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[不安と不健康18]  ベッドを揺すれば睡眠の改善に? 新たな研究結果が示唆 
ライフスタイル 2019/02/16 20:00
ベッドを揺すれば睡眠の改善に? 新たな研究結果が示唆
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Bruce Y. Lee , CONTRIBUTOR
I cover the intersection of business, health and public health.


Volha_R / shutterstock

科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に掲載された最近の研究によると、就寝時に体を揺すられることで寝付くまでの時間が短くなり、睡眠は深く長くなり、睡眠中に記憶が固定されやすくなるかもしれない。

体を揺らすことは、これまで乳児を眠らせる方法として活用されてきた。しかし今回の調査結果は、体を揺らすことが大人にも同様に睡眠改善効果をもたらすかもしれないことを示している。

大人を対象として実施された同調査の被験者は、20〜27歳の健康な成人女性10人、成人男性8人だ。ジュネーブ大学とローザンヌ大学の研究者らは被験者を集め、実験所で各自2晩睡眠を取らせた。被験者らは、1晩は動かないベッドで、もう1晩は揺りかご効果のあるベッドで眠った。

揺りかご効果のあるベッドは、横方向に10.5センチメートルの幅、周波数0.25ヘルツで、一晩中優しく揺れるよう設定された。ベッドは4秒に1度、左右に揺れるサイクルを繰り返す。

ベッドの動きは、次の動画で確認できる。

研究者らは、静止しているベッドと揺りかごベッドを経験する順番を被験者ごとに変え、一部は1晩目に静止したベッド、2晩目に揺りかごベッドで就寝し、その他は逆の順番で眠った。各被験者は、実験室で眠った影響を無効にするため、1晩目と2晩目の間に5〜14日間自宅のベッドで眠った。実験室での就寝中は、脳波を含め睡眠のあらゆる側面が監視された。

被験者らは、実験室で睡眠を取った夜の前後に注意力と記憶のテストを受けた。注意力テストは、コンピューターの画面中心に次々と現れる十字記号に対しキーを押す反応の速さを測るものだ。また記憶のテストでは、実験室で就寝する前に46組のフランス語の単語ペアを見せられ、睡眠の前後にどれほど覚えられたかを測定した。

これにより、被験者が睡眠を使って記憶を固定し、就寝前に見たものを眠っている間に長期記憶に変えることができたかどうかを測定できる。

結果として、揺りかごベッドを使用した晩の方に大きな効果が確認された。被験者は就寝時に揺すられた場合、寝付きが早く眠りが深かったのに加え、就寝時間は長く、1晩の間に目が覚める回数も少なかった。またフランス語の記憶テストでは、揺りかごベッドに寝た時の方がより多くの単語ペアを覚えていた。研究チームはまた、被験者の脳波にも関連の変化があることを発見した。
次ページ > マウスでも一部、効果が確認

さらに同研究チームは、マウスを対象に同様の実験を実施しており、こちらもカレント・バイオロジー誌に発表した。同研究では、カゴを揺らすことでマウスが睡眠を始めるまでの時間が早まり、長時間眠る可能性が指摘されたが、人間に見られたような睡眠の質の改善効果は確認されなかった。

では、揺すられることが睡眠に効果的な理由は何だろう? どうやら周期的な外部の動きにより、頭の中の電気的活動に適切なリズムが設定され、それが睡眠を促進するようだ。こうした効果をもたらしているのは、バランスを感知・維持している内耳の前庭器官かもしれない。実際マウスを使用した実験では、前庭器官を持たないマウスの間ではカゴを揺らすことの睡眠効果が確認されなかった。

適切な内部リズムを設定することが重要であり、どのような揺すり方でも睡眠に効果があるわけではない。継続的に激しく揺する動きの場合は、おそらくあまり効果がないはずだ。睡眠誘発的な動きがどこから睡眠を破壊する動きになり、不快感や吐き気さえもたらすようになるのかはいまだに明らかにされていない。また、これが人によって、あるいは人とマウスでは異なることさえ考えられる。

さらに、人を対象とした今回の研究では、短期的な効果を見ただけだ。揺りかごベッドで数日、数週間、数カ月、あるいは数年眠った場合もこうした効果が持続するだろうか? より詳細な調査が必要とされるため、ベッドを巨大な揺りかごやケージに変える前に一度考えた方がよさそうだ。

これらの調査結果はどちらにせよ、近い将来生じる睡眠問題に対し、新たなアプローチを生む可能性を秘めている。

睡眠障害は広く見られる健康問題で、米国立心肺血液研究所(NHLBI)の推定では5000万〜7000万人の米国人を悩ませている。薬の服用は長期的に見ると(あるいは短期的に見ても)良い解決策ではなく、その他の選択肢が強く必要とされている。成人も赤ん坊のように体を揺すられることで、すやすやと眠れるようになるかもしれない。
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http://www.asyura2.com/16/health18/msg/707.html

[不安と不健康18] 効果的な睡眠学習が意外すぎた件 
効果的な睡眠学習が意外すぎた件
投稿日:2019年2月18日

DaiGo MeNTaLiST
睡眠学習をしたことはありますか?
多くの人は聴きながら寝てこれで英単語が覚えられるとか言っていると思いますが、効果的な睡眠学習には条件があります。そして、睡眠学習が使えるものと使えないものがあります。

手を動かさないと覚えられない数学や技術というよりは経験として覚えないといけないものには睡眠学習は効果がないと言われますが、英単語などの単純記憶でいいものに関しては睡眠学習で効果を得られるかもしれないということが最新の研究でわかっています。
つまり、皆さんが英語のボキャブラリーを増やしたいとか思うのであれば、睡眠学習も効果的かもしれないということです。

目次[表示]
効果的な睡眠学習とは?
では、 BGM をかけているのように英単語を読み上げている音声をかけていればいいのかと言うと単純にそういうことではなく方法に注意が必要です。

寝る時に再生しながら寝るのは駄目です。
そして、知らないことを睡眠学習しても駄目で、復習には使えます。
睡眠学習時に聞いたこともない単語を流すとどうやら脳は記憶しているようですが取り出すことが出来なくなってしまいますので記憶としては意味がなくなってしまいます。

スイス大学の研究でいわゆるノンレム睡眠時に外国語の音声を復習として聞くことでボキャブラリーが増えるのかということを調べてくれています。
ドイツ人の学生を集めて夜の10時からオランダ語のボキャブラリー学習用のCD を聞いてもらい、それからベッドに入ってもらいました。そしてノンレム睡眠に入った時にもう一度先ほど聞いた CD を聞かせました。
眠りが深い時に復習用の音源を流したということです。

その結果、ノンレム睡眠時に外国語の音源を聞いた学生は起きた後に単語を思い出す確率が大きく上昇したということです。
ですから、復習用としては使えるテクニックと言えます。

復習用として使う

単語の学習に使う

ノンレム睡眠時に聞くようにする

この3つの条件を揃えることで効果が確認されたということです。
これは聴覚刺激と言われているテクニックで、睡眠中の脳波を調べてみると人間は新しいことを学んだり復習したり勉強している時にシータ波という波形が出ますが、このシータ波が確認されています。
ですから、意識はなくても脳は単語を覚えようとしてくれているということです。

どう使えば良いの?
ノンレム睡眠時に使わないといけないとなるとどうすればいいのか?
寝る前にその学習用の音声を聞いておきます。そして寝るわけですが、眠りについてから2時間から3時間後にその音声が流れるようにセットしておきます。そして目が覚めたら自分が覚えているかどうかチェックして下さい。
このチェックは簡単でいいのでテストをした方がいいです。記憶はインプットをしてもアウトプットをしないと定着しにくいからです。

これにより記憶の定着がとても効果的になります。
厳密にノンレム睡眠時を確認しようとすると難しいので2時間から3時間後と考えておくと良いかと思います。

是非実践してみてください。

学習法に関するおすすめ動画
忙しすぎる人のための超時短勉強法
▶️https://www.nicovideo.jp/watch/1542125103
科学が認めた最強の読書術!メタ認知読書法とは
▶️https://www.nicovideo.jp/watch/1533307873
仕事や勉強が最もはかどるタイミングの科学
▶️https://www.nicovideo.jp/watch/1542468062

参考
https://academic.oup.com/cercor/article/25/11/4169/2366428
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/708.html

[不安と不健康18] 睡眠で脳内の"ゴミ"を掃除しないと認知症 人は人生80年のうち25年寝る ライフ 
睡眠で脳内の"ゴミ"を掃除しないと認知症
人は人生80年のうち25年寝る
ライフ 2019.1.28 #認知症 #睡眠
大越 裕
ライター 大越 裕
PRESIDENT 2018年9月17日号
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睡眠不足の人はボケやすい、というのは本当だった! 最新の研究によると、睡眠と認知症には密接な関連性があるという。では、どうしたらいいか。名医からアドバイスをもらった。
脳内の「ゴミ」は、睡眠で一掃できる!
「近年の研究で、睡眠と認知症の間には、密接な関係があることがわかってきました」


※脳の海馬に一時的に蓄えられた記憶は睡眠中に大脳皮質へ転送される。この仕組みが健全に働かなければ、記憶は定着せず、やがて認知症になる。
兵庫県尼崎市にある長尾クリニックの院長で、『認知症は歩くだけで良くなる』など、数多くのベストセラー家庭医学書を執筆する長尾和宏氏はそう語る。

「認知症の主要な原因であるアルツハイマー病は、アミロイドβというタンパク質の『ゴミ』が脳内の神経細胞に蓄積することで発症します。ワシントン大学の研究では、眠りを断たれたマウスの脳内にアミロイドβが蓄積し、睡眠させると少なくなることが報告されました。つまり家庭のゴミが毎朝ゴミ収集車で回収されるように、脳内のゴミは睡眠時に分解され、一定以上の量に溜まらないようになっているのです」

ところが睡眠不足になると、アミロイドβの分解が追いつかず、脳内の「ゴミ」は蓄積する一方となってしまう。それが認知症を引き起こす原因となるのだ。さらに近年解明されてきた「脳内の記憶メカニズム」の観点からも、睡眠不足が認知症を招くことがわかってきたという。

「人間の記憶は、側頭葉の内部にある『海馬』という器官から大脳皮質に転送されることで定着します。海馬の神経細胞は1億個であるのに対し、大脳皮質の神経細胞は100億個。いわばパソコンのメモリーと外部の大容量ハードディスクのような関係です。海馬の容量は少ないため、新しい出来事を記憶するためには、どんどん大容量の大脳皮質にデータを転送しなければなりません。その海馬から記憶の転送と固定が行われるのが、睡眠中なのです。そのため睡眠に問題があると、新しい記憶の保持ができなくなってしまいます」

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質のいい睡眠をとることが大切


認知症の高齢者が昔のことはよく覚えているのに、最近のことが記憶できないのは、この転送・固定のシステムに支障をきたしていることが理由の1つだという。さらに不眠症などの睡眠障害を持つ人は、メタボリックシンドロームや糖尿病などの生活習慣病にもかかりやすくなるが、この2つの病気も認知症を悪化させることが知られている。


PIXTA=写真
「睡眠不足だと血糖値を下げるホルモンのインスリンの分泌に異常をきたし、糖尿病の発症リスクが高まってしまいます。糖尿病になるとアミロイドβが分解されにくくなり、脳内にゴミが溜まりやすくなります。またメタボ体形の人は気道が狭くなるため大きないびきをかき、睡眠中の動脈血中酸素濃度が極端に低下します。つまり睡眠不足が生活習慣病を引き起こし、そのせいで認知症が悪化するという悪循環を招いてしまうのです」

将来の認知症を防ぐためには、何より「質のいい睡眠をとることが大切」と長尾氏。しかし仕事や家事に追われ、忙しい日々を送る現代の日本人が、良質な睡眠を日常的にとるのはなかなか厳しいのが実情だ。手っ取り早く「眠り」を得るために、睡眠薬やアルコールに頼る人は少なくないが、「それは愚の骨頂です」と断言する。

「眠れないからといって心療内科で睡眠薬を処方してもらったり、寝酒を飲むのは長期的に見るとマイナス面しかありません。日本で従来よく使われているベンゾジアゼピン系の睡眠薬には依存性があり、長期間服用すると認知症になる確率が3.5倍高まることがイギリスの研究で判明しています。また同タイプの薬は筋肉を弛緩させるため、とくに高齢者は転倒しやすくなり、骨折などの怪我もしやすくなります」

アルコールを服用すると入眠は容易になるが、睡眠の「量」と「質」は確実に低下する。その結果、日中睡魔に襲われるようになり、覚醒レベルが下がって、さらに夜眠れなくなる。入眠のための習慣的な寝酒がアルコール依存を招いたり、肝臓・脳などの臓器にダメージを与えることも珍しくない。「アルコールと睡眠薬を併用するようになったら最悪です」と長尾氏は警鐘を鳴らす。

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歩くことで、記憶力が向上する

歩くことで、記憶力が向上する
それでは中高年が「いい睡眠」習慣を身につけ、認知症を予防するにはどうすればいいのか。長尾氏は1つ目に「朝一番に少しでも太陽をあびること」を推奨する。


写真=iStock.com/miya227
「朝の太陽光の中に含まれる紫外線は体内時計をリセットし、『やる気ホルモン』と言われるセロトニンの放出を促します。セロトニンは覚醒レベルを上げるとともに、夜に睡眠を誘発する脳内物質のメラトニンの産生を促します」

もう1つ認知症予防のために勧めるのが「歩くこと」だ。

「脳を健康に保つには、十分な血流が必要です。認知症になると脳の血流が減りますが、歩くことで脳内の血流を増やすことができます。1日10分間。朝、昼、晩の3回、歩数で言えば4000〜8000歩ほど。血圧が上がらないスピードの普通のウオーキングで十分です。ジムで筋トレをしたり、急にジョギングを始めたりする必要はありません。激しい運動をすると体に有害な活性酸素の量が増え、老化が早まります」

また歩くことで骨に衝撃を与えることも重要だという。

「近年、骨は体を支えるだけでなく重要な『臓器』の1つで、全身に向けてさまざまなメッセージ物質を出していることがわかってきました。健康な骨からはオステオカルシンという大切なホルモンが出て、血流に乗って脳の海馬まで届き『記憶力をアップせよ』というメッセージを伝えていることが判明したのです。同じく骨から出るオステオポンチンという物質は、免疫を強化する役割も担っています」

人生80年とすれば、人は一生のうち25年間も眠っていることになる。その睡眠は単なる休養時間ではなくさまざまな病気と関連し、健康な生活のカギを握っていることが医学的にも明確となり、「睡眠科学の時代がやってきた」と長尾氏は言う。

「太古の昔の人類は日の出とともに起き、太陽が沈めば寝る生活が普通で、十分な睡眠をとっていました。しかし文明の発達とともに睡眠時間は減少し、現代人の多くは基本的に睡眠が足りていません。特に日本は、世界の中でも短眠国家であることがデータでわかっています。現在日本は医療費の高騰が問題になっていますが、その背景には睡眠の問題があると私は考えています。昼間の覚醒レベルを高めるためにも、まず良質な睡眠を確保することが何より大切です。そのことを、日本の多くの人に知ってもらいたいですね」

長尾和宏(ながお・かずひろ)
長尾クリニック院長
医学博士。1958年、香川県生まれ。84年に東京医科大学を卒業、大阪大学第二内科に入局。95年から現職。『病気の9割は歩くだけで治る!』など著書多数。

(写真=PIXTA、iStock.com)
 

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景気判断が"まわりくどい文章"になる理由
butやhoweverの多用で機械を欺く
マネー 2019.2.18 #投資・金融商品 #プログラム売買

第一生命経済研究所 主任エコノミスト 藤代 宏一
• PRESIDENT Online

各国の中央銀行が出す「景気判断」は、文章に留保条件が多く、まわりくどい。それはなぜか。ひとつは、当局が自らの情報発信が市場の混乱を招くことを恐れているからだ。最近では、記者会見で発表されるキーワードで自動発注するケースが増えており、当局は神経を尖らせている。なかでも厄介なのは急激な市場変動を引き起こすとされる「プログラム売買」への対応だ。一体なにが起きているのか――。
プログラム売買の“暴走”が引き起こすもの

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Luka Banda)
年末年始の株価下落、為替の大幅な変動には肝を冷やした。特に衝撃的だったのは日本が正月休みの真っ最中の1月3日に起きたドル円のフラッシュクラッシュ。わずか数分の間に109円近傍から104円台まで円高が進行するという異常事態に見舞われた。為替は1日で1%変動すれば大きい方なので瞬時に4%も下落するのは、文字通り瞬間的に相場が壊れるという状況である。FX投資家等のトレーダーからすれば“落ちるナイフを掴む”ような感覚だっただろう。
こうしたフラッシュクラッシュは、かつては大量注文の誤発注にその原因を求めることが多かったが、最近はコンピューターを駆使したプログラム売買(機械取引とも言う、類義語は自動売買、システム売買など)の“暴走”が原因であるとの指摘が多い。またフラッシュクラッシュに限らず、株価や為替の不可解な変動にもこうした取引が背景にあるとされている。
株価がこれまでの経験則で説明のつかないほど割安な水準に下落したり、テクニカル分析において重要な節目をあっさりと突破したりする背景には、コンピューターによる無機質な売買の存在が指摘されている。そこで本稿では、どういった種類のプログラム売買が存在するかを整理し、またそれらが“暴走”する引き金を探す。
多岐にわたる「プログラム売買」の手法
まず一口に「プログラム売買」と言っても、その手法は多岐にわたる。最も身近なのはFX取引で一般的に用いられている「ロスカット」だ。強制的に損切り決済(反対売買)を執行する値段をあらかじめ設定し、そこに到達した瞬間にコンピューターが自動的に売買注文を出すというシンプルなプログラム。主として実現損が小さいうちに取引を終了させる目的で使われ、FX等の証拠金取引では、証拠金が枯渇する寸前の水準で、決済注文が発動されるよう設計されている。
これの応用版が「トレンドフォロー」や「モメンタム」と呼ばれる類の取引。実現損を抑えるロスカットとは異なり、機会損失を最小限に抑える目的で使われることが多い。機会損失とは、端的に言えば「買い逃しによるもうけ損ない」である。たとえば、ある株式が業績の上方修正などで上昇が勢いづいた場合、その波に乗り遅れないよう、そのトレンドに従って買い注文を入れる。
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1月3日の「フラッシュクラッシュ」の一因
1月3日の「フラッシュクラッシュ」の一因
こうした取引は、しばしば相場急変動の「主犯格」となる。ロスカットはFX取引で多く用いられていることから、1月3日のフラッシュクラッシュの一因であることは間違いない。100、105など区切りの良い水準(5の倍数)を跨いだりすると、その値段に設定されていた損切り注文が次々に執行され、ドミノ倒し的に値が崩れる。
また、たった数日のうちに株価が30%も上昇するようなケースでは、「トレンドフォロー」や「モメンタム」による売買が関係している可能性が濃厚だろう。これら相場追従的な売買は、買いが買いを呼ぶ展開に発展しやすく、相場を一方的に押し上げる傾向がある。もちろん、トレンドフォローは売りのタイミングを逃さない目的でも使われる。そのため、下落に拍車をかけることも多い。
ここからは少し専門的になるが、「リスクパリティ」と呼ばれる戦略が相場変動を増幅しているとの指摘も多い。ここでいうリスクとは変動率(正確には標準偏差)を指す。国内外の株式、国債、社債などの、各アセットのリスク量を合計した「総リスク量」が一定となるようコントロールすることで、運用資産の大幅な変動を回避する運用手法だ。年金やバランスファンドなどが活用しているという。
そうした運用は、株価のボラティリティ(=リスク、標準偏差)が高まると、株式のウェイトを落とす(同時に債券等のウェイトを上げる)ことで、ポートフォリオ全体のリスク量を一定に保つよう設計されている。そのため、多くの投資家が似たような戦略を採用すると、ボラティリティ上昇と株価下落が相互連鎖的に勢いづくことになる。
米国株のボラティリティを示すVIX指数(恐怖指数)が、安定・不安定の節目である20を越える局面で株価が下落する傾向にあるのは、まさに株価の変動を嫌って株式から資金流出が起きていることを物語っている(図表1。日経平均もほぼ同様の関係)。

(画像=藤代宏一)
記者会見の発言をコンピュータに聞き取らせて売買
コンピュータを駆使した戦略としては「イベント・ドリブン」と呼ばれるものがある。これは中央銀行が発表する声明文(政策要旨)を瞬時に読み取るなどして、それらが発表された瞬間に売買注文を出したりするもの。例えば、日銀が発表する声明文では“政策金利”“引き下げ”といったキーワードを読み取り「利下げ」を解読し、その瞬間に円を売ったり、債券を買ったりする。また、低金利が業績圧迫要因になる銀行株を売ると同時に、金利低下の追い風を受ける不動産株を買ったりするケースもある。
文字だけではなく、FRB議長の記者会見などの要人発言をコンピューターに聞き取らせて売買注文を出す投資家もいる。かつてはグリーンスパンFRB議長(1987年〜2006年)の書類ケースの厚さから政策変更を読み取ろう(分厚いのは政策変更を説明するための書類がたくさん入ってる説)というクラシックな手法もあったが、現在はコンピューターによる音声認識が使われている。
直近では1月4日にパウエル議長が「patient」という言葉を使った瞬間に株価が上昇する場面があった。この「patient」は、投資家とFRBの間でのみ通じる一種の合言葉のような存在で、FRBが金融引き締めを急がずに辛抱強く待つという含意がある。「patient=株買い注文」となる訳だ。
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「but」と「however」を多用した文書
「but」と「however」を多用した文書
一方、こうしたコンピュータによる音声や文字の自動認識の存在は、金融当局にとっては厄介な存在だろう。自らの情報発信が市場変動を増幅してしまう恐れがあるためだ。少し前の話になるが、量的緩和第3弾の縮小時期を模索していた2013年9月のFOMC声明は、FRBがそうした“誤解”を恐れていたのではないかと勘繰りたくなるような文章があった。普段は分かりやすさを重視する景気判断の文書で、たった2パラグラフに逆説の「but」と「however」が6回も登場したことがあった。
その数カ月前の2013年5月にバーナンキFRB議長が「Tapering」という単語を発した途端に金融市場が大荒れとなった経緯があるので、断定的な表現を極力避けたかったのだろう。この頃の金融市場では「量的緩和終了=株価下落」という思考パターンが少なからずあったため、それを示唆するような単語の並びになっていれば、声明文発表と同時に株価が大幅に下落することが十分に考えられた。FRBがそうした市場の反応を警戒していた可能性があるだろう。
現在、FRBは金融引き締めの終了時期を巡って、金融市場と神経質な会話をしている。1月FOMCから得られた情報から判断すると、6月頃までは利上げが休止されそうだが、今後、利上げ再開を模索する局面がもし訪れるなら、その際は(FRBが市場の急変動を恐れ)コンピュータが混乱するような“まわりくどい文章”や“留保条件”だらけの文章になる可能性がある。直近の声明文に逆説のbutは多用されていないが、FRBが“恐る恐る”利上げに踏み切る時、再びbutが登場するかもしれない。
市場の構造を劇的に変えたとは言い切れない
こうしたプログラム売買の席巻によって「最近は機械が支配したせいで、乱高下が大きくなってしまった」「もはや生身の人間は相場の混乱に飲み込まれてしまう」という嘆き声もある。しかしながら、金融市場の分析において思い込みは禁物だ。
たしかに相場の不可解な変動が増えた印象はあるが、意外なことに日本株の変動がここ数年で大きくなった証左はない。日経平均株価が1日に3%以上の変動を記録した日は2018年に7日あったが、これは2010‐12年平均の3.7日より多いものの、2016年の20日よりは大幅に少なく、2017年に至ってはゼロであった。データをみる限り、プログラム売買が日本株市場の構造を劇的に変えたとは言い切れない(図表2)。

(画像=藤代宏一)
藤代 宏一(ふじしろ・こういち)
第一生命経済研究所 主任エコノミスト
2005年、第一生命保険入社。2008年、みずほ証券出向。2010年、第一生命経済研究所出向を経て、内閣府経済財政分析担当へ出向。2年間経済財政白書の執筆、月例経済報告の作成を担当。2012年、副主任エコノミストを経て、後第一生命保険より転籍。2018年、参議院予算委員会調査室客員調査員を兼務。担当は、金融市場全般。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)。
(写真=iStock.com)
https://president.jp/articles/-/27635?page=3

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/183.html

[経世済民131] 竹中平蔵「稼ぐことが厳しく求められる」少子高齢化を生きるには「自助」 アジア6カ国、給与と仕事  寿司職人年収500万円
竹中平蔵「稼ぐことが厳しく求められる」少子高齢化を生きるには「自助」
政治・社会 2019.2.18 #ニュース #消費増税 経済学者 竹中 平蔵PRESIDENT 2019年1月14日号一覧
日本はこれからどうなるのか。「消費増税」「金利上昇」「人手不足」「米中摩擦」「高齢化社会」の5つのトピックについて、竹中平蔵氏に聞いた――。

TOPIC 1【消費増税】
増税前に買うべきは不動産。キャッシュレスの活用を
経済界も主要メディアも、間違っている
最初に明らかにしておきたいのは、私は消費税の増税には反対だということです。
日本の財政は、2017年度で歳出(支出)が約98兆円、歳入(収入)のうち税金は約58兆円で、差し引き約40兆円もの赤字になっており、その赤字を主に国債発行という借金で賄っています。
歳出では急速な高齢化の進展で年金・医療・介護などの社会保障費が毎年増え続け、赤字の最も大きな要因になっています。いずれギリシャのように借金もできない日が来ないように、消費税の税率を上げる増税によって、財政赤字を縮小させ、財政再建を図ろうとしています。

PIXTA=写真
財政再建は必ずやらなくてはいけませんが、重要なのは政策の手順です。景気回復・デフレ克服が先で、増税が後です。そうしないと、増税はしたものの不況に陥って経済全体の規模が小さくなり、税収全体は減るということもありうるからです。私は増税を主張する経済界も主要メディアも間違っていると考えています。
どうしても消費増税をやるのであれば、「改革減税」を実施すればいいと思います。つまり、経済構造の改革に資するような減税を行って、増税の悪い影響をオフセットする。例えば、現在の日本ではいろいろな取引の決済においてキャッシュレスの比率がものすごく低いために、データが蓄積されずビッグデータにならない。
だからキャッシュレスの買い物に対しては、一定の減税を行うとか補助金を出す。働き方改革も率先して取り組んでいる企業に対しては、それなりの減税を行う。今、部分部分、パーツパーツで行われている政策を、パッケージにして、打ち出すべきだと思います。
高額商品ほど、軽減税率適用がされるべきなのに
低い消費税率が適用される軽減税率制度の実施については、すでに自民党と公明党の与党間で、次の消費税を増税するときは、飲食料品について軽減税率を適用するということで合意しているわけです。

竹中平蔵氏
国会では、どこまでが食品、どこまでが外食かというような、神学論争みたいなことをやっていますが、本当に軽減税率を議論するのであれば、実は、住宅とか車などの高額商品にこそ軽減税率を適用すべきかどうかを議論すべきです。ヨーロッパでは適用されています。
要するに、前回の14年の消費増税のときも、結局、高額品である住宅や車、耐久消費財が落ち込んで、景気がだんだん悪くなったわけです。例えば、首都圏で1億円のマンションを買うとしましょう。1億円のうち半分が土地代だとすると、これには消費税はかかりません。残り半分の建物5000万円に消費税がかかるので、税率が10%になると500万円ですから、ベンツが1台買える金額になり、大変な負担です。景気に悪影響を与えるのは当然です。
住宅投資についてはすでに駆け込み需要がみられます。これは増税後に反動減を招き、景気の振幅を大きくして、先行きを不確実にします。
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TOPIC 2【金利上昇】 株・不動産保有者は要注意
TOPIC 2【金利上昇】
株・不動産保有者は要注意! 大いなる安定時代の終焉
「黒田バズーカ砲」は、なぜ間違っていないか
メディアでは金利が上昇し始めているという記事が増え、19年は金利上昇の年になるとの見方が強まっています。しかし私は金利が急上昇するとは思っていません。グレートモデレーションと呼ばれる大いなる安定が終わりを迎えるため、金利上昇圧力が弱まるからです。むしろそれにより株、債券、不動産の価格のボラティリティ(不確実性)が急速に高まることに留意すべきだと思っています。では、なぜ足元では金利が上昇しているのか。

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日本銀行は13年4月に「量的・質的金融緩和」政策を導入しました。前年比2%の消費者物価上昇率を目標とし、これを2年で達成するとして、日銀が大量の国債を購入することなどによって巨額のマネーを市場に供給しました。
08年のリーマンショックの後、米欧の中央銀行は通貨供給量を増やしたのに対し、日銀だけが増やしませんでした。すると相対的に通貨量の少ない円が高くなるわけです。民主党政権時代には1ドル80円近辺もの円高になった結果、日本の企業は大量に海外へ生産拠点を移しました。
国内での投資は減り、日本のデフレを克服できませんでした。だから、デフレを克服するためにも、通貨量を増やす「黒田バズーカ砲」という政策は間違っていない、ということです。
日銀の動きに対し、市場が過敏に受け止めている
ところが、こういう物価目標政策は、本来は短期決戦のはずでした。政府も足並みを合わせて、規制緩和を行い投資機会をつくって、一気に経済の流れを変えるという戦略だったのですが、日銀は変わったけれども、政府の規制緩和が思うほどできなかった。
結局、物価はマイナスではなくなったが、目標の2%達成にはまだ遠いという、日銀にとっては非常につらい状況が続いています。本来短期決戦の政策が長期化したことによって、運用利回りを調達利回りが上回るという逆ザヤが常態化し、銀行部門、とりわけ地銀の経営に非常に強いしわ寄せが起こっています。
そのことに日銀も配慮せざるをえなくなって、金融緩和は継続するが、その緩和の程度を抑え始めました。例えば国債を年間80兆円買うと表明したが、実際はそれほど買っていないというように微調整をしているわけです。それを市場が過敏に受け止めているという面はあるでしょう。
もう1つの要因は、米国の金利が上昇していることです。米国では、政府が巨額の減税の結果、財政赤字が拡大をする一方で、FRB(連邦準備制度理事会)は、超金融緩和からの出口を求めて金利を上げている状況です。つまり、これは財政赤字という金利上昇要因と中央銀行による金融引き締めの組み合わせです。それが世界の金利に影響を与えています。
ただ、19年、さらにもっと金利が上昇していくとは見ていません。というのは、このところ世界経済が少しずつ悪くなり始めているので、そういう状況の下で金利を引き上げるということはありえないからです。
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TOPIC 3【人手不足】当面、ピンチは変わらない
TOPIC 3【人手不足】
AI導入は加速していくが、当面、ピンチは変わらない
この30年間のグローバル競争とは、何だったのか?
18年12月10日に幕を閉じた臨時国会で、外国人労働者の受け入れ拡大を目指す出入国管理法改正案が脚光を浴び、わが国の労働力不足を強く印象づけました。実は、これは日本が人材の獲得競争で、後れをとってしまったことを示しています。
18年は平成30年ですが、この30年の間に、日本の人口はほとんど変化していません。平成の途中まで人口は少しずつ増え、その後、減り始めて、結局はほとんど同じです。問題はこの30年の間に、世界で何が起こったかということです。米国の人口は約30%も増え、3億人を超えました。すっかり成熟したと思われている英国でさえ、15%増えている。

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つまり、この30年間のグローバル競争というのは、要するに主要国にとっては人材の取り込み競争だったのです。日本だけがそれに背を向けてきた結果、今とんでもない人手不足が起こってきて、もうにっちもさっちもいかなくなり、ついこの間まで移民反対とか言っていた人までが、急に、「何でもいいから外国人を入れてくれ」と言い出しました。外国人を受け入れざるをえない状況になったということでしょう。
○○産業という分類に、意味がなくなる時代へ
しかし、実は海外の専門家から見ると少し奇異な感じもあります。今まで何もしなかったのに、急ごしらえの制度が、拙速なのではないかと。そんな指摘が出ているのも事実でしょう。
外国人労働者の受け入れ制度については、これから政省令などで実務面を決めていくわけですが、実は相当手続きが面倒になる可能性がある。そんなに急激に手続きが簡素化されるようなものではないと思いますので、間違いなく、当面の人手不足は相変わらず続くでしょう。
一方、AI、ロボットに労働力を置き換えるという流れは強い勢いでこれからも進む。恐らく18年より19年のほうが、そうした動きがもっと明確に出てくると思います。AIやロボットに置き換えられる分野は「○○産業」というのではなく、あらゆるところに出てくると思います。
よく言われることに、「トヨタのライバルはどこだ、グーグルだ」「パナソニックのライバルはどこだ、グーグルだ」というものがあります。これは、○○産業という分類がほとんど意味を持たないということを意味しているわけで、すべての産業でデジタル化が進み、ビッグデータ化され、AIが判断するという動きが出てきて、思わぬ異業種間の競争が起こる可能性があります。
だからある分野では職を失う人が出てくる半面、新しいビジネスが新たな雇用を生むし、伝統的な職業でも人手不足が続くと予想されるものもあります。自動車ドライバーがそれです。AIを使い自動走行の開発が進められていますが、この1、2年では完全な自動走行は無理でしょう。その間大幅な人手不足が続くわけで、全体としての労働力不足というのは、短期的にはそんなに解消されないでしょう。
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TOPIC 4【米中摩擦】技術覇権をめぐる戦いに
TOPIC 4【米中摩擦】
摩擦が続けば夏のボーナスに影響か。日本が担うべき役目とは
対立は、技術覇権をめぐる戦いに発展
18年は米中貿易摩擦が予想以上に激化しましたが、19年は対立に新たな要素が加わり、一層深刻化しそうです。19年の世界経済にとって最大のリスク要因となるでしょう。
米中の対立には2つの要因があります。1つにはトランプという人が大統領になったことです。その背景には所得格差がいきすぎて、米国社会が分断されてしまったことがあります。低所得層で不満を持つ人たちが、自分たちに不幸をもたらしたのはメキシコ移民だとか、中国製品だと言って、それらを悪者にしてしまう。その不満がポピュリズムを表舞台に押し上げトランプ大統領を生みました。大統領は今、彼らの代弁者として諸外国と代理戦争を行っているという構図です。
もう1つ重要なことは米中貿易戦争の中身がここへ来て大きく変わってきたこと。当初は製品やサービスという貿易そのものを問題にしていたのが、技術覇権をめぐる新たな争いになってきています。
中国は国家資本主義の名のもと個人情報保護など気にせずに、ビッグデータを集め、それを活用して技術力を高めてきている。例えばネット通販のアリババグループで決済業務を担うアリペイの会員は実に6億人もいます。今こうした中国のシステムが、アジアにも広がろうとしている。つまり今までの資本主義と国家資本主義の対立が第4次産業革命をめぐる主導権争い、ビッグデータとAIの存在によって、一気にクローズアップされたということです。
世界経済の成長率は、一気に約1%下がる
米中貿易戦争に代表されるようないわゆる保護貿易がさらに広がると、これは世界の経済成長率にとって非常に大きなマイナスになります。つまり、現在、世界経済の成長率が3%台の後半ですけれども、一気に1%くらい下がる、とIMF(国際通貨基金)のエコノミストが予測しています。
GDPが、約19.4兆ドルの米国と12兆ドルの中国の成長率が1%下がっただけで、約3140億ドル(約35兆円)の需要が失われるので、日本や韓国、アジア諸国の景気にも大変な悪影響が出ます。不況に陥り、我々のボーナスだって減るかもしれません。
それから日本の場合は、トランプ大統領の保護主義が飛び火して、自動車がやり玉にあがると大変です。アメリカの貿易赤字のうち、約半分を中国が占め、日本のウエートはわずか1割弱。ただし、そのうち8割を自動車が占めており、すごく目立つからです。

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米中という世界の2大国が対立して身動きが取れなくなった今、日本はどうすればいいのでしょうか。これまでルール作りを先導していた米国が自国第一主義を掲げていなくなってしまいました。中国自身もルールメーカーにはなれません。
こういうときこそ逆に日本の役割は重要です。今日本は「ルールシェイパー(ルールを形作る人)」の役割を果たしつつあります。米国が抜けた後のTPPもまとめたし、EUと経済連携協定も結びました。こう考えると日本は重要な役割を果たしていると思います。
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TOPIC 5【高齢化社会】好転は考えられない
TOPIC 5【高齢化社会】
団塊の上の世代が後期高齢者に。そして第4次産業革命へ
自分で稼ぐことが、ますます厳しく求められる
日本は世界一のスピードで高齢化の進む社会であることは周知の通りです。しかしいまだにその少子高齢化の社会に適した社会システムが完成しているとはいえません。25年には団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者になるため改革は待ったなし。一方、高齢化の進む社会でいかに活力のある社会を維持するかも大きな課題です。

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基本的には、合計特殊出生率が2.07か2.08ないと人口は減っていきます。日本の出生率は17年で1.43と非常に低い。その一方で、医療の進歩があって、長寿になっていくということを考えると、少子高齢化が反転することは考えられません。
こうした状況下で、我々はどうしたらよいか。社会保障の仕組みは自助、共助、公助という考え方の組み合わせです。自助というのは自分でやる、共助というのは保険、公助というのは税金です。高齢化に合わせて、公助が増えていくということは、働く世代の税金が増えることを意味しますから、限界が来ます。そこで自助、自分でやる、自分で稼ぐということがますます厳しく求められてくるのです。
新しい元号で気持ちをリセット、変更に備える
社会保障制度の改革も本格化してくるでしょう。25年には団塊の世代が全員後期高齢者になるため、これまで以上に、いろいろな意味で後期高齢者に多くの予算が必要になってきます。
だれもが25年になると大変だと言うのですが、それは25年になると団塊の世代が全員後期高齢者になるから大変だと言っているにすぎず、実は、団塊の世代の最初の年代層が後期高齢者になるまでに、制度改革を果たしておかないといけないのです。その意味で、19〜20年は、制度改革を実施する大変重要な年だと思います。
社会保障改革はやらなくてはいけないのですが、まだ十分には改革されていません。恐らく政治的には、19年7月の参議院選挙を経てから、改革の議論が本格化し、大変重要になってきます。
また、19年5月には新天皇が即位され、元号が新しくなります。元号制というのは、現代では日本独特の制度で、実は大和時代から奈良時代の最初ぐらいまでは、改元ばかりでなく遷都もしていました。それほどまで新天皇が即位されるということは、日本国民にとって一大イベントだった。その意味で、新たな元号の時代には、気持ちをリセットして、新しい変化に備えるといういい契機になると思います。
日本の努力次第ですが、恐らくもっと大胆に変わらなければいけない時代になる。新しい第4次産業革命の下で、今まで繁栄していた企業が一気に基盤をなくすこともあるし、逆に今まで想像もしなかったような企業が出てくる可能性もあります。
99年に設立され14年にニューヨークに上場したアリババという中国のネット通販企業は、日本最大のトヨタの約2.5倍もの時価総額がつきました。平成の時代にもそういうことが起こったし、その変化は今後もっと早くなる可能性があります。
竹中平蔵(たけなか・へいぞう)
1951年、和歌山市生まれ。一橋大学経済学部卒業後、日本開発銀行、慶應義塾大学総合政策学部教授などを経て、2001年小泉内閣の経済財政政策担当大臣に就任。09年パソナグループ会長。16年東洋大学国際学部教授、慶應義塾大学名誉教授。近著に『この制御不能な時代を生き抜く経済学』など。
(取材・構成=原 英次郎 撮影=村上庄吾 写真=時事通信フォト、PIXTA)
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https://president.jp/articles/-/27671?page=5

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/184.html

[経世済民131] アジア6カ国で就職"もらえる給与と仕事" 現地で寿司職人、年収500万円 
アジア6カ国で就職"もらえる給与と仕事"
現地で寿司職人、年収500万円
マネー 2019.2.18 #中国 #アセアン諸国

ジャーナリスト 吉田 茂人
• PRESIDENT 2018年10月29日号
経済成長が続き多くの日本企業も進出する中国、東南アジア。現地採用されて、アジア圏で働くことに目を向ければ、転職の選択肢はグンと広がる。
英語力よりも日本のビジネスマナー
経済成長が頭打ちの欧米諸国や日本に比べ、やや鈍化したとはいえ中国、そしてタイ、マレーシアなどアセアン諸国は経済成長のまっただ中にある。日系や外資系企業が多く進出して大きな雇用市場が生まれ、日本で働いているビジネスパーソンを求めている。

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海外への転職と聞くと、英語がペラペラでMBAを持っているエリートがするものと考えがちだが「アジアへの転職の場合、国内で働いてきた普通のビジネスパーソンのほうが重宝される傾向にある」と話すのは、『セカ就!世界で就職するという選択肢』の著者で、スパイスアップ・アカデミア社長の森山たつを氏。しかも「アジアのどこの国でも、日本人に来る求人の8〜9割は日系企業のもの。日系企業との取引が多いため、ハイレベルな英語力や現地語力よりも、日本的ビジネスマナーが重要視されます」(森山氏)。
ところで海外で働くには、駐在員候補として日本で雇われて海外に赴任する「駐在員」と、現地で採用されて現地法人に転職する「現地採用」がある。海外駐在で多いのは社内でキャリアを積んできた人が抜擢されるケースだが、駐在員にかかるコストが高いことや現地でも優秀な人材が採れるようになってきたことで現地採用が増えている。さらに、会社を現地人に任せる「現地化」のために、その中間に立つマネジャー的な人材が必要なこともある。
海外転職を実現するにはどのようにしたらいいのか。現地採用を目指すのであれば、日本の人材会社の現地法人である「転職エージェント」を活用するのが便利だ。
「海外就職を成功させる人の9割は、私たちのような『転職エージェント』を利用しています」と話すのはネオキャリアのグループ会社で中国やタイ、マレーシア、インドなどアジア10カ国・地域に人材紹介の現地法人を置くリーラコーエンの代表・内藤兼二氏だ。転職エージェントは求人サイトとは異なり、担当者と相談しながら転職先を決められる。転職エージェントの場合は「無事に入社してもらうまで報酬が入らない」ため内定前はもちろん、内定後のサポートも対応してくれる。
「現地採用の場合の一次面接は、スカイプなどを使って日本国内で行う場合が多い。二次面接は基本的に現地で行われますが、私たちは面接のアドバイスや現地の情報を提供しています。採用側に真剣さを伝えるためにも、生活環境を知るうえでも現地に足を運ぶほうがいいでしょう。面接官はわざわざ異国から働きにきて、きちんと働いてくれるのか、労働ビザを取ったもののすぐに日本へ帰ったりしないかを気にします。『なんでこの国、この会社を選んだのか』を聞かれるケースが多いのできちんと準備しておきましょう」(内藤氏)
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“EV”バブルの中国技術者の囲い込み
“EV”バブルの中国技術者の囲い込み
現地採用の給料は、「国や職種によって様々ですが、一般的なホワイトカラーとしてインドネシア、タイ、マレーシア、ベトナムなどで仕事をする場合、初任給は14万〜20万円程度になる場合が多い。シンガポールや香港では日本並みかもう少し高くなることもある」(森山氏)。日本や海外での就業経験が長く、希少な技術を持って重要なポジションを担う人には、月給50万円以上が提示されることもある。

写真=iStock.com/metamorworks
例えば中国の自動車産業は、“EVバブル”に沸き、中国EV企業が日本人のエンジニアを囲い込もうと動いている。年収1000万〜2000万円で採用するところもある。自動車産業に限らずIT関係や建設機器などはエンジニアの求人が多い。ある大手建機メーカでは、定年後でも住居付きで手取り年収850万円で採用するケースもある。
「うちの上海オフィスにも日本人エンジニアの求人が多く来ています。中国の自動車会社はエンジニアなら定年前後の人でも採用します。年2回、帰国手当が付くところもある」(内藤氏)
ところが中国(上海)でもエンジニア以外の事務系、営業系では25万〜30万円程度に下がる。
「英語で交渉できるスキルを身につける」
転職希望で人気のある国・地域は「シンガポール、香港、中国の順で、タイ、マレーシア、インドネシアが同程度、それにフィリピン、カンボジア、ミャンマーと続きます」(森山氏)。
実際に転職した人の生活ぶりはどうなのか。「収入は日本にいた頃に近い約500万円です。海外で働く、寿司職人になる、という2つの目的が叶えられ、満足しています」と語るのはリクルートの元営業マンから、シンガポールの日系現地法人の寿司チェーンに寿司職人として転職した大日向哲平氏。「英語圏であることがシンガポールを選んだ理由です。できれば英語圏の別の国でも修業し、ステップアップをはかりたい」。
転職人気の高いマレーシアで、現地企業の食品商社で日本食材の輸入を手がけ、マネジャーを務める吉井恒夫(仮名)氏は、日本で監査法人や物流会社で働いた。「年収は400万円です。マレーシア人マネジャーで300万円、ローカルスタッフだと120万円程度なので、優遇されています。物価は言われているほど安くありませんが、住居はクアラルンプール中心地の高層マンションのツーベッドルームで、家賃は10万円です」。
同じマレーシアの現地採用で、日系総合商社の機械エネルギー部門で輸出入を担当する廣瀬拓郎氏は、都内のITベンチャー企業で働いていた。「ビジネスで英語を使って交渉事ができるスキルを身につけたい」とマレーシアに転職。「給与は月8000RM(約22万円)、日本に居たときの3分の1です。贅沢はできませんが、妻が働かなくても暮らしていけるし、新しい経験に対して絶対的価値を見出しているので苦にはなりません」と話す。
目的を持った海外転職は、日本文化とは違った環境の中で仕事の経験もでき、挑戦のしがいのある職場が得られるのではないだろうか。
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中国、アセアン人気の国でもらえる給与と仕事
▼【図表】中国、アセアン人気の国でもらえる給与と仕事

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(写真=PIXTA、iStock.com)
https://president.jp/articles/-/26867?page=3 

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/185.html
[不安と不健康18] 「飲む前に牛乳」「チャンポンは悪」は都市伝説か 健康を害さない「お酒の飲み方」の基本 
「飲む前に牛乳」「チャンポンは悪」は都市伝説か
健康を害さない「お酒の飲み方」の基本
藤田 紘一郎 : 東京医科歯科大学名誉教授 2019年02月17日

知っておきたい「二日酔い」のメカニズムと胃腸の関係(写真:Fast&Slow/PIXTA)
お酒の飲みすぎは健康にとって大敵ですが、適量を正しく飲めば「百薬の長」と呼ばれることも。寄生虫博士としても知られる医学博士の藤田紘一郎氏は、“第二の脳”ともいわれるほど重要な「腸」が喜び、健康にもいいお酒の飲み方を提唱しています。『病気にならない、太らない、若返る 「腸」が喜ぶお酒の飲み方』の著書もある藤田氏に、カラダをいたわりながら、おいしくお酒を飲む方法について語っていただきます。
なぜ「腸」が大事なのか?
「腸内フローラ」という言葉は聞いたことがあるかと思います。人によって異なるものの、200種類100兆個の腸内細菌が存在し、吸収だけでなく、排泄、免疫、解毒など、さまざまな機能を担っています。健康的な腸には腸内細胞がきれいに分布し、繁殖している状態が花畑のようであることから「腸内フローラ」と呼ばれているんです。

お酒をおいしく飲みたいなら、日常的に胃腸の調子を整えておく必要があります。そのときに真っ先に考えておくべきなのは、腸内フローラの状態です。腸内フローラのベストなバランスは、腸内にたくさんの善玉菌、わずかの悪玉菌、そしてどちらにも味方する日和見菌をほどほど存在させておくことです。日和見菌は、善玉菌が多いと善玉菌と同じ働きをし、悪玉菌が増えるとそちらに味方する日和った性質があるため、こんな名前となりました。

こう聞くと、「悪玉菌をなくせばいいのでは」と思いがちですが、悪玉菌をすべて退治してしまうと、逆に腸内のガードが甘くなってしまいます。腸内細胞を適切なバランスにするには、セルロースを含む不溶性の食物繊維など、悪玉菌を働かせておく野菜を取ることと、善玉菌を増やす豆類などを食べればいいのです。不溶性のセルロースを多く含む食材としては、大豆、いんげん豆、小豆、キクラゲ、干ししいたけなどがあります。

「飲む前の牛乳」は都市伝説?
お酒を飲む前に「胃腸に膜をつくる」ものとして、牛乳が挙げられます。「そんなのは都市伝説だ」という方もいると思われますが、まんざらウソではなく膜自体はつくられます。ただし、アルコールはそれよりも小さな分子であるため、牛乳でできた膜で吸収を悪くさせることはできません。それは牛乳を飲まなかった方とほぼ同じです。ただし異なるのは、アルコールの分解のスピードです。

「酔う」という状態は、血中のアルコール濃度が高くなることで発生します。そして血中アルコールがゼロになったとき、酔いが覚めた状態、つまり普通の状態に戻るわけです。通常、血中アルコールの濃度がゼロになるためには7〜8時間かかりますが、牛乳を飲んでいるとその分解速度が速まり、5〜6時間ぐらいで、酔い覚めを早める効果があることが研究でわかっています。

「牛乳が飲めない」「牛乳を飲むとお腹を下す」という人は、「ウコン」などの栄養ドリンクが適しています。ウコンに含まれる「クルクミン」という成分は、胆汁の分泌を促進させ、二日酔いの原因となるアセトアルデヒドの分解を早める解毒作用があります。ただ、ウコンには鉄分が多く含まれるため、摂取しすぎると肝臓に沈着して、肝臓を悪化させる可能性があります。とくに脂肪汁などですでに肝臓を痛めている人は、頻繁に飲まないようにしたほうがいいでしょう。

「チャンポンで悪酔いする」は迷信?
まずはビール。そしてワイン、日本酒、ウィスキー。いろいろな種類のお酒を飲んでベロベロになり、翌日にひどい二日酔いに襲われたとき「昨夜、チャンポンしちゃったからなぁ」などと言いますよね。しかし、「チャンポンした」から「悪酔いした」という図式は、実は根本的に間違っています。なぜならお酒を混ぜて飲むことと、悪酔いすることは、原因と結果がつながる根拠はないからです。

何種類飲んでも「悪酔い」は変わらない
「悪酔い」は、大量のお酒を飲むことで発生する「アルコール摂取量」の問題です。アルコール摂取量が同じだったら、何種類飲んでも1種類だけでも同じ酔い方をします。強いて影響があるとすれば、飲むお酒を変えることで味が変わったり、次の店に行って雰囲気も変化して「飲み直そう」という意識が高まったりして、本来飲める以上のお酒を飲んでしまったという可能性はあります。

ただ、ビールとウィスキーを両方飲んだからといって、そこで化学変化なりが発生することは基本的にはないはずなのですが、「基本的に」とつけたのには理由があります。日本酒やワインなど醸造酒については、蒸留酒と違って発酵した原液を搾るなどして直接お酒にします。この際にもちろん、ろ過はしていますが、何らかの不純物はお酒に残ります。そもそもそんなに生じることではありませんが、不純物同士のぶつかり合いによって、何らかの症状が出る可能性を全否定することはできません。

お酒を飲むと下痢をしやすくなる理由
下痢には原因によっていくつかのタイプに分類できますが、アルコールの下痢は大抵「浸透圧性下痢」に該当します。これは、塩分の多いものや甘いものなど水分を取り込もうとする浸透圧が高いものが腸に残ったとき、腸による水分の吸収を阻害してしまい、腸内に水分が多くなって、便がゆるくなるというタイプの下痢です。

アルコールは小腸で8割がた吸収されますが、お酒を飲みすぎると小腸の粘膜の働きが弱くなり、脂肪や水、ナトリウムなどが吸収されにくくなります。その結果、腸内に水分が多くなり、浸透圧性の下痢になります。しかも、本来なら小腸で消化・吸収されるべきものが吸収されず大腸に流れ込むので、同じ量を食べてもアルコールを飲んでいないときより排出物が増えてしまうのです。

腸のために「ポリフェノール」をこまめに取る
数あるお酒の中で、腸内細菌にとって特別な働きを示すお酒があります。それが赤ワインです。赤ワインの原料となるブドウの皮には、老化を促す活性酸素に対抗する抗酸化作用を持った「ポリフェノール」が含まれています。赤ワインによって動脈硬化予防、がん予防、腸内バランスの改善、脂質代謝異常や糖尿病に効果があることも確認されています。さらに、がんの治療薬として使われている「オプジーボ」という薬の作用を補助する可能性があるとも推測されています。

同じブドウのワインでも、白ワインにはポリフェノールはほとんどありません。赤い色に関連しているため、ほかにはブルーベリーやサンタベリーなどのベリー類、ピーナッツの渋皮などにも多く含まれています。赤ワインは内臓脂肪の燃焼を助けたり、脂肪細胞の成長を防ぐ効果も実験によって確認されています。ただし、適量を超えてしまうと、腸内細菌のバランスを崩してしまいますから注意してください。

お酒を飲める人、飲めない人
毎晩深酒をするような人がいる一方で、お酒を一口も飲めないとか、においさえダメといった人もいます。このような違いを解明したのが、元筑波大学教授の原田勝二氏です。アルコールは、飲むと胃で20%、小腸で80%が吸収されます。吸収されたアルコールは肝臓に送られ、アルコール脱水素酵素(ADH)の働きでアセトアルデヒドという毒性を持った分子になり、次にアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酢酸となり、さらに水と二酸化炭素に分解されて排出されます。

悪酔いや二日酔いになるのは、アセトアルデヒドが速やかに分解されないことが原因です。それを分解するALDHの一種であるALDH2をつくる遺伝子に欠陥があるかどうかが、お酒を飲める体質か否かを決定するのです。このALDH2が正常に働きアセトアルデヒドを分解する力が強い遺伝子がN型で、アセトアルデヒドを分解できない欠損したALDH2を持つ遺伝子をD型といいます。

人の遺伝子は、両親から1つずつ受け継いで構成されるので、NとDを受け取った組み合わせとしてはNN型、ND型、DD型の3種類が存在することになります。このNN型を持った人がアセトアルデヒドの分解能力がとても高い人、つまりお酒に強い人です。しかしDD型はアセトアルデヒドの分解能力がかなり低いので、アルコールをまったく飲めない人ということになります。ND型の人はある程度お酒を飲めるけれどもそんなに強くはなく、すぐ顔に出る人です。一般的に、日本人の各型の割合は、NN型50%、ND型40%、DD型10%とされています。

休肝日が必要なのはND型
NN型、ND型、DD型の3種類のうちのどの遺伝子の型を持っているかで、お酒に強いか弱いかを判断することができるのですが、これは持って生まれたものです。しかも遺伝子の構造ですから、生涯変わるということはまずありません。「訓練すればお酒を飲めるようになる」というのは間違いです。

しかし、飲む機会が少なかったり、飲んでもすぐに赤くなるので控えていた人が、何度か飲んでいるうちに「翌日ちょっと残るけれど、飲めなくはないんだ」と発見するケースや、お酒自体は好きでしょうがなくついつい飲んでしまい、翌日二日酔いでひどい目にあい、それでも回復すればまた飲みたくなる。そんな人は、だいたいND型です。


『病気にならない、太らない、若返る 「腸」が喜ぶお酒の飲み方』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)
ND型の人は、深酒をするのは避けておいたほうがいいでしょう。アルコール処理能力はNN型に比べて低いのですから、調子に乗って飲んで翌日反省することになります。また、肝臓がアルコールの分解に追われて、余ったブドウ糖が中性脂肪に変化して脂肪肝を引き起こしたり、内臓脂肪を増やしたりしてメタボリックシンドロームになりやすくなります。それが進行すれば肝臓がんなどにつながる可能性がとても高くなります。

20代、30代なら基礎代謝が高いので、脂肪もそれほどつきませんが、基礎代謝は年齢とともに落ちていきます。日頃運動などをして代謝をアップさせないまま若い頃と同じ飲み方、食べ方をし続けていると、10年、20年後に生活習慣病予備軍となり、後悔することになるでしょう。ND型の人はとくに若いうちから休肝日を設け、飲食に注意しておくべきです。
https://toyokeizai.net/articles/-/265856
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/710.html

[不安と不健康18] 「高血圧パラドックス」って何 軽く見ると痛い目に 
「高血圧パラドックス」って何 軽く見ると痛い目に
日経Gooday

2019/2/18

高血圧と指摘されても放置している人は多いが、甘く見てはいけない。写真はイメージ=(c)PaulPaladin-123RF
日経Gooday(グッデイ)
高血圧は日本人の3人に1人が該当するとされる最も多い生活習慣病。放っておくと動脈硬化が進み、心疾患や脳卒中を起こすリスクが高くなることが広く知られている。ところが「血圧が高い」と指摘されても、積極的に医療機関を受診しようとしない人は多い――。2018年11月、大阪大学大学院医学系研究科老年・総合内科学教授の楽木(らくぎ)宏実さんが行った講演「高血圧パラドックスの解消に向けて」(主催・日本心臓財団)から、「高血圧パラドックス」とは何かや、高血圧の怖さについて解説する。

■高血圧だと知りながら放置している人が多い

収縮期血圧(上の数字)が140mmHg以上、または拡張期血圧(下の数字)が90mmHg以上[注1]。これが高血圧の定義とされている。念のため補足しておくと、高血圧とは単に「血圧が高い」というだけではなく、糖尿病や脂質異常症と同じ生活習慣病の一つ。つまり、治療を必要とするれっきとした病気だ。ちなみに理想の血圧レベルは「120 / 80(上が120mmHg、下が80mmHg)」未満で、これより高いと高血圧のレベルまで至っていなくても心疾患や脳卒中の発症リスクは高まる。

2017年の国民健康・栄養調査によると、上の血圧が140mmHg以上の人(高血圧患者)は成人男性の37.0%、成人女性の27.8%を占めており、日本高血圧学会によると推定患者数は実に約4300万人。子どもも含めて、日本人の3分の1が当てはまるという。一方、2014年の患者調査によると、医療機関で治療を受けている高血圧患者は約1010万8000人しかいない。つまり約3000万人もの人が「高血圧なのに治療を受けていない」ことになる。

「高血圧は診断が簡単なうえ、いい薬もあるのに多くの人が治療を受けていない。これが“高血圧パラドックス”です。がんも問題ですが、このままでは心不全で亡くなる人も急増することでしょう」と楽木さんは話す。

なぜ、こんなことが起きているのか? それは高血圧という病気が多くの人に軽く見られているからに他ならない。LDLコレステロールなどと同じで、血圧が高くても本人は痛くもかゆくもない。しかし高血圧を放っておくと動脈硬化が進み、心疾患や脳卒中で命を落とすリスクが高くなることが確認されている。決して軽く考えるべきではないのだ。

■米国は高血圧の診断基準をより厳しく

実は健康な人たちの上の血圧(収縮期血圧)を調べると、95%が88〜147mmHgの範囲に入る。単純に考えれば147mmHg以上を高血圧と定義してもよさそうなものだ。しかし「大規模な疫学調査によると、上が140mmHgを超えると心疾患や脳卒中のリスクが2〜3倍になることが分かっています」と楽木さん。そのため日本高血圧学会では「140 / 90」以上を高血圧と定義している。なお欧州やアジアなど、ほとんどの先進国が日本と同じ基準を採用しているという。

例外は米国。かつては世界基準の「140 / 90」だったが、2017年に「130 / 80」に下げて話題を呼んだ。その結果、約7200万人だった米国の高血圧患者数は一気に1億人の大台を超えることになった。

その根拠となった「SPRINT(スプリント)試験」によると、降圧剤を用いた治療で、上の血圧が140mmHg未満を目指した人たちよりも、120mmHg未満を目指した人たちのほうが明らかに心疾患による死亡リスクが低かったのだという[注2]。

「収縮期血圧の理想は120mmHg未満。どこから線を引いて高血圧と定義するかという問題で、米国は130mmHgに下げた。日本は、診断基準は140mmHgのまま行く予定です」(楽木さん)

日本高血圧学会は、2018年9月に総会を開催し、「高血圧の診断基準は変えないが、75歳未満の成人の治療の目標値は140 / 90から130 / 80に下げる」という方針案を発表した。これまでは高血圧の診断基準を下回ればOKだったが、これからはより理想に近いレベルを目指して治療することになるわけだ。

■死亡のリスク因子、高血圧は第2位

よく知られているように、高血圧は動脈硬化を進め、脳卒中、心疾患、腎臓病などを引き起こし、死亡リスクを高める。

[注1]診察室血圧値の場合。家庭血圧値の場合は135/85mmHg以上が高血圧と基準が異なる

[注2] N Engl J Med. 2015 ;373(22):2103-16.

2007年に日本人の死亡に関わるリスク因子を調べた研究によると、高血圧はタバコに続いてリスクの高さでは第2位だった。高血糖やアルコールよりも高く、年間約10万人が高血圧を主因とする病気で命を落としている。特に心血管病に関しては高血圧のリスクが圧倒的に高い[注3]。


(出典:Ikeda N,et al.Lancet. 2011;378(9796):1094-105.)
つまり、高血圧は放っておくと命に関わる病気なのだ。「グレーゾーンならば食生活や運動など生活習慣の改善でいいと思いますが、高血圧と診断されたら降圧剤を飲むべき」と楽木さんはアドバイスする。高血圧の人が降圧剤を飲んで血圧を下げると、死亡リスクが低くなることに加え、認知機能の低下予防にもつながることが確認されている。

■血圧を下げすぎると危険という考えは「因果の逆転」

一方、「無理に血圧を下げる必要はない」という異論も後を絶たない。「年齢プラス90mmHgが正常」「血圧を20mmHg以上下げると死亡が増える」などというものだ。しかし、「これらの意見にはエビデンス(科学的根拠)がない」と楽木さんは言う。

「逆に年齢プラス90mmHgの人、例えば80歳で収縮期血圧が170mmHgの人は、治療したほうが死亡率が下がるというエビデンスがある。降圧剤でどこまで下げるかは考える必要がありますが、20mmHg以上下げると死亡が増えるという説は“因果の逆転”であり、詭弁(きべん)に過ぎません」(楽木さん)

「因果の逆転」とは何かというと、例えば酒量と死亡率の関係を見た疫学調査によると、酒量が増えるにつれて死亡率が高くなっていく。ところが、禁酒した人たちは「日本酒を毎日3合以上飲む」人たちよりも死亡率が高かった[注4]。このデータから「禁酒は危険」と考えるのが因果の逆転。原因は禁酒ではなく、「病気などの理由で禁酒せざるを得なかった人たちがこの群に多く含まれて死亡率を押し上げてしまった」と受け取るのが正しいだろう。同じく降圧剤を飲んでいる人の中で大幅に血圧が下がった人たちにも、降圧剤以外の理由があって下がっていた人が多く含まれていた可能性がある。もともとの血圧が高かったという点を見落としてはいけない。

2013年から行われている厚生労働省の健康日本21(第2次)[注5]では、「2022年までに40〜80代の国民全体の収縮期血圧の平均値を4mmHg低下させる」ことを目標にしている。正常血圧の人も含めた平均なので小さい目標値に見えるが、全体のレベルを下げるような国民全体での取り組みとしては、減塩や運動が大事である。2015年に施行された食品表示法によって、すべての加工食品に食塩相当量の表示も義務づけられた。おかげで減塩もしやすい環境になっている。

繰り返しになるが、高血圧は確実に死亡リスクを高くする。血管が詰まったり破れたりしてから後悔しても手遅れだ。減塩、禁煙、節酒、運動など血圧を上げない生活習慣を心がけるとともに、「140 / 90」以上の人はすぐに医療機関を受診して治療を始めたい。

[注3]Ikeda N,et al.Lancet. 2011;378(9796):1094-105.

[注4]日本公衆衛生雑誌. 2001;48 :95-108.

[注5]健康寿命の延伸などを実現するため、厚生省(現・厚生労働省)によって始められた国民健康づくり運動のこと

(ライター 伊藤和弘)

楽木宏実さん
大阪大学大学院医学系研究科老年・総合内科学教授。1984年、大阪大学医学部卒業。米ハーバード大学ブリガム・アンド・ウイミンズ病院内科研究員、米スタンフォード大学心臓血管内科研究員、大阪大学大学院医学系研究科助教授などを経て、2007年に大阪大学大学院医学系研究科老年・腎臓内科学教授に就任。15年より現職。大阪大学医学部附属病院副病院長。日本老年医学会理事長、日本高血圧学会副理事長、日本心血管内分泌代謝学会理事などを務める。
「高血圧パラドックス」って何 軽く見ると痛い目に
日経Gooday

2019/2/18
高血圧と指摘されても放置している人は多いが、甘く見てはいけない。写真はイメージ=(c)PaulPaladin-123RF


高血圧は日本人の3人に1人が該当するとされる最も多い生活習慣病。放っておくと動脈硬化が進み、心疾患や脳卒中を起こすリスクが高くなることが広く知られている。ところが「血圧が高い」と指摘されても、積極的に医療機関を受診しようとしない人は多い――。2018年11月、大阪大学大学院医学系研究科老年・総合内科学教授の楽木(らくぎ)宏実さんが行った講演「高血圧パラドックスの解消に向けて」(主催・日本心臓財団)から、「高血圧パラドックス」とは何かや、高血圧の怖さについて解説する。
■高血圧だと知りながら放置している人が多い
収縮期血圧(上の数字)が140mmHg以上、または拡張期血圧(下の数字)が90mmHg以上[注1]。これが高血圧の定義とされている。念のため補足しておくと、高血圧とは単に「血圧が高い」というだけではなく、糖尿病や脂質異常症と同じ生活習慣病の一つ。つまり、治療を必要とするれっきとした病気だ。ちなみに理想の血圧レベルは「120 / 80(上が120mmHg、下が80mmHg)」未満で、これより高いと高血圧のレベルまで至っていなくても心疾患や脳卒中の発症リスクは高まる。
2017年の国民健康・栄養調査によると、上の血圧が140mmHg以上の人(高血圧患者)は成人男性の37.0%、成人女性の27.8%を占めており、日本高血圧学会によると推定患者数は実に約4300万人。子どもも含めて、日本人の3分の1が当てはまるという。一方、2014年の患者調査によると、医療機関で治療を受けている高血圧患者は約1010万8000人しかいない。つまり約3000万人もの人が「高血圧なのに治療を受けていない」ことになる。
「高血圧は診断が簡単なうえ、いい薬もあるのに多くの人が治療を受けていない。これが“高血圧パラドックス”です。がんも問題ですが、このままでは心不全で亡くなる人も急増することでしょう」と楽木さんは話す。
なぜ、こんなことが起きているのか? それは高血圧という病気が多くの人に軽く見られているからに他ならない。LDLコレステロールなどと同じで、血圧が高くても本人は痛くもかゆくもない。しかし高血圧を放っておくと動脈硬化が進み、心疾患や脳卒中で命を落とすリスクが高くなることが確認されている。決して軽く考えるべきではないのだ。
■米国は高血圧の診断基準をより厳しく
実は健康な人たちの上の血圧(収縮期血圧)を調べると、95%が88〜147mmHgの範囲に入る。単純に考えれば147mmHg以上を高血圧と定義してもよさそうなものだ。しかし「大規模な疫学調査によると、上が140mmHgを超えると心疾患や脳卒中のリスクが2〜3倍になることが分かっています」と楽木さん。そのため日本高血圧学会では「140 / 90」以上を高血圧と定義している。なお欧州やアジアなど、ほとんどの先進国が日本と同じ基準を採用しているという。
例外は米国。かつては世界基準の「140 / 90」だったが、2017年に「130 / 80」に下げて話題を呼んだ。その結果、約7200万人だった米国の高血圧患者数は一気に1億人の大台を超えることになった。
その根拠となった「SPRINT(スプリント)試験」によると、降圧剤を用いた治療で、上の血圧が140mmHg未満を目指した人たちよりも、120mmHg未満を目指した人たちのほうが明らかに心疾患による死亡リスクが低かったのだという[注2]。
「収縮期血圧の理想は120mmHg未満。どこから線を引いて高血圧と定義するかという問題で、米国は130mmHgに下げた。日本は、診断基準は140mmHgのまま行く予定です」(楽木さん)
日本高血圧学会は、2018年9月に総会を開催し、「高血圧の診断基準は変えないが、75歳未満の成人の治療の目標値は140 / 90から130 / 80に下げる」という方針案を発表した。これまでは高血圧の診断基準を下回ればOKだったが、これからはより理想に近いレベルを目指して治療することになるわけだ。
■死亡のリスク因子、高血圧は第2位
よく知られているように、高血圧は動脈硬化を進め、脳卒中、心疾患、腎臓病などを引き起こし、死亡リスクを高める。
[注1]診察室血圧値の場合。家庭血圧値の場合は135/85mmHg以上が高血圧と基準が異なる
[注2] N Engl J Med. 2015 ;373(22):2103-16.
2007年に日本人の死亡に関わるリスク因子を調べた研究によると、高血圧はタバコに続いてリスクの高さでは第2位だった。高血糖やアルコールよりも高く、年間約10万人が高血圧を主因とする病気で命を落としている。特に心血管病に関しては高血圧のリスクが圧倒的に高い[注3]。
(出典:Ikeda N,et al.Lancet. 2011;378(9796):1094-105.)
つまり、高血圧は放っておくと命に関わる病気なのだ。「グレーゾーンならば食生活や運動など生活習慣の改善でいいと思いますが、高血圧と診断されたら降圧剤を飲むべき」と楽木さんはアドバイスする。高血圧の人が降圧剤を飲んで血圧を下げると、死亡リスクが低くなることに加え、認知機能の低下予防にもつながることが確認されている。
■血圧を下げすぎると危険という考えは「因果の逆転」
一方、「無理に血圧を下げる必要はない」という異論も後を絶たない。「年齢プラス90mmHgが正常」「血圧を20mmHg以上下げると死亡が増える」などというものだ。しかし、「これらの意見にはエビデンス(科学的根拠)がない」と楽木さんは言う。
「逆に年齢プラス90mmHgの人、例えば80歳で収縮期血圧が170mmHgの人は、治療したほうが死亡率が下がるというエビデンスがある。降圧剤でどこまで下げるかは考える必要がありますが、20mmHg以上下げると死亡が増えるという説は“因果の逆転”であり、詭弁(きべん)に過ぎません」(楽木さん)
「因果の逆転」とは何かというと、例えば酒量と死亡率の関係を見た疫学調査によると、酒量が増えるにつれて死亡率が高くなっていく。ところが、禁酒した人たちは「日本酒を毎日3合以上飲む」人たちよりも死亡率が高かった[注4]。このデータから「禁酒は危険」と考えるのが因果の逆転。原因は禁酒ではなく、「病気などの理由で禁酒せざるを得なかった人たちがこの群に多く含まれて死亡率を押し上げてしまった」と受け取るのが正しいだろう。同じく降圧剤を飲んでいる人の中で大幅に血圧が下がった人たちにも、降圧剤以外の理由があって下がっていた人が多く含まれていた可能性がある。もともとの血圧が高かったという点を見落としてはいけない。
2013年から行われている厚生労働省の健康日本21(第2次)[注5]では、「2022年までに40〜80代の国民全体の収縮期血圧の平均値を4mmHg低下させる」ことを目標にしている。正常血圧の人も含めた平均なので小さい目標値に見えるが、全体のレベルを下げるような国民全体での取り組みとしては、減塩や運動が大事である。2015年に施行された食品表示法によって、すべての加工食品に食塩相当量の表示も義務づけられた。おかげで減塩もしやすい環境になっている。
繰り返しになるが、高血圧は確実に死亡リスクを高くする。血管が詰まったり破れたりしてから後悔しても手遅れだ。減塩、禁煙、節酒、運動など血圧を上げない生活習慣を心がけるとともに、「140 / 90」以上の人はすぐに医療機関を受診して治療を始めたい。
[注3]Ikeda N,et al.Lancet. 2011;378(9796):1094-105.
[注4]日本公衆衛生雑誌. 2001;48 :95-108.
[注5]健康寿命の延伸などを実現するため、厚生省(現・厚生労働省)によって始められた国民健康づくり運動のこと
(ライター 伊藤和弘)
楽木宏実さん

大阪大学大学院医学系研究科老年・総合内科学教授。1984年、大阪大学医学部卒業。米ハーバード大学ブリガム・アンド・ウイミンズ病院内科研究員、米スタンフォード大学心臓血管内科研究員、大阪大学大学院医学系研究科助教授などを経て、2007年に大阪大学大学院医学系研究科老年・腎臓内科学教授に就任。15年より現職。大阪大学医学部附属病院副病院長。日本老年医学会理事長、日本高血圧学会副理事長、日本心血管内分泌代謝学会理事などを務める。
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO40674680Q9A130C1000000


http://www.asyura2.com/16/health18/msg/711.html

[経世済民131] 諭吉先生のお札が紙切れに、日銀緩和続けば経済大混乱も-土居慶大教授 TOPIX1600回復、米中協議期待金融など全業種上
諭吉先生のお札が紙切れに、日銀緩和続けば経済大混乱も-土居慶大教授
占部絵美、日高正裕、竹生悠子
2019年2月18日 8:20 JST
「財政ファイナンス」との見方を払しょくできず、金利急騰の可能性
日銀の国債買い入れ度合いが高まるほど、発生確率は論理的に高まる
財政学が専門で財政制度等審議会委員を長く務める土居丈朗慶応義塾大学教授は、現在のような財政拡大と日本銀行による国債の大量購入が続けば、いずれ金利急騰を抑えられなくなり、経済が大混乱する可能性が高まっていくとの見方を示した。

Keio University Professor Takero Doi
土居丈朗・慶応義塾大学教授Source: Takero Doi
  土居教授(48)は14日のインタビューで、政府が巨額の国債を発行する中で「日銀はやがて6割、7割を買い取ってしまうかもしれない」とし、国の財政赤字を日銀が従属的に穴埋めする「財政ファイナンス」との見方を払しょくできなくなる可能性を指摘。その際「慶応の人間としてはあまり言いたくないが、福沢諭吉先生の肖像の1万円札が紙切れになるかもしれない」と語った。

  2018年末の国債および借入金は1100兆5266億円と過去最高を更新した。債務残高の対国内総生産(GDP)比率は230%超と先進国で最悪。日銀は13年に量的・質的金融緩和を導入して以来、巨額の国債購入を続け、長期金利を0%程度に誘導している。昨年9月末時点で日銀の国債保有残高は全体の43%に達した。

  土居教授は、財政出動と日銀の大量国債購入を繰り返せば、最も起こる可能性が高いのは「金利の急騰だ」と説明。日銀の国債保有比率はますます高まっていき、買い入れ余地がどんどん減っていることが明白になった時、そのまま継続できる政策でないことに皆が気付き、「いずれ金利を抑制できなくなるかもしれない。それがハードランディングだ」と語った。

生き残れない企業も
  中長期の経済財政に関する試算では、国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)は名目3%・実質2%の高成長でも黒字化は26年度で、政府目標の25年度に届かない。10月の消費増税に伴う家計の負担増は、軽減税率や幼児教育無償化で2兆円程度だが、追加的な予算・税制措置は2.3兆円程度とこれを上回る。

  土居氏は、仮に国債金利が4、5%に上昇しても、政府は公共投資や補助金など不要不急の予算の削減で利払い費をねん出できるので、直ちに予算が組めなくなるわけではないが、「運転資金に困っている企業は生き残れない可能性がある」との見方を示した。

  行政サービスを国の補助金に頼る多くの自治体では、病院や学校の統合を強いられ、「行政サービスの低下がかなり起こるだろう」と指摘。政府も「その場しのぎを何年も続けられない」ため、国際通貨基金(IMF)が強制的に介入するかどうかは別として、「それに類する財政緊縮をせざるを得ないだろう」と語った。

  若田部昌澄副総裁は就任前の昨年3月の国会所信聴取で、国債はまだ6割残っていると指摘した上で、必要なら追加緩和を提案すると述べた。消費税増税を控え景気の減速が鮮明になりつつあることを受けて、昨年10月の金融政策決定会合では「金融緩和の強化とともに、政府との政策連携も、もう一段強化することが必要ではないか」と、さらなる財政拡大と金融緩和を主張する声も出た。

  土居教授は「デフレ脱却は通貨価値を適切に落とすことと同義語だが、その落とし方は適度ではないかもしれない」と指摘。インフレが先か金利急騰が先か分からないが、「どちらかが急に起こる可能性はある。日銀が国債を買い入れる度合いが高まれば高まるほど、発生確率は論理的に高まっている」と語った。

  さらに、政府が「未然に危機感を抱き政策転換することが、金利が低いゆえになかなか起こらないことが、日本が今、直面している不幸だ」と付け加えた。

 
 
TOPIX1600回復、米中協議期待や米金融株高−金融など全業種上げ
長谷川敏郎
2019年2月18日 7:53 JST 更新日時 2019年2月18日 11:13 JST
米中通商協議は主要な点で原則コンセンサスに達したとの報道
米S&P500種で金融は上昇率首位、米消費者マインド指数持ち直し
18日の東京株式相場は反発し、TOPIXは取引時間中として約2カ月ぶりに1600ポイントを回復。米国と中国の通商協議が進展しているとの見方や米金融株高から銀行や保険など金融株中心に東証33業種は全て高い。

TOPIXは前営業日比23.10ポイント(1.5%)高の1600.39−午前10時57分時点
日経平均株価は同369円18銭(1.8%)高の2万1269円81銭
  米中通商協議の閣僚級交渉が終了した時点で、主要な問題について米国と原則的なコンセンサスに達したと、中国中央テレビ局が報道。両国は今週米国で協議を再開する。2月の米ミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は市場予想を上回る持ち直しを示した。きょうの中国上海総合指数は一時1.4%高。

  東洋証券の檜和田浩昭投資調査部長は「米中通商交渉は水面下で妥協点を探っている。3月1日の期限に米国が中国製品への関税を引き上げる最悪の事態が避けられるなら相場にプラス」だと述べた。日本株は昨年11月の高値水準に接近する米国株に対して出遅れているとし、「海外投資家のグローバル投資配分見直しから資金が向かっている」と言う。

1600を回復
  TOPIXは一時1.6%高の1602.79と、昨年12月17日以来の1600台乗せ。檜和田氏は「全体相場の上昇を受け、金融株が出遅れ修正やショートカバーで買われ指数に貢献している」と指摘する。次の焦点は「10月高値から12月安値までの下げの半値戻し1623を上回れるかどうか。その近辺には100日移動平均線(午前11時現在1628.5)もあり、戻り売りが出やすい」と話していた。

東証33業種の上昇率上位は、ゴム製品や石油・石炭製品、鉱業、証券・商品先物取引、銀行、非鉄金属、保険
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-17/PMYHM26K50XT01
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/187.html

[国際25] スタバ創業者の米大統領選出馬、なぜ歓迎すべきか
コラム2019年2月16日 / 08:43 / 4時間前更新

スタバ創業者の米大統領選出馬、なぜ歓迎すべきか
Rob Cox
4 分で読む

[パリ 12日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米コーヒーチェーン大手スターバックス(スタバ)(SBUX.O)は創業以来、全米店舗を一斉に一時休業したことが2度ある。

最初は11年前。顧客サービスを改善して、売上低迷に対処するため、同チェーンで働く13万5000人のバリスタが、全米約7000店舗で「ラテアート」の再研修を受けたときだ。

2度目は昨年だ。フィラデルフィアのスタバ店舗で2人のアフリカ系米国人の常連顧客が不法侵入容疑で誤認逮捕された事件を受けて、国内50州の従業員17万5000人を対象に、4時間に及ぶ人種差別問題を巡る研修が行われた。

最初の休業がもたらした効果には異論の余地がない。このときの3時間に及ぶ研修から5年も経たないうちに、スタバは同社史上最高の業績を収め、米既存店舗ベースで売上高が8%増え、株価は3倍に膨らんだ。

2度目の一時休業によって、スタバは5000万ドル(約56億円)を失ったが、株価は約20%上昇し、S&P500指数の伸びを大きく上回った。

偏見をなくすという点で、スタバがどれほど前進したかを測定する方法はない。だがこの事例は、望ましい行動と商業的な成功には関連性があることを示唆している。

一見無謀とも思える同社創業者ハワード・シュルツ氏による大統領選への挑戦から何か成果があるとすれば、このことだろう。同氏は、独立候補として立候補することを検討している。

ミラノのコーヒースタンド文化を借用すrことで大富豪となったシュルツ氏が、無所属候補として2020年米大統領選への出馬を検討していることは、票の分散を懸念する民主党関係者を中心に、多くの人々を嘆かせている。

しかし、本来は民主・共和両党とも、自党候補としてシュルツ氏を勧誘すべきなのだ。巨大コーヒーチェーンの会長兼最高経営責任者(CEO)として同氏が追求してきた良心的な資本主義こそ、米国の企業と社会にとっての健全な模範となるだろう。

スタバの全米店舗を数時間閉めたことは、1980年代初頭に同社を創業してから昨年引退するまでに、シュルツ氏が達成した主要な業績としてはカウントされないだろう。

だが、同じ期間に10度も120日間にわたって米連邦政府機関が一部閉鎖された事態と、スタバ店舗における2度の休業は、好対照を成している。

政府機関の閉鎖がこの国のためになったと主張することは難しい。トランプ米大統領が固執するメキシコとの国境沿いに壁を築く予算を巡り、政府機関が35日間、一部閉鎖された直近の事例はなおさらだ。

シュルツ氏がスタバで達成した成果は、ほぼすべてが重要だ。したがって、彼が大統領選出馬に意欲を見せていることを、単なる大金持ちのほら話と片付けることは賢明ではない。

確かに、酔狂と呼べる部分は若干ある。シュルツ氏には30億ドルもの資産がある。スタバは他企業よりも民主的な組織ではあるが、シュルツ氏が自ら選んだ取締役たちや経営陣を持ち上げる株主たちから異議申立てをされる例は限られていたため、CEOレベルでは尊大な空気が広がりがちだった。

だが、スタバが達成した項目のいくつかは、まるで進歩的な政治勢力のためのチェックリストのようだ。医療保険へのアクセス、従業員向けの教育費補助、社会的に不利なコミュニティにおける雇用機会の拡大、退役軍人と難民の積極的雇用──。スタバではどれも合格点だ。

さらに、これらは数十年にわたって育まれた政策であり、2020年の大統領選に向けた準備として、あるいはブラックロック(BLK.N)のラリー・フィンクCEOが昨年、世界の企業トップに送った書簡への対応として用意されたものではない。

ところが、シュルツ氏は民主党から邪魔者扱いされている。

民主党が提唱してきた国民皆保険や学費無料の教育制度こそ、スタバがホワイトカラー層以外の幅広い従業員のために社内で推進してきた福利厚生制度であるのにもかかわらず、だ。

かつてクリントン政権時代に労働長官を務めたロバート・ライシュ氏は今月、「10億ドル以上の資産を持つ人間は、解体されるべき独占状態を悪用したか、他の投資家には入手できないインサイダー情報を使ったか、一部の政治家に賄賂を贈ったか、もしくは(以上のどれかで稼いだ)両親から遺産を相続したのだ」とツイッターに投稿した。

確かにシュルツ氏は、民主党が望んでいるようなキャピタルゲインや高額所得、遺産相続に対する税率引き上げの実現に向けて積極的に遊説はしないかもしれないが、だからといって、感謝祭から目を背けたがる七面鳥のように同氏を扱うことは単純すぎる。

シュルツ氏はそのキャリアを通じて、事実を受け入れ、失敗を認める姿勢を示してきた。米プロバスケットボール協会(NBA)のチーム運営や、反人種差別キャンペーン「Race Together(人種共存)」などが自身が認めてきた失敗例として、同氏の新著「From the Ground Up(原題)」で紹介されている。

トランプ大統領に対する批判票がシュルツ氏に流れてしまうのではないかと、民主党関係者や多くの中道主義者が懸念するのは、これまでの無所属候補を巡る経験を考慮すれば、確かに無理もない。

米国の選挙制度では、例えばフランスのマクロン大統領率いる「共和国前進(REM)」のような新党が、下院の議席はともかく、大統領の座を獲得することは事実上不可能だ。

またシュルツ氏は、保有するスタバ株式を売却することにより、利益相反の批判を急いで打ち消す必要があろう。同社が中国で共産党政権の厚遇を得て大きなプレゼンスを築いていることを考えれば、なおさらだ。

だが、これこそまさに、公然と無所属での立候補を検討しているシュルツ氏が賢明な理由なのだ。もしシュルツ氏が、例えばブルームバーグ前ニューヨーク市長などと並び、民主党の新たな大富豪候補として参戦するだけなら、もっとも大きなサイズの「パイクプレイスロースト」コーヒーに入れたスキムミルクのように跡形もなく溶けてしまうだろう。

資本家としての彼の業績はほとんど関心を集めないはずだ。2012年の共和党予備選に出馬したものの、あっというまに消えてしまったジョン・ハンツマン氏の中道左派版になるのが関の山だ。

仮に、シュルツ氏がツイッター上での日常的な応酬の域を超えた大きなメッセージを届けられるとすれば、彼は幅広い政治論争に影響を与えることができるかもしれない。

少年時代を公共住宅で送った同氏ならば、ブルックリン出身でやはり無所属のバーニー・サンダース上院議員による左派的な成功者批判を無効にすることさえできるだろう。

父親が借金取りに暴行されるのを防ぐため、隣家に5000ドル貸してくれと頼まざるを得なかったというシュルツ氏のエピソードは、エリザベス・ウォーレン上院議員(民主党)の口から語られても不思議はないくらいだ。15年後、父親の葬儀の席で、彼はようやくその借金が未返済のままだったことに気づいたという。

涙ぐましいエピソードはともかく、シュルツ氏が大企業の構築に成功したことは、トランプ大統領の事業例に対してもポジティブな対抗言論になり得る。同族経営のトランプ・オーガニゼーションは、大統領の父親が設立資金を出しており、言葉の本来の意味で「レントシーキング(家賃を取り立てる)」事業である。

対照的にスタバは、透明性の高い公開企業であり、数十万人もの有給雇用を生み出している。また、1992年の株式公開時に1万ドルを投資していれば、現在、その価値は配当込みで200万ドル以上になる。こうした自社株買い戻しがサンダース氏などの民主党関係者から批判されているわけなのだが。

シュルツ氏が自著で主張しているように、「私たちが米国民だからといって、米国の都合のいい方向に未来が曲がるわけではない。私たちが、未来の針路を変え、押しやり、動かさねばならない」のだ。

これこそ、シュルツ氏が民主党支持者たちに与えている警告かもしれない。彼らが賢明であれば、同氏を味方に取り込む方法を見つけるだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/usa-politics-starbucks-breakingviews-idJPKCN1Q319D
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/459.html

[政治・選挙・NHK257] 脱デフレへ財政・金融協調を、増税撤回は不可欠=岩田前日銀副総裁 諭吉先生のお札が紙切れに 竹中平蔵「稼ぐことが厳しく求め
ビジネス2019年2月18日 / 14:00 / 1時間前更新
インタビュー:
脱デフレへ財政・金融協調を、増税撤回は不可欠=岩田前日銀副総裁
Reuters Staff
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[東京 18日 ロイター] - 岩田規久男・前日銀副総裁は、ロイターとのインタビューに応じ、デフレ脱却には、10月に予定されている消費税率引き上げを撤回するとともに、国債発行を財源として若い世代に所得分配する財政拡大が不可欠と訴えた。財政と金融の協調によって財政資金を日銀がファイナンスし、お金が民間に流れ続けることをコミットすることで、デフレマインドの払拭が可能になると語った。インタビューは15日に行った。

<成長と再分配政策が不可欠、財政・金融一体で民間に資金を>

岩田氏は、日本経済の現状について「デフレ脱却の過程にある。しかし、いつ崩れるか分からないくらい弱々しい」との認識を示し、デフレからの脱却には、前回の2014年4月の消費増税から5年近くが経過しても低迷を続ける個人消費がポイントになると指摘した。

消費活動とインフレ予想が高まっていない中での10月の消費増税は「とんでもない」と撤回を求め、特に子育て世代を中心にした若年層の消費性向の低下と教育費負担の重さを問題視。消費増税とともに10月にスタートする教育無償化は「政策として正しい方向」としながら、「増税したお金を戻すに過ぎない。若い世代の可処分所得を増やすには、増税ではなく、成長と再分配政策を組み合わせることが不可欠だ」と主張した。

前回の消費増税の教訓から「日銀の金融超緩和政策だけではインフレ予想を上げることができず、2%の物価安定目標の達成に失敗する可能性が極めて高い」との認識を示し、「財政と金融が一致協力して、お金を民間に流すことを真剣に考えるべき」と強調。

資金需要が乏しい中、通常の銀行貸出を通じたルートでは「デフレ脱却を可能にするほどマネーストックを増やすことはできない」とし、「若い世代の実質的な所得を増やすには、国債を発行して、その国債を買った銀行から日銀が国債を買い、お金を彼らに流すしかない。増税ではないので民間からお金が吸い上げられず、必ず民間に流れていく」と語った。

こうした対応によって、若い世代を中心に「消費が増えれば、設備投資も増える」と述べ、「デフレマインドを払拭するには、日銀資金が政府から財政資金としてとうとうと流れ、これが恒久的に続くということにコミットすることが重要だ」と訴えた。

<国債買入増で量的効果も、財政ファイナンスは有効>

国債増発によって財政再建が遅れ、金利が上昇する懸念があるが、「日銀が現在のイールドカーブ・コントロール(YCC)政策の下で、金利が上がらないように自動的に国債をさらに買えば、量的緩和と同じ効果がある」と説明した。

そもそも日銀が国債買い入れ額を減らしているにもかかわらず、長期金利をゼロ%程度に誘導できているのは「予想インフレ率が低いからだ」とし、政府と日銀が一体となってフォワードルッキングな予想形成を促す「リフレ・レジーム」の必要性を強調した。

リフレ派の中には、変動相場制の下では財政政策よりも金融政策の方が有効などとするマンデル・フレミング理論を重視する声があるが、「14年度の消費増税の結果は、マンデル・フレミング・モデルが通用しなかったことを示している」と指摘。デフレ脱却に向けて、今こそ「金融政策と財政政策とが協力して財政資金を回すという本来のリフレ派の考え方に沿って、マネーストックを増やすべき時だ」と訴えた。

こうした対応は、日銀による財政資金のファイナンスとの批判が強まる可能性がある。岩田氏は「今の政策はすでに財政ファイナンス。これ以外にデフレから脱却できる方法はない」と述べ、物価2%目標が歯止めになるため「ハイパーインフレになる心配は、まったくない」との見解を示した。

一方で「これ以上、金利を下げたら銀行がバタバタとつぶれてしまう」とし、「日銀だけが一生懸命やっているが、財政は逆噴射しているのが実情であり、今は日銀の金融超緩和政策と積極財政の協調が不可欠」と繰り返した。

そのうえで、このまま消費増税を実施すれば「黒田東彦日銀総裁は、10年かけても物価2%が達成できなかった駄目な総裁で終わってしまう」と述べるとともに、今後は2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ投資がほぼ終わり、設備投資や個人消費も期待できないと指摘。「安倍晋三首相も、景気後退の時に辞めることになりかねない」と政府・日銀に対応を促した。

伊藤純夫 木原麗花 編集:田中志保
https://jp.reuters.com/article/interview-boj-iwata-idJPKCN1Q70B3


 

諭吉先生のお札が紙切れに、日銀緩和続けば経済大混乱も-土居慶大教授 TOPIX1600回復、米中協議期待金融など全業種上
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/187.html
投稿者 うまき 日時 2019 年 2 月 18 日 14:40:27: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr

 

竹中平蔵「稼ぐことが厳しく求められる」少子高齢化を生きるには「自助」 アジア6カ国、給与と仕事  寿司職人年収500万円
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/184.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/654.html

[中国12] 中国経済の大幅減速、犯人は国有企業の「逆襲」か ほころぶ中国企業の相互債務保証、デフォルト連鎖も
為替フォーラム2019年2月15日 / 16:37 / 20時間前更新
中国経済の大幅減速、犯人は国有企業の「逆襲」か
Christopher Beddor
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[香港 15日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ブームは終わった。中国経済はハードランディングにこそ見舞われていないものの、大幅に減速しており、世界中の資本市場を揺るがしている。しかし、こうした状況の回避は可能だった。

グローバル金融危機を受けた中国の景気減速は、政策の不手際が原因だった──。ピーターソン国際戦略研究所のニコラス・ラ―ディー氏は新刊「ステート・ストライクス・バック(国有企業の逆襲):中国の経済改革は終わったのか」の中でそう分析している。

中国の成長率は金融危機前の4年間に年平均12%だったが、2015年以降は7%弱に落ち込んだ。ただ、減速には避けようがない面もあった。ラ―ディー氏によると、元安や高い貯蓄率、巨額の貿易黒字で加速した成長が、より持続可能な水準に戻ったことで、減速の半分は説明がつく。

この著作の核心は「回避可能だった」残り半分を解き明かしている点にあり、その大部分が国有企業の復活だ。

ラ―ディー氏によると、企業向け融資全体に占める国有企業の比率は2011年に28%だったが16年には80%余りに上昇。一方で民間企業向けの比率は半分強からわずか11%に低下した。

要するに資源の配分ミスが起きたのだ。

国有企業のROA(総資産利益率)は民間企業に劣っており、そのギャップは金融危機以降に広がった。ラ―ディー氏の試算によると、国有企業の経営効率が民間企業並みであれば、中国の2007─15年の平均年間成長率は最大で2%ポイント押し上げられていたはずだという。

さらに事態を悪化させたのは国有企業の負債の増加で、企業の借り入れの対国内総生産(GDP)比は2009年には120%前後だったが16年には170%近くに上昇した。国有企業の復活は企業幹部の間で信頼感の低下も招き、民間投資が落ち込んだ。

ラ―ディー氏の著作には明るいメッセージも含まれている。

発展途上国では通常、先進国並みを目指す急成長がいずれ勢いを失うものだが、中国はまだその段階に近づいていない、というのだ。日本や韓国、台湾、シンガポールはいずれも、1人当たりGDPで見て今の中国と同じ発展段階を踏み、さらに成長を続けた。

ラ―ディー氏によると、仮に中国政府が改革を再開すればさらに20年間にわたり8%以上の成長を続けることが可能だという。

この著作で最も考えさせられる部分は、何が起きたかということだけでなく、その理由を解明しようと試みて今後の改革の見通しにつなげている点だ。

ラ―ディー氏に言わせれば、根本的な障害は、「国有企業は成長の足を引っ張っているかもしれないが、共産党の立場や支配を維持するのには不可欠だ」という最高指導部の考え方にある。

つまり、中国の政治システムには、大胆な改革が不可能ではないとしても、その実行を困難とするような仕組みが内包しているのではないかという問題提起だ。これは、盛んに議論の対象となっている「民主主義と富」というテーマにもつながる。

一握りの小国を除けば独裁体制国家が富裕国に仲間入りした例はない。中国はこの法則をひっくり返しそうに見えたが、やはりだめなのだろうか。

政治的な側面は、中国内で変化が到来する気配を感じとっている向きもいるだけに、大変興味深い。金融危機以降、同国のビジネス界では「国進民退(国有企業が躍進し、民間企業は退潮する)」という言葉がささやき交わされていた。ラ―ディー氏は2014年の著作「マーケッツ・オーバー・マオ」でこのテーマを取り上げ、与信獲得で国有企業が民間企業を締め出しているという主張は全く間違いだと論じていた。

しかしデータに変化が生じ、数字に基づくラ―ディー氏の主張も変わった。それ自体は悪いことではないが、ここから読み取れるのは、中国政府のブラックボックスの内部をのぞき、将来を見通そうとする場合、いかに慎重にデータを分析しても限界があるということだ。

金融危機後に「国進民退」を口にしていた人々は、国有企業への資金の流れを注目していたのかもしれないし、風向きの変化を感じ取る政治的な第六感のような、もっと微妙なものがあったのかもしれない。

いずれにせよ中国の民間セクターは、統計に表れる何年も前に国有セクターがもはや退潮しておらず、逆襲に転じたことを直感していた。

 2月15日、中国経済はハードランディングには見舞われていないが大幅に減速し、今や世界中の資本市場を揺るがせている。春節を前に人影もまばらな北京の三里屯地区。4日撮影(2019年 ロイター/Thomas Peter)
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/china-economy-review-idJPKCN1Q40O7


トップニュース2019年2月16日 / 08:48 / 3時間前更新
焦点:ほころぶ中国企業の相互債務保証、デフォルト連鎖も
Shu Zhang
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[シンガポール 12日 ロイター] - 中国で民間企業が債務保証し合うことで資金調達してきた仕組みがほころび始めている。これによって金融システムに存在するさまざまなリスクが浮かび上がっており、減速基調が強まる経済に新たな悪影響を及ぼしかねない事態と言える。

既に警報が鳴り響いているのは、石油精製業と重工業の一大拠点である山東省東営市だ。ロイターが裁判所の記録を確認したところでは、少なくとも民間28社が債務再編を通じて経営破綻を回避しようとしており、そうなった主な原因は保証していた他の企業の債務が焦げ付いたことだった。

28社の中には、2018年に中国の優良経営企業ベスト500に選ばれた、山東大海集団や山東金茂紡織化工集団などが含まれている。

中国の民間企業が銀行から融資を受けようとする場合、特にそれが従来型の資本集約的な産業であれば、相当な担保を差し入れるか、別の企業に保証してもらう必要が出てくる。保証を請け負う企業自体も、また違う企業から債務保証をしてもらっている公算がかなり大きい。

東営市における民間セクターの混乱は、まさにこの相互債務保証が本来持つ危険性をはっきり示している。つまりいざ1件が不良債権化すると瞬く間にデフォルト(債務不履行)が連鎖し、地域の金融システムが損なわれて新規融資の動きに支障が生じる恐れがある。

心配なのは、民間企業の相互債務保証は中国全土で普及している以上、東営市のケースが氷山の一角にすぎないのではないかという点だ。

民間企業はどうしても資金調達面で制約を受ける。なぜなら銀行は非国有セクター向け融資に消極的だからだ、と話すのは北京に拠点を置くアジア金融協力協会のYang Zaiping事務局長だ。

同氏はロイターに「民間企業の中国経済に対する貢献度と資金調達額の間にはすさまじい不均衡が存在する」と指摘。民間セクターが税金の50%を負担し、国内総生産(GDP)の60%をもたらし、都市部雇用の80%、新規雇用の90%を生み出しているのに、実行された融資の25%しか受け取っていないと説明した。

また同氏は、民間企業が債務返済のための担保を持っていないとすれば、債務保証を受けるしかなく、そうなると調達コストが2─3%ポイント切り上がると付け加えた。

<過剰融資のつけ>

山東大海集団は、昨年6月末時点で14社の26億7000万元(3億9400万ドル)に上る債務に保証を与えていた。保証総額は、純資産の48%に相当する。そして14社のうち6社は資金的ないし法的な問題を抱え、2社は裁判所から「不誠実な借り手」としてブラックリストに掲載された。

中国第2の規模を誇る勝利油田がある東営市はかつては、国内有数の富裕な都市で、2017年には山東省で1人当たり所得が最も高かった。ところが好況時に地元企業に過剰な融資が実施され、企業がもうからない分野にまで事業の手を広げた結果、与信環境の悪化や政府による債務圧縮キャンペーンが始まるととともに、融資や社債のデフォルトが続いた。

このため東営市の2つの銀行は突然、不良債権が急増してしまった。広饒農村商業銀行の場合は、不良債権の95%に保証が付けられているとはいえ、保証している企業自体が借金まみれだったり、生産を停止しているケースもあり、ほとんど役に立っていない。

そうした中で東営市当局は、債務再編を推進して何とか民間企業を破綻の淵から救い出そうとしている、とある山東省当局者は打ち明けた。

<民間向け融資に及び腰>

中国銀行保険監督管理委員会の郭樹清主席は、銀行に3年間で民間企業向けの融資資金配分比率を25%から50%に倍増させたい考えだ。しかし景気循環セクターの民間企業のデフォルトリスクが増大していることや、これらの企業が株式担保や相互債務保証といったリスクの高い調達を行っている現状から、銀行は融資に及び腰になっている。

複数のバンカーはロイターに、10年前に政府が4兆元の景気刺激策を打ち出した尻馬に乗って過剰で危険の大きい融資に動いた失敗を繰り返したくないと述べた。

ある金融関係者の話では、人民銀行(中央銀行)は昨年1月以降、銀行の預金準備率を計5回も引き下げたが、銀行は浮いた資金を融資に回さず、「いかなる犠牲を払っても」債券を購入している。

業種を見ると民間企業は製造業と不動産に集中しており、これらのセクターの不良債権比率は全業界平均よりずっと高い。さらに昨年の経済成長率が28年ぶりの低さになったことで、民間の相互債務保証が中国の金融システムに不良債権危機をもたらすのではないかと懸念される。

先の山東省当局者は「成長が鈍化して経済への圧迫が強まるとともに、金融リスクはいとも簡単に波及性を持つようになる」と警戒感を示した。
https://jp.reuters.com/article/china-guarentee-tangle-idJPKCN1Q20CV
http://www.asyura2.com/17/china12/msg/813.html

[中国12] 骨折り損の「次の中国」探し、為替管理は悪くない−レン 大幅減の対中工作機械受注、指し示す本当の姿は何か
コラム
骨折り損の「次の中国」探し、為替管理は悪くない−レン
コラムニスト:Shuli Ren
2019年2月15日 11:30 JST
From

• ドル建て投資の場合、中国からの資産移転に妙味あるのは理論上だけ
• 実行すれば悪魔が姿を現す−中国に代わる投資先はまだ見えず
世界の投資家が今探しているのは、米中貿易戦争で最も大きな「漁夫の利」を得る国だ。
  ここ10年、外国人投資家にとって良かったのは中国だ。 2008年の米リーマン・ブラザーズ・ホールディングス破綻後、中国株の指標MSCI中国指数は年8.6%のプラスリターンを提供してきた。
  ただ昨年はひどかった。中国株は世界の中でも下げが目立ち、MSCI指数は約20%下落。人民元は金融危機以来見られない1ドル=7元近くまで値下がりし、中国政府が元安を武器にしているのではないかとの懸念が広がった。

イラスト:ブルームバーグ市場向けジャスティントラン
  中国を見限り、別の投資先を探すべき時なのだろうか。対中関税率引き上げで米企業は半導体部品をマレーシアから、データ記憶装置をタイから、綿花をパキスタンから輸入する誘惑にかられるだろう。実際、一部資産の再分配はすでに進行中だ。
  昨年のアジア株低迷にもかかわらず、海外投資家はベトナム株を買い越した。米中対立から大きな恩恵を受けるのがベトナムだと考えている投資家は多い。米中貿易戦争が始まる前から韓国のサムスン電子などグローバル企業は工場をベトナムに移していた。
 
  しかしドル建てで投資する場合、中国からの資産移転に妙味があるのは理論上だけだ。実行すれば悪魔が姿を現す。
  為替変動リスクを考慮しない国際投資家はいない。新興国通貨はボラティリティーが大きく、突然の変動に対するヘッジコストは高くつきかねない。例えば今年最初の週、1年物フォワードでのヘッジはインドネシア・ルピアで5.4%、インド・ルピーは4.2%の負担となった。株価収益率(PER)を見れば、インドネシアが16.8倍、インドが21.6倍といずれもすでに高水準だ。これらのホットな新興国市場は、もはやそれほど魅力的でないように見える。
Peace of Mind
Cost of hedging the yuan using the one-year offshore forward

Source: Bloomberg
  一方で、人民元のヘッジは今年、1年物フォワードを用いて0.2%と、17年初めの5.6%や18年の2.2%と比べると極めて安い。中国株のPERは11.5倍と1年前に比べ28%割安だ。こうした点からすると、貿易戦争や経済成長鈍化を踏まえても、中国はそれほど悪くないように思える。
  新興国投資での通貨安定の重要性は、どんなに強調してもしきれない。人民元を巡りその点で疑いがあるなら、トルコ・リラやロシア・ルーブル、ブラジル・レアルと比べてみればいい。過去10年間にこうした市場に飛び込んだ外国人投資家は、中国株のパフォーマンスが上回っているのを横目に、羨望(せんぼう)のまなざしと共にうめき声を上げることぐらいしかできなかっただろう。
Lender vs. Borrower
China’s current account

Source: CEIC Data
  中国の輸出モデルに倣い衣料品やエレクトロニクス製品などを世界に輸出し経済成長を遂げているベトナムなど比較的小さな国にしても、経常収支の黒字が長く続くとは限らない。それを示唆しているのは、ほかならぬ中国の軌道だ。中国は、07年に経常黒字が国内総生産(GDP)の10%を超え、わずか10年ほど前はグローバルな収支不均衡の根本原因だった。だが昨年は黒字がGDPの0.4%相当にまで縮小。そしてモルガン・スタンレーによれば、19年には経常赤字となる公算大だ。

「ブルームバーグ・マーケッツ」誌
アートワークをカバーする:Bloomberg MarketsのRebecca Mock
  それでも中国には強みがある。10億人を超える人口だ。乗用車や家電などの消費者向け製品は、規模が物を言うビジネスだ。中国はその人口規模でこうした産業を支えることができる。だが、乗用車などの製品を輸入しなければならない小さめの国では難しい。そうした国が経常黒字を維持しようとすれば、節約しながら輸出を続け、対外支出の抑制を図ることは可能かもしれない。だがそれでは「次の中国」となることはできない。
  中国政府が資本主義を受け入れて40年が過ぎた今も、元相場はまだ厳しく管理されている。しかしそれは外国人にとって悪いことではないのだ。新興国全体の資産クラスを見回してみても、中国の代わりとなる投資先はまだない。中国という存在に、投資家はもっと慣れた方がいい。
  (原文は「ブルームバーグ・マーケッツ」誌に掲載。シュリ・レン氏はブルームバーグ・オピニオンの香港在住コラムニストで、アジア市場を担当しています。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)
原題:Finding the ‘Next China’ Will Confound Investors: Shuli Ren(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-15/PMWDC86JTSE801?srnd=cojp-v2


 
為替フォーラム2019年2月15日 / 18:07 / 2日前
大幅減の対中工作機械受注、指し示す本当の姿は何か
田巻一彦
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[東京 15日 ロイター] - 工作機械受注のデータが悪化している。昨年10月以降、中国向けを中心に外需が前年比マイナスとなっていたが、今年1月分は内需も落ち込み、全体で前年比18.8%減と急ブレーキがかかっている。

工作機械業界には楽観論も根強いが、足元での対中輸出の前年比減少率が大きく、中国製造業の先行きの暗さを示している可能性が高い。米中通商交渉が2カ月間の「延長戦」に入れば、さらに不透明感が高まりそうだ。

日本工作機械工業会が12日に発表した今年1月の工作機械受注総額(速報値)は前年比18.8%減の1254億円。そのうち内需は同15.9%減、外需が同20.4%減だった。総額の前年割れは4カ月連続。

国別の受注動向は、28日発表の確報値にならないと判明しないが、昨年12月までの確報値では、中国向けの落ち込みが激しく、1月分も中国分の減少が大きく足を引っ張った可能性が高い。

昨年12月の中国向けは同56.4%減、11月が同67.0%減、10月が同36.5%減、9月が同22.0%減だった。

中国におけるスマートフォン(スマホ)需要の減少で、スマホ金具に穴を開けるドリルの受注が大幅に落ち込んでいるとみられるが、それだけではなさそうだ。

一般機械の受注減も大幅で、米中経済摩擦の長期化を見込み、中国における設備投資需要が急速に悪化していることを示しているとみる業界関係者が多い。

中国の製造業の現場で活発な設備投資が展開されているのか、それとも米国向け輸出の先行きを懸念して、設備投資にブレーキが掛かっているのかを早期に認知する手がかりとして、日本の中国向け工作機械受注のデータは、かなり貴重であるといえる。

さらに問題なのは、外需の前年比マイナスが継続する中で、昨年12月、今年1月と内需も前年比マイナスに転落したことだ。12月は同9.8%減、1月は15.9%減と減少幅が大きくなっている。

米中経済摩擦の影響が中国向け受注を大幅に減少させた結果、日本企業の国内における設備投資への姿勢が慎重化した可能性がある。

こうした中で注目されるのが、14、15日と北京で行われている米中通商協議の行方だ。ブルームバーグは14日、トランプ米大統領が中国製品に対する関税引き上げ期限を3月1日から60日間延長することを検討していると伝えた。

もし、この報道のように今回の協議が決着すれば、不透明な状況が60日間持ち越されることになる。

外的環境に立ち込める「霧」が晴れなければ、米中ともに企業家心理は、手探りのスタンスを維持することになるだろう。

日本から見れば、対中工作機械受注の前年比マイナスが継続する期間が長くなることを示唆する。

2018年4月─12月期の決算発表は大方終了したが、中国の需要への依存度が高い企業では、業績見通しの下方修正を発表するところが多く、4月─12月期の実績が減収・減益という結果も少なからずあった。

また、華為技術(ファーウェイ)HWT.ULを巡る米国・同盟国と中国の対立が、今後、さらに先鋭化するようなら、日本企業からファーウェイへの部品販売にも、様々な思惑が広がってビジネスが停滞することも考えられる。

その分、日本からの中国向け製品の輸出に下押し圧力がかかる展開も容易に想定できる。

中国経済の実態がなかなか正確に把握できない中で、中国向け工作機械受注残高の結果は、様々な情報を導き出すことが可能な「先行指標」と言えそうだ。
https://jp.reuters.com/article/column-china-machine-japan-idJPKCN1Q40X3
http://www.asyura2.com/17/china12/msg/814.html

[国際25] 欧州経済の「命綱」、ドイツに景気後退シグナル点灯  欧州銀のトレーダーが降参、ウォール街の米国勢にはかなわない 
為替フォーラム2019年2月15日 / 14:57 / 3日前 コラム:
欧州経済の「命綱」、ドイツに景気後退シグナル点灯

田中理 第一生命経済研究所 主席エコノミスト
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[東京 15日] - 欧州経済のけん引役であるドイツ景気に暗雲が垂れ込めている。14日発表された2018年10─12月期の実質国内総生産(GDP)は前期からゼロ成長。前期比0.2%減だった7─9月期からはやや戻し、辛うじてテクニカル・リセッション(2・四半期連続のマイナス成長)は免れたが、年明け後の企業景況感は一段と冷え込んでおり、景気後退のシグナルが点灯し始めたといえよう。

中国向けの輸出依存度が高いドイツ経済は、中国経済との連動性が高いことで知られている。今回の景気冷え込みの底流にも、米中間の貿易摩擦の激化に伴う中国景気の減速が少なからず影響している。

さらにドイツ経済省は、7─9月期に自動車の新たな排ガス試験対応の遅れで自動車生産が大幅に落ち込んだこと、10─12月期にライン川の水位低下による物流遮断で流域にある化学関連企業が生産を抑制したこと、英国の欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」に備えた医薬品の在庫確保の動きが一服したことが、下押し要因として働いたと説明している。

確かに、こうした一過性の要因が影響した面もあるが、ドイツ経済が一時の自信と輝きを失ってきているのは紛れもない事実だ。

<不安なシグナル>

月次の生産統計で自動車生産の落ち込みに歯止めが掛かっており、干ばつによるライン川の水位低下も昨年12月中には解消に向かっている。失業率は歴史的な低水準にあり、当初回復の遅れていた賃金も上昇傾向が鮮明となっている。

緊縮一辺倒とみられがちのドイツの財政運営も、今年はわずかに拡張的な予算を組んだ。外需の冷え込みを好調な内需がカバーしており、一過性の下押し要因が剥落すれば、ドイツ景気は再び安定成長軌道に復帰するとの見方が、政策関係者も含めた当面のコンセンサスだろう。

ただ、不安なシグナルはそこかしこに広がっている。

一時的な下振れと説明される自動車生産は、新たな排ガス規制の影響が一巡したはずの昨年秋以降も、緩慢な回復にとどまっている。最新の政府統計である昨年12月は大きく反発したが、7月以降の落ち込みを取り戻せていない。さらに業界団体が発表した1月の数字は、前月比で再び落ち込んでいる。国外で発生した一部部品メーカーのストライキが影響したと説明されているが、排ガス不正問題の余波も続いており、構造不振の面もありそうだ。

また、2017年11月から約1年間で40%近くも増加した医薬品の生産は、昨年10月と11月の2カ月間だけでそこから30%近くも減少している。同様の動きはアイルランド向けの医薬品輸出でも確認され、英国の「合意なき離脱」に備えた在庫確保の動きであるとか、離脱後に備えて輸入元を英国企業からドイツ企業に変更した可能性などが指摘されてきた。だが、それでは昨年10月、11月の急激な落ち込みを説明できない。

さらに重要なのは、特殊要因が影響したとされる自動車、化学、医薬品を除いた生産活動の勢いもすう勢的に鈍ってきていることだ。

<労働市場にも異変>

良好な雇用・所得環境に支えられた内需が当面はドイツ景気の下支えとなりそうなのは確かだ。景気拡大が長期化する中、ドイツの失業率は東西ドイツ統一後の最低水準を更新し続けている。

ただ、ここにきて労働市場の改善基調にもやや陰りが出始めている点には注意が必要だ。

労働力人口に占める失業保険の申請者数の割合は、昨年11月に史上最低の5.0%に低下した後、過去3カ月は横ばいで推移している。今年に入って減少ペースが大きく縮小しているものの、失業保険の申請者数は前月比で19カ月連続減少している。同申請者数は昨年1年間、1カ月平均1万5000人減少していたが、今年の1月はたったの2000人の減少にとどまった。

このように労働需給が逼迫(ひっぱく)傾向にあるにもかかわらず、賃金は長年上昇が抑制されてきた。だが、景気回復の長期化とインフレ率の底入れもあり、昨年の賃金交渉では高めの賃上げ妥結が相次いだ。ドイツ全体の平均賃金もようやく上昇傾向が鮮明となってきた。こうした影響はしばらく残存し、インフレ率の上昇抑制と相まって、家計の購買力の押し上げに働くだろう。

 2月15日、欧州経済のけん引役であるドイツは、辛うじてテクニカル・リセッション(2・四半期連続のマイナス成長)は免れたが、年明け後の企業景況感は一段と冷え込んでおり、景気後退のシグナルが点灯し始めたと、第一生命経済研究所の田中理氏は指摘。ラシュタットの自動車工場で4日撮影(2019年 ロイター/Kai Pfaffenbach)
しかし、雇用や賃金は一般に景気の遅行指標であることも忘れてはならない。代表的な企業景況感である購買担当者指数(PMI)の雇用判断は、製造業・サービス業ともにまだ雇用の拡大を示唆する状況にあるが、徐々に水準を切り下げている。今後は内需の下支えも少しずつ弱まってこよう。

<もはや一時的ではない景気下振れ要因>

世界的な景気拡大、欧州中央銀行(ECB)による大規模金融緩和とそれに伴うユーロ高抑制、欧州債務危機時に手控えられてきたユーロ域内の経済活動のキャッチアップなどに支えられたドイツ経済の好調は、既に一昨年の終わりごろには陰りが出始めていた。その後、上記に挙げた以外にも、天候不順による建設活動の停滞など、さまざまな一時的要因が入れ替わり立ち替わり景気の足を引っ張ってきた。

ただ、一時的な要因とされる景気の下押しが既に1年以上も続いており、もはや一時的とは呼べなくなりつつある。過去数カ月、企業の業況判断は急速に慎重な見方を強めており、いよいよ企業も生産計画や採用計画を見直し始めている。

現時点でドイツ景気の実勢は、どうにかプラス成長を維持している段階と判断されよう。ただ、ここから新たな外的ショックが加わったり、景気停滞が一段と長期化したりすれば、本格的な景気後退に陥る瀬戸際に差し掛かっている。

不安要素には事欠かない。3月1日を次の期限とする米中通商交渉の行方は引き続き予断を許さず、その余波はドイツの輸出企業へも飛び火しかねない。米商務省は2月17日までに通商拡大法232条に基づく自動車輸入の調査結果をトランプ大統領に報告する見通しで、その内容次第ではドイツの自動車メーカーが新たな標的となる恐れもある。3月29日の期限まで40日余りとなった英国のEU離脱が合意なきものとなれば、英国向けに多くの製品を輸出するドイツ企業にとっても対岸の火事ではなくなる。

筆者は長年、経済情勢を調査する業務に携わっているが、トレンドからかい離した経済データの上振れや下振れに直面したエコノミストは、特殊要因がないかあれこれ詮索するものだ。こうした職業特性もあり、エコノミストは一般に景気の転換点を事前に言い当てるのがあまり得意とは言えない。ドイツの景気下振れを特殊要因で説明してばかりでは、大きな変化を見落とす恐れがある。「木を見て森を見ず」となっていないか、筆者の頭の片隅でも警戒信号が点滅し始めている。

田中理 第一生命経済研究所 主席エコノミスト(写真は筆者提供)
*田中理氏は第一生命経済研究所の主席エコノミスト。1997年慶應義塾大学卒。日本総合研究所、モルガン・スタンレー証券(現在はモルガン・スタンレーMUFG証券)などで日米欧のマクロ経済調査業務に従事。2009年11月より現職。欧米経済担当。

*本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。
https://jp.reuters.com/article/column-de-economy-tanaka-20190215-idJPKCN1Q40FI

 

欧州銀のトレーダーが降参、ウォール街の米国勢にはかなわない
Steven Arons
2019年2月18日 8:03 JST
• 米銀は2018年もトレーディングで上を行く、欧州勢はシェア後退
• 「戦いは負けだ」とウニクレディトCEO、人員や資本引き揚げ
欧州の投資銀行はトレーディングで優位に立つことをあきらめた。
  金融危機から10年がたち、米国勢の背中を追いかけてきた欧州の銀行はトレーディング業務に割り当てる人員や資本を減らしている。2018年もトレーディング部門の業績が米国勢についていけなかった欧州銀は、もはやあきらめムードだ。
  イタリアの銀行ウニクレディトのジャンピエール・ムスティエ最高経営責任者(CEO)は先月ブリュッセルで、「戦いは(欧州銀の)負けだ」と認めた。デリバティブ(金融派生商品)トレーダー出身の同CEOは「これからは商業銀行業務がデリバティブの代わりだ」と述べた。
  昨年の業績が明らかになるのに伴い、欧州の大手銀のトレーディング収入がこぞって減少したことが分かった。10−12月(第4四半期)は、ドイツ銀行のトレーディングは金融危機のさなか以来で最悪のパフォーマンス。クレディ・スイス・グループはトレーディング部門が赤字となった。最近までトレーディングを成長分野と位置づけていたフランスの銀行すら資本を引き揚げ、人を減らしつつある。
  欧州銀各行の届け出に基づくと、主要トレーディング事業の昨年の収入は合計で9%余り減少、15年に比べると2割以上縮小した。これに対し米銀のトレーディング収入は昨年増加した。
A Continental Divide
EU banks' trading revenue plunged last year while U.S. peers recorded growth

Source: company filings
Note: Change in agg. trading rev of EU IBs that have reported 4Q vs U.S. IBs
  欧州銀で働くトレーダーらはかねて、単一の資本市場や真の銀行同盟がないこと、新たな規制の導入など構造的な不利を業績低迷の理由に挙げ、英国の欧州連合(EU)離脱問題が状況をさらに悪化させていると主張している。欧州銀は伝統的な銀行業務の収益を圧迫するマイナス金利にも、依然苦しんでいる。
Trailing in Trading
European banks have lost substantial trading market share since 2015

Source: company filings
Note: Aggregate trading rev includes five largest U.S. IBs (GS, MS, BofA, Citi, JPM) and European IBs that have reported 4Q (DB, SocGen, BNP, UBS, CS)
  欧州委員会がユーロ圏の成長見通しを引き下げるなど景気減速が見込まれる中で、欧州の投資銀行の市場シェア後退はなお続く可能性がある。
  ムーディーズ・インベスターズ・サービスの銀行担当シニア・クレジットオフィサー、マイケル・ローア氏は「米国の銀行は、より収益性が高い。従ってより多くの投資資金があり、テクノロジー採用でも有利な傾向がある」と指摘。「今年はセールスとトレーディングが全体で緩やかに減速すると見込むが、このシナリオの下では米銀が有利な位置にある」との見方を示した。
The Profitability Problem
EU banks return much less profit on their equity than U.S. peers

Source: company filings
Note: ROTE is return on tangible equity
原題:Europe’s Traders Throw in the Towel in Race With Wall Street(抜粋)
Europe’s Traders Throw in the Towel in Race With Wall Street

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-17/PMYDR16TTDS001
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/460.html

[政治・選挙・NHK257] 韓国議長「日本、盗っ人たけだけしい」 謝罪要求に反発 窮地に追い込まれた安倍首相の戦略的思考だ
韓国議長「日本、盗っ人たけだけしい」 謝罪要求に反発
2019/2/18 11:30日本経済新聞 電子版
 【ソウル=鈴木壮太郎】韓国国会の文喜相(ムン・ヒサン)議長は韓国の聯合ニュースが18日報じたインタビューで、元従軍慰安婦問題で天皇陛下に謝罪を求めた自らの発言に対して日本が謝罪と撤回を求めたことについて「謝罪する側が謝罪しないのに、なぜ私に謝れというのか」と反発した。また「盗っ人たけだけしい」と批判した。

https://www.nikkei.com/content/pic/20190218/96958A9F889DE6E3E1EBE1E0E1E2E3EAE2E0E0E2E3EB979394E2E2E2-DSXMZO4116976012022019I00002-PB1-3.jpg

慰安婦問題で天皇陛下の謝罪を求める発言をした、韓国国会の文喜相(ムン・ヒサン)議長=共同

 文氏は日本の対応を「(内政で)窮地に追い込まれた安倍首相の戦略的思考だ」と解説。2月末の米朝首脳会談を控え、「韓米日の連携強化を考えるのが政治家の役割だ」とし、「この問題(慰安婦問題)をなぜ焦点にするのか。国内向けだ」との持論を展開した。

 文氏は米ブルームバーグ通信とのインタビューで天皇陛下を「戦犯の主犯の息子」と表現。「そんな方が(元慰安婦の)おばあさんの手を握り『本当に済まなかった』と一言あれば(問題は)解決する」と語った。

 これを受け、安倍首相は13日の衆院予算委員会で、文議長の発言に関し「多くの国民が驚き、怒りを感じただろう。極めて遺憾だ」と述べ、謝罪と撤回を求めていた。


https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41393230Y9A210C1EAF000/
http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/655.html

[経世済民131] AIは貴重な「社内人材」、先行投資を惜しむな 偽ニュースも生成できるAI、詳細公表を見送り マスク氏支援の研究
2019/02/18 05:00
記者の眼
AIは貴重な「社内人材」、先行投資を惜しむな
田中 陽菜=日経 xTECH/日経コンピュータ
登録会員限定記事 現在はどなたでも閲覧可能です
 「本日入社いたしました、AIの××と申します。▲▲社製で、自然言語処理を得意としています。どうぞ宜しくお願いします」――。
 4月まであと1カ月半。新入社員を迎える準備を始めた企業も多いだろう。
 新入社員のうち一部が人工知能(AI)になる。企業は人間に加え、AIも採用するようになる。そんな光景が当たり前になる日も遠くない、と私は考えている。
AIへの投資は「先行投資」
 AI投資は数年〜十数年先を見据えた先行投資だと、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は強調している。「AIは乗り物、医薬品、健康、建設、不動産、ありとあらゆる産業を再定義していく」。孫氏は2019年2月6日の決算説明会の場でこのように話した。「ニューヨーク5番街は2035年にはAIによる自動運転車だらけになる」との予測も示した。

ソフトバンクグループの決算発表会で登壇した孫正義会長兼社長
[画像のクリックで拡大表示]
 孫氏は「AI革命は必ず起こる」というビジョンの下、世界中の企業に投資している。サウジアラビアの政府系ファンドなどと組んで設立した10兆円規模の投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(SVF)を通じて投資した企業は70社を超え、「ほとんどがAIに強く関わっている会社、ユニコーンだ」(孫氏)と述べた。
 孫氏の巨額な投資の根幹には、「AIによる情報革命が起きる」という信念がある。孫氏はAIの可能性を信じて、AI技術を持つ企業に先行投資をしているのである。
 こうしたAIへの投資の考え方は、孫氏が手掛けている巨額かつグローバルな投資だけでなく、個々の企業によるAIシステムへの投資にも当てはまる。投資から数年または10数年を経て、大きなリターンを企業にもたらす。その点で、AIシステムへの投資は新入社員の採用に似ている。
 私はこれまで企業のAI導入について取材を重ねる中で、AIが製造や交通、医療など様々な分野で活用されるのはほぼ間違いない、と考えるようになった。
 取材で触れたAIシステムは、いずれも企業の「貴重な社内人材」だった。過去のデータを学習・分析することで社員の意思決定を助けたり、社員の代わりに顧客の疑問に答えたりできる。
 社員のダイバーシティー(多様性)が重視される時代になったが、性別や年齢、国籍など人間の多様性に加え、今後はAIのような人間以外の「人材」を含めた多様性が求められそうだ。人手不足の中、人間の人材はなかなか確保しづらい。人間の女性やシニアだけでなく、AIも企業の救世主になり得る。
 部門長などの管理職はAIの「上司」として、部下だけでなくAIをマネジメントする必要が出てくるだろう。AIをうまく使いこなし、もしくはAIを使いこなせるように部下を教育し、人間に任せる仕事とAIに任せる仕事をうまく判別して、全体としてのパフォーマンスを上げる。そんなマネジメントが求められる。
 新入社員の採用と同じく、「どのAIを採用するのか」は慎重に見定めなければならない。人間と同じで、AIもそれぞれ「個人差」がある。
 入社したAIへの教育方法も重要だ。企業がAIに過去のデータを学習させて精度を高めたり、運用の体制を整えたりしているのは、新しく入社した社員に仕事のやり方を教えるのと似た構造だ。
 AIを導入したばかりの段階で「AIの予測精度が人間よりも低い」「業務には使えない」と言うのは、新入社員に「どうしてベテランと同じ働きができないのか」と言うようなものである。AIも入社したてのうちは、分からないことだらけだ。根気よく適切に学習させれば、そのうち仕事をこなしていけるようになる。
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AI社員が担っている2つの役割
AI社員が担っている2つの役割
 私が企業への取材を通して知ったAIの役割は、大きく2つに分けられる。
 1つは「人間の意思決定を補助するAI」だ。最終的な判断は人間が下すが、AIは過去のデータや他の企業のデータを情報収集して分析して提案する。さしずめ、データ分析を得意とする有能な部下といったところだろうか。例えばアサヒビールや江崎グリコなどは過剰在庫の削減を目指して、生産計画の調整などにAIを活用している。需要予測にAIを使うアサヒビールの担当者は「AIはチームメンバーの1人」と話す。
 もう1つは「人の代わりに人の相手をするAI」。チャットボットやAIを搭載したロボットなどがこれにあたる。接客やサポートデスクなどの役割を果たす。社内のシステム関連の問い合わせなどに答えたり、企業が利用者の疑問に答えたり自社サービスを紹介したりするのに活用する。
 こうしたAIは、顧客や利用者と企業をつなぐインターフェースを担うため、AIに「コミュニケーション能力」を身に付けさせなければならない。AIが利用者に失礼なことを言ってしまえば、企業イメージの低下につながる可能性があるからだ。
人間とAI、どう使い分ける
 組織の管理職が人間の社員とAI社員をうまく使い分けるには、人間が得意なこと、AIが得意なことを正しく知り、業務を振り分ける必要がある。
 AIの主な長所を挙げると、休む必要がないこと、パフォーマンスに波がないことなどだ。チャットボットの活用で言えば、メンテナンス時を除けば24時間365日、顧客に対応できる。
 人間はそうはいかない。睡眠も取らなければいけないし、パフォーマンスもAIに比べれば波があり、疲れがたまれば効率は落ちてくる。コンスタントに業務をこなしてくれる点では、AIのほうが人間よりも優れている。
 一方、少なくとも現時点では人間のほうがAIより優れている部分もある。野村総合研究所(NRI)の上田恵陶奈上級コンサルタントによると、「創造的思考」や「コミュニケーション能力」が求められ、「非定型」である仕事は、現時点では人間のほうがAIよりも優位性があるという。これは野村総合研究所と英オックスフォード大学が共同研究した結果だ。共同研究では国内の601種類の職業について、AIやロボットなどで代替される確率を試算した。
 人間が備えるコミュニケーション能力は、人間の感情に訴えかける。医療の例で言えば、例えばAIは画像認識を通じ、人間の医者では見つけられないようながんを見つけることができる。ただ「患者が実際にどの治療を選択するかは、結局、患者と医者のコミュニケーションや、患者と医者の間の信頼関係に依存する」、と上田上級コンサルタントは語る。
 患者に「安心感」を与えることは、まだAIにとって苦手な領域だろう。「AIが人間の表情や顔色、言葉の重みなどまで解析して総合的に最適な治療を判断できるようになるには、まだ10年から20年はかかるだろう」と上田上級コンサルタントは話す。
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もう1つ、人間と比べてAIが苦手とするのが「非定...
 もう1つ、人間と比べてAIが苦手とするのが「非定型」の業務だ。単純に言えば「マニュアルがない仕事」を指す。
 上田上級コンサルタントによれば、AIは「マニュアル」や「ルール」が確立した世界では威力を発揮する。囲碁などがその代表例だ。
 だが、現代社会は産業構造が常に変化している。米ウーバー・テクノロジーズ(Uber Technologies)のライドシェアサービスの登場などがその代表例だ。従来のタクシー業界の常識は覆され、産業構造や市場の概念などが変わり続けている。
 AIは過去のデータに基づいて未来の状況をシミュレートし、人間の意思決定を助けることができる。だがAIにできるのは、あくまでこれまでの産業や市場の構造に基づいた判断にとどまる。産業構造そのものが高速に変化し続け、マニュアルが存在しないビジネス環境での意思決定には「AIはまだ使えない」(上田上級コンサルタント)。AIの導入を目指す企業は、こうしたAIと人間の特性を理解し、AIに任せたい仕事を特定した上で、AIを採用する必要がある。
 こうした向き・不向きはあるにせよ、様々な業界の企業がソフトバンク孫氏と同じく「AI投資は将来に向けた先行投資」と考え、行動し始めているのは間違いない。当面は投資に対するリターンが見込めないことも覚悟の上で、先行してAIを取り入れて、活用のノウハウを蓄積している。「もっと実用的なAIが登場してから導入すればよい」などと油断していると、ノウハウの蓄積で後れを取り、数年後には大きな生産性の差として表れる恐れがあるだろう。
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[FT]偽ニュースも生成できるAI、詳細公表を見送り
マスク氏支援の研究機関
FT
2019/2/18 5:50日本経済新聞 電子版
保存 共有 その他
起業家のイーロン・マスク氏が支援する人工知能(AI)研究機関の「オープンAI」は、成果が「フェイクニュース」やオンライン上のヘイトスピーチを大量に生み出すために悪用されかねないとの懸念から、自動文章生成に関する最新の研究成果の一部を公表するのを見送った。

AIシステムが次第に強力になっているなか、今回の判断は研究を自制する珍しい取り組みだ。AI研究の大部分は「デュアルユース」で、有害な目的のため…

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ロイター
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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4131389015022019000000/

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/193.html

[経世済民131] あなたの会社のAI度は? 経団連がチェックシート開発 AIに学生のメールやSNSを監視させて「危険」を検知するという試み
あなたの会社のAI度は? 経団連がチェックシート開発
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20190218001780.html
加藤裕則 2019年2月18日15時23分
AIの活用レベルがわかる「AI−Readyな企業に向けたガイドライン」の一部=経団連提供
[PR]
 あなたの会社のAI(人工知能)活用はどのレベル? 経団連は、グローバル競争に勝ち抜くのに欠かせないとみているAIについて、準備から実用化までの進み具合を企業が自己点検できるチェックシートを作った。「開発では米中に遅れた日本だが、次の実用化の段階ではリードしたい」と利用を呼びかけている。
 「AI―Readyな企業に向けたガイドライン」で、経営層、専門家、従業員、システムレベルの4項目が、レベル1〜5のどこに位置するかが一目でわかる表にした。
 レベル1は、従業員で「経験、勘、属人的対応が中心」、専門家で「システムは外部委託中心」などと定義。レベル2は、従業員が「AI人材の採用を開始」、レベル3は専門家で「相当数のAI要員を持つ」など、体制の充実を反映させるよう設定している。
 レベル4は「大半の業務データがリアルタイムに近い形で分析可能」(システムレベル)。レベル5では、従業員のほとんどがAIに関する知識を持ち、部門のトップが自社や業界の刷新を担うほど社会をリードしている状態で、グーグルやアップルなど米国の「GAFA(ガーファ)」があてはまるという。
 経団連の担当者は「日本の大企…
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20190218001780.html


 

2019年02月18日 12時30分メモ
AIに学生のメールやSNSを監視させて「危険」を検知するという試みが行われている

by Jabbacake

学校が銃撃されて死者が出るという事件がアメリカではたびたび報告されていますが、このような危険性を排除し学校の安全性を高めるために、生徒のメールやテスト、SNSなどを人工知能(AI)を使ったシステムに監視させ、いじめやうつ病、銃撃などの兆候を検知するという試みが各所で行われています。

Can artificial intelligence help boost your school's safety?
https://www.usatoday.com/story/tech/2019/02/13/preventing-next-parkland-artificial-intelligence-may-help/2801369002/

2018年2月にアメリカ、フロリダ州の高校で17人が死亡する銃撃事件が発生しましたが、その数カ月前からアメリカの25校で危険を検知するアプリのテストパイロットを行っていたスタートアップのBarkは、爆発事件や銃撃事件の警告サインを発見したとのこと。その後、2018年8月にBarkは、子どもたちのテキストメッセージやメール、YouTube、ソーシャルメディアを監視して危険を回避するためのオンラインサービス開発について900万ドル(約10億円)の出資を集めることに成功しました。

アプリは児童心理学者や青年アドバイザー、法執行機関の専門家たちと協力して開発されたもので、機械学習を使用してSNSやメールのデータなどからインターネット上のいじめやうつ病、自殺念慮、セックスといった「潜在的な脅威」を識別して親や学校に警告を送るというもの。2019年2月時点でBarkは親が子どもを監視するための有料アプリを提供していますが、その利益を使ってアメリカの学校に対してサービスを無料で提供しています。

有料版のアプリは一家族あたり月額9ドル(約1000円)で、年額だと99ドル(約1万1000円)。無料のアプリは記事作成時点で1100学区で使用されており、計算上は260万人の子どもをカバーしていることになります。拉致や銃撃といった深刻な事態を察知した場合はFBIに対しても警告が送信されることになっているとのこと。

by terimakasih0

BarkのTitania Jordan氏によると、2019年2月8日にアプリが学校で使われるようになってから「汚い言葉」のアラートが1日3万5000〜5万5000件送信されていますが、FBIに対してアラートが送信される深刻なケースもアプリ公開から1週間で16件あったそうです。

ただしニュースメディアのUSA TODAYは「Barkのアプリは犯人の行動を毎回検知できるわけではなく、疑陽性が起こること」「学校はあらかじめ指定した生徒のアカウントについて監視できるが、生徒があらかじめ指定したデバイスやスマートフォンを使っていないと監視漏れが発生すること」「多くの子どもは親よりもテクノロジーに詳しく、親に知られないようにアカウントを使い分けている可能性があること」といった点について指摘しています。

一方で、1998年から「学校の安全性を高めるサービス」を提供しているGaggleはサービスを提供する1400学区で数多くの自殺を防止するとともに、子どもが他の誰かを傷つけるために銃器を購入することを防止してきたと述べています。GaggleもBarkと同様に、子どもが銃器を購入すると学校や法執行機関とコンタクトを取ることとなっています。

ただしGaggleは機械学習だけに頼らず、テキストや文書をスキャンした後に専門家が分析を行うのが特徴。軽度な兆候であれば、学校ではなく生徒にダイレクトにメールが送られることもあるそうです。

これまでに発表された研究結果で「うつ」病の人がよく使いがちな言葉は判明しており、GaggleやBarkはこのような傾向を察知するシステムを採用している様子。GaggleのBill McCullough氏は同社のアルゴリズムが絶えず更新され、子どもたちが送るメッセージから絵文字やスペルミスを含めた「絶望」のサインを検知できるようにしていると語っています。またGaggleは「学区の外からの脅威」についてもモニタリングや警告を行っており、過去には外部の人間が少女に対して「裸の写真を送らなければ両親を殺す」と送ってきたメールについても検知、問題を解決したといいます。

by HASTYWORDS

銃乱射事件がたびたび報じられるアメリカでは上記のような学校の安全を高めるサービスが利用されるようになってきていますが、もちろんここにはプラバシーの問題が存在します。学校がこのようなサービスを利用しているのは「生徒たちのボーイフレンド、ガールフレンドに関する事柄」を知るためではなく、生徒たちのプライバシーはしっかりと保たれなければなりません。サービスを提供している側が親から「最悪のサービスだ」と言われることもあるとのことですが、親が学校に対して懸念する最大の点が「安全性」となっている現代において、このようなサービスの需要は今後も大きくなっていきそうです。
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https://gigazine.net/news/20190218-ai-boost-school-safety/


http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/194.html

[経世済民131] Re: AIは貴重な「社内人材」、先行投資を惜しむな 偽ニュースも生成できるAI、詳細公表を見送り マスク氏支援の研究
AIと超人類の時代 弱者がもつ強み
小林慶一郎 慶大教授
2019/2/18付
日本経済新聞 朝刊
ポイント
○技術進歩による格差の拡大は反転縮小も
○AIが発展しても社会は多様であり得る
○民主主義の適切な補正を求めたハイエク
 歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ氏は話題の書「ホモ・デウス」で、テクノロジーの発展によるディストピア(反理想郷)のビジョンを描いて警鐘を鳴らしている。
 人類のごく一部の富裕層が人工知能(AI)とバイオテクノロジーの力で超人類(ホモ・デウス)にアップグレードされ、現生人類のまま取り残された大多数の人々を支配し、最終的には超人類が現生人類を淘汰するかもしれないという。ホモ・サピエンスがマンモスなどの大型哺乳類を絶滅させ、ネアンデルタール人を自然淘汰したのと同じように、我々も進化の波から脱落して消え去るのではないかという恐怖を与える。
◇   ◇
 自由主義の経済社会についてのディストピアの物語は、強者と弱者の格差が一方的に広がり、強者が弱者を淘汰するという「淘汰の原理」に関連する。H・G・ウェルズのSF小説「タイム・マシン」が描く80万年後の世界では、資本家階級と労働者階級の格差が著しく広がった結果、人類は2種類の異なる生物に進化するという、まさに自然淘汰の力を描いている。この基本構造は「ホモ・デウス」に受け継がれている。
 このようなディストピアの言説に対する一つのあり得る批判は、格差の拡大はいずれ反転縮小する(かもしれない)という「方向付けられた技術進歩」の理論である。米マサチューセッツ工科大学(MIT)のダロン・アセモグル教授が主張するように、産業技術の変化は、希少な生産要素を節約し、豊富な生産要素を多用する方向に進む。例えば19世紀、労働力が豊富で土地が希少だった英国では労働集約的な技術進歩が起き、その逆の米国では資本集約的な技術進歩が起きた。
 AIの進歩などによって、様々な業種で人間の労働が無用になると予想され、職の消失が心配されている。しかしハラリ氏の言う「無用者階級」すなわち低賃金の未熟練労働者が増えれば、その人たちを生産要素として活用しようとする方向に、新たな技術進歩が起きる。これが方向付けられた技術進歩の理論の予想である。すると人間の労働への需要が高まり、賃金が上昇し、格差が縮小していく。
 19世紀に極端な格差拡大が起きたあと、20世紀前半に、大量生産方式などの新しい技術進歩によって中間層が大量に生まれ、格差は縮小して大衆社会が到来した。同様なことがこれから起きないと誰が・・

https://www.nikkei.com/article/DGXKZO41317720V10C19A2KE8000/

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/195.html

[中国12] 市場は10年で10倍に、一斉にゲームを始めた中国人 開発力も飛躍的に向上、今や国産ゲームが主流に 
市場は10年で10倍に、一斉にゲームを始めた中国人 開発力も飛躍的に向上、今や国産ゲームが主流に
2019.2.18(月) 花園 祐

(花園 祐:中国在住ジャーナリスト)
 中国のシンクタンク、中国音数協遊戯工委(GPC)および伽馬数据(CNG)によると、2018年の中国ゲーム市場規模は前年比5.3%増の2144.4億元(約3.5兆円)に達したとのことです。この市場規模は日本の約2倍であり、自動車市場同様、既に米国を上回る世界最大のゲーム市場となっています。
 また激しい国内競争を経て、中国のゲーム開発力も近年目覚ましく向上しています。海外展開も積極的に行われるなど、今やゲーム輸入国から輸出国への転身も現実になりそうな気配です。
 そこで今回は、日系ゲーム業界にとってももはや無視できない中国ゲーム市場について、各種データを交えつつ解説していきたいと思います。
10年で10倍超の急拡大
 下の図は過去10年間における中国ゲーム市場規模とその成長率をグラフ化したものです。見ての通り、2008年にはわずか185.6億元(約3020億円)しかなかった市場は、2018年には2144.4億元(約3.5兆円)に達しており、この10年間で10倍超もの急拡大を遂げていることがわかります。
中国のゲーム市場規模(全体)の推移(2008〜2018年)
 そんな急拡大する中国ゲーム市場のうち過半数超の割合を占めるのが携帯電話・スマートフォンで遊ぶ「モバイルゲーム」の市場です。中国のモバイルゲーム市場規模の推移を下のグラフにまとめました。2018年の市場規模は1339.6億元(約2.2兆円)に達して全体の62.5%を占めるなど、他の国・地域同様にゲーム業界の主役となっています。
中国のモバイルゲーム市場規模の推移(2008〜2018年)
米国を抜いて世界最大の市場に
 引き続き、中国市場の世界シェアを見てみましょう。
 オランダ本拠のゲーム業界シンクタンク、newzooが2018年4月末に発表した市場予測値によると、世界ゲーム市場における中国のシェア(28%)は既に米国(23%)を抜き、世界トップの座についています。世界第3位の日本(14%)と比較しても中国の市場規模は約2倍もあることとなります。
地域別ゲーム市場規模シェア(2018年、予測値)
 こうした巨大な市場を持つことから、中国市場への進出や展開、または現地ゲーム企業との提携を図る日系ゲームメーカーの動きも近年活発化してきています。
IP作品が拡大牽引
 ここまで中国ゲーム市場のマクロデータを見てきました。続いて、これまでの中国ゲーム市場の歴史と現状を簡単に説明します。
 中国では2000年にゲーム機の国内流通が禁止(2013年に解禁)されて以降、パソコンを介したオンラインゲームが普及するようになります。しかし2010年頃から携帯電話の3G通信回線が普及するようになると、モバイルゲームの方が徐々に人気を博すようになり、前述の通り現在はこちらが主流となっています。
 とはいえ、モバイルゲームの普及当初は海外製ゲームのローカライズ、または模倣作品が多く、中国国産ゲームで人気を得られるものはそれほど多くありませんでした。実際に2010年代前半は、筆者の周りでも「アングリーバード」(中国名:憤怒的小鳥)など海外製ゲームで遊んでいる中国人が多かったと記憶しています。
 節目となったのは2013年頃です。この頃から著名なアニメ作品やキャラクターを正式にライセンス契約してゲームに登場させる「IP(知的財産)作品」が中国でも出始め、高い人気を得るようになります。そうした成功事例を見て、おそらく他の業者も「ライセンス料を払ってもお釣り(=利益)がくる」と考えるようになったのでしょう。その後もIP作品の開発・リリースは相次ぎ、また、消費者がそれらに飛びついたことで、中国ゲーム市場は急拡大していきました。
 なおIP作品としては、日本の漫画やキャラクターが登場するゲームが高い人気を博しています。2017年の中国ブラウザゲーム人気投票で1位になったのは、日本の忍者漫画「NARUTO -ナルト-」を使ったゲーム「火影忍者ONLINE」(2013年サービス開始)でした。
2018年に成長鈍化した理由
 こうして毎年2桁成長で急拡大してきた中国ゲーム市場でしたが、2018年は一転して、成長率が前年から17.7ポイント下落の前年比5.3%増と大きく鈍化しました。
「毎経網」の報道では、成長鈍化の背景として消費者嗜好の多様化、大作ゲームの不足の他、新規ゲームのリリース数減少などが理由として挙げられています。
 筆者はその中で新規ゲームの減少が最も影響したとみています。実際に、中国のApp Storeでの2018年における新規ゲームリリース数は前年比59%減と急減しました。
 では、一体なぜこれほど急減したのか? 原因ははっきりしており、中国政府の許認可がなかなか下りなかったためです。
 中国では海外製ゲームを輸入したり、新規オンラインゲームを配信する際は、文化部などの当局から許認可を得なければなりません。しかし2018年3月以降、この許認可の新規発行が一時期ストップし、「当局が綱紀粛正からゲームの規制に動いたのではないか」と噂されました。
 筆者の知人である業界関係者によると、同時期に、管理元だった国家新聞出版広電総局の組織再編が行われており、この再編のドタバタによって作業が中断していたという説が有力だとのことです。実際、その後12月から新規発行は再開され、2019年1月末までに257本のゲームのリリース許認可が下りています。
海外市場に逆攻勢
 中国のゲーム業界では、開発力が高まってきたことを受け、ゲームの輸出や海外でのサービス展開を目指す動きが高まっています。
 下のグラフは、中国自主開発オンラインゲームの海外市場売上高をまとめたものです。
中国自主開発オンラインゲームの海外市場売上高の推移(2008〜2018年)
 見ての通り、海外市場での売上高は2018年に前年比15.8%増の95.9億米ドル(約1.1兆円)となり、市場全体の成長率5.3%を10.2ポイントも上回っています。
 前述の通り、かつて中国ゲーム市場は基本的に海外からの輸入製品によって成り立っていました。それが近年は逆攻勢とばかりに海外進出に熱心となる業者が増えています。これは、中国のゲームメーカーが独自開発力を身につけてきた証左とも言えるでしょう。
 下のグラフは、2012年以降の中国モバイルゲーム市場における中国国産ゲームのシェアをまとめたものです。このグラフによると、2012年にはわずか5.4%だった比率が、2018年には62.5%まで拡大しています。中国人ユーザーが、今や海外製ゲームではなく国産ゲームでそのニーズを満たしている現況がはっきり見てとれます。
中国モバイルゲーム市場における国産ゲームのシェア
中国最大のヒットゲームが日本上陸
 中国製ゲームは近年、日本国内でもリリースが行われるなど広がりを見せています。
 日本のゲーム開発大手、ディー・エヌ・エー(DeNA)は2018年11月、中国のテンセントゲームズ(中国名:騰訊)と提携し、中国最大のヒットゲーム「王者栄耀」のスマホ向け日本版「伝説対決 -Arena of Valor-(アリーナオブヴァラー)」をリリースしました。
 同ゲームのリリースについて同社広報は、「近年、中国市場での成功タイトルが日本でも成功する事例が出てきている」と述べ、今後もそうした成功事例を開拓していく方針であることを示しました。
 また同社広報によると、「中国では、ゲームの質がかなりのスピードで向上しており、近い将来、あらゆる方面で世界最高の水準が求められるようになるだろう」とのことです。そこで同社では、上海に独自チームを設置して、設計から開発、パブリッシングまで全方面的に現地対応できる体制を敷き、中国市場の成長を積極的に取り込む方針だといいます。
 急成長が続く中国市場を前に、提携や競争を駆使していかに日中間のユーザーを取り込むか、日系ゲーム企業にも問われる時代が来ているのかもしれません。
 次回は続編として、日本のレトロゲームを愛する中国人について紹介します。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55499

http://www.asyura2.com/17/china12/msg/815.html

[経世済民131] はた迷惑な「年だけ重ね社員」にならない方法 人生100年時代、80歳まで現役で 年収4500万エリート「口角上げ」で勝つ
はた迷惑な「年だけ重ね社員」にならない方法

2019.2.18(月) 徳岡 晃一郎

人生100年時代、80歳まで現役で働くために必要な力

人生100年時代、生き残るために必要なものは何か。
(徳岡 晃一郎:多摩大学大学院 教授)

 人生100年時代が始まっているが、実はその裏の意味をご存知だろうか。それは、80歳まで現役で働き続けることが必要だということだ。

「人生100年時代」を生き残るために
 しかし、現在の企業では、従来の人生80年の前提がまだ変わっていないので、定年は60歳のままだ。多くの場合、60歳以降は65歳まで定年後再雇用となり、さしたる仕事もなく年収300万程度で年金受給まで食いつなぐことになる。

 こんな制度のもとで会社が用意した仕組みに頼っていけば、その時までに、社外で使えて価値を生むノウハウは枯れ果てているだろう。そして、65歳で多くの人は職を失う。

 ところが、人生は一方的に伸びていくので、100歳までは企業の定年とは関係なく生き続ける可能性が高いのだ。その生活資金のためにも、将来に不安が付きまとう年金以外に、少しでも稼ぎ続け、80歳まで現役で活躍し続けなくてはならない。

 また、家の外に出る用事がなく引きこもりがちになれば健康を害する。しかし今見たように会社にしがみついていると、60歳からは引退モードになってしまわざるを得ない現実があるわけだ。

 そのことは単に、自分の人生を左右するだけではなく、組織にも大きな影響を及ぼしている。引退モードが見えてくる40代後半から、すでにエネルギーが消耗気味の社員が増えているという現実だ。「先が見えた」と半ば諦め気味になる、引退モードに入ってもおかしくない社員の数は、どんどんと増えている。

 そういう社員を「年だけ重ね社員」という。周囲にこういう社員はいないだろうか?

・年収が下がった人たちは、給料相当に適度に働くという言い訳が多く、職場の雰囲気を悪くする。
・もう先が短いからと言って、周りと連携することなく勝手に行動する。
・時間内だけ事務所にいれば、たいして頑張らなくても給料がもらえるというオーラを発散させている。

 こうした年だけ重ね社員がどっしりと居座り「粘土層」と化した組織が、活性化するはずがない。若手にもいい迷惑。彼らの視界からは、組織の成長へコミットする意識はすでに消え去り、そのまま居続けられるので、65歳までは少なくとも生活に困ることはない。ましてや、80歳まで現役で価値創造をし続けないといけないという、迫りくる未来の現実も見えていない。

 また、この年だけ重ね社員たちは、人生100年、現役80年の時代に確実に乗り遅れるだろう。自分の価値をいかに保つか、もっと真剣に向き合わなければ、自分もライフシフト時代に生き残れないだけではなく、周囲にも迷惑。時代がどんどんと変わっていくので、保つだけではなく、成長させていかないといけない。

 人生100年時代とは、成長をエンジョイできないと苦しい時代だ。そして、成長をエンジョイするライフスタイルへの転換こそ、ライフシフトの本質なのだ。

「知の再武装」の必要性
 そして、その対策、それが「知の再武装」だ。

 学生を卒業して社会人になった後、我々は多くの場合、仕事や接待に追われたり、社内の閉じた人間関係での付き合いで時間を消費してしまう。社内でしか通用しない業務遂行能力と社内人脈は育つし、それがよくできると出世するので、ますます閉じた能力形成に拍車がかかる。

 しかし、それでは成長をエンジョイし、80歳現役力をつけて、長い人生の中でいろいろなことをやって豊かに人生を過ごしていくといった、ライフシフト能力は身につかないのは自明だ。

 それゆえ、社内に閉じず時代とともに成長して、世間にありがたがられるプロの力を身に付けていくこと、すなわち知の再武装が必要なのだ。そうしてこそ、究極の能力である「一人事業主力」が身につく。

 定年後は、結局のところ自分で生きていくしかない。新たに雇われるにしても、独立・起業するにも、自分を商品として売れなければ厳しい。そうしたプロとして認められ稼げる力が一人事業主力だ。

 したがって、知の再武装とは、カルチャーセンターに通うことではないし、資格取得だけを指すものでもない。実践経験に裏打ちされたプロとしての知的プロジェクト推進力をつけることだ。

 その力を獲得できるのが社会人大学院のMBAコースだろう。筆者が研究科長をしている多摩大学大学院では、まさに「知の再武装」を目的に、人生をイノベートする人材を育成している。技術も科学もどんどんと進化している。業界もビジネスモデルもどんどんと変わっている。そんな変化を貪欲に吸収し、自分の問題意識と人生のビジョンを持って、社会に足跡を残す人物を育てている。

徳岡晃一郎『40代からのライフシフト 実践ハンドブック:80歳まで現役時代の人生戦略』(東洋経済新報社)。
 それだけの知のパワーを身に付けなくては、すさまじいまでに変革しつつある時代に立ち向かい、自分の居場所は作るということはできないだろう。GAFA*1を一消費者としてエンジョイしている場合ではなく、彼らとどう向き合い、競争・共創していくのか、真剣に考えるためにも、知の再武装の覚悟を持ってほしい。

 ライフシフトへの挑戦は、それが生き方の変革であるため時間がかかる。早めの対策が重要だ。ぜひ一刻も早く知の再武装に取り組んでほしい。

(参考)徳岡晃一郎『40代からのライフシフト 実践ハンドブック:80歳まで現役時代の人生戦略』(東洋経済新報社)

*1:世界を席巻するIT企業のグーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルの頭文字をとった造語。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55462


 

2019年2月18日 Katsuyo :顔印象コンサルタント、フェイスアナリスト、KTY METHODプロデューサー
年収4500万、NYエリートがこぞって実践「口角上げ」でビジネスに勝つ

早朝から筋トレで汗を流し、口角を1センチも上げて真っ白な歯を見せるとびっきりの笑顔、そして断られても決して諦めないスーパーポジティブ――平均年収4500万円、マンハッタンの金融エリートたちのセルフプロデュースの実態、そして顔の表情がビジネスにどう影響しているのかを解説する。(顔筋コーディネイター Katsuyo)
平均年収4500万!
NY金融エリートの日常とは
「どんな時でも自信たっぷりでアグレッシブな言動をする」ことが求められるニューヨークのエリートは、筋トレや食事、そして顔の表情の研究などに余念がない Photo:PIXTA
 ニューヨーク、と聞くとすぐにイメージするのが摩天楼・マンハッタン。そびえたつ高層ビル。そしてイエローキャブとビジネスマン。そうそう、朝の通勤時にはイエローキャブがお決まりの渋滞でエリートビジネスマンが、渋滞のしびれを切らして途中下車。「釣りはいらないよ!」と粋な言葉とともにキャッシュを出しては、猛ダッシュでオフィスに向かっていく――。そんなシーンを誰もが想像しそうだが、実は本当のニューヨークのエリート男は、そんな無駄なことはしないのである。
 ニューヨークのエリート男といえば、高収入が約束されている職種として、弁護士、薬剤師、医者、大学教授たちが挙がるが、そんな中でもウォール街で働く証券マンの平均年収は4500万円と、群を抜いて高い。筆者は、彼らの年収よりも、弱肉強食の業界の中でいつもハラハラしながら戦っているエリート男の思考習慣や生活環境に昔から関心が高く、今回このような執筆の好機会を通じてNYで証券会社のバンカーとして働いていたエリートから得たインタビューをもとに、リアルに書きつづりたいと思う。
 まずは、先述した朝の光景をもう一度イメージしてもらいたいのだが、マンハッタンUPTOWNに住まいを持つエリート男たちは、DOWNTOWNのWALL ST.には毎日規則正しい時間に家を出て、きちんとSUBWAY(地下鉄)を使って、余裕を持ってオフィスに到着する。仕立てのよい良質な生地のスーツを身にまとい、色は濃紺のみ。ネクタイはほぼエルメス、髪形はお決まりの短髪。決して七三やセンター分けなどにはしない。まさに、アメリカで大ヒットドラマ「Suits」の主人公、ハービー・スペクターそのものである。
 そんなエリートが欠かさずに行っている習慣が、ジム通いである。
 日本でも昨年、流行語大賞で“筋肉は裏切らない”がノミネートされただけあって、近年は筋トレが大ブームとなっている。ライザップをはじめとするパーソナルトレーニングに、俗にいう“できる男”たちが熱中しているが、筋トレ習慣は、ニューヨークエリートにも絶対不可欠である。
 ベテランエリートは早朝からジムに通い、朝に汗を流してから出社をする。一方、若手エリートは夜、ベテランエリートが帰ったらジムに向かう、というのが日常のことであるようだ。
 筋トレが習慣の彼らは、口に入れる食事も当然のごとく慎重に意識をしている。FAT(脂肪)やCARBS(炭水化物)の調整には余念がない。そんなエリートは、酒は飲んでも飲まれるな、という意識は常であり、平日に酔っぱらって管を巻く、といった失態などは皆無である。
タフな心身はNYエリートの
「絶対条件」である
 エリートはエリートであり続けるために、身の回りのセルフマネジメント(自己管理)ができる、ということが絶対条件であるからだ。

Katsuyo/顔印象コンサルタント、フェイスアナリスト、KTY METHODプロデューサー。米国ロサンゼルスUNIVERSITY HIGH SCHOOL、SANTA MONICA COLLEGE卒業。2000年に南青山でスペリアルサロンを開業。サロン運営をしながら、自ら東洋医学概念と西洋医学解剖についての知識を深め、2万回以上の施術をしながら今なお研究を続けている顔筋ケアのパイオニア。「顔筋コーディネイト®」考案者。「顔から印象力を高める」ことを提唱しており、今までに4冊の著書を出版。現在は美容家の枠を超え、経営者のためのフェイスブランディングや、企業の新人研修および店長クラスの方、販売のプロたちに『おもてなしFACE』のつくりかたを指導し企業のイメージアップに努めている。ホームページはこちら
現在「1カ月無料動画オンラインレクチャー」を実施中
 エリートは高給取りとうらやましがられてねたまれもするが、実は平日は皆が想像できないほど、それこそ死にそうに忙しい。若手時代は徹夜で仕事をするのもざらである。バンカーでいうと、基本は飛行機で飛び回って営業をしており、ニューヨークから深夜便で西海岸や欧州に移動し、ミーテイングがひとつ終わったらニューヨークに戻ってきては、次のクライアントに出向く。
 そんな日々が毎日続くのだから、体力がなければこの仕事は無理である。仕事がどんなにハードであってもジム通いを続けるのは、体力を養うのと同時に、自分を極限まで追い込むことで、メンタルを鍛えるという意図があるようだ。「体力がない」「やる気が落ちている」…こうした雰囲気を周囲に感じさせた時点で、この男は能力が低いとみなされるというのだ。
 エリート男たちは皆、入社早々に「とにかく前向きに」「明るく」「人には誠実に」そして、「常にアグレッシブに行動せよ」とメンタル訓練を強いられる。まさにウルフオブギャングの世界。どんなにつらい状況であってもネガテイブなことは言わない、というのが暗黙のおきてなのだ。
 つまり、筋トレを通じて体を鍛え上げ、ワイシャツの下のムキムキの大胸筋や上腕二頭筋、僧帽筋のたくましさがセルフコンフィデンス(自信)を引き出す。さらに、筋トレによって、どんな苦境にあっても攻めるための「スーパーポジティブ」なメンタルも鍛え上げていくというのだ。プライベートを重んじ、退社時間がきたらそそくさと帰宅するといったイメージをアメリカ人に対して感じていたLA育ちの筆者は、ニューヨークのエリートの世界が、いまだにこんな昭和的な男たちの集団であるとは、実に驚きであった。
真っ白な歯を出して笑うのは
エリートに不可欠な「ビジネスマナー」
 では、エリート男たちのスーパーポジティブなメンタルは、具体的にはどんなものなのだろうか?筆者は現役バンカーに問うてみた。
 すると即答で、「どんな時でも自信たっぷりでアグレッシブな言動をする」という返答が返ってきた。顧客に対しても同僚に対しても、いつもさわやかな笑顔で応対する一方、話をするときの熱量は半端ない。感情表現の苦手な日本人は最初、非常に戸惑うほどの情熱ぶりなのだという。
 スーパーポジティブなエリート男は、相手が一度誘いを断ったとしても、懲りずに提案をしてきては、毎回同じ熱量を持って理論的に必要性を語るというのだ。こういった感覚を常に持ち備えることで、エリート男たちはエリートを演出しているといってもよいのかもしれない。まさに、自分で自分をスーパーポジティブに洗脳し、ビジネスパフォーマンスを向上させていくのである。
 アメリカンムービーには、よくビジネスマンが通勤前にひげをそってローションで肌を整えた後に、真っ白な歯を出して笑顔を作るシーンがあるが、スーパー・ポジティブメンタルを強固に構築していくにあたり、歯を出して思い切り笑う顔は、アメリカのエリート男たちには絶対に必要なビジネスマナーと言っても過言ではない。
 お得意様と対面したときには先にビッグスマイルをし、先に握手をするために素早く手を出し、力強く手を握る。こうやってセルフプレゼンを続けながら、上下関係を明確にさせていくことも、エリート男のビジネス流儀である。
 NYのエリート男たちは、顔の表情についても、非常に敏感である。その有効性を最大限に利用し、TPOに合わせて顔を使い分けているのだ。口角を上げるといった単純な動きだけでも、脳の快感回路が刺激され、活性化されることは、科学的に認められている。さらに、笑顔でいるとドーパミン神経系の活動が増し、記憶力や学習力が高まるというのだから、笑顔を有効に使わない手はないのだ。
アメリカ人や中国人とのビジネスに
顔筋ケアがオススメな理由
 キラリと輝く白い歯に、1センチ以上は上がっていると思われる口角――まさに、ジ・アメリカンスマイルは、日本のビジネスマンも見習うべきではある。しかしビジネスシーンで歯を出して笑顔を作るなどという習慣が皆無な日本のエリート男たちに、アメリカンスマイルをまねよう、というのは酷であると筆者は思う。日本ではその必要もないであろう。
 だがせめて、アメリカ人や中国人とのビジネス交渉の前には、口元の筋肉や目の筋肉を柔らかくして可動域を広げておいてほしいと思う。
 なぜなら、彼らとの交渉には、自分の喜怒哀楽をはっきりと視覚で相手に表現することが必要であり、なるべく早い段階で交渉を優位にもっていくためにも、顔からも負けないポージングをしてほしいからだ。スーパーポジティブを常に演出する必要は日本ではないだろうが、スーパーポジティブなメンタルを養うために顔筋を適度に鍛えることは有効である。
『男は顔が名刺』P131より「スーパーポジテイブな口角をつくる」ための口角ケア
 ただし、いきなり顔筋は鍛えないでほしい、と筆者は注意をうながしている。顔筋を鍛えるということは、日ごろの表情癖やかみ癖、かみしめ癖によって生じた顔のコリをより強固に硬くしていくことになるため、顔全体の筋肉が体の筋トレをしたかのように発達し、顔のエラが大きく張ったり、無表情の時にほうれい線がより深くなっていく。
 また、顔の左右差を整えずに顔を鍛えていくと、左右差があるまま筋肉が発達していく危険性もある。口がひん曲がったままできれいな笑顔ができるわけがない。そのため、顔筋を鍛えるトレーニングをする前に、顔筋ケアを行うことが何よりも大事なのだ。最近は、なんのメソッドでも顔筋トレーニングとメディアで紹介されているが、顔筋トレーニングは顔筋を鍛えることを意味し、顔筋ケアは顔筋を弛緩させることで柔軟性と可動域を広げることを意味する。この2つは似て非なるものと理解した上で、ビジネス上の表情コントロールには、顔筋ケアがより効率よく、かつ、簡単に続けられると覚えておいていただきたい(口角のコロのほぐし方は図を参照)。
 そして、時間に余裕のある朝、自分の顔をゆっくりと眺めてみたときに、「このまま老け顔になるのはまずい!」と、少しでも感じるときがあれば、その日がまさに顔筋ケア習慣の始まりである。
 最後に、エリート男たちの習慣の1つにコーヒーがあると聞いた。バンカーたちはよくコーヒーを飲みに行くという。2月のNYは極寒で、息をするだけで喉に響く寒さのようだ。こんな寒空の下、今日もエリート男たちはアツアツのコーヒーを飲みながら、負けない自分のストラテジー(戦術)を練っている。
https://diamond.jp/articles/-/194241


http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/196.html

[経世済民131] 中国株インバースETF、上げても下げても損 中国オフショア発行のドル建て債、高利回りで人気

 

2019年2月18日 The Wall Street Journal

中国株インバースETF、上げても下げても損

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 中国株への投資は近年、悲惨な結果を生んできた。株価の下落で利益を上げる数少ない方法を使ったとしても、損失を出してきたはずだ。

 いわゆるインバースETF(上場投資信託)は通常、特定の株価指数が下落するともうかる投資である。しかし、中国株に関してはそれほど単純ではない。

 例えばETF「ディレクション・デイリーCSI300中国A株ベア1Xシェアーズ」を見てみよう。これは米国人投資家が中国本土の主要株価指数の下落を見込んで投資することを可能にする数少ないETFのひとつだ。中国の株式市場が暴落する直前の2015年6月に設定された。中国A株の時価総額上位300銘柄で構成されたCSI300指数の逆(反対)100%の日次投資成果を目指す。

 CSI300指数は2015年6月以来、約3割下落してきた。問題は、そのインバースETFの価格も同期間に10%超の下げを記録してきたことだ。同ETFは設定以来、CSI300指数が上昇した週にはその上げ幅よりも少し大きい下げ幅を記録してきた。CSI300指数が下落した週には、その下げ幅よりも少し小さい上げ幅を記録してきた。

 逆連動にそうした幅の相違があるため、中国株が大幅かつ持続的に下落しない限り、投資家が同ETFで長期的に利益を上げるのはほぼ不可能だ。同ETFのプロバイダーであるディレクション・インベストメンツは、CSI300指数の逆100%の日次投資成果を目指してはいるが、長期的にもそうなると期待すべきではないと明言している。

 確かに、大半のインバースETFにはコストが長期リターンの足を引っ張る傾向がある。連動する指数と逆の投資成果を上げるためにコストがかかるスワップ取引を行ったり、変化する指数の構成と一致させるための定期的なリバランスが必要になったりするからだ。先進国市場の投資家が通常それをヘッジ手段として利用しない理由もそこにある。

 中国には、より標準的なヘッジ手段である普通の空売りという選択肢がほとんどないという問題もある。中国政府が根深い警戒心を抱いているため、空売りができるのは市場のごく一部に限られ、コストも非常に高い。例えば、大手ブローカーの中信証券から株式を借り入れる場合の年利は8.35%だ。

 主要グローバル指数に含まれる中国株が増えるなか、効果的で利用可能なヘッジ戦略がないことは外国人投資家にとってますます問題となっている。中国政府は外国の楽観主義者には喜んで市場を開放するかもしれないが、悲観的な見方を輸入することについては依然として全く楽観的ではない。

(The Wall Street Journal/Mike Bird)
https://diamond.jp/articles/-/194279


 

2019年2月18日 ロイター
中国オフショア発行のドル建て債、高利回りで人気
人民元紙幣
2月13日、資産運用会社の間で、中国企業がオフショア市場で発行したドル建て債の人気が高まっている。写真は人民元紙幣。2017年5月撮影(2019年 ロイター/Thomas White/Illustration)
[香港 13日 ロイター] - 資産運用会社の間で、中国企業がオフショア市場で発行したドル建て債の人気が高まっている。米連邦準備理事会(FRB)の利上げによる利回り上昇が投資家を引き付けており、リターンはリスクを補って余りあるとの声も聞かれる。

 ナティクシスのデータによると、オフショア発行ドル建て債の12月の平均利回りは6.7%と、オンショア発行債を2.8%ポイント上回った。1年前にはオフショア発行債の利回りがオンショア発行債を下回っていたが、逆転した。

 不動産大手の中国恒大集団は先月、オフショア発行のドル建て債として年初来で最大級となる30億ドルの起債を実施、利回りが10%を超えた。

 中国政府が景気てこ入れのため金融政策の緩和に動いたことも、こうした流れに拍車を掛けている。人民元建ての10年物国債の利回りは昨年9月のピークから60ベーシスポイント(bp)低下した。

 JPモルガン・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ジェーソン・パン氏は「オンショア(債)の金利は非常に低く、バリュエーションはやや割高になっている」と述べた。

 高騰国際資産管理のマネジング・ディレクター、ウォニー・チュー氏は、昨年はオンショア市場で金利が低下し続けてキャピタルゲインが得られたが、人民元建て10年物国債の利回りは既に2006年と09年の金融緩和局面の水準に迫っており、金利が一段と低下する余地は限られていると指摘。だからこそ今年に入って、オフショアドル建て債への関心をより高めていると付け加えた。

 オフショア発行のドル建て債は、その投資妙味に見合う大きなリスクを伴っている。

 BEAユニオン・インベストメントの債券部門を率いるフェオナ・ツァン氏によると、社債の債務不履行増加や中国の成長鈍化、FRBの金融引き締めなどが打撃となり、中国の借り手の一部は昨年末に企業価値が「実質的にディストレス化」してしまった。

 経営悪化が顕著なのが不動産業界で、碧桂園は今週、売買契約高が1月に52.2%落ち込んだと発表した。

 借り換えも引き続き債券市場を圧迫している。S&Pの試算では、不動産開発会社は年内にオンショアとオフショアを合わせて最大726億ドルの社債が償還期限を迎える見込み。

 リフィニティブのデータによると、中国企業が発行した年内に期限を迎えるオフショア市場のドル建て債は計775億ドル。昨年は501億ドルだった。

 ただBEAユニオンのツァン氏は、FRBが最近、追加利上げに慎重な姿勢に転じたことを挙げて楽観的な見方を崩していない。「FRBが(年内に)1回か2回の追加利上げを実施しても、利上げサイクルはまもなく終わる」という。

 シンガポールを拠点とする債券トレーダーも、特に不動産会社の高利回り債は「リスクを穴埋めする以上の妙味がある」と述べた。

 中国は景気減速に伴って不動産市場で販売と投資が落ち込んでいるが、住宅価格は全般に持ちこたえている。また投資家の中には、このまま景気の減速が続けば政府が不動産購入規制を緩めるとの期待もある。

(Noah Sin記者)
https://diamond.jp/articles/-/194437


http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/197.html

[国際25] 米制裁下のベネズエラ、インド向け石油輸出に活路 離脱懸念で英企業の調達コスト上昇、一部新興国並みに ロイター
2019年2月18日 ロイター
米制裁下のベネズエラ、インド向け石油輸出に活路

ベネズエラ・ホセの原油ターミナル
2月12日、米国がベネズエラ国営石油会社PDVSAに対する新たな制裁を始めたのを受け、PDVSAは米欧向けの輸出をインド向けに切り替えている。写真はベネズエラ・ホセの原油ターミナル。撮影日不詳(2019年 ロイター/Jorge Silva)
[ヒューストン/メキシコ市/モスクワ 12日 ロイター] - 米国がベネズエラ国営石油会社PDVSAに対する新たな制裁を始めたのを受け、PDVSAは米欧向けの輸出をインド向けに切り替えている。

 米欧向けの輸出は決済規制の影響を受けるため、インドを中心としたキャッシュ決済の買い手に焦点を絞る。ベネズエラにとってインドは米国に次いで2番目に大きい石油輸出先だ。

 リフィニティブEikonのデータによると、米国が1月28日に制裁を発表してから2週間で、PDVSAは原油と精製油合わせて日量115万バレルの輸出が可能となっている。制裁前の数ヵ月間は、これが約140万バレルだった。

 11日には、巨大タンカー2隻がベネズエラのホセ・ターミナルからインドの港へと出航した。

 リフィニティブの海運データによると、他にもベネズエラ産原油や燃料を積んだタンカー数隻がアジアに向かっている。最終目的地は明らかでない。

インド向けを倍増
マヌエル・ケベド氏
写真はベネズエラの石油相で国営石油会社PDVSAの総裁でもあるマヌエル・ケベド氏(中央)インドで11日撮影(2019年 ロイター/Anushree Fadnavis)
 制裁前、PDVSAは米国に日量50万バレル以上、インドに同30万バレル強、中国に同30万バレル弱を輸出していた。

 ベネズエラはケベド石油相をインドに派遣し、リライアンス・インダストリーズ<RELI.NS>やナヤラ・エナジーなどの製油企業に購入倍増を働きかけている。石油相は11日、インド企業に30万バレル以上を販売しているとした上で「これを倍増したい」と述べた。

 PDVSAにとってリライアンスは重要なキャッシュ決済の顧客だ。一方、ナヤラは、大株主の1つであるロシア石油大手ロスネフチからベネズエラ産石油を受け取っている。

 ロスネフチはまた、石油と融資を交換する制度に基づき、インド第2位の製油企業であるバディーナーにPDVSAの石油を供給している。

 米国の制裁文書を読んだ弁護士や商社によると、ロスネフチはこの制度によって今後もPDVSAの石油を輸入し続けることが可能なはずだ。

 モスクワの法律事務所幹部は「制裁前に締結した合意に基づいてPDVSAがロスネフチとそのインド子会社に出荷することは、制裁に抵触しない」と述べた。

 インドの製油所はこうした石油の大半を吸収できる可能性がある。ただ、米財務省が定めた4月28日の期限以降、欧米の銀行システムを介さずにキャッシュ決済が実行可能かどうかはまだ定かでない。

 ケベド石油相は、インドから医薬品などを購入する代金を原油で支払うバーター取引にも意欲を示した。

(Collin Eaton記者 Marianna Parraga記者 Olga Yagova記者)
https://diamond.jp/articles/-/194465

 

2019年2月18日 ロイター
離脱懸念で英企業の調達コスト上昇、一部新興国並みに

2月14日、英国が欧州連合(EU)から「合意なき離脱」に陥る事態が懸念される中で、る英企業は、資金調達コストの上昇に直面している。ジャガー・ランドローバーの英ソリフル工場で2017年撮影(2019年 ロイター/Darren Staples)
[ロンドン 14日 ロイター] - 英国が欧州連合(EU)から「合意なき離脱」に陥る事態が懸念される中で、年内に1300億ドル強の社債が償還を迎える英企業は、資金調達コストの上昇に直面している。一部の社債利回りは、新興国企業並みに跳ね上がるほどだ。

 自動車メーカーのジャガー・ランドローバー(JLR)が最近、社債の満期到来で返済が必要な10億ドルの調達に債券市場は利用せず、代わりの手段を探すと表明したことは、こうした英企業が置かれている窮状を如実に物語る。

 JLRの財務責任者ベン・バーグバウアー氏はロイターに「現在の社債発行環境は全般的にあまり好ましくなく、当社の債券はこのところのわれわれの業績を反映して額面未満で取引されている」と語り、ブレグジット(英のEU離脱)がさえない市場環境を生み出す1つの要素になっているのは間違いないと付け加えた。

 フィッチは5日、JLRの格付けを引き下げ方向で見直すと発表し、その理由としてブレグジット関連リスクを挙げている。

 リフィニティブのデータに基づくと、1月の英企業の起債額はわずか4億7800万ドルと、1年前の23億5000万ドルから急減した。これは世界経済の先行きが低調なことも関係している。ただリンク・アセット・サービシズによると、ブレグジット関連リスクは、ただでさえネットベースで過去最高水準の債務を抱える英企業の立場をより困難する材料だ。

 特に合意なき離脱が実現した場合、多くの英企業は債務の借り換えが厳しくなったり、コストが割高になってもおかしくない。

 投資家は既に英企業の社債保有に際して、同じ格付けの欧州企業債の利回りに最大50ベーシスポイント(bp)を上乗せする「ブレグジット・プレミアム」を要求している。

 ロイヤル・ロンドン・アセット・マネジメントのシニア・ファンドマネジャー、パオラ・ビンズ氏は、スイスのチューリッヒ保険が今週ドイツ国債利回りに275bpのプレミアムを加えた水準で起債したが、同じ「A」格付けの英プルデンシャルの社債は、英国債プラス400bpの利回りが求められていると述べた。

 合意なき離脱となれば英金融セクターの調達コストはさらに50-100bp高まるだろうという。

 英国がEUとの緊密な関係を保ったまま離脱してくれれば、多くの投資家の懸念は払しょくされる。とはいえそれがはっきりしない限り、起債手続きを仕切る銀行や投資家は心もとない。

 あるバンカーはロイターに、英企業にとってとりわけユーロ建ての起債が非常に難しいと語り、インターコンチネンタル・ホテルズ・グループによる昨年11月の5億ユーロの起債案件を引き合いに出した。それによると、同社は事業モデルがいかにグローバルかを延々と説明したものの、主としてフランスの多くの投資家は、既発社債がロンドン証券取引所で取引されている点から「英国銘柄」とみなし、投資を敬遠した。

ポンド建て市場にも不安要素
 S&Pグローバルは、合意なき離脱が起きた場合、約20社の格付けが悪影響を受けかねないと警告している。これはS&Pが格付け対象としている英企業の1割に相当する。これまで住宅金融や大学、自治体といった公的セクター43社の半数は格付け見通しを「ネガティブ」としており、そうした企業はいずれもコスト高、減収などのリスクを抱えているとみられる。

 ポンド建て社債市場は英企業にとってまだしも友好的だが、同市場に依存する公益、住宅、金融といったセクターは英国経済の動向と連動している。そして投資家の間では、合意なき離脱は英国を景気後退(リセッション)へ突入させるのではないかとの不安がくすぶる。また政治的に見て、野党・労働党が政権を獲得すれば、これらのセクターは国有化される恐れも出てくる。

 PIGMフィクスト・インカムの欧州社債チーム責任者エド・ファーリー氏は「『もしあなたがポンド建て市場に関与する必然性がなく、英企業には根本的な問題があるとすれば、なぜあえて同市場に向かうのか』という話がある。つまりブレグジットを巡る情勢の悪化が心配されるなら、英企業の社債に対する需要は非常に冷え込むということだ」と指摘した。

拾う神も
 それでもナショナル・グリッドが2億5000万ポンドの起債に成功したのは、なお買い手がある証拠だとの声が聞かれる。この案件には17億ポンドの応募があり、新発プレミアムはほぼゼロだった。

 フィッチも、自動車や航空宇宙、不動産、エアライン、そして特に小売りはブレグジットの逆風を一番強く受けると予想しつつ、大半の企業は業績と利益率の面で痛手を被りながらも何とか乗り切るだろうとみている。

 投資適格級未満のポンド建て社債は魅力的だと考えているのは、サクソバンクの債券スペシャリストのアルテア・スピノッツィ氏だ。利回りが新興国と同じ5-6%前後に達しているアストン・マーティンやヴァージン・メディアの社債を取り上げ、フィリピンの10年国債利回りが3.80%付近にある点からすれば、よりなじみのある英国資産を買う方が理にかなっているとの見方を示した。

(Virginia Furness記者、Abhinav Ramnarayan記者、Sujata Rao記者)
https://diamond.jp/articles/-/194467
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/464.html

[政治・選挙・NHK257] 2019年2月18日 橘玲 レーダー照射問題や徴用工問題などで浮かび上がる「日本人」と「韓国人」のやっかいなアイデンティ
2019年2月18日 橘玲


レーダー照射問題や徴用工問題などで浮かび上がる「日本人」と「韓国人」のやっかいなアイデンティティ

[橘玲の日々刻々]

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 2021年9月末の任期を見据え、安倍首相は2つの「レガシー」を目指しています。憲法改正と北方領土交渉で、いずれかひとつでも実現すれば日本の現代史に名を残すのは間違いありませんが、どちらも状況はかんばしくありません。

 それでも「モリカケ」で足を引っ張られた憲法改正より目がありそうだと、「うまの合う」プーチン大統領との会談を繰り返していますが、クリミア半島併合などでナショナリズムが沸騰するロシアがやすやすと領土の割譲に応じるとは思えません。案の定、ラブロフ外相は日本に対し、「第二次世界大戦の結果を認めよ」と言いたい放題です。

 戦争末期、ソ連は日ソ中立条約を一方的に破棄して満州と南樺太に侵攻し、日本軍の捕虜約57万5000人を抑留、劣悪な環境で約5万5000人が死亡する悲劇を引き起こしましたが、いまだに謝罪も賠償もしていません。そのうえ「悪いのはぜんぶお前たちだ」という暴言ですから、「愛国者」は激怒してもおかしくありませんが、不思議なことに大きなニュースになることもなく、ほとんど誰も気にも留めていないようです。

 さらに奇妙なのは、その「愛国者」が、海上自衛隊の哨戒機が韓国海軍の駆逐艦から火器管制レーダーを照射されたとして大騒ぎしていることです。これも確かに隣国とのやっかいな問題ですが、別の隣国が不法に占拠した領土を返還する気がないと公言したことと、どちらが重大でしょうか。

 こうした事情は、じつは韓国も同じです。

 2017年、在韓米軍へのTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)配備を決めた韓国に中国が激怒し、軍用地を提供したロッテは中国国内の店舗を一時営業停止に追い込まれ、中国の旅行業者は韓国観光の取り扱いをやめました。ところが、こんないやがらせをされたにもかかわらず韓国内で「反中国」の大規模デモが起きるようなことはなく、「逆らったってしょうがない」というあきらめムードが広がりました。

 その影響を比較すれば、北方領土返還や中国からの執拗な制裁に比べ、日本の哨戒機にレーダーを当てたとか当てないとかはどうでもいい話です。当事者同士で話し合って、「これから気をつけよう」で済ませればいいだけのことではないでしょうか。

 しかし、日本にも韓国にもこれを「ささいな出来事」にできない事情があります。

 日本では「嫌韓本」が次々とベストセラーになったことからもわかるように、「韓国ぎらい」が「日本人のアイデンティティ」と結びついています。慰安婦や徴用工問題でさんざん「理不尽」なことをされた「日本人」にとって、レーダー照射問題は留飲を下げる格好の機会なのです。

 韓国では、植民地時代を全否定することが「正義」とされており、どんなことであれ日本に頭を下げることは「民主韓国」の否定だと見なされます。韓国側の反論が二転三転しつつもぜったいに非を認めないのはこれが理由でしょう。

 日本と韓国は合わせ鏡のような関係で、お互いを否定し合うことで「日本人」「韓国人」のアイデンティティがつくられています。この不幸な状況はとうぶん変わりそうもないので、お互い、それに慣れるしかないのでしょう。

『週刊プレイボーイ』2019年2月12日発売号に掲載

橘 玲(たちばな あきら)

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作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ヒット。著書に『「言ってはいけない?残酷すぎる真実』(新潮新書)、『国家破産はこわくない』(講談社+α文庫)、『幸福の「資本」論 -あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』(ダイヤモンド社刊)、『橘玲の中国私論』の改訂文庫本『言ってはいけない中国の真実』(新潮文庫)など。最新刊は、『もっと言ってはいけない』(新潮新書) 。

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 2021年9月末の任期を見据え、安倍首相は2つの「レガシー」を目指しています。憲法改正と北方領土交渉で、いずれかひとつでも実現すれば日本の現代史に名を残すのは間違いありませんが、どちらも状況はかんばしくありません。

 それでも「モリカケ」で足を引っ張られた憲法改正より目がありそうだと、「うまの合う」プーチン大統領との会談を繰り返していますが、クリミア半島併合などでナショナリズムが沸騰するロシアがやすやすと領土の割譲に応じるとは思えません。案の定、ラブロフ外相は日本に対し、「第二次世界大戦の結果を認めよ」と言いたい放題です。

 戦争末期、ソ連は日ソ中立条約を一方的に破棄して満州と南樺太に侵攻し、日本軍の捕虜約57万5000人を抑留、劣悪な環境で約5万5000人が死亡する悲劇を引き起こしましたが、いまだに謝罪も賠償もしていません。そのうえ「悪いのはぜんぶお前たちだ」という暴言ですから、「愛国者」は激怒してもおかしくありませんが、不思議なことに大きなニュースになることもなく、ほとんど誰も気にも留めていないようです。

 さらに奇妙なのは、その「愛国者」が、海上自衛隊の哨戒機が韓国海軍の駆逐艦から火器管制レーダーを照射されたとして大騒ぎしていることです。これも確かに隣国とのやっかいな問題ですが、別の隣国が不法に占拠した領土を返還する気がないと公言したことと、どちらが重大でしょうか。

 こうした事情は、じつは韓国も同じです。

 2017年、在韓米軍へのTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)配備を決めた韓国に中国が激怒し、軍用地を提供したロッテは中国国内の店舗を一時営業停止に追い込まれ、中国の旅行業者は韓国観光の取り扱いをやめました。ところが、こんないやがらせをされたにもかかわらず韓国内で「反中国」の大規模デモが起きるようなことはなく、「逆らったってしょうがない」というあきらめムードが広がりました。

 その影響を比較すれば、北方領土返還や中国からの執拗な制裁に比べ、日本の哨戒機にレーダーを当てたとか当てないとかはどうでもいい話です。当事者同士で話し合って、「これから気をつけよう」で済ませればいいだけのことではないでしょうか。

 しかし、日本にも韓国にもこれを「ささいな出来事」にできない事情があります。

 日本では「嫌韓本」が次々とベストセラーになったことからもわかるように、「韓国ぎらい」が「日本人のアイデンティティ」と結びついています。慰安婦や徴用工問題でさんざん「理不尽」なことをされた「日本人」にとって、レーダー照射問題は留飲を下げる格好の機会なのです。

 韓国では、植民地時代を全否定することが「正義」とされており、どんなことであれ日本に頭を下げることは「民主韓国」の否定だと見なされます。韓国側の反論が二転三転しつつもぜったいに非を認めないのはこれが理由でしょう。

 日本と韓国は合わせ鏡のような関係で、お互いを否定し合うことで「日本人」「韓国人」のアイデンティティがつくられています。この不幸な状況はとうぶん変わりそうもないので、お互い、それに慣れるしかないのでしょう。

『週刊プレイボーイ』2019年2月12日発売号に掲載

橘 玲(たちばな あきら)

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作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ヒット。著書に『「言ってはいけない?残酷すぎる真実』(新潮新書)、『国家破産はこわくない』(講談社+α文庫)、『幸福の「資本」論 -あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』(ダイヤモンド社刊)、『橘玲の中国私論』の改訂文庫本『言ってはいけない中国の真実』(新潮文庫)など。最新刊は、『もっと言ってはいけない』(新潮新書) 。

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http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/673.html

[社会問題10] 首都圏の鉄道はなぜ雪にこれほど弱いのか?「間引き運転」の裏事情
2019年2月18日 枝久保達也 :鉄道ジャーナリスト
首都圏の鉄道はなぜ雪にこれほど弱いのか?「間引き運転」の裏事情
首都圏でもたびたび降雪の予報が出る2月、間引き運転による駅の大混雑を思い出してウンザリするビジネスパーソンも多いだろう。シロウト目には大した降雪ではなさそうに見えるのに、鉄道会社はなぜ、早々に間引き運転をするのか?そこには、首都圏の鉄道特有の事情と、過去に起きたトラブルからの教訓がある。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

首都圏の鉄道は
なぜ雪に弱いのか?
降雪すると実施される「間引き運転」で毎回、首都圏の駅は大混雑となる
雪の予報が出るたびに首都圏のビジネスパーソンの脳裏をよぎるであろう、間引き運転による大混雑。なぜ、首都圏の鉄道はこれほど雪に弱いのだろうか? Photo:PIXTA
 2月9日、東京都心で今季初めての積雪を記録した。前日時点では5センチを超える大雪になるという予報もあり、交通機関の混乱が心配されていたが、ふたを開けてみれば地面がうっすら白くなる程度で大きな影響はなかった。

 しかし近年、東京都心でもたびたび、大雪となっている。2018年1月22日、2014年2月8日・14日の積雪20センチを超える記録的な大雪が記憶に新しいほか、2016年1月、2013年1月に5センチ以上の積雪を記録しているように、数年に1度まとまった雪が降っている。そしてそのたびに問題となるのが、首都圏の鉄道網の脆弱性である。

 たとえば線路を切り替える分岐器の可動部に氷雪が挟まったり、凍結して動かなくなるポイント不転換や、雪が付着して凍結した架線とパンタグラフ間にスパーク(火花)が生じることによる架線切断。あるいは、パンタグラフが雪の重みで上がらなくなって運転できなくなったり、沿線の樹木が雪の重みで倒壊して線路をふさぐなど、様々なトラブルが複合的に発生して鉄道は機能不全に追い込まれる。

 もっとも、東京の何倍もの雪が降る地域でも鉄道は問題なく走っているように、こうした設備面の対策はかなりの部分で可能である。首都圏においても、2014年、2016年に大規模な輸送障害が発生した反省から、近年はハード面の改善が進みつつある。たとえばJR東日本は首都圏にある約3900台の分岐器のうち、2200台に電気融雪装置を設置した。また、架線の凍結を防ぐために深夜も一定間隔で電車を走行させたり、架線に付着した氷をはぎ取る装備を装着するなど、設備面、運用面の改善も行われている。

 しかし、より多くの利用者にとって切実なのは、起きるかどうか分からない運転見合わせよりも、降雪時に広く行われる「間引き運転」の問題である。実際、首都圏の鉄道の脆弱性が言及される場合、ハード的な対策の不備というより、間引き運転による混乱状況を指して語られるケースの方が多いだろう。

鉄道会社が大混雑覚悟で
間引き運転を行う理由
 間引き運転とは、鉄道会社が「通常の○割程度の運転本数」など案内するように、一部の列車を運休させて通常のダイヤよりも運行本数を減らすことだ。ただでさえ混み合う雪の日の列車本数を減らすのだから、ホームも車内も大混雑になる。駅は入場規制が行われ、電車に乗るまでに1時間の大行列ということも珍しくない。

 鉄道会社はなぜ、大混雑を承知の上で間引き運転を行うのか?その理由は、都市部の過密ダイヤにある。

 都市部の鉄道ではラッシュ時には2〜3分間隔の運転をするために、信号機が距離と速度に応じた緻密な制御を行うことで、列車間隔を確保している。ところが雪に濡れると滑りやすくなるレールの影響で、電車の加速性能が鈍り、ブレーキの利きが悪化すると、この曲芸的なダイヤが成立しなくなってしまう。

 それどころか最悪の場合、車輪とブレーキの間に雪が入り込んでブレーキが効かなくなり事故に至る。実際に、1986年3月の西武新宿線田無駅、1995年12月のJR宝塚線藍本駅、2002年1月の名鉄羽島線新羽島駅、2014年2月の東急東横線元住吉駅と、都市部通勤路線での雪に起因する衝突事故は過去10年に1度のペースで発生している。

 このような事故を防ぐには、雪道の自動車と同様にスピードを落とし、車間距離を確保して運転することが肝心だ。東急電鉄は2014年の事故以降、積雪量に応じて通常の最高時速110キロから、時速60キロまたは時速40キロまで減速する最も厳しい運転規制を実施している。

 間引き運転のもうひとつの理由は、駅と駅の間で立ち往生することを防ぐためだ。ここには20年前の苦い教訓がある。

 1998年1月8日、都心に15センチの積雪をもたらした大雪の影響で、夕方のラッシュ時にJR各線はポイント故障や架線切断、パンタグラフ故障などが続発する事態となった。東海道線は4本の列車が満員の乗客を乗せたまま、駅間で4時間以上立ち往生する事態となり、JR東日本は大きな批判を浴びることになる。

 この騒動以降、遅延や運転見合わせによる駅間停車を防ぐために、降雪時はあらかじめ本数を減らす間引き運転が徹底されるようになった。かくして、列車が混雑し、混乱に陥ると分かっていても、鉄道事業者はあえて間引き運転を行っているのである。

間引き運転の混乱緩和には
情報公開や基準明確化が必要
 ここで昨年話題になったキーワードを思い出してほしい。台風接近時の「計画運休」である。台風と大雪では全く状況が違うと言われるかもしれないが、JR西日本は、2015年の台風11号で駅間に長時間立ち往生した列車の乗客が救急搬送された事態を受けて、計画運休の導入に踏み切ったように、間引き運転と計画運休の問題意識は共通している。

 大雪、台風、あるいは地震などの災害時、鉄道事業者が最も懸念するのが、列車が駅間に停止して乗客が閉じ込められる事態だ。乗客の安全を確保しながら、救助を手配しなければならず、二次被害の恐れもある。対応に時間を要し、運転再開も遅れることになる。

 利用者にとってはいっそ、大雪時も台風と同様に「計画運休」してしまう方が分かりやすいのかもしれないが、雪の予報は台風の進路予測よりはるかに難しい。台風の暴風や豪雨は列車の運行に直接的な危険を及ぼす可能性が高いが、首都圏で起りうる降雪の程度であれば、速度規制と間引き運転を行えば直ちに運行を停止するほどの危険はなく、降雪時に「計画運休」まで踏み込むのは困難だろう。

 計画運休が支持された背景には、鉄道が止まるなら都市活動も一時休止するという分かりやすさがあったが、間引き運転には分かりにくさが付きまとう。しかし台風時の計画運休の効果が認知された今、大雪に対しても同じ姿勢で向き合うことはできるのではないだろうか。実際、大雪が予想される場合に終業時間を繰り上げて、早く帰宅させる企業も増えている。

 今後、さらに企業や学校に大雪時の対処を促すためには、間引き運転に計画運休の教訓を活かす必要があるだろう。間引き運転の実施を出来るだけ早く情報提供することはもちろん、日ごろからどの程度の積雪で運転規制を実施するか、基準を明確化する必要がある。

 たとえば東急電鉄は、何センチ以上の積雪で運転規制を実施するか、何割の運行本数でどの程度の混雑になるかといった情報を、冊子やweb上で一般向けに解説している。鉄道事業者が間引き運転を行わざるを得ないのであれば、こうした努力は避けては通れないはずだ。
https://diamond.jp/articles/-/194247
http://www.asyura2.com/18/social10/msg/128.html

[国際25] 図星だったのか? ロシア政府を怒らせた私の論考 カギは北方領土の軍事的価値、ロシアが過敏に反応した理由とは  
図星だったのか? ロシア政府を怒らせた私の論考
カギは北方領土の軍事的価値、ロシアが過敏に反応した理由とは
2019.2.19(火) 数多 久遠
北方領土返還に反対、モスクワで数百人が抗議
ロシアの首都モスクワで、日本への北方領土返還に関する協議の中止を求め抗議デモを行う人々(2019年1月20日撮影、資料写真)。(c)Alexander NEMENOV / AFP〔AFPBB News〕

(数多 久遠:小説家、軍事評論家)

 2019年1月23日にJBpressに掲載された拙論「誰も指摘しない北方領土の軍事的価値」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55232)に、意外なところから反応がありました。ロシアのメディア、「スプートニク」や「タス通信」などです。

 まず、スプートニクは2月5日に以下の記事を掲載しました。

・「南クリル(筆者注:北方領土のロシア語表記)への米ミサイル配備に関する日本のマスコミの記事は不適切であり、露日交渉の助けにはならない=駐日ロシア大使」
https://jp.sputniknews.com/russia/201902055888509/

 スプートニクは、ロシアの政府系メディアで、ソ連時代にラジオを使って行っていた対外宣伝の流れを汲んでいます。当然、そこで報道される内容は、ロシア政府の意向に沿ったものだと言えます。しかも、この記事は、ガルージン駐日ロシア大使のコメントを報じたものであり、明確にロシア政府の意思と言えるでしょう。

 タス通信(正式名称は「イタルタス通信」)は、ソ連時代からあるロシアの100%国営通信社で、こちらは歴史が長いため知っている方も多いでしょう。タス通信は、拙論を受けて2月5日に以下のように報じました(こちらはロシア語です)。

・「専門家は、南クリルにアメリカのミサイル防衛を展開する必要はないと述べる」
https://tass.ru/mezhdunarodnaya-panorama/6080172

 筆者は 北方領土交渉が4島一括返還には遠く及ばない条件で妥結する可能性が高いことを踏まえ、ロシアが軍事的価値を強く認めているため「2島+アルファ」となることも致し方ないかもしれないことを日本の読者に説明する意図で、「誰も指摘しない北方領土の軍事的価値」を書きました。そのため、ロシアにとっては喜ばしい記事だろうと考えていました。

 しかし、意外なことにロシアは、この記事に反発してきました。この記事に書かれた内容は、ロシアにとって触れてほしくなかった情報だということになります。

 では、この記事の一体何がロシアにとって不都合だったのか、考えてみたいと思います。上記2つの報道以外にも、ロシア語による報道があるようですが、以下では、主要メディアと言えるこの2つの記事を取り上げて考察します。

北方領土へのロシア主権「認めよ」 外相会談後にラブロフ氏
ロシア、モスクワで会談したロシアのセルゲイ・ラブロフ(右)、日本の河野太郎(左)両外相(2019年1月14日撮影)。(c)Kirill KUDRYAVTSEV / AFP〔AFPBB News〕

ロシアが反応した理由は? 考えられる2つの理由
 ロシアが拙論に反応した理由としては、大きく2つの可能性が考えられます。

(1)これまでの主張の正当性を維持するため

 1つには、ロシアは、返還を拒む理由が、軍事的価値にあるのだと思われたくないと考えている可能性です。

 筆者は「誰も指摘しない北方領土の軍事的価値」で、ロシアにとっての軍事的価値を以下の3つに整理しました。

@ オホーツク海を戦略原潜の聖域とするロシアの核抑止戦略への影響

A 太平洋への出口を求めるロシア太平洋艦隊への影響

B 北朝鮮の弾道ミサイルを迎撃するため、北方領土に米軍がイージス・アショアを設置する可能性

 ロシアは、クリミアを占領するなど、現代でも侵略行為を継続していますが、同様の侵略行為を行っている中国よりも、その建前(あるいは“錦の御旗”)を気にしています。

 北方領土に関しても、第2次世界大戦の結果、完全に「合法的」にソ連に引き渡されたと主張しています。

 多くの日本人は、ソ連の対日参戦が、日ソ中立条約違反(条約期限後に延長をしない旨の通告はされていたが、まだ有効期限内)であったことを知っています。しかし、ロシア国内では、その事実は知らされていません。ロシアの世論では、返還に反対する意見が多い理由の1つに、ロシア人がこの違反の事実を知らないことなどがあります。

 北方領土問題に関するウィキペディアを見ても、日本語版ページには、このロシアの参戦が日ソ中立条約の有効期限内であったことが書かれていますが、ロシア語版ページでは、破棄通告(ロシア語情報では、その時点で効力を失うようなニュアンスとなる破棄と書かれています)後に侵攻したと書かれており(2019.2.17現在)、国際法違反を犯していないと読めるように書かれています。

 これは、1つのエピソードに過ぎません。日ソ中立条約だけでなく、関連する関東軍特種演習やヤルタ会談などに関しても、ロシア語での情報は、ロシアの主張に沿った不都合な情報が隠された表記になっています。筆者の知人の日本在住ウクライナ人も、そうした情報をロシア語で入手していたため、北方領土の返還要求は理不尽なものだと考えていたくらいです。

 今回の拙論に対して、ロシアがロシア語の情報を出して否定していることを考えると、主としてロシア国内に対して「ロシア政府が返還を拒むのは軍事的利益が理由ではなく、あくまで政治的な正当性に基づくものである」と主張したがっている可能性は考えられます。

 中国と異なり、ロシアは、国外の不都合な情報をシャットアウトすることまではしていません。そのため、拙論がネットなどを通じて国内に広まることを避けたかったのかもしれません。

(2)北方領土へのイージス・アショア配備を警戒するため

 もう1つ考えられるのは、「米軍が北方領土にイージス・アショアを設置する」という推論が、ロシアにとって都合が悪いものだったという可能性です。

 読んでいただければ分かりますが、上記のスプートニクも、タス通信の報道も、他の軍事的要素には触れず、この北方領土への米軍によるイージス・アショア設置可能性だけにしか言及していません。

 現在も行われている返還交渉の中で、ロシアは北方領土に米軍を展開させない保障を求めているとも伝えられています。

 その流れの中で、この反論を行ってきた可能性も考えられますが、拙論「誰も指摘しない北方領土の軍事的価値」では、北方領土にイージス・アショアが配備されても、オホーツク海のロシアの弾道ミサイル搭載潜水艦から発射されるSLBMの迎撃は困難なため、ロシアに対しては直接にそれほどの悪影響は与えないと書きました。

 択捉島に設置されたイージス・アショアが、私が分析する以上にロシアのSLBMに影響することが警戒されている可能性はあるかもしれません。しかし、もしそうであるならば、反論するとしても、このような反論ではなく、ヨーロッパに配備されているイージス・アショア(EPAA)に対して、ロシアによる核抑止が低下するとしている論法を、同じように使って反論すれば良いはずです。

 それにもかかわらず、ロシア語を含む複数のメディアを使い、駐日大使までもが反論することを考えれば、この情報がロシアにとって相当に不都合だった可能性があります。

『北方領土秘録』の内容が正鵠を射ていた?
 ロシアが、核抑止力の低下を懸念している可能性はありるかもしれません。ただし、ガルージン駐日大使が「外国軍の仮説的な配備でさえも、これに関するあらゆる話が不適切であり、根拠がない」と述べていることを鑑みると、どうも、それだけではないように思えます。

『北方領土秘録 外交という名の戦場』(数多久遠著、祥伝社)
 特に気になるのは、「仮説的な配備」「これに関するあらゆる話」などという表現を見ると、大使の発言は、JBpressに掲載された拙論だけでなく拙著『北方領土秘録 外交という名の戦場』(祥伝社)も踏まえた言葉である可能性があることです(ちなみに「誰も指摘しない北方領土の軍事的価値」には、『北方領土秘録』の中から引用した図を掲載しています)。

『北方領土秘録』は、北方領土への米軍イージス・アショア配備の可能性に触れた1つの仮説を小説形式にしたものです。手前味噌になりますが、この仮説がいくばくかの正鵠を射ていた可能性があります。

 仮説の詳しい中身は拙著をお読みいただきたいのですが、概要としては、2016年に行われていた返還交渉と並行して、ロシアが、北方領土への米軍イージス・アショア配備に関連する謀略を仕掛けていた、というものになります。

 いずれにせよ、これらはあくまでも可能性であり、確実に言えることではありません。ただ、一介の評論家、作家に過ぎない私の論に対してこのような反応があったことは、現在も進められている返還交渉で新たなニュースが出てきた際に、大いになんらかの参考になるはずです。

 なお、タス通信の記事は、やはりJBpressの寄稿者であるロシア問題の専門家、小泉悠氏のコメントを使って構成されていますが、内容を見ると特に筆者の記事を踏まえたもの、というわけではなさそうです。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55526
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/467.html

[経世済民131] バブル崩壊後の日本がマシに見える中国のこれから 政治体制はそのまま、悲惨なディストピア時代へ  
バブル崩壊後の日本がマシに見える中国のこれから
政治体制はそのまま、悲惨なディストピア時代へ
2019.2.19(火) 川島 博之
中国のウイグル人同化政策は「人類にとって大きな恥」、トルコが非難 民謡歌手が獄中死
中国・新疆ウイグル自治区カシュガルで、夜市を巡回する警察官(2017年6月25日撮影、資料写真)。(c)JOHANNES EISELE / AFP〔AFPBB News〕

 崩壊すると言われながら長い間崩壊しなかった中国経済がついに崩壊し始めた。一時は、「中国崩壊説の崩壊」などと揶揄されていたが、やはり不自然なことはどこかで限界に突き当たる。

 バブル崩壊後の中国について考えてみたい。それには日本のバブル崩壊がよい教材になる。

 中国の経済発展と日本の発展はよく似ている。(1)官僚主導、(2)低賃金労働を武器にした輸出主導、(3)技術を盗んだと欧米から非難されたこと(中国は日本からも非難された)、(4)末期に不動産バブルや過剰融資、それに伴う金融不安が問題になったこと、(5)いずれ米国を抜いて世界最大の経済大国になると言われたことまで、そっくりである。

 そう考えれば、中国が今後どのような道を歩むかを考える上で、日本のバブル崩壊後の歴史が大いに参考になる。

ワンレンボディコンが踊り狂った日本のバブル
 中国経済成長は日本より25年から30年程度遅れている。中国の2019年は日本の1989年から94年に相当する。歴史に完全なコピーなどはないから、5年程度の誤差は仕方がない。

 現在の中国が日本の90年代前半と同じような段階にあると考えると、“爆買いから、こと消費”などと言われていることも合点がゆく。プラザ合意(85年)で円が強くなると、多くの日本人はヨーロッパに出かけて、ルイ・ヴィトンやグッチ、セリーヌなどブランド製品を買いあさった。しかし、90年代の中頃に入ると買い物には飽きて、秘境(たとえば電波少年と猿岩石、96年から)やヨーロッパの田舎を訪ねることがブームになった。

 日本のバブルを語る上で忘れてはならないのはディスコの「ジュリアナ東京」であろう。若者、特に女性がワンレンボディコンと呼ばれるバブルを象徴するファッションで「お立ち台」と呼ばれる舞台に登り、朝まで踊り狂った。

 ジュリアナ東京は91年に開店し94年に閉店している。経済的なバブル崩壊は90年なので、ジュリアナ東京が開店したのは厳密にはバブル崩壊後である。だが、多くの市民はバブルが崩壊しても、バブルは永遠に続くと思っていた。

 しかし、さすがに94年になると皆がこれはおかしいと思い始めた。日本人全員がバブル崩壊したと確信したのは山一証券などが倒産した97年であろう。

経済が変曲点を迎え、政治も官僚機構も変革した日本
 昨今、中国の電子工業界からの受注が急減したと言われるが、その一方で、日本製の高級化粧品の売り上げは伸びている。また、訪日客も増えている。この現象は、日本の1990年代初頭を思い浮かべれば、容易に説明がつく。

 あの時期、日本政府は景気を回復させようと躍起なって公共事業を行ったが、中国も同じことをやっている。だから、鉄鋼やセメントなどの需要は底堅い。

 90年代の日本を語る上で最も重要なことは、政権が大きく揺れ動いたことだ。55年の保守合同以来、初めて非自民政権(細川政権、93年)が誕生した。94年には、現在の政治状況を昭和とは大きく異なるものにした衆議院の小選挙区制度が作られた。その後、自民党は政権を取り戻すために長年の政敵である社会党と連立を組み、首班が社会党の党首になるという驚愕の事態が出現した(94年)。

 高度経済成長を牽引したとして絶賛されてきた官僚機構が、新たな状況に対応できていないとして批判にさらされた。ノーパンしゃぶしゃぶ事件(98年)などによって、多くの官僚が処分され、官僚は地位も権力も失っていった。官僚の中の官僚と言われた大蔵省は特に強く攻撃された。金融部門を分離されて、名称も歴史と伝統を誇る大蔵省から財務省という一般的な名称に変更させられた(2001年)。もはや多くの官僚にとって、昭和の日本では当たり前だった「天下りで美味しい老後」など、夢のまた夢だろう。

 経済が変曲点を迎えると、政治も官僚機構も変革を余儀なくされた。日本は21世紀の日本にふさわしい理念として「官から民へ」「規制緩和」「内需主導」などを選び、それに対応する体制が求められた。

中国のバブル崩壊が政治変革につながらない理由
 中国共産党による経済運営は、地方政府の財政赤字、無駄な公共事業、非効率な国営企業などによって立ち行かなくなっている。そのあり様は、見方によっては昭和の日本にそっくりである。そのために、その改革の方向は日本と同様に「官から民へ」が主要な課題になろう。

 ただし、中国の今後を考える上で重要なことは、体制の受益者が日本とは異なることだ。

 日本には曲がりなりにも民主主義が定着していた。政治の受益者は国民である。選挙がある以上、国民に不人気な政権は存続できない。だから、バブルが崩壊した時に国民から大きな変革を求められると、政治も官僚機構も変革せざるを得なかった。

 現時点において、我が国において改革が十分に進んだと思っている人はいないと思うが、それでも多くの制度は昭和とは異なったものになっている。現在を生きる日本人にとって「平成」は不本意な時代であったが、後世において、それほどの混乱なくして新たな体制を作り上げた偉大な時代と評価されるのかも知れない。

 一方、共産党独裁が行われている中国はここが大きく異なる。中国の政治体制の受益者は約9000万人とされる共産党員である。共産党員の中の有力者は、政府、地方政府、人民解放軍、武装警察、そして国営企業の幹部として美味しい思いをしている。その幹部は日本のサラリーマンが想像できないほどの所得を得ており(反汚職運動が喧伝されているが、それでも相変わらずグレーな収入が多い)、かつ各種の特権を謳歌している。そんな共産党幹部(全共産党員の5%と仮定しても450万人もいる)を支持基盤として習近平政権が成立している。

 選挙がない中国では、バブルが崩壊しても、それが政治変革につながることはない。経済が低迷すれば習近平のやり方に文句のある連中(非主流派である共青団や江沢民派)の発言権は増すことにはなろうが、彼らが政権を取ったところで、共産党員が享受している利権を台無しにするような改革はできない。習近平が国営企業を重視する所以もここにある。ゴルバチェフがソ連を改革できなかった理由もまたここにある。

民衆の不満を徹底弾圧、ディストピア化する中国
 しかし、何もできずに手を拱いていると、共産党員でさえも共産党ではダメだと悟るようになる。そうなれば、旧ソ連のように共産党体制が崩壊することになろう。

 とはいえ、それには時間がかかる。それまでは習近平、あるいは次の独裁者が無理矢理にこれまでの体制で突っ走って行かざるを得ない。

 今後、不動産価格が下落し、企業倒産が増え、給料が上がらず、失業者が増えれば、多くの人々が政権に不満を抱くだろう。しかし、選挙はないから民衆は政権を変える手段を有さない。デモを行うことも、政治集会を行うことも許されていない。

 習近平は自分と自分の家族、そして共産党を守るために文句を言う人々に対して徹底的に強硬な手段に出る。中途半端では、かえって反発が強くなる。そして、一度、強硬な手段を取ると後戻りできない。ある中国人は、現在、新疆ウイグル自治区で行われている非人道的な政治は、実験であり、いずれ中国全土に波及することになろうと言っていた。

 今年の春節は700万人もの中国人が海外で過ごした。日本各地を呑気に観光してバブル末期の生活を謳歌していた中国人たちも、バブル崩壊に伴い所有する不動産価格が下落したり経営する会社が破綻したり、また失業する可能性がある。その際に、政権への不満をちっとでも漏らそうものなら、インターネットを監視して盗聴器を張り巡らしている当局によって拘束されて、学習施設(収容所)に連れて行かれることになろう。そこで習近平思想を徹底的に学ばされる。これから中国に、とんでもないディストピアが出現する。

 これは悪意に満ちた予想だと思われるかも知れない。しかし、独裁の欠点を知れば、それほど的外れな予測とは言えない。今後、中国で大きな悲劇が発生した時、我々はウインストン・チャーチルの名言「民主主義は最悪の政治形態と言うことができる。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば」という言葉を思い起こすことになろう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55494
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/203.html

[経世済民131] 日本でもついに明らかになった医師への謝礼金詳細 製薬企業との癒着を避けるためにボランティア医師たちが徹底調査 
日本でもついに明らかになった医師への謝礼金詳細
製薬企業との癒着を避けるためにボランティア医師たちが徹底調査
2019.2.19(火) 齋藤 宏章
人工気管移植手術に関する論文、英医学誌が撤回 大半の患者が死亡
スウェーデン・ストックホルムで、世界初の人工気管移植を行うパオロ・マキアリーニ医師(中央、2011年6月9日撮影、同年7月7日公表、資料写真)。(c)AFP PHOTO/KAROLINSKA UNIVERSITY HOSPITAL〔AFPBB News〕

論文を米国医師会の医学誌に掲載
 私は宮城県仙台市仙台厚生病院で消化器内科医として勤務しています。医師としては今年で満4年目です。

 今回、製薬企業が日本の医学会理事にどのくらいの謝礼金などの支払いをしているか私たちがまとめた論文が米国医師会の医学誌に2019年2月4日に掲載されました。

 日本の主要な19の医学会の理事に、2016年に製薬企業から個人的な謝礼金などの名目で支払われた金額を調べた結果、9割近い理事が金額を受け取っており、合計で7億2000万円に上っていた、という内容です。

 なぜ、一介の医師である私が今回の論文作成を行おうと考えたのか、そしてその反響はどうだったのかをお伝えしましょう。

論文の原文はこちら:

「Pharmaceutical Company Payments to Executive Board Members of Professional Medical Associations in Japan」

掲載誌:JAMA Internal Medicine

(https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2723072)

なぜ製薬企業が医師に支払う謝礼金研究に取り組んだか
 私は2018年の4月頃から今回の取り組みに参加しました。

 2018年初頭から、ジャーナリズムNGOのワセダクロニクルが、製薬企業から日本の医師に支払われた金額について、ウエブ上で検索を行えるようなデータベースの作成を進めていました。

 すでにプロジェクトに参加している医療ガバナンス研究所の尾崎章彦医師に「データベースを元に医師への金額をまとめて論文として発信しよう」とお誘いを受けました。

 私は医師4年目ですが、医師であれば論文を書いたり、学会で発表を行ったりする際に企業との関わりを開示する(利益相反の開示)ことは必要であるということは知っています。

 一方で、そのこと自体を研究する意味とは何だろうと考えました。

 諸外国の事情を調べると、製薬企業と医師の関係性の透明化という点で、日本が大きく遅れを取っていることに気づきました。

 米国では「Sunshine Act」法という法律の下に、2013年から製薬企業などの医療関連の企業は医師個人に支払っている金額を報告することが義務化されています。

 報告された金額は1つのデータベースにまとめられ、データベースに医師の名前を入れて検索するだけで、医師一人ひとりが年間いくら企業からお金をもらっているかを簡単に調べることができます。

 驚くべきことは、こうしたデータベースを用いて実際に医師がどのくらいの金額をもらっているのか、分析した論文が医師会の出版している医学雑誌から年間にいくつも出版されていることです。

 例えば2016年には癌のガイドラインの著者がどのくらいの金額を受け取っていたか分析した論文が掲載されました。

 著者125人中105人が金銭を受け取り、平均して108万円の受け取りがあったと報告されています。医師自らが医学会の医師の動向を分析しているわけです。

 翻って日本はどうでしょう。何も分かりません。なぜならばデータベースが存在しないからです。私はデータベースの作成に協力し、論文の執筆に取りかかることとしました。

 製薬企業と医師の関係と聞くと、私には医学生時代の臨床研究不正の報道の記憶が呼び起こされます。

 私が在学中の2014年には母校である東京大学医学部の進めていた「J-ADNI」研究のデータ改竄疑惑の報道、慢性骨髄性白血病治療薬の臨床研究の「SIGN研究」で開発元であるノバルティスが不適切な形で研究に関わった疑惑などが報じられました。

 東京大学の臨床研究と製薬企業との関係性に疑惑が浮上していました。

 製薬会社が開発した薬剤の研究結果を有利にしようと関与したのではないかという疑惑が浮かんだわけです。

 その当時、医学部6年生であった私の同期の岡崎幸治を中心とした、5人の東大医学部生は連名で、大学の総長、医学部長、病院長に事態の説明を求める公開質問状を提出しました。

 質問状を提出するという記者会見は夜7時のNHKのニュースでも報道され、世間にも大きく注目されました。

 私も共に連名しました。最終的には学内で臨床研究について考える会という会合が開催され、学生に対する説明が行われました。

 学生時代のこのエピソードは、医師と製薬企業の関係性の透明化が、研究や社会的にも重要な意味を持つという強烈な印象を与えました。

ワセダクロニクルという組織
 今回の研究で新鮮であったのは、ジャーナリストという異職種と共に活動を進めたことです。ワセダクロニクルというジャーナリズムNGOは元朝日新聞記者の渡辺周さんを中心に有志で組織された団体です。

 既存の団体からの影響を排除するために活動は原則寄付、活動するスタッフは、普段は他の職業や学生を、時間を見つけて手弁当で調査を行うという利益度外視の志で活動しています。

 データベースの作成には製薬会社各社から集めた、30万件を超えるデータを整理する気の遠くなるような作業が必要でしたが、少ない人数でやり遂げていました。

 誤表記の修正、追加のデータの入力、統合など多くの作業時間をかけた結果、データベースは2019年1月15日にワセダクロニクルのホームページ上で公開されています。

http://db.wasedachronicle.org

 論文に関するデータ整理も相当量の作業量となりましたが、この志に応えなければならないと、ワセダクロニクルの方々の活動には大いに発奮されました。

 今回の論文の発表はまさに、医師×ジャーナリスト、今までにない取り組みの成果です。

分析・発表を行って:周囲からの反響
 さて、初めの研究ではデータベースを基に、医学会の理事が受け取っている謝礼金の金額を分析することとしました。

 医学会というのは多数存在しますが、その内の「内科学会」や「外科学会」といった主要な学会はガイドラインの作成にも関わることが多く、何万人という医師が加盟しているためにとても影響力のある団体です。

 そういった組織を束ねる理事は大きな影響力を与えると思われ、そこに製薬企業はどのくらいの金額を支払っているのか調べてみたかったためです。

 分析を行った結果は非常に驚くべきものでした。

 19学会、405人の理事のうち, 352人(86.9%)は謝金等の受け取りがあり、合計すると約7億2000万円にも上りました。

 内訳として最も多かったのは講師謝礼金で約5億9000万円でした。最も多く受け取っていた理事は1年間で約1900万円の受け取りがありました。

 年間に講演料だけで1000万円を超える人がいることは問題ではないだろうか?

 一方で少なければ問題にならないのだろうか?

 改めて、この問題は明るみにして共有するべきものだと考えました。

 当初、医学会の医師に対する金銭の提供について発表することに対して恐れがなかったわけではありません。

 今回の研究の対象とした学会の理事の先生方はいずれも医学会をリードする高名な先生方ばかりです。

 尊敬している先生方を対象にして、発表を行うことで、同業者からの批判を浴びるのではないかという不安もありました。

 一方で、そうした影響力を与える、医学会をリードする理事への金銭提供の実態を分析する研究だからこそ意義があるとも思っていました。

 学生時代の活動が発信をすることを後押ししてくれました。幸いにも私の職場の仙台厚生病院の上司・同僚の先生方は私の活動を応援してくれました。環境に恵まれていたと思います。

 論文が米国医師会・内科版という有名な雑誌に掲載されたことは非常に幸運でしたが、一方で日本の製薬企業から医師への支払額というテーマが国際的に非常に強い関心を集めているということを改めて実感しています。

 2月4日に論文が掲載されて、そのことが報道されると、周囲からはいろいろな反響をいただきました。

 「どうして研究をしたの?」「すごいね」「これはとても重要なテーマだと思います」「重要なことだとは思うけどね」

 反応は様々です。しかし、予想以上に研究を応援してくれる方々が多く、非常に勇気づけられました。

 論文に掲載したメールアドレスに、「with admiration(称賛と共に)」と海外の医師からも掲載を祝う連絡が届きました。

 勇気を持って活動を進めることで、理解をしてくれる人の声が集まってくることは非常に嬉しいことです。

 「講演や原稿料の対価として支払われているのだからいいではないか」

 「最新の医療の情報を提供しているのだからいい」

 「医師である以上、製薬会社からは金銭をもらうべきでない」

 「金額の多さによる」・・・。

 医師と製薬企業のあるべき関係については様々な議論があると思いますが、議論の土台となる現状については今回のデータベースを分析するまでは明らかにされてきませんでした。

 データベースを構築し、分析することによって初めて現状が明らかになり、そのことによってそもそもの問題の認知も広まるのではないかと考えています。

 私たちはこれからも研究を続けていく予定です。また、多くの人にデータベースを活用してもらうことで「医師と製薬企業の関係」という今後の議論につなげられればと考えています。

 最後に寄付のお願いです。

 今回私たちと共同でデータベースを構築したジャーナリズムNGOのワセダクロニクルの活動は寄付で賄われています。

 データベースの構築には途方もない時間と労力が割かれました。来年以降もこのような情報公開を続けていくために、是非皆様のご協力をお願い致します。

 ご協力いただける方は下記のURLを参照ください。

http://www.wasedachronicle.org/donate/

論文の概要
 製薬協が定めた「透明性ガイドライン」に従い、製薬企業は1年間に医療従事者・医療機関に提供した金額を公表しています。

 2016年度に各社から医師個人に支払われた金額を集計し、このうち、日本の主要な19の医学会の理事に提供された金額を解析しました。

 405人の理事のうち、352人(86.9%)は謝金等の受け取りがありました(計7億2000万円)(注1)。

 最も多かったのは講師謝礼金で約5億9000万円でした。理事間に金額の多寡がみられ、上位約10%(40人)の医師が全体の45.8%(約3億3000万円)を受け取っていました。

 最も多く受け取っていた理事は1年間で約1900万円の受け取りがありました。

 学会別にみると日本内科学会が最も多く(約1億5000万円)、日本泌尿器科学会(約1億円)、日本皮膚科学会(約8000万円)が続きました。

 論文では学会はこうした金額については公に発表していないこと、これまでに医学会の理事職は企業・産業からの金銭授受はない方がいいと議論されていることに言及しています。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55517
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/204.html

[経世済民131] 日銀総裁、為替が経済・物価に影響し目標達成に必要なら緩和検討 債券上昇、日銀総裁発言受 日本株小幅続伸、根強い米政策期待
日銀総裁、為替が経済・物価に影響し目標達成に必要なら緩和検討
日高正裕
2019年2月19日 14:22 JST 更新日時 2019年2月19日 14:41 JST
各国中銀は為替相場にリンクした形で金融政策の運営は行っていない
経済、市場の動向を見ながら金融政策を運営していくことは不可欠
日本銀行の黒田東彦総裁は19日、為替相場で円高が進み、経済、物価情勢に影響を与えて2%の物価目標の達成に必要となれば、追加緩和を検討する考えを示した。衆院財務金融委員会で国民民主党の前原誠司氏の質問に答えた。

  前原氏が「米国が利下げをすれば金利差が縮まる可能性があり、円高になる可能性がある。その場合は追加緩和を行う選択肢があるのかどうか」と質問。これに対し、黒田総裁は「経済、物価に対して何らかの形で影響が出てきて、物価目標の達成に必要ということになれば、やはり追加緩和も検討していくことになる」と述べた。

  黒田総裁は「日米欧の中央銀行はあくまで物価の安定という国内的な目標を目指して金融政策を運営しており、為替相場にリンクした形で金融政策の運営は行ってない」と説明。その上で、「為替の変動が経済や物価に与える影響は当然あり得るので、そういうことも一つの要素として経済、市場の動向を見ながら金融政策を運営していくことは不可欠だ」と語った。

Bank Of Japan Governor Haruhiko Kuroda Speaks At Parliament
黒田東彦日銀総裁Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
  黒田総裁は「金利格差が縮んで円高になって、景気や物価に影響が出て、という間接的なロジックを踏まえるわけにはいかないわけだが」と述べながら、追加緩和の可能性に言及。具体的な手段としては、短期政策金利と長期金利目標の引き下げ、資産買い入れの拡大、マネタリーベースの拡大ペース加速など「さまざまな対応が考えられる」と指摘した。

  その上で、「効果とともに、金融仲介機能や市場機能に及ぼす影響もバランス良く考慮する必要がある。日銀としては政策ベネフィットとコストを比較考慮しながら、その時々の状況に応じて最適な方法を検討していく」と語った。

ETF
  前原氏は指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れについて「株価を歪める上、株価が下落したら日銀は大きな含み損を抱えるリスクがある。6兆円積み増すことにメリットがあると本当に考えているのか」と質問した。

  黒田総裁は「昨年から今年にかけて株価が大きく変動した際は、ETFの買い入れが株価の変動に一定の歯止めをかけた」と指摘。「あくまでリスクプレミアムの縮減を狙いとしているので、特定の株価を誘導しようというものではない」とし、個別銘柄の株価に「偏った影響ができるだけ出ないように配慮している」とも述べた。

  その上で、「現時点でETF買い入れを止めるとか、大幅に見直すという考えは持ってないが、全体の経済、物価の動向、市場動向、金融機関に対する影響を十分考慮しながら、ETFの買い入れについても継続していきたい」と語った。

(第6段落以降にETFについての発言を追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-19/PN5PR86S972801?srnd=cojp-v2


 
債券は上昇、日銀総裁発言受けて買い優勢ー20年債入札の順調通過も
船曳三郎
2019年2月19日 7:57 JST 更新日時 2019年2月19日 15:48 JST
債券相場は上昇。長期金利は約1週間ぶりの低水準を付けた。20年国債入札が順調な結果となったことや、日本銀行の黒田東彦総裁の追加緩和に関する発言を受けて買いが優勢となった。

新発10年物353回債利回りは、日本相互証券の前日午後3時参照値より1ベーシスポイント(bp)低いマイナス0.035%と8日以来の水準
新発20年物167回債利回りは1bp低下の0.405%と8日以来の低水準
長期国債先物3月物の終値は前日比3銭高の152円90銭。午前に152円79銭まで下落したが、午後は152円92銭まで上昇
市場関係者の見方
みずほ証券の上家秀裕債券ストラテジスト
日銀総裁発言には為替が最も反応していたが、円債も同じタイミングで20年債などに買いが見られた
円高の影響が出て物価安定に必要になれば追加緩和検討という内容が材料視された感じで、引き締め的なオペ減額はやりづらい印象を受ける
年度末に向けて好需給が続きそうで、じわじわと金利が低下しやすい地合い
岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
20年債入札は無難な結果で、高値警戒感はあるものの、幅広い投資家層からの需要に支えられて安定している
海外でも中央銀行のハト派的な姿勢を背景に利上げ観測が再燃する状況ではなく、債券相場は金利が上がるのを待つ感じでもない
20年債入札
最低落札価格は101円40銭と市場予想と一致
応札倍率は4.67倍と2014年1月以来の高水準、テールは7銭と前回からやや拡大
岡三証の鈴木氏
年金や生保が中心だが、10年債まで利回りがマイナス圏なので従来ならこのゾーンに関係ない投資家まで入ってきている
日銀がオペを減額しない限り、需給的になかなか崩れない。
過去の20年債入札の結果一覧 
背景
日銀総裁:為替が経済・物価に影響し目標達成に必要なら緩和検討 (1)
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.180% -0.180% -0.035% 0.405% 0.580% 0.655%
前日比 横ばい -0.5bp -1.0bp -1.0bp -1.0bp -1.0bp

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-18/PN42ZD6TTDS001?srnd=cojp-v2


 

日本株は小幅続伸、根強い米政策期待で陸運など内需堅調−売買低水準
長谷川敏郎
2019年2月19日 7:58 JST 更新日時 2019年2月19日 15:25 JST
20日にFOMC議事録公表控える、米原油先物やLME銅は上昇
米国株休場で売買は盛り上がらず、東証1部売買代金は2兆円割れ
19日の東京株式相場は小幅続伸。米国の金融政策に対する根強い期待や海外原油高を受け、陸運や電気・ガスなど内需関連、鉱業など原油関連が上昇。グローバルな通商問題の先行き不透明感から機械など輸出関連の一角は安い。

TOPIXの終値は前日比4.56ポイント(0.3%)高の1606.52
日経平均株価は同20円80銭(0.1%)高の2万1302円65銭
  米国時間20日には米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(1月開催分)が公表される。日本銀行の黒田東彦総裁はきょうの衆院財務金融委員会で、為替相場で円高が進み経済、物価情勢に影響を与えて2%の物価目標の達成に必要となれば、追加緩和を検討する考えを示した。発言を受けて為替市場では円が対ドルで弱含んだ。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の荒井誠治投資ストラテジストは「日本株は米国の金融政策の方向転換で米国株がV字回復している状況を横目で見ながらの動き」だと話した。「米国の利上げ打ち止めは中国など新興国経済にもプラスに働く」とし、20日公表のFOMC議事録は「よりハト派的内容となって、マーケットが一喜一憂する場面があるかもしれない」と予想する。

  もっとも、株価指数は前日終値を挟んで推移し上値は重く、米国株休場もあって東証1部売買代金は1兆8571億円と1月28日以来の2兆円割れとなった。SMBC日興証券投資情報部の松野利彦氏は「TOPIXは昨年10−12月半ばまでの中心レンジ1600−1700の下限まで戻してきた。累積売買代金が多いレンジに入り、いったん利益確定売りが出やすい」と述べた。

19日は続伸
東証33業種では石油・石炭製品、鉱業、陸運、電気・ガス、不動産、証券・商品先物取引、保険が上昇
ゴム製品、鉄鋼、機械は下落
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-18/PN57WH6S972801
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/205.html

[経世済民131] ドル円は我慢の時、投資家は細かい逆張り戦略を 為替相場の転機か、米中協議「3つのシナリオ」米中閣僚級貿易協議を21、22
為替フォーラム2019年2月19日 / 15:16 / 3時間前更新

ドル円は我慢の時、投資家は細かい逆張り戦略を

植野大作 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト
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[東京 19日] - 年明け後のドル円相場は急落後に反発、明確な方向感を欠く展開になっている。1月3日早朝、ニューヨーク市場の終値確定後の値洗いを終えて持ち込まれた本邦外国為替証拠金(FX)取引による強制ロスカットの連鎖が起きると、クロス円も巻き込んだ下げが加速、ドル円も一時104円87銭と昨年3月以来の安値圏まで差し込んだ。

日本の正月休み中で、米国株式市場が引けた後の早朝という薄商いの時間帯だったため、損失限定注文による売り圧力を通常の値幅で吸収できなかったとみられるが、非常に特殊な需給消化が数分程度で一巡すると間もなく反発を開始。今月14日には一時111円13銭と、わずか6週間で6円以上も上昇する場面があった。

1日発表された1月米雇用統計が強かったことで米国経済に対する過度の悲観が後退する中、米政府機関の再閉鎖を回避するために必要な暫定予算が成立、米中通商交渉についても前向きな報道が相次いだことも追い風となり、ドル円相場に失地回復を促した。

ただ、14日発表の12月米小売売上高が予想外の前月比マイナス、しかも9年ぶりの大幅な落ち込みとなって市場に衝撃が走った。米国経済の腰の強さに対する疑心暗鬼が台頭したことで、ドル円の快進撃にもブレーキがかかり、本稿を執筆している19日の東京市場では1ドル=110円台半ばで取引されている。

この先しばらくドル円相場は下値の堅さと上値の重さが共存し、方向感の出にくい往来が続きそうだ。昨年のドル円相場は値幅9円99銭と変動相場制移行後の最小記録を樹立したが、当面は大同小異の展開が続くだろう。

<過度の悲観も楽観も許さない米政治状況>

まず政治面では、米国議会が提出した超党派合意の予算案にトランプ大統領が署名したことで、政府機関の一部閉鎖が再発するリスクは後退した。現在進行中の米中通商協議についても、従来3月1日とされていた対中関税率25%への引き上げ猶予期限が更に60日延長される可能性が浮上しており、米中貿易戦争再発への懸念も緩和している。

ただ、米中通商交渉の結果は確認するまで分からない。また、現在は効力停止となっている米連邦政府の債務上限が3月1日の期限を過ぎても引き上げ等の対応措置がないまま放置された場合、夏場から秋口にかけて米国債のデフォルト懸念が再燃するリスクが指摘されている。

来年の今頃には米大統領選および連邦議会選の予備選挙が始まるため、トランプ大統領や議会側も「ワシントン発」の株安ショックや政策不況に突入するリスクを慎重に回避すると思われる。だが、トランプ米大統領の言動を予測することは第三者には困難だ。この先どのような展開になるのか、読み切るのは容易ではない。

この先も米財政政策や米中通商交渉に関しては、市場心理を好転させたり悪化させたりするニュースが錯綜するだろう。両方首尾よく解決した場合は「株高・円安」に、決裂した場合は「株安・円高」と、上下どちら側にも相場を動かす可能性を秘めている。過度の悲観も楽観も許さぬ状況が続き、ドル円相場をどちらかワンサイドに動かすテーマにはならないのではないか。

<政府閉鎖の影響で米景気判断難しく>

「政治ネタ」に由来する方向感がつかみにくくなる中、当面のドル円相場は地道な経済指標の観察結果に基づくファンダメンタルズ由来の方向を模索することも難しい局面を迎えそうだ。

12月米小売売上高の大幅な落ち込みは、米クリスマス商戦の好調を伝えていた業界データで楽観論が広がっていただけに、失望も大きかった。ただ、その前に発表された1月雇用統計は非常に良好な結果だったほか、年末年始に大幅に下落した株価が反発しておおむね急落前の水準に戻りつつあり、このままズルズルと消費が落ち込むとは考えにくい。「米国経済失速の予兆とみるのは早計」との指摘が大半だ。

今後発表される年末年始の米国経済指標には、12月22日から1月25日まで35日間も続いた政府機関の一部閉鎖や、1月末に米国北東部から中西部を襲った大寒波などによる「ノイズ」が混入してくるため、一時的な景気下押しとその反動が一巡するまで、景気の基調判断が非常に難しくなる。

<「欲求不満をため込む」相場展開に>

結果的に、米国の金融政策は当面、「忍耐強い様子見モード」での運用が続くだろう。現在、米国の政策金利は先進国最高の水準で推移している一方、日銀による異例の低金利政策は出口が全く見えなくなっている。米国と日本の政策金利差は十分に開いた状態のまま、拡大も縮小もしない状況がしばらく続きそうだ。

 2月19日、この先しばらく国内外のドル円トレード愛好者は「上がったら売る、下がったら買う」が基本の細かい逆張り戦略を余儀なくされるとみられ、欲求不満をため込む展開が続くだろう、と三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作氏は指摘。2014年都内で撮影(2019年 ロイター/Issei Kato)
米国で金利先高観が後退する中、ドルの上値が目立って軽くなるとは思えないが、世界一の安全資産である米短期国債の利回りが日本の20年国債の6倍近くのレベルで高止まりしているうちは、ドルの下値が極端に柔らかくなるとも思えない。

現在、日本では超低金利政策の長期化が金融機関の死活問題になりつつあり、国内金利だけで十分な期間収益を稼ぎ出すのが難しくなる投資家の苦悩が一段と深まっている。ドルの値段がある程度まで下がれば、押し目買い興味の湧出も観測されるだろう。

これまで幾度も主張してきた通り、筆者はドル円相場のすう勢を判断する際の軸足を日米両国の金融政策格差に置いている。為替を決める最も重要な要素である金利差が動かなくなるなら、ドル円相場もあまり動かなくなると見るのが自然な考え方になる。

当面のドル円相場は、1ドル=110円00銭を中心に上下数円、大きく見てもプラスマイナス5円程度の値幅で、極端なドル高も円高も進み難い展開が続くのではなかろうか。為替相場の予測は「上がる」、「下がる」、「横這い」という3つのパターンから選ぶしかないが、当面は「ドル円=概ね横這い」の実現確率が最も高いとみられる。

この先しばらく国内外のドル円トレード愛好者は「上がったら売る、下がったら買う」が基本の細かい逆張り戦略を余儀なくされるとみられ、欲求不満をため込む展開が続くだろう。ファンダメンタルズに由来する「骨太の方向感」がドル円相場に現れるまで、辛抱強く待つ必要がありそうだ。

*本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。

植野大作氏 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト(写真は筆者提供)
*植野大作氏は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ為替ストラテジスト。1988年、野村総合研究所入社。2000年に国際金融研究室長を経て、04年に野村証券に転籍、国際金融調査課長として為替調査を統括、09年に投資調査部長。同年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画、12月より主席研究員兼代表取締役社長。12年4月に三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社、13年4月より現職。05年以降、日本経済新聞社主催のアナリスト・ランキングで5年連続為替部門1位を獲得。
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-daisaku-ueno-idJPKCN1Q80FP

 
為替フォーラム2019年2月18日 / 17:25 / 1日前
コラム:為替相場の転機か、米中協議「3つのシナリオ」=尾河眞樹氏
尾河眞樹 ソニーフィナンシャルホールディングス 執行役員兼金融市場調査部長
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[東京 18日] - 北京で行われていた米中通商協議の閣僚級会合が15日終了した。米中双方が歩み寄りの姿勢を示し、互いに「協議は順調だ」などと主張しているものの、最終的に溝は埋まらず、具体的な合意には至らなかったようだ。

今週はワシントンで協議が継続されるが、3月1日の協議期限は刻々と迫っている。合意できなければ、米国は2000億ドル(約22兆円)相当の中国製品に対して税率を10%から25%に引き上げると表明している。

5日行われたトランプ米大統領の一般教書演説は、これまでの経済政策に対する実績をアピールした上で、米国民に一致団結を呼びかけるなど、明らかに来年11月の大統領選での再選を意識した内容になっていた。

同演説については米国メディアからの評価も比較的高かったようだ。ラスムッセンの世論調査ではトランプ大統領の支持率が比較的高めに出る傾向がみられるが、昨年末から発生した米政府機関の一部閉鎖などが影響し、大統領の支持率は1月末に43%まで低下していた。しかし、政府機関の再開や今回の一般教書演説を受けて支持率は急回復し、11日には2017年3月6日以来となる52%まで上昇した。

トランプ大統領としては、2月27─28日にベトナム首都ハノイで予定している米朝首脳会談と、3月1日を期限とする米中通商協議のいずれも何とか合意にこぎつけ、外交面での成果を追い風に、一段と支持率を上げておきたいところだろう。

<合意か期限延期か、それとも交渉決裂か>

こうした中で、にわかに浮上しているのが、米中通商協議の「交渉期限延期」の可能性である。あくまで「合意に近いか、合意が正しい方向に向かいつつあると判断すれば」との条件付きで、トランプ大統領は14日、米中通商協議の期限を60日間延期する可能性を示唆した。

今後も2月末までぎりぎりの駆け引きが続くだろうが、米中両国が合意に至るか、期限を延期するか、それとも決裂するのか、いずれにせよ1週間で明らかとなる。

米中協議は貿易不均衡問題と、知的財産権保護など技術覇権争いという2大テーマが並走している。協議結果に対する市場の反応としては、以下のシナリオが考えられよう。

第1に、「6年間で米国からの輸入額を1兆ドル増やす」といった中国側の提案を米国が受け入れる形で、貿易面のみいったん合意し、知的財産権の保護については期限を設けず今後も継続協議とするパターンだ。

この場合、「決裂」が避けられたことを市場は好感し米株高が進行、ドル円も上昇する可能性が高いが一時的な上昇にとどまり、その後は株価もドル円も反落する公算が大きい。合意に至ったとしても、米国政府がこれまで重視してきた知的財産権の保護で譲歩したとなれば、交渉に成功したとは言い難い。米国経済への影響も限られるため、表面的な貿易面のみの合意では、市場からの支持は得にくいだろう。

第2に、上述した通り、貿易面ではいったん合意した上で、知的財産権の保護については期限を延長し、60日間の継続協議とするパターンだ。

この場合、市場参加者はポジティブに捉えるだろう。市場に配慮し、いったんは合意するものの、知的財産権の保護ついても米国政府はうやむやにせず、最終合意を目指して交渉を続ける、という毅然とした姿勢を示すことができる。

第3に、何も合意がないまま、60日間期限を延長するのみにとどまる可能性もある。この場合は、米中協議が難航していると受け取られ、市場はリスクオフに傾き、一時的とはいえ円高が進行するかもしれない。

最悪のケースは延長もないまま期限を迎え、制裁関税が引き上げられるパターンだ。この場合、株価は急落し、リスクオフにより大幅な円高となりそうだが、「期限延長」案が米国側から浮上している以上、この可能性は極めて低いだろう。反対に、中国政府が米国の要求を100%受け入れる形で合意に至る可能性もゼロとは言えないが、これまでの協議の進展度合いを見る限り、その可能性も極めて低い。

報道によれば、知的財産権の保護についても中国側は譲歩し、違反した企業に対する罰則を強化するなどの案を提示しているものの、米国側はそれらの遵守を定期的に確認する仕組みを求めているようだ。中国企業のガバナンスの問題なども論点の1つだという。ハイテク分野での技術覇権争いにつながるこの問題は、米中が合意に至るまで延期が繰り返されるなど、想像以上に時間がかかるかもしれない。

<揺れる人民元相場>

米中通商協議が重要な局面に差しかかる中、人民元相場が揺れている。人民元は1月、対ドルで約3%上昇した。米連邦準備理事会(FRB)が利上げをいったん休止し、緩和的スタンスを維持する姿勢を示したことで、ドル相場が下落したことなどが背景にある。

一方、2月に入ってからは米中通商協議の動向をにらみながら、約1.5%程度の人民元安が進行している。15日公表された中国の1月生産者物価指数は上昇率が前年同月比0.1%と、昨年12月の同0.9%から大幅に鈍化したことなども、中国人民銀行(中央銀行)による利下げ観測につながり、人民元安圧力につながっているようだ。

 2月18日、米中通商協議では、貿易不均衡と、知的財産権保護など技術覇権争いという2大テーマが並走している。協議結果に対する市場の反応としては、主に3つのシナリオが考えられるとソニーフィナンシャルHDの尾河眞樹氏は説く。2016年、北京で撮影(2019年 ロイター/Jason Lee)
今後、仮に米中通商協議が進展した場合、人民元には持続的に上昇圧力がかかるだろう。米中貿易戦争の終結が市場に好感されることも理由の1つだが、米国からの輸入を大幅に増額することになるため、人民元高のほうが中国経済にとってもメリットが大きい。中国人民銀行も人民元高を容認する方向に転じるだろう。

逆に、合意の兆しがみられないまま協議期限を延期、あるいは、交渉が決裂する場合には、米中摩擦のさらなる激化や、中国からの資本流出加速を警戒した人民元安が進行するだろう。

中国人民銀行自身も、大幅な人民元安誘導に動く可能性がある。2000億ドルもの中国製品に対する関税が25%に引き上げられるとなれば、中国経済への悪影響は避けられない。したがって、経済へのダメージを人民元安によって和らげようとするだろう。単純計算でも300億ドル分の損失穴埋めとなれば、ドル/人民元は1ドル=7.0人民元を超え、7.3から7.4といった水準まで人民元安が進む可能性がある。加えて、この場合は、リスクオフによって円高も同時進行する公算が大きい。

<日本も楽観できず>

こうした中、2月に延期されたはずの日米物品貿易協定(TAG)の交渉は、すっかり影を潜めている。米通商代表部(USTR)は米中通商協議が大詰めを迎えるなかで、日本との交渉どころではないのかもしれない。もし中国との交渉が「60日間延期」となった場合は、さらにTAG交渉は先送りになるだろう。

ただ、先延ばしになったからといって日本も安堵してはいられない。米国の対中交渉における本気度を見れば、日本に対しても米国は容赦なく要求を突き付けてくる可能性がある。

米中交渉は、昨年5月に閣僚級会議を開催してから現在まで続いている。仮に日米間でも同様の期間、交渉が続いた場合、協議が大詰めを迎えるのは来年の今ごろ。まさに米国は大統領候補を選ぶ予備選挙の最中となる。来年11月の大統領選をにらみ、トランプ大統領の保護主義も一段と激化しかねない。

今年のドル円相場は秋ごろ115円を試す展開を筆者は予想しているが、こうした点を踏まえれば、来年前半は少なくともある程度の円高をみておく必要があると考えている。

*本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

尾河眞樹氏 ソニーフィナンシャルホールディングス 執行役員兼金融市場調査部長(写真は筆者提供)
*尾河眞樹氏は、ソニーフィナンシャルホールディングスの執行役員兼金融市場調査部長。米系金融機関の為替ディーラーを経て、ソニーの財務部にて為替ヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析、および個人投資家向け情報提供を担当。著書に「本当にわかる為替相場」「為替がわかればビジネスが変わる」「富裕層に学ぶ外貨投資術」などがある。
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-maki-ogawa-idJPKCN1Q70L4

 

米中閣僚級貿易協議を21、22日にワシントンで開催−次官級は19日から
Bloomberg News
2019年2月19日 12:28 JST
劉副首相とライトハイザー通商代表、ムニューシン財務長官が協議へ
協議のペース加速も道のりは長いとセンスキー米農務副長官
Liu He during a trade talk meeting at the White House on Jan. 31.
Liu He during a trade talk meeting at the White House on Jan. 31. Photographer: Al Drago/Bloomberg
米中両国は今週ワシントンで行う貿易協議の日程を明らかにした。トランプ米大統領によれば、先週の北京での協議は「非常に生産的」だった。

  ホワイトハウスのサンダース大統領報道官は18日の声明で、次官級協議を19日から開始することを明らかにした。中国商務省の発表によると、劉鶴副首相はライトハイザー米通商代表部(USTR)代表、ムニューシン財務長官と21、22日に会談する。センスキー米農務副長官は18日、3月1日の交渉期限が近づく中で協議のペースは加速しているが、「まだ道のりは長い」と述べた。

  トランプ大統領は交渉期限延長の可能性を否定しないと述べており、事情に詳しい関係者が先週明かしたところでは、大統領は60日間の延長を検討している。しかし先週末時点では米中の間になお大きな溝があり、協議が不調に終われば貿易戦争が一段とエスカレートするのではないかとの懸念が世界経済の不確実性を高めている。

  米中首脳は昨年12月の会談で「休戦」合意した。最終的な合意の取りまとめには再度の首脳会談が必要となりそうだ。トランプ大統領は最終合意には中国の習近平国家主席と会う必要があると示唆している。まだ日程は決まっていないものの、ホワイトハウスのスタッフは先週、トランプ大統領は貿易戦争終結に向け、近く習主席と会いたい意向だと述べた。

原題:Chinese Negotiators Head Back to Washington for More Talks(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-19/PN5JWS6TTDS001?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/206.html

[経世済民131] 中国の不動産「ステルス緩和」居住許可拡大で価格後押しも 中国、南部都市と香港・マカオ一体化 中国株:上海総合指数、小幅高
中国の不動産「ステルス緩和」、居住許可拡大で価格後押しも
Bloomberg News
2019年2月19日 14:54 JST
少なくとも11都市が今年に入り居住許可の制限を緩める
昨年は100カ所余りの都市が緩和、価格上昇に寄与−センタライン
中国国内では少なくとも11都市が今年に入り居住許可の制限を緩和した。低迷する不動産市場の浮揚に弾みがつく可能性がある。

  一連の動きは住宅価格の抑制に寄与してきた不動産規制を巡る「ステルス緩和」の一環とみられている。昨年12月の新築住宅価格は8カ月ぶりの低い伸びにとどまった。

  不動産投機への対処は習近平国家主席の主要政策の一つだが、景気減速の深刻化で一部の市政府は制限緩和へとかじを切りつつある。

  西安は先週、「戸口」として知られる居住許可について大学の学士号を持つ全ての非居住者による申請を認め、45歳の年齢制限も撤廃した。

  センタライン・グループの張大偉アナリストは、昨年は100カ所余りの都市が熟練労働者を呼び込むため居住政策を緩和し、住宅需要や価格押し上げに寄与したと指摘。「こうした政策は住宅購入基準の引き下げに等しい」と述べた。

原題:China Property ‘Stealth Easing’ Spreads in Boost to Home Prices(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-19/PN5O0J6K50XS01?srnd=cojp-v2


 
中国、南部都市と香港・マカオを一体化させる経済圏構想を発表
David Tweed、Yinan Zhao
2019年2月19日 7:54 JST 更新日時 2019年2月19日 10:09 JST
米シリコンバレーに匹敵するハイテクメガロポリスを目指す
世界的な金融・海運・貿易中心地としての香港の役割強化へ
中国国務院は18日、香港、マカオを中国南部の都市と結び付け、「グレーター・ベイエリア(大湾区)」を創設する大型経済圏構想を公表した。米シリコンバレーに匹敵するハイテクメガロポリス(巨帯都市)を目指す。

  中国国営の新華社通信がこの日遅く伝えた同構想によれば、政府はこの湾区を世界的な技術革新ハブ(重要拠点)にし、都市間のインフラの接続性を高めるとともに、人民元のオフショア取引拠点であり、また世界的な金融・海運・貿易の中心地としての香港の役割強化を目指す。

  経済圏構想の概要によれば、同構想は資源の自由な流れを阻害してきた社会・法律といった制度の相違という問題を抱えているものの、「香港とマカオの発展に新たな刺激を加える」可能性があるほか、「ワールドクラスの都市群」構築を助けるとしている。

  HSBCホールディングスによると、人口6700万人余りの同地域は世界4位の輸出国・地域として日本をしのぐ見通し。

  しかし同構想の発表を受け、独自の法律・金融・政治制度を維持することを可能にする香港の自律性が一段の統合で損なわれるのではないかとの懸念も一部生じている。

  中国は既に各都市をつなぐインフラプロジェクトに多額の投資をしており、2035年までに経済圏を構築する戦略だ。

Bridging China's Greater Bay Area Cities

Sources: Statistics Bureau of Guangdong Province, Census and Statistics Department Hong Kong, Macau Statistics and Census Bureau

*2017 data is most-recent available

原題:China Unveils Plan to Tie Hong Kong, Macau Closer to Mainland(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-18/PN57JM6K50XS01?srnd=cojp-v2

 
中国株:上海総合指数、小幅高−国営メディアは強気報道
Sofia Horta e Costa
2019年2月19日 15:34 JST 更新日時 2019年2月19日 17:19 JST
上海総合指数が0.1%弱の上昇−午後は一時0.6%下落
小型株の創業板指数、一時1.6%値下がりも0.5%安で終了
19日の中国株式市場では、上海総合指数が小幅高で引けた。中国株を巡る国営メディアの強気報道が相次いだ。

  上海総合指数は2755.65と、前日比で0.1%に満たない上昇。午前の取引では一時1%値上がり、午後に入って0.6%下げる場面があった。上海株は先月3日からは約12%上昇している。小型株から成る創業板(チャイネクスト)指数は一時1.6%値下がりしたが、結局は0.5%安で引けた。

  中国証券報は1面で金融市場の強気トレンドを指摘する一方、上海証券報は保険各社が同国株に楽観的と報じた。

All major Chinese stock indexes entered overbought territory on Monday
原題:Chinese State Media Add More Fuel to $882 Billion Equity Rally(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-19/PN5TNQ6JTSEK01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/207.html

[経世済民131] 米政権、対中交渉で機を逸した可能性 合意内容に暗雲 苦戦ファーウェイ英国が救い 米欧交渉これからヤマ 独経常黒字世界首位
コラム2019年2月19日 / 16:11 / 2時間前更新

米政権、対中交渉で機を逸した可能性 合意内容に暗雲
John Kemp
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[ロンドン 18日 ロイター] - 瀬戸際戦術はトランプ米政権の真骨頂だが、中国との通商交渉においてはその機を逸したのかもしれない。結果として不本意な内容で中国との合意に応じざるを得ない可能性がある。

交渉のカードは常に相対的なものだ。昨年第3・四半期末時点で、中国経済はきしみを見せていた一方、米国の経済と金融市場は最盛期にあった。

それ以降、中国経済のきしみは相変わらずだが、米国経済・金融市場の方も息切れの兆しを見せ始めた。世界の貿易統計や製造業活動は、昨年第4・四半期から今年初めにかけての景気減速をなおさら鮮明に示している。

昨年9、10月であれば、米政府は中国に懲罰的な関税をかけるというリスクを取り、景気への影響はかわせると期待しつつ、中国の降参を待つことが可能だっただろう。

しかし現在、経済と金融市場の状況は当時よりずっと脆弱になり、懲罰的関税を導入すれば国内外の経済がリセッション(景気後退)に陥りかねない状態となっている。

<政治的な背景>

トランプ大統領が決めた3月1日の期限までに米中が合意できない場合の影響を恐れ、米中双方は不完全、あるいは暫定的でもよいから何らかの合意を結ぼうと躍起になっているようだ。

報道によると、最も肝心な問題について溝は深いにもかかわらず、両国は徐々に暫定的な合意に近づいている。農業、エネルギー、財、サービスについて合意する一方、知的財産権、技術移転、助成、国有企業といった厳しい問題はそっくり先送りするという、部分的合意に落ち着かざるを得ないのかもしれない。

米国の対中強硬派は、中国経済を変革し、公平な貿易を確保するような包括的合意以外には応じないよう、米政権に迫ってきた。

過激主義者にとって、リセッションという形の短期的な打撃は、構造面で長期的成果を勝ち取り、米国の技術的、経済的優位を守り抜くため、取るに値するリスクだ。

しかしホワイトハウスとしては、構造的な目的とリセッションのリスクを天秤にかける必要がある。そして1年9カ月も経たないうちに大統領・議会選(予備選までは1年もない)が控えていることも、勘案せねばならない。

トランプ氏は、再選を目指す2020年の選挙で経済を中心的な争点に据えそうだが、景気が後退すればそれが難しくなる。

<合意への期待>

さまざまな経済・金融市場の指標は、米経済が昨年第3・四半期末か第4・四半期初めにピークを越え、その後大幅に減速したことを示している。

米国株は昨年9月下旬に天井を打ち、12月下旬にかけて20%も下がった。ただ、その後はやや持ち直している。

ここ1カ月、米国株が反発して消費者と企業の景況感が落ち着いてきたのは、米中が通商交渉で合意に至る、あるいは少なくとも関税の引き上げを延期するとの期待によるところが大きい。

トランプ大統領を含む政府首脳は、交渉が進展していると強調して金融市場の期待を煽った。期待感は石油などコモディティー市場にも広がった。

市場は(限定的、不完全な合意、もしくは交渉延期さえ含む)合意によって米国と世界の経済が成長を続け、リセッション入りが避けられると期待している。

この結果、景気見通しは通商交渉の行方と深く絡み合うようになり、米国の交渉担当者の「テコ」は弱まった。

交渉が決裂して懲罰的関税が実行されれば、中国経済が厳しい打撃を受けるのは間違いないが、米国経済はそれ以上に大きな傷を負う可能性がある。絶対値でというより相対的に見て。

中国の人民元は昨年10月に対ドルで過去最安値を付けたが、その後大幅に上昇しており、米中経済のバランスが変化していることがうかがえる。

関税がリセッションを引き起こし、米政府が責めを負うことになるとも限らないため、政府にとって瀬戸際戦術は非常にリスクが高い。

トランプ政権の瀬戸際戦術はこれまでいくつか成果を挙げてきたが、相手側の覚悟と抵抗力を読み誤ったケースもあり、勝敗はまちまちだ。

米政権が包括的な合意以外を拒否し、リセッション入りのリスクを取る可能性がないとは、誰にも言い切れない。

しかし米中、とりわけその首脳らにとって、交渉が決裂すれば失うものは大きい。交渉の成功が予想される一番の根拠はそれだ。しかし困難な問題を先送りすれば、対価を払わされるだろう。

https://jp.reuters.com/article/column-kemp-us-china-talks-idJPKCN1Q80E9


 

コラム2019年2月19日 / 14:26 / 4時間前更新
コラム:苦戦のファーウェイ、英国が差し伸べた救いの手
Robyn Mak
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[香港 18日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 英紙フィナンシャル・タイムズによると、英国の国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)はこのほど、中国の華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]製品を次世代通信規格「5G」に採用した場合のリスクは抑制できると結論付けた。

英国が欧州の通信機器市場でファーウェイに救いの手を差し伸べた形だ。ファーウェイ排除を唱える米政府に対して主要国が反旗を翻したのは初めてだが、今後もこうした動きは続くかもしれない。

NCSCの判断は、異種混合の欧州市場とファーウェイの関係の複雑さを浮き彫りにした。ロイターの昨年12月の報道によると、ファーウェイがこれまでに獲得した5G関連の受注契約22件の半数以上を欧州が占める。英国は2010年から、ファーウェイ製品を使った場合のセキュリティー面の危険性について調査してきた。今回NCSCがリスクは抑制可能と判断したことで、ファーウェイはBTグループ(BT.L)やボーダフォン(VOD.L)など英通信大手にとって有力なサプライヤーになることができる。ファーウェイによると、過去5年間に英国の投資と調達につぎ込んだ資金は計13億ポンド(16億5000万ドル)に上るという。

ただ、こうした経営戦略の前に米国の「ファーウェイ叩き」が立ちふさがった。米政府はファーウェイがサイバー諜報活動に関与していると主張、対イラン制裁への違反や技術搾取の容疑でファーウェイの孟晩舟・最高財務責任者(CFO)を逮捕した。オーストラリアとニュージーランドは既に5Gネットワーク構築からファーウェイを締め出し、ポンペオ米国務長官はファーウェイ製品を使う国との同盟関係の維持は困難だと警告した。

ただ、実際に欧州全土からファーウェイ製品を駆逐するのは難しいだろう。第1に、欧州の通信大手は既存のG4機器でファーウェイ製品の導入比率が既に40%に達している。これらのファーウェイ製機器をノキア製(NOKIA.HE)やエリクソン製(ERICb.ST)に切り替えるのは技術的な困難を伴い、コストもかさむ。また、英国の当局者が指摘しているように、ファーウェイ製品経由で実際に情報が漏えいした証拠は見つかっておらず、全面的な締め出しは正当化が難しい。英政府は米国やカナダなどと諜報機関の情報共有などを定めた協定を結んでおり、国内における米国の諜報活動を認めている。一方で、ドイツとフランスの政府にはファーウェイ製品のリスクへの対処方法のひな形を提供している。他の国が英国に追随すれば、欧州の5G市場で覇権を狙うというファーウェイの野心は頓挫せずに済む。

●背景となるニュース

・英国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)は、5Gにファーウェイ製品を利用した場合のリスクは抑制可能だと最終判断した。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が17日、関係筋の話として伝えた。

・FTが関係筋の話として報じたところによると、英デジタル・文化・メディア・スポーツ省は国内の通信インフラに関する調査報告を公表する見通し。報告には、ファーウェイ製品を5Gネットワークに利用した場合の情報漏えいリスクへの対処方法などが盛り込まれるという。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/bv-column-huawei-gb-idJPKCN1Q80CO


 

 


 

ワールド2019年2月19日 / 17:42 / 38分前更新
米欧の通商交渉、これからがヤマ場=独経済相
Reuters Staff
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[ベルリン 19日 ロイター] - ドイツのアルトマイヤー経済相は19日、米欧の通商交渉がこれから最大のヤマ場を迎えると発言、合意成立の可能性を高めるため、交渉では産業品の関税引き下げを重視すべきだとの認識を示した。

米商務省は先に、通商拡大法232条に基づく自動車関税に関する報告書をトランプ大統領に提出。大統領は報告書提出から90日以内に内容を精査し、勧告されている措置について最終決定する必要があり、輸入自動車と自動車部品に最大25%の関税を課す可能性がある。

同相はドイチュラントフンク・ラジオに「ここ数週間、ここ数カ月、米国が厳しい貿易政策を打ち出し、緊張が高まっているのを懸念しながら見守ってきた」とし、「すでに世界経済に影響が見られており、世界経済は減速している」と述べた。

同相は、輸入車が米国の安全保障の脅威になるとの主張は受け入れられないとし、交渉では自動車を含む製造品の関税引き下げを重視すべきだとの認識を示した。

同相は「まだ満足のできる地点まで到達していない。全体の3分の1まで来たが、最大のヤマ場はこれからだ」と述べた。

自動車の輸入関税を米国と欧州で同一にすることが望ましいとも発言。「理想的にはゼロ%」まで引き下げたいと述べた。

欧州委員会のユンケル委員長は18日、トランプ大統領が欧州の自動車に追加関税を当面課さないと約束したと、独紙シュツットガルター・ツァイトゥングとのインタビューで述べた。ただ、米国が欧州車に追加関税を課せば、欧州連合(EU)は直ちに報復措置を取るとし、米国から大豆や液化天然ガスの輸入を拡大する合意を守る義務はないとの考えを示した。
https://jp.reuters.com/article/eu-us-trade-altmaier-idJPKCN1Q80SP


 


ビジネス2019年2月19日 / 17:17 / 1時間前更新
ドイツの経常黒字、3年連続で世界首位=IFO
Reuters Staff
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[ベルリン 19日 ロイター] - ドイツのIFO経済研究所のデータによると、2018年のドイツの経常黒字は、3年連続で世界最大となった。好調な輸出が背景。メルケル政権の財政政策に対する批判が強まる可能性がある。

国際通貨基金(IMF)や欧州委員会はドイツに対し、内需を喚起して輸入を増やし、世界の経済不均衡の解消に努めるよう求めている。トランプ米大統領もドイツの輸出拡大を批判している。

18年のドイツの経常黒字は2940億ドルで世界1位。2位は日本で1730億ドル、3位はロシアで1160億ドルだった。

ただ、国内総生産(GDP)比でみたドイツの経常黒字は、3年連続で低下。18年がGDP比7.4%、17年が同7.9%だった。

ドイツの経常黒字は2011年以降、欧州委員会が基準とするGDP比6%を上回っている。15年には過去最高の8.9%に達した。

欧州委員会は14年に初めて、ドイツのマクロ経済不均衡を正式に認定。その後、毎年、同じ認定を繰り返している。

欧州委員会はドイツに対し、財政黒字を活用して公的投資を増やし、実質賃金上昇のための環境を整備するよう提言。IMFも同様の提言をしている。

ただ、ドイツ政府は、財政・経済政策は経常収支の操作が主たる目的ではないとの立場を繰り返し主張しており、貿易黒字は市場原理に基づく各国の企業・消費者の需給関係で決まり、ドイツ政府の影響が及ばない原油価格や為替レートなども影響すると指摘している。

ただドイツ政府は、今後3年間で財政黒字のかなりの部分を児童手当て増額や減税などに充てる方針を決めている。
https://jp.reuters.com/article/germany-economy-trade-surplus-idJPKCN1Q80QE


 


ビジネス2019年2月19日 / 12:56 / 5時間前更新
焦点:豪中銀が1月円急騰を分析、フラッシュクラッシュが日本早朝の訳
Reuters Staff
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[東京 18日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)が今年1月の円急騰を分析し、話題になっている。グローバルな金融市場で取引が少なくなる日本時間の早朝に「フラッシュクラッシュ」が起きやすいと指摘。日本の個人投資家のポジションにも一因があるという。今年のゴールデン・ウィークは異例の10連休であり、再び急激な円高が進む可能性があると警戒されている。

<危険な時間帯は日本時間午前7─8時>

2016年の英ポンドGBP=D3や18年の南アフリカランドZAR=D3、19年の豪ドルAUD=D3など主要通貨の急変動、いわゆるフラッシュクラッシュは、いずれも日本時間の午前8時前後に発生している。

今年1月3日の円急騰も日本時間早朝の午前7時過ぎに起きた。ドル/円JPY=は、それまで推移していた108円後半から突然急伸し、数分後には電子取引のEBSで104.10円を付けるなど4円以上の円高が一気に進んだ。

RBAは今月5日に公表したリポート[here]で今年1月3日の円急騰について考えられる3つの要因を指摘した。その1つが取引量の薄さだ。外為市場は24時間取引だが、株式市場や債券市場はそうではない。各国で取引時間が決まっており、外為市場もそれに伴い取引量が増減しやすい。

NYの取引終了後、東京市場が開くまでの間、世界で開いている主な市場は、ニュージーランドのオークランドとオーストラリアのシドニーのみ。今年1月は日本が正月休みだったという特殊事情があったが、日本時間の早朝は、外為市場でも売りと買いのスプレッドが開きやすく、値が飛びやすくなることが多いという。

今回RBAが自分たちの通貨ではない円の急騰をわざわざ分析したのは、「自分たちのマーケットが開いている時間に何が起きているのかを知りたかったのだろう」(岡三オンライン証券の投資戦略部部長、武部力也氏)との見方が市場ではもっぱらだ。

<個人投資家のキャリートレード>

日本の個人投資家の動きも、1月3日早朝の円高を加速させた要因の1つとRBAは分析している。

高金利の外貨に投資するために、日本の個人投資家は円を調達通貨として、豪ドルや南アランド、トルコリラに投資するキャリートレードを行っており、そのポジションが積み上がっていたと指摘。それが当日のロスカットで一気に巻き戻され、円買い・高金利通貨売りが進んだとみている。

金融先物取引業協会によると、1月の店頭FX業者間で発生した未収金(ロスカットにより損失を出した個人からFX会社が回収できなかった資金)は9億4300万円。15年1月のスイスフラン急変時、11年3月の東日本大震災発生時に次ぐ、過去3番目の高水準となった。

今月11日の日本時間午前7時過ぎにも、特段の手掛かりがない中でスイスフランが突然急落。直後に0.99フラン後半へ値を戻す場面があった。対円でも108─109円台を乱高下した。今回はマイナス金利のスイスフランは個人にあまり人気がなく「大きな影響はなかった」(FX会社幹部)が、日本の個人投資家のポジションには、今後も注視が必要になりそうだ。

<アルゴリズム取引による流動性枯渇>

RBAが指摘する3つめの理由は、一部のアルゴリズム業者が相場急変時に取引を自動停止するよう設定しており、流動性がさらに失われたことだ。「相場急変の動きに乗る業者もいるが、反動を警戒して取引を『スイッチオフ』する業者もいる」(国内証券)という。

FX業者の未収金が膨らんだ要因はまさに、RBAの指摘と合致する。発生から1時間後には107円後半へ値を戻したため、損失を確定させなかった業者は評価上の巨額損失が「幻」となったが、金先協会の集計は一部業者がセオリー通り、速やかに損失を確定させてしまった可能性が浮かび上がる。

幸運にも損失を確定させなかったFX業者も恐怖を感じている。相場が急変して予想と逆行した際は「素早く損失を確定させるのがセオリー」(外銀幹部)だが、パニック的な薄商いの下で「売買注文がほとんど消えてしまい、眺めることしかできなかった」(あるFX業者)ためだ。

これまではフラッシュクラッシュが発生しても、薄商い下の一時的な異常値として扱われ、取引量が増えるに従って元の水準へ戻ることが多かった。しかし市場では、最近の環境変化を受けて、暴騰した円があまり戻らず、フラッシュクラッシュが超円高局面への導火線となってしまう可能性を警戒する声が上がり始めている。

景気減速懸念の高まりや米中通商摩擦の長期化、それに伴う各国金融政策のハト派転向は、主要通貨の下落圧力を強める一方、リスク回避の買いが集まりやすい円に従来以上の上昇圧力が加わる可能性を高めることになる。

トランプ米大統領は15日、中国との通商協議を60日延長する考えがあるかとの質問に「可能性はある」と述べた。現在の期限である3月1日の60日後は、日本が10連休中の真っただ中だ。日本勢が長期不在で朝方の取引が枯渇するなかでの、フラッシュクラッシュの再来を恐れる声は少なくない。

基太村真司 編集:伊賀大記


 
ビジネス2019年2月19日 / 15:46 / 2時間前更新
焦点:日産・ルノー、会長人事で対立 統治委内に兼任難色の声
Reuters Staff
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[東京 19日 ロイター] - カルロス・ゴーン被告の逮捕後に悪化していた日産自動車(7201.T)と仏ルノー(RENA.PA)の関係は、ルノー新会長が就任1カ月足らずで来日し、両首脳らが直接対話したことで一定の修復が図られた。

ただ、意見が対立しているにもかかわらず、今回は「話題にしなかった」(両首脳)日産の会長人事では、日産の企業統治(ガバナンス)改革に向けて設置された委員会の中からも、日産・ルノー会長兼任に難色を示す声が上がっている。

14日から2日間かけ、日産と三菱自動車(7211.T)の両経営幹部らと精力的に意見交換したルノーのスナール会長は「とても実りある交渉と議論ができた。ビジネス全般、特に3社連合の将来について話し合った」と16日に語り、羽田空港を飛び立った。

日産とルノーの両社は、逮捕直後は前会長ゴーン被告の処遇を巡り解任・留任で対応が分かれたほか、日産社内には不正行為の温床となったゴーン氏の会長職兼任による権力集中にも批判が高まった。経営の独立性にこだわる日産と経営一体化を進めたいルノーとの間のきしみも目立っていた。

今回のスナール会長の来日で、三菱自も含めた3社連合の強化が再確認され、危ぶまれた「空中分解」のリスクは、ひとまず大幅に低下した。

ただ、空席のままとなっている日産の会長職は、日産とルノー間の火種の1つとして今なおくすぶり続けている。

日産が統治改革に向けて設置した「ガバナンス改善特別委員会」。弁護士ら外部有識者7人のメンバーで構成される15日に開かれた第3回会合では、本格的な議論が交わされ、所要時間は6時間超に及んだ。

複数の関係者によると、今回の会合で、提言する内容すべての方向性が固まったわけではないものの、ゴーン被告による不正行為の一因となった「会長職権限」の縮小や、業務の「執行と監督の分離」を中心に提言をまとめるという方向では、おおむね意見は一致したもよう。

ゴーン被告は定款に基づいて取締役会議長と会長を兼任していたが、権限集中を避けるための具体策として、委員会では「社外取締役が取締役会議長を担うべき」(関係者)との意見が上がった。会長職は3社の調整役として今後も重要な役割を求められるが、ゴーン被告が務めていた日産とルノー両社の会長兼任については「あまり歓迎していない」(別の関係者)という。

日産としては、両社の会長兼任の是非について、委員会の提言を「尊重する」(日産関係者)との立場を取るとしたうえで「ガバナンスの問題が発生する。特に利益相反の問題が出る」として、両社の会長兼務に対する警戒感は非常に強い。

関係者の話では、会長候補者を推薦するなどの人選、資本関係の見直しや経営統合などについて、委員会は議論の対象としておらず、提言に具体的に盛り込む予定はないとしている。

一方、日産とルノー間で締結している協定の中に、日産の最高執行責任者(COO)以上の役職者をルノーが送り込むとの条項が明記されている。

日産に43%出資する親会社のルノーと、ルノーに15%出資する筆頭株主のフランス政府は、ルノー新会長のジャンドミニク・スナール氏に日産会長も兼任させたいとの思惑がある。

日産にとって、自らの意思を貫くには、「資本関係」という大きな壁が障害になりかねない。

ルノーは日産に43%出資して議決権を持つのに対し、日産はルノーへの出資が15%にとどまり、議決権もない。ルノー優位の資本関係とは逆に、業績面ではルノーの利益の半分近くが日産の株式持分からの利益で、ルノーの収益構造は日産に依存している。

こうした面からも日産は、資本の論理だけでルノーに経営の主導権を握られたくないとの思いがある。

同委員会は、業務の執行と監督を分ける「指名委員会等設置会社」への移行も提言に入れる方向で調整中だ。日産は現在、監査役は置いているが、取締役候補を選ぶ「指名委員会」と役員報酬を決める「報酬委員会」がない。

「監査」「指名」「報酬」の3つの委員会設置を提案し、各委員長は社外取締役が務め、メンバーの過半数を社外取締役が占めるようにすることで、外部からの監視を強めることができるとの思惑がある。

スナール会長との一連の会談を終えた15日夜、西川廣人社長は「有効な時間を過ごせた」と会談を振り返り、「権力の集中を目的とした組織はお互いに非効率を招くということを十分(スナール会長と)シェアした」と述べ、一定の成果を強調した。

だが、両社の融和ムードが持続できるかどうかは、会長人事を含む懸案事項を巡る今後の交渉の行方にかかっている。

白木真紀、梅川崇、小野真由子 編集:田巻一彦

https://jp.reuters.com/article/nissan-renault-idJPKCN1Q80IH


 


http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/209.html

[経世済民131] ホンダ英工場閉鎖「破壊的な打撃」英国で動揺広がる 日産の生産撤回、英で波紋 EU離脱の不安増す
ホンダ英工場閉鎖「破壊的な打撃」英国で動揺広がる
英EU離脱 ヨーロッパ
2019/2/19 5:33 (2019/2/19 8:30更新)日本経済新聞 電子版
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【ロンドン=中島裕介】ホンダが英国工場を2022年までに閉鎖する方針を固めたとの一報を受け、英国では18日、各方面で動揺が広がった。野党や労働組合は欧州連合(EU)からの離脱協議の混迷が企業の英離れを加速させているとして、メイ政権への批判を強めている。政府・与党は環境規制などを背景にした需要減が原因だと指摘し、EU離脱を巡る混乱への批判をかわすのに必死だ。

【関連記事】ホンダ、英工場2022年まで…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41438630Z10C19A2EAF000/?n_cid=SPTMG053

 


ホンダ、英工場22年までに閉鎖 「合意なき離脱」が影
英EU離脱 自動車・機械 ヨーロッパ
2019/2/19 2:36 (2019/2/19 10:42更新)日本経済新聞 電子版
保存 共有 その他
ホンダは2022年までに英工場を閉鎖する。ホンダ関係者が明らかにした。販売低迷に加え、英国の欧州連合(EU)離脱が背中を押した。欧州の生産拠点はなくなり、従業員3500人は解雇する見通しだ。ホンダ以外の企業も一時的な生産休止にとどまらず中長期の体制見直しに動く可能性があり、現地では「英国経済への壊滅的な打撃」を懸念する声が出ている。

19日午後に英南部のスウィンドン工場の閉鎖を東京で発表する。ホ…

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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41438570Z10C19A2I00000/


日産の生産撤回、英で波紋 EU離脱の不安増す
英EU離脱 自動車・機械 ヨーロッパ
2019/2/4 9:00
保存 共有 印刷 その他
【ロンドン=篠崎健太】日産自動車が3日、主力車種を英国でつくる計画を取りやめたことに対し、英国内で波紋が広がった。クラーク民間企業・エネルギー・産業戦略相は「自動車業界と地域に打撃だ」と懸念を示し、英メディアは決定を大きく報じた。3月末に迫る欧州連合(EU)離脱を巡り、次々とあらわになる産業界への悪影響に不安が増してきた。

英サンダーランドにある日産の自動車販売店=ロイター
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英サンダーランドにある日産の自動車販売店=ロイター

クラーク氏は「自動車は英経済に欠かせない産業だ」との声明を出し、雇用には影響がないとの見通しを強調した。英メディアによると4日に英議会下院で日産の決定について説明する予定だ。

日産は多目的スポーツ車(SUV)「エクストレイル」の次期モデルを英北部サンダーランド工場で生産する計画だったが「EUとの将来関係の不透明感が続いている」などとして日本に切り替えると発表した。同工場では2018年に44万台強を生産した。英全体の生産台数の約3割を占める存在で、悪影響を懸念する声が相次いだ。

英BBCは定時ニュースのトップで繰り返し伝えた。英最大労組ユナイトは声明で「非常に失望するニュースだ。自動車業界全体が直面する重大な試練を映している」と訴え、EU離脱の先行き不透明感を払拭できない政府を批判した。

政界からも発言が相次いだ。サンダーランド選出のエリオット下院議員(労働党)は「EU離脱は製造業の意思決定の主要な要因になっている」とコメントし、地元に衝撃的だと危機感をあらわにした。労働党のコービン党首はツイッターに「合意なき離脱の恐れが英経済を傷つけている」と書き込み、与党・保守党を批判した。

一方、BBCによると保守党の強硬離脱派の筆頭格であるリースモグ下院議員は「日産にはEU離脱と無関係の様々な問題がある」などと述べ、EU離脱と生産計画撤回を関連づける動きに一線を画す立場をみせた。

英自動車工業会(SMMT)によると、18年の業界の投資額は5億8860万ポンド(約840億円)と前年の半分近くに落ち込んだ。「合意なき離脱」を警戒してホンダや独BMWが4月に英工場の操業休止日を設けることを決めるなど、企業活動への悪影響に懸念が深まっている。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40848370U9A200C1MM0000/?n_cid=SPTMG002
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/212.html

[国際25] 陰謀論――なぜこれほど大勢が信じるのか
陰謀論――なぜこれほど大勢が信じるのか

2019/02/18

BBC News


ジェイムズ・ティリー、英オックスフォード大学政治学教授

(文中敬称略)

ヒラリー・クリントンはワシントンのピザ店を拠点に、世界的な児童人身売買シンジケートを指揮していたのか? いいえ。

ジョージ・W・ブッシュは2001年に、ニューヨークのツインタワー(世界貿易センター)を破壊して数千人を殺害する計画の中心にいたのか? これも、いいえだ。

ならば、なぜ大勢がそうだったと信じているのか。私たちがどうやって世界を見ているかについて、陰謀論から何が分かるだろう。

陰謀論は決して新しい現象ではない。「American Conspiracy Theories(アメリカの陰謀論)」などの著作がある米マイアミ大学のジョー・ウシンスキー教授は、少なくとも100年前から常に社会の後ろの方で、通奏低音のようにして響いていたと言う。

陰謀論はもしかすると、あなたが思っているより多様で幅広い。

「誰でも少なくともひとつは、陰謀論を信じている。もしかするといくつかは信じているかもしれない」と、ウシンスキー氏は言う。「理由は簡単だ。世間には限りなく膨大な数の陰謀論が出回っている。その全てについて、信じているかどうかアンケートをすれば、誰でも『はい』と答えるものがいくつかあるはずだ」。

これはアメリカに限ったことではない。2015年には英ケンブリッジ大学の調査で、わずか5つの陰謀論についてアンケートをとったところ、ほとんどのイギリス人がどれかについて「信じている」と答えた。例として使われた陰謀論は、「世界を支配する秘密結社が実は存在している」とか、「人類は実はすでに異星人と接触している」などの内容だった。

つまり、ありがちなイメージとは異なり、典型的な陰謀論者というのは決して、アルミ箔の帽子をかぶり母親の家の地下室で暮らす独身中年男ではないのだ。

「実際に人口統計データを見ると、陰謀論を信じる人というのは、社会的な階級や性別や年齢を問わず存在することが分かる」と、ロンドン大学ゴールドスミス・コレッジのクリス・フレンチ教授(心理学)は言う。

同じように、左派だろうが右派だろうが、世の中には自分を陥れようとする陰謀が存在すると信じる確率は変わらない。

「陰謀論的な考え方をしやすいという意味では、右も左も変わらない」と、ウシンスキー教授はアメリカの状況について話す。

「ブッシュがツインタワーを破壊したと信じる人はほとんどが民主党支持者で、オバマが出生証明書を偽装したと信じた人はほとんどが共和党支持者だった。その割合は、どちらの党もほぼ同じだった」

有名な陰謀論と反証
アメリカの月面着陸が捏造(ねつぞう)だという説については、詳細な検証と反論がされている
ナチス・ドイツの戦争犯罪者ルドルフ・ヘスが刑務所で別人と入れ替わったという説は、遠縁の男性が提供したDNAによって反証された
人気者が実はすでに死亡しクローンに入れ替わっているという説はたくさんあり、ポール・マッカートニーやビヨンセ、アヴリル・ラヴィーンについても言われたことがある
なぞめいた秘密結社イルミナティが世界を支配しているという話は諸説あり、色々な著名人や政治家が結社のメンバーだと言われがちだ
影の組織が世界政治を舞台裏から支配しているというアイディアは、とても人気が高い。なぜ秘密結社に自分たちがこうもひきつけられるのか理解するには、陰謀論の裏にどういう心理が働いているのかを考える必要がある。

「自分たち人間は、物事にパターンや規則性を見出すのが得意だ。しかし時にそれをやりすぎて、特に意味も意義もないところに、意味や意義を見つけた気になってしまう」とフレンチ教授は言う。

「それに加えて私たちは、何かが起きると、それは誰かや何かの意図があって起きたことだと、思い込みがちだ」

要するに、何か大きな出来事があると私たちはそこにまつわる偶然に気づき、偶然ではなくこういうことなのだと物語を作ってしまう。その物語には「善玉」と「悪玉」が登場するので、物語は陰謀論となり、自分が気に入らないことは何もかもが悪者のせいだということになる。

政治家のせいにする
色々な意味で、これはふだんの政治そのものだ。

私たちはしばしば、何か良くないことがあればそれを政治家のせいにしたがると、米ヴァンダービルト大学のラリー・バーテルス教授(政治学)は言う。政治家が何もできないことについても、政治家のせいにしたがる。

「何かが起きると、それが良いことでも悪いことでも、そうなったことに政府の政策がどう影響したかはっきり理解しないまま、闇雲に政府をほめたり責めたりする人は多い」

同じように、政府と何の関係もなさそうなことでも、問題が起きると政府のせいにされがちだ。

「たとえば1916年にニュージャージー沖で、人が相次ぎサメに襲われたことがある。これを詳しく調べてみた」とバーテルス教授は話す。

「この連続襲撃は後年、映画『ジョーズ』の原案になったのだが、サメ襲撃の影響を最も受けた地域では、当時のウッドロー・ウィルソン大統領の支持率がかなり下落していたのが分かった」

陰謀論にありがちな「こちら」と「あちら」、「身内」と「外」の対立関係は、主流を占める政治的な集まりでも見受けられる。

たとえばイギリスでは、欧州連合(EU)離脱の是非を決めた国民投票によって、「残留派」と「離脱派」という、それぞれ同じくらいの規模の集団が生まれた。

「自分の集団に帰属意識を持つと、対立集団の人には一定の敵対心を抱くことになる」と、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のサラ・ホボルト教授は言う。

残留派と離脱派では、同じ出来事の受け止め方が異なることもある。たとえば、まったく同じ経済データを前に、離脱派は経済は不調だと解釈し、残留派は好景気だと解釈するなどだ。

陰謀論はこうした現象の一部に過ぎない。

「国民投票前は自分たちが負けると思っていた離脱派は、国民投票は出来レースだと思いがちだった。しかし、国民投票の結果が発表されて負けるのは残留派だと分かると、情勢は一気に逆転した」とホボルト教授は言う。

解決法なし
政治的思考の中に陰謀論がこれほど根深く組み込まれているというのは、あまり楽しい話ではないかもしれない。しかし、意外ではないはずだ。

「私たちは得てして、そうあってほしいと自分が望むことの裏づけになるように、何を信じるかを決めがちだからだ」とバーテルス教授は言う。

情報が増えても大して役には立たない。

「こうした偏見に最も影響を受けやすいのは、最も情報に注意している人たちだ」

ほとんどの人にとって、政治に関する事実関係を正確に把握する必要などないのだ。自分の1票は政府の政策を変えたりしないので。

「政治についてたとえ自分の考えが間違っていても、自分は困らないからだ」とバーテルス教授は言う。

「ウィルソン大統領はサメ襲撃を防止できるはずだったのにと思うことで、自分は楽になる。とすると、そんなことはなく自分が間違っていたとしても、自分の思い違いで自分が受けるダメージよりも、ウィルソンのせいだと思うことで得られる心理的満足感の方が、かなり大きいというわけだ」

結局のところ、私たちは事実に照らして正確でいたいのではなく、私たちは楽になりたい、安心したいのだ。

だからこそ、個別の陰謀論は生まれては消えていくものの、陰謀論そのものは私たちが政治を語る上で決してなくならない。

この記事について

この分析記事は、BBCが社外専門家に委託したもの。

ジェイムズ・ティリー氏は英オックスフォード大学ジーザス・コレッジの政治学教授でフェロー。

2月11日にBBCラジオ4で放送された陰謀論と政治に関するティリー教授の番組は、こちらで聴くことができる(英語)。

(英語記事 Why so many people believe conspiracy theories)

提供元:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-47275005
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/468.html

[経世済民131] ポルシェ、英でEU離脱後に値上げも 追加関税を上乗せ 
ポルシェ、英でEU離脱後に値上げも 追加関税を上乗せ

2019/02/18

BBC News


高級車の独ポルシェは、ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)後にイギリスでの販売価格に最大10%の関税を上乗せする可能性があると発表した。「予防策」として顧客は今後、購入の際に新たな関税がかかるかもしれないことを了承する必要がある。

ポルシェの親会社フォルクスワーゲン(VW)は、同じく傘下のアウディやランボルギーニ、シュコダ、ブガッティ、セアト、ドゥカティといったブランドでも値上げをするかどうかは明らかにしていない。

これにより、ポルシェの旗艦モデル「911」の価格は9万3110ポンド(約1300万円)から10万2421ポンド(約1460万円)になる。

スポーツ多目的車(SUV)の「マカン」およびオープンカーの「ボクスター」の価格は4万6000ポンド(約650万円)から。

ポルシェはBBCの取材に電子メールで回答し、「ブレグジット交渉の結果の一つとして、3月29日以降にイギリスに輸入される自動車に最大10%の関税がかかる可能性がある」と説明した。

「それに伴い、納入がブレグジット後になりそうな顧客に対し、関税について警告するべきだという結論に至った。購入時に十分な情報を提供し、必要であれば注文を調整できるように」

「顧客が事前に計画を立てられるようにする予防策だ」

ポルシェによると、1月17日以前に前金を支払った顧客は影響を受けないという。

ブルームバーグはまた、イギリスと欧州連合(EU)の将来の関係性についてポルシェが「包括的な明確性」を「速やかに」示すよう求めていると報じている。

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ポルシェにとってイギリスは最大市場のひとつで、昨年は1万2500台を売り上げた。一方でイギリスに生産拠点がないため、販売している車は全て輸入に頼っている。

最初にポルシェの値上げを報じた業界誌「カーディーラー」のレベッカ・チャップリン編集長は、自動車メーカーのこうした動きで、ブレグジット後の状況が明確になるまで車の買い控えが起きる可能性があり、業界にとっては悪いニュースだと語った。

「自動車メーカーとカーディーラーは顧客に明確に車の価格を伝えられなければならない。それがこの業界の基本だが、政府は助けになっていない」

イギリス自動車協会(AA)のエドムンド・キング会長は、「自動車ブランドやその販売網が追加費用を負担できなければ、輸入関税だけでも輸入車の価格を平均1500ポンド(約21万円)引き上げてしまう」と指摘した。

離脱派は懸念を一蹴
ブレグジットをめぐっては、自動車メーカーのトップから関税や製造、輸出面について懸念の声が挙がっている。

1月には英ジャガー・ランドローバーが人員整理を発表。米フォードも2021年までにイギリスでの人員を減らすと報じられた。

トヨタ自動車はイギリス政府に離脱協定の承認が自動車産業の保護に不可欠だと訴えており、合意なしブレグジットになった場合は人員整理の可能性があると述べている。

VWの広報担当者は17日、BBCの取材に対し、「我々は(ブレグジットの)進展を注意深く見守り、可能性のあるあらゆる影響について検討する」と述べた。

「離脱協定の決定について事態がこう着していることを残念に思う。我々にとってこの状況は不安と先行き不透明な状況がさらに続くということだ。あらゆる結果に準備をしていく」

「このような状況でもイギリスはVWにとって重要な、欧州第2位の市場であることに変わりはない」

これに対しイギリス国内のEU離脱派は、輸入車に対する関税の懸念はないとしている。

(英語記事 Porsche warns UK buyers of Brexit surcharge)

提供元:https://www.bbc.com/japanese/47275166
 
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/213.html

[経世済民131] 二拠点居住というライフスタイルは現実的か? 1年以内に実感するメリットがデメリットを超えられるかがカギ
WEDGE REPORT

二拠点居住というライフスタイルは現実的か?

1年以内に実感するメリットがデメリットを超えられるかがカギ
2019/02/19

馬場未織

ただの変人ライフスタイルがトレンドへと躍進した背景とは
  “デュアラー”という言葉をご存知だろうか。まだ聞き覚えのない人も多いだろう。2018年末にリクルートホールディングスが発表した『2019年のトレンド予測』で挙げられた言葉で、「デュアル=2つの」という言葉を使った造語だという。都市と田舎の2つの生活を楽しむ二拠点生活者を示している。


刈った竹や草で焚き火をする。何時間見ていても、火は飽きない(筆者撮影、以下同)
 デュアラーは、果たしてトレンドになり得るのだろうか。二拠点に家を持つなんて大変じゃないか?本当に続けられるのか?といった疑問の声も、さまざま聞こえてきそうだ。

 筆者は、2007年から「平日は東京/週末は千葉県南房総」という暮らし方を家族で続けている。始めた当時は、親戚や知り合いから変わり者扱いされ、きっと長くは続くまい、と思われていた。そんなライフスタイルが世間から注目されるようになったのは、2014年に『週末は田舎暮らし』という本を書いた後、2年ほど経った頃だと記憶する。当初は、「二地域居住」「二拠点生活」「デュアルライフ」「マルチハビテーション」などと呼称も定まらなかったが、じわじわと社会に浸透し、トレンド予測に挙がるまで昇格してしまった。

 その背景には、働き方改革や副業解禁の動きなど社会情勢の変化がある。定年まで仕事一筋に生き、会社はその人の一生を面倒見る、といった“固く閉じた信頼関係”が現実的に崩れていく状況下で、生き延びるための新たな方法を見出そうとする人々が出てきたのである。彼らは、仕事も拠点もコミュニティも複数持ちながら変化しやすい社会に柔軟に対応していく、といった“ゆるやかに多様につながる関係”を求め、つくろうとしている。

 この流れの中で、二拠点生活は「人生の選択肢として、アリではないか」と思われ始めたのだろう。実際、都市部からのアクセスが良い千葉県房総半島界隈では、二拠点生活者がここ数年で急激に増えている。毎月新宿で開催される南房総二拠点サロンには、多くの都市居住者が参加している。特殊な考えを持つ変人の暮らしとは、もはや言い難い。

二拠点生活が続けられるかどうかは、最初の1年で見えてくる
 とはいえ、まだまだ一般的にはハードルの高そうな暮らしに見えるようだ。「どうすれば二拠点生活が続けられるのですか。コツがあれば教えてください」という質問をよく受ける。

 周囲の期待を裏切って12年以上二拠点生活を続けている身で振り返ってみると、コツなどはなく、むしろ「特にこの暮らしが終わる気がしないな」と確信できる時期があることに気付く。そして、それは意外にも早く、開始から1年を過ぎた頃と考える。春夏秋冬を暮らし、生活のリズムや家計の収支状況などもちょうど掴めてきた頃だ。当然、トラブルもいくつか経験しているだろう。

 この頃、メリットの実感が、デメリットのリアルを超えているかどうかが分水嶺となる。

 それでは具体的に、どんなメリットやデメリットがあるか、いくつか例を挙げてみたい。

【メリット】

@確実に定期的にリフレッシュする

 平日の仕事疲れを引きずる暇もなく、まったく別の場所でまったく別のことをする。これが実は、疲労回復を早める場合がある。“アクティブレスト(積極的休養)”とも言う。田舎暮らしは自然と身体を動かす機会がたくさんあるため、心身がバランスよく整う。

A消費一辺倒ではない過ごし方ができる

 「外食しよう」「買い物に行こう」と、休日らしく楽しもうとするとお金がかかる都市生活。一方、田舎では消費せずに楽しめることが見つけやすい。畑仕事、野草摘み、焚き火、自然観察、DIY、釣り、サーフィン……狩猟本能を満たしたり、スキルアップにつながったりと、暮らしを深める楽しみに満ちている。

B“本当に新鮮な食材”に感動する

 畑を始めれば採れたて野菜の桁違いな美味しさがすぐ分かる。海に近ければ新鮮な魚が日常の食卓にのる。食は命の源。ひとたびいい食材のあり方を知ると、なかなか後戻りはできない。舌鼓を打ちながら、都市部の高級スーパーの値札が脳裏をかすめることも。

C多様な人達とつながれる

 田舎の人間関係について心配されることがあるが、お隣さんの親切に感謝したり、お裾分けに感動するという話の方がよほどよく耳にする。さらに、移住者やデュアラー、漁師さんに猟師さん、そして農家さんと、都市で家と仕事場を往復している時よりも圧倒的に多様な人達とつながれるチャンスがある。


自分でつくった野菜を食べるのは、とりわけ楽しい
では次に、ネガティブチェックをしてみよう。

【デメリット】

@移動のコストや時間がかかる

 環境を変えるためには、どうしても移動時間がかかる。毎週末の移動を考えると、片道2時間以内が適切だろう。往復で4時間。ガソリン代や高速代もしっかりとかかってくる。ちなみに筆者の場合は1往復約7000円×月3回程度=21000円の交通費がかかり、1時間半の移動中は家族の好きな音楽を聞き合うことが多い。

A家賃、生活雑貨、趣味の道具や燃料などにお金がかかる

 当然だが、2つ家を持つと2ヶ所に生活必需品が必要で、借家なら家賃もかかる。古民家や農機具など時にプロのメンテナンスが必要な物もある。これらを必要経費として確保できるか。例えば、都市の住まいをコンパクトにして家賃を抑えたり、上記メリットAとのプラスマイナスを考えて、辻褄が合うか見ていくことになる。

B家族の予定を合わせるシフターが必要

 やれこどもの行事だ、やれ仕事の付き合いだと週末にも都市生活の予定は入ってくる。これらをうまく整理して、家族の中で行く週末/行かない週末、行く人/残る人、などと見通しを立てる。もっとも気苦労の多い局面とも言える。公平性や自由意思の尊重が大事であり、話し合いが必要な場面も増えるだろう。

Cやることがたくさんあってのんびりしていない

 「のんびり田舎暮らし」をしているデュアラーに会ったことがない。大抵、貴重な週末2日間をフル活用して野良仕事や大工仕事に精を出し、それでも時間が足りないと言っている。なぜなら、デュアラーの田舎暮らしは“暮らすことそのものを楽しむ”ところに意味があるからだ。買えば一瞬で手に入る野菜をつくり、安く買える家具を丹精してつくり、コンクリートで固めてしまえば生えない雑草を年中刈りながら、自然を愛でる。もし便利に合理的に暮らしてしまえば、都市生活と一緒になってしまう。より濃く暮らそうとするから、手間暇がかかるのだ。

二拠点生活は、向こうからはやってこない
 1年後、「お金が…」「時間が…」と言っている場合は、きっと長くは続くまい。でも、ひとたび二拠点生活を始めた人の中で、そうした愚痴をこぼす人はほとんど見ないといっていい。いや、「お父さんに引きずられて仕方なく」という家族のメンバーがいたら、そんなことを言われるかもしれない。その人は早晩やめてしまうかもしれないが、家族の中にも多様性があっていい。

 二拠点生活は誰に頼まれてするものでもなく、自分で好き好んで始める暮らしである。好きなことは続けたい。続けるためにはデメリットを乗り越える努力をする。だから結果として、このライフスタイルは「アリ」となる。初動には少々パワーを要するが、始めてみると、始める前とはまったく違う風景が見えてくるから、やめられない。


春の訪れを告げる、フキノトウ。食べられる野草を探すのも田舎暮らしの楽しみだ
 次回は、二拠点生活を長期間続けた時にこそ見える風景とは何か、気付く重さは何か、挙げてみたい。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15366


 

橋や家の梁も……旧ソ連のミサイルで建てられた村 アフガニスタン

2019/02/18

BBC News


旧ソビエト連邦がアフガニスタンに侵攻してから30年がたった。

ソ連軍は1989年2月15日にアフガニスタンから撤退したが、この戦争でアフガニスタン人100万人近くと1万5000人のソ連兵が命を落とした。

アフガニスタン北部の村では今も、とても変わった形でこの戦争の爪あとが残されている。村全体が不発ミサイルで作られているのだ。

提供元:https://www.bbc.com/japanese/video-47276478
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15396
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/214.html

[経世済民131] 鳩山元首相が憧れたブルネイの正体 迷走する日本の「働き方改革」への処方箋(4)
鳩山元首相が憧れたブルネイの正体

迷走する日本の「働き方改革」への処方箋(4)
2019/02/20

立花 聡 (エリス・コンサルティング代表・法学博士)

 豊かな産油国ブルネイは非資源国と比べて先天の優位性を有し、その格差を自ら誇示しているほどだ(参照:「働かなくても、頑張らなくても食べていける世界」)。その延長線上において、労働をめぐって、先天の優位性・格差の本質を探っていきたいと思う。

鳩山氏の倒錯する論理?
 ブルネイと北朝鮮の比較は必ずしも妥当ではないかもしれないが、ブルネイで見聞したことから北朝鮮を連想せずにいられない。核武装の代わりに石油や天然ガス、主体(チュチェ)思想の代わりにイスラム教がある、というのが私の受けた印象だった。


iStock / Getty Images Plus / EmreKayalar
 視覚的な相違は、偶像崇拝くらいだ。北朝鮮は国中いたるところに金日成や金正日の肖像が掲げられているが、ブルネイの場合は国王像を街中で目にすることはない。これもひとえにイスラム教の偶像崇拝禁止によるものではなかろうか。スルタンというアラビア語は「権威」を意味し、宗教の担保によって絶対王権が確固たるものとなった以上、むしろ偶像崇拝は不要だ。

 宗教共産主義国家――。私が勝手に作った名称だが、もう少しこの延長線上で展開してみたい。

 ブルネイの大ファンという日本の元政治家がいる。2009年11月、当時の鳩山由紀夫首相がブルネイのボルキア国王との会談で、石油など天然資源が豊富で、所得税が課税されないブルネイの税制をうらやむような発言をし、読売新聞は2009年11月14日付けで「日本国民も、ブルネイに移住したいと考えるだろう」と題した記事を掲載した。事実ならば、それが鳩山氏の本音吐露だったのではないかと私は思う。

 十数億ないし数十億円の資産をもつとされる日本有数の金持ち政治家ではあるが、資産総額2兆円規模のブルネイ国王と比べれば、鳩山氏の資産は微々たるもので取るに足らない。ただ、鳩山氏が果たして国王の資産規模そのものに羨望の眼差しを向けたのかというと、違うような気がする。

 十数億円の資産だけでも日本国内では超富裕層の部類に入る。野村総合研究所(NRI)の統計基準では、金融資産1億円以上5億円未満が富裕層、5億円以上の場合は超富裕層となる。このような超富裕層である鳩山氏はまさに資本主義の産物、貧富の格差の体現といっても過言ではない。

 ところが、資本主義の申し子ともいえる鳩山氏は、その出自や立場とまったく矛盾する姿勢を取っていた。氏が海外メディアに論文を寄稿し、「日本は米国主導の市場原理主義の暴風に襲われてきた」と批判し、「制御のない市場原理主義をどう終わらせるかが問題」と述べ、持論の「友愛」論を展開した。

 資本主義の所産という出自をもちながらも、友愛や平等を掲げる社会主義に傾倒しているイデオロギーは、論理の倒錯ではなかろうか。

鳩山氏が憧れたブルネイの正体
 資本主義は競争による流動性に富んだ社会制度であるのに対して、社会主義(共産主義)はその正反対で競争を排斥する非流動性社会である。

 資本主義や民主主義の下で築き上げた富と権力を既得利益として確保するには、ある意味で流動性よりも非流動性のほうが都合が良い。さらに、特権階級の支配者地位を既得利益化し、その既得利益を固定化・肥大化・恒久化するには、資本主義の民主制度よりも社会主義の独裁制度のほうがはるかに都合が良い。

 財力と権力、人間が目指す究極のダブルパワーを一度に担保するには、社会主義(共産主義)しかない。目を向ければ、ブルネイはほぼすべての条件がそろっていた。

 税金を課さない。聞こえは良いが、世の中はそんなに甘くない。税金とは一旦国民に帰属した富を再度、国家が取り上げる公共コストである。そこでいくら税金を取られたか、誰よりも国民自身が身をもって感じている。その実感から、国民は自ずと税金の使い道にも口出しする。

 無税社会とは、税金を課さない代わりに、一次取得富から国家や支配者が勝手にその分を「源泉」控除してしまう、という国家天引き型である。そこに極めて透明な監督制度がなければ、どんぶり勘定で国民搾取の原点となる。「金は国民の皆さんのために使います。余った分は国民の皆さんのために積み立てておくからね」というのがブルネイ。

 そのうえ、絶対王権である。そんなブルネイの政体と社会構造に、羨望の眼差しを向けたのが鳩山氏だった。

不平等や格差は雲の上にあればよい
「ブルネイは世界でも屈指の金持ち国家」というが、それは国・国王と一部の特権階級の話であり、広義的な国民全体ではない。一般市民は至ってごくごく普通の生活を営んでいる。市内を走る車もシンガポールや香港、クアラルンプールと比べて高級車の絶対数が断然少ない。ただ他の東南アジア諸国と比較すると、貧困層も少ないのが特徴である。


ドームブルネイのモスク、ウォーターヴィレッジのコントラスト(iStock Editorial / Getty Images Plus / Sophie_James)
 社会保障完備で公務員を中心とする格差の小さい国、ブルネイ。これが非常に重要なポイントだ。ある意味で平均的な理想像として、日本人の価値体系に近いかもしれない。

 2010年6月に朝日新聞社が発表した全国世論調査で、ある事実が判明した――。 「経済的に豊かだが格差が大きい国」と「豊かさはさほどでないが格差の小さい国」のどちらを目指すかで、「格差が小さい国:73%」が「豊かな国:17%」を圧倒的に上回った。

 日本人は、総量の豊かさよりも、格差の解消と平等に価値が置かれたのである。同世代や同期入社と比較して倍ないし数倍の格差をつけられることに、違和感を覚える。一方で、一部の特権階級が数百倍や数千倍の格差をもって、想像もできないような贅沢な暮らしを享受していても、雲の上の人間で自分の視界に入らなければ、どうでもいいのだ。

 その影響か定かでないが、日本の富裕層は人前で派手に消費しようとしない。数年前、かなり富裕層の友人が自家用ヨットでクルーズしたり、プール付きの自宅で豪華なパーティーを開いたりするのをフェイスブックに投稿していたところ、大変なことになった。どうやらタレコミされたらしく、国税局からの査察が入ったのだ。これで彼もすっかり懲りたという。雲の上の世界を地上にさらけ出してはいけないのだ。

 人間はおそらく、雲の上の「非日常的格差」よりも、目前にある「日常的格差」のほうが受け入れ難いものだ。格差や不平等の可視化は禁物。格差を見せつけられて憤怒した大衆は、ときにルサンチマン的な復讐情念に駆られ、行動に出るのである。日産自動車のゴーン元会長の一件もその好例だった(参照:「ゴーン独裁者への制裁願望、ルサンチマンに遡源する復讐情念」)。

 そうした意味で、宗教を除いてブルネイは日本人が目指したい国の理想像といってもよかろう。鳩山元首相いわく「日本人もブルネイに移住したいだろう」という仮説もこれで成り立つ。だが、資源貧国の日本は逆立ちしてもブルネイにはなれない。

日本人にとっての均貧・均中・格差
 世の中の国・社会は、4つのグループに分けられる――。

 均等に富む「均富」、均等に貧しい「均貧」、均等の中産である「均中」、そして問題の「格差」社会である。

「均富」以外の場合、雲の上にいる少数の特権階級は必ず存在し、彼たちは一定の、時には絶大なる格差をもって君臨している。ただ庶民にとってこれは、非可視かつ非日常的な存在となっている。

「均富」社会は世界のどこにも存在しない。現実は、「均貧」「均中」と「格差」が相互転化する世の中である。中国は「均貧」から30年かけて「均中」にたどり着けずに一気に「格差」社会に突入した。日本は戦後40年かけて「均貧」から「均中」へ、さらにその後30年かけて今は「均中」から「格差」への転化を遂げようとしている。

 日本人が望んでいるのは、「均貧」でも「格差」でもなく、「均中」なのだ。その「均中」状態の維持は、資源の存在や市場の拡大、持続的成長を前提としているだけに、今の日本は残念ながらこれらの条件をほとんど持ち合わせていない。

<第5回へ続く>

  
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[国際25] BBC News 仏各地で「反ユダヤ主義」抗議デモ ユダヤ人への憎悪犯罪増加で 絶滅危惧種のオオセンザンコウ、貴重な撮影
BBC News
仏各地で「反ユダヤ主義」抗議デモ ユダヤ人への憎悪犯罪増加で

2019/02/20
 


フランス全土で19日、反ユダヤ主義的な行為に抗議する約70のデモが一斉に行なわれ、数千人が参加した。

デモ参加者は「ça suffit(もう十分だ)」をスローガンに掲げ、首都パリのレピュブリック広場を含む複数の都市で行進した。

フランソワ・オランド前仏大統領やニコラ・サルコジ元大統領を含む、政界の大物も複数参加した。

デモの数時間前には、東部アルザス・クアツェンハイムにあるユダヤ人墓地で、約100の墓石にナチス・ドイツを象徴するかぎ十字が落書きされているのが見つかった。

社会党のオリヴィエ・フォール第1書記は先週ツイッターで、19日にパリでの抗議デモへ参加するよう最初に呼びかけた。

抗議デモはその後、50以上の政治団体や連合、組合からの承認を受けて計画された。

これまでのところ公式発表はないが、パリと同様の抗議デモはマルセイユやボルドー、ナントを含む60都市で報告されている。

パリのデモ参加者フレデリック・オベール氏は「一連の出来事が、大勢にとって意外だっとは言い切れない」とBBCに語った。

別のデモ参加者のアラン氏は「なぜユダヤ人に対して怒っているのか、私にはよく分からない」と述べた。

なぜ抗議するのか

ここ数カ月、フランスでは立て続けに反ユダヤ主義的な攻撃が続き、注目を集めている。

この1週間の間には、ホロコーストの生還者で、国務大臣を務めた故シモーヌ・ヴェイユ氏の肖像画が傷つけられたほか、パリのパン屋ではドイツ語で「ユダヤ人」を意味する単語が落書きされているのが見つかった。また、反ユダヤ主義グループに拷問され死亡したユダヤ人の若者を追悼して植えられた木が切り倒された。

エマニュエル・マクロン仏大統領は19日、かぎ十字の落書きが見つかったユダヤ人墓地を訪れ、「このような真似をした人間は誰だろうと、フランス共和国にふさわしくなく、罰せられる」と述べた。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はビデオ声明で「衝撃的な」攻撃を非難し、反ユダヤ主義を「我々だけでなく全ての人々を危険にさらす伝染病」だと述べた。

フランス国内には約55万人規模の、ヨーロッパ最大のユダヤ人コミュニティがある。

先週発表された統計によると、フランス国内で起きる反ユダヤ主義的行為の数は、2017年の311件に比べ、2018年には74%増の541件に増えている。

<関連記事>

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イスラエルのポーランド大使館でかぎ十字の落書き 首相発言の翌日
46歳男が米ユダヤ教礼拝所で乱射、11人死亡
エドゥアール・フィリップ仏首相は19日、仏誌レキスプレスに対し、仏政府はソーシャルメディア上のヘイトスピーチ(憎悪表現)に取り組むために法改正を検討していると語った。

同誌のインタビューでフィリップ氏は、反ユダヤ主義は「フランス社会に深く根づいている」と述べた。

他国での反ユダヤ主義的行為
ユダヤ人団体もまた、ヨーロッパ全土での極右の台頭が反ユダヤ主義や他のマイノリティー(人種的少数派)への憎悪を助長していると警告している。

先週発表されたドイツの犯罪統計によると、反ユダヤ主義的な犯罪は過去1年間で10%増加している。これには、身体的攻撃の60%増も含まれる。

こうした攻撃は、極右やイスラム主義者のせいだとされている。

しかし、先月発表された欧州委員会による28カ国で行なわれた調査では、ユダヤ人コミュニティに属する人と、属さない人の認識の間にずれが生じていることが明らかになった。

この欧州委員会調査によると、ユダヤ人の89%が反ユダヤ主義は過去5年間で「著しく増加した」と答えた。一方で、同じ意見の非ユダヤ人はわずか36%にとどまっている。

(英語記事 France rallies after anti-Semitic attacks)

提供元:https://www.bbc.com/japanese/47288922


絶滅危惧種のオオセンザンコウ、貴重な撮影に成功 密猟で激減

2019/02/20

BBC News


英チェスター動物園の自然保護活動家のチームが、東アフリカ・ウガンダに生息するオオセンザンコウの撮影に成功した。

センザンコウは世界で最も密売されている哺乳類の1種として、絶滅危惧種に指定されている。

生態に謎の多いセンザンコウの様子を捉えた貴重な映像が公開された。

提供元:https://www.bbc.com/japanese/47288450


http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15415

http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/476.html

[政治・選挙・NHK257] 韓国人である私が天皇訪韓に反対する理由 
韓国人である私が天皇訪韓に反対する理由
2018/01/05
崔 碩栄 (ジャーナリスト)
 最近、日韓関係におけるニュースの中に、新たに浮上しているキーワードがある。「天皇訪韓」という言葉だ。この言葉が飛び出したのは他でもない「韓国政府」からである。
 昨年9月22日には李洛淵(イ・ナギョン)首相がマスコミとのインタビューで「退位される前に韓国へいらして、この間の両国がほどけなかったしがらみを解いてくだされば、両国関係の発展に大きな助けになる」と発言、その1カ月後の10月25日には李洙勲(イ・スフン)駐日韓国大使が「天皇が韓国を訪問すれば韓日関係を雪解けのように溶かすことに大きく寄与するだろう」と発言、続いて10月30日には康京和(カンギョンファ)外交部長官が念押しするかのように「天皇の訪韓が実現すれば両国関係の発展のための大きい契機になるであろうと評価している」と韓国側の強い「要望」を表明している。
 韓国側から天皇訪韓を望む声が出たことは初めてではないが、首相、駐日大使、外交長官が約1カ月という短期間にこのように直接的に、強いメッセージを伝えたのは、これまでに例のない出来事である。
 韓国政府は天皇の韓国訪問が両国間の緊張状態を解消し、友好関係の強化に大きな力になると漠然とした夢物語を描いているようにみえるが、果たして、彼らの思う通りに、全てが上手くいくだろうか?
韓国社会の天皇についてのイメージは?

李氏朝鮮の王宮である景福宮(TwilightShow/iStock)
 そもそも韓国社会が日本国天皇について抱いている印象はどのようなものか? 残念ながら、「良い」とは言えないのが現状である。日本に対し抱く感情がそのまま日本国及び日本国民統合の象徴である天皇への印象として反映されているからだ。
 韓国社会の「天皇」に対するスタンスを最も端的に示しているのは、「日王」という単語だろう。近年韓国では日本国天皇について話題にするとき「天皇(チョンファン)」という単語の代わりに「日王(イルワン)」という単語を使用している。「皇」という漢字よりも格下の「王」という単語を意図的に使用しているのだ。
 高麗も、朝鮮も「皇」という字の使用が許されなかった。それは大陸の覇者、中国王朝に限って許された字で、半島の韓国から見ると自分より「上の存在」というイメージがある。それを日本に対して使いたくないというコンプレックスに近い気持ちが心中にあったのだろう。
 しかし、「日王」は比較的最近になって使われるようになった単語である。80年代までを考えても、「天皇」という単語が一般的に使われており、それを問題視する人も、言論もいなかった(その転換点になった出来事について別の記事で紹介したい)。だが、現在は、少しでも名前が知れた人が「天皇」という言葉を使いでもしようものならマスコミや一般市民から激しい批判から逃れることはできない、まるで「NGワード」化している。この現象は、韓国に劣らず反日感情の強い中国ですらみられない珍しい現象である。
 2013年、国会で政府関係者に当時野党(現・与党)の国会議員が北朝鮮の最高指導者、金正恩に対して「公式文書に呼び捨て(の表記)は適切ではない」、「(公式名称である『委員長』を使い)礼を尽くせ」と要求したことはあったが、「天皇」についてそのような要求をする人はいない。国民からのバッシングを恐れるからだ。残念ながらこれが現在韓国の現状である。

http://wedge.ismedia.jp/mwimgs/4/b/1200m/img_4bf846c78405c8d2c585738c3c88302d50272.jpg
80年代の新聞記事。80年代までは「天皇」という名称が一般的だった(左上:毎日経済1981年3月4日 、左下:京卿新聞1988年9月22日、右:毎日経済 1985年6月27日)

皇室からの贈り物を踏みにじる市民
天皇は「朝鮮王朝をダメにした張本人」
 2005年7月、朝鮮王朝の末裔、李玖 (イグ)の葬儀がソウルで執り行われた。李玖は朝鮮王朝の最後の皇太子、英親王の息子として1931年東京で生まれたが終戦以降、王族の地位を失う。以後、学習院高等科を卒業後、アメリカのマサチューセッツ工科大学への留学を経て、韓国、日本で生活していたが1996年に韓国に永住帰国。だが、事業の失敗等から困窮していた2005年、渡日し泊まっていた赤坂プリンスホテルで心臓麻痺により死亡する。赤坂プリンスホテルが建てられた場所は、彼が子供時代、李王家邸として過ごした場所でもあった。
 李玖の葬儀には韓国の政治家、官僚、李氏宗親会などが参列していた。ここに、「日本國天皇皇后両陛下」の名で、花輪が届けられた。朝鮮王族の父、旧皇族の母を持つ彼は終戦前までは、皇族待遇を受けていた人物である。終戦後は平民となったが、それでも過去の「縁」を尊重した皇室からの「礼遇」を受けたのだ。ところが、ここでその花輪を、葬儀に参列していた一人の韓国人が地面に叩きつけ、「日本國天皇皇后両陛下」という文字が書かれたリボンを踏みつけるという事件が発生した。朝鮮王室をダメにした張本人である日本人が花輪を贈るなど失敬だというのがその人の主張であった。
 終戦後、何十年もの時間が過ぎ、戦争の歴史とは何の関係もない今上天皇が贈った、むしろ「礼遇」の証であった花輪に対しも容赦なく怒りをぶつける姿は、現在の韓国人が天皇に対して抱いている印象をある程度代弁しているのではないかと思う。
 これだけではない。韓国では毎年12月、駐韓日本大使館主催で天皇誕生日祝賀レセプションが行われる。天皇誕生日祝賀レセプションは、韓国に駐在する日本人や、世界各国の在韓大使らが招かれ、毎年開かれている行事である。このレセプションに韓国の主要企業が贈った『祝花』が大騒ぎになったことがある。マスコミが、祝花を贈った企業や経営者の名前を掲載し、「親日的行動」だと、まるで何か間違った行動でも行ったかのように報道したからだ。怒った国民は企業のホームページやネットの掲示板で企業や経営者を批判し「親日派」と罵倒した。
 日本大使館が毎年定例の行事として行っている天皇誕生日祝賀レセプションに大韓航空、アシアナ航空等、日韓の「架け橋」として活躍する企業が祝賀行事に花を贈っただけでも、国民の反感を買ってしまうのだ。ちなみに、イギリス大使館でも毎年女王の誕生日パーティーを開き、韓国内の外交官、貴賓を招くが、それと関連する批判は起きたことがない。
 それに、時々韓国で行われる反日デモや、反日パフォーマンスで、天皇の写真を用いてそれを損壊したり、冒涜するような行為をすることがある。いずれにせよ天皇に対する「反感」が、韓国社会に少なからず存在することは否定しようのない事実だ。
天皇訪韓中の不祥事が発生したら、日韓関係は破たんする
まずは招く側としての社会的雰囲気の醸成が必要
 天皇訪問の賛成論者たちは、天皇の訪韓が両国の友好に寄与するはずだという漠然とした期待を抱いているようだが、私に言わせればあまりにも無責任な発想だ。上で述べたような「反感」が溢れる韓国で、万が一天皇の訪韓中、一部の韓国人による「不祥事」が発生したら、誰が責任を取るだろうか。
 日本の官僚、政治家が韓国で罵声を浴びたり、紙くずみたいなものを投げられたりしたら、それは「ハプニング」と思われるかもしれないが、同じシチュエーションでもその対象が「天皇」になると、それが与える衝撃はあまりにも違う。天皇は日本の「象徴」だからだ。もしそのような事態が起き、それがテレビ画面を通して日本に伝わったなら韓国に反感を持っていた人だけではなく、冷静な立場で静観していた日本人、韓国に好意を持っていた日本人たちも堪忍袋の緒が完全に切れ、韓国に対する日本人の感情は取り返しがつかない状況に陥るだろう。私はそれを懸念しているのだ。
 韓国政府がデモを徹底的に取り締まり、封鎖に踏み切ったとしたら、反日集会や抗議の声は抑えられるという楽観論を述べる人がいるかもしれない。しかし、11月のトランプ米大統領の訪韓を思い出してほしい。当時、トランプ大統領の車が通る車道のわずか数メートル前で行う反米デモを放置したのが韓国政府だ。それに、予告なしの独島エビに、慰安婦ハグの洗礼である。似たようなことが天皇訪韓中に起きたら? 想像するだけでも恐ろしい。
 もちろん、一部の愚かで過激な行為が韓国社会全体の意思を反映するものではない。天皇の写真を持ち出して、デモで侮辱する「一部の韓国人」がいるからと言って、韓国人全体が天皇に対して反感を持っているわけではない。しかし、問題はそのような「一部の行為」ではなく、それに対する韓国社会の態度だ。少なくとも、私は今まで天皇の写真を侮辱するデモや行為に対して、その過激性や非礼を批判する知識人やマスコミを見たことが無い。逆に、マスコミはその画像を伝えながら、これこそが愛国だと、正当な行為であるかのように報道し拡散して来た。
 2015年の慰安婦合意から2年が経った。だが今も慰安婦の銅像は韓国の此処彼処で設置が進められ、自治体が「無許可造形物」であったそれを「公共造形物」として認めるなど「韓国の一部」として定着さえしつつある。このような状況で、天皇の訪韓を求めるなど、あまりにも軽率で、無責任な主張だと評価するのは考えすぎだろうか?
 私は、これから先も永遠に天皇を韓国に招くべきではないと考えているわけではない。だが、マスコミや知識人たちですら国民感情を恐れて天皇を「日王」と呼び、天皇の写真を侮辱することに対し批判することさえもできない現在の「空気」の中では時期尚早だと言いたい。
 あまりにも性急に結果を求めることで、取り返しのつかない事態に陥る可能性がある、いや、今はそのリスクが高すぎる。これが、私が天皇訪韓に反対する理由だ。
 本当に韓国が天皇の訪韓を望むのであれば、まずは歪められた「国民感情」を治癒することを最優先に行動しなければならないのではないだろうか。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/11585

http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/736.html

[政治・選挙・NHK257] 韓国の元駐日大使に聞く、徴用工・慰安婦・レーダー照射問題の背景
2019年2月20日 週刊ダイヤモンド編集部 ,片田江康男 :記者
韓国の元駐日大使に聞く、徴用工・慰安婦・レーダー照射問題の背景
『週刊ダイヤモンド』2月23日号の第2特集は「泥沼日韓 20の大疑問!」です。いま、日韓関係が危機に瀕しています。2018年秋から元徴用工への賠償をめぐる裁判や慰安婦問題、レーダー照射問題などが次々と浮上し、政府間の感情的な対立に発展したことにより、国民の間でも韓国に対してかつてないほどの疑問や不信感が渦巻いています。その背景を元駐日韓国大使の申カク秀氏(カクの文字は王へんに玉)に聞きました。(聞き手/『週刊ダイヤモンド』編集部 片田江康男)

関係悪化が構造的に定着
両国ともに国内政治を優先
Kak-Soo Shin
Kak-Soo Shin/1977年ソウル大学法科大学(法学士)。79年ソウル大学大学院(法学修士)。91年ソウル大学大学院法学博士(国際法)。76年外務部入部。77〜86年条約局国際法規課等を経て86〜89年在日本大使館一等書記官。その後、亜洲局北東アジア一課次席、在国連代表部参事官。02〜04年条約局局長。04〜06年在国連代表部次席大使。06〜08年在イスラエル大使。08〜11年外交通商部第二次官、外交通商部第一次官。11〜13年在日本大使。現在は国立外交院国際法センター所長、ソウル大学日本研究所特任研究員、法務法人世宗(SHIN&KIM) Photo by Yasuo Katatae
――日韓関係の現状をどう見ていますか。

 韓日関係の基本である1965年日韓基本条約から、今年で54年になります。これまでも韓日間にはいろいろな問題があり、両国関係は危機になったこともありました。今回の関係悪化は、非常に長く、もっとも厳しい危機ではないかと思います。

 70年代、金大中拉致事件や文世光による朴正煕大統領夫人の暗殺事件など、韓日関係を危機的な状況にする事件がありました。当時は国交断絶という話まで出ていました。しかし、1年ほど経つと冷静さを取り戻しました。

 でも、今回の危機は長引いています。2012年に入ってから関係が悪くなり、改善したのは15年の韓日合意のとき。その後は小康状態でした。それが16年末からまた悪くなり、それが今まで続いています。

 この悪化は文在寅政権だけが招いたことではありません。朴槿恵政権のときも、そんなに良くなかった。今は、関係が悪い状態が長引くにつれて、両国はより感情的になっていて、お互いにそれを増幅してしまっている。構造的に、関係悪化が定着することになっています。

 その背景には、いろいろな要因があります。まず、両国ともに戦後生まれの世代に変わって、両国の過去史に対する認識の差が出ています。韓国側から見ると、日本は安倍政権になってから保守右傾化、歴史修正主義が顕著になっています。

 また、中国の経済成長によって東アジアの地域の勢力転換が起きています。朴槿恵政権時代、韓国は中国に熱心に接近しました。その反面、韓日関係は悪くなり、日本では韓国の中国傾斜論が広がっています。それは歪んだ見解だと思いますが…。

 さらに、韓日の経済格差も縮まっています。日本とは対等とはいわないまでも、購買力平価で一人あたりの所得はほぼ同じです。

 両国のリーダーシップにも問題があります。双方とも、相手の国がいかに重要な存在であるかという認識が欠けています。だから、国内政治を優先してしまいます。韓国でも日本でも同じです。

 こうした問題がすべて絡まって、両国関係を一種の“多重複合骨折状態”にしています。韓日関係において感情的になってしまう悪循環から、両国ともに抜け出せません。

 昨年は徴用工問題、韓日合意に基づいて設立された「和解・治癒財団」の解散、旭日旗を巡って日本の海上自衛隊が韓国での国際観覧式への参加見合わせなど、さまざまな問題が重なりました。今も尾を引いています。

韓日間にある
法と正義の観念の違い
――韓国は65年の日韓基本条約で合意し、これまで歴代韓国政権が問題視してこなかった徴用工の件と、15年の日韓合意で合意した慰安婦の件を取り上げ、日韓の関係が悪化する要因となりました。日本では「なぜ一度合意したことを韓国は持ち出すのか」という疑問が渦巻いています。

 それは確かにあると思います。この問題を理解するときに、韓日で、法と正義の観念の違いがあることを理解しなければなりません。韓国では「正義があれば、法律は変えるべきだ」という観念が強いのです。これまでも、民主化されてから正義のために過去の司法判決を覆すことはありました。これは日本では滅多に考えられないのではないでしょうか。

 12年の三菱徴用工大法院第1部判決の根底には、この正義と法の関連性があるのです。65年に日韓基本条約を結んだのですが、判決は日本の植民地支配がそもそも不法だったから、それが原因で行われた強制労働の被害者への慰謝料については、請求権を取り扱った65年の請求権協定では解決していないという判断です。その延長で18年10月の大法院判決が出ました。

 基本条約の2条には、日本の植民地支配については「already null and void」(もはや無効)と記されています。日本は65年の条約締結時から無効であるという解釈で、要するに「取り消し」という考え方です。それに対して韓国は、植民地支配が始まった当時から無効であるという解釈をしています。要するに、妥協のため玉虫色の解決をしていたので、これをずっと維持してきました。65年当時の韓国と日本は大きな意見差がありました。

 今回の問題は、こうした韓日での解釈の違いが表に出たのです。先ほど申し上げた韓日での法律と正義という問題もあって、これだけ大きな問題となってしまいました。

 ですから、これは文在寅政権が引き起こした問題ということではないのです。

 12年の判決ができたとき、政権は動きが取りにくくなりました。政府がそれまでの立場を守ろうとすると、司法の判断に従わないということで、韓国の憲法に反する。一方で、司法の判断に従えば、日本との外交紛争に発展する。板挟みになってしまいました。

――法と正義の観念の違いについて、そうした韓国の考え方を外交に持ち込めば、国と国との約束が守られないという事態を招くことになるのではないでしょうか。

 それは韓国政府も認識していると思います。ただ、事実として、韓国政府は動きにくい状態にあります。

 私はこれまでの既存の政府の立場と、司法の判断と矛盾しない解決策として、韓国政府、韓国企業、日本企業の3者による基金をつくり、徴用工問題に対処するということを提案しています。これは法律による解決ではないですが、この案が合意出来れば解決に向かうのではないかと考えています。

――日本側は65年の日韓基本条約で合意したという立場です。

 日本政府は5億ドルを支払ったから、この3社からは除いています。

 中国強制労働被害者への戦後補償について、日本企業は基金を設立して和解のために努力していました。日本政府は中国にODAを通して、賠償金よりも遥かに大きな資金を拠出しています。

 ドイツでは強制労働の問題について戦後、100億マルクを政府と企業が拠出して解決しました。戦後賠償について企業が資金を拠出することは先例があるのです。

 私は、これは姿勢の問題だと思っています。これ以上、韓日関係を悪くしてはいけない。両国政府はお互いが置かれている立場を理解して、妥協的に解決するという心構えをもっていれば、解決できると思います。それに韓日両政府は、今、東アジアの大きな激流のなかにいるということを理解するべきです。北朝鮮も核保有国に近づいているし、中国もますます大きくなっていくでしょう。東アジアの平和と安定のために、韓日両政府は大局的な視点を持つことが大事です。

 韓国と日本は、OECD加盟国で同じ土台で話ができる国同士なのです。お互いが感情的になっている暇はありません。これ以上韓日関係を悪化させれば、もっと大きな国益を損なうことを肝に命じるべきです。

――大法院の金命洙長官は、徴用工問題について個人賠償権は消滅していないという考えの持ち主で、弁護士として徴用工問題に取り組んでいた文在寅大統領と考え方が近い人物だと言われており、実際に2017年、文在寅大統領が任命しました。この問題を浮上させたのは文在寅大統領だという指摘もあります。

 それは言いすぎです。もちろん、金命洙院長は地方法院の院長を務め、韓国の司法部の中でも、進歩的な考え方をする研究会の座長でした。文在寅大統領は、徴用工問題に確かに最初取り組んでいましたが、個人的な縁はないと思います。今度の判決は合議体が下したものですから、大法院の人事が判決に影響を与えているとは思えません。

南北融和は分断国家として
当然の外交目標である
――今の文在寅政権は日本や米国との関係悪化を厭わず、政策を進めているように見えます。先日も北朝鮮に対する制裁について、韓国が違反しているのではないかという報道がありました。外交専門家の間では、このままでは文在寅政権は国際社会で孤立するのではないかと憂慮する声もあります。

 文在寅政権は発足以来、南北間の和解をするために、ずっと北朝鮮の門を叩き続けていました。ただ、17年は北朝鮮は核実験やミサイル発射実験など挑発を続けていましたので、なかなか進まなかった。ところが、18年になって急に門が開いた。平昌オリンピックをきっかけに南北と米朝がそれぞれ接近し、3回目の南北首脳会談が開かれ、6月には米朝首脳会談が行われました。

 文在寅政権の基本的な姿勢は、南北関係を改善し、それによって核問題の解決と米朝関係の改善につなげるというものです。ただ、問題は文在寅大統領は少し気が早くて、アメリカと接近法において差が出ました。文在寅大統領は制裁の一部を緩和して、南北関係を良くし、米朝が協議する環境を整えようという考え方です。

 一方で、アメリカは非核化が出来るまで制裁を維持するつもりです。その意見の食い違いを調整するために韓米のワーキンググループを発足させました。

――北朝鮮の核開発は続けられていると見られています。国際社会は今、北朝鮮に対して非常に厳しい目を向けています。今の文在寅政権の対北朝鮮政策が国際社会と歩調が合っていないのは、地域の平和にとってマイナスなのではないでしょうか。

 南北融和を目指すこと自体は、分断国家として当然の外交目標です。その方針自体が間違っているというわけではありません。

 ただ核武装が実際に近づいているということをよく理解して、南北融和よりも核問題の解決が優先されるべきだということです。韓国は今、ちょっと急いでしまっています。このままでは、北朝鮮の思惑通りになってしまうということを心配しています。

 非核化には米国と日本との協力は欠かせません。韓国は日本との関係がいかに大切であるかということを、よく考えるべきだと思います。そして日本も、韓国が大事な存在だということを考えるべきです。

両国とも元慰安婦の方々への
心配りが足りなかった
――2015年の日韓合意は、慰安婦問題を最終的に解決したとして、今後の日韓関係の基礎になるものだと評価する声もありました。しかし、韓国政府は合意には重大な問題があるとして検証を進め、「和解・癒やし財団」は解散されてしまいました。

 外交交渉にはつねに妥協がつきものです。お互いに満足できないところは常にあります。

 韓日合意の問題は、合意を発表してからの両国の努力不足にあります。韓国政府も日本政府も、国民に対してこの合意がどのようなものなのか、どのような意味があるのか、説得して理解してもらわなければなりません。そういう努力が、両国政府に欠けていました。それを看過してきた結果です。

 慰安婦の問題は、心の問題です。どのようにして元慰安婦の方々の心を癒やすか。両国ともにそれについての心配りが足りなかった。行動も足りなかった。例えば、韓国政府については、当時の朴槿恵大統領や外交部長官が元慰安婦の方を食事にでも招いて、政府として合意の意味を伝えて、十分に元慰安婦の方の願いは反映できていないかもしれないが、足りない部分は韓国政府としてもこれからも努力していくということを伝えるべきでした。それをやれば、だいぶ違った結果になっていたでしょう。

 一方で、日本政府も対応がまずかった。安倍総理は、最終的に解決したからこれからは謝罪はない、という趣旨のことを言った。これは絶対にやってはいけない対応でした。合意した途端に、すぐにその合意と違う発言をしたんです。これからも謝罪の精神にのっとって、努力していくと言えばよかった。

 両政府は過去史に立場が大きく違います。その違いをどういうふうに歩み寄り、国民にどのように納得させるか。お互いに両政府は、国民を納得させるために助け合わないといけません。その姿勢がありませんでした。

 私が強調したいのは、お互いが謙虚に、協力して、未来のためにやっていくということです。日本は過去に対して謙虚に、韓国は未来に対して謙虚に、そういう気持ちが必要です。それで和解にもっていく。韓国もすべてが正しいわけではありません。良いことばかりやっているわけではありません。大事なのは解決のためにお互いが協力することです。

――今後はこの問題について、解決に向けてどのように進めばよいのでしょうか。

 私は財団の解散には反対でした。しかし、解散してしまった。韓国政府は残された57億ウォンを、合意の精神に合う形で、どのように使っていくのか。日本政府と協力して具体的な案を韓国側がつくっていくことが重要です。それがなければ、進展しません。

――韓国では、物事を論理ではなくハートで考えるという指摘があります。

 確かに、韓国人は日本人よりも、相対的にそういう傾向があるかもしれません。ですが、過去史以外に韓日関係にあるさまざまな問題について、そういう傾向はあまりありません。

 過去史の問題は、心の問題です。アイデンティティの問題ですので、ハートで考えることになりがちなのです。でも一般的なこととは違います。

 今年も750万人以上の韓国人が日本を訪れています。これは日本の良いところを認めているからです。ハートで判断するということは確かにあると思いますが、全てではないです。

表に出ている声だけが韓国全体の
日本に対する考え方ではない
――レーダー照射問題についてはどうお考えでしょうか。

 この問題は非常に軍事的な問題で、専門家でなければわからない問題です。きちんと両国の防衛当局同士で話し合うことが基本です。徴用工問題や慰安婦問題で、日本政府が苛立っていますが、問題が大きくなってしまい、韓日の安保協力に大きなダメージを与えてしまいました。お互いに良くないです。両国政府は感情的にならず、冷静に問題解決にあたるべきです。こんなに問題を大きくして、誰が喜ぶのでしょうか。

――文在寅大統領は、日本に対して強硬な姿勢です。軟化することはあるのでしょうか。

 韓国には「親日フレーム」があります。韓日関係を重要に思って、関係改善へ向けて発言することを難しくする雰囲気を作っています。その雰囲気をSNSで増幅するのです。そのため、なかなか声が出せません。今のような韓日関係が好ましくないと思っている人はたくさんいます。表に出ている声が韓国全体の考え方だと思ってはだめです。

 いずれ国民感情は変わると思います。両国民の無知、誤解、偏見を無くすための緻密な努力が必要で、もっと国民交流と文化交流を強化すべきです。

 いまの苦しい状況から早く抜け出すには、シャトル外交を復活して文在寅大統領と安倍総理が直接話し合うべきだと思います。何かあったら話し合う、その機会をつくることです。

 お互いに気が進まないでしょう。それはお互いにそうです。しかし、地域の平和と安定、国のため、対話をして解決の糸口を探る努力をするべきです。

 私は実は、未来志向という言葉は適切ではないと考えています。21世紀にふさわしい韓日関係を構築するといことが現実に適います。私は1977年に外交部に入りました。その時から韓日関係のコードワードだったのが「未来志向」です。40年経っても変わらないでいますね。それに未来志向というのは、過去をすべて忘れるというような印象をも与えています。そうではなくて、私は過去も現在も未来も、ともに考えることが大事で、それが韓日関係を進展させるために必要だと思います。

 今、両国のリーダーたちはお互いを軽んじています。相互パッシングの状態です。韓国政府も日本政府も、自分にとってお互いが大切な存在であることを真剣に考えることが必要です。
https://diamond.jp/articles/-/194564
http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/747.html

[国際25] 世界の一層の混乱を防ぐ鍵は「経済重視」の合理的思考だ 田中 均 :日本総合研究所国際戦略研究所理事長
2019年2月20日 田中 均 :日本総合研究所国際戦略研究所理事長
世界の一層の混乱を防ぐ鍵は「経済重視」の合理的思考だ

Photo:PIXTA
 世界の混乱の引き金になる事態が、2月末から3月にかけて同時並行的に進んでいく。

 米国では、「国境の壁」建設予算を巡って、異例の非常事態宣言を出したトランプ大統領と議会の対立激化から、政府機関の閉鎖問題が再燃する可能性があるほか、ロシアゲートの捜査報告が提出される予定だ。

 東アジアでは2月27、28日にベトナムで2回目の米朝首脳会談が開催される。息つく暇もなく3月1日には米中貿易戦争の「休戦期間」が終了する。

 そして、日韓関係が戦後最悪になる中で、韓国では日本統治下での抗日独立「3.1運動」から100周年の行事が3月1日に予定され、大きな反日のうねりにつながりかねない。

 欧州に目を向ければ、3月29日の欧州連合(EU)離脱期限が迫るなかで、英国の「合意なき離脱」の可能性が高まってきた。

 世界は一層の混乱に陥ることになるのか。

トランプ大統領の「極端な行動」
止めるのは「経済への考慮」
 流れを左右するのは、とりわけ米国、トランプ大統領の動向が大きい。

「国境の壁」建設を巡る議会との対立では、建設予算の一部を盛り込んだ2019会計年度予算案が合意され、政府閉鎖の危機が去ったかに思われた。

 だが、トランプ大統領はメキシコ国境の壁建設のため十分な予算が確保されていないとして、予算を捻出するため非常事態宣言を発令した。

 トランプ大統領の念頭にあるのは2020年11月の大統領選挙での再選だ。

 おそらくトランプ大統領は、特定の政策実現に向けて民主党と妥協していくよりも、民主党と対峙し違いを見せていくほうが得策と考えているのだろう。

 国家非常事態宣言で予算の流用をするという異例の措置をとってでも、自らの「選挙の公約」にこだわるということか。

 しかし予算流用のため非常事態宣言を発するという議会を無視した非民主的強権措置がすんなり通るとも思えない。

 一方、ロシアゲートに関する特別検察官の捜査も近々、報告書が提出される見通しだ。

 報告では弾劾に値するような事実が明らかになることが予想される。

 民主党はおそらくトランプ大統領の支持率が大幅に低下し、共和党議員が造反して上院で3分の2の票を得る見通しがつかない限り、弾劾に持ち込むことはあるまい。

 むしろ民主党が多数を占める下院で、ロシアゲートに限らず、脱税や女性問題など幅広い問題について関係者の証言を得て、トランプ大統領を追い詰めていく戦略をとる可能性が高い。

 今後、非常事態宣言の是非を巡り法廷闘争を含む激しい駆け引きが予想され、与野党合意のないまま3月1日の米国債の債務上限引き上げ期限を迎える可能性がある。

 政府の債務上限引き上げで合意ができないとなれば、再び政府機関の閉鎖という問題が起きてくる。

 そうなりそうな時に、トランプ大統領にとって最大の懸念は経済への影響だろう。

 政権発足後、数々の批判があっても40%前後の支持率を維持できてきた最大の理由は好調な米国経済があったからだ。

 米国経済はどこかで景気後退期の循環に入っていくこととなるが、政府閉鎖などが景気後退に拍車をかけることとなれば、トランプ大統領としても無理はできまい。

 トランプ大統領の極端な行動を止められるのは唯一、「経済」への配慮かもしれない。

北朝鮮の「非核化」
進める鍵は経済制裁
 こうした背景の中で、米朝首脳会談(2月27日、28日)の開催が予定され、米中貿易戦争の休戦期限(3月1日)を迎える。

 トランプ大統領は、大きな政治的成果を示す格好の機会と考えているのだろう。北朝鮮の金正恩労働党委員長にとってもその思惑は同じだろうが、米朝首脳会談ではどのような「成果」が期待できるのだろうか。

 今回の首脳会談が昨年6月12日と同じような抽象的原則の合意で終われば、成果なしの失敗という批判を受けることになる。

 おそらく北朝鮮は、米国の対応措置次第で大陸間弾道ミサイル(ICBM)の廃棄、寧辺(ヨンビョン)のプルトニウム型核爆弾開発に必要な核施設の廃棄に応じるつもりではないか。

 仮に寧辺の核施設を廃棄しても濃縮ウラン型で核爆弾を製造できると踏んでいるのではないか。

 見返りとして米国に求めるのは、経済制裁の緩和、朝鮮戦争の終戦宣言、平壌(ピョンヤン)における連絡事務所の設置といった課題についてではなかろうか。

 これに対して、米国は国連安保理の経済制裁のうち、人道支援及び南北間の制裁緩和について例外を認めるのかもしれない。

 韓国の文在寅政権は南北融和に強く傾斜している。こうしたこともあって米国は、開城(ケソン)の工業団地再開、金剛山の観光開発、南北鉄道連結に必要な南から北への資金の流れを制裁の例外として容認する可能性がある。

 終戦宣言については、国連軍の解体だけでなく在韓米軍の存在にも影響を与えるので直ちに合意ということにはならないと思われる。終戦宣言に向けて協議を始める(おそらく南北米中の4者で)という合意になるのだろうか。

 米朝間の連絡事務所設置については、合意する可能性が高い。

 こうした合意がされたとしても、「包括的な核廃棄」という目標からは程遠いし、長いプロセスに向けての一歩ということにすぎない。

 またこれまでの日本の主張ともそぐわないが、それでも北朝鮮の核・ミサイルを巡る状況が改善されることは明らかだ。米国内でも一定の評価を得られるだろう。

 一方で何らの具体的合意も達成されなかった場合には、むしろ強い批判の対象となるだろうし、トランプ大統領が強硬策に反転していく可能性もある。その場合の混乱は大きい。

貿易不均衡是正では妥協
経済への影響を回避したい米中
 米中貿易戦争についてもトランプ大統領は大きな成果を期待するのだろう。

 米国の赤字解消に向けて中国側が数年度にわたり膨大な量の米国産品を買い付けることや、金融・サービスセクターの規制緩和、知的財産権法制の強化といった点に関する合意はされるだろう。

 しかし米中対立の根幹にある構造的問題の解決策は容易ではない。

「中国製造2025」計画に象徴される共産党主導の先端産業開発計画は軍事技術開発にもつながる。これが世界貿易機関(WTO)に反する政府補助金や外国企業からの強制的技術移転などを伴うものである限り、米国は計画中止の要求を下ろさないだろう。

 一方で中国も「核心的利益」として妥協を拒む。

 したがって先端技術を巡る米中の対立は長く続かざるを得ないが、貿易不均衡是正の当面の措置については休戦期間を延長したうえで米中首脳会談を行い、一定の合意ができた形を作るのだろう。

 このような妥協のシナリオが探られる背景には、米中双方に経済への大きな影響は避けたいという思惑があるからだ。

 中国の経済成長率は2018年に6.6%と減速した。貿易戦争が長引けば、対米国だけではなく中国の貿易全般の縮小につながる可能性が高く、成長率の一層の低下を余儀なくされる。

 高い経済成長率の維持が政権安定のために必須と考える習近平総書記と、メキシコとの間の壁建設を巡る議会との対立で国内政策が停滞している時、一定の成果を得たいと考えるトランプ大統領の思惑は一致する。

 やはり事態を収拾する最大の鍵は「経済」なのだ。

 BREXITについては3月29日の離脱期限に向けて不透明な情勢が続く。

 英国議会は、英政府とEUの間でいったん合意された離脱協定の再交渉を命じ、メイ英首相は2月26日までにEUとの合意修正案を議会に示すとされている。

 しかしEU側は再交渉を否定しており、このままであれば「合意なき離脱」必至ということになる。

 イングランド銀行の試算によれば「合意なき離脱」が英国経済に与える悪影響は、英国のGDPの8%相当に及ぶ。

 また英国だけではなくEUや、欧州に展開する日本企業にも甚大な負担が予想される。

 どう考えても英国のような伝統ある民主主義国家で経過期間もなくこれほど非合理なことを容認するとは考え難い。

 だとすれば、ぎりぎりのタイミングで微調整を施し離脱案の議会通過を図るか、あるいは6ヵ月程度期限を延長して修正案作りに再度取り掛かるということしか選択肢はないのではないか。

 英国が、離脱ありきで「合意なき離脱」を強行するなどとは考えたくはない。

排他的なナショナリズム
歯止めになるのは経済合理性
 いま世界で起きている混乱の背景には、ポピュリズム政治が吹き荒れていることがある。

 その最大の特徴は、政権維持の基盤を、例えば排他的ナショナリズムやエリートに対する反感といったきわめて脆弱な感覚的要素に委ねていることだ。

 そしてそのことによって、中長期の国益を重視したプロフェッショナルな意見をいとも簡単に切り捨てていることにある。

 危機を招いている事態が収拾できるかどうかは、そうしたポピュリズムに流されず、関係する政府が合理的な判断ができるかどうかにかかる。

 グローバル化が進んで世界の相互依存関係が深まった今、国民生活を維持発展させる「経済」重視の合理的思考が鍵を握るような気がする。

 日韓関係の悪化の要因を見ても、まさにポピュリスト的要素が濃厚な韓国の文在寅政権と、ナショナリズムの色彩が強まっている日本の対韓アプローチがぶつかり、出口をなくしている状況なのだろう。

 詳細については、前回の本コラム(2019年1月23日)「緊張が高まる日韓の『不信の連鎖』を払拭する方法はある」で書いたが、この問題でも鍵を握るのは、経済だ。

 日韓両国経済には相互補完的な要素も強く、関係の悪化で両国の経済や人の行き来に影響が出てくれば、日韓政府は、冷静に協議し出口を見いだす努力をしていかざるを得なくなるだろう。

 世界の歴史を見れば、大きな混乱は非合理的な排他的ナショナリズムの強まりや、また時には予想とは違う事態があって生じてきた。

 BREXITを生んだ英国の国民投票やトランプを生んだ米国の大統領選挙が大方の予想に反したように、歴史は繰り返されるのかもしれない。

 グローバリゼーションは諸国間の相対的国力の変化と民主主義国家のポピュリズムへの傾斜を生み、結果的に国際秩序が壊れつつあるとされる。

 しかし同時に、グローバリゼーションを生んだ経済合理性や結果としての経済相互依存関係の深まりが、そのような潮流に歯止めをかけることができると信じたいと思う。

(日本総合研究所国際戦略研究所理事長 田中 均)
https://diamond.jp/articles/-/194551
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/477.html

[経世済民131] 「異常気象」が世界経済の最大かつ恒常的なリスクになり始めている
2019年2月20日 末澤豪謙 :SMBC日興証券金融財政アナリスト
「異常気象」が世界経済の最大かつ恒常的なリスクになり始めている
溶けて割れた氷
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「今冬は暖冬か、厳冬か?」。この質問に対する、答えはどうなるだろう。

 北日本に住んでいる人は、「今年の冬は寒かった。過去最強クラスの大寒波も来襲したし」と答えそうだが、西日本、特に、九州・沖縄・奄美の人は、「今年は暖冬。記録的な暖かさだった」と、答えるかもしれない。

 実際、気象庁の発表でも、昨年12月や今年の1月は、北日本を除けば、全国的に気温は平年に比べて高めとなっているが、2月初旬には、記録的な寒波が到来、全国的に気温が低下した。

 それが、今週になると気温が一気に急上昇するなど、変動の大きい天候が続いている。

寒暖差や地域差
世界的な「異常気象」

 寒暖差、ボラティリィティーが大きいのに加えて、地域間での差が大きいのが、今冬の特徴だ。

 北海道では、連日、大雪のニュースが報じられているが、東日本から沖縄・奄美にかけては、昨年12月に続き、1月も平年に比べて高い気温となり、特に沖縄・奄美では相当な暖冬となっている。

 気象庁が発表した「全国3ヵ月予報(2月から4月までの天候見通し)」でも、こうした地域によっての差が大きい状態が続く見通しだ。

 こうした「異常気象」は、世界的にもみられている。

 今冬は、米国の中西部が大寒波に襲われる一方、オーストラリアでは猛暑により、2019年1月は観測史上最も暑い月となるなど、それぞれの地域によって、これまでとは違う異変に見舞われている。

 WMO(世界気象機関)によると、世界の2019年1月の平均気温は1981年から2010年の平均よりも0.4度高かったが、特に高かったのはオーストラリアで、中東や東部シベリア、モンゴル、中国の北東部でも高かった。

 オーストラリアでは熱波に襲われ、アデレードで1月24日に最高気温46.6度を記録。一方で降水量は平年の38%にとどまり、南部タスマニア州で山林火災が多発、4万ヘクタール以上が焼失した。

 一方、気温が平均以下の地域は北極海周辺の広い地域でみられた。

 北米では北極の寒気が気流の変化により流れ込んだため、米東海岸やカナダなど広い地域で低温となった。米中西部ミネソタ州では1月30日、氷点下53.9度の猛烈な寒さを記録した。

背景に地球温暖化
平均気温は過去5年が上位

 こうした異変がなぜ起きているのか。

 WMOのペッテリ・ターラス事務局長は、レポートで「北極地方で大量の氷や雪が融解していることが、北半球の気象パターンに影響している」と、コメントしている。

 地球温暖化で、北極海の氷が融解しているが、それによって起きる極渦(北極及び南極の上空にできる大規模な気流の渦、周極渦)の蛇行が今年は著しく、北米や北海道を襲っている大寒波の要因になっているというわけだ。

 つまり、「異変」の背景には地球温暖化があるだけでなく、温暖化が異常気象やさらに自然災害を招く要因になっているという。

 最近でもさまざまな国際機関が、地球温暖化の加速を指摘している。

 NASA(米航空宇宙局)は2月6日、2018年の地球の平均気温が1880年以降の観測史上4番目に高かったと発表した。

 1951年から1980年までの30年間の平均気温に対し、2018年の平均気温は、華氏1.5度(摂氏0.83度)高まったとのことだ。

 過去最高は2016年で、次いで2017年、2015年、2018年、2014年の順となり、上位5位を2014年以降の5年間が占める。(図表1)

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世界の平均気温の推移
 
 ニューヨークにあるNASAのゴダード宇宙科学研究所(GISS)のディレクター、ギャビン・シュミット氏によると、1880年代から、世界の平均表面温度は、華氏2度弱(摂氏1度)上昇した。

 こうした温暖化は、二酸化炭素と人間の活動に起因する他の温室効果ガスのさらなる放出に主に起因しているとのことだ。

 また、気象庁が2月4日に発表した2018年7月の世界の平均気温(陸域における地表付近の気温と海面水温の平均)の基準値(1981〜2010年の30年平均値)からの偏差は、+0.31℃(確定値)で、1891年の統計開始以降4番目に高い値になっているという。

 国連のWMOも6日、2018年の世界の平均気温が産業革命前に比べておよそ摂氏1度上昇し、過去4番目に高かったと発表した。

 過去最高は強いエルニーニョ現象が発生した2016年で、産業革命以前のベースラインに対し摂氏1.2度上昇。2017年と2015年は産業革命以前に対し摂氏1.1度上昇した。

 また温暖化は、北半球の高緯度地域(北緯23.6〜90度)と熱帯地域(北緯23.6〜南緯23.6度)と南半球の高緯度地域(南緯23.6〜90度)を比較すると、過去50年ないし100年単位でみると、北半球の高緯度地域の気温上昇が最も著しい(図表2)。

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3つの緯度地域における気温変化の推移(北半球の高緯度地域、熱帯地域、南半球の高緯度地域)
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 これは、海洋よりは陸地の気温上昇が著しく、北半球では陸地の占める割合が高いことと関係している。

 地球全体の海洋と陸地の面積比は、71%対29%だが、北半球では陸地の面積が約4割に対し、南半球は2割弱に過ぎず、陸地は北半球に集中している。

 また、北半球は南半球と比較すると、北半球は温帯地域に陸地が多いことも特徴だ。北半球の北緯30〜40度と、南半球の南緯30〜40度の地域は、同じ温帯地域だが、陸地面積比は、前者が約4割であるのに対し、後者は約1割と小さい。

 温暖地域で陸地が北半球の方が多い結果、現在の世界人口約76億人(推定)の9割超は北半球に居住し、そのことがまた、北半球の温暖化をより進めたと考えられる。

 特に、1990年以降、人口の多い中華人民共和国(現在約14億人)やインド(約13億人)等の新興国で、経済成長が進展、化石燃料などのエネルギー消費が爆発的に増えたことも一因と考えられる。

 地球温暖化が異常気象を招く要因になっている以上、過去30年間の世界の平均気温の推移で、2014年以降の過去5年間が上位5位を占めていることを勘案すると、今後は「異常気象」が恒常的に発生する可能性に留意する必要がありそうだ。

「グローバルリスク」で
3年連続「1位」
 さらにこうした異常気象は、中長期的には世界経済にとっても大きなリスクとなる可能性が高い。

 1月22日から25日までの日程でスイスのダボスで年次会合、いわゆる「ダボス会議」を開催した世界経済フォーラム(WEF)は 1月16日、2019年版の「グローバルリスクレポート」を発表した。

 14回目となる2019年版のレポートでは、今後10年間に世界が直面するリスクに関して、「発生する可能性の高いリスク」の第1位に「異常気象現象(Extreme weather events)」が挙げられた。

 ここでも、地球温暖化に加え、温暖化と近年、米国などを襲っているハリケーンや山火事の被害、アジアの台風被害などの関係が意識されたようだ。

 一方、「影響が大きいリスク」の第1位に挙げられたのは「大量破壊兵器(Weapons of mass destruction)」だった。

「発生する可能性の高いリスク」として異常気象現象が、「影響が大きいリスク」として大量破壊兵器がそれぞれ第1位を占めたのは、2017年版以降、3年連続だ(図表3)。

グローバルリスク2014、2015、2016、2017、2018及び2019
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 先の図表では、オレンジ色は「地政学的リスク」、緑色は「環境リスク」、青色は「経済リスク」、ピンク色は「社会リスク」に分類される。

 2015年版ではオレンジ色の「地政学的リスク」が上位を占めていたのに対し、2016年版では緑色の「環境リスク」とピンク色の「社会リスク」が上位を占め、2017年版では全体の半分が緑色の「環境リスク」で占められている。

 2018年版及び2019年版では「環境リスク」は全体の6割に達した。

 WEFは近年の環境リスクの急激な高まりを指摘するとともに、気候変動等が紛争や移住といった他のリスクと強い連関を持っていることも強調している。

 たとえば、シリア内戦→難民の移動の背景に同地域の気候変動も影響していると考えられる。

 シリアでは2006年以降、厳しい干ばつが続いた結果、農村から都市に大量に人が移動することになった。それが部族間や宗教間の対立激化の遠因になったが、干ばつは地球温暖化で悪化したと見られる。

 このように、環境リスクの高まりが社会リスクや地政学的リスクを増大させることにもつながっている。

 2016年末にパリで開催された「COP21」で「パリ協定」が採択され、2016年11月に発効したのも、そうした危機感の表れといえそうだ。

自然災害による損失額
18年は世界で1600億ドル
 現実に、温暖化の伴う自然災害の多発で、各国は巨額の損失をこうむり、世界経済にとっても大きなリスクになり始めている。

 2017年秋にはラニーニャ現象が発生、ハリケーン被害や猛暑や大寒波等が問題となった。米海洋大気局(NOAA)によると、ハリケーンや竜巻、大雨、洪水、干ばつ、山火事等、気象災害による2017年の米国での被害総額は3062億ドルにのぼった。

 被害額はハリケーン「カトリーナ」が上陸した2005年(2148億ドル)を上回り、史上最高になった。

 また再保険大手のミュンヘン再保険によると、2018年の自然災害による世界全体の損失額は1600億ドルに及んだ。

 前年の3500億ドルからは半減したとはいえ、過去30年の平均(インフレ調整後1400億ドル)を上回る。保険金支払額も800億ドル(前年1400億ドル)と、30年平均(インフレ調整後410億ドル)を大きく上回ったという。

 このうち、2018年に最も損失額が大きかった自然災害は、米カリフォルニア州で生じた山火事の「キャンプファイア」で、165億ドルの損失(保険カバー額は125億ドル)となった。

 次いで、損失額が大きかったのは米国南東部を襲ったハリケーン「マイケル」の160億ドル(同100億ドル)。さらに米国東部を襲ったハリケーン「フローレンス」の損失額140億ドル(同50億ドル)が続く。

 なお、カリフォルニア州全体の山火事による損失額は240億ドルに達したという。

 また欧州では干ばつ被害で39億ドルの損失(保険カバー額は2億8000万ドル)が発生した。

 日本でも、台風21号によって125億ドル(同90億ドル)の被害を受け、7月の西日本豪雨では95億ドル(同24億ドル)、大阪と北海道の2つの地震で計90億ドル(同20億ドル)の被害を出した。

 WEFの指摘のように、「異常気象」が中長期的には、世界経済の「最大の」しかも「恒常的な」リスクとなる可能性は十分に想定されそうだ。

(SMBC日興証券金融経済調査部金融財政アナリスト 末澤豪謙)
https://diamond.jp/articles/-/194546
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/222.html

[経世済民131] 「バイトテロ」は雇用する企業が強欲を捨てなければ今後も必ず起きる 「バイトテロ」への企業の法的措置と、ぬぐえない違和感
2019年2月20日 井出留美 :食品ロス問題専門家、消費生活アドバイザー、栄養学博士
「バイトテロ」は雇用する企業が強欲を捨てなければ今後も必ず起きる
バイトテロの大半が「食の問題」
写真はイメージです Photo:PIXTA
コンビニや飲食店のアルバイト店員らによるSNSなどへの動画投稿で炎上騒動を引き起こす「バイトテロ」。これらの多くが「食べ物」に関する問題だ。根底にあるのは「食べ物への敬意のなさ」だが、これは雇用者側である企業側にも責任があるのではないだろうか。(食品ロス問題専門家、消費生活アドバイザー 井出留美)

「バイトテロ」の大半は
「食」の問題
 主にアルバイトなどが、勤務先で食品を不適切に扱う動画をインターネット上にアップする「バイトテロ」の問題が世間を騒がせている。全国の出店数が数百から数万という大企業で、コンビニや飲食店、カラオケなどがほとんどだ。

 この問題で不思議なのは、ほぼ全てが食べ物を不適切に扱う「食」の問題であるにもかかわらず、「食の専門家」が誰も出てこないということだ。インターネット上に載せたからこそこれだけ大きな騒ぎになったわけで、ITリテラシーが問われているが、載せる載せない以前に、「食べ物をおもちゃにする」、その行為自体が稚拙であり、常軌を逸しているだろう。

 この問題を語るのは、総じてインターネットの専門家やコンサルタント、労働問題に取り組む人などがほとんどである。「食の専門家」は自ら発言することもしていないし、メディア側からも有識者として声がかからないといえる。あまりに問題のレベルが低すぎて、食の専門家もコメントのしようもないともいえるが……。

 筆者が考える要因の1つは「食べ物への敬意のなさ」だ。

 これはアルバイト側だけではない。雇用者側も同じだ。

 そう言うと、「ちゃんと雇ってから社員教育してますよ」と言われるかもしれない。実際、雇用されてから、過去に発生した不適切動画を見せるなどして、これらが「許されない行為」であることを強調し、禁じていたと報道されている。

 だが、心から食べ物に敬意を払っての教育だっただろうか。

雇用者側にも
欠けている「緊張感」
 食べ物のもととなる肉も魚も鶏の卵も、全て彼らの命を捧げてできたものだ。食べ物が命であること、それらを食として提供するのに生産者がどれほどの苦心を重ねているかということを胎(はら)の底から感じ、理解していれば、そもそもそのような行為はできないだろう。

 食べ物を大事にするということは、生き物の命や生産者への敬意を持つということである。ただマニュアルで「禁止です」と言っても、言われる側が心から納得していなければ、面白がってやるだろう。

 食べ物を“おもちゃ”にして遊ぶ行為は、しばしば乳幼児で見られる。「成年」の定義が変わり、18歳から成人とみなされることになったが、実際には18歳前後でも“幼児並み”の精神状態の人が存在するということだろう。

 アルバイト側の責任も大きいが、食べ物は一歩間違えると、食中毒を引き起こし命に関わる大問題につながるという危機意識を、雇用者側が持っていたかどうかも疑問である。

 アルバイトだけに調理を任せたり、重要な作業を任せたりというのは、雇用者側の人間も、食が命から生まれ、われわれの命に関わるという“緊張感”を持っていない証拠ともいえる。

 かつて筆者が勤めていた食品メーカーでは、2000年代に発生した食中毒事件以来、食品の製造工場での品質管理は、製薬工場並みのレベルが求められるようになった。何しろ一歩間違えたら大勢の人の命を奪うことになるのだ。

 企業としても、長年かけて積み上げたブランドや信頼を一瞬にして失う。売り上げも、売り場(商品の棚)も。良心的な食品製造業者は、それだけの緊張感とプライドと責任感を持って仕事に当たっている。

そもそも
出店が過剰である
 もう1つ、この問題を語るに当たって不思議なのは、「そもそも出店が過剰である」ことに誰も触れないということだ。コンビニしかり、飲食店しかり。「買い物難民」が社会的課題となっている過疎部の話ではなく、人口が密集している都市部の話だ。

「慢性的な人手不足」が要因という説もある。

 でもそれを作り出したのは、過剰なほど出店を繰り返してきた、当の企業自身ではないだろうか。

 アルバイトではなく正社員を雇用することや、アルバイトの時給を上げることなども、解決策として挙げられている。

 だが、人材採用において「質より量」の事態を作り出したのも、当の企業自身と言える。「出店過剰をやめましょう」とは、誰も言わない。今の事業規模を保つこと、では不足で、必ず「対前年比何%増」を唱える。

 2019年1月、恵方巻きの大量廃棄を防ぐために、農林水産省が小売業界に対し「需要に見合う数を販売するように」と通知を出した。

「お手本に」と挙げたのは、「前年実績で作る」と宣言して実行した、兵庫県のヤマダストアーである。彼らは2019年も2018年も「前年と同じ実績で」恵方巻きを作り、過半数の店で完売した。恵方巻きが「モノ」ではなく、海洋資源などが詰まっており、それらを廃棄するのは心が痛むから、としている。

 だが、マスメディアの報道を見れば、農林水産省の通知に反し、大手小売はどこも「前年実績を上回る目標」を立てた。

雇用者自身が
食への敬意を取り戻すべき
 筆者が大学生とともに2月3日夜の閉店前の百貨店やコンビニ、スーパーを回ったところ、多い店では500本近くの恵方巻きが残っていた。つまり、一部の企業では、国(農林水産省)の通知などスルーしたということだろう。

 3月24日締め切りで国(経済産業省)が行っているコンビニ加盟店調査も、大手コンビニ加盟店オーナー複数名に取材したところ「本部から案内が来ていなかった」と答えた。加盟店の実態と個別事例を収集する調査であるが、各コンビニチェーンの本部は、どうやらあまり積極的に協力したいとは思っていないようだ。

 こんな調子では、バイトテロは今後も必ず起きるだろう。

 アルバイトだけでなく、雇用者自身が「もっともっと」という強欲さを捨て、食べ物への敬意を取り戻さない限り。
https://diamond.jp/articles/-/194497


 
「バイトテロ」への企業の法的措置と、ぬぐえない違和感

河合 薫
健康社会学者(Ph.D.)
2019年2月19日

飲食店やコンビニエンスストアの店員による不適切動画の投稿、いわゆる「バイトテロ」が相次いでいる(写真はイメージ/shutterstock)
 コンビニや飲食店などの店員による「不適切動画」に対し、企業側が謝罪する事件が相次いでいる。

 そのきっかけとなったのが、牛丼チェーン「すき家」の店員が先月21日、インスタグラムの24時間限定で公開する機能「ストーリーズ」を使い投稿した動画。氷を床に散乱させたり、おたまを股間に当てるなどした様子が映されていた。その後、ツイッターに転載され拡散。批判が殺到した。

 31日にすき家本部は謝罪し、店員を退職処分にした。

 今月4日には、「無添くら寿司」の店員がゴミ箱に捨てた魚をまな板に戻す様子の動画がSNSに投稿され、瞬く間に炎上。6日にくらコーポレーションはHPで、「類似の事故が様々なチェーン店で多発しており、当社も日頃からその対応を懸命に行っておりましたが、力およばず同種の事件が起きてしまいました」という釈明とともに謝罪した。

 さらに10日には、「バーミヤン」の店員が厨房の火でたばこをつけるなどした様子が投稿された件で、すかいらーくレストランツが謝罪。動画は昨年3月に投稿されたものらしい。

 ファミリーマートも同日、店員が商品をレジ袋に入れる際に、商品のパッケージやペットボトルの飲み口をなめる様子を撮影し投稿したとして、「お客さまに不快、不安な思いをさせたことを深くおわびする」と謝罪。店舗名などの詳細は調査中とし「確認でき次第、厳正に対処していく」とした。

 騒ぎはこれで終わらず、「セブン-イレブン」の店員がおでんのしらたきを口に入れ、吐き出す姿を投稿して炎上。11日にセブン‐イレブン・ジャパンが謝罪。

 で、ついでながら書いておくと、上記企業の謝罪文を検索すべく「当社従業員による不適切な行為とお詫びについて」でキーワード検索したところ……「くいもの屋わん(オーイズミフーズ)」「三重交通」「第一興商」などなど、さまざまな企業の謝罪文がヒットしてしまったのである。

次ページテロには屈しない!?


テロには屈しない!?
 まぁ、「SNSはバカあぶり出し機だなぁ」とかねてから思っていたけれど、企業側からすれば、「たったひとりのバカったれ」のせいで甚大な損失を被るなんてたまったもんじゃない。

 そこでなんとか再発を防ぐべく、厳罰化に乗り出した。

 くらコーポレーションは「刑事、民事での法的措置の準備に入った」ことを正式に発表し、セブン-イレブンやファミリーマートも同様の意向を示しているという。

 いわゆる「バイトテロ」。そうなのだ。「テロには屈しない!」とばかりに、企業側が従業員を解雇するだけでなく、金銭的な賠償を求め、より厳しく責任を負わせる方向に傾きつつあるのである。

 法的措置、か。う〜む……。これってどうなのだろう。

 バイトはたった一回のバカで無知な投稿で賠償請求されるのに対し、「お偉い人たちのトンデモ不祥事」の責任の取らせ方は、私の感覚的には相当に“ぬるい”。単純比較できるものではないものの、どうにも合点がいかないといいますか、ひっかかるといいますか。

 もちろん不適切動画を投稿した店員は、衛生面や倫理面から考えても解雇されて当然だとは思う。しかしながら、こういったアルバイト店員の倫理観のなさは、一面、彼らに対する企業側の扱いが招いた結果がなんじゃないか、と。極論すれば、企業側の「人=コスト」との考え方が負のスパイラルを生んだ末に表面化した事象と思えてならないのである。たとえ「バカったれ」が昔から一定数存在していたとしても、だ。

 全国各地の企業を20年近く回っていると、人に投資するか否かで、現場の社員のパフォーマンスに違いが出ることが痛いほどわかる。

 それは「人が持つ付加価値を信じるか、否か」の違いでもある。

 「非正規の人たちは意識が低い」――。以前、ある企業の社長さんがこう話していて、耳を疑ったことがあった。

「やる気もないし、会社へのロイヤルティーもない。やっと仕事を覚えたと思ったら辞めてしまう。意識が低いのかね。どうせ採用するなら優秀な人に来てもらいたいけど、そういう人は非正規採用には応募してこないでしょ。みんな正社員採用してる会社に取られちゃうんだよ。だから、運みたいなものですよね」

 社長さんは悪びれることなく、こんなセリフを吐いた。

 その言いっぷりがあまりにもしれっとしていて、気の毒になったほどだ。非正規社員を使い勝手のいい雇用の調整弁としか見ていない会社は数知れずある。が、あまりに露骨というか、バカ正直に本音をぶっちゃける社長さんに対し、何ともやるせない気分になってしまったのだ。

 「ああ、この社長さんは“社長さん次第”で働き方が変わるってことを知らないのだなぁ」と。

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働く人は「企業の経営哲学」を映し出す鏡でもある
 どんな人にも潜在能力があるし、どんな人に出会うかで人は変わる。ところが、「人に投資をする」という概念が全くない社長さんには、それがわからない。

 おそらく、ごく一部、意識の低い人が非正規社員の中にいて、それが「非正規の人は〇〇」といったステレオタイプな偏見を生み、必死に頑張って正社員以上の働きをしている人でさえも偏見のフィルターを通してしか見られなくなったのだろうけど、あまりに短絡的だ。

 そもそも、そこで働く人は「企業の経営哲学」を映し出す鏡でもある。

 人への投資をケチり、低い賃金で、十分な福利厚生も提供しないで、適切な教育研修も施さなければ、会社への愛着の乏しい意識の低い非正規社員が量産されて当たり前だ。手軽に雇えるものは、手軽にやめる。そうした姿勢が組織の土台を支えるさまざまなリソースの欠損につながり、ヤワな土台の会社に成り下がっていくのである。

 というわけで今回は、「ケチる」をテーマにあれこれ考えてみる。

 労働条件が劣悪なバイトを意味する「ブラックバイト」という言葉が一般化した2014年、ブラックバイト告発キャンペーン事務局が実態調査をしたところ、次のようなことがわかった。

■「シフトが常にギリギリなので休みづらい」「辞めさせてくれない」「無理なシフトを組まれる」「人手が足りない」「正社員と同じ仕事をしている」――これまで正社員が行っていたような仕事をアルバイトなどの非正規に肩代わりさせており、アルバイトがいないと職場が回らない状況にある。

■「未払い賃金がある」「交通費や制服代などが自己負担」「セクハラ・パワハラがある 」「ミスして賠償させられた」「商品を買わされる」「ノルマがある」――理不尽で不当な働かせ方、労働法が守られていない働かせ方がまかり通っている。

■「親からの金銭的な仕送りがない」「学費や生活費をバイト代や奨学金でやりくりしなければならない」「奨学金返済のためにバイト代は貯蓄している」――高い学費の支払いや 生活費のためにアルバイトからの収入に頼らざるを得ない状況がある。

■「授業に出られない」「テスト期間でも休めない」「眠くて勉強に集中できない」―― アルバイトが学生生活を妨げる影響を与えている。

 同様の結果は厚生労働省の調査でも示され、アルバイト経験がある大学生らの6割が、「賃金がきちんと支払われない」「合意した仕事以外の業務をさせられた」といったトラブルを経験したことがわかっている。

次ページ「安易な人件費の圧縮に、最初に手を付けるのは禁物」と警告

「安易な人件費の圧縮に、最初に手を付けるのは禁物」と警告
 「バイト=学生」というイメージがあるかもしれないが、実際には20代後半〜30代も多い。また、授業料の値上げや仕送りの減少などにより、学費や生活費を稼ぐために働く学生も多く、「たかがアルバイト」とは言えない現実がある。

 バイトやパートは、正社員以外の雇用形態という意味では契約社員や派遣社員などと同じだが、企業側が「1週間の所定労働時間が、正社員の所定労働時間よりも短い労働者=パートタイム労働者」として、他の非正規と区別するために使っている呼称に過ぎない。

 ところが実際には、学生や主婦など、社会的に立場の弱い人たちの足元を見透かすような働き方をさせているケースが少なくないのである。

 例えば、バイトのまとめ役をまかされている「バイトリーダー」と呼ばれる人に、賃金や雇用条件はアルバイト水準のまま正社員並みの責任ある仕事をさせ、人件費を節約している悪質な企業も存在する。

 一方で、飲食店などは「そこにいるバイト」で回すしかないという現実もある。帝国データバンクが昨年10月に行ったアンケート調査で、「飲食店」の84.4%(前年比3.9ポイント増)が「非正規社員が不足」と回答しているのだ。

 かつての飲食店は皿洗いからスタートし、接客をし、調理の手伝いをし、調理場に立つなど、ひとつの店の中で長い時間をかけ、1人の社員を育てるのが普通だった。ところが、幅広いスキルを有しないスタッフでも回せるように現場の仕事がマニュアル化され、働き手確保のハードルと人的なコストを下げることが可能になり、大企業はスケールメリットを生かしながらチェーン展開に積極的に乗り出すようになった。

 つまるところ、「ちょっとした研修を受ければ誰でも働ける=低賃金で働かせることができる」飲食店やコンビニエンスストアが増えるに伴い、労働力確保競争が激しくなってしまったのだ。

 こうした企業の動きとは反対に、「人件費を削ってはいけない」と断言するのが、マサチューセッツ工科大学のゼイネップ・トン氏である。長年、小売業を対象に研究を重ねてきたトン氏は、「人件費を上げるためには、先に商品の値段を上げないといけないと考えがちだが、そんなことはない。労働者確保に向けた投資、つまりは賃金の改善、教育や福利厚生への投資などにより、現場のパフォーマンスは向上し、結果的に業績も高まる」と説く(Why “Good Jobs” Are Good for Retailers 2012)。

 まずは、商品の選別による過剰在庫や欠品をなくすための取り組みなど、企業として労働生産性を高めるための努力を続け、浮いた利益を社員教育に費やすべき――というのが、トン氏の主張。安易な人件費の圧縮に、最初に手を付けるのは禁物という考え方だ。

次ページ「だから、うちは賃金を減らすことにした」

「だから、うちは賃金を減らすことにした」
 トン氏のような考え方が、すべての業種のすべての現場にマッチするわけではないかもしれない。

 とは言え、「あなたは我が社にとって大切な人」という有形・無形のメッセージを伝えることは、国内外問わず、働き手に企業へのロイヤルティ―が生まれる大きなきっかけとなる。

 例えば、「言われただけ」「決められただけ」のマニュアル業務より、自分の裁量で動かせる仕事は責任感とやる気を喚起させる。自分が決め、動いたことで成果が出れば、仕事がちょっとだけ面白くなり、「達成感」が得られる。それをきちんと評価してもらえれば(心理的報酬に加え昇進や賃金アップなど)、満足感が向上する。このポジティブな感情の連鎖で、「人の付加価値」が引き出されていくのである。

 半面、会社方針や職場環境、給与、対人関係などは人の不満感を掻き立てる要因であり、これらに納得感が得られないと、人は不満を感じるようになる。

 以前、ある大手飲食店の経営者をインタビューしたときに、「うちの従業員に『どういうときに働きがいを感じるか?』って聞いたら、トップがお客さんに感謝されたとき、次が職場の人間関係がいいときで、給料をもらうときは3位だった。やっぱり、人はカネじゃないんですよ。だから、うちは賃金を減らすことにした。その分、お客さんに感謝されるような働き方を教育しろって、各店の店長に指示を出したよ。ガッハッハ」と言っていて唖然としたことがある。

 確かに「お客さんからの感謝」は、前述した満足感を構成する大事な要因の1つで、「客が現場を育てる」という現実はある。だが、働きがいを感じる要因は、“二者択一”ではない。相互に深く関係している。そんなことも理解できず、自分都合で「カネじゃない」と豪語し、実際に賃金を減らすトップの下でマジメに働けるだろうか?

 不適切動画を投稿したバイト店員を擁護するつもりはない。やったことは言語道断だ。ただ、問題の舞台となった企業の経営者たちに、「労働環境に問題があったのではないか」という自省は多少なりともあるのだろうか。

 HP上での企業の謝罪には、判で押したように、「再発防止」と「従業員教育の徹底」という言葉がセットで並んでいるけれど、自社の労働環境に関する言及は??? 私が調べた限り、全く見当たらないぞ。まぁ、自らに全く落ち度はないとの自信があるからこそ、法的措置を検討するのだろうけど……。

 謝罪の中に記されている「従業員教育の徹底」が、マニュアルのさらなる厳格化による「バイトテロ」対策だけでないことを祈るばかりだ。相次ぐ不適切動画の投稿が、人件費をケチり、労働負荷を据え置いたまま、人の付加価値に目を向けずモノとして扱うような“愚行”に対する反発の発露であったとするならば、従業員教育の徹底だけでは「バイトテロ」はなくならない気がしている。

■変更履歴
本記事1ページ目の最終パラグラフに「餃子の王将(王将フードサービス)」のHPへのリンクを貼ってありましたが、店員ではなく、来店客が投稿した不適切動画に対するお知らせとお詫びだったため、削除させていただきました。本文は既に修正済みです。 [2019/2/19 11:50]
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駒鳥

『スタバもココイチも値上げ、「ステルス」は限界に』の記事を読んで思い出しました。
ざっと見た限り、どなたも言及していないので、指摘しておきます。
厳罰化は必要ないと思います。
日本は人手不足なのに賃金が上がらず、食料品の値段ばかり上がるスタグフレーションの入り口に立っていますので、
バイトテロのようなことは増え、当たり前になり、そうなれば、店舗が受ける風評被害は逆に薄れます。
トゲはまばらだから危険なのであって、トゲだらけの玉は毛玉です。
ぽよんぽよん。
安かろう悪かろう、コンビニで買えるものは不衛生で当然という、終戦直後のような日本に逆戻りして、品質の高い食品を求める人は、それなりの代価を払えという当然の市場原理が働くようになると思います。
無理せず「うちは悪ガキ雇ってますんで、品質とか気をつけて下さい。悪さしてるのみたら、ゲンコよろしく。こんなやつでもまぁ、働くだけマシでしょ、いまどき」と、開き直れるくらいの時代になれば、それはそれで。
ただし、この変化は介護と同じで敗戦記。超高齢社会の中での撤退戦です。
その頃には、さらに深刻な社会問題が発生して、気が滅入る事態になっていることでしょう。
何とかしようとしちゃ駄目だと、松浦さんもおっしゃってます。
介護を仕事のような意識でやったら自滅すると。
日本の撤退戦が始まります、肩の力を抜いて、自然体でなんとかやっていきましょう。
2019/02/20 18:29:33返信いいね!


駒鳥

介護殺人が、もはやニュースにもならないのと同じです。
殺人をほっとくなら、バイトテロくらい、問題にもなりませんよね。
むしろ、みんながやるようになったら、飽きられてウケなくなるので、別の悪さをはじめると思います。
その時までに、高齢者が子供達の心によりそえていれば、笑える悪さを。
厳罰化などして憎まれていれば、より凶悪な悪さを始めるでしょう。
2019/02/20 18:42:29いいね!


GeorgeYama

鉄砲玉

バイトという安易・安価な雇用形態を利用(悪用?)しながら最大限の労働を得て業績を維持・向上させたいという考えが問題でしょう。忙しくても暇でも給料が同じなら、バイトは暇の方が好都合と考えるのが自然。売上に応じてインセンティブを付けるような仕組みでもあれば、工夫をするバイトも増えて、その中で「本来の仕事の醍醐味」も経験してもらえるのではないか。バイトテロは待遇不満だけではなく、受け狙い等現代の色々な要因が複雑に絡んでいるが、短絡的な法的措置の前に何か工夫することでバイトのこれからの人生のためにもなるような仕組みがあるように思えてならない。
2019/02/20 18:30:551返信いいね!


corot

元エンジニア

このコメントは何度読み返してみても、バイトテロが発生した原因についての事実の記述が一切見当たりません。非正規社員の劣悪な労働環境や心無い経営者のコメント等非正規雇用に関わる会社側の問題点については、具体的事実に基づいて厳しく指摘、糾弾されていますが。実行者は果たして、どのような動機、心理でテロを行ったのか?それぞれのケースで様々な原因があるのではないでしょうか。単におバカだからでは議論にならないと思われます。唯一原因に触れたのは、『しかしながら、こういったアルバイト店員の倫理観のなさは、一面、彼らに対する企業側の扱いが招いた結果がなんじゃないか、と。極論すれば、企業側の「人=コスト」との考え方が負のスパイラルを生んだ末に表面化した事象と思えてならないのである。』の部分だけであり、見事に著者の思い込みだけで、原因については報道されたもの含めて事実は何一つ語られていません。これでは労働環境等会社側の問題点とテロ発生との因果関係は全く不明です。結局は、会社が(経営者が)悪いからこんな問題が発生した(可能性が高い)との我田引水の誘導議論になってしまい、説得力がありません。著者が労働者擁護のお立場から、非正規社員の劣悪な労働条件に警鐘を鳴らし、経営者の意識改革を訴えるのは理解できます。しかしながら、事実に基づかない、思い込みの議論では、警鐘が警鐘にならないものと思われます。
2019/02/20 18:59:50返信いいね!


Antonio Chabin

「お客さんからの感謝」も、カスタマーハラスメントという深刻な事態に徐々に薄らいでいきそうな気配を感じる。労働意欲は今後も低下するだろう。
 お金じゃないと言われても、結婚、子育てをしつつ働き続けるのに持続可能な程度の賃金は必要だ。その上で、労働の価値を見出していくことになる。しかしロイヤリティーを召し上げる経営システムは、労働の価値よりも労働力の収奪によって成り立つ。そのツケは低価格に喜ぶ客が支払うことになるだろう。
 不適切な行為が鬱積した心理から発して、そこで快楽を得ているとなると、その行為は動画にアップされることなく、バレないように密かに行われるようになるかも知れない。企業はそれが発覚する危機管理をとらざるを得ないだろう。従業員教育などのリスク管理には限界がある。
2019/02/20 20:09:03返信いいね!


フリーライター

いつもと同じように、個人の価値観や主張に世の出来事を当てはめていく文章。しかも今回は最低限の取材さえ行わずに、事件原因を推測して自らの主張を延々と展開している。これがプロの書き手として許される行為なのか?なぜ日経はこのような人物に原稿料を払っているのか?
2019/02/20 21:00:53返信いいね!
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https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00010/

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/223.html

[経世済民131] 貿易収支に「中国ショック」戦後最長景気が直面する終焉リスク 中国経済は本当に大丈夫?バルチック急低下 米半導体輸入増へ 
2019年2月20日 ロイター
貿易収支に「中国ショック」、戦後最長景気が直面する終焉リスク

2月20日、1月貿易統計で対中輸出が前年比マイナス17.4%と大幅に落ち込み、マクロ経済のウオッチャーに「ネガティブ・ショック」が走った。輸出の約2割を占める中国向けの減速が続けば、製造業を中心に設備投資に急ブレーキがかかりかねない。写真は都内で2016年3月撮影(2019年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 20日 ロイター] - 1月貿易統計で対中輸出が前年比マイナス17.4%と大幅に落ち込み、マクロ経済のウオッチャーに「ネガティブ・ショック」が走った。輸出の約2割を占める中国向けの減速が続けば、製造業を中心に設備投資に急ブレーキがかかりかねない。すでに先行指標の機械受注では、製造業からの受注減が表面化している。戦後最長の景気拡大認定が目前に迫る中、ピークアウトのリスクを指摘する専門家も出てきた。

中国向け輸出、2桁減続く
「輸出の失速するリスクが一段と高まっている」──。ニッセイ基礎研究所・経済調査室長・斎藤太郎氏が指摘するように、20日発表の1月貿易統計は、対中輸出が大幅減となったことで輸出全体も前年比マイナス8.4%と、12月よりマイナス幅が拡大した。原油価格の下落で輸入が減少したにもかかわらず、貿易赤字は事前予測の1兆0110億円を上回る1兆4152億円に膨れ上がった。

 輸出失速の「元凶」は中国。金額ベースだけなく、数量ベースでみた中国向けの輸出指数は前年比マイナス20.8%となり、2ヵ月連続で2桁減となった。

 金額ベースで減少している分野をみると、設備投資関連の一般機械が幅広い品目で急減。昨年末から悪化している半導体製造装置に加え、金属加工機械など主要品目において金額ベースでの前年比減少を記録した。電気機器も、広範な品目で3─4割減となっている。

 一部では、春節の影響でイレギュラーな結果になっているのではないかとの声も出ているが、SMBC日興証券・シニアエコノミストの宮前耕也氏は「本来であれば中華圏の春節前の駆け込み輸出を期待できるはずが、むしろアジア向けがかなり弱い」とみている。

 日本の輸出金額全体の5割超を占める「中国を含むアジア向け輸出」も、金額ベースで2ヵ月連続の2桁減となり、国内経済への影響も大きい。

 斎藤氏は「18年夏場以降のように、原油高が貿易収支を大きく悪化させる局面は過ぎたものの、輸出の低迷が続く可能性が高く、先行きも貿易赤字の継続が予想される」と予測する。

 すでに日本経済は貿易黒字国とはいえない状況にある。2010年度以降の貿易統計で黒字だったのは10年度、16年度、17年度の3年度だけだ。

設備投資は慎重姿勢、景気後退リスクも浮上
 輸出のけん引力が衰える中、民間エコノミストの中には、企業収益や設備投資への影響が避けられないとの見方が広がっている。

 BNPパリバ証券・チーフエコノミストの河野龍太郎氏は19日付けレポートで「早ければ1─3月から設備投資の減少が始まる可能性もある。昨年末に中国から発せられた需要ショックが今期以降、投資乗数や貿易乗数を通じ、各国に波及する可能性が高い」と指摘。「日本は今期から景気後退局面入りというシナリオも、メインシナリオではないものの、排除できない」との見方を示している。

 直近の経済データも、こうした見方を裏付ける内容となっている。12日発表の18年12月機械受注統計では、設備投資の先行指標となる船舶・電力を除く民需が、10─12月期は6四半期ぶりに減少。企業の受注状況をもとに内閣府がとりまとめた1─3月見通しも減少となった。

 海外からの受注もこの先2桁減が予想され、企業が新たな設備投資を先延ばししている様子がうかがえる。

 ロイターが20日に発表した2月ロイター企業調査では、設備投資姿勢への慎重な姿勢がうかがえる。17年当初計画と比較して、翌年度の国内投資について増加を見込む企業の割合が減った。

 企業が積極投資を計画しているのは、人手不足緩和のための省力化投資、IT化投資で、維持補修やM&A投資などを拡大する企業の割合は多くない。

景気後退シナリオも排除できず
 内閣府は今年1月の月例経済報告で、2012年12月から始まった景気回復が戦後最長となった可能性があると指摘していた。2月中に発表される今年1月の景気動向指数の結果などをみて、今年1月で最長になったことを「宣言」するとみられる。

 ただ、BNPパリバの河野氏をはじめ複数のエコノミストは、海外経済の減速で打企業部門が打撃を受け、アベノミクスが始まって以来6年にわたる景気拡大がピークアウトする可能性に言及している。

 他方、日本総研・調査部長の牧田健氏は、景気は頭打ち感が出てきたとしつつ「景気後退に陥るかどうか、鍵は中国経済が握る」と指摘。その上で、中国政府が景気対策を打てば急速な中国経済の悪化は避けられ、日本経済も腰折れするほど悪化はしないとの見方を示す。

 ただ、習近平政権は08年の「4兆元の景気対策」が過剰債務問題の原因になった点にも注意を払い、今回は前回の約半分の2兆円程度の対策にとどめるとの観測が広がっている。

 08年当時の同国の実質国内総生産(GDP)は32兆元で、景気対策はGDPの12%超の規模だった。18年のGDPは88兆元を超えており、2兆元の対策はGDPの2.3%程度にとどまり、景気浮揚効果よりも下支え効果になるとの分析も中国経済の専門家から出ている。

 さらに、米中通商交渉では2月末の期限が延長されるのではないかとの観測が根強く、日本経済の動向を大きく左右する中国経済の行方を巡り、しばらく目が離せない状況が続きそうだ。

(中川泉 編集:田巻一彦)
https://diamond.jp/articles/-/194759

中国経済は本当に大丈夫なのか?バルチック海運指数が急低下


上野 泰也
みずほ証券チーフMエコノミスト
2019年2月20日
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全3571文字

中国共産党の祝賀会でスピーチする習近平(写真:新華社/アフロ)
 世界経済の成長減速(スローダウン)が、徐々に進んでいる。ユーロ圏と並んでとりわけ注意が必要になっているのは、経済状況が一段と厳しさを増している中国である。

 米国との貿易戦争が景気を圧迫している上に、金融緩和が効きにくくなっており、景気の下支えは財政政策(インフラ整備や各種減税など)頼みの様相を呈している。そしてそのことは、銀行の不良債権問題に苦しんだ90年代の日本の状況をほうふつとさせる。

 人口対策が中途半端なまま、大型経済対策で多額の公共事業を上積みし、所得減税を大規模に実施して景気を刺激した日本は、その後どうなったか。

 中国の政策当局者は「日本の教訓」をしっかり学んでいたはずなのだが、気がついてみると結局は同じような道をたどっているように、筆者には見える。

「先行きの下振れリスクは強まっている」
 昨年12月28日に日銀から公表された金融政策決定会合における主な意見(12月19、20日開催分)からは、IMFによる世界経済見通し下方修正や米国を主な震源地とする株価急落に代表される、「海外発」の秋以降の大きな状況変化をうけて、日銀内のムードが景気下振れ警戒へと急速に傾いたことがうかがわれた。特に注目されたのは、以下の記述である。

 「米中間の通商問題をはじめ世界経済の不確実性が高まる中、先行きの下振れリスクは強まっている」

 「海外経済は、地域間の相違がより明確になり、減速の兆しがみられ始めてきた。減速・景気後退が明確になるとすれば、各国の財政・金融政策の動向が重要になる」

 「世界経済の先行きについては、不透明感が高まりつつあり、かつそうした状況が長期化するとの見方が広がる中、リスクは総じて下方に厚くなってきている」

 「経済に対するリスクは下方に強まっている。中国の直近の貿易データをみると、輸出入とも前月比でマイナスとなっており、中国経済の減退を示している可能性がある」

 「中国では、民間企業のデフォルトが増加しており、当局は資金調達難の解消に向けて銀行に対し貸し出しの増加を要請している。こうしたもとでの民間企業の資金調達動向を注視している」

 さらに、1月31日に公表された主な意見(1月22、23日開催分)にも、以下のような中国経済について警戒的なトーンの記述があった。

次ページ中国の金融システムが抱える問題
 「世界経済の下振れリスクは高まっている。特に中国は、通商問題の影響もあって経済成長が減速し始めており、景気対策の動向なども含めて注視が必要である」
 「株価は実体経済の変化を増幅して伝えるものだが、最近の株価下落は、世界的な実質成長率の低下をある程度予想している。この背景には、今や世界第2位の輸入市場となった中国経済の停滞がある。わずかずつ低下するGDPではなく、輸出入の動きをみれば、この点は明らかである」
 日本と地理的に近く、貿易を通じて経済的にも密接な関係がある中国の経済動向に、日銀政策委員の一部が強い関心を抱いているようである。その中国の経済指標のうち速報性があり重要なものが2つ、年末年始に発表された。
 12月31日に発表された政府版の12月製造業PMI(購買担当者景況指数)は49.4(前月比▲0.6ポイント)になり、4カ月連続で低下して2016年7月以来の50割れとなった(16年2月以来の水準)。さらに、1月2日に発表された民間版の12月製造業PMIは49.7(同▲0.5ポイント)になり、政府版に続いて節目の50を下回った。
 その後発表された1月の政府版の製造業PMIは49.5にごく小幅上昇して持ちこたえたものの、中小企業が調査対象に多く含まれているとされる民間版は48.3に続落し(前月比▲1.4ポイント)、16年2月以来の低水準に沈んだ<図1>。
■図1:中国の製造業PMI 政府・民間

注:民間のPMIは15年7月以降は中国メディア財新が発表しており、それより前の発表主体は英大手銀
(出所)中国国家統計局・中国物流購入連合会(CFLP)、財新・IHSマークイット

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 中国では、民間金融のトランスミッションメカニズム(金融政策変更の伝達・波及経路)が機能不全を起こしているようである。
 1月15日に人民銀行から発表された昨年12月のマネーサプライM2は前年同月比+8.1%。過去最低横並びだった前月からは上向いたものの、わずか0.1%ポイントの動き<図2>。
■図2:中国のマネーサプライ(M2)と消費者物価指数

(出所)中国人民銀行、中国国家統計局

[画像のクリックで拡大表示]

 民間金融機関による信用創造は不活発なままのようであり、マネーサプライの伸びは停滞している。人民銀行が預金準備率を何度も引き下げているほか、中小企業向けに貸し出しを増やすよう窓口指導も行われているものの、そうした措置の効果がさっぱり出てこない。
中国の金融システムが抱える問題
 昨年12月19日には「標的型中期貸出制度(TMLF)」導入が人民銀行から発表された。中小民間企業向けの貸し出しを促す狙いだが、大きな成果が上がるとは考え難い。中国の景気減速が明確になっており、中小向け融資の貸し倒れリスクが以前よりも大きいからである。
 さらに、中国の金融システムには構造的な問題点があるという。日本経済新聞の現地駐在記者が書いた記事は、そのあたりを以下のように説明していた。
 「民間の資金調達難は構造的な問題で、流動性の供給で解消できるものではない。中国の銀行は貸出先の審査能力に乏しく、基本的に国有企業にお金を貸す。民間企業は一部大手を除き、銀行から数%の低金利でお金を借りた国有企業から十数%の高金利で融通してもらう。これら『影の銀行』を当局が締めつけ、民間企業の資金繰りが厳しくなった。倒産が増えてさらに誰もお金を貸さなくなった」(18年10月13日)
次ページ2019年の実質GDPは+6%台前半か
 「中国の銀行が民間に融資しないのは、リスクの乏しい国有企業に融資しても厚い利ざやを確保できるからだ。貸し出しや預金の金利自由化は名ばかりで、地区ごとに業界団体が各行の金利を調整する慣行が残る。金融自由化停滞のツケが回ってきたのが問題の本質として浮かび上がる」(18年11月21日)
 年前半に高めの成長が続いた「貯金」があるので、18年の経済成長目標である「6.5%前後」は達成され、前年比+6.6%になった。だが、18年10-12月期は前年同期比+6.4%にとどまった。今年3月の全人代(全国人民代表大会)で公表される19年の成長目標はおそらく「6.0〜6.5%」に引き下げられるだろう。
 そうした中、鉄鉱石・石炭・穀物などの外航不定期船の運賃の動向を示しているバルチック海運指数(Baltic Dry Index;略称BDI)の下落が、このところきつくなっている<図3>。
■図3:バルチック海運指数(BDI)

(出所)バルチック海運取引所

[画像のクリックで拡大表示]

 BDIは1月28日、852に大幅低下した(前日比▲53ポイント)。29日は800を割り込んで797(同▲55ポイント)。31日には668(同▲53ポイント)になったが、これは16年8月11日以来の水準である。1月月間の下落率は約47%で、14年1月以来の大きさ。2に入ってからも下落基調で、11日には600も下回って595になった。
 以前は「爆食」とやゆされるほど旺盛だった中国による資源の購入需要が、景気減速が続く中で沈滞していることが最大の理由である。これに加えて、ブラジルの資源大手が所有する鉱山のダムが決壊した影響で、同国から中国への鉄鉱石の輸出が減っており、これがケープサイズの需給に影響しているという。
2019年の実質GDPは+6%台前半か
 中国の指導部は減税とインフラ整備を合計すると2.5兆元を超える規模に達する景気刺激策を実行に移しつつある(1月29日付日本経済新聞朝刊)。だが、トランスミッションメカニズムが作動しにくいため金融緩和の効きが悪い上に、過剰債務問題との兼ね合いで大胆な景気刺激策の展開がためらわれる面もある。
 上記の記事に出てくる中国のある官庁エコノミストのコメント「とにかく成長率が6%を割らないこと」は事実上の必達目標であろうし、19年の中国の実質GDPは前年比+6%台前半は確保する可能性が高い。
 しかしそれは人為的な景気の下支えであり、かつ中長期的な視点からはどうしても必要な構造改革を先送りしたうえでのものであることに、十分留意する必要がある。
 また、米国のトランプ大統領は、米中貿易戦争のさらなる激化への警戒感も材料の1つになった株価急落で窮地に陥っている。そこで、貿易問題でとりあえず中国と妥協して報復関税の税率引き上げを回避する可能性がある。実際そうなれば、中国経済が、とりあえず一息つくことだけはできる。
 だが、米国と中国という2つのスーパーパワーの対立には、歴史の宿命とでも言えそうなものがあるように思う。両国によるハイテク分野での覇権争いや軍事面の縄張り争いは、今後も続いていく可能性がきわめて高い。
 そんな中、冒頭で述べたように「日本の教訓」を生かせていない中国は、政府債務の累増と低成長の組み合わせ、後手に回った人口対策、生産性が低いインフラの維持管理コストに、先行き苦労することになるだろう。
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YS
中国経済を見るとき、統計にはあまり出づらいけれど、気を付けなければならない点が二つあると思います。一つは香港・深センに京浜を上回る世界最大規模かつシリコンバレーのようにイノベーションを続ける産業クラスターが形成されて機能しているなど、中国に
2019/02/20 06:26:155返信いいね!

Representative
資源、労働力、(法治と人権放棄と引き換えの)強力な統治の三拍子が揃った超巨大な中国経済を、些少な情報から占星術的に「大丈夫なのか?」と言われても、「大丈夫でしょ」としか返しようがないですね。
2019/02/20 07:54:31返信いいね!

mino
人口オーナス期に入った中国で人口対策が後手に回っていること。国家独占資本主義が金融システムの脆弱性に繋がっていること。資源ビジネスの中国依存体質が世界的規模で変調をきたしていること。などを根拠に中国経済を悲観的に見るのは当然といえば当然だが
2019/02/20 10:50:302返信いいね!

hdknd
日本の教訓と言う意味では、まず何よりバブルを一気に潰さないと言う点で、中国は学んだことを実行できていると感じます。このため、ポストバブルの日本と比較するのは少し乱暴かと思います。バブル後の日本の問題の本質は、流動性ではなく、多額かつ底が見え
2019/02/20 12:15:09返信いいね!

TS
電子エンジニア
丁度、1月の貿易統計が出ましたので数字を拾いました。
対中輸出:-17.4%(12月:-7.0%)、対アジア輸出:-13.1%(12月:-6.9%)、対EU輸出:-2.5%(12月:+3.9%、対米輸出:+6.8%(12月:+1.6%)、全
2019/02/20 12:44:151返信いいね!

LIonKingdom
Scientist
そもそも中国のGDPは信用できないと首相の李が語っているからには,GDPを使わない議論をすべきでしょう.そういう意味では中国経済を語る資格のある人が(マスコミも含めて)どれだけいるんでしょうね?
2019/02/20 12:52:022返信いいね!

あん肝
まず、バブル崩壊後の日本と現在の中国の状況を同一視している時点でエコノミストを名乗ることを辞めるべきです(笑)
それから、日本が「大型経済対策で多額の公共事業を上積みし、所得減税を大規模に実施」という嘘をまき散らすこともやめましょう。
公共
2019/02/20 13:55:272返信いいね!


KAWAWAKI
某地方議員
バルチック海運指数(BDI)が「595」は衝撃的です。
2008年の「10,000」突破から乱高下を経て、10分の1以下で推移するのは、世界経済の激動が見えて感慨深いです。
2019/02/20 14:49:44返信いいね!

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https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00122/00006/

 

コラム2019年2月20日 / 07:58 / 8時間前更新
中国が米半導体の輸入増へ、国内産業育成の難航浮き彫り
Christopher Beddor
2 分で読む

[香港 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - お金では買えないものもある。報道によると、中国は米国からの半導体輸入を増やすと提案した。これは国内で最先端の半導体を製造する構想が試練にさらされていることの証左だ。

国内生産を増やす「中国製造2025」といった産業政策は海外の怒りを買ったが、最先端半導体の大量生産に手こずっているところを見ると、こうした政策が機能するのかどうかさえ疑わしい。

14日のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙によると、中国は米国側の交渉担当者をなだめるため、米国からの半導体輸入を6年間で2000億ドルに拡大することを提案した。2017年に約60億ドルだった輸入額を、数年中に年平均330億ドルに増やす計算だ。一部は最終加工工場を第3国から中国に移すことで実現しそうだが、実際の購入額を増やす必要もあるだろう。

これは国内で最先端半導体の生産を増やすという中国の政策と相反する。確かに同国は大量の半導体を生産している。デロイトによると、2017年の生産は800億ドル相当だ。しかし最先端技術については完全に海外サプライヤーに依存し続けているのが実情。アナリストの推計によると、中国はメモリーチップ分野で米国に5年間遅れており、一部のプロセス技術など他の主要分野では15年間も後れをとっている。国が支援する製造企業SMICは、世界首位の台湾積体電路製造(TSMC)(2330.TW)との技術格差を埋められずにいる。

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明るい面もある。例えば華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]子会社のハイシリコンは印象的な携帯電話用チップを設計しているし、業界関係者の多くは、数十年後には中国も追いつくと考えている。しかしそれは、消費者用電子製品への巨大な国内需要に負うところが大きい。これまでの状況を見る限り、人材や知的財産といったソフト要因は、お金と同じくらい重要だ。米中協議は現在、市場を歪ませる中国の補助金を巡って対立しているが、半導体の問題は補助金政策がいかに失敗に終わるかを思い起こさせる。

●背景となるニュース

・ロイターが15日、関係筋の話として報じたところでは、中国は米国との通商協議で、国内産業への補助金制度をやめ、同制度をすべて世界貿易機関(WTO)規則に準拠させると約束した。

・ただ米当局者らは、中国が補助金制度の詳細を開示していないことなどから、約束の実行に懐疑的な見方を示しているという。

・WSJが14日報じたところでは、中国政府はこれとは別に、米国からの半導体輸入を6年間で2000億ドルに拡大することを提案した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/bv-column-china-chip-idJPKCN1Q80F2

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/224.html

[経世済民131] 中国経済、予想困難のカラクリ 米経済ショック発生なら景気後退 前FRB議長が注意訴え−米が中国に人民元安定要請で FOM
コラム2019年2月20日 / 15:29 / 5時間前更新

中国経済、予想困難のカラクリ
Pete Sweeney
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[香港 20日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 亥年の中国景気はデータによって強弱さまざまだ。株式市場は強気な一方、社債のデフォルト(債務不履行)は増えている。旧正月休暇の消費は弱いが、1月の輸出は好調だった。

国有企業、そして矛盾する産業政策と金融政策が従来の業績指標を曇らせ、中国経済が同時に2つの方向に進んでいることを示している。

旧正月は年によって1月か2月に訪れる。それがもたらす「ひずみ」によって経済動向の予想には危険が伴う。だが今年のひずみは、中国の水準から見てもかなり極端だった。

中国の「春節ゴールデンウィーク」期間中の消費は消費者マインドを占う上で重要だが、かんばしいとは言えなかった。野村によると、小売売上高の伸びは前年比8.5%増にとどまり、2005年以降で初の1桁増となった。インフレ率の鈍化と輸入減少が相まり、需要は冷え込みを見せている。

その一方で、仏高級ブランドのエルメス(HRMS.PA)は、第4・四半期の中国売上高の伸び率は好調だったと発表。同業の仏LVMH(LVMH.PA)も同様だった。また、もう1つの先行指標とみなされているファストフードレストランを展開するヤム・チャイナ(YUMC.N)の既存店売上高も2%増と予想を上回った。

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中国株CSI300指数は年初から14%上昇し、非常に重要な不動産市場も十分安定しているように見える。貿易データもうれしいサプライズとなった。

中国政府は、よりシンプルな、投資主導の経済パフォーマンスを追跡するために考案されたツールに頼っている。しかしこうしたツールでニュアンスをくみ取ることは難しく、国有企業による非戦略分野進出や小売統計に含まれる政府調達が、それをさらに複雑化している。地域格差も近年拡大しており、全国平均にゆがみを生じさせている。

金融政策も、もう1つの要因だ。景気刺激策は資産バブルをあおることなく、生産性の高い企業を対象に行われなくてはならないはずだ。だが実際には、金利が下がり、融資が復活しているにもかかわらず、債務不履行が増えている。

大半の中国民間企業は、融資や債券市場に容易にアクセスできず、最小限のレバレッジでやりくりすることに慣れている。こうした企業にとって、クレジットは最大の問題でもなければ、手っ取り早い解決策でもない。

企業にとって、売上成長率は取り扱う製品やターゲットとする顧客、そして国からの補助金の有無によって大きく異なる。例えば、優遇税制の廃止は、自動車販売が落ち込む大きな要因となっている。

要するに、中国政府はもはや、浮く船と沈む船のすべてを包含する経済の流れを生み出すことはできないのだ。中国経済は上向いているのか、それとも下がっているのか。その答えはどちらもイエスだ。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/bv-column-china-economy-idJPKCN1Q90IL


 

コラム2019年2月20日 / 14:24 / 5時間前更新
正念場の米経済、一段のショック発生なら景気後退も
John Kemp
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[ロンドン 19日 ロイター] - 米経済は昨年第4・四半期に大幅減速し、12月に大きく揺らいだ。このまま悪化の一途をたどるか、あるいは持ち直すか正念場を迎えているため、中国との貿易摩擦激化など、これ以上の衝撃に耐える余裕は失われている。

米運輸統計局(BTS)によると、道路、鉄道、航空、船舶、パイプラインを通じた12月の貨物輸送は前月比3%減と、2009年3月以来の大幅な落ち込み。前年比も1.4%増と、この2年余りで最低の伸びにとどまった。

全米トラック協会のまとめでは、昨年半ばから勢いを失いつつあったトラック輸送は12月に4%余り減少し、約7年ぶりの不振を記録。港湾当局が発表したロサンゼルスやロングビーチなど主要な港のコンテナ輸送も急激に落ち込んだ。

輸送量減少は、製造業セクターが年末にかけてソフトパッチ(足踏み)状態は入ったことを示す他のデータと整合的だ。1月鉱工業生産指数は昨年10月に付けたピークから3カ月連続で悪化し、3%以上も下落。12月のISM製造業景気指数も世界金融危機後で最大の低下幅となった。

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この数カ月、市場では金融資産が値下がりし、企業景況感が悪化しているのに統計はしっかりしており、両者の間にかい離がみられるとの指摘が一部から出ていた。しかし統計には遅行性がある。第4・四半期には米株式市場が下落してイールドカーブがフラット化し、それに一致する形で統計の数値も米経済が昨年末に急速に冷え込んだことが分かる。

重要なのは、昨年末に生じた輸送量や製造業活動の落ち込みが短期のソフトパッチで終わるか、持続的な景気悪化ないし景気後退に進むかどうかだ。

株価が1月に力強く上昇し、IMS製造業景気指数も前月の低下分を一部取り戻しており、景気拡大がさらに続くことが読み取れる。しかし両者とも昨年10月以前の水準には届いていないし、イールドカーブに大幅なスティープ化は起きておらず、景気の勢いが一段と失われ、景気後退入りのリスクが高まっている様子がうかがえる。

つまり手元の金融市場の動きや経済統計は、景気が緩やかな成長の持続と景気後退入りの分かれ道にあることを示している。


景気後退は景気拡大と同様に、初めの小さな動きが加速度的に大きな動きに広がる「ポジティブフィードバック」のメカニズムを内包しており、今後2、3カ月の動きが鍵となる。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/us-economy-column-idJPKCN1Q90EH


 


イエレン前FRB議長が注意訴え−米が中国に人民元安定要請で
Randall Woods
2019年2月20日 10:08 JST
無害な金融政策と区別し為替操作を定義するのは至難の業と示唆
ブルッキングズ研究所のポッドキャストで発言した
イエレン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、中国による為替操作を防ぐのは、米通商交渉担当者が考えるよりも難しいかもしれないとの考えを示唆した。

  各国・地域の中央銀行が経済安定化に用いる手段の幾つかが、為替レートの下落にもつながることがその理由だ。その結果、無害な金融政策と区別する形で為替操作を定義するのは通商交渉担当者には至難の業となりかねない。

Key Speakers and Interviews at the Bloomberg New Economy Forum
イエレン前FRB議長Photographer: Justin Chin/Bloomberg
  だが、米中通商協議に詳しい関係者の話では、米国は中国に対し、人民元安を招いて対中輸入関税の効力を相殺するような措置を控えるよう要請しているとされる。世界の2大経済大国の貿易戦争終結に向けた協議は、3月1日の期限までの合意を目指して今週も続けられる。

  ある国が通商上の優位を目的に為替操作に従事しているケースを「定義するのは非常に困難でリスクが伴う」とイエレン氏は話す。イエレン氏は19日、ブルッキングズ研究所のポッドキャストで発言したもので、米中が現在進めている交渉に特に言及したわけではない。

  イエレン氏は、グレートリセッション後に米金融当局が多額の資産購入を行っていた当時には特に、米国自体が「通貨戦争」を始めたとして非難を浴びた事実を挙げた。量的緩和策は長期金利の押し下げを狙ったものだが、新興市場国通貨に対してドルを下落させることにもなった。

  「金融政策はその国の為替レートにシステマチックな影響を及ぼすが、そうではあっても国内目的のために利用可能であるべきとの点で広範な合意があると考える」とイエレン氏はコメント。「このため、国内向けの政策手段を為替操作と定義してしまうことのないよう注意したい」と語った。

原題:Yellen Offers Caution as U.S. Pushes China to Keep Yuan Stable(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-20/PN78LB6K50XT01?srnd=cojp-v2

 
FOMC議事要旨の注目点:姿勢急転換の背景、手掛かり示されるか
Craig Torres
2019年2月20日 18:00 JST
金利見通しやバランスシート縮小を巡る議論が明らかになる見通し
中国の成長鈍化など各種リスクをどう評価したかも重要な情報に
米金融当局は1月29、30両日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、それまでの利上げ継続路線から金利据え置きへと、金融政策の運営姿勢を急転換させた。

  米東部時間20日午後2時(日本時間21日午前4時)公表のFOMC議事要旨では、金利据え置きがいつまで続くことになりそうか、新たな手掛かりが得られるかもしれない。

  米金融当局は1月のFOMC声明で、将来の金利「調整」のタイミングについて「辛抱強くなる」と表明。政策金利の「幾分のさらなる漸進的引き上げ」を見込んでいた昨年12月からスタンスを切り替え、次の動きについて利上げ、利下げの両方の可能性を残した。

  マネタリー・ポリシー・アナリティクスのアナリスト、デレク・タン氏は、金融当局がどのデータを基に政策金利を変更ないし据え置くのかに関して、「辛抱強さをもう少し体系的に定義してほしい。多少彩りを添えてくれればありがたい」と話した。

  米金融当局が現行の引き締めサイクルのピークに近づいているのかどうか、投資家はヒントを探ることになりそうだ。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は2.25−2.5%で、景気加速、減速のいずれも招かない中立金利の当局推計レンジの下限にある。金利先物市場の動向によれば、投資家は今年いっぱい金利が据え置かれ、2020年には引き下げられる可能性の方が高いとみている。

  1月のFOMCでは、バランスシート政策の議論にも多くの時間が割かれたと考えられる。FOMCは別途公表した声明で潤沢な銀行準備を政策運営の戦略に打ち出した。これは、より大きめのバランスシートを意味する。

  当局者はまた、経済情勢次第でバランスシート縮小を弾力的に進める方針も示し、大幅利下げが正当化されるような景気悪化の場合に資産購入を再開する用意があるとした従来の指針から転換した。縮小プログラムがいつ終了するのか当局は明らかにしていないが、その後、ブレイナード連邦準備制度理事会(FRB)理事とメスター・クリーブランド連銀総裁は、年内終了を支持する考えを表明している。

  マクロポリシー・パースペクティブズの創業者ジュリア・コロナド社長は、バランスシート縮小の「着地点について感触を得ることになるだろう」と述べた上で、「議事要旨は、連邦準備制度の米国債ポートフォリオの縮小が4月にも終了する可能性を示唆する公算が大きい」との見方を示した。

  最新の議事要旨でもう一つ重要な情報は、各種リスクを当局者がどのように評価したかだ。パウエルFRB議長は1月30日の記者会見で、FOMC声明の文言変更の理由として、見通しの変化ではなく当局が直面するリスクよるものだと説明。インフレ圧力は「抑制」され、中国と欧州の成長は鈍化し、英国の欧州連合(EU)離脱は依然として合意に至っておらず、金融情勢は引き締まったと論じていた。

  こうしたリスクが当局者の米景気見通しにどんな影響を与えるかも、金利据え置きがどの程度続くことになるかの手掛かりを与える可能性がある。

原題:Fed Minutes to Shed Light on Biggest Policy Reversal in Years(抜粋)

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日本株は続伸、米消費堅調と商品市況高−自動車や商社が上げを主導
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日本株は続伸、米消費堅調と商品市況高−自動車や商社が上げを主導
長谷川敏郎
2019年2月20日 7:54 JST 更新日時 2019年2月20日 15:14 JST
米ウォルマートが好決算発表、LMEではニッケルや銅が上昇
円は1ドル=110円90銭台まで下落、日本株は出遅れ感強いとの声
20日の東京株式相場は3日続伸。米国の消費堅調に加えて銅やニッケルなど商品市況が上昇、為替市場でも円が弱含んだことから、自動車など輸出、商社や非鉄金属、情報・通信株が買われた。

TOPIXの終値は前日比6.95ポイント(0.4%)高の1613.47
日経平均株価は128円84銭(0.6%)高の2万1431円49銭
  米ウォルマートが19日に発表した2018年11−19年1月決算は、最も重視される米既存店売上高が前期比4.2%増と、アナリスト予想を1ポイント上回った。米S&P500種株価指数は昨年12月3日以来の高値。ロンドン金属取引所(LME)ではニッケルが非鉄金属の上げを主導し、銅は5営業日続伸した。きょうの為替市場で円は対ドルで1ドル=110円93銭まで下落。

  みずほ証券の倉持靖彦投資情報部長は「景気先行指数とみなされる銅の上昇は、米利上げ停止や新興国の利下げなどで世界経済のさらなる減速が避けられるとの期待が反映されている」と指摘。米S&P500種株価指数が1990年以降のリバウンド局面の平均日柄31日を越えて「強いリバウンド相場となっているのに対し、日本株は下げ幅の半分も戻っておらず出遅れ感が強い」と述べた。

  米国株高の追い風を受けて、TOPIX、日経平均とも終値でことしの高値を連日で更新した。いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、現在の相場は米国の過剰流動性と米中通商交渉とのせめぎ合いだと分析。米景況感は「ピークアウトしたものの、雇用や製造業指数などからは大きくスローダウンしていない。ウォルマート決算にみられるように個人消費はそれほど悪くない」と話していた。

  もっとも、米国株は戻りが急で短期過熱感も意識され、アジア時間20日の米S&P500種Eミニ先物は小安く推移。TOPIXは午後にマイナス圏に沈む場面もあった。SBI証の鈴木英之投資調査部長は「当面の米利上げ観測がゼロに低下する中で米FOMC議事録でそうした緩和姿勢がみられるのか、あすからの米中閣僚級貿易協議の詳細など確認したい事項は多く、上値では利益確定売りが出やすい」と言う。

20日は3日続伸
東証33業種では非鉄金属、電気・ガス、卸売、陸運、輸送用機器、医薬品、情報・通信が上昇
下落は石油・石炭製品、鉱業、証券・商品先物取引、精密機器
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-19/PN72D26KLVRD01
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/225.html

[経世済民131] 米国債と米株が逆のシグナル、年初来の株価上昇は速過ぎた恐れも 円かなり過小評価1年内105円 英ホンダ撤退「離脱」の重み
米国債と米株が逆のシグナル、年初来の株価上昇は速過ぎた恐れも
Justina Lee
2019年2月20日 14:38 JST
• 米国債は景気減速を示唆、S&P500種株価指数が上昇
• 株式強気派には債券からのファンダメンタルな支えない−アナリスト
米国債利回り低下が景気減速を示唆する一方で、S&P500種株価指数は景気敏感株を中心に買われ1、2月では2010年以来の大幅高となる軌道にある。相反するシグナルは、株価上昇に乗って買い進むべきか保有を減らすべきかと投資家を悩ませる。
  米先物市場は利下げを織り込んでいる。ハト派シグナルをてこにリスク資産が買われ、景気循環株がディフェンシブ銘柄のパフォーマンスを上回った。変動が大きくレバレッジの高い銘柄の人気も再び高まっている。こうした状況は、2018年の調整から一転した株価上昇は速過ぎたのではないかとの懸念を強める。
  ING銀行ウェルスマネジメント部門の投資マネジャー、サイモン・ビアズマ氏は、市場には「大きな期待があるが、経済指標が現在より悪くなればセンチメントは簡単に変わり得る」と話す。
  ネッド・デービス・リサーチのアナリスト、ティム・ヘイズ、アヌープ・ナス両氏はリポートで、株式相場が「景気見通しの実際の改善というより期待によって押し上げられてきた」が、「債券利回りが上昇していないことなど、ファンダメンタルな支えがないことを示す兆候がある」と指摘した。


原題:The Epic Clash Between Bonds and Stocks Is Coming Back(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-20/PN7KG36JTSE901?srnd=cojp-v2

 


円は「かなり過小評価」、1年内に105円に上昇−UBS・GWM予想
Anooja Debnath
2019年2月20日 11:16 JST
• 「日銀の緩和政策終了が近づいている」と分析
• 世界景気の失速も逃避先通貨の円にプラス材料となる公算
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントは円相場が「かなり過小評価」されているとして、再び上昇に向かうとみている。円は19日、日本銀行の黒田東彦総裁が追加緩和の可能性を警告し市場を驚かせたことから一時下落した。
  同社は円が向こう1年間に5%上昇して1ドル=105円になると予測。日本の賃金の伸び加速が物価上昇につながると分析している。一方、黒田総裁は為替相場で円高が進み、経済、物価情勢に影響を与えて2%の物価目標の達成に必要となれば、追加緩和を検討する考えを示した。
  為替調査責任者トーマス・フラリー氏ら同社ストラテジストは15日付の顧客向けリポートで、世界景気の失速も逃避先通貨の円にプラス材料になるかもしれないと指摘。日銀は2%の物価目標を達成する前であっても2020年の早い時期に金融政策正常化を開始するという。
  「円はなお最も過小評価された主要通貨だ。世界の経済成長の勢いがさえないことや日銀の緩和政策終了が近づいていることでリスクのバランスは円高方向に傾くだろう」と説明した。

原題:UBS Wealth Sticks to Bullish View on Yen Despite Kuroda Comments(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-20/PN78SB6S972801?srnd=cojp-v2

 

コラム2019年2月20日 / 11:38 / 7時間前更新
英自動車産業、ホンダ撤退でのしかかる「離脱」の重み
Liam Proud
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[ロンドン 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 英国の自動車産業が末期的な衰退に向かっていると断言するのは時期尚早だ。ホンダ(7267.T)の英工場生産終了方針は、どちらかと言えば英国の競争力ではなく、同社固有の戦略的問題に起因する面が大きい。

とはいえ英国は、世界的な自動車メーカーによる電気自動車(EV)製造の約束を必要としており、その点で欧州連合(EU)離脱は大きな足かせになるだろう。

英国人は、自国の自動車セクターの18万6000人に上る労働者の生産性が、実はドイツの同業者より高いと知ったら驚くかもしれない。昨年英国で生産された乗用車・トラックは約160万台、労働者1人当たりで8.6台だった。これは2016年のおよそ11台からは減少したが、依然としてドイツで近年記録されてきた1人当たり7台前後よりも高い。

約3500人を雇用するホンダのスウィンドン工場は、例外的な存在だ。競争が激しい欧州市場において、同社の事業規模は下位グループに属しているし、この工場の稼働率は64%程度にとどまっている。自動車業界の一般的な尺度では、稼働率が80%に達しないと採算ラインに乗らない。英サンダーランド工場で新モデルを生産するという2016年の約束を撤回した日産自動車(7201.T)とともに、ホンダの工場の生産終了は、最近日本とEUが結んだ経済連携協定で関税撤廃と本国からの輸出が可能になったことが背中を押した。

英国に存在する他の33カ所の自動車工場で働く人々は、それぞれのメーカーが同国で次世代のEVを生産するサインが出てくるか見守っている。ただこれまでのところは、不安材料しかない。

英自動車工業会(SMMT)のデータによると、新規生産設備などの分野における国内自動車セクター向け投資額は、昨年半減して5億8900万ポンドにとどまった。英国で組み立てられた自動車の半分以上が欧州大陸に輸出される以上、EUと英国の将来の関係がどうなるかを巡る不透明感が大きく作用したのは間違いない。

またブレグジット(英のEU離脱)後に移民規制が予想されることで、英国で高技能労働者の確保がさらに難しくなるだろう。英自動車業界は今でも5000件もの求人が埋まっていない点を見れば、既に採用面で苦戦していることが分かる。一方、英国の自動車関連研究開発費は年間40億ポンド弱で、フランスの50億ポンド、ドイツの190億ポンドを下回っており、英国がスタートから出遅れていることを意味する。

今後何が起きても自動車セクターの雇用は減少する可能性がある。ドイツ金属産業労組のトップの話では、EVのバッテリー工場は、エンジン工場に比べて5分の1程度の人手しか必要としないからだ。それでもブレグジットは英国の自動車産業の発展をさらに遅らせる要素であり、労働者には迷惑でしかないだろう。

●背景となるニュース

*ホンダは19日、英国で唯一のスウィンドン工場の生産を2021年に終了すると発表した。3500人の雇用に影響する。八郷隆弘社長は「ブレグジットの情報に基づく決定ではない」と述べた。


*日産自動車は2日、欧州市場向け次世代「エクストレイル」の生産に九州の工場を活用する方針を明らかにした。2016年時には、この車は英サンダーランド工場で生産する計画だと発表していた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/uk-honda-car-idJPKCN1Q9073


 


「業績リセッション」は恐るるに足らず−クレディSとゴールドマン
Lu Wang
2019年2月20日 16:41 JST
• 「一部の特に大きな企業が予想をゆがませている」ーゴラブ氏
• 弱さの要因は好転へ、10−12月の回復を支えるとコスティン氏
米国株式会社の「業績リセッション」が懸念されているが、ゴールドマン・サックスとクレディ・スイスは、恐るるに足らずとの見解だ。
  S&P500種構成企業の1−3月(第1四半期)は3年ぶりの減益になると見込まれており、4−6月(第2四半期)も減益の公算が大きい。利益低迷が長期にわたれば昨年のクリスマス以降18%に達した米株相場上昇がとん挫しかねない。
  しかしゴールドマンのストラテジストらは、そうした脅威はさほど大きくはないと言う。S&P500種構成企業の1株利益合計の中で大きな割合を占めるアップルなどの大企業が、指数全体の減益の主因だからだと説明した。また、個々の企業の1−3月予想利益で見ると、構成企業の中央値で3.6%の増益だとクレディ・スイスのデータが示した。全体では0.7%の減益が予想されている。

  クレディ・スイスの米株チーフストラテジスト、ジョナサン・ゴラブ氏は18日のリポートで「企業利益についてリセッションという言葉を使う人が多いが、個々のデータを検証するとより穏やかな情景が見えてくる。一部の特に大きな企業が予想をゆがませている」と指摘した。
Profit Rebound
Goldman Sachs says any earnings weakness is likely to be short-lived

Source: Bloomberg
  また、ゴールドマンのデービッド・コスティン氏は、仮に業績リセッションが訪れたとしても、短期間にとどまるため、株式上昇相場への脅威にはならないとの見方だ。世界の景気減速やドル高、原油安など現在の弱さの要因が好転して、10−12月(第4四半期)の業績回復を支えると予想している。
原題:Credit Suisse, Goldman Downplay Market Risks From Earnings Slump(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-20/PN7Q486TTDS201?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/226.html

[戦争b22] 米ロ核軍縮体制が崩壊する可能性 岡崎研究所  
米ロ核軍縮体制が崩壊する可能性

2019/02/21

岡崎研究所

 2月1日、ポンペオ米国務長官は、INF条約の破棄に関して、記者ブリーフを行なった。その要点を、以下に紹介する。


koya79/MicrovOne/coffeekai
・トランプ政権の外交政策の核心は、とても分かり易い。米国民の安全保障が第一に考慮されるべきもので、米国が締結する条約は米国の利益に資するものでなければならず、約束を破った諸国は責任を負うというものだ。

・何年も、ロシアは、容赦なくINF条約に違反してきた。ロシアは、今日までずっと、500〜5500キロの射程を有す地上発射型中距離巡航ミサイル・システムを製造、保有又は飛行実験しないという条約義務に違反してきた。ほぼ6年間にもわたるロシアの違反にもかかわらず、米国は長年この条約を維持し、米国民、同盟諸国、友好諸国の安全保障を守ってきた。我々は、このことを30回以上も、首脳陣も含めたロシア政府に指摘してきたが、ロシアはただ否定するだけだった。

・ロシアの違反は、何百万人もの欧州の人々及び米国民をより大きなリスクにさらす。それは、米国を軍事的に劣勢におく結果を生み、二国間関係の改善を損なう。適切に対応することは我々の義務である。実際、昨年12月、米国は、NATOの全同盟諸国の支持を得て、正式にロシアの条約違反を表明した。その時私は、ロシアが60日以内に完全かつ検証可能な形で条約遵守に復帰しなければ、米国はINF条約の義務の履行を中断する旨述べた。我々は、ロシアが行動を改め条約を遵守するために十分な機会を与えた。明日、その期限が来る。ロシアは、この60日の間、条約を遵守する行動を取ることを拒否した。

・したがって、米国は、2月2日をもってINF条約の義務の履行を中断する。我々は、ロシア及び条約締約国に対して、米国が、条約第15条に従って6か月後をもってINF条約より離脱することを、正式に通告する。

参考:Michael R. Pompeo ‘Remarks to the Press’, Department of State, February 1, 2019)

 上記の通り、ポンペオ米国務長官は、2月1日、米国はINF条約(中距離核ミサイル廃棄条約)の義務履行を停止すると述べ、条約破棄通告を正式に行った。条約は通告後6か月で廃棄されるが、この6か月間のうちにロシアが条約順守に立ち返れば、廃棄通告を取り下げるとしている。しかし、ロシアは条約には違反していないとしている以上、問題の巡航ミサイルを条約の禁止しているミサイルであると認めることはありえない。

 2月2日、ロシアもINF条約の義務履行停止を声明した。従って6か月後に冷戦終了のきっかけにもなったINF条約はなくなることになるだろう。

 中距離核ミサイルの分野でのミサイル開発競争が始まることは、米ロ共に新兵器開発の意図を表明しているので確実である。中国は、もともと中距離核ミサイルを保有しているから、この軍拡競争に最初から参加している形になる。

 1980年代、ソ連がSS-20を欧州とアジアに配備し、米国と欧州の安全保障が分断されると、シュミット西独首相が騒ぎ、結局パーシングIIと地上発射型巡航ミサイルの欧州への持ち込みが行われた。その後、SS-20とパーシングII などの同時廃棄でグローバル・ゼロの INF条約ができたが、その条約がなくなれば、条約ができる前の状態に戻ることになる。日本に対するロシアのINFの脅威は当然出てくる。

 中国、北朝鮮の同種のミサイルの脅威も引き続きある。日本の安全保障への影響と対応を検討する必要が出てくるだろう。

 米国とNATOは、ロシアが違反していると言っているが、ロシアは違反していないと言っている。INF条約は禁止されるミサイルを定義しており、問題になっているロシアの巡航ミサイルがその定義に入るか否かは検証できることである。なぜ、そういう、いわば簡単なことについて、米ロが議論を通じて合意に達することができないのか、不思議な気がする。ロシアの開発した巡航ミサイルの射程などは、米国が自分の衛星写真を分析すればわかることである。ロシアが嘘を言い張ることもあるが、すぐばれる嘘はそんなに言わない。

 INF条約は上院で 3分の2で承認された条約である。その廃棄は上院の許可なしに行えるのかというと、INF条約には廃棄条項があるので、それに従う限りできるということだろう。しかし、NPT条約(核不拡散条約)同様、廃棄は自国の至高の利益が脅かされた場合にできるとなっており、これを根拠に、上院が、大統領は欧州やアジアへの脅威の増大をもたらす違反を理由に廃棄するのは権限逸脱という議論はありうるだろう。ただ、米ロ両政府が条約の義務履行を停止するとしている中で、この議論はアカデミックな意味しかない。

 米ロ間の相互不信が強くなっており、2021年2月に失効期限を迎えるSTART(戦略核兵器削減)条約の更新もできなくなる可能性は高い。INF条約のみならず、冷戦中から築き上げられてきた米ソ、米ロ核軍縮体制は崩壊する可能性が高いと判断して良いと思われる。

http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15377
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/545.html

[国際25] 正恩氏がエリート層粛正、外貨確保やタカ派排除狙いか
2019年2月21日 The Wall Street Journal
正恩氏がエリート層粛正、外貨確保やタカ派排除狙いか
北朝鮮の金正恩氏
写真:ユニフォトプレス
 【ソウル】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、汚職撲滅の一環として、私腹を肥やしたエリート層に対する粛正を断行した。50?70人が追放か、投獄・処刑されたとみられている。

 背景には、国際社会からの制裁措置で打撃を受けている国家財政を潤すほか、米韓との雪解けを進める正恩氏の方針に反対する政権内タカ派を排除する狙いがある。

 今回の政治的な粛正では、自らの権威を利用して不正蓄財した従来の強硬派が標的となっているという。脱北者が創設したシンクタンク(ソウル)、北朝鮮戦略センターがまとめた報告書やアナリストらの分析で明らかになった。

 正恩氏は1月1日の演説で、汚職撲滅を宣言。党や政府組織は「深刻なものから軽度のものまで、権力乱用や官僚主義、汚職の根絶に向けた闘争を加速させるべき」と表明した。韓国の元情報当局者らは、北朝鮮の指導者が汚職撲滅を掲げるのは異例だと話す。

 北朝鮮戦略センターの報告書の執筆者らによると、昨年暮れには、金一族の身辺警護を担当する護衛司令部の幹部らが、数万ドルを不正蓄財していた疑いで粛正された。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は粛正が事実かどうか確認できなかった。だが、韓国のアナリストは、報告書の内容は正しいと確信していると述べている。報告書の執筆者らは、北朝鮮の元当局者14人、現当局者6人、および現在は国外で暮らしている北朝鮮人5人から聞き取り調査を行ったとしている。

 昨年終盤から始まった今回の粛正では、北朝鮮の既得権益層が蓄えていた外貨を没収することが狙いで、金政権は数百万ドルを手に入れたとみられている。

 金正恩氏はこれまで、政権の安定を優先し、取り巻きを満足させるために汚職をある程度容認してきたが、制裁措置により考えが変わったもようだ。正恩氏は不正資金について、国庫をさらに枯渇させる悪因と認識するようになったという。

 米韓の安全保障専門家によると、今回の汚職対策では、横行していなければそれほど目立たない賄賂のようなものを取り締まっている点で、従来のものとは性質が異なるとしている。

 報告書の著者によると、正恩氏は父親から指導者の座を受け継いだ2011年終盤以降、既得権益層400人前後を粛正した。このうち半分は、2013年に影響力の大きかった叔父を排除する際に行われたものだ。

 専門家は今回の動きについて、正恩氏の権威に陰りは見られないとして、政情混乱の兆候ではないとの見方を示している。ただ、短期的には、国際社会による制裁で貿易が打撃を受ける見通しであるため、正恩氏は外貨が必要になる。正恩氏は経済発展の必要性を公の場で表明しているほか、将来的な制裁解除もにらみ、経済プロジェクトが不正で台無しにならないよう、汚職の一掃を望んでいるとみられている。

 金正恩氏が経済発展を望んでいることを踏まえると、賄賂の横行が成長を損なうと懸念している可能性があり、結果的に自身の政治的正統性も揺らぎかねないとみている。こう指摘するのは、バージニア州の非営利シンクタンク、CANの敵対国分析プログラム責任者、ケン・ゴース氏だ。同氏は「正恩氏は確実に北朝鮮国内に定着する経済計画をまとめようとしている」とし、「汚職にまみれた環境にあれば、どのような計画であっても死んでしまう」と話す。

 また粛正では、正恩氏が米韓との対話を模索する中で、軍部のタカ派を抑えつつ、自身の権力基盤を固め、政権内のハト派の立場を強める狙いも透ける。

 北朝鮮戦略センターによると、今回逮捕・処刑された犠牲者の中には、強力な軍隊の幹部も含まれる。正恩氏の父親は、熱心な金一族の支持層を遠ざけまいと、軍隊には決して触れてこなかった。報告書の執筆者や他の北朝鮮専門家らは、約10万人で構成される護衛司令部を標的にした北朝鮮の指導者は、正恩氏が初めてだと指摘している。

(The Wall Street Journal/ Andrew Jeong and Timothy W. Martin)
https://diamond.jp/articles/-/194744
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/480.html

[政治・選挙・NHK257] 消費増税方針支える「3つの通説」は本当か 薬の「費用対効果」、政府が新制度導入へ 高額薬に備え reuters
為替フォーラム2019年2月21日 / 14:35 / 3時間前更新

消費増税方針支える「3つの通説」は本当か

鈴木明彦 研究主幹 三菱UFJリサーチ&コンサルティング
4 分で読む

[21日 東京] - 2度にわたって10%への消費税率引き上げを先延ばしてきた安倍晋三首相だが、さすがに「3度目の正直」となる今年10月予定の増税については、実施する姿勢を崩していない。

その方針を支える安倍政権の筋立ては以下のようにまとめられよう。

1)前回8%への消費増税は想定以上のマイナス効果を個人消費、そして経済全体に与えた、2)10%への増税では、その過ちを繰り返さないように万全の対策で臨む、3)リーマンショックのような出来事がない限り、消費税率を10%に上げることは可能だ──。

結果として、世の中の議論もこの3点に収れんされ、消費税を上げた場合、どの程度、経済に影響があるのか、そして政府の増税対策はどの程度効果があるのか、などに焦点が当たっているようだ。

しかし、残念ながらこの3つの通説は的を射たものではない。

<前回増税のマイナス効果は想定通り>

まず、2014年4月に実施された前回の消費増税による個人消費の落ち込みは、十分想定できたことだ。

消費増税が消費に影響するルートは、物価上昇による実質所得の押し下げが中心となる。

前回増税時の状況を振り返ると、消費者物価は円安影響ですでに1%台半ばの上昇率だった。そこに消費増税による消費者物価の押し上げ効果2%が加わって、増税後の物価上昇率は3%台半ばとなった。

名目賃金は当時上がっていなかったので、実質賃金(所得)は3%台半ばの減少となる。これが個人消費に影響しないはずがない。個人消費は想定通りの落ち込みを示しただけだ。

これに対して、10%への税率引き上げが個人消費に与える影響はほとんどなさそうだ。

まず、物価上昇率はこれからさらに低くなる。昨年終わりからの原油価格下落の影響に加えて、今後予想される携帯通話料金の引き下げや幼児教育無償化の影響を考えると、10%税率を導入する際の消費者物価は前年比ゼロ%あるいはマイナスになっているかもしれない。

消費増税による物価押し上げ効果は、今回の増税幅がやや小幅で軽減税率が導入されることもあり、1%程度にとどまるだろう。

増税後の消費者物価上昇率は1%程度と想定できる。

一方、賃金統計に対する信頼度は低下しているが、名目賃金が1%程度上昇しているとすれば、消費者物価の上昇とほぼ同じである。結果として、実質所得は変化しないので、個人消費に与える影響は中立となる。

<政府の増税対策は必要なし、逆に混乱招く恐れ>

つまり、増税対策は必要ないと言えそうだ。

しかし、政府は、実質所得を上げることよりも、駆け込みとその反動を抑えることを目的に対策を講じようとしている。このミッションは、経済政策によって景気を刺激することよりもはるかに難しい。ほとんど達成不可能なのではないか。

場合によっては新たな駆け込みの山ができてしまい、その後の「崖」を防ぐために対策を延長する、あるいは新たな対策を考えることになりかねない。

しかも「キャッシュレス社会の推進」という全く別のミッションまで加わっている。

軽減税率の導入も、その区分の複雑さが現場で混乱をもたらす懸念があるが、キャッシュレスを推進するために、複雑なポイント還元策が検討されており、どこまでがポイント還元の対象になるのか、そのために必要な予算はどの程度なのか、といった点で混乱が生じる恐れがある。

実質所得の大幅な落ち込みを防ぐという観点からすると、対策は必要ないということになるのだが、駆け込みと反動をならす、あるいはキャッシュレス社会の実現という目的のために、さまざまな対策が取られることになった。これらがどの程度効果を持つのかは不明だが、実際に運用した時の現場の混乱が懸念される。

<低くない税率10%のハードル>

消費税対策に問題点があるとしても、そもそも消費税増税の影響が無視できる程度であり、10月までにリーマンショックのような事態が発生しないならば、今回の消費税率引き上げはすんなり実現しそうに見える。しかし、税率10%へのハードルは低くない。

まず、戦後最長の景気拡大などと言われているが、すでに景気は下を向いている。輸出、生産、景気動向指数の推移を見れば、2018年初めから中国をはじめとする世界経済の減速に連れて、日本景気も回復が一服している。

昨年末に向けては米中貿易戦争の影響も現れているようで、これから出てくる経済指標は一段と厳しいものになるのではないか。リーマンショック並みとまではいかないとしても、過去2回消費増税を先延ばしした時点に比べて、今の景気の方がしっかりしているとは言えなくなる。

また、前述したように物価上昇率は特別な要因も影響して、マイナスに転じる可能性すらある。これ自体は消費税率引き上げの環境としては改善を意味するのだが、デフレ脱却を目指す安倍政権の下では、デフレに逆戻りしそうな時に消費増税を行うべきではないという批判が広がるかもしれない。

<本当に必要な増税政策とは>

消費税に限らず増税を歓迎する国民などいない。消費税を上げれば、実質所得は目減りし、個人消費、そして日本経済にマイナスの影響が出てくるのは避けられない。たとえ財政支出を増やして消費税対策を打っても、その効果は一時的なものにとどまる。

そもそも、お金が足りないから増税するのであれば、一時的な効果しか見込めない増税対策のために、財政支出を増やして欲しくない、というのが正直な思いだ。そんな対策を打つぐらいなら、そもそも増税をやめるか、せめて増税幅を狭めてもらいたい。

最も必要な消費増税対策とは、なぜ消費税を上げなければいけないのか、消費税収は借金返済も含めてどのように使わるのか、といったことを国民に正直に説明して納得してもらうことだ。納得するとは、実質所得が減ることも含めてだ。

国民がそうした痛みを受け入れざるを得ないと納得すれば、今行われようとしているような消費税対策は必要なくなる。

2012年の三党合意では社会保障と税の一体改革についての合意があり、そこでは2015年10月には消費税率が10%に上がることになっていた。それが今になっても実現していないのはなぜか。最も必要な消費税対策を政治の世界が怠ってきたからではないだろうか。

*本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。

鈴木明彦氏 研究主幹 三菱UFJリサーチ&コンサルティング(写真は筆者提供)
*鈴木明彦氏は三菱UFJリサーチ&コンサルティングの研究主幹。1981年に早稲田大学政治経済学部を卒業し、日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行。1987年ハーバード大学ケネディー行政大学院卒業。1999年に三和総合研究所(現・三菱UFJリサーチ&コンサルティング)入社。2009年に内閣府大臣官房審議官(経済財政分析担当)、2011年に三菱UFJリサーチ&コンサルティング、調査部長。2018年1月より現職。著書に「デフレ脱却・円高阻止よりも大切こと」(中央経済社)など。筆者のツイッターアカウントはこちら。
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-suzuki-akihiko-idJPKCN1QA0EO

 

ビジネス2019年2月21日 / 16:45 / 39分前更新 焦点:
薬の「費用対効果」、政府が新制度導入へ 高額薬に備え
Reuters Staff
3 分で読む

[東京 21日 ロイター] - 政府は今年4月、薬の費用対効果を評価する新たな制度を導入する。高齢化の進展やさらなる高額薬の承認が見込まれる中、膨張する医療費を抑制するのが狙いだ。だが、社会保障制度の維持を大義に、政府が薬剤費を狙い撃ちにすることへの業界の反発は根強い。企業の開発意欲を損なわず、国全体の経済成長につなげる好循環を構築できるかが課題となる。

<高齢者に高額薬>

国立がん研究センター中央病院に勤める後藤悌医師には、80歳代の患者にがん免疫薬のオプジーボを投与した経験がある。オプジーボは小野薬品(4528.T)と米ブリストル・マイヤーズスクイブ(BMY.N)が共同開発した薬剤で、その効果とともに価格の高さでも話題を呼んだ。保険適用された当初、患者1人当たりの金額は年間3000万円超とされていた。

日本では、患者の自己負担は1─3割で、同じ月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合には、一定程度が払い戻される制度もある。厚生労働省によると、2016年度の医療費は患者負担が全体の11.5%で、残りの約9割が保険料と公費で賄われている。

「高齢の方にオプジーボを使うメリットがあるかどうか。世間の人に聞けば、恐らくほとんどの人が無いと言うだろうが、患者さんやその家族はみんな使いたいと言う。それを私たちが断る権利は無い」と後藤医師は話す。

日本の医療費は増加の一途をたどる。高齢化に加え、医療の高度化に伴って薬や医療機器の価格が上昇していることが背景にある。政府が昨年示した試算では、2040年度は68.5兆円と、18年度比で約75%増える見通しとなっている。

医療保険財政への負荷を踏まえ、政府は来年度から新薬の費用対効果を測る制度を導入する。「増分費用効果比」(ICER)は、英国などでも用いられている手法。健康な1年を生きるのに、既存薬と比べてどの程度の追加費用がかかるかを測定し、分析結果によって薬価を上下に調整する。

だが、こうした分析に詳しい米国研究製薬工業協会のケビン・ハニンジャー氏は、ICERそのものの欠点を指摘する。「例えば、私が関節リウマチを患って、物を書いたり、タイピングもできなくなったりしていたところ、ある薬によって症状が改善したとする。その結果、仕事に復帰し、税金を納め、家族の面倒を見ることができるようになっても、こうしたベネフィットはICERでは捕捉できない」と語る。

<薬価下げに依存する政府>

費用対効果評価は、あくまで新薬が保険適用された後に用いることにしている。ただ、昨年12月の経済財政諮問会議で示された「改革工程表」では、保険適用を判断する際にこの分析の活用を検討することが盛り込まれ、一部の業界関係者を驚かせた。

現在は、安全性や有効性が確認されれば、その薬は原則として保険適用されることになるが、「費用対効果が低い」ことを理由に保険適用されないことになれば、薬へのアクセス制限にもつながる。

日本希少がん患者会ネットワークの真島喜幸理事長は「将来的に保険適用するところで評価分析が使われるようになれば、がん患者会としては本当に勘弁して欲しい事態だ」と主張する。

政府に対する製薬業界の警戒感も強い。安倍晋三政権は2016─18年にかけて、社会保障費の伸びを5000億円に抑える目標を掲げたが、3年間のうち薬価改定の年に当たる16年と18年は、抑制に必要な額の大半を薬価引き下げに頼った。

一方で、医師の技術料を含む「診療報酬本体」は引き上げたことから、製薬業界からは不公平を訴える声も出た。それでも、製薬会社にとって「医師は顧客のようなもので、強く不満を言いにくい」(国内製薬大手)のが実情だ。

<高額薬の定義>

厚労省の審議会は20日、スイス製薬大手ノバルティス(NOVN.S)の白血病治療薬「キムリア」の製造・販売を了承した。この治療法は、免疫反応の司令塔となるT細胞を患者の血液から取り出し、がん細胞を攻撃しやすくなるよう遺伝子を改変した上で体内に戻す「CAR─T細胞療法」と呼ばれる。

米国では47万5000ドル(約5200万円)の価格が付いた。日本でも「それに近いものになるのではないか」(政府関係者)とみられ、価格への注目が集まっている。

ただ、単価が高いものだけが「高額薬」とは言えない。安くても患者数が多ければ、財政への影響は大きくなるからだ。キムリアの対象患者は国内で250人程度とみられ、財政にかかる負担は限定的との見方もある。

冒頭の後藤医師は「例えばインフルエンザの薬は、熱が1日早く下がるだけで、子どもや妊婦さんなどを除けば人の命を救うわけではない。費用対効果の話をする時に、単価の高い薬だけを対象にするのは矛盾しており、他の薬でも議論すべきだ」と指摘する。

梅川崇
https://jp.reuters.com/article/drug-cost-idJPKCN1QA0QM
http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/769.html

[経世済民131] FRB資産縮小「年内終了」大幅前倒し3月表明か FRB議長は本当にハト派にブレたか ECB利下げ織り込みか金利フラット化
FRB資産縮小「年内終了」 大幅前倒し3月表明か
経済 北米
2019/2/21 5:12 (2019/2/21 5:46更新)
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【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は20日、1月29〜30日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表した。保有資産を縮小する「量的引き締め」を巡って議論し、ほぼ全ての参加者が「終了時期は2019年中」とみていることが分かった。世界景気の不透明感が増しており、当初の想定よりも大幅に早く終結する。

1月30日、FOMC後に記者会見したパウエルFRB議長=AP

1月のFOMCでは追加利上げを見送り、当初は19年中に2回を想定していた追加利上げも「当面は様子見する」と棚上げすることを決めた。議事要旨では「海外経済の減速や米国の財政効果の衰えなどを不安視し、企業心理が若干弱含んでいる」などと景気の先行きに懸念をにじませた。

FOMCでは資産縮小政策の見直しも議論した。08年の金融危機後の量的緩和で、米国債や住宅ローン担保証券(MBS)を大量に買い入れたが、17年秋から保有量を減らす「量的引き締め」に転じていた。市場には利上げとともに二重の圧力となり、景気の先行きを警戒し始めた投資家らの懸念材料になっていた。

そのため1月のFOMCでは「バランスシートの正常化の詳細を修正する用意がある」と表明すると決めた。パウエル議長は18年12月のFOMC後の記者会見で「資産縮小は順調で見直す予定はない」と主張していたが、19年1月の会合では「経済や市場の動向に応じて柔軟に見直すのが適切だ」と方針転換することで参加者は一致した。

FRBはこれまで資産縮小の終了時期を明示してこなかったが、ほぼ全ての参加者が19年末までとみていることも分かった。パウエル氏らは当初、21年から22年にかけてが終了時期と示唆していたが、大幅に前倒しする。

資産縮小の終了を早めるのは、潤沢な手元資金を持ちたい金融機関が、FRBに余剰資金を預けるニーズが高まっているためでもある。資産縮小が行き過ぎれば市場の資金不足につながって、政策金利に不要な上昇圧力がかかる可能性があった。議事要旨では資産縮小の終了時期を「まもなく公表する」としており、早ければ3月の次回FOMCで詳細を明示する。

FOMCでは先行きの利上げシナリオも議論し、大半の参加者が「政策金利の調整を様子見するのが適切だ」と判断した。市場にはFRBが15年末から続く利上げサイクルを事実上終結したとの見方がある。議事要旨では数人の参加者が「追加利上げが必要になるのは、想定よりも物価が上振れしたときだけだ」と主張。一方でほかの数人は「経済が想定通りに推移すれば19年中の利上げが適切だ」と述べ、若干の追加利上げがある可能性に触れた。

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2019年2月21日 加藤 出 :東短リサーチ代表取締役社長
パウエルFRB議長は本当に「タカ派からハト派にブレた」のか
パウエルFRB議長
1月の記者会見において、政策金利の据え置きを発表したパウエルFRB議長 Photo:AP/アフロ
 米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長の「ブレ」を非難する声が米メディアから多く聞こえる。昨年はタカ派だったのに、今年に入って急に「利上げに忍耐強くなる」と言い始めてハト派に転向したからだという。

 パウエル氏の発言を昨年から丁寧に追っていくと、一部失言があったのは事実と思われる。しかし、全体のメッセージの流れに大きな「ブレ」はなく、経済の不確実性に合わせて徐々に中立スタンスにシフトしてきたことが分かる。

 彼が昨年前半から一貫して主張してきたポイントは、「潜在成長率、中立金利、自然失業率、インフレ期待といった目に見えないものを基準に金融政策を運営することは危険だ」という点にある。それらはリアルタイムで正確に推計できないためだ。

 利上げ開始当初は問題ないのだが、利上げが累積し、フェデラルファンド金利(政策金利)が中立金利らしき水準(経済を過熱もスローダウンもさせない金利水準)に近づいてくると、政策のかじ取りが難しくなる。というのも、FRB幹部の中ですら、中立金利の推計値に上下1%もの大きな幅があるからである。

 このため、パウエル氏らFRB幹部は昨秋以降、「家具がたくさん入っている部屋で電気が消えて真っ暗になったら、手探りで様子を感じ取りながら進むしかない。今後の金融政策も同様だ」といった趣旨の発言を繰り返してきた。

 昨年10月にパウエル氏はテレビのインタビューで、「中立金利までは長い道のりがある」と話した。この言葉は「利上げをまだまだやる気だ」とメディアに解釈された。

 しかし、インタビュー全体を聞くと、異なるニュアンスが伝わってくる。政治的にリベラル寄りらしい番組司会者は、低所得層の賃金が上がっていないのに利上げを続けていいのか、といった質問をパウエル氏に向けた。

 それに対して彼は、もっと速く利上げを進めるべきだという声にこれまでFRBはくみせず、慎重に超低金利を維持してきたとアピールした。低所得層が苦しむほど金利を引き上げてきたわけではないことを強調するあまり、先の発言が出たようだ。誤解を招く発言だが、直後には経済の不確実性が強い情勢なので今後の金利運営は慎重に判断する、とも述べていた。

 パウエル氏は定例記者会見の冒頭に読み上げる説明に重要なメッセージを込めていることが多い。例えば、昨年12月の会見では「利上げに忍耐強くなる」と明確に述べていた。ドットチャート(FRB幹部の利上げ予想)の中央値は19年に2回となったものの、19年は不確実性が高いため利上げが停止されることもあり得ると強調していた。

 しかし、記者たちにはなぜかスルーされ、「パウエルはタカ派だ」と報じられた。著名なFEDウォッチャー(FRBの動向を分析する専門家)であるライトソンICAPのルー・クランドル氏は、最近のメディア報道のずれを指摘しつつ、記者の誤解を避けるために、FRBは会見冒頭の説明のコピーを配布すべきだと助言している。

 続く今年1月の記者会見冒頭でパウエル氏は、米政府機関閉鎖や中国経済の減速懸念などが台頭してきたので慎重にいくが、経済の見方の「ベースラインは変わっていない」と強調した。少なくとも今年前半は、FRBは動かないと思われるが、現時点でパウエル氏はハト派というよりも中立と見なす方が適切だろう。

(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)
https://diamond.jp/articles/-/194472


 


2019年2月21日 ロイター
ECB利下げ織り込みか、スワップ金利がフラット化
ユーロ硬貨
2月15日、ユーロ圏の短期金融市場が、欧州中央銀行(ECB)の利下げを織り込むような動きを示している。写真はユーロ硬貨。2015年月撮影(2019年 ロイター/Dado Ruvic)
[ロンドン 15日 ロイター] - ユーロ圏の短期金融市場が、欧州中央銀行(ECB)の利下げを織り込むような動きを示している。英国の欧州連合(EU)離脱と世界的な貿易摩擦を背景に、ユーロ圏の景気見通しが悪化しているためだ。

 トレードウェブのデータによると、ユーロの2年物と3年物のスワップ金利の差は過去3ヵ月で縮小し、現在は8ベーシスポイント(bp)前後と、2017年初め以来の低水準に近付いた。2年物金利が3年物を上回る「逆イールド」の一歩手前だ。

 逆イールドは景気悪化の兆しと考えられている。実際、最後に2年、3年物の金利差がここまで逆イールドに接近したのは2016年7月で、英国民投票でEU離脱派が勝利した直後だった。

 ECBは当時、金融緩和を強化し、デフレ克服のために利下げを行っていた。

 トレードウェブによると、期間が短めのスワップ金利が最後に逆イールド化したのは2008年の世界金融危機時だった。

 ラボバンクの金利ストラテジー責任者、リチャード・マクガイア氏は「スワップのカーブにおけるフラット化(長短金利差の縮小)の進行は、ECBの金融政策正常化がどんどん先送りされるとの見方が強まっていることの現れだ」と指摘。「ユーロ圏経済の下振れリスクは明らかに強まっており、背景にはユーロ圏特有の要因に加えてグローバルな要因もある」と述べた。
https://diamond.jp/articles/-/194818
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/232.html

[経世済民131] 高まる世界成長懸念、株式アナリストも不吉な分析 世界景気後退、社債市場最大の懸念 米金融当局、利上バイアス 資産縮小終了
為替フォーラム2019年2月21日 / 16:55 / 25分前更新
高まる世界成長懸念、株式アナリストも不吉な分析
Swaha Pattanaik
2 分で読む

[ロンドン 20日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 世界的な成長鈍化を警告するシグナルが増えているが、今度は株式アナリストから悲観的な分析が飛び出した。通商紛争、米国の漸進的な金融引き締め、借り入れコストの上昇など悪材料に事欠かないが、この程度では済まないようだ。

モルガン・スタンレーによると、MSCI世界株価指数を構成する先進23カ国では企業業績見通しの引き上げ件数が引き下げ件数を上回る国が2013年以来初めてゼロとなった。17か国で引き上げ件数が引き下げ件数を上回っていた6カ月前から様相が変わった。過去20年でみると、こうした現象は全米経済研究所と経済政策研究センターによる米国かユーロ圏の景気後退認定と同時期に起きることが多い。

まだ景気後退は起きていないが、成長は鈍りつつある。

米国の統計は先週発表された1月の小売売上高と鉱工業生産が悪化して景気減速への警戒感が強まった。さらに今週初めに発表された中国の1月自動車販売台数は前年比で16%も落ち込んだ。

イタリアは昨年末に景気後退に突入。ドイツは昨年第4・四半期の国内総生産(GDP)成長率が0.02%のプラスとなり、リセッション入りを辛うじて免れた。しかしドイツ銀行の試算によると、0.02%という成長率は、金額でみれば宝くじ「ユーロミリオンズ」の15日の当選金額1億6000万ユーロよりも少ない。

各国中央銀行は警戒している。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は金融政策における忍耐強さを強調し、タカ派として知られるクノット欧州中央銀行(ECB)理事(オランダ中銀総裁)も利上げに消極的な姿勢を示した。現実を直視する動きが広がれば、今後重要な統計が予想外に悪化しても投資家の動揺は小さくて済むという理屈は成り立つ。

しかし悪い数字の重みで、投資家の忍耐力が試されるかもしれない。各種統計の発表値と予想の乖離度合いを示す「シティ・エコノミックサプライズ指数」は今月初めに先進10カ国で、実績値の予想からの下振れ度合いが2013年以来、最大となった。

またモルガン・スタンレーの集計によると、年初来の決算発表報告書では「スローダウン」という単語の出現数が過去最高を記録。こうした動きは景気下振れリスクがコンセンサスとなることを示している。

歴史が必ず繰り返すとは限らない。しかし、世界同時的な成長鈍化が幅広い景気減速に転じるスピードや、金融政策による景気刺激の余地が小さいのは心配だ。株式アナリストも悲観論を唱える陣営に加わった。

●背景となるニュース

・モルガン・スタンレーが1年後の企業業績予想の3カ月平均を用いて試算したところ、MSCI世界株価指数の構成国は見通しの引き上げ件数が引き下げ件数を上回る国が皆無となった。これは2013年以降で初めて。

・モルガン・スタンレーによると1980年代以降、業績見通しのこのような悪化は、全米経済研究所と経済政策研究センターによる米国かユーロ圏の景気後退認定とほぼ同時に起きることが多い。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/stocks-economy-breakingviews-idJPKCN1QA0Q6


 
世界の景気後退、社債市場最大の懸念に突如浮上
BofAメリル調査
John Glover
2019年2月21日 2:29 JST
• リセッションを最大の懸念に挙げた回答者、全体のほぼ30%
• 投資家は銀行や公益の社債、ハイブリット証券の購入増やす
世界的なリセッション(景気後退)はクレジット投資家が最も心配するリスクに浮上した。欧州の資産運用者を対象としたバンク・オブ・アメリカ(BofA)メリルリンチの最新の調査で明らかになった。
  回答者の30%近くが、世界的な景気後退を最大の懸念に挙げた。これは単一のリスクに対する懸念としては、2017年6月以降で最も意見が一致したことになる。債券利回りの上昇や高インフレを最大の懸念に挙げた回答者はいなかった。英国の欧州連合(EU)離脱と答えたのはわずか2%にとどまった。バーナビー・マーティン氏らアナリストが明らかにした。

  BofAメリルによると、欧州の投資家は今年に入って社債に積極投資しており、公益企業のディフェンシブなポジションと並んでハイブリッド証券や劣後銀行債などを買い増している。これを背景に、現金の配分比率は3.5%に低下、ファンドマネジャーらの大半はスプレッドが過度にタイト化していると感じているという。
  BofAメリル調査の対象となった顧客には銀行や保険会社、年金基金、資産運用会社、ヘッジファンドなどが含まれる。同行はクレジット投資家の調査を2カ月おきに実施。今回は58人が応じた。
原題:Global Recession Fears Are Suddenly Stalking the Credit Market(抜粋)

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2. 米国と中国、貿易協定のための複数の覚書について作業−関係者
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5. FOMC議事要旨、資産縮小停止巡り金利トレーダーに疑問残す
6.
日本株はことし最長の4日続伸、米中通商協議の進展期待−輸出高い
長谷川敏郎
2019年2月21日 7:52 JST 更新日時 2019年2月21日 15:24 JST
• 米中は貿易協定のための複数の覚書作成に取り組む−関係者
• テクニカル指標は過熱示唆、戻り一巡感とアイザワ証の三井氏
21日の東京株式相場は小幅ながら4日続伸し、昨年12月3日(7日続伸)以来の連続高記録となった。米国と中国の通商交渉の進展期待から、電機や機械など輸出関連、非鉄金属、海運株が買われた。
• TOPIXの終値は前日比0.03ポイント高の1613.50
• 日経平均株価は同32円74銭(0.2%)高の2万1464円23銭
  米中の通商交渉担当者らは最終的な貿易協定の土台となる複数の覚書の作成に取り組んでいると、協議について説明を受けた関係者が明らかにした。覚書は農業、非関税貿易障壁、サービス、技術移転、知的財産権を含む分野をカバーする。この報道が伝わった後、米S&P500種Eミニ先物が上昇転換、日本株も午後に入り先物主導でプラス圏に浮上した。
  アセットマネジメントOne運用本部調査グループの荻原健チーフストラテジストは「直近までの米中交渉のメインシナリオは、貿易面は話し合いが進んでいるが、知財面は進んでおらず、期間を延長して交渉していくというものだった」と指摘。覚書は「かなり広範囲で、比較的想定よりも早く着地が見えてくる可能性が出てきた。交渉前進が確認されポジティブ」と評価した。
  20日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)会合(1月29、30日)議事要旨では、金融当局のバランスシート縮小を年内に停止することで当局者の認識が幅広く一致したことが示された。アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは「世界の中央銀行が緩和的スタンスである限り、株価の急落は想定しづらい」と言う。
  その一方で、三井氏は「あまりにも悲観を織り込んだ水準からの株価の戻りは、物色面から見ても一巡感が出ている」と話した。TOPIXは20日にテクニカル指標のボリンジャーバンドでプラス2シグマの水準を上回っていた。

• 東証33業種では海運、パルプ・紙、非鉄金属、機械、証券・商品先物取引、精密機器が上昇
• 石油・石炭製品、その他金融、情報・通信、卸売が下落
世界の景気後退、社債市場最大の懸念に突如浮上−BofAメリル調査
John Glover
2019年2月21日 2:29 JST
• リセッションを最大の懸念に挙げた回答者、全体のほぼ30%
• 投資家は銀行や公益の社債、ハイブリット証券の購入増やす
世界的なリセッション(景気後退)はクレジット投資家が最も心配するリスクに浮上した。欧州の資産運用者を対象としたバンク・オブ・アメリカ(BofA)メリルリンチの最新の調査で明らかになった。
  回答者の30%近くが、世界的な景気後退を最大の懸念に挙げた。これは単一のリスクに対する懸念としては、2017年6月以降で最も意見が一致したことになる。債券利回りの上昇や高インフレを最大の懸念に挙げた回答者はいなかった。英国の欧州連合(EU)離脱と答えたのはわずか2%にとどまった。バーナビー・マーティン氏らアナリストが明らかにした。

  BofAメリルによると、欧州の投資家は今年に入って社債に積極投資しており、公益企業のディフェンシブなポジションと並んでハイブリッド証券や劣後銀行債などを買い増している。これを背景に、現金の配分比率は3.5%に低下、ファンドマネジャーらの大半はスプレッドが過度にタイト化していると感じているという。
  BofAメリル調査の対象となった顧客には銀行や保険会社、年金基金、資産運用会社、ヘッジファンドなどが含まれる。同行はクレジット投資家の調査を2カ月おきに実施。今回は58人が応じた。
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長谷川敏郎
2019年2月21日 7:52 JST 更新日時 2019年2月21日 15:24 JST
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• テクニカル指標は過熱示唆、戻り一巡感とアイザワ証の三井氏
21日の東京株式相場は小幅ながら4日続伸し、昨年12月3日(7日続伸)以来の連続高記録となった。米国と中国の通商交渉の進展期待から、電機や機械など輸出関連、非鉄金属、海運株が買われた。
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  米中の通商交渉担当者らは最終的な貿易協定の土台となる複数の覚書の作成に取り組んでいると、協議について説明を受けた関係者が明らかにした。覚書は農業、非関税貿易障壁、サービス、技術移転、知的財産権を含む分野をカバーする。この報道が伝わった後、米S&P500種Eミニ先物が上昇転換、日本株も午後に入り先物主導でプラス圏に浮上した。
  アセットマネジメントOne運用本部調査グループの荻原健チーフストラテジストは「直近までの米中交渉のメインシナリオは、貿易面は話し合いが進んでいるが、知財面は進んでおらず、期間を延長して交渉していくというものだった」と指摘。覚書は「かなり広範囲で、比較的想定よりも早く着地が見えてくる可能性が出てきた。交渉前進が確認されポジティブ」と評価した。
  20日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)会合(1月29、30日)議事要旨では、金融当局のバランスシート縮小を年内に停止することで当局者の認識が幅広く一致したことが示された。アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは「世界の中央銀行が緩和的スタンスである限り、株価の急落は想定しづらい」と言う。
  その一方で、三井氏は「あまりにも悲観を織り込んだ水準からの株価の戻りは、物色面から見ても一巡感が出ている」と話した。TOPIXは20日にテクニカル指標のボリンジャーバンドでプラス2シグマの水準を上回っていた。

• 東証33業種では海運、パルプ・紙、非鉄金属、機械、証券・商品先物取引、精密機器が上昇
• 石油・石炭製品、その他金融、情報・通信、卸売が下落
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-20/PN7OSS6KLVR601


 


Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
米金融当局、利上げバイアス維持を示唆−保有資産縮小停止近づくも
Christopher Condon、Rich Miller
2019年2月21日 11:54 JST
• ほぼ全ての当局者は近いうちに縮小停止の計画を発表する方針支持
• リスク巡る議論白熱も利下げ可能性の示唆なし−FOMC議事要旨
米金融当局は、2019年中に連邦準備制度のバランスシート縮小を停止することになると見込む一方、利上げについては必ずしも打ち止めを想定していないようだ。
  連邦準備制度理事会(FRB)が20日公表した1月29、30両日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、保有資産の縮小を年内に停止するのが最善であるとの点で「ほぼ全ての参加者」が一致したことが示された。縮小プログラムが景気にマイナスとなると憂慮する投資家には朗報となりそうだ。
  一方、金利に関するニュースは金融市場にとってそれほどありがたくない内容だった。投資家の一部は、次の金利の動きが引き下げとなる可能性があると考えていたためだ。議事要旨からは、再度の利上げに何が必要となるか、当局者の間で見解の相違があることが浮き彫りとなった。利下げについての示唆はなかった。

  ライトソンICAPのチーフエコノミスト、ルー・クランドール氏は「利上げするか否かが引き続き議論の焦点であり、利下げするかどうかではない」と指摘。「さらなる引き締めの方向にリスクは傾斜している」と語った。
  議事要旨公表を受けて米株価は小幅上昇する一方、米10年債利回りは2.64%に上昇し、ドルは下げ幅を削った。
  金融当局者は米経済が直面するリスクを巡る懸念の議論に多くの時間を割いた。具体的には中国や欧州の成長鈍化、米財政刺激策の効果減退、通商紛争、英国の欧州連合(EU)離脱に伴う混乱などだ。こうした懸念を理由に、当局者の一部は「生産の伸びの見通しを下方修正した」と、議事要旨に記された。
  議事要旨はまた、当局者が慎重に政策運営を進める点も強調。次にいつどのように政策を調整するかを決めるのに当たり、「辛抱強く」なる多くの論拠も列挙された。
  だが、下振れリスクや辛抱強さに関する議論はあっても、利下げが視野に入るような領域に討議がシフトすることはなかった。フェデラルファンド(FF)金利先物の相場動向を見ると、金融当局の次の動きが利下げとなる可能性がわずかに織り込まれている。
  JPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は顧客向けリポートで、「先のFOMC声明はもっと平らで中立的なバイアスを伝えたが、議事要旨からは次の動きが引き締めである方向にFOMC参加者が依然としてやや傾いている可能性が浮き彫りとなった」と記した。
原題:Fed Hints Hiking Bias Endures as Balance-Sheet Rolloff Nears End(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-21/PN97QQ6TTDS001


 
FOMC議事要旨、資産縮小停止巡り金利トレーダーに疑問残す
Emily Barrett
2019年2月21日 15:03 JST
• 年内の資産縮小停止でFOMCはほぼ一致も準備金の水準などに疑問
• FRB議長が来週の議会証言でおおよその数字と時期提示も−ミラー氏
米連邦公開市場委員会(FOMC)の1月会合の議事要旨によって、世界で最も詳しく精査されているバランスシートを巡る疑問の少なくとも1つが解消されたようだが、さらなる疑問が存在する。
  米連邦準備制度理事会(FRB)が20日公表した議事要旨の注目点は、危機の際に導入された資産購入の縮小プログラムを年内に完了することをFOMCメンバーがほぼ全会一致で支持したことだ。
  年内というタイミングが示されたことで確実性が若干高まるものの、期間はまだ比較的広く、この日の金利市場への直接的影響は抑えられた。米国債利回りは若干上昇したが、最近のレンジ内で推移。2年債と10年債の利回り曲線は議事要旨公表前の多少のスティープ化が反転した。
  終了時期に関するシグナルをサプライズと受け止めるのは、当局がバランスシートをさらに大幅に縮小して危機前の水準に近づけるとみていた少数派だけだろう。そうした見方は、流動性の低下懸念や、1月の声明でFOMCが「潤沢な供給」を伴う準備制度を目指す方針を示したことを背景に後退していた。
  BMOのジョン・ヒル氏は議事要旨について、超過準備の減少が金融情勢に影響を与えかねないことにFOMCが不安を抱いている様子をうかがわせると指摘した。
  政策担当者らはバランスシート縮小を完了する大まかなタイミングについては一致したが、金利市場のトレーダーは他の疑問に対する答えを待っている。
  そうした疑問の一つは「潤沢な供給」の意味であり、目標としたい準備金水準の指針だ。ブルームバーグが議事要旨公表前に調査した金利ストラテジストの予想中央値は、約1兆1000億ドルだった。これはさらに5000億ドルの縮小余地を意味し、バランスシートの総額は約3兆6000億ドルとなる。
  もう一つの謎は、資産縮小を当局がどのように終了していくかという点だ。縮小を急に停止するのか、あるいは現行の上限(米国債300億ドル、住宅ローン担保証券200億ドル)を徐々に引き下げるのかという疑問も残る。
  それらの中で真っ先に浮かぶのは、さらなる詳細が明らかになるのはいつかという疑問だろう。この点は楽観視する向きがあり、ブラックロックの米マルチセクターインカム担当責任者ボブ・ミラー氏は、パウエルFRB議長が来週の議会証言でおおよその数字とタイミングを提示できるとみている。
原題:Rates Traders Left With Questions as Fed Signals End to Runoff(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-21/PN9A016TTDS001

 

トップニュース2019年2月21日 / 09:00 / 5時間前更新
米FRB議事要旨、資産縮小の終了示唆:識者はこうみる
Reuters Staff
3 分で読む

[21日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が20日に公表した1月29―30日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、FRBはバランスシート縮小の終了に関する計画を近く発表する方針だ。金利に関する「忍耐強い」姿勢を継続する期間については、なお議論が行われていることが明らかになった。

市場関係者の見方は以下の通り。

<三井住友銀行のチーフストラテジスト、宇野大介氏>

為替市場では、1月29日―30日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が、思ったよりハト派ではないとの解釈が広がり、ドルが強含む展開となった。

こうした市場の反応をみて、FRBは残念な気持ちになっているかもしれない。というのは、今回の議事要旨は12月のFOMCと比べても、一段と市場に配慮し、さらにハト派度合いが増しているからだ。

これまで、米連邦準備理事会(FRB)は、伝統的な金融政策である政策金利の変更については、経済指標を考慮して決定する一方で、量的緩和の縮小については、オートパイロット(自動操縦)形式で進め、現在の4兆ドルのバランスシート(B/S)が2.5―3.0兆ドルの水準になるまで淡々と圧縮するとしていた。

しかし、今回の議事要旨では、オートパイロットによるB/Sの段階的縮小が、流動性が低下していた年末の株式市場に、甚大な影響を及ぼしたという投資家らの主張を取り上げている。

また、オートパイロット方式の採用によって、FRBは柔軟性を欠き、何があっても既定路線を変更しないものだと市場参加者に思い込ませてしまった可能性について、メンバーらが反省を込めて議論した形跡がある。

反省モードのFOMCは、資産買入の縮小停止時期を2019年後半と明示し、早ければ次回のFOMCで、B/Sの目標水準や縮小ペースについて詳細を発表する方針を示した。また、MBS償還額に見合った額の再投資なども前もって伝達することの重要性を確認した。

金融市場においては、それでもなお、年後半の利上げを予想し楽観論のよりどころにしている向きもいる。

しかし、FOMC参加者の基本的な考え方は、経済が想定以上に好転したり、インフレ率が予想外に上昇したりした場合のみ、利上げが可能ということだ。

1月の声明文にも記されているように、あくまで「将来の政策金利の調整(adjustments)」について忍耐強い(patient)姿勢を保っているわけで、将来の利上げ機会を模索しているわけではない。

今回の議事要旨を通して、FRBは配慮すべきものを全て受け止め、全方位型のハトであることを繰り返し述べたかったように映る。

<インバーネス・カウンセル(ニューヨーク)の主任投資ストラテジスト、ティム・グリスキー氏>

昨年第4・四半期の利上げが株式相場に影響を及ぼしたことを米連邦準備理事会(FRB)が認めたことは興味深い。バランスシートの規模については今後一段と透明性が増し、追加の量的引き締めは指標に左右されると説明、バランスシートの縮小停止に関する計画をそう遠くない将来に公表するとも明らかにした。

透明性は大事なことであり、市場は好感するだろう。FRBは昨年第4・四半期に見られた株価急落が経済に悪影響を及ぼしたため、そうした株安の再来を避けたがっているように見える。その一方で、バランスシートの縮小は年内当面継続する姿勢も示しており、この部分が唯一のマイナス材料と思われる。

<ウエスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズ(ワシントン)のシニア市場アナリスト、ジョー・マニンボ氏>

前回会合の慎重な声明内容をおおむね繰り返した。金利は年内据え置かれるとの印象を持った。米連邦準備理事会(FRB)が向こう数回の会合で金利政策を据え置く見通しと合致する内容だ。ただ、下向きの成長リスクが収まった場合、年内利上げに踏み切る可能性を閉ざしていない。議事要旨は市場の想定よりややハト派色が薄かった。金利が上がるのか下がるのか、方向性をつかむのはまだ時期尚早だ。

<ナティクシス(ニューヨーク)の米州担当首席エコノミスト、ジョセフ・ラボーニャ氏>

米連邦準備理事会(FRB)が金融市場の状況に対応していたことは明らかだ。

今回のFOMC議事要旨を見る限り、FRBの次の政策変更が依然として利上げである可能性は高い。なぜなら基本的な成長率は、減速しつつも引き続きトレンドをやや上回って推移しているほか、インフレ率は目標近辺を維持し、雇用市場は引き続き健全だからだ。議事要旨で示されているように、不透明な期間を通過し市場が落ち着けば、次の変更は利上げとなるだろう。

議事要旨にサプライズはなく、FRBによる利下げを示唆するものは何もなかった。FRBは「現在の金利水準が依然として中立をやや下回っているため、金利は低下するよりも上昇する可能性が高い」との見方を堅持するだろう。もっとも、私はそのようなことが起こるとは想定していない。

世界中の中銀が金融政策の正常化に着手しない限り利上げするというFRBの試みが誤りであることは明らかになっていくだろう。

*内容を追加しました。
https://jp.reuters.com/article/fed-minutes-views-idJPKCN1Q9351
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/233.html

[経世済民131] 中国人民銀、利下げは最後の手段と認識 別のツール使う可能性 農林中金、米企業の財務状況にも大きな影響力CLO市場で圧倒的
ビジネス2019年2月21日 / 16:45 / 33分前更新
中国人民銀、利下げは最後の手段と認識 別のツール使う可能性

Reuters Staff
1 分で読む

[北京 21日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は、インフレ鈍化と人民元高にもかかわらず景気押し上げに向けて利下げする可能性は低いとみられている。関係筋がロイターに明らかにした。

政策討議にかかわっている関係筋によると、中国人民銀は与信の伸びを拡大させ、企業の借り入れコストを引き下げるために市場性金利を引き下げ、預金準備率を一段と引き下げる公算が大きい。

ある関係筋は「(指標)金利引き下げの可能性も排除できないが、数カ月間は経済指標を引き続きみる必要がある。1月の新規融資額が大きかったこともあり、利下げの十分な理由はない」と述べた。

専門家は、人民銀行には利下げ以外にも様々な政策手段があると指摘。利下げを実施すれば、資金調達コストは下げられるが、負債が増える可能性があるとの見方を示している。

人民銀行のコメントは取れていない。

複数の関係筋は利下げの可能性について、経済が急激に減速し、広範なデフレ状態に陥った場合にしか実施されないだろうと指摘。これまでの緩和策の効果が年央前後に現れ、景気を下支えするとの見方を示した。

関係筋は、米中貿易協議で合意が成立すれば、利下げの可能性も低下するとの見方を示した。

ある関係筋は「中銀には多くの政策手段がある。流動性は潤沢で、政策の波及メカニズムも改善しており、調達コストが低下する可能性がある」との見方を示した。

*内容を追加しました。
https://jp.reuters.com/article/china-interest-rate-idJPKCN1QA0RT


 
2019年2月21日 The Wall Street Journal
農林中金、米企業の財務状況にも大きな影響力 世界のローン担保証券(CLO)市場で圧倒的な存在感を放つ
農林中央金庫
Photo:PIXTA
 米国では今年1月、資金の借り手企業が厳しい状況に置かれた時期が数週間あった。12月の株価急落から一転し、事態は上向き初めていたものの、投資不適格級企業向けの市場の一部に問題が生じていた。

 そこに救世主として現れたのが、日本の農林中央金庫(農林中金)だ。

 創立95年の農林中金は農協や漁業協同組合などから66兆円を超える預金を集め、推定7000億ドル(77兆3500億円)の世界のローン担保証券(CLO)市場で大きなシェアを占めている。

 農林中金が保有するCLO資産は620億ドルと、米国の2大銀行ウェルズ・ファーゴとJPモルガン・チェースいずれのCLO資産をも上回る。その影響力は拡大しており、2018年10-12月には保有資産を約100億ドル積み増した。これは同期間の欧米のCLO発行総額の3分の1近くに上る。

 CLO市場は近年、活況を呈している。米国の金利上昇で銀行やその他長期投資家の変動金利債券への投資意欲が堅調なためだ。農林中金のCLO市場での存在感の拡大は、世界経済が不透明な中でCLOの魅力が増していること、そして投資の集中にはリスクがはらむことを浮き彫りにしている。

 農林中金のCLO市場での影響力の大きさは、不在時に痛感させられる。事情に詳しい複数の関係者によると、提案中の新たなCLO発行案件について農林中金が大口購入を検討していた間、市場は休止状態に陥った。農林中金が交渉の席に着くとようやく市場が動き始め、CLOの大規模発行が進んだという。

 農林中金はコメントを差し控えるとした。

日本の農家の預金と米企業の財務が連動
 CLO市場は2014年から規模がほぼ2倍に拡大し、企業債務を過去最高水準に押し上げるのに一役買った。CLOの買い手は流動性を提供し、それによって借り手はレバレッジドローンを拡大し続けることが可能になっている。レバレッジドローンは企業が債務の借り換えや株式非公開化をはじめ、あらゆる資金を調達するために利用されている。

 これは、農林中金が日本の農家にとってだけでなく、米国の小売業者にとっても同じくらい重要になっているということだ。言い換えれば、日本の農業事業者の預金が、米企業の財務状況に密接に連動しているということだ。

 こうした世界の金融市場での意外なつながりは過去にも表面化したことがある。10年以上前の米住宅市場の崩壊は、サブプライムローン(信用度の低い借り手への住宅融資)を大量に保有していたドイツの中堅銀行の一団を窮地に陥れた。また2008年のアイスランドの銀行システム破綻は、東京からカリフォルニアまで世界各地の投資家を破産に追い込んだ。

 農林中金はこうした信用市場ににわかに登場したわけではない。少なくともCLOの購入は、日本の金利が1990年代に急落したあとの2000年代初めにさかのぼる。当時、日本の農家が開発業者に土地を売却して得た数十億ドルの資金の投資先として、海外市場に目を向け始めていた。そうしてCLOをはじめとする複雑なストラクチャードクレジット商品の専門知識を身につけた。

 約100兆円の総資産を保有する農林中金は、ニューヨークをはじめ投資先に近い場所に拠点を構えている。農林中金に詳しい複数の関係者によると、米国のビジネススクールに留学している職員らは、頻繁に米国のCLOマネジャーの元でのインターンシップなどを探している。

 金融危機の際、多くの欧米の銀行はCLOの購入を縮小した。しかし、農林中金は市場にとどまり、投資を続けた。

 農林中金は好みのうるさい顧客でもある。一緒に仕事をする約15〜25人のCLOマネジャーのリストを常に確保しており、それ以外の数十人とは仕事をしないという。

 複数の関係者によると、CLOマネジャーは年に数回は農林中金と会うために日本を訪れている。

 彼らにとっては、農林中金のリストに載り、脱落しないことが何よりも重要だ。関係者の話では、農林中金の幹部は東京のオフィスからCLOマネジャーに電子メールを送り、融資を保有している企業について事細かく尋ねてくる。質問にすぐに答えられない場合、関係が損なわれる可能性があるという。

 CLO市場参加者の1人は、「(農林中金に)認めてもらうことは非常に価値がある」と話す。「市場が不安定化した場合でも、彼らは残るからだ」

証券化規則の改正に注目
 一部の米大手行は、金利上昇によって他の市場でもっと稼げるようになったことから、ここ2年でCLO市場から手を引いた。しかし、農林中金は購入を加速させた。格付けが最も高いCLOのささやかな利回りでも、ほぼゼロ金利が続く日本で得られる利回りよりは高いからだ。

 農林中金の開示資料やS&Pグローバルのデータによると、2018年第1四半期(1-3月期)末以降の欧米の全CLO発行のうち約23%を農林中金が購入している。

 農林中金のCLO市場への影響力拡大を受け、投資家は近く予定されている日本の規制変更を注視している。銀行は特定の条件で証券化商品を保有する際にこれまでより多くの資本を確保することが要求され、CLOの保有コストが高くなる可能性があるためだ。

 金融庁は最終的な規制変更を3月に発表する予定。米法律事務所や融資業界団体は改正案に対して、農林中金が手掛けるタイプの投資への影響を最小限に抑える提案を行っている。

(The Wall Street Journal/Telis Demos and Sam Goldfarb)
https://diamond.jp/articles/-/194740


 
豪ドル、2時間で約1%変動−最も変動激しい主要通貨を証明
Ruth Carson
2019年2月21日 15:59 JST
• 雇用者増から利下げの可能性、米中交渉および石炭輸出まで影響
• 半分が中国、半分が欧米に依存する豪経済で通貨乱高下は必至か
豪ドルは21日、2時間で1%近く変動し、ここ1カ月で最もボラティリティーが大きい主要通貨である理由を証明した。
  21日の出来事の推移はこうだ。1月の雇用者数が予想を上回る増加となったことを受けて、豪ドルは0.6%上昇。トレーダーはショート(売り持ち)ポジションの手じまいを余儀なくされた。だが、そのわずか42分後に豪ドルは急落。ウエストパック銀行の影響力のあるエコノミストが、オーストラリア準備銀行(中央銀行)が年内に2回利下げする可能性があると指摘した。
  動きの速いファストマネー投資家が新たにショートポジションを構築しようとすると、米中の交渉担当者が通商合意に向け覚え書きを取りまとめようとしているとロイター通信が伝えた。これを受けてリスクオンセンチメントが高まり、豪ドルも上昇した。
  ラボバンクのアジア金融市場調査責任者、マイケル・エブリー氏は「オーストラリアは半分が中国、半分が欧米に依存する経済と受け止められており、今後デカップリングが進めば、豪ドルはさまざまな方向に引っ張られるだろう」と指摘。「豪ドルの軌道は下向きだが、大きく変動しながら下落する」と述べた。
   実際、その後、豪ドルは急落。中国・大連港の税関当局がオーストラリアからの石炭輸入を禁止したとのロイター通信の報道を受けた。ヘッドラインが出た時に1豪ドル=0.7160米ドル前後で取引されていたが、その後0.7100米ドルまで下落した。

原題:Most Volatile Major Currency Lives Up to It in Just One Morning(抜粋)
原題:Aussie Assets Smacked by Report of Dalian Ban on Coal Imports
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-21/PN9J606KLVR501?srnd=cojp-v2 

英国:10ー12月賃金は10年ぶりの速いペースで上昇、市場は人手不足
Brian Swint
2019年2月19日 21:19 JST
• 就業者数は過去最高、失業率は1975年以来の低水準
• インフレ率を上回るペースで賃金が上昇、民間部門で目立つ伸び
英国では昨年10−12月の賃金の伸びがここ10年で最高に上り、企業が人材確保に苦戦していることが明らかになった。
  英政府統計局(ONS)が19日発表した10−12月の平均賃金(賞与を除く)は前年同期比3.4%上昇。就業者数は過去最高に達し、失業率は1970年代以来の低水準だった。

エコノミストの見方
ブルームバーグ・エコノミクス、ダン・ハンソン氏:
• 英国が欧州連合(EU)と合意を成立させた上で離脱するなら、年内は英経済の完全雇用が続くだろう
• その場合、イングランド銀行(英中銀)が最近示したハト派的な経済見通しには反する展開となる。当社の予想が正しければ、英中銀は8月に利上げする可能性が高い
統計詳細
• ボーナスを含む賃金上昇率は3.4%で9−11月から変わらず。賃金の伸びはインフレ率を大きく上回っている。10−12月のインフレ率平均値は2.3%、1月は1.8%まで低下した
• 就業者数は16万7000人増加、就業率は過去最高の75.8%
• 失業者数は1万4000人減少し、失業率は4%。1975年以降の最低に一致
• とりわけ民間部門の賃金上昇が大きく、政府職員の2.9%増に対し、民間は3.5%増。1月までの3カ月間で求人は1万6000人増加し、過去最高の87万人に達した
原題:U.K. Wage Growth Fastest Since 2008 Amid Labor Shortages(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-19/PN679I6JIJUQ01?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/234.html

[経世済民131] 日経平均2万1500円「壁」のオプション攻防、追い込まれる弱気派  中国の小型株指数、強気相場入り−昨年7月以来の高値 
日経平均2万1500円「壁」のオプション攻防、追い込まれる弱気派
長谷川敏郎
2019年2月22日 13:44 JST 更新日時 2019年2月22日 16:38 JST
• 建玉はコールで2万1500円に厚み、ダブルインバースETF過去最高
• 弱気派はゆっくりと締め上げられつつある−大和証・石黒氏
日経平均株価は2万1500円が分水嶺(れい)となりそうだ。世界景気の減速や米中貿易問題を懸念した投資家の弱気姿勢が顕著となっており、デリバティブの動きからも「壁」として意識が高まっている。
  3月限のオプション市場では、日経平均2万1500円で買う権利のコールの建玉が21日時点で1万3878枚。1月末の7000枚強から2倍近くに積み上がった。2万1500円が上値の壁になるとの見方がオプション市場に表れている。

  
  日経平均が2万1500円を上回ると、コールの売り手はヘッジ買いを入れる必要が出てくる。大和証券投資情報部の石黒英之シニアストラテジストは「2万1500円が戻りのめどとしている国内投資家が多い」とした上で、「仮にブレークすればするほど上げに拍車がかかりそう。売り方はゆっくりと締め上げられている状況で、かなり苦しい」と話す。
  日経平均は昨年12月25日の安値1万9115円から順調に上がってきたが、足元では2万1500円水準が心理的節目として意識され、やや上値が重くなっている。昨年10月以降の株価下落局面からの平均買いコストに相当する100日移動平均線(2万1600円近辺)に近いのも一因だ。
  日経平均が戻り一服の水準に近づいているとの見方は、指数変動率に対しマイナス2倍の動きをする弱気スタンスのETF「NEXT FUNDS日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(日経ダブルインバース指数ETF)」への急激な資金流入にもみてとれる。
  日経ダブルインバース指数ETFは日経平均の上昇基調を反映して価格が下落傾向にもかかわらず、流入資金の急増で純資産総額は21日に2025億円と、1月末の1092億円から倍増する勢いだ。石黒氏は「相場全体が上に持って行かれると、相場が下がるとみた過去最高額の資金は損失覚悟の決済を余儀なくされかねない」と、ヘッジ需要の玉突きとなる可能性を予想する。

  一方、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の三浦誠一投資ストラテジストは、需給面では米中通商交渉で材料出尽くしになるか、思わぬ踏み込んだ話が出て逆に株高になるかの綱引きだとした上で、「手堅く利益確定売りを出そうという向きの方が多くなりがち」と指摘した。
(5段落を再構成します.)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-22/PNAUID6KLVR401


 
中国の小型株指数、強気相場入り−CSI300は昨年7月以来の高値
Sofia Horta e Costa
2019年2月22日 16:20 JST
• 創業板指数は3.1%高−昨年10月安値からの上昇率が20%超
• 中国本土の株式相場は午後に入り上げ幅を広げた
中国の小型株から成る創業板(チャイネクスト)指数が22日、強気相場入りした。
  創業板指数は前日比3.1%高で取引を終了。昨年10月18日に付けた安値からの上昇率は20%を超えた。中国株式相場は午後に入り上げ幅を広げ、CSI300指数は2.3%高と昨年7月以来の高値。

原題:It’s Official: Chinese Small-Cap Stocks Are Now In a Bull Market(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-21/PNARQ86S972P01

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/243.html

[経世済民131] 北朝鮮「強制労働」の深い闇、金氏の理想郷建設に赤信号 北朝鮮が国際社会に食料危機を警告、配給はほぼ半減 
トップニュース2019年2月22日 / 09:52 / 6時間前更新
焦点:
北朝鮮「強制労働」の深い闇、金氏の理想郷建設に赤信号
Hyonhee Shin
4 分で読む

[ソウル 18日 ロイター] - 北朝鮮を長年独裁支配している金一族の発祥の地とされる聖地・白頭山を数千人の学生が1月、働きに訪れた。この山麓の都市サムジョン(三池淵)に、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は大規模な経済拠点を築こうとしている。

ここは「自立経済」運動の一環として、自身が音頭を取る最大級の建設プロジェクトだ。その一方で、正恩氏は、今月末に開催される2回目の米朝首脳会談では、トランプ米大統領を説得し、経済制裁を解除させたいと、目論んでいる。

正恩氏は昨年少なくとも5度、中国国境に近いサムジョンを視察に訪れた。この「革命の聖地」の近代化を自ら命じてから、わずか4年後の2020年末までに、この地に新しい集合住宅、ホテル、スキーリゾート施設に加え、商業・文化・医療施設を備えた「社会主義のユートピア」を築こうというのだ。

同国の国営メディアは、愛国的な学生たちが、厳しい天候をものともせず、凍りついた米飯を食べ、彼らの健康を気遣う教師たちを尻目に、巨大な建設現場で精を出して働く姿を、感動的に描き出した。

今回のような学生の大量動員は、正恩氏と朝鮮労働党に対する忠誠を装った「奴隷労働」と同じだ、と北朝鮮を逃れた脱北者や人権活動家は主張している。

こうした若い労働者は、報酬もなく、貧弱な食事を与えられ、1日12時間以上、最長で10年働かされる。見返りは、大学への入学、もしくは強力な朝鮮労働党に入党するチャンスが高まることだ。

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だが、北朝鮮の民間市場が盛んになり、政治的地位よりも経済的な安定性を重視する国民が増える中で、近年では若い労働者を徴募することが難しくなっているという。

「有利な就職機会につながる党員資格や教育の機会が得られるのでなければ、誰も募集に応じないだろう。だが最近では、市場を通じておおいに稼ぐことができる」と元労働者で脱北したチョ・チュンフイさんは言う。労働奉仕の基盤は忠誠心だ。しかし、お金の魅力を覚えてしまった人々に何を期待できるだろう」

<「熱くたぎる若き血潮」>

正恩氏は昨年、核兵器開発プログラムの完了を宣言した後、国民の幸福が最優先事項であると述べて、経済に軸足を移した。

世界の羨望の的になる、近代的な「山間都市モデル」だと喧伝されるサムジョンは、正恩氏の新たな経済イニシアチブの柱だ。この他にも、沿岸都市ウォンサン(元山)に観光名所を作ろうとするプロジェクトも進行している。

強制青年旅団(韓国語でdolgyeokdae)と呼ばれる労働奉仕組織は、朝鮮半島が1910─45年の日本による占領から解放された後、鉄道、道路、電力網などインフラ整備を目的として正恩氏の祖父である故金日成(キム・イルソン)主席によって創設された。

ソウルを拠点とする人権擁護団体オープン・ノース・コリアの試算では、こうした旅団の抱える労働者数は2016年時点で40万人。北朝鮮の人権状況に関する2014年の国連報告によれば、その数は地方自治体の規模に応じて、自治体当たり2万人─10万人だという。

「経済制裁にもかかわらず、金正恩氏は、なぜこれほど多くの大規模建設事業にマンパワーとリソースを動員できるのだろうか。答えは簡単だ。必要ならば、国民から搾り取ればいい」。そう語るのは、オープン・ノース・コリアのディレクターで、これまで40人以上の青年旅団の元労働者に面接調査を行ってきたクォン・ウンギョン氏だ。

北朝鮮の国営メディアはこの1カ月、若者らに「熱くたぎる若き血潮」をサムジョンの刷新に捧げよう、と呼びかける連載記事を展開。正恩氏も、建設資材や補給品を現地に送った人々へ感謝を表明した。

サムジョンに送るために、冬物のジャケットや工具、靴、毛布、ビスケットを箱に詰める工員や家族、他の人々の様子が、記事や写真で紹介されている。

国家が提供するセメントや鋼材などの建設資材には限りがあるため、旅団労働者は自ら河川敷から砂利や砂を運ばなければならなくなっている、とクォン氏らは言う。

国営テレビで、12月以降10回再放送されている60分のドキュメンタリーでは、豪雪の中で石を運び、見る限り安全装備もなく高い構造物の上でレンガ積み作業をする若者たちの姿が映し出された。

朝鮮労働党の機関紙である労働新聞は先月、数千人の大学生が手作業で岩を砕き、作業初日だけで100メートルの高さの砂利の山を築いたと報じた。同紙はこの成果を、第2世界大戦中に大日本帝国軍と戦った先祖たちの努力になぞらえた。

「気温は非常に低く、米飯は氷のように固まっていたが、それを温めなおすために1秒たりとも無駄にしたくなかった。私は凍った米飯をかじりながら、抗日革命に殉じた人々に思いをはせた」──。そう書かれた生徒の日記を同紙は紹介した。

指導者に対する個人崇拝を作り上げる努力の一環として、国営メディアでは、市民の指導者に対する忠誠の誓いを強調することが多い。

だがチョさんは、そうした報道は「現実とはかけ離れている」と一蹴する。ほとんどの労働者には安全ヘルメットさえ与えられず、労働条件がひどく苛酷なため、逃亡する労働者も多いからだ。

<忠誠よりカネ>

正恩氏の肝いり経済プロジェクトを実現するために不可欠な建設労働者の多くは、未熟練労働者と兵士たちだ。

だが、無報酬労働と供出を強いられることに対する一般市民の抵抗の高まりは、サムジョンの刷新という金正恩氏の野心にとって障害となる可能性があると脱北者や識者は指摘する。

チョさんは、旅団で3年間労働奉仕を務めれば、党員資格と大学入学を認めると当局から言われた。この約束は結局8年間に引き延ばされ、ようやく約束されていた見返りをチョさんが得たのは、1987年になってからだった。

Slideshow (4 Images)
約束が必ず守られるというわけでもない。29歳のLee Oui-ryokさんは、17歳から3年間働いた旅団を離脱し、2010年に韓国へ逃れた。自分の出身を考えれば入党資格が与えられるわけがないと悟ったからだという。

また旅団メンバーへの人権侵害は甚だしく、多くは逃亡するか、旅団から解放されるよう自分で自分の身体を傷つける、と2011年に脱北し、現在はソウルでエコノミストとなっているチョさんは言う。

現在では、資産を持つ人々は、供出品を送ったり、誰かに金を払って代役を務めてもらったり、あるいは有力者に賄賂を贈って見逃してもらうといった方法で、旅団での労働奉仕を回避している。

新たな旅団メンバーの大半は、最下層の家庭出身で、現体制と格差拡大に対する嫌悪感を抱いている、と人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア担当副ディレクター、フィル・ロバートソン氏は指摘する。

「労働意欲を与えようと、こうしたプロジェクトや正恩氏の慈愛を訴える宣伝が行われているが、現実には、労働奉仕を拒んだ者には懲罰が待っている」とロバートソン氏。「そのため通常は、ほとんど人脈もなく、賄賂を使う余裕もない、その地域で最も貧しい住民が、徴募の対象になっている」

ニューヨークの北朝鮮国連代表部にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

米国務省は2017年、強制労働の大量動員は北朝鮮による核兵器開発プログラムを裏付ける人権侵害の1つだと表現。米国務省は7人の個人と、建設会社2社を含む3企業をブラックリストに記載している。

市場の成長と強制労働に対する市民の嫌悪感の高まりによって、全国の旅団の大半で労働の質が低下している、と脱北者は言う。

サムジョンにおける建設作業の一部が先月、安全上の理由により一時中断した、と脱北者が運営するウェブサイト「デイリーNK」向けに北朝鮮国民を定期的に取材している脱北者のカン・ミジン記者は言う。

「こうした旅団抜きに、あれほど大規模プロジェクトを北朝鮮が完成できるとは考えにくい。だが、必要な労働力を完全に確保する方法はない。だからこそ、彼らは国営メディアを通じて、より多くの人々を動員しようと画策している」とチョさんは言う。

「だが、逃げ出す人がもっと増え続けるだけだろうし、建物には亀裂が増えていくだろう。それが現実だ」

(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/northkorea-usa-labour-idJPKCN1QA1FT

 
ワールド2019年2月22日 / 18:27 / 5時間前更新
北朝鮮が国際社会に食料危機を警告、配給はほぼ半減=メモ
Reuters Staff
1 分で読む

[国連 21日 ロイター] - 北朝鮮は、今年食料が140万トン不足し、配給をほぼ半減せざるを得ない状況と警告した。ロイターが21日に閲覧したメモで明らかになったもので、高温、干ばつ、洪水、国連による制裁を理由に挙げている。

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メモは2ページにわたっており、日付は記載されていない。北朝鮮国連代表部が公表した。


メモは「北朝鮮政府は各国際機関に対し、食料の現状に緊急に対処するよう求める」としている。北朝鮮国連代表部は、このメモは昨年11月26日から12月7日に行った世界食糧計画(WFP)との合同調査の続報としている。WFPはコメントを控えた。

メモによると、昨年の食料生産量は495万1000トンで、17年を50万3000トン下回ったとしている。国連はこの数字が1月末に提供された公式政府統計であることを確認。食料生産には、コメ、小麦、ジャガイモ、大豆が含まれていると説明した。

北朝鮮は、食料20万トンを輸入、早生品種の農作物約40万トンを生産するが、それでも不足分が生じるとして、1月からは1日1人当たりの配給量を550グラムから300グラムに削減すると表明した。
https://jp.reuters.com/article/northkorea-sanctions-un-idJPKCN1QB0XX

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/244.html

[経世済民131] 米企業利益が「リセッション」入りの恐れ 米耐久財受注:12月はコア資本財が予想外の減少、景気失速を示唆
トップニュース2019年2月22日 / 14:57 / 9時間前更新
アングル:
米企業利益が「リセッション」入りの恐れ
Reuters Staff
2 分で読む

[ロンドン 14日 ロイター] - 米企業の利益見通しがここ数カ月で急速に悪化しており、米国経済よりも先に企業利益がリセッションに陥る恐れが生じている。

リフィニティブのIBESデータによると、S&P総合500種株価指数を構成する企業は、第1・四半期の1株当たり利益のアナリスト予想平均がマイナス0.3%で、減益となる見通し。

昨年10月時点では8.2%の増益が予想されていた。直近の予想通りなら、3年ぶりの減益となる。

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第2─4・四半期については増益が予想されているため、2期連続の減益という定義上のリセッションは今のところ避けられる見通し。しかし予想される増益率はわずかで、ぎりぎりの水準だ。

Reuters Graphic
ことし通年の利益見通しも10月時点の10.2%増から4.2%増に下がっている。

下方修正のスピードが速いため、今後も下振れ基調は続くとの懸念が強まっている。米企業は利ざやが圧縮され、多額の債務を抱えているだけに、なおさら心配だ。

欧州でも企業利益の見通しは暗い。アナリストは、STOXX600株価指数を構成する欧州企業の利益が、過去1年半で最も小幅な伸びにとどまると予想している。

Reuters Graphic
https://jp.reuters.com/article/us-corporate-recession-idJPKCN1Q80F4


 
米耐久財受注:12月はコア資本財が予想外の減少、景気失速を示唆
Katia Dmitrieva
2019年2月21日 22:37 JST 更新日時 2019年2月22日 0:18 JST
米企業の資本財受注は昨年12月に予想外に減少、過去5カ月で4度目のマイナスとなった。中国との貿易摩擦や金融状況の逼迫(ひっぱく)を巡る不透明感を背景に、経済活動の勢いが弱まっていることを示唆した。

  昨年12月の米耐久財受注統計では、設備投資の先行指標となる航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の受注が、前月から0.7%減少した。 ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は、0.2%増だった。前月は1%減(速報値0.6%減)に下方修正された。全体の耐久財受注は1.2%増加したものの、予想(1.7%増)を下回った。

インサイト
国内総生産(GDP)の算出に使用されるコア資本財の出荷は0.5%増加。予想は前月比変わらず
全体の耐久財受注は、変動の大きい輸送機器の増加に押し上げられた。民間航空機および同部品は28.4%増加
詳細
輸送機器を除く耐久財受注は0.1%増加。前月は0.2%減少だった。国防資本財は7%減少、耐久財在庫は0.2%増加
通信機器の受注は2017年3月以来の大幅減。機械と第一次金属も減少した。一方、自動車および同部品の受注は昨年7月以来の大幅増
耐久財受注統計は当初、1月25日に発表される予定だったが、政府機関閉鎖の影響で発表が遅れた
原題:U.S. Business-Equipment Orders Lose Momentum With December Drop(抜粋)

(詳細を加え、更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-21/PNA3206JTSED01?srnd=cojp-v2


http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/245.html

[経世済民131] 豪州で「住宅バブル」崩壊、好調経済に暗雲「トランプ後」も終わらない中国貿易問題 米金融当局のバランスシート巡る姿勢急転換
トップニュース2019年2月22日 / 13:02 / 6時間前更新
焦点:
豪州で「住宅バブル」崩壊、好調経済に暗雲
Tom Westbrook
1 分で読む

[シドニー 22日 ロイター] - オーストラリアでシドニーなど都市部の不動産ブームが崩壊し、好調を続けてきた経済全体にもその影響が広がり始めた。

不動産価格がピークを付けた2017年、シドニー郊外の住宅地エッピングには開発業者が押し寄せ、不動産を高値で買いあさった。

それが今では住宅価格の下落に歯止めがかからず、エッピングはバブル崩壊の震源地とみられるようになった。

不動産の買い手は支払い不能になり、一部のプロジェクトは借金を背負った状態。債権者が資金を回収するため、アパートがまとめて売りに出され、この地域の不動産価格をさらに押し下げている。

不動産コンサルタントのデータによると、エッピングの不動産価格は17年8月のピークから2割以上下がった。

<建設企業の破綻>

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建設業界では、昨年11月に破綻件数が約3年ぶりの高水準に達した。この結果、27年間一度もリセッション(景気後退)に陥らず拡大し続けてきたオーストラリア経済全体に余波が広がり始めている。

銀行から広告企業、小売企業に至るまで、利益見通しの下方修正が相次ぎ、オーストラリア準備銀行(中央銀行)は利下げを視野に入れるようになった。

住宅価格の下落は、市民が手ごろな価格で住宅を取得できるよう当局が導いた面もあり、完全に悪い話というわけではない。

エッピングの場合、住宅価格は17年までの8年間で2倍に上昇していた。

オーストラリア当局は外国人への融資を規制。また中国が資本流出を規制し、中国人投資家によるオーストラリア不動産需要が減ったことも価格下落につながった。

国内銀行が当局の圧力で融資基準を引き締めたことにより、国内の住宅投資家も資金の借り入れが困難になった。この結果、住宅価格が下がって初めての住宅購入者にチャンスが生まれた。

ただ、住宅価格が下落すると住宅所有者が節約を増やし、支出を控える傾向がある。

バーティアム・アセット・マネジメントのジェーソン・テー最高投資責任者は「あらゆることに影響が及ぶ。企業利益が示している通り経済の勢いは衰えており、さらに悪化するかどうかが問題だ」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/australia-property-investors-analysis-idJPKCN1QB0AS

 

コラム2019年2月22日 / 17:47 / 6時間前更新
コラム:
「トランプ後」も終わらない中国の貿易問題
Gina Chon
2 分で読む

[ワシントン 21日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国が貿易面で抱える問題は、トランプ米大統領がいなくなったとしてもずっと先まで続いていく。

現在の米中貿易協議でトランプ政権が求める厳しい条件を受け入れたとしても、トランプ氏が来年の選挙で敗れれば、一切なかったことにできるのではないか、と中国側は算盤をはじいている。ところが野党・民主党の大統領候補指名が有力視される人物、例えばシェロッド・ブラウン上院議員やバーニー・サンダース上院議員らもまた、対中強硬派なのだ。

中国はこれまで長らく、トランプ氏がちらつかせる関税のおどしから目をそらしてきた。当初、中国指導部はトランプ氏の関税への執着は単なる演技だと思っていただけに、2018年に実際に発動されたことでショックを受けた。そして米中が21日、知的財産権保護や技術移転強要などの問題での合意を目指した協議を再開する中で、中国はたとえ不利な条件で合意しても来年の選挙で別の米大統領が誕生すれば、そうした条件の撤回は可能だと期待するようになっている、と関係者はBREAKINGVIEWSに打ち明けた。

ただ、米民主党の多くの急進派は、トランプ氏の強腰を支持しており、対中貿易問題は与野党の足並みが揃うめずらしい分野であることを示している。ブラウン氏もサンダース氏も、トランプ氏による中国製品への関税適用に賛成した。やはり民主党の大統領候補指名争いで一目置かれているエリザベス・ウォーレン上院議員は、これらの関税は米国の通商政策改善に必要な取り組みの一部だと発言。ブラウン氏に至っては、トランプ氏の関税発動権限を制限しようとする共和党の一部議員の動きを阻止したほどだ。

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こうした急進派は、民主党を左傾化させつつある。比較的穏健派だったカマラ・ハリス上院議員でさえ、大統領選出馬を表明して以降、国民皆保険制導入などよりリベラル色の強い政策を掲げるようになった。ハリス氏をはじめとする中道路線の候補は今後、指名争いを勝ち抜くために貿易問題でも強硬姿勢にならざるを得なくなるだろう。2016年にヒラリー・クリントン氏が、サンダースの挑戦に対抗する上で自由貿易協定への支持撤回を迫られたのと同じように。

中国が直面している問題は、米国に限った話ではない。欧州と日本も知的財産を盗まれたり、技術移転を強要されることに不満を募らせている。そのため米国と協調し、中国により厳しく対処する方法を含める形で世界貿易機関(WTO)の改革を進めているところだ。中国としては、どちらを向いても困難な貿易環境から逃れる道は見出せない。

●背景となるニュース

・中国の劉鶴副首相が率いる代表団は21日、3月1日までの合意を目指して米国側との閣僚級貿易協議を再開した。期限内に合意に達しなければ、米国は2000億ドル相当の中国製品向け関税率を引き上げる。


・米中両国は協議において、知的財産権保護や技術移転強要、サイバー攻撃による情報窃取、サービス、為替、農業、非関税障壁を対象とする覚書の作成に取り組んでいる、とロイターが伝えた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/bv-column-china-trade-trump-idJPKCN1QB0U5


 


米金融当局のバランスシート巡る姿勢急転換、一部市場関係者から批判
Alexandra Harris
2019年2月22日 14:20 JST
FOMCは保有資産縮小停止の確かな理由示さず−ジェフリーズ
FOMCのほぼ全ての参加者はバランスシート縮小の年内停止で一致
米金融当局は4兆ドル(約440兆円)規模のバランスシートの縮小を年内に停止する用意が整っているかもしれない。しかし、当局の決定に一部の市場関係者は落胆を示している。

  連邦準備制度理事会(FRB)が20日公表した1月29、30両日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、バランスシート縮小を年内に停止することでほぼ全ての参加者の認識が一致したことが示された。ただ、FOMCがここ5カ月以内にペースがピークに達したばかりの保有資産縮小を停止する理由について、全ての市場関係者が納得したわけではない。

  FOMCは議事要旨で、昨年12月の市場の動揺に大きな注意を払い、金融状況の引き締まりの可能性に対する一部投資家の懸念を指摘しながらも、実施中のバランスシート縮小は1年余り順調に進んでおり、「金融市場に大きな影響を及ぼしていない」との見解も示した。
 
  「FOMCはバランスシート正常化のための確かな理由を一切示さないまま、正常化のプロセスを切り上げる軌道にあるというのが結論だ」とジェフリーズのエコノミストであるウォード・マッカーシー、トーマス・サイモンズ両氏が20日の顧客向けリポートで指摘した。

  これはバランスシート縮小に対する米金融当局の姿勢転換を示している。パウエルFRB議長は昨年12月のFOMC後の会見で、バランスシート縮小が「自動操縦」の状態にあると説明したが、この発言は米国株の下落に拍車をかけた。当局はそれ以降、バランスシートを巡る姿勢を和らげるほか、金利に関しては辛抱強くなるとのメッセージを強調してきた。S&P500種株価指数は年初来で10%余り上昇している。

  金融当局は「明らかに恐れをなした」と、ブレークリー・ファイナンシャル・グループのピーター・ブックバー最高投資責任者(CIO)が指摘。「金融政策の引き締めが円滑かつ痛みがないものになると決して想定すべきではなかった」と指摘した。

原題:‘Spooked’ Fed’s Sudden Balance-Sheet Shift Attracts Criticism(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-22/PNB8OK6KLVR401?srnd=cojp-v2

日本株は小幅反落、米経済指標悪化で景気敏感安い−米中通商期待支え
長谷川敏郎
2019年2月22日 7:47 JST 更新日時 2019年2月22日 15:24 JST
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数や中古住宅販売、予想下回る
トランプ米大統領と劉鶴中国副首相が22日に会談する予定
22日の東京株式相場は5日ぶりに小幅反落。米国で製造業や住宅に関する経済指標が悪化し、世界景気の先行き懸念が高まった。商社や鉱業、海運など海外景気敏感株、銀行や保険など金融株が安い。

TOPIXの終値は前日比3.98ポイント(0.2%)安の1609.52
日経平均株価は38円72銭(0.2%)安の2万1425円51銭
  米国で21日発表された2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数はマイナス4.1(市場予想はプラス14.0)と2016年5月以来のマイナスになった。1月の中古住宅販売件数は年換算494万戸で15年11月以来の低水準。欧州でも2月のユーロ圏製造業購買担当者指数(PMI)速報値が49.2と、市場予想に届かなかった。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の三浦誠一投資ストラテジストは「欧米とも2月の経済指標が悪かったことで、どこまで悪化するのかが意識されている。3月以降も悪化することを株価に織り込み始めるなら、米国株中心に戻り売りが出やすくなる」と述べた。今晩の米中交渉次第で「来週初めにボラティリティーが高まるかもしれないという警戒感もある」と言う。

  事情に詳しい関係者によると、トランプ米大統領は中国の通商交渉責任者である劉鶴副首相と22日にワシントンで会談する計画だ。大和証券投資情報部の石黒英之シニアストラテジストは「習近平主席から貿易面で高い権限を託されている劉鶴副首相とトランプ大統領が会うということは、協議の進展を意味すると捉えられる」と評価。株式需給面で売り方が次第に追い詰められ「押し目買い意欲は強い」と話した。

需給面で追い詰められる弱気派はこちらの記事をご覧ください

東証33業種では海運、石油・石炭製品、証券・商品先物取引、不動産、保険、卸売、銀行、陸運が下落
情報・通信や電機、化学は上昇
22日は5日ぶり反落
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE
Photographer: Shoko Takayasu/Bloomberg
日経平均2万1500円「壁」のオプション攻防、追い込まれる弱気派
長谷川敏郎
2019年2月22日 13:44 JST 更新日時 2019年2月22日 16:38 JST
建玉はコールで2万1500円に厚み、ダブルインバースETF過去最高
弱気派はゆっくりと締め上げられつつある−大和証・石黒氏
日経平均株価は2万1500円が分水嶺(れい)となりそうだ。世界景気の減速や米中貿易問題を懸念した投資家の弱気姿勢が顕著となっており、デリバティブの動きからも「壁」として意識が高まっている。

  3月限のオプション市場では、日経平均2万1500円で買う権利のコールの建玉が21日時点で1万3878枚。1月末の7000枚強から2倍近くに積み上がった。2万1500円が上値の壁になるとの見方がオプション市場に表れている。

1月末から倍増
  
  日経平均が2万1500円を上回ると、コールの売り手はヘッジ買いを入れる必要が出てくる。大和証券投資情報部の石黒英之シニアストラテジストは「2万1500円が戻りのめどとしている国内投資家が多い」とした上で、「仮にブレークすればするほど上げに拍車がかかりそう。売り方はゆっくりと締め上げられている状況で、かなり苦しい」と話す。

  日経平均は昨年12月25日の安値1万9115円から順調に上がってきたが、足元では2万1500円水準が心理的節目として意識され、やや上値が重くなっている。昨年10月以降の株価下落局面からの平均買いコストに相当する100日移動平均線(2万1600円近辺)に近いのも一因だ。

  日経平均が戻り一服の水準に近づいているとの見方は、指数変動率に対しマイナス2倍の動きをする弱気スタンスのETF「NEXT FUNDS日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(日経ダブルインバース指数ETF)」への急激な資金流入にもみてとれる。

  日経ダブルインバース指数ETFは日経平均の上昇基調を反映して価格が下落傾向にもかかわらず、流入資金の急増で純資産総額は21日に2025億円と、1月末の1092億円から倍増する勢いだ。石黒氏は「相場全体が上に持って行かれると、相場が下がるとみた過去最高額の資金は損失覚悟の決済を余儀なくされかねない」と、ヘッジ需要の玉突きとなる可能性を予想する。

1月末から倍増の勢い
  一方、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の三浦誠一投資ストラテジストは、需給面では米中通商交渉で材料出尽くしになるか、思わぬ踏み込んだ話が出て逆に株高になるかの綱引きだとした上で、「手堅く利益確定売りを出そうという向きの方が多くなりがち」と指摘した。

(5段落を再構成します.)
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黒田総裁が安倍首相と会談、国内・世界経済の動向を説明
延広絵美、占部絵美
2019年2月22日 12:33 JST 更新日時 2019年2月22日 13:23 JST
黒田日銀総裁
黒田日銀総裁 Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
日本銀行の黒田東彦総裁は22日、首相官邸で安倍晋三首相と会談、最近の国内経済や世界経済の動向を説明した。

  黒田総裁は会談後記者団に対して、「定期的なもので、年に1回から2回お会いして話している」とした上で、「世界経済は国際通貨基金(IMF)の見通しでも3%幅の成長を今年、来年と続けるというメインシナリオは変わっていないが、保護主義とかリスクが高まっていることは認めている」と述べた。

  さらに「世界経済の拡大が続くこと自体は変わっていないが、保護主義のリスクやその他海外のリスクについて存在することはその通りだ」と語った。米金融政策についての記者団からの質問には、答えなかった。

  両氏は定期的に会合しており、昨年6月には直前に行われた主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の議論の状況を黒田総裁が首相に説明した。

  

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Photographer: NICOLAS ASFOURI/AFP
中国の小型株指数、強気相場入り−CSI300は昨年7月以来の高値
Sofia Horta e Costa
2019年2月22日 16:20 JST
創業板指数は3.1%高−昨年10月安値からの上昇率が20%超
中国本土の株式相場は午後に入り上げ幅を広げた
中国の小型株から成る創業板(チャイネクスト)指数が22日、強気相場入りした。

  創業板指数は前日比3.1%高で取引を終了。昨年10月18日に付けた安値からの上昇率は20%を超えた。中国株式相場は午後に入り上げ幅を広げ、CSI300指数は2.3%高と昨年7月以来の高値。

China's small caps are in a bull market
原題:It’s Official: Chinese Small-Cap Stocks Are Now In a Bull Market(抜粋)

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ドイツ:2月Ifo景況感指数は4年ぶり低水準、期待・現況とも低下
Carolynn Look
2019年2月22日 20:05 JST
Ifo企業景況感指数は98.5、前月は99.3
昨年10ー12月のGDP成長率は前期比変わらずー独連邦統計局
2月のドイツ企業の景況感は約4年ぶりの低水準に落ち込み、今後も低調な局面が続くことを示唆した。一方、独連邦統計局が発表した昨年10ー12月(第4四半期)の国内総生産(GDP)成長率改定値は前期比変わらずで、同国は辛うじてリセッション(景気後退)入りを免れた。

  ドイツのIfo経済研究所が集計した2月の独企業景況感指数は98.5。前月は99.3だった。期待と現況の両指数とも前月から低下した。ただ第4四半期GDP統計では、個人消費や設備投資、公共支出の成長要素がいずれも増加したことから、この先数カ月間で景気に明るさが見られる可能性も示唆された。

Concerns over outlook are more entrenched than during previous growth scare
備考:ドイツ:2018年10−12月のGDP、前期比変わらず−連邦統計局
Ifo統計の詳細は表をご覧ください。
原題:Inventory Slump Hits Germany as Business Outlook Slides Further(抜粋)
German Feb. Ifo Business Confidence 98.5; Est. 98.9
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-22/PNBNRK6TTDS001
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/246.html

[経世済民131] 消費増税円安、経験則が示す「ドル120円」シナリオ 超長期債が下落、フラット化の修正売りで−長期金利は一時今年最低に 三
為替フォーラム2019年2月22日 / 11:32 / 11時間前更新

消費増税円安、経験則が示す「ドル120円」シナリオ

鈴木健吾 みずほ証券 チーフFXストラテジスト
4 分で読む

[東京 22日] - 今年10月に消費税率10%へ引き上げが予定されているが、ドル円相場はどのような動きを見せるだろうか。過去の消費増税から考察してみたい。

日本では、1989年4月に初めて3%の消費税が導入され、その後1997年4月に税率5%、2014年4月に同8%と、消費税は段階的に引き上げられてきた。

導入時を含む過去3回の消費増税はいずれも4月に行われているが、その直前の3月末と増税後の6月末のドル円レート(月末終値、小数点以下四捨五入、数値はロイターより、以下同じ)を比較すると、導入時は1ドル=133円から144円へドル高/円安が進行。1度目の増税時は124円が115円へとドル安/円高に、そして2度目の増税時は103円から101円とほぼ横ばいとなり、まさに三者三様で一貫性がみられない。

ところが、同じく直前の3月末を基準として1年半程度へと時間軸を伸ばすと様子が変わってくる。消費税導入時のドル円は、1990年4月までの13カ月間で159円まで約20%程度上昇した。5%への増税時には1998年7月までの16カ月で145円へ約17%上昇。8%へ引き上げた際は、2015年5月までの14カ月で124円まで約20%程度、ドル高/円安が進行した。

いずれも期間にして1年数カ月程度、値幅にして15%─20%程度のドル高/円安という、似たような動きをしている。このロジックを今年10月の消費増税に当てはめると、2020年の年末から2021年初旬にかけて15%─20%程度のドル高/円安となり、足元の1ドル=110円を基準にすれば約130円超という数字が計算できる。

本当にそのようなことが起こり得るのかを検証するために、まずは過去それぞれの増税局面における環境や背景について振り返りたい。

<過去3度の共通点>

まず、消費税が導入された1989年は、1985年のプラザ合意を受けて円高不況に陥った日本経済が、政府の財政出動や日銀の金融緩和などによって反転し、1990年に向けてバブルに突入していく局面だった。導入に至るまでの為替相場の状況は、プラザ合意後、ドルが1985年序盤につけた260円から急落。1988年1月には120円台の史上最安値(円の対ドル史上最高値、当時)を記録したが、その後反転し、1990年に160円へと回復していく過程で消費税が導入されている。

その後、バブル崩壊による資金回帰や内需縮小による貿易黒字拡大、日米貿易摩擦の激化などを受けて、ドル円は1995年にかけて80円割れまで下落し、またも当時の史上最安値を更新した。しかしその後、日本が金融システム不安に陥る中で、米国は強いドル政策を打ち出し、ドル円は反転。1997年の5%への消費増税は、翌1998年に147円台まで反発するまでの上昇過程で実施された。

税率が8%に引き上げられた2014年の状況も、これと似ている。リーマンショックと欧州債務危機によってドル円は2011年に当時の史上最安値である75円台に下落。その後アベノミクスや日銀の異次元緩和などを受けて反発に転じており、2015年に125円台まで反発していく過程で増税が行われている。

いずれも消費増税の数年前にかけて発生した大幅な円高が不況をもたらし、政府の財政出動による財政赤字の拡大が、その後の増税の必要性を高める一方で、日銀の積極的な緩和が円安をもたらした。この結果、増税とその後のドル高/円安がリンクした可能性がある。

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ただ、今年予定する消費増税は、これまでのように、ドル円が史上最安値から反発する局面での実施ではない一方で、日銀による未曽有の金融緩和は続いている。過去の事例のように、環境面からドル高/円安につながるかどうかは微妙なところだ。

<物価上昇による為替影響>

また、消費増税と円安の関係として、よく指摘されるのが消費者物価の上昇だ。国際労働機関(ILO)の国際基準でも消費者物価には消費税負担も含まれるため、消費増税は消費者物価の上昇に直結する。そして物価の上昇は通貨価値の毀損(きそん)と同義だ。これにより円安がもたらされるとの理由は分かりやすい。

実際、消費税導入時には、消費者物価が前年比プラス1%程度から同プラス3%程度に上昇し、これを追いかけるように円安が進んでいる。2度の税率引き上げの際も、消費者物価が上昇。やや時間差を置いて円安が追いかける構図となっている。

加えて、物価が上昇すれば、政策金利から物価上昇率を引くことで求められる実質金利が低下する。実質金利低下も通貨価値下落の理由とされやすく、実際過去3回の増税局面でも、実質金利低下後に円安が進行した。

増税による可処分所得の減少が日本経済に下押し圧力を加えたこと自体も、為替市場では円安圧力につながる。

今回の消費増税では、軽減税率など、悪影響を緩和するための措置の導入が予定されており、過去の例とは違うとの見方もある。しかし、これまでも増税率の違いや、それによる物価上昇率の違いが存在したが、いずれの場合も、相場の動きを振り返れば、前述の通り、1年数カ月かけて20%程度のドル高/円安が進んだ、という事実もある。

今回の消費増税でドル円はこう動く、とズバリ予想することは正直難しい。しかし、背景となる経済環境や実質実効為替レート面での違いも含め、過去の平均をそのまま単純に当てはめた「2020年末から2021年初にかけて130円を超えるドル高/円安」の示顕は正直難しいと考えている。しかし、消費者物価の上昇、実質金利の低下、景気の下押し圧力や日銀の緩和継続などは、一定程度のドル円上昇圧力になるだろう。

ざっくりとした物言いで申し訳ないが、今回の消費増税による消費者物価の押し上げ効果はおおよそ1%程度と、前回増税時の約2%の半分程度になると予想されていることもあり、ドル円の上昇率も約半分の10%程度、現状に当てはめれば1ドル=120円程度を目指す原動力になる可能性は十分にあるのではないかと考えている。

鈴木健吾氏(写真は筆者提供)
*鈴木健吾氏は、みずほ証券・投資情報部のチーフFXストラテジスト。証券会社や銀行で為替関連業務を経験後、約10年におよぶプロップディーラー業務を経て、2012年より現職。


*本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。https://jp.reuters.com/article/column-suzuki-kengo-20190222-idJPKCN1QB06B


 
超長期債が下落、フラット化の修正売りで−長期金利は一時今年最低に
三浦和美
2019年2月22日 8:00 JST 更新日時 2019年2月22日 16:15 JST
債券市場では超長期債相場が下落。前日に超長期ゾーン主導で利回り曲線のフラット(平たん)化が進んだ反動の売りが出た。一方、日本銀行がこの日に実施した国債買い入れオペで需給の引き締まりが示されたことを受けて、長期金利は今年の最低水準に並ぶ場面があった。

新発30年物61回債利回りは、日本相互証券の前日午後3時の参照値より1ベーシスポイント(bp)高い0.575%。新発40年物11回債利回りは1bp高い0.645%
長期国債先物3月物の終値は前日比横ばいの152円90銭。一時は153円00銭まで上昇
新発10年物353回債利回りは一時マイナス0.05%と、1月4日以来の水準に低下
市場関係者の見方
パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長
超長期債はフラット化の修正が入りやすい金利水準の上、来週の流動性供給入札に向けて利益確定の売りが出た
一方、30年など超長期ゾーンの利回りをコントロールすることは困難で市場に任せた方がいいと思われ、日銀オペはいつ減額されてもおかしくないが、今日は変更なしで期待外れ
日銀買いオペ
買い入れ額は5−10年が4300億円、10−25年が1800億円、25年超が500億円、物価連動債が250億円と、いずれも前回と同額
応札倍率は物価連動債を除く全ゾーンで前回から低下
SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジスト
オペ結果は特に20年ゾーンがしっかりで売りにくくなっている
備考:過去のオペ結果一覧
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.180% -0.180% -0.045% 0.395% 0.575% 0.645%
前日比 +0.5bp 横ばい 横ばい -0.5bp +1.0bp +1.0bp

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-21/PNARQ36TTDS101?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/247.html

[政治・選挙・NHK257] 社会主義は帰ってくるのか 21世紀によみがえる「大きな政府」 
社会主義は帰ってくるのか
21世紀によみがえる「大きな政府」
2019.2.22(金) 池田 信夫
バーニー・サンダース氏、20年米大統領選出馬に「脈あり」
米首都ワシントンで講演するバーニー・サンダース上院議員(2017年6月22日撮影、資料写真)。(c)Mandel Ngan / AFP〔AFPBB News〕

 2020年に行われるアメリカの大統領選挙に、バーニー・サンダース上院議員が出馬を表明した。彼は2016年の大統領選挙で、ヒラリー・クリントン上院議員と最後まで民主党の候補を争ったことで知られる。彼の掲げる政策は、国民皆保険、全米最低賃金15ドル、公立学校の無償化など、巨額の財源を必要とする「大きな政府」である。

 サンダースはみずから「民主社会主義者」と名乗り、民主党左派に大きな支持を集めている。社会主義は20世紀に崩壊し、過去のものになったと思われているが、サンダースを支持するのは、冷戦の終了後に生まれた若者だ。時代は一めぐりして、社会主義の時代がやってくるのだろうか。

財源の不明な「グリーン・ニューディール」
 サンダースの選挙運動の中心になっているのが、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員である。昨年(2018年)初当選したばかりでまだ29歳だが、彼女も民主社会主義者を名乗っている。

 彼女は「グリーン・ニューディール」(GND)という大胆なエネルギー政策を提案して注目を集めた。これは「今後10年以内に全米のエネルギーを100%再生可能エネルギーに変える」という決議案で、ベーシック・インカム(すべての人に定額の所得を保障する)や国民皆保険などの「格差是正計画」も入っている。

 この決議案には法的拘束力はないが、大統領候補に名乗りを上げた政治家のうち6人がこの決議案に署名した。こういう突飛な案が議会で議論される背景には、アメリカの格差が拡大している状況がある。アメリカでは所得の20%が人口の1%の富裕層に集中し、最貧層との格差が大きな社会問題になっている。

 10年で全米の火力発電所や原子力発電所をすべて廃止して再エネに変えるには、年間3兆ドル(330兆円)以上のコストがかかるといわれる。ベーシック・インカムにも同じぐらいの財源が必要で、GNDのコストは連邦政府の予算をはるかに上回る。

 その財源はどうするのだろうか。サンダースは金持ちの資産に「富裕税」をかけると主張し、オカシオ=コルテスは所得税の最高税率を70%に引き上げるというが、そんな大増税が簡単にできるとは思えない。そのとき財源はどうするのか。

政府の借金は紙幣を印刷してまかなう
 紙幣を印刷すればいい、というのがオカシオ=コルテスの答である。これはMMT(modern monetary theory)というあやしげな経済理論で、「国債はお札を印刷してファイナンスできるので、財政は破綻しない」という。これが本当なら、増税しないで政府支出をいくらでも増やせる「フリーランチ」があることになる。

 政府債務が増えると金利が上がり、それによって(元利合計した)政府債務が増え、それによって国債のリスクが高まり、それによって金利が上がる・・・という悪循環に入り、「財政インフレ」で政府債務が無限大に発散するというのが経済学の常識だ。

 しかし今のような超低金利が今後もずっと続くとすれば、財政が破綻する心配はない。日本でも国債が増発され、日銀がそれを400兆円以上買っても金利は下がる一方で、最近は長期金利もほぼゼロという世界史に前例のない低水準である。

 単純化していうと、名目金利が名目成長率を下回る限り、政府債務は発散しない。これは成長率が高いと税収の伸びが金利負担の伸びを上回るからだ。下の図のように2013年以降は金利が成長率より低いので、この状況が今後もずっと続くなら、フリーランチはありうる。

http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/6/f/500/img_6f8b492feed47a189cb61e3c1d8b42b013123.png
名目成長率と名目金利(%、内閣府調べ)

ゼロ金利はいつまで続くのか

 財政が破綻しないとしても、今の世代が借金して将来世代がそれを返すのは、負担を子孫に先送りすることになるのではないか。これはもっともな疑問だが、国債のほとんどは日本国民が買うので、国民の資産でもある。国債がすべて相続されると将来世代の資産が増えるので、国民全体としては同じだ(所得分配は無視する)。

 これは名目ベースの話で、実質的な負担は金利と成長率の関係によって違う。たとえば金利が1%だとすると、借金は20年後には元利合計で約1.2倍になるが、成長率が2%だとGDPは20年後には約1.5倍になる。つまり金利が成長率より低いと、将来世代の借金返済の負担(GDP比)は軽くなるので、いま借金して将来返したほうが国民全体として有利になるのだ。

 逆に金利が成長率より高いと、将来世代の負担は重くなる。彼らの損失は、政府の借金が民間投資を押しのけることによって生じる資本蓄積の減少だから、金利(資本収益率)が成長率より低いときは、民間に代わって政府が投資することが効率的だ。直感的にいうと、ゼロ金利が今後もずっと続くなら貯金しても資産は増えないので、いま政府が使ったほうがいいのだ(*)。

 これはアメリカでは重要な問題で、社会保障のインフラを政府が整備すべきかどうかについて長い論争がある。その財源を増税でまかなうことには共和党が反対しているので政治的に不可能だが、国債の増発は政治的には容易である。

 ヨーロッパでも2010年代にEU(ヨーロッパ連合)が南欧諸国の財政危機を支援する条件として緊縮財政を強要したことに反発して「反緊縮」の運動が強まった。

 日本では一足先に、安倍政権が「大きな政府」に舵を切った。日本の政府債務はGDP比で世界最悪だが、安倍首相は2度も増税を延期し、日銀が財政ファイナンスで国債を買い支えている。多くの経済学者は「国債が暴落する」と警告してきたが、実質金利はほぼゼロになった。何かが変わったのではないか、と主流の経済学者も考え始めた。

 しかし何が変わったのか、原因は分からない。日本が2000年代にゼロ金利になったとき、世界の経済学者が日銀の金融政策を嘲笑したが、今は世界にゼロ金利が広がっている。これが今後も続くかどうかも分からないので、財政赤字を膨張させることは危険だが、「大きな政府か小さな政府か」についての論争には、まだ答が出ていないのである。

(*)この話はいろいろな条件を単純化しているので、厳密な議論は今年1月のアメリカ経済学会長講演を読んでいただきたい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55571


 
https://www.aeaweb.org/aea/2019conference/program/pdf/14020_paper_etZgfbDr.pdf
Public Debt and Low Interest Rates
By Olivier Blanchard ∗
The lecture focuses on the costs of public debt when safe interest
rates are low. I develop four main arguments.
First, I show that the current U.S. situation in which safe interest
rates are expected to remain below growth rates for a long time,
is more the historical norm than the exception. If the future is
like the past, this implies that debt rollovers, that is the issuance
of debt without a later increase in taxes may well be feasible. Put
bluntly, public debt may have no fiscal cost.
Second, even in the absence of fiscal costs, public debt reduces capital accumulation, and may therefore have welfare costs. I show
that welfare costs may be smaller than typically assumed. The
reason is that the safe rate is the risk-adjusted rate of return on
capital. If it is lower than the growth rate, it indicates that the
risk-adjusted rate of return to capital is in fact low. The average
risky rate however also plays a role. I show how both the average
risky rate and the average safe rate determine welfare outcomes.
Third, I look at the evidence on the average risky rate, i.e. the
average marginal product of capital. While the measured rate of
earnings has been and is still quite high, the evidence from asset
markets suggests that the marginal product of capital may be lower,
with the difference reflecting either mismeasurement of capital or
rents. This matters for debt: The lower the marginal product, the
lower the welfare cost of debt.
Fourth, I discuss a number of arguments against high public debt,
and in particular the existence of multiple equilibria where investors believe debt to be risky and, by requiring a risk premium,
increase the fiscal burden and make debt effectively more risky.
This is a very relevant argument, but it does not have straightforward implications for the appropriate level of debt.
My purpose in the lecture is not to argue for more public debt,
especially in the current political environment. It is to have a
richer discussion of the costs of debt and of fiscal policy than is
currently the case.
∗ Peterson Institute for International Economics and MIT (oblanchard@piie.com) AEA Presidential Lecture, to be given in January 2019. Special thanks to Larry Summers for many discussions and
many insights. Thanks for comments, suggestions, and data to Laurence Ball, Simcha Barkai, Charles
Bean, Philipp Barrett, Ricardo Caballero, John Campbell, John Cochrane, Carlo Cottarelli, Peter Diamond, Stanley Fischer, Francesco Giavazzi, Robert Hall, Patrick Honohan, Anton Korinek, Larry Kotlikoff, Lorenz Kueng, Neil Mehrotra, Jonathan Parker, Thomas Philippon, Jim Poterba, Ricardo Reis,
Dmitriy Sergeyev, Jay Shambaugh, Robert Solow, Jaume Ventura, Philippe Weil, Ivan Werning, Jeromin
Zettelmeyer, and many of my PIIE colleagues. Thanks for outstanding research assistance to Thomas
1
2 THE AMERICAN ECONOMIC REVIEW MONTH YEAR
I. Introduction
Since 1980, interest rates on U.S. government bonds have steadily decreased.
They are now lower than the nominal growth rate, and according to current
forecasts, this is expected to remain the case for the foreseeable future. 10-year
U.S. nominal rates hover around 3%, while forecasts of nominal growth are around
4% (2% real growth, 2% inflation). The inequality holds even more strongly in
the other major advanced economies: The 10-year UK nominal rate is 1.3%,
compared to forecasts of 10-year nominal growth around 3.6% (1.6% real, 2%
inflation). The 10-year Euro nominal rate is 1.2%, compared to forecasts of
10-year nominal growth around 3.2% (1.5% real, 2% inflation).1 The 10-year
Japanese nominal rate is 0.1%, compared to forecasts of 10-year nominal growth
around 1.4% (1.0% real, 0.4% inflation).
The question this paper asks is what the implications of such low rates should
be for government debt policy. It is an important question for at least two reasons.
From a policy viewpoint, whether or not countries should reduce their debt, and
by how much, is a central policy issue. From a theory viewpoint, one of pillars
of macroeconomics is the assumption that people, firms, and governments are
subject to intertemporal budget constraints. If the interest rate paid by the
government is less the growth rate, then the intertemporal budget constraint
facing the government no longer binds. What the government can and should do
in this case is definitely worth exploring.
The paper reaches strong, and, I expect, surprising, conclusions. Put (too)
simply, the signal sent by low rates is that not only debt may not have a substantial
fiscal cost, but also that it may have limited welfare costs.
Given that these conclusions are at odds with the widespread notion that government debt levels are much too high and must urgently be decreased, the paper
considers several counterarguments, ranging from distortions, to the possibility
that the future may be very different from the recent past, to multiple equilibria.
All these arguments have merit, but they imply a different discussion from that
dominating current discussions of fiscal policy.
The lecture is organized as follows.
Section 1 looks at the past behavior of U.S. interest rates and growth rates. It
concludes that the current situation is actually not unusual. While interest rates
on public debt vary a lot, they have on average, and in most decades, been lower
than growth rates. If the future is like the past, the probability that the U.S.
government can do a debt rollover, that is issue debt and achieve a decreasing
debt to GDP ratio without ever having to raise taxes later is high.
That debt rollovers may be feasible does not imply however that they are desirable. Even if higher debt does not give rise later to a higher tax burden, it
Pellet, Colombe Ladreit, and Gonzalo Huertas. Appendices and data sources: https://bit.ly/2xSSw9O
1Different Euro countries have different government bond rates. The 10-year Euro nominal rate
is a composite rate (with changing composition) constructed by the ECB.http://sdw.ecb.europa.eu/
quickview.do?SERIES_KEY=143.FM.M.U2.EUR.4F.BB.U2_10Y.YLD
VOL. VOLUME NO. ISSUE DEBT AND RATES 3
still has effects on capital accumulation, and thus on welfare. Whether and when
higher debt increases or decreases welfare is taken up in Sections 2 and 3.
Section 2 looks at the effects of an intergenerational transfer (a conceptually
simpler policy than a debt rollover, but a policy that shows most clearly the relevant effects at work) in an overlapping generation model with uncertainty. In
the certainty context analyzed by Diamond (1965), whether such an intergenerational transfer from young to old is welfare improving depends on “the” interest
rate, which in that model is simply the net marginal product of capital. If the
interest rate is less than the growth rate, then the transfer is welfare improving.
Put simply, in that case, a larger intergenerational transfer, or equivalently an
increase in public debt, and thus less capital, is good.
When uncertainty is introduced however, the question becomes what interest
rate we should look at to assess welfare effects of such a transfer. Should it be
the average safe rate, i.e. the rate on sovereign bonds (assuming no default risk),
or should it be the average marginal product of capital? The answer turns out to
be: Both.
As in the Diamond model, a transfer has two effects on welfare, an effect through
reduced capital accumulation, and an indirect effect, through the induced change
in the returns to labor and capital.
The welfare effect through lower capital accumulation depends on the safe rate.
It is positive if, on average, the safe rate is less than the growth rate. The intuitive
reason is that, in effect, the safe rate is the relevant risk-adjusted rate of return
on capital, thus it is the rate that must be compared to the growth rate.
The welfare effect through the induced change in returns to labor and capital
depends instead on the (risky) marginal product of capital. It is negative if, on
average, the marginal product of capital exceeds the growth rate.
Thus, in the current situation where it indeed appears that the safe rate is less
than the growth rate, but the average marginal product of capital exceeds the
growth rate, the two effects have opposite signs, and the effect of the transfer on
welfare is ambiguous. The section ends with an approximation which shows most
clearly the relative role of the two rates. The net effect may be positive, if the
safe rate is sufficiently low, and the average marginal product is not too high.
With these results in mind, Section 3 turns to numerical simulations. People
live for two periods, working in the first, and retiring in the second. They have
separate preferences vis-a-vis intertemporal substitution and risk. This allows to
look at different combinations of risky and safe rates, depending on the degree
of uncertainty and the degree of risk aversion. Production is CES in labor and
capital, and subject to technological shocks: Being able to vary the elasticity of
substitution between capital and labor turns out to be important as this elasticity
determines the strength of the second effect on welfare. There is no technological
progress, nor population growth, so the average growth rate is equal to zero.
I show how the welfare effects of a transfer can be positive or negative, and
how they depend in particular on the elasticity of substitution between capital
4 THE AMERICAN ECONOMIC REVIEW MONTH YEAR
and labor. In the case of a linear technology (equivalently, an infinite elasticity
of substitution between labor and capital), the rates of return, while random, are
independent of capital accumulation, so that only the first effect is at work, and
the safe rate is the only relevant rate in determining the effect of the transfer
on welfare. I then show how a lower elasticity of substitution implies a negative
second effect, leading to an ambiguous welfare outcome.
I then turn to debt and show that a debt rollover differs in two ways from
a transfer scheme. First, with respect to feasibility. So long as the safe rate
remains less than the growth rate, the ratio of debt to GDP decreases over time;
a sequence of adverse shocks may however increase the safe rate sufficiently so
as to lead to explosive dynamics, with higher debt increasing the safe rate, and
the higher safe rate in turn increasing debt over time. Second, with respect to
desirability: A successful debt rollover can yield positive welfare effects, but less
so than the transfer scheme. The reason is that a debt rollover pays people a
lower rate of return than the implicit rate in the transfer scheme.
The conclusions, and the welfare effects of debt in Section 3 depend not only
how on low the average safe rate is, but also how high the average marginal
product is. With this in mind, Section 4 returns to the empirical evidence on the
marginal product of capital. It focuses on two facts. The first fact is that the
ratio of the earnings rate of U.S. corporations to their capital at replacement cost
has remained high and relatively stable over time. This suggests a high marginal
product, and thus, other things equal, a higher welfare cost of higher debt. The
second fact, however, is that the ratio of the earnings of U.S. corporations to their
market value has substantially decreased since the early 1980s. Put another way,
Tobin‘s q, which is the ratio of the market value of capital to the value of capital
at replacement cost, has substantially increased. Two potential interpretations
are that capital at replacement cost is poorly measured and does not fully capture
intangible capital. The other is that an increasing proportion of earnings comes
from rents. Both explanations (which are the subject of much current research)
imply a lower marginal product for a given measured earnings rate, and thus a
smaller welfare cost of debt.
Section 5 goes beyond the formal model and places the results in a broader but
informal discussion of the costs and benefits of public debt.
On one side, the model above has looked at debt issuance used to finance
transfers in a full employment economy; this does not do justice to current policy
discussions, which have focused on the role of debt finance to increase demand
and output if the economy is in recession, and on the use of debt to finance public
investment. This research has concluded that, if the neutral rate of interest is low
and the effective lower bound on interest rates is binding, then there is a strong
argument for using fiscal policy to sustain demand. The analysis above suggests
that, in that very situation, the fiscal and welfare costs of higher debt may be
lower than has been assumed, reinforcing the case for a fiscal expansion.
On the other side, (at least) three arguments can be raised against the model
VOL. VOLUME NO. ISSUE DEBT AND RATES 5
above and its implications. The first is that the risk premium, and by implication
the low safe rate relative to the marginal product of capital, may not reflect
risk preferences but distortions, such as financial repression. Traditional financial
repression, i.e. forcing banks to hold government bonds, is gone in the United
States, but one may argue that agency issues within financial institutions or
some forms of financial regulation such as liquidity ratios have similar effects.
The second argument is that the future may be very different from the present,
and the safe rate may turn out much higher than the past. The third argument is
the possibility of multiple equilibria, that if investors expect the government to be
unable to fully repay the debt, they may require a risk premium which makes debt
harder to pay back and makes their expectations self-fulfilling. I focus mostly on
this third argument. It is relevant and correct as far as it goes, but it is not clear
what it implies for the level of public debt: Multiple equilibria typically hold for
a large range of debt, and a realistic reduction in debt while debt remains in the
range, does not rule out the bad equilibrium.
Section 6 concludes. To be clear: The purpose of the lecture is not to advocate
for higher public debt, but to assess its costs. The hope is that this lecture leads
to a richer discussion of fiscal policy than is currently the case.
II. Interest rates, growth rates, and debt rollovers
Interest rates on U.S. bonds have been and are still unusually low, reflecting in
part the after-effects of the Great Financial Crisis and Quantitative Easing. The
current (December 2018) 1-year T-bill nominal rate is 2.6%, substantially below
the most recent nominal growth rate, 4.8% (from the second to the third quarter,
at annual rates)
The gap between the two is expected to narrow, but most forecasts and market signals have interest rates remaining below growth rates for a long time to
come. Despite a strong fiscal expansion putting pressure on rates in an economy
close to potential, the current 10-year nominal rate remains around 3%, while
forecasts of nominal growth over the same period are around 4%. Looking at real
rates instead, the current 10-year inflation-indexed rate is around 1%, while most
forecasts of real growth over the same period range from 1.5% to 2.5%.2
These forecasts come with substantial uncertainty. Some argue that these low
rates reflect “secular stagnation” forces that are likely to remain relevant for
the foreseeable future3
. Others point instead to factors such as aging in advanced
economies, better social insurance or lower reserve accumulation in emerging markets, which may lead to higher rates in the future (See for example Lukasz and
2Since 1800, 10-year rolling sample averages of U.S. real growth have always been positive, except for
one 10-year period, centered in 1930.
3Some point to structurally high saving and low investment, leading to a low equilibrium marginal
product of capital (for example, Summers (2015), Rachel and Summers (2018). Others point instead
to an increased demand for safe assets, leading to a lower safe rate for a given marginal product (for
example, Caballero, Farhi, and Gourinchas (2017). An interesting attempt to identify the respective
roles of marginal products, rents, and risk premia is given by Caballero, Farhi and Gourinchas (2017b)
6 THE AMERICAN ECONOMIC REVIEW MONTH YEAR
Smith 2015, Lunsford and West (2018)).
Interestingly and importantly however, historically for the United States government, interest rates lower than growth rates have been more the rule than the
exception, making the issue of what debt policy should be under this configuration
of more than temporary interest.4
.
Evidence on past interest rates and growth rates has been put together by,
among others, Shiller (1992) and Jorda et al (2017).5 While the basic conclusions
reached below hold over longer periods, I shall limit myself here to the post-1950
period.6 Figure (1) shows the evolution of the nominal GDP growth rate and the
1-year Treasury bill rate. Figure (2) shows the evolution of nominal GDP growth
rate and the 10-year Treasury bond rate. Together, they have two basic features:
Figure 1. : Nominal growth rate and 1-year T-bill rate
‐4
‐2
0
2
4
6
8
10
12
14
16
Nominal growth rate and 1‐year T‐bill rate
1‐year T‐bill rate nominal growth rate
• On average, over the period, nominal interest rates have been lower than
nominal growth rates.7 The 1-year rate has averaged 4.7%, the 10-year rate
has averaged 5.6%, while nominal GDP growth has averaged 6.3%.8
4Two other papers have examined the historical relation between interest rates and growth rates, both
in the United States and abroad, and draw some of the implications for debt dynamics: Mehrotra(2017),
and Barrett (2018).
5For evidence going back to the 14th century, see Schmelzing (2018).
6There is a striking difference not so much in the level but in the stochastic behavior of rates preand post-1950, with a sharp decrease in volatility post-1950.
7Equivalently, if one uses the same deflator, real interest rates have been lower than real growth rates.
Real interest rates are however often computed using CPI inflation rather than the GDP deflator.
8Using Shiller’s numbers for interest rates and historical BEA series for GDP, over the longer period
VOL. VOLUME NO. ISSUE DEBT AND RATES 7
Figure 2. : Nominal growth rate and 10-year bond rate
‐4
‐2
0
2
4
6
8
10
12
14
16 Nominal growth rate and 10‐year bond rate
nominal 10‐year rate nominal growth rate
• Both the 1-year rate and the 10-year rate were consistently below the growth
rate until the disinflation of the early 1980s, Since then, both nominal interest rates and nominal growth rates have declined, with rates declining
faster than growth, even before the Great Financial Crisis. Overall, while
nominal rates vary substantially from year to year, the 1-year rate has been
lower than the growth rate for all decades except for the 1980s. The 10-year
rate has been lower than the growth rate for 4 out of 7 decades.
Given that my focus is on the implications of the joint evolution of interest
rates and growth rates for debt dynamics, the next step is to construct a series
for the relevant interest rate paid on public debt held by domestic private and
foreign investors. I proceed in three steps, first taking into account the maturity
composition of the debt, second taking into account the tax payments on the
interest received by the holders of public debt, and third, taking into account
Jensen’s inequality. (Details of construction are given in appendix A.)9
To take into account maturity, I use information on the average maturity of the
debt held by private investors (that is excluding public institutions and the Fed.)
This average maturity went down from 8 years and 4 months in 1950 to 3 years
and 4 months in 1974, with a mild increase since then to 5 years today.10 Given
1871 to 2018, the 1-year rate has averaged 4.6%, the 10-year rate 4.6% and nominal GDP growth 5.3%.
9A more detailed construction of the maturity of the debt held by both private domestic and foreign
investors is given in Hilscher et al (2018).
10Fed holdings used to be small, and limited to short maturity T-bills. As a result of quantitative
8 THE AMERICAN ECONOMIC REVIEW MONTH YEAR
this series, I construct a maturity-weighted interest rate as a weighted average
of the 1-year and the 10-year rates using it = αt ∗ i1,t + (1 − αt) ∗ i10,t with
αt = (10 − average maturity in years)/9.
Many, but not all, holders of government bonds pay taxes on the interest paid,
so the interest cost of debt is actually lower than the interest rate itself. There is
no direct measure of those taxes, and thus I proceed as follows:1112
I measure the tax rate of the marginal holder by looking at the difference
between the yield on AAA municipal bonds (which are exempt from Federal taxes)
and the yield on a corresponding maturity Treasury bond, for both 1-year and 10-
year bonds. Assuming that the marginal investor is indifferent between holding
the two, the implicit tax rate on 1-year treasuries is given by τ1t = 1 − imt1/i1t
,
and the implicit tax rate on 10-year Treasuries is given by τ10t = 1 − imt10/i10t
.
13
The tax rate on 1-year bonds peaks at about 50% in the late 1970s (as inflation
and nominal rates are high, leading to high effective tax rates), then goes down
close to zero until the Great Financial Crisis, and has increased slightly since
2017. The tax rate on 10-year bonds follows a similar pattern, down from about
40% in the early 1980s to close to zero until the Great Financial Crisis, with a
small increase since 2016. 14 Taking into account the maturity structure of the
debt, I then construct an average tax rate in the same way as I constructed the
interest rate above, by constructing τt = αt ∗ τ1,t + (1 − αt) ∗ τ10,t
Not all holders of Treasuries pay taxes however. Foreign holders, private and
public (such as central banks), Federal retirement programs and Fed holdings are
not subject to tax. The proportion of such holders has steadily increased over
time, reflecting the increase in emerging markets’ reserves (in particular China’s),
the growth of the Social Security Trust Fund, and more recently, the increased
holdings of the Fed, among other factors. From 15% in 1950, it now accounts for
64% today.
Using the maturity adjusted interest rate from above, it
, the implicit tax rate,
τt
, and the proportion of holders likely subject to tax, βt
, I construct an “adjusted
interest rate” series according to:
iadj,t = it(1 − τt ∗ βt)
Its characteristics are shown in Figures (3) and (4). Figure (3) plots the adjusted
easing, they have become larger and skewed towards long maturity bonds, implying a lower maturity of
debt held by private investors than of total debt.
11For a parallel study, see Feenberg et al (2018).
12This is clearly only a partial equilibrium computation. To the extent that debt leads to lower
capital accumulation and thus lower output, other tax revenues may decrease. To the extent however
that consumption decreases less, or even increases, the effects depend on how much of taxation is output
based or consumption based.
13This is an approximation. On the one hand, the average tax rate is likely to exceed this marginal
rate. On the other hand, to the extent that municipal bonds are also partially exempt from state taxes,
the marginal tax rate may reflect in part the state tax rate in addition to the Federal tax rate.
14The computed tax rates are actually negative during some of the years of the Great Financial Crisis,
presumably reflecting the effects of Quantitative Easing. I put them equal to zero for those years
VOL. VOLUME NO. ISSUE DEBT AND RATES 9
rate against the 1-year and the 10-year rates. Figure (4) plots the adjusted tax
rate against the nominal growth rate. They yield two conclusions:
Figure 3. : 1-year rate, 10-year rate, and adjusted rate
0
2
4
6
8
10
12
14
16
1‐year rate, 10‐year rate, adjusted rate
10‐year rate 1‐year rate adjusted rate
Figure 4. : Nominal growth rate and adjusted rate
‐4
‐2
0
2
4
6
8
10
12
14
16
Nominal GDP growth and adjusted interest rate
Adjusted rate Nominal GDP growth
• First, over the period, the average adjusted rate has been lower than either
the 1-year or the 10-year rates, averaging 3.8% since 1950. This however
largely reflects the non neutrality of taxation to inflation in the 1970s and
10 THE AMERICAN ECONOMIC REVIEW MONTH YEAR
1980s, and which is much less of a factor today. Today, the rate is around
2.4%.
• Second, over the period, the average adjusted rate has been substantially
lower than the average nominal growth rate, 3.8% versus 6.3%.
The third potential issue is Jensen’s inequality. The dynamics of the ratio of
debt to GDP are given by:
dt =
1 + radj,t
1 + gt
dt−1 + xt
where dt
is the ratio of debt to GDP (with both variables either in nominal or
in real terms if both are deflated by the same deflator), and xt
is the ratio of the
primary deficit to GDP (again, with both variables either in nominal or in real
terms). The evolution of the ratio depends on the relevant product of interest
rates and growth rates (nominal or real) over time.
Given the focus on debt rollovers, that is the issuance of debt without a later
increase in taxes or reduction in spending, suppose we want to trace debt dynamics
under the assumption that xt remains equal to zero.15 Suppose that ln[(1 +
radj,t)/(1 + gt)] is distributed normally with mean µ and variance σ
2
. Then, the
evolution of the ratio will depend not on exp µ but on exp(µ + (1/2)σ
2
). We
have seen that, historically, µ was between -1% and -2%. The standard deviation
of the log ratio over the same sample was equal to 2.8%, implying a variance of
0.08%, thus too small to affect the conclusions substantially. Jensen’s inequality
is thus not an issue here.16
In short, if we assume that the future will be like the past (a big if admittedly),
debt rollovers—that is increases in debt without a change in the primary surplus—
appear feasible. While the debt ratio may increase for some time due to adverse
shocks to growth or positive shocks to the interest rate, it will eventually decrease
over time. In other words, higher debt may not imply a higher fiscal cost.
In this light, it is interesting to do the following counterfactual exercise. Assume
that the debt ratio in year t was what it actually was, but that the primary balance
was equal to zero from then on, so that debt in year t + n was given by:
dt+n = (
i
Y=n
i=1
1 + radj,t+i
1 + gt+i
) dt
15Given that we subtract taxes on interest from interest payments, the primary balance must also be
computed subtracting those tax payments.
16The conclusion is the same if we do not assume log normality, but rather bootstrap from the actual
distribution, which has slightly fatter tails.
VOL. VOLUME NO. ISSUE DEBT AND RATES 11
Figure 5. : Debt dynamics, with zero primary balance, starting in year t.
40 60 80 100 120 140
index
1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2020
year
Figure 6. : Debt dynamics, with zero primary balance, starting in year t, using
adjusted rate
20 40 60 80 100
index
1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2020
year
Figures (5) and (6) show what the evolution of the debt ratio would have been,
starting at different dates in the past. For convenience, the ratio is normalized to
100 at each starting date, so 100 in 1950, 100 in 1960, and so on. Figure (5) uses
the non-tax adjusted rate, Figure (6) uses the tax-adjusted interest rate.
Figure (5) shows how, for each starting date, the debt ratio would eventually
have decreased, even in the absence of a primary surplus. The decrease, if starting
in the 1950s, 1960s, or 1970s, is quite dramatic. But it also shows that a series of
bad shocks, such as happened in the 1980s, can increase the debt ratio to higher
12 THE AMERICAN ECONOMIC REVIEW MONTH YEAR
levels for a while.
Figure (6), which I believe is the more appropriate one, gives an even more
optimistic picture, where the debt ratio rarely would have increased, even in the
1980s—the reason being the higher tax revenues associated with inflation during
that period.
What these figures show is that, historically, debt rollovers would have been
feasible. Put another way, it shows that the fiscal cost of higher debt would have
been small, if not zero. This is at striking variance with the current discussions
of fiscal space, which all start from the premise that the interest rate is higher
than the growth rate, implying a tax burden of the debt.
The fact that debt rollovers may be feasible (i.e. that they have not fiscal cost)
does not imply however that they are desirable (that they have no welfare cost).
This is the topic taken up in the next two sections.
III. Intergenerational transfers and welfare
Debt rollovers are, by essence, non-steady-state phenomena, and have potentially complex dynamics and welfare effects. It is useful to start by looking at a
simpler policy, namely a transfer from the young to the old (equivalent to pay-asyou-go social security), and then to return to debt and debt rollovers in the next
section.
The natural set-up to explore the issues is an overlapping generation model
under uncertainty. The overlapping generation structure implies a real effect
of intergenerational transfers or debt, and the presence of uncertainty allows to
distinguish between the safe rate and the risky marginal product of capital.17
I proceed in two steps, first briefly reviewing the effects of a transfer under certainty, following Diamond (1965), then extending it to uncertainty. (Derivations
are given in Appendix B)18
Assume that the economy is populated by people who live for two periods,
working in the first period, and consuming in both periods. Their utility is given
by:
U = (1 − β)U(C1) + βU(C2)
where C1 and C2 are consumption in the first and the second period respectively.
17In this framework, the main effect of intergenerational transfers or debt is to decrease capital accumulation. A number of recent papers have explored the effects of public debt when public debt also
provides liquidity services. Aiyagari and McGrattan (1998) for example explore the effects of public
debt in an economy in which agents cannot borrow and thus engage in precautionary saving; in that
framework, debt relaxes the borrowing constraint and decreases capital accumulation. Angeletos, Collard
and Dellas (2016) develop a model where debt provides liquidity. In that model, debt can either crowd
out capital, for the same reasons as in Aiyagari and McGrattan, or crowd in capital by increasing the
available collateral required for investment. These models are obviously very different from the model
presented here, but all share a focus on the low riskless rate as a signal about the desirability of public
debt.
18For a nice recent introduction to the logic and implications of the overlapping generation model, see
Weil (2008).
VOL. VOLUME NO. ISSUE DEBT AND RATES 13
(As I limit myself for the moment to looking at the effects of the transfer on utility
in steady state, there is no need for now for a time index.) Their first and second
period budget constraints are given by
C1 = W − K − D ; C2 = R K + D
where W is the wage, K is saving (equivalently, next period capital), D is the
transfer from young to old, and R is the rate of return on capital.
I ignore population growth and technological progress, so the growth rate is
equal to zero. Production is given by a constant returns production function:
Y = F(K, N)
It is convenient to normalize labor to 1, so Y = F(K, 1). Both factors are paid
their marginal product.
The first order condition for utility maximisation is given by:
(1 − β) U
0
(C1) = βR U0
(C2)
The effect of a small increase in the transfer D on utility is given by:
dU = [−(1 − β)U
0
(C1) + βU0
(C2)] dD + [(1 − β)U
0
(C1) dW + βKU0
(C2) dR]
The first term in brackets, call it dUa, represents the partial equilibrium, direct, effect of the transfer; the second term, call it dUb, represents the general
equilibrium effect of the transfer through the induced change in wages and rates
of return.
Consider the first term, the effect of debt on utility given labor and capital
prices. Using the first-order condition gives:
(1) dUa = [β(−R U0
(C2) + U
0
(C2))] dD = β(1 − R)U
0
(C2) dD
So, if R < 1 (the case known as “dynamic inefficiency”), then, ignoring the
other term, a small increase in the transfer increases welfare. The explanation is
straightforward: If R < 1, the transfer gives a higher rate of return to savers than
does capital.
Take the second term, the effect of debt on utility through the changes in W
and R. An increase in debt decreases capital and thus decreases the wage and
increases the rate of return on capital. What is the effect on welfare?
Using the factor price frontier relation dW/dR = −K/N,or equivalently dW =
14 THE AMERICAN ECONOMIC REVIEW MONTH YEAR
−KdR (given that N = 1), rewrite this second term as:
dUb = −[(1 − β)U
0
(C1) − βU0
(C2)]K dR
Using the first order condition for utility maximization gives:
dUb = −[β(R − 1)U
0
(C2)]K dR
So, if R < 1 then, just like the first term, a small increase in the transfer
increases welfare (as the lower capital stock leads to an increase in the interest
rate). The explanation is again straightforward: Given the factor price frontier
relation, the decrease in the capital leads to an equal decrease in income in the
first period and increase in income in the second period. If R < 1, this is more
attractive than what capital provides, and thus increases welfare.
Using the definition of the elasticity of substitution η ≡ (FKFN )/FKN F, the
definition of the share of labor, α = FN /F, and the relation between second
derivatives of the production function, FNK = −KFKK, this second term can be
rewritten as:
(2) dUb = [β(1/η)α][(R − 1)U
0
(C2)]R dK
Note the following two implications of equations (1) and (2):
• The sign of the two effects depends on R−1. If R < 1, the a decrease in capital accumulation increases utility. In other words, if the marginal product is
less than the growth rate (which here is equal to zero), an intergenerational
transfer has a positive effect on welfare in steady state.
• The strength of the second effect depends on the elasticity of substitution
η. If for example η = ∞ so the production function is linear and capital
accumulation has no effect on either wages or rates of return to capital, this
second effect is equal to zero.
So far, I just replicated the analysis in Diamond.19 Now introduce uncertainty
in production, so the marginal product of capital is uncertain. If people are risk
averse, the average safe rate will be less than the average marginal product of
capital. The basic question becomes:
What is the relevant rate we should look at for welfare purposes? Put loosely,
is it the average marginal product of capital ER, or is it the average safe rate
ERf, or it is some other rate altogether?
The model is the same as before, except for the introduction of uncertainty:
19Formally, Diamond looks at the effects of a change in debt rather than a transfer. But, under
certainty and in steady state, the two are equivalent.
VOL. VOLUME NO. ISSUE DEBT AND RATES 15
People born at time t have expected utility given by: (I now need time subscripts
as the steady state is stochastic):
U = (1 − β)U(C1,t) + βEU(C2,t+1)
Their budget constraints are given by
C1t = Wt − Kt − D ; C2t+1 = Rt+1 Kt + D
Production is given by a constant returns production function
Yt = AtF(Kt−1, N)
where N = 1 and At
is stochastic. (The capital at time t reflects the saving of
the young at time t − 1, thus the timing convention).
At time t, the first order condition for utility maximization is given by:
(1 − β) U
0
(C1,t) = βE[Rt+1 U
0
(C2,t+1)]
We can now define a shadow safe rate R
f
t+1, which must satisfy:
R
f
t+1E[U
0
(C2,t+1] = E[Rt+1 U
0
(C2,t+1)]
Now consider a small increase in D on utility at time t:
dUt = [−(1−β)U
0
(C1,t)+βEU0
(C2,t+1)] dD+[(1−β)U
0
(C1,t) dWt+βKtE(U
0
(C2,t+1) dRt+1)]
As before, the first term in brackets, call it dUat, reflects the partial equilibrium,
direct, effect of the transfer, the second term, call it dUbt, reflects the general
equilibrium effect of the transfer through the change in wages and rates of return
to capital.
Take the first term, the effect of debt on utility given prices. Using the first
order condition gives:
dUat = [−βE[Rt+1 U
0
(C2,t+1)] + βE[U
0
(C2,t+1)]] dD
So:
(3) dUat = β(1 − R
f
t+1)EU0
(C2,t+1) dD
So, to determine the sign effect of the transfer on welfare through this first
channel, the relevant rate is indeed the safe rate. In any period in which R
f
t+1
16 THE AMERICAN ECONOMIC REVIEW MONTH YEAR
is less than one, the transfer is welfare improving.
The explanation why the safe rate is what matters is straightforward and important: The safe rate is, in effect, the risk-adjusted rate of return on capital.20
The intergenerational transfer gives a higher rate of return to people than the
risk-adjusted rate of return on capital.
Take the second term, the effect of the transfer on utility through prices:
dUbt = (1 − β)U
0
(C1,t) dWt + βE[U
0
(C2,t+1) Kt dRt+1]
Or using the factor price frontier relation:
dUbt = (1 − β)U
0
(C1,t) Kt−1dRt + βE[U
0
(C2,t+1) Kt dRt+1]
In general, this term will depend both on dKt−1 (which affects dWt) and on dKt
(which affects dRt+1). If we evaluate it at Kt = Kt−1 = K and dKt = dKt+1 =
dK, it can be rewritten, using the same steps as in the certainty case, as:
(4) dUbt = [β
1
η
α] E[(Rt+1 −
Rt+1
Rt
)U
0
(C2,t+1)]RtdK
Or:
(5) dUbt = [β
1
η
α
1
Rt
] E[(Rt+1U
0
(C2,t+1)](Rt − 1)dK
Thus the relevant rate in assessing the sign of the welfare effect of the transfer
through this second term is the risky rate, the marginal product of capital.
If Rt
is less than one, the implicit transfer due to the change in input prices
increases utility. If Rt
is greater than one, the implicit transfer decreases utility.
The explanation why it is the risky rate that matters is simple. Capital yields
a rate of return of Rt+1. The change in prices due to the decrease in capital
represents an implicit transfer with rate of return of Rt+1/Rt
. Thus, whether the
implicit transfer increases or decreases utility depends on whether Rt
is less or
greater than one.
Putting the two sets of results together: If the safe rate is less than one, and
the risky rate is greater than one—the configuration which appears to be relevant
today—the two terms now work in opposite directions: The first term implies that
an increase in debt increases welfare. The second term implies that an increase
in debt instead decreases welfare. Both rates are thus relevant.
20The relevance of the safe rate in assessing the return to capital accumulation was one of themes in
Summers (1990).
VOL. VOLUME NO. ISSUE DEBT AND RATES 17
To get a sense of relative magnitudes of the two effects, and therefore which
one is likely to dominate, the following approximation is useful: Evaluate the two
terms at the average values of the safe and the risky rates, to get:
dU/dD = [(1 − ERf
) − (1/η) α ERf
(ER − 1)] βE[U
0
(C2)](−dK/dD)
so that:
(6) sign dU ≡ sign [(1 − ERf
) − (1/η)αERf
(−dK/dD)(ER − 1)]
where, from the accumulation equation, we have the following approximation:21
dK/dD ≈ −
1
1 − βα(1/η)ER
Note that, if the production is linear, and so η = ∞, the second term in equation
(6) is equal to zero, and the only rate that matters is ERf
. Thus, if ERf
is less
than one, a higher transfer increases welfare. As the elasticity of substitution
becomes smaller, the price effect becomes stronger, and, eventually, the welfare
effect changes sign and becomes negative.
In the Cobb-Douglas case, using the fact that ER ≈ (1 − α)/(αβ), (the approximation comes from ignoring Jensen’s inequality) the equation reduces to the
simpler formula:
(7) sign dU ≡ sign [(1 − ERf ER)]
Suppose that the average annual safe rate is 2% lower than the growth rate, so
that ERf
, the gross rate of return over a unit period—say 25 years—is 0.9825 =
0.6, then the welfare effect of a small increase in the transfer is positive if ER is
less than 1.66, or equivalently, if the average annual marginal product is less than
2% above the growth rate.22
Short of a much richer model, it is difficult to know how reliable these rough
computations are as a guide to reality. The model surely overstates the degree of
21This is an approximation in two ways. It ignores uncertainty and assumes that the direct effect of
the transfer on saving is 1 for 1, which is an approximation.
22Note that the economy we are looking at may be dynamically efficient in the sense of Zilcha (1991).
Zilcha defined dynamic efficiency as the condition that there is no reallocation such that consumption
of either the young or the old can be increased in at least one state of nature and one period, and not
decreased in any other; the motivation for the definition is that it makes the condition independent
of preferences. He then showed that in a stationary economy, a necessary and sufficient condition for
dynamic inefficiency is that E ln R > 0. What the argument in the text has shown is that an intergenerational transfer can be welfare improving even if the Zilcha condition holds: As we saw, expected utility
can increase even if the average risky rate is large, so long as the safe rate is low enough. The reallocation
is such that consumption indeed decreases in some states, yet expected utility is increased.
18 THE AMERICAN ECONOMIC REVIEW MONTH YEAR
non Ricardian equivalence: Debt in this economy is (nearly fully) net wealth, even
if Rf
is greater than one, and the government must levy taxes to pay the interest
to keep the debt constant. The assumption that capital and labor are equally
risky may not be right: Holding claims to capital, i.e. shares, involves price risk,
which is absent from the model, as capital fully depreciates within a period; on
the other hand, labor income, in the absence of insurance against unemployment,
can also be very risky. Another restrictive assumption of the model is that the
economy is closed: In an open economy, the effect on capital is likely to be smaller,
with changes in public debt being partly reflected in increases in external debt.
I return to the issue when discussing debt (rather than intertemporal transfers)
later. Be this as it may, the analysis suggests that the welfare effects of a transfer
may not necessarily be adverse, or, if adverse, may not be very large.
IV. Simulations. Transfers, debt, and debt rollovers
To get a more concrete picture, and turn to the effects of debt and debt rollovers
requires going to simulations.23 Within the structure of the model above, I make
the following specific assumptions: (Derivations and details of simulation are
given in Appendix C.)
I think of each of the two periods of life as equal to twenty five years. Given the
role of risk aversion in determining the gap between the average safe and risky
rates, I want to separate the elasticity of substitution across the two periods of
life and the degree of risk aversion. Thus I assume that utility has an EpsteinZin-Weil representation of the form (Epstein and Zin(2013), Weil (1990)):
(1 − β) ln C1,t + β
1
1 − γ
ln E(C
1−γ
2,t+1)
The log-log specification implies that the intertemporal elasticity of substitution
is equal to 1. The coefficient of relative risk aversion is given by γ.
As the strength of the second effect above depends on the elasticity of substitution between capital and labor, I assume that production is characterized
by a constant elasticity of substitution production function, with multiplicative
uncertainty:
Yt = At (bKρ
t−1 + (1 − b)N
ρ
)
1/ρ = At(bKρ
t−1 + (1 − b))1/ρ
where At
is white noise and is distributed log normally, with ln At ∼ N (µ; σ
2
)
and ρ = (η − 1)/η, where η is the elasticity of substitution. When η = ∞, ρ = 1
and the production function is linear.
Finally, I assume that, in addition to the wage, the young receive a nonstochastic endowment, X. Given that the wage follows a log normal distribution
23One can make some progress analytically, and, in Blanchard and Weil (1990), we did characterize
the behavior of debt at the margin (that is, taking the no-debt prices as given), for a number of different
utility and production functions and different incomplete market structures. We only focused on debt
dynamics however, and not on the normative implications.
VOL. VOLUME NO. ISSUE DEBT AND RATES 19
and thus can be arbitrarily small, such an endowment is needed to make sure that
the deterministic transfer from the young to the old is always feasible, no matter
what the realization of W.
24 I assume that the endowment is equal to 100% of
the average wage.
Given the results in the previous section, I calibrate the model so as to fit
a set of values for the average safe rate and the average risky rate. I consider
average net annual risky rates (marginal products of capital) minus the growth
rate (here equal to zero) between 0% and 4%. These imply values of the average
25-year gross risky rate, ER, between 1.00 and 2.66. I consider average net annual
safe rates minus the growth rate between -2% and 1%; these imply values of the
average 25-year gross safe rate, ERf
, between 0.60 and 1.28.
I choose some of the coefficients a priori. I choose b (which is equal to the
capital share in the Cobb-Douglas case) to be 1/3. For reasons explained below,
I choose the annual value of σa to be a high 4% a year, which implies a value of
σ of √
25 ∗ 4% = 0.20.
Because the strength of the second effect above depends on the elasticity of
substitution, I consider two different values of η, η = ∞ which corresponds to
the linear production function case, and in which the price effects of lower capital
accumulation are equal to zero, and η = 1, the Cobb-Douglas case, which is
generally seen as a good description of the production function in the medium
run.
The central parameters are, on the one hand, β and µ, and on the other, γ.
The parameters β and µ determine (together with σ, which plays a minor role)
the average level of capital accumulation and thus the average marginal product
of capital—the average risky rate. In general, both parameters matter. In the
linear production case however, the marginal product of capital is independent of
the level of capital, and thus depends only on µ; thus, I choose µ to fit the average
value of the marginal product. In the Cobb-Douglas case, the marginal product
of capital is instead independent of µ and depends only on β; thus I choose β to
fit the average value of the marginal product of capital.
The parameter γ determines, together with σ the spread between the risky rate
and the safe rate. In the absence of transfers, the following relation holds between
the two rates:
ln R
f
t+1 − ln ERt+1 = −γσ2
This relation implies however that the model suffers from a strong case of the
equity premium puzzle (see for example Kocherlakota (1996)). If we think of σ
as the standard deviation of TFP growth, and assume that, in the data, TFP
growth is a random walk (with drift), this implies an annual value of σa of about
24Alternatively, a lower bound on the wage distribution will work as well. But this would imply
choosing another distribution than the log normal assumption.
20 THE AMERICAN ECONOMIC REVIEW MONTH YEAR
2%, equivalently a value of σ over the 25-year period of 10%, and thus a value of
σ
2 of 1%. Thus, if we think of the annual risk premium as, say, 5%, which implies
a value of the right hand side of 1.22, this implies a value of γ, the coefficient
of relative risk aversion of 122, which is clearly implausible. One of the reasons
why the model fails so badly is the symmetry in the degree of uncertainty facing
labor and capital, and the absence of price risk associated with holding shares
(as capital fully depreciates within the 25-year period). If we take instead σ to
reflect the standard deviation of annual rates of stock returns, say 15% a year (its
historical mean), and assume stock returns to be uncorrelated over time, then σ
over the 25-year period is equal to 75%, implying values of γ around 2.5. There
is no satisfactory way to deal with the issue within the model, so as an uneasy
compromise, I choose σ = 20%. Given σ, γ is determined for each pair of average
risky and safe rates.25
I then consider the effects on steady state welfare of an intergenerational transfer. The basic results are summarized in the four figures below.
Figure (7) shows the welfare effects of a small transfer (5% of the endowment)
on welfare for the different combinations of the safe and the risky rates (reported,
for convenience, as net rates at annual values, rather than as gross rates at 25-year
values), in the case where η = ∞ and, thus, production is linear. In this case, the
derivation above showed that, to a first order, only the safe rate mattered. This
is confirmed visually in the figure. Welfare increases if the safe rate is negative
(more precisely, if it is below the growth rate, here equal to zero), no matter what
the average risky rate.
Figure (8) looks at a larger transfer (20% of the endowment), again in the
linear production case. For a given ERf
, a larger ER leads to a smaller welfare
increase if welfare increases, and to a larger welfare decrease if welfare decreases.
The reason is as follows: As the size of the transfer increases, second period
income becomes less risky, so the risk premium decreases, increasing ERf
for
given average ER. In the limit, a transfer which led people to save nothing in
capital would eliminate uncertainty about second period income, and thus would
lead to ERf = ER. The larger ER, the faster ERf
increases with a large transfer;
for ER high enough , and for D large enough, ERf becomes larger than one, and
the transfer becomes welfare decreasing.
In other words, even if the transfer has no effect on the average rate of return
to capital, it reduces the risk premium, and thus increases the safe rate. At some
point, the safe rate becomes positive, and the transfer has a negative effect on
welfare.
Figures (9) and (10) do the same, but now for the Cobb-Douglas case. They
25Extending the model to allow uncertainty to differ for capital and labor is difficult to do (except for
the case where production is linear and one can easily capture capital or labor augmenting technology
shocks. In this case, the qualitative discussion of the previous section remains relevant.)
VOL. VOLUME NO. ISSUE DEBT AND RATES 21
Figure 7. : Welfare effects of a transfer of 5% of the endowment(linear production
function)
-1
-0.5
0
0.5
1
1.5
2
4 3.5 3 2.5 2 1.5 1 -2 0.5 -1 -1.5
0 -0.5 0 1 0.5
Figure 8. : Welfare effects of a transfer of 20% of the endowment (linear production
function)
-3
-2
-1
0
1
2
3
4
4
5
3.5
3
2.5
2
1.5 -2 -1.5 1 -1 0.5 -0.5 0 0 0.5 1
22 THE AMERICAN ECONOMIC REVIEW MONTH YEAR
yield the following conclusions: Both effects are now at work, and both rates
matter: A lower safe rate makes it more likely that the transfer will increase
welfare; a higher risky rate makes it less likely. For a small transfer (5% of the
endowment), a safe rate 1% lower than the growth rate leads to an increase in
welfare so long the risky rate is less than 1.7% above the growth rate. A safe rate
2% lower than the growth rate leads to an increase in welfare so long the risky
rate is less than 3.3% above the growth rate. For a larger transfer, (10% of the
endowment), which increases the average Rf
closer to 1, the trade-off becomes
less attractive. For welfare to increase, a safe rate of 2% less than the growth rate
requires that the risky rate be less than 2.3% above the growth rate; a safe rate
of 1% below the growth rate requires that the risky rate be less than 1.5% above
the growth rate.
Figure 9. : Welfare effects of a transfer of 5% of the endowment. Cobb-Douglas
I have so far focused on intergenerational transfers, such as we might observe
in a pay-as-you-go system. Building on this analysis, I now turn to debt, and
proceed in two steps, first looking at the effects of a permanent increase in debt,
then at debt rollovers.
Suppose the government increases the level of debt and maintains it at this
higher level forever. Depending on the value of the safe rate every period, this
may require either issuing new debt when R
f
t < 1 and distributing the proceeds as
VOL. VOLUME NO. ISSUE DEBT AND RATES 23
Figure 10. : Welfare effets of a transfer of 10% of the endowment. Cobb Douglas
benefits, or retiring debt, when R
f
t > 1 and financing it through taxes. Following
Diamond, assume that benefits and taxes are paid to, or levied on, the young. In
this case, the budget constraints faced by somebody born at time t are given by:
C1t = (Wt + X + (1 − R
f
t
)D) − (Kt + D) = Wt + X − Kt − DRf
t
C2t+1 = Rt+1Kt + DRf
t+1
So, a constant level of debt can be thought of as an intergenerational transfer,
with a small difference relative to the case developed earlier. The difference is
that a generation born at t makes a net transfer of DRf
t when young, and receives,
when old, a net transfer of DRf
t+1, as opposed to the one-for-one transfer studied
earlier. Under certainty, in steady state, Rf
is constant and the two are equal.
Under uncertainty, the variation about the terms of the intertemporal transfer
imply a smaller increase in welfare than in the transfer case. Otherwise, the
conclusions are very similar.
This is a good place to discuss informally a possible extension of the closed
economy model, and allow the economy to be open. Start by thinking of a small
open economy which takes Rf as given and unaffected by its actions. In this case,
if Rf
is less than one, an increase in debt unambiguously increases welfare. The
reason is that capital accumulation is unaffected, with the increase in debt fully
24 THE AMERICAN ECONOMIC REVIEW MONTH YEAR
reflected in an increase in external debt, so the second effect characterized above
is absent. In the case of a large economy such as the United States, an increase
in debt will lead to both an increase in external debt and a decrease in capital
accumulation. While the decrease in capital accumulation is the same as above
for the world as a whole, the decrease in U.S. capital accumulation is smaller than
in the closed economy. Thus, the second effect is smaller; if it were adverse, it
is less adverse. This may not be the end of the story however: Other countries
suffer from the decrease in capital accumulation, leading possibly to a change in
their own debt policy. I leave this extension to another paper.
Let me finally turn to the effects of a debt rollover, where the government, after
having issued debt and distributed the proceeds as transfers, does not raise taxes
thereafter, and lets debt dynamics play out.
The government issues debt D0. Unless the debt rollover fails, there are neither
taxes nor subsidies after the initial issuance and associated transfer. The budget
constraints faced by somebody born at time t are thus given by:
C1t = Wt + X − (Kt + Dt)
C2t+1 = Rt+1Kt + DtR
f
t+1
And debt follows:
Dt = R
f
t Dt−1
First, consider sustainability. Even if debt decreases in expected value over
time, a debt rollover, i.e. the issuance of debt paying R
f
t
, may fail with positive
probability. A sequence of realizations of R
f
t > 1 may increase debt to the level
where Rf becomes larger than one and remains so, leading to a debt explosion.
At some point, an adjustment will have to take place, either through default, or
through an increase in taxes. The probability of such a sequence over a long but
finite period of time is however likely to be small if Rf
starts far below 1.26
This is shown in Figure (11), which plots 1000 stochastic paths of debt evolutions, under the assumption that the production function is linear, and Figure
(12), under the assumption that the production function is Cobb-Douglas. In
both cases, the initial increase in debt is equal to 16.875%) of the endowment.27
26In my paper with Philippe Weil (Blanchard Weil 2001), we characterized debt dynamics, based on
an epsilon increase in debt, under different assumptions about technology and preferences. We showed
in particular that, under the assumptions in the text, debt would follow a random walk with negative
drift. We did not however look at welfare implications.
27These may seem small relative to actual debt to income ratios. But note two things. The first is
that, in the United States, the riskless rate is lower than the growth rate despite an existing debt to GDP
ratio around 80%, and a large intergenerational transfer system. If there were no public debt nor social
security system at all, presumably all interest rates, including the riskless rate would be substantially
VOL. VOLUME NO. ISSUE DEBT AND RATES 25
The underlying parameters in both cases are calibrated so as to fit values of ER
and ERf absent debt corresponding to -1% for the annual safe rate, and 2% for
the annual risky rate.
Failure is defined as the point where the safe rate becomes sufficiently large
and positive (so that the probability that debt does not explode becomes very
small—depending on the unlikely realisation of successive large positive shocks
which would take the safe rate back below the growth rate); rather arbitrarily,
I choose the threshold to be 1% at an annual rate. If the debt rollover fails, I
assume, again arbitrarily and too strongly, that all debt is paid back through a
tax on the young. This exaggerates the effect of failure on the young in that
period, but is simplest to capture.28
In the linear case, the higher debt and lower capital accumulation have no effect
on the risky rate, and a limited effect on the safe rate, and all paths show declining
debt. Four periods out (100 years), all of them have lower debt than at the start.
Figure 11. : Linear production function. Debt evolutions under a debt rollover
D0= 16.875% of endowment
en
-�
rn ,,......_ <l)l:f:.... '----' � en

Debt Share of Savings, Linear OLG With Uncertainty
ER=2% ERf=-1% initdebt =16.875%
20 -----,f--------------'--------------'-------------'---------------+-
18
16
14
12
10
8
6-----,f-------------�------------r---------------r---------------+-
0 25 50
Time (year)
75 100
In the Cobb-Douglas case, with the same values of ER and ERf absent debt,
bad shocks, which lead to higher debt and lower capital accumulation, lead to
increases in the risky rate, and by implication, larger increases in the safe rate.
The result is that, for the same sequence of shocks, now 5% of paths, fail over the
lower (a point made by Larry Summers (2018)). Thus, the simulation is in effect looking at additional
increases in debt, starting from current levels. The second point is that, under a debt rollover, current
debt is not offset by future taxes, and thus is fully net wealth. This in turn implies that it has a strong
effect on capital accumulation, and in turn on both the risky and the safe rate.
28An alternative assumption would be default on the debt. This however would make public debt
risky throughout, and lead to a much harder problem to solve.
26 THE AMERICAN ECONOMIC REVIEW MONTH YEAR
Figure 12. : Cobb-Douglas production function. Debt evolutions under a debt
rollover D0= 16.875% of endowment
)
Debt Share of Savings, CB OLG With Uncertainty
ER=2% ERf=-1% initdebt =16.875%
35 -----,f--------------'--------------'-------------'---------------+-
en b.()

-�
rn 4-. o30
25
<l) i:f: 20 .... '----' � en ..., ..0 <l) � 15
10
5-----,f-------------�------------r--------------r---------------+-
0 25 50
Time (year)
75 100
first four periods—100 years if we take a period to be 25 years. The failing paths
are represented in red.
Second, consider welfare effects: Relative to a pay-as-you-go scheme, debt
rollovers are much less attractive. Remember the two effects of an intergenerational transfer. The first comes from the fact that people receive a rate of return
of 1 on the transfer, a rate which is typically higher than R
f
t
. In a debt rollover,
they receive a rate of return of only R
f
t−1
, which is typically less than one. At
the margin, they are indifferent to holding debt or capital. There is still an inframarginal effect, a consumer surplus (taking the form of a less risky portfolio, and
thus less risky second period consumption), but the positive effect on welfare is
smaller than in the straight transfer scheme. The second effect, due to the change
in wages and rate of return on capital, is still present, so the net effect on welfare,
while less persistent as debt decreases over time, is more likely to be negative.
These effects is shown in Figures (13) and (14), which show the average welfare
effects of successful and unsuccessful debt rollovers, for the linear and the CobbDouglas case.
In the linear case, debt rollovers typically do not fail and welfare is increased
throughout. For the generation receiving the initial transfer associated with debt
issuance, the effect is clearly positive and large. For later generations, while they
are, at the margin, indifferent between holding safe debt or risky capital, the
inframarginal gains (from a less risky portfolio) imply slightly larger utility. But
the welfare gain is small (equal initially to about 0.3% and decreasing over time),
VOL. VOLUME NO. ISSUE DEBT AND RATES 27
Figure 13. : Linear production function. Welfare effects of a debt rollover D0=
18% of endowment
Linear OLG With Uncertainty
ER=2% ERf=-1% initdebt =16.875%
0.6 -t-------------�------------�------------�------------+--
0.5
0.4
� �0.3
0.1
0-t-------------�------------�------------�------------+--
0 25 50
Time (year)
75 100
Figure 14. : Cobb-Douglas production function. Welfare effects of a debt rollover
D0= 18% of endowment
...., i;
"::)
0 '"' (1) "
0 ...., (1)
,;:;....,
al
o:l -
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...., ;,:.;
�....,
;:I
(1) ...., o:l
b.O (1) '"' b.O
b.O

CB OLG With Uncertainty
ER=2% ERf=-1% initdebt =16.875%
4-----,f--------------'--------------'-------------'---------------+-
2
0
-2
-4
-6
-8
-10 -----,f--------------r--------------r--------------r---------------+-
0 25 50
Time (year)
75 100
28 THE AMERICAN ECONOMIC REVIEW MONTH YEAR
compared to the initial welfare effect on the young from the initial transfer, (7%).
In the Cobb-Douglas case however, this positive effect is more than offset by
the price effect, and while welfare still goes up for the first generation (by 3%),
it is typically negative thereafter. In the case of successful debt rollovers, the
average adverse welfare cost decreases as debt decreases over time. In the case
of unsuccessful rollovers, the adjustment implies a larger welfare loss when it
happens.29
If we take the Cobb-Douglas example to be more representative, are these Ponzi
gambles—as Ball, Elmendorf and Mankiw have called them—worth it from a
welfare viewpoint? This clearly depends on the relative weight the policy maker
puts on the utility of different generations. If the social discount factor it uses
is close to one, then debt rollovers under the conditions underlying the Cobb
Douglas simulation are likely to be unappealing, and lead to a social welfare loss.
If it is less than one, the large initial increase in utility may well dominate the
average utility loss later.
V. Earnings versus marginal products
The argument developed in the previous two sections showed that the welfare
effects of an intergenerational transfer—or an increase in debt, or a debt rollover—
depend both on how low the average safe rate and how high the average marginal
product of capital are relative to growth rate. The higher the average marginal
product of capital, for a given safe rate, the more adverse the effects of the
transfer. In the simulations above (reiterating the caveats about how seriously
one should take the quantitative implications of that model), the welfare effects
of an average marginal product far above the growth rate typically dominated
the effects of an average safe slightly below the growth rate, implying a negative
effect of the transfer (or of debt) on welfare.
Such a configuration would seem to be the empirically relevant one. Look at
Figure (15). The blue line gives the evolution of the ratio of pre-tax earnings of
U.S. non-financial corporations, defined as their net operating surplus, to their
capital stock measured at replacement cost, since 1950. Note that, while this
earnings rate declined from 1950 to the late 1970s, it has been rather stable since
then, around a high 10%, so 6 to 8% above the growth rate. (see Appendix E for
details of construction and sources)
Look at the red line however. The line gives the evolution of the ratio of the
same earnings series, now to the market value of the same firms, constructed as
the sum of the market value of equity plus other liabilities minus financial assets.
Note how it has declined since the early 1980s, going down from roughly 10%
29Note that the cost of adjustments when a rollover is unsuccessful increases over time. This is because
the average value of debt, conditional on exceeding the threshold, increases for some time. Initially, only
a few paths reach the threshold, and the value of debt, conditional on exceeding the threshold, is very
close to the threshold. As the distribution becomes wider, the value of debt, conditional on crossing
the threshold increases. As the distribution eventually stabilizes, the welfare cost also stabilizes. In the
simulation, this happens after approximately 6 periods, or 150 years.
VOL. VOLUME NO. ISSUE DEBT AND RATES 29
then to about 5% today. Put another way, the ratio of the market value of firms
to their measured capital at replacement cost, known as Tobin’s q, has roughly
doubled since the early 1980s, going roughly from 1 to 2.
There are two ways of explaining this diverging evolution; both have implications for the average marginal product of capital, and, as result, for the welfare
effects of debt.30 Both have been and are the subject of much research, triggered
by an apparent increase in markups and concentration in many sectors of the U.S.
economy (e.g. DeLoecker and Eeckhout (2017), Guti`errez and Philippon (2017),
Philippon (2018), Barkai (2018), Farhi and Gouriou (2018).)
0
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6
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10
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16
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1950 1953 1956 1959 1962 1965 1968 1971 1974 1977 1980 1983 1986 1989 1992 1995 1998 2001 2004 2007 2010 2013 2016
Profit over capital at replacement cost Profit over market value
Figure 15. : Earnings over replacement cost, Earnings over market value since
1950
The first explanation is unmeasured capital, reflecting in particular intangible
capital. To the extent that the true capital stock is larger than the measured
capital stock, this implies that the measured earnings rate overstates the true
rate, and by implication overstates the marginal product of capital. A number
of researchers have explored this hypothesis, and their conclusion is that, even if
the adjustment already made by the Bureau of Economic Analysis is insufficient,
intangible capital would have to be implausibly large to reconcile the evolution
of the two series: Measured intangible capital as a share of capital has increased
from 6% in 1980 to 15% today. Suppose it had in fact increased by 25%. This
would only lead to a 10% increase in measured capital, far from enough to explain
the divergent evolutions of the two series.31
30There is actually a third way, which is that stock prices do not reflect fundamentals. While this is
surely relevant at times, this is unlikely to be true over a 40 year period.
31Further discussion can be found in Barkai 2018.
30 THE AMERICAN ECONOMIC REVIEW MONTH YEAR
The second explanation is increasing rents, reflecting in particular the increasing
relevance of increasing returns to scale and increased concentration.32. If so, the
earnings rate reflects not only the marginal product of capital, but also rents. The
market value of firms reflects not only the value of capital but also the present
value of rents. If we take all of the increase in the ratio of the market value of
firms to capital at replacement cost to reflect an increase in rents, the doubling
of the ratio implies that rents account for roughly half of earnings.33
As for many of the issues raised in this lecture, many caveats are in order, and
they are being taken on by current research. Movements in Tobin’s q, the ratio
of market value to capital, are often difficult to explain.34 Yet, the evidence is
fairly consistent with a decrease in the average marginal product of capital, and
by implication, a smaller welfare cost of debt.
VI. A broader view. Arguments and counterarguments
So far, I have considered the effects of debt when debt was used to finance
intergenerational transfers in a full employment economy. This was in order to
focus on the basic mechanisms at work. But it clearly did not do justice to the
potential benefits of debt finance, nor does it address other potential costs of
debt left out of the model. The purpose of this last section is to discuss potential
benefits and potential costs. As this touches on many aspects of the economy and
many lines of research, it is informal, more in the way of remarks and research
leads than definitive answers about optimal debt policy.
Start with potential benefits.
Even within the strict framework above, focusing on steady state utility (in the
case of intergenerational transfers, or of a permanent increase in debt) ignored the
transition to the steady state, and in particular, the effect on the initial (“old”)
generation of the initial transfer (in the case of intergenerational transfers), or
the initial spending financed by debt (in the case of constant debt). Steady state
utility is indeed the correct variable to focus if the policy maker values the current
and all future generations equally. To the extent however that the social welfare
discount rate is less than one, a negative effect on steady state welfare may be
more than offset by the increase in utility of the initial generation. As argued
above, the same argument applies to debt rollovers: The initial increase in utility
may more than compensate negative utility effects later on.35
32For a parallel discussion, and similar conclusions, see Hall (2018)
33A rough arithmetic exercise: Suppose V = qK + P DV (R), where V is the value of firms, q is the
shadow price of capital, R is rents. The shadow price is in turn given by q = P DV (MPK)/K. Look
at the medium run where adjustment costs have worked themselves out, so q = 1. Then V /K − 1 =
P DV (R)/P DV (MPK). If V /K doubles from 1 to 2, then this implies that P DV (R) = P DV (MPK),
so rents account for half of total earnings.
34In particular, what makes me uncomfortable with the argument is the behavior of Tobin’s q from
1950 to 1980, which roughly halved. Was it because of decreasing rents then?
35A positive initial effect, and a negative steady state effect, imply that there is a social welfare
VOL. VOLUME NO. ISSUE DEBT AND RATES 31
Going beyond the framework above, a standard argument for deficit finance in
a country like the United States is its potential role in increasing demand and
reducing the output gap when the economy is in recession. The Great Financial
crisis, and the role of both the initial fiscal expansion and the later turn to fiscal
austerity, have led to a resurgence of research on the topic. Research has been
active on four fronts:
The first has revisited the size of fiscal multipliers. Larger multipliers imply
a smaller increase in debt for a given increase in output. Looking at the Great
Financial crisis, two arguments have been made that multipliers were higher during that time. First, the lower ability to borrow by both households and firms
implied a stronger effect of current income on spending, and thus a stronger multiplier. Second, at the effective lower bound, monetary authorities did not feel
they should increase interest rates in response to the fiscal expansion.36
The second front, explored by DeLong and Summers (2012) has revisited the
effect of fiscal expansions on output and debt in the presence of hysteresis. They
have shown that even a small hysteretic effect of a recession on later output
might lead a fiscal expansion to actually reduce rather than increase debt in the
long run, with the effect being stronger, the stronger the multipliers and the
lower the safe interest rate.37 Note that this is a different argument from the
argument developed in this paper: The proposition is that a fiscal expansion may
not increase debt, while the argument of the paper is that an increase in debt may
have small fiscal and welfare costs. The two arguments are clearly complementary
however.
The third front has been that public investment has been too low, often being
the main victim of fiscal consolidation, and that the marginal product of public
capital is high. The relevant point here is that what should be compared is the
risk-adjusted social rate of return on public investment to the risk-adjusted rate
of return on private capital, i.e. the safe rate.
The fourth front has explored the role of deficits and debt if we have indeed
entered a long-lasting period of secular stagnation, in which large negative safe
interest rates would be needed for demand to equal potential output but monetary
policy is constrained by the effective lower bound. In that case, budget deficits
may be needed on a sustained basis to achieve sufficient demand and output
growth. Some argue that this is already the case for Japan, and may become
the case for other advanced economies. Here, the results of this paper directly
discount factor such that the effect on social welfare, defined as the present value of current and future
expected utility becomes positive. While I have computed it for the intergenerational transfers, constant
debt, and debt rollover cases presented earlier, I do not present the results here The model above is too
crude to allow for credible quantitative estimates.
36For a review of the empirical evidence up to 2010 see Ramey (2011). For more recent contributions,
see, for example, Mertens (2018) on tax multipliers, Miyamoto et al (2018) on the multipliers under the
zero lower bound in Japan, and the debate between Auerbach and Gorodnichenko (2012) and Ramey
and Zubairy (2018)
37I examined the evidence for or against hysteresis in Blanchard (2017). I concluded that the evidence
was not strong enough to move priors, for or against, very much.
32 THE AMERICAN ECONOMIC REVIEW MONTH YEAR
reinforce this argument. In this case, not only budget deficits will be needed to
eliminate output gaps, but, because safe rates are likely to be far below potential
growth rates, the welfare costs of debt may be small or even altogether absent.
Let me however concentrate on the potential costs of debt, and on some counterarguments to the earlier conclusions that debt may have low fiscal or welfare
costs. I can think of three main counterarguments:
The first is that the safe rate may be artificially low, so the welfare implications
above do not hold. It is generally agreed that U.S. government bonds benefit
not only from low risk, but also from a liquidity discount, leading to a lower
safe rate than would otherwise be the case. The issue however is whether this
discount reflects technology and preferences or, instead, distortions in the financial
system. If it reflects liquidity services valued by households and firms, then the
logic of the earlier model applies: The safe rate is now the liquidity-adjusted
and risk-adjusted equivalent of the marginal product of capital and is thus what
must be compared to the growth rate. If however, the liquidity discount reflects
distortions, for example financial repression forcing financial institutions to hold
a certain proportion of their portfolios in government bonds, then indeed the safe
rate is no longer the appropriate rate to compare to the growth rate. It may be
welfare improving in this case to reduce financial repression even if this leads to a
higher safe rate, and a higher cost of public debt.38 Straight financial repression
is no longer relevant for the United States, but various agency issues internal to
financial institutions as well as financial regulations such as minimum liquidity
ratios, may have some of the same effects.
The second counterargument is that the future may be different from the past,
and that, despite the long historical record, the safe interest rate may become
consistently higher than the growth rate. This may be because total factor productivity growth remains very low, and combined with aging, lead to an even lower
growth rate than currently forecast.39 It may be because some of the factors underlying low rates fade over time. Or it may be because public debt increases to
the point where the equilibrium safe rate actually exceeds the growth rate. In
the formal model above, a high enough level of debt, and the associated decline
in capital accumulation, eventually leads to an increase in the safe rate above the
growth rate, leading to positive fiscal costs and higher welfare costs. Indeed, the
trajectory of deficits under current fiscal plans is indeed worrisome. Estimates by
Sheiner (2018) for example suggest, that even under the assumption that the safe
rate remains below the growth rate, we may see an increase in the ratio of debt
to GDP of close to 60% of GDP between now and 2043. If so, using a standard
38This trade-off is also present in Angeletos et al (2018).
39In infinite horizon models a la Ramsey, the Euler equation leads to a tight relation between growth
rates and interest rates, so that if growth comes down, so does the interest rate. In the data, the relation
between real growth rates and real interest rates is much weaker.
VOL. VOLUME NO. ISSUE DEBT AND RATES 33
(but admittedly rather uncertain) back of the envelope number that an increase
in debt of 1% of GDP increases the safe rate by 2-3 basis points, this would lead
to an increase in the safe rate of 1.2 to 1.8%, enough to reverse the inequality
between the safe rate and the growth rate.
History may indeed not be a reliable guide to the future. As the debates
on secular stagnation and the level of the long run Wicksellian rate (the safe
rate consistent with unemployment remaining at the natural rate) indicate, the
future is indeed uncertain,and this uncertainty should be taken into account.
The evidence on indexed bonds suggests however two reasons to be relatively
optimistic. The first is that, to the extent that the U.S. government can finance
itself through inflation-indexed bonds, it can lock in a real rate of 1.1% over
the next 30 years, a rate below even pessimistic forecasts of growth over the
same period. The second is that investors seem to give a small probability to a
major increase in rates. Looking at 10-year inflation-indexed bonds, and using
realized volatility as a proxy for implied volatility, suggests that the market puts
the probability that the rate will be higher than 200 bp in five years around 10-
20%.40 One can surely not exclude that debt may indeed be more costly in the
future, and the safe rate may exceed the growth rate. The welfare implications
however are continuous, and for reasonably small positive differences between the
interest rate and the growth rate, the welfare costs may remain small. The basic
intuition remains the same: The safe rate is the risk-adjusted rate of return on
capital. If it is reasonably low, lower capital accumulation may not have major
adverse welfare effects.
The third counterargument relies on the existence of multiple equilibria and
may be the most difficult to counter.41 Suppose that the model above is right,
and that investors believe debt to be safe and are willing to hold it at the safe
rate. In this case, the fiscal cost of debt may indeed be zero, and the welfare cost
may be small. If however, investors believe that debt is risky and ask for a risk
premium to compensate for that risk, debt payments will be larger, and debt will
indeed be risky, and investors’ expectations may be self-fulfilling.
The mechanics of such fiscal multiple equilibria were first characterized by Calvo
(1988), later on by Giavazzi and Pagano (1990), and more recently by Lorenzoni
and Werning (2018). In this case, over a wide range of debt, there may be two
equilibria, with the good one being the one where the rate is low, and the bad
one characterized by a high risk premium on public debt, and a higher rate.42
40The daily standard deviation is around 2-3bp, implying a 5-year standard deviation of √
1250 ∗
(2 or 3)bp = 70-105 bp. This implies that the probability that the rate, which today is 120bp, is larger
than 200bp is 10-20%.
41It feels less relevant for the United States than for other countries, in particular emerging markets.
But, as the U.S. debt to GDP ratio increases, it may become part of the discussion even in the United
States.
42Under either formal or informal dynamics, the good equilibrium is stable, while the bad equilibrium
is unstable. However, what may happen in this case, is that the economy moves to a position worse than
the bad equilibrium, with interest rates and risk premia increasing over time from then on.
34 THE AMERICAN ECONOMIC REVIEW MONTH YEAR
The question is what practical implications this has for debt levels.
The first question is whether there is a debt level sufficiently low as to eliminate
the multiplicity. If we ignore strategic default, there must be some debt level low
enough that the debt is effectively safe and there is only one equilibrium. The
proof is by contradiction: Suppose investors worry about risk and increase the
required rate. As the required rate increases, the state may indeed default. But
suppose that, even if it defaults, debt is low enough that, while it cannot pay the
stated rate, it can pay the safe rate. This in turn implies that investors, if they
are rational, should not and will not worry about risk.
This argument however raises two issues. First, it may be difficult to assess what
such a safe level of debt is: it is likely to depend on the nature of the government,
its ability to increase and maintain a primary surplus. Second, the safe level of
debt may be very low, much lower than current levels of debt in the United States
or in Europe. If multiple equilibria are present at, say 100% of GDP, they are
likely to still be present at 90% as well; going however from 100% of GDP to
90% requires a major fiscal consolidation and, if the fiscal consolidation cannot
be fully offset by expansionary monetary policy, an economic contraction. As
Giavazzi and Pagano, and Lorenzoni and Werning, have shown, other dimensions
of debt and fiscal policy, such as the maturity of debt or the aggressiveness of the
fiscal rule in response to higher interest rates, are likely to be more important
than the level of debt itself, and help eliminate the bad equilibrium. To be more
concrete, it may be that, rather than embarking on fiscal austerity if it cannot
be fully offset by looser monetary policy, it is better to rely on an aggressive
contingent fiscal rule to eliminate the bad equilibrium.
VII. Conclusions
The lecture has looked at the fiscal and welfare costs of higher debt in an
economy where the safe interest rate is less than the growth rate. It has argued
that this is a relevant empirical configuration, and indeed has been the norm
rather than the exception in the United States in the past. It has argued that
both the fiscal and welfare costs of debt may then be small, smaller than is
generally taken as given in current policy discussions. It has considered a number
of counterarguments, which are indeed valid, and may imply larger fiscal and
welfare costs. The purpose of this lecture is most definitely not to argue for higher
debt per se, but to allow for a richer discussion of debt policy and appropriate
debt rules than is currently the case.
VOL. VOLUME NO. ISSUE DEBT AND RATES 35
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http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/810.html

[政治・選挙・NHK257] 国際社会の中の日本:自衛隊明記がもたらす諸問題 真の憲法9条改正を目指して 
国際社会の中の日本:自衛隊明記がもたらす諸問題
真の憲法9条改正を目指して
2019.2.22(金) 上村 邁
陸上自衛隊、南スーダン到着 新任務に「駆け付け警護」
南スーダンの首都ジュバの空港に到着した、国連南スーダン派遣団(UNMISS)に参加する予定の陸上自衛隊員ら(2016年11月21日撮影)。(c)AFP/GONZALEZ FARRAN〔AFPBB News〕

一 憲法9条2項の光と影
 よく引き合いに出される話がある。

 昭和21年、議会において共産党の野坂参三が「侵略に対する自衛戦争は正義の戦争であり、すべての戦争を放棄する必要はない」と軍備保有の妥当を訴えた。

 これに答えて吉田茂首相が、「日本が戦争放棄を宣言して世界の信を得つつあるとき、自衛権を論ずることは無益である。憲法は一切の軍備と交戦権を認めない」との発言を行った。

 今に至る「憲法9条2項」論争の始まりである。

 国際社会に日本の復帰を認めてもらうためにあえてこのような発言を行った吉田の思いは、「日本、平和国家」というイメージとともに、現在、多くの国の賛同を得て認められた「国際平和のための海外派遣」という形となって実を結ぼうとしている。

 平成27年、集団的自衛権行使の容認を受けて平和安全法制が成立した。

 これは、自衛隊を海外に派遣して「PKO活動関係者の生命及び身体の保護(駆け付け警護)」などにより、ことあれば身をもって他国の人たちを守るという、国際社会に対し日本が果たすべき約束を表明したものである。

 しかし、平和安全法制により与えられた任務に立ち向かう自衛隊は、これまでとは次元の異なる困難な場面に遭遇する。

 守るべき者は邦人のみならず、外国の軍人、市民などもその対象となり、戦う相手は正規兵に近い者もいれば、敵味方の判別が難しい武装民、テロリストなど様々である。

 しかも、いつ、どこで襲われるかは分からない。このような状況の中、指揮官は決心し、隊員は行動し、ある時は自ら負傷し、またある時は相手を殺傷するわけである。

 そのとき、指揮官、隊員を裁くのは、外国の場合は軍事法廷で軍刑法により正当に裁かれるが、それらを一切有していないわが国においては、自衛官が一般法廷で一般刑法による「殺人罪」に問われるわけである。

 戦う組織として各国軍隊と共通する法体系に裏打ちされていない活動は、任務遂行にあたる自衛隊員に優秀な装備でも補い得ない様々な負担をもたらすこととなる。

 海外に派遣されて任務を遂行する自衛隊の行動を保証するためには、軍事司法制度の制定が必要となる。

 しかしその前には、「特別裁判所は、これを設置することができない」という憲法76条2項が大きく立ちはだかっている。

 「日本で軍事裁判所即ち特別裁判所を設置するためには、まず憲法9条2項を改正して自衛隊を軍隊と位置付けた上で憲法76条2項を改正しなければならない」と一般的に捉えられている。

 「戦力は持たない」という憲法9条2項の「平和の理念」は戦後日本の国際社会復帰に大きな役割を果たしたものの、名実ともに復帰がなった今、9条2項による「戦力不保持の制約」は、国際平和のために活動する自衛隊に「諸刃の剣」となって迫ってこようとしている。

二 「憲法9条2項と並ぶ自衛隊明記」がもたらす問題
 今、憲法9条2項と並んで自衛隊を憲法上に明記するという論が有力になっている。いわゆる「自衛隊併記論」である。

 「自衛隊明記」の大きな理由として「憲法学者の多くが自衛隊を違憲としている状況に終止符を打つ」ということが言われている。

 「戦力は持たない。交戦権は認めない」とする憲法9条2項の存在は重い。

 であればこそ、政治は憲法学者の警鐘にも真摯に耳を傾け、「必要最小限度の戦力は戦力でない」という憲法解釈の下に適切な自衛力を維持して国際情勢に的確に対応し、国の平和と独立を保ってきたわけである。

 自衛隊が創設されてから60有余年、自衛隊が歩んできた足跡は戦後から現在に至る「現代史」の中に年々営々として刻まれ、「自衛隊の違憲」云々という問題は学術上の論争テーマとして取り扱う場合を別にして、政治史の上では個別、集団の違いはあるものの自衛権の行使として認められ、すでに終止符は打たれているのである。

 今あえて、憲法学者に学術上の論争を挑み、自衛隊をめぐる違憲論争に完全に終止符を打とうとすれば方策は2つである。

 「『9条2項』を削除するか」、そうでなければ、自衛力は現実問題として放棄するわけにはいかないので、「自衛隊を戦力ではないと新たに規定するか」のどちらかである。

 今回の「自衛隊明記」による憲法改正案が条件をつけることなく「9条2項」と自衛隊を併記するということであれば、まさに「自衛隊を戦力ではない」と規定する後者の案を採用することにほかならない。

 「後法は前法を破る」とする「後法優越の原理」が立法不作為の場合に取り沙汰されるのは理解できるとしても、十分な準備を経て行われる国民投票をもって、しかも最高法規である憲法の上で決着をつけるということは、矛盾となる存在の並立は認められず、二者択一にならざるを得ないと思うからである。

 日本は憲法を至上とする立憲国家なのである。

 であれば、「完全な終止符」にこだわらない折衷案、「必要最小限度の戦力」という条件をつけて自衛隊を明記することが考えられる。

 これまでの憲法解釈を憲法の中で位置づけようとするものである。

 しかしそのことにより、今度は学術論争では収まらない新たな問題が生じることになる。

 一つは、論争に終止符を打つどころか、さらに激しくなるということである。

 これまでの憲法解釈を憲法条文として論議するということは、新たな論点が増えるとともに、より厳密な規定が求められるということである。

 これからは、憲法で記載される「必要最小限度の戦力」について、限度の目安となる指標の策定、場合によっては限度を担保する法律の制定が求められる。

 そして、攻撃性を有する空母、新巡航ミサイルなど、国際情勢、軍事技術の水準などにより変化する「必要最小限度」をめぐり、これまで以上に憲法学者、裁判官を巻き込んだ侃侃諤諤の論争が果てしなく続くのであろう。

 結局のところ、「戦力か否か」という問題は、憲法9条2項がそのまま残されている限り、違憲へと拡がりかねない火だねとしてくすぶり続けるのである。

 もう一つの問題とは、「自衛隊明記」とともに憲法9条2項が「国民から新しく承認を受けた」とされることである。

 「戦後の国際社会に再び受け入れてもらう」という目的のために苦渋の選択として受け入れた「戦力は持たない。交戦権は認めない」という「9条2項」の条文をそのまま、今度は自ら進んで採択しようというのであろうか。

 終戦直後の帝国議会で可決、公布された憲法9条2項を、70年後、現在の新体制下、国会の発議に基づいて主権者である国民の直接投票で認める意味は大きい。

 新たな力を得た「戦力不保持、交戦権否認」論者を相手に、かつての「戦力」をめぐる論争が再び始まることになる。

 長い年月をかけた「戦力かどうか」をめぐる論争の果てに、やっと他国に比肩する国際社会の一員としての義務を、胸を張って果たし得るというところまでにたどり着いた今、振り出しに戻るのだけは勘弁してもらいたい。

 何ごとにつけ、「折衷案」は対立する両者の間で、当面の問題をうまく解決するように見えるがゆえに、かえって将来に対して深刻な問題を生じかねない側面を有している。

 「自衛隊明記」、いや「自衛隊併記」は「違憲論争を終わらせたい」とする気持は理解できるものの、憲法9条2項が今の形でとどまる限り、かえって混乱を助長しかねず、また、将来への展望をも阻みかねない以上、そのまま認めることはできない。

三 真の憲法9条改正への道
 「自衛隊併記」が真の解決にほど遠いとすると、憲法9条2項についてはどのように向き合うのか。

 「世界の信」を得るために掲げられた「9条2項」は、自衛隊の海外派遣活動が国内外の信任を得て容認されている現在、当初の役割を終えようとしているものの、国民の過半がまだ不安を拭いきれないのであれば、ことを急ぐ必要はない。

 現在見られる、国民の自衛隊に寄せる信頼の高さは、長い年月をかけて大小の災害に対して身をもって奮闘してきた自衛官の姿を、国民が目の当たりにすることによって逐次増大していったものである。

 しかし、災害派遣は自衛隊の重要な任務ではあるが位置づけは「従」である。

 憲法9条2項の問題を解決し、真の憲法9条改正への道を拓くためには、災害派遣で得られた信頼に加えて、「主」とされている「国の防衛」および「国際社会の平和と安全の維持」の活動について、国民の理解及び信頼をかち得ていかなければならない。

 しかしながら、国民の身近で生起し、直接活躍を見聞きできる災害派遣の場合とは異なり、「いかに国民に訴えていくか」という難しい問題が待っている。

 そもそも「自ら国を守る」ことを国民が自然に体得できる土壌が他国とは異なっている。日本は周囲を海に囲まれ、人は自然の力によって外敵から守られてきた。

 市民自らが剣や銃を持って国土を守り、独立を勝ち取ってきた欧米、たとえばフランス、米国などの国民とは国防に対する考え方に相違があるのもやむを得ない。

 7世紀建国以来、明治維新から終戦までの極めて短い一時期を除き、国を守るため自ら「剣」を手にすることなく長い年月を平和に暮らしてきたわけである。

 そして戦後は、300万人の同胞を失った反動により、かつての「争いのない平和な世界」にひたすら引き籠もろうとしたのではないか。

 「自らの手で国を守る」という国防の原則理念と間をおき、「集団安全保障」を重視する国連と距離を取ろうとする心情も分からないわけではない。

 まずは「時」が必要である。そして、国民の目の当たりに訴える「呼びかけ」が必要なのである。

 海外において身を挺し、危険な任務を一つひとつ果たしていき、他国の信頼を獲得し、国際平和のために活動する日本に寄せる「世界の人々の賞賛」こそが国民への「呼びかけ」となり、翻って国を守る自衛隊への国民のさらなる信頼につながっていくことになるのである。

 そして、その信頼が一層高まったとき、これまでの「憲法9条2項の呪縛」が解かれ、国民が「真の憲法9条の改正」に一歩を踏み出し、同時に、国際社会における他国の有り様、人々の生き様に触発され、国民は主権者としての「国を守るかけがえのない責任」に自ら目覚めるのである。

 こうして、「国防の重要性」を深く自覚した国民の視線の先に、「パリ不戦条約の理念」、「平和国家日本を防衛する意志」、「主権者の責任」を骨幹とした「真の憲法9条の姿」が現れるのである。

 そこでは、「9条2項」は国際社会への完全復帰を成し遂げてその任を終え、平和の理念を残して新しい姿に変わり、自衛隊はその名を明記されようがされまいが、かけがえのない存在になっているのである。

 平成に続く新しい時代、「平和を国是としながらも必要あらば力の行使も辞さない」とする日本の新しい姿は、今なお多くの紛争対立に苦慮している国際社会に「より信頼できる仲間」として迎えられるであろう。

四 結言
 戦後70年、わが国はただ「平和憲法」を掲げて坦々と歩んできたわけではない。

 起伏に富む道のりを乗り越え支えてきたものは「戦力は持たない」という憲法9条2項の制約の下、憲法の理想と国際社会の現実との整合を図り、着実に防衛力を整備し抑止力の維持に努めてきた「政治の叡智と国民の良識」によるものである。

 そして平成27年、「国際社会の平和の中にこそ日本の平和がある」という理念の下、積極的な平和主義を掲げて世界の海に乗り出したわけであるが、寄せくる波に適確に対処しながら正しく舵を取って進んでいくことが求められる。

 すなわち、法的未整備の現在、「海難審判所」に準じる「防衛審判所」の設置、交戦規定(部隊行動基準)に係わる事項を裁く「防衛刑法」の制定など当面あらゆる方策を追求して対処するとともに、一方、改憲、非改憲を問わず、全国にまたがる国民的運動により「憲法9条2項改正」の機運を着実に醸成していくことが必要である。

 日本周辺を含む国際情勢は緊迫の度を増し、以前にもまして強い風浪が予想される中、多年理想と現実との狭間にあって苦闘してきた「政治の叡智と国民の良識」が、再びわが国を「真の憲法9条改正」によって拓かれる新しい航路へと力強く舵を切り導いていくものと信じて疑わない。

 このためにも、まず何よりも国民全員が参加して、納得のできる議論を尽くすことが大切である。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55555
http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/811.html

[国際25] ベネズエラ、コロンビアとの断交を宣言 中南米  
ベネズエラ、コロンビアとの断交を宣言
中南米
2019/2/24 5:19
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【サンパウロ=外山尚之】政情混乱が続く南米ベネズエラのマドゥロ大統領は23日、隣国コロンビアとの断交を宣言した。野党指導者のグアイド氏がコロンビア国境から支援物資の搬入を試みる中、グアイド氏と共謀しコロンビアのドゥケ大統領が軍事侵攻を支援していると主張する。

23日、支援物資の搬入を巡りベネズエラ国民とベネズエラ軍が衝突した(コロンビア北部ククタ)=ロイター
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23日、支援物資の搬入を巡りベネズエラ国民とベネズエラ軍が衝突した(コロンビア北部ククタ)=ロイター

ベネズエラの政府系メディアによると、マドゥロ氏は「これ以上コロンビアの侵攻を我慢することができない」として、24時間以内にコロンビアの外交官を引き上げるとしている。

国境地帯ではコロンビアから支援物資の搬入を試みるベネズエラ国民とそれを阻止するベネズエラ軍が対峙し、衝突も発生している。現地からの報道によると、ベネズエラ軍は催涙弾やゴム弾を国民に向け発砲しているほ

国境を封鎖するベネズエラ軍兵士に抗議する人々(22日、ブラジル北部ロライマ州)=ロイター
ベネズエラ軍、国境付近で自国民に発砲 2人死亡
2019/2/23 5:53
国境地帯を歩くベネズエラ人(ブラジル北部ロマイラ州)=ロイター
ベネズエラ政府、ブラジル国境を閉鎖 軍も配備
2019/2/22 10:55更新
米国がは支援物資を通じ、ベネズエラ政府への圧力を強めている(18日、コロンビア北部ククタ)=ロイター
ベネズエラ政府、支援物資拒否で海上封鎖
2019/2/21 10:03
12日、コロンビア北部ククタに逃れ、米国からの支援物資の受け入れを呼びかけるベネズエラ人ら
米、支援物資提供テコにマドゥロ政権揺さぶる
2019/2/13 14:08
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41685520U9A220C1000000/?n_cid=NMAIL007
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/501.html

[経世済民131] ナウシカの“腐海”が親の家に出現する日 国や企業は守ってくれない…介護支援、フリーランスに 共倒れ防ぎ在宅介護の限界点
ナウシカの“腐海”が親の家に出現する日

介護には「虫」との戦いという一面も

松浦 晋也
ノンフィクション作家
2019年2月21日
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 2018年の夏、私が住む実家は、Gの襲来に悩まされた。

 いきなり文字面を見るのも嫌な人もいるかと思うので、Gと書いたが、ゴキブリのことである。

 ゴキブリにも天敵がいる。日本においてもっとも身近な天敵はアシダカグモだ。網を張らずにそこらを歩き回って昆虫を捕食するクモである。

 この家にはここ数年、1匹のアシダカグモが同居していた。

 かなり大きなクモなので、廊下や台所で出会うとぎょっとする。しかし、ゴキの天敵なのだからあわてて殺虫剤を噴射してはいけない。「やあ、こんにちは」と声に出してあいさつし、そっとその場を離れるようにしていた。母を介護している間中、室内でゴキブリを見ることは希であったが(なかったとは言わない)、それは彼(あるいは彼女?)が住み着いていたおかげだったのだろうと思っている。

 ところが、2018年の夏は、一度もこのアシダカグモを見かけることがなかった。調べるとアシダカグモの寿命は長くて5年ということなので、ああ、どこかで天寿を全うしたかと思っていたら、ちらちらとゴキブリを見かけるようになった。

 これはいけない。対G装備を充実させる。部屋の各所にゴキブリ取りを仕掛け、手元に殺虫剤を常備して、いつGが出てもも吹きかけられるようにする。


『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』
[画像のクリックで別ページへ]
 そのうちに妙なことに気が付いた。ゴキブリは普通、台所や排水口の近く(排水溝をつたって家屋に侵入する)、生ゴミのゴミ箱近辺などに出現するものだ。ところが、この夏はどうしたことか、家の各所にまんべんなく出現するのである。こんなことは今までなかった。いったいどうしたというのだろうか。

 色々考えるうちに、私は40年近く昔の体験を思いだした。

 これは母方の祖父母にまつわるゴキブリの思い出である。旧い記憶ゆえ、思い違いも多々あるだろう。大筋、こんな体験をしたという程度に思っていただきたい。

夏の思い出が詰まった祖父母の家
 私の母方の祖父母は、茨城県土浦市の平屋の旧い日本家屋に住んでいた。祖父は海軍兵学校を出た元海軍軍人。祖母は筑波山の麓の大地主の末娘だった。家は私が子供の時点で築70年超と言っていたから、明治時代の建築だったのだろう。薄い杉板の外装で隙間風の入るような家だった。もとは海軍の下士官向け住宅だったとのことで、どういう経緯かは知らないが敗戦時に手に入れたものらしかった。祖母は「お父さんは士官だったのに、こんなボロい下士官の家に住まねばならないなんて」と孫の私にまでこぼしていた。

 が、私にとってはそのボロ屋がノスタルジーの対象である。それなりに広い庭があり、几帳面にして器用な祖父はそこに葡萄棚を作って葡萄を栽培し、芝生を張って丹精していた。

次ページ荒れる庭、台所、そして


 夏になると葡萄を狙ってコガネムシが葡萄棚に集まってくる。朝起きると、祖父は葡萄の幹を蹴飛ばす。すると夜のうちに集まってきたコガネムシがぱらぱらとぶどう棚から落ちてくる。そのコガネムシを踏んで潰すのが、幼稚園入園前、幼かった自分の残酷な娯楽であった。

 記憶にないぐらいの幼時から、高校を出るまで、私は夏になるとその家で過ごし、祖父・祖母と沢山の思い出を作ったのだった。

 そんな状況が変化したのは、1980年。高校を出た私が浪人していた夏のことだった。

 どうもお母さんがおかしい――当時40代だった母が、祖母の異変に気が付いたのである。

 歳を取ってなにもかもめんどくさくなって家事を放棄しているというような話だった。言っていることが何かおかしい、とも。

 老人性認知症という病気の存在を一躍有名にした有吉佐和子の小説『恍惚の人』は1972年に出版されていたから、我々は「ひょっとしておばあちゃん、惚けたか」と疑った。当時は認知症という言葉はない。痴呆症という残酷な病名であった。

荒れる庭、台所、そして
 祖父母と母が当時電話でどんなやりとりをしたか、私は知らない。ともあれ、様子を見てこいということになって夏休み中の私と弟が土浦に派遣された。

 祖父母の家に着くと、異変は明らかだった。庭が荒れていたのである。丹精してきた芝生には雑草がはびこり、芝も伸び放題。一部はゼニゴケが浸食していた。我々は、実際に雑草を抜き、庭を管理していたのは祖父ではなく祖母だったかと気がついた。

 が、予想に反して、祖母の口調はいつも通りだった。
 「なに、心配しているって? 自分はなんともないわよ」と。
 庭の状況に不安を感じつつ、私はその口調でとりあえずの安心を得た。

 が、確かに異変は進行していたのである。着いたその晩だったか、それともその次の日だったか、祖母が面倒がって夕食を作ろうとしないので、私と弟は台所に入った。古くて板張りの台所は、明らかに手入れが行き届いていなかった。あまりはっきりと覚えていないのだが、洗わないままの食器が流しに突っ込んであったはずである。不穏な雰囲気の中、我々は米でも炊こうかと、流しの下の棚に入れてあった米びつを開けた。

次ページ祖母、動かず


 ここからの数秒ははっきり記憶に焼き付いている。

 まず米びつの底の米が目についた。最初は気がつかなかった。あまりに異様なので脳が認識するまで時間がかかったのだと思う。

 米の上にゴキブリがいた。それも何匹も何匹も。我々が米びつを開けたので慌てて逃げようとし、何匹ものゴキブリの脚の動きで米がざらっと流れて崩れた。「赤く大きなゴキブリ」と記憶しているのだが、あまりの衝撃で大きく見えたのだろう。実際はごく一般的な、小柄で赤いチャバネゴキブリだったのだと思う。米びつの中には、唐辛子成分の虫除けも入っていたのだが、ゴキブリの生命力の前に、唐辛子は無力らしかった。

 「うわっ」と叫んで、「こんな米、おじいちゃんに食わせていたのか!」と思ったのは覚えているが、さてその後どう行動したのか。かなり記憶が混乱している。「もったいない」と抗議する祖母を制止して、米びつの中の米を捨てたはずだ。所構わず台所で殺虫剤を噴射したような覚えもあるが、事実か思い違いか、いまひとつはっきりしない。とにかく、私と弟は錯乱状態でゴキブリ退治をした。これは間違いない。

 確か、電話で母に連絡し、翌日だったかに母がやってきて大片付けをしたと記憶している。しかし、老人2人で住む以上、今後もこのような問題が発生することは、明らかであった。

祖母、動かず
 このままではまずい、と母とその兄弟が騒ぎだした。もう土浦の隙間風の入るボロ屋に老夫婦2人を置いておくわけにはいかない。家と土地を売り、子ども達がすぐ行ける場所の、老人ホームに入るべき、となった。もともと転勤の多い海軍の軍人であった祖父は、さほど老人ホーム入りに忌避感はなかった。

 ところが、肝心要の祖母が頑として言うことを聞かなかった。私は、切々と転居を勧める手紙を祖母に書いて送ったが、返事はなかった。ただ、その手紙は祖父が保管していて、祖父の死後、私の手元に戻って来た。孫からの手紙はそれなりに老夫婦の心に響くものがあったのだ、と思いたい。

 今なら理解できる。大地主の家に生まれた祖母は、筑波山の麓の実家に強い愛着を持っていた。当時は国鉄常磐線の土浦駅から筑波鉄道筑波線(1987年に廃止)が走っていて、祖母の故郷へは鉄道一本で行くことができた。

 祖母は故郷から離れたくなかったのである。

次ページその豆殻の正体は

 結局この問題は大変悲しいことに、翌1981年の春に、祖母が脳梗塞で急逝したことで解決した。これもまた後からの知恵なのだが、おそらく前年から祖母は脳の血管に問題を抱えていたのだろう。時折様子がおかしくなるというのは小さな血栓が脳の血管につまっては、また流されるということを繰り返していたのではなかろうか。1981年3月、私は倒れる直前の祖母と2人で、祖母の故郷への小旅行をしているのだが、その時の祖母は、まったく頭脳明晰で様々な子供の頃の思い出を語ってくれたのであった。

 祖母亡き後、祖父は土浦の家を売って、私の実家近くの老人ホームに入居した。海軍兵学校は、生徒に徹底して規則正しい生活習慣を叩き込んでいた。狭い船上で自分を律して健康に生活ができるようにするためである。十代で身につけた習慣は、八十代も半ばを過ぎた祖父の中にも生きていた。老人ホームに入居してから5年間、90歳近くになるまで祖父は規則正しく自分を律して一人の生活を謳歌した。

 変化が現れたのは1985年から1986年にかけての冬である。祖父の生活態度が崩れ始めた。年も押し迫ったある日、私が訪問すると、「疲れた」といって祖父は寝ていた。もしやと思い熱を測ると発熱している。部屋は埃っぽく、散らかり放題になっていたので、私は掃除を始めた。

 ふと私は、なにかのかけらが床に散らばっているのに気が付いた。茶色いかけらは最初、酒のつまみとして売っているハナ豆の殻かと思った。が、様子がおかしい。

その豆殻の正体は
 突如私は、それが完全に乾ききったゴキブリの死骸であることに気が付いた。自分か祖父かが気が付かずに踏みつけ、砕いたかけらだったのである。冬の低湿度と暖房のために、ゴキブリの死骸がミイラ化していたのだった。

 あわてて、ゴキブリの好みそうな部屋の隅、家具の裏などを調べる。何匹かの干からびたゴキブリの死骸が見つかった。が、それだけではなかった。

 窓際のカーテンを拡げると、裏側には何か黒い物体が一杯付着していた。私はその物体についての知識を持っていた。ゴキブリの卵――卵鞘だった。カーテンの裏側は、ゴキブリの卵で一杯だったのである。

 ゴキブリは暖かく、湿った狭い場所に卵鞘を産み付ける。恐らく祖父は雨が降った時に、うっかり窓を開けていて、カーテンを濡らしてしまい、そのまま放置したのだろう。日光が当たれば雨は蒸発し、狭くて湿って暖かい、ゴキブリにとっては最高の住居が完成する。ゴキブリたちはシャングリラを得たとばかりに集まり、次世代の希望を託した卵をカーテンに産み付けたのであろう。しかし、冬の乾燥がじきにカーテンを乾かしてしまい、彼らの次の世代を干からびさせてしまったらしかった。

 この時も私は母に連絡し、母がカーテンを洗濯したはずである。祖父の様子は、明らかに今で言う認知症の初期症状だった。それから5年間、祖父は要介護の生活を送り、1991年に95歳の天寿を全うしたのだった。

次ページあなたはナウシカの腐海(の前段階)に住んでいるのかも

あなたはナウシカの腐海(の前段階)に住んでいるのかも
 なぜここまで、40年近く昔のゴキブリの話を延々としてきたのか。

 年老いると、身の回りの片付けがおっくうになる。おっくうになると最初に手入れが放棄されるのは庭だ。庭が荒れるのは、老いの危険信号である。

 次に来るのが部屋の掃除の放棄だ。部屋の場合は掃除を放棄すると、やっかいな侵入者がやってくる。虫である。

 孤独死のまま、遺体が放置されると、腐敗が始まり、蠅が卵を産み付けてウジが湧くというのはよく聞く話だろう。が、実際にはそれよりもずっと以前に、別の虫がやってくる。その代表がゴキブリである。

 今、虫と書いたが、やってくるのは三体節・六本脚の昆虫だけではない。掃除を怠れば自分の体から剥落した皮膚やフケなどを目当てに、ダニもやってくる。ダニが繁殖すれば、ダニを食べる別のダニや昆虫もやってくる。掃除なしで住み続ける屋内は、自然の摂理に従って「風の谷のナウシカ」(宮崎駿監督:1984年)が描くところの腐海のような生態系が支配する場所となるのである。

 歳を取っていなくても、「面倒臭い」と部屋の掃除を怠っているあなた。あなたは実は腐海に住んでいるのだ。そして、もっと片付けが面倒になる老年期に入った時、あなたの部屋がどうなるか――今から少しでも想像力を働かせておいたほうがいい。老いは一面でゴキブリのような虫との戦いであり、認知症の発症は家庭内対虫戦争における決定的敗北への第一歩なのである。

ゴキブリを周囲に撒くことなく生活できる技術を
 さて、ここで、2018年夏の次々とゴキブリが現れる我が家に話を戻そう。なぜ、いままでは現れなかったゴキブリが、この家に出現するようになったのか。

 実は、我が家の周囲も高齢化が進み、老夫婦だけというような家が目立つようになっている。もしかして、そんな家で清掃や生ゴミの片付けが不十分ということが起きて、ゴキブリが繁殖しているとしたら、そして時折一念発起した住人が片付けを行うと、生活の場を失ったゴキブリが新天地を求めて散っていくならば――我が家の各所でまんべんなく、ゴキブリが出現した理由を説明できる。

 もちろんこれが真実だとは断言できない。なによりもそんな慎ましく生活している老夫婦の世帯に「お宅ではゴキブリって出ますか。どんな感じですか」などと失礼な質問をできるはずもない。

 だが、この問題は放置してよいものではないだろう。自分が老いた時、ひょっとすると周囲のご家庭にゴキブリを振りまく加害者となってしまう可能性があるわけだから。歳を取っても、体が衰えても、家を清潔に保つ技術的手段の開発は、今や喫緊の課題といえるのではなかろうか。

Raiseの「“みんなの”介護生活奮戦記」では、介護に関連する悩み、不安などを引き続き募集しております。川内さんも参戦してくださいますので、今回の記事のご感想も合わせ、みなさんの声をお聞かせください。後に続くたくさんの方々に、貴重な体験や方法論を共有し、役立てていきましょう。現在、「[議論]介護の不安、悩みを吐き出してみませんか?」で議論しています。(担当編集Y)

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#ライフ&カルチャー
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R

Ph.D.

今のマスコミは、こぞって「汚いもの」「醜いもの」「おぞましいもの」などから目をそらすような報道ばかりをしていますが、認知症がもたらす生活の「異変」は、まさにこういったところにまず現れる、という現実を突きつけてくださり、どうもありがとうございました。
今回のコラムを読んだ人は、少しでも「その時」に対する心の準備ができたのではないかと思います。
大変参考になりました。
2019/02/21 19:08:356返信いいね!


ニャンガー

ちなみに、アシタカグモは、昆虫系の殺虫剤の効果は薄いです。
八本足なんで、ダニが一番の親戚の節足動物です。
ダニ系の殺虫剤では瞬殺されてしまいます。

2019/02/22 09:19:14返信いいね!


がんさん

一度Gさんが私と一緒に玄関から家に入ろうとしました。すぐに排除しましたが、玄関周りの花の鉢の下もGさんの住処になりやすいです。
今、家の中で見ない方は、戸建ての場合、外回り、玄関の靴箱の下、ガレージの隅、外のごみ箱、物置の下に排除用の薬剤を置くと家に入ってきません。一度試してみてください。マンションならベランダの隅もいいかも
2019/02/22 16:30:531返信いいね!


軸受

貴宅にゴキブリがでるのは、そこに餌があるから、、それ以上の理由はありません。隣家からネズミやゴキブリがやって来ることはありますが、餌がなければ居続けることは不可能です。
もちろんタタミや柱を餌としてかじることもありますが、ゴキブリだって楽に美味しいものを食べたいのです。わざわざ堅いものをかじるより、台所を漁ったりタタミに落ちた爪や皮膚、食べかすなどを食べる方がずっとましなのです。
週1で十分なので掃除しましょう。
2019/02/22 21:44:46返信いいね!


間もなく還暦

認知症の判断を、ゴキブリに結び付ける発想に感心すると共に感謝します

2019/02/25 08:04:08
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00107/00005


 

2019年2月25日


国や企業は守ってくれない… 介護支援、フリーランスにも当事者団体が「親孝行保険」
フリーランスの働く環境について語る平田麻莉さん=東京都中央区で

写真
 家族を介護しながら働く社員の介護離職防止に努める企業が増える一方、企業に属さずフリーランスとして働く人へのセーフティーネットはまだまだ手薄だ。仕事ができなくなった場合、金銭的な支援は、資産状況が行き詰まった時に生活保護が受けられるだけ。そんな現状を受けて、自営の人たちが集まって自衛策を拡充している。

 「家族が要介護となるリスクは、仕事や働き方に関係なく、誰もが背負っています」。一般社団法人「フリーランス協会」の平田麻莉代表理事(36)は、同協会が、昨年十月に取り扱いを始めた介護支援の「サポートプラン」の意義を強調する。

 同協会は、業務中の対物・対人事故や納期遅れなどの賠償リスクへの備え、受注やスキルアップなどで会員をバックアップしている。年会費は一万円。

 会員が働けなくなった場合には、任意加入で保険料に応じた保険金を支払う所得補償制度がある。

 これに上乗せして、会員の備えを手厚くするのが「親孝行サポートプラン」。親が要介護2〜5とされた際、一時金が支払われる。要介護状態が九十日を超えて続く場合が対象となる。

 保険料は、一時金として百万円が支払われるコースでは、親が満五十五〜五十九歳だと月額百二十円、満七十五〜七十九歳だと二千三百六十円。八十歳以上は加入できない。民間保険会社の保険に、同協会として団体加入することで、保険料が20%割り引かれるようにした。

 本人が要介護2〜5に相当すると保険会社がみなしたときに一時金が支払われる「介護サポートプラン」もある。

 申込件数などはまだまとめていないが、平田さんは「昨年八月に発表した際は、多くの感謝の声が寄せられました」と話す。

 問い合わせは同協会のホームページ(「フリーランス協会」で検索)から。

写真
◆日本の政策は「会社員」前提
 介護で切実に必要なのは、まず「お金」、そして「時間」だ。

 会社員は年五日の介護休暇が法律で認められている。足りなければ、年九十三日間まで介護休業を取ることもできる。給与の67%が支給され、「お金と時間」への手当てがある。

 一方、フリーランスにはこのような制度はない。「労働法の対象外なので、労災保険も雇用保険もない」と平田さんは言う。時間的にも、企業には拘束されないが、顧客には拘束される。言うほど「自由」ではない。

 平田さんは「日本の福祉政策や労働政策は、企業に属して会社員になることを是としていた時代に作られましたが、人生百年といわれる時代になり、『定年後』も長くなりました。企業に依存した働き方では定年後に自立できず、路頭に迷うことになりかねない」と指摘する。

 「そのためには、フリーランスも含めてどんな働き方をしていても保護が受けられるセーフティーネットが必要です」と強調する。

 (三浦耕喜)

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000094.000009232.html


 
介護による「共倒れ」を防ぎたい!在宅介護の限界点はどこなのか?限界点を回避するには?
〜原 千晶さんが表紙を飾る、介護情報誌『あいらいふ』3月号 2/28(木)発行〜
株式会社ザップ 2019年2月25日 06時00分

 株式会社ザップ(本社:東京都品川区 代表者:土井基史)は、介護情報誌『あいらいふ』2019年3月号を、2月28日(木)に発行いたします。

今回の表紙は、「子宮頸ガン」の罹患と再発、転移を経験した女優の原 千晶さん。ガン再発の理由、そして、苦痛を極めた闘病生活が原さんに教えてくれたことなどについてインタビューの中で語っていただきました。特集は、徹底研究「在宅介護の実際」の中編、「『在宅介護の限界点』を回避するには?」です。本人や家族の希望とは裏腹に、やがてやってくる在宅介護の限界点。「介護を受ける側もする側も、安心、安全でいられない」という限界点があるとしたら、どこなのか、限界点を回避する方法はあるのかについて考えます。

目次および注目の記事
目次


特集:徹底研究「在宅介護の実際」〈中〉 「在宅介護の限界点」を回避するには?

介護度が高まるにつれ、「在宅介護の限界点」はやってきます。では、その「在宅介護の限界点」はどこにあるのか、また、その限界点を回避するにはどうすればよいのか、在宅介護のプロである居宅のケアマネジャーや地域包括支援センターのスタッフの方々にうかがいました。

<新連載>「退院支援の現場を歩く」【特別鼎談】

入院、退院は、ご高齢の方にとって、人生の分岐点。こうした観点から始まった病院の退院支援を研究する連載企画。初回の今回は、国際医療福祉大学大学院教授の武藤正樹先生、この連載のホストとなる早稲田大学の影山康博さん、そして、本誌発行人の土井基史によるスペシャル鼎談です。「入退院支援の時代」となった退院支援の現在の課題と患者への影響について理解を深めます。

私の「介護・医療記事」の読み方㉟

「老老介護をしている高齢の方などは、初めて見るレシピをわざわざつくろうという気にはなりにくいのでは?いつも食べている料理が一番おいしいはず。」その気づきから生まれた書籍、『かみやすい 飲みこみやすい食事のくふう』。編集を担当した女子栄養大学出版部 田浦真実さんが、制作する上で注意を払った点を解説。

マイライフ・インタビュー

「子宮頸ガン」の罹患、再発、そして、転移。こうした経験から、現在、ガンの早期発見と早期治療の大切さを講演などで訴える女優の原 千晶さん。当初はガンを素直に受け入れられなかった原さんですが、再発後、つらい気持ちを受け止めて結婚してくれた旦那様と家族等の温かい言葉に救われ、前向きに闘病生活を乗り越えます。原さんが闘病生活の中でつかんだものとは…。インタビューでは、介護をしている方へのメッセージもいただきました。

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【発行部数】6万部
【配布場所】市区役所高齢者介護担当窓口・社会福祉協議会・地域包括支援センター・居宅介護支援事業所・訪問看護ステーション・病院・薬局など1万か所
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000094.000009232.html
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/261.html

[経世済民131] 米企業の技術革新力に黄信号、収益動向と大きく乖離 米金融当局、日銀化 NY連銀総裁インフレ期待低下リスク警告、枠組み見直
コラム2019年2月25日 / 12:41 / 2時間前更新

米企業の技術革新力に黄信号、収益動向と大きく乖離
Edward Hadas
3 分で読む

[ロンドン 20日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米企業は、技術革新の面では弱体化しつつあるように見える。だが、収益面では状況はまったく異なる。

ノースウエスタン大学のエコノミスト、ロバート・ゴードン氏は、自身が「技術的フロンティア」と呼ぶ分野の減速を最初に指摘した1人だ。2012年、最先端のフロンティアである「コンピューター革命」からの恩恵が下火になりつつあるとの仮説を打ち出し、議論を呼んだ。

とはいえ、技術の成熟度を示す兆候の1つは、研究開発費の生産性低下だろう。あらゆる技術革新は、これまでに比べさらに多くの努力が必要となる。スタンフォード大の経済学者ニコラス・ブルーム氏らによる研究は、その生産性低下が現実に起きていることを示している。

彼らの研究は、米国での研究開発費と労働生産性の上昇を巡る関係を調べている。その結果は明解だ。同じペースで上昇を続けるためには、より多くの「燃料」が必要になる。正確には、単に労働生産性の低下を避けるだけでも、13年ごとに研究開発費を倍増させていく必要があると、ブルーム氏らは計算している。

実際、生産性の低下は回避できていない。マッキンゼー・グローバル・インスティテュートの2017年報告書によると、1987─2004年の米生産性の伸びは、年平均2.1%だった。その後の10年では同1.2%で、低下傾向が続いている。

もちろん、依然として躍進を続けている経済分野もある。例えば、ビッグデータは急速に利用しやすくなり、従って価値が増している。だが、こうした技術「最前線」の背後で、進歩ペースの鈍い「その他大勢」がますます増え続けている。

ブルーム氏らは、いくつかの重要産業に着目した生産高分析も行っており、その結果は典型的だ。「生産の伸びは、安定的または下落すらしている。だが生産拡大をもたらした研究の量は大きく増加している」

ゴードン氏を含めた一部の研究者は、技術革新の減速を嘆いている。だが、技術がどれほどの進歩を遂げてきたかを再認識することで納得できるだろう。先進国に住む人ならばすでに、長く、安全に、かつ快適で刺激的に生きられるだけのものを十分に手にしている。 これから先、進歩の速度が遅くなったとしても、今ある問題を解決し、新たな機会を広げていくだけのモメンタムは恐らくあるだろう。

だが一方で、技術革新の減速は、競争市場の構造も変える。

ブレークスルーの流れが細れば、競争上の大きな武器を長く保持できる企業は減るだろう。こうしてよりフラットな企業競争の現場では、生産性や市場占有率のやや低調な伸びが業界標準になるだろう。そうなれば、経済理論上、利益率は低下する。

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ニューヨーク大学の学者による研究では、この経済理論が一部正しいことを示している。トーマス・フィリッポン教授とジャーマン・グティエレス氏は論文で、米国全体と各業界の最大手企業を検証した。そして、2000年ごろを境に、こうした「スター企業」の傾向が大きく変わったことを発見した。

例えば、2人は、62業種における時価総額トップ上位4社が、米国の年間生産性上昇率にどう貢献しているかを調査した。こうした企業には、グーグルを傘下に持つアルファベット(GOOGL.O)やフェイスブック(FB.O)、アップル(AAPL.O)、アマゾン(AMZN.O)、そしてマイクロソフト(MSFT.O)が含まれる。各業界の最大手企業は年を追って入れ替わるため、常にその当時の「勝ち組」が含まれることになる。

1960─2000年にかけて、年間の米生産性上昇率に対するこれら248社の貢献度は、平均で0.72ポイントだった。そして、2001─16年では、同0.43ポイントだった。

市場占有率でも、同じような傾向が見て取れた。248社の米国売上高は、1980年には国内総生産(GDP)の29%だった。それが2016年には25%に低下していた。つまり、技術革新の減速に伴う「平準化作用」に耐えられるような、圧倒的なスター企業は十分にはいないということだ。

だがその一方で、企業業績には、経済理論通りではない面もある。競争力が低下しても、最終的な利益は減っていないのだ。実際、米政府の統計によると、国民所得に対する企業収益の比率は、この10年で平均6.7%で、2000─1991年の同5%から上昇している。

ただ、こうした収益の伸びは、設備投資の増加につながっていない。それどころか、民間投資は同期間に、GDPの17.6%から16.2%に減少している。

企業経営者にとって、明らかに利益追求の方が技術革新に取り組むよりも容易だった。もしくは、彼らにとってより有益だっただけかもしれない。結局のところ、経営者の報酬は、主に収益と株価の伸びに連動しているのだ。

このように技術と利益の傾向が乖離(かいり)することは、フェアではないように見える。米企業に投資する株主は事実上、技術革新への貢献が低く、設備投資も少ない企業からより多くのリターンを得ていることになる。

もちろん、このようなことを心配するのは経営者の仕事ではない。自社の技術開発の成果を、彼らは、全体への思慮なしに宣伝しても構わない。また、「株主価値教」の熱心な信者としては、利益が「高すぎる」などという考えはタブーだろう。

しかし、政治家の立場は異なる。正義の追求も視野に入れなくてはならない。そして、企業収益への課税や、反トラスト規制、業界癒着の規制など、強力な武器を手にしている。これらを使えば、利益と生産性を巡る傾向を変えることができるだろう。

株主には厳しいが、社会のためにはその方が好ましい。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/global-economics-breakingviews-idJPKCN1QE05D


 


米金融当局:利下げ余地限られる中、将来の景気対策の考察深める
Jeanna Smialek
2019年2月25日 11:20 JST

• 物価水準目標や潜在金利、平均でのインフレ目標達成など議論か
• バーナンキ、ウィリアムズ両氏ら著名エコノミストが戦略練る

米経済が将来新たなリセッション(景気後退)に見舞われた場合、米金融当局者がそれに対処するための利下げ余地は限定されることになりそうだ。このため、そうした不備を補うための手段についての研究が進められており、その成果は今後の金融政策運営を方向付ける可能性がある。
  米金融当局は過去数年間に注意深く利上げを行い、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は2.25−2.5%のレンジに引き上げられた。だが、新たなリセッションに陥るまでにあと数回利上げできたとしても、利下げによって成長を刺激し、インフレを安定させる余地は過去のケースよりも限られそうだ。複数の研究によれば、人口動態や他の長期的トレンドによって、この現実は恐らくニューノーマル(新たな標準)であるとされる。
  このような状況の下、金融当局者は2019年を金融政策へのアプローチ再検討の年とする計画で、それには低金利環境の中でどのような戦略が最も効果的に作用するか解明することが含まれる公算が大きい。トップクラスの研究者によるこれまでの論文からは、何が議論の対象となっているのかが示唆される。
  米金融当局者の講演や研究結果を踏まえると、当局はインフレの新たな枠組みについて考察するか、もしくは有効性が実証済みの量的緩和(QE)のような政策措置を議論する可能性がある。当局者はさらに、他国で近年活用されてはいるが米国では試したことのないイールドカーブコントロールといった選択肢を加えることも検討するかもしれいない。イールドカーブコントロールは連邦準備制度理事会(FRB)のクラリダ副議長が就任前のつい昨年、大学院生に講義していた話題の1つだ。
  次に政策金利を補強すると想定される一連の措置と、その有効性に関する研究結果を紹介する。

一時的な物価水準目標
  解決策を詳述するのに先立ち、低金利が金融当局にとって深刻な問題となる理由を見ておく意味があるだろう。
  政策金利がゼロにまで引き下げられると、金融当局は経済を崖っぷちから引き戻す手だてに乏しい状況に置かれる。潜在力を下回る成長の期間が長引けば、インフレ率は伸び悩み、最終的には企業や消費者の将来的なインフレ期待も押し下げられる可能性がある。インフレ期待は将来のインフレを左右する重要な決定要因であり、それが後退すれば、いったん経済が回復したとしても、インフレ率は2%の当局目標を下回ったままで低迷することになりかねない。悪循環を整理して説明すると、低インフレ下では、FF金利の引き上げ余地が少なくなり、将来の危機に対抗するための余地も限られてしまうというわけだ。

  幸いなことに、バーナンキ元FRB議長は1つの解決策を提示している。バーナンキ氏は17年の論文で、一時的な物価水準目標が効果的である可能性を指摘した。
  米金融当局が現在採用している2%のインフレ目標は、現時点での目標達成を趣旨とし、過去のインフレ率が目標をどれ程下回ったか、もしくは上回ったかは不問とする形となっている。物価水準目標はこれとは異なり、金融当局は物価水準が安定的に上昇していくようにして、物価が低過ぎる時期があれば、物価高の時期を設けることによってそれを相殺することが求められる。実際には、従来型の金融政策ルールで想定されるよりも、政策金利を一段と長期間、低めに維持することが必要とされる。
  金融当局が金利を据え置く方針であると人々が信じれば、インフレ率はさほど鈍化せず、危機は回避されるという考えだ。
  バーナンキ氏は、政策金利がゼロの場合にのみ、この措置を使うとしていることから、「一時的」となる。ガソリン価格の上昇といった一過性の要因でインフレが高進したとしても、金融当局は好景気にあってもそれを押し下げるための政策引き締めを強いられることがなくなる。
  米金融当局の現行のインフレ目標は2%を中心に上下対称とする仕組みだが、バーナンキ氏がFRBのトップクラスのエコノミストであるマイケル・カイリー、ジョン・ロバーツ両氏とまとめた最近の論文では、物価水準目標の方がより良い結果につながるとされる。

シャドー(潜在)金利
  シャドー(潜在)金利の考え方は、ゼロ金利制約がなく、政策金利をマイナスに引き下げることができた場合にどの程度、追加的な緩和を経済に与えることができたのか継続的に推計し、その上で、金利を一段と長く据え置いて、逸失した緩和分を補うというものだ。
  現在ニューヨーク連銀総裁を務めるジョン・ウィリアムズ氏が00年にシャドー金利についての論文を共同執筆したが、カイリー、ロバーツ両氏が論文で示した新バージョンの方がインフレ率を2%に安定的に保ち、成長の未達を小さくする上で一層の効果があるとされた。
平均でのインフレ目標達成
  これは景気循環を通じて平均でインフレ目標達成を目指していくもので、物価水準目標ほどは劇的ではなく、魅力的な代替策と言えそうだ。

  ウィリアムズ総裁とサンフランシスコ連銀のトーマス・マーテンス氏は今年1月の論文で、政策金利がゼロを上回っている局面で、インフレ率が2%をオーバーシュートするよう容認すれば、インフレ期待をつなぎとめるのに役立つとの分析を示した。
量的緩和
  これまで説明してきたアプローチはいずれも、深刻なリセッションを受けてFF金利の誘導目標を一段と長く、低めに維持するという同じテーマに沿ったものだったが、金融当局者は利下げ以外にも危機対応のための措置を検討している。
  明らかな候補は量的緩和(QE)であり、当局は先のリセッションを受け、第3弾までこの措置を講じた。パウエルFRB議長をはじめとする当局者は、債券購入が引き続き当局の危機対応の手段の1つであることを明確にしている。
  しかし、債券購入は他に選択肢がなくなった場合にのみ活用すべきなのか、景気悪化のもっと早い段階で導入することが理にかなうのかという疑問がある。カイリー氏は18年の論文で債券購入について、「生産が潜在力を下回った段階で早急に活用」すれば最も効果的とした上で、FF金利がゼロまで引き下げられた後にだけ、二次的な措置であってよいと論じた。
  サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は今月8日、記者団に対し、「金利を一次的な措置とし、バランスシートは二次的ながらもっとたやすく使う措置とした政策執行を想定することが可能だ」と指摘。「これはまだ決まっていないが、われわれの現在の議論の一部だ」と語った。
マイナス金利
  米金融当局に利用可能な非伝統的選択肢は債券購入だけではない。技術的には金利をマイナス圏に引き下げることも可能だ。他の中央銀行による実施例もあるが、欧州が14年に採用した段階では、米景気は既に拡大基調にあった。
  幾つかの大きなリスクを考慮して、米金融当局はマイナス金利を採用しない可能性がある。マイナス金利が海外でどの程度うまく機能してきたか、まだ結論は下されておらず、米ブラウン大学のゴーティ・エガートソン氏は実際、銀行の利益を圧迫することによって逆効果となりかねないと、最近の論文で指摘した。一方、サンフランシスコ連銀のバスコ・カーディア氏は今年の論文で、マイナス金利を採用していれば、先のリセッションはもっと痛手が小さく、回復も加速された可能性があると記しており、このトピックが引き続き当局者の間で議論されている可能性がある。
イールドカーブコントロール
  米金融当局が頭の体操に取り上げるかもしれないもう1つの選択肢は、日本銀行が採用したイールドカーブコントロールだ。この政策では、市場操作を通じて短期金利と長期金利をコントロールすることができる。
  米金融当局も第2次世界大戦の間を含め、イールドカーブコントロールを試したことがある。当時は、債券市場の安定化と戦費抑制のため、米財務省とFRBが長期債および短期債の利回りに上限を設ける枠組みを活用した。
  日銀の雨宮正佳副総裁は17年、新たなイールドカーブコントロールはデフレ脱却のための新しい手段として運用するもので、政府のコスト削減に向けたものではなく、過去のものとは違うと説明した。
  クラリダ氏がアドバイザーを務め、昨年公表されたコロンビア大学の分析論文では、米金融当局が採用した場合、金利の水準およびボラティリティーを押し下げることで、FF金利がゼロに達したとしても景気刺激が期待されるとする一方、当局のバランスシートを拡大させるリスクがあり、コミュニケーションや実施面でも困難が伴うかもしれないとしている。他方で、量的緩和を補完することができるという点に「主な魅力」があるという。
原題:Fed Superstars Lay Out a Map for the Central Bank’s Big Rethink(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-25/PNDEWF6JTSJ801

 

NY連銀総裁:インフレ期待低下のリスク警告、枠組み見直しが必要
Craig Torres、Matthew Boesler、Christopher Condon
2019年2月23日 3:27 JST
米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、インフレ率が金融当局の目標である2%に達しない状況が長年続いたことで、インフレ期待が下がった可能性があると懸念を表明した。

  総裁は22日にニューヨークで講演し、「中長期のインフレ期待の指標が低下するという憂慮すべき兆候が、ここ数年に幾つか見られるようになった」とし、「インフレ期待という錨(いかり)がじわじわと岸に押し寄せられるリスクは、インフレ目標達成を目指す長年の枠組みを見直す必要性を浮き彫りにしている」と述べた。

  2月のミシガン大学消費者マインド指数(速報値)によれば、5−10年先のインフレ期待値は2.3%に低下し、過去最低水準と一致。市場に基づくインフレ期待の指標もここ数カ月は低下しており、現在の5年後から5年間のインフレ期待を反映するブレーク・イーブン・インフレ率(フォワードBEI)は15日に1.8%。5年フォワードBEIは、2018年の大半で2%を上回っていた。

  米金融当局は今年、政策の枠組みの包括的な見直しを実施する。これには議会から与えられた責務の一つ、物価安定を達成するための手法も含まれる。

  総裁は「インフレ期待が高過ぎる、低過ぎるにかかわらず、縛りを解かれることについて、当局は無関心になるべきではない」とし、「当局が今年、政策枠組みの見直しを実施することを非常に喜ばしく思う」と語った。

原題:Fed’s Williams Warns of Risks of Low Inflation Expectations (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-22/PNC8FK6KLVR401?srnd=cojp-v2

 
フィラデルフィア連銀製造業景況指数:2月はマイナス4.1、予想14.0
Kristy Scheuble
2019年2月21日 22:41 JST
エコノミスト41人の予想レンジは10.0から22.8だった。前月は17.0。

統計表
原題:U.S. Feb. Philadelphia Fed Index Falls to -4.1, Est. 14.0(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-22/PNC8FK6KLVR401?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/262.html

[経世済民131] バフェット氏のバークシャー、株安で純損益は過去最大の赤字 バフ株主への手紙でトランプ批判 「教え」に変化、手紙で株価重視
バフェット氏のバークシャー、株安で純損益は過去最大の赤字
Katherine Chiglinsky、Michelle Kim
2019年2月25日 8:26 JST
• アップル株の下げやクラフト関連の減損損失が響く
• 株価変動を除いた営業利益は前年同期比71%増加
ウォーレン・バフェット氏率いる米バークシャー・ハサウェイの昨年10−12月(第4四半期)の純損益は過去最大の250億ドル(約2兆7700億円)の赤字となった。投資先の評価額の変化を損益に反映させることを義務付けた新たな会計基準が主因。これに伴う影響は大半の企業にとっては比較的小さい額にとどまるが、1700億ドルの株式ポートフォリオを抱えるバークシャーにとっては四半期ごとに損益を大きく左右する要因となる。
  営業利益は前年同期比71%増加した。この数値は株価変動の影響を除いており、バークシャーの基調的な事業の業績を反映するため、バフェット氏はより望ましい指標と見なしている。保険事業の業績改善や鉄道事業の伸び、法人税率の低下などが大幅営業増益につながった。

ウォーレン・バフェット氏
写真家:Andrew Harrer / Bloomberg
  10−12月期は米株がこの7年余りで最悪のパフォーマンスとなったことが響き、バークシャーの投資損益は276億ドルの赤字となった。同社のポートフォリオで組み入れ比率最大のアップルは同四半期に30%下落した。
  保有する米食品会社クラフト・ハインツの株式に関連する減損損失27億ドルも響いた。クラフトは21日、有名ブランドの一部を含む資産の減損処理費用として154億ドルを計上したことが影響し、10−12月期決算が赤字となったと発表した。

原題:Buffett’s Stock Losses and Key Takeaways From Berkshire Results(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-24/PNGC806JIJUO01?srnd=cojp-v2


 
バフェット氏、株主への手紙でトランプ氏を暗に批判
Reuters Staff
1 分で読む

[23日 ロイター] - 米著名投資家ウォーレン・バフェット氏は23日、自らが率いる投資会社バークシャー・ハザウェイ(BRKa.N)の株主に毎年恒例の手紙を送り、米経済の成長は自分の政策のたまものと自賛するトランプ大統領に異を唱えたほか、市場環境を考えると大型買収は難しいとの見方を示した。

バフェット氏は、同氏が投資を開始した1942年以降、米経済は7人の共和党大統領と7人の民主党大統領の下で戦争や金融危機を乗り越えて繁栄を続けてきたと指摘し、だた1人の功績というわけではないと強調。「『1人で成し遂げた』と豪語するのは傲慢」などと語った。

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バフェット氏は、トランプ大統領が中国など他の国々と比べた米経済の好調さを自慢しがちなことを暗に批判。「すべての国の経済が良好であれば、米国は一段と繁栄しより安全になる」とし、他の諸国の将来が明るい時は米国は「喜ぶべき」と主張。「バークシャーでは、われわれは国境を越えてかなりの投資を行うことを望んでいる」としている。

バークシャーに長年投資しているガードナー・ルッソ・アンド・ガードナーのパートナー、トーマス・ルッソ氏は、バフェット氏の手紙について「開かれた市場と自由貿易が、最終的にはすべての参加者の恩恵になるということを主張した、非常に力強いメッセージ」と述べた。

バフェット氏は、将来性のある企業の価格が「非常に高い」とし、バークシャーによる目先の企業買収の見通しは「良くない」と述べた。

同氏は、大型買収という考えにはわくわくするが、「残念な現実」を考慮すると、バークシャーは2019年は保有する現金1119億ドルの一部で株式の買い増しを行うことになるとの見方を示した。

バークシャーは2016年1月に航空機部品メーカーのプレシジョン・キャストパーツを321億ドルで買収して以降、主だった買収は行っていない。
https://jp.reuters.com/article/berkshire-buffett-idJPKCN1QD0ZN


 
トップニュース2019年2月25日 / 14:56 / 4分前更新
アングル:
バフェット氏の「教え」に変化、手紙で株価重視
Jonathan Stempel
2 分で読む

[23日 ロイター] - 米著名投資家のウォーレン・バフェット氏(88)は、自身が率いるバークシャー・ハサウェイ(BRKa.N)の株主に対し、株価の値動きをあまり気にするべきではない、とずっと言い続けてきた。

だがそれは、もはや過去の話だ。

バフェット氏は23日、毎年恒例の株主に宛てた手紙の中で、バークシャーの株価はやがて「業績を測る最適な評価基準を提供」すると語った。

同時に、社内で起きている変化や予測不能な会計基準により、「かつてのような適合性が失われている」として、資産から負債を引いた純資産に基づく企業評価の方法を重視しなくなるとしている。

こうした変化は、バフェット氏が何十年にもわたり、投資家や株主たちに説いてきた、忍耐や長期的な考え方からの後退といえる。この考え方は、株式相場が代表するものに対するアンチテーゼとなってきた。

フォーブス誌によると、バフェット氏はその鋭いビジネス感覚により、829億ドル(約9.2兆円)の資産を築き上げ、世界3位の富豪となった。また、経営難に陥っていた繊維会社のバークシャーを時価総額4960億ドルの巨大企業に変貌させた。

バフェット氏は30年近くにわたり、純資産について株主への手紙で語ってきた。また、バークシャーの純資産や、配当金を含むS&P総合500種.SPXの年間推移を示す表も手紙に添付してきた。

バークシャーの長期的パフォーマンスは好調だった。

バフェット氏が1965年に米ネブラスカ州オマハにある同社を買収してから、同社の1株当たりの純資産(BPS)は昨年末までに計109万1899%、もしくは年18.7%上昇してきた。

これに対し、S&P500構成企業は同1万5019%、年9.7%の上昇だ。昨年もバークシャーが0.4%の上昇だったのに対し、S&P500は4.4%の下落となり、バークシャーが上回る結果となった。

2015年、バフェット氏の思考に「進化」が見え始めた。6年間のうち5年において、バークシャーの純資産がS&P500のそれを下回ったのを受け、同氏は株価の推移を表に加えたのだ。

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バフェット氏はその理由について、同社が、バークシャー・ハサウェイ・エナジーやBNSF鉄道、自動車保険ガイコなど事業拡大へとシフトしており、実態価値と純資産のかい離が広がっていることを挙げた。

株価は変動が激しい場合があるものの、時間の経過とともに株価と実態価値はほぼ必ず一致するとバフェット氏は主張する。

同氏の下で、バークシャーの株価はこれまで計247万2627%、もしくは年20.5%上昇している。

<純資産を重視しない3つの理由>

バフェット氏は純資産を重視しなくなった理由を3つ挙げている。

1つは、バークシャーの「主な価値」は現在、各事業部門にあるとバフェット氏は述べている。同氏とチャーリー・マンガー副会長は今後、資産構成割合の「再編」を引き続き行う。

2つ目は、現在の会計基準により、バークシャーの現行価値は実際よりも「はるかに低く」評価されているとバフェット氏は指摘。

そして3つ目は、バークシャーは近い将来、「相当な」自社株買いを行う可能性があり、そうなれば純資産の低下を招くと述べた。

「これら3つによって、純資産に基づくスコアカードは経済的実態からますますかけ離れていく」とバフェット氏は記している。

考えられる4つ目の理由としては、計1728億ドルに上るバークシャーの株式ポートフォリオに含まれる米アップル株(AAPL.O)などの価格変動によって、純資産も影響を受ける点がある。

目先の企業買収見通しは「良くない」ため、こうした株式保有は今年増える見込みだとバフェット氏は述べている。

第4・四半期決算で、バークシャーのBPSは、保有株の下落などが響き、7.1%低下した。

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
https://jp.reuters.com/article/buffett-letter-stock-idJPKCN1QE0HH
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/263.html

[経世済民131] 米中の貿易協議、「新たな不確実性」も−新華社が警鐘 トランプ大統領、対中関税引き上げ延期−協議でかなりの前進 クドローN

米中の貿易協議、「新たな不確実性」も−新華社が警鐘
Bloomberg News
2019年2月25日 14:23 JST
協議は最終段階で難しさを増す、新たな不確実性も排除できず
最悪シナリオにも備える必要がある−新華社
米中の貿易協議を巡り最終段階で「新たな不確実性」が生じる可能性があり、中国は最悪の事態に備えつつ、最善を尽くすべきだ。国営新華社通信が25日の論説でこう主張した。

  新華社は「貿易協議は最終段階で難しさを増す。新たな不確実性も排除できない。貿易摩擦が長期かつ複雑、困難を伴うという事実について冷静である必要がある」と指摘した。この不確実性が何を指すのかは具体的に説明しなかった。

  新華社は良い兆しがあり、両国が「互恵的かつウィンウィンの合意に至るという最終目標」に向けてさらに近づきつつあると認めながらも、この重大な局面でより多くの時間を要する幾分の隔たりがあることも示したと伝えた。

  論説では「百里を行く者は九十を半ばとす」との中国のことわざを挙げ、「次の段階では一つ一つのステップがとりわけ重要になる」と指摘。米中両国に歩み寄りを求めながらも、「われわれは最悪シナリオにも備える必要がある」と主張した。

原題:China’s Xinhua Agency Warns of ‘New Uncertainties’ in U.S. Talks(抜粋)


クドローNEC委員長:関税撤廃に向け取り組んでいる−加閣僚発言後
Greg Quinn
2019年2月25日 8:59 JST
ガルノー加運輸相:関税継続なら新NAFTA批准しない可能性
USTR代表も鉄鋼・アルミ関税撤廃に向けて取り組み−クドロー氏
米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は、カナダとメキシコ産の鉄鋼・アルミニウムに対する輸入関税の撤廃に取り組んでいると述べた。カナダの運輸相が関税継続なら新たな北米自由貿易協定(NAFTA)協定を同国が批准しない可能性を示唆したことを受けて発言した。

  クドロー委員長は24日にワシントンで開かれた全米知事協会冬季会合のパネル討論会でコメントした。ガルノー加運輸相は関税が撤廃されない場合、協定批准に「至るかどうかわからない」と発言。同相はNAFTAに代わる米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に3カ国が合意しているため関税はもはや不要だと指摘した。

  クドロー委員長はまた、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表が関税撤廃に向けて取り組んでいることも明らかにした。

White House Press Briefing With Director Of The National Economic Council Larry Kudlow
クドローNEC委員長写真家:Zach Gibson / Bloomberg
原題:Kudlow Says He’s Working to End Tariffs as Canada Balks (1)(抜粋)


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トランプ大統領、対中関税引き上げ延期−協議でかなりの前進
日本株は反発、米中交渉や米金融政策柔軟化への期待ー輸出高い
メイ首相「合意なき離脱阻止」で27日にヤマ−最終採決期限先送りでも
EU、英離脱の21カ月延期検討と当局者−議会の承認得られなければ
富国生命は外債為替リスクヘッジへ、FRBハト派転換で円高に備える

トランプ大統領、対中関税引き上げ延期−協議でかなりの前進
Jenny Leonard、Andrew Mayeda
2019年2月25日 8:14 JST 更新日時 2019年2月25日 9:10 JST
一段の進展あれば習近平中国国家主席とフロリダ州で会談の予定
トランプ大統領のツイート受け米株価指数先物が上昇
トランプ米大統領は24日、米中両国が同日終了した貿易協議で「かなりの前進」を遂げたのを受け、中国の習近平国家主席と会うことができるまで、中国製品に対する関税引き上げ回避の交渉期限を延期すると述べた。

  大統領は「米国が中国との貿易協議で知的財産権保護と技術移転、農業、サービス、通貨や他の問題を含めて重要な構造問題でかなり前進した」とツイート。「こうした非常に生産的な協議の結果、私は3月1日に予定していた米国の関税引き上げを延期する」と表明した。

President Trump Meets With Liu He As China Extends Trade Visit
中国の劉鶴副首相と会談したトランプ大統領(2月22日)Photographer: Al Drago/Bloomberg
  トランプ大統領は、米中協議で一段の進展があれば、自身がフロリダ州に所有する会員制高級リゾート「マールアラーゴ」で習国家主席と会談し、合意を取りまとめる計画だとしたが、具体的な日程や期限をどの程度延長するのかには言及しなかった。

  米株価指数先物は大統領のツイートを好感して上昇し、米S&P500種先物は日本時間午前8時20分時点、0.3%高となった。オフショア人民元は0.2%高の1ドル=6.6936元となった一方、円相場は0.1%下げた。

  今回の米中協議は当初、22日で終了する予定だったが、中国の劉鶴副首相はワシントンでの協議を2日間延長。ムニューシン米財務長官は22日、マールアラーゴで米中首脳会談を3月下旬に行う暫定案を詰めていると明らかにしていた。

  米通商代表部(USTR)は今週、対中関税引き上げ延期を正式に命じる方針だ。

  投資家は米中貿易摩擦が悪化すれば、既に鈍化の兆候が見られる世界経済の成長を損ないかねないと憂慮していたが、トランプ政権が3月1日としていた中国製品2000億ドル(約22兆1500億円)相当に対する追加関税率引き上げを回避するための交渉期限を延長したことで、こうした懸念が和らげられることになる。

Advantage China

Source: U.S. Census Bureau

原題:Trump Extends China Trade Truce, Citing Substantial Progress (1)(抜粋)

(中国国家主席との会談の計画などを追加し更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-25/PNGSAD6JIJUP01

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/264.html

[経世済民131] ウォール街「引き締めサイクル一時停止」で取引の新アイデア続々 富国生命、為替ヘッジ CLO米国で人気低下、日本需要は強い
ウォール街「引き締めサイクル一時停止」で取引の新アイデア続々
Liz Capo McCormick、Misyrlena Egkolfopoulou
2019年2月25日 13:44 JST
• バンガード・グループは米国債イールドカーブに注目
• 「追加キャリーを安全にポートフォリオに」−クシュマ氏
米連邦準備制度のハト派的な政策転換は、引き締めサイクルの一時停止の機会を生かすよう設計した新しい一連の取引戦略の出現を加速させている。
  バンガード・グループのジェンマ・ライトカスパリウス氏はレンジ相場となっている米国債のイールドカーブの両サイドについて取引する計画だ。また、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントのマイケル・クシュマ氏は、同社の世界債券ポートフォリオに追加的なキャリーを組み込もうとしている。HSBCホールディングスのマックス・ケトナー氏は、ベンチマークに対して中立的なポジションを取りつつ、一瞬のうちに積極的に調整する準備をしておくべき時だと言う。
  株式、債券、通貨と、資産を問わずボラティリティーが低下する中でも、投資家は多くの収益機会を見いだしている。市場のベテランたちは、ここ数十年で最も不確実な金利見通しと継続的な貿易および地政学的緊張の中で、センチメントの大きな変動を予想している。金融当局の転換で、人気が高かった取り引きトレンドが失速する傾向があるが、自らも方向を変えて対応しようという向きには利益を上げる新しい方法が見えてくる。

  バンガードの上級マネーマネジャーであるライトカスパリウス氏は、1995年から96年にかけて金利が長く据え置かれた時期に、2年物米国債と10年物の利回り格差が変化したことを覚えている。同氏は今回もスプレッドが当時と同じように反応すると予想。「今回の休止局面では、経済と米金融政策の道筋に関する不透明感から、ボラティリティーが時折生じる」と話した。
  HSBCでマルチアセット戦略を担当するケトナー氏は、金融市場が適温経済を指す「ゴルディロックス」シナリオを織り込む相場からリセッション(景気後退)懸念を新たにする方向に振れる公算が大きいとの見方を示し、そうした環境で「利益を得る真の方法は、ベンチマークに対して中立的な状態を保ち、そこから非常に積極的に投資の出入りを行うことだ」と言う。
  モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントのグローバル債券担当最高投資責任者であるクシュマ氏は、同社の債券ファンドでキャリーを慎重ながらも増やすことに焦点を絞っている。米追加利上げ、ドル高、米国債利回り上昇など、2018年にあったリスク資産に対する主な逆風が消えたためだ。
  「追加キャリーを安全にポートフォリオに組み込もうとしている」と話す同氏は、ブラジル、ポーランド、ハンガリーなどの新興国債や、米国の住宅および商業用不動産に連動した証券化商品を選好しているという。
原題:‘Play-the-Pause’ Trading Strategies Gain Traction on Wall Street(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-25/PNGP5G6K50XS01?srnd=cojp-v2

 

富国生命は外債為替リスクヘッジへ、FRBハト派転換で円高に備える
伊藤小巻、Chikako Mogi
2019年2月25日 6:00 JST
償還が近いオープン外債は1ドル=110円前後のうちに為替予約
再投資含めてユーロ建て外債をヘッジ付きで数百億円積み増し
富国生命保険は外貨建て債券の為替リスクをヘッジ(回避)していく。米連邦準備制度理事会(FRB)のハト派転換で円高進行に備える。

  富国生命ではアベノミクス前の1ドル=80−90円時に購入したオープン外債が110円を超えた今の水準で償還を迎えている。渡部毅彦財務企画部長はブルームバーグのインタビューで今年のドル・円相場の予想を105−110円として、償還が近い外債は110円前後のうちに為替予約してリスクを消す方針を示した。現在5割を下回る為替ヘッジ比率を上昇させる。

Fed Chairman Jerome Powell Holds News Conference Following FOMC Rate Decision
FRBのパウエル議長Photographer: Al Drago/Bloomberg
  償還資金の再投資を含めて昨年10ー12月に、残高が少なかったユーロ建て外債をヘッジ付きで数百億円積み増した。また為替リスクのある外債や低利回りの国内債より、配当利回りの狙える国内株を割安局面でリスクテークすることは妥当としている。下期に視野に入れていた日本国債は利回りが低下しており、12月以降は新規投資はしていない。

  渡部部長は、日本銀行は変わらないがFRBがハト派に転じたとして「相対的には為替は円高に備えなければいけない局面だ」と述べた。一時的に100円割れのリスクもみており、今年の資産運用で一番のリスクは為替だとしている。富国生命は外貨建て保険を販売していないが、運用資産に占める外貨建て資産の比率は現在3割超と高い。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-24/PN9F946KLVR401


CLOは米国で人気低下、利上げ見通し後退で−日本からの需要は強い
Adam Tempkin
2019年2月25日 10:57 JST
米国の買い手に依存するCLO会社は需要低下に直面
日本からの需要は依然強く、CLO会社間で価格に差が生じている
米国では利上げに対する連邦準備制度の最近の姿勢転換を受け、ローン担保証券(CLO)から固定利付き資産へと投資資金がシフトしている可能性がある。一方、日本の銀行からの需要があるCLOはアウトパフォームしている。

  米国の買い手が引いたことで、CLOの価格に格差が生じている。つまり、同等の格付けの証券でも異なる価格設定になることがあると、市場の専門家が述べた。CLO組成・販売で実績のある数社でさえも、最高格付け部分の購入を米国の投資家に依存していたために最近数週間は低い価格での販売を余儀なくされた。

  「発行は回復してきたが、トリプルAクラスに対する米国の需要が限定的なため、AAA部分で15?25ベーシスポイント(bp)の幅が生じている」とウェルズ・ファーゴのアナリスト、 デーブ・プレストン、マッケンジー・ミラー両氏が最近のリポートで指摘した。強い発行プラットフォームを持つ実績ある販売会社でも、AAAクラスのプライシングはロンドン銀行間取引金利(LIBOR)に140bp台半ばから後半を上乗せした水準になっているという。

  一方、AAAクラスの証券の大きな部分を邦銀が購入するCLO会社は、それよりも10bp程度タイトな価格設定にできる。AAA部分で日本の投資家に対して強い販売基盤を持つCLO会社の証券は、かねてからスプレッドが小さめだったが、最近ではその差がより目立っている。

  パインブリッジ・インベストメントのクレジットおよび債券投資責任者スティーブン・オー氏はインスタントメッセージで、「最近の取引では、『トップクラス』と見なされるCLO会社と『セカンドクラス』と見なされるところの差別化が進んでいるようだ」と指摘した。

  商業用不動産ローン担保証券や投資適格社債などの固定利付き資産は昨年12月に大幅に値下がりしたため、変動利付き商品から乗り換える投資家にとってはいっそう魅力が増している。

CMBS, IG Cheapened vs. CLOs Late Last Year
出典:ウェルズ・ファーゴ
原題:CLOs Stumble on Fed Tilt Even as Japanese Demand Remains Strong(抜粋)
CLOs Stumble on Fed Tilt Even as Japanese Demand Remains (1)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-25/PNGSAD6JIJUP01
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/266.html

[国際25] ベネズエラ、支援物資搬入巡り国境で衝突 米は「具体措置」発表へ 経済危機のジンバブエ、通貨を実質的に切り下げ
ワールド2019年2月25日 / 12:05 / 1時間前更新
ベネズエラ、支援物資搬入巡り国境で衝突 米は「具体措置」発表へ
Reuters Staff
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[カラカス/ワシントン 24日 ロイター] - 南米ベネズエラの国境で23日、米国が送った食料や医薬品などの人道支援物資を積んだ車両がベネズエラに入ろうとしたが、マドゥロ政権を支持する治安部隊との間で衝突が発生した。一方、米政権高官はペンス米副大統領がベネズエラ情勢への対応で具体的な措置を25日に発表すると明らかにした。

コロンビアとの国境では、物資搬入を試みた野党支持者らに対し、搬入を阻止しようとする治安部隊が催涙ガスやゴム弾を使用。車両はコロンビアの倉庫に戻った。

搬入されるのはベネズエラで緊急に必要とされる支援物資で、野党は治安部隊が搬入阻止を思いとどまると期待していた。しかしコロンビア当局によると治安部隊約60人が23日に離反したものの、国境での国家警備隊は態度を変化させていない。ブラジルの軍当局者は24日、ベネズエラの国家警備隊の2人が23日夜に離反したと述べた。

ベネズエラと国境を接するブラジルのロライマ州は、銃撃で治療を受けているベネズエラ人の数は18人に上り、全員が重体だと明らかにした。

ベネズエラの犯罪監視団体は、ブラジルとの国境付近で3人の死亡が確認され、全土での負傷者は少なくとも295人に上るとした。

野党指導者のグアイド国会議長は、マドゥロ大統領の失脚に向けて「すべての選択肢」を視野に入れるよう国際社会に訴えた。大半の西側諸国はグアイド氏を国家元首と認めている。

トランプ米大統領は過去に、ベネズエラへの軍事介入は「一つの選択肢」だと発言している。ただグアイド氏は23日はこの発言には言及しなかった。

 2月24日、南米ベネズエラの国境で、米国が送った食料や医薬品などの人道支援物資を積んだ車両がベネズエラに入ろうとしたが、マドゥロ政権を支持する治安部隊との間で衝突が発生した。写真はベネズエラと国境を接するブラジルのロライマ州パカライマで24日撮影(2019年 ロイター/Ricardo Moraes)
コロンビアの首都ボゴタでは25日にベネズエラ情勢を協議する会合が予定されており、ペンス副大統領も出席する。米政権高官は24日、ペンス氏が「具体的な措置」と「明確な行動」を発表すると述べたが、詳細には言及しなかった。

ブラジル外務省は声明で「国際社会、特にグアイド氏を暫定大統領とまだ認めていない国に対し、ベネズエラ解放への取り組みに加わるよう求める」とした。コロンビアのドゥケ大統領はツイッターで、23日に「野蛮な行為」があったと批判。25日の会合で「ベネズエラの独裁政権に対する外交的な包囲攻撃を強める方法」を協議する方針を示した。

マドゥロ大統領は、野党による支援物資搬入の取り組みは米国が画策するクーデターの一環だと非難している。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
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ワールド2019年2月25日 / 15:11 / 1時間前更新
経済危機のジンバブエ、通貨を実質的に切り下げ
Reuters Staff
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[ハラレ 22日 ロイター] - 経済危機が深刻化しているジンバブエで22日、通貨を実質的に切り下げる措置が講じられた。経済の不振や貧困層拡大の原因となっている通貨不足の問題に対処する。

シンバブエは2009年、米ドルと等価交換される「ボンドノート」と呼ばれる通貨を導入した。だがボンドノートはここ数カ月、闇市場では等価を大きく下回る1ドル=4ボンドノート近辺で取引されている。

こうした状況下、ジンバブエ準備銀行(中央銀行)は20日、自国通貨を「管理された変動相場制」に移行する計画を発表。エコノミストの間では、新通貨の普及により闇市場でのドルの需給が緩み、インフレが和らぐという、慎重ながらも楽観的な見方が出ている。

一方で国民は、ムガベ政権下で起きたハイパーインフレの再来につながる事態を恐れている。ジンバブエのインフレ率は1月に57%となり、過去10年で最高の伸びを記録した。

ムナンガグワ大統領が国民の信頼を取り戻すことができるかどうかは、新通貨の成否によって決まることになりそうだ。

新制度ではボンドノートは「RTGSドル」と呼ばれる別の通貨に統合される。

中銀総裁は22日、市中の銀行に米ドルを2.5RTGSドルで売却したと明らかにした。これは実質的に60%の通貨切り下げとなる。

休業日明けの銀行各行は22日、外貨預金口座を保有する個人と法人に限定して、ボンドノートを2.5のレートで米ドルと交換。窓口の待ち行列は通常並みだった。

だが中銀は輸入の2週間分に相当する外貨しか保有していないため、中銀がどの程度の米ドルを供給できるかは明らかではない。
https://jp.reuters.com/article/venezuela-politics-idJPKCN1QE07N
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/505.html

[国際25] 米政府、2度目の首脳会談で北朝鮮に「要求切り下げ」か 対米交渉で農産物輸入増も、中国は自国農業守れるか 
トップニュース2019年2月25日 / 14:06 / 1時間前更新
焦点:
米政府、2度目の首脳会談で北朝鮮に「要求切り下げ」か
Reuters Staff
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[ハノイ/ワシントン 25日 ロイター] - ベトナムの首都ハノイで27、28日に開催される米朝首脳会談で、トランプ米政権は北朝鮮への要求水準を下げ、限定的な合意を受け入れる姿勢のようだ。小さく見えるかもしれないが、重大な結果につながるかもしれない。

米朝高官らによると、事前協議では寧辺の核施設廃棄の査察受け入れや米朝の連絡事務所設置などが議題に上っている。

米国側は、朝鮮戦争以来続く敵対関係の終結宣言や、北朝鮮の観光特区設置など南北朝鮮間プロジェクトの承認といった譲歩を示す可能性もある。

米国科学者連盟の防衛アナリスト、アダム・マウント氏は「ここ数カ月間で、米国の姿勢は大幅に転換した。これまでの政権下ですら禁じ手と見なされていた幅広いお土産を検討している」と語る。

前例のない北朝鮮外交が成功したと主張したいトランプ大統領は現在、完全な非核化が「最終的な」目標であることに変わりはないが、2017年以来核実験が凍結されている以上、目標達成を急がないと話すようになっている。

北朝鮮が非核化で「何か意味のあること」を行えば、制裁緩和に応じる可能性さえ示している。

しかし、首脳会談での合意は米議会で厳しく検証されるだろう。また米諜報関係者や軍高官などは、北朝鮮が実際にすべての核廃棄に応じることはなく、米国が譲歩すればアジアにおける国益が損なわれると懸念している。

<優先課題>

米高官らによると、首脳会談の優先課題には「非核化」についての共通の定義確立などが含まれる。

北朝鮮国営メディアは昨年末、非核化の定義には「米国の核の脅威を完全に取り除く」ことが含まれるとの声明を発表した。これは明らかに、アジアにおける米国の核の傘に言及したものだ。

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トランプ氏が韓国駐留米軍のコストに不満を漏らしていることもあり、米議員の間では、同氏が駐留米軍の一部撤退で取引に応じてしまうのではないか、との不安が巻き起こった。ただ、トランプ氏自身も含め高官らはその可能性を否定している。

首脳会談の優先課題にはこのほか、将来の交渉の具体的工程表で合意し、大量破壊兵器および弾道ミサイルの開発・製造を凍結することが含まれる。

スタンフォード大が今月発表した調査結果などによると、北朝鮮はこの1年でも核兵器の製造を進めてきた。

北朝鮮は寧辺の核施設廃棄について国際査察を受け入れる可能性を示している。韓国のある高官によると、これは米国から一定の譲歩を引き出す上で最低限の条件となる。

金正恩朝鮮労働党委員長は米国側の見返りを求めており、アナリストによると、米国が寧辺その他の施設廃棄と引き換えに制裁を少なくとも一部緩和することが、金氏が飲める最低条件となりそうだ。

韓国・韓東大学校の国際問題学部のパク・ウォンゴン学部長は「北朝鮮の最大の望みが制裁緩和であることは明らかだ」と話す。

ある西側の外交官がロイターに語ったところによると、北朝鮮は必要なら制裁下でも永遠に存続していく術を身につけたものの、制裁下では金氏が望む経済開発を達成できないため「制裁に耐えたくはない」という。

<現実的な目標>

一部のアナリストは、米政府は完全な非核化よりも現実的な武器管理目標を目指すべきだと主張している。

ポンペオ米国務長官は表向き、非核化の達成を楽観視していると表明している。しかしニューヨーク・タイムズ紙が24日報じたところによると、長官は内々には、米国側が要求する核廃棄の60%に北朝鮮が応じれば良い方だ、と話しているという。

米国科学者連盟のマウント氏は「米国は核廃棄についてより現実的な戦術を採用したが、より現実的な目標は採用していないようだ」と言う。

「議題は相変わらず核一色だ。その影で、軍備管理についての達成可能な合意のほか、人権、核拡散リスク、化学・生物学兵器、ミサイル制限などの重要な問題が犠牲になっている」とマウント氏は話した。

(Josh Smith記者 David Brunnstrom記者)
https://jp.reuters.com/article/us-nk-summit-talks-idJPKCN1QE0G8

 

コラム2019年2月23日 / 07:43 / 3時間前更新
対米交渉で農産物輸入増も、中国は自国農業守れるか
Karen Braun
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[フォートコリンズ(米コロラド州) 21日 ロイター] - 中国が米国からの農産物輸入を大幅に拡大する可能性が出てきた。実現すれば中国国内の農業が犠牲になりかねず、同国は農業セクターの育成という困難な課題に取り組む必要があるだろう。

ロイターが20日報じたところでは、米中は通商協議の要綱策定に着手しており、この中には中国による農産物購入が含まれる。

また、ブルームバーグは21日、中国が米国からの農産物輸入を年間300億ドル拡大すると提案する見通しだと報じた。

これは米国農業にとって大きな朗報だ。昨年半ばから米中貿易摩擦が激化した影響で、米国産大豆の輸出は昨年、約36%も落ち込んでいる。

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300億ドル分の中身がどうなるかは定かでないが、中国の年間農産物輸入の大きな部分を占めそうだ。中国は農業改革の途上にあり、輸入拡大と農村経済活性化の両立は難しい課題になるだろう。

中国の2017年の農産物輸入(全地域)は総額1260億ドルと、過去最高を記録した。最大の割合を占めるのは、大豆その他の油糧種子だ。

米国の17年の中国に対する農産物および関連商品輸出は240億ドルで、中国の農産物輸入の約19%に相当する。

300億ドル分が追加されれば、17年時点でこの比率が24%程度にまで高まる計算。これだけ大幅な拡大ゆえに、一部関係者からは実現性を危ぶむ見方が出ている。

中国が本当に輸入を300億ドル分拡大すれば、中国の農家と他の貿易相手国は打撃を受ける可能性がある。

中国は19日、農村についての年次計画を発表し、所得・生活水準の向上と国内生産の拡大を引き続き重視するとした。

農家の収入は近年、生産・労働コストの上昇や在庫増加、安い輸入品などの影響で圧迫されている。政府の買い上げ価格はここ数年、国際価格を大幅に上回る傾向にある。

中国農業相は20日、国内生産の拡大に力を入れてはいるが、大豆は依然輸入に頼る部分が大きいとし、米国は「重要なパートナー」だと強調した。

しかし年300億ドル分という輸入拡大ペースは、中国の需要の自然な増加幅を大幅に上回る。この結果、他の貿易相手国からの輸入が減るのは避けられないだろう。

 2月21日、中国が米国からの農産物輸入を大幅に拡大する可能性が出てきた。写真は湖南省で2018年撮影(2019年 ロイター/Ryan Woo)
中国に対する最大の大豆輸出国はブラジルで、70%以上を中国向けに輸出している。アルゼンチンにとっても、中国は大豆の主要な輸出相手だ。

オーストラリアとカナダは中国にとって、小麦や大麦などの飼料用穀物の主要な供給国だ。ウクライナは対中トウモロコシ輸出で存在感を増している。中国の穀物輸入は油糧種子に比べれば大幅に少ないが、それでも個々の供給国にとって通商関係は重要だ。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/us-china-agriculture-column-idJPKCN1QB0U3
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/506.html

[国際25] マクロン仏大統領の支持率が上昇、抗議活動に落ち着き メイ首相「合意なき離脱阻止」27日ヤマ EU英離脱21カ月延期検討 
ワールド2019年2月25日 / 15:26 / 37分前更新
マクロン仏大統領の支持率が上昇、抗議活動に落ち着き

世論調査
Reuters Staff
1 分で読む

[パリ 25日 ロイター] - 25日に公表された新たな世論調査によると、フランスの反政府抗議デモ「黄色いベスト」運動が落ち着きをみせる中、マクロン大統領の支持率が上昇した。

調査はオドクサが2月20─21日にインターネットで1000人を対象に、フランス・インター・ラジオやレクスプレス誌など向けに実施した。それによると、マクロン氏が良い大統領だと思うとの回答は32%となり、「黄色いベスト」が始まった当時と同水準に回復した。

支持率は昨年12月には27%と、マクロン大統領就任以降の最低水準に低下した。その後は上昇している。

抗議活動は終了すべきだとの回答は全体の55%だった。「黄色いベスト」運動の発生以降、明確に過半数を上回ったのは初めて。
https://jp.reuters.com/article/france-protests-politics-idJPKCN1QE0LK



メイ首相「合意なき離脱阻止」で27日にヤマ−最終採決期限先送りでも
Tim Ross、Ian Wishart
2019年2月25日 13:17 JST
首相は議会による離脱案の最終採決期限を3月12日に新たに設定
離脱延期なら21年になるまで残留必要と英に伝えることをEU検討か
メイ英首相は、欧州連合(EU)と自ら取り決めた離脱合意案の議会承認に向けた最終的な採決を再び先送りした。造反の可能性さえちらつかせ、「合意なき離脱」回避を首相に迫る一部閣僚との争いがさらに激化することになりそうだ。

  メイ首相はEUと修正協議を続ける離脱案について、議会による採決の期限を離脱予定日のわずか17日前である3月12日に新たに設定した。

  首相が行った賭けは、破滅的な合意なき離脱の回避を目指す政治家たちにとって、首相を阻止する決意を一層固める方向に働く可能性がある。無秩序な離脱に伴う経済的ダメージを避けるため、離脱延期を首相に迫る手続きの審議・採決のチャンスが27日に訪れるが、この動きが成功すれば、ポンド相場の上昇につながると期待される。

  メイ首相は不人気な離脱案を下院の土壇場の採決で通すことに役立つと考え、合意なき離脱の危険を残すことを望んでいるが、そうした可能性は経済界だけでなくメイ政権の閣僚さえ、ひどくおびえさせている。

  一方、英国が離脱を延期する場合、2021年になるまで残留する必要があると英政府に伝えることをEU側が検討していることが、3人の欧州当局者らの証言で明らかになった。残留の長期化と離脱が丸ごと覆されるリスクを避けるため、離脱強硬派がメイ首相の離脱案を支持せざるを得なくなることも考えられる。4番目の欧州当局者は、脅しの戦術のようだと語った。英国以外のEU加盟27カ国の政府間で、離脱延期の長さを巡る合意はまだ成立していないという。

U.K. Prime Minister Theresa May Presents Brexit Plan B to Parliament
メイ英首相写真家:Luke MacGregor / Bloomberg
原題:May Raises the Stakes Before Brexit Showdown as EU Hatches Plot(抜粋)


EU、英離脱の21カ月延期検討と当局者−議会の承認得られなければ
Ian Wishart
2019年2月25日 8:31 JST
複数のEU要人と政府が最大21カ月の離脱延期を支持と当局者
離脱推進派は離脱案への支持を促す戦術と受け止める可能性が高い

メイ英首相が、欧州連合(EU)と取り決めた離脱合意案を議会で通すことができず、離脱日を延期したいと考える場合、2021年になるまで残留する必要があると首相に伝えることをEU側は検討している。欧州の当局者3人が匿名を条件に明らかにした。

  当局者によれば、複数のEUの要人と政府が、3月29日の離脱予定を最大21カ月延期する案を支持している。英与党保守党内の離脱推進派はこのアイデアについて、メイ首相の離脱案への支持を促す戦術と受け止める可能性が高く、強く反発すると予想される。4番目の欧州当局者は、脅しの戦術のようだと語った。

  経済界が大惨事になると見なす「合意なき離脱」シナリオを回避する手段として、英・EUの当局者は、今やいずれも何らかの延期を想定している。3カ月という短い延期のアイデアが長く取り沙汰されてきたが、これは離脱案を英議会が承認し、成立していない関連法を可決するためにさらに時間が必要な場合のみ有効であり、今の行き詰まりの打開には十分でないとEU当局者は考えているという。

  EU・アラブ連盟首脳会議出席のため24日にエジプトに到着したオーストリアのクルツ首相は記者団に対し、「3月初めまでに離脱案への支持が得られない場合、英離脱を延期することが望ましいと思う。合意なき離脱のシナリオはEUにとって有害であり、英国にとっては極めて有害だからだ」と発言した。

原題:EU Is Said to Mull 21-Month Delay If May Can’t Get Brexit Done(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-25/PNGO8G6S972B01


 

http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/507.html

[経世済民131] 世界で一番「健康な国」はスペイン、2位はイタリア−日本は4位  絶対菜食の「ビーガン」、単なる流行で終わらない理由
世界で一番「健康な国」はスペイン、2位はイタリア−日本は4位
Lee Miller、Wei Lu
2019年2月25日 14:12 JST
• アイスランドが3位、スイスが5位−米国は35位
• 全体的な健康に貢献する要素に基づき169カ国・地域をランク付け
ガスパチョとパエリアが体に良いのかもしれない。ブルームバーグの「健康な国」指数でスペインが1位となった。
  同指数は全体的な健康に貢献する要素に基づき169カ国・地域をランク付けする。2019年版ではイタリアが2位となった。スペインは17年に公開された前バージョンで6位だった 。
  19年はアイスランド(3位)、スイス(5位)、スウェーデン(6位)、ノルウェー(9位)も含め、欧州から計6カ国がトップ10に入った。日本は4位で、アジアではトップ。17年の7位から躍進した。一方、シンガポールは8位に順位を落とした。トップ10の残りはオーストラリアと(7位)とイスラエル(10位)。米国は35位。
Healthiest Countries in the World
Bloomberg Global Health Index scores for 169 countries, with the top 10 plus U.S. highlighted
Sources: Bloomberg analysis of World Health Organization data; United Nations Population Division and the World Bank
フルデータセットはここをクリック
  指数は平均寿命などに基づいて健康度を評価。喫煙や肥満などのリスク要因にはペナルティーを課す。浄水へのアクセスや衛生設備などの環境要因も考慮に入れる。
  国際連合のデータによるとスペインは欧州連合(EU)加盟各国中、出生時の平均余命が最も長く、世界でこれより長いのは日本とスイスのみ。



原題:Spain Tops Italy as World’s Healthiest Nation While U.S. Slips(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-25/PNGR676TTDS101?srnd=cojp-v2


 

コラム2019年2月24日 / 09:13 / 6時間前更新
絶対菜食の「ビーガン」、単なる流行で終わらない理由
Reuters Staff
4 分で読む

[ロンドン 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 最新の食品トレンドとなっている「ビーガン(絶対菜食主義者)」 は、単なる流行では終わらなそうだ。

気候変動や動物の処遇への懸念から、また健康な食生活への関心から、ビーガニズムを選ぶ消費者が増えている。2000年代初めに低炭水化物ダイエットが流行した時と同様に、企業は変化の激しい消費者の好みについて行こうと躍起になっている。とはいえ、動物性の食品を断つ動きは、一過性のものではなさそうだ。

これまでにはやった食品と同様に、ビーガニズムはごく少数の熱心な人の嗜好(しこう)だったものが主流になった。ホアキン・フェニックスやエレン・デジェネレスのような芸能人がビーガニズム支持を公表したこともあり、大企業も対応に乗り出している。

最近ではファストフード大手マクドナルド(MCD.N)がベジタリアン向けの「ハッピーミール」をメニューに追加したほか、日用品大手ユニリーバ(ULVR.L)(UNc.AS)が、植物性肉などを販売するベジタリアンブッチャーを買収した。その一方で、米プライベートエクイティ大手KKR(KKR.N)は昨年、ユニリーバのマーガリンなどスプレッド事業を68億ユーロ(約8500億円)で買収し、マーガリンの植物性食品としての評価を押し上げた。

消費者も敏感に反応している。英国の繁華街なら大体どこにでも店舗があり、サンドイッチや甘いケーキを売っている英ベーカリーチェーンのグレッグス(GRG.L)は1月、ビーガン向けの「ソーセージロール」を発売してソーシャルメディア上の話題をさらった。同社は19日、この7週間だけで10%近く既存店ベースの売り上げが伸びたことを明らかにした。

投資の世界は、過去にも似たような急激な変化を経験したことがある。2000年代の初め、炭水化物を減らして(皮肉なことに)肉や卵などのたんぱく質を多くとることでダイエットできるという「アトキンスダイエット」が消費者の間で流行した。米俳優のロブ・ロウやジェニファー・アニストンがこれを支持した。

酒造メーカーは低糖質ビールの開発に乗り出し、ダイエット食品の「スリムファースト」の売り上げが減った。だが熱狂は次第に落ち着いていった。

だが、ビーガニズムには、継続する勢いがあるように見える。

ビーガニズムは、体重を落とすことよりも、動物を殺さず、温暖化ガスを出し多大な水を使う畜産法を避けるという「倫理的なライフスタイル」を実践することが主眼にある。

人口動態も、ビーガニズムの拡大を示唆している。卵や乳製品なども口にしない完全菜食であるビーガンや、肉や魚を食べないベジタリアン、さらに時には肉も食べるフレクシタリアン(柔軟な菜食主義)は、地方に住む年配者よりも、比較的若くて金銭的余裕がある都市部の住民の間で人気がある。

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2017年には、英国の学生の60%が、自分が通う大学の食堂などにビーガンやベジタリアン向けの食べ物が置かれていることを期待していると、食品ケータリングサービスのソデクソの調査に答えている。

こうしたトレンドの先端を走るのは英国とドイツだが、肉食の主要国も追い上げている。

調査会社ニールセンによると、米国人の39%がより多くの肉の代替品を取り入れるようになっている。フォアグラの産地として名高いフランスでは昨年、ビーガンやベジタリアン製品の売り上げが24%増加し、3億8000万ユーロに達した。今後2021年まで、毎年17%ずつ成長する見通しだと、調査会社ゼルフィは予測している。

だが、一般の投資家がこの流行に乗って利益を上げるのは難しいかもしれない。英国のスーパーマーケットでは、ビーガン製品の棚が拡大しているが、全体の売り上げへの貢献度は小さい。乳製品を使わないクリームチーズなどを販売するトフッティ・ブランズ(TOFB.PK)や、アーモンドミルクを製造するヘイン・セレスティアル・グループなども、ビーガン製品に特化しているわけではない。

一方で、かつて肉がめったに食べられないごちそうだった国々では、経済が成長して所得が増えるにつれ、牛乳や卵、鶏肉や牛肉の需要が高まっている。世界的に見れば、動物性食品の消費は増加の一途をたどるとみられる。

だがそうだとしても、ビーガン製品に特化した会社は追い風を受けるだろう。

植物性肉メーカーの米ビヨンド・ミートは、新規上場を計画している。創業間もないころにマイクロソフト(MSFT.O)創業者のビル・ゲイツ氏からの出資を獲得した同社は11月、2018年1─9月の売り上げが、前年同期比167%増の5640万ドル(約62億5000万円)に達したと発表した。

フィンランドのゴールデン・アンド・グリーン・フーズは、燕麦や豆類が原料で、ちぎった鶏肉や豚肉のように使える「プルド・オーツ」で可能性を広げている。こうした植物性タンパク質の市場は、2026年までに163億ドルに達すると、調査会社パーシスタンス・マーケット・リサーチでは予測している。

こうした製品の開発は容易ではない。前出のグレッグスは、ビーガンのソーセージロールを開発するのに18カ月かかった。同社向けに肉の代替品を作っているクォーンは、消費者に受け入れられるビーガン製品の開発には5年程度かかるとしている。とはいえ、ビーガン製品は持続可能な投資を模索する投資家から注目を集めており、開発に取り組む会社は新たな資金源を探せるだろう。

もちろん、消費者の嗜好が肉と乳製品に逆戻りするリスクはある。だがビーガンは、1度の食事で豆で作られたバーガーを食べるたびに世界を救う手助けをしているのだと言うことができる。そんな宣言は、過去に流行した食べ物にはできない芸当だった。

(Aimee Donnellan、Peter Thal Larsen)

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/vegan-climatechange-breakingviews-idJPKCN1QB0EO
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/268.html

[経世済民131] ドル予想外に上昇維持、他国もFRBのハト派姿勢追随で 消費増税円安、経験則が示す「ドル120円」シナリオ
トップニュース2019年2月25日 / 13:51 / 2時間前更新 焦点:

ドル予想外に上昇維持、他国もFRBのハト派姿勢追随で
Reuters Staff
2 分で読む

[ロンドン 22日 ロイター] - 投資家は今、ドルが今年下落局面に入るとの見方を撤回し始めている。米連邦準備理事会(FRB)に続いて、世界中の中央銀行が金融引き締め姿勢を後退させ、他通貨に対するドルの金利プレミアムが保たれているからだ。

ドル指数.DXYは昨年4.4%上昇し、2015年以来で最大の上昇率となった。大半の先進国で景気の勢いが衰える一方、米国では強い経済成長が続き、FRBが何度も利上げを実施したからだ。

しかし昨年暮れには、3年に及ぶFRBの金融引き締めサイクルが終わりに近づいたとの見方から、トレーダーはドルの反落に賭け始めた。FRBがバランスシートの縮小を中止するとの予想も背景にあった。

一方で欧州中央銀行(ECB)やオーストラリア準備銀行などは、利上げ開始に備えていた。

ところが、12月と1月に下落したドルはその後持ち直し、2月に入って1%上昇している。豪ドルなど一部通貨に対しては2%以上上昇した。

原因は、米国以外の国々で景気見通しが悪化し、中銀が引き締め計画の延期、あるいは後退を迫られたことにある。

このため、20日公表の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨でハト派姿勢が確認されたにもかかわらず、ドルと他通貨との金利差は縮まりそうにない。

ブラックロックの投資ストラテジスト、リチャード・ターニル氏は「今年のドルの底堅さは、一部の人々にとっては意外だ。しかしFRBの引き締めを休止させているのと同じ要因、つまり世界経済の減速と金融環境の引き締まりが、他の中銀もハト派姿勢へと向かわせている」と話した。

ECBの場合、今年は利上げを開始すると予想されていたが、今では貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)を通じ、あらためて緩和に乗り出すとの見方が増えている。

日銀は、必要になれば追加緩和を行うと表明し、オーストラリアとスウェーデンの中銀は利上げ計画を考え直すと示唆した。

JPモルガン・アセット・マネジメントのロジャー・ホーラム最高投資責任者によると、ユーロは現在の1ユーロ=1.13ドルから今年1.20ドルに上昇するというのが大方の予想だ。しかし貿易が減速し、米経済が潜在成長率を上回る成長を示す兆しがあるため、ユーロの上昇は妨げられる可能性があるという。

ホーラム氏は重要な要素として、ECBがハト派姿勢を強めたことに市場は対応する必要があると指摘。「今後数カ月、金利差は米ドルに有利に働きそうだ」と述べた。

FRBは近く、バランスシートの縮小停止計画を発表する見通しだ。しかし最新のFOMC議事要旨は、市場が考えていたほどハト派の内容ではなかった。メンバー間で意見が分かれており、利上げ局面は終結したと言うより、長い休止期間に入っただけかもしれない。

アムンディ・アセット・マネジメントのグローバルFX責任者、アンドレアス・ケーニグ氏は「市場はFRBのハト派転換度合いを急いで織り込み過ぎた。相場は調整を迫られ、ドルに対して一定の支援材料になるだろう」と語った。

(Tommy Wilkes and Ritvik Carvalho記者)

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
ビジネス2019年2月25日 / 15:41 / 7分前更新
日経平均は反発、米中協議の進展期待 中国株高も安心材料
Reuters Staff
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[東京 25日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は反発した。米中通商協議で「大きな進展」があったとしてトランプ米大統領が対中関税引き上げ延期を表明。米中貿易問題の解決に対する楽観的な見方が広がった。上海総合指数の堅調推移も安心材料になり、日経平均は一時2万1600円台に接近した。買い戻しが一巡した後は次の材料待ちとなり、後場は小動きの展開となった。

トランプ氏は朝方、3月1日に予定されていた中国製品に対する関税引き上げを延期すると表明。協議がさらに進展すれば中国の習近平国家主席と会談して最終合意する考えも示した。これを受けて投資家心理が改善。上海総合指数は一時4%を超える上昇となった。

中国株の上昇も支えとなり、日経平均は昨年12月14日以来の高値圏に上昇したが、追加の買い材料に乏しく、伸び悩んだ。日経平均の後場の値幅は35円未満にとどまった。

市場からは「米中の妥協はこれまでに織り込まれてきた部分もある。前向きな話ではあるものの、対立の本質的な解決にならない可能性もありそうだ」(SBI証券の投資情報部長、鈴木英之氏)と、今後の動向を見極めたいとの声も出ていた。

TOPIXは反発。東証33業種中、石油・石炭を除く32業種が値上がり。パルプ・紙、電気機器、証券などが値上がり率上位に入った。

個別銘柄では、エンビプロ・ホールディングス(5698.T)がストップ高比例配分。リチウムイオン2次電池リサイクル事業の立ち上げに伴う業績期待から買われたという。焼却灰からの貴?属回収方法の特許取得なども材料視された。

一方、一蔵(6186.T)は一時ストップ安。22日、2019年3月期の連結当期利益予想を従来の4億7100万円から1億1400万円(前年比80.6%減)に下方修正すると発表した。新規基幹システムの開発プロジェクトの断念に伴う特別損失を計上したことが響いた。

東証1部の騰落数は、値上がり1585銘柄に対し、値下がりが467銘柄、変わらずが78銘柄だった。

日経平均.N225

終値      21528.23 +102.72

寄り付き    21567.66

安値/高値   21505.07─21590.03

TOPIX.TOPX

終値       1620.87 +11.35

寄り付き     1619.61

安値/高値    1616.94─1623.13

東証出来高(万株) 105731

東証売買代金(億円) 19870.64

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
ビジネス2019年2月25日 / 15:41 / 7分前更新
ドル110円半ば、狭小値幅が続く
Reuters Staff
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[東京 25日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前週末NY市場の午後5時時点と変わらずの110円半ば。過去2番目の小さな値幅となった前週と同様、主要通貨はほぼ横ばい。トランプ米大統領が中国製品の関税引き上げ期限を延期すると表明し、一時買いが入る場面もあったが、先行きには不透明要因も多いとして値動きは限られた。

ドルは朝方の110円半ばから、午前10時前に日中高値となる110.86円まで上昇。トランプ大統領が日本時間25日朝、ツイッターに「3月1日に予定されていた米関税引き上げを延期する。最終合意に向けた習(近平中国国家)主席との首脳会談をマールアラーゴで開催するため、準備を進める」と投稿した。

大統領は新たな交渉期限は示さなかったものの、協議が順調に進めば「1─2週間以内に非常に大きなニュース」があるかもしれないとも発言した。

しかし買いの勢いは続かず、ドルは正午ごろに110円半ばへ反落。中国国営の新華社が今後の協議で「新たに不透明感が浮上する可能性は排除できない」などと伝えたことも話題となった。

市場では「トランプ政権に限って、進展と合意は別物だ。関税引き上げの延期は市場で予想されていた出来事であり、苦しいことの先送りにしか映らない」(FXプライムbyGMO常務取締役の上田眞理人氏)との声が出ていた。

きょう日中のドルの値動きは110.58─110.86円の上下28銭。前週のドルの値幅は110.42─110.95円の上下53銭で、12年1月第2週の38銭に次ぐ小さな値幅だった。

ドル/円JPY=  ユーロ/ドルEUR=  ユーロ/円EURJPY=

午後3時現在 110.62/64 1.1341/45 125.47/51

午前9時現在 110.76/78 1.1339/43 125.61/65

NY午後5時 110.68/71 1.1341/46 125.39/43

為替マーケットチーム
https://jp.reuters.com/article/us-dollar-idJPKCN1QE0G4

 

為替フォーラム2019年2月22日 / 11:32 / 3日前
コラム:消費増税円安、経験則が示す「ドル120円」シナリオ=鈴木健吾氏
鈴木健吾 みずほ証券 チーフFXストラテジスト
4 分で読む

[東京 22日] - 今年10月に消費税率10%へ引き上げが予定されているが、ドル円相場はどのような動きを見せるだろうか。過去の消費増税から考察してみたい。

日本では、1989年4月に初めて3%の消費税が導入され、その後1997年4月に税率5%、2014年4月に同8%と、消費税は段階的に引き上げられてきた。

導入時を含む過去3回の消費増税はいずれも4月に行われているが、その直前の3月末と増税後の6月末のドル円レート(月末終値、小数点以下四捨五入、数値はロイターより、以下同じ)を比較すると、導入時は1ドル=133円から144円へドル高/円安が進行。1度目の増税時は124円が115円へとドル安/円高に、そして2度目の増税時は103円から101円とほぼ横ばいとなり、まさに三者三様で一貫性がみられない。

ところが、同じく直前の3月末を基準として1年半程度へと時間軸を伸ばすと様子が変わってくる。消費税導入時のドル円は、1990年4月までの13カ月間で159円まで約20%程度上昇した。5%への増税時には1998年7月までの16カ月で145円へ約17%上昇。8%へ引き上げた際は、2015年5月までの14カ月で124円まで約20%程度、ドル高/円安が進行した。

いずれも期間にして1年数カ月程度、値幅にして15%─20%程度のドル高/円安という、似たような動きをしている。このロジックを今年10月の消費増税に当てはめると、2020年の年末から2021年初旬にかけて15%─20%程度のドル高/円安となり、足元の1ドル=110円を基準にすれば約130円超という数字が計算できる。

本当にそのようなことが起こり得るのかを検証するために、まずは過去それぞれの増税局面における環境や背景について振り返りたい。

<過去3度の共通点>

まず、消費税が導入された1989年は、1985年のプラザ合意を受けて円高不況に陥った日本経済が、政府の財政出動や日銀の金融緩和などによって反転し、1990年に向けてバブルに突入していく局面だった。導入に至るまでの為替相場の状況は、プラザ合意後、ドルが1985年序盤につけた260円から急落。1988年1月には120円台の史上最安値(円の対ドル史上最高値、当時)を記録したが、その後反転し、1990年に160円へと回復していく過程で消費税が導入されている。

その後、バブル崩壊による資金回帰や内需縮小による貿易黒字拡大、日米貿易摩擦の激化などを受けて、ドル円は1995年にかけて80円割れまで下落し、またも当時の史上最安値を更新した。しかしその後、日本が金融システム不安に陥る中で、米国は強いドル政策を打ち出し、ドル円は反転。1997年の5%への消費増税は、翌1998年に147円台まで反発するまでの上昇過程で実施された。

税率が8%に引き上げられた2014年の状況も、これと似ている。リーマンショックと欧州債務危機によってドル円は2011年に当時の史上最安値である75円台に下落。その後アベノミクスや日銀の異次元緩和などを受けて反発に転じており、2015年に125円台まで反発していく過程で増税が行われている。

いずれも消費増税の数年前にかけて発生した大幅な円高が不況をもたらし、政府の財政出動による財政赤字の拡大が、その後の増税の必要性を高める一方で、日銀の積極的な緩和が円安をもたらした。この結果、増税とその後のドル高/円安がリンクした可能性がある。

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ただ、今年予定する消費増税は、これまでのように、ドル円が史上最安値から反発する局面での実施ではない一方で、日銀による未曽有の金融緩和は続いている。過去の事例のように、環境面からドル高/円安につながるかどうかは微妙なところだ。

<物価上昇による為替影響>

また、消費増税と円安の関係として、よく指摘されるのが消費者物価の上昇だ。国際労働機関(ILO)の国際基準でも消費者物価には消費税負担も含まれるため、消費増税は消費者物価の上昇に直結する。そして物価の上昇は通貨価値の毀損(きそん)と同義だ。これにより円安がもたらされるとの理由は分かりやすい。

実際、消費税導入時には、消費者物価が前年比プラス1%程度から同プラス3%程度に上昇し、これを追いかけるように円安が進んでいる。2度の税率引き上げの際も、消費者物価が上昇。やや時間差を置いて円安が追いかける構図となっている。

加えて、物価が上昇すれば、政策金利から物価上昇率を引くことで求められる実質金利が低下する。実質金利低下も通貨価値下落の理由とされやすく、実際過去3回の増税局面でも、実質金利低下後に円安が進行した。

増税による可処分所得の減少が日本経済に下押し圧力を加えたこと自体も、為替市場では円安圧力につながる。

今回の消費増税では、軽減税率など、悪影響を緩和するための措置の導入が予定されており、過去の例とは違うとの見方もある。しかし、これまでも増税率の違いや、それによる物価上昇率の違いが存在したが、いずれの場合も、相場の動きを振り返れば、前述の通り、1年数カ月かけて20%程度のドル高/円安が進んだ、という事実もある。

今回の消費増税でドル円はこう動く、とズバリ予想することは正直難しい。しかし、背景となる経済環境や実質実効為替レート面での違いも含め、過去の平均をそのまま単純に当てはめた「2020年末から2021年初にかけて130円を超えるドル高/円安」の示顕は正直難しいと考えている。しかし、消費者物価の上昇、実質金利の低下、景気の下押し圧力や日銀の緩和継続などは、一定程度のドル円上昇圧力になるだろう。

ざっくりとした物言いで申し訳ないが、今回の消費増税による消費者物価の押し上げ効果はおおよそ1%程度と、前回増税時の約2%の半分程度になると予想されていることもあり、ドル円の上昇率も約半分の10%程度、現状に当てはめれば1ドル=120円程度を目指す原動力になる可能性は十分にあるのではないかと考えている。

鈴木健吾氏(写真は筆者提供)
*鈴木健吾氏は、みずほ証券・投資情報部のチーフFXストラテジスト。証券会社や銀行で為替関連業務を経験後、約10年におよぶプロップディーラー業務を経て、2012年より現職。https://jp.reuters.com/article/column-suzuki-kengo-20190222-idJPKCN1QB06B
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/269.html

[国際25] ダボス会議が映し出す「ポスト米国」の世界 トランプ大統領が金正恩の落とし穴にはまる ブレグジットで失われる60万もの雇用
ダボス会議が映し出す「ポスト米国」の世界

2019/02/25

岡崎研究所

 1月下旬に開催された今年の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)は、極めて盛り上がりに欠けるものとなった。米国は政府代表団の派遣を中止し、欧州の最重要国である英仏独の首脳からは、レームダック化が進むメルケル独首相しか参加していない。近年大いに注目を浴びてきた中国も、王岐山・国家副主席が出席して当たり障りのない演説をしたに過ぎない。


makasana/artisteer/serikbaib/opolja
 こうした状況は、今日の世界のあり方をよく映し出しているように思われる。ワシントン・ポスト紙コラムニストのザカリアはダボス会議を熟知したジャーナリストであるが、1月24日付け同紙掲載のコラム‘Davos is a microcosm of the world — and the outlook is grim’において、次のような観察を示しており、参考になる。

・米国政府代表団の派遣が取りやめられたのは、トランプと議会の対立が直接の原因だが、米国の世界への関与の弱まりを示唆する。

・欧州は、散漫、分裂、落胆の状況である。英仏独からメルケルしか参加していない。自由民主主義と秩序に基づく国際制度の擁護者が欠席したという印象を受ける。

・従来のリーダーの欠席を穴埋めするような新たなリーダーの出席もなかった。中国は王岐山・国家副主席が出席し、インドはモディ首相が今年予定されている総選挙での苦戦もあり欠席した。

・他方、独裁者が多数出席したわけでもない。国際社会は独裁者を歓迎してはいない。プーチン、エルドアン、サウジのムハンマド皇太子は欠席した。

・多国籍企業の経営者たちは、米中貿易戦争の世界経済、グローバル化の進展への悪影響に懸念を示した。

・今年のダボス会議が示しているのは、ポスト米国の世界である。それは、中国が圧倒する世界でもなく、反米一色の世界でもない。世界が米国の関与を望むべき状況だが、各国は自国の利益追求にばかり汲々としつつ、国際制度の継続的な安定を根拠もなく期待している。

 つまり、ザカリアの観察は、各国でナショナリズムとポピュリズムが台頭する中、最も望まれる米国の世界への関与が縮小し、グローバル化が停滞しているということである。賛成できる見方である。

 振り返ってみると、2017年のダボス会議では、中国の習近平国家主席が自由経済の重要性を説き、米国に替わり中国が自由経済の擁護者となるかのように印象付けようと振る舞った。欧州を中心に一部の西側メディアの間で、中国が自由経済の旗手となったと持ち上げるような論調が見られたのは、トランプ大統領誕生という衝撃を受けてのこととはいえ、滑稽と評すべき事態であった。中国が望んでいるのは、中国主導の中国に都合の良い国際秩序作りである。続いて、昨年は、トランプ大統領が米国第一主義を強く打ち出さず、それまでトランプに否定的だったダボス会議の出席者たちは、トランプへの見方を変えた。当時、ザカリアは、トランプへの期待と評価を示すと同時に、トランプの思考と政策の一貫性のなさから、国際協調的姿勢がすぐに変更される可能性も警告していた。果たして、ザカリアの懸念の通り、トランプは結局米国第一主義を何ら変えていない。中国、米国に立て続けに幻滅させられた結果、今年のダボス会議は、世界の現状を映し出すものに落ち着いたと言えるかもしれない。

トランプに国際社会の指導者としての役割を期待することはできない。現在の欧州の主要国にもグローバル化を牽引する余力は残っていない。既存の国際秩序を維持する強い推進力は見当たらないと言える。その中では、ザカリアは上記コラムで日本について言及していないが、日本はルールに基づく国際秩序の維持に奔走していると評価されるべきであろう。今年のダボス会議には、安倍総理と河野外相が出席した。安倍総理は「『希望が生み出す経済』の新しい時代に向かって」と題する演説を行い、日本が、自由で開かれた、ルールに基づく国際秩序の維持・強化に取り組む決意を改めて表明したほか、世界の主要なメディア関係者、ビジネス関係者たちと精力的に意見交換を行った。なお、世界経済フォーラムのシュワブ会長は、日本を国際社会におけるパートナーとして重視しており、同フォーラムの東京事務所は、日本企業の参加促進に努めている由である。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15400


 
太永浩「トランプ大統領が金正恩の落とし穴にはまる」

2019/02/25

朴承a (在韓ジャーナリスト)

 「金正恩時代に、日本との国交正常化の代価は100億ドル以上になるだろう」。ベトナムのハノイでの米朝首脳会談を1週間後に控えた最近、会談展望についての様々な予測が出ている。国際社会の視線がハノイに集中している微妙な時期に、2016年、韓国に亡命した北朝鮮の太永浩・元駐英公使の記者会見が19日、ソウル外信記者クラブで開かれた。


太永浩氏(AP/AFLO)
 太元公使は、北朝鮮の亡命外交官としては一番地位が高い。亡命前に北朝鮮の駐英国大使館ではナンバーツーだった。昨年、北朝鮮の金正恩政権の内部実相を暴露した『 太永浩証言―3階書記室の暗号』という著書が発刊された。

 北朝鮮の核保有戦略について、自分が北朝鮮の外交官だった時、「金正恩が望んだのは、(国際社会に)"戦争危機論"を訴えて核保有国に行く」という戦略だったと述べた。これを通じて「金正恩は米国と北朝鮮の間で核戦争が起きかねないという懸念を全世界に拡散させるのに成功した」と解釈した。

 こうした北朝鮮の戦略に「17年11月、トランプ米大統領が落とし穴にはまった」とし、トランプ大統領が国連総会で「北朝鮮を完全に破壊できる」と演説したのは、米国としては非常に大きな戦略的失敗だったと、分析した。

 当時国際社会は、「金正恩という核列車と、トランプという核列車、あたかも両核の列車が向かい合って駆けつけるという国際的錯視現象が起きた」とし、北朝鮮と米国の間に戦争の危機はまったく存在しなかったと述べた。

 ところが、米国が金正恩のレトリックによる戦争の可能性に浸り、北朝鮮と米国の間で核戦争が起こる恐れもあるという憂慮を抱かせた」と、これが金正恩が望んだ戦略だったと述べた。

 太氏は、米国はベトナムでの2回目の米朝首脳会談を前に、「非核化交渉にするか、それとも核軍縮交渉にするか」というジレンマに陥っている、との見方を示した。また、北朝鮮は自分たちが持っている核について誰にも放棄するという約束も宣言していないとし、「いまだに米国がベトナム第2回目の首脳会談(実務会談)で、北朝鮮にIAEAとNPTに復帰するように要求しないことが最も憂慮される事案」と、トランプ大統領の対北交渉の姿勢に不満を示した。

 また、「もし今回の会談で北朝鮮の寧辺核施設+aに対する相応措置として、米国が何かを与えてディールをするなら、それは非核化会談ではなく、核軍縮会談に突入することを意味する」とし、結局それは、"トランプ・ドクトリン"に向かっている証拠だと述べた。トランプ・ドクトリンとは、「北朝鮮の米国に対する核脅威は米国がなくしてしまう。ところが、韓国に対する北朝鮮の核の脅威は、韓国と北朝鮮が自ら解決するというのがトランプ・ドクトリンの中核だ」と定義した。

トランプ大統領に対する"適合型(テーラーメード)外交政策"
 「(北朝鮮は)トランプ任期内には寧辺核施設を検証し、廃棄できないことは承知している」と述べた。また、北朝鮮はすでに核兵器を製造できる核物質を十分に生産していたため、過去の核である寧辺の核施設を廃棄するという話は、すでに廃棄された自動車をペンキ塗りして、米国に売り飛ばすものと相違ない。いま、北朝鮮の外交は、トランプ大統領に照準を合わせ、トランプ大統領に対する"適合型(テーラーメード)外交政策"に進んでいる、と説明した。

 北朝鮮が果たして核を放棄するかどうかについて「北朝鮮にとって核兵器は北朝鮮が持っているすべてのものの集約体だと言える。核兵器は、体制を結束させる求心の役割、韓国との体制対決で、北朝鮮が劣勢に置かれている状況を正当化できる説得力のある論拠になるだろう」と、述べた。また「北朝鮮は数兆ドルを与えられても、金正恩体制が存在する限り核兵器を絶対にあきらめない」と見通した。

 さらに、金正恩がハノイで実際に狙うのは、中国からの制裁解除だ。金正恩は、開城工業団地と金鋼山観光再開を突破口として、数十億ドルの中国との貿易関係を正常化させようとしている。(国連など国際社会が)石炭のような主要輸出物資を塞いでいるため、北朝鮮の基幹企業と軍隊、大きな企業が危機状況に追い込まれている。制裁が続けば北朝鮮の基幹企業(公企業)は死んでいき、逆に個人が運営する私企業と資本主義的な要素はさらに活性化する現象が生じるだろう、とし、北朝鮮に対する経済制裁は続けるべき必要性を強調した。

 太氏は、米国が北朝鮮の完全な非核化よりは、米国まで飛ばされる大陸間弾道ミサイル(ICBM)を廃棄するのにとどまるのではないかという懸念を意識したのか、「米国は北朝鮮がICBMをどれだけ持っているのか正確な情報がない。北朝鮮はICBMの一部を廃棄する振りを見せるだろう。北朝鮮はICBMをすべて廃棄し、米国に対する北朝鮮の危険がなくなるというショーをしようというロードマップを用意した」とし、ICBMの廃棄についても懐疑的に展望した。

 金正恩委員長が、今回のベトナム米朝首脳会談で、望むことが得られなかった時、その次の手は何か、という問いに太氏は、「それは核の伝播」(核技術の移転だ)と断言した。「核技術を買うという購入者がいるのに、この道に進むしかないと米国に脅迫するだろう」と言った。北朝鮮はすでにこのような脅迫を数十回も使った。以前、自分がスウェーデンでの会談に参加した際、イスラエルが北朝鮮に10億ドルを与えなければ、北朝鮮の核技術を中東国家に輸出できると米国に脅迫した事実があると証言した。

 北朝鮮の内部情勢について「2月8日、北朝鮮では空軍節(記念日)の行事があったが、北朝鮮軍3人の首長、総政治局長と人民武力部長、総参謀長がいずれも新しい人に変わった」。1年間に北朝鮮軍の中枢の首長がすべて変わったといい、金正恩が、「周囲でかなり不安を感じていることを意味する」と解釈した。

拉致問題の解決には、経済的な補償がないと乗り出さない
 太氏は、日本人拉致被害者問題に対する質問に、「拉致問題の解決において、北朝鮮は現金のような経済的な補償がなくては、拉致問題の解決に積極的に乗り出さないだろう。以前は、国交正常化の代価(賠償)として100億ドル程度を考えたが、金正恩時代には100億ドル以上の経済援助を受けてこそ、国交正常化まで進むと思う」と、見通した。

 文在寅大統領の「トランプ大統領は十分にノーベル平和賞を受賞する資格がある」ということについて、太氏は、「 ノーベル平和賞についての話は北朝鮮の核の脅威が完全に消えた時、論議されなければならないと思う。核がある状態でノーベル平和賞の受賞は、ノーベル賞の真の平和の原則に合わないと思う」と否定的な考えを示した。

 北朝鮮の駐イタリアチョ・ソンギル元大使代理の亡命の件について、太氏は、チョ大使代理が脱北の過程で娘を連れて脱出できず、北朝鮮はその子どもを直ちに北朝鮮に(強制)送還した。平壌にいる友人から、チョ・ソンギルの娘が北朝鮮に送還され、現在、北朝鮮当局が管理しているという事実を確認した。このような状況の中、チョ・ソンギルは娘の身辺安全のため、自分の居所を公開したり、公開的な活動ができない状況に置かれている、同じ大学出身で、外務省の同僚だったチョ大使代理の消息を伝えた。

 このような状況を知る前は、チョ・ソンギルに「韓国入りしろ」と要請し続けたが。いまは、そのような要請はできない。なぜなら、脱北した外交官が韓国に亡命するのと、米国や欧州に亡命するのとは、北朝鮮に残っている子どもやその家族に対する処罰のレベルが全く異なるためだと、いままでと違った、静かなトーンで語った。チョ大使代理の娘は17歳の高校生で障害者と知られ、大使館員が脱出を防いだという。

 最後に金正恩は、開城工業団地と金剛山観光が再開されれば、板門店宣言(南北会談)1周年になる4月27日を期して、韓国を訪問する可能性が高いと見通した。太氏は記者会見中、終始一貫して北朝鮮の故・金日成主席や金正日総書記、金正恩委員長に対する呼称はすべて呼び捨てにした。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15438

 
「ブレグジット」で失われる60万もの雇用

2019/02/24

中西 享 (経済ジャーナリスト)


(Tanaonte/gettyimages)
 英国が欧州連合(EU)からの離脱を通知してから2年経つ交渉期限が3月29日に迫る中、ジェトロはこの問題の最新情勢についてロンドンとブラッセルからの現地報告に基づくセミナーを22日に開催した。

 井上博雄ブラッセル事務所長は「英国とEUの交渉は相互不信に陥り、危機的状況にある。期限までに合意できる可能性は小さく、現地の日系企業は『合意なき離脱』により生ずるリスクに備えるべきだ」との見方を明らかにした。

 また中原廣道ロンドン産業調査員は「英国とEUの交渉は北アイルランドの国境管理問題(バックストップ)で対立し、先行きの不透明感が強まっている。英国は『合意な離脱』になった場合に備えるガイダンスも公表、物流、通関、金融分野などへの影響が心配されている。英国側だけでなくドイツやフランスなどEU側も雇用面の影響を警戒、ドイツのハレ経済研究所は『合意なき離脱』が起きると、ドイツで約10万3000人、フランスで約5万人を含む世界全体で約60万人が失職する恐れがあると公表している」と指摘した。

多い不確定要因
 ブレグジットをめぐっては、1月15日に英国下院がメイ首相の提案した離脱協定案を大差で否決した。29日には下院が協定案についての新方針を採決した。しかし、メイ首相が率いる保守党や最大野党の労働党の双方から離反者が出て中道グループを結成するなど、首相を取り巻く政治情勢は厳しさを増している。

 「合意ある離脱」にするためには、離脱協定案を欧州議会で審議し同意の手続きが必要なほか、EU27カ国審議、EU理事会での承認手続きが必要で、これらの合意を取り付けるのは簡単ではないとみられている。もともと、EU側は英国が勝手に離脱を選択したのだから、交渉を自国に有利に運ぼうとしても無理があるとの見方が強く、最終的に「合意ある離脱」に到達できるかどうか、多くの不確定要因がある。

 「合意ある離脱」で交渉がまとまれば、移行期間などが設けられるため、英国に進出している企業も準備期間ができるため、ある程度は余裕を持った対応が可能だが、「合意なき離脱」になると、いきなり関税が掛けられたりして輸出する上で不利益を被ることになる。

ホンダ撤退の衝撃
 英国に進出した企業の中で大きな影響を受けると見られていた自動車業界の中で、ホンダが20日に英国からの生産を2021年中に終了すると発表して衝撃が走った。ホンダは生産の撤退は英国の離脱問題とは関係なく、生産能力の縮小と世界にある工場の稼働率の向上のためだとしているが、自動車メーカーが英国からの生産終了を決めたのは初めてで、主要工場の撤退は失業につながるため、動揺が広がっている。

 自動車業界では、「合意なき離脱」になると、英国からEUに自動車を輸出すると10%の関税がかけられることになり、コストが上昇して競争力を大幅に落としてしまう。こうした事態を先読みして、ドイツBMWが小型車「ミニ」を生産する英国のオックスフォード工場からオランダに一部移管するほか、日産は英国の工場で予定にしていたスポーツ多目的車(SUV)の生産を撤回すると発表するなど、自動車メーカーでは「合意なき離脱」の備えての対応が表面化している。

 仮に英国とEUとの交渉がまとまらず、「合意なき離脱」が現実になると、企業の「英国離れ」は一気に加速するものとみられ、企業のグローバル戦略にも大きな影響を与えることは必至とみられる。

在庫の積み増し
 英国では17年には198万台の自動車を生産、輸出比率は79%もあり、EUへの輸出が53.9%(同年)を占めている。このほか、米国、中国オーストラリアなど約160カ国に輸出している。産業従事者は85万6000人いる主要産業だけに、EUへ輸出する自動車に関税が掛けられるとその影響は大きい。同年の生産台数上位のモデルは、1位が日産の「キャッシュカイ」が34万6000台、2位がBMWに「ミニ」が21万8000台、3位がホンダ「シビック」が12万2000台、4位がトヨタ「オーリス」が10万4000台の順だ。

 井上所長は企業が取るべき対策として「『合意なき離脱』に備えて緊急プランを早急に作成すべきだ。具体的には在庫の積み増し、さらには倉庫を借りて在庫を積み増す企業も出ている。長期的な視点としては、サプライチェーン(部品調達網)の組み替えや生産拠点の移転などが考えられるが、どこまでやるか経営判断としては悩ましい」と指摘した。英国には17年10月現在、日系企業が986社進出、自動車など製造業がEUへのゲートウエイという位置づけで拠点を設けている。

3〜4カ月期限延長も
 日本政府は「合意なき離脱」は避けたいため、安倍首相が1月10日にメイ首相と会談した際には、「合意なき離脱」による混乱を回避し、日系企業などへの打撃を最小限にとどめるよう対策を取るよう要請した。

 井上所長は個人的な見解として「交渉期限の3月29日が3〜4カ月延期される可能性はあるのではないか。5月末には欧州議会の選挙があるので、選挙後の最初に審議日程(7月)までは延長できるかもしれない。しかし、その合意を得るためには延長して得るものがないと前に進まない」と述べた。ここにきて、EU内部からも「合意なき離脱」が現実になると、大きな混乱がEU側にも起きることを警戒しており、超党派で交渉期限の延長を容認する声も出てきている。

 ブレグジットが英国経済に与える影響について、英国政府は「合意なき離脱」になった場合は、GDP(国内総生産)が最大9.3%落ち込むと予測、今の政府案が承認された場合は3.9%の落ち込みになるとはじいている。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15456
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/508.html

[経世済民131] 米国主導の「ファーウェイ包囲網」から距離置く英国の矜持 米国思わぬ誤算インドでは必要 賢いマネーと愚かなマネー通説誤り 
米国主導の「ファーウェイ包囲網」から距離置く英国の矜持

広岡 延隆
上海支局長
2019年2月25日
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全1593文字
 英フィナンシャル・タイムズなどの報道によると、英国の国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)は、中国の華為技術(ファーウェイ)製品を次世代通信規格「5G」に採用した場合のリスクは抑制できると結論付けた。

 米国、英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドは「ファイブアイズ」と呼ぶ国家機密情報の共有網を構成しており、カナダは米国の要請に応じて孟晩舟CFO(最高財務責任者)を逮捕し、米国に身柄を引き渡している。米国による「ファーウェイ排除」の呼びかけにニュージーランドやオーストラリアなども賛同、日本も事実上、追随する動きを見せている。そんな中で、ファイブアイズの中核をなす英国が米国主導の包囲網とは一定の距離を置く結論を出したことが波紋を呼んでいる。

 EU(欧州連合)からの「合意なき離脱」という厳しい現実が迫っているタイミングを考えれば、欧州に加えて中国とまで対立が深まるのを避けたいとの考えがあったのかもしれない。しかし、米国との関係が悪化するリスクも抱えることになる。5Gの通信設備の調達先を複数確保したいという思惑もあっただろう。ただ言えるのは、少なくとも英国による分析では排除するまでのリスクは見出せなかったということだろう。

 冷静に考えると、英国の判断が驚きをもって受け止められるという状況自体が、奇妙ではある。本来、西側諸国の価値観では、「証拠も示さずに排除するのはおかしい」というファーウェイの主張を覆すことはできないはずだ。国家安全保障に関わることについて全てを説明することはできない、するべきではないという反論もあるだろうが、極めて慎重に使用すべきロジックだと思う。イラク戦争では「イラクは大量破壊兵器を隠し持っている」との米国の主張が誤りだったことが後に分かっている。

 今年1月、ファーウェイの「サイバーセキュリティーラボ」を訪問し、CEO(最高経営責任者)の任正非氏に加えて、サイバーセキュリティーとプライバシー保護の最高責任者であるジョン・サフォーク氏に取材した。製品について社内の他の組織から独立してセキュリティーチェックを実施し、ソフトの変更についても全て正確に管理しているとの説明を受けた。同社製通信機器について通信事業者が自ら技術検証を実施する施設も用意していた。


ファーウェイの「サイバーセキュリティーラボ」
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 経営トップから社員まで、一様に外部の目を受け入れるオープンな姿勢を強調していたことは印象に残った。もちろん取材を受け入れた背景を考えれば、それを鵜呑みにすることは難しい。もはやファーウェイにかけられている嫌疑を晴らすことは、ファーウェイ自身の力だけでは難しいだろう。

 結局のところファーウェイへの批判は、中国という事実上の共産党一党独裁体制下の企業であるという一点に収斂するからだ。国際的に非難されるウイグル族への弾圧や言論統制など、中国政府の施策には理解し難いものもある。

 ただし、国家が方針として特定の民間企業の製品を排除する決断を下すには、感情ではなく証拠や法律に基づかなければならない。ファーウェイは危険で、ファーウェイ以外のメーカーにはなぜリスクがないと言えるのかを説明するのは難しいだろう。

 問題の本質は、これだけ重要度が高まった通信インフラを支える機器について、安全性を検証する十分な体制を構築して来なかったことにあるのではないか。日進月歩の世界ゆえの難しさはあるだろうが、そこから目を背けて民主主義や法治といった基本ルールを曲げれば、危険な先例となりかねない。

 例えば開発プロセスから完成品、アップデートなどのサービス運営体制などのチェック体制を法制度も含めて整え、それに応えられない企業からは調達しないといった枠組みは必要だろう。少なくとも、実際に製品を検証して科学的に判断するという、英国の態度は見習ってもいい。


コメント13件
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「エビデンスなしに」決めつけないのが英国の矜持なら、データ送信の事実が確認され次第排除する、とも読めますが、そうはならないですよね。
矜持どころかEU離脱の行方がどうなるか分からない中で可能なカネづるは掴んでおこう、という生き抜くために形振り構わない姿でしょう。国家としてはやむを得ないとは思いますが。
どちらかというと中国と政商レベルで癒着してると言えるほど密接している独国の対応の方が気にかかりますけどね。
2019/02/25 12:37:094返信いいね!


ene

この記事の本質は、エビデンスを作るために何が必要か?または必要だから考えよう?ではないのでしょうか。
国別の思惑はそれぞれの言い分ですので取り様もいろいろ。この目利きの仕組みを持てる国が日本になれば良いのですが、なれそうもないですね。

2019/02/25 13:23:411返信いいね!


47

輸出産業の工場労働者や外国人労働者を排除する為に、工場を閉め出してまでも自主独立を目指す英国独自の判断であり、米国の言いなりになるしかない日本との違いが垣間見える。
自分たちの意思だけで決められない敗戦国とは違う国民性を見るような気がする。

2019/02/25 15:20:332返信いいね!


Y Ohki

オーナー

広域に設置される末端部のブラックボックスの管理を十分すれば、理屈上、可能であるが、企業の支配を国家が指導するという以上、いつでもブラックボックスを変えられる恐怖と戦えるか危うい、原爆のMADのように相手国にアッタクできる代替技術が必要。
2019/02/25 17:28:04返信いいね!


GK2

一般

米国と比べて特段アドバンテージがあるわけでもなく、反面、リスクや懸念は多数ある。そんな状況で、わざわざ中国製品を選ぶ必要がどこにあるのか、どなたか納得のいく解説をしていただけないものかと。

リスクはない!懸念はない!と言い張る例は見かけましたが。
2019/02/25 17:42:46

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00019/022100023/


ファーウェイ包囲網、米国の思わぬ誤算

By
Newley Purnell, Rajesh Roy and Dustin Volz

ネット経済が爆発的に伸びるインドではファーウェイの安さと技術力が必要とされている

2019 年 2 月 22 日 14:42 JST
 【ニューデリー】中国の華為技術(ファーウェイ)を締め出すための包囲網を世界的に広げる米国が、意外な障害にぶつかっている。世界最大の民主主義国インドだ。
 米国はインドに対し、通信網のアップグレードにファーウェイの機器を使えばサイバーセキュリティーに重大な脅威を及ぼすと警告している。しかし複数の政府当局者や業界幹部によると、今のところインドの政策担当者や通信会社はほとんど耳を傾けていない。ファーウェイが提供する割安な価格や高い技術力はそうしたリスクを上回るとの主張が多いからだ。
 インド携帯電話事業者協会のラジャン・マシューズ事務局長は「ここでは、米国の措置はどちらかというと外交政策の問題だと受け止められている」と述べた。
 こうした懐疑的な見方は広範にわたっているため、ファーウェイによる次世代通信規格「5G」制覇を阻止しようとする米国の戦いで、インドが想定外の戦場と化しつつある。アナリストらによると、米国は態度を決めていない国に対する中国の影響力を排除しようとしているが、その成否はインドが選ぶ方向で決まる可能性がある。インドの5G展開はまだ初期段階だが、同国は急成長が見込まれる重要な市場だからだ。多くの当局者はこれまで、インドは長らく中国とライバル関係にあるため米国側にとどまると考えていた。

https://si.wsj.net/public/resources/images/B3-DF749_190222_NS_20190221215932.png
 関係者らによると、米国などの当局者はインドや他国に対し、ファーウェイは中国共産党の要求に従うほかないためスパイ行為などの道具になりかねないと説明している。
 そうした働きかけに水を差したのが今週のドイツ当局者らの発言だ。ドイツ政府は5Gインフラ網整備入札でファーウェイの参加を認める方向に傾いているという。
 事情に詳しいインドの高官によると、同国内務省は今月、首相府や国家安全保障当局の責任者などにあてた文書で、米当局者らがインドにおけるファーウェイの伸長に懸念を表明していると述べた。
 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が同文書の一部を確認したところ、「米側が懸念している」との記述があった。
 在ニューデリー米大使館の報道官はコメント要請に回答しなかった。

ニューデリーで2018年開催されたモバイル見本市では世界中から5G関連技術が出展された PHOTO: RAJA T GUPTA/EPA-EFE/REX/SHUTTERSTOCK
 ファーウェイはこれまで、企業スパイ活動への関与を一貫して否定。自社機器が監視ツールとして兵器化されたことを示す公の証拠を提供するよう米国に訴えている。
 米国にとってアジアの主要同盟国の1つであるフィリピンでは、ファーウェイ製品を使った4億ドル(約443億円)の監視カメラ導入計画に議員が抵抗し、今月初旬に成立した年間予算に条項を盛り込んで計画への歳出を阻止した。
 だがインドでは、ファーウェイを阻止するそうした動きは見られない。13億人の人口を擁する同国では、近年インターネット経済が爆発的に伸びている。数億人の消費者が2G、3G、4Gネットワーク対応の安価なスマートフォンを使い、続々とオンラインに接続しているのだ。

https://si.wsj.net/public/resources/images/B3-DF750_190222_NS_20190221220028.png

 インド政府が1月に発表したリポートによると、携帯電話会社はユーザー1人当たりの平均売上高が世界最小の部類に入るにもかかわらず、5Gインフラ構築のため今後5〜7年に1000億ドルを支出する見通しだ。
 一方、米ニューストリート・リサーチのスペンサー・カーン氏は、インドで同期間に使われる金額は300億ドル程度になりそうだとしている。
 いずれによせ、そうした巨額支出が控える携帯電話各社はできるだけコストを抑える必要がある。インドでは今年夏に5Gの新しい周波数帯の入札が見込まれており、来年にも5G展開が始まる可能性がある。
 5G開発をリードしようとするファーウェイの動きは、昨年3月にインド南部の港町チェンナイの5つ星ホテルで見られた。5Gの規格を打ち出すための業界会合に、韓国サムスン電子を除くどの競合他社よりも多い40人を送り込んだのだ。

13億人の人口を擁する同国では近年インターネット経済が爆発的に伸びている PHOTO: XAVIER GALIANA/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
 インドは中国への警戒心を解いていないが、競争の激しいインド通信業界の企業はファーウェイが提示する魅力的な契約を必要としており、安全保障を巡る米国の懸念が行き過ぎだと考えている。
 事情を良く知るインド政府のある高官によると、同国には5Gの恩恵を手にするため迅速に動きたい意向があり、米国からの「圧力に従うのではなく、われわれの条件で」ベンダーを選ぶ方針だ。
 機器サプライヤーが携帯電話会社との通信テストに参加するにはインド政府の正式な承認が必要だ。ファーウェイはそうした承認を待っている。
 同高官は「ファーウェイは現在、5Gで最先端にいるため無視できない」とし、「全ての技術にはセキュリティーの懸念やぜい弱性があるのだから、ファーウェイのみを名指しするのは正しくない」と述べた。

ファーウェイが今年発表した5Gモデムチップセット「Balong 5000」 PHOTO: ANDY WONG/ASSOCIATED PRESS
 インドの通信業界は輸入機器への依存度が非常に高い。その比率は現在稼働している装置の90%に上る。つまり、ファーウェイの技術にとっては肥沃(ひよく)な土壌だ。スマホ同士、いずれは5G実用化によって自動車同士などの接続を可能にする機器に対しては今後、巨額な資金が費やされることが見込まれる。
 調査会社デローログループによると、インドの通信機器市場でファーウェイのシェアは15〜20%だ。同社の広報担当者は「世界平均に比べると、インドではファーウェイの立場は弱い」と述べた。
 インドなどの途上国にとっては特に、選択を迫る米国の圧力は強いジレンマとなっている。今まさに通信インフラのアップグレードに着手しているからだ。そうした国にとってファーウェイは、質の高いハードウエアを競争力の高い価格で提供する貴重なサプライヤーになり得る存在だ。そのため米国の要求に屈して同社を避ければ、技術面で後れを取るか、より高い金額を出して中国製以外の装置を使うことになりかねない。

中国の習近平国家主席とファーウェイの任正非CEO(2015年10月) PHOTO: POOL NEW/REUTERS
 まだ数億人がネットに接続していないインドでは、アマゾン・ドット・コムやウォルマートをはじめとする米国の大企業が将来を見越して多額の資金を投資している。
 オバマ前米政権で国務省の当局者だったクリス・ペインター氏によると、米国は当時、インドとの協力をサイバーセキュリティー戦略の最優先課題の1つに位置付けていた。サイバーセキュリティーに関する合意に向けて国務省や国土安全保障省(DHS)、ホワイトハウスを通じてインド側と対話し、情報共有を含む広範な枠組みを協議していたという。
 ペインター氏によれば、当時の会話ではファーウェイは大きな関心を集めてはいなかった。ただ、民間企業から知的財産を盗もうとする中国政府の執拗(しつよう)なサイバー攻撃に対する米国の警戒感は、インド側も共有していたという。
 ただ、懸念は共有していながらも、インドは「独立しており、米国が望むことをただ実行する訳ではない」とペインター氏は語る。「彼らは明らかに我々とは異なる優先事項を多く持ち、歴史も違う」
 インド陸軍は、慎重な対応が求められる中国との国境地帯の一部でも中国製通信機器を使っている。しかし、政府は軍内部のネットワークを中国製の装置から遮断することに万全を期していると当局者は話す。
 かつてインド内相を務めていたG・K・ピライ氏はこう語る。「インドは年を追ってかなり著しく米国寄りにはなったが、反中国家という訳ではない」

2018年9月に北京で開催された見本市でのファーウェイのブース PHOTO: MARK SCHIEFELBEIN/ASSOCIATED PRESS
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• 【寄稿】5Gの未来とファーウェイの脅威
• ファーウェイはなぜ大問題なのか、早わかりQ&A
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https://jp.wsj.com/articles/SB10039284450484833869604585138973570460964

賢いマネーと愚かなマネー、投資の通説に誤り
By Jason Zweig
2019 年 2 月 25 日 12:55 JST 更新
――筆者のジェイソン・ツヴァイクはWSJパーソナル・ファイナンス担当コラムニスト

***

 プロの投資家は「スマートマネー(賢い資金)」で、個人投資家は「ダムマネー(愚かな資金)」――。金融業界は以前からそう主張しているが、皮肉なことにこれほど金になる宣伝攻勢は歴史を振り返ってもそう多くない。何十億ドルもの手数料は、決して賢い人々の元に流れ込んでいたわけではなかった、ということが分かったのだから。

 個人投資家は金融業界が言うほどの世間知らずでは決してない。これは賢い資金と...

https://jp.wsj.com/articles/SB11166242290339733756804585144803131113856


 


 

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/272.html

[国際25] ベネズエラ野党、軍事介入の検討を各国に要求 ベネズエラ、支援物資搬入を阻止 兵士に離反の動き 治安部隊から亡命申請相次ぐ
ベネズエラ野党、軍事介入の検討を各国に要求


ベネズエラとブラジルとの国境付近で投石する抗議活動参加者(24日)

By Ryan Dube
2019 年 2 月 25 日 07:52 JST

 ベネズエラの野党勢力指導者らが国際社会に対し、ニコラス・マドゥロ大統領率いる政権に対抗するため軍事介入を検討するよう求めた。

 野党連合のフリオ・ボルヘス議員は24日、コロンビアの首都ボゴタで25日に開かれる会合で、マドゥロ氏への対抗措置を強化する案を示すとした。

ベネズエラ国境で軍と市民衝突、騒然とする現場
 ベネズエラで人道支援物資の搬入阻止を試みるニコラス・マドゥロ大統領が国境を閉鎖し、抗議した市民と軍が衝突した。支援物資は欧米の後押しを受けている野党指導者フアン・グアイド国会議長が要請し、米国が同国に送ったもの。

 会合には、米国など50カ国以上の政府からベネズエラ大統領として承認されている野党指導者のフアン・グアイド国会議長をはじめ、マイク・ペンス米副大統領や周辺国の代表が出席する。

 ボルヘス氏は「外交的圧力を高めることや、ニコラス・マドゥロの独裁体制に抵抗するため武力の行使を求める予定だ」とした。

 ベネズエラでは23日、野党支持者らがコロンビアとブラジルから支援物資を搬入しようと試みたが、政府やマドゥロ政権を支持する勢力と国境付近で衝突し、死傷者が出た。

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【社説】ベネズエラの反乱と民主主義の再生
ベネズエラ政権転覆狙う米国、次の矛先はキューバ

Supporters of Venezuelan opposition leader Juan Guaido hit the streets in Caracas on Saturday supporting his call for humanitarian aid to be let into the country.

Tensions flare as opponents of Venezuelan President Nicolas Maduro attempt to deliver aid through a heavily armed blockade.

At Simon Bolivar Bridge, which links Colombia and Venezuela, demonstrators trying to help humanitarian aid across the border into Venezuela are repelled by government forces.

Simon Bolivar Bridge is one of three border crossings between Colombia and Venezuela where clashes erupted Saturday protesters and Venezuelan security forces.

Dozens have been injured as clashes continue between protesters and security forces.

Antigovernment demonstrators hurl rocks at government forces on the bridge.

Venezuelan security forces use tear gas to push back protesters from the border crossing.

An injured protester is carried away.

Protesters gathering near Simon Bolivar Bridge linking Colombia and Venezuela.

Thousands of antigovernment protesters tried to cross the border Saturday into Venezuela from Colombia.

A protester arms himself with rocks.

A man bearing Venezuela’s flag near Simon Bolivar Bridge.

Antigovernment protesters trying to sway Venezuelan security forces blocking the border bridge.

In the end, humanitarian aid wielded by the opposition didn’t get through Saturday into Venezuela.

A bus targeted by demonstrators burns as security forces take position in Urena, Venezuela.

Demonstrators carry a crucifix while clashing with security forces in Urena.

Venezuela’s National Guard protect themselves with riot gear as some fired tear gas on residents clearing a barricaded border bridge between Venezuela and Colombia on Saturday.

National Guard troops man a barricade blocking access to the Francisco De Paula Santander international bridge in Urena, Venezuela, on the border with Colombia, on Saturday.

Tensions flare as opponents of Venezuelan President Nicolas Maduro attempt to deliver aid through a heavily armed blockade.OSCAR B.CASTILLO FOR THE WALL STREET JOURNAL
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https://jp.wsj.com/articles/SB11166242290339733756804585144700573650716


 


 
ベネズエラ、支援物資搬入を阻止 兵士に離反の動きも
2019.02.25 Mon posted at 11:22 JST

治安部隊員と対峙する女性=23日、ベネズエラ・ウレニャ/Rodrigo Abd/AP
写真特集:政情不安のベネズエラ
治安部隊員と対峙する女性=23日、ベネズエラ・ウレニャ/Rodrigo Abd/AP

治安部隊員と対峙する女性=23日、ベネズエラ・ウレニャ
支援物資を運ぶトラックの横に立つ反体制派のグアイド氏=23日
ベネズエラ軍兵士と衝突するデモ参加者=23日、コロンビア・ククタ
マドゥロ大統領支持者による集会が首都カラカスで開かれた=23日
出火したバスを押すデモ参加者=23日、ベネズエラ・ウレニャ
政権支持派によるデモ行進で国旗を掲げるマドゥロ大統領=23日、首都カラカス
出火した車両から支援物資を運び出す人々=23日
路上を埋め尽くした反体制派の人々=12日、首都カラカス
野党指導者のグアイド国会議長は、ベネズエラ暫定大統領への就任を宣言した
ベネズエラ国旗を身にまとった男性
路上で抗議デモを行う人々=2日
支持者の声援にこたえるグアイド国会議長=2日
ベネズエラ国旗をあしらった眼鏡を身に着けた反政府デモの参加者=2日
反政府デモの様子=2日、首都カラカス
首都カラカスで行われたデモ
マドゥロ大統領支持者による集会=2日、首都カラカス
反体制派の抗議デモの様子=1月30日
グアイド国会議長の集会で「正義」のプラカードを掲げる人たち=1月26日
政権支持者による集会=1月26日
ベネズエラ国旗をみにまとって治安部隊と対峙する男性=1月23日、首都カラカス
マドゥロ政権に抗議する人々=1月23日
現場の安全確保を行う警官=1月23日
ゴム弾を発射する経験
手をあげてグアイド氏との団結を示すデモ参加者
デモ隊と衝突する治安部隊
傷跡をみせるデモの参加者=1月23日
焼かれたバスの横を歩く男性=首都カラカス
催涙ガスから逃げるデモ参加者=1月23日
歓迎を受けるグアイド氏=1月23日
催涙弾を発射する警官
警官と対峙するデモ参加者
抗議デモの際に投げ捨てられたベネズエラの紙幣=1月23日
(CNN) 南米ベネズエラへの支援物資搬入を巡り、隣国コロンビアとの国境地帯で衝突が激化している。

ベネズエラでは食糧や医薬品不足の深刻化が伝えられ、自らベネズエラ暫定大統領になると宣言した野党指導者グアイド国会議長の呼びかけで、支援物資がベネズエラへ向けて輸送されていた。

マドゥロ大統領は、ベネズエラに人道危機は存在しないと強調、米国が援助を利用してクーデターを起こさせようと画策していると主張している。

コロンビアの通関当局は24日、ベネズエラ治安部隊の兵士ら104人が離反してコロンビアに入国したと伝えた。マドゥロ大統領の軍に対する統制が揺らぎつつある兆しとも受け止められる。

支援物資を積んだトラックは23日、ほとんどの地点で阻止された。目撃者は、コロンビアから国境を越えてベネズエラに入ろうとしたトラック2台が炎上したと証言している。

グアイド氏を支持する国会議員はCNNの取材に対し、ベネズエラ治安部隊との衝突で23日に少なくとも5人が死亡したと語った。

デモ隊に向けて催涙ガス弾を投げる治安部隊/Fernando Llano/AP
デモ隊に向けて催涙ガス弾を投げる治安部隊/Fernando Llano/AP
ミチェル・バチェレ国連人権高等弁務官は、22〜23日にかけて4人が死亡、300人が負傷したと述べ、「ベネズエラ政府は武器を持たないデモ参加者や一般市民に対する過剰な武力行使をやめなければならない」と訴えた。

25日には米国のペンス副大統領がコロンビアを訪れ、中南米諸国で構成する「リマ・グループ」の会議に出席する。ホワイトハウスによると、ペンス副大統領はグアイド氏に対する米国の揺るぎない支持を表明し、ベネズエラ国民が民主主義のために戦っていると強調する意向。

ホワイトハウスは23日、ペンス副大統領がコロンビアの首都ボゴタで25日にグアイド氏と会談すると発表した。

コロンビア外務相によると、23日にはコロンビアとの国境付近でベネズエラ国家警備隊がデモ参加者に催涙ガスやゴム弾を浴びせ、285人が負傷した。このうち37人は入院したという。


ベネズエラ
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子どもはごみあさり、兵士の不満増大 政治の影に隠れたベネズエラ国民の窮状
2019.01.29 Tue posted at 16:55 JST

政変続くベネズエラ、国民の窮状

ベネズエラ・カラカス(CNN) 大統領に退陣を迫る声が強まり、政情不安に陥っている南米ベネズエラ。首都カラカス周辺を車で走ると、焼け落ちた警察署や横転した車、パンを求める人たちの行列、煙を上げるゴミ箱が目に入る。

この地域に住む貧困層の住民は、マドゥロ大統領の支持基盤だった。しかし今では毎晩のように住民が警察と衝突し、CNN取材班は武装した部隊が民家を急襲して住民を連行する現場も目撃した。

マドゥロ政権に対する抗議デモにはこの1週間で数十万人が参加した。野党指導者のフアン・グアイド氏は、自身が大統領だと宣言。米英や中南米諸国の支持を取り付け、選挙のやり直しを求めている。

地元住民の1人は、「もうこれ以上持ちこたえられない。私たちは押しつぶされている。私たちは物乞いになった。これは政治ではなく、生存問題だ。みんなが1キロのコメや小麦粉や水を求めて互いに殺し合っている」とつぶやいた。

ベネズエラを巡っては米国、ロシア、中国などの駆け引きが続く。しかし国民が危機感を抱くのは、南米の社会主義の行方でも、冷戦時代の地政学でもなく、差し迫った飢えの問題だ。

長年のインフレや経済破綻(はたん)の影響で、国民は2017年の平均で11キロ体重が減った。かつては南米で有数の産油国として潤ったベネズエラだが、今はスーパーマーケットに行っても卵やパンは見当たらず、水とナッツ、チーズ、ハム、果物だけで200米ドル(約2万2000円)の値段がつく。

食料不足が原因で、1カ月足らずの間に食品はさらに値上がりする見通しだ。通貨ボリバルの価値が下がり続ける中で、値段が2倍になる可能性もある。国際通貨基金(IMF)の予測によると、2019年のハイパーインフレは1000万パーセントに達する見通しで、ほとんどの日用品は手が届かなくなる。

国境を越えて周辺国へ流入する人は後を絶たず、既に300万人以上が南米の各国へ流入。国連の推計では今年も200万人がベネズエラを脱出する見通しだ。

隣国コロンビアに入ったベネズエラ人は、清掃などの仕事をしたり、物乞いをしたり、風俗産業で働く人もいる。

カラカス市内では子どもたちが道路でごみをあさっていた。5〜6人の集団の中にいた14歳の少女は、家族の食事の足しとするために、「落ちているものを拾ったり、物乞いをしたり、1片のチキンの皮を家に持ち帰る」と話した。

年上の少年2人はプラスチックのナイフで自衛の練習をしていた。「兄弟が去年7月、ギャングに殺された」「突然姿を消して、川の中で遺体が見つかった」と少女は言う。

1人の子どもは、棒切れをライフル銃のように構えて「マドゥロ!」と叫び、「お腹が空いた」と大声を出した後、激しくせき込んだ。

グアイド氏らは軍に対して蜂起を呼びかけているが、軍の上層部のマドゥロ大統領に対する忠誠は揺らいでいない。

しかし匿名で取材に応じた兵士によると、兵卒の間では不満が募りつつある。「軍の約80%は反政府だ」「一部の州では兵士がデモに参加し始めている。だからもし、国際的な支援があれば、もっと大きくなる」。ただし指導部の命令がないまま軍が蜂起するかどうかは疑問だとも言い添えた。

デモ参加者への発砲を命じられたら従うかという質問に対し、この兵士は「そうするくらいならやめる」と言い、「その相手は自分の兄弟かもしれないし、母親かもしれない」と話した。
https://www.cnn.co.jp/world/35131943-3.html


 

 

ベネズエラ治安部隊から亡命申請相次ぐ 120人以上
 

ククタ=岡田玄 2019年2月25日15時00分

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ブラジルに逃亡したベネズエラ人兵士。国境近くの町で24日、報道陣に身分証を見せた=ロイター
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 人道物資の搬入をめぐり、国境地帯で治安部隊などと反政権派の衝突が起きた南米ベネズエラの隣国コロンビアのラミレス副大統領は24日、ベネズエラ治安部隊からの亡命申請者が衝突のあった23日だけで120人以上に達したと明らかにした。軍中枢は依然、マドゥロ政権の支持を続けている。

 コロンビア北部ククタ郊外の国境の橋では24日も、ベネズエラ治安部隊とコロンビア側にいるベネズエラ人との間で小規模の衝突が続いた。一方、近くの検問所では、コロンビア警察に囲まれて亡命を求める治安部隊員がやってくると、大勢のベネズエラ人たちが押し寄せ、拍手で迎えた。

 国境の橋は封鎖されたままだが、周囲はジャングルで、川も水がほとんど流れておらず、草が生い茂っている。治安部隊員は、こうした抜け道を通って国境を越えてきているという。

 ブラジル政府によると、同国に…

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https://www.asahi.com/articles/ASM2T2V7XM2TUHBI002.html
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/509.html

[環境・自然・天文板6] 絶滅疑いの「世界最大のハチ」38年ぶりに発見 
絶滅疑いの「世界最大のハチ」38年ぶりに発見

インドネシアで発見された世界最大とみられるハチ(写真家クレイ・ボルト氏提供) インドネシアで発見された世界最大とみられるハチ(右下)と、ミツバチの比較(写真家クレイ・ボルト氏提供)
 【ジャカルタ=一言剛之】米国の環境団体「グローバル・ワイルドライフ・コンサベーション(GWC)」によると、38年間生息が確認できず、絶滅が疑われていた世界最大のハチ「ウォレスズ・ジャイアント・ビー」が、インドネシア中部の北マルク州で見つかった。GWCは、ハチの生息する森林が農地開発のため減少しているうえ、密猟者に狙われる可能性が高いとして、「世界が保護に関心を持つことが重要だ」と訴えた。
 発見された雌のハチは親指大の大きさで、羽を広げた時の幅は6センチ以上になる。一般的なミツバチの約4倍の大きさになり、「空飛ぶブルドッグ」とも呼ばれる。
 1981年にインドネシアの3か所の島で目撃されたのを最後に、公式に確認されていなかった。GWCに依頼された写真家クレイ・ボルト氏らでつくるチームが今年1月、高さ約2・4メートルの木の上でハチを見つけた。
https://www.yomiuri.co.jp/world/20190225-OYT1T50182/


「世界最大」のハチ、38年ぶりに発見 インドネシア
2019.02.22 Fri posted at 11:05 JST
「世界最大」のハチ、38年ぶりに発見
(CNN) インドネシアの北モルッカ諸島でこのほど、世界最大とされるハチ「ウォレスズ・ジャイアント・ビー」が見つかった。このハチは1981年を最後に目撃例が途絶えており、科学者の間では絶滅が危惧されていた。
研究グループがウォレスズ・ジャイアント・ビーを「再発見」したのは1月25日。生きた個体の写真と動画の撮影に初めて成功した。このハチの翼幅は2.5インチ(約6.4センチ)で、体は人間の親指ほどの大きさがある。
自然写真家のクレイ・ボルト氏ら4人で構成されるチームは長年このハチの研究を続けており、今回インドネシアの森を数日にわたり探索した末、ようやく遭遇できた。
再発見を受け、一帯に他にも生息地の森が存在するのではないかとの期待が再び高まっている。国際自然保護連合(IUCN)はこのハチを「危急種」に分類している。
過去にウォレスズ・ジャイアント・ビーを目撃した記録があるのは2人だけだ。1人目は英国の博物学者アルフレッド・ラッセル・ウォレスで、1858年にインドネシアのバカン島でこのハチを発見。1981年には昆虫学者のアダム・メッサー氏が2人目となった。
研究チームはメッサー氏の論文からウォレスズ・ジャイアント・ビーの生息地や行動に関する情報を入手したほか、衛星写真を調べて地形にも習熟。低地の森や、樹木に生息するシロアリの巣で見つかることが多いことを事前に把握していた。
ただ、インドネシアでは森林伐採の進行でウォレスズ・ジャイアント・ビーの生息地が減少。研究チームは次から次へとシロアリの巣を見て回るも、発見には至らなかった。
5日間の日程の最終日になり、チームのガイドと通訳が地上およそ2.4メートルの場所に興味深い巣を発見。ボルト氏が木に登って詳しく調べたところ、そこに雌のウォレスズ・ジャイアント・ビーがいた。



• インドネシア

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https://www.cnn.co.jp/fringe/35133134.html

http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/694.html

[経世済民131] したたか者の流儀 フランス人がディーゼル車好きな理由、黄色いベスト運動の真実 
したたか者の流儀

フランス人がディーゼル車好きな理由、黄色いベスト運動の真実

2019/02/25

パスカル・ヤン (著述家)


(Sean Comiskey/Gettyimages)
 フランスからジレ・ジョーヌの話題が続いている。ジレ・ジョーヌを日本では、おかしなことに“黄色いベスト運動”という訳が付いている。ジョーヌとは黄色という意味だ。ドイツの有名煙草“ゲルベ・ゾルテ”とは、黄色人種という意味だろうか。正確にはジレ・ジョーヌとは黄色いチョッキとなるが、欧州では、黄色はいい意味が少ない。

 アラビア語圏でも同様らしい。時々起こる人質事件でも黄色装束で登場する。そんな、一段引いた黄色を使った市民運動が、フランス中を席巻している。

 たとえば米国で、ガソリン価格の上昇は、人々の不満と政府批判に直結するが、日本でも、山間部の自動車依存度が高いが、ガソリン代と政治に対する不満の相関指数かなり低い。それは日本車の燃費がいいのと、軽自動車の普及で、交通手段としての車の確保は容易であるからだ。

 しかし、米国では、スーパーや学校、病院まで30キロとすれば、ガソリン代は無視できない。友人のエコノミストよると、ガソリン代は出費の10%程度にもなるそうだ。この点も、日本では理解できないことであろう。

 さて、フランスの地方でも、米国と同様なことがいえるのだ。バスも鉄道もあてにできない地区の住人は、防衛策として、燃費の良い、距離の伸びるジーゼル車を選好する。日本でいえば軽自動車ということになる。やや高いが、買ってしまえば丈夫で長持ち、燃費は2倍、燃料代は、5割引とうたわれるディーゼル礼賛が強いのだ。

 かつては戦車が攻めてきたというほどの、激しい音を立てていたが、既に手が打たれて、ほとんどガソリン車とかわらない操作性や乗り心地の乗用ディーゼル車が欧州全体に普及している。

 たとえば、有人のガソリンスタンで、まず聞くのは、「マズットか?」である。ガソリン車に軽油を入れるとエンジンは壊れる。その逆も修復不能になるからだ。

 無人スタンドでは、いくつも但し書きがあるが、日本人旅行者が、GASOIL(軽油)をガソリンだと考えて、レンタカーを壊す事故が多数あるようだ。

 俗語のマズットも、本来は重油という意味であるが、ガソリン(レサンス)以外という意味でよく使う。

 しかし、持続可能な社会をめざすマクロンは、このディーゼル車を減らし、大気汚染を減らすために、軽油の税率を引き上げるしたことから、地方に住む生真面目で、慎ましく生活する人々を多数敵に回してしまったのだ。これが黄色いベスト運動の原点の一つとなっている。

 加えて、フランスでは、事故時に着用が義務づけられている夜間用の小さなキッツアイが付いた黄色い袈裟帯の携帯が義務されている。義務なので致し方なくDIYで買うが、1000円もしない“申し訳品”も売られているが、一応、車の必需品となっていた。

 そこで、知恵者がこの黄色い袈裟帯をつけて抗議活動を開始したところ、さらに工事現場用のチョッキタイプを着てデモに参加する人も増えて、お陰で日本では“黄色いベスト運動”などと、おかしななまえが付いてしまったのだ。

 フランスでは、黄色いお金という言葉もあるが、いい言葉ではない。特に黄色は悲しい。しかし、やっとディーゼル車にのって子供を学校に送り、スーパーに行き、老母を病院に送る、慎ましいフランス人に対して、持続可能な社会、電気自動車が走る社会をめざすために、重油(Mazout)課税強化は、マクロンの机上の論理であったのだろう。

慎ましく、よきフランス人が想像以上に存在した
 決して、この動きは、移民やその他の騒動好きによるものではなく、持続可能な社会を作るのはいいが、自分たちの生活が持続くなるほうが先だという危機感から始まった、かなり健全な市民運動であった。

 飛び入りが、建物を壊し、死人も出ているが、ゴム弾で失明をしたリーダーの一人は果敢に活動を続けている。

 この一件だけで、マクロンは終わりだという論調が日本も含めて海外みられたが、ほんとにそうであろうか。

 ドゴールもゼネストをうたれ、ミッテランも拙速な国有化を実行し、実現後、更に民営化という大混乱を引き起こしている。

 彼らと比較すれば、マクロンは誠意の人であることは間違いないが、逆に老獪さが足らなかったことと、軽油燃料代が上がればディーゼル車が減少し、持続可能な社会が作れるとの短絡が間違いであったのだ。

 月間わずか数十ユーロの負担増に耐えられない、慎ましく、よきフランス人が想像以上に存在したということであろう。

 逆に考えれば、そんな小さなお金にこだわり、国民が行動にでる国家はむしろ賞賛すべきものであろう。

 フランスの騒動は、6月になると終わってしまうといわれる。マクロンは反省したとはいえ、今回の運動の開始は、時期的に早かったので、バカンスまでにまだ時間に余裕があるのは気がかりの一つだ。あと5カ月このままもてば、一皮むけるのだが、さて。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15454
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/274.html

[経世済民131] 原油「調整役」復帰のサウジ、同じ失敗繰り返すか トランプ原油価格へ懸念「高過ぎる」米株・序盤=続伸、対中関税引き上げ延期
コラム2019年2月25日 / 17:16 / 6時間前更新

原油「調整役」復帰のサウジ、同じ失敗繰り返すか
John Kemp
4 分で読む

[ロンドン 20日 ロイター] - サウジアラビアが「スイング・プロデューサー」という伝統的な役割を再び担うようになった。自国の生産量を急激に減らして原油市場の需給を引き締め、価格を引き上げるという立場だ。

石油輸出国機構(OPEC)の事実上のリーダーであるサウジは、自国の生産量を十分に減らせば、いつでも現物市場をタイトにして価格をつり上げ、カレンダースプレッドを期近物が期先物よりも価格が高い状態の「バックワーデーション」にする能力があることをを繰り返し示してきた。

こうした価格維持手法には分かりやすい問題がある。市場シェアが犠牲になってしまうのだ。サウジが減産して市場を引き締めるほど、他の産油国の増産を促してしまうのである。

その場合、価格の上昇は米国における原油掘削拡大と生産ブームを招き、いずれはサウジとしても、さらに減産を強化するか価格防衛戦略を断念するかの選択を迫られることになる。

サウジがこのジレンマから逃れられたことはなく、同国の石油政策は、価格維持優先と生産量維持優先を交互に繰り返してきた。

サウジがいつも苦労してきたのは、減産時期からの出口戦略をどう組み立てるかという点である。減産政策をあまりにも長く続ければ、市場の引き締めが過剰になり、価格が持続不可能な水準に達してしまう。

その結果、たいていは消費の伸びの減速とサウジ以外の産油国による増産により、市場は再び供給過剰に逆戻りし、新たな減産が必要になってしまう。

サウジは2008年、2014年、2018年と同じ失敗を繰り返した。十分早い時期に増産に転じなかったために、持続不可能な価格インフレの条件を生み出してしまい、その後の価格下落の種をまいてしまったのだ。

他の石油輸出国と同様、サウジにとっても原油価格の上昇は短期的には利益をもたらす。だがその後は、市場に天井を設けることが困難になってしまう可能性がある。

サウジの非公式な価格目標は、ある程度柔軟なものになる傾向があり、価格の上昇につれて少しずつ上方修正されがちだ。

2018年1─9月、サウジは市場の引き締めが過度に進行するのを放置し、原油価格は1バレル80ドルを超えた。この水準は持続不可能であることが分り、消費成長の減速と米国産シェールオイルの急増を招いた。

サウジの市場管理の足を引っ張ったのは、ホワイトハウスの移り気である。米国政府はイランの石油輸出をゼロに抑える強硬姿勢を見せたかと思えば、その後は寛大な制裁の適用除外措置を認めた。

問題は、サウジが2019年も同じ失敗を繰り返すかどうかだ。経験上、その可能性はある。

<実質的にはサウジ次第>

サウジ高官は、1980年代半ば以降、「スイング・プロデューサー」としての役割を控えめに見せようとすることが多くなっている。当時、サウジアラビアは他国が増産するなかで生産量を抑えていた。

サウジは、OPEC、さらに最近ではロシアとオマーンを含む拡大グループ(OPECプラス)全体に減産を広げていくことの重要性をしきりに強調してきた。

だが過去の経緯を見る限り、スポット価格とカレンダースプレッドに影響を与えるという点で決定的なのはサウジによる減産で、真の「スイング・プロデューサー」と呼べるのはOPECやOPECプラスではなく、サウジである。

これまでサウジは常に、自国の生産量を削減することにより、北海ブレントのスポット価格を上昇させ、カレンダースプレッドをバックワーデーションにすることができた。

石油依存のグローバル経済が成長し、石油消費量が順調に伸びていた時期、そしてライバルの産油国が戦争や経済、国内の社会不安で混乱していた時期には、サウジの影響力が高まった。

サウジは価格支配力を最大化するために、また外交上の理由により、他の産油国との連携を構築することを好んできた。

だが、グローバルな生産・消費バランスを変えるほどの規模と柔軟性を持つ石油輸出国はサウジだけであり、したがって市場価格とスプレッドを変化させる主因は、原油生産量に関する同国の政策だったのである。

<「スイング」復活>

12月初めにOPECプラスの賛同を得た今回の減産も、このパターンに整合している。

OPECプラスは、2019年の最初の6ヶ月間、合計日量120万バレル(bpd)減産することで合意した。減産分は、OPEC(80万bpd)とロシアを中心とする同盟国(40万bpd)のあいだで分担する。

サウジは結局、1月は分担を約束していた32万bpdを超えて、38万bpd減産することになった。これは最初の1ヶ月にOPECが達成した減産量合計の半分以上に相当する。

 2月20日、サウジアラビアが「スイング・プロデューサー」という伝統的な役割を再び担うようになった。サウジで2018年5月撮影(2019年 ロイター/Ahmed Jadallah)
サウジが積極的に減産は、他のOPEC諸国やOPECプラス諸国の一部が合意を達成できなかった分を穴埋めした。

ファリハ・エネルギー相は、最近の英紙フィナンシャル・タイムズとのインタビューのなかで、サウジはさらに踏み込み、11月の1100万bpd以上から3月には980万bpdへと、100万bpd以上の減産を公約すると述べた。

サウジの減産により、ブレント先物の期近物の価格は12月末に比べて1バレルあたり15ドル(30%)も上昇し、6カ月のカレンダースプレッドは期近が期先を1.70ドル下回る「コンタンゴ」から、45セントのバックワーデーションへと転じた。

価格への影響を後押ししたのが、グローバル経済がリセッションを回避するだろうという楽観論が強まったこと、そして米国の対ベネズエラ制裁の影響、ヘッジファンドによるポジション積み上げである。

<「いつか来た道」か>

今年、グローバル経済がリセッションや長期的な減速を回避すると仮定すれば、石油市場は2019年を通じて徐々にタイトになっていくだろう。

昨年のアプローチを見る限り、サウジとOPECプラス諸国は、価格が70ドルを大幅に超え、恐らく80ドルを突破するまで減産を続ける可能性が高い。

結果として、またしても米国のシェール生産が加速し、石油消費量の成長が鈍化し、市場は再び供給過剰に戻り、さらなる減産が必要になるだろう。

サウジアラビアとOPECプラス諸国がこうした不安定なサイクルを止めたいのであれば、原油価格が70ドル以上に上昇するとともに徐々に減産を緩和するよう、先手先手で動く必要がある。

だが、OPECがこうした微調整において優れた手腕を見せたことは一度もなく、これまでの実績からすれば、原油価格は上方にオーバーシュートし、またしても同じサイクルをたどる可能性が高い。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/oil-prices-kemp-idJPKCN1QE0D7


東京外為市場ニュース2019年2月26日 / 00:12 / 37分前更新
対中通商合意、非常に近い=トランプ米大統領
Reuters Staff
1 分で読む

[ワシントン 25日 ロイター] - トランプ米大統領は25日、対中通商協議の最終合意が「非常に近い」可能性があるとの認識を表明した。

ホワイトハウスで知事らに対し「まったく実現しない可能性もあるが、実現すると考えており、かなり早期となる可能性がある。関係は良好」「(双方の立場は)非常に近い」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/usa-trade-china-trump-idJPL3N20K4KZ?il=0


東京外為市場ニュース2019年2月25日 / 22:27 / 2時間前更新
トランプ米大統領、原油価格への懸念表明 「高過ぎる」
Reuters Staff
1 分で読む

[ワシントン 25日 ロイター] - トランプ米大統領は25日、原油価格に関する懸念を表明し、石油輸出国機構(OPEC)に対し価格安定を維持するよう求めた。

トランプ大統領はツイッターで「原油価格は高過ぎる」とし、「世界が価格上昇を受け入れることが出来ない」との見方を示した。

トランプ大統領は原油価格やOPECに関し、ツイッターで繰り返し不満を述べている。
https://jp.reuters.com/article/usa-trump-opec-idJPL3N20K47G?il=0

 



東京外為市場ニュース2019年2月25日 / 23:52 / 41分前更新
米国株式市場・序盤=続伸、トランプ氏の対中関税引き上げ延期受け
Reuters Staff
1 分で読む

[25日 ロイター] -
株価 前日比 % 始値 コード 時間
ダウ工業株30 26207.63 +175.82 +0.68 26126.15 9:47

 前営業日終値 26031.81
ナスダック総合 7583.65 +56.10 +0.75 7585.30 9:31
 前営業日終値 7527.55
S&P総合50 2808.77 +16.10 +0.58 2804.35 9:31
0種
 前営業日終値 2792.67


(リフィニティブデータに基づく値です。前日比が一致しない場合があります)
https://jp.reuters.com/article/ny-stx-us-idJPL3N20K4IW?il=0
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/276.html

[経世済民131] ECBの「貸出支援策」に拭えぬ違和感 イスラエル中銀、金利据置インフレ低水準 FRB今年と来年1回ずつ利上アトランタ連銀
コラム2019年2月25日 / 17:21 / 7時間前更新

ECBの「貸出支援策」に拭えぬ違和感

井上哲也 野村総合研究所 金融イノベーション研究部主席研究員
4 分で読む

[東京 25日] - 欧州中央銀行(ECB)が21日公表した1月の政策理事会議事要旨では、長期の資金供給のための手段に関する検討を急ぐ、との議論が明示された。

これを受けて市場では、貸出を増やした民間銀行に対してECBが低利かつ長期に資金を貸し付ける手段である「貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)」の復活について、早ければ3月7日に行われる次回政策理事会で具体的な決定が下されるとの思惑が広がっている。

昨年秋以来、政策理事会メンバーの多くがその可能性に言及してきただけに、こうした動き自体はサプライズではない。市場も、ユーロ圏経済が減速する下で当然と受け止めているのだろう。

実際、国際通貨基金(IMF)が1月改定した世界経済見通しでは、今年のユーロ圏の経済成長率見通しは前回10月の1.9%から1.6%と、0.3ポイントの大幅な下方修正となった。ECB自身も、3カ月ごとの景気見通し改定のたびに下方修正を繰り返しており、それでもなお下方リスクが高いことを認めている。

<なぜ今TLTROなのか>

それでも、ECBがTLTROの再導入を進めることにはさまざまな疑問もある。

まずはタイミングの問題である。前回のTLTROは2016年6月─17年3月にかけて四半期ごとに計4回実施され、利用期間は原則4年だった。従って、満期が到来するのは2020年6月以降であり、今から1年以上も先の話だ。

それにもかかわらずECBが早々に資金供給策を検討している理由の1つが、今回の議事要旨で「域内のある大国」という遠回しな表現ながら名指しされていたイタリアであることは言うまでもない。

イタリアでは、大手はともかく中小銀行による不良債権の処理に時間を要しており、散発的な経営破綻が生ずるなど、金融システムに脆弱(ぜいじゃく)性が残っている。

その裏返しとして、イタリアの民間銀行はECBからの資金調達に依存している面が引き続き大きい。ECBによるTLTROを含む長期の資金供給オペの残高は、本年1月末時点で約7200億ユーロ(約90兆円)であるが、そのうちイタリア民間銀行による利用残高は2400億ユーロ弱と、全体の3割強を占めている。

これらが本当に問題になるのは、前回のTLTROが本格的な償還を迎える2020年6月以降である。そして、その事実が市場で広く周知されている以上、イタリア民間銀行が代替的な資金調達手段を見いだせないのではないかという不安が早期に生じるリスクがある。今回の議事要旨では、この問題を資金調達の「崖(cliff)」と呼んで懸念を示していた。

加えて、ECBが昨年末で量的緩和を停止したことの影響も考慮する必要があろう。ECBがイタリア国債の新規買入れを続けている間は、イタリア民間銀行は国債を売って資金を調達することができたが、こうした方策も現在は利用できなくなった。ECBによる昨年のイタリア国債買入れ額は約400億ユーロだった。全てがイタリアの民間銀行による売却ではないとしても、この問題は追加的な圧力となっている。

これらの点を考えれば、ECBが新たな資金供給策の検討を急ぐことにはもっともな面がある。

<政策効果との「ずれ」に違和感>

しかし、より本質的な問題は、ECBによるTLTRO再導入が、銀行貸出の活性化という所期の効果を発揮し得るのかという点である。

ユーロ圏全体としてみた場合、銀行貸出は緩やかに増加している。ただし、堅調さを維持しているのは住宅貸付を中心とする個人向け融資であり、事業法人向け融資は総じて軟調である。しかも、域内の多くの主要都市で住宅価格の上昇が問題視されているだけに、政策的には事業法人向けに焦点を絞って活性化する必要がある。

新たなTLTROでも、対象となる貸出の範囲を限定するといった工夫は当然に必要となる。とはいえ、より大きな問題は事業法人の資金需要にある。

実際、域内の中央銀行が実施しているサーベイ結果によれば、ユーロ圏経済が減速するにつれ、主要国では事業法人による銀行貸出需要が減速しており、設備投資のモメンタムが低下していることと整合的である。需要が低い中で銀行貸出の活性化策を講じても、「紐を押す」だけで、効果が発揮されない懸念がある。

さらに、ユーロ圏の主要国において、事業法人の負債残高が極めて高い水準にあり、金融危機前とあまり変わらないことは、金融システムの安定にとって無視し得ないリスクである。そうした状況下で、銀行貸出の活性化を図る政策を単純に推し進めることが良いのかどうかは議論の余地がある。その意味でも、新たなTLTROには、活性化が必要な中小企業などに焦点を絞って効果が行き渡るようにすることが望まれる。

一方、前述のサーベイ結果は、主要国の中で銀行貸出が供給面から制約を受けているのがイタリアであることも示している。その意味で、貸出供給の制約を緩和するというTLTROの本来の意図が最も発揮されやすいのは、皮肉にもイタリアである。

ただ、TLTROが解決し得るのはあくまで流動性の問題であり、例えば、風評被害によって銀行が必要な資金を調達できないリスクは緩和できる。しかし、もしイタリアの銀行が不良資産処理のため自己資本面で不安を抱え、それが貸出におけるリスクテイクを阻害しているとすれば、TLTROだけで対応しきれないことは明らかだ。

イタリアの銀行システムには、不良資産の処理を進めて脆弱性を低下させると同時に、自己資本を強化して適切なリスクテイクを伴う貸出を可能にすることが求められている。TLTROは、こうした対策と一体で実施されて初めて、所期の効果を発揮できる。

この意味でも、新たなTLTROは金融システム安定化政策の一環として位置づけられるべきであり、景気減速に対する金融政策の枠組みとして検討されることには、違和感が残る。

*井上哲也氏は、野村総合研究所の金融イノベーション研究部主席研究員。1985年東京大学経済学部卒業後、日本銀行に入行。米イエール大学大学院留学(経済学修士)、福井俊彦副総裁(当時)秘書、植田和男審議委員(当時)スタッフなどを経て、2004年に金融市場局外国為替平衡操作担当総括、2006年に金融市場局参事役(国際金融為替市場)に就任。2008年に日銀を退職し、野村総合研究所に入社。主な著書に「異次元緩和―黒田日銀の戦略を読み解く」(日本経済新聞出版社、2013年)など。  

(編集:山口香子)
https://jp.reuters.com/article/column-tetsuya-inoue-idJPKCN1QE0VV


 


東京外為市場ニュース2019年2月26日 / 00:17 / 32分前更新
イスラエル中銀、政策金利据え置き インフレ率は低水準で推移
Reuters Staff
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[エルサレム 25日 ロイター] - イスラエル中央銀行は25日の政策決定会合で、政策金利を前回に続き0.25%に据え置いた。インフレ率が今後1年間にわたって約1%と非常に低い水準で引き続き推移するとの見方を示した。

ロイター調査ではエコノミスト13人全員が金利据え置きを予想していた。

中銀は声明で「将来的な金利上昇軌道は緩やかで控えめなものとなり、インフレ率が目標レンジの中間値付近で安定的に推移する局面においてサポート要因となるほか、経済活動を支援するだろう」とした。

イスラエルのインフレ率目標レンジは1─3%。1月のインフレ率は1.2%。
https://jp.reuters.com/article/israel-cenbank-rates-idJPL3N20K4LC?il=0


 


FRB、今年と来年1回ずつ利上げへ=アトランタ連銀総裁インタビュー
米アトランタ地区連銀のボスティック総裁はWSJに対し、FRBが今年と来年1回ずつ利上げするとの見方を示した

By Michael S. Derby
2019 年 2 月 25 日 21:21 JST

 米アトランタ地区連銀のラファエル・ボスティック総裁は、連邦準備制度理事会(FRB)が今年と来年に1回ずつ利上げすることを想定していると述べた。

 ボスティック氏は22日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューに応じ「経済が順調である限り(中略)、また(FRBの)動きが経済を縮小させている兆しがない限り」、極めて緩やかなペースで利上げを進める余地はまだあると語った。

 ただ、先行きの不透明感が強まっているとして、今年の利上げ回数に関する予想は2回から1回に引き下げた。

 自身が目標とするのは、FRBの政策金利を中立水準に導くことだと強調し、現行の金利は中立水準の下限に近いとの見方を示した。

 また「景気を刺激する立場はとらないことを希望する」とし、景気拡大が10年続く中で、金融刺激に頼らない自律的な成長を促すのが望ましいと指摘。「慎重かつ時間をかけて」ゆっくりと中立水準に戻すのが正しいアプローチだとも述べた。

 2017年にアトランタ連銀総裁に就任したボスティック氏は、今年は連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持たない。

 今年の米経済の成長率については2.2〜2.5%、物価は目標の2%を下回る水準にとどまると予想した。

 ただ、トランプ政権が輸入関税を拡大すれば物価が上昇する兆しがあるとしたほか、好調な労働市場がようやく物価の大幅上昇に結びつく可能性もあり、FRBは注視する必要があると述べた。

https://jp.wsj.com/articles/SB10316809606286824281904585145831698896488
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/277.html

[戦争b22] 米ロ核戦争勃発なら国防総省やキャンプデービッドが標的に=ロシア国営テレビ
東京外為市場ニュース2019年2月25日 / 22:47 / 2時間前更新
米ロ核戦争勃発なら国防総省やキャンプデービッドが標的に=ロシア国営テレビ
Reuters Staff
1 分で読む

[モスクワ 25日 ロイター] - ロシア国営テレビは24日夕、ロシアが核攻撃に踏み切る場合に攻撃対象にするとみられる米軍事施設を列挙し、ロシアが開発中の極超音速ミサイルがそれらを5分もかからず攻撃できると主張した。

想定される攻撃対象には、米国防総省や米大統領の別荘であるメリーランド州のキャンプデービッドも含まれている。

プーチン大統領は20日、ロシアメディアに対し、仮に米国が望むならキューバ危機のような事態に軍事的に対処する用意があると発言。対ロ関係の緊迫化を受けて米国が中距離核兵器の欧州配備に動けば、ロシアは極超音速ミサイルを搭載した潜水艦を米領海近くに展開するといった対応を迫られると述べていた。

24日夕放送のニュース番組「Vesti Nedeli」では、司会が米国の地図をみせて、核戦争となった場合に攻撃対象となり得る場所を示し、米大統領や軍の指令センターが攻撃対象になると指摘した。

この番組について、ロシア大統領府は25日、国営テレビの編集方針に干渉しない、と述べた。
https://jp.reuters.com/article/usa-nuclear-russia-idJPL3N20K46O?il=0
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/548.html

[経世済民131] 韓国文政権、極端すぎる賃金政策に現実の壁 最低賃金の大幅引き上げ、雇用や国内経済の重荷 欧州利上なし、独10年債マイナス
2019年2月25日 The Wall Street Journal
韓国文政権、極端すぎる賃金政策に現実の壁 最低賃金の大幅引き上げ、雇用や国内経済の重荷 

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 韓国は資本主義の一大サクセスストーリーとして褒めそやされることが多い。だが最近は、世界有数の大胆な左翼的経済政策に取り組む国として知られる。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「所得主導型成長」を看板政策に掲げ、2017年の就任以来、同国の最低賃金を劇的に引き上げてきた。世界貿易の低迷がすでに韓国を打ちのめす中で、賃金水準の上昇が失業率をいっそう押し上げる要因となっている。

 投資家は次の点に要注意だ。韓国は輸出国のイメージが強いが、地元上場企業は売り上げの半分以上を国内で稼いでいる。韓国の景気減速は、同国の通貨やすでに割高な株価への脅威となっている。MSCI新興国市場指数のうち韓国株は約14%を占め、中国株に次いで2番に大きい。

 他にも低い賃金を引き上げた国はあるが、「ムンノミクス(文大統領の経済政策)」が主導する韓国の賃金上昇幅はあまりにも極端だ。同国の最低賃金は昨年16.4%上昇し、今年さらに10.9%上昇。時給8350ウォン(7.44ドル、約820円)は現在の全米最低賃金よりも高い。一方、1人当たり国内総生産(GDP)でみると、韓国は米国のほぼ半分しかない。引き上げ前でさえ、韓国の最低賃金は2017年の賃金中央値の53%に相当していた。これは英国の水準に匹敵し、日本を上回っている。

 文氏の狙いは韓国の経済成長がもたらす恩恵をより公平に分配することだろう。だが、企業が人件費上昇を抑えるため、雇用人数を減らすことが危惧される。韓国の失業率は12月の3.8%から1月は4.4%に上昇。9年ぶりの大幅な伸びだ。ちょうど最低賃金引き上げ措置が発効するタイミングだった。

 最低賃金と雇用の関係は明らかではない。一部の国では最低賃金を引き上げても失業率にはそれほど影響がなかった。ただ、大半の調査は、韓国で現在実施されているものより緩やかな賃金政策を対象に行われたものだ。

 ここで投資家にとって重要な点は、韓国経済がふらついているのと時を同じくして、韓国株もすでに魅力的には見えないことだ。ベンチマークの韓国総合株価指数(KOSPI)は昨年10月末に7年ぶり安値をつけ、この時点で予想株価収益率(PER)は7.9倍だった。その後利益予想が落ち込み、世界的な株高が進行した結果、予想PERは10.7倍まで上昇。2016年半ば以降で最も割高な水準にある。

 景気減速は通貨ウォンの重荷にもなりかねない。韓国銀行(中央銀行)は11月、金利を1.75%に引き上げた。だが今年は方針転換の必要に迫られるかもしれない。そうなれば、より高いリターンを求めて投資マネーが流出するだろう。最低でも文政権は賃金政策を見直す必要がある。

(The Wall Street Journal/Mike Bird)
https://diamond.jp/articles/-/195003


2019年2月25日 野地 慎 :SMBC日興証券 チーフ為替・外債ストラテジスト
欧州は利上げなしで緩和も ドイツ10年債はマイナスへ
 FRB(米連邦準備制度理事会)による「利上げ停止」シナリオの現実味が増す中、米国10年債利回りは2.7%前後で居心地が良くなったように見える。
 2018年のピーク時からは0.5%以上も低下した水準であるが、18年のピーク時からの低下幅は、ドイツ10年債利回りの方が大きい。
 こちらは18年2月に0.8%付近まで上昇していたものが、足元で0.1%程度となっている格好だ。16年以来となるマイナス利回りも視野に入りつつある。

https://diamond.jp/mwimgs/1/0/-/img_10ccdb488d983149d2d8c08d24e27307148049.jpg

 ドイツ10年債利回りの低下を促しているのは米国同様の「利上げ期待の後退」。歴史上、景気拡大局面の利上げが米国、欧州、日本の順に行われてきたことを考えれば、15年以降の米国の利上げ局面の次に訪れるはずの欧州の利上げが行われないまま米国が「利上げ停止」となる意味は大きい。
 このまま米国が次なる利下げ局面に入るなら、欧州の利上げは数ヵ月どころか数年行われない可能性が高い。追加緩和政策すら俎上に載せられかねない。
 利上げに「順番」があるのには理由がある。それは米国が個人消費、欧州が輸出を中心とした経済構造となっているためだ。米国が個人消費中心に景気を拡大させれば欧州の輸出が伸び、米国の利上げでドルが買われれば、安くなるユーロが欧州の輸出をさらに伸ばす。
 この構図から米国の次には欧州が利上げを行う順番だったのだが、今回は欧州の景気が利上げに耐え得るほど強くなる前に米国が失速しようとしている。
 欧州の輸出相手先が徐々に米国から中国や新興国へとシフトしている点も見逃せず、18年以降は中国や新興国の景気減速が欧州に波及した格好ともいえる。
 輸出国においては為替レートの増減価も重要な要素だが、過去、ドイツの輸出が大幅に伸びてユーロ圏経済拡大につながった際にはユーロ名目実効為替レートが前年比で大幅に下落している。18年の春以降、ユーロはドルに対して緩やかに下落しており、景気のサポートとなることを期待したいところだが、人民元や新興国通貨の下落もあり、実効ベースではユーロ安が進んでいない。
 ここでも中国や新興国に足を引っ張られた格好だが、いずれにしても現時点で欧州の利上げを示唆する材料は皆無に等しく、これがドイツ10年債利回りの低水準のよりどころとなっていよう。
 米国が「利上げ停止」にとどまっている間は問題ないが、利下げ期待が高まり始めると、ドル安ユーロ高への圧力も強まる。その場合、欧州でも景気後退を避けるべく利下げの必要性が議論され、結果、ドイツ10年債利回りはマイナスに向かうと予想される。
(SMBC日興証券チーフ為替・外債ストラテジスト 野地 慎)

https://diamond.jp/articles/-/194923

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/278.html

[経世済民131] 米労働市場のひっ迫と賃金の伸び悩み、労働者の交渉力低下などが要因か 米政府債務、懸念すべき水準か 財政赤字、パニック無用

米労働市場のひっ迫と賃金の伸び悩み、原因は
労働者の交渉力低下などが要因か

ユタ州にあるメイシーズ・バックステージで開店準備をする定員(2018年9月12日)PHOTO: LANCE CLAYTON/ASSOCIATED PRESS
By
Paul Kiernan
2019 年 2 月 25 日 15:29 JST 更新
 【ワシントン】米国の失業率が50年振りの低水準に近づき、企業が日常的に不満を漏らすほど労働力が不足していることを踏まえると、米国の労働者は交渉力が増し、経済活動の利益の分け前は増えていると思うかもしれない。
 ところが、そうではない。
 米国の国内総所得(GDI)に占める賃金・手当の割合は1970年から低下しており、現在の景気拡大でも米国が大恐慌から抜け出そうとしていた時代以来の低水準からほとんど回復していない。
 米商務省経済分析局(BEA)のデータによると、従業員の賃金・手当がGDIに占める割合は昨年の第3四半期に52.7%に低下。これで4四半期連続の低下となった。1970年には59%、2001年には57%という高水準だった。昨年のGDIに占める賃金・手当の割合が2001年と同水準であれば、米国の労働者の所得は8000億ドル(現在のレートで約88兆5400億円)近く、1人当たりで5100ドルほど増えていたはずである。
米国民総所得(GDI)に占める賃金・手当の割合
出所:商務省

 賃金・手当の比率が低下する一方で、企業の利益は増加してきた。企業、事業体、大家、その他の事業者の所得がGDIに占める割合は1980年代の12%未満から20%以上に拡大してきたのだ。
 こうした数値には中流層所得の停滞、労働組合員の減少、国際貿易の拡大といった数十年に及ぶトレンドが反映されている。企業利益は配当や株価の値上がりという形で一部の世帯に恩恵をもたらすが、米国人の大半にとって最大の収入源は賃金なので、富の分配は以前にも増して不均等になっている。
 最近の数四半期における賃金・手当の比率低下に関して不可解なのは、失業率が4%を下回り、この10年間で最も急速に賃金が伸び、多くの企業のトップが人手不足を嘆いているときに起きているということだ。過去の似たような状況では、企業が減少傾向にある労働力を、利幅を犠牲にしてでも保持しようとしたため、賃金・手当の割合は拡大し、企業利益は減少した。例えばハイテクブームだった1990年代の終わりには、その比率が約2ポイント上昇した。
 経済調査会社マクロポリシー・パースペクティブズの創業者、ジュリア・コロナド氏は「(賃金・手当の)比率は拡大して然るべきだ」と話す。「景気循環において今は労働者がその生産高の一部を取り戻すことができるはずだが、それは実現してきていない」
 20世紀の大半において、経済学者は労働力と資本が生産高を比較的一定の割合で分け合ってきたと考えている。というのも、どちらかに過度に依存すると、リターンが減少してしまうからだ。最新型コンピューター10台と従業員1人のオフィスの生産性は、従業員を追加することで大幅に高まるだろう。また、ハーバード大卒の従業員が10人いるが、インターネット接続が電話回線のオフィスの生産性は機器をアップグレードすることで高まるはずである。
 1960〜2000年までの期間の従業員の賃金・手当がGDIに占める割合は平均56.4%だった。その水準は景気後退に陥るまで拡大し、それ以降に縮小するというように景気循環で変動するが、通年で55%を下回るということはなかった。
 ところが2000年以降、その低下傾向は強まってきた。2010年代の比率は51.6%と53.4%の間で推移してきた。
 経済学者はこうした変化を説明するのにいくつかの要因を上げている。
 一つには労働者の賃上げ交渉能力が低下してきたということがある。経済学者エフライム・ベンメレク氏、ニッタイ・バーグマン氏、ヒョンソプ・キム氏が2018年に発表した論文によると、1977〜2009年には雇用主の減少に伴い、米国の労働市場の集中化が進んでいった。1970年代には米国の労働人口に占める労働組合員の割合は約25%だったが、今では12%未満である。さらには雇用契約に非競争契約、職業に関する免許の要件、労働移動を妨げる相互引き抜き禁止条項などが含まれることがますます多くなってきた。
 グローバリゼーションとハイテク化も一定の役割を果たしてきた。
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 2001年に中国が世界貿易機関(WTO)に加盟してから特に急増した国際貿易により、製造業者は海外の安い労働力という選択肢を手にした。さらに言えば、企業の成功が世界的規模で評価されるようになると、アマゾン・ドット・コム、グーグル、ウォルマートのような独り勝ち企業が生まれ、より小規模で地域限定の競合企業はシェアを奪われてしまった。
 マサチューセッツ工科大学(MIT)で経済学を教えるジョン・バン・リーネン教授は「そうした最大手企業の特徴の一つに、高利益を上げているのに人件費の割合が小さいということがある」と指摘する。「経済に占めるそうしたスーパースター企業の比重増大傾向によって賃金・手当がGDIに占める割合が縮小するということも起きている」
 次なる課題は、ロボット技術や人工知能(AI)の急速な進歩によってトラックの運転から融資申し込み審査まで、広範な日常業務が自動化されていく向こう数十年に見込まれている大規模な雇用の喪失である。
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https://jp.wsj.com/articles/SB11166242290339733756804585145301154391116

 
米政府債務、懸念すべき水準か 議論が再燃


一部の経済学者は米国の赤字財政を気に病む必要はないと説く

米国では巨額の政府債務に対する懸念が再び浮上しているが、経済学者の一部は心配には及ばないと主張する。写真は現在の米政府債務の金額を示すボード PHOTO:TIMOTHY A. CLARY/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
By
David Harrison and Kate Davidson
2019 年 2 月 18 日 10:58 JST 更新
 米政府の債務残高が拡大する中、一部の経済学者はかつて異端とされていた主張を展開している。それは赤字財政について、それほど心配する必要はないというものだ。
 2017年の共和党の減税と、今年の民主党の歳出案を受けて、政府債務が過大になろうとしているという長年蓄積されてきた懸念に再び火が付いた。2022年度以降は年間の財政赤字が1兆ドルを超えるとみられており、米議会予算局(CBO)は、次の10年間が終わるまでに政府債務が国内総生産(GDP)の93%に達すると予想している。
 しかし、金融危機後に財政赤字と政府債務が急増したにもかかわらず、借り入れコストは依然として歴史的低水準にある。政府債務の対GDP比は、リセッション(景気後退)前の34%から、2018年末には78%に拡大した。その一方で10年物米国債利回りはリセッション前の4%以上の水準から、2.7%に低下している。
 これは、投資家らが、大量の債券を保有することに懸念を抱いていないことを示唆している。
借金のコストは安い米国のGDP成長率は政府債務の借り入れコストを上回ることが多い

Source: Federal Reserve Bank of St. Louis (interest rates); Commerce Department (GDP)Note: Gross domestic product is not adjusted for inflation.

 理論的には、政府債務が多ければ金利が上昇するはずだ。政府の借り入れが維持不可能な水準になれば過大な債務によってインフレが引き起こされるとの懸念が浮上し、投資家らがリスクを取る見返りとして、高い利回りを要求するためだ。また、こうした高水準の政府債務は、投資に回すための資金が減ることをも意味する。
 しかし、投資家は実際には米政府の債務水準がどうであろうと、好況時であっても不況時であっても、喜んで政府に金を貸す。例えば2009年には、オバマ政権の景気刺激策によって財政赤字の対GDP比がほぼ10%に達し、第2次大戦後の最高水準となったが、10年物国債の利回りは依然としてリセッション以前の水準を下回っていた。
 多くの共和党議員らは、米国が財政危機の瀬戸際に追い込まれつつあると警告し、バラク・オバマ大統領に支出抑制を迫った。経済学者たちは、成長を阻害するに至る政府債務の水準について議論を戦わせた。ハーバード大の経済学教授を務めるカーメン・ラインハート氏と国際通貨基金(IMF)の元チーフエコノミストのケネス・ロゴフ氏がまとめた報告書では、政府債務の対GDP比が90%を超えた国では成長率が低下する傾向があるとされた。
 現在、一部の著名経済学者は、結局のところ米国の財政赤字はさほど懸念すべきものではなく、インフラプロジェクトなど有益な計画の結果として赤字が拡大しても悪影響はないかもしれないと主張している。
 ピーターソン国際経済研究所のオリビエ・ブランチャード氏は「米政府の債務残高は壊滅的な水準ではない」と指摘。「正当な理由がある場合は、債務をさらに拡大させることも許容できる。パニックに陥る理由はない」と述べている。
 IMFの元チーフエコノミストでもあるブランチャード氏は先月、米国経済学会(AEA)の会合で講義を行い、エコノミストや政策立案者に債務に対する考え方を見直すよう求めた。
 ブランチャード氏の主張で最も重要な点は、政府債務の金利が経済成長率を下回るならば、債務管理は持続可能だろうという点だ。
 人口が高齢化するに伴い、金利は向こう何年かにわたって低くとどまる公算が大きい。人口が高齢化すると、借り入れと消費が減り、企業による投資も制限されるため、借り入れコストが抑制される。これは、政府が債務縮小の差し迫ったニーズに直面しないだろうということを示唆する。
 ブランチャード氏は、政府が債務を好き勝手に増やすべきだとまでは主張していない。増えた政府債務を穴埋めする必要性により、本来なら有望な民間事業に投資されていたかもしれない投資家の資金が吸収されてしまいかねない。
 ロゴフ氏もブランチャード氏の考えに好意的だ。「現在の米国の立場は、非常に強い。余裕がある」と述べる。
 左派の経済学者の中には、財政政策に関する新たな考え方を主張する者さえいる。現代金融理論(MMT)というものだ。
 MMTの考えは、財政政策の立案者たちが、赤字穴埋めのための債券を購入する投資家を見つける能力に制約されないというものだ。それは、米国政府が必要とあれば、自国の貨幣を刷って赤字を穴埋めしたり、債券保有者に償還したりすることができるからだ。MMTにおいて制約要因となるのは、供給の不足を招いたりインフレを引き起こしたりすることなしに支出と雇用の拡大を維持できる経済の力である。
 ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の教授で、上院予算委員会で民主党のチーフエコノミストを務めたステファニー・ケルトン氏は、議員らは新たな政策が赤字を増やすか否かに注目するのではなく、新たな支出がインフレ率上昇や経済に変調をきたす可能性があるかについて考えるべきだと述べる。
 同氏は、経済に価格上昇圧力を高めることなくその支出を吸収する能力があれば、政策立案者が支出をどこかで「相殺する」必要はないと述べる。価格圧力が高まるのであれば、政策立案者が増税するか、または連邦準備制度理事会(FRB)が利上げをすることが可能だ。
 「MMTに基づくアプローチで指摘したい重要な点は、まだ(国債の)発行余地があるということだ」とケルトン氏は指摘する。「財政政策の行使に臆病になり過ぎなければ、国はもっと豊かになることができる」
 政府債務の急増はこれまでのところ急激な物価高騰を引き起こしていない。インフレはFRBが過去四半世紀において大半の期間、目標としてきた水準と同等かそれ以下にとどまっている。
 それでも他の多くの経済専門家はこうした考え方を受け入れる用意ができていない。
 カリフォルニア大バークレー校のアラン・オーアーバック教授はMMTに基づく考え方について「愚かなものでしかない」と批判、望んでいない予想外のインフレにつながる恐れがあると指摘した。
 一方、公的債務の大幅な増加が限界を超え、高インフレと経済的苦痛に見舞われた最近の例としてはギリシャとイタリアが挙げられる。米国にもまだ見えていないだけで、そうした一線が存在するとみられる。
 ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストらは、GDP比率で公的債務残高の高い国が景気後退に直面した場合、財政面での対応余地は少なく、その結果、経済成長は一層鈍化するとみている。ただし、米国など自国通貨で国債を発行する諸国の場合、その影響は小さめになるという。
 非営利組織「責任ある連邦予算委員会」のシニアバイスプレジデント、マーク・ゴールドウェイン氏は、巨額の財政赤字状態を続けた結果、米国では民間投資が締め出されて賃金の伸びが鈍化しているほか、過去に計上した債務の返済に充てる予算が増加していると述べた。また、小さいながらも将来の財政危機のリスクが拡大していると警告した。
 金融市場の金利が示唆するシグナルは読み違える恐れがあり、危険なものとなる可能性がある。ゴールドウェイン氏によれば、金融市場は米国に現在のような低金利を授けることで「われわれに自ら首を縛るロープを与えているのかもしれない」と語った。
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https://jp.wsj.com/articles/SB10039284450484833869604585130820157058784

 
米財政赤字、パニックは無用
米連邦政府の長期的な財政見通しについて懸念する理由はほとんどない
米連邦政府の長期的な財政見通しについて懸念する理由はほとんどない PHOTO: RAWPIXEL
By Matthew C. Klein
2018 年 12 月 4 日 06:56 JST

• 原資?

 一体どうやって賄うのか?減税や財政支出に関するこの質問は妥当で、多くの人々にとって討論を終わらせるのに十分だ。しかし、米連邦政府の長期的な財政見通しについて懸念する理由はほとんどない。実のところ増税を頻発することなく優先度の高い政策への支出を増やすにはほんの少しのマイナーチェンジで十分なのだ。

 米議会予算局(CBO)は予見可能な将来にわたって、財政赤字の増加率が経済成長率よりも相当高くなると推計し、2040年代終盤までに歳出が税収を上回る額が国内総生産(GDP)の10%を上回ると予想している。このような例は金融危機や世界大戦を除き、米国には他にない。これが仮に安定的なインフレ率と緩やかな経済成長環境下で起こるならば、財政赤字は現在のGDP比75%から150%以上に膨れ上がり、その後も容赦なく上昇し続けるだろう。

• 利払費を除く財政赤字の拡大は税収増でまかなう

 財政悪化を社会保障、メディケア(高齢者向け医療保険制度)、メディケイド(低所得者医療保険制度)、その他の給付金プログラム予算のせいにするのは、合理的だが間違っている。これらの給付金プログラムへの支出は、高齢化する人口とそれに伴う社会保障費の持続的な増加を考えると、今後数十年間は対GDP比で数%の増加が予想される。

 しかし、CBOやその他の専門家は、税収も同程度に増えると見込んでいることから給付金プログラムが財政収支の悪化につながる主な要因とは考えていない。所得がインフレ率以上に増加し、多くの米国人が徐々により高い所得税率区分に移行すると見込まれている。また、2026年には増税が予定されており、トータルでは利払費を除く財政赤字が現在の対GDP比約2.5%から今後数十年で同約3%とおおむね同水準で推移するとみている。

 米財務省による財政に関するレポートはわずかだがより楽観的だ。これは恐らく昨年末の税制改正前に書かれたものだからだろう。米財務省によると、2017年から2092年までの毎年において利払費を除く財政赤字は対GDP比で平均1.2%にすぎないとしている。これは妥当な米国経済成長率見通しと比較すると特に小さい。

• 利払費の見積もりが過大? カギは米金利見通し

 そこで、利払費の予想が懸念される。CBOは、利払費の対GDP比が今年の1.6%から2048年には6.3%に上昇すると予測している。この予測は米国債の加重平均利回りが現在の2.2%から30年後には4.4%に上昇するとの前提に基づいている。金利上昇、債務増加、緩やかな経済成長は財政赤字と債務比率を急激に拡大させるということだ。

 しかし、金利は経済成長とインフレ見通しに基づくものだ。経済は今後減速し、インフレは厳しくコントロールされるだろう。そのような環境下で過去数十年よりも金利上昇が必要になるだろうか。

 仮に政府の借入コストが2%でその他の条件が変わらなければ、政府の利払費は対GDP比2%以下で長期間推移するだろう。財政赤字も小さいおかげで対GDP比債務比率は2040年代にCBOが予測しているベースラインを50%ポイント下回る水準となろう。したがって、増税や支出カットは必要ない。

 実のところこれは政府が戦争や金融危機の後に行ってきたことだ。第二次世界大戦の間、米国連邦債務は対GDP比64%に上昇した。その後財政赤字は続いたが1960年代の初めまでには戦前の水準に戻っている。米連邦準備制度理事会(FRB)と銀行規制により金利が低く抑えられていたこと、戦後にインフレの爆発的上昇があったこと、実体経済の成長が力強かったことがその要因だ。

 金融危機とその後の政策により、債務比率は対GDP比40%にまで上昇した。高齢化社会がその比率をさらに上昇させるが、合理的な予想に基づく低水準の実質金利が財政政策の管理に役立つだろう。

 債務比率を安定的に抑えることそのものを目的とすべきでない。現在の水準が低過ぎると考えられる理由があるからだ。高水準の政府債務(自国で発行しかつ自国通貨建てのもの)は過剰なリスクテイクを抑制し、金融システムを強靭(きょうじん)にする。

 30年物の米国物価連動国債の実質利回りは現在1.3%であり、最も悲観的な米長期経済成長率でさえもはるかに下回っている。低金利はCBOの想定に比べて政策に柔軟性をもたらし、追加的なインフラ投資、より堅固な社会保険制度または減税を可能にする。

 政策についてどのような選好があってもいいが、財政赤字に関する議論は今すぐ変わるべきだ。
https://jp.wsj.com/articles/SB10435430127981354480604584631142366762338

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/279.html

[経世済民131] 中国新エネルギー車政策、「紆余曲折に二転三転」の迷走事情 中国ベビーブームならず経済逆風新生児数は1961年以降で最も少
2019年2月25日 CAR and DRIVER :総合自動車情報誌
中国新エネルギー車政策、「紆余曲折に二転三転」の迷走事情

Photo by Yasuhisa Tajima
「外資合弁は2社まで」という規制を撤回
「3社目を認める」
 中国のNEV(新エネルギー車)規制は、今年から“罰則つき”になった。前年のエンジン車販売台数に応じて中国政府が各自動車メーカーおよび自動車輸入元に目標クレジットを与え、これが消化できない場合は罰則の対象になる。中国で乗用車を生産している各国の自動車メーカーが、この規制への対応を迫られている。しかし、規制発表から現在までの足どりをたどると、そこには中国の焦りが潜んでいる状況がわかる。

 NEVを普及させるため、中国政府は規制緩和を行ってきた。その中の目玉は、外資自動車メーカーに中国国内での3社目の合弁を認めたことと、出資比率は50%までという制限の撤廃を決めたことだ。

 これまで中国政府は、海外の自動車メーカーが中国国内に車両生産工場を独力で建設する動きを認めていなかった。必ず中国の自動車メーカーと提携した合弁事業というかたちでしか工場進出を許可しなかった。そして、外資が設立できる合弁会社は“2社まで”と定められ、外資の出資比率は“最大でも50%”に制限されていた。

 ところが中国政府は一昨年、“外資合弁は2社まで”という規制を撤回し、NEV生産会社を立ち上げる場合は「3社目を認める」と発表した。これに素早く反応したのはVW(フォルクスワーゲン)であり、いままでは協力関係のなかった中国・江淮汽車との間でNEV生産のための合弁会社を設立する調印を2018年7月に行った。

 また、中国政府は“外資の出資比率は50%まで”という規制を、NEV生産のための合弁会社について緩和した。さらに、すべての乗用車メーカーの合弁について22年に出資規制を撤廃することを発表した。この規制緩和にはBMWがすぐさま反応し、華晨汽車との合弁会社である華晨宝馬汽車(宝馬と書いてBMWと読ませる)について、BMWは出資比率を現在の50%から75%まで引き上げることで中国政府の認可を得た。

 もうひとつ、中国政府は昨年2月、NEVに搭載するバッテリーについての新しい法律を制定した。最大の改正点は、バッテリー製造会社の企業リスト、いわゆるホワイトリストと呼ばれる企業名簿の管理が、中華人民共和国国務院傘下の工業和信息化部(工信部)から中国汽車工業協会(中汽協)へ移譲されたことだ。これは政府管理から業界団体管理への方針転換を意味する。

政府が認可したホワイトリスト
中国の有力企業が外れる事態に
 中国政府は、政府が認可しホワイトリストに掲載したメーカー製のバッテリーを搭載していないNEVには“補助金を支給しない”方針だった。中国では、NEV補助金はクルマの購入者ではなく製造メーカーに給付され、受け取ったNEVメーカーが補助金の分だけ出荷価格を安くするという制度である。そのためバッテリーのホワイトリストは、NEVメーカーが補助金を受け取るためのものであり、重要な意味を持っていた。しかも、リストに掲載されていたのはすべて中国企業だった。

 ところが、昨年2月の法改正を受けてサムスン、LG、SKという韓国企業3社がリストに加わった。さらに、従来はホワイトリスト筆頭だった中国のリチウムイオン電池最大手、寧徳時代新能源科技(CATL)のほか恵州比亜迪電池(BYD)、中信国安盟といった有力企業がリストから外れるという事態が発生した。中汽協は何もコメントしていないが、「リストの存在そのものが政治的な意味を失った」とも指摘されている。

中国の強気な姿勢で始まったNEV規制
細かな方針転換を迫られるか?
イラスト
イラスト:安田雅章
 中国政府にとって、NEVは“エンジン技術では絶対にかなわない日欧米の自動車産業への最後の対抗策”である。NEV規制が導入された昨年、販売台数は約125万台(前年比62%増)だったが、購入したのは自動車メーカーや販売会社といった自動車業界内部や自治体などが主体であり、一般ユーザーへの販売台数は予想したほど伸びなかった、という。中国政府の強気な姿勢で始まったNEV規制だが、細かな方針転換を迫られるようになったと見ていいだろう。2000万台規模という世界最大の新車マーケットに成長した中国だが、政府の思惑に沿った新車需要にはなっていないようだ。

(報告/牧野茂雄、まとめ/CAR and DRIVER編集部)
https://diamond.jp/articles/-/194893


 


2019年2月13日 The Wall Street Journal
中国ベビーブームならず、経済への逆風また一つ 2018年の新生児数は1961年以降で最も少ない
中国の公園で遊ぶ子どもたち
Photo:Reuters
 中国の「一人っ子政策」は終わったが、見込まれていたベビーブームは起きていない。中国経済への逆風がまた一つ増えたことになり、その長期成長の可能性を巡る懸念も高まっている。

 労働人口の減少や人口の急激な高齢化の要因となってきた一人っ子政策は、中国にとって人口の時限爆弾になっているというエコノミストの警告を受け、中国政府指導部は数十年続いた同政策を2016年に廃止した。

 新たなデータからはその廃止で見込まれていた効果が得られなかったことが分かる。中国国家統計局によると、同国の新生児の数は2018年に1523万人に減少した。これは2017年よりも200万人少なく、2100万人以上という公式予測の中央値を30%下回っている。

 その数は、中国が大飢饉に苦しんだ1961年以来の低水準でもあった。

 新生児もゆくゆくは長期的な経済成長に欠かせない労働者に成長する。

 英キャピタル・エコノミクスのアナリストは最近のリサーチノートに「人口動態の見通しは当局の予測よりも速く悪化しているように見える」と書いている。

 こうした状況のせいで、経済成長を刺激するための大幅減税は実施が困難になっている。実施すれば、資金不足の年金制度を支えられなくなる可能性があるからだ。健康や引退後の生活費を心配する人が増えていることもあり、消費者の支出拡大を促すのも難しくなっている。

 そうした人口動態の見通しを受け、中国は裕福になる前に高齢化し、労働者が少なすぎて高齢者を支えられなくなるとの懸念が強まっている。そうなれば、今年の貿易摩擦を巡る混乱よりもはるかに長期化する経済困難が引き起されかねない。

 保守系の研究機関アメリカン・エンタープライズ・インスティテュートのニコラス・エバースタッド氏は1月公表のリポートでに、中国の高齢化と縮小しつつある労働人口は「中国の偉大な経済成長時代の終わりを予感させる重大な経済的逆風になるだけだ」と記している。

 中国の人口の高齢化は他の国よりも早期に、急速に起きている。1970年、中国人の平均年齢は米国人より10歳若かったが、2015年には中国人の平均年齢が米国を上回った。政府の公式な見積もりによると、現在は1人の引退者を2.8人の労働者が支えているが、2050年には1.3人になるという。米政府の公式データによると、現在は中国とほぼ同水準で、2035年には1人の引退者を2.2人で支えることになる見通し。

 また、中国の平均引退年齢(女性が55歳、男性が60歳)は世界的に見てもかなり低い。経験豊富な多くの人々がまだ生産性があるうちに引退している。年金を受給しながら老後を楽しむことを選好し、それを実現するのが政府や社会の義務だと考えているからだ。だがこれは人材面でもったいないことであり、若い労働者が支えなければならない引退者がさらに増えることを意味する。

(The Wall Street Journal)
https://diamond.jp/articles/-/193776

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/280.html

[経世済民131] バフェット氏、米富裕層は「間違いなく過小に課税」 バフェット流投資の急所、クラフト決算で露呈 
東京外為市場ニュース2019年2月25日 / 23:37 / 1時間前更新

バフェット氏、米富裕層は「間違いなく過小に課税」
Reuters Staff
1 分で読む

[25日 ロイター] - 投資会社バークシャー・ハザウェイ率いる米著名投資家ウォーレン・バフェット氏は25日、自身を含む富裕層が十分な税金を支払っていないとの見解を示した。

バフェット氏はCNBCに対し「富裕層は一般大衆に比べ、間違いなく過小に課税されている」と指摘。「より専門的になるほど、富裕層はより豊かになる」とし、市場に関する技能を持たない一般人をどのように対処するかという問題の解決策として「所得税控除が最善の方法だろう。これによりおそらく私のような人たちにより多く課税されることになる」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/berkshire-buffett-idJPL3N20K4H4?il=0

 

バフェット流投資の急所、クラフト決算で露呈
長きにわたり成功している投資哲学でさえ消費者嗜好(しこう)の急変には弱い

バークシャーの年次株主総会でブリッジをするバフェット氏(2018年5月) PHOTO:DAVID WILLIAMS/BLOOMBERG NEWS
By
Nicole Friedman
2019 年 2 月 25 日 13:34 JST
 クラフト・ハインツは多くの面で、ウォーレン・バフェット氏が賭ける企業の典型だ。米国の象徴的なブランドを擁する、分かりやすい企業である。
 バフェット氏は、2015 年のHJハインツとクラフトフーズ・グループの合併に際し、「私好みの取引だ」と述べていた。「世界クラスの事業体2つを結合させ、株主価値を実現する」からだ。
 その価値が突如として低下したことは、長きにわたり成功しているバフェット氏の投資哲学でさえ消費者嗜好(しこう)の急変には弱いことを示す。
 バフェット氏のバークシャー・ハザウェイが23日に発表した10-12月期(第4四半期)決算は、純損益が254億ドルの損失と、赤字に転落した。クラフト・ハインツが先週発表した想定外の減損や投資の含み損が原因だ。バークシャーは同社株を27%保有している。
 クラフト・ハインツは154億ドルの減損処理によって、「クラフト」「オスカーマイヤー」ブランドが予想ほど好調でないことを認めた。消費者の嗜好はより健康的あるいは自然な材料に向かい、加工食品から離れている。

https://si.wsj.net/public/resources/images/B3-DG193_0225_2_NS_20190224230928.jpg

 バークシャーは、10-12月期に損失を計上したことから2018年通期の利益が前年の449億ドルから40億ドルに減少。一方、減損や投資の未実現損益を除いた通期の営業利益は前年の145億ドルから過去最高の248億ドルに増加した。
 バフェット氏は、力強い消費者ブランドが企業による市場シェアおよび価格決定力の維持に貢献することに長らく賭けてきた。同氏最大の株式投資先には、アップルやコカ・コーラといったおなじみの企業もある。バークシャーは、デイリークイーンやガイコ、デュラセルやフルーツオブザルームなど、典型的な米企業を保有してもいる。
 CFRAリサーチの株式アナリストのキャシー・セイファート氏は「クラフトは典型的なバークシャー企業の代表だった。バークシャーは、頼りになるキャッシュフローが繰り返し得られる堅実なブランドを買う。どれも素晴らしい」と述べたうえで、「今後の戦略について疑問を持つのは有効だ」とした。
 バフェット氏は、23日に公開した毎年恒例の株主への手紙ではクラフトに触れなかったが、昨年8月にはCNBCテレビで、加工食品事業が直面する課題への認識を示していた。
 「加工品の会社に高いプレミアムを提示し、金銭的に成り立たせるのは非常に難しい」と述べ、「有形資産に対するリターンの点で、ブランドの加工品は極めて優れた事業だ。しかし、今から5〜10年後を想像した場合、素晴らしい事業ではない」と話していた。
 バフェット氏が加工食品に賭け始めたのは13年。バークシャーがブラジルの投資会社3Gキャピタルと組んでハインツに投資した時だ。バークシャーと3Gはクラフトとハインツの合併資金の調達に協力した。
 バークシャーが成長するにつれ、大量の保有現金を買収や投資に投じるようバフェット氏に求める圧力が高まっている。バークシャーはこの3年大型案件を行っておらず、バフェット氏は買収対象となる合理的な金額の大企業を見つけあぐねている。
 同社の現金残高(大半は短期米国債の形で保有)は昨年末時点で約1120億ドルと、6四半期連続で1000億ドルを上回っている。
 バフェット氏の書簡は、増大する現金をどう使うかについて具体案は示していない。「バークシャーが恒久的に保有する企業への過剰流動性の多く」を移動する方針だが、依然として相場が高すぎると記している。「それでも、私たちは象サイズの買収に引き続き望みをかけている」
 バークシャーが10-12月期に実施した自社株買いは4億ドル強と、7-9月期(第3四半期)の9億2800万ドルから減少した。投資家は、現金のかなりの部分を自社株買いに充てると期待していた。
ニュースレター購読
 一部の株主は、バークシャーがここでクラフト株を買い増すのか会社ごと買収するのか疑問に思ってきた。クラフトによる将来の買収の資金調達をバークシャーが支援することも考えられる。バークシャーは18年、保有するクラフト株の評価額を前年の176億ドルから138億ドルに引き下げた。取得原価は98億ドル。
 バークシャーはクラフトの取締役会に従業員を2人送り込んでいる。非保険事業担当の副会長を務めるグレッグ・アベル氏と、バークシャーの子会社パンパード・シェフの最高経営責任者(CEO)を務めるトレーシー・ブリット・クール氏だ。バフェット氏は自身の出張削減の一環として、昨年4月にクラフトの取締役会から退いた。
 バークシャー株を保有するウエッジウッド・パートナーズの投資責任者デービッド・ロルフ氏は「ウォーレン・バフェット氏には、クラフト・ハインツや3Gの傘下への資本配分を増やしてほしくない。自社株買いに数百億ドルを投じている姿の方がずっと楽しみだ」と述べた。
関連記事
• クラフト・ハインツの悲惨な決算、コスト削減に失敗
https://jp.wsj.com/articles/SB11166242290339733756804585145070297033524


http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/281.html

[政治・選挙・NHK257] 消費増税で地方自治体が「新料金」、でもこれでいいの? 地方自治体として工夫しているようだが……
消費増税で地方自治体が「新料金」、でもこれでいいの?
地方自治体として工夫しているようだが……


上野 泰也
みずほ証券チーフMエコノミスト
2019年2月26日
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ついに入場無料でなくなる偕楽園の左近の桜と好文亭(写真:PIXTA)
 2月12日の日中に流れた2つの報道には、地方自治体による料金設定のあり方について、考えさせられる内容が含まれていた。

 @名古屋市が市営地下鉄の初乗り運賃を10円値上げすると発表(以下の記事の引用は日本経済新聞電子版から)

 「名古屋市は12日、消費税率が10%に引き上げられる10月1日から市営地下鉄と市営バスの一部料金を値上げすると発表した。地下鉄は大人の初乗り運賃が現行の200円から10円上がる。市バスは運賃を据え置くが、一日乗車券などを値上げする。料金改定は消費税率が8%になった2014年以来」

 「地下鉄の初乗り運賃は1996年4月に180円から200円となり、以降据え置いていた。10月からは3キロ以内の初乗りと、11キロ超は10円値上げ。3キロ超11キロ以内は現行のままとする」

 「地下鉄、市バスともに一日乗車券は大人で20円、子供で10円それぞれ引き上げる。定期券は地下鉄は大学生以上、市バスは通勤定期を上げる」

 「高校生までの地下鉄定期などは消費増税後も据え置くため、市は地下鉄で年間6533万円、バスで同4684万円を負担する。市交通局は『客数の増加や経費削減でまかなう』としている。19日開会の2月市議会定例会に条例改正案を提出する」

消費増税、バス運賃と通学定期は据え置き
 5%から8%に消費税率が引き上げられた際は、官民の鉄道・バス会社の多くが増税分を運賃に転嫁した。名古屋市はその際、市営バスの運賃は値上げする一方で、地下鉄の初乗り運賃は据え置いた。しかし、8%から10%へ消費税率がさらに引き上げられる場合、燃料のコスト増などを一部転嫁しなければ採算面で一段と苦しくなってしまう。今回は、バスの運賃は据え置きつつ、地下鉄は初乗りを含めて値上げすることにしたようである。ただし、通学定期券は高校生までは据え置くなど、市民生活への一定の配慮も示した。 

 この事例の関連で筆者が思い出したのは、大阪市営地下鉄における初乗り運賃値下げの事例である。

 橋下徹市長(当時)の要請を大阪市交通局が受け入れる形で、14年4月の消費税率引き上げと同じタイミングで、初乗り運賃が20円値下げされて180円になった(ただし、それ以外の区間は消費増税分の転嫁が行われて値上げ)。減収見込みが34億円とされた初乗り値下げの財源は、将来の民営化による人件費圧縮など経営合理化で賄う、とされた。

 さらに、17年4月には、3年前の消費増税時に値上げされた、初乗りに続く「2区運賃」が10円値下げされて230円になり、増税前の水準に戻った。減収見込みは20億円である。

 名古屋市のケースは、初乗り運賃などを値下げした大阪市のそれとは異なり、将来の地下鉄民営化を先取りしている(端的に言えば民営化の実現に向けて政治的プレッシャーをかけようとしている)わけではない。また、減収見込み額は、大阪市のケースと単純に比べると、そう大きなものではない。

 国民負担を増やすことになる国の施策に対して、位置関係として国と住民の間に挟まっている地方自治体が、部分的に「クッション」を提供しようとした事例と言えるだろう。もっとも、その効果にはおのずと限りがある。

次ページ県内客と県外客、どうやって判別するのか?

 また、「物価は2%程度毎年上がって当たり前」というインフレ心理醸成を図っている日銀からすれば、名古屋市の動きは望ましくないということになる。ちなみに、携帯電話料金の値下げ要請や教育無償化など、消費者物価を押し下げることになる政策を、政府は最近連発している。物価上昇がまずは最重要課題だというリフレ派的な考え方から、安倍内閣はプラグマティックに距離を置きつつあるように見える。

 A茨城県が日本三名園の1つである偕楽園を秋から有料化する方針固める(NHK)

 「日本三名園の1つで、梅の名所として知られる水戸市の『偕楽園』について、茨城県はことしの秋から有料化する方針を固めました。偕楽園は、金沢市の兼六園、岡山市の後楽園とともに日本三名園の1つに数えられ、全国有数の梅の名所として毎年およそ100万人が訪れています。これまで入場は無料でしたが、偕楽園を管理する茨城県は、観光地としての魅力をさらに高めるための資金をまかなおうと、ことしの秋から県民以外の人を対象に1人300円ほどを徴収する方針を固めました」

県内客と県外客、どうやって判別するのか?
 「有料化によって年間1億円ほどの料金収入を見込んでいて、この資金で江戸時代の建物を復元した休憩施設を作ったり、周辺の観光施設から訪れやすくなる入場口を新設したりする計画だということです。有料化に向けて、今月から始まる『梅まつり』の期間中には、園内で実証実験を行い、県民と県外から訪れた人を区別する手順などを確認することにしています」

 「茨城県は、民間の調査会社が都道府県の魅力度を調査したランキングで6年連続で最下位となっていて、この取り組みで県を代表する観光施設の改善を図りたいとしています。県は偕楽園を有料化するための条例の改正案を6月の県議会に提案したうえで、ことし11月までには有料化に踏み切りたいとしています」

 筆者は水戸市の小学校に3年生から5年生まで通っていたので、友だちとの遊びや図工の写生などで、偕楽園は何度も訪れた。近年も「梅まつり」に何度か行っている。そうした際には、入場が無料だということに何の疑問も抱かなかった。だが、上記の記事を読んでから調べてみると、日本三名園の他の2つはしっかり有料である(大人の入場料金は金沢の兼六園が310円、岡山の後楽園が400円)。上記のニュースで、偕楽園の入場料として300円程度を検討とあるのは、そうした事例を参考にした結果なのだろう。

 だが、入場料を徴収する対象は県民以外に絞るという点に、筆者は疑問を抱いてしまう。

 最大の問題は、県民とそれ以外をどのように区別するのかという点である。偕楽園の年間約100万人の来園者数のうち、40万人程度が県外からだという。身分証明書の提示が不要の自己申告制なら、チェックは有名無実と化してしまいかねない(いわゆる「ザル」の状態)。逆に、厳格な身分証明書の提示を要求するなら、チェックにかかるマンパワーが膨らみがちになる。

 身分証明書が必要になったという事前の周知徹底が十分なされていなければ、県内から訪れた観光客から「まったく知らなかった」という抗議を受けてしまう恐れもある。県内・県外の区別なく入場料を徴収することにして、今年11月という中途半端なタイミングではなく、来年1月や来年4月といった区切りのよい値上げにすればよいのではないか。

地味なイベントのままでいいのだろうか……
 また、徴収した入場料の使途が果たして茨城県の観光政策という観点から本当に有効なものになるのだろうかという疑問もわいてくる。いわゆる「お役所仕事」では、新しいトレンドやニーズを把握しにくいように思われる。「県を代表する観光施設の改善を図る」というが、日本人の観光客誘致ばかりしていても、その後の展開には人口面からおのずと限りがある。

 率直に言って、偕楽園の「梅まつり」は、お祭りとしてはそのままではかなり地味なイベントである。何とか工夫を凝らして、東京に大挙して集まってくる外国人観光客の一部でも、できればオールシーズンで水戸に呼び寄せることのできる方策はないだろうか。国の施策ですでに成功しているように、外国人(海外の旅行業関係者などを含む)の意見を大いに参考にしつつ、SNS(交流サイト)を経由して独自の魅力を拡散するのが、考え得る有力な方策である。

 入場料の形で手に入れることになる貴重な資金を、茨城県はどのように使おうとするのだろうか。筆者にとっては興味深いウォッチ対象になりそうである。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00122/00007/
http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/903.html

[経世済民131] [議論]外資コンサルが「イケてるから就職しちゃった」人の末路 File1 外資系コンサルティングファーム(第4回)
[議論]外資コンサルが「イケてるから就職しちゃった」人の末路
File1 外資系コンサルティングファーム(第4回)

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入山 章栄 他 2名
早稲田大学ビジネススクール准教授
2019年2月26日
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全6810文字
 各業界をよく知る第一線のゲストに話を聞きながら、今後、その業界がどう変わっていくかを探る新連載「入山・安田の業界未来図鑑」。3回にわたり公開してきたFile 1の議論では、ボストンコンサルティンググループ(BCG)前日本代表の御立尚資氏、マッキンゼー・アンド・カンパニー出身で退社後、非営利法人(NPO)のクロスフィールズを立ち上げた小沼大地氏をゲストに招き、外資系コンサルティングファームについて議論し合った。

 議論終了後、進行役を務めた入山章栄氏と安田洋祐氏が、議論を振り返った。業務内容、ビジネスモデル、人材とあらゆる面で変容への過渡期にあり、チャレンジが必要になっているコンサルファームの立ち位置を改めて確認し、今とは大きく異なるであろう未来像を描いた。

(取材・編集=小林佳代)

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3回にわたって連載した「外資系コンサルティング業界」。これまでの議論を振り返り、改めてこの業界への疑問や未来への提言、入山氏と安田氏の議論への感想などをお待ちしております。

入山章栄早稲田大学ビジネススクール准教授(左)と、安田洋祐大阪大学准教授(写真は陶山勉、以下同)
編集部:新連載「入山章栄・安田洋祐の業界未来図鑑」の初回の議論が終わりました。ゲストを迎えて外資系コンサルティング業界について語り合ってもらいましたが、いかがでしたか。

入山:うん、すごく楽しかった。まず、経営学者の僕と経済学者の安田さんとで視点が違うというのがわかって、2人ナビゲーター制って面白いなと思いました。いい補完関係ができたと思います。

 就職先としてのコンサル業界について話していた時、御立さんが、就職人気ランキングを見た瞬間、「不健全だ」と言いましたよね。

編集部:東京大学と京都大学の学生の就職人気ランキングですね。コンサルファームが上位を独占していました。

「東大・京大でコンサル大人気」は危機
入山:僕、御立さんの感覚はすごくよくわかる。本当にヤバいと思う。危機ですよ。

 秋元康さんが以前言っていたという話を何かで読んだことがあるのですが、AKB48の初期のメンバーはAKB48そのものに興味があるのではなく、「何者かになりたい」という思いで入ってきた。だから成功した、と。でも、その後に入った人たちは、みんな「AKB48のメンバーになりたい」と入ってきている、と言うんです。

 同じことはビジネス界でも当てはまります。例えば全日空。昔はJALがナショナルフラッグで、全日空は今のLCC(格安航空会社)のようなマイナープレイヤーでした。そういう組織に、「いつかJALの鼻を明かしてやる」と野武士のような人たちが入社してきた。

 だから今の全日空の役員クラスの方々って、ある意味変わっていて、面白い人が多いんです。そうじゃなかったら、LCCのピーチ・アビエーションなんてつくろうとしないですよ。あれって究極のカニバリ※注1ですから。全日空という会社に入りたいわけじゃなくて、「何か面白そう」と勢いで入った人たちだから、イノベーター感覚があるんですね。

※注1:カニバリ
カニバリゼーション(共食い)の略。自社の製品・サービスが自社の他の製品・サービスと競合し侵食してしまう現象のこと

 BCGもマッキンゼーも以前は「何か面白いことができそうだ」「ぶっ飛んだことがやりたい」と思って入ってくる人たちばかりだった。それが今回、ゲストに来てくれたクロスフィールズ代表の小沼さんであり、ライフネット生命を立ち上げた岩瀬大輔さんらの世代。今はそうではなく、就職においてブランドが確立されてしまいました。マッキンゼーやBCGに入ることの方が自己目的化している。

安田:イノベーションを起こすような人物が、大学卒業後に就職する企業は変わりつつあるでしょうね。少し前は3年とか5年ぐらいコンサルファームにいる間に様々な手法を学び、実務に触れ、その経験を踏まえて起業していたけれど、今はそういう経験を一切せずにいきなり起業したり、先輩や友達が始めたスタートアップに就職したりという人が増えてきた。僕らの世代では起業ってすごくハードルが高かったけど、環境も変わってきて、資金も集まりやすくなっていますからね。

次ページ商社やビジネススクールとも競合

終了後も話は尽きず、盛り上がった
商社やビジネススクールとも競合
編集部:コンサルファームの未来についても語り合っていただきましたが…。

入山:コンサルファームの役割はこれから大きく変わり、業務はコンサルティングにとどまらなくなっていくということですよね。面白かったのはコンサルファームがエクイティーを入れ始めているという話。

安田:株式を持ってリスクを取るようになってきたというんですから、究極の運命共同体ですね。

入山:今日も話をしましたが、コンサルファームの機能はデザインファームとかぶってきています。そして、プライベートエクイティー※注2ともかぶってきていると思う。既にエクイティーを入れているというのは、ある意味プライベートエクイティー投資と同じです。だから商社的になってきていますよね。

※注2:プライベートエクイティー
未公開株式に投資を行う投資家やファンド

編集部:商社的というのは?

入山:これからの商社って、やることは事業投資と事業経営ですから。マイノリティー エクイティーを入れて投資し、そこに人を送り込んで経営させている。やっていることはかなり近いです。

編集部:確かに機能が重なりますね。

ビジネススクールIMDの競合はマッキンゼー
入山:世界の大手コンサルファームは研修事業も手掛けています。スイスのビジネススクールの「IMD」って、実は研修事業が稼ぎ頭なんですけど、ドミニク・テュルパン前学長は「最近、企業向けのカスタマイズ研修のコンペでマッキンゼーやBCGと競合になる」と話していました。「マジ?」ってびっくりして。

安田:僕は今日、クライアントである企業側にコンサルファームへの依存体質があるのではないかと問題提起したかった。コンサルファームの報酬は時間で決まっていて、成果が出なければ切られて次がなくなるという話でした。

 その理屈は分かるけれど、実際のところ、一度、特定のコンサルファームを使えば、惰性で使い続けるものじゃないでしょうか。日本企業の場合は何年かたつと経営者が入れ替わります。前の社長が使い始めたコンサルファームを切るというのは、よほどの理由がないと難しい気がします。

 そういう意味では、今、報酬体系が変化しつつあることで、コンサルファームとクライアントとの関係も変化していく可能性がある。仕事の幅が多様化してきたことにとどまらず、そういう面でも大きく変容しつつある業界だと実感しました。

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実に楽しそうな小沼大地氏(左)と御立尚資氏(右)
コンサルファームに「範囲の経済」は当てはまるか
入山:株式を入れて事業にもかかわっているし、デザインにもかかわっている。ロジックが売りかと思いきや、「大事なのは直感」という。「コンサルファームとは何なのか」というところまできていますね。

編集部:確かに。コンサルって、いったい何屋なんでしょう。

入山:何屋と定義できないのがコンサルの面白いところじゃないですか。逆に言うと、コンサルという言葉ではまっているだけだとヤバい。はまらないことをやるのが大事。コンサルティングファームと呼ばれていたものは、ものすごく変容しないと、これからの時代にはキャッチアップできないということだと思います。御立さんはとてもポジティブな方なので、明るく未来を見せてくれましたけど、逆に言うとそれぐらい変化をしなくては生き残れない。

編集部:こういう変容というのは、学問的なフレームワークで語れますか。

入山:経営学的に言うと、「ダイナミックケイパビリティー」※注3ですね。

※注3:ダイナミックケイパビリティー
変化する環境に対応するために、これまで培ってきたノウハウ、資源、資産などを統合、組み替え、再構成する自己変革能力

編集部:競争環境のポートフォリオが変わる中で、変化しようとしているということですね。コンサルファームに求められるスキルセットが変わるという見方もできます。

安田:BCGもマッキンゼーも、今までは経営戦略構築のロジカルな部分でビジネスをしてきたと思うんですが、その幅を広げていこうとしているし、実際にそのために人材も増やしている。

 経済学的に言うと、コンサルファームがいろいろなタスクを担うようになった時、それぞれに補完性があってシナジーを生み出すことができるのなら、「範囲の経済(economy of scope)」※注4が当てはまるのですが、そう簡単なものではない気がしますね。

※注4:範囲の経済
経営資源を共有・有効活用して事業を多角化したり製品・サービスを多様化したりすることで、より経済的な事業運営が可能になること
手を広げてもやっていけるのか?
 例えばデザインなど感覚的なものは、もともとコンサルでは請け負っていなかった。そこに手を出して、コストだけ増えてパフォーマンスが下がるのならば、手を出さない方がいいということになります。コンサルティングという業務の中で、どれぐらい範囲の経済を追求できるのか、それに合わせた人材を採用できるのかといったところがカギになります。

 場合によっては、コンサルファームはロジカルな部分だけに特化した方がいいのかもしれない。必要な他の機能は自分たちで手掛けずにアウトソースするというのもあり得るんじゃないでしょうか。今のところ、外注路線ではなく、人を増やして自分たちでやってみようという方向に進んでいるように見えるけれど、果たしてそれは本当に正しい経営戦略なのか。それは20年、30年たってみないと分からないですね。

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やっぱり楽しそうです
戦略構築から業務遂行に事業拡大中だが…
入山:外注路線でいくと、途中をすっ飛ばされるでしょうね。「コンサル、いらないじゃん」という話になる。

編集部:「あっちに直接行けばいいや」となるかもしれませんね。

安田:「全部任せたい」というニーズが強いクライアントならば取り込めるのではないでしょうか。現にIT系とか会計系のコンサルファームはそういう需要を取り込んでいる。クライアントは専門的な経理や会計の機能を任せたいとその業務プロセスを外注し、そこから、より上のレイヤーの経営戦略のところも任せたいと同じコンサルファームに一本化して任せるという形です。

 戦略コンサルはそれとは逆向きで、上のレイヤーの経営戦略の構築から入って、少し日々の業務の方に拡大していこうとしている。両方からそれぞれ入っていこうとしているように見えますね。

編集部:まさにレッドオーシャンですね。うーん、コンサルファームの未来はあまり明るくない気がしてきました。

入山:いや、分かりませんよ。我々のような学者はどうしても悲観的に見てしまいがちなので。とにかく、ものすごく大きな変化が起きるということです。

安田:僕は正直、コンサルファームがどうなるかよりも、社会全体で経営の質が高まるのか、イノベーションを起こせるのかに関心があります。コンサルファームがビジネスを多様化していって、それによってクライアントである企業でイノベーションが生まれるのならそれはそれでいい。

 仮にそうならない場合には、これまでコンサルファームが請け負っていた機能は誰がどのように担うのか。個々の会社が自前でやるのか、AI(人工知能)を使ったサービスを活用するのか。

 日本全体、世界全体でイノベーションを生み出せるより良い経営にたどり着けるのか。そういう視点からすると、今日の話は明るい未来が見えたような気はします。いろいろとやれることは広がっているので。

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議論中の風景
ロジックと直感は相反するものではない
編集部:今回伺ったお話で一番印象に残ったのは、野球のことを全く知らないけれど、東北楽天ゴールデンイーグルスの経営を立て直した人がいるという話でした。誰も気付かないことに気付ける能力があったということですよね。それこそ、まさに直感でしょう。そう考えると、コンサルファームが採用人数を増やしていろいろなタイプの人材を取り込んでいるというのはどうなんでしょうか。直感と逆の方向に行っちゃうんじゃないかという気もします。

安田:今日は右脳と左脳、ロジックと直感という対比で議論が進みましたが、それらの食い合わせが悪いのかというと果たしてどうなんだろう。

 暗黙知を形式知化し見える化するプロセスで考えると、ロジックであれ、デザインであれ、似たようなことをやっているんじゃないかと思います。暗黙知のままでは組織の中で共有されにくい。何らかの形で見える化しようとするわけですが、ロジックを使う時は、みんなが理解できるようなフレームワークに当てはめる。

 デザインの場合は、見えるものをぽんと出す。アウトプットの仕方はかなり違うけれど、必ずしも相反するものではない気がします。見える化のチャネルとしてこれまではロジカルな部分ばかりが強調されていたけれど、そこに、ある種の直感も入り込んだデザインを持ってくるということで。

入山:ロジカルシンキングとデザインシンキングの違いって、哲学的に言うと還元主義と全体主義の違いだと思います。デザインシンキングが求められている背景は、還元主義とは真逆の方向性が必要だということでしょう。

素粒子論を突き詰めても宇宙は説明できない……
 近代の科学はだいたい分解していく方向です。ミクロ経済もそう。バラバラにして細かいメカニズムを把握しようとする。問題は、それをわっと組み合わせた時、全体としてまるっとひとつのパッケージになるのかというと、必ずしもそうではないこと。例えば物理の世界で、素粒子論を突き詰めても宇宙のメカニズムは説明できないのと同じで。

編集部:なるほど。以前取材した時、立正大学教授の吉川洋先生がマクロ経済とミクロ経済の違いについて、同じようなお話をされていたのを思い出しました。ミクロ経済を突き詰めてマクロ経済を理解しようとするのは間違っていると。

安田:はい、吉川先生は今のマクロ経済学のあり方に非常に一貫して批判的なスタンスですね。「物理学を見よ」というわけです。物理学でのミクロの理論は量子力学で、個別の粒子を分析します。でも粒子の振る舞いを細かく分析できても、もう少し大きな物体の動きにはほとんど役に立たない。

 マスを扱う統計⼒学的な発想を⼊れなきゃいけない、という立場で吉川先生はずっと研究されています。今のところ、このアプローチは経済学界では主流になっていませんけれども。

 経済学に関しても、ミクロレベルの家計の行動とか企業の競争といったものは、ミクロ経済学とかゲーム理論を使って分析すればいいのですが、何億人も集まったマクロの経済を分析するには、マスを扱う統計力学的な発想を入れなきゃいけないと考えてずっと研究しています。異端とされていますけれどね。

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こんな場面もありました
コンサルに“イケてる”イメージで入社した人の末路
編集部:ミクロは突き詰めるとキリがない。マクロでざっくりしたものを細かくしてしまうとかえって精度が落ちるようなところもある。そこのさじ加減が難しいですね。

入山:難しいです。でも御立さんのお話をうかがっていて思ったけど、非常に広い視野を持っているので、いい意味での“ざっくり感”がありますよね。

編集部:ありますね。世の中に、もっとそういうざっくり感を持つ人が必要なのでしょうかね。

入山:それ、僕はすごく重要だと思います。外部から見ると、コンサル=ロジックみたいなイメージがあるけど、上に行く人は右脳型のざっくり感のある人なのかもしれない。御立さんはそういう感覚をお持ちだから、そっち側の絵を描いているわけですが、組織の中にいる人たちが、ざっくりじゃない人ばかりになっていたらまずいよね。

編集部:最後は属人的なものに依存するっていうことですね。だから結局、頭脳よりは「人」が大事。では、イケてるイメージだけで入ってきちゃった人たちは、どうなっちゃうのか。

安田:きっかけとして人って大事ですからね。面白い社長がいるとか、ちょっと上の先輩にすごく優秀な人がいるとなれば、新しいことをやりたい人たちが集まってくるわけですから。

イケてる組織でも、「ビッグプッシュ」が必要
 一定期間、いい人が入ると、その世代の人たちが抜けたとしても、当分はその循環が続く。ただ新しいビッグプッシュがなくて惰性でいくと、徐々に良かった特色が失われていってしまいます。今、外資系コンサルティングファームはその過渡期にあるのかもしれない。

入山:そういう意味でも本当に今はチャレンジングな時期ですね。

編集部:なるほど。そうやって整理すると、コンサルファームの今の成長ステージがどのあたりなのか、理解できますし、成長ステージの理解の仕方は、ほかの業界やら身近な事象にも、あてはめられそうですね。
https://business.nikkei.com/atcl/forum/19/00012/021300005/
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/287.html

[政治・選挙・NHK257] 読みが外れまくった共産党・不破氏の「科学の目」ベネズエラ左派政権を評価、後始末に追われる志位氏
読みが外れまくった共産党・不破氏の「科学の目」ベネズエラ左派政権を評価、後始末に追われる志位氏
2019.2.26(火) 筆坂 秀世
東京・千駄ヶ谷の日本共産党本部ビル
 日本共産党の指導者である不破哲三氏の造語に「科学の目」というのがある。物事を科学的に見る力をつければ、さまざまな事象の本質を正しく認識できる、ということであろう。

 これまで共産党では、「科学の目」を党員に植え付けるべく「科学の目」講座なるものが行われてきた。また私が知る限り、不破氏は「科学の目」という名称が入った著書を3冊著している。「二十一世紀と『科学の目』」(2001年、新日本出版社)、「ふたたび『科学の目』を語る 二十一世紀の資本主義と社会主義」(2003年、新日本出版社)、「『科学の目』で見る日本と世界」(2011年、新日本出版社)がそれである。

 だが、森羅万象の出来事を科学的に、かつ正しく認識するなどということは、容易なことではない。しかも政党や政治が直面するのは、自然現象だけではない。人間社会のありようにも直面する。このことまで正しく認識できるなどというのは、傲慢でしかない。そんなことは、ほぼ不可能だと私などは思っている。

完全に見誤ったベネズエラの社会主義政権
 周知のように、いまベネズエラはチャベス大統領の後を継いだマドゥロ政権のもとで大混乱が発生している。何しろインフレ率が100万%を超えているというのだから、絶望的とも言える状態になっている。

 だがこの左派政権を高く評価してきたのが、日本共産党であり、不破氏であった。2009年9月に出版された『激動の世界はどこに向かうのか 日中理論会談の報告』という不破氏の著作には、その評価の高さがこれでもかこれでもかと強調されている。

 日本共産党の現在の規約には、「党は、科学的社会主義を理論的な基礎とする」とある。科学的社会というのは、かつてはマルクス主義とかマルクス・レーニン主義と呼ばれてきたものである。だがベネズエラの左派政権は、マルクス主義とか、科学的社会主義を掲げる政権ではなかった。それでも不破氏は、この政権を高く評価していたのだ。これは共産党としては、相当、思い切った評価であった。

 なぜなら、これまでどの国の共産党であっても、マルクス主義・科学的社会主義に導かれた共産主義政党が存在してこそ、社会主義革命が可能になるという立場をとってきたからだ。ところが不破氏は、この立場を大胆にも変更したのである。「科学の目」を誇る不破氏にしかできないことだった。

 不破氏の著書を見てみよう。

「ラテンアメリカの左翼政権・左派政権は、・・・どの国でも、政権の主力をなしているのが、科学的社会主義・マルクス主義の立場に立たない勢力だということは、共通しています。しかもその左翼政権のなかから、『新しい社会主義』をめざすところが、ベネズエラ、ボリビア、エクアドルなど次々と現れている」

「共産党がいないところでも新しい革命が生まれうるし、科学的社会主義の知識がなくとも自分の実際の体験と世界の動きのなかから、さまざまな人びとが新しい社会の探究にのりだしうる時代です」

 マルクス主義も、共産党もいらないというのだ。日本共産党の存在意義まで否定しているようなものである。

 2009年4月には、当時のチャベス大統領が訪日した際の懇談会で、不破氏は次のような要旨の発言をしたそうである。(1)ベネズエラ革命は、従属体制を一掃する転機となった。(2)ベネズエラ革命は、各種選挙、国民投票を16回も行うなど、国民の支持を確かめながら進められた。世界の革命運動で初めてのことだ。(3)「新しい社会主義」の旗を掲げているこの革命の進行に大注目している。

 だが現実は、不破氏の鋭い「科学の目」による見通しとは大きく違ったものだった。チャベス大統領は反市場原理主義、反新自由主義を掲げ、貧困層の底上げを図ろうとしたが、経済の低迷、格差と貧困問題の解決はできなかった。同時に、徐々に独裁色を強め、ついにはチャベスの無制限再選が可能となる憲法改悪まで行なった。そしていま、その後継のマドゥロ政権のもとでベネズエラは完全な破綻状態に陥っているのである。

記憶に残る言葉たち、故チャベス大統領
ベネズエラ首都カラカスの大統領府で行われた閣僚会議で、ギターを演奏するウゴ・チャベス大統領(当時)(2012年9月20日撮影)。(c)AFP/PRESIDENCIA〔AFPBB News〕

後始末をさせられる志位氏
 気の毒なのは、志位和夫委員長である。不破氏の「科学の目」の後始末に追われているからだ。

 去る2月21日、「弾圧やめ人権と民主主義の回復を─ベネズエラ危機について」と題する声明を発表したが、そういう事態に追い込まれてしまったということだ。

 苦しい声明である。冒頭、まず次のように述べている。「日本共産党は、南米ベネズエラのチャベス政権が発足当初、選挙をつうじて国民多数の支持を得ながら進めてきた変革のプロセスに肯定的に注目してきた」。

「肯定的に」などというレベルではない。“不破氏が天まで持ち上げてきた”と言うべきだろう。

 続いて、「しかし、同政権および後継のマドゥロ政権の失政と変質のもとで状況が変化し、市民の政治的自由と生存権に関わる人権問題が深刻化している。人権の保障は、第二次世界大戦後の国際秩序のもとで、それ自体が国際問題としての性格をもつものとなっており、ベネズエラ問題は重大な国際問題となっている」。

 ずいぶんさらっと言っているが、なぜ「失政」と指摘するような失敗を引き起こしたのか、「変質」と言うが本当に変質したのか。そうだとすれば、その要因はどこにあったのか。またそもそも「天まで持ち上げた」ことが誤りだったのではないのか。

 この声明では、肝心なことが何も解明されていない。

 とってつけたように、弾圧や抑圧をやめよと言っても説得力は何もない。

北朝鮮が拉致を認めたときの苦しい反応
 不破氏の見通しが外れることは、まったく珍しくない。その1つが北朝鮮による拉致問題である。

 2002年9月、小泉純一郎首相が訪朝した際、金正日が拉致を「北朝鮮特殊機関の一部の妄動主義、英雄主義によるもの」と認めたことにより、拉致が北朝鮮の犯行であったという事実が確定した。

 それ以前は、不破氏は拉致が北朝鮮の犯行だという指摘に疑いを持っていた。森喜朗首相時代には党首討論で、警察白書に「北朝鮮による日本人拉致の疑いのある事案」とか「北朝鮮に拉致された可能性のある行方不明者」などと書かれているがどれも結論が出ていない、疑惑の段階で外交交渉する例はない、などと主張し、森首相から「それじゃ拉致問題を交渉すべきではないということになってしまう」と反論されていた。

 この党首討論の後、緒方靖夫・党国際局長/参議院議員(当時)と「赤旗日曜版」(2001年1月4日号)で対談しているのだが、そこではもっとあけすけに語っている。大要は、次のようなことである。

 朝鮮半島の全体的な情勢は南北会談、米朝交渉など良い方向に向かっているが、拉致問題が難関となって行き詰まる可能性がある。だから党首討論で、拉致は北朝鮮による犯行の疑惑でしかないのだから、証明済みのような交渉をしてはならない、ということを提起した。

 これに対して緒方氏は、「7件10人」のうち物証のあるものは1つもない、拉致問題を冷静な議論に引き戻した、などと語っている。

 要するに、北朝鮮の犯行ではない、ということを遠回しに、しかし必死に主張していたわけである。ところが北朝鮮自身が認めてしまったのだ。不破氏は何と弁明したか。金正日が「特殊機関の犯行」と認めたところに食いついて、「『特殊機関』が、北朝鮮で、今なお大きな権限をもって活動している事実にぶつかって、本当に驚きました」と釈明しているのだ。独裁国家で特殊機関がない国がどこにあるのか。あったら教えてもらいたい。こんな陳腐な弁明しかできない人間が「科学の目」とは聞いて呆れる。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55592
http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/925.html

[政治・選挙・NHK257] 米朝首脳会談、日本は「最悪のシナリオ」に備えを 在韓米軍撤退の可能性を真剣に検討すべし
米朝首脳会談、日本は「最悪のシナリオ」に備えを
在韓米軍撤退の可能性を真剣に検討すべし
2019.2.26(火) 長島 昭久
ベトナムのハノイで開催される米朝首脳会談に先立ち、トランプ大統領と金正恩委員長の顔が描かれた歓迎横断幕(写真:ロイター/アフロ)
 二度目の米朝首脳会談が開かれる。会談の結果次第では、現在改善の兆しが見えない日本と韓国の関係を一層難しくする可能性もある。東アジア情勢が流動化し始める中、われわれ日本人はどのような備えをしておかなければならないのか。元防衛副大臣の長島昭久衆議院議員に聞いた。(構成:阿部 崇)

(長島昭久:衆議院議員、元防衛副大臣)

レーダー照射事件で切れた「最後の信頼の糸」
 私は1990年代半ば、ワシントンで安全保障の研究をしていた頃から、韓国の学者や外交官、軍関係者などと交流し、戦略的な日韓関係の在り方について深く考えてきました。国会議員となってからは、複数の議員連盟に参加し、常に韓国の国会議員と交流を深めてきました。

 ところがこうした交流もあるときを境にパタリと止んでしまいました。2012年に当時の李明博・大統領が竹島に上陸したころです。こちらから訪問することもためらわれるようになりましたし、向こうから日本に来ることもなくなってしまいました。

 他にもあった日韓の議員交流は、いまほとんど機能していないようです。現在の青瓦台中枢に独自のパイプを持っている政治家もおそらく皆無ではないでしょうか。そうしたこともあり、日本と韓国の間に吹く冷たい風が収まる気配はなかなか見えてきません。

 それでもこれまでは歴史認識の問題でぶつかることはあっても、安全保障の面では日韓は結びついていました。実際、90年代半ばから海上自衛隊と韓国海軍は共同訓練を継続的に実施してきました。ところがその韓国海軍であのレーダー照射事件が起き、彼らも「真実」を分かっていながら強弁を繰り返すしかない状況になって、「最後の信頼関係の糸」まで切れてしまった状況です。日韓関係に長年携わってきた私にとっても甚だ残念な事態になっています。

朝鮮半島の連邦国家化を目指す文在寅大統領
 昨年12月、前国連事務総長の潘基文(パン・ギムン)氏が来日し、日本の政財界のリーダーたちと会って帰国した時の興味深い「感想」が耳に入ってきました。それは、「東京の雰囲気が変わった。過去の問題を持ち出しても、相手が動揺しなくなった」というものだったそうです。

 その見方はおそらく正確なものだと思います。というのも、「過去の問題」に対する韓国のこだわりに、日本人がある種の徒労感を持ってしまった。「もういい加減にしてくれ」というのが本音でしょう。

 15年暮れに安倍政権が韓国の朴槿恵政権との間で慰安婦合意を成し遂げました。これは安倍首相の支持層である保守派からは非常に評判の悪い合意でした。しかし安倍首相は、北朝鮮や中国の存在を考慮すれば、韓国とは戦略的に良好な関係を結ぶべきだという選択をし、国内的な反発を覚悟のうえで大きく舵をきったわけです。ところが、それも「合意撤回」「慰安婦財団解散」という韓国の方針で見事に裏切られてしまいました。

 さらに徴用工(元朝鮮半島労働者)の判決がありました。文在寅政権は「三権分立なのだから、われわれは手を出さない」と言いますが、最高裁判事14人のうち8人は文在寅政権になってから任命された人たちです。

 そして極めつけは、かつて日韓議員交流の中心にいた文喜相国会議長による妄言、暴言です。こともあろうに天皇陛下を持ち出して対日批判を繰り返し、内外から批判を浴びると開き直りともとれるような言辞を弄するとは、言語道断。我が国の国会において非難決議を行うべき案件です。

 日本全体が「もういい加減にしてくれ」と徒労感に襲われるのも無理のないことだと思います。潘基文氏はその空気を敏感に感じ取って言ったのでしょう。

 現在の文在寅政権は、「歴史問題がらみでは日本に対し何を言ってもいい」というのがある種の存在意義になっている政権といえます。その背景には、盧武鉉政権の流れを汲む、過去の植民地時代や軍事独裁政権に対する「積幣清算」という大きな流れがあります。軍事独裁政権に対する抵抗(民主化)運動で学生時代に投獄された経験を持つ人々が、いま文大統領の周りを固めているようです。しかも彼らは単に軍事政権に対して反発していただけではなく、当時から北朝鮮とつながっていると指摘する人もいます。

 その真偽はともかく、現在の文在寅政権が北朝鮮に非常に宥和的なのは誰の目にも明らかです。文政権は南北の「連邦制」を目標に掲げていますが、そのプロセスにおいて最大の障害になるのは、在韓米軍の存在でしょう。周知のとおり、北朝鮮にとって在韓米軍は「邪魔な」存在ですし、ついでに言えば、北東アジアのパワーゲームで優位に立ちたい中国にとっても朝鮮半島における米軍の存在(ひいては、米韓同盟)が邪魔になっていることは火を見るよりも明らかです。

 しかしだからと言って、文在寅大統領からトランプ大統領に「米軍は韓国から出ていけ」とは言えません。先日ようやく妥結を見ましたが、アメリカから強く要望された在韓米軍駐留経費負担増額について、韓国がなかなか応じる素振りを見せなかったのもそういう背景があったからと見ることもできます。つまり、駐留経費の負担増を強く求めるトランプ大統領が交渉不調に腹を立てて(あるいは北朝鮮との非核化交渉を前進させる意味からも)、米国側から在韓米軍の撤退や縮小を言い出す状況をつくり出そうとしているのではないか、と勘繰る識者もいるほどです。

金正恩は核を手放さない
 こうした中、アメリカがどういう動きを見せるのかも読みづらくなっています。というのも、トランプ政権による「韓国からの撤退」というのは、あながち奇想天外な選択肢とは言えないのです。かつてカーター政権でも、ブッシュ(父)政権でも在韓米軍の縮小や撤退の方針は打ち出されてきました。米国の著名なリアリストからも、しばしば「なぜ在韓米軍が必要なのか」という見解は提起されてきました。

 トランプ大統領自身、3年前の選挙キャンペーン以来、中東からも、ヨーロッパからも、アジアからも、コストがかかり、兵士を危険にさらし、かつ、米外交の手足を縛るような米軍の海外駐留はできる限り減らしたい、という主張を繰り返し表明してきました。トランプ大統領は、国際秩序の維持などという抽象的なスローガンよりも、具体的な費用対効果にこそ関心があるようです。さらには、同盟国だから特別扱いはしない、「自分たちの安全保障は自分たちでやれ」という、かつてニクソン政権が強く打ち出した方針を自らの政策に重ねていると思われます。

 かりに在韓米軍が撤退するような事態に陥ったらどうなるか。地政戦略的には、これまで朝鮮半島の38度線に引かれた防衛ラインが、韓国と日本を分かつ対馬海峡まで下がってくることを意味します。これは日本としては看過できない状況です。日本は、北朝鮮を通して半島全体に影響力を拡大しようとする中国とわずかな海を隔てて、まさに最前線国家になるわけですから、日本の安全保障戦略は劇的な変化を強いられることになります。

 一方の北朝鮮からしてみれば、韓国に自分たちに融和的な文在寅政権があり、アメリカに対北朝鮮強硬路線を転換したトランプ政権がある現在は、絶好のチャンスのはずです。

 ところで、北朝鮮は核と経済の「並進路線」から経済重視路線に転換した、と盛んに喧伝されます。しかし、私は、国家の生存と対米交渉の切り札ともいえる核兵器を金正恩委員長がそんな簡単に放棄するとは思えません。リビアの指導者カダフィ氏は、米国との交渉を通じて核を放棄して7年後に内戦により殺害されてしまいました。イラクの独裁者サダム・フセイン大統領は核兵器を持たなかったので、米国に打倒されてしまいました。これが国際社会の現実です。したがって、核兵器は保有しつつ交渉のテコにして、経済発展にプラスになる材料をどん欲に獲得していく。これが北朝鮮の基本方針だと確信しますが、この方針を全力でアシストしているのが韓国の文在寅政権です。

 2月27、28日の米朝首脳会談で、トランプ大統領がどうディールをするかは分かりませんが、開城工業団地の事業再開をはじめとする南北間の経済交流は国連制裁の例外として認めるような緩和措置が盛り込まれる可能性は十分あり得ると思います。韓国側が、アメリカに強く働きかけをしていますから。

 もう一つの焦点が、朝鮮戦争の終戦宣言がなされるかどうか。北朝鮮は当初この宣言にかなりこだわっていたようです。昨年4月27日の南北首脳による板門店宣言でも年内に終戦宣言することが明記されていました。しかし、その点については、米国政府内外から危険性についての指摘が相次ぎ、最近では法的拘束力のない政治的文書のような「不可侵宣言」に格下げすることで交渉のテーブルに乗せてあるようです。この点は、我が国の安全保障にとっても非常に重要なポイントなので、少し説明させていただきます。

朝鮮戦争「終戦宣言」の先に待っている事態
「終戦宣言」にせよ「不可侵宣言」にせよ、米朝や南北の戦争状態が終結ないし大幅に緩和されたような印象が国際社会を駆け巡った場合を想像してみてください。「戦争状態は終わったのに、なぜ韓国に米軍を中心とする国連軍が駐留しているのだ」という疑問が突き付けられるでしょう。とうぜん、北朝鮮はもとより米軍の存在を疎ましく思っている中国やロシアはその疑問を盛んに煽り立てるでしょう。朝鮮国連軍の司令官は、米韓合同軍と在韓米軍の司令官が兼務しています。したがって、国連軍の撤退ないし縮小は、在韓米軍の撤退や縮小に直結するのです。

 問題は日本にも波及します。朝鮮半島の国連軍の存在意義がなくなるとすれば、「では、国連軍後方司令部がある横田基地はどうなのだ」ということにもなるでしょう。国連軍に基地施設を提供するのは横田基地だけではありません。沖縄の嘉手納基地はじめ日本全国の7つの米軍基地には今も国連旗が掲げられています。

 このような因果が巡ることになりますから、米朝関係や南北関係に融和ムードが漂い始めると、在韓米軍はどんどん居心地が悪くなるわけです。それこそ北朝鮮の思う壺なのです。そして、その背後でほくそ笑むのが中国です。朝鮮半島からアメリカの影響力がなくなればなくなるほど、中国の影響力が拡大していくことになります。そのような地政学的な連鎖反応のスイッチを、ベトナムでの米朝首脳会談が押してしまう可能性があるのです。

 いずれにしても、「在韓米軍撤退」の可能性については、「最悪の事態」に備える安全保障の観点からすれば、日本政府内でもすでにしかるべき立場の人々が検討を開始すべきでしょう。実際に歯車がその方向で回り始めてから慌てて検討するのでは遅すぎます。

極限状態で日韓の防衛協力は成立しえるのか
 かりに在韓米軍が撤退し、南北朝鮮が「連邦制」に移行するような事態になれば、どういうことが予想されるのでしょうか。繰り返しになりますが、そういう状態になった朝鮮半島には、中国の影響力が拡大しているはずです。そうなれば、先ほど触れたように38度線が対馬海峡にまで下がってくると同時に、これは岡崎研究所の村野将研究員が指摘しているのですが、いま尖閣諸島で起きているような領土を巡る中国との小競り合いが本州近海にまで北上してくることも考えられます。その時には、核を持った北朝鮮と韓国の連邦国家、その背後から影響力を発揮する中国、この両方に日本は備えなければならないわけです。

 しかもこうした事態が、下手をするとトランプ大統領の在任中に生じるかもしれないのです。決して大げさな意味ではなく、われわれ日本人は、いまそういう岐路に立たされつつあるということを認識しなければなりません。

 他方、上記のような融和シナリオと同時にもう一つ想定しておかなければならないのは、古典的な「朝鮮半島有事」です。朝鮮半島はいまも不安定な状態にありますから、どのような形で紛争が勃発するか分かりません。そのような事態になった場合、米韓、日米の軍事同盟は機能するでしょうが、日韓の関係はどうなるのでしょうか。

 極限状態になれば、領土紛争や歴史問題などを一気に乗り越え、目の前に差し迫った脅威に対して日米韓の共同オペレーションがとれるものなのか。それとも現在の感情的対立が足を引っ張り、政策調整や作戦協議を阻害していくのか、まったく予断を許しません。

 たとえば朝鮮半島で不測の事態が起きて、邦人保護の必要が生じたとしましょう。そのとき、我が国の陸上自衛隊が韓国領内に入っていって邦人を保護するようなことを想定した訓練もしていませんし、そもそもそんなことを韓国が許すはずもないでしょう。日本としては、誰かが港まで連れてきてくれた邦人を、海上自衛隊の艦艇に乗せて連れて帰ってくるのが精一杯です。

 誰がそこまで日本人を連れてきてくれるかといったら、現時点では米軍が中心になってやるのでしょうが、そこに韓国軍も連携することになるのでしょう。そのときに、スムーズな連携が可能になるのかどうかは極めて不透明です。

 自衛隊法が改正され、邦人保護のために陸上自衛隊を派遣し、陸上輸送することも法的には可能になりましたが、だからといって現地の地理や気候など情報が全くない中に放り込まれたら、精強な自衛隊員でも十分な活動はできませんし、なにより危険きわまりない。

 本来はそういうものに備えて、ホスト国、つまり韓国と情報交換や実地訓練を重ねてこなければならなかったのです。たとえば、米軍は日本でも韓国でもそれを行っています。有事があった場合には、民間の港湾、空港も含めて、どこをどう使って非戦闘員を救出するか、というシミュレーションが繰り返しなされています。

 しかし朝鮮半島において、日本にはそうした準備がほとんどありません。朝鮮戦争以来、朝鮮半島で有事の危機に直面しておきながら、なにも備えが出来ていなかった。これは恐るべき事態です。

 日米安保条約、米韓相互防衛条約の存在をもって、「日米韓軍事同盟」と称されることもありますが、日米、米韓の間の同盟は存在しても、日韓の連携については軍事的には細い糸のような結びつきしかありません。軍事同盟がブロードバンドによる結びつきだとしたら、日韓の関係はモールス信号並みの細いものです。ちょっとしたトラブルで途絶しかねない関係なのです。

 こうした事実を踏まえて、日韓関係、ひいては東アジア情勢を考えていく必要があります。

 情緒的に韓国に反発しても、何も解決しません。だからといって、韓国に譲歩に譲歩を重ねても、問題は解決しません。しかも、かつてのような日本の政治家の「妄言」によって日韓関係が軋んでいるのではなく、今回は、米朝、南北関係の融和ムードによって地政学的な土台が構造変化をきたしていることが日韓関係悪化の原因ですから、事はそれほど簡単ではありません。私見では、とりあえず現状がこれ以上悪化しないよう状況を管理しつつ、先ほど触れたような「最悪のケース」に備え我が国の安全保障政策を根本から見直す可能性を視野に入れて具体的な準備作業に入ることが肝要だと思います。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55599
http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/926.html

[政治・選挙・NHK257] イージス・アショアの導入が極めて妥当である理由 導入費用、効果をめぐる批判は誤解に満ちている 
イージス・アショアの導入が極めて妥当である理由
導入費用、効果をめぐる批判は誤解に満ちている
2019.2.26(火) 数多 久遠
ルーマニアに配備されたイージス・アショア(資料写真、出所:米海軍)
 日本政府が米国から購入する地上型の弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」。その高額な導入費用や効果に対して、批判の声が少なくない。だが、元幹部自衛官で小説家・軍事評論家の数多久遠(あまた・くおん)氏は、「イージス・アショアの設置は極めて妥当」と見る。イージス・アショア導入の本当の意義を数多氏が解説する。(JBpress)

誤解されているイージス・アショア導入の効果と価値
 1月29日、アメリカ国務省がイージス・アショアの日本への売却を承認し、日本でのイージス・アショア設置が実際に動き始めました。

 このイージス・アショア設置に対しては、革新系論者が強く反対を唱えるだけでなく、一部保守論者からも疑問が呈されています。しかし、どちらもイージス・アショア、および他の手段がどんなものであり、どのような効果・価値があるのか誤解あるいは曲解したまま論じられているように見受けられます。

 そこで本稿では、単なるスペックや価格だけでなく、運用面だけでなく政治的なものも含め、イージス・アショア導入の意義を検証してみたいと思います。

 本稿の内容は以下のとおりです。やや長文となりますが、軍事に詳しくない方にも理解していただけるようできるだけ分かりやすく書いてみましたので、ぜひ最後までお読みください。

【1】イージス・アショア導入の価値とは?

 (1)保有ミサイルの最大活用が可能、海上イージス艦の本来の任務が遂行可能
 (2)「THAAD」という選択肢が適切ではない理由
 (3)優れているコストパフォーマンス

【2】日本導入バージョンは性能が違うのか?

【3】ロシアの反発にはどう対応すべきか?

【4】配備地が秋田と山口なのはアメリカのためなのか?

【5】結論「防衛省・自衛隊の決定は極めて妥当」

【1】イージス・アショア導入の価値とは?
(1)保有ミサイルの最大活用が可能、海上イージス艦の本来の任務が遂行可能

 本来、「海上イージス」などという言い方はないのですが、便宜的に本来のイージス艦による運用をこのように表現します。

 イージス・アショアは、基本的にイージス艦の弾道ミサイル防衛機能を陸上で運用できるようにした、言わば機能限定版です。そう聞くと、おそらく多くの人が、機能を限定することでコストを下げたシステムであり、コストパフォーマンスに優れているのだと想像するでしょう。

 もちろん、それは間違いではありませんが、もっと大きな価値が別にあります。それは弾道ミサイル防衛任務の継続性とイージス艦による本来の任務遂行です。

 海上イージスは艦艇であるため、活動を続けるためには、港で物資の補給や乗員の休養を行う必要があります。そのため、弾道ミサイル防衛の任に就くとしても、一定期間ごとに、弾道ミサイル防衛に適切な位置から離れて帰港しなければなりません。

 継続して弾道ミサイル防衛を行う場合は、交代の艦が任務に就いている艦が哨戒する海域に到着するまで、任務に就いている艦が遊弋(ゆうよく:艦船が海上を動き回って敵に備えること)を続ける必要があります。

 ところが、その際に問題になるのは、弾道ミサイルを迎撃可能なSM-3ミサイルの弾数が少ないことです。

 弾数が多ければ、任務に就いている艦にも、交代する艦にも、多くのSM-3ミサイルを搭載しておけば良いのですが、使用期限もあるミサイルを予備も含めて多数調達しておくことは予算上厳しいものがあります。また、SM-3ミサイルは、順次能力向上された新型が開発配備される予定となっているため、現行タイプを多数そろえておくと、新型が開発されると型遅ればかりが配備されている状態となってしまいます。

 洋上で、交代する艦にミサイルを渡すことも不可能ではありませんが、ミッドウェー海戦での敗因の1つに兵装転換があるように、洋上での作業、しかも補給艦ではない複数艦による作業は、事故の原因ともなるでしょう。

 さらに、能力向上型のミサイルを運用するためには、レーダーなどのシステムもそれに合わせたバージョンとする必要があります。能力向上型ミサイルは、順次導入・改修される新システム搭載艦に搭載される流れとなっていますが、現在、各イージス艦には少数(8発)の弾道ミサイル迎撃用SM-3ミサイルが搭載されているだけです。

 結果として、ある瞬間に使用可能な弾道ミサイル迎撃用SM-3ミサイルは、実際に配備されている数の半数程度に留まってしまうということです。

 一方、イージス・アショアが導入されれば、継続的に任務に就くことができるため、配備されているミサイルを最大限稼働させられます。

 また、イージス・アショアを導入しないと、イージス艦が本来の任務を遂行することができないという問題があります。

 イージスは、もともと艦隊防空のために開発されたシステムで、その拡張性の高さから弾道ミサイル対処能力“も”付与されました。つまりイージス艦の本来の任務は、艦隊防空なのです。

 ところが、こんごう型4隻、あたご型2隻の6隻がイージス艦として稼働していても、前述の交代のことまで考慮すると、イージス・アショアなしに弾道ミサイル防衛を行うと、本来イージス艦が護衛すべき、空母化が話題となるいずも型などのヘリコプター搭載護衛艦などの護衛が行えない事態になってしまうのです。

(2)「THAAD」という選択肢が適切ではない理由

 防衛省は、弾道ミサイルへの対処能力として、まずパトリオットPAC-3を導入し、続いて海上イージスSM-3を導入しました。その後、これらに加えて、導入すべき兵器としてイージス・アショアとTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)の二択が検討された結果、イージス・アショアの導入が決定しています。

THAADミサイル(出所:The U.S. Army Ralph Scott/Missile Defense Agency/U.S. Department of Defense)
 防衛省としても「イージス・アショアかTHAADか」という議論をしたわけですが、それを評価するマスコミの論調でも、いまだにTHAADを推す声は良く耳にします。

 イージスSM-3は弾道ミサイルを宇宙空間で迎撃します。パトリオットPAC-3は、地表近くの大気下層で迎撃します。THAADは、その中間にあたる高度(成層圏や中間圏などと呼ばれる非常に薄い大気が存在する高度)において迎撃を行うミサイルです。また、射程および防護範囲もイージスとパトリオットの中間的数値を示し、およそ200キロメートルの範囲までを防護できます。

 この迎撃高度および射程が中間的な数値であるがゆえに、THAADは、イージスが騙されやすいデコイ(おとり)を間違って迎撃することはなく(THAADの迎撃高度では、デコイが燃え尽きるなどして機能を失う)、またイージスSM-3での迎撃が困難なディプレスト弾道で飛来する弾道ミサイルの迎撃や、パトリオットPAC-3での迎撃が困難な高速・長射程の弾道ミサイルの迎撃が可能であり、現状のイージス+パトリオットでの防御網の穴を埋めることができるようになります。導入すれば、効果は高いでしょう。

 また、ロシアや中国が開発を進めている極超音速滑空兵器に対して、イージスSM-3は無力ですが、THAADであれば迎撃できる可能性もあります。

 しかし、防衛装備の調達においては、対処すべき脅威に合わせたものを調達する必要性があります。

 北朝鮮は、既に各種の弾道ミサイルを開発しています。その中で、日本が最も優先して備えるべき脅威は、アメリカにも到達可能なICBMやグアムを攻撃可能なムスダンではありません。既に200発以上が実戦配備されているとみられているノドンミサイルです。

 北朝鮮が200発のノドンを使用して日本を攻撃してくる場合、どこを狙って攻撃してくるかにもよりますが、仮に迎撃時の命中率が100%だったとしても、イージスSM-3とパトリオットPAC-3の保有ミサイル数を考慮すると、その半分を迎撃するのが精一杯でしょう。

 防衛省・自衛隊は、策源地(後方基地)攻撃によって発射前のミサイルを破壊することも検討しています。また、北朝鮮としても保有ミサイルの全てを打ち込む可能性は高くないでしょうから、半数を迎撃できれば足りる可能性もあります。しかし、核やダーティボム、化学兵器や生物兵器弾頭が搭載されている可能性を考えれば、一発の着弾が極めて重大な被害をもたらす弾道ミサイルに対する迎撃能力の量的拡充は、緊喫の課題のままです。

 とはいえ、尖閣など離島の防衛など、防衛省としても能力の拡充を行うべき分野は多く、予算の制約があります。THAADは、1つのユニットを導入するコストがそもそも高価です。また、防護できる範囲は、パトリオットPAC-3よりも広いとはいえ、配備地の前方約200キロメートル程度に留まります。関東、関西、中京圏だけを防護するとしても、3ユニット必要ですし、人口が100万人を越える都市だけでも防護しようとすれば、少なくとも7ユニットは必要でしょう。その上、配備地は北朝鮮にも筒抜けとなるでしょうから、THAADの防護範囲外を狙うことは容易です。

 つまり、コストを押さえつつ、量的脅威に対処するためには、THAADという選択は適切ではないのです。

(3)優れているコストパフォーマンス

 イージス・アショアの導入は決定していますが、今でも反対するマスコミは少なくありません。

 その理由は、後述する「防護目標が日本ではなくアメリカだ」とする主張を除けば、多くはイージス・アショアの導入が高額だからというものです。純粋に日本人の生命を守るだけの装備であるため、その導入意義までに反対できないためだと思いますが(中には、ロシアや中国がアメリカを抑止できなくなる、などと主張する方もいます)、コストパフォーマンスの点でも、イージス・アショアは優れています。

 既に艦船に導入されているイージスシステムと共通部分が多いため、整備・補給などの点で有利ですし、人員の教育訓練態勢でも今までの資産が活かせます。

 何より、地上機材であるため、艦船に搭載するよりも維持コストなどは安くなります。

 防衛省は、イージス・アショア2基の導入だけでなく30年間運用する間の維持コストも合わせ、合計で4664億円だと公表しています。単純に金額を聞くと凄まじい額に思えますが、保険のセールスで言われる1日あたりで計算すれば、以下のように1人1日0.33円でしかありません。

 4664億円÷(30年×365日×1億2680万人)=0.33円

 30年間にわたり、日本全域を弾道ミサイルの脅威から守れることを考えれば、こんなに安い保険はないでしょう。

 また、コストを語るのであれば、弾道ミサイルを防ぐための最も安価なシステムは、日本も核ミサイルを持ち、日本に脅威を与える国を抑止することです。しかし、日本はこの選択をしておらず、代替措置としてアメリカによる拡大核抑止に頼っています。拡大核抑止は、日本が攻撃されれば、アメリカが同盟国として核を含む報復を行うことを意味しますが、この拡大核抑止を確実なものとするためにも、日本の領域内にある在日米軍基地をイージス・アショアで防護することは重要です。

【2】日本導入バージョンは性能が違うのか?
 イージス・アショアは既にルーマニアのデベゼルに配備され、ポーランドのレジコボでも、まもなく運用が開始される状況です。

 防衛省・自衛隊が導入を開始したイージス・アショアは、これらと同様のシステムですが、一点大きく異なる点があります。それは、レーダーです。

 現行の海上イージスやヨーロッパに配備済みのイージス・アショアは、捜索・追尾、そして中間までのミサイル誘導を行うレーダーが「SPY-1」レーダーであるのに対し、防衛省・自衛隊が導入するイージス・アショアのレーダーは、アメリカがアラスカに配備を予定している「SSR」レーダーとなる予定です。

 検討段階初期では、入手が容易な現行と同様のSPY-1レーダーを使う案と、SPY-1の後継となるSPY-6レーダー、そしてSSRを使う案が挙がっていました。ところがSPY-1では今後配備が予想される新型迎撃ミサイルSM-3ブロック2Aの性能を活かせないことから、SPY-6とSSRの二択となり、アメリカからの導入難易度やライフサイクルコスト、そして日本企業の参画も考慮してSSRが選択されました(SSRが使用する素子は富士通製)。

 SSR、そして検討されたSPY-6レーダーは共に開発中のレーダーであり、納期の遅れやコスト増大の懸念から、批判的なマスコミの標的とされています。しかし、私は正しい選択だろうと思っています。

 SSRについては、開発中でもあり、細部が変更される可能性も高いこともあってか、あまり詳細な情報が手に入りませんが、SPY-1レーダーよりも探知可能距離が2倍以上と長く、より広範囲の警戒が可能とされています。また、デコイに対する識別能力も向上するそうです。

 これは、もちろん望ましいことですが、私が最も注目している点は、同じ迎撃ミサイルを使用したとしても、レーダーがSSRであれば、より高い命中率を実現できることです。

 命中率が高い理由は、探知可能距離が伸びたことで、より遠方から目標を捉えることができたこともありますが、最も効果を及ぼすのは、使用する周波数が高くなることで、分解能をあげることができるからです。一般に、レーダーは、高い周波数を使用することで分解能が高くなる反面、探知距離が短くなります。そのため、SSRが使用するXバンドでは、探知距離を伸ばすことが難しかったのですが、日本が得意とする窒化ガリウム(GaN)素子を採用することで、探知距離を伸ばしながら、分解能を高めることに成功しているようです。なお、候補の1つだったSPY-6は、Xバンド、Sバンド併用です。

 このため、防衛省・自衛隊が導入するイージス・アショアは、極めて高い性能を誇ることになるでしょう。

 なお、分解能が高くなるということは、自ずとサイドローブと呼ばれる余計な方向への電波放射が少なくなることでもあります。これは、イージス・アショア配備地周辺の方が懸念する健康被害の可能性をより低くすることにも貢献します。

【3】ロシアの反発にはどう対応すべきか?
 日本がイージス・アショアを導入することに中国やロシアが反発していますが、特に強い反対を表明しているのがロシアです。

 日本は弾道ミサイルを配備していないにもかかわらず、ロシアは日本を壊滅させる能力を保持し続けたいと考えています。なんともふざけた話ですが、ここではなぜロシアが日本のイージス・アショア導入に反発しているのか触れておきたいと思います。

 歴史的に見ると、ロシアのイージス・アショアに対する態度には変遷があります。

 アメリカが、EPAA(欧州ミサイル防衛)としてルーマニアやポーランドにイージス・アショアの配備を検討し始めた頃は、ロシアは、アメリカの本音が対イランではなく、ロシアの弾道ミサイル迎撃だとして強く反発しました。

 2009年に、その反対に答える形で、当時のオバマ大統領が計画を変更し、SM-3ブロック2Bの開発中止を決めると、ロシアのICBMには影響が出ないとして容認の構えを見せます。しかし、イージスシステムが、他のシステムによる迎撃にも効果を及ぼしたり、SM-3ブロック2Aであっても、ICBMに対して一定の効果が見込めるようになるなどの変化を踏まえ、再びイージス・アショアに対して反対の姿勢を見せるようになっています。

 日本のイージス・アショアに対しては、検討され始めた初期から反対の姿勢を示しています。ただし、日本の防衛政策や北朝鮮の脅威を考慮してか、あまり核抑止を前面に出した強い反対はしていませんでした。在日米軍の存在はあれども、日本は、弾道ミサイルなどの攻撃的兵器を配備していないためです。

 とはいえ、やはり基本姿勢としては反対であり、昨年(2018年)に入り、ロシアは、イージス・アショア自体が、ロシアに対する攻撃兵器になるという理由を付け加えました。ラブロフ外相が記者会見において主張するとともに、ロシア政府の意向を踏まえたメディアがそうした主張を展開しています(日本の革新系団体もロシアの姿勢を受けてイージス・アショアが攻撃兵器になると反対する姿勢を掲げています)。

 ロシアが「イージス・アショアが攻撃兵器にもなる」とする論拠は、海上イージスでは、巡航ミサイルであるトマホークが発射可能であり、イージス・アショアもこれを運用できる(ように改造できる)ため、これがINF条約(中距離核戦力全廃条約)に違反するという論理です。

 しかし、日本が導入するイージス・アショアは、トマホークの運用能力を持ちません。おまけにINF条約はアメリカとロシアの条約ですから、本来日本は関係ありません。

 ロシアの主張は言いがかりとしか言いようがなく、政府はしっかりと反論しており、この論によるロシアの反対はあまり意味をなしてはいません。

 また、このロシアによる反対よりも中国を意識しての決定だと思われますが、今月1日、アメリカはINF条約の破棄を通告したため、ロシアによるこの主張は無意味なものとなりました。

(参考)『ロシアが日本の陸上イージス配備を好まない理由』(スプートニク)

【4】配備地が秋田と山口なのはアメリカのためなのか?
 オマケとなりますが、防衛省・自衛隊が、イージス・アショアの配備地を秋田と山口としていることに対して、イージス・アショアが日本のためではなく、アメリカのためのシステムだとするプロパガンダを展開する方がいますが、これを否定しておきたいと思います。

 イージス・アショアがアメリカのためだと言う人は、次のように主張します。

「北朝鮮からハワイに発射される弾道ミサイルは秋田上空を通過する。グアム発射される弾道ミサイルは山口上空を通過する。だから、秋田と山口に設置するのだろう。日本が最も防護すべき東京は、秋田からも山口からも遠いはずである」

 この説明には、一見説得力があるように見えるかもしれませんが、間違いです。

 THAADやパトリオットPAC-3は、大気圏中で迎撃を行うため、ミサイルの正面方向からミサイルを当てた方が良いのですが、イージスSM-3は宇宙空間で迎撃を行うため、その必要はありません。SM-3は「比例航法」と呼ばれる航法で、誘導が行われます。これは、飛行機同士での空中衝突事故や、地上での見通しの良い交差点の衝突事故でも見られる現象と同じものです。ある交差点に差しかかる自動車の車速が異なっていても、例えば、常に正面から30度右方向に見える、というように、同じ方向に見える車とは、交差点上で必ず衝突する現象で、コリジョンコース現象と呼ばれています。

 イージスSM-3も、重力加速度による落下方向の速度増大を補正しますが、基本的に、この比例航法で誘導されます。そして、そのためには、レーダーで目標の位置を正確に観測していることが重要です。前述のように、SSRレーダーは、現行のSPY-1よりも分解能が高くなり、より正確に目標を観測することができるようになりますが、正確に観測するためには、目標との位置関係も重要です。

 キャッチボールをしたことのある人は感覚的に理解できると思いますが、目の前に真っ直ぐ飛んでくるボールは、多少横に逸れているボールよりも距離の目測が困難です。角速度がないため、観測しにくいからです。

 レーダーによる観測もこれと同じです。角度分解能が高くとも、正面から飛来する弾道ミサイルは、角速度が少なく、距離分解能で位置を観測せざるを得なく、観測精度が落ちます。

 つまり、秋田、山口へのイージス・アショア配備は、やや側方から弾道ミサイルを観測することで、東京に向かう弾道ミサイルの迎撃を最も行いやすいポジションというわけです。もちろん、秋田からも、山口からも迎撃できるという冗長性も確保されています。

【5】結論「防衛省・自衛隊の決定は極めて妥当」
 以上のように、イージス・アショアを導入するという防衛省・自衛隊の決定は、極めて妥当なものです。

 実際に稼働を始めるまで、少々時間を要しますが、日本の平和と安全のために大いに貢献してくれるでしょう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55510

http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/927.html

[政治・選挙・NHK257] 米朝首脳会談「寧辺核施設」に注目せよ 交渉を進めたいのは米国側、北朝鮮の大きな妥協は期待できない  ベトナム秘めた思惑
米朝首脳会談、「寧辺核施設」に注目せよ
交渉を進めたいのは米国側、北朝鮮の大きな妥協は期待できない
2019.2.26(火) 黒井 文太郎
金正恩氏乗せた列車、中国に到着 27、28日にベトナムで米朝首脳会談
ベトナム・ハノイで開かれる2回目の米朝首脳会談のため、平壌駅を出発する北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長(中央)。朝鮮中央通信配信(2019年2月23日撮影、同月24日配信)。(c)AFP PHOTO/KCNA VIA KNS〔AFPBB News〕

 2月27日、28日、ベトナムの首都ハノイで、2回目の米朝首脳会談が行われる。何が期待できるのか? どこに注目したらいいのか? 会談の前にポイントを整理してまとめてみた。(軍事ジャーナリスト:黒井 文太郎)

米国が得たメリットとデメリット
 まず、米朝関係の現状はどうなっているのか? 昨年(2018年)6月の1回目の米朝会談を経て、米朝双方は、どんなメリットを得たのかをみてみたい。

 米国側の最大のメリットは、北朝鮮の新規の核起爆とミサイル発射の実験を停止させることができたことだ。なかでもミサイルは、北朝鮮はアメリカ東海岸まで射程に収めるICBM「火星15」の発射実験まで成功させていたが、実用化して実戦配備するには、北朝鮮としてはさらに実験を重ねたいところだったはずだ。

 ただし、それが実用化されれば、米国の安全保障には致命的な弱点が生じる。米国とすれば、それを阻止するために、危険な戦争も検討せざるを得なくなる。それは米国としても、リスクがきわめて高い。だから、北朝鮮がたとえ水面下で技術開発を継続していようと、実験の停止はメリットとなる。緊張をとりあえず緩和し、戦争の危機を当面回避したことも、短期的にはメリットだ。

 また、米国にとってということとは別種の話だが、トランプ大統領個人にとっては、「自分はオバマ前大統領などには不可能だったことをやってみせた」という政治的パフォーマンスもメリットといえる。

 逆にデメリットとしては、これは緊張緩和・戦争回避と表裏の関係になるが、北朝鮮に核廃棄を迫る軍事的圧力も緩和されたということがある。いわば北朝鮮の核温存の可能性への道を開いたともいえるわけだ。

 実際、トランプ大統領の指示によって、米韓軍事演習の一部が中止された。北朝鮮に対する米軍の軍事的な抑止力はまだまだ圧倒的ではあるが、圧力の低減となることは確かである。

 つまり、「北朝鮮との戦争のリスクを当面回避した」ことは、北朝鮮との緊張を大幅に緩和し、和解の可能性を残したが、これが北朝鮮の非核化に繋がるのか、あるいは北朝鮮の核武装を黙認する結果に終わるのかは未確定だ。なので、米国にとって良策だったのか否かは未確定である。

 ただし、現実に、北朝鮮は「朝鮮半島の非核化」に合意はしたものの、自らの核武装の放棄に向けた具体的な措置を拒否している。昨年の1回目の首脳会談を経て、8カ月が過ぎた現在に至っても、非核化措置はなされていない。あくまで現時点だけで評価すれば、これは米国からすれば大きなデメリットとみることもできる。

金委員長のそっくりさん、ベトナムを国外退去へ 「これは犯罪」
ベトナム・ハノイのホテルでキスのしぐさをする北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長のそっくりさんのハワードXさん(左)とドナルド・トランプ米大統領に扮したラッセル・ホワイトさん(2019年2月25日撮影、資料写真)。(c)Manan Vatsyayana / AFP〔AFPBB News〕

北朝鮮が得たメリットとデメリット
 他方、北朝鮮側にとってのメリットは、何と言っても、戦争の回避そのものだろう。

 一時は米軍による「斬首作戦」(北朝鮮問題では金正恩委員長の抹殺の意)だの「鼻血作戦」(限定的先制攻撃)だのの可能性すら大きく報道されていた。就任直後のトランプ大統領は「何をするか読みづらい」人物であり、実際に米軍の空母が日本海に派遣されたりして、北朝鮮としては非常に脅威に感じていたはずだ。

 もちろん戦争などということになれば、万に一つも北朝鮮に勝ち目はなく、それどころか金正恩政権の崩壊に繋がることも十分にあり得た。米朝交渉によって、北朝鮮は国家存亡にかかわる巨大なメリットを得た。

 また、緊張が緩和されたことで、韓国、中国、ロシアなどとの関係も大幅に好転した。それまでも中国やロシアなどとは良好な関係にあったが、核やミサイルの実験を繰り返していた頃は、国連安保理で制裁決議が通り、各国とも表向きはそれに従わなければならなかった。

 ところが、緊張緩和で融和ムードが広がったことで、石油の瀬取りなどの制裁破りが横行するようになった。米朝緊張激化の頃なら、露呈した場合に米国を怒らせることのリスクも高かったが、融和ムードとなってからはそのリスクが大幅に低下した。

 これにより、全面的な制裁解除に比べたらまだ一部に留まるものの、厳重な制裁によって国内経済が極度に停滞していた状況は脱している。これも北朝鮮にとっては大きなメリットだ。

 北朝鮮にとってのデメリットも、もちろんある。「核・ミサイル実験停止により、対米核抑止完成の一歩手前に留まったこと」「制裁解除に至っていないこと」「米軍の軍事的脅威の除去に至っていないこと。中でもその第一歩になる終戦宣言すら至っていないこと」などだ。

 したがって、今後の交渉では、米朝は上記のデメリットの解消を目指すことになる。今回の首脳会談でもそこが交渉になる。

交渉を進めたいのは米国側
 とはいえ、いきなりすべてのデメリットを解消することは不可能だ。では、双方は今回、どういった点を交渉しようとするのか?

 米国側は、何と言っても、北朝鮮の非核化を少しでも進めることを目標としている。これまでは「完全非核化への行程表の提示」を要求し、特にその前提となる「核・ミサイル施設や開発計画のリストの申告」を優先させていたが、北朝鮮はリスト申告にすら激しく抵抗している。今回も、北朝鮮はそれに応じる気配はまったくない。

 トランプ政権は、現時点では、非核化措置以前の制裁解除は明確に否定している。交渉の進捗についても、トランプ大統領自身が「急いではいない」と発言するなど、大きな進展を期待していない様子を示している。

 かといって、トランプ大統領は金正恩委員長との良好な関係だけは、現在も大きくアピールしている。国内政治的に利用していることは明白で、仮に大きな進展がなかったとしても、トランプ大統領は必ず「会談は成功だった」とアピールする。北朝鮮敵視路線に回帰する可能性はまずないだろう。

 そのため、形式的にも交渉進捗のアピールを目指すことになる。つまり、「何らかの妥協を北朝鮮から引き出す」ことを目指す。それも、本丸である核・ミサイルに関係する分野での進展を目指すだろう。

 一方の北朝鮮側は、かねて要求を示している。制裁解除と終戦宣言だ。北朝鮮は「朝鮮半島の非核化」について、自身の核放棄だけ進めることを明確に拒否し、同時に「米国の核の脅威を完全に取り除く」ことを主張している。つまり、韓国が事実上、核の傘から外れることだが、これは当然、簡単に進む話ではない。そこで北朝鮮は、米国側にまずは制裁解除と終戦宣言を受け入れるよう求めているのだ。

 北朝鮮側の主張は、すでに北朝鮮側が緊張緩和の措置を重ねてとっているのだから、次は米国側の順番だという論法である。昨年6月の首脳会談でも、北朝鮮は最初から「双方の段階的措置が必要」と強調していた。少しずつの交渉で、一気に動かすことを回避したいのだ。つまり、交渉を進めたがっているのは米国側、トランプ大統領の側なのである。

楽観的な観測はみられない国際メディア
 では、今回の米朝首脳会談では、どのような成果が期待できるのか?

 楽観的な見通しが韓国政府や韓国メディアからは報じられるが、いずれも根拠は薄い。前回の首脳会談でも先走った楽観的観測が連発されたが、結果的に外れているので、今回もおそらくアテにはならない。

 それより交渉当事者である米朝の両政府がもちろん現実的な見通しを知っているわけだが、北朝鮮側からは情報が出ないから、注目すべきは米国側から伝えられる情報ということになる。

 米国政府からのリークを受ける米国メディア、あるいは西側の国際メディアの報道をみると、あまり楽観的な観測はみられない。

 たとえば、2月21日のロイター通信の報道では、複数の米政府高官の話として、以下のように伝えている。

・米国側は非核化の行程表の提示を引き続き要求するが、会談で得られる成果には懐疑的な見方が多い。

・在韓米軍の撤退は議題にしていない。

・非核化をめぐる共通認識を探る見通し。

同じロイター通信だが、2月25日には、以下のように伝えている。

・米国は北朝鮮への要求水準を下げ、限定的な合意を受け入れる姿勢のようだ。

・米朝高官らによると、事前協議では寧辺の核施設廃棄の査察受け入れや米朝の連絡事務所設置などが議題に上っている。

・米国側は、朝鮮戦争以来続く敵対関係の終結宣言や、北朝鮮の観光特区設置など南北朝鮮間プロジェクトの承認といった譲歩を示す可能性もある。

 なお、朝鮮戦争のいわゆる「終戦宣言」については、中国や国連も含む議題であり、西側主要メディアでは「まだそこまではいかない」との見方が多いが、一部には「2国間だけで、法的拘束力のない声明の形で相互の不可侵に合意する可能性はある」などといった見方もある。

北朝鮮のカード「寧辺の核施設の廃棄」
 ただ、終戦宣言などはあくまで付随的なものであり、注目点はやはり非核化に関する分野だ。そこで注目されているのが、前述のロイター記事にもあった北朝鮮の核開発の本拠地である寧辺(ニョンビョン)の核施設の廃棄の問題である。

寧辺(ニョンビョン)郡の位置(Googleマップ)
拡大画像表示
 北朝鮮の非核化措置をめぐる楽観的観測のほとんどは、北朝鮮が一度も言ってもいないことを勝手に期待する根拠のない話が多いのだが、実は北朝鮮が自ら出しているカードがある。それが「寧辺の核施設の廃棄」だ。

 昨年9月19日、平壌で金正恩委員長と文在寅大統領が南北首脳会談を行った際に「米国が相応の措置を取れば、北朝鮮は寧辺の核施設廃棄などの追加措置を取る用意がある」と明記された。「米国が相応の措置を取れば」とあるように、米国から見返りを得るための交渉材料として出してきたのである。寧辺には、核兵器開発の研究機関、プルトニウムを製造している原子炉と再処理場、ウラン濃縮施設、さらにおそらく核融合に使用する三重水素の製造拠点もある。

 プルトニウムを製造する原子炉は、地下に隠すことが困難で、仮に廃棄されれば、今後、北朝鮮はプルトニウムを増産できなくなる。他方、ウラン濃縮は多数の遠心分離器を接続すれば可能なので、地下に密かに建設することが容易だ。したがって、北朝鮮はおそらくすでに他にも秘密のウラン濃縮施設を建設している可能性がきわめて高い。

 ということは、寧辺の核施設をすべて廃棄したからといって、ウラン濃縮活動は続けられるだろう。したがって、それで北朝鮮の核爆弾増産を止められることにはならない。

 あるいは、北朝鮮がすでに、自分たちの対米戦力として当面は充分な量の核爆弾の原料を確保したと考えた可能性もある。それをどこかで隠し持ち続ければいいとの考えだ。

 ただ、それでも寧辺の核施設を全廃するのは、北朝鮮にとってはかなり大きな妥協だ。決裂を避けたいトランプ大統領を相手に、有利な交渉を展開中の北朝鮮が、いきなりそこまで大きなカードを切る理由があまりないような局面でもある。

 それよりこの寧辺カードのポイントは、北朝鮮が「寧辺の核施設廃棄」について、寧辺のすべての核施設なのか、あるいは一部の核施設に留まるのかを明言していないことだろう。交渉材料として差し出してきた核施設が、もうほとんど不要になった一部の核施設に留まるなら、実質的には非核化への一歩にもならない。

「すべての核燃料施設を廃棄」という情報も
 そんななか、米国側の当事者から、驚くような証言も出ている。

 米国務省で北朝鮮との交渉を統括するスティーブン・ビーガン北朝鮮担当特別代表が、1月31日、「北朝鮮が寧辺だけでなく、すべてのウラン濃縮とプルトニウム再処理施設を廃棄することを約束している」と発言したのだ。メディアへの匿名のリークなどではなく、当局の担当責任者の実名発言なので、それに近い話はおそらく出ていたのだろう。

 ただ、この発言はやはり「米国が相応の措置をとるなら」と枕詞がついている。北朝鮮側にとっては、「米国の軍事的脅威が除去されれば、核兵器は必要ない」という金日成時代から言っていた対外フレーズに沿ったもので、具体的な交渉カードというほどの意味はないのではないか。むしろここで話を大きく広げたことで、逆に南北首脳会談での「寧辺核施設廃棄」のリアル性も薄れた印象がある。

 ただ、いずれにせよ、北朝鮮側から公式に「寧辺核施設廃棄」カードが切られた以上、米国としてはそれを少しでも実のあるものに進めたいと、その内容について、米国側からの交渉カードを積み上げつつ、交渉に臨んでいることが推測される。

 なお、前述したロイター記事にもあった「事前協議では寧辺の核施設廃棄の査察受け入れも議題に上っている」という話は、おそらく米国側が要求しているという意味での「議題に上っている」だろう。少なくとも、北朝鮮側はこれまで一度も、そうした約束はしていない。

(ちなみに、「北朝鮮は廃棄した寧辺の核施設にIAEA査察官を受け入れることにも合意した」という未確認情報も一部に出ているが、こちらは韓国発の報道なので信憑性は高くない。)

現状では追い詰められていない北朝鮮
 それにしても、核施設の廃棄というのは、北朝鮮にとってはかなり強力なカードであり、そこまでいきなり進むのかいうと、疑問はある。北朝鮮側は現状、それほど追い詰められた状況にないからだ。

 そこで注目したいのは、前述した昨年9月の南北首脳会談での「平壌共同宣言」に、寧辺核施設廃棄と並んで、次の一文があったことだ。

「東倉里のミサイルエンジン実験場とミサイル発射台を、専門家監視の下で永久廃棄する」

 この東倉里のミサイルエンジン実験場とミサイル発射台の廃棄は、すでに北朝鮮側が公表してきたことにすぎないが、これを「専門家監視の下で永久廃棄」の措置をとるというのである。非核化とは程遠い小さなカードだが、平壌共同宣言にわざわざ書いたということは、北朝鮮はこれを目下の現実的な交渉カードとして使ってくる可能性がきわめて高い。

 もちろんそれだけでは成果があまりにも小さい。あるいはその他に、米国が食いつきそうなカード、例えば米国安全保障に直結するICBM計画凍結に関連するカードなどを、北朝鮮側が切ってくる可能性もあるだろう。

 いずれにせよ、東倉里のミサイル施設廃棄の検証が最小の期待値、まずは部分的にでも寧辺の核施設廃棄への約束が最大の期待値というあたりが、今回の首脳会談をみるポイントとなりそうだ。

 ただし、繰り返すが、現状は北朝鮮がそれほど追い詰められておらず、あくまで友好的ムードを演出したいトランプ大統領が相手では、北朝鮮が大きな妥協をする可能性は小さいというのが、筆者の推測である。

(※)筆者はこのあとベトナムに飛び、今回の首脳会談を現地で取材する。会談後にまた結果をレポートしたい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55598


 


「米朝首脳会談」実現させるベトナムの秘めた思惑
漂流する東アジアを撃つ(第2回)
2019.2.26(火) 右田 早希
正恩氏は「意味ある」言動を、制裁解除に絡みトランプ氏けん制
1回目の米朝首脳会談が行われたシンガポール・セントーサ島のカペラホテルで、手を振るドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(2018年6月12日撮影)。(c)SAUL LOEB / AFP〔AFPBB News〕

(右田早希:ジャーナリスト)

 トランプ大統領と金正恩委員長の2回目の米朝首脳会談が、今週2月27日と28日に迫っている。今回の開催場所は、ベトナムの首都ハノイである。

 なぜ開催場所がハノイに決まったのか、また主催するベトナムにはどんな思惑があるのか。ベトナム政府関係者に、緊急インタビューを行った。

ベトナムは北朝鮮にとって東南アジア最大の友好国
――前回、昨年6月の米朝首脳会談は、シンガポールで開かれましたが、今度はハノイ。ベトナム政府としては、水面下でどのような動きをしていたのですか?

「昨年のシンガポールでの米朝首脳会談は、大成功を収めました。会談そのものもそうですが、主催したシンガポールにとっては、1965年の建国以来、最大規模のイベントとなったのです。米朝の政府関係者はもとより、世界各地から集まったジャーナリストは総勢3000人に及び、30億ドルもの経済効果をもたらしました。あの後、世界からの観光客も急増したと聞いています。あるシンガポール政府の人は、『これまで欧米の旅行サイトでは、シンガポールはあたかもマレーシアの植民地のような表記になっていたが、あの会談の後、ようやく独立国と認められた』と笑っていました。

 そうした話を、昨年ASEAN(東南アジア諸国連合)議長国だったシンガポールの関係者たちから聞き、次回の米朝首脳会談の候補先として、同じASEANの仲間であるベトナムを推してほしいとお願いしたのです。

 同時に、アメリカと北朝鮮に対しても、強い働きかけを行いました。2017年11月にベトナム中部のダナンでAPEC(アジア太平洋経済協力会議)を実施しており、トランプ大統領にもベトナムを気に入ってもらっています。

 一方の北朝鮮とは、1950年1月に国交を樹立しており、ベトナム、中国、北朝鮮、ラオスというアジアの社会主義国の『血盟関係』にあります。金日成主席は1958年と1964年に訪越し、ホーチミン主席も1957年に北朝鮮を訪問しています。現在でも、東南アジアにおいてベトナムは、北朝鮮にとって最大の友好国で、ハノイの中心部には、東南アジアで最大規模の北朝鮮大使館があります。

 そうしたことから、アメリカと北朝鮮に対して、強い働きかけをおこなったのです。両国からよい感触が伝わってきたのは、年明けになってからでした」

ベトナムの理想は米中等距離外交
――経済効果の他にも、トランプ大統領と金正恩委員長をハノイに招くという外交的効果は大きいのではないですか。

「その通りです。北朝鮮には、国連制裁に抵触しない範囲内で、経済援助を行う予定です。

 わが国が最も力を入れているのが、トランプ大統領の訪越です。かつて1年半という短期間に、アメリカ大統領が2度もベトナムを訪問してくれたことはありません。

 周知のように、ベトナム戦争は1975年に、われわれがサイゴン(現ホーチミン)を陥落させ、アメリカを駆逐して終結しましたが、アメリカとの国交を回復したのは、それから20年後の1995年です。わが国は1986年から、中国を見習ってドイモイ(刷新)政策を始めましたが、やはりアメリカと国交がないと、どうにも国が発展していかなかったのです。

 21世紀に入ると、同じ社会主義国で国境を接する中国が、ベトナムにとって大きな脅威になってきました。わが国は長年、中国の属国でしたが、ベトナム人は伝統的に、激しい反中感情を持っています。その大国・中国を牽制するには、どうしてもアメリカの力を借りる必要があるのです。

 一例を挙げれば、国交回復を果たしたのはクリントン大統領でしたが、中国に強烈なインパクトを与えたのはヒラリー・クリントン国務長官です。2010年7月にハノイで開かれたARF(ASEAN地域フォーラム)に出席し、アメリカとASEANが結束して、南シナ海での中国の脅威に対抗していこうという主旨の演説をしたのです。この日を境に、空気が一変しました。それまでベトナムは、アメリカに対して、ベトナム戦争から続く拒否感がありましたが、その後はアメリカ軍との交流が始まったのです」

――今回、トランプ大統領がハノイ入りし、ベトナムとどのような取り決めを行うのですか?

「グエン・フー・チョン書記長(国家主席)からトランプ大統領に、アメリカ軍にもっと頻繁かつ大規模な編成を組んで南シナ海に出てきてほしいと要請します。そのことは、トランプ大統領も望んでいると聞いています。越米間の軍事交流を、もっと盛んにしたい。

 2017年11月にダナンAPECを成功させた後、翌2018年3月に、アメリカ海軍の空母カールビンソンが、ダナンに寄港しました。ベトナム戦争の激戦地に、ベトナム戦争後、初めてアメリカの空母が寄港したのです。すべては中国に対抗するためで、おそらく誰よりも驚いたのが中国だったことでしょう。

 経済的にも、周知のようにトランプ政権は、中国と貿易戦争の真っ最中ですが、もっとベトナムを活用してほしいと、トランプ大統領に訴えます。アメリカ企業は中国を脱出し、ベトナムに工場を移転すれば、アメリカへ製品を輸出する際にも追加関税はかからないし、ベトナムの物価や人件費は中国よりも安いので、コストも安上がりです。実際、このところベトナムからアメリカ向け繊維製品の輸出が急増しています。

 もっとも、トランプ大統領としても、わざわざベトナムに足を運ぶことによって、中国を牽制するという意味合いがあると思います。わずか数年前まで、ベトナム、北朝鮮、ミャンマーは、まるで中国の属国のような状態でした。それが2011年10月に、クリントン国務長官がミャンマーを訪問し、ミャンマーを親米国に変えた。今回は、ベトナムと北朝鮮を̪親米国に変えようというわけで、それはベトナムにとっても歓迎すべきことです。そうかといって、中国と敵対するといことではなくて、ベトナムの理想は、米中両大国との等距離外交です」

米朝首脳会の実現で中国を牽制
――他にも、今回の米朝首脳会談で、ベトナム側のメリットはありますか?

「グエン・フー・チョン書記長は、チャン・ダイ・クアン国家主席が昨年9月に急逝したことを受けて、国家主席も兼任しています。今回の米朝首脳会談を成功裏に終えた後、グエン政権の求心力が強まることは間違いありません。ベトナムは、まもなく人口1億人を超える大国となるので、政権の安定は何より重要です。

 またグエン書記長は、トランプ大統領と金正恩委員長をもてなす一連の行事が終わった翌日から、ラオスを訪問します。ラオスも同じ社会主義の盟友ですが、新たなベトナムとラオスの関係を構築するのです。ラオスも、中国に侵食されて苦悩しているのです。そこで、トランプ大統領の後ろ盾を得たグエン書記長がラオスを訪問することは、ベトナムのラオスに対する立場を格段に引き上げる効果があります。

 ともあれ、今回の米朝首脳会談を主催するベトナムの最大の効果は、中国への牽制です」

 以上である。ベトナムの立場から今回の米朝首脳会談を眺めてみるのも興味深い。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55584
http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/928.html

[政治・選挙・NHK257] 知られざる戦争「シベリア出兵」の凄惨な真実「失敗の本質」の原点がそこにある 中ロを一体として見なすのはやめたほうがいい
知られざる戦争「シベリア出兵」の凄惨な真実
「失敗の本質」の原点がそこにある
2019.2.26(火) 佐藤 けんいち
シベリア出兵の各国軍によるウラジオストクでの軍事パレード(出所:Wikipedia)
(佐藤 けんいち:著述家・経営コンサルタント、ケン・マネジメント代表)

 いまだに解決しない北方領土問題。この問題がボトルネックとなり、いまだに日本とロシアの間では平和条約も締結されず、国境線の最終画定も終わっていない。

 膠着状態はすでに75年に及んでおり、日本人にしては息が長いというべきかもしれないが、隣国関係としては異常な状態であることは否定しようがない。国際情勢が流動化し、近隣諸国との関係がギクシャクしがちな現在、北方の潜在的脅威は1日も早く取り除く必要がある。二正面作戦は絶対に避けなくてはならないからだ。

 残念なことだが、日本とロシアの関係はこれまで必ずしも良好な関係であったわけではない。4次にわたる日露協商が締結されていた、日露戦争後からロシア革命に至るまでのごく短い「黄金の10年間」は例外として、第2次世界大戦の最末期の1945年8月9日から降伏文書が調印された9月2日までの約3週間にわたったソ連軍による満洲侵攻、南樺太(サハリン)と千島列島への侵攻がもたらした虐殺と略奪は、日本人に拭いがたい不信感を植え付けた。それらの侵攻は、「日ソ中立条約」を踏みにじっての対日戦参戦であり、その後の11年間に及ぶ過酷な「シベリア抑留」につながった。日本全土で空爆を実行し、広島と長崎に原爆を投下した米国よりも、ソ連が嫌いだという人が「冷戦」時代に少なくなかったのは、そのためだ。

 この状況は、ソ連崩壊に伴う冷戦崩壊後も、基本的に大きな変化はないようだ。中国共産党政権が急速に膨張して巨大化した2010年代の現在でも、日本人のロシアに対する意識はあまり変化がないように見える。

シベリア出兵はいまだに“知られざる戦争”
 だが、日本人は国際情勢の変化をよく認識する必要がある。中ロを一体として見なすのはやめたほうがいい。

 日ロ関係を理解するためには、まずは戦前の約70年間について振り返ってみておくことが重要だろう。それは「熱戦」の時代であった。日ロ間で戦われた4つの戦争とは、「日露戦争」(1904〜1905)、「シベリア出兵」(1918〜1925)、「ノモンハン事件」(1939年)、すでに触れた第2次世界大戦末期の日ソ戦(1945年)である。これに満洲国とソ連との国境紛争であった「張鼓峰事件」(1938年)を加えるべきかもしれない。日露戦争とノモンハン戦争、第2次世界大戦末期の日ソ戦については、何度となく映画やドラマ化されているので比較的よく知られていることだろう。

 今回はその中から、多大な戦費と戦死者数を出したにもかかわらず、現在の日本ではいまだに“知られざる戦争”となっている「シベリア出兵」について重点的に取り上げたい。前回のコラム記事(「高級チョコを日本に広めたロシア人が受けた仕打ち」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55430)で、白系ロシア人のモロゾフ一家が難民として日本に移住することになった背景がこの戦争の時代であった。

「岸壁の母」で有名な京都府舞鶴市生まれの私は、シベリア抑留の話を耳にすることが多かった。また、徳島市生まれの父方の祖父が「シベリア出兵」に出征している。そのため、戦前から戦後にかけて日本人が体験した2つの「シベリア」に長年にわたって強い関心を抱いてきた。祖父の現地体験については、のちほど触れることにする。

ロシアから見たら侵略戦争だった
 シベリア出兵は、第1次世界大戦(1914年7月〜1918年11月)末期の1918年8月2日に始まった。ロシア本土からの撤兵は1922年10月25日、北樺太からの最終撤兵は1925年5月15日。足かけ7年に及ぶ戦争であった。

 シベリア出兵は、多国籍軍による「シベリア干渉戦争」として始まり、後半は日本のみによる単独出兵となった。

 戦費はトータルで約10億円(当時)、戦死者は3500人にも及んだが、ほとんど何も得ることなく終わったこの戦争は、「大正デモクラシー」という時代背景もあり、日本国内ではきわめて批判が多かった。

 議会では中野正剛が激しく政府を攻撃し、「日本の近代漫画の祖」とされる北沢楽天による政治風刺漫画が人気を博していた。このような状況のなか、軍部は報道管制を行って都合の悪い情報はすべてシャットアウトし、戦地の正確な状況が国民の目から伏せられた。「知られざる戦争」となった理由がここにある。

 だが、それだけではない。戦場となったロシアは革命後の大混乱のさなかであったとはいえ、日本からみればあくまでも他国の領土である。攻め込まれたロシアから見れば、侵略戦争以外の何物でもなかった。農民を主体にしたゲリラ部隊のパルチザンだけでなく、一般住民も多く巻き込まれ、虐殺され、略奪された。ロシアからみれば、日本は何をするか分からない恐ろしい国というイメージを残すことになったのである。この事実は、きちんと認識しておかねばならない。これが、第2次大戦末期のソ連軍侵攻とシベリア抑留につながっているのである。

『はいからさんが通る』とシベリア出兵
 ここで、シベリア出兵当時の日本がどういう状況にあったかを見ておこう。

『はいからさんが通る 新装版(1)』(大和和紀著、講談社)
『はいからさんが通る』は、1975年から77年にかけて発表された少女マンガだ。半世紀近くにわたって読み継がれてきた名作であるだけでなく、昨年(2018年)にはアニメ映画化されたほか、ドラマ化も何度もされてきた。宝塚歌劇の演目でもある。

『はいからさんが通る』の時代背景は大正ロマンの時代。現代の大学卒業式シーズンの女子大生の袴姿は大正時代のものだ。大正時代といえば「大正デモクラシー」だが、「原始女性は太陽であった」(平塚らいてう)というフレーズで有名なように、大正は「新しい女」の時代の始まりでもあった。働く女性が増えてきた時代でもある。前回のコラムで取り上げたように、「はいから」な洋風生活が浸透してきた時代でもある。

 だが一方では、全国規模で爆発した米騒動(1918年)に始まり、シベリア出兵(1918〜1925)、関東大震災(1923年)と、国内外で多事多難な時代でもあった。そもそも米騒動は、シベリア出兵宣言の翌日に始まっている。出兵に伴う食糧のコメ買い上げの噂が、さらなる米価急騰を招いたのも原因の1つであった。1973年の石油ショックの際に発生したトイレットペーパー買い占め事件を想起させるものがある。米騒動は陸軍の治安出動によって鎮圧されている。

 大正時代は「大衆の時代」の始まりであるが、ロシア革命の影響もあって労働争議が多発し、明治末期の「大逆事件」後に逼塞していた社会主義運動も息を吹き返していた。1925年には「普通選挙法」が成立して成人男子すべてに選挙権が与えられたが、「治安維持法」と抱き合わせの成立であった。

 マンガ『はいからさんが通る』は、そんな時代を背景にした作品だ。主人公の婚約者は帝国陸軍の少尉であり、シベリア出兵開始と同時に出征した設定になっている。「シベリア出兵」は、そんな大正時代の出来事であったことを、押さえておきたい。

多国籍軍による共同出兵として始まった
 では、シベリア出兵に至る経緯を見ていこう。

 ロシア革命(1917年)は、第1次世界大戦のさなかに起こった出来事である。第1次世界大戦において、革命前の帝政ロシアは英仏主導の「連合軍(協商国)」(日本もその一員)に属しており、欧州の東部戦線ではドイツ帝国およびハプスブルク帝国(オーストリア・ハンガリー帝国)と戦っていた。

 ロシア革命後に、ブレスト・リトフスク条約でドイツと単独講和を実現したボルシェヴィキ政権は東部戦線から離脱したため、ドイツは全勢力を西部戦線に振り向けることが可能となった。この状況に強い危機感を感じていたのが英国とフランスである。英仏は、ボルシェヴィキ政権を倒して、ロシアを東部戦線に復帰させることを意図していたのである。

 この英仏からの強い要請に応じて、ロシア極東とシベリアに干渉軍を派遣することになったのが、日本と米国の連合軍を中核とした15カ国に及ぶ「多国籍軍」であった。いわゆる「シベリア干渉戦争」である。

 第2時世界大戦後の朝鮮戦争やベトナム戦争、近いところではアフガンとイラク介入も米国が主導した干渉戦争であった。それらの原点がシベリア干渉戦争だったということができよう。

大義名分は「チェコスロバキア軍団の救出」
 英仏だけでなく、日本もまた別個に野心をもっていた。帝国陸軍には、「日本海内海化構想」なるものがあったという。すでに押さえた朝鮮半島と隣接する満洲、さらにバイカル湖以東のシベリアとロシア極東に、日本の傀儡政権を樹立して勢力圏を確保するという軍事構想である。

 ただし、日本は米国が踏み切らない限り出兵しないという方針を貫いていた。というのも、日米関係は経済関係が密接であったにもかかわらず、「排日移民法」(1924年)につながることになる移民制限によって、政治的には関係が悪化する傾向にあったからだ。あくまでも日米共同歩調をとることで、米国の批判を回避しようとしていたのである。

 米国は第1次大戦の開始当初は孤立主義を保っていたが、後半の1917年には大規模に出兵し、11万人強の戦死者を出して連合国の勝利に多大の貢献をなした(ちなみに第1次大戦での日本の戦死者は415人)。さらなる英仏から批判の矢面にたった米国は、ついにシベリア出兵を決断する。その要因となったのが、「チェコスロバキア軍団の救出」であった。

 チェコスロバキア軍団を説明すると、次の通り。東部戦線で捕虜となったドイツ軍とオーストリア=ハンガリー軍の将兵が、ロシア各地に収容されていた。オーストリア=ハンガリー帝国は他民族国家であり、捕虜となった将兵の中にはチェコ人とスロバキア人がいた。彼らは軍団を形成し、ロシアでボルシェヴィキ革命後に「反革命軍」として行動することになる。それがチェコスロバキア軍団だ。

ウラジオストクのチェコ軍団(1918年)(出所:Wikipedia)
 英仏は、シベリアで孤立していたチェコスロバキア軍団をシベリア鉄道経由で6000キロ以上離れたウラジオストクに移送し、さらに海路で欧州に運んで西部戦線に投入する計画を推進しようとしていた。当時は、まだチェコスロバキア(冷戦後の1992年にチェコとスロバキアの2カ国に分離)が誕生した1918年より前のことである。

 結果として、英仏の意図するとおりに、日米連合軍が「チェコスロバキア軍団の救出」という大義名分でシベリアに出兵することになった。将兵はともに7000人という申し合わせであったが、日本はなにかと理由をつけては増員し、ピーク時には7万2000人も出兵している。

シベリア出兵のために編成された浦潮派遣軍(1918年8月18日)(出所:Wikipedia)
 なお、日本以外の多国籍軍は、英仏米いずれも地理的に近いアジアの植民地から出動させた。英国は香港、フランスはインドシナ、米国はフィリピンからだ。米国は現地駐留の米国人将兵であったが、現地派遣の英国軍の傘下にはインド兵、フランス軍の傘下にはベトナム兵がいた。南方出身者にとってシベリアの過酷な環境での苦労は、想像を超えたものがあったことだろう。

ウラジオストク上陸後にパレードするアメリカ軍(1918年)Wikipedia
パルチザン部隊に包囲され全滅した部隊
 初戦は本格的な戦闘が行われたが、軍隊には付き物の先陣争いという要素もあって、日本軍が攻撃の中心にあった。日露戦争から14年しかたっていなかった日本軍のレベルはきわめて高く、敗北した敵側はただちに戦術を修正して、パルチザン主導に転換した。

 パルチザンとは、現地住民による農民主体のゲリラ部隊のことだ。神出鬼没のパルチザンは、形勢が不利になればさっさと撤退し、住民の間にまぎれこんでしまう。対ゲリラ戦は初めての経験となる日本陸軍は、最後の最後までパルチザンに翻弄されることになる。

 基本的に日本軍も米軍も、さらにチェコスロバキア軍団を含めた多国籍軍の任務の中心は、鉄道とその沿線の守備にあった。いわば「点と線」のみの確保である。パルチザン側は、至る所で鉄道と鉄道橋を破壊、電線を切断して、拠点ごとに分散して駐屯していた日本軍を孤立させ、各個撃破するという作戦をとってきた。典型的なゲリラ戦術である。そのため、日本陸軍の鉄道隊と工兵隊が、ひたすら鉄道橋や電信設備の修理に追い回されていたのが実態であった。さらにパルチザン側は、鉄道がストップし物資が欠乏している原因は日本軍のせいだと宣伝を行って、反日感情をかき立てる戦術をとりつづける。

 1919年2月25日には、シベリア鉄道沿線のユフタで田中勝輔少佐が率いる田中支隊がパルチザン部隊に包囲され全滅するという惨事が発生した。負傷して戦線を離れていた4人を除いて、44人がことごとく戦死した。その後、かけつけた友軍が発見した日本軍将兵の死体は、武器弾薬も持ち物もすべて奪われ、しかも衣服をはぎ取られていた。即死した者以外も、極寒のため凍死したのである。この全滅事件が、日本軍による報復を引き起こし、パルチザンをかくまったという理由で、村全体を焼き討ちにする事件も発生している。ベトナム戦争の際の、米軍によるソンミ村事件やと韓国軍による蛮行と変わることがない。この件については、歩兵として全滅後の現場にかけつけた松尾勝造氏による『シベリア出征日記』(風媒社、1978年)に、詳細にわたって具体的に記録されている。

 田中支隊の全滅は、帝国陸軍始まって以来の惨事となった。日本軍は太平洋戦争でのアッツ島やガダルカナル島では玉砕したが、シベリア出兵当時はまだ玉砕などという美辞麗句は使用されていなかった。この全滅の事実の詳細は軍部によって伏せられ、このあと述べることになる「尼港事件」ばかりがクローズアップされることになる。

『シベリア出征日記』や、この日記を世に出す役割を果たした高橋治氏によるノンフィクション小説『派兵 第1部・第2部』(朝日新聞社、1973年)を読むと、出兵当初は凍傷被害がきわめて多かったことが分かる。防寒対策が最初の段階では十分に進んでおらず、現地の状況から学んで改善・改良が実行されていったようだ。厳冬期にはマイナス40度以下にもなる現地では、防寒着のため着ぶくれ状態で、戦闘には不向きであった。こんな状態では、いずれにせよ、現地に根を張ったパルチザンに対して勝ち目があったとはとてもいえない。

 さらに、現地のロシア人に対して行われた虐殺や略奪だけでなく、日本軍内部でも窃盗や脱営・逃走、上官侮辱や抗命などが多数発生し、軍規が乱れていたことを、現地に派遣されていた憲兵隊が記録している。軍規が弛緩していたのは士官もまた同様であった。戦争の目的があいまいで明確ではなかったことが、これらの不祥事を引き起こしていたのである。

「尼港事件」以後は日本の単独出兵に
「尼港(にこう)事件」後は日本の単独出兵となる。尼港事件とは、アムール川河口にある地方都市ニコラエスク・ナ・アムーレで日本人居留民と日本守備隊が全滅した事件のことだ。1920(大正9)年5月24日に発生した惨劇である。

「流れ流れて落ち行く先は、北はシベリア南はジャワよ」というのは、「流浪の歌」という当時の流行歌の一節だが、大正時代までは南方のオランダ領東インド(=現在のインドネシア)だけではなく、北方のシベリアにも多くの民間人がチャンスを求めて渡っていた。ニコラエスクにも、長崎や天草出身の女性が多く渡航していたという。シベリア各地に「からゆきさん」たちが多くいたことは、出兵前に特命を帯びてブラゴヴェシチェンスクに派遣されていた石光真清の手記『誰のために』(中公文庫、1979年)にも活写されている。

 ニコラエフスクはパルチザン部隊によって包囲されたのだが、5月になってもアムール川が凍結しているため日本からの救援隊が接近できず、日本人居留民と陸軍を中心とした守備隊の約700人、ロシア人や中国人・朝鮮人をふくめた住民 6000人強が、4000人近いパルチザン部隊によって虐殺され、ニコラエスクの街全体が焼き払われたのである。

「尼港事件」で焼け落ちた日本領事館(出所:Wikipedia)
 日本国内で「尼港事件の敵(かたき)を討て」という議論が沸騰したこともあり、軍部はこれに乗じて北樺太(北サハリン)を占領した。とくに海軍においては、石炭から石油へのエネルギー転換期にあたり、石油資源の確保が至上命題となっていたことも背景にある。

 この尼港事件と同時期のことになるが、連合軍のパートナーであった米軍が撤兵し、多国籍軍を構成していた英仏やその他の国の軍隊も撤兵していった。出兵の大義名分であったチェコスロバキア軍団の撤兵が完了し、しかも英仏は反革命軍に見切りをつけたためである。英仏は、その後1924年にはソ連を承認した。日本だけが単独出兵という形で居残ることになったわけだが、往生際が悪いとしかいいようがない。

プロレタリア作家が伝える兵士たちの気持ち
 その単独出兵のステージでシベリアに出征し、のちに作家となった一兵士がいた。

 シベリア出兵を題材に短編小説を数編執筆しているのが、プロレタリア作家の黒島伝治(1898〜1943)である。代表作の「渦巻ける烏の群れ」は岩波文庫に収録されているので、読んだことがある人がいるかもしれない。

『渦巻ける烏の群―他三編』(黒島伝治著、岩波文庫、1953年)
「シベリア出兵もの」の代表作が、岩波文庫に収録されている「渦巻ける烏の群」(1927年)と「橇(そり)」(1927年)であり、このほかにも「雪のシベリア」(1927年)、「氷河」(1928年)、「パルチザン・ウォルコフ」(1928年)、「リャーリャとマルーシャ」(1926年)、「栗本の負傷」(1926年)、などの短編がある。リンクをつけた短編は、「青空文庫」で無料公開されているので、関心のある人は読んでみてほしい。

 プロレタリア文学とか反戦文学とかいった先入観を外して読むと、なかなか面白い小説である。リアルな描写からはこの戦争の無意味さも伝わってくる。厳冬期のシベリアと、兵隊の立場からみた軍隊生活のリアルが描かれているからだ。作家自身のリアルな現地体験と伝聞情報をもとに、さまざまなエピソードが展開されている。

「橇」から一部抜粋して引用しておこう。戦地にいた兵士たちの気持ちを代弁しているといっていいだろう。

<兵士達は、銃殺を恐れて自分の意見を引っこめてしまった。近松少佐は思うままにすべての部下を威嚇した。兵卒は無い力まで搾って遮二無二(しゃにむに)ロシア人をめがけて突撃した。――ロシア人を殺しに行くか、自分が×××(引用者注:原文は検閲のため3文字が伏せ字)るか、その二つしか彼等には道はないのだ! けれども、そのため、彼等の疲労は、一層はげしくなったばかりだった。(・・・中略・・・)
 どうして、彼等は雪の上で死ななければならないか。どうして、ロシア人を殺しにこんな雪の曠野にまで乗り出して来なければならなかったか? ロシア人を撃退したところで自分達には何等の利益もありはしないのだ。
 彼等は、たまらなく憂欝(ゆううつ)になった。彼等をシベリアへよこした者は、彼等がこういう風に雪の上で死ぬことを知りつつ見す見すよこしたのだ。炬(こたつ)に、ぬくぬくと寝そべって、いい雪だなあ、と云っているだろう。彼等が死んだことを聞いたところで、「あ、そうか。」と云うだけだ。そして、それっきりだ。>
(「青空文庫」より)

 小豆島に生まれた黒島伝治は、1919年に姫路の第10師団に招集され、看護卒(=衛生兵)として1921(大正10)年4月に戦地に送られた。『軍隊日記』にはウラジオストク上陸後、ラズドリノーエ駐屯地に移ったとある。1922年4月に肺尖炎の悪化によりシベリアから帰国、早期除隊している。作家としてのデビューはその後のことである。

シベリアの極寒を2回体験した祖父
 冒頭で触れたとおり、私の祖父もシベリア出兵に出征している。徴兵によって第11師団(善通寺)の歩兵62連隊(徳島)に招集された祖父がシベリアに駐留することになったのは、1920年7月10日のことであった。シベリア出兵の後半の「単独出兵」のステージにあたる。

 シベリア出兵の準公式戦史ともいえる『西比利(シベリア)出兵史要』(菅原佐賀衛、財団法人偕行社、1925)によれば、以下のような状況であった。菅原佐賀衛氏は、出版当時は陸軍少将。

<(ザバイカル方面からの)第5師団撤退の際、万一の事が起こってはならぬというので、第11師団(善通寺)の歩兵1旅団は浦潮(=ウラジオストク)に急派せられ、7月10日に同地に上陸した。(・・中略・・) かくて浦潮付近にありては、北に第13師団を、南に第11師団を、また北満洲にありては北満洲派遣隊を哈爾浜(=ハルビン)ボグラニーチウヤナ間に配置して、おのおのその地方の交通および治安の維持に任せしむる事になって、いわゆる新配置に移ったのである。>
(*引用にあたって、漢字は新字体にし、一部をひらかなに直した上で句読点を補った)

 祖父のシベリア駐留は、1922年5月にかけてのまる2年に及んでおり、その間、シベリアの極寒を2回も体験している。ウラジオストク周辺の沿海州で、シベリア鉄道沿線の守備が主要任務であった。上記の引用文に「急派せられ」とあるが、日本が撤兵していれば、戦地に送られることもなかったはずだ。

 奇しくもプロレタリア作家・黒島伝治とは、派遣の時期が重なっているだけでなく、なんと同じラズドリノーエ駐屯地にいたのである。すでに祖父が亡くなってから四半世紀に近いので、現在となっては確かめようがないが、現地の陸軍病院には必ず行っているはずだし、看護卒の黒島伝治と顔くらいは合わせたことがあったかもしれない。ただし、この時点では、黒島伝治はあくまでも陸軍病院勤務の看護卒(=衛生兵)であって作家ではない。

祖父の「軍隊手牒」(筆者撮影)
 黒島伝治の『軍隊日記』の1921(大正10)年10月15日の項には、「今日、歩62に浦潮の軍楽隊が来た・・」という記述がある。「歩62」とは祖父が属していた歩兵第62連隊のことだ。楽しみの少ない駐留生活にも、内地からの慰問袋のほかに、こんな催しもあったわけだ。

 シベリアの軍隊生活の話は、子どもの頃から大人にかけて祖父から何度か聞いたことがある。だが、本人の口から「シベリア出兵」というコトバは一度も聞いたことがない。自分が出征した戦争がそう呼ばれているという認識がなかったためだろう。祖父の遺品である「軍隊手牒」には、現地駐留中に「大正三年乃至九年戦役」の従軍記章が授与されたとある。第1次世界大戦が始まった大正3年(1914年)から、シベリア干渉の「多国籍軍」が撤退した大正9年(1920年)までがその期間である。

 シベリアの厳冬期がいかに過酷なものか、軍隊内で募集があったのを幸いに歩兵から通信兵に転換できたこと(人を撃つのがいやだったから)、必要に迫られて現地でロシア語を勉強したこと、ロシア人女性が美人であること、内地からの慰問袋などの話が中心だった。「軍隊手牒」には、現地駐留中に「パルチザン掃討」作戦に通信兵として2回参加していることが朱筆で記録されている。尼港事件の影響もあって、「パルチザン」というと日本人のあいだでは悪の代名詞のような存在だったとはいえ、現地では誰一人として殺さず、誰にも殺されずに生きて帰ってきたことは、孫としてはホッとさせられる。

祖父の「軍隊手牒」に記された軍歴(筆者撮影)
 徴兵されて戦地に送られるというのは、ある種の偶然のなせるわざではあるが、運命の巡り合わせとしかいいようがない。志願してなる職業軍人とは違うのである。

 1922年6月には、最終的に10月末までに日本軍のシベリア撤兵が決議され、10月25日はウラジオストクからの撤兵が完了する。祖父は閣議決定前の5月にウラジオストクから帰還している。日本軍の単独出兵に対するため、1920年に緩衝国家として作られた「極東共和国」は、その役割を終えてソ連に統合されることになった。

研究の余地があるシベリア出兵の「失敗の本質」
 日本軍が北樺太(北サハリン)から最終的に撤兵したのは1925年5月だが、同じ年の1月には「日ソ基本条約」を締結して、日本はソ連を承認した。英仏による承認の翌年のことである。だが、反共国家の米国がソ連を承認したのは、なんと1933年である。日本よりもはるかに遅かったのである。

 なお、その間の1924年には外モンゴルが独立し、ソ連の衛星国第1号としてモンゴル人民共和国が誕生している。1939年のノモンハン事件(=ハルハ河戦争)は、このモンゴル人民共和国軍と満州国軍との戦闘であったが、実質的にはそれぞれの背後にいたソ連軍と日本軍の戦争であった。

 日本を代表する経営学者の野中郁次郎氏を中心とした執筆陣によるロングセラーの名著『失敗の本質−日本軍の組織論的研究』(中公文庫、1991年)には、事例研究の一番目にノモンハン事件が取り上げられている。ノモンハン事件の失敗原因もまた、作戦目的があいまいであったことが指摘されているが、ノモンハン事件前史としてのシベリア出兵については触れられていない。シベリア出兵の「失敗の本質」については、まだまだ研究すべき余地があるといえるだろう。

 シベリア出兵では傀儡政権つくりに失敗したが、満洲事変と日中戦争では成功している。ただし、日中戦争においても、シベリア出兵と同様に、「点と線」だけで「面」を押さえることができなかった。抗日ゲリラにも大いに悩まされた。この点に関しては、日中戦争はシベリア出兵と同じであり、日本軍がシベリア出兵の失敗から真剣に学んでいなかったことがうかがわれる。同じ失敗がそのまま中国で繰り返され、そして、またそれも最終的に失敗に終わったのである。

 ところでプーチン大統領は、2011年11月にロシア国民向けに、次のような意味の発言を行っている。「現代ロシアには2つの困難な時期があった。皇帝が去ってすぐ始まった惨事、それと1991年のソ連崩壊だ」、と。前者の「惨事」とは、1917年のロシア革命とその後の激しい内戦によってもたらされた大混乱を指している。シベリア出兵とは、まさにそのロシア内戦のさなかに行われた干渉戦争であった。

 失敗の本質を考えるだけでなく、日ロ関係を正しく認識する意味でも、シベリア出兵について知っておく必要があるのだ。関心のある人は、まずは全体像をつかむために、政治外交面を中心にコンパクトにまとめられた『シベリア出兵−近代日本の忘れられた七年戦争』(麻田雅文、中公新書、2016)を読むことをお勧めしたい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55568
http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/929.html

[国際25] ペルー、ベネズエラ外交官のビザ取り消し 米州諸国、ベネズエラ政権の支援物資搬入阻止を非難 中南米 
ペルー、ベネズエラ外交官のビザ取り消し
中南米
2019/2/27 8:15
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【サンパウロ=外山尚之】南米ペルー政府は26日、ベネズエラのマドゥロ政権が同国に派遣した外交官のビザを取り消す方針を明らかにした。ペルー政府は野党指導者グアイド国会議長を暫定大統領として承認しており、今後、グアイド氏が指名した外交官を正式に受け入れるとみられる。米国と協力しマドゥロ政権への外交包囲網を強める狙いで、今後、世界中でこうした動きが続く可能性がある。
 
在リマのベネズエラ大使館=ロイター

ペルーのゼラ外務次官が地元メディアのインタビューで明らかにした。「マドゥロ政権が指名した大使をこれ以上受け入れることはない」として、現在ペルーに駐在するベネズエラの外交官に対し、3月9日までの出国を求める。

ペルーは米州諸国がベネズエラ情勢を協議する「リマ・グループ」の中心メンバー。米国のペンス副大統領は25日、リマ・グループの緊急会合に参加し、マドゥロ政権に関係のある要人の入国を制限するよう、各国に要請していた。既にコロンビア政府がグアイド氏の指名した大使をベネズエラ大使として法的に認めており、これに続く動きとなる。

マドゥロ政権が人道支援物資の受け入れを拒否し、これに抗議する市民を弾圧したことを受け、カナダやドイツ政府もベネズエラへの追加制裁に意欲を見せており、こうした動きが連鎖する可能性がある。グアイド氏は自身を暫定大統領として承認した国に対し、次々と大使を派遣している。26日時点で、日本への大使派遣の計画は明らかにしていない。
 
 


25日、ボゴタでコロンビアのドゥケ大統領(右端)らと写真撮影に応じるベネズエラのグアイド国会議長(右から2番目)=ロイター


米州諸国、ベネズエラ政権の支援物資搬入阻止を非難
2019/2/26 9:53
ベネズエラ政府は国境沿いの橋にコンテナやタンクローリー車を置き、救援物資の搬入を防ぐ(6日、コロンビア北部ククタ)=AP
ベネズエラ政府、国際救援物資を拒否 米への反発背景に
2019/2/7 3:30
4日、記者会見するベネズエラのグアイド国会議長(カラカス)=ロイター
欧州主要国、ベネズエラ暫定大統領を相次ぎ承認
2019/2/5 7:49
26日、在米大使館からベネズエラ国民に語りかけるホセ・ルイス・シルバ駐在武官(公開された動画より)
ベネズエラの在米武官、暫定大統領への支援表明
2019/1/27 8:36

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41744710W9A220C1EAF000/


http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/518.html

[国際25] 米国、マドゥロ政権打倒へ圧力 制裁で周辺国と連携  
米国、マドゥロ政権打倒へ圧力 制裁で周辺国と連携
北米 中南米
2019/2/26 18:48 
【サンパウロ=外山尚之】米トランプ政権は25日、南米ベネズエラのマドゥロ政権に対し、周辺国と連携して制裁の輪を広げる方針を発表した。国営石油会社の海外資産凍結などで各国に協調を呼びかけた。対するマドゥロ政権は海外からの支援物資の搬入阻止の継続など強硬姿勢を強めており、膠着状態が長期化する懸念もある。

25日、米国のペンス副大統領(右)やコロンビアのドゥケ大統領(中)と写真撮影に応じる、ベネズエラのグアイド国会議長(ボゴタ)=AP 

 
ペンス米副大統領は25日、コロンビアの首都ボゴタを訪問し、同国のドゥケ大統領を交えてベネズエラの野党指導者、グアイド国会議長と会談した。ペンス氏はグアイド氏に対し「米国は100%あなたとともにある」というトランプ大統領のメッセージを伝えた。

ペンス氏はグアイド氏とともにコロンビアやブラジルなど米州諸国がベネズエラ情勢を協議する「リマ・グループ」の緊急会合に出席した。米国は同グループと距離を置いてきたが、今後は周辺国との連携を強める構えだ。ペンス氏は各国にベネズエラ国営石油会社PDVSAの資産を凍結し、管理の権限をグアイド氏に移管するよう要請した。米国政府は1月にPDVSAの米国内資産を凍結し、石油製品の貿易を大幅に制限する制裁を発動済み。

リマ・グループ参加国は原則、米国の方針に同調している。会合の声明ではマドゥロ政権を「不法」として、支援物資の搬入を試みた国民に対する弾圧を強く非難し、人道犯罪として国際刑事裁判所(ICC)に審理を求める方針を確認した。

もっとも、トランプ氏が示唆する軍事介入には会合で反対意見が相次いだ。1月に親米政権が誕生したブラジルですら、モウラン副大統領が「軍事介入は選択肢にない」と述べ、米軍のブラジル国内の基地使用は認めないと語った。

マドゥロ政権は強権姿勢を強めている。25日もコロンビアやブラジルとの国境は閉鎖されたままで、抗議する市民に対し、軍が威嚇射撃する光景がみられた。同日にはマドゥロ氏が米国のスペイン語放送局ユニビジョンのインタビューの最中、質問内容が気に入らないとして取材団を一時拘束する騒動があった。その後解放したものの、カメラや通信機器などを没収するなど言論弾圧を強めている。

コロンビア政府は25日までにベネズエラ軍から離反した将兵は170人を超えたと発表したが、コロンビアメディアによるとベネズエラ軍は36万人超の規模で、造反はごく一部だ。マドゥロ氏は軍の掌握に自信を深めており、持久戦に持ち込んで反政府運動の沈静化を狙うとみられる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41772590W9A220C1FF2000/

米州諸国、ベネズエラ政権の支援物資搬入阻止を非難
中南米
2019/2/26 9:53 
【サンパウロ=外山尚之】ブラジルやコロンビアなど米州諸国がベネズエラ情勢を協議する「リマ・グループ」は25日、ボゴタで緊急会合を開き、ベネズエラのマドゥロ政権を「不法である」として、支援物資の搬入を試みた国民への弾圧を非難する声明を発表した。会合には野党指導者グアイド国会議長や米国のペンス副大統領も参加し、外交圧力を強めることで一致した。

25日、ボゴタでコロンビアのドゥケ大統領(右端)らと写真撮影に応じるベネズエラのグアイド国会議長(右から2番目)=ロイター

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25日、ボゴタでコロンビアのドゥケ大統領(右端)らと写真撮影に応じるベネズエラのグアイド国会議長(右から2番目)=ロイター


10カ国にベネズエラを加えた最終声明ではグアイド氏を暫定大統領として承認する方針を改めて盛り込んだ。23日にマドゥロ政権が支援物資の搬入を阻止し、抗議するベネズエラ国民に催涙弾やゴム弾を撃って弾圧したことを「無差別な暴力だ」と非難した。

会合に先立ち、ペンス氏とグアイド氏がコロンビアのドゥケ大統領を交えて会談した。ペンス氏は「米国は100%グアイド氏とともにある」と述べ、ベネズエラ難民を受け入れている周辺国に対し、5600万ドル(約62億円)の人道支援を発表した。

米財務省は25日、マドゥロ政権を支持する西部アプレ州の知事ら州知事4人に対し、人道支援物資の搬入阻止や汚職に関与したとして、米国内の個人資産を凍結する経済制裁を発動した。ペンス氏はリマ・グループの参加国に対し、ベネズエラ国営石油会社PDVSAが各国に保有する資産を凍結し、保有権をグアイド氏に移管するよう要請した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41744710W9A220C1EAF000/
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/519.html

[国際25] ベネズエラ、ロシアへの債務返済が困難に ロシア、米制裁違法と批判 石油に裏付られた仮想通貨発行 軍事基地建設 爆撃機派遣
ワールド2019年1月30日 / 11:59 / 1ヶ月前
ベネズエラ、ロシアへの債務返済が困難に
ロシア財務次官
Reuters Staff
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[モスクワ 29日 ロイター] - ロシアのストルチャク財務次官は29日、ベネズエラはロシアに対する公的債務の返済が困難になるとの見通しを示した。米政府がベネズエラ国営石油会社(PDVSA)を制裁対象に指定したことを受けて語った。

ロシアはベネズエラを長年支援し、ベネズエラ政府への最後の貸し手となってきた。ロシア政府と同国石油最大手ロスネフチは2006年以来、ベネズエラに少なくとも170億ドルの貸し出しや与信枠設定を行っている。

ストルチャク氏は記者団に対し、「恐らく(債務返済に)問題が出てくるだろう。現時点で全ての状況は(ベネズエラの)軍部、兵士が義務や誓約にどれだけ忠実かによって変わる」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/venezuela-politics-russia-idJPKCN1PO06X


 
ワールド2019年1月29日 / 19:28 / 1ヶ月前
ロシア、米のベネズエラ経済制裁を「違法」と批判
Reuters Staff
1 分で読む

[モスクワ 29日 ロイター] - ロシアのラブロフ外相は29日、米国がベネズエラの国営石油会社PDVSAを経済制裁の対象としたことは違法だとし、ロシアはマドゥロ政権の支援に向けあらゆる措置を講じていくと述べた。ロシアの通信各社が伝えた。

ラブロフ外相は、米国の経済制裁は、ベネズエラの国家資産を差し押さえようとする行為であると指摘した。

また、ロシア大統領府は、制裁はベネズエラの国内問題に公然と介入するもので違法との見解を示した。

ペスコフ大統領報道官は、ロシア政府が制裁のロシアへの影響の評価分析をしており、可能なあらゆる法的メカニズムを活用してベネズエラ関連の利権の保護に努めると述べた。
https://jp.reuters.com/article/venezuela-politics-russia-lavrov-idJPKCN1PN141


 

ロシア、仮想通貨規制と石油に裏付けられた仮想通貨発行へ
2019/02/26 12:22 CCN

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 現地の情報によれば、ロシア連邦議会下院は現在審査中である仮想通貨規制に関する法案を可決する予定である。

 下院の経済政策委員会のメンバーであるOleg Nikolayev氏によれば、下院は現在、仮想通貨規制を検討する最終プロセスにある。ロシア中央銀行のビットコインとその他の仮想通貨に対する保守的な態度とは対照的に、下院はこれらの資産の統合に関してビジネスフレンドリーな枠組みを作成中であるとOleg氏は述べる。

 下院は3月までに仮想通貨規制に関する法案を通す予定であり、これによりロシア政府が中央銀行発行デジタル通貨を発行する可能性も出てくる。

●石油に裏付けられた仮想通貨についての発表

 また、仮想通貨に融和的な態度を取ることを示唆しているロシアは、最初のBC(ブロックチェーン)に関する賭けとして、石油に裏付けられた仮想通貨に希望を抱いている。

 元ロシアエネルギー省大臣であるIgor Yusufov氏によれば、ロシアはペトロドーラの仮想通貨版を発行するための最終プロセスにある。

 Igor氏がロシアのランブレルに語ったことによれば、ロシアは貿易そしてその他の金融に関する制約を回避することを目指しており、他の石油輸出国も米ドルに連動したペトロドーラに依存せずに石油とガスの輸出を増やそうとしている。彼は以下のように述べている。

 「オペックプラスに所属する国で世界の石油埋蔵量の3分の2を占めています。自らの利益を求めて協調することは、論理的であるだけでなく経済的に正当化されます」

●まずはCIS(独立国家共同体)諸国での立ち上げを

 現在ロシア、イラン、ベネズエラなどの石油輸出国はトランプ米大統領が就任してから課された経済制裁の下にある。例えば、ベネズエラは米国による制裁を逃れようと、ペトロという名前の石油に裏付けられた独自の仮想通貨の発行を発表した。しかし、トランプ大統領はペトロを扱った米ドルを基準にしたいかなる金融取引も禁止する大統領令に署名している。

 一方で、ロシアは仮想通貨を用いた石油プロジェクトについてより注意深く行動しているように見える。Igor氏はロシアはまずCIS諸国において仮想通貨を用いた石油プロジェクトを立ち上げると述べている。この動きは米国の干渉を最小限に抑えるであろう。同時に、ロシア政府がまずCIS諸国においてエネルギー製造者と消費者の間の枠組みを作ることを可能にするはずだ。

 「これに関して、ロシアとトルクメニスタンの間で結ばれた、ガスセクターにおける協力に関する28年までの政府間協定とこれに関連したガスプロムによるトルクメニスタン産ガス購入の契約の存在を忘れるべきではありません」とIgor氏は説明する。「従って、今回のプロジェクトの場合、そのような場所が確かな安全性を備えた初の世界的な仮想通貨の中心地になるかもしれません」

(イメージ写真提供:123RF)

https://www.ccn.com/russia-regulate-cryptop-with-a-keen-eye-on-oil-backed-digital-currency

This story originally appeared on CCN.com.
http://vc.morningstar.co.jp/002711.html


 


ベネズエラにロシアの軍事基地建設が決定。不意を打たれた米国
2018.12.23
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白石和幸

プーチンとチャベス
2004年のプーチンとウーゴ・チャベス前大統領。 photo via Kremlin.ru (CC BY 4.0)

 ロシアの「タス通信」がベネズエラに軍事基地を設けることを決めたことを明らかにしたことを受けて、それを他紙に先駆けて『Diario de Cuba』(電子紙)が12月17日付けで報じた。

 同紙報道によると、基地はベネズエラの首都カラカスから北東におよそ200キロの距離にあるカリブ海のラ・オルチラ島に建設されることになったという。

 その規模はまだ明らかにされていないが、軍艦が停泊できて、戦闘機も離着陸できる基地にしていくように思われる。

 この軍事基地の建設を予告するかのように、12月10日にロシアの戦略爆撃機ツボレフTu-160が2機、大型輸送機アントノフAn-124 が1機とイリューシンIL-62がパイロットや技術者ら100人を乗せてカラカスのシモン・ボリバル・デ・マイケティア空港に到着するという出来事があった。

 ベネズエラ軍と共同で軍事演習するのが目的であった。(参照:「Diario de Cuba」)

 彼らの滞在は5日間であったが、米国が侵攻して来るのではないかという脅威がマドゥロ政権に次第に重圧として伸し掛かかっていた折のロシアからの救援の手が差し伸べられた感じである。

 このロシア軍のカラカスへの到着の1週間前には、マドゥロ大統領がロシアを訪問してプーチン大統領と会談。60億ドル(6600億円)の投資と武器の修復維持が確認されたという。(参照:「Diario de Cuba」)

2014年から基地建設を目論んでいたロシア


 そもそもロシアが外国に軍事基地を設けることに関心があることを具体的に表明したのは2014年であった。同年2月にショイグ国防相が<ベトナム、キューバ、ベネズエラ、ニカラグア、セーシェル、シンガポール>にロシア軍事基地を設けたいと表明したのであった。(参照:「Diario de Cuba」)

 その一方で、ベネズエラがロシアと関係強化を図ったのは社会主義国家の建設を目指していたウーゴ・チャベス前大統領が、米国からの脅威の前に2001年3月にロシアを最初に訪問したのが始まりであった。それ以後、ロシアの支援と豊富な石油を餌にチャベスは中南米において反米の旗手として米州ボリバル同盟(ALBA)を創設して反米に共鳴する国を募って行くのであった。ALBAはエクアドル、ニカラグア、キューバ、ボリビアなど8か国で構成されるようになった。

 それに応えて、プーチン首相(当時)がベネズエラを訪問したのは2010年のこと。その際に、ベネズエラとロシアの間で強い戦略的同盟がプーチンによって伝えられた時に、チャベスは「ヤンキーの覇権はこれで終わった」と表明したほどであった。(参照:「Indymedia Argentina」

 マドゥロ大統領はチャベスのこの反米主義を継承して今日に至っている。

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マドゥロ政権が倒れても靡く先は米国ではない!?

不意を打たれた米国


 米国にとって今回のロシアの軍事基地設置の発表は不意を打たれた感じであろう。

 アルゼンチン出身で米国で活躍しているジャーナリストのアンドレス・オペンハイマーがコロンビア紙『El Colombiano』(2018年5月23日付け)に興味あるコメントを掲載している。それによると、トランプ大統領はマドゥロ政権を打倒すべく軍事クーデターを望んでいるが、専門家の間では一旦クーデターが起きても、それはよりロシアに靡くか、中国に靡くことになって、米国が望んでいるような体制にはならないと予測しているというのである。

 その理由は、この20年余り米国はベネズエラの軍部との接触は僅かしかなく、彼らの軍事訓練もロシアか中国での経験しかないとしている。しかも、兵器もロシア製か中国製で占められていると指摘している。

 ロシアそして中国も米国がベネズエラの現体制を打倒するために何かをして来るのが次第に迫っていると感じており、仮に米国寄りの政権が誕生するようになると、ロシアも中国も利権を失うことになるということを警戒している。寧ろ、<ロシアまたは中国はクーデターを起こして、マドゥロ現体制を打倒すれば両国に石油開発の利権がより舞い込んで来る>と考えていることを数人の専門家が指摘しているのをオペンハイマーは言及している。

 その意味でもロシアが今回軍事基地の建設を発表したのは、米国の侵攻を抑える意味と将来的には必要とあらばマドゥロ政権を打倒して新たにロシア寄りの政権を誕生させることを狙ってのことであるということなのである。

 ロシアの将来的な考えはさておき、マドゥロ大統領にとってロシア軍の今回の登場は、コロンビア、ブラジル、米国が彼を暗殺しようという陰謀を牽制するものとマドゥロは受け止めているのか、彼は<「この6年間の政権でこれが50回目の陰謀だ」>と訴えた。

 ロシア軍の到着に対して国境を接するコロンビアのイヴァン・ドゥケ大統領はロシアの戦闘機の飛来に懸念を表明し、<「ベネズエラのこのような挑発行為は許されない」>と表明し、<「コロンビアに対する敵対的行為だけに収まるのではなく、地域全域に対するものだ。この種の演習は賢明ではない」>と述べた。(参照:『Diario de Cuba』)

 カラカスからワシントンまでの直線距離にして僅か3700キロである。ベネズエラにロシアの軍事基地が存在するようになると米国にとって脅威となるのは確かである。

<文/白石和幸 photo via Kremlin.ru (CC BY 4.0) >
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
https://hbol.jp/181875/2

 
ロシア、ベネズエラに爆撃機派遣 米に揺さぶり
ヨーロッパ 中南米
2018/12/12 6:18
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【サンパウロ=外山尚之】ロシアが核兵器を搭載可能な爆撃機を南米ベネズエラに派遣していたことが明らかになった。経済支援に加え、軍事面での協力も表面化した形だ。米国は反発しており、緊張が高まりそうだ。

ロシアがベネズエラに派遣したのと同型とみられる爆撃機「Tu―160」(2015年5月、モスクワ)=ロイター
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ロシアがベネズエラに派遣したのと同型とみられる爆撃機「Tu―160」(2015年5月、モスクワ)=ロイター

ロイター通信によると、長距離爆撃機「Tu―160」が10日にベネズエラの首都カラカス近郊の空港に着陸した。ポンペオ米国務長官はツイッターに「ロシア政府は爆撃機をベネズエラまで世界を半周させた」と投稿。「2つの腐敗した政権が公的資金を浪費し、苦しむ国民の権利と自由を押しつぶしている」と両国を批判した。

Tu―160は飛行距離1万キロメートルを超える性能を持つ。中距離核戦力(INF)廃棄条約を巡り米国と対立するなか、ロシアは米国に近いベネズエラに同機を配備できることを示すことで、米国を揺さぶる狙いがあるとみられる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38823460S8A211C1000000/

http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/520.html

[国際25] 北朝鮮とベトナムの友情の秘密

したたか者の流儀

北朝鮮とベトナムの友情の秘密

2019/02/27

パスカル・ヤン (著述家)

 フレデリック・フォーサイスの『戦争の犬たち』が映画化されたのは、1980年のことだった。小説が素晴らしいので楽しみにしていると、ベルギーで友達になった米国人女性が既に観たが、がっかりでむしろ同種の傭兵映画『ワイルド・ギース』を激賞し、小説『リンガラ・コード』もいいが、『戦争の犬たち』の映画を酷評していた。

 彼女は、ザイールのキンシャサ駐在員の妻で、健康診断と休暇をかねてベルギーのブリュセルに数週間滞在しているようだった。

 彼女のお陰で、立て続けにアフリカを舞台にした映画を見ると、ソ連邦の影響なのか、キューバ兵が必ず登場する。米国の世界戦略に対して、ソ連も当時は元気いっぱいで、世界を手中に収めるべく、たとえば、イスラエルとの中東戦争では、操縦士を東ドイツからエジプトに派遣し、現地の操縦士の苦手な夜間の空中戦に備え国際化していたのだ。今で言えば中国のアフリカ進出と同じであろうか。


(ekapanova/Gettyimages)
 歩兵軍団としては、ソ連の代わりにキューバ兵が共産化したアフリカ中央部に多数派遣され、上記の映画では、『怪傑ゾロ』のスペイン兵のように必ず登場し、死んでも死んでも登場していたと記憶する。

ソ連への旅
 そんな折、留学中のベルギーの大学にビラが貼られ、真冬のモスクワとレニングラード(現在のサンクトペテルスブルグ)に15日間現在の貨幣価値でも5万円程度で行けると出ていた。

 試験も終わり、真冬ではあるが、ソ連をみる絶好のチャンスだと思い参加をきめた。その間、二回ほど事前の集合があったが、手続き的な説明でビザや通貨の問題であり、洗脳教育はなかったのか、あったのか、眠っていたので不明だ。

 パスポートは、白紙でできたものをソ連の国営インツリーストが用意してくれ、旅の最後に回収とのことであった。「ソ連の入国スタンプがあると就職にも困るだろう」だと、よく知っている。

 既に、冷戦も末期になっており、軋みが生まれ始めるなか、ソ連は必死に軍備拡張と人気取りをしながら、厳しいアフガン戦争の最中であったのだ。

 1月も半ばに成り、凍え死ぬようなベルギーからアエロフロートのイリューシン62に乗って、更に極寒地モスクワのシュレメチボ第二空港に到着した。そこからは、インツリーストの手配に乗り、コンベアーに乗って盛りだくさんな旅がはじまった。

 時々、洗脳教育の時間があったが、講師はすべてフランス語が完璧に話すロシア人であり、フランス語系ベルギー大学生なので、ヒートアップした議論が展開されることになる。メンバーで外国人は、僕のほか米国人が数名いたが、「SS20配置」問題やシベリアガスパイプライン問題、アフガン問題に関する議論には、僕らは聞くだけであった。白熱して入ることはできなったと言うべきだろう。

 しかし、ロシア人はフランス語を使いながら、極めて丁寧に防戦し、社会主義がいかに素晴らしいかを教えているのだが、ハンガリー動乱やプラハの春についての話になると、さらに防戦一方になっていたようだ。

 不思議なことに、米国人学生の一人は、三沢にとても詳しくその後、彼とは音信不通になって現在に至っている。

 そんなチームとの珍道中で、有名な大学のキャンパスや星の町も訪問し、レニングラードではコンサート三昧や食事三昧であった。食糧難のソビエト連邦で、僕らに対する見栄なのか、後半は食べ疲れてしまい、半分以上は手つかずで、残るのを見計らったかのように、ウエーターが別の容器に回収していた。その手際の良さは、神の手のようであり、バナナなど南方の果物は金貨を扱うように回収していたのを思い出す。

 米国人は、ソ連の崩壊をいっていたが、確かにその後10年は持たなかったのだ。アンドロポフ、チェルネンコ時代であり、モスクワもレニングラードにも笑いは全く存在していなかった。地下鉄の過度な美しさやシステムに驚いたが、逆に国内便の旅客機は、飛ぶのが不思議な代物で、当時禁止されていた、『ドクトル・ジバゴ』の映画、ララのテーマが何度も機内でながれていて、ちぐはぐさに全員で大笑いした。

 中でも、世界から青年を集めたパトリス・ルムンバ大学で、別のちぐはぐさを目撃した。平等のはずの社会主義で、肌の色による差別が隠然と存在していることを知り、その後、たまたまタクシーを待つことになり、僕と黒人の仲間を少し離れて待つように先方の学生からアドバイスをうけた。後で聞くと、ソ連は人種のカーストがあり、黒人、アジア人、アラブ人は、差別されてしまうとのこと。それもあからさまだそうだ。

ソ連での北朝鮮人とベトナム人の出会い
 そういえば、アフリカからの留学生も多いし、アジア人も多数いたが、フランスやベルギーの大学でよく見る、黒人と白人のカップルは皆無であったのだ。

 聞いてみると、はやりアジア人同士の結束や、ラテンアメリカ人同士のコミニティーはあるが、人種を超えての結束は皆無だとのこと。かといって同国人の結束が強いかというと違うようだ。

 各国の共産主義の度合いに応じてもカーストがあるようで、キューバは圧倒的に高いようだが、役割としては兵士をアフリカに提供することのようであった。

 そして、北朝鮮からの学生は原典を徹底して勉強し、ベトナムの学生と成績を争っているとのこと。

 当時パリの日本館や国際学生村を思い出したが、そこでも台湾からの学生と日本からの学生は旧知のようなつきあいがすぐに始り、その後終生続く場合も多い。

 ベトナムからの留学生と北朝鮮からの留学生は今でもひとたびロシア語になれば、時空を超えて、モスクワでも学生時代に戻るに違いないのだ。

 ベトナムも北朝鮮もソ連邦のお陰で、そんな財産をもっていることを,トランプ大統領は知ってのだろうか。

http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15469

http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/523.html

[経世済民131] NYで「いきなり!ステーキ」が流行らなかった理由 「肉は人工的に生産できる」 食肉の常識を変える世界のミートテック企業
WEDGE REPORT

NYで「いきなり!ステーキ」が流行らなかった理由

2019/02/27

田村明子 (ジャーナリスト)

 2月14日、「いきなり!ステーキ」がニューヨークから一部撤退というニュースが報道された。2年前にマンハッタンに進出を果たした11店舗のうちの7軒を閉店するという。


2017年2月23日、いきなり!ステーキ海外一号店がNYにオープンした(写真:AP/アフロ)
 筆者も、ミッドタウンで何度か「いきなり!ステーキ」の前を通りかかったことはあるが、実を言うと毎回ほとんどお客が入っていないことに気がついていた。日本では人気店と聞いていたし、ナスダック上場など話題性もあったので、少し意外ではあった。

 だが正直に言うなら、40年間ニューヨークで暮らしてきた筆者にとっては、「いきなり!ステーキ」はおそらくこの街に定着しないだろうという予感があった。

 少なくても現在のニューヨーカーにとって、「ステーキイコールご馳走」という観念は、ほとんどないからである。

いまどきのニューヨーカーは
ステーキよりも寿司を好む?
 ニューヨークで未だに根強く人気があるレストランガイド、ザガットニューヨークの2018年版を見ると、人気レストラントップ50の中に入っているステーキハウスは、老舗のピーター・ルーガー1軒のみだ。


NYの老舗ステーキハウス「ピーター・ルガー」(写真撮影:岩崎有里)
 残りはフレンチ、イタリアンが主流だが、寿司屋が6軒、それ以外の日本食レストランが1軒入っている。トップ50の中に、ステーキ専門店が1軒で、寿司屋が6軒。これが今のニューヨークのグルメ志向の現実なのである。

 もちろんフレンチやイタリアンの店に行って、肉料理を頼む人も少なからずいるだろう。でも少なくとも60年代生まれの筆者の周辺では、友人同士が集まって「ステーキを食べに行こう」という声は、このところ耳にした記憶がないのだ。

 唯一の例外は、日本から知人が遊びに来た場合である。

 「何か食べたいものはありますか?」と聞くと、ほとんどの人がこう答える。

 「ステーキ!」

 なるほど日本の人たちにとっては、今でもステーキがご馳走なのだなと実感する。

 逆に日本に行ったアメリカ人は、一刻も早く本場のお寿司が食べたいと張り切るので、そのあたりはまあお互い様ではある。

肉の人気が下がってきた理由
 アメリカ人の肉バナレ、というか厳密に言うと牛や豚などを主に指すRed Meatを避ける傾向は80年代から少しずつ広まっていった。

 2017年3月には、ニューヨークタイムズ紙のコラムの中で、2005年から2014年の10年間で、アメリカ全体の牛肉の消費量がおよそ19%減少したという統計が掲載されている。

 その理由はいくつかあるが、もっとも大きなものはもちろんアメリカの、特に知的階級の人々の間でヘルシー志向が増えたことである。

 もともと食べたいものを食べたいだけ食べる、飽食文化の国であったのが、それではいろいろ健康上の不都合があることがわかってきたのだ。

 加えて牛、豚、鶏などを育てるために使用されているホルモン剤、過剰な抗生物質などが人体に及ぼす悪影響についても、多くのリサーチ結果が報告されてきた。

 WHO(世界保険機関)も、肉および加工された肉製品は、各種ガンのリスクを高めると正式に報告したことも、大きなニュースになった。

 20年ほど前に、低炭水化物、高脂肪、高タンパク質の摂取を推進したアトキンズ・ダイエットというのが大ブームになり、一時はステーキの人気が復活しかけたこともある。

 だが2003年に提唱者のアトキンズ博士が何度か心臓発作を繰り返した後に急死し、ブームは瞬く間に去った。


(写真撮影:岩崎有里)
人道的な観点からも
 ついでに言うなら、何でも動画で簡単に社会に発進できるソーシャルメディア社会も一役買っている。

 肉を柔らかくするために身動きできないよう、鉄の鎧のようなものをつけさせられて一歩も歩くことのできない仔牛の悲惨な姿がSNSで拡散して以来、仔牛肉の人気がガクッと落ちた。

 いずれは食肉になる運命ながらも、その日が来るまでのんびりと動物たちが牧場で草を育んでいたのは、すでに過去の話。現代の非人道的な工場畜産業に対する非難の声も高まって、肉を食べるのをやめたニューヨーカーも少なくない。

 そういった工場内部で生産した家畜たちと区分するために、きちんと太陽の光を当てて身動きがとれる環境で「人道的に育てた」という「Humanely raised meat」トレードマークまで登場している。

 さらに牛や豚を飼育することで大量のメタンガスが発生し、地球温暖化が加速されるという統計も出ているのである。人々が週に1日、肉を食べない日を作るだけで環境保護に貢献できるという。

 こういった様々な理由から、一般的にニューヨーカーにとってステーキというのは「Coolな/カッコいい」食べ物ではなくなったのだ。

ステーキは保守派の食べ物?
 それでも中には、ランチからステーキを食べる一部のニューヨーカーたちもいる。

 ちょっと出始めたお腹をばりっとした仕立ての良いスーツの前ボタンでしっかり隠した、エリートビジネスマンたちである。

 ステーキハウスといえば昔から、保守派の中年男性たちがたむろする場所と相場は決まっていた。メイクアメリカグレイトアゲイン、というスローガンが好きそうな、(今は飲食店全て禁煙になったのでさすがに見なくなったもののかつては葉巻をくわえていた)中年男性たちである。

 こういう人々は、健康志向などほとんど気にしない。たとえ病気になったところで、一流の医者にかかる財力もある。命はお金では買えないんですけど、などというのは大きなお世話なのだろう。

 こういう人々が行くのは、前述の老舗Peter LugerやBenjamin Steak House, Quality Meatなど、高級なステーキハウスである。食前酒にマーティーニ、巨大なステーキと一緒に高価な赤ワインを堪能する。そういえば、知人がトランプ一家がKeen Steakhouseに勢ぞろいしたところに遭遇した、と言っていた。

 そもそも接待経費で食べている彼らは、懐の心配など無用なのである。

安いステーキの需要が薄いニューヨーク
 「シズラー」「アウトバックス」「テキサスBBQ」など、安くて気軽にステーキを食べられるチェーン店もあるものの、入っているのは地方からやってきた観光客ばかり。ほとんどのニューヨーカーにとっては、無縁の場所だと言って良い。

 だから「いきなり!ステーキ」で、お手ごろ価格で美味しいステーキが立ち食いできる、と言われても、喜び勇んで食べに行くという社会層がニューヨークにはあまりいないのだ。むしろダラスやアトランタなど、地方都市のほうが向いているかもしれない。

 それよりこのところ「Omakase」ブームで高級化していく一方の寿司を、気軽に美味しく食べさせてくれる高品質の回転寿司チェーンでも進出してくれないだろうか。というのが、大部分のニューヨーカーにとっての切実な願いではないだろうか。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15467

 
「肉は人工的に生産できる」 食肉の常識を変える世界のミートテック企業
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Forbes JAPAN 編集部 , FORBES JAPAN
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植物由来でありながら、ジューシーな食感を実現した「インポッシブル・フーズ」のパティ。

人工肉には大きく分けて、植物由来のものと、動物から採取した細胞を育てて肉をつくる培養肉がある。

独自の技術で牛肉、鶏肉、魚を生産する、世界で注目を集めるミートテック企業を5社紹介する。

Impossible Foods/インポッシブル・フーズ
in USA

植物由来の人工肉の先駆「インポッシブル・フーズ」は、カリフォルニアの生産施設で毎月50万ポンドの人工肉を生産している。これは、毎月200万人に同社のパティを使用した「インポッシブル・バーガー」を供給するのに十分な量に当たる。

主な原材料は大豆、じゃがいも。ジューシーな食感は、遺伝子組み換えのヘモグロビンで再現をしている。当初、高級レストランとの取引を中心に事業を展開していたが、現在は5000を超えるレストラン、さらにファストフードチェーンの「ホワイトキャッスル」でも商品を展開。

2019年1月にはIT技術イベント「CES」で新作「インポッシブル・バーガー2.0」を披露し、年内に食料品店での販売を開始することを発表した。

Finless Foods/フィンレス・フーズ
in USA

近年、世界的に魚の消費量が増える一方、海の汚染により、今後も安全な魚を食べることできるかどうかが危ぶまれている。そんな中、環境を守りながら健康でおいしく安価なシーフードの提供を目指しているのが、2016年創業、魚の培養肉を手がける「フィンレス・フーズ」だ。

第一段階の目標は、クロマグロをペースト状にしたネギトロのような商品をレストランで展開すること。将来的には市場で売られているマグロと同品質のものを、より安く一般にも販売することを目指している。また、今後はサケやティラピア(鯛のような味の外来種)の培養肉も開発予定。

全て商品化の前段階だが、アジア市場の開拓も視野に入れており、すでに複数の小売店と提携の話を進めている。

Beyond Meat/ビヨンド・ミート
in USA

「ビヨンド・ミート」は高級スーパー「ホールフーズ・マーケット」で初めて精肉売り場に並んだ人工肉。主原料はエンドウ豆で、少量のビーツが赤い色味、ココナッツオイルと片栗粉が、ジューシーな肉汁の元だ。

従来のパティをMRIで分析し、タンパク質や脂質の構造を模し、本物の肉のような食感を再現することに成功。コレステロールゼロであることも、ビーガン以外の消費者からも支持を集める理由となっている。

現在、ソーセージやパティも展開しており、すでに3万2000以上の小売店やホテル、大学で味わうことができる。「ビヨンド・バーガー」は現在、世界15か国以上で販売され、今後は日本を含む50カ国以上の現地販売代理店と提携して販売される予定。
次ページ > 出資者にはビル・ゲイツも名を連ねる


2015年に創業した、培養肉を提供するミートテック企業のリーディングカンパニー。2016年、牛と豚の幹細胞から得た筋肉繊維から、世界ではじめて培養肉でミートボールを完成させた。

ビル・ゲイツや、イギリスの多国籍企業ヴァージン・グループの会長・リチャード・ブランソンなど、各界の大物からも出資を受けている。「メンフィス・ミート」が今最も注力しているのは、市場に出たときの鶏肉、鴨肉、牛肉のコストを最低限まで抑えること。現在の製造コストは、初期の数分の1まで抑えられているという。

また、同社の注目すべき点は、 培養肉としてはじめて「食肉」の認定を得られるよう、米国農務省および米国食品医薬品局に働きかけていることだ。

Super Meat/スーパーミート
in ISRAEL

イスラエルには約250社のフードテックスタートアップがあり、食に関する事業は大きな盛り上がりを見せている。「スーパー・ミート」は、メンフィス・ミートと同じく、動物細胞の培養から鶏肉をつくるミートテック企業だ。

詳しい製造方法は公開されていないが、iPS細胞で話題になった動物の幹細胞を元に培養するという。2021年までに、高級レストランに提供できるまでの価格へ下げることを目指している。すでにアメリカ、ヨーロッパ、シンガポールのベンチャーキャピタルから400万ドルを調達するほか、ヨーロッパの大手家禽会社PHWグループと提携している。

また、イスラム教では豚肉食が禁止されているが、これは人工肉にも適用されるのか議論がされている。
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文=野口 直希 写真提供=インポッシブル・フーズ
https://forbesjapan.com/articles/detail/25565/2/1/1#
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/296.html

[環境・自然・天文板6] 単一細胞生物学のロゼッタストーン
単一細胞生物学のロゼッタストーン
Nature ダイジェスト Vol. 16 No. 3 | doi : 10.1038/ndigest.2019.1903pr

人工知能を使った細胞分取法によって、従来の方法と同等の正確さでありながら、処理時間が大幅に短縮された。

細胞の解析は、免疫学、遺伝学、医薬品、バイオ燃料など、生物学や医学のさまざまな領域の研究を支えている。そうした解析では、試料を構成している無数の微視的な細胞の正確な分取が必要になることがある。

昨年末に東京大学で開催されたシンポジウムで、大学などの研究機関に所属する日米の研究者たちが、人工知能を利用することで、特異性と迅速性を兼ね備えた細胞分取法を実現した画期的な技術の開発について討議した。

精密かつ迅速に
従来の細胞分取法には2種類あり、1つは、個々の細胞を顕微鏡を用いて調べ、適切な細胞をピペットで吸い出すというものだ。この方法は古くから行われていて、正確だが、時間がかかって非効率的である。もう1つの手法である蛍光標示式細胞分取法(fluorescence-activated cell sorting; FACS)は、1970年代に開発されたフローサイトメトリーの1種で、細胞を、蛍光と光散乱特性に基づいて自動的に分取する。FACSは光学顕微鏡よりもはるかに高速だが、凝集塊の中の単一細胞を識別することができず、形態や内部構造などの特徴に基づいて細胞を見分けることもできない。

究開発推進プログラム(ImPACT)の1つである「セレンディピティの計画的創出」に関するシンポジウム「細胞検索エンジンが拓く新世界」が開催され、このシンポジウムでは、従来の2つの方法が持つ最大の強みを組み合わせたインテリジェント画像活性細胞選抜法(Intelligent image-activated cell sorting; iIACS)が開発され、これによってハイスループットの自動システムによる精密な細胞解析が実現されたという報告が行われた。

ImPACT「セレンディピティの計画的創出」のプログラム・マネージャーを務める東京大学大学院理学系研究科化学専攻教授の合田圭介は、「高解像度のデータをハイスループットで生み出すことのできる細胞選択ツールを作りたかったのです」と話す。「細胞が対象の、インターネット検索エンジンのようなものです。それがこのプログラムの目標でした」。

「iIACS法は汎用性が高く、生物科学、医薬品科学、医科学の領域において、機械を利用した科学的発見を可能にすると考えられる」。合田と50人の共著者たちは、2018年8月に発表されたCell の論文にこう記している(Nitta et al. Intelligent image-activated cellsorting. Cell 175, 266‒276; 2018)。このプログラムは、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が支援し、科学技術振興機構(JST)が運営を行っている。10年前に構想され2014年にCSTIから資金を受けた本プログラムは、10領域、20施設を超える研究機関から200人の研究者が参加している。

領域横断的な手法
iIACSは、微細藻類の細胞やヒトの血球、がん細胞など、さまざまな細胞の撮像と分取を行うことができ、高速で流れる3〜30μmのサイズの細胞を3色撮像できることが特徴である。

そのプラットフォームを概説する中で、合田たちは、iIACSが多様な技術をどのようにして組み込んでいるかについて述べた。さまざまな細胞の混合物は、まず周波数分割多重顕微鏡で1つずつ撮像される。これが深層学習アルゴリズムが組み込まれたインテリジェントプロセッサーでリアルタイムに解析され、目的細胞を単離するために分類されるわけだ。プラットフォームの中 心にあるのは、三次元の流体力学的絞り(hydrodynamic focuser)、音響絞り(acoustic focuser)、プッシュプル型細胞分取器(push‒pull cell sorter)が組み込まれたマイクロ流体チップである。iIACSプラットフォームは、細胞や細胞凝集塊を毎秒約100個処理することができ、分取純度は99%である。iIACSを支える技術に関わった一部の論文共著者たちは、シンポジウムで講演した。その中の1人、東京大学大学院理学系研究科の助教である三上秀治は、「周波数分割多重顕微鏡法を利用することで、毎秒1万6000フレーム数という世界最高の共焦点蛍光イメージングが実現できました」と語った。

大幅な高速化
ImPACTプログラム・マネージャー補佐の新田尚は、「ロゼッタストーンで同じ内容の文章がヒエログリフ(象形文字)、デモティック(古代エジプト の民衆文字)、古代ギリシア文字によって記述されているように、iIACSは、顕微鏡法、フローサイトメトリー、遺伝子解析をカバーする、単一細胞生物学のロゼッタストーンとなる可能性があります」と語った。新田は、iIACS技術の商用化を目的として設立されたベンチャー企業の創業者社長でもある。

iIACS技術の商用化が進む中、京都大学ではすでに、iIACSを利用することによって炭素濃縮に不可欠な遺伝子を見つけようと、藻類クラミドモナス(Chlamydomonas reinhardtii)の変異体を選別する研究が行われている。研究チームは、20万を超える事象をiIACSで解析し、そのうち、希少な変異が見いだされたものは1%に満たなかった。この作業は通常、従来の労働集約的な手法であれば6か月を要していたところであるが、iIACSシステムのおかげでかかった時間はわずか40分だった。この研究は、藻類からの効率的なバイオ燃料生産につながる可能性がある。

また、東京大学院医学系研究科では、iIACSシステムを用いて血小板凝集塊を調べている。血小板凝集塊は、血栓のバイオマーカーになり得ると考えられている。血栓は、脳卒中や心筋梗塞などのありふれた疾病状態を引き起こすことがある。血小板凝集塊の精密な解析によって、血栓の診断と治療を行う新技術の開発につながる可能性がある。

「手作業では1日かかりそうな仕事が、iIACSによって1分でできるようになったのです。約1400倍の高速化です」と合田は話す。「iIACSは、分子の指向性進化を介して、栄養補助食品から薬物分子までのあらゆる用途に向けた機能性分子の開発に用いることができる可能性があります。目標次第でさまざまな可能性を秘めています」。


内閣府:www.cao.go.jp
JST:www.jst.go.jp

セレンディピティの計画的創出について: www.jst.go.jp/impact/program/02.html

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http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/695.html

[不安と不健康18] 食卓が変わる日 「除去食」開始で、日々口にする食材への意識を高める湿疹、鼻炎、下痢などを引き起こす、遅延型フードアレルギ

食卓が変わる日
「除去食」開始で、日々口にする食材への意識を高める湿疹、鼻炎、下痢などを引き起こす、遅延型フードアレルギーって何だ?A
2019/02/27
鮎川京子 (ライター)
卵と小麦粉と全粒粉に強反応!

(nidwlw/Gettyimages)
 遅延型フードアレルギーの検査をしてから1カ月後。待ちに待った結果が出るという日の皮膚の状態は最悪だった。まぶたが腫れて、目頭は切れるという惨状を呈していた。今までもさんざん悩まされた状態だ。本当にこれを治すヒントが、今日、与えられるのだろうか。

綴1 写真を拡大
 銀座上符メディカルクリニックの上符正志先生が、おもむろに開いて見せてくれたのは、A4サイズ数ページの綴り。
 「卵と小麦と全粒粉に強反応が出ていますね」。
 「そうなの? 卵も小麦も昔から食べてるんだけど。それに、そんなに頻繁に食べているわけじゃないんだけど」というのが正直な感想だ。
 ちなみに、私が受けた検査は96項目のベーショックな(もちろん一番安い)ものだった。
 さらに、中程度の反応として、セロリ、とうがらし、なす、ライ麦、キウイ、トマト、すいか、インゲン豆などが挙げられた。これらも、さほど食べているわけではないが、一つだけ、まるで占いが当たったように驚いたのがライ麦だった。

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 というのも、この3年間、健康によいと信じて毎朝ライ麦パンを食べていたのだ。検査を受ける前は、「健康オタクは危険かも」などといっていた自分が恥ずかしい。
 そのうえ、前日のお昼に、都心のビジネス街に出て気が大きくなり、奮発して牡蠣のトマトソースパスタを食べたことを思い出した。パスタとトマトソースはまずい組み合わせだった。今日の不調はこのせいだろうか。
 検査結果には、「なるほど」とうなずいたり、「そうなのかな」と疑問を抱いたりしたが、ともかくも強反応が出たものは6カ月、中程度の反応のものは3カ月、食べないようにと上符先生に指示された。
 体内でアレルギー反応を引き起こすIgG抗体を分解するためには、3〜6カ月の期間が必要だという。IgG抗体がなくなれば、また少しずつ抗原となった食品を食べることもできるようになるそうだ。
 しかし、私のように強反応が3種類だけならまだなんとかなるものの、もっと多くの食品に反応が出た人はどうするのだろう。除去する順番を指示されるのだろうか。若干の疑問は残る。
 何より、6カ月間も卵や小麦を食べないでいられるだろうかとの不安を感じたが、ともかくやってみるしかない。もしこれで湿疹から解放されれば、どんなにすっきりするだろう。
治療法は抗体がなくなるまで6カ月間の排除
 さて、除去食を始めて2週間もすると、まぶたに塗っていたステロイドはほぼ必要なくなった。これには驚いた。効果が出るのが速すぎるのではないか。その気になりすぎているのではないか。プラセボ効果のようなものではないかと疑ったりもしたが、確かに楽になっているのだ。
 ただし、額とあごの周りはまだちらほらと出ており、回数は減ったもののまだ薬は手放せない。初めに予想していたように、食品の完全除去はなかなか難しく、外食では食事が終わってから小麦が入っていたことに気づくこともしばしばだ。
 そうこうして1カ月が経った。再びまぶたにも少し湿疹が出始め、額やあごの状態は2週間前とあまり変わらない。時に薬も必要になるが、自分の努力で多少は改善できていることには満足している。この満足感は食事の不自由さを相殺している。
 また、除去食にはもうひとつの効用があった。
 それは、自分が食べているものを意識するようになったことだ。今までは、何でも食べられればよいというズボラな食生活だったが、今では加工食品なら手に取って原材料を確認し、お弁当なら中身を吟味し、昨日食べたものを思い出し、といった具合に自分が口にする食品につい関心を持つようになった。これは大きな変化だ。
 さてさて、そうこうして3カ月。毎日三食、ご飯の日々。湿疹の出方が変わってきた。まぶたが腫れることはなくなった。しかし、額やあごの湿疹については、3日ほど悩まされると、すっきり消えてまた3日。これを繰り返している。湿疹が出る日は、必ずといっていいほどいつもよりご馳走を食べた翌日という法則を見つけた。幕の内弁当よりのり弁のほうが調子いい、ということで、これを良しとすべきかどうかは問題だ。
お金をかけずに怪しい食品を探ってみる
 検査まで受けたくないけれど、理由がはっきりせずに湿疹やニキビ、鼻水、下痢、便秘、疲労感、不眠などに悩まされているという人は、1週間に3回以上、または3食以上食べる食品をリストアップし、それを1品目ずつ2週間除去して、体調を観察してみるといいと上符先生はいう。
 体調がよくなれば、除去した食品が原因だったということになる。
 これならお金をかけずに調べることができる。
 よく、食事のバランスをとるようにといわれるが、つまりは偏った食事は体によくないということだ。飽きもせずライ麦パンを食べ続けていた3年間を思いだすと、ただただ体によさそうとの思いこみを反省するばかりだ。上符先生もいっている。「さまざまな食材を使って、できれば原材料のわかる食材にして、自分で調理して、よく噛んで食べてください」。
 半年間除去食を続けたら、本当に湿疹はなくなっているだろうか。「いまだ道険し」であり、期待感としては50%程度といったところ。それでも、あと3カ月、がんばってみよう。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15455

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/716.html

[経世済民131] 2019年最大のリスク「円高」が現実になる理由 「カネ余りの宴」復活期待膨らむ、基本円高 FRB議長「忍耐強く利上げ対応
2019年2月27日 高田 創 :みずほ総合研究所 専務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト
2019年最大のリスク「円高」が現実になる理由

 2019年初から円高が進み、100円飛び台水準に突入した。
 2018年は1973年の変動相場制になってから最も変動レンジの狭い年だったが、今年は違うのだろうか。

今年はなぜ円高を予想するか
「米国次第」の円ドルレート
 円・ドル相場の動向を予測する際に、為替市場の専門家のなかで、よく「円高派」や「円安派」と派閥のごとく、一定方向のバイアスを持った見方をする人もいるが、筆者にはそうしたものはない。
 筆者が円ドル為替について長らく「ストーリーライン」としてきたのは、「だるまさんが転んだ」という考え方だ。
 つまり、円ドル為替のトレンド転換は、歴史的に見ていつも「鬼」である米国サイドにあるということだ。
 そのことから、今年はドル安円高を予想する。
 これまでもこの考え方に沿って、2017年はドル高を一貫して主張し、2018年は、ドル高のバイアスとドル安のバイアスの「綱引き状態」だと予測した。
 まず、トランプ政権が始まった2017年以降の為替相場を振り返ろう。
 2016年11月の大統領選でのトランプ氏当選に伴う米国の財政・金融のポリシーミックスの転換で、2017年は、ドル高政策に転じる「だるまさんが転んだ」が生じたと、考えた。
 トランプ大統領の「米国第一主義」に伴う通商問題からドル安バイアスはあるものの、図表1の(9)を見るように、マクロ政策からドル高に転じたとの判断をした。

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 その後、2018年は、2017年同様に財政金融政策はドル高バイアスの政策だったが、トランプ政権が明確に通商政策重視にかじを切ったことで、ドル安圧力が強まり、ドル高・ドル安の綱引きとなった。
 その結果、2018年は最も為替相場が変動のない年になった。
 今年を展望すると、財政金融政策からのバイアスは一転し、これまでのドル高政策が弱まり、一方で通商重視のドル安バイアスがさらに加わるので、ドル安(円高)を予測している。

米国は金利低下局面に
マクロ政策のドル高バイアス転換
 このことを詳しく説明すると、次のようになる。
 図表2はマクロ経済学の標準的理論、いわゆる「マンデル・フレミング理論」による為替への影響をまとめたものだ。

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 教科書的にマンデル・フレミング理論から解釈すれば、2017年にトランプ政権が誕生して以来、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げが続くことによる金融引き締めと、大幅減税を中心とした財政拡大のポリシーミックスは、典型的な自国通貨高(ドル高)になる。
 すなわち、少なくとも2018年までのトランプ政権の経済政策は理論上ドル高政策だった。
 それが、2019年に転換する可能性も生じていることが、ポイントである。
 金融政策では、今年1月30日のFOMC(連邦公開市場委員会)でのパウエルFRB議長のコメントからみて、FRBの利上げスタンス転換の可能性が高まっている。こうした動きはこれまでのドル高バイアスに決定的な転換を生じさせる。
 一方、財政政策面でも、政府閉鎖も含めたプラス要因はなく、さらに議会における民主党と共和党のねじれ状況からも追加的な財政拡大の可能性も乏しい。
 こうしたことから、明らかに従来のドル高は転換に向かい始めた。

2019年通商政策重視強まる
「ドル不安」惹起させやすく
 一方、トランプ政権の政治的なバイアスを考えれば、2019年は日米2国間のTAG(物品貿易協定)交渉で、米国側が「為替条項」を盛り込むことを求めてくるという観測も含め、通商問題は引き続き、ドル安圧力が強く、場合によっては「ドル不安」を惹起させやすい。
 先述の「だるまさんが転んだ」で示した図表1が示すように、1970年代以降の円ドル為替は、通商問題に焦点があたることで、何度となくドル安に振れた歴史が繰り返されてきた。
 1970年代の繊維交渉、80年代の電気製品や自動車、その後は、半導体などのハイテク分野へと、摩擦が激しくなるたびに、ドル不安が高まった。
 今年の環境も、昨年同様、トランプ政権が通商問題をばねに米国第一主義を主張し、さらに、来年の大統領選を前に、好況を維持したいと考え、マクロ政策の面からも、ドル安へのバイアスが一層強まる可能性を持つ。
 図表3は、第1の財政金融政策の要因と第2の政治的な側面を持つ通商政策の要因からの為替へのバイアスと最終的な方向をまとめたものだ。

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日米の金利差縮小
「出口戦略」からの発想転換が必要
 最終的なポイントは、日米の金利差がどうなるかだ。
 図表4は日米金利差とドル/円相場の推移である。

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 米国10年金利は年初来大幅に低下し、一時は2.5%台にまで低下し、短期ゾーンの金利はFRBの次の一手は利下げを織り込むまでになっていた。
 昨年来、米国長期金利が低下し、日米の金利差縮小から円高リスクが高まることが、日本経済のリスクとされてきたが、そのことがいよいよ現実のものとなってきた。
 問題は、円高になった時に、日本に政策的な対応余地がきわめて少ないことだ。
 仮に、米国は景気減速になればいくらでも利下げのカードを切れるが、日本は金利下げ余地を残していない。日本は円高に追い込まれた中でどうしのぐか。
 2019年は、世界的な金利低下局面に転じたとの認識が必要であり、日銀は、これまでの世界的な利上げ局面を前提にした「出口戦略」から発想を転換する必要がある。
(みずほ総合研究所 専務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト 高田 創)
https://diamond.jp/articles/-/195201

為替フォーラム2019年2月26日 / 14:23 / 1日前更新
コラム:膨らむ「カネ余りの宴」復活期待、基本は円高ドル安=上野泰也氏
上野泰也 みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
4 分で読む

[東京 26日] - 米中通商協議が妥結して貿易戦争が終結に向かうとの期待感を主な材料に、米国株は25日にかけて堅調に推移し、ダウ工業株30種平均とナスダック総合指数は9週連続の上昇を記録した。

ダウは2万6000ドルを回復し、S&P500種は大きな節目である2800に接近している。

しかし、昨年10月から年末年始にかけて急落していた米国株が、にわかに活気づいている真の原動力となったのは、米連邦準備理事会(FRB)による「金利」と「量」という複線的な金融引き締めが、共に年内に終わろうとしていることだ。

<量的引き締め終了のインパクト>

金融市場調節の現場責任者でFRB指導部の一員でもあるニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は19日、「現在の金利水準は快適」と述べた上で、金利は自身が考える「中立」の低めの水準に到達したもようだ、とロイターとのインタビューで語った。

また、同総裁は、利上げ再開には1つかそれ以上の上振れ要因が必要になると説明。「大幅な変化とは言わないまでも、成長やインフレ率を巡る、異なる見通し」が利上げの条件になると言明した。

20日公表された1月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨には、「フェデラル・ファンド(FF)金利の目標レンジを巡り、多くの参加者はどのような調整が年内に適切となり得るか、まだ明確ではないとの見方を示唆した」と指摘。「一部参加者はインフレ率が基本見通しを上回った場合に限り、利上げが必要になり得ると主張した」とある。

この中にウィリアムズ総裁が含まれている可能性は高く、ハト派に傾斜しているパウエルFRB議長とクラリダ、クオールズ両副議長の考えも、それに近いと推測される。

追加利上げムードの沈静化に加えて、というよりもそれ以上に市場に大きなインパクトを及ぼしているのが、銀行の準備預金の大幅減少や、NY連銀によるFF金利操作を巡るテクニカル事情といった「からめ手」からの議論を一種の言い訳にしつつ、FRBのバランスシート縮小という「量的引き締め」が年内に終わろうとしていることだ。

<「カネ余り相場」への安心感>

FRBが2017年秋からバランスシート縮小を開始してもなお、米国株の上昇が持続したのは、「金融市場取引がグローバル化している中、米国がバスタブから水を緩やかに抜き始めても、ユーロ圏や日銀が蛇口を開けたままであれば、水量は増え続けるから大丈夫」といった、「カネ余り相場」持続に対する安心感だった。

実際、日米欧主要3中銀が抱える総資産(バランスシート規模)の合計額は18年に入っても拡大を続けた。

だが、欧州中央銀行(ECB)は、景気指標下振れの継続や消費者物価の伸び悩みにもかかわらず、計画通り18年末で量的緩和をやめて再投資政策に移行することを選択した。

ECBのバランスシート規模が横ばいになると、FRBによる縮小と日銀による拡大の「綱引き」になるわけだが、ドル換算では前者の方が規模は大きいので、19年に入ると3中銀のバランスシート合計額はついに縮小に転じる。それが数カ月先に見えたことで市場心理はにわかに不安定化し、ハイテク株や原油などいくつかの「ミニバブル」崩壊を伴いつつ、米国株は急落した。

ところが、今年に入り、FRBはハト派に急旋回した。パウエル議長はバランスシート縮小を早い段階で終えると言い始め、ブレイナードFRB理事は14日、縮小は年内で終了すべきだ、と述べて、さらに一歩踏み込んだ。

米国株にとって、実に大きなバレンタインデーのプレゼントになったと言える。年内のバランスシート縮小終了が多数意見だということは、その後、1月のFOMC議事要旨で確認された。

<FRBと日銀のベクトル>

こうした状況下で足元の金融市場は、「カネ余り相場の宴よ、もう一度」とでも表現すべき、期待を膨らませながらの動きになっている。FRBのバランスシート縮小が早期に終われば、日銀の動きを原動力に、3中銀のバランスシート合計額は緩やかながらも再び拡大に転じるだろう。

また、景気下振れに対する警戒を強めているECBが貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)を再開すれば、同中銀のバランスシート規模が再び拡大する可能性も出てくる。

Slideshow (2 Images)
米国で利上げ局面が終了し、利下げ観測が今後市場で台頭すると、日本と米国の金融政策のベクトル(方向感)に差がなくなり、ドル円相場は、円高/ドル安方向に大きく動いていくというのが、筆者の予想の基本線だ。

だが、「カネ余り相場」の再開期待を背景とする「リスクオン」の持続は、ドル以外のさまざまな通貨に対する円売りにつながり、ドル円が100円を目指そうとする動きに対してカウンターで効いてくる可能性がある。両者の「綱引き」がどうなるかが、当面のポイントになる。

もっとも、1つ押さえておくべきは、「カネ余り」にのみ過度に依存し、実体経済や企業業績の十分な裏付けのない米国株の上昇及びそれに付随する「リスクオン」に、持続性は伴わない、という点だ。

また、経済指標や株価動向をにらみつつ、例えば6月のFOMCで米利上げ再開をもくろむ動きが米国で広がるような局面では、それがネガティブサプライズとなり、米国株が昨年秋以降の下落を超えるマグニチュードで急落する潜在的リスクがあることを忘れてはなるまい。

その場合でも、よほどうまくFRBが立ち回らない限り、ドル円で100円を試すような円高方向の動きが見られるだろう。

*本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

上野泰也氏 みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト(写真は筆者提供)
*上野泰也氏は、みずほ証券のチーフマーケットエコノミスト。会計検査院を経て、1988年富士銀行に入行。為替ディーラーとして勤務した後、為替、資金、債券各セクションにてマーケットエコノミストを歴任。2000年から現職。

 
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-yasunari-ueno-idJPKCN1QF0D5


 

トップニュース2019年2月27日 / 02:54 / 4時間前更新
FRB議長が議会証言、「忍耐強く」利上げ対応:識者こうみる
Reuters Staff
2 分で読む

[26日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は26日、リスク増大や最近の軟調な経済指標は今年の底堅い米経済成長を阻害することはない見通しとしつつも、FRBは引き続き「忍耐強く」利上げに対応していくと再表明した。

市場関係者のコメントは以下の通り。

<ソシエテ・ジェネラル(ニューヨーク)の米国シニアエコノミスト、オマイア・シャリフ氏>

米連邦準備理事会(FRB)が少なくとも今年半ばまでに金利を動かすかどうかについて、手掛かりを示す材料はまったくなかった。手の内を明かさなかった。

FRBの成長率予測、例えば2─2.5%に沿う場合、パウエル議長がどういう立場を取るのかを見極めようとしている。利上げは終わったのか。年内追加利上げの可能性があるのか。パウエル氏の立ち位置は明確でない。

<インディペンデント・アドバイザー・アライアンスの最高投資責任者(CIO)、クリス・ザッカレリ氏>

証言そのものは、パウエル議長が非常に中立的なトーンとなるようデザインしたものだ。市場の動きを望んでいるとは思えない。

興味深いのは、忍耐強くや透明性という2つのキーワードを使い続けている点だ。米連邦準備理事会(FRB)が動かないことを示している。

ホワイトハウスや議会からどんな圧力を受けても、正しいことを実行しようという独立したFRBの存在は、市場にとって最も重要だ。FRBは景気のみに注意を払うべきだ。

<クレセット・キャピタル・マネジメント(シカゴ)の最高投資責任者(CIO)、ジャック・アブリン氏>

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は市場が認識している相反する兆候に言及している。消費が上向けば経済も上向くはずで、信頼感統計の数字もその裏づけとなり得る。インフレが伸びず緩やかな成長が続く限り、FRBも動きようがないだろう。これまでFRBは次の景気後退局面に備え政策手段の確保に努めてきたが、こうした姿勢は後退しつつある。これは大きな変化と言えるが、市場はすでに織り込み済みだ。

<リソース・アメリカのポートフォリオマネジャー、マイク・ターウィリンジャー氏>

金融市場の成長寄与度が年初よりも薄れたとのパウエル議長の発言は、FRBが金融政策を通じS&P総合500の価値を支えるという「第3の責務」を請け負ったことを示唆しているようにみえる。

さらに、株式市場のボラティリティーによって、FRBが様子見姿勢を維持することを強いられているのであれば、経済動向が金融市場の方向性を決めるのではなく、金融市場の動向が経済の方向性を定める構図なっていることを意味する。
https://jp.reuters.com/article/frb-instantview-idJPKCN1QF2AB

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/298.html

[国際25] 金正恩は予測不能のトランプに恐れおののいている  戦わずして北朝鮮の勝利か、北朝鮮がベトナム開催を選んだ強かな理由 

金正恩は予測不能のトランプに恐れおののいている


2019.2.27(水) 古森 義久

米朝首脳会談を前に前大統領補佐官が語る米国側の狙い

トランプ氏、ベトナムへ出発 米朝首脳会談へ
米メリーランド州のアンドルーズ空軍基地で、ベトナム・ハノイに向かう米大統領専用機エアフォースワンに搭乗するドナルド・トランプ大統領(2019年2月25日撮影)。(c)SAUL LOEB / AFP〔AFPBB News〕

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 第2回目の米朝首脳会談が2月27、28の両日、ベトナムの首都ハノイで開かれる。この会談では何が合意されるのか。米国のトランプ政権はどんな政策でこの会談に臨み、最大目標である北朝鮮の完全な非核化をどう進めるのか。北朝鮮の朝鮮労働党の金正恩委員長はどう対応するのか。

 この一連の疑問について、トランプ政権の中枢で最近まで北朝鮮非核化に関与してきたフレッド・フライツ前大統領補佐官(現「安全保障政策センター」所長)にインタビューした。米国では米朝問題に関して多くの専門家たちが多様な報告や論評を発表しているが、トランプ政権の内側にいた人物の見解表明は珍しい。

 フレッド・フライツ氏は米国歴代政権の中央情報局(CIA)やNSCで、北朝鮮やイランなどの秘密の核開発阻止を中心とする大量破壊兵器の拡散防止を専門としてきた。2018年5月にトランプ大統領の補佐官となり、大統領直属の国家安全保障会議(NSC)で首席のボルトン補佐官に次ぐ次席となった。同年11月には民間の「安全保障政策センター」の所長に就任するため、政権を離れた。著書に『迫りくる北朝鮮の核の悪夢』などがある。

フレッド・フライツ前大統領補佐官(現「安全保障政策センター」所長)
 インタビューでフライツ氏は、トランプ大統領が一貫して北朝鮮の核兵器の完全廃棄を目指していることと、米側の要求の一部を軟化させることで金正恩委員長から北朝鮮側の核とミサイル施設への査察の合意を取りつけられるだろうという見通しを強調した。

 フライツ氏はトランプ政権の基本姿勢について、「核武装した北朝鮮は絶対に許容しない。北朝鮮の防衛には核兵器も長距離弾道ミサイルも不要な攻撃用兵器であり、国際社会にとっても受け入れ難い」と述べ、北の完全非核化実現策が揺らいでいないことを力説した。そのうえで、トランプ大統領が今回の首脳会談で、北朝鮮の完全非核化に向かってかなり実質的な前進を果たすだろうと総括した。

 インタビューは2月21日、ワシントンのホワイトハウスに近い安全保障政策センターの所長室で行った。以下、その内容の骨子をお届けする。

譲歩を重ねてきた米国政権
──今回の米朝首脳会談では、まずどんな成果を期待しますか。

フレッド・フライツ氏(以下、敬称略) 金正恩委員長は昨年(2018年)6月にシンガポールで非核化を誓約しました。その誓約を履行させ、核兵器など大量破壊兵器計画の実態を開示させることが、米側にとっての今回の首脳会談の狙いです。その開示はまだできていませんが、今回の会談で、国内の核実験拠点とミサイル実験拠点への査察を北朝鮮に認めさせることができると思います。その結果、うまくいけば核施設の中心地である寧辺(ニョンビョン)への集中的査察への北側の合意が得られるだろうと思います。

 以前は、北朝鮮が核とミサイルの開発計画について完全で正確な開示をしない限り、2度目の米朝首脳会談は行わないというのが了解事項でした。北朝鮮はまだその開示をしていませんが、それでも米朝双方が2回目の首脳会談を開くことに合意したのです。

──その説明だと、米国側がより譲歩をしたという感じもしますが。

フライツ 目的は、交渉を軌道に乗せて、金委員長に非核化への具体的な『取りうる措置』の実行に合意させることです。この『取りうる措置』というのは、トランプ政権の北朝鮮担当特別代表であるスティーブ・ビーガン氏が最近使っている表現です。ビーガン氏は私の長年の友人で、今もよく話をします。

 米側は査察などについて金委員長から原則的な約束は得たと思います。ただ、金委員長の側近には、そう捉えていない人たちも多数いると思います。

 北朝鮮側には、「米国はこれまでこの種の交渉に入ると、具体的な成果を北側より強く切望するために、かなりの譲歩をしてきた」という認識があります。米側は実際には何も達成していないのに「達成した」と宣言したいがために譲歩する、というわけです。北朝鮮は米側の譲歩の結果をポケットにしまい、見返りはなにも出さず、しばらくすると核とミサイルの開発計画をまた再開するのです。

 トランプ政権では、この繰り返しを避けようと、ジョン・ボルトン国家安全保障担当大統領補佐官とマイク・ポンペオ国務長官らが新たな手法を進めてきました。ボルトン氏らは、北朝鮮に譲歩をさせず誓約の履行をさせないままに合意を成立させようとする米側のキャリア外交官たちの動きを抑えつけています。

北朝鮮の核武装は絶対に許容しない
──「あくまで北朝鮮の完全な非核化を目指す」というトランプ政権の基本政策に揺らぎはないのですか。北の核兵器保有をある程度許し、軍備管理という見地からその脅威に対応していくべきだという案も、米側の一部の専門家から提示されています。

フライツ それはありません。米国は核武装した北朝鮮を絶対に許容しません。するべきではない。

 核兵器も長距離弾道ミサイルも、北朝鮮の防衛には不要な攻撃用兵器です。米国が北朝鮮に侵略することはありません。よって、現状では北朝鮮は核兵器をまったく必要としないのです。これがトランプ政権の基本政策です。

 北朝鮮は究極的には、朝鮮半島から米国を追い出し、アジアの近隣諸国を恫喝するために核兵器を使う、という計画だったのでしょう。でも、核兵器やICBM(大陸間弾道ミサイル)は米国の東海岸を攻撃するための完全な攻撃用兵器であり、北朝鮮の防衛にはまったく必要がない。米国は、北朝鮮がそんな攻撃用兵器を保有することは認めません。

──トランプ政権はその許容できないという意思を北朝鮮に伝えたわけですね。

フライツ そうです。北朝鮮がこれまでのように、地域的にも国際的にも受け入れられない軍事増強を続けていれば、必ず米国などとの間で軍事対決が起きます。その対決は北朝鮮の国家自体に破壊をもたらすことになるでしょう。なにしろ北朝鮮は国民が飢餓に苦しむ一方、国家の資産のほとんどを高度兵器の開発に投入しているのです。北朝鮮の軍事増強がどんな結果に至るのかをトランプ政権は明確なメッセージとして伝えたのです。

北朝鮮を変身させたのは「恐怖」だった
──しかし自国の憲法にまで核兵器保有を明記していた北朝鮮が、国家の基本方針を180度転換して核兵器廃棄に同意したのはなぜでしょうか。金委員長がトランプ大統領に会いたいという意向を強く表明したことも、従来の反米政策からの大転換です。

フライツ 北朝鮮が年来の政策を一転させて非核化の協議に応じたのは、トランプ大統領が2017年の国連演説で発した北の「完全破壊」という言葉が最大の理由でしょう。米国大統領が国連総会で、北朝鮮がもし今の核武装の道を進むならば、北朝鮮自体を破壊してしまうという強力なメッセージを発したことは、米国の同盟諸国、国連ウォッチャー、そして北朝鮮当局者をぞっとさせたはずです。

 北朝鮮当局はそれ以後の数カ月をかけて、それまでの政策の変更を決定したとみられます。トランプ大統領が国連で演説したあと、北朝鮮が2017年の終わり近くにもう一度、長距離ミサイルの発射実験をしていますが、それ以降の2018年は態度がすっかり変わったわけです。

──北朝鮮を変身させたのは「恐怖」だということですね。

フライツ そうです。恐怖です。このまま進めば、自分たちが滅ぼされるという恐怖ですね。そもそも北朝鮮のような無法国家は力を畏怖します。そんな国に対して、米側の前政権のような「戦略的忍耐」というような対処法をとるのは愚かです。

 北朝鮮側にしてみると、「核兵器を開発しても長距離ミサイルを配備しても、米国はなにもしてこない。譲歩をするだけだ」、そんな考えのもと、核武装を続けたのです。しかし、トランプ政権はまったく異なる対処法を選びました。

──その結果が、今度の米朝首脳会談で、北朝鮮側が核関連施設の査察を認めるという展望となったというわけですね。

フライツ はい、私は慎重な楽観主義という立場から予測すれば、今回の首脳会談で「北朝鮮の核とミサイルの基地への米側による査察」について合意が成立すると思います。寧辺への査察が合意されるならば、大きな前進です。北側の大きな譲歩だともいえます。

北朝鮮との交渉の成果はすでに出ている
──その場合、北朝鮮に対する現在の制裁措置はどうなるのですか。緩和されるという見通しも語られていますが。

フライツ いや、緩和はないでしょう。なぜなら北朝鮮側は大量破壊兵器とミサイルの計画の完全で正確な開示をまだしていないからです。今回の会談ではすぐにその成果は得られないかもしれませんが、北側はその全面開示に向けての動きをとることを約束するでしょう。

──しかし現状では、トランプ政権が北朝鮮との交渉で得たことはまだ少ないという批判もあります。

フライツ いえ、トランプ大統領はすでに非常に多くのことを達成しました。オバマ前政権の時代、北朝鮮のミサイル発射実験は80回近くに達しました。トランプ政権になってからは合計20回ですが、2017年12月からは1回もありません。核実験も同年9月からはゼロです。その結果、アジア地域、そして全世界が安定するようになりました。

 トランプ大統領による新政策が始まる前は、北朝鮮が大気圏で水爆実験をする可能性までがありました。万が一、そうなれば、日本、韓国、中国などに放射能が広がる危険性があります。中国当局も深刻に懸念し、北朝鮮の2017年9月の核実験の後は中朝国境地域での非常事態訓練を実施していました。こんな状況が変わったのは、トランプ大統領の行動の成果といえるでしょう。

朝鮮戦争の終戦は宣言されるのか
──今度の首脳会談で、米側は米朝双方の連絡事務所の開設や朝鮮戦争の終結宣言に応じるだろうという観測もあります。これらはトランプ政権にとって譲歩のしすぎとはなりませんか。

フライツ 北朝鮮が誓約した「完全な非核化を実行する」という大前提の下で、トランプ政権がその種の措置に同意することはありうると思います。きわめて小さな代償だけで北側の面子を立てて、非核化の推進に寄与できる措置だと思います。

 連絡事務所としては、北朝鮮がすでにニューヨークに国連の代表事務所を有していますが、米側が平壌に事務所を開くことによって米国の外交的な存在を強化できるわけで、非核化を推進するためにはコストが低い措置だといえます。

 朝鮮戦争の終戦宣言は、非核化に難色を示す人民軍の将軍たちを金委員長が説得する材料になるならば、米国としては大きな代償を払わないで済みます。米国にとっては、小さな柔軟性を示して北朝鮮の大きな譲歩を勝ち取る手法だといえます。

──朝鮮戦争の終戦が宣言されると、在韓米軍の存在の理由が少なくなり、米韓同盟が揺らぐという懸念も表明されています。

フライツ その理屈には賛成しません。東西冷戦が終わってもドイツには米軍が駐留し続けていますね。トランプ大統領に、韓国から米軍を撤退させる意図はまったくありません。

金正恩は非核化を誓約した、米国は実効を迫るだけ
──ビーガン氏(トランプ政権の北朝鮮担当特別代表)の最近の演説の内容から、トランプ政権が北朝鮮への姿勢を和らげ、制裁も段階的な緩和を考えていると解釈する向きもあります。

フライツ 北朝鮮が完全な非核化への具体的な行動を明確にしない限り、経済制裁の一部の緩和、あるいは段階的な撤回はないでしょう。ビーガン氏の演説がそういう緩和を意味したという見解には、私は同意しません。

──「北朝鮮は結局は非核化には応じないのではないか」という悲観的な見方が、米国政府の情報機関代表をも含めて各方面から表明されていますが。

フライツ 金正恩委員長自身が核兵器を放棄すると誓約したのです。米側としてはその言葉の責任を追及し、実行を迫るだけです。確かに北朝鮮は過去に公約を破り、米側をだましてきました。だからといって、米国側が北に誓約の履行を迫るべきではない、ということにはなりません。

 トランプ大統領は、これまでとはまったく異なる方法で北朝鮮問題に取り組みました。選挙キャンペーン中にトランプ氏が金委員長との会談案を語ると、すべての専門家が反対し、あざけりました。しかし今ではほとんどの専門家が米朝首脳会談は有効な方法だと認めているでしょう。トランプ大統領が北朝鮮に関して何も達成していないと断言する専門家はまずいないでしょう。緊張が緩和されたことはあまりに明白だからです。

 トランプ大統領は、北朝鮮の脅威に対処するために多数の国を連帯させることに成功しました。中国に対しては北朝鮮への制裁を真剣に実施するように圧力をかけました。これまでの米国の政権にはみられなかった動きです。こうした動きも北朝鮮に対して巨大な効果がありました。

──そうした動きが北朝鮮を恐れさせる効果を生んだということなのですね。

フライツ はい、北朝鮮側はトランプ大統領が一体何をするのか分からなくなり、懸念を深めるようになったのだと思います。予測不能の米国大統領というわけです。このことが北朝鮮にトランプ大統領との直接の交渉への関心を深めさせたといえます。トランプ大統領の方から北朝鮮に何かを頼みこんだ、ということはまったくありませんでした。この点がオバマ政権との根本的な違いです。外部への対応も、オバマ政権はいつも弱かった。米国が弱くなるとグローバル秩序は乱れます。強ければ安定と安全が高まるのです。

トランプ大統領は拉致問題を提起するだろう
──米朝間のこうした動きの日本への意味は?

フライツ 北朝鮮がミサイル発射を続けている間、日本は不安と懸念を深めていましたから、今のところ現状は望ましいでしょう。核もミサイルも、実験が止まったのですから。

 日本は、韓国が北朝鮮に対して過剰な譲歩をするのではないかと心配しています。だからトランプ政権が韓国のそうした動きを抑えていることには賛成でしょう。トランプ政権があくまで北の完全非核化を求めることも、日本は歓迎するでしょう。

──日本人の北朝鮮による拉致問題はどうでしょうか。

フライツ トランプ大統領も、ジョン・ボルトン国家安全保障会議首席補佐官も、拉致問題解決への協力にはきわめて熱心です。北朝鮮政府は、なんの罪もない日本人男女を誘拐して、長年拘束したままにするという、おぞましい犯罪を行いました。米国政府は全力でその解決に助力すべきです。この点、トランプ政権はきわめて積極的です。今回の米朝会談でも、大統領は必ずこの問題を再び提起するでしょう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55601


 
戦わずして北朝鮮の勝利か、第2回米朝会談
ベトナムに学べ:北朝鮮がベトナム開催を選んだ強かな理由
2019.2.27(水) 末永 恵
経済急成長の活気であふれるハノイの街並み。最大投資国の日本のホンダやヤマハが寡占するバイク市場、日本が出資するベトナム初の都市鉄道計画など、町のいたるところに日系ブランドが目立つ(筆者撮影。ベトナム・ハノイ、2019年2月)
 ガラス張りのモダンなレストランが人目を惹く。

 ベトナムの首都・ハノイの旧市街地から車で20分ほどにある、北朝鮮直営の北朝鮮レストラン・ハノイ店。通称、「北レス」と呼ばれる。

 北の重要な外貨獲得“在外基地”で知られる。

 筆者も以前、訪れたことがある。北朝鮮名物、牛骨スープベースの平壌冷麺(ピョンヤン・レンミョン)が一番人気だ。

 容姿端麗なウエイトレスは、ベトナムでも人気が高い。その写真はネット上に拡散されており、韓国ではまさにアイドル並みの人気を誇っている。

 一方、このレストランは北の諜報活動や強制売春の舞台となっていることが、最近脱北した北朝鮮女性のウエイトレスによって暴露され始めている。

 そうしたレストランの数は、中国などアジア諸国を中心に今でも80か所ほどで経営されているという。

 このハノイのレストランに2017年、衝撃が走った。

 ベトナム政府が突然、北レスの賃貸契約延長を認めないと一方的に北朝鮮政府に申し送り、レストランは撤退を余儀なくされたからだ。

 ことの発端は、2年前の2月13日午前9時頃、混雑極めるマレーシアのクアラルンプール国際空港で大胆不敵にも、金正恩・朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏が暗殺された事件。

 正男氏の遺体からは猛毒の神経剤「VX」が検出された。

 事件では、ベトナム人のドアン・ティ・フオン被告(今夏以降、殺人罪に問われている実行犯の同被告とインドネシア人女性被告の第1審判決が言い渡される見通し)らが北朝鮮国籍の男4人と共謀し、正男氏の顔に液体を塗りつけて殺害したとしてマレーシアで起訴されている。

 マレーシア当局によると、事件直後に国外逃亡した北朝鮮国籍の男4人のうち、リ・ジヒョン容疑者は北朝鮮のリ・ホン元駐ベトナム大使の息子で、フオン被告を犯行に引き入れた張本人とされている。

 ベトナム政府は、北朝鮮の駐ベトナム前職大使の息子が事件に関与し、ベトナム国民を包摂して起きた殺人事件を強く糾弾。北朝鮮に公式謝罪を要求した上、「国交断絶」の意思を伝えた。

 ベトナム政府は北朝鮮に制裁を科し、「外交官を除く北朝鮮国籍者のビザの延長、さらには北朝鮮レストランの賃貸契約延長の拒否」を断行した。

 それだけではない。事件直後にはもっと強硬な制裁が実施されていた。

 「北朝鮮外交官のビザ発給を全面停止し、北朝鮮大使館(ハノイ)の事実上縮小に追い込もうとした」

 「さらに、(スパイと見られる)ベトナムにあるIT産業で働く朝鮮人労働者に対しても、国外追放や滞在ビザの長期延長拒否といった措置を出していた」(西側外交筋)

 ベトナム政府はマレーシアで起きた事件に北朝鮮のベトナム大使が関係していたことに怒り心頭だったのだ。

 事件に関し、米国、マレーシア両国政府が金正男氏殺害の責任は北朝鮮にあると断定している一方、これまで北朝鮮は頑なに同事件への関与を強く否定してきた。

 しかし、ベトナムの強硬な外交圧力に、北朝鮮は昨年12月、「ベトナムに非公式に謝罪した」(韓国メディア)と報道された。

 ベトナム政府筋もその事実をほぼ認めている。ASEAN地域フォーラム(ARF)への北朝鮮参加を強く促すなど、アジア屈指の長年の友好国、ベトナムの後ろ盾を失う危機感が北朝鮮の異例の謝罪を引き出したともいえる。

 正式謝罪は殺害を北朝鮮が公式に認めることになることから、「非公式」という形式でベトナムは譲歩する形となったようだ。

 とはいえ、決して大国とは言えないベトナムが、悪の枢軸、独裁国家の金政権から前代未聞の「謝罪を引き出した」わけで、日本や国際社会では、驚きをもって受け止められた。

 一方、筆者の知人の米外交筋によると、「謝罪の具体的時点は実際不明だが、金正男氏暗殺から半年以上経った、北朝鮮政権樹立70周年を記念した9・9節行事前後を機に、両国の外交関係は修復に向かった」という。

 そして、昨年6月の第1回米朝首脳会談でも開催国候補として名乗りを上げていたベトナムは、今週27〜28日に行われる第2回米朝首脳会議の舞台になる。

 今回、ベトナムは北朝鮮だけでなく、米国との交渉・準備段階から、ホスト国として外交手腕を発揮。

 共産主義国でありながら1986年の改革開放路線「ドイモイ政策」後、農業国からアジアを代表する経済成長国に躍り出て、外交舞台で国際社会に、政治的にも経済的にもその存在感を示すことに成功したといえるだろう。

 米国のバラク・オバマ大統領(当時)は、2016年のG7開催前に、ベトナムへの歴史的訪問を実現。

 ベトナムは約半世紀ぶりになる米国からの全面的な武器輸出解禁合意で、「昨日の敵は、今日の友となった」(チャン・ダイ・クアン国家主席)と、アジアの小国でありながら「米越同舟」を巧みに演出、中国への牽制を国際社会にアピールした。

 ベトナムは、ドナルド・トランプ政権直後にホワイトハウスで米国と首脳会談を開いているが、実はASEAN(東南アジア諸国連合)で初めてのことだった。

 今回、米朝2回目の首脳会談開催国にベトナムが選ばれたのには、米国の狙いも見え隠れする。

 ベトナム戦争で米国と戦った、北朝鮮と同じ共産国家のベトナムが、安全保障と経済分野などで、米国と強い2国間関係を構築した結果、経済成長を果たした――。

 このことを北朝鮮の金正恩氏に具体的な形で知らしめようというわけだ。

 昨年7月には、米国のマイク・ポンペオ国務長官が「ベトナムが経験した『経済的奇跡』と米国との関係改善に、北朝鮮は学ぶことができるだろう」とも語っている。

 北朝鮮問題の専門家は「ベトナムは、食料安全保障や私有財産制度問題などですでに対応策を図り、経済特区設置などによる海外投資誘致の戦略も熟知している」と言う。

 しかし、ベトナムのような改革開放路線を金正恩政権が「最善」と認識しているかどうかは、疑い深い部分もある。

 「経済の自由化は、独裁国家の北朝鮮が、私有財産制を認可し、国内で海外からのニュースや情報も拡散することになる。金正恩政権にとっては、『北朝鮮版ドイモイ』は、火中の栗を拾う政権崩壊の混乱を招くことにもつながる」(米国の北朝鮮問題専門家)と危惧する声もある。

 韓国に亡命した北朝鮮の太永浩(テ・ヨンホ)元駐英公使も欧米メディアの取材などで「金政権が、政治的な改革開放につながる経済自由化路線を走るとは思えない。経済開放は観光産業や開城工業団地の再開など、限定的だろう」とみている。

 経済的モデルであれば、むしろ、開発独裁で世界の金融センターに成長したシンガポールの方が、今の独裁政権を維持しながら、理想の形として見ている可能性は大きいのではないか。

 今回、金正恩委員長は第2回米朝首脳会談をベトナム開催にこだわったとされる。その理由は、「改革開放の師匠」に見習うこととは別にあるようだ。

 金正男氏暗殺事件で冷え切ったかつての兄弟国家ベトナムに、国際舞台での外交デビューという経済や投資拡大の絶好の檜舞台をお膳立てする見返りに、大国相手にしたたかに振る舞う手法の伝授を受けたかったからではないだろうか。

 「ズル賢い」「二枚舌」「したたか」――。

 中国のみならず、米国、ロシア、フランスにそう言わしめるアジアの小国・ベトナムの「大国操縦法」の例に見合う国は地球広しといえどもほかにはない。

 1000年にもわたる中国の侵略や支配、フランスによる約70年の植民地支配に屈せず、さらには20年に及ぶ米国とのベトナム戦争に勝利した。

 その後の中越戦争でも、「中国の力は再三、ベトナムという岩の上で砕け散ってきた」(「China and Vietnam: The Politics of Asymmetry」著者の米国の中国政治外交専門家、ブラントリー・ウォマック博士)と分析されるように、ベトナム戦争でロシア軍や米軍が置きざりにした戦闘車や兵器などを駆使し、中国に勝利した。

 ベトナムの強さの秘訣は、強靭な忍耐力と精神力に裏づけられたべトコン戦術の「硬」と、朝貢外交で至れり尽くせりの「軟」を、まるで1枚のコインのように裏表を巧みに使い分けながら、超大国を翻弄する戦略にある。

 さらには、戦争で大国と戦う一方で、同時に別の大国を引き込むしたたかな戦術も強さの秘訣だ。

 ベトナム戦争では、中国と旧ソ連の超大国を激突させ、一方で米国との闘いのための後ろ盾として両国の支援をを引き出した。

 中国と陸続きのベトナムは、南シナ海に面した南北に長い約3000キロの海岸線を持ち、多くの港湾を抱え、主要な海洋ルートの交差点にある。

 そのため、経済や安全保障などの観点から、他のアジアの国より、対中戦略において、米国にとっても最も重要な拠点となり得る。

 また、ベトナムはASEANの中でロシアの最大の貿易相手国でもある。

 2015年5月、ASEANで初めて、ロシア、ベラルーシ、カザフスタンなどが加盟するユーラシア経済連合(EEU)ともFTAを締結。結果、両国の2020年の貿易額は、2014年比で約3倍の100億ドルに達すると予測されている。

 対中依存からの脱却を目指し、ロシアとの経済面での連携を拡大させ、安全保障の基盤強化を急ピッチで進めている。

 ベトナムは武器輸出解禁を条件に、米軍がベトナム戦争時、後には2002年にロシア軍が撤退するまで使った東西冷戦時代の要衝で、長年閉鎖されていた南シナ海軍事防衛の戦略的最重要拠点、カムラン湾への米海軍寄港を認めたとみられる。

 米国と軍事連携を進めることで中国に対抗姿勢を示す一方、社会主義体制を続ける中、かつての最大支援国で友好国のロシアにも再接近するという、「遠交近攻」を用意周到に進めている。

 膨大な貿易黒字を稼ぐ最大の輸出相手国「米国」、慢性的な貿易赤字に悩まされる最大の輸入相手国「中国」、さらには、保有武器約100%を調達する最大の軍事武器供与大国「ロシア」の複雑な3大国の狭間に立つベトナム。

 ラストリゾート(最後の命綱)をいずれの超大国にも依存しないことを固く誓う、誇り高き共産国家で北朝鮮が理想とする国家像を描いているともいえるだろう。

 言い換えれば、「古くからの兄弟国家との蜜月関係は、北朝鮮にとって有利に働く。北朝鮮は困ったときでも旧友からの助けでサバイバルできる」と米国を牽制できる。

 そんなメッセージは、北朝鮮にとっては極めて魅力的に映るに違いない。

 ベトナムにとっても、対北朝鮮交渉で日本、中国、韓国以上に、効果的な交渉を発揮できる国として国際社会に誇示できる。

 こうみると、北朝鮮による前代未聞のベトナムに対する謝罪は、”名を捨ててでも実を取る”、言わば大国を手玉に取る「最大の防御にして、最強の秘策」だったと言えるのかもしれない。

(取材・文・撮影 末永 恵)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55585
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/524.html

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