03. 2011年7月07日 12:21:18: Pj82T22SRI
国内投資の重要性は、その通りだが、それが行われない現状を
どうするかが重要な課題になっているのだから、そこがなければダメだ
あと一言加えると、対外純資産は、政府が管理しているわけではなく
民間のものだから、企業がシンガポールに本社移転したり、
武富士みたいに、相続人が香港に逃げたら、どうにもならないから
それを頼りに浪費を続ければ、財政は破綻することになる
>>02 第109回 ギリシャ危機と国家主権(1/3)
http://www.gci-klug.jp/mitsuhashi/2011/07/06/013170.php
もっとも、実は上記はギリシャ問題の一部に過ぎず、本質的な問題は他に二つある。一つ目は、大規模な緊縮財政(しかも、GDPの三割規模)をギリシャ政府が実施した場合、同国の経済が更なるどん底に落ち込むことは避けられないという点だ。
ギリシャの雇用環境は、すでにして極めて悪化している。2011年3月時点の数値を見ると、ギリシャの失業率は早くもスペイン、リトアニア、ラトビアに次ぐ数値に跳ね上がっているのだ。
ところで、図109−1は季節調整済みの数値である。季節調整前の数値を見ると、ギリシャの失業率は2011年3月時点で16.2%にも達している。バルト諸国とほぼ同水準にまで、雇用環境が悪化しているわけだ。
【図109−1 ユーロ主要国及び日米英の失業率(2011年5月時点) 単位:%】
http://www.gci-klug.jp/mitsuhashi/20110706_01.png
出典:ユーロスタット
失業率が15%を上回っているギリシャにおいて、GDPの三割規模という極端な緊縮財政を実施する。さらに、ギリシャはご存知の通り公務員の数が多く、 しかも巨大な労働組合を形成している。公務員労組と民間最大の労組の二つが指示するだけで、何と労働人口の半分が動いてしまうのだ。
今後のギリシャは、ただでさえ高い失業率が緊縮財政により悪化する中、各労組がデモやゼネラルストライキを繰り返し、GDPが収縮していく可能性 が極めて濃厚だ。GDPが縮小すると、政府の負債残高対GDP比率が悪化する。すなわち財政が悪化するため、ギリシャ政府は益々緊縮財政を強いられること になり、怒り狂った国民が例により暴動を起こし、長期間に渡り国内の混乱が続くことになるだろう。
ギリシャ国内の混乱は、同国の主力産業である観光業に悪影響を及ぼす。何しろ、ギリシャでは観光業が国内総生産(GDP)に占める割合が、17%を上回る。この水準は、欧州小国の平均の二倍以上だ。
緊縮財政により国内経済が縮小し、雇用が悪化し、政府の負債残高対GDP比率が悪化(=財政悪化)する状態で、果たしてパパンドレウ首相はいつま で政権を維持することができるだろうか。ギリシャのこれまでのパターンで言えば、大規模な反政府デモンストレーションやゼネストの頻発により、政権が倒 れ、EUやIMFが融資不可能になってしまう可能性も決して低くはない。
(2/3の続き)
そして、今回のギリシャの危機の最大の問題、あるいは最大の教訓は、「政府が対外負債を返済できなくなった国は、主権を奪われてしまう」 ことが、どうやら現在の世界で常態化したという点である。
ユーロ圏財務相会合のユンケル議長は、支援決定時にギリシャに対し、「国際支援が主権の制限と雇用の喪失をもたらすことを覚悟するように」 と、怖いことを言っている。金を貸す側であるEUの議長が、金を借りる相手に対し「主権を制限する」と明言しているわけだ。
ギリシャ側からしてみれば、「事前に言ってくれ」という感じであろう。さらに、ユンケル議長は、今回のEUやIMFの支援がギリシャに極めて不愉快な結果をもたらすと発言し、「ギリシャの主権は大幅に制限されるだろう」 と、断言した。「主権の制限」とは、要するに主権の侵害であり、軽々しく口にしていい言葉だとは思えない。本来的な話を言えば、ギリシャの主権を持つの は、ただギリシャ国民のみである。ところが、金融がグローバル化された世界においては、政府の対外負債の状況如何により、国際機関の議長が「債務国の主権 は侵害される」と堂々と言ってのけても構わない時代に突入したということである。
主権の侵害とは何かといえば、その国の運命をその国の国民が決められないという話だ。ギリシャで言えば、ギリシャ国民はすでに自国の運命を自ら決することができなくなっているのである。ユンケル議長の「主権制限宣言」以前に、EUやIMFなどから、「追加的な緊急融資をして欲しければ、緊縮財政を国会で可決せよ」 と指示され、パパンドレウ政権が提出した緊縮財政案を、ギリシャ国会が可決した時点で、すでに同国の主権は侵害されているわけだ。本来、ギリシャが緊縮 財政を実施するかどうかを決めるのは、ギリシャ国民の権利である。ところが、現実には債権者側の「要請」により、同国は国民を痛めつける緊縮財政を国会で 可決せざるを得なかったのである。(世界は広いもので、別に政府の対外負債があるわけではないにも関わらず、マスコミや評論家や政治家が喜んで緊縮財政を 推進しようとする、マゾヒスティックな国もあるわけだが)
国際金融市場あるいは「グローバル金融」が幅をきかす世界においては、政府の対外負債の問題は、最終的には「主権」の問題に行き着くわけである。世界最大の対外純資産国である日本にとっては、縁のない話ではあるが。
ところで、筆者は別に、政府が外国からお金を借りることを全否定するわけではない。日本にしても、戦後は世界銀行からの借款により、東海道新幹線 や東名高速道路を建設した。政府が「外国から借りたお金」でインフラを整備し、その上で企業が事業活動を行い、世界銀行の借款を返済していったわけだ。
ところが、ギリシャ政府のお金の使い道は異なる。同国は、国内の供給能力を高めるための「投資」ではなく、主に公務員給与や年金などの所得移転系 (公務員給与は、一応、GDPにカウントされるが)の支出を賄うために、外国からお金を借り続けた。これはさすがに、問題といわざるを得ない。公務員給与 や年金をどれだけ政府が支払ったところで、国内の投資に回らなければ、潜在GDP(本来の供給能力)は伸びない。当然ながら、付加価値の源泉たる国富も増 えない。
結果、貿易赤字と貯蓄不足が常態化し、政府は不足する歳入を補うために外国からお金を借り続けなければならなくなる。最終的には、現在のギリシャのように、「主権が大幅に制限されるだろう」 に行き着いてしまうわけだ。
すなわち、日本の採るべき道は、「国の借金で破綻する〜っ!」 などと、存在しない幽霊に怯えるのではなく、国内の供給能力を維持し、あるいは高めるための投資にお金をつぎ込むことなのである。すなわち、経済成長だ。
日本が成長を続ける限り、ギリシャのような事態に陥ることは未来永劫有り得ない。しかし、「国の借金で破綻する」などと誤った認識の下で投資を忌避し、国民経済が縮小を続けていけば、いずれは溜め込んだ対外純資産が尽き、主権が侵害される日が来るかも知れない。
日本が「国の借金」とやらで破綻することは有り得ない。しかし「国の借金」という幻想に怯え、必要な投資を怠った場合には、破綻する可能性があるのである。
http://www.asyura2.com/11/hasan72/msg/324.html#c3
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