★阿修羅♪ > うまき gqSC3IKr > 100010
 
g検索 gqSC3IKr   g検索 ufjzQf6660gRM
 前へ
うまき gqSC3IKr コメント履歴 No: 100010
http://www.asyura2.com/acpn/g/gq/gqs/gqSC3IKr/100010.html
[経世済民130] 2020年はリセッションについて考える年ではない−JPモルガン 新興国市場の回復にだまされるな 債券下落 米債安株高円安
2020年はリセッションについて考える年ではない−JPモルガン
Joanna Ossinger
2019年2月4日 12:42 JST
• FOMC姿勢転換で投資サイクルのタイミング見直し必要も
• 投資家は当面リセッション懸念に動かされるべきではない

Photographer: Scott Eells / Bloomberg
米連邦公開市場委員会(FOMC)の姿勢転換は、投資家が投資サイクルのタイミングを見直すべきであることを意味している可能性があると、JPモルガン・チェースが指摘した。それは投資家が当面はリセッション(景気後退)懸念に動かされるべきではないことを意味するという。
  FOMCは先週、少なくともしばらくの間利上げを停止し、保有債券の縮小については柔軟に対応するとの考えを示唆した。
  米金融当局のスタンス調整を受け、JPモルガンは従来示していた見解の変更が必要になる可能性があると指摘。同行は以前、投資家は「2020年の持続的な課題」に備えるため、19年後半に中立ポジションに完全移行し、ディフェンシブな姿勢に傾斜することを検討すべきだとの見方を示していた。
  「米金融当局の完全雇用に対する懸念が後退し、インフレのオーバーシュートへの寛容度が高まり、景気抑制的な政策への到達意欲が低下しているのなら、20年はリセッションについて考える年ではないかもしれない。そのため、19年の遅い時期と20年の早い時期にクロスアセットでディフェンシブなポジションを取るのは時期尚早だろう」とジョン・ノーマンド氏率いるストラテジストが1日付リポートで指摘した。

原題:JPMorgan Says 2020 ‘Might Not Be Year to Think About Recession’(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-04/PMDSOK6S972801?srnd=cojp-v2

 

新興国市場の回復にだまされるな−アセットマネジメントOne
Yumi Teso
2019年2月4日 14:05 JST
上昇が続くと考えてよいのは3つの条件を満たす国の資産のみ
インドネシアやブラジルが当てはまる−松本聡氏
「辛抱強い」米金融当局が後押ししている新興国資産の回復が2019年いっぱい続くとは信じないほうがいい。アセットマンジメントOneのファンドマネジャー、松本聡氏がこうアドバイスする。同氏は米中貿易摩擦の中でまず中国、続いて米国が減速し、新興市場資産の重しになるとみている。

  新興市場株は1月、2016年3月以来で最良の月間パフォーマンスとなり、通貨も1年ぶりの月間上昇率を記録したが、その中で上昇が続くと考えてよいのは堅調な成長と緩やかなインフレ、大きな政治リスクがないという3つの条件を満たす国の資産のみだと同氏は指摘した。インドネシアやブラジルが当てはまるという。 

Is Recovery Continuing in 2019?
  松本氏は電話インタビューで、「今年の新興国投資については良いところとそうでないところを見極めないといけないと思う」とし、米金融当局が予想よりハト派的だったことで最近の新興市場資産値上がりが想定よりも長続きする可能性があるものの、17年のようなゴルディロックス(適温)環境にはならないと見方を示した。「雰囲気は去年より良くなっている」と思われるが、「どんどんオーバーウエートしているような状態ではないだろう」と語った。

  同氏のファンドはブラジルとインドネシアの債券と通貨をオーバーウエートとする一方、中国経済減速の影響が大きい南アフリカ共和国はアンダーウエートにしているという。

原題:Don’t Be Fooled by Emerging-Market Comeback Says This Japan Fund(抜粋)

日本株は上昇、米景気堅調や円安−機械や医薬品など内外需とも高い
長谷川敏郎
2019年2月4日 7:42 JST 更新日時 2019年2月4日 15:19 JST
米非農業雇用者数は大幅に増加、ISM製造業指数は予想外の改善
米10年債利回りは2.68%に上昇、ドル・円は1ドル=109円70銭台
4日の東京株式相場は上昇。米国の堅調な雇用や生産動向、長期金利上昇や為替の円安から業績懸念が和らぎ、機械や鉄鋼など素材、医薬品、銀行など金融中心に東証33業種中32業種が高い。

TOPIXの終値は前営業日比16.70ポイント(1.1%)高の1581.33と反発
日経平均株価は同95円38銭(0.5%)高の2万0883円77銭と3日続伸
  1月の米雇用統計では非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)が前月比30万4000人増と、ほぼ1年ぶりの大幅な伸びとなった。米供給管理協会(ISM)製造業総合景況指数は56.6と予想外に改善した。1日の米10年債利回りは2.68%と5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇。

  BNYメロン・アセット・マネジメント・ジャパンの王子田賢史日本株式運用部長は「雇用統計などからみて米景気自体は悪くない。日本株は米国株に比べると戻りが鈍く、全体底上げの中で景気敏感業種中心に資金が戻っている」と語った。国内決算は「悪くて売られる銘柄もあるが、下方修正をしても出尽くしで上がるというリズムが優勢になっている」と指摘した。

  きょうのドル・円相場は一時1ドル=109円79銭と、前週末の日本株終値時点の108円90銭から円安に振れた。岡三オンライン証券の伊藤嘉洋チーフストラテジストは「景況感を反映して米金利はしばらく上昇する可能性がある。日銀短観の今期想定レートである1ドル=109円41銭水準まで進んだ円安が安心感につながっている」と述べた。

4日は反発
東証33業種では石油・石炭製品、鉄鋼、証券・商品先物取引、保険、ガラス・土石、機械、医薬品が上昇
海運のみ下落
決算銘柄ではキーエンスや日立製作所、ガンホー・オンライン・エンターテイメントが高く、ソニーやホンダは安い
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE
関連ニュース
日本株は上昇、米景気堅調や円安−機械や医薬品など内外需とも高い
ソニー株が3年超ぶり下落率、画像センサー減速で下方修正
パナソニックが営業利益を下方修正、テスラと提携の車載電池不振
華為技術の研究所をFBIが家宅捜索、中国企業を標的とした大作戦
米ミネアポリス連銀総裁:パウエル議長は様子見姿勢に転じつつある
パナソニックが営業利益を下方修正、テスラと提携の車載電池不振
古川有希
2019年2月4日 16:39 JST 更新日時 2019年2月4日 18:37 JST
営業利益予想は従来比400億円減少、市場予想下回る
北米車載電池工場の生産期ずれにより部門売上高は730億円の減額
パナソニックは今期(2019年3月期)の営業利益計画を下方修正した。米電気自動車(EV)メーカー、テスラと提携する車載電池が不振だった。修正後の営業利益は市場予想を下回る。

通期計画
売上高予想8.1兆円、従来予想8.3兆円、市場予想8.3兆円
営業利益予想3850億円、従来予想4250億円、市場予想4187.1億円
純利益予想を2500億円に据え置き、市場予想2504.9億円
  発表によると、セグメント別で売上高と営業利益の下方修正額が最も大きかったのは車載電池を取り扱うオートモーティブ&インダストリアルシステムズ。10月と比較し、売上高で850億円減、営業利益で360億円減となった。

  同セグメントのうち、車載電池を手掛けるエナジー事業の売上高は、北米車載電池工場の生産期ずれや生産ロスの改善の遅れにより、730億円の下方修正となった。固定費削減や法務関連費用見直しにより、営業利益は20億円の下方修正。

  全体の営業利益計画は、退職給付に関連する負債の見直しにより約830億円の収益を1−3月期に計上する関係でかさ上げされている。

  会見した梅田博和最高財務責任者(CFO)は、米電池工場の35ギガワット時の年間生産能力を確立するのは19年3月を目標とし、来年10−12月期以降にフル操業が実現すると説明した。テスラ関連事業の業況については、「第2四半期から良化している」との認識を示した。

Inside The Panasonic Corp. Technics Factory
パナソニックは営業利益計画を下方修正Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
オートモーティブ&インダストリアルシステムズの各部門の売上高と営業利益
売上高 修正額 営業利益 修正額
オートモーティブ 9727 ▲90 44 ▲230
エナジー 7150 ▲730 201 ▲20
インダストリアル 9391 ▲200 358 ▲130
(単位:億円)

(梅田博和CFOの会見内容を追記します.)


華為技術の研究所をFBIが家宅捜索、中国企業を標的とした大作戦
Erik Schatzker
2019年2月4日 18:13 JST
ミラージュ・ダイヤモンド・ガラスは壊れないスマホの革新的技術
華為の研究所から破損して返却−企業秘密窃取図った疑惑
4インチ(10センチ強)四方で両面とも透明なそのサンプルは、普通のガラスのように見える。検査のために華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)が所有する米サンディエゴの研究所に送られた際、貴重な標本のように厳重に梱包されていたと、発明者のアダム・カーン氏は確信している。それが昨年8月に送り返されてくると、ひどく破損していた。カーン氏は絶対におかしいと思った。中国の通信機器メーカーの華為は自分の技術を盗もうとしていたのだろうか。

  このサンプルは、カーン氏の会社であるアカーン・セミコンダクターが、ほぼ絶対に破損しないスマートフォン画面用として開発したものだった。ガラスの片面を極めて薄い人口ダイヤモンドの膜で覆うというアイデアで、同氏はこの技術を携帯電話メーカーにライセンス供与することを期待している。アカーン社によると、同製品「ミラージュ・ダイヤモンド・ガラス」は現在の業界標準であるコーニングの「ゴリラガラス」の6倍の強度を持ち10倍傷が付きにくい。「軽くて薄い、速くて強い」とカーン氏はすっかり売り込みモードになって唱えた。ミラージュは「設計を根本的に次段階へと進める」製品だという。

relates to 華為技術の研究所をFBIが家宅捜索、中国企業を標的とした大作戦
アカーン社の米イリノイ州本社にあるミラージュ・ダイヤモンド・ガラスPhotographer: Lyndon French for Bloomberg Businessweek
  発明家の常で、カーン氏は製品を模造されることを非常に警戒していた。それでも、潜在的顧客である華為が、サンプルを受け取ってから怪しい行動を取り始めた時には不意を突かれた。米連邦捜査局(FBI)が自身とアカーンの最高執行責任者(COO)のカール・シャーボフ氏に華為を巡る捜査への参加を求めると、さらに驚いた。FBIは両氏に、ラスベガスで先月開かれたコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)で華為の代表団とミーティングすることを求めた。シャーボフ氏は監視用の機器を装着し、会話を録音した。ブルームバーグ・ビジネスウィークの記者は離れたところから見守っていた。

  この捜査は、最近発表された大陪審による華為起訴とは別件。ブルックリンの連邦検察当局は1月28日、華為と孟晩舟最高財務責任者(CFO)を詐欺と共謀の複数の罪状で起訴した。これとは別に、シアトルの検察は華為を企業秘密窃取と司法妨害で訴追している。レイFBI長官は1月28日の起訴に伴う記者会見で、「これらの件は、華為が米国の法と世界的な商慣行の標準を公然と無視している疑いを白日の下にさらした。今日の起訴は、米国が法に違反し司法を妨害し、あるいは経済的国益を脅かす企業を許さないという警告となるだろう」と語った。華為は無罪を主張している。

  新たな捜査の成果が上がれば、これまでの起訴に加わり、華為の第5世代(5G)移動通信ネットワーク機器が米国や同盟国で採用されるのを阻止しようとする米トランプ政権の取り組みに役立ち得る。米国は華為が国家安全保障への脅威になると考えている。同社が5Gハードウエアやソフトウエアに、検出不能な侵入経路を組み込み、中国政府が米企業や政府の通信を監視してサイバー攻撃を仕掛けることが可能になるなどと懸念している。これについて華為側は、中国企業に打撃を与えるための政治的な見せかけの議論だと主張してきた。

  レイ長官の発表と同日に、米政府は華為のサンディエゴ研究所を家宅捜索した。捜索について公表はされなかったが、捜査の進展について定期的に説明を受けているカーン氏とシャーボフ氏は知っていた。この時点までに捜査側は、華為がアカーンとの契約に違反し米国の輸出制限法にも反したと認めた代表者らの発言の録音に成功していた。

  華為に繰り返しコメントを求めたが応答はない。この記事は華為とアカーン、FBIの間で交わされた電子メールやテキストメッセージなどの文書およびラスベガスでのおとり捜査についての報告、カーン、シャーボフ両氏とのインタビューに基づいている。ビジネスウィークは調査の詳細をニューヨーク州東部地区の連邦検察当局と共有しているが、同当局とFBIはコメントを控えた。

relates to 華為技術の研究所をFBIが家宅捜索、中国企業を標的とした大作戦
アカーン創業者でCEOのアダム・カーン氏Photographer: Ulysses Ortega for Bloomberg Businessweek
  カーン氏は当初、自社の件に関して当局が華為を起訴するか誰かを逮捕するまでは、おとり捜査の詳細を公表しないようビジネスウィークに求めていたが、自社の立場などを考え事件およびFBIへの協力について公にすることにした。FBIが華為の研究施設を捜索した1月28日の夕方、カーン氏とシャーボフ氏は電話で説明を受けるとともに、華為とこれ以上の接触を持たないように指示された。

  捜査の結果がどうなるかまだ分からないが、まだ収入もないシカゴの小さな企業であるアカーンに本当に中国から手が伸びていたとすれば、米企業の秘密を盗むために華為がどれほど大きな網を広げていたかが鮮明になる。一方、米検察が起訴に持ち込むには不十分、あるいは小さ過ぎると判断すれば、中国企業の不正行為を暴こうとする米国側の必死ぶりが浮き彫りになる例と言えるだろう。

relates to 華為技術の研究所をFBIが家宅捜索、中国企業を標的とした大作戦
アカーンのシャーボフCOOPhotographer: Lyndon French for Bloomberg Businessweek
relates to 華為技術の研究所をFBIが家宅捜索、中国企業を標的とした大作戦
ミラージュ・ダイヤモンド・ガラスのパッケージPhotographer: Lyndon French for Bloomberg Businessweek

原題:Huawei Sting Offers Rare Glimpse of U.S. Targeting Chinese Giant(抜粋)


債券下落、米雇用者増受けた米債安や株高・円安で−オペ結果は無難
野沢茂樹
2019年2月4日 7:59 JST 更新日時 2019年2月4日 15:57 JST
債券相場は下落。米雇用者数の堅調な伸びや米中貿易協議の進展の兆しを受けて米長期金利が上昇した流れを引き継ぎ、売りが先行した。日本銀行が国債買い入れを減額しなかったことを受けて下げ幅を縮めたが、午後には株高・円安や10年債入札を翌日に控えた売りでじり安の展開となった。

新発10年物353回債利回りは、日本相互証券の前週末午後3時の参照値より1ベーシスポイント(bp)高いマイナス0.015%で開始。一時マイナス0.02%に戻した後、再びマイナス0.015%
長期国債先物3月物の終値は前週末比16銭安の152円73銭。日銀オペの減額見送りを受けて152円82銭まで下げ幅を縮める場面も
市場関係者の見方
メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジスト
堅調な米雇用統計などが多少の債券売り材料になったが、需給環境が相変わらず良いので、金利は海外ほどは上がらない
米中の貿易交渉や国内需給の引き締まり、年度末に向けた投資家の買いなどが意識され、金利上昇時には押し目買いが入りやすい
10年債入札をあすに控え、マイナス利回りとあって高値警戒感があるが、結局は無難に消化されるのではないか
国債買い入れオペ
残存1年超3年以下、3年超5年以下、10年超25年以下、25年超が対象−金額は3500億円、4000億円、2000億円、500億円といずれも据え置き
野村証券の中島武信シニア金利ストラテジスト
オペ結果は中期、超長期とも無難
米金利上昇と今週2回の国債入札は円金利の上昇要因だが、日銀国債買い入れ継続と海外勢からみた投資妙味が支えに
備考:国債買い切りオペの結果一覧
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.170% -0.170% -0.015% 0.415% 0.605% 0.690%
前日比 +1.0bp +1.0bp +1.0bp +0.5bp +1.0bp +0.5bp

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-03/PM88OH6JTSED01

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/840.html

[経世済民130] 「ドル禍災」が米企業業績に寒風、春に悪化も−雪解けの保証なし ソニー株が3年超ぶり下落率、画像センサー減速で下方修正 
「ドル禍災」が米企業業績に寒風、春に悪化も−雪解けの保証なし
Misyrlena Egkolfopoulou、Liz Capo McCormick、Cecile Daurat
2019年2月4日 14:11 JST
為替相場変動がファイザーやJ&J、マクドナルドの業績に重し
ドルが上昇すれば米国製品の競争力も一晩で変わる−ポールセン氏
Trading On The Floor Of The NYSE As Fed Releases Rate Decision
Photographer: Michael Nagle/Bloomberg
失望を誘う四半期決算の要因をリストアップする際、災いの元凶として悪天候と為替相場変動という2つの要因を頼りにすることは多い。

  記録的寒波が元凶だとどれほど指摘されるかは、今四半期が終わるのを待たねばならないが、為替相場変動は昨年10−12月(第4四半期)の米企業決算の多くで災いを生み出す禍とされつつある。ICEドル指数は2018年2月の安値から11月の高値まで10%強上昇し、同四半期の平均値は前年同期比で3%高かった。これを「ドル禍災」と呼ぼう。米国の大半を先週襲った寒波とは違い、この災いは春になって雪解けする保証はない。

  ルートホールド・ウィーデン・キャピタル・マネジメントの最高投資ストラテジスト、ジム・ポールセン氏は為替相場について、「素早く大きな動きだ。経済に影響するまでに常にタイムラグが生じる」と述べ、「ドルが上昇すれば、米国製品の競争力も一晩で変わる」と指摘した。

  この痛手は米企業に一様に広がるわけではなく、輸入に頼る消費関連企業にとってドル高は海外での購買力が増すため朗報だ。しかし、貿易摩擦や米金融引き締め、中国経済の先行き懸念の中で大手米企業の多くが直面する難題をドル高は浮き彫りにする。クレディ・スイス・グループの米国株担当チーフストラテジスト、ジョナサン・ゴラブ氏によると、ドル相場が7−8%変動するごとに米企業利益は逆方向に1%動くという。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのリチャード・ラカイユ最高投資責任者が新興国市場や欧州、米国の株式についてコメント

(出典:ブルームバーグ)
  売上高の半分以上を北米以外で計上しているIBMでは、第4四半期売上高への打撃が従来予想より1億5000万ドル多い5億ドルに上った。ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は収益のほぼ半分を米国外市場に依存しており、同期間の為替相場変動で海外部門の成長がほぼ帳消しになった。ユナイテッド・テクノロジーズも同四半期に為替レートが逆風になったと明らかにしている。

  ファイザーやダウ・デュポン、マクドナルドも既に、ドル高が2019年に与える影響、特に年前半のインパクトについて警告している。

Strong Dollar
The yen is the only major currency that gained against the dollar in 2018


Bloomberg

原題:Dollar Vortex Puts Chill on Earnings That May Worsen in Spring(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-04/PMDSR86S972A01?srnd=cojp-v2


 

ソニー株が3年超ぶり下落率、画像センサー減速で下方修正
古川有希
2019年2月4日 9:14 JST 更新日時 2019年2月4日 15:07 JST
終値は同8.1%安の5055円と15年9月29日以来の下落率
半導体事業の見通しを減額、スマートフォン市場の悪化を踏まえる
Sony's Super-Fast Mirrorless Cameras are Winning Over the Pros
Photographer: Akio Kon/Bloomberg
ソニー株が大幅反落。1日発表の決算では、主力の画像センサーの減速などを理由に今期(2019年3月期)の連結売上高計画を下方修正した。

  4日のソニーの株価は売り気配で始まり、一時前営業日比8.9%安の5011円まで下落。終値は同8.1%安の5055円と15年9月29日以来の下落率となった。

  SMBC日興証券の桂竜輔アナリストはリポートで、2018年10ー12月期にモバイルや金融、半導体などが減益となったのは「想定以上のモメンタム減」だと指摘。マッコーリーキャピタル証券のアナリスト、ダミアン・トン氏はリスクの高まりなどを理由に、投資判断を「アウトパフォーム」から「中立」に引き下げた。野村証券やゴールドマン・サックス証券は目標株価を引き下げた。

業績予想
売上高予想8.5兆円、従来予想8.7兆円、市場予想8.79兆円
営業利益予想を8700億円に据え置き、市場予想8928.3億円
純利益予想8350億円、従来予想7050億円、市場予想6886.9億円
 
  1日の発表によると、営業利益計画については変更はない。今期の純利益計画は米国での繰延税金資産に対する評価性引当金を取り崩し、法人税の減額を計上したため、上方修正された。年間配当予想は前期実績から7円50銭増やし、1株当たり35円と前期に引き続き増配する。

  半導体の売上高と営業利益見通しは10月時点から減額された。モバイル機器向けや工場自動化、監視カメラ向けの画像センサーの販売数量見込みの下方修正が要因。米中貿易摩擦が長期化し、米アップルのiPhone(アイフォーン)の販売が低迷するなどリスク要因が浮上していた。

  会見した十時裕樹最高財務責任者(CFO)は、「下方修正はスマートフォン市場の環境悪化を踏まえた」とした上で、高品質の画像センサーの需要が伸びるという見方や生産能力を最大化する方向性に変更はないと述べた。ただし、設備投資の時期については「今後の需要動向を見極めながら柔軟に見直す」としている。

Sony Products and HQ as Tech Giant Reports Results Amid A Busy Week For Earnings
ソニーは売上高計画を下方修正Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
主なセグメント別業績見通しの修正
2月時点見通し 10月時点比
半導体 8700    △400
1300    △100
金融 11800    △900
1600    △100
(上段が売上高、下段が営業利益。単位:億円)

  金融分野もソニー生命保険の特別勘定の運用損益が悪化し、下方修正した。プレイステーション(PS)4が好調のゲーム & ネットワークサービス分野の見通しに変更はない。

  10−12月期の営業利益は市場予想を上回った。ただゲーム&ネットワークサービス分野は、PS4本体の販売数減少や年末商戦時の割引価格での販売によって、前年同期と比較して123億円の減益となった。音楽部門は著作権管理のEMIの連結子会社化による再評価益を計上し、同1078億円増加した。

  モルガン・スタンレーMUFG証券の小野雅弘アナリストはリポートで、第3四半期の「ゲーム分野の2桁減益は市場の想定外だった」との見方を示している。

  十時CFOは事業環境について、「昨年後半からマクロ経済、地政学などさまざまなリスクが顕在化し今後も楽観できない」と分析。「各事業へは環境変化の兆候に対する感度を上げるとともに、リスクへの備えを怠らないことをCFOとして要請している」と言う。

10−12月期
売上高2.4兆円、市場予想2.69兆円
営業利益3769.9億円、市場予想3652.6億円
純利益4289.6億円、市場予想2416.7億円
 

(株価終値を追加しました.)
ソニー株が3年超ぶり下落率、画像センサー減速で下方修正
古川有希
2019年2月4日 9:14 JST 更新日時 2019年2月4日 15:07 JST
• 終値は同8.1%安の5055円と15年9月29日以来の下落率
• 半導体事業の見通しを減額、スマートフォン市場の悪化を踏まえる

Photographer: Akio Kon/Bloomberg
ソニー株が大幅反落。1日発表の決算では、主力の画像センサーの減速などを理由に今期(2019年3月期)の連結売上高計画を下方修正した。
  4日のソニーの株価は売り気配で始まり、一時前営業日比8.9%安の5011円まで下落。終値は同8.1%安の5055円と15年9月29日以来の下落率となった。
  SMBC日興証券の桂竜輔アナリストはリポートで、2018年10ー12月期にモバイルや金融、半導体などが減益となったのは「想定以上のモメンタム減」だと指摘。マッコーリーキャピタル証券のアナリスト、ダミアン・トン氏はリスクの高まりなどを理由に、投資判断を「アウトパフォーム」から「中立」に引き下げた。野村証券やゴールドマン・サックス証券は目標株価を引き下げた。
業績予想
• 売上高予想8.5兆円、従来予想8.7兆円、市場予想8.79兆円
• 営業利益予想を8700億円に据え置き、市場予想8928.3億円
• 純利益予想8350億円、従来予想7050億円、市場予想6886.9億円
 
  1日の発表によると、営業利益計画については変更はない。今期の純利益計画は米国での繰延税金資産に対する評価性引当金を取り崩し、法人税の減額を計上したため、上方修正された。年間配当予想は前期実績から7円50銭増やし、1株当たり35円と前期に引き続き増配する。
  半導体の売上高と営業利益見通しは10月時点から減額された。モバイル機器向けや工場自動化、監視カメラ向けの画像センサーの販売数量見込みの下方修正が要因。米中貿易摩擦が長期化し、米アップルのiPhone(アイフォーン)の販売が低迷するなどリスク要因が浮上していた。
  会見した十時裕樹最高財務責任者(CFO)は、「下方修正はスマートフォン市場の環境悪化を踏まえた」とした上で、高品質の画像センサーの需要が伸びるという見方や生産能力を最大化する方向性に変更はないと述べた。ただし、設備投資の時期については「今後の需要動向を見極めながら柔軟に見直す」としている。

ソニーは売上高計画を下方修正
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
主なセグメント別業績見通しの修正
2月時点見通し 10月時点比
半導体 8700    △400
1300    △100
金融 11800    △900
1600    △100
(上段が売上高、下段が営業利益。単位:億円)
  金融分野もソニー生命保険の特別勘定の運用損益が悪化し、下方修正した。プレイステーション(PS)4が好調のゲーム & ネットワークサービス分野の見通しに変更はない。
  10−12月期の営業利益は市場予想を上回った。ただゲーム&ネットワークサービス分野は、PS4本体の販売数減少や年末商戦時の割引価格での販売によって、前年同期と比較して123億円の減益となった。音楽部門は著作権管理のEMIの連結子会社化による再評価益を計上し、同1078億円増加した。
  モルガン・スタンレーMUFG証券の小野雅弘アナリストはリポートで、第3四半期の「ゲーム分野の2桁減益は市場の想定外だった」との見方を示している。
  十時CFOは事業環境について、「昨年後半からマクロ経済、地政学などさまざまなリスクが顕在化し今後も楽観できない」と分析。「各事業へは環境変化の兆候に対する感度を上げるとともに、リスクへの備えを怠らないことをCFOとして要請している」と言う。
10−12月期
• 売上高2.4兆円、市場予想2.69兆円
• 営業利益3769.9億円、市場予想3652.6億円
• 純利益4289.6億円、市場予想2416.7億円
 
(株価終値を追加しました.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-04/PMDIFL6S972801


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/841.html

[政治・選挙・NHK257] 米ロのINF条約離脱が揺さぶる日本の「非核三原則」 
米ロのINF条約離脱が揺さぶる日本の「非核三原則」

森 永輔
日経ビジネス副編集長
2019年2月4日
1 88%

印刷
クリップ
全2512文字
 米国が2月1日、中距離核戦力(INF)廃棄条約が課す義務の履行を2月2日以降停止すると表明した。米政府はロシアが2017年に実戦配備した地上発射型巡航ミサイル「SSC8」が同条約に違反していると主張。「過去6年の間に30回の協議をしてきたが成果は上がらなかった」(米政府)と非難した。これを追ってロシアも同2日、同条約の義務履行を停止する意向を明らかにした。ロシアは米国の主張を否定するとともに、米国が欧州に配備するミサイル防衛システムこそ同条約違反と応酬していた。


トランプ米大統領(左)とロシアのプーチン大統領(右)。中距離核戦力の扱いをめぐって、米ロは対立しているのか、思惑を同じくしているのか。(写真:ロイター/アフロ)
 INF廃棄条約は、米国とソ連(当時)が1987年に締結した史上初の核軍縮条約。射程500〜5500km(中距離)の陸上配備型弾道ミサイルおよび同巡航ミサイルを廃棄、開発・保有しないと取り決めた。

 米ロの一連の動きには注目すべき点が3つある。第1は、米ロが互いを責め合っているように見えるが、実は、同条約が失効することに共通の利益を見いだしていること。第2は、同条約から離脱することで、米国が東アジアにおける軍事力の“不均衡”を解消できるようになること。第3は、第2の“不均衡”解消が、日本にメリットとデメリットをもたらすことだ。

INF廃棄条約の破棄、「言い出しっぺ」はロシア
 第1に挙げた米ロ共通の利益は、両国がそれぞれ抱える周辺国との軍事的“不均衡”を解消できるようになることだ。英国王立防衛安全保障研究所アジア本部(RUSI Japan)所長を務める秋元千明氏は「冷戦時代に結ばれたINF条約は現代の戦略環境に適したものではなく、むしろ安全保障の足かせになっているというのが米ロ双方の一致した見解」と指摘する。

 ロシアの周辺では中距離ミサイルを配備する国が増大している。イエメン、イスラエル、イラン、インド、韓国、北朝鮮、サウジアラビア、シリア、中国、パキスタンなどだ。このうちイスラエル、インド、中国は核保有国でもある。ロシアはこれらの国との間で、中距離核戦力における均衡状態を回復したいところだが、INF廃棄条約のため果たせずにいる。

 一方の米国も東アジア地域において、多数の中距離ミサイルを保有する中国、および北朝鮮との間に中距離核戦力における不均衡を抱える。この点は第2の注目点として後述する。

 実は、INF廃棄条約を破棄する可能性を先に示唆したのは、上記の国々に囲まれたロシアだった。ウラジーミル・プーチン大統領は07年10月に米国務長官および国防長官と会談した際、「条約の枠組み内にとどまることは難しい」「米ロ2国間の条約を世界的な条約に拡大すべきだと考える」と発言している。

次ページ米国は東アジアにおける戦力の均衡を図る

米国は東アジアにおける戦力の均衡を図る
 米国は東アジアにおける中距離核戦力の不均衡を懸念している。それをもたらしているのは中国と北朝鮮だ。中国は「A2AD」と呼ぶ対米軍事戦略の一環として、大量のミサイルを配備している。米国のハリー・ハリス太平洋軍司令官(当時)は17年4月、「中国人民解放軍は2000発を超える弾道ミサイルと巡航ミサイルを保有している。このうち95%は、中国がINF廃棄条約の締結国であれば、違反に当たるものだ」と指摘した。さらに、これらのミサイルの一部は通常の弾頭だけでなく核弾頭も搭載できる。

 米国は現在、中国のこのミサイル群に直接対抗する中距離ミサイルを保有していない。仮にINF廃棄条約が失効すれば、米国は東アジアに中距離核戦力を配備し「中国がミサイルを発射したら米国は核兵器で報復する、と示すことで抑止が可能になる」(拓殖大学の川上高司教授)。

 北朝鮮が開発を進める中距離核戦力(日本を射程に収める)に対しても、米国は直接対抗する手段を保有していない。RUSI Japanの秋元氏は「北朝鮮の核ミサイルの開発をこのまま容認すれば、近い将来、北朝鮮が保有する核に対して、同じような地域配備の核抑止力を東アジアにも配備すべきだという意見が強まるだろう」と見る。

在日米軍基地に中距離核戦力配備が配備される……
 米国が東アジアに中距離核戦力を配備するとして、どこを選ぶのか。川上教授は「米国は、在日米軍基地に中距離核を配備できるよう日本に求める可能性が浮上する」と指摘する。

 米国はすでに、潜水艦や戦略爆撃機に核兵器を搭載して東アジアに派遣する体制を整えているが、どこに核兵器を配備しているかは明らかにしない方針。これに対して、日本の陸上に配備すれば、北朝鮮や中国に対して抑止力を明示的に示すことができる。

 ただし、もしそうなれば、日本には大きなメリットとデメリットが生じる。

 まずデメリットについて。その一つは「非核三原則」を見直す必要に迫られることだ。

 非核三原則は「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」との3項からなる。米国による在日米軍基地への中距離核戦力配備は、「持ち込ませず」と整合しない。同三原則の改定について国民の理解を求めるのは非常に困難だろう。これは日本の「国是」であり、国民から強く支持されている。憲法9条の改正を上回る政治問題になりかねない。

 加えて、中距離核戦力を配備した基地が、敵国の攻撃目標にされる恐れが生じる。二つ目のデメリットだ。

 一方で、メリットもある。北朝鮮による日米離間を阻止する効果が期待できる。核ミサイルをめぐる米朝協議が続く中、「米国は、米本土を射程に収めるICBM(大陸間弾道ミサイル)の開発を北朝鮮が凍結するならば、核兵器の保有を事実上認めることで交渉を決着させるかもしれない」との懸念が消えない。この取引は、北朝鮮の核の脅威が米本土には及ばないため、「米国第一」を掲げるトランプ政権は受け入れやすいからだ。

 「この時、北朝鮮に中距離弾道ミサイルが残れば、日本に対する核の脅威はなくならない。日本にとって最悪のシナリオだ。米国による核抑止が日本に効かなくなるデカップリングが起こる可能性がある。ただし、米国が、北朝鮮を射程に収める中距離核戦力を日本に配備すれば、北朝鮮による日本への核攻撃を抑止することができる」(川上教授)。

 INF廃棄条約の失効は、日本にとっても我が事になる可能性がある。

1
2
シェア
シェア
URLコピー
クリップ
#ストラテジー
コメント1件
もっと見る


ダサイタマジジィ

平長

何で・・・と思います。
平和ボケ之極まり!
非核三原則は国是でも何でもありません。
佐藤栄作氏が言い出した話ですが法的な拘束力は何処にあるのでしょうか?
当時と今では日本を取り巻く安全保障環境は大きく変わっています。
何時まで左巻き思想に毒されているのですか?
日本は法治国家です。
こういうことを勝手に言い出さないで頂きたい。
2019/02/04 17:18:58返信いいね!

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/020400053/?P=2&mds

 


米のINF離脱、冷戦の始まり意味せず─ロシア外相  米同盟国の日韓で深まる対立、トランプ大統領は傍観者決め込む 
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/388.html


http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/184.html

[経世済民130] 世界の飢餓問題解決に貢献する日本生まれの「麹菌」 山手線と新幹線の最新車両で画期的省エネ技術 労働者と競合するかRPA
世界の飢餓問題解決に貢献する日本生まれの「麹菌」

シリーズ「商いの原点」〜河内源一郎商店グループ(鹿児島県)
2019.2.4(月) 嶋田 淑之
「麹リキッドフィード」を製造する河内源一郎商店のプラント
 酒づくりは、伝統産業と位置付けられており、我々が日頃飲み慣れている芋焼酎も数百年を越える伝統があるように思いがちだ。ところが実際は、明治期以降、とりわけ戦後になってから広く流通するようになったことを知る人は意外に少ない。しかも、それが鹿児島県の一企業の努力によって成し遂げられたことは、なおのこと知られていない。

 そこで今回は、日本の焼酎文化の基礎を築き、さらには畜産業の変革とそれを通じた世界の食糧問題解決にも大きく貢献しようとしている河内源一郎商店グループの山元紀子氏にお話を伺うことにした。

日本の焼酎文化の父、河内源一郎
 河内源一郎商店グループは、鹿児島県霧島市に拠点を置き、河内源一郎商店、錦灘酒造、霧島高原ビール、バレルバレー・プラハ&GEN、源麹研究所など多くの企業群からなる。創業家の山元正博氏・山元紀子氏がグループを牽引しており、紀子氏は、自ら数社の代表取締役を務めつつ、鹿児島県経済界のリーダーの一人として、県の創生にも尽力している。

 河内源一郎商店グループとは、そもそも、どういう存在なのだろうか?

河内源一郎氏
「始まりは明治時代です。当時、鹿児島県では清酒用の黄麹で芋焼酎を製造していました。しかし黄麹で製造すると、焼酎の味が悪く、腐敗しやすいなど品質も安定せず、商品としての流通は困難でした。大蔵省に勤務していた祖父の河内源一郎は、この問題を解決するために研究を重ねました。そして、まず黒麹菌の分離に成功し、さらに、その突然変異でできた白麹菌を発見しました。『河内白麹菌』です。

 この河内白麹菌の発見によって、現代へと続くまろやかで薫り高い焼酎の製造が可能になったと言われています。やがてこの麹菌を本格的に普及するために源一郎は退官します。そして設立したのが河内屋(今の河内源一郎商店)だったのです。

 ただし、祖父が発見した河内白麹菌は、杜氏の力量に左右されやすく、品質にバラツキが出る欠点がありました。そこで、源一郎の娘と結婚した山元政明(2代目会長)は研究を重ね、1961年に自動製麹装置の開発に成功します。これによって焼酎の品質の安定がもたらされ、その後の焼酎ブームのベースとなったのです」

 現在では、全国の焼酎の8割以上が河内白麹菌でつくられ、九州の焼酎の8割が、この河内式自動製麹装置によって製造されている。

焼酎廃液が畜産業を変革
山元紀子氏
 1990年代、日本の焼酎製造業は、大きな環境変化に見舞われる。

「焼酎を1本つくるに際して“焼酎廃液”が2本出ます。廃液の95%は水分で、従来、海中に投棄していました。ところが、『ロンドン条約』(1972)にもとづく『ロンドン議定書』(1996)によって海洋投棄が禁止されてしまったのです」

 多くの企業が焼酎廃液の堆肥化を模索する中、3代目の正博氏は家畜の餌にする研究を開始する。

「主人は種麹菌から麹をつくるときに多量の水が必要であることに着目し、水の代わりに焼酎廃液を用い、繰り返し発酵乾燥させることで麹飼料を開発しました。それが『TOMOKO』です」

麹飼料の「TOMOKO」
 TOMOKOは添加剤であり、鶏(や牛)の餌に添加されている。

 開発に当たったグループ企業「源麹研究所」が実証研究を行ったが、効果は顕著だった。まず、それまで家畜の体重を1kg増やすには通常4kgの餌が必要だったが、TOMOKOを使うと、2〜3kgで済むことがわかった。また、鶏の卵の品質の向上に加え、1回当たり産卵数の増加、産卵可能な期間の長期化、牛の乳の品質向上と搾乳量の増加が認められたのである。

 こうした成果を踏まえ、山元氏は飼料会社と連携して全国への普及を推進している。また、世界各国からも引き合いがあり、現在は、チェコ共和国の首都プラハに現地法人を置いて、ヨーロッパ各地での販売を計画しているところである。

食料廃棄物問題解決に貢献
 2001年5月、『食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律』(通称「食品リサイクル法」)が完全施行された。河内源一郎商店グループとしても、同法に対応することとなったが、そこから生み出されたのが、主として養豚の餌として用いる「麹リキッドフィード」である。

麹リキッドフィード
 政府広報によれば、日本では年間1900万トンの食品廃棄物が出ており、これは世界の7000万人が1年間食べていける量だという。一方、2018年版「世界の食料安全保障と栄養の現状」報告書(国連食糧農業機関発行)によれば、世界の飢餓人口は増加し続けており、2017年には8億2100万人に達したとされている。

 麹リキッドフィードは、食品廃棄物に麹菌を加えてつくった「液状化飼料」である。これを投与することで、畜産の生産性を大幅に向上させ、世界の飢餓問題解決に貢献しようとする。TOMOKO同様、源麹研究所で開発した製品であり、早速、実証実験を行ったところ、効果は目覚ましいものだったという。

「肉質の向上に加え、成長率アップで肥育期間が短縮化されましたし、母豚の産子数が通常の8頭から10〜12頭に増えました。また麹菌が大量につくり出す酵素は消化を促進するため、未消化の餌による腐敗臭がなくなり、排泄物の悪臭が軽減しました。糞を用いた堆肥つくりも完熟までの期間が3〜4カ月から3週間へと短縮されました」

 麹リキッドフィードで育った豚肉の風味はいったいどうなのか? 筆者は角煮をいただいてみた。すると、豚肉特有の臭みがなく、ふわっとした食感でとても食べやすい。山元氏はそんな筆者の様子を見ながら、笑顔でこう語った。

「脂まで食べることができるのですよ」と。

麹菌は世界の飢餓問題の克服に貢献する
 開発当初は配合飼料の製造販売企業の既得権益を損なうことになり軋轢が生じるのではないかと懸念する向きもあったと言われる。

「豚の成育のどの段階で麹リキッドフィードを与えるのが最善かは各養豚農家さんにより判断が異なります。ですので、現在は配合飼料の会社と連携して普及を進めることができています」

 養豚業界からの期待は大きく“世界に通じる画期的技術”との声があがる。実際、東南アジア諸国を中心に海外へのプラント輸出は進んでいる。

 日本など先進諸国における食料大量廃棄問題、そして途上国における飢餓・食糧問題の解決に貢献することが大いに期待される。山元氏は最後に力強く言い切った。「麹菌が世界を救うのです」

◎「シリーズ『商いの原点』」の記事一覧はこちら
http://jbpress.ismedia.jp/search/author/嶋田 淑之
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55358


 
山手線と新幹線の最新車両で画期的省エネ技術
シリコンでない半導体が電力制御に革命、かつては砥石や耐火材
2019.2.4(月) 渡邊 光太郎
N700S型新幹線確認試験車。SiCで作られたパワー半導体をモーターの制御に使用する。(出所:JR東海)
 2018年、JR東海は、新幹線の新世代車両「N700S型」確認試験車の試験走行を始めた。

 半導体と言えばシリコンであるが、N700S型を制御する半導体にはシリコンでない物質も使われている。

 この新半導体物質は炭化ケイ素(SiC)。

 SiCは耐熱性が摂氏1400度と高く、サファイアより硬いという性質のある物質である。これまで、この性質を利用して、研磨剤や耐火材として用いられてきた。

 SiCの単結晶を半導体として用いれば、シリコン以上のパフォーマンスを発揮する物性を持っている。鉄道車両では、SiCを使用数十パーセントに及ぶ省エネ実現例もある。

 半導体物質としてのSiCは、パソコンやスマホなどの電子機器に搭載されるような微細な半導体を作るに至っていない。

 しかし、電力制御を行うパワー半導体の分野では、画期的な省エネを実現するものとして、実用化が進んでいる。

 サーバーの電源などの高級な用途での採用が多いが、馴染みのあるところでは、鉄道車両での採用が広がりつつある。将来的には、ハイブリッド車や家電に採用され、圧倒的な省エネを実現することを期待させる。

かつての半分の電気で走る電車をさらに省エネ
 SiCが目覚しい成果を上げているのは、鉄道車両である。

 現在、山手線では新型電車「E235系」の導入が進んでいる。この新しい電車は、これまでの電車E231系よりも16%の省エネを実現しているという。

山手線の新型電車E235系。SiCのパワー半導体で制御された電車は、メジャーな路線ですでに実用化されている。(出所:総合車両製作所)
 この16%という省エネが目覚しく感じるのは、鉄道車両は、これまでもパワー半導体の利用で大幅な省エネを実現していたからだ。

 パワー半導体が使用される以前の電車と比べると、E231系の段階ですでに電力消費は半分以下になっていた。

 かつて、パワー半導体がない時代はモーターの制御は容易ではなかった。モーターの制御は具体的には電圧を変化させることで行われている。

 しかし、直接電圧を変換する手段は乏しく、電圧を変えるために抵抗器に電気を流して熱として浪費させる非常に効率の悪い方法が長年用いられてきた。

 また、減速時はモーターを発電機として回すことにより、発生する機械的抵抗をブレーキとして利用したが、せっかく発生する電力の再利用は難しかった。

 しかし、パワー半導体の登場により、こうした抵抗器で電気を浪費させる仕組みをやめることがでた。効果が特に大きかったのが、回生ブレーキである。

 発電ブレーキからの電力を、容易に電線より高い電圧にすることができるようになったため、実現した。これで電車は20%程度の省エネを実現した。

 その後も、現在まで数十年かけてパワー半導体を進化させたことで、機器の小型化、低価格化、さらなる省エネを実現してきた。

 結果、パワー半導体を用いたインバーターで加速・減速を制御する電車が主流になった。

 2002年から運転が始められた先代の山手線の電車E231系では、抵抗制御の103系の47%の使用電力で走行できるようになっていた。なお103系はステンレスになる前の全体が緑色の電車である。

 E231系を置き換えるE235系では、SiCによってそこからさらに16%の省エネを実現したのである。

シリコンパワー半導体の進化は限界
 これまで、鉄道車両はパワー半導体の進化によって、制御の仕組みを進化させ省エネをしてきた。もちろん、パワー半導体の発展の恩恵を受けたのは鉄道車両だけではない。

 インバーターが乗用車に載せられるほど小型・低価格になり、ハイブリッド車が実現した。

 かつての巨大な抵抗器が電気ストーブのような発熱をしながら制御しているシステムでは、乗用車に載せるなどあり得なかった。

 家電もインバーターを搭載したことで、状況に応じて適切な速度でモーターを回転させることができるようになり、エアコンや冷蔵庫など使用電力が大きい家電の省エネが実現した。エアコンの温度調節機能などは、その恩恵である。

 しかし、シリコンのパワー半導体はそろそろ進化の限界であると言われるようになってきた。これ以上の高効率化ができなくなってきていたのだ。

 シリコンのパワー半導体では、どうしてもロスをなくせない部分があり、まだ発熱は大きな課題であるほどだ。また、スイッチングの高速化も限界がある。

 一方、これまで省エネを進めてきたので、もう十分ということにはならない。今まで以上に省エネ・環境対応の要請は大きくなっている。

 そこで、シリコンよりも半導体としての特性が高いSiCの登場である。

SiCがもたらす革命的変化
 半導体はスイッチであり、ONの時は電流を流しやすく、OFFの時は電流を流さないようになっていなければならない。

 シリコンでは電圧に弱いので、素子を厚くすることで電圧に耐えるようにしていた。しかし、それでは電気抵抗が大きくなる。

 SiCでは電圧に耐える性質がシリコンの10倍なので、同じ電圧に耐える素子を薄くできる。これで電気抵抗が減るが、さらにシリコンよりも半導体で電気を運ぶ役割を果たす不純物を多くできる。

 電気の流れやすいSiCの素子では、電気抵抗が少ないので省エネになる。しかし、それ以上に効果が大きいのは小型化だ。電気抵抗が少ないということは、発熱も少ない。

 シリコンのインバーターでは、素子が膨大な発熱をするうえ、動作の限界となる温度も低いので、大がかりな冷却システムが必要であり、余裕をもった構造であることが必要だった。

 そのため、素子は手のひらのようなサイズでもインバーターは本棚やベッドのようなサイズになっていた。

 これに対し、SiCを用いたインバーターは冷却装置を大幅に省くことができ、小型化が可能となる。

 例えば、新幹線でSiCを初めて使用したN700S型の試験列車では、走行用モーターを制御するインバーターのサイズをこれまでの半分以下にできた。

シリコンとSiCのインバーターサイズ比較(出所:日立製作所)
 鉄道車両では、走行用の機器の他にエアコンや室内照明の電源、エアブレーキのコンプレッサーなど、様々な機器を搭載し、床下は混んでいる。

 さらに新幹線では、高圧の交流電流を取り込んで走行するため、変圧器も加わり、インバーターには整流器もセットになる。

 そのため、スペースの関係で複数の車両で分担して機器を搭載する必要があり、現行の新幹線では先頭車を除いても6種類の車両が必要であった。

 それが、SiCを用いたため、1両に搭載できる機器が増え、2種類の車両にまとめることができた。予備車両の種類が減るし、編成の組み換えもしやすくなる。運用上のメリットは大きい。

 なお、この新型新幹線のインバーターは、トランジスタとダイオードの双方をSiCにしたものと、ダイオードだけSiCにしたものが混在している。サイズはダイオードだけをSiCにしたものに合わせざるを得ない。

 それでもサイズが半分以下なので、双方をSiCにすればさらに小型化できることになる。

 さらに、インバーターそのものが省エネできること以上に、SiCを使うとモーターや回生ブレーキの効率アップを実現できる。

 パワー半導体は、電気のON・OFFのスイッチングを繰り返すことにより、電力を制御している。このスピードが速い方がよりきめ細かい制御を実現できる。

 インバーターは三相交流を出力して、モーターを制御するが、交流の波形がきれいな方がムダな部分が減る。ON・OFFの切り替えを細かくすればするほど、波形をなめらかにできるからだ。

 シリコンでは、鉄道車両に使用する場合、IGBTという高電圧に耐えるが動作が遅い種類のトランジスタを使用する必要があった。

 一方、SiCでは半導体材料そのものが高い電圧に耐えるため、MOSFETという高速で動作するものを用いることができる。

 また、トランジスタとセットで使用するダイオードもより高速で動作するSBDを用いることができる。その結果、SiCはシリコンよりも高速でスイッチングができる。

 なめらかな波形の三相交流を作り、モーターの消費電力の低下に繋がる。

 回生ブレーキを作動させる場合、電流を高く取るように設計すると高速でも制動力を維持できるが、シリコンではそれが難しかった。そのため、高速時は機械的なブレーキで補助した。

 SiCでは高速でスイッチングする際の電流の限界が高いため、高速時でも高い制動力を発揮させることができる。機械的なブレーキの補助を少なくできるうえ、回生の効率も良くなった。

 こうしたことの積み重ねで、山手線の新型電車E235系は、既に十分に進化してきた現行車両との比較においても16%もの省エネを実現した。

 比較の対象が1980年代末の初期のインバーター制御車の場合では、SiC化により40%もの省エネになった実例がある。

 ハイブリッド車にSiCを用いた試算も行われているが、素子をSiCにするだけで10%の省エネは実現できるとのことだ。

 制御に用いるインバーターの中のパワー半導体を、シリコン製のものからSiC製のものに置き換えるだけで、鉄道車両も、ハイブリッド車も、家電も、デジタル機器も一足飛びの省エネが実現できるのだ。

SiCは普及するか
 インバーターをこれまでの半分以下のサイズにでき、鉄道車両で16〜40%に、ハイブリッド車で10%に達するSiCパワー半導体。

 鉄道車両では採用が進んでいるように見えるが、ハイブリッド車に搭載されるのはしばらく先であるようだ。問題はSiCパワー半導体のコストがまだ高いことだ。

 半導体の材料は、ウエハと呼ばれる円盤状の板で、半導体物質の結晶を輪切りにして作る。

 シリコンでは大口径の結晶を、シリコンを溶融して作ることができ、比較的短時間に低コストで製造できる。

 一方、SiCでは気体から結晶を成長させるため時間がかかる。また、結晶の品質管理も難しい。

 半導体製造ではウエハ1枚を処理するごとにコストがかかるため、ウエハから何個取れるかによってコストが決まる。

 ウエハ大型化することと、不良になるチップを減らすことが低価格化に必須となる。しかし、ここでも課題がある。

 シリコンでは直径30センチのウエハが主流だが、SiCでは直径15センチのものが最新である。

SiCのウエハに作り込まれたパワー半導体。ハイブリッド車への搭載を目指し試作されたもの。シリコンでは銀色であるのに対し、緑色を帯びた褐色をしている。
 さらに、SiCは結晶に欠陥が多く、SiCからトランジスタを作った際、その欠陥のある場所のトランジスタは不良になってしまう。

 また、SiCに素子を作りこんでいく工程は、シリコンよりも高温になる。原理上、SiCの半導体はシリコンよりも高コストにならざるを得ない。

 現状、採用例はある程度コストをかけられるもの、SiC採用のメリットが大きいものに限られる。

 一方で、SiCは同じ面積でシリコンよりも大電流を流せるため、同じ性能の半導体を小さく作れる。

 そうすると1枚のウエハからより多くのチップを作れる。そこで、高コストを取り戻せる可能性がある。

 低コスト化を進めていけば、単位面積当たりの価格でシリコンに追いつくに至らなくても、チップ1個の値段においては、シリコンに追いついていく可能性もないわけではないのだ。

 そうなれば、鉄道車両や高級品向けであったSiCは、ハイブリッド車や身近な製品にも広がることになり、電気の世界の省エネは一気にに加速していくことになる。

 SiCウエハでは米国のクリーが、SiC素子ではドイツのインフィニオン・テクノロジーズの勢力も強い。そのため、日本が圧倒的強者であるわけではない。

 また、海外ではコストが高くてもSiC適用に積極的であるようだ。

 しかし、日本でも昭和電工がSiCウエハで有力であり、ローム、三菱電機、東芝などがSiCデバイスを作る。鉄道車両では述べてきたとおり実用化が進んでいるし、ハイブリッドカーなど自動車への適用の研究も進む。

 SiCによる省エネの拡大では、日本の産業界も活躍していくだろう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55381


労働者と競合するか? RPAがもたらすものとは
RPAは仕事を奪うのか、新しい仕事を生むのか
2019.2.4(月) 松ヶ枝 優佳
RPAの導入によるメリットとは
 政府主導で働き方改革が進められる中、多くの企業が自社の生産性を向上させるため、ICT分野への投資を強化している。中でも、ホワイトカラーの定型業務を自動化する「RPA」は、IoTやAIといった他のICT技術よりも導入の目的や成果が分かりやすいこともあり、急速に普及が進んでいる。

 今回はこのRPAについて、具体的に何をできるようにするものなのか、各業界の導入事例を中心に見ていこう。

いま話題の「RPA」とは
 RPAとは「Robotic Process Automation」の略語で、一言でいえばロボットにホワイトカラーのデスクワーク業務を代行させる取り組みを指す。ロボットといっても産業用ロボットとは異なり、基本的にはソフトウェアとしてパソコン等に導入される。「仮想知的労働者」を意味する「デジタルレイバー(Digital Labor)」という言葉で呼ばれることもあり、様々な業務プロセスの自動化を行っている。

 従来の「自動化」へのアプローチと違い、高度なITスキルや専門知識を持たない従業員でも直感的に使用できるのも特徴の一つ。具体的には顧客データの管理やデータ入力、伝票作成やダイレクトメールの発送といったごく一般的な業務に適用できるため、実用度が高い。

 また、RPAは機能や作業レベルの難度に応じて、以下の3段階のクラスに分けられる。

●クラス1「RPA(Robotic Process Automation)」
入力作業や検証作業など、定型的な作業の自動化が可能。

●クラス2「EPA(Enhanced Process Automation)」
AI技術との連携により、画像解析や機械学習等ができるようになる。ビッグデータの解析等、一部非定型作業の自動化に対応。

●クラス3「CA(Cognitive Automation)」
情報の整理や分析の自動化に加え、意思決定まで行うことが可能。

 指示された作業を忠実にこなすのがクラス1。クラス2・クラス3は導入コストや運用コストこそ増加するものの、AIとの組み合わせによってより高度かつ複雑な作業を自動化できるようになる。現在のRPAツールは大半がクラス1に相当するが、普及の背景を鑑みると徐々にクラス2・クラス3が主流になっていくだろう。


 次に、実際にRPAツールを導入している企業の割合や市場規模について見ていこう。2017年10月12日に発表されたガートナー ジャパンのRPAに関する調査結果によると、国内では14.1%の企業が既に導入済み、6.3%が導入中、19.1%が導入予定・導入を検討中。これだけ見ると、まだ「大半の企業が使っている」とは言えないだろう。

 しかし、2018年10月25日にアイ・ティ・アールが発表した「国内のRPA市場規模推移および予測」によれば、2017年度のRPA市場は売上金額35億円で、前年度比約4.4倍。2018年度も同2.5倍の高い伸びが期待されている。さらに、導入単価の下落が進みつつあるものの市場参入ベンダーが拡大していることから、2022年度には400億円市場に成長すると予測されている。同発表によると、2017年度は「それまで金融・保険業など一部の業種で先行していたRPAツール導入の動きが、他業種へも広がった年」であり、2018年度は「試行段階にある企業での本格稼働が進むことから、市場規模は大きく拡大し、この高い成長率は2020年度まで続く」とされている。数年後には、何らかのRPAツールが導入されているのが企業にとって「当たり前」になっていくはずだ。

 国内でRPA市場の拡大が予測されている背景には、冒頭で触れた「働き方改革」や少子高齢化による労働力の減少がある。また、工場のラインなどに積極的に自動化の仕組みを取り入れることで一定の成果を収めている製造業での知見を、今度はデスクワークに活かせないか、という機運が高まっていることも理由に挙げられるだろう。

RPAがもたらすビジネス現場の変化とは
 では、実際にRPAツールを導入することで生じるメリットとは何だろうか。各業界の事例を見ていこう。

●日本生命保険
 2014年12月、RPAテクノロジーズが提供するソフトウェアロボット「BizRobo!」を導入。同ロボットは「日生ロボ美ちゃん」と名付けられ、日本生命保険銀行窓販事業部門に配属された。請求書データのシステム入力作業にRPAを導入することで、1件あたり数分かかっていた処理が20秒ほどに短縮され、集中力の欠如による単純ミスも無くなった。また、単純作業を自動化することでより柔軟性が求められる業務に充分なマンパワーを割けるようになった。

●三菱東京UFJ銀行
 煩雑な定型業務が多いことから、他業界に先駆けてRPAの導入が進んでいた金融業界。中でも同行は、国内においていち早くRPA導入に向けて動いていたメガバンクとして知られている。前出の「BizRobo!」を試験導入し、2年間の先行運用期間中に20種類の事務作業におけるパイロット運用を実施。年間で8000時間分の事務処理作業削減に成功という結果を受け、2015年11月から本格適用へ。これまで人が行っていた「1時間おきに社内システムにアクセスしてデータを取得。チェックしたデータをエクセルにコピーする」といった煩雑な作業を自動化することで、担当者の負担を大きく軽減することができた。

●サッポロビール
 ユーザックシステムの「Autoブラウザ名人」を導入。日々の営業活動や製品開発に活用するために必要な、大手小売業グループが開示しているPOSデータのダウンロード業務を自動化した。ダウンロードすべきデータが大量にあるため、かつては担当者が毎日、あるいは毎週数時間、この作業に付きっきりになってしまっていた。RPAを導入することでミスなく、手作業の頃は取得を諦めていた範囲のデータまで自動でダウンロードできるようになった。

●日本ファシリティ
 ソフトバンクのRPAソリューション「SynchRoid」を導入。多店舗展開する企業の施設管理業務を請け負う同社で発生する、年間約6万件もの事務作業の自動化に成功した。主に自動化したのは、報告書を基幹システムへ登録する作業。人が行うと1回約2〜3分かかり、年間で約2000時間かかっていた作業を自動化することで、1回にかかる時間は20秒程度に短縮され、ミスも無くなった。削減された業務時間で顧客サービスの向上を目指すほか、RPAの技術を活かした新規事業領域の開拓も視野に入れている。


●富士運輸
 2018年7月3日から2018年12月21日まで、ドコマップジャパン、NTTドコモと共にNTTドコモのRPAサービス「WinActor」と「AIインフォテイメントサービス」を活用し、ドライバーの日報作成から事務員の確認業務、請求データ発行業務といった、運送業界で生じる一連のルーティン業務を効率化・自動化する実証実験を実施した。これまで事務員はドライバーが手書きで作成した日報と、事前に提出された運行計画書の内容が一致しているかどうか目視で確認していたが、RPAを活用することでクラウド上の日報データと運行計画書の内容を自動で照合し、請求データ確定までの業務を自動化することが可能に。これにより、事務員の事務処理にかかる稼働時間を約50%削減することを目指すと発表された。業界内において深刻化する、人手不足や労働時間の長時間化といった課題をRPAで解決しようという動きが広がっている。

 このように様々な業界でRPAが導入され、業務の改善が図られている。担当者を単純業務から解放し、その分の時間をより重要な仕事に充てられるだけでなく、数をこなさなくてはならない単純作業において発生しがちな人的ミスを防止することができる。作業工数の削減によって時間外労働を削減できれば人的コストも削減できる。業界を問わず、ぜひ導入したいという企業は多いはずだ。

AIとの連携でさらなる発展が見込める
 現在のRPAツールのほとんどは「クラス1」だと述べたが、AIと連携させることでより高度な自動化を可能にする取り組みも行われてる。

 例えば、前項で取り上げた富士運輸の実証実験ではドライバー向けに、運転中に音声エージェント(AI)の問いかけに答えるだけで日々の日報作成や業務の記録ができる仕組みを提供している。作成された日報データは自動でクラウド上にアップロードされるため、事業所に戻ってきた後に改めて日報を作成・提出する必要が無くなるのだ。そして先述の通り、その日報を事務員が確認する作業は自動化されている。

 また、2018年11月20日にNTTコミュニケーションズが、対話型AIエンジンとRPAを組み合わせてコンタクトセンターの応対から事務処理までのプロセス全体を自動化する「コンタクトセンターDXソリューション」の提供開始を発表している。AIとRPAをメインにコンタクトセンターの業務を完結させることで、電話オペレーターや店舗従業員はより顧客体験の質を向上させるための業務に注力できるようになる。

 汎用型AI(AGI)の完成や「シンギュラリティ」の到達にはもう少しかかるだろうが、ツールと特化型AIの組み合わせよる単純作業の自動化は急速に進んでいきそうだ。


 労働力の減少が避けられない以上「自動化」の流れは止められない。ツールやAIの進化によって自動化できる業務も増えていくだろう。RPAを導入しさえすれば業績が上がるわけではないが、「この業務を自動化したい」という明確な目的があるのなら、該当するツールや先行事例を探してみると良いだろう。

 RPA導入を成功させるには、どの部署のどの業務をどう改善したいのかという目的を明確にすること。そしてPoCの段階で、実際にツールを使うことになる現場の意見をしっかりと汲み取ることが必須条件となる。今後ますます貴重なものになっていく「人」材に、より価値の高い業務を任せるためにもRPAを有効活用して欲しい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/55370

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/842.html

[経世済民130] 中国経済の急減速、反動で世界に衝撃波 中国での需要低迷にアジア、欧米諸国は対応に苦慮 社会の害悪「劣化したオッサン」量産
2019年2月4日 The Wall Street Journal
中国経済の急減速、反動で世界に衝撃波


中国での需要低迷にアジア、欧米諸国は対応に苦慮
中国山東省・青島の港

 中国経済の減速は、世界中の貿易相手国に衝撃を与えている。

 中国政府を悩ませている巨額債務の蓄積、過剰投資、民間企業に対する制約など、国内経済の弱点は、貿易摩擦と相まって、世界第2位の経済規模を誇る同国の成長率を30年ぶりの低水準に落ち込ませた。工場生産と消費の減退は、他のアジア諸国、米国、欧州諸国からの中国の輸入に打撃を与えている。こうした経済の減速の余波は、各種の株価指数をはるかに超える範囲に及び、中国から遠く離れた地域の経済成長をも阻害している。

 中国は、長年の急速な経済成長を背景に、世界中の国々の主要な貿易相手国となった。過去10年間、中国が世界の輸出入の伸びの5分の1をもたらした。中国はまた、ユーロ圏の金融危機など経済が軟弱な時期に、需要を支える重要な役割を果たした。

 中国経済の弱さは、あらゆる分野に影響を及ぼしている。中国での半導体製造装置やスマートフォン部品の需要減退は、世界第3位の規模を誇る日本の昨年12月の輸出を、前年同月比で3.8%減少させた。この減少幅は、過去2年強の期間で最大だった。ドイツは対中輸出拡大に力を入れてきたが、欧州最大の同国経済の昨年の成長率は、その対中依存の大きさが主因となって、わずか1.5%に減速した。これは過去5年間で最も低い伸びだ。オックスフォード・エコノミクスの調査によれば、米国を含む経済規模の大きい先進諸国や、アジア諸国の昨年の対中輸出は、前年比10%近く落ち込んだ。

 資産運用会社AMPキャピタルの主任エコノミスト、シェーン・オリバー氏は「中国の世界経済への影響度は、同国経済が減速すれば世界中に影響が及ぶほどになっている」と語る。

 その力学は、国内販売が不振の中国の産業界が、苦境打開のため輸出に力を入れる中で、アジア全域での競争圧力を高めている。欧州では、域内経済が政治的不透明感と貿易紛争で低迷する状況下で、中国の動向が新たな強い逆風になろうとしている。米国では、対中輸出の減退が、一部の製造業企業の3年間に及んだ活況に終止符を打とうとしている。

 中国は多くの米製造業企業にとって主要な市場であり、中国経済の減速はキャタピラー、3Mなど業界の代表的な企業から、皮革加工業者、部品メーカーといったより小規模な企業に至るまで、多くの企業を苦しめている。キャタピラーは1月28日、中国での販売減速を受け、今年の利益の伸び率が縮小するとの見通しを示した。

 ドイツの大手自動車部品メーカー、コンチネンタルは、中国の1月の自動車生産が前年比で2桁の減少を記録するとの見通しを示した。同社のウォルフガング・シェーファー最高財務責任者(CFO)は、これが「われわれの受注に直接的影響」を及ぼすと語った。

 中国経済の減速はアジアに特に大きな打撃を与えている。

 アジア諸国の対中輸出は、衣料品、自動車から中国の巨大製造業企業を支える技術に至るまで多岐にわたる。昨年末にかけての中国の需要の落ち込みは、著しいものだった。その落ち込みは、より好調だった時期を含む昨年1年間のデータでは、覆い隠されている。こうした状況は、中国の輸入の15%を占め、同国の成長に欠かせない半導体の分野で特に明確になっている。

 韓国の半導体メーカー、SKハイニックスは先週、2018年第4四半期の利益が、第3四半期と比べ28%減少したと発表。その要因として、中国の高級スマートフォンの需要減と米中貿易紛争を挙げた。アップルに部品を供給する日本電産も今月、同様の要因から、収益見通しを下方修正した。

 対中輸出が輸出全体の4分の1を占める韓国では、12月の輸出額が前年同月比で14%減少した。

 米カリフォルニア州に本拠を置き、画像処理用チップを中国に輸出している半導体大手のエヌビディアは31日、中国の需要低迷を理由に、2019年度第4四半期(11〜1月)の売上高見通しをこれまでから5億ドル引き下げ、22億ドル(約2400億円)にすると発表した。

 欧州は、差し迫る英国の欧州連合(EU)離脱や、フランスで経済的な不満を理由とした抗議行動が起きるといった政治的トラブルのなかで、中国経済減速の打撃を受けている。欧州はまた、米国と欧州最大の経済国であるドイツとの間で起きている貿易面での紛争にも苦しんでいる。ドイツは昨年、辛うじて厳密な意味でのリセッションを回避した。

 中国は近年、欧州の製造業者にとって、ますます重要な顧客になっている。中国は2017年までに欧州にとって米国に次ぐ第2の輸出市場となった。2017年のEU輸出のうち中国が占めた比率は10.5%と、2007年の5.8%から上がっている。

 ナイキに次ぐ世界第2のスポーツウエアメーカー独アディダスは昨年11月、同年第4四半期に中国事業が減速するだろうと注意喚起していた。

 中国の小売売上高の伸びは昨年末ごろ、過去最低に近い水準にまで落ち込んだ。個人消費減速の兆候も、あらゆるところに表れている。

 北京にある異文化交流関連の国営企業に務めるワン・ユーさん(36)は、経済が減速しているため、今年の春節(旧正月)はどこにも行かない予定だと話している。去年はタイとネパールで休暇を過ごした。

 ミルクティーの店の前で並んでいたワンさんは、自分が勤める企業について、「プロジェクトも、ビジネスも、収入も減っている」と述べ、「上司はまだレイオフを発表していないが、検討はしているとはずだ」と話した。

 香港に本拠を置く宝飾品および時計メーカーは2018年末ごろに急激な減速を記録した。中国人客からの需要減退が主因だった。

 宝飾品販売の六福集団は今月、2018年10〜12月の既存店売上高が前年同期比10%減少し、中国本土で14%減少したと発表した。周大福ジュエリー・グループの中国本土の既存店売上高は、同時期に7%減少した。

 中国経済の減速は、中国と競合するアジア製造拠点で一部の業績を後押ししている。これらの国は近年、一部の市場に対してより安価で輸出することで、中国に取って代わる存在となっている。

 インド南部チェンナイの履物輸出業者、ラフェーク・アハメドさんは自社の製品が、関税負担に直面する中国の競争企業に比べ、米国の顧客を引きつけていると語った。今年の売上高は前年比で25%増の2億ドルに達する見込みという。アハメドさんによれば、インドのこうした明るい見通しにより台湾の投資家らは生産設備を中国から移転する決定を下すかどうか検討しているという。

 アハメドさんは「われわれにとって好影響をもたらしている」とし、「われわれはより多くのビジネスを獲得しつつあり、うれしい。(貿易紛争が)より厳しくなることを祈るばかりだ」と述べた。

 彼の興奮は時期尚早かもしれない。インド西部ムンバイに拠点を置くケア・レーティングスのチーフ・エコノミスト、マダン・サブナビス氏は、「中国はすべての諸国へ輸出品を押し込もうとするだろう。地理的に近いアジア諸国についてはより多くなるだろう」と指摘した。

 幾つかのケースでは、中国企業は国内での落ち込みを埋め合わせるため、既に海外向け供給を拡大している。2018年の中国鉄鋼品の純輸出は年間でみると前年比で減少したものの、第4四半期だけでみると前年同期比で3.5%の増加を示している。こうした状況に対応するため、ベトナムの鉄鋼大手ホアセン・グループなどアジア地域の生産業者は投資計画を見合わせ、在庫の削減に努めている。

 中国の石油精製業者も輸出を拡大しつつある。昨年の同国石油精製品輸出は前年比12.4%増加し、過去5年間で2番目の伸び率となった。

 フィッチ・ソリューションズのクレジットアナリストは「中国からのガソリン輸出増加見通しに伴い、(アジア)地域のガソリン精製マージンは下落リスクがある」と指摘。「最も影響を受けそうなのがとりわけシンガポールや韓国などのガソリン精製大手だ。これら企業のガソリン主要輸出先は中国の精製業者が狙っている地域と重複している」と述べた。

 海外の一部産業分野では中国からの需要が高まっているケースもある。中国によるオーストラリア産石炭の輸入は昨年、4%増加した。同国産鉄鉱石の輸入は年間全体では1%減少したが、第4四半期でみると1.2%の増加を示している。

 それでもやはり中国の景気減速はオーストラリアのサービス分野に重くのしかかりつつある。観光産業と教育分野はオーストラリアにとって主要な外貨獲得源に含まれているが、これら分野の成長は中国によって加速したものだった。語学学校を運営する教育サービス会社、ナビタスによれば、今年は昨年のようなペースで中国人学生を集めることができずにいる。シドニー空港を利用した中国人は2017年には17%の増加だったが、昨年はわずか4.5%にとどまった。

(The Wall Street Journal/Chuin-Wei Yap in Hong Kong and William Boston in Berlin)
https://diamond.jp/articles/-/192846


#中国の将来も・・


 
2019年2月4日 flier
社会の害悪「劣化したオッサン」が量産される理由
『劣化するオッサン社会の処方箋 なぜ一流は三流に牛耳られるのか』
オッサンはなぜ劣化して社会問題になっているのか?
写真はイメージです Photo:PIXTA
レビュー
『劣化するオッサン社会の処方箋 なぜ一流は三流に牛耳られるのか』書影
『劣化するオッサン社会の処方箋 なぜ一流は三流に牛耳られるのか』 山口周著 光文社刊 760円+税
 ここ最近の不祥事のほとんどは、いわゆる「いい年をしたオッサン」が引き起こしたものだ。電車や病院などの公共の場で暴れたり騒いだりするオッサンも、残念ながら増えている。本来は成熟した大人であるはずのオッサンが、なぜ劣化して社会問題になっているのか?――本書『劣化するオッサン社会の処方箋 なぜ一流は三流に牛耳られるのか』はこうした問題提起から始まる。

 劣化して社会の害悪となってしまった「オッサン」が量産される構造的な問題について、数々のベストセラーを生み出してきた山口周氏は、人文科学的な知見をもとにその原因を分析し、解決策としての処方箋を提示する。なおここでいう「オッサン」とは、いわゆる「オジサン」と呼ばれる世代の人たち全員を指しているわけではない。古い価値観に凝り固まって、過去の成功体験に拘泥し、謙虚さや学ぶ姿勢を失ってしまった人たちこそが「オッサン」なのだという。

 本書では「劣化したオッサン」に対して辛辣な言葉が述べ立てられているが、いつまでも古びない知恵、すなわち「教養」を身につけることで、どんな世代の人でもオッサン化は回避できるという著者の結論には希望がもてる。あなたが50代以上であれば「自分がオッサン化していないか?」を、50代未満であれば「オッサンのような思考回路に陥っていないか?」を確認するための“リトマス試験紙”として、本書を活用してはいかがだろうか。(藤本江里子)

本書の要点
(1)バブル崩壊の影響を受け、オッサンたちは社会や会社に対して恨みを抱えている。
(2)組織は大きく古くなればなるほど、三流の人材が増えて劣化していくという宿命を負っている。
(3)「劣化したオッサン」に立ち向かうには、「オピニオン」と「エグジット」を行使しなければならない。そのためには汎用性のある知識を身につけて、「モビリティ」を高めることが必要である。
(4)これからの年長者が社会貢献するためには、「教養」を身につけた支援型リーダーシップの発揮が必須だ。
(5)オッサン化を防ぐもっともシンプルな処方箋は、謙虚に新しいものを学び続けることである。

要約本文
◆組織が劣化する理由
◇オッサンの定義

 本書における「オッサン」とは、年代や性別にかかわらず、次のような行動様式・思考様式をもった「特定の人物像」を指す。

(1)古い価値観に凝り固まり、新しい価値観を拒否する
(2)過去の成功体験に執着し、既得権益を手放さない
(3)階層序列の意識が強く、目上の者に媚び、目下の者を軽く見る
(4)よそ者や異質なものに不寛容で、排他的

 したがって中高年の男性でもオッサンに該当しない人がいる一方で、傍若無人な振る舞いで自らを省みることのない人はオッサン化しているといえる。

◇「知的真空の時代」を生きたオッサンたち

 20代の頃どんな時代を過ごしたかによって、その後の人格形成は大きく変わるものだ。2018年時点で50代・60代のオッサンたちは、「大きなモノガタリ」のなかで20代を過ごした最後の世代である。「大きなモノガタリ」とは、「いい学校を卒業して大企業に就職すれば一生豊かで幸福に暮らせる」という、バブル崩壊前に蔓延していた幻想のことだ。オッサンたちはこの「知的真空の時代」に若手時代を過ごしており、「大きなモノガタリ」に順応することが、自己の便益を最大化するもっとも合理的な手段だと考えていた。

 だがその後、「大きなモノガタリ」は喪失。代わりに「新しいモノガタリ」として、「グローバル資本主義下における弱肉強食の世界」が支配的になった。ゆえにオッサンたちが「大きなモノガタリ」の喪失後、社会や会社に対して「裏切られた」と恨みを抱えることになったのも、頷けるところではある。

◇組織は劣化する宿命である

 人材に一流、二流、三流があるとするならば、もっとも出現率が高いのは三流だ。組織を起業して発展させることは、一流の人材にしかできない。しかし組織が成長していくと、人材が増えていくと同時に、三流の人材が幅を利かせるようになる。なぜなら三流は一流が見抜けないので二流におもねり、二流は一流を見抜けるものの疎んじるためだ。

 だから一度でも二流がトップに立つと、それ以降はよほどのことがない限り、その組織に一流の人材が入ってくることはない。そして人材のクオリティは世代交代するにつれて、三流に収斂していくことになる。組織が大きく古くなればなるほど、この劣化はより顕著にあらわれる。

 先の世代論・年代論で挙げた構造的問題に加えて、このようなリーダーのクオリティの経時劣化が重なり、日本の多くの組織で問題が起きているのだ。

◆モビリティを高めよ!
◇武器は「オピニオン」と「エグジット」

「劣化したオッサン」に立ち向かうには、「オピニオン」と「エグジット」を武器として使いながら、社会で権力を握るオッサンに圧力をかけていかなければならない。「オピニオン」とは、おかしいと思うことにおかしいと意見することであり、「エグジット」とは、権力者の影響下から離脱することである。オピニオンもエグジットもしないということは、オッサンが自分の人格や人望を勘違いする土壌を育んでいるという意味で、不祥事に加担しているのと同じである。

 とはいえオピニオンやエグジットの行使は、ややもすると自分のキャリアを危険にさらすことにもなりかねない。ゆえに汎用性の高いスキルや知識などの「人的資本」と、信用や評判などの「社会資本」を厚くして、「モビリティ」を高めていくことが、リスク管理上は不可欠になる。

「モビリティ」はこれから先のキャリア形成における最重要キーワードだ。これまでスキルや知識の獲得は、会社という枠組みのなかでおこなわれるケースがほとんどだった。だが今後は、どんな場所でも生きていけるように学び続ける意識が欠かせなくなってくる。

◇オピニオンやエグジットを行使できない理由

 日本ではこれまでオピニオンやエグジットが積極的にされてこなかった。理由としては次の2つが考えられる。

(1)美意識の欠如:自分なりの美意識(審美眼、道徳観、世界観、歴史観)がある人は、許容できることとできないことの線引きがはっきりしている。逆にこれが欠如していると、仮に上司が一線を越える振る舞いをしても、声をあげて指摘することができない。

(2)モビリティの低さ:ここでいうモビリティとは、エグジットを行使して組織を出たとしても、いまの生活水準を維持できるだけの能力のことである。モビリティが低いということは、スキルや知識がいまの組織においてのみ有効なもので、汎用性がないということだ。副業を好ましく思わないような典型的な日本企業に長いあいだ勤めていると、モビリティはいっこうに高まらない。だから彼らはオピニオンやエグジットを行使できないのである。

【必読ポイント!】
◆年長者は敬うべきか
◇年長者とイノベーション

 日本には「年長者は尊敬すべきである」という暗黙のルールがある。しかし年長者ほどスキルや判断能力が高いというデータはじつのところ存在しない。したがって「年長者は尊敬すべきである」というのは、わたしたちの儒教文化に根差した「信仰」だといえる。

 オランダの心理学者ヘールト・ホフステードがおこなった調査結果によると、日本は「年長者に対して反論するときに感じる心理的な抵抗の度合い」が相対的に高い国として分類されている。一方でイノベーションランキングの上位にくるのは、年長者に対して反論しやすい国ばかりだ。

 画期的なアイデアを生み出すのは、「若い人」や「新参者」であることが多い。だが権力を年長者が握ってしまうと、「若い人」や「新参者」に直接の発言権や資源動員の権力がなくなってしまう。その結果、なかなかイノベーションが起きなくなるのである。

◇年長者の価値がなくなっている

 それでも「年長者は敬うべきだ」という規範は、合理性を超えたところでそれなりに支持されてきた。これは長いあいだ、年長者が組織やコミュニティにとって一種のデータベースの役割を担ってきたからだと考えられる。しかし20世紀後半以降、年長者のもつ価値が失われる3つの変化が発生している。

(1)社会変化スピードの高速化:20世紀後半以降、ライフスタイルの変化スピードがどんどん速くなり、それまで年長者が長い時間をかけて培ってきた知識や経験が、すぐに陳腐化するようになった。わたしたちがいま向き合っている問題は、年長者にとっても若者にとっても新しい問題だ。そして新しい問題に対する問題解決能力は、むしろ若者の方がすぐれている。

(2)情報の普遍化:現在はあらゆる情報に対して、いつでもどこでも誰でもアクセスできる社会に近づきつつある。その影響を受けて、データベースとしての役割を担ってきた年長者の価値は相対的に下がっている。

(3)寿命の増進:平均寿命が短かった時代では、貴重な経験値を有している年長者が重宝された。しかし平均寿命が飛躍的に伸長し、年長者の人数が増えてくると、年長者が有していた知識や経験の希少価値は目減りしてしまう。

 以上の理由から、「年長者ほど能力も見識も高い」という前提は、これからの時代では成立しないといえる。

◇オッサンはサーバントリーダーシップを発揮せよ

 このような状況下で、年長者が組織に対して貢献できることはあるだろうか。

 その疑問に対するもっともシンプルな答えは、「サーバントリーダーシップの発揮」だ。サーバントリーダーシップとは、米国のロバート・グリーンリーフによって提唱された概念で、権力に頼らない「支援的なリーダーシップ」を意味する。サーバントリーダーシップは、これまでの支配型リーダーシップとは異なり、「支援する」ことでリーダーシップを発揮する。オッサンならではの懐の深さを発揮し、人脈・金脈・ポジションパワーを使って若手・中堅を支援していくというのが、サーバントリーダーシップの一番わかりやすいカタチだ。

 ただしこのリーダーシップは、主導権を握って動こうとする若手・中堅の存在を前提としている。ゆえにオッサンとそれ以外の人たち双方が、リーダーシップのパラダイムシフトを起こさなければならない。

◇武器としての「教養」を身につけよ!

 年長者の知的パフォーマンスの劣化を防止するアプローチがひとつだけある。それは「劣化しない知能を身につける」ことだ。

 これからオッサンがサーバントリーダーシップを発揮して社会に貢献するためには、若手に対して深い思考を促すような、本質的な問いかけができるようになる必要がある。そしてそのためには「教養」が不可欠だ。旬の短い知識ではなく、長いあいだ有用な知識や情報を身につける努力をするべきである。

 わたしたちの成長は「経験の質」、すなわち「新しい経験の密度」によって大きく変わってくる。多種多様な人たちとともに、さまざまな仕事をバラエティに富んだやり方で取り組むという「経験の多様性」が、良質な体験をもたらし、深い学習へと導くだろう。

 年をとっただけで「老いる」ことはない。いくつになっても創造的で知的パフォーマンスが落ちない人々は、常に目標をもってチャレンジをし続けている。劣化したオッサン社会に対するもっともシンプルな処方箋は、わたしたち一人ひとりが謙虚に新しいものを学び続けることなのである。

一読のすすめ
 ここのところ大きな組織による不祥事が相次いでおり、「いいオトナが何をやっているのか」と思っている人も少なくないはず。本書では「なぜ不祥事が相次ぐのか?」という問いに対して、「劣化するオッサン」が量産される構造的な問題が丁寧に解き明かされ、それに対する適切な処方箋が示されている。

 社会の変化のスピードがますます速くなるなかで、わたしたちは何をするべきなのか。オッサン化はけっして他人事ではない。本書を読み、これからの社会を生き抜くための心得をインストールしていただければと思う。

評点(5点満点)
総合3.8点(革新性3.5点、明瞭性4.0点、応用性3.8点)

評点イメージ
*評点基準について
著者情報
 山口 周(やまぐち しゅう)

 1970年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業、同大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了。電通、ボストン・コンサルティング・グループ等を経て、組織開発・人材育成を専門とするコーン・フェリー・ヘイグループに参画。現在、同社のシニア・クライアント・パートナー。専門はイノベーション、組織開発、人材/リーダーシップ育成、キャリア開発。著書に『グーグルに勝つ広告モデル』(岡本一郎名義)『天職は寝て待て』『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』『外資系コンサルの知的生産術』(以上、光文社新書)、『外資系コンサルのスライド作成術』(東洋経済新報社)、『知的戦闘力を高める 独学の技法』(ダイヤモンド社)、『武器になる哲学』(KADOKAWA)など。『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(光文社新書)でビジネス書大賞2018準大賞を受賞。

(1冊10分で読める要約サービス flier)
https://diamond.jp/articles/-/192788
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/843.html

[経世済民130] 年金運用が赤字でも公的年金が大丈夫なワケ 米景気や株価堅調ドル再評価 このジャパンダウンの品質がメチャすごいのはなぜだ?
前向きに読み解く経済の裏側

年金運用が赤字でも公的年金が大丈夫なワケ

2019/02/04

塚崎公義 (久留米大学商学部教授)

 今回は、久留米大学教授の塚崎公義が、公的年金の運用等々について考えます。公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、10?12月期の運用実績が14.8兆円の赤字だったと発表しました。なんと、運用利回りがマイナス9%だったとのことですが、私たちの年金は大丈夫なのでしょうか。


(fantom_rd/Gettyimages)
問題の本質を正しく認識しよう
 結論を先に言えば、大丈夫です。今回の発表は、3カ月間の運用の成績についてのものです。年金運用は長期間にわたって行われているもので、アベノミクスによる株高等々を反映して、運用開始以降で見れば問題なく利益が出ていますので、一喜一憂せず、安心しましょう。

 「本稿は以上です」でも良いのですが、せっかくですから、本件に関連する事柄について、いろいろ考えてみましょう。「そもそも少子高齢化で年金は大丈夫なのか」「公的年金でリスク資産を持って大丈夫なのか」「GPIFが儲かった時も同じように大きく報道すべきではないか」といった所でしょう。

公的年金の基本は賦課方式
 日本の公的年金制度の基本は、現役世代が高齢者を支えるというものです。現役世代の払う年金保険料を中心として、毎年の税金も投入して、一部をGPIFの運用資産からも出す、ということですね。GPIFの運用資産は151兆円と巨額ですが、それでも今後何十年間に支払われる年金総額と比較すれば、わずかなものだ、というわけですね。

 したがって、年金の将来を考える時に最も重要なのは、GPIFの運用状況ではなく、少子高齢化で現役世代と高齢者の人数比が変化してしまうことです。少数の現役世代が多数の高齢者を支えるのは辛いからです。

 これについて筆者は、70歳までを現役とすれば万事解決する、と考えています。皆が70歳まで働いて年金保険料を払い、70歳から年金を受け取るようになれば、年金問題は一気に解決するでしょう。それを「政府による年金制度の改悪だ」と批判することは容易ですが、それは建設的ではありません。

 批判している人々を含めて皆が長生きをしてしまうから悪いので、本当に批判されるべきは皆が元気で長生きするような良い薬を開発してしまった医薬業界なのでしょうね。もちろん冗談ですが。

ちなみに、公的年金が破綻しない事については、拙稿『公的年金は破綻しないから、しっかり頼ろう』を御参照いただければ幸いです。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14470

公的年金でリスク資産を持って大丈夫か

 「公的年金は国民の重要な資産であるから、安全資産である日本国債で全額運用すべきだ」と考える読者も多いかもしれません。日本人の金融資産の多くが銀行預金等の「安全資産」であることを考えると、「私の金は安全に運用しているのに、政府が我々の年金を危険なものに投資しているのは許せない」と考えている人もいるかもしれませんね。

 しかし、銀行預金はインフレが来ると目減りしてしまうので、リスク資産なのです。銀行預金も日本国債も国内株も外貨も外国株もリスク資産なのですから、様々なリスク資産をバランスよく保有する「分散投資」が資産全体としてのリスクを減らすために有効なのです。

 世界経済は、長い目で見れば今後も成長を続けるでしょうから、世界中の株に投資しておけば、資産が増えていく可能性が高そうだ、ということも、分散投資を正当化するかもしれません。

 日本の場合、遠い将来はドル高になる可能性が高そうだ、ということも外貨の保有を正当化するかもしれません。少子高齢化が進むと、「現役世代は全員が高齢者の介護をしていて製造業で働く若者が確保できない。仕方ないから製品類はすべて輸入する。そのための外貨を大量に購入する必要があるからドル高円安になる」といった可能性があるからです。

 ちなみに、銀行預金がリスク資産であるということについては、拙稿『銀行預金はリスク資産だと認識せよ』を御参照いただければ幸いです。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/13008

世の中は悲観的な情報が溢れているから要注意

 GPIFが運用で損をすると、大きく報道されますが、運用で儲かった時は小さく報道されるので、読者の中には「GPIFは運用開始以来のトータルで見れば儲かっている」ということを知らない人も多かったと思います。

 そういう人は、「一事が万事」かも知れない、と考えてみて下さい。世の中には、悲観的な情報が溢れています。私たちの得ている情報は、現実そのものではなく、悲観バイアスがかかったものなのです。私たちは、サングラスをかけて世の中を見渡しながら、「日本経済は暗い」と考えているようなものなのです。

 まず、情報の発信者が情報を歪めます。たとえば儲かっている会社は労組の賃上げ要求などを恐れて黙っていますが、儲かっていない会社は「当社は苦しいからボーナスなし」などと大きな声を出すわけです。

 評論家も、「多数の問題点やリスクがある」という悲観論を好みます。悲観論を述べた方が賢そうに見えますし、話が多方面に展開できるので聞き手を飽きさせないからです。

 マスコミも、悲観的な話が大好きです。「悲観的な話をする方が多くの人々に見てもらえる」ということもありますし、政府を批判することがマスコミの使命だと考えている所もあるようですから。本当は、政府を監視することがマスコミの使命のはずなのですが……。

 ちなみに、世の中で流れている情報には悲観的なものが多いので注意が必要である、という点については、拙稿『マスコミの“悲観的”な情報が信用できないワケ』を御参照いただければ幸いです。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7009
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15259


 


米景気や米株価の堅調が続くことでドルは再評価されやすい
田嶋智太郎の外国為替攻略法
田嶋 智太郎 田嶋 智太郎 2019/02/04

足元の米株価もすこぶる順調に戻り歩調へ
「古今東西、不況から脱して景気が拡大し始めた当初というのは往々にして中銀の政策が景気の『先回り』になる傾向が強まりやすく、結果、一旦は景気の先行きが怪しくなるというケースは過去に幾度も見られています。

そこで、やむなく中銀が当面の政策方針をハト派寄りに戻すそうとすると、そこから再び景気が走り始め、その後はしばらく中銀の政策が景気の『後追い』を続けることとなる」

前回(1月21日)更新のコラム「米・日株価の戻り鮮明で基本ドル高基調が続く」で筆者はこのように述べました。

先週行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)のトーンがかなりハト派に傾いていたことや、その後に発表された1月の米雇用統計が極めて強い内容であったことなどを見ると、やはり今回も「しばらくは景気が走りそう」であると個人的には考えます。

実際に、足下では米株価もすこぶる順調に戻り歩調を辿っています。これまでに発表された米主要企業の2018年10〜12月期決算の結果を全体に眺めてみても、一部で事前に警戒されていたほど厳しい内容ではなく、市場には徐々に安心感が拡がりつつあります。

むしろ、アップルやフェイスブックなどの決算内容については市場で大いに評価される状況となっており、市場の感応度が高いフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)もしっかりと戻りを試す動きになっています。

言うまでもなく、米国では国内総生産(GDP)の約7割を個人消費が占めているわけですから、やはり米株価が堅調に推移していることは極めて重要。その意味で、足下のNYダウ平均が75日移動平均線をクリアに上抜けてきていることや、上向きに転じた25日移動平均線が下方から勢いよく水準を切り上げてきていることなどは、米景気全体にとっても非常にポジティブなことです。

加えて、2月中にも米中貿易協議が一定の落としどころを見い出すような格好となれば、さらに一段と米株価の上値余地も拡がることでしょう。

そんな米株価の堅調な推移を支えているのは、ひとつに「米金融政策の方向性がこれまでよりもハト派に傾いてきていること」であり、それは市場においてドル安材料視されやすい要素であるとも言えます。ただ、目下は米株価の値動きに連れて日本株も徐々に値を戻そうとしている局面にあり、総じてリスクオンのムードが色濃い中にあって過度な円買いに走る動きというのも見られてはいません。

ユーロ/米ドルは1.1500ドル処に分厚い上値の壁
一方、ここに来てポンドやユーロが対ドルで戻りを試そうとする動きが一服してきていることも見逃がせません。

英国の欧州連合(EU)離脱を巡るEUとの協議は、ひと頃「期限延長や2度目の国民投票実施もあり得る」などとされ、それを織り込む格好でポンドの買い戻しが進む場面もありましたが、ここにきてそうした動きも一巡。あらためて英国とEUの接点を見出すことが難しい展開となってきており、さすがにポンドをもう一段買い上がることは難しい状況になっています。

また、ユーロ圏では中心的な存在であるドイツを中心に、経済成長の鈍化傾向が鮮明となってきており、ここからユーロをもう一段買い上がることもためらわれるところとなっています。

ユーロ/米ドル(週足)

出所:マネックス証券作成
ユーロ/米ドルで言えば、やはり1.1500ドル処に分厚い上値の壁が感じられるうえ、31週移動平均線や31ヶ月移動平均線の抵抗というのもそれぞれあって、結局は1.1400ドルを中心としたもみ合いが長く続く状況となっています。つまり、目下はポンドやユーロに対するドルの価値が再評価されやすい状況になってきており、結果として米ドル/円の下値も支えられやすい状況にあるということはしっかり心得ておきたいところです。
https://media.monex.co.jp/articles/-/10927

 
メイドインニッポン漫遊録 「ひととき」より

このジャパンダウンの品質がメチャすごいのはなぜだ!?

ナンガのダウンジャケット
2019/02/04

いであつし (コラムニスト)

寝袋品質で世界と勝負する滋賀ダウン
 筆者が初めてダウンジャケットを知ったのは、中学生の頃に夢中で読んだ「メイドインUSAカタログ」だ。

 70年代後半に発売された当時のアメリカの若者に流行っていたライフスタイルを紹介したカタログ雑誌で、アメリカでいまブームのアウトドアウェアとして紹介されていた。「こんな寝袋みたいな服がカッコイイの?」と思ったのを憶えている。

 あれから40余年。いまではすっかりダウンジャケットは市民権を得て、ユニクロなどの安価なものから何十万円もする高価な欧米のアウトドアブランドのものまで、軽くて暖かな冬のお洒落着として定着している。

 最近、お洒落な人たちから注目されているのがジャパンダウンだ。なかでも人気が高いのが、「ナンガ」というブランドのダウンジャケットである。元々は滋賀県でシュラフ(寝袋)を作るアウトドアメーカー。寝袋の製造で培った高い技術と品質の良さで、有名セレクトショップの別注も数多く手掛け、東京の目黒と吉祥寺に自社ブランドを揃えた直営ショップもある。


山から街まで、ハイスペックとファッション性を兼ね備えたナンガのダウンジャケット。防水透湿素材使用の「オーロラダウンジャケット」や難燃素材使用の「タキビダウンジャケット」もある
 メイドインUSAカタログで初めて知ったダウンジャケットも、いまやメイドイン滋賀の時代なんですね。そこで今回はナンガを訪ねて、滋賀県の米原市を旅して参りました。

父から子へ、伊吹山の麓で作る高品質

伊吹山
 ナンガの本社は、日本百名山の一つに数えられる伊吹山の麓にある。社屋の周辺は見渡すかぎりの田園風景。目の前には紅葉が間近の伊吹山がどぉんとそびえている。

 創業は昭和16年(1941)。前身は先々代が設立した「横田縫製」という縫製会社。近江真綿の産地が近かったことから布団メーカーの縫製加工の下請けをしてきた。しかし加工を安価な海外の工場に移行する企業が増えてきて、2代目の横田晃さんは社員の雇用を守ろうと、布団の縫製加工の技術を活かしたアウトドアの寝袋メーカーに転身する。

 平成7年(1995)、社名とブランド名を「ナンガ」に変更。「攻略が難しい山だが一歩一歩頂(いただき)を目指して登ろう」という思いで、登頂困難なヒマラヤ山脈の標高8125メートルのナンガ・パルバットから名付けた。


(写真左)1階のショールーム
(写真右)ショールームに飾られたダック人形
 「親父の決心が社名に表れていますよね。モノづくりのこだわりが人一倍強くて厳しい人ですから寝袋の品質はどこにも負けません。ただ、ええもんはええんや。使ったらわかるからとりあえず買ってくれという職人気質だったので、私が子供の頃は、社員の雇用を守るために家も会社もとにかく大変でした」

 3代目社長の横田智之さんはそう語る。ナンガの名前を、ジャパンダウンジャケットのブランドとして一躍有名にしたのが彼だ。


3代目社長の横田智之さん。自称インドア派だがチャレンジ精神旺盛で今では登山もキャンプもプロ級の腕前
 「寝袋で寝たこともなかったし、本当は山でキャンプよりリビングでテレビを観ながらごろごろしてたいインドア派です(苦笑)」

 ありゃりゃ、ナンガの社長らしからぬ発言であります。それもそのはずで、20代前半まではブライダルの貸衣装会社でトップ営業マンだった。平成11年、長男の智之さんは父親に呼び戻されてナンガに入社。入社早々、長野の専門スクールに入らされて2カ月間みっちりと登山を学んだ。その後、職人気質で営業力のまったくない父親に代わって、取り引き先を営業で何軒もまわらされた。

 平成21年、32歳で3代目社長に就任する。社員と会社の将来を考えると既存の寝袋メーカーのままでなく、何か新しい事業を始めることが不可欠だった。父親と同じことをしたくないという反骨精神もあった。


海外で人気の高い「マウンテンビレーコート」のUSモデル、76,000円(税別) ※写真はサンプルのため本製品とはデザインに若干の相違があります
 そこで智之さんが活路を見出したのが、羽毛の取り扱いに長けた寝袋メーカーならではの縫製技術を活かしたダウンジャケットだ。

 「社員時代に某アパレルメーカーからOEM※の依頼があってダウンジャケットを作ったことがあるんです。でも何のノウハウもなくて出来も悪くて、納期も遅れて大赤字で、翌年には依頼が来ませんでした。親父からも怒られて散々でした。その苦い経験があったおかげで、なにくそと徹底的に勉強し、だんだんとまたOEMの依頼が増えてきて、ついには売り上げが寝袋を抜くまでになりました。ここ3年ぐらいで、ようやくダウンジャケットのナンガという自社のブランド力で勝負できるようになってきたと思っています」

※Original Equipment Manufacturerの略語で、製造メーカーが取引先のブランドの製品を受注・製造すること

夢は琵琶湖で育てたグースのダウン
 さっそく2階の工場を見学させてもらう。モンゴルやベトナムからの実習生も働く縫製場では、寝袋で使う防水性と透湿性に優れた特殊な生地をミシンでカタカタと丁寧に一枚一枚、ダウンウェアにと縫い上げている。


(写真左)羽毛価格の高騰、海外からの実習生の育成、生産体制の強化など課題は多いながらも、メイドイン滋賀ダウンブランドとして知名度も高まり、今シーズンは工場も社員もフル稼働
(写真右)ダウンの品質見本。ダウンとはグース(鵞鳥)とダック(家鴨)の羽毛で、柔らかなグースの比率が多いと保温性に優れ、硬いダックの比率が多いと弾力性があり回復力も高い

ホースで吸い上げられた羽毛の量を丁寧に測りながら手で詰めるパッキング作業
 ナンガの強みは何といっても国内生産だ。使用するダウンも、ポーランドやハンガリー産の最高品質を扱う三重県の羽毛素材メーカーから直接仕入れる。高度な洗浄技術で埃や汚れを落とした羽毛を、工場で職人が手で触って品質を確認しながら詰める。手で触って品質の良しあしがわかるのは、長年の羽毛の取り扱いに長けた寝袋メーカーならでは。

 「まさに下町ロケットのロケット品質ならぬ、これぞナンガの寝袋品質ですよね」と言うと、「そうですね」と照れ笑いする智之さん。

 智之社長の壮大なる夢は、いつか琵琶湖の畔(ほとり)で育てたグース(鵞鳥)の羽毛で正真正銘の滋賀ダウンをつくること。ナンガの頂はまだまだ高くて険しいのだ。でもとってもあったかいんだから。


ナンガ周辺散策
(写真上左)ウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計に携わった醒井宿資料館(旧醒井郵便局局舎)。大正4年(1915)の建築 ☎0749-54-2163
(写真上中央)伊吹山文化資料館に展示されていた薬草とともに入る蒸し風呂。山麓の宿で使われていた ☎0749-58-0252
(写真上右)いぶき薬草湯(伊吹薬草の里文化センター内)にて。11月〜3月は土・日曜とそれに連続する祝日のみの営業でこの日はお休み、残念 ☎0749-58-0105 
(写真下左、中央)うまい! 伊吹ハム。筆者がかぶりつこうとしているフランクフルトは230円、山椒ソーセージは880円 ☎0749-58-1120
(写真下右)琵琶湖に落ちる夕日。豊〈ほう〉公園の近くから
(写真・阿部吉泰)

●株式会社ナンガ
<所在地>滋賀県米原市本市場182-1
☎0749-55-1016
<URL>https://nanga.jp/
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14882


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/844.html

[国際25] ロシア疑惑の最終報告書は「フェイク・レポート」になるのか? 
ロシア疑惑の最終報告書は「フェイク・レポート」になるのか?

2019/02/04

海野素央 (明治大学教授、心理学博士)


(AP/AFLO)
 今回のテーマは「モラー報告書の行方」です。マシュー・ウィタカ米司法省長官代行は1月28日、記者団の質問に対して2016年米大統領選挙を巡るロシア疑惑の捜査が、最終段階に入っていることを明かし、「間もなく結論に達するだろう」と回答しました。捜査の途中で、司法当局のトップがこのような発言をするのは異例です。

 米メディアは、ウィタカ司法長官代行の発言を受けて、ロシア疑惑の捜査チームを率いるロバート・モラー特別検察官の最終報告書が、数週間後に出ると報じました。

 ウィタカ司法長官代行はなぜこのタイミングで、異例の発言をしたのでしょうか。何がモラー特別検察官の最終報告書に対する懸念材料になるのでしょうか。

 本稿では、トランプ陣営の元顧問で政治コンサルタントのロージャー・ストーン被告の起訴状を分析しながら、「モラー報告書」の行方について述べます。

2人のニクソン信奉者
 ストーン被告は1月25日、司法妨害1件、偽証5件、証人買収1件を含めた7つの罪で起訴されました。同被告は、トランプ大統領と30年以上にわたる友人です。リチャード・ニクソン元大統領を英雄とみなし、背中に同元大統領の顔の入れ墨を入れています。

 ウォーターゲート事件で弾劾に追い込まれる前に辞任を発表したニクソン元大統領は1974年8月9日、ホワイトハウスの庭園に待機している米大統領専用機(マリーンワン)に乗り込む前に、両腕を高く上げて二重のVサインをしました。ストーン被告も南部フロリダ州フォートローダーデールの連邦地裁から出てきたとき、このニクソン流のVサインを作ったのです。

 ストーン被告はかなりのニクソン信奉者だといえます。以前述べましたが、トランプ大統領も若き頃、ニクソン元大統領から一通の手紙を受け取り、それ以来同元大統領の影響を受けています。

つながった点と点
 24ページに及ぶストーン被告の起訴状を読むと、どの程度までモラー特別検察官の捜査が進んでいるのか、推測することができます。

 まず起訴状には、組織名と人物名が匿名で書かれています。しかし、「組織1」は2016年米大統領選挙において、ロシア政府がハッキングをした民主党全国委員会(DNC)及びクリントン陣営のメール内容を公表した「内部告発サイト」ウィキリークスであることは容易に理解できます。

 起訴状によれば、トランプ陣営の「上級スタッフ」が、組織1が今後もクリントン陣営に打撃を与える情報を所有しているのかを知るために、ストーン被告に接触しました。それに対して、ストーン被告は「組織1がクリントン陣営を傷つける情報を持っている可能性がある」と回答しています。

 ストーン被告は、組織1がどのような内容のメールを、どのタイミングで公表するのかを事前に把握していたのです。

 では、どのようにしてストーン被告は、ロシア政府がハッキングをしたメールを所有している組織1と連絡をとることができたのでしょうか。

 起訴状には、(ウィキリークスの創設者で現在ロンドンのエクアドル大使館に身柄を寄せているジュリアン・アサンジ氏と思われる)組織1のトップとストーン被告の間に、「人物2」が仲介役を果たしたことが記されています。人物2はラジオ番組のホスト役で、ストーン被告と10年以上の関係があるコメディアンのランディ・クレディコ氏だといわれています。以前、人物2のラジオ番組に組織1のトップが、ゲストとして参加しています。

 ストーン被告は、仲介役の人物2と少なくともメールのやりとりを30回行い、組織1のトップの動向を知り、その内容をトランプ陣営の「上級スタッフ」に伝えていました(図表)。モラー特別検察官は、約2年間の捜査の結果、やっと「点と点をつなげる」ことができたのです。


写真を拡大
「クリプトナイト」の威力
 モラー特別検察官は、メールの通信履歴と内容からかなり詳細なところまでストーン被告のメール内容を把握していたことが、起訴状から読み取れます。起訴状には、人物2がストーン被告に送信したメール内容が明記されています。

 たとえば、「組織1のトップはヒラリーに対するクリプトナイトを持っている」と送っています。「クリプトナイト」は、スーパーマンの超人的能力を無力化する架空の物質です。つまり、組織1のトップはヒラリー・クリントン元国務長官に決定的な打撃を与える情報を得ていたという意味になります。

 モラー特別検察官は、ストーン被告と下院情報特別委員会で議会証言をする予定であった人物2のメール内容も捜査しています。同被告は自分の証言内容と一致させるように人物2を説得し、口裏を合わせをしていました。

 ストーン被告は、人物2とメールを通じてコミュニケーションをとっていたのにもかかわらず、電話で会話をしていたと議会に証言をしています。加えて、組織1のトップに言及したメールを所有していないと証言しました。こららのメールに関する証言は偽証でした。

トランプ陣営の「メール問題」
  偽証罪に加えて、ストーン被告は司法妨害と証人買収においても罪を問われました。ストーン被告は映画「ゴッドファーザーパート2」に登場する架空の人物フランク・ペンタンジェリを持ち出して、人物2に対してペンタジェリのように議会証言を取りやめるように促しました。

 ペンタジェリは、コルレオーネ・ファミリーの一員で、直前になってマイケル・コルレオーネを追及する証言を取りやめた人物です。ここでもストーン被告が、自分と人物2の証言の不一致を恐れていたことが理解できます。

 思えば、2016年米大統領選挙でヒラリー・クリントン元国務長官は私的なメールサーバーで公務を行った問題、いわゆる「メール問題」を選挙期間中取り上げられ、トランプ大統領からの攻撃に終始守勢に回りました。しかしこの起訴状では、ストーン氏、人物2及び組織1のトップとのメールのやり取りに捜査の焦点が当たっています。

 前回の大統領選挙では有権者に明らかになっていませんでしたが、トランプ陣営には極めて深刻な「メール問題」が存在していたわけです。

「上級スタッフ」と「高位の幹部」は誰か?
 起訴状には、ストーン被告がやりとりをしていたトランプ陣営の2人の幹部が匿名で記されています。「上級スタッフ」と「高位の幹部」です。

 一部の米メディアによると、上級スタッフはすでに有罪となっている元選対本部長ポール・マナフォート被告の部下で政治コンサルタントのリック・ゲイツ被告といわれています。仮にそれが事実であれば、高位の幹部とは一体誰なのでしょうか。

 率直に言ってしまえば、長男のドナルド・トランプ・ジュニア氏ないし娘婿のジャレッド・クシュナー氏が有力でしょう。ただ、トランプ大統領本人である可能性も捨てきれません。

 いずれにしてもモラー特別検察官は、高位の幹部を把握しており、その人物に焦点を当てて捜査をしているはずです。仮に高位の幹部がドナルド・トランプ・ジュニア氏で、モラー特別検察官が同氏を起訴できれば、ロシア疑惑は急展開します。

 このとき、トランプ大統領は長男に恩赦を出すのか決断を迫られます。最終報告書が出るまでに、高位の幹部を起訴できるのかがカギになります。

報告書に対する懸念
 以前、ウィタカ司法長官代行は、モラー特別検察官の捜査がトランプ大統領のビジネス取引まで拡大したと米メディアが報じたとき、「行き過ぎた」「魔女狩りだ」と捜査を批判しました。さらに、トランプ大統領がジェームズ・コミー前連邦捜査局(FBI)長官を解任した際には、同大統領の決断を擁護しました。議会民主党は、ウィタカ司法長官代行がロシア疑惑の捜査に関与している点に不快感を抱いています。

 そのウィタカ司法長官代行は、モラー特別検察官によるロシア疑惑の捜査がかなり進展している点を危惧し、捜査を終了させるために、同検察官に圧力をかけたとみることができます。

 議会民主党はトランプ大統領から次期司法長官に指名されたウィリアム・バー氏に対しても懐疑的です。というのは、バー氏も過去にモラー特別検察官の捜査を批判しているからです。

 トランプ大統領には、ウィタカ司法長官代行とバー次期司法長官を使って、モラー特別検察官に対する監督強化を図る意図があります。バー氏が米議会での承認を経て司法長官に就任すると、モラー特別検察官は同氏に最終報告書を提出することになります。

 野党民主党議員の中には、バー氏が報告書を検閲して修正するのではないかと警戒感を強めている議員がいます。ソフトな表現に変えたり、トランプ大統領に不利な文章の一部を削除するなどの行為が可能になるからです。

 バー氏が修正を加えないで最終報告書を米議会に提出し、有権者に公表するのかが焦点になります。もしホワイトハウスが米司法省に圧力をかけ、同省が報告書の書き換えや手直しをした場合、結局、ロシア疑惑の最終報告書は「フェイク・レポート(偽の報告書)」になり得るのです。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15258
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/392.html

[経世済民130] 学歴に日本分断のリスク非大卒に意識を 学歴と人生の格差 「底辺校」出身の田舎者、東大に入って絶望 日本は学歴分断社会
学歴に日本分断のリスク

非大卒に意識を

上級論説委員 大林 尚
核心
2019/2/4 2:00日本経済新聞 電子版
保存 共有 その他
BSテレ東の「ハイスクールQ」は高校生を対象にした日曜朝のクイズ番組だ。時折見るともなしに見る。

毎週テーマを決め、時々のニュースを素材にした問題にスタジオの高校生が答える。地味なつくりだが、問いが洗練されていてスマホのニュースサイトを見ているだけでは正答が難しいのもある。それにしても、なぜ高校生? ふと浮かんだ疑問を長坂章生プロデューサーにぶつけた。

「大学へ進まない人を含めて、高校生には大人…


関連記事
東京大学安田講堂
学歴と人生の格差(4) 大卒と非大卒層に分断[有料会員限定]
2018/12/24 2:00
東京大学安田講堂
学歴と人生の格差(5) 大卒学歴、分断の境界にも[有料会員限定]
2018/12/25 2:00
東京大学安田講堂
学歴と人生の格差(1) 現役世代の過半数は非大卒[有料会員限定]
2018/12/19 2:00
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40788860R00C19A2TCR000/


学歴と人生の格差(1) 現役世代の過半数は非大卒
吉川徹 大阪大学教授
やさしい経済学 コラム(経済・政治)
2018/12/19 2:00日本経済新聞 電子版
保存 共有 その他
通勤電車の中で、ショッピングモールで、都会の交差点で……。日ごろ見かける人々を思い浮かべてみて下さい。その中に大学を出ている人がどの程度いるかご存じでしょうか。ここではひとまず成人式から還暦まで、生年でいえば1950年代後半から90年代後半に生まれた人を考えることにしましょう。今後の日本社会を実質的に支えていく現役世代の人たちです。

答えは、四大卒以上に限れば約34%、短大・高専卒を含めた高等教…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39071200Y8A211C1SHE000/

学歴と人生の格差(2) 「人口スカイツリー」時代へ
吉川徹 大阪大学教授
やさしい経済学 コラム(経済・政治)
2018/12/20 2:00日本経済新聞 電子版
保存 共有 その他
筆者の専門である計量社会学は、行動経済学や人口学などとともに、現代社会の仕組みを数量的に把握します。とりわけ、産業経済活動の背景にある現代日本社会という「舞台装置」に関心を持っています。そのエビデンス(証拠)は全国規模の社会調査データによって測り出しています。

この視点で日本社会をみるとき、男女・年齢別人口構成、いわゆる人口ピラミッドの形を考えることが重要になります。日本の現状はピラミッドとは名…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39124460Z11C18A2SHE000/

学歴と人生の格差(3) 大学進学は不確実な投資
吉川徹 大阪大学教授
やさしい経済学 コラム(経済・政治)
2018/12/21 2:00日本経済新聞 電子版
保存 共有 その他
リカレント教育(社会人の学び直し)について米国では、高卒社会人や学校を中途退学した人たちが20歳代後半から40歳代になって学び直して大卒学歴を得ることがイメージされます。

これに対して日本では、大卒社会人のスキルアップのための大学院進学、退職大卒層の教養としての学び、専門学校での個別スキルの取得など多様な例がある中で、高卒社会人が地位向上を目指して大学で学び直すという例はそれほど多くはありません…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39172100Q8A221C1SHE000/

学歴と人生の格差(4) 大卒と非大卒層に分断
吉川徹 大阪大学教授
やさしい経済学 コラム(経済・政治)
2018/12/24 2:00日本経済新聞 電子版
保存 共有 その他
私たちが日ごろ「学歴」と呼んでいるものには公的制度と私的ルールがあります。公的制度は6・3・3・4制の学校段階のことです。戦後日本はこの単線型の制度を大きく変えることなく維持してきました。その結果到達したのが、同年齢人口のほぼ全員が義務教育終了後に高校に進学し、さらにその半数が大学に進学するという状況です。そこでは高卒後に大学などに進学するかどうかが非常に大きな意味を持っていて、筆者はこれを「学…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39232280R21C18A2SHE000/


学歴と人生の格差(5) 大卒学歴、分断の境界にも
吉川徹 大阪大学教授
やさしい経済学 コラム(経済・政治)
2018/12/25 2:00日本経済新聞 電子版
保存 共有 その他
近年、社会の分断ということが世界各国で盛んにいわれています。分断とは、(1)社会の目立つところに人々が認識している境界線があり(境界の顕在性)、(2)境界を越えたメンバーの入れ替わりが少なく(成員の固定性)、(3)隔てられた人々がお互いをよく知らず(集団間関係の隔絶)、(4)チャンス、リスク、メリットの振り分け方に上下関係(分配の不平等)がある状態を意味します。ときにそれは集団間の対立や衝突を生…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39232700R21C18A2SHE000/


学歴と人生の格差(6) 学校は「格差生成装置」
吉川徹 大阪大学教授
やさしい経済学 コラム(経済・政治)
2018/12/26 2:00日本経済新聞 電子版
保存 共有 その他
学校は、同年に生まれた人を多様な労働力に振り分け、公的なラベルを貼って社会に送り出す働きをしています。その際、育った家庭ごとの不平等があるのは問題ですが、学校教育には公的に認められた「格差生成装置」としての役割があり、学歴による格差がなくなることはないといってよいでしょう。

格差を是正するために、みんなが大学に行けるようにすればいいという平等主義の主張は、一見すると聞こえはよくても、差異化と人材…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39332770V21C18A2SHE000/?n_cid=SPTMG002


学歴と人生の格差(7) 若い非大卒層に不利な状況
吉川徹 大阪大学教授
やさしい経済学 コラム(経済・政治)
2018/12/27 2:00日本経済新聞 電子版
保存 共有 その他
新成人から還暦までの現役世代は立ち位置の異なる人々で構成されています。その特性を知るため、現役世代を男女と若年・壮年の生年世代で分け、さらに大卒と非大卒の学歴分断線で分けてみます。すると今、日本社会を支えている6200万人の人々を8つのセグメントに分けることができます。

全国調査によってそれぞれの生活実態を見たとき、気になるのは若年層の内部に生じている分断です。特に若年非大卒層、とりわけ男性が不…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39383070W8A221C1SHE000/?


学歴と人生の格差(8) 非大卒層、外国人労働者と競合
吉川徹 大阪大学教授
やさしい経済学 コラム(経済・政治)
2018/12/28 2:00日本経済新聞 電子版
保存 共有 その他
外国人労働者の受け入れ基準を緩和する出入国管理法の改正が先の臨時国会の大きな争点でした。受け入れを拡大するのは介護、外食、建設、ビルクリーニング、飲食料品製造、宿泊、農業、素形材産業などの14業種で、いずれもマニュアル労働の現場人材が不足しているといわれます。

そもそも、こうした労働力を国内の現役世代で賄えないのは、なぜなのでしょうか。もちろん少子化の影響はありますが、それに加えて、日本の労働力…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39427090X21C18A2SHE000/


学歴と人生の格差(9) 都市と地方の分断に重なる
吉川徹 大阪大学教授
やさしい経済学 コラム(経済・政治)
2018/12/31 2:00日本経済新聞 電子版
保存 共有 その他
地方消滅がいわれ始めて数年になります。消滅の根拠として挙げられたのは、出産適齢期の若年女性が少なくなり、人口が東京に一極集中するという推計でした。現役世代の学歴構成を考えることは、この問題を理解する手掛かりにもなります。例えば、島根県と東京都の現役世代の学歴構成を比較すると、東京都では大卒層が64.8%を占めるのに対し、島根県では37.6%にとどまります(2010年の国勢調査)。

ここには大学進…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39489680Y8A221C1SHE000/

2018.10.23 Tue
子どもの家庭背景による学力格差は根深い――学力の追跡的調査の結果から考える
中西啓喜 / 教育社会学

1.はじめに

2018年8月2日、大阪市の吉村洋文市長が、文部科学省が実施する全国学力・学習状況調査(以下、「全国学テ」と表記)の数値目標を市として設定し、達成状況に応じて教員の手当を増減させる人事評価の導入を検討すると発表したことが話題になっている。

そこで本稿では、改めて、学力の獲得がいかに子どもの家庭背景によって「根深く」左右されているのかについてデータを示していく。そして読者には、データを見たうえで、こうした教育への介入が適切な方向であるかどうかについて考えるきっかけにしていただければ幸いである。


2.全国学テによる学力格差の実態

文部科学省が全国学テを本格的に毎年実施するようになったのは平成19年度からである。この調査の主たる目的は、「義務教育の目標の実現状況の評価と検証」としているため、児童生徒の家庭環境についての情報収集は、基本的にはほとんど行われていない。しかし、平成25年度には保護者調査も実施され、保護者の収入や学歴水準等と子どもの学力の関係が分析されることになった(なお、平成29年度にも同様の保護者調査が実施されている)。

このデータの分析はお茶の水女子大学の研究チームに委託され、報告書もウェブサイト上で公開されている(お茶の水女子大学 2014)。

お茶の水女子大学の研究グループは、まず保護者に対する調査結果をもとに、家庭所得、父親学歴、母親学歴の3つの情報から子どもの家庭背景を測定した。このように測定される子どもの家庭背景は、社会学では「社会経済的地位(Socio-Economic Status:SES)」と呼ばれる。こうして測定されたSESを「上位」、「中上位」、「中下位」、「下位」に四等分し、それぞれのグループごとに学力の平均正答率を比較したものが図1である(注1)。

結果を簡単にいえば、「家庭が裕福な児童生徒の方が各教科の平均正答率が高い傾向が見られる」というものであった。この知見そのものはもちろん重要なのだが、より重要なことは、(1)日本の学力格差の様相が国家的規模で明らかにされ、(2)(委託研究ではあるものの)文部科学省の名において公表された、という2つの事実である。


図1.家庭の社会経済的背景と学力の関係

出典 「平成25年度全国学力・学習状況調査(きめ細かい調査)保護者に対する調査結果概要」に掲載された表を加工した。
http://www.nier.go.jp/13chousakekkahoukoku/kannren_chousa/pdf/hogosha_summary.pdf


3.格差は「連鎖・蓄積」するものだと考えてみる

図1のような結果が国家的規模のデータによって広く発信されたにも関わらず、学校や教師の努力によって学力格差が克服されるのではないか、という意見は根強い。こうした見方が蔓延する理由のひとつには、学力を一時点で観測しているため、家庭背景に根差した学力格差の深刻さが今一つ認識されていないことに起因していることが考えられる。

周知の通りだが、文部科学省の全国学テは、毎年小学6年生と中学3年生を対象として実施され、その前にもその後にも同一児童生徒への学力調査は実施していない。換言すれば、全国学テの結果は、子どもの学力格差はいつから始まり、その後どのような推移をたどるのかを把握しておらず、すでに出来上がっている学力格差を一時点で切り取っているに過ぎない可能性がある。結論を先取りすれば、学力格差は小学6年生よりももっと早い段階に発生しているのである。

石田浩氏(2017)は、格差の「連鎖・蓄積」(cumulative advantage and disadvantage)という考え方を用いて、人々の人生を通じた不平等の形成プロセスを説明しようとしている。通常、個人の不平等は、ある時点での有利さ・不利さが時間とともに積み重なっていく(「富める者はますます富む!」)。その時にスタート地点となる不平等は、家庭環境や性別のような当人の意思や努力によって獲得できない〈生まれながらの差異〉である。このような〈生まれながらの差異〉が、その後の人生における学歴や職の獲得に対して影響し続けるという考え方を格差の「連鎖・蓄積」と呼んでいる。


4.日本の学力格差の「連鎖・蓄積」の様相を把握する

それでは、格差の「連鎖・蓄積」という枠組みから日本の学力格差の様相について把握してみたい。これには同一の対象を追跡的に繰り返して調査して得られたデータが必要となる。同一の対象を追跡的に繰り返して調査して得られたデータを「パネルデータ」と呼ぶ。日本では学力情報を含んだ小中学生を対象としたパネルデータの蓄積はそれほど多くないが、ここではその一例を紹介したい。

「青少年期から成人期への移行についての追跡的研究(Japan Education Longitudinal Study: JELS)」(代表:お茶の水女子大学・耳塚寛明)は、2003年から2010年まで関東地方と東北地方において、小学3年生―6年生―中学3年生を対象に、3年ごとに同一の児童生徒を追跡した学力のパネル調査である。最終的な分析ケース数は1,085人、学力調査は算数・数学のみ、児童生徒の家庭背景を親の学歴で定義している、などのいくつかの限界はある。しかし、こうした類のデータは他に例が少ないため貴重なデータである(注2)。


(1)学力格差はどのように推移するのか?

パネルデータの特徴を活かした分析によって、学力格差の推移をビジュアル化したのが図2である。結果は、(1)小学3年次において、すでに親学歴による学力格差が観測され、(2)学年(年齢)の上昇とともに学力格差が拡大していくこと、の2点が示された(注3)。

改めて確認しておくと、文部科学省の全国学テは小学6年生と中学3年生に対し、一時点で実施されている。図2の結果を勘案すれば、私たちが新聞等で把握する図1で見られた学力格差の様相は、「すでに出来上がっている学力を一時点で切り取ったもの」に過ぎないことがわかる。【次ページにつづく】


図2.算数・数学通過率の推定結果(成長曲線モデル)

出典 中西啓喜(2017)『学力格差拡大の社会学―小中学生への追跡的学力調査結果が示すもの―』東信堂、p.61より。

(2)児童生徒の努力は学力格差を克服するのか?

パネルデータを用いた分析のもうひとつの長所として、偏りの小さい推定値を得やすいという点がある。この特徴を活かして、児童生徒の努力の指標として学習時間を設定し、親学歴別に学力と学習時間の関連を分析したのが図3である。

まず青色の棒の両親非大卒の結果を見ると、「ほとんどしない」と「1時間まで」の正答率はそれぞれ47.3点と48.3点となっている。この1ポイント差には統計的に意味はないが、学習時間が「2時間まで」と「2時間半以上」となると、学習時間が正答率を向上させる統計的な関連が見られるようになる。

一方で、オレンジ色の棒の両親大卒の結果では、「1時間まで」の学習時間で学力スコアが向上する。つまり、両親大卒の児童生徒は短時間の学習でも学力に効果があるが、両親非大卒の児童生徒は比較的長い時間の学習をしないと努力が学力に変換されないことが示唆される。

さらに、両親大卒と両親非大卒の児童生徒別に学習時間の推定値を比較すると、同じ学習時間にも関わらず、親学歴によって学力スコアが異なる。両親大卒の児童生徒は、1時間までの学習時間でも52.9点だが、両親非大卒の児童生徒は48.3点しか獲得していない。さらに見ると、両親大卒の児童生徒は、2時間半以上の学習時間で55.7点だが、両親非大卒の児童生徒は51.3点に留まる。

この結果は、学力の獲得をとりまく種々の学習行動(例えば、努力)は形式的に平等であるに過ぎないことを示唆している(ブルデュー&パスロン 1964=1997など)。具体的にいえば、両親が非大卒の児童生徒に比べて、両親大卒の児童生徒は「効果的な学習」がより身体化されており、学習時間の効果が親学歴別に異なり、その結果として、個々人の努力では学力格差が克服することができないことになる。


図3.親学歴別、学習時間の効果の推定結果(固定効果モデル)

出典 中西啓喜(2017)『学力格差拡大の社会学―小中学生への追跡的学力調査結果が示すもの―』東信堂、p.85の表5-3を図化した。


5.学力格差は根深い

ここまでの図2と図3の分析結果を合わせて考えると、学力格差の発生には二段階のメカニズムがあることがわかる。すなわち、(1)家庭背景による初期的な学力格差に加え、(2)家庭背景によって学習時間の効果が異なる、という2段階である。第一の段階は家庭環境そのものが生み出す学力格差であり、第二の段階は児童生徒の家庭背景によって「努力の質格差」とも呼べる現象が生じており、それが学力格差を生み出しているのである。

こうしたデータを改めて眺めてみると、学力格差がいかに子どもの家庭環境によって早期から大きな影響を受けているのかが理解してもらえるだろうか。むろん文部科学省の全国学テの実施には、その役割と意義はある。しかし、全国学テによって把握できる学力格差(図1)は、すでに出来上がっている格差を一時点で切り取っているに過ぎないという限界は理解すべきである。

このようなデータを提示すると指摘されるのは、「分析結果は傾向に過ぎず、例外もあるはずだ」という意見である。例えば、「私は親が非大卒だけど学力が高かった」や「友人は、貧困家庭だったが有名大学に進学できた」などの経験則を踏まえて「納得できない!」という主張がある。

しかし、過去の『シノドス』(https://synodos.jp/education/16239)において中澤渉氏が指摘している通り、統計的な分析結果が示すのは、あくまで全体の傾向でしかない。それゆえに、「不利な家庭環境を乗り越えた人物」のようなレアケースは存在する。だが、全体の傾向にマッチしない自分や身の回りの人間のケースを「納得できない!」と紹介するだけでは反証したことにはならない。統計的な分析によって導かれた知見は、統計的な分析で反証しなければならないのである。

例えば、JELSデータの分析によれば、学力スコアを上位・中位・低位に3等分し、小3の時に学力低位だった児童生徒が、中学3年生で学力高位になったのは全体の4.42%に過ぎなかった。具体的な人数を記述すれば、1,085人中の48人である。両親非大卒の児童生徒に限れば13人(1.2%)しかいない。このような極めて少数のケースを元に、「学力格差は挽回できる!」と反証の根拠にするのは無理がないだろうか(注4)。

賛否は別として、冒頭で紹介した大阪市のように、学校に成果の説明責任を求めようとする政策的動向は、歴史的には新しいことでも特別なことでもない。教育に市場原理を導入して、高い成果を目指すということは海外でも見られる。有名な例としては、アメリカではブッシュ政権下における「おちこぼれゼロ法」(No Child Left Behind Act=NCLB)である。

歴史的に、人々は社会問題の解決を過剰に学校教育へ期待し、「小手先の学校いじり」に熱中し、学校教育は社会問題の解決の「カギ」としての役割を押し付けられてきたのである(ラバリー 2010=2018)。

むろん、筆者は学校教育が無力だと主張したいのではない。学校教育に期待するからこそ、学校に出来ることと出来ないことを見極め、どのような条件がそろえば学校教育の効果が発揮されうるのかを考えたいのである。そのための真っ先に取るべき「最善策」が現場教師への査定を導入することなのかということを、本稿の図1〜図3を見たうえで読者にも考えてみてほしい(注5)。


〈注〉
(1)文部科学省の全国学テはA問題とB問題に分かれている。A問題は、主として身につけた「知識」に関わる出題、B問題は、主として知識の「活用」に関わる出題である。
(2)JELSの詳細については、以下のウェブサイトを参照されたい。
http://www.li.ocha.ac.jp/ug/hss/edusci/mimizuka/JELS_HP/Welcome.html、2018年8月29日取得。
(3)最近では、日本財団によって「貧困状態の子どもの学力は10歳を境に急激に低下する」という知見が発表されている。
https://www.nippon-foundation.or.jp/news/articles/2017/img/92/1.pdf、2018年8月29日取得。
(4)データの詳細は、拙著(中西 2017)の50-63を参照されたい。
(5)例えば、教育と福祉に連携が必要なことは、過去の『シノドス』(https://synodos.jp/education/17471)において仁平典宏氏も論じているところである。


〈文献〉
ブルデュー・ピエール&ジャン・クロード・パスロン、1964=1997、『遺産相続者たち―学生と文化』藤原書店。
石田浩、2017、「格差の連鎖・蓄積と若者」石田浩編『格差の連鎖と若者1 教育とキャリア』勁草書房、pp.35-62。
ラバリー・デイヴィッド、2010=2018、『教育依存社会アメリカ―学校改革の大儀と現実』岩波書店。
中西啓喜、2017、『学力格差拡大の社会学―小中学生への追跡的学力調査結果が示すもの』東信堂。
お茶の水女子大学、2014、『平成25年度 全国学力・学習状況調査(きめ細かい調査)の結果を活用した学力に影響を与える要因分析に関する調査研究』。

知のネットワーク – S Y N O D O S –

学力格差拡大の社会学的研究―小中学生への追跡的学力調査結果が示すもの書籍
作者中西 啓喜
発行東信堂
発売日2017年12月11日
カテゴリー単行本
ページ数176
ISBN479891438X
Supported by amazon Product Advertising API


中西啓喜(なかにし・ひろき)
教育学
1983年、三重県伊勢市生まれ。青山学院大学大学院教育人間科学研究科博士後期課程修了(博士・教育学)。専門は教育社会学。お茶の水女子大学・研究員を経て、現在、早稲田大学人間科学学術院・講師。主著は『学力格差拡大の社会学―小中学生への追跡的学力調査結果が示すもの』(2017年・東信堂)、『半径5メートルからの教育社会学』(2017年・大月書店・第1章を担当)、主要論文は「少子化と90年代高校教育改革が高校に与えた影響─「自ら学び自ら考える力」に着目して」、『教育社会学研究』88:89-116、「パネルデータを用いた学力格差の変化についての研究」『教育学研究』82(4):65-75、「トラッキングが高校生の教育期待に及ぼす影響―パネルデータを用いた傾向スコア・マッチングによる検証」『ソシオロジ』191:41-59など。



シノドスのコンテンツ

●ファンクラブ「SYNODOS SOCIAL」
https://camp-fire.jp/projects/view/14015

●電子メールマガジン「αシノドス」
https://synodos.jp/a-synodos

●少人数制セミナー「シノドス・サークル」
https://synodos.jp/article/20937

https://synodos.jp/education/22176


 


「底辺校」出身の田舎者が、東大に入って絶望した理由180425
知られざる「文化と教育の地域格差」
阿部 幸大文学研究者
プロフィール
シェア41,098ツイートブックマーク1,924
名門校出身者たちを目の当たりにして
教育と格差の問題といえば、しばしば話題にのぼるのが東大生の親の年収である。2014年の調査によれば、東大生の育った家庭の半数強が、年収950万円以上の比較的裕福な家庭だという。

ここで問題視されているのは、階級の固定化である。つまり、裕福な家庭は多額の教育費を支払うことができるので、子供は高学歴化する傾向にある。学歴と収入は比例することが多い。結果的に、金持ちの家系はいつまでも金持ちだし、逆に貧乏人はいつまでも貧乏から抜け出せない――という問題だ。

だが、こうした問題提起に出くわすたび、いつも「ある視点」が欠けていると私は感じる。それは都市と地方の格差、地域格差である。

田舎者は、田舎に住んでいるというだけで、想像以上のハンディを背負わされている。

あらかじめ、どんな地域で育ったどんな人物がこの記事を書いているのか、簡単に紹介しておこう。

私は高校時代までを、北海道の釧路市で過ごした。初代の「ゆとり世代」であるらしい1987年生まれの男性で、これは2000年に中学に入学し、2006年に高校を卒業する学年である。

中卒の母親と小学校中退の父親という両親のもとに生まれ、一人息子を東京の大学に通わせるだけの経済的な余裕はある家庭に育った。

高校卒業後は浪人して東京大学の文科三類に進み、3年次で文学部へ進学、その後5年間の大学院生活を経て、現在はニューヨーク州立大学の博士課程に籍をおいている。

釧路市は、見渡す限り畑が広がり家屋が点々と建っている、というほどの「ド田舎」ではないものの、若者が集まる場所といえば「ジャスコ」しか選択肢がなく、もっともメジャーな路線のバスは30分に1本しか来ず、ユニクロやスタバがオープンすると大行列ができるような、ある種の典型的な田舎町だ。

私が住んでいた当時は、ちょうど人口が20万人を割ったころであり、現在も小中高のクラス数とともに、人口は減りつづけている。

そのような田舎町で育った私は、東大に入学して、都内の名門校出身者をはじめとする「サラブレッド」たちに出会い、いたく驚かされることになった。

文化と教育の地域格差が、想像以上に大きかったからである。

問題は「貧富の差」ではない
私が主張したいのは、「貧富の差よりも地域格差のほうが深刻だ」ということではない。そうではなく、地方には、都市生活者には想像できないであろう、別の大きな障害があるということである。

田舎では貧富にかかわらず、人びとは教育や文化に触れることはできない。

たとえば、書店には本も揃っていないし、大学や美術館も近くにない。田舎者は「金がないから諦める」のではなく、教育や文化に金を使うという発想そのものが不在なのだ。見たことがないから知らないのである。

もちろん、文化と教育に無縁の田舎で幸福に暮らすのはいい。問題なのは、大学レベルの教育を受け、文化的にも豊かな人生を送れたかもしれない田舎の子供たちの多くが、その選択肢さえ与えられないまま生涯を過ごすことを強いられている、ということだ。

「文化的」とは、おそらく、いまあなたが思い浮かべている次元の話ではない。たとえば私が想定しているのは、わからないことがあればひとまず「ググる」という知恵があり、余暇の過ごし方として読書や映画鑑賞などの選択肢を持ち、中卒や高卒よりも大卒という学歴を普通だと感じる、そういったレベルの話である。

この記事は、以下のツイートの拡散をきっかけに執筆依頼を受けて執筆している。


阿部幸大
@korpendine
家庭が貧しいと教育が受けられず貧しさが再生産されるという話、もちろん大問題だけど、同時に知ってもらいたいのは、教養のない田舎の家庭に生まれると、たとえ裕福でも教育には到達できないってこと。教育の重要性じたいが不可視だから。文化資本の格差は「気付くことさえできない」という点で深刻。

10,012
15:56 - 2018年3月15日
Twitter広告の情報とプライバシー
6,835人がこの話題について話しています
私は社会学者ではない。田舎から運良く東京の国立大学に進学できたので、上記のような格差と落差を、身をもって体感した一個人にすぎない。

だがこのような格差の紹介は、日本ではまだまだ驚きをもって受けとめられている――つまり十分に認識されていないようなので、私のような経験者がひとつの実例を提出してもよいだろうと考えた次第である。

そしてこの「十分に認識されていない」という事実が、逆説的にこの格差の大きさを物語っているように思われる。

大学って、どこにあるんですか?

大学生を見たことがなかった
私の育った釧路市のような田舎に住む子供の多くは、おかしな話に聞こえるかもしれないが、まず「大学」というものを教育機関として認識することからして難しい。

言い換えれば、大学を「高校の次に進む学校」として捉える機会がないのだ。

高校生の頃の私が「大学」と聞いたとき思い浮かべることができたのは、「白衣を着たハカセが実験室で顕微鏡をのぞいたり、謎の液体が入ったフラスコを振ったりしている場所」という貧しいイメージのみであった。仮に当時の私が「大学には18歳の若者が通ってるんだよ」と教わっても、驚くどころか、意味がよくわからなかっただろう。

たとえば釧路市民にとっての「都会」といえば札幌だが、釧路と札幌は300km、つまり東京―名古屋間と同じくらい離れている。市内には2つの大学があるが、いずれも単科大学である(当時は知らなかったが)。

日本の各都道府県にはそれぞれ総合大学(ユニバーシティ)が設置されているので、最寄りの総合大学からこれほど地理的に離れている地区というのは、全国を見渡しても、離島と北海道の端っこくらいのものであろう。

都市部にも「大学と無縁の環境で育った」という人はいる。だが、この点において田舎と都会で根本的に異なると思われるのは、「文化」や「大学」といった存在が視界に入るかどうか、という差である。

釧路にも大学は存在すると書いたが、しかし子供たちにとってそこは病院などと区別されない「建物」にすぎず、「大学生」という存在にじかに出会ったことは、すくなくとも私は一度もなかったし、また私の場合は親族にも大学卒業者が皆無だったため、高校卒業後の選択肢として「大学進学」をイメージすることは、きわめて困難であった。

それに対して都市部では、たとえば電車に乗れば「?大学前」といった駅名を耳にすることになるし、そこで乗ってくる大量の若者が「大学生」であることも、なんとなく理解するチャンスはかなり大きくなるだろう。上京して、じっさい私は「世の中にはこんなに大学があったのか」と驚いた。

さらに言えば、私が東大に入学し、なかば憤慨したのは、東大と同じ駒場東大前駅を最寄り駅とする中高一貫校が存在し、その東大進学率が抜群に高いということだった。なんという特権階級だろう! しかも彼らには、自らがその地理的アドバンテージを享受しているという自覚はない。まさに文化的な貴族である。

遠すぎて想像がつかない
地域格差の大きさを考えるために、以下のような比較をしてみたい。

たとえば東京に隣接したある県の家庭で、ひとりも大学卒の親族がおらず、しかし、抜群に成績が優秀な子供がいたとする。この子と、たとえば釧路市に住む、やはりひとりも大学卒の親族を持たない、同程度に優秀な子供とを比べてみよう。

それぞれの家庭の親が、「この子を大学に入れようかしら」という発想に至る可能性を想像してみてもらいたい。

前者の場合、仮に経済的な問題があっても、すくなくとも「将来、うちの子はもしかしたら東京の学校に通うことになるのかもしれない」という想像までは働くだろう。なにしろ東京まで電車で1時間程度なのだし、それに都内でなくとも、関東には大学がいくつもある。

だが、後者の場合、親はせいぜい子供の優秀さをなんとなく喜ぶ程度で、大学進学などという発想はいちども脳裏をよぎることがなく、高校の終盤に先生から打診されてはじめてその可能性を知り、やっとのことで「『大学』って……どこにあるんですか?」と反応するといったありさまだ。大袈裟に聞こえるかもしれないが、これは私の実例である。

釧路のように地理的条件が過酷な田舎では「街まで買い物に行く」ことも容易ではないので、たとえば「本やCDを買う」という日常的な行為ひとつとっても、地元の小さな店舗で済ませる以外の選択肢がない。つまり、まともなウィンドウ・ショッピングさえできないのだ。

したがって、私が関東に引越して自宅浪人しはじめたとき、まっさきに行ったのは、大きな書店の参考書売り場に通いつめることであった。見たこともない量の参考書が並んでいる東京の書店で、はじめて私は「釧路では参考書を売っていなかったのだ」ということを知り、悔しがったものである。

田舎者(私)の無知と貧弱な想像力の例をいくつか挙げたが、まさに問題は、この「想像力が奪われている」ということにある。こうした田舎では、とにかく文化と教育への距離が絶望的に遠いがゆえに、それらを想像することじたいから疎外されているのだ。

あまりに遠すぎて想像すらできないこと、これが田舎者の本質的な困難なのである。

努力ではなく、偶然にすぎない

サバイバーズ・ギルト
田舎の小中高生にとっては、「将来のために勉強する」という発想もまた、かぎりなく不可能に近い。これは「何のために役に立たない勉強なんてするの?」といった不満とは異なる話である。

たとえば当時の釧路市では、高校入試の倍率はどの学校でもほぼ1.0倍であり、進学先は中学校の成績で自動的に割り振られた。いわば、いつのまにか「生涯の偏差値」が――その意味さえわからぬまま――決定されていたわけだ。

田舎から抜け出すには大学入試がおそらく最大のチャンスだが、しかし、その可否は中学時代にすでに決まっている。

なぜなら、「都会には『大学』なる組織が存在し、自分も努力次第でそこへ入学するチャンスがある」という事実を教わることができるのは、中学で教師の言われるままに学区トップの高校に進学した者だけだからだ。

高校で初めて「大学進学」という選択肢の存在を知った私の場合は、この事実を驚愕と、いくぶんかの後ろめたさをもって受け止めた。なぜなら自分の学力が高くて大学に行けるのだとしても、それは「努力の成果ではなく、偶然の結果にすぎない」としか感じられなかったからである。

田舎から都市圏の大学に進学するということは、たまたま容姿に恵まれて街角でスカウトされるのにも似た、きわめて確率的な事象である。

それをプライドに転化することもできるだろうが、いわゆる「底辺」と形容される中学に通っていた私には、高い学力を持ちながらも、その価値を知らず道を誤ってしまった親しい友人を多く持っていたため、むしろ自らが手にした幸運の偶然性に寒気がしたものであった。

この「後ろめたさ」は、一種の「サバイバーズ・ギルト」のような感覚だと言える。じっさい、そうした友人たちは中学のある時点で未成年による犯罪のニュース報道とともに学校から姿を消し、のちに鑑別所か少年院で撮影されたらしい変色した写真が卒業アルバムに載っているのを目にするまで、生死さえわからない状態であった。

その中には私よりも成績が良い者もいたのだが、彼らは大学どころか中学校にも通えなかったわけだ。私が同様の運命を辿らずに済んだのは、たんに運が良かったから――たとえば犯罪行為が露見した日に一緒に遊んでいなかったから――にすぎない。私は、彼らが学力の価値を少しでも知っていたらどうだったろう、と考えないわけにはゆかない。

かように田舎において、学力というポテンシャルの価値は脆弱なのである。

東京との根本的な違い
仮にめでたく大学進学という選択肢が与えられ、十分に学力があり、経済的にも恵まれ、いざ大学進学を志したとしても、田舎の子供にはさらなる障壁がいくつも立ちはだかっている。思いつくままに羅列してみよう。

○「せめて県内の大学に行ってほしい」と希望する親(北海道はとくにこの傾向が強かった)

○「女性は大学・都会になど行くべきでない」という根強い価値観

○都会に出ようとする若者への激しい嫉妬と物理的・精神的妨害

○受験に対する精神的な負担(多くの人は飛行機に乗ったことも大都市に行ったこともない)

○単身で「都会へ引越す」ことへの精神的負担

○都会での大学生活について相談できる大人の不在

○塾や予備校の不在(都会にどんな機関があるのか知る機会もない)

○近所の本屋に受験参考書が揃っていない(取り寄せるべき参考書を知る機会もない)

○過去問を閲覧することができない

○各種模擬試験の案内がない

田舎者は、こうした数多の困難によって、教育から隔絶されている。

こういう話をすると、かならず「いまはインターネットで教育が受けられる」という反応がある。だがこれは、くりかえすが、機会の問題ではなく想像力の問題なのだ。田舎ではそのような発想じたいが不可能なのである。

田舎者は、教育の重要性はもちろん、インターネットの使い方もろくに知らない人がほとんどである。そのような情報弱者に、みずからの社会的地位の向上のためにインターネット教育を利用することを期待するという発想は、都会人の想像力の貧困を示していると言わざるをえないだろう。

「幸せならいい」のか?

「幸せかどうか」とは別問題
「田舎だけの問題じゃない」「うちの田舎のほうがキツかった」「都会の貧困層には都会特有の問題がある」といった数々の異論があると思う。それはもっともだ。しょせん私はひとつの経験しか持たない。とくに都会特有の問題については無知である。

だが、別の事例と問題点を挙げるとき、念頭においてほしいのは、弱者同士でケンカすることなどまったく不毛だということである。

たんに私は、「教育の格差といえば貧富の差」という一般論において消去されがちな地域格差という側面にスポットを当てたにすぎない。別の問題を知るひとは、また別の問題として提起すればよい。

また、「田舎は田舎で楽しくやってる」というのはまったくそのとおりだが、その事実と、都会と田舎のあいだには「格差」が存在するという問題は位相が異なる。田舎の幸福は格差を容認する理由にはならないのだ。

ましてや、「知らないほうが幸せ」という意見は、「家事こそ女の幸福」と主張して女性差別を温存するのにも似た、差別と搾取と格差を是認するロジックと同じである。

偶然に翻弄される地方の子供たち
地域格差が存在することは理解してもらえたとしよう。ではどうすればいいのか?

教育における地域格差の帰結をあらためて言い換えれば、それは「同じ学力の子供が、田舎に住んでいるという理由だけで、都市に住んでいれば受けられたはずの教育の機会を奪われている」ということである。そして、「知っていたら大学に行っていた」人口は、間違いなく、かなりの数にのぼる。

先にも述べたように、私自身が偶然によって東京の大学に進んだ。ということはつまり、別の偶然によって田舎に留まることも大いにありえたのである。

そして私は、もし過去に戻ってみずからの意思によって進路を選択できるのなら、迷うことなく前者を選ぶ。なぜなら、大学進学は選択肢を可視化するためである。「知らなくて損をする」という可能性を小さくするためである。

私が必要だと思うのは、こうした偶然性に翻弄される田舎の子供たちに、彼らが潜在的に持っている選択肢と権利とを想像させてやることであり、ひいては、東京をはじめとする都市部に住む人びとに、もうすこし田舎の実態を想像してもらうことである。

本稿がその実現にむけた小さな一歩となることを願っている。

続編はこちら:「大反響『底辺校出身の東大生』は、なぜ語られざる格差を告発したのか」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/55353?page=4

大反響「底辺校出身の東大生」は、なぜ語られざる格差を告発したのか180501
本人が批判と疑問に応える
阿部 幸大文学研究者
プロフィール
シェア3,376ツイートブックマーク390
衝撃をもって受け止められた、阿部幸大氏による「教育と文化の地域格差」に関する論考「『底辺校』出身の田舎者が、東大に入って絶望した理由」。「地方には、高等教育を受ける選択肢や機会そのものが不可視になっている層が少なからず存在する」という問題提起は、多くの読者の共感を得ると同時に批判をも呼び、議論はなお収まらない。

膨大な数にのぼる反響をふまえて、続編をお届けする。

ぜひ最後まで読んでほしい
前回の記事が想像以上に大きな反響と議論を呼んだため、本稿は連載形式をとることになった。さしあたり今回は、前回の記事に対していただいた反論や疑問に応答する。

反応はあらゆる媒体にわたって膨大な数にのぼっており、とてもすべてに目を通せたわけではないが、以下では、とくに重要だと思われるいくつかの指摘をピックアップして、できる範囲でお応えしたい。リアクションの総括には「現代ビジネス」編集部の担当者も協力してくれた。ありがとうございました。

最初に内容を概観しておこう。

まずは、謝罪しなくてはならない点がいくつかある。具体的には、釧路を含めた田舎にある店舗や施設、あるいは個人などを、あたかも存在しないかのごとく記述したことについてである。田舎を攻撃することなど、当然ながら、私の目的ではない。なぜそう聞こえる書き方を選択したのかも説明する。

つぎに、いくつかの批判・反論に対してコメントする。もっとも激しい批判は、都会からではなく、田舎(を知る人)から提出されており、とくにその意味について考えることにしたい。これは私には、田舎の内部の格差に起因するように思われた。

さらにインターネットの話にふたたび触れ、総括に入る。最後のページは重要なので、ぜひ読んでもらいたい。

本論に入るまえに、大前提として述べておきたいが、前記事に対してツイッターや記事へのコメントで寄せられた反応の大部分は「私が長年思っていたことを言語化し周知してくれた」という賛同であり、さらに注意してほしいのは、これらはおもに「田舎と都会の両方を知る人」から発せられている、ということである。

つまり、もっとも大きな格差を味わっている人々、田舎しか知らず、その格差の存在にさえ気付きにくい人々の声は、まだまだ上がっていないのだ。

以下の議論は、そのことを念頭に置きつつ読んでもらえればと思う。

「否定された」と感じた方へ
前回、私は「田舎と都会」という大きな二分法で議論を立てた。私が意図したのは、なによりもまず、地域格差という問題の提起と可視化そのものであったためである。

この「都会と田舎の格差を訴える」という最優先の目的を達成するにあたり、私は田舎と都会を、いわばイチゼロで語る方針を採った。そのようなわけで、いきおい、田舎には大学も書店も美術館も学習塾も「ない」のだ、それをまずは知ってほしい、という断定的な表現を多用することになったのだ。

ただし、私は本文で「田舎」と「釧路」と「私」という主語を使い分け、一般論、釧路の例、個人的体験などを慎重に腑分けした書き方をしているつもりである(前回の記事が「虚偽だ」という意見に賛成の人は、本稿を読んでから、もういちど読み返してほしい。まったく違って見えるはずだ)。しかし、それがうまく読み取ってもらえなかったということは、私の書き方が悪かったということだ。

まずはこの点について、特定の団体や個人にかぎらず、田舎で一生懸命に暮らしている人々、あるいは田舎だからこそできることを模索し挑戦している人々が、その存在や試みを無視され否定されたと感じたとすれば、それは心から謝罪するしかない。まことに申し訳ない。

私とて、むろん、釧路市をふくむ田舎を敵視・蔑視していると誤解されるのは本意ではない。たしかに十代の私にとって、釧路はなんとしてでも「脱出」すべき場所だった。私は情報と文化に飢えていた。しかし、田舎に生まれなければ現在の自分はありえないのだし、中高ではいまだに私淑している恩師にも恵まれた。

私にとって地元は、愛憎の相半ばする親のような存在である。田舎から都会への移動を経験した人の多くがそう感じていることだろう。私は帰省のたびに母校やお世話になった人々を訪問し、授業や講演のようなことをしていることも付記しておく。

だがこうした補足が、前記事の根幹にある主張を覆すわけではない。強調したように、地域格差ゆえに機会を与えられずにいる人々は、まぎれもなく、大量に存在しているのだから。

この謝罪によって、「ほら、やっぱり田舎にだって大学も美術館もあるじゃん」ということにされてしまう事態を私は懸念している。「田舎にも?がある」という事実は、それが都会に「ある」という事実とは、まったく比べ物にならない、ということを強調しておきたいと思う。この点についてはもう少し詳しく述べたいのだが、稿を改めよう。

ほんらい、こうした議論は社会学者の仕事であるはずなので、「門外漢がいいかげんなことを言うな」という専門家からの叱責には甘んじるしかないが――ただし地域格差を研究する社会学者からはむしろ賛同を得ている――しかし、私のような門外漢が個人的な経験を語るだけでこれほどの反応が噴出したという事実によって、やはり「田舎と都会」の二分法で語りうる巨大な問題が厳然として存在すること、そしてそれが不当に放置されていることは、じゅうぶんに示されたはずである。

田舎の中にも格差がある
つづいて私が取り上げたいのは、「私も田舎の出身だが、こんなことはありえない」という反対意見である。釧路を直接に知る人々、あるいは釧路と同程度か、釧路よりも規模の小さい市区町村で育った読者からの反応も含まれているようだ。

これは田舎を知らない人々からの反動的な否認とは性質が異なるので、応えておくべきだろう。

まず感想を述べておきたいが、私は彼らからの批判にもっとも心を痛めた。都会人に無視されるのはまだいい。そして田舎しか知らない人々は格差に無自覚であることがおおい。したがって、この批判を寄せた人々こそは、おそらく田舎と都会の両方を知る、もっとも私の意見に賛同してもらいたい層だったのだ。

では、田舎も都会も知っている人々から厳しい反論が寄せられたのはなぜなのか。

これは田舎の内部に存在する、また別の格差に起因しているように思われる。

前記事では田舎と都会という二分法を強調したので、この問題には補足的に言及するにとどめざるをえなかったが、もちろん、田舎の問題とて複合的である。都会から同様に地理的に隔てられた田舎であっても、経済的な格差、親や親戚の学歴、学校や先生の教育方針、などなどが絡み合って各人の大学進学可能性は決定される。

したがって、田舎者のあいだにも認識の差があるのは当たり前である。つまり上述の意見が示しているのは、田舎の情報強者にも田舎の情報弱者は見えていない、という事実だ。

このことは私にとって盲点だった。私は北海道全体で見ても上位とされる高校に進学したので、田舎者としては情報強者の上澄みに属していたと信じていた。だが、私のような「高校生活の後半まで大学受験が視界に入らない人」の存在は、「大学進学は当たり前と思っていた」高校生の眼中には、入っていなかったのだ。

これはイジメを知らない人間による「うちの学校にはイジメなどなかった」という意見に似ている。あるいは、高校に進路指導が存在することが私の意見と矛盾するように感じられるとすれば、それは「カウンセリング室があるのにイジメられていたのはおかしい」と主張することに近い。

それは高校のせいではない、お前のせいだ、と思われるかもしれない。それはたしかに高校の責任ではない。だが、私は高校を責めているのではない。私の趣旨は、そのような無知な若者を生み出している構造こそが地域格差なのだ、ということである。自己責任にすべてを還元しようとする議論もまた、「イジメられる奴が悪い」という論法と大きく違わないだろう。

では私のような無知な若者は、統計的には無視してもいいような、ごく特殊な情報弱者だったのだろうか?

そうではないだろう。田舎の内部にこのような格差が存在し、かつ、私がけっして特殊な少数派ではないことは、繰り返すが、私の記事が自分たちの鬱憤を言語化し代弁してくれたというリアクションが大多数だったことから、明らかであるように思われる。

もしかすると私は、母校の高校においては大学進学の知識に関して最下層に属したのかもしれない。だが、そもそも私は自分の通っていたような成績上位の高校だけを問題にしているわけではないのだ。

こうした反論の多くは「田舎を馬鹿にするな」という憤りから発せられたようだ。自分が「田舎者」に属すると考える人がそのように感じる気持ちは、よくわかる。

だが実際には、田舎を馬鹿にされたと感じた人々、感じることが「できた」人々は、田舎の情報強者、さらにそのなかでも最上位の上澄みに属していた可能性が高いように思われる。

どのような種類の格差でも、恵まれている側はそのことになかなか気が付かないものだ。ましてそれが目に見えない意識の差なら、なおさらである。

私の家族と環境について
私の家族と環境のこと
田舎の内部に存在する格差をもう少し具体的に見てもらうために、補足もかねて、いくつかの私個人にかかわる極端な例を紹介してみたい。

第一に、私の父親が小学校中退であるという記述を奇妙に思った読者もいると思う。誤解を解く必要もあるので書いておくが、私の亡父は1925年に国後島で生まれており、学校に通っていない。ただし、数年間は出生届も提出されていなかったらしく、正確な年齢、誕生日、そして出身地も不明だった。

これは「田舎では普通」といった類の事例では、さすがにない。しかし、世の中にはいろいろな人、いろいろな家庭が存在するのだ。

第二に、私の周囲には平仮名を正確に書けない大人が複数存在した。彼らは1960年代のうまれである。日本には、そうした人がまだ歴然と暮らしている。その子供たちは私と世代が変わらない。

もう一つだけ挙げよう。前記事でも触れたが、私の通った中学は私が入学した頃からかなり治安が改善していたものの、それでも複数名は犯罪によって消息を絶ち、10人弱は高校を1年以内に退学になり、私は仲間と頻繁に他校との乱闘事件を起こしては交番で説教を受け、教師は毎日のように個室で生徒を殴りしばしば大怪我を負わせる、といった状況だった。他にも、前回「サバイバーズ・ギルト」と書かざるを得なかったような、ここにはとうてい書けないことが多々ある。

こうした「極端な」事例をあえて紹介するのは、田舎の下位層、「底辺」をまったく知らない人々の考える「普通」が排除し不可視化している人々の存在を、すこしでも認識してもらいたいためだ。

これらは田舎に住んでいた経験があるからといって、必ずしも全員が知ることのできる現実ではない。じっさい、私と中学の同級で、私と同じ高校に進学した者は、上述のような事実の全てを知っていたわけではないだろう。ことによると、彼らは私と違って中学時代から大学進学を意識していたのかもしれない。

もちろん、平仮名が書けない人などは、それこそ統計的にはごく少数である。だが問題はそこではない。そんな人など「いくらなんでも今の日本に存在するわけがない」と本気で信じてしまう「常識的」な判断は、私の書いた記事を――つまり私の人生を――単なる虚偽としか思わないような態度へとまっすぐに繋がっているということ、これが問題なのである。

前記事に対する批判的反応には、「話を盛ってるだけ」という雑感による攻撃が、おそらく数としてはもっとも多かった。それゆえ、さらなる具体性をもった私の(恥ずべき)個人情報を、数値を含めてこうして公開することにした次第である。

「常識」を当たり前に生きることができる幸運に恵まれた人々にとって「底辺」が想像しにくいのは致し方ないが、誇張したところで何になるだろう。私が実名も顔も出身地も立場も明かしてこの記事を書いていることの意味を考えてみてほしい。そして社会学者でもない私には、自分の生きた過去しか武器がない。

私たちの想像力には限界がある。たとえ同じ空間で何年も一緒に過ごしたとしても、他人が何を考えているのか、家庭でどんな暮らしをしているのか、教室の外で何をしているのか、私たちは知りえない。そのことを忘れてはいけないだろう。

「インターネットが解決する」か
インターネットは有効なのか
前回の記事で強調したにもかかわらず、「いまはインターネットがあるから事情は違う」という意見も多数見られた。

たしかにインターネットは田舎を救いうるかもしれない。だがインターネットがすでに田舎の問題を解決したかといえば、それは間違いなく否であり、近い将来に解決するかというと、それも否であると思われる。

この項目は「田舎者」というより「情報弱者」の問題になるが、再三述べているとおり問題は重層的であり、また田舎者は基本的には情報弱者であることを強いられているので(それが前回の趣旨だった)、共通の問題として話を進める。

前回の繰り返しになってしまうが、インターネットで自分に必要な情報を収集するというリテラシーは、かなり高度なものである。

私は前回の冒頭で、「ググる」習慣があること、余暇を文化活動に費やすこと、大卒という学歴を普通と感じること、この3つを文化と教育の指標として並列した。日本の全人口における大学進学者の割合は半数ほどだが――記憶してほしいが、大学に「進学」するだけで半分より上なのである――その大学進学者内の最上位層においてさえ、たとえググったところでウィキペディア以上の情報に辿り着く人は、そう多くないのである。

そして私は、必要な情報からさらに遠く隔てられた田舎の話をしている。田舎では地域格差を自覚すること自体が困難であるのに、その格差を自力で解消するためにインターネットを活用することができる人など、まれであるというか、ほとんど矛盾している。格差に気づくこと自体に高度なリテラシーが必要なのだから。

この比較も役立つかもしれない。たとえば、この記事をスマホやPCで読んでいるあなたは、日本からアメリカに留学するために、インターネットを使って必要かつ十分でしかも確実な情報を集めることができるだろうか? やってみるとわかるが、これはかなり困難である。だが田舎者が都会のことを調べるほうが、もっと難しい。

しかし、ほんとうに、たとえばPCを使ってメールで必要書類を添付して送るくらいのリテラシーは今や常識だと信じている人々が存在することには驚く。じっさいに教えるとわかるが、こんなことは東京の大学でさえ新入生の多くは慣れていない、かなり高度な作業である。

大学1年生に初等文法や四則演算を教えなおす行為を揶揄する投稿をしばしば見かけるが、私には大学生の学力低下よりも、それを笑える人々の認識の甘さが問題に思える。こうした認識を改める必要がない環境にしか身を置いたことがない人というのは、ふたたび前回のフレーズを用いれば、いやはや、なんという特権階級なのだろう。

私は格差に怒っている
「ルサンチマン」?
私は前回、すでに「弱者同士で対立しても意味がない」と強調した。しかし、反対意見は「こんな田舎なんてないでしょ」という消極的な否認と、「田舎はそんなんじゃない」という積極的な怒りとに分かれ、重要なので繰り返すが、もっとも私が賛同を得たかったはずの存在である後者の一部が、もっとも苛烈な反論を展開する皮肉な事態になってしまった。

これは、文化・教育の地域格差に対する社会の認識があまりにも不足しているため、現段階では仕方のないことであるだろう。だが、もう一度言っておきたい。田舎者どうしでいがみ合っていたのでは、まったくもって本末転倒である。われわれは田舎の状況の改善のために、団結し連帯しなくてはならないはずなのだ。

勝手な推測だが、「田舎を馬鹿にするな」と主張した人々の多くはインテリであり、彼らこそ地域格差の改善のカギを握る、もっとも重要な層なのではないだろうか。

田舎者の「鬱憤」を代弁、とさきに書いたが、私の田舎に対する態度はルサンチマンにすぎない、という意見も多数見られた。文章のトーンが呪詛に接近していたとすれば反省したい。

だがしかし、私が恥をしのんで個人情報まで晒しながらこうして「プロパガンダ」している理由は、格差を告発するためなのであって、格差とは、とりもなおさず、不満以外の何物でもないではないか。私は格差に怒っているのである。

そして、十代の頃は田舎に向けるしかなかった私の不満と怒りは、いま、田舎に対してではなく、地域格差という現実、そして田舎の実情を無視しようとする態度、それらへと向けられている。

種は蒔かれた
最後になったが、ところで、なぜこのような個人的な体験を紹介し雑感を述べているにすぎない私などの記事が、数日で200万PVなどという反響を呼んだのか。

それは、前回も書いたが、日本では地域格差という問題が、とにもかくにも圧倒的に放置されてきたからなのだろう。それがなぜなのか私にはわからないが、この問題を指摘することは、ほとんどタブー視されているようにさえ見える。大きな声で主張する人が誰も居なかったのだ。

地域格差の問題の指摘は、まだまだ抵抗に遭うだろう。問題の告発はかならず反動をうむ、ということは、本稿の読者なら知っていると思う。現在、世間はそのようなニュースで溢れている。

だが問題の種は蒔かれた。これからは私のような「極端な例」のみならず、別の経験者が、あるいは専門家が、そして都会しか知らない賛同者たちが、根気よくその芽を育ててゆくだろう。

私はあなたにもその一人になってほしい。そのためにこの原稿を書いている。

「底辺校」出身の田舎者が、東大に入って絶望した理由
知られざる「文化と教育の地域格差」
阿部 幸大

世界の音楽市場の足を引っ張っているのは、日本の音楽業界だった
どうしてこうなったのか
柴 那典

日本人が「移動」しなくなっているのはナゼ? 地方で不気味な「格差」が拡大中
貞包 英之

生徒の1割しか塾に行かない公立校が、名門進学校であり続ける秘密
「異色のOB」が語る
佐藤 優
杉山 剛士

「エホバの証人の活動のなかで、最もつらかったこと」元信者が告白
私がこの漫画を描いた理由【後編】
いしいさや

一代で1兆円企業を築いたZOZOTOWN社長「異形の履歴書」
「競争はいらない」経営哲学
週刊現代
キャッシュレスにするだけで「年3万円トクする」スゴ技(週刊現代)
週刊現代
自衛隊特殊部隊を創った男がタリスカーを愛する理由
タリスカー・ゴールデンアワー22回(前編)
MHD
"投資女子"の間で話題!手軽な投資アプリを使うおしゃれOLさんの1日に密着♪
withOnline
かわいいけどこんな時は危険!? 猫が「寝言」を言う理由と注意すべきこと
わかさ生活 on わんにゃ365
LGBTの働く環境。星賢人さんが見つめる未来とは?
株式会社クリーク・アンド・リバー社 on CREATIVE VILLAGE
名医たちが実名で明かす「私が患者だったら飲みたくない薬」(週刊現代)
そういう考え方もあるのか
週刊現代
6人に1人が頭皮トラブル!?頭皮湿疹の4つの原因とは?
ロート製薬株式会社
オックスフォード大学が認定 あと10年で「消える職業」「なくなる仕事」(週刊現代)
702業種を徹底調査してわかった
週刊現代
38歳専業主婦が不倫夫から「1億5000万円」をゲットした凄テク(露木 幸彦)
泣き寝入りしてたまるもんか
露木 幸彦

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/55505

 

2018.10.23 Tue
子どもの家庭背景による学力格差は根深い――学力の追跡的調査の結果から考える
中西啓喜 / 教育社会学

1.はじめに

2018年8月2日、大阪市の吉村洋文市長が、文部科学省が実施する全国学力・学習状況調査(以下、「全国学テ」と表記)の数値目標を市として設定し、達成状況に応じて教員の手当を増減させる人事評価の導入を検討すると発表したことが話題になっている。

そこで本稿では、改めて、学力の獲得がいかに子どもの家庭背景によって「根深く」左右されているのかについてデータを示していく。そして読者には、データを見たうえで、こうした教育への介入が適切な方向であるかどうかについて考えるきっかけにしていただければ幸いである。


2.全国学テによる学力格差の実態

文部科学省が全国学テを本格的に毎年実施するようになったのは平成19年度からである。この調査の主たる目的は、「義務教育の目標の実現状況の評価と検証」としているため、児童生徒の家庭環境についての情報収集は、基本的にはほとんど行われていない。しかし、平成25年度には保護者調査も実施され、保護者の収入や学歴水準等と子どもの学力の関係が分析されることになった(なお、平成29年度にも同様の保護者調査が実施されている)。

このデータの分析はお茶の水女子大学の研究チームに委託され、報告書もウェブサイト上で公開されている(お茶の水女子大学 2014)。

お茶の水女子大学の研究グループは、まず保護者に対する調査結果をもとに、家庭所得、父親学歴、母親学歴の3つの情報から子どもの家庭背景を測定した。このように測定される子どもの家庭背景は、社会学では「社会経済的地位(Socio-Economic Status:SES)」と呼ばれる。こうして測定されたSESを「上位」、「中上位」、「中下位」、「下位」に四等分し、それぞれのグループごとに学力の平均正答率を比較したものが図1である(注1)。

結果を簡単にいえば、「家庭が裕福な児童生徒の方が各教科の平均正答率が高い傾向が見られる」というものであった。この知見そのものはもちろん重要なのだが、より重要なことは、(1)日本の学力格差の様相が国家的規模で明らかにされ、(2)(委託研究ではあるものの)文部科学省の名において公表された、という2つの事実である。


図1.家庭の社会経済的背景と学力の関係

出典 「平成25年度全国学力・学習状況調査(きめ細かい調査)保護者に対する調査結果概要」に掲載された表を加工した。
http://www.nier.go.jp/13chousakekkahoukoku/kannren_chousa/pdf/hogosha_summary.pdf


3.格差は「連鎖・蓄積」するものだと考えてみる

図1のような結果が国家的規模のデータによって広く発信されたにも関わらず、学校や教師の努力によって学力格差が克服されるのではないか、という意見は根強い。こうした見方が蔓延する理由のひとつには、学力を一時点で観測しているため、家庭背景に根差した学力格差の深刻さが今一つ認識されていないことに起因していることが考えられる。

周知の通りだが、文部科学省の全国学テは、毎年小学6年生と中学3年生を対象として実施され、その前にもその後にも同一児童生徒への学力調査は実施していない。換言すれば、全国学テの結果は、子どもの学力格差はいつから始まり、その後どのような推移をたどるのかを把握しておらず、すでに出来上がっている学力格差を一時点で切り取っているに過ぎない可能性がある。結論を先取りすれば、学力格差は小学6年生よりももっと早い段階に発生しているのである。

石田浩氏(2017)は、格差の「連鎖・蓄積」(cumulative advantage and disadvantage)という考え方を用いて、人々の人生を通じた不平等の形成プロセスを説明しようとしている。通常、個人の不平等は、ある時点での有利さ・不利さが時間とともに積み重なっていく(「富める者はますます富む!」)。その時にスタート地点となる不平等は、家庭環境や性別のような当人の意思や努力によって獲得できない〈生まれながらの差異〉である。このような〈生まれながらの差異〉が、その後の人生における学歴や職の獲得に対して影響し続けるという考え方を格差の「連鎖・蓄積」と呼んでいる。


4.日本の学力格差の「連鎖・蓄積」の様相を把握する

それでは、格差の「連鎖・蓄積」という枠組みから日本の学力格差の様相について把握してみたい。これには同一の対象を追跡的に繰り返して調査して得られたデータが必要となる。同一の対象を追跡的に繰り返して調査して得られたデータを「パネルデータ」と呼ぶ。日本では学力情報を含んだ小中学生を対象としたパネルデータの蓄積はそれほど多くないが、ここではその一例を紹介したい。

「青少年期から成人期への移行についての追跡的研究(Japan Education Longitudinal Study: JELS)」(代表:お茶の水女子大学・耳塚寛明)は、2003年から2010年まで関東地方と東北地方において、小学3年生―6年生―中学3年生を対象に、3年ごとに同一の児童生徒を追跡した学力のパネル調査である。最終的な分析ケース数は1,085人、学力調査は算数・数学のみ、児童生徒の家庭背景を親の学歴で定義している、などのいくつかの限界はある。しかし、こうした類のデータは他に例が少ないため貴重なデータである(注2)。


(1)学力格差はどのように推移するのか?

パネルデータの特徴を活かした分析によって、学力格差の推移をビジュアル化したのが図2である。結果は、(1)小学3年次において、すでに親学歴による学力格差が観測され、(2)学年(年齢)の上昇とともに学力格差が拡大していくこと、の2点が示された(注3)。

改めて確認しておくと、文部科学省の全国学テは小学6年生と中学3年生に対し、一時点で実施されている。図2の結果を勘案すれば、私たちが新聞等で把握する図1で見られた学力格差の様相は、「すでに出来上がっている学力を一時点で切り取ったもの」に過ぎないことがわかる。【次ページにつづく】


図2.算数・数学通過率の推定結果(成長曲線モデル)

出典 中西啓喜(2017)『学力格差拡大の社会学―小中学生への追跡的学力調査結果が示すもの―』東信堂、p.61より。

(2)児童生徒の努力は学力格差を克服するのか?

パネルデータを用いた分析のもうひとつの長所として、偏りの小さい推定値を得やすいという点がある。この特徴を活かして、児童生徒の努力の指標として学習時間を設定し、親学歴別に学力と学習時間の関連を分析したのが図3である。

まず青色の棒の両親非大卒の結果を見ると、「ほとんどしない」と「1時間まで」の正答率はそれぞれ47.3点と48.3点となっている。この1ポイント差には統計的に意味はないが、学習時間が「2時間まで」と「2時間半以上」となると、学習時間が正答率を向上させる統計的な関連が見られるようになる。

一方で、オレンジ色の棒の両親大卒の結果では、「1時間まで」の学習時間で学力スコアが向上する。つまり、両親大卒の児童生徒は短時間の学習でも学力に効果があるが、両親非大卒の児童生徒は比較的長い時間の学習をしないと努力が学力に変換されないことが示唆される。

さらに、両親大卒と両親非大卒の児童生徒別に学習時間の推定値を比較すると、同じ学習時間にも関わらず、親学歴によって学力スコアが異なる。両親大卒の児童生徒は、1時間までの学習時間でも52.9点だが、両親非大卒の児童生徒は48.3点しか獲得していない。さらに見ると、両親大卒の児童生徒は、2時間半以上の学習時間で55.7点だが、両親非大卒の児童生徒は51.3点に留まる。

この結果は、学力の獲得をとりまく種々の学習行動(例えば、努力)は形式的に平等であるに過ぎないことを示唆している(ブルデュー&パスロン 1964=1997など)。具体的にいえば、両親が非大卒の児童生徒に比べて、両親大卒の児童生徒は「効果的な学習」がより身体化されており、学習時間の効果が親学歴別に異なり、その結果として、個々人の努力では学力格差が克服することができないことになる。


図3.親学歴別、学習時間の効果の推定結果(固定効果モデル)

出典 中西啓喜(2017)『学力格差拡大の社会学―小中学生への追跡的学力調査結果が示すもの―』東信堂、p.85の表5-3を図化した。


5.学力格差は根深い

ここまでの図2と図3の分析結果を合わせて考えると、学力格差の発生には二段階のメカニズムがあることがわかる。すなわち、(1)家庭背景による初期的な学力格差に加え、(2)家庭背景によって学習時間の効果が異なる、という2段階である。第一の段階は家庭環境そのものが生み出す学力格差であり、第二の段階は児童生徒の家庭背景によって「努力の質格差」とも呼べる現象が生じており、それが学力格差を生み出しているのである。

こうしたデータを改めて眺めてみると、学力格差がいかに子どもの家庭環境によって早期から大きな影響を受けているのかが理解してもらえるだろうか。むろん文部科学省の全国学テの実施には、その役割と意義はある。しかし、全国学テによって把握できる学力格差(図1)は、すでに出来上がっている格差を一時点で切り取っているに過ぎないという限界は理解すべきである。

このようなデータを提示すると指摘されるのは、「分析結果は傾向に過ぎず、例外もあるはずだ」という意見である。例えば、「私は親が非大卒だけど学力が高かった」や「友人は、貧困家庭だったが有名大学に進学できた」などの経験則を踏まえて「納得できない!」という主張がある。

しかし、過去の『シノドス』(https://synodos.jp/education/16239)において中澤渉氏が指摘している通り、統計的な分析結果が示すのは、あくまで全体の傾向でしかない。それゆえに、「不利な家庭環境を乗り越えた人物」のようなレアケースは存在する。だが、全体の傾向にマッチしない自分や身の回りの人間のケースを「納得できない!」と紹介するだけでは反証したことにはならない。統計的な分析によって導かれた知見は、統計的な分析で反証しなければならないのである。

例えば、JELSデータの分析によれば、学力スコアを上位・中位・低位に3等分し、小3の時に学力低位だった児童生徒が、中学3年生で学力高位になったのは全体の4.42%に過ぎなかった。具体的な人数を記述すれば、1,085人中の48人である。両親非大卒の児童生徒に限れば13人(1.2%)しかいない。このような極めて少数のケースを元に、「学力格差は挽回できる!」と反証の根拠にするのは無理がないだろうか(注4)。

賛否は別として、冒頭で紹介した大阪市のように、学校に成果の説明責任を求めようとする政策的動向は、歴史的には新しいことでも特別なことでもない。教育に市場原理を導入して、高い成果を目指すということは海外でも見られる。有名な例としては、アメリカではブッシュ政権下における「おちこぼれゼロ法」(No Child Left Behind Act=NCLB)である。

歴史的に、人々は社会問題の解決を過剰に学校教育へ期待し、「小手先の学校いじり」に熱中し、学校教育は社会問題の解決の「カギ」としての役割を押し付けられてきたのである(ラバリー 2010=2018)。

むろん、筆者は学校教育が無力だと主張したいのではない。学校教育に期待するからこそ、学校に出来ることと出来ないことを見極め、どのような条件がそろえば学校教育の効果が発揮されうるのかを考えたいのである。そのための真っ先に取るべき「最善策」が現場教師への査定を導入することなのかということを、本稿の図1〜図3を見たうえで読者にも考えてみてほしい(注5)。


〈注〉
(1)文部科学省の全国学テはA問題とB問題に分かれている。A問題は、主として身につけた「知識」に関わる出題、B問題は、主として知識の「活用」に関わる出題である。
(2)JELSの詳細については、以下のウェブサイトを参照されたい。
http://www.li.ocha.ac.jp/ug/hss/edusci/mimizuka/JELS_HP/Welcome.html、2018年8月29日取得。
(3)最近では、日本財団によって「貧困状態の子どもの学力は10歳を境に急激に低下する」という知見が発表されている。
https://www.nippon-foundation.or.jp/news/articles/2017/img/92/1.pdf、2018年8月29日取得。
(4)データの詳細は、拙著(中西 2017)の50-63を参照されたい。
(5)例えば、教育と福祉に連携が必要なことは、過去の『シノドス』(https://synodos.jp/education/17471)において仁平典宏氏も論じているところである。


〈文献〉
ブルデュー・ピエール&ジャン・クロード・パスロン、1964=1997、『遺産相続者たち―学生と文化』藤原書店。
石田浩、2017、「格差の連鎖・蓄積と若者」石田浩編『格差の連鎖と若者1 教育とキャリア』勁草書房、pp.35-62。
ラバリー・デイヴィッド、2010=2018、『教育依存社会アメリカ―学校改革の大儀と現実』岩波書店。
中西啓喜、2017、『学力格差拡大の社会学―小中学生への追跡的学力調査結果が示すもの』東信堂。
お茶の水女子大学、2014、『平成25年度 全国学力・学習状況調査(きめ細かい調査)の結果を活用した学力に影響を与える要因分析に関する調査研究』。

知のネットワーク – S Y N O D O S –

学力格差拡大の社会学的研究―小中学生への追跡的学力調査結果が示すもの書籍
作者中西 啓喜
発行東信堂
発売日2017年12月11日
カテゴリー単行本
ページ数176
ISBN479891438X
Supported by amazon Product Advertising API


中西啓喜(なかにし・ひろき)
教育学
1983年、三重県伊勢市生まれ。青山学院大学大学院教育人間科学研究科博士後期課程修了(博士・教育学)。専門は教育社会学。お茶の水女子大学・研究員を経て、現在、早稲田大学人間科学学術院・講師。主著は『学力格差拡大の社会学―小中学生への追跡的学力調査結果が示すもの』(2017年・東信堂)、『半径5メートルからの教育社会学』(2017年・大月書店・第1章を担当)、主要論文は「少子化と90年代高校教育改革が高校に与えた影響─「自ら学び自ら考える力」に着目して」、『教育社会学研究』88:89-116、「パネルデータを用いた学力格差の変化についての研究」『教育学研究』82(4):65-75、「トラッキングが高校生の教育期待に及ぼす影響―パネルデータを用いた傾向スコア・マッチングによる検証」『ソシオロジ』191:41-59など。



シノドスのコンテンツ

●ファンクラブ「SYNODOS SOCIAL」
https://camp-fire.jp/projects/view/14015

●電子メールマガジン「αシノドス」
https://synodos.jp/a-synodos

●少人数制セミナー「シノドス・サークル」
https://synodos.jp/article/20937

https://synodos.jp/education/22176

 

 

2018.07.04 Wed
日本は学歴分断社会である―真の共生社会に向けて『日本の分断』著者、吉川徹氏インタビュー

若年/壮年、男/女、大卒/非大卒の組み合わせからなる「8人」のプレイヤーが支える日本社会。だが、この「8人」のプレイヤーが歩む人生の岐路は、格差に満ちたきわめて不平等なものである。その元凶にあるのが「学歴」だ。容易に是正することのできない「学歴分断社会」を前に、われわれは今どう考えるべきなのか? 『日本の分断』の著者、吉川徹氏に話を伺った。(聞き手・構成/芹沢一也)


――本日は光文社新書から『日本の分断 切り離される非大卒若者(レッグス)たち』を出版された吉川徹先生にお話を伺います。最初に本書のコンセプトを教えていただけますか。

まず、日本が学歴分断社会への歩みを進めているということを、多くの人に伝えたいという思いが強くありました。

そのためには、今の日本では、大学に進学するかしないかということで、人生・生活に大きな格差が生じているという現実にきちんと向き合わなければなりません。これは、だれもが本当は気づいている公然の事実なのではないかと思います。しかしわたしたちは、学歴による格差をとかくタブー視しがちです。


――たしかにさまざまな格差が問題になっているのに、学歴による格差が議論されるのは耳にしません。なぜでしょうか?

その理由を突き詰めると、根源にあるのは、学校教育が成績によって同年生まれの人たちに上下の序列を付け、「中卒」「高卒」「大卒」…という公的なラベルを貼って、社会に送り出すはたらきをする「正規の格差生成装置」となっているということです。

学歴が「元凶」だとわかっていても「格差を是正するために、学歴差をなくしてしまおう!」とまで叫ぶわけにはいきません。

それでも本書では、社会調査に基づく否応のないエビデンスとして、学歴分断の諸局面が描き出されていきます。解決の困難なこの現実から目をそむけることなく、また安易に倫理観を振りかざすことなく、しっかり向き合うことが、深刻な分断を回避するための大前提だと思います。


――本書では「8人」のプレイヤーが社会を支えているとされていますね。

本書では20歳以上60歳未満の男女を現役世代としています。これは、経済成長、少子化対策、男女共同参画、働き方改革、税と社会保障の問題など、現代日本の諸課題の担い手となっている世代です。これを若年/壮年、男/女、大卒/非大卒で切り分けると、次のようなプロフィールがみえてきます。

まず、最上位にいるのは壮年大卒男性(構成比率約10.8%)です。彼らは多くの面で少し取り過ぎかと思われるほど有利な状態にあります。それは、社会の骨組みがまだ安定していた20世紀の「人生の勝ちパターン」にギリギリ乗ることができた人たちだからです。

結果として、多くが転職や離職の経験をもたず、安定した家庭を築き、ポジティブな気持ちで社会を牽引しています。世帯年収は約890万円、9人に1人が管理職で、子ども数は1.63人です。


――40歳以上の大卒男性が、いわゆる「勝ち組」になるわけですね。同じ世代の大卒女性もそうですか?

壮年大卒女性(構成比率約9.7%)は、既婚率が高く、世帯の暮らしには比較的ゆとりがあり、独身キャリア女性から既婚の専業主婦まで、多様な人生を歩んでいます。こうした生活の余裕と柔軟性を背景に、彼女たちは高級消費や文化的活動に積極性を発揮しています。現代日本の生活・文化局面を支えるのに欠かせない人たちだということです。世帯年収は約850万円、子ども数は1.72人です。


――ブランドやグルメ、アートや習い事などにお金をかけられる層ですね。大卒の若い女性にも同じようなイメージがあります。

若年大卒女性(構成比率約11.3%)は、職業キャリア、結婚、出産育児などについてライフコース進行の序盤にあるため、壮年大卒女性以上に多様な生活パターンの人たちの集まりになっています。

それでも満足度や幸福感が「8人」の中で最も高く、文化的活動や国際的な活動にも広く目を向ける傾向がみられます。世帯年収は約680万円と比較的豊かですが、子ども数は少なく0.91人にとどまっています。


――大卒の若い男性はいかがでしょうか?

若年大卒男性(構成比率約11.8%)は、上の世代の大卒男性ほどは社会と積極的にかかわっているわけではありませんが、それでも若年層の「4人」のなかでは、政治や仕事にもっともしっかり向き合っています。

ただし、結婚して子どもを育てるという家族形成に遅れが目立ち、現代若者に特有の将来不安も抱いています。世帯年収は同世代の大卒女性よりやや少ない約650万円、子ども数はわずか0.84人です。


――将来不安があっても、経済的にはやはり恵まれていますね。他方で、大学を卒業していない人たちにはどのような特徴がありますか?

まず40歳以上の人びとから考えましょう。壮年非大卒男性(構成比率約16.8%)と壮年非大卒女性(構成比率約17.6%)は、やはり20世紀からの時代の流れのなかで、産業経済セクターの中間あたりに手堅く居場所を確保している人たちが多いようです。世帯年収はほぼ600万円台前半で、職業的地位も高いわけではありませんが、既婚率と子ども数では他の人びとを上回っています。現役世代の3割を占めるこの層の堅実さは、日本社会の安定に寄与しているとみることができるでしょう。


――バブル崩壊前にポジションを確保していたわけですね。「失われた20年」といわれる時期に社会に出た非大卒層は厳しそうな気がします。

そのとおりです。20〜30代の若年非大卒男性(構成比率11.2%)、若年非大卒女性(構成比率10.8%)に目を転じると、かれらは経済力、職業、家族関係などで、他の「6人」に数歩の後れをとっています。政治や社会参加、文化的活動などについてもきわめて消極的です。世帯年数は男女とも約500万円程度と、他よりも低い水準にあります。

このように、現役世代の「8人」には学歴による分断傾向があり、しかもその度合いは、世代と性別によって異なっていて、とくに若年非大卒男性の凹みが際立つ結果になっています。

――冒頭で指摘された学歴による分断が、この「8人」のあいだには走っているわけですね。

はい。互いに競合する同性の同世代を見比べると、大卒層と非大卒層には、就いている職種や産業、管理職への昇進のチャンス、仕事を失うリスクの大きさ、求職時の有利・不利、そして賃金などにおいて明らかな格差があります。壮年層の世帯年収でみると、その差は約250万円です。さらに、大卒層と非大卒層では、ものの考え方や生活様式も異なっています。

加えて、若年大卒層の父母の約5割が同じ大卒層であるのに対し、若年非大卒層の父母は約8割が同じ非大卒層です。つまり学歴の世代間再生産傾向が明瞭にみられるのです。さらに大卒同士、非大卒同士が結婚する学歴同類婚の夫婦は、現役世代の夫婦のほぼ7割を占めます。

そして大卒学歴をもつ父母の8割以上は、子どもの大学進学を望んでいますが、非大卒の父母では6割以下にとどまっており、大学進学志向の温度差もはっきりしています。


――大卒同士が結婚して、その子どもが大学に進学することによって、学歴による格差が再生産されている。

そうです。これらを総合すると、現代日本では、大学・短大に進学するかしないかの選択が、その後の人生を分断しており、しかもこの構造が世代を超えて繰り返されはじめているということがいえます。

結果として現在、友人関係や恋愛や結婚においても、同じ学歴同士の結びつきが強くなり、日常生活において異なる学歴の人と接する機会が少ないという、人間関係の断絶がはっきりしはじめています。これは、現代日本社会では、他社会における階級やエスニシティのように、学歴が社会の分断を生じさせる主たる要因になっているということです。


――学歴がものをいう社会であるにもかかわらず、日本は再チャレンジの機会が乏しい社会だといわれます。

まず、日本では大学の学費の私的負担が大きい割に、大卒学歴の収益率が高くありません。ですから、人生の途上で大卒学歴を得たとしても、他社会のようにすぐに元がとれるわけではありませんし、象徴的な価値(社会的に高い評価)がついてくるわけでもありません。

実際、人生の途上で学歴に関する再チャレンジができるとみなしている人は多くはなく、結局、人生・生活を決定的に左右するのは、高校卒業後にどのような進路をとったかということになります。この実態を社会全体が了解しているから、日本人にとって、高卒時に選び取る最終学歴は、変更しえないアイデンティティの源泉となるのです。【次ページにつづく】
――再チャレンジの機会がない社会で、高卒段階での選択がその後の人生の岐路を決めてしまうわけですね。先ほど、「8人」のなかでも若年非大卒男性の凹みが際立っているとおっしゃっていましたが。

大卒学歴を得るためにお金をかけた大卒層が、社会に出てから、雇用や賃金にかんして非大卒層よりも有利な立場にたって、若年期にかけたお金を「回収」していくのは致し方ないことです。しかし、非大卒層が人生のあらゆる面で大卒層に著しく水をあけられるのはおかしなことです。

しかし現状では、若年非大卒男性は、他の男性たちと同じだけ働いているのに、年収が壮年大卒男性の半分以下にとどまっています。しかも彼らの多くが若いうちに転職を余儀なくされており、非正規で働く人の比率も多くなっています。

このように生活の基盤が安定していないために、彼らの中には、結婚して子どもをもつというステージに到達することができない人たちが多数います。


――若年非大卒男性の多くが、経済的事情によって、望んでも結婚できないようになっている。同じ非大卒の若い女性の経済的な苦境についてもしばしば耳にします。

若年非大卒女性はどうかというと、経済的な状態でいえば、彼女たちは男性たちよりさらに悪く、雇用も不安定です。彼女たちの5人に1人は、橋本健二さんのいう「アンダークラス」という最下層階級に分類されます。

しかし彼女たちはこのような苦しい状況にありながら、少子化が危惧される日本社会に重要な貢献をしています。それは、既婚者(離死別を含む)が多く、子ども数が同じ若年層の大卒女性の約1.5倍であるということです。

つまりわたしたちは、現役世代の「8人」のなかで、もっとも生活基盤の脆弱な彼女たちに、次世代を産み育てるという日本の将来にとって重要な、しかし他の人たちには担うことのできない役割を担ってもらっているのです。豊かな先進工業国であるはずの日本で、子どもの貧困が叫ばれるのは、このような偏りがあるがゆえなのです。

出産、育児というライフ局面のタスクに追われ、彼女たちのワーク局面への参画がなおざりになっているのは、致し方ないことといえるでしょう。彼女たちには、すでに行政からの支援の手が差し伸べられていますが、他の「7人」は、おおいに感謝すべきだと思います。


――「18歳まで学校で教育を受けた人材を、このように低く見る社会は、歴史上も、世界的にも、現代日本社会以外にはあまり例がない」という文章を読んで、はっとしました。


「幸せに暮らすためには、大学に進学するのが唯一の方法だ」と多くの日本人が思い込んでいて、大学に行かないことに積極的な意味などないという考えも、かなり根強いようです。

しかし、近未来の日本の大学進学率が100%近くに至るというシナリオは、いくつかの点で現実的ではありません。ですから若年で大学に行かない人材は、労働市場に供給され続けるわけで、かれらを尊重しながら育成して、社会のために役立つ位置についてもらうことは不可欠です。

けれども、かれらは大卒学歴至上主義の考えのもとでは視野に入ってきませんので、名前をもっていません。「いずれはいなくなる労働力」という程度に扱われて、政策の対象となっていないのです。しかし戦後から現代までいつの時代を見ても、非大卒層の総数は大卒層の総数より多く、彼らこそが今の日本を形づくってきたマジョリティに他ならないのです。


――だから、「レッグス」という命名による可視化が必要だったんですね。

レッグスというのは、LEGs: Lightly Educated Guysの略で、「軽学歴の男たち」という意味合いの言葉です。こうした呼び名を与えることで、彼らのプレゼンスをはっきりさせて、政策的な議論の俎上に載せることが可能になります。

もっとも、このレッグスという言葉はとても強いインパクトをもっているようで、「大卒エリートが、上から目線で非大卒層を貶める俗名を付けたとしか思えない」と、私の見識を疑うコメントをもらうこともあります。

詳しくは本書の本文に譲りますが、私はそういう次元の低い議論を展開してはいません。しかし、これまで「大卒じゃない人びと=非大卒」というように、消極的に言い表していた社会の一角にレッグスという言葉を与えたことは、人びとの心に、ときに不協和を生じさせ、様々な議論を喚起するようです。


――先生はレッグスをサポートする政策立案が必要だと主張されています。

現在の20歳前後の同一生年の総数はだいたい126万人前後で、そのうちわけは、大学進学者が約68万人、非進学者が58万人ほどです。この先の日本を支えていく若い職業人を、本腰を入れて育成しようとするならば、20歳前後の時点では、大学進学者とレッグスの双方に偏りなく財政出動をすべきだと思います。

たしかに、経済的な事情で大学進学をためらう若者の背中を押すために、学費を支援する政策を拡充することはとても大切です。しかし、それだけをやったのでは、いずれ社会の上位に至るはずの人びとにだけ、メリットを付与するということになります。


――いわゆる大学無償化は、大学進学者にのみメリットがある。

そうです。大学に進学しないで働く若者には、政策の恩恵はまったく及ばず、進学者との間の格差を助長することになりかねません。ですから大学の学費無償化を進めるなら、一方で大学へ行かなかったレッグスたちの職業生活の安定も、公的に保障すべきだと考えます。

具体的には、20歳前後の非大卒の若者を正規雇用した企業に、大学の学費補助と同程度の金額の雇用助成をすることで、若者たちの給与水準や雇用の安定性を上げるような政策が考えられると思います。


――レッグスは「現代の金の卵」だとされています。

本文中で詳しく論じていますが、非大卒の若者は地方に多く、大卒層は大都市圏に集中しています。地方消滅が危惧されている現状において、もっとも必要とされているのは、地方に住み、コミュニティを支えている若い人材や、伝承技能が途絶えかけている中小企業の熟練工の後継者などです。

そしてレッグスは、これらの場所をカバーすることのできる「現代の金の卵」なのです。彼らが充足した人生を歩むことができるように、その若年期を支援するのは、疲弊する地域社会を支えることにもつながり、ひいてはこの国全体の雇用と社会の安定ももたらすと考えることができます。


――現在、さまざまな格差が問題になっています。若年ワーキングプア、正規・非正規格差、勝ち組/負け組、上流/下流、子どもの貧困、結婚できない若者、マイルドヤンキー、地方にこもる若者、地方消滅などです。

先生は、こうした現象の正体は、すべて「大卒学歴の所有/非所有」だと指摘しながら、それを逃れられない現実として直視するべきだとされています。最後に、このご主張の意味するところを、先生の考える「共生社会」と絡めてご説明いただけますか。

ここのところについて、誤解している人が多いようなので、これは有り難い質問です。

私が伝えたかったのは、学歴が日本の格差現象の起点となっているという構造と、学歴による結果の不平等は、たやすく均してしまえるものではないということです。しかしこれは、格差容認論ではありません。

私が理想の状態だと考えるのは、たとえばレッグスの所得は低いが、失業のリスクは大卒層より小さく、転勤や異動もなく、生活の安定を得やすい。あるいは、20歳前後の暮らしのゆとりでは、レッグスの方が大学生よりも上だ。ワークライフバランスをとりやすいのも、子ども数が多く、イクメンとして配偶者を支える自由度があるのも、地域社会に根差した暮らしをしているのも、大卒層よりむしろレッグスだ、というように、大卒と非大卒の所得以外のメリットが、トータルでみた場合に五分五分に近くなるということです。

まずは、大切な役割を非大卒層に任せて、自分たちだけがメリットを独占しているという現状を、大卒層の側が理解することが共生社会への第一歩です。そして双方が、日本を支えるために欠かせない別のポジションを守っている、自分とは異なる「レギュラーメンバー」への思いやりをもたなければなりません。

ただし残念なことながら、新書を手に取るのは圧倒的に大卒層が多く、現時点では非大卒層に現状を伝えることは十分にできていません。その先ではこのことも考えなければなりませんね。

日本の分断 切り離される非大卒若者(レッグス)たち (光文社新書)書籍
作者吉川徹
発行光文社
発売日2018年4月17日
カテゴリー新書
ページ数264
ISBN4334043518
Supported by amazon Product Advertising API

知のネットワーク – S Y N O D O S –

吉川徹(きっかわ・とおる)
計量社会学
1966年島根県生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科教授。
専門は計量社会学、特に社会意識論、学歴社会論。
著書に『現代日本の「社会の心」』(有斐閣)、『学歴分断社会』(ちくま新書)、『学歴と格差・不平等』(東京大学出版会)、『日本の分断』(光文社新書)などがある。



シノドスのコンテンツ

●ファンクラブ「SYNODOS SOCIAL」
https://camp-fire.jp/projects/view/14015

●電子メールマガジン「αシノドス」
https://synodos.jp/a-synodos

●少人数制セミナー「シノドス・サークル」
https://synodos.jp/article/20937
a
https://synodos.jp/newbook/21782


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/848.html

[経世済民130] ウォール街で最も混み合った株式戦略、危険水域に入る クオンツは米国株に「最大限のロング」 超長期債上昇TOPIX小幅高
ウォール街で最も混み合った株式戦略、危険水域に入る
Ksenia Galouchko
2019年2月5日 13:22 JST
• 低ボラティリティー銘柄に投資する戦略の危険性高まる−ファンド
• 多額の資金流入に伴いディフェンシブ戦略は割高になっている
市場の混乱からポートフォリオを守るためボラティリティーの低い銘柄の株式に投資する。これはウォール街で最も安全な取引だが、その危険が増しつつあるように見えると、大手ファンドが警告を発した。
  リーガル・アンド・ゼネラル・インベストメント・マネジメント(LGIM)やバークレイズ・インベストメント・ソリューションズは、多額の資金が流入した結果、こうしたディフェンシブ戦略は過度に混み合い、割高になっていると警鐘を鳴らしている。
  ボラティリティーの低い銘柄で構成するS&P500低ボラティリティー指数は、昨年10−12月にS&P500種株価指数の下落率(14%)の半分未満の下げにとどまったものの、次の嵐が起きた場合に避難先にはなれないとの懸念が高まっている。

  LGIMのマルチアセットファンド責任者、ジョン・ロー氏は「最近のパフォーマンスに追随し、2018年時点の暗い見通しを織り込んだ投資家が殺到しているため、低ボラティリティー戦略はリスクが高くなっている可能性がある」と指摘。同戦略は「コンセンサス的なポジションになりつつあり、これはわれわれにとって警戒信号だ」と述べた。

原題:Wall Street’s Most Crowded Stock Strategy Enters the Danger Zone(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-05/PMFPDF6TTDS101?srnd=cojp-v2

 

クオンツは米国株に「最大限のロング」−ノムラのマケリゴット氏
Luke Kawa
2019年2月5日 11:56 JST
パウエル議長のハト派転換、クオンツのポジションシフト後押し
クオンツは既にナスダック先物で最大限のロング
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長から待望の療法が示されたのを受け、米国株の強気派とトレンド追随型のクオンツはもはや異なる立場ではなくなっている。

  ノムラのクロスアセットマクロストラテジスト、チャーリー・マケリゴット氏は、昨年12月の米国株急落を助長したとみるコモディティー・トレーディング・アドバイザー(CTA)が今、ショートから「最大限のロング」に転じていると指摘した。

  マケリゴット氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「パウエル議長のハト派転換と米中貿易交に関する大量の前向きなニュースの中で、当社モデルは今まさに、米国株について最大限のロングに戻ろうとしていると思う」とコメント。「このラリーの持続力に関しては確かに懐疑的見方は根強い。直感に反するが、それがメルトアップが続く材料になっている」と述べた。

Nomura's McElligott says CTAs max long U.S. stocks
  トレンド追随型のクオンツは既にナスダック先物で最大限のロングポジションを取っており、相場が現水準を維持すればS&P500種株価指数とラッセル指数の先物でも同様の動きを取るだろうとマケリゴット氏はリポートで予想。その上で、米株式相場が短期的に急落した場合はCTAがショートに戻る可能性も十分にあり、クオンツがS&P500種先物を最大限のロングとする期間は1週間半程度にとどまるかもしれないとただし書きも添えた。

ノムラのマケリゴット氏とユナイテッド・キャピタルのカラ・マーフィー氏が市場見通しについてコメント

(出典:ブルームバーグ)
Tough Start for CTAs
原題:Nomura’s McElligott Sees Quants Pivoting to ‘Max Long’ Stocks(抜粋)

 


超長期債が上昇、10年入札結果で需給の良さを確認−オペ減額には警戒
三浦和美
2019年2月5日 8:03 JST 更新日時 2019年2月5日 15:59 JST
債券市場では超長期債相場が上昇。この日に実施された10年国債入札が順調だったことを受けて足元の需給の良さがあらためて確認された。長期金利がマイナス圏で推移する中、30年債や40年債などにはプラス利回りを求めた投資家の買いが入った。

新発30年物61回債利回りは、日本相互証券の前日午後3時の参照値より1ベーシスポイント(bp)低い0.595%
新発10年物353回債利回りは横ばいのマイナス0.015%
長期国債先物3月物の終値は前日比4銭安の152円69銭。一時は152円74銭まで上昇
市場関係者の見方
 三井住友トラスト・アセットマネジメントの押久保直也シニアエコノミスト

マイナス利回りでの10年債入札は非常に注目されたが、あらためて好需給が確認される結果になった
年度末に向けて余った資金を円債でつぶさざるを得ないという動きも意識され、午後の取引では30年債を中心に買われた
一方、米連邦公開市場委員会(FOMC)後の低下が一服している米長期金利とは乖離(かいり)して、過度な需給逼迫(ひっぱく)要因で円債は長期金利がマイナス圏で定着
日本銀行のオペ減額リスクを気にしなくてはいけない面も
10年債入札
最低落札価格は101円11銭、市場予想は101円10銭
応札倍率4.80倍と2005年2月以来の高水準、前回は4.04倍
テールは1銭と、前回と同水準
平均落札利回りマイナス0.013%、最高落札利回りマイナス0.012%
岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
高い応札倍率で順調に消化され、マイナスの利回り水準は何の影響もなかった
過去の10年債入札の結果
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.170% -0.160% -0.015% 0.415% 0.595% 0.680%
前日比 +0.5bp +1.0bp 横ばい 横ばい -1.0bp -1.0bp

 
TOPIX小幅高、為替安定やボラティリティー低下−商社や電機高い
長谷川敏郎
2019年2月5日 7:56 JST 更新日時 2019年2月5日 15:29 JST
円は一時1ドル=110円台に下落、VIXは4日連続で低下
決算銘柄は伊藤忠やヤフーが上昇、パナソニクやイビデンは下落
5日の東京株式市場ではTOPIXが小幅続伸。ドル・円相場が一時1ドル=110円台に乗せたほか、株式相場のボラティリティー(変動性)低下から、商社や化学など素材、電機が高い。医薬品や情報・通信は下落。

TOPIXの終値は前日比1.55ポイント(0.1%)高の1582.88
日経平均株価は同39円32銭(0.2%)安の2万0844円45銭ー4日ぶり反落
  4日の米10年債利回りは2.72%と、4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇。米国株は続伸し、ボラティリティーの指標であるVIXは4日連続で低下した。米大統領経済諮問委員会(CEA)のハセット委員長は、賃金上昇率が今年4%超に加速すると予測した。きょうのドル・円相場は一時1ドル=110円台に乗せた。前日の日本株終値時点は109円75銭。

  水戸証券投資顧問部の酒井一チーフファンドマネジャーは「米国株は景気・企業業績の減速懸念を織り込んで緩やかに上昇。ボラティリティーも低下しており、日本株市場の投資家心理も改善傾向にある」と話した。「企業業績は悪化の途上で昨年10−12月期がボトムとの確信はまだ得られない。企業業績は薄氷の上に立っているようなもの。上値を追うほどの強さはない」と言う。

  決算ラッシュで個別色の強い相場展開となり、株価指数の方向感が定まらなかったが、東証1部の値上がり銘柄数は1325と、値下がり730を大きく上回った。SMBC日興証券投資情報部の松野利彦氏は「先週末の重要な経済指標が示すように米景気は悪くない。金融政策も引き締めに向かいそうになく、リスク資産にはハッピーな環境だ」と評価する。

5日は続伸
決算銘柄では予想を上回る四半期利益や自社株買いを発表した伊藤忠商事、長期利益見通し示したヤフー、収益改善策が評価された花王が上昇
通期営業利益予想を下方修正したパナソニックやイビデン、第3四半期減益だったケーズホールディングスは下落
東証33業種では水産・農林、繊維製品、非鉄金属、電気・ガス、卸売、化学が上昇率上位
石油・石炭製品や医薬品、情報・通信、小売は下落
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-04/PME38Q6KLVR401

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/853.html

[経世済民130] フェイスブックとグーグル、2強支配を崩せるか 仮想通貨が凍結状態、創業者急死 国変われば超富裕層環境変わる−所得上位1%
コラム2019年2月5日 / 14:14 / 4時間前更新
フェイスブックとグーグル、2強支配を崩せるか
Jennifer Saba and Robert Cyran
2 分で読む

[ワシントン/ニューヨーク 4日 BREAKINGVIEWS] - 米グーグルとフェイスブック(FB.O)の第4・四半期決算で、両社に対する監視強化の重要性が改めて示された。

フェイスブックが1月30日に市場予想を上回る売上高と利益を発表したのに続き、グーグルの持ち株会社アルファベット(GOOGL.O)も好調な決算を公表した。フェイクニュースや消費者データの不当な商業化に対する懸念も、2社によるオンライン広告支配をそぐことはなかった。規制当局による監視が一層求められているゆえんだ。

アルファベット同四半期の売上高は、前年同期比で22%増加した。同社のオンライン広告部門は引き続き絶好調で、売上高は前年比20%増加。全体の売上高の8割超をたたき出した。

フェイスブックも、似たような決算となった。同社とザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)に対しては、世間やメディアから驚くほどの怒りの声が上がったにもかかわらず、同社の同四半期売上高は30%増加し、169億ドル(約1兆8500億円)となった。また、月間アクティブ利用者数(MAU)も9%増えて23億人となった。

さらに、セラピーから加齢に伴う疾患の治療法、バーチャルリアリティ(VR)まで、ベンチャー企業への幅広い投資を加速させつつ、両社とも驚くべき量のキャッシュフローを生み出し続けている。

ほとんど機械的に増殖し成長していくように見えるこうした企業やその売上高と、ますます厳しくなる世間の見方を対比させてみると興味深い。グーグルとフェイスブックを巡っては、広告スポットを売るために利用者の個人情報を搾り取ろうとする仕組みについてのニュースが毎週のように流れてきている。

しかし、この2つの巨大企業権力を追い落とそうという市場の勢力は、ほとんど無力だ。あるいは、成功には長い道のりがある。

ハイテク5社の「FAANG」の一角であるネット通販最大手アマゾン(AMZN.O)ですら、広告事業は急成長を続けているものの、両社の地位を脅かすには程遠い。カナコード・ジェニュイティによると、アマゾンとの競争で脅かされるリスクがあるのは、グーグルの検索部門の売上高の1%にすぎないという。

スタートアップ企業が2社に迫る可能性は、オンラインの広告売り上げに頼るメディア企業のバイス・メディア、バズフィード、ベライゾン・メディアの各社が最近実施した従業員削減を考えれば、さらに低いだろう。

グーグルとフェイスブックが検索やソーシャルメディアを支配していることや、両者がオンライン広告から上げている利益、収集したデータの規模、そして両社が作り上げたインフラを見れば、今後数年内に、いずれかの会社の勢いが規制以外で止められる事態は考えにくい。両社が保有している膨大な消費者情報を考えれば、両社が次のインターネット上の現象を支配する絶好の位置にいることも明らかだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/alphabet-results-breakingviews-idJPKCN1PU09T


 
テクノロジー2019年2月5日 / 15:24 / 3時間前更新
カナダで多額の仮想通貨が凍結状態、創業者急死でアクセスできず
Reuters Staff
1 分で読む

[トロント 4日 ロイター] - カナダの仮想通貨プラットフォーム「クアドリガCX」の創業者が昨年12月に急死してパスワードが分からなくなり、約1億8000万カナダドル(1億3721万米ドル)相当の仮想通貨が、ユーザー口座に凍結されて引き出せない事態となっている。

同社のフェイスブック・ページによると、創業者のジェラルド・コッテン氏はインドの児童養護施設でボランティア活動中、クローン病の合併症により30歳で死亡した。同社は死亡を1月14日に発表した。

クアドリガはビットコイン、ライトコイン、イーサリアムなどの仮想通貨を取引するプラットフォームで、ノバスコシア州の裁判所に先週、債権者保護を申請した。

コッテン氏の妻ジェニファー・ロバートソン氏が同社を代表して提出した宣誓供述書によると、同社に登録しているユーザーは36万3000人で、凍結により影響を受けた11万5000人に対し、合計2億5000万カナダドル相当を返済する義務がある。

コッテン氏のメーンコンピューターには、仮想通貨の物理的な保管手段である「コールドウォレット」が含まれており、オンラインではアクセスできないため、この中にある1億8000万カナダドル超の通貨が凍結された。ロバートソン氏はパスワードやリカバリーキーを知らず、何度も調べたがそれらを書き記した物も見つからなかったという。

宣誓供述書によると、ロバートソン氏はオンライン上で脅迫を受けており、コットン氏の死因や、死亡の真偽を尋ねる中傷的なコメントも寄せられている。
https://jp.reuters.com/article/canada-crypto-idJPKCN1PU0E9

 
住む国変われば超富裕層巡る環境変わる−所得上位1%の人々
Ben Steverman、Reade Pickert
2019年2月5日 11:50 JST
• インドの所得上位1%11人の富を合わせると、UAEの1人分
• 所得税の最高税率が1%の人々の一部にしか適用されない国も多い

A helicopter sits on the upper rear deck of a superyacht. Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg
金融危機以後、所得の不平等に対するエコノミストや政治家、ジャーナリストの注目が高まった。上位1%の超富裕層について特によく語られるようになったが、所得水準は世界中で大きく異なっており、住む国によってそうした人々を巡る環境も変わる。
  新興国インドの所得上位1%11人の富を合わせると、産油国アラブ首長国連邦(UAE)の上位1%1人分に相当する。
Annual pretax income threshold to be in the top 1 percent of earners

Figures are for the most recent year available; all figures given in 2017 U.S. dollars adjusted for purchasing power parity
Sources: World Inequality Database, Statistics Canada
  多くの先進国では1%の人々は所得の相当部分を税金として収める。所得税の最高税率が1%の人々の一部にしか適用されない国も多い。
Top marginal tax rate in 2018

Source: KPMG
  ロサンゼルスの大邸宅1軒を買える資金があっても、モナコでは魅力的な集合住宅1戸を買うのがやっとだろう。一方で、子育てにかかる費用にはそれほど大きな開きはない。
Housing, education, and childcare costs

*Costs vary by grade
Sources: Knight Frank, Chamness WorldWide
原題:A Global Guide to What It Means to Be Part of the 1%(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-04/PME38Q6KLVR401

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/854.html

[経世済民130] 日産のブレグジット問題、本格化はまだこれから ゴーン報酬91億円計上 日産ルノー、自動運転グーグル陣営に 英BP利益倍増
コラム2019年2月5日 / 13:03 / 6時間前更新

日産のブレグジット問題、本格化はまだこれから
Liam Proud
2 分で読む

[ロンドン 4日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 日産自動車(7201.T)は英国でのスポーツ多目的車(SUV)生産計画を撤回して九州で製造すると発表したが、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を強硬に主張する英保守党のリースモグ議員は、日産の決定と離脱は無関係だと訴えた。

ディーゼルエンジンを取り巻く環境を考えると、この主張はある面で正しい。しかしリースモグ氏は英国が合意なくEUを離脱した場合の自動車産業の行く末に注意を払わないというミスを犯している。

日産はSUV「エクストレイル」の次期モデルを英サンダーランド工場で製造するとの2016年の約束を反故にし、代わりに九州で製造して欧州に輸出すると発表。クラーク英民間企業・エネルギー・産業戦略相はブレグジット後の英自動車産業にとって危険な兆候だと述べたが、リースモグ氏はブレグジットと生産拠点変更に関連はないとした。

狭い視野に立てばリースモグ氏の主張は間違っていない。自動車業界は16年以降、ディーゼルエンジン車の需要の急減という大きな変化に見舞われている。英自動車工業会(SMMT)によると、英国は昨年12月の販売台数が前年比で25%以上落ち込み、全販売に占めるディーゼル車の比率は40%程度から30%以下に下がった。

従って日産がディーゼルエンジン搭載のエクストレイルをわざわざ供給することはない。エクストレイルは他の車種向けに開発が終わっており、製造コストが低い。しかし今後必要になるのは、高価なバッテリーと相性の良い、排ガスの少ないエンジンだ。膨らむコストを吸収する1つの方法が、世界的にみてエクストレイルの生産拠点となっている九州工場への製造の集約。EUと日本の経済連携協定(EPA)発効により、EUが2027年から日本製自動車に対する10%の輸入関税を撤廃するのも追い風だ。

ただ、英国が合意なきEU離脱に至れば、日産のサンダーランド工場に大きな影響が及ぶのも事実だ。エクサーヌBNPパリバのデータによると、日産は今年の英国製自動車の欧州向け輸出が570万ドル程度となり、欧州からの輸入は5億ドルの見込み。英国製自動車のEU輸出に10%の関税が掛かるようになれば、英国から輸出する意味はほとんどなくなる。日産が関税コストを吸収すれば、税引き前利益が8%ほど減少する。しかも、こうした試算には通関手続きやサンダーランド工場で使われる部品供給への影響などは含まれていない。日産のブレグジット問題が本格化するのはこれからだ。

●背景となるニュース

・日産自動車(7201.T)は2日、スポーツ多目的車(SUV)「エクストレイル」の次期モデルを英サンダーランド工場で生産する計画を取りやめ、日産自動車九州で生産すると発表した。

・英国の全自動車生産台数に占める日産の割合は約30%。英国のクラーク民間企業・エネルギー・産業戦略相は日産の発表について「自動車業界と地域にとって打撃」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/column-nissan-brexit-idJPKCN1PU095

 
日産、英国での「エクストレイル」生産計画を撤回−EU離脱が理由
Anchalee Worrachate
2019年2月4日 1:58 JST
九州でのエクストレイル生産は継続する方針
「不確実性が続く状況、助けにならない」−発表文
Nissan Motor Co. Starts Production Of Infiniti Q30 Vehicles
Photographer: Luke MacGregor / Bloomberg
日産自動車は英国中部の工場でスポーツタイプ多目的車(SUV)「エクストレイル」を生産する計画を断念した。同国の欧州連合(EU)離脱を巡る不透明感を理由に挙げた。英政界からは「心理的な打撃だ」との声が上がった。

  欧州日産の会長、ジャンルカ・デ・フィッシ氏は3日の発表文で、「英国のチームとパートナーにとって残念なことだと当社は理解している」と説明。「ビジネス上の理由でこの決断を下したが、英国とEUの将来的な関係を巡る不確実性が続いている状況は、当社のような企業が将来の計画を立てる上で助けにならない」と述べた。

  今回の日産の決定は、英自動車業界にとって新たな一撃となる。同業界は昨年の投資が46%減少。「ハードブレグジット(合意なしの強硬離脱)」を巡る懸念が強まる中、自動車メーカー各社が機械や工場の更新に関する決定を遅らせたためだ。英自動車製造販売協会(SMMT)の発表によれば、同国の2018年の業界投資は5億8900万ポンド(約844億円)と、金融危機以来の水準に落ち込んだ。

  同社は九州でのエクストレイル生産は継続する。

  自由民主党のケーブル党首は「これは経済的な打撃であると同時に心理的な打撃だ」と、スカイニューズの番組で発言。「明らかに英EU離脱が大きな要因だ。複数の要因のうちの一つかもしれないが大きな要因であり、これは日産だけの問題ではない。現在の業界の至る所で同じ思惑が生まれている」と指摘した。

原題:Nissan Abandons Pledge to Make SUV in U.K., Citing Brexit (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-03/PMCTAW6VDKHS01

 

 
ゴーン被告報酬」約91億円計上へ 日産 2018年度決算
カテゴリ:国内
2019年2月5日 火曜 午後0:05
日産自動車は5日午後、臨時の取締役会を開いて、カルロス・ゴーン被告の取締役解任などをはかる、臨時株主総会の日程などを決める方針。

取締役会では、ゴーン被告を取締役から外し、ルノーのスナール新会長を新任候補に迎えるための臨時株主総会を、4月中旬に開くことを決める方針。

日産の西川社長は、ルノーのスナール会長や、フランスのルメール経済財務相らと相次いで直接会談し、新体制への環境づくりを進めている。

一方、関係者によると、日産は、自らの報酬を実際より少なく有価証券報告書に記載したとして起訴されているゴーン被告の報酬に関して、その差額にあたる、およそ91億円を、ゴーン被告の報酬と確定し、来週発表する決算に計上する方針を固めたという。

西川社長は、「仕組み上、いろいろやらなければいけないので、今準備しています」と話した。

この件に関し、ゴーン被告は「報酬は確定していなかった」と主張している。
https://www.fnn.jp/posts/00411325CX


 

 

日産・ルノー連合、自動運転でグーグル陣営に参画
【イブニングスクープ】
ネット・IT 自動車・機械 北米 自動運転
2019/2/5 18:00日本経済新聞 電子版
保存 共有 その他
日産自動車と仏ルノー、三菱自動車の日仏連合が自動運転分野で米グーグル陣営に参画する方針を固めた。共同で無人タクシーなどを開発し、自動運転車両を使うサービスの事業化も検討する。自動運転では走行や周囲の認識に関わる膨大なデータの収集や分析が不可欠。グーグル陣営は参加する自動車大手の年間販売台数が約1600万台規模に達し、自動運転のデータ基盤の構築で一段と優位に立つ。他の自動車やIT(情報技術)大手も…

 

グーグル株、膨らむコストに警戒感 自動運転が鍵[有料会員限定]
2019/2/5 12:12
ウェイモの自動運転車
グーグルの自動運転車、ソフト実装「工場」は米中西...[有料会員限定]
2019/1/23 12:02

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4091884005022019MM8000/


 


ビジネス2019年2月5日 / 17:59 / 40分前更新
英BP、18年通期は利益倍増 生産量が拡大
Reuters Staff
1 分で読む

[ロンドン 5日 ロイター] - 英石油大手BP(BP.L)が5日発表した2018年通期決算は、利益が127億ドルと前年から倍増した。英豪系資源大手BHPビリトンから105億ドルで米国のシェール資産を買収したことを受け、石油・ガス生産が大幅に増加した。ただ負債は増加。2018年第4・四半期は自社株買いのペースも鈍った。

先週発表となった石油大手ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSa.L)、エクソンモービル(XOM.N)、シェブロン(CVX.N)の決算は、いずれも利益が予想を上回った。多額の投資を進めてきた米国のシェール地域で生産が増加した。

BPの第4・四半期の再調達原価基準の調整後利益(純利益に相当)は35億ドルと、同社がまとめた予想の26億3000万ドルを上回った。前年同期の実績は21億1000万ドル、前四半期の実績は38億4000万ドルだった。

通期の利益は127億ドル。前年の実績は61億7000万ドル、アナリスト予想は118億8000万ドルだった。

通期の生産量は、日量370万石油換算バレル。ロシアのロスネフチ(ROSN.MM)への出資分(20%)に相当する生産量を除くベースで前年から8.2%増えた。

ギアリングレシオ(負債比率)は、2018年末時点で30.35%。前年同期は27.4%だった。2018年末時点の純債務は441億ドル。

2018年のキャッシュフローは261億ドル。前年は241億ドルだった。
https://jp.reuters.com/article/bp-results-idJPKCN1PU0RS
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/855.html

[中国12] 日本の若者が知る由もない 中国人女子の悲し過ぎる「格差事情」
2015年8月24日 中島 恵 :フリージャーナリスト
日本の若者が知る由もない
中国人女子の悲し過ぎる「格差事情」
ジャーナリスト・中島恵
湖南省の専門学校で出会った
哀しくも健気な女子専門学校生

寮は8人部屋で簡素な2段ベッドが4つと、勉強机と椅子のセットが8つ。気温35度でもエアコンはない
 上海から空路で約2時間。中国南部の内陸部に位置する湖南省に行った。湖南省と言ってすぐにピンとくる日本人は少ないと思うが、ここは毛沢東、胡耀邦といった中国共産党の政治家たちを生んできた土地柄。気温が高く、辛い料理が有名だ。

 今夏、筆者は同省のとある専門学校を訪ね、学生たちと共に短い寮生活を送った。ここで1人の農村出身の女子学生(20歳)と知り合った。彼女を通して、改めて中国の厳しい現実を知った。

「中島老師(先生)、ようこそいらっしゃいました」

 おかっぱのツヤツヤとした黒髪、華奢でかわいらしい女の子が、モジモジしながら女子寮の入り口で迎えてくれた。筆者の大きなスーツケースを他の女子学生らと共に3Fまで階段で運ぶと、丁寧に自己紹介してくれた。彼女の名は黄さん。高校卒業後、この二年制の専門学校に進学し、卒業したばかりだという。筆者はここで学生たちと交流したり、日本語を教えさせてもらう予定で、黄さんは筆者のお世話係としてそばについてくれた。

 寮は8人部屋。北京や上海の大学では最近は4人部屋も多いと聞くから、ここはまだ古いタイプだ。簡素な2段ベッドが4つと、勉強机と椅子のセットが8つ。ちょうど夏休みに入ったため、筆者は8人部屋を1人で使わせてもらえることになった。しかもエアコン付き。他の学生たちは気温35度でもエアコンなしだ。

 到着してすぐ、寮の担当教師からバケツとシーツを買いに行くようにと言われた。そういえば、以前取材した広東省の部品工場でも「バケツは必須」と言われたことがあった。かつて内陸部からはるばる出稼ぎにやってくる若者たちは、ボストンバックとバケツも持参した(昨今はスーツケースに様変わりしているが)。荷物や洗濯物を入れる桶として、また掃除の際にも幅広く使用できるからだ。だからバケツと言われても驚かなかったのだが、ここでは洗濯(手洗い)用の小さな桶で十分だった。

 学校近くには数軒、雑貨や食品を売る売店があり、そこで最も小さい3元(約60円)の桶とシーツ(28元=約600円)を購入。部屋に戻ると黄さんがすぐに袋を開けてシーツを取り出すと、洗面台に持って行ってジャブジャブと水洗いし始めた。

「えっ? 何してるの? 新品なのにどうして洗濯するの?」

 私の素朴な質問に彼女は笑いながら「中国では新品のものでも、最初に洗ってから使います。ほらっ、これだから」と言って、小さすぎる桶からはみ出したシーツを指差した。流れ出ていたのは大量の染料。溶け出した鮮やかなブルーが水に広がっていた。

 以前、中国で買ったぬいぐるみを枕元に置いていたら顔に湿疹ができ、皮膚科に通っても治らなかったという話を、日本人の友人から聞いたことを思い出した。中国では強い農薬を落とすための野菜専用の洗剤があり、多くの家庭でこの洗剤を使っていることは知っていたが、新品の寝具や洋服もまず一度洗ってから着ると聞いて、驚いた。

 黄さんはその専門学校で日本語を学んでいた。高校卒業時、成績はよかったのだが、大学に進学するほどの経済的余裕はなく、一時は看護師の専門学校に進学することも考えたが、「看護師は給料が安すぎる」という周囲の反対で断念。日本のアニメやドラマが好きで、「日本語を学べば都会に出て、よい就職先があるのでは」と考えて、日本語を学ぶことにしたという。2年間学んだといっても彼女の日本語は理解不能なものが結構あったが、日本には好感を抱いているようで、日本人女性(筆者)と初めて接触するのを楽しみにしていたと話してくれた。

両親が共働きで出稼ぎは当たり前
久しぶりに会った母の顔がわからない
 故郷はバスで6時間も離れた山間部。何も産業がない地域で、老人と子ども以外は沿海部に出稼ぎに出ているという。黄さんの両親も中学卒業と同時に広東省にある部品メーカーに就職。そこで出会って結婚した。1人っ子政策を実施している中国だが、農村では2人以上子どもを持つことが少なくない。黄さんにも姉と弟がいる。女の子が2人続いたので、おそらく両親は後継ぎである男の子が欲しくて3人の子を産んだのだろう。

 といっても、彼女は両親と暮らした記憶はほとんどない。祖父母と姉、弟と5人で暮らしていて、両親が田舎に帰ってくるのは1年に1回、春節(旧正月)のときだけだったからだ。

「小さい頃、両親のことはほとんどわからなかったです。祖父母もあまり親の話はしませんでした。5歳くらいのとき、おばあちゃんに『あの人、誰?』って聞いたら、それが母だったんです……」

 この話を聞いたとき、筆者は軽いショックを受けると共に、以前行った中国人の子育ての取材を思い出した。「やっぱりあの話は本当だったのか……」と。

 中国では一般的に男女共働きで、専業主婦は非常に少ない。育児の主な部分は自分か夫の祖父母に任せっ切りで、母親は出産後、仕事に復帰するのが普通だ。日本では考えにくいことだが中国では当たり前の現象であり、中国の祖父母も、孫の世話は自分たちの仕事だと思っている。「子育て=家族全員でするもの」という観念があるからで、母親1人に子育ての負担が集中することはない。そういう意味では、中国は働く女性が生活しやすい環境ともいえるが、農村の場合は状況が異なる。

 母親、もしくは両親共に都会に出稼ぎに行っている場合、子育ては100%祖父母の仕事になる。都会ならば夜や週末は父母の元に帰れる子どもも、農村では1年に1回、数日程度しか親に会えない。そのため、親の顔を知らないで育つ子どもは珍しくない。戸籍制度の問題もあり、戸籍のない都会にいる間は社会保障や福祉、正当な教育を受けられないため、子どもは田舎に預けるしかないのだ。

「死ぬことが長年の夢だった」
中国に6100万人もいる留守児童
 そうした子どもたちは「留守児童」と呼ばれ、中国共産党系の組織が発表した資料によると、人口13億7000万人の中国で約6100万人もいるといわれている。そのうち約920万人が、1年間に一度しか親に会うことができない。

 今年6月にも、中国で最も貧しいといわれる貴州省で、留守児童だった4人兄妹が農薬を飲んで自殺した、という悲惨なニュースが流れたばかりだ。父親は出稼ぎ労働者で、母親は家出。14歳を筆頭として5歳までの子どもたち4人だけで暮らしており、この家には祖父母もいなかった。14歳の子どもは「死ぬことが長年の夢だった」と走り書きを書き残しており、この子たちがいかに厳しい環境で暮らしてきたかがわかる。

 こうした留守児童の取材のときも衝撃を受けたが、今、目の前にいるこの可愛らしい黄さんもその1人だったと知り、私は話を聞きながら自分の目が潤んでいくのがわかった。ごまかしてご飯をかき込んでいると、彼女はこちらをちらちらと見ながら、「でも、私は幸せなんですよ。祖父母は優しいし、近所にたくさん(同じような境遇の家庭で育った)友だちがいましたから。全然平気です」と笑っていた。そして「だって、私は専門学校にも進学させてもらえたんですから。これも両親が長い間、故郷を離れて働いてくれているお蔭です」ともつけ加えた。

 専門学校の学費は1年で約1万元(約20万円)。彼女はきれいに折り畳んで大切に財布にしまっている学費の領収書を見せてくれた。私立なので国立の大学や専門学校よりも学費は高いが、長女は中学を出てすぐに広東省に出稼ぎに行ったため、優秀な次女には進学をさせてあげたいという両親の希望もあって、この学校を選んだという。

「うちは少しずつ裕福になっているんです」。そう彼女は言ったが、専門学校の1年目と2年目の夏には、他の学生が故郷に帰省するのを尻目に、自分だけ広東省の工場にアルバイトに行った。この町から夜行バスで13時間。両親が働く工場で臨時に雇ってもらい、母親と同じベッドで寝て、1日12時間働いて、1ヵ月で3500元(約7万円)の収入を得た。

 食事代などのお小遣いは毎月決まった額ではなく、足りなくなったときだけ両親に話すという。両親は筆者と同世代の40代半ば。中国人ならば、今や老人でさえ持っているスマホも持っていなくて、ガラケーしかないという。中国人のコミュニケーションツールとして幅広く普及している微信(中国版ライン)もできないので、週に1回電話をかけて近況を報告しているという。

 父親は電話のたびに「お金は足りているか?」と聞いてくれるが、彼女は両親に心配かけたくないと話していた(そんな彼女でも、他の若者と同じくスマホだけは持っていた。寮に近い携帯電話ショップで、一番安い900元(約1万8000円)のスマホを買ったという)。

 彼女によると、6歳のときから自分の衣服の洗濯(手洗い)をやり、7歳のときから祖母を手伝って料理もしていた。農村では当たり前のことだという。この学校の教師の家で家庭料理をご馳走になる機会があったのだが、そのときも彼女が手際よく料理している姿を見て、祖母が彼女をどのように育てたかが目に浮かぶようだった。

お金がないのに精一杯客人をもてなす
今の中国にもこんな純朴な子がいるのか……。
 ある日、一緒に夕食を食べて寮に帰る途中、洋服を売る露店の前を通りかかった。彼女がそこで立ち止まったので、2人で吊るしてあるTシャツやブラウスを見て歩いた。どれでも2枚で50元(1000円)。筆者は思いついて、「今回のお礼に好きな洋服を買ってあげる。どれでも遠慮なく選んで。さあ」と言ったのだが、それを聞いた彼女はさっと表情を変えて「いいです。本当にいいです。たくさん持っていますから……」と言って手を振り、急いで立ち去ろうとした。

 食事のとき、朝ご飯(屋台で売っている蒸まんじゅうや餃子)は1元か2元なので、いつも彼女が買ってくれた。筆者がどんなに「私が買うから」と言っても「ここは中国。先生は日本からきたお客さんなんですから」と言って、どうしても譲らなかった(その代わり、15元、20元と値段がはる昼食や夕食のときには、自分には払えないとわかっていたのだろう。お財布を出さなかった。もちろん筆者が払うのでよいのだが、いつも申し訳なさそうにしていた)。彼女はそういう子だった。

 彼女との会話は筆者にとってとても新鮮で、北京や上海の取材で出会う若者とは大きく異なっていた。今どきこんなに純朴な子がいるのかと感心させられることが多かったのだが、その中でも特に印象深い出来事がある。1日だけ遠出して毛沢東の生家に旅行したときのことだ。

 学校の職員が車を出してくれることになった。旅行といっても自動車で1時間の距離だったが、黄さんは前夜から「中島老師、私、うれしくて眠れないです」とウキウキしていた。しかし、乗り込んで20分くらいすると、黄さんは急に具合が悪くなってしまった。乗りもの酔いだ。聞けば、20歳になるまで自動車に乗ったことはほとんどなく、乗り物といえば、長距離バスしか経験がないという。

 専門学校からバスで20分乗った先にある大型のショッピングセンター(学校の他の生徒たちはそこに行って、カラオケをしたり食事をしたりすると話していたが)にも行ったことがないということだった。「うちは少しずつ裕福になっているんです」と彼女は言ったが、節約してつつましく暮らしていた。

 毛沢東の生家は、平日だというのに大勢の観光客で賑わっていた。周辺地域からの団体観光バスが何十台もやってきていて、ゲートから生家まで30分以上も行列に並ぶほど混雑していた。おみやげコーナーには、3000元(約6万円)、4000元(約8万円)という値札がついた毛沢東の銅像のレプリカや、毛沢東の顔を印刷したトロフィーみたいなもの、マグカップや関連書籍などがズラリと並んでいて、それを2人で眺めていたときだ。

 いくつかある安いおみやげの中に、2つで5元(約100円)という、破格に安い金メダルがあった。おもちゃのような安くて軽い記念メダルで、表には「毛主席故居留念」と書いてあり、中央に名前と日付を刻むことができるようになっている。店員が「名前を刻字するよ。さあ、記念にどうだい?」と勧めてきた。

 すると、彼女は金メダルを手に取り、店員に「1枚には中島恵、もう1枚には黄江(弟の名前)と刻字してください」と言ったのだ。筆者は驚いて、「いいよ。私は要らないよ。本当に要らない」と何度も断ったのだが、聞かない。仕方がないので「じゃあ、私があと5元払うから、自分の分も記念につくったら」と言うと、「私は今日ここに来られただけで幸せなんです。こんなところには、一生来られないと思っていたから。弟には普段何も買ってあげられないから、すごくいい記念です」と言うと、筆者に1枚プレゼントしてくれた。

 その金メダルは今、この原稿を書いている筆者のパソコンのすぐ横に置いてある。

北京の女子とはまるで別世界の住人
改めて感じる厳し過ぎる中国の格差社会
 その後、北京に移動して同世代の中国人に会った。彼女の話をするとみんな驚き、中には涙ぐむ子もいた。中国のテレビのニュースなどでは「留守児童」の問題をかなり取り上げているが、都会の多くの中国人は実際そういう場所に行ったこともないし、交流する機会はない。同じ中国人とはいえ、一生に一度も交わることがない別世界の存在だ。

 北京の女の子は私の著書にも登場するエリートで、この秋から高校3年生。両親は大学教授と官僚という家庭で育った1人っ子だ。進学校の国際クラス(英語で重点的に勉強するクラス)に入り、アメリカの大学に進学を予定している。毎月のお小遣いは500元(約1万円)で、それ以外に親のクレジットカードも使用できるなど、何不自由のない暮らしをしている。都市部では、このような子は珍しくない。

「私は本当に幸せなんですね……。私たち、同じ中国人なのに……」

 北京の女の子が声を詰まらせながら言った言葉が、厳しすぎる中国の格差社会を物語っているように聞こえた。
https://diamond.jp/articles/-/77120
http://www.asyura2.com/17/china12/msg/811.html

[経世済民130] 「医療現場ヒエラルキーの底辺」と嘆く介護福祉士の苛酷な労働実態 GMARCH・関関同立など都市部の私大に人気が集中しそう
2019年2月6日 角南丈
「医療現場ヒエラルキーの底辺」と嘆く介護福祉士の苛酷な労働実態
重労働であるにもかかわらず、賃金が低いことなどが問題視されている介護職だが、その中でも特に過酷さが際立つのが国家資格の「介護福祉士」だ。病院やクリニックでは、介護福祉士はヒエラルキーの最底辺に位置しているという。介護施設・病院で15年勤務し、現在は介護保険外サービスを展開する「ライフケアサポート」の代表・中村英樹氏が、業界の闇を暴露する。(清談社 角南丈)

国家資格なのに…
手取り15万円で離職者続出
介護福祉士の労働実態は過酷です。
介護職員を指導する立場である介護福祉士は、国家資格でありながら、現場でのヒエラルキーは最底辺。しかも薄給とあって、離職者が続出している Photo:PIXTA
 平成最後の12月、賛否両論渦巻く中、政府は「出入国管理法改正案」を成立させた。これによって外国人労働者の受け入れが拡大し、少子高齢化で人材不足に悩む産業の働き手を確保することが期待されている。

 特に人手不足が深刻な産業のひとつが介護だ。みずほコーポレート銀行産業調査部の推計によれば、2015年に9.8兆円だった介護業界の市場規模は、2025年には15.2兆円にまで達する見通しだが、業界の離職率は16.2%となっており、約6人に1人が職場を離れている(平成29年度「介護労働実態調査」)。

 介護現場に人材が定着しない最大の理由は、業界全体が低賃金・重労働の“ブラック化”していることだろう。その最たる例が、業界唯一の国家資格である介護福祉士だ。

 介護福祉士は、平たくいえば、現場で実作業する介護職員を指導する立場。働き場所は老人ホームや障害者施設、病院など多岐にわたる。日本介護福祉士養成施設協会の発表によれば、介護福祉士として登録されている人の総数は、全国で150万人3574人(2017年3月時点)に上る。

「一概にはいえませんが、介護福祉士の平均基本月給は、手取りで15万円程度。そこに資格手当1万5000円、夜勤手当がついて17〜18万円といったところでしょうか。ボーナスは施設によって異なり、出るところでもせいぜい年2回(各月給1ヵ月分)となっています。もちろん早出や残業がある場合もあります」(中村氏、以下同)

 こうした状況を改善するべく、厚生労働省は推計約20万人いる勤続年数10年以上の介護福祉士について、月額8万円の賃上げを目指している。

 しかし、介護福祉士が過酷といわれるゆえんは、賃金だけの問題ではないようだ。

看護師と介護職員の
板挟みで心身が疲弊
 中村氏によれば、医療・介護施設にはヒエラルキーが存在するという。本記事では話をわかりやすくするために、介護施設ではなく病院を例に説明しよう。

 ある病院では、勤務する職種の割合が介護職員25%、看護師21%、その他(医師やリハビリスタッフ、事務など)が54%となっている。この場合、人数的に見れば、現場の最大勢力は介護職員ということになるが、力関係は異なる。

「序列的にはトップが医師、続いて看護師、介護職員となっています。特に看護師と介護職員の確執は有名です。たとえば、オムツ交換は看護師の仕事でもありますが、看護師の中には『オムツ交換ぐらい介護職員がやれ。介護職員は医療について無知なんだから、私たちに医療(補助)以外の仕事をさせるな。悔しかったら看護学校出てみろ』と、介護職員を見下す人がいるのも残念ながら事実です」

 特に看護師の攻撃対象にされやすいのが、現場の介護職員を束ねる介護福祉士(介護主任)なのだという。

「高圧的な看護師は、やりたくない上に評価もされないオムツ交換をするより、自分の査定に響く注射や投薬など医療(補助)行為に専念したいのでしょう。介護福祉士も多少の医学を勉強してきてはいますが、看護師の本音としては彼らに介護以外の仕事をさせたくないのだと思います。下手に医療的なことにまで手を出されると、医療の知識を盾に取った看護師の優位な立場が崩れかねませんからね」

 しかし、前述のように、介護福祉士は役職的には現場の介護職員たちの上司にあたる存在だ。なぜ彼らがヒエラルキーの最底辺なのだろうか。

「ヘルパーなど現場の介護職員は、年配の女性が多く、しかも病院内では多数派です。さすがの看護師も、彼女たちにはあまりきつく言えないものです。一方で、介護福祉士の資格を持っている人は若い世代に多いため、看護師はズバズバと文句を言いやすく、介護職員のマネジメントを押し付けようとします。すると、介護福祉士は年配の介護職員たちからも反発され、ガミガミ言われるという板挟みになってしまうわけです」

 徒党を組んだ年配の女性を敵に回したくないのは、どの世界でも同じだろう。介護福祉士は、看護師と介護職員の板挟みにあう哀れな中間管理職、という位置づけなのだ。

のしかかる
ミス厳禁の重圧
 厚労省の発表によれば、2017年度の介護福祉士の合格率は70.8%(6万5574人)。国家資格の中では比較的取得しやすい資格とされているが、試験を受けるためには「従業期間3年以上かつ従業日数540日以上+実務者研修」の修了が必須条件となっている。

 そこまでの手間と時間をかけてやっとの思いで取得しても、介護福祉士に待っているのが職場ヒエラルキーの最底辺という現実だとすれば、なんとも救いようのない話だ。

 こうした過酷な状況に嫌気がさし、業界から逃げ出そうにも、今度は施設側からの執拗な引き留めにさいなまれることになるという。

「介護福祉士に対しての引き留め文句といえば、『君が辞めたら仕事が回らなくなるし、ご利用者様が亡くなるかもしれないんだよ。狭い業界だし、うちを辞めたら悪評が回っちゃって再就職できないよ』というのが定番です。この業界は人間関係が濃厚で、『○○が××で働いているらしい』といったうわさ話もよく飛び交いますからね。とはいえ、職員が足りないのは施設の運営側の責任ですし、上の人間が辞めた職員全員の行き先を把握できるはずもありません。こうした脅し文句には絶対に屈しないことが大切です」

 どれだけ情熱を持って仕事に取り組んでいようとも、時には逃げる勇気も必要なのだ。ただ、今後もずっと介護福祉士として働こうと決めている人は、一生このヒエラルキーから抜け出せないのか。

「医療・介護業界で働いている人は“訴訟リスク”に非常に敏感です。そのせいか、誰も責任を取りたがらず、絶対にミスをしてはいけないという強迫観念に駆られています。こうした現場に長年いると、狭い視野でしか物事を見られなくなってしまいますが、自分次第でいくらでも状況は改善できます。介護福祉士の資格があれば、ケアマネジャー(介護支援専門員)や介護施設長を目指すこともできますし、独立することだって可能なはず。介護福祉士の皆さんに一言、“失敗を恐れず、いい介護を続けてください”と伝えたいです」

 “国家資格”“ドル箱産業”という聞こえのいい言葉の裏には、世間の認識以上に厳しい現場の苦労があるようだ。
https://diamond.jp/articles/-/192700


 

2019年2月6日 週刊ダイヤモンド編集部 ,西田浩史 :委嘱記者
GMARCH・関関同立など都市部の私大に人気が集中しそうな理由
Photo:DOL
 2021年、国公立大学を中心とした入試の大改革が実施される。これは共通1次試験から大学入試センター試験へ移行して以来、約30年ぶりの入試改革となる。
 改革まで2年と迫る19年は、その骨子が分かる年となりそうだ。大きな変化とは、次の2点。
 一つ目は、現在のセンター試験に当たる「共通テスト」の国語、数学に記述式の問題が加わり、問題量が増え、難度が上がること。
 二つ目に、英語がGTECやTEAPなど4技能(読む・聞く・話す・書く)を測る外部の検定試験に置き換わる。
 これらは今までの入試で測れなかった知識以外の力を見るものとして、国の方針で導入される。
 しかし、高校生や教育現場からは不安や懸念の声も上がっている。
 それは、18年11月に共通テスト本番を想定して行われた試行調査の問題の難度が、関係者が考える以上に高かったこと。高校1年生から準備しても、間に合わないという声も聞こえる。
 そのため、急きょ、志望校を合格する可能性の高い大学に変更したり、一般入試ではなく推薦入試にしたりするなど、大学選びに変化が起きつつある。
国公立大学の不人気で
思わぬ私大が穴的校に
 混乱が想定される共通テストだが、それを避けようとする受験生が今後向かう先はどこか。
 それは、共通テストの受験が必須でなく、入試制度の変更がない私立大学だ。特に、大都市部の私立大学に人気が集中するだろう。
 具体的には、難関から中堅のGMARCH、関関同立、日東駒専、産近甲龍、北海学園大学、東北学院大学、南山大学、愛知大学、名城大学、西南学院大学、福岡大学、福岡工業大学などの人気が上昇し、半面、地方の中堅から下位の国公立大学の難度が下がる可能性がある(下図参照)。
拡大画像表示
 従来ならこうした中堅から下位の国公立大学を受験する層は、各県の2番手、3番手に当たる高校に在学していた。しかし、そのレベルの高校の授業では、記述式や検定試験などへの対策が不十分な場合が多い。そのため、共通テストの受験が不要な私立大学に志望校を変更する可能性が高い。
 こうした動きによって、21年以降に一部の国公立大学の易化により思わぬ穴となる大学が出現するかもしれず、入試の最新動向には例年以上に注視していくことが大切だ。
共通テストは難化するものの
勉強の本質は従来と大差なし
──宮敏郎・SAPIX YOZEMI GROUP共同代表に聞く
宮敏郎(たかみや・としろう)/SAPIX YOZEMI GROUP共同代表。1997年慶應義塾大学経済学部卒業。三菱信託銀行を経て、2009年より学校法人高宮学園副理事長。 Photo by Toshiaki Usami
 2019年は、2年後に迫る大学入学共通テストの課題が強く意識される年になるでしょう。
 まず問題は、共通テストが現行のセンター試験より難度が高く、これまで以上に読解力や基礎知識の応用力を要求される点です。
 高度な問題演習を授業で行うトップ高校の受験生は対処ができても、その他の受験生にとってはかなりハードルが高いのではないかと感じています。
 さらに、共通テストには記述式の問題が導入されますが、その部分は自己採点の際、正確な点数の把握が難しくなる恐れがあります。実際の点数と自己採点との誤差を小さくする対策が必要になるでしょう。
 そうなると、現在の状況以上に安全な志望校選びがトレンドとなる可能性が高いといえます。一方で、受験の負担が大きい国公立大学より私立大学へという流れが起きるかもしれません。
 とはいえ、こうした改革が行われたところで、勉強の本質は今までと変わりません。さまざまな情報に惑わされず、志望校合格を勝ち取ってほしいと願っています。(談)
(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 西田浩史)
https://diamond.jp/articles/-/191550


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/865.html

[経世済民130] 日本がドイツより幸福度が低い理由の1つは店の「サービス過剰」 キューバで感じた日本との「常識」の違い
2019年2月6日 熊谷 徹 :ドイツ在住フリージャーナリスト
日本がドイツより幸福度が低い理由の1つは店の「サービス過剰」

ドイツでは、社会が過重サービスを減らすことによって生活コストを低くし、自由時間を増やすことで、収入が低くてもゆとりのある暮らしを送ることができている(写真はイメージです) Photo:PIXTA
世界的に見ても便利で豊かな生活をしているのに、なぜか国民の幸福度が低い日本。その一方で、日本よりも質素で倹約的な生活をしているドイツは、なぜ日本よりも幸福度が高いのか?ドイツ在住のフリージャーナリストで、新刊『ドイツ人はなぜ、年290万円でも生活が「豊か」なのか』(青春出版社)の著者・熊谷徹氏が、お金をかけないドイツ人の生き方や社会の仕組みから、暮らしをより豊かにするヒントに迫る。

客より店のルールを優先!“サービス砂漠”のドイツ
 私がドイツのミュンヘンに住んで29年、強く感じることの一つは、ドイツ人が金銭的に測ることができない価値を日本よりも重視しているという点だ。一般的にドイツ人は日本人に比べて質素であり、倹約家も多く、1年間の平均可処分所得は290万円前後と意外に低い。それでも、ドイツでの生活には、日本で感じることのできない一種の「豊かさ」があり、それは働き方や休日の過ごし方にも表れている。

 その「豊かさ」の理由の一つとして、ドイツの店や企業では日本ほど顧客へのサービスに時間をかけていないことが考えられる。ドイツではサービスはタダではなく有料だ。店員やタクシー運転手、理髪店、ホテルの部屋の掃除人などにはチップを払わなくてはならない。チップのない国から来た日本人の中には「この悪いサービスにチップまで払うのか…」と思う人も多いだろう。

 また、ドイツの商店では、それぞれ店員の仕事が厳密に決まっており、与えられた任務以外はやらない。客から要望があったとしても、自分の仕事ではなかった場合、店の決まりを優先させる。ある時、パン屋で2人の店員がいた。1人はカウンターの前に列をつくって待っている客の対応をし、1人はのんびりとショーウインドウのガラスを拭いていた。このため、1人の客が横から割り込んできて、ガラスを拭いている店員にパンを注文しようとしたところ、その店員は「私の同僚に注文してください」とにべもなく断ったのだ。客はしぶしぶ並んでいる客の列の後ろについた。これは、ドイツではしばしば目にする光景である。

 このエピソードだけでも、ドイツに日本のような顧客中心主義がないことがよくわかる。まさに、ドイツは客へのサービスに乏しい“サービス砂漠”なのだ。

 これは一見、ホスピタリティに欠けたギスギスした社会に思えるかもしれないが、利点もある。過重なサービスをやめることで、人々の働く時間が短くなり、商品やサービスの値段も安くなる。つまり、ドイツでは、社会が過重サービスを減らすことによって生活コストを低くし、自由時間を増やすことで、収入が低くてもゆとりのある暮らしを送ることができているのである。

世界が驚く“おもてなし大国”日本の便利さ
 サービスが乏しいドイツに比べると、日本は“おもてなし超大国”である。特に目立つのは、商店で働く人々の丁寧な態度、客思いの親切な対応だ。ドイツとは違って、店員が客の立場を考えて行動している。「自分がお客様だったら、こう感じるのではないか」と先回りして考えているのだ。そのような気配りをしているからこそ、痒い所に手が届くような対応ができるのである。

 私は、ドイツに住み始めた1990年以来、毎年少なくとも1回は講演や出版社との打ち合わせのために日本に来ているが、そのたびに顧客サービスの水準の高さに感動する。ふだん住んでいるドイツとの差があまりにも大きく、ドイツに住んでいる日本人は、私だけでなく日本に一時帰国するたびに似たような感想を抱いているだろう。

 まず、24時間営業のコンビニエンスストアの数がものすごく多い。しかも、これらの店では宅配便を発送したり、切手を買ったり、映画のチケットを買ったり、ホテルの部屋を予約したり、文書をコピーしてそのままファックスとして送ったりすることができる。一方、ドイツで夜に買い物をできるのは、ガソリンスタンドか大きな駅の売店くらいだ。しかも、置いている品数は、日本のコンビニエンスストアに比べて桁違いに少ない。

 さらに、日本ではコンビニエンスストア以外のスーパーマーケットの中にも、夜中まで営業している店がある。さらに祝日・休日は当然のこと、正月三が日も店を開けている商店が増えている。これらはすべて消費者思いの営業時間だ。夜遅くまで仕事をする会社員や、祝日に急に買わなくてはならないものに気づいた時には便利である。一方、ドイツでは日曜日やクリスマス(12月25日・26日)などの祝日には原則として全ての店が閉まっている。このため、消費者は平日までじっと待たなくてはならないのだ。

 また、日本では商店やレストランでの接客態度においても、“お客ファースト”なのが伝わってくる。私が知っているドイツ人夫婦は、15年前に初めて日本で休暇を過ごしたが、「日本でお店に行くと、店員の態度がとても丁寧なのに感心した。客が店内の商品をゆっくり見られるように、客に対して押しつけがましい態度をとらない。しかし、客が何かを知りたいなと思うと、すぐに飛んできて親身になって考えてくれた」と語る。

 このように、日本の店員は客の振る舞いには細心の注意を払っており、客が何かを知りたそうな素振りを見せると、すぐに客のところに駆けつける。決して押しつけがましくなく、しかも客を放っておくわけではない。この客との「間合い」のとり方が絶妙だとドイツ人の知り合いは感じたのである。

日本の「便利さ」が気持ちのゆとりを奪っている!?
 このように行き届いたサービスは、いまや日本人にとって普通のことなのかもしれない。例えば、日本の書店で本を買うと、店員から「紙のカバーをおかけしますか」と必ず聞かれる。紙カバーをかけるだけでなく、ビニール袋にも入れてくれる。そもそも、本にカバーをかけるのはなぜだろう。電車の中で何の本を読んでいるかを他の乗客から見られないようにするためだろうか。それとも本の表紙がカバンの中で折れたり、食堂のテーブルの上で汚れたりするのを防ぐためだろうか。いずれにしても、ドイツでは本に紙カバーをかけるサービスは存在しない。

 また、日本の大半のホテルでは浴衣、歯ブラシ、髭剃りなどが置いてあるため、荷物を少なくできるのが便利だ。しかし、ドイツの大半のホテルではこういったアメニティーはない。宿泊料金が1泊100ユーロ(1万3000円)以下のホテルでは、ヘアドライヤーやスリッパもないため、客が自分で持っていかなくてはならないので、荷物がかさむのである。

 さらに、日本では小包や郵便をめぐるストレスもドイツに比べるとはるかに少ない。宅配便の配達時間の指定はドイツよりもはるかに緻密である。ある時、日本で買った書籍や食料品などの小包を10個以上ドイツに送ることになった。すると近くの郵便局の局員が夜9時ごろ家まで小包を引き取りに来てくれ、料金もその場で払うことができた。ドイツでは考えられないサービスだ。

 ただ私は、玄関で大汗をかきながら荷物の重さを量っている郵便局員の姿を見ながら、「この人は今日何時に自宅でくつろげるのだろうか。明日の朝には、何時にまた仕事に出なくてはならないのだろうか」と一瞬思ってしまった。

 コインに表面と裏面があるように、あらゆるものには光と影、長所と短所がある。私は毎年日本とドイツを行き来する間に、「日本のおもてなしは客にとっては素晴らしいことだが、サービスを提供する側にとっては、過重な負担になっているのではないか。日本の店員や郵便局員の労働条件は、サービスの手抜きをしているドイツよりも、悪くなっているのではないか」という思いも持つようになってきた。

 日本から離れてみると、ここまで客に寄り添ったサービスは決して当たり前のことではない。この便利さを追い求めるあまり、日本人は他国に比べて気持ちのゆとりや豊かさを見失ってしまっているのではないだろうか。ドイツから日本を眺めてみた時、そう感じずにはいられないのだ。次回は、ドイツ流・お金をかけずに楽しむ生活の極意や、真の「豊かさ」を手に入れる意識の持ち方について述べていきたい。
https://diamond.jp/articles/-/193130


 
2019年2月6日 宮崎智之 :フリーライター
キューバで感じた日本との「常識」の違い
キューバの街並み
Photo by Tomoyuki Miyazaki
ラテンアメリカの社会主義国家へ
 年始の休暇を使って、キューバのハバナに行ってきた。なぜ旅行先にキューバを選んだのか。理由はさまざまあるものの、普段から当連載を通して日本の常識・非常識について考え過ぎた結果、余計に日本のことがわからなくなってきてしまったのが大きな理由の1つ。そこで、ラテンアメリカの社会主義国家・キューバに行くのを思い立った。

 野球が好きな筆者にとって、キューバは愛着のある国の一つだが、その実態はほとんど知らない。日本と常識が違う国に行くことにより、一度頭をリセットできるし、なによりも日本の、しかも東京という限られた地区でしか暮らしたことがない筆者にはよい刺激になるのではないかと思った。

 今回は、キューバのハバナで触れた、常識・非常識を紹介し、日本との違いについて考えていきたい。

音楽にあわせ、店の前で踊っているおじさん
 キューバの現地の様子は、事前に購入していた『旅の指さし会話帳13キューバ』(情報センター出版局)に著者の滝口西夏さんが書いているコラムが非常に参考になった。まずは滝口さんも書いていることだが、ハバナではどこでも音楽が流れている。道端で楽器を演奏している人、イヤホンをつけず、スマートフォンから音楽を垂れ流し、リズムを取りながら歩いている人。観光地のレストランやバーでは、たいていライブが行われている。

 大ヒットした映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』の世界を、そのまま見るかのようだった。

 日本人の感覚として面白いと思ったのが、繁華街のレストラン店内で演奏が始まると、店外に人だかりができて、みんな踊り出すことだ。店外から声援を送っても、写真を撮っても、動画を撮っても誰も文句を言わない。それどころか、ミュージシャンが外の観客の声援に応えてくれたりする。音楽はみんなで共有するものという感覚があるのだろうか。音楽を騒音としたり、突然踊りだす人を迷惑としたりする空気は、筆者がハバナの街を歩いてみた限りでは見受けられなかった。日本とはだいぶ常識が違うのだな、としみじみ思った。

 ところで、そうした人だかりの中には、ラム酒を飲みながら、ひときわご機嫌に踊っているおじさんがいることが多い。そのおじさんの近くに寄って、一緒に踊っていると、だいたいは「店の中で飲もうぜ!」と誘ってくる。ただの調子のいい酔っ払いなのだろうと軽く考えていたが、よくよく考えてみると、店に雇われたサクラなのかもと思えなくもない。

 しかし、「お店に人を勧誘するために、昼間から酔っ払って踊っているおじさん」という職業が成り立つのだとしたら、それはそれで素敵な国だなあと思わせてしまうチャーミングさが、ハバナにはあった。おじさんの誘いに乗ることはなかったので、結局、真実はわからないままだったが。いずれにしても、忙しく人が往来している東京に住み慣れた筆者にとって、現地の人の音楽に対するおおらかな感覚は、とてもうらやましく感じた。

キューバの「たかり」事情
 それと関連することだが、キューバにも物売りやたかりがいないわけではない。しかし、筆者が行った他の観光地と違うのが、断るとすぐに諦めてくれることである。

 一度、バーでクラブイベントのチケットを買ってほしいという熱心な勧誘を受けた。しかし、「夜はディナーの予約をしている」と一言いうと、「OK!」とあっさり諦め、かわりに「せっかく話したんだから、1杯だけおごってくれない?」と提案してきた。日本円にして300円くらい。「まあ、いいか」と思い「OK!」と返すと、モヒートを1杯だけ飲んで、「サンキュー!」とご機嫌な様子で去っていった。

 結果、たかられたわけだが、だいたいこの程度で済むというのが滞在期間中に得た実感。なんとなく憎めない程度に、ちゃっかりしているといった感じだろうか。他の観光地で勧誘してくる人と比べると、さっぱりしている印象があった。

 ただし、オートバイ型の「ココタクシー」には、明確にぼったくられて悔しい思いをした。わずか15分くらいの乗車で2500円くらい取られたのだ。翌日、クラシックカーを運転手付きで半日チャーターして5000円だったことを考えると、どれだけ割高かがわかる。もちろん、良心的なココタクシーの運転手もいるのだろうが。

 キューバでは、民芸品を買うときなどでも、事前に値段を交渉しなければいけないことが多いため、あらかじめ相場を確認していったほうがいい。ホテルの人に聞くと教えてくれる。普段の買い物で、値段を交渉することがない日本人にとっては、ハードルが高い文化だ。

「ショウヘイ オオタニはサムライだ」
 ただし、「騙されるのではないか」と警戒し過ぎて現地の人と触れ合わないのはもったいない。これも、滝口さんが書いていることだが、キューバではやたらめったらと道端で声をかけられる。はじめはビックリしたが、ほとんどの場合が「ただ単に気になったから声をかけた」という程度の意識のようだ。

 ハバナに滞在中、筆者は髪が緑色だった。脱色して、上から紺色をのせたのだが、色落ちしてなぜか緑色になってしまったのだ。それが、よほど気になったのだろう。すれ違いざまに「すごい髪の色だな!」と声をかけられたり、「その髪、どうなってるの? ちょっと触らせてくれない?」と言われたりすることもあった。

 キューバの人がフレンドリーで、日本人がシャイと言ってしまえばそれまでだが、そもそも人に対する距離感が、日本とは違うのだろうと思う。滝口さんはこのことを「『他人』という感覚があまりない」とし、キューバから日本に帰国後、「(他人と)目が合っても無視すること」に慣れるのが大変だったと記している。

 あと、「中国人?」「日本人?」「韓国人?」と現地語で聞かれることも多かった。「日本人」と答えると、「ありがとう!」と日本語で語りかけられ、握手をして去っていく、みたいなことが何度もあった。「ショウヘイ オオタニはサムライだ」としみじみ語るおじさんもいた。また、日本人だとわかるやいなや、「オチン」と声をかけてくる人もいるが、これは「おしん」のことらしい。現地で、テレビドラマが放映されたのだろうか。

 社会主義の国なので、あまり海外の情報は入ってきていないのではないか、と勝手に予想していたものの、現地の様子を見る限り、それほどでもないようだ。複雑な歴史背景があるため、西洋のブランドだと露骨にわかる洋服は着ていかないほうがいいのかな、と忖度して無地で臨んだのだが、ロサンゼルス・レイカーズ(NBAのチーム)のユニフォームを着た現地の人もいて、他文化に対しての殺伐とした空気は一般住民の間には感じられない。

 当たり前のことだが、現地に足を運んでみなければわからない肌感覚はたくさんあるな、と改めて気づいた。

徹底した「レディーファースト」
 ハバナに滞在して、日本と明確に違うなと思ったのは、レディーファーストが徹底しているということだ。レストランなどで男性のほうが先に座ると、店員が露骨にけげんな顔をするし、女性の同行者と一緒に買い物をしているとき、少し離れたところで別の商品を眺めていた筆者に、レジを終えた商品が入った彼女の紙袋を、店員がわざわざ手渡しに来たこともあった。

 レディーファーストについては、その起源やマナーの是非などについて否定的な意見もある。しかし、少なくともキューバでの常識は、そうなっているようだ。日本にいる感覚で行動していると、現地の人に不審な目を向けられることになる。

 ここまで書いてきて、言語のことに触れていなかったが、キューバの公用語はスペイン語であるため、ある程度は学んでいったほうがいい(筆者の場合は断酒中のため、真っ先に「ノンアルコール」という言葉を調べた。いろいろな言い方があるが、どこでも「Sin alcohol」で通じた)。と言っても、ホテルでは英語が通じる場合が多いし、簡単な英語ならば話せる人もいる。

異国の地で、日本を改めて見つめ直す

本連載の著者・宮崎智之さんの最新作『モヤモヤするあの人―常識と非常識のあいだ―』(幻冬舎文庫)が好評発売中です
 短期間だが、キューバのハバナに滞在した印象としては、比較的治安も良く(もちろん、日本国内を旅行するときも同様だが、油断しすぎるのは禁物だ)、人も穏やかで、特に音楽とお酒と葉巻が好きな人にとっては、最高の観光地だということである

 しかし、どうしても見たかったライブをアテンドしてくれた現地在住の日本人(若い男性)に話を聞くと、「いい国だと思うけど、見えないストレスで髪が薄くなりました」と苦笑いしていた。観光で訪れるのと、現地に住むのとでは印象が違うのだろうとも思った。文化が異なる国で暮らすことは、どこであっても一筋縄ではいかない。

 今年のゴールデンウィークは最大10連休だ。大型連休を使って文化の違う異国の地を訪れ、改めて日本の常識を見つめ直してみるのもいいだろう。

 当連載についてご意見がある方は、筆者のTwitterアカウントにご連絡いただきたい。すべてには返信できないが、必ず目を通したいと思う。

(フリーライター 宮崎智之)
https://diamond.jp/articles/-/193125

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/866.html

[経世済民130] 株式市場の混乱は本当に落ち着いたか?鍵を握るのは中国 経団連会長「中国は敵でない 低金利がもたらす経済の低迷、大手は有利

https://diamond.jp/articles2019年2月6日 西岡純子 :三井住友銀行 チーフ・エコノミスト

株式市場の混乱は本当に落ち着いたか?鍵を握るのは中国

中国経済
Photo:PIXTA
 日経平均株価は、昨年10月の高値2万4270円から12月下旬の安値1万9155円へ5000円超下げたのち、足元にかけてはおおよそ下落分の3分の1程度を取り戻した。

 この間、米国のS&P500指数は、下落した分を6割強取り戻している。

 日米の株価急落の間には、ファーウェイのCFOがカナダで拘束され、米中貿易摩擦の火に油を注いだことや、昨年12月に米国で利上げが実施されたことなど、急落の引き金とされてもおかしくないもっともらしいイベントがあったことは確かだ。

 だが、過去の株価急落局面と比較して見ると、時価総額の2割が消えてしまうほどの要因だったのだろうか、という「謎」が残る。

 一方で、落ち着きを取り戻した様子の市場が、再び混乱することはないのだろうか。

株価急落は
世界経済の「大事」になるか
 過去、株価が2割以上上げ下げした局面では、はっきりした材料があった。

 例えば、株価が4割も下がった「リーマンショック」は、サブプライムローンなどの焦げ付きがどれくらいあるかわからない疑心暗鬼が強まる中で、金融機関や企業が金融市場から一気に資金を引き揚げたことがあった。

 流動性を確保しようとした結果、世界からドルの流動性が瞬時に干上がってしまったことが、危機につながった。

 ドルの出し手がいなくなった市場で、多くのドル決済の貿易が瞬時に止まり、それは実体経済にも波及して、企業活動が停止するなど甚大な問題になったのだ。

 2015年から2016年にかけて断続的に起こった「チャイナショック」では、中国での構造調整が成長率を圧迫するとの懸念から、一斉に投資家センチメントが冷え込んだ。

 その事態をより深刻にしたのは、原油価格が暴落したことで金融市場が混乱に陥ったことだ。

 2014年の中ごろから1年半の期間で3分の1にまで原油価格が下落してしまったことで、米国のエネルギーセクターが採算割れに追い込まれ、それが金融市場での信用不安を生むクレジットイベントに波及したのだ。

 それでも、事なきを得たのは、米国全体で見ればエネルギーセクターの付加価値は、全産業のうち2%にも満たないうえ、FRBが緩和的な金融政策を維持していたことによる。

 実はその後も、米国では自動車ローンの増加と延滞率の上昇が、市場を緊張させた時期があった。しかし、それも今から見れば小さなクレジットイベント問題として消化された。

 こうしたことを考えれば、昨年末からの株価急落も、低格付け企業向けのローンを対象とした金融商品のバブルとその調整であり、それが、年末の商いが薄い時期だったこともあって、クレジット市場の混乱を発端に値崩れが一気に加速してしまった、と考えるのが妥当だろう。

 それを裏付けるように、FRBが1月のFOMC(連邦公開市場委員会)で利上げの停止を表明し、市場の不安を抑える方向に急きょ、政策のかじをきったことで、市場は見事に落ち着きを取り戻した。

 中央銀行や政府が、株価に一喜一憂するかのような政策運営をすることがいいのかどうか、議論の余地は多くある。

 ただ、多くの国の中央銀行や政府が、株価の動向を重要視して政策運営をしている現状を考えれば、過去の金融危機時のような、大手金融機関の突然の破綻をきっかけとした流動性危機が露呈しない限り、世界経済は、主要国が連続してマイナス成長になるような大事にはならないのだろう。

米国経済は拡大続く
中国の対応が要注目
 実体経済の面でも、米国は空前の規模の減税が行われたことで、2018年は、「下振れリスク」や「先行き不透明」がいわれていたにもかかわらず、成長率が最終的には2.9%と、前年の2.2%から加速する見込みだ。

 2019年も、減税規模は昨年以上である(議会予算局試算)。

 前年との比較で見れば、2018年は、17年が減税規模ゼロだったことから、2300億ドル相当の恩恵を受けた。2019年は、2018年ほどには底上げの恩恵はないだろうが、それでも17年からだと2年間で総額3500億ドル相当の減税規模である。

 企業、家計双方に恩恵をもたらすものであり、これがあって、景気が良くならないわけがないという減税の規模感である。

 日本も、日本経済が米国に強く依存していることを考えれば、米国経済が拡大を続ける状況で、日本経済が長くマイナス成長が続くようなシナリオは立てにくい。

 問題は中国である。今年に入ってから、「昨年11月ごろから受注や生産が半減した」など、中国経済が大きく下振れしたことを示唆する声が少なくない。

 中国の需要が大幅に下振れているのであれば、日本だけでなく、米国、欧州など、多くの国が実需は下振れするリスクに晒される。

 ただ一方で、中国政府も、経済の下振れに対する対応を機動的に行っている。

 2019年の経済運営について、中国共産党の中国経済工作会議で議論された政策を見ると、財政政策は2018年に引き続き、「地方特別債」を財源としたインフラ投資を拡大することに加え、大規模な減税などで景気浮揚を目指すことが盛り込まれている。

「地方特別債」は、主にインフラ投資の財源になるが、これまでの野放図な投資拡大とは異なり、投資プロジェクトの採算性・利用度などに関し、行政の審査を通過しないと、発行が認可されないものだ。

 つまり従来のようなシャドーバンキングといった透明性の低い資金調達手段は徹底して排除される。

 2018年の地方特別債の発行枠は1兆3500億元だったが、今年はその枠を大幅に拡大する方針が示されている。

 これまで地方債の発行は、例年3月に開催される全国人民代表大会(2019年は3月5日〜)で予算が承認された後でないとできなかった。

 だが2019年は、1月から発行(暫定的な発行枠:1兆3900億元(うち一般債:5800億元、特別債:8100億元))することを、すでに中国国務院が承認している。発行規模だけでなく、機動性も向上しているのだ。

 また、減税政策については、昨年は8000億元の目標に対し、8700億元の減税が実施されている。今年は、企業の付加価値税の減税が行われると見込まれ、減税規模も昨年を上回ることが中央経済工作会議で示されている。

 リーマンショック直後の“4兆元規模の経済対策”ほどではないが、かなり本腰の入った対策だ。

 また金融政策でも、当局による企業の資金繰りサポートは広範囲にわたる。

 中国人民銀行(PBOC)が特に注視しているのは、当局の指導で過大な借り入れによる信用取引の解消が進められてきた揺り戻しで、民間中小零細企業の資金繰りが逼迫(ひっぱく)していることだ。

 特に2018年に入り零細企業向けの融資の伸びは鈍化してきた。

 これに対して、民間中小零細企業向けの融資環境改善に向けた動きは、昨年後半から積極化している。

(1)緩和的な日々の流動性オペレーション、(2)融資枠等の緩和、(3)今後の民間企業向けの融資を拡大する方針の提示、(4)新たな中小企業支援策の公表、などの対応策が矢継ぎ早にとられている。

 具体的には、(2)に関しては、昨年6月、10月にそれぞれ1500億元、12月に1000億元分の零細企業向けの融資の再貸付・再割引の枠を拡大した。

(3)については、全体の企業融資のうち、現状で約4割程度と見られる民間企業の割合を、今後3年で5割に増やす指針が示されている。

(4)についても、昨年12月19日に中小・民間企業向け融資に対する流動性供給制度として「標的型中期貸出ファシリティー(TMLF)」が新設された。

 これは通常の「中期貸出ファシリティー(MLF)」より0.15%程度低い金利で金融機関に流動性を供給する制度である。

 金融政策面では、1月15日と25日にそれぞれ0.5%ずつ、既に計1.0%のRRRの引き下げを発表、実施している。そして、3月には全人代である。

政治リスクは政治が対応
厄介なのは市場の過剰反応
 振り返れば、2016年の英国国民投票でEU離脱が支持されたこと、同年の米大統領選挙でトランプ氏が当選したこと、その後、米中貿易戦争に発展したことで、このところ、市場は「リスク」の大合唱だった。

 ただ、いま一度、認識すべきは、英国、米国、中国いずれも、極端な経済の下振れには至っていないことだ。

 英国では急速に進んだポンド安で物価が上昇し、それが消費者の購買力をそいだ。しかし、足元ではインフレが落ち着くと、消費は回復が顕著だ。

 米国については、前述のとおり、2018年は2.9%の成長が見込まれている。

 中国の成長率は減速基調ではあるものの、意図的な調整の範囲内であり、仔細に見ると、製造業の固定資産投資は増加ペースが高まりつつある。いわば、政府が目指す自律的な成長が実現するかたちだ。

 米中貿易戦争についても、世界全体の貿易数量の減少には至っていない。むしろ、半導体市況に沿って増減を繰り返すという、至って健全なサイクルを描いている。

 今、世界で言われているリスクは金融危機、すなわち保有金融商品の時価の下振れが金融機関の体力をそぎ落とし、これが実体経済の活動まで停滞させるといったものではなく、いわゆる「政治リスク」である。

 政治に起因するリスクというのは、足元の米中協議が暗示するように、結局は、株価が下落したり、「壁」の建設に絡む政府閉鎖の長期化がトランプ大統領にとって分が悪くなったりする展開となれば、それを修復させる方向で政治が動く。そうなると、政治リスクは如実に下がるのだ。

 混沌としているとされる英国のEU離脱でさえ、そうであろう。

 メイ政権とEUとの間でいったん合意したはずの離脱案が英議会で否決されたことで、事態は振り出しに戻ってしまった様相だが、それでも、経済と市場が恐れる「合意なき離脱」は野党労働党の意をくむ形で回避される可能性が濃厚だ。

 これもまた、最後は政治的判断でリスクはリスクではなくなる展開となるのだろう。

「リスク」が意識される局面において、経済にとって最もやっかいなのは、市場がそのリスクに過剰に反応してしまい、株価の下落によって今度は実体経済が連鎖的に下押しされることだ。

 そうした局面では、日本の場合は、漏れなくドル安円高を伴うため、日本経済はダブルパンチを受ける。

 2月に入り、経済の落ち込みは恐れていたほどではなかったかもしれない、ということが明らかとなれば、近視眼的な市場は即座にリスク資産を買い増すリスクオンに傾くのだろう。

 ひとまず、それにつながるかどうかは、中国が鍵を握っている状況だ。

(三井住友銀行 チーフ・エコノミスト 西岡純子)/-/193133


 

2019年2月6日 The Wall Street Journal
中西経団連会長「中国は敵ではない」 WSJインタビュー
333
Photo by Takahisa Suzuki
 【東京】日本の経済界首脳は、中国経済の減速で同国への依存度の高さが鮮明になる中、貿易摩擦を巡り米国に比べ穏健な姿勢を示している。

 日本経済団体連合会(経団連)の中西宏明会長(日立製作所会長)はインタビューで、中国について「敵に回したりしては日本は存在し得ない。米国の場合はそれはできるかもしれないけど、日本はそうはいかない」と語った。

 ここ2週間ほど、業績予想を下方修正する日本企業が相次いでいる。日本経済の原動力である輸出にとって、米国が最も重要な市場ではなくなった様子が浮かび上がっている。

 中国は2018年に日本から1460億ドル(約16兆円)の財を輸入。前年比では6.8%増加し、米国の輸入額をわずかに上回った。そのほか香港も日本から350億ドル相当を輸入した。

 かつて米国に家電を輸出していた日立など日本勢は、中国メーカーへの供給という、目立たないが収益性の高い事業に軸足を移している。

 中西会長は「裏側の材料とか、それに半導体の製造装置であるとか、あるいは工作機械とか、そういう商売を日本がずっと享受しているが、それにブレーキがかかったのは事実だ」と話した。

 さらに、中国は地元提携先への技術移転の義務づけなどの外資規制を撤廃すべきだと指摘。ただ、中国政府にあまり強い圧力をかけるのは賢明ではないと説明した。

 中西氏は「貿易赤字の問題、技術移転の問題だけに焦点を当てるのはおかしいと思う」とし、「関税の攻防戦はもう全く意味がないと思う。お互いに誰も勝者はいない」と話した。ただ、米トランプ政権の不興を買うと日本にも関税をかけられかねないため、あまり強くは主張しないと語った。

 中西氏は、中国側には李克強首相ら、応じる構えのある首脳もいると指摘。「無理やり『技術をよこせ』という話はもうよしましょう、と言わないといけない。『その通りだ』とトップの指導者に言われる」と述べた。

 さらに、「李克強さんは特にそういうことの担当だから『何か問題があったらいつでも俺に言ってくれ』と言ってくれる。ただ現場は時々、そうじゃないことがいっぱいある」と語った。

(The Wall Street Journal/Peter Landers)
https://diamond.jp/articles/-/193203


 

2019年2月6日 The Wall Street Journal
低金利がもたらす経済の低迷、そのからくり

大手は中小よりも有利に活用し他社の追随も困難に

 小さなレストランのオーナーになったつもりで考えてみてほしい。事業を拡大したいと思っても、金利が高ければ再考するかもしれない。しかし金利が下がれば、借り入れにもっと前向きになるかもしれない。

 ところが、近所にある大手チェーンレストランも同じような水準の低金利で借り入れ、それ以上に大規模な事業拡大を行うかもしれない。それによって小さなレストランは顧客を奪われたり、閉店に追い込まれたりする可能性もあるのだ。

 過去20年くらいにわたり、そうした現象がさまざまな業界で繰り広げられてきた。プリンストン大学の経済学者、アーネスト・リュー教授とアティフ・ミアン教授、シカゴ大学ブース経営大学院のアミール・スフィ教授による新たな調査によると、米国経済全体の活力がそれによって弱められているという。

 金利が下がると、業界の大手は中小企業よりもはるかに有利に活用できるということが分かったのだ。これには大手の成長を加速させ、生産性を高めるという以外に、他社の追随を難しくするという影響もある。

 しばらくすると、中小企業は弱気になり、新製品や技術への投資をやめてしまう。すると、もはや競争に脅かされることがないほど巨大になった業界大手も投資を手控えるようになる。市場支配力が少数の大手企業にますます集中することで、開業を決断する起業家も減少していくだろう。

 その結果は、従業員1人当たり1時間当たりの生産高で測定される生産性の伸びの減速であり、経済全体の成長低迷である。

 スフィ教授は「まずは金利が下がり始める。次に市場支配力の集中が進み、それを受けて生産性の伸びが減速する」と説明する。

 その調査は、過去数年にわたってエコノミストを悩ませてきた疑問にいくつかの答えをもたらしている。過去10年間の生産性の伸びが年平均1.3%と過去の水準を大きく下回ってきた理由が説明しやすくなった。それは失業率がこの50年近くの最低水準に低下してきたにもかかわらず、グレートリセッション以降に米国経済が低迷してきた一因なのかもしれない。開業率が1987年の15.4%から2016年の10.3%に低下してきた原因についても説明できるかもしれない。開業率は開業1年未満の企業が全企業に占める割合である。

 研究者が概説した枠組みの中であれば、経済の活力が低金利によって弱められるまでには数十年を要する可能性がある。実際、最初の数年には経済成長が加速し、その後に減速していくということが分かった。

 というのも、金利が最初に下がり始めたとき、中小企業は積極的に借り入れ、競合する大手に追いつこうとして投資するので、生産性の伸びも加速するのだ。

 1990年代にはまさにそれが起きていた。10年物米国債の利回りを基準とする長期金利の低下は大企業と中小企業に投資を促した。1990年代と2000年代の生産性の伸びはそれぞれ年率平均2.2%と2.8%だった。

 ところが2003年ごろになると、金利は下がり続けていたにもかかわらず、生産性の伸びは減速し始めた。中小企業が業界大手に追随するのをあきらめたのもそのころだとスフィ教授は指摘する。

 「生産性の伸びが減速に転じたのは90年代の終わり、2000年代の初めだと考えている」と同教授は言う。

 その論文は金利が着実に低下していった原因を説明していない。ハーバード大学のローレンス・サマーズ教授など他の経済学者は高齢化している人口によって経済の全体的な需要が抑制され、金利が低く維持されているという説を唱えてきた。

 米連邦準備制度理事会(FRB)高官や市場関係者は金利に関して当面は低いままだろうとみている。つまり、その論文で説明されている現象はしばらく続くかもしれないのだ。

(The Wall Street Journal/David Harrison)
https://diamond.jp/articles/-/193209


 
2019年2月6日 ロイター
トランプ氏、一般教書演説で政権の優先課題を再提示
トランプ米大統領
2月5日、トランプ米大統領(写真)は、2019年の一般教書演説に臨み、米政権の優先課題を示す。写真はアーリントンで1月撮影(2019年 ロイター/Kevin Lamarque)
[ワシントン 5日 ロイター] - トランプ米大統領は5日、2019年の一般教書演説に臨み、米政権の優先課題を示す。以下は大統領の演説原稿の抜粋。

政策課題
 今晩私が打ち出す政策課題は共和党のものでも民主党のものでもなく、米国民の課題だ。

 米国は20世紀に自由を守り、科学を劇的に変え、中間層の生活水準を再定義して世界がそれを確認した。われわれは大胆かつ果敢に、「偉大な米国の冒険」の次章に進むべきで、21世紀の新たな生活水準を創造する必要がある。

 われわれが力を合わせれば何十年も続いた政治の停滞を打破することが可能だ。過去の相違を解消し、古い傷を癒し、新たな連合を築き、新たな解決策を生み出し、米国の将来の素晴らしい可能性を切り開くことが可能だ。それを決めるのは私たちだ。

 これまでの2年間、私の政権は両党の指導者が何十年も放置してきた諸問題に切迫感と歴史的なスピードで対応してきた。

 ここ2年の急速な発展を経て、われわれの経済は世界の羨望(せんぼう)の的だ。われわれの軍は世界最強で、米国は毎日勝利している。

 われわれには、米国民の生活と雇用を守る移民制度を築く道徳上の義務がある。

 素晴らしい経済の成功をさらに発展させるため、1つの課題が最も重要だ。つまり、数十年にわたる破滅的な通商政策を破棄することだ。

 老朽化している国内インフラを立て直すため、共和・民主両党は結束できるはずだ。

 われわれは米国産エネルギーに革命を起こした。米国はいまや世界最大の石油・天然ガス生産国だ。

 不法移民の問題ほど、米国の労働者階級と政治家の分断を如実に表しているものはない。裕福な政治家や政治献金の提供者は開かれた国境を唱えながら、壁や門、警備員に守られて暮らしている。

 同じ場所で生産されている場合の多い、全く同じ薬に対して、米国民が他国の人より大幅に高い金額を支払うことは容認できない。これは不当であり、結束して歯止めを掛けることができる。

 米国は自由を追求するベネズエラ国民を支持する。

 (次期)大統領選の候補として、新たなアプローチを約束する。偉大な国は終わりのない戦争を戦わない。

「米国に死を」と唱え、ユダヤ人の虐殺を脅す体制から目を背けない。
https://diamond.jp/articles/-/193309

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/867.html

[経世済民130] 円は厳しい市場環境に備える安価なヘッジ ドイツ製造業受注大幅減マイナス成長ならリセッション 中国との合意は構造改革必要 
円は厳しい市場環境に備える安価なヘッジ−JPモルガン・アセット
Andreea Papuc
2019年2月6日 15:52 JST
円は歴史的な水準に照らしてまだ非常に割安ー若干上昇するだろう
VIXやS&P500種オプションなど他のヘッジ手段は割高
投資家が世界経済減速見通しに適応する中で、円はポートフォリオを守る低コストのヘッジになると、JPモルガン・アセット・マネジメントが指摘した。

  同社のマルチアセットソリューション担当マネジングディレクターのオリビア・メイエル氏は「円は歴史的な水準に照らしてまだ非常に割安という魅力がある」とし、「当社は基本的に、市場ストレスにもかかわらず円がこれまでとどまっている水準から、若干は上昇するとみている。今日のポートフォリオに組み込める比較的安価なヘッジ手段の1つだ」と述べた。

  シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)やS&P500種株価指数のプット(売る権利)オプションなど、他のヘッジ手段は割高になっているとも指摘した。

  「景気が動くに連れ、市場は次はどうなるだろうと考え始める。投資家が巨大なリスクを背負いたくないと決めれば、円は非常に価値があると思われる」と語った。

JPMorgan Asset says the yen is historically cheap and has room to rise further
原題:JPMorgan Asset Likes Yen as Hedge in Tough Market Environment(抜粋)

ソフトバンクGが6000億円の自社株買い実施へ、過去最大
日向貴彦
2019年2月6日 15:18 JST 更新日時 2019年2月6日 18:33 JST
自社株は消却へ、ビジョンファンド貢献で10−12月期は6割営業増益
少なくとも69歳までは続く、その後は会長も−社長後継で孫氏
ソフトバンクGの孫正義社長
ソフトバンクGの孫正義社長 Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
ソフトバンクグループは6日、6000億円を上限とする自社株買いの実施を発表した。規模は過去最大で、自社株買いの実施はおよそ3年ぶり。

  発行済み株式数の10.3%(自社株除く)に当たる。期間は2月7日から2020年1月31日までで、取得資金は通信子会社ソフトバンク上場による手取金の一部を使う。株価は通常取引終了後の電子取引で上昇した。

SoftBank
決算会見に臨んだ孫社長、熱弁で約2時間に及ぶPhotographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  記者会見した孫正義社長は、負債を除くソフトバンクGの保有株式価値が21兆円に対し、現在の時価総額は9兆円で、「私は安過ぎると思う」と発言。「どういう行動をするかと言えば、自社株買いをする。全て消却する予定」と述べた。

  通信子会社の株式上場で得た税引き後の調達額2兆円のうち、自社株買いに加え7000億円を負債返済、7000億円を新規投資に充当する。孫社長は、ソフトバンク株が公開価格の1500円を下回って推移していることについて、「通信子会社は今後増配できる。配当利回りは上場会社で最も高い部類」とし、「1500円の株価を正当化するのに十分な材料」との見方を示した。

  一方、ビジョンファンドの第2弾に関しては、「どの投資家からどの割合を集めるのかは、きょう現在は決めつけてやるという時期ではない」と発言。また、自身の社長後継問題については「少なくとも69歳までは続くのではないか。69を過ぎた後に会長として、直接のCEOとして残るのか、できるだけCEOに日常の業務を任せていくのか、その時判断する」と話した。

10−12月期の業績
売上高2兆5146億円、前年同期2兆4001億円
営業利益4383億円、前年同期2740億円
純利益6983億円、前年同期9123億円
  18年10−12月期(第3四半期)決算は、営業利益が前年同期に比べ60%増えた。投資事業の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」からの営業利益は前年同期比3.5倍の1764億円。

  純利益は前年同期に比べ23%減った。保有する米半導体メーカー、エヌビディアの株価が大幅に下落し、約3000億円の未実現評価損失を計上した。エヌビディア株については、1月に全株を処分したとしている。

  ソフトバンクGは第3四半期に数々の波乱材料に直面した。国内通信事業で昨年12月に大規模な通信障害が発生し、総務省から行政指導を受けた。通信機器として使用する中国の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)排除の動きも世界的に広がった。一方、サウジアラビアの政府系ファンドが出資するビジョンファンドを巡っては、同国出身のジャーナリストが殺害された事件で批判が残っている。

  しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は、アナリストの間でも自社株買いへの期待が示されていたため、「サプライズではないが、額は大きい。規模に関してはポジティブな反応をすると思う」と述べた。業績については、「非常にいい決算。コンセンサスをはるかに超えている」との認識を示した。

セグメント別利益
10−12月期 前年同期
国内通信事業 1930億円 1701億円
スプリント事業 620億円 897億円
ヤフー事業 376億円 492億円
アーム事業 40億円の赤字 71億円の赤字
 

(通信子会社の株価や社長後継に関する孫社長の発言を追記します.)


トランプ大統領、不法移民阻止で「道義的責務」強調−一般教書演説
Shannon Pettypiece、Billy House
2019年2月6日 12:33 JST 更新日時 2019年2月6日 13:45 JST
開かれた国境求める富裕層から市民を守る道義的責務があると主張
民主党に報復の政治を拒否し協力を受け入れるよう呼び掛けた
Along U.S.-Mexico Border, Businesses Brace For 'Nuclear Option'
Photographer: Luis Antonio Rojas/Bloomberg
トランプ米大統領は5日夜、上下両院合同本会議での自身2回目の一般教書演説で、不法移民との闘いは道義的責務だと述べ、国民に理解を訴えた。また自身の政権下での経済発展が「党利党略の捜査」によって脅かされていると主張した。

  トランプ大統領は、「われわれには米市民の生活と雇用を守る移民制度を創設する道義的な責務がある。不法移民ほど米国の労働者階級と政治エリートの分断を浮き彫りにする問題はない」と発言。「裕福な政治家や寄付者らは壁や門、警備員に守られて生活しながら開かれた国境を要求している」と批判した。

  トランプ大統領は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と27、28両日にベトナムで会談すると述べた。開催都市には言及しなかった。また中国との貿易合意について、米国側の恒常的な貿易赤字に対処するだけではなく、米国の労働者と企業を守るため中国の政策変更をもたらす必要があると述べた。

Donald Trump,Nancy Pelosi,Mike Pence
一般教書演説前にペロシ下院議長と握手するトランプ大統領(2月5日)写真家:Doug Mills / Pool via AP Photo
  10日後の15日までに大統領と議会が新たな予算案で合意できなければ、再び一部政府機関が閉鎖される可能性がある。ペロシ下院議長が政府機関が再開されるまで一般教書演説を認めないと主張したため、同演説は1週間先送りされていた。

  トランプ大統領は道義的責務によって自分の立場を説明しようとしたが、これはペロシ議長やローマ法王フランシスコへの反論となる。ペロシ議長はトランプ大統領の国境の壁建設案を「モラルに反している」と批判。ローマ法王は「壁の建設のみを考え、橋の構築を顧みない人はキリスト教徒ではない」と指摘していた。

民主党
  トランプ大統領は自身の政権の多くの問題について調査に乗り出している民主党に対し、「復讐と抵抗、報復の政治を拒否し、協力と妥協、公益の無限の潜在可能性を受け入れる」よう呼び掛けた。大統領は「共にわれわれは数十年にわたる政治的行き詰まりを打開できる。われわれは古い溝を埋め、古傷を癒やし、新たな連合を構築し、新しい解決策を策定し、極めて有望な米国の未来を解き放つことができる」と訴えた。

  トランプ大統領はその後、自分のリーダーシップの下で「経済の奇跡」が起きていると自画自賛し、「これを止め得るものは、愚かな争いと政治、ばかげた党利党略の捜査だ。平和と法制化がもたらされるなら、争いと捜査は存在し得ない」と語った。

  大統領が女性の雇用増に言及した際、民主党の女性議員らが立ち上がって拍手する場面もあった。

  しかしその後、トランプ大統領は再び民主党を攻撃。州議会での中絶規制緩和などを目指す動きを批判した。

「終わりなき戦争」
  一般教書演説の数時間前、共和党が支配する上院で、トランプ大統領にシリアとアフガニスタンから米軍を撤退させないよう促す条項を盛り込んだ法案が可決された。

  しかしトランプ大統領は演説で、シリアとアフガニスタンの紛争からの撤退の取り組みを擁護し、選挙戦で「私は大統領候補として新たなアプローチを確約した。偉大な国は終わりなき戦争をしない」と述べた。

原題:Trump Cites ‘Moral Duty’ to Build Wall, Blasts ‘Partisan’ Probes(抜粋)
   Trump Says Trade Deal With China Must Include Structural Change (抜粋)
   Trump Says He’ll Meet Kim Jong Un in Vietnam on February 27-28 (抜粋)

トヨタやスズキ、NTTデなど決算失望銘柄は安い、TOPIX反落
A businessman is reflected on an electronic stock board outside a securities firm in Tokyo, Japan.
A businessman is reflected on an electronic stock board outside a securities firm in Tokyo, Japan. Photographer: Yuriko Nakao/
6日の東京株式市場で日経平均株価が小幅に反発。米国経済への期待から鉄鋼や化学など素材、精密機器や機械株が買われた。半面、トヨタ自動車やスズキ、NTTデータなどの業績悪化が重しとなり、TOPIXは3日ぶりに小反落。

日経平均株価の終値は前日比29円61銭(0.1%)高の2万0874円06銭
TOPIXは0.75ポイント(0.05%)安の1582.13
  昨日の米国株市場ではアップルなどテクノロジー株が買われ、FANG+指数は昨年11月以来の高値を付けた。S&P500種株価指数は5営業日続伸し、ことし最長の上昇期間に並んだ。

  三菱UFJ国際投信・戦略運用部の石金淳チーフストラテジストは「足元の米国経済は昨年12月の株価急落前に危惧されていたほど悪くない。米国株の強さは日本株高を支えている」と語った。ただ、「日本は米国に比べて景況感がはるかに悪く、欧州よりも劣る。国内企業の業績見通しは当初の想定より下方修正せざるを得ない。日本株に強気にはなりにくい」とみていた。

6日は小反発
  TOPIX、日経平均とも上昇で開始したが、企業業績の懸念から上値を追う動きは限定的だった。2018年10−12月期営業利益が市場予想を下回ったスズキやNTTデが下落。午後にはトヨタが今期純利益予想を減額し、株価が0.7%下落した。

  トヨタについて三菱U国際の石金氏は「下方修正は相当事前に織り込んでいた。投資家の視点は来期に移り、為替と米経済の先行きを見極めることになりそう」と述べた。トヨタ決算までを考慮した日本企業の10−12月期業績は「前年比で減益に転じるなど当初期待が外れた」と言う。

  日本時間6日午前に始まったトランプ米大統領の一般教書演説では、不法移民との闘いは道義的責務だと述べ、国民に理解を訴えた。米S&P500種Eミニ先物はほぼ横ばいで推移し、日本株への影響は限定的だった。

  楽天証券経済研究所の土信田雅之シニアマーケットアナリストは「米経済は米中貿易摩擦の影響を吸収できるだけの強さが直近のデータで確認され、米国株は買い戻し局面からトレンド転換を目指す状況に入りつつある」との見方だ。米国株が戻っている間は「投資環境改善から日本株も買い戻しが継続。ただ、中国景気懸念や企業業績面からは積極的に買い上がれない」と話していた。

東証33業種では海運や精密機器、不動産、鉄鋼、石油・石炭製品、化学、証券・商品先物取引が上昇
輸送用機器やゴム製品、情報・通信、保険、電気・ガスは下落


ドイツ:製造業受注が大幅減ー10〜12月マイナス成長ならリセッション
Piotr Skolimowski
2019年2月6日 19:06 JST
12月の製造業受注指数は前月比1.6%低下
ドイツ経済はリセッションに向かっているードイツ銀
ドイツでは昨年12月の製造業受注が予想に反して前月を大きく下回り、ドイツ経済のリセッション(景気後退)入りの懸念をあおった。

  連邦統計局の6日の発表によると、12月の製造業受注指数は前月比1.6%低下と6カ月ぶりの大幅低下。低下は2カ月連続で、10ー12月(第4四半期)のドイツ経済が前期に続いてマイナス成長となりリセッション入りしたとの観測を高める可能性がある。

  統計局は「小幅な」プラス成長を見込んでいるが、経済指標はより厳しい現実を浮き彫りにしている。ドイツ銀行は5日、企業景況感の悪化とともにドイツ経済がリセッションに向かっているとの見方を示していた。

  経済省は発表資料で、データは「製造業の弱い局面が当面続くことを示唆している」とコメントした。  

German factory orders post biggest year-on-year drop since 2012
原題:Slump in German Manufacturing Orders Set to Fan Recession Fears(抜粋)


仏BNP:目標引き下げ、追加コスト削減へ−デリバティブで損失
Fabio Benedetti-Valentini
2019年2月6日 15:09 JST 更新日時 2019年2月6日 15:57 JST
投資銀行部門を中心に6億ユーロ相当の費用を追加で削減へ
昨年第4四半期のトレーディング収入は40%減少
フランスの銀行BNPパリバは収入と利益率の見通しを下方修正した。トレーディング事業で昨年終盤に損失が出た。

  同行は6日、投資銀行部門を中心に6億ユーロ(約750億円)相当の費用を追加で削減する計画を明らかにした。2018年10−12月(第4四半期)のトレーディング収入は40%減少した。

  BNPは「年終盤の極端な市場の動き」と仕組み商品への需要の弱さ、指数デリバティブ(金融派生商品)ヘッジでの損失を理由に挙げた。S&P500種株価指数に連動するデリバティブ取引での損失が8000万ドル(約87億8000万円)に達したと、事情に詳しい関係者が1月に述べていた。

  通期では2年連続の減収となり、同行の強みであるデリバティブ業務での損失とともに、BNPを欧州の有力プレーヤーに育てるというジャンローラン・ボナフェ最高経営責任者(CEO)の野望を脅かしている。

  同行はまた、自己勘定取引部門のオペラ・トレーディング・キャピタルと米国の商品デリバティブ事業を閉鎖することを確認した。

  BNPは2020年の株主資本利益率(ROE)目標を9.5%とこれまでの10%から下方修正。16−20年の年平均増収率見通しは少なくとも1.5%と同2.5%から引き下げた。収入に対する費用の割合は64.5%を見込み、63%から引き上げた。18年配当は前年並みに据え置く。

  第4四半期の債券トレーディング収入は前年同期比15%減と、7四半期連続で減少した。株式トレーディング収入は70%減で、いずれもアナリスト予想を下回った。マーケット部門全体では2億2500万ユーロの赤字。

  第4四半期の純利益は前年同期比1.1%増の14億4000万ユーロだった。

BNP Paribas' Equities Trading Wipeout
The French bank reported a 70% plunge in stock-trading revenue


Source: companies' quarterly presentations

原題:BNP Lowers Targets After Derivatives Loss Jolts Trading Arm (1)(抜粋)
BNP 4Q Trading Revenue Slumps 40%; Bank Seeks Further Cost Cuts

(第5段落以下を追加します)

債券上昇、強めの日銀オペ結果で買い優勢−30年入札控え上値は限定的
三浦和美
2019年2月6日 7:56 JST 更新日時 2019年2月6日 15:43 JST
債券相場は上昇。日本銀行が長期ゾーンを対象に実施した国債買い入れオペが需給の良さを示す結果となったことから買い安心感につながった。半面、超長期ゾーンは30年債入札を翌日に控えて上値は限定的だった。

新発10年物353回債利回りは、日本相互証券の前日午後3時の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)低いマイナス0.02%
長期国債先物3月物の終値は前日比2銭高の152円71銭。一時は152円75銭
新発30年債利回りは一時0.585%と2016年12月以来の低水準、新発40年債利回りは0.665%と16年11月以来の低水準に達した
市場関係者の見方
パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長
主に30年債と40年債が買われ、利回り曲線をフラット(平たん)化させるポジション構築の動きが先行したとみられる
日銀オペの結果は意外と応札倍率が低く、午後はいったん10年債を買い戻して超長期が売られる局面も
一方、明日の30年債入札を控えて、ここからどんどん買われていく動きも見込みにくい
日銀オペ
対象は残存期間5年超10年以下の他、1年以下と物価連動債
買い入れ額はいずれも前回から据え置き
5−10年の応札倍率は2倍と、昨年12月27日以来の低水準。足元で売り圧力が弱いことが示された
野村証券の中島武信シニア金利ストラテジスト
前日の順調な10年債入札を受けて、5−10年のオペは強めに終わった
過去のオペ結果一覧
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.165% -0.165% -0.020% 0.415% 0.595% 0.680%
前日比 +0.5bp -0.5bp -0.5bp 横ばい 横ばい 横ばい


 


独ダイムラー:19年も「非常に厳しい」−18年ほぼ全部門で減益
Christoph Rauwald、Chris Reiter
2019年2月6日 16:47 JST 更新日時 2019年2月6日 18:23 JST
10−12月の売上高は466億ユーロ、予想455億ユーロ
EBITは26.7億ユーロ、前年同期比で減少
ドイツの自動車メーカー、ダイムラーは6日、今年の利益回復を見込むとしたものの、慎重姿勢を崩さなかった。昨年は米中貿易摩擦や欧米での需要減速、電気自動車(EV)の開発費拡大で減益となった。

  同社は決算発表の会見で、2019年のグループ売上高と利払い・税引き前利益(EBIT)が「若干増える」との予想を示した。18年の純利益は29%減少し、9年ぶり減配となった。大型トラックを除く全ての部門が減益。メルセデス・ベンツ部門の利益率は7.8%と、前年の9.4%から低下した。

Mercedes-Benz Event Ahead Of The 2017 North American International Auto Show (NAIAS)
ディーター・ツェッチェCEOPhotographer: Daniel Acker/Bloomberg
  ディーター・ツェッチェ最高経営責任者(CEO)は「ダイムラーにとって、2018年は強い向かい風の年だった」とし、「2019年の事業環境は引き続き、非常に厳しいだろう」と付け加えた。

  発表を受け、6日のフランクフルト株式市場でダイムラー株価は下落した。

  昨年10−12月(第4四半期)の売上高は前年同期比7%増の466億ユーロ(約5兆8200億円)。市場予想は455億ユーロだった。EBITは26億7000万ユーロで、前年同期の34億2000万ユーロから減少した。
   
原題:Daimler Strikes Cautious Tone for ‘Extremely Challenging’ 2019、Daimler Sees ‘Slight’ Profit Gain This Year After Drop in 2018、Daimler 4Q Revenue in Line, Sees Slight Growth in 2019 (抜粋)

(18年純利益や配当情報、CEOコメントなどを加え更新します.)

 


ECB、新たな長期リファイナンスオペには根拠が必要−関係者
Carolynn Look、Piotr Skolimowski
2019年2月6日 14:39 JST
長期リファイナンスオペについて3月に決定するかは未定
特定の銀行を支援しているとの印象を与えかねないと懸念
欧州中央銀行(ECB)当局者らは新たな条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)を開始する差し迫った必要性を感じておらず、3月の次回会合でこれについて決定するかどうかは未定だと、事情に詳しい関係者が明らかにした。

  部外秘だとして関係者が匿名を条件に述べたところによると、当局者らは追加流動性の必要性をまだ確信しておらず、TLTROを実施すれば特定の銀行を支援しているとの印象を与えかねないと懸念している。ECB報道官はコメントを控えた。

  これまでのTLTROプログラム下での借り入れが大きいドイツ銀行などは、ECBが新たなプログラムを開始するかどうか見極めようとしている。

  ブルームバーグ・エコノミクスのデービッド・パウエル氏は「新しいオペが発表されるとすれば3月の可能性が最も高く、開始は恐らく6月になるだろう」と述べた。

  ドラギ総裁は1月に、当局は新たな資金供給を決める前に「十分な根拠」が必要だと述べていた。

Longer-term loans make up a significant share of the ECB balance sheet
Long-Term Funding
ECB has used various longer-term funding measures to support banks


Source: ECB

原題:ECB Is Said to Need More Convincing on Long-Term Loans for Banks(抜粋)

 

トランプ大統領は金委員長と27、28両日にベトナムで会談
Youkyung Lee、Nick Wadhams
2019年2月6日 12:16 JST 更新日時 2019年2月6日 13:23 JST
大統領に選出されていなければ今頃は北朝鮮と戦争ートランプ氏
米朝首脳会談は6月のシンガポールに続き2回目、開催都市言及せず
トランプ大統領は金委員長
トランプ大統領は金委員長 Photographer: SAUL LOEB/AFP
トランプ米大統領は5日の一般教書演説で、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と今月27、28両日にベトナムで会談すると述べた。2回目の米朝首脳会談を巡って数カ月続いた臆測に終止符が打たれた。

  トランプ大統領は「私の考えでは、私が米大統領に選出されていなかったら、今ごろわれわれは北朝鮮と大きな戦争に陥っていただろうと思う」と述べ、「多くの作業がまだ残っているが、私と金正恩委員長との関係は良いものだ。委員長と私は2月27日と28日にベトナムで再び会談する」と表明した。

President Trump Delivers State Of The Union Address
一般教書演説を行うトランプ大統領(2月5日)。写真家:Al Drago / Bloomberg
  トランプ大統領は首脳会談の開催都市については言及しなかった。

  昨年6月の歴史的な米朝首脳会談のフォローアップ会合の準備において、開催地選定は最大の難関の1つ。米朝両国は70年近く敵対的関係にあったため、トランプ大統領も金委員長も厳戒な警備を必要とする。

  ベトナムが有力な開催地候補として検討された背景には、同国が冷戦時代に北朝鮮と同盟関係にあったことや、米国の安全保障上のパートナーになり始めたことがある。トランプ大統領は2017年後半にハノイとダナンを訪問。金委員長は友好国である中国の上空を飛行すればベトナムにほぼ到着できる。

原題:Trump Says He’ll Meet Kim Jong Un in Vietnam on February 27-28(抜粋)


 


トランプ大統領、中国との貿易合意は構造改革含む必要
Jenny Leonard
2019年2月6日 12:11 JST 更新日時 2019年2月6日 13:25 JST
中国には「米国の雇用と富を窃取する時代は終わったと告げている」
NAFTAに代わる米国・メキシコ・カナダ協定の承認を議会に訴え
トランプ大統領
トランプ大統領 Photographer: Aaron P. Bernstein/Bloomberg
トランプ米大統領は5日夜の一般教書演説で、中国との通商合意には米国側の恒常的な貿易赤字を是正するだけではなく、米国の労働者と企業を守るような中国の政策変更が必要だと述べた。

  大統領は、「私は中国の習近平国家主席に多大な敬意を抱いており、米政権は現在、中国との新たな通商合意に向けて作業をしている」とした上で、「しかし、合意には不公正な貿易慣行を終わらせ、米国の恒常的赤字を減らし、米国民の雇用を守るような、本物の構造改革が盛り込まれる必要がある」と語った。

President Trump Delivers State Of The Union Address
トランプ大統領が5日に一般教書演説写真家:Al Drago / Bloomberg
  ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表とムニューシン財務長官は代表団を率いて来週北京を訪れ、月内のトランプ大統領と習主席の会談の準備をする。

  トランプ大統領は演説で米中の貿易摩擦について、過去の米政権と議会が世界の2大経済大国間の「茶番劇が起こるのを容認してきた」と批判。自身の関税政策は機能していると論じた。

  「中国は長年にわたり、米国の産業界を標的とし知的財産を盗んできたが、われわれは今中国に対し、米国の雇用と富を窃取する時代は終わったと明瞭に告げている」とし、「このため、米国は先頃2500億ドル(約27兆4400億円)相当の中国製品に関税を課し、米国は今、巨額の税を受け取っている」と述べた。

  北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)については、「米国の労働者が長く享受していなかったような恩恵をもたらす」として、「製造業の雇用をさらに多く取り戻す」ため議会がこれを承認することを呼び掛けた。

トランプ大統領が貿易政策について発言

(出典:ブルームバーグ)
原題:Trump Says Trade Deal With China Must Include Structural Change(抜粋)

(演説の詳細を追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-06/PMHI766JTSE801
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/868.html

[経世済民130] 「不思議の国」からの脱却いまだ果たせず、日銀ゼロ金利導入から20年 市場の波乱が雇用直撃、銀行や資産運用会社が人員削減 
「不思議の国」からの脱却いまだ果たせず、日銀ゼロ金利導入から20年
日高正裕、藤岡徹
2019年2月6日 6:00 JST
1999年2月12日に速水総裁下で世界初のゼロ金利政策を決定
景気刺激効果は強くなく特に物価には効かなかった−東短・加藤氏
日本銀行が世界初のゼロ金利政策を導入してから今月で20年が経過する。戦後最長の景気拡大局面が続く中でも、日銀は政策決定に関わった当事者が「不思議の国」と呼んだ世界からの脱却をいまだ果たせずにいる。

  日本経済は当時、消費増税、アジア通貨危機、山一証券など金融機関の相次ぐ破綻の影響で景気後退にあえいでいた。バブル後遺症の不良債権問題は深刻で、デフレの鳥羽口に立っていた。日銀は1999年2月12日、速水優総裁の下、0.25%だった無担保コール翌日物金利を「できるだけ低めに推移するよう促す」ことを決定。ゼロ金利政策を2000年8月まで継続した。

  グリーンスパン議長率いる米連邦準備制度理事会(FRB)も1998年、大手ヘッジファンド破綻の影響を食い止めるため利下げを3回実施。それでも金利は4.75%で彼我の差は大きかった。日銀は米IT(情報技術)バブル崩壊を受けて2001年3月から06年3月まで量的緩和政策、08年9月のリーマンショック後の一連の金融緩和策、13年4月の量的・質的金融緩和と、実質的なゼロ金利政策を続けて現在に至る。

2002 Annual World Bank And IMF Meetings
2002年当時の速水優日銀総裁と黒田東彦財務官Photographer: Alex Wong/Getty Images
  ゼロ金利を決めた金融政策決定会合の議事録によると、元農林水産事務次官の後藤康夫審議委員は「いわば童話の世界のアリスの国のようなワンダーランド(不思議の国)へ本行が足を踏み込むことになる」と不安な胸中を吐露している。

  「デフレ懸念払しょくが展望できるような情勢になるまで」続けるというフォワードガイダンス(政策金利の指針)が初めて導入されたのもこの時だった。01年の量的緩和は、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比が「安定的にゼロ%以上となるまで」、13年の量的・質的緩和は2%物価目標を「安定的に持続するため必要な時点まで」続けると約束。解除のハードルは回数を重ねるごとに高くなっている。

  1990年代半ばから日銀をウオッチしている東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは、バブル崩壊後、日本経済の実力である潜在成長率が下がり続ける中、日銀は金利をゼロまで押し下げたが、「景気刺激効果は強くなかったし、特に物価に対しては効かなかった」と指摘。潜在成長率を引き上げる構造的な改革抜きに「金融政策だけで頑張っても限界があることが明白になっている」と語る。

1995年から四半世紀
  99年2月の決定会合に執行部の一員として出席した早川英男元理事は、ゼロ金利20周年について「特に思うことはない。日本がゼロ金利に入ったのは95年だ」と言う。バブル経済崩壊後の当時、日米貿易摩擦の激化を受けて、ドル・円相場が1ドル=70円台に突入。日銀は同年9月、公定歩合を史上最低の0.5%に引き下げた。

  日銀にとってこの歳月は、円高との戦いの歴史でもある。長井滋人元国際局長は、86年に日銀に入行して以降の日本経済の歩みを振り返り、「一貫して為替相場の動きに翻弄(ほんろう)されてきた感が強い。金融政策の反応関数の最重要変数も為替相場であり続けてきた」と述懐する。

Japan Tankan Deteriorates For First Time Since Crisis
日本銀行本店Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
  2013年3月に就任した黒田東彦総裁の下で始めた異次元緩和は4月で7年目に突入する。現在の景気拡大は1月で74カ月と戦後最長を更新したとみられるが、日銀は短期金利をマイナス0.1%、長期金利もゼロ金利に貼り付けており、政策対応余地の確保には程遠い。次の景気後退の際には丸腰での対応を余儀なくされる可能性が高い。

世界的にも超低金利がまん延
  日本だけでなく世界的にも超低金利が長期化している。日本がゼロ金利政策に踏み切った当時は5%近い金利があった米国も、リーマンショック後の08年に実質ゼロ金利政策を実施。足元の利上げ局面ですら、2%を若干上回る水準で早くも打ち止め感が出ている。欧州中央銀行(ECB)に至っては、日銀より大幅なマイナス金利を採用し続けている。

  事務局の一員としてゼロ金利決定に立ち会った門間一夫前理事は、金融緩和そのものに疑問を呈している。潜在成長率と似た概念である中立金利は、貯蓄投資バランスや人口、生産性など実体経済で決まるというのが経済学の一般的な考え方だが、それを「中央銀行が下げてしまったのではないかという議論が最近、国際決済銀行(BIS)で行われている。私は一理あると思っている」と語る。

  中央銀行が低インフレを避けようと金利を低く抑え続ければ、市場金利も下がる。その結果、中立金利も下がっているように見えるが、「実はそれは中央銀行自ら作り出している部分があるのではないか」と門間氏は言う。中立金利が低下すれば、政策対応余地が減って金融政策の効きが悪くなり、バブルなど金融不均衡も生みやすくなる。ゼロ金利20周年で超低金利の弊害に一段と関心が高まる可能性もある。

主要中銀の政策
1999年 日銀がゼロ金利政策を実施
2000年 日銀がゼロ金利政策を解除
2001年 日銀が量的緩和政策を実施
2006年 日銀が量的緩和政策を解除
2007年 FRBが利下げを開始
2008年 日銀が利下げを開始
FRBが量的緩和第一弾(QE1)を実施
2010年 FRBがQE2を実施
日銀が包括緩和政策を実施
2012年 FRBがQE3を実施
2013年 日銀が量的・質的金融緩和を実施
2014年 ECBがマイナス金利を実施
FRBが量的緩和の縮小(テーパリング)を開始
2015年 ECBがテーパリング開始
FRBが利上げを開始
2016年 日銀がマイナス金利を導入、長短金利操作を導入
2018年 日銀が長短金利操作を微修正

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-05/PMFY7S6JTSEB01?srnd=cojp-v2


 


1月を逃したあなた、年内もうあまり期待はできないーゴールドマン
Ksenia Galouchko
2019年2月6日 6:48 JST
市場が減速を過度に織り込んでいた年初のギャップはほぼ解消された
今後の株式投資リターンは比較的限られるだろう
1月の株価上昇から利益を得られなかった投資家は、今年のリターンのほとんどを手にし損ねた。米ゴールドマン・サックス・グループが指摘した。

   シャロン・ベル氏らストラテジストは「市場が減速を過度に織り込んでいた年初のギャップはほぼ解消された」とし、「当社が予想した相場上昇は迅速に起こった。これに基づき、今後の株式投資リターンは比較的限られる見込みだ」と分析した。

  同社は成長株のアウトパフォーマンスは終わったとみているものの、バリュー株が大きく上昇することも想定していないという。

New-year equity rally has a limited upside, Goldman Sachs says
原題:Goldman Sachs Says Don’t Hold Your Breath for Big Stock Returns(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-05/PMG6NT6KLVR701?srnd=cojp-v2


 

市場の波乱が雇用を直撃、銀行や資産運用会社が相次ぎ人員削減
Shelly Hagan
2019年2月6日 13:14 JST
ボラティリティーが世界の市場を揺るがし、投資家が低コストのパッシブ運用へと流れる中で圧力にさらされる資産運用会社と銀行は、相次ぎ人員削減を打ち出しつつある。1月1日以降のネガティブな発表や報道は以下の通り。

HSBCホールディングス:グローバルバンキング・マーケット部門で少なくとも50人削減へ
ゴールドマン・サックス・グループ:債券グループの中核のトレーディング事業の縮小を計画。商品担当の管理職らは人員削減を含むプランの提出を求められた
レッグ・メイソン:テクノロジー投資を増やすとともに人員削減を計画
ブラックロック:世界の従業員の3%に相当する約500人を削減へ
ステート・ストリート:上級管理職の15%削減に着手
モルガン・スタンレー:債券、株式、調査部門を通じて成績不振の従業員を一部解雇
野村:欧州で一段の人員削減計画とHRMアジアが報道
原題:Here Are the Finance Firms Cutting Jobs After Turmoil in Markets(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-06/PMHG4C6KLVR401?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/869.html

[経世済民130] 崩壊寸前のベネズエラ「再建」できるか UBSも英国からEU離脱対策でドイツへ トランプ指名の世銀総裁候補「改革の嵐呼ぶか
コラム2019年2月6日 / 16:11 / 1時間前更新

崩壊寸前のベネズエラ「再建」できるか

Martin Langfield
3 分で読む

[ニューヨーク 4日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 南米の産油国ベネズエラが破綻国家の様相を呈しつつある。過去5年で経済規模が半減し、国民の1割以上が国外に去った。

多くの問題の元凶となったのはマドゥロ大統領だが、今なお権力の座にとどまっている。ただし、野党指導者のグアイド国会議長が「暫定大統領」就任を宣言し、米国など西側諸国の支持を得ている。

マドゥロ政権が崩壊した場合、ベネズエラは基本機能を回復するために外国の友人の助けが必要となる。その場合、融資や投資が最善の策となるだろう。トランプ米大統領が3日示唆したような米国による軍事介入ではない。

ではどのようにすればベネズエラを再建できるか、以下にまとめた。

●コストはどのくらいか

当初は年間150億─200億ドル(約1.6兆─2.2兆円)とみるのが妥当だろう。これはベネズエラの経済学者フランシスコ・ロドリゲス氏が、昨年の大統領選で支持していたアンリ・ファルコン候補の選挙活動中に試算していた推定額だ。民間投資のほか、国際通貨基金(IMF)などの国際金融機関が融資を提供する必要がある。

最近では、かつてベネズエラ企画相を務めた米ハーバード大学のリカルド・アウスマン氏が、数年間で600億ドル超、恐らく800億ドル程度の資金が必要と試算している。

●膨大な額に聞こえるが

何とも言えない。ベネズエラには豊富な原油がある。3000億バレルの埋蔵量が確認されており、世界最大を誇る。

●だが、ベネズエラの石油産業は混乱している

その通りだ。生産量は2013年の日量240万バレルから、今年は同100万バレル未満に減少する見通しだ。投資不足や熟練スタッフの離職、そして業界の専門知識よりもマドゥロ大統領への忠誠心で知られる軍当局者の幹部任命が原因だ。

それでも、2013年の生産レベルが回復するなら、1バレル当たり50ドルと仮定すると、国営石油会社PDVSAは、2年以内に800億ドルの収益を上げることができるだろう。

●マドゥロ氏の政敵はPDVSAを民営化するか

グアイド氏が先週提示した再生計画によると、民営化はない。同計画では、PDVSAを再編するが、「炭化水素セクターに重点を置いた競争力のある公営企業」として国営にとどめおくという。

しかし、新たな法律により、エネルギーセクターに対する外国や民間からの資本を歓迎し、石油プロジェクトの出資比率で民間資金が過半を占めることを可能とし、競争力のある税率を設定し、炭化水素鉱床の「効率的な専門管理」を監視する新しい規制当局を創設する。

同計画の策定に関与した経済学者のホセ・トロ・アルディ氏は、7年以内に日量300万バレルの生産を回復できるが、そのためには年間250億─300億ドルの投資が必要だとしている。

●他にはどんな計画があるか

概要によると、グアイド氏は、市場メカニズムと経済的自由の回復や、価格統制の解除、独立した司法制度の回復、治安部隊の非武装化、栄養失調と病気のまん延をもたらした基本的食料や医薬品不足への速やかな対応を約束している。最貧困家庭に対しては、自活できるようになるまで「直接的な補助金」も必要だとしている。

●ハイパーインフレにはどう対処するのか

一部の経済学者は、信用を落としたベネズエラの通貨ボリバルに代わり、米ドルを導入することがインフレを止める最善策だと主張している。IMFによると、同国のインフレ率は今年、1000万%に達するとみられる。

グアイド氏の計画はドル化を支持していないが、国際金融機関などから「受けた資金に支えられた安定した為替制度を採用」するとしている。

●対外債務については

Slideshow (5 Images)
ベネズエラは対外債務のほぼすべてにおいてデフォルト(債務不履行)している。国や公共団体による債務、収用を巡る裁判の和解金、未払いの請求書など、1400億ドル以上の借金を抱えている可能性がある。

グアイド氏の計画は「公共財政に持続的な道を保証する財政上のスペースを空ける」ため、対外公的債務の「抜本的な再編」を求めている。

公的債務が専門のリー・ブッフハイト弁護士と米デューク大学のミトゥ・グラティ教授は、国家安全保障上の観点から、ベネズエラが新政府の下で立ち直るまで、同国の資産が米国の債権者から差し押さえられないよう一時的に保護するようトランプ大統領が支援できないか提案している。オバマ前大統領は同様の措置をイラクに対して行った。

●マドゥロ氏は退陣しそうか

少なくとも当面は必ずしもそうとは限らない。軍や治安部隊の上層部が、グアイド氏よりもマドゥロ氏を権力の座にとどめおくことが自分たちにとってより良い結果となると判断すれば、マドゥロ氏は退陣しないだろう。

だが、最近の米国によるPDVSAへの制裁は、マドゥロ政権が食料品やガソリンや医薬品を買ったり、側近や支持者にドルへの特権的アクセスを提供したりするのを困難にさせるだろう。石油は同国の外貨収入の95%を占めている。

●米国が侵攻してきたらどうなるか

トランプ氏は、軍事行動は選択肢の1つだと述べているが、それに伴う国家再建には恐らく興味はないだろう。ベネズエラは、米国が1980年代に比較的容易に侵攻したグレナダやパナマとは違う。産油国であり、同等規模の人口を抱えるイラクの方が比較しやすいかもしれないが、国の面積で言えば、ベネズエラの約半分だ。

介入は比較的容易だが、抜け出すことははるかに難しい。軍事行動は他の中南米諸国からの信用を失い、他地域の同盟諸国を遠ざけ、ひいてはナショナリストによる暴動を招く恐れがある。

資金援助や外交上の支援はさておき、ベネズエラの再建はベネズエラ国民のためにある。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-heisei-momma-kazuhiko-idJPKCN1PV0JW


 

 


UBSも英国から業務移転、EU離脱対策でドイツへ−裁判所が承認
Kaye Wiggins
2019年2月6日 4:22 JST
3月1日に移転計画発効、行員約200人がフランクフルト異動
移転は「英国のEU離脱による外的な衝撃」への対応と判事認める
1481286189_BROADGATE
Photographer: Simon Dawson / Bloomberg
ロンドン金融業界では、英国の欧州連合(EU)離脱による影響がまた表面化した。スイスの銀行、UBSグループが一部業務と人員を英国からドイツのフランクフルトに移転させる計画を、英裁判所が承認した。

  英高等法院のアラステア・ノリス判事は、この計画の目的が「商業上の利益」追求や「社内における合理化」ではなく、「英国のEU離脱による外的な衝撃」に対応することにあると認めた。これによりUBSの一部業務は英国からドイツ子会社に移り、200人足らずの人員が異動することになる見通し。計画は3月1日に発効する。

  UBSはこれまで、移転は英国のEU離脱で余儀なくされるものだと説明していた。EU離脱予定日が数週間後に迫る中で、緊急計画を実行に移す許可を裁判所に求める銀行が最近相次いでおり、バークレイズも先週、必要に応じて大規模な事業を英国からアイルランド子会社に移管する許可を裁判所から取得した。

原題:UBS Gets Approval to Move Some U.K. Jobs to Germany Amid Brexit(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-05/PMGV6SSYF01T01?srnd=cojp-v2

 

 

コラム2019年2月6日 / 15:41 / 4時間前更新

トランプ氏指名の世銀総裁候補、「改革の嵐」呼ぶか
Gina Chon
2 分で読む

[ワシントン 5日 ロイター BREAKINGVIEWS] - デービッド・マルパス米財務次官を世界銀行総裁にするのは、きつねに鶏小屋の番を任せるようなものだろう。世銀叩きをしてきた人物に組織のかじ取りを委ねることになる。

トランプ大統領は、マルパス氏を世銀の次期総裁に指名する方針。だがマルパス氏は多国間主義や中国との関係強化に懐疑的だ。就任すれば、温暖化対策など世銀が進めてきたいくつかの優先的な取り組みが消えてなくなってもおかしくない。

マルパス氏は国際問題担当の米財務次官として、世銀の融資慣行には「頻繁に腐敗」があるだけでなく非効率的で、援助国の状態をかえって悪化させているケースがあると批判してきた。

また同氏は世銀職員にも厳しい見方をしている。飛行機のファーストクラスを使っていると批判し、米国が130億ドルを追加出資する代わりに、給与削減や報酬の見直しを要求。以前には世銀の規模をこれ以上拡大するべきでないとの主張を展開した。世銀は、米国の圧力で中国向け融資を約3割減らしている。

廃止される世銀の取り組みの1つになり得るのは、温暖化対策だろう。これは2月1日に辞任したジム・ヨン・キム総裁の下で積極的に推進され、世銀は昨年12月に5年間で関連投資を倍増して2000億ドルにすると表明した。一方、トランプ政権は2017年にパリ協定からの離脱方針を打ち出した。

世銀は各国が世界貿易機関(WTO)のルールに沿うように貿易慣行を改善する手助けにも携わってきた。商取引は国の発展を促進するとの理由からだ。ところがマルパス氏は、米国の対中貿易協議における強硬派に名を連ねている。

米国は世銀にとって最大の出資国で、伝統的に総裁選びを取り仕切ってきた。しかし2012年に米国人のキム氏が総裁を争った相手が、ナイジェリアとコロンビアが推薦した人々だったのは例外だ。今回、マルパス氏が正式な総裁候補に決まれば対抗馬の出現を促すかもしれないが、今のところはだれも出てきていない。

マルパス氏は政治的な立ち回りが巧妙で、総裁になっても混乱を起こさずに信頼を築き上げる可能性はある。トランプ氏の娘のイバンカ氏が関与すれば、マルパス氏の姿勢が柔らかくなることもあり得る。イバンカ氏はキム前総裁時代、世銀の女性起業プログラム立ち上げを支援した経緯があり、キム氏の路線により近い。それでも「マルパス総裁」の誕生は、世銀に今のままではいられなくなる恐れをもたらす。

●背景となるニュース

・複数の報道によると、マルパス米財務次官(国際問題)は6日に米国が推す世銀の次期総裁候補に指名される見通しだ。2月1日に辞任したキム前総裁の後継となる。世銀理事会は、次期総裁候補指名は7日から3月14日までできると説明している。

・マルパス氏の財務次官としての主な業務の1つには、世銀や国際通貨基金(IMF)との連絡がある。同氏は中国との貿易協議にも関係している。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-world-bank-idJPKCN1PV0FJ

 


仮想通貨交換業者クアドリガ、創業者が死亡する12日前に遺言書提出
Doug Alexander
2019年2月6日 11:48 JST
コットン氏は全ての個人資産をロバートソン夫人に残した
遺産は複数の不動産や「レクサス」、航空機、ヨット、ペットなど
bitcoin crypto exchange GETTY Sub
Photographer: Jung Yeon-Je/AFP
カナダのデジタル通貨交換業者クアドリガCXの創業者ジェラルド・コットン氏は、莫大な資産を記載した遺言書を死亡する12日前に提出していた。裁判所文書で分かった。

  コットン氏は昨年11月27日に遺言書に署名した。裁判所文書によると、同氏は全ての個人資産をジェニファー・ロバートソン夫人に残し、同夫人を遺言執行人に指名した。コットン氏の急死に伴い、クアドリガではビットコインなどの仮想通貨約1億9000万カナダ・ドル(約160億円)が引き出せなくなっている。同氏が使っていたパスワードが分からないためだ。

  ノバスコシア州の裁判所は5日、クアドリガを相手取る訴訟の進行を現時点でストップさせる30日間の手続き停止を認めたと、カナダ通信(CP)が報じた。また、債権者からの資産保全も許可された。

  13年12月に業務を開始したクアドリガは利用者が同社のオンライン取引プラットフォーム経由で現金や仮想通貨を預け、ブロックチェーンの台帳に仮想通貨を保管できる仕組みを提供。アクセスには変更不能な英数字のコードが必須だ。裁判所文書によると、同社の登録利用者は36万3000人で、うち9万2000人は現金ないし仮想通貨で口座に残高がある。管理責任者はコットン氏1人だった。

  ロバートソン夫人の宣誓供述書などによると、コットン氏は昨年12月9日にインドでクローン病の合併症で死亡。30歳だった。ノバスコシア州ハリファックス郊外に住んでいた夫妻に子供はいない。

  コットン氏の遺言書には同州やブリティッシュコロンビア州にある複数の不動産、2017年型「レクサス」、航空機、ヨット、ペットの犬を含め多くの資産が記載されている。また同氏はマイレージのポイントなども夫人に残した。

原題:Crypto Exchange Founder Filed Will 12 Days Before He Died (2)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-06/PMHCSO6TTDS101?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/870.html

[経世済民130] 金融政策の「不都合な真実」ポスト平成の大論争に 中銀の金投資フィーバー無謀とは言えない インバウンド消費が急減速、三重苦
為替フォーラム2019年2月6日 / 16:16 / 4時間前更新

金融政策の「不都合な真実」ポスト平成の大論争に

門間一夫 みずほ総合研究所 エグゼクティブエコノミスト/元日銀理事
5 分で読む

[東京 6日] - 平成が始まって間もなくバブルが崩壊した。ちょうど重なるように、冷戦の終焉(しゅうえん)、グローバリゼーションの加速、人口の高齢化、という大きな構造変化が進行した。

そうした環境変化のある程度必然的な帰結として、日本経済は低成長・低インフレの時代へ突入する。金利も当然低くなる。1990年代初頭に8%を超えていたコールレートは、95年秋には0.5%まで引き下げられた。以後、コールレートがこの水準を継続的に上回ったことは、今日まで一度もない。最近はマイナス圏での推移が常態化している。

米欧経済も、リーマンショックをきっかけに、低成長・低インフレ・低金利の「3 lows(3低)」に直面する。欧州の政策金利は、今も日本と同様マイナスである。ここまで何とか利上げを進めてきた米国も、金利水準が金融危機前の半分にも達しないうちに、1月29─30日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げの一時休止に追い込まれた。

<低金利が定着した時代>

多くの先進国で低金利が定着したのは、根本的には経済、物価、貯蓄投資バランスなどを巡る構造変化が原因だと理解されている。特に経済成長率がすう勢的に低下しているという仮説は、2013年に元財務長官のローレンス・サマーズ氏が「長期停滞(Secular stagnation)」という表現で論じて以来、大いに注目を集めた。

一方で、国際決済銀行(BIS)の金融経済局を統括するクラウディオ・ボリオ局長は、低金利は、低成長や低インフレから自動的に引き起こされたわけではなく、「中央銀行の政策判断を介した人為的な現象だ」と論じている。物価目標にとらわれた極端な金融緩和が、必要以上の低金利をもたらしているのではないか、という問題提起である。

仮に中銀が金利水準を下げ過ぎており、しかもそれを長期に続け過ぎているのだとしたら、非効率な債務の積み上がりなどを通じて、経済の足腰が弱まってしまうリスクがある。そうだとすれば、中銀は物価目標への強いこだわりを捨て、代わりに長い目で見た金融の安定を重視すべき、という結論に至る。ただ、そこまで明確に言う識者は今のところ少数派だ。

<まだ定まらない異次元緩和の評価>

経済学者や中銀の多数説は、2%程度の物価上昇を安定的に維持することこそが、経済の安定ひいては長期的な成長に資する、という考え方だ。インフレが低過ぎると、経済が下方ショックに対して脆弱になり、結果として健全な経済成長が阻害される、というわけだ。こうした考え方を背景として、90年代以降、先進国の中銀は、2%程度の物価目標を採用するようになった。

この流れに最後まで抵抗したのが日銀だった。90年代末ごろから、日本経済の基本的な問題はデフレであり、それを是正する責任は日銀にある、という認識が経済関係者や政治家の間に広まった。それから約15年間、つまり平成時代のほぼ半分の期間において、日本の金融政策を巡る最大の論争は、物価目標の是非にかかわるものであった。

日銀が抵抗を続けた理由は単純だ。2%という数字が日本の実態に合わない、と考えたからである。実態に合わない無理な目標を追求すれば、どこかに重大なひずみが生じる懸念があった。しかし、リーマンショック、東日本大震災、円高等に襲われ、日本経済に対する危機感が強まる中で、日銀がアカデミズムの「多数説」に背を向け続けることに対して、国民の理解が得られなくなっていった。そして13年1月、日銀は2%物価目標の導入を決めた。

日銀の物価目標の導入、及びその下での異次元緩和について、最終的な評価が定まらないまま平成が終わろうとしている。ただ、異次元緩和を6年続けた結果として、はっきり見えてきたこともいくつかある。

第1に、日本で物価が上がらないのは金融緩和が足りないからだ、という考えは事実によって明確に否定された。第2に、物価が上がらない状況においても、雇用の大幅な改善や戦後最長クラスの景気拡大は実現し得る、という重要な事実も確認できた。

それならば2%目標はもう撤回しても良いのかと言うと、事はそう単純ではない。2%程度のインフレがあった方が日本経済はさらに強くなる、という可能性まで否定されたわけではなく、2%目標が世界の常識であることにも変わりはないからだ。

したがって、ここからの日銀の課題は、2%インフレが困難な現実の下でそれを目標に掲げ続けることの矛盾が、経済に対する副作用を生むリスクを最小限に抑えることだ。

日銀は既に一般論としては、やみくもに追加緩和は行わず、コストとベネフィットのバランスを評価しながら最適な政策運営を模索する、という基本方針を明確にしている。ならば、せめてマイナス金利のような極端な措置は早めにやめた方が良いと思うが、日銀内での具体論はまだ熟していないようだ。

<金融政策にできること、できないこと>

日本ではこの先もインフレが起こる確率は低く、潜在成長率を今以上に高めることも容易ではない。だとすれば、たとえ極端な金融緩和が多少修正されたとしても、大局的な意味での低金利環境はずっと続く可能性が高い。

2%インフレが実現している米国でさえ、歴史的な低金利水準にある。欧州は両者の間で、どちらかと言えば日本に近い。

このような構造的な低金利は、先進国のマクロ経済政策に重大な課題を突き付ける。80─90年代からマクロ経済政策の主役を務めてきた金融政策は、もはや景気後退への対応力を十分に発揮できない。確かに量的緩和など非伝統的な手段もあるにはあるが、金利引き下げ余地の乏しさが金融政策にとって重大な制約であることは否定できない。

金融政策の余力を取り戻すため、物価目標を3─4%へ引き上げたり、キャッシュレス社会を進めてマイナス金利を深掘りしやすくしたりするなど、斬新なアイデアを提唱する学者も少なくない。しかし、それらが現実的な選択肢とはとても思えない。

現在、マクロ経済政策の理論的な支柱となっているのは、「ニュー・ケインジアン理論」と呼ばれる考え方である。その純粋型モデルにおいては、財政政策の役割は期待されておらず、もっぱら金融政策が経済の安定化を担う。財政政策については、理論だけでなく実践的な観点からも、政治的な中立性や発動の迅速性などの面で難点があることは事実だ。

しかし、この理論で想定されていない超低金利時代に突入してしまった以上、金融政策の限界も直視した上で、金融政策と財政政策の役割分担を巡る新たな議論を進めることが必要である。

ちなみにBISは、持続的な経済成長に重要なことは、資産価格や債務の変動など「金融循環」の振幅を抑えることだと指摘する。この考え方に立てば、金融機関の規制・監督という「プルーデンス政策」こそがマクロ経済安定化の主役だ、とさえ言える可能性もあるのだ。これまでの役割分担にとらわれない柔軟な発想が必要である。

もちろん、利下げ余地のない中銀にも、確実にできることはある。

1つは、過度の物価上昇に対しては利上げをすればよいし、もう1つは「最後の貸し手」として決済システムや金融市場の安定を守ることも可能だ。このどちらの点においても、中銀の力は依然として強い。しかし、景気後退やデフレに対してはそうではない。

金融政策にも得意分野と不得意分野がある。これは不都合な真実かもしれないが、それに目をつぶることなく、金融、財政、そしてプルーデンス政策の役割分担と相互補完の枠組みを、模索していくことが重要だ。これは、ポスト平成時代の大論争になるだろう。

*本コラムは、ロイター特集「平成を振り返る」に掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

門間一夫氏 みずほ総合研究所 エグゼクティブエコノミスト/元日銀理事(写真は筆者提供)
*門間一夫氏は、みずほ総合研究所のエグゼクティブエコノミスト。1981年に東京大学経済学部を卒業後、日本銀行に入行。86年に米ウォートンビジネススクール留学。調査統計局長、企画局長を経て、12年に日銀理事(13年3月まで金融政策担当、以降、国際担当)を歴任。16年に日銀を退職し現職。
https://jp.reuters.com/article/column-heisei-momma-kazuhiko-idJPKCN1PV0JW

 
為替フォーラム2019年2月6日 / 11:35 / 1時間前更新

中銀の「金投資フィーバー」、無謀とは言えない理由
Swaha Pattanaik
2 分で読む

[ロンドン 5日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 金の愛好者がいつも理性的だとは限らない。しかし昨年、米国が金本位制と決別した1971年以来で最大量の金を購入した各国中央銀行は別だ。

これは価格上昇を見込む短期的な賭けというよりは、ドル支配が徐々に崩れていくことを見据えた措置という面が大きい。

ワールド・ゴールド・カウンシルによると、中銀が昨年購入した金は合計651.5トンで、過去2番目に多かった。ここ数年同様にロシア、カザフスタン、トルコの購入が多かったが、昨年はポーランド、ハンガリー、インドもこれに加わった。

外貨準備を管理する中銀は通常、口が堅い。しかしハンガリーは昨年10月、短期的な投資目的ではなく長期的な安定を理由に、金準備を10倍に増やしたと説明している。金は供給量が限られており、特定の機関や国に対する債権ではないため、信用リスクやカウンターパーティーリスクを伴わない。

これは、個人投資家が金を買い込んでいる理由に似ているように見える。つまり、株式や債券など、よりリスクの高そうな資産を持っていることに怖気づいているのだ。

地政学的な緊張が高まっている今、これはもっともな話だが、より大きな理由が2つある。

1つは、米国が世界の金融システムにおけるドルの支配力を笠に着ることへの懸念だ。

ドイツ、フランス、英国はイランとの間でドル以外を用いた通商経路を開こうとしているが、米国による対イラン制裁の効果を決定的に弱めることは不可能だろう。欧州連合(EU)欧州委員会のユンケル委員長が、飛行機、エネルギーその他製品の貿易に際してドル決済を拒み、ユーロを国際通貨として奨励したがっているのも無理はない。

さらに重要な理由は、中国の台頭だ。

中国経済は世界の総生産(GDP)の約5分の1を占め、貿易高は世界貿易の1割以上に及ぶが、公的通貨金融機関フォーラム(OMFIF)によると、世界の外貨準備に占める人民元の割合は2%に満たない。

各国中銀は、いつになれば人民元、あるいはユーロがドルの圧倒的支配を崩せるかは知らないかもしれない。それでも、外貨準備を分散化し、ドル一辺倒から脱するための小さな予防措置を講じているのだ。これは金投資フィーバーにありがちな、むやみやたらな熱狂とは程遠い。

●背景となるニュース

*ワールド・ゴールド・カウンシルによると、世界の中銀が昨年購入した金は651.5トンで、前年比74%増加した。これは過去2番目の高水準。

*国際通貨基金(IMF)が昨年12月28日に公表したデータによると、世界の外貨準備に占めるドルの割合は昨年第3・四半期に61.9%と、約5年ぶりの低水準となった一方、ユーロは約4年ぶりの高水準だった。
https://jp.reuters.com/article/gold-central-banks-breakingviews-idJPKCN1PV061


 

 

ビジネス2019年2月5日 / 16:14 / 1日前
焦点:
インバウンド消費が急減速、中国の新EC法や景気減速など三重苦
Reuters Staff
2 分で読む

[東京 5日 ロイター] - 中国の法令変更が、日本の消費に影を落とし始めている。今年1月施行の中国電子商取引法(新EC法)では、海外で購入した商品を転売する者が同法の規制対象となり、転売目的の商品購入にブレーキがかかっている。中国経済の減速や円高・元安も重なり、インバウンド消費の先行きは、急速に不透明感が増している。

<昨年末から異変>

「昨年11―12月に相当大きな落ち込みとなった」―――。花王(4452.T)の澤田道隆社長は、昨年末から中国向けのベビー用紙おむつの販売動向が急変したと話す。

背景にあるのは、中国で今年1月から施行された中国電子商取引法。EC出店者などに政府への登録を義務付け、納税を義務化。脱税者には刑罰を科すことも明記された。ECでの転売を目的に日本で商品を購入する「代理購入者」も、電子商取引法での登録対象者となった。

その波紋は、施行前の昨年末から転売業者の購入減や、中国での流通在庫処分による価格下落として表面化したという。

2018年の花王のベビー用紙おむつ売上高は、前年比9%程度減少。ベビー用紙おむつを含むヒューマンヘルスケア事業は7%減となった。

中国の法改正の影響は、インバウンドへの依存度を高めている百貨店にも表れ、1月の大手百貨店の免税売上高は、軒並み前年同月比マイナスを余儀なくされた。

高島屋(8233.T)の免税売上高は前年同月比15.1%減と大きく落ち込んだ。特に、訪日外国人の比率の高い大阪店は20.5%減、新宿店は19.5%減となった。2度の台風で臨時休業や営業時間短縮を行った昨年9月でも2.7%減だっただけに、落ち込みの大きさがわかる。

三越伊勢丹ホールディングス(3099.T)の新宿・日本橋・銀座の基幹3店舗の免税売上高も10.3%減少。客単価だけでなく、客数も3.3%減少した。三越伊勢丹関係者は「中国の景気減速、円高・元安、電子商取引法の施行など、同じタイミングで悪材料が重なるとこうなる」と、複数の悪材料が重なったためとみている。特に、同社では、宝飾品など嗜好性の高い商品の動きが鈍っているという。

昨年前半は1人民元=17円程度で推移していたが、今年年初には同15円台へと円高方向に動いている。

18年の中国国内総生産(GDP)成長率は28年ぶりの低い伸びとなった。政府は歳出拡大や減税など対策を打ち出しているものの、米中貿易摩擦の行方次第では、一段の減速も懸念される状況だ。

<春節を見守る>

今後に関しては、非常に読みにくい状況にある。2月5日から始まる春節で、中国からの訪日客がどのような消費行動をみせるか、百貨店各社は状況を見守っている。

ある百貨店の首脳は「以前のように爆買いがあるわけではないため、転売目的の購入が規制されても影響はそれほど大きくないのではないか」と、やや楽観的な見通しを示す。中国からの訪日客の1人当たりの旅行支出は、爆買い一服後の2016年以降、前年比マイナスで推移している。

一方で「インバウンド消費は、尖閣問題の時のように、急激に落ち込む可能性が皆無ではないため、あまり、過度な期待を持って織り込まないようにしている」とも話す。日本政府が発表した尖閣諸島の国有化により、2011年の中国人観光客の訪日数が26%減と大きく減少したことが関係者の頭をよぎる。

観光庁によると、2018年の訪日外国人の旅行消費額は4兆5064億円で過去最高となった。安倍晋三首相が「地域に一大産業が誕生したといってよい」と表現するほど、消費マーケットでは無視できない規模。

日銀大阪支店でも「今後、本格的な人口減少局面を迎えるが、インバウンド消費の増加は、人口減に伴う需要減を補いつつ、関西経済を引き続きけん引することが見込まれる」とするリポートを作成。インバウンド消費に期待をかけている。

2020年に旅行消費額8兆円という政府目標には、さらなる知恵が必要な状況だが、旅行消費額の約35%を占める中国からの訪日客の消費が落ち込めば、こうした目標が一層、遠のくとともに、日本の消費市場に与える影響も大きくなりそうだ。

清水律子 編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/inbound-japan-idJPKCN1PU0I3

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/871.html

[経世済民130] 中国の小売市場、今年は米国を抜き世界最大に 小売総売上高619兆円、eコマース比率は世界最大の35% 
中国の小売市場、今年は米国を抜き世界最大に
小売総売上高619兆円、eコマース比率は世界最大の35%
2019.2.6(水) 小久保 重信
ジャック・マーはタオバオから手を引くのか? 同社株を売却との情報
アリババ集団のマー会長(2018年12月12日撮影、資料写真)。(c)CNS/張煒〔AFPBB News〕

 米国の市場調査会社eマーケターによると、中国の今年(2019年)における小売総売上高は、米国のそれを上回り、同国は世界トップの小売市場になる見通しだ。

米国の小売総売上高を11兆円超上回る
 昨年の中国における小売総売上高は5兆2430億ドル(約576兆2000億円)で、米国の5兆3530億ドル(約588兆3000億円)を下回っていた。

 しかし今年は、5兆6360億ドル(約619兆4000億円)となり、米国の5兆5290億ドル(約607兆6000億円)を上回る。その差は1000億ドル(約11兆円)を超えると、eマーケターは見ている。

 今年の中国小売総売上高の前年比伸び率は7.5%。これに対し米国は同3.3%。この2カ国の伸び率は、いずれも低い水準と言えるが、中国の伸びは今後も米国を上回り、両国の差は開いていくという。

米中の差、さらに拡大へ
 中国では、ここ数年、所得の上昇に伴い、数百万人に上る人々がミドルクラス層となった。これにより、消費者の購買力が著しく上昇、1人当たりの平均支出額も大幅に増えた。

 2022年には、小売総売上高が6兆7570億ドル(約742兆6000億円)となり、米国(6兆300億ドル、約662兆7000億円)との差がさらに開くとeマーケターは予測している。

中国小売市場、eコマースが重要な牽引役
 先ごろ、同国eコマース最大手のアリババ・グループ(阿里巴巴集団)が11月11日に実施したセールで、1日の流通総額が過去最高の3兆5000億円(2135億人民元)に達したとの報告があった(ドイツ・スタティスタのインフォグラフィックス)。

 中国では経済成長の減速や米国との貿易摩擦などで、経済の先行きに不透明感がある。しかし、米ウォールストリート・ジャーナルによると、消費者の購買意欲は依然として旺盛。

 アリババが、わずか1日で達成した3兆5000億円とは、楽天の2017年における日本国内eコマース年間流通額(約3兆4000億円)とほぼ同じだ。こうしたデータが示すように、中国では、eコマースが小売市場成長の重要な牽引役となっている。

(参考・関連記事)「米国の年末商戦、小売総売上高が初の1兆ドル突破へ」

 今年の中国eコマース市場の売上高は、1兆9890億ドル(約218兆6000億円)で、同国小売総売上高の35.3%を占める見通し。この比率は、世界で最も高く、他国を大きく上回る。例えばeマーケターの推計では、米国のeコマース比率は今年、10.9%となる見通し。

 中国のeコマース市場で、売上高が最も高いのは前述したアリババ。ただ、ここ数年は、ピンデュオデュオ(拼多多=Pinduoduo)など比較的小規模な企業が売り上げを伸ばしており、徐々にアリババのシェアを奪っている(スタティスタのインフォグラフィックス)。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55414


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/872.html

[政治・選挙・NHK257] 安倍首相の“超楽観的”中国接近の危険性 米国の対決姿勢とますます乖離、懸念される日米摩擦 
安倍首相の“超楽観的”中国接近の危険性
米国の対決姿勢とますます乖離、懸念される日米摩擦
2019.2.6(水) 古森 義久
中国共産党、幹部に「自己批判」迫る 習主席への忠誠要求か
中国・北京の人民大会堂で開かれた改革開放40周年を祝う式典に出席する習近平国家主席(2018年12月18日撮影、資料写真)。(c)WANG Zhao / AFP〔AFPBB News〕

(古森 義久:ジャーナリスト、産経新聞ワシントン駐在客員特派員)

 安倍晋三首相の中国への協調姿勢が米国の対中対決政策とまったく相反する形となってきた。

 トランプ政権が政治や安保面で中国との闘争を宣言するのに対して、安倍政権は中国との友好的な交流の拡大を強調している。このままだと対中政策をめぐり日米両国が大きく離反する危険性も生まれてきた。

安倍首相の演説は願望の表明
 安倍首相の中国への融和的な姿勢は1月28日の国会での施政方針演説で明らかにされた。同首相は演説の中で、中国に関して以下のように語った。

「昨年秋の訪中によって、日中関係は完全に正常な軌道へと戻りました。『国際スタンダードの下で競争から協調へ』『互いに脅威とはならない』、そして『自由で公正な貿易体制を共に発展させていく』。習近平国家主席と確認した、今後の両国の道しるべとなる3つの原則の上に、首脳間の往来を重ね、政治、経済、文化、スポーツ、青少年交流をはじめ、あらゆる分野、国民レベルでの交流を深めながら、日中関係を新たな段階へと押し上げてまいります」

 以上を文字通りに解釈すれば、日中両国の間にはなんの問題も支障もないということになる。「完全に正常な軌道へ戻った」というのだ。

 ところがこの発言は願望の表明であって、現実の認識とは思えない。

 中国は自国の経済運営や日本企業を含む外国企業の扱いにおいて、国際スタンダードを順守していない。日本へのレアアース禁輸で示したように、自由で公正な貿易体制をとってはいない。また、戦争中の日本軍の「残虐行為」のみを強調する反日教育を相変わらず続けている。尖閣諸島周辺の日本領海には間断なく武装艦艇を侵入させ、日本側に脅威を与えている。

 安倍首相の演説では、中国に関するこのような諸問題にはまったく言及がなかった。「交流を深める」といったバラ色の言葉だけだった。日本側の中国の現実への客観的な認識を反映しているとはとても言えない。まして、米国の現在の中国認識とは天と地ほどの差があることを指摘せざるをえない。

「中国は米国の安全保障に対する最大の挑戦者」
 安倍首相の施政方針演説の翌日の1月29日、米国議会で公聴会が開かれ、情報機関責任者たちが証言した。それらの証言は、安倍首相の対中認識とはあまりにも対照的だった。

 公聴会を主宰したのは上院情報委員会、テーマは「世界の脅威」だった。公聴会にはトランプ政権のインテリジェンス機関の代表たちが顔をそろえた。ダン・コーツ国家情報長官(DNI)、ジーナ・ハスペル中央情報局(CIA)長官、クリストファー・レイ連邦捜査局(FBI)長官らである。

 その中から、コーツ長官の中国についての証言を紹介しよう。

 コーツ長官の証言は、北朝鮮に関してはトランプ大統領の見解と異なる部分も指摘されているが、中国に関してはトランプ政権の見解そのものだといえる。

 そしてなによりも注視すべきは、この公聴会の主題が、米国にとっての「世界の脅威」であり、その脅威の筆頭には中国が位置づけられているという事実である。

 コーツ長官の中国についての証言の骨子は以下のとおりである。

・現在の中国は米国の安全保障に対する最大の挑戦者であり、米国主導の民主主義的な国際秩序を変えるために、米国に対してイデオロギー面での闘争を仕かけ始めた。その目的は、中国型の専制的な資本主義を国際的に拡大し、市民社会や法の統治という概念を抑えることにある。

・米国が過去十数年、中国への対応を怠ってきた結果、中国は米国に挑戦する能力を驚くべきほど増強させた。中国は、米国の先端技術や他の知的財産を大規模に窃取したり、スパイ活動で情報を不正取得することににより、自動車技術からソフトウエア、軍事技術までの多様な秘密を奪取した。

・独裁制を国際的に広めるという中国の野望に対して、米国は中国の不当な方法を最大限に暴き、米国内外に知らしめることを目指す。米国司法当局が進めている華為技術(ファーウェイ)への捜査や訴追も、中国政府の不正を提示するその取り組みの一環である。

・中国政府は 他国からの自国への人権弾圧非難を阻むため、人権に関する国際的な基準、とくに国連の枠内での人権尊重の基準を弱めようとしている。そのために「人権」の定義も自国に有利な狭義の意味に変えさせ、「国際社会には人権尊重の責務がある」という基本さえも曖昧にしようとしている。

・習近平主席は「一帯一路」によって中国の政治・経済システムを国際的に広めようとしている。そのシステムは、法の統治、国際基準、公正貿易と相容れない。「一帯一路」には、港湾、空港、道路の建設により中国人民解放軍の開発途上国へのアクセス経路を開く意図がある。

日米の対中姿勢に大きなギャップ
 以上から、米国の中国に対する姿勢は明白であろう。トランプ政権は超党派の支持を基盤にして中国との「対決」「封じ込め」の政策を推進し始めたのである。

 一方、安倍政権の対中政策は「協調」であり「交流」だという。日米の対中姿勢にはあまりに大きなギャップがあると言わざるをえない。

 安倍政権周辺からは、中国政策に関して米国側と水面下の調整を実施していると示唆する声も聞かれる。しかし、公式の場で日米両国政府の代表が公式に言明する中国への姿勢は、あまりにも相反している。そのギャップによって日米摩擦の表面化も十分に予想される様相となってきた懸念をここでまた表明しておこう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55407

 


http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/257.html

[中国12]   中国人大学生の憧れと立ちはだかる無情な現実 中国在住の起業家が見つめる「等身大の中国人」(2)  

 
中国人大学生の憧れと立ちはだかる無情な現実
中国在住の起業家が見つめる「等身大の中国人」(2)
2019.2.6(水) 宮田 将士
中国の学生は、どれほど大きな夢を抱いているのか?
 政治面でも経済面でも存在感を増している中国。だが、その発展を支える個人の生活に目が向けられることは少ない。本連載では、2001年に中国で起業し、長年にわたって現地のコミュニティに溶け込んできた宮田将士氏が、「等身大の中国人」の心の内を描いていく。(JBpress)

【第1回】「息子が働かない中国人夫婦のささやかな優越感」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55260

「成功」に憧れる大学生
 陸さんは、上海のある理系の大学に通う20歳の若者である。

 地方都市出身の陸さんは、子供のから学校の成績がとても良かった。当然ながら、親や親族一同からの大きな期待を一身に浴び、小学生の頃から死に物狂いで勉強した結果、見事上海の大学に入学することができた。

 これまで、大学に入学することが大きな目標だった陸さんにとって、大学で何をするかというのは、実はそれほど真剣に考えていたわけではない。数学と物理が得意だったことと、漠然と「理系の大学を出ていれば就職にも困らないだろう」という理由で選んだのが今の学部だった。

 もちろん、大学の授業をおろそかにしているわけではない。真面目な性格の陸さんは、授業をサボるようなこともなかったし、毎日それなりに忙しく、まあ充実した毎日を送ってはいた。

 ただ、・・・である。

 それなりというのはやはり「それなり」で、ものすごく充実しているかと言えば、そうではなかったのも事実だ。周りの友人は、毎日とても楽しそうにキャンパスライフを謳歌しているが、陸さんはなんだか物足りなかった。

 こんな憂鬱な気持ちになる理由を、陸さんは自分でも知っている。それは、最近ネットでよく見る若者の起業に関するニュースが原因だ。

 ネットやSNSを見ていると、学生起業家の文字が並ぶ。大学在学中にクラスメートと起業し、ユニークなサービスで人気を博し、最後は大手企業に売却。これまでに無かった研究で、学生ながら会社を立ち上げ、大手企業と提携。そんな華々しい成功物語が、陸さんがよく見る学生が集まるSNSには溢れていた。

 自分と同じ年齢の若者がすでに世の中に出て成功しているのに、自分は毎日漫然と授業を聴いている。ザッカーバーグは学生時代にFacebookを立ち上げた、なのに自分は寮でSNSを眺めているだけだ・・・。

 よくよく考えてみれば、SNSに書かれているサクセスストーリーが実話なのかも分からないが、若者らしい焦りが陸さんを苛んだ。

志の高い仲間も・・・
 そんな悶々とした日々を過ごしていた陸さんだったが、「類は友を呼ぶ」の言葉どおり、一刻も早く世の中に出て自分の名を上げたいと考える学生はいた。食堂でたまたま話をしたことがきっかけで、そんな仲間2人と陸さんはたちまち友達になった。

 それからというもの、陸さんを含む3人は、毎日夢中で自分たちの起業のアイデアを語り合った。出てくるアイデアは学生らしく微笑ましいものばかりだったが、それでも陸さんはこれまでにない高揚感と充実感を得ることができた。それは友達も同様で、まだ会社も、サービスも存在しないにもかかわらず、3人は「俺たちが世の中を変えてやる」と根拠のない自信をみなぎらせていた。

 しかし、会社を立ち上げ、サービスを作り、世の中に送り出すというのは、やる気と自信だけで実現できるほど甘いものではない。世に学生起業の成功物語は溢れているが、それは滅多に起こらないからこそニュースになるのである。犬が人を噛んでも記事にはならない。人が犬を噛んで初めて大事件になるのだ。

 そのことを陸さんたちは分かっていなかった。「この学生が成功したのだから、俺にだってできるはず」と勘違いしてしまったのだ。

 そして、思いつきの情熱は冷めてしまうのも早い、もともと明確な指針や志があっての起業計画ではない。

 学期末試験が3週間後に迫った頃、まず友人の1人が離脱した。最初は「今日はちょっと忙しいので、ゴメン!」と連絡があったが、最後はまったく連絡が取れなくなった。Wechatもつながらない。どうやらブラックリストに入れられたらしい。もともと3人の中で一番のアイデアマンで、出資者も見つけられると豪語し、CEOに就任する予定だったのも彼だった。その彼が抜けてしまったのでは起業も難しい。

 こうして、陸さんの起業物語は会社が立ち上がる前にあっけなく頓挫した。もとより学生の身だから、起業に失敗したからといって特に困ることはない。そもそも起業すらできていないのだし、嘆いたところで仕方がない。

 理系の大学生ではあるが、小説を読むのが趣味の陸さんは、そういえば魯迅の小説にこんなシチュエーションがあったな、とぼんやり思うのだった。

プライドの保ち方
 それ以来、陸さんは普通の大学生に戻った。今では「起業しよう!」とか「世の中を変えてやる!」などという情熱を持つことは無くなっている。

 周りの友人がかつての陸さんと同じように「会社を作る」「サービスを始める」という話を興奮気味に語っているのを見るたびに、少しの恥ずかしさと、懐かしさを感じ、そして先輩としての若干の優越感を覚えてしまう。「どうせ、うまくいかないよ、やめとけばいいのに」と。

 会社すら立ち上げることができなかった自分を完全に棚に上げてはいるが、これも若者らしい高いプライドのなせるわざなのかもしれない。

 そんな陸さんは、今日もSNSに自分の起業物語をせっせと書き込んでいる。実際には成し遂げられなかったこと、学生起業と成功譚。あのとき本当に会社を作ることができていたなら、もしかしたらSNS上の空想物語は現実になっていたかもしれない。

 陸さんはこのSNSへの書き込みをやめることができないでいる。たとえ、それが何の慰めにもならない行為だったとしても。ただ1つ言えるのは、名刺をデザインし、会社名まで考え、時間を惜しんで3人でビジネスのアイデアを語り合っていたあの頃のほうが、大学の勉強にも熱心に取り組み、で、成績も良く、毎日が充実していたということだけだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55396
http://www.asyura2.com/17/china12/msg/812.html

[国際25] イタリア人映像作家が残した市民生活のリアリズム 追悼:ベルナルド・ベルトルッチ監督(5)『1900年』(3)「第2次世界
イタリア人映像作家が残した市民生活のリアリズム
追悼:ベルナルド・ベルトルッチ監督(5)『1900年』(3)「第2次世界大戦」
2019.2.6(水) 竹野 敏貴
古代ローマ遺跡、コロッセオ。『戦火のかなた』にも登場する
 昨年11月他界したベルナルド・ベルトルッチ監督の様々な作品を、これまで4回にわたってみてきた。

 今回も、前回、前々回に続き、その故郷、北イタリア、エミリア・ロマーニャでの自身の階級社会の記憶とも言える長編『1900年』(1976)で、イタリアの「過去」を感じていきたいと思う。

(この3回でイタリアの20世紀前半を概観することになる)

 とは言え、3世代にわたる長い時の物語だけに、大戦の時代の描写は少ない。それだけ、一つのシークエンスに多くの要素が凝縮されているわけである。

 今回は、第2次世界大戦中の銃後のイタリアを描いたジュゼッペ・トルナトーレ監督の『マレーナ』(2000)をもう一つの軸として、多くのイタリア人監督の助けを借りながら、イタリアの第2次世界大戦を追っていきたいと思う。

 『マレーナ』は、トルナトーレの故郷シチリアが舞台。

 前回紹介したフェデリコ・フェリーニ監督の『アマルコルド』(1973)同様、「下品」と言われそうな直接的性欲表現も交え、思春期の少年の憧れの女性への視線を通し、大戦下のイタリアを映し出している。

 映画はラジオでのベニート・ムッソリーニの宣戦布告演説から始まる。

「陸 海 空で戦う勇者よ 黒シャツのファシスト党員よ イタリア国民よ イタリア領の人々よ 機は熟した」

町民たちは熱狂し 拍手の轟音が広場を包む 

同じ日、初めてマレーナの姿に魅了された12歳の少年レナートは、ストーカーまがいの行為と妄想を繰り返しながら性的欲望を隠さぬ男と魅力に嫉妬する女の煩悩まみれの生々しい姿を目撃していくことになる・・・

 1939年9月、ドイツがポーランドに侵攻、第2次世界大戦は始まった。しかし、第1次世界大戦のとき同様、イタリアは非交戦国を宣言、動向を見守っていた。

 そんななか、1940年5月に始まったドイツのフランス侵攻の勢いを見て、フランスがパリを「無防備都市」宣言した6月10日、英仏に宣戦布告する。

(「無防備都市」宣言とは、ざっくり言えば、地域単位の降伏。新たな攻撃の回避が期待される)

 フランスは降伏、傀儡たるヴィシー政権が南仏や北アフリカのモロッコ、アルジェリア、チュニジアといったフランス植民地を支配することになった。

 イタリアは、ジブラルタル、マルタ、アレクサンドリア(エジプト)を拠点に地中海でのプレゼンスでは他を圧倒していた英国と海戦を交えることになる。

 ムッソリーニ政権はその様子をおさめた戦意高揚の国策映画を撮らせた。

 負傷者を乗せる「病院船」が舞台の『白い船』(1941/日本劇場未公開)はそんな一作だが、監督を務めているのはロベルト・ロッセリーニ。

 映画史に名をとどめる「ネオレアリズモ」(イタリアン・ネオリアリズム)の巨匠の初監督作だった。

 当初はドキュメンタリーとして企画、ロッセリーニの希望が通りフィクション部分が加えられたという作品の出演者はすべて兵士や看護師といった「現場」の人間。「戦意高揚」の意図はあっても、のちの作品につながる要素は見てとれる。

 ムッソリーニは、「ローマ帝国の再来」を胸に、1940年9月、北アフリカでの戦いを始め、第1次世界大戦直前の伊土戦争で得た伊領リビア東部のキレナイカ地方から、東のエジプトへと侵攻した。

 さらに10月末、前年併合したアルバニアからギリシャにも侵攻。ところが、逆にアルバニアへ侵攻を許してしまったうえ、山岳戦は長期戦の様相。

 ドイツはバルカン半島への連合軍上陸を懸念、1941年4月、ギリシャに侵攻、5月、枢軸国が占領した。

 当初、エジプトでは優勢だったイタリアだが、英国がギリシャに援軍を送る一方で反撃を開始、逆にリビアまで攻め込まれ、1941年2月にはキレナイカ地方を占領されてしまう。

 ドイツは、エルヴィン・ロンメルを司令官としたドイツアフリカ軍団を送りこんだ。

 のちに「砂漠の狐」の異名をとることになる「名将」の反撃で、キレナイカ地方の北アフリカ一と言われる良港をもつトブルクを包囲。しかし、攻略にまでは至らなかった。

 対する英軍も反攻作戦が成功せず、ここから、トブルクをめぐる戦いを中心に、北アフリカでは一進一退の攻防が繰り広げられていくことになる。

 そうしたなか、1941年6月、突如、ドイツがソ連に侵攻。ムッソリーニもその東部戦線への派兵を決定する。

 ドイツの空軍力が地中海から東部戦線へとシフトしたことも影響、キレナイカ地方は英軍に再度奪取されるが、ロンメルの反攻で、1942年6月、トブルクを制圧。

 しかし、英軍が新たにエジプトでの防衛線としたアレクサンドリア西方のエル・アラメインでは攻め切れなかった。

 英軍は、新たにバーナード・モントゴメリーを司令官にすえ、反撃に出た。

 『炎の戦線 エル・アラメイン』(2002)は、そんな戦いのなか、前線の最南部で、神に見捨てられたかのような絶望的な時を送るイタリア兵たちの物語。

1942年10月 セッラは前線に配属された
着任早々 砲撃を受け肉体が跡形もなく消えてしまう様を目撃する

昼はうだる暑さ、夜は凍える
終始銃撃戦というわけではないが 渇きや赤痢という大敵もいる

ロンメルが退却を開始した
中隊も撤退し、新たな防衛線を開けとの指令

車もなく砂漠の中を30キロ先まで徒歩移動する中隊
途中出会った独軍の車には無視され、イタリア兵の乗るトラックは満員

そしてさらに100キロ先まで移動することに・・・

 北アフリカ戦線は、独軍ロンメル、英軍モントゴメリー、米軍パットンという個性豊かな司令官たちを中心に、その戦略、葛藤を多くの映画や書籍が扱っている。

 しかし、「足手まとい」とさえ言われる「弱い」イタリア軍の「駒」、なかでも戦術の端役にも出てこない「捨て駒」感の強い兵士たちのあきらめとさえ言える「レアリズモ」がこの作品にはある。

 主人公セッラは、「アレクサンドリアはすぐ制圧される」との政府のプロパガンダに乗せられるように、「臆病者扱いは嫌です」と言い、入隊した学生志願兵だった。

 一方、『靴みがき』(1946)『自転車泥棒』(1948)などネオレアリズモの中心的存在の一人ヴィットリオ・デ・シーカ監督が1970年に発表した『ひまわり』では、主人公ジョヴァンナと恋仲になり結婚したアントニオが、軍役逃れに臆面もなく詐病を画策、しかし、見破られてしまう。

「懲役刑がいやなら、ロシア戦線へ行くことだな」

アントニオは、予定されていた北アフリカではなく、東部戦線に配属されることになった
そして消息不明・・・

ジョヴァンナは情報を探した
そしてようやくアントニオと一緒だったという復員兵と遭遇

男はポツリポツリと記憶を語り始める

「1月のドン川 あの寒さ。そして敗北。何とか逃げなくては」

「四方から攻めてくるロシア兵。あれこそ本当の地獄。雪、氷、風、渇きと飢え」

そしてアントニオは脱落したのだった・・・

 1942年夏、東部戦線の長期化をにらみ、枢軸軍はソ連南部の資源地帯へと攻勢をかけた。

 イタリア軍はドン川沿いに部隊を展開。ヴォルガ川西岸のスターリングラードでの戦いが泥沼化すると、ドン川を守っていたドイツ軍部隊も次第に引き抜かれ、防衛の主体は他の枢軸国に。

 そこをソ連軍が大攻勢、イタリアも多数の犠牲を出した。

 1942年7月、フランクリン・D・ルーズベルトとウィンストン・チャーチルがワシントンで会談、欧州反攻の第一歩として、北アフリカ侵攻を決定。

 「トーチ作戦」と名づけられたその作戦で、11月8日、米英軍はモロッコのカサブランカ、アルジェリアのオランとアルジェから上陸、抵抗するヴィシー仏軍と停戦が成立すると、チュニジアへと向かった。

 エル・アラメインでの敗戦とトーチ作戦で、枢軸軍は東西から連合軍の挟み撃ちに遭う危機にあった。

 ヒトラーはチュニジアに兵と物資を送った。

 古代ローマがポエニ戦争を戦った相手カルタゴ、その遺跡が今も残るチュニジアが北アフリカ戦線最後の戦場となった。

 エジプト、リビアを放棄、2200キロもの距離を敗走したロンメルは、1943年2月、チュニジアに到着。その先制攻撃で停滞していた前線は動いた。しかしすぐ押し戻されてしまう。

 ヒトラーはロンメルを司令官から解任、ベルリンに呼び戻した。

 その理由ははっきりしないが、スターリングラードの戦いで、大物フリードリヒ・パウルスが自決せず投降しており、ロンメルも・・・との懸念があったのかもしれない。

「チュニジアでの戦いでガフサを占領」

「伊独両空軍は猛威を発揮 低空爆撃と機銃掃射をかさね 敵部隊と車両を壊滅」

 『1900年』では、ラジオが北アフリカ戦線の様子を伝えるなか、農場管理人アッティラが家族と食事をしている。

 20世紀の始まる1901年の同じ日に同じ農場で生まれた農場主の孫アルフレードと農夫の孫オルモもいまや中年。

 オルモはコミュニストとなり、アルフレードは基本リベラルだがファシズムにも階級制にも煮え切らない態度を取り続けている。

 そんな夫に失望し酒浸りの妻アーダ、ファシストの象徴のような農場管理人アッティラを加え物語は展開する。

 場面は農場へと移り、トラクターが導入され、馬が売られていくなか、アッティラはオルモに卑劣な言葉を浴びせかける

「馬を買うなら御者も必要だろう」
「お前だ。オルモ」

とオルモも「売ろう」とする

怒り アッティラに馬糞を投げつける農民たち
オルモは農場を去り その話を聞いたアーダも去る

オルモの部屋を黒シャツの面々と破壊するアッティラをアルフレードはついにクビにするが、アーダはすでにいない・・・

雨の中、農民をいたぶるアッティラと黒シャツのファシストたち
農民とファシストの問答が始まる

「神はいるのか」
「いない」

「ムッソリーニはいるのか」
「そんな奴いない」

「アッティラ、お前もいないぞ」
虫けらのように農民を殺すファシストたち・・・

 やがてムッソリーニに訪れる「失脚」という運命と、続くナチスドイツとの「団結」での最後の残虐なあがきを暗示するシークエンスである。

 チュニジアでの戦いはその後も続いたが、連合軍の豊富な物資力を前に、支配地域は狭まる一方。次々と拠点を失い、5月13日、降伏。北アフリカ戦線は消滅した。

 降伏して捕虜となった枢軸軍は27万人。スターリングラードでの捕虜数の3倍だった。エル・アラメイン、スターリングラード、2つの戦いは、大戦の流れの変わる分水嶺となり、枢軸国は敗戦への道を進んでいくことになる。

マレーナの夫は式を挙げて2週間で出征していた
その夫が 北アフリカで戦死したとの報

男たちは色欲あらわにマレーナに群がり
女たちは「下品」とさらなる嫌悪の情を隠さない

南部一帯へ繰り広げられた連合軍の空爆で町は破壊され
マレーナの父も犠牲となった

それでも町民は仕事を与えず生活手段もないマレーナは
ドイツ兵だらけとなった町で体を売り生計を立てるようになる

 軍施設や港湾施設、飛行場、駅などの破壊のため、1943年5月、シチリアでも米空軍による爆撃が激化、多くの市民が犠牲となった。それは、次なる連合軍の「作戦」の準備でもあった。

 北アフリカを制した連合軍は、早期の欧州上陸を目指し、1943年7月10日、「ハスキー作戦」を実行、シチリア島に上陸した。

 一方、イタリア国内でもファシズム体制への批判が高まっていた。敗戦による王政廃止を王党派は恐れた。軍内部休戦派とファシスト党穏健派も結びつき、ムッソリーニ更迭の動きは進んだ。

 そして、7月25日、「クーデター」決行。

 ファシストだった『暗殺の森』(1970)の主人公マルチェロは、ローマの自宅で繰り返し伝えられるラジオの速報を聞いている。

「国王陛下はムッソリーニ閣下を更迭されました」

「後任の政府主席として首相内相にピエトロ・バドリオ元帥が任命されました」

「独裁制の崩壊を見る」と妻に告げ 街へ出ていくマルチェロ

そこでは市民たちが破壊したムッソリーニ像を引きずりまわしている・・・

 自らの「ノーマル」ではない過去から、「ノーマル」になりたい、と、ファシストとなったマルチェロ個人の戦いの物語は、この日で終わる。

(→「ポピュリズムの蔓延る今見るべき初期の傑作」で詳述)

 しかし、イタリアの第2次世界大戦は終わったわけではなかった。

 『1900年』が冒頭でみせた「解放の日」まで、さらに1年半以上の月日が必要となるのである。

 バドリオ政権は、表面上、戦争続行姿勢を見せていた。しかし、水面下では連合国と休戦交渉。

 不審な動きを察知していたヒトラーは、「占領」を考えていた。

 9月8日、イタリア王国が休戦協定を発表すると、すぐさまドイツ軍は北部中部に進駐。

 国王と新政権の閣僚、軍王党派などは、ローマを捨て、南部の連合軍占領地域に避難。講和に応じ、10月、ドイツに宣戦布告した。

 一方、解任後ホテルに幽閉されていたムッソリーニは、9月12日、ドイツ国防軍特殊部隊に救出され、ヒトラーと会談ののち、建国された「イタリア社会共和国(RSI)」で「独裁体制」を復活させる。

 しかし、それは実質ドイツの傀儡。北部中部は「ナチファシズム」の「共和国」支配となった。

 ここからイタリアは「内戦」の苦難にも晒されていくことになる。

ドイツ軍が去り、米軍がやってきたシチリアで、歓喜に湧く町民たち

「恥知らずに罰をくだすのよ」

「ドイツ兵と寝た女」マレーナは女たちに広場へと引きずり出され
髪を切られ、リンチにかけられる

町民は誰ひとり助けようとしない
悲しく見つめるレナート・・・

 連合軍のシチリア侵攻にはマフィアが力となった「逸話」がよく語られる。

 シチリアに生まれ、幼少時渡米、米国で50年の禁固刑で服役中だった「民衆の敵ナンバー1」ラッキー・ルチアーノが、何かしら「米軍に協力」したことは事実らしく、軍の上陸に先んじてシチリアにいた、との話もある。

 しかし、実際のところ詳細は分かっていない。だが、そうする理由は十分にあった。

 ファシスト政権下、「犯罪組織」は徹底的に取り締まられ、多くが壊滅状態。なかでもマフィアには厳しく対応していたのである。

 そんなルチアーノが、戦後、麻薬王として君臨、謎の死を遂げるまでを描く、フランチェスコ・ロージ監督の『コーザ・ノストラ』(1970)の描写は、「ネオレアリズモの正統な後継者」とも言われたロージらしく、その視線は容赦ない。

1952年国連本部 イタリア代表が米国代表に食ってかかっている

「マフィアたちをイタリアへ送り返したのはアメリカ人ですよ」

「彼らは連合軍についてシチリアに上陸したんです。そしてイタリア半島を進んで行った。ナポリ、ミラノ、ジェノヴァ、米軍と一緒にね」

「おたくの将軍にきいてみたらどうですか?」

「シチリアの町の町長にどうしてピッツィーニやルッソのようなマフィアのボスが任命されたのか」

「ポレッティ大佐がナポリ軍の軍政官だった当時、なぜ、ヴィトー・ジェノヴェーゼを右腕に選んだのか」

「彼が有力なギャングだと知っていたからです」

場面は移り1944年のナポリ スイングジャズ流れる米軍将校クラブ

ポレッティ大佐がジェノヴェーゼに「忠言」する
「闇市は禁止だ。違反には罰則だ。そう布告しろ」

倉庫で「横流し」したジェノヴェーゼが 高級オープンカーに大佐を乗せる

「司法官と銀行頭取の推薦状が山ほどあります」
「この車気に入りました? あなたのものです」

 ナポリ近郊に生まれ、ルチアーノ一家の幹部となり、1936年米国からイタリアへと逃亡してきたジェノヴェーゼは、ムッソリーニに取り入りうまくやっていた。

 そして、その失脚後は、米国に乗り換え、米軍司令部の公式通訳となり、軍需品の横流しで稼いだ。

 多くの士官がマフィアを通じ私腹を肥やし、マフィアも多くの恩恵を受けた。

 7月19日に続き、8月13日にも連合軍の空爆を受けたローマは、翌14日、「無防備都市」を宣言した。

 しかし、イタリア王国が休戦協定を発表した翌日、同盟相手だったドイツ軍が占領。そんななか、自らの目で見たことをフィルムにおさめようと極秘に企画、解放とともに製作が開始されたのがロッセリーニ監督の『無防備都市』(1945)。

 フィクションではあるが、プロットにはモデルがあり、その現場で撮影するなど、新しい表現としてのリアリズム(ネオレアリズモ)があった。

 戦時の人間の生の姿が感じ取れる誰もが認める映画史上の名作は、『白い船』などの「習作」を経て、市民目線のイタリアを冷徹に映し出した。

 1944年6月4日、ようやくローマが陥落。それはノルマンディー上陸作戦の2日前のことだった。

 その頃、北部中部では、イタリア社会共和国の「ナチファシズム」支配があった。

 そこには「従順」なファシストと「抵抗」するパルチザンという構図があり、よく知るお隣さんが敵になってしまう内戦に市民は直面していた。

 タヴィアーニ兄弟は『サン★ロレンツォの夜』(1982)で、当時6歳だった少女チェチリアの記憶として、その様子を語っている。

村人はおびえていた
印をつけられた家は爆破されるというのだ

ドイツ軍は人々を一か所に集めろ それ以外の者は殺す という
村人は聖堂に集まることになった

しかしガルヴァーノはドイツ人を信用せず、同じ思いの村人を連れ、近くにいるはずの米軍を探しにいくことにした

8月10日は「サンロレンツォの夜」流れ星が願いをかなえるという言い伝えがあるが、その日は誰もそのことを思い出さなかった

翌朝 用足しに行ったチェチリアは米兵に会った
しかし大人たちを連れていくともういない

そこにファシストがやって来た。顔見知りもいた
ファシストと村人が銃撃戦となった

チェチリアの目の前で人々が次々と死んでいく・・・

 1944年8月11日、トスカーナの古都フィレンツェは陥落した。

 トスカーナは前々回コラムで『グッドモーニング・バビロン!』(1987)も紹介したタヴィアーニ兄弟の故郷。1944年まで、その小さな町サン・ミニアートに住んでいた。

 舞台となる村のモデルはそのサン・ミニアート。登場人物にもモデルがいて、村の破壊も故郷で起きたこと。ここにも「レアリズモ」、ベルトルッチがよく口にした「シネマ・ヴェリテ」の要素がある。

 タヴィアーニ兄弟は移り住んだピサで初めて映画と出会い、映画作家を目指そうと思ったという。そのきっかけとなった作品がロッセリーニの『戦火のかなた』(1946)。

 上陸した連合軍同様、シチリア、ナポリ、ローマ、と北に向かいながら、市民を襲う悲劇を6つのエピソードで描くネオレアリズモの傑作である。

 それぞれのエピソードで実写映像のイントロに続きフィクションが展開するその作品の第4エピソードも、『サン★ロレンツォの夜』同様、トスカーナの44年夏を舞台としたパルチザンの悲劇だった。

 『戦火のかなた』は、さらに、戦いが激しさを増す山間部の教会の信仰をめぐる第5エピソードをはさみ、北部を流れるポー川のデルタ地帯を舞台とした最終エピソードとなる。

 そこでは、捕虜となったパルチザンが、ジュネーブ条約の適用外とされ、手足を縛られ、川に突き落とされ処刑される悲劇が描かれ、最後にナレーションが締める。

「1944年冬のこと。数か月後、イタリアは連合軍によってドイツから解放される」

 そんなデルタ地帯からそう遠くはないであろう『1900年』のアルフレードの農場の1945年4月25日「解放の日」。5時間をこえる長編は、その冒頭にもあったシーンに戻り、ひとつの「決着」がつけられる。

農民たちが叫ぶ「スターリンの名のもとに集まれ 黒シャツを殺せ」

アッティラとレジーナは捕らえられた

「残虐な時代とは俺のことさ。ファシスト、男、野獣、奴隷、クソ野郎・・・」

「罪」を告白したアッティラは処刑された

少年に捕らえられていたアルフレードも「人民裁判」を受ける
アルフレードは主張する「僕は誰も痛めつけていない」

オルモは反論する「地主はみなそう言う。犯罪者をかばい。コミュニストを投獄」

「ファシストは突然現れたか? いや 地主が種をまき育てあげたのだ」

「ファシストを使いカネ儲け、儲けたカネで戦争を始め、俺たちを送り込んだ。アフリカ ロシア・・・」

「地主は死刑だ」と農民たち
オルモは宣言する「人民の声だ お前は死刑だ」

そして続ける「皆喜べ 地主は死んだ 地主はもういない 」
「疲れた」と座り込むアルフレード

わけが分からない様子の農民たち。なかの一人が言う
「俺たちにとってはもう死人だ」

オルモも語る
「地主は死んだ しかしアルフレードを殺してはいけない」

「地主が死んだ生き証人だからだ」と農民の一人

そしてやってきた「国民解放委員会」に農民たちは武器をすべて差し出す・・・

 連合軍の進撃とパルチザンの蜂起で、4月25日、「共和国」は崩壊。ムッソリーニは、27日、拘束され、法的裏づけのない略式裁判を経て、パルチザンに射殺された。

 『1900年』の人民裁判描写については、公開当時、共産党から抗議があったという。

皆が去ったあと、アルフレードはオルモに言う
「地主は生きてるよ」

じゃれ合うようにやり合う2人

画面かわり「いま」の2人

やはりじゃれ合うように喧嘩をしている

そしてアルフレードは子供の頃やったのと同じように鉄道の線路に横たわる・・・

 製作当時の「いま」1976年のアルフレードとオルモの姿から、さらなる物語を期待する者は少なくなかった。

 「20世紀」(原題)と題する作品だけに、ベルトルッチ自身、たびたびその「第3部」について口にしていた。

 1981年、『ある愚か者の悲劇』(日本劇場未公開)を撮ったときも、そうした考えがあっての一作とも語っていた。正統な「第3部」への意欲については、その後もたびたび語っている。

 ナショナリズム、ポピュリズム、移民、テロ、EU・・・、いま、若い頃のベルトルッチだったら料理したであろう題材が山ほどある。

 ベルトルッチは『革命前夜』(1964)で、主人公に対し、「ロッセリーニなしでは生きられないぞ」と映画マニアに言わせた。

 今回、5回にわたってベルトルッチ作品をみていくなかで、ヴィスコンティ、オルミ、タヴィアーニ、フェリーニ、スコラ、ロージ、デ・シーカ、そして、ロッセリーニ、と、多くの「先輩」映画作家の助けを借りた。

 そうした今は亡きイタリアの巨匠たちに共通しているのは、「ネオレアリズモ」そのものでなくとも、自らの出自、経験をベースに、祖先の、故郷の、母国の、歴史を、文化を、深く探っていること。

 単なるドキュメンタリーとも、フィクションとも、ジャーナリズムとも違う「レアリズモ(リアリズム)」をもって。

 ヒロイズムや陳腐なエンターテインメントの虚飾を排し、性欲も愛欲も妬みも物欲も優越感も、欲にまみれた普通の人々の姿を、時代の空気そのものに、後世に伝えようという映画作家としての意志がある。

 そして、トルナトーレのような次の世代の作品にもその資質は受け継がれている。とは言えそのトルナトーレも既に60代。

 イタリア映画界の巨匠たちの功績に敬意を表するとともに、その遺産を受け継ぐ若い世代の次なる「不朽の名作」の出現を期待したい。

(本文おわり、次ページ以降は本文で紹介した映画についての紹介。映画の番号は第1回からの通し番号)

(1390) マレーナ (1391) 白い船 (1392) 炎の戦線
(1393) ひまわり (1394) コーザ・ノストラ (1395) 無防備都市
(1396) サン★ロレンツォの夜 (1397) 戦火のかなた
マレーナ
1390.マレーナ Malena 2000年イタリア映画

(監督)ジュゼッペ・トルナトーレ
(出演)モニカ・ベルッチ、ジュゼッペ・スルファーロ
(音楽)エンニオ・モリコーネ

 その魅力ゆえ、周囲の欲望と羨望に翻弄される女性マレーナへの少年の視線を通し、シチリアの第2次世界大戦期を描く『ニュー・シネマ・パラダイス』(1989)『海の上のピアニスト』(1999)などのジュゼッペ・トルナトーレ監督作。

 『007 スペクター』(2015)などのモニカ・ベルッチの出世作である。

白い船
1391.白い船 La nave bianca 1941年イタリア映画(日本劇場未公開)

(監督)ロベルト・ロッセリーニ

 第2次世界大戦に参戦したイタリアの地中海での海戦を映し出す戦意高揚映画として製作された、「病院船」を描くロベルト・ロッセリーニ監督の初監督作。

炎の戦線
1392.炎の戦線 エル・アラメイン El Alamein La linea del fuoco 2002年イタリア映画

(監督)エンツォ・モンテレオーネ
(出演)パオロ・ブリグリア、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、エミリオ・ソルフリツィ

 北アフリカ戦線激戦の前線エル・アラメインに新たに配属された学生志願兵の経験する戦争の苛酷な現実を描く異色の戦争映画。

ひまわり
1393.ひまわり I girasoli 1970年イタリア映画

(監督)ヴィットリオ・デ・シーカ
(出演)ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ、リュドミラ・サベーリエワ
(音楽)ヘンリー・マンシーニ

 第2次世界大戦中東部戦線で消息不明となった夫を探しスターリン後のソ連を訪れた女性と、生き延び現地で家庭を持っていた夫との物語を『昨日・今日・明日』(1963)『ああ結婚』(1964)同様、ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ主演、ヴィットリオ・デ・シーカ監督で描く戦争の悲劇。

 ヘンリー・マンシーニのテーマ曲が世界的にヒットした。

コーザ・ノストラ
1394.コーザ・ノストラ Lucky Luciano 1973年イタリア・フランス・米国映画

(監督)フランチェスコ・ロージ
(出演)ジャン・マリア・ヴォロンテ、ロッド・スタイガー
(音楽)ピエロ・ピッチオーニ

 巨大犯罪組織「コーザ・ノストラ」の最高幹部ラッキー・ルチアーノが、50年の禁固刑服役中、米国への戦争協力で、戦後、釈放「強制送還」されたイタリアで麻薬王となり、謎の死をとげるまでの半生を『荒野の用心棒』(1964)『死刑台のメロディ』(1971)などのジャン・マリア・ヴォロンテが演じる『シシリーの黒い霧』(1962)『黒い砂漠』(1972)の社会派フランチェスコ・ロージ監督作。

無防備都市
1395.無防備都市 Roma Citta aperta 1945年イタリア映画

(監督)ロベルト・ロッセリーニ
(出演)アルド・ファブリッツィ、アンナ・マニャーニ
(音楽)レンツォ・ロッセリーニ

 イタリア王国降伏後、ドイツに占領されたローマで繰り広げられるレジスタンス活動を、解放後すぐ映像化した「ネオレアリズモ」の記念碑的作品。アンナ・マニャーニの演技が絶賛された。

サン★ロレンツォの夜
1396.サン★ロレンツォの夜 La note de San Lorenzo 1982年イタリア映画

(監督)タヴィアーニ兄弟
(出演)オメロ・アントヌッティ、マルガリータ・ロサーノ
(音楽)ニコラ・ピオヴァーニ

 第2次世界大戦後期、内戦状態となったイタリア中部で、「解放者」米軍を探しに向かう人々の姿を自らの体験をベースに『父 パードレ・パドローネ』(1977)『カオス・シチリア物語』(1984)のタヴィアーニ兄弟が描くカンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ受賞作。

戦火のかなた
1397.戦火のかなた Paisa 1946年イタリア映画

(監督)ロベルト・ロッセリーニ
(出演)マリア・ミーキ、カルメラ・サツィオ
(音楽)レンツォ・ロッセリーニ

 第2次世界大戦後期、連合軍がシチリアに上陸し、ナポリ、ローマ、フィレンツェ、と、徐々に北上、解放に至るまでの人々の悲劇を6つのエピソードで描くネオレアリズモの代表作。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55393
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/402.html

[経世済民130] 日本の比ではない中国の少子高齢化問題の深刻度 間近に迫る人口マイナス成長期、新たな人権問題発生の懸念も 

日本の比ではない中国の少子高齢化問題の深刻度
間近に迫る人口マイナス成長期、新たな人権問題発生の懸念も
2019.2.7(木) 福島 香織
中国・上海の路上で早朝太極拳をする高齢者たち
(福島 香織:ジャーナリスト)

 2月5日は中国の春節(旧正月)だった。この春節をはさんだ40日の間に起きる大移動は延べ30億人、うち旅行に出かける人は4億人、海外旅行に出る中国人は700万人。この時期の中国人1人あたりの移動距離は410キロ。中国人全員の総移動距離は土星にまで行けるほどらしい。

 日本に旅行したいという中国人は多く、中国の大手旅行サイト「携程(シートリップ)」のアンケートでも日本はタイに次ぐ2位の人気である。日本で春節を迎える中国人のために、東京タワーは春節を祝う喜紅に染まり、日本の安倍晋三首相も中国語を交えた春節挨拶のビデオメッセージを訪日中の中国旅行者向けに発表した。これは日本に限ったことではなく、世界各国、どこでもかしこでも中国人向け春節イベントが行われている。大晦日にあたる除夕(2月4日)には、中国版紅白歌合戦的な恒例テレビ番組「春節聯歓晩会」がネット上で同時配信される。世界中どこでも中国人は春節を過ごせるというわけだ。

 それだけ中国人が世界中にあふれているということで、中国人口がいかに多いか、そして、経済的に豊かになってくると(たとえ豊かになっていなくても)彼らはまず海外に出ようとする「拡張」的気質が根っこにあるのだな、というのを実感させられるのが、やはりこの時期である。

労働人口が初めて減少
 だが、「人口が多い」というイメージがずっと根付いている中国で、今年に入ってから人口減少が深刻な問題として強く認識され始めた。

 1月21日、国家統計局から2018年の人口動態統計が発表された。それによると、2018年末の総人口は13.95億人。2018年の出生人口は1523万人で2017年の1723万人より約200万人減少。2016年が1786万人だったので、2年連続減少ということになる。

 自然出生率は10.8%、死亡数は993万人で7.13%、530万人の人口増で人口増加率は3.81%。出生率と人口増加率は建国1949年以来最低だと中国メディアは報じている。

 2015年に一人っ子政策から二人っ子政策に人口抑制政策を転換させたとき、当局はベビーラッシュが起きると期待して年間2082万人の出生数予測を発表していたが、それよりも500万人以上も少なかった。当局はこれまで2020年の人口予測を14.2億人と試算していたが、これよりも少なくなる可能性が濃厚だ。

 労働人口(16歳から59歳)は8億9729万人で総人口の64.3%。2017年末より470万人減であり、労働人口が初めて減少に転じた。

 また、60歳以上の人口は2億4949万人で17.9%、前年末より859万人増、65歳以上の人口は1億6658万人で11.9%、827万人増。高齢者の比重はそれぞれ60歳以上0.6%、65歳以上0.5%増で高齢化が一層進んだといえる。ちなみに就業人口は7億7586万人。前年比100万人近くの減少である。

 国家統計局局長記者会見では「労働人口が9億人もいて就業人口が7億人以上いて、高等教育を受けている人間が1.7億人もいて、毎年大卒が800万人もいるのだから、人口ボーナスは存在する!」と強調していたが、人口ピラミッドがいびつな形になっていることは一目瞭然だ(ちなみに就業人口7.7億人のうち、「農民工」と呼ばれる農村戸籍の出稼ぎ者が2.88億人を占め、農民工のうち1億人が都市定住型農民工で都市の低層の仕事に就いて、都市生活者のためのサービスやインフラを支えている)。

高齢女性が増え、出産可能な女性は減少
 さらにいびつなのは、性別のバランスだ。男性が7億1351万人、女性が6億8187万人で男性が3164万人多い。

 このバランス比が一番悪かったのは2006年でその差4008万人であったから、多少は是正されたとはいえ、男女出生比率は2017年で依然111.9(女児を100とした男児の出生数)で、国際平均水準104〜107を大幅に上回ることを考えれば、まだまだ深刻な問題だ。

 しかも、女性の寿命が比較的長いのに、今後結婚適齢期、出産適齢期に入る「00后」と呼ばれる2000〜2010年代生まれの世代(1.46億人)の男女出生比が118.9、今年10歳を迎える2009年の男女出生比率は121.6。農村になるほど、この男女差は大きく、男女出生比率150を超える地域もざらにある、と指摘されている。

 つまり、全体でいえば高齢女性が増え、出産可能な女性は今後減り続ける。今後の若者の結婚問題、出産問題をめぐる環境がどれほど深刻かもわかるだろう。

 一人っ子政策を撤廃しても人口増に転じないのは、教育費に金がかかるなど若い夫婦の経済状況がネックになっている面も大きいが、なにより大きいのは、結婚できない男性が増え、出産可能な女性の数が急激に減り、しかも彼らのマッチングがなかなかうまくいっていないことだ。都市の方が女性は多いが、都市生まれ・都市育ちの女性は農村男性と結婚したがらない。自然、農村で一生結婚しない男性が増えていく。農村人口が近いうちに急減期も入る可能性があり、そうなると農業崩壊による食糧自給減や低賃金で都市インフラを支える低層の労働者不足といった経済の問題も顕在化してくるとみられている。

 ちなみに結婚適齢期にあって結婚していない人口は2015年の統計で2億人。1990年で独身率6%であったが2013年にはそれが14.6%に上昇、今はさらに上昇していると見られている。

人口のマイナス成長はいつ始まるのか
 中国は建国以来、ずっと人口膨張の方をおそれていた。人口が増えれば、誰がその膨大な中国人を養っていくのか、と。

 2006年、一部の人口学者たちが少子高齢化に警鐘を鳴らし始めたときですら、党中央政治局では「今後十数年、人口増加の趨勢が依然強く続き、毎年800万〜1000万人ペースで人口が増えていくであろう」と強い警告が出されていた。党中央が人口増加をおそれ一人っ子政策に固執したのは、人口抑制政策を実行するために設けられた計画出産委員会に属する多数の公務員・官僚たちが、自分たちの利権を守るために、人口学者たちの忠告を無視していたから、という指摘もある。当時、「超生」(一人っ子政策に違反して多く子供を産むこと)の罰金の多くが使途不明になっており、地元役人や官僚たちのポケットに入っていたと見られている。

 2015年に一人っ子政策を撤廃したのは、失政の多いといわれる習近平政権による数少ない英断だと言われているが、それはすでに遅すぎたということかもしれない。

 国家統計局の公式発表前に、社会科学院人口研究所が「人口・労働緑皮書」というリポートを発表しているのだが、それによれば現行の出生率、1人の女性が生む子供の平均数が1.6というレベルのままであれば、人口のマイナス成長は2027年に始まるという。しかも現行の出生率1.6を維持するのは実はすでに困難で、出生率は今後1.2あたりにまで下がるという予測がある。また、著名な人口学者、黄文政は「もし、ここ数年の人口動態データが正確であるならば、2023年、あるいは2024年頃にも人口マイナス成長期に突入する」と21世紀経済報道紙のインタビューに答えている。

 ちなみに、ウイスコンシン大学マジソン校の易富賢教授によると、中国政府が公表している出生率1.6人という数字自体がすでに間違っているという。易教授は、正確な計算をすると2010〜2018年の平均出生率は1.18人であり、政府は一人っ子政策の弊害を隠蔽するためにデータを隠蔽している、と指摘している。

 いずれにしろ、2016年に出ている国務院報告では、人口マイナス成長期への転換は2030年と予測され、ピークは14.5億人ということだが、それよりはるかに前倒しになったということになる。2017年に出された国連の世界人口展望では9の違う推計値が紹介されており、中国の人口ピークは最も早い予測では2021年、最も遅い予測では2044年、その他7の推計値が2032年である。国家統計局の強がり発言とは裏腹に、党内での人口問題に対する危機感は相当深刻だと推察される。

対応を迫られる切実な「養老」問題
 人口減少に伴う労働力減少への対策については、当面は日本のように定年年齢を65歳にまで伸ばしたり(中国の定年は55〜60歳)、高齢者の労働力活用や、AI活用によってカバーできるのだ、という声が聞かれる。だが、根本的な問題は、今後の高齢社会を支えられるほど経済が成熟していない、という点にある。

 中国の経済成長率が6.6%という数字が幻想であることはすでに内外に知れわたっており、実際はそれより5%以上差し引くのが妥当だとみられている。しかも、1人あたりGDPはまだ1万ドル(日本は3.8万ドル)。2020年にようやく小康社会(そこそこゆとりある社会)が実現するとみられていたが、その前に、労働量減速期、少子高齢化社会に入ってしまったので、切実な「養老」問題が突出してくることは疑いない。すでに、老人虐待、老人遺棄の事件が少なからず報じられ、高齢化社会の問題として対応が迫られている。

 例えば80歳になる病身の父親の介護を放棄し昨年5月に実家で孤独死させたとして、その息子および娘5人に対して四川省の平武県人民法院は昨年秋、1年6カ月から2年の懲役刑の判決を出した。子供全員が出稼ぎに出ており、父親に対してたまに見舞いにいくくらいであった。村民委員会が子供たちに連絡しても彼らはお互いに責任を擦り付けているだけで、態度は劣悪だったとして、厳しい判決が出された。

 中国では毎年50万人以上の高齢者が失踪していることが2016年に民政部中民社会研究所のリポートで指摘されているが、多くが家に戻ることがない。失踪の理由は認知症などによる徘徊などだが、これに家族が本気で探さないケース、わざとどこかに打ち捨てて、失踪とするケースもある。地方政府運営の養老院の前に、老親を置いていくケースなども報告されているし、養老院に入った後、家族が費用を払わず、養老院サイドが食事や医療などのケアを放棄して死亡させた場合、責任の所在がどこにあるかが争われる裁判もあった。若い家族が全員出稼ぎに出て、老人ばかりが取り残されている老人村の存在も目立ち始めている。

 中国の法律では親の子供の扶養義務と同様に、子供の親に対する扶養義務が生じるので、介護放棄などは刑事罰の対象となるのだが、実際のところ農村の出稼ぎ者がたとえ4〜5人集まっても、老親を介護する余裕があるかどうかというのは難しい。ましてや一人っ子世代になると、この介護の重荷は1人の子供に2人分かかってくる。

 しかも、農村部ではほとんど社会保障制度の支援がない状況だ。2013年に老年人権益保障法が施行され、家族が高齢者の面倒をみることを義務とすると同時に、高齢者介護のために休暇をとることを合法的な権利と認めるようになった。だが、実はこれは高齢者問題を本質的に解決する方法ではない。政府は、子供が親の面倒を見ないのは中国の伝統に反するという価値観をもとに、高齢者扶養の問題のほとんどすべてを家族に負わせる一方で、長年かけて中国の最大のセーフティネットである大家族制を破壊した。そうであるならば、ここに生じる矛盾のつけを払うのは本来、政府、共産党政権であろう。だが、地方政府の隠れ債務はすでに40兆元を超えるとも言われ、沈没寸前。今後予想される労働人口減による経済低迷、社会不安の中で、高齢者への社会保障整備が充実されていくという期待も少ない。

 そこで私がひそかに懸念するのが、新たな人権問題の発生である。一部都市では2人以上の子供を産んだ夫婦に対して奨励金を出す人口増加政策をすでに実施しているが、これがやがて、子供を産まない女性や1人しか産まない女性に対する罰金に代わっていくのではないだろうか、とか。あるいは老人の迫害が容認されるような時代になっていくのではないだろうか、とか。すでに民族弾圧、宗教弾圧、言論弾圧など党主導の組織的な深刻な人権問題が起きているのだが、そこに老人や女性の尊厳をさらに無視するような政策的管理を加えることに、いざとなれば何の躊躇もないかもしれない。そんなふうに考えると、日本の少子高齢化問題の方がまだ明るい解決法が探れる気がする。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55421
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/877.html

[経世済民130] 中国の技術は脅威かファーウェイの扱い方 中国が南シナ海・人工島基地に設置する「人間の盾」困難になりつつある人工島攻撃
中国の技術は脅威かファーウェイの扱い方


証拠もなく禁止するのは危険、国際貿易体制の分裂も
2019.2.7(木) The Economist
 
アクセスランキング
1時間昨日
rank-sns
1「甲子園批判」DeNA筒香の正論を朝日はどう聞く
[大西 康之]2019.2.7
2絶体絶命のファーウェイ、西側世界が忌み嫌う理由
[福島 香織]2019.1.31
3日本の比ではない中国の少子高齢化問題の深刻度
[福島 香織]2019.2.7
4中国が南シナ海・人工島基地に設置する「人間の盾」
[北村 淳]2019.2.7
5レーダー照射:韓国の強気の背景に軍事力
[矢野 義昭]2019.2.4
6中国の技術は脅威か、ファーウェイの扱い方
[The Economist]2019.2.7
7中国人大学生の憧れと立ちはだかる無情な現実
[宮田 将士]2019.2.6
8実情を知って! 保育園を利用できない農家の声
[篠原 信]2019.2.7
9テレビの「田舎暮らし」礼賛を真に受けてはいけない
[筆坂 秀世]2018.10.9
10ファーウェイが開発した5G半導体、製造可能なのか?
[湯之上 隆]2019.2.4
ランキング一覧

(英エコノミスト誌 2019年2月2日号)

ファーウェイへの警戒感、北欧でも ノルウェー、中国政府とのつながりに警告
中国の通信機器大手、華為技術のロゴ。北京で(2019年1月29日撮影)。(c)WANG Zhao / AFP〔AFPBB News〕

中国の最有力企業の1社が西側で活動できないようにすることは、最後の手段であるべきだ。

 1月28日、中国の劉鶴副首相は米中貿易戦争を鎮める協議に臨む構えでワシントンに到着した。そこで待ち受けていたのは、地政学的な大騒動だった。

 米司法省はその日、制裁違反、企業秘密の窃盗、司法妨害を含む23件の犯罪について中国最大企業の一角を成す華為技術(ファーウェイ)を起訴した。

 米国の政府高官らは、同社が近代社会を支える通信網を構築していることから、ファーウェイを国家安全保障に対する脅威として受け止めている考えもはっきりさせた。

 ファーウェイ製品を使っている世界170ほどの国・地域はこれから、同社と取引することが安全かどうか判断しなければならない。

 その決断は難しい。なぜならファーウェイの顔は1つではないからだ。

 1つ目は無害だ。中国で最も成功しているグローバル企業の顔がそれだ。

 同社は昨年、1100億ドルの売り上げを計上し、2億台のスマートフォンを出荷した。1500を数える通信網を構築し、地球の人口の3分の1が利用している。

次ページ ファーウェイの2つ目の顔は、検察当局に言…
1 2 3 4 5 next
[あわせてお読みください]
絶体絶命のファーウェイ、西側世界が忌み嫌う理由 (2019.1.31 福島 香織)
ファーウェイが開発した5G半導体、製造可能なのか? (2019.2.4 湯之上 隆)
アップル業績下方修正の要因は製品戦略の判断ミス? (2019.1.8 小久保 重信)
オーストラリアが太平洋で中国と勢力争い (2019.1.24 The Economist)
英国の危機、すべての混乱の母なるブレグジット (2019.1.22 The Economist)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55413


 
中国が南シナ海・人工島基地に設置する「人間の盾」
困難になりつつある人工島への攻撃
2019.2.7(木) 北村 淳
中国、南沙に近くミサイル配備可能に シンクタンク「設備の完工間際」
フィリピン軍が公開した、南シナ海・ファイアリークロス礁に停泊する中国漁船(2012年7月17日撮影、資料写真)。この後、ファイアリークロス礁には、灯台をはじめとする様々な施設が建設された。(c)AFP/WESTCOM〔AFPBB News〕

 中国政府(中国交通運輸部)は、南沙諸島に中国が誕生させた人工島の1つであるファイアリークロス礁に「海上救助センター」を開設した。これによって南シナ海の海上交通の安全がより一層促進されると、中国当局は宣伝している。

純然たる軍事基地島は危険
 もともとは暗礁とも言える無人の環礁を埋め立てて造り出された7つの人工島は、今や中国の前進軍事拠点と化している。当然のことながら一般住民は居住していない。軍関係者それに軍事施設をはじめとする建設関係者や施設運用者だけが滞在している。

 もし、それらの人工島を完全な軍事基地としてしまった場合、つまり、軍事施設が完成して建設関係者たちが引き上げた場合、7つの人工島には原則として軍関係者だけが滞在していることになる。

 そのような状況は、中国側にとっては極めて不都合であり、反対に、中国の南シナ海軍事化に異を唱えているアメリカ側にとっては好都合である。

 なぜならば、軍関係者だけが存在する純然たる軍事施設ならば、さすがに核搭載兵器を用いるわけにはいかないが、ミサイルや精密誘導爆弾それに強力な地中貫通爆弾などを人工島群に降り注いで壊滅させてしまうことが可能だからだ。

 もちろん中国側としては、原爆を2回も使用したこともあるアメリカがいざとなれば人工島を消滅させてしまうであろうことは百も承知だ。そのため中国は、南沙諸島の7つの人工島を純然たる軍事基地としておかずに、アメリカ軍がミサイルや誘導爆弾を雨霰と降り注ぐことができないようにするための手を打っているのである。

【第1ステップ】巨大灯台の建設
 その第一歩は人工島への灯台の建設であった。

 灯台といっても、尖閣諸島に日本の民間団体が設置した灯台のような簡易灯台ではなく、永久建造物の本格的な灯台だ(尖閣諸島の灯台は堅固な永久建造物ではないアルミ製櫓型の超小型無人灯台である。現在は海上保安庁が管理している)。

 ファイアリークロス礁、ジョンソンサウス礁、クアテロン礁、スービ礁そしてミスチーフ礁に建設された5つの灯台は、中国交通運輸部が運用し“南シナ海の海上交通の安全に寄与している”。ちなみにジョンソンサウス礁に建設された灯台は高さ50メートル、スービ礁の灯台は高さ55メートルの巨大灯台である(下の図)。

中国が南沙人工島に設置した5つの灯台
【第2ステップ】気象観測所の開設
 そして灯台建設に引き続く第2の方策が、海洋気象観測所の設置である。

 昨年(2018年)11月、中国政府は、南沙諸島の人工島であるファイアリークロス礁、スービ礁、ミスチーフ礁に海洋気象観測所を開設した。それぞれの観測所には高空気象観測施設や気象レーダーなども設置されており、南シナ海の様々な気象データ、予報、そして警報をリアルタイムで提供できる態勢が確保された。

国家海洋局南海分局が報じるスービ礁(渚碧礁)周辺の気象情報
拡大画像表示
 中国当局によれば、このような南シナ海の海洋気象情報を国際社会に提供するのは、中国政府の義務であり、これらのデータを提供することにより、南シナ海の海上交通、漁業、そして海難救助などの安全が促進される、ということである。

【第3ステップ】海難救助体制の確立
 海洋気象観測所の次は海難救助施設の設置である。

 すでに昨年夏から、中国交通運輸部 南海救助局は南沙諸島に海難救助船「南海救115」を派遣して、当該海域での海難救助活動を開始している。引き続き「南海救117」も増派して、中国自ら主張する「主権国ならば義務と言える、支配権を及ぼしている海域での救難活動」の態勢を維持していることをアピールしていた。実際に、これまでにそれらの救助船によって16名の命が救われているとのことである。

南海救117(写真:中国交通運輸部)
 また、交通運輸部は南沙諸島に救助船を常駐させたのに引き続いて、ファイアリークロス礁に海難救援施設を設置した。

 名称は「海上救助センター」といい、救難隊員たちが常駐する。さらにファイアリークロス礁には軍用滑走路や大型艦も使用できる港湾施設が建設されているため、南海救助局の海難救助船だけでなく海警局の巡視船や各種ヘリコプター、それに場合によっては海軍哨戒機などを投入しての大規模な海難捜索救援活動が行える体裁が整った。

困難になりつつある人工島への攻撃
 3000メートル級滑走路や軍用機の格納施設、それに大型軍艦や輸送船も接岸できる港湾設備まで整った“立派”な軍事基地のある人工島に、本格的な灯台施設や海洋気象観測所といった非軍事的民生施設を併設させれば、非戦闘員である灯台管理運用要員や気象観測員や海難救助隊員、それに場合によってはその家族たちなどが居住することになる。そして、海洋のまっただ中に浮かぶ観測施設という科学的に貴重な場所柄、民間の研究者などが滞在する可能性も高い。

 狭小な人工島に、航空施設、港湾施設、各種レーダーやミサイルシステムなどの軍事施設と、民間人が居住する非軍事的民生施設が混在している以上、アメリカ軍はむやみに攻撃するわけにはいかない。たとえば軍用レーダー装置だけを破壊するために巡航ミサイルを発射したとしても、中国はもとより国際社会から非難が湧き上がる可能性が高い。

 このように、いくら命中精度の高い巡航ミサイルや誘導爆弾を保有しているアメリカ軍でも、攻撃することは至難の業である。

次はレジャー施設か?
 中国は南沙人工島軍事基地群に灯台や気象観測施設、そして海難救援施設も誕生させ、軍事施設と民生施設と混在させる「非戦闘員という人間の盾」を手にしてしまう計画を着実に進展させている。

 次の一手は、漁業関連施設、海洋研究施設、それに人工ビーチやリゾートホテルなどを含む観光施設の設置かもしれない(すでにクルーズ船が南沙諸島周遊をする計画が存在する)。それによって、軍事施設を軍事攻撃から防御するためのより強力な「民間人という人間の盾」を手に入れ、米軍による南沙諸島軍事基地群に対する攻撃を不可能な状況に近づけるのだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55410
 


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/878.html

[政治・選挙・NHK257] 平成の敗北日本 イノベーションの風を読む 敗北したのは財界と政治

平成の敗北日本

2019/02/07

イノベーションの風を読む

川手恭輔 (コンセプトデザイン・サイエンティスト)

 世界の株式市場が不安定になってきています。これまでアメリカの株高を牽引してきたGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などが成長力を失ってしまったのではないかという不安が広まり、昨年の夏を過ぎてから主要なIT株が軒並み下落傾向にあります。

 いわゆる「弱気相場入り」し、当面の間は株価上昇が期待できないのではという観測もあります。さらに、米中貿易摩擦による景気減速の懸念に加え、トランプ米大統領の政権運営の不安定さが投資家の動揺を招いています。一般的に株価は半年から一年先の景気の先行指標であると言われていますので、今後の景気の悪化を暗示しているように思います。

 トランプ大統領が掲げるアメリカ第一主義の政策は、一時的に米国を豊かにするかもしれませんが、貿易の自由化に逆行する関税引き上げは米国の市場の魅力をそぎ、中国との報復関税合戦はお互いの輸出を制限することになります。これらは世界経済に深刻な影響を及ぼし、結果的には米国の景気も悪化するのではないでしょうか。当然、日本の景気も深刻な風邪をひくことは避けられません。

 リーマンショックという誰も予測できなかった衝撃によって、世界的な景気の低迷や円高などが引き起こされ、グローバルな競争力を失ったパソコンやテレビ事業などの業績悪化によって経営不振に陥った日本のコンシューマエレクトロニクス産業は、事業の売却や撤退、そして大規模な人員削減などのリストラを繰り返した結果、ようやく回復の兆しが見え始めました。しかし、次の予測不能な衝撃への備えはできたのでしょうか。


(wenmei Zhou/Gettyimages)

敗北したのは財界と政治

 「平成の30年間、日本は敗北の時代だった」。経済同友会代表幹事の小林喜光氏が、1月30日の朝日新聞朝刊のインタビューで、アベノミクスはそれ自体が成長の戦略だったわけではなく、なにか独創的な技術や産業を生み出すための時間稼ぎに過ぎなかったと話していました。そして、皆で楽しく生きていきましょうという空気で取り巻かれた日本の国民や政治家は敗北を自覚せずに、顕著な結果を生み出すことができないまま新陳代謝を怠った時代だったと平成を総括しました。

 「しかし、アベノミクスに小林さんを含め財界も手をさしのべました。結果的に時間稼ぎに加担した責任は軽くないでしょう」と問われた小林氏は、「ネット社会のいまは、財界トップと言っても、持っている情報が一般の社員に比べて特段に優れているわけでもないから、社会的地位も特段に高いわけでもない。そうした状況で、官邸一体体制の中、経済財政諮問会議や未来投資会議など政府の意思決定過程に組み込まれてしまえば、できることもたかがしれている」と弁明しました。

 日本の国民や政治家は敗北を自覚していなかったのでしょうか。もし自覚したとして、そこから何かが生まれたのでしょうか。小林氏の言うように、戦後の日本の経済発展の時代に、経営者として社会に強く関わって変革していこうという意思と矜持を持った財界人が数多くいたことは確かですが、独創的な製品や産業を生み出してきたのは(少なくともその時点では)財界人ではなかったと思います。

 「カメラはピーク時から80%減少しましたが、まだ落ち込むでしょう。コンシューマやハイアマチュア向け市場の部分がどれほど残るかは、見えない。確実に残るプロ市場以外は、10年後などの将来には素人向けのカメラ市場は消滅し全部スマートフォンに置き換わる可能性も高いと思っています」

 こちらは、週刊ダイヤモンド新年合併特大号に掲載された、キヤノンの会長兼CEO・御手洗冨士夫氏の言葉です。フィルム時代からカメラの盟主であったキヤノンのトップが、コンシューマ向けのデジタルカメラの市場がスマートフォンによって消滅するだろうと敗北を認めたのです。

 キヤノンに限らず、これまでコンシューマ向けの製品をつくってきた日本の製造業は、独創的な製品や産業を生み出すためのチャレンジを諦めて、デバイス事業やBtoBのビジネスへのシフトを始めています。少なくとも、日本のコンシューマエレクトロニクス産業は敗北を自覚していなかったということはないでしょう。米国のソフトウェアとインターネットを基盤とした新しいビジネス、中国や台湾や韓国などのIT系の製造業に敗北したことを随分前から自覚しているはずです。自覚していても、なす術がなかったと観るべきではないでしょうか。

 小林氏は、世の中を動かすために財界人だけで群れて固まらず、学会や知識人、若い人たちも含めた幅広い団体、いわば知的NPOを作って意見を交わし、社会に問いかけ、政治に注文することが必要だと解いています。財界人は政府の意思決定過程に組み込まれるのではなく、学会や知識人や若い人たちと一緒になって社会や政治を動かすべきだと言うのです。

 私はこの意見に反対です。「若い人」がどのような人を指しているのかはわかりませんが、財界も学会も政府も、そして知識人もイノベーションの主役ではありません。それ以外の人たちがイノベーションを起こしてきました。財界や政府は余計なことをして、その邪魔をしなければ良いのです。敗北したのは国民ではなく、財界と政府なのではないでしょうか。

ソフトウェアの血

 米国という明確な目標があって、その目標に追いつき追い越すことに成功した日本の製造業は、かなり保守的になっていて「モノづくり」という成功体験から離れることができないようです。すでにコンシューマ向けの製品の競争のパラダイムは、生産の力からソフトウェアの力にシフトしています。しかし、これまでハードウェアの価値の向上に集中してきた製造業は、ソフトウェアの重要性を理解できないまま投資を怠ってきました。

 世界の企業の時価総額のランキングにモノづくりの企業はほとんどなく、日本企業ではトヨタ自動車が四十数位に入っているだけだと、小林氏も指摘しています。その自動車産業も、電動化という大きな変革期に差し掛かっています。

 電動化によって、日本の自動車メーカーが競争優位を確立してきたエンジンの代わりにモーター、インバーター、バッテリーが駆動のプラットフォームになり、これまでの部品の多くが不要になって部品点数も大幅に少なくなります。自動車のバリューチェーンが短縮化され大きく変化することになります。トヨタにとって、それがジレンマであるだけでなく、テスラを見ればわかるように電気自動車はソフトウェアとの親和性が高く、その重要度が増すという驚異でもあります。

 自動車産業の競争のパラダイムは、自動技術や、シェアリングなどのサービスのためのクラウドシステムやスマホアプリといった幅広いソフトウェアの力に移りつつあります。デジタルカメラは、非常に小さなカメラモジュールというハードウェアのスマートフォンに敗北しましたが、画像処理のAIやクラウドの写真共有サービスといったソフトウェアの力に屈したのです。

 成功した企業はイノベーションのジレンマに陥り、自らを変革することができません。株主優先の古い米国式経営を手本とし、目先の利益と効率を追求してきた経営者は、無駄と一緒にイノベーションの芽を摘み取ってしまっただけでなく、その人材を潰してきました。組織の中で人材は熱意を失い、あるいは流出してしまっています。

 「劣化は老いから始まったと思います。考えない。新しいものに果敢に挑み、切り開くエネルギーも枯渇してきました」という小林氏の言葉には、多くの人が賛同すると思います。老いた日本の製造業には、ソフトウェアの血を輸血する必要があります。しかし、その製品事業をソフトウェアの力でどのように変革するかという具体的な方向性を示すことができる人が企業の意思決定に参画していなければ、ソフトウェアエンジニアを大量に採用したり、ソフトウェアのベンチャー企業を買収したりしても、流血がさらに酷くなるだけです。

日本経済の新陳代謝

 米国も中国も、経済は若い企業が牽引しています。米国では戦後の資本主義経済の浮き沈みのなかで、人材や資本の流動性が生まれ、経済の新陳代謝が可能になりました。新しい企業が生まれる中国の都市は、まるで戦後の日本のような熱気に満ちています。その時代の日本で生まれたソニー(1946年)もホンダ(1948年)も、すでに創業70年を超えています。ひとつの企業ではなく、日本経済全体の新陳代謝が必要な時期にきているのです。

 平成の次の時代には、次の予測不能な衝撃をきっかけに、老いて陳腐化した企業が淘汰され、新卒一括の採用や終身雇用などの制度が崩壊して人材の流動性が高まり、混沌とした政治や経済のなかで様々な規制や障壁が撤廃され、独創的な製品や産業を生み出すためのエネルギーが復活する。日本経済の新陳代謝は、そんな筋書きによってしか進まないのかもしれません。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15273
http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/272.html

[経世済民130] 強い米経済指標に垣間見る弱さ、ドル上振れは一時的か 米議員の自社株買い規制案、なぜ的外れか
為替フォーラム2019年2月7日 / 18:07 / 8時間前更新

強い米経済指標に垣間見る弱さ、ドル上振れは一時的か

大和証券 チーフ為替アナリスト 亀岡裕次
4 分で読む

[東京 7日] - 2月に入って発表された米国の経済指標は市場が予想していた以上に強く、米金利は反発、ドル/円も一時110円台に乗せた。ただ、表面上は強さを示しながらも弱さが垣間見え、改善の持続性には疑問が残る。米経済の先行きを楽観視し、今後も米金利とドル/円が上昇傾向を維持すると考えるのは早計かもしれない。

<フルタイムの失業率は増加>

1月米雇用統計は非農業部門の雇用者数が前月比で30万4000人増となり、16万5000人増を予想していた市場にはポジティブサプライズとなった。過去12カ月間の月平均23万4000人増、6カ月間の月平均23万2000人増、3カ月間の月平均24万1000人増を上回る水準だ。

ただ、同じ事業所調査の中にある民間雇用者の平均時給は、市場予想の前月比0.3%増に対して0.1%増にとどまった。過去にも雇用の増加が拡大した月に平均時給の伸びが鈍化したケースがある。こうした場合はパートタイム労働者の雇用拡大が影響した可能性が高い。その翌月には逆に雇用増加が鈍化する一方で、平均時給の伸びが加速することがよくある。時給の低いパートタイム労働者の雇用が鈍化した結果と読み取れる。

事業所調査と対になる家計調査は、失業者数が24万1000人増加し、失業率は前月の3.9%から4.0%へ上昇した。フルタイム労働者の失業率が3.7%から4.0%へ上昇したのに対し、パートタイム労働者の失業率は4.8%から4.2%へ低下した。一時帰休者も求職すれば失業者にカウントされるため、政府閉鎖でアルバイトを探す職員がいたことが、フルタイム労働者の失業率を悪化させた一因となった可能性がある。

転職のために職を探したり、育児などから復帰して再び就職を目指す「自発的失業者」が減少する一方で、企業側の事情で「レイオフ(一時解雇)」された非自発的失業者が増加した。また、業務縮小などを理由にフルタイム労働者をパートタイムに切り替える企業も増えた。

こうした非自発的なパートタイム就業者も失業者とカウントする広義の失業率は、前月の7.6%から8.1%へ上昇している。なお、週間新規失業保険申請件数は、1月第4週には25万3000件へと前週比5万3000件急増し、2017年9月以来の高水準となった。

広義の失業者の増加が政府機関閉鎖の影響を反映した面が大きいなら、閉鎖解除で今後失業は減るはずだ。一方、民間企業の動向を反映した面が大きいなら、雇用鈍化の兆しと言えるだろう。会社業績の理由でフルタイム就業者に比べてパートタイム就業者が増えたのであれば、今後の景気拡大を見込んだ力強い雇用状況とは言い難い。

また、政府機関閉鎖による一時帰休者は、事業所調査で政府部門の雇用者にカウントされる一方、その一部が経済的理由からアルバイトをすることで民間部門の雇用者にもダブルカウントされ、1月の非農業部門雇用者数をかさ上げした可能性もある。その場合、一時帰休が終わると、失業者数が減る要因となる一方、民間部門の雇用者数が減る要因にもなり得る。

今後も米国で高水準の雇用増が続くと楽観視することは、リスクが大きいのではないか。

<在庫は増加傾向、受注残は横ばい>

米供給管理協会(ISM)が1日発表した1月の製造業景況指数(PMI)も、市場にとってポジティブサプライズだった。2018年12月の54.3から56.6へ上昇し、市場予想の54.2を上回った。PMIを構成する5項目のうち、新規受注と生産が大幅に上昇し、在庫も小幅上昇したためだ。年初に予定されていた米国の対中関税引き上げが3月初めまで保留されたことがプラスの影響を与え、12月と比べた改善の一因になったと思われる。

しかし、在庫が増加した企業の割合が上昇したこと、さらに受注残が横ばいに近いことから、需要がさほど強くはないことがうかがえる。新規輸出受注が増加した企業の割合は低下し、引き続き海外経済の減速やドル高を背景に輸出環境が厳しいことを示した。輸出鈍化は景況感の悪化につながりやすいと言える。

5つの主要地区連銀が発表した1月製造業PMIも、12月に比べて改善したものが4つ、悪化したものが1つだったことから、ISMのPMIが改善したのも不思議ではない。一方で、シカゴ購買部協会が発表した製造業PMIは大幅に悪化した。

これら6つの指数により過去5年間のISM製造業PMIを回帰分析すると、実績値が推計誤差の上下2標準偏差のレンジに収まるケースがほとんどだが、1月の実績値はレンジを上回った。これは1月の数値が非常に強かったことを示しており、経済環境が大きく好転しない限り、2月のPMIは低下する確率が高いと言える。米製造業の景況感改善が持続的なものと楽観視するのも、リスクが大きいのではないだろうか。

<ドル/円反落に要注意>

ここまで、強い指標の中にある弱い部分を見てきたが、そもそも弱さを示した統計もある。その1つが消費者信頼感指数で、1月はミシガン大学の指数が2年3カ月ぶり、コンファレンス・ボードの指数が1年7カ月ぶりの水準まで低下した。先行きの期待指数だけでなく、現況指数も低下に転じており、消費者マインドは悪化方向にある。2018年10―12月に下落した米株価が2019年に入って反発する中でも、マインドには改善が見られていない。

消費者マインドの悪化を反映するように、米国の1月自動車販売台数は年率1670万台(季節調整済み)と、12月の1755万台から急減した。2016年以降は1670万台前後をボトムに推移してきただけに、さらに販売台数が減るようだと、個人消費が減速に転じた可能性が高まってくる。

消費関連を中心に、米経済の鈍化を示唆するこうした動きは少なくない。最大の需要項目である個人消費が減速すれば、米経済に与えるマイナス効果は大きい。住宅ローン金利が低下したことを受け、借り入れ需要には回復の兆しもあるが、景気や家計収入の見通し悪化が住宅投資を抑制することも考えられる。

予想外に強い結果を示した米国の経済統計が、2月以降は予想外のネガティブサプライズとなり、米金利とドル/円が反落するリスクには注意が必要だ。

(本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

亀岡裕次氏(写真は筆者提供)
*亀岡裕次氏は、大和証券の金融市場調査部部長・チーフ為替アナリスト。東京工業大学大学院修士課程修了後、大和証券に入社し、大和総研や大和証券キャピタル・マーケッツを経て、2012年4月より現職。

(編集:久保信博)
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-econdata-yuji-kameoka-idJPKCN1PW0RS

 
コラム2019年2月7日 / 11:12 / 7時間前更新

米議員の自社株買い規制案、なぜ的外れか
Richard Beales
2 分で読む

[ニューヨーク 5日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 自社株買いは確かに疑念の残る習慣だが、チャック・シューマー、バーニー・サンダース両上院議員による攻撃は的外れだ。

2人のベテラン議員は、企業が最低賃金や一定水準の手当、年金を保証するまで、自社株の買い入れを禁止することを提案している。自社株買いは投資を枯渇させるというのだ。

両議員が3日付の米紙ニューヨーク・タイムズで展開したこうした主張は、米金融大手ゴールドマン・サックス(GS.N)前最高経営責任者(CEO)のロイド・ブランクファイン氏から5日に反論するツイートを招いただけかもしれない。

それでも、両議員は間違っている。

S&P総合500種の構成企業は過去10年で、計4兆ドル(約439兆円)を超える自社株買いを行った。これは配当金の支払い額よりも多い。だが、官民問わずすべての企業が習慣的に自社株を買っているわけでも、すべてが株を発行しているわけでもない。

なぜ自社株買いを狙い撃ちするのか。

最低賃金を引き上げたいなら、議員らは直接それを法制化できる。医療の最低基準を改善したいなら、雇用主に頼る制度ではなく、連邦レベルで、国民全員が利用できるより包括的かつ効果的な医療制度を目指すこともできるだろう。

企業に短期的な株主価値を超えた思考を望むのであれば、それは難しい。だが、政治家には税法など手段がある。それを使って投資を促進することができる。やみくもに自社株買いなどを禁止しても、企業は、ブランクファイン氏が指摘したように、生産性がなければ投資しないだろう。

一方、自社株買いが配当金を上回っているのは、1株当たり利益(EPS)をよく見せる効果を含む、税金と会計上の理由がある。こうした誘因は容易に取り除くことが可能だ。また、自社株買いも配当金も、利息の税控除に後押しされ、負債で賄われることもある。これもまた容易に修正可能だ。

不平等を軽減するには、民主党のアレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員が提案した限界所得税率を70%に引き上げるなど、累進性を高めた税金についてのアイデアが、シューマー、サンダース両上院議員の考えにあるはずだ。望むならば、定収入、キャピタルゲイン、相続財産に対する課税を一本化することもできるだろう。

自社株買いが望ましくないのは、企業幹部に対する株のばらまきを隠したり、財務上のトリックの中でもとりわけEPSの数字をゆがめたりすることに使われる可能性があるからだ。シューマー、サンダース両氏にはそれが分かっている。しかし、不平等の解消にはもっとましで持続的な方法があるはずだ。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-stock-buyback-idJPKCN1PW06C

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/884.html

[経世済民130] ドイツ株7日 大幅続落、2.6%安 世界景気の減速懸念 欧州委:ユーロ圏成長見通しを下方修正、イタリアやドイツがブレーキ
ドイツ株7日 大幅続落、2.6%安 世界景気の減速懸念
2019/2/8 2:14
保存 共有 印刷 その他
【NQNロンドン】7日のフランクフルト株式市場で、ドイツ株式指数(DAX)は大幅に続落した。終値は前日6日と比べて302.70ポイント(2.67%)安の11022.02だった。1日の下げ幅としては2018年12月6日以来の大幅な下落となった。世界経済の減速を懸念した売りが加速し、全銘柄が下落した。

6日と7日に発表になったドイツの経済指標が相次いで悪化したほか、7日に欧州連合(EU)の欧州委員会が2019年の実質経済成長率の見通しを前回の18年11月から大幅に下方修正した。英中央銀行イングランド銀行も英国の成長見通しを引き下げた。

オンライン決済サービスのワイヤーカードがふたたび15%安と急落した。不正取引をめぐる報道を手かがりに株価は乱高下している。独長期国債の低下を背景にドイツ銀行の下げも目立った。自動車など輸出株も安かった。

欧州の主要株式市場も総じて大幅に下落した。イタリアのFTSE・MIBは2%以上、下落した。フランスの株価指数CAC40は1.8%の下落。四半期決算が減収となった広告大手のパブリシス・グループが15%近く下落し、指数の下げを主導した。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGR07H2Y_X00C19A2000000/

 

欧州委:ユーロ圏成長見通しを下方修正、イタリアやドイツがブレーキ
Viktoria Dendrinou
2019年2月7日 21:16 JST
今年の域内経済成長率予測は1.3%、従来予想は1.9%
イタリアは1ポイント下げ、今年の成長わずか0.2%と予想
欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は7日、イタリアやドイツをはじめ域内主要国の経済成長率予想を軒並み下方修正した。英国のEU離脱と中国の景気減速が見通しをさらに悪化させる恐れがあると警告した。

  欧州委はイタリアの今年の経済成長率見通しを従来の予想から1ポイント引き下げ、わずか0.2%とした。欧州委の当局者は、域内の今後の見通しは「相当な」リスクに直面していると警戒感を示した。

  イタリアで政治不安が長引いたほか、フランスではデモ隊による抗議運動が吹き荒れた。さらにドイツ自動車産業は規制変更により回復が遅れている。こうした域内の厳しい状況が経済成長率見通しの悪化に反映された。

  欧州委は今年のユーロ圏経済の成長率を1.3%と予想する。昨年11月時点では1.9%の成長を見込んでいた。2020年の成長率予想は1.6%と、従来の1.7%から下方修正された。

German-Italian Drag
European Commission sharply downgrades outlook for euro-area growth


Source: European Commission

  欧州委はこの日発表した報告書で「ユーロ圏経済が成長の勢いを失った要因の多くは、外的環境による追い風が弱まっている点にあると言える。世界的に貿易の伸びが減速し、通商政策を巡る不透明感も強い」と指摘。「その一方で多くの域内事情も影響している」とし、社会的な緊張や一部の国における先の見えない予算政策、自動車業界の低迷を挙げた。

  さらに「米国では特に2020年に向け、急な財政引き締めのリスクが高まった様子だ」と記述し、「中国は予想以上の速いペースで経済が減速する可能性がある。新興国市場の多くは今も、世界のリスク認識の突然の変化に対して脆弱(ぜいじゃく)だ」との見方を示した。

  今年のユーロ圏のインフレ見通しは1.4%と、従来の1.8%から引き下げた。

Italian Irritation
Economic growth is predicted to slow to 0.2 percent this year


Source: European Commission

原題:Italy, Germany Drag on Euro-Area Economy as EU Slashes Outlook(抜粋)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE
関連ニュース
欧州委:ユーロ圏成長見通しを下方修正、イタリアやドイツがブレーキ
英中銀、成長予想下方修正−EU離脱の不透明が経済全体に波及と総裁
【ロンドン外為】ユーロが2週間ぶり安値、EUが成長見通し引き下げ
フィアット・クライスラー:株価急落、業績見通しが市場予想下回る
売れ残ったレバレッジドローン、銀行が大安売り−市場の復調はまだ
英中銀、成長予想下方修正−EU離脱の不透明が経済全体に波及と総裁
Jill Ward
2019年2月7日 22:11 JST 更新日時 2019年2月8日 0:41 JST
今年の成長率予想を1.2%と予想、昨年11月時点は1.7%
「EU離脱の霧」が緊張を生んでいるーカーニー総裁
イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁は7日、欧州連合(EU)離脱を巡る不透明が英経済全体へと波及し、企業の決定を遅らせるとともに消費者に痛みを与えていると指摘した。

  英中銀はこの日、成長見通しを下方修正し、投資が劇的に落ち込むとの予想を明らかにした。総裁は政策発表後に記者会見。見通しを曇らせる「EU離脱の霧」が緊張を生んでいると述べ、不透明感が住宅市場に打撃を与え、また信頼感の重しになっていると分析した。

  英国のEU離脱の期限3月29日まではあと50日ばかりしかないが、離脱後の関係についての合意はまだ固まっていない。英経済は合意も移行期もない離脱に対する準備ができていないと述べたカーニー総裁は、そのような結果になればマイナス成長の可能性が高まるだろうと付け加えた。

Lower 2019 Growth
The BOE cut its forecast for this year and next


Source: Bank of England

  中銀は今年の成長率予想を1.2%と3カ月前の1.7%から引き下げた。引き下げ幅は離脱を決めた2016年の国民投票以降で最大。

  ポンドは中銀の発表後に下げ幅を広げたが、その後やや持ち直し、ロンドン時間午後0時58分現在は0.2%安の1.2904ドル。

  中銀は経済予測について、「EU離脱のあり方についてより明瞭になった時点で」見直す必要があると説明。不確実性による大きな影響を見込んでいると認め、不確実性が小さければ、今年の成長率は1.6%、来年は2.2%になるとの仮説も提示した。

  スムーズな離脱が実現することを前提とするなら、限定的かつ漸進的な利上げが必要になるとの見通しをあらためて示した。ただ、中銀の経済予測に基づくと、インフレ率を目標の2%付近に戻すため今後3年に必要な0.25ポイントの利上げ回数は1回となり、昨年11月時点の3回近くよりも少なくなった。投資家は年内の利上げ確率をほぼゼロとみている。

  中銀は今年の企業投資について、2.75%減少するとの見通しを示し、従来予想の2%増から大きく下方修正した。

  金融政策委員会(MPC)は政策金利を0.75%で据え置くことを全会一致で決めた。ブルームバーグが調査したエコノミストは全員が据え置きを予想していた。MPCは昨年8月に金利を引き上げて以来、据え置きを続けている。

関連ニュース:
英中銀総裁:合意なきEU離脱はマイナス成長の可能性高める

原題:BOE Cuts Forecasts, Says Brexit Damage to Economy Has Risen (1)(抜粋)
Carney Says Brexit Uncertainty Is Cascading Through the Economy

(カーニー総裁の発言を追加します.)
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE
関連ニュース
欧州委:ユーロ圏成長見通しを下方修正、イタリアやドイツがブレーキ
英中銀、成長予想下方修正−EU離脱の不透明が経済全体に波及と総裁
【ロンドン外為】ユーロが2週間ぶり安値、EUが成長見通し引き下げ
フィアット・クライスラー:株価急落、業績見通しが市場予想下回る
売れ残ったレバレッジドローン、銀行が大安売り−市場の復調はまだ
フィアット・クライスラー:株価急落、業績見通しが市場予想下回る
Gabrielle Coppola、Daniele Lepido
2019年2月8日 0:32 JST
フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の株価が急落した。2019年の業績見通しがアナリスト予想に届かなかった上、強みとしていた北米事業の18年業績が低調だった。マイク・マンリー最高経営責任者(CEO)の就任から7カ月、FCAは業績面で課題をつきつけられた。

  7日発表された19年の利払い・税引き前利益(EBIT)見通しは67億ユーロ(約8330億円)と、ブルームバーグがまとめた予想レンジを最大28%下回った。株価は一時13%安。下落率はマンリー氏がCEOに就任した直後、昨年7月25日以来の大きさとなった。

  昨年10−12月(第4四半期)では、アジアで2億9600万ユーロの赤字に転落。欧州では利幅が半分に落ち込んだ。

  マンリー氏は7−9月(第3四半期)に、新型ピックアップトラック「ラム」の生産増強が完了に向かうに伴いコストは低下する予想していたが、それは実現しなかったとコメルツ銀行のアナリスト、デミアン・フラワーズ氏は指摘した。

原題:Fiat Chrysler Shares Tumble as CEO Manley Disappoints on Outlook(抜粋)
Fiat Chrysler Shares Tumble as CEO Manley Disappoints on Outlook

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE
関連ニュース
欧州委:ユーロ圏成長見通しを下方修正、イタリアやドイツがブレーキ
英中銀、成長予想下方修正−EU離脱の不透明が経済全体に波及と総裁
【ロンドン外為】ユーロが2週間ぶり安値、EUが成長見通し引き下げ
フィアット・クライスラー:株価急落、業績見通しが市場予想下回る
売れ残ったレバレッジドローン、銀行が大安売り−市場の復調はまだ
売れ残ったレバレッジドローン、銀行が大安売り−市場の復調はまだ
Davide Scigliuzzo、Sally Bakewell
2019年2月7日 17:18 JST
ローン市場は昨年の好調を完全に取り戻してはいない
昨年終盤の案件の中で銀行が抱えている売れ残りは36億ドル相当
レバレッジドローンの市場は昨年12月の「発作」から少しずつ回復しつつあるが、売れ残ったローンを銀行が値引きなしに処分するのは無理のようだ。

  ブラックストーン・グループによるウルテラ・ドリリング・テクノロジーズの買収向けローンを抱えてしまったウェルズ・ファーゴとバークレイズは、投資家の関心を探ってきた。両行は最もリスクの高い部分を額面1ドルに対して90セントに近い水準かそれ以下で売却しようとしたと、事情に詳しい関係者が明らかにした。 

Loans in Recovery Mode
As market thaws, steep new issue discounts for risky debt remain


Source: Bloomberg

   ドイツ銀行とUBSグループを中心とした銀行団も、CVCキャピタル・パートナーズによるコンバージワン買収のためのローンを大幅な割引で売却することを検討していると関係者が述べている。12億ドル(約1300億円)相当のローンを銀行団は昨年遅くから抱え込んでいる。

  ローン市場は昨年の好調を完全に取り戻してはいない。米金融当局のハト派的論調はローン市場の見通しを改善させる一方で、利上げ回数が減ることは変動利付き商品の魅力が薄れることも意味する。

  ウルテラとコンバージワンのローンを合わせると、昨年終盤の案件の中で銀行が売れ残りを抱えている36億ドル相当のほぼ半分に相当する。投資家の買い意欲が薄れる中で銀行は、買収案件を計画通り完了させるためにローンを自行のバランスシート上に抱えることを余儀なくされた。  

  CVCとブラックストーンおよびウルテラとコンバージワンのローン案件を率いる銀行4行の担当者はコメントを控えた。

原題:Priced to Sell: Banks Dangle Hung Loan Deals at Steep Discounts(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-07/PMJNMH6TTDS001
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/885.html

[経世済民130] 石破氏「国民実感に近いのは実質賃金」総雇用者所得か実質賃金かアベノミクス判断 実質賃金は「かさ上げ」非正規増え下落圧力
石破氏「国民実感に近いのは実質賃金」総雇用者所得か実質賃金かアベノミクス判断 実質賃金は「かさ上げ」非正規増え下落圧力


石破氏「国民実感に近いのは実質賃金」
政治
2019/2/7 18:30
保存 共有 印刷 その他
自民党の石破茂元幹事長は7日の派閥会合で、毎月勤労統計を巡る不正調査の問題で「名目賃金は大事だが、国民の実感に近いのは実質賃金なのではないか」と述べた。衆参両院の予算委員会では政府が総雇用者所得、野党が実質賃金を景気判断の指標として持ち出し、議論がかみ合っていない。

石破氏は統計不正に関し「捏造(ねつぞう)や偽造、忖度(そんたく)があったと全く思わないが、大企業と中小企業、零細企業とそれぞれの賃金を把握しないと、政府の政策、与党の政策が国民に実感として伝わらない」と指摘した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41026260X00C19A2PP8000/?n_cid=SPTMG002


総雇用者所得か実質賃金か アベノミクス判断、専門家の見方
経済 政治
2019/2/8 2:00日本経済新聞 
衆参予算委員会での論戦は、統計不正問題の余波を受け、アベノミクスの成果の有無が改めて論点になっている。景気回復を表す一つの指針となる賃金の伸びについて、安倍晋三首相は「総雇用者所得」の増加を訴える一方、野党は「実質賃金」が伸びていないことを問題視し、論争が続いている。賃金動向をどの指標から見るべきか、エコノミストに聞いた。

■小玉祐一・明治安田生命保険チーフエコノミスト 景気が拡大しているかどうかはマクロベースの概念なので、

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41047220X00C19A2000000/


18年実質賃金は「かさ上げ」 非正規増え下落圧力
2019/2/7 1:31
日本経済新聞 電子版
 毎月勤労統計の不適切調査を受け、足元の賃上げの評価の難しさが一段と鮮明になった。2018年の物価変動の影響を除く実質賃金の伸びが実態よりかさ上げされていたことが発覚。民間の独自試算でも18年の1人当たり実質賃金は大半がマイナスだ。だが非正規の働き手が増えるなど、全体をならした賃金水準には下落圧力がかかっている。雇用者増や賃上げの効果をすべて否定する議論も乱暴だといえる。

https://www.nikkei.com/content/pic/20190207/96958A9F889DE6E2EBE5E7E3E0E2E2E4E2E0E0E2E3EB9797EAE2E2E2-DSXMZO4096130006022019EE8001-PB1-1.jpg

 連合によると、18年労使交渉による賃上げ率は全体で2.07%。中小だけでも1.99%と20年ぶりの高水準だった。それでも野党は国会論戦などで18年1〜11月の実質賃金のうち9カ月分で前年を下回ったと主張する。賃上げをしているのに、なぜ1人当たりの実質賃金は下がるのか。
 厚生労働省がもともと公表していたデータで実質賃金が前年を下回るのは6カ月分だった。野党の試算は同じ事業所を比べる「共通事業所」ベースで、物価上昇率を使って名目値から割り戻したものだ。みずほ総合研究所の独自試算でも18年1〜11月のうち8カ月分が前年比マイナスだ。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40975120W9A200C1EE8000/?n_cid=SPTMG002



http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/886.html

[経世済民130] 日産に救われた英サンダーランド、EU離脱支持した工場労働者は複雑 ユーロ2週ぶり安値 英中銀、成長予想下方修正
日産に救われた英サンダーランド、EU離脱支持した工場労働者は複雑
Joe Mayes
2019年2月7日 3:51 JST
日産自動車の英サンダーランド工場で20年間働いてきたリサ・ローリーさんは、大半のサンダーランド市民と同様に、2016年の国民投票で欧州連合(EU)離脱に支持票を投じた。

  日産が同工場での新モデル生産計画を撤回したことを受け、ローリーさん(47)は自分の判断が正しかったのか考えるようになった。日産は撤回の理由の一つにEU離脱を挙げた。地元政治家や企業幹部から聞かされた離脱後のシナリオはもはや、「空想」として一笑に付すことはできないとローリーさんは感じている。

  サンダーランドの国民投票結果は、61%が離脱支持だった。米国でトランプ大統領を誕生させたのと同様の反主流派のうねりや、移民への反感、取り残されているとの意識などが熱狂的な離脱支持につながった。いまやサンダーランドはこの結果が招いたあおりをまともに受けている。長期化するEU離脱交渉に振り回され、経済の先行きはいっそう怪しくなった。

Nissan Motor Co. Qashqai SUV And Leaf Automobile Production
サンダーランド工場で日産「キャシュカイ」を組み立てる従業員写真家:Chris Ratcliffe
  サンダーランド工場は英国最大の自動車工場で、地域経済の屋台骨を担う。主要産業だった石炭採掘と造船が衰退し、国内最悪の失業率と貧困にあえいでいたところに、日産は進出。現在7000人を直接雇用するほか、サプライヤー企業の合計2万8000人の雇用を支える。同工場の昨年の生産台数は44万2000台に上った。

  「サンダーランドの住民は日産工場で働いているか、働いている人を知っているかのどちらかだ」と、タクシー運転手のミック・ジョンソンさんは語る。訪問者を工場まで送っていくことがよくあるジョンソンさんは、国民投票ではEU残留に票を投じたという。

Driving a Region’s Economy
Nissan Sunderland makes one-third more cars than its nearest rival


Source: SMMT 2018 data/JLR FY 2019 projection

Note: Annual production figures for U.K. plants

  日産は同工場の従業員に対し、「キャシュカイ」や「リーフ」など既存の生産モデルに対する将来の投資については心配ないと話している。だが、労組ユナイトの製造業部門代表スティーブ・ターナー氏は、「エクストレイル」の決定をとっかかりに事態が発展する懸念を指摘。「3月29日に合意なしにEUから離脱すれば、日産は決定を見直すだろう。それが現実だ。日産はEU離脱議論の展開にますます神経をとがらせている」と述べた。

  サンダーランド工場の従業員の間でも見方は割れている様子だ。8時間シフトから上がったばかりのデービッドさん(19)は、大量解雇があるとの見方がある一方で、単なるデマだとのうわさもあると話した。ほかの従業員2人は一部の政治家が不安をあおっているが、合意なき離脱を恐れる理由は何もないとし、「工場はまだここにある」と語った。

原題:Brexit Blow Brings Regret and Defiance in City That Needs Nissan(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-06/PMIIC7SYF01T01?srnd=cojp-v2


 
ユーロが2週間ぶり安値、EUが成長見通し引き下げ
John Ainger
2019年2月7日 20:08 JST
7日のロンドン外国為替市場では、ユーロが2週間ぶりの安値に下落。欧州委員会が今年のユーロ圏の成長見通しを下方修正したことに反応した。引き下げ幅がとりわけ大きかったイタリアは、同国の財政計画に対する懸念が強まり、国債が売られた。

  欧州委員会はイタリアの今年の成長率見通しをプラス0.2%とした。従来はプラス1.2%を見込んでいた。ドイツの成長率予測も1.8%から1.1%に引き下げた。この発表でイタリア10年債利回りは1カ月ぶり高水準の2.96%に上昇、ドイツ10年債利回りは0.13%と、2016年11月以来の低水準を付けた。

  ユーロは一時0.3%安の1.1332ドルとなり、1月25日以来の安値に沈んだ。

Italy's bond yield spread over Germany has started climbing again
原題:Italian Bonds, Euro Fall After EU Cuts Economic Growth Forecasts(抜粋)

 
欧州委:ユーロ圏成長見通しを下方修正、イタリアやドイツがブレーキ
Viktoria Dendrinou
2019年2月7日 21:16 JST
今年の域内経済成長率予測は1.3%、従来予想は1.9%
イタリアは1ポイント下げ、今年の成長わずか0.2%と予想
欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は7日、イタリアやドイツをはじめ域内主要国の経済成長率予想を軒並み下方修正した。英国のEU離脱と中国の景気減速が見通しをさらに悪化させる恐れがあると警告した。

  欧州委はイタリアの今年の経済成長率見通しを従来の予想から1ポイント引き下げ、わずか0.2%とした。欧州委の当局者は、域内の今後の見通しは「相当な」リスクに直面していると警戒感を示した。

  イタリアで政治不安が長引いたほか、フランスではデモ隊による抗議運動が吹き荒れた。さらにドイツ自動車産業は規制変更により回復が遅れている。こうした域内の厳しい状況が経済成長率見通しの悪化に反映された。

  欧州委は今年のユーロ圏経済の成長率を1.3%と予想する。昨年11月時点では1.9%の成長を見込んでいた。2020年の成長率予想は1.6%と、従来の1.7%から下方修正された。

German-Italian Drag
European Commission sharply downgrades outlook for euro-area growth


Source: European Commission

  欧州委はこの日発表した報告書で「ユーロ圏経済が成長の勢いを失った要因の多くは、外的環境による追い風が弱まっている点にあると言える。世界的に貿易の伸びが減速し、通商政策を巡る不透明感も強い」と指摘。「その一方で多くの域内事情も影響している」とし、社会的な緊張や一部の国における先の見えない予算政策、自動車業界の低迷を挙げた。

  さらに「米国では特に2020年に向け、急な財政引き締めのリスクが高まった様子だ」と記述し、「中国は予想以上の速いペースで経済が減速する可能性がある。新興国市場の多くは今も、世界のリスク認識の突然の変化に対して脆弱(ぜいじゃく)だ」との見方を示した。

  今年のユーロ圏のインフレ見通しは1.4%と、従来の1.8%から引き下げた。

Italian Irritation
Economic growth is predicted to slow to 0.2 percent this year


Source: European Commission

原題:Italy, Germany Drag on Euro-Area Economy as EU Slashes Outlook(抜粋)


英中銀、成長予想下方修正−EU離脱の不透明が経済全体に波及と総裁
Jill Ward
2019年2月7日 22:11 JST 更新日時 2019年2月8日 0:41 JST
今年の成長率予想を1.2%と予想、昨年11月時点は1.7%
「EU離脱の霧」が緊張を生んでいるーカーニー総裁
イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁は7日、欧州連合(EU)離脱を巡る不透明が英経済全体へと波及し、企業の決定を遅らせるとともに消費者に痛みを与えていると指摘した。

  英中銀はこの日、成長見通しを下方修正し、投資が劇的に落ち込むとの予想を明らかにした。総裁は政策発表後に記者会見。見通しを曇らせる「EU離脱の霧」が緊張を生んでいると述べ、不透明感が住宅市場に打撃を与え、また信頼感の重しになっていると分析した。

  英国のEU離脱の期限3月29日まではあと50日ばかりしかないが、離脱後の関係についての合意はまだ固まっていない。英経済は合意も移行期もない離脱に対する準備ができていないと述べたカーニー総裁は、そのような結果になればマイナス成長の可能性が高まるだろうと付け加えた。

Lower 2019 Growth
The BOE cut its forecast for this year and next


Source: Bank of England

  中銀は今年の成長率予想を1.2%と3カ月前の1.7%から引き下げた。引き下げ幅は離脱を決めた2016年の国民投票以降で最大。

  ポンドは中銀の発表後に下げ幅を広げたが、その後やや持ち直し、ロンドン時間午後0時58分現在は0.2%安の1.2904ドル。

  中銀は経済予測について、「EU離脱のあり方についてより明瞭になった時点で」見直す必要があると説明。不確実性による大きな影響を見込んでいると認め、不確実性が小さければ、今年の成長率は1.6%、来年は2.2%になるとの仮説も提示した。

  スムーズな離脱が実現することを前提とするなら、限定的かつ漸進的な利上げが必要になるとの見通しをあらためて示した。ただ、中銀の経済予測に基づくと、インフレ率を目標の2%付近に戻すため今後3年に必要な0.25ポイントの利上げ回数は1回となり、昨年11月時点の3回近くよりも少なくなった。投資家は年内の利上げ確率をほぼゼロとみている。

  中銀は今年の企業投資について、2.75%減少するとの見通しを示し、従来予想の2%増から大きく下方修正した。

  金融政策委員会(MPC)は政策金利を0.75%で据え置くことを全会一致で決めた。ブルームバーグが調査したエコノミストは全員が据え置きを予想していた。MPCは昨年8月に金利を引き上げて以来、据え置きを続けている。

関連ニュース:
英中銀総裁:合意なきEU離脱はマイナス成長の可能性高める

原題:BOE Cuts Forecasts, Says Brexit Damage to Economy Has Risen (1)(抜粋)
Carney Says Brexit Uncertainty Is Cascading Through the Economy

(カーニー総裁の発言を追加します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-07/PMJYQP6JTSFA01

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/887.html

[政治・選挙・NHK257] 人生がときめく「選択と集中」 首相、北方領土「固有の領土」の表現避ける  

人生がときめく「選択と集中」

小田嶋 隆
コラムニスト
2019年2月8日
36 76%

印刷
クリップ
全5809文字

 本日(とはつまり「原稿を書いている当日」という意味で、記事の公開日から遡れば「昨日」に当たる)2月7日は「北方領土の日」なのだそうだ。

 この日を「北方領土の日」に定めたことについて、内閣府のホームページは
《2月7日は「北方領土の日」です。1855年のこの日に、日魯通好条約が調印されたことにちなみ、北方領土返還要求運動の全国的な盛り上がりを図るために設定されました。毎年、「北方領土返還要求全国大会」が、東京で開催されるほか、この日を中心として全国各地で講演会やパネル展、返還実現のための署名活動などさまざまな取組が行われています。》

 と説明している。

 該当ページのリンクをたどって行くと、1981年1月6日に閣議了解した「『北方領土の日』について」と題するPDF文書に行き当たる。

 その閣議了解の中の「『北方領土の日』設定の理由書」の冒頭では
「我が国の固有の領土である歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島の北方四島は、戦後35年を経過した今日、なおソ連の不当な占拠下にある。」

 と、北方四島を「わが国固有の領土」とする政府の公式見解が述べられている。

 なるほど。

 もしかすると、このリンク先のPDF文書は、いずれ、遠くない将来、消去されることになるかもしれない。

 私は自分のハードディスクに保管した。

 こうしておけば、少なくとも2019年2月7日の時点で、1981年1月6日の閣議了解書が内閣府のホームページ上に掲載されていた事実を、記録として確定しておくことができる。

 私たちは、行政機関が作成・保管している文書や統計が、いつ、どんな形で失われ、あるいは改竄されるのかわからない不確かな時代の中で暮らしている。いま見ている文書にしたところで、それが永遠に見たとおりの形でその場所にあるのかどうかは、保証の限りではない。

 とすれば、いま起こっている出来事を正確な歴史資料として後世に残すために、われわれは、自分が制作に関わった文書や閲覧した統計資料を、個人の責任において、できる限り網羅的に保管する覚悟を持たなければならない。

 聞けば「ときめかないブツや記録はすみやかに廃棄するべきだ」とするわが国発の身辺整理哲学が全米で大人気を博しているのだそうだが、私の立場は違う。ときめきや胸の高鳴りを一切もたらさない、どうにも不快で重苦しい記録や物品をこそ、むしろ、われわれは心して保管せねばならない。でないと、自分たちがいま直面し、経験している現実や事件は、近未来の愚かな人々の恣意によって歪められ、あるいは消去されることになる。そういう歴史改竄を許してはならない。

 北方四島は、この先5年か10年のうちに、そもそも存在していなかったことにされるのかもしれない。

1

全5809文字
 折も折、北方領土に関する政府の公式見解は、2019年の「北方領土の日」を迎えたいま、微妙に揺れ動いている。

 1月30日の衆院本会議で、立憲民主党の枝野幸男代表が「北方領土は『日本固有の領土』か」と問いかけると、首相は「我が国が主権を有する」と繰り返すだけだった。翌31日に「社会保障を立て直す国民会議」の野田佳彦代表が「ロシアによる不法占拠との立場に変わりはないか。昨日はぼそぼそ言って聞こえなかった」と追及した時も、答弁内容は同じだった。

 この間のやりとりについては、毎日新聞が
『安倍首相 北方四島、「固有の領土」避ける 露の態度硬化を懸念 代表質問答弁』
 という見出しで2月2日付で記事化している。

 状況は、参議院に舞台を移しても変わっていない。

 というよりも、「北方領土の日」を控えて、政府の立場はさらに後退しているかに見える。

 6日参院予算委員会において、国民民主党の大塚耕平代表代行が、北方領土についての政府の見解を質すなかで、
「『固有の領土』という言葉を使ってご答弁いただけませんでしょうか?」

 という言い方で首相に質問をぶつけている。

 これに対して首相は、
「えー、その、政府の立場としてはですね、えー、ま、北方領土についてはですね……北方の島々には……わが国の主権……北方領土の島々は、わが国が主権を有する島々である、という立場でございます」

 と、言を左右にしつつ「固有の領土」というフレーズを口に出すことを避けた。

 答弁を受けて、大塚氏は
「あの、固有の領土という言葉は使えなくなったのでしょうか?」
と問い詰めたのだが、首相は
「これはですね。あの、これはもう、この国会では、こういう、この答弁を、させて、一貫させていただいていますが、あー、北方領土はですね、わが国が主権を有する島々である、ま、この立場、この立場には変わりがないということを、申し上げているところでございます」

 とさらにシドロモドロな答弁で応接している。

 首相が北方領土に関して「日本固有の領土」というこれまでの政府見解通りの言い方で言及することを避けている理由は、日経新聞の記事が書いている通り、日露平和条約の締結を前にロシア側を刺激することを避けたい思惑があるからなのだろう。そして、そのまた背景には、2009年に麻生太郎首相(当時)が「不法占拠」という言葉を使って、ロシアとの関係が悪化した時の記憶があずかっていたりもするはずだ。


 それにしても、こんなあからさまなハシゴの外し方があって良いものなのだろうか。

 いくらなんでも、手のひらを返すにしても、あんまり露骨なやりざまではないか。

 これまで、政権発足以来、25回逢瀬を重ねてきたウラジーミルとシンゾーによる「個人的な関係」の結果がこれなのだとすると、いったい安倍外交とは何だったのかという話でもある。

 とにかく、どういう結果がもたらされるのであれ、せめて、説明だけはきちんとしてもらわないと困る。

 別に私が困ったからといって、誰も困らないとは思うが。

 北海道新聞が伝えているところによれば、ここへ来て、地元の返還運動もトーンダウンしている。

 記事は以下のように伝えている。

《根室管内1市4町でつくる北方領土隣接地域振興対策根室管内市町連絡協議会(北隣協)の会長を務める石垣雅敏・根室市長は29日、2月7日に同市内で開かれる「北方領土の日」根室管内住民大会(北隣協主催)で、鉢巻きの文言を例年の「返せ!北方領土」から「平和条約の早期締結を!」「北方領土問題の早期解決を!」に変える方針を明らかにした。−略−》

 どこからどういう指示があって、たすきの文言が腰砕けのスローガンに化けたのかは、1000キロ離れた関東地方で暮らす私には、ほとんどまったく想像すらできない種類の変化だ。

 が、とにかく、地元の人たちはすでに
「返せ」
 という文字を使わなくなっている。

 この事実を、どう解釈したら良いのだろうか。

 
 遠く昭和の時代を振り返るに、北方領土の問題をことあるごとに強調してやまなかったのは、どちらかといえば「右派」と見なされる人々だった。

 北方領土の返還が国民の悲願であり、戦争によって失われた国土を取り戻すことが果たされない限り、真の「戦後」はやって来ないというのが、彼らの主張で、ということはつまり、ロシア(長らく「ソ連」と呼ばれていた)との戦争は、いまだに終わっていないというのが、対ソ強硬派の右翼を自称する人々の変わらぬ主張だった。

 ところが、戦後70余年、一貫して北方領土の返還を叫び続けてきたその右派の人々が、どうしたわけなのか、地元の返還運動推進者同様、突然、「返せ」という言葉を口にしなくなっている。

 ずいぶん前からなんとなく思っていたことだが、もはや個々のイシューについて「右派」とか「左派」という分け方をすること自体が無意味になってきている。

 というよりも、「右派」にも「左派」にも、固有の思想や主張があるわけではなくて、単に政権に対する態度の違いが両者を右と左のポジションにより分けているだけだと言うべきなのかもしれない。

 昨今の右派は、政府の方針を追認するばかりで、政権の態度次第では、領土保全という自分たちの最も根源的な主張すら放棄しかねない人々であるように見える。

 同じことは左派にも言える。

 自民党が北方領土返還を声高に叫んでいた昭和の時代、わが国の左派陣営は、区々たる土地の帰趨よりも、むしろ隣国との友好的な関係の構築を主張していたものだった。それが、敵方の政党が領土問題で腰の引けた態度を取りはじめるや、にわかに
「北方領土はわが国固有の領土ではないのか!」

 などと、往年の右翼もかくやの大音声で呼ばわっていたりする。


 要するに、両者とも定見があるわけではなくて、単に政策を支持したり攻撃したりするために、その時々の主張を入れ替えている。

 バカな話だ。

 国土の防衛と領土の保全に固執する伝統右翼の人々がここ最近の北方領土をめぐるやりとりをどんなふうに受け止めているのかについては、実は、私は、確かな情報を持っていない。

 たぶん、怒っているに違いないとは思うのだが、その怒りを彼らがどういう形で表明して、どういう行動に結びつけるつもりでいるのか、そこのところがわからないということだ。

 ただ、少なくとも、インターネット普及後に勢力を拡大しているJ-NSC(自民党ネットサポーターズクラブ)をはじめとするいわゆる「ネット保守」の面々が、北方領土の返還に冷淡であることは、様々な経路を通じてすでに確認している。

 要するに、政権擁護派の人たちは、北方領土の返還そのものよりも、当面は政権の邪魔をしないことの方を重視しているということだ。

 一方、政権不支持派の人々は、これまでたいして興味を示していなかった北方領土の話をしきりに持ち出すようになっている。

 ということはつまり、右派と左派が対立しているというよりは、単に政権支持派と不支持派が互いの悪口を言い合っているだけの話で、対韓国や対ロシアの外交に関しても、要するに政府がどういう態度を取っているのかに沿ってそれぞれがポジショントークを展開しているだけの話に見える。

 問題は、そのポジショントークの中身ではない。

 領土が戻ってくるかどうかですらない。

 最も大切なポイントは、政府が、領土問題の交渉や基地問題の先行きについて、国民に対して誠実に説明する気持ちを持っているのかどうかだ。

 で、私の思うに、政府は、沖縄と北海道を見捨てるつもりでいる。そのことが、領土や基地へのぞんざいな対応から伝わってくる。

 
 バブル崩壊からこっち、「選択と集中」という経営用語が幅をきかせていた一時期があった。

 この言葉は、政府が招集する有識者会議やその彼らが作るPDF書類の中でも連呼されていた。

 乱暴な言い方をすれば、「選択と集中」は、「採算部門にだけ資金を集中して、非採算部門は切り捨てようではありませんか」というお話で、企業がコストカットを断行する局面では有効なスローガンではあったものの、行政の用語としてそのまま援用するにはあまりにも無慈悲な概念だった。

 「選択と集中」において困難なのは、何を選択してどこに集中するのかの見極めで、というのも、どれが有望で、どの部分が滅びゆく非採算部門であるのかは、実のところ経営者にもわかるはずがない話だったからだ。

 見捨てられかけた研究分野がある日会社を救う新商品を生み出したというのは、さして珍しい話ではないし、飛ぶ鳥を落とす勢いだった収益部門がなにかのタイミングで突然お荷物に化ける式のエピソードも、企業の歴史の中ではごくありふれた出来事だったりする。

 とすれば「選択と集中」は、言ってみれば、「当たる馬券だけを買う」と言ってるのとそんなに変わらない未来予測が必ず当たる前提で持ち出されている資金の振り分けの話であるわけで、だとすれば、そんな乱暴な方針は、倒産を目前とした企業のやぶれかぶれのコストカットの手法としてしか使えないはずなのだ。

 その「選択と集中」なるバブル崩壊後の日本経済が生み出した強迫観念が、国策に適用されている事例が、沖縄の基地移転と北海道の領土切り捨てだと、いささか乱暴だが、私はそう考えている。

 
 実際北海道では、インフラの維持さえ難しくなってきている。

 鉄道は廃線続きだし、電力も道路ももはやギリギリのところで我慢するほかにどうしようもない。

 こんな時に、領土が戻ってきたからといって、いったい誰がそんな寒い島のインフラを整え、誰が住み、誰が産業を起こし、誰が政治を実行するというのだ?

 ってな調子で、地元の人々はともかく、中央の政府の人間は、もはやたいして返還を望んでいない。私にはそういうふうに見える。

 で、バブル崩壊後の左前企業と同じように、「選択と集中」を掲げながら、その実首切りと部門切り離しと、事業縮小に舵を切る。

 ありそうな展開だ。
ともあれ、領土問題は一朝一夕に解決できるものではない。
 それはよくわかっている。

 ただ、われわれがこれから直面せねばならない現実が、本来一朝一夕には解決できるはずのない問題を一朝一夕にしようとした人間がもたらした事態である可能性については、そろそろ考慮しはじめてかなければならない。

 
 どうにも解決のめどが立たないケースでは、オホーツクのタラバガニとジャンケンをして決めるという最後の手段が考えられる。

 その場合、政府の代表としてカニとジャンケンをする選手として誰を派遣するのかが問題になるわけだが、個人的な見解を述べるなら、安倍さんと河野さんはやめた方が良いのではないかと思っている。

(文・イラスト/小田嶋 隆)


 なぜ、オレだけが抜け出せたのか?
 30 代でアル中となり、医者に「50で人格崩壊、60で死にますよ」
 と宣告された著者が、酒をやめて20年以上が経った今、語る真実。
 なぜ人は、何かに依存するのか? 

『上を向いてアルコール 「元アル中」コラムニストの告白』

<< 目次>>
告白
一日目 アル中に理由なし
二日目 オレはアル中じゃない
三日目 そして金と人が去った
四日目 酒と創作
五日目 「五〇で人格崩壊、六〇で死ぬ」
六日目 飲まない生活
七日目 アル中予備軍たちへ
八日目 アルコール依存症に代わる新たな脅威
告白を終えて

 日本随一のコラムニストが自らの体験を初告白し、
 現代の新たな依存「コミュニケーション依存症」に警鐘を鳴らす!

(本の紹介はこちらから)

1
2
3
4
5
シェア
シェア
URLコピー
クリップ
#ライフ&カルチャー
コメント37件
もっと見る


KAWAWAKI

某地方議員

>行政機関が作成・保管している文書や統計が、いつ、どんな形で失われ、あるいは改竄されるのかわからない不確かな時代の中で暮らしている。
>いま見ている文書にしたところで、それが永遠に見たとおりの形でその場所にあるのかどうかは、保証の限りではない。

小田嶋さんの「ア・ピース・オブ・警句」の過去連載も失われてしまったのでしょうか?

日経ビジネスオンラインの過去記事が消えてしまった現実に直面して、日本は行政機関だけでなく、企業も情報(記録)の扱い方に難があるのではと疑問に思います。
2019/02/08 14:23:443返信いいね!


overseeds

CEO by the window

>政府の代表としてカニとジャンケンをする選手として、安倍さんと河野さんはやめた方が良い。

これ最高に受けました!
マジで勝てないかもね。笑

2019/02/08 14:47:38返信いいね!


故轍

小田嶋さん、あなたパヨク発信のネトウヨ情報に踊らされていないで、少しはちゃんとした保守系の論客の意見に耳を傾けなさいよ。マトモな保守派なら安倍政権に対して是々非々で、盲目的に支持している人なんていません。安倍信者なんてのはレベルの低いニワカか、さもなくばパヨクのなりすましです。
2019/02/08 17:25:23返信いいね!


Hiro

終戦間際のどさくさで北方領土を分捕られたわけだが、あの時代、戦争で領土を取り合っていたのだから、日本がどうこういえるものでもないと思う。
ソ連が不可侵条約を破棄したにしても、当時はそういうことは珍しくなかった。
日本は戦争に負けた。
沖縄や小笠原諸島を、アメリカが返還したことの方がレアケースだろう。
戦後世代としては、もう過去のことは水に流してもいいように思う。
ロシアが、返還することはないだろうし。
2019/02/08 17:29:06返信いいね!


hdknd

左右に固有の主張がないのは、少なくとも戦後政治では以前からあった状態だと感じます。それが政権との賛成派と反対派に分かれている現状は確かに政治的な後退ですが、状況の変化に応じて左右の主張の中身が変わるのは良いと思います。やはり、現在の日本の少子高齢化、人口減少の現状において、こじれることがわかりきっている領土問題の解決方法として、返還という形に固執するのは何も生まないと思います。それ以上に、それを交換条件とした政治的取引も検討に値すると感じます。でないと手段の目的化になってしまいます。
2019/02/08 17:31:29
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00005/


 

「北方領土の日」について
昭和56年1月6日
閣議了解
1趣旨
北方領土問題に対する国民の関心と理解を更に深め、全国的な北方領土返
還運動の一層の推進を図るため「北方領土の日」を設ける。
2期日
毎年2月7日とする。
3行事
北方領土問題関係機関、民間団体等の協力を得て集会、講演会、研修会そ
の他この日の趣旨に沿った行事を全国的に実施するものとする。
「北方領土の日」設定の理由書
我が国の固有の領土である歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島の北方四島
は、戦後35年を経過した今日、なおソ連の不当な占拠下にある。
これら北方領土の一括返還を実現して日ソ平和条約を締結し、両国の友好関
係を真に安定した基礎の上に発展させるという政府の基本方針を支える最大の
力は、一致した粘り強い国民世論の盛り上がりである。
最近 北方領土問題に対する国民の関心と理解は 着実に深まりつつあるが 、 、、
全国的観点にたてば、なお一層の啓発を図る必要がある。
このような現状にかんがみ、毎年2月7日を「北方領土の日」とし、この日
を中心として全国的に集会、講演会、研修会等の行事を行い、この問題に対す
る国民の関心と理解を更に深め、全国的な北方領土返還運動の一層強力な推進
を図ることといたしたい。
なお、2月7日は、1855年(安政元年12月21日)日魯通好条約が調
印された日である。
https://www8.cao.go.jp/hoppo/henkan/pdf/ryoudonohi.pdf

 
首相、北方領土「固有の領土」の表現避ける
政治
2019/1/31 22:00
保存 共有 印刷 その他
衆参両院は31日の本会議で、安倍晋三首相の施政方針演説など政府4演説への各党代表質問を実施した。首相は日ロの平和条約締結交渉に関し、北方四島について「わが国が主権を有する島々」だと述べたが、政府の公式見解に基づく「固有の領土」との表現は使わなかった。

衆院本会議で社保・野田代表(手前)の質問を聞く安倍首相(31日)
画像の拡大
衆院本会議で社保・野田代表(手前)の質問を聞く安倍首相(31日)

衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」の野田佳彦代表からの「北方領土はわが国固有の領土だが、現時点ではロシアによる不法占拠が続いているという法的立場に変わりはないか」との質問への答弁。首相は30日の衆院本会議でも同様の表現で応じており、ロシア側を刺激するのを避ける狙いがあるとみられる。

政府の公式見解は「一度も他国の領土となったことがない日本固有の領土」だ。首相の一連の発言について、西村康稔官房副長官は31日の記者会見で「首相が答弁したことに尽きる」と述べた。

首相は31日の衆院本会議で、米国から追加購入する最新鋭ステルス戦闘機「F35」について「老朽化したF15を代替するものだ。老朽化に任せ放置するのは国民の命を守る責任を持つ我々としては無責任な姿勢と言わざるを得ない」と理解を求めた。

共産党の志位和夫委員長が「トランプ米大統領の要求に応じた浪費的爆買いだ」と指摘したことには「全く的外れな間違いだ」と反論した。
 

 
「不法占拠」盛らず 北方領土の日、大会声明
2019/2/7 13:30
衆院本会議で立民・枝野代表の質問に答える安倍首相(30日)
首相、韓国の対応「大変遺憾」 衆院代表質問
2019/1/30 19:00
衆院予算委で答弁する安倍首相(26日午前)
首相、北方領土交渉「プーチン大統領と終止符」
2018/11/26 18:00
北方領土交渉に向けて議論を深めよ
2018/11/16 1:09


https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40732200R30C19A1PP8000/
http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/321.html

[経世済民130] 軽くみた少子化、対策の好機を逃す シルバー民主主義 広がる世代間格差 シニアビジネス 模索の末に見えた解  

軽くみた少子化、対策の好機を逃す
平成の30年 高齢化先進国(6)
平成の30年 経済 社会
2019/2/9 11:46日本経済新聞 電子版
保存 共有 その他
平成は少子化ショックとともに始まり、克服できないまま終わろうとしている。世界で最低レベルの出生率に落ち込みながらも、政府内は「いずれ第3次ベビーブームがやってくる」という楽観論が根強く、対策が後手に回った。回復基調にあった出生率もこのところ頭打ち。深刻な少子化は世界に類を見ない高齢社会を出現させた。

君は来るか 僕の腕に この空は青いか 見つめてみないか――。1993年2月19日に厚生省(当時)…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41022500X00C19A2TM1000/


 

シルバー民主主義 広がる世代間格差
平成の30年
2019/1/19 2:00日本経済新聞 電子版
保存 共有 その他
1990年、平成最初の衆院選で投票率は60代が87%、20代は57%だった。およそ30ポイントの差は2017年の衆院選で38ポイントほどに開いた。参政権を無駄にする若者に政治は冷たい。年金・医療など社会保障や税制で高齢者の既得権を壊さないようにする政治行動「シルバーデモクラシー」。残ったのは、世代間格差の拡大というやっかいな問題だった。

おさまることがない高齢者の怒りに政治はなすすべを失った。2…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40164630Y9A110C1000000/? 

 
シニアビジネス 模索の末に見えた解
平成の30年 高齢化先進国(5)
平成の30年
2019/2/2 2:00日本経済新聞 電子版
保存 共有 印刷 その他
高齢化が進む中、消費者としての高齢者に注目度が高まったのも平成だ。膨らむ市場を取り込もうと企業はさまざまな手を繰り出したが、多くは空振りに終わった。ひそかに抱える不安、人生経験が生む価値観の多様化など、心のひだに鈍感だったからだ。平成の終わる今、その反省がようやく実を結びつつある。


画像の拡大
平成が始まる9年前に発表された学生作家、田中康夫氏のデビュー作「なんとなく、クリスタル」。女子大生と音楽家の都会的な恋愛を、高級ブランドなどの注釈付きで描いたミリオンセラー。古アパートでの同居とは様変わりした若者像はバブル消費の予言書といわれた。

同書には不思議なページがある。物語の終了直後、出生率と高齢化率の予測数値を説明抜きで掲載しているのだ。こうした生活は将来続かないのでは――。そんな問いを込めたが「誰も言及しなかった」と田中氏は後に振り返っている。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40780500R00C19A2000000/? 
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/893.html

[政治・選挙・NHK257] オピニオン:まだら模様の平成時代、ベーシックインカム必要に=竹中平蔵氏
為替フォーラム2019年2月8日 / 10:43 / 14時間前更新
オピニオン:まだら模様の平成時代、ベーシックインカム必要に=竹中平蔵氏
竹中平蔵 東洋大学教授/慶応義塾大学名誉教授
4 分で読む

[東京 8日] - 昭和が「激動の時代」だったとすれば、平成は「激変の時代」だった──。失われた30年などでは決してなく、日本社会は浮き沈みを繰り返しながら、プラスとマイナス両面で変化があった「まだらな30年間」だったと、竹中平蔵・東洋大学教授は指摘する。

世界的に格差を始めとした社会の分断が深まる中、これから新たな時代を迎える日本は社会保障制度改革を避けて通れず、政府がすべての国民に最低限の所得を支給するベーシックインカムの導入が必要になると、竹中氏は主張する。

同氏の見解は以下の通り。

この30年間は総じて5つの期間に分けられる。まずはバブル崩壊とそのインパクトを明確に見通せなかった1990年代前半。株価も不動産価格も下がり始めたが、多くの人々が「もうひと山来れば大丈夫」と考え、十分な改革ができなかった。

第2期は1990年代終盤。日本はここで金融危機を迎える。そして2000年代初めに小泉純一郎政権が誕生し、第3期の改革の時代に入る。この5年半で不良債権を処理し、株価上昇率も実質成長率も一時米国を上回った。

そこから民主党政権が終わる2012年までの第4期は、最も失われた時代となった。リーマン危機が発生しただけでなく、日本では製造業の空洞化が一気に進んだ。それを受ける形で第2次安倍晋三政権が誕生し、再チャレンジの第5期に入った。

<人材獲得競争に背>

特筆すべきは、「長時間働き、貯蓄する」という日本の国民性がこの間に変化したことだ。平均労働時間はこの30年で15%減少した。ブラック企業が今も社会問題になるが、全体として労働時間は着実に減っている。

一方、平成の初めに15%前後と先進工業国でトップクラスだった貯蓄率は、年によって変動があるものの、一ケタ台前半にまで低下している。今ではスペインと並んで最も低い。これは高齢化が背景にある。

日本の人口は平成の初めと終わりでほぼ変わっていない。途中まで少しずつ増え、その後減少に転じた。移民を受け入れている米国の人口は同期間に30%、英国は15%増加している。つまり世界で長年繰り広げられていた人材獲得競争に、日本は背を向けていた。退職後は収入より支出のほうが多くなるため、人口に占める高齢者の割合が高まれば、全体の貯蓄率は下がる。経済にとって重要な貯蓄投資バランスの構造が大きく変わった。

プラス面の変化も起きた。1つはデジタル社会の基盤が整備されたこと。1995年にマイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウインドウズ95」が登場して以降、一般家庭にパソコンが広まり、今では携帯電話も含めたインターネットの普及率は97%前後まで高まった。全国の市町村で高速ブロードバンドが使えるようになり、世界で初めてテレビ放送の完全デジタル化を果たした。

東京の都市開発も良い方向に進んだ。バブル期に臨海部へ広がっていた東京の開発は、1995年に当時の青島幸男知事が都市博(世界都市博覧会)を中止すると都心に回帰した。興味深いのは、日本橋と銀座は三井不動産が、大手町と丸の内は三菱地所が、赤坂と虎ノ門は森ビルが、エリアごとに競うように開発を進めたことだ。東京はコンパクトな街が連なる面白い都市に変貌し、急増する外国人観光客にとっての魅力を増した。

<ライドシェアを生み出せなかった日本>

小泉政権で閣僚を務めた5年半、やり遂げたこともあればやり残したこともある。経済財政諮問会議を機能させ、財政政策とマクロ経済政策を統合させたこと、不良債権処理、郵政事業と道路公団の民営化を進めたことは成果と言えるだろう。銀行の不良債権を処理し、企業のバランスシート調整(負債の圧縮)を進めた結果、リーマン危機で日本は欧米ほど大きな打撃を受けずに済んだ。

社会保障制度改革や労働市場改革は積み残された。日本を含め、世界では格差を超えて絶望的な社会の分断が進んでいる。しかし、どの国も有効な政策を打ち出せていない。究極的には、政府が最低限の所得を支給するベーシックインカムを導入するしかないと考えている。これにより年金も生活保護も必要なくなる。

安倍内閣は明治維新以降で最長の政権になる可能性が高い。長期政権のレガシーとして、ぜひ社会保障制度改革にチャレンジしてもらいたい。

規制改革もさらに進める必要がある。ここ8年ほどを振り返ると、世界で最も成長した産業はライドシェア(相乗り)だ。米ウーバーの企業価値は8兆円、中国の滴滴出行(デイディチューシン)は6兆円程度と見積もられている。

日本にはライドシェアがなく、価値はゼロだ。デジタル社会の基盤が整っている日本もできたはずなのに、既得権益を持つ業界が反対した。目の前の小さな利益に固執することで、大きな時代の流れのなかで大きな利益を見過ごしてきたのではないか。

平成の次の時代へ、日本が残した「宿題」とは=竹中平蔵氏
*本稿は、ロイター特集「平成を振り返る」に掲載されたものです。竹中平蔵氏へのインタビューをもとに、同氏の個人的見解に基づいて書かれています。

竹中平蔵東洋大学教授/慶應義塾大学名誉教授。写真は筆者提供。
*竹中平蔵氏は、東洋大学国際学部教授/慶應義塾大学名誉教授。1951年和歌山県和歌山市生まれ。一橋大学経済学部卒。日本開発銀行(現日本政策投資銀行)、ハーバード大学客員准教授などを経て慶大教授に就任。2001年小泉内閣で経済財政政策担当大臣。02年経済財政政策担当大臣に留任し、金融担当大臣も兼務。04年参議院議員当選。05年総務大臣・郵政民営化担当大臣。現在、国家戦略特別区域諮問会議の有識者議員、未来投資会議の民間議員などを務めている。

(聞き手:久保信博)
https://jp.reuters.com/article/opinion-heisei-heizo-takenaka-idJPKCN1PX03L
http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/346.html

[政治・選挙・NHK257] 焦点:政府が70歳定年へ効果試算、75歳も視野 にじむ年金改革の思惑
ビジネス2019年2月8日 / 12:43 / 1日前更新
焦点:政府が70歳定年へ効果試算、75歳も視野 にじむ年金改革の思惑
Reuters Staff
3 分で読む

[東京 8日 ロイター] - 政府のマクロ経済運営の基本方針を議論する経済財政諮問会議で、定年年齢を70歳まで引き上げた場合の経済効果に関する議論が始まった。就業者は217万人増、消費が4兆円増加し、社会保険料収入も2兆円超増加という「明るい未来」を描いた試算が提示された。

しかし、企業側からは早速、人件費増への強い懸念が示されたほか、民間エコノミストからは、定年延長による社会保障会計改善の意図が透けて見えるとの指摘もあり、法制化までは紆余曲折が予想される。とはいえ、政府には将来的に75歳まで定年を引き上げるシナリオもあり、今後、「超高齢化社会」をどのように形づくっていくのか、様々な意見が飛び交いそうだ。

<定年延長、社会保障制度維持やデフレ脱却効果を強調>

1月30日に開催された経済財政諮問会議に提出されたのは、65歳を過ぎて69歳まで働く高齢者が増えたケースでの試算結果だった。

就業率が現状の60歳台前半並みに上昇した場合、就業者が217万人増、消費は4.1兆円増、公的年金の保険料収入は2.2兆円増となるとのデータが、民間議員らから提出された。

安倍首相は昨年10月5日の「未来投資会議」で、雇用年齢の延長の検討開始を指示した。

その次の同会議では、70─74歳までの男性の就業率が、現状の32%から84%まで引き上げ可能との試算が提示され、議論の対象になった。複数の政府関係者によると、政府はすでに75歳までの雇用年齢引き上げを念頭に、将来の具体的なシナリオの検討を始めているという。

こうした「未来投資会議」での議論を踏まえ、諮問会議で定年年齢の引き上げを法制化するための議論が、本格的に始まったとみられる。

経済財政諮問会議の民間議員の1人である柳川範之・東京大学大学院教授は「働き方や何歳まで働くかを自由に選べる中で、社会保障の支え手を拡大させることが重要」だと、1月30日の諮問会議で発言した。

同じ民間議員の竹森俊平・慶應義塾大学教授も「今まで年金生活だった人が、自分の給料で消費ができるようになるのも、消費にはプラスだ。消費の回復が実現した時に初めて、デフレからの脱却が完成する」と述べていた。

<年金財政改善のシナリオありき>

もっとも、これらの試算が「楽観的過ぎ、恣意(しい)的過ぎる」との指摘も、民間の専門家から浮上している。

第一生命経済研究所・首席エコノミストの熊野英生氏は、60代後半の高齢者の就業率が70%まで高まっているのは、年金が一部カットされる制度が導入されて、収入への不安が高いためと分析。生活の必要に迫られない限り、就業率は年齢とともに低下していくのが自然だとみる。

「現状で47%程度という60代後半の就業率が70%まで高まるには、年金削減の程度が一段と厳しくなるなど、制度変更がない限り難しいのではないか」と指摘する。

実際、内閣府が2017年に実施した「高齢者の健康に関する調査」によると、働き続ける理由について、6割が「収入のため」と回答。生きがいや健康などの目的よりも、生活費の補てんを理由にしている人が圧倒的に多い。

そのうえで熊野氏は、消費増税を10%までで頭打ちにしても社会保障会計を改善させるには、定年延長が効果的であることをデータで実証することが狙いだとみている。

政府関係者の1人は「現状で65歳の定年年齢を引き上げることこそが、負担と給付の改善につながることは明らかだ」と、年金財政の立て直し効果を強調する。

定年年齢を引き上げれば年金保険料を支払う期間が長くなる一方で、年金給付を受ける期間は短縮され、同時に対象となる高齢者人口も少なくなる構図になるからだ。

<産業界は賛否両論>

しかし、高齢者を雇用する企業からみれば、メリットとデメリットの両方が意識され、そう簡単に応じられない事情もある。

経団連の中西宏明会長は「従来の(定年年齢の)65歳までの考え方をそのまま延長するのではなく、非常にフレキシブルなものにしていくことが大事」だと表明。「いきなり法制うんぬんという話に入る前に、しっかり議論させていただきたい」(18年10月22日の未来投資会議)と慎重な態度を示した。

ロイターが17年7月に実施したロイター企業調査では、65歳超に定年年齢延長を検討するとの回答は6%にすぎなかった。「長期雇用で人件費が負担」、「高齢化に伴う生産性低下」などのデメリットを挙げる企業があった。

一方で、定年延長のメリットとして「技術ノウハウ継承」「人手不足緩和」「再教育コストの削減」を強く認識している企業もある。

70歳までの継続雇用を打ち出した企業の1つであるすかいらーくホルディングス(3197.T)では、19年1月からパート従業員の定年を70歳に延長した。

生保業界でも太陽生命が70歳までの継続雇用制度を導入し、従業員が高い意欲を持って働けることで生産性の向上を狙っている。

柳川教授は、こうした動きが加速するには、高齢者が単に生活のために継続雇用を選択するだけでなく、新たなスキルを身に着けられるよう、企業側が能力開発などの環境整備を早急に進める必要があると指摘している。

中川泉 編集:田巻一彦  
https://jp.reuters.com/article/japan-pension-fund-idJPKCN1PX098


 
軽くみた少子化、対策の好機を逃す シルバー民主主義 広がる世代間格差 シニアビジネス 模索の末に見えた解  
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/893.html

オピニオン:まだら模様の平成時代、ベーシックインカム必要に=竹中平蔵氏
http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/346.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/349.html

[経世済民130] 下がり続ける労働分配率、需要鈍化で企業の価格転嫁の妨げに 銀行融資、危うい復調 20年ぶり500兆円台 世界で「ゾンビ
コラム2019年2月8日 / 18:19 / 2時間前更新

下がり続ける労働分配率、需要鈍化で企業の価格転嫁の妨げに
田巻一彦
3 分で読む

[東京 8日 ロイター] - 付加価値に占める人件費の割合である「労働分配率」が、低下傾向を続けている。企業が過去最高益を更新する中で、利益の拡大テンポほどには、賃金を上げていないためで、消費が盛り上がらない大きな要因の1つと言えるだろう。需要の高まりが弱いことで、企業の価格転嫁が進まず、物価が上がりにくい構造を作っている。

賃上げにメリットを感じる企業経営者の「意識改革」が起きないと、所得─消費─設備投資という内需エンジンが動き出すのは難しい。

労働分配率は、財務省が発表する法人企業統計のデータから割り出すことができる。2018年9月発表の2017年度データによると、労働分配率は66.2%と43年ぶりの低さとなった。

同統計で示される人件費、支払い利息等、動産・不動産賃借料、租税公課、営業純益を合算して付加価値を割り出し、賃金や福利厚生費を含めた人件費の割合を弾き出す。

ただ、このデータは1年に1回しか発表されないので、最新のデータは2018年7─9月期の同統計から導き出すことになる。

しかし、四半期データには、支払い利息等や租税公課などの項目がないため、売上高から売上原価を差し引いた額を「簡易の付加価値」とみなし、同じ7─9月期のデータを使って、最近の”労働分配率”のトレンドを見ることにした。したがって、絶対的な水準に関しては、年度のデータとの連続性はない。

それによると、18年7─9月期の付加価値は82兆4332億円。これに対し、役員の報酬や賞与を含めた人件費は46兆0897億円。労働分配率は55.9%だった。

2年前の16年7─9月期の付加価値は75兆9921億円、人件費は42兆8733億円で、労働分配率は56.4%。

第2次安倍晋三内閣が発足した直後の13年7─9月期は、付加価値が70兆8724億円、人件費が40兆7621億円、労働分配率は57.5%だった。

労働分配率は、57.5%、56.4%、55.9%と低下傾向を描いている。

企業の利益が大幅に伸びている割合に比べ、賃金上昇率が伸び悩んでいるのはなぜか──。

大きな要因は、企業経営者の「将来不安」だろう。日本国内の少子・高齢化は進展のスピードが緩和するどころか加速する兆しをみせ、幅広い業種で国内市場の規模縮小が顕著になっている。

固定費増につながる人件費の引き上げには、「二の足を踏む」経営者が圧倒的に多い。

また、国内市場の縮小に伴って、製造業では海外での生産・販売比率が高まっており、国内で新たに設備投資を展開するインセンティブが低下。それに伴って国内での人員を縮小する企業が目立ち、国内で人件費を大幅に増やす選択は「論外」と言う声も少なくない。

しかし、バブル崩壊以降の30年近く、人件費を固定費として見続けた結果、優秀な人材をリストラの対象として放出した電機業界は、1980年代の「黄金期」が過去となり、黒字の稼ぎ頭の地位から滑り落ちた。

マクロ的にみれば、労働分配率の低下によって、国内の個人消費のパワーは活力を失い、国内総生産(GDP)成長率が2%を超えることは望めなくなった。

この状況を打破するには、企業経営者の発想の転換が必要だと考える。18年7─9月期に利益剰余金を過去最高の453兆円まで積み上げ、せっかくの好業績の「果実」を生かしていないのは「怠慢」のそしりを免れないだろう。

国会では、実質賃金や総雇用者所得などを巡り、政府・与党と野党との見解がすれ違っているが、労働分配率の低下傾向が続く限り、最終消費市場に活力が戻ることは難しいだろう。需要の弱さは、価格設定での「強気」の見方を企業から奪い、値上げに臆病な取引慣行がはびこるという現実につながる。

上がりにくい物価の背景には、人件費への見方を変えない日本企業の経営者の「思考回路」が厳然と存在する。
https://jp.reuters.com/article/cmpny-labour-idJPKCN1PX0KU

 


 

銀行融資、危うい復調 20年ぶり500兆円台
世界で「ゾンビ」台頭、成長に影
2019/2/9

日銀が8日まとめた貸出金統計によると、邦銀による2018年末の国内貸出残高は504兆3974億円と、1997年末以来となる21年ぶりの高水準になった。景気回復と低金利を追い風に中小企業への融資が伸びた。だが現場では、返済能力が乏しく延命するだけの「ゾンビ企業(総合2面きょうのことば)」にすら低利で貸す競争が過熱している。長期の金融緩和とカネ余りは経済の新陳代謝を遅らせ、効率の悪い資金の循環を温存している。

西日本の地方銀行で融資を担当する男性は苦しそうに語った。「本当に限界が近づいている」

低金利競争が過熱

多数の地銀があり「激戦」とされる地域では融資の競争が激しく、経費を考えると赤字になるほど金利が下がっている。東京商工リサーチのデータから算出すると国内行の18年3月期の貸出金利ざやは0.25%。5年前より0.28ポイント低い。98年末以来、20年ぶりとなる500兆円台の融資があっても、収益は1兆4千億円ほど少なくなる計算だ。

設備投資17%減

融資の緩みは日本だけの問題ではない。国際決済銀行(BIS)は昨年9月、「ゾンビ企業の台頭」と題した報告書を公表した。日本を含む14カ国では上場企業のうち12%が過去3年以上にわたり債務の利払いを利益でまかなえていない。こうした「ゾンビ企業」の比率は1980年代後半には約2%に

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO41108440Z00C19A2MM8000/

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/894.html

[経世済民130] 原油市場、ベネズエラ制裁でも平静な訳 米政府、ベネズエラ国軍と直接連絡 離反促す 米国、特恵関税対象からインド除外
トップニュース2019年2月9日 / 08:43 / 3時間前更新
アングル:

原油市場、ベネズエラ制裁でも平静な訳
Reuters Staff
1 分で読む

[ロンドン 5日 ロイター] - 米政府がベネズエラ国営石油会社PDVSAへの制裁を発表してから1週間が経過したが、原油市場は落ち着きを保っている。他の産油国に十分な生産余力があるほか、米国も戦略石油備蓄(SPR)を持ち、ベネズエラによる生産の落ち込みをカバーできるためだ。

ベネズエラの原油輸出量は1日当たり100万バレル程度で、世界の全生産量の約1%。その半分が米国に出荷されている。米国の製油所は重質・高硫黄原油の精製に適した設計になっており、こうした原油の多くがベネズエラ産となっている。

世界最大の産油国のサウジアラビアは余剰生産能力が日量180万バレルほどもあり、ベネズエラの生産の落ち込みを容易に穴埋めできる。アラブ首長国連邦(UAE)やクウェートなど他の石油輸出国機構(OPEC)加盟国も1月に減産を開始しており、増産が可能だ。

一方、OPECの創設メンバーであるベネズエラは、かつては世界第3位の産油国の地位を誇ったものの、近年は経済が破綻して生産が減っている。OPECの最近の減産合意でもリビアやイランとともに適用が免除された。

ベネズエラは既に生産量が減っていたため、制裁による生産減少の影響は小さい。指標となる北海ブレントLCOc1は米国が制裁を発表した先月29日に61ドルだったが、2月5日も63ドル以下の水準で取引された。

サン・グローバル・インベストメンツのミヒル・カパディア最高経営責任者(CEO)は「ベネズエラが世界の石油市場から抜け落ちれば、原油相場は短期的に押し上げられるが、影響は限られる」と指摘。「米国は他の購入先を探すだろうし、製油所も対応できる」と説明した。

さらに米国には約6億5000万バレルのSPRがあり、油価が上昇すればトランプ大統領がSPRからの放出に踏み切るとみられている。SPRの3分の2を高硫黄原油が占める。

業界幹部は「(ベネズエラ制裁に対する)市場の反応は非常に小さい。原油に十分な生産余力があるのに加えて、必要とあればSPRもある。トランプ大統領は原油価格の急激な上昇を容認しないだろう」と述べた。

https://jp.reuters.com/article/us-small-cap-stocks-idJPKCN1PV0ZS

 


 
ワールド2019年2月9日 / 04:34 / 3時間前更新
米政府、ベネズエラ国軍と直接連絡 離反促す=政府高官
Reuters Staff
1 分で読む

[ワシントン 8日 ロイター] - 米政府がベネズエラ国軍に直接連絡を取り、マドゥロ政権からの離反を促していると、ホワイトハウス高官が明らかにした。また、米政権はマドゥロ大統領退陣への圧力を強めるため、追加制裁実施の用意を整えているという。

ホワイトハウス高官はロイターとのインタビューで対話の詳細などには踏み込まなかったものの、「限定的だが、マドゥロ政権の元閣僚や軍部と対話を続けている」とし、今後離脱者が増えるとの考えを示した。

さらに、トランプ政権が追加制裁の用意を整えているほか、マドゥロ政権存続を手助けしているとみられるキューバ国軍や情報機関の職員に制裁を科すことを検討しているとした。

また、マドゥロ政権が国外に資産を移転したり隠したりすることを阻止するため、欧州同盟国が一段の措置を講じる公算が大きいと、米政権は想定しているという。

*写真を付け、カテゴリーを追加します。

トップニュース2019年2月9日 / 10:33 / 3時間前更新
アングル:米小型株が相場けん引、それでもくすぶる債務問題
Reuters Staff
2 分で読む

[ニューヨーク 5日 ロイター] - 昨年終盤の米株安局面では、小型株の下げが最もきつくなった。多額の借金を巡る懸念が背景だ。しかしその後は米連邦準備理事会(FRB)が利上げの早期停止を示唆し、米経済が近く景気後退入りすることはないとの見方が広がったため、小型株は年初からは相場上昇のけん引役となっている。

小型株は債務問題により敏感に反応する。こうした企業は固定金利の社債よりも、変動金利の銀行ローンで資金を確保するケースが多いためだ。

実際、昨年の金利上昇で借り入れの大きい企業の多くが返済に追われているとみられる。国際金融協会(IIF)のデータでは、返済が困難になっている企業の数は過去最高に近い。

しかも黒字が達成できていない企業の比率は、S&P総合500種.SPXでは1.4%にすぎないのと比べて、小型株主体のラッセル2000の構成銘柄では38.3%に上る。

ICE・バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの指数によると、昨年12月には社債と米国債の利回り差が、高利回り債と投資適格級債の両方で7年余りで最高の水準に拡大した。

しかし信用スプレッドが縮小し、投資家のリスク回避姿勢に和らぐ兆しが出てくるとともに、小型株は持ち直した。FRBが先週、しばらく利上げしない姿勢を示したことも追い風になった。

年初来の上昇率は小型株主体のラッセル2000とS&P600指数.SPCYがそれぞれ12.9%、12.1%に達しているのに対して、S&P総合500種は9%だ。

エドワード・ジョーンズの投資ストラテジスト、ケート・ウォーン氏は「金利がなお低い一方で成長は底堅さを保っており、企業の債務不履行への懸念は景気サイクルの次の下降局面に先送りされた。われわれはそうした局面がすぐに到来するとは予想していない」と述べた。

借り入れ比率の高い企業ほど、昨年末の下落幅と、年初からの持ち直しの幅がともに大きかった。

ロイターの分析に基づくと、ラッセル2000構成銘柄のうち昨年第4・四半期の値下がり率上位25%の企業は、借り入れ比率の中央値が41.1%で、1月の株価の平均上昇率が16.6%だった。半面、昨年第4・四半期の値下がり率下位25%の企業は、借り入れ比率は32.3%、1月の平均上昇率が4.7%にとどまった。

ただ、現在の景気拡大サイクルはあと数年で終わると見込まれており、企業の借り入れに対する不安が完全に消えたわけではない。

パウエルFRB議長は先週の会見で、企業の債務水準を注視していると発言。国際通貨基金(IMF)のリプトン筆頭副専務理事も先月末の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、企業債務は経済にとってリスクだと指摘した。

ホッジズ・キャピタル・マネジメントのポートフォリオマネジャーであるエリック・マーシャル氏のような小型株に楽観的な市場関係者ですら、銘柄の選択にあたって企業のバランスシートの点検を強化していると話す。

インバネス・カウンセルの首席投資ストラテジスト、ティム・グリスキー氏は、小型株の最近の持ち直しは値下がりトレンドにおける一時的な小康状態だと分析。「債務水準は小型株のみならず一部の大型株にとって引き続き問題になっている」と付け加えた。

(April Joyner記者)
https://jp.reuters.com/article/us-small-cap-stocks-idJPKCN1PV0ZS


 


 

ビジネス2019年2月9日 / 01:49 / 3時間前更新
米国、特恵関税対象からインド除外を検討=関係筋
Reuters Staff
1 分で読む

[ニューデリー 8日 ロイター] - 米政府がインドを一般特恵関税制度(GSP)対象国から除外する方針を検討していることが関係筋の話で明らかになった。貿易や投資を巡る両国の不和が拡大していることが背景にあるとみられる。

関係筋によると、米通商代表部(USTR)はインドのGSP対象国としての見直しを完了し、今後2週間程度で決定を発表する見通し。

GSPの下、現在インドが米国に輸出する56億ドル相当の製品が無関税となっている。内訳は約2000種の製品で、GSPから除外されれば、同国の中小規模の宝飾業者などが大きな痛手を受ける見通しという。

インドのモディ首相が国内の製造業育成策「メイク・イン・インディア」を掲げる半面、トランプ米大統領は製造業の米国回帰を目指し、「アメリカファースト(第一主義)」を唱える中、両国の政策は相容れないものとなっている。

最近では、インド政府は電子商取引(EC)サイトの外資規制を強化し、今月からアマゾン・ドット・コム(AMZN.O)やウォルマート(WMT.N)傘下のフリップカート・グループがインド国内で販売できる製品を制限し、物議を醸している。

また、クレジットカード大手のマスターカード(MA.N)やビザ(V.N)など多国籍の決済サービス会社はインド国内へのデータ移管を余儀なくされたほか、電子関連製品などには高率の関税を課す政策が続いている。

米政府高官によると、ロス商務長官が来週ニューデリーを訪れ、EC外資規制やデータの現地移管などに懸念を表明する見通し。

*見出しの体裁を整え、カテゴリーを変更して再送します。
https://jp.reuters.com/article/usa-trade-india-idJPKCN1PX1VG

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/895.html

[経世済民130] 衝撃! 日本人の賃金が「大不況期並み」に下がっていた アベノミクスとはなんだったのか 
衝撃! 日本人の賃金が「大不況期並み」に下がっていたアベノミクスとはなんだったのか…

中原 圭介
経済アナリスト
プロフィール
シェア7,764ツイートブックマーク273
毎月勤労統計の不正が発覚したことによって、日本の賃金上昇率がかさ上げされていたことが明らかになり、国会が紛糾している。野党は「アベノミクス偽装」だと言うが、じつは問題の本質はそんなところにあるのではない。独自試算をしてみると、日本人の賃金がすでに「大不況期並み」になっていることが明らかになったんです――そう指摘するトップ・アナリストで、『日本の国難』の著者・中原圭介氏による緊急レポート!
野党の言う「アベノミクス偽装」は本当か?
厚労省の一連の不正統計において、とりわけ野党が問題視しているのは、2018年1月から「毎月勤労統計」の数値補正を秘かに行っていたということです。
〔photo〕gettyimages
たしかに、2018年からの補正によって賃金上昇率がプラスにかさ上げされていたのは紛れもない事実であり、厚労省が集計しなおした2018年の実質賃金はマイナス圏に沈む結果となったので、野党が「アベノミクスは偽装だ」と追及するのは間違いではないといえるでしょう。
しかし私は、野党が2018年の実質賃金だけを取り上げて、「アベノミクスは偽装だ」というのは、大きくポイントがずれているし、国民をミスリードしてしまうと考えております。
というのも、2018年だけの実質賃金を取り上げるよりもずっと重要なのは、アベノミクス以降の実質賃金、すなわち2013年以降の実質賃金がどのように推移してきたかという事実だからです。統計の連続性を担保したかたちであれば、補正を行っても行わなくても、賃金に関するアベノミクスのごまかしが露見することになるというわけです。
2013年〜15年に「リーマン級」にまで暴落していた
そのような視点から、2000年以降の賃金の推移を独自の試算(2000年の賃金を100として計算)で振り返ってみると、名目賃金は2000〜2004年まで大幅に下がり続けた後、2006年までは小幅な上昇に転じたものの、リーマン・ショック前後の2007〜2009年に再び大幅に下がり、その後の2017年まではかろうじて横ばいで踏ん張っていることが見て取れます。
中原氏の著書『日本の国難』より
そうはいっても、2016〜2017年の名目賃金は2年連続で小幅ながらも増えているので、政府によって「賃金はいよいよ上昇トレンドに入ったのだ」と力強く語られるのは致し方ないのかもしれません。しかしながら、物価の変動率を考慮した実質賃金の動きを名目賃金に重ねて眺めると、政府の主張が明らかに間違っていることがすぐに理解できるようになります。
そのように容易に理解できるのは、実質賃金は2000年以降、名目賃金とほぼ連動するように推移してきたのに対して、2013年以降はその連動性が完全に崩れてしまっているからです。2013年以降の5年間の実質賃金の動向を振り返ってみると、2013年は0.8ポイント減、2014年は2.6ポイント減、2015年は0.9ポイント減と3年連続で減少を続けた後、2016年には0.7ポイントの増加に転じたものの、2017年には再び0.2ポイントの減少へと逆戻りしているのです。
ここで注目したいのは、日本は2012年12月から戦後最長の景気拡大期に入っているにもかかわらず、2013〜2015年の実質賃金の下落幅は累計して4.3ポイントにまでなっていて(※厚労省の当時の統計では4.6ポイント減/2015年=100で計算)、その下落幅というのは2007〜2009年のリーマン・ショック前後の5.2ポイントに迫っていたということです。そのうえ、2014年の2.6ポイント減という数字は、2008年の1.9ポイント減や2009年の2.2ポイント減を上回り、2000年以降では最大の下落幅となっているのです。
景気は国民の実感のほうが正しい
2013〜2015年の実質賃金が未曽有の不況期に迫る落ち込みを見せた理由は、同じ期間に名目賃金がまったく増えていなかった一方で、大幅な円安が進行したことで輸入品の価格が大幅に上昇している過程において、消費増税までが追い打ちをかけて実質賃金の下落に拍車をかけてしまったからです。
私の試算では、2013〜2015年の実質賃金の下落幅4.3ポイント減のうち、輸入インフレの影響は2.5ポイント減、消費増税の影響は1.8ポイント減となっているのです。
〔photo〕iStock
その結果として、2014〜2016年の個人消費は戦後最大の水準まで減少することになりました。
円安インフレによりガソリンや食料品など生活に欠かせない必需品ほど値上がりが目立つようになったので、多くの家庭で財布を握る主婦層はそれらの必需品の値上がりには敏感に反応せざるをえず、ますます節約志向を強めていくことになったのです。
円安によって大企業の収益が飛躍的に高まったのに対して、国民の賃金上昇率は物価上昇率に大きく割り負けしてしまい、購買力が加速度的に落ち込む事態になったというわけです。
経済メディアのお決まりの説明では、「実質賃金より名目賃金のほうが生活実感に近い」といわれていますが、私は少なくとも日本人にとってはその説明は当てはまらないと確信しています。というのも、日本人の消費の動向は実質賃金の増減に大きく左右されていることが明らかになっているからです。
著書『日本の国難』より
現に、実質賃金と個人消費のグラフを重ねて相関関係を検証すれば(上グラフ)、実質賃金が大幅に下落した時にのみ個人消費が減少するという傾向がはっきりと表れています。とりわけ2013年以降は名目賃金と実質賃金の連動性が逆相関の関係になったことにより、かえって実質賃金と個人消費の関係がわかりやすくなったというわけです。
実質賃金と個人消費に強い相関関係が認められる今となっては、経済学者も経済官僚も「名目賃金が国民の生活実感に近い」という間違った常識を改める必要があります。そのうえで、いかに実質賃金を上昇させていくのかという発想を取り入れて、国民の生活水準の向上を考えていかねばならないのではないでしょうか。
国民の8割はアベノミクスの蚊帳の外にいる
安倍晋三首相の言う「平均賃金」とは名目賃金のことを指しており、「史上最高の賃金上昇率」とは連合の発表している数字を根拠にしています。
しかし、これまで申し上げてきたように、普通の暮らしをする国民にとって重要なのは、決して表面上の名目賃金などではなく、物価を考慮した実質賃金であります。おまけに、連合に加盟している労働者は日本の全労働者のわずか12%にすぎず、労働組合がない圧倒的大多数の中小零細企業の労働者は含まれていないので、史上最高の賃金上昇率は一部の大企業の正社員に限定されて行われていたと言っても差し支えはないのです。
戦後最長の景気拡大なのに…
私は2013年にアベノミクスが始まった当初から、「アベノミクスの恩恵を受けられるのは、全体の約2割の人々にすぎないだろう」とざっくりとした感覚で訴えてきましたが、その後のメディアの世論調査でも概ねそれに近い結果が出ていたということは興味深い事実です。
私がなぜ約2割の人々だといったのかというと、富裕層と大企業に勤める人々の割合が大まかにいって2割くらいになるからです。
アベノミクスが円安によって株価や企業収益を高めるかたわらで、輸入品の価格上昇によって人々の実質賃金を押し下げるという弊害をもたらすことは、最初からわかりきっていたのです。
要するに、普通に暮らす残りの8割の人々は、未だにアベノミクスの蚊帳の外に置かれてしまっているというわけです。日本は戦後最長の景気拡大が続いているとはいっても、いずれの世論調査においても国民の約8割が「景気回復を実感できない」と答えているのは、実は至極当然のことといえるでしょう。
不正統計があぶり出した「実質賃金の真実」
私はこれまでの著書や連載のなかで、経済統計のなかでいちばん重視すべき統計は決してGDP成長率の数字そのものではなく、国民の生活水準を大きく左右する実質賃金であると、たびたび訴えてきました。
アベノミクスの最大の問題は、政府が国民に対して名目賃金(とりわけ大企業の賃金上昇率)の成果ばかりを強調し、実質賃金にはいっさい触れてこなかったということです。
さらにひどいことに、安倍首相は「勤労統計の伸び率のみを示して、アベノミクスの成果だと強調したことはない」「連合の調査では今世紀最高水準の賃上げが続いている」と2月1日の参議院本会議で答弁しました。連合に加盟しているのは大企業ばかりで、その賃上げ率を日本全体に当てはめて説明している首相の姿は、あまりに国民の暮らし向きに鈍感ではないかと感じました。
それに加えて、名目賃金にしても実質賃金にしても、調査の対象は「事業所規模5人以上」となっているので、零細企業は調査対象外となっており、実態を正確に反映しているとは言えないところがあります。零細企業は中小企業よりも財務的にも経営的にも行き詰っているところが多く、零細企業を調査対象に入れれば、実態はもっと厳しい結果が出るはずだからです。
今回の不正統計の問題における大きな成果は、メディアが多少は実質賃金に注目するようになったということです。そういった意味では、野党が政府を追及しているポイントがずれているとはいっても、結果的には好ましい形になったのではないかと思っております。
政府には「国民の暮らし向きは良くなっていない」という現実をしっかりと直視してもらったうえで、国民の暮らしが良くなる経済政策や社会保障制度を構築することに期待したいところです。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59692

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/898.html

[経世済民130] 政府の統計以上に物価は上がっている〜実質値上げラッシュで国民はますます貧乏に
政府の統計以上に物価は上がっている〜実質値上げラッシュで国民はますます貧乏に

斎藤満
2019年2月5日 ニュース


日銀が2%の物価目標を達成できずに頭を抱える一方、消費者は同じ値段で売られているお菓子の容量が減るなど「実質値上げ」を目の当たりにして、かなりの物価上昇を感じています。どうして実態と統計は噛み合わないのでしょうか。今回は総務省「消費者物価指数」の疑義を取り上げます。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

※本記事は有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2019年2月1日の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

パソコンは性能が上がったから、同じ値段でも安くなった…?
消費者の実感と合わない物価指数
厚生労働省の「毎月勤労統計」問題が連日国会で取り上げられていますが、統計への疑義はほかにもたくさんあります。

すでに、総務省の労働力調査が失業率を過少に表示している可能性、厚労省の「一般職業紹介」が有効求人倍率を実態以上に高く見せていることを紹介しましたが、今回は総務省の「消費者物価指数」の疑義を取り上げます。

【関連】また忖度。勤労統計「データ改ざん」で露呈した見せかけの賃金上昇と雇用改善=斎藤満

昨年12月の消費者物価上昇率は前年比0.7%の上昇で、日銀は2%の目標が何年たっても実現できず、「高まらないインフレ率」に頭を痛めています。

一方で内閣府の「消費動向調査」や日銀の「生活意識に関するアンケート調査」をみると、消費者はかなりの物価上昇を感じています。

例えば、日銀の昨年12月に行ったアンケートをみると、消費者が実感する物価上昇率は、この1年で平均5.0%、中央値でも3.0%となっています。今後1年間の物価上昇についても、「消費動向調査」では、「2〜5%」を予想する人が38%で最大で、「5%以上」の21%と合わせると、59%の人が2%以上の物価上昇を予想(懸念)しています。

総務省の物価指数と消費者の実感とがこれだけ乖離する1つの理由に、毎日のように目にする食料品など生活周りの物価が全体平均よりも高い上昇を見せていることもあります。物価が下落している家電、パソコンなどは何年かに一度しか買わないので、意識の中に入りにくい面もあります。

しかし、それだけではなく、物価指数自体に実態とそぐわない問題がありそうです。

見えない値上げをカバーできない
実感と現実の物価指数の動きとの乖離をもたらしているものの1つに、数字に表れにくい実質値上げがあります。

例えば、私がよく利用する渋谷のデパートに入っているパン屋『R.ベーカー』のミルク・サンドは、1年前には30センチほどの長さがあましたが、現在は価格が同じで、長さが半分になりました。餡バターは価格が10円上がって大きさが1割から2割小さくなりました。

この他、牛乳の紙パックが変わったと思ったら、容量が1割減っていたり、同じ価格でも袋の中容量が1割減っていたり、チョコレートのサイズが小さくなって実質値上げとなっているものが少なくありません。

これらを統計調査員は十分カバーしているでしょうか。消費者物価の品目内訳をみると、「パン」は2015年100に対して足元は103と3%しか上がっていないことになっているところを見ると、この実質値上げは見落とされているようです。

Next: なぜ実感と統計はズレるのか?「実質値上げ」と並ぶもう1つの理由とは


恣意的な値下げ評価
もう1つ、実感と物価統計との乖離を大きくしているのが、計算上の恣意的な値下げ評価です。

これが目立つ分野の代表として、電気製品など「教養娯楽耐久品」と自動車の価格表示です。つまり、これらは現実の価格と大きく乖離して大幅値下げの形となったり、実際に値上がりしているのに上がっていない扱いになっていて、実感より物価を押し下げる形になっています。

<パソコンの例>
その一例として、パソコンの値段を見てみましょう。私は昨年の暮れに国産T社のノート・パソコンを買い替えましたが、その時の価格は約20万円でした。総務省の消費者物価指数では足元のバソコン価格は「101.1」となっています。そのパソコンの値段は、今から19年前の2000年1月時点で「8,379」となっています。今の80倍以上です。現在20万円のパソコンは、19年前には1,600万円以上していたことになります。

もちろん、実際に2000年当時のパソコンが1,600万円もしたはずがありません。記憶では、今とあまり変わらない値段だったと思います。

同じような値段であったはずのパソコンが、消費者物価統計では19年間に価格が99%近く下がったように計上されています。これは当局がこの間のパソコンの機能向上分を価格に置き換え、実質的な値下げと判断し、19年前より99%も安い価格で計上しています。

現実の消費者は20万円を拠出してパソコンを買い、財布がそれだけ圧迫されるのですが、物価統計上は19年前に20万円だったパソコンは現在2千円ちょっとに下がったという扱いになっているのです。

<カメラの例>
同じように、カメラの価格指数は昨年12月で「102.4」となっていますが、1977年には「5,100」強となっています。現在1台2万円のカメラが、1977年当時は100万円以上したことになります。逆に言えば、1977年当時5万円のカメラは現在1千円で買えることになります。

これも現実離れしていて、カメラの値段はそんなに下がっていません。当局が画素数の高まりや機能向上分を価格に置き換え、値下げしたように表示しているだけです。

自動車の価格上昇も物価統計ではなかったことに…
やや異なりますが、現実に価格が大きく上昇しているのに、物価統計上は上がっていないのが自動車です。

今から約25年前にニューヨークでトヨタの「カムリ」を1万8千ドル(当時の為替レートで200万円弱)で買いました。最近カムリが復活してまた市場に出回っていますが、その価格は約400万円で、25年前の2倍になっています。

ところが、消費者物価指数の自動車は、1993年1月で99.8に対し、昨年12月は100.9と、ほぼ横ばいとなっています。カムリが今でも200万円で買えるならこれでも良いのですが、実際は2倍払わないと買えません。レクサスの上級車は現在1,600万円くらいしますが、25年前のレクサスはやはり今の半分くらいのコストだったと思います。

自動車の価格は明らかに上昇しています。しかし、これも自動車の機能向上分を価格評価し、現実の価格が2倍になっていても、機能が2倍になっていれば価格は横ばいという形で物価統計に計上しています。

Next: 実態と大きくズレる統計。政府が思うより国民はずっと苦しい

政府が思うより国民はずっと苦しい
これらは「毎月勤労統計」のような偽装、ルール違反ではありませんが、現実の価格、消費者が支払う価格と、物価統計の価格とが大きくずれていて、そのズレは当局者が人為的に決めたもので、決して市場で決まったものではありません。

「価格は市場で決まる」という経済学のルールから見れば、日本の物価統計は恣意的な決まり方をしている分、ルール違反とも言えますが。

統計調査員の「実質値上げ」の調査漏れ、統計担当者の機能向上分の恣意的な価格引き下げが、実態以上に日本の物価を低く見せている可能性があり、現実には消費者が感じる「3%のインフレ」に近いのかもしれません。

日銀の物価目標はとっくに達成されていて、その中で無用な異次元緩和を続けている可能性があり、一方で、家計の実質所得は、統計の値よりもさらに大きく減少している可能性があります。

(続きはご購読ください。初月無料です)
https://www.mag2.com/p/money/632715/3
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/899.html

[経世済民130] 不安を煽ったのは誰?「2020年景気後退」「2019年バブル崩壊」説は大きく後退へ
不安を煽ったのは誰?「2020年景気後退」「2019年バブル崩壊」説は大きく後退へ

藤井まり子
2019年2月7日 ニュース

シェア
14
ツイート
11
はてブ
0
Pocket
グローバルマーケット、特に米国株式市場では、むちゃくちゃ強気が蘇っています。「2020年景気後退」「2019年バブル崩壊」説が大きく後退しているのです。(『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』藤井まり子)

※本記事は有料メルマガ『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』2019年2月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

シーゲル博士「2019年の米国株は10〜20%の上昇」と上方修正
アメリカ株式市場では既に強気が蘇っている!
グローバルマーケット、特にアメリカ株式市場では、既にむちゃくちゃ強気が蘇っています。

昨年2018年秋から12月にかけて、「アメリカ株式市場はバブル崩壊」なんて言ってた人は誰でしょう?投資銀行では、モルガンスタンレーが弱気(=アメリカのバブル崩壊)の論陣を張っていたような記憶があります。日本国内では、日経新聞さんがじっくり1年くらい時間をかけて、極度の弱気の論陣を張っていたような記憶があります。経論家では山崎元氏、学者さんではアンチリフレ派の小幡績氏などが、弱気派の筆頭でしたね…。

彼ら「2018年から2019年にはバブル崩壊」派の論陣の中身は、
・イールドカーブがフラット化している
・アメリカの失業率が3%台にまで下がったら、アメリカの景気後退は近い
などと、危機前の高インフレ時代に使い古された旧態依然の経験則で弱気の論陣を張っていました。

バカを言ってはいけません!

サブプライム危機後の今は、アメリカでもユーロ圏でも(もちろんこの日本でも)、「多くは望まないけれども、せめて日本経済のようなデフレやディスインフレ状態に陥るのを回避して、2%前後のインフレ率を長期間維持してゆく」ということが、最優先課題になっているんです。

「労働分配率の低下」「格差の拡大」が深刻な問題に
危機「前」ならば、(日本を除けば)世界経済では2%インフレはらくらく達成できました。ところが、危機「後」は、その2%もの比較的低めのインフレ率でさえ、あのアメリカでも達成し続けることが危うくなりかけているのです。

しかも、あの中国は2011年からず〜っと経済のソフトランディングに四苦八苦し続けていて、周期的に世界中に「デフレ圧力」をまき散らし続けているんです。

「トランプの大型減税がノイズ」になって分かりにくくなっていますが、FRBもECBもそして日銀も「金融緩和の継続」のほうが長くなってしまいがちなんです。

しかも、今は、賃金上昇率がグローバル規模で安定し過ぎていて、なかなか上昇しない状態。IT化やロボット化やAI化やグローバリゼーションが賃金上昇率に歯止めをかけています。

直近では、優良企業でさえも渋ちんになってきて(アマゾンなんかがその代表例ですね)、いくらバカスカ稼いでも単純労働者の賃金を上げなくなっているんです。労働分配率が下がっているんです(悲しいことに、この労働分配率の低下は株式市場にとっては朗報です)。

マクロ的には、労働者が二極分解してしまって、中間層がどんどん下層へ落ちて行ってしまって、グローバル規模で高い成長率を維持できなくなってしまっています。格差が拡大しているんです。

ですから、アメリカ政治でもヨーロッパ政治でも「ポピュリズムのうねり」がどんどん大きくなっていっているんです。

2016年にはイギリスでは国民投票でブレグジットが選択されて、トランプ政権の誕生を許してしまいました。2018年にはドイツではメルケルが失脚、フランスではパリが燃え、ヨーロッパ各地で極左・極右政党が躍進しているわけです。

この「労働分配率の低下」「格差の拡大」は本当に深刻な問題です。

こういう時代こそは政治家が頑張って、せめて日本並みくらいには、税制を「中間層に手厚く行き渡るようにする」流れが欧米でもぜひとも必要なんですが、

アメリカっていう国はどうしようもないですね…。

あのアメリカでは、トランプ大統領の「お金持ちと大企業に超甘の大型減税」が成立して、労働者階級がトランプ大統領にすっかり騙されてしまっているわけです…。

Next: 「2020年景気後退」「2019年バブル崩壊」説は大きく後退へ

「2020年景気後退」「2019年バブル崩壊」説は大きく後退へ
話をもとに戻しましょう。こういった「インフレ率」が低い時代は、昨年12月からお伝えしておりますように、1970年代から2008年までの「高インフレ時代のイールドカーブの経験則」では将来は予測できません(きっぱり)。

さらには、昨年夏以来ずっとお伝えしておりますように1970年代から2008年までの「高インフレ時代のフィリップス曲線の経験則」では、将来は予測できません(きっぱり)。

あのアメリカでも、失業率が下がっても、「将来不安」を理由に、あるいは「長生き時代の生きがい」を求めて、高齢者を中心に再び労働市場に戻ってくる人々が増えています。かくして失業率がどんどん低下して「人手不足」になっても、続々と参入する労働者が増えるので、労働市場がひっ迫しません。労働市場がひっ迫しないので、賃金がたいして上昇しません。

ですから、あのアメリカでも、失業率が3%台に下がっても賃金上昇率が勢いよく上昇しないので、インフレは落ち着いたままです。すなわち、「従来型のフィリップ曲線の理論」が通用しなくなっているのです。

昨年夏からいや、1年以上前から繰り返しお伝えしておりましたように、
・2019年1月にはパウエルFRBは利上げを先送り
・2019年1月にはパウエルFRB議長は金融緩和策へと大転換
となったわけです。

ただし、これには大前提があります。アメリカの長期金利が上昇しないことです。

かくして、モルガンスタンレーや日経新聞さんや一部の識者の方々が声高に唱えていた「2020年のアメリカ経済の景気後退入り」説や「2019年のバブル崩壊」説の可能性は、目下のところ、大きく後退しています。

シーゲル博士「2019年の米国株式市場は10〜20%の上昇」
ジェレミー・シーゲル博士もアメリカ株式市場について強気を強めています(ちなみに、ロバート・シラー博士も、JPモルガンをはじめとする投資銀行たちも、一斉に強気へと転じています)。

昨年2018年末には、シーゲル博士は、他の強気派の投資銀行やシンクタンクたちと同様に、「2019年のアメリカ株式市場は5%〜15%上昇する」と予測していました。

しかし、2月1日発表の「絶妙とも言えるアメリカの1月の雇用統計」を受けて、シーゲル博士はこの予想を上方修正します。同じく、2月1日の雇用統計を受けて、JPモルガンも「アメリカ株式市場は2018年の最高値を超える可能性が出てきた」と予測を修正しています。

では、その「1月の雇用統計」の中身はどんなだったのでしょうか?

シーゲル博士曰く、

目下のところ、最大のリスクは、「インフレが予想以上に高進してFRBが引き締め過ぎる」ことだが、明らかにこういう話は出ていない。
1月30日のFOMCで、マーケットはパウエルFRB議長とFOMCから「これ以上ない贈り物」を受け取った。利上げを停止するだけでなく、「バランスシート縮小」も当初予想より小幅になるという内容の「ハト派スタンスの贈り物」だ。これで、「金利上昇への心配」だけでなく「流動性逼迫の心配」も後退した。
合わせて2月1日発表の「アメリカの雇用統計」も「完全にすばらしい数字」だった。特に、労働参加率の上昇は良かった。労働参加率は6年ぶりに高水準だったことは、株式市場にとってはとても朗報だ。これで、労働市場のひっ迫が少なくなり、「労働市場のひっ迫から賃金上昇へ、賃金上昇からインフレ上昇への波及」の心配が小さくなった。
これは、労働市場に戻って来る人たちが多いので、労働市場がひっ迫せずに、賃金が急騰しない。結果、インフレ昂進が起こらないといった「株式市場にとっては絶妙に好ましいバランスだ。
インフレを恐れる必要のないFRBは、当面はハト派的なスタンスを継続できることでしょう。

その結果、シーゲル博士は、昨年末、「2019年のアメリカ株式市場は5%から15%上昇する」との予想を「2019年のアメリカ株式市場は10%から20%の上昇をするだろう」と上方修正しました。

(アメリカ株式市場は今年に入ってからすでに7〜8%上昇していますから、差し引いてもまだまだ「2〜3%から12〜13%」前後は上昇する可能性が残っているわけです。)

Next: トランプリスクは後退か。今年も「長期金利の上昇」が米国株式市場の最大の敵

ワイルドカードは「米中貿易協議」
シーゲル教授も、やはり、たとえトランプが国家非常事態宣言を発動して政府機関のシャットダウンを再開させようとしても、裁判所がこれを却下するので、「シャットダウンが再び起こることはない」と見ているようです。

一方で、博士は、米中貿易協議は「ワイルド・カード」だとしています。米中貿易協議の今後の進展次第では、上方リスクも下方リスクもあるとしています。

「3月1日のタイムリミットまでに米中の貿易交渉がうまくゆけば、そして、その時のアメリカの長期金利がまだ低ければ、アメリカ株式市場はまだまだ5%くらいの上昇が期待できるだろう。」としています。

「長期金利の上昇」が米国株式市場の最大の敵
2018年のアメリカ株式市場は、長期金利の上昇が壁になっていたことは、皆様ご存知の通りです。2018年10月の下落は、長期金利が3.25%にタッチしたときに始まりました。

やはり、2019年においても、長期金利の上昇がアメリカ株式市場の「最大の敵」になるようです。

シーゲル予測やJPモルガン予測は、あくまで「アメリカの長期金利が安定している」ことが前提の予測ですが、今のアメリカ株が2019年にはうまくゆけば10%〜20%の上昇を示すことでしょう。

ということで、今年もアメリカの長期金利の上昇には要注意です。

当メルマガでは、ラガルドIMFなどの通貨マフィアたちから、黒田日銀は、アメリカの長期金利の上昇を抑え込むためにも、3月か4月には「外債購入」という「追加の金融緩和策」を求められている可能性が高いと、予測しています。

(続きはご購読ください)
https://www.mag2.com/p/money/634079/3
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/900.html

[経世済民131] 総額3兆円、鴻海・米中同時接近戦略のリスクと勝機  拡大する中国の半導体需要 中国メーカー4社がトップ10
総額3兆円、鴻海・米中同時接近戦略のリスクと勝機
稀代の実業家・郭台銘はなぜ莫大なリスクを冒せるのか
2019.2.8(金) 中田 行彦
2018年6月、米国ウィスコンシン州の鴻海の液晶工場起工式に出席した郭台銘・鴻海精密工業会長、トランプ大統領、スコット・ウォーカー州知事(写真:AFP/アフロ)
 台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長(会長)は、2019年2月2日に、前日にトランプ米大統領からの電話でアメリカへの投資を促されたことを受け、米中西部ウィスコンシン州で予定していた液晶パネル工場建設を継続すると明らかにした。人材不足や液晶パネル市況の悪化を受けて中断していた工場建設が再び動き出すことになる。一部では、この一件、鴻海の「ブレる米国戦略」と揶揄されている。

「三兎を追うものだけが三兎を得る」
 しかし、アメリカと中国との「ハイテク戦争」が激しさを増す状況下で、鴻海は米中双方に同時接近し、「三兎を追う」戦略を進めている。今回の翻意についても、筆者は、鴻海にとって「想定内」の戦略ではなかったのかと思う。

 二兎を追うものは一兎をも得ず――言わずもがなだが、あれこれ目を奪われることなく、一つのことに集中せよ、ということを教えてくれることわざだ。だが、常識や規範を破壊して前進していくタイプの人間もまれにいる。規範を知った上で、あえて規範を破壊していく人だ。

 郭台銘はまさにこのタイプだ。二兎どころか、三兎も追っている。それは「三兎を追う者だけが三兎を得る」と心得ているからに違いない。

 ではその「三兎」とは何か。鴻海が中国・広州で建設を予定している液晶工場、同じく中国・珠海で計画している半導体工場、そして前述のアメリカ・ウィスコンシン州の液晶工場の3つだ。

 米中は、知的財産権を争う「ハイテク戦覇権戦争」の真っ只中にある。この米中「ハイテク覇権戦争」も永遠に続くはずはない。終戦後に鴻海が「三兎を得る」可能性がある。少なくとも、米中の「両面戦略」が、ハイリスクではあるが、利益を生み出す可能性がある。課題は、リスクをいかに低減するかにある。この視点から本事例を読み解いていく。

 鴻海が米中で予定している新規工場は、それぞれ投資金額がおよそ1兆円に及ぶビッグプロジェクトだ。

 米国液晶工場の位置を【図1】に、総額3兆円の工場投資計画を【図2】にまとめてみた。

【図1】 米国での鴻海の大型液晶パネル工場とシャープ関連会社(筆者作成)
【図2】鴻海の米中での液晶・半導体工場投資計画(筆者作成)
http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/b/4/600/img_b4c10d6e3500508fa45e1bdb23ec208d206103.jpg
http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/f/e/600/img_fe25df20d9c7e7ad6caabe3a1297ec96136878.jpg


 一つは、中国に習近平国家主席の提唱する「中国製造2025」の象徴となる、世界最大の10.5世代の液晶工場だ。これは広州に総額約1兆円を投資して最新の液晶工場を建設する計画である。

 さらに中国では、もう一つの巨額投資計画を打ち出した。中国の珠海に予定している半導体工場だ。「中国製造2025」を実現する半導体素子を自前で製造したい中国にとっては、喉から手が出るほど熱望する計画だ。

 中国での巨額投資をぶち上げた郭台銘は、「米国第一」主義の米国トランプ大統領にも接近した。それが冒頭で取り上げた、ウィスコンシン州に建設することになっている液晶工場だ。液晶工場は、現在は、日本、韓国、台湾、中国のアジアにしかない。この工場建設で、雇用を生み出す計画だ。

 だが液晶工場の各社の計画を見ると、数年先の計画では「TBD(To Be Determined)」とされているものが多い。TBDとは、未確定を意味する英語表現であるが、単に決まっていないだけでなく、「後で決める予定である、将来確定させるべきである」という意味を含んでいる。

 つまりこういうことだ。液晶工場の建設に必要な投資金額は、近年に急激に増大し1兆円を超えるものも多くなった。このため自社で全額投資するのではなく、先に工場建設計画のアドバルーンを挙げ、建設予定地となる地方自治体からの投資や支援策を呼び込んで、計画の確定、工場建設、さらに確度があがると生産設備導入に至るという手法が多く取られるようになってきた。つまり、巨額の投資計画では、アドバルーンを上げながら進めていくケースが多い。鴻海のウィスコンシン州の工場が一時凍結されていたのも、こうした慣行が背景にある。

競争戦略の基本:「バカな」と「なるほど」
 実は鴻海は、これまでにハイリスクに挑んで成長してきた。それを、同社が最初にアップルに食い込んだ際のケースから考えてみよう。

 アップルはiPhoneを初めて発売する時、ケースを金属製の高級感あふれるものにしたいとのこだわりをもっていた。製造受託先のメーカーがこの要求に応えるためには、非常に高価な工作機械を多数購入し、それを夜中まで稼働させないといけない。事業としてはハイリスクだった。多くの企業が尻込みする中、郭台銘は、リスクをとって多額の投資を行い、アップルからのビッグビジネスを獲得したのだ。こうした郭台銘の、従来の経済のパラダイム(規範)を破壊する型の経営を、私は「規範破壊経営」と名付けている。

 経営戦略論の名著に『「バカな」と「なるほど」』という本がある。吉原英樹神戸大学名誉教授の著書だ(PHP研究所刊)。「バカな」は、差別性、それも軽蔑される差別性を表現している。「なるほど」は、合理性ないし論理性を表している。吉原氏は、戦略の二大条件は、差別性と合理性であるとし、強いて言えば差別性の方が重要であると説いている。

 私が言う「規範破壊」は、このうち「バカな」のほうの差別性と言える。では、郭台銘の経営スタイルにおける「なるほど」の合理性はあるのだろうか。

 それをシャープとの提携交渉を踏まえて読み解いてみよう。

鴻海のシャープ堺工場運営会社への出資
 まず、鴻海がシャープと最初に提携した、堺工場運営会社への出資の事例に注目したい。

 郭台銘はかねてより、「シャープと鴻海が組んで、韓国のサムスンに勝つ」 、つまり「日台連携で韓国に勝つ」という構想を抱いていた。

 当然シャープと鴻海の提携交渉は、トップ同士の直談判となった。シャープは会長(当時)の 町田勝彦、鴻海は董事長の郭台銘が交渉に当たった。

 この交渉が、2012年3月26日に公表された、両社の提携に結びついた。提携内容は、液晶パネルを生産する堺工場の運営合弁会社への50%出資と、シャープ本体への10%出資の2つが柱だった。

 その後、堺工場の運営合弁会社への出資は実際に実行され、堺工場の共同運営で成果が出た。

 一方、シャープ本体への出資は、業績低下でシャープの株価が当初約束した価格より下がってしまい、実行すると鴻海側に損害が発生する状況に陥っていた。このため、交渉は難航し、最終的には決裂することになってしまう。

 郭台銘のこの決断について、私は「経済合理性」に適った判断だと思う。つまり、「なるほど」の合理性は、当初の計画を変更しても「経済合理性」を追求することだ。

 鴻海は堺工場の運営会社へ投資することにより、堺工場で生産する大型液晶パネルの半分が安定供給され、また液晶生産のノウハウが得られるメリットを獲得している。一方、シャープ本体への投資を止めることにより、株価低下による損失を回避できた。この2つの選択は、鴻海側から見れば「経済合理性」に適っている。

 シャープ側から見ても、大型液晶パネルの半分の安定供給先を確保でき、工場の稼働率を上げられ利益が出る体制が作れた。巨額の投資をした堺工場だったが、鴻海との提携により、売上高が損益分岐点を超え、利益が出るようになったのだ。

シャープ本体への出資と経費削減
 こうして、いったんはシャープ本体への出資を断念した郭台銘だったが、シャープへの強い思いは一貫して抱いていた。その思いを実らせるチャンスは4年後にやってきた。

 当時まだ経営危機を脱していなかったシャープは、政府系ファンドの産業革新機構(INCJ)からの出資によって救済されることが半ば決まっていた。シャープは解体されて、液晶部門はジャパンディスプレイ(JDI)と、家電部門は東芝の家電部門と統合されるはずだった。

 ところが、2016年1月末、鴻海の郭台銘が来日し、シャープ経営陣に直談判したことにより、このプランをひっくり返してしまったのだった。

 なぜ、郭台銘は、産業革新機構の提案を論破し逆転できたのか?

 産業革新機構の提案と鴻海の提案、また参考として2019年1月時点の鴻海の実際の対応を、【図3】にまとめてみた。

【図3】産業革新機構の提案と、鴻海の提案と実際の対応の比較表
http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/7/0/-/img_70ff762ed8ee109061772df22aa65af7290107.jpg

 まずは、産業革新機構と鴻海の提案を比較してみよう。

 産業革新機構は「勝てる」と思って強気の案を出していた。出資規模では、鴻海の7000億円規模に対し、産業革新機構は3000億円規模。2倍以上の違いがあった。

 出資の仕方も大きく異なっていた。鴻海は、メインバンクであるみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行に対して、 「債務の株式化」(DES:デット・エクイティ・スワップ)で貸付金2000憶円を優先株に変えたものを簿価で買い取るとしていた。そのうえで、それ以上の債権放棄などは求めないという提案だった。

 これに対して、産業革新機構は優先株2000億円分の実質放棄とともに、さらなるDESにより1500億円の拠出を求めていた。合計3500億円の債権放棄を求めるという、銀行にとっては厳しい条件だった。この案を受け入れると、銀行のトップは株主代表訴訟で訴えられる恐れもあった。

 また会社の経営体制については、鴻海が原則現状維持の提案をしたのに対して、産業革新機構は経営陣の退任を求め、事業部門ごとに切り離すとしていた。

 つまり鴻海案はシャープ経営陣にとっても銀行側にとっても受け入れやすかったのだ。

 そして最も重要なのは、支援後の「成長戦略」を描けているかどうか、だった。

 産業革新機構の案では、シャープの液晶部門とJDIを統合するという同種企業の「日の丸液晶連合」であり、規模を大きくすることによりコストを抑えるという「規模の経済」が中心で、その先行きは不透明だった。

 一方、鴻海の支援案では、鴻海とシャープが同業ではなく補完関係にあることが明確になっていた。シャープは研究・開発に強く、鴻海は生産・販売に強い。このため両社の強みを生かした「国際垂直統合」と「共創」によりグローバル競争に展望が持てた。

 郭台銘はこの点を強調した。「グローバル成長戦略」で、シャープ経営陣を説得したことが、鴻海が大逆転する決め手となったのだ。つまり、この時点では、「なるほど」の合理性の面で見て、シャープが鴻海を選択するのが妥当だったのだ。

 しかし、鴻海の提案から3年を経た現時点から振り返ってみると、条件が低下された事項がある(【図3】参照)。これが、今回の注目すべき点である。

 提案を超えて実施された事項は、最も重要な「グローバル成長戦略」で、東芝のPC事業買収や、液晶テレビ1000万台計画等である。

 出資規模は、鴻海の提案7000億円規模に対して、最終は3888億円に削減されている。その理由は後述する。

 銀行が保有する優先株については、2018年6月、公募増資して優先株の買い取りを行う計画を発表していた。しかし、株価が低迷したため、「株式の希薄化」を恐れて、同じ6月に増資の中止を決定。「株式の希薄化」とは、新株発行で株式数が増えて1株当たりの権利内容が小さくなることだ。代わって、銀行が保有する優先株の約半分を、手元資金851億円により取得し、2019年1月に消却した。

 社員の雇用については、「原則現状維持」としていたが、2015年7月〜9月に国内3500人の希望退職を実施している。

郭台銘が「偶発債務」で見せた「条件交渉」
 鴻海による出資規模の削減には、「偶発債務」が関連している。2016年2月24日早朝に、シャープから鴻海に送られてきた「偶発債務」リストが騒動を引き起こした。これはシャープが鴻海の買収提案受け入れを決める臨時取締役会のまさに前日の出来事だった。

「偶発債務」とは、現在は発生していないが、将来何らかの事態が起きたときに負担する可能性のある債務のこと。例えば、ある製品の生産から撤退した場合に地元自治体に返納しなければならない補助金、特許侵害等を巡る訴訟の損害賠償金、製品輸送時の事故や取引先の倒産で生じる損失などがこれに該当する。重要性が高いものについては、財務諸表の「注記」に内容や金額を記載して投資家に開示する必要がある。

 鴻海の郭台銘は、24日に報告を受けると、シャープに説明と翌日の取締役会延期を要求した。しかし、シャープは、「偶発債務」を既に適切に開示しているとして、25日に取締役を開いて、鴻海を選んだことを鴻海に通告した。

 取締役会延期の要請を無視したシャープに対し、鴻海には不信感が広がった。シャープは、社長の高橋興三が深圳に出向き、郭台銘に謝罪と説明をせざるを得なかった。

 ここから郭台銘の交渉力が発揮される。

 出資額は、当初4800億円でまとまりかけていたが、「偶発債務」問題の発生により、鴻海は主力銀行に2000億円の減額を通告した。これに対して、2つの主力銀行は、新たな融資枠3000億円を設定する条件を示した。

 最終的に郭台銘は、出資額を当初予定の4800憶円から約1000億円減額した、3888億円とすることで、シャープと合意した。

 取るべき価値のあるリスクには挑戦するが、冒す価値のないリスクは徹底して排除する。誰もが「なるほど」と頷かざるを得ない経済合理性を追求している。

米中「ハイテク戦争」下での「想定内」戦略
 鴻海のシャープへの2回の出資および条件交渉の事例を見てきた。

 郭台銘の「規範破壊経営」は、ハイリスクの「規範破壊」を提案する「バカな」、その後、条件交渉により「経済合理性」を追求する「なるほど」から成り立っている。

 このように考えると、今回の鴻海の米戦略はぶれたのではなく、「経済合理性」を追求する「想定内」の戦略だと理解できる。

 まず、米中「ハイテク覇権戦争」の状況下で、米中の両方に同時接近するのは、米中双方から支援が得られなくなる可能性があり、ハイリスクである。

 郭台銘は、2019年2月2日午前、台北市内での講演で次のように述べたという。

「昨晩トランプ氏から電話を受け、米国投資に期待していると言われた」

 トランプ氏は「できる限りの協力」を申し出た上に、「中国との貿易協議は順調で、合意に達するだろう」とも話したという。これは、中国へも接近を試みている鴻海に対し、トランプ大統領直々に米国投資のお墨付きを与えられたことを意味する。

 また郭台銘は当初、トランプ大統領に対して、大型液晶テレビ等に用いる10.5世代の液晶パネル生産ラインを約束していた。しかし、米国に液晶サプライチェーンがないため、2018年の着工直前に、より小型で世界に多数稼動しており立ち上げが容易な「6世代」に変更していた。ところが、起工式に参加したトランプ大統領にはそのことを伝えなかったと言う。その後、経済環境の変化もあり、工場建設を凍結していた。

 今回のトランプ大統領との電話会談で、郭台銘はお墨付きを得ただけでなく、「6世代」への変更を追認してもらったことになる。

 今回の一件は、ウィスコンシン州からの支援にもプラスの効果が出てくる可能性がある。鴻海の液晶工場建設については、スコット・ウォーカー知事(当時、共和党)が、鴻海が負担する賃金の30%に相当する補助金、約3億5000万ドルを何年も支払う好条件を約束して誘致合戦に勝利していた。しかし、2018年11月の州知事選挙でウォーカー氏が敗れ、民主党のトニー・エバース氏が新知事に就任すると、鴻海に補助金が支給されるか不透明になった。

 しかし、民主党支持者にも、鴻海進出による雇用増に期待を寄せる層がある。今回のトランプ大統領の支援の再表明によって、エバース知事が鴻海に補助金を出す可能性が高まったという見方も当然できる。

 郭台銘の経営スタイルは、「規範破壊経営」により、ハイリスクの「規範破壊」を提案するだけでなく、その後で、今回のように条件交渉により「経済合理性」を追求する「なるほど」から成り立っていると考えられる。リスクの取り方と経済合理性の追求のバランスが絶妙なのだ。

 その視点に立てば、ウィスコンシン州での工場建設の凍結も、よりよい条件が出てくるまでの「待ち」の戦略だった可能性がある。一代で、世界最大の電子機器受託製造サービス企業を築き上げた経営手腕はダテではないのである。

(文中敬称略)


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55404


 


拡大する中国の半導体需要ファーウェイが3位に浮上、中国メーカー4社がトップ10入り
2019.2.8(金) 小久保 重信


韓国の電機大手サムスン電子のロゴ(2017年10月31日撮影)。(c)AFP PHOTO / JUNG Yeon-Je〔AFPBB News〕

 昨年(2018年)1年間における半導体購入企業のランキングは、韓国サムスン電子が1位で、これに米アップルが次いだ。
 両社が、半導体の購入に最も多くの金額を費やす電子機器メーカーであることは、2011年から変わりがない。しかし、昨年は、この2社の金額の伸びが減速した。その一方で、中国メーカーの金額が増えている。
 こうしたレポート(速報値)を米国の市場調査会社ガートナーがまとめた。

上位10社の半導体購入金額、世界全体の40.2%に
 昨年におけるサムスンとアップルの金額の世界市場全体に占める比率は17.9%で、2017年から1.6ポイント縮小した。
 ところが、この2社を含む上位10社の合計金額の比率は、一昨年の39.4%から、40.2%へと拡大した。
  その大きな要因は、中国のスマートフォンメーカーにあると、ガートナーは指摘している。例えばファーウェイ(華為技術)の購入金額は、前年から45.2%増加した。同社は一昨年、このランキングで5位だったが、昨年は米デルと中国レノボ・グループ(聯想集団)を上回り、3位となった。
 一昨年にランキングの上位10社に入っていた中国メーカーは、3社のみだった。ファーウェイ、レノボ、それに、中国オッポ(広東欧珀移動通信)と中国ビーボ(維沃移動通信)を傘下に持つ中国BBKエレクトロニクス(広東歩歩高電子工業)である。
 しかし昨年は、これにシャオミ(小米科技)が加わり、中国メーカー4社がトップ10に入った。シャオミの金額は前年から62.8%増(27億ドル増)と、大幅に増えている。
 このほか、米国のキングストンテクノロジーも同48.7%増と、金額を大きく増やし、一昨年の13位から8位へと順位を上げた。これに伴い、韓国LGエレクトロニクスとソニーが、トップ10から外れた。
 こうした状況について、ガートナーは、「パソコン市場とスマートフォン市場は、ともに上位メーカーへの集約が進んでおり、この半導体購入企業ランキングにも、大きな影響を及ぼしている」と述べている。

パソコン市場、上位メーカーへの集約進む
 例えば、昨年のパソコンメーカー別出荷台数ランキングは、レノボ、米HP、デル、アップル、台湾エイサー(宏碁)、台湾エイスース(華碩電脳)の順。
 このうち上位3社のシェアは、いずれも前年から拡大したが、4位〜6位の3社と、7位以降の「その他」は縮小した。昨年10〜12月におけるトップ3の合計シェアは63%となり、1年前の59%から拡大した。
 (参考・関連記事)「パソコン市場は、7年連続の前年割れ」出荷台数2.6億台、2007年以来最も低い水準
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55246


スマホ、世界トップ6の合計シェアは75%
 スマートフォン市場にも同様の傾向がある。昨年のメーカー別世界出荷台数ランキングは、サムスン、アップル、ファーウェイ、シャオミ、オッポの順。これらトップ5の10〜12月における合計シェアは69%で、1年前の63%から拡大。これに、6位のビーボも含めると、その合計シェアは、75%となる。
 (参考・関連記事)「2018年はスマホ市場始まって以来の『最悪の年』」市場成長は止まったか?出荷台数、2年連続で減少
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55380
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55439


http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/103.html

[政治・選挙・NHK257] 安倍政権の迷い込んだ「長期停滞」の罠  問題は「一国ケインズ主義」では解決できない 
安倍政権の迷い込んだ「長期停滞」の罠
問題は「一国ケインズ主義」では解決できない

2019.2.8(金) 池田 信夫

グローバル化した経済では一国ケインズ主義は無力である(写真はイメージ)
 国会では野党が「毎月賃金統計調査の不正はアベノミクスの成果を偽装する陰謀だ」と騒いでいる。政治家が統計に介入することは不可能だが、安倍政権の弱点が賃金にあることは確かだ。「実感なき景気回復」といわれるのも、賃金が上がっていないことが原因だろう。

 こういう「長期停滞」は日本だけの現象ではなく、低成長・低インフレ・低金利の状態は先進国では2010年代にずっと続いている。当初これは世界金融危機からの回復にともなう一時的な現象と考えられていたが、最近はこれが「ニューノーマル」だという人も増えてきた。何が変わったのだろうか。

グローバル化が長期停滞を生む
 長期停滞の原因としてよく挙げられるのは、潜在成長率や生産性の低下だ。人口減少と高齢化の進む日本ではこれは当然だが、今の長期停滞はこういう供給不足だけでは説明できない。

 総需要と総供給の一致する水準で物価が決まるとすると、供給が減ったら物価は上がるはずだが、日本はここ20年、物価上昇率も金利もゼロに近い状態が続いてきた。この原因は需要不足と考えるしかないが、それを示す需給ギャップはゼロに近い。こういう状態で財政出動や金融緩和をやっても効果がない。

 それがアベノミクスの失敗だったが、教科書的なマクロ経済学では、今の日本のように完全雇用に近い状態で景気を刺激すると、景気が過熱してインフレになると想定している。ところが安倍政権が増税を延期し、日銀が大規模な量的緩和をやってもインフレが起こらない。

 それはなぜかというのは難しい問題だが、日銀の実験はそのヒントを提供している。次の図は第2次安倍政権になってからのコアCPI(日銀の指標とする物価指数)とエネルギー価格の上昇率をみたものだが、2014年以降ほぼパラレルに動いている。日本の物価指数を動かしたのはマネタリーベースではなく、原油価格だったのだ。

http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/6/d/600/img_6defb2748b6baeb1942042fa602068fd43190.png
コアCPIとエネルギー価格(右軸)の前年比上昇率(%)、総務省調べ

 原油と同じようにグローバルな価格が国内価格を決める現象は製造業全体に起こっているが、それは原油価格の低下のように悪いこととは限らない。日銀はグローバルな金利も物価も決めることができないので、金融政策は無効になる。

日本の賃金は中国に近づく
 世界的にみると新興国の供給過剰(貯蓄過剰)は世界のGDPの1%近く、これが世界的な低金利を生み出している大きな原因だ。このような貯蓄と投資の不均衡は金利で調節されるが、国際資本移動の自由になった今は、国内より先にグローバルな実質金利(長期金利−物価上昇率)が均等化する傾向が強い。

 同じことは物価にも起こり、たとえば中国で100円でつくれるTシャツを、日本で500円でつくる企業は成り立たないので、日本国内のTシャツの価格は中国に近づいてゆく。これが「デフレ」の正体である。

 こういうグローバルな価格均等化は理論的には予想できるが、現実にはそれほど進まなかった。しかし1990年代から新興国が世界市場に参入して、グローバルな市場が一体化し、世界全体で物価の下落が始まった。実質金利の低下もその一環である。

 2000年代に新興国(特に中国)が先進国に安い製品を輸出し、供給過剰と資金過剰が世界に広がり、2010年代には世界的にほぼ実質金利ゼロになった。これは世界史上にも前例のない現象である。

 ゼロ金利の原因が先進国と新興国の「グローバル・インバランス」だとすると、各国の中央銀行が是正することはできない。同様に日本の労働者(特に非正社員)の賃金が中国に近づくことも避けられない。それが日本の低賃金の根本的な原因である。

「一国ケインズ主義」の終わり
 政府が財政支出を増やして需要不足を補うケインズ政策は、1930年代の大恐慌では有効だったが、70年代には先進国でスタグフレーション(不況とインフレの併存)が起こり、ケインズ政策では対応できないことがわかった。

 長い論争の末に、景気循環の対策は財政政策ではなく金融政策でやるという政策が先進国のコンセンサスになったが、21世紀の状況は違う。2008年の金融危機のあとの主役は財政政策だった。金融危機のあともゼロ金利の「流動性の罠」が続いたため、金融政策のきかない状況が出現したのだ。

 日本は1980年代に世界史上まれな過剰債務を経験し、その反動で90年代以降は大幅な債務解消(デレバレッジ)を経験し、企業の貯蓄過剰(投資不足)が起こった。

 これは1998年の金融危機から始まったもので、初期には過剰債務を削減して企業を防衛するために行われたが、20年たった今も企業(非金融法人)が純貯蓄部門で、その貯蓄を政府部門の赤字が埋めるいびつな構造は変わらない。

 つまり企業が金を貸して政府が借りる状況なので、金融緩和しても企業の投資を高める効果はなく、財政ファイナンスになるしかない。長期停滞の構造は、1990年代の日本から始まったのだ。

 これは2010年代の欧米と似ているが、不幸なことに日本の過剰債務が終わらないうちに先進国が過剰債務に陥ったので、ゼロ金利が終わらない。

 世界的な資金過剰が低金利の原因だという見方は多くのエコノミストに共有されつつあるが、将来の見通しは一致していない。これが今後も続くという人と、債務解消が終わったら正常化するという人がいるが、日本では異常な状況が20年も続いている。

 どっちにしても、各国政府や中央銀行が世界全体の需給ギャップを調整することはできない。グローバル化した経済では一国ケインズ主義は無力であり、物価や金利を政府がコントロールしようとするのは無駄だ、というのがアベノミクスの挫折の教訓である。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55436
http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/376.html

[経世済民131] 欧州で最も腐敗している国ロシアがなぜか高成長 太る既得権益者は我が物顔、やせ細る庶民には無気力感 付加価値税20%へ増税
欧州で最も腐敗している国、ロシアがなぜか高成長
太る既得権益者は我が物顔、やせ細る庶民には無気力感漂う
2019.2.8(金) 大坪 祐介
2018年末のモスクワ市内中心部。ロシアでは新年の後にクリスマスがやってくる。

 2月4日、ロシア連邦統計局は2018年の実質GDP(国内総生産)成長率の速報値を発表した。今回発表された数字は+2.3%と2013年の+2.5%以来の高い伸びを示した。

 ブルームバーグのコンセンサス(事前予想平均値)では+1.9%、強気の予想を提示する傾向にあるロシア経済発展省は+2%であったが、今回発表値は誰の予想をも大きく上回るものであった。

 現地の多くのエコノミストたちはこの数値に疑問を投げかけている。

 ウラジーミル・プーチン大統領の経済ブレーンの一人でもあるクドリン会計検査院長官、長く経済省でチーフエコノミストを務めたクレパーチVEB副会長らも「せいぜい1.5%」とコメントしている。

 月次で発表される供給、需要サイドいずれの統計をみても景気回復が加速する状況にはないからである。

 なかには昨年12月の連邦統計局長官の交代が影響しているのではないかとのうがった見方もある。

 連邦統計局は経済発展省の傘下にあるため、プーチン大統領が昨年5月の施政方針演説で述べた3.5%成長に少しでも近づける忖度が働いているのではないかとの勘繰りである。

 GDPコンポーネントの詳細な分析は4月に四半期確報が発表されるまで待たなければならないが、今のところ過去の数値を遡及改定したことに伴う「技術的な」景気回復であろうとの冷静な見方がもっぱらである。

 わが国同様、国家の基幹統計を巡って一騒動起きそうな雰囲気である。

 他方、騒動になりそうでならなかったこともある。

 ロシアでは今年初から付加価値税が18%から20%に引き上げられた。

 昨年夏のワールドカップ開催日のお祭り気分に乗じて発表された税率引き上げであるが、昨年末に高額商品の駆け込み消費があったかというと先のGDPを引き上げるほどには寄与していない。

 また小売現場でレジ対応の混乱があるかというと、1か月後の今では大手のスーパーやファーストフード店では全く混乱はみられない。

スーパーマーケットのレシート。品目ごとのVAT税率に加え、支払総額のうちVAT20% 13.50ルーブル、VAT10% 28.62ルーブルと記載は細かい。
 普段は確認もせずに捨ててしまう買い物のレシートを今回改めてじっくりと眺めてみた(右の写真)。

http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/7/9/250/img_796b91e0679eb28ee77a02aeb64dc02064920.jpg


 スーパーマーケットで購入する基礎的な食料品(パンやヨーグルトなど)には軽減税率が適用されていて、税率10%との表示がある。

 適用外の食品(清涼飲料)はもちろん20%が適用される。末尾には10%、20%適用のそれぞれの税額の合計まで記載されている。

 またファーストフード店(ケンタッキーフライドチキン、ロシアでも人気である)でテイクアウトしたバーガーも10%であった。

 しかし、スターバックスで買ったコーヒー豆は20%、レジ袋(モスクワでは有料であることが多い)も20%である。

 ロシアの大手スーパーマーケットのレジはほとんどPOS化されており、レジではバーコードを読み取るだけである。ファーストフード店でも注文はカウンターではなく大画面のターミナルで行う店が多い。

 税率変更もプログラムの書き換えだけで比較的容易に対応できるのだろう。

 ただ、中小店舗やルイノック(市場)がどのように対応しているのかは今回確認できなかった。

 短時間でここまで細かく対応するのはシステム導入なしでは不可能であろう。次回の研究課題としたい。

 今回の日露首脳会談では付加価値税/消費税の引き上げなど話題にすら上らなかったと思うが、安倍晋三首相には同じ2%の税率引き上げを6か月前に発表、こともなげに実施してしまう秘訣をプーチン大統領からぜひ聞き出してもらいたかった。

 ところで、昨年末のモスクワは町全体がディズニーランドかと思うくらい華々しく煌びやかに装飾され、多くの地元民・観光客で街は賑わっていた。

年末の赤の広場。クリスマスマーケット
 街中のレストランも会社の忘年会であろうか、派手に飲み食い&踊る団体で込み合っていた記憶がある。

 それを思い出すと冒頭の経済成長も全くデタラメというわけではないような気もする。

 しかしロシアの長い正月・クリスマス(ロシア正教では1月7日である)休暇が明けたモスクワに滞在して感じたのは、何とも言えない閉塞感である。

 その閉塞感を一番感じるのはモスクワ市内で交通渋滞に巻き込まれたときである。

 筆者はモスクワ市内の移動は原則地下鉄を利用しているが、さすがにマイナス20度近いマローズ(厳寒)の中を地下鉄駅まで20分以上歩くのは日本人ビジネスマンには無理である。

 そこでタクシーを利用するのだが、最近はタクシーでの移動にかかる時間が如実に増加している。路側の違法駐車の排除など、市内の道路事情は以前に比べて飛躍的に改善しているにもかかわらずである。

 確かにロシアの新車販売台数は昨年10%近く増加している。しかし渋滞の原因は自動車台数の増加ではないように思える。

 筆者はモスクワの交通渋滞悪化の原因は「青サイレンの車」、つまり交通ルールを守らない政府関係者や政治家、おそらく彼らに連なるオリガルヒらの車が増えているからではないかと感じている。

 これらの車はスピードは無制限、緊急車両のレーンを自由に走るだけではなく、警護のパトカーを先導にしている場合は信号無視も平気である。

 これが閣僚クラスになると前後にパトカーを従えた車列を編成、時には道路を全面封鎖することもある。

 こうなると一般の車は15分から30分、全く身動きできなくなる。クレムリンから一般道路に通じる出入り口では青サイレンの車を優先的に通行させるために警官が恣意的に信号を操作するため渋滞が恒常化している。

ボリショイ広場の前は光のティアラが並んだ
 この青サイレンの車についてはかつて社会問題となって市民の間から抗議活動が起こった。

 これを受けてプーチン大統領も運用の厳格化を命じたことがあったと記憶している。

 しかし、最近は明らかに青サイレンの車が増えているように感じる。

 渋滞するタクシーの中でその理由を考えてみた。モスクワの市民が青サイレン車に反対の声を上げたのは、ロシアの経済成長に勢いのある時期であった。

 つまり多くの新たなビジネスが生み出され、中間層といわれる人々が急速に拡大していた時期である。

 足許、景気低迷が長年続き以前のように中間層に勢いはなくなっている。

 これに対して既得権益層、つまり資源・エネルギーを中心とする政府系企業、それに連なる政府関係者、政治家などはさほど不景気の影響は受けず、相対的に優位な立場にある。

 これが青サイレンの車の増加につながっているのではないだろうか。

 既得権益の分配にあずかるために重要なのは競争原理ではない。

 1月末にトランスペアレンシーインターナショナルは毎年恒例の腐敗認識指数ランキングを発表した。

 プーチン大統領は昨年の施政方針演説で経済成長とともに腐敗の根絶を訴えたものの、今年のロシアのランキングは前年135位から後退して調査180か国中138位、「ヨーロッパで最も腐敗した国」との不名誉な評価を得た。

 開発経済学の教えるところでは、国が豊かになると腐敗は減るものとされている。ところがロシアは1人当たりのGDPが1万ドルを上回るようになっても腐敗が減らない例外的な国である。

 ロシアの腐敗体質がどれほどロシアの経済成長のマイナス要因となっているか定量的に把握することは難しいが、プラスに寄与していないことは明らかであろう。

 「景気は気から」とは言うが、ロシアの腐敗体質が多くのロシア国民に「無気力」をもたらしているとすればロシアの自律的な経済成長は容易ではあるまい。

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/105.html

[社会問題10] レイプと「男女均等」の間 「強制性交等」に見る対称/非対称 
レイプと「男女均等」の間
「強制性交等」に見る対称/非対称
2019.2.8(金) 伊東 乾
仏警視庁内で観光客をレイプ、エリート警官2人に禁錮7年
「オルフェーブル河岸36番地」の名で知られる仏パリ警視庁の本部庁舎の入り口(2017年6月30日撮影、資料写真)。(c)Martin BUREAU / AFP〔AFPBB News〕

 昨年7月、東京都内の自宅マンションで派遣型マッサージ店の女性従業員に性的暴行を働いたとして、映画俳優が逮捕されたケースが広く報道されています。

 こういう案件は、関係者にとっては本当に迷惑なもので、様々な波及効果が懸念されます。

 私も、すでに四半世紀ほど昔になりますが「題名のない音楽会」の監督時代、せっかく番組を収録した後でゲストに「都合」が発生して、オンエアに影響が出るという経験、幾度か記憶があります。

 芸能界という水商売は様々な「お約束」もあり、かなり理不尽な世界でもあって、私のような性質のものにはちょっと耐えられない面もありました。

 しかし、今回のようなことは今も昔もあっていいはずのないことです。

 そうした裏面に踏み込んでもいいのですが、今回はちょっと別の側面に切り込んでみたいと思います。

 報道の文面で

 「・・・容疑者が、強制性交の疑いで1日に逮捕・・・」とあるのに、気づかれた方も多いかと思います。

 「強制性交」とは、要するにレイプ、強姦のことではないのか?

 このあたりについて、ここ数年で起きた変化と、その不徹底と見える点について、以下で考えてみたいと思います。

ジェンダーフリーとなった「強制性交」?
 「強制性交等罪」は2017年6月、改正刑法案が可決されて成立し、同年7月13日に施行された「新しい犯罪」「出来立てほやほやの罪」で、必ずしも周知されているわけではないように思います。

 2019年初の段階でいまだ1年半を経ず、耳新しく感じる人は少なくないのではないでしょうか?

 少なくともこの2017年7月13日をもって、日本から「強姦罪」が消滅していることには、注意を払っておく必要があると思います。

 日本にはすでに「強姦」という犯罪、罪は存在しない・・・。

 よく考えると、なかなかショッキングな事態です。どういうことか?

 つまりこれは、女性が力ずくで暴行され、犯されるというケースだけでなく、被害者として男性が犠牲になるケースをも含めて、犯罪として処罰するために刑法が改正された、いわば「レイプのジェンダーフリー化」にほかなりません。

 すなわち、この新しい「罪」は、女性の被害者が「性器」を犯される、“伝統的な”強姦のみならず、男性の被害者が「肛門」「口腔」その他(・・・その他って、でも、いったい何でしょうか・・・)を凌辱されたケースをも含めて「強制性交」を拡大定義して、そうした「レイプ」を、親告罪ではなく、一般の刑事犯罪として取り締まることができるようにした。

 一面でこれは大変に大きな進歩だと言えると思います。主として2つの面が挙げられるでしょう。

 第1は、男性の被害者が救済されるようになったこと。

 すなわち、「男性が男性に強姦されるなどと言うことはあり得ない」というのが明治刑法以来の「伝統的な考え方」だったわけですが、現実にはそういうことは可能であって、それに対する取り締まりができるようになった。

 今回世間で問題視されているケースは女性の被害者を男性の加害者が襲った容疑が取り沙汰されているものですが、現実にはいろいろなケースが考えられます。

 第2は「親告罪」でなくなったこと。これもとても大きい。すなわち、以前の強姦罪は「被害に遭いました」という申し出があって、初めて成立していたわけです。

 しかし、そのような被害に遭ったという事実を知られること、それ自体が被害者にはマイナスであるので、しばしばやられた側が泣き寝入りせざるを得なかった。

 そうした長い間不都合だった現実が、2017年6〜7月になって、ようやく解消された。大きな進展だと言っていいと思います。

 しかし、法の条文をつらつら眺めて見るに、「現行法に問題なしと言えるか?」と問われると、私には、疑問に思われることがないわけではありません。

「性交」は定義できないものか?
 改正された刑法の当該部分は177条から180条にかけてが該当します。平成29年改正前の明治刑法と改正後の条文とを比べてみましょう。

旧第177条 強姦

暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。

となっていたものが

現177条(強制性交等)

十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

 確かに、被害者は男性女性双方に拡大されています。ここで注意すべき点として、旧刑法では

 「姦淫」となっていたものが、現行法では「性交等」とされている点が挙げられるのですが、この「性交」が、実はワイルドカードになっているように思われるのです。

 すなわち、明治刑法での「姦淫」は男性器を女性器に挿入すること、「膣性交」と限定されていたわけです。

 それが「それ以外」すなわち「性交、肛門性交、口腔性交<等>」に拡大されたというのですが、関連の資料をいろいろ当たってみて、どうにも「行為の主体」がいまだ男性に偏っているように思われてならないのです。

 つまり、こと「性交」に関しては、男性が主体であるとする想定が圧倒的に多いように見えるのです。図式的に記すなら

改正前:明治刑法<レイプする側 男性  レイプされる側 女性>

 という組み合わせのみが、法的に問われていたものが

平成29年改正<レイプする側 男性 レイプされる側 女性><レイプする側 男性  レイプされる側 男性>

 までは拡大された。でも、形式的な組み合わせとしては、もう2つ

<レイプする側 女性 レイプされる側 男性>
<レイプする側 女性 レイプされる側 女性>

 という組み合わせがあるはずですが、定義が明確化されていない「性交等」で、どうにもこのあたりがぼやかされているように思われてなりません。

 弁護士の読者などお詳しい方がおられたらご教示いただきたいとも思います。

 177条に先立つ刑法176条は

第176条(強制わいせつ)

13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

 となっており、これによれば、女性の行為主体が男女を問わない被害者に「わいせつな行為」をすることが罰せられるように見えます。

 ここでは「ジェンダー差」があまり感ぜられません。

 しかし、より重い罪(「わいせつは」10年以下の懲役、「性交等」は5年以上の有期刑=11年以上の長期刑もあり得る)を問うべき<レイプ>については、いまだ「男が犯罪の主体となるもの」というバイアスが、非常に高いように見えるのです。

 コメンタールなどには「平成29年の改正で『姦淫』が『性交等』となったことで、性交を行った男性のみならず。それを教唆した女性の共犯者なども罰せられるようになった 云々」との記載があります。

 そうすると、確かに、レイプに関しては男女ともに加害者として罰せられるようになった、と一見すると読めるのですが、実はよく考えてみると「性交を行った男性」という部分は実質的に引きずっているように思われてなりません。

 女性は強引な性交渉の行為主体とはなり得ない存在なのでしょうか?

 実定的にはどうにも、性差による凹凸の非対称が残っているように思われてなりません。

受け容れあってこその人間関係ではないか?
 このあたりは、非常にデリケートな問題を含むと思いますし、実際に犯罪として検挙された件数など、統計に当たって現勢を見る必要もあるかと思います。

 ただ、それこそかつての姦淫の親告以上に「女性に無理やりレイプされました」という男性の告発というのは、されにくいように思われるのも正直なところです。

 私は前回の東京五輪の年に生まれました。中学3年生の折にはお化けドラマ「三年B組金八先生」がヒットし、ドラマの中で描かれた中学生同志の交渉による妊娠という設定などを生々しく感じたりしました。

(ちなみに当時、私は「中3B」でしたが、善くも悪しくも男子校で、そういうケースがなかったわけですが)

 そのとき生まれたはずの赤ちゃんがもう40歳という年月を過ごしてきて、どう見てもこれは女性が男性を襲ったものだよな、と思うケースが、身の回りだけでも片手では数え切れないように思われてなりません。

 女性は弱き性、力ずくでやって来るのは常に体力に勝る男性・・・。

 こういったステレオタイプが、ことこのあたりに関しては、いまだに法の周辺にも残存しているのではないか・・・。

 不徹底な調べものの結果に過ぎないのかもしれませんが、今回、俳優の「強制性交」報道から調べてみた範囲では、そのような印象をぬぐうことができませんでした。

 「肉食系女子と草食系男子」みたいな話は、できの悪いポルノにしかならないかもしれず、社会的、法的に取り扱うのは難しいのかもしれません。

 が、こと「両性の合意」でなされるべき事柄について、いまだ様々な男女格差が残っているのは、間違いないように思われました。

 そして、そうしたいかんにかかわらず、いま報道されているような行為が実際にあったのであれば、容疑者は相応の罪に問われてしかるべきことになるでしょう。

 私の感じ方、考え方がおかしいのかもしれませんが、無理やりことに及ぶということをどうして喜ぶのか、どうにもよく理解できません。 

 動物ではないのですから、物理的な凌辱うんぬんではなく、互いが互いを受け入れ合うということで成立するのが、人間同志の関係であり、人と人との交渉というものでしょう。

 片思いの結果のストーキングとか、その延長での出来事とか、いろいろなケースがないわけではないのも分かります。

 しかし、人間的に成立しない行為の途中で醒めない、気持ちが萎えないというのは、どこかで、人の悟性でないものに支配されていると言えるのかもしれません。

 また、それに悖る行為は、両性の様々な形において、いくらでも存在しているようにも思われるのです。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55415
http://www.asyura2.com/18/social10/msg/120.html

[経世済民131] ベネズエラ、米石油制裁で進む危機 細る外貨獲得 経済は危機的
ベネズエラ、米石油制裁で進む危機 細る外貨獲得
2019/2/10 1:30日本経済新聞 電子版
 【サンパウロ=外山尚之】政治的な混乱が続く南米の産油国ベネズエラの経済危機が深刻になってきた。反政府側を支援する米国が現政権に圧力をかけるため、主要産業である石油産業への経済制裁を強めたためだ。一方の政府側は中国やロシアの支持を受けて対抗し、政府、反政府双方の対立は国際社会を巻き込んで膠着状態が続く。混乱が長期化すれば原油・金融市場にも影響が及ぶ可能性もある。

ゴミの中からリサイクル品を探す地元の人(1月、カラカス)=ロイター
ゴミの中からリサイクル品を探す地元の人(1月、カラカス)=ロイター

https://www.nikkei.com/content/pic/20190210/96958A9F889DE6E3E3E1E2EBE2E2E2EBE2E0E0E2E3EB9793E0E2E2E2-DSXMZO4113092009022019EA2001-PB1-2.jpg


 反米左派政権のベネズエラ経済は米国などの制裁ですでに困窮状態となってきた。世界銀行の最新資料によるとベネズエラ政府の対外債務残高は17年末で1056億ドルだが、すでにいくつかの国債では元利払いが滞っていた。しかし、その危機レベルが今、一気に上がっている。

 決定打となったのはトランプ政権が同国国営石油会社PDVSAを狙い撃ちした制裁に踏み切ったことだ。事実上のデフォルト(債務不履行)状態となりながらもベネズエラはPDVSAが保有する米国の製油所が担保となっている社債の利払いだけは続けてきた。同製油所がPDVSAの石油生産の要となってきたからだ。

 しかし、トランプ政権はここを突いた。PDVSAの米国への輸出を原則禁じ、米国内にある資産を凍結した。年110億ドル(約1兆2000億円)の輸出収入を失い、70億ドルに上る資産が凍結された計算になる。ロイター通信によると、同制裁を受けて金融大手は相次いでPDVSA債券の取引停止に踏み切った。

 英BPの統計によると、ベネズエラには16年末で約3000億バレルの原油の確認埋蔵量があり、国別では世界一を誇る。石油輸出国機構(OPEC)によると、同国の産油量は17年の日量211万バレルから18年に日量115万バレルに落ち込んだが、主要産業としてベネズエラ経済を支える。スペインのエネルギー大手レプソルがベネズエラへの債権の返済として原油を輸入するなど、PDVSAによる石油生産が担保として機能してきた。

 同国産原油は硫黄分が多い重質油で、米国などから輸入した軽質油を加え石油製品に仕立ててきた。しかし制裁により、PDVSAは米国の資産が使えなくなり、石油生産そのものにも黄信号がともる。ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は米国以外の第三国にもベネズエラ産の原油の取引をしないよう働きかけている。

 ベネズエラ産の原油の最大の輸出先は米国であり、米国にとっても原油輸入の6%を占め、4番目の供給元だ。トランプ政権は当初はガソリン価格高騰を招きかねないと制裁に慎重だったが、昨年秋の中間選挙を終えたことに加え、シェールオイル増産で代替可能と判断。マドゥロ政権退陣を求めて最後の切り札を切ったと言える。

 みずほ総合研究所の報告によると、ベネズエラの国債と国営石油会社債の元利払いは19年が少なくとも89億ドル、20年は115億ドル。一方、原資となり得る外貨準備は1月末で84億ドルにすぎない。PDVSAが破綻に追い込まれれば、事実上のデフォルト状態だったベネズエラ経済の苦境は一気に加速する。

 苦境のマドゥロ政権には中国やロシアが経済支援を続け、イランや北朝鮮なども支持を表明。一方、マドゥロ大統領に反発して暫定大統領を宣言したグアイド国会議長にはカナダや独仏などが支持に加わり、主要国の思惑も絡んで混乱の先行きは見えないままだ。

 「あいつらはベネズエラを……」。8日、首都カラカスの大統領府でのマドゥロ大統領の記者会見。電気が消え、突然マイクに音が入らなくなった。ブラジルの経済紙バロル・エコノミコは「1週間以内にベネズエラ国内でガソリンや軽油が尽きる恐れがある」との専門家らの見方を伝えた。

 世界の原油生産量や新興国の証券発行残高に占めるベネズエラのシェアは小さく、世界経済を揺るがす事態は現時点では想定していない。だが、みずほ総合研究所の西川珠子上席主任エコノミストは「産油国の同時供給不安など複合要因が起きれば、インパクトは増幅される可能性がある」と話す。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41130900Z00C19A2EA2000/?n_cid=NMAIL007
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/107.html

[経世済民131] 貿易戦争 デフレ圧力招く 鋼材や繊維原料、流れ滞る 漂流する素材 アジア市況乱す 貿易摩擦余波
貿易戦争 デフレ圧力招く
鋼材や繊維原料、流れ滞る
2019/2/10付日本経済新聞 朝刊
保存 共有 その他
米中両国の貿易戦争の影響で産業資材への値下がり圧力が強まっている。景気減速を警戒した中国の投資抑制や、追加関税による輸出減で鋼材などに供給過剰の兆しが出ているためだ。繊維原料や大豆も過剰感が根強い。1930年代の保護主義の台頭は商品価格の低迷を招き、大恐慌の一因になった。米中両国は3月1日を期限に貿易交渉を進める。打開策で合意できなければ価格の下落が多くの商品に広がり、世界景気を腰折れさせるリス…

 
18年の世界粗鋼生産、4.6%増 インドが日本抜き世界2位に
2019/1/26 17:35
世界需要の見通しを発表する進藤氏(16日、東京・港)
「貿易問題、広がり大きい」世界鉄鋼協会の進藤会長
2018/10/16 19:40

19年の世界鉄鋼需要、1.4%増 貿易戦争にリスク
2018/10/16 16:36
世界需要の見通しを発表する進藤孝生会長(16日、東京・港)
世界鉄鋼需要1.4%増の16億トン 19年、貿易戦争にリスク
2018/10/16 11:30
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO41129780Z00C19A2MM8000/

漂流する素材 アジア市況乱す 貿易摩擦余波
2019/1/5 17:00日本経済新聞 電子版
保存 共有 その他
米中貿易摩擦に端を発した経済の混乱を映し、鉄鋼や合成樹脂、非鉄など産業素材の取引価格が下落に転じている。中国の景気減速を受け、アジアで需給バランスが崩れたことが背景にある。一部の素材は日本にも流れ込み、取引価格の下落を引き起こしている。

「日本製より安く提供できると思います」。千葉県浦安市の鉄鋼団地にある鋼板問屋の幹部は2018年12月初旬、韓国の中堅鉄鋼メーカーから久々にコイル(広幅帯鋼)の営…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39656520U9A100C1SHA000/
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/108.html

[国際25] 軍拡競争は杞憂か、米国に張り合えないプーチン氏の懐事情 右傾化するポーランド、なぜ欧州に背 日米韓、非核化見返りで連携模
トップニュース2019年2月10日 / 08:13 / 4時間前更新
焦点:
軍拡競争は杞憂か、米国に張り合えないプーチン氏の懐事情
Andrew Osborn
3 分で読む

[モスクワ 7日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領には、米国との核武装競争に引きずり込まれている余裕はない。支持率の低下に悩み、新たな西側制裁に対する備えや国民の生活水準向上のために予算を確保しておく必要に迫られているからだ。

トランプ米政権は1日、ロシアと結んでいる中距離核戦力(INF)廃棄条約にロシアが違反しているとして、同条約を破棄すると表明した。ロシアが違反を是正しなければ条約は6カ月後に失効し、米国は自由に新型ミサイルを開発できるようになる。

これにより、米露の新たな核軍拡競争が起きる懸念が高まっている。ロシア側は、条約違反を否定。プーチン氏は、ロシアも条約の義務を停止して同条約から離脱することを明らかにし、米国に対抗した。

これまで西側との対立をあおったり、ロシア人の結束を高めたりするために時に好戦的な発言を用いてきたプーチン氏だが、今回は対立の激化を招くような手には出なかった。

新型ミサイルシステムの予算は既存の予算から出すしかないと述べたが、新型ミサイル配備を宣言することはなかった。そして、ロシア側は、米国が先にそうした動きに出ない限り、欧州やその他の地域で新たに地上配備型ミサイルを導入することはないと述べた。

「高額な軍拡競争に陥ることは許されない」。プーチン氏はショイグ国防相にこう語った。

この発言は、必要性から出たものだ。

厳しい経済・政治状況に加え、冷戦期の軍拡競争コストがソ連崩壊の一因となったことを考えれば、プーチン氏の選択肢は限られている。将来的にも、高コストな軍拡に乗り出す意欲を縛る要素になるだろう。

「軍拡競争がわれわれをバラバラにしてしまう懸念は、非常に現実的なものであることを覚えておく必要がある」。ロシアの中央銀行総裁を務めたセルゲイ・ドゥビニン氏は、米側が離脱を表明する前に放映されたテレビ番組でこう述べた。

ドゥビニン氏は、ソ連を無茶な軍拡競争に誘い込んだ冷戦期の成功戦略を、米国が再び再現しようとしていると分析。ロシアは米国と「対等」であることを目指すのは避けるべきで、賢明な対応が求められると述べた。

1991年のソ連崩壊の直前、モノ不足でスーパーの棚が空になったことは、今でも一定以上の年齢層の国民の記憶にこびりついている。ソ連は米国との競争に負けないために巨額の予算を軍事産業につぎ込み、消費者の苦境は無視した。

「米国人は、ミサイルや原子力潜水艦や戦車の生産で米国に張り合おうとしたのがソ連崩壊の一因だったということを覚えている」と、軍事専門家のビクトル・リトブキン氏は国防省が運営するテレビ局の番組でこう語った。

「彼らは今、同じことを繰り返そうとしている」

<米国と張り合うコスト>

INF廃棄条約の停止を受けて、米露両政府は、それぞれこれまで禁止されていた短距離や中距離の地上配備型ミサイルを開発するとしている。ロシアは、2021年までに配備を完了したいと表明している。

ショイグ国防相はプーチン大統領に対し、新たな地上配備型ミサイル発射装置2種類の開発予算は、今年度予算の一部から振り分けることで捻出すると述べた。

ロシアは国防費や国家安全保障関連費の全貌は公表していないものの、約18兆ルーブル(約30兆円)の今年度予算の30%程度だとしている。

原油からの歳入があるロシアは、財源に苦労しているわけではない。今年の財政黒字は、国内総生産(GDP)の1.8%にあたる1兆9320億ルーブルに上る見通しだ。外貨準備高は、世界5位の4780億ドル(約52兆円)だ。

だが予算は、ロシアの困難な地政学的状況や、プーチン氏本人が置かれた複雑な国内政治事情に従って、すでに配分が決まっている。そこからミサイル予算を捻出するには痛みを伴うだろう。

ロシア政府は、新たな西側の制裁に備えて2000億ドルのキャッシュを集めようとしており、同時に巨額の財政支出で老朽化したインフラの更新や生活水準の引き上げをはかろうとしている。

長年にわたる実質所得の減少や物価の上昇、付加価値税の引き上げに加え、不人気な年金受給開始年齢の引き上げ計画などで国民に不満が出始めており、プーチン氏は成果を出すプレッシャーにさらされている。

ロシアの監査法人FBKの戦略分析研究所のイーゴリ・ニコラエフ所長は、プーチン氏が新たな軍拡競争の予算を作るには、他の予算を削る必要があるだろうと指摘。社会向けの支出を縮小したり、政府系ファンドの資金に手を付けたりせざるを得なくなると予想する。

もし軍拡競争が加速すれば、このようなシナリオが現実になる可能性が高まる。だがプーチン氏は、現在の政治情勢では国防費の増額に消極的だろうと、ニコラエフ氏は言う。

「実質所得や支持率の現状を考えれば、理想的ではない。国家プロジェクトの支出を削れば、反発も招くだろう」と、同氏は付け加えた。

昨年再選を果たして任期が2024年までとなったプーチン氏は、差し迫った政治的圧力に直面しているわけではないが、支持率はこの13年で最低の水準に落ちている。今月行われた世論調査では、国が正しくない方向に向かっていると答えたロシア人の数が2006年以降で最高になった。

ワシントンの動きに対し、プーチン氏が新型ミサイル開発も含めた同等の対抗措置を取ったことで、すでに怒りをあらわにしている国民もいる。

「新たな軍拡競争は楽しいのか」と書いたのは、ブロガーのウラジーミル・アキモフさん。「道路を修復して、国中の人が住んでいる木造の小屋を解体することから始めたらどうなのか」と、貧困対策に予算を使うよう訴えた。

(翻訳:山口香子、編集:伊藤典子)
 

主要ニュース(共同通信)2019年2月9日 / 19:12 / 17時間前更新
日米韓、非核化見返りで連携模索
共同通信
1 分で読む

日米韓、非核化見返りで連携模索
 【ソウル共同】ベトナムの首都ハノイで27、28日の開催が決まった米朝首脳再会談の調整に向け、朝鮮半島訪問中の米国のビーガン北朝鮮担当特別代表は9日、ソウルで日韓両国の高官と会談した。8日に終えた平壌での実務協議を踏まえ、北朝鮮から譲歩を引き出すために非核化の見返りに北朝鮮が求める「相応の措置」での日米韓3カ国協調を模索するとみられる。

 首脳再会談までに北朝鮮から具体的な非核化措置を引き出す狙いがある。ビーガン氏は最近、朝鮮戦争の終戦宣言や経済支援に応じる可能性を示唆しており、協力を求めた可能性もある。再会談に向けた関係国の動きが活発化してきた。

【共同通信】
https://jp.reuters.com/article/usa-nuclear-russia-armsrace-idJPKCN1PX0G5

トップニュース2018年10月24日 / 08:10 / 3ヶ月前
特別リポート:右傾化するポーランド、なぜ欧州に背を向けたか
7 分で読む

[ワルシャワ 18日 ロイター] - モニカ・パウリクさんは昨冬、泥の中を這い回り、凍った地面を掘って塹壕を作るポーランド軍の予備軍訓練に参加した。娘のヘレナちゃんは、まだ2歳になっていなかった。

普段は町役場の事務職員をしているパウリクさんは、予備軍に加入することで将来的に発生し得るリスクについて、何の誤解も抱いていない。母国のためなら、死ぬ覚悟だと言い切る。

「もし戦争が起きれば、私たちのような部隊は死地に送り込まれることは分かっている」と、パウリクさんは言い、「自分自身のため、そして愛国的な責任感から加入した」と説明した。

24歳のパウリクさんは、欧州連合(EU)市民だ。そして、「自分の国を守る」という彼女の決意は、ポーランドやEU諸国で広まる不安感を反映している。

2017年に創立されたポーランドの予備軍には、すでに1万5000人近くが加入している。ポーランド軍は、今後数年内に5万3000人規模に拡大させたい考えだ。

ポーランドは、北大西洋条約機構(NATO)の正式メンバーだ。旧ソ連圏からEUに加入した国の中でも最大で、ポーランド財務省によると、EUから受け取った援助金の額も1000億ユーロ(約13兆円)と、加盟国で最大となっている。

EU加盟国であることは、支持されている。だが多くのポーランド国民は、外国が内政に影響を及ぼすことへの不満も口にする。ハンガリーやチェコといった東欧の国も、状況は同じだ。

例えば、ポーランドとハンガリーは、亡命希望者の受け入れ枠を設けるよう求めたEUの要請に応じなかった。ポーランドの与党「法と正義(PiS)」などの政党は、愛国心を鼓舞することで支持を集めており、その攻撃対象にはEUも含まれる。

EUの分断を深めるこうした傾向は、金融危機や、それに続くシリアやアフリカからの大量の移民流入に原因があると指摘されている。だが、1989年にソ連の支配下から脱出したポーランドなどの欧州諸国では、「未来への不安」はずっと根深いものだ。

パウリクさんが住む人口わずか数十人程度の町は、ロシアの同盟国であるベラルーシ国境から150キロの距離にある。

祖母から相続したという小さな家の窓は、赤と白の花の鉢植えで飾られている。紅白のポーランド国旗をイメージしたもので、今年ポーランド独立100年を記念して夫と一緒に飾ったという。

「祖母が以前、この森をドイツ人が通り、そしてロシア人が通過していった時のことを話してくれた。ロシア人は時々、村人の頭を気まぐれに撃ったが、ドイツ人は肩をすくめ、見ないふりをして通り過ぎた、と言っていた」と、パウリクさんは話す。

第2次世界大戦で、西側同盟国がナチスドイツの侵攻から守ってくれず、その後もソ連の支配下で苦しむままに放置された苦い経験は、多くのポーランド人の記憶に新しい。

2015年に37.6%の得票率で議会過半数を確保した与党PiSは、地方に住む、比較的教育水準が低くて貧しい有権者を主に相手にしている。こうした有権者は、リベラルな欧州のやり方で一部の国民が金持ちになったが、安全には一切なっていないと感じている。

ポーランド政府は、ハンガリーと手を組んだ。ハンガリーのオルバン首相は、グローバル化やEUのリベラルな考え方からの「国家的開放の戦い」と銘打った政策で、EU本部と対立している。PiSのカチンスキ党首は、ポーランドはオルバン氏の手本にならっていると発言。両国は、左派の国際主義者に反発し、トルコのエルドアン首相や米国のトランプ大統領のような国家主義的指導者の歓心を買おうとしている。

ブリュッセルでは、PiSのような党は、愛国主義と欧州共同体としての一体感の間に、誤った線引きを作り出していると指摘するEU高官が多い。欧州委員会のユンケル委員長は9月、「愛国心は美徳だ。だが野放図な国家主義は、毒といつわりに満ちている」と警告した。

地域での孤立を深めたPiS政権は、かつてポーランドのEU加盟を主導したドイツにも敵対的な姿勢を取り始めている。ポーランド政府は、ドイツが今でも第2次世界大戦の巨額の補償金をポーランドに負っていると主張。国民に対し、ドイツ政府は支払うべきだと訴えている。

Reuters Graphic
<不安>

パウリクさんのようなポーランド市民にとって、EUに対する失望は根本的なレベルの話だ。

2014年にロシアがウクライナに軍事介入して以来、ロシアによる侵攻を恐れていると話すようになったポーランド人は多い。ロシアがクリミア半島を併合する以前は、自国の独立が脅かされていると感じると話す国民は15%だった。ロシアのウクライナ介入でその割合は急増し、今では40%に達する。

最近ロシアは、バルト諸国との国境付近で大規模な軍備増強を行った。だがEU側の合同防衛能力は限定的だ。

パウリクさんのような一般人が、領域防衛部隊(WOT)と呼ばれる予備軍に参加する理由はここにある。WOTは、参加者に3年間で4カ月以上の訓練に参加することを義務付けている。

ポーランド国防省によると、米国の州兵を参考に組織されたWOTは、陸軍、空軍、海軍、特殊部隊と並ぶ、国の防衛抑止力の一角だ。2018年のポーランド国防予算では、WOTに1億5300万ドル(約172億円)が割り当てられているが、これは同国海軍の予算にほぼ匹敵する。

「軍事同盟は大事だが、力を錯覚することもある。同盟国が助けに来てくれるまで、自国を守れるように準備しておくことが大事だ。独立を守りたいのなら、今の世代は国に誇りを持ち、共同体の自覚を持ち、自己犠牲の意思を持たなくてはならない」と、PiSのタデウス・チマンスキ議員は話した。

予備軍は、重要なシンボルでもある。

ポーランドは何世紀にもわたり、隣国から侵略されたり、国土を奪われたりしてきた。1918年まではオーストリアとドイツ、ロシアが、その後はナチスドイツとソ連が侵略者となった。第2次世界大戦では、自国政府が亡命に追い込まれたことを受け、多くのポーランド人は国内軍と呼ばれる抵抗組織に加わって戦った。

ポーランド世論調査センター(CBOS)の最近の調査では、国民の88%が、「愛国的」とは、国のために戦って死ぬ覚悟があるということだと回答している。

<ポーランドの「歴史教育」>

ポーランドのような政府は、EUが残した空白を埋め、国民を活気付けて人生に意味を持たせるような物語を提供していると、ワルシャワ大学社会学研究所のプシェミスワフ・サドゥラ氏は指摘する。

「EUは、自分たちの物語や神話を作り出すことができなかった。各国の物語をつむぎ合わせて1つの物語にすることができなかった」。サドゥラ氏はこう指摘。さらに、PiSには「ビジョンがある。愛国主義や、ポーランドの近代化、国としての約束、そして国家経済をすべて含んだビジョンだ。つまり、民族コミュニティーということだ」と説明した。

欧州委員会の関係者は、政治家が古きよき国家への郷愁に訴えて変化を恐れる国民の不安につけこむ潮流は世界的なものだとした上で、それに対する簡単な解はないと話す。またEU当局者は、公の場で口に出すことはめったにないが、こうした潮流に反発を感じている。

「中欧は、被害者意識が大好きだ」。あるEU高官は、EU機関側がポーランドやハンガリーの不満に十分に応えられていないことを認めつつ、ロイターに内心を明かした。

PiSは、「国家の物語」を作り上げるのにあたって、特に歴史や文学、社会道徳、地理部門に力を入れる全面的な学校教育改革を実施した。

子どもたちは今後学校で、EUメンバーであることの「利益とコスト」を学ぶことになる。教育省が、「コスト」という単語の挿入を指示した。

新たな中核カリキュラムには、「学校教育の目標は、国家アイデンティティーや、歴史や国の伝統とのつながりを強化することにある」と書かれている。

そしてそれには、ナチスドイツの被害者としての立場が含まれる。

ポーランド人の多くは、西側がユダヤ人虐殺(ホロコースト)にばかり注目し、ナチスドイツの下でポーランドが味わった苦しみの深さを十分に理解していないと感じている。政府は、ユダヤ人に対する残虐行為の実行犯だとして誤った批判を受けたポーランド人もいると主張。実際、ユダヤ人をかくまったポーランド人も存在した上、ポーランド人自体がナチスから「人間以下」とみなされていた。

ポーランド政府は今年初め、同国政府がホロコーストに関与したと示唆する発言をした人物に対して懲役刑を科すことができる法案を可決した。その後、米国からの圧力を受けて懲役刑は削除された。

一方で教育省は、差別を減らすためのワークショップを学校で実施する義務を撤廃した。PiSから指名されたある校長は最近、オスマン帝国と戦った17世紀の王の模範に従うよう10代の生徒に指導した。メディアによると、校長はこの王が「イスラムから欧州全体を守ることに成功した」と発言したという。

歴史の授業は小学4年から始まるが、この時9ー10歳の生徒に、数十人の歴史的人物などを描いた教材が渡される。これは、生徒たちに国への誇りを持たせるために作られたもので、教育省は、「ポーランドの文化的アイデンティティー形成に重要な影響を与えた」人物たちだと説明している。

この中には、キリスト教徒の王や、共産主義に立ち向かうよう国を鼓舞したポーランド生まれのローマ法王ヨハネ・パウロ2世、放射線の研究でノーベル賞物理学・化学賞を受賞したマリー・スクウォドフスカ・キュリー氏も含まれている。

「歴史は、誇りを呼び覚ますものだ。われわれの歴史は偉大で、欧州の中でも特別だ」と、新しい教育プログラムを開発した歴史家のWlodzimierz Suleja氏は言う。

ポーランドは何世紀にもわたり、カトリックの信仰を、プロテスタントのドイツや正教のロシアと区別する方法の1つとしており、多くのポーランド人にとって宗教的価値は根本的なものだ。中には、学校の入り口に「十戒」を刻んだ大理石版を飾らせている町もある。

前出のパウリクさんは、自身が学校に通っていたころは、自国の遺産への感謝について教わらなかったと話す。

「私の時は、学校ではドイツの歴史やドイツの国王、ロシアについて教わることが多く、ポーランドについてはあまり勉強しなかった。ここで起きたことに集中する必要がある」と、パウリクさんは話した。

<自己犠牲>

PiSが考える「国家の物語」の中核をなすのが、第2次大戦の終結後も地下で抵抗活動を続け、共産主義の当局と戦った兵士たちだ。

PiSは、「呪われた兵士」とも呼ばれるこの兵士たちを、圧倒的に不利な状況にもかかわらず妥協や屈服を拒み、犠牲となる意思を持っていたとして、若者の模範に掲げている。

だが、この兵士たちについては評価が分かれている。ポーランドに共産主義政権を打ち立てようとするソ連に抵抗するなかで、ユダヤ人やスロバキア人、ベラルーシ人などの村人を殺した疑いが持たれている兵士もいる。

それでも、パウリクさんのような予備軍の加入者にとって、彼らはお手本となる存在だ。2016年の式典で、ドゥダ大統領は、こうした兵士のことを、国のために命を犠牲にした「最後の偉大な英雄」だと述べた。

「呪われた兵士」の1人が、インカという仮名で知られた17歳の少女だ。第2次世界大戦中に国内軍の衛生兵だったインカは、共産当局に死刑を宣告されたが、恩赦を求める嘆願書への署名を拒んだ。死を前に、インカは親族に手紙を書き、「死ななくてはならないことは悲しい。私の祖母に、私はすべきことをしたと伝えてください」と書き残した。

パウリクさんは予備軍の訓練で、火器の発射を習った。その際、自分が男性隊員にまったく引けをとらなかったことに驚いたと話す。今彼女は、正規軍の兵士になりたいと考えている。

「何かをやるときは、最後までやり切る。でも自分のためだけにやっているのではない。子どものためでもある」と、パウリクさんは言った。

(Lidia Kelly記者, Justyna Pawlak記者、Anna Wlodarczak-Semczuk記者、翻訳:山口香子、編集:伊藤典子)
https://jp.reuters.com/article/poland-nationalism-idJPKCN1MX13X


 



http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/409.html

[国際25] 印モディ政権、予算案でなりふり構わぬ票集め インド利下げ中銀総裁「イエスマン」疑惑 米国、特恵関税対象からインド除外を検
コラム2019年2月10日 / 09:28 / 2時間前更新
印モディ政権、予算案でなりふり構わぬ票集め
Una Galani
2 分で読む

[ムンバイ 1日 ロイター BREAKINGVIEWS] - インドのモディ政権は2019/20年度(2019年4月─20年3月)の予算案発表で、なりふり構わぬ票集めに打って出た。総選挙を前に、税収不足にもかかわらず大盤振る舞いにおよび、緊縮財政の看板は傷ついたが、続投のチャンスは広がった。

ゴヤル財務相代理は1日の予算案発表の機会をとらえ、政権奪取から過去5年間に与党・インド人民党が成し遂げた経済面での成果をおおいにひけらかした。ゴヤル氏によると、この間の国内総生産(GDP)の平均伸び率は1990年代以来最大で、2桁だったインフレ率も平均4.6%に沈静化した。こうした説明は、歳出を拡大する前に投資家を安心させるのが狙いかもしれない。

今回の財政出動で最も大きな恩恵を受ける層には、所得の落ち込みに苦しむ農家が含まれる。政府は保有農地が5ヘクタール以下の農家には1件当たり約6000ルピー(85ドル)を銀行口座に直接振り込むと約束した。CLSAの試算によると、こうした小規模農家は全体の9割程度を占める。

インドは農業従事者が全労働人口の半分を占めるため、こうした政策の集票効果は絶大だ。また、典型的な農業ローンの帳消しは、貸金業から資金を借りている農家には届かないため、今回の策の方が効果が高い。

ゴヤル氏は貧困層を対象とする新たな年金制度や、所得税の非課税限度額の実質的引き上げもぶち上げた。この日のインド株式市場は消費拡大への期待から、自動車株や消費財株の主導で主要株価指数が上昇した。

モディ政権が緊縮財政への取り組みを断念したのは明白だ。来年度の財政赤字の対GDP目標は3.4%と、従来の3%程度から引き上げた。財政はインド準備銀行(中央銀行)からの国庫納付への依存度が高まるだろう。簿外の資金調達も増え続けているとみられ、既に会計検査院が警戒する水準となっている。モディ首相は再選に向けて、可能なすべての手を打った形だ。

●背景となるニュース

・インドのゴヤル財務相代理は1日、2019/20年度(2019年4月─20年3月)の暫定予算案を発表した。財政赤字の対国内総生産(GDP)比目標は3.4%で、従来の3%前後から引き上げた。

・18/19年度の財政赤字の対GDP比も3.4%で、目標の3.3%を小幅ながら超過した。

・インド統計局は先に18/19年度のGDP成長率が7.2%になるとの見通しを示した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-india-modi-idJPKCN1PV0X6?il=0

 


コラム2019年2月9日 / 15:49 / 20時間前更新
インド利下げで中銀総裁に「イエスマン」疑惑浮上
Una Galani
2 分で読む

[ムンバイ 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - インド準備銀行(中央銀行)のシャクティカンタ・ダス新総裁は、少しばかり気前が良すぎるように見える。

7日に主要政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げて6.25%としたことで、ダス氏は政府の振り付け通りに踊る人物なのではないかとの懸念が生じた。

要するに選挙が数カ月以内に迫っており、金融政策のテコ入れで経済が恩恵に浴することができるという話だ。もっとも総合ベースの消費者物価指数(CPI)は低調な点が、いささかなりとも利下げに妥当性を与えてはくれる。

中銀と政府の対立が表面化した後の昨年12月に総裁を辞任したウルジット・パテル氏は気難しかった。対照的にダス氏は7日の政策決定結果発表後の会見で、気さくで融和的な態度を示したのは歓迎される。ただしそうした特質は、「イエスマン」の官僚と周囲にみなされていることと表裏一体だ。実際、財務省高官だった2016年には、モディ首相が実施してのちに経済に大混乱を起こした高額紙幣廃止に対する支持を公言していた。

利下げは予想外だった。

中銀はこれまで引き締め的なスタンスを示唆していたからだ。またモディ政権は支出拡大を続け、財政赤字抑制の取り組みはほぼあきらめている。

先週発表した政府予算案は、農家への支援策や中間層向けの税制優遇措置を盛り込み、2020年3月までの年度の財政赤字の国内総生産(GDP)比率は3.4%に達すると見込んだ。この財政赤字見通しも、信頼できるかどうか怪しいとの声が強まりつつある。さらに変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPI上昇率は5.7%と依然高い伸びのままだ。

ところが中銀は、自らの使命を字面通りに受け取り、総合CPI上昇率が目標の4%を下回って2.2%まで鈍化した点をより重視した。その上、経済成長率は昨年7─9月に前期比1.1%ポイントも下がって7.1%になった。だから利下げは政治家を喜ばせるだろう。金融緩和効果は浸透に時間がかかるので、たとえ5月までに行われる選挙の前に得られるメリットが一部にすぎないとしてもだ。

パテル総裁時代の中銀はインフレを過大に見積もり、利下げを望む政府を苛立たせてきた。

7日の利下げについても2人の政策委員が反対したが、その1人はパテル氏に近い人物だった。与党インド人民党(BJP)の支持母体でヒンズー至上主義を掲げる組織の経済部門が利下げを評価したのも、何ともきな臭さを感じる。それでもダス氏は当面、盛り上がる消費の陰に回って「正体」を隠すことができる。

●背景となるニュース

・インド中銀は7日、主要政策金利を引き下げた。総合ベースの消費者物価指数が大きく下振れしたのを受け、減速する景気のテコ入れを狙った。

・主要政策金利は25bp下がって6.25%となった。ロイターがまとめたアナリスト調査では、利下げ予想は65人のうち21人にすぎず、大方は政策運営スタンスを「中立」に変更するだけになると見込んでいた。

・政策委員6人中4人が利下げに投票、政策スタンスの中立への変更は全会一致だった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/india-centralbank-breakingviews-idJPKCN1PX0BUコラム2019年2月10日 / 09:28 / 2時間前更新
印モディ政権、予算案でなりふり構わぬ票集め
Una Galani
2 分で読む

[ムンバイ 1日 ロイター BREAKINGVIEWS] - インドのモディ政権は2019/20年度(2019年4月─20年3月)の予算案発表で、なりふり構わぬ票集めに打って出た。総選挙を前に、税収不足にもかかわらず大盤振る舞いにおよび、緊縮財政の看板は傷ついたが、続投のチャンスは広がった。

ゴヤル財務相代理は1日の予算案発表の機会をとらえ、政権奪取から過去5年間に与党・インド人民党が成し遂げた経済面での成果をおおいにひけらかした。ゴヤル氏によると、この間の国内総生産(GDP)の平均伸び率は1990年代以来最大で、2桁だったインフレ率も平均4.6%に沈静化した。こうした説明は、歳出を拡大する前に投資家を安心させるのが狙いかもしれない。

今回の財政出動で最も大きな恩恵を受ける層には、所得の落ち込みに苦しむ農家が含まれる。政府は保有農地が5ヘクタール以下の農家には1件当たり約6000ルピー(85ドル)を銀行口座に直接振り込むと約束した。CLSAの試算によると、こうした小規模農家は全体の9割程度を占める。

インドは農業従事者が全労働人口の半分を占めるため、こうした政策の集票効果は絶大だ。また、典型的な農業ローンの帳消しは、貸金業から資金を借りている農家には届かないため、今回の策の方が効果が高い。

ゴヤル氏は貧困層を対象とする新たな年金制度や、所得税の非課税限度額の実質的引き上げもぶち上げた。この日のインド株式市場は消費拡大への期待から、自動車株や消費財株の主導で主要株価指数が上昇した。

モディ政権が緊縮財政への取り組みを断念したのは明白だ。来年度の財政赤字の対GDP目標は3.4%と、従来の3%程度から引き上げた。財政はインド準備銀行(中央銀行)からの国庫納付への依存度が高まるだろう。簿外の資金調達も増え続けているとみられ、既に会計検査院が警戒する水準となっている。モディ首相は再選に向けて、可能なすべての手を打った形だ。

●背景となるニュース

・インドのゴヤル財務相代理は1日、2019/20年度(2019年4月─20年3月)の暫定予算案を発表した。財政赤字の対国内総生産(GDP)比目標は3.4%で、従来の3%前後から引き上げた。

・18/19年度の財政赤字の対GDP比も3.4%で、目標の3.3%を小幅ながら超過した。

・インド統計局は先に18/19年度のGDP成長率が7.2%になるとの見通しを示した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-india-modi-idJPKCN1PV0X6?il=0


 

ビジネス2019年2月9日 / 01:49 / 1日前
米国、特恵関税対象からインド除外を検討=関係筋
Reuters Staff
1 分で読む

[ニューデリー 8日 ロイター] - 米政府がインドを一般特恵関税制度(GSP)対象国から除外する方針を検討していることが関係筋の話で明らかになった。貿易や投資を巡る両国の不和が拡大していることが背景にあるとみられる。

関係筋によると、米通商代表部(USTR)はインドのGSP対象国としての見直しを完了し、今後2週間程度で決定を発表する見通し。

GSPの下、現在インドが米国に輸出する56億ドル相当の製品が無関税となっている。内訳は約2000種の製品で、GSPから除外されれば、同国の中小規模の宝飾業者などが大きな痛手を受ける見通しという。

インドのモディ首相が国内の製造業育成策「メイク・イン・インディア」を掲げる半面、トランプ米大統領は製造業の米国回帰を目指し、「アメリカファースト(第一主義)」を唱える中、両国の政策は相容れないものとなっている。

最近では、インド政府は電子商取引(EC)サイトの外資規制を強化し、今月からアマゾン・ドット・コム(AMZN.O)やウォルマート(WMT.N)傘下のフリップカート・グループがインド国内で販売できる製品を制限し、物議を醸している。

また、クレジットカード大手のマスターカード(MA.N)やビザ(V.N)など多国籍の決済サービス会社はインド国内へのデータ移管を余儀なくされたほか、電子関連製品などには高率の関税を課す政策が続いている。

米政府高官によると、ロス商務長官が来週ニューデリーを訪れ、EC外資規制やデータの現地移管などに懸念を表明する見通し。
https://jp.reuters.com/article/usa-trade-india-idJPKCN1PX1VG
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/410.html

[国際25] 「黒塗りメイク」、なぜ米国でタブーであり続けるのか 
トップニュース2019年2月10日 / 08:13 / 4時間前更新
アングル:
「黒塗りメイク」、なぜ米国でタブーであり続けるのか
Andrew Hay
2 分で読む

[7日 ロイター] - 米国には、白人が顔を黒く塗り、黒人を揶揄(やゆ)してきた苦い歴史がある。今週、バージニア州政府のトップ2人(民主党)が1980年代の学生時代に「ブラックフェイス」をしたことがあると認め、非難を浴びた。

米国では過去2世紀にわたり、こうした行為が続いている。数十年前と比べたら、それほど日常的には見られなくなったものの、アフリカ系米国人の学者は、今なお各地で存在しており、人種差別がある証拠だと指摘する。

今回非難を受けて謝罪したのは、バージニア州知事のラルフ・ノータム氏と同州司法長官のマーク・へリング氏だ。近年では、俳優でコメディアンのビリー・クリスタルや、深夜トーク番組の司会者で知られるコメディアンのジミー・ファロンら芸能人が黒塗りメイクを行っている。

●ブラックフェイスは米国でいつ始まったのか

南部でまだ奴隷制度が合法だった1830年代、ニューヨークで行われていた、歌や踊り、寸劇などが舞台で行われるボードビルショーの中に登場したのが最初だ。白人の演者が焼いたコルクや靴磨きクリームで顔を黒く塗り、プランテーションで働く黒人を怠け者で愚か者としてパロディー化した。

ワシントンにある国立アフリカ系米国人歴史文化博物館によると、醜く、誇張された容姿にぼろぼろの服を着た黒人に扮(ふん)する「ミンストレル」と呼ばれるこうした芸人は、奴隷にされた黒人を迷信的で性欲過剰な臆病者と揶揄した。

「奴隷制という考えを下支えした。本当にそのような人たちなら、もちろん奴隷として扱われるべきだ、とね」と、バージニア工科大学のウォーニー・リード氏は指摘する。

●なぜブラックフェイスは流行したのか

歌や音楽、メイクアップや衣装、おもちゃといったミンストレルの副次産業が19世紀半ばまで栄えた。当時はまだ南北戦争の真っただ中だった。1865年、北部の勝利により奴隷制は廃止された。黒人を中傷する歌は1880年代と90年代に人気を博した。

20世紀初頭には、黒人芸人が白人の観客から認められようとしてブラックフェイスを行った。米国映画初期の大作の1つである1915年製作の映画「國民の創生」では、ブラックフェイスの白人出演者たちが愚か者のように振る舞っている。シャーリー・テンプル、ジュディ・ガーランド、ミッキー・ルーニーといった米人気俳優も黒塗りメイクを行った。

「ブラックフェイスは初期のころから、愚かなニグロ、あるいは危険なニガーを演じるために行われてきた」と語るのは、元社会学教授で自身もアフリカ系米国人であるデービッド・ピルグリム氏だ。同氏はミシガン州ビッグ・ラピッズにあるフェリス州立大学に、人種差別の歴史を展示する博物館「ジム・クロウ・ミュージアム」を創設した。

ジム・クロウはミンストレルショーで最も有名なキャラクターの名前で、人種差別を認める南部各州で採用された法律の総称にもなっている。こうした法律は20世紀半ばまで存在していた。

●なぜブラックフェイスはなくならないのか

20世紀後半にはブラックフェイスの舞台は次第にすたれていったが、バラエティー番組や映画では続いていた。中でも有名なのが、1986年の映画「ミスター・ソウルマン」だ。

ブラックフェイスは、大学キャンパスの女子学生や男子学生の社交クラブといった、誰も反対する人はいない「安全な白人の居場所」に残っていると、ピルグリム氏は言う。

リード氏を含むアフリカ系米国人は、ブラックフェイスが繰り返し行われていることは、米国の文化に人種差別があることを示していると指摘する。

「白人至上主義がいまだに支配している。ブラックフェイスをする人はそうした信条のすべてに同意しないかもしれないが、そのような概念のもとで行っている」とリード氏は語った。

●米国政治にどのような影響をもたらすか

民主党も共和党も、バージニア州で今週起きたブラックフェイス問題を非難している。だが今回のスキャンダルが起きた同州は、2020年の大統領選の行方を占う重要接戦州であり、民主党が女性やマイノリティーの支持を伸ばして地盤を固めつつあっただけに、同党指導者らにとって大きな打撃となった。

 2月7日、米国には、白人が顔を黒く塗り、黒人を揶揄(やゆ)してきた苦い歴史がある。今週、バージニア州政府のトップ2人(民主党)が1980年代の学生時代に「ブラックフェイス」をしたことがあると認め、非難を浴びた。写真はその1人、同州司法長官のマーク・へリング氏。同州フェアファックス郡で2015年6月撮影(2019年 ロイター)
共和党のトランプ大統領は、今回のスキャンダルにより、20年の大統領選で自身の共和党が勝利する可能性が高まったとツイートした。

(翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)
https://jp.reuters.com/article/us-blackface-idJPKCN1PX0I4
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/411.html

[国際25] 全米で人気の「フードトラック」、経営の甘くない現実 グロース氏引退、債券運用黄金時代への「挽歌」
コラム2019年2月10日 / 08:13 / 4時間前更新

全米で人気の「フードトラック」、経営の甘くない現実
Chris Taylor
3 分で読む

[ニューヨーク 5日] - 午前9時から午後5時までの退屈な仕事に就き、料理が得意な人ならば、誰でも1度は自分で「フードトラック」をやってみたいと考えたことがあるのではないか。

トラックで旅に出て、音楽フェスティバルでおいしい食べ物を提供する。独立経営者になれるのだ。

フードトラックを経営すれば、確かにこれらのことが全て実現する。だが同時に、駐車違反の罰金や保健所の許可、イベント主催者に支払う高額な場所代、故障した機器の修理に、汗まみれのきつい労働など、バラ色ではない側面もたくさんある。

コネチカット州ハートフォードでフードトラックを経営するジル・モスカイツさんも、そのことを学んだ1人だ。夫のジョシュさんと共に、「ザ・ホエー・ステーション」というフードトラックを8年近く経営し、最高においしいグリルドチーズ・サンドイッチを作り続けている。

ハートフォードの「ベスト・フードトラック」や、コネチカット州の「ベスト・グリルドチーズ」にも選ばれたことがある。テレビの料理競技番組でチャンピオンにも選ばれた。

「すごくエキサイティングな生活だけれど、頑張って働く意欲がないとだめ。すごく大変な仕事だから」と、今ではフードトラック3台のほかに、同州ミドルタウンで実店舗を経営するモスカイツさんは言う。

事業が軌道に乗り、単独でやっていけるようになるまで、丸3年かかったという。

同じような成功を夢見るシェフ志望者は多い。調査会社IBISワールドによると、全米では4000台以上のフードトラックが営業している。2017年の全体の売り上げは10億ドル(約1090億円)規模とされ、この5年間、毎年7.3%ずつ成長してきた計算になる。

個々の店の売り上げは、提供している食べ物や場所によって異なる。IBISワールドによると、平均すると人件費に38.7%、食材の調達に39.7%が持っていかれる。利益率は7.7%だ。売上高が20万ドルなら、もうけは1万5400ドルにしかならない計算だ。

フードトラックをやりたい人が、経済的に成功するにはどうすればいいのか。経験者らに聞いた。

●1種類のフードに特化し、おいしく作ろう

多くの場合、フードトラックは「一般化」しようとして失敗している。

「この町だけで、すぐにつぶれたフードトラックを15─20件は見てきた。店のコンセプトがはっきりせず、勘だけを頼りにやっていた」。テネシー州チャタヌーガで特製フライドチキンを提供するフードトラックを経営しているブルース・スミスさんはこう話す。

ひとたび看板商品が決まれば、ツイッターでフォロワーを増やしたり、おいしそうに撮った写真をインスタグラムに掲載したり、地元の食材生産者と提携してメディアに登場したりするなどして、自分の店のブランドを築くことができるだろう。

●最初は小さく始めよう

一番大きくて一番良いトラックを買いたいと考えるのが自然かもしれない。

トラックの購入費用は、場所や州の規制によって大きく異なる。テキサス州なら4万ドルあれば新車が手に入るが、カリフォルニア州では、改造車の価格が11万─17万ドル程度になると、全米フードトラック協会のマット・ゲラー最高経営責任者(CEO)は言う。

だが最初は、手ごろな価格の車体を探すか、リースするのがいいだろう。例えば、チャタヌーガのスミスさんは、2万5000ドルで買った自分のトレーラーを使って手堅く始めた。

ザ・ホエー・ステーションも、ぼろぼろの車体で始めたという。

「私たちのトラックは本当にかっこ悪くて、他の経営者に笑われた。でもイベントが始まって1時間もたつと店の前に行列ができて、笑う人は誰もいなくなった」と、モスカイツさんは振り返る。

●イベントには気を付けよう

イベント主催者は、フードトラックを金づるとして見るようになっており、大きな分け前を持っていく。それにより、もうけを出すのがほとんど不可能になっている。かといって、採算を取るために価格を上げれば、忠実なファンにそっぽを向かれるリスクがある。

「20%以上要求してくるイベントには注意しよう」と、スミスさん。「最近では30%を要求してくるところもある。自分ならそんなところには寄り付かない」

●コストを全部計算しよう

食材以外のコストの高さには、驚く人がほとんどだろう。

燃料費や人件費、保険料や各種許可手数料、電気代に駐車料金などが積み重なって大きなコストとなる。ロサンゼルスやオレンジ郡では、10─15種類もの営業許可を取らなければならず、販売許可を得るだけで1700ドルかかると、ゲラーCEOは言う。

コネチカット州では、イベントや町ごとに営業許可を取る必要があったため、モスカイツさんは手数料に年間計6000ドルも費やした。

それでも、その価値はあったという。その後、ザ・ホエー・ステーションの売り上げは、毎年5万ドルずつ増えている。

*筆者はロイターのコントリビューターで、個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/us-foodtruck-idJPKCN1PX0FB


コラム2019年2月9日 / 15:49 / 20時間前更新
グロース氏引退、債券運用黄金時代への「挽歌」
Richard Beales
2 分で読む

[ニューヨーク 4日 ロイター BREAKINGVIEWS] - あのビル・グロース氏も、時の流れに屈しようとしている。パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO、ピムコ)の共同創業者として、かつては2930億ドルもの資産運用に携わったグロース氏は、2014年からファンドマネジャーを務めていたジャナス・ヘンダーソンを退職する。74歳の同氏が第一線を退くのは当然と言えば当然だが、同時にこれは国債と資産管理手数料に対する「挽歌」とみなさざるを得ない。

グロース氏はピムコ時代に同社を強力な債券の機関投資家に育て上げることに貢献。「債券王」の異名で知られ、運用規模を膨らませて目を見張るリターンと個人的な資産を築いた。ただ、その後運用成績およびグロース氏とピムコの関係は悪化し、ついに同氏が険悪な雰囲気の中で退社する事態になった。

もっとも同氏のキャリアを振り返ると、ほとんどの局面で正しい時期に正しい場所にいた。1980年代半ばからほんの数年前まで、債券利回りは着実に低下を続け、金融危機でさえその流れをほとんどかき乱していない。つまりこの間、債券価格は上昇していたわけで、どのファンドマネジャーにとっても追い風が吹いていた。

しかし状況は一変している。グロース氏がジャナスで運用していた「アンコンストレインド・ボンド・ファンド」は18年末時点で資産額が10億ドルを割り込み、約5年前の設立以来の1年当たりのリターンは、3カ月物LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の0.91%にすら及ばなくなった。相対的に手数料が低い「クラスIファンド」でも、年間リターンは0.38%にとどまる。

一方クラスIファンドの年間手数料は0.78%で、単純計算すればジャナスは投資家の2倍の金額を懐に入れたことになる。

だからこそ株式と同じように、債券でも投資家はコストの安いパッシブ運用方式のインデックス追随型ファンドに乗り換えつつある。米国の債券ミューチュアル・ファンドと上場投資信託(ETF)において、インデックス追随型が占める割合は1995年に5%弱だったのが、2017年には26%まで高まったことが、ボストン地区連銀の調査で分かっている。

ジャナスの説明によれば、グロース氏は今まで成し遂げてきたことを土台に十分豊かな生活を送っている。過去20年で慈善事業に8億ドルを寄付した上で、フォーブスの集計では15億ドルの純資産を保有しているからだ。退職後に運営する3億9000万ドル規模の家族の財団もある。これは素晴らしい業績だ。とはいえ、もはや投資家はどんなアクティブ運用方式のマネジャーに対してもそんな大盤振る舞いは二度としないだろう。

●背景となるニュース

・英資産運用会社ジャナス・ヘンダーソンは4日、ファンドマネジャーのビル・グロース氏が3月1日付で退職すると発表した。今後は個人資産や慈善団体の運営に専念する。グロース氏は2014年後半に同社に入った。

・74歳のグロース氏は1971年に共同でパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO、ピムコ)を設立し、マネジングディレクター兼最高投資責任者を務め、運用資産は一時2930億ドルに達した。

・グロース氏はピムコを去った後に同社を提訴したが、2017年に当時の報道で約8100万ドルでの和解に合意した。

・ジャナスの発表によると、グロース氏は過去20年で8億ドル余りを慈善団体に寄付している。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-bill-gross-idJPKCN1PV0Y0
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/412.html

[経世済民131] 世界遺産の町ドゥブロブニクでオランダ青年から聞く『植民地支配とグローバル格差社会』 早春のアルバニアからクロアチアまで
世界遺産の町ドゥブロブニクでオランダ青年から聞く『植民地支配とグローバル格差社会』

早春のアルバニアからクロアチアまで中欧自転車&バスの旅 第5回
2019/02/10

高野凌 (定年バックパッカー)

(2018.2.24〜3.24) 28日間 総費用42万円〈航空券含む〉)

ドゥブロブニク(vladimir zakharov/gettyimages)
城塞都市ヘルツェグ・ノヴィの老夫婦

 3月13日。小雨の中モンテネグロの世界遺産の城壁都市コトルから入り江の海岸沿いにアドリア海に面するヘルツェグ・ノヴィを目指す。約30キロの行程だ。たまに薄日が差すこともあったが断続的にみぞれまじりの雨模様。防寒服の上に100円ショップで購入したビニール合羽の上下を着込んだ。途中、フェリーボートで対岸に渡る。

 ヘルツェグ・ノヴィはアドリア海の要衝に位置する中世から続く要塞都市だ。城壁で囲まれた旧市街は数時間歩けば見尽くせる。シーズンオフなので宿泊施設は閉鎖しているようだ。幸い、お昼時だけ開いているツーリストインフォがあった。きれいなお姉さんが数軒の休業中の民泊オーナーに電話して一泊10ユーロの部屋を確保。

 民泊はオーナーが住んでいるアパートの一室だった。70歳のオジイサンと68歳のオバアサンの二人暮らし。空いている子供部屋をシーズン中だけ旅行者に貸している。娘夫婦が隣に住んでおり三人の就学前の孫が随時遊びに来るので賑やかだ。

 アパートは高台にあり、リビングや居室からアドリア海の夕陽を満喫。キッチンで一緒に夕食を準備して食卓を囲み、食後はソファで団欒。老夫婦は片言の英語しか話せないが、それでも充分に二人の善意が伝わってきた。こんなに穏やかで平安な時間を過ごすことは何年ぶりだろうか。物質的には決して豊かとは言えない、むしろ質素な生活なのだが。お二人のように精神的に満たされて安らかな老後を夫婦で過ごせたらどんなに幸せであろうか。

超有名な世界遺産ドゥブロブニクの旧市街はスルー?
 3月14日。ヘルツェグ・ノヴィの民泊アパートを8時に出発して20分も経たぬうちに雨となった。ヘルツェグ・ノヴィはモンテネグロの西端に位置する。10時頃モンテネグロ側から峠を越えてクロアチア側検問所を過ぎると晴れてきた。

 左にアドリア海、右に岩山が連なる山脈を眺めながらの下り坂は快適そのもの。ドゥブロブニクまで14キロの標識を過ぎたころから再び雨模様に。午後1時半頃、雨の中ドゥブロブニク旧市街の入口レヴエリン要塞に到着。小1時間旧市街を散策。大聖堂、宮殿、修道院、総督邸などを外から一通り見物。観光客が多くざわざわした雰囲気である。さらにTV番組などでお馴染みのため既視感(デジャビュ)が邪魔してどうも気持ちが入らない。

インスタ映えする旅とは?
 旧市街の出口近くでバスを待っていた東京から来たというOL二人組と遭遇。二人は学生時代からの友人で現在は別々の職場にいる。今回は2週間の休暇を取得して中欧諸国を自由旅行で周遊中。

 二人とも“なかなかの美形”であり、スマホで撮った写真を見せてくれた。世界遺産を背景にインスタ映えするのは間違いない。スマホには絶景や名所旧跡や名物料理などの素敵なフォトが無数に蓄積されていた。

 彼女たちと話していて“めっちゃ”羨ましく思った。キラキラと輝いていて、目の前の事象をめいっぱい楽しんで。彼女たちには“旅を楽しむ”何か特別の能力(または才能?)がある。上手く表現できないが謙虚、素直、好奇心というような特性である。

 「若くて美人ならば何をしても楽しいはず」と考える人もいるかもしれないが、実際に旅をしていると“若くて美人でも旅を楽しんでいない”ように見える人が国籍人種を問わず意外に多いことに驚く。

 オジサン自身は意識して虚心坦懐・好奇心旺盛を心掛けるようにしている。年寄りが威張って仏頂面して旅行していたら、自分も楽しくないし誰にも相手にされない。

欧米ではフツウのギャップイヤーとは
 東京のOL二人組と別れてからホステル探しに没頭。五軒のゲストハウスを順番に訪ねたが全て閉鎖中。途中でオランダ青年ベセル君22歳と遭遇。彼はテントを携行しており適当な場所を見つけてテント泊する計画だった。

 ベセルは大学で建築学を専攻。卒業後1年間をギャップイヤー(gap year)として海外放浪中。ちなみに欧米社会では高校や大学を卒業してから進学・就職する前に一年間長期旅行をする若者が多い。これをギャップイヤーといって社会的にも認知されている。

 日本と異なりギャップイヤーを取っても就職で不利となることはない。むしろ見聞を広める有意義な期間と見做されている。

ヒッチハイクでユーラシア大陸横断、現代の“さまよえるオランダ人”
 午後4時頃に世界遺産の旧市街から10キロも離れた新市街の家族経営のゲストハウスにチェックイン。キッチンで夕食を準備していると偶然ベセルもチェックインしてきた。風雨が激しくテント泊を断念したという。

 その後派遣社員のチヒロ嬢、日本近現代政治史専攻の大学生ワタル君もチェックインしてきたので四人で夕食を作りテーブルを囲んだ。

 ベセルによると彼のお姉さんが2年前に単独自転車でオランダ→トルコ→イラン→トルクメニスタン→ウズベキスタン→カザフスタン→中国→モンゴルとユーラシア大陸を横断して最後はシベリア鉄道で帰国という大冒険をした。ベセルもヒッチハイクとテント泊でユーラシア大陸横断を目指していた。

オランダ人はどうして背が高いのか?
 ベセルはオランダ人の常として190センチの長身で金髪碧眼である。なぜオランダ人はみんな背が高いのか。

 ベセルによるとオランダ人は元々それほど背が高くなかったという。17世紀以降インドネシアなどの海外植民地を獲得して生活水準と食糧事情が向上。毎日の食事の栄養価が飛躍的に向上した結果現代のように高身長になったとのこと。

 ちなみに日本人も江戸時代は食料供給の制約から人口も身長も伸びなかった。代々徳川将軍の位牌が岡崎市の大樹寺で公開されている。各将軍の死亡時の身長と同じ高さに位牌を作成したというが、「暴れん坊将軍」で知られる吉宗でも155センチ程度である。

 日露戦争時の大日本帝国海軍の水兵の平均身長は152センチくらい、第二次世界大戦時の陸軍の徴兵検査の平均身長が160センチ超。現代の20代男子が凡そ171センチであるから約150年間の食生活向上で平均身長が20センチ伸びたことになる。そんな日本の事例をベセルに紹介したら大いに納得していた。

植民地支配とグローバル資本主義は同罪なのか?
 欧米人と話していると18〜20世紀の欧米列強による植民地支配については肯定も否定もせず客観的に歴史的事実として受けとめるという態度がフツウである。さらにはマルクス史観で説明されるように先進資本主義国家間による市場獲得競争という“歴史の必然”という論理を持ち出す御仁もいる。

 ところがベセルはオランダの植民地支配や強奪貿易の歴史を「恥じるべき歴史」と批判した。さらにベセルは歴史の暗黒部分を率直に認めることが、現代の国際社会を考えるうえで必須と強調した。

 「経済のグローバル化により100人に満たない大富豪が世界の富の半分を支配している。19世紀や20世紀の植民地支配よりも深刻かつ広範囲に非人道的な貧富の格差が超スピードで進んでいる」と指摘した。

 確かに日米欧韓という先進国では中産階級の減少、富の集中と貧困層の増大という共通の現象が進行中という分析をよく目にする。中進国や途上国に関する具体的な統計数字は不詳であるが、おそらく貧富の格差拡大は更に深刻なのであろう。

 ギリギリの予算でヒッチハイクを続けるベセルはローアングルの視点からグローバル資本主義の席捲による超格差社会という近未来を憂いていた。

⇒第6回につづく
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15313
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/122.html

[経世済民131] 働かなくても、頑張らなくても食べていける世界 迷走する日本の「働き方改革」へ処方箋 ヴェネズエラ国境封鎖で支援物資届かず
働かなくても、頑張らなくても食べていける世界迷走する日本の「働き方改革」への処方箋(3)
2019/02/10
立花 聡 (エリス・コンサルティング代表・法学博士)
 人間の能力差を認めようとしない、人間平等主義に根ざした日本社会は現今の世界において歪んでいるように見える(参照:「同一労働同一賃金」が格差を生むワケ)。能力差といえば、先天的格差といっても通じる。生来頭が良くて勉強のできる子とそうではない子、果たして公平といえるのだろうか。人間だけではない。国もそうである。先天的に資源に恵まれている国とそうではない国は、その後天的な経済発展に至ってどのような影響があるのか。私はこの課題を抱えてブルネイや中東(クウェート、バーレーン、UAEなど)、ノルウェーといった産油国を視察する旅に出た。
1億円もする世界一のシャンデリア
 ブルネイ王国は、周知の通り世界でも有数の富裕国である。妙なことに、世の中の富裕国は極端に天然資源の豊富な国もあれば、極端に天然資源の貧弱な国もある。前者は、ブルネイや中東湾岸・アラブ諸国ないしノルウェー(北海油田)のような、豊富な原油と天然ガスの資源を有している国々である。後者は、シンガポールやスイス、ルクセンブルクのような、ほとんど天然資源を有しておらず、独自の産業育成を中核とする国家戦略の成功によって富を手に入れた資源貧弱国(多くは都市国家に近い小国)である。
 ブルネイ視察(2015年5月)。1億円もする世界一のシャンデリアを一目見たくて、伝説の7ツ星ホテル、エンパイア・ホテル&カントリークラブに投宿する。

1億円もする世界一のシャンデリア(写真:筆者提供) 写真を拡大
 ロビーに一歩踏み入れると、圧巻。金、金、金、大理石、大理石、大理石…、そして紺碧の海を眼下に納める巨大なアトリウム。エンパイアは王宮の迎賓館として2000年のアセアン会議に合わせて建てられた宮殿級のホテル。まさに国力の誇示であり、世界トップクラスの金持ち小国・ブルネイの縮写でもある。

エンパイア・ホテル&カントリークラブ(写真:筆者提供) 写真を拡大
 ホテルはとにかく大きい。日本人から見ればなんでここまで無駄なスペースを設けるのか、というくらいに空間が大きい。廊下もエレベータホールも信じられないほどに広い。誰も座らないのに、あちこち高級そうなソファが配置されている。一般の客室の天井がここまで高いのも初めて見た。それに大きなバルコニー、これも「く」の字になっていてミニパーティーができるほどの広さ。もちろん、海一望。
 三重県と同じ大きさの国土。ブルネイの豊かさを支えているのは石油と天然ガス資源である。働かなくても石油が湧き出る限り、暮らしていける。いや、贅沢に暮らしていけるのだ。まるで代々資産家の豪族資本家とサラリーマンの勤労家庭、資源国と非資源国、生れつきのこの先天的格差。公平といえるのだろうか。気がつくと、内心に芽生える妬みの感情を一生懸命抑えようとする自分がそこにあった。
 資源の乏しい我が日本。資源のために戦争を起こしたといっても過言ではない。もし日本がブルネイのような資源国だったらどうなっていたのだろう。なんてことはありえないし、考える意味もない。
「ブルネイ・ロイヤル資源商事株式会社」
 石油と天然ガス部門がGDPの6割以上、輸出のなんと96%を占める(2013年データ)。医療費、教育費無料。税金なし。国民の8割が公務員。ハサナル・ボルキア国王が首相・国防相・蔵相を兼任し、国王の実弟モハメッド・ボルキア殿下が外務貿易相を務める。一族の絶対王権国家である。
 経済面において分かりやすく表現すれば、「ブルネイ・ロイヤル資源商事株式会社」と言ったほうが分かりやすい。いわゆる資源専門商社である。オーナー兼会長・社長の完全ワンマン企業。取締役会は形上のもの、監査役不在。社員42万人、このうち終身雇用で身分が保障されている年功制正社員は30万人強、残りは派遣社員。社員の医療費と子女教育費は全額会社負担、所得税支払い義務なし(会社負担)。会社理念は、イスラム教。王権神授説に基づくオーナー(国王)への絶対的崇拝と服従は全社員の義務。主業務は石油、天然ガスの採掘と輸出。
 さらに補足すると、「ブルネイ・ロイヤル資源商事株式会社」では、完全年功制のため同年代社員間の所得格差がほとんどない。このため、嫉妬や潰しあいもないという、ゆとりある平和な会社である。
 いかがですか、日本人の皆さん、「ブルネイ・ロイヤル資源商事株式会社」に転職しませんか。

ブルネイの首都バンダルスリブガワン(写真:筆者提供) 写真を拡大
 働かなくても、頑張らなくても食べていける。生涯を保障されている。人間の怠惰本性が是認されるのはブルネイである。全般的に勤労意欲が非常に低いと言わざるを得ない。熾烈な競争を勝ち抜き、生き延びるための意欲や闘志が失われている。いや、その必要もないし、逆にガツガツ働くのが美徳とされていない。働きたい、一旗を挙げようという有志は叩かれるのである。
 現地の人に、ブルネイで起業して大成功したサクセスストーリーはと聞くと、そんなの聞いたことないねと素気ない回答だった。ビジネスで成功したいという少数の異端児はとうに国を出て、シンガポールあたりの実業の世界に身を投じたのである。
人は皆、労働をやめるべきである!
「Tamu Kianggeh」というローカル市場を訪問。アジアの市場といえば、活気溢れる光景をイメージするが、ここブルネイだけは大外れ。
 まだ早い時間帯なのに、8割以上のブース(店)はすでに営業終了。2割ほどが営業中。といってもまったく商売気がない。売り子がただ座ってのんびりしているだけ。客が寄ってきても声をかけようとしない。もちろん、値切れる雰囲気ではない。ガイドに聞くと、「この国は市場でも値切る習慣がありません。買うなら買う。買わなきゃ邪魔するな、という感じですよ」

ブルネイのローカル市場(写真:筆者提供) 写真を拡大
 店は生計を立てるためではない。暇つぶしで商売をしているようなものだ。店を開けてしばらく時間を潰して、「いや、疲れたなあ」「つまらない。もう帰るか」と思ったら店をたたんで帰る。
 勤勉とは何だろう。勤勉は果たして美徳なのか。ここブルネイに来て私は自分の倫理観や勤労観を疑うようになった。ふとボブ・ブラック『労働廃絶論』の一節を思い出す――。
「人は皆、労働をやめるべきである。労働こそが、この世のほとんど全ての不幸の源泉なのである。この世の悪と呼べるものはほとんど全てが、労働、あるいは労働を前提として作られた世界に住むことから発生するのだ。苦しみを終わらせたければ、我々は労働をやめなければならない。(中略)収入や仕事のことなどすっかり忘れて、まったく無精と怠惰になる時間を、誰もが今よりもっと必要としていることはまちがいない」(引用:『労働廃絶論―ボブ・ブラック小論集』アナキズム叢書)
 労働信仰や勤勉信仰をもつ人間にとって本質的に異なる価値体系である。そもそも、人間の本能的な部分は怠惰なのだ。いや、そういう表現はよくない。「自然体信仰」とでも呼ぼう。
ブルネイは世界一成功した「共産主義国家」
 ある意味で、ブルネイは世界一成功した「共産主義国家」だ。共産主義とは、財産の共同所有で社会の平等を目指す制度だ。素晴らしい理念だが、最大の問題は2つ。「過程自律依存性」と「結果自律依存性」と、私が勝手に名付けてみた。
 まずは、過程自律依存性。富を創出し、築いていく過程に一人ひとりの共同体構成員が自律的に努力し全力を挙げて頑張るかどうかの問題。私有財産の消滅や規制、分配の均等性などの要素によって、頑張っても頑張らなくても結果が同じだということになると、頑張る意味を見出せなくなり、動機付けと努力の自律性が失われる。
 次に、結果自律依存性。財産の共同所有と分配を司る特権階級(支配者階級)が自律的に、過度な私利私欲を持たずに平等・公正に富の分配を行うことができるかどうかという問題。資本主義のような監督・抑制機能(他律)がなく、完全な自律に頼らざるを得ない。富の総量が少なければ少ないほど特権階級の貪欲さが目立ち、国民の貧困が進む。北朝鮮はその好例だ。
 ブルネイの最大の特徴は、その富が、労働の質と量への依存性が非常に低いことだ。来る日も来る日も石油や天然ガスが湧いてくる(採掘という労働は必要だが)。黙っても買ってくれる客が世界中にいるから、汗水たらして頭を下げて営業する必要もない。すると、富の形成の過程自律依存性問題はおのずと解決される。これについては、今日のブルネイで目撃された国民の平均勤労意欲の低下・萎縮現象によって裏付けられている。
 さて、結果自律依存性の問題はどうであろう。ブルネイの特権階級(支配者階級)といえば、ハサナル・ボルキア国王とその一族である。国王自身がスルタンというイスラム教の絶対的地位をもっている。この権威は神によって付与され、揺るぎないものとされている。
 つまり、権威性は神聖性に起源する「王権神授説」がその根拠となっている。ならば、イスラム教への絶対的信仰が王権の存続を担保する基盤であり、ブルネイという国家を完全なるイスラム教国家にする必要があることは自明の理だ。現にブルネイは世界でも有数の敬虔なイスラム教信仰国である。
<第4回へ続く>

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15310

ヴェネズエラ、国境封鎖で支援物資届かず 政府が搬入阻止

2019/02/08

BBC News


政情不安で揺れる南米ヴェネズエラへのアメリカからの支援物資の第一陣が7日、国境を接するコロンビア・ククタに到着したが、政府が国境の橋を封鎖したため、国内に物資を搬入できない事態となっている。

支援物資を載せた複数の車両は、ヴェネズエラ軍が封鎖を続けるヴェネズエラとコロンビアにまたがるティエンディタス橋の手前で立ち往生している。

アメリカからの人道支援をめぐっては、ヴェネズエラ大統領が「軍事介入の口実」だとして受け入れを拒否しており、6日には軍がヴェネズエラとコロンビアを結ぶ国境の橋を封鎖して支援物資の流入を阻止した。

ヴェネズエラ軍の支持を得ているニコラス・マドゥロ大統領(56)は、軍事介入の口実だとして支援物資の受け入れを拒否している。

先月23日に暫定大統領への就任を宣言した反マドゥロ派の野党代表フアン・グアイド国会議長(35)は、国際的な支援が行き届かなければ多くのヴェネズエラ国民の命が危ういと警告している。

<関連記事>

米政府、ヴェネズエラに人道支援へ 暫定大統領の要請で
ヴェネズエラ国会議長が「暫定大統領」の就任宣言 トランプ米大統領は承認
米政府、「腐敗した」ヴェネズエラ国営石油会社に制裁 
ベネズエラ、大統領選を4月末までに前倒し実施へ
グアイド氏は、マドゥロ大統領の2期目就任が違法だと判断されれば、自分は憲法上、大統領権限を一時的に掌握する資格があると主張している。

同氏については、アメリカのほか、中南米諸国と欧州各国のほとんどを含む40カ国以上が暫定大統領として承認している。一方のマドゥロ氏は中国とロシアの支持を得たままだ。

その他の動き
アメリカは、マドゥロ政権幹部への追加制裁を発表した。ヴェネズエラ政府の統制下にある憲法制定議会議員のビザが取り消されることとなる。
欧州および中南米諸国は、ヴェネズエラ国内での完全な民主主義回復が重要だと主張し、大統領選の早期やり直しを求めている。
アメリカからの人道支援物資
食糧と医薬品を積んだ複数のトラックが7日、隣国コロンビア・ククタの支援物資集配施設に到着した。コロンビア警察がバイクで護衛した。

ヴェネズエラ軍は6日、同国ウレニャとコロンビア・ククタを結ぶティエンディタス橋に貨物用コンテナやタンクローリーなどを置き、国内への物資搬入を阻止している。

現時点では、これらの人道支援物資がどのようにヴェネズエラ国内へ届けられるのかは不明。

マドゥロ氏は、同氏を追放しようとしているアメリカ側に軍事介入の道を切り開くおそれがあるとして、国外からの支援物資の受け入れを拒否している。

同氏は「誰1人として入国させない。兵士の1人たりとも侵攻させない」と述べた。

一方で、マイク・ポンペオ米国務長官は「マドゥロ政権は飢える国民に物資が行き届くのを認めなくてはならない」と述べ、国境の橋の再開を求めている。

複数のヴェネズエラ政府幹部も、国内への物資搬入を認めるよう軍に呼びかけている。

人道支援計画
グアイド氏はヴェネズエラ国内に支配地域を一切持っていない。そのため代わりに、多くのヴェネズエラ人が避難している近隣諸国に、支援物資の集配施設を設置しようとしている。

同氏は、支援物資を3カ所で集めるため国際的連携を確立し、援助の国内配給を認めるようヴェネズエラ軍に圧力をかけたいと述べた。

ジョン・ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は3日、支援物資が入っているとみられる山積みの段ボール箱の写真と併せて、グアイド氏の計画を週末にかけて推進しているとツイートした。

「グアイド大統領の呼びかけに応えて、アメリカはヴェネズエラの人々のため人道支援を動員し輸送する。必需品の支給が週末にかけて進むよう準備してくれた、米国際開発庁(USAID)、米国務省と関係機関の努力を称える」とボルトン氏は書いた。

https://twitter.com/AmbJohnBolton/status/1091886111134236672

同じ頃、ドナルド・トランプ米大統領は米CBSに対し、軍事介入も「選択肢の1つ」だと語っている。

トランプ大統領は5日夜の一般教書演説で、「私たちは自由への崇高な探求に立ち向かうヴェネズエラ国民と共にある」と述べ、グアイド氏への支持を繰り返した。

混乱の背景
長引く政治、経済の危機に直面するベネズエラでは、高いインフレ率に加えて、食品や医薬品の慢性的な不足が何年にもわたって続いている。2014年以来、約300万人もの住民が国外に逃れている。

マドゥロ大統領は昨年、多くの野党候補が投獄されたり、選挙をボイコットしたりする状況で再選され、今年1月に2期目就任を宣言した。

その後、グアイド氏が暫定大統領への就任を宣誓した。

グアイド氏は、マドゥロ大統領の2期目就任が違法だと判断されれば、自分は憲法上、大統領権限を一時的に掌握する資格があると主張している。2日には、支持者が「自由」を勝ち取るまで抗議は続くだろうと話した。

(英語記事 Venezuela aid lorries stuck near border)

提供元:https://www.bbc.com/japanese/47153940


http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15311

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/123.html

[国際25] 中国によるアジア植民地構想、ほぼ頓挫へ 1MDB事件への中国の関与が濃厚になり、反発強めるアジア各国 
中国によるアジア植民地構想、ほぼ頓挫へ
1MDB事件への中国の関与が濃厚になり、反発強めるアジア各国
2019.2.13(水) 末永 恵
世界約70か国で進む中国の一帯一路プロジェクト。空港など各国の国の要所に、大きくプロパガンダを張る中国政府(マレーシアのクアラルンプール国際空港、筆者撮影。2019年2月)
 「(私の右肩が)いつでも風や雨からあなたを守り、(私の左肩も)あなたの支えになり続けるから、困難な山々を手を携えて乗り越えましょう!」

 2月5日の春節を目前に、中国政府がこう歌った友好国ソングを公表した。

 その友好相手国とはマレーシア。

 この歌は、今年が両国の国交45周年記念にあたり、中国政府が永遠の友好関係を切望して作ったという。

 言い換えれば、こんな陳腐なラブソングを作らざる得ないほど、両国関係において中国は切羽詰まった状況に置かれているといえるだろう。

 5年前の5月31日、中国・北京の天安門広場に面した人民大会堂では、「マレーシア・中国国交樹立40周年記念式典」が行われた。両国を代表して、マレーシアは親中のナジブ首相(当時)、中国は李克強首相が出席、両国は蜜月だった。

 それを象徴するかのように、式典にはマレーシア華人商工会などの経済団体代表約300人の大経済ミッションがナジブ首相に随行。

 さらに、生ドリアン輸入は禁止されているが、ナジブ首相からの大量のドリアン土産を中国政府はあっさりと「特例許可」、ドリアン外交が炸裂した。

(参考記事:http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52186「中国がドリアン爆買い マレーシア属国化への序章」)

 しかし、あれから5年。事態は急変した。

 不正や腐敗政治の一掃とその関連で中国主導の一帯一路の大型プロジェクト見直しを掲げたマハティール政権が昨年5月に誕生。「新植民地主義は受け入れない」と習近平国家主席や李首相に大型プロジェクトの延期や中止を次々に表明してきた。

 これまで小国から屈辱的な扱いを受けたことのない中国は、動揺を隠し、静観を標ぼうしてきた一方で、「内心は怒り心頭だった」(中国政治学者)らしい。

 しかし、マハティール・ショックは止まることはなかった。

 ナジブ政権の汚職体質にもメスを入れ、昨年、米国やシンガポール、スイスなどでも捜査が続くマレーシアの政府系投資会社「1MDB」の巨額不正横領事件に関連し、ロスマ夫人ら家族や関係者ともども、ナジブ氏をマネーロンダリングや背任罪など、実に42の罪で起訴したのだ。

参考記事:

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53479「アジアを腐敗まみれにして属国化する中国の罠」)

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54307「天国から地獄へ マレーシア・ロスマ前首相夫人に司直の手」)

 同事件では、ナジブ氏が首相在任中に同投資会社から約7億ドルを不正に受領していた疑惑だけでなく、家族や関係者を含め約45億ドルにも上る公的資金を横領したと見られてきた。

 本コラムでは、2015年3月、日本のメディアとして第1報を報じて以来、同事件の真相や背景について追及してきたが、ようやく、ナジブ氏の初公判が近く開かれることになっている(当初は、2月12日だったが、延期となった)。

 この時期に中国政府が面子そっちのけでマレーシアにラブソングを捧げるもう一つの理由が、実はこの裁判にある。

 公判での証拠、証言(約50人が証言台に立つ予定)いかんでは、ナジブ政権を支え、1MDBに深く関わってきたと疑惑のある中国にとって国際的に大きな信用を失墜させる事態に陥るからだ。

 「米国史上最大の泥棒政治による横領事件」(セッション米前司法長官)と称された世界を舞台に大胆に、かつ、複雑な手法で実行された国際的公金不正横領事件。

今年の春節の中国人の海外渡航先一番人気のタイのプーケットには、相変わらず、お騒がせ中国人観光客が大挙して、地元の不評を買っている(タイのプーケット島、筆者撮影。2019年2月)
 しかし、同事件の投資案件を扱った世界最大級の米投資銀行「ゴールドマン・サックス」(GS)の元社員が米司法省から起訴され、有罪判決を言い渡された一方、同事件の首謀者とされる華人系マレーシア人のジョー・ロー氏は、「中国の保護の下、中国に潜伏している」(マレーシア捜査関係者)とされる。

(参考記事:http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43277「マレーシア首相一家と蜜月 大富豪ジョー・ローの謎」)

 というのも、マレーシア当局が、「1MDB」を巡る世界最大級の汚職捜査の一環で、中国が支援する一帯一路関連の大型プロジェクトの資金が、ナジブ前政権が抱えた1MDBの債務返済に流用された疑いが濃いと捜査中だからだ。

 裁判を通じ、中国政府が1MDBの不正疑惑に関与し、資金提供や資金洗浄によりナジブ政権を裏から支え、そのチャイナマネーが発端で巨額の公金不正が実行され、中国がその見返りに国家最大のプロジェクトの一帯一路のプロジェクトを進めていたとすれば・・・。

 こうした実態が暴かれれば、中国政府の違法行為は国際的に裁かれるだけでなく、習政権の生命線でもある一帯一路が頓挫する国家的リスクを背負うことになる。

 このため、米司法省やマレーシア政府から起訴は受けている首謀者のロー氏を中国が庇護しているとみられる。

 米国やマレーシアで有罪判決を受けたとしても、事実を知りすぎたロー氏を中国国内で匿っている限り、中国は面子を保てるとともに、違法行為を国際舞台で追及されることがなくなるというわけだ。

 さらに、1月末、マレーシア政府は、昨年8月の訪中で、習国家主席に中止を表明していた一帯一路の東海岸鉄道計画(ECRL)の正式な廃止を決めたとされる。

参考記事:

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53132「一帯一路のマレーシア東海岸鉄道計画 中止か」

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53515「マレーシア東海岸鉄道中止 広がる反一帯一路」)

 習国家主席肝いりの一帯一路の目玉プロジェクトであるECRLは、総工費550億リンギをかけ、南シナ海側のタイ国境近くからマラッカ海峡まで、マレー半島を東西横断する、すなわち「南シナ海とマラッカ海峡を結ぶ鉄道」だ。

 クアラルンプール近郊と東西の重要港を結ぶ総距離約700キロになる一大プロジェクトで、2024年7月の完成を目指していた。

 しかし、マレーシアの与党関係者によると「工事は約20%ほどでとん挫している状態だ」という。

 しかし、中国は、自国の輸入原油の80%が通過するマラッカ海峡の安全保障を、米国が管理するという「マラッカ・ジレンマ」を抱えている。

 南シナ海のシーレーンが脅かされた場合のバックアップとして、マレーシアとの協力関係を築き、マラッカ海峡のルートを確保したい考えだ。

 ECRLは、(米海軍の環太平洋の拠点がある)シンガポールを封鎖された場合、中東、アフリカ地域からマレー半島東海岸側に抜ける戦略的な鉄道網で、地政学的に極めて重要拠点となるマレーシアを取り込む中国の「一帯一路」の生命線である。

 しかし、マハティール首相は筆者との単独インタビューでも「ECRLは、マレーシアにとって国益にならない。凍結するのが望ましい」と発言している。

(参考記事: http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53065「マハティールの野党勝利 61年ぶりマレーシア政権交代」)

 一方、1月末の計画廃止の発表後、「中国政府は、融資の利子や工事費などを半額にするなど、計画の廃止を再考させるようあの手この手でマレーシア政府と交渉している」(マレーシア政府関係者)とされる。

 このこと自体、中国の劣勢状況を反映しているといえる。

 また先月には、米メディアなどが、中国がこの件に深く関与していたとされる2016年の会議の議事録を暴露している。

 それによると、中国が1MDB関連の巨額流用汚職疑惑の渦中にあったナジブ政権に対し、一帯一路への協力と引き換えに1MDBの救済を申し出たとされる。

 さらに、不正事件の捜査を中止させるよう、中国政府が米国政府に対して影響力を行使できると提案していたことも明らかにした。

 これに対しナジブ氏は、数カ月以内に中国の銀行がその資金を融資し中国人労働者が建設作業に従事することを条件に、中国国有企業との約350億ドルの鉄道・パイプライン建設契約に署名したという。

 そのプロジェクトには、マハティール政権が廃止を先月いったん決定したとされる「東海岸鉄道計画」や、ボルネオ島・サバ州に建設予定のパイプライン事業が含まれていたという。

 また、同会議では中国の軍艦をマレーシアの2つの港に停泊させるための極秘協議もされたと議事録に記されているという。

 中国が一帯一路を通じ、過剰債務に陥っている新興国や発展途上諸国への影響力や支配を強め、融資の罠をはびこらせ、軍事的目的を果たそうとする思惑が浮き彫りになった。

 折しも、マレーシアと中国の国交樹立は、今から45年前の5月31日。

 ナジブ首相の父親、ラザク首相(マレーシア第2代首相)と周恩来首相(当時)の間で、同じく中国の人民大会堂で調印されたものだ。

 実は、ASEAN(東南アジア諸国連合)と中国との国交樹立は、マレーシアが先陣を切る形で始まり、その後、各国が続く形となった。

 しかし、マレーシアのマハティール首相が中国へ反旗を翻したいま、ほかのアジア諸国も追随する勢いを見せている。

 中国は“新植民地時代”を友好国ラブソングに期待を込めたのかもしれないが、あまりに前途は多難である。

(取材・文・撮影 末永 恵)

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55458

http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/429.html

[社会問題10] 地域社会を再生させるための2つの劇薬 「余裕」と「利害」が隣人への関心を呼び戻す 
地域社会を再生させるための2つの劇薬
「余裕」と「利害」が隣人への関心を呼び戻す
2019.2.13(水) 篠原 信
地域のつながりの崩壊は、何をもたらすのだろうか。
(篠原 信:農業研究者)

 地域社会が、崩壊の極に達しようとしている。最後に残っていた地域社会の「残滓」まで、崩壊しようとしている。残滓とは、自治会、PTA、子ども会。

 報道では、自治会の負担に耐えかねて脱会を申し出ると、ゴミの集積所にゴミを捨てるのを許されなくなったなど、村八分にされたという話。同じことがPTAや子ども会でも起きており、役員の負担に耐えかねて脱会すると、子どもが通学班に入れてもらえないという仲間外れの扱いを受けたという。

 私は、どちらの側にも同情せずにいられない。自治会やPTA、子ども会を機能させるには、どうしても持ち回りで役員を引き受けざるを得ない。もしそうした組織がなくなると・・・ということは、後述したいが、地域が機能不全になり、結局、地域全体が損をすることになる。

 他方、自治会やPTA、子ども会の役員は負担が多すぎてとても引き受けられない、という悲鳴も、決して身勝手だとは言えない。本当に無理なのだ。仕事で忙しく、とても役員を引き受ける余裕がない。誰かもう少し、余裕のある人にお願いできないだろうか・・・そう思うのは、自然なことだ。

 では、地域に余裕のある人がいるかというと・・・いない。誰もが、余裕のないギリギリの中で、自治会、PTA、子ども会といった、地域社会に最後に残された「残滓」を必死になって維持してきた。だが、特に都会では、その維持が大変難しくなってきている。

精神的に追い詰められる母親
 どうしたわけか、まだ調査もされていないようだが、現在の母親たちが次の強い不安を持っていることを、みなさんはご存知だろうか。

「あんまり子どもが泣き続けると、虐待じゃないかと疑われ、児童相談所に通報され、子どもが連れて行かれるのでは」

 赤ちゃんや幼いお子さんを抱えている母親に、尋ねてみられるとよい。ほとんどがそうした不安を覚えたことがあり、「早く泣き止ませなくちゃ!」と必死になる。それが、母親たちから精神的な余裕を奪ってしまう。「泣き止ませなきゃ!」という強迫観念があるから、泣くとすぐに家事の手を止めてあやす。すると家事がどんどん溜まり、それをこなせない自分に自己嫌悪し、それがさらに精神的余裕を奪い・・・という悪循環を招く母親が多い。

 児童虐待の通報件数が増加の一途をたどっている。2017(平成29)年には、13万3778件(速報値)に至っている*1。しかしこの報道、単純に受けとめる気に、私はなれない。

*1:https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/000348313.pdf

 幼稚園や保育園から聞こえる子どもの声がやかましい、と、ご近所からクレームが来る、という報道をよく聞く。待機児童の問題を解決しようと、保育園を新設しようとしたら、子どもの声を「騒音」と捉え、建設反対をする地域の話も報道されている。

 いまの母親たちは、そうした報道を耳にし、子どもの泣き声に対して社会が非常に厳しいと感じている。そんな世の中で、少しでも子どもが長く泣いたり、頻繁に泣いたとしたら。すぐに虐待だと通報されるかも。母親たちは、そんな不安を抱えている。

 ここで、私は奇妙な感覚になる。虐待じゃないか、と児童相談所に通報している人の「絵」を思い浮かべてみよう。

 お隣の赤ちゃんの泣き声は、壁を隔てていても数メートルの距離。かたや、児童相談所は、数キロメートル先。すぐそばなのに、すぐ隣なのに、何キロも離れた人間を呼びつける、この奇妙な構図。なんだか、おかしい気はしないだろうか。

「ヒモのれん」化した日本
 私は、現代の日本社会が、「ヒモのれん」のように見える。ヒモがたくさん上からぶら下がった、あのヒモのれん。ヒモとヒモとはすぐ隣り合っているのに、横のつながりがまったくない。つながりを求めたら、上へ上へとたどらなければならない。隣とのつながりは、ひどく遠い。

「隣は何をする人ぞ」と言われるが、都会では、隣人はとてつもなく遠い存在だ。ほとんどの場合、隣の人は別の会社に勤めている。横の利害関係がまったくない。自分と利害関係があるのは、電車で何駅も離れた会社。会社は国に税金を納め、隣人もどこかの会社に勤めて、国に税金を納めているだろう。「国」という、実に抽象的な存在のところでだけ、かろうじてつながっている。隣人との利害関係は、ほぼないに等しい。

 血縁の近さを表現するのに、「親等」という単位がある。親なら1親等、兄弟姉妹なら2親等。経済的なつながりの単位を「金等」と呼ぶことにしたら、隣の人とは、いったい何金等になるのだろう? むしろ、児童相談所に勤める公務員の方が、税金で雇われている分、「金等」は近い。

 現代の日本社会では、わずか数メートルしか離れていない隣の家の扉を叩くより、数キロ離れたところにある児童相談所の方が近しい存在なのだ。児童相談所に勤める公務員の方が、隣人よりも「利害」という点で、近しく感じる。「税金」でつながっているから。しかし隣人は、何の利害でもつながっていない。

 そう、地域から「利害」が失われている。何の利害関係もない人間同士がたまたま同じ地域に住んでいるだけのこと。自治会やPTA、子ども会の役員を務めると、働く人間にとっては負担が非常に大きいのに、大した利益が感じられるわけでもない。狭い地域に大勢がひしめく中で、たまたま自分に順番が回ってしまった不運を嘆くか、役員を断るために思い切って脱会を申し出るしかない、というところに追い詰められている。

自営業と「利害」の減少
 地域社会が元気であった時代を考えてみよう。なぜ自治会やPTA、子ども会がしっかり機能できていたのだろうか? 私は、自営業が多かったからではないか、と推測している。

 昔はもっと小店舗の小売店が多かった。本屋さん、パン屋さん、文房具屋さん、散髪屋さん、うどん屋さん、酒屋さん、八百屋さん、魚屋さん、肉屋さん。地域の人たちに商品やサービスを提供し、地域の人たちと直接的な「利害」を持っていた人たちが多かった。こうした人たちは、自治会などの地域社会を維持する仕事を進んで引き受けたほうが、ひいては地域のお客さんに喜んでもらえると考えることもできた。

 もっと昔、江戸時代くらいになれば、同じ地域に住むことは、同じ「会社」に勤めているのと同じくらい、経済的に密接につながっていた。自分が地域のために働くことは、いずれ自分に跳ね返ってくる。「お互い様」という感覚が持てたのだろう。

 おそらく、こうした感覚は昭和に入っても、色濃く残っていた。同じ地域に住むということは、利害をも共有するということ。だから、地域に貢献することは、めぐりめぐって自分に戻ってくるのだ。

「情けは人のためならず」の本意は、「人に情けをかけたら、めぐりめぐって自分に戻ってくる。だから自分のためだと思って、人に情けをかけなさい」というものだ。今は「情けをかければ甘やかし、その人の自立を妨げるから、情けをかけるべきではない」と解釈する人が多いそうだが、昔は、このことわざの原義どおり、情けを人にかければ、いずれは自分が情けをかけてもらえる、という、利害の循環を実感できたのだろう。

 ところが。現代の日本では、同じ地域に住む人同士に、利害はほとんどない。まったくの赤の他人。まさに「隣は何をする人ぞ」。地域社会が崩壊したのは、地域から「利害」が失われたためだろう。

地域社会崩壊の原因
 地域から利害が失われた原因は、なんだろうか。私は、「24時間営業」が原因のひとつではないか、という仮説を持っている。

 小さな個人商店では、24時間営業はとても実施できない。ある程度規模の大きい店舗を構え、たくさんの従業員を雇うところだけだ。結果、大規模スーパーや大きなファミリーレストランが24時間営業をする中、小さな小売店は成り立たなくなってしまった。

 小さな自営業が成立しなくなると、就職=サラリーマンになった。事実、自営業者は1990(平成2)年に1395万人であったのが、2011(平成23)年には711万人(家族従業者含む)と、半減している*2。地域社会と利害を共有する人が、それだけ減少したことになる。

*2:平成23年度 年次経済財政報告(https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je11/h03_01.html

 地域の繁栄は、自身の繁栄につながる。そんな感覚は、勤め人にはない。利害はあくまで勤める会社にだけ存在するもので、地域が繁栄しようが没落しようが、自分の利害とは直接関係がない。そんな状況で、地域社会は成り立つだろうか。

「地域社会なんて崩壊してかまわない」という考え方もできる。しかし、それはおそらく現実的ではない。経済的コストが見合わなくなっているからだ。

 上述したように、社会全体が赤ん坊の泣き声を「騒音」と捉える時代。赤ちゃんが泣き続ければ虐待と思われ、通報されるのではないかとビクビクしながら子育てする母親たち。そんな精神状態に追い詰められ、余裕を失ってしまったがために、「どうしてそんなに泣き続けるの? どうしたら泣き止んでくれるの?」とノイローゼになり、ネグレクトに近い状態に陥っているケースがあると私は見ている。これは、育児の問題に取り組んでいる専門家も共有している問題意識だ。マンガやエッセイでこうした状況を表現する作品も出てきた。

 地域に「利害」が失われ、「ヒモのれん」社会になっていることを、知人は「アウトソーシング社会」と呼んだ。私は、言いえて妙だと思った。自分自身で取り組むのではなく、児童虐待の問題でも、道路のネコの死体を片付けるのも、「税金」という名の委託費を払って、解決してもらおうと、私たちは考えている。お金で万事片付けようとする、アウトソーシング社会になっている。

 だが、カネで解決するアウトソーシングも限界に来ている。児童相談所は、もうパンク状態だ。国も地方自治体も財政が逼迫する中で、増員することは難しい。私たちにもそんな金銭的余裕はない。アウトソーシング社会、ヒモのれん社会は、究極のところにまできてしまったのではないだろうか。

 地域社会の再生が叫ばれるようになったのは、阪神大震災がきっかけだ。神戸では安否確認がなかなか進まなかったが、震源に近い淡路島では、数日で安否確認が終わってしまった。地域社会がしっかり生きており、どの家に何人の人が住んでいるのかをみなが把握していたし、場合によっては家のどの部屋に寝ているかも知っていたから、安否を速やかに確認できた。

 しかし、神戸では「隣は何をする人ぞ」だったため、果たして隣に何人住んでいるのかもよく分からなかった。安否確認が遅れ、その分、復旧活動も停滞した。その反省から、地域社会の再生が叫ばれるようになった。

 ところが、その掛け声とは裏腹に、冒頭に申し上げたように、地域社会の最後の残滓である自治会、PTA、子ども会まで崩壊しようとしている。地域社会は、もはや瀕死の状態といってよいだろう。

24時間営業の弊害を予見していたスウェーデン
 では、どうしたら地域社会を再生できるだろうか。私は、2つを提案したい。
ひとつ。「24時間営業をやめること」。

 40代以上ならご記憶だと思うが、昔はどこのお店も夜7時か8時になったら閉店したものだ。コンビニもないので、晩御飯を作るには、会社を定時で終えて、急いで帰途につき、スーパー(当時は規模も小さかった)や小売店で買い物を済ませなければならなかった。

 現代は、24時間営業のコンビニや大型スーパーがあるものだから、会社も平気で残業を課す。深夜まで残業に及んでも、開いているスーパーやコンビニがあるものだから、買い物ができないとは言い訳ができない。しかしもし、夜7時、8時とは言わないまでも、夜9時に閉店するようになったら、どうだろう。

 どこの会社も、無理な残業を課すわけにはいかなくなる。残業はほどほどにして、社員が帰途につくのを引き止めるわけにいかなくなる。24時間営業をやめ、夜9時までに閉店すれば、みな、体力に余裕のある時間のうちに、家に帰れるのだ。そうすれば、気持ち的にも、自宅で過ごす時間でも、余裕が生まれる。地域の活動をするだけの余裕が生まれる。

 現代の日本社会は、24時間営業があるために、会社は体力のギリギリまで従業員をこき使うことができる。これが、国民から余裕を奪い、地域社会を崩壊させ、社会コストを増大させている原因になっていると思われる。

 2005年にスウェーデンへ赴いたところ、ストックホルムで唯一の24時間営業のコンビニに案内された。

 ツアーの案内人は、「私たちは24時間コンビニを容認するかどうか、かなり議論を重ねた。確かに便利だけれど、野放図に許したら、私たちは疲弊しきってしまう。いざとなったら頼る場所はあるけれども、それが社会のスタンダードにならないように、ということで、1店舗だけ容認することに決めた」と言っていた。

 その後、どうなったかは知らないが、24時間営業が野放図に広がれば、労働者を疲弊させ、結局は国民が疲れ切ってしまうことを、スウェーデンの人たちは予見していた。

 日本でも、24時間営業を続けていたファミリーレストランが、少子高齢化で人材不足であることもあって、深夜営業を見直し始めている。この動きは、24時間営業を続けているスーパーやコンビニにもいずれ広がるだろう。どうせなら、こうした動きがもっと加速することを願う。

「害」でも「無関心」よりマシ
 もうひとつ。「地域に利害をもたらすこと」。

 あえて分かりやすくするため、極端な思考実験にお付き合いいただきたい。

「もし犯罪が起きたら、その地域で刑務所を用意しなければならない」としたら。牢屋を作るコストは? 犯罪者に食事を提供するコストは? その負担を地域住民で負担したら、いったいどのくらいの負担になる? そんな「利害」が地域に発生したとしたら、そのコストを低減すべく、必死になって自分たちの地域に犯罪が起きないように努めるだろう。

 もちろん、刑務所を地域ごとに作るというのは極論でしかない。実現性も全然ない。ただ、地域の問題を「自分ごと」として捉えるためには、地域に「利害」が発生するのが一番だ。

 たとえば、学校の先生が誰になるかを、地域の人が決められるとしたら。我が子を指導する先生が誰になるかは、親としては必死になるだろう。投票権が地域の人に公平に配られたとしたら、親は必死になって、「あの先生に投票して!」と運動するだろう。そうした利害が、地域の中での横のつながりとなる。ネットワークになるのだ。

 利害が絡めばケンカも起きるかもしれないが、私は、ケンカを必ずしも否定的に捉えていない。こんな研究があるからだ。

 農業用の水路で、最新の設備を導入したところと、昔どおりの水路のままのところとで、比較研究したものだ。最新設備では、水の配分が自動的に行われ、水のことで農家が思い煩う必要がないように設計されていた。他方、旧来の水路のままのところは、水路の底に溜まった泥をかき出したり、両脇の草を刈ったりなど、面倒なことこの上ない。

 そして、10年後。最新型の水路を導入した地域では、水路が機能しなくなってしまった。自動でやってくれるものだから誰も関心を持たなくなり、自分ごとでなくなって、水路がどんどん壊れていっても誰もそれを自分から改善しようとは言い出さなかったからだ。

 他方、旧来の水路を維持し続けた地域では、「あいつの草刈りはいい加減だ」とか、言い合いもあるかもしれないけれど、水路という共通の利害に関心を持ち続けた。自分ごととして関心を持ち続けたから、水路はずっと昔どおりに維持されたのだ。

 日本では、「和をもって尊しとなす」という考え方がある。ケンカを和の対立概念と捉えてしまい、ケンカを排除してきた。だが、ケンカは和のひとつの形態だと捉えるべきではないか。現代の私たちには考えにくいかもしれないが、かつては男の子だと、ケンカがきっかけで友情が芽生えるということはよくあった話だ。

「仲良くケンカしな」というのは、「トムとジェリー」というアニメの主題歌の言葉だが、日本にあるべき「和」は、ケンカも包摂した、大きな概念だと考えるべきだろう。

「家庭菜園」というのがあるが、あれは境界線を引いて個々の縄張りに分かれているという点で、隣との交流は生まれない。それよりは、揉めることも交流のひとつと捉えて「地域菜園」を作るのもよいかもしれない。みんなで種まきし、みんなで草刈りし、みんなで収穫し、みんなで食べる。共同で作業することを前提とした、地域交流を目的とした菜園も、利害を共有する場としてよいのではないか。

 以上、ずいぶん長くなってしまったが、24時間営業をやめて、働く私たち自身に余裕を取り戻すこと、その上で地域に「利害」をあえて設定し、それを共有することで、地域社会の再生を目指すこと。それが、私の考える、地域再生策だ。

 働き方改革は、地域社会を再生することにも密接につながる。どうか、政策立案者は、そのことを念頭に入れていただきたい。母親たちが、笑顔で育児にいそしむ社会を取り戻すには、働き方改革がぜひとも必要なのだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55433
http://www.asyura2.com/18/social10/msg/123.html

[政治・選挙・NHK257] 私の来店を速攻で“通報”した京都の食事処 京都では産経も「容共」的? 
私の来店を速攻で“通報”した京都の食事処
京都では産経も「容共」的?
2019.2.12(火) 筆坂 秀世
京都の先斗町の一角(写真はイメージです)
(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

 1月30日付の産経WESTに面白い記事が掲載されていたことを知った。

「京都五花街の一つ、先斗町(ぽんとちょう、京都市中京区)で、昭和39年から営業を続けてきた食事処(どころ)『山とみ』が31日、のれんを下ろす」という書き出しの記事だ。この店には、京都南座(京都市東山区にある劇場)に出演する俳優らも飲みに来るといい、テレビドラマ「半沢直樹」のロケ地にもなったそうだ。

 この店のおかみはなかなかの有名人だとのことで、同記事には次のようにある。「『山とみに乾杯』『おかみ、今までありがとう』 店じまいを4日後に控えた27日夜、1階カウンターやテーブルの約30席を埋め尽くした常連客らが名残惜しそうに酒を酌み交わした」とある。中には仙台から駆けつけた客もいたようだ。「山とみ」やおかみに対して、惜別の思いが込められた暖かみのある記事だと受け取った。

 私はこの記事を知って、山とみにまつわる、ある出来事を思い出した。

 実はこの店には、共産党の参議院議員時代に何度も行ったことがある。鴨川沿いにあるので川に突き出した有名な納涼床(のうりょうゆか)もある。ここで何人かの京都の共産党員や同僚の共産党参院議員と飲み食いしたこともある。

 鴨川沿いの納涼床は、一見すると涼しそうに見えるが、それは見た目だけで、風がなければすこぶる蒸し暑い。角っこの場所だと間違いなくズボンもシャツも汗まみれになる。私たちはその角っこだった。二度と来たくはないと思ったものだ。

京都・鴨川の川床(納涼床)の様子(出所:Wikipedia)
大歓迎から一転して敵対視
 さて、記事によれば、おかみは今年77歳になるそうだ。私が参議院議員時代には、行けば歓迎してくれたものだ。1人で行ったことはなく、おかみとごく親しい京都の共産党員といつも一緒だった。

 ところがある時期から歓迎するどころか、敵対視されることになってしまったのだ。

 もう10年くらい前のことだったと記憶している。私が読売テレビの「たかじんのそこまで言って委員会」(現在は「そこまで言って委員会」に改称)に出演した際、それを知った京都にいる友人2人から「久しぶりに一緒に飲みませんか」と誘われた。当時は、この番組によく出演していた。

 そこでどこにしようかということになり、山とみにしようということで話がまとまった。私はすでに共産党を離党していたし、2人も元共産党員だった。ただ「山とみ」には、私は京都に行けば行っていたし、2人も共産党員時代によく通っていた。そこで懐かしい山とみで旧交を暖めようとなったのだ。

 そこでこのうちの1人が個室を予約してくれていた。私が行くことは言っていなかったそうである。私が行けば、「びっくりするだろうな」と思いながら、3人で待ち合わせて店に行ったところ、予約していた個室ではなく大座敷に案内されたのだ。私が予約をした人に、「予約してなかったの」と聞くと、「いや個室を予約していました」と言うので、3人ともピンときた。私が離党したことは、「しんぶん赤旗」に記事が掲載されていた。共産党の敵対者である私が来たとでも思ったのだろう。個室の使用を拒否したのである。

 客商売の店で、ここまで露骨に共産党員か、そうでないかで差別されるとは予想もしなかった。「なぜ予約した個室を使わせないのか」、文句を言おうかとも一瞬思ったのだが相手にしても仕方がないので、ほんの少しだけ飲んですぐに場所を変えることにした。これが山とみという店だった。

速攻で共産党に通報
 しかも私と元党員の3人が山とみを訪れたことは、速攻で共産党に通報されていた。聞くところによると、京都府委員長だった市田忠義書記局長にまで報告されていたそうだ。

 気の毒だったのは、私に同行した京都の元共産党員の2人だった。

 実は、2人とも共産党から除名処分を受けていた。だがそのことは、党内でも公表されていなかった。1人は夫人も子供も共産党員だった。もう1人は、夫人が党員だった。2人は共産党の専従職員ではあったが、幹部ということでもなかった。除名理由は知らないが、共産党に敵対するというようなことではなかったのだろう。もしそうなら「しんぶん赤旗」紙上で公表されていたはずである。

 除名にして、専従職員としては解雇したとしても、その後の再就職や生活のこともあるので公表しないことはよくある。また共産党の専従活動家だった人間の再就職は簡単ではないので、共産党とつながりがあるところに再就職することもままあることなのだ。

 ところがこの2人が私と飲んでいたことが山とみの通報で明らかになったため、「3人が共産党に敵対するための謀議を図っている」と見なされ、しんぶん赤旗に除名の事実が公表されてしまった。

 すると、2人とも共産党とつながりのあるところに再就職していたので、どちらも再び解雇されることになってしまったのだ。1人などは、娘も熱心な共産党活動家だったので、「親子の縁を切る」と言われたそうだ。

 しんぶん赤旗には、さすがに私と反共産党の謀議を図っていたという推測は書かれなかった。ただ2人とも京都府委員会から派遣されて衆議院の比例近畿ブロックの事務所で働いていたので、関係する大阪、京都、兵庫、奈良、滋賀、和歌山の共産党幹部には「3人が反党活動の謀議を行っていた。警戒するように」という趣旨の報告が緊急になされたそうである。このことは私と親しいある県の幹部が教えてくれた。

 山とみのおかみは、自分の共産党への通報がこんな影響をもたらしていたことなど知る由もないだろう。

3人が反共産の謀議を行うわけがない
 私と違って、2人とも共産党を除名になっても、なおかつ共産党支持者だった。1人などはポスター貼りやビラ配りを率先して行っていた。現在もそうだ。もう1人も共産党に敵対する行動など、その後も行っていない。

 ただ共産党にとって“不都合な真実”を明らかにしたことはある。だが、共産党にとっては都合が悪くても、反共産党の活動ではない。この2人と私が「共産党に敵対する謀議」を図ることなどあり得ない。

 私は『日本共産党』(新潮新書)、『悩める日本共産党員のための人生相談』、『日本共産党と中韓』(ワニブックスPLUS新書)など、日本共産党をテーマに何冊かの本を出版しているが、事実を書いているだけで、日本共産党に対して虚偽の批判など行ったこともない。『日本共産党』を出版した際、不破哲三氏の私への大々的な批判が「しんぶん赤旗」に掲載されたが、間違いだという指摘は1カ所のみだった。それも論稿の筋立てにはなんの影響もない些末なことだった。

 また、ここでは山とみのおかみが共産党とどういう関わりを持つ人物なのかは、あえて書かないが、仮に我々が反共産党の謀議を図っていたとするなら、山とみなどに顔を出すわけがないのだ。筒抜けになることは百も承知だからだ。我々は、それほど間抜けではない。そもそも共産党に対して、謀議を図ってまでしなければならないことなど、我々には微塵もない。

いかにも器が小さい共産党
 共産党という政党は、こんなことをやっているから駄目なのだ。

 私は共産党のために再び働く気などまったくないが、除名されてもけなげに貢献している人もいる。こういう人を大きく包み込むことができないのが共産党という政党である。だから赤旗新聞は減り続け、党員の高齢化が進み、党員数そのものも減り続けているのだ。これは反共産党的言説ではない。事実である。だがこれを反共と受け取るのが共産党なのである。

 京都は共産党が強い地域である。さすがの産経も「容共」的になるしかないのだろうか。山とみの閉店を伝える記事を読んで、そんなことを考えてしまった。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55452
http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/469.html

[不安と不健康18]  大腸内視鏡検査を受ける「間隔」はどれくらいがいいか 
【第426回】 2019年2月13日 井手ゆきえ :医学ライター
大腸内視鏡検査を受ける「間隔」はどれくらいがいいか

 受けたくない検査の一つに大腸内視鏡検査がある。

 事前の食事制限や下剤の服用のほか、検査時に鎮静剤を使うので、検査後の自動車運転が禁じられるなどわずらわしい。

 さらに、頻度はまれだが検査に伴う“偶発症”として、出血や腸管穿孔(腸に穴が開くこと)、激しい腹痛などのリスクのほか、検査時の投薬による死亡例も報告されている。早期発見のためとはいえ、偶発症リスクに何度も曝されるのは勘弁してほしいものだ。どの程度の間隔で大腸内視鏡検査を受けるべきなのだろう。

 先日、米国の保健維持組織の一つ「KPNC」から、この疑問に答える調査の結果が報告された。

 同調査は、1998〜2015年の利用者のうち、平均的大腸がんリスクを有する50〜75歳の125万1318人(男女比は1対1、平均年齢55.6歳)が対象。大腸内視鏡検査で陰性とされた1万7253人(陰性群)と、非検査群25万9373人とで、大腸がんの発症と関連死を追跡した。

 ちなみに、平均的な大腸がんリスクとは、50歳以上、腸管の良性腫瘍やポリープ、炎症性腸疾患の既往なし、大腸がんの家族歴がない、である。

 追跡1年後、大腸がんの発症率は陰性群で、10万人・年当たり16.6、10年後は同133.2だった。一方、非検査群の追跡1年後の発症率は同62.9、12年以上で同224.8だった。

 米国の診療ガイドラインでは、大腸内視鏡検査の結果が陰性だった場合、検査間隔を10年としている。その10年で区切って解析した結果、陰性群の大腸がん発症リスクは非検査群に対し46%、関連死リスクは88%低下していた。

 つまり、大腸内視鏡検査は死亡リスクを下げるという意味で有用であり、検査結果が陰性だった場合は、少なくとも10年間は非検査群より安心できるわけだ。

 がん化リスクが低い腺腫が1、2個ある、という場合もきちんと切除すれば陰性とほぼ同じ。

 平均的な大腸がんリスクの持ち主の大腸内視鏡検査は、がん化が疑われる病変が見つからない限り、10年に1回で十分である。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)
https://diamond.jp/articles/-/193644
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/699.html

[経世済民131] 豊かな日本人が質素なドイツ人より「幸せ」を実感できない理由
2019年2月13日 熊谷 徹 :ドイツ在住フリージャーナリスト
豊かな日本人が質素なドイツ人より「幸せ」を実感できない理由

日本では消費を娯楽としている人が多いのだろうか(写真はイメージです) Photo:PIXTA
世界的に見ても便利で豊かな生活をしているのに、なぜか国民の幸福度が低い日本。その一方で、日本よりも質素で倹約的な生活をしているドイツは、なぜ日本よりも幸福度が高いのか?ドイツ在住のフリージャーナリストで、新刊『ドイツ人はなぜ、年290万円でも生活が「豊か」なのか』(青春出版社)の著者・熊谷徹氏が、お金をかけないドイツ人の生き方や社会の仕組みから、暮らしをより豊かにするヒントに迫る。

日本人がショッピング好きなのは「○○すぎる」から!?
 新しいスマホ、発売されたばかりのAIスピーカー、最新のタブレット型PC…日本人が買い物にかける執念はものすごい。さらに、日曜日や祝日にはほぼ全ての店が開いているので、繁華街へ出かけてショッピングを楽しむ人が多い。そのため、日本人の間には消費を娯楽としている人も少なくない。なぜ、このように日本では消費を娯楽としている人が多いのだろうか。それは、自由時間が少ないためだと私は考えている。日本人は、会社での仕事が忙しいために、自由に使える時間が少ない。しかし、買い物ならば比較的短時間で行えるからだ。

 一方、ドイツ人のようにいつでも休みを取ることができ、しかも毎年2〜3週間のまとまった休みを確保できることがわかっていれば、心のゆとりが生まれる。したがって、ドイツ人の間にはふだんの娯楽にお金をかける人、消費で心の隙間を満たそうとする人は少ない。ドイツ人には休みを利用して2〜3週間の旅行に出かける人が多いので、ふだんは多額の出費を抑える必要もある。つまり、ドイツ人と比較すると、我々日本人はまとまった休みを取れないこと、労働時間が長いことによって溜まるストレスを、パーッとお金を使うことで発散しているのではないだろうか。

 これに対してドイツ人にとっての娯楽は、日本人とはずいぶん異なる。彼らが余暇で最も重視しているのは都会でのショッピングではなく、海辺や山で自然を満喫すること、そして家族と一緒の時間を楽しむことだ。ドイツの公的健康保険運営組織DAKが2018年に行ったアンケートによると、「休暇の最大の魅力は、太陽の光と自然」と答えた人が最も多かった。

 アルプス山脈の北側に位置するドイツでは、天気が良い日は少なく、晴天が多い時期は5月から9月までと短い。そのため、屋外での活動を楽しめる時期が限られているのだ。ドイツの一年の平均日照時間は約1500時間。南仏マルセイユ(2858時間)やポルトガルのリスボン(2799時間)などに比べるとはるかに短い。このためドイツ人たちは、晴れの日が多い季節にはなるべく外に出て、太陽の光を浴びようとするのだ。

 このように、ドイツ人は、自然の懐に抱かれながら気分転換をすることが生活の中で重要な位置を占めており、お金をかけずに暮らしを楽しむことができるのである。

ドイツ人が“流行のモノ”に飛びつかないワケ
 我々日本人は、新しい物、流行の先端を行く商品が好きである。ドイツに比べると、日本では新製品に関するコマーシャル、電車内の車内広告などが頻繁に行われる。なぜなら、そうしないと消費者に飽きられてしまうからだ。スマホや車だけでなく、菓子、ビールなどの食品、アルコール飲料に至るまで、絶えずモデルチェンジや増量など新しい工夫が付け加えられ、そのことが大きく宣伝される。このような環境の中で、自由時間が少ない不満から生じる心の隙間を消費によって満たしていると、新しい製品が出るたびに物欲を刺激されて衝動買いをしてしまい、自宅が物で溢れてしまうだろう。

 さらに日本では、古い製品を使っているのは何となく恥ずかしいので、まだ使えるのにお払い箱にすることも多い。物で溢れる自宅を片付けるために古い物をどんどん捨てなければならず、ゴミの量も増えてしまうという悪循環なのだ。

 一方、ドイツ人は時間にゆとりがあることもあり、消費意欲が日本人に比べると低い。新しい製品が出ても、すぐには飛びつかない。むしろ、古い物でも大事に使ったり、中古品を買って使うことに慣れている。さらにドイツ人の中には環境保護に関心を持っている人が多いため、ドイツは世界で有数のリサイクル国家となっている。

 ドイツの町を歩くと、しばしば歩道沿いに大きな金属の箱が並べられているのを見かける。ガラス瓶やプラスチックゴミをリサイクルするための回収箱だ。箱は「透明なガラス」「緑色のガラス」「茶色のガラス」「プラスチック」「金属」などと分類されており、市民がワインや食用油の瓶、シャンプーや洗剤のプラスチック容器などを次々に持って来て、箱の中に投げ込んでいるのだ。

 こうしたリサイクルへの取り組みは、過剰な消費を避け、お金に振り回されない生き方にもつながっていく。ドイツがリサイクル大国であるという事実は、国民が物欲という鎖に、そして大量消費・大量破棄という鎖に縛られることなく「豊か」な生活を送れることと表裏一体の関係にあるのだ。

「豊かさ」の第一歩は「求めすぎない」こと
 日本では企業、他人に対する依存心や過度な期待感が、知らず知らずのうちに社会の中で過剰なサービスを増やし、労働者の負担を重くしているのではないだろうか。過度な期待感は、「自分はお金を払うのだから、客として手厚いサービスを受けて当然だ」という甘えでもある。日本で店員さんの丁重なサービスを見ていると、こういう期待感を持つ客を怒らせたくないという恐れが感じられる。もちろん、世界的に見てもトップクラスにある日本のサービスの水準を低くすべきだと言っているわけではない。客に不快な気持ちを与えるような、ドイツの悪いサービスを日本に持ち込む必要もない。ただ、私が提案しているのは、行きすぎと思えるサービスをなくすことだ。

 たとえば、私はパン屋で1個1個のパンを別々にビニール袋に入れてから、さらに大きな袋に入れることは、不必要なサービスだと思う。客の側がサービス期待度を下げることによって、社会の過剰サービスを減らし、より多くの人々が労働時間を減らしたり、現在より多くの有給休暇を取れるようにすることが必要ではないだろうか。

 しかし、日本では「労働組合が弱いために、(ドイツ人のように)1日10時間に制限された労働時間や、年に30日間の有給休暇など導入できるわけがない。市民にはそういった制度を変えられるわけがない」という声をよく耳にする。だが、まず企業や商店が過剰サービスをやめることによって労働者の負担を減らすことは、政治が変わらなくても可能なはずだ。これは民間レベルで行うことができる改革である。

 その意味で、一部の宅配業者が日曜日の配達をやめたり、小刻みな配達時間の指定を変え始めたりしたことは、大いに歓迎すべきだと思っている。消費者は1日くらい配達が遅れたからと言って、目くじらを立てるべきではない。我々消費者は、働く人々の生活の質にも思いを致すべきだ。つまり、我々消費者も企業への依存心や手厚いサービスを求める甘えの意識を変えることが求められている。そのためには、自分でできることは自分でやるという基本的な姿勢が重要だ。

 営業時間についても、日本は顧客の都合優先が当たり前になっている。たとえば日本のデパートや小売店では、閉店時間が過ぎても顧客がゆっくり買い物をしているのを見かけるが、ドイツではあり得ない光景だ。この国では閉店時間になったら、時間ぴったりに客が追い出されるのは常識になっている。デパートの閉店時間直前には入り口に警備員が立ち、シャッターを下ろす準備を始める。小売店でも閉店時間直前に入店する客は、店員からきつい目つきで睨まれる。店員も人間であり、早く家に帰りたいと思っているからだ。

 日本の、“顧客を優先する”慣習も客の都合を大事にする一種の「おもてなし」なのだろうが、従業員にとっては労働時間が長くなるだけである。我々は客として自分の都合ばかり考えていて、従業員の休む権利についてはほとんど考えない。本来、客は決まった営業時間の中で買い物を楽しむべきであり、従業員が休む権利も尊重すべきではないだろうか。

 みんなが自由時間を楽しめる社会をつくるためには、客も従業員に対するいたわりの気持ちを持つ必要がある。みんながちょっとした不便を我慢し、サービスに対する期待値を下げることによって、みんなの負担を軽くするのだ。こうした客側の意識改革は、「働き方改革」の中でも極めて重要なポイントになってくるだろう。

 まずは、日本の社会も、ドイツ人のような「頑張りすぎない、求めすぎない、ほどほどな暮らし」を肯定することが、お金に振り回されず精神的な豊かさを保つ第一歩につながるのではないだろうか。
https://diamond.jp/articles/-/193743
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/130.html

[経世済民131] 1月の韓国失業率は4.4%、9年ぶりの水準に悪化 最低賃金上昇する中、雇用が減少
ワールド2019年2月13日 / 09:29 / 44分前更新
1月の韓国失業率は4.4%、9年ぶりの水準に悪化 最低賃金上昇する中、雇用が減少
Reuters Staff
1 分で読む

[ソウル 13日 ロイター] - 韓国統計庁が発表した1月の失業率(季節調整済み)は4.4%と昨年12月の3.8%から上昇し、9年ぶりの水準に悪化した。最低賃金が上昇する中、製造業セクターや建設セクターで雇用が減少した。

1月の失業率は、経済が世界的な金融危機の影響を受けていた2010年1月に記録した4.7%以来の最悪なパフォーマンスとなった。
https://jp.reuters.com/article/southkorea-economy-unemployment-idJPKCN1Q2013?il=0
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/131.html

[経世済民131] 飢餓に苦しむベネズエラから貴重な物資流出、価格差1000%に密輸横行 米雇用状況はばら色にあらず、大統領が自慢も長期失業
飢餓に苦しむベネズエラから貴重な物資流出、価格差1000%に密輸横行
Oscar Medina、Matthew Bristow
2019年2月13日 3:49 JST
コロンビア側の闇市、ベネズエラの役人らが持ち込んだ食糧で溢れる
無料同然のガソリン、フェリーで持ち込み高速沿いで販売
ベネズエラのマドゥロ政権がコロンビアとの国境沿いにバリケードを急造してから1週間がたつが、人道支援物資を積んだトラックがベネズエラ入国を許可される気配はない。これは食料輸送が止まっているということではない。輸送は続いている。ただし、ベネズエラからコロンビアへと出ている。

  ベネズエラと国境を接するコロンビアの町、プエルトサンタンデールのマーケットでは、ベネズエラ産のトウモロコシ粉や米、チーズスプレッドなどが山積みされている。手厚い補助金で価格を抑えられた消費財を、ベネズエラの政府役人や一般市民がこぞって密輸し、値段を大きくつり上げて売っているためだ。極端な価格のゆがみにつけ込んで金もうけを企む人が押し寄せる中、ガソリンもベネズエラから船で持ち込まれる。

  例えば両国の主食であるトウモロコシ粉は、プエルトサンタンデールでベネズエラ産が1パック当たり約80セントで売られている。これはコロンビアの正規食料品店よりも約30%安いが、補助金を受けるベネズエラでは約7セントだ。コロンビアの高速道路沿いでは、ベネズエラ産ガソリンを売る急ごしらえのガソリンスタンドがおおっぴらに営業している。この販売価格は6ガロン(約23リットル)で10.6ドル(約1170円)だが、ベネズエラでガソリンは無料同然だ。

Fuel Smugglers Operate On Border As Maduro Blocks Aid
オートバイで密輸物資を運ぶ人々(10日、コロンビア・プエルトサンタンデール)写真家:Ivan Valencia / Bloomberg
  飢餓がまん延しつつある国から食料が流出しているという事実は、いかにマドゥロ政権が経済的・人道的な惨事をつくり出したかを端的に示す。この闇取引は数年前から続いているが、世界が緊急支援をベネズエラに届けようとマドゥロ大統領のライバルである野党指導者への支持を表明する中で、その光景はことさら衝撃的に映る。

  ベネズエラを3カ月前に脱出し、コロンビアで露天商として働くリスベス・シスネロスさん(28)は、「(ベネズエラから運ばれた)これらの商品が売られているのを見るのは腹立たしい」と語る。4児の母親で現在妊娠中のシスネロスさんは「向こうの状況は本当にひどい」と話した。

Fuel Smugglers Operate On Border As Maduro Blocks Aid
プエルトサンタンデールの露店写真家:Ivan Valencia / Bloomberg
原題:Pocketing 1,000% Markup, Venezuelans Smuggle Out Precious Food(抜粋)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE
サービスの要項 商標について 個人情報保護方針 c2019 Bloomberg L.P. All Rights Reserved
ブルームバーグについて 採用情報 広告 広告の選択 ヘルプ

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-12/PMTPLA6VDKHS01?srnd=cojp-v2


 

米雇用状況はばら色にあらず、大統領が自慢も長期失業者はなお高水準
Scott Lanman
2019年2月13日 1:36 JST
トランプ米大統領は先週の一般教書演説で労働市場の強さは「かつてない好景気」の証しだと述べるなど、米史上「最高の雇用の数字」だとしてこれまでもツイートなどで再三にわたって自慢している。
  しかし、ある主要指標で見ると、労働市場は活況どころか、正常な状態にすら戻っていない。失業者のうち、52週かそれより長く失業している人の比率は過去12カ月に平均13.2%と、1976−2008年のほぼどの時点よりも高い水準にある。

  同数値は2011年に付けた過去最高の31.4%から低下しているが、1990年代から2000年代のクリントンおよびブッシュ大統領時代に見られた拡大期でのピーク12.8%を上回っている。その上、同拡大局面では一時5.9%に低下した。これは失業者にとって職探しにかかった時間が短かったことを意味する。
  このデータは、世界的な金融危機および大恐慌以降で最も深刻なリセッション(景気後退)から回復する余地が労働市場になおあることを示している。別の観点で見れば、米金融当局に再び利上げを強いる賃金上昇圧力を誘発せずに雇用創出を当面継続できる可能性があるというのは明るい希望だ。
  1年以上失業している米国民は失業者全体の平均失業期間を押し上げていることもこのデータは示している。全体の平均失業期間は1月に20.5週で、2011年に付けた過去最高の40.7週から縮小しているものの、2000年代の拡大期のピークと同水準となっている。

原題:Best U.S. Job Numbers Ever? Not If You’re Out of Work for a Year(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-12/PMTJSFSYF01S01?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/132.html

[経世済民131] 崩壊するヴェネズエラの医療制度、経済危機と政情不安の裏側で 
崩壊するヴェネズエラの医療制度、経済危機と政情不安の裏側で

2019/02/12

BBC News


ヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は全ての国民に無料で医療を提供すると約束した。しかし現実は理想とは程遠く、病院で提供されてるのはベッドと、わずかな医薬品と水だけ。

病院職員と患者の家族によると、医療制度は5年もの間ヴェネズエラ政府から放置され、崩壊してしまったという。

医療制度の危機的状況をBBCのオルラ・ゲリン記者が取材した。

提供元:https://www.bbc.com/japanese/47169223
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15342
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/133.html

[国際25] 後は“野となれ山となれ”アフガン逃げ出すトランプ政権 
後は“野となれ山となれ”アフガン逃げ出すトランプ政権

2019/02/12

佐々木伸 (星槎大学大学院教授)

 米国のアフガニスタンからの逃げ腰に拍車が掛かってきた。トランプ大統領は先の一般教書演説でも駐留米軍の半減に意欲を示したが、その一方で反政府組織タリバンとの和平交渉をがむしゃらに進めている。撤退に向け、後は“野となれ山となれ”といった感があるが、都合が悪くなれば肩入れしてきた政権を見捨てるという米国の習い性があらためて浮き彫りになった。


1月27日、カブールの軍事訓練センターで卒業式に臨んだ若きアフガン国軍兵士たち(REUTERS/AFLO)
撤退のための拙速な和平合意
 9・11(米中枢同時テロ)の報復として、ブッシュ政権が始めたアフガニスタン戦争だが、タリバンとの紛争が泥沼に陥ったまま、すでに18年が経過した。撤退の道筋を付けたのはオバマ前政権だが、トランプ政権になって一気にその動きが加速した。

 トランプ大統領は政権1年目の夏、国防総省や安全保障チームからの強い進言を受けてアフガン新戦略を発表、約4000人を増派し、駐留部隊を1万4000人規模にした。しかし、当選するずっと前からアフガンからの撤退論者だった大統領はアフガン情勢が一向に改善しないことに不満と苛立ちを強めた。

 こうした中、大統領は昨年12月、シリアからの軍撤退の発表に続き、アフガンからの部隊半減を決定した。「何千億ドルも使って部隊を駐留し続ける意味はない」という米第一主義の論理からすれば、当然の帰結だった。トランプ政権は撤退を後押しするために昨年から和平交渉を並行的に進め、先月末、カタールのドーハでタリバンと和平の大枠で合意した。いかにも唐突な合意だった。

 両者の合意は米国が部隊を撤退させるのと交換に、タリバンがテロ組織にアフガンの地を利用させないことを確約するというもの。かつてのタリバン政権がオサマ・ビンラディン率いる国際テロ組織「アルカイダ」を保護し、これが9・11につながった同じ轍を踏まないためだ。だが、拙速に合意に持ち込んだとの印象は免れない。

 トランプ大統領の部隊半減決定の背景には、アフガンにこのまま残留しても戦況好転の見通しはほとんどないという理由が大きい。米政府のアフガン復興担当機関の報告書によると、アフガン政府の支配地域は全土の54%。残りはタリバンの支配地か、両者が競り合っている地域で、政府が国土の約半分しか掌握していないことを示している。

 ガニ大統領によると、同氏の就任した14年以降、アフガン兵士、警察官の死者は4万5000人にも上っている。米兵など国際平和維持部隊の死者は72人。先月も米兵2人が犠牲になったばかりだ。タリバンの勢力が拡大したのは米部隊が地方から都市部へ展開の中心を移したということもあるが、タリバンを壊滅するという米国の当初の目論見はとっくに非現実的なものになっている。

牙を隠すタリバン
 公表30万人を超えるアフガン治安部隊がタリバンに有効に対処できない理由の1つは政府や軍の隅々まではびこる腐敗だ。文書仕事1つするにも賄賂がないと動かない上、名前だけ軍に登録している“幽霊兵士”がかなりの数に上っているからだ。“幽霊兵士”分の給料は上官がポケットに入れており、士気の低下は著しい。

 イスラムでは元々、金持ちが弱者に「喜捨」をすることは義務の1つであり、“バクシーシ社会”といわれる所以でもある。バクシーシとは、心づけといった意味。イスラム世界の潤滑油といわれるが、アフガンではこれが半端ではない。他民族が入り乱れ、各部族や軍閥の長が隠然たる力を持っているため、何段階にもわたってバクシーシが必要になってくる。

 トランプ大統領には、こうした「ドツボにはまった状況」(アナリスト)から一刻も早く抜け出したいという気持ちがことのほか強い。とにかく、タリバンとの和平合意で、形の上だけでも政治的解決に向けた道筋をつけ、後はアフガン政府とタリバンによる当事者同士の直接交渉に丸投げしようとしているのが見え見えだ。

 タリバンは「長期の戦争に嫌気がさし、一刻も早く逃げ出したい」という米国の足元をしっかりと見ている。米国との協議でも「タリバンは過去の過ちを反省しており、軍事的な解決は求めていない」(ハリルザド米交渉代表)と過激な言動を自重して見せている。

 このほどモスクワで行われた「アフガン和平会議」でもタリバンの代表は「単独政権は目指さない」「イスラムの教えにある女性の権利は認める」と述べるなど、過激な思想を封印して融和的な態度を前面に出し、穏健な政治運動という姿の演出に努めた。

 だが、タリバンの穏健な姿勢は米国が撤退するまでの一時しのぎ、という見方が強い。「彼らがイスラム原理主義思想を変えたという話はない。米国が撤退しやすいよう戦術を若干変えただけだ。米国がいなくなれば、すぐに本来の牙をむくだろう」(ベイルート筋)。米国が撤退すれば、平和は到来しないどころか、タリバン支配の暗黒時代が戻る懸念は十分ある。

 7月に大統領選挙を控えるガニ大統領はこのほど、トランプ大統領に書簡を出し、米軍が完全撤退しないよう泣きついた。タリバンが戻れば、ガニ大統領の命さえ危うくなる恐れがあるが、トランプ大統領がこの訴えを聞き入れる可能性はほとんどないだろう。

プーチン氏が主役に
 だが、トランプ大統領が現時点の損得勘定だけを重視している間に、中東、西南アジアではロシアのプーチン大統領の存在が動かしがたいものになっている。シリアでは、米軍撤退後の力の空白をめぐって各勢力の思惑が入り乱れているが、その調整役をプーチン氏が担い、事実上支配地の割り振りさえ主導している。ロシア、トルコ、イランの「シリア和平会議」もその一環だ。

 また例えば、トルコとシリアのクルド人とは戦争の危機にあるが、米国が頼りにならないと見て、双方ともプーチン大統領にすり寄り、調停を持ち掛けているし、アサド・シリア政権とクルド人との接近に一役買い、またシリアを舞台にイスラエルとイランの緊張が高まらないようバッファーの役割も担っている。

 かつて旧ソ連時代にアフガニスタンに侵攻して敗北したロシアにとって、アフガニスタンは依然、戦略的なロシアの裏庭であり、影響力を保持し続けたい重要地域だ。このため、タリバンにはこれまでも、米国を激怒させない程度に資金や武器を援助してきたが、トランプ政権の米軍縮小決定を受けて公然とアフガンへ介入し始めた。

 モスクワで2月5日から開催した「アフガン和平会議」はプーチン氏のそうした野心を示すものであり、「ポスト・アメリカ」の力の空白を埋めようとする動きにほかならない。米国がこのほど、中距離核戦力(INF)全廃条約を破棄するなど、ロシアへの強硬姿勢を示していることも、シリアやアフガンでプーチン氏が主導権を誇示する動機になっている。

 米国には過去、肩入れしていた外国政権を見限ってきた歴史がある。ベトナム戦争では南ベトナム政府を見捨て、その後も、イランのパーレビ国王、フィリピンのマルコス大統領、エジプトのムバラク大統領などと続いた。アフガンの政権がこうした“屍の列”に名を連ねるのも遠い話ではない。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15325
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/430.html

[国際25] Brexit「合意なき離脱」という崖っぷち  世界潮流を読む 岡崎研究所論評集
世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

Brexit「合意なき離脱」という崖っぷち

2019/02/13

岡崎研究所

 メイ首相がEUとの間で昨年11月に合意したEU離脱協定案は、1月15日の英下院における採決で、歴史的大差をもって否決された。これを受け、1月29日に英下院はメイの方針に対する修正案7本について採決が行われた。その結果、メイの案の中で最も不評であった北アイルランド国境の管理に関する規定(バックストップ条項)を変更する動議が可決され、メイ首相は離脱協定案をEUと再交渉することになった。バックストップ条項というのは、北アイルランドとアイルランドとの間の国境が「ハード」なものとなるリスクを避けるため、2020年末までの移行期間中に英EU間で包括的な通商協定等の対策がまとまらなかった場合、英国全体がEUの関税同盟に残るというものである。


(Meilun/Merfin/Dualororua/iStock)
 1月29日の採決で可決されたのは7本中2本であるが、そのうち一本が保守党のグレアム・ブレイディーの提案によるもので、その趣旨は、「バックストップ条項」を「別の取り極め」に置き換えることを求めるものである。賛成317(うち保守党:297、DUP(北アイルランド統一民主党):10)、反対301(うち労働党:239)で可決された。下院での審議と投票に先立ち、メイ首相は「唯一可能な合意」であり再交渉はしないと言っていた離脱協定の再交渉をEUに求め、バックストップ条項の変更を求める方針を閣議で表明した。その上で、メイは保守党にブレイディーの修正案を支持するよう要請した。

 1月31日付けフィナンシャル・タイムズ紙社説‘Theresa May’s pyrrhic victory will not resolve Brexit’は、このメイの動きを「国家の利益でなく保守党の分裂回避という党の利益を優先したものだ」と断じている。しかし、恐らく、それだけではないであろう。メイにしてみれば、自らに課した諸々のレッドラインのために従来の路線の延長上でしか打開策を考え得ず、無理を承知で再交渉に打って出たのだと思われる。他方、European Research Groupの強硬派を含む党内の離脱派は、離脱期限延期の動きが強まり、場合によっては再度の国民投票でBrexitがご破算になるという悪夢を心配せねばならない状況にあった。そこへ彼等が嫌悪するバックストップ条項の変更を求める修正案が出されたのだから拒否する理由はなく、渡りに船とこれに乗った。つまり、両者の思惑が一致して保守党一致の支持で(造反は8名)ブレイディーの修正案が成立することになったのであろう。

 この修正案の成立を受けて、メイは下院の多数を確保するための道筋が明らかになったとし、バックストップ条項の懸念に対処するための「離脱協定に対する法的拘束力のある変更」を獲得すべく務めると述べた。しかし、EUはそのような変更には気乗り薄で交渉は容易ではなかろう、とも述べた。

 EU側は、1月30日、ユンケル委員長とバルニエ首席交渉官が欧州議会でステートメントを行ったが、両名は「離脱協定を再交渉することはない」と明言した。アイルランドを支援するEUの結束が揺らぐ気配はない。そもそもバックストップ条項を置き換える「別の取り極め」が直ちに見つかる筈はない。「我々は“別の取り極め”にオープンであり、離脱協定が署名されれば直ちに作業に取り掛かる用意がある。しかし、目下、いずれの側の誰も“別の取り極め”が何であるかを明確にし得ない。それが正にバックストップ条項を必要とする理由である」というバルニエの説明に事情は尽きている。

 1月29日に採決が行われた7本には、2月26日までに離脱協定案を可決できなければBrexitを延期するという趣旨の、労働党のイヴェット・クーパーと保守党のニック・ボールズが提案した修正案が含まれている。この修正案が可決されていれば、政府にリスボン条約第50条(EU離脱に関する規定)に基づく離脱期限の延期を強いることになる筈であった。この案は、労働党から14名の造反が出て賛成298、反対321で否決された。

 メイは、「EUと再交渉の結果をなるべく早く議会に報告する。もし2月13日までに再交渉の結果を得られない場合にはその日に議会に今後の方針を示した上で翌14日に採決を行う」と述べている。

 3月29日の期限を目前に、いよいよ「合意なき離脱(no-deal Brexit)」の可能性が高まっている。この崖っぷちから一歩退くことが出来るか否かは、メイが従来の行き掛りを捨てて自ら方針転換するか、それとも方針転換を議会に委ねるかにかかっている。方針転換の方向として、前出フィナンシャル・タイムズ紙社説は、二つを示唆している。一つは、よりソフトなBrexitである。これはノルウェー型を指しているのであろうが、英国にとって決して好ましいオプションではない。ノルウェー型は、EEA(欧州経済領域)に加盟することで単一市場(農業と漁業を除く)にアクセスできるが、政策決定には関与できない一方でEUに予算を拠出しなければならない、というものである。もう一つは、リスボン条約第50条の離脱期限の延期を要請し(1月29日の議会審議でメイはその可能性を否定しなかった)、その上でリスクはあるが再度の国民投票に進むことを選択することである。方針転換が出来ないのならno-deal Brexitは不可避ということになる。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15296
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/431.html

[経世済民131] 「この街は経済ではなく犯罪で成長する」アメリカ最貧の都市で「相対貧困」が社会を危うくするEU「移民格差」日本はどうする?
「この街は経済ではなく犯罪で成長する」 アメリカ最貧の都市で

2019/02/12

BBC News


アメリカとメキシコの国境沿いにあるテキサス州エスコバルでは、住民の62%が貧困線に満たない収入で暮らす。2016年米国製調査によると、貧困状態にある人が最も多い人口1000人超の都市だ。

犯罪と失業に苦しむエスコバルで取材した。

提供元:https://www.bbc.com/japanese/video-47207853
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15344


 


「相対貧困」が社会を危うくする
ブレグジット後のEU「移民格差」、日本はどうする?
2019.1.18(金) 伊東 乾
自由貿易と保護主義の対立を理論的に解説する。頭ごなしに「アメリカが・・・」などと言うより、条理を尽くして教える方が、どれだけ本物に育つことか。
 前回、欧州でのAIデバイド対策の議論をご紹介したところ、「あおりっぽい」というような読者コメントがあるのを目にしました。

 なかなか典型的に島国のリアクションだと思いました。

 しかし、そんな島国の日本でも、深刻な働き手不足によって海外から労働力を得ようとしている現実があります。

 「賃金が低廉である」という観点、また「社会保障など正社員相当の扱いをしなくてもよい」といった考え方で、安易な<受け入れ>が考えられている可能性がありますが、これは極めて由々しいことだと言わねばなりません。

 かつて日本は、南米などから導入した労働力を、使うだけ使い倒したうえ、追い返すといった仕打ちをしています。

 足を踏んだ方は簡単に忘れるかもしれませんが、踏まれた方は決して忘れることはありません。

 その国の良質な労働力が、かつてはせっかく日本を目指してくれていたのに、もはや見向きもしない、と言ったことに簡単になってしまう。

 ご都合で人材の導入を考えると、必ず因果は巡って自分のもとに帰ってきます。

 こういった「ビジネス倫理」の問題を提起すると、「採算性を考えない大学人の抹香臭いお説教」「ハイハイ・・・」といったリアクションで返されることが、日本では少なくありません。

 日本ではというのは、島国ではと言い直してもいいかと思います。

 というのも、少なくともドイツを見る限り、ビジネス倫理は、企業経営の足を引っ張るお説教ではなく、各企業が国際的に展開するうえでの「武器」として教えられている現実があるからにほかなりません。

 ではどうして「倫理」が「武器」なのか?

ノーを言えない国際ルールをツールに
 例えば、CO2排出量のような、全地球規模に影響の出る「環境倫理」を例に考えて見ましょう。

 2018年の日本は、1年を通して異常な気象ばかりでした。

 単に異常気象というだけでなく、それに伴う天災、また本来の日本の気候から外れたことによる農作物の異常成長や異常収穫、それらに伴う需給バランスの失調、すべては経済的打撃となって、生産農家も流通業者も被害を受けています。

 こんなことがあっていいはずがないと、数年前ならまだ力こぶを入れて語れたように思います。

 しかし、夏の高温が記録を更新、晩秋ないし真冬のシーズンにもシベリアの寒気を圧倒するほどの太平洋からの暖かい空気の流入など、すでに日本は、懐かしい伝統的な四季とは異なる季節環境に変容してしまったのかもしれません。

 何ということでしょう。

 「誰がこんなことにしたんだ!」という怒りがあって当然ですが、残念ながらグローバル・ウオ―ミングは極めて複雑なシステムで(多分不可逆に)変化してしまっています。

 「どこの国のどういう乱開発がいけないんだ!」といった名指しは、なかなかしづらい面があります。

 しかし、そういう中で排出権その他のグローバルルールを作り、全人類の持続的成長のための倫理である、としてルール化することで、モラルやエシックスは新産業を創出する新しいゴールやマイルストーンへと変貌することになります。

 全く同様のことが、移民労働力や紛争地域からの難民などについても言えます。

 移動者の種類によって、あるいはそのいかんにかかわらず、グローバルルールを策定し、その「正義」の元で新規ビジネスの開拓も可能であるというのがポイントになります。

工学部必修で習う「倫理科目」の違い
 長年の親友であり、仕事のパートナーでもあるミュンヘン工科大学のクリストフ・リュトゲ教授は「ビジネス倫理」の専門家です。

 初対面の際にはコンピュータ―に強い経済学者と思ったのですが、彼は紛れもないドイツ観念論の正統なる後継者の哲学者、倫理学者で、ネットワークに関わる問題を考えるうえで、必要なシステムを自分で組むなど、自在に手が動く思想家です。

必修倫理を教えるクリストフ・リュトゲ ミュンヘン工科大学教授。
 先日、彼がミュンヘン工科大学で担当している「必修・倫理」の講義を聴かせてもらいました。

 午前中からの打ち合わせがなかなか終わらないなか、午後は講義があるというので、「じゃ聴かせてよ」ということで大教室に同道しました。

 隅の方で静かにと思っていたのですが。講義の最初に学生たちに紹介されてしまったので、匿名の聴衆となることはできませんでした。

 率直に言って、日本の現状との落差を強く感じました。

 国内で「倫理」として教えられるもの、私自身も教えた経験のあるものは、大半が実は「研究倫理」や「ネットワークエチケット」で、もっとはっきり言うと「べからず集」が大半なのです。

 「あれをしてはいけない」「これはやってはだめ」・・・。

 研究倫理に至っては、およそ効果が疑われる「e-learning」やら「ビデオ教材」やらを、職員も教員も修了することが義務づけられており、テスト代わりのアンケートなどもついているのですが、共通一次テストの方がはるかにまともと痛感させられるシロモノであるのが珍しくありません。

 というのも、論理的に整合した筋道が追えず、合理的に納得のいく導出法がない羅列が少なくなく、たかだか丸暗記程度のことしかできないものであるからです。

 そんな日本国内の現状も念頭に、ミュンヘンで工学部生向けに必修で倫理を教える、というとき、いったいどういうことをやるのかと思っていたのですが・・・。

 しょっぱなからショックを受けました。

 「ええと、先週はどこまでやったんだっけ・・・」。などと言いながら、クリストフが開いたのは、「自由貿易対保護主義」の項目で、分かりやすく米中摩擦の例などを引きながら講義が始まったのです。

 なんという月とスッポンであることか。

 彼の講義は「ドナルド・トランプはダメである」とも「米国の保護主義は困りものである」とも一切言いません。

 そうではなく、経済学のモデルを引きながら、自由な体制での貿易がいかに有効かという、純然とポジティヴなことだけを理路整然と語りました。

 1400人ほど入る大教室ですが、ときおり学生が手を挙げます。すると目ざとくそれを見つけて、あらゆる質問に、その場で理路整然と、すべてをきちんと説明する。

 倫理の教育・・・いや、それに限局せず、大学教育とはかくあるべき、というお手本のようなスタイルでした。

 ウエブや新聞で学生が目にするだろう喫緊の話題を、必要ならヒックスでもハイエクでも引きながら透明に説明していく。

 友人の教育の仕事を見るのは初めてでしたが、こういうところで信用できる人間がよく分かると思った次第です。

移民格差とAIデバイド
格差と貧困について講義するリュトゲ教授
 クリストフの必修・倫理の講義は、続いて「貧困」を扱う章に進みました。

 直前の「自由貿易対保護主義」の議論の必然から、国境を接した隣国に「限界貧困」の状況(生存すら危ぶまれるいくつかの状況を定義して論じていました)があるとき、保護主義がいかにグローバルな長期的視野に立って有害か、を理路整然と語っていきます。

 限界的な貧困とは、餓死直前状況や、紛争などの理由によって地域経済が完全に麻痺し、出生率も下がって地域が滅亡する危機にある状況を指します。

 基本的人権など持ち出さずとも、このような状況にある国があれば、国際協調で手を差し伸べるのが人間として当然のことであるし、それは結果的に復興経済のニュービジネスをもたらすことにもなる。

 ドイツ・プロテスタントの倫理と資本主義の精神が21世紀の現況を直視しながら一点の曇りもなく語られていきます。

 先進国では、紛争地域のような「限界貧困」はそこまで著しくない場合が多いですが、「相対貧困」が問題になります。

 自分たちは、他のだれかよりも貧しい・・・という意識。あるいは、どんどん追い詰められているという危機感、焦燥感。

 大陸欧州が、こうした不安感を最も恐怖する背景には、2016年英国国民投票で、まさかと思われていたブレグジットという悪夢が現実になってしまったことによります。

 「移民がやって来る。彼らに仕事を奪われて、現在の生活が危うくなるかもしれない」

 こんな「相対貧困」の不安感だけで、欧州は大変な負の重荷を引きずることになってしまいました。

 さらに、先進国で社会保障からあぶれた難民たちは路上で物乞いの生活を送る中で凍死するなど、限界状況にある人もコンスタントに見られますし、先進地域での「相対貧困」はテロを含む様々な犯罪の温床となってしまいます。

 クリストフはここで、名前だけは世界中に知られたフランスの経済学者、トマ・ピケティのよく知られた式

r>g

 を示しました。

 資本の利回りは経済成長率よりも大きいのです。ために、ごく少数の富める者に財貨が集中し、人口の大半の所得が伸び悩む現実を示します。

 しかもピケティの実証分析は、移民以前、AI以前のデータから得られたものです。

 社会の階層化と能力やリテラシーの断絶があれば、その開きは明らかに、さらに深刻になると懸念しておくべきです。

 こうした状況を、ただ単に手を拱いて眺めるのではなく、万人が合理的に考えて、決してノーが言えない命題をいち早く模索し、それに基づくグローバルルールを策定、もっと言えばそこで格付けのようなキャスティングボ―トを握ることができる可能性もあるでしょう。

 実はAIに関しては、非常に珍しいことですが、日本の「人間中心のAI7原則」が現在時点、世界で最も進み、また充実した内容を誇っています。

 格差の増大、AI化といった状況に加え、日本の場合はさらに「少子高齢化」による防止爆弾群が順次爆発するリスクがありますから、未然にそれらをしなければなりません。

 しかし、新たな状況(例えばAI化)が進むとき、規制がない時点では、必ず一度は市場が草刈り場になるタイミングがあると覚悟しておくべきでしょう。

 ツイッターやフェイスブックなどのSNSが普及した当初、どれだけダダ漏れの個人情報などがあちこちに転用されたことか。

 破局的な失敗があって、初めて規制ができるというケースが大半です。もっと言えば、まだ法の目が掻い潜れると分かった段階で「未来の犯罪」でせっせと利ザヤを抜く商法だって、決して珍しいわけではないでしょう。

 AIデバイドの影響をミニマムにするべく、少なくとも欧州が懸命に努力するのには、このような背景があります。

 では日本は、どのように考え、行動していくべきなのでしょうか?

(つづく)

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55228
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/134.html

[国際25] 英食品業界、ブレグジット「危機」を政府に警告 「壊滅的打撃」対策で忙殺  
英食品業界、ブレグジット「危機」を政府に警告 「壊滅的打撃」対策で忙殺 

2019/02/12

BBC News


ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)を前に、イギリスの食品業界が政府に怒りを示している。30人以上の食品業界トップは11日、マイケル・ゴーヴ環境・食糧・農村地域相に書簡を提出し、政府の方針協議会への参加を取りやめると警告した。合意なしブレグジットの「壊滅的打撃」に備えて対策に忙殺されているためだという。

英スカイニュースが報じたこの書簡で、イギリスの食品業界トップは、欧州連合(EU)と合意のないまま離脱する可能性がますます高まり、今ではそれが最もあり得そうな結末だと指摘している。

イギリスは3月29日にEUを離脱するが、その条件をまとめた離脱協定はイギリス議会の承認を得ていないため、合意なしブレグジットになる懸念が高まっている。

政府は、EUと離脱協定を結んだ上で離脱するのが「最優先事項だ」という姿勢を崩していない。

<関連記事>

合意なしブレグジットなら簡易税関手続き導入へ 英政府が方針発表
オランダのタマネギが腐る? 合意なしブレグジットに農家懸念
合意なしブレグジットで「スーパーから食品が消える」 英小売業界が警告
【解説】 雇用や売上高……ブレグジットがビジネスに与える影響は?
環境・食糧・農村地域省の報道官は、「食料・飲料業界の代表と毎週、会合を開き、全てのシナリオに対する準備を支援している」と説明した。

しかし食品業界は書簡で、業界が「危機寸前」の状況にあると述べている。

この書簡には食品加工業の食品・飲料連合、全英農業者連盟、外食・ホテル・娯楽産業のUKホスピタリティーといった食品関連の業界団体のトップが署名した。業界団体には、スイスの食品大手ネスレ、米製菓大手モンデリーズ傘下のキャドバリーのほか、KPスナックスやバターキストといったイギリスの製菓会社が参加している。

書簡では、「業界団体とその参加企業には現在、ブレグジットに関係のない方針協議会や活動に参加し、適切に対応するための物理的な資源も、組織的な余裕もない」と訴えている。

「政府は職員を追加雇用したが、我々がそうするわけにはいかない」

その上で、EU離脱の不透明感が過ぎ去るまでは、現在行われている、あるいは計画されているさまざまな協議会を「一時停止」するよう政府に求めている。

ここで指摘されている協議会では、砂糖含有量の高い食品の広告を制限する方策や、イギリス全土で行うリサイクル回収戦略、リサイクル素材が30%以下のプラスチック製品に対する課税などが話し合われている。

書簡ではまた、ブレグジットの行程に確実性がないことに、食品業界がいらだっていることがあらためて示されている。

「イギリス全土の食品関連業界とその取引相手は現在、合意なしブレグジットの壊滅的な影響を抑えることに完全に集中している」

「そのために多くの時間と資金、人材、そして努力が費やされている」

イギリスでは1月末にも、英国小売協会(BRC)が政府に対し、合意なしブレグジットが食料安全保障を脅かし、食品価格の上昇と供給不足を招く可能性があると警告する書簡を提出したばかり。

この中でスーパー大手セインズベリーズとアスダ、ファストフードの米マクドナルドなどは、生鮮食品は備蓄できないし、イギリスはその多くをEU加盟国に依存していると指摘した。

(英語記事 Food industry warns Gove on Brexit 'crisis')

提供元:https://www.bbc.com/japanese/47207680
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/432.html

[不安と不健康18] 米TV司会者、「10年間1度も手を洗ってない」 免疫がつくと 
米TV司会者、「10年間1度も手を洗ってない」 免疫がつくと

2019/02/12

BBC News


米フォックスニュースで司会を務めるピート・ヘグセス氏は、過去10年間に1度も手を洗っていないと告白し、「細菌は実在しない」と述べた。10日に放送された番組「フォックス・アンド・フレンズ」内で明かした。

感染力のある微生物は肉眼で確認できないため、この世に存在しないと述べた。

名門ハーヴァード大学とプリンストン大学出身の同氏は、手を洗わないことで「免疫がつく」と付け加えた。

共同司会者のエド・ヘンリー氏とジェディダイア・ビラ氏から、残り物のピザを食べるとからかわれたヘグセス氏は、実はもう長いこと手を洗っていないと打ち明けた。

さらに、「自分の2019年の抱負は、テレビの本番以外で言っていることを本番中にも言うことだ」と続けた。

今回の発言についてソーシャルメディアでは、支持する声と懸念の声が上がっている。

ある男性はツイッターで、「手洗いについて賛同する。もうすぐ70歳になるが、もう何年も風邪にもインフルエンザにもかかっていない。細菌とどう戦うか学ぶには、私たちの体にはある程度、細菌が必要だ。細菌恐怖症の人たちが多すぎる」と、ヘグセス氏に同調するコメントを投稿した。

https://twitter.com/smittymhs/status/1094608597286379521

別の男性は、「ヘグセス氏は、レストランの従業員がわざと手を洗わずに、彼の食事を用意しても平気なのだろうか?」とツイートした。

https://twitter.com/BradMossEsq/status/1094724885904089090

ヘグセス氏はその後、米紙USAトゥデイに対し、この発言は冗談のつもりだったと述べた。

「私たちは、除菌用ジェルのびんをポケットに入れて持ち歩くような社会で暮らしている。そういう人は、1日に1万9000回も除菌している。まるでそれで、命拾いするみたいに」

「私も自分の健康その他には気を遣っているが、いつでも何でも過剰に気にしたりしない」

世間の反応について同氏は、人々が物事をあまりにも「文字通りに深刻に」受け止めてしまうのは実にくだらない、そんなことをしていたら「頭が爆発してしまう」と話した。

米疾病管理予防センター(CDC)は、普段の手洗いは「細菌を除去する一番良い方法のひとつで、病気になったり周囲の人々に細菌を拡散することを防ぐことができる」と話す。

米国立生物工学情報センターが発表した研究結果によると、人間の排泄物の1グラムあたりに1兆個の細菌が含まれているという。これはクリップ1個分とほぼ同じ重さだ。

サルモネラ菌や大腸菌などのバクテリアは、洗っていない手から感染が拡大する可能性がある。

<関連記事>

英大手コーヒー・チェーン3社の氷に腸内細菌 BBC調査
ウイルス感染は朝が危険=英研究
アメリカのどの大手ネットワークよりもフォックスのインタビューに応じてきたドナルド・トランプ米大統領は、自分が極度の潔癖症であることを幾度も認めている。

1997年の自伝「The Art of the Comeback(復活のコツ)」の中でトランプ氏は、「アメリカ社会の呪いの1つは、握手するという単純な行為だ。より成功を収め有名になればなるほど、この恐ろしい慣習がさらに深刻な事態を引き起こす」と書いている。

「私は過剰に手を洗う。徹底的に手を洗った後は気分が良くなる。可能な限り洗うようにしている」

BBC読者のスティーヴM氏は、「こんなこと2度と言わないと思うが、自分もドナルド・トランプに賛成だ」と述べた。

「ハーヴァード大学とプリンストン大学で学ぶと知識を得られるのかもしれないが、分別は身につかないらしい」

一方で、本来備わっている抵抗力が低下するおそれがあるため、衛生を気にし過ぎるのは良くないと指摘する声もある。

しかし、BBC読者のケヴィン・クック氏は「10年間全く手洗いをしないなど、他人の健康について無頓着すぎると思う」と述べた。

(英語記事 Fox host 'hasn't washed hands in 10 years')

提供元:https://www.bbc.com/japanese/47194895
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/700.html

[環境・自然・天文板6] 世界各地で昆虫が減少、害虫は増加傾向に 
世界各地で昆虫が減少、害虫は増加傾向に=研究

2019/02/12

BBC News


マット・マクグラス、環境担当編集委員

世界中に生息する昆虫の40%が「劇的な減少率」で個体数を減らしていることが、最新の調査で明らかになった。

それによると、ハチやアリ、カブトムシなどは、ほ乳類や鳥類、は虫類と比べて8倍の速さで減少している。その一方で、イエバエやゴキブリといった一部の種は数を増やしているという。

昆虫の全般的な減少は、集中的な農業や殺虫剤、気候変動などが理由とされる。

<関連記事>

蜂蜜からミツバチ大量死と関連指摘の農薬を検出
ハエを叩き落とすのは、なぜこんなに難しいのか?
ヒアリの大群が水面に――米テキサス州洪水で多数の目撃情報
昆虫は地球上に棲む生物の大半を占めており、人類を含む動植物に重要な恩恵をもたらしている。

鳥やコウモリ、小型哺乳類には食べ物を与え、世界の穀物の75%の受粉を助け、土を作り、害虫の数を抑制する。

近年の研究では、ハチなど特定の種が、特に先進国で大きく個体数を減らしていることが明らかになっていた。

しかし、「バイオロジカル・コンサヴェーション」に掲載された新研究では、過去13年間に発表された73件の既存の調査結果を網羅し、そこから全般的な見解を導き出した。

それによると、昆虫の減少は世界中ほぼ全ての地域で起きており、向こう数十年で全体の40%が絶滅する恐れがある。

現在、昆虫の3分の1が絶滅危惧種だという。

この研究を主導した豪シドニー大学のフランシスコ・サンチェス=バヨ博士はBBCの取材で、「農業や都市化、森林伐採などで生息地を奪われたことが、昆虫が減少している主な要因だ」と説明した。

「その次に、世界中の農業で使われる肥料や殺虫剤の影響や化学物質による汚染が挙げられる。3つ目は生物学的要因、つまり侵略種や病原菌によるもの。4つ目には、特に熱帯地域で大きな影響を与えている気候変動がある」

研究では、近年発表されたドイツで急激に減っている飛翔性昆虫の動向や、地球温暖化によってプエルトリコの熱帯雨林の昆虫が減っている事例なども取り上げられている。

他の専門家も、今回の研究結果は「非常に残念だ」と話している。

イギリスの昆虫愛護団体「バグライフ」のマット・シャードロウ氏は「これはハチだけの問題でも、あるいは受粉や我々の食糧だけの問題でもない。例えばふんを土に戻してくれるフンコロガシや、川や池で生まれるトンボといった昆虫も減少している」と指摘する。

「地球の生態系が崩壊していること、この悲惨な流れを食い止め逆転させるために世界規模で集中的な努力が必要になっていることが、ますます明らかになった。昆虫の緩慢な絶滅を引き続き座視するなど、合理的ではない」

害虫は増加傾向
研究では、昆虫の減少が食物連鎖の上流に与える影響についても懸念を示している。多くの鳥類やは虫類、魚類にとって昆虫は主な食料であり、昆虫の減少は結果的に、こうした生物の絶滅にもつながる可能性がある。

一方、人間にとって特に大事な昆虫が危険にさらされている中、一部の昆虫は環境の変化に適応し、数を増やすだろうとの指摘もある。

最新の豪研究には関わっていない英サセックス大学のデイヴ・グールソン教授は、「繁殖サイクルの速い害虫は、温暖化や、繁殖速度が遅い外敵の絶滅によって、数を増やすだろう」と話した。

「我々が将来、特定種類の害虫増大に悩まされる一方で、ハチやアブ、チョウといった人間にとって有用な素晴らしい昆虫、動物のふんを処理してくれるフンコロガシといった益虫を全て失ってしまう可能性は十分にある」

グールソン教授によると、強じんで適応力が高く雑食のイエバエやゴキブリといった昆虫が、人工の環境に馴染みやすく、殺虫剤への抵抗力を付けていると述べた。

その上で、今回の研究は危険信号を発しているものの、殺虫剤を使わないこと、有機的な食品を選ぶこと、昆虫にやさしい庭造りをするなど、我々にできる対処法はあるとしている。

また、昆虫の減少に関する研究の99%は欧州と北米のもので、アフリカや南米の資料はほとんどないことから、さらなる調査が必要だという。

究極的には大多数の昆虫が絶滅しても他の種に取って代わられるが、それには長い長い時間がかかるという。

「過去に起きた大絶滅を見てみると、その後には大規模な適応放散(一つの祖先からさまざまな種が生まれること)が発生する。少数の種が新たな環境に適応し、絶滅によって空いた席を埋め、新しい種に進化する」と、グールソン教授は説明する。

「つまり100万年たてば、20世紀と21世紀に絶滅した生物の代わりとなる多様な新生物が生まれていることは間違いない」

「我々の子供の世代には、何の慰めにもならないが」

(英語記事 Insect decline may see 'plague of pests')

提供元:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-47207286
http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/689.html

[国際25] INF廃棄条約破棄、プーチン氏の狙い(The Economist) [FT]ミュンヘン安保会議で米欧同盟に破局の予兆
INF廃棄条約破棄、プーチン氏の狙い(The Economist)
2019/2/13 2:00日本経済新聞 電子版
The Economist
 1987年12月8日、米ホワイトハウスには、鎌と槌(つち)をあしらった赤いソ連の旗が掲げられていた。屋内では、ゴルバチョフ書記長率いるソ連の代表団が「モスクワ郊外の夕べ」を歌い、長年にわたり欧州の安全を脅かしてきた核兵器のうち特定のミサイルを全廃するという歴史的合意に米ソが調印したことを祝していた(編集注、この中距離核戦力=INF=廃棄条約は史上初の核軍縮条約で、射程500〜5500キロの陸上配備型弾道ミサイルと同巡航ミサイルを廃棄、開発・配備しないと決めた)。

 翌日、米国の有力者たちがゴルバチョフ氏の演説を聞くために国務省での昼食会に集まった。その中にはドナルド・トランプという名の厚かましい起業家もいた。

1987年12月8日、レーガン米大統領(右)とソ連のゴルバチョフ書記長は世界初の核軍縮条約であるINF廃棄条約に調印した=ロイター
1987年12月8日、レーガン米大統領(右)とソ連のゴルバチョフ書記長は世界初の核軍縮条約であるINF廃棄条約に調印した=ロイター

 「2度の世界大戦に、消耗させられる冷戦、そしていくつもの小規模な戦争により何百万人もの命が失われてきた。政治のなせる無謀さや傲慢さ、自分たち以外の人々の利益や権利を軽視する代償としては十分すぎるのではないか」とソ連の最高指導者は問いかけた。そして、レーガン大統領の国務長官を務めていたジョージ・シュルツ氏は「あれだけ長く対立してきた米ソが、よくぞここまで来たものだ」と一人つぶやいた。

 しかし、米ソいずれの軍部にも、安全保障関係の幹部たちの間にも、祝賀ムードを共有する雰囲気はなかった。人生のほぼすべてを通して米国と戦ってきたソ連の上層部は、自分たちが裏切られたように感じていた。米国側で冷戦を戦ってきた人々も、ゴルバチョフ氏は米国に優しく接することで、自分たちの国をわなに陥れようとしているのではないかと恐れた。

■条約破棄は米ロ間の不信感の象徴

 以来30年を経た今、こうした好戦派の見方がついに優勢となった。INF廃棄条約は実質的には何年にもわたり効力を失いつつあったが、ついに破棄されるに至ったことは今の米国とロシアの間に広がる不信感を象徴している(編集注、米国が1日にINF廃棄条約を破棄すると表明、追ってロシアも2日、同条約の義務履行を停止すると表明した)。

 「問題は、米国があまりに長い間自分たちが勝者だという態度で接してきたことだ」と話すのは、ロシア連邦軍参謀本部に名を連ねていた元中将のエフゲニー・ブジンスキー氏だ。「プーチンはゴルバチョフとは違う」と同氏は付け加える。

 米政府にとってINF廃棄条約の終焉(しゅうえん)が意味するのは、ようやく現実を認識するに至ったということであり、この条約で禁止されているミサイルをロシアや中国およびその他複数の国が開発するのを阻止できなかったということだ。これに対しロシア政府にとって米国がINF廃棄条約を離脱すると宣言したことは、米国のロシアに対する優越感の表れであり、プーチン氏が米国に抱き続けてきた不信感は正しかったということを証明したことになる。

■プーチン氏には依然、軍事力がすべて

プーチン氏にとってINF廃棄条約はロシアの弱さを示すものでしかなかった=ロイター
プーチン氏にとってINF廃棄条約はロシアの弱さを示すものでしかなかった=ロイター

 「ソ連は、他国の言いなりになるような貧しい弱小国ではない」と87年、ソ連国家保安委員会(KGB)を率いていたウラジーミル・クリュチコフ氏は、米中央情報局(CIA)の幹部に言い放った。同氏に師事してきたプーチン氏は、これを自らの指針とした。

 ロシアの専門家として知られるフィオナ・ヒル氏は、トランプ大統領に2017年、米国家安全保障会議(NSC)のメンバーに指名される前、プーチン氏にとって「世界観は大きくは変わっていない」と書いていた。「確かにソ連共産主義は終わり、ソ連は崩壊した。だが、彼がそれまで務めてきた地位から得た見識から判断すると、ロシアは何も変わっていないし、彼は依然として軍事力こそがすべてを決めるという発想だ」

 プーチン氏からすれば、INF廃棄条約は2国間の友好の証しなどではなく、相対的なロシアの弱さを示すものであり、それだけにこれを是正しようとしてきた。KGB出身のプーチン氏は、ロシア語でいう「ベゾパスノスト(安全)」、直訳すると「脅威のない状態」にこだわっているとヒル氏は指摘する。そのために常に様々な危険と戦っており、その危険というのは、プーチン氏の考えではほぼすべて米国からだけやってくる。

 つまり、米国が侵略行為とみなすロシアのウクライナ問題への対応やシリアへの介入、米大統領選への介入といった行為は、プーチン氏にとっては米国を抑止し、ロシアが自国の勢力範囲内で好きに振る舞う自由を守るための手段だ。

 問題は、冷戦時代の対立が終わった今も、ロシアにとっては米国が脅威であり続けているということを米国の政治家たちがきちんと理解していない点だ、とヒル氏は指摘する。このことが悪循環を生み、INF廃棄条約を徐々に効力のないものにしていった。

 ロシアは長らく同条約の義務履行をごまかしてきた(編集注、米国は14年にロシアが条約に抵触する地上発射型巡航ミサイル「ノバトール9M729」の飛行実験をしたと初めて発表、17年には同ミサイルを配備したと批判してきた)。だが米国が離脱を決断すると、それを不当だと非難し、その決断こそが、冷戦後の安全保障体制を米国が無視している証拠だと主張している。

 西側のほとんどの政治家は、プーチン氏との関係を改善できるとは思っていない。KGB出身の同氏は、直接対立することよりも、隠密の行動や陽動作戦を好む。例えば偽情報を拡散させたり、サイバー犯罪を奨励したり、雇い兵を動員したりするといった秘密工作だ。いずれも、政府とは関係のない人や組織によるものと見せかけている。

 米国のある高官によると、目指すべきはプーチン氏と信頼関係を築くことではなく、対立を制御し、プロ同士としての関係性を築くことだという。トランプ政権は、条約を破棄すれば、安全保障についてもっと本音で対話できることにつながるとの期待があるのかもしれない。だが現時点では、プーチン氏がそれに応じる気配はない。それどころか、ロシア政府は米国の動きを自国に有利になるようプロパガンダに利用している。

■先制攻撃想定する必要がある時代の到来

 ロシアの軍事戦略家らは、米国が欧州に新たなミサイルを配備することを想定し、その対応に備えるべきだと主張している。もし米国がそうした動きを見せるなら、「(バルト海沿岸の)カリーニングラードへの配備のほか、少なくともシアトルまで到達するミサイルを(極東のベーリング海に面する)チュコト自治管区に設置することも検討すべきだ」とブジンスキー氏は言う。さらに、もし東欧に核ミサイルが配備されるような事態になれば、キューバ危機の再発の恐れもあるとも指摘する。

 「その場合、ロシアの高官らが言うように報復攻撃ではなく、我々にとっては先制攻撃を想定しなければならない時が来たということだ」。米ロは、ゴルバチョフ氏とレーガン氏の時代から、実に遠いところまで来てしまったということのようだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41168210S9A210C1TCR000/


 

[FT]ミュンヘン安保会議で米欧同盟に破局の予兆
ヨーロッパ FT
2019/2/13 14:03日本経済新聞 電子版
保存 共有 その他
ミュンヘン安全保障会議はかつて、米欧の結束を確認し、献身を唱え、軍事協力を改めて誓い合う場だった。だが、15〜17日に開催される今年の会議は両者関係の破局か、さらに悪い事態の予兆になると懸念されている。

昨年のこの会議以降、米欧同盟の亀裂は深まった。米国とロシアは冷戦終結の象徴だった中距離核戦力(INF)廃棄条約を破棄し、米政府はイラン核合意から離脱、欧州各国から安定を体現する存在とみられていた…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41202000T10C19A2000000/
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/433.html

[国際25] 米、支援物資提供テコにマドゥロ政権揺さぶる 
米、支援物資提供テコにマドゥロ政権揺さぶる
2019/2/13 14:08日本経済新聞 電子版
 【ククタ(コロンビア北部)=外山尚之】トランプ米政権が、経済危機で混乱する南米の産油国ベネズエラに支援物資の提供を持ちかけ、敵対する同国のマドゥロ大統領を揺さぶり始めた。米が暫定大統領として認めるグアイド国会議長の受け取りを条件として、これを拒むマドゥロ氏の求心力を低下させる狙いだ。

12日、コロンビア北部ククタに逃れ、米国からの支援物資の受け入れを呼びかけるベネズエラ人ら
12日、コロンビア北部ククタに逃れ、米国からの支援物資の受け入れを呼びかけるベネズエラ人ら

 グアイド氏は12日、首都カラカスで数万人の支持者を前に「強奪者(マドゥロ氏)がベネズエラを去り、支援物資が国に入るようになる」と演説した。明確な根拠は不明だが「23日は支援物資がベネズエラに入る日になる」とも述べ、2週間以内にマドゥロ政権が崩壊する可能性を示した。

 対外援助機関の米国際開発局(USAID)はベネズエラと国境を接するコロンビア北部ククタに支援物資として食料品、医薬品、日用生活品などを搬送済み。国境に近い倉庫には物資を詰めた多くの段ボール箱が積まれている。ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は「(物資の搬送は)グアイド暫定大統領の要求に応じた」と説明。物資はマドゥロ政権でなく、グアイド氏を軸とする野党勢力を通じ困窮するベネズエラ市民に支給する考えを示した。

 これにマドゥロ政権は反発する。米国の物資を野党勢力がベネズエラ国内で配布すれば、グアイド氏の存在感が高まると懸念するからだ。マドゥロ政権は大きなコンテナやタンクローリーを並べて国境にかかる橋を封鎖し、コロンビア側から物資搬入の車が入れないようにした。

 マドゥロ氏は「ベネズエラは物乞いでない」と強調する。「わが国に人道危機はなく、(混乱は)米国の経済制裁によるものだ」という主張も繰り返す。ベネズエラの政府系メディアは「米国は発がん性物質を含む食品を送っている」と報じている。

 野党が過半数のベネズエラ国会によると同国の1月のインフレ率は年268万%に達した。大半の物資が不足する。なかでも食料品や医薬品が足りず、そのために命を落とす人々も目立つ。支援物資の受け入れを拒否するマドゥロ氏への反発は次第に強まってきた。

 「支援物資はいらないというマドゥロの発言を受け、警官をやめることを決めた」。12日、ククタで起こった反マドゥロ政権のデモで、警察官のしるしであるスカーフを身につけたレブランド・モヒカさん(28)が泣きながら話すと、周囲から歓声が上がった。「うちの母親はがんを患っているが、痛み止めも手に入らない」。マイコル・サンチェスさん(37)はこう叫び政権を批判した。

 ククタは徒歩で国外に出ると決めたベネズエラ人の多くが訪れる交通の要所だ。米国はここで「マドゥロ氏が権力維持のため支援物資の受け入れを拒否し、国民を飢えさせている」という構図を描き、政権を支える軍人や警官らに離反を促す。

 一方、人道支援を圧力の手段に使うトランプ政権の手法には批判もある。欧州連合(EU)のモゲリーニ外交安全保障上級代表は7日「人道支援を政治化すべきではない」と述べ、米政府とマドゥロ政権の双方をけん制した。カナダのトルドー首相も「援助では信頼できるパートナーと協力する」と述べ、米国とは一線を画す姿勢を見せる。

 米国は今回の支援物資提供とは別に、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などと組み、ククタなどでベネズエラを出た難民向けの炊き出しを支援してきた。だが、ボルトン氏をはじめとする米政権高官はこうした既存の援助についてほとんど口にしない。ククタで難民に食事を提供していたUNHCRの職員は米国による新たな支援物資提供について何も聞かされていないと明かした。さらに「医薬品や日用品は(ベネズエラに搬入するのでなく)この場で必要とする人々に配れたらよいのだが」と話す。

 マドゥロ政権のアレアサ外相は12日、ニューヨークの国連本部で国連のグテレス事務総長と会談し、グアイド氏を含む野党勢力と対話できるよう仲裁を求めた。だが、グアイド氏は対話の可能性を否定している。同氏の後ろ盾であるトランプ氏がベネズエラ情勢を巡り「対話の時は終わった」と指摘している現状にも配慮しているようだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41206370T10C19A2000000/


 
飢餓に苦しむベネズエラから貴重な物資流出、価格差1000%に密輸横行 米雇用状況はばら色にあらず、大統領が自慢も長期失業
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/132.html


崩壊するヴェネズエラの医療制度、経済危機と政情不安の裏側で 
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/133.html
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/434.html

[経世済民131] 米経済、年内にもリセッションに陥る可能性ーロバート・シラー教授 米のベネズエラ制裁、中国国内の原油価格を押し上げ供給懸念
米経済、年内にもリセッションに陥る可能性ーロバート・シラー教授
Carolina Wilson、Sarah Ponczek
2019年2月13日 8:27 JST
「今年ないし来年のリセッション入りの高い確率」見受けられる
長期の株式強気相場、「近いうちに終わりを迎えるとの感覚」
ノーベル経済学賞受賞者で、米エール大学経済学教授のロバート・シラー氏は12日、米経済がリセッション(景気後退)に陥るリスクは現実的なもので、年内にもその可能性があるとの考えを示した。

  米中通商対立を巡る不確実性や企業収益悪化の見通し、世界的な成長鈍化を背景に米経済が不況に見舞われるかどうかは投資家の間で最も活発に議論される話題の1つとなっている。そうした不透明な情勢の下で、過去10年近くにわたる米株価の上昇局面は昨年12月、終了寸前にまで至った。

  シラー教授はフロリダ州ハリウッドで開かれたインサイドETFコンファレンスのパネル討論会で、「今年ないし来年のリセッション入りの高い確率があると見受けられる」と指摘。「人々が心配していることを示す一連の兆候がある。株式市場は最長級の強気相場でもあり、それが近いうちに終わりを迎えるとの感覚がある」と語った。

  ブルームバーグがエコノミストを対象に実施した調査では、今後1年間のリセッション入りの確率は25%とされる。一方、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は12日、ミシシッピ州での講演で、「リセッションの可能性が高まっているとの感触はない」と話した。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i3oaqcgTRurI/v2/pidjEfPlU1QWZop3vfGKsrX.ke8XuWirGYh1PKgEw44kE/576x-1.png
Stocks have gained for the longest period ever without a pullback of 20% or more
原題:Shiller Says Recession Risk Elevated Amid Longest Bull Market(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-12/PMU4WN6TTDS301?srnd=cojp-v2

 

 

米のベネズエラ制裁、中国国内の原油価格を押し上げ−供給懸念で
Bloomberg News
2019年2月13日 15:41 JST
中国石油、ベネズエラ産原油をWTIに5ドル上乗せ販売
米制裁前は中国国内では割引価格で販売されていた
ベネズエラ産原油の米国への輸入を実質的に禁止した米国の制裁は、遠く離れた中国国内で原油価格を押し上げている。

  ブルームバーグが閲覧した提示文書によると、中国国有のペトロチャイナ(中国石油)はベネズエラのメレ−原油をウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物価格にバレル当たり約5ドル上乗せして民間の製油会社などに販売している。このメレ−原油はトランプ米政権がベネズエラの独裁者マドゥロ大統領の追放を図り、先月後半に同国に制裁を発動する前は、中国国内で割引価格で販売されていた。

  米国の制裁措置は、ベネズエラが同国産の重質・高硫黄原油の輸出を維持できるかどうかを巡り臆測を招いている。一方、米国の製油会社は代替物を探しており、世界中の似たような油種の供給逼迫(ひっぱく)招いている。中国ではインフラ需要の急拡大に伴い、アスファルトの製造に適した重質・高硫黄原油の価値が高い。

  ブルームバーグが集計したタンカー運航データによると、中国は今年1月、ベネズエラ産原油輸入を前月比でおよそ倍増させた。このため中国の国有石油会社は、世界市場での重質・高硫黄原油を巡る不透明さのため、販売に当たって値上がりの恩恵を受けている。同データによれば、ベネズエラから中国への昨年の出荷の80%がメレ−原油だった。

  ペトロチャイナは、比較的小規模な民間製油会社を中心とする顧客へのメレ−原油販売について、月ごとの提示価格を独自の手法で設定している。ブルームバーグが閲覧した提示文書によれば、2月はWTI先物価格に対し、バレル当たり5.0272ドルと手数料2.70ドルを上乗せして販売している。トレーダー3人によると、1月の上乗せ価格はバレル当たり3ドルだった。

原題:U.S. Sanctions Spark Surge in Venezuelan Oil Half the World Away(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-13/PMUJE46K50XS01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/140.html

[経世済民131] ユーロ圏鉱工業生産、12月は金融危機以来の大幅減−予想大きく下回る 米国株ロング当然−欧州は中国より不安 米インフレ抑制

ユーロ圏鉱工業生産、12月は金融危機以来の大幅減−予想大きく下回る
Jana Randow
2019年2月13日 20:51 JST
• 前年同月比4.2%減、前月比では市場予想の2倍以上の落ち込み
• 資本財、非耐久消費財がいずれも減少−企業も悲観的に
ユーロ圏の昨年12月の鉱工業生産は市場予想の2倍以上落ち込んだ。域内経済の状態についての懸念がいっそう深まる。
  欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が13日発表した12月の鉱工業生産指数は前月比で0.9%低下し、市場予想の0.4%の2倍以上の落ち込みとなった。資本財と非耐久消費財の生産がいずれも減少した。前年同月比では4.2%低下し、金融危機の余波が残っていた2009年以来の低下幅を記録した。
  企業の見方も悲観的になりつつある。ドイツの機械メーカー、GEAグループは先週、業績予想の下方修正を発表。電線メーカーのレオニは業績が市場予想を下回り、無配に転落した。自動車メーカーのダイムラーは「包括的な」コスト削減プログラムを準備していると明らかにした。

原題:Euro Industry Posts Biggest Annual Slump Since Financial Crisis(抜粋)
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iGG.eFZxGIRA/v2/pidjEfPlU1QWZop3vfGKsrX.ke8XuWirGYh1PKgEw44kE/576x-1.png
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-13/PMV21F6VDKHS01?srnd=cojp-v2


 
米国株のロングは当然の選択−欧州は中国より「不安」

エラリアン
Luke Kawa、Jonathan Ferro
2019年2月13日 14:11 JST
米国の10年国債とドイツ国債とのスプレッドが拡大すると同氏は予測
欧州債について潜在的な危険が高い国々を避けることが賢明だと主張
UBS Sees $121 Billion of EM Flows Amid `Seismic' Index Shifts
Photographer: Michael Nagle/Bloomberg
ドイツの保険・金融サービス会社アリアンツの首席経済顧問を務めるモハメド・エラリアン氏は、米国が他の地域に対して優位になると考えており、ダイバージェンストレードの復活に備えるよう勧めた。

  エラリアン氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、欧州の政治・財政運営のまずさを指摘し、それは「成長見通しがさら弱まる可能性が高い」ことを意味すると語った。

  イタリアの政治的混乱や「黄色いベスト運動」に象徴されるフランスでの抗議行動の激化、ドイツの景気減速を背景に欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は今月に入り、2019年のユーロ圏の実質GDP(国内総生産)成長率予想を昨年11月時点の1.9%から1.3%に下方修正した。その一方で、連邦公開市場委員会(FOMC)の予測では、今年の米国の成長率は18年から鈍化するものの、2.3%と堅調なペースが続く見込みだ。

  そのような見通しを前提として、エラリアン氏は、世界の他の地域の資産に対して米国株をロングにすることは「レラティブトレードの当然の選択」だと述べ、米国の10年国債とドイツ国債との利回り格差(スプレッド)が、現在の255ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)から最大270−280bpに拡大すると予想した。

  欧州債については、投資家が利回りを得ようと問題を抱えるイタリアやギリシャにも無理に手を伸ばしているとした上で、潜在的な危険が高い国々を避けることが賢明だと主張。欧州の方が中国よりも「はるかに」不安との認識を示した。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i.58FCUDSOJA/v2/pidjEfPlU1QWZop3vfGKsrX.ke8XuWirGYh1PKgEw44kE/576x-1.png

モハメド・エラリアン氏

(出典:ブルームバーグ)
El-Erian says U.S. stocks will outperform, UST-bund spread widen
原題:El-Erian Says America First Is the ‘Obvious’ Trade in Stocks(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-13/PMUHG46KLVR401?srnd=cojp-v2


 


米消費者物価:1月もインフレの抑制示す−金融当局の方針裏付け
Jeff Kearns
2019年2月13日 22:35 JST 更新日時 2019年2月14日 0:58 JST
米労働省が発表した1月の消費者物価指数(CPI)では、インフレが引き続き抑制されていることが示された。利上げに関して辛抱強くなるとした米金融当局の方針を裏付ける内容となった。

キーポイント
1月の総合CPIは前月比横ばい(予想0.1%上昇)
前月は横ばいに修正(速報値0.1%低下)
前年比では1.6%上昇(予想1.5%上昇)−2017年6月以来の低い伸び
前月は1.9%上昇
食品とエネルギー除くコア指数は前月比0.2%上昇(予想0.2%上昇)−前月0.2%上昇
コア指数は前年比で2.2%上昇(予想2.1%上昇)−前月2.2%上昇
Running Flat
U.S. core inflation held at 2.2 percent for third straight month, while headline figure fell


Source: Bureau of Labor Statistics

インサイト
CPI統計はインフレ率が金融当局の目標2%付近にとどまっていることを示唆
世界の成長リスクや貿易面での逆風の中、金融当局は利上げ休止を示唆している
労働省が同時に発表した1月のインフレ調整後の実質平均時給は前年比1.7%上昇と、16年半ば以降で最大の伸び−総合CPIの伸び鈍化を反映
詳細
住宅関連費は引き続きCPIの主要な押し上げ要素。帰属家賃と家賃は共に前月比0.3%上昇(前月0.2%上昇)、前年比では共に3%超の上昇
新車は前月比0.2%上昇−同項目の上昇は昨年7月以降で初めて
中古車は0.1%上昇
衣料品は前月比1.1%上昇と1年近くで最大の伸び、エネルギーは3.1%低下と約3年で最大のマイナス−共に総合CPIに大きく影響
衣料品の上昇は靴と女性衣料品の大幅な値上がりを反映
ガソリンは前月比5.5%低下、前年比では10.1%低下
食品は前月比0.2%上昇、前年比1.6%上昇
医療費は前月比0.2%上昇
  統計の詳細は表をご覧ください。

原題:U.S. Inflation Remains Contained Amid Fed Patience on Rates (1)(抜粋)

(統計の詳細を追加し、更新します.)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-13/PMV9ON6S972G01?srnd=cojp-v2
 



http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/141.html

[経世済民131] スウェーデン中銀、利上げを約束ー外為市場への介入を放棄 英国合意なしの離脱迫る 日本投資家によるFX取引、外為市場に重要
スウェーデン中銀、利上げを約束ー外為市場への介入を放棄 
Amanda Billner
2019年2月13日 18:28 JST
• 政策金利のレポ金利をマイナス0.25%で据え置き
• 景気とインフレの見通しが予想通りなら次回利上げは2019年下期
スウェーデン中央銀行は13日、政策金利を据え置くとともに、金利に関するフォワードガイダンスも維持した。外為市場への介入を放棄する方針も示した。
  中銀は政策金利のレポ金利をマイナス0.25%で据え置いた。ブルームバーグの調査に答えたエコノミスト19人全員が予想した通りだった。中銀は昨年12月に7年ぶりの利上げを実施した。次回利上げは「景気とインフレの見通しが予想通りならば2019年下期」とのガイダンスを繰り返した。
  発表を受けてクローナは上昇。市場は利上げ時期先送りの必要性を示唆すると予想していた。中銀は外為市場への介入の権限を中銀に認めた措置を延長しないことも決めた。現地時間午前9時55分現在は対ユーロで約0.5%高。

スウェーデンのレポ金利とインフレ率(%)
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/im5FhTS9OUgs/v2/pidjEfPlU1QWZop3vfGKsrX.ke8XuWirGYh1PKgEw44kE/576x-1.png


https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i5tR9VLZA6oc/v2/pidjEfPlU1QWZop3vfGKsrX.ke8XuWirGYh1PKgEw44kE/576x-1.png
原題:Riksbank Sends Swedish Krona Higher With Rate Hike Commitment
Riksbank Drops FX Intervention Mandate, Commits to Hike Guidance(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-13/PMUWUF6K50Y201?srnd=cojp-v2

英国のEU離脱交渉、危険な土壇場勝負へ−合意なしの離脱迫る
Tim Ross、Ian Wishart
2019年2月13日 22:42 JST
メイ首相、3月下旬のEU首脳会議で譲歩の獲得を狙う
危険な戦術で、合意なしの離脱に至る恐れもと保守党議員
メイ英首相と欧州連合(EU)は、英国のEU離脱で合意ありかなしかを土壇場で決する高リスクのギャンブルへと向かっている。双方の事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

  関係者によると、英国のEU離脱まであと1週間に迫る3月21日のEU首脳会議で、メイ首相はEU側の譲歩を勝ち取る可能性がある。英国がさらなる妥協を求める場合に備えて、それよりずっと早い時期にEUが譲歩案を示す公算は小さいと、匿名を希望した関係者の1人は語った。

  離脱期限の間際にメイ首相が修正離脱案を議会採決にかけることになれば、英議員らは秩序立った離脱か、混乱を呼ぶ恐れのある合意なしの離脱かの二者択一を強いられる。合意なしの場合、ポンドは最大25%下落するとの予測もある。

U.K. Prime Minister May Seeks More Time for Brexit Talks
メイ英首相写真家:Chris J. Ratcliffe / Bloomberg
  メイ政権の閣僚数人は、経済が大打撃を被る恐れから、首相案に反対している向きも支持に回らざるを得ないだろうとみている。だが、このような戦略は危険過ぎ、やめるべきだと話す政府関係者もいる。

  通常は執行部に忠実なキース・シンプソン保守党議員は、メイ首相が危険な瀬戸際戦術をとっていると指摘し、合意なしのEU離脱は受け入れられないと強調。「首相の狙いは自身の離脱案が受け入れられる可能性を高めるため、離脱直前まで時間を稼ぐというものだ。綱渡りのような行為で、極めて危なっかしい。合意なしの離脱に至る恐れもある」と述べた。

原題:Brexit Talks Head for Late Showdown as No-Deal Crisis Looms (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-13/PMV4SY6VDKHU01?srnd=cojp-v2


 

日本の投資家によるFX取引、外為市場にとって重要な理由とは
masaki kondo
2019年2月13日 15:10 JST
• 1月3日の円急伸で日本の投資家によるFX取引への注目高まる
• 超低金利の日本では為替取引に手を染める人が増えている
1月3日の円急伸は日本の投資家による外国為替証拠金取引(FX)への注目を高めた。超低金利の日本では為替取引に手を染める人が増え、こうしたトレーダーの市場への影響力が増している。
  2005年の法改正後に人気が出たFX取引は13年にはスポット取引全体の68%を占めるほどになっていた。その後もシェアが43%を下回ったことはなく、影響力の大きい日本の個人投資家に「ミセス・ワタナベ」のニックネームがついている。
  投機的投資家は近年、取引の薄い時間に円買いを仕掛けて連鎖反応を狙うことがあった。高利回り通貨を買い円を売るポジションを組んでいるトレーダーに損切り注文を出させるのが狙いだ。日本が休場の日のアジア時間早朝が狙い目になる。比較的規模の小さいオーストラリア市場が主戦場になるからだ。南アフリカ・ランドやトルコ・リラのようなアジア市場で取引高が少ない新興国通貨が特に大きく動く。
Love for Yields
Japanese retail investors have held long positions on high-yielding currencies

Sources: Tokyo Financial Exchange, Bloomberg
Note: The ratios are computed based on weekly averages in 2018
個人投資家の取引の特徴
  FX取引を行う日本の投資家の特徴は「高利回り通貨選好」と「押し目買い」。キャリートレードのリターン最大化を狙う個人投資家は主に押し目買いに徹する。ランドなどの高利回り通貨の取引に、この動きが表れている。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iXDrSlq0_vME/v2/576x-1.png

キャリーリターンを狙う取引は何をもたらすか
  キャリートレードのリターンを狙った取引では、「高利回り通貨の買い持ち、円の売り持ち」のポジションが常態化する。これは、リスク回避志向が強まった時に円の上昇を抑える傾向がある。しかしFXトレーダーの損失が膨らむと、急激なポジション解消を引き起こして、桁外れの大きな動きをもたらし得る。
  FX業者は東京時間午前7時ごろ、顧客のポジションを毎日チェックし、損失が一定水準に達していればポジションを清算する。日本が休場でも例外ではなく、マーケットメーカーは注文への対応に苦慮しスプレッドが拡大しかねない。これが、アルゴリズムで設定されている引き金を引くと、一斉売りが起こる。
  こうした連鎖反応が、先月3日の円に対するオーストラリア・ドルとトルコ・リラ急落の背景にあったかもしれない。

取引の状況を把握するには
  金融先物取引業協会はFX業者50余りからの報告に基づいた月次データを公表している。東京金融取引所は、同協会よりサンプルベースは小さいものの週次データを公表する。各FX業者はそれぞれの顧客にデータを提供するが、外為どっとコムのようにデータ情報を公開するところもある。
原題:Japan’s Margin Traders: Why They Matter for Currency Markets(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-13/PMUH5E6K50XS01?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/142.html

[経世済民131] 日本の「鎖国マインド」解くための処方箋 円相場に下方圧力、国際収支のフローを読み解く
コラム2019年2月13日 / 11:23 / 15時間前更新

日本の「鎖国マインド」解くための処方箋
Pete Sweeney
3 分で読む

[東京 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 日本の相撲界は、この国の行く末を暗示しているようだ。日本出身力士として約20年ぶりに横綱に上り詰めた稀勢の里は数週間前、涙ながらに引退を表明した。この間、彼以外の横綱は、大半がモンゴル出身者だった。

角界の多様化は、歴史的に移民に対して懐疑的な社会における、海外からの「流入」現象のほんの一端にすぎない。2019年の現在でも、一部の飲食店やホテルは「日本人専用」と掲げてはばからない。とはいえ、コンビニエンスストアから企業の役員室まで、外国人は日本の人材不足を埋めており、彼らの存在は確かに感じることができるものだ。

しかし低迷する経済成長を活性化しようとする日本政府にとって重要なのは、移民を増やすことよりも、彼らと共に働けるよう日本人を「教育」することだろう。

日本の人口における外国人の比率は現在わずか2%程度にすぎないが、今後上昇することは確実だ。高齢化する日本の人口は2010年以降、100万人超減少しており、移民労働者はその経済的影響を和らげる不可欠な要素となっている。

賃金が上昇し人手が不足する中、日本の市民ではない人たちは日本経済を走らせる上で必要不可欠である。労働参加率が劇的に上昇しない限り、日本の労働力は2015─30年に12%減少すると、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のアナリストは試算する。

安倍晋三首相は、自身の政策が「移民」受け入れを促進しているというイメージを避けたいようだ。新たな移民はいずれオートメーション化される単純作業を埋める一時しのぎの労働力にすぎないと考える人もいる。

それが何を意味するかはさておき、日本は労働力を輸入しており、それは単純作業でも短期間でもない。昨年末に可決された改正出入国管理法(入管法)により、向こう5年で約34万人の移民受け入れが見込まれている。

西洋のような多文化主義に懐疑的ではあるものの、日本経済は海外投資に深く依存している。国内成長は長年伸び悩み、日本企業は相次いで海外企業を買収するようになった。国内総生産(GDP)に占める割合から見た日本のM&A投資額は、中国の2倍だとコンサルタント会社ベイン・アンド・カンパニーは指摘している。

また、TOPIX(東証株価指数)構成銘柄による売上高全体の3分の2近くは海外から来ていると、ウィズダムツリー・ジャパン株式会社のイェスパー・コール最高経営責任者(CEO)は推定する。モルガン・スタンレーによると、中国上場企業の場合はわずか12%にすぎない。

その結果、日本の大企業の多くは海外から幹部を起用するようになった。中でも有名なのは日産自動車(7201.T)のカルロス・ゴーン前会長と武田薬品工業(4502.T)のクリストフ・ウェバー社長だろう。

武田薬は約6.2兆円でアイルランド製薬大手シャイアーを買収してから、日本の企業らしさが薄れつつある。また報道によると、ジャパンディスプレイ(6740.T)が、中国の国有ファンドらと資本提携交渉に入っている。シャープ(6753.T)は台湾フォックスコン・テクノロジー・グループ(鴻海=ホンハイ=集団)による経営支援を受け入れた。

海外の資本家も日本企業の行動を変えようとしている。

米投資会社バリューアクト・キャピタル・マネジメントはオリンパス(7733.T)に取締役を送り込んだ。米プライベートエクイティ(PE)大手KKRと米投資会社ブラックストーンは日本の複合企業の不採算部門を買収して分離独立させ、立て直して収益を上げたい考えだ。また、年功序列よりも業績ベースの報酬制度を導入することを検討している。日出づる国にとっては大きな文化的変革である。

海外からの圧力は、不快な改革を行う好都合な口実を提供してくれる。「ガイアツ(外圧)」は痛みを伴う。ゴーン前日産会長は、外資のような高額な報酬パッケージを受けていたが、現在はそれが問題視されて逮捕され、東京拘置所にいる。

外国人とその資金が日本に流入するにつれ、文化の衝突も激しさを増す。

他のアジアから地理的に離れている島国であることも一因として挙げられる日本の隔離性は、コミュニケーション問題をもたらしている。東京以外では、一般的に外国語を話す日本人を見つけるのに苦労する。これは中国との大きな違いだ。中国では、中間層は英語を学習したがり、英語名をつけることに熱心だ。

ほかにも見えない文化のバリアがある。日本にいる「外人」の多くは民族的には日本人だが、海外で生まれたことを理由に外国人でいることを余儀なくされている。

そのような曖昧さは悪しき政策に支えられている。日本は2重国籍を許していない。その結果、日本人とハイチ人の両親をもち、米国籍も保持するテニスの全米オープン女子覇者の大坂なおみ選手は日本国籍を失う可能性がある。

こうした政策は、海外に居住する日本人130万人が帰国して働くことを阻んでいる。さらに悪いことには、海外に順応した彼らの子どもたちの帰国する意思をそぐことにもなりかねない。海外に暮らすこれらの日本人は、流入し続ける「アウトサイダー」を日本が受け入れる上で、重要な役割を担うだろう。

より優れた移民政策のモデルは数多くある。2重国籍を法律で禁じている中国でさえ、優秀な人材を海外から呼び戻すプログラムに取り組んでいる。日本が倣うことができる政策だ。

「ガイアツ」も結構だが、真の変革は自発的であるべきだ。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-jp-idJPKCN1Q205B


 
為替フォーラム2019年2月13日 / 11:53 / 14時間前更新

円相場に下方圧力、国際収支のフローを読み解く

佐々木融 JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長
4 分で読む

[東京 13日] - 日本の財務省が8日発表した2018年の国際収支は、貿易黒字の減少を第1次所得収支の黒字額増加が補い、高水準の経常黒字を維持する、ここ数年おなじみの構図となった。

対外直接投資も引き続き活発で、対外流出額から対内流入額を差し引いた投資超過額は、2012年末のアベノミクス開始以降に記録した年平均超過額と同水準を維持した。ここではその中身を精査した上で、国際収支に絡む円買い・円売りのフローが相場に与える影響を考えたい。

<構造転換した経常収支>

まず経常収支を見ると、貿易収支の黒字幅が2017年の5兆円から1兆2000億円に大きく減少した。輸出は前年比5.1%増の81兆2000億円と過去最高を記録したものの、輸入が同10.6%増の80兆円と2014年以来の80兆円台に膨らんだ。輸入の増加は原油価格上昇の影響が大きい。通関統計によると、原油・粗油は同24.5%増、液化天然ガス(LNG)は同20.8%増、それぞれ輸入が増えた。

一方、サービス収支は赤字額が2017年の7275億円から8986億円に増加した。わずか1兆2000億円の貿易黒字をほぼ帳消しにした格好だ。2012年に3兆8000億円だったサービス収支の赤字はアベノミクス下で毎年減少し続けてきたが、2018年はわずかながら拡大した。

このうち、旅行収支は訪日外国人の増加で2兆3000億円の黒字。前年から5330億円増え、初の2兆円台に乗せた。しかし、輸送収支やその他業務サービス収支の赤字幅が拡大した。その他業務サービスの赤字約3兆円のうち、項目別では研究開発サービスが、地域別では対米赤字がいずれも約半分を占めた。

貿易黒字が大幅に減少したのに対し、日本企業が海外から受け取る投資収益や配当金に当たる第1次所得収支は、3年ぶりに20兆円台を回復した。2017年から1兆円増え、20兆8000億円となった。

対外直接投資が高水準で推移しているここ数年の流れを反映し、直接投資収益が10兆円と、前年比12.9%伸びた。10兆円台に乗せるのは初めてだ。一方、証券投資収益は9兆9000億円と前年比4.0%減少し、6年振りに10兆円を割り込んだ。主因は前年比29.2%も減少した配当金で、2016年以降は毎年比2ケタの減少率が続いている。

では、経常収支の黒字は円相場にどのような影響を与えるのだろうか。

貿易収支の黒字はサービス収支の赤字でほぼ相殺されている。第1次所得収支は直接投資収益のうち、配当金・配分済支店収益の4兆6000兆円が円に転換される可能性が高い。一方、再投資収益の5兆3000億円は現地の工場建設などに使われ、円転されないと考えられる。

また、仮に証券投資収益9兆9000億円のおよそ半分が再投資され、円転されないとすると、第1次所得収支の黒字20兆8000億円のうち、円買いにつながるのは半分程度。およそ10兆円が円に上昇圧力を与えると推測できる。

<活発な対外投資>

次に2018年の資本収支を見ると、対外直接投資から対内直接投資を差し引いた対外直接投資超過額は14兆9000億円と、前年から1兆9000億円減少した。しかし、対外直接投資・実行だけを見ると前年比16.2%増の64兆3000億円で、日本企業による対外投資は引き続き盛んな様子がうかがえる。

興味深いのは、米国向けの直接投資超過額が2兆4000億円と、前年の5兆5000億円から半減したことだ。保護主義を強めるトランプ米政権の姿勢が影響したのか、国別データがある2014年以降、米国向けが5兆円台を下回るのは初めてのことだ。一方、増加が顕著だったのはケイマン諸島向けで、前年から1兆8000億円増えた。

証券投資は対外株式・ファンド持分投資が9兆8000億円の買い越しとなり、2017年から1兆4000億円減少した。年金(信託勘定)や投資信託以外に、投資主体として銀行と生命保険が目立ち、2018年はそれぞれ約2兆円ずつ買い越した。買い越し分9兆8000億円のうち、外貨建ては6兆1000億円と前年の倍以上に増加した。

また、ほとんどが為替ヘッジをしていると考えられる銀行を除き、日本の投資家による外国の中長期債投資は13兆2000億円の買い越しとなり、2017年から4兆5000億円も増加した。年金と個人による外債投資の増加が目立つ。全体の買い越し分のうち、外貨建ては10兆2000億円で、前年の9兆9000億円とほぼ同水準だった。

<しばらく続く下方圧力>

ここで資本収支のフローが円相場に与える影響を見ると、対外直接投資14兆9000億円に絡む円売りは、全体の半分程度の7兆円と考えられる。対外株式・ファンド持分投資と対外債券投資に絡む円売りをそれぞれ6兆円、10兆円とすると、合計23兆円の円売りと推計される。

一方、経常収支の影響はすでに見たように、貿易黒字とサービス収支の赤字はおおむね相殺。また、第1次所得収支に関係した円買いは10兆円程度と推計できる。

結果として、2018年は国際収支に絡んだ13兆円程度の円売りフローが相場に下押し圧力をかけたと考えられる。

日本の国際収支は高い水準の経常黒字を維持しているものの、その中身は貿易黒字の縮小を第1次所得収支の黒字増加で補う構造に転換した。第1次所得収支は現地で再投資されることが多く、貿易黒字に比べて円に転換されにくい。さらに企業の対外直接投資、投資家の対外証券投資は活発な状態が続いている。

日本の国際収支に絡む円売り・円買いのフローは、今後もしばらく円相場に下方圧力をかけ続けるものと考えられる。

(本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

佐々木融氏(写真は筆者提供)
*佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の市場調査本部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に「インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?」「弱い日本の強い円」など。

(編集:久保信博)
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-balance-tohru-sasaki-idJPKCN1Q2060
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/143.html

[経世済民131] 中国の5G覇権、米国の切り崩しで「大損」の可能性 トランプAI推進戦略に足りない知能 Tモバイルと合併、米中対立が後押し
コラム2019年2月13日 / 15:29 / 10時間前更新

中国の5G覇権、米国の切り崩しで「大損」の可能性
Christopher Beddor
2 分で読む

[香港 12日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国政府は次世代高速通信規格「5G」の覇権争いに勝つため膨大な資金をつぎ込み、国内企業を支援している。しかし米国は中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]の製品を購入しないよう欧州諸国に対する政治的な働き掛けを強めており、中国は結局のところ通信機器の輸出が滞り、資金が回収できない羽目に陥る恐れがある。

中欧を歴訪中のポンペオ米国務長官はファーウェイ製品を使う国との同盟関係の維持は困難と警告し、セキュリティー面での不安が全世界で取り沙汰されているファーウェイに対して再び攻撃を浴びせた。

こうした米国の反発はやっかみだと指摘する声もある。一部の統計からは、5G技術で中国が米国よりも優位に立っている状況が読み取れる。デロイトによると、中国は2015年以降の無線インフラ向け投資の累計が米企業の合計を240億ドル上回り、さらに今後数年間で5Gに4000億ドル前後を注ぎ込む計画だ。国民1人当たりの電波塔の数も米国の3倍に達している。

中国は国内市場の制圧を足掛かりに世界標準を征し、国内企業は超高速で機器を接続するための技術を基に、特許やソフトウエアの開発が可能になるかもしれない。しかしこうした大掛かりな投資計画は統計が示すよりもリスクが大きい。

ほとんどの国の通信大手はまだ5G向け投資にそれほどのめり込んでいない。これにはいくつか理由があるが、初期コストの早期回収が難しいというのがその1つだ。一方、中国政府の戦略は範囲が広大で、たとえ中国移動(チャイナ・モバイル)(0941.HK)のような国内通信大手が5Gサービスから利益を上げることができなくとも、関連機器を製造しているメーカーは利益が手に入るような絵図となっている。クレディ・スイスの試算によると、通信機器大手ファーウェイと中興通訊(ZTE)(000063.SZ)は海外市場での合計シェアが25%ないし30%に達しており、海外通信大手への製品販売ですぐにもうけが得られる態勢にある。消費者にも恩恵があるかもしれない。中国の5G技術はそこそこの性能で価格は手ごろだと評価されている。

米政府は、中国のこうした収益源を断ち切ろうとしている。目論見が成功すれば、中国政府はその穴を埋めるため、国内通信網の構築で国内通信大手への依存を高めざるを得なくなるだろう。そうなれば大規模な5G戦略は瓦解し、補助金の負担は国内ですべて負うことになる。関連するソフトやサービスへの投資もリターンの先行きが暗くなる。こうなると中国としては5Gで投資競争に勝利しても実入りがないという痛い敗北を喫することにりかねない。

●背景となるニュース

*ロイターの11日の報道によると、ポンペオ米国務長官はファーウェイの通信機器を使用している中欧諸国は米国との同盟関係の維持が困難になると警告した。

*ファーウェイはハンガリーに欧州の物流施設を置く計画で、ポーランドに対してもサイバーセキュリティー拠点の建設を提案している。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。)

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

*5段落目の誤字を修正しました。
https://jp.reuters.com/article/china-us-5g-idJPKCN1Q20AY


 


コラム2019年2月13日 / 18:39 / 8時間前更新
コラム:トランプ政権のAI推進戦略に足りない「知能」
Robert Cyran and Gina Chon
2 分で読む

[ニューヨーク/ワシントン 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米政府が人工知能(AI)を推進することは合理的だが、もう少し「知恵」を使った方がいいのではないか。

トランプ米大統領は11日、AI研究を最優先に位置付ける大統領令に署名したが、新たな予算は付けなかった。これは、一部の懸案事項に対する現政権の姿勢を踏襲しているが、他の懸案事項に対する姿勢からは驚くほどかけ離れたものだ。

AIに改めて取り組む理由の中でも大きいのが、中国の存在だ。米政府は、テクノロジー部門での中国の野望を懸念している。現在行われている通商協議で、中国側に知的財産窃盗問題への対応を求めているのも、米企業が競争力を失わないようにするためだ。

商務省は昨年11月、AIも含む特定の技術の輸出を減らす提案について、パブリックコメントを募集した。輸出が削減されれば、米企業による一部製品の中国を含めた海外輸出が制限される。

AIを国家安全保障上の優先事項に位置付けることは、有益かもしれない。新たな予算が全く組まれなかったとしても、省庁はスマートシステムの開発により多くの予算を割り振るようになるだろう。それは、研究資金を探している研究者や、売り込み先を探している企業の「保険」となるだろう。

技術移転の制限も、米国の優位維持に役立つかもしれない。産業スパイは新しい現象ではない。1700年代に米ニューイングランド地域の繊維産業を発展させたのは、盗用された英国のノウハウだった。だが中国の攻撃性は突出している。

それでも、トランプ氏は時流に逆らおうとしている。

世界の仕組みを解明し、医学や新素材やエネルギーに大きな進歩をもたらすこともある基礎研究は、政府の予算次第であることが多い。米科学振興協会によると、連邦予算全体に占める調査研究関連予算の割合は、この60年で低下している。企業の調査研究支出はこの間増加しているが、民間セクターは、成果が出たとしても数十年後になる可能性がある研究にはそれほど熱心ではない。

移民の促進も有効だろう。米政策基金によると、2000─2017年にノーベル化学賞、医学・生理学賞、物理学賞を受賞した米国人の4割近くが移民だった。外国生まれの人の割合は、米人口の15%未満だ。

米政権が本当にAIに真剣に取り組むのならば、基礎研究のための新たな予算を組み、海外からのスキル流入を促すことが、より賢明な道だろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
 


https://jp.reuters.com/article/usa-trump-breakingviews-idJPKCN1Q20BW

 
コラム2019年2月13日 / 10:03 / 16時間前更新

Tモバイルとスプリントの合併、米中対立が後押しも
Jennifer Saba and Gina Chon
2 分で読む

[ニューヨーク/ワシントン 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米通信大手TモバイルUS(TMUS.O)と同業スプリント(S.N)が合併できるかどうかは、米国内の競争問題というより国際的なせめぎ合いが鍵を握るかもしれない。

本来、この合併計画は次世代通信規格「5G」の導入に根差している。両社が1つになれば、米国の消費者は利用先の選択肢が減ってしまう。だが米国が中国との5G開発競争で優位に立つということが、当局に合併承認を促す要素になる可能性がある。

Tモバイルのレジャー最高経営責任者(CEO)は13日にスプリントとの合併計画に関して米議会で証言する。昨年春に合併合意が発表された時点で、両社は統合によって5Gネットワークの構築が加速すると強調した。5Gは、つながる車や新たな国防インフラなど今後登場する多くの技術分野の根幹を形作ることになるだろう。

両社は2014年にも合併を検討したが、当時は連邦通信委員会(FCC)と司法省が国内通信大手が4社から3社になるデメリットに大きな懸念を表明したため、実現しなかった。

しかしその後、米政府内で優先順位は変わってきている。今本格的に心配されているのは、中国が5G開発で先行する事態だ。FCCのパイ委員長は、5G開発を米国が主導すべき必要性について「経済成長と競争のための国家的責務」とまで表現した。アクセンチュアの推計では、5Gは米国内総生産(GDP)を5000億ドル増やし、300万人の雇用を創出する。

トランプ大統領は5G開発を真っ先に取り組む課題としており、この文脈において昨年3月にはブロードコム(AVGO.O)によるクアルコムQCOMO>の買収に待ったをかけた。クアルコムの研究開発力が弱まり、結果として5G開発に打撃を与える恐れがあったためだ。

米国が抱く中国の華為技術(ファーウェイ)に対する警戒感も、Tモバイルとスプリントの合併には有利に働いてもおかしくない。米検察当局は最近、Tモバイルから企業秘密を盗んだとして2つのファーウェイ関連企業を起訴した。スプリントは、ソフトバンク(9984.T)傘下入りに絡んで米政府に生まれた安全保障上の懸念を和らげるため、ファーウェイ機器を2013年までさかのぼって排除することに合意した。

5G整備加速効果や米国の中国への対抗意識が、米国内の競争低下よりも当局にとって重い意味を持つのではないだろうか。

●背景となるニュース

・TモバイルUSのレジャーCEOとスプリントのクラウレCEOは、両社の合併計画に関して13日に米議会下院で証言することに同意した。

・Tモバイルは4日、連邦通信委員会に、スプリントとの合併が認められた場合、3年間は値上げしないとの意向を伝えた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/us-sprint-corp-m-a-breakingviews-idJPKCN1Q10LA

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/144.html

[国際25] 韓国・文政権はスキャンダルまみれ、ついにカウントダウンが始まったか 文大統領「自分が全て正しい」体質がもたらす反日政策 
2019年2月14日 武藤正敏 :元・在韓国特命全権大使
韓国・文政権はスキャンダルまみれ、ついにカウントダウンが始まったか
文在寅大統領と金正淑夫人
金正淑大統領夫人(右)を巻き込んだスキャンダルも持ち上がっている 写真:ユニフォトプレス
スキャンダルが
レームダック前に噴出
 歴代の韓国大統領は、スキャンダルにまみれ、不幸な結末を迎えてきた。しかし、いずれもスキャンダルが露呈したのは政権末期。レームダックになり、大統領への求心力が失われたタイミングだった。

 ところが、文在寅(ムン・ジェイン)大統領率いる文政権では、就任からわずか1年半余りでスキャンダルが噴出している。しかも、政権に対する支持率は落ちたとはいえ、不支持率と拮抗している45%強の水準。にもかかわらず、なぜ早い段階でスキャンダルが噴出しているのだろうか。

 そこでまず、文政権に持ち上がっているスキャンダルのいくつかについて見ていくことにする。

 まず、大統領一家に関する2つのスキャンダルだ。

 保守系野党・自由韓国党の郭尚道(クァク・サンド)議員は1月29日に開催された党内での会合で、「文在寅大統領の娘・ダヘ氏と、その家族が東南アジアに移住した」と指摘した。

 郭議員によると、ダヘ氏の夫は2010年に購入したソウル市鍾路区のビラ(低層の高級マンション)をダヘ氏に贈与し、ダヘ氏はこれを3ヵ月後に売却して夫や息子とともに移住したという。

 郭議員は「ちまたでは、夫が通っていた企業に政府が200億ウォン(約20億円)を支援し、うち30億ウォンが不当に支出されたとうわさされている」「資産の差し押さえを防ぐため大急ぎで贈与し、処分したといったさまざまな推測がある」と指摘している。

 この件に関し、これまで大統領府は公式にはコメントしていない。ただ非公式には、「大統領の娘とはいえ移住することに法的な問題はない」「海外移住したのは、ダヘさん家族が経済的に厳しい状況にあり、ダヘさんの夫の働き口を探すためだった」「大統領の直系家族が経済的問題を自ら解決するために海外移住したのは、それだけ現政権がクリーンだということではないか」と言っているようだ。

 とはいえ、ダヘ氏の出国理由は不自然であり、レーダー照射事件がそうだったように訳が分からない。にもかかわらず大統領府は、暴露した郭議員の資料収集の違法性を問題にし、「責任を問う」といきり立っている。まるで、レーダー照射を偵察機の低空飛行にすり替えたときのよう。大統領府は言い訳ばかりせず、しっかりと説明責任を果たす必要があるのではないか。

大統領夫人を巻き込んだ
スキャンダルも持ち上がる
 大統領夫人を巻き込んだスキャンダルも持ち上がっている。「共に民主党」の孫恵園(ソン・ヘウォン)議員が「大統領夫人の同級生」を吹聴し、「全羅南道木浦旧市街地をエーゲ海の島のように」という触れ込みで始まった「木浦文化財通り」にまつわる利権をあさっていたとされているのだ。

「木浦文化財通り」は、孫議員の熱心なロビー活動によって文化財として登録された「螺鈿漆器博物館」を中心に、文化拠点を作るという構想で、政府予算500億ウォン。孫議員は、それが公示される直前から、自身の夫の財団及び補佐官、親戚などの名義で25件の不動産を購入していたとされる。

 スキャンダル発覚を受け、孫議員は1月20日に記者会見を行って離党を表明。大統領夫人に影響が及ぶのを防ぐためではないかと見られている。

 というのも、孫議員は1年生議員でありながら、国会文化体育観光委員会の与党幹事に大抜てきされたが、それには大統領夫人の後押しがあったのではないかといわれている。また、孫議員の離党会見には、「共に民主党」の洪永杓(ホン・ヨンピョ)院内代表が秘書のように付き添っていたと言われ、そこにも大統領夫人の影がちらつく。

 朴前大統領のときも、じっこんとされていた崔順実(チェ・スンシル)氏が大統領との親密な関係を利用して私腹を肥やしていたとされた。それと今回とは、一体どのような違いがあるのだろうか。

大統領側近の
逮捕も始まった
 スキャンダルはこれらだけではない。文大統領の側近たちが相次いで逮捕されているのだ。

 文大統領が当選した大統領選挙中の世論操作に関する疑惑で、腹心で慶尚南道知事だった金慶洙(キム・ギョンス)被告に懲役2年の実刑判決が言い渡された。金被告は、キム・ドンウォン被告らが行ったコメント操作を事実上主導し、世論を文大統領に有利な方向へ動かしたと認定された。これは特別検事の捜査で明るみに出たもので、コメント操作回数は約8840万回に及び、国家情報院によるコメント操作事件の数百倍に達する。

 しかも、これらはいわゆる“まとめサイト”の「ネイバー」などを通じて拡散されており、影響は計り知れない。朝鮮日報は、「大統領選挙の正当性を巡る論争につながることは避けられなくなった」と紙面で述べている。

 今回の事件は、「特別検事でなければもみ消されたはずだった」といわれる。当初、事件を担当した警察の責任者は、「弁護士ではないか」と疑われるほど金被告をかばった。また、検察と警察のいい加減な捜査で、数多くの証拠も消えてしまった。しかも大統領府は、金被告以外にも事件に関与した政権幹部がいることを知りながら、メディアが報じるまで公表しなかった。こうしたことから、大統領府が事件のもみ消しに関与したのではないかと見られているのだ。

 だが、与党は司法界に圧力をかけて乗り切ろうとしている。洪永杓院内代表は、「梁承泰(ヤン・スンテ)前大法院長の積弊(長年の政治的弊害)組織が組織的に抵抗している」と批判し、共に民主党は金被告に有罪判決を下したソウル地裁の成昌昊(ソン・チャンホ)部長判事を弾劾対象に含めるか検討すると述べた。

 徴用工裁判の判決の際に文大統領が述べた「司法府の判断を尊重する」との姿勢は、一体どこにいってしまったのか。自分たちに都合のいい判断は尊重するが、都合の悪い判断は変えさせるというのはいかがなものだろう。

 大統領側近に対する有罪判決は、金被告ばかりではない。前忠清南道知事の安熙正(アン・ヒジョン)被告も元秘書に対する性的暴行の罪に問われ、一審は無罪だったものの、控訴審判決では一審判決を破棄して懲役3年6ヵ月の実刑判決を言い渡された。女性に対する性的暴行は何も韓国に限ったことではないが、文大統領と近く、次期大統領の有力候補でもあった前知事が有罪判決を受けるというのは、それだけ政権のたがが緩んでいるということであろう。

朴槿恵政権と
どこが違うのか
 ここにきて文政権の政治スタイルは、弾劾によって倒れ、国民から嫌われていた朴政権によく似てきている。

 朝鮮日報は、「文在寅大統領の(一人)ぼっち飯」というコラムを載せているが、その中で保守系野党である自由韓国党のシンクタンク「汝矣島研究所」が、文大統領就任から600日間に公表された全スケジュールを分析したことを紹介している。

 それによると大統領主催の食事会は1800回の食事のうち100回だった。また、2144の全スケジュールのうち、議員などとの面会は4%に当たる86回しかなく、うち野党議員は26回しかなかった。

 これでは、朴前大統領が公邸に引きこもり、1人で食事をしながら書類を読んでいたため国民との意思疎通に欠けているとして、国民の間で不人気だったのと同じではないか。

 また、文大統領は学生運動を共にしていた者を政権の要所に配し、自分たちのやりたいようにやっており、国益が何なのか分かっていないとさえ思える。与党は、こうした批判に対し反発しているが、それだけ痛いところを突かれていたということだろう。

 昨年12月27日の朝鮮日報は、大統領府が政府系企業や各官庁の傘下機関の役員の政治的傾向を分析したいわゆる「ブラックリスト」を作成し、特別監察班を通じて監察を行ってきた疑惑が指摘されたと報じている。

 特別監察班は、公共機関300ヵ所の幹部のうち“親野党”性向のある100人を選び出して監察、大統領府上層部に報告していたという。これは、現政権関係者のためのポストを多数作ることが目的だったという。

 昨年、鉄道の脱線事故があった際、鉄道公社の社長が「寒さで線路に異常をきたしたことが脱線を招いた」と言い訳し、専門家の失笑を招いた。この社長はいわゆる政治活動家で、鉄道事業の素人だったという。その社長の初仕事は、組合運動で失職した人を復職させることであり、任命した鉄道公社と下部機関の役員の3分の2は政治活動家だそうだ。

 文政権は、政治活動家たちが甘い汁を吸う政権なのか。こんな政権で今後、大規模な事故や事件が発生すれば、大変な事態に陥る可能性も懸念される。

 思えば朴前政権時代に、政権に批判的と見られる芸能人や文化人ら9400人を掲載した「ブラックリスト」を作成したとして、当時の金淇春(キム・ギチュン)大統領秘書室長や趙允旋(チョ・ユソン)文化体育観光部長官が逮捕されており、それが大統領自身の指示によるものか注目を集めた。

 このように、政権が自分たちに反対する人々のリストを作り、不利益を与えるという歴史を繰り返していることが、韓国の歴代政権の不幸な末路を物語っているのかもしれない。

文政権たたきが
始まっている証拠か
 こうしたスキャンダル噴出の背景には、韓国国内で“文政権たたき”が既に始まっていることがあるのではないか。

 対北朝鮮政策は一見すると国民受けしているようだが、北朝鮮の実情を知る者にとっては極めて危険なものに映っているはずだ。また、韓国経済の急激な停滞、人件費高騰に伴う廃業や失業の増加が国民生活を直撃している。しかし、文在寅政権は一向にこれまでの政策の非を省みることなく、ますます殻に閉じこもり、政治活動家の意に沿った政策を遂行する傾向にある。

 前回(「韓国・文大統領の『自分が全て正しい』体質がもたらす反日政策」)も書いたが、国連安保理の対北朝鮮制裁委員会の専門家パネルは近く提出する報告書に、「韓国の国連制裁違反の事実が明記されるとみられる」と日本の共同通信が報じている。文政権の北朝鮮に対する制裁破りは、これまでもたびたび行われていたとのうわさが絶えない。

経済は悪化の一途
支持率低下に向かう可能性大
 中央日報によれば、韓国政府が発表する景気指標は、毎月のように歴代最悪を更新しているようだ。現在と今後の景気を示す「一致・先行指数循環変動値」は、歴代最長で下落傾向を示している。

 このほか18年の「年間産業活動動向」「設備投資」など主要な指標も下落を続けており、中小零細企業は最低賃金の上昇を賄いきれずに雇用を縮小したり、倒産したりしている。それでも文政権は、所得主導の経済成長を目指す基本路線を変えようとしていない。

 政府支出の拡大で景気の悪化を抑えているが、実体経済の低迷は避けようがない。サムスンの18年10〜12月期の営業利益は29%減であり、現代自動車に至っては第1次下請けのいくつかが廃業に追い込まれ、自動車産業の見通しを暗くしている。

 これまで、文大統領に対する支持率は経済の停滞で下落が続いてきたが、今後、スキャンダも相まってさらに下落する可能性が高い。そのとき、文政権がどう体制を立て直すのか、慎重に見定めていく必要がある。日本の対韓政策も、それによって変わってくるかもしれない。

(元・在韓国特命全権大使 武藤正敏)
https://diamond.jp/articles/-/1939033


2019年2月5日 武藤正敏 :元・在韓国特命全権大使
韓国・文大統領の「自分が全て正しい」体質がもたらす反日政策
文在寅大統領
写真:ユニフォトプレス
日韓関係をめぐっては、ここ最近、慰安婦のための和解財団の解散をはじめ、徴用工裁判やレーダー照射など、問題が相次いでいる。その根底にあるのは、韓国・文在寅政権が打ち出す「対日強硬政策」だ。では、なぜ文大統領はこうした姿勢を取り続けるのか、そして高まる緊張が和らぐ可能性はあるのか探ってみたい。(元・在韓国特命全権大使 武藤正敏)

事実を改ざんしても
自らが全て正しいとの「体質」
 文政権の対日政策の原点は、「積弊清算」(積弊とは、長年にわたって積み重なった政治的弊害)、つまり「歴史の見直し」だ。

 歴史の見直しを進めるとは、「過去の政策は間違っていたので改める」ということ。その前提は、文政権こそ正義で政策も常に正しいのだから、文政権の政策を尊重せよということだ。文大統領は、年頭の記者会見で日本に「謙虚になれ」と発言したが、これも「謙虚に自分の過ちを認めろ」という趣旨で、「文政権の言い分が正しいのだから従え」という主張だ。

 例えば徴用工問題。この問題は、日韓請求権協定によって完全かつ最終的に解決済みのはず。そもそも、文大統領が秘書室長を務めていた当時の盟友、盧武鉉大統領(当時)でさえこの原則に立っていた。しかし、過去の全ての大統領が認めていたこの原則を、文大統領は覆した。過去の大統領が間違っていたのだと、一方的に決めつけたのだ。

 慰安婦問題に関して文大統領は、「2015年の合意は、国民感情が受け入れない」と述べているが、7割の元慰安婦たちはこれを受け入れている。文政権に近い政治活動家のような3割の元慰安婦が受け入れないとしただけだ。それだけで、「国民感情が受け入れない」と決めつけているのだ。

 つまり文政権は、気に食わないことについては国際的な約束でさえ平気でほごにし、自分たちの都合のいいように事実をすり替えてしまう“体質”なのだ。

 そう考えてみると、レーダー照射問題に対する対応も不思議ではない。韓国ではいつの間にか、この問題が「自衛隊機による低空の威嚇飛行」にすり替えられている。事実、日韓親善協会の年頭賀詞交歓会における李洙勲駐日韓国大使の挨拶でも、「低空による威嚇飛行」と述べている。

 しかしこれもすり替えで、日本の専門家によれば証拠改ざんの事実は否定しようがない。韓国は、低空飛行だとする写真を公開したが、海面を見えなくして飛行高度が確認できないように加工してある。加えて、高度のデータの「0」を1つ消して、2000フィートを200フィートとしているように見える痕跡もある。

 日本であれば、こうした改ざんが行われれば、国会やマスコミからたたかれて政権の信用は失墜するが、韓国では大統領が国会に出席しない。マスコミも、一部の大手新聞社を除いて文政権に牛耳られており、日本と対立している案件では政権批判を行わないのが常だ。

 つまり、全てが文大統領の体質によってもたらされているといっても過言ではない。

国益を考えない政権と
交渉しても成果は期待できない
 問題は、文大統領が「国益」よりも自身の感情を優先させている点だ。

 本来、大統領であれば、政治や外交、安保、経済、国民福祉、人権、文化などを総合的に勘案し、国民の生活の安定や向上を図るという国益を優先させるべきだ。

 ところが、徴用工問題についていえば、弁護士時代に原告代理人を務めていたことから、いまだに「個人の請求権は消滅していない」という主張を繰り返す。日本から猛反発を受け、日韓関係を根本から覆しかねない状況にまで追い込んでしまってもだ。それでも自らまいた種を認めようとせず、ついにはその責任を日本と司法界に押しつけている。

 確かに中国にも“反日”感情はある。だが、それは国益に基づいており、自らの感情を理由とした文大統領とは大きく違う。国益に基づく反日であれば取引のしようもあるが、大統領の体質に根ざし、国民感情をあおっての反日では取引しようがない。

日韓両国が譲り合って合意する
前例は変えるべきではない
 となると、文政権との関係修復を図るためには、“謙虚”になって、文政権の言いなりになる以外にないのか。

 しかしそれでは、せっかく朴槿恵前大統領時代の慰安婦合意の際に、日韓双方が譲歩しながら合意に導くという結果を残したのに、再び韓国の“ごり押し”に従うことになりかねない。そうすれば、日本は未来永劫、韓国の言いなりになってしまう。ここは日韓関係がさらに悪化しようとも、きっちりと筋を通すべきだ。

 筆者は外務省に40年間勤務し、そのほとんどで日韓関係に携わってきた。その当時、日本の国力は韓国と比べ格段に大きく、「日本は韓国を併合したのだから、韓国の希望にできるだけ沿ってあげるべき」という日本人がかなりいた。それにも増して、日韓関係は重要であるから、これを「何とかマネージしていくべきだ」という考え方が支配的だった。

 しかし、国交正常化も50年がたち、日韓関係が変わるのは当然だ。日本人の大半は、韓国の勝手な言い分をこれ以上看過できないところまできている。こうした現実を韓国の人々にも理解してもらう必要がある。対日強硬策を強める文大統領との交渉はその1つのチャンスだ。日本は腰を据えて、韓国に変化を求めていくべきなのだ。

 しかし、文大統領は「自分たちが正しい」の一点張り。しかも、日本との関係悪化が韓国にとっていかに深刻な問題かを理解していない。文政権にとって最大の懸案は、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長のソウル訪問を実現し、その功績で支持率を回復させることだ。そのような政権が、日本との歩み寄りに関心を抱くとも思えない。

 韓国では、日本に好意を抱く国民が増えている。したがって、反日政策を取っても支持率はさほど上がらない。ただ、文政権が日本に弱腰となれば支持者から失望を招き、支持率は低下する。文大統領はそれを恐れているのだ。だから、日本への譲歩は禁物だと考えているのだろう。

文政権時代と将来とを
分けて考えるべき
 このような韓国といかに向き合うべきか。

 ここまで述べてきた通り、文政権との関係改善は容易ではないが、韓国は大統領の考え次第で大きく変わる。したがって、文政権時代と、将来とを分けて考えるべきだ。文政権に対しては毅然とした態度で、厳しく臨む。半面、将来を見据えて、せっかく日本に好意を寄せる多くの韓国人を反日にしないよう、慎重に対応すべきだ。

 では、具体的にどうすればいいのか。

 日本では、政界やマスコミを中心に、韓国への制裁を叫ぶ声が日増しに高まっている。特に、徴用工判決を受けて日本企業への差し押さえが実施されようとしており、日本企業の財産が奪われる際には何らかの対抗策が不可避であろう。

 その際に最も効果なのは、半導体の製造には欠くことができず、日本企業が製造をほぼ独占している、「フッ化水素」の輸出を止めることだ。これによって韓国経済は大打撃を受けるだろう。フッ化水素は戦略物資であり、輸出許可を出さないことで実施可能だ。

 しかし、こうした措置は日本企業にも損害を与えかねない。「戦前日本は軍事力で韓国を支配し、今は経済的圧力で韓国を崩壊させるのか」と、日本に好意を寄せている韓国人からの反発を招きかねず、彼らを反日に変えてしまう可能性をはらんでいるからだ。

制裁違反などのしっぽをつかんで
国連で批判の声を高めるのが有効
 ならば、国連で文政権の姿勢に対する批判を高めるのが有効なのではないか。

 国連の安保理制裁委員会の専門家パネルが近くまとめる報告書では、韓国が「安保理の制裁決議で義務づけていた輸出の届け出を、韓国が見送っていたとする『制裁違反』を指摘する見通しとなった」と報じられている。

 北朝鮮の開城に開設した南北共同連絡事務所で使っている石油精製品について、届け出していなかったというのだ。どうやら韓国側は、届け出た場合、却下されるだろうと判断していたもようだ。

 それだけではない。これまで、文大統領の平壌訪問時や、ミカンを送付した際など、北朝鮮への“贈り物の疑惑”も報じられている。また、石炭を北朝鮮からロシア経由で輸入した疑惑も取り沙汰されている。

 もちろん、これらはまだ報道ベースであり、事実として認められたわけではないが、文政権のしっぽをつかみ、国連の場で文政権に対する批判を高め、韓国の姿勢を改めさせる方向で動くことが最も効果的だ。

 次回の寄稿で明らかにしたいが、文政権の“末期症状”は既に表れ始めている。文政権が弱体化したとき、こうした対応策を取っていけばいいのではないかと考えている。
https://diamond.jp/articles/-/192991
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/438.html

[国際25] これはプロパガンダ? 大ヒット中国SF映画の政治性 さまよえる地球、さまよえる中国映画界  空前の大ヒットまでの紆余曲折
これはプロパガンダ? 大ヒット中国SF映画の政治性
さまよえる地球、さまよえる中国映画界
2019.2.14(木) 福島 香織
宇宙を舞台にした中国映画が大ヒットしている(写真はイメージ)
 中国で総製作費3.2億元の国産本格SFアドベンチャー映画「流浪地球(さまよえる地球)」(英語タイトル:The Wondering Earth)が2月5日に封切られ、10日までに劇場チケット売り上げ20億元を突破した。これは春節映画全体の売り上げの約半分を占める快挙。米国紙「ニューヨーク・タイムズ」までが「中国映画界の新時代の曙」「中国映画も宇宙競争に参入」とかなり持ち上げた記事を書いている。

映画「流浪地球」のポスター
拡大画像表示
 確かに、面白そうだ。なにせ、原作は、ヒューゴー賞を受賞した中国SF小説『三体』(早川書房から邦訳が2019年に出版予定)の著者、劉慈欣の同名小説。主演は中国版ランボーともいえる戦争活劇「戦狼」のヒーロー、冷峰役を演じた愛国演技派俳優、呉京(ウー・ジン)。監督は15歳のときにジェームズ・キャメロン監督の「ターミネーター2」を見てSF映画監督を目指したという80后(1980年生まれ)の郭帆(グオ・ファン)。

 郭帆は3作目にしてこの大作に挑んだわけだが、中国のSNS「微博」でジェームズ・キャメロンの公式アカウントから「ワンダリング・アースにグッドラック、中国SF映画の航海にグッドラック」とコメントをもらっている。キャメロンのお眼鏡にもかなっているのか? だが、この映画も娯楽性と出来映えとはまた別に、相当政治性が絡んでいるともいえそうだ。

「地球を救うのは共産党だけ」
 映画のストーリーははるか未来、太陽がいよいよ寿命がつき赤色巨星となって地球を飲み込まんとする時代が舞台。人類は巨大な推進機を使って地球を太陽系から脱出させて新しい太陽系のもとへ移動させる計画を実行する。だが、木星のそばを通るとき、絶体絶命の危機に襲われて・・・。ハリウッド映画では地球を救うのはたいてい米国人だったのが、この映画のヒーローは数人の中国人。何度も銀幕に翻る五星紅旗。なるほど、プロパガンダ臭がしないでもない。主役が愛国プロパガンダ軍事映画の「戦狼」の呉京なので、余計にそう感じるところもある。

 実際、淘票票(アリババの映画チケット購入ショップ)で購入された一部チケットに「地球を救うのは共産党だけ」と印刷されていたことがネットで揶揄されていた。これは、一部購入者がチケット印刷時に好きな言葉を書き込めるサービスを利用しただけで、別に当局サイドがそのような宣伝を強要しているわけではないらしい。だが、習近平のスローガンである「人類運命共同体」の思想を最もよく体現している、と共産党のお墨付きをもらっているのは本当のようだ。

 ラジオ・フリーアジアによれば、1月中旬、この映画のメーン製作会社である中国電影集団公司(中影集団)内で、「映画館に対して封切り1週間の間、上映率を30%より低くしてはならないと要求する」という通達を出しているという。党からは、ネットやメディア上での映画評欄でこの映画を大宣伝すべし、という指示も出ているという匿名のメディア関係者のコメントもあった。同時に批判評が削除されている、という話も。行政単位や組織、企業、工場、学校などでは職員、従業員 生徒に対し映画館への動員令も出ていると、微信で暴露する人もいる。

映画「流浪地球」予告編のワンシーン
途中で出資を引き揚げた万達電影
 この映画の出資者は23社。中影集団と北京文化が製作・配給会社となって出資者を募った。もともと、中国映画界最大手の中影が、国際社会でもファンの多い中国SFの大御所・劉慈欣の小説の映画化を狙っていた。2014年に発表された中影の24の映画プロジェクト中には、劉慈欣SF作品が3部含まれている。その中に「流浪地球」があった。2014年に青春映画「同桌的你(同じテーブルで)」で頭角を現した監督の郭帆に白羽の矢を立て、意見を聞いたところ「流浪地球」に反応したという。2016年に国家新聞出版広電総局の認可を得た。ここに、郭帆の「同桌的你」に出資した縁のある北京文化が乗ってきた。北京文化は「戦狼」や「我不是薬神」とヒット作を飛ばし株価うなぎのぼり勢いがある映画会社で、1億元を投資。2017年4月に出資者を公募したところ、阿里影業、騰訊影業など23社が出資に参加した。

 実はもう1社、出資会社があったのだが、途中で出資を引き揚げた。それが王健林率いる不動産系コングロマリット万達集団傘下の映画館運営会社・万達電影だ。

 2018年6月に公表した報告書によれば、このときはまだ「流浪地球」への出資が事業計画に記載されていた。だから出資を引き揚げたのはごく最近だ。2017年5月26日に青島でクランクインしていたのだから、いくらなんでも出資撤回のタイミングとしては奇妙だ。

 しかも万達電影が出資している別の映画「情聖2」の主演の呉秀波(ウー・ショウポー)は昨年(2018年)秋から不倫スキャンダルに見舞われ、中国芸能界から完全に締め出されてしまった。「情聖2」の公開日は未定。

 ちょっと脱線して、芸能ゴシップを解説すると、中国で一番かっこいいおじさん俳優といわれる呉秀波と不倫関係にあったのは25歳の若手女優・陳c霖(チェン・ユーリン)。呉秀波は彼女に1年半にわたって強請(ゆす)られていた、と主張しており、陳c霖は恐喝で逮捕されている。だが彼女の両親は、呉秀波がコネを使って公安に逮捕させたのであって、冤罪だと主張。両親によれば、呉秀波と陳c霖はスキャンダル発覚後、2018年10月に弁護士を挟んで関係を整理し、陳c霖は海外に世論が鎮まるまで避難、時が来たら呼び戻すと約束。11月に呉秀波が彼女を呼び戻したところ、空港で公安に逮捕されたのだった。真相はどうであれ、娘ほどの年の差の女優に7年も身の回りの世話をさせ尽くさせていたことを思えば、彼女が金銭を要求しても当然ではないか、と世論は呉秀波バッシングに動いている。

 万達が引き揚げた資金の穴埋めをしたのは呉京自身で、彼の個人会社が6000万元を出資。呉秀波の没落と呉京の俳優としての株の上昇は対照的だ。

習近平にお灸を据えられた王健林
 万達はまさか「流浪地球」がこれほどヒットするとは思わなかっただろう。万達の“大損”は、単に経営判断のミスや不幸な事件に巻き込まれたせいなのか?

 やはり政治が影を落としている気がする。

 振り返れば、2016年まで、映画業界を牛耳っていたのは万達だった。創業者の王健林は解放軍出身の実業家で、不動産会社の万達を起業したあと、不動産業バブルに乗って、2013年にはフォーブスの長者番付で中国一の大富豪となった。

 不動産業で巨額の富を築いた万達集団は2012年から映画業界に乗り出し、中国全土で映画館の買収、映画製作への出資を開始。また北米で2番目の映画館チェーン・AMCシアターズやハリウッドの映画製作会社・レジェンダリーピクチャーズ、カーマイクシネマズなどを次々と買収。世界最大の映画館運営会社となって、“ハリウッドを買い取る”とまで豪語していた時期もあった。

 また青島に東方ハリウッドともいうべき映画スタジオテーマパーク・東方影都を建設。ヨーロッパや清朝時代の街並みセットや20の映画スタジオ、3000人を収容する映画館、ホテルやショッピングモールを備え、ここでハリウッドをしのぐ国内外の映画製作を行い、また青島国際映画祭を開いてアカデミー賞を越える映画界の権威となるという壮大な夢を広げていた。

 万達の勢いに対しては米映画界も実際、危機感をもっていたようで、米国メディアも、中国に映画産業をコントロールされることへの警鐘を込めた記事を結構報じていた。なにせ、中国は言論・表現の不自由な国であり、暴力や性表現、政治的表現については非常に厳しい検閲が行われているからだ。同時に映画のプロパガンダ性、洗脳性の強さは米国自身が身をもって証明しているところ。ハリウッド映画が米国の自由と正義のイメージを作り上げたといっても過言ではない。中国が世界の映画産業を牛耳るようになれば、中国が道徳と正義の象徴の国になる、ということもあり得るわけだ。

 ところが2017年、王健林と万達集団の勢いは突如、失墜する。これは、習近平の直命で、銀行からの融資制限を受けたからだ。融資されなくなったらすぐに資金繰りにいき詰まり、5月には国内に保有するホテル、不動産、テーマパークなどの9割近くの投げ売りを余儀なくされたのだった。これは習近平政権が、2015年ごろからキャピタルフライトを警戒して、中国の民営企業に対し海外資産の“爆買い”を控えるように通達を出していたにもかかわらず、万達側がいうことを聞かなかったから。

 王健林は、習近平ファミリーの資産の洗浄などを伝ったこともある「ホワイト・グローブ(共産党官僚のために資金洗浄や資金移動を行う企業家を差す隠語、汚職に汚れた手を見せないように白手袋をはめているという意味)」。だから自分たちが特別扱いを当然受けられると思っていたのかもしれない。こうした態度が習近平の逆鱗に触れた。同じころ、習近平の逆鱗に触れた民営企業には安邦保険集団や海南航空集団などがある。

 習近平にお灸を据えられた王健林は、今後は国内投資に重点を置くと宣言、万達集団の経営立て直し・再編計画を出して生まれ変わることをアピール中だ。万達の資産も王健林の資産もずいぶん減ったが、他の民営企業、安邦保険集団や海南航空集団のようにトップが逮捕されたり、謎の事故死にあったりしなかった分、運がいいのかもしれない。

 こういう政治的躓きがやはり尾をひいて、「流浪地球」への出資を継続しきれなかったのか。あるいはもっと、核心的な理由がそのうちわかるかもしれない。

どんどん厳しくなる検閲と指導
 万達問題のほか、人気女優・范冰冰(ファン・ビンビン)の脱税で、長期拘束を行った上に見せしめ的な巨額罰金を科した事件や、俳優や監督への報酬上限を共産党が指導する昨今の状況も含め、この数年、中国の映画産業、娯楽業界は政治に振り回され続けている。呉秀波の不倫スキャンダルも、ひと昔前なら、よくある男と女の芸能ゴシップとして扱われていただろう。女優が逮捕され、映画の公開がストップすることもなかったのではないか。

 コンテンツに対する検閲と指導もこの数年どんどん厳しくなった。文革時代を舞台にした「ワン・セカンド(一秒鐘)」(張芸謀監督)や香港・中国合作の「ベター・デイズ(少年的你)」(デレク・ツァン=曽国祥)が今年のベルリン国際映画祭のコンペティション部門に出品予定だったのにポスプロ(仕上がり)がいまいち、という意味不明の理由で取り下げられた。中国政府が政治的理由でストップをかけたのではないか、とみられている。

 今の中国映画・娯楽業界は、政治の風向きに戦々兢々(せんせんきょうきょう)している。息苦しく、不景気もあって金の流れも悪くなってきている。春節映画全体の動員数は前年より10%以上も低かった。

 政治が産業を委縮させている。さて、そんな状態で中国映画はハリウッドを超えられるのだろうか。方向性を失ってさまよっているのは中国映画なのか、中国政治なのか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55479

 

2019年2月14日 莫 邦富 :作家・ジャーナリスト
中国で公開された「SF映画」が空前の大ヒットとなるまでの紆余曲折
中国の春節
多くの人で賑わう中国の春節 Photo by Yasuhisa Tajima
春節に公開された映画が
わずか6日で390億円の興行収入
 2月5日から始まった旧正月(春節)は、約2週間後の元宵節(旧暦の1月15日)まで続くのが習わしだが、「春節休暇」としては2月10日で終わるのがほとんどで、11日から“仕事始め”となった。

 例年だと、大晦日の夜に放送される「春節聯歓晩会(略して「春晩」)が休暇中の最大の話題となるが、今年は全くと言っていいほど話題にならなかった。ネット上では、「レベルの低さに絶望したから」「批判する価値も見出せなくなったのではないか」などと痛烈に批判されていた。

 話題を独占したものは別にあった。映画だ。私のFacebookを見ている方ならお気づきだと思うが、『流浪地球(さまよえる地球の意、英題:The Wandering Earth)』だ。春節中の数日は、私はこの中国版「日本沈没」と言ってもいいようなSF映画にはまっていたのだ。

 春節の初日(2月5日)に公開されたこの映画は、わずか数日で大評判となり、国内外で大きな注目を集めている。興行収入も2月11日の時点ですでに24億元(約390億円)に達したという。

 日本の映画興行収入ランキングのトップは2001年の大ヒット『千と千尋の神隠し』。その興行収入が308億円だったことからも、いかにすごいかが分かってもらえるだろう。

 映画のあらすじは、次のようなものだ。

 太陽の爆発が迫り、地球の終わりが近づいている。そんな中で、近づいた木星の引力によって滅亡の危機に瀕した人類は、地球をまるごと太陽系の外に脱出させようと決意し、行動を起こした。その後、新天地を求めて宇宙を旅するというストーリーだ。

 中国人SF作家である劉慈欣の同名小説を原作とし、4年の歳月をかけて制作したこの作品。公開わずか5日間で大ヒットとなったことで、今年は間違いなく「中国SF映画元年」として記憶されることだろう。

ハリウッドで
衝撃を受け決意
 監督は、ほとんど無名の郭帆。報道によれば、15歳のとき、ジェームズ・キャメロン監督の『ターミネーター2』を観てから興奮して一睡もできず、「将来、SF映画の監督になろう」と心に決めたという。

 しかし、北京電影学院への入学に失敗。海南大学法律学科に合格したものの、納得がいってなかった郭帆はビデオカメラを購入し、大学在学中にすでに短編映画を撮り始めていた。

 絵にも造詣があり、海南大学を卒業してからは北京に住みつき、映画やテレビ番組製作現場でバイトとして働いていた。有名な映画監督である張芸謀のクルーで働いたこともあった。数年後、再び北京電影学院の映画監督学科を受験、念願の合格を果たした。

 郭帆は、10年から14年の間に2本の映画でメガホンを取った。この映画は売れなかったが、「富川国際ファンタスティック映画祭」で最優秀アジア映画賞を、「北京大学生映画祭」で大賞を受賞。次世代の監督11人の1人と評価された。

 しかし、SF映画への夢は捨てられなかった。暇なときには天体物理や量子力学まで勉強し、SF映画を撮る準備をした。

 15年になって米国のハリウッドを訪問したとき、郭帆はあっけにとられ、衝撃を受けた。

「中国と米国の映画産業を比べるとその差はじつに大きい。その最たるものがSF映画だ。われわれが乗っているのは自転車だとすれば、あっちはフェラーリなんだから」

ポケットマネーから
100万元を投じて準備
 しかし、文学の分野では、中国人の作家が業績を残し始めていた。

 15年8月23日、世界のSF文学分野で最も栄誉のある「ヒューゴー賞」が発表され、中国の作家・劉慈欣が執筆した『三体』が長編小説部門最優秀賞を受賞したのだ。アジア人で初めての受賞だ。

 まもなくして、郭帆は映画製作会社の大手、中影制片公司の社長から呼ばれた。そこで『流浪地球』の映画化を打診されたのだ。

 実は、中影制片は郭帆に話を持っていく前に、ジェームズ・キャメロンやアルフォンソ・キュアロン、リュック・ベッソンといったそうそうたる映画監督のもとを訪ね、「監督を引き受けてほしい」と頼んだものの、きっぱりと断られた。さらに中国の有名な監督にも当たってみたが、やはり断られた。

 中影制片の意向を知った郭帆は、自分のポケットマネーで100万元の資金を投じ、早速動き始めた。

 50年後の世界を具現化するために、郭帆は3000枚ものコンテンツイメージを描いた。惑星エンジンから、地下都市、運搬車まで、あらゆるシーンの細かいイメージを描き、絵コンテは8000枚にもなった。

 まだ契約さえ結んでいない段階であるにもかかわらず私財を投じ、準備作業を黙々と進めた。

「命がけでこのチャンスをつかみたかった。そのために、こんなに準備を進めているんですと見せた方が出資者の心を動かすことができるだろうと考えた。たとえ最終的に失敗したとしても、悔いは残さずに済む」と思ったからだ。

 16年4月、郭帆とプロデューサーの〓格尓(〓の文字は龍の下に共。以下同)の2人は、中影制片に進捗状況を報告した。中影制片の役員らは、構想の説明書を始め、さまよえる地球(流浪地球)の100年の編年史や3000枚のコンテンツイメージ、8000枚の絵コンテ、ハラハラドキドキで中国テイスト満載のシナリオを目にして心を打たれた。

 その翌日、郭帆は「映画製作を始めましょう」という通知を受け取った。

大規模なセットや小道具で
制作費が底をついても…
 投資リスクが大きすぎると判断した中影制片は、万達影業や北京文化なども誘い、総額1億元以上を投入。郭帆の手に入った予算は、当初1億元(約16億円)だった。ハリウッドがSF映画を製作する際の予算は、通常1本2〜3億米ドル(約220億〜330億円)で、その差は十数倍だ。郭帆は、「資金の大半をセットと道具、特殊効果に使おう」と決意した。

『さまよえる地球』には1万点以上のセットや小道具が使われたが、その全ては自分たちで作ったものだ。地下都市や氷原、惑星エンジンコントロール室、宇宙ステーションなども実景として作った。“宇宙村”ともいえるこの実景は、10万平方メートルもあり、大型の住宅街に相当する規模だ。

 しかし、1億元をあっという間に使い果たし、製作資金は底をついた。そこで投資会社は数千万元の増資を実施したが、それでも全然足りなかった。郭帆は全財産の900万元を注ぎ込み、プロデューサーの〓格尓も所有していた車を売却した。俳優らも自主的にギャラの引き下げを申し出たし、ディレクターの劉寅も数百万元する設備を自ら購入し、チームに貸した。

 〓格尓は「映画制作手記」で、「映画のために自分の金をつぎ込んで撮影したのは初めての体験だった」と書いている。

 それでも地上の部分の撮影が終わったところで資金が尽き、スポンサーの万達影業は映画製作から撤退した。

 宇宙ステーションの部分については、もともと大物俳優を起用しようと考えていたが、来てくれる人は1人もいなかった。結局、同じく財産を使い果たして『戦狼2(ウルフ・オブ・ウォー2)』を撮影した、監督兼俳優の呉京がノーギャラで友情出演を引き受けた。やがて、製作資金の困窮ぶりを知った呉京は、6000万元も出資した。

 後に、ある人が呉京に問うた。

「この映画の製作が途中で挫折したらどうするの?」

 それに対し呉京は、「たとえ製作がストップしても、行動を起こさないよりは立派だったと言えるだろう。しかも、私たちはその時点ですでに成功したと言っていいのだ。なぜなら7000人もこの映画撮影に関わっているんだ。将来、そのスタッフたちは中国SF映画の“シード選手”となるのだから」

 近年、呉京が関わった映画は全て大ヒットしたため、「運が良かったのだ」という声もあったが、並々ならぬ覚悟と行動力があったからだと評価したい。

まだ幼稚さはあるものの
「中国のSF元年」と評価の声
 こうして完成し、上映されている映画は、素晴らしい評価を受けている。例えばニューヨーク・タイムズも「中国映画産業、ついに宇宙競争に参入」と好意的に報じた。

 とはいえ、シナリオや演技など全てにおいてまだ幼稚さが隠せない。ただ、重要なのは、SF映画分野においては、中国は大きな一歩を踏み出したことだ。

「中国で、ついに本当の意味でのSF映画ができた」
「中国のSF元年ここに始まる」

 こうした視聴者の声は、まさにこの映画の成功の真髄を語っているといえる。

(文中・敬称略)

(作家・ジャーナリスト 莫 邦富)
https://diamond.jp/articles/-/193900
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/442.html

[国際25] 皮肉な現実:ロシアに残りたい人が過去最高に 理由は希望ではなく諦め、ロシアを去る者と目指す者の苦悩 
皮肉な現実:ロシアに残りたい人が過去最高に
理由は希望ではなく諦め、ロシアを去る者と目指す者の苦悩
2019.2.14(木) 徳山 あすか
旧ソ連時代の映画館に「エンドロール」 保存か解体か? モスクワ再開発の波
保存か解体か? モスクワ再開発の波。写真はモスクワ北東部にある映画館「ロージナ」。1938年に建設され、巨大な支柱とソ連のモザイク画を有するスターリン時代の歴史的建造物(2018年12月13日撮影)。(c)Yuri KADOBNOV / AFP〔AFPBB News〕

 日本で今年4月から外国人労働者の受け入れが拡大されることは、ロシアでもニュースとして取り上げられた。

 日本語試験が行なわれるのは主に東南アジアの国であり、ロシアは(もちろん)テスト実施対象国になっていない。

 筆者の周りのロシア人たちは、冗談半分で「何でロシアでやってくれないの。不公平だよ」と言ってきた。

 しかし、ロシアの諺にある「どんな冗談の中にも真実の一部がある」が示すように、外国、特に欧米の先進国や、タイ・ベトナム・オーストラリアといった温暖な地域に住みたいと願うロシア人は一定の割合で存在するし、実際にたくさん住んでいる。

 米国で優秀なロシア人エンジニアが多数活躍していることはよく知られている。

 筆者が最近知り合ったビジネスパーソンは、ブルガリアなどEU圏の中でも“ゆるい”国に提出する書類を偽造して、現地に架空の親戚をつくって国籍を取り、後はドイツに移住するという計画を話してくれた。

 見た目は普通そうな人だったが、頭の中ではとんでもないことを考えているものである。

 例外はあるがロシアは2重国籍自体は禁止ではないので、国籍に対するロシア人の考え方も軽いと思う。

 この記事を書いている最中も、「アンティグア・バーブーダ国籍を取ろう!」という広告が筆者のPCに表示されている。

 英連邦王国の国籍があれば、英国への滞在がぐっと容易になるからだ。

 その一方、ロシアの独立系世論調査機関「レバダ・センター」が昨年12月13日から19日にかけて実施した海外移住についての対面調査では、興味深い数字が出た。

 61%の回答者が「外国に移住したいとは全く思わない」と答え、2011年の調査開始以来、過去最高となった。

 「あまり移住したいとは思わない」の21%と合わせると、移住否定派は82%にものぼり、やはり過去最高である。

 しかしこの結果は、生まれ故郷への愛着とか、今の暮らしに満足、といった単純な理由だけでは説明できない。

 経済紙「コメルサント」に対し、レバダ・センター社会政治調査部のナタリア・ゾルカヤ研究員は次のようにコメントしている。

 「回答者の多くは、生活が貧しすぎて、海外移住などというのは叶わない夢だと思っている」

 「そういうアイデアを現実的な可能性として捉えることができないほど、生活が苦しい。移住資金もないし、自分の生活圏に、刺激を与えてくれるような雰囲気もない」

 また政治学者のアッバス・ガリリャモフ氏は、同紙の取材に対し、ヨーロッパに一度も行ったことのない人に対して、次のようにテレビによるプロパガンダの影響を指摘している。

 「ヨーロッパはセクシャルマイノリティと、ロシア人への憎しみに支配されている」

 モスクワに住んでいると、ゾルカヤ氏が指摘するほと貧しすぎるという実感はないのだが、「モスクワはロシアではない」という表現もあるように、実際のところ地方経済はかなり疲弊しているのだろう。

 移住願望があると答えたのは、「とても移住したい」7%と、「まあ移住したい」10%を合わせた17%だった。

 この17%という数字自体は高くも低くもない。調査開始以来、15〜22%の間を行き来している。

 今回の特徴は18歳から24歳までの若年層のうち41%が、移住願望を表明したことだ。

 その層に限れば、「とても移住したい」が18%、「まあ移住したい」が23%となっている。

 「実際に海外に居を移した人に対してどう思うか?」との問いに、若年層では「肯定的」と「何とも思わない」を合わせると96%に達した。

 対して、55歳以上では「否定的」と答えた人が23%もいたので、やはり若い世代の柔軟さ、寛容さが顕著である。

 55歳以上といえばテレビの視聴率も高く、アンチ欧米戦略の影響を直接受けている世代である。

 ロシアの若者も、日本の若者と同じように社会の閉塞感を感じていると思う。

 ただし日本の若者が、自分の周りの世界で、身の丈に合った暮らしに満足する人が多いのに比べて、ロシア人の情熱は外へ外へと向いていくように思う。

 この調査結果の発表に伴って、ラトビア発の反政府系ロシア語メディア「メドゥーサ」は、「そろそろロシアから出て行くべきか診断」というゲームを作った。

 これが人気となり、ネットで拡散した。

 「グレーチカ(ロシアの国民食、そばの実)がないと生きていけないですか?」などの他愛もない質問に回答していくと、海外移住したいかどうかが分かるというもので、なかなか面白い。

 もちろん単なるお遊びだが、これが流行るということは、やはり皆このテーマに少なからず関心があるのだろう。

 ロシアから出て行く人がいる一方、目指す人もまた多い。

 都市部に暮らす人なら、休日の大型スーパーで、中央アジアからの出稼ぎ移民が1本10ルーブル(約17円)程度の特大パンを買い物かご一杯につめている光景を目にしたことがあるだろう。

 彼らは狭いマンションで集団生活し、給料を地元に送金しているのである。

 この季節には屋根から雪落としをする外国人の姿を毎日見る。屋上に立って雪をスコップで投げ落とし、建物の倒壊を防ぐという体力勝負の仕事だ。

 ちなみに昨年夏に開催されたサッカーW杯ロシア大会の際には、サポーター専用の身分証明書「ファンID」が発行されていた。

 このファンIDを使うと、W杯閉幕後も12月末までロシアにビザなしで入国し、自由旅行ができた。

 しかし、大会閉幕後に入国した旅行者のうち約5500人が、1月末の段階でロシアに不法滞在している。

 旅行資金が尽きたのか、ロシアが気に入りすぎて帰りたくないのかは、定かでない。内務省移民局は、3月末までには全員を摘発・一掃すると意気込んでいる。

 そして日本人の筆者もこの国では移民である。

 どの国でもそうだが、観光でなく長期滞在するとなると、途端にハードルが上がる。書類が大好きな国・ロシアでは、なおのことだ。

 特に日本のように、ビザが必要な国からやって来て、移民としてまともなステータスを確立するのは無理ゲーである。

 筆者はその無理ゲーのクリア一歩手前にいるので、誰かの役に立つとはあまり思えないが、一つの現在進行形の経験としてご紹介する。

 もともと筆者は留学ビザ、その後に就職したので労働ビザを持っていた。

 しかし労働ビザは、ビザ発給を申請した会社に紐づいており、毎年更新が必須なうえ、万が一会社を解雇されると、ロシアから去らなければいけない。

 そこで、まず「一時滞在許可」(3年間有効、更新不可)を取得してから「長期滞在許可」(5年間有効、回数無制限で更新可)を取ることにした。

 モスクワ市内に住む場合の手続きは、「多機能移民センター」で行なわれる。

 モスクワ市内から地下鉄駅のほぼ終点まで行き、そこから直通バスに乗る。バスの所要時間は道路状況にもよるが片道1時間40分から2時間半ほどだ。

 なぜこんなに時間がかかるのかというと、2012年、モスクワは南西方向に拡張され「新モスクワ」というゾーンが出現した。

 「人口が増えてきて手狭になったから、モスクワ自体を拡大してしまおう」ということで、今のモスクワは地図で見ると不自然な形になっている。

 移民センターはこの「突然モスクワ扱いになったど田舎」の端っこの方にあるのである。

 バスは頻繁には出ていないので、座れることは滅多にない。冷たい隙間風を感じながら2時間立ちっぱなしで、ひたすら真っ白な草原を眺める。

 ようやく到着すると、路上に荷物検査の列ができている。センターは、無機質な巨大な建物で、厳重な囲いはまるで刑務所か収容所のようだ。

 林の中にあるので、体感気温は実際の気温よりもっと寒い。ようやくセンターの敷地内に入っても、建物内に入れるのは予約時間まで30分を切ってからだ。

 この予約時間が曲者で、筆者が昨年夏に「一時滞在許可」を申請したときは、午後1時の予約だとしたら、番号が呼ばれるのは午後3時半くらいだった。

 後になればなるほど時間が押すので、皆、できるだけ午前中の予約を取ろうと必死だ。

 ただし先日、「長期滞在許可」を申請した際は予約時刻から1時間半しか待たなかったので、若干の改善は見られる。単に、冬場で人が少なかっただけかもしれないが・・・。

 予約するには、申請日の3日〜1日前にあらかじめ移民センターまで足を運び、整理券をもらっておく必要がある。つまり整理券のために往復するだけで、1日つぶれてしまうのだ。

 以前は予約日時が選べず一方的な指定だったが、今では直近3日間に限り選べるので、ここでも一応の改善が見られる。ただしオンライン予約などは夢のまた夢である。

 書類はもちろん丹念に調べられる。書き方が独特な申請書のほか、パスポートの翻訳、無犯罪証明、収入証明、健康診断、ロシア語やロシア法・歴史の知識を証明する書類など、必要なものはケースによって異なる。

 少しでも不備があると窓口で書類を突き返されるが、次に申請したときの検査官が同じ意見とは限らない。

 筆者の経験では、毎回違う検査官が、新しい「不備」を指摘し、「一時滞在許可」は申請7回目にしてようやく提出できた。

 このたびは「長期滞在許可」は3回目で提出できたので、大進歩である。

 審査の結果は最短で半年後に分かる。そんな調子なので、窓口の対応に納得がいかず怒鳴り出す人もいるし、暴れ出して警察を呼ばれたケースも何度も見た。

 必要なのはとにかく、我慢と忍耐である。そうこうしているうちに書類の有効期限が切れて、取り直しになったりする。

 こんなことが続くと、ロシアという国は、我々外国人の心を折れさせてあきらめさせようとしているのではないかと疑いたくなる。

 または、この程度の困難を乗り越えられないようでは首都モスクワに住む資格がない、というメッセージなのかもしれない。

 帰路は、またバスに乗る。

 ロシアでは公共交通機関で女性や子どもに席を譲ることが日常的に行なわれており、大きな荷物を持っていたり具合悪そうにしていたりすると、サッと譲ってもらえることが多い。

 しかし移民センター直通バスは外国人ばかりなのでそういう文化はなく、民度の低い人ばかりだ。

 年配の女性の中には譲ってもらうのが当然と思っている人もいる。ぐったりして腰かける男性に向かって「譲りなさい」と迫ったり、「こんな老人を立たせておいて何とも思わないのかしら」と嫌味を言ったりする。

 ターゲットにされた男性も疲れているので、すぐには承諾しない。そんな言い争いを何十分も聞き続けると(最後は男性が席を譲って決着する)、精神的に滅入る。痴漢や執拗なナンパ男などもいるが、満員のバスなので逃げ場がない。

 ようやく下車して地下鉄に乗り込むと、隣の初老の男性がカタコトのロシア語で話しかけてきた。

 どうやら彼も同じバスの乗客だったようで、見るからに憔悴している。

 男性はフランス人で、長年ロシア人の妻とフランスで暮らしていたが、妻の提案で最近モスクワに引っ越してきた。

 男性は「HIV検査証明書の件でフランスから電話したら、フランスで取得した書類でもOKだと言われました。だからわざわざ検査したのに、今日行ったらダメだと言われて、整理券さえもらえなかったんです」とさめざめと訴える。

 筆者が「そりゃダメに決まってますよ。電話の問い合わせは信じないで」と言うと、がっくり肩を落としていた。

 よくある誤解として、ロシア人と結婚すれば何かの手続きが簡単になると思っている人が多いが、それは全く違う。

 「一時滞在許可」は基本的に抽選に当選した人しか申請できないが、結婚すると抽選なしで申請できるようになるだけで、その他の手続きは全く同じである。

 筆者の知人でも、手続きのハードルが高すぎて日本に帰国した日露カップルが何組もいる。

 特にロシアの法律と歴史の試験はネックになっている。夫婦が英語などで会話している場合はなおさらだ。

 と、いろいろ愚痴は言ってみても、選挙権のない移民は声を挙げることもできないので、決められたことに従うだけである。

 移民センターが国籍を取りたい人たちで大賑わいなのを見ると、若者がいくら流出しても、ロシアという国自体が滅びることはないのだろうなと思う。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55459
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/443.html

[戦争b22] レーダー照射:中国のGPSを搭載していた可能性 秘密の詰まった工作船が日本に拿捕されるのを恐れ韓国に救援依頼 
レーダー照射:中国のGPSを搭載していた可能性
秘密の詰まった工作船が日本に拿捕されるのを恐れ韓国に救援依頼
2019.2.14(木) 西村 金一
韓国・済州島で国際観艦式開幕、旭日旗問題で自衛艦は派遣せず
韓国南部済州島沖で行われた国際観艦式のリハーサル(2018年10月9日撮影)。(c)AFP PHOTO / YONHAP〔AFPBB News〕

 韓国が、海上自衛隊哨戒機に火器管制レーダー波を照射したこと、韓国国防省がしつこく日本批判を行ったのは、不可思議なことだった。

 まして、あのような小さな北朝鮮の木造船を救助するためだけに、軍事作戦を行う軍艦と不必要に大型の警備艇を派遣したことは極めて不自然である。

 しかも、これらの行動は、北朝鮮と韓国の近海で行われたものではなく、そこから遠く離れた日本の排他的経済水域内で行われたのだ。

 その海域で、その3隻が一か所に集まったことは、最近まで敵対関係にあった南北の軍事関係からは、全く考えられない。

 私はこれまで、防衛省自衛隊で我が国周辺諸国の軍事情勢を分析してきた。その長い経験でも、このような特異活動を聞いたことがない。今回が初めてだ。

 また、韓国国防部(省)隷下の海軍駆逐艦、韓国水産部隷下の海洋警察警備艇は、指揮系統が全く異なる。

 それらが緊急に派遣されたことは、文在寅大統領本人か、あるいは政権内部の実力者が命令しなければ実施できない。

 韓国は、なぜ、日本海でこのような理に合わない不可思議な行動を行ったのだろうか。

 例えば、木造船を含めた今回の行動の詳細を、日本の哨戒機に絶対に見られたくなかった。日本の巡視船を介入させたくなかった。木造船が捕まり日本に連行させたくなかった。海流の流れに任せて日本に漂着させたくなかった・・・。

 つまり、日本に知られたくなかった理由があったと考えられる。


防衛省が発表した動画「韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について」より
 そこには、「絶対に隠さなければならない、渡してはいけない重大な秘密」があったと考えざるを得ない。

 韓国は、海上自衛隊の哨戒機を韓国の軍艦に近づかせないために、哨戒機の正常な飛行を、「威嚇飛行だ」と非難し続けている。

 「北朝鮮に頼まれてなぜやったのか」という意図を読まれないように、軍事常識では考えられないことを言い続けて、争点をすり替えているのだ。

特殊工作船とみて間違いない木造船
 韓国国防省が1月4日に公開した動画に映っている木造船を詳細に見ると、北朝鮮の木造漁船の中でも比較的大型のものだった。

 前方と後方にイカ漁には必要ではない高いポールが立っており、AM通信(モールス通信)用と見られるケーブルが張られている。

 日本の海岸に漂着している木造船には、このような高いポールがあるのは、極めて少ない。このアンテナを展張するAM通信には1000キロを超える通達距離がある。

 長距離通信用の通信装置を保有しているのは、北朝鮮本土から遠く離れて行動する工作機関か特殊部隊の船に限られる。

 この木造船は、2001年九州南西海域で、海上保安庁に追跡され、自爆して沈没した工作船とは全く違う。

 沈没した工作船は、その後、海中から引き揚げられて詳細に分析されたわけだから、北朝鮮が別の形をした工作船を建造していても当然のことだ。

 AM通信を使えば、燃料がなくても人力で発電し通信できるものもある。漂流していても本国への連絡が可能だ。

 木造船の乗組員は、衛星測位システム(米国のGPSに類似したもの)を使って確認できた自己位置(座標)を本国に送信して、救助を依頼した可能性が高い。

 そうでないと、他の船が救助に来てくれる可能性はほとんどない。

 船の位置を確認できたこのシステムは、昨年12月に全世界で運用を開始した中国の北斗衛星測位システムの可能性がある。

 とすれば、中国が国連制裁決議違反をして北朝鮮に輸出したことになる。 

工作機関の船には、どのような秘密があるのか。
 海上保安庁に追跡された工作船は逃げ切れず、工作活動の秘密を守るために、自爆して自らの命を絶った。

 もし、その工作船が爆破されずに捕獲されていれば、工作機関や拉致に関する多くの情報が得られたであろう。

 工作船には、工作員が命を絶っても守らなければならない重大な秘密の塊がある。

 工作機関や特殊部隊の兵士が生存して、積載している通信機器・暗号書およびその他工作にかかわる機器・資材が、無傷のまま日本に漂着すれば、ここから得られる情報で、工作活動の全貌が判明する可能性がある。

 日本人拉致被害者の情報も、捕まった工作員から入手でき、これまで謎だった事象が、ジグソーパズルの1個のピースが埋まるように解明できるかもしれない。

 日本海で漂流していた木造船が工作機関の船であれば、日本に無傷のままに渡してしまうと、工作機関の秘密を世界中に広められることになる。

 工作活動の公開がトリガーとなって、米朝会談も破談になり、金正恩政権が崩壊することもあり得ないことではない。

韓国も木造船を日本に渡したくなかった
 哨戒機が撮影した映像を見ると、この木造船は、韓国の駆逐艦と警備艇に挟まれ、その内側では、2隻の小型の救難艇にも挟まれていた。

 逃亡を防止するために、軍艦と警備艇が2重に包囲する態勢を採ったという説もあるが、小型の木造船がスピードを出せる特殊なエンジンをつけていたとしても、韓国の大型艦から逃亡することは不可能だ。

 逆に、日本の護衛艦や海上保安庁巡視船を絶対に近づかせない態勢を採ったとする見方の方が理にかなう。

 韓国に依頼してでもこれほどの秘密情報が一杯詰まった工作船と見られる船を、みすみす日本に渡すことは絶対に食い止めなければならないと、北朝鮮が考えても不思議ではない。

亡命阻止の可能性はあるのか
 金正恩政権の要人が亡命しようとしたのであれば、北朝鮮は韓国に依頼してでも阻止したいと考えるのは当然のことだ。

 だが、木造船の乗員が亡命を実行しているのであれば、船が移動している地点を秘匿するだろう。わざわざ捕まるために自分の位置を伝えることはしない。

 また、その船が電波を発しなければ、誰もその位置を特定することはできない。鋼船ではないので、海上捜索レーダーには映らない。

 木造船の位置が特定できなければ、韓国の2隻の船は、広大な日本海でその木造船を発見することは、不可能に近い。私がかつて情報分析官であった頃の経験から断定できる。

 あの木造船には、極めて重大な秘密や謎がある「秘密性の高い工作機関の船」だと想像できる。

 それならば、南北融和が進む南北のトップが協力して日本に漂着することを阻止しなければならないと考えるのが妥当であろう。

 南北の融和的な動きは、朝鮮半島ばかりではなく、半島から遠く離れた日本の排他的経済水域内でも起きている。

 木造船を巡って南北が奇妙な連携行動を行っていることに注目すべきだ。

 文政権と金正恩政権の間で、南北統一の企みが、公開されていないところで着々と進んでいることに目を向けるべきだろう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55449
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/535.html

[経世済民131] ロボットが壊す雇用、この街は世界の縮図 ライドシェア解禁されない理由 米国「値付競争」激化の一方インフレ率2%前後な理由
2019年2月14日 The Wall Street Journal
ロボットが壊す雇用、この街は世界の縮図
工場で働く人々
Photo:iStock/gettyimages
――筆者のクリストファー・ミムズはWSJハイテク担当コラムニスト

***

 米フロリダ州中心部は60万人以上が暮らす大都市圏であり、全米でも有数の先進的技術を用いた物流センターが幾つか立地している。

 レイクランド市やその周辺には、アマゾンやDHL、ウォルマート、家具販売店ルームズ・ツー・ゴー、スーパーマーケット大手パブリックスの拠点のほか、自動車保険大手ガイコの巨大なコールセンター、世界最大のワイン・蒸留酒の物流倉庫、天然・人口香料やグリッター(装飾用の光る粉)の工場などが集まっている。

 しかしブルッキングス研究所の最近のリポートは、米国勢調査やマッキンゼーのデータに基づいて、レイクランドの経済的繁栄が急速に終わりを迎える可能性を指摘している。ブルッキングスは、まさにそうした工場や倉庫、オフィスの生産性を高めるオートメーション(自動化)や人工知能(AI)によって最も雇用が失われるリスクにさらされている大都市圏をリスト化しており、その第3位にレイクランドをランキングしている。

 言い換えれば、レイクランドは全米や全世界で起こりつつある現象の縮図かもしれないということだ。テクノロジーによって中間層は2方向のいずれか一方に追いやられるとエコノミストらは指摘する。適切な技能や教育を受けた人は新しい技術的エリートに、それ以外の人は「プレカリアート」という階級に分類されることになる。プレカリアートとは、テクノロジーによる仕事の性質の変貌に伴って役割が頻繁に変化する、給付や保護が手薄で雇用が不安定な低賃金労働者を指す。

 「経済は根本的に変化したが、米国の社会モデルはそうなっていない」。ブルッキングスのリポートの作成者マーク・ムロ氏はそう指摘する。「オートメーション化と同時に、こうした一部職種の不安定さを補う可能性のある政府の給付制度が崩壊する」

脳をもっと使うようになった
 レイクランドで何が起こっているかを理解するため、同市有数の雇用主で米国最大の酒類・飲料販売業者であるサザン・グレーザーズ・ワイン・アンド・スピリッツを例に取って見てみよう。同社のレイクランドにある約130万平方フィート(12万平方メートル)の高度に自動化された倉庫は、1日に8万5000〜9万ケースを出荷する世界最大の酒類物流倉庫だ。他の多くの物流業者と同じく、同社がレイクランドを選んだのは市や州の優遇措置、安い地価、幹線道路へのアクセスの良さ、比較的低い賃金水準が理由だった。

 同社施設では368人の倉庫労働者と392人の配達ドライバーを雇用しており、その多くに必要とされるのは高卒の学歴のみだ。世界中の自動化された倉庫と同じく、人間がするのは機械ができない仕事、すなわちシステム全体の管理などの知識労働や繊細さ・スピード・視力の兼ね合いが求められる肉体労働だ。2500ポンド(約1.13トン)のパレットを5段の棚に積み込んだり、個々のクレート(酒瓶箱)を倉庫の各場所に運搬したりといった力仕事は全て機械が行っている。

 多くの意味でレイクランドの倉庫はエンジニアリングの勝利を象徴している。サザン・グレーザーズの国内業務を統括するロン・フラナリー氏は、同社では10年前はフロリダで5つの倉庫を運営していたが、オートメーションのおかげで1つにまとめることができたと話す。それによって州内の他の場所から雇用がシフトしたため、レイクランドには好景気がもたらされた。

 フラナリー氏によると、10年にわたるフロリダ州内の雇用移転では、オートメーションによって当初、全労働力の最大20%が解雇されることになった。しかし、オートメーションによって事業が成長するにつれ、解雇された労働者の多くが再雇用され、さらにそれ以上の雇用が生まれた。

 しかし、彼らの仕事の性質は変化した。「倉庫で働く人が頭も心も使わず、肉体を使ってケースを積み上げるだけの場合、同じ事を繰り返すだけになり、仕事に全くやりがいがないというのが現実だ」とフラナリー氏は話す。

 同氏によると、オートメーションによって労働者は脳をもっと使うようになり、システムを通してモノの流れを管理し、消費者需要の変化に適応させるようになった。その結果、離職率が大幅に低下したという。

 同社の倉庫には、まだ大勢の非熟練労働者が必要な工程がある。容器から個々の瓶を取り出して、輸送コンテナに運ぶ最後の「ピッキング」ステーションだ。機械の補助によって人間が作業を完遂するこうした工程は、アマゾンにしろアリババにしろ、どこのハイテク倉庫にもよくある。これは、世界中の数百万人の倉庫労働者を技術的失業から隔てているものが手先の器用さであって頭脳ではないということを意味する。

いずれ無人倉庫が登場
 労働市場の逼迫(ひっぱく)によって、オートメーションが一段と迫られている。フロリダ州の失業率は既に低く、12月時点で3.3%だ。フラナリー氏は「いずれ無人倉庫が登場し、ケースがトラックから降ろされたら顧客への出荷準備が整うまで再びそれを誰も目にすることがない、といった時代がやってくる」とし、「テクノロジーは既にあるが、まだ費用対効果があまり良くないというだけだ」と話す。

 マッキンゼーでテクノロジーの影響に関する研究を主導するマイケル・チュイ氏は、今のところ、ドイツや日本などのオートメーションが高度に進んだ国と比較してフロリダは人間の労働コストが比較的低いため、オートメーションの導入ペースが抑えられていると指摘する。

 長期的に見た場合、オートメーションによって雇用が減少することを示す証拠はない。むしろ、オートメーションを速いペースで導入している国ほど経済成長も速いようだ。しかし、これはオートメーションに伴う解雇に直面する人にとってほとんどなぐさめにならない。人材派遣・紹介大手マンパワーグループ北米のベッキー・フランキエウィッツ氏は「(オートメーションによって)雇用需要は純増しているが、多くの入れ替わりがある」と話す。

 個々の業務が自動化されるにつれ、両極化した賃金分布の低い方の分布にいる米労働者は別の仕事の訓練を受け直すか、少なくとも他の覚えるのが簡単な役割に切り替える必要がある。その結果、生涯にわたり雇用が不安定化する可能性があるとブルッキングスのムロ氏は指摘する。

 レイクランド市長に最近選出されたビル・マッツ氏は、市の将来について現実的に考えてはいるが、楽観視している。同市は物流事業に満足しており、それを持続可能だとみている。「市の成長が小売りをベースにしたものであれば別だが、卸売りサイドをベースにしたものであれば、懸念しない。モノを人々に届ける必要はまだあるからだ」

 とはいえ、マッツ氏は今後、物流事業を優先することは考えていない。「ここ1年に600万平方フィート(約56万平方メートル)分の物流センターの建設を終えた」と同氏は述べ、「こうしたものはもう誘致していない。もっと高技能で高賃金の仕事を望んでいるからだ」と説明した。同市では、2012年に創設された理工系のフロリダ・ポリテクニック大学を誘致したり、共同ワークスペースの提供やスタートアップ企業の育成支援を行う組織を設置したりしている。

 テクノロジーが急速に変化することで職を失う年配の労働者については、新しいことを学ぼうとする強い意志があれば、「スキルアップ」することで、より高度な仕事に移行できる可能性がある。これは、スイスのダボスで今年開かれた世界経済フォーラム年次総会の主要テーマでもあった。

 マッキンゼーによると、新しいテクノロジーの登場で解雇される人にとって、ロボットがすぐには取って代われない他の仕事がたくさんある。看護や介護など一定の訓練が必要なものもあれば、家事やウーバーのドライバーなど訓練が必要ないものもある。問題は、増え続けるプレカリアートがそうした仕事の労働条件や賃金に満足するかどうかだ。

(The Wall Street Journal/Christopher Mims)
https://diamond.jp/articles/-/193911


 

2019年2月14日 週刊ダイヤモンド編集部 ,山本 輝 :記者
民泊とは違い「ライドシェア」が解禁されない3つの理由
スマートフォンを操作する手
Photo:PIXTA
『週刊ダイヤモンド』2月16日号の第2特集は「配車アプリ大乱戦!」です。中国・滴滴出行や米ウーバーなどの参入で盛り上がりを見せているタクシー配車アプリ市場。その陰で、海外で主流のライドシェア(一般人が有償で他人を運送する行為)については議論が停滞しています。日本におけるライドシェア解禁の現状を特集のスピンオフでレポートします。(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)

 ついにライドシェアを“諦めた”か――。相次ぐ外資勢のタクシー配車市場への参入に、あるタクシー会社の関係者は安堵の声を漏らした。

 2018年、国内のタクシー配車アプリ市場は、中国ライドシェア企業の滴滴出行(DiDi)や米ウーバーなどが新たに参入し、先行する最大手のジャパンタクシーなどを巻き込んだ激戦となった。来年に東京オリンピック・パラリンピックを控える19年は勝敗を分ける重要な時期になると、足元で各アプリ会社が提携先のタクシー事業者探しに奔走する。

 だが、18年が「配車アプリ元年」であるなら、同じく18年は「ライドシェア晩年」でもあるともいえるだろう。配車アプリによるタクシー業界の盛り上がりとは反対に、ライドシェア解禁の機運は消沈しているのだ。

 そこにはいくつかの理由がある。一つ目は、冒頭の通り、海外でライドシェアを手がける勢力が、一斉にタクシー配車に傾いたことだ。

海外勢がタクシー配車に専念
 そもそもライドシェアとは、通常は一般人が有償で他人を運送する「白タク」行為を指し、現状国内では禁止されている。

 だが、ウーバーなどは13年に日本上陸して以来、東京でハイヤー配車などを手掛けながら、こうした国内での“ライドシェア解禁”を目指してきた。かつて福岡で行った実証実験は国から中止の指導を受けたが、ウーバー日本法人の高橋正巳社長(当時)がタクシー会社幹部に「なぜライドシェアがだめなのか」と問い詰めるなど、あくまで米国のようなライドシェアサービスの展開を目標に活動してきた。

 しかし、ライドシェアに市場を奪われるタクシー業界からの反発は凄まじかった。自民党ハイヤー・タクシー議員連盟など業界がバックに付く有力な議員団体もあり、ライドシェア解禁はなかなか思惑通りに進まなかった。もともと世界的に見てもタクシー需要の大きい日本でさらなる事業拡大を目指すために、ウーバーはライドシェアをひとまず棚上げする現実路線の選択を余儀なくされた。

 昨年初頭にウーバー本体のダラ・コスロシャヒ最高経営責任者が来日し、タクシー会社との協調を明確にするなど方針転換を打ち出した。さらに、その様子を窺っていたDiDiも、日本で配車アプリを展開する際には、あくまでライドシェアはしないと強調するなど、タクシー業界側への配慮を見せた。

「完全に諦めたと油断はできない」。あるタクシー会社関係者はそれでも警戒を解かないが、少なくともライドシェアの旗手であった海外勢の存在感は薄れ、そもそもライドシェアの担い手が消失したのだ。

 二つ目は、こうした政治に影響力を持つタクシーの業界団体に対して、ライドシェア解禁派の攻勢がままならないことがある。

規制改革推進派の本丸は民泊だった

 実際、政府の未来投資会議などで民間議員を務める竹中平蔵氏や、新経済連盟の代表を務める楽天の三木谷浩史会長兼社長などの実業界を中心に、ライドシェア解禁の声は根強いし、経済産業省が中心となり昨年6月に施行された「規制のサンドボックス」制度(社会実証を目的に、地域や期間を限定して現行法の規制を一時的に停止する制度)は、ライドシェアでの活用も可能となっている。

 昨年5月、新経済連盟が、ライドシェア解禁に向けた新法案を発表し、同じく、政府の規制改革推進会議では、一部のタクシー会社側からもライドシェアにつながる提案があり、議論が加速するかに思われた。

 だが、結果的に同会議が6月に取りまとめた答申では、タクシーの多様な運用について触れただけで、ライドシェアについては全くのノータッチ。タクシー業界側に言わせれば「巻き返した」状況だ。

「シェアリングエコノミーや規制改革の推進の“本丸”は18年に施行された民泊の解禁であって、同じシェアリングでもライドシェアは議論の気配さえない」。ある関係者は言う。

 民泊は違法行為が横行している実態を統制するために規制が求められたが、ライドシェアについては中国人による中国人観光客向けの白タクといった一部にとどまり、グレーゾーンで拡大する有力なサービスに欠けている。結果、ライドシェアを求める世論のニーズが高まっていない。これが三つ目の理由だ。

ライドシェアの問題点も浮き彫りに

 そもそも、先行する海外でも、労働問題や殺傷事件といったライドシェアの問題点が次々と噴出し、風向きが変わりつつある。

 米ニューヨーク州では、ウーバーなどの営業台数の制限や、ドライバーに対する最低賃金を保障する条例を可決した。また、中国では、DiDiなどのライドシェアドライバーに、ドライバーと車両の両方に求められる「二重免許」の取得を義務付けた。“ライドシェア礼賛”の動きにストップがかかっているのだ。

 シェアリングエコノミーに詳しい早稲田大学IT戦略研究所所長の根来龍之教授は、「新しいビジネスには、既存ビジネスの“置き換え”と全く新しい“創造”の二つがあるが、ライドシェアは、“置き換え”の要素が強く、さまざまなあつれきを生むためサービスとしての正当性を持ちにくい」と、ライドシェアの難点を指摘する。

 日本ではタクシーサービスの質が高く、ライドシェアの広まる土壌が育っていない。仮に、賃金保証や車両制限といった、ある程度の制限を設けた上でライドシェアを解禁しても、使い勝手の悪いサービスになれば、それこそ導入するメリットは失われる。タクシー配車アプリなどの普及でタクシーサービスそのものが価格面や消費体験面で柔軟性を持つようになれば、消費者の利便性自体は十分に保たれるはずだ。

 ただ、日本型のライドシェアについてのニーズがあることも確かだ。

 例えば、タクシーと直接競合する都市部ではなく、交通過疎の地方では、「むしろタクシー側から、ライドシェアのようなサービスの活用に期待する声は大きい」(配車サービス企業関係者)。また、前出の根来教授は、「インバウンド向けに、一般人が観光客を案内しながら車で運送するサービスなどはニーズが高い」と、部分的な“ライドシェア規制緩和”の必要性も強調する。

 ライドシェアという言葉が独り歩きしており、反対か賛成の二元論に陥りがちだ。だが、将来のモビリティ(移動手段)のあり方を含めて、消費者にとって最も良いサービスとは何かを議論することが求められている。
https://diamond.jp/articles/-/193901


 

2019年2月14日 加藤 出 :東短リサーチ代表取締役社長
米国で「値付け競争」激化の一方インフレ率は2%前後な理由
電子タグ
米ビバリーヒルズ近辺のデパートで見掛けた電子タグ。ネット上の販売価格に応じて随時値付けを調整しており、価格設定には神経を使っているようだ Photo by Izuru Kato
 米ロサンゼルスに先日出張した際、移動に何度か配車サービスのUber(ウーバー)を利用した。タクシーに比べて大幅に安いからだ。

 例えば、昼ごろに22.9キロメートル乗ったときは31.62ドルだった。1ドル=109円換算で約3450円だ。現地タクシーなら58ドルほど(15%のチップ込み)。距離は東京駅から武蔵境駅に相当し、東京のタクシーなら8000円程度だろう。

 その翌日の昼すぎにUberで26.2キロメートル乗った。東京駅から東小金井駅ぐらいの距離だ。東京のタクシーなら9200円前後。しかし、このときのUberは21.48ドル(約2340円)だった。先の乗車より距離が長いのに安いのは、需要の増減で価格が変わるダイナミックプライシングのためだ。

 こういった状況なので、現地のショッピング街では客待ちのタクシーが長蛇の列をつくっていた。利用客は少なく、運転手たちは車から降りて雑談をしていた。同様の風景は最近、米国の空港やターミナル駅でも日常的に見られる。

 Uberは米国労働省が集計する消費者物価指数の対象にはなっていないと思われる。しかし、そういった新手のサービスは既存のサービスの価格上昇を妨げる。これに限らず、スマートフォンを経由する新サービスが旧来のサービス価格の上昇ペースを抑えている事例は他にもあるだろう。

 今度はTarget(ターゲット)などディスカウント系小売りチェーンが多数入居している、米ビバリーヒルズ近くの大型ショッピングモールをのぞいてみた。テレビ売り場に行くと、日本の家電量販店に比べて売れ筋は圧倒的に安い。メンバーカードで5%引き特典を得れば、有名ブランドで65インチは約7万8000円、50インチは約4万4000円。格安ブランドの40インチなら約2万1000円だ。

 このモールには、高級デパートの割安チェーン店であるSaks Off 5th(サックス・オフ・フィフス)やNordstrom Rack(ノードストロームラック)もテナントに入っていた。本体では値引きをあまりしないが、こうしたサブブランドの店舗で大胆に値下げしている。女性に人気のUGG(アグ)の靴が39%引きなどで売られていた。

 前述のようにここはビバリーヒルズの近くだ。高額所得者が世界一多いかもしれない地区でも、ディスカウント店が多数競合している。その背景には、米アマゾン・ドット・コムなどのeコマース(電子商取引)との激烈な値引き競争がある。このモールの向かいに、ディスカウント系ではないデパートがあった。しかし価格設定には神経を使っていて、婦人靴の価格表示は電子タグだった(写真)。値付けはインターネット上の販売価格をチェックしながら随時調整される。

 米国の状況を見ると、日本はまだ物価が下がり得るのではないかと感じる。消費者物価指数における衣服・履物のここ3年間の平均年間変化率は、日本は0.1%の上昇だが、米国は0.6%の下落だ。テレビは日本が6.7%の下落、米国は16.5%の下落だ。

 それでも米国のインフレ率が2%前後なのは、シェアリングエコノミー(共有経済)に打撃を受けていないサービス価格の上昇に加え、家賃や教育費、医療費、介護費などの大幅な値上がりによる。

 日本銀行の異次元金融緩和策はこの春で7年目に入るが、インフレ目標(2%)は遠い。賃金の伸びが遅いところに、前述のデジタル時代の価格低下圧力が加われば、目標達成は一層難しくなる。

(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)
https://diamond.jp/articles/-/193648
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/151.html

[戦争b22] パキスタンに空母売却? 中国の最終目標は何か 一歩ずつアメリカ海軍に近づいている空母関連技術 
パキスタンに空母売却? 中国の最終目標は何か
一歩ずつアメリカ海軍に近づいている空母関連技術
2019.2.14(木) 北村 淳
中国海軍が運用している空母「遼寧」
 中国政府が中国海軍の001型航空母艦「遼寧」をパキスタンに売却する方向で折衝が進んでいる、という噂が浮上した。

 現在、中国海軍が運用している空母は遼寧だけである。新たな001A型空母が完成しているが、まだ海上公試(最終実地テスト)中であり、艦名も未定だ。また、002型空母2隻と003型空母1隻を就役させる計画もあるが、まだ建造中である。このような状況のため、遼寧を近いうちにパキスタンに売却するとは考えられない。

 しかし、パキスタンへの売却というアイデアは荒唐無稽というわけではない。かねてより空母を運用し、さらに2隻の空母を手にする予定のインド海軍を牽制するために、友好国パキスタンに空母「遼寧」を配備させる意義は大いにあるからだ。

 もし、中国の息がかかったパキスタン海軍が、中国製艦載機が積載された中国製空母を運用するとなれば、中国が自ら空母をインド洋に繰り出してインド海軍を牽制する労力が大幅に軽減できることになる。したがって、ある時期(中国海軍にとって遼寧を手放しても良い段階)に到達した場合には、遼寧をパキスタンに移転することは中国にとっても願ったり叶ったりということになるのだ。

インド海軍空母「ヴィクラマーディティヤ」(写真:インド海軍)
遼寧も001A型空母も訓練・開発研究用
 中国海軍が運用している001型航空母艦「遼寧」は、中国海軍にとっては明らかに訓練空母的な位置づけであるといえる。2012年9月に就役して以来、それまで航空母艦の運用経験がなかった中国海軍は、遼寧を用いて操艦を含めた空母そのものの運用方法、空母艦載機の運用方法、そして空母艦隊の運用方法を学んでいると解釈できる。

 そして遼寧による運用経験から得た教訓を盛り込みながら、2018年4月には初の国産空母である001A型航空母艦を誕生させ、海上公試を開始した。001A型空母の海上公試と入れ替わりに、それまで5年半に渡って使用してきた遼寧はドック入りして大幅な改良が加えられたようである。

 001A型空母も、遼寧同様に訓練空母と位置付けられる。中国海軍が空母や空母艦載機、そして空母艦隊の運用を実地研究しつつ経験を積み、そこからのフィードバックを生かしつつ真の実戦用航空母艦と空母艦載機を開発するための訓練用・開発研究用航空母艦と考えるべきであろう。

中国海軍の001A型空母
002型空母、そして原子力空母へ
 長年にわたって実際に空母艦隊を運用しているアメリカ海軍関係者たちは、航空母艦と空母以外の水上艦は全く別物であることを強調する。いくら空母以外の巡洋艦や駆逐艦など水上戦闘艦艇や大規模艦隊の運用経験が豊富な海軍(たとえば海上自衛隊)であっても、航空母艦や空母艦載機、そしてなによりも空母艦隊の運用を習得するには長い年月と様々な試行錯誤が必要なのだ。

 どの海軍といえども、他国海軍(同盟国といえども)に空母運用方法などを親切に伝授することなど100%あり得ない。そうである以上、中国海軍が自ら訓練用・開発研究用航空母艦を手にして、空母、艦載機そして空母艦隊の運用方法を身につける努力を続けているのは当然のステップである。

 現在、中国海軍が遼寧を用い始めてから6年が経過し、001A型空母もまもなく海上公試を終えて正式に就役する(今年の4月頃、遅くとも中国海軍創建70周年を迎える今年の10月1日までには)ものと考えられている。その後は遼寧と001A型空母の2隻によって、さらなる訓練と研究が進められることになる。

 現在、中国海軍は、2隻の002型航空母艦と、003型原子力空母の建造を進めている。002型空母2隻が就役して、遼寧と001A型空母の訓練空母としての役割が終了した頃には、中国空母がパキスタン海軍へ移籍されることになるかもしれない。

目標は原子力空母の運用
 中国海軍にとっては002型空母も最終目標ではなく、開発研究目的が色濃い空母とみなせる。

 002型空母には、遼寧と001A型では用いることができなかった「カタパルト装置」(航空母艦から艦載機が発進する際に、航空機を飛行甲板から射出する装置)が採用されている。カタパルトの採用と並行して、空母艦載機もさらに進化させる努力がなされているものと考えられている。002型空母の開発建造は、中国海軍の空母関連技術が一歩ずつアメリカ海軍に近づいていることを示しているのである。

米空母の甲板に設置されたカタパルト
 そして、カタパルト(米海軍でも最新の電磁式カタパルトと言われている)を備えた002型空母を2隻生み出すことによって、中国海軍はさらなる訓練を重ねることになる。

 中国海軍は、こうして遼寧、001A型空母、それに002型空母から得た経験を、現在建造中の原子力空母に生かそうというわけである。

 要するに、中国海軍の空母開発計画にとって当面の最終目標は、アメリカ海軍が運用している原子力空母に肉薄する原子力空母(11万トンクラスと言われている)を手にすることである。実際に中国海軍関係者によると、中国は2035年までには4隻の原子力空母を稼働させるために少なくとも6隻以上の原子力空母を手にするということである。

空母の役割は国ごとに違う
 このように中国海軍は自助努力により試行錯誤を重ねながら本格的な航空母艦の建造に力を注いでいるが、そうした状況に対して、とりわけ日本では「アメリカ海軍空母打撃群には追いつけるわけがない」といった声が少なくないようだ。

 しかしながら、アメリカ海軍による空母打撃群の運用目的と、中国海軍やイギリス海軍それにインド海軍などによる航空母艦の運用目的は同じではない。いずれの国の海軍においても、それぞれの国独自の国防戦略に基づいた海軍戦略によって、空母や空母艦隊の運用に差異があるのは当然であり、中国海軍が米海軍の空母打撃群をモデルにしなければならない道理は全くないのだ。

 この点を誤解すると、中国海軍の空母の真価や脅威を見誤ることになりかねない。その詳細に関しては稿を改めて解説したい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55469
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/536.html

[経世済民131] 「総雇用者所得が増えた」のは女性や非正規の就労数が増えたから。賃金は低下した
2019年2月14日 野口悠紀雄 :早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問
「総雇用者所得が増えた」のは女性や非正規の就労数が増えたから。賃金は低下した

 毎月勤労統計の不正調査発覚を機に、国会で、実質賃金を巡る議論が続いている。
 野党は、「実質賃金の伸びはマイナスだから、アベノミクスは失敗した」としている。
 それに対して、安倍晋三首相は、「総雇用者所得が増えているから、アベノミクスは効果を上げている」と主張している。
 総雇用者所得が2018年に急に増えたのは事実だ。しかし、それは女性の非正規就業者数が増えたからだ。それによって平均賃金が押し下げられた。
 だから、総雇用者所得の増加は、望ましい結果をもたらさなかったことになる。
 なおこれは、配偶者特別控除が拡大されたことの影響と考えられる。したがって、1回限りの効果だ。

総雇用者所得は
2018年に確かに増えた
 安倍首相が言っている「総雇用者所得」とは、「毎月勤労統計調査」の1人当たり名目賃金(現金給与総額)に、総務省「労働力調査」の非農林業雇用者数を乗じたものだ。(「(参考)毎月勤労統計の従来の公表値に基づく総雇用者所得」備考)。
 この指標は、政府が毎月の景気情勢を分析している月例経済報告で用いられている。
 この推移を示すと、図表1、図表2に示すとおりだ。

拡大画像表示
https://diamond.jp/mwimgs/8/7/-/img_8753b97ab958d3036ad61ebe15bdfc0181449.jpg


拡大画像表示
https://diamond.jp/mwimgs/a/0/-/img_a04f3f524e9468446d43269c83b3c5ff81526.jpg

 図のように総雇用者所得が、2018年に急に増えたのは、事実だ。名目で増えただけでなく、実質でも増えた。
 だだし、言うまでもないことだが、賃金と、それに雇用者数を乗じた総雇用者所得とは別の指標だ。
 野党は「実質賃金の下落が問題だ」と言っているのだから、それに対して「雇用者総所得を見れば増えている」と言っても、答えたことにはならない。議論はすれ違っている。
 これは、「プラトンはさておき、ソクラテスは」と言われる論法である(試験で「プラトンについて述べよ」という問題が出たが、ソクラテスのことしか勉強しなかった学生がこう言ってソクラテスについて述べたという話)。
 問題は、18年に起きた現象をどのように解釈するかだ。
 以下で見るように、問題の本質は、女性や高齢者が増えているために賃金が下がることなのである。
 これは、後で見るように困窮度の高まりと解釈できる。したがって、望ましいことではない。事実、18年の実質消費はほとんど増えていない。

増えたのは女性と高齢者であり
非正規雇用だ
 総雇用者所得が増加している主たる原因は、就業者数が増加していることである。
 この状況を労働力調査で見ると、以下のとおりだ。
 まず、図表3に示すとおり、就業者数の対前年伸び率が2018年に急に上昇した。

拡大画像表示
https://diamond.jp/mwimgs/0/1/-/img_01562e74fe1291c7393794d1c33924ad67503.jpg

 また図表4に示すとおり、65歳以上はもともと伸び率が高かった。

拡大画像表示
https://diamond.jp/mwimgs/9/d/-/img_9d0535c8af5f16f057c50ef296b35fc870655.jpg

 18年に大きな変化が見られたのは、図表5に示す女性だ。それまで対前年比1.5〜2%の増加だったのが、2%を超える高い伸びになった。

拡大画像表示
https://diamond.jp/mwimgs/3/3/-/img_339b100dfe8486be26a2b1b1cdb8a4be64222.jpg

 これが、18年に雇用者総所得の伸び率が急に高まった原因である。
 就業者数の伸び率が高まったことで、賃金にどのような影響を与えるかを見るために、正規・非正規の区別で見てみよう。
 図表6に示されているように、就業者数が増えたのは、非正規である。
 正規と非正規で15年以降、伸び率に傾向的な差は見られなかったが、18年には、非正規の就業率が顕著に上回った。

拡大画像表示
https://diamond.jp/mwimgs/c/9/-/img_c92dd8b7c3f6c1b74d6c294cbf92f58c88953.jpg

 このように、18年は、他の年に比べて、女性の就業者と非正規就業者が急に増えたのである(これらは重さなっている。つまり、女性の非正規就業者が増えたのだ)。
 ところが、この賃金は、平均より低い。したがって、平均賃金が下落したのである。

女性の就業が急に増えたのは
配偶者特別控除の拡充のため
 女性の就業者が2018年に急に増えたのはなぜだろうか?
 これは、配偶者特別控除の改正によると考えられる。
 所得税において、配偶者の収入が103万円以下の場合は「配偶者控除」が適用され、103万〜150万円の場合は「配偶者特別控除」が適用される。
「配偶者特別控除」は、配偶者控除が受けられる人と受けられない人の差が、103万円を境に急に生じてしてしまうことを補正するための控除だ。
「配偶者控除」は控除額が38万円だが、「配偶者特別控除」は、配偶者の収入が上がるほど控除額が減っていき、上限額を超えると控除額が0円になる(控除を受ける納税者の年収900万円以下の場合)。
 18年分からは、控除を受けられる上限が年収201万円までに引き上げられ、「103万〜150万円」の範囲の「配偶者特別控除」の金額が、配偶者控除と同じ「38万円」になることとされた。
 これまで「103万円の壁」と言われていたものが、「150万円の壁」になったのである。
 この措置は、女性の雇用を促進したと考えられる。
 ただし、38万円の特別控除が受けられるのは、年収が150万円までだし、年収201万円超は特別控除がゼロになるので、この措置が促進したのは、パートなどの非正規雇用だったと考えられる。
 これが、上で見たように、女性就業率の上昇をもたらしたのだ。
 そして、これは賃金の低い非正規雇用を増加させたために、平均賃金を押し下げたのである。
 これが重要なことである。
 なお、女性就業者伸び率の高まりは、今後、施策がさらに拡充されなければ、18年1回限りの現象であることに注意が必要である。

実質消費が増えないことこそが
アベノミクスの問題
 賃金が上昇しなくとも、賃金所得の総額は増えたのだから、消費の総額は増えてしかるべきだ。ところが、GDP統計を見ると、そうはなっていない。
 実質家計消費支出の対前年同期比を2018年について見ると、1〜3月期で0.33%の増、4〜6月期で0.0001%の減、7〜9月期で0.6%の増と、ほとんど前年と変わっていない。
 実質家計消費の推移を中期的に見ると、図表7のとおりであり、14年4月の消費税増税の前に駆け込み需要で増え、増税後にその反動で減ったという変化があっただけで、ほとんど変わらない。

拡大画像表示
https://diamond.jp/mwimgs/2/4/-/img_2423dc46fa04d85565f2badaef50da7888316.jpg

 それどころか、18年7〜9月期を13年の7〜9月期と比べると、0.43%の減少となっている。
 問題は、このように実質消費がほとんど増えていない(あるいは減少している)ということなのだ。
 なぜこうなるのか?
 「この数年は賃金が上昇しないから、配偶者特別控除の引き上げに対応して、女性が働きに出た。しかし、やはり十分な所得が得られないので、消費を増やさず、貯蓄を増やした」ということが考えられる。
 あるいは、将来に対する不安が増大しているのだろうか?
 いずれにせよ、家計の状況は好転していないのだ。だから、消費が増加しないのである。
 そして、このことこそが、日本経済の最大の問題であり、アベノミクスが効果をもたらしていないことの何よりの証拠だ。
 この点をこそ、問題にすべきである。
 なお、これまで書いてきた問題をより正確に検証するには、可処分所得の分析が必要だ。しかし、これについては、16年の値までしか公表されていない。
 このような重要な指標の発表にかくも長い時間がかかるのは問題である。
 さらに、GDP統計の所得面の正しいデータには、毎月勤労統計の正しいデータが不可欠である。
(早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問 野口悠紀雄)

https://diamond.jp/articles/-/193897


http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/152.html

[経世済民131] 製造しないドイツと消費しないフランス−欧州は世界経済の最弱リンク ドイツ10−12月はゼロ成長、リセッション辛うじて回避
製造しないドイツと消費しないフランス−欧州は世界経済の最弱リンク
William Horobin、Catherine Bosley
2019年2月14日 7:39 JST
• ユーロ圏の今年の成長率見通しはわずか1%前後に急低下も
• イタリア、英EU離脱など問題山積−欧州議会選挙も懸念材料
米中貿易戦争の影響が深く懸念されているが、実は世界の経済成長に対する最大のリスクは欧州であるとの様相がますます強まっている。
  ユーロ圏の昨年12月の鉱工業生産は金融危機以来の大幅なペースで落ち込んだ。域内外から景気への逆風が増し、今年の成長率はわずか1%前後へと急低下する恐れがある。域内随一の経済大国ドイツすら厳しい状況だ。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i5nWD8Dle.3E/v5/pidjEfPlU1QWZop3vfGKsrX.ke8XuWirGYh1PKgEw44kE/576x-1.png
  ロンバード・オディエのチーフ投資ストラテジスト、サルマン・アーメド氏は 「私がいま懸念しているのは欧州だ。中国は確かに減速しているが、強力な刺激策が準備されつつある。しかし、欧州では事態が急速に悪化している」と話した。
  欧州経済が驚くほど急激に勢いを失ったのは、減速が地域の中核国を襲っているからだ。過去の問題の中心はギリシャなどだったが、今回はドイツの製造業不振が長引き経済見通しが悪化、フランスも家計支出が停滞した。両国経済はユーロ圏全体の約半分を占める。
  アリアンツの副チーフエコノミスト、ルドビク・スブラン氏は「フランスが消費せず、ドイツが製造しなければ、ユーロ圏はひどい苦境に陥る」と述べた。
  さらに、イタリアの財政および銀行健全性、英国の欧州連合(EU)離脱と、問題は山積。5月の欧州議会選挙で反EU勢力が議席を増やす懸念もある。
The Big Slump
The euro area and its biggest economies are set to lose momentum this year

Source: European Commission
原題:Europe Is Emerging as the Real Weak Link for Global Economy (1)(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-13/PMV22B6JIJUP01?srnd=cojp-v2


 

ドイツ:2018年10−12月はゼロ成長、リセッション辛うじて回避
Carolynn Look
2019年2月14日 17:02 JST 更新日時 2019年2月14日 23:15 JST
• ユーロ圏の多くの国に比べ悪い、ユーロ圏の成長率は0.2%
• 投資、政府支出が大きく増えた−個人消費は小幅な伸び
ドイツ経済は2018年10−12月(第4四半期)にゼロ成長となった。リセッション(景気後退)は辛うじて回避したものの、ユーロ圏成長エンジンの早期回復は見込めそうもない。
  ゼロ成長はユーロ圏の多くの国に比べ悪い。ユーロ圏の10−12月域内総生産(GDP)改定値は前期比0.2%増だった。19年に入っても予想を下回る指標が相次ぎ、多くの機関が成長見通しを引き下げるなど明るい兆しは見えない。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iH4iBq2Z53DI/v4/pidjEfPlU1QWZop3vfGKsrX.ke8XuWirGYh1PKgEw44kE/576x-1.png
  ドイツの10−12月は内需が経済を支えた。投資も顕著に増え、政府支出も前四半期を大幅に上回った。個人消費が小幅な伸びにとどまり、純貿易の寄与はゼロだった。
  2019年の年初に発表された経済指標は低調だが、1−3月(第1四半期)は予想外の高成長となる可能性もある。成長を抑制した一時的な要因がなくなるためで、エコノミストはドイツ、ユーロ圏とも0.4%の成長を見込む。ただ、通年の見通しは貿易の安定と中国の成長で鉱工業が生産を回復できるかにかかっている。
COUNTRY Q4 GDP (% CHANGE) Q3
Euro area 0.2 0.2
Germany 0.0 -0.2
France 0.3 0.3
Italy -0.2 -0.1
Spain 0.7 0.6
Netherlands 0.5 0.1
Portugal 0.4 0.3
原題:German Economy Stagnated at End 2018, Just Dodging Recession (1)(抜粋)
Germany Barely Skirts Recession in Muted Quarter for Euro Area
(ユーロ圏GDP改定値に関する記述と今年の見通しを加えます.)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-14/PMWNZH6K50XS01?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/157.html

[経世済民131] GDP実質1.4%増、10〜12月年率 2期ぶりプラス 外需回復に鈍さ 債券上昇、中長期ゾーンに買い−超長期も持ち直す 
GDP実質1.4%増、10〜12月年率 2期ぶりプラス
2019/2/14 8:53
日本経済新聞 電子版
 内閣府が14日発表した2018年10〜12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.3%増だった。年率換算では1.4%増。年率2.6%減だった7〜9月期から、2四半期ぶりのプラスとなった。18年夏の自然災害による個人消費の落ち込みが解消され、内需が全体の成長率押し上げに寄与した。
 前期比0.3%増の成長率のうち、0.6%分は国内需要を表す内需が寄与した。内訳をみると、GDPの5割超を占める個人消費が前期比0.6%増と、7〜9月期の0.2%減から回復。飲食や宿泊、航空などレジャー関連の回復が目立った。自然災害が個人消費を下押ししていたが10〜12月期は回復。自動車販売も堅調だった。

https://www.nikkei.com/content/pic/20190214/96958A9F889DE6E3E0E6E7E7EAE2E3E6E2E0E0E2E3EB9F9FE2E2E2E2-DSXMZO4124739014022019MM0001-PB1-3.jpg
 住宅投資は1.1%増。2四半期連続でプラスを確保した。住宅投資は工事の進捗状況に応じてGDPに計上しており、4〜6月期以降の着工の伸びが寄与した。民間の設備投資も2.4%増と全体を押し上げた。生産用機械の伸びが寄与した。
 一方、外需は0.3%分、成長率を押し下げた。中国経済の鈍化により情報関連財の輸出が伸びず、輸出全体の伸びを抑えた。輸入は堅調な内需を背景に増加。外需の寄与度は、輸出の寄与度から輸入の寄与度を引いて算出する。前期からの伸び率は輸入が輸出を上回り、全体に対する外需の寄与度はマイナスとなった。
 18年10〜12月期のGDP成長率は名目で見ると0.3%増。年率換算では1.1%増だった。名目値は実質値に物価分を上乗せして算出するため、物価が上がれば名目値は上がる仕組みだ。10〜12月期は物価上昇率が鈍く、名目の成長率が実質を下回った。
 収入の動きを示す雇用者報酬は名目の前年同期比で3.2%増。7〜9月期の2.6%増から伸び率が拡大した。
 18年暦年の成長率は実質0.7%増、名目で0.6%増。いずれも12年以降、7年連続のプラス成長となった。成長率はともに17年を下回った。18年の名目GDPは548兆円と17年の545兆円を上回り、過去最高を更新した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41245580U9A210C1MM0000

 
10−12月期GDP年率1.4%増、2期ぶりプラス−外需回復に鈍さ
占部絵美
2019年2月14日 8:58 JST 更新日時 2019年2月14日 10:47 JST
• 消費や投資は2期ぶりプラス、外需寄与度は3四半期連続マイナス
• ならして見ると景気ははっきり鈍化している−第一生命経研の新家氏

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
2018年10−12月期の実質国内総生産(GDP、速報値)は、2四半期ぶりにプラス成長となった。7−9月期に自然災害で落ち込んだ個人消費や設備投資が持ち直した。海外経済の減速から外需の戻りは鈍かった。内閣府が14日発表した。
         
キーポイント
• 実質GDPは前期比0.3%増、年率換算1.4%増(ブルームバーグ調査の予想中央値はそれぞれ0.4%増、1.4%増)
• 個人消費は0.6%増(予想は0.7%増)
• 設備投資は2.4%増(予想は1.8%増)
茂木敏充経済財政担当相の発表後のコメント:
• 景気は緩やかに回復していると認識。 名目成長が実質を上回る健全な姿が経済の大きなトレンド。個人消費と設備投資、民需に支えられた成長
• 外需寄与度は3四半期連続マイナス。情報関連材中心に中国向け輸出の弱含みが顕著
• 18年の名目GDPは548.5兆円と過去最高を更新した
• 通商問題や中国経済の先行き、金融資本市場の変動、英国のEU離脱交渉などを注視する

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/imdMpSPsG_Y0/v2/pidjEfPlU1QWZop3vfGKsrX.ke8XuWirGYh1PKgEw44kE/576x-1.png
ブルームバーグ・エコノミクスの増島雄樹シニアエコノミスト
• 内需は自然災害による7−9月期の落ち込みの反動で強かったが、中国経済減速で外需が下押し。在庫が予想以上に減少したのは19年1−3月期の成長にプラス
• 重要なのは企業の設備投資が今後どれだけ持続するか。設備投資がけん引した第4四半期の成長は、世界経済が減速する中でショックに脆弱(ぜいじゃく)とみる
• 今年前半は外需や設備投資が弱含む中、消費増税前の駆け込みや復興インフラ需要など家計と公共投資が経済成長を支える構図になる
インサイト          
第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミスト:
• 予想通り物足りない反動。消費、設備投資は自然災害の影響から戻りを見せているが、輸出は落ち込みを取り戻せていない
• 中国経済の減速が一番大きな要因だが、IT関連の世界的な需要の弱まり、引き続き回復しきれていない欧州経済なども輸出に影響している
• 景気後退は予測していないが今は明確に足踏みの状況、停滞感は強まっている。今年第1四半期の実質年率成長率は1%未満になるのではないか
• 日銀としては今の政策を粘り強く続けていくこと以外にない
            
SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミスト:
• サプライズはないが、10−12月の戻しは鈍い。財の輸出の伸びが芳しくない、そこが外需の下押しを膨らませている要因
• 世界経済全体がピークアウトに向かっている状況。外需の先行きについては慎重に考える必要がある
• 18年度補正予算、19年度当初予算は拡張方向、秋までは消費税引き上げ前の駆け込み需要が予想されることから、内需が年内弱含むことはない
• 19年度後半は世界経済のピークアウトの悪影響が膨らむ。ただ世界経済の減速に比べれば日本は財政拡張している分、落ち込みは幾分マイルドになろう
          
詳細
• 10−12月期実質GDPの内外需の寄与度は、内需がプラス0.6%、外需がマイナス0.3%
• 18年の実質GDPは前期比0.7%増−内閣府担当者
• 自動車の貢献で輸出が増加したが、輸入も増えた−内閣府
       
背景
• 政府は1月の月例経済報告で、国内の景気判断は「緩やかに回復している」を維持する一方、海外は35カ月ぶりに引き下げ、輸出入の判断も下方修正。特に中国経済の先行きに留意する必要があると指摘
• 日本銀行は1月に公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、18年度の実質GDP成長率見通し(政策委員の中央値)を前回の1.4%増から0.9%増に引き下げた。海外経済の下振れリスクの高まりに警戒感示す
(詳細を追加し、エコノミストコメントを差し替えて更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-13/PMSIT76K50XT01?srnd=cojp-v2

 
債券は上昇、好需給観測で中長期ゾーンに買い−超長期も持ち直す
野沢茂樹
2019年2月14日 8:02 JST 更新日時 2019年2月14日 16:07 JST
債券相場は中長期ゾーンを中心に上昇。日本銀行がこの日に実施した国債買い入れの金額を据え置き、オペ結果も波乱がなかったことから買い安心感が広がった。12日のオペ減額の余波で軟調に推移していた超長期ゾーンも横ばい圏まで戻した。

長期国債先物3月物の終値は前日比12銭高の152円79銭。変わらずの152円67銭で取引を開始し、直後からじり高となり、一時は152円84銭まで上昇
新発10年物353回債利回りはマイナス0.015%と、日本相互証券が公表した前日午後3時の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)低下
新発5年物138回債利回りは1bp低いマイナス0.165%
市場関係者の見方
野村証券の中島武信シニア金利ストラテジスト
日銀が前日に短国買い入れオペを1回5000億円に増やしたことが短期債相場の支えとなり、中長期ゾーンまで強さが波及している
米中の貿易交渉がどう進展するか、株高や米金利上昇、ドル高・円安がどの程度進むのかが目先の注目点だ
SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジスト
中長期債が強く超長期が軟調だったのをみると、先物売り・超長期買いといったフラットナーが12日のオペ減額で巻き戻されたのではないか
国債買い入れオペ
対象は残存期間5年超10年以下、オファー額は前回と同じ4300億円
応札倍率は3.10倍と前回から上昇
野村証の中島氏
国債買い入れオペは減額見送り予想がほとんどで結果も無難だった
過去の国債買い切りオペの結果一覧
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.170% -0.165% -0.015% 0.435% 0.620% 0.695%
前日比 横ばい -1.0bp -0.5bp 横ばい +0.5bp +0.5bp
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-13/PMUEIA6JIJUP01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/158.html

[経世済民131] 中国、米からの輸入41%減 中国の減速、輸出に影 米中通商協議、改革要求めぐり依然隔たり大 米小売売上高9年ぶり大幅減 
中国、米からの輸入41%減 1月
2019/2/14 12:39日本経済新聞 電子版
 【北京=原田逸策】中国税関総署が14日発表した2019年1月の貿易統計(ドルベース)によると、輸出は前年同月比9.1%増の2175億ドル(約24兆円)だった。2カ月ぶりに前年同月の水準を上回った。ただ、2月初めの春節(旧正月)休暇の影響で輸出を1月に前倒しした可能性があり、1月の数字だけで「輸出が回復傾向に戻った」とみるのは早計だ。

中国・上海の港に並ぶコンテナ 

 対米貿易をみると輸出は前年同月比2.4%減の365億ドル、輸入は41.2%減の92億ドルだった。輸出は2カ月連続、輸入は5カ月連続で前年同月の水準を下回り、昨年7〜9月にお互いにかけあった追加関税の影響が本格化している。対米黒字は同25%増の272億ドルだった。

 全体でみると、中国企業は春節休暇の前に輸出を急ぎ、休暇明けに輸入を増やす傾向がある。例えば2月下旬に春節休暇があった18年の場合、2月の輸出は前年同月比44%も増えた。品目別では家具やおもちゃの輸出が好調だが、携帯電話は前年同月比19%減と大幅に減った。

 輸入は前年同月比1.5%減の1784億ドルだった。減少は2カ月連続。国内需要の減退を反映している可能性がある。米国製品に追加関税をかけている影響で、米国からの輸入が大幅に減ったことが響いた。

 輸出から輸入を差し引いた貿易収支は391億ドルの黒字だった。黒字幅は同92%増えた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41250500U9A210C1EAF000/?n_cid=NMAIL007


 


中国の減速、輸出に影 10〜12月GDP
経済2019/2/14 13:17
 
 内閣府が14日公表した2018年10〜12月期の国内総生産(GDP)速報値で、輸出は前期比0.9%増と2四半期ぶりにプラスに転じた。7〜9月期は相次ぐ自然災害で物流機能などがまひして大きく落ち込んだ分、その反動で増えた。ただ前期の1.4%減に比べて戻りは弱く、世界経済の減速や米中貿易摩擦の影響がじわり日本経済にも及び始めている。

https://www.nikkei.com/content/pic/20190214/96958A9F889DE6E3E0E6EAE5E6E2E3E6E2E0E0E2E3EB979394E2E2E2-DSXMZO4124739014022019MM0002-PB1-1.jpg
 内閣府によると、10〜12月期は7〜9月期の落ち込みを取り戻す動きから自動車の輸出などは増えたものの、半導体関連製品やサービス関連は減った。野村証券の美和卓チーフエコノミストは「中国経済の減速が輸出の伸びを抑えている」と指摘する。
 茂木敏充経済財政・再生相はGDP公表後の記者会見で「通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行きなど海外経済の不確実性を注視する」と述べた。
 中国の18年の実質成長率は前年比6.6%で、28年ぶりの低水準だった。スマートフォン(スマホ)などの生産が著しく落ち込んだほか、米中の貿易摩擦への不透明感などから中国国内で設備投資を控える動きが広がっている。
 輸出から輸入を差し引いた外需の寄与度は3四半期連続でマイナスとなった。マイナス幅は0.3%分と7〜9月期に比べて膨らんだ。
 理由は輸入が2.7%増と大きく増えたことだ。GDPの5割超を占める個人消費が0.6%増えたほか、設備投資が2.4%増えるなど内需は引き続き強い。「国内の民間需要は持ち直しており、輸入を押し上げた」(農林中金総合研究所の南武志主席研究員)
 国内は底堅いものの、海外に懸念がある日本経済。国際通貨基金(IMF)などは世界経済は一段と減速感を強めると予測する。世界経済の減速に引っ張られる形で、19年の日本の成長ペースはさらに鈍くなるとの見方は多い。
 

官房長官「景気ゆるやかに回復」 GDP2四半期ぶりプラス
2019/2/14 11:50


統計行政 一元化求める声 

18年度の実質成長率は1.1%、19年度は0.8%成長 NEEDS予測
2018/11/27 12:04
GDP実質年率1.2%減 7〜9月期は2四半期ぶり減
2018/11/14 10:33

18年度の実質成長率は1.2%、19年度は0.9%成長 NEEDS予測
2018/8/23 11:36
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41248740U9A210C1EAF000/?n_cid=NMAIL007


 

米中通商協議、改革要求めぐり依然隔たり大きい−関係者
Saleha Mohsin、Haze Fan、Jennifer Jacobs
2019年2月15日 0:52 JST
北京で行われている米中通商協議は現時点でほとんど進展していないと、協議に詳しい複数の関係者が明らかにした。

  非公開の同協議では、両国とも3月1日の期限後に関税が引き上げられるのを避けたい構えだが、米国が要求する構造改革を巡り、中国との距離は縮まっていないという。米中の関係者3人が匿名を条件に話した。

原題:U.S.-China Trade Teams Said To Be Far Apart on Reform Demands(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-14/PMXAJJ6TTDS001

ブレイナードFRB理事:バランスシート縮小、年内の終了を支持
Christopher Condon
2019年2月15日 0:33 JST
米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事は、米金融当局のバランスシート正常化プロセスを年内に終了することを支持すると示唆した。

  ブレイナード理事はCNBCとのインタビューで、「バランスシートの正常化プロセスは、恐らく今年終了するだろう」と述べた。

原題:Fed’s Brainard Backs Balance-Sheet Unwind Ending Later in 2019(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-14/PMX9KBSYF01S01


 

米小売売上高:12月は9年ぶりの大幅減−株安や政府閉鎖が影響
Jeff Kearns
2019年2月14日 22:34 JST 更新日時 2019年2月15日 1:32 JST
昨年12月の米小売売上高は市場予想に反し減少。減少率は過去9年で最大となった。金融市場の混乱や政府機関の一部閉鎖が影響し、昨年末に景気の勢いが減速したことが示唆された。
キーポイント
• 小売売上高は前月比1.2%減、減少率は過去9年で最大−予想0.1%増
o 11月は0.1%増に下方修正−速報値0.2%増
• コア売上高は1.7%減、2001年9月の同時多発テロ以降で最大の落ち込み−11月は1%増
o コア売上高は飲食店、自動車ディーラー、建材店、ガソリンスタンドを除いたベース
Bah Humbug
U.S. retail sales plunge most in nine years during holiday period

Source: Commerce Department
インサイト
• 成長減速を示すデータはほかにもある一方、健全な労働市場や安定した賃金の伸びを示すデータと小売売上高は相いれない
• 株式相場は1月に入り持ち直し、政府機関の閉鎖も1月末に解消されたことから、小売売上高の減少は一時的なものにとどまる可能性がある
エコノミストの見方
ジェフリーズのチーフ金融エコノミスト、ウォード・マッカーシー氏:
• 「今回の統計はひどい。総じて健全と捉えられたクリスマスセールのデータとは極めて対照的なようだ」
• 金融当局の「金利正常化は、今後長期にわたって棚上げとなろう」
詳細
• 主要13項目中、11項目が減少
• 自動車とガソリンを除く小売売上高は1.4%減−前月0.5%増
• オンライン販売などの無店舗小売りは3.9%減
• ガソリンスタンドは5.1%減
• 自動車ディーラーは1%増−前月0.7%増
• 健康・パーソナルケア用品は2%減
• スポーツ用品、趣味用品、楽器、書籍は4.9%減
• 1月の小売売上高は当初15日発表の予定だったが、政府機関閉鎖の影響で延期されており、新たな発表日はまだ決まっていない
  統計の詳細は表をご覧ください。
原題:U.S. Retail Sales Fall Most in Nine Years Amid Stock Plunge (1)(抜粋)
(統計の詳細はコメントを追加し、更新します.)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-14/PMX4CB6JIJUO01?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/159.html

[社会問題10] 薬物依存症は「ダメ、ゼッタイ。」では防げない、効果的な治療法とは? 『薬物依存症』松本俊彦氏インタビュー 
薬物依存症は「ダメ、ゼッタイ。」では防げない、効果的な治療法とは?

『薬物依存症』松本俊彦氏インタビュー
2019/02/15

本多カツヒロ (ライター)

 覚せい剤や大麻といった違法薬物の使用や所持で逮捕された有名人がワイドショーなどの恰好のネタとなる。その際に想起されるイメージは廃人やゾンビのような姿ではないだろうか。しかしながら、マスメディア関係者も含め、多くの人は一生のうちに一度も生の薬物依存症患者に会うことはない。かれらの実態とはいかなる姿なのか。『薬物依存症』(ちくま新書)を上梓した国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦・精神保健研究所薬物依存研究部部長兼依存症治療センターセンター長に、薬物依存症者の実態や治療、政策的な問題点などについて話を聞いた。


(LeszekCzerwonka/iStock/Getty Images Plus)
――少し前に人気ドラマ『相棒』に登場した薬物依存症の「シャブ山シャブ子」が、薬物依存症者の実態とかけ離れているとして「依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク」から抗議を受け問題になりました。しかし、多くの人にとって特に覚せい剤を使用している人たちはゾンビのようなイメージが共有されています。実際には、どんな人たちなのでしょうか?

松本:多くの人は、覚せい剤を乱用している依存症の患者さんというとゾンビ、もしくは暴力団員のイメージを持っているかもしれませんが、実際に診察に訪れる患者さんでそのような人はほとんどいません。外見的にはむしろきちっとした服装をしている方が多く、特に最近はスタイリッシュな人が少なくないですね。

 それだけいつも人から自分がどう見られているのかを気にしている人たちなのでしょう。 だからこそ、明らかに見下されているなと感じれば、挑戦的な態度を取る人もなかにはいますが、ごく普通に接すれば、丁寧で優しく配慮のある人たちがほとんどです。

 ここ20年ほどセクシャリティマイノリティの患者さんが増えているのですが、かれらの多くは高学歴で高度な専門職に就いています。セクシャリティマイノリティでない患者さんにしてもそうですが、共通しているのは、ワーカホリック気味の人が多いということでしょうか。

 それはわかる気がします。というのも、人間にとって一番気持ちの良い経験は、人から褒められることだからです。不遇な家庭環境で育ったり、学校時代にいじめを受けたり、パッとしない学生生活を送った人のなかには、仕事で褒められ、給与が増えることで、初めて人から自分が認められたと感じる人がいます。そして、もっと頑張ろうと思う人がいます。しかし、体力には限界があります。そこで覚せい剤を使い、仕事をさらに頑張ろうとして依存症になる人もいるのです。

――覚せい剤を使うとそんなに頑張れるものなのでしょうか?

松本:個人差があります。覚せい剤を使用してもまったく効かない人もいますし、最初からすごく良かったという体験をする人もいます。いずれにしても、1回の使用で幻聴や被害妄想を体験するかといえば、そんなことは滅多にありません。割と多いのは、眠れなくなったり、食べられなくなったりするという体験です。それを自分にとって好ましい効果だと感じた人は、繰り返し使うようになります。覚せい剤は5〜6時間効果が持続し、集中力が増し、少なくとも初期は仕事のパフォーマンスが良くなった気がするでしょう。ただ、その反面、効果が切れると疲労感がひどく、眠りすぎなほど寝てしまう。要は、「元気を前借り」しているようなものです。

ワーカホリック気味の人が多い
――実際の薬物依存者とイメージの乖離はどうして生まれるのでしょうか?


『薬物依存症』(松本俊彦、筑摩書房)
松本:日本は薬物に関してとてもクリーンな国ですから、ほとんどの人たちは一生のうちに一度も薬物依存者と直に接することも、会話をすることもありません。そのことが薬物依存者に対する偏見や差別につながっているように思います。 

 それを促進する要因として、中学高校で受けた「ダメ、ゼッタイ。」という薬物乱用防止教育や、1980年代の「覚せい剤やめますか?それとも人間やめますか」という麻薬撲滅防止キャンペーンCMのイメージの影響も無視できないように思います。また、薬物事件で逮捕された芸能人などのマスメディアの報道の影響もあるでしょう。

 他にも、凶悪な殺人事件の犯人の薬物使用歴から、薬物依存症に対するネガティブなイメージがあるのかもしれません。たとえば、2016年に起きた相模原障害者施設殺傷事件の犯人には大麻使用歴がありましたが、専門家として断言しますが、彼の優性思想的な考えと大麻とはいっさい関係がありません。それなのに覚せい剤や大麻の恐ろしさと犯罪が一緒くたに議論されています。こうした背景が、薬物依存者に対する間違ったイメージにつながっています。

 これは一般の方々だけでなく、医療関係者も同様です。薬物依存症の専門外来が少ないため、医療関係者ですら薬物依存者に接したことがないのが実情です。

――外来には、覚せい剤、大麻などどの薬物依存で訪れる患者さんが多いのでしょうか?

松本:患者さんのメインは、覚せい剤ですね。次に多いのが、違法薬物ではなく、精神科の処方薬の依存症になってしまった患者さん、若い子では市販の風邪薬や鎮痛剤に依存している患者さんもいて、これはこれで見過ごせない状況です。精神科の処方薬でも多くの人は依存症にはなりませんが、複雑な事情が絡み依存症になってしまう人もいます。本来なら、精神科医が処方した薬に依存しているのですから、精神科医自らが診るべきなのですがそうはなっていないので、私のところに診察に来るのです。

 大麻に関しては、近年危険ドラッグが一掃され、最近のトレンドとして国内外含め危険ドラッグよりはるかに安全な大麻へ移行しています。国もその動きは察知していて、大麻取締法違反での逮捕者が激増しています。

――大麻については、カナダでは全面解禁され、アメリカでも州によっては医療目的以外での使用も解禁されています。そこでよく耳にするのが、大麻はタバコやアルコールに比べれば、体に悪くないという意見です。この見解についてはどうお考えですか?

松本:半分当たっていて、半分は間違っています。確かに内蔵障害については大麻の方がお酒より軽く、大麻よりもタバコのほうが止めることが難しいと思います。しかし、もともと体質的に脆弱な方、すでに精神疾患を患っている方、あるいは統合失調症の患者さんが近親者にいて、精神疾患に対する遺伝的素因を持っている方は、幻覚や妄想といった統合失調症と同じような症状が出やすい傾向があります。その意味では、長期間使ってきたり、大量に使ってきたからといって、大麻による精神障害ができるわけではありません。ただ、例外的に、未成年のうちから大量に摂取してきた方の場合には、統合失調症の症状が発現しやすいという印象を持っていますが。

治療で重要なのは、ドロップアウトしないこと
――覚せい剤や大麻の正しい情報を聞いた上で、それらの薬物依存者に対し、どのような治療を行うのでしょうか?

松本:アルコールや大麻、ヘロインのようなダウナー系の薬物に関しては、補助的にそれなりの効果を発揮する治療薬が開発されているので、それを使用しながら治療していきます。

 いわゆるアッパー系と言われる覚せい剤やコカインについては、そのような欲求を緩和する治療薬はまだ開発されていませんから、広い意味での心理療法が中心になります。なかでも一番効果的なのは、薬物依存症からの回復を支援するダルクなどの施設に入所することです。ただし、患者さんのなかには家族がいたり、仕事に就き一家の大黒柱である人もいます。その患者さんたちが、仕事を辞めてダルクに入所するのは非常に困難です。そこで我々が開発したのが、スマープ(Serigaya Methamphetamine Relapse Prevention Program:せりがや覚せい剤再発防止プログラム。開発時に最初のトライアルを神奈川県立精神医療センターせりがや病院で行ったことにちなんでつけられた名前)なのです。

――スマープの特徴とは?

松本:一番の特徴は、人材育成にあると考えています。これまでの医学では、冒頭にお話したような薬物防止教育とさほど変わらない薬物依存者に対する教育が行われていました。医療関係者であっても薬物依存者に出会う経験がほとんどないので、患者さんに会ってもらい医学教育で刷り込まれた偏見をなくしてもらう。薬物依存症の治療がうまくいかない最大の原因は、医療者側の偏見にあるからです。

 もちろん、スマープは患者さんの病状の改善にも貢献します。そのなかで、プログラムの効果として重視したのは、治療継続性の高さです。1980年代より海外の研究で明らかにされてきたのは、依存症の治療において最も重要なのは、継続性が高いこと、ドロップアウト率が低いことです。そして実は、従来のプログラムでは治療開始からわずか3カ月でなんと7割もの患者さんが治療からドロップアウトしていました。

――プログラムの途中でドロップアウトするのは、また薬物を使用してしまうからでしょうか?

松本:ええ、おそらくそうなのだと思います。再び薬物に手を出してしまうのが薬物依存症の症状なわけです。ですから、そのことを正直に言ってくれないと、治療になりません。しかし、従来のプログラムでは、その失敗を安心して告白できませんでした。もしも告白すれば、医師から頭ごなしに叱責されたり、説教をされたり、プログラムに参加させてもらえなかったりしたのです。さらには、正直に告白した結果、警察に通報されてしまうことさえまれならずあったのです。覚せい剤の使用に関しては、本来ならば医師には守秘義務がありますし、通報義務もありません。たとえ「犯罪告発義務のある公務員」の医療者であってもとしても、その犯罪にあたる行為に関して職務上正当な理由(=治療上の必要性)があれば守秘義務を優先できるはずです。ところが、残念なことに、医師のなかには、治療を犠牲にしても、犯罪を告発することが正当だと考える人もいるのです。

 そのように通報されるかもしれないと脅えるような状況では、依存症の患者さんたちはとうていプログラムを続けることなどできません。依存症からの回復に必要なのは、安心して失敗を語れる治療関係です。「薬をやりたい、やってしまった、やめられない」と告白しても、誰も不機嫌にならないし、誰も悲しげな表情をしない場所です。スマープでは、そんな風に安心して失敗を語れる安全な治療環境づくりを心がけています。

――その他に薬物治療で難しい点はありますか?

松本:覚せい剤に依存している患者さんたちが一番覚せい剤に再び手を出しやすいのは、刑務所から出所した直後です。刑務所に収監されている間は当然覚せい剤とは無縁ですが、その間に仕事を失い、配偶者や家族のサポートがなくなり、友人とも疎遠になっている場合もあります。再就職しようにも厳しい状況です。そうなると居場所がなくなり、健康な人たちとのつながりから孤立してしまい、結局は再びかつての薬仲間のところにも戻ってしまいます。そして自暴自棄的な気持ちから覚せい剤を採用してしまうのです。

――その際に、また刑務所に戻るかもしれないという考えと、戻りたくないという考えを天秤にかけることはないのでしょうか?

松本:最初は天秤にかけ「やっぱりやめておこう」となります。しかし、頭のなかでは「1回ならバレないか」「今日は出所したからご褒美だ」「今度こそこれが最後の1回だ」などと段々と自分に都合の良い理屈を思いつくわけです。依存症というのは、心のなかに「自分を裏切る悪魔」が住んでいるイメージで捉えてください。

――もちろん、刑務所内でも依存症のプログラムは行われているわけですよね。

松本:ええ、医療機関と同じグループ療法が行われています。ただ、「絶対に薬物を使えない環境」では、覚せい剤の欲求も忘れます。ですから、「もう自分は絶対に使わないはずだ」と油断してしまい、いくら治療プログラムに参加しても、全く身が入りません。それに、プログラムのなかでいくら自由に発言できると言われても、どうしても刑務官の目が気になります。あまりにも忌憚のないことをいえば、仮釈放がもらえなくなってしまうかもしれないのです。そのような環境下では意味のあるプログラムはできません。

 依存症の特徴は、すぐに「喉もとをすぎて」忘れてしまうことです。たとえば、もうお酒をやめたと言っている人が3日後にはもう飲んでいるのはよくあることです。嫌な記憶というのはすぐに飛んでしまう。刑務所内で、覚せい剤を使用できない環境にいれば、もう大丈夫だと本人も家族も思います。でも、出所するとすぐにまたスイッチが入ってしまう。そう考えると、刑務所に収監することのメリットはなんだろうかと思いますね。

 アメリカにはドラッグコート(薬物裁判所)という司法制度があり、刑務所に収監するかわりに、自宅で仕事をしながら週3日以上治療プログラムに参加することが求められます。こうした制度のほうが再犯率は低く、社会経済的なコストが小さいことが明らかになっています。他の先進国でも、刑務所よりも地域で治療プログラムを実施することがもはや常識になりつつあります。

――刑務所に閉じ込めることのメリットがないと。それは政策的な問題でもありますね。

松本:なぜ危険ドラッグが少し前に流行ったのか。海外では危険ドラッグは子どもが使うもので、大人は覚せい剤やコカインを使います。日本で大人が危険ドラッグを使うのは、日本人の遵法精神が高いからなんです。そして、危険ドラッグに対する規制を強化すればするほど、その健康被害は深刻化し、危険ドラッグ服用下の自動車運転事故も増えました。こうした反作用は公衆衛生学的には常識なのですが、日本の政策立案者はそうした側面を意識せず、国民の一般的な薬物に対する意識や処罰感情を反映した政策を立案している。

単に犯罪者として排除の対象とするのではなく
――薬物依存者に対し、社会ができることはありますか?

松本:薬物依存症からの回復を願う人たちのなかには、ダルクなどの施設に通っている人もいます。しかし、現在各地でダルクが運営するリハビリ施設の設立に対し、住民による反対運動が起きています。薬物依存症は精神保健福祉法という法律にも明記された、れっきとした心の病気であり、障害なのです。そして、障害者差別解消法は、障害者のリハビリ施設に関し、住民の許可や説明会をしなくても良いことを保障しているはずですが、薬物依存症は障害と見なされず、支援の対象ではなく、単に犯罪者として排除の対象となっている現実があります。実際に、そうした反対運動が起こっている地域に行ってみると、それこそ街中の家々に「ダルク反対」の張り紙が貼られていて、異様な雰囲気となっています。そんななかを、薬物依存症からの回復を願ってリハビリ施設に通う患者さんの姿を考えると、本当にそれだけでいたたまれない気持ちになります。この国は一体どうしてこうなってしまったんだろうって思いますね。

 もしこの記事や本書を読んで薬物依存症に興味を持っていただけたなら、近所のダルクに見学へ行ったり、フォーラムなどに参加し、リアルな薬物依存症の人たちの姿を見てください。

 またダルクなどで現在問題となっているのは、回復はしたけれど、仕事のリハビリ先が見つからないことです。かれらは薬さえとまっていれば、意外にも根が真面目な人たちが多いので、一生懸命仕事をするでしょう。ですから、自営業者の方にお願いがあります。すでにダルクで十分にプログラムを受けてきた人ならば、雇って失望させることはないでしょう。ぜひ社会復帰のための最初の一歩を手伝ってくださるよう、ぜひともお願いしたいと思います。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15360
http://www.asyura2.com/18/social10/msg/124.html

[政治・選挙・NHK257] 「日本は韓国にとって”特別な国“」は冷戦終結で終わった 韓国国会議長による「天皇謝罪」発言の裏側 日韓関係の構造的変化
「日本は韓国にとって”特別な国“」は冷戦終結で終わった

日韓関係の構造的変化を考える(2)
2019/02/15

澤田克己 (毎日新聞記者、元ソウル支局長)

 「天皇陛下のひとことで慰安婦問題は解決される」という韓国国会議長の発言や、徴用工問題で日本政府に「謙虚さ」を求めた文在寅大統領による新年記者会見での発言は、どちらも日本側の反応を入念に計算してのものとは考えづらい。前回(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15343)は、そうした韓国側の「軽さ」が両国関係の構造的変化に起因しているという概略を説明した。この30年の間に、韓国における日本の存在感は驚くほど低下した。韓国側からあまりにも「軽い」発言が出てくる背景には、この日本の存在感低下がある。こうした韓国側による認識の「軽さ」は極めて問題だが、一方で冷戦終結という世界史的な出来事の影響を考えると日本の存在感低下という現象は必然のものだった。


韓国の文在寅大統領(写真:YONHAP NEWS/アフロ)
東アジア情勢を激変させた冷戦終結
 30年前に冷戦終結が宣言された時、ニュースの主要な舞台は旧ソ連を含む欧州だった。だが冷戦は世界全体の秩序を規定していたから、東アジアも無関係ではなかった。冷戦下の韓国は、朝鮮戦争で戦火を交えた北朝鮮とともに東西両陣営がにらみあう最前線だった。その韓国が社会主義圏との関係正常化を進められたのは、冷戦終結のおかげである。1988年にソウル五輪を開いた韓国は、冷戦終結の流れにのって社会主義圏との関係正常化を積極的に進めた。韓国が進めた「北方外交」のハイライトが、ソ連(90年)、中国(92年)との国交樹立だった。

 この時、朝鮮半島情勢を安定化させるためには日米両国と北朝鮮の関係正常化も必要だという議論が出た。中ソが韓国と、日米が北朝鮮とそれぞれ国交を結ぶ「クロス承認」をしないと地域情勢が安定しないと考えられたのだが、現実には日米と北朝鮮の関係正常化は実現しなかった。

 北朝鮮にとってみれば、これまで支えてきてくれた中ソ両国による裏切りである。北朝鮮の外相は当時、韓国との国交樹立方針を伝えるため平壌を訪問したソ連外相に独自の核兵器開発を進める考えを示唆した。北朝鮮はそれ以前から核開発を進めてはいたが、大きな国際問題となっていくのは90年代に入ってからである。

 北朝鮮とソ連(後にロシア)との関係が冷え込んだのはもちろん、中国との首脳級往来も90年代末まで途絶えた。北朝鮮は冷戦終結によって一気に国際的孤立を深めたのだ。社会主義諸国からの支援が途絶え、90年代半ばには天候不順にも見舞われて深刻な食糧危機に陥った。北朝鮮が冷戦終結時にうまく立ち回れなかったことが、現在の朝鮮半島情勢につながっている。

 そして、ポスト冷戦の世界ではグローバル化が進んだ。1978年に改革開放政策を始めた中国は、グローバル化の波にのって高度経済成長を実現させた。2010年には名目GDPが日本を抜いて、世界2位の経済大国に躍り出た。現在の習近平政権になってから、経済力を背景に既存の世界秩序に挑戦しようとしているのは周知の通りだ。韓国は、中国との向き合い方でも難しい選択を迫られるようになった。

 冷戦終結後の世界情勢は日本を取り巻く安全保障環境に大きな影響を与えたと語られるが、それは他国にとっても同じことである。特に冷戦下で「最前線国家」という窮屈な位置に押し込められていた韓国は、日本とは比べ物にならないほど大きな変化に見舞われた。それを忘れてはならない。

韓国の立場から見たポスト冷戦の世界
 韓国に駐在していた日本の外交官と20年近く前、酒を飲みながら交わした会話が忘れられない。打ち解けた雰囲気で話していた時、彼は「冷戦時代の韓国にとって世界というのは日本と米国だった」と言ったのだ。韓国の人たちには怒られるかもしれないが、それは真実を言い当てていた。

 前述したように、朝鮮戦争で全土が戦場となった韓国と北朝鮮の間には重武装の大軍同士が対峙する空間が広がっているだけで、相手方陣営との外交などありえなかった。しかも冷戦期の韓国は70年代に経済成長を果たしたとはいっても、経済的に弱体な途上国にすぎなかった。安全保障と経済の両面で、韓国は日米両国に頼らざるをえなかったのである。

 植民地支配の記憶が新しかった時代に反日世論が高まったとしても、政権としては野放図な反日を放置する余裕などなかった。象徴的なのが、植民地支配への謝罪なしでの日本との関係正常化に「屈辱外交」だと反発する世論を戒厳令で押しつぶした朴正煕政権の選択だろう。日本の陸軍士官学校で教育を受けた朴正煕を「親日的」と評する見方が日本にはあるが、私は少し懐疑的だ。植民地出身者に対する差別を体験したはずの人物に単純な「親日」を期待するのは、いささかナイーブすぎる。むしろ現実主義者として、日本の資金と技術なしに経済開発を進めることはできないと判断したと考える方が自然だ。他に道がないから反日ナショナリズムを力づくで抑えたのだろう。

 だが、前述したように1980年代の世界情勢を受けて「韓国にとっての世界」は大きく変容する。1985年にソ連のゴルバチョフ書記長が登場し、ペレストロイカを始めた。88年のソウル五輪には2大会ぶりに東西両陣営がそろい、経済成長を続ける韓国は東欧の社会主義国と次々に国交を結んでいった。そして89年に冷戦終結が宣言され、90年にソ連、92年に中国との国交を樹立する。「韓国にとっての世界」は日米だけではなくなった。この時期以降、韓国外交の中心として語られるようになったのは、日本、米国、中国、ソ連(ロシア)という周辺4大国を指す「四強」という言葉だった。

 それでも軍事同盟に裏付けられた米国との関係は、依然として安全保障に不可欠である。結果として、中ソを中心とする「他の国」が出てきたことで割を食ったのは日本の存在感ということになった。

 2003年に発足した盧武鉉政権は、国力伸長を背景に「韓国にとっての世界」をさらに広げようとした。盧武鉉政権の初代外交通商相である尹永寛氏は同年末の記者会見で、韓国外交の課題として「自主外交」を強調した。尹氏は会見で「わが国の国力に合わせたグローバルな外交を展開していくことが、我々の目標だ。四強に加え、EUやASEAN、中東などグローバルなレベルでより積極的な外交活動を繰り広げていく」と語った。そうした意気込みがすぐに結果として出てくるわけではないが、日米との関係が国家としての生命線という時代はとっくの昔に終わった。

経済でも日本への依存度は大きく低下
 冷戦終結と時を同じくして韓国経済は先進国水準に進入した。韓国は1996年、「先進国クラブ」と呼ばれた経済協力開発機構(OECD)に加入。2010年には途上国支援を担う主要先進国29カ国と欧州連合(EU)がメンバーとなっているOECD開発援助委員会(DAC)に加盟した。第2次世界大戦後に独立した旧植民地で「援助される側」だった国としては、現在でも唯一のDACメンバー国である。韓国の経済成長は称賛に値する。

 韓国の一人当たり国民所得は、朝鮮戦争直後の50年代後半には100ドルにも満たなかった。当時の世界でも最貧国の一つである。そこからの驚異的な経済成長には、65年の国交正常化を受けて日本から供与された資金と技術が大きく寄与した。この点については、韓国で知られていないとか徴用工訴訟と請求権協定の関係などと脇道に入るときりがないので、ここでは深入りしない。

 韓国が日本に頼ったのは資金と技術だけではない。貿易相手としても、日本は米国と並んで重要な相手国だった。日韓国交正常化から5年たった70年を見ると、韓国の貿易相手国としてのシェアは日本が37%、米国が34.8%で合計すると7割に達した。日米の比率は徐々に落ちていくが、90年でも日本23.1%、米国26.9%で貿易全体の半分が日米を相手としたものだった。ただ日米合計の比率が50%を超えたのは90年が最後で、その後は直線的に落ちていく。韓国がOECDに加盟した96年には30%台となり、04年には20%台、11年にはついに10%台となった。昨年(18年)は日本7.5%、米国11.5%で計19%である。

 80年代から細々とした交易が始まった中国のシェアは90年に2.1%だったが、01年に10.8%、09年には初めて2割の大台に乗せるとともに日米合計(20.1%)を上回る20.5%と順調に伸びた。昨年は23.6%に達している。

 注目すべきは、日米中3カ国のシェア変動だけではない。3カ国を足しても昨年のシェアは4割強だ。かなり大きな数字ではあるものの、日米の2カ国で7割だったほどの寡占状態ではない。韓国は既にGDP規模で世界10位前後の経済力を誇るようになっており、それに伴って貿易相手も多角化が進んでいるのだ。

 結局、政治と経済の両面で韓国にとって特別な国だった日本の位置づけは、冷戦終結を前後して大きく変わらざるをえなかった。どちらも不可逆的な変化だから、かつてのような状況に戻ることはありえない。これからの日韓関係はそれを前提にしたうえで考えていかねばならないのに、こうした変化に対する認識が両国ともに不十分というのが現状だ。この点にもっと注目すべきだろう。

(次回は、冷戦終結と時を同じくして起きた韓国の民主化についても考えます。)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15370


 
韓国国会議長による「天皇謝罪」発言の裏側

日韓関係の構造的変化を考える(1)
2019/02/13

澤田克己 (毎日新聞記者、元ソウル支局長)

 韓国国会の文喜相議長が米ブルームバーグ通信とのインタビューで、天皇陛下が元慰安婦の手を握って謝罪すれば「その一言で問題は解決する」と述べた。河野太郎外相はこの発言に対し「(慰安婦問題は)日韓合意で完全、最終的に決着したと考えている。韓国側も特に再交渉その他を求めていないとのことなので、しっかりとした正しい認識で発言をしてほしい」と不快感を表明した。


2017年5月に韓国大統領の特使として文喜相氏は来日している(写真:ロイター/アフロ)
近年、よく見る光景だが……
 菅義偉官房長官によると、外交ルートでの抗議に対して韓国側は「早期の日韓関係改善を願う思いが出たもので、報道のされ方は文氏の本意ではなかった」と説明したという。韓国の外交当局は、なんとか火消しをしたいと考えたのだろう。ところが聯合ニュースによると、文議長はさらに訪問先の米国で「日本の責任ある指導者が、慰安婦のハルモニたちの納得できるような心からの謝罪をすることが優先されなければ」と語ったという。天皇を「指導者」と思っているような節があるが、その程度の浅い理解から出ている発言ということだ。

 最近の日韓関係を見ていれば想像のつく展開だが、安倍晋三首相は12日の国会答弁で「発言を読んで本当に驚いた。強く抗議をするとともに謝罪と撤回を求めた」と語った。これに対し、同日の記者会見で「謝罪するよう議長に勧めるのか」と聞かれた韓国外務省の報道官は直接の回答を避け、対応に苦慮していることをうかがわせた。

 日韓関係では近年、こうした光景を見ることが多くなった。それは「進歩派の文在寅政権だから」とか「右派の安倍晋三政権だから」ではなく、ここ四半世紀ほどで起きた両国関係の構造的変化を反映したものだ。一部の人が語る「文政権が終わりさえすれば」「安倍政権はひどすぎるから、次になれば」というのは、根拠のあやふやな希望的観測でしかない。政治的な関係は一時的なアップダウンを繰り返すものだから、政権が変われば多少の変化は出てくるはずだ。ただし、現在の日韓関係はかつてとは質的に変わっているという根幹は変わらない。構造的変化を踏まえたうえで双方が賢明なアプローチを取らなければ、本質的な関係改善は難しいように思える。

 もちろん長期的に見れば落ち着きを取り戻すだろうが、それには数年という単位ではない長い時間が必要かもしれない。昔の構造が頭にしみついた古い世代の意識に問題があるので、先入観を持たない若い世代の交流が大切になる。ただ現時点でも構造的変化の実相を知ることはできるし、そうした知識を持てば適切な対処をできるかもしれない。韓国の国会議長による信じがたい発言の背景にある日韓関係の構造的変化とは何か、数回に分けて改めて考えたい。

日本側の反応を予想しようとしない「軽さ」
 国会議長の発言を見て、私はソウル特派員をしていた2012年8月に李明博大統領による似たような発言があった時のことを思い出した。あの時は李氏による竹島上陸直後であり、そもそも大統領という最高指導者の発言だっただけに日本側の反応はきわめて激しくなった。韓国側でも「あれは行きすぎた発言だった」と批判されたが、それは日本側の反応を見てから出てきたものであるように思えた。

 文議長と李元大統領の共通点は「日本側の反応をあらかじめ考えることなく発言した」ことである。別の言い方をすれば、日本との関係に細心の注意を払おうとする感覚の欠如だろう。現在の文政権は発足当初には日韓関係に配慮しようとしていたが、米朝首脳会談や南北首脳会談など北朝鮮との対話が進んできた昨年夏ごろからはそうした姿勢が薄らいでいる。文在寅大統領が今年の年頭記者会見で徴用工訴訟について質問された時に、過去の不幸な歴史に起因する問題だと指摘して「日本政府がもう少し謙虚な立場を取るべきだ」と語って日本側の反発を買ったのも同じことだ。徴用工問題が日韓関係の根底を突き崩しかねないという日本側の懸念は、韓国側では一部の専門家にしか共有されていない。

 直近の日韓関係のイシューといえば、韓国海軍艦艇による自衛隊機へのレーダー照射問題だ。日本では大きく報道されたが、韓国メディアでの関心はいまひとつだった。1月下旬に会った駐日韓国大使館の政務担当者は「さすがに日韓関係がここまで悪くなってくると韓国政府内では関心が高まってきたけど、一般の人はそうでもない。韓国は国内政治がゴタゴタしすぎているから、人々の関心が向くのはそちらばかり」と困ったように話していた。

 レーダー問題では韓国側主張に無理が目立ったから、日本側に強い不信感を抱かせてしまった。それだからか日本では韓国側の不可解な強硬姿勢に対して「文政権が支持率上昇を狙った」という解説が一部に出たが、こうした十年一日のような珍説にはため息しか出てこない。そもそも政権発足当初に比べて下がったとはいえ、文氏の支持率は40%台後半だ。文政権は支持率を強く気にする傾向にあるとはいえ、外交的な無理をしてまでと考えねばならない水準ではない。本当の専門家はこんな無責任なことを言わないので、発言者を信用できるかどうかのバロメーターには使えるかもしれないけれど…。

韓国大統領の支持率調査に出てこない「日本」
 では実際には、韓国の世論はどうだったろうか。

 防衛省が「韓国の駆逐艦から火器管制レーダーの照射を受けた」と発表したのは12月21日だった。韓国ギャラップは毎週金曜日に大統領支持率を発表している。ちょうど21日は金曜日で、この日発表された支持率は前週比1ポイント増の46%だった。間の悪いことに年末年始は調査を休むので、次の数字は3週間後の1月11日で48%。上がっているとはいえ誤差の範囲内だ。

 その間、防衛省は12月28日に動画を公開し、韓国国防省は1月4日に反論動画を公開した。その後も防衛省が探知音を公開したり、二国間協議での日本側の対応を韓国国防省の報道官が「無礼」と言ったことで感情的な反発を日本側に生んだりと対立は深まった。2月5日には防衛省が、4月に予定していた海上自衛隊護衛艦「いずも」などの釜山港寄港を見送ることを韓国側に通知したと発表した。

 そして文氏の支持率は48%(1月11日)→47%(18日)→46%(25日)→47%(2月1日)だった。ほとんど変化なしである(旧正月連休のため2月8日は発表なし)。

 同社の調査は自由回答で「支持理由」と「不支持理由」を挙げてもらう。いくつか理由を挙げてもらった上で、同社が分類して発表する形式だ。それぞれ20項目くらいずつにまとめ、前週からの増減が大きいものには表示がされる。文政権の場合、いつも「北との関係改善」が支持理由、「経済・民生問題を解決できない」が不支持理由のそれぞれトップになる。

 理由に「日本」が出てくるのは今まで見たことがないのだが、1月25日発表では支持理由に「外交をうまくやっている10%(前週比3ポイント増)」とあった。同社に電話して具体的に聞いてみると、担当者は「米国と北朝鮮の間をうまく仲介して2回目の米朝首脳会談を実現させたという回答がほとんどですね」。よく見たら不支持理由に「外交2%」というのがあったのだが、これには「外交がらみのいろんな回答を集めて2%ですからねぇ。日本がらみがないわけではないけれど、少なすぎて意味のある数字として出せません。韓国の外交にとって重要なのは、圧倒的に米国と中国です。日本との関係も特別なイシューがあれば回答に入るかもしれないけれど、日常的にそうしたことは起こりません」という答えが返ってきた。

 韓国メディアの報道を見ていても同じことだ。日本側がレーダー問題で大騒ぎしていても韓国側では小さな扱いが続いた。こうした光景は、近年の日韓関係では珍しくない。世論を強く刺激する慰安婦問題についても同じことで、韓国世論の関心は日本で考えるほどには高くない。韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協、日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯に改名)が昨年初めに青瓦台(大統領府)サイトで行った電子署名は、1カ月で1919人しか集められなかったほどだ。慰安婦問題への韓国社会の関心という問題については、「『慰安婦の日』が騒ぎにならなかった理由」(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/13713)や毎日新聞サイトのコラム「挺対協は過大評価されていないか」(https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20180727/pol/00m/010/004000d)で詳しく紹介した。

日韓の温度差を生んだ冷戦終結とグローバル化、そして…
 ここで挙げた事象について韓国世論や政治家が熱くなっていないというのは、落ち着いているとか冷静というのとは違う。政治家などはマイクを向けられたら強硬発言をしてしまいそうだから、まったく当たらない。そうではなくて単純に、「考えていない」というに尽きるから始末に悪いのだ。日本政府の対応も満点とは言い難いが、韓国側対応の「軽さ」には目を覆いたくなるものがある。

 こうした状況が生まれた背景にあるのは、30年前の冷戦終結であり、その後のグローバル化の進展だ。さらに韓国の経済成長と民主化、日本のバブル崩壊という要因が重なっていった。韓国にとっての日本の重要度は低下し、冷戦下の韓国には許されなかった「ジャパン・パッシング」すら可能になった。

 それまでの韓国では日本の存在感は圧倒的に大きかった。植民地支配された歴史を考えれば韓国側には面白くなかったことだろう。それだけに現在は反動で、ことさらに日本を「軽く」見ようとしているように感じられる。それが、この30年間に相対的な国力低下に見舞われた日本側を強く刺激してしまう。現在の日韓関係はこうした構造に入っているから、簡単に好転はしない。相手との新しい関係性に互いが慣れていかねばならないからだ。その手始めとして、この30年間に何が起きたのかを改めて考えてみるべきだろう。

(次回は、冷戦終結やグローバル化が日韓関係に与えた変化を考えます。)
→2回目:「日本は韓国にとって”特別な国“」は冷戦終結で終わった​
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15343
http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/562.html

[経世済民131] 物価「2%にこだわらないで」=金融政策で注文−全銀協会長 マイナス金利政策3年(大機小機) 
物価「2%にこだわらないで」=金融政策で注文−全銀協会長
2019年02月14日19時54分

 全国銀行協会(全銀協)の藤原弘治会長(みずほ銀行頭取)は14日の定例記者会見で、日銀の金融政策について、「物価目標の2%にこだわり過ぎるべきではない」と述べ、目標を一定の幅で示すなど柔軟に見直すよう求めた。
 物価上昇率を2%に高める目標に固執して強力な金融緩和を続ければ、地方銀行などの経営体力の低下が深刻化することに懸念を示した発言。日銀は2%を超えるまで強力な緩和を続ける方針だが、足元の物価は1%未満で、達成は程遠い状況だ。(2019/02/14-19:54)

【経済記事一覧へ】 【アクセスランキング】


https://www.jiji.com/jc/article?k=2019021401251&g=eco


 

マイナス金利政策3年(大機小機)
2019/2/15 15:30
保存 共有 印刷 その他
日銀がマイナス金利政策を導入して3年がたつ。この異例の政策は日本に何をもたらしたのか。

2%の物価目標の達成を助けなかったことは明らかだ。それどころか筆者には、経済活動にプラスに働いた証拠さえ見いだすことができない。

マイナス金利政策はその内容、タイミングともに、サプライズを狙ったことが明白だ。「政策金利は0%が下限」という中央銀行にとっての常識と「金利はプラス」という世間の常識を打ち破ることで、「もしかしたら劇的な経済効果を生むのではないか」との期待を高めることが意図されていた。

しかし、金利の符号が変わった途端に政策効果が一気に高まるという経済理論はない。しかも、実際にマイナス金利で資金を貸借するのは、銀行間にとどまるのだ。企業や個人にとっては、それまでの借入金利や預金金利が微小に低下したにすぎない。異例の低金利が長期化する中で金利が追加的に微小に下がったくらいでは、経済活動を大きく刺激するはずもない。

他方、マイナス金利の世界に住む銀行は、収益環境が一段と悪化してしまった。そのもとで景気がひとたび悪化すれば銀行経営は揺らぎ、金融仲介機能の低下が経済に甚大な悪影響を与える。マイナス金利政策はその効果よりも副作用の方が圧倒的に大きい。

この政策は、人々や政府が金融政策への評価を大きく変えるきっかけにもなった。景気情勢が比較的良好で、人手不足など経済の供給制約が深刻さを増す中で、日銀は2%の物価安定目標の達成のみに過度にこだわった。日銀のこの姿勢は、金融政策に対する強い不信感と恐怖を生み出したのだ。それ以降、政府は、景気と雇用情勢が良好である限り「日銀に無理な追加緩和を実施してほしくない」という考えに転じたのだろう。

実は、日銀の政策自体も、マイナス金利政策の失敗をきっかけに大きく変容している。それ以降は、国債の買い入れ増加ペースの縮小を着実に進めるなど、異例の金融緩和がもたらす副作用に配慮して、事実上の正常化措置を実施してきた。その過程では、異例の緩和策を主導してきた総裁の指導力も低下したのではないか。マイナス金利政策の導入をきっかけに一番変わったのは、日銀自身かもしれない。

(神羊)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41314650V10C19A2EN2000/
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/165.html

[経世済民131] 利上げは遠く次は追加緩和 金融緩和懐疑派が追加緩和を議論し始めたワケ (グラフ)日本に忍び寄るマイルドなデフレ
2019/02/15

利上げは遠く次は追加緩和
早川英男

執筆:フィナンシャル・ポインター 編集部
日本銀行元理事の早川英男氏が、次の日銀の政策変更は正常化ではなく追加緩和になる可能性が高いと示唆した。
追加緩和となれば、日銀当座預金の付利引き下げではなく、マイナス金利での企業融資などを考えるべきと話した。

日銀の20年度の物価上昇率の見通しは1.4%にすぎず、(超低金利状況の)長期化は避けられない。
それどころか米国が今後、景気後退に陥って金融緩和に動けば、日銀も円高株安を防ぐため、追加緩和を迫られる可能性がある。

早川氏がSankeiBizのインタビューで話した。
同氏の予想どおり、日銀が今後数年のうちに意味のある大きさの金融緩和の巻き戻しを行えると考える人はほとんどいるまい。
景気拡大が長く続いたため、仮に最後に打ち上げ花火が揚がるような景気拡大があったとしても、その後速やかに景気が後退を始めると見る人が多い。

レイ・ダリオ氏率いるブリッジウォーターなどは、今後の米景気が急悪化ではなく長い時間をかけてじりじりと悪化していくと予想している。
1990年代の日本を彷彿とさせる不吉な予想だ。
日本経済や日米の市場についても推して知るべし。
だらだらと下落する相場は投資家にとって最も始末が悪い。

景気後退が現実のものとなれば、各国とも下支えのための景気刺激策をとらざるをえない。
日米などは必ずしも財政状況がよくないから、財政政策のスペースは限られてくるだろう。
ならば、やはり金融政策に期待がかかってしまう。
米FRBはFF金利誘導目標を2.25-2.50%まで引き上げ済みだから、少なくとも2%あまりは利下げ余地がある。
一方、日銀はすでにマイナス金利政策をとっており、長期金利ターゲットも0%。
日本でも金利をマイナス圏に沈めることへの反対意見が根強く、追加緩和の余地はほとんどない。

量的緩和についてはバーナンキのジョークで示されているとおり、量(マネタリー・ベース)を増やすだけでは効果はない。
期待に働きかけることが1つの可能性だが、米国についてはケネス・ロゴフ教授、日本についてはポール・クルーグマン教授が、オッズは高くないと示唆している。
また、日銀の検証によれば、量的緩和で実施される長期国債買い入れが長期金利を(少なくともある期間)引き下げるとされている。
これは強力な金融緩和効果を持ちそうだが、日本の場合、長期金利はすでにゼロ近傍にあり、社会がマイナス金利を受け入れないなら拡大が難しい。
長期金利まで深くマイナス圏に沈めれば、金融システムに不測の事態が起こりかねないとの懸念は少なくない。

(次ページ: 残された追加緩和は何か?)


 では他に何がありううるのか、早川氏はこう指摘する。

(マイナス金利深堀りは)導入時にスティグマ(汚名)を負ったため、難しいかもしれない。
日銀が地銀などに利ざやを確保させた上、企業にマイナス金利の融資を提供するなどの新たな手法も考えられる。

早川氏は以前にも、日銀から市中銀行へのマイナス金利の貸し出しを提案している。
例えば、日銀が市中銀行に資金を▲2%で貸し付け、市中銀行が顧客の例えば設備新設資金として金利▲1%で貸し付ける。
目的は例えば生産性向上に資する設備投資の促進であり、市中銀行は設例では1%のスプレッドを取れる。
目的は別として、こうした制度は過去にも存在しなかったわけではない。
2001年に廃止された手形再割制度などが似ているかもしれない。

このやり方のメリットは設備投資の促進だ。
金融緩和の重要な作用は市中銀行の貸出金利を押し下げることであり、このやり方でも同様のことが起こる。
デメリットは対象以外の貸出・債券についても金利を押し下げてしまうこと。
このやり方でも今世の中で騒がれている金融緩和の副作用は回避しきれない。

細かなルールについてもよく考えないと実効性がなくなってしまうだろう。
たとえば、貸出債権のデフォルトの責任を誰が負うか。
これは、市中銀行に負わせるしかないだろうが、その場合、設例のような1%のスプレッドで十分だろうか。
今議論しているのは景気後退期の話だ。
1%ばかりのスプレッドでは銀行は到底やりたがらないはずだ。
かと言って、これを大きく設定すれば、銀行への不相応な補助金との批判を受けかねない。

デフォルトのロスを日銀が負うなら、日銀による市中銀行を窓口にした代理貸しという形態に近くなる。
この場合の問題は明らかだ。
中央銀行が市中銀行という仲介機能を用いず、自ら信用リスクを取ることになる点だろう。
しかも、景気後退期にかなり幅広い信用リスクを取ることになる。
日本版共産主義、日本版ヘリコプター・マネーの完成のようにも感じられ、あらゆる意味でセオリー違反のように聞こえる。

落としどころとして、現在、中小企業向けに存在する信用保証協会のような入れ物が置かれるのかもしれない。
この場合は、事実上ロスを国家が被ることになる。
安きに流れる国ではいかにもありそうだが、モラル・ハザードや責任問題などが大きな議論となろう。

いずれにせよ、仮に景気後退が深刻なものになれば、伝統的金融政策が伸び切っている分、問題は一層深刻になろう。
しかし、だからと言って何も考えておかなければ、それはそれでポピュリストたちの食い物になりかねない。
高速道路、量的緩和の次はヘリコプター・マネーとならないよう、考えておくべきだ。 ページ: (1) (2)
- 国内経済 早川英男

Twitter
Facebook
Google+
はてブ
LINE
Pocket
RSS
feedly
関連記事
ドル円相場80円台の円高への処方箋:早川英男氏
エッシャーとシェアリング・エコノミー
早川英男氏:旺盛な設備投資があだに
早川英男氏:正常化すべきは金融でなく財政
早川英男氏:旬を過ぎた高圧経済論
早川英男氏:早くて2020年の出口がさらに遠のく

https://www.financialpointer.com/jp/%E5%88%A9%E4%B8%8A%E3%81%92%E3%81%AF%E9%81%A0%E3%81%8F%E6%AC%A1%E3%81%AF%E8%BF%BD%E5%8A%A0%E7%B7%A9%E5%92%8C%EF%BC%9A%E6%97%A9%E5%B7%9D%E8%8B%B1%E7%94%B7%E6%B0%8F/2/


 


ドル円相場80円台の円高への処方箋:早川英男氏
Twitter
Facebook
Google+
はてブ
執筆:フィナンシャル・ポインター 編集部
日本銀行元理事の早川英男氏が、景気循環の観点から円高進行の可能性を指摘し、FRBが利下げに転じればドル円は80円台もありうると話した。
そこでもしも金融政策がまた動員されるなら、残されたのはマイナス金利での貸出しかないという。

安倍政権は株価が命なので、円高がどんどん進む中で『日銀は何もできません』では持たない。
・・・(金融政策でやれるのは)マイナス金利での貸し出ししかない。

早川氏がBloobmergに語った。
なぜ、マイナス金利での貸出しかないのか。
ゼロ金利制約に捕まった日銀の道具箱に、もはやほとんど役に立つ道具が残っていないからだ。
2016年9月、日銀は「総括的な検証」によって量の目標の位置づけを後退させた。
これは暗に「量」(マネタリー・ベース拡大)の効果は重要でないと日銀が認めたことを意味する。

では、異次元緩和によって日銀が国債等を大量に買い入れたことに効果はなかったのだろうか。
決してそうではない。
日銀企画局のあるワーキング・ペーパーによれば、国債買い入れは長期金利を押し下げたという。
つまり、量的緩和のために行われた国債買い入れは、量を通じてではなく、金利を通じて景気を刺激したと考えられる。

行き詰る金融政策
では、「金利」には緩和余地があるのか。
すでにステルス・テーパリングで稼いだ長期金利のわずかなプラスも元に戻ってしまった。
金利をマイナス圏でさらに引き下げれば、預金金利を本格的にマイナスにするのでなければ、金融機関には甚大な影響が及ぶだろう。

最後の要素「質」についても、株式・REIT・社債の買い入れで、すでにリスク・プレミアムはかなり小さくなっている。
これ以上、リスク・プレミアムを小さくすれば、投融資する側のモチベーションも下がってしまうだろう。
株式などリスク資産市場が暴落したから買い支えるというならありえなくもないが、景気刺激策としての深堀はあまり効果がありそうにない。

つまり、金融政策は行き詰ったのだ。
論理的にありうるのは、やはりマイナス金利政策の深堀だ。
しかし、これには中央銀行が密接に関係する3つの資産クラスのいくつかに対して大きなマイナス金利を付す必要がある。

(次ページ: 3つのマイナス金利)

3つのマイナス金利
超過準備への付利
市中銀行から預かった超過準備への付利、これはほぼ市中銀行が預金者から預かる預金に転嫁される。
私たちの預金金利が大きくマイナスになり、銀行からの貸出金利が大きく下がれば、まだ景気刺激に役立つかもしれない。
ただし、この場合、預金者はタンス預金で対抗するだろう。
現金へのマイナス金利
タンス預金を防ぐために、現金に対してマイナス金利を課すことが必要になりうる。
これには、市中銀行が日銀に回金した際に課す、印紙の形で課すなどの方法もありうるが、利便性に著しく劣り、とても現実的とは言えない。
むしろ、高額紙幣を廃止し、通貨を電子化する方がはるかにエレガントだが、これにはかなりの時間がかかる。
日銀の貸出金利をマイナスに
日銀が市中銀行にマイナス金利で貸し、市中銀行の貸出金利を押し下げることで景気を刺激する。
これなら、大きな商習慣の変更なくすぐに行える。
日銀が市中銀行に払う金利は、リスク・テイクに対する補助金のようなものだ。
最近、元IMFチーフ・エコノミスト ケネス・ロゴフ教授は、FRBに有効なマイナス金利政策の検討を促した。
いつ訪れてもおかしくない景気後退に備え、金融政策のツールを整えておくべきとの危機感からだった。

さまざまなマイナス金利の消去法から、早川氏は3つ目の選択肢が選ばれると予想しているわけだ。
予想される、銀行に対する補助金批判について早川氏は

「金融機関が苦しいことが世間に浸透してきているので、意外にすんなり通ってしまう可能性がある」

と語っている。
実際、銀行は極端な金融緩和の被害者である面も強く、異論が出ても形ばかりのものになるのではないか。
なにしろ、説得力のある代案はほとんど提案されていないのだから。

景気後退期では無力か
ただし、早川氏の予想するマイナス金利での貸出が実現したとしても、景気刺激が有効に働くと決まったわけではない。
早川氏は、仮に景気後退が実現してしまった場合の金融界の置かれた厳しい状況を説明する。

「景気後退で倒産が発生し、信用コストが上がれば簡単に最終赤字に陥る
・・・ある種の信用不安は起こり得る」

銀行にとって、広範な貸出不良化の痛みは金融緩和の比ではない。
金融緩和では1%金利が下がれば大ごとだ。
しかし、不良債権では簡単に数十%もの価値が失われてしまう。
不良債権が大量に発生するような場合、銀行は合理的な対処として貸出を増やすのではなく減らそうとするだろう。 ページ: (1) (2)
- 国内経済 為替, おススメ, 早川英男

Twitter
Facebook
Google+
はてブ
LINE
Pocket
RSS
feedly
関連記事
早川英男氏:旺盛な設備投資があだに
早川英男氏:ドル高は動かない
早川英男氏:マイナス金利深掘りは0.5%まで
早川英男:将来の財政コストを隠す日銀
早川英男氏:やり過ぎと怠慢
早川英男氏:長期金利ターゲット変更はサプライズに
https://www.financialpointer.com/jp/%E3%80%90%E8%BC%AA%E9%83%AD%E3%80%91%E9%87%91%E8%9E%8D%E7%B7%A9%E5%92%8C%E6%87%90%E7%96%91%E6%B4%BE%E3%81%8C%E8%BF%BD%E5%8A%A0%E7%B7%A9%E5%92%8C%E3%82%92%E8%AD%B0%E8%AB%96%E3%81%97%E5%A7%8B%E3%82%81/


 


【輪郭】金融緩和懐疑派が追加緩和を議論し始めたワケ
 
執筆:フィナンシャル・ポインター 編集部
景気拡大が長く続くにつれ、景気後退も近づいているのではないかとの警戒感が高まっていく。
景気後退入りの際に政府・中央銀行がとりうる政策を予想する人も増えたが、これまで追加緩和に懐疑的だった人たちまで輪に入り始めたのはなぜなのか。(浜町SCI)

同時進行でもう1つ疑問がある。
最近、高名な投資家が社会問題を論じることが多くなった。
レイ・ダリオ氏、ジェフリー・ガンドラック氏などを始めとして、多くの投資家が格差拡大やポピュリズムについて問題視する発言をしている。
従来は、投資家の多くはむしろ政治的信条を見せないようにすることが多かったように思うが、最近は様変わりだ。
もちろん、政治や金融政策が極端な状況に置かれているという背景もあろうが、それではやや雑すぎる理解だろう。

金融政策にスポットを当てると、多くの人が非伝統的金融政策・極端な金融緩和に対して危機感をもっているのだろう。
もちろん、危機対応としては有効だったのだが、その効果が今後払わなければならない不可知のコストと比べて十分に高かったのかどうか怪しい。
FRBは《量的緩和の罠》に陥りそうに見え、利上げも停止したことを考えれば、FRBは《金融緩和の罠》に陥ってしまったのかもしれない。
次の景気後退期もさらに罠に深く落ちていくしかないのか、不安視するのも当然だ。

金融緩和に懐疑的な人たちも、今、急激に緩和をやめられるとは思っていない。
そうすれば、少なくとも市場は大混乱に陥り、おそらく実体経済も道連れになるだろう。
そして、懐疑派が何より恐れているのは、二の轍を踏むことだ。

非伝統的金融政策は、何か問題があるから伝統とはなりえなかったやり方だ。
前回、懐疑派は理にかなった当たり前のことを言い続けた。
結果、どうなったか。
そこにポピュリストが忍び寄るのだ。
《私には国民が努力しなくても問題を解決するすごい政策がありますよ》と言って票を買うのだ。
その結果、日銀はもう6年の長期戦を強いられている。
1-2年ならば褒められたかもしれないが、この長さとなると人心も離れる。
かといって、日銀はもはや塹壕の中にこもって、防戦を続けるしかなかったのだ。

近い将来、日米の経済に景気後退が訪れた時、実効性のある政策は少ない。
FRBはいくらか利下げできるが、日銀はほとんどその余地がない。
いろいろ考えても、めざましく優れたツールなどあるはずがない。
あればとっくの昔にやっている。
しかし、だからと言って、再び何も提案がなければ、またまたポピュリストが現れるかもしれない。
今度はさらにエスカレートした《すごい政策》を持ってくるのだろう。
たとえば、真正のヘリコプター・マネーなどだろうか。

だから、心の中では金融政策はもう十分すぎると考えている懐疑派も、追加緩和の方策を与えなければならない。
効果が薄くても副作用がないツールを考え、政治家のおもちゃとして提供しなければいけない。

レイ・ダリオ氏は最近しばしば、次の景気後退期の政策対応について懸念を述べる。
あまり詳細な予想を語りはしないが、心配はよく理解できる。
不況の中で困窮した人たちが、好景気ならば犯さないような間違った判断を下すかもしれない。
そう考えると、緩和に懐疑的なエコノミストが追加緩和を模索し、いつもはノンポリな投資家が政治問題を心配する構図もすんなり理解できるのである。
- Exclusive, 海外経済, 国内経済, 政治

 
【グラフ】日本に忍び寄るマイルドなデフレ
IMF:日銀スタッフの予測を公表せよ
消費増税・軽減税率・ポイント還元の言いようのない違和感
【書評】1985年の無条件降伏-プラザ合意とバブル
【書評】日本経済再生 25年の計
【書評】日銀と政治-暗闘の20年史
https://www.financialpointer.com/jp/%E3%80%90%E8%BC%AA%E9%83%AD%E3%80%91%E9%87%91%E8%9E%8D%E7%B7%A9%E5%92%8C%E6%87%90%E7%96%91%E6%B4%BE%E3%81%8C%E8%BF%BD%E5%8A%A0%E7%B7%A9%E5%92%8C%E3%82%92%E8%AD%B0%E8%AB%96%E3%81%97%E5%A7%8B%E3%82%81/


 


2019/02/03

【グラフ】日本に忍び寄るマイルドなデフレ
 
執筆:浜町SCI
日本に再びマイルドなデフレが忍び寄っている。
予想インフレ率の実測値であるブレークイーブン・インフレ率(BEI)からそんな心配が垣間見えてきた。(浜町SCI)

浜町SCIでは毎月、日米の国債利回り、物価連動国債利回りの表を整備し、ダウンロードできるよう掲載している。
以前は毎月コメントを公表していたのだが、アベノミクス開始後それを取りやめた。
異次元緩和の下の《公定金利》にコメントすることに大した意義が見い出しにくくなったからだ。
しかし、最近、再び金利、とりわけイールド・カーブ・コントロール(YCC)の直接の操作対象でない実質金利に注目する意味が出てきたかもしれない。
理屈より先に現実を見てみよう。
実質金利としているのは物価連動債利回り、名目金利としているのは固定金利の国債利回りである。

8年もの実質(青)・名目(赤)金利とブレークイーブン・インフレ率(緑)
http://www.hamacho.net/column/wp-content/uploads/2019/02/b3ff7a6e69bb6b12ec401d5805c6b765.png

BEIとは名目金利と実質金利の差で定義され、市場のインフレ予想の実測値という位置づけだ。
(日本の場合、市場の薄さから実質金利とBEIの精度という点でやや問題があるのだが、時系列での推移を見る限りある程度の意味はあるだろう。)
この8年のBEIが1月末で-0.02%と2016年2月末以来のマイナス圏に沈んだのだ。
これは、市場が今後8年間で物価がわずかに下落すると予想していることを意味する。

異次元緩和のリフレ効果は開始から1年で峠を越え、その後は低下が続いた。
多くの識者が量的緩和は短期決戦であるべきと語っていた話を裏づけるような展開だった。
市場の期待をアンカーする戦略は、1年経ったあたりからアンカーが外れてしまったようだ。
これを消費増税のせいにするのは都合のよい作戦だが、その後の推移を見ても本当にそれだけの問題なのかは明らかでない。

前回BEIが水面下に沈んだ2016年2月と言えば、日銀がマイナス金利導入を決定した翌月だ。
それまでBEIは低下を続けていた。
マイナス金利導入は一時的にネガティブに受け入れられたが、同年9月のイールド・カーブ・コントロール導入もあって、BEIは持ち直しの兆しを見せた。

しかし、そのBEIが昨年の夏あたりから再び低下を始めたのだ。
名目金利がYCCである程度固定されている中にあって、BEIの低下は主に実質金利の上昇によって起こった。
上昇を続ける米金利についに円金利が引きずられるような効果もあったのかもしれない。
あるいは、円の実質金利上昇に円高圧力を見い出す人もいるかもしれない。

7-8年の金利とは、日銀が最も景気刺激効果があると考えている年限だ。
そのBEIが低下している。
前回はこの時、政策対応が行われたが、今回はどうだろう。
やれる政策はあるのだろうが、同時に副作用も大きくなっている。

グラフ上のリーマン危機の時代と比べれば、今の段階はまだデフレというよりディスインフレだ。
これから大きな悪化がない限り深刻なデフレとはならず、マイルドなデフレというべき範囲にとどまろう。
では、このマイルドなデフレを、日銀は前回のように目の敵にするのだろうか。
日銀の公式見解は直に明らかになろう。
仮に日銀が、諸悪の根源を(マイルドでも)デフレと見るなら、政策対応でデフレ潰しにかかるだろう。
仮に、さほど大掛かりな対応を採らないなら、日銀は(マイルドな)デフレ犯人説を取り下げたことになる。

世間では、実は実質賃金が低下していたことで大騒ぎしている。
これは、異次元緩和やアベノミクスという政策の枠組み自体に対する疑問を投げかけている。
さらに日銀は、リフレという枠組み自体について、自ら踏み絵を踏まされることになる。
- Exclusive, 国内経済, 政治 為替, おススメ, 日本国債

 
関連記事
試されるイールド・カーブ・コントロール
【First Read】日銀の脚注を読む
【輪郭】イールド・カーブをめぐる戦い
佐々木融氏:ツイッター円高の恐れ
加藤出氏:緩やかな円安が続く
ピーター・シフ:バブル崩壊の2つシナリオ
https://www.financialpointer.com/jp/%E3%80%90%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95%E3%80%91%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AB%E5%BF%8D%E3%81%B3%E5%AF%84%E3%82%8B%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%83%89%E3%81%AA%E3%83%87%E3%83%95%E3%83%AC/
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/166.html

[経世済民131] あっぱれFRB、政策変更を波乱なく市場に浸透させたその手腕  
あっぱれFRB、政策変更を波乱なく市場に浸透させたその手腕
2/15(金) 6:10配信 MONEY PLUS

米政治の混乱や企業業績などの懸念材料はあるものの、日米の株価は昨年10〜12月期とは異なり、落ち着きを取り戻しています。

https://res.cloudinary.com/hya19ty1g/image/upload/f_auto,q_auto:good/v1/moneyplus/NEWS/20190215_amone_1
【図表】日・米・豪の不動産市況はどうなっている?各国REIT指数の推移

今回はこの背景、特に米連邦準備理事会(FRB)の政策変更について、お話しします。

FRBが行った政策変更とは
株価が落ち着きを取り戻した理由としては、米金融政策のスタンス変更が示唆されたことの影響が大きいと私は考えています。

米国の中央銀行である米連邦準備理事会(FRB)は、1月30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明で、昨年12月まで示し続けていた政策金利引き上げの意向を削除しています。そして、FOMC後の記者会見でパウエル議長は、資産縮小の停止を早める考えも示しました。

伝統的な金融政策である「政策金利の引き上げ/引き下げ」と非伝統的な政策である「資産購入/資産圧縮」、そのどちらにおいても、これまでの「引き上げ+資産圧縮」という方向性を変更する可能性が示唆されたのです(以下、この示唆を「政策変更」と記します)。

この政策変更に対しては、(1)政策目標を株価に変えた、(2)トランプ大統領の圧力に屈した等、皮肉な見方をする方もいるように思います。FRBも公権力の主体ですから、権力の暴走をチェックするため、批判的な意見があることは重要であると考えます。

しかし、経済・投資環境認識という観点からは、今回FRBは極めて適切な判断をしたと私は考えています。

今回の政策変更は何が“適切”だったのか
1つは、政策変更のタイミングです。実は政策変更は、「FRBは市場が織り込む水準よりも実際はもっと景気が悪いという認識を持っている」と市場が解釈してしまい、株価のマイナス要因になる可能性もありました。また、トランプ大統領のFRB批判発言があったため、政策変更は中央銀行の独立性に対する疑義を生み、長期金利の上昇を招く可能性もありました。

仮に、今回の政策変更が昨年の10〜12月期に行われていた場合、上記のような株価下落+金利上昇に陥る可能性が十分にあったと私は考えていますが、今年の1月まで我慢強く待ったこともあり、政策変更は市場に大きな悪影響を与えませんでした。これは素晴らしい成果と評価するべきと私は考えます。

もう1つは、政策変更自体への評価です。非伝統的な金融政策が採用されたとき、非伝統的金融政策の出口、即ちその終了は大きな困難を伴うという見方・批判がありました。

例としては、出口政策は景気が好調でインフレが懸念される局面、すなわち長期金利が上昇しやすい状況で実施されます。そして、政策金利を引き上げると長期金利も上昇しやすく、資産圧縮も国債の需給に影響を与え、長期金利が跳ね上がるという考え方です。

今後、直ぐにではないにしろ政策金利が引き下げに向かうのであれば、出口政策が完了したと考えることもできます。それにもかかわらず、米10年国債金利は2%台後半で安定しており、懸念された長期金利の上昇は発生していません。これは、FRBが困難といわれた出口政策をやり遂げたという評価も可能であると考えます。

次ページは:今後注目すべきは不動産市場

今後注目すべきは不動産市場
それでは、この政策変更は今後市場にどのような影響を与えるのでしょうか。FRBは政策金利であるFFレートの誘導水準レンジを、前回利下げ時の最も低い水準であった「0.00〜0.25%」から「2.25〜2.50%」まで引き上げることに成功しています。

今後、仮に緩和的な金融政策が必要になったとした場合、「2.25%、1回あたり0.25%の引き下げと仮定すると合計9回」の引き下げ余地を確保したことになり、仮に景気が後退局面に入ったとしても、引き下げによる政策対応余地があります。

今回のことを契機として、米国以外の「これまで金融政策正常化が意識されていた国など」においても、正常化が一層緩やかになる、もしくは停止される可能性を市場は意識し始めるかもしれません。

これは、米国で緩和方向への金融政策変更が起こった場合に、仮に他の国で正常化・引き締め方向の金融政策を継続した場合、為替が米ドル安・自国通貨高になる可能性を回避することが考慮される可能性があるためです(なお、オーストラリア準備銀行のロウ総裁は2月6日講演で従来比では利下げの可能性が高まったことを示唆しました。インド準備銀行は2月7日政策金利を0.25%引き下げると決定し即日実施しました。)。

通常、金融政策が緩和的に変更された場合、他の要因が変化しなければ不動産価格の上昇要因になると思われます。実際に日本、米国、豪州のREIT市場は、2018年後半に調整局面に入ったもののその後の反発が顕著で、直近は過去1年の高値近辺にあります(冒頭「日・米・豪の不動産市況はどうなっている?各国REIT指数の推移」参照)。

今後のREIT市場の動向にも注目したいと考えます。

柏原延行(アセットマネジメントOne チーフ・グローバル・ストラテジスト)

前へ
1
2
次へ
2/2ページ

【関連記事】
アベノミクスで年収400万円台の人々は投資をするようになったのか
むしろ今がチャンス?魅力高まる配当利回り株投資
銀行不要論にNO!“投資のプロ”が「三菱UFJ株」を推す理由
日米で株価の戻りが異なるワケ
早くも春の兆し?相場見通しが改善すると考えられる理由

最終更新:2/15(金) 6:10
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190215-00010000-moneyplus-bus_all&p=2
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/167.html

[不安と不健康18] 9時5時勤務は夜型に不利、脳の働きに影響も=英研究
9時5時勤務は夜型に不利、脳の働きに影響も=英研究

2019/02/18

BBC News


早起きして活動する「朝型」の人と夜に活動的になる「夜型」の人では、学校や職場の稼働時間の脳の働きが異なることが、イギリスの大学の研究で明らかになった。

学術誌「Sleep」に掲載されたこの研究では、午前2時半に寝て午前10時15分に起きる夜型の人と、午後11時前に寝て午前6時半に起きる朝型の人の脳をスキャンして働きを比べた。

その結果、午前8時から午後8時までの時間帯では、夜型の人の脳内では集中力を司る領域の活動が少ないことが分かった。また注力が散漫になる、反応が遅くなる、眠気といった傾向がみられた。

研究チームは、夜型の人は典型的な勤務時間の「制約」で不利な状態にあると指摘した。

学校や職場の稼働時間は、夜型の人にとって体の自然なサイクルではない。研究チームは、こうした状況が健康に与える影響をもっと調査する必要があると呼びかけた。

「体内リズムと戦っている」
研究ではまず、朝型と夜型、計38人の休息時の脳の働きを核磁気共鳴画像法(MRI)で測定した。

その後、午前8時から午後8時にさまざまなテストをこなしてもらい、眠気の度合いを報告してもらった。

朝型の人たちは朝早い時間のテストで最も眠気が少なく、反応も速かった。またこの時間帯、夜型の人よりもテストの成績が格段に上だった。

一方、夜型の人たちが最も眠気が少なく、反応が早かったのは午後8時台だった。しかしテストの成績は、この時間帯でも朝型の人と比べて非常に良いということではなかった。

朝型の人たちは、良い成績と眠気の少なさを示す脳の領域が、常に極めて活発だった。このことから研究チームは、夜型の人の場合は、典型的な日中の勤務時間中には同じ脳の領域の神経結合が阻害されている可能性があると指摘した。

研究を主導した英バーミンガム大学人間脳健康センターのエリース・フェイサー=チャイルズ博士は、こうした結果が出たのは「夜型の人はずっと、自分本来の生活リズムを曲げて生きているからかもしれない」と話した。

「夜型の人は学校に行くために早起きし、その後も仕事のために早起きする。日常的に個人的な好みや体内リズムと戦わなければならない」

その上で、学校や職場の稼働時間に合わせることが夜型の人たちの健康や生産性にどう影響しているかを理解するのは、「きわめて重要」だと述べた。

研究者によると、人類の40〜50%は遅い時間に寝て午前8時20分以降に起きるのを好んでいるという。

「午前9時から午後5時という典型的な平日の稼働時間だと、夜型の人の午前中の生産性は落ち、脳の注意力を司る領域の神経結合が減り、日中の眠気を引き起こす可能性がある」と、フェイサー=チャイルズ博士は指摘する。

「時間をもっと柔軟に管理できる社会であれば、生産性を高めると同時に健康リスクを下げるという長い道のりを歩むことができるかもしれない」

フェイサー=チャイルズ博士によると、この研究で明らかになった脳の神経結合の違いは損傷ではなく、回復可能なものだという。

一方で、この研究の限界も指摘されている。

この調査では午後の脳の働きを測定していない。またライフスタイルの違いなど、研究では取り上げられていない要因が結果を左右している可能性もある。

キングス・コレッジ・ロンドンの脳神経学者アレックス・ネズビット博士は、この研究によって人の脳の働きは時間帯だけでなく体内時計にも左右されるという証拠が新たに増えたと話す。

「多くの人が『9時5時』のルーティンを課せられている中、こうした要因が重要だということがどんどん明らかになっている」

研究チームは、朝型と夜型の違いが脳のほかの領域に与える影響についてもさらなる研究が必要だと述べている。

(英語記事 'Owls' and 'larks' brains differ - study )

提供元:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-47274812
9時5時勤務は夜型に不利、脳の働きに影響も=英研究

2019/02/18

BBC News


早起きして活動する「朝型」の人と夜に活動的になる「夜型」の人では、学校や職場の稼働時間の脳の働きが異なることが、イギリスの大学の研究で明らかになった。

学術誌「Sleep」に掲載されたこの研究では、午前2時半に寝て午前10時15分に起きる夜型の人と、午後11時前に寝て午前6時半に起きる朝型の人の脳をスキャンして働きを比べた。

その結果、午前8時から午後8時までの時間帯では、夜型の人の脳内では集中力を司る領域の活動が少ないことが分かった。また注力が散漫になる、反応が遅くなる、眠気といった傾向がみられた。

研究チームは、夜型の人は典型的な勤務時間の「制約」で不利な状態にあると指摘した。

学校や職場の稼働時間は、夜型の人にとって体の自然なサイクルではない。研究チームは、こうした状況が健康に与える影響をもっと調査する必要があると呼びかけた。

「体内リズムと戦っている」
研究ではまず、朝型と夜型、計38人の休息時の脳の働きを核磁気共鳴画像法(MRI)で測定した。

その後、午前8時から午後8時にさまざまなテストをこなしてもらい、眠気の度合いを報告してもらった。

朝型の人たちは朝早い時間のテストで最も眠気が少なく、反応も速かった。またこの時間帯、夜型の人よりもテストの成績が格段に上だった。

一方、夜型の人たちが最も眠気が少なく、反応が早かったのは午後8時台だった。しかしテストの成績は、この時間帯でも朝型の人と比べて非常に良いということではなかった。

朝型の人たちは、良い成績と眠気の少なさを示す脳の領域が、常に極めて活発だった。このことから研究チームは、夜型の人の場合は、典型的な日中の勤務時間中には同じ脳の領域の神経結合が阻害されている可能性があると指摘した。

研究を主導した英バーミンガム大学人間脳健康センターのエリース・フェイサー=チャイルズ博士は、こうした結果が出たのは「夜型の人はずっと、自分本来の生活リズムを曲げて生きているからかもしれない」と話した。

https://academic.oup.com/sleep/advance-article/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210

「夜型の人は学校に行くために早起きし、その後も仕事のために早起きする。日常的に個人的な好みや体内リズムと戦わなければならない」

その上で、学校や職場の稼働時間に合わせることが夜型の人たちの健康や生産性にどう影響しているかを理解するのは、「きわめて重要」だと述べた。

研究者によると、人類の40〜50%は遅い時間に寝て午前8時20分以降に起きるのを好んでいるという。

「午前9時から午後5時という典型的な平日の稼働時間だと、夜型の人の午前中の生産性は落ち、脳の注意力を司る領域の神経結合が減り、日中の眠気を引き起こす可能性がある」と、フェイサー=チャイルズ博士は指摘する。

「時間をもっと柔軟に管理できる社会であれば、生産性を高めると同時に健康リスクを下げるという長い道のりを歩むことができるかもしれない」

フェイサー=チャイルズ博士によると、この研究で明らかになった脳の神経結合の違いは損傷ではなく、回復可能なものだという。

一方で、この研究の限界も指摘されている。

この調査では午後の脳の働きを測定していない。またライフスタイルの違いなど、研究では取り上げられていない要因が結果を左右している可能性もある。

キングス・コレッジ・ロンドンの脳神経学者アレックス・ネズビット博士は、この研究によって人の脳の働きは時間帯だけでなく体内時計にも左右されるという証拠が新たに増えたと話す。

「多くの人が『9時5時』のルーティンを課せられている中、こうした要因が重要だということがどんどん明らかになっている」

研究チームは、朝型と夜型の違いが脳のほかの領域に与える影響についてもさらなる研究が必要だと述べている。

(英語記事 'Owls' and 'larks' brains differ - study )

提供元:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-47274812

https://academic.oup.com/sleep
Circadian phenotype impacts the brain’s resting state functional connectivity, attentional performance and sleepiness
Elise R Facer-Childs Brunno M Campos Benita Middleton Debra J Skene Andrew P Bagshaw
Sleep, zsz033, https://doi.org/10.1093/sleep/zsz033
Published: 15 February 2019 Article history
Split View PDF Cite
Permissions
Share
Abstract
INTRODUCTION
Functional connectivity (FC) of the human brain’s intrinsically connected networks underpins cognitive functioning and disruptions of FC are associated with sleep and neurological disorders. However, there is limited research on the impact of circadian phenotype and time of day on FC.

STUDY OBJECTIVES
The aim of this study was to investigate resting state FC of the default mode network (DMN) in Early and Late circadian phenotypes over a socially constrained day.

METHODS
38 healthy individuals (14 male, 22.7 ± 4.2 years) categorised as Early (n =16) or Late (n = 22) using the Munich ChronoType Questionnaire took part. Following a two week baseline of actigraphy coupled with saliva samples for melatonin and cortisol rhythms, participants underwent testing at 14.00 h, 20.00 h and 08.00 h the following morning. Testing consisted of resting state functional MRI, a structural T1 scan, attentional cognitive performance tasks and self-reported daytime sleepiness. Seed based FC analysis from the medial prefrontal and posterior cingulate cortices of the DMN was performed, compared between groups and linked with behavioural data.

RESULTS
Fundamental differences in the DMN were observed between Early and Late circadian phenotypes. Resting state FC of the DMN predicted individual differences in attention and subjective ratings of sleepiness.

CONCLUSION
Differences in FC of the DMN may underlie the compromised attentional performance and increased sleepiness commonly associated with Late types when they conform to a societally constrained day that does not match their intrinsic circadian phenotype.

Resting-state functional magnetic resonance imaging (fMRI), circadian phenotype, sleep, default mode network, attentional performance, sleepiness, circadian rhythms
Topic: phenotype sleep drowsiness functional magnetic resonance imaging cognitive ability
Issue Section: Original Article
PDF
This content is only available as a PDF.
c Sleep Research Society 2019. Published by Oxford University Press [on behalf of the Sleep Research Society].
This is an Open Access article distributed under the terms of the Creative Commons Attribution License (http://creativecommons.org/licenses/by/4.0/), which permits unrestricted reuse, distribution, and reproduction in any medium, provided the original work is properly cited.
Article has an altmetric score of 103
View Metrics
Email alerts
New issue alert
Advance article alerts
Article activity alert
Subject alert
Receive exclusive offers and updates from Oxford Academic
Related articles in
Google Scholar
Related articles in PubMed
Congenital Hypopituitarism: Various Genes, Various Phenotypes.
Diffuse optical tomography for the detection of perinatal stroke at the cot side: a pilot study.
The Effects of Probiotics on Symptoms of Depression: Protocol for a Double-Blind Randomized Placebo-Controlled Trial.
Corrigendum: Predicting spirometry readings using cough sound features and regression (2018 Physiol. Meas. 39 095001).
Citing articles via
Google Scholar
CrossRef
Latest
Most Read Most Cited
Factors involved in sleep efficiency: a population-based study of community-dwelling elderly persons
Circadian phenotype impacts the brain’s resting state functional connectivity, attentional performance and sleepiness
Differential Effects of Split and Continuous Sleep on Neurobehavioral Function and Glucose Tolerance in Sleep-Restricted Adolescents
Categorization deficit of facially expressed anger in insomnia (Commentary on Zhang et al. Individuals with insomnia misrecognize angry faces as fearful faces while missing the eyes: an eye-tracking study)
Objective data contribute to the school start time debate

Accepted Manuscript
c Sleep Research Society 2019. Published by Oxford University Press [on behalf of the Sleep
Research Society].
This is an Open Access article distributed under the terms of the Creative Commons Attribution
License (http://creativecommons.org/licenses/by/4.0/), which permits unrestricted reuse,
distribution, and reproduction in any medium, provided the original work is properly cited.
Title: Circadian phenotype impacts the brain’s resting state functional connectivity,
attentional performance and sleepiness
Authors: Elise R. Facer-Childs1,2,5*, Brunno M. Campos3
, Benita Middleton4
, Debra J.
Skene4
, Andrew P. Bagshaw2,5
Affiliations:
1
School of Biosciences, University of Birmingham, Birmingham, B15 2TT, UK
2Centre for Human Brain Health, University of Birmingham, Birmingham, B15 2TT, UK
3
School of Medical Sciences, University of Campinas, Campinas - SP, 13083-970, Brazil
4
Faculty of Health & Medical Sciences, University of Surrey, Guildford, GU2 7XH, UK
5
School of Psychology, University of Birmingham, Birmingham, B15 2TT, UK
*Correspondence:
Dr Elise R. Facer-Childs
E.R.Facer-Childs@bham.ac.uk
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
2
Abstract
INTRODUCTION: Functional connectivity (FC) of the human brain’s intrinsically connected
networks underpins cognitive functioning and disruptions of FC are associated with sleep and
neurological disorders. However, there is limited research on the impact of circadian phenotype and
time of day on FC.
STUDY OBJECTIVES: The aim of this study was to investigate resting state FC of the default mode
network (DMN) in Early and Late circadian phenotypes over a socially constrained day.
METHODS: 38 healthy individuals (14 male, 22.7 ± 4.2 years) categorised as Early (n =16) or Late (n
= 22) using the Munich ChronoType Questionnaire took part. Following a two week baseline of
actigraphy coupled with saliva samples for melatonin and cortisol rhythms, participants underwent
testing at 14.00 h, 20.00 h and 08.00 h the following morning. Testing consisted of resting state
functional MRI, a structural T1 scan, attentional cognitive performance tasks and self-reported
daytime sleepiness. Seed based FC analysis from the medial prefrontal and posterior cingulate
cortices of the DMN was performed, compared between groups and linked with behavioural data.
RESULTS: Fundamental differences in the DMN were observed between Early and Late circadian
phenotypes. Resting state FC of the DMN predicted individual differences in attention and subjective
ratings of sleepiness.
CONCLUSION: Differences in FC of the DMN may underlie the compromised attentional
performance and increased sleepiness commonly associated with Late types when they conform to a
societally constrained day that does not match their intrinsic circadian phenotype.
Key words: Resting-state functional magnetic resonance imaging (fMRI), circadian phenotype, sleep,
default mode network, attentional performance, sleepiness, circadian rhythms
Statement of significance: Misalignment between an individual’s biological timing and behaviour
(e.g. as a result of shift-work or jet lag) has adverse impacts on brain function, performance and
health. We found that people with a late sleep-wake preference, often called ‘night owls’, have
significantly lower functional connectivity in the brain’s ‘default mode network’, which is involved in
maintenance of consciousness and a range of cognitive functions. Importantly, these differences at
rest were predictive of poorer attentional performance (slower reaction time), and increased subjective
sleepiness. This may represent an intrinsic neuronal mechanism, which leads to ‘night owls’ being
comprised during a normal working day. Future work needs to account for these differences, while
targeting sleep/circadian biology could aid in improving health and performance.
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
3
Introduction
It is estimated that nearly 70 million individuals in the US alone suffer from some sort of disturbance
to the sleep/wake axis which impedes normal functioning and has potentially damaging effects on
health and well-being.
1
Societal demands are often in conflict with an individual’s endogenous
biological rhythms, leading to adverse impacts on mental and physical health as well as performance.
An extreme example of this is shift work, whereby misalignment between an externally imposed
work/rest schedule and internal circadian timing can lead to cognitive deficits,
2
poorer mental health,
3
increased health risks including cancer4
and a compromised immune system.
5
However, misalignment does not have to be driven by unusual work schedules. By definition, the
important issue is that one’s internal temporal organisation (i.e. circadian phenotype) and external
schedule are in conflict. In particular, a standard working day of 09:00 - 17:00 h may be detrimental
for an individual whose biological preference is for a late sleep-wake cycle. Compounding the
problem, misalignment can also be associated with a cumulative sleep debt, as sleep is curtailed
because of late sleep onset, with a similar type and range of adverse outcomes.
6 This aspect of
misalignment is much less understood than night shift work, but potentially of greater importance
given that, according to estimates from the Office of National Statistics, 12 % of the population work
night shifts, whereas around 50 % have a late preference favouring a wake up time later than 08:18
am.
7 Therefore, there is a critical need to increase our understanding of these issues in order to
minimise health risks in society and maximise productivity.
It is well established that there are individual differences in circadian timing, i.e. diurnal preference8
and chronotype.
7 At the extreme end of the continuum, these different groups of individuals can be
identified as ‘larks’ or ‘owls’ (referred to here as Early (ECP) and Late (LCP) circadian phenotypes
based on objective actigraphy and circadian phase markers). Compared to LCPs, ECPs have less
disrupted sleep,
9 make healthier food choices,
10 thereby minimising risks of obesity and diabetes,
11
and reach higher standards in the sports world.
12 Conversely, LCPs have been linked to greater
daytime sleepiness,
13 increased alcohol consumption and substance abuse,
14 decreased psychological
well-being through higher rates of depression,
15 sleep disorders,
16 negative health outcomes,
17 and
have even been linked to higher mortality rates.
18 Constant desynchronisation of their internal
circadian rhythms through trying to ‘fit in’ to external societal time e.g. work/school schedules has
been suggested as the root cause of these adverse impact on LCPs. This mismatch of biological and
social time has been called ‘social jetlag’.
19
The consequences of sleep and circadian disruption on health and cognitive performance are well
established. The application of fMRI in this area is still relatively sparse and much of the literature
surrounding the relationship between brain function and attention has been focused on task-based
fMRI. However, optimal cognitive performance and good mental health rely upon the appropriate
coordination of activity between distributed intrinsic functional neuronal networks (often referred to
as intrinsically connected networks, ICNs). One ICN, the default mode network (DMN), is
particularly affected by sleep onset,
20 sleep deprivation,
21 variations in habitual sleep patterns across
individuals,
22 and exhibits diurnal variation in its functional connectivity (FC).
23 The DMN is most
active in the absence of external cognitive demand,
24 and has been associated with functions as
diverse as self-referential processing25 maintaining consciousness,
26 regulating cognition,
27 attention,
28
and working memory.
29 It is also modified in a range of psychiatric and neurological disorders,
30
including Alzheimer’s disease31 and depression.
32
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
4
Resting state fMRI provides a complementary approach to task-based fMRI, with the efficiency and
integrity of ICNs been linked to intellectual performance33 and greater intelligence,34 marking the
importance that testing resting state FC (rs-FC) could play in predicting measures of cognitive
function. Only a handful of studies have explored the link between FC, sleep, circadian phenotype and
cognitive performance.35, 36 However, these investigations used task-based fMRI and controlled for
the effect of circadian phenotype by scheduling testing based on internal biological time e.g. every 4 h
starting 1.5 h after waking, preventing the exploration of the effect of circadian phenotype in real-life
throughout a typical societally constrained day.
In summary, neuroimaging is increasingly used as a technique in sleep research, but inter-subject
variability e.g. circadian phenotype brings another level of complexity that is rarely accounted for,
despite emerging research showing diurnal variation in brain function.
23, 37 Given that the DMN is
evidently vital to basic maintenance of consciousness, affected by sleep alterations, and plays a role in
cognitive functioning, it was used as the network of interest in the present study to examine the
impact of circadian phenotype on resting state brain function during the course of a typical societally
constrained day (08:00 h to 20:00 h). Both anterior (medial prefrontal cortex, mPFC) and posterior
(posterior cingulate cortex, PCC) regions of the DMN were used as seed regions to gather information
about the functional integrity of the DMN at rest, and these data linked to attentional performance and
sleepiness outside of the MRI scanner. We hypothesised that LCPs would show disrupted FC
compared to LCPs, and that FC differences would be correlated with behaviour.
Methods
Participants
The study was approved by the University of Birmingham Research Ethics Committee. Individuals (n
= 204) from the University of Birmingham and surrounding community completed the Munich
Chronotype Questionnaire (MCTQ38) and were screened for any contraindications to inclusion in the
study based on medical history and magnetic resonance safety. Exclusion criteria were; 1) no prior or
current diagnoses of sleep, neurological or psychiatric disorders; 2) taking medications that affect
sleep or melatonin/cortisol rhythms and; 3) intermediate chronotype indicated by corrected mid-sleep
times on free days (MSFsc) from the MCTQ.
A total of 38 healthy individuals (14 male, 22.7 ± 4.2 years) who were categorised as ‘Early’
(n = 16, age 24.7 ± 4.6 years, nine female, MSFsc 02:24 ± 00:10 h) or ‘Late’ (n = 22, age 21.3
± 3.3 years, 15 female, MSFsc 06:52 ± 00:17 h) chronotypes and who also passed all
inclusion criteria were invited to take part in the main study. Participants gave written
informed consent before involvement and all details provided were given on a voluntary
basis. After completing questionnaires, physiological sampling and between 13-16 days of
actigraphy in their home environment (details below), participants attended the Birmingham
University Imaging Centre for testing sessions at 14:00 h, 20:00 h and 08:00 h (GMT) the
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
5
following morning. Individuals went home in between testing sessions. Testing sessions were
conducted in a specific order (14:00 h, 20:00 h and 08:00 h) to prevent the 14:00 h and 20:00
h sessions being affected by sleep deprivation. This design allowed all individuals to wake up
naturally for the 14:00 h and 20:00 h. Summary details of participants’ data can be found in
Table 1. At each testing session participants underwent a resting state fMRI and T1 scan
followed by cognitive testing (psychomotor vigilance and Stroop tasks) and subjective
sleepiness ratings (details below). As part of the cognitive testing that was completed at each
session, a questionnaire was developed and administered to gather details about what was
occurring between sessions when participants left the laboratory. In an attempt to partially
control for external variables and confirm no differences between the groups, information
gathered included hours since; 1) food intake; 2) caffeine consumption; 3) exercise; 4)
exposure to natural light and 5) exposure to indoor light (Table 1).
Sleep Analysis
Actigraphs (ActiwatchR Light, AWLs, 2006, Cambridge Neurotechnology Ltd) were worn on
participants’ non-dominant wrist to gather activity and light exposure data (1-32,000 lux) for 13-16
days prior to testing sessions. This allowed sleep and activity patterns to be monitored continuously in
the home environment. Data were acquired in 1-minute epochs (medium sensitivity setting),
confirmed with daily sleep diaries, and analysed using Sleep Analysis 7 Software (version 7.23,
Cambridge Neurotechnology Ltd). Throughout this period participants were following preferred
routines and were not confined to particular schedules.
Physiological Data
Saliva samples were provided during one morning and one evening the week of testing by spitting
into pre-labelled polypropylene collection tubes (7ml plastic bijou) following strict standardised
protocols. Participants were trained in how to take the saliva samples in their home environment
during their initial set up visit and the protocol instructions were discussed to ensure participants
understood what was required. In addition, a sample collection record sheet was attached to both
morning and evening protocols to ensure that the exact times samples were taken could be recorded.
During the sampling periods, participants were asked to abstain from caffeinated drinks, alcoholic
drinks or any drinks containing artificial colouring. They were also asked to refrain from cleaning
their teeth, chewing gum or going to the bathroom at least 15 minutes before each sample. Evening
samples were collected from a seated position whilst in dim lighting conditions (no overhead lights,
no electronic screens and curtains closed) every 30 minutes from three hours prior to individual
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
6
habitual bedtime until one hour after. Morning samples were collected on awakening, every 15
minutes for the first hour and every 30 minutes for the following two hours. All samples were
anonymised. Radioimmunoassays (RIA) of melatonin and cortisol were performed (Stockgrand Ltd,
University of Surrey) using an Iodine-125 radioactive labelled tracer and solid phase separation.
39
Assays were run with quality controls (QCs) before and after samples. These QC values were then
averaged to give one value per assay to calculate inter-assay coefficients of variation (CV %). The
limit of detection for the melatonin assay was 0.72 ± 0.08 pg/ml and CVs were 9.4 % at 44.4 pg/ml,
9.9 % at 20.1 pg/ml and 12.2 % at 9.0 pg/ml (n = 13 at each concentration). The limit of detection for
the cortisol assay was 0.45 ± 0.06 nmol/L and inter-assay CVs were 8.3 % at 48.0 nmol/l, 6.1 % at
15.9 nmol/l and 9.8 % at 3.0 nmol/l (n = 15 at each concentration).
Individual dim light melatonin onset (DLMO) values were calculated using the mean of the individual
baseline concentration values plus two standard deviations of the mean. Due to intra-subject
variability in melatonin concentrations these calculations were performed relative to each individual.
This concentration was used to calculate the timing of melatonin onset through a linear response
function. The peak time of the cortisol awakening response was calculated as the time of highest
cortisol concentration recorded. All results were calculated based on individual sample timings taken
from sample collection record sheets. Due to insufficient or contaminated samples, DLMO values
were unable to be calculated for two ECPs and four LCPs.
Neuroimaging Acquisition
Imaging data were acquired using a Philips Achieva 3T MRI scanner with a 32-channel head coil.
Whole brain coverage gradient echo-planar imaging data were acquired parallel to the AC-PC line
with the following parameters: 15 minutes, 450 volumes, TR = 2000 ms, TE = 35 ms, flip angle = 80?,
3 x 3 x 4 mm voxels, 32 slices, no gap, matrix = 80 x 80 x 32. Standard high resolution 3D anatomical
T1-weighted scans (sagittal acquisition, TR = 8.4 ms, TE = 3.8 ms, flip angle = 8?, 1 mm isotropic
voxel, matrix = 288 x 288 x 175) were also collected to facilitate co-registration. Respiratory and
cardiac fluctuations were recorded with the pulse oximeter and pneumatic belt provided by the
scanner manufacturer. A camera was placed in the scanner during each session to monitor
participants’ eyes, confirm they remained open and that sleep had not been initiated. If eye closure
exceeded 15 s, which is half a 30 s epoch according to the standard sleep staging approach,
40 the scan
was re-started. This occurred in one scan for one participant. Standard Birmingham University
Imaging Centre operating procedures were followed for the MRI safety screening and during the
scanning sessions, and participants were not asked to perform any task.
Neuroimaging Pre-processing
FMRI preprocessing and analysis was performed using UF2C,
41 PhysIO,
42 and SPM1243 toolboxes
implemented in MATLAB (MathWorks, USA). Preprocessing was carried out in UF2C using
standardised methodologies implemented in SPM12. Data were re-orientated to the anterior
commissure as origin, motion corrected using rigid body transformations (three translational and three
rotational planes), spatially normalised (MNI-152 template space), spatially smoothed with a 6 mm
Gaussian kernel and detrended (temporal linear trends removal). Physiological noise corrections
(RETROICOR for a 3rd order cardiac, 4th order respiratory, and 1st order interaction Fourier expansion
of cardiac and respiratory phase, heart rate variability and respiratory volume per time) were modelled
using the PhysIO toolbox. This resulted in 18 nuisance regressors which were added to preprocessing
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
7
routines in UF2C, along with average signals for white matter (WM) and cerebro-spinal fluid (CSF)
and six movement (three translational and three rotational) regressors. High-pass (> 0.008 Hz) and
low-pass (< 0.1 Hz) temporal filtering was applied to remove confounding physiological frequencies.
Framewise displacement (FD) and derivative variance (DVARs) were calculated,
44, 45 and any scan
with an average FD value above 0.5 mm was excluded. This resulted in one scan (ECP, 14:00 h)
being removed from further analysis. Head movement (translational, rotational, FD and DVARS) did
not differ significantly between the groups or between times of day.
Neuroimaging Analysis
A seed-based FC approach was used to analyse the data using predefined seeds for the frontal (mPFC)
and posterior (PCC) regions of the DMN.
46 Pearson correlation maps were then converted to z-score
maps using Fisher’s Transformation. Using the general linear model (GLM) implemented in SPM12,
second level group analyses were performed using a flexible factorial design. The second level
analyses were performed using a voxel-level threshold FWE corrected at p < 0.05. A subsequent
extent threshold (FWE corrected at p < 0.05) was used to concentrate on the significant results at the
cluster-level. Subject, group and time of day were added as factors and the model was set up for the
main effect of group (ECPs and LCPs), the main effect of time of day (morning; 08:00 h, afternoon;
14:00 h and evening: 20:00 h) as well as the interaction of group and time of day. All subject
variability including age and gender were accounted for as covariates by adding subject as a factor.
Descriptions of significant findings from the mPFC seed (voxel-level threshold FWE corrected at p <
0.05, with a subsequent extent threshold of 100 voxels) and PCC seed (voxel-level threshold FWE
corrected at p < 0.05, with a subsequent extent threshold of 150 voxels), are presented as total voxels,
peak t score and peak MNI centroid cluster coordinates [x y z]. Extent thresholds were selected as a
fifth of the biggest cluster. All significant areas were transformed in a binary mask and the z-scored
values from the correlation map within this mask were averaged generating a single value
representing average rs-FC across all significant clusters per participant for each scan. These values
were used to explore the predictive effects of rs-FC on attention and daytime sleepiness using
generalised estimating equations (details given in Statistical Analysis section).
Attentional Performance & Sleepiness
Following the scan, participants were immediately taken to a testing room where a two-minute
psychomotor vigilance task (PVT)
47 and a Stroop Colour-Word Task48 were completed. A visual
version of the Stroop test was used which consisted of 60 trials with equal proportion of congruent
and incongruent stimuli (30 of each). Presentation time was not fixed i.e. stimuli were visible until
response. Reaction time values were used from the PVT and the Stroop task (averaged correct
congruent and incongruent trials) as indices of attentional performance. Incompletion of the Stroop
test resulted in one participant’s results being excluded for further analysis. Daytime sleepiness,
measured using the Karolinska Sleepiness Scale (KSS),
49 was completed before the cognitive tests
were performed.
Statistical Analysis
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
8
Statistical comparisons of behavioural data were performed in GraphPad Prism (version 7, La Jolla,
USA) and SPSS (IBM SPSS Statistics, version 24, Chicago) using two sided unpaired t-tests, MannWhitney U tests, Fisher’s exact test and linear regression after testing for equality of means with
Levene’s test. All p-values were FDR corrected to control for multiple comparisons.50 Diurnal
variations in performance and sleepiness variables were plotted using second order regression curves
and analysed using two-way analysis of variance (ANOVA) for repeated measures with post hoc
multiple comparison tests. Non-parametric tests were implemented where data did not follow a
normal distribution.
To explore the predictive effects of rs-FC on performance variables and daytime sleepiness an
extension of the generalised linear model (generalised estimating equations, GEEs) were used in
SPSS. GEEs account for repeated measures and within subject variability and do not assume normal
distributions or linear relationships. GEEs are often used in studies with time of day data to model the
average effect, and have been used in sleep and circadian research to model the relationship between
insomnia, depression and chronotype16 as well as in studies on sleep durations51, 52 and circadian
patterns in epilepsy.
53 Data used in GEE analyses were z-scored average rs-FC values across all
clusters for each participant, individual reaction times (PVT and Stroop) and KSS score. A scale
linear response GEE with identity link function for scale data was used to model the independent
effects of rs-FC on attentional performance. A negative binomial GEE with log link function for count
data was used to model the effects of rs-FC on sleepiness. Both models were designed adding Subject
ID as a subject variable, and circadian phenotype (ECP/LCP) and time of day (08:00 h, 14:00 h and
20:00 h) as within-subject variables. Time of day was also added as a fixed factor. When interaction
terms were not significant they were removed from the model and the analysis re-run. Corrected quasi
likelihood under independence model criterion (QICC) values were used to choose the best fit for
models.
Significance levels are displayed as not significant (ns), p < 0.05 (*), p < 0.01 (**), p < 0.001 (***)
and p < 0.0001 (****). Exact p values are given apart from when significance is identified as less than
0.0001, in which case p < 0.0001 is reported. Results are shown using the mean ± standard error of the
mean (SEM) unless specified otherwise.
Results
Circadian Phenotyping
Individuals were initially categorised into Early (n = 16) and Late (n = 22) chronotypes using MSFsc,
calculated using the MCTQ.
38 These groups were confirmed as ECPs and LCPs by analysis of
biological circadian phase markers, namely DLMO and time of peak morning concentration of the
cortisol awakening response, in addition to sleep start and wake up times calculated from actigraphy
analysis. All parameters were significantly different between the groups, occurring approximately 3.5
h ? 4.5 h earlier in ECPs than LCPs (Table 1). MSFsc was ~4 h earlier in ECPs compared to LCPs
(t(36) = 12.2, p < 0.0001). DLMO and peak time of morning cortisol also differed significantly by
~3.5 h and ~4 h respectively (t(30) = 6.8, p < 0.0001 and t(36) = 8.0, p < 0.0001). These results were
consistent with sleep onset and wake up times calculated from actigraphy data, with a difference
between the groups of ~3.5 h (t(34) = 8.9, p < 0.0001 and t(34) = 9.9, p < 0.0001).
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
9
Each of these parameters was significantly correlated with MSFsc (Figure 1). Significant linear
regressions were found between MSFsc and DLMO (R2
= 0.65, p < 0.0001), peak time of cortisol
awakening response (R2
= 0.75, p < 0.0001), sleep onset (R2
= 0.80, p < 0.0001) and wake up time (R2
= 0.86, p < 0.0001). All other actigraphic parameters were not significantly different between ECPs
and LCPs (Table 1). As all participants in this study were following their preferred schedules for the
duration of the experiment, these findings confirmed that neither group were acutely sleep deprived
during the baseline period. However, in order to rule out a baseline sleep debt effect, additional
analyses were run to examine the relationships between sleep efficiency and rs-FC. No significant
correlations were found. These results support the classification into circadian phenotypes and
demonstrate that these two groups are behaviourally and physiologically different in sleep timings and
circadian phase but not in other sleep parameters.
***INSERT TABLE 1***
***INSERT FIGURE 1***
Resting state functional connectivity in circadian phenotypes
Whole group analyses showed a clear DMN from both seeds, with significant FC (FWE corrected p <
0.05) observed between all major components of the DMN including the PCC/precuneus, mPFC,
bilateral angular and temporal gyri, and cerebellum (Figure 2, grayscale underlay).
The flexible factorial model showed clear significant differences between circadian phenotype groups
but no significant main effect of time of day (Figure 2). ECPs had significantly increased FC
compared to LCPs at all times of day in 15 of the total 18 supra-threshold clusters identified from
both seeds (FWE corrected at p < 0.05). When seeding in the PCC, there was significantly higher FC
for ECPs from PCC to the precuneus, bilateral angular gyri, left medial temporal lobe, and cingulate
gyrus. The largest cluster was found in the mPFC, along with two clusters in the left medial frontal
and superior frontal lobe (Table 2 & Figure 2a-b). When seeding in the mPFC there was, again,
significantly higher FC in ECPs from the seed to seven individual clusters including: within the
mPFC, bilateral insula, left medial frontal lobe, left angular gyrus, left superior frontal gyrus, and
right medial temporal lobe (Table 2 & Figure 2d-e).
In comparison, LCPs had higher FC to three of the 18 identified clusters that survived FWE correction
at p < 0.05. When seeding in the mPFC, clusters were found in the anterior cingulate cortex and right
superior frontal gyrus, whilst seeding in the PCC identified a cluster in the left angular gyrus (Table 2
& Figure 2c,f).
***INSERT TABLE 2***
***INSERT FIGURE 2***
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
10
Attentional Performance and Sleepiness
A significant interaction between circadian phenotype and time of day was found for PVT
performance (F(2, 72) = 4.9, p = 0.01) but not Stroop performance (F(2, 70) = 1.6, p = 0.22). The
main effect of time of day was significant for both PVT (F(2, 72) = 3.2, p = 0.048) and Stroop
performance (F(2, 70) = 3.8, p = 0.028) as well as the main effect of circadian phenotype for PVT
(F(1, 36) = 4.4, p = 0.044) but not Stroop (F(1, 35) = 3.7, p = 0.063) (Figure 3b,c). Post hoc tests
revealed that the source of group effect for PVT was the 08:00 h testing session, where LCPs’
performance was significantly worse than ECPs (p = 0.0058). Significant diurnal variations were
found for LCPs but not ECPs in both PVT and Stroop performance, showing that the source of time of
day effects were driven LCPs. LCPs morning PVT performance was significantly worse compared to
the afternoon and evening (p = 0.0079 and p = 0.0006). LCPs morning Stroop performance was
significantly better in the afternoon compared to morning (p = 0.035).
For the KSS, there was a significant interaction between time of day and circadian phenotype (F(2,72)
= 18.1, p < 0.0001), as well as a significant main effect of circadian phenotype (F(1,36) = 9.2, p =
0.0044) but not time of day (F(2,72) = 2.0, p = 0.15). Group effects were driven by LCPs being
significantly sleepier at 08:00 h compared to ECPs (p < 0.0001). The interaction effect revealed
significant diurnal variations in both groups with opposing relationships. ECPs were significantly
more sleepy in the evening (4.9 ± 0.4) compared to the morning (3.1 ± 0.4) (p = 0.0054). LCPs
showed the inverse relationship being significantly sleepier at 08:00 h (6.4 ± 0.3), compared to 14:00
h and 20:00 h (both p < 0.0001) (Figure 3a).
***INSERT FIGURE 3***
Predicting Attentional Performance and Sleepiness
Rs-FC could independently predict performance variables (Figure 4). Using FC values from regions
with higher FC in ECPs than LCPs, GEEs showed that rs-FC of the mPFC could predict PVT (W =
14.5, p < 0.0001) and Stroop performance (W = 9.0, p = 0.003). Rs-FC of the PCC (ECPs > LCPs)
could also predict PVT performance (W = 6.4, p = 0.012) but not Stroop performance (W = 2.5, p =
0.12). Sleepiness score could be predicted by rs-FC of the PCC (W = 6.0, p = 0.015) but not rs-FC of
the mPFC (W = 1.5, p = 0.22). No significant predictive effects of rs-FC were found for regions
higher in LCPs (LCPs > ECPs) for either seed.
Time of day was also a significant independent predictor of performance and sleepiness. Using the
mPFC model, time of day could predict PVT (W = 9.2, p = 0.01) but not Stroop performance (W =
5.1, p = 0.078). Using the PCC model, time of day was a significant predictor of both PVT and Stroop
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
11
performance (W = 6.3, p = 0.042 and W = 7.1, p = 0.028 respectively). Sleepiness could be
independently predicted by time of day (mPFC: W = 17.1, p < 0.0001 and PCC: W = 11.1, p = 0.004)
as well as by the interaction of rs-FC and time of day for both models (mPFC: W = 14.5, p = 0.001
and PCC: W = 8.7, p = 0.013).
In summary, averaged rs-FC of the mPFC from the regions higher in ECPs compared to LCPs
predicted better attentional performance i.e. faster reaction times in both PVT and Stroop
performance. Similarly, the equivalent measures from the PCC seed could predict better PVT
performance and lower daytime sleepiness but not Stroop performance. The interaction of time of day
and rs-FC predicted daytime sleepiness for both seeds. Time of day independently predicted
attentional performance and sleepiness variables in both models. Averaged rs-FC from regions
showing higher FC in LCPs compared to ECPs for both seeds showed no predictive effects on
attentional performance or sleepiness, with only time of day predicting PVT and Stroop performance.
***INSERT FIGURE 4***
Discussion
According to previous research only around 15% of the population falls into extreme or moderate
Early chronotypes (going to sleep from between 20:30 ? 23:00 h and waking between 04:30 ? 07:00
h),
7 meaning the majority of the population would not usually fit into the standard working schedule,
preferring to go to sleep and wake up later. Consequently, many individuals, in particular those with
extreme late preferences who can be classified as LCPs, are constantly fighting their innate circadian
phenotype and sleep patterns to fit into socio-professional routines.
Here we show, for the first time, fundamental differences in FC of the DMN between ECPs and LCPs
during a typical working day (08:00 h ? 20:00 h). Regardless of time of day, ECPs had higher rs-FC
than LCPs in the majority of regions identified. Many of the regions identified as having higher rs-FC
in ECPs are linked to cognitive function and control, including the right and left anterior insula (rAI
and lAI), two main regions which are also featured in the salience network. FC between the mPFC
and the rAI has previously been shown to correlate with cumulative habitual sleep duration,
22 and
with the current data this suggests that mPFC-insula FC during wakefulness could also be sensitive to
sleep timings and circadian phentoype. Given that connectivity between similar regions are associated
with either sleep duration or timing, these regions could be more broadly related to sleep and highlight
the potential importance of inter-network connectivity. Furthermore, rs-FC of these regions was
predictive of attentional performance measures i.e. reaction time and subjective sleepiness. While we
are not able to identify the causality of the relationships unambiguously within our experimental
design, this could suggest that the higher rs-FC of the DMN observed in ECPs over relatively
widespread regions mediates improved task performance. It is also important to note that whilst the
interpretation of FC can be partially based on activation studies using task-based fMRI, the
relationship between connectivity and activation is not straightforward and remains an active area of
research.
54, 55
Interactions between the brainstem arousal systems and ventrolateral preoptic nucleus of the
hypothalamus are known to play in determining circadian rhythmicity and sleep-wake cycles. The
impact of an underlying biological predisposition (e.g. circadian phenotype) to particular sleep-wake
patterns on brain function and subsequently behaviour has not previously been demonstrated, but is
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
12
consistent with previous observations linking FC to behavioural performance56 and habitual sleep
durations.
22 Therefore, an alternative proposal would be that there could be other brain regions, shown
here in DMN FC, that contribute to variability between circadian phenotypes. These differences in
intrinsic FC have not previously been linked to the known role of the DMN presenting an interesting
area for future research.
Of the 18 regions identified as being significantly different in terms of their FC between ECPs and
LCPs, the substantial majority (83%) demonstrated higher FC in ECPs. This suggests that an early
sleep-wake pattern is generally associated with higher FC from the primary nodes of the DMN. Since
the 08:00 h session required LCPs to wake earlier, these individuals were suffering from acute sleep
restriction. As a result, the morning session was expected to show the greatest difference between the
groups. PVT performance and sleepiness scores exhibited significant diurnal variations and were
significantly lower in LCPs compared to ECPs at 08:00 h, suggesting that these measures could be
sensitive to the curtailment in sleep. However, this result is not reflected in FC, which shows
consistent group differences at each time point but no significant diurnal variations. As such, these
findings could be due to more intrinsic circadian phenotype traits and not acute sleep restriction.
While LCPs tend to be heavily disrupted throughout their lifetimes when enforced to fit to
conventional societal days, those taking part in the current study were able to follow their own
preferred routines throughout the study and had comparable sleep parameters to ECPs (e.g. duration,
efficiency) with only sleep timings differing significantly. This would support the notion of LCPs
showing adverse effects when persistently following an earlier schedule during the work week, even
when trying to compensate on non-working ‘free’ days.
19 It is likely that a more chronic effect of
long-term misalignment, e.g. years of having to fit into school and subsequent work schedules, may
extend to impact on intrinsic brain properties even when individuals are able to follow their own
schedules for a period of two weeks. This is consistent with observations of continued cognitive
deficits following prolonged shift work, even after the shift work has ceased.
57 Therefore, these
findings may be underestimating the differences in FC and performance, which could be exacerbated
by acute disruption.
The increasingly sophisticated ability of fMRI to probe and quantify the human brain’s functional
architecture opens up new possibilities for understanding the impact of sleep and circadian
preferences at the level of the individual. While considerable advances have been made in
understanding the cellular and genetic underpinnings of sleep and circadian rhythmicity,
58 and
behavioural effects have been characterised,
7
only recently have the methods been available to study
their impacts on the human brain in vivo. These developments are crucial, given the intrinsic
importance of understanding human brain function and the commonly-held view that the primary
purpose of sleep is for the brain.
59 The use of rs-FC is particularly attractive for this endeavour
because of the pervasiveness of the behavioural and cognitive effects of sleep patterns and circadian
phenotype, which lend themselves to characterisation of intrinsic network function rather than the
more limited task responses. More broadly, the approach we have taken provides important
information about how intrinsic lifestyle factors and biological phenotypes are reflected in the brain’s
default state (DMN), suggesting new avenues for understanding individual differences in behaviour.
Our analysis revealed that rs-FC of the DMN can independently predict measures of task performance
and subjective daytime sleepiness. This suggests that the higher strength of rs-FC between these
regions, the better an individual performs in an attention task and the less sleepy they feel. Since our
analysis used seeds within the DMN, one could infer that the functional integrity of connections from
key regions of the DMN facilitates attentional performance, and that perturbations of the DMN
associated with misalignment are detrimental (caveats regarding causality as discussed above
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
13
notwithstanding). The DMN is important in maintenance of consciousness, and includes cognitive
domains sub-served by the frontal cortex.
60 Altered functional connectivity of the DMN has been
reported in a number of psychiatric disorders, suggesting that disrupted integrity of this network is
linked to psychological processes (see 61 for review). Although decreased FC does not always relate to
decreased task performance, reduced connectivity from mPFC and PCC regions of the DMN has been
proposed to underlie impairments in attentional control, working memory and emotional processing.
61
The majority of this research, investigating both DMN connectivity and activation, has reported
decreased FC in disorders such as Alzheimer’s, attention deficit hyperactivity disorder and autism.
Conversely, an increase in FC from the subgenual anterior cingulate has been associate with
depression.
62 We find that ECPs have higher rs-FC from the majority of significant clusters. However,
of the three clusters that we identify as having higher rs-FC in LCPs, one was in the anterior cingulate
cortex. Since LCPs are a group who have frequently been linked to higher rates of depression, this
result has potentially uncovered an interesting avenue for future work and highlights that interpreting
increases/decreases in rs-FC are not always straightforward. Adding to the growing body of research
into the consequences of disrupted DMN rs-FC, we now show that circadian and sleep variations can
contribute to understanding how the integrity of the DMN at rest could hold a key role in achieving
optimal cognitive functioning (shown here using attentional tasks).
Previous research has shown diurnal variations in FC of resting state networks, suggesting that
different ICNs have varying sensitivity to time of day.
23, 37 However, although in the current study
diurnal variations were found in attentional performance and sleepiness measures, using a flexible
factorial design to account for the complex study design, we found that the effect of circadian
phenotype on rs-FC was much more marked than the effect of time of day. This suggests that rs-FC of
the DMN is primarily sensitive to stable, trait-like differences between the two groups rather than
more dynamic state-like effects. This is consistent with the fact that habitual sleep patterns have been
linked with anatomical63 as well as functional22 differences, suggesting long term modifications to
brain function can occur as a result of modifications to the underlying structure. However, it is
possible that the examination of additional networks beyond the DMN and the use of dynamic FC64
would identify state-like impacts of circadian misalignment which might be more sensitive to the
effects of time of day. It is also important to note that these data were gathered during typical working
hours (08:00 h ? 20:00 h) which could have resulted in failure to record time points in which LCPs
could have shown higher FC and better attentional performance. However, LCPs are under constant
pressure to fight again their endogenously driven circadian rhythms to fit into socio-professional
imposed schedules. This could cause them to be in a state of ‘perpetual chronodisruption’ despite
being able to follow their preferred schedules for the duration of this study.
There are a number of limitations to this study. Firstly, to be able to investigate how ECPs and LCPs
behave during a ‘normal socially constrained day’ e.g. 08:00 h to 20:00 h, the study was designed
using clock time instead of scheduling testing based on internal biological time. Although this design
does not allow sleep and circadian influences to be separated, there is increasing need to carry out
‘real world’ studies to increase external validity as behaviour is impacted by both factors. In addition,
we only investigated one ICN, the DMN, and therefore limit the ability to explore more complex
whole brain inter- and intra- network functional connectivity. Both the mPFC and PCC regions of the
DMN were used as seeds because although the DMN is a coherent network, each of the regions that
comprise it also have other functions and potentially have different susceptibility to the impact of
circadian phenotype and time of day. Since the DMN is the most widely studied ICN, holds a key
role in maintenance of consciousness, is affected by sleep, and disruption of this network has been
linked to impaired attentional control, there was a strong rationale to choose it as the network of
interest and provides a useful starting point for a relatively unexplored field. Nonetheless, studying
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
14
the impact of circadian phenotype on other ICNs, as well as other measures of cognition which could
be impacted differently, would be an important next step for future work. Similarly, given that ECPs
and LCPs differ significantly in their physiology, another important step would be to explore
biological and genetic mechanisms behind the observed changes in rs-FC.
The majority of variables were evenly matched between the groups with the exception of sleep
timings (onset/offset) and circadian phase markers (DLMO). Sleep efficiency values were relatively
low for healthy controls, although sleep durations are in the normal range for this cohort of young
adults and additional analysis showed no significant correlations of sleep efficiency and rs-FC. This
suggests that there is no baseline sleep debt effect and both groups are not acutely suffering from
sleep debt during the course of this study. This allows us to confidently state we have distinct
circadian phenotype differences. We did have a slight but significant difference in age between the
groups, although not sufficient to account for the differences since studies examining the relationship
between FC of the DMN and age demonstrate that FC is stable from young adulthood until 50-60y.
65
Throughout the duration of the study, participants were following their preferred routines to allow a
true indication of the impact of circadian phenotype in the absence of masking effects. However, this
is likely to underestimate the practical impact on LCPs of conforming to a societal day, since in
reality the LCPs are likely to have an additional burden of sleep debt which will have its own negative
effect. In our study, the 08:00 h session will have caused the LCPs to wake earlier than usual and,
therefore, be affected by sleep restriction. Although we are not able to determine the extent of
shortening the sleep period before the morning session, the lack of diurnal variations found in FC
suggests that we have identified more circadian trait-like differences between the groups. In addition,
since LCPs commonly have to get up prior to habitual wake up time, this study was specifically
conducted to investigate these individuals in a ‘real-world’ situation. Dissociating the impact of
circadian misalignment and sleep deprivation is often difficult, with protocols such as forced
desynchrony and constant routine generally providing the gold standard. However, these protocols
have disadvantages in terms of their ability to understand the impact of differences in habitual sleep
patterns and circadian phenotype on the brain and behaviour. Future work will need to make use of
these protocols and to study individuals who are acutely misaligned in order to explore the longer
term effect on the brain of chronic misalignment.
Conclusions
In summary, we find that there are fundamental differences in the intrinsic FC of the DMN between
ECPs and LCPs during a typical ‘societally constrained’ working day. Rs-FC of the DMN can predict
attentional performance measures and subjective sleepiness differences, which are also modulated by
time of day. These findings could contribute to the neural basis underlying performance and health
differences between ECPs and LCPs in the real world and have implications for future research.
Firstly, an individual’s circadian phenotype should be a factor that is taken into account when using
fMRI for research and clinical applications, as should habitual sleep status and duration.
22 Secondly,
we provide a deeper understanding of the biological basis of individual differences in the DMN that
may be associated with negative outcomes in LCPs. Finally, LCPs are impaired during typical
socially constrained days, which could result in lower FC and lead to their diminished morning
performance and increased daytime sleepiness. This suggests a need to be more conscious about how
to manage time on an individual basis in order to maximise productivity and minimise health risks.
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
15
Abbreviations list
ECP: Early circadian phenotype
LCP: Late circadian phenotype
ICNs: Intrinsically connected networks
FC: Functional connectivity
Rs-FC: Resting-state functional connectivity
DMN: Default mode network
MSFsc: Corrected mid-sleep on free days
DLMO: Dim light melatonin onset
KSS: Karolinska Sleepiness Scale
PVT: Psychomotor vigilance task
Acknowledgements
This work was supported by funding from the Biotechnology and Biological Sciences Research
Council (BBSRC, BB/J014532/1) and the Engineering and Physical Sciences Research Council
(EPSRC, EP/J002909/1) as well as the Brazilian Institute of Neuroscience and Neurotechnology
(FAPESP #2013/07559-3) and Birmingham University Imaging Centre (BUIC). E.F.C was supported
by a Wellcome Trust Institutional Strategic Support Fund (ISSF) Scheme accelerator fellowship
(Wellcome 204846/Z/16/Z). Our sincere thanks are to all participants, Stockgrand Ltd for assay
reagents and Drs Joseph Galea, Bernhard Staresina and Stephane de Brito for invaluable comments on
earlier versions of the manuscript.
Author Contributions
E.F.C. and A.P.B. designed the study with contributions from D.J.S. B.M.C. developed the
neuroimaging software used for the analyses and were involved in analysis of the data. E.F.C
collected and processed the MRI data with contributions from A.P.B. and B.M.C. RIA analyses was
performed by B.M. E.F.C wrote the manuscript with contributions from A.P.B. All other authors
commented on the manuscript.
Disclosure Statement
B.M. and D.J.S. are co-directors of Stockgrand Ltd. The authors declare no other competing financial
interests. Non-financial disclosure: none.
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
16
Reference list
1. Altevogt BM, Colten HR. Sleep disorders and sleep deprivation: an unmet public health
problem: National Academies Press, 2006.
2. Devore EE, Grodstein F, Schernhammer ES. Shift Work and Cognition in the Nurses Health
Study. Am J Epidemiol 2013;178:1296-300.
3. Rajaratnam SM, Arendt J. Health in a 24-h society. The Lancet 2001;358:999-1005.
4. Savvidis C, Koutsilieris M. Circadian rhythm disruption in cancer biology. Mol Med
2012;18:1249-60.
5. Lange T, Dimitrov S, Born J. Effects of sleep and circadian rhythm on the human immune
system. Annals of the New York Academy of Sciences 2010;1193:48-59.
6. Banks S, Dinges DF. Behavioral and physiological consequences of sleep restriction. J Clin
Sleep Med 2007;3:519-28.
7. Roenneberg T, Kuehnle T, Juda M, et al. Epidemiology of the human circadian clock. Sleep
Med Rev 2007;11:429-38.
8. Horne JA, Ostberg O. Individual differences in human circadian rhythms. Biological
Psychology 1977;5:179-90.
9. Taillard J, Philip P, Coste O, Sagaspe P, Bioulac B. The circadian and homeostatic
modulation of sleep pressure during wakefulness differs between morning and evening chronotypes.
Journal of sleep research 2003;12:275-82.
10. Kanerva N, Kronholm E, Partonen T, et al. Tendency toward eveningness is associated with
unhealthy dietary habits. Chronobiology international 2012;29:920-7.
11. Ross KM, Graham Thomas J, Wing RR. Successful weight loss maintenance associated with
morning chronotype and better sleep quality. J Behav Med 2016;39:465-71.
12. Lastella M, Roach GD, Halson SL, Sargent C. The Chronotype of Elite Athletes. Journal of
human kinetics 2016;54:219-25.
13. Owens JA, Dearth-Wesley T, Lewin D, Gioia G, Whitaker RC. Self-regulation and sleep
duration, sleepiness, and chronotype in adolescents. Pediatrics 2016;138:e20161406.
14. Wittmann M, Paulus MP, Roenneberg T. Decreased psychological well-being in late
‘chronotypes’ is mediated by smoking and alcohol consumption. Subst Use Misuse 2010;45:15-30.
15. Merikanto I, Lahti T, Kronholm E, et al. Evening types are prone to depression.
Chronobiology international 2013;30:719-25.
16. Alvaro PK, Roberts RM, Harris JK. The independent relationships between insomnia,
depression, subtypes of anxiety, and chronotype during adolescence. Sleep medicine 2014;15:934-41.
17. Roenneberg T, Allebrandt KV, Merrow M, Vetter C. Social Jetlag and Obesity. Current
Biology 2012;22:939-43.
18. Knutson KL, von Schantz M. Associations between chronotype, morbidity and mortality in
the UK Biobank cohort. Chronobiology international 2018:1-9.
19. Wittmann M, Dinich J, Merrow M, Roenneberg T. Social jetlag: misalignment of biological
and social time. Chronobiol Int 2006;23:497-509.
20. Horovitz SG, Braun AR, Carr WS, et al. Decoupling of the brain's default mode network
during deep sleep. Proceedings of the National Academy of Sciences 2009;106:11376-81.
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
17
21. De Havas JA, Parimal S, Soon CS, Chee MW. Sleep deprivation reduces default mode
network connectivity and anti-correlation during rest and task performance. Neuroimage
2012;59:1745-51.
22. Khalsa S, Mayhew SD, Przezdzik I, et al. Variability in cumulative habitual sleep duration
predicts waking functional connectivity. Sleep 2016;39:87.
23. Blautzik J, Vetter C, Peres I, et al. Classifying fMRI-derived resting-state connectivity
patterns according to their daily rhythmicity. NeuroImage 2013;71:298-306.
24. Gusnard DA, Raichle ME. Searching for a baseline: functional imaging and the resting human
brain. Nature Reviews Neuroscience 2001;2:685-94.
25. Raichle ME, MacLeod AM, Snyder AZ, Powers WJ, Gusnard DA, Shulman GL. A default
mode of brain function. Proceedings of the National Academy of Sciences 2001;98:676-82.
26. Danielson NB, Guo JN, Blumenfeld H. The default mode network and altered consciousness
in epilepsy. Behav Neurol 2011;24:55-65.
27. Leech R, Sharp DJ. The role of the posterior cingulate cortex in cognition and disease. Brain :
a journal of neurology 2013;137:12-32.
28. Gui D, Xu S, Zhu S, et al. Resting spontaneous activity in the default mode network predicts
performance decline during prolonged attention workload. NeuroImage 2015;120:323-30.
29. Esposito F, Aragri A, Latorre V, et al. Does the default-mode functional connectivity of the
brain correlate with working-memory performances? Arch Ital Biol. 2009;147:11-20.
30. Mohan A, Roberto AJ, Mohan A, et al. Focus: the aging brain: the significance of the default
mode network (DMN) in neurological and neuropsychiatric disorders: a review. The Yale journal of
biology and medicine 2016;89:49.
31. Greicius MD, Srivastava G, Reiss AL, Menon V. Default-mode network activity distinguishes
Alzheimer's disease from healthy aging: evidence from functional MRI. Proceedings of the National
Academy of Sciences 2004;101:4637-42.
32. Sheline YI, Barch DM, Price JL, et al. The default mode network and self-referential
processes in depression. Proceedings of the National Academy of Sciences 2009;106:1942-7.
33. Song M, Zhou Y, Li J, et al. Brain spontaneous functional connectivity and intelligence.
Neuroimage 2008;41:1168-76.
34. Van Den Heuvel MP, Stam CJ, Kahn RS, Pol HEH. Efficiency of functional brain networks
and intellectual performance. Journal of Neuroscience 2009;29:7619-24.
35. Marek T, Fafrowicz M, Golonka K, et al. Diurnal patterns of activity of the orienting and
executive attention neuronal networks in subjects performing a Stroop-like task: a functional magnetic
resonance imaging study. Chronobiol Int 2010;27:945-58.
36. Matchock RL, Mordkoff JT. Chronotype and time-of-day influences on the alerting,
orienting, and executive components of attention. Exp Brain Res 2009;192:189-98.
37. Hodkinson DJ, O'daly O, Zunszain PA, et al. Circadian and homeostatic modulation of
functional connectivity and regional cerebral blood flow in humans under normal entrained
conditions. Journal of Cerebral Blood Flow & Metabolism 2014;34:1493-9.
38. Roenneberg T, Wirz-Justice A, Merrow M. Life between clocks: daily temporal patterns of
human chronotypes. J Biol Rhythms 2003;18:80-90.
39. Moreno C, Vasconcelos S, Marqueze E, et al. Sleep patterns in Amazon rubber tappers with
and without electric light at home. Sci Rep-Uk 2015;5:14074.
40. Berry RB, Brooks R, Gamaldo CE, Harding SM, Marcus C, Vaughn B. The AASM manual
for the scoring of sleep and associated events. Rules, Terminology and Technical Specifications,
Darien, Illinois, American Academy of Sleep Medicine 2012.
41. de Campos BM, Coan AC, Lin Yasuda C, Casseb RF, Cendes F. Large-scale brain networks
are distinctly affected in right and left mesial temporal lobe epilepsy. Hum Brain Mapp 2016;37:3137-
52.
42. Kasper L, Bollmann S, Diaconescu AO, et al. The PhysIO toolbox for modeling physiological
noise in fMRI data. Journal of Neuroscience Methods 2017;276:56-72.
43. Penny WD, Friston KJ, Ashburner JT, Kiebel SJ, Nichols TE. Statistical parametric mapping:
the analysis of functional brain images: Academic press, 2011.
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
18
44. Power JD, Barnes KA, Snyder AZ, Schlaggar BL, Petersen SE. Spurious but systematic
correlations in functional connectivity MRI networks arise from subject motion. Neuroimage
2012;59:2142-54.
45. Power JD, Mitra A, Laumann TO, Snyder AZ, Schlaggar BL, Petersen SE. Methods to detect,
characterize, and remove motion artifact in resting state fMRI. Neuroimage 2014;84.
46. Shirer WR, Ryali S, Rykhlevskaia E, Menon V, Greicius MD. Decoding Subject-Driven
Cognitive States with Whole-Brain Connectivity Patterns. Cereb Cortex 2012;22:158-65.
47. Dinges DF, Powell JW. Microcomputer analyses of performance on a portable, simple visual
RT task during sustained operations. Behavior Research Methods, Instruments, & Computers
1985;17:652-5.
48. Stroop JR. Studies of interference in serial verbal reactions. J Exp Psychol 1935;18:643-62.
49. Akerstedt T, Gillberg M. Subjective and objective sleepiness in the active individual. Int J
Neurosci 1990;52:29-37.
50. Benjamini Y, Hochberg Y. Controlling the false discovery rate: a practical and powerful
approach to multiple testing. Journal of the royal statistical society. Series B (Methodological)
1995:289-300.
51. Hasler G, Buysse DJ, Klaghofer R, et al. The association between short sleep duration and
obesity in young adults: a 13-year prospective study. Sleep 2004;27:661-6.
52. Lauderdale DS, Knutson KL, Yan LL, Liu K, Rathouz PJ. Self-reported and measured sleep
duration: how similar are they? Epidemiology (Cambridge, Mass.) 2008;19:838-45.
53. Ramgopal S, Vendrame M, Shah A, et al. Circadian patterns of generalized tonic?clonic
evolutions in pediatric epilepsy patients. Seizure 2012;21:535-9.
54. Gonzalez-Castillo J, Bandettini PA. Task-based dynamic functional connectivity: Recent
findings and open questions. Neuroimage 2018;180:526-33.
55. Tavor I, Parker Jones O, Mars RB, Smith SM, Behrens TE, Jbabdi S. Task-free MRI predicts
individual differences in brain activity during task performance. Science 2016;352:216-20.
56. Rosenberg MD, Finn ES, Scheinost D, et al. A neuromarker of sustained attention from
whole-brain functional connectivity. Nature Neuroscience 2016;19:165-71.
57. Marquie JC, Tucker P, Folkard S, Gentil C, Ansiau D. Chronic effects of shift work on
cognition: findings from the VISAT longitudinal study. Occup Environ Med 2015;72:258-64.
58. Lane JM, Vlasac I, Anderson SG, et al. Genome-wide association analysis identifies novel
loci for chronotype in 100,420 individuals from the UK Biobank. Nat Commun 2016;7:10889.
59. Hobson JA. Sleep is of the brain, by the brain and for the brain. Nature 2005;437:1254.
60. Greicius MD, Krasnow B, Reiss AL, Menon V. Functional connectivity in the resting brain: a
network analysis of the default mode hypothesis. Proc Natl Acad Sci U S A 2003;100:253-8.
61. Broyd SJ, Demanuele C, Debener S, Helps SK, James CJ, Sonuga-Barke EJ. Default-mode
brain dysfunction in mental disorders: a systematic review. Neurosci Biobehav Rev 2009;33:279-96.
62. Connolly CG, Wu J, Ho TC, et al. Resting-State Functional Connectivity of Subgenual
Anterior Cingulate Cortex in Depressed Adolescents. Biol Psychiat 2013;74:898-907.
63. Khalsa S, Hale JR, Goldstone A, et al. Habitual sleep durations and subjective sleep quality
predict white matter differences in the human brain. Neurobiology of Sleep and Circadian Rhythms
2017;3:17-25.
64. Beaty RE, Chen Q, Christensen AP, Qiu J, Silvia PJ, Schacter DL. Brain networks of the
imaginative mind: Dynamic functional connectivity of default and cognitive control networks relates
to openness to experience. Human brain mapping 2018;39:811-21.
65. Andrews-Hanna JR, Snyder AZ, Vincent JL, et al. Disruption of large-scale brain systems in
advanced aging. Neuron 2007;56:924-35.
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
19
Table 1. Summary of demographic, actigraphic and physiological variables for Early
(ECPs) and Late (LCPs) circadian phenotypes. Values are shown as mean ± SEM unless
specified. Significance is shown with a
parametric tests, b
non-parametric tests or c
Fisher’s
exact test. Phase angle is calculated by the interval time between dim light melatonin onset
and sleep onset.
Variable Measured (mean ± SEM) ECPs LCPs Significance
Demographic variables
Sample Size N = 16 N = 22 n/a
Number of Scans/Testing Sessions N = 48 N = 66 n/a
Percentage of Males/Females (%) M = 43.8 M = 31.8 ns
c
F = 56.3 F = 68.2 nsc
Age (years) (mean ± s.d.) 24.7 ± 4.0 21.2 ± 3.3 p = 0.028a
Height (cm) 171.3 ± 2.0 171.1 ± 2.4 nsa
Weight (kg) 66.4 ± 2.8 67.1 ± 2.1 ns
a
MCTQ Score (hh:mm) 02:24 ± 00:10 06:52 ± 00:17 p < 0.0001a
Actigraphic variables
Sleep Onset (hh:mm) 22:57 ± 00:10 02:27 ± 00:19 p < 0.0001a
Wake Up Time (hh:mm) 06:33 ± 0.10 10:13 ± 00:18 p < 0.0001a
Sleep Duration (h) 7.59 ± 0.18 7.70 ± 0.14 nsa
Sleep Efficiency (%) 79.29 ± 1.96 77.23 ± 1.14 nsa
Sleep Onset Latency (hh:mm) 00:25 ± 00:06 00:25 ± 00:03 nsb
Physiological variables
Phase Angle (hh:mm) 02:28 ± 00:16 02:34 ± 00:18 nsa
Dim Light Melatonin Onset (hh:mm) 20:27 ± 00:16 23:55 ± 00:26 p < 0.0001a
Cortisol Peak Time (hh:mm) 07:04 ± 00:16 11:13 ± 00:23 p < 0.0001a
External variables (between sessions)
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
20
Table 2. Summary of significant brain regions (FWE, p < 0.05) between Early circadian phenotypes
(ECPs) and Late circadian phenotypes (LCPs) when seeding in the posterior cingulate cortex (PCC)
and medial prefrontal cortex (mPFC).
Region Contrast Seed
regio
n
Cluster
size
(voxels)
MNI centroid
coordinates
[x y z]
Maximu
m t-score
Medial Prefrontal Cortex ECPs > LCPs PCC 789 [-2 72 12] 13.71
Right Angular Gyrus ECPs > LCPs PCC 481 [46 -68 26] 8.14
Precuneus ECPs > LCPs PCC 431 [0 -64 18] 9.73
Left Angular Gyrus ECPs > LCPs PCC 257 [-54 -62 18] 14.75
Left Medial Temporal
Lobe
ECPs > LCPs PCC 237 [-58 -6 -24] 7.94
Left Superior Frontal
Gyrus
ECPs > LCPs PCC 212 [-18 60 26] 7.91
Left Medial Frontal Lobe ECPs > LCPs PCC 173 [-46 16 56] 8.71
Cingulate Gyrus ECPs > LCPs PCC 150 [-16 -42 26] 18.90
Left Angular Gyrus LCPs > ECPs PCC 428 [-32 -54 26] 16.29
Medial Prefrontal Cortex ECPs > LCPs mPFC 384 [2 70 6] 10.99
Left Anterior Insula ECPs > LCPs mPFC 378 [-26 14 -24] 8.87
Right Anterior Insula ECPs > LCPs mPFC 241 [26 18 -20] 9.36
Left Medial Frontal Lobe ECPs > LCPs mPFC 160 [-44 16 56] 9.62
Left Angular Gyrus ECPs > LCPs mPFC 134 [-56 -58 18] 10.19
Left Superior Frontal
Gyrus
ECPs > LCPs mPFC 111 [-4 68 28] 8.96
Right Medial Temporal
Lobe
ECPs > LCPs mPFC 108 [68 -12 -8] 6.15
Anterior Cingulate LCPs > ECPs mPFC 233 [22 44 10] 7.20
Right Superior Frontal
Gyrus
LCPs > ECPs mPFC 161 [22 42 52] 6.55
Hours since last meal (h) 3.58 ± 0.55 5.07 ± 0.58 nsb
Hours since caffeine (h) 8.47 ± 0.67 7.85 ± 0.82 nsb
Hours since exercise (h) 6.78 ± 0.74 7.44 ± 0.74 nsb
Hours since natural light exposure (h) 5.87 ± 0.80 3.51 ± 0.58 nsb
Hours since indoor light exposure (h) 1.88 ± 0.38 3.32 ± 0.51 nsb
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
21
Figure Captions
Figure 1. Linear relationships between corrected mid-sleep on free days (MSFsc) and biological
phase markers to validate circadian phenotyping. a) Dim light melatonin onset, b) Sleep onset, c)
Time of peak cortisol concentration, d) Wake up time. MSFsc is displayed as time of day (h) on the x
axis. Statistical analysis was carried out using linear regression analysis. Significance (**** = p <
0.0001) and R2
values are shown in the bottom right corner.
Figure 2. Resting state functional connectivity (rs-FC) of the Default Mode Network between
Early and Late circadian phenotypes (ECP/LCP). Z-transformed connectivity maps show
significant clusters (FWE corrected p < 0.05 at voxel level and subsequent cluster level) and t-score
scales for each contrast are shown in the center. Overall results from each seed are shown in a/d with
results from each time point (hours) represented in b/c and e/f. a) Summary results from the posterior
cingulate cortex (PCC) seed with diurnal variations between circadian phenotype groups plotted in b)
and c). d) Summary results from medial prefrontal cortex seed (mPFC) with diurnal variations
between circadian phenotype groups plotted in e) and f). Significant regions at the whole group level
are represented in grayscale. Regions higher in ECPs (ECPs > LCPs) are shown in red and regions
higher in LCPs (LCPs > ECPs) in green. Statistical analysis for a) and d) was carried out using a
flexible factorial model in SPM12. Two-way ANOVA was used to analyse group and time of day
differences in b), c), e) and f). * = p < 0.05, *** = p < 0.001, **** = p < 0.0001.
Figure 3. Nonlinear regression curves to show diurnal variations in sleepiness, Psychomotor
vigilance (PVT) and Stroop performance. a) Subjective sleepiness score measured with the
Karolinska Sleepiness Scale. b) PVT performance (reaction time in seconds), c) Stroop performance
(reaction time in seconds) for Early circadian phenotypes (white) and Late circadian phenotypes
(grey). Clock time of test (h) is shown on the x axis for each parameter. Statistical analysis was
carried out using two-way ANOVA. Post hoc multiple comparison tests were run to determine group
and time of day effects. * = p < 0.05, ** = p < 0.01, *** = p < 0.001, **** = p < 0.0001.
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
22
Figure 4. Summary of predictive analysis using resting state functional connectivity (rsFC) to predict attentional performance and subjective daytime sleepiness (black boxes).
Solid arrows indicate the predictive effects of rs-FC on attentional performance (psychomotor
vigilance task, PVT and Stroop task) and sleepiness variables for models using data from
seeds in the medial prefrontal (mPFC) and posterior cingulate (PCC) cortices. Dotted lines
and red boxes indicate where time of day or the interaction of time of day and rs-FC was also
found to be a significant factor.
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
23
Figure 1
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
24
Figure 2
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
25
Figure 3
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
Accepted Manuscript
26
Figure 4
Downloaded from https://academic.oup.com/sleep/advance-article-abstract/doi/10.1093/sleep/zsz033/5316210 by Ritsumeikan University user on 18 February 2019
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/704.html

[不安と不健康18] 10年後「死亡率」が最も低い睡眠時間は何時間か 日本人が知らない睡眠負債の恐怖 
10年後「死亡率」が最も低い睡眠時間は何時間か
日本人が知らない睡眠負債の恐怖
西野 精治 : スタンフォード大学医学部精神科教授 2019年02月16日

「睡眠負債」を重ねることで起こる、さまざまな危険とは(写真:プラナ/PIXTA)
1日24時間という限られた時間の中で、やらなければいけないことが山積している。だから、睡眠時間を犠牲にするのはやむをえない。とかく日本人は、そう考えがちです。
もともと日本人の場合、睡眠時間を削って何かに励むことを「美徳」のように捉え、「寝る間も惜しんで」仕事や勉強をすることが必要だ、というメンタリティが根づいてしまっているのでしょう。しかし、それが逆に、体調をガタガタにするだけでなく、仕事の成果さえも台無しにしてしまっていたとしたら……。
「睡眠負債」は取り返しのつかない結果をもたらしかねません。健康も維持しながら、仕事で成果を上げるために最適な睡眠時間とは。スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所(SCNL)の西野精治所長が、近著『スタンフォード大学教授が教える 熟睡の習慣』から世界各国の研究結果をもとに解説します。
こんなに危険な「睡眠負債」
「睡眠負債(sleep debt)」という表現を用いて、積み重なる睡眠不足に警鐘を鳴らしはじめたのは、アメリカ人のウィリアム・C・デメント教授です。

私も籍を置くスタンフォード大学睡眠生体リズム研究所の創設者で、90歳を超えられた今もご健在。今日の睡眠研究を牽引してこられた第一人者です。レム睡眠を発見したシカゴ大学のクライトマン研究チームのひとりでもあり、急速眼球運動のある睡眠のことを「レム睡眠」と呼びはじめたのも、デメント教授でした。

「ヒトは一定の睡眠時間を必要としており、それより睡眠時間が短ければ、足りない分がたまる。つまり眠りの借金が生じる」

これを「sleep debt」と呼び、「借金がたまると、脳や身体にさまざまな機能劣化が見られる。睡眠不足は危険である」と呼びかけたのです。1990年代のことです。


アメリカでも、日本と同じように「睡眠不足(sleep insufficiency)」という言葉は一般によく使われています。では、睡眠不足と睡眠負債はどう違うのか。いうなれば、「手持ちのお金が足りず、借りをつくるものの、すぐに返済できる状態」が「不足」、「借金に次ぐ借金で、借りがどんどんふくらみ、返すあてもなく、にっちもさっちもいかなくなる」のが「負債」。こう考えると違いがわかりやすいでしょう。

睡眠不足が積み重なり、慢性化してしまうことで、睡眠負債に陥るのです。

日本で「睡眠負債」という言葉が流行語になるほど広まったのは、2017年にNHKの番組が取り上げたことがきっかけでしたが、睡眠研究に携わっている人たちは以前から使っていた言葉でした。

ただ、睡眠不足の累積を意味する比喩表現として用いていたので、睡眠負債の概念そのものを議論し、医学的に定義づけするようなことはあまり行われてきていません。そのため、睡眠負債についての認識は、研究者によって微妙にニュアンスが違うようなところもあります。

しかし、睡眠不足の蓄積が、がん、糖尿病や高血圧などの生活習慣病、うつ病などの精神疾患、認知症など、さまざまな発症リスクを高めることが、各方面の研究結果から明らかになってきており、睡眠負債の増大に歯止めをかけなくてはいけないという共通認識は、研究者の間で非常に高まっています。

4週間におよぶ実験でわかったこと
デメント教授が睡眠負債について説明するときに、よく用いていた実験結果があります。1994年に行われた4週間におよぶ睡眠時間計測の実験です。

若く健康な8人の被験者に、毎日同じ時間にベッドに入り、好きなだけ眠ってもらいます。ルールとして、眠れても眠れなくても、必ず毎日14時間ベッドで横になっていることを課しました。そして4週間にわたっての睡眠時間の変移を調べたのです。


最も典型的な被験者の場合、実験前の平均睡眠時間は7.5時間でした。はたして睡眠時間はどう推移するのか。

実験初日は、ベッドにいなければいけないと決められた14時間のうち、13時間眠れた。2日目も、13時間近く眠れた。ところが、日を追うごとに睡眠時間は減少し、1週間ぐらいすると、ベッドに入っても4〜5時間は眠れないようになった。

これを続けたところ、3週間後に、睡眠時間が8.2時間になり、それ以上睡眠時間が減ることはなくなりました。そこで固定したのです。このことから、この被験者が生理的に必要とする睡眠時間は、8.2時間であろうと判定されました。

健康で睡眠に特に問題はないということで実験に参加した人にも、実は約40分(実験前平均7.5時間→実験後平均8.2時間)の眠りの借金がありました。本人の自覚がない中で借金はたまっていたのです。

さらに見逃せないのは、その約40分の睡眠不足状態から、自分にとって適正な睡眠時間に戻るためには、3週間もの時間を要したことです。たまった睡眠不足は容易に取り戻せない。だから負債になっていきやすいのです。そこに留意してほしいと、デメント教授は一般の方向けの講演でよくこの実験のことを語っていました。

6時間睡眠でも気づかぬうちに劣化!?
睡眠不足は、自分では気づかないうちにたまっていることが多いということを示すこんな実験結果もあります。

ペンシルベニア大学などの研究チームが行った実験では、「6時間睡眠を2週間続けると、集中力や注意力は2日徹夜した状態とほぼ同じレベルまで衰える」という結果も発表されています。ふた晩徹夜をすると、疲れや眠気で頭が働かないという感じをはっきり自覚できますね。ところが、この実験で6時間睡眠を2週間続けたグループは、自分の疲労やパフォーマンスの劣化を自覚できなかったのです。

自分でも気づかないうちに蓄積されていく、それが睡眠負債の怖さです。知らず知らずのうちに借金が雪だるま式に増え、気づいたときにはどうしようもないほどにまで膨らんでしまう。そうなると精神的にも追いつめられ、身も心も破綻しかねません。

「自分は毎日6時間も寝ているから大丈夫」

こんなふうに思い込んでいるあなた、本当に大丈夫でしょうか。生理的に身体が必要とする睡眠時間は人によってそれぞれですから、一概に6時間が少なすぎるとはいいきれませんが、ミスや事故、取り返しのつかない失敗は、危ういという自覚症状がないときにこそ起こりやすいのです。

長距離トラック運転手や深夜バス運転手による居眠り事故なども、不規則な勤務体制による慢性的な睡眠不足が原因で起きることがしばしばあります。古くは、チェルノブイリ原発事故、スペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故なども、職員の睡眠不足が関係していたといわれています。

ヒトは一定の睡眠時間を必要としている。では、その「一定の睡眠時間」とは何時間なのでしょうか。睡眠はまだメカニズムがわかっていない点も多いため、疫学(集団の現象から、病気の原因や影響などを研究する学問分野)が参考にされます。

睡眠時間7時間が、死亡率が最も低かった
2002年、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが、保険会社とアメリカがん協会の協力のもと、110万人を対象にして行なった疫学調査の結果を発表しました。110万人という大規模な調査だったため、これは当時、メディアでも話題になりました。

これによると、アメリカにおける平均的な睡眠時間は男女とも7.5時間という結果でした。当然、ばらつきはあります。3時間、4時間睡眠の人もいれば、10時間以上の人もいます。ただ、データは平均値を頂点として正規分布していました。


『スタンフォード大学教授が教える 熟睡の習慣』(PHP新書)書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします
この調査チームは、6年間にわたって追跡調査を行い、睡眠時間と死亡率の関係も調べています。それによると、最も死亡率が低かったのは、睡眠時間が約7時間(6.5時間以上7.5時間未満)の人たちだったことがわかったのです。

睡眠時間が短い人、例えば3時間睡眠の人たちの場合、死亡率は1.3倍ほど高かった。一方、7時間より睡眠時間が長い人もまた、死亡率が上がっているという結果でした。

実は、これと同じような調査結果が、日本でも出ています。名古屋大学の研究で、40歳から79歳の男女約10万人について10年間の追跡調査をしたもので、平均睡眠時間は男性7.5時間、女性7.1時間。10年後の死亡率がいちばん低かったのは、睡眠時間が7時間(6.5時間以上7.5時間未満)の人たちで、睡眠時間がそれより短くなるほど、あるいは長くなるほど、死亡リスクが増しているという結果でした。
https://toyokeizai.net/articles/-/265976
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/705.html

[不安と不健康18] 睡眠不足だと痛みは強まる!長さではなく、大切なことは? The New York Times BODY 2019.0
睡眠不足だと痛みは強まる!長さではなく、大切なことは?
The New York Times

BODY

2019.02.14

0


2019.02.14

0

痛い

image via shutterstock

不眠でずっと悩んでいる人は、睡眠不足と痛みの関係について科学が示していること、つまりこのふたつが関連し、それぞれがお互いを悪化させているということをよくご存知かと思います。

たとえば、腰痛や坐骨神経痛や関節痛など、慢性的な痛みを抱えている人は睡眠不足になることがよくあります。熟睡できないと翌朝の腰痛はひどくなり、するとその日の夜に熟睡するのががますます難しくなるという具合です。

なぜ睡眠不足だと痛みがひどくなるの?
アイマスク

image via shutterstock

なぜ睡眠不足だと痛みがひどくなるのかについては、完全にわかってはいませんが、それは切り傷やねんざなどのケガに対する体の反応の仕方に関係しているようです。

まず、神経が脊髄を通じて(ケガの箇所から)脳へシグナルを送り、痛みを感じます。脳では、神経領域のネットワークがケガに反応して刺激され、その痛みの感覚に対応したりそれを緩和しようとします。これを、攻撃された地上チームとそのダメージを食い止めようとする司令センターとの間の生理的会話だと思ってください。

そしてこのたび、この会話の(脳からの)トップダウン指令の特質と、それが睡眠によってどんな影響を受けるのかが、このたび、ある神経学者チームの新しい研究によって明らかにされました。

睡眠で痛みが変われば、薬が不要になる?

image via shutterstock

睡眠ラボを使った実験では、わずか一晩の睡眠不足で痛みのしきい値(閾値)が15%以上も下がり、ペインマネジメントを行なう脳の部位に明らかな兆候が見られたのです。

また別の実験では、日々の平均睡眠量のわずかな偏差によって(被験者が感じる)翌日の痛みの全体量(総量)を予想できることもわかりました。

アメリカ国立心肺血液研究所の睡眠障害部ディレクター、マイケル・J・トゥエリーさんは、「これらの研究結果で興味深いのは、このメカニズムを解明するため、今後の研究が促進され正当化されることですね」と述べています。

彼は、この研究には関わっていませんが「睡眠不足がどのように痛みの経路機能を変化させるのかが明らかになれば、あらゆるタイプの痛みに対して、より効率的なペインマネジメントが可能になるでしょう」と述べています。

ほかの研究者たちは、この調査が小規模であるため、より大規模な再生調査が必要だと警告しています。しかし、慢性痛とからんで麻薬中毒が増えているとき(訳注:アメリカでオピオイド系鎮痛剤の中毒者が増えている現状を指している)、この研究は、体には痛みに対処する能力があり、処方薬なしでその能力を高めることができることを明らかに気づかせてくれるとも述べています。

「あっつい!」の感覚も寝不足だと強くなる

image via shutterstock

この新しい研究チームの主導者であるカリフォルニア大学バークレー校のアダム・J・クラウスさんとマシュー・P・ウォーカーさんは、25名の大人を実験室へ二度招き、熱さに対する痛みの閾値を測定しました。

それぞれの被験者は、一晩寝た後の朝と徹夜後の朝に2回測定されました。その2回の測定の間は最低でも一週間は空いており、脳撮像による測定も含まれています。

被験者は、熱くなった小さなパッドが足首に近い皮膚に押し付けられたときの痛みの感覚を評価しました。温度をゆっくり上下に調節することによって、被験者は痛みを1から10までのレベル(10が「耐えられない」)で判断しています。

すると、徹夜後の翌朝には、被験者全員の熱に対する感覚は、痛みレベルで15%から30%上がっていました。これは予想どおりでした。さまざまな痛みに対して同じような研究結果がすでに出ていたからです。

睡眠不足だと痛みは強まり、鎮痛作用は弱まる
ホムンクルス

image via shutterstock

しかし、脳撮像を行うことによって、新しい次元も明らかになりました。それぞれの被験者の脳では、痛みを感じる部位の活動が急激に上がっており、痛みのコントロールや減少に関連していると思われている部位の活動が急低下していたのです。

最大の活動があったところは体性感覚皮質でした。これは、脳の上部にありヘッドフォンのように左右に伸びているひものような神経組織です。

「ホムンクルス」と言われる、身体が歪んだように描かれる体性感覚の地図が位置するところで、こここそが、痛みの感覚を「痛い」と意識する部位だと見られています。一方、活動が最低だったのは、視床や側坐核のような脳のもっと深い部位でした。

「これは、同時にふたつのことが起こっていることを示しています。痛みの感覚が強調されていること、そして自然な鎮痛反応が失われているということ。この両方が起こっているという事実には驚きました」と、カリフォルニア大学バークレー校にあるCenter for Human Sleep Science(人間睡眠科学センター)所長のウォーカーさんは述べています。

故意に睡眠不足になるというのは、自然界ではほとんどありません。そのため、ペインマネジメントシステムを回復させたり調整したりする脳のバックアップシステムが進化しなかったのかもしれない、とウォーカー氏は語っています。

睡眠の量より質が重要なのです
耳せん

image via shutterstock

別のトライアルでは、毎日痛みを感じているという大人60名がオンラインで集められました。参加者は2日にわたって、睡眠と痛みを評価。朝には前夜の睡眠を、そして夕方には痛みのレベルを測りました。

ここで、睡眠の質が低いと、参加者の痛みのレベルが高いことが推察されました。この調査では、睡眠の長さは決め手になる要素ではないことがわかったのです。重要なのは、深い睡眠、つまり夢を見ないほどの熟睡状態に移ることなのだそう。

この調査が示す意義は幅広く、おそらく病院から始められるべきでしょう。病院とは、騒音レベルが高くひんぱんに邪魔がはいる場所です(訳注:人の移動や数時間ごとの検査などで入院患者が熟睡できないことがアメリカでは近年問題になっている)。この研究の関係者は、飛行機の機内のように、病院でも耳栓や睡眠マスクを配布することは、費用もそれほどかからず、患者の回復を早め入院期間を短縮することができると提案しています。

「精神医学と記憶分野において、睡眠が大きな役目を果たすことが判明したのはプラスです」と述べているのは、ハーバード医学部精神医学科準教授のロバート・スティックゴールド医学博士。「マイナスなのは、研究から実践まで平均10年以上はかかるということです」

熟睡してますか?


風水のエキスパートに聞いた、数分で眠りに落ちる寝室のつくり方

快眠には、寝室の環境づくりも大切です。プロの風水師がぐっすり眠れる寝室の作り方をアドバイス。

https://www.mylohas.net/2019/02/184853pvn_bedroom.html

夜中に目覚めて眠れない…。寝つけなくなる5つの理由

寝つきが悪いと悩んでいませんか?夜中に寝ている途中で起きるのはいたって正常なことだそう。ただ睡眠の質を下げる原因はあるかも。眠りの妨げとなる5つの理...

https://www.mylohas.net/2018/07/171211sleep.html

©2019 New York Times News Service[原文:No Slumber, More Pain: Trying to Understand Why/執筆:Benedict Carey](翻訳:ぬえよしこ)
https://www.mylohas.net/2019/02/184879nyt_slumber.html
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/706.html

   前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > うまき gqSC3IKr > 100010  g検索 gqSC3IKr

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。