ率はいずれ上昇する」

国際決済銀行(BIS)の2015年の調査によると、ある国で労働人口が拡大するとインフレを抑圧する傾向がある一方、高齢者や若年層の増加はインフレ上昇を招きやすいことが分かっている。

ピクテの推計では、人口動態だけで、2025年の中国総合インフレ率は、2002─2015年の平均と比べ25%上昇する可能性がある。2025年の中国国内におけるインフレ率は3%程度にすぎないかもしれないが、同国が過去25年担ってきた役割に容易に取って代わるような安価な労働力が見当たらないため、それは世界的なインフレにかなりの影響を、長期的に与える可能性がある。

しかしこれは、中国にとって悪いことではない。製造業や輸出への依存度を下げ、消費主導の経済成長を目指すために賃金上昇を必要としているからだ。

人口動態の変化には逆らえず、米国と世界におけるインフレ圧力が高まる運命にある一方で、人口高齢化の素晴らしい点は、それが緩やかに進むため政策立案者や企業に適応する時間を与えてくれることだ。

<より破壊的なリスク>

より破壊的な差し迫ったリスクは、新興市場が時間をかけて価格を上昇させることではなく、新たな貿易戦争がグローバルなサプライチェーン網から部分的に新興市場を締め出し、価格を急速に押し上げることだ。

ドナルド・トランプ氏は、中国などが自国を有利にするために世界の貿易システムを操作し、米国経済と製造業の雇用を空洞化させていると非難して大統領に当選した。

「Death by China(中国による死)」の著者であり、トランプ政権で新設された国家通商会議の委員長を務めるピーター・ナバロ氏は、第2次世界大戦後から続く「リベラルな貿易秩序」に狙いを定めた政権の通商政策を明確に打ち出した。エコノミストたちにとっては悩みの種だが、ナバロ氏は貿易赤字を重視し、「もし条件が平等なら存在するすべてのサプライチェーンと生産能力を取り戻す」ことを米国は目指すべきだと語っている。

現時点でナバロ氏は、起こりそうもないそのような変化を駆り立てるべく他国に米国製品を自発的に買うよう求めている。だがもし同氏とトランプ大統領がこの件を非常に真剣に捉えているのであれば、関税や貿易障壁は避けられないだろう。

思い出してほしい。世界銀行からのデータによると、世界の関税率は1980年代初めは平均30%で、1990年代初めには40%に上昇したが、2010年までに約6%にまで低下し続けた。世界のインフレ率も同様の軌跡をたどっており、1990年代の30%から現在は約3.3%にまで低下している。

米国が関税や国境税、その他の貿易障壁を実施すれば、貿易相手国から報復的な対応を招くことから、そのように緩やかに低下してきたインフレ率は、急速に逆回転することになるかもしれない。そうなれば、インフレショックをもたらしかねない。国境税によって、米自動車価格は6─7%上昇して、平均2000ドル(約23万円)から2500ドルの値上がりになるとアナリストたちはすでに予想している。

米連邦準備理事会(FRB)は1回限りの価格上昇のようなものとして「スルー」するかもしれないが、それが賃金と物価のスパイラルに寄与しないことはあり得ず、金利の急上昇を引き起こすだろう。

その一方で投資家は、人口動態がもたらすインフレが彼らにとって最悪の問題だとすれば、それはまだ幸運だろう。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

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http://jp.reuters.com/article/column-emerging-markets-inflation-idJPKBN16K2U8


 

 

Business | 2017年 03月 14日 16:30 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース
中国、1─2月指標は全般に経済の好調示す 不動産など懸念材料も
 

[北京 14日 ロイター] - 中国国家統計局(NBS)が14日発表した一連の指標は強い内容となり、銀行融資の伸びや政府のインフラ支出、民間投資を背景に中国経済が2017年に好調なスタートを切ったことが示された。

好調な経済は、多額の債務がもたらすリスクへの対応に軸足を移す中国の政策当局者にとって歓迎すべきニュースだ。しかし、中国人民銀行(中央銀行)が信用引き締めに動く中、輸出も米国の保護貿易主義に直面する見込みとなっており、エコノミストらはこのペースがどの程度持続可能か確信が持てないでいる。

1─2月の経済指標は鉱工業生産が前年比6.3%増、固定資産投資が8.9%増となり、ともに市場予想を上回った。

ロイターがまとめたアナリスト予想は鉱工業生産が6.2%増、固定資産投資が8.2%増だった。

鉱工業生産は、国内外の需要改善を背景に昨年12月の6.0%増から伸びが加速した。

固定資産投資の伸びも2016年1─12月(8.1%増)から加速した。

民間投資は6.7%増で、こちらも昨年の3.2%増から伸びが加速。民間企業の投資意欲が改善していることを示した。

コメルツ銀行(シンガポール)のエコノミスト、周浩氏は「きょうのデータは主にインフラ支出と不動産セクターの回復が主因のようだ」と指摘した。

OCBCのエコノミストは先週、リサーチノートで、中国の第1・四半期国内総生産(GDP)伸び率が前年比7%と前期の6.8%から加速する可能性があるとの見方を示した。

しかし、OCBCや他の多くの中国ウォッチャーは、昨年の景気刺激策の効果が薄れるに伴い、今春から成長率が減速し始めるとみている。

キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、ジュリアン・エバンス・プリチャード氏は「この強さは投資の急速な伸びに大きく依存しており、当局による今年の財政・金融政策スタンスがそれほど景気刺激的ではなくなるという明確なシグナルを踏まえると持続するのは難しい」と指摘した。

<懸念される分野>

指標は全般的に底堅い成長を示唆する内容となったものの、アナリストは懸念される2つの分野を指摘している。

不動産データはまちまちの内容となり、一部では同セクターが再び過熱しつつある兆候ではないかとの見方が出ている。

1─2月の不動産販売(床面積ベース)は前年同期比25.1%と急増。7年ぶりの大幅な伸びを記録した2016年通年の伸び率(22.5%)を上回ったほか、昨年12月の伸び率である11.8%と比べても大幅増となった。

一方、1─2月の中国不動産投資は前年比8.9%増とロイターが算出した12月単月の伸び率11.1%から鈍化したものの、わずかな減速にとどまった。

1─2月の小売売上高も前年比9.5増と12月の10.9%増やアナリスト予想(10.5%増)を大幅に下回り、約2年ぶりの低い伸びとなった。

*内容を追加します。

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http://jp.reuters.com/article/china-feb-economic-indicator-idJPKBN16L0AJ


中国経済、勢い持続−工業生産と固定資産投資の伸び加速
Bloomberg News
2017年3月14日 11:35 JST 更新日時 2017年3月14日 12:39 JST


1−2月の工業生産は前年同期比6.3%増、予想上回る伸び
都市部固定資産投資は同8.9%増、小売売上高は同9.5%増

今年の中国経済は堅調なスタートを切った。従来型の成長エンジンがペースを加速している。
  国家統計局が14日発表した1−2月の工業生産は前年同期比6.3%増。ブルームバーグが調査したエコノミストの予想中央値は6.2%増。昨年12月は前年同月比6%増だった。1−2月の都市部固定資産投資は前年同期比8.9%増となった。
  1−2月の小売売上高は前年同期比9.5%増。小型エンジン搭載車の減税幅縮小で自動車販売が落ち込み、予想を下回る伸びにとどまった。
  中国当局は今年の成長目標を6.5%かそれ以上に設定すると発表。マネーサプライM2伸び率目標は昨年の13%から12%に引き下げた。経済が安定する中、当局は不動産価格と行き過ぎたレバレッジの抑制に軸足を移している。 
  オーバーシー・チャイニーズ銀行の謝棟銘エコノミスト(シンガポール在勤)は「今回の統計は今年の好調な幕開けを示している。固定資産投資の拡大は主にインフラプロジェクトによるものだ。積極的な財政政策が奏功しつつある」と分析。「官民パートナーシップのおかげで、今年のインフラ分野は全般に力強いだろう。2月の与信データも投資が適切な金融支援を得ていることを示唆している」と述べた。
原題:China’s Economy Holds Momentum as Output, Investment Accelerate(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-14/OMS94W6S972801
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/611.html

[経世済民120] スティグリッツ教授:政府・日銀保有国債の無効化主張−諮問会議 財政ファイナンスを 米生産者物価指数.、市場予想上回る伸び
スティグリッツ教授:政府・日銀保有国債の無効化主張−諮問会議
日高正裕、氏兼敬子
2017年3月14日 18:33 JST 更新日時 2017年3月14日 19:16 JST
 
政府債務が「瞬時に減少」、「不安和らぐ」と−スティグリッツ氏
債務の永久債や長期債への組み換えも提言−金利上昇リスク移転可能
 
ノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ米コロンビア大学教授は14日夕、経済財政諮問会議に出席し、政府・日銀が保有する国債を無効にすることを提言した。

  会議に提出された資料によると、スティグリッツ教授は、政府・日銀が保有する国債を無効化することで、政府の債務は「瞬時に減少」し、「不安はいくらか和らぐ」と主張。また、債務を永久債や長期債に組み換えることで、「政府が直面する金利上昇リスクを移転」できるとしている。永久債の発行は「政府支出に必要な追加的歳入を調達し、経済を刺激する低コストの方法」だとした。

  日本の政府債務については、金利の大幅な上昇で「政府は問題に直面するかもしれない」と懸念を表明。しかし「政府債務を低下させるために消費税を上げることは逆効果」であり、代替案として企業の設備投資を促す炭素税の導入を挙げた。
  スティグリッツ氏は記者団に対し、金融政策では強い経済を取り戻すのに必要な刺激を与えるのは難しい、と説明。財政政策によって、さまざまな分野の構造改革を進めるべきだと述べた。
  スティグリッツ氏は昨年3月、政府が開いた国際金融経済分析会合の初会合に出席し、17年4月に予定していた消費増税について、世界経済が低迷する中での実施は間違っているとして安倍晋三首相に再考を促した。安倍首相は6月、消費増税の再延期を正式に表明した。
スティグリッツ氏の関連記事はこちら
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-14/OMSL6D6JIJUO01


 


米生産者物価指数:2月は前月比0.3%上昇、市場予想を上回る伸び
Shobhana Chandra
2017年3月14日 23:28 JST

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2月の米生産者物価指数は前月比で市場予想を上回る伸びとなった。前年比での上昇率は2012年3月以来の最大だった。
  米労働省が14日発表した生産者物価指数(PPI)は前月比0.3%上昇。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は0.1%上昇だった。前月は0.6%上昇と、12年9月以来の大幅な伸びをとなっていた。
  2月は前年比では2.2%上昇。市場予想は1.9%上昇だった。前月は1.6%の上昇。
  食品とエネルギーを除くPPIコア指数は前月比0.3%上昇。市場予想は0.2%上昇。前年比では1.5%伸びた。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iC1xD6vabj6Q/v2/-1x-1.png

  項目別に見ると、エネルギー価格が前月比0.6%上昇。食品は0.3%上昇した。
  食品やエネルギーなど財部門のPPIは前月比0.3%上昇と、6カ月連続のプラス。エネルギー価格が主導した。電力は1.6%上昇。
  食品とエネルギー、商業サービスを除いたベースのPPIは前月比0.3%上昇した。市場予想は0.2%上昇。前年比では1.8%の上昇。
  サービス部門のPPIは昨年6月以来の大幅な伸びとなった。特に旅行者向け宿泊サービスが4.3%上昇した。
  統計の詳細は表をご覧ください。
原題:U.S. Producer Prices Climbed More Than Forecast in February (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-14/OMT4026JIJUO01


http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/200.html

[経世済民120] 社長は消える、スナックのママは生き残る 収入劇的に下落 老後落とし穴 お金の不安なく100歳 世界最大投資家が働き方改革
社長は消える、スナックのママは生き残る

「ダサい社長」が日本をつぶす!

収入が劇的に下がる近未来のライフスタイル(孫 泰蔵さん 第3回)
2017年3月15日(水)

川島 蓉子

 孫泰蔵さんは、東京大学在学中にYahoo! JAPANの立ち上げに参画したことを皮切りに、世の中の最先端を行くビジネスを次々に手がけてきた方。一度はお会いしたいと思ってきました。

 ただ一方、最先端を行く経営トップだけに、近寄りがたいに違いないし、恐らくファッションにあまり興味がないのかもと、勝手な想像を抱いていたのです。 それがあるイベントでご一緒してびっくり。よく似合う装いをされていて、とてもおしゃれ。しかも、お話がわかりやすくて柔らかい。これは是非、お話を聞いてみたいと思ったのです。早速、お願いしたところ、快く引き受けていただきました。

 聞いてみたいと思っていたのは、何といっても、AI(人工知能)やロボットの進化が進む中、日本の未来はどうなるのか、否、世界の未来はどうなるのか?大きな質問に対して、孫さんの壮大な構想をうかがうことができました。
(前回の記事「2040年頃、今の仕事の8割くらいが消滅する」から読む)

「もうひとつ、人間じゃないとできない仕事がある」


孫 泰蔵(そん・たいぞう)氏

Mistletoe株式会社 代表取締役社長兼CEO 1972年生まれ。佐賀県出身。東京大学在学中にYahoo! JAPANの立ち上げに参画。その後、インターネットのコンテンツ制作、サービス運営をサポートする会社を興す。2002年、ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社を設立、デジタルエンターテインメントの世界で成功をおさめる。その後も、様々なベンチャーの創業や海外企業との大型JVなど、ある時は創業者、ある時は経営陣の一人として、一貫してべ ンチャービジネスに従事した後、2009年に「2030年までにアジア版シリコンバレーのベンチャー生態系をつくる」として、スタートアップのシードアクセラレーターMOVIDA JAPANを設立。2013年、単なる出資にとどまらない総合的なスタートアップ支援に加え、自らも事業創造を行うMistletoe株式会社を創業。21世紀の課題を解決し、世の中に大きなインパクトを与えるようなイノベーションを起こす活動を国内外で本格的に開始、ベンチャーの活躍が、豊かな社会創造につながることを目指している。(写真:鈴木 愛子、以下同)


川島:「創造」そのものは、やはり人間の仕事である、と。逆にいうと、人間の仕事はクリエイティブに向かわざるを得ないというお話ですが、みんながクリエイティブになるって、できるんでしょうか?

孫:ですよね。クリエイティブワーク、創造的な仕事以外に、もうひとつ、人間じゃないとできない仕事ってあるんです。それは、「人づきあい」。ヒューマンタッチな仕事は、むしろこれから大きな価値を持つようになります。たとえば、保険の外交員のお仕事。

川島:保険の外交員?

孫:保険の外交員って、多くの場合、女性がやってますよね。彼女たちは保険を売ってますけど、それだけじゃなくて、お客さんに対していろいろな世話焼きもするという話を耳にします。人生のささやかな不安とか悩みといった領域で、御用聞きみたいな仕事をやっていたりします。こういう「人づきあい」の仕事はAIにはできません。

川島:なるほど!たとえばスナックのママなんかもそうですね。

孫:そうそう。スナックのママやバーのマスターみたいな仕事は、僕たちが人間であり続ける限り、絶対に残るんです。僕ら自身が、そういう「人づきあい」を求めていますから。

川島:AIができることとできないことの境界線はどこにあるんですか?

孫:人間とAIとの差は何か。それは「欲望」の有無です。AIそのものには、欲望というものがありません。偉くなりたいとか、出世したいとか、お金が欲しいとか。もっと言うと、暑いとか寒いとか。なぜかというと、身体というものがないからです。

川島:心=感情もないわけですね。

孫:ありません。欲望がない、ということは、AIには人間の“ニーズ”というものがわからない。だからクリエイティブ=創造的にはなれないんです。つまり、クリエイティブの源にあるのは“ニーズ” 。こういうのが欲しいとか困っているという“ニーズ”を解決するのがクリエイティブの果たす役割なんです。

川島:ピーター・ドラッカーが「顧客の創造」という言葉を残しています。あらゆる仕事は、顧客を創ることである、と。この場合の「顧客」とは、人々の欲望やニーズのことですよね。

 AIそのものは、顧客の創造ができない。保険の外交員は、お客さんのニーズがわかっていて、お世話焼きとして働いている。スナックのママも、お客さんのニーズがわかっていて、話を聞いて相談にのっている。彼女たちの仕事は、「顧客の創造」を繰り返している、ともいえる。

孫:さらに、人間相手の仕事の場合、共感力ということも大事ですね。

川島:共感力のベースにあるのは、人の感情だから、AIやロボットには、臨機応変に対応できないわけですね。

上場企業の社長業はロボットに取って代わられる


川島:「創造=クリエイティブ」と「人づきあい=ヒューマンタッチ」の仕事は、人間が担い続ける。でも、多くのブルーカラーの仕事と、ホワイトカラーの仕事は、AIとロボットに置き換えられる。

 そうなると、疑問に思うのは、現在の企業や国家はどうなるんだろう、ということです。企業も、国家も、膨大なブルーカラーとホワイトカラーが積み重なったピラミッド型の組織ですよね。これが瓦解しちゃうんじゃないかしら?

孫:むしろ、トップから変わっていく可能性があります。上場企業の社長業、経営陣は、ほとんどAIに取って代わられてもおかしくない。私自身、企業経営者をずっとやってきたので実感できますが、社長の仕事の大半って、平素は下から回ってくる稟議の承認なんですよ。

川島:書類に「社長印」をバンバン押すのが仕事(笑)

孫:本当にそうなんです(笑)。あ、笑っちゃった。しかも、上場企業の場合は、優秀な中間管理職が配下にたくさんいるので、上げてきた書類は彼らが完璧に仕立て上げています。「これはコンプライアンスに反していないか」「はい、きちんとチェックしております」「じゃ了解」というやりとりが大半を占めちゃう。

 だったら、このような仕事はむしろAIに任せたほうが間違いがない。過去のケースなんかをすべてビッグデータ解析できるから、間違った道を選ぶ可能性を極限まで減らすことができます。欲望もないから、恣意的な決断もしない。腐敗もなくなりますよ。

川島:たしかに、AIは接待もいらないし、愛人も作らないし、賄賂もいらない。トップの犯罪が成立しなくなりますね。でも、そうなると、トップばかりではなく、中間管理職の人たちの大半の仕事も、AIに置き換えられる、ってことになりませんか。

孫:そうです。だから、農業文明の勃興から数千年続いてきた、巨大なピラミッド型の組織構造は、AIの台頭により、意味をなさなくなってくるんです。ピラミッドを残した組織は、それはやめた組織に勝てなくなるから、自然と崩壊していくはずです。

 社会の仕組みを20世紀モデルから21世紀モデルへ変えなきゃいけないのですが、問題は、その21世紀モデルがどんなかたちになるのか、明らかになっていないことなんですね。僕は基本的には楽観的な人間なんですけど、この社会組織の崩壊と再編に関しては、そう楽観視してはいけない気がしています。IT分野で、技術の進化を思いっきり推進してきた社会的責任があるとも感じているので、僕としては、なんらかの建設的な提案をして、少しでも役立ちたいと思っています。

川島:孫さんが考える未来では、どんなかたちに社会は再編されるんでしょう?

孫:まず急激な勢いで既存の仕事が減っていきます。ブルーカラーの仕事はどんどんなくなるし、ホワイトカラーの仕事も減っていく。となると、まず行政がワークシェアリングを推進すると思います。今は、原則として1日8時間労働で残業は月45時間までと決まっていますが、人々の仕事は1人あたり1日3時間とか4時間労働に減っていく。つまりこれまでは、1人がやっていた仕事を2〜3人でやりなさいとなるわけです。

川島:それはすばらしい!

孫:ただし、仕事が減るだけではなく、収入も減ります。仕事が半分になるということは、収入も半分になるということです。一方で、生活にかかるコストが減るわけじゃないから、家計が赤字に陥っていく可能性が大です。

川島:……どうすればいいんですか?

孫:そう、どうすればいいか。そこで収入に関する「発想の転換」をする。人々にとって大切なのは、実は収入そのものではなく、自由に使えるお金、可処分所得がどれだけあるか、です。たとえ収入が減っても、可処分所得が変わらなければ、生活水準は落ちない。

川島:うーん、わかったような、わからないような。そんなことってできるんですか?

自給型「エコハウス」なら収入が半分でも暮らしていける

孫:できます。つまり、生活コストを劇的に下げれば、収入は減っても、可処分所得は減らない、という状況を作ることができます。ただし、この場合の生活コストの削減は1割2割程度ではダメなわけで、8割くらい下げないといけない。たとえば年収600万円の人の場合、1年の生活コストが400〜500万円くらいとします。ということは、月あたり30〜40万円くらいかかっている生活コストを、5万円程度に下げられるかどうか。

川島:そんなこと、できるんですか?

孫:そこで今度はITを味方につける。ITというのはそもそも、劇的なコスト削減が得意なんです。それとコストを減らすことについて言うと、大きいものから下げるのが鉄則です。企業でいうと、コスト削減のために、コピーの裏紙も使いましょう、というようなことをやるケースがありますが、あれで大きなコスト削減ができるわけじゃない。みんなの士気が下がるだけになったりする。

川島:気分が貧しくなっちゃいますね。

孫:そうそう。電気をこまめに消すとか、鉛筆を最後まで使い切るとかって、それをコスト削減策としてやってしまうと、組織のメンバーの気分が沈滞してしまう。それで生産性や創造力を減じてしまったら、損失のほうが大きい。しかもその程度でできるコスト削減なんか大したことはない。もっと抜本的なことを変えていかないと。

 では、家庭において劇的にコストを下げるためには何を削ればいいのか。そこで日本人の家計の内訳について調べてみました。やはり、家のローンや賃借料といった住むコスト、水道電気光熱費といった生活コストが大きい。家計の42%くらいを占めている。

 じゃあ、このコストを劇的に下げるにはどうすればいいか。たとえば家計の5%くらいまでに下げたら、収入が半分になっても可処分所得を減らすことなく暮らすことができます。

川島:そんなことできるんですか?

孫:普通は無理だと思いますよね。ちょっと面白いアイデアがあるのです。チェコスロバキアのデザイナーが作った「エコハウス」というプロジェクトなんです。ちょっとこの画像を見てください。


川島:卵型をしたものすごくコンパクトな住居ですね。

孫:小さなカプセルみたいな住居なんですが、この住居、風力発電と太陽光パネルで電力を完全自給しているんです。この「エコハウス」に住むとどうなるか。まず、小さいので、土地代があまりいらない。電気代は自家発電だからいらない。さらに水道も雨水をろ過することでゼロにするというプランもあります。

川島:あまりに未来っぽくって、実現可能かどうか判断がつかないのですが……。

孫:たしかに、この写真だけで見ると、「こんなせせこましい繭みたいなところに暮らすのはいやだなあ」と思うじゃないですか(笑)

川島:繭! ウサギ小屋よりちっちゃいですよね。

身軽だけど、決して貧しくない暮らし

孫:ええ。カプセルホテルみたいですよね。もちろん、これをデザインしたチームもそのあたりはよくわかっていて、あえてこういう奇抜なデザインにしているんです。

 実はこの住居は、ライフスタイルという「物語」をまとうのが前提なんです。たとえば、スノーボードやスキーが好きな人だったら、ゲレンデに横付けして住めばいい。満天の星空が好きだったら、世界中にある原野にこの住まいを持っていけばいい。海辺が好きだったら、海岸の近くに持っていけばいい。

 そう、この家は、すぐにどこにでも持っていけるんです。それが大きなポイントなんです。

 これまでの「ラグジュアリーな生活」のありかたって、ベッドルームが3つもあって、ホームシアターがあって、プールもあって、広い庭があって、と、要するに「大きな家」がいちばんえらい、ってことになっているじゃないですか。

 でもそれってもう古い価値観で、21世紀の眼鏡で視てみたら「20世紀の人たちは、土地に縛り付けられて生きていたらしい」ってことになるかもしれない。大枚はたいて長期間のローンを組んで土地をおさえて、大きな家を建てるお金があるんだったら、世界のあちこちを巡って暮らしてみる。極端な言い方をすれば「世界がリビング」みたいに考えた方が、よっぽど豊かだと思うのです。そんな住み方に、例えばこのミニマルな住宅はぴったりなんです。


川島:そう言われてみると、この未来の家、ハイテクなキャンピングカーみたいですね。ただ、持てるものが物凄く少なくなってしまいますね。

孫:我が家でも、引越しの際に改めて気づいたのですが、、ほとんど使わないものがたくさんあって、それをマンションの一角に保管していたわけです。でも、1年に1度しか使わないものは、シェアリングエコノミーの発想からすれば、買うんじゃなくて、その都度借りればいい。そう考えてみると、持つものが少なくても、豊かに暮らすことはできるんですよ、今は。となると、住居のコストはもっともっと抑えられる。つまり可処分所得をキープできるんです。

 アメリカのスタートアップで、顧客の服などを普段は倉庫に保管してくれて、たとえばニューヨークのホテルで何日から何日まで宿泊するというとき、必要な衣類を倉庫からホテルに届けてセッティングしておいてくれるサービスがある。顧客はホテルに手ぶらで行けちゃう。宿泊が終わったら、部屋から引き揚げて倉庫にもどしてくれる。となると、家に服を大量に置いておく必要もなくなる。

川島:どんどん、自分の身の回りにものを持たない暮らしになっていくわけですね。

孫:ITの発展で、身軽になるライフスタイルへと移行できる。しかも、決して貧しくなるわけではないというところがポイントです。

*3月16日公開予定「全員が「副業」を持つ時代になります」に続く


このコラムについて

「ダサい社長」が日本をつぶす!
 日本製のモノが、サービスが売れない。性能はいいのに。機能も充実しているのに。壊れないのに。親切なのに。多くの日本企業が直面している、「いいモノをつくっているのに売れない」問題。
 なぜ、売れない?それは、日本製品の多くが、かっこよくないから。美しくないから。カワイくないから。気持ち良くないから。つまり、デザインがなっていないから。
 どうして、デザインがなっていない?それは、経営者がデザインのことをわかってないから。つまり、経営者が「ダサい」から。だから、デザインをマネジメントできない。
 経営者がダサいと、日本企業はつぶれる。では、どうすれば、デザインをマネジメントできるのか? どうすれば、かっこいいを、美しいを、カワイイを、気持ちいいを、商品化できるのか? どうすれば、ダサい経営から、デザインできる経営に転換できるのか? ifs未来研究所所長の川島蓉子が、時代を切り開く現役経営者やデザイナーにずばり切り込んで、その答えを探ります。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/252773/030600035/

 

 


 
「老後のお金の管理」に潜む落とし穴
あなたを襲う認知症 経営が止まる 社会が揺れる

成年後見制度は課題が山積
2017年3月15日(水)
河野 紀子

「任意後見」は、十分な判断能力があるうちに、自分で後見人や支援してもらう内容を決めておく制度だ(写真:Erickson Productions/アフロ)
 数年前から、自分の老後や最期を考えて準備しておく「終活」が話題だ。終の棲家はどこにするか、どんな介護サービスを受けたいか、お葬式やお墓はどうしたいか──。そんな老後に向けた準備の1つとして、「成年後見制度」が注目されている。

 成年後見制度は、認知症などで判断能力が衰えた人の財産や生活について、法的に定めた後見人が管理する制度で、大きく2つに分けられる。

 まず、判断能力が既に衰えており、親族などが家庭裁判所に申し立てて、家裁が後見人を選ぶ「法定後見」。こちらは弁護士や司法書士などの専門職から選ばれることが多い。もう一つの「任意後見」は、十分な判断能力があるうちに、自分で後見人や支援してもらう内容を決めておくもので、後見人には専門職や親族以外の個人、社会福祉法人やNPO法人などもなれる。

 日ごろから親族と老後について相談しているような人にとって、こうした制度は無縁かもしれない。だが、独居の高齢者は年々増加している。「子供には迷惑をかけたくない」「自分の兄弟や子供は信用できない」など、様々な事情から、成年後見制度を必要としている人がいる。

弁護士や司法書士などの着服件数は過去最悪に

 そして残念ながら、成年後見制度に関するトラブルは、後を絶たない。専門家が後見人だからといって安心できるわけではなく、財産を着服されてしまう被害が後を絶たないのだ。最高裁判所の調査によると、2015年に成年後見制度で後見人を務めた弁護士や司法書士などによる着服などの不正は37件あり、過去最悪の件数だった。被害総額は1億1000万円だった。

 こうした状況を鑑み、日本弁護士連合会(日弁連)は、2017年4月から、成年後見制度で弁護士から財産を横領された被害者に、500万円を上限とする見舞金を支払う制度を始める。対象は被害額が30万円を超える人で、弁護士が弁済できる場合は支払われない。こうした制度ができることはよいが、そもそもあってはならないことだ。

 自分が決めておく任意後見にも課題はある。例えば本人が誤って第三者と不利な契約を結んでしまった場合、法定後見であれば、その契約を取り消すことができるが、任意後見人にはこうした取消権がない。

 また、任意後見はあらかじめ契約を結んでいても、本人の判断能力が低下してその効力が発生する時期までは厳密に決まっていないため、本人と任意後見人になる予定の人との間にトラブルが起きた場合など、スムーズに執行されないことがある。

後見人になることへの委縮ムードも

 もっとも、国はこうした現状に手をこまぬいているわけではない。今後、高齢者、さらに認知症の人の急増が見込まれる中で、国は一般市民の後見人(市民後見人)を増やそうとしている。もともと後見人は専門職がなることが多かったが、それだけでは足りなくなるからだ。また、実際に成年後見制度を利用する人は、近年増加傾向にあるが、2015年12月末現在で約19万人と、その利用が少ないとみている。

 こうした中で2016年5月に「成年後見制度の利用の促進に関する法律」が施行され、9月には内閣府が有識者による委員会を立ち上げた。ここで市民後見人をいかに確保するか、後見人による不正をどう防ぐかなどについて議論された(委員会での検討内容はこちら)。その内容を踏まえて、利用促進に関する基本計画が17年3月にも閣議決定される見通しだ。

 民間企業も、現状を打開するためのサービスに乗り出し始めている。

後見人向けの保険商品も登場

 損害保険ジャパン日本興亜は、2016年4月に後見人向けの保険商品の補償を拡大した。被後見人が他人にけがをさせた場合なども対象とし、さらに17年4月からは、被後見人が間接的に電車を止めて生じてしまった損害もカバーするようになる。同社がこうしたサービスに乗り出したのは、後見人をやることに対する委縮ムードを払しょくしたいという考えからだ。

 きっかけは、16年3月に出た最高裁判決。線路に立ち入った認知症の人が列車にはねられて死亡した際、鉄道会社が遺族に約720万円の損害賠償を請求していた。結果は「遺族は支払う必要なし」との判決となったが、責任無能力者の行動による賠償事故において、後見人の管理責任をどのように考えたらよいのか、に注目が集まった。

 「保険商品を通して、成年後見人を安心して引き受けられるような環境を作っていきたい」と、損害保険ジャパン日本興亜企業商品業務部賠償保険グループの森俊明特命課長は話す。

 城南信用金庫(東京都品川区)は、3月1日から「城南成年後見サポート口座」という従来にないサービスを開始した。

 もともと法定後見制度には、本人の財産を保護する観点から、「後見制度支援信託」という制度がある。日常的に使うお金を後見人が管理して、通常は使わない多額の財産は信託銀行に信託しておく仕組みだ。だがこれを払い戻したり、解約したりするには家裁の指示書が必要で、利用しにくさが指摘されている。

 城南信金のサービスは、金銭の不正を防ぎつつ、使い勝手の良い仕組みを両立するために考え出された。

 被後見人の名義で、2つの口座を開設する。口座Aには生活費など少額、口座Bには日常使わない大口の金額を管理する。口座Aはキャッシュカードを発行し、後見人が1人でも引き出せるが、口座Bはチェック機能を持たせるために、後見人と後見監督人など、署名印鑑を登録して管理する。口座BからAに毎月一定額振りかえるなどのサービスを入れて、利便性も高めたものだ。

 行政の取り組みも進む。埼玉県志木市では、市民後見人を増やしていくための条例案を市議会に提出。3月17日まで開催される市議会で可決されれば、4月1日から施行される。後見人だけに負担がかかるのではなく、地域で後見人と被後見人の関係をサポートしていくような仕組みを築いていく考えだ。

 2012年に462万人だった認知症の人は、2025年には700万人にまで増えると言われている。それまでに認知症の人の財産を適切に管理して、後見人を安心して引き受けられる仕組みをどれだけ整えられるか。民間企業や行政が、さらに知恵を絞っていく必要がある。


このコラムについて

あなたを襲う認知症 経営が止まる 社会が揺れる
3月12日、道路交通法が改正された。
相次ぐ高齢者による自動車事故が、
社会問題化していることを受けたものだ。
これは日本社会が認知症に正面から向き合う第一歩にすぎない。
高齢化社会の中で加速度的に増える認知症は、
国民全員が罹患する可能性がある病だ。
本人の尊厳を重んじると同時に責任のバランスを見つめ直し、
社会の様々な仕組みを再構築する動きが始まった。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/031000124/031400003/


 


 


 

世界最大級の投資家が「働き方改革」を促すワケ

ニュースを斬る

ブラックロック・ジャパン、井澤??幸会長CEOインタビュー
2017年3月15日(水)
杉原 淳一
 600兆円の運用資産を持つ世界最大級の機関投資家「ブラックロック」が、日本の有力企業400社に書簡を送った。同社創業者、ラリー・フィンク会長兼CEO(最高経営責任者)の肉声を伝えるこの書簡は、日本企業に「従業員への積極的な投資」を呼びかける。

 日本株を20兆円以上保有し、“日本株式会社の大株主”でもある同社の呼びかけは、日本企業の経営戦略に大きく影響する。政府の働き方改革とも一致するこの主張はどこから生まれてきたのか。ブラックロック・ジャパンの井澤??幸・会長CEOに、その背景と意図を聞いた。

(※ インタビューの最後に、フィンク会長兼CEOの書簡全文を掲載しています)

井澤??幸(いざわ・よしゆき)氏
ブラックロック・ジャパン 会長CEO
1970年東大工学部卒、三井物産へ。2000年取締役、2008年代表取締役副社長。2009年ゆうちょ銀行社長。2015年5月より現職。69歳。(写真:大槻 純一)


働いている人が不幸せな企業が、成長できるわけがない

今年の書簡は投資先企業に対して「従業員の生活水準の向上」を呼びかけています。長期投資を重視する根幹の部分は不変ですが、例年と比べてかなり違った内容となっていますね。しかも、従業員の能力向上だけでなく、そのやりがいや満足度の重要性にまで言及しています。

井澤??幸氏(以下、井澤):そういう点では、日本政府が進めている「働き方改革」と似ていますね。昨年までの書簡でも、企業に対して長期視点の成長投資を求めてきましたが、順番で言うと、まず工場などの設備投資、次にR&D(研究開発)、そして人材育成という流れでした。

 今年の書簡では、従業員が仕事に対してやりがいを感じていないと、企業の長期的な発展はないと指摘しています。これは確かに大きな変化です。従業員の能力向上だけでなく、やりがいや満足度、生活水準まで焦点を当てたのは、社会から不公平や不平等をなくしたいというメッセージでもあります。従業員にやりがいを感じさせる企業は実際に業績が伸びていますし、我々が投資先企業を評価する際にも、それを重要項目にします。

有力企業に対して、社会や環境への配慮を通じ、より公的な役割を果たすよう強調しているように見えます。

井澤:背景として、世界中で格差問題が勃発していることがあります。都市部の熟練された人にグローバル化の果実が偏っているという指摘は、これまでもありました。フィンク氏は、そうした現実に対応するため、企業がESG(環境・社会・企業統治)と真剣に向き合ってほしいと強調しています。

 投資先企業に対しては、本業の中に構造的にESGを取り入れることができているかを聞きたいと考えています。これまで、我々と投資先との対話では、ESGの中でも企業統治の部分が中心でした。今後は環境・社会の部分も合わせ、集中的に聞いていきます。働いている人間が不幸せな企業が成長できるわけがありません。日本人の一人として、我々の問いかけが、日本社会で働き方改革を加速させる一助になればと思っています。

昨年続いたブレグジットとトランプ大統領誕生の背景に、格差社会への不満があるという指摘は多いですね。

井澤:リーマンショック以降、昨年ほど、世界でいろいろなことが起こった年はありませんでした。ブレグジットに中東情勢の混乱、そして米大統領選――。これまでも経営戦略を考えるときの重要な要素として、原油価格や為替はありましたが、いまや政治状況などを含む環境要因を踏まえて投資判断をしなくてはいけない時代になりました。

 これから我々が投資している企業と対話を進める中で、こうした変化をどう捉え、経営戦略に反映しているのかを問いかけていきます。例えば、英国に工場をもっている企業がブレグジットの進展によって起きうるリスクをどう分析し、移転や代替地の確保をどう考えているのか、といったことが重要な要素になるでしょう。

「我々が期待しているのは、あくまで長期的な成長」

書簡では短期的な配当や自社株買いをけん制しています。機関投資家として、株主還元策はありがたいはずですが。

井澤:最初に言っておきたいのは、我々は配当や自社株買いをすべて否定しているわけではありません。投資家に対するリターンはあるべきです。しかし、我々が期待しているのは、あくまで長期的な成長です。設備や従業員への投資に十分に取り組み、その上で余った資本を活用する施策として、配当や自社株買いを進めることは否定しません。成長投資とのバランスを考えずに、株主還元ばかりすることに釘を刺しているのです。日本企業は現金を積み上げていますから、もう少し成長投資をしてほしいですね。そうしないと、短期志向の投資家が「増配や自社株買いをしろ」と言いやすくなってしまいます。

短期志向の投資家、いわゆる「アクティビスト」の存在について、長期投資を志向する御社としてはどう考えていますか。

井澤:昨年の書簡で言及したのですが、短期志向でもしっかりとした分析に基づいて企業と対峙するアクティビストはいます。我々との違いは、短期でのリターンを求めるか、それを長期で求めるかの違いです。実際、投資先企業に対しての指摘は、3分の1くらい共通していますしね。我々と彼らは対立軸にいるわけではなく、その存在を否定してはいません。

 日本株はPBR(株価純資産倍率)で見ても割安になっています。日本企業はこの10年間でバランスシートをスリム化し、グローバル化で手を打つなど、非常に強くなりました。デフレ、リーマンショック、急激な円高など様々な苦労を乗り越えてきましたしね。しかし、経営者の能力によって結果は相当な違いが出ています。経営者の能力は、そのまま従業員の能力になります。そういう意味で、投資先企業のトップには「自分の次のトップ、そして将来の幹部候補生をどう育成・教育しているのか」ということを重点的に聞きたいと考えています。

(以下、フィンク会長兼CEOの書簡全文)


拝啓 時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。

 当社はこの数年に亘り、世界を代表する企業の経営者の皆様に書簡をお送りしています。当社のお客様の多くは、リタイアメント後の生活資金や子供の教育資金など将来に備えて投資を行っており、企業にとって最も重要なステークホルダーです。私はフィデュシャリー(受託者)として、投資の長期的な企業価値の最大化に寄与し得るガバナンスの取組みを奨励するために本書簡をお送りするものです。

 昨年、当社は経営者の皆様に、長期的な価値創造に向けた経営戦略を株主に説明いただくとともに、それが取締役会で議論と承認を経たことを明示いただくようお願いしました。多くの企業がこれに応じて下さり、具体的な経営戦略のみならず、取締役の関与など戦略策定時の厳格なプロセスをご説明くださいました。その結果、株主は企業の長期経営戦略の内容やその進捗状況を適切に評価することができるようになりました。

 過去一年の間に、低インフレやグローバル化の拡大など、長期経営戦略のベースとなっていた前提条件の多くが覆りました。ブレグジットを機に欧州のあり方が見直されており、中東情勢の混乱が世界に影響を及ぼしています。米国に目を転じると、リフレーション、金利上昇、新たな成長局面が見込まれます。また、トランプ大統領による新たな財政、税制、通商政策が経済情勢に広く影響を与えることが予想されています。

 こうした変化の根底にあるのは、グローバル化と技術革新が労働者や地域社会に及ぼす影響への反発です。私は、グローバル化の恩恵は大きく、グローバル企業は世界の経済成長と繁栄のために重要な役割を果たしてきたと確信しております。しかしながら、その果実は必ずしも公平に分配されてきたわけではなく、高度なスキルを持ったとりわけ都市部の人材に偏っていたのです。

 賃金上昇の格差に加えて、テクノロジーの進歩が労働市場のあり方を根底から覆しています。教育水準の高い従業員には新たな機会をもたらしていますが、熟練度の低い従業員の職は数百万単位で消滅しています。技術革新により役割を失った従業員の多くは、リタイアメントに向けた十分な貯蓄もありません。リタイアメント後に必要な資金の確保が、企業ではなく個々の従業員に求められるようになってきたことが、その一因として挙げられます。

 こうした動向は世界の政治経済に甚大な影響を及ぼし、世界中のほぼ全てのグローバル企業が必然的に影響を受けることになります。そのため、企業は自らを取り巻く環境の変化をリアルタイムで把握し、柔軟に戦略を適応させていくことが重要です。

 当社は本年の対話において、昨年起きた世界的な環境の変化を経営者の皆様がどのように認識して経営戦略に反映させているか、といった点に注目しています。具体的には、こうした変化が経営戦略にどのような影響を与えているのか、また新たな環境において方向転換が必要な場合にはどのような対応が考えられるのか、お伺いしたいと考えています。

 ブラックロックは、長期の視点のもと企業と対話を行っています。当社のお客様の多くは、インデックス型投資を通じて企業株式を長期的に保有しており、インデックスに特定の銘柄が含まれる限り売却することができないことから、究極の長期投資家と言えるでしょう。当社はフィデュシャリー(受託者)として、コーポレートガバナンスを特に重視しています。そして、長期的な企業価値に影響を与え得る課題について対話や議決権行使を通じて意思表明します。アクティブ運用者によるETFの活用などインデックス型投資の拡大が続く中、企業と対話を重ね、社会に広く提言していくことが長期投資家の利益を保護する上で従前以上に重要となってきています。

 当社は企業との積極的な関わりを通じて長期的な価値の創出に努めていますが、事業に細かく干渉しようとしているわけではありません。むしろ、長期的な価値創造に向けた取締役会の機能や責任を明確にすることを重視しています。また長期主義は、永続的な容認主義と同義ではありません。万一、対話を通じて進展が見られない場合、あるいはお客様の長期的な経済的利益を守ろうとする当社の主張に対する企業の説明や対応が不十分な場合には、取締役の選任や不適切な役員報酬に反対票を投じる場合もあります。

 事業に関連する環境・社会・ガバナンス(ESG)は、企業が長期的な視野に立っていかに事業を推進しているか、重要な示唆を与えてくれます。ビジネスモデルや事業の持続可能性、環境への配慮、地域社会の一員としての役割など、長期的な成長に影響を及ぼす可能性がある要因を確認します。グローバル企業は、事業を展開する各々の市場において地域に根ざした存在であるべきです。

 また当社は、研究開発、技術革新に加えて、従業員の能力開発や生活水準の向上に向けて企業が積極的に投資しているかについても注視しています。企業の長期的な繁栄のために従業員のやりがいと満足度がいかに重要であるかは、冒頭に述べた昨年の一連のイベントが物語っています。

 多くの企業が長期主義を重視する姿勢を表明していますが、そのコミットメントに相反し、従来通り積極的な自社株買いが実施されています。実際、2016年7-9月期末までの12カ月間にS&P500指数構成企業による配当と自社株買いの総額は、その営業利益の総額を上回りました。余剰資金の株主還元には賛同しますが、将来の成長に向けた投資と資本還元とのバランスに配慮する必要があります。自社株買いは、資本コストや将来の成長に対する投資の長期的なリターンを最終的に上回ると確信できる場合にのみ実施するべきでしょう。

 もちろん、民間の努力だけでは社会に悪影響を及ぼす短期主義の潮流を変えることは困難です。税制改革、インフラ投資、年金制度の強化など、長期的な目標の実現を後押しする政府の政策も望まれます。

 米国では今年、税制改革が審議される予定ですが、短期保有よりも長期投資に真の意味で報いるキャピタルゲイン税制の導入が望まれます。1年という期間は、長期保有の視点からはあまりに短すぎます。保有3年目以降の利益を長期投資による利益として優遇し、保有期間に応じて段階的に税率を引き下げることも検討に値するでしょう。

 税制改革に米国外からの資金還流に対する税率引き下げが盛り込まれた場合、当社は、企業が資金を米国に還流させる考えがあるのか、ある場合はその資金の使途、戦略的な位置づけ等を確認したいと考えています。例えば還流資金を単純に自社株買いの増額に充てるのか、あるいは株主への資本還元と将来の成長に向けた投資とのバランスを考慮した資本政策に組み込まれるのか、といったことを伺いたいと考えています。

 トランプ大統領はインフラ投資に関心を示しています。これは、経済全体の生産性の向上と雇用の創出という二つの効果をもたらします。後者については、技術革新で職場を追われた労働者への雇用創出という側面が特に強いでしょう。しかし、インフラ投資は雇用喪失を一時的に緩和できたとしても、それだけでは課題の根本的な解決にはなりません。高度な技能を有する人材が不足し、技術職の確保に苦慮している企業は、研修や教育制度を充実させて人材を育成し、従業員に対する責務を果たさなければなりません。企業が近年の経済の変化による恩恵を十分に享受し、長期的な成長を維持するためには、収益の源泉である従業員の能力を高め、例えば、かつて機械を操作していた従業員がその機械のプログラミングを行えるよう支援する必要があります。

 最後に、米国および世界の退職年金制度について申し上げます。企業年金の恩恵を享受するに至っていない多くの中小企業の従業員を含めた全ての従業員を対象とする安定した年金制度の確立に向けて、企業は動き始めるべきではないでしょうか。リタイアメントの危機は解決不能ではなく、打ち手はいくらでもあるように思います。例えば、自動登録や拠出率の自動引上げ制度、中小企業のための共同拠出型年金、さらにカナダやオーストラリアのような強制拠出モデルなども検討に値するでしょう。

 もう一つの重要な点は、リタイアメントにいかに備えるか、従業員の理解を促すことです。従来の年金制度が確定拠出型に移行し従業員の責任が増していることを踏まえると、企業は年金制度の管理者として、従業員の金融知識を高める責務があるのではないでしょうか。資産運用会社も重要な役割を担っていますが、残念ながら資産運用業界全体として、これまで十分な役割を果たしているとは言えません。今こそテクノロジーを駆使して、人々が金融知識を十分に強化する機会を遍く提供し、資産運用のために適切な判断を下せるよう支援することが重要です。リタイアメントの課題を解決し、グローバル化の流れに適応する手助けをするためにも、従業員の退職後の生活保障が経済の安定に関わる共通の課題であるとの信念の下で企業は一段と努力し、行動する必要があります。

 世界経済の繁栄とその果実の分配を通じた安定は、投資家、企業、政策決定者がともに長い時間をかけて取り組み、実現されるものです。企業経営者の皆様が事業戦略を策定される際には、世界で起きている変化の根底にあるダイナミズムを十分に意識いただきたいと切に願います。貴社と世界経済の繁栄は、そうした姿勢と覚悟にかかっているのだと考えます。

敬具

ブラックロック・インク
会長兼最高経営責任者(CEO)
ラリー・フィンク


このコラムについて

ニュースを斬る
日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/031300620/


 


 


 


 


 


 


どうすればお金の不安なく100歳まで生きられますか?
生き抜くために必要な「お金の知恵」

近藤世菜


100年続く人生を安心して生きるためには、一体どれくらいのお金が必要なのでしょうか。
2月11日に行われたイベントで、金融のプロ山崎元さんとファイナンシャルプランナーの岩城みずほさんが、より豊かに人生を生きるために考えたいお金との付き合い方について語りました。
今回、このイベントを主催したのはNPO法人「ルーム・トゥ・リード・ジャパン」。途上国の子供たちが初等教育を受けられるように支援を行っている団体です。山崎さんと岩城さんがその活動に共感したことで、ボランティアでの登壇が実現し、参加費のうち、予約システムの使用料を除いたすべての金額が「ルーム・トゥ・リード・ジャパン」へ寄付されました。
運用や投資だけでなく寄付という選択も含めて、お金をどう使うかは自分の生き方を示す手段です。お金に縛られるのではなく、人生をよりよくする手段として使いこなすためには、どのようなことを意識すればいいのでしょうか。
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必要貯蓄率を守れるなら面倒な計算や節約は必要ない
まず、話題に上がったのが100年続く人生を見越した貯蓄の方法について。
2050年には、女性の4人にひとりが98歳、男性の4人にひとりが93歳まで生きると言われています。つまり、リタイアメントした後の人生が30年以上続く人が少なくないということです。お金の心配なく一生を過ごすためには、老後の蓄えを確保しておくことが大切です。
岩城:総務省の家計調査によると、世帯主が60歳以上で2人以上の無職世帯の支出は、50歳代の世帯の支出の約7割です。逆に言えば、退職後も支出が大きく減るわけではなく、7割ほどにしかならないということです。さらに、公的年金の財政検証によると年金の支給額が減っていくことはほぼ間違いありません。つまり現役時代にお金をしっかり貯めておく必要があるということです。
とはいえ「お金を貯めることばかりにとらわれて、もっとも大切な人生の目標を見失うことは本末転倒です」と岩城さんは言います。
岩城:毎月の必要貯蓄率を達成していれば、ストレスのかかる節約などにとらわれる必要はありません。上手にお金と付き合っていくためには、使ってよいお金は自由に使えばよいのです。
必要貯蓄率の計算式

https://moneyforward.com/media/wp-content/uploads/sites/2/2017/03/49ef72b19c9b2addea8db508ca9b00b7.jpg

X:老後生活費率
現役時代の生活費を「1」とした時の老後の生活費の比率。「0.7」程度になる人が多いが「リタイアメントまでに住宅ローンを払い終わる」「老後は物価が低い郊外で暮らす予定」など、生活費が減る要素があれば「0.5〜0.6」くらいの数値を当てはめてもよい。
Y:手取り年収
「今後の」現役時代の年収の平均額。40代前半での年収が生涯の平均年収になることが多いので、若い方は会社の先輩の年収を参考にしよう。結婚している場合は世帯合計の年収で考えても、あるいは主な稼ぎ手の収入をベースに考えて、もう一方の収入をすべて貯蓄にまわすことにして「現在資産額」として考えてもいい。自営業の場合は、不安定な要素が多いので、少し厳しめの金額に設定しておく。
P:年金額(年間)
将来受け取れる年金の年間予想額。厚生年金の場合、現在支給されている額は「現役世代の手取り年収×0.5」ほどだが、今後下がっていくことが予想されるため「手取り年収×0.3」程度で計算しておくとよい。自営業者などは、「0.15%」程度と、厳しめに見積もっておく。
A:現在資産額
現在持っている資産の合計額。株や投資信託は時価で、貯蓄性の保険等もここに算入する。確定拠出年金や退職一時金の目処がついていれば算入してもよい。
a/b:現役年数/老後年数
今後現役で働く年数と、引退してからの老後がどれくらい続くのかという予想の年数。自分が引退しようと思う年齢から、現在の年齢を引いた数が「現役年数」、寿命を迎える年齢から、現役を引退する年齢を引いた数が「老後年数」になる。寿命を迎える年齢は95〜100歳に設定しておいた方がいい。
上記の数式は、山崎さんと岩城さんが共著した『そこ、ハッキリ答えてください!「お金の考え方」このままでいいのか心配です。』での対話のなかで、「必要貯蓄額が確保できるなら、あとは面倒くさいことを考えなくていい」(同書p.100より引用)という岩城さんの言葉を受けて、山崎さんが考案したものです。
算出された「必要貯蓄率」を「手取り年収」に掛けて、12ヶ月で割ると「ひと月あたりの必要貯蓄額」が求められます。
山崎:実際に計算してみると、必要貯蓄率は20%程度になる人が多いようです。実現は、やや苦しいと思う方が多いかも知れません。また、ごく稀には、すでに多くの資産を持っていて、必要貯蓄率がマイナスになる人もいます。その場合は、もう少し自由にお金を使ってもいいということです。
岩城:この数式は、今後どういう生き方をしていくかの指標になるものです。必要貯蓄率を下げたければ、老後生活費率を下げたり、現役年数を増やしたりといった工夫をする必要があります。この必要貯蓄率さえ守っていれば無理な節約をする必要はなく、使っていいお金は自由に使ってかまいません。お金よりもっと大切な人生のことに注力して生きていきましょう。
山崎:お金のことを意識しすぎることも、大きな損をすることもなく生きていけるのが理想的です。お金のことばかり考えて生活していても楽しくありません。面倒くさいことは考えなくとも、安心して人生を送れるように、現在使うお金と将来使うお金の配分をあらかじめ決めておこうというのがこの数式の主旨です。

資産はリスクを取るものと取らないものに分けて運用する
続いて話題は、投資と運用について。
山崎:投資や運用において頭に入れておきたいのは、お金の持つ3つの自由の性質についてです。
1.使い道の自由
医療費に使うにしても、老後の生活費にあてるとしても、寄付をするにしても、お金の使い道は後から自由に考えることができます。これが使い道の自由です。
2.形の自由
例えば、100万円でも1億円でも同じ投資信託を買えば、リスクとリターンは変わりません。お金をどんな形で持っておくかに制限はないということです。
3.大きさの自由
仮に、老後のために3,000万円の貯蓄をすると目標を立てたとして、結果として4,000万円貯まっても問題があるわけではありません。たくさんあっても困らないという意味で大きさの自由があります。
山崎:これらの性質をつきつめて考えると、お金の増やし方は、単に合理的に、つまりもっとも効率良く扱えばいいだけで、基本的に誰しも同じでかまわないということになります。どれだけのお金を持っているかや家族の事情などで、取ることが適切なリスクの大きさは個人によって変わりますが、将来の使い道と運用方法を紐付ける必要はないし、それぞれの人に適した別の運用方法があるというわけではないのです。
それでは具体的にどのような運用をすれば合理的にお金を増やすことができるのでしょうか。
山崎:まず大枠として、資産はリスクを取って運用するものとリスクなしで運用するものに分けて考えるところから始めましょう。

山崎:これは、私がさまざまなケースから導き出した目安ですが、以下で述べるような運用を行う場合、最大の損失は年間1/3、平均の運用利回りの年率は5%くらいだと想定しておくといいと思います。
リスク資産は外国株式のインデックスファンドと国内株式のインデックスファンドで持っておくといいでしょう。インデックスファンドは、運用内容に大差があるわけではないので、信託報酬がなるべく安いものを選ぶのがポイントです。
無リスク資産は、変動金利型10年満期の個人向け国債が圧倒的に有利です。一番のメリットは金利の上昇リスクに強いこと。例えば、いまほぼ0%の利回りが3%まで上がったとすると、国債の価格は30%下落します。これは何行かの銀行が倒産するくらい大変な事態です。
でも、個人向け国債なら元本が確保されているから損をすることはない。また現在、10年定期預金の利回りは0.01%くらいですが、個人向け国債の変動金利は最低0.05%で設計されているので、定期預金より変動金利型個人向け国債の方が利回りがいいのが現状です。加えて、信用リスク面で銀行預金よりも安全です。
ここで知っておきたいのが、自分がどれだけのリスクを取れるのかです。具体的な数値で考えることはできるのでしょうか。
山崎:リスクを考える際に大事なのは、損してもいい金額についてです。ただ1,000万円の損をして、3,000万円の資産が2,000万円になってしまったといっても、どれくらいのインパクトがあるのかいまいちピンときませんよね。その時、基準となるのが「360」という数値です。
この「360」という数値は、老後年数30年を月で換算した360か月のことだと言います。
山崎:360万円あれば、老後の定期収入に加えて毎月1万円余計に取り崩せるということです。逆に、360万円の損をすると、老後に使えるお金が月1万円減ると考えればいいわけです。月1万円といっても、それが決定的に困る人もいれば、そこまで大きな打撃ではない人もいます。自分がどれだけリスクを取れるのかは、老後の生活を予想したうえで「360万円」を基準に考えるといいでしょう。
リスク資産は置き場所が重要
前述の基本構造に則って、リスク資産を賢く運用するためには、その置き場所が重要になってきます。山崎さんが勧める資金の置き場所はその優先度順に「確定拠出年金」「NISA」「課税口座」の3つです。

山崎:圧倒的に有利なのは確定拠出年金です。なぜなら所得控除が受けられるからです。例えば会社員の場合、確定拠出年金の限度額は月2.3万円ですから、年間27.6万円を無課税で積み立てることができます。リスク資産の運用は確定拠出年金制度を最大限活用するのがもっとも合理的な選択です。NISAは運用益に課税されないので、2番目に有利な置き場所と考えます。最後に課税口座という順番です。
では、それぞれの場所にどんな金融商品を置いておけばいいのでしょうか。それを表したのが下記の図です。

山崎:具体的な商品については、まず確定拠出年金で、外国株式インデックスファンドのうち一番手数料が低いものを選ぶのが得策です。NISAは、流動性も自由度も低いので、投資する金額はバランスを考えて見積もり、TOPIX連動型のETFがよいでしょう。
奨学金には安易に手を出さない方がいい?
イベント終盤には、山崎さんと岩城さんが参加者からの質問に答えるコーナーが設けられました。
Q:なぜ老後の生活費を70%ほどにしか抑えることができないのでしょうか?
岩城:これは推測ですが、住宅ローンを払い切っていない人が多いのではないかと思います。我が家では、夫があと10年くらいでリタイアする予定なのですが、去年子供の教育費がかからなくなったタイミングで、住宅ローンをあと10年で払い切れるようにしました。
退職金で住宅ローンを払おうと思っている方もいるかもしれませんが、退職金は老後の資金として大事に活用した方がいいです。また、繰り上げ返済はやりすぎると貯蓄ができなくなるので、バランスをしっかり考えましょう。
山崎:繰り上げ返済と貯蓄、どちらを優先すべきかというのは微妙な問題です。1%の利回りのローンで借金を返すということは、リスクゼロで利回り1%の預金にお金を入れることと同じです。1%といえばかなり高い利回りですから、理屈としては繰り上げ返済を優先した方が得です。
でも、繰り上げ返済のために自由に使えるお金が少なくなり、例えば病気に備えて医療保険に入るということになると本末転倒です。そもそも借金がある状態はかなり不利なので、ローンを組むこと自体を考え直した方がいいかもしれません。
Q:老後の必要貯蓄額にプラスして子供の教育費を貯めるにはどうしたらいいのでしょうか?
岩城:まず、先ほどの山崎さんのお話にもあったように、お金には使い道の自由がありますから、貯める時にあまり区別はつけなくてもかまいません。教育費のためというと、みなさん学資保険を思い浮かべると思いますが、現在の返戻率ではおすすめできません。NISAをはじめ、非課税で運用できる場所で、効率的にお金を増やす方がお金は貯まりやすいです。
すでに、利回りのよくない学資保険を持っていて、貯蓄が思うようにできないという方は「払済保険」にするという方法があります。これは、生命保険料の払い込みを中止し、その時点での解約返戻金相当額を一時払い保険料として、元の保険契約の主契約と同じ種類の保険に切り替えることです。特約はなくなりますが、契約時に約束された利回りで運用してくれます。こうして、それまで支払っていた保険料相当分を貯蓄に回すとよいでしょう。
山崎:可能な範囲のリスクのなかでお金を運用するのは合理的な選択ですが、例えばいくら貯めるために何%で運用しようというようなことは考えない方がいいです。運用とは「運を用いる」と書くくらい不確実性の高いものです。計画が必要なのはむしろ貯蓄の方です。大切なのは投資より貯蓄だと改めて言っておきます。
Q:教育費に奨学金を活用することについておふたりはどう思いますか?
岩城:大学の勉強が忙しいとアルバイトをする暇もなく、サークルやゼミの旅行や留学など、お金のかかる場面はたくさんあります。だから奨学金を活用することは決して悪いことではないのですが、個人的にはあまりおすすめできません。奨学金を借りると未来に借金を残してしまうことになるので、できる限り親が負担してあげた方がいいと私は思います。
山崎:私は、奨学金はそんなに悪くない選択だと思います。今、奨学金の利率は0.1%と低めですから、アルバイトをして勉強する時間を犠牲にしてしまうことの方がむしろもったいないです。
大学生の時の時給はせいぜい1,000円程度ですが、将来年収500万円稼げるようになった時の時給は2,500円くらいにまで上がります。つまり収益性が高くなった状態で学生時代の時間を買えるということです。学生のころの時間を有効に使うということを考えると、奨学金という選択も十分合理的だと思います。
一方で、そもそもみんながみんな大学に進学する必要があるのかということこそが疑問です。例えば、芸事や職人の道を考えると、なるべく早くからトレーニングした方がいい。子供にとって大学に行くことが本当にベストなことなのか、10代のうちに一度しっかり考えてみた方がいいかもしれません。
岩城:現在は非常に低い利回りですが、今後、借入をする際には、その時の借入金利を確認し、計画的に利用をしてください。

https://moneyforward.com/media/life/29297/



http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/205.html

[自然災害21] 南海トラフ地震で145万世帯余りが流出…シミュレーションが凄い 文部科学省の委託研究チームが南海トラフ地震想定した被害試
南海トラフ地震で145万世帯余りが流出…シミュレーションが凄い
文部科学省の委託研究チームが南海トラフ地震想定した被害試算を公表し話題に…現状と今後の動きが気になります。
https://matome.naver.jp/odai/2148937305381210301
更新日: 2017年03月13日
キメラのつばささん




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南海トラフ地震が発生した場合の試算が公表される

出典upload.wikimedia.org
マグニチュード9級の南海トラフ巨大地震が起きた場合、
大阪や名古屋は震度6強以上の揺れに、太平洋沿岸は30メートル以上の大津波に襲われると想定されている。
出典南海トラフ巨大地震解明へ 海底の監視強化|日テレNEWS24
達するとの試算を、文部科学省の委託研究として東京大や名古屋大の研究チームがまとめた。
出典南海トラフ地震、広域避難は最大145万世帯に - BIGLOBEニュース
東日本大震災の際には同じ自治体内も含めて約33万世帯が転居したが、それを大きく上回る恐れがある。
出典南海トラフ地震、広域避難は最大145万世帯に(読売新聞) - goo ニュース
広井悠・東大准教授(都市防災)らのシミュレーションによると…

出典headlines.yahoo.co.jp
https://amd.c.yimg.jp/amd/20170312-00050112-yom-000-11-view.jpg

南海トラフで起こる地震の中でも、東海地方が大きく被災したケースを想定。
出典南海トラフ地震、広域避難は最大145万世帯に (読売新聞) - Yahoo!ニュース
246の市区町村のおよそ145万6000世帯が流出するおそれがあることがわかりました。
出典南海トラフ地震で人口大規模流出か 最新シミュレーション | NHKニュース
流出する世帯数で見ると、最も多い愛知県がおよそ22万7000世帯、静岡県がおよそ18万8000世帯、高知県がおよそ14万6000世帯などとなっています。
出典南海トラフ地震で人口大規模流出か 最新シミュレーション | NHKニュース
海上保安庁も海底の監視強化へ

アマナイメージズ海上保安庁の船 by アマナイメージズ
次に起きると懸念されている南海トラフ巨大地震。
海上保安庁はこの地震のメカニズムを解明しようと、海底の動きの監視を強めている。
出典南海トラフ巨大地震解明へ 海底の監視強化|日テレNEWS24
この南海トラフで去年、地震を引き起こす地殻の「ひずみ」が広い範囲でたまっていることが分かりました。
出典南海トラフ広範囲で“ひずみ” 海底調査が語る警鐘

出典www.sankei.com
南海トラフ沿いに蓄積するひずみの分布。色の濃い部分に大きなひずみがたまっているらしい!
南海トラフ沿いのひずみの分布を詳しく解析したのは初めて。
出典四国沖で地殻のひずみ蓄積 南海トラフの震源域 海上保安庁が観測、ネイチャー電子版に発表(1/2ページ) - 産経WEST
南海トラフ想定震源域のひずみの分布状態が初めて明らかに|海上保安庁
http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/kouhou/post-250.html
そもそも「南海トラフ」とは?

Amazon池上彰とメ〜テレが真剣に考える 南海トラフ巨大地震から命を守れ!
四国の南の海底にある水深4,000m級の深い溝(トラフ)のこと。
出典南海トラフ - Wikipedia
フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込む場所。南海地震、東南海地震の発生が懸念されている。
出典南海トラフとは - はてなキーワード
この南海トラフ地震の試算公表のニュースはネットでも話題に

GettyImages
あまりの規模の大きさに…

Y.いっくん.dot com☺︎@aramakiiku
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南海トラフにおける地震が発生した場合に約145万世帯の避難が見込まれるってやばくない?
返信 リツイート いいね 2017.03.13 12:27

ビビディ@merC_viviD
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私の住んでるとこヤバいんだよね 南海トラフ…
返信 リツイート いいね 2017.03.13 12:24

ぽんむー@ponmuu2015
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南海トラフ怖い…。
返信 リツイート いいね 2017.03.13 12:17

須田@s_talemate
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南海トラフで心配な場所に住んでいる知り合いが大勢いるから本当どうなるの不安がやまない
返信 リツイート いいね 2017.03.13 12:16

ひらたて@00TIT
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、、 南海トラフ地震 対策について 、、、、 なんかいいアイデアある?
返信 リツイート いいね 2017.03.13 12:18

アマナイメージズテーブルにもたれかかる20代女性 by アマナイメージズ
一方でこんな声も…

ねぎとろ ID@negitorotter
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南海トラフ起きると四国はもぬけの殻になるな。
返信 リツイート いいね 2017.03.13 12:11
ガヴリール@Psa_Clovis
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南海トラフがこわいからって山陰北陸地方に移ったらそこで地震が発生するってのがお約束
返信 リツイート いいね 2017.03.13 12:20

松明屋アリサ中尉@Alisa_Miguel
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南海トラフ地震後の人口流出グラフをみたら、名古屋が消滅するように見えた
返信 リツイート いいね 2017.03.13 12:45
Robert Geller氏からは南海トラフ関する持論も

アフロRobert Geller, Professor of Geophysics, Department of Earth and Planetary Science, Graduate School of Science of the University of Tokyo, speaks during an interview with Reuters at the university in … by 写真:ロイター/アフロ
地震学者ゲラー ロバート氏からは…

Robert Geller@rjgeller
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政府は40年前から「東海地震」は迫っているとした。15年前に「南海トラフ巨大地震」に名称変更で国民を煙に巻こうとした。でも、起きたのは都北で3.11。東海〜南海に何もなかった。誰でも、政府の予測の無意味さに気づくはずだ。素人記者でも。何故マスコミは未だに政府の予測を垂れ流すのか?
返信 リツイート いいね 2017.01.25 10:12

Robert Geller@rjgeller
フォローする
そもそも、何故政府は「東海地震」が迫っているというのか、科学的根拠は皆無に等しい。誰でも、石橋氏の元の論文(1977年)を読めばわかるはずだ。cais.gsi.go.jp/YOCHIREN/repor… マスコミは何故政府の東海地震(「南海トラフ巨大地震)の宣伝に敬遠するのか、理解し難い!
返信 リツイート いいね 2017.01.24 16:23
ちなみに、ちょっと気になる地震に関連するニュース

出典ryutsuu.biz
セブンイレブン/津波救命艇(定員25人)、高知・愛知・静岡の3店舗に設置
出典セブンイレブン/津波救命艇(定員25人)、高知・愛知・静岡の3店舗に設置 (2017.03.09)|流通ニュース
東日本大震災から11日で6年…日本の地震リスクに備えるために
出典東日本大震災から11日で6年…日本の地震リスクに備えるために - All About NEWS
福島・茨城沖 「正断層」タイプの地震に注意を
出典福島・茨城沖 「正断層」タイプの地震に注意を | NHKニュース
驚異の的中率『MEGA地震予測』が指摘する「2017年ここが危ない」
出典驚異の的中率『MEGA地震予測』が指摘する「2017年ここが危ない」 - まぐまぐニュース!
今後の地震関連の動きに注目が集まります。

アマナイメージズ非常用避難セット by アマナイメージズ
海底にケーブルを引いて専用機器を設ければ、地震や津波発生を素早く検知し、メカニズムの研究も進むことが期待
出典海底観測網、整備遅れ 日向灘など南海トラフ西側 - Miyanichi e-press
「大規模な人口流出が起きたときに発生する問題の対策は、まだ進められていない。東日本大震災から6年がたった今こそ、どのような制度や枠組みを事前に用意しておけばいいか、考え始める必要がある」
出典南海トラフ地震で人口大規模流出か 最新シミュレーション | NHKニュース
海上保安庁は観測回数をさらに増やし、監視を強化することにしている。
出典南海トラフ巨大地震解明へ 海底の監視強化|日テレNEWS24
https://matome.naver.jp/odai/2148937305381210301?page=2 


http://www.asyura2.com/15/jisin21/msg/789.html

[経世済民120] 日本人ほど人生が自由にならないと思っている国民はない 若い世代に元気がないのは当然 家計の貯蓄率、15年ぶり高水準 実態
2017年3月15日 本川 裕 [統計データ分析家]
日本人ほど人生が自由にならないと思っている国民はない

人生は自由になる面とならない面とが
半々と考える日本人
 5年毎の世界価値観調査では、毎回、「あなたは、ご自分の人生をどの程度自由に動かすことができると思いますか」という問に10段階で答える設問を継続している。データが入手できる最新のデータは、2010年から2014年にかけて60ヵ国で実施された2010年期の調査結果である。
 図1上には、まず、日本の2010年期の結果を10段階ごとの回答率で示した。回答結果は5、すなわち「人生は全く自由にならない」と「人生は全く自由になる」の真ん中に票が集まっている。つまり、人生は自由にならない面と自由になる面とが半々と考える日本人が多いことを示している。また、5より小さい方より5より大きい方の回答の方が多くなっているが、ほぼ、標準的な“山型”をしている。

◆図1 「人生は自由になるか」の回答分布(日本)

http://diamond.jp/mwimgs/5/d/-/img_5d23e6e1a9593332147890c83bb480d7344072.jpg

 これだけ見れば、日本人であれば、何の不思議もない結果だと思うであろう。ところが、世界の中では、これは非常に特異な回答結果なのである。
 この点について触れる前に、世界価値観調査がはじまった1981年以降のこの設問の結果推移を見ておこう。図1下には、平均点で推移を示した。バブル経済が破綻し、失われた10年といわれた1990年〜2000年の時期でも、実は、人生の自由度は上昇したという回答結果となっている。この時期、人々の不自由感が増したわけではなさそうである。
 その後、2005年も平均点は若干上昇したのち、2008年のリーマンショック、2009年の民主党への政権交代をはさんで、2010年には平均値が低下している。この急降下の理由は気になるところだが、今回の論考ではそこには触れない。
 なお、男女別には、男が女を上回る年もあれば下回る年もあるという結果となっており、ほぼ男女の差はないといってもよかろう。

各国社会の自由度ではなく
各国民の人生態度をあらわす結果
 図2に調査対象である60ヵ国の平均点の結果を大陸別に示した。これを見れば、「人生が自由にならない」と考える程度について日本人が世界で最高であることは一目瞭然である。

◆図2 人生は自由になるか(2010年期60ヵ国)

http://diamond.jp/mwimgs/f/9/-/img_f9f9b2f4d286cf3d35a63fb2845312af240936.jpg

 この調査結果が発表された際、「日本ほど抑圧的で自由のない国はないことをこの結果が示している」と論評するネット記事が出回ったことがある。
 しかし、国別の自由度の比較をここから導き出すのは無理がある。例えば、この調査の結果から、北米・中南米で、メキシコは自由の国で、チリは不自由の国、米国はその中間などということに何か意味があるだろうか。ヨーロッパ・中央アジアについて、ルーマニアはもっとも自由な国でロシアは最も不自由な国というのも空しい。
 この調査結果は、各国社会の自由度や抑圧度をあらわしているのではなく、むしろ、各国民の人生態度をあらわしているに過ぎないと考えるのが妥当だ。
 ラテンアメリカ人のうち、メキシコ人は何でも明るく考えるがチリ人は少し深刻に人生を考える傾向にある。しかし、ラテンアメリカ人は、他の大陸の国民と比較すると、人生に対して概して明るく考える傾向がある。人生態度としては、ラテンアメリカで最もシリアスなチリ人でも、アフリカや南アジアで最も楽天的な国民と同程度の感じ方にすぎない。
 こんな風に結果をとらえると、この調査結果も、なかなか味わいがあるということになろう。
 確かに日本人の人生態度は、よく言えば慎重、悪く言えば暗いと言わざるを得ない。自分の人生を自由に動かせると思っていて、後で、うまく行かなくて嘆くよりも、最初から、うまく行かないと思っていれば、何かの幸運でトントン拍子に行けば、これほどうれしいことはないと思える。こんな人生態度なのではないだろうか。

人生態度において日本人に
最も近いのはロシア人?
 平均点に集約される前の1から10までの段階の回答分布を最も悲観的な日本と最も楽天的なメキシコ、及びその中間のドイツと米国という4つの国について見ておこう(図3参照)。日本の場合は、5が約25%と最も多くの回答を集めているのに対し、ドイツは7が最も多く、米国は8が最も多く、メキシコは圧倒的に10が多くなっている。日本でも過半数は5以上なのであり、自由にならないと悲観しているばかりでもないのであるが、他国は、それ以上に、楽観的な人々が多いのである。

◆図3 「人生は自由になるか」の回答分布(2010年期)

http://diamond.jp/mwimgs/9/5/-/img_95fc1c7e30e633a0bd10307eccb7928a356284.jpg

 さらに、図3では、日本の回答分布を日本の隣国である中国、韓国、ロシアとも比較している。日本と一番近いのはロシアであり、偶然であろうが、不思議なほどよく似ている。次に、韓国も回答分布パターンが日本と似ているが、韓国の場合は、楽天的な方向にシフトしている。一番似ていないのは中国であり、中国の場合は8の回答が一番多いのが特徴である。中国は、実は、米国とよく似ており、日本、ロシア、韓国のようにちょうど中間の5に回答が集まる(中庸を好む)ことのないパターンである点で共通している。

男性と比べ人生の自由を
感じにくいイスラム諸国の女性
 日本の場合、「人生は自由になるか」に関し男女差はほとんどないということを上で見たが、世界の諸国民ではどうであろうか。図4には世界各国の男女差をグラフにした。
◆図4 「人生は自由になるか」の男女格差(2010年期)
©本川裕 ダイヤモンド社 禁無断転載 
http://diamond.jp/mwimgs/5/d/-/img_5de053b8bc59cbdba8b2ccf21c7b86cd246970.jpg

 ゼロに近い国は男女差がない国民であるが、多くの国(60ヵ国中45ヵ国)では、男が女を上回っていることが分かる。世界全体では、なお、女性が相対的に不自由な地位にあるといっても間違いなかろう。
 東アジアの中では、マレーシア、中国で男性が女性をかなり上回っているが、日本は、タイ、韓国、フィリピンとともに男女同等に近い位置にある。アジアの中では、台湾、シンガポール、香港などは、女性の方が男性より人生は自由だと感じている。
 世界の中で男性が女性を大きく上回っている点で目立っているのは、パキスタン、パレスチナ、アルジェリア、イエメン、アゼルバイジャンなどのイスラム諸国である。イスラム諸国を除くとアルメニアやインドで同様の状況にある。
 逆に、女性の方が男性より、人生の自由を感じている国民としては、アメリカ大陸では、米国、ヨーロッパでは、ドイツやスウェーデン、そしてオセアニアのニュージーランド、オーストラリアといったプロテスタント国が目立っている。やはり、レディーファーストの生活習慣が影響しているのであろうか。
(統計データ分析家 本川 裕)
http://diamond.jp/articles/-/121247

 

2017年3月15日 本川 裕 [統計データ分析家]
日本人ほど人生が自由にならないと思っている国民はない

人生は自由になる面とならない面とが
半々と考える日本人
 5年毎の世界価値観調査では、毎回、「あなたは、ご自分の人生をどの程度自由に動かすことができると思いますか」という問に10段階で答える設問を継続している。データが入手できる最新のデータは、2010年から2014年にかけて60ヵ国で実施された2010年期の調査結果である。
 図1上には、まず、日本の2010年期の結果を10段階ごとの回答率で示した。回答結果は5、すなわち「人生は全く自由にならない」と「人生は全く自由になる」の真ん中に票が集まっている。つまり、人生は自由にならない面と自由になる面とが半々と考える日本人が多いことを示している。また、5より小さい方より5より大きい方の回答の方が多くなっているが、ほぼ、標準的な“山型”をしている。

◆図1 「人生は自由になるか」の回答分布(日本)

http://diamond.jp/mwimgs/5/d/-/img_5d23e6e1a9593332147890c83bb480d7344072.jpg

 これだけ見れば、日本人であれば、何の不思議もない結果だと思うであろう。ところが、世界の中では、これは非常に特異な回答結果なのである。
 この点について触れる前に、世界価値観調査がはじまった1981年以降のこの設問の結果推移を見ておこう。図1下には、平均点で推移を示した。バブル経済が破綻し、失われた10年といわれた1990年〜2000年の時期でも、実は、人生の自由度は上昇したという回答結果となっている。この時期、人々の不自由感が増したわけではなさそうである。
 その後、2005年も平均点は若干上昇したのち、2008年のリーマンショック、2009年の民主党への政権交代をはさんで、2010年には平均値が低下している。この急降下の理由は気になるところだが、今回の論考ではそこには触れない。
 なお、男女別には、男が女を上回る年もあれば下回る年もあるという結果となっており、ほぼ男女の差はないといってもよかろう。

各国社会の自由度ではなく
各国民の人生態度をあらわす結果
 図2に調査対象である60ヵ国の平均点の結果を大陸別に示した。これを見れば、「人生が自由にならない」と考える程度について日本人が世界で最高であることは一目瞭然である。

◆図2 人生は自由になるか(2010年期60ヵ国)

http://diamond.jp/mwimgs/f/9/-/img_f9f9b2f4d286cf3d35a63fb2845312af240936.jpg

 この調査結果が発表された際、「日本ほど抑圧的で自由のない国はないことをこの結果が示している」と論評するネット記事が出回ったことがある。
 しかし、国別の自由度の比較をここから導き出すのは無理がある。例えば、この調査の結果から、北米・中南米で、メキシコは自由の国で、チリは不自由の国、米国はその中間などということに何か意味があるだろうか。ヨーロッパ・中央アジアについて、ルーマニアはもっとも自由な国でロシアは最も不自由な国というのも空しい。
 この調査結果は、各国社会の自由度や抑圧度をあらわしているのではなく、むしろ、各国民の人生態度をあらわしているに過ぎないと考えるのが妥当だ。
 ラテンアメリカ人のうち、メキシコ人は何でも明るく考えるがチリ人は少し深刻に人生を考える傾向にある。しかし、ラテンアメリカ人は、他の大陸の国民と比較すると、人生に対して概して明るく考える傾向がある。人生態度としては、ラテンアメリカで最もシリアスなチリ人でも、アフリカや南アジアで最も楽天的な国民と同程度の感じ方にすぎない。
 こんな風に結果をとらえると、この調査結果も、なかなか味わいがあるということになろう。
 確かに日本人の人生態度は、よく言えば慎重、悪く言えば暗いと言わざるを得ない。自分の人生を自由に動かせると思っていて、後で、うまく行かなくて嘆くよりも、最初から、うまく行かないと思っていれば、何かの幸運でトントン拍子に行けば、これほどうれしいことはないと思える。こんな人生態度なのではないだろうか。

人生態度において日本人に
最も近いのはロシア人?
 平均点に集約される前の1から10までの段階の回答分布を最も悲観的な日本と最も楽天的なメキシコ、及びその中間のドイツと米国という4つの国について見ておこう(図3参照)。日本の場合は、5が約25%と最も多くの回答を集めているのに対し、ドイツは7が最も多く、米国は8が最も多く、メキシコは圧倒的に10が多くなっている。日本でも過半数は5以上なのであり、自由にならないと悲観しているばかりでもないのであるが、他国は、それ以上に、楽観的な人々が多いのである。

◆図3 「人生は自由になるか」の回答分布(2010年期)

http://diamond.jp/mwimgs/9/5/-/img_95fc1c7e30e633a0bd10307eccb7928a356284.jpg

 さらに、図3では、日本の回答分布を日本の隣国である中国、韓国、ロシアとも比較している。日本と一番近いのはロシアであり、偶然であろうが、不思議なほどよく似ている。次に、韓国も回答分布パターンが日本と似ているが、韓国の場合は、楽天的な方向にシフトしている。一番似ていないのは中国であり、中国の場合は8の回答が一番多いのが特徴である。中国は、実は、米国とよく似ており、日本、ロシア、韓国のようにちょうど中間の5に回答が集まる(中庸を好む)ことのないパターンである点で共通している。

男性と比べ人生の自由を
感じにくいイスラム諸国の女性
 日本の場合、「人生は自由になるか」に関し男女差はほとんどないということを上で見たが、世界の諸国民ではどうであろうか。図4には世界各国の男女差をグラフにした。
◆図4 「人生は自由になるか」の男女格差(2010年期)
©本川裕 ダイヤモンド社 禁無断転載 
http://diamond.jp/mwimgs/5/d/-/img_5de053b8bc59cbdba8b2ccf21c7b86cd246970.jpg

 ゼロに近い国は男女差がない国民であるが、多くの国(60ヵ国中45ヵ国)では、男が女を上回っていることが分かる。世界全体では、なお、女性が相対的に不自由な地位にあるといっても間違いなかろう。
 東アジアの中では、マレーシア、中国で男性が女性をかなり上回っているが、日本は、タイ、韓国、フィリピンとともに男女同等に近い位置にある。アジアの中では、台湾、シンガポール、香港などは、女性の方が男性より人生は自由だと感じている。
 世界の中で男性が女性を大きく上回っている点で目立っているのは、パキスタン、パレスチナ、アルジェリア、イエメン、アゼルバイジャンなどのイスラム諸国である。イスラム諸国を除くとアルメニアやインドで同様の状況にある。
 逆に、女性の方が男性より、人生の自由を感じている国民としては、アメリカ大陸では、米国、ヨーロッパでは、ドイツやスウェーデン、そしてオセアニアのニュージーランド、オーストラリアといったプロテスタント国が目立っている。やはり、レディーファーストの生活習慣が影響しているのであろうか。
(統計データ分析家 本川 裕)
http://diamond.jp/articles/-/121247


 


【第71回】 2017年3月15日 渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
若い世代に元気がないのは当然といえる心理学的理由

70際前後の「団塊の世代」が
とにかく元気なのはなぜか


 筆者の住むマレーシアの国教はイスラム教だが、マラッカ王国のころから、世界の貿易ハブだった歴史的経緯もあり、他宗教にも寛容だ。イスラムのモスクはもちろん、ヒンドゥー寺院、仏教寺院、キリスト教会もいたるところにある。

 先日、筆者の自宅近くのキリスト教会でジャズライブがあるというので、誘われて行った。実はそのライブ、日本人のアマチュアミュージシャンによるボランティアコンサートだった。マレーシアは日本ほど音楽産業が盛況ではない。もともとヨーロッパ、とくにイギリスの植民地だったため、アメリカ生まれのジャズはマレーシア人にとっては、いまひとつなじみの薄いジャンルである。

 そんな中、どのような経緯かはよく知らないが、日本人のアマチュアからセミプロのジャズ愛好家が、無償でライブをやってくれると聞いたので観に行ったのだった。教会の大ホールは日本の学校の体育館より広く、相当の大きさだったが、そこがほぼ満席になっていた。後で聞くと入場者は685名で、その教会でこれまで行われたコンサートイベントの最多記録だったそうだ。

 コンサートは日本から来たミュージシャンたちに加え、地元の音楽をやっている日本人、そしてマレーシア人のサキソフォニストやバイオリニストもゲスト参加した本格的なライブだった。演奏もプロ顔負けで、ジャズの有名曲を次々と披露、2時間たっぷりと演奏してくれた。詰めかけた観客たちも皆喜んでいた。

 驚いたのは、そこにボランティアで来てくれた日本人ミュージシャンたちが皆70歳前後のご高齢だったことだ。しかもコンサート前日の朝にマレーシアに着き、その日に現地ミュージシャンと練習して、翌日夜に2時間たっぷりライブを行うという強行スケジュールだった。英語も堪能で、MCでも観客は大いに盛り上がっていた。伺うと、元は一流企業の役員クラスの方たちだという。

 翌日、こちらで日本人ツアー客を相手に現地案内をしている方から伺ったのだが、客の中で最も元気なのが、60〜70歳代の方々だそうだ。日本から早朝の飛行機で着いたら、すぐにゴルフに繰り出し、フルで回って、夜はおいしい店を探して飲み食いし、翌朝早くからまたゴルフ。合間に車で数時間かかる観光地も訪問するという。

 こういった例に限らず、日本人は高齢者のほうが、その下の世代より元気だという話はよく聞かれる。70歳くらいを中心としたいわゆる「団塊の世代」は、日本の高度成長期に最も働いた世代の人々だ。彼らから見ると、今の若い世代は「元気がない」という。事実、筆者が体験したように、自腹でマレーシアまで来て「趣味の」楽器演奏を2時間、700人近い聴衆を前にやってしまうのだから、その元気さにはびっくりするばかりだ。

 彼らが元気なのはなぜか。逆に言えば、若い世代に元気がないのはなぜか。経済的なゆとりが違うのはもちろんだが、実は心理的な不安が関係している。

人間の欲求には5つの段階
高次まで満たされている高齢者


マズローの欲求理論によれば、人間の欲求には低次から高次へと5つの段階があるという
http://diamond.jp/mwimgs/3/c/400/img_3c1ae43985a4157ae0bd907541560bdb27168.jpg

 それは有名な「マズローの欲求階層論」を使えばよくわかる。マズローの欲求理論は、古典的な理論で、批判も多いものの、組織心理学などでは基本中の基本としてよく取り上げられるので、知っている読者の方も多いだろう。

 図にあるように、マズローは人間の欲求には低次から高次へと5つの段階があるとしている。それは低次から順に、

(1) 生存欲求(生理的欲求)
(2) 安全欲求(安全に対する欲求)
(3) 所属欲求(愛情と帰属に対する欲求)
(4) 承認欲求(自尊心に対する欲求および社会的地位や評判に対する欲求)
(5) 自己実現欲求

 となる。生理的なメカニズムに基づく欲求は最も低次で、その後、安全であるための欲求、愛情、所属場所を求める欲求というように高次のものとなっている。マズローは、人間はまず低次の欲求を満たそうとし、それが満たされるとより高次の欲求を満たそうとするとしている。

 上記の「元気な高齢者」の方々が、自腹でマレーシアまで来て、体力的にもきついライブをやる理由をマズローのモデルに当てはめると(4)の承認欲求や(5)の自己実現欲求がその原動力になっているといえるだろう。

 会社である程度の地位まで昇り、退職して、金銭的に特に困っておらず、趣味で続けてきた音楽で聴衆を楽しませ喝采を浴びる。ジャズ後進国のマレーシアでジャズの啓蒙もできる。彼らは承認され、自己実現できるのだ。

 彼らが高次の欲求を満たす行動ができるのは、逆にいえば、より低次の欲求はすでに満たされていることを意味する。企業を勤め上げ、定年を迎えた彼らは年金をもらっているか、別の収入源があるだろう。家族もおり、家も持っていることが多い。

 要は、安全欲求、所属欲求を満たすだけの、お金、家族、人脈等がすでにあるために、高次の欲求追求ができるのである。これを可能にしたのは、ご本人たちの努力はもちろんだが、一方で、終身雇用、年功序列を基礎にした高度成長期の日本型組織のシステムによるところも大きい。

若い世代は低次の欲求すら
将来も満たされるか不安

 翻って、今の40歳代以下の世代は、安全、帰属の欲求を満たすことさえ難しい人が多い。結婚率は下がり、少子化は続いている。家族に帰属することのできる人の数は減っている。職場でも終身雇用は減り、派遣や契約社員などで、長期的に安全な生活が送れる保証はない。一流企業の正社員だって安心できない。シャープや東芝の例でも明らかだ。

 現在どんなに稼いでいても、将来が読めない以上、できるだけ安全欲求、帰属欲求を満たそうとする。つまり、それらが脅かされた時に備えて、できるだけ貯蓄しようとする動機が働くのだ。「もし宝くじで高額当選したらどうするか」というアンケートの1位は「貯蓄」、2位は「家、マンションを買う」である。そしてこの傾向は若い世代ほど高い。

 これは低次欲求が満たされていないこと、いや正確に言えば、「将来、低次欲求が満たされなくなること」への恐れが現れた結果なのだと筆者は考えている。

 したがって、「今の若者は元気がない、もっと元気出せ」という、一部の高齢者からの批判は的外れだ。元気がないように見えるのは、日本型組織システムが、長期的な安全、帰属欲求を満たせなくなっているからだ。若い世代は、その欲求を満たすために働くので精一杯で、自己実現や承認欲求まで持つことができないだけである。彼らの持つバイタリティやエネルギーは、低次欲求のために消費されてしまっている。

 そして、その高齢者たちも、控えめにいってかなりの部分、日本型組織システムの恩恵によって低次欲求を満たすことができたのは事実だろう。もし彼らが若返って、今の日本で働きなおすならば、今の若者と同じメンタリティになるだろう。

 安倍内閣は、一億総活躍社会を謳っている。一億総活躍の実現のためには、行政には低次欲求をきちんと満たせる、少なくともいまより不安を低減できるシステム作りが要求される。

 その一方で、40歳代以下の世代には、その上の世代にはなかったメンタル部分のタフネスが要求される。つまり長期的に以前ほど完璧に低次欲求が満たされなくても、自己実現に向けた高次欲求を持てるというタフネスである。それはつまり「夢」を持てるかどうかを意味する。夢を持つためには、タフなメンタルが必要だ。

 そのための近道はなにか。人によって異なるが、ひとつだけ共通するものがある。よく食ってよく寝ることだ。「よく食う」とは、健康を害さないようにできるだけ効率よく栄養摂収すること、「よく寝る」ことは、しっかりリラックスして質の高い睡眠をとることである。これらは、一言でいえば自己管理だ。最近のマインドフルネスブームや「意識高い系」が目立つ(揶揄されることの方が多いが)のも、その表れだと筆者は感じている。

(モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授 渡部 幹)

http://diamond.jp/articles/-/121248

 


家計の貯蓄率、15年ぶり高水準 節約志向なお強く
2017/3/15 0:37

 家計の貯蓄率が上昇している。総務省の家計調査によると、貯蓄率を示す2016年の「黒字率」は27.8%と前年より1.6ポイント上がった。水準は01年以来15年ぶりの高さとなった。雇用改善で所得は緩やかに増えたが、高い年齢層の世帯を中心に節約志向が根強いことが浮き彫りになった。
 黒字率は家計の可処分所得から消費支出を引いた「黒字」を可処分所得で割った数値。対象は勤労者世帯。貯蓄率は高齢化に伴い199…
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO14085480U7A310C1EE8000/

家計調査(二人以上の世帯)平成29年(2017年)1月分速報 (平成29年3月3日公表)
  年平均(前年比 %) 月次(前年同月比,【 】内は前月比(季節調整値) %)
2014年 2015年 2016年 2016年10月 11月 12月 2017年1月
【二人以上の世帯】
消費支出(実質) ▲2.9 ▲2.3 ▲1.7 ▲0.4
【▲1.0】 ▲1.5
【▲0.6】 ▲0.3
【▲0.6】 ▲1.2
【0.5】
消費支出(除く住居等※)(実質) ▲2.5 ▲2.0 ▲1.2 ▲0.1
【▲1.5】 ▲1.9
【▲0.7】 ▲1.5
【▲2.1】 0.3
【3.2】
【勤労者世帯】
実収入(名目,< >内は実質) ▲0.7
<▲3.9> 1.1
<0.1> 0.2
<0.3> 0.1
<▲0.1> 1.6
<1.0> 2.7
<2.3> 1.6
<1.0>
※ 「住居」のほか,「自動車等購入」,「贈与金」,「仕送り金」を除いている。
また,実質化には消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)を用いた。以下同じ。
≪ポイント≫
 二人以上の世帯
・消費支出は,1世帯当たり 279,249円
前年同月比 実質1.2%の減少 前月比(季節調整値) 実質0.5%の増加
名目0.6%の減少
・消費支出(除く住居等※)は,1世帯当たり 239,634円
前年同月比 実質0.3%の増加 前月比(季節調整値) 実質3.2%の増加
名目0.9%の増加
・勤労者世帯の実収入は,1世帯当たり 441,064円
前年同月比 実質1.0%の増加
名目1.6%の増加


詳細については,以下をご覧下さい。
• 今月の結果(概要及び統計表)(PDF:276KB)
• (追加参考図表)(PDF:11KB) 消費支出の対前年同月実質増減率に寄与した主な品目等
 過去分につきましては,「過去の結果(月報)」に掲載しています。


の項目は,政府統計の総合窓口「e-Stat」掲載の統計表です。
※ 『e-Stat』とは?
※ 統計データベースの利用方法
統計表
• 第1表 主要家計指標-二人以上の世帯(エクセル:77KB)
• 第2表 1世帯当たり1か月間の収入と支出-二人以上の世帯(エクセル:98KB)
• 第3表 主要項目の季節調整値-二人以上の世帯(時系列データへのリンク)(エクセル:189KB)
• 参考表 世帯主の年齢階級別の動き(3か月後方移動平均)(エクセル:39KB)
詳細結果表(月)へ
• 二人以上の世帯
時系列データ
• 収入及び支出金額・名目増減率・実質増減率
• 消費水準指数
• 主要項目の季節調整値
• 基礎的支出・選択的支出
• 世帯主の年齢階級別世帯分布
http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.htm 

家計消費指数 結果表(2015年基準)
【 世帯区分 】
二人:二人以上の世帯
二勤:二人以上の世帯のうち勤労者世帯
総 :総世帯(「二人以上の世帯」と「単身世帯」を合わせた世帯)
総勤:総世帯のうち勤労者世帯
単身:単身世帯
集計区分 調査対象区分 世帯区分
家計消費指数(エクセル:284KB)(月,四半期,年)
二人以上(農林漁家世帯を含む) 二人・二勤
家計消費指数(エクセル:109KB)(四半期,年)
総世帯 総・総勤
家計消費指数(エクセル:67KB)(四半期,年)
単身世帯 単身

http://www.stat.go.jp/data/gousei/soku15/index.htm


 

家計調査17年1月〜ヘッドラインは弱いが、実態は持ち直しの兆し
• 経済研究部 経済調査室長 斎藤 太郎

1.ヘッドラインは弱いが、実態はやや強め
総務省が3月3日に公表した家計調査によると、17年1月の実質消費支出は前年比▲1.2%(12月:同▲0.3%)と11ヵ月連続で減少し、減少幅は前月から拡大した。事前の市場予想(QUICK集計:前年比▲0.4%、当社予想は同0.2%)を下回る結果となった。前月比では0.5%(12月:同▲0.8%)と4ヵ月ぶりの増加となった。月々の振れが大きい住居、自動車などを除いた実質消費支出(除く住居等)は前年比0.3%(12月:同▲1.5%)と9ヵ月ぶりの増加、前月比では3.2%(12月:同▲1.6%)の高い伸びとなった。

実質消費支出の動きを項目別に見ると、家具・家事用品(前年比7.4%)、教育(前年比5.0%)などが増加、住居(前年比▲6.7%)、保健医療(前年比▲7.6%)などが減少した。10項目中5項目が増加、5項目が減少した。

実質消費水準指数(除く住居等、季節調整値)は前月比1.5%(12月:同▲0.7%)と4ヵ月ぶりに上昇した。同指数は16年7-9月期が前期比▲0.4%、10-12月期が同▲1.5%と2四半期連続で低下したが、17年1月の水準は16年10-12月期を0.6%上回った。

ヘッドラインとされる消費支出全体(前年比)は弱い数字だが、月々の振れの大きい住居等を除けば16年4月以来の増加、季節調整値では消費支出、消費水準指数(除く住居等)ともに前月比でプラスとなった。単月の結果だけで基調が変わったとまでは言えないが、年末にかけての非常に弱い動きから脱する兆しと捉えることは可能だろう。

2.供給側の統計は引き続き底堅い動き
家計調査以外の1月の個人消費関連指標を確認すると、商業動態統計の小売販売額は前年比1.0%(12月:同0.7%)と3ヵ月連続の増加、季節調整済・前月比では0.5%(12月:同▲1.6%)と2ヵ月ぶりに増加した。物価上昇分を割り引いた実質ベースの季節調整済・販売額指数(当研究所による試算値)は16年7-9月期、10-12月期ともに前期比1.2%と高めの伸びとなった後、17年1月は前月比0.8%と堅調を維持した。

百貨店売上高(日本百貨店協会)は前年比▲1.2%(店舗調整後)と11ヵ月連続の減少となったものの、16年12月の同▲1.7%から減少幅が縮小した。外国人観光客向けの売上高が12月の前年比8.3%から同24.8%と伸びを大きく高めた。

また、自動車販売台数(軽自動車を含む)は16年11月以降前年比で増加を続けており、17年2月には前年比8.2%の高い伸びとなった。さらに、外食産業売上高は前年比2.4%と5ヵ月連続で増加した。客単価は前年並みにとどまっているが、客数の伸びが売上高の増加につながっている。供給側の消費関連指標の多くは底堅い動きが続いている。

家計調査の消費支出は昨年夏場から年末にかけて弱い動きとなったが、その間も販売側(供給側)の統計は底堅さを維持しており、1月は需要側、供給側のいずれも良好な結果となった。雇用所得環境の改善傾向が続いていることと合わせて考えれば、個人消費は持ち直しの動きが続いていると判断される。

ただし、物価上昇に伴う実質所得の低下が消費の抑制要因となっていることには注意が必要だ。昨年末にかけて消費を下押ししていた生鮮野菜の価格高騰は一服しているが、今後はエネルギー価格の上昇が消費者物価の押し上げ要因となる。引き続き物価上昇による実質所得の低下が個人消費を下押しすることが懸念される。


________________________________________

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経済調査室長 経済研究部
斎藤 太郎 (さいとう たろう)
研究・専門分野
日本経済、雇用
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03-3512-1836
(2017年03月03日「経済・金融フラッシュ」)
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• 2017・2018年度経済見通し(17年2月)
http://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=55201?site=nli

http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/209.html

[国際18] 不確実性増す欧州情勢、「大惨事」の瀬戸際か トルコ、オランダに制裁 トルコとの対立は極右に追い風か 勝者はキリスト民主?
Column | 2017年 03月 15日 12:20 JST 関連トピックス: トップニュース

 コラム:不確実性増す欧州情勢、「大惨事」の瀬戸際か

Peter Apps

[14日 ロイター] - 欧州市民にとって、今年の3月は落ち着かない時期だ。域内のどこを向いても、紛れもない危機の嵐のなかで、伝統的な安定は崩れつつある。

英国は今週、EU基本条約(リスボン条約)第50条を発動させ、欧州連合(EU)離脱に向けた第1歩を踏み出す。その後、スコットランドの独立を巡る2回目の住民投票も行なわれるだろう。今や、北アイルランドが英国を離脱して、アイルランド共和国と合流する可能性さえゼロではないという憶測が広がっている。

15日のオランダ総選挙では、ヘルト・ウィルダース党首率いる極右政党の自由党が最も多くの票を獲得する可能性がある。主流派寄りの政党連立により政権獲得は阻まれるだろうが。(オランダ下院選挙のグラフィックスはこちら)

──関連記事:オランダのパラドックス、豊かな国で極右政党優勢の理由

フランスでも、マリーヌ・ルペン党首の極右政党・国民戦線が、4月23日に行なわれる大統領選挙の第1回投票において第2位となることはほぼ確実だ。ただし5月7日の第2回投票では中道派のエマニュエル・マクロン前経済相がルペン党首を破る公算が大きい。(仏大統領選挙のグラフィックスはこちら)

東方、北方の欧州各国は、自己主張を強めるロシアへの懸念が広がっている。今月、スウェーデンは2010年にいったん廃止された徴兵制の復活を発表した。想定されるロシアからの脅威に対する防衛力強化が狙いだ。フィンランドはハイブリッド戦争への反撃を狙いとする軍事演習を実施している。バルト海沿岸諸国では、北大西洋条約機構(NATO)が冷戦期以来となる最大規模で部隊を配備している。

欧州統一通貨であるユーロ危機も解消していない。実際、2008年の金融危機以来、悪戦苦闘を続けてきたユーロは、今や新たな不安定期に入りつつあるかもしれない。早ければ6月にも予想されるイタリアの選挙において、ユーロ圏残留に批判的な政党に権力バランスが傾いたとしても不思議はない。長年続く低成長と失業増大がユーロのせいだと考えるイタリア国民は多い。

とはいえ現状否定派が予想するほど、あらゆるものが急速に崩壊しているわけではない。ドイツでは、なるほど極右政党の「ドイツのための選択肢」が、強い不満を抱えた旧東独地域を中心に急速に成長している。だが、同党が9月の連邦選挙において確かな政治権力をつかむ可能性は依然として低い。

これは、欧州の極右がどれほど苦戦しているかを思い起こさせる。確かに、英労働党の長引く苦境など、欧州の左派は依然として混乱している。それても、本格的な右派と呼べる政権が支配する国は、欧州ではハンガリーとポーランドだけだ。その2カ国の右派政権でさえ、往々にして、多くの人が楽勝と考えていた戦いで苦戦してきたのである。

欧州は解体しつつあるわけではないにせよ、半恒久的な危機状態にあるように見える。ほぼ10年近くにわたり、欧州首脳会談では「危機」がテーマとなるのが常態化しているが、特に印象的な成果が生まれた例はほとんどない。

問題の大半はリーダーシップにあるように思われる。国家と地域の双方レベルで、欧州指導者は、信頼性、支持率、そして(最悪なことに)政治的な正統性という点で危機に直面しているように見える。

ロシアのプーチン大統領は、こうした欧州の不安定な状態に喜び勇んでつけ込んでくるだろう。

欧州と米国双方の国家安全保障部門の主流派には、ロシアによるシリア介入は、部分的には、難民危機を煽ることで欧州政界をギリギリまで圧迫しようという意図によるものだという考えが多く見られる。少なくともロシアが支援するメディアは、盛んに不安定と過激主義をあおっている。記事をでっち上げることもあれば、単に誇張したり、すでに高まっている緊張を悪化させることもある。

米国の情勢は、こうした欧州の不確実性に拍車をかけたと言える。トランプ大統領が先月、ロイターとのインタビューで、EUとその機構に対する支持を表明したことは、一部の欧州ウォッチャーを驚かせた。

米国外交担当者の主流派の多くはこうした見解を共有している。欧州解体がもたらす結果を恐れているだけかもしれないが。しかし、トランプ大統領の周辺には、特にスティーブ・バノン首席戦略官などのイデオロギー信奉者のように、EUを自分の世界観における邪魔者と見なして、その失敗を心待ちにする者もいる。

米国以外の世界も欧州にとっては頼りにならない。

ロッテルダムでのトルコ系住民集会に参加しようとしたトルコ閣僚の入国をオランダ政府が拒否したことで、トルコとオランダ両政府の対立は激化している。トルコのエルドアン大統領はオランダ政府をナチスに例えるまで関係が悪化しているが、これによりオランダ総選挙でのウィルダース自由党党首への支持はいっそう高まると見られている。

──関連記事:オランダ下院選、トルコとの対立は極右に追い風か

ブリュッセルや、ニース、ベルリンなどの場所で発生した攻撃は、実際の脅威とはひどく不釣り合いなほど分断の感覚を強めてしまっている。

真の問題は、こうした話が完全に自己実現的なものになるかどうかだ。今のところ、欧州の機構には明らかな崩壊の兆しが見られる。だがその抵抗力は、少なくともこれまでのところは、依然として印象的だ。

現在、圧力を受けているEUやNATO、統一通貨、及び各国の基本的な政治制度や仕組みは、不完全なものだ。だが、いくつか目をみはるような成果も挙げてきた。特に60年以上にわたって欧州大陸で平和を維持したこと、そして(少なくとも、大体において)効果的な福祉と人権を住民に与えてきたことである。

欧州のリベラルな民主主義は、往々にして偽善的であり、ときには無力だ。だが、EU諸国の市民はおおむね、ここ数十年にわたって、特に国家権力の暴走など、いくつかの非常に悪い事態を味わうことなく過ごしてきた。それは、プーチン政権下のロシアではあり得ないことだし、1930年代のファシスト体制や、冷戦期を通じてソ連指導の下で東欧諸国を支配した政権でも同様だろう。

欧州は確かに、他者を暖かく迎え入れる大陸ではなくなりつつある。特にセルビアなどEUの境界に位置する国で厳しくなる一方の状況に置かれている難民はそれに気づいている。欧州内の移民コミュニティについても同じことが言える。

状況がこの先どうなっていくかは予想しがたい。欧州統合の仕組みが最善の希望ではあるが、各国が自らを防衛するという点において独自の動きをとるとしても、それを責めることはできない。エコノミスト誌の先週の記事は、ドイツが最後に残った最大のタブーの1つを破り、これまで以上に不確実性を増す未来に備えて自国防衛のために核兵器開発計画を立ち上げようとするかどうかを問うものだった。

欧州は何とかして、事態が見かけほど悪くはないことを自らに納得させ、今後に向けて何か楽観的な針路を見つけなければならない。さもなければ、誰も思い描きたくないほどひどい状況へと陥っていく恐れがある。

*筆者はロイターのコラムニスト。元ロイターの防衛担当記者で、現在はシンクタンク「Project for Study of the 21st Century(PS21)」を立ち上げ、理事を務める。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)

スライドショー:台頭する欧州の極右勢力

Geert Wilders, leader of the Dutch far-right Freedom Party (PVV), who wants to "de-Islamicize" the Netherlands, hopes clashes between Turkish-Dutch protesters and the police, along with Ankara's accusations of Dutch "fascism", will help bolster his chances of finishing first as the country votes on Wednesday. The election, seen as a test of anti-immigrant sentiment even before a rift with Turkey at the weekend, put immigration and nationalism at the top of the political agenda.With one day to go until the Dutch vote, pollster Maurice De Hond found that the spat between the Netherlands and Turkey, and Saturday's night of rioting by ethnic Turks in Rotterdam, had benefited Wilders's anti-Muslim Freedom Party to push it up two seats to 24, though still trailing Prime Minister Rutte's VVD Liberal party.Convicted in December of inciting discrimination for leading a crowd in a chat for "Fewer! Fewer! Fewer!" Moroccans. Three weeks ago Wilders repeated calls for a crackdown on "Moroccan scum".In 2011, he was acquitted of inciting racial hatred charges for calling for the Koran to be banned, comparing the Koran to Adolf Hitler's manifesto "Mein Kampf", and calling for the deportation of "criminal" Moroccans. Judges said that his remarks, while offensive to some, were within the bounds of legitimate political discourse. Many observers felt the trial helped increase his popularity as he was able to showcase himself as a champion of free speech.Wilders' Party for Freedom (PVV) has virtually no chance of forming a government, given the splintered political landscape. Other parties have ruled out a coalition with a party they view as racist, but a PVV win would nevertheless send shock waves across Europe./Yves Herman
REUTERS/YVES HERMAN

コラム:北朝鮮の核問題、トランプ政権下で最悪の事態も 2017年 02月 16日
森永製菓と森永乳業の株式売買を一時停止=東証 2017年 02月 24日
コラム:「バフェット信仰」はもうたくさん 2017年 03月 03日
http://jp.reuters.com/article/column-europe-crisis-idJPKBN16L1EF


 

 
World | 2017年 03月 15日 16:31 JST 関連トピックス: トップニュース
トルコ大統領、オランダへの追加制裁を示唆 「謝罪でも不十分」

[アンカラ 14日 ロイター] - オランダがトルコ閣僚の入国を拒否し両国の関係が悪化している問題で、トルコのエルドアン大統領は14日、オランダが謝罪しても許すことはできないと述べ、追加制裁を示唆した。

同大統領はまた、ドイツもオランダ当局と同様にトルコ系住民のデモ隊に圧力をかけているとしてメルケル首相を非難した。

その上で、今後欧州で行われる選挙で与党や「人種差別主義者」に投票しないよう呼びかけた。

*カテゴリーを追加して再送しました。

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トルコ系住民に忠誠心求める独首相発言に批判の声
http://jp.reuters.com/article/turkey-referendum-netherlands-idJPKBN16L1D9
http://jp.reuters.com/article/trump-goldman-donovan-idJPKBN16M0FE

 


 
2017年3月15日 ロイター
オランダ下院選、トルコとの対立は極右に追い風か


3月13日、オランダ議会下院選挙がいよいよ15日に実施されるが、トルコとの対立が激化したことで、もともと最大の争点だった移民問題とナショナリズムがさらに注目を浴びている。写真は、極右政党、自由党のウィルダース党首。ロッテルダムで撮影(2017年 ロイター/Yves Herman)
[アムステルダム 13日 ロイター] - オランダ議会下院選挙がいよいよ15日に実施される。前週末の出来事をきっかけにトルコとの対立が激化したことで、もともと最大の争点だった移民問題とナショナリズムがさらに注目を浴びている。

 オランダ政府は、トルコの閣僚が改憲の是非を問う国民投票支持をオランダ在住トルコ人に呼びかけるために入国しようとしたのを拒否。これに抗議するため集まったトルコ人とオランダ警察が衝突し、トルコのエルドアン大統領はオランダ側を「ファシスト」とののしる事態になった。反イスラムを掲げる極右政党、自由党(PVV)のウィルダース党首は、こうした情勢が選挙で第一党に躍進する上で追い風に働くと期待している。

 オランダでは小党が割拠し、どの政党もPVVとの連立を否定している状況を踏まえると、PVVが政権を樹立できる可能性は実質的にはゼロだ。それでもPVVが第一党になれば、欧州全土に衝撃が広がるだろう。

 フランスでは来月、大統領選の第一回投票が行われ、極右の国民戦線を率いるマリーヌ・ルペン氏が13日の世論調査でリードしている。9月のドイツ総選挙では、やはり右派で欧州連合(EU)に懐疑的な「ドイツのための選択肢(AfD)」が初めて連邦議会に議席を得る公算が大きい。

 より目先の問題は、トルコとオランダの対立が本当にウィルダース氏に有利に働くのか、それともルッテ首相の得点になるのかだ。

 13日夜に発表された世論調査では、ルッテ氏の自由民主党(VVD)が獲得予想議席がこれまでより3議席、ウィルダース氏のPVVは2議席増える見通しになった。

 オランダ紙トロウの政治論説委員、ハンス・ゴスリンク氏は「トルコとの対立といったような問題に国家が見舞われている際には、国民は政府を支持する傾向がある」と指摘した。

 ルッテ氏のトルコに対する強硬姿勢は、主流政党が移民問題に適切に対応するとの姿勢を示し、ウィルダース氏に投票しないよう有権者にアピールしているとの受け止め方が多い。VVDと連立を組むキリスト教民主勢力(CDA)も12日、トルコからの移民に対して二重国籍の破棄とオランダへの同化を促した。

 またルッテ氏とウィルダース氏は13日夜に1対1の討論会を開き、主に移民流入阻止の方法を巡って火花を散らした。

 ルッテ氏は、ウィルダース氏が提唱する国境とモスクの封鎖、コーラン禁止を「偽物の解決策」とこきおろし、「われわれが難民危機の原因に焦点を当てているのに、あなたはコーランの取り締まりに全力を注ぐという無駄な努力をしている」と語った。

 一方でウィルダース氏は、ルッテ氏がオランダ人より新たな入国者により手厚い福祉を提供していると批判。「われわれは、難民申請を求める人のためではなく、オランダ人自身やその両親のためになる候補を選ぶ必要がある。あなたはオランダ人ではなく外国人を代表する首相だ」と論じた。

 ロイターの最新調査では、VVDの支持率が16.2%と最も高く、PVVが13.4%、CDAは12.5%で上昇傾向にある。

 上位4党の支持率が接近していてどの党も第1党になり得るが、連立政権を立ち上げるには他の3党に協力を仰がなければならない。

 アムステルダム大学のRens Vliegenthart教授は「新政権が一筋縄でいきそうにないことは既に分かっている」と述べ、長期にわたる協議の末にVVDとCDAが主導し、民主66と恐らくは初めてグリーン・レフトが参加する形の中道右派政権が誕生すると予想した。

 ただしトルコとの対立激化で世論調査の見通しは当てにならなくなる、と専門家は警告する。ライデン大学のJoop van Holsteijn教授は、移民と国の一体性、対トルコ関係が突如として非常に目立つ問題となり、ウィルダース氏がそうした情勢の恩恵を最も受ける可能性が依然としてある、と分析した。

(Toby Sterling記者)

http://diamond.jp/articles/-/121418


 


World | 2017年 03月 15日 11:55 JST 関連トピックス: トップニュース

オランダ下院選、勝者は意外にもキリスト教民主勢力か


[アムステルダム 14日 ロイター] - 15日に実施されるオランダ下院選では、ルッテ首相率いる中道右派の自由民主党(VVD)と、移民排斥や反欧州連合(EU)を主張するウィルダース党首の極右自由党(PVV)の対決が焦点となっている。だが世論調査では、キリスト教民主勢力(CDA)が着実に支持を伸ばして首位に迫る勢いだ。

VVDとPVVのいずれが第1党となる場合でも、CDAが次期連立政権に加わることは確実視されている。PVV以外の各党がPVVとの連立を拒否していることを踏まえると、CDAのシブランド・ブマ党首が首相に選ばれる可能性さえある。

最新の世論調査では、CDAの支持率はVVDより4%ポイント低く、PVVをわずか1%ポイント下回る。2月24日以降に行われた11回の世論調査で支持率が毎回上昇したのはCDAだけだった。下院150議席のうちCDAは20議席程度を確保する可能性がある。

ブマ党首はロイターに対し、選挙前の情勢では「ルッテ首相とウィルダース氏が対決する選挙になる」と伝えられていたと指摘。だが「わが党は毎日強くなっており、最大勢力になる可能性も現実味を帯びている。誰も予想しなかったことだ」と述べた。

ブマ党首は移民に対してはルッテ首相と同様に厳しい姿勢を示しながら、地域社会の価値観に重点を置き、ナショナリズム的な主張を加えることで支持を伸ばしてきた。

ブマ氏は学校での国歌斉唱や地域奉仕活動の義務化を提案する一方、EUへの残留と統一通貨ユーロの使用継続を支持している。

ブマ氏はCDAにとって選挙戦は「経済問題よりもモラル問題に関する面がずっと大きい」と指摘。地域奉仕活動の義務化は若者が「自分にとって社会に何があるかだけでなく、自分が社会に何を還元できるか」を考えるのに役立つと説明した。

連立政権がいかなる組み合わせになろうとも、CDAが加わることで保守的な色合いが強まる一方、ブマ氏は宗教の自由を支持すると表明し、「それが大きな違いになる。PVVとは連立政権を組まない」と付け加えた。

投票時間は15日0630GMT(日本時間同日午後3時半)から2000GMT(同16日午前5時)まで。

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http://jp.reuters.com/article/dutch-vote-idJPKBN16M0AF

 


World | 2017年 03月 14日 10:07 JST 関連トピックス: トップニュース

 トルコ、オランダに外交制裁 航空機着陸など禁止

[アンカラ 13日 ロイター] - オランダ国内でのトルコ系住民集会に参加しようとしたトルコ閣僚の入国をオランダ政府が拒否したことを受け、トルコは13日、オランダとのハイレベルの外交関係を停止すると発表した。

トルコでは来月、大統領権限を強化する憲法改正案の是非を問う国民投票が実施される予定で、エルドアン大統領はドイツやオランダなど海外に住むトルコ人に支持を呼び掛けている。

トルコによる制裁措置はオランダの外交官や外交使節の乗った飛行機の着陸などを禁止するが、経済制裁や一般市民の渡航制限は盛り込まれていないもようだ。

オランダ極右政党「自由党」ウィルダース党首の横顔

クルトゥルムシュ副首相は閣議後の記者会見で「オランダがとったのと全く同じ対応をする。オランダの外交官や外交使節を乗せた飛行機の着陸やトルコ領空内の飛行を認めない」と表明した。

また「この危機を生み出した者が解決の責任を負う」とし、オランダが自国の行動の責任を取るまで両政府間の高官級会合は停止すると述べた。

副首相はさらに、欧州への難民流入抑制に関する欧州連合(EU)との合意について、見直しが必要な可能性があると警告した。

激しさ増すトルコとオランダの対立

Demonstrators gather to welcome the Turkish Family Minister Fatma Betul Sayan Kaya, who decided to travel to Rotterdam by land after Turkish Foreign Minister Mevlut Cavusoglu's flight was barred from landing by the Dutch government, in Rotterdam, Netherlands March 11, 2017./Yves Herman
REUTERS/YVES HERMAN

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http://jp.reuters.com/article/turkey-referendum-netherlands-idJPKBN16L04E?rpc=188
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/619.html

[不安と不健康18] 健康の最大の敵だったバター米国で人気復活−新たな流行の食材 花粉症を乗り切る治療法とセルフケア「舌下免疫療法で完治可能?
健康の最大の敵だったバター、米国で人気復活−新たな流行の食材
Leslie Patton
2017年3月15日 10:23 JST

• 流行に敏感な人はバターをカクテルやコーヒーに入れている
• USフーズは新製品の洋菓子にバターを使っている

流行に敏感な人は、これをカクテルやコーヒーに入れて飲んでいる。米大手食品サービス会社はこれを新製品の流行の洋菓子に使っているほか、レストラン運営の米ボブ・エバンズ・ファームズはこれをワッフルに取り入れ、米マクドナルドはマフィンの上に乗せている。
  この新たな流行の食材とは他でもなく、昔からの定番食品バターだ。米農務省のデータによると、今年の米国のバター消費量は昨年から8%増の94万トンと、少なくとも1967年以降で最高量に達する見通しだ。

イタリア料理コッコリ

Source: DineAmic Group
  かつて健康の最大と敵として悪者扱いされていたバターは、今ではマーガリンやトランス脂肪酸よりも健康に良いとされている。食生活専門家の標的が、バターの動脈硬化リスクから砂糖の害に移っていることも追い風となっている。

  食品サービス会社USフーズ・ホールディングでは、昨年の全体の売上高が小幅減少したにもかかわらず、バターの売り上げは約7%増加した。同社はカラメルがかかったクロワッサンのような洋菓子「クイニーアマン」を売り込んでいるが、この菓子の4分の1がバターでできている。
原題:A Fatty Staple, Once Public-Health Enemy No. 1, Makes a Comeback(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-15/OMTZLQ6S972901


 

【第2回】 2017年3月15日 西田佐保子 [ライター]
花粉症を乗り切る治療法とセルフケア、「舌下免疫療法」で完治可能?

今年もスギ花粉症の人にとって憂鬱な季節になりました。花粉症は、日本人の四人に一人、都市部では三人に一人が悩まされている「国民病」です。QOL(生活の質)を維持して、花粉シーズンを乗り切るにはどうすればよいのでしょうか。症状を緩和する方法や、唯一の根治療法として注目されている舌下免疫療法などについて、花粉症のエキスパートであるながくら耳鼻咽喉科アレルギークリニック(東京都品川区)の永倉仁史院長に聞きました。

スギ花粉症患者の8割はヒノキ花粉症も発症
 花粉症(季節性アレルギー鼻炎)はアレルギー性疾患の一つで、特定の植物の花粉に対して起こる免疫反応(アレルギー反応)です。免疫は体内に入った細菌やウィルスなどの異物を排除する防御システムです。本来、危険ではない物質を異物として認識し、体外に排除する際に起きる症状をアレルギーといいます。
 アレルギーの原因となる物質が「アレルゲン(抗原)」です。抗原(花粉)が鼻から侵入し、鼻粘膜まで達すると、それを除去する働きを担う物質「抗体」(IgE抗体)が体内で作られ、アレルギー症状の原因となる化学物質(ヒスタミンなど)を内包するマスト細胞にくっつきます。再び抗原が体内に侵入すると、マスト細胞にくっついたIgE抗体と結合。化学物質が放出され、アレルギー反応が起こります。くしゃみや鼻水などの症状こそが、このアレルギー反応なのです。
 花粉症を発症する植物は、実に60種類以上。日本では戦後、積極的にスギの植栽が行われたものの、海外から安価な木材が輸入されたために伐採されず、樹齢30年を超えたため、スギが大量に花粉を飛散するようになりました。スギ林は国土の12%を占めます。日本の花粉症患者の70%がスギを原因とするのもそのためです。
 日本で花粉症の原因となる植物で多いのはスギの他に、ヒノキ、ブタクサ、イネ科、シラカバなど。共通の抗原性を持つスギとヒノキの花粉は電子顕微鏡で見ても見分けがつかないほど似ているため、スギ花粉症を発症している人の8割がヒノキ花粉症にも発症していると言われます。

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花粉症患者が気をつけたい野菜や果物
 スギ花粉飛散量の増加により、患者さんの数も1998年〜2008年の間で16.2%から26.5%に増えました。年齢別では、40代が最も多く、次に30代が多くなっていますが、近年、20代の患者さんは増加傾向にあります。なお、発症年齢は幅広く、クリニックには、最年少2歳で、最高齢80歳で発症した患者さんもいらっしゃいました。
 花粉症の発症には遺伝的な要因が関わっているとされており、アレルギー反応を起こしやすい体質の人がいるのは事実ですが、発症にはアレルゲン(花粉)の量、また生活習慣やストレスも関係すると考えられています。乳幼児期に清潔な環境で過ごすことで、アレルギー疾患が増えるともいわれています(衛生仮説)。

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 花粉症の症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみや充血、涙、のどや皮膚のかゆみなどです。花粉症を発症後、果物や野菜を食べると唇や口の中やのどにかゆみを感じたり、腫れ上がったりする「口腔アレルギー症候群」を合併することもあります。これは、花粉のアレルゲンに似た物質を持つ果物や野菜が反応してしまうためです。症状が出たら摂取を控えましょう。

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治療薬の使い方、手術治療の注意点
 花粉症の自然治癒はほぼ期待できません。薬局では、フェキソフェナジン(商品名:アレグラ)、エピナスチン(商品名:アレジオン)をはじめ、今年発売されたロラタジン(商品名:クラリチン)など、医療用医薬品と同じ成分を持つ一般用医薬品(スイッチOTC)が販売されています。市販薬の服用で症状を抑えられるのであれば問題ありませんが、コントロールできない場合には、病院で受診しましょう。
 なお、血管収縮剤が含まれている市販の点鼻薬は、即効性はあるものの、長期間使い続けているうちに効かなくなります。かえって血管が広がり、鼻の粘膜が腫れてリバウンドを起こす薬剤性鼻炎の原因にもなるので、注意しましょう。
 花粉症の診断は、問診と診察、アレルゲンを特定するための血液検査(特異的IgE抗体を調べる検査〈RAST〉)などで行います。
 治療法には、薬物療法、手術療法、免疫療法があります。民間療法(ヨーグルト、乳酸菌錠、てん茶など)にはエビデンスのあるものもありますが、効き目は弱く、根治は期待できません。実際に試してみて効果がなければ、継続の必要はないでしょう。
 薬物療法では、くしゃみ、鼻水などを引き起こすヒスタミンの作用をブロックする、眠気などの副作用が少ない「第二世代抗ヒスタミン薬」(内服薬)をベースに、鼻づまりが収まらない場合は点鼻薬、目のかゆみが収まらない場合は点眼薬を併用するなど、症状や程度により薬を処方します。
 なお、眠気が強い場合は、交感神経刺激し、神経を興奮させる作用のある生薬「麻黄」を含む漢方薬の小青竜湯(しょうせいりゅうとう)などを処方することもあります。抗ヒスタミン薬よりも効き目は穏やかなので、眠気を抑えることを目的に、他の薬と併用することもあります。
 今年はすでにスギ花粉の飛散は始まってしまいましたが、多くの治療薬は、花粉が飛散する前に使い始めることで症状の程度を軽く、短くすることができます(初期療法)。飛散開始の約1週間前、あるいは花粉を感じたらすぐが、使用開始の目安です。
 手術治療は主に、鼻粘膜の腫れなど鼻の構造的な問題により、薬物治療を行っても症状が改善しない場合に行います。鼻腔の粘膜(下鼻甲介粘膜)を焼くことでアレルギー反応を起こしにくくするレーザー治療もありますが、早ければ翌年には鼻粘膜は再生され、以前と同じアレルギー反応が起こります。何度もリピートして行う人も多いようですが、度重なる手術で鼻粘膜を傷める恐れがあり、注意が必要です。
根治が期待できる免疫療法は持続できるかがカギ
 アレルギー症状の緩和、治療薬の減量などの効果が期待できる免疫療法は、花粉症に対する唯一の根本治療です。アレルゲンの投与を繰り返し行い、その物質に過敏に反応しないよう体に慣らすことで、体質改善を促します。スギ花粉症の場合、花粉シーズンを避けた6月〜12月の間であれば治療を始められます。他の治療薬との併用も可能です。
 免疫療法には、皮下免疫療法と舌下免疫療法があります。治療効果はスギ花粉の場合、70〜80%前後で、免疫療法により1〜2割の人が薬を必要しなくなったという報告があります。
 ただし、即効性はなく、WHO(世界保健機関)では、治療期間として3〜5年を推奨しており、3年以上続けた場合、治療効果は長く持続することが分かっています。花粉症の症状が再び悪化した場合も再度免疫療法を行えば早くに改善されます。なお、免疫療法の実施により、ぜんそくや他のアレルギーの発生予防も可能です。

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 皮下免疫療法は小さい子ども(5歳)から受けられます。対象は、スギ、ブタクサ、カモガヤの花粉症やハウスダストなどで、複数のアレルゲンの治療もできます。濃度の薄い花粉治療用エキス(花粉に含まれる抗原)を週1〜2回ずつ注射していき、徐々に濃度を高くして、決められた濃度(維持量)に達したら、2週間に1回、最終的に月に1回注射します。ただし、副作用もあります。
 2014年10月から保険診療が適用となった舌下免疫療法は、皮下免疫療法に比べて手軽で、副作用が少ないのが特徴です。現在は12歳以上のスギ花粉症患者が対象となります。
 毎日、舌の下にスギ花粉治療用エキス(液体)を2分間垂らします。1日1回、少量から服用をはじめ、2週間は徐々に増量し、その後は決まった量を継続して花粉症シーズン中も服用。短期間中断した場合は、そのまま継続することが可能ですが、1カ月中止した場合、再度、やり直す必要があります。
 私のクリニックで、2014年から舌下免疫療法を行っている患者さん100人を対象にアンケートを行いました。結果、使用する薬が減り、花粉症状が改善した人が多いことが分かりました。

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 今年中には、舌下免疫療法の舌下錠(錠剤)が承認される予定です。適応年齢も5歳からとなり、液体のように冷蔵庫に保存する必要もなく、より手軽に利用できます。
永倉仁史・ながくら耳鼻咽喉科アレルギークリニック院長
 また現在、毎日ご飯を食べることで花粉症の免疫治療となる遺伝子組み換え技術を利用した「花粉米」が研究されています。将来、花粉症をお米で治す日が訪れるかもしれません。
日常で取り組むセルフケアが大切
 治療で大切なのが、生活の中で花粉症の症状を抑えていくためのセルフケア。何より、原因となる花粉を避けることが重要です。
 花粉の飛散情報をチェックし、飛散の多い日は、窓や戸を閉め、布団や洗濯物の外干しは避けましょう。外出の際は、帽子、マスク、花粉が付きにくい化学繊維のコート、ゴーグル型のメガネなどを活用します。帰宅時には、玄関先で洋服や髪についた花粉を払い、鼻をかみます。うがい、手洗い、洗顔を習慣にしましょう。
 なお、カップ式の眼洗顔剤は、目の周りの汚れや花粉を目の表面につけてしまう可能性があるため、注意が必要です。鼻うがいは、鼻の粘膜に付着した花粉を洗い流すことで症状を軽くする効果がありますが、洗いすぎると、鼻の粘膜を保護している粘液を洗い流したり、線毛を痛めたりする危険性があります。
 薬を飲んでも症状がつらいときも多いでしょう。目のかゆみがひどいときは、冷たいタオルを目の上にのせると楽になります。鼻づまりがひどいときは、蒸しタオルを鼻にあてがうと症状が緩和されます。
 適切な治療とセルフケアで症状を抑え、花粉症シーズンを乗り切りましょう。
永倉仁史(ながくら・ひとし)/ながくら耳鼻咽喉科アレルギークリニック院長。1982年、東京慈恵会医科大学卒。東京慈恵会医科大学、国立小児病院(現・国立生育医療センター免疫アレルギー研究部)を経て、環境省国立環境研究所研究員として、アレルギー性疾患増加の原因の究明に関する研究に従事。95年から文部科学省委託「スギ花粉症克服に向けた総合的研究」に参加。 06年、ながくら耳鼻咽喉科アレルギークリニックを開院する。NPO花粉協会理事。著書(監修含む)に、『子どもの花粉症・アレルギー性鼻炎を治す本 (健康ライブラリーイラスト版)』(講談社)、『スギ花粉症は舌下免疫療法(SLIT)でよくなる!: まったく新しいアレルギーの根本治療』(現代書林)がある。
(取材・構成 西田佐保子)

http://diamond.jp/articles/-/121249

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/431.html

[政治・選挙・NHK222] 米次期通商代表、農業分野「日本が第一の標的」  クロネコ悲鳴 ベア減速、物価上昇、消費ダブルパンチ ベア前年割も労組前向
米次期通商代表、農業分野「日本が第一の標的」
2017/3/15 7:07
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 【ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領が米通商代表部(USTR)代表に指名したライトハイザー氏は14日、米上院委員会の承認公聴会で「農業分野の市場拡大は、日本が第一の標的になる」と主張した。環太平洋経済連携協定(TPP)離脱後の政策方針を答えたもので、米国が今後の対日協議で自由貿易協定(FTA)を求めていく姿勢が鮮明になった。

ライトハイザー氏=AP
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ライトハイザー氏=AP
 ライトハイザー氏は1980年代のレーガン政権下でUSTR次席代表に就き、その後は鉄鋼業界の顧問弁護士などを歴任してきた。80年代には対日鉄鋼協議で日本に輸出の自主規制をのませた実績があり、トランプ大統領が同氏の対外交渉力を高く評価している。

 14日の公聴会でライトハイザー氏は「日本が第一の標的になる」と強い言葉遣いで、農産物の市場開放に向けた対日交渉に意欲をみせた。米国はTPPからの離脱を決め、対日貿易では食肉や果物などの関税引き下げが実現できなくなった。ライトハイザー氏は公聴会で、TPP参加国と2国間で通商協議する意向を示したうえで「TPP交渉を上回る合意を目指す」とも主張した。

 日米は麻生太郎副総理・財務相とペンス米副大統領による日米経済対話を4月に始める予定で、通商分野も議題となる。米政権内でもUSTRは伝統的に日本の農産品の高関税を問題視しており、強硬的な交渉姿勢で知られるライトハイザー氏がUSTR代表に就任すれば、日本側の警戒感が一段と高まりそうだ。

 ライトハイザー氏は「トランプ大統領の米国第一の通商政策に同意する」と述べた。そのうえで「我々は極めて厳格に法執行していく」と主張し、安値で鉄鋼などを輸出する中国を名指しして、反ダンピング(不当廉売)関税などの措置で対抗する考えを示した。

 トランプ政権が最優先課題としている北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉は「できるだけ早く合意にこぎ着ける」と述べた。「優先するのは製造業だ」とも指摘し、メキシコに雇用や生産拠点が流出する工業分野を中心に交渉する方針を示した。

 上院は多数派の共和党だけでなく、野党・民主党も保護主義的な通商政策を支持しており、ライトハイザー氏は近く就任が承認される見込みだ。トランプ政権は商務長官に就いたロス氏がNAFTA再交渉を主導する一方で、ホワイトハウス内に新設した「国家通商会議」ではナバロ委員長が日本やドイツとの交渉を主張している。ライトハイザー氏は対外交渉を担うとともに、ロス、ナバロ両氏をつなぐ実務家としても力を発揮していくことになりそうだ。

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http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN15H0I_V10C17A3000000/?n_cid=NMAIL002

 

クロネコの悲鳴が示す「官製春闘の先」
2017/3/15 13:01日本経済新聞 電子版
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 2017年の春季労使交渉が15日、集中回答日を迎えた。自動車や電機などの主要企業でベースアップ(ベア)額の前年割れが相次ぎ、4年目の官製春闘は勢いに陰りが見える。賃上げは続くのか。連合首脳の1人は、ある企業の「もう一つの交渉」の行方を見守っている。

■賃上げへのリトマス試験紙

 「賃上げも、値上げもすべきじゃないですか」。自動車などの賃金交渉が佳境に入った3月上旬、この連合首脳は、ヤマト運輸の宅配料…
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ15H8N_V10C17A3000000/?n_cid=NMAIL002


 

Business | 2017年 03月 15日 16:35 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース

焦点:ベア減速、物価上昇も加わり消費にダブルパンチ 春闘見直しの声

[東京 15日 ロイター] - 春闘の集中回答日を迎えた15日、自動車や電機大手のベースアップは昨年より減速気味となった。労働組合の要求自体が低い上にトランプ政権政策への不透明感が企業の姿勢に影響した。人手不足による非正規や中小企業での名目賃金は上昇しているが、物価上昇が予想される今年は実質所得が伸びず、消費の弱さは続きそうだ。労働需給を反映しない春闘への疑問や、アベノミクスの仕切り直しを求める声も出ている。

<ベア鈍化、安倍首相の思惑外れる>

トヨタのベースアップは、前年実績を200円下回る月1300円にとどまったが、家族手当を含めると月額2400円増となる。日産は1500円で昨年の3000円の半額、日立は昨年の1500円を下回る1000円を回答した。

賃金交渉全体のけん引役となる自動車や電機の回答を昨年実績と比較すれば、今年の賃上げ率は昨年の2.14%を下回ると予想される。15年の2.38%をピークに賃上げ下率の鈍化が濃厚だ。

一方、企業の経常利益は過去最高を更新(法人企業統計10─12月期)し、内部留保も375兆円とこちらも過去最高。足元までの労働分配率の低さなどを勘案すると、エコノミストなどの専門家は、賃上げ原資は企業に蓄えられているとみていた。

また、政府の期待感も高く、安倍晋三首相は昨年並みのベアの確保を求めていたが「取り巻く環境、先行き不透明感、業績見通しを考慮すると昨年並みのベアは難しい」(トヨタ常務)と、企業の回答は安倍首相の期待を下回った。

<労組が賃上げ阻害要因の声>

ベアの勢いが停滞した背景として労働組合の役割低下を指摘する声も出てきた。

SMBC日興証券・シニアエコノミストの宮前耕也氏は「非正規労働や中小企業では、人手不足で賃金が上昇する、という市場メカニズムが機能している。一方で、大企業の正規労働では、労働組合の影響力が強く雇用が安定しているが、その代償としてベア上昇が抑制されている」と指摘。労働組合の存在意義の見直しが、いずれ課題になってくるとみている。

今年の労働組合側のベア要求水準が昨年並みにとどまったことから、賃上げへの取り組み姿勢が弱く、拡大均衡や成長を求める姿勢に欠けているとの指摘も、別のエコノミストらから指摘されている。

<消費起点の好循環は空振り>

こうした結果を受けて、野村総研チーフエコノミストの美和卓氏は「アベノミクス好循環の原動力となるはずの消費は、今年も空振りとなりそうだ」と見ている。

同氏は、人手不足を背景とした非正規や中小企業での賃上げは実現しても、雇用の不安定さや将来の収入の持続性への不安が大きく、正規社員のベースアップのほうが消費への影響度合いが大きいと指摘する。

他方、物価の上昇が消費の勢いを削ぐとの見通しも広がり出した。政府経済見通しでは、17年度の消費者物価(総合)は昨年度のゼロ%から1.1%の上昇に転じる。

ベースアップが昨年以下の増加にとどまる中で、物価が上昇に転じるとなれば、消費者にとっては厳しい環境となる。

政府高官の1人は、昨年末から今年初めにかけての消費の停滞について「消費者が野菜などの価格上昇により、他の消費を減らさざるを得なかったため」と分析。今年も円安やエネルギー価格上昇に伴い、消費が停滞する恐れがあると警戒感を隠さない。

また、日本総研・チーフエコノミストの山田久氏は「労働市場改革を本気でやろうと思うなら、労働者側にも痛みを伴う雇用流動化を進め、企業が生産性の高い事業に雇用を移すことができるようにする必要がある」と提案する。

そのうえで「アベノミクスがいまだ好循環を実現できないのは、限界が出てきた面もある。もう一度仕切り直す必要があるのではないか」と述べた。

(中川泉 編集:田巻一彦)

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http://jp.reuters.com/article/abe-wage-idJPKBN16M0S2


Business | 2017年 03月 15日 16:48 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース

ベア前年割れでも労組は前向き発言相次ぐ、「4年連続」評価

[東京 15日 ロイター] - 2017年の春闘は主要企業の集中回答日を迎えた。従業員の基本給を底上げするベースアップ(ベア)は昨年を下回る回答が目立ったが、労働組合からは前向きに評価する声が相次いだ。

全日本金属産業労働組合協議会で会見した自動車総連の相原康伸会長は「4年連続となる賃金引き上げの流れを維持したことは小さくない。この成果は前向きに受け止める必要があるのではないか」と指摘。「デフレを脱却して経済を前に進めていく上では、回答はそれを下支えするものだ」と評価した。

トヨタ自動車(7203.T)は家族手当の上積み分を含む賃金改善については月額2400円で合意。ベアに相当する改善分は月額1300円で決着した。ベア実施は4年連続だが、昨年の1500円には届かなかった。

日立製作所(6501.T)も昨年の1500円を下回る1000円の回答となった。

基幹労連の工藤智司委員長は「昨年の1500円を下回ったことは、それだけ厳しい事業環境の中にあると受け止めているが、それでも賃金改善を実現できたことは重い」と前向きに評価。電機連合の野中孝泰委員長も「これまでの3年間で6500円を積み上げて、その上に1000円を積み上げているのだから、7500円積み上がったということになる。評価できる」と口をそろえた。

(志田義寧)

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http://jp.reuters.com/article/shunto-idJPKBN16M0T4
http://www.asyura2.com/17/senkyo222/msg/411.html

[経世済民120] 電気代、再生エネ上乗せ100円増 5月分から 電力自由化乗換僅か金持トク低所得層値上 財政破綻から医療介護夕張モデル誕生
電気代、再生エネ上乗せ100円増 5月分から
2017/3/15付日本経済新聞 朝刊
保存その他
 経済産業省は14日、再生可能エネルギーの導入による電気代への上乗せが2017年度は標準家庭で月額686円といまより約100円増えると発表した。太陽光や風力発電の導入が増え、電力大手の買い取りコストが膨らむためだ。5月検針分から適用する。

 再生エネは電力大手が事業者から電気を買い取り、費用を電気代に上乗せして回収する。17年度は家庭で使う電気1キロワット時あたり2.64円が上乗せされ、16年度より…
http://www.nikkei.com/article/DGKKASFS14H4W_U7A310C1MM8000/

再生エネの電気代上乗せ、17年度は月686円 100円増に
2017/3/14 20:46

 経済産業省は14日、再生可能エネルギーの導入による電気代への上乗せが、2017年度は標準家庭で月額686円といまより約100円増えると発表した。太陽光や風力発電の導入が増え、電力大手の買い取りコストが膨らむためだ。5月の検針分から適用する。

 再生エネは電力大手が事業者から電気を買い取り、費用を電気代に上乗せして回収する。17年度は家庭で使う電気1キロワット時あたり2.64円が上乗せされ、16年度より0.39円多くなる。毎月の使用量が260キロワット時の標準家庭の場合、年間8232円の負担になる。再生エネの電気の買い取り制度が始まった12年度と比べると10倍以上の水準だ。

 太陽光や風力などの電気は高値での買い取りが保証されてきたため、導入が急速に広がった。17年度の買い取り費用の総額は2兆7045億円と16年度に比べて4千億円ほど増える見通しだ。

 経産省は12年度に1キロワット時あたり40円だった太陽光の電気の価格を16年度は24円まで下げた。17年度からは入札制を取り入れ、さらに安い電気を優先して買う。風力も17年度に初めて値下げし、上乗せの膨張を抑える。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS14H4W_U7A310C1EE8000/

 


2017年3月15日 清談社
電力自由化で乗り換えわずか4.7%、不評の原因とは

金持ちがトクする仕組み
低所得層はむしろ料金が上がる

昨年4月に、満を持してスタートを切った…かのように思えた「電力自由化」。しかし、実際に電力会社を切り替えた人はごくわずかだ。果たして電力自由化のメリットとは何だったのだろうか?(取材・文/清談社 青柳直弥)

金持ちがトクする仕組み
低所得層はむしろ料金が上がる

 2017年2月9日時点で、経済産業省に登録された小売電気事業社は379社まで増えたものの、直近(1月31日24時まで)のデータでは実際に電力会社を切り替えた人は全世帯の4.7%と、わずか5%にも満たない。自由化からもうすぐ1年が経とうとしているにもかかわらず、だ。


あれだけ騒がれたのに、フタを空けてみれば1年で切り替えた人はたった4.7%…。この不人気ぶりはなぜなのだろうか?
 そもそも電力自由化とは、消費者の住む地域で決められた電力会社としか契約できなかったところを、新たに参入する電力会社との契約に切り替えることを可能にした政策。これにより複数の企業が、家庭などに向けた電力の小売事業に参入した。

 電力自由化が発表された当初は、11年の東日本大震災で芽生えた東電への不信感から、結構切り替える人がいるのでは?との見方が多かった。しかし、いざ始まってみれば、前述の通り、全世帯の切り替え率は5%にも達していない。小売電気事業社こそ379社まで増えているものの、これはあくまで登録事業者の数であって、実際には登録はしたが、小売りをおこなっていない企業もあるという。

 かつて通商産業省(現・経済産業省)で電力を筆頭とするエネルギー政策などに従事した政策アナリストの石川和男氏は、その原因をこう語る。

「電力自由化には、ある意味、消費者ニーズも新規参入ニーズもあまりないんですよ。実際、震災の前までは『電力の小売りをやりたい』という企業側のニーズなんて、ほとんどなかったですし、電力の小売りをやったところで大して儲からないんです。本当に儲かるなら、もっと規制緩和要望が出ているはずですから」

 ではなぜ自由化の流れになったのか?石川氏が続けて語る。

「私はテレビでも何度か言いましたが、これは男の喧嘩なんです。昔の郵政省vsNTTみたいなもので、官僚vs電力マンの喧嘩。官僚たちは、普段あまり言うことを聞かない東電の発言力が震災で著しく低下したのを見て、ここぞとばかりに自由化に突き進んだわけです」

「これまでは電気料金やガス料金というのは、ナショナルミニマム(国家が国民に対して保証する最低限の生活水準)の考え方に基づいて、電気を多く消費する人より、あまり使わない人ほど料金的に得をする構造になっていました。ところが、電力自由化となると彼らの料金は上がってしまい、逆に消費量の多い人たち、つまり中所得層より上の人ほど料金が安くなる仕組みなのです」

「電気料金が下がる」とは言ってない!
霞ヶ関のレトリックとは

 供給される電力の全体のパイが決まっている以上、ある層が優遇されれば、どこかにしわ寄せがいく。結果、損してしまうのは電力消費量の少ない低所得層なのだという。つまり、我々一般庶民にとっては、ほとんどうまみがないのが実情なのだが、当初は多くの人が自由化されれば料金は安くなると思ったはずだ。

「役所側も『電気料金を下げる』とは言っていないんです。では、どう説明したかというと『電気料金の上昇を抑制する』と言ったんです。ここが肝なのですが、電気料金の上昇を抑制するということは、料金は上昇するという意味なんですね。いわば霞ヶ関のレトリックですよ。ここに気づいていた人はそう多くないでしょうね」(同)

 とはいえ、ほとんどの一般消費者たちは電力自由化の背景をそこまで深く理解していない。消費者たちの切り替えが思いのほか進んでいないことには、もっと根本的な理由があると石川氏は語る。

「これを言ってしまうと身もふたもないけど、根本的に皆、(電力自由化に)興味が湧かないんだと思います。なぜかというと、『人間の本能を刺激しないから』。たとえば1990年代に爆発的に普及したインターネットや携帯電話もすべて規制緩和だったわけですが、これら通信の自由化は、金銭欲と性欲という人間の本能を刺激するコンテンツを生み出しました」

「だけど、電力やガスの自由化にはそれがない。しかも、いざ切り替えようとすると結構めんどうくさい。確かに電気料金7000円が6500円になれば、500円得ですけど、そんなに面倒なことをしてまで500円安くなるのを良しとするかといえば、どっちでもいいや、になってしまうんです」(同)

ガス自由化を控える
東京ガスは健闘した

 そして、もうひとつ、消費者が切り替えを躊躇する大きな理由が、多くの小売事業者がプランとして打ち出している「セット販売」の煩わしさだという。

 たとえば電力会社を東京電力から東京ガスに切り替えることで、電気料金もガス料金も一括して払えるようになるものの、一度セット販売のプランにしてしまうと、次に切り替えをするのは携帯のキャリアを変える以上に面倒なことは容易に想像できる。つまり、電力自由化は、実は不自由化でもあるのだ。

 直近のデータでの切り替え率は全世帯で4.7%。しかも、そのほとんどは東電の管轄内と人口の多い関西方面だという現状。電力自由化で一体、誰が得をしたのだろうか?

「東電管轄内での切り替えが多いのは、東京ガスの健闘もあるでしょう。この4月にはガスの自由化も決まっていますから、東京ガスにしてみれば、東電に取られるくらいなら顧客を囲っておきたい。顧客を競合他社に奪われないための足かせが電気(をセットで売ること)なんです」(同)

 もちろん今後、徐々に切り替える人が増えていくことも考えられるが、現時点では消費者に完全に浸透したとは言いがたい電力自由化。その最大の理由は、「消費者の興味を湧かせるものではないから」と石川氏が言うように、人間の本能(性欲と金銭欲)を刺激しない電力の自由化など、大半の消費者にとって、どうでもいいことなのかもしれない。

http://diamond.jp/articles/-/120806


 


【第73回】 2017年3月15日 浅川澄一 [福祉ジャーナリスト(前・日本経済新聞社編集委員)]
財政破綻で生まれた医療介護の「夕張モデル」とは

夕張市で示された新しい再生案
 財政再建中で「後ろ向き施策」に追われていた北海道夕張市が「前向き施策」に向かうことになった。夕張市の策定した再生計画の見直し案に国が3月7日、同意したことによる。
 炭鉱で栄えた夕張市は1960年には11万7000人の人口を抱えていたが、2006年に財政破綻して以来、若者やファミリー層の流出が止まず、遂に9000人を割ってしまった。
 緊縮財政に邁進し、市長と約100人の市職員の給与をそれぞれ70%減、15%減に抑え、11校の小中学校をそれぞれ1校に統合、公園など公的施設を次々閉鎖してきた。水道料金を引き上げ、固定資産税や市民税もアップした。
 一連の緊縮策で「借金」は、2016年度末までに約116億円返済できる。とはいえ、まだ折り返し点。2026年度末を期限に200億円以上が残り、その完済を目指し続ける。
 ただ、このまま抑制策を続けていくと人口減が止まずに地域崩壊を招き、自治体としての存続自体が危ぶまれかねない。「高負担・低行政サービス」に耐えかねて故郷を後にする市民が今後も続きそう。
 借金払って市民が消えては元も子もない。そこで、地域再生に舵を切った。「耐え忍んできた10年間だった。止まっていた時計の針を動かしたい」と鈴木直道市長は計画案公表の3月1日に話した。
 新しい再生案では、市営住宅の再編を始め、認定こども園の新設、図書室などの複合施設の開設、市立診療所の移転などを打ち出した。市税も元の水準に下げる。ふるさと納税にも期待を寄せ、2026年度までの10年間に113億円の新規事業を投入する。ブレーキを踏みつつアクセルもふかす。
 国も緊急時に交付する特別交付税を約12億円支給して手助けする。東京23区ほどの広大な市域に、それぞれの炭鉱ごとに公共施設や市街地、住宅などが分散しているが、できるだけ集約して効率性を高める。国交省が唱える「コンパクシティー」を目指す。この方針のもとで、新設の施設や市営住宅を清水沢地区にまとめていくという。

896自治体が人口減によって「消滅」する可能性
 隆盛を誇った石炭産業が消えるとともに夕張市の沈下は始まった。1980年代から、「炭鉱から観光へ」のスローガンを掲げてリゾート政策に突き進み、めろん城やホテルなど様々な観光施設を建て続け、巨費を投じた。それが功を奏さないまま、借金隠しもあって年間予算の3倍超、353億円の累積赤字を抱え、2006年に自治体「倒産」に追い込まれた。
 2007年3月に財政再建団体(現在の財政再生団体)に指名されて国の管理下に入り、20年計画で借金返済を求められる。予算編成は無論、細かい施策の一つ一つに国の同意が必要となった。
 再建開始前の06年には約1万3000人だった人口は8600人に減少している。なかでも40歳未満のファミリー層や若年層がほぼ半減した。教育や子育て環境の不安からだ。そのため高齢化率が49%に高まり全国でもトップクラス。市民の半数が65歳以上となった。
 人口が減ると商工業も衰退する。商工会議所の会員が10年前には316だったが、今や半減。シチズン時計やツムラ、マルハニチロなどの勤務先も少なくはないが、子育てを考える段になると去っていくという。
 過去の負債を現在の市民に強いることでひずみが生じた。究極のひずみが人口減として現れ、現在進行形でもある。この道しか選択肢はなったのだろうか。
 夕張市が歩んだ道は、今後、多くの日本の地域で起こる可能性が高い。有識者を集めた「日本創生会議」は、全国の半数の896自治体が人口減によって「消滅」する可能性があると推計している。
「わが町もゆくゆくは……」と不安に駆られた多くの自治体関係者が夕張視察に相次いで訪れている。「再生」への糸口を見いだせるのかを知りたいためだ。財政再建一辺倒から路線転換した夕張市が一段と注目が集めそうだ。
「看取り」の画期的な取り組みが
 実は夕張市では、全国的にも「画期的」なことが起きつつある。マイナス面ばかりが強調される中で、日本の将来を先取りするような、まことに先駆的な事実が着々と広がっている。
 高齢者の終末期、看取りについてである。それは「生」を充足させたうえでの「死」に臨む考え方である。
 公営事業をことごとく見直しに入った夕張市にとって、医療機関も例外ではなかった。171床の3階建ての、市内で唯一の総合病院だった夕張市立総合病院を閉鎖した。同じ建物がわずか19床の小さな診療所と40床の老人保健施設に縮小された。
 それまでの病院には、いわゆる社会的入院の患者も多かった。治療が不要になっても「自宅には戻れない」「安心のため」などの理由で長期に滞在していた。「腹痛でも救急車を呼んでいた」と話す市民もいる。その病院が消えてしまったのだ。
 救急車での搬送先は隣町の病院になる。市民にとっては、医療に見放されたかのように思えたかもしれない。ところがである――。
 まず、小さな診療所には在宅医療に熱意溢れる医師がやってきた。村上智彦医師である。夕張市は、村上医師が理事長の医療法人財団「夕張希望の杜」に指定管理者方式で運営を委ねた。10年の長期契約だった。
 村上医師は、患者の自宅や特別養護老人ホーム、グループホームなどの施設に気軽に足を運ぶ。医師が自宅に来てくれると分かれば、退院を渋っていた患者も考えを改める。
 予防医療にも熱心に取り組み出す。肺炎球菌ワクチンの効果を説き、胃ガンをもたらすピロリ菌の尿検査を始める。高齢者の死亡原因としてベスト3に入っていた肺炎死を減らした。

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 村上医師は地域住民に健康管理の重要性を説いて回った。本人が望んでいる自宅生活を続けることに手を差し伸べた。その活躍ぶりはマスコミに度々登場することで知られ、2009年には若月賞を受賞。地域医療の旗手として名声を高めた。2012年5月まで5年間所長としてリーダーシップを発揮したが、プライベートでの不幸な事件で引責辞任に追い込まれる。
 その後、診療所の所長は次々変わったが、訪問診療に力を入れる志は引き継がれた。訪問診療を受ける患者数を見ると、村上医師が着任した翌年の2007年に44人、その後増え続けて2012年には120人になる。病院時代にはゼロだった。様変わりである。
 医師が日常的に自宅や施設に来てくれれば、遠くの病院へわざわざ足の延ばす必要もなくなる。最期まで自宅で踏みとどまる気持ちになり、看取りを受け入れる。自宅介護が難しい高齢者が入居している市内唯一の特別養護老人ホーム、清光園でも同様のことが起きてきた。
 ちょうど4人部屋から個室ユニットへの転換時だったこともよかった。プライバシーが確保された個室になると、自室での看取りにつなげやすい。特養での看取りが増えたが、この10年ほど市内の全死亡者数は200人前後と変わらない。医療機関が縮小したからといって、死亡者が増えることはなかった。死のあり方が変わったのである。
 病院で亡くなれば、当然ながら死亡診断書には特定の病名が書かれる。だが、高齢者の多くは複数の「病気」を抱えている。老衰による細胞劣化が全身に及ぶためである。たまたま劣化が早い特定の臓器を病院では病名を付けて診断するだけのこと。
 複数の臓器が同時に劣化しても、延命治療に走らなければ穏やかに亡くなることができる。訪問診療医にとっては当たり前のことだ。どの生物にも共通する自然の摂理である。日本人はそうした亡くなり方を「大往生」と呼んで、称えてきた。先人の素晴らしい表現である。

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 いまでは、自然死や平穏死、尊厳死と言われる。死亡診断書では「老衰死」と書かれる。夕張市での老衰死の数字を追うと、財政破綻後から急に増えている。それまではずっと0〜3人だったが。村上医師がやってきた翌年に5人となり、その3年後には15人。5年後にはなんと30人に達した。
 とりわけ特養での看取りが多い。2013年には市内の老衰死22人のうち17人、14年は同16人のうち11人が特養で亡くなった。半数以上である。診療所の医師や看護師が、訪問診療と訪問看護に熱意を傾けた結果と言えるだろう。
 こうした、破綻後の夕張の医療事情を調べ上げ、2015年9月に書下ろしの単行本「破綻からの奇蹟〜いま夕張市民から学ぶこと〜」として発表したのが医師の森田洋之さん。同書は昨年11月、2016年度の日本医学ジャーナリスト協会賞の優秀賞を受けた。
 森田さんは、夕張市立診療所に2009年4月から1年間勤務し、2013年5月からほぼ1年間は3代目の所長だった。村上路線を引き継いだ当事者による実体験を踏まえ、加えて一橋大学の経済学部出身だけに、経済効果まで分析している。
 それによると、夕張市の高齢者1人当たりの医療費は、破綻前の2005年は83万9000円だったが、診療所体制に移行した翌年の2008年には72万4000円へと急減する。その後も70万円台が続く。

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 一方、北海道全体の同平均医療費は増え続けている。2012年には86万円となったが、夕張市は79万7000円にとどまった。約6万円も少ない。医療費抑制に大きな効果があった。後期高齢者の1人当たり医療費も約102万円で、北海道平均の約109万円より低い。
 病院が消えたのに医療費は下がり、北海道全体よりも下回っている。病院がなくても高齢者の不安は醸成されなかった。むしろ、病院がない新しい環境を受け入れたようだ。
 森田さんは、その住民の意識転換こそが重要だと指摘する。著書の中で「ある程度の年齢になったら、いずれ医療では解決できない問題がやってくる。『それが天命だ、老衰だ、自然死だ』との終末期に対する市民の意識が変わり、『文化』というレベルにまで夕張市民を変えた」と綴る。
 病院が消えたことで、市民の間で病院依存心がなくなり、死生観の変化をもたらした。終末期のいよいよの段階になると、βエンドルフィンやケトン体の効果で陶酔感に浸ることができると言われる。脱水症状で意識も落ち、安らかに旅立つ。こうして夕張では老衰死が増えてきた。
 病院が消えたことで医療への向き合い方が変わり、病院から在宅医療への道が拓かれ、そして大往生が増えたことが分かった。
 日本人の死亡場所の80%近くは病院であるが、欧州諸国は50%前後。オランダは既に30%を下回った。在宅医療や在宅介護が浸透すれば死亡場所も、本人が望む「非病院」「在宅」になっていく。その引き金が、夕張市では総合病院の閉鎖にあった。
 病院が多いと地域の医療費は高くなる、というのは定説である。財政破綻した都市で、定説が裏付けられた。奨励してもなかなか浸透しない在宅医療だが、思い切った外科手術もひとつの策ではないだろうか。
自分で自分の最期の姿を選びたい
 昨年の1月5日に全国紙で女優の樹木希林さんが、ハムレットのオフィーリアに扮して森の中の池で横たわる姿が登場したことを覚えているだろうか。「死ぬときぐらい好きにさせてよ」という衝撃的な、大きなキャッチコピーが紙面に踊ったユニークな企業広告である。
 その文中で、本人が「死を疎むことなく、死を焦ることもなく。ひとつひとつの欲を手放して、身じまいをしていきたいと思うのです」と記している。また「生きるのも日常、死んでいくのも日常」とも話している。
 家族や医師によって病院で亡くならざるを得ない状況の日本。樹木希林さんは、その死に方へ「おかしい」と訴えた。自分で自分の最期の姿を選びたい、そんな思いが込められている。
 夕張市ではそうした状況に近付いているように見える。日本で近い将来、起きるであろう死生観の転換が始まっている。
 この4月には、診療所の指定管理事業者が替わる。札幌市で東苗穂病院などを運営する医療法人社団・豊生会が、やはり10年間にわたって運営に乗り出す。
 既に同会の医師など専門職が夕張市立診療所で活動しており、在宅医療重視の姿勢を引き継ぐと見られる。
 診療所自体も再生事業の一環として中心部に移転する。その費用25億円も認められた。再建計画が動き出して10年、新体制で次の10年を迎えることになる。
(福祉ジャーナリスト 浅川澄一)
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http://diamond.jp/articles/-/121246

http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/210.html

[国際18] 欧州政治のトランプ化、実はEUの救世主 仏離脱に物価連動債活発化 G20経済強靭性 トランプ、財務副長官ゴールドマン幹部
FX Forum | 2017年 03月 15日 12:29 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:欧州政治のトランプ化、実はEUの救世主

嶋津洋樹MCP シニアストラテジスト
[東京 14日] - 筆者は昨年6月のコラムで欧米政治の急進化を中道左派勢力の退潮と結び付けて論じた。その流れは、米大統領選でクリントン民主党候補が敗北し、トランプ共和党候補が勝利したことで一段と加速したと言えるだろう。

しかし、トランプ氏の米大統領就任をきっかけに、その潮目が変わりつつある。実際、欧州各国では最近、急進的な公約を掲げて台頭した政治勢力の人気に陰りや伸び悩みが見える一方、中道左派や中道がじりじりと支持を集めている。

例えば、15日に総選挙を控えるオランダでは、反移民や反イスラムを掲げる右派の自由党(PVV)の支持率がじりじりと低下。ルッテ首相の率いる中道右派の自由民主国民党(VVD)との差は一時に比べてかなり縮小した。ただし、必ずしもVVDが支持率の主な受け皿となっているわけではなく、中道左派の労働党(PvdA)や民主66(D66)、中道系のキリスト教民主アピール(CDA)の党勢回復が目立つ。

また、ドイツでは「ドイツのための選択肢(AfD)」内で路線対立が表面化。AfDはユーロ圏の解体などを主張し、今秋に予定される連邦議会選で第3党への躍進が予想されていたが、今や分裂の危機さえ報じられている。この間、メルケル首相の率いるキリスト教民主同盟(CDU)/キリスト教社会同盟(CSU)は安定した支持を確保。そこへ、最近はシュルツ前欧州議会議長が党首に就いた中道左派の社会民主党(SPD)が追い上げ、接戦となっている。

これらとは対照的に、フランスでは依然として国民戦線(FN)のルペン党首が高い人気を誇る。しかし、候補者が乱立する中、第1回投票を首位で勝ち抜くことはできても、決選投票を制することは難しいとみられている。それどころか、最近では中道系のマクロン元経済相が幅広い支持を獲得。第1回投票を首位で通過した上、決選投票を制するとの調査結果も報じられ始めた。

──フランス大統領選挙:候補者の横顔と支持率推移

むろん、米大統領選でのトランプ氏勝利や英国民投票での欧州連合(EU)離脱選択の経験は、こうした調査がそれほどあてにならないことを示しており、結果をうのみにするわけにはいかない。ただ、トランプ大統領は移民の受け入れや環境保護など、欧州で重要視される価値観の尊重に消極的で、それに関連した大統領令への署名が国際的な物議を醸してさえいる。欧州の人々が似たような公約を掲げる政治勢力への支持を続けるとは考えにくい。

一方、トランプ大統領の掲げる経済政策への共感が、欧州での中道左派や中道系の復調につながっている可能性もある。というのも、トランプ大統領の掲げる経済政策は米共和党の保守派が好む自由主義と明らかに一線を画しているからだ。このことは、党内保守派が反対するオバマケア(医療保険制度改革法)の代替案に賛成したことからも明らかだ。企業の意思決定に介入してまで自国の雇用を重視する姿勢は、左派的とさえ言えるだろう。

<中道左派の失地回復で欧州が再び団結する可能性>

筆者は、欧州の中道左派や中道系の支持率回復について、トランプ大統領の左派的な経済政策に対する実利的な共鳴なしで説明することは難しいと考えている。もちろん、トランプ大統領の政治的な思想に対する感情的な反発を抱く人はいるだろうが、それは左右を問わず中道系の追い風になるはずだ。そして、今のところ、中道左派や中道系に比べると、中道右派の支持率回復は限られている。

欧州政治を分析した「The Franco-German Axis in European Integration」(2001年刊、Gisela Hendriks/Annette Morgan著)では、ドイツとフランスをけん引役とする欧州統合の共通理念として、共同体的な社会を重視する「キリスト教的民主主義イデオロギー(Christian-Democratic ideology)」と、社会的な配慮の必要性を説く「ラインラント資本主義的経済モデル(’Rhineland capitalism’ economic model)」が指摘されている。

この2つの基本理念こそ、トランプ大統領に対する欧州世論の反発と共鳴という一見矛盾した反応をもたらしたと考えられる。トランプ大統領の誕生は、欧州統合の基本理念を問い直すきっかけとなった可能性があるのだ。

なお、英国は「キリスト教的民主主義イデオロギー」と「ラインラント資本主義的経済モデル」のいずれとも縁遠い。英国が昨年、EUからの離脱を決めたこともまた、欧州が統合の基本理念に立ち返るきっかけとなったかもしれない。

こうしたことを踏まえると、欧州主要国の中道左派や中道系は今年の選挙でかなり善戦する可能性がある。それどころか、欧州各国がEUやユーロ圏という枠組みで団結を取り戻すことも考えられるだろう。

欧州における中道左派や中道系はもともと右派や中道右派に比べて親EU、親ユーロ色が濃く、統合の深化や促進に前向きな傾向が強い。ドイツでシュルツ前欧州議会議長の率いるSPDが政権を獲得すれば、欧州内の遠心力も弱まりそうだ。

というのも、ドイツでの政権交代は、世界的な緊縮財政路線の見直しを加速させると考えられるからである。それは、欧州での政治的、経済的な緊張も緩和させる可能性が高い。欧州債務危機以降のドイツは、国内世論の支持を取り付けるためとはいえ、原則論を振りかざし、域内の被支援国を中心に一方的な緊縮財政を求めてきた。そうした姿勢が、ドイツ以外の国でのポピュリズムや急進勢力を台頭させた可能性は否めないだろう。

メルケル独首相は今年、3期目を終え、4期目を目指している。トランプ米大統領の誕生で、メルケル首相を自由主義世界の盟主と仰ぐ向きも少なくないが、それは買いかぶり過ぎというものだ。15日のオランダ総選挙では、PVVの動向に加え、中道左派や中道系の躍進にも注目する必要がある。

*嶋津洋樹氏は、1998年に三和銀行へ入行後、シンクタンク、証券会社へ出向。その後、みずほ証券、BNPパリバアセットマネジメントなどを経て2016年より現職。エコノミスト、ストラテジスト、ポートフォリオマネジャーとしての経験を活かし、経済、金融市場、政治の分析に携わる。共著に「アベノミクスは進化する」(中央経済社)

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

コラム:中国の外貨準備高、越えた危険な一線 2017年 02月 08日
視点:トランプ円安は幻想、進む「米国の日本化」=青木大樹氏 2017年 01月 23日
〔マーケットアイ〕外為:中国貿易収支は600億元の赤字、輸出伸び悩み 2017年 03月 08日
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-hiroki-shimazu-idJPKBN16K089

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2017年3月15日 ロイター
仏のユーロ離脱に備え、物価連動債取引が活発化


3月13日、来るフランス大統領選で同国のユーロ離脱を唱える極右政党、国民戦線のルペン党首(写真)が勝利してインフレが起こる事態に備え、投資家は同国の物価連動債を買うなどのヘッジ取引を行っている。仏シャトールーで11日撮影(2017年 ロイター/Christian Hartmann)

[ロンドン 13日 ロイター] - 来るフランス大統領選で同国のユーロ離脱を唱える極右政党、国民戦線のルペン党首が勝利してインフレが起こる事態に備え、投資家は同国の物価連動債を買うなどのヘッジ取引を行っている。

 ルペン氏が勝利する可能性は小さいと見られているが、仮に勝利してユーロから自国通貨に切り替えられた場合、新通貨は下落してインフレを招くとの理屈が背景にある。英国では国民投票で欧州連合(EU)離脱派が勝利した後、ポンドが下落して物価が上昇した。

 投資家が手掛けているのは、利率がフランスの物価に連動する国債を買い、ユーロ圏の物価に連動する国債を売る取引だ。

 ある主要銀行の国債トレーダーはこうした取引について、「かなり純粋に通貨切り替えのヘッジになる。ほかにそうした取引は珍しい」と説明した。

 資産運用会社パイオニア・インベストメンツの欧州債券責任者、コジモ・マラシューロ氏は「わが社は現在、10年物のフランス物価連動債を買って10年物のユーロ圏物価連動債を売っている。これならルペン氏が選挙に負けても機能するのでお気に入りだ」と話した。

 大統領選で中道系のマクロン前経財相が勝利した場合でも、同氏はインフレ率を押し上げるような政策を実行しそうだとマラシューロ氏は説明した。

 直近の世論調査では、大統領選は4月の第1回投票でルペン氏の得票率がマクロン氏をわずかに上回るが、5月の決選投票ではマクロン氏が大差でルペン氏を破る見通しとなっている。

(Abhinav Ramnarayan記者)

http://diamond.jp/articles/-/121416

 

Business | 2017年 03月 15日 17:25 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース

 G20、「経済の強靭性」で文書 自由貿易の意義も明記=関係筋

[東京/ベルリン 15日 ロイター] - 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が、今年の主要テーマの1つである「経済の強靭(きょうじん)性」に関し、財政の持続可能性や自由貿易の意義などを盛り込んだ付属文書の取りまとめを検討していることが15日、明らかになった。共同声明(コミュニケ)とは別の文書とする方向で、17日からドイツのバーデンバーデンで始まる会合で採択を目指す。

G20交渉に詳しい複数の関係筋が明らかにした。付属文書の策定は議長国・ドイツの発案で、実体経済や金融政策、貿易など5分野・10項目程度について、中長期的な観点から経済財政のあり方を指摘する「原則集」の色彩が強い。

具体的には、過去のG20での議論を踏まえ、財政余地を確保することの重要性に触れるほか、通商分野では公平で自由な貿易の意義を明記し、保護主義への反対姿勢をにじませる公算が大きい。

トランプ新政権発足後、幹部職員の不在が続く米財務省が「現段階では組織として明確な意思決定ができない」(G20交渉筋)ため、各国は米国の事情を考慮した上で最終的な文言調整を続けている。

G20の共同声明の内容は、その時々の世界の経済情勢が色濃く反映されることが多い。ドイツ当局は、経済が「危機」から「平時」に移行しつつある現状を踏まえ、共同声明とは別に、経済財政運営を巡るより普遍的な指針が必要と判断した。

この付属文書はバーデンバーデン会合で示される方向だが、今後の調整次第では7月のG20首脳会合(ハンブルク・サミット)まで持ち越される可能性もある。

(ポリシー取材チーム 編集:田巻一彦)

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http://jp.reuters.com/article/g-idJPKBN16M0TZ


 


 
World | 2017年 03月 15日 13:33 JST 関連トピックス: トップニュース

トランプ米大統領、財務副長官にゴールドマン幹部指名へ

[ワシントン 14日 ロイター] - 米ホワイトハウスは14日、トランプ大統領が財務副長官にゴールドマン・サックス(GS.N)のマネジングディレクター、ジェームズ・ドノバン氏を指名する見通しであると明らかにした。

トランプ大統領は、ムニューシン財務長官やコーン国家経済会議(NEC)委員長など、既に数名のゴールドマン・サックス幹部を政権ポストに起用している。

ホワイトハウスによると、ドノバン氏は、ゴールドマンで企業戦略や投資銀行業務、運用などを担当。財務省では国内問題を担当する予定という。

大統領はまた、昨年の選挙戦でトランプ氏の経済アドバイザーだったデービッド・マルパス氏を国際問題担当の財務次官に指名する。同氏は、ロナルド・レーガン政権とジョージ・H・W・ブッシュ政権の時の政府高官。金融危機で破綻したベア・スターンズでエコノミストも務めた。

さらに、司法省の元高官シガール・メンデルカー氏をテロ・金融諜報担当の財務次官に指名する。

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ドイツ、トルコ政治家の入国禁止も視野─官房長官=独メディア
http://jp.reuters.com/article/trump-goldman-donovan-idJPKBN16M0FE
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/620.html

[経世済民120] 中国の成長鈍化を襲う3大リスク「トランプ、債務、人民元」米中雪解? 日銀注目度低下 FRBに後出黒田 日本人観光客大幅減
2017年3月15日 週刊ダイヤモンド編集部
中国の成長鈍化を襲う3大リスク「トランプ、債務、人民元」
李克強首相(中央)が政府活動報告において、習近平国家主席を「核心」と位置付けたのも、成長率目標と並んで話題になった Photo:REUTERS/アフロ

中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)が3月5日に始まり、今年の実質GDP成長率目標が6.5%前後に引き下げられた。「安定成長」を全面的に掲げたものだが、不動産バブル崩壊懸念やトランプリスクなど先行きは不透明だ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子)

 中国の全国人民代表大会(全人代)が3月5日に開幕した。李克強首相は「政府活動報告」で、今年の実質GDP(国内総生産)成長率目標を「6.5%前後」とした。
 習近平国家主席(中国共産党総書記)が掲げる2020年までの、対10年比での「所得倍増計画」を達成できる水準ではあるものの、昨年の目標「6.5〜7%」より引き下げた。言うまでもなく、図のように、中国の実質GDP成長率が鈍化していることが背景にある。
 その要因は、構造改革が進まず、過剰設備、過剰在庫、過剰債務が成長の重荷となっていることにある。長年、構造改革を課題に挙げ続けているが、進捗していない。
「中国共産党は何より経済の安定を重視している。昨年12月の中央経済工作会議においても、“穏中急進(安定を保ちつつ経済成長を促す)”を繰り返し使っていた」(西濱徹・第一生命経済研究所主席エコノミスト)
 今年は、中国では5年に1度の共産党大会があり、最高指導部の入れ替えが行われる。それだけに、習主席としては、経済の失速を避けて、次の指導体制づくりに向かいたいところだ。
 足元では中国経済の失速懸念は薄れている。米国などがけん引し、循環的要因で世界景気は回復局面にある。中国の輸出が拡大し、製造業PMI(購買担当者指数)は2月まで7カ月連続で50を超え堅調さを見せている。
 李首相の言葉に従えば、中国は、16年は鉄鋼や石炭関連で目標以上の生産能力削減を進めたとされる。それにより、市況が底打ちするとともに、中国経済が上向いたことで、新興国市場にもプラス効果が出てきた。
 もっとも、好循環が続くかどうかは不透明だ。(1)トランプシフト、(2)金融システム不安、(3)米国の利上げや欧州の選挙などに起因する市場の変調といった三つのリスクがあるためだ。

米国利上げや欧州の選挙次第で資金流出も

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 第一のリスクであるトランプシフトとは、グローバル企業が生産拠点を中国から、ベトナムなど対米貿易赤字の小さい国にシフトさせる動きだ。米国のドナルド・トランプ大統領は、“米国第一主義”を掲げており、米国にとって最大の貿易赤字相手国である中国からの輸出に対する風当たりは強まるとみられる。「中国での製造コストが上がり、グローバル企業がサプライチェーンを見直している中、トランプシフトがその動きを加速させかねない。そうなれば、中国国内の民間投資が減少し、中国経済の成長力をさらに鈍化させる」(三尾幸吉郎・ニッセイ基礎研究所上席研究員)。すでにグローバル企業が中国への直接投資を減らしている一方、中国企業が海外への直接投資を増加させる動きも出始めている。

 第二のリスクは債務過剰による金融システム不安。BIS(国際決済銀行)によれば、16年6月末時点で民間部門の債務は対GDP比で209.4%に達している。ちなみに日本のピークは、1994年の149.2%。投資家の間では「債務が大きいため、いつバランスシート調整が進んでもおかしくない」との懸念が強い。そうなれば、債務返済のために投資が冷え込んで景気が鈍化し、不良債権が増加する公算が大きくなる。
 不動産市況も不透明だ。一部の都市では不動産価格が急上昇し、バブルの様相を見せている一方、地方では過剰在庫のため低迷している。地域ごとにきめ細かい金融政策(金利や住宅ローン規制など)が求められるが、不動産投資は借り入れに頼る部分が多く、いったん下落し始めるとコントロールし切れず、急落する恐れがある。不動産市況下落は、米国で起こったサブプライムローン問題のような金融システム不安につながらないともかぎらない。

 第三のリスクは、米国の利上げや欧州の選挙などに伴う新興国通貨ならびに人民元の下落だ。トルコなどの新興国市場で資金流出が起き、通貨が急落した場合、市場がリスクオフ(リスクの高い資産を嫌う投資行動)となり、人民元に波及し急落する恐れもある。中国はさらなる介入が必要になる。現在、中国の外貨準備高は2月末で約3兆ドル。余力はまだあるが、14年のピークより1兆ドル前後減少しており、いつまでも介入を続けているわけにはいかない。
 ドイツやフランスなど欧州での総選挙、大統領選挙でポピュリズム政党・候補が勝利するようなことになれば、そのときも市場のトレンドはリスクオフとなる。
 全人代で中国は安定成長路線を示したが、構造改革も進まず、自律的な成長に向けたけん引役も見当たらない。中国の政策が綱渡りになる可能性すらある。
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http://diamond.jp/articles/-/121124

 


 
FX Forum | 2017年 03月 15日 12:53 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:全人代後に訪れる米中「雪解け」の正念場

斉藤洋二ネクスト経済研究所代表
[東京 15日] - 中国・北京において5日から15日まで開催された全国人民代表大会(全人代)は、日本のメディアから「国会に相当するもの」とよく言われる。だが、共産党一党独裁下の中国だけに欧米と比べても「議会」の役割は当然、限定的だ。代表約3000人の多くにとって、北京滞在は「物見遊山」だとの指摘はあながち的外れではないのかもしれない。

とはいえ、この会議は1年に1度、中国政府の方針さらに権力の在りかが垣間見える絶好の機会であり、同国の現状を知る上で重要なイベントと位置付けられる。特に今秋には5年に1度の共産党大会が開催され、最高指導部(党中央政治局常務委員会)の大幅な人事刷新が行われる見込みであるだけに、なおさらだ。

今年の全人代ではまず李克強首相による政府活動報告が注目されたが、その中で、2017年の経済成長率目標が2016年の6.5―7.0%から6.5%前後へと3年連続で引き下げられたことが明らかにされた。ただ、李首相が閉幕時の年次会見で述べた通り、「6.5%前後の経済成長率目標は低くなく、達成は容易ではない」のは確かだ。

また、2020年に国内総生産(GDP)と都市・農村住民の一人当たり平均収入を2010年の2倍にすることを必達目標として堅持しており、経済成長が習近平指導部の政治基盤の安定化に不可欠の要件であることは変わらない。

したがって、目下の中国の最優先課題が、国内経済の成長と、その鍵を握る米中関係のかじ取りであることは明らかだ。トランプ氏が米大統領当選後に台湾の蔡英文総統と電話会談を行って歴代米政権の慣行を破り「一つの中国」への疑問を呈し緊張が高まったが、大統領就任後の2月上旬に習国家主席との電話会談で同原則を尊重すると伝えたため、米中関係は修復しつつある。

早速4月に習主席が2015年に続き米国を訪問する話が具体化しつつあり、安倍晋三首相が厚遇されたことを前提にその演出も図られている模様だ。

また、春節の祝賀に、トランプ大統領の長女イバンカさんがワシントンの中国大使館を訪れ、赤い服を来た娘アラベラちゃんが中国標準語で歌った。そして、その映像が中国国内で大きく報道されたように、米中関係の行方は習指導部の威信を高める上で最重要事項なのである。

このように国内経済と対米外交という二大案件が交差するところに位置するのが為替問題と言えよう。つまり、「為替操作国」とトランプ大統領に名指しで批判されている中国にとって、今後の人民元の行方は米中関係および中国国内政治上、最優先課題として取り扱われるべきものであるはずだ。

<中国は為替操作国か>

米商務省発表の2016年貿易統計(通関ベース)によれば、米国のモノの貿易赤字は全体で7343億ドルに上るが、このうち半分近い3470億ドルを対中赤字が占める。要するに、日本とドイツを引き離して突出していること、さらに管理フロート制を導入していることがトランプ大統領の「為替操作国」非難につながっているようだ。

しかし、実際の中国はドル売り・人民元買い介入によって元安抑制を図っていることや資本流出規制を行っていることから必ずしもトランプ大統領の批判とは相容れぬ面も多い。

米財務省の為替政策報告書では、1)対米貿易黒字が年200億ドル超、2)経常黒字が名目GDP比3%超、3)年間の純外貨購入(外貨買い・自国通貨売り介入)が名目GDP比2%超、の3項目に抵触している場合、「為替操作国」に該当することになっているが(2項目抵触で監視リスト)、現時点で明らかに抵触しているのは1点目のみだ

例えば、国際通貨基金(IMF)によれば、2015年の中国の経常黒字は対名目GDP比2.96%であり、16年2.38%、17年1.62%と縮小傾向をたどる見通しだ。また、3点目についても、前述した通り、最近行っているのはドル売り・元買い介入だ。

しかし、実態として貿易不均衡が巨額に上っていることから、米国の雇用を奪っているとの印象が強烈にあることは否めず、今後の米中関係の悪化を懸念する声が高まっているのだろう。実際、バノン首席戦略官やナバロ国家通商会議(NTC)委員長ら反中派がホワイトハウスの主流を占めていることからも、今後どのような展開になるのか懸念は尽きない。

ちなみに、現在の人民元は1ドル=7元突破を目前にして6.90元前後で小康状態を保っている。だが、それは中国当局が介入を継続した結果である。2014年半ばに4兆ドルに迫った外貨準備高はその後減少に転じ、2017年1月末には約2兆9980億ドルと3兆ドルを割り込んだ(2月末には再び3兆ドルを回復したが、貿易や金融のフローが滞る旧正月の影響も指摘されており、減少トレンドに歯止めがかかったとは言い難い)。

このような外貨準備高の急速な減少を受けて、今後も中国が積極的にドル売り・元買い介入を続けることができるのかどうか注目されるところだ。IMFによれば、中国にとって安全と言える外貨準備高の最低水準は2兆6000億ドルから2兆8000億ドルとされるが、ここ最近みられた減少傾向が続くとすれば、いずれこの「IMFライン」割れも視野に入ってくる可能性がある。今後、管理フロート制の継続に疑問が生じる恐れもあるだろう。

<ドル安・元高の現実味>

振り返れば人民元は1994年に為替レートを一本化し管理フロート制へと踏み出し、さらに2005年にドルペッグから通貨バスケット方式に移行した。この間、相場は1ドル=8元台から徐々に切り上がり、一時6.0元水準まで上昇した。そして、しばらく6.10―6.20元近辺で推移していたが、香港のオフショア市場での急落をきっかけに2015年8月、大幅に切り下がった。

さらに、資本流出に歯止めがかからず一時6.96元まで下落し、目下、小康状態となっている。また、国外への資金流出に対し、当局は規制強化に乗り出し、外国投資への事前許可制の復活、銀行への口頭指導などを行っている。

とはいえ、人民元は2016年10月にIMF特別引き出し権(SDR)の仲間入りを果たし、構成通貨の比重で10.92%と、米ドルの41.73%、ユーロの30.93%に次ぐ3番目のポジションを得ている(円は8.33%で4位)。このようなハードカレンシー(国際決済通貨)への道を歩み出した現在、為替市場の透明化および自由化は最優先課題であり、強力な為替規制の導入はなじまないのも事実である。

また、モノ、カネの流れが巨大化する中で通貨をコントロールすることが困難となりつつあるのは明らかだ。したがって、通貨を政府のコントロール下に置こうとする管理フロート制を止め、市場の実勢に委ねるクリーンフロートへの移行は避けて通れないと見るのが正しいだろう。

もちろん、1985年のプラザ合意後に日本が直面した円高の再来だけは回避したいとの思いは、中国指導者の間で強いとされる。したがって当面は、ドル高が続く限り、外貨準備高の目減りと元安を両にらみしつつ通貨当局の綱渡りは続くことになるのではないか。その上でプラザ合意後の円高ほどではないにしても、米国との協議を経て、ドル安・元高へと相場は展開していく可能性が高いと考えられる。

ちなみに、李首相は、全人代閉幕時の会見で、米国との貿易戦争は望んでいないと発言、米国との関係には明るい展望があり、両国は相違解消ために対話を強化すべきとの認識を示している。

<李首相の後継候補に「2人の王」>

このような状況で注目されるのが経済政策を実質的に指揮するナンバー2の首相ポストの行方だ。現在は推測や噂の域を出ないものの、李克強首相が全人代常務委員長(国会議長に相当)に祭り上げられ、そのあとを「2人の王」のどちらかが引き継ぐとのシナリオが取り沙汰されている。

つまり、反腐敗闘争で習主席を支えてきた王岐山・党中央規律検査委員会書記(常務委員)が定年延長して首相になる、もしくは汪洋副首相が昇格するというものだ。

特に王岐山氏については2008年のリーマン・ショック時に、ポールソン米財務長官(当時)の依頼に応じ米国債を大量に購入し金融危機脱出に協力したと報じられている。この間、反腐敗闘争の先頭に立ち国際金融市場であまり目立つことはなかったが、その名前は欧米金融界に浸透しており、ウォール街とも人脈が深いことから、今後の首相昇格を待望する声は米当局者の間でも強いと言われる。

この王岐山の再登場は「プラザ合意2」とも言えるドル安・元高を具体化する号砲になる可能性もあり、今秋の共産党大会に向けて、いやが上にも注目されるところだ。

*斉藤洋二氏は、ネクスト経済研究所代表。1974年、一橋大学経済学部卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。為替業務に従事。88年、日本生命保険に入社し、為替・債券・株式など国内・国際投資を担当、フランス現地法人社長に。対外的には、公益財団法人国際金融情報センターで経済調査・ODA業務に従事し、財務省関税・外国為替等審議会委員を歴任。2011年10月より現職。近著に「日本経済の非合理な予測 学者の予想はなぜ外れるのか」(ATパブリケーション刊)。

〔マーケットアイ〕外為:中国貿易収支は600億元の赤字、輸出伸び悩み 2017年 03月 08日
視点:トランプ円安は幻想、進む「米国の日本化」=青木大樹氏 2017年 01月 23日
コラム:円高派と円安派、年末に笑うのはどちらか=尾河眞樹氏 2017年 02月 23日
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-yoji-saito-idJPKBN16L0EU

 


日銀会合は花のカフス、ジンクス守る株式トレーダー−注目度低下
佐野七緒、Min Jeong Lee、竹生悠子
2017年3月15日 00:00 JST更新日時 2017年3月15日 11:06 JST
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• 政策と経済情勢が均衡、テーパリング開始には材料不足
• 15−16日会合、エコノミスト41人全員が無風予測

ミラボー・アジア(香港)のトレーディング担当ディレクター、アンドルー・クラーク氏は日本銀行の金融政策決定会合当日、花柄のカフスボタンを身に付ける。ジンクスもあり、「たくさんのビジネスが舞い込んでくる気がする」ためだ。日銀の政策判断はかつて、株式トレーダーらの注目の的だった。
  世界を驚かせた異次元金融緩和の発動からまもなく4年、今や日銀に対する市場の期待や注目度は低下している。日本を含む世界経済が改善方向に向かう中、一段の金融緩和が行われる可能性が低い半面、すぐに緩和縮小(テーパリング)へ向かうほど国内の実体経済は強くなく、政策と経済情勢が均衡状態にある。「何か予期せぬことが起こった方がパニック的な売買があるので良い」と縁起を担ぐクラーク氏の思惑は、成就しにくい現状だ。

日本銀行

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  デフレ脱却を公約に政権へ返り咲いた安倍晋三首相の意向を汲み、2013年3月に黒田東彦日銀総裁が就任、4月4日の会合で後に「黒田バズーカ」と呼ばれる量的・質的緩和策の導入を決めた。為替の円安進行も誘発し、脱デフレ期待の高まりで日経平均株価は会合当日を含む3日間で800円以上上昇。14年10月31日に追加緩和に踏み切った際は、期待感から会合前々日から5営業日続伸し、この間1600円上げた。
  クレディ・スイス証券の株式営業部ディレクター、ステファン・ウォラル氏はこの5年間の「『日銀デー』は素晴らしかった」と振り返る。一方で、日銀への期待感がエスカレートした結果、「何かクレイジーなものでないと、市場は罰を与えるようになった」と言う。その象徴例がマイナス金利政策だった。

  16年1月28ー29日の会合で、金融機関が保有する日銀当座預金にマイナス0.1%の金利を適用する政策の導入を決定。当初2営業日の日経平均は800円以上上げたものの、銀行など金融機関の業績に悪影響が及ぶとの見方が強まると、2月2日から12日までの間に2912円も下げた。
  ウォラル氏の元には会合から1週間ほど、マイナス金利の意味を理解しようとする顧客からの電話が鳴りやまず、「誰もその意味を理解できていないようだった。私には、日銀はコントロールを失っているように見えた」と話す。日銀は同年9月、新たな枠組みとして長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を導入し、政策の軌道修正を図ることになる。
  ピクテ投信投資顧問の松元浩常務執行役員によると、グローバルに投資戦略を議論する同社のテレビ会議では「日銀の話題が間違いなく減っている。問い合わせがあるのは、黒田総裁の任期や後任人事に関することばかり」だ。日本経済は緩やかながら持ち直しの機運が高まっており、「日銀は特に動く必要はない」ともみている。
  SMBC日興証券の山田誠エクイティ部長は、「投資家と話しても、あまり日銀の話にはならない。それよりトランプ米大統領の政策に意識がいっている」とし、日銀の話が出ても「いつテーパリングするのかという話題だ。緩和について話していたこれまでとは逆方向」と言う。
  日本株はTOPIXと日経平均が15年12月以来の高値を回復する中、米国は年内複数回の利上げが確実視され、欧州でも量的緩和の出口戦略が話題になり始めた。山田氏は、日本でも日銀が「テーパリングをそれほど先ではない時期にする必要性が出てくる、という見方が上がってきている」と指摘。ただし、今回会合では「大義名分が足りない。何もしない」と予想している。
  15ー16日開催の日銀会合についてブルームバーグが行った事前調査では、エコノミスト41人全員が政策の現状維持を予測した。緩和予想派が皆無の状況は、昨年12月会合前の調査以降、3回連続。2018年4月までの黒田東彦総裁の任期中に追加緩和はないとみる向きは38人(93%)と、前回調査(88%)を上回った。
  生鮮食品を除く1月の全国コア消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.1%上昇とプラスに転換しており、野村証券ではインフレ率持ち直しのモメンタムを見極めるため、日銀は様子見姿勢を続けるとみる。BNPパリバ証券は、現在の枠組みでは日銀が政策のバイアスを示唆することができず、物価目標の達成に向けたモメンタムを維持するため、粘り強い緩和を継続というメッセージが繰り返されると予測した。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-14/OMQ6LN6K50XS01


 


 

米金融当局が検討するバランシート縮小の進め方−Q&A
Rich Miller
2017年3月15日 06:58 JST

米金融当局は先の金融危機の際、経済を大惨事の瀬戸際から救うため、多額の米国債や住宅ローン担保証券(MBS)を買い入れた。量的緩和(QE)として知られるこの救済策は、長期金利を低く保つことで経済成長を促すのが狙いだったが、連邦準備制度のバランスシート上の資産は前代未聞の4兆5000億ドル(約517兆円)に膨らんだ。2014年に当局はQEを打ち止めにしたが、経済が順調さを取り戻して準備が確かなものとなるまで、あえてバランスシートの縮小を控えることにした。そして今、当局が短期金利を正常な方向に押し上げつつある中で、縮小開始の時期が近づいている。その場合、恐らく広くシグナルが発せられることになりそうだが、混乱がないことを意味しない。

1.どんな効果をもたらしたか?

  4兆5000億ドルものバランスシートは、米国の国内総生産(GDP)の約4分の1に相当する。米金融当局が財務省証券やMBSの利回りを低めに抑えていることで、米政府による財政赤字のファイナンスや住宅購入者がローンを組む負担は割安となった。ドル建てで借り入れる中国をはじめとする新興市場企業の資金調達コストも押し下げられた。また、金融市場にも大きな意味を持つ。財務省証券は金融当局の買い入れで割高となり、代わりに株式購入を投資家に促す結果となった。09年以降の株価の大幅上昇に当局が一役買った格好だ。

2.心配される問題点は?

  バランスシートの縮小は引き締めのもう一つの方法だ。一部アナリストは短期金利引き上げよりも大きな影響を米経済や世界経済に及ぼす可能性があると指摘する。経済や金融市場の重要な支えを取り除くことにならないかという不安だ。

3.縮小の前例はあるのか?

  答えはノーであり、投資家や資金の借り手が何を想定すべきか分からない理由もそこにある。だが、展望はあまり明るくないかもしれない。13年5月にバーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長(当時)が、当局として債券購入の規模縮小を検討していることを示唆しただけで、金融市場には動揺が広がった。その後の長期金利上昇は米住宅業界や新興市場に強い打撃を与えた。衝撃があまりに大きかったので、この事態は金融市場でQE縮小に伴うかんしゃくを意味する「テーパータントラム」と呼ばれることになった。

4.縮小はいつ始まるのか?

  何カ月も先だろう。イエレンFRB議長は、経済が堅調な軌道にあり、もはや大掛かりな支援を必要としないと確信できるようになるまで、金融当局として縮小に着手すべきではないとしている。さらにイエレン議長はバランスシートについて行動を起こす前の段階で、短期金利をゼロから一段と引き上げたい意向だ。バーナンキ氏は今月、来年初めまではそれらの要件が満たされることはないとの見通しを投資家に示した。しかし、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は、主要政策金利が1%に達すれば、縮小について真剣に検討すべきだと主張。1%到達は間もなく訪れる可能性がある。

5.リスクがあるのになぜ縮小を検討するのか?

  米金融当局者の一部は、大規模な債券保有が金融市場にゆがみを引き起こし、投資家に妥当なレベルを上回るリスクテークを促していると懸念している。当局がMBSをポートフォリオに抱え続けることで、経済の他の部分よりも住宅業界を優遇する事態となっていると心配する声も上がっている。ただ、行動に向けた暗黙の理由の一つは政治的なものだ。共和党議員は金融当局のQEプログラムに非常に批判的であり、オバマ政権が多額の財政赤字を計上するのを容易にしていると非難してきた。バランスシートを減らせば、こうした批判の一部をかわし、金融当局の政治的独立性を守ることになると当局者は期待している。

6.衝撃を最小限に抑えることはできるか?

  金融当局はそう望んでいる。まず、投資家に適応のための時間を与えるため、縮小開始よりずっと前の段階で戦略を発表する公算が大きい。第2にMBSは全く売却せず、住宅市場への影響も限定的となろう。第3に少なくとも最初は、保有する財務省証券の売却を回避し、償還金を再投資しないことでポートフォリオを縮小させていくと考えられる。

7.縮小にはどのくらいかかりそうか?

  バーナンキ氏は、全プロセスに5−7年要する可能性があるとみており、縮小の影響はさらに抑制されそうだ。この手法について一つ心配なのは、金融当局の米国債ポートフォリオのほぼ3分の1、約7850億ドル相当が18、19年に償還期限を迎える点だ。新たなFRB議長の下で、戦略が変わる可能性ももちろんある。イエレン議長の4年の任期は18年2月までで、トランプ大統領はイエレン氏に続投を求めないと広く予想されている。
8.金融当局のポートフォリオの中身は何か?
  米金融当局は2兆5000億ドル相当の財務省証券を保有し、これは一般が保有する米国債残高の約15%を占める。MBS保有は約1兆7000億ドルと、市場全体の4分の1余りに相当する。残りの資産は外国の中央銀行とのスワップや証券の翌日物ローン、外貨で構成される。

題:Federal Reserve Ponders How To Do The Big Unwind: QuickTake Q&A(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-14/OMSK2G6JTSE801



原油安が強めるFOMC後の円高観測
経済部 中西誠
2017/3/15 13:28日本経済新聞 電子版
保存その他
 外国為替市場で、15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の円高を予想する声が増えている。確実視される昨年12月以来の利上げがすでに織りこまれ、材料出尽くしのドル売りが見込まれるからだけではない。むしろ気になるのは連日の原油安だ。原油価格の下落が続けば、安全通貨の円買いが膨らむ可能性がある。

 米経済指標が総じて好内容で、今後の米景気はトランプ米大統領による経済政策で上振れするとの予想が多い。

 利…
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO14093920V10C17A3000000/?n_cid=NMAIL002


 


米国債:上昇、原油安でインフレ期待が後退−PPIで一時失速も
Elizabeth Stanton
2017年3月15日 04:48 JST 更新日時 2017年3月15日 06:24 JST

14日の米国債相場は上昇。2月の生産者物価指数(PPI)は予想を上回る伸びとなったものの、原油相場が昨年11月以来の安値に下げたことでインフレ期待が後退した。
  ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回りは前日比3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.60%。5年債利回りは1bp下げて2.13%。30年債利回りは4bp低下して3.18%。
  ニューヨーク原油先物市場では、ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物が続落。サウジアラビアが2月に原油生産を日量1000万バレル強に再び増やしたことが石油輸出国機構(OPEC)月報で示され、1バレル=48ドルを割り込んだ。
  米労働省が14日発表した生産者物価指数(PPI)は前月比0.3%上昇。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は0.1%上昇だった。2月は前年比では2.2%上昇。
  食品とエネルギーを除くPPIコア指数は前月比0.3%上昇。市場予想は0.2%上昇。前年比では1.5%伸びた。
  BMOキャピタル・マーケッツのストラテジスト、アーロン・コーリ氏はリポートで、PPI発表後に米国債の上昇は一時失速したとした上で、15日発表の消費者物価指数(CPI)は「金利が強気、弱気のどちらの方向に動くかという点で、より明確な材料になるのは間違いない」と指摘した。
  15日には米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定も発表される。市場では今週の会合での利上げ決定がほぼ確実視されている。今後の金利の方向性でより重要なのは声明の内容と、FOMCメンバーの金利予測の変化だ。
原題:Treasuries Advance as Oil Slide Curbs Inflation Expectations(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-14/OMTKT26JIJV001


NY外為:ドル、対ユーロで上昇−米当局が利上げペース加速示唆か
Lananh Nguyen
2017年3月15日 05:24 JST 更新日時 2017年3月15日 06:14 JST

14日のニューヨーク外国為替市場ではドルが対ユーロなどで上昇。米連邦公開市場委員会(FOMC)が15日に利上げペース加速を示唆するかどうかに注目が集まっている。
  金融市場はイエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長が年内4回の利上げに前向きだと示唆するかどうかに注目しており、そうした場合、市場参加者は一段の利上げを織り込もうとする可能性がある。
  ニューヨーク時間午後5時現在、ドルはユーロに対して前日比0.5%高い1ユーロ=1.0604ドルとなっている。 対円では0.1%安の1ドル=114円75銭。主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.3%高の1247.49。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iRuVJkwpFZmM/v2/-1x-1.png


  2月の米生産者物価指数は前月比で市場予想を上回る伸びとなった。前年比での上昇率は2012年3月以来の最大だった。
  ロンドンのトレーダーによると、ユーロは朝方、持ち高調整とアルゴリズムに基づくプログラム売りで下げた。
原題:Dollar Climbs as Traders Seek Fed Guidance on Interest-Rate Path(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-14/OMTMTN6K50XU01

 

イエレン議長に「後出しジャンケン」、黒田総裁は市場混乱に予防線か
野沢茂樹、池田 祐美
2017年3月15日 00:00 JST

• 今年3、6、9、12月はFOMCの後に日銀が会合
• 市場の期待先行を抑えるのに有用−みずほ証

米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが特定の月に偏ることはない−。イエレン議長らFRB当局者が繰り返すこの言葉を、日本銀行の黒田東彦総裁はどう受け止めているのだろうか。
  今年8回開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)のうち、市場関係者が特に注目するのは3、6、9、12月の会合。イエレン議長の会見とセットになっているため、利上げがあり得るとみるからだが、くしくも日銀が同じ月に開く金融政策決定会合はいずれもFOMCの後だ。決定会合を従来の14回から米欧の主要中銀と同数に減らした昨年は、FOMC後は2回だけだった。
  みずほ証券の末広徹シニアマーケットエコノミストは、今年の決定会合の日程について「日銀はさすがに巧妙だ。市場の期待先行を映して海外金利が高めなので、国内金利も少しは上がっても良いのではないかという見方が広がっているが、日銀は金利の誘導目標をできれば動かしたくないだろう。市場の先走りを抑えるには、他国の動きに後出しジャンケン的に対応する必要がある」と言う。

イエレンFRB議長

Photographer: Aaron P. Bernstein/Bloomberg
  日本時間3月16日早朝に判明する米国の金融政策をめぐっては、イエレン議長らFRB首脳が追加利上げに前向きな姿勢を相次ぎ表明したことから、市場ではほぼ完全に織り込み済み。トランプ政権による大規模な景気刺激策を先取りした米金利の上昇とドル高、日中独などの通貨安に対する批判。海外情勢の変化を踏まえた金融政策の舵取りと市場との対話は、日銀の黒田総裁にとって重要な課題のままだ。
  日銀にはFRBの「後出しジャンケン」に負けた苦い経験がある。2010年8月10日、日銀が現状維持を決めた直後、量的緩和を進めていたFRBは米住宅ローン担保証券(MBS)などの償還金を米国債に再投資する追加緩和を決定。金融市場は円高・株安に振れ、日銀は3週間足らずで臨時会合での追加緩和に追い込まれた。

黒田総裁

Photographer: kiyoshi Ota/Bloomberg
  黒田総裁は、決定会合後に毎回必ず記者会見を開く。決定の理由や意図、日銀の見通しなどを説明し、市場との対話を図っている。
  一方、イエレン議長の記者会見は経済・物価見通しも示す3の倍数月の4回だけ。議長らは全てのFOMCが政策変更の可能性がある「ライブ」だと説明するが、市場では米利上げは議長会見がある会合で決まるのが基本的だという見方が根強い。
   
  米銀バンク・オブ・アメリカ(BOA)は、米国の利上げの可能性は今月のほかに、9月と12月の3回を予想。米10年物国債利回りは6月に3%に達し、円相場は1ドル=122円に下げるとみている。メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは「FRBにとって3の倍数月は市場との対話を図りやすい。日銀は後手なので対応しやすい日程だ。日銀の金利コントロールでは市場との対話が一番重要だ」と語る。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iM3iRVxF2ww4/v2/-1x-1.png

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-14/OMQNMG6K50XS01


 


 
Business | 2017年 03月 15日 17:36 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース

2月訪日外国人は前年比7.6%増の203.6万人=政府観光局

[東京 15日 ロイター] - 政府観光局(JNTO)が15日に発表した2月の訪日外国人客数(推計値)は、前年同月比7.6%増の203万6000人だった。2月として過去最高を記録した。

同局によると、昨年は2月だった旧正月休暇が今年は1月末に始まったことに加え、うるう年だった昨年より2月の日数が1日少なかったことから、2月は伸び率が1桁にとどまった。

国別では、インドネシア(49.6%増)、フィリピン(39.4%増)、ベトナム(25.0%増)、タイ(22.5%増)、韓国(22.2%増)などが大きく伸びた。中国は2.0%増と、5カ月ぶりに1桁の伸び率にとどまったが、旧正月期間を含む1─2月の合計では、17.0%増だった。

(宮崎亜巳)

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http://jp.reuters.com/article/jnto-idJPKBN16M0YJ


 

日本人観光客が大幅減少...グアムとサイパンが思ってるイメージと違うかも
日本人にとって身近な海外リゾートのグアムとサイパン。そんな身近だったはずのリゾートで変化が起きているみたいです・

更新日: 2017年03月14日
日本人にとって身近な海外リゾートのグアムとサイパン

アマナイメージズグアムのタモンビーチ by アマナイメージズ
日本から行きやすい海外ビーチ、グアムとサイパン
出典グアムとサイパンの違い [ビーチ] All About
海外のリゾートの中でも比較的身近に感じる国の一つがグアムですよね
出典身近な南国リゾートといえば!グアムのおすすめ観光スポット11選 – skyticket 観光ガイド
成田空港から離陸して、3時間15分後にはサイパン空港に着いています
出典サイパンいいところ
そんな身近だったはずのリゾートで変化が起きているみたい

GettyImages
米国のグアム、サイパンなど、日本人に身近なリゾート地に異変が起きている
出典グアムなど邦人旅行者が激減 - (1/1)|ニフティニュース
グアムに行く日本人が減少しているみたい
Nagisa@beach@beachnagi
フォローする
東北での地震の影響で、日本人観光客が減ったと嘆いていた、グアムのとある日本人カフェオーナー。それでも、彼はいつも自分が受けていた恩恵は平和だから、旅行する心の余裕のある人たちが彼の元へ訪れてたんだと解釈してた。
返信 リツイート いいね 2012.03.21 10:00
グアム政府観光局の公式HPで、日本人の渡航者数推移を調べてみると、ここ10数年は減少傾向が続いています
出典日本人のグアム旅行者が減少している理由がわかった - レコメンタンク
グアムはまるで日本領のようだったのですが変わりました。日本人の観光客が少ないのは円安の影響が大きいのでしょう
出典ウォン高でグアムに韓国人がいっぱい
2015年の数字を見ると総観光客数約141万人に対して、日本人の数は約77.3万人の約54.8%と大きく割合を下げています
出典ほんとうに大丈夫?不動産投資 : グァムでも韓国人旅行客が増加しているそうです
サイパンも同様に減少している

サイパンは約9割減と減少は著しい
出典サイパンとグアム、日本人が消えた楽園の今 | レジャー・観光・ホテル | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
1997年にピークとなる年間73万人を記録した。日本からの観光客は、同年に年間45万人と半数以上を占めた
出典日本人が激減したサイパンで、2020年以降の爆買い後/五輪後を考える | コラム | 大和総研グループ | 町井 克至
JALが直行便を飛ばしていた時は日本人がわんさかいましたが、直行便が減ったので減少しています。
出典サイパンは今あんまり日本人に人気ないんですか?日本人旅行客は... - Yahoo!知恵袋
過疎化していると言う声もある

GettyImages
何故、グァムと比較してサイパンが異常に過疎化しているのでしょうか?
出典何故、グァムと比較してサイパンが異常に過疎化しているので... - Yahoo!知恵袋
確かにリゾート地ではあるが、さほど賑やかではない…と言うか、過疎化しているのだ
出典サイパン訪問記(1): 二つの敗戦を感じた観光旅行: 仮寓ダークマター
電力事情が悪いようで、停電もちらほら発生し、インフラ的にもボロボロでした
出典何故、グァムと比較してサイパンが異常に過疎化しているので... - Yahoo!知恵袋
街の中心部ですらほっとんど人がいません 観光客がチラホラと地元民がチラホラ
出典Life Style 〜中年オヤジの駄文と旅行記〜 サイパンは今!
一方で韓国、中国からの観光客が増加している

街中では中国語と韓国語が氾濫しています
出典サイパンは中国と韓国の観光客ばかりです! - “渋谷の父 ”ハリー田西の占い研究所
2016年9月、とうとうグアムを訪れる韓国人観光客が日本人観光客を追い越しました
出典韓国人観光客もたくさん来島 | Fromグアム I AM GU〜AM! | 中日旅行ナビ ぶらっ人
日本人の観光客は激減したが、韓国のLCC(低価格航空会社)や中国の航空会社が路線を開設し、地域全体の観光客数としては増加傾向にある
出典サイパンとグアム、日本人が消えた楽園の今 | レジャー・観光・ホテル | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
とは言っても両島ともに快適に過ごせるリゾート

まくら@makura_yst
フォローする
むしろ日本人がいないサイパンに行きたい。(*˘ω˘)
返信 リツイート いいね 2017.03.12 13:19
「最重要マーケットであり、グアムの観光産業は非常に礼儀正しい日本人旅行者に育ててもらった」と改めて強調した
出典現地レポート:グアム、MICE獲得に向け邁進、大型会議場も開業 | 旅行業界 最新情報 トラベルビジョン
日本語も通じますし旅行に行ってもあまりストレスを感じず過ごせることが出来ます
出典ほんとうに大丈夫?不動産投資 : グァムでも韓国人旅行客が増加しているそうです
https://matome.naver.jp/odai/2148940691206138801?page=2 


http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/211.html

[経世済民120] 「騙し」や「ウソ」が会社の利益を漏らしている ブラック企業の壮絶パワハラ、サバイバル術 退職金制度は福利厚生制度ではない
【第4回】 2017年3月15日 児島保彦
「騙し」や「ウソ」が会社の利益を漏らしている

会社から利益が漏れてしまう大きな原因の1つは、社内に蔓延する「騙し」や「ウソ」だ。それを見過ごしてしまうと、損失は大きく膨らんでいき、会社にとって致命的な打撃になる危険もある。どうすれば、社員のウソを見抜くことができるのか――。


営業部門は
こんな「ウソ」をついている

 会社の利益が漏れてしまう恐れのある身近な例と、その対策を紹介します。

 たとえば、社内で「騙す」こと、あるいは「ウソ」についてです。営業を例にあげて説明しましょう。

「騙す」「ウソ」という言葉を使うと、不穏当であり不愉快に思われる方がいらっしゃるかもしれません。しかしこれは43年間、大きな組織の一般社員から役員まで経験し、その後、中堅企業の社長をやったり、経営コンサルタントとして中小企業を立て直した経験に基づく実感です。

 私自身の告白をすれば、部下として使われている間は、会社や上司を、意識的にせよ無意識にせよ「騙し」ました。また役員や社長になると、部下から「騙される」ことも少なくありませんでした。

 社長の資質のうち最も大切なものは、あらゆる情報が飛び交う中で、自分の会社が進むべき最適な道を見出す力です。しかし、さらにもう1点あります。それは、こぼれる利益を止めるために、部下の言動の中にある「騙し」や「ウソ」を見抜く力なのです。

 営業は「騙し」「ウソ」が発生しやすい部門です。確かに会社はものを売ってなんぼの世界です。したがって「営業」は会社の中枢ですから、社内でもその力は絶大であり、営業の動向が会社を左右します。

 営業経験のない社長であれば、営業部門の言動によって経営方針を左右されるのも当たり前でしょう。

 逆に営業関係者からすると、会社を背負っている責任の重大さから、日々における重圧は大変なものです。

 そこで彼らは、無意識のうちに自分たちの組織を防衛しようとして、他社を例に出して言い訳をしたり、他部門をそれとなく批判したりして、責任の転嫁をしようとします。

 私自身が遭遇、体験した営業の「ウソ」を列挙してみましょう。

(1)シェアと前年度比を使い分けます。売り負けたときは前年度比を使い、昨年を割った場合はシェアを持ち出します。

(2)他社に売り負けたときには、「ライバル会社が安すぎて太刀打ちできません」と市場のせいにします。あるいは他社に比べて製造原価が高すぎると、暗に製造部の責任にしてしまいます。

(3)とかく売上数量ないしは売上高が重視されますので、販売価格を犠牲にした「原価割れ」の結果であることは伏せておきます。そして「この不況の最中ですが、なんとか昨年並みの実績を上げました」と胸を張ります。

(4)「品質が落ちる」「うちの技術屋は見劣りがする」「あれほど流通の拠点をつくれと言ったのに」のように、技術部門のレベルの問題や企画部門の責任に転嫁します。

(5)同様に「うちの製品は人気がない」「宣伝部のセンスが悪い」「宣伝にもっと金をかけてほしい」と他部署のせいにします。

(6)「うちには魅力のある商品がない」と、開発力の弱さを指摘します。そのくせ市場の「売れる製品の情報」は流しません。

(7)「あの会社を知り尽くしているA社やB社ですら不渡りをくらったのですから、うちがやられるのは当たり前ですよ」「うちばかりが甘かったのではありません」と、他社を引き合いに出して弁解します。

実態のない、言葉だけの
「ウソ」を見逃さない

 これらの中には、もちろん正しい意見もあるかもしれません。しかし大半は、日ごろ思っている不満を、売れないときの言い訳に使っているだけです。営業経験のない社長であれば、聞いただけでは、どれもこれも、もっともな説明のように思ってしまいます。

 しかし、社長が聞き流さずに、これらの営業の「ウソ」の言動に「待った!」をかけないと、どんどん図に乗ってエスカレートします。

 実は、社長に営業経験がないとすればチャンスです。知らないことを逆手にとって、営業のいい加減な言動、「あれ?」と疑問に感じた報告について、徹底的に質問をするのです。

「他社が安いというが、どこまで市場調査したのか具体的に言いなさい」
「コストが高いというが、どの製品のどの部分が高いのか」
「価格は過去3ヵ年、どのように推移しているのか」
「A地区にサービス網がないのは昔からだが、なぜ今年の売上は下がったのか」
「不渡りは当たり前のように言うが、営業の信用管理のルールをここで説明しなさい」

 といった調子で、疑問点を追究するのです。「ウソ」をついている営業は、痛いところを突かれた格好になります。

 つまり、営業マンの責任逃れの「ウソ」の言い分に歯止めをかけて、次回から安易な言い訳は通らないことをわからせるのです。「社長は知っているのだ」「社長は何もかもお見通しなのだ」と思わせることです。

 それだけで、マンネリ化した会議に緊張感が走り、今までとは違った緊迫感のあるやりとりに変わるはずです。

 ここでは営業の話だけにとどめますが、生産も経理も開発も技術部門も、「騙し」「ウソ」はどこの部署にも存在します。特に技術部門の「ウソ」は、取り返しのつかないことになる場合がありますから、利益の漏れない経営をするためには、意識して注意しなければなりません。

 営業の例のとおり、日常の業務の中で起こるちょっとした「ウソ」が積み重なると、社内全部門に影響して、利益が出せない体質になってしまいます。「ウソ」は形に表れない損失だと考えて、徹底的に対処しなければなりません。

http://diamond.jp/articles/-/120654

 


2017年3月15日 工藤ダイキ
ブラック企業の壮絶パワハラ、体験者が明かすサバイバル術


パワハラは企業社会に深く根を下ろしている。ブラック企業で壮絶なパワハラを経験した元営業マンが、その実態を明かす(写真はイメージです)
会社員時代の絶望の日々
職場に潜むパワハラの惨状

「周囲は誰も助けてくれない」「もう会社を辞めてしまいたい」――。

 私はブラック企業の営業マン時代、日々そうした絶望の淵にいました。職場で壮絶なパワハラを受けていたのです。現在、フリーライターとして独立した私は、会社員時代の経験を基に社会の労働問題を取材し続けていますが、あのとき感じた恐怖や、やり切れない思いは、今も脳裏に焼き付いて忘れることができません。

 パワハラは古くて新しい問題です。最近では、周囲に「パワハラ上司」という印象を与えることを恐れるあまり、部下に対して厳しい指導をしづらいと嘆く企業の管理職の声も聞こえます。それはそれで問題ですが、こうした言説の背景には、「パワハラ」という言葉が世の中に蔓延し、インフレ状態を起こしているため、いささか軽いイメージで語られ過ぎるようになってしまったという一面もあるように感じられます。

 私はこうした風潮に、以前から危機感を覚えていました。本来の意味で言う「パワハラ」とは、職場で権力を持つ者が弱い立場の者に対し、業務上適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるという、れっきとした人権侵害であり、場合によっては刑事罰の対象にもなりかねない行為だからです。その深刻さは、私のように実際に経験した者でないとわからないのかもしれません。

 昨年、大手広告代理店・電通の女性社員が長時間残業に疲弊して自殺した事件は社会問題となり、その背後にパワハラの存在も指摘されたことから、世間のパワハラへの問題意識が改めて高まりました。とはいえ、世間の意識の高まりだけでパワハラを根絶できるわけではありません。パワハラの「種」は企業の職場に深く根付いているからです。

 上司・先輩から部下・後輩に対して行われる「指導」と「パワハラ」の境界線を見極めることは、口で言うほど簡単ではありません。パワハラを受けている部下は、厚生労働省のHPを見たり、労働問題の専門機関に相談したりすれば、その定義や対応策に関する基礎知識は得られるでしょうが、日々職場で行われているパワハラは巧妙なケースが多く、個人の知見だけでは立証できないことも多いからです。また、明らかにひどいパワハラを受けているケースでも、社内での立場を気にして声を上げづらいという人も多いと思います。

 現在、パワハラ被害に遭って悩んでいるビジネスパーソンは、自分が置かれている状況をどう見据え、どう対処していくべきなのか。私の経験を基に、お伝えしたいと思います。

 本記事では自己紹介を割愛しますが、私が以前勤めていた会社の状況や退職後の経緯については、先日ダイヤモンド・オンラインに寄稿した記事「ブラック企業の元営業マンが教える、会社に人生を奪われない心得」で詳しく述べたので、興味がある方は参考にしてください。そこは美容商材を扱う商社で、まさに黒色に黒色を上塗りしたようなブラック企業。私はこの会社と関わったことがきっかけで、かなり特殊な経歴を歩みながら、今日に至っています。

 まずは、私が会社員時代に経験したパワハラの実態をご紹介しましょう。上司から暴言・暴力を受けているとき、同じ職場で働く従業員は誰一人として私のことを助けてくれませんでした。たとえば、退職勧奨を受けている際、私は直属の上司に胸ぐらを掴まれたことがありますが、同席していた社長は不敵な笑みを浮かべながら暴力を黙認。またすぐそばには他の従業員が5人ほど働いていましたが、一瞬空気が凍った後、みんな淡々と仕事に戻ってしまいました。「社会は残酷なんだ」と学びました。

録音内容を公開
これが退職勧奨の実態だ

 私はその後、このブラック企業を訴えることになりますが、そのとき役に立ったのが、パワハラを受けていた際にICレコーダーで録音していた「退職勧奨の録音データ」です。その一部をご紹介し、ブラック企業のリアルな実態を知ってほしいと思います。下記の会話は、営業所内で行われた退職勧奨の内容です。接続詞の追加や固有名詞の削除など、多少の編集を加えていますが、実際の会話の内容とほぼ同じです。

社長「なんで休日出勤しないの?」

筆者「いや……休日はバドミントンのクラブチームの練習がありまして……」

社長「じゃあオリンピック目指せって。今何歳?」

筆者「23歳(当時)です」

社長「間に合う!東京オリンピック!毎日練習しろ。だからお前は仕事してる暇ないよ」

上司「お前もう(会社を)辞めた方がいいよ?あ?」

筆者「いや頑張ります」

上司「頑張るじゃねーよ。頑張ってねーから言ってんだよ。ちっ」(※舌打ち)

社長「お前さ、ほんと考え方が違うんだよ。会社とお前の考え方が違うんだよ」

筆者「はい」

社長「お前バカか?ここに居んな。俺の近くに居んな」

筆者「すみません」

いい加減に辞表持って来い!
親に電話するから番号教えろ

上司「お前もう辞表持ってこい」

筆者「いや、頑張ります」

上司「いやじゃねーよ。いい加減にしろよお前」(※胸ぐらを掴まれる。社長黙認)

筆者「すみません」

上司「あ?何がすいませんだよ?迷ってる暇ないって言っただろ。ちっ」(※舌打ち)

社長「親の電話番号教えて」

筆者「え?なんでですか?」

社長「必要なんだよ。お前に言ってもしゃーねーだろ」

筆者「いや、僕でお願いします」

上司「うるせーよ」

筆者「親は関係ないんで」

社長「関係あんだよ。関係あんだよ」

上司「教えろって言ってんだよ。言えよ」

社長「なめてんだろ?ほんとに?ふざけんな!」

上司「社長、ぶっ飛ばしちゃダメですか?」

 この後、両親の連絡先を聞き出された私は、社長が電話をかける前に急いで両親に連絡し、「社長から電話があるかもしれない」という情けない報告を行いました。ちなみにその会社は週1回の休日出勤を推奨していましたが、給料や手当などは1円も発生しません。完全なサービス残業です。私は月2回のペースで休日出勤していました。

 私は小言などを除くと計7回ほど、社長にガッツリ退職勧奨をされたことがあります。だいたい毎回1時間前後で終わるのですが、長いときだと3時間以上、退職を促されたこともありました。退職勧奨は会議室などの密室で行われるときもあれば、全従業員が働く目の前で公開処刑にされることもあるなど、かなりバリエーションに富んでいました。

取引先の社員まで退職勧奨に
参加するという異常事態

 様々な退職勧奨を経験しましたが、その中でも極めつけでヘコんだのは、こともあろうに、他社の社員(M氏、H氏)が同席する中で行われた退職勧奨です。今から紹介する録音データは、実際には1時間近く行われた会話なので、重要な箇所だけを抜粋して記載します。営業所内の応接間(密室)で行われたものです。

社長「俺は退社したらどうですかってお願いしてるんですよ」

筆者「ここで頑張りたいです」

社長「懲戒免職になったらもう仕事先ないんだぞ?」

筆者「そうなんですか」

社長「(会社を)辞めてくれない?」

筆者「嫌です。ここで働きます。ここで働かせてください」

M氏「サラリーマンの経歴に傷が付くよ」

社長「昇給もない。ボーナスも払いません。この時点で気づいてほしいんだよね」

H氏「自分の置かれている状況わかってますか?」

社長「自主退職しろって。お前はまだ若いんだから。何を意地になってるの?」

H氏「いつまでに答えを出すんですか?」

筆者「いや……それは……」

M氏「覚悟した方がいいよ。身をもってわかるかもしれないね」

社長「お前この状態でも働こうとしてんの?」

筆者「はい」

社長「はははははははは(笑)」

M氏「はははははははは(笑)」

H氏「はははははははは(笑)」

 このような集中砲火が1時間近く繰り返される屈辱。M氏とH氏は美容商材を取り扱うメーカーの社員です。私は商社に勤めて彼らの商材を取り扱っていたので、彼らにとっての「お客様」が私のはずでした……。にもかかわらず、なぜこんな目に遭わなければいけないのか。おそらく、社長が頼んだからこその退職勧奨への参加だったと思います。ちなみに彼らの所属する会社は、業界でもトップクラスのシェアを誇る超大手メーカー。おそらく上場していたと思いますが、これでは企業コンプライアンスなどあったものではありません。

 パワハラはこうした言葉の暴力だけではなく、時には身体的な暴力も伴いました。それから間もなく、私は会社を唐突に不当解雇されてしまったのです。

上司個人の問題か、会社の問題か?
パワハラ被害者が身を守る2つの方法

 いかがでしょうか。私が経験したレベルのパワハラに悩む人が世の中にどれほどいるかはわかりませんが、パワハラとはかくも陰湿で、社員の心に打撃を与えるものであることがを、パワハラを受けたことがない人にも知ってほしいと思うのです。

 こうしたパワハラに苦しめられるビジネスパーソンは、どんな対策を考えればいいのでしょうか。私の経験則上、その対応は大きく2つのケースによって異なります。パワハラが上司個人の問題か、それとも会社の問題か、ということです。

 第一に、パワハラの原因が直属の上司にある場合です。この場合は、周囲の同僚に相談したり人事部に駆け込んだりして、上司にパワハラをやめさせるよう、社内での働きかけを行うことが先決です。たいていの場合は、人事部や会社の上層部が本人に厳重注意を行ったり、上司かあなたかのどちらかを別々の部署に異動させたりすることで、事態の収拾を図ってくれるはず。そうなれば、状況が改善される可能性は高いと思います。

 ただ、いくら苦境を訴えても、会社がちっとも動いてくれないというケースが意外に多いことも報告されています。そうした場合は、労働基準監督署などの外部機関に相談するのが順当なところでしょう。ただし、この場合に優先すべきは、自分が会社に残れるようによく考えて振る舞うことです。外部の力を借りて会社と直談判してもらうなど、強硬な手段をとると、それで上司のパワハラはなくなったとしても、周囲のあなたに対する心象は悪くなる可能性があります。弁護士に相談する場合はなおさらでしょう。いわゆる「色眼鏡」で見られることにより、居心地が悪くなり、ゆくゆく自分自身で退職を選ぶという残念なことになりかねません。問題の解決はなるべく社内に止めることが必要です。

 第二に、会社ぐるみでパワハラが行われている場合です。私が勤めていた会社はまさにこれでした。率直に言って、この場合は会社に残るという選択をせず、なるべく早く新しい人生のスタートを切った方が賢明と言えます。もちろん、「それでも今の会社で頑張り続けたい」と考える人はいると思いますし、それはそれで尊い選択だとは思います。しかし、いざというときに自分が不利にならないよう周到に準備をしながら、いつでも退職届けを出せる心づもりをしておくことは必要です。

 ここで強調しておきたいのは、もはや「周囲の心象」など気にしていてはいけないということです。こうした会社のパワハラは、身体的な暴力、賃金未払い、退職勧奨やその結果としての不当解雇など、法に抵触しかねない悪質な行為を伴うことが多くあります。労基署や弁護士などの外部関係者を活用し、「泣き寝入り」しないことを考えるべきです。これらの関係者に助けを求める際には、私が行ったように、パワハラの一部始終をICレコーダーで録音するなどして、明確な「証拠」を用意しておくことが必要不可欠です。

 私の場合は、不当解雇を受けたため、弁護士に依頼して会社と民事裁判を行ない、解雇を取り下げさせた上に、和解金として700万円を勝ち取ることに成功しました。「やられたらやり返す。倍返しだ」という言葉が流行りましたが、それはドラマの中だけでなく、現実においても胸に刻んでおくべきセリフです。

 ただし、どんなに酷な待遇を受けても高額の慰謝料を取ることは容易ではない、という事実は心得ておく必要があります。慰謝料には「相場」が存在しています。もちろん個々の案件や状況により獲得金額は大きく異なるのですが、パワハラの慰謝料は50万円も取れたら御の字の世界です。不謹慎な具体例かもしれませんが、パワハラによる自殺が労災だと認定されて、残された遺族がようやく数百〜数千万円の慰謝料を手にすることができるというレベルです。

慰謝料だけなら50〜100万円ほど
訴訟は費用対効果をよく吟味

 私が勝訴したときの弁護士曰く、「慰謝料だけなら50〜100万円ほど」だったそうです(残りは未払いの残業代や転職支援金)。慰謝料請求と残業代請求を同時に行う「合わせ技」で攻めるなど、やり方はいくつもあるものの、パワハラの慰謝料は低額しか取れないという事実と向き合うことも必要です。実際、費用対効果を考えた場合、訴訟という選択をしないほうが無難となることも多いです。

 このような戦略的な考え方は、労基の職員よりも弁護士の方が得意だと私は確信しています。たとえば不当解雇を受けて労基署に相談しても、彼らには業務範囲の関係上、解雇の有効、無効を判断する権限がないため、相談者を助けたくても助けられません。ここが公的機関の限界と言えるでしょう。

 それに対して弁護士は機動力があり、圧倒的にビジネスライクです。彼らは獲得金額の一部を、自身の成果報酬として受け取ります。だいたい獲得金額の20〜30%ほどを弁護士費用として支払うのが、一般的な契約条件です。つまり弁護士からすると、取れるだけ取った方が自身への見返りが高くなるわけで、「勝ち」へのこだわりの強さには心強いものがあります。もちろん、金銭ばかりでなく善意で活動している弁護士もいるでしょうが、弁護士はお助けマンではなくビジネスマンだと考えるほうが妥当です。会社ぐるみの深刻なパワハラに悩むビジネスパーソンは、まずは弁護士のところへ足を運んでみてください。

(注)社員との交渉で企業が支払うお金の名目にはいくつかの種類があり、一般的に金額が大きいほうから「和解金(示談金)>損害賠償金>慰謝料」となります。慰謝料は精神的苦痛に対する金銭の支払い、損害賠償はこれに治療費などを加えた包括的な金銭の支払い、和解金は前述のものを含めその他諸々(転職支援金や残業代など)を加味した、企業・社員双方の落としどころとなる金銭の支払い、という意味合いです。詳しくは弁護士や労働問題の専門家に聞いてみてください。

パワハラの真の温床は
当事者よりも周囲にあり


工藤ダイキ氏の著書『24歳のフツーの男子がブラック企業に勝った黒い方法』(こう書房、1296円[税込])発売中
 ここまでパワハラの現状やその対処法について述べてきました。パワハラ被害に遭っているビジネスパーソンが、上司や会社との関係を見直し、希望ある未来へと歩を進める一助になればと願ってやみませんが、最後にパワハラ被害の本質に触れておきたいと思います。

 先に紹介した私のエピソードでも述べた通り、パワハラ被害者が最も苦しんでいることは、おそらく職場内の誰かが手を差し伸べてくれない状況なのではないかと、勝手ながらに考えています。壮絶なパワハラを受けていたときのことを思い出すにつけ、私は当時、見て見ぬふりをして助けてくれなかったり、パワハラに加担したりした周囲の社員に対して、「なんてひどい人たちなんだ」と思っていました。

 しかし、今の私は「それも仕方なかったのかもしれない」という結論に達しています。もちろん、彼らの対応を容認しているわけではありませんが、私を助けたら社長の反感を買い、言い換えるなら、自らの首を絞めることになるわけです。

 家族を守るために、お金のために、自分の幸せのために私という弱者を切り捨てるという判断は、至極合理的だし、ローリスクだとも思います。日本人とは面白いもので、みんなで同じ行動をするのが是という、社風ならぬ「国風」があるように感じます。しかも、一度でもレールから外れたら最後、そう簡単に再起することを認めないという縛り付きです。だからこそ、黙殺という行為が合理的になってしまうのでしょう。

 そんな当たり前の事実をようやく頭で理解できるようになった私ですが、やはり本心では今でも怨みの念にかられることがあります。罵倒されたり、殴られたり、蹴られたりしたときは私も苦しかった。だけど、それらの行為を笑いながら見ている上司、見て見ぬふりをする同僚を目撃したときの方が、より激しい憎悪と苦しさを覚えました。

 その意味でも、パワハラが横行する風土を作り出す真の原因は、パワハラの当事者だけでなく、その周囲にこそあるのではないかと私は思うのです。企業においては、経営者、人事部、総務部といった人材戦略を考える立場の人ばかりでなく、全ての管理職や一般社員が、そのことを肝に銘じるべきではないでしょうか。

(フリーライター 工藤ダイキ)

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【第1回】 2017年3月15日 山崎俊輔
社長、退職金制度は福利厚生制度ではありません!

2017年1月から、新しい制度に改定した「個人型確定拠出年金=iDeCo(イデコ)」が開始されました。以前は、企業年金がない会社に勤める人だけが加入できる制度でしたが、改定後は条件付きながらも、会社に企業年金がある人も始められます。
それにともなって、企業年金や退職金制度に、がぜん注目が集まっているのですが、それは働く(年金や退職金をもらう)人だけで、会社を経営する側にとっては、関心が低いままです。しかし、せっかく政府が後押しをしてくれる制度ですから、活用しないと損です。
この度、退職金、企業年金に詳しい山崎俊輔氏が『小さな会社のための新しい退職金・企業年金入門』を上梓。
その本の内容をベースに、この連載では、退職金制度の仕組みの説明をはじめ、中小企業の社長さんや、人事、総務部門の人たちが、どのように、退職金、企業年金制度を活用すればいいかを、新たに書きおろしてご紹介していきます。


退職金・企業年金制度は
何のためにやっているのか?

 仕事上、多くの会社の社長さんに話を聞く機会がありますが、いつも驚くのが退職金制度や企業年金制度に関する、理解の低さと関心の低さです。

 まず、今ある制度についての理解がありません。なんとか答えられるのはモデル退職金額くらいです。
具体的に、どんな制度を採用し、どれくらいのコストをかけていているか。そして積み立て不足はあるかないか、運用状況を理解し納得しているか、さらに、退職金の支払い費用が将来10年先まで見通せているか、などの質問をしていくと、すぐにギブアップしてしまいます。

 そもそも関心が低いことが、理解が低いことの原因にもなっているのですが、それはなぜかと言えば

「昔からある(先代社長すなわち父親が作った)制度だからよく分からない」
「辞めた社員のための制度のことより、本業のことで頭が一杯」

という答えで、むしろ本業をどうすべきかという話に話題は移りがちです。

 こうした会社では、退職金・企業年金制度が何のために存在して、どのように維持していくべきかのビジョンがありません。これは経営者としては問題です。なぜなら、退職金・企業年金は思った以上の金食い虫であり、使い方を変えれば社員のやる気を引き出すポテンシャルがある制度だからです。

 そうはいっても、「退職金をいじろうにも、どう手をつけていいか分からない」という声もよく聞きます。今の制度に違和感はあるものの、仕事に忙しい日々を送るうち、なかなか取り組みができない…というケースが多いのです。

金をかけただけの効果が
退職金制度にあるか社長は自問せよ

 実は退職金・企業年金制度にかけているお金は給与の約10%にもなります(日本経団連「福利厚生費調査」による)。この調査によれば現金給与等の支払いにつき56.4万円払っている場合、退職金等の費用に別途月5.5万円かかっているそうです。

 給与額だけを見て、会社の総額人件費の全部を見たつもりになっている経営者がいますが、これは大間違いです。まず法定福利費、つまり厚生年金保険料や健康保険料の会社負担額という大きな負担があり、これを足すと人件費は15%も跳ね上がります。そして、社員が辞めたときに払うことになる退職金コストも、人件費として給与の約10%がかかる、と社長は意識しておく必要があるのです。

 特に、「今はほとんど定年退職者がいないが、50代の社員が3割以上を占めている」といった会社の場合、今は支払いコストを実感していませんが、何年かあとに、いきなり退職金支払いコストが爆発することもあります。

 そのとき膨大な支払い費用に困って銀行に相談をしても、銀行はおそらくお金を貸すことを渋るはずです。定年退職者に渡して右から左へ消えていくであろうお金を貸しても、会社の売り上げを1円も増やしてはくれないからです。

 退職金、企業年金に関係する今かかるコスト、そして、これからかかるであろうコストを認識し、それが会社にとって意義あるものか社長は自問自答してみる必要があります。もし、少しでも疑念があれば、それは制度を見直すべき理由がある、ということなのです。

退職金は社員への福利厚生だという
大きな勘違いを捨てる

 社長さんの多くが抱いている大きな勘違いのひとつとして「退職金は福利厚生制度」と思い込んでいます。しかし、退職金・企業年金制度は福利厚生制度(法定外福利)ではありません。

 そもそも福利厚生制度(法定外福利費)とは、死亡弔慰金や社員旅行の費用、保養所の利用費用などが該当するものです。

 これらは、給与とは別に存在し、社員の生活をサポートし喜んでもらうための費用です。

 義務ではありませんから、景気悪化の折には中断することもできます。「今年は赤字転落のためディズニーランドのフリーパス配布はありません」と社長名でメールをすればいいわけです。筆者に言わせると「いつでも削れるもの」が福利厚生費です。

 しかし退職金や企業年金はそういうわけにはいきません。これは「削ってはいけないもの」です。
 この費用は賃金の一部を後払いをしている性格があり、支払いの約束は債務とみなされています。上場企業ではこの債務の膨張が株価を左右することもあるほどです(退職給付債務)。手元にお金がないから払わない、は許されません。退職金を支払うことは福利厚生ではなく、会社の義務なのです。

退職金制度は「人事・報酬制度」として
とらえるべきである

 給与の約10%もかかる退職金制度ですから、改革するならうまく活用したいものです。この場合、まず退職金・企業年金制度を、福利厚生制度ではなく、「人事制度の一部」であると位置づけ、退職金の増減を「報酬制度」の一環であると再定義して決めるべきでしょう。

 会社の人事制度のサイクルを大きくいえば「評価→処遇→報酬」の流れです。公平な人事評価を行い、評価に従って適切な人事処遇を行い、処遇に見合った報酬を支払う…こうしたことをしっかり行うことで、社員のがんばりに応え、社員の会社への忠誠心も高めることができます。

 評価、処遇、報酬のいずれもバランスを欠けば社員の不満になりますし、そのサイクルが連環していかなければこれまた不満の温床となります。

 退職金や企業年金は、その給付額や掛金額の算定基礎を処遇にもとづき決定されます。給与と同様、定期的にお金を払う(積み立てる)わけですから、これはそのときの評価と連動させた「報酬制度」として設計、考える必要があるわけです。

 そして人事報酬制度だと理解すれば、お金に見合った効果が生まれるような仕組みを作っていくことが必要になります。

今回の結論
退職金・企業年金制度は、「長い間働いてくれて、お疲れ様」という福利厚生ではなく、働いていた成果と連動する「人事・報酬制度」としてとらえるべきである。

次回(3/22更新予定)は、退職金・企業年金を5分で理解する「4分類」を紹介します。


山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)
1995年株式会社企業年金研究所入社後、FP総研を経て独立。ファイナンシャル・プランナー(2級FP技能士、AFP)、1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)、消費生活アドバイザー。
若いうちから老後に備える重要性を訴え、投資教育、金銭教育、企業年金知識、公的年金知識の啓発について執筆・講演を中心に活動を行っている。
企業年コンサルタントとしても活動しており、特に確定拠出年金については、業界団体である企業年金連合会で首席調査役として企業担当者の研修担当や企業向けガイドブックの執筆を行い、さらに厚生労働省社会保障審議会確定拠出年金の運用に関する専門委員会委員も務める(2017年2月から)。「人事労務」等専門記事、マネー誌でも執筆ほか、日経新聞電子版で『人生を変えるマネーハック』を連載中。
著者ウェブ  http://financialwisdom.jp  twitter: @yam_syun
http://diamond.jp/articles/-/120986


 


http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/212.html

[戦争b19] 特別リポート:トランプ大統領が誇る米空母戦略の「落とし穴」 韓国政治混迷で日本に降りかかる「火の粉」
News | 2017年 03月 15日 19:11 JST 関連トピックス: トップニュース
特別リポート:トランプ大統領が誇る米空母戦略の「落とし穴」

  3月2日、トランプ米大統領は、国防支出の増額計画を自画自賛する演説の舞台として、建造に約1兆5000億円を費やした米海軍の最新鋭航空母艦「ジェラルド・R・フォード」の甲板を選んだ。写真は米バージニア州で、空母での演説前にブリーフィングを受ける同大統領(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)
 
Scot Paltrow

[ワシントン 9日 ロイター] - トランプ米大統領は2日、国防支出の増額計画を自画自賛する演説の舞台として、建造に130億ドル(約1兆5000億円)を費やした米海軍の最新鋭航空母艦「ジェラルド・R・フォード」の甲板を選んだ。

トランプ大統領は、史上最も高額な軍艦となる最新世代の「フォード級空母」が、今後も米軍事力の海外投入における主役だと述べた。

「近い将来、これをもっと増やしていく」。トランプ大統領は熱心に聞き入る海軍将兵らにそう語り、最新型の空母は非常に大型で堅牢に作られているため、どんな攻撃にも耐えると断言した。

トランプ大統領は、米国が実戦配備する空母の数を10隻から12隻に拡大すると語った。さらに、3艦の「超大型空母」の建造コストがこの10年間で270億ドルから360億ドルへと3分の1も膨らんだことについて、コスト引き下げを約束した。

軍当局者によれば「ジェラルド・R・フォード」1艦だけでも、予算を25億ドル超過し、就役は予定より3年遅れている。2艦目のフォード級空母「ジョン・F・ケネディ」も予定より5年遅れている。

米海軍の最新鋭航空母艦「ジェラルド・R・フォード」。昨年6月撮影。米海軍の提供写真(2017年 ロイター)
米最新鋭航空母艦「ジェラルド・R・フォード」。昨年6月撮影。米海軍提供写真(2017年 ロイター)
トランプ大統領による拡張計画表明は、米国が巨費を投じた空母群の多くを撃滅できるような対艦兵器を仮想敵国が新たに建造しているとの証拠が増えているなかで行われた。また、空母が潜水艦に対して脆弱である点は、ここ数十年変わっていない。

2015年にフロリダ沖で行なわれた戦闘演習で、フランスの小型原子力潜水艦「サフィール」が、幾重もの防御網をすり抜け、米空母「セオドア・ルーズベルト」及び護衛艦艇の半数を「撃沈」した。他の海軍演習でも、ディーゼル電気推進の旧式潜水艦でさえ空母に勝利している。

1980年代初頭以来、現実の戦闘をシミュレートすることを意図した、いわゆる「フリープレー(無制限)」の軍事演習において、米国や英国の空母は少なくとも14回は撃沈している、と複数のシンクタンクや、各国海軍、メディア報道は指摘する。米海軍は演習の報告書を機密指定しているため、正確な合計は不明だ。

現在、空母を基盤として海軍戦略を構築している国は米国だけだ。米軍が展開している現役空母は10隻で、軍事的なライバルであるロシア及び中国が実戦配備しているのが各1隻ずつであるのに対して、10倍の規模となる。

防衛アナリストで韓国の慶煕大学教授でもあるロジャー・トンプソン氏は、中国、ロシア、イランを含む米国の仮想敵国が近年開発している強力な対艦兵器群により、空母の脆弱性は高まっているという。

こうした新たな兵器としては、中国の「東風21」のような地上配備型の対艦弾道ミサイルなどがある。射程距離は1100マイル(1770キロ)、音速の10倍で飛行するとされている。またロシアと中国の一部の潜水艦は、遠方から精密誘導巡航ミサイルを一斉発射することができ、空母艦隊の対ミサイル防衛網を圧倒する可能性がある。

2015年9月、北京の軍事パレードで登場した対艦弾道ミサイル「東風─21D」を積んだ車両。代表撮影(2017年 ロイター)
 
ロシア、中国、イランその他の諸国は、いわゆるスーパーキャビテーション魚雷も保有している。この魚雷は前方に気泡を発生させることで、時速数百マイルでの超高速移動を可能にしている。この魚雷は自律誘導できないが、艦艇を直線的に狙う場合、回避するのは困難だ。

2015年、ランド・コーポレーションによる報告書「米国水上艦艇に対する中国の脅威」では、武力衝突が発生した場合、「米軍の空母にとってのリスクは大きく、それは増大しつつある」と結論づけた。

「一片の疑いもなく、空母は単なる標的にすぎない」。1966年から1986年まで米国防長官の下で働き、国防アナリストとして米軍の兵器調達について批判的なピエール・スプレー氏はそう断言する。

<空母擁護論も>

海軍首脳部は空母を支持している。米太平洋艦隊司令官のスコット・スウィフト海軍大将は、昨年末に行なわれたインタビューで、空母の持つ多用途性を高く評価している。スウィフト司令官は、空母は戦闘地域の真ん中に送り込むのに十分な堅固さを備えており、依然として「非常に生存能力が高い」と述べた。

スウィフト司令官は、自分なら、激戦のなかでも「直ちに」空母の投入を命じると語った。とはいえ、新たな対艦兵器に言及した同司令官は、空母の「生存能力は15年前ほど高くはない」とも述べている。

トランプ大統領は、艦艇を350隻まで拡張するという選挙公約を守ると述べている。米海軍が展開可能な艦艇は現在277隻である。フォード級空母を新たに1隻建造するだけで、コスト超過がないとしても105億ドルかかる。大統領は来年度国防予算の540億ドル増額を提案しているが、これだけで20%近くを費やしてしまう計算だ。

国防総省の元幹部を含む批判派のなかには、米国政府は、高額で脆弱な少数の空母に国防予算を注ぎ込みすぎだという声がある。

トランプ大統領は演説のなかで、どのようにして空母12隻体制を実現するかを明らかにしなかった。だが彼は、フォード級空母は米国の英知を結集したものであり、攻撃に耐え得ると述べている。

「この艦に競争相手は存在しない」とトランプ大統領は断言した。その上で最新鋭空母「ジェラルド・R・フォード」は、米国工業技術の「最大、最高、最良」を体現していると称賛した。

 3月2日、米海軍の最新鋭航空母艦「ジェラルド・R・フォード」での演説に臨むトランプ大統領(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)
http://s2.reutersmedia.net/resources/r/?m=02&d=20170315&t=2&i=1176596983&w=&fh=&fw=&ll=644&pl=429&sq=&r=LYNXMPED2E0AF


<システムの不具合>

トランプ大統領が演説で触れなかった点がある。建造元であるハンティントン・インガルス・インダストリーズが「ジェラルド・R・フォード」を進水させたのは3年以上前だが、海軍は深刻な欠陥を理由に、いまだに同艦を就役させず、実戦配備に至っていない。着艦する艦載機を捕捉・停止させる拘束制動装置など基本的なものも含め、最新のハイテクシステムの多くが機能していない。

海軍は同艦の年内就役を予定しているが、批判は続いている。

上院軍事委員会のジョン・マケイン委員長は7月、声明書のなかでコスト超過を指摘し、未解決のまま残っている重大なシステム機能不全をリストアップした。

「フォード級空母計画は、わが国の兵器調達システムを改革すべき理由を示すケーススタディだ」と同氏は指摘した。

1月に退任したレイ・メイバス前海軍長官は、「ジェラルド・R・フォード」について、「このように艦艇を建造するなという典型例だ」とロイターとのインタビューで語った。「失敗するかもしれない要素がすべて失敗している」

メイバス前海軍長官によれば、彼が海軍長官に就任する以前にすでに計画が確定していたため、フォード級にはまだ設計すら済んでいないハイテク設備が満載されることになったという。

また前長官は、造船会社に「コストプラス(原価加算)」方式の契約を認めてしまったことも批判する。これによって造船会社は、建造費用にかかわらず一定の利益を確保できることになった。「コストを引き下げようというインセンティブがまったくなかった」

2013年11月、バージニア州での米最新鋭航空母艦「ジェラルド・R・フォード」の命名式に集まった人々。米海軍提供(2017年 ロイター)


戦略的な欠陥を指摘する声もある。

海軍大尉と国防総省職員の経験があり、現在は「センター・フォー・ニュー・アメリカン・セキュリティ」で国防戦略評価プログラム担当ディレクターを務めるジェリー・ヘンドリックス氏は、空母は仮想敵国に対し、少ない投資で大きな成果を挙げるチャンスを与えてしまっている、と電子メールのやり取りのなかで指摘している。

彼の計算によれば、空母1隻の建造費用で、仮想敵国は空母攻撃用の対艦ミサイルを1227発配備できるという。

「同額の投資で、敵国はわが国の空母よりもはるかに多数のミサイルを製造可能で、それによってこちらの防御能力を圧倒できる」とヘンドリックス氏は言う。

空母中心の戦略に対する代替案として最も一般的に言われているのは、潜水艦や水上艦など、空母より小型で敏速な艦艇を圧倒的に多く建造することだ。潜水艦は護衛を必要とせず、地上の標的を遠方から攻撃できる。空母は、もう70年以上も前の第2次世界大戦以降、反撃能力を備えた敵との戦闘で実力を試されていない。

海軍及び外部の国防専門家の一部は、脅威が増大しているとはいえ、空母は依然として十分に生存能力が高く、重要な任務を遂行できると主張している。彼らは空母の機動性と迅速性を高く評価し、それ以外の方法では到達できない場所に米国が空軍戦力を投入することを可能にしていると言う。

ワシントンにあるハドソン・インスティチュート・センター・フォー・アメリカン・シーパワーのブライアン・マクグレイス副所長は空母擁護派だ。彼は、空母は地上の固定された空軍基地よりも脆弱性が低いと言う。

誘導ミサイル駆逐艦の元艦長であるマクグレイス氏は、「空母は巨大な浮かぶ空港だ。そして、単なる浮かぶ空港ではなく、時速40ノットで移動できる」と言う。「それに比べて、移動しない地上の空港がどれほど脆弱なことか」

だが、元国防総省職員で以前から国防総省の調達方針に批判的なスプレー氏は、より費用対効果の優れた兵器システムの構築に使えるはずの資金を空母が浪費している、と指摘する。

「フォード級空母を1隻作るごとに、米国の防衛力を損なっている」とスプレー氏は言う。

<深刻な欠陥>

熱心な空母擁護派と批判派の双方が同意するのは、現在の米国空母の配置には深刻な欠陥があるという点だ。攻撃機の補完能力である。攻撃機のほとんどすべてがF18ホーネットなど航続距離の短い機種であり、一部の紛争では役に立たない可能性がある。

特に中国軍は多数の対艦兵器を配備した海域を確立しており、敵国の艦隊が侵入することが不可能になっている。

太平洋艦隊のスウィフト司令官や空母を担当する海軍航空総軍司令官であるマイク・シューメーカー海軍中将など、米海軍の指揮官たちは、米海軍の空母はそうした海域にも安全に侵入し、任務を遂行するのに十分な時間とどまることが可能だと説明する。

だが外部アナリストの多くは、これほど高額な艦艇と5500人もの乗員をリスクに晒すことを大統領は躊ちょするだろうと言う。

標的を攻撃して帰還するために必要な燃料を搭載した場合、F18の戦闘行動半径は400カイリ(740キロメートル)にすぎないが、空母が比較的安全であるためには、「東風」ミサイルの射程外となる1300カイリ離れている必要があるのだ。

空母擁護派・批判派双方の専門家によれば、空母が安全な距離を確保しなければならないとすれば、F18が標的まで往復するために必要な空中給油の回数は非現実的に多くなるという。つまり、空母による航空戦力の戦闘地域投入がほとんど不可能になってしまう。

F18は2020年までに新型のF35C「ライトニングII」に交代するが、こちらも戦闘行動半径は650カイリとわずかに改善されているにすぎない。

写真は2014年11月、ロッキード・マーチン製のF-35C戦闘機(2017年 ロイター/Mike Blake)
 
空母擁護派であるハドソン・インスティチュートのマクグレイス氏も、航続距離の短い戦闘機のために任務が果たせないと言う。

「まだ(海軍が)着手していないのは、1000マイル(約1600キロ)飛行して爆撃を行い、帰還できるような攻撃機の設計と予算確保だ」とマクグレイス氏は言う。

戦略・予算両面での空母コストは、空母が単独で行動できないという理由により、さらに倍加される。空母は自らの防衛のために多くの護衛艦艇とともに移動することになり、1つ1つの「空母打撃群」がそれぞれ実質的な大艦隊となる。

空母1隻には、通常、駆逐艦や巡洋艦で構成される最低5隻の護衛艦艇、少なくとも各1隻の潜水艦と複合補給艦、さらに敵潜水艦探知用のヘリコプターが帯同する。また十分に陸地に近い状況では、地上配備の新型対潜哨戒・攻撃機P8「ポセイドン」による護衛も受ける。

<長年の脅威>

空母の司令官にとって最も恐ろしい兵器は、150年の歴史を持っている。潜水艦に搭載された魚雷1発で、空母1隻を沈没させることも可能なのだ。

最も近代的な魚雷は、艦艇を直撃することを目的としていない。その代わりに、敵艦の直下で爆発するようプログラムされている。これによって海中に気泡が生じ、敵艦が宙に浮いて海面に落下し、艦体が破壊される。

過去数十年、近代的な魚雷に対する効果的な防衛方法を海軍が開発していないという批判もある。国防総省の運用試験評価室による2016年の報告では、最近海軍が大きな進歩を遂げたものの、システムには依然として重大な欠陥があると述べている。

複数の専門家によれば、現在でも運用されている最も古い海軍艦艇の1つ、ディーゼル電気推進型の潜水艦(ディーゼル潜水艦)の最新型が、空母にとって脅威になっているという。このタイプの潜水艦は、過去2度の世界大戦においても使用されていた艦種である。

ディーゼル潜水艦は小型という長所がある。電気推進ではあるが音は小さく、一般に原子力潜水艦よりも静かで発見されにくい。

また、ディーゼル潜水艦は原子力潜水艦に比べて建造費がはるかに安い。米国の同盟国も仮想敵国も、多数のディーゼル潜水艦を建造してきた。世界全体では、230隻以上のディーゼル潜水艦が使用されている。中国は83隻、ロシアは19隻を保有している。

元国防総省職員のヘンドリックス氏は、空母の脆弱性ゆえに、艦隊が資金、艦艇、戦闘機の無駄遣いになっていると言う。

「もっぱら防衛志向の艦艇建造に何十億ドルも注ぎ込んでおり、艦隊の攻撃力が失われている」と同氏は語る。「結局、44機の戦闘機を空母から発進させるために、巨額の国防予算を使っていることになる」

(翻訳:エァクレーレン)

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http://jp.reuters.com/article/usa-trump-carriers-idJPKBN16M0IA?sp=true

 


 
FX Forum | 2017年 03月 15日 19:10 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:韓国政治混迷で日本に降りかかる「火の粉」=西濱徹氏
西濱徹
西濱徹第一生命経済研究所 主席エコノミスト
[東京 15日] - 足元の世界経済を巡っては、米国をはじめとする先進国を中心に自律的な回復局面を迎えるなど改善の動きが広がっている。こうした動きは、輸出依存度が相対的に高く世界経済に連動しやすい新興国にとって外需を足掛かりにした景気底入れを促している。

事実、アジアをはじめとする多くの新興国では、景気の回復感が強まる動きがみられる。しかし、韓国はそうした波に乗れないでいる。

<対中関係悪化で韓国経済は苦境に>

昨年の韓国の経済成長率は前年比プラス2.7%と前年(同2.6%)を辛うじて上回るも、10―12月期については前期比年率プラス1.56%と前期(同2.49%)から減速感が強まった。他のアジア新興国が景気の底打ちを示唆する状況とは対照的な展開が続いている。

この背景には、韓国の内需と外需を取り巻く環境がともに厳しいことが挙げられる。外需については中国との関係悪化が大きく影響している。

韓国は対北朝鮮戦略の一環として、在韓米軍による「高高度ミサイル防衛システム(THAAD)」の配備を決定したが、その決定がなされて以降、中国国内では韓国製品・コンテンツの締め出しや、韓国旅行を自粛する動きが広がっているとされる。

韓国にとって中国は、財輸出の3割超を占め、テレビ番組をはじめとするコンテンツ関連でも輸出の半分を占めるほか、来訪者の半分が中国人観光客であるなど、さまざまな面で依存度が極めて高い関係にある。韓国国内では一連の動きが「禁韓令」として報道されているが、今月に入って以降、THAAD配備に向けた準備が着々と進むなか、中国による「圧力」は一段と強まっている模様であり、輸出に一段と下押し圧力がかかることも予想される。

一方、内需を巡っては、家計部門の抱える債務残高が国内総生産(GDP)比80%と高いなか、家計部門の資産の大部分を占める不動産価格の低迷が長期化したことで逆資産効果の影響が続いている。

さらに、若年層を中心に雇用を取り巻く環境も厳しい展開となるなか、中銀が政策金利を過去最低水準に引き下げるなどの取り組みをしているにもかかわらず、個人消費は弱含む動きが続いている。

また、中国との関係悪化などをきっかけにした外需に対する不透明感は、国内需要の弱さと相まって企業マインド回復の勢いを削いでいる上、設備投資意欲にも悪影響を与えている。

<THAADと慰安婦合意のちゃぶ台返しはあるか>

さらに、韓国経済にとって痛手となったのが、朴槿恵前大統領に対する弾劾を巡って政府が長期にわたって機能不全状態に陥ったことである。朴前大統領は今月10日に憲法裁判所によって弾劾妥当との判決を受けて即日失職したことから、5月9日に出直しの大統領選挙が行われる。

次期大統領選に関しては、さまざまな候補者の出馬が取り沙汰されているが、世論調査で上位に挙がるのはいずれも野党候補であるなど、政権交代は必至とみられる。

なかでも「共に民主党」は、朴前大統領に対する弾劾を巡って与党が分裂した影響で国会において最大の議席数を有している上、上位5人の候補のうち3人が所属するなど、大統領選を経て同党に政権が移行する可能性は高いと見込まれる。今後は各党内における予備選挙などを通じた候補者調整の行方に注目が集まる。

「共に民主党」で大統領選への出馬意向を示しているなか、世論調査で最も人気を集めているのが前代表の文在寅氏であり、文氏は前回の大統領選に出馬して朴前大統領に惜敗した経緯がある。文氏のほかには、支持率の高い順に同国中部の忠清南道知事を務める安熙正氏、同国北西部の京畿道城南市長を務める李在明氏が出馬に意欲を示している。

文氏は同党内の主流派とされる中道路線を標榜する一方、安氏は党内では穏健派に位置し、対する李氏は強硬派とされる。こうした姿勢は韓国が直面する課題(THAAD、慰安婦合意など)への対応にも違いを生んでいる。

穏健派の安氏はTHAADについては米韓合意を尊重し、慰安婦合意についても歴史問題と日韓関係の発展を切り分けるとの考えを示しているが、強硬派の李氏はTHAADの配備撤回、慰安婦合意も全面的な再検討を求めるなど、ちゃぶ台返しを示唆している。

他方、文氏は現時点でTHAADについては次期政権が決定するとし、慰安婦合意についても再交渉が必要とするなど、明確な態度は示していない。その意味ではこれらの方向性については、いかようにも変化し得ると判断できる。

<世論動向に左右されやすい韓国の外交>

ただし、朴前大統領に対する弾劾訴追を巡る動きなどから分かったことは、韓国の政治と外交は国民世論の動向によって大きく左右される傾向が強いことであり、次期政権がいかなる形で誕生し、支持基盤を固めることができるか否かによって、THAADや慰安婦合意を取り巻く環境はどちらにも転び得る不安定な状況に置かれていると言えよう。

なお、韓国の次期政権が比較的高い支持率を得られれば、対外的な強硬路線をとる必要性は低下するとみられる。ただし、日本へのリスクについて考えると、慰安婦合意については韓国国内に強硬な反対論が存在し、多くの候補がいかなる形であれ再交渉を求める姿勢をみせるなか、日本にとっては合意で示された「最終的かつ不可逆的な解決」が反故(ほご)にされることへの反発も予想される。

また、THAADについては中国による「禁韓令」を通じて韓国経済にすでに深刻な悪影響が出ており、次期政権にはその緩和に向けた対策が求められる。しかし、仮に次期政権がTHAAD配備を再検討する事態となれば、きな臭い動きを続ける北朝鮮に付け入る隙を与えることで朝鮮半島情勢の混迷が懸念されるほか、米韓関係の急速な悪化を招くとともに、日韓間で昨年合意された秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)の見直しも必要になるかもしれない。

日本にとっては、韓国次期政権の身の振り方により、さまざまな火の粉が降りかかるリスクが懸念される。

*西濱徹氏は、第一生命経済研究所の主席エコノミスト。2001年に国際協力銀行に入行し、円借款案件業務やソブリンリスク審査業務などに従事。2008年に第一生命経済研究所に入社し、2015年4月より現職。現在は、アジアを中心とする新興国のマクロ経済及び政治情勢分析を担当。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

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http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/788.html

[経世済民120] 賃上げ減速、中小・非正規が消費回復の鍵 物価上昇が重荷 米物価上昇 トランプ44億円納税、収入160億 ドル円壁突破か

賃上げ減速、中小・非正規が消費回復の鍵 物価上昇が重荷
2017/3/15 23:43 
 今年の春季労使交渉では、賃上げ率が昨年実績の2%よりも低い伸びにとどまる公算が大きくなった。市場関係者の間では個人消費の回復が鈍るとの見方が広がってきた。原油価格の上昇や円安で今後物価は上がる見通しで、物価変動の影響を除いた実質賃金は伸び悩む可能性がある。中小や非正規労働者など幅広い層に賃上げの恩恵が広がらないと、個人消費の底上げにつながらない。

 菅義偉官房長官は15日の記者会見で、トヨタ自動車が前年実績より200円下回る月額1300円のベースアップ(ベア)を回答したことを評価した。「ベアだけでなく、一時金や諸手当など様々な点を総合的に分析する必要がある」と述べた。

 大和総研の長内智氏は、定期昇給も含む賃上げ率が2.0%の場合は名目の国内総生産(GDP)の個人消費を年間で1600億円程度押し上げるが、1.9%だと800億円程度の押し上げ幅にとどまると試算する。

 家族手当などを増額する企業の動きに対し、長内氏は「消費の基調を決めるのは、賃金が継続的に上がると感じられるベア。昨年と比べ消費にとっては厳しい春になる」と指摘する。

 16年は物価が下落したこともあり、実質賃金は0.7%増と5年ぶりに増加した。それでも実質GDPの個人消費は前年比0.4%増どまり。「17年は物価がプラス圏で推移し、実質賃金の伸びが抑えられる」(SMBC日興証券の宮前耕也氏)との見方が多く、個人消費には逆風だ。さらに「賃上げ分の4〜5割程度は社会保険料として相殺される」(経団連)との指摘もある。

 消費の底上げには、日本の雇用の約7割を支える中小企業の賃上げ動向も今後の焦点だ。回答が出てくるのはこれからだが、菅長官は「企業収益を踏まえた賃上げがしっかりと実現し、流れが中小企業や非正規雇用にも広がることを期待したい」と強調した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS15H4K_V10C17A3EA2000/

 

米小売売上高2月0.1%増
2017/3/15 23:51 
 【ワシントン=長沼亜紀】米商務省が15日発表した2月の小売売上高(季節調整済み)は前月比で0.1%増え、増加率は市場予測と一致した。前年同月比では5.7%増えた。内訳は建築・園芸・資材が1.8%増。家電を扱う店やガソリン給油所は減少した。全体から自動車・関連部品を除く小売売上高は0.2%増えた。


2月の米小売売上高、0.1%増の4739億ドル
商務省【3/15 21:34】
【ワシントン時事】米商務省が15日発表した2月の小売売上高は季節調整後で4739億9100万ドルと、前月比0.1%増加した。

変動の激しい自動車・同部品を除くと0.2%増、ガソリンを除くと0.1%増、自動車・同部品とガソリンを除くと0.2%増だった。

市場予想(ロイター通信調べ)は全体が0.1%増加、自動車・同部品を除くと0.2%増加で、いずれも同じだった。

業種別に見ると、ガソリンスタンドが0.6%減(前月2.1%増)、自動車・同部品は0.2%減(1.3%減)。食品・飲料は横ばい(0.4%増)、衣料は0.5%減(1.2%増)。一般量販店は0.2%減(1.5%増)、このうちデパートは1.1%減(1.0%増)。ネットなど無店舗販売は1.2%増(0.5%増)、電子機器・家電は2.8%減(1.1%増)、建築資材関連は1.8%増(1.2%増)だった。

また、前年同月比では全体が5.7%増、自動車・同部品を除くと5.7%増。1月は当初発表の0.4%増から0.6%増に改定された。


2月米消費者物価、0.1%上昇=コア0.2%上昇、ガソリン3.0%低下―労働省【3/15 21:32】
【ワシントン時事】米労働省が15日発表した2月の消費者物価指数(CPI、1982〜84年=100)は243.603と、季節調整後で前月から0.1%上昇した。変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は0.2%の上昇だった。

市場予想(ロイター通信調べ、中央値)は全体が横ばい、コアは0.2%の上昇。

項目別ではエネルギーが1.0%の低下。このうち燃料油は0.4%低下、ガソリンは3.0%低下。食料品は0.2%上昇した。

コア項目では、新車が0.2%低下、中古車が0.6%低下。衣料は0.6%上昇、航空運賃は2.4%上昇。帰属家賃(持ち家の家賃相当コスト)は0.3%の上昇。

前年同月比は季節調整前で全体が2.7%上昇、コアは2.2%上昇した。

 


東芝融資、4月末まで継続=主力行が了承、他行は30日回答【3/15 23:02】
経営再建中の東芝は15日、取引金融機関向けの説明会を開いた。東芝は2016年4〜12月期決算を再延期した経緯や、巨額損失を出した米原発事業の見通しなどを説明した上で、4月末まで融資を継続するよう要請した。主力取引銀行の三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行は応じる意向を表明した。他の金融機関は今月30日までに回答する。

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与党優勢、追う極右=オランダ下院選で投票―ポピュリズムの動向占う【3/15 22:57】
【ハーグ時事】欧州の今後の移民政策や極右勢力の伸長を占うオランダ下院選(定数150)の投票が15日、行われた。ルッテ首相率いる中道右派の与党・自由民主党(VVD)がやや優勢だが、イスラム系移民排斥を主張する極右・自由党(PVV)が追っていると伝えられており、第1党の座を奪えるかが焦点となる。

4月以降に実施されるフランス大統領選やドイツ連邦議会(下院)選の先駆けとなる今回のオランダ下院選は、英国のEU離脱決定などで勢いづく欧州ポピュリズムの動向を占う試金石として注目が集まっている。

ルッテ氏は景気回復などの実績をアピールする一方、「間違ったポピュリズムの流れを食い止める」とPVVが政権を握る危険性を訴えた。これに対し、PVVのウィルダース党首は「イスラム国家からの移民受け入れ停止」「EU離脱」など過激な主張を繰り返した。

各種世論調査の結果を集計した分析サイトによると、ルッテ首相の与党は第1党を維持する見込みだ。しかし、獲得議席は現有の40議席から大きく落ち込み、24〜28議席に減らすと予想されている。

これに対し、ウィルダース氏率いる極右は19〜23議席と予測され、接戦となりそうな勢いを維持している。ただ、3位以下の政党の中にも20議席前後を視野に極右と接戦を演じている党が複数あり、議席争いの行方はふたを開けるまで分からない。一方、連立与党の一角の労働党は10〜12議席と低迷している。

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新たに北朝鮮籍の男浮上=正男氏事件、容疑者に同行【3/15 22:54】
【クアラルンプール時事】北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏殺害事件で、新たに北朝鮮国籍の男が事件に関与していた可能性が浮上した。マレーシア警察が行方を追っている容疑者の1人と行動を共にしていたことが15日、北朝鮮関係筋の話で明らかになった。

同筋によると、男はチャン・ナムウン氏(30)。事件発生から2日後の2月15日、マレーシア警察に指名手配され既に北朝鮮に帰国したとされる4人の容疑者の1人、オ・ジョンギル容疑者(54)と共にカンボジアからバンコク経由でモスクワに向かったことが分かった。

オ容疑者は2月7日にマレーシアに入国し、事件当日の13日に出国したことがマレーシア警察の調べで既に判明している。チャン氏がオ容疑者と一緒にマレーシア入りしていたことも、関係者の話で確認された。「オ容疑者のサポート役を果たしていた可能性がある」(関係者)とみられる。

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〔米株式〕NYダウ、ナスダックとも反発(15日朝)【3/15 22:38】
【ニューヨーク時事】15日朝のニューヨーク株式相場は、原油先物相場が上昇に転じたことを好感し、反発して始まった。優良株で構成するダウ工業株30種平均は午前9時35分現在、前日終値比30.77ドル高の2万0868.14ドル。ハイテク株中心のナスダック総合指数は9.24ポイント高の5866.06。

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自爆テロで39人死亡=首都中心部で再び―シリア【3/15 22:22】
【カイロ時事】シリアの首都ダマスカス中心部にある裁判所前で15日、自爆テロがあり、在英のシリア人権監視団によると39人が死亡した。犠牲者の大半が民間人という。一方、国営シリア・アラブ通信は、ダマスカスの別の場所でも爆発が起きたと報じた。

ダマスカス中心部では11日もイスラム教シーア派の聖廟近くで自爆テロがあり、74人が命を落とした。この事件では、国際テロ組織アルカイダの流れをくむ過激派組織「シリア解放機構」が犯行声明を出した。

国営テレビによると、犯人の男は建物の内部に入ろうとしたところ警察に止められ、所持していた爆発物をさく裂させた。現場には多数の人々が集まっており、被害が拡大した。

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〔NY外為〕円、114円台後半=FOMC控え小動き(15日朝)【3/15 22:03】
【ニューヨーク時事】15日午前のニューヨーク外国為替市場の円相場は、午後に米連邦準備制度理事会(FRB)による金融政策決定を控え、1ドル=114円台後半で小動きとなっている。午前8時55分現在は114円65〜75銭と、前日午後5時(114円68〜78銭)比03銭の円高・ドル安。

早朝発表された米経済指標は、2月の小売売上高が0.1%増と市場予想と一致。また、消費者物価(CPI)は横ばい予想に対して0.1%上昇、変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は0.2%上昇で予想通りだった。発表を受け、円は一時小緩んだが、午後に米連邦公開市場委員会(FOMC)声明の発表やイエレンFRB議長の記者会見などを控えて積極的な商いは見送られ、円の下値も限定的となっている。

ユーロは同時刻現在、対ドルで1ユーロ=1.0615〜0625ドル(前日午後5時は1.0598〜0608ドル)、対円では同121円80〜90銭(同121円64〜74銭)。

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「ちゃぶ台返し」避けた=残業上限導入を優先―神津連合会長【3/15 21:36】
連合の神津里季生会長は15日の記者会見で、残業規制をめぐる経団連との交渉を振り返り、「(残業問題の議論の)ちゃぶ台をひっくり返してはいけないというのが一つの結論だ」と述べ、上限規制の導入を優先したことを明らかにした。

http://fx.dmm.com/market/news/

 


トランプ氏は05年に約44億円納税、収入1.5億ドル強−確定申告書
Bloomberg News
2017年3月15日 10:20 JST 更新日時 2017年3月15日 15:47 JST

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U.S. President Donald Trump. Photographer: Olivier Douliery/Bloomberg
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ホワイトハウスがMSNBCの報道前に納税額を確認
法令違反もいとわず確定申告書の報道約束と批判−ホワイトハウス

トランプ米大統領は2005年に3840万ドル(現在のレートで約44億円)を、1億5270万ドルの収入に対する税金として納めた。MSNBCが14日、同年の連邦所得税確定申告書の内容として伝え、ウェブサイトに掲載した。
  ホワイトハウスは同日、MSNBCが確定申告書について報道すると予告したのを受けて、電子メールで配布した発表文でこれらの金額を確認した。MSNBCが伝えた金額から判断すると、トランプ氏の05年の実効税率は約24ー25%となる。トランプ氏は確定申告書の公表を拒否している。
  税問題のベテラン記者デービッド・ケイ・ジョンストン氏はMSNBCの番組「レイチェル・マドウ・ショー」に出演し、確定申告書のコピーが「一方的に郵送されてきた」と述べ、誰が送りつけたのかは知らないとコメント。マドウ氏が番組で見せた申告書には「クライアント・コピー(依頼人控え)」というスタンプが押されている。
  MSNBCがウェブサイトに掲載した確定申告書2ページ分では、トランプ氏が実際にどこから所得を得たのかは不明だが、所得の種類は示されており、給与所得約100万ドル、課税利子所得950万ドル、事業所得4240万ドル、キャピタルゲイン3220万ドルなどが記載されている。
  ホワイトハウスは発表文で、MSNBCが「視聴率獲得に必死で」トランプ氏の確定申告書を公表して法に反することもいとわない姿勢だと批判した。米国の連邦法では、確定申告書を本人の同意なく公表した場合、重罪として最長5年の禁錮刑や最高5000ドルの罰金刑に処される可能性があるが、専門家はMSNBCが法的問題に直面しないと指摘している。
 元連邦検事で現在は税金を専門とする刑事被告人弁護士を務めるジェフリー・ニーマン氏は「刑法で内国歳入庁(IRS)による開示を禁じられているため、IRSやIRS職員が確定申告書を公表すれば違法だろう」が、「一般市民が確定申告書を公表することは犯罪ではない」と述べた。
  ホワイトハウスの発表文によると、トランプ氏は他にも数千万ドル納税したという。
  トランプ氏は監査中は公表しないよう弁護士から助言を受けたとして申告書内容を非公表としており、過去の主要政党の大統領候補らの慣例に従っていない。トランプ氏は昨年2月、過去12年分の監査を受けていることを明らかにしていた。ただ、監査中の確定申告書の公表を妨げる法律や規制はない。
  トランプ氏と側近らは、同氏の確定申告書を国民は関心を持っていないと主張している。
原題:Trump Paid $38 Million Tax on $150 Million Income: Return (2)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-15/OMU12B6JTSEK01

 
田嶋智太郎の外国為替攻略法
2017年03月15日
ドル/円は分厚い上値の壁を突破できるか?
前回更新分の本欄で、ドル/円について「今年1月半ば以降、ヘッド・アンド・ショルダーズ・ボトム(逆三尊)を形成していると見ることもできる」と述べました。ここで、あらためて下図において確認してみますと、たしかに足下のドル/円は89日移動平均線(89日線)に下値を支えられながら底堅く推移するなかで、2月15日高値(=114.96円)あたりの水準をネックラインとする一つのリバーサル(反転)フォーメーションを形成していると見ることができるように思われます。
そうであるとすれば、いずれネックラインを上抜けたところで逆三尊のフォーメーションは「完成した」と見做されることになり、その後は上値余地が拡がり易くなると考えることができます。その場合、上値の一つの目安になり得るのは「ヘッド(この場合は2月7日安値=111.59円)」の水準からネックラインまでの値幅と同じぶんだけネックラインより上方にとった値とするのがセオリーです。
つまり、仮に逆三尊が完成した場合、その後の上値一つの目安は「2月7日安値から2月15日高値までの値幅と同じ分だけ2月15日高値より上方にとった値」と考えることができ、結果的に、それは今年1月3日高値や昨年12月15日高値が位置していた水準をあらためて試すということにもなります。昨年12月15日高値からの調整が2月7日安値で終了したとするならば、再び118円台後半からそれ以上の水準を試す展開となる可能性も大いにあると言えるでしょう。

それにしても、目下は前記のネックラインが位置する水準が重く、そこに分厚い上値の壁が立ちはだかっているかのようです。そこは、ちょうど「115円」というキリのいい数字に近く、心理的節目とも言われる水準であると同時に、現在は一目均衡表の日足「雲」上限が位置しており、余計にその壁が厚く感じられるような状況となっています。また、ドル/円の115円処というのは、このところ「トランプ・シーリング」などと言われることがままあり、同水準を超えてくると「米政権からの円安誘導批判が強まりやすくなる」などと見る向きもあるようです。
周知のとおり、2月に行われた日米首脳会談で、為替協議などの通商問題については麻生財務相とペンス米副大統領による『日米経済対話』の場で議論することが決められ、いよいよ4月のスタート時期が迫ってくることに対する警戒ムードは足下で拭い切れない状況にあります。まして、今週末にはムニューシン米財務長官のデビュー戦となるG20財務相・中央銀行総裁会議がドイツで行われる予定となっており、その場であらためて米政権側の意向が強く示されるのではないかと警戒する向きも少なくないと見られます。
もちろん、今回のG20会議を比較的"無難に"通過することができれば、むしろ一旦はドル/円の上値余地が拡がり易くなる可能性もあると言えるでしょう。もとより、このところ米国経済の足腰は着実に強さを増してきており、昨日から行われている米連邦公開市場委員会(FOMC)でも追加利上げの決定が下されることは"ほぼ確実視"されています。
そのうえで、さらにFOMCメンバーらによる金利見通しが前回(昨年12月時点)の水準よりも引き上げられたり、イエレンFRB議長の会見でタカ派的な発言が飛び出したりすれば、今週から来週にかけて、いよいよドル/円がリバーサルフォーメーションを完成させる可能性も高まってくるものと思われます。
コラム執筆:田嶋 智太郎経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役
前の記事:そろそろドル/円の調整も終盤に!? −2017年03月08日
そろそろドル/円の調整も終盤に!?
前回更新分の本欄では、先週3日に行われたイエレンFRB議長の講演について「事前に期待が盛り上がり過ぎると、一旦は失望の反応が見られる可能性もある」と述べました。そして実際、イエレン氏の講演と質疑応答の時間を境にドルは一旦売られる展開となり、一時114.74円まで上値を伸ばしていたドル/円も後に114円を割り込む展開となりました。
もはや、市場は来週14-15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)において追加利上げの決定が下されることを"ほぼ確実"と見ている模様であり、すでに関心は「その次」に移りつつあるようです。周知のとおり、その次というのは一つに先送りされてきた予算教書の提出、つまりは米大統領が言う「歴史的な」税制改革案を含めた積極的な財政出動の大まかなスケールや内容であり、また15日を期限とする米債務上限引き上げ協議の行方、そしてFOMCメンバーらによる今後の金利見通しなどであろうと考えられます。
とにもかくにも、まずは米議会に債務上限の引き上げを認めさせ、予算教書を議会に提出しないかぎり、大規模インフラ投資や大型減税を含む米政権の経済政策案は前へ進められません。また、ここにきてFOMCメンバーらの政策方針は「想定していたよりもタカ派的」と見られているようですが、実際には彼らの金利見通しを確認してみないと、その程度がつかめません。逆に言えば、今後それらが一つ一つクリアにされ、先々の見通しが少しずつでも明らかになってくれば、外国為替相場にも一種の"アク抜け感"が出てくるのではないかと思われます。
いずれにしても、足下では米政権の経済政策や米景気拡大に対する期待がなおも引き継がれており、基本的にドルの下値が堅くなっていることも事実です。下図でも確認できる通り、このところ長らくドル/円は一目均衡表の週足「雲」上限の水準に下値をサポートされる格好となっており、言うなれば「昨年11月の米大統領選後の急激な上昇に対する調整の局面」にあると見られます。
この調整を続けるなかで、今年1月半ば以降のドル/円は115円手前の水準をネックラインとするヘッド・アンド・ショルダーズ・ボトム(逆三尊)を形成していると見ることもできると考えられ、目下のところ上値抵抗となっているネックラインの水準をいずれ上抜けてくれば、調整局面は終了したとの感触も得られてくるものと思われます。
同時に注目しておきたいのは、以前からジワジワと水準を切り上げてきている31週移動平均線(31週線)が、じきに62週移動平均線(62週線)を下から上に突き抜ける格好になるという点です。振り返れば、昨年2月半ば頃に31週線が下向きの62週線を上から下に突き抜けるデッドクロスが示現してから、ドル/円の下落は一段と加速しました。

いまだ62週線は下向きの状態にあるため、単に31週線がそれを上抜けるだけでは確度の高いゴールデンクロスとは言えません。とはいえ、いずれ62週線も上向きになってくると、そこから本格的に上値余地が拡がり始める可能性はあると思われます。また、今後は週足の遅行線が週足「雲」を上抜けるかどうかという点にも要注目です。
前述したように足下で逆三尊を形成している可能性がある点や、31週線と62週線のゴールデンクロス示現、週足の遅行線の動きなどを見て総合的に判断するに、そろそろドル/円の調整も終盤に差し掛かってきていると見ることもできるように思われます。
コラム執筆:田嶋 智太郎経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役
前の記事:米3月利上げの期待が市場で俄かに高まっている −2017年03月01日
次の記事:ドル/円は分厚い上値の壁を突破できるか? −2017年03月15日

http://lounge.monex.co.jp/pro/gaikokukawase/2017/03/08.html

http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/217.html

[経世済民120] これを間違えると「老後破産」へ一直線! 50兆円市場を生む「適応」 管理職「性善説」こそが、会社をカルトにする 
これを間違えると「老後破産」へ一直線!

「定年男子 定年女子」の心得

堅実なサラリーマンが定年後にしがちな「2つの勘違い」とは
2017年3月16日(木)
大江 英樹

大江英樹(おおえ・ひでき)氏
経済コラムニスト。1952年、大阪府生まれ。大手証券会社で個人資産運用業務、企業年金制度のコンサルティングなどに従事。定年後の2012年にオフィス・リベルタス設立。写真:洞澤 佐智子
 前回、老後破産を防ぐには、お金の「入」と「出」を自分なりに把握することだと書きました。しかしながら私が見る限り、ほとんどのサラリーマンはきちんと自分の収支をつかんではいません。それでも何となく定年退職の日を迎え、何となくリタイア後の毎日を過ごし、多くの人は生活に困窮するほどの目にはあっていません。

 「『自分の収支を把握しろ』って言うけれど、別にそんなことしなくても大丈夫じゃないか?」と思っている人もいるでしょう。確かに一般的にサラリーマンはそこまでやらなくても何とかなっているというのも事実です。これは一体どういうわけなのでしょう。その理由は、サラリーマンという職業の特性にあるのです。

 世の中で、俗に“お金持ち”とか“資産家”といわれる人達といえば、医師やオーナー社長、タレントといったところがイメージされます。では彼らのお金の「入」と「出」はどうなっているのでしょうか。

 これらの人たちに共通するのは、収入が不安定であることです。オーナー社長なら事業が当たれば、タレントなら有名になれば、大きく収入が増えます。ただ、下手をすれば一銭も入ってこないことだってあり得ます。

 つまり「入」は読めません。そのうえ、「出」も読めないのです。

 仮に生活自体は地味にしていても、商売や事業をしていたら、設備投資や商品の仕入れなど、機会があれば資金を出さざるを得ません。好むと好まざるとにかかわらず、不安定な収入とコントロールしきれない支出に悩まされ続けることになります。

 ところが、サラリーマンの場合、収入は安定していますし、支出にしても大きな病気にでもならない限り、意図せざる大きな出費というのはあまりありません。
 すなわちお金の「入」と「出」がある程度読めるのがサラリーマンなのです。

 やり方さえ間違わなければ、サラリーマンの方がずっと計画的に資産形成ができる。派手な生活をしているオーナー社長などが意外とそれほど資産を持っておらず、普通のサラリーマンの方が実は堅実に資産形成をしているという例をたくさん見てきました。

 それに加えて老後のお金のことを考えた場合、サラリーマンなら誰もが加入している厚生年金が圧倒的なアドバンテージになります。

 実際の金額は現役時代の収入によって異なりますから一概には言えません。例えば、現役時代の1カ月の平均給与が36万円で妻が専業主婦という世帯の場合、65歳から90歳までに受け取る年金額は夫婦合計でおよそ6750万円になります。

 ところが、自営業の場合だと公的年金は国民年金しかありませんから、金額はだいたいこの半分ぐらいになります。さらにサラリーマンの場合、勤めている会社によっては「退職金」や「企業年金」を受け取れる場合だってあります。

 このように考えていくと、サラリーマンならある程度の蓄えがあり、リタイア後は地道に暮らしていくことができれば、そんな簡単に老後破産することはないように思えます。しかしながら、「これを間違えると簡単に老後破産してしかねない」落とし穴もあるのです。それは何でしょうか。次ページで見ていきましょう。

 答えはずばり、退職金の使い方です。

退職金を「勘違い」しないこと

 多くのサラリーマンが受け取る退職金について、大きな2つの「勘違い」が発生しがちです。

 1つは、「退職金は長年働いたことに対するご褒美だ」と思いがちなこと。退職金というのは決してご褒美などではなく、「給料の後払い」なのです。

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 退職金のルーツは江戸時代の暖簾分けですから、そもそも発祥の時点では功労報償的な意味合いはあったかもしれませんが、現代においては老後の生活を賄うために、退職後に後払いすることを約束した給与なのです。逆に言えば、この資金は老後生活を賄うためのものとして取っておかなければならないものです。

 にもかかわらず「ご褒美」だと思うとつい気が大きくなり、退職金で豪勢な世界一周旅行に出かけたり、家のリフォームをしたりして散財してしまいかねません。

 もちろん、世界一周旅行やリフォームが悪いというわけではありません。私が伝えたいのは、そうした支出は退職金ではなく、そのために積み立てるなどして準備したお金で支払うべきだということです。退職金を「ご褒美だ」と勘違いして使ってしまうと、後々困ることになります。

 退職金の勘違い、2つ目は「退職金を余裕資金だと思ってしまう」ことです。

 言うまでもなく退職金は老後の生活に必要な、減っては困る大切な資金です。ところが頭でそう分かっていても、ついつい勘違いをしてしまう人は少なくありません。

 こうした勘違いをするのは、長年、給料日になると、一定のお金が銀行口座に振り込まれ、生活を賄ってきたからです。そんな習慣が身に付いているところに、まとまったお金が振り込まれると、ついつい余裕資金だと勘違いしてしまうのです。


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 そして、退職金という大金を手にした元サラリーマンに、銀行や証券会社が「投資信託を買いましょう」「運用で増やしましょう」と営業攻勢をかけてくるのは当然のことです。

 特にここ数年、アベノミクスのおかげで紆余曲折はあっても概ね市場は上昇基調が続いています。退職金という、生まれて初めて手にした大金を前にして、「もっと増やしたい」という欲が出てきたとしても不思議ではありません。

 おまけに金融機関の営業マンはやたら老後不安を煽ります。「年金なんてあてになりません」とか「超低金利だから投資すべき」などというセリフを使って、何とか株式や投資信託を買わせようと営業してきます。

 ところがそんな甘言に乗せられて投資を始めたものの、やがて暴落が訪れて、あっという間に退職金が半分になってしまった、というような例を私は今まで何人も見てきました。投資が悪いとは言いませんが、まったく経験のない人が退職金でいきなり投資を始める、いわゆる「退職金投資デビュー」だけはやってはいけないと思います。

 前述の豪華世界一周よりもこちらのほうがもっと始末が悪いと言えるでしょう。退職金の勘違い、これは誰もが陥りがちなことではありますが、間違いなく老後破産に向けた第一歩だと注意しておくべきです。

まずは「生活の見直し」をしよう


 退職した後にまずすべきことは、日々の支出の見直しです。現役時代とは全く異なる基準で生活を考えていくべきでしょう。

 まずは、現役時代に当たり前のように行っていたことが本当に必要なのかをチェックします。最初にすべき見直しは、家計へのインパクトが最も大きい生命保険です。いつまでも無駄な保険に入り続け、保険料を払い続けることは、老後にやってはいけないことの1つです。

 定年退職して、子供が独立しているのであれば、高額な死亡保険金が出る生命保険はもはや不要です。私の個人的な意見ですが、医療保険すら不要だと思っています。日本の公的医療保険はかなり充実しているからです。

 特に高齢期の医療保障は、今後自己負担がより求められるようになるとは言っても、かなりの部分まで国がカバーしてくれます。保険に回すお金があるならその分は貯蓄して備えておくべきです。

 現役時代にやっていた飲み会や会社の仲間との付き合い、これは一般的には退職後は減るはずですが、なかには暇になったからと昔の仲間を誘って毎晩のように飲みに行く人もいます。これも見直すべき習慣です。

 年賀状もそうでしょう。私自身、現役時代には会社の人間を中心に500〜600枚ぐらいの年賀状を出していましたが、退職した後はほとんど出すのをやめました。それでもほとんど誰も気が付きません。

 定年退職から数年経って、かつての部下達との飲み会の席で、「もう年賀状は出さないことにしたんだ。悪いね」と言っても、「え、そうだったんですか」と驚く人がほとんど(笑)。要するに自分が気にするほど、他人は自分のことを見ていないのです。

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 私は退職後に必要なのは「サンカク」だと思います。「義理欠く」「見栄欠く」「恥欠く」です。そういう不要なものをいつまでも身にまとい続けると、なかなか生活コストは下がりません。一つひとつは小さな出費のように思っても、積み重ねれば結構大きな金額になるものです。

 現役時代は忙しくて時間がなかった分、時間をお金で買う習慣はしょうがなかったかもしれません。しかしながら退職して時間ができたら、必要のないお金を使う習慣は見直したほうが良いでしょう。

本内容をもっと詳しく知りたければ…
『定年男子 定年女子 45歳から始める「金持ち老後」入門!』

 「定年後は悠々自適神話」は崩壊。65歳まで働くことを覚悟している現役世代がほとんど。
しかし勤務先で再雇用されても仕事のやりがい、給与ともに大幅ダウンし、職場の居心地はひどく悪いのが現実だ。

 さらに65歳で会社を「卒業」し、年金収入だけになったら、本当に暮らしていけるのか…。 親や自分の介護にかかるお金は? 60代からの就活ってどうやればいい?

 人生100年時代に、経済的にも精神的にも豊かな定年後を送るために現役時代から準備すべきことを、お金のプロであり、リアル定年男子&定年女子のふたりが自らの経験と知識を総動員してガイドする。

このコラムについて

「定年男子 定年女子」の心得
STOP! 老後破産。定年男子こと、元金融マンで経済コラムニストの大江英樹氏が本音で語る「金持ち老後」入門コラムです。「不安な未来」に向けて、何をどう備えるべきか。定年退職時に預金150万円しかなかったという自らの体験を基に、優しく解説します。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/030600122/031400003/?


 

 


50兆円市場を生む「適応」とは
エコロジーフロント
異常気象の被害抑制を途上国開拓の切り口に
2017年3月16日(木)
馬場 未希
 電機や化学、化粧品、保険など様々な業種の企業が今、熱い視線を送る市場がある。気候変動の影響を受けやすい途上国で異常気象による被害を押さえ、国土や住民の生活を守る「適応」と呼ぶビジネスだ。その市場規模は、2050年に50兆円に膨らむとの予測もある。
 大手からベンチャーまで、「適応」を切り口に途上国市場の攻略へ動く企業が相次いでいる。洗顔料や洗髪料などを製造・販売するフロムファーイースト(大阪市)はその1社だ。
洪水防ぐ森から原料を調達
 同社が適応ビジネスに乗り出したきっかけは、2014年に遡る。カンボジアの村落を訪れた阪口竜也社長は、何もない広大な土地を前にため息をついたという。そこには森があるはずだったが、住民による大量伐採で消えていたからだ。
 気候変動の影響で洪水や台風が頻発し、被害が深刻化しているカンボジア。かつては国土の7割超を覆っていた森が強い雨風から土地を守り、洪水被害を抑えてきた。
 ところが近年、住民は木を売って生計を立てるようになり、森が減った。そのため毎年のように大洪水が発生。カンボジア政府は洪水を抑えるために植林を進めている。
 阪口氏はフロムファーイーストを営む傍ら、カンボジア南西部で、住民らと協力して植林に精を出している。
 住民には草木の栽培とともに、葉や実の採取と加工を依頼している。これを同社は、日本で販売する商品の原料として買い取る。こうすることで、住民は木を伐採せず、育て続けることで収入を得られるようになる。木を植えた土地は、洪水を抑えられるようになる。
 「環境保全と洪水の抑制、そして経済の成長が両立する仕組みを実現したい」と、阪口氏は話す。日本市場で得た利益を再び、いっそう広範囲の植林に投資する事業モデルの確立を目指している。


フロムファーイーストの依頼で森を育てるカンボジアの人々と阪口社長(右から2番目)
 「商品を通じた環境配慮を実現したい」と国内で事業を展開してきた阪口氏。2012年、ブラジル・リオデジャネイロで開かれた「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」の会場で、ウルグアイのホセ・ムヒカ大統領(当時)が行ったスピーチに触発された。地球を持続可能な形で維持していくには、社会や生活、ビジネスを変革する必要があると訴えていた。
 「成長しながら環境に負荷を与えてきた先進国は、途上国の人々に成長と環境保護を両立する方法を伝える責任がある」と考えた阪口氏は、現地でNGOとして活動する知人を頼り、カンボジアにたどり着いた。
 現在、20種類程度の草木をアンコールトム郡にある14ha(ヘクタール)の土地に植えている。油脂が取れるモリンガやココナッツ、同国で自生するハーブなどだ。様々な高さに育つ木や下草になるハーブを混ぜて植えることで、自然に近い森づくりを目指している。森林減少率がアジアでも特に高いカンボジアで、増え続ける洪水災害を抑えられるようにした。
 同社はカンボジアで調達した原料を使った洗顔料や洗髪料などを「森の叡智プロジェクト」と呼ぶ製品シリーズとして展開し、全国の東急ハンズやイオンなどで試験販売している。

収穫した葉や実などは村の住民らに依頼して商品原料に加工してもらう
大手アパレルや流通が相次ぎ参画
 米ぬかとモリンガの葉の粉末を混ぜた洗顔料は、2016年5月から2017年1月に7500個売れた。2019年度からは商品の現地生産を本格化させる計画で、この製品シリーズ全体で2019年度に2016年度見込みの5倍に相当する売り上げと、同10倍に相当する利益を見込む。
 阪口氏は今後、国連開発計画(UNDP)などの協力を得て100haにまで植林を広げたい考えだ。カンボジアに限らず、他のアジアなどの国への事業展開も目指す。ただ、100ha分の草木から得られる原料は、同社だけでは使い切れない。洪水を抑える森づくりを広げていくには、日本で原料を製品化する企業の仲間を増やすことが欠かせない。
 阪口氏は、多くの企業に参画を呼びかけている。まず、2017年に大手アパレルメーカーがカンボジアの森で育てた綿花で作るオーガニックコットンの使用を始める予定である。また、ある大手流通業がフロムファーイースト製品の販売を検討している。同社のビジネスモデルが注目を集めそうだ。

東急ハンズやイオンなどの小売店で販売しているフロムファーイーストの洗顔料や洗髪料
 洪水が激甚化するなど「気候変動」の被害に苦しむのはカンボジアに限った話ではない。世界で自然災害が激甚化している。
 2016年に発効した国際条約「パリ協定」は、温室効果ガスの削減を意味する「緩和」に加え、顕在化し始めた異常気象の影響を抑え、国土や生活を守る「適応」の必要を訴えている。
「適応」という50兆円のフロンティア
 途上国における適応の対策コストを様々な機関が試算している。「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」によれば、適応にかかるコストは2050年まで年間7兆〜10兆円に達する。「国連環境計画(UNEP)」は、2030年に年間30兆円、2050年に同50兆円の対策コストが生じると試算する。裏を返せば適応に役立つ製品やサービス、事業モデルにこれだけ大規模な商機があるということだ。
 新市場の萌芽に目を光らせる英国政府は2013年、2011〜12年に各国の民間企業が適応ビジネスで売り上げた額をはじき出した。トップは米国の2兆3000億円、中国が1兆4000億円で続く。日本は6800億円で3位だ。7位の英国は適応ビジネスのテコ入れを急いでいる。
 日本も、経済産業省や環境省などが適応に注目する。国内に加え、途上国の適応への貢献が民間企業の商機になるとみている。
 適応ビジネスは裾野が広いことも国や企業の関心を引き付けている。経産省は昨年末の報告書で適応ビジネスを7つに分類した。(1)自然災害に対するインフラの強靭化、(2)食糧の安定供給・生産基盤の強化、(3)保健・衛生、(4)エネルギー安定供給、(5)気象観測と監視・早期警戒、(6)資源の確保、水の安定供給、(7)気候変動リスクに関わる金融――だ。あらゆる企業に、「適応」という50兆円の新市場に乗り出せる可能性がある。
 例えば保健や衛生では、住友化学が適応ビジネスを展開している。1980年代、多くの人命を奪うマラリアなどを媒介する蚊を防除するため、アフリカで蚊帳の普及が求められた。近年の異常気象は、蚊が発生する地域を広げ、数も増やしている。
 防虫剤成分を製造する住友化学は、ポリエチレンに成分を混ぜ込む技術を開発。これを織り上げた蚊帳「オリセットネット」を発売し、国連児童基金(UNICEF)などの国際機関がこの蚊帳を購入して普及させる事業が進展した。アフリカ企業とのジョイントベンチャーで設立した蚊帳の生産工場は、タンザニアで最大7000人の雇用を創出している。

住友化学の蚊帳「オリセットネット」を使うケニヤの子供たち
あらゆる業種に商機あり
 エネルギーの安定供給も適応ビジネスになる。電気の無い地域や電力網がぜい弱な地域は、台風や洪水などによってライフラインが途絶えがちだ。
 パナソニックは2012年度から太陽光パネルと蓄電池、LEDランプを組み合わせた「ソーラーランタン」を途上国に寄贈している。ミャンマーを皮切りにアジア、アフリカに広く寄贈先を拡大した。寄贈台数は今年3月末に8万3000台に達する見込みで、同社の創業100周年に当たる2018年初頭までに10万台を目指す。
 寄贈事業は、同社にとっては「フロンティア」とも呼べる無電化地域に進出する上での先兵としての役割も担っている。同社は太陽光パネルや蓄電池、照明などを組み合わせた無電化地域向けのエネルギー供給システムなどを開発。今後こうした製品の販売拡大を目指す。
 他にも保険業界やIT(情報技術)など様々な業種の企業が「適応」ビジネス市場を攻略すべく動き始めている。50兆円規模のフロンティアでは、あらゆる企業に商機がある。


このコラムについて
エコロジーフロント
企業の環境対応や持続的な成長のための方策、エネルギーの利用や活用についての専門誌「日経エコロジー」の編集部が最新情報を発信する。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/230270/031400043

 

管理職「性善説」こそが、会社をカルトにする!

職場を生き抜け!

2017年3月16日(木)
吉田 典史
 今回は前回に引き続き、ベテランの人事コンサルタント・森 大哉さんに取材を試みた内容を紹介します。森さんはコンサルタントとして20数年のキャリアを持ち、数百を超える企業の人事制度設計や組織改革などに関わってきた方です。現在は、コンサルティング会社・トランストラクチャの代表取締役をしています。

人事コンサルタント・森 大哉さん
 前回と今回の記事は、私が会社員をしていた頃、ある上司に仕えたときのことをモチーフにしています。この上司が、部下である課長や私を必要以上に抑えつけようとするのです。その頃、私は部長のマネジメント力やメンタリティーに愕然として、バカバカしくて仕方のない日々を送りました。詳細は、前回の記事(「集団で課長を無視する、カルトな職場」)をご覧ください。

 今回は、森さんに、なぜ、そのような上司が淘汰されないのかをテーマに話をうかがっています。まず、森さんの経営する会社の管理職やご自身に、優秀な部下を抑えつけようとした経験があるかどうか、をお聞きしました。そこから話を広げ、管理職のあり方について話をうかがってみました。

ご自身が経営するコンサルティング会社では、管理職が優秀な部下を抑えつけて、台頭できないようにすることはないでしょうか?

森:当社では、そのようなことはまったくありません。それには、いくつかの理由があるかと思います。1つは社員数が50人前後ですから、役員である私たちやほかの管理職をはじめとした社員の目が行き届いているのです。もう1つは、人事コンサルティング会社ですので、特に社員の採用や人事評価、育成などには日ごろから様々な注意を払っています。

 コンサルティングの現場では、クライアントの評価者を集めて部下の評価の中身を皆で検証し合う「評価会議」というものを実施することがあります。当社では、それと同様のことを行っています。

 この評価会議では、マネージャ―たちが会議室に集まり、部下たちにつけた評価とその理由についてひとりずつ説明をします。たとえば、「〇〇さんをC評価にしました。〜にやや問題がありました」と発言します。それを聞いていたほかのマネージャ―が、「それは厳し過ぎはしないですか?基準に照らせば、B評価が妥当です。〜という理由だから、Bでいいと思います」などとコメントします。

 こういうやりとりをコンサルタントがファシリテーターとなって活性化し、議論をより深いものにしていきます。当社であれば、役員がします。時には、「それは違うのではありませんか」「根拠は薄弱ではありませんか」などと投げかけます。このような場を設けると、考課者であるマネージャ―はいい加減な評価ができなくなります。事実にもとづかないことや、あまりにも主観の強い評価をすることが難しくなっていくのです。ふだんから、部下たちや部署のことを正確に把握しようとするはずなのです。

 私は、日本企業の人事評価の1つの問題点は、1次考課者の評価の仕方にあると考えています。1次考課者は、評価を受ける社員のすぐそばにいる人です。通常は、2次考課者である管理職よりは正しい判断ができるはずなのです。それができていないとすると、やはり、問題なのです。

部下が退職しても、上司は責任を追及されない

優秀な社員がいたら、上司の心理としては穏やかではないのではないでしょうか?

森:経営者としてやっている私が、そのような思いを持つことはありませんね。会社員の頃を振り返ってもありません。当時、同世代に優秀な男性社員がいましたが、すばらしいなとよく思っていました。今も時折、彼とは会います。

 社員が私よりも仕事のレベルが上がり、実績を残し、稼ぐようになってくれれば、めでたいことで、ましてや嫉妬を感じるというようなことは想像もつきません。社員の成長は喜ばしいことです。会社の業績が上がれば、私のもとに入る配当金も増えますから…(笑)

 私には、部下に嫉妬する上司のイメージが十分には湧いてきません。想像の域を出ていませんが、会社を創業し、経営をする私と、雇われる身である会社員の方の立場の違いも、何らかの影響を与えているのかもしれませんね。

 経営者は経営をする以上、一定のリスクを背負います。社員たちが育ち、高いパフォーマンスを残し、稼いでもらわないと、経営がいずれは成り立たなくなるのです。一方で、一般的な会社員は、その意味でのリスクは背負っていないと思います。

 例えば、上司が、部下である吉田さんに何らかの理由で嫉妬をし、抑えつけたとします。そのことに不満を持ち、吉田さんが退職したとしても、その上司が責任を追及されることはないように思えるのです。おそらく、会社としては人事異動や新たに人を採用するなどして、代わりの人をその部署に配属するでしょう。

 しかし、経営者はそうはいかないのです。新たに人を採用するとしても、当然、コストなどを考えなければいけない。自分が経営する会社ですから、リスクもまた跳ね返ってくるのです。会社員であることと経営者であることでは、部下への接し方も変わってくるのだと思います。

「使えない上司」が「使えない部下」を生む悪循環

 私が問題視しているのが、森さんが指摘されていることです。つまり、管理職に、部下を評価する資質や技能、技術、責任感や使命感などがあるのか否か、です。管理職はオーナー経営者のようなリスクを背負えない以上、その言動や、部下の育成や評価には常に「一定の節度や常識」が求められなければいけないはずなのです。その節度や常識の1つが、部下を正しく評価をする技能や技術、そして心や考え方ではないでしょうか。

 私は、会社員の頃に10人以上の上司に仕えました。的確に評価をする技能や技術を持ち合わせていると思える人は、1〜2人でした。特に部下の評価となると、ほとんどの上司が、要領を得ていないように思いました。部下の仕事の進捗やぶつかっている問題、それへの取り組みなどを正確に把握できていない。にもかかわらず、1次考課者として評価をするのです。2次考課者である本部長は少なくとも、彼ら1次考課者の評価を覆すこともしなければ、それが事実であるか否かも確認していないようでした。

 これと同じ構造は、企業社会を広く見渡すと、社長や役員が、本部長や部長を評価するときにもあるように思えるのです。その意味で森さんとのやりとりで思い起こしたのが、昨年暮れに別の媒体で取材をしたときにうかがった次の言葉です。取材のテーマは、「使えない上司・使えない部下」。

健全な疑いを放棄し、中間管理職を信じる社長や役員

森:部下を潰してしまうような「使えない上司」でも、社長や役員から見ると、よく見えることがおそらくあるのでしょう。例えば、「彼は、明確な考えをもって指導している」「あの課長は、部下に丁寧に教えている」などと見えるのだと思います。

 「管理職とは、こういう仕事をするものなのだ」とふだんから具体的に考えていないということもありえます。多くの会社は、非管理職から管理職に昇格させるとき、たとえば営業部なら稼いだ額など、個人としてのパフォーマンスだけをもとに、「この社員はいい!」と評価する可能性が高いのです。

 漠然とした理由で昇格させているから、部署のマネジメントにおいて何かの問題が生じたときも、「どこにどのような問題があるのか」と分解して、具体的に考えることができない。結果として、選んだ管理職を必要以上に性善説で見ることになりかねないのでしょう。

 私がコンサルタントとして接した社長や役員の多くは、管理職をおおむね信じているように思います。少なくとも、管理職を疑いの目で見る社長や役員は少ない。信じるあまりに、管理職に「丸投げ」になってしまいかねない場合もありえます。本来は、健全なる疑いを放棄することなく、「客観的に見ること」が必要なのです。

あいまいな昇格基準の下で生まれる無責任な「性善説」

 私が、森さんの指摘で特に問題視するのが以下の部分です。

「漠然とした理由で昇格させているから、何かの問題が生じたときも、「どこにどのような問題があるのか」と分解して、具体的に考えることができない」

 社長や役員、人事部などは「プレイヤーとしてなんとなくがんばったから、マネージャーもできるだろう」と判断し、管理職に昇格している可能性が高いように思えてならないのです。

 結局、こういう管理職の下で働く部下は、ある意味で見返りのない中で仕事をしていかざるを得なくなります。その「見返り」とは、ポストなどの処遇ではありません。ふだんの仕事において、上司からきちんとしたタイミングで正しい指示を受け、的確にそれが評価されることです。この一連の流れが正しく流れていない中、上司と部下の信頼関係をつくることは不可能です。

 前回の記事(「集団で課長を無視する、カルトな職場」)で、部長が優秀な課長を無視し、頭越しに職場を仕切っていることを取り上げました。当時の私は、このような上司に部下として配慮をしていかざるを得なかったのです。その虚しさや虚脱感は、今も体が覚えています。率直なところ、職場が異様な空気にしか思えなかったのです。

 こんな上司でも、みんなで支え、「チームワーク」を守らないといけない。私には理解しがたいものがありました。

 カルトの1つの特徴は、世間の常識や良識が通じず、その組織独自の価値観や不文律、ルールなどが強すぎることを言います。カルト的なものを結果としてつくっているのは、マネジメント能力が低すぎる管理職なのです。

 この人たちが、もっと淘汰される仕組みをつくるべきではないでしょうか。少なくとも、必要以上に性善説で管理職を見ることだけは、避けるべきです。別の言い方をすれば、無責任な性善説が、組織がカルトになっていく理由の1つだと私は考えています。


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職場を生き抜け!
「夜逃げした社長」から「総理大臣経験者」まで――。これまで計1200人を取材してきたジャーナリストが、読者から寄せられた「職場の悩み」に答えるべく、専門家、企業の人事担当者への取材を敢行する。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/011600039/031300006/
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/218.html

[国際18] 諜報機関が抱える3つの二律背反 インターネットTVを盗聴器に Googleクラウドの凄い内側 シリコンバレーNext
諜報機関が抱える3つの二律背反

The Economist

サムスンのインターネットTVを盗聴器に変える
2017年3月16日(木)
The Economist

 米国の諜報機関にとって2017年は一層厄介な年となっている。内部告発サイトのウィキリークスが3月7日、米中央情報局(CIA)が保存していた膨大な内部文書とみられるものを公開したのだ。CIAが秘密裡に開発を進めていたハッキングツールについて詳細に書かれているとされる。

 これらのツールを使えば、コンピューター、インターネットルーター、電話、そしてインターネットテレビでさえも、遠隔諜報装置に一変させることができる。さらに、アップルのiPhoneやグーグルが開発した基本ソフト(OS)アンドロイドを搭載するスマートフォンなどに侵入し、暗号化される前の文字や音声メッセージを盗み取るツールもある。

 今回公開された9000件近くに及ぶ文書やファイルは2013〜16年のもので、ウィキリークスはこれをCIAの秘密「暴露」の第1弾と位置付けている。ウィキリークスによれば、米国政府の元契約職員が一連の情報を含むアーカイブをハッキングし提供した。セキュリティーやサイバー兵器、ウィルス、マルウエアの民主的なコントロールについて「一般の人々の議論」を促すことが目的という。攻撃に使用することも可能なコンピューター・コードの作成にも成功しているとし、議論の行方を見守りたいと述べている。

 ウィキリークスは自らの行動が正当であると主張する。これが結果的に情報当局とドナルド・トランプ政権、そしてシリコン・バレーのテクノロジー企業の関係を、一層緊張したものにすることは間違いないだろう。

 2016年に実施された米大統領選の間、米民主党幹部や同党候補ヒラリー・クリントン氏の陣営の電子メールが大量に流出する事件が起きた。米情報当局の責任者らはオバマ大統領が退任する直前、この事件について、ロシアが米大統領選挙の結果に影響を与える目的で、これらの電子メールをウィキリークスに渡したことを「強く確信する」と結論付けた。

 トランプ氏は投票日の1カ月前、この電子メール漏洩についてウィキリークスを称賛し、「ウィキリークスが大好きだ」とぶち上げた。1月の就任前には、自分を不利な状況に陥れる目的で情報を漏洩したとして米情報当局を非難した。ただし最終的には、民主党の電子メールがハッキングされた事件の背後にロシア政府がいると認めた。

3つのトレードオフ

 国家安全保障局(NSA)契約職員だったエドワード・スノーデン氏が2013年に秘密文書を公開した事件の影響がまだ尾を引いている中で、CIAが関わる新たな情報流出事件が起きた。これは情報当局にとって改めて大きな打撃となる。

 今回の情報漏洩事件により、デジタル時代の諜報活動に関わる幾つかのトレードオフがまたも浮き彫りになった。一つは、政府が高度なコンピューター・セキュリティーを必要としている一方で、セキュリティーの欠陥を探していることだ。政府はサイバー犯罪やハッキングの不安を感じており、高度なセキュリティーを求めている。

 欠陥を探すのは、コンピューターやスマートフォンをスパイ活動のツールとして利用するためだ。民間企業は暗号化技術の強化を図っているが、セキュリティーの穴を埋めることはできていない。スパイが、ターゲットが利用する機器の画面から直接ファイルを読み取ることができれば、それがのちにワッツアップや同様のサービスを介して送信されるかどうかなど、気にする必要がなくなる。

サムスンのインターネットTVを盗聴器に

 もう1つのトレードオフは、政府がテクノロジー企業との緊密な協力に依存していることだ。オバマ政権が2010年、セキュリティー上の欠陥を見つけた場合、企業にも周知することを決めたのはこのためだ。

 ウィキリークスは、政府が依然としていわゆる「ゼロデイ」脆弱性をハッカーから買い入れ、蓄積していることを示そうとしているようだ。「ゼロデイ」脆弱性とは、技術製品が抱える開発者も認識していない脆弱性を指す。

 ウィキリークスが公開したファイルから、当局が以下を議論していることがうかがえる。@アップルのiOSやグーグルのアンドロイドなどのOSに侵入し、Aターゲットの場所を特定、B音声・テキスト・メッセージなどを盗み出したり、C密かにスマートフォンのマイクやカメラをコントロールしたりする方法。

 アップルは新たに見つかった欠陥の多くをすでに修正したと述べ、その他の欠陥についても「迅速に」対策を施すとの意向を明らかにした。

 今回漏洩したファイルの中で、よりセンセーショナルなのが「ウィーピングエンジェル」と呼ばれるプログラムだ。サムスンのインターネットテレビを盗聴器として利用し、拾った会話をCIAに送ることができる。自動車が搭載する車両管理システムに侵入しシステムを乗っ取る方法について検討していることを示す文書もある。これについてウィキリークスは「ほとんど察知されることなく暗殺を実行することができる」とコメントしている。

ホワイトハウスとCIAの対立

 情報当局が機密を保持できないとみられていることに対し、もし政治家が怒りを感じているならば、情報当局は、別のトレードオフを指摘することができる。サイバー兵器を設計できるだけの技術とずる賢さを持つハッカーを雇うことと、CIAの文化を共有していないであろう職員に規律を強いることのどちらを選択すべきかである。今回漏洩されたファイルには、ハリー・ポッターやウィスキーのブランド、多動性障害向け治療薬などにちなむコードネームが列挙されている。

 FBIはスパイや情報漏洩者について調査を実施する意向だ。CIAはシステムの修復を図るとともに、新たな暴露に備える必要がある。それだけでも十分大変だが、これらの機関とトランプ大統領の側近が互いに相手を信頼していないことが、事態をより悲惨なものにしている。トランプ大統領の側近は、これらの機関は大統領に忠実でない「闇の国家」として活動していると非難する。外国の敵のほうがまだましかもしれない。

c 2017 The Economist Newspaper Limited.
Mar 11th-17th | From the print edition, All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、日経ビジネスがライセンス契約に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。


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The Economist
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世界中で起こる出来事に対する洞察力ある分析と論説に定評があります。
記事は、「地域」ごとのニュースのほか、「科学・技術」「本・芸術」などで構成されています。
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Googleクラウドの凄い内側

シリコンバレーNext

独自セキュリティチップでサーバーを防御
2017年3月16日(木)
中田 敦
 設備投資額は3年で294億ドル(約3兆3000億円)に達し、世界中にプライベートネットワークを張り巡らせ、独自開発のセキュリティチップでハードウエアを防御――。米GoogleのUrs Holzle上級副社長が2017年3月9日(米国時間)、「Google Cloud Next 2017」の基調講演で同社のインフラの内側を明かした(写真1)。


写真1●米GoogleのUrs Holzle上級副社長
 Holzle上級副社長はまず、通信事業者をしのぐ規模に成長したGoogleのネットワークインフラの現状を紹介した。例えば「G Suite」などGoogleのサービスを利用するユーザーの通信パケットの98%は、Googleのプライベートネットワークから直に、ユーザーが利用するISP(インターネット接続事業者)に届いているのだという。

 Googleは現在、182の国と地域にネットワーク拠点を配置し、拠点間をGoogleのプライベートネットワークによって接続している(写真2)。そしてGoogleのプライベートネットワークは、「世界中のほぼすべてのISPと相互接続している」(Holzle上級副社長)。そのためパケットは、他社のネットワークを介することなくGoogleのクラウドからユーザーのISPに直接届く。


写真2●世界182カ国に広がるGoogleのネットワーク網
 「(プライベートネットワークとISPを相互接続することで)より多くの帯域(スループット)を実現し、遅延(レイテンシー)を短くするだけでなく、より良いセキュリティを実現できる」。Holzle上級副社長は、他社のネットワークを介さないメリットをこう説明した。

 世界規模のネットワークを構築するためにGoogleは毎年1兆円に近い設備投資を行い、自社海底ケーブルまで張り巡らせた。自社海底ケーブルは今日では、米Microsoftや米Facebook、米Amazon.comなども保有するが、「通信事業者以外で初めて海底ケーブルを敷設した民間企業はGoogleだ」(Holzle上級副社長)と胸を張った。Googleは2009年に日米間海底ケーブル「UNITY」を敷設し、それ以降も海底ケーブルを増やし続けている。「あるアナリストは、グローバル・インターネット・トラフィックの25〜40%をGoogleが占めていると分析している」。Holzle上級副社長はGoogleのネットワーク規模をそう説明した。

2018年までにクラウドのリージョンを18カ所へ増強

 データセンター網も拡大が続いている。Googleは現在、クラウドサービス「Google Cloud Platform(GCP)」の「リージョン」を6カ所、データセンターの単位を示す「ゾーン」を18カ所設けている。一つのリージョンは、約3カ所のゾーンによって構成されている計算だ。これを2018年までに、17カ所のリージョン、50カ所のゾーンにまで増やす。数カ月以内にシンガポール、米国バージニア州、オーストラリアのシドニー、英ロンドンにリージョンを開設し、その後はオランダ、カナダ、米カリフォルニア州にリージョンを設ける予定だ。

 Holzle上級副社長は、Googleの徹底したセキュリティ対策の詳細も明かした。例えば物理層でのセキュリティ対策として、オクラホマ州にあるデータセンター1カ所だけで、175人もの警備員を配置しているという。

 データセンターで運用するサーバーやネットワーク、周辺機器といったあらゆるハードウエアには、自社で開発したセキュリティチップ「Titan」を搭載している。TitanはハードウエアのBIOSなどを保護したり、ハードウエア間で相互認証を行ったりするための専用チップ。ハードウエアの部品を別のものにすり替えるといった改ざんをできないようにしている(写真3)。


写真3●セキュリティチップ「Titan」を右上に搭載するボード
 ソフトウエア面でも、すべてのインターネットトラフィックを暗号化しているほか、ストレージに保存するデータも「物理メディアに書き込む前の段階で暗号化している」(Holzle上級副社長)。そしてHolzle上級副社長は、クラウドサービスでもユーザーに対して独自のセキュリティ機能を提供していく方針を発表した。

クレジットカード番号などを自動消去する機能など発表

 同日に発表したセキュリティ機能は、クレジットカード番号など取り扱いに注意が必要な情報が社外などに漏えいするのを防ぐ「Data Loss Prevention」や、ユーザーのID情報に基づいてアプリケーションへのアクセスを許可したり禁止したりする「Identity-Aware Proxy」、暗号鍵を管理する「Key Management System」、アプリケーションへのログオンに2段階認証を実装する「Security Key Enforcement」などである。

 センシティブな情報の漏えいを防ぐ「Data Loss Prevention」は、API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を通じて機能を提供する。例えばメールアプリケーションやメッセージングアプリケーションであれば、クレジットカード番号などをメールやメッセージで不正に送受信しようとした場合に、その情報を削除してしまう。メールに添付された画像データにクレジットカード番号が映り込んでいたとしても、それをマスクする(写真4)。


写真4●メッセージアプリケーションでやり取りされるセンシティブな情報を自動的に削除するイメージ図
 Holzle上級副社長は、同社のセキュリティ対策の方針を「多層防御」と表現する。ネットワーク、データセンター、ハードウエア、そしてソフトウエアのそれぞれの層で厳重なセキュリティ対策を講じていることをアピールすることで、企業ユーザーへのクラウドコンピューティングの普及を促進するのが同社の狙いだと言えそうだ。


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シリコンバレーNext
「シリコンバレーがやってくる(Silicon Valley is coming.)」――。シリコンバレー企業の活動領域が、ITやメディア、eコマースといった従来の領域から、金融業、製造業、サービス業などへと急速に広がり始めている。冒頭の「シリコンバレーがやってくる」という言葉は、米国の大手金融機関、JPモルガン・チェースのジェームズ・ダイモンCEO(最高経営責任者)が述べたもの。ウォール街もシリコンバレー企業の“領域侵犯”に警戒感を隠さない。全ての産業をテクノロジーによって変革しようと企むシリコンバレーの今を、その中心地であるパロアルトからレポートする。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/061700004/031000185/
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/622.html

[不安と不健康18] タフに生きる! スタミナ向上には青学式食事法 アクティブに動いても疲れない体を作るには糖質を賢く補給 遠回りしない体メン
タフに生きる! スタミナ向上には青学式食事法

[中野ジェームス修一]遠回りしない体メンテ術

アクティブに動いても疲れない体を作るには糖質を賢く補給
2017年3月16日(木)
松尾直俊=フィットネスライター
 箱根駅伝3年連続優勝、加えて出雲、全日本と学生駅伝大会三冠を成し遂げた青山学院大学陸上部のトレーナーとしても活躍する中野ジェームズ修一氏に、青学の選手たちが取り組んだスタミナ向上のためのトレーニングを参考に、一般人がやるべき運動後の栄養補給について語ってもらった。

 運動と休息、そして栄養補給には密接な関連がある。そのどれか一つでも不十分だと、健康的な体づくりは効率よく進まない。『運動』→『食事』→『休息』。健康的な体を作り上げていくためには、このサイクルがうまく循環しなければいけない。タフなビジネスパーソンになるにはランニングなどの運動後、どんな点に着目して栄養補給を行えばいいのだろうか。

 「昨年の箱根駅伝終了後の青学陸上部は、疲労回復のリカバリーに重点を置いてきました。その観点からお話ししておきましょう。これは運動生理学の常識でもあるのですが、今回に限らず、私たちスポーツモチベーションが青学陸上部を担当させてもらうようになってから徹底してきたのが、“高強度で長時間の練習後には高糖質の食事を取る”ということです」(中野さん)


運動前の糖質の摂取が不足していると、グリコーゲンが足りなくなってスタミナ切れを起こす。(©lzflzf-123RF)
糖質制限はスタミナ不足を招きやすい

 昨今はダイエットのための糖質制限が流行している。確かに炭水化物をはじめとした糖質を制限すれば、体脂肪が消費されて体重は減る。しかし、考えてほしい。糖質というのは人が生きていく上で運動のエネルギーとしてなくてはならない栄養素。悪者のように言われるが、必要不可欠な物質なのである。

 「高強度で長時間の運動をすると、筋肉の中に溜め込まれたグリコーゲン(糖)が減っていきます。個人差はあるのですが、人間は運動前に食事をしておくと、筋肉と肝臓にある一定量のグリコーゲンが蓄えられています。ハーフマラソン程度であれば、この糖をほぼ使って走りきれるわけです。しかし、運動前の糖質の摂取が不足している方や、青学の選手をはじめトップアスリートになると限界まで追い込むため、グリコーゲンが足りなくなります。レースに出場したりして緊張やストレスが高まると、それによっても糖質の消費が多くなってしまうのです」

 このように、ランニングなどのスポーツを行う人にとっては、よほどの肥満でない限り、糖質を制限した食事がエネルギーの不足をもたらしてしまうことが多いようだ。それでは逆にどのようにすれば、スタミナのある体に変えられるのだろうか。

ハードな運動後に糖質を取るとスタミナ向上

 人間の体には、ある栄養素が枯渇すると、次にそれが供給された時に溜め込むように働く特性がある。例えば、脂質の摂取を完全に遮断してしまうと、次に入ってきた時に体脂肪として蓄積されやすくなるのだ。「高強度で長時間の運動によって、筋肉中のグリコーゲンが完全に枯渇しても運動を続けていると、体は“ここまで消費してもまだ運動を続ける必要があるのだ”という反応を示します。そして、グリコーゲンを溜め込むタンクのサイズを大きくするように働きます」と中野さんが説明してくれた。

 この現象は一気に起こるものではなく、練習を繰り返すうちに得られる。こうした体の仕組みを活用して、一昔前のランナーやトライアスリートの間では、レース前に完全に糖質を抜いてしまう“オールアウト”という状態を作り出し、数日前から一気に補給する“カーボローディング”という方法が流行した。しかし、この方法は今ではほとんど行われなくなっている。


長距離を走るトップランナーたちは、トレーニング後のエネルギーが枯渇した時点で高糖質の食事を取り続けることによって持久力を高める。(©PaylessImages-123RF)
 「それはリスクが高いからです。糖質を完全に抜いてしまってから急激に補給すると、体重の増加を招きます。標準的な体質の方でも1〜2kg増えるのは珍しくありません。すると、特に長距離選手のように体脂肪が少ない人にとっては、足首から膝、腰への負担が多くなり、スピードが損なわれることはもちろん、ケガのリスクも高くなります」(中野さん)

 問題は糖質の取り方にある。箱根駅伝三連覇を達成した青山学院大学の陸上部をはじめとして、最近のトップランナーたちはレース当日に体重を増やすことなく、持久力を向上させられる調整法を取り入れているのだ。

 「現在の調整法では、レース本番に合わせて徐々に炭水化物の量を増やしていきます。選手によって個人差はありますが、だいたい1〜2週間かけて行います。すると、少しずつ体重は増えて行きますが、人間の体には恒常性という、元に戻ろうという反応があります。その性質を利用して、レースの日にちょうど体重が戻るように、炭水化物を多めに摂取する期間を調整します」(中野さん)

 この調整法では、トレーニング後のエネルギーが枯渇した時点で高糖質の食事を取り続けることによって、筋肉中により多くのグリコーゲンを溜め込むことができるようになるので、レース当日の持久力の向上につながるのだ。青学陸上部は、この理論を基にコンディショニング作りをしながら、選手の競技能力を向上させていたのだ。

 「一般ランナーの方も、レースに向けて高強度の練習をした時には、できるだけ早く、できれば30分以内に高糖質の食事をしたほうがいいでしょう。2時間後に摂取するよりもグリコーゲン貯蔵レベルが高くなることがよく知られていますから。食事が難しいようであれば、糖質が多めに入っているゼリー状のサプリメントなどを利用しても構いません。練習後には水分や電解質も失われているので、そういった栄養素の補給も大切です」(中野さん)

 こうした運動と食事を習慣づけてスタミナを高めておけば、日々の仕事やスポーツをタフな体で楽しめるようになるだろう。

運動の疲れを持ち越さないことも大切

 高強度の運動をした後は、多かれ少なかれ、筋線維も小さな損傷を受ける。この細胞の破壊を最小限に食い止め、ケガに発展しないようにするための方法が、前回の記事で紹介したアイシングだ。また、損傷した筋肉を早期に修復するには、たんぱく質をしっかり摂取することも大切だ。こうした体のリカバリーを行うことで、疲れを翌日に持ち越さず、スタミナを高めるための日々のトレーニングを継続できるようになる。

 「青学の長距離選手たちの場合、1日に体重1kgに対して最大で1.8g程度のたんぱく質を取るように言ってきています。体重50kgの選手であれば、90gですね。男性アスリートの場合、持久系トレーニングの後にたんぱく質を多く摂取すると、リカバリー促進に役立つというデータがあります。一般の人であれば体重1kgに対して1gでいいと思います。理想的には、練習後2時間以内に高たんぱく質・低脂質の食事を取るようにすると、リカバリーがスムーズに行われます」(中野さん)。

 たんぱく質を取る時に気をつけなければいけないのが、脂質の取り過ぎだ。「たんぱく質だから」と肉ばかりに頼り過ぎると、調理法にもよるが、どうしても同時に脂質を取ってしまう。肉類だけでなく、魚や豆類、それに卵や乳製品など、動物性と植物性のたんぱく質のバランスを考えて食べるようにすれば、脂質の取り過ぎを防げるという。

 「例えば、日本人の一般的な朝食、焼き魚にご飯と味噌汁、それに納豆や卵など、そして定食屋で食べる昼食などを合わせると、1食でだいたい20gのたんぱく質が含まれていると言われています。ですから、体重60kgの人であれば、サプリなどで補給する必要はありません。ただ、一食がラーメンやパスタなどの麺類になってしまった場合は、夕食で焼き魚にプラスして、肉などを取る必要が出てきます」(中野さん)

 不足するたんぱく質をいかにして補うか。アスリートであれば、管理栄養士などが厳密な栄養素とカロリー計算で導き出す。しかし、我々一般人にとってはなかなか難しい。そこで中野さんは「一般的に、肉にしても魚の切り身にしても、おおよそ手のひらサイズがたんぱく質20gだと言われていますから、それを目安にすればいいでしょう」と言う。

 「ただ、炭水化物だけ、たんぱく質だけを取っていればいいということではないので、なるべく多くの食材からたくさんの栄養素を複合的に摂取するのが、アスリートや一般のスポーツ愛好家にとって大切です」(中野さん)

 三大栄養素はもちろん、ビタミンやミネラル類は、そのどれもが単独で役割を果たすのではなく、互いに影響し、補完し合いながら働くもの。偏った栄養摂取では、健全な体づくりはできない。食べ方の工夫もまた、体づくりのトレーニングになるのだ。

中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち)さん
フィジカルトレーナー/米国スポーツ医学会認定運動生理学士
中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち)さん 1971年生まれ。日本では数少ない肉体面と精神面の両方を指導できるトレーナー。卓球の福原愛選手など日本のトップアスリートだけでなく、高齢の方の運動指導も行う「パーソナルトレーナー」として活躍。日本各地での講演も精力的に行っている。近著に「青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ」(徳間書店)、「世界一やせる走り方」(サンマーク出版)など多数。

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[中野ジェームス修一]遠回りしない体メンテ術
ビジネスで多忙を極める日本の30〜40代は体力の低下が著しく、5人中4人が将来寝たきりになる「ロコモティブシンドローム」の予備軍とされている。パワフルに働き、50代以上になっても健康的な生活を維持するには、正しい運動、食事、休養を行うことが大切だが、誤った健康術にまどわされ、成果が出ずにいやになってしまうケースも少なくない。一流アスリートから一般人まで、フィジカルトレーニングをサポートしている著名トレーナーの中野ジェームス氏が誤った健康常識を一刀両断。効率的で結果の出る、遠回りしないための健康術を紹介する。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/110700081/031500008
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/432.html

[経世済民120] 米3カ月ぶり利上げ年内さらに2回見込む 米燃費規制見直し環境対策後退 凄腕トレーダAI 円ユーロ米国債株原油↑金日本株↓

米3カ月ぶり利上げ年内さらに2回見込む
2017/3/16 8:28
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 【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、昨年12月以来、3カ月ぶりの利上げを決めた。利上げ幅は0.25%。同時に公表した政策金利見通しでは、2017年中にさらに2回の追加利上げを見込んだ。15年、16年と年1回にとどまっていた利上げペースが加速し、ドル相場など世界市場への影響が強まりそうだ。

 FOMCは短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を、年0.50〜0.75%から0.75〜1.00%に引き上げた。利上げはイエレン議長ら投票メンバー10人のうち9人が賛成したが、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は金利据え置きを主張して反対票を投じた。

 会合後に記者会見したイエレン議長は、利上げの理由を問われ「端的に言えば経済が好調だからだ」と強い自信を示した。FRBが重視する個人消費支出(PCE)物価指数は1月に前年同月比1.9%まで上昇しており「目標の2%に近づいた」(イエレン氏)。失業率も5%を下回る水準に低下、FRBは完全雇用にほぼ達したとみている。

 市場が注視する今後の利上げペースは、今回を含め年3回とする中心シナリオを据え置いた。FOMCメンバー17人の利上げ見通し(中央値)は、18年が3回、19年も3回程度で、昨年12月時点の見通しをほぼ維持した。市場には年4回に加速するとの観測もあったが、イエレン議長は緩やかな利上げペースを維持する考えを強調した。

 もっとも、トランプ米政権は大型減税と巨額インフラ投資を公約している。大型の財政拡張策によって物価が上振れすれば、FRBの利上げペースがもう一段加速する可能性もある。イエレン議長は「緩和縮小が遅くなりすぎると、将来は急激な利上げ必要になり、景気後退に陥る可能性がある」とも強調した。

 FRBは米景気の持ち直しにより、金融危機後の量的緩和で膨らんだ保有資産の縮小も視野に入れている。市場は資産縮小の開始時期などに注視するが、イエレン議長は会合で議論したと明かしたうえで「今回は結論が出なかった。引き続き今後の会合で議論する」と述べるにとどめた。

 基軸通貨ドルを抱えるFRBの利上げは、世界の金融市場に影響する。FRBは15年12月に9年半ぶりの利上げに踏み切り、それから1年かけて昨年12月にようやく追加利上げを決断した。今回は3カ月ぶりの利上げで、徐々に引き締めペースが加速している。日欧が金融緩和を続けるなかで米国の利上げが続けば、利回りが見込めるドルに資金が回帰し、世界的なマネーの流れがさらに変調する可能性がある。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN16H1C_W7A310C1000000/


 


 

すご腕トレーダーの思考まねるコンピューター、ポイント72が実験
Saijel Kishan
2017年3月16日 07:48 JST

スティーブン・A・コーエン氏は自身の「直感」に頼ることで富を築いたが、今は新しい方法を実験している。同氏のファミリーオフィスで働くすご腕の運用者の思考をモデル化することで、彼らと同じ決定をコンピューターに自動的に行わせようというものだ。
  110億ドル(約1兆2600億円)に上る同氏の資産を運用するポイント72・アセット・マネジメントは同社のポートフォリオマネジャーによる大量の取引データを解析し、彼らの取引を模倣するモデルを作って試している。事情に詳しい関係者が明らかにした。
  金融の世界を席巻している自動化の波は当初、日常の定型的業務に限られていたが、業界でも高い報酬を得る運用の分野にまで及んできた。昨年の年間成績が過去2番目に悪かったコーエン氏だが、ヘッジファンド業界への返り咲きを視野にこの取り組みを進めている。業界の人材不足に平然と言及するコーエン氏は、ここ1年ほど自動化プロジェクトに注力していると、事情に詳しい関係者が匿名を条件に述べた。
  関係者の1人によると、同プロジェクトではポジションの規模、リスクとレバレッジの水準、ヘッジの有無など取引の「DNA」を検証する。取引のタイミングと価格設定、市場の流動性、運用者がそのポジションを構築するのに要した期間も考慮に入れる。
  こうした分析に基づいてパターンと関連性を特定し、運用者の取引の模倣を試みる。運用者に代わって証券会社に売買の注文を出す執行担当者の業務の自動化についても実験しているという。
原題:Steve Cohen Said to Eye Computers to Model Top Traders’ Thinking(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-15/OMUUVE6TTDS001

 


 


 


日銀会合注目点:米利上げに黒田総裁見解は−市場は現状維持見込む
日高正裕
2017年3月16日 07:59 JST

関連ニュース
A pedestrian walks past the Marriner S. Eccles Federal Reserve building in Washington, D.C., U.S., on Tuesday, Dec. 15, 2015. Economists and traders expect the policy-setting Federal Open Market Committee to raise interest rates tomorrow for the first time since 2006, marking the beginning of the end for the unprecedented era of easy monetary policy. Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
FOMC:0.75−1%に利上げ、年内あと2回追加の予測も変えず
米国株:上昇、FOMC参加者の年内利上げ予測変わらず安心感
NY外為:ユーロ急伸、1カ月ぶり高値−オランダ選挙出口調査で
米国債:急伸、FOMC参加者は17・18年の利上げ予測を変えず

事前調査では3分の1が総裁任期中の長期金利上げ予想
日銀は利上げ前のガイドライン、誘導目標のレンジ化を検討−関係者

日本銀行は16日の金融政策決定会合で政策運営方針を決定する。米連邦公開市場委会(FOMC)は追加利上げを決定したが、日銀は現状維持が見込まれている。物価上昇期待から早期の長期金利引き上げ観測も浮上しており、黒田東彦総裁が会合後の会見でどのような見解を示すかに市場の関心は集まっている。
  ブルームバーグがエコノミスト41人を対象に6−9日に実施した調査では、全員が現状維持を予想。追加緩和期待は大きく後退しており、黒田総裁の任期の2018年4月まで追加緩和はないとの見方が38人(93%)と大半を占めた。
  みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは13日付のリポートで、為替相場の水準や政治スケジュールなどを考えると、「政策変更は当面予想されない」と分析。黒田総裁は記者会見で「景気・物価で強気の見通しを示しつつも、時期尚早の金融引き締めに動くつもりはないことを再度確認するだろう」としている。
  金融政策決定会合は従来おおむね正午から午後1時の間に終了し、それから間もなく結果が発表される。黒田総裁は午後3時半に記者会見を行う。今会合の注目点は以下の通り。
米国の利上げ
  日本時間の15日未明に開かれたFOMCはフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25ポイント引き上げ、0.75−1%のレンジに設定。昨年12月以来3カ月ぶりの利上げに踏み切った。声明ではインフレ率が目標に近づいているため警戒を強めていることを示唆したが、参加者の予測中央値は年内あと2度の追加利上げを想定しており、前回と変わらなかった。
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  中曽宏副総裁は2月9日の講演で、市場の一部には海外金利が上昇していることを受けて日銀が近い将来、長期金利操作目標の引き上げを検討するとの見方もあるとした上で、2%の物価目標の実現には「なお距離がある」と説明。経済・物価見通しには「引き続き下振れリスクが大きい」とし、現在の金融緩和策を「粘り強く推進していくことが何よりも重要だ」と述べた。
  SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは9日付のリポートで、トランプ米政権の財政政策はドル高に作用し、「金融政策も金利差などの観点からドル高につながる」と記載した。世界経済持ち直しとドル高円安が輸出拡大を促し、円安でインフレ率も押し上げられるとした上で、日銀にとって「待てば海路の日和あり」と言える状況だろうとしている。
注目の総裁会見
  JPモルガン証券の鵜飼博史チーフエコノミストは9日付のリポートで、今回の金融政策決定会合では「政策変更は考え難い」としながらも、「今後、物価が徐々に上昇していくことが展望される中で、黒田総裁の発言が注目される」としている。
  複数の関係者によると、日銀は時期尚早の長期金利引き上げ観測が高まるのを避けるため、物価上昇率が上昇し始めた段階で、長期金利を引き上げるための条件を示したガイダンス(指針)を明らかにするかどうか検討している。物価の基調が着実に上昇していることが確認できる前に長期金利引き上げ観測が高まることへの懸念が背景にある。
  また、複数の関係者によると、日銀は将来的に、長期金利の誘導目標の引き上げや何らかのショックで市場が混乱した際、誘導目標に一定の幅(レンジ)を持たせることを検討している。日銀は現在の市場環境では長短金利操作の継続に自信を持っており、レンジ化は指し値オペや長期の固定金利の資金供給オペなど現時点で持つ手段で市場の混乱を抑えられない場合の選択肢となる。
長期金利の引き上げ観測
  1月の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)はエネルギーの下落幅縮小を受けて、前年比0.1%上昇と2015年12月以来13カ月ぶりにプラスに転じた。ブルームバーグの調査では、黒田総裁の任期の2018年4月までに長期金利の誘導目標を引き上げるとの予想は14人(34%)と3分の1を占めた。
  佐藤健裕審議委員は1日の徳島市での会見で、コアCPIが年末にかけて1%に届き、長期金利の0%維持が困難になる可能性があるとして、「10年金利目標を微調整することは十分あってしかるべきではないか」と述べた。
  三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の嶋中雄二所長は、日銀が9月に10年金利目標を0.1%程度に引き上げる可能性があるとみる。背景として、原油価格上昇や人手不足、切手など公共料金の値上げなどで、消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)が年末1%台半ばに届く可能性を挙げる。
利上げ懐疑論も
  一方で、たとえコアCPIが1%に達しても、日銀が長期金利の誘導目標を引き上げるのは容易ではないとの見方も根強い。
  シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは「日銀が10年金利目標を微調整することで、日銀が柔軟に目標の変更を行うとの見方が市場参加者の間で強まれば、それ自体がイールドカーブコントロールを難しくする可能性が高い」と指摘する。大和証券の野口麻衣子シニアエコノミストも「年後半にかけ物価は上昇する見込みだが、エネルギー価格の反転が主因であり、長期金利誘導目標の微調整は正当化し難い」とみる。
金融市場調節
  日銀が1月末に中期ゾーンの国債買い入れオペの回数を減らしたこともあり、10年物国債金利は2月3日に0.15%と約1年ぶりの水準に急騰するなど不安定化した。だが2月末にオペ日程を事前に公表したことを受けて、市場は落ち着きを取り戻している。
  大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストはブルームバーグの調査で、日程の公表によってオペ実施の有無をめぐる市場の不透明感が後退すると評価。将来的に長期金利を0%に固定することが困難になれば、「誘導目標に一定の幅を持たせるなど、より柔軟な対応を取ることで、金融政策が市場に与える影響を最小化するような手法を検討する必要がある」としている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-15/OMSC2R6JIJUQ01

 


 
日本株は3日続落へ、FOMC後の円高を嫌気−輸出や金融、素材安い
鷺池秀樹
2017年3月16日 08:05 JST
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A pedestrian walks past the Marriner S. Eccles Federal Reserve building in Washington, D.C., U.S., on Tuesday, Dec. 15, 2015. Economists and traders expect the policy-setting Federal Open Market Committee to raise interest rates tomorrow for the first time since 2006, marking the beginning of the end for the unprecedented era of easy monetary policy. Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
FOMC:0.75−1%に利上げ、年内あと2回追加の予測も変えず
米国株:上昇、FOMC参加者の年内利上げ予測変わらず安心感
NY外為:ユーロ急伸、1カ月ぶり高値−オランダ選挙出口調査で
米国債:急伸、FOMC参加者は17・18年の利上げ予測を変えず
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16日の東京株式相場は3日続落の見通し。米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けて為替市場でドル安・円高に振れており、国内企業の業績拡大期待が後退する。自動車や電機など輸出関連、金融株などを中心に幅広い銘柄に売りが先行しそうだ。
  いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は「円高なので日経平均株価は100円くらい下がるだろう。ただ、年3回の利上げ見通しが変わらなければ材料出尽くしでの円高がもともと警戒されていたため、インパクトは小さい」と述べた。
  米シカゴ先物市場(CME)の日経平均先物(円建て)の15日清算値は1万9365円と、大阪取引所の通常取引終値(1万9450円)に比べて85円安だった。
東証内
東証内 Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
  FOMCは14、15日に定例会合を開き、政策金利を0.25ポイント引き上げて0.75−1%のレンジに設定した。FOMC参加者が今後の政策金利の推移を予想するドットチャートに関しては、2017、18年の利上げ回数は3回との予測(中央値)で前回から変わらなかった。イエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長は記者会見で、「経済が順調に推移している」と指摘した。
  15日の米国債券市場では、利上げペース加速を示唆する可能性があると予想されていただけにドットチャート据え置き買い戻す動きが活発化、10年債利回りは前日から11ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し2.49%となった。為替市場ではドルが全面安となり、けさのドル・円相場は1ドル=113円台半ばとおよそ2週間ぶりのドル安・円高水準。15日の日本株終値時点は114円80銭。15日投開票のオランダ総選挙は、最新の出口調査で、ルッテ首相率いる与党・自由民主党が最大議席を獲得し、極右・自由党を大きく引き離す情勢。
  秋野氏は「もっと円安になって、日本株が上がるためにはトランプ政権の予算教書が出てきて具体的な数値が入っていることが必要。目先は予算教書の議会提出を待つ展開」と指摘、きょうは円高が嫌気され、輸出株や金融、素材などのバリュー株が売られるとみている。
  一方、15日の米S&P500種株価指数は前日比0.8%高の2385.26と反発、ダウ工業株30種平均は0.5%高の20950.10ドルと3日ぶりに反発した。ニューヨーク原油先物は2.4%高の1バレル=48.86ドルと大幅に反発。米エネルギー情報局(EIA)の週間統計で米国の石油在庫が予想に反し減少したことを受けた。秋野氏は「米国の利上げペースが加速しないということは米国株にポジティブ、新興国を中心とした世界経済の失速懸念も薄らいでいる」と述べた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-15/OMVO7D6KLVR401


 


債券は上昇か、FOMC受けた米債高で買い先行−日銀会合を見極め
三浦和美
2017年3月16日 08:11 JST
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A pedestrian walks past the Marriner S. Eccles Federal Reserve building in Washington, D.C., U.S., on Tuesday, Dec. 15, 2015. Economists and traders expect the policy-setting Federal Open Market Committee to raise interest rates tomorrow for the first time since 2006, marking the beginning of the end for the unprecedented era of easy monetary policy. Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
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外部環境のフォローを好感し、今日の相場は堅調−東海東京証
先物夜間取引は150円05銭で引け、前日の日中終値比14銭高
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債券相場は上昇が予想されている。米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げを決定したものの、今後の利上げペース見通しは前回と変わらなかったことを受けて、前日の米国債相場が上昇した流れを引き継ぎ、買いが先行する見通し。
  16日の長期国債先物市場で中心限月6月物は150円台前半での推移が見込まれている。夜間取引は150円05銭と、前日の日中終値比14銭高で引けた。

  東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは、「FOMCは利上げを決定した一方、今年と来年のピッチの予測中央値は不変だった。これを受けて米10年国債利回りは低下」と指摘。「外部環境のフォローを好感し、今日の相場は堅調」と予想する。
  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の346回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値0.09%を下回る水準での推移が見込まれている。佐野氏はこの日の予想レンジを0.075%〜0.08%としている。
米利上げ
  FOMCは14、15 両日に定例会合を開き、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25ポイント引き上げ、0.75−1%のレンジに設定した。声明ではインフレ率が目標に近づいているため警戒を強めていることを示唆したが、参加者の予測中央値は年内あと2度の追加利上げ想定しており、前回と変わらなかった。
FOMC決定の詳細はこちらをご覧下さい。
  FOMCの決定を受けて15日の米国債相場は急伸。10年債利回りは前日比11ベーシスポイント(bp)低下の2.49%。5年債利回りは13bp下げて2.00%。30年債利回りは7bp低下し、3.11%となった。
日銀決定会合 
黒田日銀総裁
黒田日銀総裁 Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  日本銀行はこの日、15日から開催の金融政策決定会合の結果を発表する。ブルームバーグがエコノミスト41人を対象に6−9日に実施した調査では、全員が政策の現状維持を予想した。午後3時半からは、黒田東彦総裁が会合の結果を踏まえて定例記者会見を行う。  
  東海東京証の佐野氏は、日銀会合について「決定会合待ちの向きも少なそうだ」と指摘。「基本的に参加者が少ない状況は続き、相場の上げも限定的だろう」とみている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-15/OMVOS96JIJVL01


 

米燃費規制、見直し表明=環境対策後退も
トランプ大統領【3/16 07:53】
【ニューヨーク時事】トランプ米大統領は15日、米自動車大手が拠点を置く中西部ミシガン州で演説し、燃費規制を見直す方針を明らかにした。オバマ前政権下で進められた環境対策が後退する可能性がある。

対象は2022〜25年型車に適用される燃費規制。12年に成立した同規制を中間評価中だった環境保護局(EPA)が、規制緩和を掲げるトランプ大統領就任直前の1月、判断の期限まで1年余りを残す中、「適切」とする最終決定を下した。

トランプ氏はこの日、「規制が雇用を脅かすのであれば、変更されるべきだ」と主張。前政権が「土壇場で判断を急いだ」と批判し、当初の期限だった18年4月までに改めて中間評価を実施すると表明した。

トランプ氏はまた、米国の雇用を奪う原因だとして、再交渉を目指す北米自由貿易協定(NAFTA)と、離脱を決めた環太平洋連携協定(TPP)を「最悪」とこき下ろし、「(雇用を奪われることは)今後一切ない」とアピールした。

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極右、第1党届かず=与党優勢を予想―オランダ下院選・出口調査【3/16 07:28】
【ハーグ時事】15日投票のオランダ下院選(定数150)は即日開票され、オランダ放送協会(NOS)は出口調査に基づき、イスラム系移民排斥や反欧州連合(EU)を唱える極右・自由党(PVV)は19議席にとどまり、第1党には届かないとする分析結果を伝えた。

中道右派の与党・自由民主党(VVD)は31議席を獲得し第1党を維持すると予測している。

英国のEU離脱決定など欧州でポピュリズムの動きが強まりつつある中で実施された今回の選挙結果は、4月以降のフランス大統領選やドイツ連邦議会(下院)選にも影響を与える可能性がある。

PVVは現有12議席から上積みはするが、第1党をうかがう勢いを示していた事前の世論調査からは失速したもようだ。2010年の下院選で獲得した24議席にも届かず、他の2党と同議席で第2党グループになる見通し。PVVのウィルダース党首は出口調査の結果判明後、「これが終わりではない」とツイートした。

ルッテ首相率いるVVDは現有40議席を下回る見込みだが、選挙戦で一時リードを許していたPVVへの批判を強め、終盤で巻き返したとみられる。

極右躍進の可能性が事前に報じられ、世界的に関心が集まったことを反映し、投票率は前回2012年の74.6%を上回った公算が大きい。

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米国市場サマリー(15日)☆3【3/16 07:06】
【金】小幅続落=FOMC後は急伸

COMEXの金塊先物相場は、FRBの金融政策決定を前に小幅続落し、中心限月4月物の清算値は前日比1.90ドル(0.16%)安の1オンス=1200.70ドルとなった。清算値確定後に公表されたFOMC声明で、FRBは大方の予想通り0.25%の利上げを決めたが、会合参加者らが示した最新の経済・金利見通しによると、年内の中心的な利上げ想定回数は昨年12月時点と同じ3回にとどまった。年4回に上方修正されなかったことが金利を生まない金塊には追い風となり、午後2時半現在は10.30ドル高の1212.90ドルに急伸している。金塊現物相場は午後1時39分現在、1.010ドル安の1202.565ドル。

【株価指数先物】日経225先物、大阪引値比85ポイント安

CMEの日経225先物6月きりは、65ポイント安の19365(高値19465、安値19335)だった。15日の大阪引値(19450)比85ポイント安。6月きりのドル建て清算値は19440。米利上げペースの加速懸念が後退し、円ドルが急伸したのにともない売られた。

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米国市場サマリー(15日)☆2【3/16 07:05】
【債券】長期金利、大幅低下

FOMC終了後、参加者による年内の利上げ想定回数が上方修正されていないことが明らかになったことから債券買いが加速、長期金利は大幅低下した。長期金利の指標である10年物米国債利回りは前日引け水準比0.11%ポイント低下の2.49%で終了。30年債利回りは0.07%ポイント低下の3.11%で終わった。2年債利回りは0.08%ポイント低下の1.30%、3カ月物TB(財務省証券)利回りは0.0458%ポイント低下の0.7313%となった。

【石油先物】WTI、8日ぶり反発

NYMEXの原油先物相場は、米エネルギー情報局(EIA)が発表した週報で原油在庫が減少したことなどが好感され、8営業日ぶりに反発。米国産標準油種WTIの中心限月4月物の清算値は前日比1.14ドル(2.39%)高の1バレル=48.86ドルだった。5月物は1.03ドル高の49.38ドル。

EIAが発表した週間在庫統計では、原油在庫が前週比20万バレル減と、市場予想(ロイター通信調べ)の370万バレル増に反して減少した。これを受けて、米国内の供給過剰懸念が和らいだことから、原油が買われた。

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米国市場サマリー(15日)☆1【3/16 07:05】
【株式】NYダウ反発、112ドル高=米利上げペースに安心感

米利上げペースが加速するとの懸念が後退し反発。優良株で構成するダウ工業株30種平均は前日終値比112.73ドル高の2万0950.10ドルで終了。ハイテク株中心のナスダック総合指数は同43.23ポイント高の5900.05。ニューヨーク証券取引所の出来高は前日比1億6467万株増の9億1351万株。

米連邦公開市場委員会(FOMC)では、市場予想通り0.25%の追加利上げが決定された。注目されていたFOMC参加者らによる金利見通しは、2017年末と18年末の中央値が昨年12月時点の水準で据え置かれ、ともに年間の想定利上げ回数は3回のままだった。19年末の同見通しは2.875%から3.0%に引き上げられたものの、「利上げペースを加速させたいというより、引き続き緩やかなペースが続くというシグナルで、ハト派的な内容」(準大手証券)と受け止められ、FOMC声明発表後に買い安心感からダウは上げ幅を拡大。終盤まで買いの勢いを継続して引けた。

【為替】円急伸、113円台前半=FOMC後にドル売り加速

FOMC声明などの発表を受け、年内の利上げペース加速を見込んで買い進まれていたドルの巻き戻しが活発となり、円相場は1ドル=113円台前半に急伸。午後5時現在は113円34〜44銭と、前日同時刻(114円68〜78銭)比1円34銭の大幅な円高・ドル安。

FOMC参加者による最新の景気・金利見通しでは、昨年12月時点と同じ年内計3回の利上げを想定していることが明らかとなり、4回への上方修正を織り込みつつあった市場は一斉にドル売りで反応した。今会合での利上げを投資家が事実上織り込み始めたのは2週間ほど前だが、「さらにタカ派的な内容になるのではないかと前のめりになっていた」(邦銀筋)ため反動も大きく、円は114円60銭近辺から1円前後急伸。その後もドル売りの進行に伴って上値を拡大し、一時113円17銭まで上昇した。

ユーロは同時刻現在、対ドルで1ユーロ=1.0729〜0739ドル(前日午後5時は1.0598〜0608ドル)、対円では同121円65〜75銭(同121円64〜74銭)。

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NY円急伸、113円台前半=FOMC後にドル売り【3/16 06:57】
【ニューヨーク時事】15日のニューヨーク外国為替市場では、米連邦公開市場委員会(FOMC)声明などの発表を受け、年内の利上げペース加速を見込んで買われていたドルを売る動きが活発となり、円相場は1ドル=113円台前半に急伸した。午後5時現在は113円34〜44銭と、前日同時刻比1円34銭の大幅な円高・ドル安。

FOMC参加者による金利見通しで、従来と同じ年内計3回の利上げを想定していることが明らかとなり、4回への上方修正を織り込みつつあった市場は一斉にドル売りで反応した。円は発表前の114円60銭近辺から1円近く急伸。その後も買い進まれ、一時113円17銭まで上昇した。

http://fx.dmm.com/market/news/


 


3月15日の海外株式・債券・為替・商品市場
Bloomberg News
2017年3月16日 05:56 JST 更新日時 2017年3月16日 06:52 JST
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FOMC:0.75−1%に利上げ、年内あと2回追加の予測も変えず
米国株:上昇、FOMC参加者の年内利上げ予測変わらず安心感
NY外為:ユーロ急伸、1カ月ぶり高値−オランダ選挙出口調査で
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欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は 次の通り。
◎NY外為:ユーロ急伸、1カ月ぶり高値−オランダ選挙出口調査で
  ニューヨーク時間15日の外国為替市場ではユーロが上昇し、約1カ月ぶりの高値。この日投開票のオランダ下院選挙の出口調査によれば、ルッテ首相率いる与党・自由民主党は反イスラムを唱えるウィルダース党首の自由党を大差で破った。ユーロ圏に大衆迎合主義が広がるとの懸念が和らいだ。
  ユーロは対ドルで昨年6月以来で最大の上昇。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受けた上昇は、オランダ選挙の出口調査を受けて勢いを増した。アムステルダム時間午後9時半頃の調査によれば、自由民主党は150議席のうち31議席を得る見通し。自由党の獲得議席は19議席。
  ニューヨーク時間午後5時10分頃、ユーロは対ドルで1.2%上昇の1.0734ドル。一時は6月以来最大の1.3%上げて1.0740ドルを付ける場面もあった。ドルは対円で1.2%安い1ドル=113円38銭。主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は1.3%下落の1231.36。
  ウニクレディトのストラテジスト、バシレイオス・ギオナキス氏は出口調査通りの結果となれば政治的な障害が一つ取り除かれ、政治リスクプレミアムが解消に向かうと指摘。ユーロにはプラスの展開になるはずだと電子メールでコメントした。
  これより先、FOMCは政策金利を引き上げた一方で、金融引き締めでは緩やかなアプローチを維持するとの見方を示し、ドルは全面安の展開となった。
  FOMC予測の中央値では2017、18年の利上げ回数に変化がなく、より積極的な引き締め軌道を望んでいたタカ派の期待は裏切られた。
  トロント・ドミニオン銀行の北米為替戦略責任者、マーク・マコーミック氏はFOMCについて、「ドルに対して幅広くマイナスに作用する」と指摘。「市場はドットがもっと確定的にシフトすると期待していた。目先数年かけて引き締めスタンスが強まる明確なシグナルを待っていた」と述べた。
原題:Euro Reaches One-Month High as Dutch Exit Poll Shows Liberal Win(抜粋)
Dollar Plunges as Fed Disappoints Bulls Seeking Hawkish Signals
◎米国株:上昇、FOMC参加者の年内利上げ予測変わらず安心感
  15日の米国株は上昇。米連邦公開市場委員会(FOMC)はフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25ポイント引き上げ、年内あと2回の追加利上げ予想を変えなかった。この日は公益事業株、不動産は取引終盤に上げを主導した。
  S&P500種株価指数は前日比0.8%上昇して2385.26。2週間ぶりの大幅高だった。ダウ工業株30種平均は112.73ドル(0.5%)上昇して20950.10ドルで終わった。 
  S&P500種セクター別指数のうち公益事業は1.6%上昇、不動産は1.9%上昇した。エネルギーも高い。ニューヨーク原油先物市場ではウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物が大幅反発した。
  同11指数のうちこの日は10指数が上昇。一方、金融株はFOMCが声明を発表すると、それまでの上げを失い下げに転じた。
  FF金利先物トレーダーはこの日の利上げを完全に織り込んでいた。
  
  シカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティ指数(VIX)は11.6に低下した。出来高は77億株と、前日より23%増加した。
  今週は日本銀行やイングランド銀行、スイス国立銀行、インドネシア中央銀行が金融政策会合を行う予定。いずれも据え置きが見込まれている。   
  朝方発表された2月の米消費者物価指数は前年比で2012年以来で最大の伸び。一方、2月の米小売売上高は6カ月ぶりの小幅な伸びにとどまった。
原題:U.S. Equities Jump After Fed Raises Rates, Sees Two More in 2017(抜粋)
◎米国債:急伸、FOMC参加者は17・18年の利上げ予測を変えず
  15日の米国債相場は急伸。米連邦公開市場委員会(FOMC)はこの日、市場の予想通り利上げを決定した。一方、向こう2年間におけるFOMC参加者の追加利上げの予測中央値は前回から変わらなかった。市場では、利上げペースの加速を示唆する可能性があるとの見方も広がっていた。
  ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回りは前日比11ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.49%。5年債利回りは13bp下げて2.00%。30年債利回りは7bp低下し、3.11%。
  この1週間は、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の0.25ポイント引き上げが市場でほぼ確実視される中、米国債利回りは少なくともこの1年で最も高い水準に上昇していた。
  FOMCが発表した発表した参加者の予測中央値によると、2019年末のFF金利誘導目標は3%。前回予測を発表した昨年12月時点では2.875%だった。一方で17年と18年の予測中央値はそれぞれ1.375%、2.125%と前回から変わらなかった。発表後最も大きく反応したのは5年債。5年債と30年債の利回り格差(イールドカーブ)は発表後の数分間で102bpから109bpに拡大した。
  この日の米国債相場は朝方から上昇していた。ただ2月の小売売上高の発表で前月の統計が上方修正されたほか、ニューヨーク連銀製造業景況指数の低下が市場予想より小幅にとどまったことに反応し、伸び悩む場面もあった。一方で2月の消費者物価指数(CPI)は予想を若干上回る伸びにとどまり、金融当局への利上げペース加速圧力に直面するとの懸念が後退した。
原題:Treasuries Surge After Fed Maintains Forecasts for 2017, 2018(抜粋)
◎NY金:FOMC声明発表後に上昇、年内の利上げ回数見通し維持で
  15日のニューヨーク金市場では、スポット相場が米連邦公開市場委員会(FOMC)声明発表後に上昇。FOMCが利上げ回数の見通しを維持したことから、雇用市場のタイト化とインフレ上昇に伴い利上げペースが加速するとの警戒が和らいだ。FOMCは政策金利を0.25ポイント引き上げるとともに、年内あと2回の利上げ予想を維持した。
  BMOキャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)の商品トレーディング担当ディレクター、タイ・ウォン氏は「FOMCの金利予測は現状の経済進展と違和感がないことを示唆しているため、金は急上昇している」と指摘。「FOMCは全体として今後2年間の金利予測を昨年12月から大きく変更していない」と述べた。
  ニューヨーク時間午後2時19分現在、金スポット相場は前日比1%高の1オンス=1211.41ドル。
  ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限はFOMC声明発表前に、前日比0.2%安の1オンス=1200.70ドルで終了した。
原題:Gold Extends Gains as Fed Sticks to 2017 Tightening Forecast (抜粋)
Gold Futures Little Changed as Traders Await Fed Rates Decision(抜粋)
◎NY原油:反発、予想外の米在庫減で2カ月ぶりの値上がり
  15日のニューヨーク原油先物市場ではウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物が大幅反発。米国の石油在庫が予想に反し減少したことを示す米エネルギー情報局(EIA)の週間統計が追い風となった。米在庫の減少は昨年12月以来初めて。
  スコシアバンク(トロント)の商品ストラテジスト、マイケル・ローウェン氏は週間統計について、原油相場を「強く支える内容」と評価し、「前日発表された米石油協会(API)の統計とよく足並みがそろった数字」だったと指摘。「在庫の減少がわれわれの予想よりかなり早く実現した。その主要因は純輸入の大幅減少だった」と述べた。
  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物4月限は前日比1.14ドル(2.39%)高い1バレル=48.86ドルで終了。この日の値上がり率は1月以来で最大だった。ロンドンICEの北海ブレント5月限は89セント高い51.81ドルとなった。
原題:Oil Rises as U.S. Crude Supplies Drop First Time Since December(抜粋)
◎欧州株:上昇、鉱業株に買い−FOMCとオランダ選挙の結果に注目
  15日の欧州株式相場は上昇。鉱業株の上げが目立った。米連邦公開市場委員会(FOMC)とオランダ下院選挙の結果が注目されている。
  指標のストックス欧州600指数は前日比0.4%高の375.10で終了。英豪系鉱山会社リオ・ティントが1%上げ3日続伸となったほか、スイスの資源商社グレンコアが買われ、鉱業株指数は1.7%上昇。保険株指数は1月以来の高水準に達した。
  オランダのAEX指数は0.3%上昇。同国下院選挙の結果は、欧州域内でのポピュリズム(大衆迎合主義)浸透の度合いを測る指標と広くみなされている。投票が締め切られる現地時間午後9時に出口調査の結果が明らかになる。
  FOMCはロンドン時間午後6時に政策声明を発表する。金利先物動向では、利上げがほぼ確実視されている。
原題:European Stocks Climb With Miners on Fed and Dutch Election Day(抜粋)
◎欧州債:オランダ債が上昇、総選挙の投票始まる−フランス債も上げる
  15日の欧州債市場ではオランダなど中核国の国債が総じて上昇。午後はフランス国債が大きく買われる展開となった。下院選挙の投票が始まったオランダの国債は値上がりし、ドイツ国債のパフォーマンスを上回った。
  投票開始前の最後の世論調査で、反欧州を掲げる極右政党・自由党(PVV)の支持率が低下した。イタリア国債も堅調。フランス国債の上げに追随した。
原題:Dutch, French Bonds Advance; End-of-Day EGB Curves, Spreads(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-15/OMV2CXSYF01S01
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/228.html

[政治・選挙・NHK222] 待遇差の説明義務付け=同一賃金へ法改正案 非正規上昇、格差最小 賃上減速、物価上昇重荷 ベア縮小6割
待遇差の説明義務付け=同一賃金へ法改正案
政府検討会

 正社員と非正規社員の待遇格差を是正する「同一労働同一賃金」の実現に向けた政府の有識者検討会は15日、労働契約法など関連法改正に関する報告書をまとめ、基本給などの差を非正規社員に説明する義務を企業に課すことを求めた。政府は待遇差の説明義務を関連法改正案に明記することを、今月末に策定する働き方改革の実行計画に盛り込み、年内に関連法案を国会に提出する方針。
 現行法は、企業に従業員本人の待遇に関する説明義務を課しているが、待遇差の説明義務はない。報告書は「説明義務の強化こそ、労使間の情報の偏在を解消する」と強調し、「裁判における不合理な待遇差の是正を容易にする」と主張した。(2017/03/15-18:32)
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月額賃金横ばい=非正規は上昇、格差最小-16年
雇用保険料下げ決着=育休手当拡充
失業手当、最大395円上げ=雇い止め対策は5年延長
最低賃金引き上げ=終身保険値上げ、金融再編も-10月
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017031501126&g=eco

 

月額賃金横ばい=非正規は上昇、格差最小−16年
 厚生労働省が22日発表した2016年の賃金構造基本統計調査によると、フルタイムで働く人の月額賃金(賞与や残業代除く)は前年と同じ30万4000円で、01年に次ぎ過去2番目に高い水準となった。雇用形態別では、非正規社員の伸びが目立ち、正社員との格差は05年の集計開始以来、最も縮まった。
 正社員の賃金が前年比0.2%増の32万1700円にとどまる一方、非正規は3.3%増の21万1800円に上がった。人手不足や最低賃金の引き上げで非正規の待遇が改善された。正社員の賃金を100とした場合、非正規は65.8と1.9ポイント上昇した。(2017/02/22-15:19)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017022200822&g=eco

 


 
賃上げ減速、中小・非正規が消費回復の鍵  物価上昇が重荷に
2017/3/15 23:43
日本経済新聞 電子版
 今年の春季労使交渉は、賃上げ率が昨年実績の2%より低い伸びにとどまる公算が大きくなった。原油価格の上昇や円安で今後物価は上がる見通しで、個人が体感する実入りはやや少なくなる可能性がある。大企業が賃上げ基調を維持しているうちに、中小や非正規労働者などに賃上げの動きを広げられるかがポイントだ。

http://www.nikkei.com/content/pic/20170315/96958A9E93819481E3E79AE6998DE3E7E2E1E0E2E3E59793E0E2E2E2-DSXMZO1413174016032017EA2001-PB1-2.jpg

 賃上げで消費を喚起し、企業業績の改善につなげるには、起点となる賃上げ幅が焦点だ。大和総研の長内智氏は、定期昇給も含む賃上げ率が2.0%の場合、名目国内総生産(GDP)の個人消費を年1600億円程度押し上げると試算する。ただ1.9%だと800億円程度になるという。
 長内氏は「消費の基調を決めるのは、賃金が継続的に上がると感じられるベースアップ(ベア)。昨年と比べ消費には厳しい春だ」と指摘する。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏も「17年は全体的に前年より賃上げ率は下がる。円安やエネルギー価格の上昇で物価は上がる見通し。家計の購買力は前年より下がる」とみる。
 日本の雇用の7割を支える中小企業の回答はこれからだ。菅義偉官房長官は15日の記者会見で「企業収益を踏まえた賃上げがしっかりと実現し、流れが中小企業や非正規雇用にも広がることを期待したい」と強調、賃上げの裾野拡大が必要との認識を示した。
 政府は中小企業で働く人や非正規雇用の処遇を改善するため、同じ仕事なら同じ賃金を払う「同一労働同一賃金」の導入や最低賃金の引き上げなどを進めてきた。企業は負担増を警戒するが、働く人の生活を支える効果は出つつある。正規、非正規を問わず、多様な働き方に応じ、個人が納得できる賃金水準を労使で探る必要がある。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS15H4K_V10C17A3EA2000/

 


春季交渉、ベア「縮小」6割 経営者アンケート
「働き方改革」あげる企業目立つ
2017/3/16 2:01日本経済新聞 電子版
保存その他
 2017年の春季労使交渉は、労使が企業の持続的な成長には賃上げと働き方改革が両輪であるという認識を強くする節目となった。15日に主要企業が賃金水準を底上げするベースアップ(ベア)や一時金を労働組合に回答した。好業績を背景に4年連続のベア実施となったが、日本経済新聞社が実施した緊急アンケートでは16年よりベアが縮小した企業は約6割にのぼった。人手不足への対応も迫られる労働市場の変化に春季労使交渉の…
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ15I88_V10C17A3MM8000/
http://www.asyura2.com/17/senkyo222/msg/442.html

[国際18] 米追加利上げで個人消費減速の恐れも 中国人クルーズ客、愛国心理由に韓国での下船拒否 最近のサイバー攻撃、北朝鮮のラザルス
Column | 2017年 03月 16日 08:19 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:米追加利上げで個人消費減速の恐れも

Gina Chon

[ワシントン 15日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米連邦準備理事会(FRB)が15日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で決定した追加利上げは、米経済をけん引している個人消費を鈍化させかねない。

雇用の伸びと企業の先行きに対する自信はしっかりしており、経済活動に確固とした勢いがあることを示している。だが家計債務が過去最高水準に達している状況において、追加利上げは消費者の懐を直撃するだろう。

政策金利が0.75─1%に引き上げられたのは予想通りで、米経済の好調さを物語る新たな材料だ。2月の新規雇用者数は23万5000人に上り、企業の最高経営責任者(CEO)で構成するビジネス・ラウンドテーブルがまとめた雇用と売上高見通しに関する指数は、第1・四半期に19%ポイント強と2009年以降で最大の上昇率を記録した。

FRBは今のところ積極的に景気を冷やそうとしていない。FOMCメンバーは物価上昇率と成長率が2%前後の緩やかな伸びを維持するとみており、年内の想定利上げ回数は計3回と、昨年12月の見通しと同じだった。

ただし消費者はいくつかの面では身の丈を超えている。ニューヨーク連銀によると、今年の家計債務の総額は08年のピーク(12兆7000億ドル)を上回る勢いだ。

一番心配なのは債務増加のスピードが最も速い分野で、全米の学生ローンは残高1兆3000億ドルの11%余りが延滞90日を超えている。信用調査会社トランスユニオンによると、自動車ローンの昨年の延滞率は13%と09年以来の高水準になった。

可処分所得に占める債務返済費用の割合は10%と過去最低圏で推移しているものの、FRBの利上げで借り入れのコストは上昇する。同時に物価も上がっている。1月の個人消費支出(PCE)物価指数の前年比上昇率は1.9%と、FRBが目標とする2%に迫ってきた。

一方でこれまで経済成長を引っ張っている個人消費は1月がわずか0.2%増、可処分所得は0.2%減と過去3年間で初めてマイナスになった。

家計債務全体の延滞率は、8.5%だった08年に比べて足元で4.8%まで下がっているのは朗報と言える。消費者の家計は以前よりも健全化している。とはいえFRBの利上げで消費者の倹約姿勢が強まるかもしれない。

●背景となるニュース

*FRBは15日までのFOMCで政策金利であるフェデラルファンド(FF)レートの誘導目標を0.5─0.75%から0.75─1%に引き上げた。利上げは2016年12月以来。事実上のゼロ金利を解除した15年12月以降では3回目だった。

*FOMCは最新の経済見通しも公表し、大半のメンバーが想定する年内の利上げ回数は今回を含めて3回と、従来と変化がなかった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

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World | 2017年 03月 16日 08:50 JST 関連トピックス: トップニュース
アングル:中国人クルーズ客、愛国心理由に韓国での下船拒否

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 3月14日、韓国の輸出品は中国で広く人気を得ている一方、中国共産党によって巧妙にかき立てられた愛国心が、外交的なもめ事に直ちに加勢し得ることを、韓国済州島での中国人の下船ボイコットは示している。写真はクルーズ客船コスタ・セレーナ号。上海で撮影(2017年 ロイター/Aly Song)

[上海 14日 ロイター] - クルーズ客船コスタ・セレーナ号が韓国の観光地、済州島に到着したとき、バイ・リユンさんは船内にとどまった。船内では、クルーがマジックショーやゲーム、ワインテイスティングを開催していた。

船内に残ったのは彼女だけではない。

3000人以上乗船していたとみられる中国人のほとんどが、物議を醸している米ミサイル防衛システムの韓国配備に対する中国政府の激しい反発に連帯を示すため、コスタ・セレーナ号から降りなかった。

「私たちは一日中ずっと、クルーズ船で過ごした。とてもハッピーだった」と、中国西部の甘粛省から来たバイさんは14日、帰路につく途中で下船した上海でこう語った。

「この特別な時期、中国人として私たちは政府の呼びかけに必ず応じるべきだ。つまり、済州島に行かないことだ」

その決断によって、韓国メディアの報道によると、済州島の港ではツアーガイドたちと約80台の観光バスが待ちぼうけを食らった。

──関連記事:アングル:中国の「バッシング」に頭抱える韓国政府

中国は、米軍の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の強力なレーダーが自国の安全保障にとって脅威だとして、同システムが韓国に配備されることに公然と異を唱えている。

一方、韓国と米国は同システム配備について、北朝鮮によるミサイル攻撃の高まる脅威から韓国を守るために導入されると主張している。

それにもかかわらず、中国政府は、報復として韓国企業を狙い撃ちしていると明言してはいないものの、韓国と取引する企業や韓国で活動する企業に対する圧力を強めている。

──関連記事:焦点:THAAD配備で中国が「韓国企業たたき」、次は米国か

韓国への影響は大きく、とりわけ観光業は打撃を受けやすいセクターだ。韓国のデータによると、同国を訪れる観光客の約半数は中国人である。

中国東方航空(600115.SS)や春秋航空(601021.SS)のような航空会社は先週、中国東部の浙江省寧波市と済州島間のフライトをウェブサイトで提供するのを停止した。

済州島での下船をボイコットするという決定は、大半が直販会社「緑之韻集団」の社員旅行で乗船していた中国人観光客の間で互いに得られた「コンセンサス」だったと、同社の広報担当は語った。

また、同社がまもなく声明を発表すると、別の広報は述べた。

緑之韻集団の社員であるバイさんによると、旅行前に韓国の地を誰も踏まないようにと提案するメッセージが同僚の間で回っていた。済州島の港に船が着く前に、会社が正式に決定したという。

マスカラから音楽まで韓国の輸出品は中国で広く人気を得ている一方、中国共産党によって巧妙にかき立てられた愛国心が、外交的なもめ事に直ちに加勢し得ることを今回のボイコットは示している。

バイさんと一緒にクルーズ船に乗った親戚の女性は、ボイコットは正しい決断だったと話す。

「(THAADは)中国人にとって脅威」だと述べ、「断固反対しなければいけない」と語った。

上海で下船した湖南省出身の乗客の1人によると、乗客たちは済州島で船から降りないように言われたという。だがこの男性は、そのような行動の効果を疑問視している。

「今回の旅はショッピングがすべて。観光はしないで、ひたすら買い物をするというもの。たくさんお金を使った」と、20代前半のこの男性は話した。

「少なくとも済州島で買うものは何もなかった」

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http://jp.reuters.com/article/chinese-patriotism-south-korea-idJPKBN16M0HA


 

Technology | 2017年 03月 16日 08:59 JST 関連トピックス: トップニュース
最近のサイバー攻撃、北朝鮮の「ラザルス」が関与=米シマンテック
 

[ボストン 15日 ロイター] - セキュリティーソフト大手の米シマンテック(SYMC.O)は15日、31カ国の機関が標的となった最近のサイバー攻撃に、「ラザルス」として知られる北朝鮮のハッカー集団が関与している可能性が高いとの見方を示した。

シマンテックはブログで、攻撃の背後にラザルスが存在したことを示唆する4つの電子的な証拠を発見したと明らかにした。攻撃は「ローダー」と呼ばれるソフトウエアを使用し、悪意のあるプログラムをインストールしたものとみられる。

シマンテックの調査員エリック・チェン氏はインタビューで、ラザルスが関与していることについて「かなり確信がある」と述べた。

北朝鮮政府は、米国や韓国、セキュリティー会社などが指摘したサイバー攻撃への関与を否定している。

米連邦捜査局(FBI)からのコメントは得られていない。

シマンテックは、標的となった機関について明らかにしなかった。資金が盗まれたかどうかは不明だという。ただ、ラザルスが以前より高度な技術を利用していることが示された点で、今回の発見は重要だと述べた。

銀行や米政府のコンサルティングを行っているサイバーセキュリティー会社、トレイル・オブ・ビッツのダン・グイド最高経営責任者(CEO)は「脅威のレベルが大幅に上がっていることを示すものだ」と述べた。

ラザルスは少なくとも2009年以来、一連のサイバー攻撃に関与していることが疑われている。この中には14年に起きたソニー傘下の米映画会社ソニー・ピクチャーズエンタテインメントへのサイバー攻撃、16年に起きたバングラデシュ中央銀行に絡む不正送金事件などが含まれる。

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米民主党の選挙対策委、サイバー攻撃受けたこと確認
米民主党のメール流出、ロシアの関与示す証拠=米当局者ら
http://jp.reuters.com/article/cyber-northkorea-symantec-idJPKBN16M3D4
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/627.html

[経世済民120] 利上げしたFOMC、微妙なメッセージも発信、積極利上転換ではない 世界的な賃金の伸び悩みはミステリー ベア減速、物価上昇
【コラム】
利上げしたFOMC、微妙なメッセージも発信

コラムニスト:Mohamed El-Erian

2017年3月16日 10:56 JST
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Mark Rutte, Dutch prime minister and leader of the Liberal Party (VVD), departs after casting his vote in the Dutch general election in The Hague, Netherlands, on Wednesday, March 15, 2017. Dutch voters are heading to the polls in a general election that will provide the first gauge of the spread of populism into the core of Europe. Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg
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米金融当局が15日に行ったのは、過去10年余りで3回目となる利上げだけではない。緩やかな政策転換に向けて重要な一歩を刻んだのだ。
  私がかねて政策金利の「素晴らしい正常化」と呼んだものを希求して、米金融当局は厳格なデータ次第のスタンスを踏み越え、市場に追随するよりも市場をリードすることに一段と安心感を抱くようになった。戦術的色彩を弱め戦略的となるプロセスで、金融当局は経済政策に責任を持つ他の当事者にもっとスポットライトを照らすことになるだろうし、実際にそうすべきだ。こうした他の当事者には、財政や通商、労働市場、規制問題を担当する米国の政策立案当局に加え、金融システム上重要な他国・地域の中央銀行、とりわけ日本銀行と欧州中央銀行(ECB)が含まれる。
  数週間後に公表される連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を待たねばならないが、15日の米利上げと政策転換の論拠は2日間の会合後に発表された声明で明らかだ。それはさらに、イエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長による記者会見で補強され、経済見通しとリスクバランスに影響を及ぼす国内および国際的な諸要因に言及するものだ。
  緩やかなペースでの米景気拡大が続く中、金融当局は企業のセンチメント向上を指摘するとともに、労働市場の一層の改善に歓迎の意を示した。当局者はこのほか、インフレ率がFOMCの長期的な目標である2%に向けて上昇しつつある点に安堵(あんど)した。こうした国内要因に伴う形で、海外動向に絡んだ米経済への潜在的な逆風への懸念は後退したと見受けられる。
  「ドット・プロット」として知られるFOMC参加者の金利分布予測図に反映された年内の利上げ回数の見通しはあと2回、2018年は計3回である点が再確認された。当局者はまた、バランスシート管理の変更に関する詳細な検討を先送りし、巨額に上る米国債と資産担保証券(ABS)のポートフォリオを保有し続ける方針を示唆した。
  最近の市場のコメントを見ると、これらはいずれもおおむね予想されていたことだ。今回のFOMCで利上げが決まる公算が強まっているとの見通しを向けて、市場では急速に修正が進んだ。2週間ほど前に市場が織り込んでいた3月利上げの確率は30%しかなく、この状況に直面した当局者は協調的とも受け止められるやり方で同確率を3倍強に押し上げた。それはまさに見事なほどに素早く、秩序だったものだった。
  FOMC参加者の経済予測やそれに関連した金利の将来の道筋にはまだ反映されていないものの、税制改革、規制緩和、インフラ投資の3本柱から成るトランプ米大統領の成長促進策が持続的な政策に転換されていくか、金融当局はその進展を注視している。トランプ政権と議会が政策実現にこぎ着ければ、金融当局はまずリスクバランスを一段とタカ派的なものに傾け、その上で利上げペースを加速させるだろう。
  米金融当局はあまりにも長期間、孤軍奮闘してきた。幸いなことに今や、秩序だった政策正常化の機会が訪れた。だがそれは単独で歩むことのできる道筋ではない。金融当局には、米経済および世界経済全体と共に、他の政策立案当局が乗り出して、目の前にある課題に適した手段を活用することが必要だ。
(このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピー編集部の意見を反映するものではありません)
原題:Fed Delivers a Hike and a Subtle Message: Mohamed A. El-Erian(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-16/OMVVB86TTDS201

 


世界的な賃金の伸び悩みはミステリー、労働市場堅調にもかかわらず
Craig Torres、Brett Miller、Jeff Black
2017年3月16日 11:32 JST
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• 先進各国の失業率、ほぼ完全雇用だが、賃金上昇率は低迷
• 賃上げが需要拡大に結びつく流れ、実現できず
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主要7カ国(G7)をはじめとする各国では労働市場が改善し、失業率は当局が完全雇用と見なす水準近辺かそれをやや下回る水準にまで下がった。それでも労働者の賃金は世界的に伸び悩んでおり、エコノミストらを当惑させている。
  このことは、賃金上昇が需要の拡大や企業投資を喚起し、結果的に価格決定力が上がるという力強い流れが先進国でなかなか実現せずにいることを意味する。ドイツ銀行のチーフ国際エコノミスト、トーステン・スロック氏は「賃金上昇がほとんど見られていない」のは「謎」だと話す。この謎は世界の労働市場の健全性に不確実性を投げ掛けるもので、解明するのは重要課題だ。

G7各国、ほぼ完全雇用だが

ブルームバーグ集計データ
  各国の金融当局はこれまでのところ、経済に残るスラック(たるみ)が賃金上昇圧力の弱さの原因だと説明してきた。米国では、パートタイム就労を余儀なくされている労働者の数が2008年以来の水準まで減った。日本では、サービス産業で人手が不足しているにもかかわらず、賃金の増加は見られていない。カナダでは失業率が先のリセッション(景気後退)以降で最低となったが、賃金上昇率はここ10年余りで最も低く、インフレに追いつかない状態となっている。
  賃金上昇が昨年加速した英国でも、欧州連合(EU)離脱選択後の不透明性が作用してか最近では上昇ペースが減速し、インフレ加速を背景に賃金の実質上昇率が縮小している。ドイツで賃金が力強く伸びない理由の一つは、対外貿易で競争力を高く維持したいとの意識から労働組合が賃上げ要求を手控えていることがある。ドイツ政府が先月発表した16年の賃金上昇率(インフレ調整済み)は1.8%と3年ぶりの低水準だった。これは、ドイツの失業率が東西ドイツ統合以降で最低となったことと整合しない、不可解なデータだ。
  賃金上昇ペース低迷のより深い理由は、世界的に生産性が伸び悩んでいることかもしれない。米国の生産性の前年比上昇率は16年に1%と、金融危機前の07年の2.4%を大きく下回った。ソシエテ・ジェネラルの米国担当シニアエコノミスト、オメイア・シャリフ氏(ニューヨーク在勤)は「こう言うのは気が引けるが、賃金の伸びについてはこれがニューノーマルなのかもしれない。生産性が向上するまで、名目賃金上昇率の3%超えは至難の業かもしれない」と話した。

生産性は振るわず

G7各国の労働時間あたりのGDP伸び率
  このほか、グレート・リセッション(大不況)が雇用と産業に深い爪痕を残し、賃金への期待を押し下げたのかもしれないと考える向きもある。ワシントンにあるピーターソン国際経済研究所のネイサン・シーツ氏は「インフレ期待が極めて抑制された状態となり、その関連で賃上げ要求も非常に抑えられている。ここ数年続いた低インフレ、ディスインフレ、そして場合によってはデフレ的な環境の遺産だ」と指摘した。
原題:From Osaka to Frankfurt, Listless Wage Gains Remain G-7 Mystery(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-16/OMVN0ZSYF01S01


 

イエレン議長:利上げ積極姿勢への転換ではない−市場不安解消に配慮
Rich Miller、Christopher Condon、Jeanna Smialek
2017年3月16日 10:03 JST

緩やかに利上げを進めるという方針を堅持するとイエレン議長
最新金利予測分布図が示す年内利上げはあと2回と前回から変わらず

イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は今回の利上げについて、インフレ加速懸念を背景に一段と積極的に利上げを進める政策へのパラダイムシフトを示唆するものではないと投資家を安心させようとした。
  イエレン議長はFOMC定例会合後に記者団に対し、インフレ率が目標の2%を一時的に上回ることを当局は容認する意向だと述べ、政策を「当面」緩和的に保つつもりだと説明した。
  同議長は「要は経済が好調だということだ。景気の力強さと衝撃からの回復力にわれわれは自信を持っている」とし、このため、当局は緩やかに利上げを進めるという方針を堅持すると語った。FOMCの最新金利予測分布図では当局者が年内さらに2回の利上げと、来年は3回の利上げを見込んでいることが示され、前回昨年12月と変わらなかった。
  イエレン議長はこの日の利上げ決定が「経済見通しや金融政策の適切な軌道に関する評価見直しを示すものではない」と述べた。
  今回のFOMC前にイエレン議長を含めた複数の当局者が、利上げが差し迫っていると金融市場にわざわざ伝えたことから、米当局が利上げへの積極姿勢を強めたという観測がこのところ広がっていた。またインフレ上昇のニュースもこうした見方を後押しした。
  市場はこの日、FOMC声明とイエレン議長のコメントを、米当局が金融緩和の解消を急いでいないシグナルと受け止め、米国株と債券は上昇した。
  フェデレーテッド・インベスターズの債券投資マネジャー、R・J・ギャロ氏は、今回のFOMC前に当局者らが一斉に利上げを口にしたことで、年内の予想利上げ回数が引き上げられ、インフレや経済成長予測も上向き修正されるのではないかと投資家は考えていたと指摘。「実際にはどれも起きず、米当局がよりタカ派的になるという観測は退場せざるを得なくなった」との見方を示した。
原題:Yellen Calms Fears Fed’s Policy Trigger Finger Is Getting Itchy(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-16/OMVUYN6TTDS7

 


2017年3月16日 ロイター
ベア減速、物価上昇も加わり消費にダブルパンチ


3月15日、春闘の集中回答日を迎えた同日、自動車や電機大手のベースアップは昨年より減速気味となった。写真は都内で2016年2月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)
[東京 15日 ロイター] - 春闘の集中回答日を迎えた15日、自動車や電機大手のベースアップは昨年より減速気味となった。労働組合の要求自体が低い上にトランプ政権政策への不透明感が企業の姿勢に影響した。

 人手不足による非正規や中小企業での名目賃金は上昇しているが、物価上昇が予想される今年は実質所得が伸びず、消費の弱さは続きそうだ。労働需給を反映しない春闘への疑問や、アベノミクスの仕切り直しを求める声も出ている。

ベア鈍化、安倍首相の思惑外れる

 トヨタのベースアップは、前年実績を200円下回る月1300円にとどまったが、家族手当を含めると月額2400円増となる。日産は1500円で昨年の3000円の半額、日立は昨年の1500円を下回る1000円を回答した。

 賃金交渉全体のけん引役となる自動車や電機の回答を昨年実績と比較すれば、今年の賃上げ率は昨年の2.14%を下回ると予想される。15年の2.38%をピークに賃上げ下率の鈍化が濃厚だ。

 一方、企業の経常利益は過去最高を更新(法人企業統計10─12月期)し、内部留保も375兆円とこちらも過去最高。足元までの労働分配率の低さなどを勘案すると、エコノミストなどの専門家は、賃上げ原資は企業に蓄えられているとみていた。

 また、政府の期待感も高く、安倍晋三首相は昨年並みのベアの確保を求めていたが「取り巻く環境、先行き不透明感、業績見通しを考慮すると昨年並みのベアは難しい」(トヨタ常務)と、企業の回答は安倍首相の期待を下回った。

労組が賃上げ阻害要因の声

 ベアの勢いが停滞した背景として労働組合の役割低下を指摘する声も出てきた。

 SMBC日興証券・シニアエコノミストの宮前耕也氏は「非正規労働や中小企業では、人手不足で賃金が上昇する、という市場メカニズムが機能している。一方で、大企業の正規労働では、労働組合の影響力が強く雇用が安定しているが、その代償としてベア上昇が抑制されている」と指摘。労働組合の存在意義の見直しが、いずれ課題になってくるとみている。

 今年の労働組合側のベア要求水準が昨年並みにとどまったことから、賃上げへの取り組み姿勢が弱く、拡大均衡や成長を求める姿勢に欠けているとの指摘も、別のエコノミストらから指摘されている。

消費起点の好循環は空振り

 こうした結果を受けて、野村総研チーフエコノミストの美和卓氏は「アベノミクス好循環の原動力となるはずの消費は、今年も空振りとなりそうだ」と見ている。

 同氏は、人手不足を背景とした非正規や中小企業での賃上げは実現しても、雇用の不安定さや将来の収入の持続性への不安が大きく、正規社員のベースアップのほうが消費への影響度合いが大きいと指摘する。

 他方、物価の上昇が消費の勢いを削ぐとの見通しも広がり出した。政府経済見通しでは、17年度の消費者物価(総合)は昨年度のゼロ%から1.1%の上昇に転じる。

 ベースアップが昨年以下の増加にとどまる中で、物価が上昇に転じるとなれば、消費者にとっては厳しい環境となる。

 政府高官の1人は、昨年末から今年初めにかけての消費の停滞について「消費者が野菜などの価格上昇により、他の消費を減らさざるを得なかったため」と分析。今年も円安やエネルギー価格上昇に伴い、消費が停滞する恐れがあると警戒感を隠さない。

 また、日本総研・チーフエコノミストの山田久氏は「労働市場改革を本気でやろうと思うなら、労働者側にも痛みを伴う雇用流動化を進め、企業が生産性の高い事業に雇用を移すことができるようにする必要がある」と提案する。

 そのうえで「アベノミクスがいまだ好循環を実現できないのは、限界が出てきた面もある。もう一度仕切り直す必要があるのではないか」と述べた。

(中川泉 編集:田巻一彦)
http://diamond.jp/articles/-/121575
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/237.html

[経世済民120] 働き方改革は有名無実か?「労働後進国」日本を直視せよ  トランプ自動車各社に雇用拡大要求 日銀金融政策維持 中国金利引上

2017年3月16日 嶋矢志郎 [ジャーナリスト]
働き方改革は有名無実か?「労働後進国」日本を直視せよ


安倍首相が不退転の決意で臨む、政府主導の「働き方改革」をめぐる駆け引きが過熱してきた。しかるに今の日本は「労働後進国」と呼ばれても仕方がない状況だ
「働き方改革」が迎える天王山
盛り上がりとは裏腹に拭えぬ不安

 安倍首相が不退転の決意で「最大の挑戦」と謳う、政府主導の「働き方改革」をめぐる駆け引きが過熱してきた。具体的な実行計画のとりまとめを3月末に控え、国会論戦をはじめ、政・労・使間の意見調整が難航を極め、大詰めを迎えている。日本的な労働慣行が根を張る中で、政府主導の働き方改革は果たしてどこまで受け容れられ、功を奏すことができるのか、ひとえにその実効性が問われているが、改革を阻む構造的で、根本的な疑念は拭い切れない。

 日本はとりわけ欧米の先進国に成功モデルを求めているが、欧米とは「労働」や「働き方」をめぐる価値観の違いが大きい。家父長制や男尊女卑による男女の日本型分業モデルがいまだ労働環境を支配しており、その障壁も厚い。ILO(国際労働機関)の国際基準に従えば、日本の労働慣行には伝統的に人権軽視の風潮が拭えず、途上国並みの水準に甘んじている。

 政府主導の働き方改革は、まずは政府が率先垂範して国際基準を順守するよう、国民に強く訴え、順法精神を蔑ろにしてきた甘えの構造から脱却することが先決であり、最優先で取り組むべき課題である。懸案の実効性を高めるためには、罰則規定を強化して、順法への監視、監督の網目をきめ細かく刻む一方、摘発Gメン制度を導入して、違反企業には罰金を伴う業務停止命令を発令し、それを公表して社会的な制裁を科すなど、厳罰をもって臨む態勢の整備とその浸透が究極の決め手であり、より効果的な再犯防止策でもある。

 果たして、日本は働き方改革を押し進めることができるのか――。本稿では、あらゆる角度からそれを検証したい。

「今年は、働き方改革の断行の年だ。正規と非正規(労働者)の不合理な待遇の格差は認めない」――。安倍首相の働き方改革に賭ける年頭の決意表明である。

 アベノミクスの神通力が急速に色褪せていく中で、日本経済の持続的な成長と分配の好循環を軌道に乗せるための新たな起爆剤として、働き方改革に寄せる安倍政権の期待は計り知れない。以下は、安倍首相の決意の発言である。少し長くなるが引用したい。

「目指すは、戦後最大のGDP600兆円、希望出生率1.8、介護離職率ゼロ。これら3つの的に向かって、一億総活躍の旗を高く掲げ、安倍内閣は未来への挑戦を続けていきます。その最大のチャレンジが働き方改革です。長時間労働を是正し、同一労働同一賃金を実現し、非正規という言葉をこの国から一掃します。(略)年度内をめどに働き方改革の具体的な実行計画をとりまとめます。スピード感を以て実行していく」(昨年8月3日、第2次安倍改造内閣発足時の総理会見にて)

「働き方は人々のライフスタイルに直結するものであり、(略)長時間労働を自慢する社会を変えていく。かつてのモーレツ社員、そういう考え方自体が否定される。そういう日本にしていきたい。人々が人生を豊かに生きていく。企業の生産性も上がっていく。日本がその中で輝いていく。日本で暮らすことは素晴らしい。そう思ってもらえるような、働く人々の考え方を中心にした働き方改革をしっかりと進めていきたい」(同9月2日、働き方改革実現推進室開所式にて)

「若者をはじめ、女性も高齢者も含め、人々が自分のライフスタイルに合わせて、多様な働き方を自由に選択できるようにする。(略)今までは不合理な処遇の差がありましたから、(略)そういうことをなくしていくことによって、人々はより自分に合った、こういう人生を歩みたいという自分の人生観に合った働き方を得られるようにする。その際、不合理な差別を受けることがないとなれば、やり甲斐も生き甲斐も得られ、結果として生産性も上がっていく。(略)私が先頭に立って進めていく決意です」(同月8日、外遊先のラオス・ビエンチャンでの内政懇談会にて)。

「私たちは、新しい法律を提案します。同一労働同一賃金の実現です。(略)同じ企業で働いていて、同じ責任を有しているのであれば、得られるお金に違いがあっては絶対にいけません。正規と非正規の労働者の格差を埋め、若者が将来に明るい希望が持てるようにしなければなりません。そうなれば、もう一度、中間層が厚みを増し、より多くの消費をするようになり、より多くの人々が家族を持つようになるでしょう。そうなれば、日本の出生率は改善する。

 長時間労働も改革するため、規制の枠組みを強化して、新たな法律を提案します。そうなれば、女性も、高齢者も仕事を見つけやすくなるでしょう。(略)私たちは労働参加率を上昇させ、賃金を上昇させ、生産性を向上させなければなりません。働き方改革が生産性を改善するための最善の手段です」(同月21日、米ニューヨークでの金融・ビジネス関係者との対話にて)

 このように安倍首相の発言は、働き方改革が功を奏すれば、成長と分配の好循環メカニズムが機能して、念願の生産性も改善し、一億総活躍社会の「3つの的」を射止めることができるという趣旨になっており、働き方改革の実効性にアベノミクスの総仕上げを賭けているということがわかる。

国際基準に照らすと浮き上がる
日本の「労働後進国」ぶり

 労働環境の改善・整備には、1919年にILO(本部:ジュネーブ)が創設されて以来、間もなく1世紀にも及ぶ万国共通の目標がある。労働者の基本的な権利を尊重し、保護する狙いから、世界各国の労働実態を監視、監督するILOが定めている国際基準である。これに従えば、日本の労働環境は今なお未成熟で、国際的に大きく出遅れている。

 その実態は、経済先進国の名を汚す労働後進国の域を出ていない。日本はILOの常任理事国であり、政・労・使の3者はそれぞれに代表を送り込んでいながら、労働者の権利を保護する重要な条約の批准を蔑ろにしたまま、今日に及んでいる。戦後の日本経済の構造と体質が、いかにも労働環境の改善、整備を後回しにしてまで高度成長を優先してきたかが見て取れ、国民のワークライフ・バランスよりも経済大国への道をひたすら走り続けてきた証左であることを物語っている。

 現在、ILOが採択している184本の条約のうち、日本が批准している条約は48本で、全体の4分の1強に止まっている。ちなみに他国は、スペインの133本をはじめ、フランス123、英国86、ドイツ83本などとなっており、日本はEU各国の半分以下の水準に甘んじている。日本がいまだ批准していない条約は、1日8時間・週48時間制(1号条約)をはじめ、週40時間制(47号条約)や年次有給休暇(132号条約)などで、全部で18本ある労働時間や休暇関係の条約のうち、そのほとんどを批准していない。連合や全労連など、日本の労働団体は毎年、早期批准を強く求めているが、その都度無策で終わっている。

 ILOでは1998年に「労働における基本原則及び権利に関するILO宣言」を改めて宣言し、新宣言では4つの原則を謳い、原則ごとに2条約ずつ、計8条約を中核的な基本労働条約に定め、その実現を奨励している。4つの原則とは、次の通りである。

(1)労働組合の結成や団体交渉の権利
(2)強制労働の廃止
(3)児童労働の撤廃
(4)雇用と職業における差別待遇の禁止

 ILO加盟国187ヵ国(2016年2月現在)のうち、約4分の3は基本8条約のすべてを批准しているが、日本はこのうちの「強制労働の廃止」(105号条約)と「雇用と職業における差別待遇の禁止」(111号条約)の2条約をいまだ批准していない。批准していない国は、105号条約でわずかの11ヵ国、111号条約でも13ヵ国に過ぎず、紛れもなく少数派である。EU諸国は英国を含め、基本労働8条約のすべてを批准している。主要7ヵ国(G7)では米国が6条約を、日本とカナダが2条約を批准していない。

日本の国際評価を下げ続ける
人権意識欠如、過労死・過労自殺増大

 強制労働の廃止を定めている105号条約には「ストライキの参加者に対する制裁の禁止」が盛り込まれているため、日本は批准できずにいる。日本では、国家公務員に対し、労働の基本権である団結権、団体交渉権、団体行動権を制限しており、「国家公務員などの争議行為に関する規制」で国家公務員のストライキなどに懲役刑を定めていることが同条約に抵触するのではないかとの懸念から、批准できずにいる。

 111号条約は同一報酬を定めた100号条約と並んで、差別待遇の撤廃を目指している。人種をはじめ、性別や宗教、さらには政治的な見解などによる差別を禁止し、雇用や職業における機会及び待遇の均等を求めている。日本国憲法の14条では「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条(略)において、差別されない」と規定しており、批准を妨げる事情はないはずだと思いがちであるが、日本の労働実態には人権意識の欠如による、いわば「不都合な真実」が潜んでいるため、いまだ批准できずにいるのだ。

 日本は先に同一報酬を定めた100号条約の批准を準備したところ、ただちに男女の賃金格差などでILOから是正勧告を受け、報告を求められたため、使用者側は批准に後ろ向きである。政府側もこれまでは政策を推進するための国内法の整備や政策の実効性への責任が問われるため、前向きになれないでいる。

 しかし、ILOの国際基準に例外はない。常任理事国で、しかも経済大国である日本が1世紀近くにもわたってなお、これらの宿題を放置してきたことは、もはや国際的にも面子が立たず、この機を逃さず汚名の返上に最善を尽くすべきときを迎えている。今後とも引き続き無視、放置すれば、労働環境の改善、整備に「誠意ある努力の跡が見られない」との誹りを免れず、外圧で半強制的に改善を促される可能性もある。

 とりわけ、政府主導の働き方改革が笛吹けど踊らず、功を奏することができないとなれば、過労死や過労による自殺の増大などが不当労働行為と見なされて、海外から指弾される前代未聞の国際摩擦に発展する恐れもある。日本に対する国際的な評価を押し下げることは必至である。

日本の格差是正に要する時間は170年?
同一労働同一賃金の実現に二重の障壁

 日本が国際社会から長い間悪評に晒されながら、改善の跡がほとんど見えてこないのが、男女平等度ランキングである。WEF(世界経済フォーラム)は毎年、世界各国の男女平等の程度を指数化した「ジェンダー・ギャップ指数」を発表している。2016年版では日本は調査対象144ヵ国中111位、前年より10位も下げる過去最低の水準で、G7中ではイタリアの50位に次ぐダントツの最下位であった。日本の男女格差は改善どころか、悪化しているという調査報告である。

 なぜ、こんなにも低く、改善の跡が見られないのか。調査分野には政治、経済、健康、教育の4分野があり、このうちの経済以外はいずれも前年に比べてランキングを上げていながら、経済だけが前年比12位も下げて118位に低落しており、総合ランキングを111位に押し下げていることがわかった。

 最大の要因は経済格差である。しかも改善の跡が見られずむしろ悪化しているため、この分だと「日本で男女間の経済格差が解消するまでには約170年を要する」との不名誉なコメントまで授かっている。日本の職場では家父長制をはじめ、男尊女卑の処遇、待遇や男女差別による分業モデルが根付いていることが主因である。

 建前では理解していながら、本音では無視、放置を決め込み、後は「皆で渡れば怖くない」世界に逃げ込む悪弊から脱却できずにいるためだ。男女雇用機会均等法が1986年に施行されて以来、30年余。今さらの同一労働同一賃金である。このたびは男女格差とともに、正規・非正規格差の是正も重なって、課題解決への障壁はさらに高まっている。昨年12月に公表されたガイドラインでは、日本の雇用システムの全体像の見直し、改革なしに強引に導入しても、現場の混乱を招くばかりで、本来の狙いである労働生産性の向上から成長と分配の好循環へと、より戦略的な改善、改革に繋がるとは到底思えない。

欧米の労働は贖罪感を拭うための義務
日本の労働は自然の神々に仕える奉仕

 さて、労働や働き方をめぐる価値観は、欧米と日本でいかに違うのか。働き方改革を論じるには、この典型的な文化摩擦への認識を無視できず、肝に銘じておく必要がある。ひとことで言えば、欧米の労働観は一種の懲罰から発しているのに対し、日本の労働観は初めから美徳として尊重されてきた経緯がある。

 古代神話では、アダムとイブが禁断の木の実に手を出し、口にして以来、アダムは労働を、イブは子を産み育てることを、それぞれ懲罰として義務づけられたのである。義務としての労働であれば、決して自発的ではなく、他から強制されてやむなく従うことになる。レジャー論の元祖である古代ギリシャの哲学者・アリストテレスも、労働とレジャーの関係を「労働のためにレジャーがあるのではなく、レジャーのために労働がある」と言い切っている。

 これに対して、日本ではどうか。天照大神をはじめ、八百万の神々は全員「働き者」の神様である。神の中の神である天照大神が率先垂範して働き者とあれば、八百万の神々もそれに従い、その神々を敬い、倣い、随う俗人がさらに従うのは、当然である。しかも、日本の自然観では、自然こそが物を造化する力であり、物を造り出すのは人間ではなく、自然の神々の力によるとの考え方がある。このため労働観は、自然の神々が物を造り出す力に人間は参加するだけで、自然の神々の下で仕えるとの考え方が根底にある。

 これは、欧米型の半強制的な義務としての労働観とは相容れず、むしろ自然の神々に仕える自発的な奉仕としての労働観である。なぜ、そうなったのか。日本の悠久の歴史を遡れば、自然の神々に倣い、随い、寄り添って働くことが社会の法であり、秩序であり、これに逆らうことは不法で、秩序を乱すことになるからである。

 言い換えれば、働くことが自然で、働かないことは不自然で、勤勉を尊重する労働観が社会規範として定着してきた価値観である。命懸けで働く「一所(生)懸命」や、作業手順を右顧左眄しつつ周囲に併せる「右へ倣え」的な意識と行動もこの延長上で、いわば社会規範化してきた労働慣習である。今なお職場の中で、自分だけが「お先に失礼」する退社をためらわせるものがある。サービス残業や長時間労働を強いられても、我慢して凌ぐ悪弊も引きずっている。電通マンの行動規範である「鬼十則」も、決して例外ではない。電通は過労自殺騒動で強制捜査を受け、社長交代を余儀なくされたが、安倍政権に「働き方改革」を急がせる契機となったことは怪我の功名である。

深刻な勤労者層の非正規化と貧困化
アベノミクスの恩恵も蚊帳の外

 EUの前身であるEC(欧州共同体)が1979年に公表した報告書で、日本及び日本人が「ウサギ小屋に住む仕事中毒」と揶揄されてから38年。それ以来、日本の労働環境はどこまで改善し、整備されてきたのか。確かに男女雇用均等法などの法整備が進み、ワークライフ・バランスなどの勤労意識も浸透しつつあるが、労働環境が目に見えて改善し、整備されてきた実感は薄く、むしろ後退している印象の方が強い。

 とりわけ、本人が望まない不本意な非正規雇用化が急速に拡大して、総雇用者数に占める非正規雇用者数の割合があっという間に約4割を占めつつある。非正規雇用は、雇用調整弁として企業側には都合がよくても、雇われる側にとっては身分が不安定で、結婚したくてもできないような低収入を強いられ、いわゆるワーキングプアのすそ野を広げる温床と化している。貧困が若者層から中年層をも蝕み、労働力と購買力の両面で日本経済の推進力を弱め、疎外してきたことは否めない。

 直近のアベノミクス政策にしても、安倍首相は約270万人もの新規雇用者を増大させたと豪語するが、実態は正規雇用者数が60万人減で、非正規雇用者数が330万人増という内訳である。正規から非正規への入れ替えが進み、雇用構造は質的に後退している。株高と円安を誘導してきた背景から、その恩恵の多くは輸出依存度の高い業種を中心に、大企業、正規雇用者、株式収入に与れるいわば恵まれた富裕層の懐をさらに豊かにしてきただけだ。中小企業や非正規雇用者、さらには株式収入などとは縁遠い一般の勤労者は蚊帳の外である。なかでも不本意な非正規雇用に甘んじている若者や中年層にとっては、低収入、未婚、出生率の低下という社会的な悪循環に陥っており、貧富格差の拡大とともに相対的な貧困が深刻化している。

 厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、実質賃金指数は1992年を100とした場合、1996年の103.4をピークにほぼ一貫して下がり続け、アベノミクスがスタートした直前の2012年には92.8まで下がっている。アベノミクスの施行後はどうか。2013年が91.6、14年が88.5、15年は88.4でさらに下がり続け、リーマンショックの余波を受けた2009年の92.7よりも下回っている。一般の勤労者には、アベノミクスの恩恵が全く及んでいなかった証左である。

 日本の労働環境の改善、整備をここまで遅らせてきたのは、政・労・使の3者が長い間、足並みを揃えて国内外の労働関係法規を軽視、蔑ろにしてきた、いわば「甘えの構造」に浸ってきた点に尽きるが、その象徴が通称「36(サブロク)協定」である。終戦直後の1947(昭和22年)に施行された労働基準法36条に由来する労使の取り決めで、「会社と労働者代表が合意して労使協定を締結した場合は、1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超えて、働かせることができる」と定めてある。しかも「特別な事情があれば、限度時間をさらに延長して働かせることができる」との条項がついている、いわばザル法である。

 労基法では、1日8時間、1週40時間超の労働を禁止している。それを労使間の協定で延長を可能にしたのが36協定で、同協定で定めた労働時間を超える残業は労基法上、違法となる。企業はこの36協定を根拠に一定の限度時間内で残業をさせているが、実態は「特別な事情による延長」の乱発・乱用が行われており、限度時間を無視した長時間労働が長期間、常態化してきた。日本的経営システムの中にこれを前提として組み入れ、長時間労働が36協定で定着、労使はともに違法と知りながら、合法化されてきた錯覚に陥っていた傾向さえうかがえる。

 それが墓穴をさらに掘ることにつながった。違法なサービス(無給)残業の強制が進む中で、労災保険制度による脳や心臓の疾患、精神障害などの労災認定件数が急増し、過労死や過労自殺が増えてきた。1980年代後半には過労による脳や心臓の疾患などによる突然死が頻発、88年に「過労死110番」が開設されたが、日本経済のバブル現象を背景に、過労死や過労自殺は増勢の一途を辿っている。厚生労働省の調べによると、労災申請件数のうち、過労死・過労自殺件数は1999年度の638人から2010年度の1983人へと、3倍強も増加している。

 ただ、労災と認定される確率は宝くじ並みで、初めから申請自体を諦める事例が多い。内閣府警察庁の自殺統計によると、2015年の勤務問題を原因・動機とする自殺件数は2159件。このうち労災保険の適用を申請した件数は199件で、そのうち労災と認定されたのはわずかに93件。つまり、厚労省が労災を認めたのは警察庁が過労死・過労自殺と認定した件数のうちの約4.3%止まりだ。過労死・過労自殺の深刻な実態を改善するための「過労死防止法」(過労死等防止対策推進法)が国会の全会一致で成立したのが2014年6月で、同防止法には「過労死を防止する総合的政策の実施は国の責務である」と明記してある。2015年7月には「過労死防止大綱」も閣議決定されたが、長時間労働に歯止めがかからず、過労死・過労自殺は増え続けるばかりで、お上による机上の作文では何の抑止力にもなっていない。

時短なのに生産性が高い
ドイツの「働き方」に学ぶ点

 懸案の働き方改革の実効性を高めるには、政・労・使3者が足並みを揃えて甘えの構造から断固として足を洗い、断ち切る覚悟で意識改革を断行することである。その上で、今後は厳罰をもって臨む態勢を整備し、その普及、浸透を図っていくことが喫緊の課題である。早急に労基法をはじめ、労働関係法規を改正して、実践への移行を急ぐことである。

 今や仕事が原因・動機となる自殺件数が1日平均で約6人に及ぶ時勢である。政・労・使3者の指導層は、犠牲者を1人でも減らしていく態勢の整備と、その実践に社会的な責務を痛感していただきたい。

 具体的には、1つには違反の制裁に英知を結集し、罰則規定を強化すること。2つには順法への監視、監督の網目をきめ細かく刻むこと。3つには違反の摘発に内部告発の奨励も制度化すること。4つには「摘発Gメン」制度を積極的に導入、活用すること。5つには、違反企業には負担の重い罰金を科し、中長期にわたる業務停止命令を発令すること。そして6つには違反企業の社名を公表して社会的な制裁を科すこと、などの徹底である。

 成功モデルは、ドイツである。日本を「残業大国」とすれば、ドイツは「時短大国」である。OECD(経済協力開発機構)によると、労働者1人当たりの年間平均労働時間(2014年)はドイツが1371時間で加盟国中最短である。これに対し、日本は1729時間で、ドイツの1.26倍、358時間も多い。それでいて労働生産性(労働時間当たりの国内総生産、2014)は、日本の41.3ドルに対してドイツは64.4ドルと、日本の1.6倍強である。労働生産性が日本を大幅に上回っているのは、労働時間が短いためで、それが労働分配率を引き上げ、成長と分配の好循環をもたらしている。

政・労・使が一丸となって
今こそ本気の改革に取り組め

 ドイツは、なぜ時短に成功したのか。1日10時間を超える労働は、法律で厳しく禁止されており、政・労・使の3者が順法精神の下で厳守しているからである。労働時間を監視する役所が時々抜き打ち検査を実施、1日10時間を超える労働を組織ぐるみで強制していた企業には最高で1万5000ユーロ(約180万円)の罰金を科している。しかも、企業が罰金を科された場合、違反した組織の管理職に対し、その罰金を自腹で支払わせる仕組みがあり、違反職場の根絶に努力している。

 これには、人事評価や企業評価の物差しが一変したこと、社会的な制裁効果が機能していることも大きい。ドイツではすでに、長時間労働をして成果が上がらない人や企業は評価されず、限られた労働時間内でより多くの成果をあげる人や企業をより高く評価する価値観が浸透しつつある。メディアに一度ブラック企業などと公表されると、人材集めに苦労するため、優秀な人材を集めるためには時短に努めて、労働生産性を少しでも高める方向で経営努力を競い合っている。有給休暇の消化率も100%に近い。

 政府主導の働き方改革の実効性を高めるには、差し当たりドイツを見習って時短を奨励し、労働生産性を高め合う企業間競争に火を点けて、年間ランキングを毎年公表することから始めてはいかがかだろうか。生産性の向上で成長と分配の好循環を目指すためには、アベノミクスよりもはるかに公正、平等で、近道ではないのか。

 なお、同一労働同一賃金の導入については、日本の雇用システムの在り方とはさらに相容れず、論点の整理が必要なので、次回に譲りたい。

(ジャーナリスト 嶋矢志郎)

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http://diamond.jp/articles/-/121433

 

トランプ大統領:自動車各社に雇用拡大要求−燃費基準緩和の方針示す
Ryan Beene、John Lippert、Shannon Pettypiece
2017年3月16日 12:48 JST

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トヨタ自動車には米国での工場建設を求める

トランプ米大統領が自動車メーカーに対し、あからさまな交換条件を提示している。環境基準の緩和と引き換えに、雇用の拡大を求めるというものだ。
  トランプ大統領は15日、ゼネラル・モーターズ(GM)とフォード・モーター、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の最高経営責任者(CEO)に対し、「雇用について、君たちは戻ってきてわれわれに大きな数字を提示する必要がある」と述べ、オバマ前政権が維持することを決めた燃費規制は「自動車業界をさらに破壊していただろう」と指摘した。
  オバマ前政権と自動車業界は、2022−25年モデルの車両について定めた燃費基準が実行可能かどうかを18年4月までに判断することで合意していたが、環境保護局(EPA)が自動車業界に協力せず、前政権の任期終了間際に検討の迅速化を決めたことに業界側が反発していた。トランプ政権の方針に基づき、前政権と自動車業界が合意していた当初のスケジュールに戻す。
  トランプ政権がオバマ政権時代のEPAの決定を覆す動きは、GMやトヨタ自動車、独フォルクスワーゲンにとって勝利となる。自動車メーカーは前政権が打ち出した環境基準を市場の現実にそぐわないと主張していた。
GMの雇用計画は「取るに足らない」と一蹴
  トランプ大統領は訪問先のデトロイト近郊で見直しを発表した。GMはその機会を捉え、ミシガン州のトランスミッション工場で220人を新規採用する一方、スポーツタイプ多目的車(SUV)工場でレイオフされた社員を一部充てることで680人の雇用を同州で維持する計画を発表した。GM広報のパット・モリシー氏によると、採用はトランプ氏の就任前から予定されていた。
  トランプ大統領はGMの雇用発表について、「『取るに足らない』と彼らに言ってやった」と集まった労働者を前に発言。「もっと採用させる。彼らは新たな工場を建設し、工場を拡張する。私の政権は業界を締めつける規制の撤廃、雇用を抑制する税の引き下げ、全ての米企業と労働者のための条件を公平にすることに粘り強く取り組む」と語った。
  トランプ氏は自動車業界の幹部らとの会合で、トヨタ自動車に米国で車を生産するようあらためて求めた。北米トヨタのジム・レンツCEOとのやり取りで、「新工場をここに建設しなければならない」と大統領が話す模様が、ホワイトハウスの公式ユーチューブのページに掲載された動画で伝えられた。トヨタの広報担当の土井賀代氏から現時点でコメントは得られていない。
原題:Trump Demands Auto Jobs After Signaling Fuel Economy Relief (2)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-16/OMVXT86JTSE801


 

日銀:金融政策維持、長期国債買い入れ80兆円めども据え置き (1)
日高正裕、藤岡徹
2017年3月16日 12:03 JST 更新日時 2017年3月16日 12:58 JST
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長期金利「0%程度」、短期金利「マイナス0.1%」をいずれも維持
事前のエコノミスト調査でも全員が現状維持を予想

日本銀行は金融政策決定会合で、昨年9月に導入した長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みによる金融調節方針の維持を決定した。市場では黒田東彦総裁の任期中の追加緩和観測が消えつつある一方で、年内にも長期金利の誘導目標を引き上げるとの見方が出ている。

  金融調節方針は、誘導目標である長期金利(10年物国債金利)を「0%程度」、短期金利(日銀当座預金の一部に適用する政策金利)を「マイナス0.1%」といずれも据え置いたほか、長期国債買い入れ(保有残高の年間増加額)のめどである「約80兆円」も維持した。

  指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J−REIT)の買い入れ方針も据え置いた。前会合に続き木内登英、佐藤健裕両審議委員が長短金利操作等の金融調節方針に反対した。

  日銀は「緩やかな回復基調を続けている」との景気判断は据え置いたが、住宅投資は「横ばい圏内の動き」として、前月の「持ち直しを続けている」から下方修正した。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は小幅のプラスに転じた後、「2%に向けて上昇率を高めていく」との判断を据え置いた。

  木内委員は「小幅のプラスに転じた後、かなり緩やかに上昇率を高めていく」との独自案を提出したが、1対9の反対多数で否決された。

  原油価格の反転や円安の影響で、物価上昇率が年内に1%に達するとの見方が強まっているが、日銀は物価の基調が着実に目標の2%に向かうかどうか見極める考え。ブルームバーグがエコノミスト41人を対象に6−9日に実施した調査では、回答したエコノミスト全員が金融政策の現状維持を予想していた。

ブルームバーグの事前調査の結果はこちら
  大和証券の野口麻衣子シニアエコノミストは会合終了後、ブルームバーグの取材に対し「景気判断もリスク認識も変わっていない中で、政策を動かす理由もないと言うことだ」と述べた上で、「市場の見方では日銀のインフレ見通しはまだ楽観的なので、どこかで下方修正という可能性は残る」との見方を示した。

13カ月ぶりプラス

  1月の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、エネルギーの下落幅縮小により前年比0.1%上昇となり、2015年12月以来13カ月ぶりにプラスに転じた。ブルームバーグの調査では、黒田総裁の任期の2018年4月までに長期金利の誘導目標を引き上げるとの予想は14人(34%)と3分の1を占めた。

  佐藤審議委員は1日の徳島市での会見で、コアCPIが年末にかけて1%に届き、長期金利の0%維持が困難になる可能性があるとして、「10年金利目標を微調整することは十分あってしかるべきではないか」と述べていた。

  早期の長期金利引き上げには懐疑的な見方も根強い。SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは会合終了後の取材で、「インフレ率はまだゼロだし、先行きも2%に近づいていくかどうか日銀も自信が持てない」とし、引き締めができる状況ではないと指摘。10年金利目標の引き上げについては「今年はないだろう」と予想した。

利上げ前にガイダンス

  複数の関係者によると、日銀は物価上昇率が上がり始めた段階で、長期金利を引き上げの条件を示したガイダンス(指針)を明らかにするかどうか検討している。物価の基調が着実に上昇していることが確認できる前に長期金利引き上げ観測が高まることへの懸念が背景にある。

  雨宮正佳理事は9日の参院財政金融委員会で、「現状では2%の物価目標まで相当の距離がある」と言明。目標を早期に実現するという点から、現在の金融市場調節方針に基づいた強力な金融緩和を推進していくべきであり、「現下の状況の下で長期金利の操作目標を引き上げるのは適当でない」との見方を示した。

  ドル円相場は会合結果の発表前は1ドル=113円近辺で取引されていたが、発表後もほぼ変わらず。黒田総裁は午後3時半に定例記者会見を行う。決定会合の「主な意見」は3月27日、「議事要旨」は5月2日に公表する。決定会合や金融経済月報などの予定は日銀がウェブサイトで公表している。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-16/OMUBZX6K50Y101


 

中国人民銀、オペ金利とMLF利率引き上げ−米利上げ後
Bloomberg News
2017年3月16日 13:01 JST

安定した経済と物価上昇で米金融当局に追随する余地生まれる
オペ金利引き上げは必ずしも利上げに相当せず−人民銀

中国人民銀行(中央銀行)は16日、公開市場操作(オペ)金利と中期貸出制度(MLF)の利率を引き上げた。安定した経済と生産者物価指数(PPI)の上昇で、利上げを決めたばかりの米金融当局に追随する余地が生まれていた。
  人民銀のウェブサイトに掲載された声明によると、中銀は7日物と14日物、28日物リバースレポの利率をそれぞれ10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き上げた。引き上げ後の利率は7日物が2.45%、14日物が2.6%、28日物が2.75%。2月上旬にも10bpの利率引き上げに踏み切っていた。
  また、人民銀はMLFを通じ期間6カ月と1年の流動性供給も行った。利率はそれぞれ3.05%、3.2%と前回から10bp引き上げられた。
  人民銀は借り入れコストの上昇観測が市場で強かったとした上で、オペ金利の引き上げは必ずしも利上げに相当するわけではないと説明。こうした金融政策措置を拡大解釈する必要はないと指摘した。
原題:China’s Central Bank Raises Borrowing Costs in Step With Fed (2)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-16/OMW2BB6TTDS001
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/239.html

[医療崩壊5] 「医療世界一」は国際比較してみたら日本だった 堀江貴文が迫る、日本医療が「治療から予防」へ舵を切れない理由
2017年3月16日 真野俊樹 [多摩大学大学院教授、医師]
「医療世界一」は国際比較してみたら日本だった

日本では、悲惨な医療事故が起こる度に、医療バッシングが起こり、医療不信に拍車がかかる。その度に「日本の医療はひどい」「欧米に比べて遅れている」等の声が聞かれる。先進主要国に比べ、本当に日本の医療はひどいのか、調べてみた。(多摩大学大学院教授、医師 真野俊樹)

日本人は自国の医療に
不信感を持ちすぎている?

 日本人ほど自国の医療に不信感を持っている国民はいない。2010年にロイター通信が報じた「医療制度に関する満足度調査」によると、日本人の医療満足度は15%で、これは世界の先進・新興22ヵ国中、最下位である。ちなみにトップは、スウェーデンの75%だ。
 また、カナダの調査(下表)においても、客観的データはほぼA評価であるのにもかかわらず、日本人の健康への自己評価は低い。
http://www.conferenceboard.ca/hcp/details/health.aspx

http://diamond.jp/mwimgs/8/1/-/img_81d494f51224f0ed51b3f8e922e5bedd26458.png 

 その一方で、安倍政権では日本の「医療の良さ」を海外に輸出するとしているし、中国人を中心に日本に医療ツーリズムで訪れる患者も増えてきているようだ。果たして日本の医療レベルは高いのであろうか。そこを簡単に検証してみたい。
 あえて結果を先に言えば、筆者の分析では、日本の医療は世界の医療と比べても「10勝5敗3分け」(表)で「世界一」と言えるものであった。

http://diamond.jp/mwimgs/e/b/-/img_ebdb96aa7e4b52faf4761e0c7164eeff414652.jpg

 なぜ、そうと言えるのか。その要点を説明しよう。

かなり際立っている
がんの5年生存率

 まず、日本国民の2人に1人が罹患するという"国民病"になった「がん」であるが、日本において、がんの5年生存率は高い。OECDのデータでも、大腸がんの5年生存率(2004〜09年)を調べたものでは、日本は68%と1位である。
 ちなみに主要国を見ると、アメリカ5位(64.5%)、カナダ6位(63.4%)、ドイツ13位(60.4%)、イギリス18位(53.3%)となっており、加盟国の平均は59.9%である。
 また、世界67ヵ国、2500万人以上のがん患者の5年生存率を調査した国際共同研究「CONCORD-2」(1995〜2009年)によると、日本は肺がんでも5年生存率30.1%とトップで、アメリカ18.7%、イギリスは9.6%なので、日本の成績はかなり際立っているといえよう。
外国人が感動する
日本の看護師の接遇
 この調査を見ると、肝がんも日本の成績は良好である。そもそも肝がんは肺がんと同様、相対的に5年生存率は低く、日本は27.0%。ただし、これは他国と比べると、相当に優れた水準だ。アメリカは15.2%で、欧州各国も20%に達していないからだ。一方、胃がんは韓国がトップであり57.9%で、日本は54.0%である。ちなみに欧米は、30%前後と軒並み低い。やはり、日本はかなりの高水準であることがわかる。
 さらに、再びOECDの調査に戻って、乳がんの5年生存率を見ると、日本はアメリカに次いで2位の87.3% 、子宮頸がんも4位の70.2%と、これらも健闘している。
 その他、よく聞くのは、外国人旅行者が訪日中に病気やケガで入院し、そのとき「日本の看護師は、こんなことまでしてくれるのか」と驚き、感動したという話である。例えば、日本の看護師は入院患者のベッドメイキングもすれば、食事の配膳、風呂上がりには患者の体を拭いたりもする。こういうことは欧米の看護師はしない。欧米ばかりではなく、中国や韓国などアジアでも見られない。
 さらに、医師受診の回数も日本は突出して多い。OECDの統計によると、国民1人あたりの医師にかかる回数は加盟国の平均が6.6回。これに対して日本は12.9回。意外にも低いのが、スウェーデンであり、年間2.9回。このスウェーデンの約3回に対して、日本は約13回という、この数字の開きは、つまり「医師との距離」の違いでもある。
 1回1回の受診で「医療費が過剰に使われる恐れがある」という医療経済的な視点から見れば問題ではあるが、「医療が身近である」という国民側の安心という視点から見れば、これはかなり素晴らしいことと言えるだろう。要するに、「困ったらすぐに医者に行ける」という環境が整っていることになるからだ。
 英国やスウェーデンなど、家庭医制度が行き渡った国では、確かに制度上は素晴らしいと言えるが、身近とは言い難い。家庭医が「ゲートキーパー」とか「ゲートオープナー」といわれるように、家庭医を通さなければ、大病院など高度で専門的な医療機関を受診できないからだ。一方、日本の医療では、患者が行こうと思えば、直接、大病院の受診が可能なのである(最近は紹介状の持参を原則とするケースが増えているが…)。
薬の値段は
「ブラックボックス」
 一方、薬剤に関しては必ずしも「日本が良い」とは判断し難い。日本での薬剤の投与数は多く、厚生労働用の試算では500億円分あるという。確かに、高齢者が多量の薬を持って薬局から出ていく姿をよく見かける。
 値段についても、例えば、肺がん治療薬「オプジーボ」は、当初、100gあたり約73万円(現在は引き下げとなって32万5000円)という非常に高額の医薬品であった。これは、がん免疫療法薬というイノベーティブな薬であるから、こういう値がつけられた。
 薬価では、どのタイプの薬かによって計算方式が決まっている、オプジーボは原価を積み上げての値段であるというが、個々の医薬品について、どこがどう加算されてその値がついたかといった詳しいことはわからないし、なにより、原価にしては(処方量が増えるとしても)、2017年2月に薬価が半分になったことも不思議である。そういう意味では、薬価というのは「ブラックボックス」といえる。
 このように、薬価も含めて医療の値段は国が決めているが、「透明性」が低い。さらに国民医療費は年々増加しているので、ここは「日本の負け」とせざるを得ないであろう。
海外視察の後は
やはり「日本がいい」と感じる
真野俊樹さんの『日本の医療、くらべてみたら10勝5敗3分けで世界一』(講談社+α新書)が好評発売中。192ページ、907円(税込み)
 私が1995年に米国に留学した時に、日本と米国の「医療の差」に愕然としてから15年以上たった。現地の日本人医師に「20年後には日本の医療も米国のようになるよ」と言われたのを、今でも鮮明に覚えている。
 確かに、日本でも米国のように、徐々に「お金のあるなし」が治療を決めるようになっているようだ。しかし、国際政治学者のサミュエル・ハンチントンが世界的なベストセラーである「文明の衝突」で指摘したように、文化にも多様性があり日本文化もその一つの類型だという。私は医療も文化と同じように、国や地域によって多様性があると考える。つまり、日本の医療も、高齢化対応や最先端技術のおかげで向かっていく方向性は米国に似ているが、必ずしも一つの方向に収斂するわけではないのだ
 そういった視点で見てみると、米国医療にも優れたところもあり、劣ったところもある。ヨーロッパや北欧についても同じである。
 そんな折に、昨年は医療不信による日本医療へのバッシングが相次いで起きた。冷静な視点で見た場合、日本の医療はそれほど悪いのだろうか。
 私は仕事柄、海外の病院や医療事情を視察する機会が多い。そこでは多くの方々(医療関係者や企業関連、弁護士、会計士等の方々)と同行する。すると、必ず、最終日のラップアップでは、「やはり日本の医療がいいね」という結論になる。もちろん我々が日本人であるというバイアスは考慮に入れなければならないが、データを用いて比較しても、やはり、そのような結論になる。スバリ、日本ほど医療すべてにおいて、完璧に近い国はない。あまりにも、その事実が知られていないのではないか。
 もちろん、日本の医療にも問題点はあるだろう。このままだとマズいという問題もあるかもしれない。しかし現時点で「日本の医療は世界一」である。私は、そう実感している。
「日本の医療が劣っている」と感じるのは、多くの場合、医師や医療機関に対する患者の医療不信によるものだ。亀裂が生じつつある日本の患者と医師の信頼関係を改善することができるならば、すでに世界で最も優れている日本の医療を、さらにより良きモノへと引き上げることができるのではないか。
 それが日本国民にとってプラスになると信じている。

http://diamond.jp/articles/-/121429

 

2017年3月16日 QREATOR AGENT
堀江貴文が迫る、日本医療が「治療から予防」へ舵を切れない理由
昨年、予防医療普及協会の立ち上げに携わり、『むだ死にしない技術』を上梓するなど、日本の医療業界に警鐘を鳴らすホリエモンこと堀江貴文氏。遠隔医療の先駆けとして、オンラインで閲覧可能な病気事典や通院システムを確立した株式会社メドレーの代表取締役医師・豊田剛一郎氏。まったく違う畑のスペシャリストである両者だが、医療に対する見解はほぼ共通している。未来を見据えた医療・健康のあり方を対談で語ってもらった。(文/佐藤翔一)
実業家の堀江貴文氏(左)、豊田剛一郎・メドレー 代表取締役医師が、未来を見据えた医療・健康のあり方について語り合った Photo by Keisuke Yasuda
予防医療が日本では
本流になりづらい理由
豊田 私は医師としてずっと疑問に思っていたことがあります。ほとんどの医師は、病気に興味があって予防医療に興味がないんです。
堀江 僕も前から不思議に思っていたんですが、それってなんでそうなっちゃったんですかね。
豊田 まず大学などで病気のことしか習わないんですよ。病気を治す、つまり「治療する」のがカッコイイみたいな風習を感じざるを得ません。病気を防ぐ「予防」に関してはまだ本流ではないのかなと思います。
堀江 なかには予防接種を頑張っている医師もいますよね。感染症対策とか。消毒するようになったのも、割と最近じゃないですか。こうやって予防に注力していた人たちが多くの命を救ってきたにも拘らず、それが本流じゃないのは本当に不思議。
豊田 ほとんどの人が大学を卒業すると、大学病院や大きな病院に配属されます。そこで診察して、治療して、患者さんから「治りました。ありがとうございます、先生」と言われる。それが医療だと思ってしまうんですよね。やっぱり、予防医療の対象は元気な人じゃないですか。ある種のやりがいみたいなものを感じられにくいのが現状なのかもしれません。
堀江 なるほどね。「やりがい」「感謝」の問題もあるけれど、それ以上に問題を感じていることがあって。僕は予防医療普及協会を立ち上げたんだけど、エビデンス至上主義者みたいな人たちにめっちゃ攻撃されるんですよ。
豊田 それは堀江さんたちがやっているピロリ菌に関する事業ですか?
堀江 そう。例えば、ピロリ菌を除菌して胃がんが減るのか。何十年間も統計を取らないと確実な効果とは言いづらいから、完璧な結果というかほぼ100%のエビデンスがないとダメ、みたいな。でもそれを待っていたら、それで救える人がいるのにあと30年とか待つのかって話。
豊田 そうですね。他に私が疑問に思っていることで言えば、国民皆保険制度についてですね。保険点数は病気にしか付きません。予防接種も出産も病気じゃないから自費なんです。
Photo by K.Y.
堀江 僕、それ全然知らなかったんですよ。予防医療普及協会で幾つかやろうと思っていることの中で、婦人科の先生に話を聞く機会があって初めて聞いたんです。あとそれでいうと、ピロリ菌の検査って「ラピラン(R) H.ピロリ抗体スティック」というキットで尿検査をやっています。
 これは妊娠検査薬と同じで誰でも簡単にできるのに、医師以外は使っちゃいけないんですよ。妊娠検査薬は薬局で買って自分でやっていいのに、ピロリ菌検査はダメ。妊娠は病気じゃないけど、ピロリ菌がいるということは病気の診断につながる。だから病気の診断は医師しかできないという理屈。やっていることは一緒なのに、意味分かんないですよね。
大腸がん、増える日本と
減るアメリカのシステムの違い
豊田 アメリカは国民皆保険じゃない。だから「行ける病院は限られるけれど、安い保険でよい」だったり、反対に「高い年間保険料を支払う代わりに、どこの病院でも行ける保険に入りたい」というふうに皆、自分で選ぶんです。そこで医療にどうやって向き合うのか毎年考える状況になる。病院や薬の広告も沢山流れてきますよ。
 そういうのに触れていると「病院ってどうやって選んだらよいのか」を常に考え続けるんです。日本って「健康」というワードは好きなのに、対義語である「病気」に対しては目を背けがちだと思います。
堀江 僕は、オバマケア(*)の話って日本ではだいたい賞賛されるけど、それってちょっと違うよねって思ってる。自由診療を基本とするアメリカで、オバマケアによって日本の皆保険制度のように、必ずどこかの公的医療保険に入らなきゃいけなくなった。でもそこに医療リテラシーは全くなくて。しかも意外と保険料が高いんですよね。
 一方日本の医療でいうと、医師はブラック労働だと思っている。皆保険制度はそのブラック労働に支えられている面もあるんだけど、僕は絶対おかしいと思っていて。そんなことで皆保険制度を維持するくらいなら、もっと保険料高くて良いから休ませてあげてって思う。
豊田 その代わり万全のコンディションで手術をするということですよね。私も脳外科だったので徹夜明けの手術も普通にありましたし、それは全国的に同じことが言えると思います。
堀江 絶対嫌だもん。徹夜明けの脳外科医の手術なんて。
 予防医療の観点から海外との違いをいうと、一番典型的なのは大腸がんの予防で、アメリカは罹患率が減っているが日本は増えている。大腸がんの原因は欧米型の食生活だと言われるけれど、アメリカは毎日ステーキやハンバーガー、なのに減っている。なんでかっていうと、単純に大腸内視鏡検査を定期的に受けると保険料が安くなるから。2年に1回、内視鏡検査を受ければ確実に大腸がんの罹患率、死亡率は下げられます。日本は大腸がん検診には便潜血反応が使われているけれども2割弱しか受けていない。内視鏡検査を受ける手前ですでに意識が低いんです。
*オバマケア……米国のオバマ前政権が推進した医療保険制度改革法の通称(公約に掲げたオバマ前大統領の名前と健康管理=ヘルスケアを組み合わせた造語)。 この制度はより多くのアメリカ国民に医療保険に加入してもらうことを目的とする。 自由診療を基本とする米国では、医療費が高額であるため、多くの国民は民間の医療保険に加入している。最近トランプ大統領が、オバマケアに代わる新しい案について「完成は近い。近く提出する」と述べたことでも注目が集まる。
健康意識がバラバラな人たちが
全員同じ保険制度の中にいる違和感
堀江 日本は国民皆保険と言いながら、別々の保険に入っている。国民健康保険、協会けんぽ、団体ごとの保険組合があって全部違うし、管轄も違う。
Photo by K.Y.
豊田 本来、健保組合は予防医療を推進しなければいけない団体なんですが、本格的に予防に取り組んでいる健保は少なかった。それが最近になって変わってきていると聞きます。
堀江 それは健保組合が追い込まれてるからでしょうね。昔からある健保組合は、高齢化が進んで病気になる人が増えてきているから。
豊田 皆がバラバラなんですよね。同じ会社なのにすごく健康に対して意識の高い人もいれば、暴飲暴食して病気になった時のことを考えない人もいる。そういう人たちが同じ保険制度の中にいる。本来は変な話ですよ。個人の意識単位で選ぶ仕組みがあっても良いとずっと思っています。
堀江 でも日本で主流の考え方はそうじゃない。
豊田 そうなんですよね。
堀江 健康に対して意識が低い人たちも、手厚いケアを受けられるべきだという意見が多いですよね。でも、意識の高い人たちに日本の予防医療は支えられているんだけどね。例えばインフルエンザの予防接種にしても、みんなやらない。やらないから感染したり、症状が重くなったりして迷惑をかける。毎年ワクチンを作るためにプラントを維持しなければならないんだから、毎年受けている人が大事なんです。
豊田 日本は国民一人ひとりが医療リテラシーをもっと上げる必要があるなと感じます。
インターネット医療への
変革期に差し掛かっている
堀江 遠隔医療について話すと、まだ始まったばかりの業界だけど、結論として最終的には「窓口」ができる気がする。駅前にネット診療などを代行してくれる場所ができるような。どこまで規制緩和されるかにもよるんだけどね。
 保険がまさにそうだったんですよ。保険はもともとネットがスタート。比較サイトのビジネスモデルができて、最終的に保険の窓口ができた。保険を買うような人たちは窓口に行きたい。検索したら一瞬で分かるようなことも、エキスパートに聞く方が早いと思っちゃうんでしょうね。
豊田 「選ぶ」っていう時に自分一人の判断というより、詳しい人に背中を押してもらったりサポートしてもらいたいっていうのがあるんでしょうね。
堀江 病気の診断はインターネットでできますよね?
豊田 ある程度はできると思います。ただその責任を誰が持つのか、セルフで行うのかという問題が出てきますね。
堀江 セルフでやった人は自分で責任を持つんですよ。
豊田 そうです。その覚悟がある人はそういう流れになるでしょうね。
堀江 僕、今まで自分で調べた結果と医師に調べてもらった結果って、そんなに変わらないんですよね。
豊田 それは堀江さんだからですよ(笑)。予防医療と診断と通院は「医療」で一括りにされてしまうけれど、全く別の性格を持っている。診断の部分は最後までオンライン化が進みづらい部分です。
 高血圧とか生活習慣病は予防医療の範囲なので、こういった診断ではない部分をオンライン化することで、意識が高くなって継続して診断を受けてくれる人が増えていくのではと期待します。
堀江 それは難しい部分ですね。例えば糖尿病だったら、先天性以外は技術的に防げるじゃないですか。
豊田 日々の心がけとかですよね。
堀江 それもあるし、副作用が少なく糖尿病の症状を改善させる薬など、今は良い薬もたくさんできている。それから血糖値のモニタリング。医療リテラシーの高い人は毎年血液検査くらいはします。安易なソリューションがあるのに、モニタリングをしない、自分の血糖値を知らない。そういう人たちはこれから先、もっと楽なソリューションが出てきても動かないんじゃないかと思う。だから受動的な仕組みを作るべきだと思うし、そうしないと医療費も下がらないと思うんですよ。
豊田 ある程度義務化する必要はあると思います。いつでもどこでも安価に病院を受診する権利があるんだったら、健康を保つ義務があっても良いはず。
堀江 そうなんですよね。日本の義務は保険料を納めましょうというくらい。
近い将来、
日本の医療は劇的に変わる
豊田 これだけ国がお金を使って、いつでも病院に行ける国って日本くらいしかないです。
堀江 他国はだいたい予防のための受診義務がありますよね。予防医療は医科と歯科の連携が必要。歯周病は万病の元です。例えばドイツは歯周病を予防するために歯科に行って歯のクリーニングをしないと保険が適用されなくなるんですよ。
豊田 それが義務ですよね。予防接種で考えてもそうですね。タミフルを保険適用とするなら予防接種を受けることを義務化する方が、ロジックとしては成り立っている。
堀江 自然と楽しく予防できるシステムができるといいなと思いますね。それがファーストステップ。
豊田 インターネットは良い手段ですよね。
堀江 これから医療技術はすごく進む。そういうのをタイムリーに発信することが大事。多分10年やそこらで病気になりそうな指標は全部モニタリングされると思いますよ。尿とか血液で結構どんな健康状態かが分かるじゃないですか。それに色々な人たちがアプローチしている。トイレに付けるデバイスを作っている人もいる。それに対してどう治療するかも、クラウドとセンサーがつながる。AIはそれを診断するのも得意分野だと思う。
豊田 病院の外、手前でどこまでが医療かをもう一度見つめ直さなければいけない時期に来ていますね。
クリエイター・エージェント) (記事提供
ほりえ・たかふみ/実業家、株式会社ライブドア元代表取締役CEO、SNS media&consulting株式会社ファウンダー。1972年、福岡県八女市生まれ。ライブドア代表取締役CEOだった2006年、証券取引法違反で逮捕され、懲役2年6ヶ月の実刑判決が下る。2011年6月収監、13年3月仮釈放、同年11月刑期満了。 現在は、ロケットエンジンの開発を中心に、スマホアプリのプロデュース、有料メールマガジン「堀江貴文のブログでは言えない話」の配信、会員制コミュニケーションサロン「堀江貴文イノベーション大学校」の運営など、幅広く活躍。

とよだ・ごういちろう/株式会社メドレー 代表取締役医師
1984年、東京都出身。医師・米国医師。高校時代に脳科学の面白さに魅了され、東京大学医学部へ進学。卒業後は、脳神経外科医として総合病院に勤務し、手術や救急外来での業務などに明け暮れる。その後アメリカへ留学し、小児脳の手術に関連した神経生理学の研究に従事。米国での脳研究成果は、国際的な学術誌の表紙を飾る。日米での脳神経外科医としてのキャリアを歩む一方で、日本が直面する高齢社会や医療費の高騰、医師不足などの課題に危機感を募らせるようになり、医療を救う医師になろうと臨床現場を離れることを決意。2013年にマッキンゼー・アンド・カンパニーに転職。主に製薬企業や医療機器メーカー、保険会社などヘルスケア業界の企業に対するコンサルティングに従事し、幅広いヘルスケア業界の知見を蓄積。2015年2月より株式会社メドレーの代表取締役医師に就任。オンライン病気事典「MEDLEY」やオンライン診療アプリ「CLINICS」など、医療領域に踏み込んだ患者向けサービスを展開している  Photo by K.Y.
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