★阿修羅♪ > リバイバル3 > 704.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
マルクスはやはり正しかった _ もうすぐ共産革命の嵐が吹き荒れる時代がやって来る
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/704.html
投稿者 中川隆 日時 2017 年 5 月 07 日 04:13:51: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

グローバリズムというのは19世紀の帝国主義と同じもの。

帝国主義の次に共産革命が起きて共産国家ができるというのが経済学の定説:

帝国主義とは、資本主義の独占段階であり、ブロック経済から国際金融資本による他国の支配までを指す時代区分でもあり、列強諸国が植民地経営や権益争いを行い世界の再分割を行なう事を指す。

高度に資本主義が発展することで成立する国際金融資本が、市場の確保や余剰資本の投下先として新領土の確保を要求するようになり、国家が彼らの提言を受けて行動するとされる。いくつもの国家が帝国主義に従って経済的植民地を拡大するなら、世界は有限であるから、いつかは他の帝国主義国家から経済的植民地を奪取せねばならず、共産革命はその当然の帰結である

とりあえず農地法と最低賃金法を廃止

農業で食べていけなくなった日本の農家の土地をすべて住友化学が捨て値で取得、モンサントの作物を時給100円の中国人を使って大規模経営する。

土地を買えるのはゴールドマンサックス・モンサントと組んだ住友化学だけだからね。

そして土地を売った農民や大企業を解雇された労働者が東京に集まってスラムを作り、そこから共産革命が始まる。

すべてマルクスの予言通りさ。

TPPに至る道は歴史の必然だから、ねじを逆戻しするのは不可能なのさ。

TPPを批判するのは神州の泉の様な保守反動側の人間だけなんだよね。

日本は共産革命と共産国家への道をひた走っていてもう止められない。


これから日本にもレーニンが現れるのさ、わくわくするね:


1891年、レーニンが21歳を迎えたその年、沿ヴォルガ地方は大規模な飢饉に見舞われた。このとき、地元のインテリ層の間で、飢餓に苦しむ人々に対して社会的援助を行おうとする動きがわきあがったが、その中でただ一人、反対する若者がいた。ウラジーミル・ウリヤーノフである。以下、『秘密解除されたレーニン』から引用する。


「『レーニンの青年時代』と題する、A・ペリャコフの著書を見てみよう(中略)それによれば、彼(レーニン)はこう発言していたのだ。


『あえて公言しよう。飢餓によって産業プロレタリアートが、このブルジョワ体制の墓掘人が、生まれるのであって、これは進歩的な現象である。

なぜならそれは工業の発展を促進し、資本主義を通じて我々を最終目的、社会主義に導くからである――

飢えは農民経済を破壊し、同時にツァーのみならず神への信仰をも打ち砕くであろう。そして時を経るにしたがってもちろん、農民達を革命への道へと押しやるのだ――』」


 ここの農民の苦しみなど一顧だにせず、革命という目的のためにそれを利用しようとするレーニンの姿勢は、すでに21歳のときには確固たるものとなっていたのだ。

 また、レーニンは『一歩前進、二歩後退』の中で自ら「ジャコバン派」と開き直り、党内の反対派を「日和見主義的なジロンド派」とののしっているが、実際に血のギロチンのジャコバン主義的暴力を、17年の革命に先んじて、1905年の蜂起の時点で実行に移している。再び『秘密解除されたレーニン』から一節を引こう。


「このボリシェヴィキの指導者が、(亡命先の)ジュネーブから、1905年のモスクワでの『12月蜂起』前夜に、何という凶暴な言葉で、ならず者とまったく変わらぬ行動を呼びかけていたことか!(中略)


『全員が手に入れられる何かを持つこと(鉄砲、ピストル、爆弾、ナイフ、メリケンサック、鉄棒、放火用のガソリンを染み込ませたボロ布、縄もしくは縄梯子、バリケードを築くためのシャベル、爆弾、有刺鉄線、対騎兵隊用の釘、等々)』(中略)


『仕事は山とある。しかもその仕事は誰にでもできる。路上の戦闘にまったく不向きな者、女、子供、老人などのごく弱い人間にも可能な、大いに役立つ仕事である』(中略)


『ある者達はスパイの殺害、警察署の爆破にとりかかり、またある者は銀行を襲撃し、蜂起のための資金を没収する』(中略)建物の上部から『軍隊に石を投げつけ、熱湯をかけ』、『警官に酸を浴びせる』のもよかろう」


「目を閉じて、そのありさまを想像してみよう。有刺鉄線や釘を使って何頭かの馬をやっつけたあと、子供達はもっと熟練のいる仕事にとりかかる。用意した容器を使って、硫酸やら塩酸を警官に浴びせかけ、火傷を負わせたり盲人にしたりしはじめるのだ。

(中略)そのときレーニンはこの子供達を真のデモクラットと呼び、見せかけだけのデモクラット、『口先だけのリベラル派』と区別するのだ」


彼の価値観はきわめて「ユニーク」で、「警官に硫酸をかけなさい」という教えだったのだ。
http://archive.fo/OffX7

朝鮮半島の危機 2017-05-05


 フランス大統領選挙(決選投票)が二日後に迫ってきていますが、実はその後、つまりは5月9日、フランス大統領選挙以上に我が国に影響を与える「選挙」が行われます。


 すなわち、韓国大統領選挙です。


 韓国大統領選挙は、一時は安哲秀が文在寅に迫ったのですが、急速に失速。冗談でも何でもなく、このタイミングで「親北朝鮮」というか、北朝鮮のスパイにしか思えない候補が、韓国大統領の座に王手をかけています。

『韓国大統領選 最大野党の文候補大幅リード
http://www.news24.jp/articles/2017/05/03/10360527.html

 韓国の朴槿恵前大統領が罷免されたことに伴う大統領選挙を今月9日に控え、3日に発表された投票前最後の世論調査で、最大野党の文在寅候補が支持率42.2%と大きくリード。安哲秀候補は18.6%と失速、北朝鮮により厳しい姿勢の候補に支持が流れたか。(後略)』

 安哲秀の失速は、皮肉な話ですが、北朝鮮危機が深刻化するに連れ、彼よりも対北政策が厳しい洪準杓に、保守派の支持が流れてしまっているためです。


 安哲秀と洪準杓の支持率を合わせると、文在寅に迫ります。保守派が候補を統一することができたならば、勝負になるかも知れませんが、既に手遅れです。


 文在寅が韓国大統領の座を射止める可能性は、現時点では極めて濃厚になっています。


 文在寅は、朝鮮戦争の際に北から逃げてきた両親の下で、韓国に生まれました。


 チェ・スンシル事件の関連で、朴槿恵大統領の弾劾手続きが進んでいたとき、文在寅は、
「(憲法裁判所が弾劾訴追案を棄却すれば)革命しかない」
 と、発言しました。


 それ以外にも、
「似非保守を火で焼き払え」
「国の大掃除が必要だ」
「(大統領に当選した場合)米国よりも北朝鮮に先に行く」
 などなど、文在寅は親北発言、あるいは「革命」的な発言を連発しています。


 さらに、文在寅は「戦時作戦統制権」について、韓国が持つこととする。THAAD(終末高高度防衛ミサイル)の配備は、先送りする。


 と、明らかに北朝鮮を利する公約を堂々と掲げているのです。それで、現時点で支持率トップ・・・。


 文在寅の支持層を見ると、20代、30代、40代が50%超と高く、50代以降はガクッと減ります。つまり、文在寅を支持している中心層は、韓国の若い世代なのです。


 「恋愛」「結婚」「出産」「マイホーム」「人間関係」「夢」「就職」の7つを諦めざるを得ない、韓国の若い世代。いわゆる「七放世代」という言葉で総称される韓国の若者たちが、文在寅を支持しているわけです。


 そして、なぜ韓国の若年層失業率が高く、七放世代といった言葉が生まれるほどに困窮してしまったのかといえば、もちろん「グローバリズム」の影響です。韓国は、97年のアジア通貨危機の際にIMF管理に陥り、グローバリズムの優等生として生まれ変わりました。


 結果的に、日本以上にグローバル化が進み、国内が少数の勝ち組(財閥オーナー、オーナー家族、役員など)と大多数の負け組に分断されていきました。


 グローバリズムが国内の格差を拡大し、「革命家」と呼んでも過言ではないような人物が、政権の頂点に立とうとしている。


 カール・マルクスは、自由競争が「古い経済生活と古い半家父長制的諸関係」の破砕を促進すると指摘し、
「ただこの意味でのみ、諸君、私は自由貿易に賛成するものなのである。」
 と、語ったと、レーニンが書き残しています。


 要するに、自由貿易が保守的な社会を壊し、革命の下地ができるという話なのでしょうが、そのままの光景を、我々は玄界灘の向こう側に見ているのです。


 北朝鮮危機に加え、日本は韓国で文在寅大統領が誕生し、廬武鉉を超える親北政策を推進するという、「朝鮮半島の危機」に備える必要があると考えるべきです。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12271785222.html


グローバリズムと革命、国民統合の崩壊 2017-05-06

 フランス大統領選挙(決選投票)を明日に控え、エマニュエル・トッド教授が日経新聞のインタビューに答えていました。


『仏社会「徐々に分裂」 大統領選控えトッド氏に聞く

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM01H2S_S7A500C1FF1000/

 フランス大統領選挙は7日、中道のマクロン候補と極右のルペン候補による決選投票を迎える。第1回投票で二大政党が敗退し、反欧州連合(EU)勢力が支持を伸ばした。仏社会に何が起きているのか。歴史人口学者のエマニュエル・トッド氏にパリで聞いた。』


 「グローバル化疲れ」という、現代の世界の政治を動かす現象を、見事に表現したトッド教授ですが、インタビューを読むと、何というか本人も「疲れている」感がありありと出ています。


 トッド教授によると、

「高齢者や中流、上流階層がマクロン、フィヨン両氏を支持し、若者や労働者階層がルペン氏や急進左派のメランション氏に多く票を投じた。」

 とのことです。


 これは、意外です。イギリスのブレグジットの際は、逆でした。つまりは、「相対的に」高齢者がEU離脱を望み、若者が残留を欲したのがブレグジットなのですが、フランスは逆なのです。


 若者が、ルペン党首やメランション氏、つまりは「EU離脱」を中心に、反グローバリズムを訴える候補を支持したのが、フランス大統領選挙第一回投票だったのです。


 昨日、韓国において、グローバリズムの犠牲(というか、敗者)となっている傾向が強い、20代から40代が、「革命」を訴えているも同然の文在寅を支持していることをご紹介しました。


 フランスは、韓国同様に、グローバリズムの呪縛に(相対的に)捉えられています。何しろ、EUとは、モノ、ヒト、カネの国境を越えた移動を自由化するという「グローバリズム」を固定化する国際協定です。


 フランスもまた、韓国と同じく「グローバル化」が進んだ国の一つです。


 しかも、フランスの場合は、トッド教授もインタビューの最後に語っていますが、
「EUのルールとユーロの下で、仏大統領には何の力もない。ドイツの求める緊縮財政をとるしかない。寂しいことだ」
 という状況になっているのです。


 すなわち、グローバリズムの呪縛により「主権」を(事実上)失った状況にあるのが、現在のフランスという話です。


 グローバリズムにより、特に割を食っているのが「若い世代」です。フランスの若年層失業率は、何と25%! 


 とはいえ、EUに入っている限り、フランスは積極的な若年層向け雇用対策を打つことはできません。結果的に、フランスの若い世代が「EU離脱」を主張する候補者に流れた、という話です。


 興味深いことに、トッド教授は、「EUのルールとユーロの下で、仏大統領には何の力もない」ことを理解し、かつ、国民戦線の政策について、
「国民戦線の移民政策は容認できないが、ユーロ離脱と若干の保護主義を掲げる経済政策は私の観点ではまともだ。」
 と、ある程度の評価を与えておきながら、決選投票を棄権するとのことです。


 「相対的」な投票をする場合、トッド教授はルペン党首に投票せざるを得ません。とはいえ、国民戦線に票を入れる(もしくは「票を入れると表明する」)ことはできない。


 フランスの「苦難」が、ありありと分かります。


 いずれにせよ、昨日もご紹介した、自由競争が「古い経済生活と古い半家父長制的諸関係」の破砕を促進するが故に、

「ただこの意味でのみ、諸君、私は自由貿易に賛成するものなのである。」
 と、自由貿易に賛意を示したマルクスの慧眼通り、グローバリズムの進展は社会を壊し、革命の下地を醸成しつつ、国民統合を崩壊させていくことが、フランスや韓国の現実から分かります。


 トッド教授は、
「フランス社会は少しずつ分裂し始めている。人々がイデオロギーや宗教でなく、高齢者や労働者といった階層単位で振る舞う。新大統領の下でも社会は緊張を抱え続けイスラム勢力のテロのような政治的な暴力のリスクは高まる。力を増す高齢者に若者が対抗するため、暴力でよりよい扱いを実現しようと考えるなら、おぞましい事態だ」
 と、国民統合の崩壊と「暴力革命」に関し、懸念を表明していますが、EUに残り続ける限り、トッド教授の恐れは次第に高まっていくことになると確信します。


 現在のフランスや韓国の状況からは、グローバリズムが最終的に「何をもたらすのか?」が、明瞭に見えてくるのです。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12272103610.html 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
1. 中川隆[-7752] koaQ7Jey 2017年5月07日 04:26:23 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

関連投稿


ピケティで明けました
http://www.asyura2.com/13/ban6/msg/562.html

安くて従順な子供を、朝から晩までこき使う資本主義の裏の顔
http://www.asyura2.com/12/lunchbreak52/msg/413.html

主要企業・銀行の殆どが外資に乗っ取られてるとこういう社会になる
http://www.asyura2.com/12/lunchbreak52/msg/784.html

実力主義だと白人男性だけしか高い地位を得られない
http://www.asyura2.com/13/ban6/msg/772.html

プーチン大統領は神の申し子
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/297.html

命を賭して悪の帝国と闘ったサダム・フセイン
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/298.html

意図的な世論誘導報道で悪魔呼ばわりされているシリア アサド大統領
http://www.asyura2.com/12/lunchbreak52/msg/816.html

ヒラリー・クリントンの正体
http://www.asyura2.com/13/ban6/msg/719.html

グローバルエリートとはなにものなのか?
http://www.asyura2.com/13/ban6/msg/609.html

ロスチャイルドを奴隷として扱う一族
http://www.asyura2.com/13/ban6/msg/655.html

グローバリズムの世界
http://www.asyura2.com/13/ban6/msg/711.html

平成バブル崩壊と ソロモン・ブラザース証券 相場師列伝3
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/258.html

史上最強の投資銀行 ゴールドマン・サックス_その強さの秘密に迫る
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/360.html
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/361.html

ゴールドマン・サックス一人勝ちの秘密教えます_ 勝ち組になりたかったらこれ位の努力はしようね
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/364.html
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/365.html



2. 中川隆[-7750] koaQ7Jey 2017年5月07日 04:39:55 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

マルクスはやはり正しかった _ もうすぐ共産革命の嵐が吹き荒れる時代がやって来る


怒りを消すことが危険な理由と、暴力の時代が到来する理由

国と国の対立。民族と民族の対立。人種と人種の対立。個人と個人の対立……。

人間社会には争いと対立と衝突と不寛容と暴力と破壊に満ちているのは、まわりを少し見回しても、歴史を少し辿っても、テレビを見ても、映画を観てもすぐに気付くはずだ。

宗教が平和を呼びかけるのは、逆説的に言うと世の中は平和ではないからでもある。社会に法律があるのも、対立と衝突があるからである。

そして、国連のような組織が存在するのも、国と国の暴力が止まらないからである。人間社会から対立と暴力が消えないというのは、誰も否定できないことでもある。

では、この対立と暴力を生み出す根源的なものは何か。

それは「怒り」である。人間には様々な感情があるのだが、その感情の中には「怒り」という原始的かつ本能的なものがあり、人はそれを消すことができない。

対立や衝突や暴力は誰にとっても悲しい事態だ。だから、誰もが「怒りという感情はない方がいい」と単純に思う。

しかし、人間を含め、すべての動物に「怒り」という感情が組み込まれているということは、それ自体が重要なものであると気付かなければならない。

「怒り」とは、自分の存在が消されないための戦い

人間の心の中からは「怒り」が消せないが、人間だけでなくライオンでも虎でも熊でも象でも、すべての動物は怒りという感情を持っている。

鳥類も、爬虫類も、昆虫も、私たちが知っている生物の多くは「怒り」という感情を持っている。

「怒り」が多くの生物を網羅した普遍的な感情であるということは、それが生物にとっては欠かすことができないものであることを示唆している。

「怒りはない方がいい」と私たちは考えるのだが、生物学的に見ると逆に怒りという感情はなくなっては困るから残っていると言っても過言ではない。

いったい、何のために「怒り」という厄介な感情が残されているのか。そもそも、怒りという感情はどんな時に感じるものなのか。それは以下のものであると言える。

(1)自分が不意に攻撃された時
(2)自分の縄張りを侵された時
(3)自分の利益を奪われた時
(4)自分の所有物を取られた時
(5)自分の行動を邪魔された時
(6)自分を存在を否定された時
(7)劣等感や欠乏感を感じた時
(8)自分が騙された時
(9)物事がうまくいかなかった時
(10)軽蔑された時

こうやって生物の中に「怒り」が湧き上がる状況を俯瞰して見ると、あることに気付く。「怒り」を感じる時というのは、自分の存在が消されそうになった時なのである。

「自分の存在が消されそうになる」というのは、自分が殺されるとか、追い払われるとか、心身にダメージを受けるという広範囲の状況をすべて含んでいる。

そうなった時、生物は激しく「怒り」を感じ、その状況に立ち向かっていくことになる。「怒り」とは、自分の存在が消されないための戦いの感情だった。


「怒り」という感情が多くの生物を網羅した普遍的な感情であるということは、それが生物にとっては欠かすことができない感情であることを示唆している。


なぜ配偶者を奪われると「怒り」が湧き上がるのか?

「怒り」は往々にして破壊衝動を伴う。なぜなら、自分を消し去ろうという存在と立ち向かい、戦い、勝ち抜かなければならないからである。

たとえば自分が不意に攻撃された時に怒りを感じないでいると、どうなるのか。為す術もなく殺されてしまう。そして自分の存在が消されてしまう。

「右の頬を打たれたら左の頬を差し出せ」などと言っていたら、殺されてしまうことになる。不意に攻撃されたら生存本能の赴くがまま、怒りを持って立ち向かわなければ生き残れないのである。

自分の縄張りが侵されたら、怒りと共に立ち向かわなければ自分が明日から生命の危機に陥ってしまう。

たとえば、自分の家に他人が勝手に上がり込んで追い出されると、明日から自分が路頭に迷って通常の生活が送れなくなってしまうのは明白だ。

縄張りを侵されるというのはそういうことだ。自分の縄張りを守るというのは生き残りのための重要な生存本能なのである。だから、すべての生物は縄張りを侵されることを激しく嫌い、「怒り」を感じ、相手を破壊しようと戦う。

利益を奪われるのも所有物を奪われるのも、みんなそうだ。自分の生存のために必要なものを奪われるというのは、自分の生存が脅かされるということなので、「怒り」という感情で激しく戦えるようになっている。

自分の配偶者を奪われた人も、凄まじい「怒り」を感じて相手を殴ったり殺したりすることもある。そうした事件は世界中で毎日のように起きている。

なぜ配偶者を奪われると「怒り」が湧き上がるのか。

それは自分の遺伝子を残すための生物的な手段を横取りされて、自分の遺伝子を残せない危機に陥るからである。それもまた遺伝子単位で見ると生命の危機でもある。

つまり「怒り」とは、広い範囲で自分の生存が脅かされることで生まれる感情だったのだ。


「右の頬を打たれたら左の頬を差し出せ」などと言っていたら、殺されてしまうことになる。不意に攻撃されたら生存本能の赴くがまま、怒りを持って立ち向かわなければ生き残れないのである。


暴力の時代は、いつか必ずやってくる

そう考えると「怒り」を自分の感情から消すというのは、実は危険な行為である。

途方もなく長い時間をかけて生き残ってきた生命は、生き残るための重要な行動を「本能」として生命体に組み込んでおり、そこには不必要なものは一つもない。

「怒り」という感情が自分の理性とは別のところで湧きあがってくるのも、生命として「怒り」という感情が必要だったからである。

「怒りを消す」というのは、下手すると自分の存在を自分で消すことにつながりかねないものだったのだ。個体レベルで見ると「怒り」という感情が残っているのは正常であることに他ならない。

自分の存続が脅かされる状況にある時、「怒り」がないと生き残れない。

しかし、個体の生存本能として見れば正しいはずの「怒り」も、社会全体で見るとそれ自体が対立を生み出すというのも事実である。

その対立が、たとえば個人と個人の対立、人種と人種の対立、民族と民族の対立、国と国の対立と大規模になっていけばいくほど暴力のスケールも巨大なものになっていく。

人間社会の歴史のすべての時期で、暴力と戦争と殺戮が絶えないのは、人間の本能に「怒り」が組み込まれているからであり、それはどうしても避けようがないというのが歴史の教訓である。

つまり、人間社会は必ず大量殺戮を生み出す。

今日が平和だから明日も平和であるとは限らない。「怒り」は自分の存続が脅かされると突如として発生し、それは突発的な破壊衝動を生み出すからだ。

暴力の時代は、どんなに平和を求める民族の国であっても、いつか必ずやって来る。

それが歴史の教えるところだ。


今日が平和だから明日も平和であるとは限らない。「怒り」は自分の存続が脅かされると突如として発生し、それは突発的な破壊衝動を生み出すからだ。
https://www.bllackz.net/blackasia/content/20170503T0310520900.html


3. 中川隆[-7743] koaQ7Jey 2017年5月07日 07:43:02 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

学校は「労働者養成所」なので、資本主義の秘密は教えない



グラフィック・デザイナーと建設作業員の共通点は何か。プログラマーと通信販売受付スタッフの共通点は何か。玩具店店員と図書館司書の共通点は何か。生命保険外交員と国税専門官の共通点は何か。

資本主義社会の中で言うと、これらはすべて「労働者」であるということだ。

労働者と言えば、溶接工や土木作業員や金型工のような仕事に就いている人だけを指すような感覚を持っている人がいるかもしれないが、それは大間違いだ。

サラリーマンは言うに及ばず、プログラマーも、ネイリストも、ウェブデザイナーも、アニメーターも、メイクアップアーティストも、インテリア・コーディネーターも、みんな資本主義の中では「労働者」である。カタカナの仕事に就いたら労働者ではなくなるわけではない。

仮に機械組立工の仕事をしている人が、明日からネットワーク・エンジニアになったとしても資本主義から見ると、労働者が違う仕事の労働者になったというだけで何も変わっていない。

中華料理のウエイトレスがフライトアテンダントになっても、労働者が仕事を変えたというだけで、依然として労働者のままである。

資本主義の正体とは、ひとことで言うと何か?

労働者とは何者かというと、「他人に雇われて働く者」という意味である。他人に雇われているという状況が変わらない限り、どんな仕事に就いたとしても、それは労働者というカテゴリーで一括りにできる。

労働者は「会社」に雇われていると考えるのだが、その「会社」には所有者がいる。その所有者のことを「資本家」という。

だから正確に言えば労働者は「会社に雇われている」のではなく、「資本家に雇われている」と認識しなければならない。

会社を所有している資本家が、会社という組織を通して労働者を雇って働かせているというのが資本主義の姿である。

ほとんどの労働者は労働者としての人生をまっとうするので、なぜ資本家が労働者を雇うのか、あまりよく考えない。なぜ資本家は大勢を雇って「賃金」という名の金を労働者にばらまいているのか。

それは労働者が生み出す労働の対価よりも賃金を安く抑えて、残りを資本家が手に入れることができるからである。

たとえば、非常に有能なサラリーマンが1億円の仕事を取ってきても、年収は1000万円だったりすることも珍しくない。残りの9000万円はどこにいったのか。会社が持っていった。つまり、その会社の所有者である資本家が持っていった。

経費等を抜きにして考えると、この場合は労働者の仕事の対価は10%が労働者に、90%が資本家にいったということになる。カール・マルクスはこの現象を「搾取」と呼んだ。

資本家が労働者を雇う理由がここにある。労働の対価を搾取できるから資本家は労働者を雇うのだ。逆に言えば搾取できないのであれば資本家は労働者を雇わない。

労働者が常に生きていくギリギリの給料しかもらえず、資本家がどんどん金持ちになっていくのは、今も昔も搾取の構造が依然として残っているからに他ならない。

「資本主義の正体」を難しく考える必要はない。資本家と労働者と搾取の3つを覚えておけば、その本質を正確につかめたことになる。他のことは枝葉末節だ。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/04/20170430T1444200900.html


ワーキングプアは這い上がれない理由は「これ」がないから


国税庁の「民間給与実態統計調査」では、2015年の平均年収は約420万円なのだが、4人に1人は年収200万円以下という憂慮すべき結果になっている。

その中で非正規雇用に限って言うと、男性約226万円、女性約147万円で、平均年収の半分以下となる。正規の仕事を捜しても見つからないと非正規雇用で妥協するしかないが、そうなると凄まじく厳しい生活が待っている。

こうした層を「ワーキングプア」と呼ぶのだが、働いても働いても豊かになれないワーキングプアは今後も減ることは決してない。

なぜなら多くの企業は無駄にコストがかかる正社員を絞るようになり、非正規雇用を増やして労働者を「使い捨て」するようになっているからだ。

「使い捨て」というのは、月単位、あるいは週単位、日単位で働く人との契約をいったんリセットするということだ。

必要であれば次も雇うし、必要なければそのまま切り捨てるということを意味する。企業はそうすることによってコストを微調整することができるようになる。

長い人生を生き延びるために押さえるべきポイント

IT化によって企業はコストが秒単位で読めるようになり、それによって雇用の調整もできるようになった。だから、労働者は月単位で増やすか減らすかを決められる。

そうなると、雇用が安定しない労働者はいったん不況が来れば雇ってもらえない状況が続き、安い給料でも甘んじて受け入れるしかなくなる。それがワーキングプアを生み出す。

ワーキングプアの最大の問題点は、その月の仕事はその日や長くても月末に精算されて、その時点で評価も成果も消えてしまうことだ。つまり、仕事において評価も信用も成果も「積み上げる」ことができない。だから昇級もない。

人生は短く、やり直しがきかないので、「積み上げる」ことができるかどうかは意外に生きる上での重要なポイントになる。

何にしろ、毎月毎月ゼロからのスタートを強いられるよりも、過去の生き方や仕事が、きちんと現在に評価や信用に「積み上げられる」方が有利に決まっている。

(1)生き方が首尾一貫していること。
(2)経験や仕事が「積み上げられる」こと。

ワーキングプアはそれができないことに問題点がある。仮に自分がこの仕事で生きたいと思っても契約が頻繁にリセットされるので、信用も成果も「積み上げ」ができない。だから生き方に首尾一貫性を持つことさえもできない。

非正規雇用では自分の意志に反して、まったく違う職種に回されることも珍しくない。そうなると仕事もゼロから覚えなければならない。

そして仕事を何とか覚えた頃にはまた契約が切れて、他の現場に回される。さらに積み上げても意味がないような単純労働的な仕事ばかりを強いられることも多い。

つまり、仕事に関しては永遠に初心者であることを強いられて、這い上がれない仕組みにハマる。こんな状況をどんなに長く続けても追い詰められるだけだ。

生き方に軸を持てず、経験や仕事を積み上げできないというのは本人にとっても社会にとっても不幸なことである。


無駄がなくなれば、生きやすくなるのは当然のこと

別に首尾一貫していなくても、積み上げる仕事がなくても、生きていけることは生きていける。現に、行き当たりばったりで生きている人もたくさんいる。

若いうちは試行錯誤も必要で、いろんなことを試すのも重要だ。しかし早くから自分の適性や才能を見極めて、一貫した方向性があれば試行錯誤が短くて済む。

自分の人生の目的が定まり、一貫した方向性があれば、自然とやっていることに無駄がなくなるのだから、生きやすくなるのは当然のことだ。

人生の早いうちから一貫した方向性が決まれば幸運だ。なぜなら、やることがすべて「積み上がる」からである。

この「積み上がる」というのが馬鹿にならない。

たとえば、あるときは建設現場のとび職をやって、あるときは工場の単純作業をやって、あるときはトラックの運転手をやって、あるときは飛び込みの営業マンをやっている人がいるとする。非正規雇用では珍しくない経歴だ。

この人の経歴は多彩かもしれない。しかし、そこに一貫性も方向性もないので、何かをやるたびに新しい現場でゼロからのスタートになる。

前職の経験で得たものがあるかもしれないが、あまりにも関連性がないので経験が無駄になる可能性の方が高い。つまり、「積み上がり」がない。

この人とは別に、ある人はプログラマーをやって、あるときはシステムエンジニアをやって、あるときはサーバー管理をやって、あるときはIT専門の講師をやっていたとする。

この人も違う職業を渡り歩いているのかもしれないが、そこには一貫してIT系という筋が通っている。

この人の仕事の経験はすべて現在に活かすことができているはずだと推測できる。人生に方向性があるので経験が無駄にならない可能性が高い。つまり「積み上がり」がある。

方向性が一貫していれば、このように経験を積み上げることが可能となる。経験が積み上がり、業界を俯瞰することができるようになり、技能が洗練される。

それによって、当然のことながら評価も上がり、信用も付く。一貫した方向性があれば、過去を現在に「積み上げる」ことができるようになる。


成功している人は「積み上がる仕事」をしている人

意識的にも無意識にも職種と生き方に軸がある人は「積み上がる仕事」をしている。こうした人は、行き当たりばったりで生きている人よりも、はるかに成功する確率が高い。

「積み上がる仕事」というのは、過去にやった仕事に対して、その時に生み出した技能・製品・サービス・土台・信頼が、現在の自分に利益をもたらすものを言う。

成功している不動産投資家は、過去に買った不動産で収益を得て、さらにその収益で別の不動産を買ってそこでも収益を得るというシステムを作り上げている。つまり、「積み上がる仕事」をしている。

成功している株式投資家も、過去に買った株式でキャピタルゲインもインカムゲインも得て、さらにインカムゲインで新しい株式を買って資産を膨らませる。やはり、「積み上がる仕事」をしている。

成功している事業家は、過去に作った製品で収益を得ながら、新しい製品を生み出して、そこでもまた収益を得る。これも、「積み上がる仕事」である。

彼らは、ワーキングプアのように時間と労働力を切り売りして終わりではない。「積み上げ」がきちんとしている。その「積み上げる仕事」が経験や信用を生み、結果的に経済的な余剰や内部留保をどんどん増やしていけるようになる。

逆に言えば、「積み上げる仕事」ができないと、余剰や内部留保を増やすことはできない。ここが、弱肉強食の人生を生き延びることができるかどうかの分かれ目になる。

(1)首尾一貫していること。
(2)経験や仕事が「積み上げられる」こと。

ワーキングプアは這い上がれない理由は「この2点」がないからでもある。現代社会は効率的だ。今の「邪悪な世界」は、安い労働力を永遠に確保するために、わざとそうしている可能性もある。

だから、この2点がきちんと自分の人生や仕事に織り込まれているかどうか、充分に考える必要がある。それも早急にだ。積み上げられないことに時間をかけていると、いずれ時間切れを宣告される。あなたは、大丈夫だろうか?


「働けど働けど我が暮らし楽にならざり。じっと手を見る」。「積み上げる仕事」がきちんとできているかどうかは重要なポイントだ。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/05/20170501T1650490900.html


4. 中川隆[-7742] koaQ7Jey 2017年5月07日 07:53:44 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

VIOLENT RIOTS IN VENEZUELA ERUPT - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=-khxxgksmQU


2017-05-07
ベネズエラ危機。ニコラス・マドゥロ政権は、もう持たない

いよいよベネズエラが最後の局面に入ったのかもしれない。この国は、これ以上どうにもならないところにまで追い込まれてきている。

ベネズエラは石油価格が暴落に入った2014年半ばから急激に経済悪化が進んで、2016年1月15日にはニコラス・マドゥロ大統領が「経済緊急事態」を宣言する騒ぎとなっていた。

それ以後、事態は悪化し続けるばかりで、2017年4月に入ってから抗議デモが首都カラカスだけでなく多くの都市で連日のように発生して数百万人が暴徒と化している。

それでもマドゥロ大統領は大統領の座にしがみついており、クーデターも噂されるようになっている。

ベネズエラがこのようになったのは、原油価格の暴落に原因がある。ベネズエラは産油国であり、輸出の95%を石油に頼っている国である。

つまり、この国の浮沈は石油価格にかかっていたわけで、石油が暴落したらこの国も危機に陥る構造だったのだ。原油価格は2014年の半ばから怒濤の如く暴落するようになっており、今もまだその傾向が続いている。

ベネズエラの国内経済は大混乱し、インフレ率は2015年で210%を記録していた。食料も、衣料品も、日用品も不足して、人々は何も買えない状態に陥ってしまった。

苦境のベネズエラ政府には、もう打つ手はない

そのためにベネズエラ政府は国営スーパーで配給制を始めるようになったが、それでも物資が手に入らない。そのため反政府デモもどんどん過激になっていき、今では火炎瓶が飛び交う始末だ。

政府はそれを徹底弾圧で臨んでいる。

警察では抗議デモを押さえられなくなって民兵すらも動員しているのだが、すでにこの抗議デモには野党も参加するようになっており、打倒されるのはデモ隊よりも政府の方になる確率が高まってきた。

2015年12月6日に国会議員選挙が行われてマドゥロ大統領率いる与党は惨敗しているので、本来はこの時にマドゥロ大統領は辞任すべきだった。

恐らくマドゥロ大統領は、2015年の時点で暴落していた石油価格が何とか値を持ち直して混迷が落ち着く方向に賭けていた可能性がある。しかし、その目論見は外れた。

では、マドゥロ大統領が辞任すればベネズエラは立ち直るのだろうか。ベネズエラの輸出が、ほぼ石油しかないのであれば、この国が立ち直るのかどうかは石油価格がどう推移するかで決まる。

石油価格が持ち直さないのであれば、政権が変わったところでベネズエラが正常化する要素はまったくない。

悪いことに石油価格は2017年に入った今も落ち込んだままだ。これはベネズエラにとって「最悪が継続する」ということである。

アメリカの巨大石油企業であるエクソンモービルやシェブロンはすでに2017年には企業体質を改善して原油価格が40ドルから50ドルで利益を出せる体質となったのは2017年の四半期決算を見ても明らかだ。

しかし、ベネズエラの国営石油企業は非効率なまままったく改善されていない。このままでは、ベネズエラ政府には、もう打つ手はない。

インフレ率はさらに上昇し400%に跳ね上がっている。

ベネズエラの失業率は2014年の石油暴落から30%に跳ね上がっており、2017年の推計は31.43%なのだが、実質的には40%を超えていると言われている。


追い込まれたベネズエラ・マドゥロ大統領。ベネズエラはもう国家崩壊寸前であり、どうにもならないところにまで追い込まれてきている。


劣悪な状況になってしまっているベネズエラ国内

現在のベネズエラは、経済停滞と、物不足と、失業と、インフレが同時に起きているわけで、これは典型的な「スタグフレーション」と言える。

様々な局面の経済状況の中で、最悪の局面を示しているのが、この「スタグフレーション」であるのは言うまでもない。

少し考えればそれがどれほどひどい状況なのか想像できるはずだ。何しろ仕事がなくなって、モノもなくなって、かろうじて手に入るモノは今までの10倍も20倍も高い価格が付くのだ。

(地獄に落ちたベネズエラ。インフレと食料不足と略奪の嵐に)
https://www.bllackz.net/blackasia.php/content/20160621T0043310900.html


手に入らないのは贅沢品のようなどうでもいいものではない。牛乳、米、肉、卵、野菜、果物、コーヒー、洗剤、トイレットペーパーのような、日々暮らす上で大切なものである。

ベネズエラでは新聞社や出版社も続々と廃刊に追い込まれているのだが、これは弾圧の結果そうなったわけではない。その前に印刷するための「紙」が手に入らなくなってしまったからである。

すでにベネズエラという国に見切りをつけて周辺国に脱出する国民も多く、2016年の時点で150万人以上もの国民がベネズエラから逃げ出したとも言われている。

中には、着の身着のまま、一文無しで逃げ出す国民もいると言われているが、逃げ出しているベネズエラ人の多くは富裕層である。大半のベネズエラ人は逃げ出す金も余裕もなく、国内にとどまるしかない。

仕事もなく、食べるモノもなく、金もないので、犯罪率も急上昇している。

中南米はもともと犯罪率が高い地域として知られているが、ベネズエラも例に漏れず、今では世界最悪と言われているホンジュラスを超えるのではないかと言うNGO団体もある。

ホンジュラスを超える治安悪化なら、世界最悪の部類であると言っても過言ではない。

(行ったら殺される。手の付けられない無法地帯、ホンジュラス)
https://www.bllackz.net/blackasia.php/content/20130401T1325000900.html

ベネズエラで起きている抗議デモ。事態はどんどん最悪の方向に向かって突き進んでいる。


ニコラス・マドゥロ政権は、もう持たない

公務員や警察も困窮しているので汚職や賄賂が蔓延して、腐敗が広がっており、それがベネズエラの治安をより悪化させているとも言われている。

石油依存から脱却して、国内の産業を多角化するという政策は長期的な施策であり、急場をしのぐ政策にはなり得ない。

そもそもこの産業の多角化もベネズエラは難しいと言われている。なぜなら、ベネズエラは主要な産業を前チャベス大統領が次々と国有化してしまっていたからだ。

国有化して政府が価格統制しようとしていたのだが、これがベネズエラの産業を停滞させる原因となった。

ベネズエラが95%もの石油依存になってしまったのは、非効率な国営企業で企業の競争力が削がれたからである。

ベネズエラのチャベス大統領は2007年に石油事業を完全に国有化するため、アメリカのエクソンモービルを追い出して石油合弁資産を奪い取ってしまった。

そして、ベネズエラは石油価格の決済をドル建てを止めるべきだと2007年11月17日のOPEC(石油輸出国機構)で主張し、ドル通貨基軸からの脱却を訴えた。

それは、南米からアメリカを追い出し、中国やロシアと組むことによってアメリカの覇権を奪い取ろうとするチャベス前大統領の試みのひとつだった。

ベネズエラは反米国家としてロシアや中国やブラジルと共にアメリカ包囲網を作ろうとしていたのだ。

しかし2011年になるとチャベス大統領は癌になり、「自分が癌になったのはアメリカの陰謀だ」と叫びながら2013年に死亡し、ベネズエラ政府は石油暴落によって国家崩壊寸前にまで追い込まれる結末となった。

ニコラス・マドゥロ政権は、もう持たない。

2017年5月3日、ベネズエラの北部にあるアメリカの自治領プエルトリコが7兆8000億円の負債を抱えて破産している。

次の「終わり」がベネズエラであったとしても不思議ではない。

ニコラス・マドゥロ政権に抗議するデモ隊。ニコラス・マドゥロ政権は、もう持たない。本来は2015年に辞任すべきだったが、マドゥロ大統領は今も大統領の座を降りるのを拒絶している。
https://www.bllackz.net/blackasia/content/20170507T0158370900.html


2016-06-21
地獄に落ちたベネズエラ。インフレと食料不足と略奪の嵐に

反米で熱狂的に自国を愛していたウゴ・チャベス大統領が2013年3月5日に死亡してから後継者であるマドゥロ大統領が後を継いだ。

しかし、2014年から石油が暴落しはじめて一気に国家体制がおかしくなり、2016年に入った現在は「もはやベネズエラは死んだ」と言っても過言ではない状況になってしまっている。

ウゴ・チャベス大統領はアメリカから石油利権を奪い取って国民に還元していたが、これから起きるのはアメリカの石油メジャーがその利権を奪い返す動きである。

ウゴ・チャベス大統領が死んだら、こうした動きが出てくるというのは最初から分かっていた。

アメリカの石油メジャーであるエクソンやシェブロンのようなスーパーメジャーから利権を奪い取った国家は、必ず報復されていく。

ホメイニ政権のイラン、フセイン政権のイラクも報復されて惨憺たる状況になったし、これからはアメリカを裏切ったサウジアラビアも同じ目に遭うはずだ。

ベネズエラもいずれは石油利権をスーパーメジャーに奪い返されることになる。

ベネズエラではあちこちで略奪事件が起きている

ベネズエラは2016年1月に非常事態宣言を発令した。しかし、まだ国家破綻宣言を行っていない。とは言いつつも、すでにベネズエラは死んだも同然だと言われている。

政治も、経済も、行政も、市民生活も、機能していない。

石油価格の下落は50ドル前後で一息ついた。しかし、それでベネズエラが蘇生したというわけではなく、むしろ経済政策の失策で状況はますます悪化している。

日用品は不足し、世界最悪のインフレ率に経済が麻痺し、しばしば停電し、役所は1週間に2日しか開かない。抗議デモ、暴動、殺人、略奪が横行し、治安も急激に悪化しているのだが、警官は打つ手がない。

マドゥロ大統領はこうした危機を打開することができず、「アメリカが悪い、アメリカの陰謀だ」と責任転嫁するばかりで何もしないし、する能力もない。

政治が機能していなくても国民の生活は止まらないし、毎日食べていかなければならない。

腹を空かせた国民は食料を求めて数時間も店に並ぶ必要がある。妊婦も必死で並んで、そのまま倒れて出産してしまうような事件も起きている。

それでも何も手に入らないことが多くなると、次第に暴力的な傾向を帯びるようになっていった。

略奪の横行だ。

現在、ベネズエラではあちこちで略奪事件が起きている。国民は飢餓状態と化しており、もはや一刻の猶予もない状況なのだ。新生児も食べるものがなくて毎日7人は「飢餓」で死んでいる状況になっているという。

ハイパーインフレで経済も死んでおり、食料店にはわずかな食料しか置かれていない。

その「わずかな食料」を目がけて、国民が徒党を組んで店の略奪に走るようになっていったのだ。


ハイパーインフレで経済も死んでおり、食料店にはわずかな食料しか置かれていない。その「わずかな食料」を目がけて、国民が徒党を組んで店の略奪に走るようになっていったのだ。


最終的には数千人もの人々が略奪に加担した

すでに略奪事件は2015年から発生していた。

2015年7月31日にはボリーバル州サンフェリックス市でスーパーマーケット4店が組織的な略奪に遭ったが、この時に1人が射殺されて、60名が逮捕された。

2015年のベネズエラのインフレ率は180%。今年のインフレ率はさらに跳ね上がって700%になると予測されている。こんな状況ではモノを買うことなどできない。

電力の供給も止まり、資源国家であるにも関わらずガソリン価格も暴騰する中で事業がまともに運営できるはずもない。

ベネズエラ社会では2016年の失業率は15%を超えると言われている。

仮に仕事があっても、賃金を出せないほどすべての企業が追い込まれているので、失業していないことは慰めにもならない。人々は「もう生きていけない」状況になっている。

そのため、ベネズエラ各地で略奪事件が延々と続いて、今年に入っても事件は増え続けている。2016年の最初の3ヶ月だけでも100件強の略奪事件が起きている。

5月11日にはアラグア州のマラカイの食料品スーパーで数百人にも及ぶ国民が殺到したのが国際ニュースにもなった。

さらに2016年6月14日には、北部スクレ州クマナでも大規模略奪事件が起きて、この時は数十店が破壊されて略奪された。

この略奪は計画されたものではなく、自然発生的に起きたというところにベネズエラの国民の苦境がある。

ギャングがまずどこかの店を襲撃すると、それを見ていた国民が殺到して一緒になって店を襲いはじめ、略奪を行ったのである。ギャングの行動を止めるのではない。加担したのだ。

最終的には数千人もの人々が略奪に加担したと言われ、現在のところ400人近い逮捕者が出ている。もちろん、略奪には女性も混じっていた。

防犯カメラもあったのだが、飢えた人々は、もうなりふり構わない状況になっている。

こうした暴動も起きているのだが、その前に「食べ物をよこせ」というデモが毎日のように繰り広げられており、警察隊との衝突がどんどんひどいものになっている。


ベネズエラ各地で略奪事件が延々と続いて、今年に入っても事件は増え続けている。2016年の最初の3ヶ月だけでも100件強の略奪事件が起きている。


石油価格はベネズエラがコントロールできない

悲惨な危機状況の中で、ベネズエラではカネを介さない物々交換が復活しているという。

しかし、こうした物々交換をいかに効率良くやったところで、物資の不足は決定的になっているわけで、ベネズエラが立ち直るわけではない。

危機に対応できていない以上、ベネズエラは国家崩壊せざるを得ない。

マドゥロ大統領の任期は2019年まであるのだが、それまで任期を全うできるかどうかというよりも「今年持つかどうか」が問われている状況だ。

ベネズエラの国家崩壊は南米諸国を崩壊の連鎖に陥れる。ベネズエラと共に危機に陥る可能性があるのは、南米最大の経済国家であるブラジルだ。

ブラジルもまた石油利権を独り占めにするためにアメリカの石油企業を追い出した国家であり、現在は政治危機・経済危機に瀕している。(ブラジルのルセフ大統領はアメリカの石油企業を敵に回した)

アメリカ政府はもちろん一切の介入をしない。救済もしないし、崩壊を加速させることもしない。

なぜなら、マドゥロ大統領自身が「これはアメリカの陰謀だ」と喚いているので、アメリカ政府は誤解を避けるために何の介入もできないのである。

マドゥロ大統領には危機打開の能力がなく、アメリカの介入もなく、周辺国もベネズエラを支える力がないのであれば、ベネズエラが苦境を脱するかどうかは、石油価格が奇跡的に暴騰するかどうかにかかっている。

輸出品の95%が石油であるベネズエラは、石油価格が復活しない限り、国の危機は打開できない。

しかし、その石油価格はベネズエラがコントロールできるものではなく、上昇するとしてもいつ上昇するのか誰にも分からない。

石油が上昇するのが早いのか、ベネズエラが崩壊するのが早いのか。今の状況を見れば、ベネズエラの崩壊が先に来るほうに賭ける人が多いはずだ。

それほどまでベネズエラは追い詰められている。

石油が上昇するのが早いのか、ベネズエラが崩壊するのが早いのか。今の状況を見れば、ベネズエラの崩壊が先に来るほうに賭ける人の方が多いはずだ。それほどまでベネズエラは追い詰められている。
https://www.bllackz.net/blackasia.php/content/20160621T0043310900.html


5. 中川隆[-7741] koaQ7Jey 2017年5月07日 08:24:04 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

「アラブの春」のその後はどうなっているのですか?


「狂犬」カダフィー政権の42年の内情は?

 こうして独立したリビアでは3つの地方政府によって自治が行なわれ、トリポリとベンガジという2つの首都を有していました。1955年に東部で石油が発見され、イドリースはオイルマネーをよりどころに連邦制を改め、中央集権国家の建設を図りました。ところが、イドリース政権が欧米よりの政策を取ったために(隣国エジプトでは反英政策を打ち出したナセルの全盛期)、デモが頻発するようになっていきました。1969年トルコでイドリースが病気療養中であった間に、27歳という若さのカダフィー大佐(ムアンマル・カダフィー)と将校たちが、わずか2時間で無血クーデターを成功させたのでした。

 カダフィーは2011年10月に死亡するまで、実に42年という長期にわたってリビアを統治していました。対外的には、彼はテロ事件の黒幕として多額の賠償を支払い、国際的にもたびたび経済制裁を受けていました。そのエキセントリックな行動によって、欧米諸国では彼のことを「狂犬」とまで呼んでいたほどです。ですが、彼の統治政策、つまり内政についてはほとんど知られていません。リビアに外国人の学者が入国できなかったという事情もあり、カダフィーが直接民主制を標榜していたこと以外の内情はほとんどわかっていないのです。

 そもそも、リビアはアフリカの中でも貧しい国の一つでした。ところが、1955年に発見された石油はとても質が良く、埋蔵量も豊富だったために(世界第8位)、石油の富で潤うことになりました。


 カダフィーは石油の富の恩恵を、リビア国民に分配していたようです。

カダフィーは石油から得た巨万の富を利用して、比較的人口の少ない国民に対して(2011年の人口約600万、2016年 約640万人)、いわば「ばらまき型」の統治を行なっていたようです。

彼の死の直前には、リビアは国連の人間開発指数では、アフリカ大陸の中で最も高い国の一つとなっていました。平均寿命も74歳と先進国並みになっており、就学率などもアフリカでトップクラスの優秀な成績を収めていました。税金もなければ、電気、学校、医療も無料で提供されていたそうです。

 チュニジアでジャスミン革命が発生した際に、リビアでもデモが発生しました。2011年2月15日にベンガジで、拘留されていた人権派弁護士の釈放を要求するという形をとって反政府運動が始まりました。ベンガジに代表される東部の地域は、カダフィー出身地の中央部の都市シルトや首都トリポリに比べると、自治の気風が強く、カダフィーへの支持が弱かったといわれています。

 これに対して、カダフィーは弁護士の釈放だけでなく、拘束されていた100名以上ものイスラム主義反体制派の解放に応じました。ところが、抗議デモはベンガジだけでなく全土に拡大したため、政権は治安部隊や傭兵を使って鎮圧に乗り出したのでした(リビアでは「2月17日革命」と呼ばれる)。カダフィーの実質的後継者といわれていた二男が、政治改革を約束する声明を発表してデモの鎮静化を図りましたが、デモは拡大の一途をたどっていきました。

 政府は警察、治安部隊、空軍まで使って、デモ沈静化のために自国民を攻撃しました。2月22日には犠牲者が600名を超え、国連安保理事会の緊急会合で、自国民に対する武力行使を非難する声明が出されました。反政府軍が増していく中、カダフィーが徹底抗戦の声明を出します。反政府軍との戦闘は激しさを増し、事態は混迷していきます。

「独立した国家における内戦で国際社会がどちらか一方に肩入れすることは、国連憲章第2条7項の内政不干渉に抵触するのではないか」いう議論がありましたが、3月になるとフランスを中心に、NATO主導の軍事介入を模索する動きが活発化していきました。結局、17日には国連安保理事会で、空爆を承認する決議が採択されました(賛成10、棄権5:インド、中国、ロシア、ドイツ、ブラジル)。空爆は10月のカダフィー殺害まで7カ月間続きました。最終的にNATO軍は2万6000回以上も出撃し、9600回(単純計算で1日46回)を超える爆撃を行なったのでした。

 カダフィー政権は空爆や反政府軍の侵攻によって、しだいに弱体化していきました。8月末には首都トリポリが反政府勢力に占領され、カダフィー派が残っているのは彼の出身地であるシルトのみになっていました。10月にはシルトが陥落し、カダフィー自身も殺害されました。こうして、42年にわたる長期政権が崩壊したのでした。
http://diamond.jp/articles/-/126383?page=2


一枚の写真から分かる悪魔の手先ヒラリーの本性 自身は脳血栓で自滅 溺愛のリビア米大使も報復で死亡 アベノミクスにも陰り 
http://www.asyura2.com/13/warb11/msg/167.html


上の写真は、アメリカ軍の兵隊と一緒にピースサインを出す、最高の笑顔を浮かべたヒラリーという印象である。
しかし、事実を知るヒラリーの本性が分かる。


実は、写真は、カダフィが惨殺される2日前の2011年10月18日に撮影された。
彼女の周りの男たちは、アメリカ軍の兵隊はひとりもいない。マフィアのような男たちは、リビア人やアラブ人ではない。彼らは、アフガニスタン人であり、アメリカの特殊部隊に雇われている傭兵(マーシナリー)である。この男たちが首にかけている認識カードは、背後の米軍輸送機に乗れる資格証である。


当日ヒラリーは、カダフィー暗殺部隊最高司令官として着任した。まるでマッカサーのように、思いのままに、防諜作戦を遂行し、その成果如何で次期大統領の椅子が約束されていることを確信しての満願の笑顔だったのだ。


しかし、ヒラリーと一緒に映っている彼らは、カダフィを殺した後、処分された。
彼らは、故郷のアフガニスタンに凱旋(がいせん)しようとして、首都カブールの空港に着陸しようとしたとき、タリバーンの反政府ゲリラ(笑)のロケット弾で撃墜され、全員、死亡。アメリカによる実行犯たちのáÄ口封じ”である。


その“巨大なワル女”のヒラリー・クリントンが、ついに脳血栓(のうけっせん)で倒れた。
失神してゲロを吐いて倒れて(始めはウイルス性腹痛と発表。安倍晋三も近いかな?)、緊急入院後に、脳血栓が見つかった。それは、日本では総選挙の当日の12月16日(アメリカでは15日)のことだった。 これでヒラリーはおしまいだ。 彼女が、次の米大統領になる可能性は突然、消えたのだった。


その前に、ヒラリー(の脳)を死ぬほど苦しめる大事件が、リビアで起きていた。


事件はアメリカ政界を揺さぶる巨大な事件になる可能性があった。その後、10月22日の第3回のオバマと、ロムニー共和党候補者のディベートの確か、前日に、ヒラリーが、 “ I am responsible for Libya .” 「私にリビアで起きた事件について(大きな)責任がある」 記者会見で発言した。


このことで、リビア米大使館襲撃(された)事件の責任が、オバマにはない、ということになって、外交問題を巡る共和党系国民からの、オバマへの激しい非難を、オバマは回避することができた。出来た、ということにアメリカ国内の国論として決まったのである。


(転載貼り付け始め)


●「駐リビア米大使死亡か 領事館襲撃事件」
2012年9月12日 産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120912/mds12091219240002-n1.htm

ロイター通信などは9月12日、リビア当局者の話として、同国北東部ベンガジの米領事館が11日に群衆に襲撃された事件で、米国のクリストファー・ スティーブンズ駐リビア大使を含む計4人が死亡したと伝えた。

米国務省は襲撃で職員1人が死亡したとしているが、詳細は明らかにしていない。中東の衛星テレビ、アルジャジーラによると、大使は出張でベンガ ジを訪れていたという。ほかの3人も大使館職員としている。

群衆はロケット砲も使用、領事館は放火され、略奪もあったという。リビアでは、昨年8月にカダフィ政権が崩壊したが、内戦時に大量に出回った武 器の回収が進まず、貧弱な治安体制が浮き彫りとなった。(共同通信)

(転載貼り付け終わり)


一体、どういう大事件がこの時、起きていたのか。今に至るも、日本国民は、指導者層を含めて、この「9月11日、リビア米領事館襲撃、そして、米大使以下4人の死亡」という事件の真実と大きな波紋のことを誰も知らない。この私でさえ、11月に入ってからようよくその全体像を知った。


それは、ヒラリーが、その前年の2011年10月20日に、リビアの最高指導者のカダフィを、ヒラリーが送り込んだ殺し屋部隊に惨殺させたからである。 その報復、仕返し、復讐の事件が、だから、その翌年の9月11日に、リビア第二都市であるベンガジ(首都トリポリに次ぐ)で起きたからだ。


相手を殺してやる、というほどの、復讐の気持ちほど、恐ろしいものはない。自分の身はどうなってもいいから、自分の体に爆弾を巻きつけて、敵の陣地にまで、自殺攻撃(スーサイダル・ボミング)を仕掛けるほどの 深い憎しみ、憎悪、怨念こそは、 私たち人間(人類)を突き動かす本当の、時代の変化のモーメンタム(動因)である。決心して人を殺しにゆくほどの深い憎しみを双方が持つことが日常的にならなければ戦争にはならない。


ここに、殺されて、その死体を地面に引き釣り回される、リビア駐在米大使であった、アメリカの国務省キャリア外交官で、人殺し部隊の司令官であった クリストファー・スティーブンスの 画像写真を貼り付ける。 謀略国家 アメリカ の手先を今もやり続ける者たちは、人にあまりにもひどいことをしたら、自分もこういう目に遭うのだ、という戒めの為にまざまざと見つめるがいい。


↑ 駐リビア米大使クリストファー・ スティーブンス の死体。民衆にひきづり回されている。

この アメリカの人殺し部隊の司令官であった クリス・スティーブンスに哀悼の気持ちなど抱かない。リビアや中東の人々にあまりにも残虐なことばかりしてきた人間の末路だと、自業自得なのだ。


今でも、虐殺されて血だらけで横たわっているカダフィの死体の写真を、自分の家の通路の壁に飾って、時々、拝んでいる人間だ。リビア国民はカダフィ政権が、無理やり、フランス・ユーロファイターの爆撃隊とアメリカのグローバル・ホーク(無人偵察殺人機。プレデター)と 「アルカイーダ」や反政府勢力と称するイスラエルとアメリカの特殊軍が育てた人殺し専門のならず者たちによって計画的に打ち倒されたことを知っている。


1994年のソマリアのモガデシオで起きた米海兵隊のブラック・ホーク撃墜と、ソマリア民衆による米兵士の死体引き釣り回し(裸にして縄にかけて地面をひきづる)の事件とは少し違うのだ。なぜなら襲撃されて殺されて死体を引き釣り回されたのは、今回は軍人ではないアメリカのキャリア外交官で大使(アンバサダー)だったからだ。大使はその国家を対外的に代表する。


大使というのは、元々は王様(国王)のお友達のような人間で、白い手袋を脱いで相手国に投げつけたら、それは宣戦布告を意味する。日本でも大使は今は認証官(にんしょうかん)というが、昔は、天皇の勅任官(ちょくにんかん)である。


そして、このクリストファー・スティーブンス J. Christopher Stevens は、ヒラリー国務長官の信頼の厚い、直属の家来だった。スティーブンスは、自分たちのカダフィ殺しの一周年記念のパーティをベンガジの米領事館で開こうと有頂天になって準備していたのだ。


そして、ヒラリーが大統領になるだろうから、その時は、自分もホワイトハウスの別室をもらって、ネオコン派としての凶暴な世界軍事制圧計画のプランナー、戦略家になれる、と本当に信じ込んでいたようだ。


このクリストファー・スティーブンスの横にいて、「日本食い尽くし極悪人」のアーミテージとそっくりのタコ入道の男が、情報管理担当官のショーン・スミスSean Smithである。死んだあとのふたりは、米海軍の特殊部隊のアザラシ部隊 Seals の隊員だった者たちだ。自分たちが人殺し、暗殺部隊だから、自分たちも同じように殺されたのだ。


このことが、ヒラリーにとっての痛恨の事態となった。 この 死体ひきづり回しの画像がネット上に公開された9月11日から、アメリカ政界は大騒ぎになった。そして、それが今も「リビア米領事館襲撃(された)事件の責任問題」として、日本の新聞記事にもチラチラ、前後の真実の説明もなく 書かれているのである。 


以下は、このアメリカ大使殺しのことを記したものある。


(転載貼り付け始め)


ここでひとつ重要な事件が起きた。 オバマが11 月4日の大統領選挙で再選される、その2週間前の対論(ディベート)で、オバマが共和党のロムニーの追撃をかわして逃げきったとされるシーンがあった。


日本人にはほんの瞬間のことだったのでよくわからなかった。外交問題を巡る議論の最中でのことだ。アメリカ政治分析の専門家であるこの私にも、この瞬間の重要性がはっきりと理解できるのにその後1ヵ月かかった。どうやらアメリカ国民の間で、大統領選挙戦の最中のこの9月、10 月にひとつの大きな山場があったのだ。


それはアメリカの金融・経済や雇用や景気回復の話ではなかった。
問題は、リビアのベンガジ(首都トリポリに次ぐ都市)で、2012年9月11日に起きていてた駐リビア・アメリカ大使が殺された事件である。この時に殺されたアメリカ国務省の外交官は駐リビア大使だったクリス・スティーブンスである。・・・・


2012年9月11日に、リビアのベンガジで、アメリカ領事のクリス・スティーブンスが、リビアの民衆に殺され、遺体が引きずり回された。この事件は、前年2011年2月からの「アラブの春」で、カダフィ大佐が、アメリカ主導の「仕組まれた民主化運動」によって、悲惨な殺され方をしたことへの、リビア民衆の報復であった。
スティーブンスは、エリート外交官である。アメリカ領事館が民衆に襲撃されて殺されて、なんとその死体は路上で引きずり回されたのである。そのときの写真がインターネット上に流れてしまった。これでアメリカ国民の多くの顔がひきつったのである。
 何故なら、リビアで米外交官が殺されたのは、一年前の2011年10 月20 日にリビア中部の町で殺された指導者カダフィの惨殺に対する報復、復讐劇だったからだ。


多くのアメリカ国民がこのことをすぐに悟った。「ヒラリーに忠実なテロ対策特殊部隊を指揮している外交官を、リビア人のカダフィ派の残党たちが、命がけで襲撃して殺したのだ。このクリス・スティーブンスはカダフィ惨殺の現地の責任者だ」と。
アメリカ国内の新聞記事には、どこにもあからさまにこの真実は書かれていない。しかしアメリカ国民ならこのことが空気 でわかる。だから、この直後からこの事件の責任問題が議会で騒がれた。


前述したスーザン・ライス(米国連大使)が早々と、「リビアの米領事館襲撃は、突発的な民衆の暴動によるものだ」とウソの発表をしてしまった。これで更に大騒ぎとなり、議会で、スーザン・ライスとヒラリー・クリントン国務長官を非難する声が大きくなった。
だから12 月中旬の今の今でもまだ、「次の国務長官はスーザン・ライスにする」とオバマ大統領が言っている。しかしオバマがいくら言っても、議会の共和党(筆頭 ジョン・マケイン議員)が「ウソつきの就任を認めない」と強固に反対している。


だからこの事件についてヒラリーが、ついに「私に責任がある。私は国務長官を辞める」と10月21日に 発言した。これで、オバマ自身に事件の責任が及ぶことがなくなった。これで、オバマはロムニーとの大統領戦のディベイト論戦で、この苦境から逃げきったのだ。
ヒラリーにしてみれば、「アラブの春」という凶悪で「安上がり」のテロ攻撃路線( アメリカとアラブ過激派の、一体どっちがテロリストなのか分からない)で、正規の米軍を使わないで、中小国の政権転覆をやってきたことへのしっぺ返しが起きたのだ。人にひどいことをした者は必ず自分もひどい目に合うのだ。

(転載貼り付け終わり)


以上の経緯である。3年前から、オバマの次は、オバマが病気で倒れて次は、狂暴なヒラリーが大統領になる、と予測(予言)してきた。しかし、ゲロを吐いて脳震盪を起こして先に倒れたのはヒラリーの方であった。これで“ワル女“(中国人は皆、ヒラリーが嫌いである。中国に戦争を、アメリカの属国群を使って仕掛けてくるからだ)は終わった。 だから、あとはオバマが倒れて、副大統領のバイデン(CFR派)が後をやる、ということだ。


その時、凶暴なネオコン派が誰を副大統領に送り込むか、である。 それでも、 アメリカの 軍人たちと 教員たち、公務員たちすべての給料を払う原資ががないので、日本の安倍晋三に、「50兆円分の 米国債を買います。それで日本を更に円安と 株高にしてください」 この2月はじめの訪米で言わせるのだ。


それでも この秋から、スペインで再び金融危機が起きる。ユーロは暴落する(今は、1ユーロ=114円まで上がった。今のうちに、ユーロ建てのファンドなどは解約するように) 。 ヨーロッパの国家債務危機が再発して、それはアメリカの財政危機と連動する。その時に、日本国債の暴落の危機が、この秋から生まれる。


この年末12月23日に放映されたNHKの 「日本国債がやがて暴落する」(利回り1%から3・8%への金利暴騰を、米ヘッジファンドどもが仕組んでいる、とする。投資家のジム・ロジャーズを最期の場面で利用していた) の 日本国民を恐怖に陥(おとしい)れ、脅迫している番組は、あれは日本財務省が仕組んで、NHKに作らせた“やらせ番組“である。
 
このことを私たちは鋭い警戒心と共に見抜かなければならない。あの番組に出てきた 幸田真音(こうだまいん)という性悪女(しょうわるおんな)は、日本の国税庁のキャリア上がりの謀略評論家である。私たち日本国民を脅して、財務省に屈服させようとするのだ。
 
軍産複合体企業の取り巻きたちは、こんな瀕死のヒラリーを、2016年の大統領選に担ぎ出そうと躍起だ。日本でのボケ老人「石原」をヨイショする輩と似ている気がする。
http://www.asyura2.com/13/warb11/msg/167.html

ヒラリー電子メール、ディナール金貨と、アラブの春
F. William Engdahl New Eastern Outlook 2016年3月17日

何万ページもの元アメリカ国務長官ヒラリー・クリントンの秘密電子メールの中に埋もれていたもので、今やアメリカ政府によって公表されているものの中に、クリントンと、彼女の内密の顧問シド・ブルーメンソールとの間の衝撃的な電子メールのやりとりがある。カダフィと、2011年、リビア支配者を打倒するためにアメリカが画策した介入に関するものだ。金と、世界準備通貨としてのアメリカ・ドルの未来にとって、可能性として、実存的脅威となりかねないものに関している。アフリカと、アラブ産油国向けの、カダフィの当時の金本位制ディナール計画に関するものだ。

2011年、リビアのカダフィを打倒するため、アメリカが画策した戦争の際頃、当時の国務長官ヒラリー・クリントンが使用していた違法な個人サーバーから最近機密解除された電子メールの二つの段落が、皮肉にも“保護する責任”と名付けられた、オバマ政権による対カダフィ戦争の背後にあったものの、しっかり隠された秘密の狙いを暴露している。

優柔不断で軟弱な大統領であるバラク・オバマは、リビア戦争のための大統領権限全てを、ヒラリー・クリントン国務長官に任せていた。早くから、秘密のムスリム同胞団を利用した、アラブにおける“政権転覆”支持者であるクリントンは、リビア戦争を正当化するため“保護する責任”(R2P)なる新たな奇怪な原則を援用し、彼女はそれを、素早く、NATOが率いる戦争に転換した。ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティー財団ネットワークが推進したばかげた考え方であるR2P原則の下、クリントンは何の確認可能な証拠もなしに、カダフィは、ベンガジ地域の無辜のリビア民間人を爆撃していると主張した。

オバマ政権の幹部筋の発言を引用した、当時のニューヨーク・タイムズ報道によれば、ヒラリー・クリントンは、当時、国家安全保障会議の首席補佐官で、現在、オバマの国連大使であるサマンサ・パワーと、当時、オバマの国連大使で、現在、国家安全保障顧問のスーザン・ライスに支援されていた。この三人組が、オバマを、リビアのカダフィに対する軍事行動に追いやったのだ。パワーズと、ライスを従えたクリントンは、実に強力で、クリントンは、ロバート・ゲーツ国防長官、オバマの国家安全保障顧問トム・ドニロン、オバマの対テロ作戦のトップで、現在のCIA長官ジョン・ブレナンらの主張を、まんまと、覆すことに成功していた。

クリントン国務長官は、後に“アラブの春”と呼ばれるようになった、イラク占領後、2003年に、ブッシュ政権によって明らかにされた大中東プロジェクトの一環として、アラブ中東の至る所で、アメリカが資金提供した政権転覆の波を解き放つ陰謀にもどっぷり浸かっていた。2011年、アメリカ政府が、フリーダム・ハウスや全米民主主義基金などの“人権”NGOを、いつも通り、億万長者の投機家ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティー財団や、アメリカ国務省やCIA工作員と共謀して利用する、アメリカによる“アラブの春”の最初の標的となった三国は、ベン・アリのチュニジア、ムバラクのエジプトと、カダフィのリビアだった。

アメリカ政府による、2011年“アラブの春”による特定中東国家の不安定化の時期と標的が、公表されたばかりの機密解除されたクリントンから、私的なリビア“顧問”で友人のシド・ブルーメンソール宛の電子メールとの関係で、今や新たな意味が浮かび上がっている。ブルーメンソールは 当時のビル・クリントン大統領を、モニカ・ルインスキーや他の性的スキャンダル問題で、弾劾されることから守った一流弁護士だ。

カダフィのディナール金貨

一体なぜアメリカ政府が、ムバラクのように亡命だけで済ませず、カダフィを個人的に破壊し、殺害しなければならないと決めたのかは、多くの人々にとって謎のままだ。カダフィが、アメリカが資金提供しているアルカイダ“民主的反政府”テロリストによって、残虐に殺害されたと知らされると、クリントンは、CBSニュースで、ユリウス・シーザーの有名な言葉を、むかつくような、ふざけた言い換えをし“来た、見た、彼は死んだ”と言い放った。彼女は心から気味悪い笑いをしながら、この言葉を言ったのだ。

リビアにおける、いや、それを言うなら、アフリカとアラブ世界におけるムアマル・カダフィの業績については、欧米ではほとんど知られていない。今、国務長官として、オバマ政権の対カダフィ戦争を指揮していた時期のヒラリー・クリントン電子メールの新たな部分が公表されて、戦争の背景に、劇的な新たな光が当てられることになった。

カダフィを抹殺し、リビアの国家としての全てのインフラを破壊するというのは、ヒラリー・クリントンの個人的判断ではなかった。判断は、アメリカ金融オリガーキーの極めて高位の集団が下したものであることは今や明らかだ。彼女はこうしたオリガーキーの命令を実行する、ワシントンの政治道具の単なる一人に過ぎない。介入は、石油貿易で、ドルに置き換わる金本位制のアフリカ・アラブ通貨を創設するというカダフィの良く練られた計画をつぶすのが目的だったのだ。1971年に、アメリカ・ドルが、ドルの金兌換を放棄して以来、ドルは劇的に価値を失った。アラブとアフリカのOPEC加盟産油諸国は、1970年以来、アメリカ政府によって、アメリカ・ドルでのみ支払うよう命じられているドルのインフレが、2001年までには、2000%以上にまで跳ね上がり、石油販売で得た購買力の消滅に長いこと反対してきた。

新たに機密解除されたクリントンの電子メール中の、2011年4月2日付けのシド・ブルーメンソールから、ヒラリー・クリントン国務長官宛のメールで、ブルーメンソールは、カダフィを排除すべき理由をあかしている。不明の“高位の情報筋”の話を引用するという口実で、ブルーメンソールは、クリントンにこう書いていた。“この情報筋が入手した機微情報によれば、カダフィ政府は143トンの金と、同様な量の銀を保有している… この金は、現在の反乱以前に蓄えられたもので、リビアのディナール金貨に基づく汎アフリカ通貨創設のために使用する予定だった。この計画はフランス語圏アフリカ諸国に、フランス・フラン(CFA)に対する代替を提供するべく設計されていた” このフランス関連の部分も、カダフィ・ディナール金貨の氷山の一角にすぎない。

ディナール金貨、そして更に

今世紀の最初の十年間、サウジアラビア、カタールなどを含むアラブ湾岸OPEC諸国は、ノルウェーの石油ファンドの成功を元に、膨大な石油やガス販売による収入のかなりの部分を本格的に国家のソブリン・フアンドに向けはじめた。

アメリカの対テロ戦争、イラクとアフガニスタンでの戦争や、2001年9月以降のアメリカによる中東政策全体への不満の高まりから、大半のOPEC加盟アラブ産油諸国は、1971年8月15日に、アメリカ政府が投げ捨てた金兌換のドルの代わりに、石油価格天井知らずに上がり、ヘンリー・キッシンジャーが好んで“オイル-ダラー”と呼んだものを作り出した1970年代以来、習慣になっている、手癖が悪いニューヨークとロンドンの銀行家に任せるのではなく、石油収入の益々多くを、国が管理するファンドに振り向けるようになっている。現在のスンナ派-シーア派戦争、あるいは文明の衝突は、実際は、2003年以降の、地域における“分割して、統治せよ”というアメリカによる操作の結果だ。

2008年、益々多くのアフリカとアラブの産油諸国が国家の石油とガス収入を、国が管理するファンドに向けていることが、ウオール街とシティー・オブ・ロンドンにとって大きな懸念となった。何兆ドルもの莫大な流動性を、彼らがもはや支配できなくなる可能性があるのだ。

今にして思えば、アラブの春のタイミングは、膨大なアラブ中東の石油の流れだけではないものを支配しようとする、アメリカ政府とウオール街の取り組みと緊密に繋がっていたことが益々見えてくる。新たな主権国家資産ファンドに集積された、彼らの何兆ドルものお金を支配することも、お同じ位重要な狙いだったのだ。

ところが、最新の2011年4月2日のクリントン-ブルーメンソール電子メールで、今や確認された通り、ウオール街とシティー・オブ・ロンドンの“お金の神様”に対し、アフリカとアラブ産油国世界から、質的に新たな脅威が出現しつつあったのだ。リビアのカダフィ、チュニジアのベン・アリと、エジプトのムバラクは、アメリカ・ドルから独立した金に裏付けられたイスラム通貨を立ち上げようとしていた。私は、2012年始めに、スイス金融・地政学会議で、このプロジェクトに関する豊富な知識をもったアルジェリア人から、この計画の話を初めて聞いた。文書は当時ほとんどなく、この話は私の記憶の中で棚上げになっていた。今や、アメリカ政府によるアラブの春の凶暴性と、リビアの場合の切迫感を総体的に把握できる、遥かに興味深い構図が現れたのだ。

‘アフリカ合州国’

2009年、当時、アフリカ連合議長だったカダフィは、経済的に窮乏したアフリカ大陸に“ディナール金貨”を採用するよう提案した。

イギリスとフランスの支援を得て、NATOによるカダフィ政権破壊の法的隠れ蓑を与えてくれる国連安全保障理事会決議を得ようというアメリカの決断に先立つ数ヶ月間、ムアマル・カダフィは、アフリカの産油諸国とアラブのOPEC加盟諸国が、世界市場において、彼らの石油販売に使用するはずの、金に裏付けられたディナール創設を組織していた。

ウオール街とシティ・オブ・ロンドンが、2007年-2008年金融危機で、ひどく厄介な状態にあった時に、もしもそういうことが起きていれば、ドルの準備通貨としての役割に対する影響は、深刻というだけでは済まされなかったはずだ。アメリカ金融覇権とドル体制にとって、弔いの鐘となっていたはずだ。膨大な未探査の金や鉱物資源を誇る世界で最も豊かな大陸の一つアフリカは、何世紀にもわたり、意図的に、低開発のまま留め置かれたり、発展を阻止するための戦争にさらされたりしてきた。国際通貨基金と世界銀行は、ここ数十年、アフリカの本当の発展を抑圧するための、アメリカ政府の道具だ。

カダフィは、アフリカ連合のアフリカ産油諸国や、イスラム教諸国に、ディナール金貨を主要通貨と為替手段とする同盟に参加するよう呼びかけていた。各国は、石油や他の資源を、アメリカや他の国々に、ディナール金貨でのみ販売することになるのだ。2009年、アフリカ連合の理事長だったカダフィは、アフリカ連合加盟諸国の会議で、リビア・ディナールと、ディルハム銀貨を、アフリカの石油を世界が購入できる唯一の通貨として使用するというカダフィ提案をした。

彼らの石油に対する、アラブOPEC諸国の主権国家資産ファンドと共に、他のアフリカ産油諸国、特にアンゴラとナイジェリアは、2011年のNATOによるリビア爆撃の当時、自分自身の国有石油の主権国家資産ファンドを作る方向で動いていた。カダフィのディナール金貨という考え方と結びついた、こうした主権国家資産ファンドは、イギリス・ポンド、フランス・フラン、ユーロ、あるいはアメリカ・ドルであれ、植民地的な通貨支配からの独立というアフリカの長年の夢を、現実のものにしていたはずなのだ。

彼が暗殺された当時、アフリカ連合の議長として、カダフィは、共通の金貨を持った、主権あるアフリカの諸国の連合、アフリカ合州国計画を推進していた。2004年、53カ国が参加する汎アフリカ議会は、2023年までに単一の金貨を持ったアフリカ経済共同体計画を立てていた。

アフリカの産油諸国は、オイル-ダラーを破棄し、彼らの石油とガスに対する、金による支払いを要求することを計画していた。参加国としては、エジプト、スーダン、南スーダン、赤道ギニア、コンゴ、コンゴ民主共和国、チュニジア、ガボン、南アフリカ、ウガンダ、チャド、スリナム、カメルーン、モーリタニア、モロッコ、ザンビア、ソマリア、ガーナ、エチオピア、ケニヤ、タンザニア、モザンビーク、コートジボワール、更に、新たな大規模石油埋蔵を発見したばかりのイエメンがあった。アフリカのOPEC加盟諸国、四カ国-アルジェリア、アンゴラ、ナイジェリア、巨大産油国で膨大な天然ガス埋蔵量を誇るアフリカ最大の天然ガス生産国と、最大の埋蔵量を持つリビアも-新たなディナール金貨制度に参加する予定だった。

カダフィに対する戦争で、アメリカ政府から前衛役を振り付けられていたフランスのニコラ・サルコジ大統領が、リビアは世界の金融の安全に対する“脅威”とまで呼んだのも何ら不思議ではない。

ヒラリーの‘反政府派’中央銀行を創設

カダフィを破壊するためのヒラリー・クリントンの戦争の最も奇妙な特徴の一つは、石油豊富なリビア東部のベンガジでアメリカが支援した“反政府派”、戦闘のさなか、彼らがカダフィ政権を打倒できるどうかはっきりするずっと前に、“亡命中の”欧米式中央銀行を設立したと宣言した事実だ。

反乱が始まってわずか数週の内に、反乱指導部は、カダフィの国営通貨庁を置き換える中央銀行を設立したと宣言した。反政府派委員会は、捕獲した石油を売るための彼ら自身の石油会社の創設に加え、“ベンガジ中央銀行を、リビア通貨政策を行う資格を有する通貨当局として認め、リビア中央銀行総裁を任命し、ベンガジに暫定本部を設置する”と発表した。

戦闘の結果が明らかになる前に、金に裏付けされたディナールを発行していたカダフィの主権ある国立銀行におきかわる欧米風中央銀行創設という奇妙な決定について発言して、ロバート・ウェンツェルは、経済政策ジャーナル誌で“民衆蜂起から、わずか数週間で作られた中央銀行など聞いたことがない。これは単なる寄せ集めの反政府派連中が走り回っているだけでなく、かなり高度な影響力が働いていることを示唆している”と言っている

今やクリントン-ブルーメンソール電子メールのおかげで、こうした“かなり高度な影響力”は、ウオール街と、シティー・オブ・ロンドンとつながっていたことが明らかになった。2011年3月に、アメリカ政府によって、反政府派を率いるべく送り込まれた人物ハリファ・ヒフテルは、カダフィの主要な軍司令官をつとめていたリビアを去った後、それまで20年間の人生を、CIA本部からほど遠からぬバージニア州の郊外で暮らしていた。

もしカダフィが、エジプトやチュニジアや他のアラブのOPECと、アフリカ連合加盟諸国とともに- ドルではなく、金による石油販売の導入を推進することが許されていれば、世界準備通貨としてのアメリカ・ドルの未来にとってのリスクは、明らかに金融上の津波に匹敵していただろう。

新たな黄金のシルク・ロード

ドルから自立したアラブ・アフリカ金本位制度というカダフィの夢は、不幸にして彼の死と共に消えた。ヒラリー・クリントンの身勝手な“保護する責任”論によるリビア破壊の後、現在あるのは、部族戦争、経済的混乱、アルカイダやダーイシュやISISテロリストによって引き裂かれた修羅場だ。カダフィの100%国有の国家通貨庁が持っていた通貨主権と、それによるディナール金貨発行はなくなり、ドルに結びつけられた“自立した”中央銀行に置き換えられた。

こうした挫折にもかかわらず、今や同様な金に裏付けされた通貨制度を構築すべくまとまっている国家の全く新たな集団は実に注目に値する。それぞれ世界第三位と、第一位の産金国であるロシアと 中国が率いる集団だ。

この集団は中国の一帯一路・新シルク・ロード・ユーラシア・インフラストラクチャー大プロジェクト建設と結びついている。これには、世界の金取引の中心として、シティー・オブ・ロンドンと、ニューヨークに置き換わるための中国による極めて確固たる措置である中国の160億ドルのゴールド開発基金も関わっている。出現しつつあくユーラシア金本位制度は、今やアメリカ金融覇権に対する、全く新たな質の挑戦になっている。このユーラシアの挑戦、その成功あるいは失敗が、我々の文明が生き残り、全く異なる条件のもとで繁栄できるようにするのか、あるいは破綻したドル体制と共に沈むのかを決定する可能性が高い。
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/post-cc58.html

2016年11月10日
ヒラリー・クリントンは逮捕されるのか?
http://goldbook.ashita-sanuki.jp/e973941.html


藤原直哉 ‏@naoyafujiwara · 13時間13時間前
さっそくトランプはヒラリーに対して特別検察官を任命しそうだ

「ヒラリーがリビアのカダフィ大佐暗殺で稼いだ100億円」

ヒラリー自身は個人的に100億円を超えるカネを集めていた事実、そして日本のメディア(新聞、テレビ)ではほとんどスルーされているが、リビアの「ベンガジ事件」が、ヒラリーに悪霊のように付きまとっている。

リビアの「ベンガジ事件」

ベンガジ事件とは、リビアのカダフィ大佐は2011年に、事実上、暗殺された。
カダフィの最期は砂漠をのた打ち回って、民衆にどつかれ、殴られ、無残に叩きのめされて、そして最期は拳銃で頭を撃たれて死んだ。まるで野良犬のような死に方だった。その後、2012年にリビアの米国大使スティーブンスが、イスラム系組織に襲撃され殺害された。その遺体は路上を引きずり回された挙句、犬に食われた。

ところが不思議なことにヒラリーは大使救援の為の米軍特殊部隊の派遣をストップし、近くにいたCIAの警護部隊をスタンバイのまま救援に投入せずに、米国大使を見殺しにした。果たしてその理由とは?その理由は謎とされ、米国公聴会でヒラリーは厳しく査問されたが、ヒラリーは例の牛乳瓶の底のような眼鏡をかけて、何とか凌ぎきったと思われた。しかし問題は続く、ヒラリーが「国務長官としての公務に私用サーバーを使った秘密のメール事件」がスノーデンによって暴露されたのだ。

「スノーデン氏の暴露」

スノーデンは元CIA職員だが、米国とヒラリーの不正を暴露して、ロシアに亡命申請を行なった。そしてWikileaksへ米国の秘密情報を流した。

さて、国務長官として国際外交を差配していたヒラリーは、禁止されている私用パソコンを使って公務メールをやっていたのは何故か。そして何万件もの公務メールが消去されたのは何故か。その秘密のベールをめくり上げると、ヒラリーはリビアのカダフィを暗殺する指令をスティーブンス大使と現地CIAに出していた。また、カダフィ暗殺後に残された2兆円にも上る携帯用のスティンガーミサイルなどの軍事装備品、銃器弾薬、そして金塊をシリア反政府軍に渡す秘密協定をヌスラ戦線や自由シリア軍、あるいはトルコと結んだ。

しかし、それらの軍事装備と金塊は結果的にイスラム国へと渡ったとされるのだが。
(武田じゅうめい氏のブログより引用)(感謝!)
http://blog.goo.ne.jp/takejj_1953


つまり、ヒラリー・クリントンはリビアの武器でイスラム国を作った時のメールが暴露された?


「つまり・・・ヒラリー・クリントンを支持していたD・ロックフェラー氏が途中から、トランプ氏を支持するようになったのは、リビアの「ベンガジ事件」が捜査されると聞いたからではないですか?ヒラリーがイスラム国に売った武器と金塊で100億円稼いだのですかね?(笑)」
http://goldbook.ashita-sanuki.jp/e973941.html


6. 中川隆[-7731] koaQ7Jey 2017年5月07日 13:03:48 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]


今こそ合州国の正体直視を
 
週間金曜日2003年 3月14日号「風速計」 本多勝一

この一文が出るころ、アメリカ合州国の体制主流は、イラク侵略を開始または開始寸前にあるだろう。

 国連安保理外相級会合に米英ら3国が今月7日提出した修正決議案は、国連安全保障理事会で11日に採決にかけられる見通しだが、ここで否決されても、合州国は単独で開戦・侵略に踏み切る構えである。

 あたりまえだ。アメリカ合州国の歴史は、こういうことの連続の末に今日の地球史上最強・最悪の帝国となった。ワシントン初代大統領以来の二百余年間は、手段を選ばぬ詐欺・脅迫・テロ・虐殺による侵略史にほかならぬ。そのことはこれまで機会あるごとに触れてきたが(注)、目前でまたしても超大軍事力によって同じことが強行されようとしている今、「正確な合州国史」にうといままその正体に気付かぬ例が多い日本人のためにも、このさい改めて正面から指摘しておきたい。

 ただし、こんどのイラク侵略が開戦されてもされなくても、これはコロンブス以来のヨーロッパによる世界侵略500年史の中で、ベトナム戦争とともに画期をなす歴史的事件となるかもしれない。

米西戦争などで世界制覇競争に勝った合州国は、それまでに北米大陸での先住民族侵略をウンデッドニー虐殺によって終了していたが、以降そのままハワイ・グアム・フィリピンへと「西部へ西部へ」を進めた。朝鮮戦争につづくベトナム戦争で、合州国軍隊はワシントン初代大統領以来初の敗戦を喫したものの、侵略のための巨大軍需産業や体質に傷はつかなかった。その成りゆきとしてのイラク戦争(12年前も今回も)である。ところが、合州国の正体に気づき始めた人々の世界的盛上りによって、開戦寸前での中止か、開戦してもベトナム以上の反戦の広がりで帝国の没落となるかもしれない。この500年来の画期をなすゆえんである。


合州国は“民主主義”をタテマエにしている。実態はともかく、民意を完全・明白に無視した侵略は支持されない。そこで開戦のとき必ずといえるほど使われるテこそ、相手が先に攻撃したとみせかける捏造事件である。これは先住民族への侵略以来イラクまで一貫してきた。

戦艦メーン号爆破事件(米西戦争)をみよ。トンキン湾事件(ベトナム戦争)をみよ。真珠湾(太平洋戦争)をみよ。その他その他。

これを書いている9日の朝日放送(サンデープロジェクト)は、イラクのクウェート侵入(これも裏に合州国あり)にさいして、イラク兵が乳児を哺育器から出して次々と放り投げた様子をクウェートの少女に証言させたこと、これが繰り返し放送されて世論を憤激させ、開戦に有利になったこと、ところが後に、この少女は駐米クウェート大使の娘で、証言は捏造だったこと等を放映した。

 こんどはどんな捏造が、いいように操作されるマスコミによって“報道”されることだろうか。

 開戦寸前の今、このテーマは「未完」としておく。
http://www.kinyobi.co.jp/KTools/fusoku_pt?v=vol451

巨悪の根源、アメリカにノーを突き付けたフセイン


こんなことを書いても、「独裁者の下、秘密警察だらけのイラクで、まさか?」と思う人も多いと思うけれど、イラクに行く度に、世界の中で、こんな平和で美しい都市があり、苛酷な条件下でも、こんなに優しい人々がいるのだ、「生きていてよかった」と逆にこちらが励まされることが多い。

六月十七日の朝日朝刊に「米大統領、フセイン大統領暗殺容認」の記事が出ていた。声高にテロ撲滅を叫び、テロ支援国とかってに決めた国々を核攻撃で脅している本人が他国の指導者の暗殺を命じている。まるでブラックジョークであるが、そんな大統領に忠誠を誓い、共同軍事行動に踏み込もうという首相がいるなら、その顔を見たいものだ。

 筆者の考えでは、アメリカはフセイン大統領を亡き者にしようと焦っていることは間違いないが、アメリカに楯突くイラク国民をジェノサイドしてしまおうと目論んでいることもまた事実である。

今、週刊『金曜日』に本多勝一氏が連載で書いているように、あの湾岸戦争で、アメリカは、電力や貯水場などの生活に重要なインフラの破壊に重点におき、非戦闘員、とりわけ、女性や子供を標的にした学校、病院、シェルターなどをピンポイント爆撃したのも、地球の寿命ほど長く放射能の被害をもたらす劣化ウラン弾を投下したのも、そうしたフセイン大統領と一体となってアメリカに反抗するイラク国民自体の絶滅を目指してためであろう。

第二次大戦中の沖縄戦や、東京大空襲はじめ日本本土の焦土化作戦、広島、長崎への原爆の投下もさらに、ベトナム戦争、アフガン空爆その他の第三世界への干渉戦争は、兵器産業や巨大石油資本の営業部のブッシュ政権が受け継いでいる伝統的覇権主義の発露であろう。


筆者がバグダードの国際連帯会議に出席していた五月一日には、フセイン大統領が昨年出版し、ベストセラーとなった小説『ザビーバと王』が、パレスチナ生まれの詩人アディーブ・ナシールにより戯曲として脚色され、ラシード劇場で上演されていた。フセイン大統領はさらに小説を二つ、『難攻不落の砦』と『男たちと都会』も発表している。

 何はともあれ、西欧のメディアで描かれているサダム・フセイン像と大分違う。

 大統領の誕生祝いに参加した青年男女、市民の表情は、複雑な国内の宗派、民族の相違を克服して、幼稚園から大学まで無料、医療費もほとんど国庫負担、住居その他民生の向上に力をそそぎ、今日、アメリカに膝を屈しない国にまで育て上げたことへの感謝の気持ちを伝えようという熱気がうかがわれていた。そして、イラクに対するアメリカの不当な抑圧政策のへの怒りがその心の底にマグマのように燃えているからであろう。

 筆者が感銘しているのは、発展途上国では類のない児童文化の育成に力を尽したり、識字運動への熱意で、ユネスコから過去に二回も表彰されている。

 実は、この先頭に立ったのは外ならぬサダム・フセイン大統領である。それは何故か。それは、生まれた時にすでに父親は他界しており、はじめ小学校にも満足に入れなかった幼い日の悔しさがあるようだ。その背景に苛酷なイギリスの植民地政策があった。彼の貪欲な読書欲、そして祖国再興への使命感は、イラク人に共通する国民性であろう。
http://www.kokuminrengo.net/old/index.htm


悪の帝国と戦うサダム・フセイン

アメリカは世界最大の対外債務国で、恒常的経常赤字は対外債務を限りなく増大させ続けるから、アメリカは常に赤字補填を続けなければドル崩壊、経済破綻に陥る。自分の借金が自分で払えなければ他人に払わせるしかない。自力(経常黒字)で赤字補填ができないアメリカにとって生存の道は二つ。

一つは、金融戦略で金利と為替戦略を駆使しながら黒字国の資金をアメリカへ誘導すること。もう一つが、世界のドル市場化である。つまり、ドルを世界貿易の決済通貨化すること。1971年8月15日のニクソンショック(ドルと金との交換性を廃止)以来、ドルの信認が落ち続けたところへ、2000年からアメリカより大きいヨーロッパ経済圏でユーロが基軸通貨になりつつあった。

そこへ追い討ちをかけるように同年11月、フランスのシラク大統領がサダム・フセイン前大統領と結託して、イラクの原油決済通貨を従来のドルからユーロに転換させることに成功した。これをきっかけとしてOPEC諸国にドルの危機感が広まり、中東産油国は原油決済通貨を続々とユーロに切り替え始めた。だから2000年はアメリカにとって、まさにドル崩壊の危機に瀕した年であったのです。

ドルが国際貿易や原油決済通貨ならば、世界は決済通貨としてのドルを買わざるを得なくなる。アメリカにしてみれば、世界の貿易決済のおかげで借金返済のために乱発する赤字債権(印刷の時点では無価値の紙切れ)が売れる(現金になる)ことになる。つまり、アメリカの恒常的双子の赤字補填のもう一つの方法は、ドルを国際決済通貨にして赤字米国債を世界中に買わせること。

2000年のユーロ国際化の発足と同時に、EU首脳(シラク)は頭脳を使ってユーロ市場を拡大し、ドルを危機に追い込んだと言えます。追い込まれたアメリカは頭脳で対抗できなかったから、(9.11を演出して)武力で失地(イラク)回復をせざるを得なかったのです。EUの頭脳的先制攻撃に対して、アメリカは(下手な言い訳をしながら)武力で反撃したのがアフガン、イラク戦争なのです。


かくして米国は歴史始まって以来経験したことのない局面に入ることになる。負債を他国に転嫁することが出来ず、留まることをしらぬように見えさえするドル安の連続という局面である。

実際、97年までは年間1000億ドルだった経常赤字が、それ以降は年間コンスタントに4000億ドル超に達している。もしこの事態を避けようとするのであれば、米帝はイラクを撤退せずにその石油利権を握り締め、石油戦略によって基軸通貨国の地位を守る以外にない。
http://www.geocities.jp/voiceofarab/05030819.htm

第一次湾岸戦争時の「ナイラ証言」と「油まみれの水鳥」

アメリカ政府もメディアも、イラク攻撃の世論作りのために露骨な捏造と情報操作をおこなった。世界が、みごとに嵌められてしまった。

「ナイラ証言」というのは、完璧な捏造であることがはっきりしている。ナイラというクウェートの少女が、米公聴会で「イラクの兵士がクウェートの産院の乳飲み子を保育器からだし、次々と床に叩きつけて殺したのを見た」と涙ながらに証言した。

しかし、後にこの少女は、駐米クウェート大使の娘で、ずっとアメリカにいたことが分かった。つまり、証言は真っ赤なウソだった。この証言は、アメリカの広告代理店がシナリオを作り演出したものだった。リハーサルもきちんとしていた。もちろん、スポンサーはアメリカ政府以外にない。ただし、捏造がニューヨークタイムズで暴かれたのは、1年3ヶ月後のことだ。

この「ナイラ証言」が出るまでは、アメリカの世論は反戦が多数を占めていた。しかし、この証言で世論は一気に会戦へと転じた。周到に準備された、たったひとつの捏造が、世論を完璧に逆転させてしまった。しかも、素人の少女のウソ泣きによって。


クウェートから逃げてきたとされる少女の証言だ。そのクウェート人少女は、アメリカ議会の公聴会でこう証言した。

「サダム・フセインの軍隊が病院に乱入して、保育器から赤ん坊を取り出し、床に叩きつけて殺した。私はこの目で目撃した」

 と、少女は涙を流しながら証言した。

 ところが、この公聴会での少女の証言は、真っ赤なウソだった。
 事前にアメリカの広告代理店が綿密なシナリオをつくり、何度もリハーサルをした上での証言だった。当の少女が後に暴露した。


湾岸戦争のときの「油にまみれた水鳥」の映像

 石油の海と化した波打ち際に、全身石油まみれの真っ黒の水鳥が弱々しく立っていた。いや、呆然と立っていたといった方がいいかもしれない。

 当時、メディアはサダム・フセインの「環境テロ」だと大騒ぎした。フセインがわざと油田の油を海に「放出」していると報道された。

環境は破壊され、海の生物が犠牲になっていると。油にまみれた水鳥の映像は、大きな訴求力を持った。水鳥の映像は世界中をかけめぐり、繰り返し放映された。世界中がフセインを「狂気の極悪人」として認識した。このたったひとつの映像が、永遠にフセインのイメージを世界に決定づけたのだ。

 しかし、あの映像はヤラセだった。

 まず原油が海に流れたのは、米軍の爆撃機がイラクのタンカーを撃沈したからだ。アメリカは自分の爆撃の結果を、フセインの環境テロにすり替えたのだ。そしてメディアは、タンカーから流出した油の映像に、水鳥の映像を付け加えて、効果を高めた。日本のメディアは、その映像がおかしいと知りながら、アメリカの大本営発表に沿った報道をした。

 水鳥の命をダシに、イラク市民は爆撃された。
 クジラの命をダシに、日本が爆撃されたら、日本人は納得できるだろうか。

サダム・ フセインが自国民(クルド族)に化学兵器を浴びせた想像を絶する暴君だというイメ−ジを与える宣伝キャンペ−ンがあげられる。私自身もそう信じ込まされていたし、長い間彼のことを何をしだすかわからない怖い存在だと思っていた。

しかし、これもアメリカの巧妙な宣伝が成功したに過ぎない。イラン・イラク戦争の期にイラク領のハラブシャで、イラクとイランとが互いに化学兵器を使い合ったのは確かだが、クルド人を殺した毒ガスはイラン側が所有するシアン化物だった、当時イラクの毒ガスは、マスタ-ドけいのどくがすであっっという。
   検診したトルコの医者が証言している。

しかし、スタンフォ−ド大学フ−バ−研究所特別研 究員松原久子も「アメリカは戦争を望んでいた」(文芸春秋一九九一年五月号)と題した寄稿文でこのことはっ きり書いているが、これに対する反証は出されておらず、今では 定説となっているのである。湾岸戦争後に、米軍は、降参したイラク軍のクウェ−ト陣地に少しでも化学
兵器が残っていないかと躍起になって捜したというが、ついに化学兵器は少しも見当たらなかった。イラクは国家存亡と岐路に立たせられたあの湾岸戦争でも科学兵火は使っていなのである。
http://www.freeml.com/ctrl/html/MessageForm/chance-forum@freeml.com/6841/;jsessionid=0m2cs06w21


悪魔化されるサダム・フセイン

米国は、報道機関の助けを借り、戦争を国民に納得させようと、サダム・フセインを悪魔のような人物に仕立て上げた。イラン・イラク戦争の期間は米国とイラクの問に緊密な外交、経済、軍事の協力があったが、戦争が終って数年すると、サダム・フセインは突然、「ヒットラーより悪い」独裁者となった。

 個人的中傷のほかにも様々な宣伝が行われた。その最初は石油だった。一九九〇年九月十一日、ブッシュは「あまりにも重要な資源をあまりにも残忍な人間に支配させておくことは、許容できるものではなく、今後も許容されない」と述べた。それでも、米国のかなりの人々がこれに同調しなかった。同年十一月十四日付け 「ニューヨーク・タイムズ」 は米政府の新たなアプローチを次のように報じている。

  ホワイトハウスのスピーチ・ライターがブッシュ大統領の湾岸政策について、明瞭に、そして一貫して理解を得られるよう紹介することができず、その結果、本国民の支持をつなぎとめておくことができそうにないことに、(中略)ベーカー国務長官は怒りをつのらせていると言われている。

 湾岸戦争が始まった八月以降、戦闘部隊派遣を正当化する大統領の理由は、「死活的利益」が危機に瀕していることから始まり、侵略による損害を見過ごしてはならない、サダム・フセインはヒットラーより悪い、に至るまで実に網羅均である。

……

 このため、ベーカーは失業という新たな恐怖を持ち出した。「湾岸危機を米国民の生活水準レベルで話すならば、それは雇用問題だと言わせていただきたい。なぜなら、西側の経済的生命線(石油を支配するある国により、さらに言えば、ある独裁者により、世界の経済が不況へと転落すれば、米国民に失業が生まれるからだ)とベーカーは語った。サダム・フセインは今度は、湾岸での米国の支配強化に対してだけなく、米国経済のさらなる悪化に関連しても、非難されるようになった。ただし、米国の景気が実際に悪化するのは、湾岸戦争が終った後のことである。


最も人々の注意を引いて話題となった虚報は、「保育器の報道」である。一九九〇年十月十日、人権に関する議会コーカスにおいて「ナイラ」とのみ紹介された十五才の少女は、イラク兵士が嬰児を保育器から取り出して、「冷たい床の上に置き去りにして死なせる」のを目撃したと主張した。この話は、戦争に向けて突き進むブッシュ政権によってすぐさま利用された。ブッシュはこの話をいくつものスピーチで繰り返し引用し、このようにして三百十二人の赤ん坊が死んだと訴えた。アムネステイー・インターナショナルも一九九〇年十二月十九日のリポートで、この話は真実だと報告した。

 戦闘が終ってみると、保育器の話はまったく信用できないことが分かった。時がたつにつれ、国家安全保障会議や議会で証言を行った証人は、姓名も身分も偽っていたことが判明した。姓名がイサハ・イブラヒムで、身分が軍曹とされた人物は、イブラヒーム・ベハベハニという矯正歯科医だった。先の十五才のナイラという少女は、証言では残虐行為の行われた時に病院でボランティアとして働いていたと言ったが、実は、駈米クウェート大使の娘だった。これらは、十月十日の議会コーカスを、主催した者にとって、既知の事実だったのである。

 アムネステイー・インターナショナルは一九九一年四月、保育器の話を真実とした報告を撤回した。ミドル・イースト・ウォッチは一九九二年二月、保育器の話はイラク軍による大量レイプや拷問と同じく、「明らかに戦時の宣伝工作」である、とするリポートを発表した。

今回の開戦前の国連査察結果からも、ここに抜粋しましたラムぜー氏の見解のごとくに、「イラクの核兵器保有」は、ブッシュ(父子)の捏造である事が判りました。

そして、「保育器の報道」についても、最近ではテレビ放送で、自由クウェート市民との団体が、アメリカの大手広告代理店「ヒルトン&ノートン」に依頼して「駐米クウェート大使の娘」ナイラと名乗らせ作成した「宣伝工作」であったと放映されていました。


ビアーズ次官は完成したばかりの政府広報誌「イラク 恐怖から自由へ」を紹介した。「1988年3月16日、イラク北部の町ハラブジャで、イラク軍の毒ガスにより5000人のクルド住民が死んだ」という内容で、イラク攻撃への支持を訴える意味を込めて、世界中に配布されている。

 冊子には、赤ん坊を背負ったまま道端に倒れる女性や、息絶えた子どもたちの写真が多い。「我々が発信する情報は心を打つ物語でなければ」と次官は言う。ハラブジャ事件にはブッシュ大統領もしばしば言及、「自国民を毒ガスで殺した非道なフセイン政権」の象徴となっている。

 しかし、この事件には実は謎が多い。当時、米中央情報局(CIA)のイラク担当だったステファン・ペレティエ氏(米国の陸軍戦争大学元教授)は「毒ガスはイラクではなくイランのものだった」と主張する。当時はイラン・イラク戦争のさなかで、犠牲者はイランしか持たないシアン(青酸)ガスで死んだ兆候を示していた、というのだ。


 元教授によると、ハラブジャを現地調査した国防総省の情報機関は90年春、部内報告として、クルド人殺害はイランのガスによるものと結論付けていた。ところが、連邦議会の調査委員会は「イラク軍がマスタードガスと神経ガスでクルド人10万人を殺した」と発表し、イラク虐殺説が広まったという。

だが、密室ではなく戸外に散布したガスで一度に10万人も殺せるのか――。首をかしげる専門家も少なくなかった。その後、広報誌のように「5000人」という死者数が多用されるようになったが、昨年10月のCIAの報告書は死者を「数百人」と記し、宣伝用の数字(5000人)と大きな食い違いを見せている。

テレビ放送でも、多くの評論家は、この事実に全く触れずに、“毒ガスを同国民であるクルド人に使用し虐殺した、極悪人のフセインを追放すべし!”と声高に語り、アメリカのイラク侵攻を支持しています。

「多数のメディアが、繰り返し強調する事例はまず疑え」
ということだ。

ソビエト連邦=共産主義=世界の脅威

サダム・フセイン=大量破壊兵器=世界の脅威

タリバーン=原理主義=世界の脅威

「アル・カイーダ」=テロリスト=911、疸阻菌、ロンドン爆破=世界の脅威
・・・etc.


ソビエト連邦も、フセインも、タリバーンも世界の脅威ではなかった。
意図的に強調されてきたにすぎない。
「アル・カイーダ」は実際に存在するのかどうかさえ怪しい。
本当の世界の脅威とは、常套的に情報操作し、平気で他国を爆撃するアメリカ合州国自身ではないのか。

──大量破壊兵器とアルカイダ──

 今回のイラク戦争でも、このウソによるイメージ戦略は大いに発揮された。

 イラク戦争開戦の最大の理由は、
「大量破壊兵器の存在」「フセインとアルカイダのつながり」
 だった。

 この二つの「事実」が、世界中のメディアを使って大宣伝された。狂人フセインを打倒しなければ、世界の安全は脅威に晒される、というように。フセインは世界の脅威、世界の敵になった。すでにフセインのイメージは10年前に定着している。

しかし、「大量破壊兵器の存在」も「アルカイダとの関係」も、ウソだった。
http://blog.goo.ne.jp/leonlobo/c/9596a99dfeb4a0daf5a852d62ea14fa5


マスコミ業界の世界的な中心地であるアメリカでは、マスコミは、開戦後に戦争に協力するだけでなく、政府による戦争開始の策動に協力してきた。アメリカのジャーナリズムの賞として世界的に有名なものに「ピューリッツァ賞」があるが、この賞を作ったジョセフ・ピューリッツァは、1898年にアメリカとスペインの戦争(米西戦争)が始まる原因を作った人である。

 米西戦争は、当時スペイン領だったキューバに停泊中のアメリカの戦艦メーン号が何者かによって爆破沈没され、これをピューリッツァの新聞「イブニング・ワールド」などのアメリカのマスコミが「スペインの仕業に違いない」と煽り、開戦に持ち込んだ戦争である。メーン号が沈没した理由が、故障による自損事故だったことは、後から判明した。

 この米西戦争開始の経緯を見ると、アメリカのマスコミが政府の肝いりで「イラクは大量破壊兵器を持っているに違いない」と煽って開戦に持ち込み、後で、実はイラクは大量破壊兵器を持っていなかったことが分かったという、105年後の2003年に起きたイラク侵攻と、ほとんど同じであることが分かる。

 ピューリッツァとその後の同志たちが巧妙だったのは、自分がやっていた扇動ジャーナリズムを、洗練された知的で高貴な権威あるイメージに変えることを企図し、成功したことである。ピューリッツァは、ニューヨークのコロンビア大学に巨額の寄付を行い、ジャーナリズム学科を創設した。今では、コロンビア大学のジャーナリズム学科は、ジャーナリズムを学ぶ場所として世界最高の地位にあり、ピューリッツァ賞は、世界最高の賞となっている。「ジャーナリスト」は、世界中の若者があこがれる職業になった。

 しかし米西戦争からイラク侵攻まで、「人権」などの一見崇高なイメージを使って敵方の「悪」を誇張し、自国にとって有利な戦争を展開することに協力しているアメリカのマスコミのやり方は、巧妙さに磨きがかかっただけで、本質は変わっていない。
http://tanakanews.com/g0725media.htm


ウンデッドニー以来…… (本多勝一)

 アメリカ合州国が、一方的な「ブッシュの戦争」でアフガニスタン空爆を続けている。予測されていたとおり、一般住民に多数の死傷者が出た。そして、そんなことは一切おかまいなく空からの無差別虐殺をつづけるであろうことも、予想通りである。なぜか。

 合州国の「はじまり」から点検してみられよ。この国は500余年前の「コロンブスの大虐殺」で始まる。すなわち南北アメリカ両大陸(および付属諸島)の、何千万人とも知れぬ先住民族たちの、おそらく人類史上最大の悲劇の始まりである(注1)。合州国に直接関連するものとして、北米の先住民族が最近までにどんな虐殺をされてきたかは、日本人による世界に誇れる報告『アメリカ・インディアン悲史』(藤永茂・朝日新聞社・1972年)がある。

 ワシントン初代大統領時代から強行された侵略は、最後の組織的虐殺「ウンデッドニー」で一応終るものの、そのわずか10年後(1900年)、フィリピンを侵略した米軍による「10歳以上すべて」の全男女が、ルソン島・サマル島で大虐殺された。のちの日本占領軍司令官マッカーサーの父親たるアーサー=マッカーサー将軍の命令だ。この虐殺軍の指揮官たるや、なんと米本国でのベテラン対先住民戦闘兵自身だった。つまりアメリカ先住民大虐殺の歴史は、アジア人大虐殺へと直結する(注2)。

 息子のマッカーサーを最高司令官とする米軍は、東京大空襲や広島・長崎への明白な無差別大虐殺を、「真珠湾」への“反撃”として強行する。真珠湾は軍事施設だけを目標としていたが、東京や広島・長崎等は住民の生命そのものが目標である。

 その5年後、朝鮮戦争が始まる。そこでの米軍による住民大虐殺については、たとえば松本昌次『朝鮮の旅』での「信川大虐殺」などで明らかだが、つい最近も「老斤里大虐殺」が暴露された(注3)。

 朝鮮での終戦後10年と経たぬうちに、ベトナム戦争への米軍介入だ。ソンミ事件その他、アメリカ先住民大虐殺と全く同じ無差別婦女子大虐殺が、カウボーイ米兵らによって“楽しく”行なわれた。

 ベトナム戦争終了26年後の今、父親ブッシュによるイラク戦争(湾岸戦争)を経て息子のブッシュが、国連を無視してアフガニスタンに開戦した。ウンデッドニー当時の大統領と現在のカウボーイ父子大統領とで認識に基本的違いがない以上、非白人で異教徒住民への無差別爆撃(虐殺)は当然である。良心的アメリカ人は、あくまで非主流だ。

 ここまで書いた直後、ミニコミ誌『シサム通信』10月号が届いた。その中から、アフガニスタンで長年医療活動をして今回脱出した中村哲医師の言葉――「一連の動きを見て思うのは、西部劇の続きである。勇敢な白人がバッタバッタとインディアンをなぎ倒していく。」


注1>たとえばラス=カサスの『インディアス破壊を弾劾する簡略なる陳述』(石原保徳訳・現代企画室)などに詳しい。

注2>詳細は拙著『アメリカ合州国』(著作集12巻=朝日新聞社)収録の「マイアミ連合からベトナムまでの合州国の道程」参照。

注3>1950年7月に韓国・忠清北道老斤里で避難民数百人を米兵が無差別射殺。AP通信が一昨年9月に報道。
http://www2.kinyobi.co.jp/old/fusoku_oldf/386


こんな事態が許されるのでしょうか!?

ラムゼー氏の著書を見るまでは、イラクのクウェート侵攻の非は、イラクそしてその独裁者フセインに在ると信じ込んでいましたが、ラムゼー氏は、このイラクのクウェート侵攻はアメリカによって仕掛けられた罠であった事を示してくれます

その罠は、イラン・イラク戦争で疲弊し復興を図るイラクに対して、(アメリカの差し金で)クウェートは石油の過剰な増産を企て国際的な石油価格の暴落を図り、イラクの石油からの利益を削減させた上、イラク油田の盗掘等を行いイラクを徹底的に痛みつけ、イラクがクウェートに善処を請うと、イラク、クウェート、サウジアラビア、UAEによる四ヵ国の石油相会議の席上では、クウェートのサバハ外相は“(イラクに)対応するつもりはない。(中略)気に入らないことがあるなら、イラクはクウェートの領土を勝手に占領すればいい。(中略)我々は米国を引き入れる”とのも発言しています。

そして、当時のブッシュ(父)大統領は“警告も挑発もなくイラクはクウェートに侵攻した” と述べたというが、フセインはこの会議で(イラク軍のクウェート国境への集結の前日)は、“話し合いでイラクを守れないなら、事態を正しく立て直し、かつ奪われた権利をその持ち主に返還するために、何らかの有効な手段が講じられなくてはならない。全能の神よ、我々は忠告を与えたことを覚えておいてください” と語りクウェートに警告を発していたことが紹介されています。

中東で戦争を望んでいたのはイラクではなく、米国の巨大勢力だった。つまり、巨額な予算を維持したい国防総省、中東への武器販売と国内の軍事契約に依存する軍需産業、原油価格に対する支配力強化と利益の増大を望む石油公社、ソ連の崩壊を米軍の中東常駐の絶好の機会と考え、石油資源の支配により巨大な地政学的勢力を二十一世紀に向け構築しようとするブッシュ政権だった。


国防総省の課題は、拡張よりも再建に腐心するイラクを、どうしたら米国の軍事介入を正当化できる行動に駆り立てることができるか、であった。このような危機的状況を創り出すため、国防総省はクウェート王族との特別な関係に頼ろうと考えた。

イラクがイランとの戦いに没頭している最中、クウェートは国境を北方に移動させ、ルメイラ油田の中の九〇〇平方マイルを占拠した。クウェートはこれに加え、米国から供与された傾斜穿孔技術により、イラク領土内に間違いなく位置するルメイラ油田から盗掘を行った。イラン・イラク戦争が最高峰に達した時、イラクの石油輸出能力は低下したが、クウェートは盗掘したイラクの石油をイラクの消費者に売りつけて大いに儲けた。

クウェートは戦争期間を通じ、イラクに三百億ドルを貸与したが、その大部分はクウェート自身がイランから直接的脅威を感じた後のものだった。戦争が終ると、クウェートの指導者はイラクに返済を求めたが、イラクは戦争により八百億ドル以上の被害を受けていた上、クウェートの身勝手な行動で石油価格が引き下げられていた。

イラクにとって債務の即刻返済は不可能だった。

一九八八年から九〇年にかけ、米国防大学の研究が予想した通り、イラクは外交によりクウェートとの紛争解決に努力した。一方、クウェートは、情報筋のすべてが認める通り、一貫して傲慢で非妥協的だった。


サダム・フセインはバグダッドで開催されたアラブ連盟首脳会議で次のように述べた。

戦争は通常、「軍隊の越境、破壊行為、殺人、クーデター支援により遂行される。(中略)そして、現在行われていること(クウェートの石油政策)はイラクに対する戦争である」。

一九九〇年六月、イラクはアラブ数ヵ国に外交使節を派遣し、原油価格の若干の引き上げを可能にする新たな生産割当を訴えた。クウェートはこの生産割当を拒否したが、さらにイラク、クウェート、サウジアラビア、UAEによる首脳会談の開催というイラク提案まで拒絶した。

 七月十日、前記四ヵ国の石油相会議がやっと開催され、原油価格の漸次引き上げが可能となる生産割当が決められた。ところが、翌日、エミールと会談したクウェート石油相は、原油生産を十月まで大幅に引き上げると発表した。

サダム・フセインは、クウェートと米国がイラク経済の破壊を共謀していると公然と非難し、「話し合いでイラクを守れないなら、事態を正しく立て直し、かつ奪われた権利をその持ち主に返還するために、何らかの有効な手段が講じられなくてはならない。全能の神よ、我々は忠告を与えたことを覚えておいてください」と語った。イラクの戦闘部隊がクウェート国境に結集し始めたのは、この翌日である。

 言い換えるなら、イラクは、経済戦争が仕掛けられていると認識しており、事態はそれほど深刻だ、と警告したのである。ブッシュ大統領は八月八日の声明で、警告も挑発もなくイラクはクウェートに侵攻したと述べたが、これは真っ赤な墟である。
http://members.jcom.home.ne.jp/u33/i%20think%20030322.htm


1990:米国の承認の下、クウェートに侵攻。

米国の承認?

1990年7月25日、勢いに乗る独裁者は、米外交官で駐イラク大使のエイプリル・グラスピーとバグダッドで会談。サダムがグラスピーに、イラク石油のちょっとした首長権限をめぐってクウェートに攻撃を仕掛ける際に、アメリカが反対するかどうか確認したところ、このアメリカの使者はこう語った:

「私たちに意見などありません。(国務長官の)ジェームズ・ベイカーが私を寄越したのは、指示を確認するためだけです。それはつまり、クウェートはアメリカと連合関係にないということです。」

サダムは彼女の発言を録音していた。グラスピーは、1991年の議会証言で、父ブッシュがイラクのクウェート侵攻を承認したと世界中の外交官が見なすことになる録音について、その信憑性を否認できなかった。
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2004/04/the_best_democr.html


湾岸戦争はアメリカが仕掛けた罠だった

1991年1月17日、湾岸戦争が始まった。しかしながら、軍事偵察衛星から送られてくる写真から、米ソはイラクがクウェートに攻め込む何日も前から、フセインの軍隊の大規模な移動と、クウェート国境への集結を確実に把握していたことが、関係者の証言で明らかになっている。1990年7月20日に打ち上げられたソ連製スパイ衛星「コスモス2086」が、突然軌道を変え、侵攻直前のクウェート上空を集中的に飛行していたことが、徳島市の「民間・人工衛星追跡組織(LAT)」の調査によって明らかにされた。(1990年10月23日付け「朝日新聞」による)

 他国の衛星の位置を確認しているアメリカが、このソ連衛星の動きを察知していたのは確実で、つまり、「奇襲」とされるイラク軍の侵攻を事前に知っていたことになる。

 もし、アメリカが本気でイラクのクウエート侵攻を沮止しようとするならば、第7艦隊をペルシア湾へ向かわせ、イラクへ警告を発せば、良いことだ。そうすれば、湾岸戦争は回避されていた。

 また、当時のイラク駐在のグラスピーというアメリカ女性大使が、フセインの国家再建努力を褒めて、「アメリカはイラクの行動には関心がない」と言ったのだ。


さらに、国務省の中東専門家であるジョン・ケリー国務次官補が記者会見で「クウェートが攻撃されてもアメリカにはクウェートを助ける責任がない」と公言したのだ。

 さらには、1989年、クウェイト国家公安局長がCIAを「極秘」に訪問し、「非公式会談」を行なっている。

「イラクの経済情勢の悪化を利用して、イラクがわが国との国境を画定しようとするよう仕向けることが重要である、との点で米側と一致した。CIAは、彼らがふさわしいと考える圧力のかけ方を説明し、こうした活動が高いレベルで調整されることを条件に、両国間の幅広い協力関係をつくるべきだと詳述した」ケネディ政権の報道官で、ABCテレビ欧州中東総局長ピエール・サリンジャー他による「湾岸戦争 隠された真実」で、アメリカとクウエートの密約文章の中身をこう紹介している。

 という訳で、フセインはまんまとアメリカが仕掛けた罠にハマったのだった。
http://www.election.co.jp/column/2001/k20011121.html


イラクの湾岸戦争をテレビ報道を見ていて、イラクがクウェ−トに侵入し破壊している様子が映し出されていましたが、その裏にはアメリカのCIAの情報工作があり最初イラクのクウェ−ト侵略を容認した節がある。

 それを、鵜呑みにしたサダム・フセイン大統領がアメリカの思う壺にはまり、悪者にされてしまったのである。

 イラク人の破壊よりも、アメリカの爆撃機の破壊のほうが本当は多大だったのです。

私達は、日本が真珠湾攻撃をしましたが、アメリカは、その情報を先に知っていて、日本の攻撃を口実に日本に宣戦布告してきました。

 時代が変わっても、アメリカのやりかたは、同じなのです。

クウェ−ト(親米政権)は隣のイラクの原油盗掘を行い、また、クウェ−ト人は周辺の貧しいアラブ人を労働者として酷使し、大きな利益を得ていた。これにイラク(フセイン)が抗議したが無視。このため、イラクはクウェ−トを攻撃、占領した。

 クウェ−トは欧米に支援を要請。米を中心とする多国籍軍が編成され、ハイテク兵器を駆使した大攻勢が行われ、一瞬でイラク軍は粉砕され約30万人が戦死しイラクは敗北した。放射能汚染を招くウラン弾頭も使われ、死者の半数は民間人であった。また、国連の降伏勧告を受け入れ、イラクに戻る途中の無抵抗のイラク軍に対し、米軍は隊列の前後の集団を攻撃し足止めした後、「動くもの全て」を対象とした大殺戮を行い、約1万人のイラク兵を全滅させた。イラクへ向かう道路には死体が累々と並び、「死のハイウェイ」と呼ばれた。これらの行為に対し、イスラム勢力の中ではテロによるアメリカへの報復を叫ぶ者も多かった。
http://www.geocities.co.jp/NatureLand/5930/newpage117.htm

湾岸戦争はアメリカなどの、軍需産業を持った多国籍企業という死の商人によって仕組まれた戦争だった。

フセインに資金を送り続けたのはイタリアの銀行であり、化学兵器を造らせてきたのはドイツやソ連であり、原子炉とウランは堂々とフランスから売却され、スーパーガンはイギリスから輸出され、アメリカは資金援助を行ないイラクを戦争ができる国に育ててきた。フセインに戦争させるという作戦を実行してきたのが、この軍需産業ファミリーだ。

[『国連 死の商人』(P.34)、広瀬隆(1992)、八月書館]

世界を飛び回って多国籍企業が操る「影の政府」の意思を世界に伝えて回ったベイカー・アメリカ元国務長官。ユーゴ内戦の国連事務総長特使であり、かつ、アメリカ第2位の軍需産業ゼネラル・ダイナミックスの重役であり、かつ、大マスコミのニューヨークタイムズの重役であるサイラス・ヴァンス。他のイラク在住外国人が足止めをくらったときに、イラクのフランスに対する30億ドルという借金をたてにフランス人のみを脱出させたミッテラン・フランス大統領。

僕たちが新聞やニュースで知ることのできる彼らの肩書きは、長官や大臣や、代表といった平和的なもので、人殺しを職業とする兵器工場の経営者という素性がどこにも書かれていない。ところが原爆・水爆・ミサイル・戦闘機から地雷まですべてを造り、ゲリラ戦の特殊部隊を生み出す戦慄すべき国際グループというのがこの一族の正体だ。

[『国連 死の商人』(PP.36-42)、広瀬隆(1992)、八月書館]


また、この一族の系図は、軍需産業とアメリカ、イギリス、フランスといった多国籍軍の中核をなした各国の政府や、国連、マスコミが一体である証拠だ。近代の戦争はすべて彼ら「影の政府」が仕組んだものだ。

そして湾岸戦争直前の1990年、世界の軍需産業が不況にあえぎはじめていた。その軍需産業の不況を打破するために、多国籍軍が湾岸戦争を引き起こし、大量の兵器を消費して儲けようと企てた。

また、軍需産業とアメリカ政府とのつながりは、現在ますます強まっており、クリントン大統領の閣僚の多くが、多国籍企業の重役出身である。
例えば、現在アメリカの国務長官のクリストファーがいる。彼がクリントン大統領から指名されたとき、潜水艦用の核ミサイル、「トライデント」や、湾岸戦争で使われたステルス戦闘爆撃機をはじめとする軍用機を数多く製造したアメリカ第3位の軍需産業ロッキード社の現役重役だった。

アメリカ大統領直属の情報機関、CIAの長官であるジェイムズ・ウールジーは、アメリカ国防総省との取引額第8位のマーティン・アリエッタ社の重役だった。この会社が生産していたトマホーク巡航ミサイルも湾岸戦争で有名になった。

さらに、クリントン政権は各軍需産業から政治献金を受け、彼らに操られていることがこの面からもわかる。ゼネラルモータース、GTE、テクストロン、グラマン、ゼネラルダイナミックスといった軍需産業がクリントン政権やアメリカ議会議員に政治献金をしていることが明らかになっている。

このようにアメリカは軍需産業のために政治を行なうような仕組みになっている。それがアメリカが世界各地で戦争を勃発させている理由である。

湾岸戦争で多国籍企業は国連を思いのままに操りイラクを世界から孤立させた。そしてこの国連ビルがそびえるマンハッタンの土地を寄贈したのはアメリカ最大の財閥ロックフェラー財閥だった。文字どおり、国連はアメリカの多国籍企業の手のひらの上にある。

また、多国籍企業は、新しい国連事務総長に、ガリを送りこんだ。ガリは、「影の政府」の方針を決定するダボス会議のメンバーである。
http://yiori.tripod.com/aum_related/aum1.txt


湾岸戦争でボロ儲け

……ブッシュ政権の重要ポストにエネルギー業界出身の者が数多くいることにある。……テキサスの石油及び天然ガス会社こそが、ブッシュ・ジュニアの選挙戦の最初の協力者グループだったからだ。……

 副大統領ディック・チェイニーからして、石油産業関連のサービス会社では世界第二位のハリバートン社を長い間経営していた。チェイニーは大統領選を機に同社を離れた。

 すべての諜報機関を統括する安全保障の最高機関、国家安全保障会議の責任者であるコンドリーザ・ライスは、シェブロン社で九年間を過ごした。この巨大石油企業で、一九九一年から二〇〇一年一月まで社外重役を務めていたのだ。……

 W・ブッシュの親友でもある商務長官ドナルド・エバンスは、エネルギー長官のスペンサー・エイブラハムと同様に、天然ガス及び石油を扱うトム・ブラウン社の社長として、それまでの経歴のほとんどを石油業界に捧げてきた。経済問題担当の商務副長官キヤサリン・クーバーは、世界的企業エクソン社のチーフエコノミストであった。

 さらに大臣官房にも似たような経歴の者たちがたくさん見られる。……


投資資産管理会社カーライル・グループの投資財団は、その顧問として、元アメリカ大統領のジョージ・ブッシュまたは、その息子の現大統領ジョージ・W・ブッシュを取り巻く多くの人物を擁している。

 取締役会は特に、ブッシュチームの有力者たちで構成されている。たとえば、ジョージ・ブッシュ政権時の国務長官だったジェームズ・A・ベーカー三世、ロナルド・レーガン大統領時代に国防長官を務めた、フランク・C・カールッチ(CIA副長官も務めた)。一九八九年から一九九三年までジョージ・ブッシュ大統領の下で行政管理予算局長官だったリチャード・G・デーマン、そして同じく父ジョージ・ブッシュ時代のホワイトハウスの首席大統領補佐官ジョン・スヌヌである。……

 アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュは、一九九〇年から一九九四年まで、カーライル・グループの子会社の一つケイタレア社の取蹄役会のメンバーであった。……

 ジョージ・W・ブッシュが一九八六年から一九九三年まで役員を務めたテキサスの石油会社に、……

 だから、ジョージ・W・ブッシュが経営していた別の有限会社二社(アルバスト79とアルバスト80)の資本の中に、テキサスの大物財界人ジェームズ・R・バスの名があっても不思議ではない。……

 ジョージ・W・ブッシュが設立したこの二つの企業は、その後ハーケン・エナジーと合併し、一連の株式取引は、その痕跡さえ見えなくなってしまった。

 ブッシュ・ジュニアは、七八年石油探査会社アルバスト・エナジーを設立。しかし、八六年ハーケン・エナジーに吸収され、ブッシュは役員に就任した。

注 カーライル・グループ:投資資本百二十億ドル。……未公開企業の株式を購入して転売し、米国最大の兵器メーカーを傘下に収め、通信分野の会社を多く持つ。サウジ政府の金融アドバイザーでもある。

アメリカが掲げる「イラク解放」とは、極端にいえば西洋が非西洋の文明を叩きのめし、自分たちの「正義」を押しつけるプロセスに他ならない。しかも、今回の攻撃でアメリカが得るであろう利益は莫大なものだ。新兵器の実験と旧式兵器の在庫処分によって軍需産業が潤い、戦後復興にはアメリカ企業が次々と参入してくる。イラクの地下に眠る世界第2位の埋蔵石油の利権も、優先的に確保するつもりでいる。ロッキード・マーチン社は、今年1月から3月期の売り上げが昨年に比べて18%増加したといい、インフラ復旧事業ではベタテル社が800億円あまりのプロジェクトを受注し、油田の復旧作業はハリパートン社やブーツ&クーツ社などのテキサス系の企業が引き受けている。

 だが、これに至るまで、イラク国民の上には爆弾が降り注ぎ、民間人は3000人近く、イラク軍人は数万人が亡くなった。アメリカ軍の戦死者とは比べ物にならない数だ。イラクの人々を殺すことでアメリカが利益を得る……この構図は、かつて東洋の解放を唱えた岡倉天心が述べた、「西洋の栄光は東洋の屈辱」そのものではないか。とりわけブッシュ政権は、多くの高官たちが、戦争で利益を得る大企業の顧問などを務める「利権屋集団」だ。

この最も基本的な点を忘れ「力こそ正義」という論理に傾けば、力のない人々が絶望的な行動に出ることは避けられない。テロを防ぐどころか、全世界にテロが広がっていくだろう。大義も正義もない、今回のイラク侵略に対しては、きちんと批判の声を上げ、決してアメリカを許してはならない。
http://members.jcom.home.ne.jp/u33/i%20think%20030813ttnt.htm


7. 中川隆[-7729] koaQ7Jey 2017年5月07日 13:28:54 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2016.05.31 櫻井ジャーナル

製品の開発力も生産力も放棄したアメリカの支配層は通貨を発行することだけで生きながらえている。


そのため、ドルは基軸通貨であり続けねばならないのだが、それに挑戦する動きも出て来た。

例えば、2000年にイラクのサダム・フセイン政権は石油取引の決済をドルからユーロに変更する姿勢を見せ、その2年後にはマレーシアのマハティール・ビン・モハマド首相(当時)が金貨ディナールを提唱、リビアのムアンマル・アル・カダフィも金貨ディナールをアフリカの基軸通貨にして石油取引の決済に使おうとしている。


 すでにロシアや中国はドル決済をやめつつあるが、数年前からEUでも金をアメリカから引き揚げる動きがあった。例えば、オランダ中央銀行によると、アメリカに預けている金塊のうち122.5トンをアムステルダムへ移動させ、オランダで保管する金塊は189.9トン、アメリカが同じく189.9トン、カナダ122.5トン、イギリス110.3トンになった。


 ドイツの場合は1500トンの金塊を引き揚げようと計画したが、アメリカに拒否されてしまう。そこで2020年までにアメリカとフランスから合計674トンを引き揚げることにし、2013年1月にその計画を発表した。1年あたり84トン強になるが、実際に取り戻せたのは37トン、そのうちアメリカからは5トンだけだったという。結局、ドイツは引き揚げ計画を断念したようだ。


 ドイツの引き揚げ断念はスイスの動きと関連しているとする説もある。11月30日にスイスでは住民投票が実施され、(1) スイス中央銀行は、国外に保管している全ての金準備をスイスへ持ち帰る、(2) スイス中央銀行の全資産の20%を金準備とする、(3) スイス中央銀行の金準備の売却を行わない、の是非が問われる。


 金準備を全資産の20%まで引き上げるためには1500トンの金を5年以内に購入する必要があり、国外に保管されている金は2年以内にスイス国内へ引き揚げなければならなくなる。ドイツの引き揚げ計画を上回るインパクトだ。


 アメリカが公的に保有していたはずの金はどこかへ消えたという疑惑がある。2001年9月11日にも消えた金塊が話題になった。ちなみに、アメリカがリビアを攻撃した理由は保有する金143トンと石油利権だったことを暗示するヒラリー・クリントン宛ての電子メールが公表されている。


 本ブログでは何度も書いてきたが、1960年代にアメリカの経済は破綻し、1971年にリチャード・ニクソン大統領はドルと金の交換を停止すると発表した。この決定でブレトン・ウッズ体制は崩壊、1973年から世界の主要国は変動相場制へ移行する。


 基軸通貨を発行するという特権で生きながらえるしかなくなったアメリカは発行したドルを回収する仕組みを作っていく。そのひとつがペトロダラーだ。人間社会は石油に支えられていることに目をつけ、産油国にドル以外の通貨で決済させないように求め、そこで貯まったドルでアメリカの財務省証券や高額兵器を買わせて回収しようとしたわけだ。


 その代償としてニクソン政権が提示したのは、サウジアラビアと油田地帯の軍事的な保護、必要とする武器の売却、他国からの防衛、そしてサウジアラビアを支配する一族の地位を永久に保証するというもの。1974年に調印、これと基本的に同じ内容の取り決めを他のOPEC諸国もアメリカと結んだという。(Marin Katusa, “The Colder War,” John Wiley & Sons, 2015)


 ザキ・ヤマニ元サウジアラビア石油相によると、1973年に「スウェーデンで開かれた秘密会議」でアメリカとイギリスの代表は400パーセントの原油値上げを要求したという。1973年5月11日から13日にかけてビルダーバーグ・グループが実際に会議を開いていた。値上げを要求した中心人物はヘンリー・キッシンジャーだ。


 しかし、懸念材料がなかったわけではない。当時のサウジアラビア国王、ファイサル・ビン・アブドル・アジズはPLOのヤセル・アラファト議長を支えていた人物で、アメリカに従属しているとは言い難かった。その懸念材料が消されたのは1975年3月のこと。国王の執務室で甥のファイサル・ビン・ムサイドに射殺されたのだ。


 この甥はクウェート石油相の随行員として現場にいたのだが、この人物の背後にはイスラエルの情報機関モサドが存在していたという。ジャーナリストのアラン・ハートによると、この人物はギャンブル好きで、多額の借金を抱えていた。そこへ魅力的な女性が現れて借金を清算、その上でビン・ムサイドを麻薬漬けにし、ベッドを伴にしたりして操り人形にしてしまったという。(Alan Hart, “Zionism,” World Focus Publishing, 2005)


 その後のサウジアラビア国王は親米派が続く。そうした国王のひとりが戦闘機の購入に関する特使として1978年にアメリカへ送り込んだ人物が29歳だったバンダル・ビン・スルタン。その後、1983年から2005年まで駐米大使を務め、05年から国家安全保障会議事務局長、12年から14年にかけては総合情報庁長官を務めた。イスラエルと接触、アル・カイダ系武装集団を操っていたとも言われている。ブッシュ家と親しく、「バンダル・ブッシュ」とも呼ばれている。


 ドルを現実世界から吸い上げる仕組みとして投機市場も機能している。1970年代に新自由主義が世界へ広がり、金融規制が大幅に緩和されていき、投機市場は肥大化する。アベノミクスで供給された資金も大半は投機市場へ流れ込んだはずだ。現実世界でカネが溢れればハイパーインフレになるが、投機市場ではバブルになる。そのバブルの後始末を押しつけられるのも庶民だ。


 資金が投機市場へ流れ込むパイプの整備も1970年代に進み、ロンドンを中心とするオフショア市場のネットワークができあがる。ロンドンを軸にして、ジャージー島、ガーンジー島、マン島、ケイマン諸島、バミューダ、英領バージン諸島、タークス・アンド・カイコス諸島、ジブラルタル、バハマ、香港、シンガポール、ドバイ、アイルランドなどが結びついている。こうした仕組みによって巨大資本、富裕層、犯罪組織などは資金を隠し、課税を回避することが容易になり、庶民の負担が増えることになった。


 しかし、2010年にアメリカでFATCA(外国口座税務コンプライアンス法)が発効してから状況が大きく変化したようだ。この法律によってアメリカ以外の国の金融機関はアメリカ人の租税や資産に関する情報をアメリカ側へ提供する義務を課されたのだが、その一方でアメリカは自分たちが保有する同種の情報を外国へは提供しないことになっている。アメリカはFATCAによってタックス・ヘイブンになった。


 そうした状況の変化を受け、ロスチャイルド家の金融持株会社であるロスチャイルド社のアンドリュー・ペニーは昨年9月、サンフランシスコ湾を望む法律事務所で講演した中で、税金を払いたくない富豪は財産をアメリカへ移すように顧客へアドバイスするべきだと語っている。


 新たなドル回収システムを作り上げたと言えるだろう。
http://www.asyura2.com/16/hasan109/msg/323.html

2016-02-10
アメリカの都合の良いように、反米国家が窮地に落ちている


世界中の株式市場が変調しているが、これに対して今さら意外感を持つ人はいない。

中国が変調を来したということは2015年6月のバブル崩壊からすでに分かっている。2016年1月になるとさらに怒濤の下げとなって世界中が巻き込まれた。

2016年の変調は今も続いており、それがヨーロッパの株式市場や日本の株式市場にも波及している。

中国が変調を来しているので、全世界の株式市場が不安定になり、その結果、グローバル・マネーが安全を求めて日本の円に逃避している。

マイナス金利導入は中途半端だったので、他の通貨よりも円の方がまだ安全だとグローバルマネーは判断しており、それが急激な円高となって襲いかかった。

日本株式市場が連日のように価格を崩しているのは、日本企業も中国市場に関わっていた企業も多いということや、急激な円高も重なっているからだ。

日本人には投資家が少ない上に、闘志(アニマル・スピリッツ)がない投資家が多いので、株価が下がると蒼白になってみんな尻尾を巻いて逃げ出す。それで実体以上の下げとなる。


需要は減ったのに供給が増えた石油価格

中国経済はその成長の過程で石油をがぶ飲みしてきた。中国の成長が止まったことによって石油価格の需給関係は壊れ、石油価格の暴落は今も止まっていない。

石油が下がれば下がるほど、エネルギー価格に依存していた新興国が窮地に追いやられるようになっており、2016年はベネズエラが巨大な経済崩壊を起こすのではないかと言われている。

ベネズエラは経済が停滞しているにも関わらず、インフレが進んでいるという典型的なスタグフレーションの状態となっているが、もう誰もベネズエラを助けられない。

もしベネズエラが助かるとしたら「石油価格が上昇すること」しかないが、いつ石油価格が上がるのかは今のところ誰にも分からない。

この石油価格の暴落の直撃を受けているのは、ブラジルもロシアもサウジアラビアも同様である。

石油価格が暴落するのであれば、減産して石油価格を吊り上げればいいだけだが、それがそう簡単にいかない。なぜなら、産油国は石油価格の下落分を、さらに大量の石油を輸出することでカバーしようとしたからだ。

つまり、価格が下がったから、さらに大量の輸出をして利益を確保しようとして、ますます自分の首を絞めることになっているのである。

すべての産油国がそうしたチキンレースに乗った結果、需要は減ったのに供給が増えるという馬鹿げたことになって、新興国が崩壊の危機に瀕している。

2016年はいよいよ正念場に来ている。こうしたエネルギーに依存した新興国の経済はもう政府が支えきれないところにまで到達しつつあると言っても過言ではない。

これらの産油国は、エネルギー価格を武器にしてアメリカに挑戦しようとしていた反米国家である。反米国家は今や虫の息にまで追い込まれたと見ていい。


現在は、反米国家が崩壊の危機に瀕している

2015年はドイツにとっても最悪の年だった。VWグループはディーゼルエンジン不正問題が発覚して売上は急減速し、企業が存続できるかどうかの瀬戸際にまで追い込まれた。

VWグループは中国で販売を増やすことによって危機を乗り越えようと画策したが、2015年後半からは中国がバブル崩壊を起こしているので危機打開にはつながらない可能性がある。

VWグループを金融面で支えているのはドイツ銀行だ。

そのドイツ銀行もまた無謀な経営によって破綻の危機に瀕している。このドイツ銀行が破綻したらドイツの中枢が崩壊するも同然になるので、ドイツ政府は絶対に破綻を座視することはない。しかし、生きながらえても低迷を余儀なくされる。

ユーロ圏は移民・難民の問題で激震しているが、2016年に入ってからドイツでも反難民・反移民の気運が人々の間から大きなうねりとなって湧き上がっている。

能天気な人道主義で難民を100万人以上もドイツ国内に受け入れたメルケルは、ドイツ人から総スカンを食らい、支持率は30%台にまで落ち込んでしまった。

EU(欧州連合)はユーロによってドル通貨基軸に挑戦しようとしたが、その中核となっているドイツが崩れたらユーロの権威も崩れていくことになる。

親中派のマスコミやジャーナリストは、ドルが崩壊すると朝から晩までわめき立てているが、現実を客観的に見れば分かる通り、崩壊の危機に瀕しているのはむしろ中国の元や、ユーロ通貨の方である。

アメリカが崩壊の危機に瀕しているのではなく、反米国家が崩壊の危機に瀕している。ロシアが、ブラジルが、ベネズエラが、中国が、ドイツが国家的な危機に瀕している。

ドルが崩壊するどころか、今や世界中が自国通貨よりもドルが欲しいと言う状況になっている。


アメリカに賭けるのは、別に悪い選択肢ではない

今までのグローバル経済は「中国は成長する」という方向でコンセンサスができていた。しかし、もうそのコンセンサスは2015年の中国バブル崩壊と共に砕け散った。

中国の時代はもう終わった。同時に、中国が次の時代の覇権国家になるという馬鹿げた妄想も終わった。

ジョージ・ソロスは「このままでは中国は経済崩壊し、第三次世界大戦が起きる」と予言めいた発言をしているのだが、中国はそうなってもおかしくないほど追い詰められている。

(ソロス予言「中国は経済崩壊し、第三次世界大戦が起きる」)
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20150818T1710510900


反米新興国も軒並み破綻危機に見舞われ、EUもその中心となっているドイツが激しい動揺を見せることによってユーロ圏そのものがバラバラになりかねないほどの危機に直面しつつある。

そんな状況の中で、グローバル経済を俯瞰すると、最も有利な立場にあるのは、どう見てもアメリカであるとしか言いようがない。

もちろん、アメリカ企業もまたグローバル経済の変調に巻き込まれて売上も利益も落としているのだが、反米国家が国家存続の危機にまで落ちているのに較べれば、いかに足元がしっかりしているのかが分かる。

今追い詰められているのは、反米国家である。窮地に追いやられて通貨の信頼をなくしているのは、反米国家の方であり、アメリカのドルではない。2016年に危機に落ちるのはアメリカではなく、反米国家である。

アメリカは2015年からドル通貨基軸に挑戦しようとしていた国家を軒並み撃破することに成功している。

それがアメリカの陰謀だったのか、「たまたま」だったのかは誰も知る由もないが、今のところ、アメリカの都合の良いように反米国家が窮地に落ちているというのは事実だ。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20160210T1819190900


8. 中川隆[-7737] koaQ7Jey 2017年5月07日 15:20:50 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

アメリカが滅びてもアメリカの多国籍企業は滅びない

アメリカ株で儲けるほど簡単な事は無い

ダウ・ジョーンズの100年に渡る株式市場の値動き。

数々の暴落で激しく揺れ動くチャートだが、凄まじい上昇にあるのが分かるはずだ。
https://4.bp.blogspot.com/-oN-T0gr5iHQ/VzQ_TB_m2YI/AAAAAAAA20E/kZ0WYHFYsow3CsuaH4uO86GO4uYHJf2agCLcB/s1600/img%2B-001.png
http://stockcharts.com/freecharts/historical/img/100-100.png

NYダウ工業株30種平均 超長期月足チャート 1928年11月〜
http://baseviews.com/chart/dow-ja.html

2015年06月25日
投資の神様・バフェットの真似をしても損する理由


「ハンバーガーが安ければ買うでしょう。株も同じです」と言うのだが


バフェットは最も優秀で最も成功した投資家で、多くの投資指南では彼の手法を見習うべきだとされている。

だが日本人がバフェットと同じ事をしても、まず失敗する。


バフェットの必勝法と矛盾

世界で最も成功した投資家はアメリカ人のウォーレン・バフェットで、資産は5兆円とも言われている。

彼の投資法の信奉者は多く、投資の王道の一つとされている。

だがバフェットの投資法を模倣しても、他の投資家と同じように9割の人は人生トータルでは投資で損をする。

正しい投資法を実行しているのに、どうして多くの人が負けるのか不思議な気がします。

バフェットの投資理論の多くは、第二次大戦後のアメリカでしか通用しないのだが、その理由をこれから説明します。

バフェットの成功は彼自身の優秀さや正しさ以外に、多くの偶然にも支えられていました。

バフェットの誕生日は1930年8月30日で第二次大戦が終わったとき、15歳の頃には投資を始めていました。

父親は地元では成功した株のディーラーで、州議会議員も勤めた名士でした。

アメリカの大恐慌は1929年10月24日に発生し、丁度バフェットガ生まれる1年前で、既に昔話になっていました。

大恐慌直前には1929年9月3日にダウ平均株価381ドルの史上最高値をつけていました。

ダウ平均株価は5年間で5倍に高騰し、あらゆる評論家や経済学者全員が「これからも株価は上昇する」と断言しました。

しかし最高値をつけた3年後の1932年7月8日にダウ工業株平均が41ドルと、ほぼ10分の1にまで下落してやっと大底を打った。

これが第二次世界大戦の原因になる世界不況を作った大暴落なのだが、第二次大戦前には、株の暴落は珍しくは無く、優秀な投資家は皆「空売り」で儲けていた。

世界恐慌までのアメリカは自由貿易主義、自由経済主義のような事を唱えていて「経済は放置すれば完全な状態に保たれる」と思われていた。

大恐慌が始まっても「市場の作用」によって自動的に立ち直ると考えられていたので、誰も何の対策もしませんでした。

こういう時代では明らかに、バフェットの投資法は通用しません。

そして日本を始めアメリカ以外の多くの国では、大恐慌時代のアメリカのような投資状況なのです。

恐れを知らない投資家

大恐慌の結果アメリカは「自由経済なんか嘘だ!」という事を学び、市場や経済を管理する「管理経済」に移行しました。

自由放任でうっちゃらかしから、管理して乱高下しないよう調整する事にしたのです。

この変化によって大戦後のアメリカでは株式相場は「必ず上がるもの」になり暴落は滅多に起きなくなり、しかも下落幅は戦前より小さくなりました。

「もう株の暴落を起こさない」のがアメリカ政府の政策であり公約になったのです。

この時颯爽と株式投資に参加したのが10代のバフェットでした。


バフェット以前にもアメリカには投資の天才が星のように存在しましたが、彼らは「株は暴落する」という考えを捨て切れませんでした。

日本でもバブル崩壊を体験した世代の投資家は、「土地は値下がりしない」と言われても信用しないと思います。

大恐慌では株が10分の1になった訳で、市場崩壊を目の当たりにした戦前投資家は、政府を信用しませんでした。

バフェットは戦前投資家とは違い、アメリカ政府を100%信用した上で投資しています。

「アメリカは永遠に世界のリーダーである」「株は暴落せず、永遠に値上がりし続ける」といった事がバフェット投資の前提になっています。

バフェットがもし15年か20年ほど早く生まれていたら、株を始めたころに大恐慌に遭遇してしまい、脳味噌を焼かれてしまったでしょう。

毎日毎日株価が下がり続け、3年後に10分の1になったら、彼も投資から手を引いて別な仕事をしたかも知れません。

戦前の投資家は大恐慌で脳を焼かれてしまい、株が暴落する恐怖から、値上がりした株を直ぐに手放しました。

バフェットは株が暴落するのを見た事が無いので、株を持ち続けました。


為替変動の影響が無いアメリカ

先ほど「日本を始めアメリカ以外の多くの国では、大恐慌時代のアメリカのような投資状況」だと書きました。

日本では第二次大戦後も、株は上がり続けるものではなく、定期的に暴落が起きています。

暴落の原因のほとんどは、為替変動やオイルショックなど外部の要因から来ています。

ところが世界で唯一、為替相場の影響を受けない国があり、機軸通貨のドルを発行しているアメリカです。

為替変動はドルに対して乱高下する事で打撃を受けるので、アメリカだけがドルに対して変動しません。

日経平均株価を見れば、円高で下がり円安で上昇するのがはっきり分かる。

投資家がいくら正しい判断をしても、円高になればまったく無意味で、株価は一律に下落していきます。

東北地震の後でドル円レートが70円台まで円高になりましたが、天変地異や世界経済危機の度に円高になるのも特徴的です。

アメリカでは9.11など悪いニュースがあればドル安になり、むしろ輸出では有利になるが、日本は円高になります。

日本の複雑怪奇な為替と株の市場では、バフェットの理論は残念ながら通用しません。

バフェットは良く講演で次のような言葉を話します。「株は一度も下がった事が在りません。保有し続ければ必ず儲かるのです。」

「ハンバーガーが安ければ買うでしょう。株も同じです。さあ買いましょう。」

彼が日本人なら決してそう言わないでしょう。


成功した投資家の大半がアメリカ人

バフェットは年率22%のペースで資産を1949倍の6兆円に増やした。

バフェットの投資法の根幹になっているバリュー投資法は、価値のある会社を見つけたら、買って買ってとにかく買いまくる。

早く言えばこういう事で、マクドナルドやコカコーラが有名です。

コカコーラには価値があり、しかも割安だと判断したら、買い続けて株価が上がって資産が増える。

日本では通用しそうに無く、しかも日本人がアメリカの株を買っても、為替変動の影響を受けるので、日本株を買うのと同じリスクを負う。

バフェットが来日したとき「日本には永続的価値のある会社が1社もなかった」と言いましたが、コカコーラ方式では日本では存続し得ないのです。

世界の著名投資家のほとんどがアメリカ在住や出身者で、アメリカ人がいかに投資環境で恵まれているか分かる。、


外国人がアメリカ人のように投資しても、基軸通貨ではないので、いつか為替でやられてしまう。

現代の世界三大投資家ソロス・バフェット・ロジャーズは3人ともアメリカで成功した人です。

「事業」ではなくいわゆる金転がしの意味の「投資」では、世界の著名投資家の9割までをアメリカ人が占めている。

大半はバフェットと同様に「買って買って買いまくった」結果資産を急増させた人たちです。

ジョージソロスは「ショート」つまり空売りで有名ですが、インタビューで「生涯通産で利益を上げたのはロングだけ」と言っています。

投資の魔王のようなソロスですら、アメリカ以外では通用しなかった可能性があるのです。

株を買って保有し、利益が出たらまた買い増すという方法は、アメリカ人にしか実行できません。

他の国の人が同じ方法を取っても、いつか為替変動や外部要因の暴落でやられてしまうでしょう。
http://thutmose.blog.jp/archives/35127740.html


2015.09.18
長期投資したい人必見! バフェット流の投資スタイルでは儲けられない3つの理由


株式投資の神様といえば「ウォーレン・バフェット」と応える投資家がほとんどだと思われます。

もし株の長期投資で成功したいのであれば、投資家としてもビジネスマンとしても長期投資で超一流の実績を残したバフェットの方法をすこしでも取り入れたうえで投資を行っていきたい投資家がたくさんいるのも事実です。

ただ、日本の株式市場でバフェット流を貫いて儲けられることはほとんどありません。

実は、アメリカの株式市場の動きと日本の株式市場の動きは根本的に異なっているため、バフェットのやり方を真似てみても投資できる確率は低いのです。

このページでは、バフェットの人物像と投資スタイルを解説したのち、なぜその投資法が日本の株式市場で通用しないのかを解説していくことにします。

投資の神様 ウォーレン・バフェットとは


ウォーレン・バフェットは、アメリカ合衆国のオマハ在住の世界的に有名な大投資家で、世界有数の持株会社であるバークシャーハサウェイの会長を務めています。彼には幼いころから投資にかんする才能があったのか、6本25セントで仕入れたコーラを、1本5セントで売り歩いていたなどという逸話も残っています。

今では世界長者番付にも名を連ねる大金持ちですが彼はどのように資産を増やしていったのでしょうか。

彼の投資法はファンダメンタル投資と呼ばれるものですが、バフェット流投資の凄さはその「銘柄探し」の力にあります。彼の選別眼が優れているために保有する株式が長期的に上がり続けることになるのです。

特に一時的なファンダメンタル悪化に伴い人々のパニック的な売りにより大きく売り込まれた優良株を買い付けて、売り込まれた分が回復するまで長い間保有する割安株投資が彼のスタイルです。

つまり、ほとんどの一般投資家が売り込むような最悪の場面で逆に株を買い付ける「逆張り投資」が資産を増加させるきっかけになったようです。もちろん悪材料がでた銘柄を適当に買い漁っていたわけではなく、厳格な選定基準を通して銘柄を保有し資産ポートフォリオを構築していました。

「最高のタイミングで買えた株式は、一生手放す必要は無い」

これ彼の有名な言葉です。それでは次にバフェットがどのように銘柄選定をしているのかを見ていきましょう。


バフェットの銘柄選定 3つのキーワード

バフェットの銘柄選定に関してのキーワードには3つの特徴があります。


1.悪材料のでた銘柄をとにかく安く仕込む

2.消費者独占型企業の株を選ぶ

3.インターネット系企業などの人気株は手がけない


細かく解説するとまだまだたくさんありますが、上記3つはバフェットの銘柄選定をする上で大きなキーワードになります。


まず1ですが、通常の投資家は好材料や好業績の企業を買う傾向になるが、バフェットは逆に悪材料出大きく売り込まれた優良株を仕込みます。

短期的に取引をする投資家がパニック的な売りを起こし必要より売り込まれることが往々にしてありますが、そのような時にバフェットは下値その株を拾うのです。


つぎに2ですが、消費者独占型の企業への投資を行うところに特徴があります。

文字通り消費者を独占するような巨大なネットワークを世界中に持つ企業に投資をするのです。

例えばバフェットが好きな銘柄の一つにコカコーラ社がありますが、コカコーラは世界中どこへ行っても購入することができます。それはすなはち消費者を独占しているといえます。

バフェットがこの消費者独占企業を選ぶ基準としては、他に EPSが増加している、多額の負債を抱えていない、ROE は高いかなどといった選定基準があります。


最後に3つ目ですが、ネット系企業などのような人気株には手を出さないということです。

最近でいえばアプリなどを開発する企業だったり、クラウド系ビジネスを手がける企業ということでしょう。確かに、現在話題となっている企業は実際にそのサービスが良いものかどうかにわかにはわかりにくい面があります。バフェットはいわゆるそのような人気株は手がけないということです。


ここまで3つのキーワードをざっくりとお伝えしましたが、より深くバフェットの投資法を知りたい方は下記の文献を参考にすると良いでしょう。


参考文献)

「バフェットの銘柄選択術」メアリーバフェット・デビットクラーク著
https://www.amazon.co.jp/%E5%84%84%E4%B8%87%E9%95%B7%E8%80%85%E3%82%92%E3%82%81%E3%81%96%E3%81%99%E3%83%90%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AE%E9%8A%98%E6%9F%84%E9%81%B8%E6%8A%9E%E8%A1%93-%E3%83%A1%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%88/dp/4532149770


日本市場ではバフェット流が通用しない理由とは

ここまでバフェットがどんな人かその投資法がどういうものかはなんとなくわかっていただけたかと思います。より詳しく知りたい人は、「ベフェットの銘柄選定術」などを読んでみるといいかもしれません。

さて、ここまでバフェット流の投資スタイルをお伝えしましたがそれが日本の市場であまり役に立たないことを伝えていきます。


様々な書籍が、様々なアナリストが、バフェット流の投資スタイルを推し進めてきましたが日本の市場で同じことをすると、よりアクティブに収益を求める投資スタイルを取るよりもはるかに利益率は低くなります。

その理由は3つあります。


1.アメリカ市場のように日本市場は右肩上がりではない

2.日本市場では大型銘柄より小型銘柄に優位性がある

3.アメリカの企業のように株主還元策を重要視している企業が少ない


上記3点の違いを知れば日本の株式市場ではバフェット式の投資法で大きなパフォーマンスを残すことは難しいということがわかります。


1 アメリカ市場のように日本市場は右肩上がりではない


下記のチャートをごらんください。

このチャートは米国市場の代表的な株価指数であるニュークダウの30年分の値動きを表しています。

http://toushi-kyokasho.com/wp-content/uploads/2015/09/choukitoushi-2.png


ここまで一貫して右肩上がりの上昇トレンドを描いていることがわかります。

これまで確かにITバブル崩壊やリーマン破綻など様々な株価暴落を経ているにもかかわらず長年高値を更新し続けているのです。

一方で日本市場を見てみることにしましょう。

下記は同じ30年間の日経225のチャートです。

http://toushi-kyokasho.com/wp-content/uploads/2015/09/choukitoushi-3.png


最近でこそ日本市場はアベノミクスで株価が盛り返してきたとはいえようやく日経平均が20000円を超えたところです。

これはまだITバブルのころと変わらない株価水準であり過去の高値37000円までの道のりははるか先です。

つまり日本市場は長い目でみると下落トレンドとは言わないまでも長期的にはレンジ相場に近い動きをしていると言えるでしょう。中長期目線で株を買ったり売ったりするのには向いていますが、超長期で株を保有するバフェット式には向いていません。

これから人口がどんどん減っていく日本ではアメリカのような消費大国には当然なれませんし、株価がこのまま右肩上がりで過去の37000円を超えて上昇していくとは思えません。


2 日本市場では大型銘柄より小型銘柄に優位性がある

海外の大型株は長期にわたり上値を更新し続ける銘柄が多いです。

これは上記のニューヨーク市場が全体的に上値を更新し続けていることと深い関係がありますが、個別の大企業の力もアメリカと日本では大きな差があります。

日本の大型株は時価総額ばかり膨れ上がり、これから長期的に株価を何倍にもしていく状況は考え難いといえます。

一方で、小型株には大型株にはない優位性があります。機関投資家が手掛けない分、日本市場を動かす外国人投資家やヘッジファンドなどの動きに左右されずに独自に株価を上昇させていく銘柄が多くあるのです。

日本市場で株式として資産を運用するのであれば、間違いなく大型株よりは中小型株を狙うほうが効率的に資産を増やすことができるでしょう。アベノミクスにより大きく上昇した現在の相場から株式投資を始めるならなおさらです。


3 アメリカの企業のように株主還元策を重要視している企業が少ない

アメリカの投資家は出資している企業に対して株主に対する還元をしっかりと考えるように促す姿勢をもっています。

株主を軽視する企業は叩き売られるのが米国投資業界での常識です。アメリカの企業はその影響もあってか大企業でも毎年増配をしている企業が多く見られます。実に半世紀以上増配をし続けている企業すらあるのです。

一方で、日本の大企業は増配をし続けている企業はまれです。花王とミニストップがかろうじて20年以上の連続増配を成し遂げている状況ですが、利益の伸びを考慮するとこれが後30年続くかどうかは疑問ですね。株主還元策の強化はいま日本の企業に求められている最大の課題だといえるでしょう。


まとめ

日本市場においてはバフェットのような投資スタイルで投資をし続けても「それなり」の投資成果しか得ることができません。

経済大国となった今でも人口が増え続けているアメリカとは違い、日本は超長期的には右肩で株価が上がり続けるとはにわかに考え難いものがあります。

日本市場で資産を増やそうとするならそれに見合った投資手法が存在するのです。
くれぐれも書店やネットに転がる大量のバフェット手法勧誘にはご注意を!
http://toushi-kyokasho.com/choukitoushi/

年収400万円層が知らない本当のルール。富裕層になるたった1つの方法とは=鈴木傾城
http://www.mag2.com/p/money/169957

あなたは、現在の資本主義のこの仕組みをあなたは理解しているだろうか。していないのであれば、生きるのに苦しむことになる。本質をつかまないと、踏みにじられるだけだ

資本主義ゲームのこの仕組みを理解しないと踏みにじられるだけだ

年収400万円以下=普通の人が知らないこと

日本人の平均年収は、国税庁の民間給与実態統計調査を見ると約6割が400万円以下となっている。大企業の社員や一部の公務員をのぞくと年収300万円台は珍しくないし、驚くべきことではない。

年収300万円が6割というのであれば、それが最頻値であり、それが普通であると考えるべきなのだ。これは年収だから、人々は1年間かけて必死で働いてこの金額を稼ぐ。

ところで、あまり誰も言わないことがある。

アメリカの大統領戦でドナルド・トランプが選挙を制して次期大統領に決まってから、急激な円安とアメリカ株式市場の上昇が起きたことだ。

2016年11月4日あたりは1ドル104円だったが、12月4日にもなると114円ほどに上昇していた。さらにニューヨーク株式市場はその1ヶ月で約10%も上昇していた。

米国株を所有して売りも買いもしなかった日本人の多くは、自分が保有している銘柄が何であったのかで振れ幅はあったとしても、11月だけで15%以上の資産増加があったと見るのが一般的だ。

1ヶ月に15%の上昇というのはどういう意味か。

資本主義の不条理にまず絶望しなければならない

1ヶ月で15%の資産が増えたというのは、資産が1000万円の人はたった1ヶ月で資産が150万円増えたということである。では、資産2000万円の人はどうなのか。資産は300万円増えたということになる。

売りもせず、買いもせず、ただアメリカの優良企業の株式を保有しているだけで、資産2000万円の人は1ヶ月で自分の資産が300万円膨らんだのを目にしたということである。

1年間、必死で働いて稼いだ300万円と、1ヶ月ぶらぶらしていたら棚からぼた餅で増えた300万円は、同じ300万円でもずいぶん性質が違う。

1年間も必死で労働していた人にとって、それは許しがたいことである。恐らく、深い嫉妬や自分のやっていることへの絶望や虚無感を止めることができないだろう。

せめてもの慰めは、日本で株式を買っている人は人口の2割にも満たない「少数の人間」であることだ。つまり、1ヶ月に15%の資産増加という僥倖を得た人はほとんどいない。

その2割の中でも長期投資をしている人はさらに極小でり、その保有の対象がアメリカ株であるというのは、さらにほんの少数である。

それを考えると、何もしないで棚からぼた餅で資産を増加させた人は恐らくまわりにいないし、まわりにいないから嫌らしい自慢話を聞かされることもない。

しかし、弱肉強食の資本主義の中では、労働力はもはや搾取される対象でしかなく、資産を持つ者と持たない者の呆れるほどの運命の違いが、ますます先鋭化しているのは見逃せない事実でもある。

ほんの1ヶ月で、100万円も200万円も300万円も「何もしない」で資産を膨らませた人は、本人は何も言わないが確実に存在しているのである。

この資本主義の不条理にまず絶望しなければならない。資産家はそうやって何食わぬ顔で資産を膨らませるのである。


資本主義のルールに即したシンプルかつ強力な手法とは?

すでに資産家は、この資本主義社会の中で優良企業の株式こそが富の源泉であることを知っている。

ますます資本主義は「多国籍企業中心主義」と化しているので、もはや土地成金がフォーブスの金持ちリストの上位にくることも消えた。

世界でも有数の富裕層の「すべて」は、優良企業の株式の大量保有者でもある。

最も株式を大量に保有する条件を満たしやすいのは、自分で会社を興した事業家だ。そして、その株式を譲渡された妻や子供たち、その次に事業として投資を行っている投資家と続く。

事業家もその家族も投資家も、売って買って、売って買って…を繰り返して資産を膨らませたのではなく、成長し続けている企業の株式を「じっと持ち続けた」ことで大きな酬いを得ている。

「株式を売買」しているのではない。「株式を大量に保有」していることで富裕層になっている。それが、最も資本主義に即したシンプルにして強力な手法である。

現代の資本主義で錬金術を成し遂げるには、優良企業の株式を保有するのが有効であることはもはや疑問の余地がなく、あとはどれくらい優良企業の株式を大量に保有できるかが問われているということだ。

小金持ちと富裕層と超富裕層は、その資産の中身で何が違っているわけではない。本質的な部分を見ると、違っているのはただひとつ。優良企業の株式の「保有数」のみである。

単純明快に分かりやすく言うと、単に「数の問題」だ。

10株の株主も株主には違いないが、100株の株主に比べると規模に劣る。100株の株主も株主には違いないが、1000株の株主に比べると規模が劣る。もらえる配当も、影響力も、保有数が大きければ大きいほど強い。

資本主義は数がモノを言う。つまり株式市場で資産を膨らませるには、いかに売るかではなく、いかに買うかの方が重要であることに気付かなければならない。


この本質をつかまないと踏みにじられるだけだ

持たざる者が、優良企業の株式保有数を増加させるにはどうすればいいのか。それは「優良企業が最も安い時に大量に買う」ことで成し遂げる必要がある。

実は長期投資家のほぼすべては、「安い時に大量に買う」という方法を遵守している。

資産を持つ投資家は、金があるのだから株価が高い時でも株を買っているのかと言えば、まったくそうではない。株式を買うという行為の前では、すべての人が平等に「資金が足りない」という状況下にある。

優良企業の時価総額は、例えばファイザーでは約19兆円、コカコーラでは約18兆円、ペプシは約15兆円、エクソンは約37兆円、アップルに至っては約61兆円である。

世界最大の資産家であるビル・ゲイツの資産は約10兆円であることを考えると、ビル・ゲイツでさえ株を買うのに「資金が足りない」状況下にある。

だから、成功している投資家であればあるほど、株式が大暴落している局面で、大量かつ徹底的に株式を掻き集めて保有数を増やす努力をしている。

人生のすべてを使い、ありとあらゆる方法で「株数を増やす」のが、現在の株式至上主義と化した資本主義の中で生き残る最大の方策なのである。

「暴落時に株を買う」のも、「配当を再投資する」のも、「節制して余剰資金で株を買う」のも、すべて「株数を増やす」ためである。

ということは、「人気化してバブルになった株式を買う」のも、「下落局面で株を売る」のも、「安い時に買わない」のも「高値を追う」のも、すべて誤った方法であることが分かる。

私たちが資本主義の中でしなければならないのは、「株式の保有数を増やす」というゲームである。

それ以外のゲームは、資本主義の中で資産を極大化させるのにはあまり役に立たない。むしろ、余計なことをすればするほど基本から遠ざかっていく。

現在の資本主義のこの仕組みをあなたは理解しているだろうか。していないのであれば、生きるのに苦しむことになる。本質をつかまないと、踏みにじられるだけだ。
http://www.mag2.com/p/money/169957

2017-04-16
長期投資家には、北朝鮮がどうなろうと知ったことではない

2001年9月11日は何気ない一日になるはずだった。ところがこの日、二機の旅客機がアメリカのワールド・トレード・センターに突入して3000人以上が一瞬にして亡くなるという大惨事が引き起こされた。

現場はウォール街の近くであり、NY株式市場もこのテロで一週間も閉鎖された。

まだ、この時の株式市場の大混乱を覚えている人もいるかもしれない。二棟の高層ビルが影も形もなく崩れ落ちたように、今度はアメリカの株式市場が崩れ落ちる番だと世界中の投資家は青ざめていた。

そのためNY株式市場は相場が立った瞬間に一瀉千里に売りが殺到し、事件の10日後には15%以上も暴落となっていた。しかし、事件から2週間もすると人々はやっと冷静になり、株価は下げた分だけ戻した。

その後のアメリカは軍事にのめり込み、アフガニスタン侵攻やイラク侵攻と歩を進めていき「ブッシュの戦争」の時代に突入していく。

投資家にダメージを与えたのは2001年ではなく2002年の方だ。2001年の前半には1万ポイントを超えていたNY株式市場は2002年の後半には8000ポイントを割って7500ポイントにまで近づいていた。1年で25%以上も下落した。


今回の北朝鮮を巡る動向でどうすればいいのか?

では2001年の高値で優良企業の株式を買って長期保有した人は大損害を受けたのだろうか。まさか。それから6年後、NY株式市場は1万4000ポイントをつけるほどの「大暴騰」に転じていたからだ。

その間、アメリカはイラク戦争に突入してベトナム戦争を彷彿とさせる泥沼に陥って戦費を無駄に消耗し、「もうアメリカは終わりだ」と言われていた。

ところが株式市場と不動産市場はどんどん上昇していき、特に2006年からはブーストがかかったかのように高値を目指していったのだった。

この頃になると、もう2001年9月11日に起きた同時多発テロの大暴落のことを覚えている人など誰もいなかった。人々は根拠なき熱狂に酔いしれていたのである。

しかし、2008年に入ってからNY株式市場は変調を来すようになった。

サブプライムローンという爆弾が破裂し、9月15日にはリーマン・ブラザースが倒産して全世界を巻き込んだ金融崩壊である「リーマン・ショック」が投資家を襲いかかった。

2007年は1万4000ポイントに届いていた株価はリーマン・ショックの泥沼から抜け出せない2009年2月には7000ポイントさえも維持できなかった。

つまり、投資家は50%以上もの市場の大崩落に巻き込まれたということだ。もっと分かりやすく言うと、資産の半分が吹き飛んだということになる。

この時期の投資家は生きた心地がしなかっただろう。金融市場は死にかけており、アナリストはすべて絶望を語り、自分の資産が半分になって平静でいられる人はどこにもいない。

では、2007年の頂点で優良企業の株式を買って長期保有した人は大損害を受けたのだろうか。まさか。NY株式市場は2013年に1万4000ポイントを一気に追い抜き、2015年には1万8000ポイントに到達していた。

結論から言うと、同時多発テロでもアフガニスタン侵攻でもイラク戦争突入でもリーマン・ショックでも、長期投資家は優良企業の株式を売る必要はまったくなかった。何もしなくてもよかった。ただ保有しているだけでよかった。

そうであれば、アメリカの優良企業に投資している長期投資家は、今回の北朝鮮を巡る動向でどうすればいいのか、答えが見えてきたはずだ。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/04/20170416T1949100900.html


2017年03月30日
投資専門家の予測が当たらない理由 大資産家は損をしない


ロジャースが「ドルは消滅する」と言ったとたん、アメリカ経済は回復し始めた。
中国が超大国になるから中国人になるとも言っていた。
引用:http://kinyu-arekore.net/wp-content/uploads/2016/02/jimu2016.jpg


アナリストの予想は逆になる

2017年に入って為替と日経平均が小刻みに上下して、個人投資家や専門家を慌てさせている。

1年前に1ドル120円以上だったドル円相場は、3月現在で110円であり、先行き不透明になっています。

日経平均は2万円直前で頭打ちになり下落、NYダウは2万1000ドル達成を節目に下落しました。

         

専門家は1%上がれば「回復基調」「底打ち感がでている」と書き、逆に少し下がると「リスク回避懸念」などと書いた。

例に出して悪いが3月29日のロイターは「日経平均は続伸、米株高と円高一服が追い風」と米企業の好業績を並べていた。

だがこのつい2、3日前に1ドル110円を割り込みそうだった時には、悲観的な見通しを掲載していた。


経済メディアやエコノミスト、投資の専門家は少しでも上昇すると「上げ相場だ」と言い、少し下げると「下げ相場だ」と言っているだけです。

XXX銀行チーフエコノミストのような立派な肩書きを書いていても、やっている事はオウムと一緒で、早くAIで自動化したほうが良い。

オウムよりはしっかりした著名投資家や投資機関は中長期の見通しを発表するが、これがまた当たらない。


世界一の投資会社はゴールドマンサックスで、取引高は国家を遥かに上回る数千兆円とも言われていて、さぞ的確な予想をしているだろうと想像する。

だが2011年に東日本大震災が起きた後、GSの責任者は「日本売りで年末には1ドル195円を超え、国債大暴落が起きる」と言っていました。

現実には日本国債は大暴落どころか大人気でマイナス金利になり、年末に1ドルは80円でした。


予想の上手さと投資成績は無関係

GSの経済予想を時系列で並べても当たった例はほとんど無く、わざと逆の事を言って騙そうとしているのではという邪推すら起きてくる。

世界一の投資家のWバフェットも同様で、2008年の北京オリンピックの頃「中国の一人当たりGDPはアメリカ人と同じになり、中国のGDPはアメリカの5倍になる」という計算を披露しました。

この計算では中国の経済規模は日本の10倍になるが、現実には「水増し」を差し引くと未だにアメリカの半分、日本の1.5倍程度で頭打ちになっています。


バフェットと共に大投資家として名高いJソロスはトランプ大統領当選でドルが暴落すると予想したが、逆にドル高株高になって数千億円も損をしたとされています。

ソロスは2016年に中国人民元暴落も予想し、少しは下げたのだが暴落はしなかったので、これも儲からなかったでしょう。

冒険投資家Jロジャーズも2008年ごろは「子供を中国に移住させ、自分も中国人になるつもりだ」と述べるなど大変な入れ込みようだった。


「中国人はアメリカの4倍いるのだから4倍のガソリンを消費し、4倍の買い物をする」だから中国人になれば世界一の投資家になれると言っていました。

その後中国の失速が明らかになるとロジャースは中国の話をしなくなり、ベトナムとかミャンマーとか怪しげな国を「将来有望だ」と言っていました。

日本で経済や投資のニュース解説に必ず登場するのが元財務官僚のアナリストで、中でも「ミスター円」榊原英資は大人気です。


大恐慌でも投資家の財布は痛まない

だが榊原氏の相場予想となると、当たったことが一度も無いと言えるほど外れまくり、それでいて経済番組に必ず登場するので、テレビと財務省の癒着ではないかと疑っています。

このように経済専門家や投資専門家、アナリストから世界最大の投資機関まで、彼らの予想は99%まで外れる事になっていて、一般の人と同じレベルです。

それでもバフェットやソロスやGSは、我々一般人の年収を数分で稼いでいるので、相場の予想と投資で稼ぐのは無関係だと分かります。


彼らが運用する数兆円というような金額になると、「どこにいくら配分するか」という運用配分が重要になります。

どの国の株式に何%、どの国の国債にそれぞれ何%、あるいは成長分野の企業買収とか、細分化することで「絶対に損をしない」ようにします。

例えばリーマンショックの時ですら、世界全体では1年だけ0.05%マイナス成長だっただけで、分散していれば打撃を受けなかった筈です。


こうした事がお金持ちや大投資家の投資なので、予想が当たろうが外れようが、彼らの資産は守られているのです。

自分でリスクを負っているようで、実は株価が半分になっても、資産は保護される仕組みになっています。

一般の個人投資家はそうではなく、日経平均やNY株が1割も下がったら、資産の大半を失う人が続出します。


お金持ちや投資機関責任者の発言を真に受けると、個人投資家は酷い目に遭うでしょう。
http://www.thutmosev.com/archives/70226723.html

第一線を退いてからも資産が増大するビル・ゲイツ

ビル・ゲイツは現在も世界最大の資産を持つ富裕者としてその地位を守り続けていますが、ビル・ゲイツがマイクロソフトのCEOを降りたのは2000年でした。

そして、マイクロソフトから完全に離れて慈善団体に活動の重点を移したのが2008年です。つまり、ビルゲイツは2000年代にはすでに経営の第一線から身を引いており、事業活動はしていないことになっています。

ところが、それ以後も多少の順位の変動はあったものの、ほぼフォーブスの世界長者番付で世界一位を独走していると言っても過言ではありません。

経営の一線を退いてから、ビル・ゲイツの資産はさらに増大しているのです。ここに一体何が起きているのかを私たちはよく考える必要があります。

ビル・ゲイツはマイクロソフトから離れた2006年以後、マイクロソフトの株式をどんどん売却しているのですが、それで何をしていたのでしょうか。

抜け目ないビル・ゲイツは、激しい競争に晒されているマイクロソフトの株式を売却して、コカコーラやカーディーラーや銀行や鉄道やレストラン運営やホテル経営などの企業の株式に転換して保有するようになっています。

ビル・ゲイツの資産を運営しているのがカスケード・インベストメントという企業なのですが、この企業の運営者がマイケル・ラーソンという投資家です。

ビル・ゲイツは、第一線を退いて「投資」で資産を膨らませているということになります。

あまりにも激甚な競争に晒されているマイクロソフトの株式をタイミング良く安全な株式に変えて資産を守りつつ膨らませているというのが実態です。


株式の資産価値が増大しているから富裕層になった

ビル・ゲイツは資産を現金にしているわけではありません。リスクの高い株式からリスクの低い安定した株式に転換して、株式として保有しているわけです。

ビル・ゲイツの資産の中で大きなウエイトを占めているのがバークシャー・ハザウェイですが、このバークシャー・ハザウェイもまたアメリカの優良企業の株式を保有するコングロマリットです。

バークシャー・ハザウェイを保有するというのは、つまりクラフトハインツ、コカコーラ、ウェルズ・ファーゴ、IBM等を保有するのと同じと見て構いません。

何が起きているのかというと、ビル・ゲイツはアメリカの安全な優良企業の株式に資産を移し替えて、それを「じっくりと保有する」ことによって資産を膨らませているということになります。

ところで、バークシャー・ハザウェイのCEOはウォーレン・バフェットです。

今や、投資家でなくてもウォーレン・バフェットの名声を知らない人はいないはずですが、このウォーレン・バフェットもまたアメリカの優良企業の株式をじっくりと保有することによって資産を増大させた人物でもあります。

こうした人物を追って、フォーブスの資産家リストの上位に、「ザラ」のアマンシオ・オルテガ氏や「アマゾン」のジェフ・ベゾスが浮上しています。

これらはすべて自分が興した会社を世界有数の一流企業にした実業家です。

これらの実業家は「一流企業にした自分の企業の株式を大量に保有している」から富裕層になったわけで、株式をせっせと現金に変えているから富裕層になっているわけではありません。

株式の資産価値が増大しているから富裕層になったのです。


「優良企業の株式を大量に保有し続ける」の重要性

現在の富裕層とは何者なのかは、彼らをよく観察すれば分かるはずです。「優良企業の株式を大量に保有し続ける人間が勝ち組になっている」ということなのです。この文章は3つの重要な要素を含んでいます。

(1)優良企業の株式を保有する。
(2)大量に保有する。
(3)保有し続ける。

現在の富裕層とは、この3点を極限まで突き詰めた人たちです。彼ら「だけ」で上位を独占しているのです。

すでに、現在の資本主義というのは、富の源泉が多国籍企業に集約されているので、土地成金だとかゴールド保有者だとかダイヤモンド王が頂点に立つことはありません。

頂点に立つのは、「優良企業の株式を大量に保有する人間」でしかあり得ないのです。

これは逆に言えば、「優良企業の株式を保有しない」「保有しても少ししか保有していない」人は、かなり厳しいことになるということを示唆しています。

現金を積み上げても長期的に見ると意味がなく、金の延べ棒を買っても仕方がないのです。

現金もゴールドも価値が増大することもなければ配当を生み出すこともないので、それが長期で見ると巨大な差となって現れるわけです。

分かりやすく言えば、定期預金などしても、現代の資本主義の仕組みからすると、何の意味もないということです。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/04/20170414T1250340900.html

2016-12-18
予測せず、愛を囁き合っている間に資産は膨れ上がっていた

このメルマガを読んでいる人の大半はここ1ヶ月で資産を20%から50%近く増やしているはずだ。

なぜなら、アメリカの株式市場はトランプが次期大統領に決まってから一気に上昇し、さらに10円以上もの円安の恩恵も受けているからだ。

資産が1000万円の人であれば数百万レベルを一気に手に入れたことになるわけで、実際に「220万円のクリスマスプレゼントになりました」というメールも頂いている。

言うまでもないが、5000万円以上もの資産をアメリカの優良企業に投資している人は、1ヶ月で1000万円以上の単位で資産を増やしていることになる。

資産の規模の大小よりも、どんな人でもアメリカの優良企業の株式を保持し続けるという戦略だけで、ここ1ヶ月で20%から50%の資産増大を成し遂げているということが重要だ。

これが「買い持ち」戦略の威力である。

ただ、市場の状況は急変しやすいので、本当であればこうした変動に一喜一憂することなく、今後は急騰した分だけ急落することもあるという前提でサバイバルしておかなければならない。


世の中は予期せぬことは、いつでも起こり得る

ドナルド・トランプが大統領に決まる前、「トランプがもし次期大統領に決定したら株式は大暴落する」と預言していた人もいたし、「投資家はトランプを嫌ってドルを手放すので、円高ドル安になる」と言っていた人もいた。

「ドルは90円を目指す」と自信満々に断言していたエコノミストもいたし、「そもそもトランプが選ばれることは100%ない」と言っている人もいた。

全員、外れた。

これは「世の中は予期せぬことは、いつでも起こり得る」ことを意味しており、さらに「専門家の予測ですらもまったくアテにならない」ことを意味している。

もっと可哀想なのは、トランプが大統領選挙を制して「もう駄目だ」と株式をすべて処分した人だ。彼らが処分した瞬間に、アメリカの株式市場は激しくラリーし、円は大変動して、手に入ったはずの儲けをみすみす失った。

また、ドナルド・トランプが次期大統領に決まった後、「ドル安円高になる」と考えて、そちらの方向に為替取引で賭けた人もいるが、実際にはドル高円安に一気に大変動したので、逃げ遅れた人で阿鼻叫喚の地獄と化した。

しかし、私を含めて「安い時や適度な価格の時に買って、黙って持っていた人」は、たった1ヶ月で数十%もの利益を目の前で手にすることになったのだ。

優良企業の「買い持ち戦略」を取っていた人がやったのは、予測ではない。誰も予期しなかった動きの中で、ただ「市場にいた」だけなのである。

予測などしていない。予測はしなくてもいい。波に乗る必要はないし、情報に翻弄される必要もない。安い時に手に入れたものは、それは仮にもっと下がったとしても充分に安いのだから、あとはどこかのタイミングで騰がるだけである。

いつか騰がるのだから、別にいつ騰がるのかは予測する必要はなく、あとは好きなことをしてればいい。好きな人とたっぷり時間を過ごし、愛を囁き合っている間に資産は静かに膨れ上がっていく。

2016年は11月から12月にそうなって、私は何も予測しなかったが、資産は勝手に増えた。

では、これからどうするのか?
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20161218T1508040900

株式市場では、なぜいつも「大震災は買い場」になるのか?


大地震が起きて国内が混乱するような事態になると、だいたい株式市場は大きく値を下げる。

しかし、大地震が株式市場に凄まじい悪影響を与えるのは当日から1週間がピークであり、その後は復旧するにつれて当初の悪影響が少しずつ消えていき、1年経てば大地震の影響は株式市場には痕跡も残っていない。

そういった意味で大地震による大暴落は「分かりやすい買い場」となることが多い。これは1995年の阪神・淡路大震災でもそうだった。

1995年1月17日は火曜日だった。被害と死者が拡大していく中で、投資家は蒼白になっていった。21日と22日の土日になって悲惨な状況がテレビで連日のように報道されると、投資家の恐怖は絶頂に達した。そして、週明けの23日から株式市場は1054円もの大暴落を見た。

しかし4ヶ月後になると、市場はこの悲惨な大地震の記憶が薄らいだのか、徐々に値を戻して暴落前に戻ってしまった。

もちろん、神戸の大地震の爪痕は半年ではまったく回復していないのだが、恐怖が薄らぐと復興に意識が戻る。そうなれば震災の悪影響を織り込んだ株式市場はやがて値を戻すのである。

つまり阪神・淡路大震災の暴落は、長期投資家にとっては「買い場」だった。


「大震災は買い場」はアメリカにも当てはまった

「大震災は買い場」というのは、実はこの神戸の大地震の前年に起きていたロサンゼルス大地震でも同じだった。

1994年1月17日の地震の被害が壮絶なものであると分かるとニューヨーク株式市場は動揺し、やがて3月に入ると地震前には4000ポイント近くまであった株式市場は3600ポイント台にまで暴落した。

市場は一気呵成に10%もの暴落を見たということになる。しかし、やはり半年も経てば人々は落ち着きを取り戻し、1995年以降になってニューヨーク株式市場は二度と3600ポイントに戻らないほどの上昇気運に入っていった。

分かりやすく言うと、ロサンゼルス大地震で「アメリカはもう終わった」と言われていたときは「絶好の買い場」だったのである。

この時期、カリフォルニアに根を張って不動産ローンを手広くやっていた銀行「ウエルズ・ファーゴ」は売り叩かれて「倒産するのではないか」とさえ言われていた。

しかし、その時期に猛然とこの銀行を買い進めていたのが史上最強の投資家ウォーレン・バフェットであったのはよく知られている。

この時期に手に入れたウエルズ・ファーゴ株は、今やウォーレン・バフェットの経営するバークシャー・ハサウェイの中核のポートフォリオとなっている。

このロサンゼルス大地震はアメリカ史上、もっとも経済損失の大きな地震だったのだが、それでも「大震災は買い場」という教科書通りの動きは揺るがなかった。

日本では2011年の東日本大震災が、史上最悪の大地震として記憶されている。

この地震では大津波が襲いかかって約2万人もの人々の生命を奪ったばかりでなく、福島第一原発が爆発してメルトダウンするという世界でも類を見ないほど悲惨な天災となって歴史に名が残った。

2011年3月11日の日経平均株価の終値は10254円だった。しかし、原発が爆発するような未曾有の災害が伝えられると3月15日になってパニック売りが発生して一時は8227円を付けるという大暴落になった。

震災前は1万円でそれが8000円台に落ちたのだから、たった数日で株式市場は20%もの大暴落に見舞われたことになる。


恐怖が勝っているので、売り止まらない心境に

この暴落分は2012年3月になって一時的に値を取り戻したのだが、この当時の民主党政権の大混乱で株式市場は再び低迷を余技なくされた。

本格的に株式市場が復活していくのは2012年12月の安倍政権の誕生を待たなければならなかった。

しかし、2年の忍耐で値が戻ったのだから、「大震災は買い場」は結果的に東日本大震災という未曾有の災害にも当てはまったと言える。

民主党政権の政治混乱が重ならなければ、回復はもっと早かっただろうが、パニック売りで起きた下落は、いずれは回復するというのは、だいたい当てはまる動きである。

株式市場が、いつもこのような動きをする理由は、だいたい想像できる。

パニック売りとは「恐怖が恐怖を生む」という現象であり、往々にして適正価格以上に売り込まれるからである。

災害によって、将来の企業収益に悪影響が起きると考える短期投資家は、その損のとばっちりに巻き込まれたくないと考えて、誰もが一刻も早く持ち株を処分しようと動き出す。

誰もが同じことを考えて売り急ぐので、相場は一気に下落する。そうすると、その下落を見た他の投資家が恐怖に駆られ、これ以上損をしたくないと考えてさらに売っていく。

そうやってドミノ倒しのように、次々と恐怖が伝染して売りが殺到するのがパニック売りなのだ。

問題なのは、恐怖に駆られているときは、もはやその企業の本来の価値以上に売り込まれても、投資家は「これ以上損をしたくない」という気持ちが勝っているので売り止まらないということだ。

割安な株式を見つけようとしている投資家たちはよくPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)で割安性を計る。

一般的にはPERが10倍以下、PBRが1倍以下は割安であると言われている。優良銘柄がそうした価格に落ちることはめったにないのだが、パニック売りが発生しているときは、この規準以下の株価にまで落ちる株式が発生する。

要するにパニックが起きているという証拠である。


今後、株価がどうなるのか誰にも分からない

2016年4月18日月曜日、先週の熊本大地震の被害が拡大する中で日本の株式市場は下落した。

前日の終値は1万6848円だったが、これが終値1万6275円になったので572円もの下落だったことが分かる。率にするとマイナス3.40%程度なので、これは暴落というほどでもない。ただの下落だ。

しかし、アベノミクスを支えていた円安局面のピークでは日経平均株価は2万円を超えていたわけで、そこから1万6000円台に落ちているのだから、それこそ20%の下落を見ているということになる。

熊本大地震はその苦境をさらに後押ししたと考えられる。

今後、株式市場がさらに下落するのか、それともこれを底として持ち返すのかは、いろいろな予測があるはずだが、基本的にどうなるのかは「誰も分からない」というのが実情だ。

私自身もこれから市場がどうなるのか、まったく分からないし、予測するつもりもまったくない。実は、市場が上がろうが下がろうが、あまり関心も持っていない。

しかし、売りが殺到しているときは、会社の価値よりもさらに安く売られている株式が存在するのは強い関心がある。

「利益を出している企業が会社の価値以下に売られていたら買え。それを拾ってしばらくすれば、株価が回復する確率がかなり高い」

このような当たり前のことを実行するには、売りが殺到している時期こそが良い時期だ。それこそ、PERが10倍以下、PBRが1倍以下という絵に描いたような「割安株」が生まれる時期である。

今、そんな株があるのか。もちろんある。

今日、私は時価総額1兆円以上の、ある企業の株式を買ったが、この株式はそれこそ「PERが10倍以下、PBRが1倍以下」を地で行くような安値まで叩き売られていた。

適正価格を超えて叩き売られているのであれば、黙って買って置いておき、パニックが去って市場が「安すぎる」と気付いて再び買い上げるまで保有しておけば悪い結果にならない。

安く叩き売られている優良企業を拾っておけば、相場がいつ戻るのかなどあまり関係がない。相場がいつか戻ったら、どのみち安い株価は修正されるからである。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20160418T1549550900

いったん悪材料が出ると、ドミノ倒しのように他に波及していく。

さらに、パニックがどんどん連鎖して、問題ないと思っていた部分にまで悪影響が及ぶようになる。

投資を巡る世界では、悪材料には過剰なまで強く反応するパターンが多い。

今回の中国の2015年6月12日から始まったバブル崩壊でも、いったん崩れ始めると売りが売りを呼び、パニックが発生し、落ちるときは一気呵成の暴落となっていた。

パニックのエネルギーは強大だ。

あの中国政府が数十兆円ものカネを投じ、先進国ではあり得ない情報規制や売り規制をして暴落を食い止めようとしても、歯が立たないほどの暴落である。

そのため、悪化していく相場を前にして多くの投資家が恐怖に駆られて自滅していく。真っ先に自滅していくのは、信用で相場を張っていた「投機家」たちである。

信用取引で相場を張っていると、思惑と反対方向に相場が動いたとき、通常の3倍かそれ以上の破壊力で資産を吹き飛ばす。今回のような暴落が起きると、真っ先に死ぬのがこうした投機家たちである。

また、レバレッジをかけて為替相場を張っている人たちも、通貨が暴騰・暴落する局面では一瞬で資金が吹き飛ぶので、相場が荒れている局面では、「全滅」に近い状況になる。

今回の円安から円高の局面でも、為替取引をしていた人たちの阿鼻叫喚は凄まじいものがあった。中には暴落と暴騰で二重の判断ミスをして往復ビンタで資金を吹き飛ばした人もいた。


ハゲタカとハイエナしかいない、地獄のような光景

では、現物取引をしている人は問題はないのか。現物取引の人は、暴落したからと言って精算を迫られるわけではないので、本来は問題ないはずだ。

しかし、暴落相場になると、現物取引をしている人ですらも犠牲となる。

なぜなら、自分の資産が日に日に吹き飛んで行く恐怖に耐えられる投資家というのは多くないので、相場が落ちれば落ちるほど、パニックに陥って「意味もなく」売り飛ばすからである。

優良企業の多国籍企業は、資本主義社会の中で最も強い存在であり、ある意味では政府よりもサバイバル能力に秀でている。政府が崩壊しても、きちんと経営されている多国籍企業は修羅場をくぐり抜けて生き残ることが多い。

そのため、多国籍企業に長期投資した人間は、全世界が荒れても保有している株式を売り飛ばすという選択肢は考える必要がない。

むしろ、強大な多国籍企業がパニック相場で売り飛ばされていれば、逆に買い進むのが本筋である。パニックに陥って売っている人間と一緒になって売っていたら意味がない。

毎日毎日悪材料が続き、相場が転がり落ち、予測が意味をなくし、全世界が総弱気派と化し、企業業績もボロボロになって予測もできなくなる局面というのは、10年に1度は予期せぬタイミングでやってくる。

しかし、全世界が危機に陥り、将来が見えなくなり、誰もが相場を見捨てるようになると、動き出す投資家がいる。ハゲタカともハイエナとも言われる投資家である。

たとえば、ジョージ・ソロスやカルロス・スリムのような投資家だ。彼らは転がり落ちた優良企業を好む。

(世界有数の金持ちカルロス・スリムが、1982年にやったこと )
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20120121T2128000900

資本主義のハゲタカやハイエナは、株式市場が暴落して阿鼻叫喚の地獄が出現すると遠くから姿を現し、転がり落ちた優良企業の株式のまわりに集まり出す。

転がり落ちて「腐った」株式は誰も拾わない。もっと腐るかもしれない。つまり、もっと下落するかもしれない。さらに、いつ上昇するのかも分からない。それは10年以上も先かもしれない。

多くの投資家は長期投資ができないので、持ち続けることができず、それを吐き出してしまう。飲み込めるのは、ハゲタカやハイエナだけなのである。

資本主義のハゲタカやハイエナは、そういった局面で、転がり落ちた株式をガツガツと食う。相場がさらに悪化していくと、ハゲタカとハイエナしかいない、地獄のようなおぞましい光景が出現するかもしれない。

地獄の門を開いたのは、中国だ。


全世界が危機に陥り、将来が見えなくなり、誰もが相場を見捨てるようになると、動き出す投資家がいる。ハゲタカともハイエナとも言われる投資家である。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20150826T1722300900


世界有数の金持ちカルロス・スリムが、1982年にやったこと
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20120121T2128000900


現在、世界最大の資産家はメキシコのカルロス・スリム・ヘルという人物だ。メキシコ生まれの実業家だが、実際には実業家というよりも投資家としての側面が強い。

10代の頃から投資をはじめて20代の頃には億万長者になっていたという人だが、その大金はメキシコの株式市場で得たものである。

この人が大富豪になるきっかけは1982年にメキシコが経済危機に瀕した最悪のときだった。このときのメキシコの状況は、今のギリシャの状況によく似ている。


破綻の坂を転がり落ちていったメキシコ

1982年。石油に依存したメキシコ経済は累積債務がかさんで国家破綻寸前にまで転がり落ち、国債信用力も地に落ちて通貨は下落していた。

この経済危機のさなかにデ・ラ・マドリー大統領が就任してIMF(国際通貨基金)に支援を求めることになった。

IMFはメキシコに乗り込んで行ったが、やり方は例によって非情だった。徹底した緊縮財政を強要して、メキシコのペソも切り下げたのである。

国が破綻寸前にまで追い込まれて通貨が信用をなくし、しかも切り下げまで行われたというのは、つまり国民の預金が一気に価値をなくしてしまうということである。

その結果、国民は一気に貧困のどん底に突き落とされてメキシコは阿鼻叫喚の地獄に包まれた。

数年経ってもメキシコ経済は低迷したままで、1986年には債務がさらに膨れ上がって1,000億ドルを超える事態にも陥った。

結局、メキシコ経済が好転していくが、それは石油価格が上昇して外貨が稼げるようになったからである。

IMFの指導は関係がなかったし、政府の指導力が効力を発揮したというわけでもなかった。単に市場環境が好転して、メキシコは息をつくことができただけだった。

経済的な政府の無策や汚職はその後も続いたので、こういった弱点を見透かされて1994年にはヘッジファンドに狙われてメキシコ発の通貨危機、いわゆるテキーラ・ショックさえも起きている。

メキシコはお世辞にも投資環境が素晴らしい国とは言い難いところだったのである。

しかし、そのメキシコが史上最悪の国難にさらされているそのときに、カルロス・スリムはチャンスをつかんでいた。


メキシコのカルロス・スリム氏。ビル・ゲイツと並ぶ世界最大の資産家。


カルロス・スリムはそれをやった

カルロス・スリムはその時、何をしていたのか。

1982年、メキシコが債務危機に陥って、メキシコを代表する企業が次々と破綻の危機に追いやられていったとき、間違いなくメキシコは国として「終わっていた」状態だった。

メキシコ・ペソは切り下げられて、もはやメキシコには将来がないと多くの資産家が国外に逃げて行った。

そのとき、カルロス・スリムは国営化されるという噂のあった大企業の株を「捨て値同然の価格で買い集めていた」のである。究極の逆張りだ。

もちろん、これは大きな「賭け」であり、また長期戦でもあった。何しろ国の将来は真っ暗闇、好転する兆しもなく、100人に聞けば100人ともメキシコは「もう駄目だ」と言っていたときだ。

企業は次々と潰れていき、金持ちはアメリカに逃げていき、貧困層が街に溢れ、株式市場は壊滅的な大暴落に陥ってしまっている。

そんなときに株を買い集められる人は少ないし、ましてや明日にでも破綻するかもしれないような会社に全財産をつぎ込める胆力を持った人もいない。

しかし、カルロス・スリムはそれをやった。一世一代の大勝負に出て、しかも結果が出るまで何年も何十年も長期投資(バイ・アンド・ホールド)してきている。

ボロボロになった国の、国有化寸前にまで追い込まれた会社の株を不屈の意思で持ち続けることができる人もそういないはずだ。

カルロス・スリムはそれをやった。だから、メキシコがようやく立ち直ったとき、底値で買った株を持っていたカルロス・スリムが、メキシコはおろか、世界でも有数の資産家になっていったのである。


株式は紙幣に勝り、優秀な企業は政府に勝る

投資家はここで「なるほど逆張りで金持ちになれるのか」と考えるのだろうが、一般人の教訓はそうではない。

国家を信用して貯金をしていても助からないが、適切な企業の株式を適切な価格で買って保持しておけば、短期の浮き沈みがあったとしても、最終的には助かるということだ。

カルロス・スリムは優秀な投資家だったので、「勝負」と「賭け」に出た。金持ちになるにはそういった大きな賭け、大きな勝負が必要になって来るのだろう。

しかし、一般人はそんなことをしなくてもいい。

ただ単に、優秀な会社の株式をそれなりの価格で保持しておけば、それだけで政府を信頼するよりも報われる。

株式は紙幣に勝り、優秀な企業は政府に勝る。それが、1982年におけるカルロス・スリムの教訓なのである。

政府が累積債務を積み上げているとき、政府は信用してはいけない。むしろ、全力で預貯金をどこかに逃さなければならない。どこに逃がすのか。

現物資産か、外貨か、株式か、不動産である。

たとえば、日本は今、1000兆円における前人未到の累積債務を積み上げていて、歳入よりも歳出のほうが多い国家運営になっている。

しかも国家運営している政治家は非常に質が悪く国益にかなう政治をしていない。

いつ破綻するのかは状況にもよるので誰にも分からないが、いつか破綻するのは分かっている。そういう状況だ。

そんなことは誰にも分かっているので、それで誰もが馬鹿な国家のとばっちりを受けたくないと考えるようになっているのである。

現物資産か、外貨か、株式か、不動産か。

1982年、カルロス・スリムは迷うことなく「株式」を選び、そして最終的にはそれが功を奏した。何もしないで「現金」「紙幣」を抱いていた一般人は破綻した。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20120121T2128000900


株式市場が下落しても、株式資産を持つ私が動揺しない理由 2014年10月16日


アメリカ、イギリス、ドイツ、日本と、世界の主要な株式市場がことごとく売られ、ちょっとした暴落に見舞われている。

投資家が、ドイツ経済の失速、エボラ出血熱の拡大懸念等を懸念して、リスクから逃れようとしている。

株価が上がるか下がるかは、それぞれの判断に任せればいいが、現在は「市場は動揺している」という言い方が相応しい状況になっている。

私のなけなしの資産はほとんどがアメリカの多国籍企業のものなので、株価が下落したら私の資産も道連れになる。では、私が株を売ったのかというと、実は1株も売っていない。売るどころか下がれば拾い上げている。

私は基本的に市場が大暴落して動揺している局面の時だけ、目当ての株式に食いつく個人投資家である。今回の局面は私にとってちょっとした買い場であって、売り場ではない。

20%下がろうが、30%下がろうが、私には関係ない。リーマン・ショックのような局面が来て、持ち株が50%以上下がっても何ら問題ない。


下落相場は、私にとっては願ったり叶ったりだ

私の持っている多国籍企業の株式は、基本的に国家よりも強靱な体力があり、私はそれを自分の余裕資金で買い上げているから、暴落の局面は買い上げる局面なのである。

20%暴落したら20%余計に、50%暴落したら50%余計に株式を増やせる。下落相場は私にとっては願ったり叶ったりであり、まさしく「望むところ」なのである。

私はギャンブラーではないが、必要な時にリスクを取ることに対しては臆病ではない。自分が想定している株式が、価値相応の値段になったと思えば、欲しいものを取りにいく。

ちなみに、アメリカ国家の衰退の話と、私の持っている多国籍企業の株式の価値の話は別の話であり、アメリカの衰退が私の経済活動に何らかの影響を及ぼすことは一切ない。

現在、オバマ政権はレームダックと化して、アメリカの外交的戦略と威信はボロボロになっているが、それも私の持っている多国籍企業の価値と何ら関係はない。

さらに、ドルが暴落して紙くずになるというヨタ話も、私は考慮することはない。アメリカが死ぬ前には、世界経済が道連れになる。

まさか、アメリカがひとりで誰にも迷惑をかけずに静かに死ぬとでも思うだろうか。

中国がアメリカに次いで資本主義を牽引するという話も、ありえない方向が強まってきている。

中国共産党率いる中国は、香港の民主主義ですら弾圧するような政治体制である。こんな国が次世代を率いる国家になると思う方がどうかしている。

中国の金持ちが率先して逃げ出しているような国家の未来を信じろという方が無理だ。

中国とアメリカが20年後はどちらが強い国家なのかを考えたら、当の中国人でさえアメリカを選ぶ。


資本主義社会を動かしているのは誰なのか?

本当に中国が次世代の国家になっているのであれば、アメリカ人はみんな中国国籍を取得しようと画策するだろう。

現実はどうか。

中国人が必死になってアメリカ国籍を取ろうとしている。あるいは、アメリカで子供を産んで、自分の子供にアメリカ国籍をプレゼントできるようにしている。

中国人も自国を信じていないのだから、私たちが中国を信じる理由はない。国際ジャーナリストだか、経済評論家だかが、中国を礼賛しても別に気にする必要はない。彼らの言っていることは、ほぼ雑音である。

結局、今の資本主義社会を動かしているのはアメリカであり、もっと正確に言うと、アメリカの株式市場に上場されている多国籍企業群である。

私たちはインテル製のチップが搭載されたコンピュータを使い、マイクロソフトのOSを使う。

アップル製のスマートフォンを使い、シスコのルーターを使ってグーグルの検索エンジンに依存する。そして、フェイスブックで友人たちと交友を楽しみ、オラクルのデータベースを仕事で使い、買い物はアマゾンでする。

コカコーラやペプシを飲み、マクドナルドやケンタッキー・フライドチキンを食べ、クラフトフーズのお菓子を食べ、スターバックスのコーヒーを飲んで一息つく。

ディズニーの映画を観て、フィリップモリスのタバコを吸い、バドワイザーで酔い、身体の調子が悪くなれば、ファイザーやメルクの製薬に頼る。

エクソンやシェブロンが売る石油を買って、戦争が始まったら、レイセオンやロッキードやボーイングから武器や戦闘機を調達する。

私たちは、もうすでに、アメリカの多国籍企業に「支配されている」のである。


アメリカの国民が貧困に転がり落ちている理由

そういった世の中の実態が見えてくると、アメリカ国家の威信が低下しようが、アメリカ国民が貧困に転がり落ちていこうが、多国籍企業に影響を与えるものではないということが分かってくる。

そもそも、アメリカの国民が貧困に転がり落ちているのは、多国籍企業が彼らを見捨てた結果である。

この現象は、多国籍企業が無慈悲なまでに機能しているという証明であることに気付かなければならない。

多国籍企業は、高賃金の労働者を捨ててもやっていける体制を手早く整えた。そして、合理性・効率性を追及して余計なコストを極限まで削減できる体制を整えた。

その結果、多国籍企業は未曾有の利益を上げるようになったが、逆に労働者は合理化・効率化のあおりを受けて、片っ端からリストラされるようにあったのだ。

機能していないはアメリカ国家の方であり、多国籍企業は逆に背筋が寒くなるほど効率的に機能している。

世界に君臨するアメリカの多国籍企業が弱体化したという兆しはまったくない。グローバル化も終わる兆しもない。つまり、株式市場の乱高下があったとしても、多国籍企業の存続に何ら影響を及ぼしていない。

ということは、これからも多国籍企業はその驚異的で極限まで研ぎ澄まされたマネージメントによってさらに利益を上げていき、成長していくということでもある。

そんな多国籍企業の株式を、なぜ私が売らなければならないのだろうか。私は売りたくない。それよりも、イメルダ夫人が3000足の靴を買い集めたように、多国籍企業の株式を買い集めたい。


労働者は苦境に落ちる。しかし、多国籍企業は巨大な利益を吸い上げる。
それが資本主義の背筋が寒くなるような現実だ。
http://www.bllackz.com/2014/10/blog-post_16.html


株式の暴落に目を奪われていると大きなところで判断を誤る

ダウ・ジョーンズの100年に渡る株式市場の値動き。数々の暴落で激しく揺れ動くチャートだが、凄まじい上昇にあるのが分かるはずだ。
https://4.bp.blogspot.com/-oN-T0gr5iHQ/VzQ_TB_m2YI/AAAAAAAA20E/kZ0WYHFYsow3CsuaH4uO86GO4uYHJf2agCLcB/s1600/img%2B-001.png


この世で最も馬鹿げた預言は「将来、株式市場が暴落する」というものである。

これが馬鹿げているのは、「将来、必ず天気が崩れて雨が降る」と言っているのと同じことを言っているからだ。

株式市場は上か下にしか行かないのだから、下に行くと言っていればいつか当たる。それは別に預言でも何でもなく、単なる経済現象である。

たとえば「将来、絶対に雨が降る」と預言している人がいたとする。その人の通り、いつか雨が降ったら、人は彼を「将来が予見できていた」と尊敬するだろうか。

いや、絶対にそんなことはない。「いつか雨が降る」というのは誰でも知っていることであって、実際に雨が降ってもそれは「当たり前」だ。当たり前のことを預言のように言っても馬鹿としか思われない。

だから、別に経済学者やアナリストが「将来、株式市場が暴落する」と言っても、そんなものをありがたく聞く必要はまったくない。

それは、「いつか雨が降る」と同じことを言っているようなものだから、実際に暴落が来ても「当たり前だ」と思わなければならない。


次々と起きていた株式大暴落。そして経済危機

今まで、私たちは多くの金融危機を記憶している。時にはどしゃぶりの雨が降るように、時には大きな株式暴落も来る。

1927年には昭和金融危機が来て、1929年には世界恐慌が来て、世界はめちゃくちゃになった。1946年を迎えるまで、株式市場は死んでいたようなものだった。

人類大戦争だった第二次世界大戦が終わった後からは順調だったのかというと、まったくそういうわけではない。

1953年にはスターリン・ショックで株式市場は大暴落して多くの投資家が破綻した。1963年にはケネディー大統領が暗殺されて、ケネディー・ショックがやってきた。

その後、ベトナム戦争が泥沼化して1971年にはニクソン・ショックがやってきて株式市場はまたもや大暴落を迎えた。

1970年代のアメリカは、ベトナム戦争の敗退で自暴自棄な空気が蔓延し、不景気にのめり込んで治安も乱れ、まったく先が見えない状態にあった。

当時の資料を読んでいると、「もうアメリカは死んだ」という意識を持っている人も多かったようだ。ベトナム戦争の敗北は、今の私たちには想像もできないほどアメリカの威信を傷つけていた。

1980年代に入って、やっとアメリカは厭世的な気分を脱して、新しい時代に入って行くが、そこに起きたのが1987年のブラック・マンデーだった。

1987年10月19日に起きたこの暴落は、史上最大規模の株式暴落だった。株式市場は一瞬にして22.6%の下落となり、投資家を阿鼻叫喚の地獄に陥れ、全世界にこの暴落が駆け抜けた。

暴落の理由は何もなかった。不意に、何の予告もなく突如として壮大な暴落となっていったのだ。誰も何が起きているのか分からないまま、地獄に突き落とされたのである。

その頃、日本はバブル景気に沸いていたのだが、その3年後の1990年からバブルは崩壊し、1991年の絶望的な長期下落の時代に入って、日本の時代は終わった。

バブル崩壊で傷ついた日本をさらに追い詰めたのは、1995年の阪神大震災だった。それを乗り越えると、今度は1997年の山一証券破綻と金融不安で、さらに暴落を余儀なくされた。


アジア通貨危機、ロシア債務不履行、ITバブル崩壊

山一証券が破綻し、北海道拓殖銀行も消え去って、日本の沈没が決定的になっていたその頃、世界ではとんでもない危機が起きていた。アジア通貨危機である。

これは1997年7月にタイを発端として起きた金融危機だ。東南アジアの成長を破壊し、国家破綻にすらつながる巨大な金融崩壊劇だった。

この金融ショックが元で、韓国も国家破綻寸前にまで追い込まれてIMFの救済を受ける羽目になり、インドネシアの長期独裁政権だったスハルト政権は音を立てて崩れ去っていった。

そして、その余波で1998年にはロシアがデフォルト(債務不履行)した。世界中で危機が連鎖していたが、それを乗り切ったのがアメリカだった。

アメリカはインターネットという新しいパラダイム・シフトを受けて投機資金が大量に株式市場になだれ込んでいて、まさに世界に君臨する帝国となって、この世の春を謳歌しているように見えた。

ところが、2000年に入ると株式市場は一気に崩れ去り、IT関連株はことごとく消え去って行った。後にこれはITバブル崩壊と呼ばれるようになった。

一度、転がり落ちると、悪いことはどんどん重なった。

2001年9月11日。いつもと同じ朝が始まろうとしているちょうどその時、2機の飛行機がニューヨークのワールド・トレード・センターに突っ込んでビルを崩落させるという前代未聞の大規模テロ事件が起きた。

これが、世界史のひとつの転換になった「アメリカ同時多発テロ事件」だった。ニューヨーク株式市場は1週間閉鎖されていたが、再開と当時に株式は暴落していった。

しかし、当時のFRB総裁であったグリーンスパンは巧みにその危機を収束させて、アメリカを新たな成長気運に乗せたが、それが不動産を核とするバブルの醸成だった。


超弩級の株式暴落だったリーマン・ショック

欧米の銀行は、本来は家を持つような収入にない人たちにどんどんカネを貸して家を持たせた。

彼らの組んだローンはサブプライム・ローンと言われたが、このローンは債権として売られて世界中の金融セクターが資産として抱えることになった。

2007年、低所得層が借金を返せなくなっていよいよバブル破裂の兆候を見せ始めたが、金融セクターはどんどんサブプライムローンの債権を吸収していた。

しかし、2008年に入ると不動産バブルは弾け始め、一気に逆流がやってきた。

人々は次々と破綻して金融セクターは不良債権の山となり、名門投資銀行であったベア・スターンズが3月に破綻、そして9月15日にはリーマン・ブラザーズが倒産して、株式市場は何度も何度も大暴落を繰り返した。

これが、リーマン・ショックだった。この株式崩壊は超弩級のショックだった。アメリカのみならず、世界中がリーマン・ショックで経済崩壊寸前となった。

ユーロ圏も大きな波をかぶっていた。2010年には、ユーロの弱国ギリシャが破綻寸前に陥り、ギリシャ・ショックが起きて、ヨーロッパの銀行は莫大な負債を抱えてユーロそのものを激震させた。

日本はすでに1990年代のバブル崩壊から立ち直ることができておらず、日本の銀行はリーマン・ショックの影響はそれほどかぶらなかった。

しかし、2011年3月、日本は国家崩壊につながりかねない巨大なショックを被ることになる。

それが東日本大震災だった。この震災は津波の規模が非常に大きく、一気に約2万人を死に追いやった未曾有の大災害だった。その被害をもっと悲惨にしたのは、福島第一原発の爆発とメルトダウンだった。

当時の民主党政権はまったく危機に対処できず、2012年にもなると日本は国家崩壊さえも視野に入るほど追い込まれてしまった。


驚くべきことに、依然として「上昇し続けている」

日本が立ち直ることができたのは、2012年12月に民主党政権が崩壊して、次に来た自民党の安部政権が強力に円安・株高に政策を誘導したからだ。

しかし、それで安定したわけではない。2014年後半からの原油安によって新興国の株式市場も軒並み崩壊し、2015年からは中国が株式バブルも吹き飛んだ。その結果、日本の株式市場も巻き込まれて再び下落に見舞われている。

こうやって金融危機の歴史を見ていると、まさに「いつも」金融危機が来ていることが見て取れるはずだ。株式市場はいつでも暴落してきた。

そして、これからも金融危機が来るのは「当たり前」であり何の不思議もない。金融危機は、いちいち誰かが警告しようがしまいが何らかの形で必ず来るものなのである。

株式暴落もバブル崩壊も自然の摂理である。季節が巡るように大暴落も巡って来る。別にそれは預言でも何でもない。いつか雨が降ると言っているのと同じことだ。

しかし、これだけ暴落が繰り返されたのに、世界の株式市場は驚くべきことに、依然として「上昇し続けている」現象にも気付かなければならない。

特に特筆すべきは現在の資本主義を支配しているアメリカ市場の成長は、すべての暴落を飲み込んで、今もまだ成長し続けていることだ。

幾多もの戦争や災害、幾多もの経済不況、幾多もの金融危機を経験してきた資本主義だが、それでもまだ「株式《至上》主義」は機能し続けている。

これが意味するところは、今後も資本主義が終わる方に賭けるよりも、むしろ資本主義の成長に賭けた方が合理的であるということでもある。

株式市場の暴落は間違いなく来るのだが、その後の成長もまた間違いなく来る。株式の暴落にばかり目を奪われていると、大きなところで判断を誤るということだ。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20160512T1741580900


優良株式が市場の暴落につられて下落したとき、あるいはほどほどの値段になったとき、その株式を大量に買って保持しておくというのは、すべての国の、すべての市場で有効な手段となる。

つまり、日本の株式市場でも、ヨーロッパの株式市場でも、タイや中国等の新興国の株式市場でも、中東の株式市場でも、まったく事情は変わらない。

「優良企業の株式を安く買って長く保持する」という原則は、別に特定の国だけに通用するニッチな法則ではない。すべての株式市場において、すべての時代に通用するものである。

メキシコの株式市場であっても、ロシアの株式市場であっても、それは機能する。

現に、メキシコの大富豪投資家であるカルロス・スリムは、メキシコがデフォルト(国家破綻)してメキシコ株式市場が史上最悪の「崩壊」を見せた1982年にメキシコの優良企業を全財産を使って買い占めて、数十年後、ビル・ゲイツを抜いて世界最大の資産家になっている。

その国がデフォルトしたときというのは、株式市場が最悪の局面に達する時なのだが、優良企業は国が潰れても生き残る確率の方が高いので、最悪の時が往々にして最上の投資機会となるのは歴史が証明している。


「悲観の時」が「投資に最も適した時」である

日本が史上最悪だった時と言えば、もちろん1945年の敗戦時だったのは間違いない。国土は灰燼と化し、産業は崩壊し、人々は傷つき、国家も破綻したのだ。

株式市場も混乱の中で停止したままであり、東京証券取引所が開始するのは1949年まで待つ必要があるほど、状況は悲惨だったのだ。

しかし、その後の日本は復興を目指して破竹の勢いで蘇っていくわけで、この最悪の時期の投資が最も最適な投資だったのは言うまでもない。

同じことは第二次世界大戦の敗戦国だったドイツにも言える。やはり国土が塵芥に化し、ナチス政権が崩壊して、何もかも無に帰したドイツでも、BMWやシーメンスのような企業はボロボロになりながらも生き残っていた。この時期が最上の投資機会だったのである。

もちろん、最悪の時に投資するのだから、投資は長期投資でなければ果実を得られない。いつ株価が上昇するのか、何のタイミングで景気が回復するのか、そんなことは誰にも分からないし、予測などまったくできないからだ。

しかし、一寸先をも見通せない最悪の状況の中にある「悲観の時」が「投資に最も適した時」だというのは誰もが認めるところである。

株式市場は、いつの時代でも何の前触れもなく暴落する。10年ごとに金融市場が崩壊しそうなほどの激震が来ると言っても過言ではない。

1950年代はスターリン・ショックがあった。1960年代はケネディー・ショックがあった。1970年代はニクソン・ショックがあった。1980年代はブラック・マンデーがあった。1990年代は日本のバブル崩壊やアジア通貨危機があった。2000年代はITバブル崩壊やリーマン・ショックがあった。

その度に「世界は終わった、アメリカは終わった、株式は終わった」とマスコミやジャーナリストが叫ぶのだが、実はその時が一番の「投資に最も適した時」だった。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20160306T1259310900


日本人の経済的困窮はバブル崩壊から始まっている。自殺者が3万人を超えるようになったのも、バブル崩壊以降だ。しかし、「貧困」が意識されるようになったのは、2000年を過ぎてからである。

最初は一部の若年層の苦境から始まったので、それは「格差」問題から始まった。

しかし、その格差がどんどん拡大していくと、「格差問題」ではなく「貧困問題」と言われるようになった。

高齢者は年金をもらって生活できるので勝ち組と思われたが、実は生活保護受給者のほとんどが老人世帯であるのを見ても分かる通り勝ち組ではなかった。

正社員が勝ち組だと思われた時代もあったが、リーマン・ショック以降はリストラされる中高年も増え、正社員が狙い撃ちで辞めさせられており、正社員でさえも勝ち組ではなかった。

衰退していく国の中で、日本人はトップの数%以外は、みんな貧困から逃れられない構造になっていたのである。

そこに、政府の累積債務問題が重なり、少子高齢化問題が重なり、2014年には増税が実施され、社会福祉の削減もじわじわと為されていくのだから、日本人の困窮化は、むしろこれからが本番であることが分かる。

企業は社員を切り捨てにかかる。政府は国民から収奪にかかる。福祉や行政は削減する方向に向かう。少子高齢化で活力が失われる方向に向かう。

そのような動きが複雑に絡み合って日本の国力は削がれていくわけだから、私たちはもう全員まとめて「生きるのが難しい時代」に放り込まれたのだ。

「日本がより悪くなる」というのは、現実化してしまった。


常に「引き上げ」の方向に圧力がかかるのは何か

2012年に悪夢のような民主党政権が終わって日本の完全崩壊は何とか止められた。

しかし、政権が変わっても、国の借金はゼロになるわけではなく、少子化問題が解決するわけでもなく、グローバル化が止まるわけでもない。

つまり、何とか完全崩壊を食い止めて踏みとどまることはできているのだが、復活には程遠い現状がある。それが、生活保護受給者の拡大や、実質賃金の減少となって現れている。

だからこそ、私たちが重要になっているのは、「劣悪になる環境の中で生き残ること」である。実質賃金が物価に追いつくのはいつも最後の最後なのである。

今までは真面目に生活しているだけで生きていけたが、資本主義においては賃金はコストに分類されるので、常に引き下げの方向に圧力がかかる。

だから、賃金に頼るというのは、「劣悪になる環境の中で生き残ること」にはならない。

では、資本主義の中で常に「引き上げ」の方向に圧力がかかるのは何か。それこそが株式である。企業経営者は企業価値を向上させることを求められ、それが株価上昇の圧力になる。

政治家は景気の上昇を求められるが、それが成功すると、真っ先に反応するのも株式市場である。逆に言えば、株式市場が上昇していくと、「景気が回復している」と時の政権は胸を張ることができるのだ。

だとすれば、劣悪になる環境の中で生き残るには、賃金で生活するにしろ、資本主義の王道である株式を保有しないというのはあり得ない。

2013年から株式が上昇しているが、上昇している、していないに関わらず株式は資産防衛のために持つべきなのである。

ちなみに、19カ月連続で実質賃金はマイナスになっているが、株式市場はどうだったのか。

2013年7月の日経平均株価は1万3668円だった。2015年2月の日経平均株価は1万8797円である。何と、36%以上も上がっている。

「物価上昇分を補って余りある」どころではない上昇だと思わないだろうか?

結局、グローバル資本主義が極まっていくというのは、株式上昇の圧力が苛烈なまでに激しくかかっていくということなのだから、優良株を保有していた人間が最後に生き残る。

資産家がより資産家になっていくのは、単純な原理だ。資本主義の象徴である株式を長期に渡って保有しているからである。

別に大金持ちになるという発想で株式を持たなくてもいい。「資本主義の中で生き残る」という発想で株式を持つべきなのである。


結局、グローバル資本主義が極まっていくというのは、株式上昇の圧力が苛烈なまでに激しくかかっていくということなのだから、優良株を保有していた人間が最後に生き残る。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20150304T1629350900


通貨や国債よりも、株式や社債の方が重要

ただ、私が全資産を株式に変えて、それから1株も売らないどころか、むしろ増やしていくつもりでいるのは、自民党や日本が復権したからというような意味合いではなかった。

まして、為替の動きさえも、実はどうでもよかった。

今回の経済動向の動きは私にとってユーフォリア(幸福感)を生み出す甘美なものだったが、今回の動き自体はまったくどうでもよくて、私が見ているのはさらにその先である。

グローバル化はさらに加速して、グローバル主義が全世界を掌握してしまうのは止めることができない。そうなると、いずれは現在の政府は力を大幅に失う。

なぜなら、世の中の動きはグローバル化なのに、政府はグローバル化に抵抗する存在だからである。

グローバル化と政府が戦ったら、グローバル化が勝利するに決まっている。累積債務でよたよたになっている政府が勝てるはずがないのである。

それは、今の世の中がひとつの国の意向だけで動くのではなく、G7やG20のようにブロック化していく動きになっているのを見ても予見できるはずだ。

政府は単なる「省」や「州」のようなものとなり、地球全体はグローバル主義の「何か」が支配することになるのだと考えている。TPPという危険なものも、日本を省か州にする動きのひとつであると解釈できる。

グローバル化が世界を覆い尽くす。そして、政府を超えてグローバルに根を張っている「何か」はすでに目の前にある。

それが多国籍企業である。

つまり、多国籍企業が、政府を超える存在になり、やがて政府をも凌駕する権力機関になる。

何らかの金融崩壊や金融ショックが起きるたびに、政府は力を喪失していく。そして、多国籍企業は、いずれ政府よりも力を持つ。まだまだ先の話だろうが、いずれはそのようにシフトしていく。

通貨や国債よりも、株式や社債の方が重要になるのだ。

そのような世の中になり、多国籍企業がより強大な力になっていくのであれば、通貨や国債よりも株式を持った方がいいと考えるのは自然の摂理だ。

私たちが今、一番安心できるのは政府に身を委ねるのではなく、多国籍企業に身を委ねることだ。

あなたも、どこかに一生就職するつもりでお気に入りの多国籍企業を見つけ、あたかも貯金でもするかのように株式を買い集めてみてはどうだろうか。

政府よりも、自分の寿命よりも長生きする企業はどこかにあるはずだ。
http://www.bllackz.com/2013/05/100.html?utm_source=BP_recent


私はドル資産で持っているアメリカの多国籍企業の株式を今後「10年以上」に渡って保有するつもりでいる。

何にしろ、弱肉強食の資本主義社会の中で最後まで生き残るのは国家ではなく多国籍企業である。そして、その多国籍企業の多くはアメリカ市場にいる。

イノベーションも、パワーも、時価総額も、すべてアメリカの株式市場が圧倒しているので、アメリカの多国籍企業に投資しない理由を見つける方が難しい。このスタンスは、まったく何も変わっていないし、今後も変わらない。

ドルが崩壊する? そうなったら、世界も一緒に崩壊していくのだから何をしても無駄だ。


イノベーションも、パワーも、時価総額も、すべてアメリカの株式市場が圧倒しているので、アメリカの多国籍企業に投資しない理由を見つける方が難しい。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20150318T1655500900


地獄を生き延びた超長寿企業30社は今後も充分に投資対象だ


新しくできた企業は、場合によっては大きく成長する可能性があるのだが、逆に資金が尽きて会社が死ぬ可能性もまた高い。時流に乗れば一瞬にして時代の寵児になるのだが、流れが変わると一瞬にして泡(あぶく)と化して弾ける。

2000年前後のITバブルの時に祭り上げられた企業は多くが弾け飛んだ。

その頃に最も注目を浴びていた「ヤフー」は生き延びて定着すると思われたが、17年経った今、米ヤフーは存続ができない状況にまで追い込まれている。

もちろん、新興企業の中から今後も数十年、いや数百年にも渡って生き残る企業も必ず生まれてくる。しかし、どの企業がそうなるのか誰にも分からない。

マイクロソフトがそうなるのか、アップルがそうなるのか、アマゾンがそうなるのか、誰にも予測がつかない。そうなるかもしれないし、ならないかもしれない。

こうした企業に「超長期」で投資して、配当を人為的に10%以上にしながら再投資して資産を膨らます手法を使うには少々、不安がある。

投機ならいいが、何も持たない人間がもがくための投資には向かないのである。では、どうすればいいのか。


この100年を生き残るのは並大抵のことではなかった

「今後もずっと長持ちする企業」を見つける良い方法がある。

「数十年どころか100年以上も長生きして、今もきちんと利益を出し続けている企業を探す」のが最も合理的かつ確率的な解答となる。

今まで100年以上も生き残って利益を出している企業というのは、その事業と経営が時代の荒波をくぐり抜ける体質になっているという確固とした証拠である。

単純に100年と言うが、この100年を生き残るというのは、実際には並大抵のことではなかったはずだ。なぜなら、アメリカだけでも、この100年は激動だったからだ。

考えてみて欲しい。この100年の間、世界大恐慌、第二次世界大戦、スターリン・ショック、キューバ危機、ケネディ暗殺、ベトナム戦争敗北、オイルショック、ニクション・ショック、ブラックマンデー……と、数限りない危機が直撃した。

その都度、アメリカのみならず、世界の資本主義が動揺し、企業収益は吹き飛び、先が読めない展開となり、多くの企業が崩壊していった。

世界大恐慌は1929年から1933年まで続いたと言われている。しかし、それ以後は経済成長期に入ったのかと言えばまったく違う。アメリカのみならず、全世界は1930年代は戦争の世紀であり、不況は長く執拗に続いて停滞していたのである。

10年以上、先のない陰鬱な経済停滞が続き、世界情勢の不安や戦争はいつ終わるのかも分からない暗黒の時代だった。100年以上も生き残ってきた企業は、そうした修羅場をくぐり抜けている。

さらにその後も、数々のショックを乗り切って、昨今ではリーマン・ショックの大暴落をもくぐり抜けて利益を出しているのである。その企業体力は並大抵のものではない。

寿命が凄まじく長いのに、今も利益を出し続けている企業は、今後も数十年生き残る確率が高い。

長期に渡って資金を預けるのであれば、わけの分からない新興企業より、地獄を生き延びてきた企業に金を預けるのは何の疑問もない。

当たりもしない評論家の下手な企業分析を聞くより、生き延びた企業の実績を見た方が100倍も確かだ。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/02/20170212T1947440900.html


9. 中川隆[-7736] koaQ7Jey 2017年5月07日 18:18:16 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

バブルで稼ぐ国債金融資本の手口

バカスカ金を貸し出して狂乱状態を作ってからバブルを破裂させる。
その後には膨大な焼け野原、不良債権の山だけが残る。
それを二束三文で奴らが買い叩く。


1929年10月24日、ニューヨーク・ウォール街では、世界大恐慌の引き金となって、株式大暴落が起こりました。そして、あれから60年後、今度は日本を叩き潰す為に、1990年2月、巨大な経済の逆回転が始まり、平成バブル経済が崩壊しました。

 平成バブルが崩壊するバブル・ピーク時、CIA(Central Intelligence Agency/アメリカ大統領直属の中央情報局)は、ベルリンの壁が崩壊し、東西冷戦後の次の敵は、日本だと考え始めていました。

事実、1989年秋から始まった、アメリカ系証券会社の株価動向は不気味な動きをし始めました。バブルと、その崩壊に携わったのは、ユダヤ系の金融機関であるソロモン・ブラザーズ(現在のソロモン・スミスバーニー)という証券会社でした。

 ソロモン・ブラザーズは資本主義の歴史に詳しく、また日本の昭和初期の経済にも精通していて、1989年11月、ニューヨークで「日経平均株価が大暴落したら大儲け」という『プット・ワラント』のデリバティブ商品を機関投資家や大口投資家に大量に売り始めたのでした。それ以来、ソロモン・ブラザーズが中心になって、債券、為替、株価のトリプル安が始まります。これがバブル崩壊の裏側に隠れたメカニズムだったのです。

 バブル崩壊のシナリオは、どのようにして仕組まれたのか、その筋書きを追ってみましましょう。

 バブル絶頂期は、1989年にそのピークを迎え、株価は天井でした。この時、多くの日本人は、株価の高騰(こうとう)並びに地下の高騰に、湧きに湧き、怕(こわ)いもの知らずで、日本の投機家達は今迄になく傲慢(ごうまん)になっていました。そしてこの頃、事実CIAは、アメリカの敵は日本であると考え始めていました。

 CIA経済部門のスペシャリスト達は、アメリカ系証券会社のソロモン・ブラザーズ(現在はソロモン・スミスバーニー)と手を組み、日本経済の崩壊作戦に向けて本格的に動き出しました。これが今日の不況を長引かせる要因を作ったのです。これが日本株式市場に於ける下落のシナリオ「バブル崩壊作戦」でした。


ソロモン・ブラザーズは、1989年当時の沸き立つような好景気も、60年前のアメリカ・ニューヨーク.ウォール街での大恐慌と同一のものであると、そのバブル崩壊を予測したのです。

 かつて、国際金融資本の総帥・ロスチャイルドの配下であったロックフェラーやデュポン(世界最大の化学メーカー)らは、この大恐慌を利用して天文学的な巨富を手にしていました。ソロモン・ブラザーズはこれに因(ちな)み、バブル崩壊を企てる研究に取りかかったのです。

 「どうしたら一儲けできるか」からはじまり、「どうしたら日本経済を徹底的に叩く事が出来るか」という結論を導き出し、日本経済崩壊に向けて模索し始めたのです。

 60年前のウォール街での「暗黒の木曜日」の立役者は、国際金融資本の総帥・ロスチャイルドの息の掛かる東部のエスタブリュシュメント達(ロックフェラーを筆頭に、デュポン、ケネディ、オナシス、アスター、バンディ、コリンズ、フリーマン、ラッセル、ファンダイン、リー・クアンシューの超大富豪十二家)でした。

 この者達は手持ち株を売り捲り、その結果、下落に下落を重ね、二束三文になった株式を買い叩いたのです。それで巨万の富を手にしたのですが、今日とは情況が違うことに気付きます。この難題に、しばらく苦慮しますが、ついに糸口を掴んだのです。

 その糸口とは、「何が株価を暴落させる要因になるか」と言うものでした。つまり株価が暴落する切っ掛けを作ればよいのです。そして、「下落によって、下がった株で大儲けできる商品を持っていればよい」ということに行き当たったのです。それが「デリバティブ」でした。

 デリバティブとは、金融派生商品(通貨・金利・債券・株式・株価指数などの金融商品を対象とした先物取引)のことで、「先物取引」という意味合いを持っています。

次の研究課題は「どうやったら大暴落を人工的に作り出し、然(しか)も、そのタイミングに合わせて、自分達の狙うポイントに、総てを集約することが出来るか」という研究に取りかかったのです。

 人工的に大暴落を作り出す場合、60年前の大恐慌では、アメリカの大富豪達による「大量売浴せ」という手法が使われました。

 大量売浴せとは、売方が買方の買数量より、多量の売物を出して買方を圧倒し、相場を押し下げようとすることで、「売り崩し」とも言われます。

 しかし、それでは巨額な資金が必要であり、当時と違って、それほど経済構造は単純なものではなくなっていました。研究に研究を重ねた結果、巧妙(こうみょう)な手口を考え出します。

 それは、「膨らんだ風船を、更に膨らませる手口」だったのです。

 風船は、空気を送り込んで膨らませれば、それだけ膨らみますが、その実体は「バブル」です。膨らむものは、いつか破裂して、大爆発を起こす物理的法則に制約されます。経済とて、この法則下に制約されているのです。彼等はこれに気付いたのでした。

 彼等はそのシナリオを、綿密なストーリーで組み立てました。徐々に膨らみを見せる風船に、意図的に、頃合いを見計らって、更に膨らませ、次に急激に膨らませるという巧妙なストーリーを演出したのです。風船は、今まで徐々に、周囲の状態に馴染みながら膨らんでいたのですが、これに急激な吹圧を掛け、パンパンの膨張状態を作っておいて、一挙に破裂させるという巧妙な演出を画策したのでした。

 彼等は、この原理を東京株式市場に応用して、バブル崩壊を目論んだのです。
 そして彼等は「デリバティブ」という、風船を一突きにする「針」を手に入れ、膨張し過ぎて破裂状態になったところで、一突きにする演出を手がけたのでした。

1989年当時、日本人エコノミスト達は「デリバティブ」という「先物」の実体を知りませんでした。経済や金融の専門家でも、この実体が何なのか、未だに分からず仕舞いでした。またこの事が、バブル崩壊の悲劇を大きくし、当時の日本経済界は全く無防備であったと言えます。


ソロモン・ブラザーズは裁定取引を使って、意図的に、無防備な日本経済に先制攻撃を仕掛けたのです。「梃子(てこ)の原理」(レバレッジ)を利用して、なるべく少ない資金で、効果的にバブル崩壊に導く人工爆発の状態を作り上げる研究をしたのです。次に、バブル崩壊に導く為に、彼等は日経平均の株価操作の研究に没頭しました。

 彼等は、この二つの研究から面白い現象に気付きます。それは日経平均株価(日本経済新聞社が、東京証券取引所一部上場の代表的な225銘柄について算出し、発表しているダウ式平均株価)が単純平均(相加平均のことで、算術平均ともいわれ、n個の数を加えた和をnで除して得る平均値のこと)で作られた「指数」から出来ている事と、もう一つはこれらの指数の分析から、品薄な銘柄を意図的に買うと、少ない資金で日経平均株価を持ち上げることができるという経済現象に気付いたのです。

 こうして研究の成果を、実行に移した時期が1989年の秋から冬に掛けての事でした。日経平均株価は瞬(またた)く間に膨らみ、バブルは天井へと向かっていました。

 その頃、日本の話題はベルリンの壁が崩壊し、東西冷戦構造が終焉(しゅうえん)を迎えれば、世界市場に進出できる等と、日本人経営者の多くが高を括(くく)っていた頃で、日本人の思い上がりの裏側では、こうした巧妙な仕掛けが、水面下で仕掛けられていたのです。

 大蔵官僚も、エコノミストも、この仕掛けには全く気付いていなかったのです。

ソロモン・ブラザーズの真の狙い

 当時の多くの日本人投資家は、「日経平均株価は10万円に到達する」と信じて疑わない人が多くいました。誰もが強気で、今こそ、この好景気に乗って、買いに転じる時機(とき)だと確信していたのです。その結果、バブルは急速な加速度をつけて、瞬く間に膨らみ始めました。

 この時、ソロモン・ブラザーズは信じられない事をニューヨーク・ウォール街で展開していました。

 1989年11月、彼等は「東京株式大暴落の図式」に則り、『プット・ワラント』という金融派生商品を売り始めていたのです。

 『プット・ワラント』とは、「日経平均株価が大暴落したら大儲け」という新商品であり、この商品をアメリカの大口機関投資家に大量売り込みを図っていたのです。また、これには大口投資家も飛びついたのです。

 彼等の新商品に対するキャッチ・フレーズは「年末から年始に掛けて、日本の株式は大暴落するから、60年前の《1929年10月24日の暗黒の木曜日》の時と同じくらいの大儲けが出来ますよ」でした。

1990年1月2日、ニューヨーク・ウォール街では、日本とは逆に、信じられない現象が起こっていました。突然、為替が円安へと向かったのです。この円安はソロモン・ブラザーズが『プット・ワラント』販売に因(ちな)み、債券や為替や株価の「トリプル安」を企てたものでした。

 そして1月が過ぎ、2月に入り、その月は既に中旬に入っていました。この頃、日経株価はジリ安でしたが、大暴落の兆しは現われていませんでした。

 日本人はまだ、この時にも何も気付いていなかったのです。そして日本経済が、瀕死(ひんし)の重傷に陥っている自覚症状すら、エコノミスト達は感じ取ることが出来なかったのです。

 当時の政治背景としては、自民党の政治家は2月中旬の衆議院選挙で大勝したことに祝杯を上げていた頃で、政界も財界も危機管理意識はなく、全く無防備でした。

 日本人は、まさに「ライオンに、餌を差し出す為に手を伸す呑気(のんき)な兎」でした。腕ごと食いちぎられるか、体ごと丸呑みされるかの、こうした危険すら感じる事もなく、呑気な行動をとっていたのです。

 日本人投資家が、株を買いに奔走している頃、アメリカの金融の裏側ではソロモン・ブラザーズの売り攻勢が激化を極め、これまでジリ安で状態であった株価は、一挙に大暴落へと転じました。バブル崩壊の引き金はこの時に引かれたのです。

ついに1990年2月末には、膨らむだけ膨らんだバブルは、日経平均15,000円台を大幅に割れ込みました。一挙に大暴落が起こったのです。

 ソロモン・ブラザーズの秘密兵器はデリバティブでした。

 デリバティブは説明の通り、現物と先物との価格差を狙った「サヤ取り」であり、「裁定取引」と「オプション」で、日本の株価は下落したら大儲けという派生商品です。この派生商品を、至る処に仕掛けておいて、株価を自由に操ったのです。バブル崩壊の大暴落は証券会社のみならず、大蔵省までを翻弄(ほんろう)の渦に巻き込んだのです。

 この巧妙な仕掛けでソロモン・ブラザーズは、僅か三年の研究とその実行で、一兆円にも昇る莫大な利益を手にしたのです。

 そしてこの後、日本では更に悲惨な状態が続くことになります。

 日経平均株価の大暴落は、株式市場の株価下落だけに止まらず、不動産の分野にも悪影響が及びます。この悪影響は、政府が不動産融資へのマネー供給を停止するという事から始まり、今まで高騰(こうとう)を見せていた大都市の不動産の資産価値が急速に下落したことでした。

 この現象は大都会だけに止まらず、地方にまで波及していきます。不動産の資産価値が下落するとは、それを担保にしていた金融機関の担保価値も大幅に減少したということになります。こうして不良債権の波及が表面化するのです。

 これに対して政府の後手政策は、次から次へと傷口を広げ、日本の資産とマネーの急速な収縮は、今日に見る不景気と連動し始めることになります。

 昇り詰めたものは、いずれ落ちる。これは物事の道理です。この道理に随(したが)い、ソロモン・ブラザーズは、次のプロセスへと準備にかかります。

ソロモン・ブラザーズの真の目的は、ただ単に、日経平均株価を下落させて大儲けすることだけではなかったのです。彼等の真の目的は、日本人の個人金融資産の1300兆円にも上る郵貯(郵便局で取り扱う国営の貯金事業で、元金・利子の支払いは国によって保証される)の食い潰しでした。日本のエコノミスト達は、この事すらも見抜けなかったのです。

 ソロモン・ブラザーズが研究の末に計画した事は、こうした下落が生じた時、政治家はもとより、財界人を始めとして、証券会社等が「これを何とかしろ」と、政府に詰め寄り、殺到することを計算に入れていたのでした。これこそ彼等の真の目的であり、ここに「日本発世界大恐慌」を画策した真の狙いが、ここにあったのです。
http://www.daitouryu.com/iyashi/shinizama/shinizama20.html

外国人投資家の正体と350兆円のゆくえ
1991年から輪郭が見え始めた日本の経済崩壊は、兜町を土台から大きく揺るがした。92年の4月からの暴落に続いて、7月にかけて東証第一部の平均株価が1万5000円台に突入し、ついに8月10日には一万4000台を記録した。いつまでも続く最安値の更新が、日本の国全体を震え上がらせた。そして外国人勢力による上場企業の買収・合弁へと、事態が急速に展開し始めた。

もはや投資家の損害どころか、日本経済が土台から崩壊しようとしていた。日本株式会社の中枢部が、が一句人投資家によって買い占められるところまで株価が急落し、安い株券が誰か特定の金融ファミリーに集中していたのである。果たしてこれらの暴落が、マーケットの自然な経済原理によってたまたま起こったものだったのか。

日本がこれまで利益を守ってこられたのは、国際金融マフィアが悔しがる『系列会社』の株の持合によるものだった。三井グループ、三菱グループ、住友グループ等はもちろんのこと、富士銀行〜安田財閥は丸紅と連携し、三和銀行〜日本生命〜東洋信託の三水会は日商岩井と連盟を組み、第一勧業は伊藤忠と、それぞれがチームで利権を守るように動いてきた。ところがこの相互持合い方式は、国際金融マフィアが、内部からトロイの木馬方式で侵入してくると、逆に一挙に乗っ取られ大変危ない構造であることがわかり始めた。つまり芋づる式にあっという間に買収されてしまうからである。

今までは株式会社日本独特の『株の系列持ち合い制度』があるため、外国人ブローカーはまるで歯が立たなかった。ところが金融マフィアが巧みに仕組んだ『バブル』という名の時限爆弾によって、兜町の上場株の内の四分の一近くを握っていた銀行業界が、不良債権の焦げつきで、これまで宝物だった手持ち株を大放出せざるを得ない羽目に陥ってしまったのだ。仕組まれた『バブル』の崩壊によって、株価・地価の暴落→銀行の不良債権の急増→融資不能→経済危機→更なる株価・地価の暴落という悪循環に陥った日本経済は、坂道を転げ落ちるように谷底へと転落していった。

その上さらに駄目押しをするかのごとく、国際金融マフィアによる残虐な圧力が日本の大手金融機関に加えられた。88年6月、スイスのバーゼルで開かれた“バーゼル・クラブ”こと国際決済銀行(BIS)の銀行規制会議において、今では知らない者がいない「銀行は、自分が持っている資本金の8%以上を貸し出してはいけない」と定められたのである。これは日本経済にとって、結果的に第2の時限爆弾となった。それほど国際金融マフィアにとって、70年代〜80年代に海外に大々的に進出し始めた日本の金融資本の力が、目の上のたんこぶだったわけなのだ。

この規制のよって、『バーセル・クラブ』の謀略通り、日本の銀行の手足を縛ることが可能となった。むやみに国民から預金を取れなくなった日本の銀行は、増資のよって自己資本を大きくし、この壁を何とか打ち破ろうとした。そして自己資本が運用されている不動産やノンバンク等の資金回収に必死になって走り回った。折から、地価の暴落が始まり、起こるべくして起こった不良債権に青ざめた銀行が貸し出しを渋るようになると、その融資に頼っていた経済界がガタガタになり、それに連鎖して兜町の株がみごとに下降線を描き始めた。

そして最後に、これを見越していたかのように、劇的な92年4月の『外国人投資家による銀行株の大放出』という第3の時限爆弾が、ついに仕掛けられたのだ。ソロモン・ブラザースやモルガン・スタンレーなどが一斉に投売りを始めて、まるで絨毯爆撃のような攻撃を日本の銀行に向かって開始したのだ。彼ら国際金融マフィアは、かなり以前からアメリカ・ヨーロッパ等の経済紙に、『日本のバブル』という言葉をすでに頻繁に紙面に載せていて、いつの日か近いうちに、このシャボン玉に針を刺されて経済崩壊が瞬く間に起こることを、すでに予告していたのだ。

では、このバブル崩壊で、兜町に出入りしていた外国人投資家は、いくら儲けたのか。92年の経済白書によると、株の暴落だけでほぼ350兆円が吹き飛んでいる。金融取引の世界はあくまでゼロサムの世界だから、その莫大な消えた金額とまったく同額のお金を、闇に隠れて誰かがまんまと手に入れたことになる。世界的な株価の変化に目をやってみると、不思議なことが起きている。

年初から8月までの株価の暴落率は、日本だけがダントツで、32・8%という急激な下げ幅を記録している。ロンドン、ニューヨーク、フランクフルト、パリ等はほとんど変化なしで、全体としてはわずかに上昇である。香港では、天安門事件後の反動で中国経済特区が急成長したために、逆に35・8%の急騰である。その中心にある香港上海銀行は、ロスチャイルド・ファミリーの創業した銀行である。

この時期世界の銀行界では、日本が断崖絶壁に立たされていたにもかかわらず、アメリカの巨大銀行が、チェース・マンハッタン、J・P・モルガンを筆頭に、その第二・四半期で恐ろしいほどの利益急上昇を達成したことを、UPI電が7月に伝えた。日本の証券会社が、全国210社合計で3600億円の経常赤字を記録したというのに、日本で活動している外国証券50社合計で、なんと前期の5・6倍という馬鹿げた収益を記録していた。

ちなみに外資系の1位がソロモン、2位がゴールドマン・サックス、3位がモルガン・スタンレー、4位がソシエテ・ジェネラルとなっている。ソロモンとゴールドマンは、すでに大和を抜いて、野村に次ぐ兜町の2位と3位に入っている。メリル・リンチのの純利益は53%増加と、前年と比べると過去最高を打ち立て、6月に入ってモルガンもまた東証株式の「売買高」の部門で兜町の3位に入り、四大証券のうち大和、日興を抜いてしまったのだ。

ここで彼ら外資系証券の開発した巧妙な手口のひとつ、裁定取引と呼ばれるまことに不思議な手口を挙げてみよう。裁定取引( arbitrage)とは、辞書で調べると『ピンハネ』と書いてある。売り買いをする商品には、目の前で取引する『現物』と、何ヶ月か先の取引を扱う『先物』がある。もし何ヶ月か先の株価を知っていれば、現物を先物とのあいだに出る差額(サヤ)をあらかじめ計算して、買いだめでも、売り逃げでも、コンピューターの操作だけで好きなように利益をあげられる。

今回最大の利益をあげたソロモンなどは、ずっと先の株価を知っているものと見え、このシステムでぼろ儲けしたのだ。日本の証券会社は、裁定取引に熱中すると証券取引所が混乱して自滅するという理由から、手控えてきた。しかし外資系にとって兜町の運命なんかどうでもいいのである。ウォール街の大スキャンダルとなったアメリカ国際不正入札事件の犯人、それが兜町を揺るがした同じソロモン・ブラザースである。 今まであえてはっきり書かなかったけれど、彼らは、何ヶ月先の株価を知っているわけはなく、未来の株価を、自作自演のインチキで上下させてきたのだ。つまり集団でつるんで物音ひとつ立てずに、一気に売る。理由は後で何とでもつけられる。チャートや実勢価格なんかまるで無視して、人工的に平然と株価を操作してきたのだ。はっきり言えばインサイダー取引であり、詐欺である。

このとき、チームで株価を完璧にコントロールできるだけの『巨大な資金』と『秘められた実行力』が戦略のキーワードとなる。そのチームを、日本の証券業界では「外国人投資家」と簡単に呼んで、なぜか曖昧なままの存在にしてきた。彼ら数百年の伝統を持つ金融業のプロに対して、あまりに幼稚な認識と言えないか。

日本人が初めて世界の金持ちの仲間入りをしたと言われながら、その実、投機のテクニックとして使われたのは、財テクと呼ばれる一般的な株券・政権の購入に過ぎなかった。要するに、知的な金融能力とはまったく無縁のものだったのだ。

そして今も、日本には本当の金融のプロは存在していない。
http://www.chibalab.com/news_otoshiana/documents/20031025.html

アメリカの日本叩き落とし戦略  

アメリカではFRB議長グリーンスパンの超低金利政策の結果住宅産業バブルが起こり、これが今日まで消費を支えてきたが、ここへ来て住宅バブルに「ローソクの最後の炎現象」が見えてきた。前述のようにアメリカには日本のような「潜在消費・投資力」の備蓄がないから解決策を他国に求めるしかなくなる。

そこでアメリカに狙われたのが日本、つまり竹中平蔵大臣である。

実は竹中平蔵氏は1980年から90年のJapan as No.1(「日本の世紀」と言われるほど日本経済が世界を制覇した)時代にハーバード大の客員研究員や准教授をしていた。日本の銀行が世界ランキング1位から10位を占める事態に危機感を抱いたアメリカはハーバード大等の叡智を結集して「日本叩き落とし戦略」を打ち出して見事に成功し、その結果日本の大不況はまだ続いている。竹中氏(当時、大蔵省財政金融研究所主任研究官)は日本の大蔵情報提供者として重要な働きをしたと考えられる。

だから現在のブッシュ政権の経済担当責任者とも親交が深い。異例とも言われた経済財政・金融担当の二つの経済ポストが竹中に与えられた時、グレン・ハバード米大統領経済諮問委員長は「竹中氏は申し分のない改革論者で、ブッシュ政権は竹中氏を全面的に支持している」との見解を発表すると同時に「不良債権処理と日銀の金融緩和の必要性」を強調した。

竹中大臣が10月に訪米した時、「大手銀行だからといって容赦しないぞ!」と言わんばかりの不見識な「大失言」(竹中ショック)のためニッケイは大暴落となり日本は時価総額で約50兆円の資産を失った。この時ハバード委員長をはじめ、バウチャー米国務省報道官、テーラー米財務次官らは必死になって竹中大臣をかばった。アメリカが日本に経済高官を送り込んでまでの竹中支援ぶりは異常。ここでまた経済の基本に戻るが、不良債権処理が日本経済の現況下では不要であることは再三解説したのでご理解いただいたと思う。

日本企業は現在リストラ中であり、総需要も資金需要もマイナスだから特に銀行機能を求める環境にない。こうした時、銀行の脆弱な財務体質を目の敵にするのは不自然である。しかも国会でもマスコミでも世を挙げて不況の結果である不良債権処理とデフレ対策に議論が集中し、不況の真の原因から目を避けている。異常ではないか。何故竹中大臣とアメリカはこの時期に不良債権処理と金融緩和を急ぐのか。

それはアメリカの国益の立場になって考えればすぐ分る。自ら打つ手がなくなったアメリカは日本の「打つ手」(現金備蓄)を奪うしか手が無いのである。竹中大臣はアメリカの国益の立場に立っているのである。不良債権で金融機関のパイプが詰まったままの状態で金融緩和をすると緩和された資金はアメリカに流れず、資金需要がない日本の資本市場で浮遊資金の増大となる。資金は当然土地と株にヘッジし、地価と株価を押し上げる結果となる。これこそ日本経済再生の道だが、アメリカにとっては許し難いこと。すなわち日本の土地と株が上がりだすとアメリカから資金が逃避し日本市場に向かうからである。

今アメリカは戦争と言う無駄な公共投資を前倒しで実行しているが(前述のごとく)潜在的財源が無い。どんなことをしても日本の「備蓄資金」をアメリカへ還流させなくてはならない。住宅バブルが弾けるのも時間の問題。

不良債権処理を急ぎ、日本の国民に痛みを与え、デフレをさらにスパイラル化し、大銀行や大企業を破綻に追い込んでまでもアメリカの国益の為に尽くす竹中平蔵。さらなる「詭弁」で小泉首相と国民を騙し続ける竹中大臣。まるで邪教の亡者のごとき竹中大臣の強烈な意志と情熱は、多分1980年代に洗脳された「日本叩き落とし精神」の具現だろう。今日本は「気違いに刃物」を与えてしまった。


竹中平蔵は、もともと日本からハーバード大学に留学していった。米国では世界各国から来るエリートを選び、その人物に、洗脳教育を施していると聞く。つまり、「国際金融資本に、すべて任せることがよい」という洗脳である。

○ 竹中の推し進めてきた政策を振り返るとあることに気づく。それは、すべて日本の企業を倒産させて、米国の企業に買い取らせるという結果になっている政策ばかりであり、しかも竹中はこれを「すばらしい」と表現している。

○ここでハーバードまで留学して、結局、「すべて国際金融資本に任せるべきだ」という思想を植えつけられているとする。

<竹中の破壊の歴史>
振り返ってみれば、日本は世界最強の銀行として、誇っていたのを台無しにしたのは自己資本比率規制の導入であった。これを導入することを熱心にやっていたのが竹中であり、金融ビッグバンも竹中の提案であり、不良債権処理も竹中路線であり、就任以来54もの金融機関を次から次へと倒産させてきたのは彼の政策のためである。

小泉内閣になってついに、竹中金融担当大臣が就任した。
周囲は、机上の空論の大臣だといって猛烈に反対していたが、小泉は、
「すぐれた頭脳で貢献していただく」といって任命した。
竹中はそれまでやっていた慶応大学教授からいきなり金融大臣となった。

それでは竹中がやってきた日本の金融政策を振り返ってみよう。

竹中が、日本に、自己資本比率規制を導入した。その結果、世界でも最強を誇って
いた日本の銀行は軒並み、貸し出しを減らし、貸し渋りを行うようになった。
そして不況になっていった。 それまでは世界のベスト10バンクに日本の銀行が
6行も入るすごい状態にいたのだった。

竹中がやってきた日本の金融政策を振り返ってみよう。

竹中が、日本に、自己資本比率規制を導入した。その結果、世界でも
最強を誇っていた日本の銀行は軒並み、貸し出しを減らし、貸し渋りを行うようになった。そして不況になっていった。 それまでは世界のベスト10バンクに日本の銀行が6行も入るすごい状態にいたのだった。

○竹中が時の橋本首相に「金融ビッグバンをやるべきです」と進言して、
それをやった。すると山一證券は自主廃業となり、メリルリンチ証券となり、
長期信 用銀行はf経営が傾き、一時国有化し、リップルウッドに買収された。東
邦生命は、買収されてGEキャピタル生命となり、日興證券は、 これも経営が傾き、外資に助けを求め、外資の傘下にはいった。
日興コーデイアル証券となった。
倒産は続出して、金融恐慌の一歩手前までいった。時の橋本政権は選挙で大負けした。日本経済にとって致命傷となった。

竹中金融大臣が、「不良債権処理をやるべきです」といい、それを強化すべ きだといった。すると、銀行は貸しだしを抑制するためさらに不況となる。不良債権
と認定された企業は次から次へと倒産していくため小泉政権の自殺者数や、倒産件数は歴代1位である。

この竹中金融担当大臣が就任している間、UFJ銀行は経営不安に陥り、54も
の金融機関が倒産した。足利銀行も倒産した。建設会社が倒産したときに、竹中
金融担当大臣は、とてもよろこんだ。 「これが構造改革の進展している証拠だ」

そして、竹中金融担当大臣は、4月1日からペイオフを唱えている。
ペイオフは世界各国でどこもやっていない政策である。ところが、竹中が「どこもやっている」とテレビでいうことで、このとんでもない破壊的な政策をやる流れ
になっている。

そしてこの数年間、日本を痛めつける政策をずっと立案してきた人物の竹中が郵政を解体してしまおうとしている。 というわけだ。
http://ime.nu/www.asyura2.com/0505/hasan41/msg/915.html




私達は洗脳されていました。不良債権の処理こそが構造改革だと。。。
彼等のやり口はこうでした。

一、株式は自己資本の半分以下にすること。

二、不良債権は二年で半減すること。不良債権処理に充てた資金には税金を課す ただし繰り延べ資産として7年間分認める


私達は国の命令で株式の売却を始めました。株の暴落が始まり長銀は国有化され長銀の株券は一夜で紙くずとなりました。数兆円の血税をつぎ込み身奇麗にした 長銀は瑕疵担保条項までつけて外資の手に渡りました。その後私達は恐ろしい光景を目にすることとなりました。

瑕疵担保条項によって死ななくても良い企業まで次々と息の根を止められて行きました。 その時つぶせばつぶすほど外資がもうかる条約だった事に私達は気づきました。

そんな時あの竹中が金融中枢に入ってきたのです。

そしていきなり繰り延べ資産は認めないと言い出したのです。税金は取っておきながら、です。人々はパニックに落ちました。株価は大暴落し、旧額面で80円を割り込んだ時、外資の増資申し入れを受け入れました。

四大メガバンクすべてが外資に自社株を叩き売ったとき、りそな銀行の国有化が決まり、長銀の時と同じく数兆円の国民の税金がつぎ込まれましたが、驚いたことに減資なし、株主責任は問わないという寛大な措置でした

あれほど株主責任を厳しく追及していた竹中 木○コンビの豹変でした。

その翌日から外資の数千億単位の株式購入が連日のように続きました。
日本の国富が外資の手に落ちて行くのを私達は茫然と見ているしかありませんでした・・・。

私達は竹中によって株式をもっと売り払えと指導されていたからです。

___


石原慎太郎都知事「小沢一郎の正体」を暴く youtube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=MERTrcik8CU


『1980年代から1990年代にアメリカは、日本に対しすさまじいばかりの金額の内需拡大要求をしています。その要求を丸呑みした小沢一郎は、元祖媚米派というべき存在です。  

アメリカは、80年代から90年代にかけては、アメリカ企業の需要拡大のために「内需拡大」を唱えていたものの、アメリカ企業の体たらくに匙を投げて、今度は日本企業そのものをアメリカ資本のものにしようという作戦に転じたのかもしれません。  

アメリカ大好きの自称保守は、80年代から90年代にかけてのアメリカの理不尽とも思える「内需拡大要求」についてはどう弁明するつもりでしょうか。 』


上のアメリカが小沢・金丸に八年間で四百三十兆円も公共事業に使わせた理由の推測は完全に間違っていますね。

真実は、純真な小沢信者さんが信じているより遥かに恐ろしかったのです:


現在(2005年後半時)の日本の株価はバブルではないか?

最近、株価が上昇してますが、日本経済に株価が上昇するようなファクターがあったっけかな?と不思議に思っていました。


GENDAI NETに気になる記述を見つけました


2005年11月30日 掲載


『改革はペテン 5年たったら元の木阿弥の小泉政治』
>1万5000円を突破する勢いの株価上昇の要因に、小泉政権の改革の成果と見る向きが多いが、それはペテンだ。

>日本企業の労働生産性も利益率も米国に比べれば圧倒的に低いのに、株価だけが上がっているのはバブルの再燃をたくらむ投機筋のしわざに過ぎない。

>それは世界中にだぶついているカネが日本になだれ込んできているだけで、小泉改革など全然関係ない。改革、改革と叫んでいるだけで、日本の構造も企業も何も変わらず、小泉政権が5年も続けば、元の木阿弥…。

なるほどそうかもしれない、と思いました。

今年1−10月の3市場の現物取引の売買シェアをみると、外国人投資家が46%、個人投資家が37%で、両者で8割超を占めます。主に年金勘定を表す信託銀行が9%のシェアで3位につけていますが、投信、銀行、生損保といった国内機関投資家のシェアは3%以下…。

'89年のバブルの時期と比べると、個人投資家のシェアが30.3%から37.0%に上昇しているのに対して、海外投資家の割合は、89年当時の11.3%から、今年10月にはなんと46.7%にまで上昇しています。

個人投資家が増えている、といのは最近よく話題になっています。その背景には、ネットで株式の取引を行う投資家の増加があるのは周知の事実でしょう(一日で何回も取引を繰り返して収益を狙う“デイトレーダー”と呼ばれる人たちが増えているようです。もちろんIT商取引のインフラや規制緩和などの背景にはアメリカの圧力があります98566)。

10月23日(日)の「がっちりマンデー!!」という民放番組を見ていると、ゲストに当時の竹中蔵相を招いて「竹中大臣の新日本経済入門U」みたいなのをやっていました(リンク)。

その番組中で竹中前蔵相は、「それを私の口から言ってしまうと問題がある」とは言いつつもニヤニヤしながら“これから投資の時代ですよ〜”、みたいなニュアンスを醸し出していました。民放とつるんで、朝からTV漬けの主婦など(竹中氏曰く“IQが低い”←リンク)の層を個人投資家として株式市場に参加させ、バブルを起こさせようというのが狙いか?と疑ってしまいます。それでも個人投資家のシェアは15年前から7%程伸びただけというのが実情。

注目はやはり、15年間で4倍にも跳ね上がって、いまやシェアの半分になろうとしている外国人投資家の方でしょう。日本の株式市場なのに、国内機関投資家のシェアがたったの3%以下(信託入れても12%)なのに、外国人投資家が46.7%もあるというのも、いかにも異常な感じがします。

国内機関投資家は、体力が無いのと前回のバブルでひどい目にあったので“羹に懲りて膾を吹く”みたいなことでシェアが少ないのかもしれませんが、個人投資家はしっかり37%のシェア。

もしかして彼らは、バブルを経験していない(orその当時ひどい目に遭わなかった?)新興の勢力なのかもしれません。

だとしたら、ゴールドマン・サックスにとっては、投資にそれほど慣れていない(でも、「もうからへんかいな〜」と甘い夢を見ている)連中は恰好の“カモ”に映っているのではないでしょうか(実際、投資経験の浅い学生や主婦がデイトレを始める中心層とよく聞きます)。

もしそうだとすると、いやな予感が脳裏をよぎります。

彼らの投資資金は、ゴールドマン・サックスに揺さぶりをかけられて丸ごと持っていかれる…というシナリオなのではないでしょうか。

1994年:メキシコをはじめとする中南米バブル、1997年:東南アジアバブル、1998年ロシア金融危機など、次々と各地でバブルを演出し、そのたびに自分達だけがっぽり儲けて、地元の経済や社会をボロボロに破壊し、そこに付けこんでIMFを介して世界各国の経済支配を強化してきた勢力(中川注 ロスチャイルドとジェイ・ロックフェラー)がいます。

今回は、小泉首相をはじめ官庁やマスコミまでがグルになって旗を振って、国民を道連れにバブルに突き進もうとしているかのように見えます。私達は、それらの勢力やエコノミストたちの戯言に惑わされて、前回のバブル崩壊や中南米・アジアと同じ轍を踏むようなことはあってはならないと思います。
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=101985

その昔、日本は国民総ででバブルに踊った時代がありますたね。バブルを起こして潰す。奴ら(中川注 ロックフェラーとロスチャイルドの事)の詐欺手口の最たるものですた。 バブルがはじけて今では失われた10年と言われていますが、今だに日本経済はその後遺症を引きずっています。自殺者はバブル崩壊から毎年3万人。今だにその数は変わっていません。

その手口を見れば分かるのですがいつもワンパターンです。

最初は甘い話でカモを釣る。こうやれば儲かりますよ。おいしい話でカモを誘います。
そしてころ合いを見計らって真っ逆さまに突き落とす。詐欺師の典型的なパターンです。

最初に奴らはバカスカ札束を刷って、バブルを引き起こす。銀行は貸して貸して貸しまくる。株に投資すれば儲かるよ。土地を買えば儲かるよ。そしてカモが罠にかかったころ合いで急に蛇口を閉める。貸し渋りをやるわけです。これをやられたら投資家はいきなり資金難に陥ります。そして、資金難に陥ったカモ達から担保として株、土地、あらゆる資産を奪い取るのです。昔からやっていることは同じです。

いい加減気付いたらどうかと思うのですが、今だに引っ掛かっている人がいます。

その当時の日銀総裁であった澄田智(すみださとし)と言う方をご存じでしょうか。日銀退官後は日本ユニセフ協会の会長などをやっていた方です。

澄田さんがバブル潰しの張本人と言われています。

プラザ合意以降、5%だった金利を2.5%に下げ、銀行は貸して貸して貸しまくった。その当時は、黙ってても銀行が頭を下げて貸しに来たという話は誰でも覚えているはずです。そういうジャブジャブ溢れた資金が株や不動産に流れ込んだ。借金しても金利は安いし土地や株を買えば値上がりするしで猛烈なバブルが起きたのですた。

そしてバブルが膨らみきったころ合いを図って、澄田さんはいきなり公定歩合を8%、長期金利は 10%まで引き揚げた。蛇口を閉めたのですた。借金すると金利が高い。値下がりリスクのある株や不動産よりも安全な銀行預金の方が良いということで投資家は一斉に株と不動産から資金を引き上げた。土地や株は一気に値下がり=バブル崩壊と言われています。

バカスカ金を貸し出して狂乱状態を作ってからブルを破裂させる。

その後には膨大な焼け野原、不良債権の山だけが残る。

それを二束三文で奴らが買い叩く。

昔からの手口。ばればれの三文シナリオだったのですた。

さて、それにしても、そのバブル潰しの張本人澄田さんはどのような経歴の持ち主だったのでしょうか。

澄田さんと言えばフランスに留学した留学組で、その後ベルギー大使館、フランス大使館の一等書記官からキャリアをスタートしたエリート官僚ですた。

そしてその後は、順調に大蔵省で出世して日銀総裁になっています。

澄田さんとフランス財界のつながりはお父様の代から囁かれていますた。

澄田智さんは、日銀総裁を辞めた後、ロスチャイルド フランスの旗艦、投資銀行ラザール・不レールに最高顧問として天下りしています。

ちっとはカモフラージュでもして隠せと思うのですが、親子二代に渡って奴らの充実な部下だったという、そのまんまの経歴の持ち主ですた。
http://goldentamatama.blog84.fc2.com/


さて、奴らは言います。

「我に通貨発行権を与えよ。そうすれば誰が法律を作ろうが関係ない」

日銀が奴らの出先機関だと書いたら反論がありますた。
日本銀行の株の55%は財務省が保有しているから日銀は日本政府の持ち物であって、奴らの手先とは言えないでしょうというご指摘ですた。

確かにまぁ法律上の話はそういう話になります。

しかし、いろいろと歴史を見れば、そんなものは単なるカモフラージュの理屈付けなのが分かると言うものです。

その昔、日本は国民総ででバブルに踊った時代がありますたね。
バブルを起こして潰す。奴らの詐欺手口の最たるものですた。
バブルがはじけて今では失われた10年と言われていますが、今だに日本経済はその後遺症を引きずっています。自殺者はバブル崩壊から毎年3万人。今だにその数は変わっていません。

その手口を見れば分かるのですがいつもワンパターンです。
最初は甘い話でカモを釣る。こうやれば儲かりますよ。おいしい話でカモを誘います。

そしてころ合いを見計らって真っ逆さまに突き落とす。詐欺師の典型的なパターンです。

最初に奴らはバカスカ札束を刷って、バブルを引き起こす。銀行は貸して貸して貸しまくる。株に投資すれば儲かるよ。土地を買えば儲かるよ。そしてカモが罠にかかったころ合いで急に蛇口を閉める。貸し渋りをやるわけです。

これをやられたら投資家はいきなり資金難に陥ります。そして、資金難に陥ったカモ達から担保として株、土地、あらゆる資産を奪い取るのです。昔からやっていることは同じです。

いい加減気付いたらどうかと思うのですが、今だに引っ掛かっている人がいます。

その当時の日銀総裁であった澄田智(すみださとし)と言う方をご存じでしょうか。日銀退官後は日本ユニセフ協会の会長などをやっていた方です。


澄田さんがバブル潰しの張本人と言われています。

プラザ合意以降、5%だった金利を2.5%に下げ、銀行は貸して貸して貸しまくった。その当時は、黙ってても銀行が頭を下げて貸しに来たという話は誰でも覚えているはずです。そういうジャブジャブ溢れた資金が株や不動産に流れ込んだ。借金しても金利は安いし土地や株を買えば値上がりするしで猛烈なバブルが起きたのですた。

そしてバブルが膨らみきったころ合いを図って、澄田さんはいきなり公定歩合を8%、長期金利は 10%まで引き揚げた。蛇口を閉めたのですた。借金すると金利が高い。値下がりリスクのある株や不動産よりも安全な銀行預金の方が良いということで投資家は一斉に株と不動産から資金を引き上げた。土地や株は一気に値下がり=バブル崩壊と言われています。

バカスカ金を貸し出して狂乱状態を作ってからブルを破裂させる。
その後には膨大な焼け野原、不良債権の山だけが残る。
それを二束三文で奴らが買い叩く。
昔からの手口。ばればれの三文シナリオだったのですた。


さて、それにしても、そのバブル潰しの張本人澄田さんはどのような経歴の持ち主だったのでしょうか。

澄田さんと言えばフランスに留学した留学組で、その後ベルギー大使館、フランス大使館の一等書記官からキャリアをスタートしたエリート官僚ですた。
そしてその後は、順調に大蔵省で出世して日銀総裁になっています。
澄田さんとフランス財界のつながりはお父様の代から囁かれていますた。

澄田さんのお父さんは何をやっていた人でしょうか。

澄田ライ四郎という方です。

第二次世界大戦中、満州の軍司令官ですた。
実はお父さん、ライ四郎さんの代から澄田さんはフランスとべったりな関係ですた。ライ四郎さんも元はフランス陸軍大学で学びんだフランス駐在武官だったのですた。その後、日本陸軍で出世して満州での軍司令官になったのですた。

『蟻の兵隊』という映画をご存じでしょうか。
http://www.arinoheitai.com/index.html

この映画は、満州で戦っていた大勢の日本兵が置き去りにされた悲劇を描いたものですた。日本兵を大勢、満州に置き去りにして一人ライ四郎は日本に逃げ帰った。残された日本兵の多くが死んだ。北斗の拳のケンシロウさんも真っ青の大量虐殺拳の使い手、それがライ四郎さんですた。

実はライ四郎さんは、戦争前からすでにフランスロス茶イルドキチガイ男爵さんの手下だったのですた。戦後は戦争犯罪人として裁かれると思いきやGHQは無罪放免。
満州の軍司令だった人間です。普通は絞首刑でしょう。

誰でも知っていることですが、日本はその当時、中国で麻薬を売っていますた。
その麻薬、アヘンの生産地は東南アジア地方のフランス領の国ベトナム、ラオス、カンボジア。
もちろんフランス領ですた。

フランス領、東南アジアでアヘンを栽培し、中国で売っていた。
麻薬の生産、管理していたのはフランスの軍産企業ドレフェ須、今は穀物商社としての方が有名でしょうか。ADM(アーチャド駄ニエルミッドランド)=ドレフェ須です。

もちろんカーギルとならぶロス茶イルドキチガイ男爵の巨大穀物商社です。
ドレフェ須から仕入れて、中国で売りさばく。
その利益たるや膨大なものですた。

何度も書いているのですが、戦争というのは兵器産業と、麻薬産業のヤラセ金儲け祭りです。

澄田ライ四郎は、ロス茶イルドキチガイ男爵の手下。
ドレフェ須社の社員。
日本兵なんて置き去りにしようがなんだろうが、会社に忠誠を誓っていたのですから、そんなものは関係なかったのですた。

そして、ライ四郎さんの息子も立派にロス茶イルドさんの命令を実行しバブルを弾けさせた。
焼け野原に残された大量の日本人は死んでいった。ロス茶イルドキチガイ男爵の忠実な部下なのだから、日本人が凍死家になって死んでいこうがなんだろうが関係ないのですた。
満州に日本兵を置き去りにして大量に凍死させたお父上と奇しくもやっていることは同じだったのですた。

息子の澄田智さんは、日銀総裁を辞めた後、ロス茶イルドフランスの旗艦、投資銀行ラザール・不レールに最高顧問として天下りしています。
ちっとはカモフラージュでもして隠せと思うのですが、親子二代に渡って奴らの充実な部下だったという、そのまんまの経歴の持ち主ですた。

誰でも調べれば分かることです。
この地球は、キチガイが支配している。
法律などあってないようなものなのです。
法律など誰が作ろうが関係ない。
http://goldentamatama.blog84.fc2.com/blog-date-20091012.html

2012年4月18日 (水)
バブルを叩きつぶした三重野康元日銀総裁が逝去されました。


三重野氏は平成の経済を叩き壊した人です。4万円近かった日経平均を何と1万5000円を割り込むところまで暴落させました。この人のせいで自殺に追い込まれた人もたくさんいたことでしょう。


訃報:三重野康さん88歳=元日銀総裁
毎日新聞 2012年04月18日 15時00分(最終更新 04月18日 15時53分)


 バブル経済退治のため、金融引き締めを果敢に進め「平成の鬼平」とも称された三重野康(みえの・やすし)元日銀総裁が15日、心不全のため死去した。88歳。


 バブル経済退治のため、金融引き締めを果敢に進め「平成の鬼平」と持ち上げられていますね。

 ちょっと長いですが、紺谷典子著/平成経済20年史から、この人がしたことがどんなことだったのかわかるところを抜粋転載します。


 米国の中央銀行総裁に当たるグリーンスパンFRB議長が、名議長と言われたのは、ソフト・ランディングに成功したからである。平成8年(1996)12月の「根拠なき熱狂」という彼の言葉は有名だ。「根拠なき熱狂で膨らんだ株価は、いつ破裂してもおかしくない」と発言し、加熱していた市場の鎮静化に成功した。膨らんだ風船から空気を抜いて、破裂のリスクを小さくしたのである。その間に、実体経済が追い付いて、風船の中身が埋まれば、さらにリスクは小さくなる。

 株価と地価のバブルは、それが継続している間は、大きな問題は生じない。価格の上昇が実体経済を改善し、それがまた価格を上げるという好循環を生じえる。

 バブルが問題なのは、それがやがて破裂し、すぐには回復できない大きな痛手を経済に与えるからである。株価や地価の下落は、消費や投資を冷え込ませ、実態を悪化させるだけでなく、将来不安を生む。不安が下落を呼び、それがさらに不安を高める悪循環に変わるのだ。

 悪循環を生じさせないためには、可能な限り迅速な手当てが必要だ。時間がたてばたつほど、加速度的に負の連鎖が広がるからである。早ければ早いほど、傷は小さく、後始末のコストも低くてすむ。

 バブル破裂後、日本でしばしば用いられたのが、「山高ければ谷深し」という相場の表現だ。日本経済が大きな傷を受けたのは、バブルが異常に大きかったので、落ち込みも深くなった、という意味である。

 しかし、そうではない。異常だったのはむしろ谷の方なのだ。谷があまりにも深くえぐられたので、それだけ山が高く見えただけなのである。

 バブル破裂後の深刻な経済悪化を、「バブルの報い」「大きすぎたバブルの当然の帰結」とする見方は、かなり一般的だ。しかし、大きな痛手は、そのままバブルの大きさの証明にはならない。政策次第で、谷の深さ、破裂の傷はいかようにも変わるからである。

 日本のバブル破裂の傷が、かくも深く大きくなったのは、ひとえに政策の失敗である。バブル破裂が明白になってからも、「正常化」だとして放置し、対策を取らなかっただけでなく、下落をさらに加速させる誤った政策を取ったからである。しかも、誤りは幾度も繰り返された。

 「山高ければ谷深し」との見方は、こうした政策当局の誤りを隠蔽し、その責任を国民に転嫁するものでしかない。

 日本の政策当局の、最も重大な問題は、意識的にバブルを破裂させたことである。ソフト・ランディングを図るべきバブルを、叩きつぶしたことである。日本経済が墜落したのは、政策当局が突然ガソリンを抜いたからである。

 株価と地価の暴落を謀った日銀の犯罪

 驚くべきことだが、三重野康日銀総裁は、「日本の株価と地価を半分に下落させる」と宣言し、実行した。株価と地価を暴落させれば何が起きるか、今や素人でも知っていよう。

 しかし、金融の専門家であるはずの日銀総裁が、それを理解していなかった。日本経済の安定を目指すべき金融政策の責任者が、株価と地価を意図的に暴落させ、日本経済を崩壊へと導いたのである。

 日銀の“最大”の失敗は、低金利を続け、バブルを生じさせたことではない。急激な金利上昇によって、意図的にバブルを破裂させたことである。破裂してからもなお金利を上げ続け、回復不能なまでに株価と地価を暴落させたのだ。単なる政策の遅れ、失策ではない。意図的、意識的な逆噴射だったのである。

 ルーブル合意後、2年以上にわたって続けてきた2・5%の政策金利を、日銀がようやく引き上げたのは、平成元年(1989)5月末のことだ。ちなみに、2・5%の金利は、当時、「超低金利」と言われていた。その後まさか超・超低金利である、ゼロ金利時代が来るとはだれも思わなかったであろう。

 日銀は10月、12月とさらに金利を上げ続けた。平成2年(1990)正月からの株価下落は、その効果の現れと思われた。ふつうの国のふつうの政策当局なら、その効果を見極めるところだが、日銀はそうはしなかった。

 3度の利上げにもかかわらず、年末まで株価が上昇し続けたことを日銀は苦々しく思っていたのかもしれない。としがあけ、ようやく下がり始めた株価は、日銀にとって、慎重に見守るべき対象ではなく、叩き潰すチャンスと見えたのだろう。

 株価がすでに2割近く下落していた平成2年(1990)3月、日銀は一気に1%という大幅な利上げを行い、8月にも0・75%の利上げを断行した。

 15か月という短い期間に2・5%から6%へ、金利は3・5%も引き上げられた。通常でも、これだけ急激な金利の引き上げは、市場の調整能力を上回る。まして、バブルは膨らみきった風船のようなものである。

 風が吹いただけでも破裂しかねない、パンパンに膨らんだ風船に、大鉈を振り下ろしたのである。風船は破裂し、空を切った鉈は、実体経済に深いひびを入れた。底割れになるのは時間の問題だった。三重野総裁の辞書に、ソフト・ランディングという言葉はなかったのだ。

 平成元年(1989)末、4万円近かった株価は、翌平成2年(1990)明けから、”順調に“下がり続け、3月の利上げで3万円を切った。3か月足らずで、4分の3を切ったわけである。しかし、まだ半分ではない。8月の利上げで追い打ちをかけ、2万円まで下落させるのに、“大成功”。株価はようやく半分になり、三重野総裁の目標は達成されたのである。

 50%の暴落にも、日銀は、一向にたじろがなかった。目標の達成をより確実にするためか、6%の政策金利は、平成3年に入っても引き下げられることはなかった。そのころには、地価や不動産価格の下落が明らかになっていたにもかかわらず、である。

 ようやく金利が引き下げられたのは、平成3年(1991)7月、株価の暴落が始まってから、すでに1年半が経過していた。しかし、時すでに遅く、利下げをしても株価下落は止まらなかった。

 平成4年(1992)8月、株価はついに1万5000円を割り、1万4309円という底値を記録した。なんと63%強の大暴落だった。繰り返すが、この暴落は、日銀によって意図的にもたらされたものである。世界史に残る暴挙、狂気の沙汰というべきだろう。

 しかし、誤っていたのは日銀だけではない。日銀の暴走をとがめる声は、大きくならなかった。バブル破裂後、日本政府がようやく景気対策を打ち出したのは、株価が1万4000円まで下がってからである。

株価暴落を「正常化」とする非常識

 ちなみに、平成20年、サブプライム・ローン問題が深刻化し、欧米の金融当局は対策に追われたが、最初に緊急対策に動いた時の、米国株価の暴落は10数%であった。

 欧米の当局は、日本の失敗に学んだからだ、との解説をよく聞いたが、必ずしも正しくない。昭和62年のブラックマンデーへの対応を見ただけでも、欧米の政策当局が、如何に株価暴落を敏感に、深刻に受け止めているかが分かる。

 当時はまだ信任だったグリーンスパンFRB議長が市場の信頼を獲得したのは、ブラックマンデーにおける、機敏な対応によってだとされている。

 三重野総裁とて、日本経済を破壊したかったわけではあるまい(そう思いたい)。バブル破裂を「正常化」としか思わず、それが、いかに経済を痛めるか、想像さえしなかった、日銀総裁の任にふさわしい識見と能力を持たない素人だった、ただそれだけのことである。

 それにしても「殿のご乱心」を阻止するものが、日銀内部にいなかったのだろうか。当時、日銀内部で、相対立する大激論があったという話は全く伝わっていない。専門家集団とされる日銀が三重野総裁と同じ考えであったとすれば、恐ろしい話だ。金融のコントロールタワーである日銀が、経済の素人集団ということになるからである。

 もし、当時の日銀が、バブルつぶしに走らず、ソフト・ランディングを目指していれば、「谷」は深くならず、その後の長い経済低迷も、金融危機も生じなかったに違いない。

 しかし、その三重野総裁を「平成の鬼平」ともてはやす評論家、マスコミがいた。鬼平は、TVドラマにもなった人気小説の主人公で、火つけ盗賊改めの役人だ。三重野総裁をバブルの火消しになぞらえたわけである。

 さらには、その後、三重野総裁が「世界のベストバンカー賞」を授与されたことも書いておくべきだろう。バブルを鎮静した公労を称えての受賞と報じられたが、その後の日本の状況を知った世界は、その評価を変えていよう。

 いや、もしかしたら、「あの生意気な日本をよくぞ叩き潰してくれたね、よくやった!!」賞であったのかもしれないが・・・・・。

 このバブル崩壊で、ソロモンブラザーズが大儲けをしましたね。ソロモン・ブラザース証券に莫大に儲けさせた三重野総裁へのご褒美が「世界のベストバンカー賞」だったのではないでしょうか。


 三重野氏のプロフィール(ウィキペディア)
東京大学法学部政治学科を卒業後、1947年10月に日本銀行入行。採用試験場では、当時の採用部長(のち総裁)であった佐々木直が助け舟を出してくれた。松本支店長、総務部長、営業局長、理事を経て、1984年12月に澄田智総裁の下で副総裁に就任。澄田が元大蔵省事務次官で、天下り組ということもあって、この頃から日銀プロパーの三重野が、同行の実質的な最高実力者として長らく同行の金融政策決定に絶大な影響力を揮うことになった。


 澄田智氏は日銀総裁を退任した後、仏投資銀行ラザール・フレール顧問に就任です。この投資銀行のために働いた売国奴だったと推測されます。この人の後を継いで総裁になったのが三重野氏。三重野氏はソロモン・ブラザーズのために働いた人なのでしょう。ソロモンへ天下ってませんが、あまりに露骨過ぎて出来なかったのではないかと思いますが。

 それから、バブルを崩壊させたのは日銀だけではありませんでした。総量規制を行った大蔵省もでした。株価のバブル破裂後の平成2年4月、大蔵省は、金利上昇と株価下落で、十分地価は抑制されていたのに、さまざまな地価抑制策を実行しました。

 ちょうど今、日銀が円を刷らずむしろ減らしてデフレ円高経済にして、財務省が海外支援三昧と消費税増税を図っているという、日銀と財務省が手に手を取って日本国民からお金を吸い取って、大企業に集約し外資様へご奉仕しようとしていることとかぶりますね。これも日本人を殺しての外資様にご奉仕で、過去からずーっと続けられていることのようですね。
http://fujifujinovember.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-8ccc.html

日銀の白川総裁は、戦後初、日銀の個人筆頭出資者であるロスチャイルド財閥がつくった国際決済銀行(BIS)理事会の副理事長になりました。 BIS理事会の副理事長のポストは、そのために与えられたに違いありません。

このままデフレ政策を続けることを許したら、「ゆうちょ銀行」は160兆円の赤字国債という不良債権を抱え、年金の運用は破綻し、それどころか日本政府そのものが日銀のものになってしまうかも知れないのです。 確実なことは、
「日銀は日本のために創られたのではなく、世界支配層のために創られた」
ということです。
http://www.asyura2.com/12/hasan78/msg/695.html


日本の金融業界に「核爆弾」を落とし、山一を倒産させ、金融業界のGHQとして日本上陸を行って来たロスチャイルドのゴールドマンサックスに、顧問として就任したのが、前日銀総裁の福井俊彦だった事をご存知でしょうか。

侵略者の「水先案内人」が、日銀総裁になるような日本の国に未来はあるのでしょうか。

超高金利で日本のバブルを崩壊させ、15年以上に渡る大不況を作り出した、元日銀総裁・澄田智は、フランス政府と、ロスチャイルドから全額資金を与えられ、フランスのスパイ養成大学を卒業していたと言われています。

澄田は日銀総裁退任後、「日本を大不況に追い込んだ功績をタタエラレ」、ロスチャイルドの銀行の特別顧問に「天下り」しているんです。

そして前日銀総裁・福井は、2005年、フランスの「国益に貢献した人物に与えられる」レジオン・ドヌール勲章を受けました。

もちろん、日本からは国民栄誉賞も、勲何等も受けていない。

倒産したリーマン・ブラザース、さらにはゴールドマンサックスのような投資銀行の時代は、間もなく終わるでしょう。

長距離ミサイルにより敵陣の軍事的要地を叩いた後には、膨大な数の艦隊が近海に駐留し、艦砲射撃を開始する。その後、上陸作戦が展開されるというのが、戦いの定石です。

投資銀行という長距離ミサイルの攻撃が終わった今、次の軍事行動が準備され始めていると考えるべきでしょう。

かつて福井がゴールドマンサックスの「社員」であった当時、福井の執務室には、年中、ヘンリー・キッシンジャーが出入りしていたらしい。
http://cosmo-world.seesaa.net/article/117981152.html

見えざる政府の世界支配アジェンダとは?
一連の騒動を陰謀的に総括 2016.05.18.


■ある外資の錬金術

 話は十年ほど前に遡る。当時、私はある調査の過程で、不動産企業の関係者と話す機会を得た。その企業は業界の人間なら誰もが知っている有名な会社で、バブル時代には銀座や赤坂といった都内各地の一等地に自社ビルを所有していた。しかし、バブル経済の崩壊で業績が悪化し、90年代の後半に、いわゆる「ハゲタカファンド」への資産売却を余儀なくされた。

 新たにオーナーとなった外国人経営者は何をしたか?

 真っ先に取り組んだのが徹底したビルの改装だった。ITに対応した最新の設備を導入し、内部の水回り設備も一新する。外観もピカピカにして、新築にしか見えないようにした。すると、景気の回復と共にビルの資産価値がどんどん上昇していった。そして十年もしないうちに、それらのビルを日本の財閥系不動産会社に一斉に売却した。その際、彼らが得たリターンはなんと投資額の倍だったという。ゆうに1千億円以上を投資したというから、儲けの大きさが分かる。

 その場の話は結局、「さすが外資はやり手だ」という、ありきたりな結末だった。実はこの手の話は当時、首都圏や阪神圏では、あちこちに転がっていたのである。

 さて、後日、私がそのファンドを調べたところによると、ロックフェラー・グループの著名な米投資銀行の資金で動いていた。その投資銀行は、実は日本のバブル景気の際、株式市場を「猛烈に上げて落す」操作をやった疑いが持たれていた。80年代後半に日本市場に新規参入した彼らは、日経平均株価がピークに達した頃合を見計らって空前の空売りを仕掛け、何兆、何十兆円ともいうサヤを日本市場から掠め取ったと囁かれている。

 要するに、彼らは、その時に儲けた金を元手にして、今度は日本の不動産市場が底を打つのを待って、将来リターンが望めそうな物件を買い漁ったのだ。事実、景気がある程度回復してきたところで一斉に売却し、再び大儲けに成功した、というわけだ。

 他人の金を元手にして他人の資産を手に入れる――そういえば幕末の頃にも、こういう錬金術のような手法で、わが国は大量の金(きん)を掠め取られた苦い経験があった。

■中曽根政権とバブル経済の真実

 この件に関してさらに調査を進めていった私は、結局、「中曽根政権とは何だったのか」、また「バブル経済とは何だったのか」という疑問に行き当たった。
 
 記事の趣旨とは異なるので、あくまで要点のみだが、当時の日本は貿易不均衡でバッシングされ、代わりに金融市場開放の要求を次々と飲まされていた。

 たとえば、84年には外資の日本市場への参入や先物・オフショア市場の創設が決まり、85年にはいわゆる「プラザ合意」で「金融・資本市場の自由化」を公約させられた。先進国蔵相らによる事実上の円高容認と受け取られ、当時1ドル240円のレートが数年後には120円にまで進んだ。日本が貿易黒字を通して溜め込んだドル資産は急速に蒸発し、逆に米国側の債務は大幅に縮小した。

ちなみに、この時に(事前に情報を得て?)猛烈な円買いドル売りで莫大な富を手にしたのがジョージ・ソロスだった。86年には米企業が東京証券取引所の会員になり、以後、外資が続々と日本の金融市場に参入した。そして87年、大蔵省が日本電信電話会社の株式を売りに出した。これでバブルが一挙に加熱した。


 これらの一連の施策はすべて中曽根政権時代に行われた。今だから言えることだが、振り返ってみると、ひとつのシナリオというか、明確な意志が浮き彫りになってくる。

 そして、あの「バブル崩壊」がやって来た。のちに、その時に失われた金融・不動産資産額は「約1500兆円」という新聞記事を目にしたことがある。その内の何割かは外資にもっていかれたのではないか。

 そして、まるで日本と入れ替わるように、90年代半ばから今度はアメリカ経済が史上空前の好景気に沸き立った。その要因として挙げられるのは、常に80年代のレーガノミックスの効果、冷戦の勝利、IT産業の勃興などだが、日本からの大規模な所得移転という面が意図的に黙殺されているのではないだろうか。

 グローバル・ユダヤの内部告発者であるポール・ゴールドスタインとジェフリー・スタインバーグは次のように記している
(以下『ユダヤの告白』エノク出版)。

「ワスプの同調者と一緒になったユダヤ系投資銀行グループは、すでにカーター政権時代から当時のロバート・シュトラウス米通商代表主導の下で、日本叩き計画を立てていた。レーガン政権がスタートするころには、この作戦に着手する準備は整っていたのである。(略)ユダヤ系投資銀行を中心としたグループは、それまではアメリカから資金を巻き上げてきた。しかしアメリカの債務国への転落を機会にその目を日本に向け始めたのである」

 ちなみに、この二人は、ロックフェラーは「隠れユダヤ」という見解を示している。

 ……というわけで、つまり、バブル経済とその崩壊は偶然の産物ではなく、80年代に入る少し前から計画されていた、ということだ。

 すると、中曽根政権が経済政策の目玉とした「規制緩和・民営化」とは何だったのかという疑問が起こる。穿った見方をすれば、本当は因果関係が逆で、最初に“収穫祭”をやるという目的があって、そのために総理大臣として選ばれたのが中曽根康弘氏だったのかもしれない。

「彼ら」としては、田中角栄が“本部”に反抗したため、戦後の“フランチャイズ店”を“直営店”へと改めねばならなかった事情もあるだろう。田中氏と中曽根氏の間の内閣は、過渡期の暫定政権に過ぎなかったわけだ。これ以上は本稿の趣旨から外れるので、「1953年 サマーセミナー」とだけ記しておこう。

■彼らは過去に何度も「収穫祭」を繰り返してきた!


 しかも、この勇気ある内部告発は「米政府・米国家が陰謀の主体である」とする見方に修正を強いるものだ。それはあるレベルまでは事実だが、最深部次元では、アメリカもまた金融勢力にずっと寄生され、搾取され続けてきたということらしい。

 事実、さらに調べていくと、「彼ら」はこのような行為を過去に何度も繰り返していたことが分かった。

だいたい日本のバブル崩壊前の、87年の「ブラックマンデー」の株価暴落の際にも、なぜか直前に売りに転じて、ぼろ儲けしていたのである。

1907年と1929年の時もそうだった。

なぜか彼らは常に暴落の直前に売り抜けることができる――売り建てが可能になってからはむろん空売りも――らしいのである。

1929年の「収穫祭」については、私の探していた情報をたまたま広瀬隆氏が的確にまとめていたので、その著作

『東京が壊滅する日』(ダイヤモンド社)
http://www.amazon.co.jp/東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命-広瀬-隆/dp/4478066760?SubscriptionId=AKIAIVZOEOBUIKZXXUSQ&tag=asyuracom-22&linkCode=xm2&camp=2025&creative=165953&creativeASIN=4478066760


P179〜180から引用させていただこう。

(以下引用)

 実は、アメリカの全産業は、石油を独占したロックフェラー財閥(スタンダード石油)と、鉄道と鉄鋼を支配したモルガン財閥(モルガン商会)が、一九二九年のウォール街“暗黒の木曜日”の株価大暴落によって起こった大恐慌後に、ほとんどの大企業を支配してしまったのである。(略)ロックフェラー財閥とモルガン財閥の企業だけは、不況のなかで倒産する企業を次から次へと買い占めて、ますます巨大化していたのである。

 モルガン財閥の場合、支配した当時の資産1億ドル前後という超大企業だけを拾いあげても、14の銀行、4つの生命保険会社、7つの鉄道会社、8つの電気・電話・ガスなどの公益事業、12の自動車・鉄鋼などの工業メーカーが数えられた。(略)さらにランクを落として大企業クラスで数えると、都合444社がモルガンの支配下に置かれてしまった。

 一方、“スタンダード石油銀行”と呼ばれたナショナル・シティー銀行とチェース・ナショナル銀行をはじめとして、ロックフェラー財閥も巨大な独占を成し遂げ、287社を支配してしまった。これを大恐慌後の会社合計の資産額で示すと、(略)このわずか二家族の支配した資産総額が1225億ドルに達していたことだ。

一九三〇年のアメリカ国家予算(歳入額)が40億ドルの時代に、その30倍を二大財閥が支配したのである。現代に換算するなら、69兆ドル、8000兆円規模になろうか。史上空前の独占だったこの数字は、「アメリカの大企業上位200社を並べたとき、資産総額の65%をモルガンとロックフェラーで支配した」ということを意味する。実に65%の独占である。
(以上引用終わり)


 前回にも触れたが、彼らがユニクロの柳井正氏よりもはるかに貧乏であるとする「フォーブス」誌の統計などまったくナンセンスで、明らかなプロパガンダといえよう。

 この金融グローバル集団は、1907年、金融恐慌を引き起こし、全米の5千以上もの銀行を潰して自分たちの大銀行へと統廃合した後、1913年にはその金融恐慌の「教訓」という名目で「FRB」を設立し、事実上の中央銀行に収まった。

そして上記のように、1929年の世界恐慌の際には数百もの大企業の株を底値で手に入れ、米経済の7割近くを掌握したというわけだ。

ちなみに、この恐慌を通して同様に莫大な資産を築き上げたバーナード・バルーク、ジョセフ・ケネディ、プレスコット・ブッシュなども、みんな彼らの仲間か手下だった。「最大受益者=真犯人」の法則からすると、そもそも恐慌は、通貨政策やメディアを使った投機熱の扇動などで、彼らが引き起こしたと考えるのが妥当ではないか。

■収穫祭の原点はナポレオン戦争の成功体験だった

 そして、こういう連中が、戦後半世紀を目安にして、「日本はずいぶんと富を溜め込んだようだから、一丁“収穫祭”をやったるか」と考えて仕掛けてきたのが、あのバブル経済とその崩壊だったというのが私の推理である。

彼らの我々に対する接し方は、ちょうど家畜に対するそれと同じだ。できるだけ多くの肉を取るためには、その前にできるだけ家畜を太らせたほうがいい。家畜のほうは殺される直前まで、牧場主のことを「いつもニコニコしてたくさん餌をくれる優しいおじさん」だと信じ切っている。

 彼らが好んでやるこのような手法の原点は、ナポレオン時代にまで遡るようだ。宮廷ユダヤ人としてはむしろ後発組だったロスチャイルド家が大財閥に躍進する契機となったのが、よく知られるように1815年のワーテルローの戦い時における英国債の売買だ。すでに欧州に五家を構えるロスチャイルドは独自の高速通信網を持つことで有名だったので、投資家たちは二代目ネイサンの動向に注目した。

だから、彼の「売り」を見て、ナポレオンが勝ったと思い込んだ人々は売りに殺到した。こうして、債権市場をいったん暴落させたところで、ネイサンは英国債の買占めに掛かった。ロンドンの取引所に英蘭軍勝利の報が届いたのは翌日だったという。当然、英国債は一転暴騰した。

かくしてロスチャイルド家は英国政府に対する最大の債権者に上り詰めたのだ(*余談だが、同家が世界支配層の本体という見方はよくある間違いで、実際には主要構成員である)。


 彼らはこの時に、債権を暴落させて買占めれば、通常の経済活動では考えられない水準の儲けと共に経済の主導権・支配権すら手に入るという事実に気づいたのだ。そして以後、同様の事を何度も繰り返すようになる。私たちはこのロスチャイルド伝説を“昔話”と決めて掛っている。まさか日本のバブル崩壊が「あれ」だったとは思いもよらない。

 

世界支配層にとって世界恐慌とは「収穫祭」であり、その“仕込み”として「パナマ文書」などの工作が仕掛けられているのだ、と。


■次の世界恐慌でグローバル勢力の経済支配体制が完了する!

 しかも、恐ろしいことに、今度が最大にして最後の「大収穫祭」になる予感がひしひしとする。というのも、本当は世界最古の組織である彼らの「見えざる政府」は、まだ完全には全世界を掌握していない。私の主観では、彼らの世界経済における支配率は未だに6〜7割のはずだ。

だから、「第一次世界恐慌」は欧米が対象だったが、今度の「第二次」は全世界が対象になる。グローバル経済を推し進めて世界経済の一体化を図ってきたのもそのためだ。そして、今度の「大収穫際」で支配率をMAXへと持っていく予定だ。つまり、次のイベントで狩り尽くしてしまうので、彼ら的には以後は資本主義すら不要だ。

 しかも、その時期が切迫している。リーマンショックとサブプライムローン問題以降、世界は明らかに過去の1907年から1929年のプロセスをなぞっている。ただし、当時は約20年かけたが、今回はどうも10年くらいでやってしまう計画のようだ。つまり、「大収穫祭」は2020年までに引き起こされると見ていいのではないか。はっきり言えば、主に狙われているのはアップルやトヨタのような企業であり、フレーム内富裕層である。

 もっとも、今の不安定な経済情勢下で関東大震災や南海トラフ地震、米西海岸地震などが発生すれば、「世界経済の心臓発作」が起きる可能性もある。どっちが先に来るか微妙だ。後者だと彼らも一時状況コントロールに苦労するだろうが、ただ結局は同じだろう。

■グローバル勢力がもっとも恐れること

 世界支配層は「見えざる政府」とも言うが、事実、依然としてブラックボックスになっている。私の調査結果と推論は、その他の研究者の見解とは異なる。


従来流布されている説の中で、錯覚と思われるのは以下だ。


 第一に、“何々家”が陰謀の主体であるという考え方である。日本だけでなく、世界中の陰謀論がずっとこの間違った考えに取り付かれてきた。

 第二に、世界を陰からコントロールしようとする陰謀が「ロスチャイルド家から始まった」とする考えだ。実際はもっと以前から始まっていた。

 第三に、ロスチャイルドVSロックフェラーの対立構造という見方だ。これもあるレベルまでは事実だが、社内の出世競争のようなもので、カモフラージュ目的もある。

 第四に、国際金融資本が欧州の王族・貴族と一緒になって特権階級を形成しているという考え方だ。ビルダーバーグなどを見ると、そう映る。これも間違い。彼らは政治権力を持たない範囲で一定の特権を許されているにすぎない。

 第五に、彼らの目的はあくまで金儲けと権力の拡大が目的だとする考えだ。だが、本当はそういった世俗的動機以上に、彼らは“信仰”に基づいて行動している。
http://tocana.jp/2016/05/post_9782_entry.html


10. 中川隆[-7736] koaQ7Jey 2017年5月07日 18:41:48 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

植民地のインドは商品を輸出しても、その見返りの代金は
ポンドでイギリスに蓄積され、デフレになり、不景気になった

2006年2月9日 アメリカの謎を解く 橋本裕の文学・人生日記帳


ブッシュ大統領が1月31日の一般教書演説で、「私は8800億ドルを減税し、国民に返却した。今後も減税を恒久化し、09年に財政赤字を半減する」と述べた。

 一方で、アメリカの経常赤字は05年が7900億ドル(93兆6940億円)、財政赤字も06年度は4230億ドル(約50兆2千億円)で過去最大、債務残高はすでに8兆ドル(約950兆円)を越えている。

 日本では、税制赤字を解消するために、増税をしなければならないと考えられているが、アメリカは逆である。減税をして国内消費を活性化し、景気をよくして税収をあげようとする。さらにアメリカの場合は戦争によって軍需景気を作りだしているわけだ。

 いずれにせよ、アメリカは消費大国。国も国民も借金をして消費を楽しんでいる。このアメリカの消費を助けているのが日本をはじめとするアジア諸国だ。とくに日本の貢献が大きい。日本は政府と民間が何百億ドルというアメリカ国債を買っている。

 先日、朝日新聞夕刊「経済気象台」に「米国のもう一つの謎」という文章が載った。経常収支の赤字が拡大しているにもかかわらず、ドル高が持続している謎について、それは借金国のアメリカが負債について支払う金利が「異常」に低いからだと書いている。これに反して、アメリカの対外資産は巨大な利益を手にしている。

 アメリカは莫大な借金をし、そしてその中から、わずかな一部を他国に貸している。そして不思議なことに、巨大な借金のための利払いよりも、わずかな海外資産の方が多くの利益を生み出しているというのだ。

 どうしてこんなマジックが可能なのか。それは日本がこの逆をしているからである。なぜ日本がこの分の悪い役回りを続けるのか、実はこれこそが本当の謎だということになる。

驚くべきことに、小さな対外資産から受け取る利子と配当が、大きな対外負債に支払う利子と配当を今日まで上回り続けている。家計にたとえると、収入を上回る買い物をして毎月赤字が続き、借金が膨らんでいる。ところが、多額の借金に支払う金利がゼロに近ければ、わずかばかり保有する預金などから受け取る利子の方が大きいという状態なのだ。これでは赤字をいくら出しても、借金さえできれば、後は何の憂いもなく買い物ができる


このうまい話に手放しで悪のりして、米国は経済収支赤字を続け、負債の増加に加速度がついている。この構図が最近話題になり、債権国が浮き足だっている。日本にその気配がないことが「謎」の源である


 実はアメリカのこの「うまい話」は、19世紀に繁栄した大英帝国をまねているだけだ。大英帝国の場合は、その繁栄の謎をとく鍵はインドをはじめとする植民地が持っていた。たとえば当時イギリスの植民地であったインドは、香辛料などの原材料を輸出してイギリスを相手に多額の黒字を計上していた。ところが黒字はルピーではなく、ポンドを使って決済され、そのままイギリスの銀行に預けられていた。

 だからイギリスはいくら植民地を相手に赤字を出しても平気だった。イギリスの銀行に預けられたポンドを、イギリス国内で使えばいいからだ。インドは名目上は債権が増え、お金持ちになったが、そのお金をイギリスの銀行から自由に引き出し、自分の国では使えなかった。お金の使い道は預金者ではなく、イギリスの銀行が決めていたからだ。そしてもちろん、イギリスの銀行は国内の人々に貸し出した。

 イギリス国民は植民地から輸入した品物で生活をたのしみ、しかもしはらったポンドもイギリスの銀行に吸収され、イギリスのために使われるわけだ。こうしてイギリスはどんどん発展した。

 一方植民地はどうなったか。たとえばインドは商品を輸出しても、その見返りの代金はポンドでイギリスに蓄積されるだけだから、国内にお金がまわらなくなる。どんどんデフレになり、不景気になった。

 仕事がきつくなり、給料が下がり、ますます必死で働いて輸出する。ところが黒字分の代金は、ポンドのまま名義上の所有としてやはりイギリス国内で使われる。こうしていくら黒字を出してもインドは豊かになれなかった。そして、赤字を出し続けたイギリスは、これを尻目に繁栄を謳歌できた。

 このイギリスとインドの関係は、そっくり現在のアメリカと日本の関係だと言ってもよい。経済同友会元副代表幹事の三國陽夫さんは、「黒字亡国」(文春新書)にこう書いている。


輸出拡大によっていくら日本が黒字を蓄積しても、それはアメリカ国内にあるアメリカの銀行にドルで預け入れ、アメリカ国内に貸し置かれる。日本からの預金は、アメリカにしてみれば資金調達である。貸し出しなどに自由に使うことができる。

 日本は稼いだ黒字にふさわしい恩恵に与らないどころか、輸出関連産業を除いて国内消費は慢性的な停滞に喘いでいる。停滞の原因であるデフレはなかなか出口が見えない。

 日本の黒字がドルとして流入したアメリカはどうなのか。ドルはアメリカの銀行から金融市場を経由して広く行き渡り、アメリカ経済の拡大のために投下されている。日本の黒字は結局、アメリカが垂れ流す赤字の穴埋めをし、しかもアメリカの景気の底上げに貢献しているのである。・・・

 輸出で稼いだ黒字を日本がドルでアメリカに預け、日本の利益ではなく、アメリカの利益に貢献している限り、円高圧力もデフレ圧力も弱まることなく、政府・日銀がいくら財政支出や金融緩和というデフレ解消策を講じても、一向に持続性ある効果は現れないのである


 幸い、最近この貿易構造がかわりつつある。日本の貿易相手国が中国をはじめとするアジアやヨーロッパにシフトしたことで、日本の対米黒字の割合が相対的に低下したからだ。こうして日本がデフレから解放されるチャンスがここから拡大した。

 しかし、問題はすでに厖大なドル建て資産をアメリカに持っていることだ。日本人の汗の結晶であるドル建て資産が、今後ドル安で何百兆と失われる可能性がある。こうした形で、アメリカは最終的に日本の資産を合法的に手に入れようとする。

「今後も減税を恒久化し、09年に財政赤字を半減する」というブッシュの一般教書の宣言は、これからも日本をはじめ、世界から資金を調達するという意思表示と読むべきなのだろう。
http://www.asyura2.com/0601/hasan45/msg/253.html


11. 中川隆[-7734] koaQ7Jey 2017年5月07日 19:12:31 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

米ドル/円 (米ドル/円) 【0950】 株価 チャート
https://kabutan.jp/stock/chart?code=0950
https://info.finance.yahoo.co.jp/fx/detail/?code=USDJPY=FX
http://stockcharts.com/freecharts/pnf.php?c=%24USDJPY,P


ドル円相場長期チャート
http://lets-gold.net/chart_gallery/chart_usdjpy_long_term.php
http://zai.diamond.jp/articles/-/119382?page=2
http://zai.diamond.jp/articles/-/151774
http://ehadou.blogspot.jp/2016/07/usd.jpy-expect17.html


2017年01月12日
次の円高がどのように起きるか予測する 予定調和の世界

1ドル360円から下がり続けるのは、輸出で儲けたドルを円に換金するから
引用:http://lets-gold.net/image/chart_usdjpy_1971-.gif


恒例行事の円高祭り

2016年11月からのトランプ相場によって日米ともに株価が上昇し、ドル高円安で推移してきました。

一時は1ドル120円を上回る勢いだったが、年末に失速して1月中旬現在は115円を下回っています。

日本の株価が円安で上昇し円高で下落するのは良く知られていて、2004年から2007年ごろは円安で好景気になりました。


逆にリーマンショックから東日本地震の2008年から2011年まで円高が進行し、日本は不況で株価も下落しました。

円安になると景気が悪化するのは輸出が減って輸入が増えるからで、日本の製造業や生産者は大打撃を受けます。

ざっと計算すると1ドル120円に比べて1ドル70円では4割も外国製品に対して割高になり、日本製品は4割値下げしないと売れなくなります。


こういう円高は繰り返し長期的に起きていて、2011年、1995年、1985年は特に急激な円高が進行しました。

しかも1949年に1ドル360円になってから67年間、平均すると一貫して円高になり続けていました。

こうも繰り返し定期便のようにやってくると、何らかの法則性があるのではないかと思えるが、円高には法則性や原因が存在しています。


円高の原因は実は「円安」そのものにあり、適正な為替レートより強引に円安に持っていくと、数年後に円高になっています。

1985年プラザショックの前、日本は市場介入で為替レートを円安に固定し、自動車輸出などで大儲けをしていました。


政府が円安にするから円高になる

GM、フォード、クライスラーどころか、メルセデスやBMW、ポルシェ、VW、フェラーリなども日本の輸出攻勢で倒産しかけました。

そこで日本をのぞくG5は円を切り上げる合意をし、プラザ合意として発表し、1ドル240円だったのが120円に下落しました。

プラザ合意以降の世界は「変動相場制」に移行して、市場原理によって貿易黒字の通貨は高く、貿易赤字だと下落するようになりました。


だが日本の大蔵省や自民党、日銀はこの変化を理解できず、何度も円安に誘導しては反動で超円高を引き起こしました。

プラザ合意に耐えかねて日本経済が崩壊したのがバブル崩壊で、その後何度も何度も政府は介入で円安に誘導しました。

輸出が増えて輸入が減り、一時的な好景気を実現するものの、数年後に必ずミニバブル崩壊を引き起こしました。


2000年代の小泉政権後期から2007年前半までは円安で好景気だったのだが、2007年7月にサブプライムショックが始まると2011年まで4年間円高に推移しました。

小泉首相は円安にして貿易黒字(正確には国際収支)を増やしたが、溜め込んだ年間数兆円の黒字がドルから円に交換されたら、一気に円高が進行します。

トヨタとかの大企業から零細企業まで、外国で稼いだ金を円に換金するのは、その必要に迫られた時になります。


巨大地震が起きて本社が危ない、そうだ数兆円ほどドルを円に替えて危機に備えようという訳です。

みんなが同じ事を考えるので、日本で地震が起きたり大事件が起きると円高に進みやすい。

するとアメリカで大企業が破綻したり、日本で地震や事件が起きたら「将来円高になる」のがある程度予測できるようになります。


約束された円高

将来円高になるとドルのまま持っていると円換算で下落し、早く円に替えておかないと企業は打撃を受けます。

こうして世界的な経済変動をきっかけして、一斉にドルから円に両替するのだが、それは元々「円安のときの貿易黒字」だったのです。

何のことは無い、円安で貿易黒字を増やした結果、それを日本円に両替して円高にして、それで企業は苦しんでいるので自業自得でしょう。


政府が円安に誘導したせいで、一時的には儲かるが数年後に円高になるのだから、政府は円安誘導しなければ円高にならないのではないかという推理もできます。

その通りで企業が貿易黒字を溜め込まなければ、ドルから円への大量移動も起きないので、超円高にはならないでしょう。

為替レートが将来どう推移するかは、国際収支を見ればある程度の予想はでき、黒字が続いている国の通貨は必ず高くなるでしょう。


逆に赤字が続いている通貨は下がるので、将来も過去60年と同じように必ず円高ドル安に推移します。

しかも円高は超長期的な現象なので、「次の円高は前の円高より強く進行する」ような性格を持っています。

日本は2012年の安倍政権誕生以来ずっと円安誘導していて、原発事故で貿易赤字になったが、また貿易黒字を積み重ねています。


円安誘導の小泉景気は4年で破綻し、安倍景気も4年が経ちそろそろ今年か来年あたり潮目が変わると予想します。

トランプ政権のドル政策というのもあるが、長期的には「日本が溜め込んだ経常黒字を吐き出す」事が円高なので、トランプと関係なく円高は起きます。

おそらく小規模な円高は100円を切る程度で、もっと巨大な円高では次は60円割れを目指す可能性があります。


こうした大きな波と小さな波を繰り返しながら、10年おきくらいに円高ウェーブが発生しています。

2007年のサブプライム危機から今年で10年目というのも、そろそろ小さな円高になっても良いタイミングです。
http://thutmose.blog.jp/archives/68630737.html

世界中の投資家が、日本円を「調達通貨」として選ぶのはナゼ?

そうか、だから「有事の円高」になるのか 高野 やすのり

「比較的安全な資産として円が買われた」世界経済を揺るがす事態が起きる度に度に繰り返されるこのフレーズ。欧州の財政危機、イギリスのEU離脱、米国のシリア空爆、そして北朝鮮で緊張感が高まり、為替が円高になった時にも耳にした。

しかし、この言葉にどこか釈然としないものを感じる人も多いのではないか。

リスク回避で株が売られるのはわかるのだが、なぜ円が買われるのか。なにしろ日本は先進国でも最も借金が多い借金大国のはず。この一見矛盾した現象の背景にある金融市場の裏事情を、FX投資のストラテジストがわかりやすく解説する。


ポイントは2つある

4月7日金曜日午前10時過ぎ、ディーリング・ルームに緊張が走った。それまで安定していた為替市場で、突然円が急騰したからだ。ディーラー達は何が起こったのかを知ろうとモニターに目を走らせる。

「アメリカ軍、シリアに対しミサイル攻撃を実施」

トランプ米大統領が就任後初めての軍事行動をとったことで、金融市場では日経平均株価が急落、同時にリスク回避の動きとして当然のように円が独歩高になった。

さらに11日のNY時間、トランプ米大統領は得意のtwitterで「北朝鮮は問題を起こそうとしている。もし中国が解決するなら素晴らしい。もしそうでないなら我々が彼らなしで解決する」とつぶやき、アメリカ単独でも北朝鮮に対して軍事行動を取る可能性を示唆した。この地政学的リスクの高まりにも市場は迷うことなく円買いで応じた。

このところ、中東や北朝鮮情勢などが緊迫化したり、欧州各国の政治的不透明感が高まった結果、「リスク回避の円高」となる場面が増えている。テレビニュースでは「比較的安全と言われる円が買われ、円高になりました」など報じられている。

こうした市場の動きや報道に接して、違和感を覚える個人投資家が多いのではないか。遠く離れた、シリアやアフガンでの戦闘のニュースで日本の円が買われるのは、感覚的には納得が行くものの、説明するのは難しいのではないか。北朝鮮での軍事行動の可能性、それも在日米軍基地が報復攻撃の目標になる可能性が高い状況でも、円が買われるのは何故なのか?

ポイントは2つある。

1.円を「買っている」のではない
2.外国人投資家による日本株投資の手法

である。

そもそも金融市場におけるリスク回避、とはどんな状況を指すのだろう。


それを知るにはまず通常の状態、つまりリスク選好を知る必要がある。リスク選好の状態では、世界の投資家、たとえば年金基金、投資信託、ヘッジファンド、などはさまざまな債券、株式、商品(原油、金など)に投資をしている。しかも利回りを上げる事が使命であるプロは、日ごろから現金の比率を必要最低限にして資金の多くの部分を投資している。

それに対してリスク回避の状態とは、紛争や災害、経済危機などによって、不透明感(変動幅、リスク)が許容範囲を超えて高まった場合を指す。そのような時、資金を守るために、投資家達は投資を引き上げ、現金の比率を高める行動にでる。

円は「調達通貨」である

「調達通貨」という言葉を聞いたことがあるだろうか。世界の投資家、特にヘッジファンドなどのアクティブな投資家達は、自らの資金をより効率的に運用するために、自己資金に加え、さまざまな形で資金調達をして投資をしている。そんな彼らが調達する資金として、一番に選ぶのが日本円なのだ。

彼らが日本円を選ぶ理由は、まずは低金利にある。90年代初めのバブル崩壊以降、日本円は常に世界最低水準の金利を維持している。ただそれだけであればスイス・フラン、ユーロなども現在はほぼゼロ金利、もしくはマイナス金利で同じではないか、という疑問が起こる。

そこで問題になるのは、それぞれの国の資金市場の流動性の豊富さ、金融システムの安定性、将来にわたる金利見通しになってくる。これら資金市場の流動性の豊富さ、金融システムの安定性という面では、日本はアメリカに次いで世界でも屈指の市場である上、政府の低金利志向の強さも加わって、円は、資金調達にうってつけの通貨なのだ。


世界の投資家は、円で資金調達(借り入れなど)するのだが、そのままでは日本国内の資産にしか投資できない。たとえば米株に投資するのであれば、ドルに両替する必要がある。ここで為替取引が生じ、円売り外貨買いが起こる。こういった投資の手法を「キャリー取引」と呼ぶが、実はこれがリスク選好時の円売りの正体の一つだ。

ひとたびリスク回避になった時にはこれと全く逆の動きとなる。投資を引き上げることを優先し、米株、ブラジル株、金、原油などを売り、ドルなどを受け取る。そしてその資金で調達した円を返済するため、ドルから円への交換、つまり円買いをする。この結果として円買いが進む。これがリスク回避の円高の大きな要因となる。

2008年のリーマンショック後の円高の多くの部分もこの動きで理解できるだろう。つまり、こういった経路のリスク回避の円買いは、新規の円買いではなく、売っていた円の買い戻しということだ。

外国人投資家による投資の手法とは?

世界的なリスク回避に伴う円高メカニズムは上記によるものだが、多くの投資家にとって一番の疑問は、日経平均株価が下落して、いかにも円売りになりそうなときに円が買われるということではないか。これにもちゃんと理由がある。

よく知られた事実だが、現在東証に上場されている株の時価総額ベースのうち約3割は外国人投資家が所有し、日々の取引代金の約6割を外国人投資家が占めている。この外国人比率の高さが、リスク回避の円高の鍵を握っている。

外国人投資家の代表であるアメリカの年金やヘッジファンドは、当然ドル資産がベースだ。日本株を買うときには、ドル資金を円に交換する必要がある。つまりドル売り円買いだ。ここまでを見れば外国人投資家が、日本株を買うときに円高が進むように見える。ところが実際にはそうなっていない。それには外人投資が日本株を買うときに行う「為替ヘッジ」という手法が関係している。

彼らはドルベースで運用を行っているので、ドルベースで利益を測る。ここで簡単な例を考えてみる。1ドル=100円の時に、1万円の日本株を1万株買う場合、投資金額は1万円×1万株=1億円で1億円=100万ドルの投資となる。その後日本株が思惑通り20%上昇したとすれば、持ち株の時価総額は1億2000万円となる。この時に為替が動いていなければ、1億2000万円=120万ドルとなって20万ドルの利益が上がる。

ところが1ドル=120円と円安になっていれば、1億2000万円÷120円=100万ドルとなって、株の利益が為替の損で打ち消されてしまい、外人投資家にとっての利回りはゼロとなる。そういった事態を防ぐため、90年代以降の日本株の値動きを見れば、輸出関連だけでなく、円安時に株高になりやすかった事もふまえて、外人投資家の多くは為替ヘッジを行って、為替変動のリスクを排除しようとしているのだ。

1%で5000億円

具体的には投資時にドル売り円買いを行う一方で、為替先物で同額のドル買い円売りの先物予約を行う。先ほどの例で言えば1億円の円売り(100ドルのドル買い)予約をする。その結果、投資時には為替市場で同額のドルと円の売り買い逆方向で発生することから、市場への影響は無くなる。

こうして1億円分の株を買うと同時に1億円の円売りポジションを作れば、株高になった時に円安になっても、円安での目減りを為替で相殺できる。

それでも、これだけでは日本株安と円高の関係は出てこない。実はこの為替ヘッジ、株を持っている間細かく調整をする。たとえば株価が上昇して、1億円の株の時価が1億1千万円になった時、当初ヘッジで持った為替ポジションは1億円分だけなので、1千万円分足りなくなってしまう。そこで追加の1千万円の円売り(=ドル買い)を行う。日本株が上がると、円安になる(ドル買い)理由だ。

一方、株が下落する局面ではこの反対の動きとなる。つまり1億円の株が下落して時価9000万円になってしまえば、当初作った1億円分の円売りを9000万円分にするために1000万円を買い戻す(=ドル売り)。この動きこそ日本株が下落した場合の円高の理由だ。ここでも株安時の円買いは円を買っているのではなく、買い戻しているに過ぎない。

東証上場株式の時価総額約580兆円の3割、約170兆円の外国人持ち株のすべてにこういったメカニズムが働いているわけではないが、たとえばその3割にあたる50兆円に対して、そういったメカニズムを通じて為替市場で資金が動けば、1%株価が上下するだけで5000億円もの売買が行われることになる。

さらにそうした行動が起こることを知っている多くの短期投資家が、その動きを先回りして為替の売り買いを行えばその影響は想像以上に大きなものになる。

ここまでご紹介したように、リスク回避=株安時の円買いは、基本的に空売りをしていた円の買い戻しであって、円を安全通貨と評価しての円買いではない。したがって、日本の財政問題や、国債発行残高がいくらになった、などという問題と直接の関係はないのだ。

有事なら円はどうなるか

さて、今一番関心の高いであろう話題を。もし北朝鮮で軍事的な衝突が起きた場合の市場の反応、特に為替市場の反応を考えてみよう。

まず、前提条件として長期間戦闘状態が続くことを想定するのは現実的ではないと考える。したがって市場への影響も決定的なものになることを考えるよりは、一時的な影響を考えるべきだ。日本の間近で起こる軍事的リスクであることと、日本が攻撃目標になり得ることを考えれば、株式市場の反応は売り、ということに異論はないだろう。


そのときの為替市場の反応だが、ここまで紹介したように円買い、すなわち円高ドル安だ。どれぐらいの規模の戦闘になるかにもよるが、規模によってはドル円が100円割れを試すような事態も考えられる。

ただし、事態が早期に収束すると考えると、円買いは長くは続かず、情勢が落ち着くとともに円安方向に修正され、大きな被害が無ければ、リスク要因が減ったことでむしろ当初よりも円安になる可能性もある。

事前にこうした可能性を想定していれば、慌てることもないし、むしろリスクイベントで利益を得ることもできるはずだ。

一般の投資家の中には、それでも北朝鮮有事の円高は納得いかないかもしれない。その時は、誰がその円売りをするのかを考えてほしい。

漠然としたイメージで円売りと思えても、それを実行する投資家がいなければそれば実現しない。過度なリスクを背負ってまで新規で円売りをする投資家がそれほどいない一方、紹介したような事情で円買いをする投資家は多く存在する。

仮に日本や日本周辺の地政学的リスクが原因で大きな円売りが起きるとすれば、それは我々日本人が日本で生きていくことをあきらめ、国内の資産の大部分をドルやその他の外貨に交換する時だろう。はたしてそんな日が来る可能性はあるのだろうか。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51539


12. 中川隆[-7733] koaQ7Jey 2017年5月07日 19:52:04 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

日銀の金融緩和は日本の金をアメリカに流すのが目的だった


安倍「官製相場」の正体。国民生活が疲弊し対米従属は加速する=吉田繁治 2016年10月20日
http://www.mag2.com/p/money/24781


2012年12月に発足した安倍内閣はアベノミクスを標榜し、株価上昇をその支持基盤としてきました。あれから約4年、いよいよ「株価政権」の総括検証をすべき時期が来ています。


なぜ株価は景気を反映しなくなったのか?官製相場の欺瞞を斬る

安倍首相の「スタートダッシュ」

消費税10%法案を通した野田民主党の自滅により、自民党は2012年12月、3年4ヶ月ぶりに政権に復帰しました。首相自ら「アベノミクス」と呼ぶところの、安倍政権の経済・金融政策の始まりです。

安倍首相は前回の失敗から、「スタートダッシュが肝心」と決めていました。自公政権が確実になった12年10月に明らかになったのは、

◾脱デフレの大きなマネー増発策
◾10年で200兆円の国土強靱化の公共投資

でした。日銀法を改正し、独立権を奪ってでも、マネーを増発させるという強いものだったのです。

国土強靱化は、財政赤字を200兆円分拡大して危険だ、という財務省の反対で消えました。東日本大震災の復興予算として、別途、28兆円の政府支出が必要だったからです。

マネー増発を推進するミッションを持ち、黒田総裁・岩田副総裁体制になった日銀は、異次元緩和(量的・質的金融緩和)を開始します。

量的緩和は、金融機関がもつ国債を買ってマネーを増発する政策です。質的緩和は、日銀が日経平均(株式ETF=上場投信)とREIT(不動産投信)を買いあげて、価格を上げるものです。

日銀による株買い(ETFの購入枠は6兆円/年)、これは普通、中央銀行が禁じられていることです。

恐慌の研究家である前FRB議長のバーナンキは、「日銀がケチッャプを買えば物価上がる」と言っています。あるいはヘリコプターでお金をばらまけばいいとか、ニコリともしないで異常なことを言う。

日銀が増刷した円で店頭商品を買えば、需要の超過になり物価は上がります。車を100万台(3兆円)、住宅を100万戸(30兆円)買ってもいいが、さすがにそれはできない。そこで株を買う。

日銀の株買いは迂回(うかい)して行われた

金融機関は、国債をはじめとする債券と貸付金で預貯金や基金を運用しているので、余分な現金は持ちません。

量的・質的緩和を政策にした日銀が、郵貯、年金基金(GPIF)、かんぽがもつ国債を買う。政府系金融と基金(GPIF)はそこで得た円で、日米の株とドル国債を買う。ワンクッションおいていますが、日銀が直接に日米の株を買い、米国債を買うことと同じです。

日銀は直接買うETF(年6兆円の枠)以外に、迂回路をとり数十兆円の株買いを行ったと言えます。方法はごまかしめいて姑息ですが、マネーの流れとしては露骨です。

日銀は量的・質的緩和として、円を下げ、株を上げ、インフレに誘導する「可能な手段の全部」をとってきたのです。

株価上昇は、株主の資産(東証一部時価総額511兆円 ※16年10月18日時点)を増やします。同時に企業の増資コストを下げます。資産が増えた株主は、資産効果で消費を幾分か増やします(しずくのようにわずかなのでトリクルダウンという)。百貨店で、100万円級の機械式時計が売れたのが、この資産効果です。

株価は理論的には、企業の将来の税引き後の予想純益を、期待金利(リスク率を含む株式益回り:6.6% ※16年10月18日時点)で割ったものと等価です。これが表現するのは、株価は企業の予想純益の結果ということです。

しかし多くの人々には、「株価が上がった→景気がよくなったからだ」と理解されます。下がっていた血圧が輸血で上がったから健康に戻った、と思うような本末転倒ですが、投資家と上場企業は歓迎します。支持率が上がるので、政府与党も喜ぶ。

株価が下落し、支持率も低くなった前回の反省を踏まえた安倍首相は、スタートダッシュで円安の誘導、株価の上昇に躍起になりました。円安の誘導は、輸出を増やし、株価を上げるためでした。

マネーの流れ

ヘッジファンドは保有しているドル国債を日本に売り、得た円で、出遅れていた日本株を買う。そして実は、総資金量が420兆円と日銀よりも巨大な政府系金融(現在名ゆうちょ銀行、かんぽ保険、GPIF:総資金量420兆円)は、日銀に国債を売って得た円で、米国債も買っています。

公的年金の残高139兆円(15年12月)を運用しているGPIFの、15年12月のポートフォリオ(分散投資)は、「円国債38%、国内株23%、外国債券(主は米国債)14%、外国株23%」です。

※日銀がGPIFの国債を買いあげる→GPIFは得た現金で国内株、米国債、米国株を買う→GPIFに米国債を売ったヘッジファンドはそのマネーで日本株を買う

マネー運用には遅滞が許されないので、この迂回路取引がコンピュータの中で、一瞬で起こります。

安倍政権の初年度だった2013年には、外国人(ヘッジファンド)からの15.1兆円もの巨大買い越しがありました。

外国人の売買は、東証一部の年間売買額460兆円のうち320兆円(約70%:16年7月水準)です。国内勢(金融機関と個人投資家)は、1990年のバブル崩壊後の損失の累積で資産を減らしたため売買がとても少ない。国内勢の売買は140兆円です。

他方、多くがオフショア(タックスヘイブン:租税回避地)からであるヘッジファンドの売買が320兆円です。東証はこのヘッジファンドの支配下です。

ヘッジファンドの日本株買いと、円先物売りのマネーの多くは、GPIFにおけるような迂回路をとって日銀が買い続けている、政府系金融の国債の現金化から来ています。

安倍政権前から始まっていた「官製相場」

政治相場(あるいは官製相場)は、14年10月末に発表された「日銀の追加緩和」と「GPIFの運用方針の変更」から始まったように言う人が多い。

しかし、マネーの流れを比較貸借対照表で調べると、安倍政権が始まる前の12年の10月から秘密裏に開始されています。最初は、円安介入のための30兆円の政府系金融マネーでした。

※総資金量420兆円の政府系金融3機関が、日銀に国債を売ったマネーで、米国債を30兆円買った→米国債を売ったヘッジファンドが日本株買い/円の先物売りを行った

安倍政権が確実になる前、12年9月の日経平均の予想PER(加重平均)は、1ドル80円台の円高の中で12倍付近と低かった。米国ダウのPERは15倍と3倍高かった。

上場企業(東証一部2000社)においては、輸出製造業の株価シェアが大きい。円安/ドル高になると、利益が数倍に増えます。このため、円安で日本の株価は上がり、円高で下がる基本性格があります。

通貨の低下は、普通、国力(政治力)と経済力の低下を示します。しかし日本では、ドルでは同じでも円での輸出価格が上がる。このため、上場企業の利益が増える予想がたち、株が買われます。
(注)予想PERは、株価の時価総額を次期予想純益で割った株価/収益倍率であり、株価の高さ、低さを判断するための指標です

PERが15倍なら将来15年分の、未実現の企業純益を株価が含んでいます。16年10月の日経平均の加重平均のPERは、14.3倍付近です。単純平均のPERでは18倍と高い。日経平均は、ユニクロ(ファーストリテイリング)の34倍のような高PER銘柄を含むからです。

2016年10月現在、日経平均は1万7000円付近です。米国ナスダックの予想PER(単純平均)は現在21.9倍で、バブル価格の水準です。他国をあげると、インド18.2倍、英国17倍、米国ダウ16.8倍、上海総合14.4倍、ドイツ13.3倍、ロシア6.8倍です。

円安誘導という名の「米国債買い」を実行

安倍政権誕生の2ヶ月前、1ドル77円(12年9月)だった円は、その2ヶ月前から下がりはじめ、10月に80円、11月に83円、12月には87年円と13%の円安になっています。続く13年1月に92円、2月には93円と下がり、6月には岩盤に見えていた100円も超えたのです。

(注)円安のピークは、15年6月の125.8円です。16年2月のマイナス金利以降は、逆に円高になり16年10月は104円付近です

円安は、世界の外為市場(円の売買が日量120兆円:2016年)での「円売り/ドル買い」が「円買い/ドル売り」を超過することで起きます。なぜ50%(1ドル120円)もの円安になったのか?

ここで、財務省の外貨準備($1.26兆:126兆円:16年10月)は、目立つので使われなかった。かわりに、ゆうちょ銀行、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、かんぽに、推計30兆円の「円売り/ドル買い」を行わせたのです。

前述のように、日銀がゆうちょ、年金基金、かんぽがもつ国債を買い、政府系3機関は、そこで得た円で、円安誘導を目的にしたドル債買いを実行するわけです。

さて、米国政府は、為替介入を行う国を「為替操作国」と強く非難します。しかし、円売り/ドル買いで得たドルで米国債を買うと途端に沈黙します。この理由は何でしょうか?

アメリカ政府の債務は2000兆円

米政府の総債務(自治体と社会保障の債務を含む)は、日本国債の2倍の$20.0兆(2000兆円:16年)に膨らんでいます。米国債も$15兆(1500兆円:同年)に増えています。

財政赤字は毎年、$7000億付近(16年度は$7130億)です。17年には、公的医療費($2.8兆:280兆円:12年)の増加で、赤字は$1兆を超えるでしょう。

米国の人口ピラミッドは、日本の10年遅れです。医療費では診療単価が約2.5倍高く、総額で$2.8兆(280兆円:12年)です。3.2億人の国民の、健康な人を入れた1人あたり年間医療費は$9000(90万円)です。

日本の医療費は、40兆円で1人あたり31万円/年。米国は1人あたりで3倍も多い。米国の医療費は信じられない高さです。盲腸の手術や流産で200万円とか…日本は世界的には医療費は安い。

米国政府は、この高すぎる医療費のため、日本の10年遅れで高齢者が増えるとつぶれます(ほぼ確定でしょう)。

米国は、新規国債のうち50%は、経常収支が黒字の中国と日本に売らねばならない。米国内では50%分しか買い手がない。米国は、海外からマネーを借りる構造を続けています。円でドル国債を買うことは、マネーの流れとしては米国への貸し付けです。

経常収支の赤字国は、感覚では逆ですが、資本収支では黒字になります。資本収支の黒字とは、マネーが流入することであり、現象形は、海外の金融機関が米国債、株、社債、MBS(住宅ローン担保証券)を買って、ドル預金をすることです。

わが国の民間では、国内の運用先がない三菱UFJグループ(総資産281兆円:16年6月)が、米国運用を増やしています。米国経済は、海外資金が大挙して引き揚げるとひとたまりもない。このため、米国はユーロや円より約2ポイントは高い金利を続けねばならない。

米国が利上げしなければならない本当の理由

米国が14年10月に、3回行った量的緩和(QE:$4兆:400兆円)を停止し、2015年12月にFRBが0.25%利上げした本当の理由は、金利が低いままだとドル債が売られ、海外から来たマネーが逃げる恐れがあったからです。逃げはじめてからの利上げでは、間に合わない。

米政府とFRBが、日本に金融緩和を強く勧めるのも、米国債と株を買ってもらうためです。異次元緩和にも米国への資金環流という条件がついていました。リフレ派は亡国のエコノミストに思えます

リーマン危機のあと、400兆円のドルを増発した3度のQE(08年〜2014年)でマスクされていた米国の「大きな対外不均衡」は、今も世界経済における根底の問題であり続けています。

米国の対外総債務は、$20兆(2000兆円)、対外資産を引いた純負債は$8.8兆(880兆円)と巨大です(15年末)。

一方で日本は、官民で948兆円の対外資産をもち、対外債務は609兆円です。339兆円の純資産があります(15年末:財務省)。経常収支が黒字になり、バブル経済で世界ナンバーワンと言われた1980年代以来、企業と金融機関が営々と貯めてきたものが、対外純資産になっています。

関連して言うと、中国は、公式には$2.1兆(210兆円:14年)の対外純債権国とされています。しかし、15年と16年に民間で起こった「元売り/ドル買い」に対抗して、政府が行った「元買い/ドル売り」により、今は、純債務国に転落していると推計できます。

2015年12月で$3.3(330兆円)とされている外貨準備では、銀行の持ち分と政府の持ち分が二重に計上されています。中国の4大銀行は、全部が国有です。選挙と議会制度がない共産党国家・中国の経済統計には、かつてのソ連と同じ問題があります。

ヘッジファンドによる円売り・日本株買いのカラクリ

アベノミクスとは、インフレを目標にした、

1.日銀の国債買いによる通貨増発
2.ドル買い/円売りによる円安誘導
3.政府系金融とGPIFによる日本株買いと米国債買い


です。

2%のインフレを目標にしたのは、年金・医療費・介護費(社会保障費)が年率3%(3兆円)で増え続け、それが国債の増発に繋がって、債務比率(政府総債務1277兆円/名目GDP505兆円=253%)が拡大することを防ぐためです。

分母の名目GDPが年率で3%以上増え続けないと、債務比率が大きくなり、近い将来の財政破綻が確定するからです(名目GDPの下限目標=実質GDP1%+インフレ率2%)。

仮にインフレになっても、企業所得と税収が増える中で世帯の所得が増えない場合、国民の生活は苦しくなっていきます。年金支給額が固定されている年金生活者3100万人(15年:厚労省)と、円安では企業所得が減る多くの中小企業の雇用者4100万人(06年:経産省)、合計で7200万人は、インフレで実質所得が減ります。

しかし、それらは構わない。政府にとっては、差し迫る財政破綻の防止がはるかに大切だとされたのです。

円安と株価上昇には有効だった量的・質的緩和

需要が増えることによる物価上昇に効果がなかった量的・質的緩和は、12年末から15年までの円安と株価上昇には有効でした。13年と14年の物価上昇は、円安での輸入価格上昇が主因です。世帯消費と企業の設備投資は増えていません。

東証では、年間420兆円の売買額の70%が、オフショアからのヘッジファンドによるものです。国内の個人投資家と金融機関は、90年からのバブル崩壊、00年のIT株崩壊、08年9月からのリーマン危機で3回の大きな損失を被ったことから、売買額が30%に減っています。

個人投資家700万人の多くは、上がるときは損失を回復するため売り越す、下がるときは難平(なんぴん)買いで買い越すという行動を取ります。

2012年末以降の日本株式市場の売買構造

このため、わが国の株価を決めているのは、70%のシェアになったヘッジファンドの売買です。


1.ヘッジファンドが買い越せば上がり、売り越せば下がる

2.下がっては、政府と投資家が困る

3.ヘッジファンドが売り超になると、3つの政府系金融(総資金量420兆円)と日銀(同459兆円:16年10月)が買いをいれる

という単純な基本構造が、2012年末から2016年10月まで続いているのです。

しかし2016年は、政府系金融と日銀の買いに対する株価上昇の反応が鈍い。この理由は、

1.アベノミクスによる株価上昇が政治相場(または官製相場)であることを皆が知った

2.このため二番目に大きな売買シェアを持つ個人投資家(700万人)が、政府系金融に追随した買いを入れなくなった

ことにあります。


米国の後追い。2015年から日本でも自社株買いが増加している

1日平均売買額が2.9兆円(15年平均)だったものが、2.3兆円(16年7月)に減った現在の東証一部で、大きく増えているのは自社株買いの4.3兆円です(16年1月〜9月)。

これは、事業法人の買い超に含まれます。年間では5.7兆円の買い超になるでしょう(13年1.5兆円、14年2兆円、15年3兆円)。

自社株買いは、市場で流通する株式数を減らします。会社利益は同じでも、1株あたり利益は上がったようになり、株価も上がります。タコが自分の足を食べることに似たこの自社株買いは、上場大手企業が留保利益で将来投資をせず銀行預金として貯まった、現金100兆円で行われています。

自社株買いでも、買いが増えれば株価は上がるので「株価上昇という形の株主配当」とされています。経営者が株主サービスとして行うのです。問題は、自社株買いは、いつまでも続けることはできないことです。

米国の2012年以来の自社株買いは、とても大きい。16年の第一四半期で$1820億(18.2兆円)です。年間では73兆円という巨額です。米国では、日本よりはるかに個人株主の要求度が高い。株価が1年も下がり続ければ、資産を失った株主により、株主総会で経営者が追放されます。

このため、経営者は米国FRBの量的緩和と、わが国と同じ将来投資の少なさから滞留したキャッシュフローで、年間73兆円もの自社株買いで事実上の減資をしているのです。

時価総額で世界一のアップル($6091億=60兆円:16年9月)は、社債を発行しゼロ金利マネーを得て、それで巨額の自社株買いを行っています。米国のダウやナスダックの大手企業の株価は、大きな自社株買いで20%から30%は高値になっているでしょう。

本稿執筆時点のダウは1万8161ドル、ナスダックは5243ポイントで史上最高値圏です。過去10年の純益を元にしたシラーP/Eレシオ(26.6倍:16年10月)が示すように、数十%のバブル性があると見ることができます。株価維持のために膨らみすぎた自社株買いの減少があれば、下がります。

自社株買いは、政府主導の官製相場と同じく、3年も5年もと続けることはできません。事実、2016年は米国の自社株買いはピークアウトして、今後は減少する傾向も見えます。

米国の自社株買いの傾向に注目してください。これが減ると、米国株は下がります。米国株が下がると、日本と欧州にも即日に波及します


株価が景気を反映しなくなった理由

ポートフォリオ投資とHFT(超高頻度売買)を組み合わせた売買シェアが、60%まで増えています。10年代の国際金融は、ネットワークで、リアルタイムに連結されているからです。

世界中の国債や株の売りも買いも、コンピュータ画面で一瞬です。株と債券の金融市場は、インターネットで変容しています。売買を叫ぶ「場立ち」があった「のどかな市場」ではない。

それでなくても、わが国の日経平均は米国ダウの子供です。米国株を売買しているヘッジファンドがポートフォリオ(分散投資)で、日本株をたとえば12%と一定割合にしているからです。米国株が下がると、ポートフォリオの中の米国株が減少します。かわりに、12%枠と決めている日本株の構成比が上昇します。これでは日本株の下落リスクが大きくなる。

株価罫線を分析するトレンド理論(傾向理論)とは違う、ランダムウォークの理論では、向こう3ヶ月で10%上がる確率があるときは、10%下がる確率も同じです。このため、ポートフォリオでのリスクが、コンピュータが自動計算する数値で大きくなる。

従って、米国株が下がると日本株を売って減額調整するプログラムが組み込まれています。ヘッジファンドのほとんどの売買で行われているHFT(超高頻度売買)がこれです。人間は関与せず、現物・先物・オプションの売買を組み合わせ、瞬時に売買が行われます。

ファンドマネジャーの関与は、ポートフォリオの割合(パラメータ)を変えるときです。以上の売買構造が増えたため、日米の株価の動きは同時化します。日米だけではない。

世界の株式市場(時価総額6000兆円:世界のGDPの1倍)が、ほとんど瞬間連動して動きます。基礎的な経済指標によるファンダメンタル理論(端的に言えば、景気がよくなると株価が上がる)は、ほとんど関係がなくなっているのです。
http://www.mag2.com/p/money/24781

浜田宏一氏、失敗の本質〜なぜリフレ派は「対米売国奴」に墜ちたのか?=吉田繁治 2016年11月24日
http://www.mag2.com/p/money/27546

筆者は、浜田宏一内閣官房参与(政府の経済ブレーン)について、「この人はすでに脳が老化している」と感じます。

脳が老化していないとすれば、我が国の異次元緩和は「米ドル(米国債)を買うことで、米国に資金提供をするために行われた」ことになります。


日本の異次元緩和は、アメリカに資金提供するために行われた

リフレ派の、遅まきの白旗

アベノミクス開始から4年、日経新聞の記者が浜田宏一氏にインタビューをしています(2016年11月15日)。浜田氏は経済学で東大とエール大学の教授を歴任し、安倍政権の内閣官房参与を務めています。安倍政権がとったリフレ政策の総帥の立場にある人です。


記者の質問:
日銀は、国債の買い入れを年80兆円に増やしました。4年経っても、物価目標とする2%に達していません。

浜田氏:
国民にとって一番大切なのは、物価ではなく、雇用や、生産、消費だ。最初の2年はうまく働いた。しかし、原油価格の下落や、消費税率の5%から8%への引き上げに加え、外国為替市場での投機的な円高も障害になった。

筆者の解釈

異常な金額の金融緩和は、インフレ目標(2%)の達成を目的に行われたことは明白でした。ところが浜田氏はまず、「国民にとって一番大切なのは、物価ではなく、雇用や、生産、消費だ」と、質問に対するはぐらかしを行っています。

自分たちが政策目的にしていたインフレ目標より、雇用(失業率)、生産(企業の売上)、消費(世帯の需要)が大事だと言っています。学者にあるまじき、理論的誠実さのない態度です。


次に、金融政策は効いたという主張の上で、

1.2014年6月以降の原油価格の下落 [$105(14.06)→$47(15.01)]
2.消費税の引き上げ [5%→8%(14.04〜)]
3.投機的な円買い [122円(15.12)→101円(16.08)]

の3点が、物価を下げる働きをした、と言っています。この3点がなければ、金融政策により2%へのリフレが成功したということを言うためです。しかし、これはリフレ派の物価に対する基礎理論と矛盾しています。

また、2015年12月1ドル122円から16年8月101円への円高を、浜田氏は「投機的」と言っています。あたかも、投機的ではない円高・円安があるかのような言い方です。常々から、為替の売買(円・ドルでの1日100兆円:2016年)のうち90%は、貿易用や投資用の実需に基づかない通貨投機的なものです。浜田氏が言う「投機的な通貨売買」とは、何を意味するのでしょうか?


「物価は貨幣現象」という基礎理論を自己否定

リフレ派の物価に対する基礎理論は、「物価は貨幣現象」ということです。これは、金融緩和政策に対する国会質問で、安倍首相が鸚鵡(おうむ)返しに「物価は貨幣現象なんです」と答えていたことからもうかがえます。

安倍首相は、物価について他の理論を知らない。このため、これが国際標準だと言いながら講義した浜田氏の「貨幣現象論」を信じたのです。罪深いことですが、アベノミクスの始まりがこれでした。

【フリードマンの仮説】

「物価は貨幣現象」という仮説は、1929〜1933年の米国大恐慌を研究したミルトン・フリードマンが言ったことです。

1933年までに、銀行の信用収縮と取り付けから、米国のマネーストック(マネーサプライ)は2/3に減少していました。引き出されるマネーの不足のため、20%の銀行は、営業を停止したのです。
※『大収縮 1929-1933』:ミルトン・フリードマン、アンナ・シュウォーツ

マネー不足のため、需要不足が起こっています。卸売物価は、恐慌の初年度(1930年)に13.5%低下し、個人消費は17%も減っています。

以上の現象をもとに、「物価は貨幣現象である」と仮説を作ったのです。これが、「中央銀行がマネーサプライを増やせばインフレになる」ということも意味するようになっていきます。

【マネーサプライとベースマネー(マネタリーベース)は違うもの】

なお、日銀の当座預金は、金融機関がもつ現金性預金であり、ベースマネー(マネー増加の元になるのもの)ではあっても、世帯と企業が実体経済(消費と設備投資)に使う預金のマネーサプライではありません。

【岩田規久男日銀副総裁の誤り】

リフレ派の岩田副総裁は、「日銀が国債を買ってベースマネーを年70兆円増やせば、マネーサププライも70兆円(6%)増える」と言っていました。

現在、マネーサプライ(M3)の増加は3.2%(16年10月:日銀マネーストック統計)に過ぎない。前年比での2%から3%の増加は、異次元緩和前と変わらない。つまり、異次元緩和はマネーサプライを増やさず、需要を増やして物価を上げる効果はなかったのです。


記者の質問:
デフレ脱却に、金融政策だけでは不十分だったということですか。

浜田氏:
私がかつて、「デフレは(通貨供給量の少なさに起因する)マネタリーな現象」だと主張していたのは事実で、学者として以前言ったこととは、考えが変わったことは、認めなければならない」


筆者の解釈

考えが変わったことは認めなければならない……そうではない、「間違えていた」と認めねばならないのです。間違えていたと言わない理由は、「では、責任は?」となるからです。男らしく責任をとるつもりは、毛頭ないからです。

なぜ間違えたのか?

経済学は、単純化した理論モデルを作る性癖があるので、まだ、これを認めていませんが、現実のマクロ経済は、数えきれないくらい多くの要因が複雑に絡む、気象のような「複雑系」でしょう。

「物価は貨幣現象である」というような、1つの原因と結果からなる線的な関係ではない。(「マネー量→インフレ/デフレ」ではなく、実際の物価には他の要因も絡んでいる)

ところが浜田氏は、マネタリストの元祖フリードマンの「仮説」を、疑いもせず信じ込んだのです。自分で、現実の経済から学問をしなかったからです。他人が書いたもの(他人が分析したもの)を読んで、理論としたのです。

このため「副作用を含む異次元緩和」を実行してしまったのです。これを日常用語で言えば「ついにやらかしてしまった。その取り返しはつかない」ということになるでしょう。

診断と処方が誤っていたため、医薬が目的の効果を発揮せず、死にまで至る他の病気を引き起こす副作用のみを生んだということです。

失礼なことをあえて言うと、筆者は浜田氏のリフレ論の本を読んで、「この人はすでに脳が老化している」と感じたのです。「自分は○○を知っている、××がこう言っていた」といったことしか書かれていなかったからです。

脳が老化していないとすれば、「我が国の異次元緩和、は米ドル(米国債)を買うことで、米国に資金提供をするために行われた」ことになります。

リフレ派は米国にマネーを誘導するエージェント

これには、実は証拠があります。最近の浜田氏は、「日銀が米国債を買って、円を増発する方法もある」と言い始めているのです。

ユーロの中央銀行であるECB(中身はドイツマネー)が、ギリシア、ポルトガル、スペイン、イタリアなどの南欧債を買うことで、資金提供したことと同じです。

A国の国債、債券、通貨を、B国のマネーで買うことは、B国からA国にマネーを提供することと同じです。

ご記憶にある方もおられるかもしれませんが、異次元緩和の開始直後に、当方は、露骨な表現を使い、浜田氏を「亡国のエコノミスト」と書いたことがあります。
(注)小泉内閣にも類似の人がいました

異次元緩和であふれた銀行の当座預金マネーが、ドル買いに向かったからです。三菱UFJグループの事例で言えば、総資金量(298兆円:16年3月期)のうち、外国貸出が43兆円、外国債券が28兆円です。

合計で71兆円が主に米国に行っています。同時期の国内の貸し出しは59兆円、国内証券が34兆円で、合計94兆円です。
(注)16年9月期の海外運用は6兆円(8.5%)減ったように見えますが、これは$1=101円の円高・ドル安によるもので回収したわけではありません

我が国で資金量が最大の銀行は、国内55:海外45の資金運用です。国内の金利がゼロやマイナスなので、海外で運用したからです。このマネーの海外流出も、異次元緩和が国内のマネーサプライを増やさなかった原因です。

三菱UFJグループも、ゆうちょ銀行や、年金のGPIFと同じように、日銀に国債を売って、そのマネーを米国に提供しています。

民間銀行は、異次元漢和による国内金利(0%やマイナス)と米国金利(1.5〜2.5%)の、大きくなったイールド・スプレッドを確保するため、政府の政策に従属した運用をするしかない。

浜田氏が、「異次元緩和は国内のマネーサプライを増やすものではなく、ドル買い(ドル預金)やドル国債買いにより米国のマネーサプライを増やす」ということを知った上で異次元緩和を推進したのなら、確信犯です。

その言動からは米国の金融エージェントに見える浜田氏は、だから「日銀が米国債を買って、円を増発する方法もある」と言い始めたのかもしれません。これは国民経済にとっては害です。

前FRB議長のバーナンキも、日本に異次元緩和を勧めていました。あれは明らかに、「米国債を買ってくれ」という意思表示だったのです。


2014年10月の大事件〜日銀もGPIFも「米国の支配下」にある

2014年10月に米国がテーパリング(FRBによる国債買いの順次縮小:10ヶ月)を終えたとき、その同じ月に、我が国の公的年金を運用するGPIFが「米国株と米国債の保有を2倍に増やす」方針を発表しています。

(注)14年10月末には、日銀も追加緩和で国債の買い増しを発表しています(年80兆円)

実は、2015年8月から、米国債の1位保有国である中国政府が、米国債を売り始めました。それ以降の売りの累積は$1260億(12.6兆円:ブルームバーグ)です。

中国政府が米国債を売ったのは、自国のGDP成長率の低さと、不動産の不良債権の実態を知っている民間の「元売り/ドル買い(=元の海外流出)」が2015年8月から大きくなって、大きな元安を招く恐れがあったからです。このため中国政府は、民間の「元売り/トル買い」に対抗する「ドル国債売り/元買い」を行ったのです。

中国政府が米国債を売る分、別の買い手がいなければ、米国の金利は上昇し、レポ金融に依存した米国金融と株価は深刻な影響を受けます。しかし米国FRBは、ドル信用の維持のためテーパリングは終了せねばならない。

そこで日本政府に頼んで、ゆうちょ銀行とGPIFのマネーを、米国債と株の運用資金として提供するということだったのです。

こうしたことは、政府は平気で行います。

以前、安倍首相が、NYSE(ニューヨーク証券取引所)で、「Buy Abenomics」と叫んだことがあります。これは米国に対して、強制的な買いを促すものではありません。あくまで、お願いのレベルです。

ところが、米国政府が日本に言うときは異なります。「強制」の意味をもつのです。従来は財務省が、これを「外圧」と言っていました。今はこの言葉は消えましたが、同様のことが続いています。

状況証拠からは、リフレ派は(狙ってか狙わずかは不明ですが)、米国にマネーを誘導するエージェントに見えるのです。
http://www.mag2.com/p/money/27546


トランプが巻き起こすアメリカ不動産バブルと「日本バッシング」の正体=吉田繁治 2017年1月12日
http://www.mag2.com/p/money/30993

大統領就任前のトランプ発言が、世界に波紋を広げています。大統領就任式は1月20日、その日に上下両院で行われる「一般教書」の演説で政策のアウトラインが明らかになり、2月上旬の予算教書でより具体的になります。本稿ではそれらに先駆け、トランプの政策とその影響を包括的に予測します。

再びバブル突入?世界経済を動かすトランプの政策と影響を徹底分析

「ドッド・フランク法」の廃止を公約するトランプ

ドッド・フランク法は、リーマン危機後に金融機関を「大きすぎて潰せない」として、政府・FRBマネーを使って救済した反省から立法されたものです。その目的は、国民のマネーを使った公的資金による救済(ベイルアウト)を終わらせることでした。

法の内容は多岐にわたり複雑なので、わが国で論評されることはありませんが、金融規制のボルカー・ルールを立法化したもので、金融機関の活動の抑制を行うものです。

【ドッド・フランク法の基本内容】

1.大規模金融機関に対する規制の強化
2.金融システムの安定を監視する金融監督評議会の設置
3.金融機関の破綻処理ルールの策定
4.金融機関のリスクの高い取引の規制
5.飛び抜けて高い経営者報酬の監視の強化
6.デリバティブ取引の開示

クリントン政権によるグラス・スティーガル法の廃止と酷似

トランプが公約するドッド・フランク法の廃止は、クリントン政権が1999年に、再びのバブル発生、金融危機、恐慌を防ぐことを目的としたグラス・スティーガル法の金融規制を撤廃したことに似ています。

1929〜33年の大恐慌のあと、金融規制として制定され、証券と銀行の兼業を禁じたグラス・スティーガル法は、金融の自由化を図ったクリントン大統領時代の1999年に廃止されました。

その後の米国は、IT株バブルの昂進に向かい、2000年の4月からそのバブル株価が崩壊しています。金融の自由化と規制緩和は過剰な融資を生み、バブルの発生と崩壊に至るのが原則です。

このグラス・スティーガル法の廃止により、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、メリルリンチ、リーマン・ブラザーズ、ベア・スターンズなど、証券業務を兼業してリスクの高い投資を行う投資銀行が、米国に誕生したのです。

そして、これら投資銀行が組成して販売したリスクの高い証券(MBS:不動産担保証券)の暴落が、リーマン危機の原因となりました。

このためオバマ政権は、元FRB議長で金融規制論者のボルカーを大統領経済回復諮問委員会委員長に就けて、ドッド・フランク法を制定し金融を規制したのです。

他方トランプは、ウォール街に自由な活動をさせるために、2010年に成立したドッド・フランク法(金融規制法)の廃止を公約しています。これは、前述のように、1999年のグラス・スティーガル法(金融規制法)の廃止に相当するものです。

2008年9月のリーマン危機のあとの世界の金融は、金融危機の元になる不動産、証券、株のバブルを起こさないため、ドッド・フランク法を含め金融規制の方向でした。特に2010年の南欧危機以降、ユーロがこの方向だったのです。

トランプの復古政策で米不動産バブル再び

トランプは金融面でも米国第一を掲げ、伝統的な銀行家のボルカーがシンボルだった金融規制への流れを、自由化に向けて転換するでしょう。

このため、トランプ当選後に最も株価が上がったのは、世界の大手金融機関でした。これはドッド・フランク法の廃止を想定したものです。JPモルガン・チェースの株価は、11月4日の$68から$86へと26%上げています。ゴールドマン・サックスも、$175から$242へと38%も上がっているのです。

同期間のダウの上昇は10%でしかない。つまり金融株が上げたのです。時価総額1位のアップルは、平均並の12%しか上がっていません。

わが国の三菱UFJフィナンシャル・グループ(総資金量280兆円)の株価も、2016年11月初頭の500円付近から、748円へと約50%も上がっています(1月8日)。超大型株が5週間で50%も上がるのは稀です。これはドッド・フランク法の廃止を予想した、国際的な金融株上昇の一環でした。

わが国で資金量2位のみずほフィナンシャルグループ(総資金量187兆円)の株価も、同じ理由で、11月初旬の170円付近から直近は214円へと26%上がっています(1月8日)。

日米の大手金融機関の株価の上昇は、リスクの高い金融にマネーが流れることも意味します。その結果、米国の不動産バブルが促進されるでしょう。

バブル醸成とバブル崩壊(金融危機)が準備されている

これは新たなバブルのみならず、2008年のリーマン危機のように、不動産価格が頂点に至った後2〜3年後の、価格崩落と金融危機をも準備することになるでしょう。

リーマン危機は、グラス・スティーガル法の廃止のあと、デリバティブで証券化された不動産融資の増加が引き起こした不動産バブルの崩壊から起ったものです。その金融商品のシンボルは、MBS(不動産担保証券)というデリバティブ証券でした。

不動産のバブルは、持続的な金融緩和によって発生します。そして価格の頂点で崩壊します。株価は企業純益の増加が続くと上がり続けることもあります。しかし、便益が同じ不動産では、バブル価格は必ず崩壊します。

MBS(Mortgage Backed Security:不動産担保証券)とは、多くの不動産ローンを合成し、ミックスしたものを、優先・劣後で三層に切り取って証券化したデリバティブです。償還金受け取りの優先権がある優先債(シニア債)の格付けは、AAAとされていました。米国債と同等にリスクは低く、しかし金利(利回り)は高いという矛盾をもつものだったのです。
(注)金融において、金利の高さはリスクの大きさを示すものです

格付け機関のいい加減な査定でAAA格とされていたMBSが、価格が2倍に上がった住宅のローン・デフォルトの増加から60%に下落したことが、リーマン危機の主因でした。

米国の中央銀行であるFRBは、下落していたMBSを$1.6兆(185兆円)、60%の市場価格ではなく額面価格の100%で買い上げる方法で、現在も金融機関への資金供与を続けています(FRBによる金融機関の救済策)。

ドッド・フランク法は、このようなリスクの高いデリバティブを規制していましたが、これが廃止されれば、規制から解放された投資銀行によって、新たなMBSや他のデリバティブが作られ、不動産バブルを促進することになるでしょう。

自身も不動産業のトランプは、不動産バブルを引き起こす政策をとるでしょう。

米国都市部の不動産価格は2007年並のバブル価格に向かう

全米20都市の住宅価格を示すケース・シラー指数は、2016年の後半で195と、リーマン危機前の206(2016年)に迫っています(2000年を100とする)。

2012年の130から、3度のQE(量的緩和:$4兆=470兆円)によって、65ポイント(50%)も上がったのです。2016年11月にも前年比で5.2%上げています。

米国の都市部の住宅価格は再び、わが国の1980年代や米国の2000年代のようなバブルに向かっています。2017年末からは、リーマン危機前のバブル価格に戻るでしょう。不動産価格の上昇は、トランプ自身が不動産ビジネスを手がけていることと関係しています。

2018年はリーマン危機から10年です。不動産バブルの崩壊と金融危機は、ほぼ10年から12年サイクルでしょう。


トランプの対日戦略(1)〜標的にされたトヨタ

トヨタ自動車がメキシコに対米輸出用の新工場を建設することに対し、トランプは、米国の雇用を奪うとして、建設を実行するなら高い関税を課すとツイッターに書き込んでいます(1月4日)。

従来、この種のことに大統領が介入することはなかった。これは、メキシコ、カナダとの間の自由貿易協定(NAFTA)の見直し(廃棄)と関係しています。

このためトヨタは慌てて、米国への1兆円の工場投資を発表したのです。トヨタは、米国に10カ所の工場をもち、13万6000人を雇用しています。日本の大手製造業の対外売上のほぼ50%を、海外の現地工場が占めています。

保護主義に回帰するアメリカ

以上の動きは、1990年代から世界で進行してきた「グローバル経済」に棹(さお)をさし、保護主義に転換することを示します。保護主義とは、輸入品への課税であり、輸入品の価格を上げることです。

関税が課されると、米国での中国製品、日本製品および原油の価格は上がります。価格の上昇は消費の減少をもたらし、中国、日本、産油国の輸出企業の売上を減らします。

このため世界経済の観点では、経済成長率の低下に繋がります。加えて世界では、減少する米国輸入のため生産力の超過が起り、デフレ傾向が起こります。

1930年代の保護主義は米国の恐慌を拡散させた

1929年からの米国大恐慌のときは、米国が輸入を減らす保護主義に走ったため、その恐慌が日本と欧州を含む世界に波及しました。これが、第二次世界大戦の経済面での原因になったのです。

日本の国民所得は、1929年を100としたとき1930年に81、1931年には77へと減少しています。これはGDPが23%減ったのと同じです。

この恐慌のときは、米国のGDPは1929年に対して29%減少しました。このGDPの減少は、そのまま個人消費が減ることであり、米国の個人消費の減少が輸出国の輸出を50%に減らしたのです。このため欧州と日本に波及したのでした。

トランプの米国第一を基本政策に掲げる保護主義では、大恐慌のときのような米国のGDPの激減(29%)はないので、輸入の減少(中国、日本、欧州からの輸出減少)も、当時ほどではない。それでも保護化により、10%程度の輸入減少はあるかもしれません。

米国は日本に武器を輸出する

トランプは日本に、米国の最強分野である武器の輸入を勧めるはずです。軍事を増強したいと常々考えている安倍政権は応じるでしょう。軟弱外交と非難されるくらいリベラルな色があったオバマとは、様変わりします。軍事力が外交を決めるという、リアル・ポリティックスの立場に立つからです。


トランプの対日戦略(2)〜TPP(環太平洋経済連携協定)からの離脱

トランプは、安倍政権の主要な国際政策だったTPPに対しても、米国の産業を弱体化させる原因になると言って離脱を表明しています。

反自由貿易の政策

TPPは、欧州のEU(欧州連合)や北米のNAFTA(北米自由貿易協定)のように、参加国間の貿易関税の撤廃を図るものです(例外品目はあります)。

「国民の賃金が伸びず所得格差が格大しているのは、自由貿易によって海外(特に中国)の安い商品が流入しているからだ」というのが、トランプの主張の趣旨です。中国に対してはダンピング輸出の非難をしています。

ラストベルトの再興を図るとは言うが…

米大統領選挙では、ペンシルバニア州やオハイオ州など、鉄鋼業と重化学工業で栄えていた「ラストベルト(金属のサビ地帯の意味)」と呼ばれる接戦州をトランプが押さえたことが、当選をもたらしました。

このラストベルトでは、輸入により鉄鋼と重化学工業が衰退しています。トランプは保護貿易を敷き、1960年〜70年代初期まで世界一だった米国の重化学工業を再興させるとしているのです。

トランプは、まだ発動されていないTPPだけではなく、1994年から始まった北米(カナダ・メキシコ)の自由貿易と人材移動の協定(NAFTA)も廃止すると言っています。これも保護主義の動きです。

あらゆる工業の基礎になる粗鋼の生産量は、米国が7000万トン、日本は1億トンですが、中国は1995年に日本の生産高を追い越し、現在は8億トンと米国の10倍です(2015年)。世界が生産する16億トンの50%が中国となっています。

海外からの米国投資

ソフトバンクの孫正義氏は、$500億(5.8兆円)の米国企業買収投資を行うと表明しています。昨日はトヨタが、米国に1兆6000億円の工場投資を発表しました。トランプにおもねるのではないとしていますが、米国を主要市場とするトヨタとしては、トランプ政権の意向に沿う投資を実行せざるを得ないでしょう。米国第一主義は、米国への投資にも影響します。

米国の意向に反すると、国際協約であるWTO(世界貿易機関)が禁じる「特例関税」を課される恐れがあるからです。

軍事費25%増強という政策を背景にした強硬な外交

トランプは、オバマ政権が8年間減らし続け、$8000億(94兆円:日本の5兆円の18倍)になった国防費を$1兆(117兆円)に増やすとも言っています。

陸軍の軍人を54万人(10万人増加)にし、海軍の艦隊も500隻(現在は400隻)にする予定です。空軍でも、戦闘爆撃機を2400機へと20%増やす。オバマ政権に対しては、対中国と対アラブで「軟弱外交」との非難がありました。

25%増える国防費をまかなうにはGDPの増加が必要であり、現在は年率2.5%程度でしかない米国GDPの成長を4%に上げるとしているのです。

リアル・ポリティックス

「軍事力の増強が外交(対外的な政治)の強化である」という考えは、我が国にはない。しかし国際関係の「リアル・ポリティックス」は、今も軍事が基盤です。リアル・ポリティックスとは、理念、思想、イデオロギーではなく力関係で政治を見る見方で、その力の中核は軍事です。

対イラン戦略

オバマ大統領はイスラエル政府に、ヨルダン川西岸への入植をやめるよう圧力をかけ、パレスチナ国家建設の支援をするとも表明していました。オバマは親イスラエルとは言えなかった。

一方トランプは、イスラエル右派、および右派の党首ネタニアフ首相(2009年〜)と、30年におよぶ近い関係をもっています。イスラエル右派は、聖地パレスチナにユダヤ人国家を作るという「シオニズム」を奉じています。中東の問題のコアは、このシオニズムです。

トランプの支援をした米国のシオニストでカジノ王のシェルドン・アデルソン氏は「イランを核攻撃すべきだ」と述べています。

トランプは、米国にいるシオニスト(金融と事業家)の支援により大統領になったとも言われています。トランプは、オバマのような反シオニズムにはなり得ません。こうした背景から、トランプ大統領はイランとの核合意を廃棄し、イランの核施設を攻撃するのではないか、という推測が流れています。

そうなればイラン戦争が起こり、中東全域が激動します。中東に石油を83%依存し、ホルムズ海峡が運送経路である日本にとって看過できない問題です。

イラン攻撃の可能性を証明するかのように、国防長官には、海兵隊出身で「Mad Dog(どう猛な犬)」と言われるジェームズ・マティス氏が任命されています。前方展開の海兵隊は、陸軍のような議会の承認ではなく、マティス長官の緊急指令によって戦闘を起こせるからです。

対中国戦略

2016年12月2日のことでした。台湾の蔡英文総統が当選祝いの電話をかけてきたとき、トランプは自らその電話に出て、蔡大統領という敬称を使ったのです。これは「2つの中国」を認めることになります。

早速、中国政府は厳重に抗議しましたが、トランプは意に介さない。

中国にとって台湾問題は、国家の成立にかかわる原理問題です。地図では「台湾省」とされ、自治区のような扱いです。台湾は国連にも加盟していません。

日本も、台湾と貿易はあっても独立国家としての承認はしていません。北朝鮮、パレスチナと同じように、公式には国家としていない。中国が実効支配する地域という見解です。

それをトランプはいとも簡単に、世界政治のタブーを破ったのです。他にもトランプは、中国のダンピング輸出を、米国の雇用を奪うと非難しています。

コンピュータでは、米国の輸入全体の66%を中国製品が占めています。電話では57%です。対中貿易赤字は$3200億(37兆円)です(2013年)。ただし、この電子機器の対中赤字の多くは、中国や台湾で生産しているアップルなどの米国企業が作ったものです。

トランプは、米国第一のために、WTO違反の対中特例関税も示唆しています。そうなると中国も、米国製品への関税を強化します。

大統領就任後、トランプと習近平国家主席との間に会談がもたれますが、トランプが「2つの中国」に固執すれば、共同声明が何であれ、事実上の決裂となるでしょう。トランプの対中戦略は、予断を許さない部分です。

中国からの対米輸出には、中国で生産する日本企業のぶんが多く入っています。中国の輸出の50%は、外資企業によるものです。保護貿易の報復合戦になると、日本企業の対米輸出もマイナスの影響を受けます。
http://www.mag2.com/p/money/30993

誰が売って誰が買うのか?2016年日本株「下落と上昇の要素」6つ=吉田繁治 2016年1月14日
http://www.mag2.com/p/money/7023

今回のテーマは年初来の株価下落と2016年の見通しです。

15年12月末の1万9000円から1万7500円付近(13日:前場)まで、1500円(約8%)下げています。近年、株価とピタリ逆に動く円相場は、年末の$1=121円水準から、今日は117.95円です。ほぼ3円(2.5%)の円高になっています。

原油と資源価格下落、及び昨年12月のFRBの利上げ(0.25%)を主因に、世界のマネーの流れが、大きく変わってきました。中国経済の減速と言われますが、その要因はむしろ少ないでしょう。奔流は、世界から米ドル(米国債)へ回帰する動きです。

FRBの利上げの「語られない目的」は、2008年末以降3度の量的緩和(金額では$4兆:480兆円)というマネー投入によって発生した資産バブル(株価と不動産)を、崩壊しない前につぶしておくことでした。FRBの狙い通り、まず株価が下落調整になっていると言えます。

1.年初来の株価の変調〜誰が買い、誰が売ったか?

2012年からの主体別買い超、売り超の大きな動きを確認する

中国の株価下落(上海総合)、北朝鮮の核実験、イランとサウジの断交、IS(イスラム国)のテロ、原油・資源価格の下落、米国FRBの利上げなど、メディアでは、いろんな理由が言われています。もちろん、それぞれの理由はある。

肝心なことは、誰が買い、誰が売ったかです。売買の行動にならない限り、株価も為替相場も動かないからです。

まず過去4年の、投資主体別の売買を見てみます。プラスは買い超、マイナスは売り超です。買い超は株価を上げる要素であり、売り超は下げる要素です。

表を見ると、過去4年、どの主体が買って上がり、どの主体が売って下がったか、わかります。


_____2012年 2013年 2014年 2015年

外国人 : 2.8兆円 15.1兆円 0.9兆円 -0.3兆円
自己 : 0.3兆円 -0.6兆円 0.3兆円 1.6兆円
個人 : -1.9兆円 -8.8兆円 -3.6兆円 -5.0兆円
投資信託 : 0.4兆円 -0.2兆円 -0.2兆円 0.2兆円
信託銀 : -1.0兆円 -4.0兆円 2.8兆円 2.0兆円
事業法人 : 0.4兆円 0.6兆円 1.1兆円 3.0兆円
生損保 : -0.7兆円 -1.1兆円 -0.5兆円 -0.6兆円
都銀等 : -0.1兆円 -0.3兆円 -0.1兆円 -0.6兆円
日経平均 1.0万円 1.6万円 1.6万円 1.9万円

(注)日経平均は、該当年の12月末の株価指数(日経225)
出典:投資家主体別売買動向表 – 安藤証券

主体別売買への4つのコメント

(1)「自己売買」は、証券会社の売買の受託ではない自分での売買です。この中には、日銀による株式上場投信(ETF)の買い(3.3兆円/年)による、現物株の買いが混じっています。

(2)信託銀の売買には、公的年金基金GPIFの売買が混じっています。

上記の自己売買と信託銀の買い超が、2014年10月からの追加緩和以降の「官製相場」を作ってきました。上表の日経平均では、この官製相場分は、1万6000円→1万9000円、つまり3000円(19%)の上昇という結果です。

ここ4年の株式相場の動きと理由としては、2013年の1万円から1万6000円への60%上昇は、外国人投資家の、年間15.1兆円の買い超によるものでした。2014年の1万6000円から2015年の1万9000円への19%上昇は、年金基金、公務員共済年金、郵貯、かんぽ、日銀が買い進んだ官製相場でした。

(3)2014年から増えてきた事業法人の買いは、ほとんどが、わが国でも増加した「自社株買い」です。

2015年には、3兆円の買い超になり、2015年の株価を3000円(19%)上げた、もっとも大きな要素になっています。米国流のROE経営(=株価上昇経営)を行えという米国からの要請による2015年のわが国の株価(3000円上昇:19%)は、官製相場と自社株買いが原因です。

(4)わが国の生保と銀行は、2000年代はリスク資産の持ち合い解消を唱えて、売り手になっています。

国内の売買では、生保と銀行が株を売り続けるため、個人投資家が買い受けないと、構造的に下がる相場になっているのです。

2000年代以降、日本の株式相場が、外国人の買い依存になった理由は、以下の2つです。

◾大株主だった生保と銀行が、持ち合い解消と言いながら、リスク資産の株を売り続けた

◾個人投資家が、投資信託を含んでも、米国のように売買の50%以上にならず、わが国では売買シェアがとても低い(22%前後)


外国人投資家の売買シェアは67%(2015年12月)です。このため、ガイジンが売れば下がり、買えば上がる。

「米国の株価のコピー相場+官製相場─個人の売り」が、2015年のわが国の株価を作っていました。日経平均の幅は、2万1000円(15年5月〜8月)〜1万7000円(10月)と、約4000円(24%)の波動だったのです。


売買の構造〜60〜70%を占める外国人

東証1部の年間売買は、ほぼ700兆円(1日平均2.8兆円:2015年)でした。この売買のうち60%〜70%を外国人が占めています。

外国人とは、ヘッジファンド、国家ファンド(SWF:後述)、投資銀行です。そのほとんどは、タックス・ヘイブン(オフショア)からの買いです。

原油と資源の価格低下による、国家ファンドの運用資金の急減が、ガイジン買いを減らし、売りを多くして、2015年から2016年1月の下落相場を作っています。

わが国でも700兆円の売買のうち、ほぼ60%(420兆円)は、コンピュータプログラムでの自動売買(HFT:超高速売買)です。ミリ秒、ナノ秒単位で「他より早く売買し差益を得る」ものです。他の、買い注文を察知すると、先回りしてその価格(指値)で買ってすぐ売り、確実な差益を稼ぐ方法です。

日本人と日本の金融機関の売買は30〜40%のシェアに過ぎず、価格を大きくは形成できません。日本人で大きく売買するのは、名寄せ後で約700万人(口座数は4500万)の個人投資家です。


売り越しを続けている個人投資家

個人投資家は、2012年からは1.9兆円、2013年8.8兆円、2014年3.6兆円、2015年5.0兆円と、一貫して大きな売り超です。

リーマン危機後の株価下落(日経平均8100円:09年3月)で被った大きな損を、2013年以降の外人買いと官製相場で回復するための売りを行ってきたからです。

◾2012年末の日経平均1万円を、13年末の1万6000円に上げたのは、2013年の、外国人の15.1兆円もの、大きな買い超でした

◾2014年末の1万6000円の株価を、2015年末の1万9000円に上げてきたのは、官製相場と自社株買いでした


予想の反省としては、年金基金、公務員共済年金、郵貯、かんぽ、日銀の5つのクジラによる日本株の買いは、もっと大きな上昇(日経平均で2万3000円)になると考えていました。

ところが2015年は、個人投資家の、損失回復のための利益確定の売り超が5兆円と一層大きかった。

5頭のクジラの買いで上がると、個人投資家が売ったのです。個人投資家は、政府が囃した官製相場に対し「踊ってはいなかった」。

個人投資家は「逆張り」が多い。上がると売り、下がると買う。2015年は上がるときの売りが大きかった。理由は、証券会社が誘う官製相場を信用していないからでしょう。

日本の株価は、海外からの売買で大きく動きます。これを追求するには、世界のマネーの大きな流れをみなければならない。この視点を、以下のデータで確保しましょう。

2.国際的な資金の大きな動きはどうなっているか?

ドル・インデックスで見ると、大きなドル買い/ドル売りがわかる

ドル・インデックスは、貿易額の加重平均で見た米ドルの指数です。円/ドルの関係だけではなく、世界の通貨(ユーロ、円、英ポンド、カナダドル、スイスフラン、スウェーデンクローネ)に対するドルの価格が分かります。

ドル・インデックス(ドル指数)が上がるときは、ドルが買われて米国にマネーが集まっています。逆に、下がるときは米国からマネーが流出するときです。

世界の外為相場では、1日(1年の誤記ではない)に、$6.8兆(816兆円:2013年)の通貨の売買があります。円のシェア12%です。

買い超の通貨にマネーが集まって上がり、売り超の通貨からは逃げて、下がっているのです。21世紀は、国際的なマネーの動きが巨大です。ここを見なければ、マネーの動きはわからないのです。円高のときは、日本にマネーが集まり、円安では主にドルに逃げています。

グラフの刻みを毎月にすると、2004年6月〜16年1月までの12年間のドル指数がわかります。大きな動きを見ます。この10年間の米ドルの動きは、3つの時期に分けると、意味がよく分かります。


3.10年間を3つの時期に分ける

(1)2006年から2008年のリーマン危機まで

この間は、ドル指数が92付近の高値から72のドル安になっています。リーマン危機のとき、価値を下げた米ドルが大きく売られたのです。米国の金融危機は、ドルが売られる危機でもあるからです。

(注)このとき円は買われて、$1=120円付近(2006年)から80円(2011年)へと33%も上がっています。これは円高ではなく、リーマン危機後のドル安だったのです。

(2)2008年10月〜2014年7月(テーパリング確定)まで

リーマン危機がもたらしたドル危機と、米国・欧州の金融危機に対して、米国FRBは3回の量的緩和で、$4兆(480兆円)のドルを増刷し金融機関に与えて危機を乗り切ります。

ドル指数は、安値の72から88の間を激しく動いたのが、08年10月から14年7月までの、3回のQE(量的緩和)の6年間でした(変動幅16=22%)。金融危機は脱した、いや景気はまだ悪い、雇用の回復を見れば米国の景気はいいと、揺れ動いていたからです。

(注)2012年末からは、日本政府が誘導したドル買い(推計30兆円)を起点に、円はリーマン危機の前の、$1=120円にまで下がって、現在に至っています。

2013年には、海外投資家は、円売り(円安)とともに、日本株を15.1兆円も買い越して、日経平均で1万円から1万6000円(13年12月)に上げています。

(3)2014年7月〜2016年1月まで

米国FRBは、2014年1月からQE3(量的緩和第3弾)を停止して、テーパリング(ドル増発の順次縮小)を行い、同年10月に完了しました。

中央銀行がマネー量を絞ることや利上げは、普通は、通貨高の要素です。このためテーパリングの完了が予想された2月前の14年8月から、80だったドル指数は、高騰に向かいます。

2016年1月(現在)には、25%高い100に高騰しています(リーマン危機前の水準+8)。(注)通貨での25%高は高騰です。

80だった14年7月からは、25%ものドル高になっています。これは2014年8月以降、世界の通貨(ユーロ、円、元、新興国通貨)がドル買い、自国通貨売りに向かい、米国にマネーが集まっていることを示すのです。


【下落した新興国の通貨】

上がったドルと逆に、新興国の通貨は、軒並み下がっています(20〜30%)。輸出品目である原油・資源・コモディティの下落と、米国が新興国からの資金を引揚げてきたからです。下落の原因は2つです。

◾(1)世界の資源の30〜40%を使っていた中国の生産の減退

◾(2)量的緩和終了後の米ドルが、原油、資源、コモディティの先物投機から引き揚げたこと(ヘッジファンドの先物買いの縮小と先物売り)

この間、人民元も政府が変動幅2%でドルペッグさせていたので、ドルとともに世界の通貨に対して25%上がっています。

「2015年からの人民元の下落」には、2014年8月以降、元が25%も上がっていたという伏線があることを記憶しておいてください。


【25%のドル高】

2014年8月以降、現在に至るまで、米ドルは25%ものドル高だったことを確認します。世界の通貨からのドル買いが大きかったことを示します。世界のマネーが米国に集まったのです。

(注)後述するように、日本の金融機関も、2014年からドル買いに転じています。


【新興国の通貨売り】

2009年以降、新興国に出ていたFRBの量的緩和のドル(新興国の通貨買い)が、ドル買い/新興国通貨売りになって、マネーが米国に回帰しています。

ドルの引き揚げが、2014年央からの原油の下落の主因でもあります。


【原油・資源・国際コモディティ】

2014年7月の1バーレル$102(WTI原油価格指数)は、同じ年の12月には$59に、翌15年12月には、$37へと64%下がっています。

同時に、資源とコモディティ(CRB商品指数:28種)も、300から164(16年1月)にまで、48%下がっています。逆オイルショクと言えるくらいの暴落です。

原因は、前述のように、中国の原油・資源・コモディティ需要の減退(これが50%)、FRBがテーパリングから利上げに向かったことによる、ヘッジファンドの投機マネーの引揚げです(これが50%)。

4.資源輸出国のSWF(国家ファンド)運用資金が縮小している

日本株を売買する海外投資家は、

(1)ヘッジファンド、
(2)SWF(国家ファンド)、
(3)英米系の投資銀行です。


ヘッジファンドに運用資金を預託することが多いので、直接にはヘッジファンドです。間接的に、(2)と(3)です。

SWFは、2000年代の原油・資源・コモディティが高いときに、運用資金を$12兆(1440兆円:2013年:推計:JPモルガン)に増やしています。※SWF(Sovereign Wealth Fund:資源国の国家ファンド)

大手投資銀行(JPモルガンやゴールドマン)は、QE(量的緩和)で、FRBにMBS(住宅ローン担保証券)と保有国債を売ったマネーを、ヘッジファンドに預託して、運用しています。日本や中国が米国債を買ったマネーも、投資銀行が運用しています。

資源国マネー、FRBマネー、日本マネー、中国マネーが、日本を含む世界への、米国と欧州からの投資・投機のマネーになっています。


SWFの主なものを、運用額とともに、挙げておきます。こうしたデータは、租税回避地のタックス・ヘイブンの金融と同じように、なかなか集まりません。今回、Wikipediaのデータを使います。年度は不明ですが、平均で2013年頃でしょう。


中国のSWF : $14553億(174兆円) 輸出マネー
アブダビ首長国のSWF : $6270億(75兆円) 原油
ノルウェーのSWF : $6110億(73兆円) 原油
サウジアラビアのSWF : $5328億(64兆円) 原油
シンガポールのSWF : $4047億(49兆円) 金融
クウェートのSWF : $2960億(36兆円) 原油
カナダのSWF : $1528億(18兆円) 資源

以下続く

※世界のSWF推計 $12兆(1440兆円:2013年)

世界のSWFは、2013年までの原油・資源・コモディティが高かった時期に基金を増やしています。しかし2014年の半ばからの原油価格の下落($100→$32)とともに、原油輸出国の財政は大きな赤字に転落しています。

輸出で世界一のサウジアラビアでは、GDPの20%もの財政赤字になっています。政府の歳入の減少は$820億(9.8兆円)と言われます。油田はほとんどが国有であるため、輸出代金の減少(1/3)は、直接に国家の収入を減らします。産油国は、税の代わりに、国家が原油の輸出で収入を得ています。

2014年7月からの原油の暴落は、海外投資を行っているSWFの運用資金を減らします。例えば、サウジアラビアのSWFは、$5328億(64兆円)です。原油が$30付近ならSWFの資金は1年に10兆円の割合で減って行くでしょう。サウジアラビアのSWFがいくら日本株を買っているか不明ですが、仮に、日本株のグローバルシェアである約10%としたときは6兆円です。

すでに6000億円付近の日本株が、サウジのSWFから売られているでしょう。サウジアラビアだけではない。他の産油国・資源国も同じです。

つまり2015年からは、$12兆(1440兆円)の、グローバル投資をした世界のSWFが、原油が低い価格である間、投資資金の引き揚げを行っています。これが、米国株、日本株、ユーロ株の下落の50%を説明するでしょう。

日本のような、原油・資源のほぼ100%を輸入する国にとっては、原油・資源・コモディティの下落は、普通のときは、企業の利益を増やして株価の上昇要素になります。

しかし、マネーの動きも気象のような複雑系です。原油・資源・コモディティ価格の下落によるSWFと、中国のSWFの運用資金の10%くらいの減少が、世界の株価の下落の50%を説明するでしょう。

そして、FRBの利上げによる、米国のレポ金融の縮小から来る運用マネーの減少が、株価下落のもう50%を説明するでしょう。

なおさかのぼって、原油・資源・コモディティの、2014年8月からの下落の原因は、(1)中国の需要減と、(2)ヘッジファンドによる原油や資源の先物買いの減少です。

価格を上げる先物買いは、3か月や6ヵ月後の限月には、反対の、現物売りで清算になります。先物買いが減少すれば、限月には売りが増えて、原油・資源・コモディティ価格は一層下がるのです。

5.異次元緩和のジャパンマネーはどうなったのか

米国株と米国債を買っている

日銀が異次元緩和を行って金融機関の当座預金を増やした場合、一般には、金融機関による「ポートフォリオ・リバランス」が起こって、株式、債券、外貨の買いが増えます。

日銀当座預金は、金利が0.1%しかつかないため、金融機関は損失を被ります。このため、数%以上の利回りが見込める株式、債券、外貨の運用を資産として増やすのです。これが量的緩和で起こる、金融機関の「ポートフォリオ・リバランス」です。

ところが日本の金融機関(銀行と生保)は、主体別の売買で示したように、国内株では、一貫して売り超を続けています。

量的緩和で金融機関に増えたゼロ金利マネーは、どの運用を増やしているのか。財務省が集計している「対外証券投資統括表」で分かります。


【わが国金融機関の海外投資の超過】


海外株 中長期債 合計

2010年 : 1.9兆円 20.8兆円 22.5兆円
2011年 : 1.0兆円 7.5兆円 7.7兆円
2012年 : -1.8兆円 13.2兆円 11.2兆円
2013年 : -6.6兆円 -1.9兆円 -8.2兆円
2014年 : 6.6兆円 4.4兆円 12.1兆円
2015年 : 19.5兆円 15.5兆円 35.6兆円

6年合計 : 20.6兆円 59.5兆円 80.9兆円

(注)いずれも買い超、売り超の差額。2015年は11月まで。短期債は少ないので省略。海外株の推計80%は米国株であり、中長期債のほとんども、ドル国債と社債である

2013年4月から、わが国で異次元緩和が始まったとき、日本の金融機関は、米国への投資を8.2兆円減らし、株はふやさずとも、国内への投資は増やしていました。

このためもあり、2013年は、日経平均が1万円から1万6000円に上がったのです。

ところが、2014年には、米国株を6.6兆円、米国債を4.4兆円買って、海外投資を12.1兆円増やす動きに変わっています。2015年には米国株を19.5兆円、米国債を15.5兆円買って、米国への投資を35.6兆円も増やしたのです。

2014年の1月から米国FRBはテーパリング(量的緩和の順次縮小)を開始し、同年10月に終わりました。2014年の日本の金融機関は、FRBが国債を買ってきた代わりに、ドル株とドル国債を買って、米国の資金繰りを助けたのです。

財務省の対外証券投資統括表は、メディアでは取り上げませんが、それを見れば、米国がQE(量的緩和)を停止したあと、日本の金融機関が、円国債を日銀に売り、米国株と米国債を買ってきたことが分かります。

マネーの元をたどれば日銀が、米国株と米国債を買いあげています。


日本の金融機関によるドル買い

米国は、FRBが出口政策をとって資金不足の国になり、日本は異次元緩和で資金余剰の国です。

特に2015年は、上表に見るように、日本の金融機関(代表が三菱東京UFJ)は、米国株を19.5兆円、米国債を15.5兆円買って合計で35.6兆円ものドル買いを行っています。

(注)米国株を買うときは、まず円でドルを買います。この円は日本の金融機関から、ドルを売った米国の金融機関に行きます。一方で、日本の金融機関は、米国株を所有します。これが、円の米国への流出です。代わりにドル建ての株券が入手されます。


【中国は、ドル国債を売っている】

ドル国債を、外貨準備としてためてきた中国は、2014年から、元安(元売り/ドル買い)を阻止するため、ドル国債の売り/元買いに乗り出ししています。

普通なら、これは、ドルの下落要素です。しかしドルは下がっていない。むしろ2015年はドル高でした。

中国の外貨準備は、2014年6月には$4.0兆(480兆円:日本の2.9倍)とされていました。60%は米ドル建てで、中国はユーロ輸出が多いので30%がユーロでしょう。この外貨準備が2015年9月には、$3.5兆(420兆円)に減っています。

ドルを60%とすると$3000億(36兆円)のドル売りです。日本の金融機関が2015年に買い増したドル債は35.6兆円です。日本の金融機関が、中国が売ったドル債を、そっくり、買いあげたことになります。実に数値は、ピタリと符合します。

ドル高の理由の中でもっとも大きなものは、日本の金融機関による35.6兆円(2015年)のドル買いです。

日本がドル株を買って株価を上げて、ドル国債を買ってドル金利の上昇を抑えたのです。

日本からのドル買いに密約があるのか暗黙かは不明です。ドル買いでも政治的な領域は、口頭での約束であり分からない。

(注)郵貯(総資金量206兆円:2015年3月)、かんぽ保険(同85兆円)、年金基金(GPIF:131兆円)、合計で422兆円のマネーは、いずれも政府の主導で運用されています。追加緩和の14年10月以降、海外運用を増やした年金基金の海外株の運用枠は25%(33兆円)とされています。日銀が、GPIFがもつ国債を買い、GPIFが得た現金で株を買うという構図です。

6.年初からの世界同時株安の原因

2015年末に3600ポイント付近だった上海総合は16年の年初から大きく下げて今日(1月13日)の終値は2949でした(26%下落)。政府の株価対策で、下落調整されていますから、市場の実勢では2500ポイントかもしれません。

2015年6月には5000ポイントを超えていた中国株の下落は6月13日から始まり、8月末に3000ポイントに下げ、世界の株価に波及しています。その後政府の対策で、3500付近を波動していましたが、年初に急落したのです。その背景には、中国経済の相当の減速があります。

2015年7−9期のGDPは実質で6.9%の成長とされていますが、実際は、公称より相当低い2%〜4%の範囲でしょう。これが株価に反映しています。

予想PERでは3000ポイント付近に下がった後の株価で12.08倍(16年1月13日:上海総合)です。中国企業の利益予想から見て、10倍くらいが妥当に思えます。

(注)2015年の実質GDPは$11.3兆(1356兆円)で、日本(500兆円)の2.7倍、米国$17.9兆(2148兆円)の2/3とされています。米国との物価の違いを調整した購買力平価では19.9兆(2388兆円)であり、2013年から世界1です。14億人の中国経済は、7年間で2倍になっています。これだけのボリュームになれば、成長力は低下します。

年初の中国株の下落から、瞬間に米国株も調整しました。NYダウ(代表的な工業株30種)は12月末の$1万7500から下げて1月13日は多少反発し$1万6516です(6.6%安)。日経平均は1万9000円から13日の1万7715円で、NYダウとほぼ同じ6.8%の調整をしています。

米国のメリルリンチ証券(バンク・オブ・アメリカが吸収)は、2016年の中国GDPから、株価を30%安(上海総合で2500ポイント:16年12月)と見ています。予想PERでは8.4倍という低い水準ですが、上げ底のGDPと企業の次期予想純益からすれば、妥当にも思えます。

7.2016年日本株「下落と上昇の要素」6つ

(1)SWFは減少する

日本の株価はどうなるか。海外のSWF(国家ファンド)は、原油・資源・コモディティの低価格によって縮小しますから、日本株も売りになるでしょう。

(2)ヘッジファンドも元本が減少傾向

ヘッジファンドの運用元本は$2.87兆(344兆円)とされています。2015年の第3四半期には、中国起点の株価下落の影響を受けて$950億(11兆円)減っています(CNN)。2008年のリーマン危機の時以来、7年ぶりの減少です。

2015年の全体運用のパフォーマンスは-0.85%(加重平均)と低かったため、投資家は運用預託が減らしています。3年間の運用成績も年率3.67%の収益と、リスク投資にしては低い成績です。(Hedge Fund Research:2015年12月)

FRBが利上げに入っている2016年に、ヘッジファンドの運用額が増えることはない。海外からの日本株の、大きな買い越しは期待できないということです。

(3)16年3月期の経常利益は増加だが、織り込み済み

国内要因で言えば、上場企業の2016年3月期の経常利益は、前期比で8%増えると予想されています(日経新聞:社数1015社)。しかしこの3月期の利益は、現在の株価に織り込まれています。

利益増が株価の上昇要因になるには、2016年9月期の利益が、3月期より10%以上増加する予想でなければならない。中国の景気が後退する中では輸出増がなく、2016年9月期の企業利益が10%上がることは不可能ではなくても、難しい感じがします。


(4)官製相場は4月からの可能性

政治的なことですが、2016年7月の参院選に向かい、政府与党は、参議院で憲法の改正条件を満たす2/3を獲得しようとしています。

このために、参院選前の2016年6月から7月の株価が上がっていることが必要です。2016年4月には、日銀が、相当に大きな追加緩和をし、質的緩和(つまり株の買い)も実行する可能性は高い。

2014年10月の、市場を驚かせた「官製相場」での、株価上昇は3000円(19%)でした(前掲表)。今回は、2度目なので衝撃は弱く、1500円程度(9%)の底上げでしかないでしょう。(日経平均で1万9000円)


(5)中国経済の懸念

その前に、中国のGDP減速から、株価に今一層の調整があると、この官製相場分も、消える感じがします。

中国では、2016年に、主要都市での住宅価格の下落が明らかになって行くと、再びの理財商品の不良化と、国営金融機関の損失から、金融危機の様相を呈するでしょう。リーマン危機の規模(不良債券1000兆円)には至らないと思えますが、この危機の可能性はあります。

(6)自社株買いの増加の可能性

増える可能性があるのは、企業収益の好調を背景にした自社株買いです。自社株買いは、買った後、再び市場で売らない限りは、流通しない金庫株、または減資になる消却になって、流通する1株当たりの利益を上げ、株価を上げる要素になります。

米国では、2015年度は1年に$1.2兆(144兆円)もの自社株買いが実行される予定で、株価を40%も底上げする要素になっています。そこまでは行かなくても、5兆円の自社株買いが増えると、株価の上昇要素になります(2015年は3兆円でした)。
http://www.mag2.com/p/money/7023

アダム・スミス2世の経済解説 投資部門別売買状況
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/

投資主体別売買動向日本株 - トレーダーズ・ウェブ(株式情報、FX情報)
http://www.traders.co.jp/domestic_stocks/stocks_data/investment_3/investment_3.asp

海外投資家売買動向(投資部門別売買動向)
http://karauri.net/kaigaidoukou/


13. 中川隆[-7732] koaQ7Jey 2017年5月07日 20:20:38 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

日銀の金融緩和は日本の金をアメリカに流すのが目的だった 2


リーマン危機以降、世界の株価と不動産価格は、中国のように当局が強く関与する「政治的」な相場になっています。

日本では、日銀や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、郵貯・かんぽによる、直接的な株買いがありあます。これらが「政治的」と言う所以です。

安倍首相は 2012年10月から数十兆円の「円売り・ドル買い」で、$1=80円の円高を120円付近にまで下げたのです。

資金残高129兆円(16年3月)の年金基金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立法人)は、事実上わが国のSWS(国家ファンド)です。ノルウェーの$5775億(57兆円)の2.2倍の規模で、1位の米国社会保障年金信託基金に次ぐものです。

2014年10月には、運用の基本ポートフォリオ(分散投資)で、国内株式と外国株式の構成比を、ともに25%へと倍増しています。

外国債券も15%に増やしたのです。外国証券と言っても、90%は米国のものでしょう。

GPIF は株式で約15兆円、米国債で10兆円の買いを行っているのです。
両方で、25兆円のドル買い、つまり米国への資金供与です。


2012年10月に、民主党の自滅から安倍政権が確実になって以降、50兆円くらいのジャパンマネーが米国に行っています。

(注)ドル買の超過分、日本の資金を米国に与えることと等しい

政府の円安誘導の方法は、政府が動かせる資金での、市場に買い主体を公開しないドル買いです。

$1=80円から120円(2016年2月まで)の円安の時期までに、50兆円の円安誘導が行われています。
http://www.mag2.com/p/money/23106/4


米国の経常収支赤字は年54兆円規模

米国の経常収支は、年$5400億(54兆円)の赤字を続けています。

リーマン危機前の$8000億(2006年)に比べれば、2009年から半減しましたが、2016年から再び増加傾向です。


米国の赤字は、経常収支の黒字(資金流入になる)が大きい中国と日本が、合計で1年に$5400億(54兆円)規模のドル買いをすべきことを示します。
http://www.mag2.com/p/money/23106/5

日銀の追加緩和を決めるのは誰? 闇株新聞 2016年01月27日


日銀の政策決定会合における金融政策は、日銀総裁・副総裁(3名)に6名の審議委員を加えた9名の多数決で決定されることになっています。

ところが審議委員のうち2名が学者枠(元官僚を含む)で総裁・副総裁に絶対に反対しないため(そもそも反対しそうな学者は審議委員に任命されません)、常に過半数の5名は確保されている「出来レース」でしかありません。


 それでは「絶対に可決される金融政策案」はいったい誰が考えるのでしょう?

一応、日銀は国会や政府や官邸から独立していることになっているので、黒田総裁と岩田・中曽副総裁が「各位」の意向を忖度(そんたく)して事務局とすり合わせ(理屈を後付けで考えて)作成しているはずです。

 それではこの意向を忖度すべき「各位」とは誰(どこ)のことなのでしょう?

 これは歴史的に変遷しており、過去には例えば三重野総裁時代(1989年〜1994年)のように「総裁の鶴の一声」で決まっていた時期もあったようですが、現在の黒田体制では

「 1が旧大蔵省、2が米財務省、あとはなし」

のはずです。

 したがって黒田総裁の就任以来の金融政策は、「異次元」量的緩和と「もっと異次元になった」量的緩和しかありませんが、すべて旧大蔵省の意向であり、具体的には消費税を10%にすることと、日銀を財政ファイナンスンするための巨大な財布にすることでしかなかったはずです。

 2 の米財務省は、もともと旧大蔵省のカウンターパーティーであり、米財務省の意向を旧大蔵省が自らの省益(日本の国益ではありません)に照らし合わせて(巧みに脚色して)受け入れるものです。

拒否することはなく、2001年〜2006年の量的緩和と、2014年10月の追加量的緩和は米財務省の意向だったと考えます。


米財務省は普通であれば米国政府(ホワイトハウス)の意向を受けていますが、オバマ政権のルー財務長官は最近見たことがないほど無能で何もできません。またホワイトハウスのカウンターパーティーは官邸で旧大蔵省ではないため、現在はホワイトハウスの意向も米財務省の意向も日銀(旧大蔵省のことですが)に届きにくいはずです。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1637.html


なぜ「円高政策」に転換すべきと考えるのか? 闇株新聞 2016年01月15日

世界の金融政策で見るとリーマンショック直後の 2008年10月から 2013年5月頃までは、積極的な金融緩和や通貨安による景気刺激効果があったはずです。少なくとも景気が拡大するという期待感はあったため、それなりの効果がありました。

 この 2013年5月 とは何だったのか?ですが、米国では量的緩和(QE3)の真っ最中だった時期ですが、そこでバーナンキFRB議長(当時)がその QE3 を縮小する必要性を初めて表明した時期です。

 そこで世界経済にとって積極的な金融緩和と通貨安が効果的でなくなったというわけでもありませんが(後から検証するとその通りだった可能性がありますが)、

実は日銀が「始めて」積極的な金融緩和(「異次元」量的緩和)に踏み切った時期とは、そのわずか 1か月前の 2013年4月4日 のことでした。

 もちろん日銀の「異次元」量的緩和は株高・円安をもたらし、基本的には今でも日本では(たぶん欧州でも)金融緩和・量的緩和=株高・通貨安と認識されたままです。

 実際に米国は、少し遅れて 2014年 1月 から QE3 を縮小して同年 10月に終了してしまいました。

日銀は逆に同じ 2014年10月 に「もっと異次元に」追加量的緩和を行い、現在も(そしてたぶん 2017年4月の消費増税のさらにあとまで)継続するはずです。

 現在は誰の目にも世界経済は減速しており(潜在成長率が世界的に低下しており)、物価上昇率も大きく低下しています。その中で黒田日銀総裁は本日(1月14日)も「2%の物価目標達成のためには何でもする」と息巻いていますが、これは 2008年〜2013年当時のアナクロ的な発想です。

 本日は10年国債利回りが一時 0.19%と史上最低利回りを更新しました。
日本の国債に10年間投資して利回りが 0.19%しかないなかで、いくら国債は元本リスクがないといっても物価が 2%上昇するほど日本経済の潜在成長率(あるいは期待収益率)が高いはずがありません。

 こういう時期に中途半端な物価上昇目標を掲げるので安直な便乗値上げが続き、景気拡大効果が乏しい(ほとんどない)量的緩和を続けるので円安となり、せっかくの原油など資源安の恩恵が消費者に行き渡らないだけでなく、そこへ消費増税の負担が加わります。

 考えるまでもなく「誤った物価上昇目標」「誤った異次元・量的緩和」「誤った円安政策」となります。足元では1ドル=117円台となっていますが、世界の金融市場が小康状態となると日本では基本的に円安予想(期待)が大きいため、再び対外投資が拡大して中途半端な円安に戻る可能性もあります。

 歴史的に見ると昨年までのような「気が狂ったような」対外投資が拡大した後は、必ず将棋倒しのような急激な円高に見舞われているため、ここはあまり過度な円安予想(期待)に適度なブレーキをかけておく必要もあります。これも「円高政策」に転換すべきと考える理由の1つです。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1627.html


日銀の追加量的緩和の「効能」は剥げ落ちてしまった 闇株新聞 2016年01月21日


表題にある日銀の追加量的緩和とは 2014年10月31日に「唐突」に発表されたもので、そこから「本格的に」円安と株高が加速していきました。

追加量的緩和直前の円相場(円高)は 1ドル=105.18円で、日経平均(安値)は 14532円だったのですが、そこから公的資金を含む機関投資家の「狂ったような」外貨資産買いと日本株買いで 2015年6月には 1ドル=125.86円、日経平均(高値)が 20868円となりました。

 さらにこの日銀の追加量的緩和をきっかけに、中国人民銀行や ECB を含む数多くの中央銀行が追加金融緩和や量的緩和に踏み切り、世界的な株高となりました。

 今から考えると日銀が「唐突」な追加量的緩和に踏み切った 2014年10月とは、FRB の量的緩和が完全に終了して、そろそろ利上げが取り沙汰されていた時期だったため、米国の景気減速を和らげるため「日本に追加量的緩和を要請した」とも考えられます。

完全に旧大蔵省傘下となった日銀も消費増税(当時は 2015年10月から 10%になる予定だった)へのアシストとなると考えたのでしょう。

 そのおかげもあってか NYダウも2014年10月の安値・16117ドルから、2015年5月には18312ドルの史上最高値まで上昇していました。

 また少し遅れて 2014年11月から中国人民銀行が本格的な金融緩和に踏み切り、上海株式は 2014年10月の安値・2290ポイントから、2015年6月には 5166ポイントの高値となりました(2007年には 6000ポイントをこえていたため史上最高値ではありません).

 そこから 2015年8〜9月にかけて人民元の下落をきっかけに中国経済の不安、上海株式の急落などで世界の株式は急落したのですが、まもなく中国が「小康状態」を取り戻したように見えると(実際は何も解決していなかったのですが)、世界の株式市場も昨年末にかけて安心して「かなり」回復していました。日経平均も昨年12月1日に20012円となりました。

 そこへ本年初めから(あるいは昨年末から)再度の中国経済の不安、上海株式の急落、さらには原油価格の一層の急落となり、日経平均を含めた世界の株式市場は急落しています。今回は FRBこそ利上げしていますが、日銀、ECB、中国人民銀行などはまだまだ金融緩和・量的緩和を継続しています。

 それでは中国経済、上海株式、原油価格などが「小康状態」となれば(いくらなんでもそのうち「小康状態」にはなるはずです)、日経平均は昨年末にかけてと同じように上昇し、円相場も円安となるのでしょうか?

 つまり表題にあるように、日銀の追加量的緩和の「効能」がすでに剥げ落ちてしまっていると考えます。そうなると(すぐにという意味ではありませが)円相場については 1ドル=105円台、日経平均については 15000円割れまで視野に入れたレンジまで覚悟しておくべきと考えます。

 別に過激なことを言っているわけではなく、今回の日銀の追加量的緩和の「効能」が完全に剥げ落ちると、その辺のレンジに戻ってもおかしくないからです。

 じゃあ、日銀がさらなる追加量的緩和に踏み切ったらどうなのか?ですが、現在のように世界経済が収縮しているときには、総需要拡大策である金融緩和・量的緩和の「効能」はありません。同じように 2%の物価上昇目標も無意味です。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1632.html

米国と心中したい日本のQE拡大 2014年11月5日   田中 宇
https://tanakanews.com/141105japan.htm


 10月31日、ちょうどハロウィンの日に、日本銀行は、円を増刷して日本国債を買い支えるQE(量的緩和策)の拡大を発表した。

日銀は、これまでのQEで年に50兆円の日本国債を買い支えてきたのを、80兆円に拡大する。これは、日本政府が年間に新規発行する国債の総額とほぼ同じだ。

日本は今後、財務省が発行する国債のすべてを(財務省出身の黒田が支配する)日銀が買い取る自家消費(自画自賛、自作自演)の国になる。

これまで国債の大口購入者だった公的年金基金(年金積立金管理運用法人)は、国債購入を日銀にゆずり、その分の資金で国内と海外の株式、海外の債券を買い増しする。

この買い増しへの期待から、日本と米国などの株価が急騰した。

世界各国の年金基金のほとんどは最近、金融市場のバブル崩壊を懸念してリスク回避に動いているなか、日本の公的年金だけは逆方向で、株や債券を買い増してリスクを拡大している。


 日銀がQE拡大を発表する2日前、米連銀がQEをやめた。

連銀はQEで、7月に350億ドル、8月に250億ドル、9月に150億ドルを増刷して米国債などを買い支えた後、10月に増刷をゼロにした。

一方、日銀はQE拡大で今後、年に30兆円を増刷するが、この額は1カ月あたりのドル建てに換算すると200億ドル強だ。

連銀のQEの最後の方の規模を、そのまま日銀が引き継ぐ感じになる。

連銀のQEがドル増刷で、日銀のQEは円増刷という為替の問題はあるが、為替相場も事実上日米などの当局が管理しており、当局にとって為替は問題でない。

米国のQEを日本が引き継いだといえる。


 日銀の黒田総裁が10月末にQEの拡大を発表する2週間前、日銀の早川英男元理事は

「(あまり意味がない)インフレ率2%という目標を深追いせず、市場が反乱を起こす前に、黒田総裁は勝利宣言をしてQEをやめて勝ち逃げをした方が良い」

という趣旨の発言をしている。しかし黒田がやったことは、勝ち逃げと全く逆方向の、米連銀が危険回避のためにやめたQEを日本が引き継ぐという、他人のリスクを追加で背負い込む行為だった。

(日銀はメンツ捨て「勝ち逃げ」、年内に緩和縮小表明をー早川氏)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2014-10-14/NDFCC66S972U01


 日銀はQEを拡大する理由について、米連銀のQEを引き継いだのではないと言っている。
日銀はQE拡大について、日本経済をデフレから救うためと発表している。

 QEは、実体経済回復の効果がなく、金融バブルや貧富格差の拡大など害悪ばかりが大きいことを、米国の上層部も認めつつある。

QEが「良いこと」から「悪いこと」に転換していく瞬間に、米国はQEをやめ、日本はQEを増額した。

QEは、株や債券の相場を短期的に押し上げる。

これまで、相場が下がりそうになったら米連銀がQEで介入してくれるという安心感が市場にあり、それが株と債券の高騰の源泉になっていた。

米国がQEをやめた後、日本が引き継がなかったら、金融のバブル崩壊、特に株の世界的な急落が起きていたかもしれない。

日本は自滅的なQE拡大を発表したことで、米国と世界のバブル崩壊を救ったことになる。ただし、この救済は短期的な効果しかない。

 米政府の財政力や連銀の信用創造力は、リーマン危機から現在までの金融延命策でかなり使われ、余力が少ない。こんご米国のバブルが崩壊した場合、救済しきれず、金融システムが崩壊したまま、ドルや米国債の信用失墜につながる可能性が高まっている。

おそらく米国はすでに「流動性の罠」にはまっており、金融政策の効力が失われている。米国は今後、金融を膨張から緊縮の方向に舵を切る際、とても危ない状態になっていく。たぶん、これは米国覇権の終わりになる。中露などBRICSや非米的な途上諸国は、米覇権の終わりに備え、貿易決済の非ドル化や政府の金備蓄の増強に精を出している。

 これら非米諸国と対照的な姿勢を採っているのが、対米従属一本槍の日本だ。

日本は対米従属を続けるため、多極化への対応を一切拒否し、BRICSの(隠然とした)盟主である中国とも、尖閣土地国有化などの策を通じて意図的に仲を悪くしている。

先進国の中でも英国やドイツ、豪州などは、中国との関係を強化して多極化に備えている。日本だけは逆方向で、対中国関係の冷却維持に熱心だ(安倍首相は最近、中国首脳と対話したいと表明しているが、おそらく周囲からの圧力をかわすためのふりだけだ)。

日本は、ドルや米国債が崩壊して米国覇権が失われると「無条件降伏」の状態になる。

この無条件降伏を避けるため、黒田日銀は、自滅覚悟の特攻隊的なバンザイノミクスでQE拡大を宣言した。

(終戦直前の特攻隊の敵だった米国を、いまの日本が自滅覚悟で守っているのは、全くもって歴史の悲劇だ。英霊たちは陛下が下賜した千鳥ヶ淵の骨壺の中で嘆いている。

その嘆きを無視して対米従属に固執する人々こそ、自国を米国の軍産や金融界に安値で売る「売国奴」である。

覇権の多極化が不可避になっている今、日本が対米従属からうまく手を引きつつ、中国やロシアと良い関係を持つべきと考えるのが愛国者の筋だ)

 日銀は、01−06年にもQEをやっていた。
QEを世界で最初にやったのは日本だ。

90年代の日本のバブル崩壊後、それまで政府の要請を受けて日本国債を全て引き受けていた銀行や生保の国債買い支えの余力が低下し、仕方がないので日銀が国債を買い支えていた。

当時、日銀のQEは米国側から不健全な行為と批判されていた。

しかしリーマン危機の後、打つ手がなくなった米国自身がQEを始めた。

そして米国がQEの不健全さに耐えられずにやめていく中で、対米従属という政治的な理由から、安倍政権になって再び日本はQEをやっている。

 日銀は、QEを今後10年続ける予定だ。10年も持つのか疑問だ。

すでに書いたように、日銀がQEによって発行済み日本国債の半分を保有するようになる4年後の2018年の前後までに、日本のインフレ率が5%以上になって歯止めがかからなくなるか、米国で金融崩壊が起きるのでないか。

 英国のテレグラフ紙の記事は、QEが害悪ばかりの政策だと酷評した後、日米だけでなく英国やEUの中央銀行も、総額の差こそあれQEをやっていると指摘し、先進諸国の中央銀行はQE以外に金融システムを延命する策がないので、米連銀はいずれQEを再開せざるを得ないと予測している。

 米連銀がQEを再開するのかどうかわからないが、どちらにしても、QEは長期的に金融システムの悪化、先進国経済の破綻、米覇権の崩壊にしかつながらない。

EUは多極化の側に転換して生き延びるかもしれないが、日本はたぶんもう無理だ。官僚機構に潰された09年の鳩山小沢の試みあたりが最後の機会だった。やがて非常に悪い時代がやってくる。今よりもっとひどいことになる。そのことを政府やマスコミは全く無視している。ほとんどの国民は何も知らない。悲しい状況だ。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2014-10-14/NDFCC66S972U01


2016年01月30日 ガタガタになっていたアメリカ経済とマイナス金利

アメリカで発表されました以下の経済指標を事前に日米で協議した結果が、日銀のマイナス金利導入決定だったはずです。

商務省発表:

1)12月の耐久消費財受注(対11月比)が、事前予想は −0.6%だったものが実際には −5.1% となり、2014年8月以来の大幅な落ち込みを記録。

2)第4四半期のGDP速報値が前期比+0.7%(年率換算)となり、第3四半期の+2.0%(年率換算)から急減速


もし、日銀がマイナス金利を導入せず、今までの金融緩和をするとしていれば、恐らくニューヨークダウは暴落し、かつドルも急落していたはずです。

それほど今回商務省が発表した2つの指標の内容が悪かったのです。

アメリカ FRB は景気が回復しているとして利上げに動きましたが、実際には回復どころか、悪化してきている訳であり、

このまま2つの統計が発表されれば、政策の失敗として追及される恐れがあったために、日銀と連携し、今までアメリカ側から求められてきて拒否してきたマイナス(ネガティブ)金利を日銀が導入したと見るのが妥当となります。


この日銀のマイナス(ネガティブ)金利導入で、日本もヨーロッパも NYダウも大幅に上昇しましたので、まずは政策当局者からすれば、「ご同慶の至り」となるのでしょうが、金融の専門家からすれば、見方は違ってきます。

かなり辛辣な意見が多いのです。
そのために、発表後、日経平均が物凄い乱高下をしたのです。

その理由は、現在続いています日銀の金融緩和は年間 80兆円の国債を買い入れるという内容ですが、実際にはこれ以上国債買い入れを拡大できる状況ではなくなっているのです。

日銀が年間 80兆円の国債を買い入れるとなれば、償還分を入れれば総額で 120兆円余りの国債が必要ですが、実際に発行される国債は 122兆円余りとなっており、このままいけば新規に発行される国債のほぼ100%が日銀に行くことになり、今回金融緩和を実施しようにも国債買い入れを増額できなかったのです。

即ち、日銀は景気の悪化、円高の進行を受けて、打つ手がなかったことになるのです。

そこに飛び込んできたのがアメリカからの「要請」で、これは日銀にとり願ってもない「要請」だったはずです。

ところが、このマイナス(ネガティブ)金利効果は事実上効果がなく、かえって「もはや打つ手がない」と表明したのも同然であり、今後金融市場が混乱した際には、何もできない状況に直面することになりかねません。

また金融機関からすれば、今回のマイナス(ネガティブ)金利で、利ザヤは更に減る訳であり、今までは保有してきた国債を益出しして何とか決算上はお化粧できていましたが、今や売れる国債が枯渇してきており、これ以上益出しできないところに、マイナス(ネガティブ)金利であり、金融機関にとってはこれから「地獄」を見ることになります。

ヨーロッパではドイツ銀行が 9000億円余りの赤字を発表していますが、実際にはこの数倍の赤字が潜んでいるとも言われており、それはデリバティブ損となりますが、これは日本の金融機関にとりましても対岸の火事ではないのです。

アメリカを救うために導入したマイナス(ネガティブ)金利ですが、持てるカードをすべて使ってしまった以上、日銀は今後打てる弾がない「戦」に出ていくことになります。
http://blog.livedoor.jp/nevada_report-investment/


2016-02-17
誰も経験したことのない日銀のマイナス金利が昨日から始まって、銀行も利ザヤが稼げないのでたいへんだろうと思うけれど、出てくる結論は、

余ったお金は米国に持って行って米国債を買う

という判断しかできないように思う。


今までは銀行のポートフォリオ上、海外に投資する額は「ここまで」と決まっていたはずだが。そう言っていられないのが実情ではないか?

MMFの取り扱いも停止、他に収入の道を探さねば。


もっとも日銀の当座預金にブタ積みされているものについては0.1%の利益はこれまで通り保証されているから、それはそれでありがたいものの、そのブタ積み額はこれからは増えないので、手をこまねいているわけにはいかない。


この際海外投資の枠を上げるか?ということくらいの話し合いは行内で行われているに違いない。それで、出てくる結論はやはり米国債か?!


ということで、米国債価格はウナギ登り。つまり、米国の長期金利は下がってきている。


長期金利が下がってきているので、FOMCでの利上げも非現実的と言わざるを得ない。


米国が利上げをすると、世界のお金は米国に流れてきてやはり米国債が買われるので、結局米国債が上がって金利が下がる。

だから世界中さらに利下げ可能になって日欧のマイナス金利が進む。


日米金利差、欧米金利差は結果的に縮まるから円高に、ユーロ高に。
http://ameblo.jp/win-sugita/entry-12129748258.html


米国長期金利は下がるよね〜(米国債は上) 2016-02-01

日銀のマイナス金利導入で、日銀の当座預金から出てきたお金は日銀の思惑通り国内に出回るか?


銀行の採算で考ええばそれはないですよね〜。

じゃ、どこへ?

それはドルを買って米国債を買いに行くんでしょう!
http://ameblo.jp/win-sugita/entry-12123777510.html


米国債はまだ買われそう。 2016-02-08
日銀のマイナス金利導入後はドルを買って米国債を買いに行っているようです。
http://ameblo.jp/win-sugita/entry-12126391794.html


178 : 山師さん 2016/01/29(金) 13:01:44.73 ID:8pmsWgXI

つーかさ、アメリカが引き締めた分の金を日本に出させようってことじゃねえの、これ。
お前らホント怒らないの?


568 : 山師さん2016/01/29(金) 14:49:27.02 ID:XEGvuY6H
>>178
だねえ。

アメリカが引き締めた。日本が高値をつかめ! 
アメリカはソフトランディングするぞ^ってことだね。

究極の売国奴であり アメリカポチの安倍黒田。影の竹中のやりそうなこと。

そこを読んでおくべきだったわ。
まさかの-金利やりやがった。

これで日本のできること もうないだろ。
アクセル踏んで 消費税でブレーキだもん。

エンスト起こすぜ。


358 : 山師さん 2016/02/16(火) 08:10:56.97 ID:nPjVb++0

日銀の量的緩和って実はアメリカのためにやってるのね
金融機関が日銀に国債を買ってもらったお金
そっくり米国債と米株に使われて、日本株は売ってる
マイナス金利も、さらに買い増せっ、、、と勘繰ってしまう


359 : 山師さん 2016/02/16(火) 08:13:54.35 ID:wgMb2XCy

日本は戦争に負けた
いまもその構造下であるのか
なるほどー


360 : 山師さん 2016/02/16(火) 08:18:05.23 ID:hmM0AGrM

増税も金融緩和もステイツに貢ぐ為!?


362 : 山師さん 2016/02/16(火) 08:22:09.68 ID:hE1rfv2U

あのー
GPIFでも外国株で25%運用枠があるんですけどー^^


363 : 山師さん2016/02/16(火) 08:30:07.42 ID:Hm0wRSUP

日本銀行株式会社の株主は?


364 : 山師さん 2016/02/16(火) 08:37:23.53 ID:nPjVb++0
>>363
55%は政府だけど40%個人とw
なに隠してるんだろうね


366 : 山師さん 2016/02/16(火) 08:40:39.85 ID:mwhb8YxG

>なに隠してるんだろうね

ロスチャが筆頭株主だという事さ

_______


岩上安身が経済アナリスト菊池英博氏に聞く 2014.11.22

2014/11/22 【イントロ】岩上安身による経済アナリスト・菊池英博氏インタビュー
https://www.youtube.com/watch?v=qbUECOJEv3c


日本は米国の「財布」:FRBからの金融超緩和「要求」と黒田日銀
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/208225


岩上「『第一の矢』の異次元の金融緩和ですが、ベース・マネーの増加分はアメリカのヘッジファンドへ流れて投機の原資になっています。日本国内の実体経済には回っていません。

 先生の御著書

そして、日本の富は略奪される--アメリカが仕掛けた新自由主義の正体 2014/1/31
菊池 英博 (著)


の第6章、214ページですが、

『アメリカの金融緩和縮小(出口)の補充として利用される日本の超金融緩和

という項目があります。

ここの書き始めに、

『2013年3月頃の日本では、安倍首相が「金融緩和を一段と進め、私の考えに合う人を日本銀行総裁に選びたい」と公言していた』

とありますね。つまり、安倍さんは、黒田さんを起用する前にこういうことを公言していたということですね。


▲ 菊池英博『そして、日本の富は略奪される』(ダイヤモンド社, 2014)p.214より

 さらに続けて、

『こうした時期に、アメリカのバーナンキFRB議長は、「アメリカ以外の国が金融緩和を進めてくれれば、両国にとって利益になる」と発言している』

と書かれています。

 先生はバーナンキを直接ご存知なので、メディアを通した発言だけではなく、彼の腹の内がどういうものだったのか、理解されていたのだろうと思うのですね」

菊池氏「その記事は日経に出たものですね。2013年3月31日付けに出ています。だからバーナンキから個人的に聞かなくても。バーナンキはこの発言を欧州でしました。

 その記事を読んで、私はピーンときました。なるほどと。バーナンキはもう(金融緩和を)縮小したいのだと。その後、日本に金融緩和をさせて、日本からのマネーをウォール・ストリートに供給させれば、米国は縮小できる、ということを考えているなと」

岩上「先生は『バーナンキ発言は、日本財布論を強めて、日本に金融超緩和を要求してきたサインだった』と書かれておられます。

 本来は合理的な経済政策というものがありうるはずですね。ところが、どうもいつもいびつでおかしなことが起こったりする。そういう時に、国内の論理だけで考えていると、つじつまが合わないことがいっぱいあるわけですね。

やはり、外側からいろいろな要求があったり、振り回されたりしている。
それに対して、日本の支配的なエリート、とりわけ財務省であるとか、官僚たちが応えようとする。

そういうことで、おかしなつじつま合わせの経済政策をやるということが根本にあるということですね」


日銀がヘッジファンドへバクチ資金を提供


岩上「皆、株高を喜んでいますが、儲けているのは外国人投資家ですね」


菊池「さらに、安倍さん自身が、株を高くしておけば自分の支持率も上がると考えているフシがあります。だから金融緩和をする。安倍さんや黒田日銀総裁でもヘッジファンドに流れるとは考えていなかったのでは。

 金融緩和をとなえるのは浜田宏一さんですね。黒田さんはそれに従っているのだと思います。しかし浜田さんは 10年間日本にいませんでした。私は浜田さんとは面識がありますが、小泉構造がどんなにひどいものだったかご存知ないのです。私以外の人も言っていることです。

 日本は福井日銀総裁の時代にすでに充分に金融緩和をしていました」


岩上「ゼロ金利まで金利が下がってしまえば、それ以上どんなにお金がジャブジャブあってもしょうがない、誰も借り入れし投資をしないということですね」


菊池「証券会社の方はこういうことは分かっている。
外資に回っているのは日銀マネーです。その円で外資はドルを買います。
円安になり輸出業者はもうかるというのは物事の一面しか見ていません」


岩上「多くの企業はすでに生産拠点を海外に移しているので、円安効果は出ませんね。円安によって原料輸入価格も高騰しますね」


菊池「エネルギーも多くを輸入に依存です」


岩上「あらゆるものの値段が上がります。いわゆるリフレ派はこれを喜んでいたわけですが、賃金が増えていたわけではないですね」


菊池「黒田さんになってマネタリー・ベースで125兆円増えた。一方マネー・ストックが43兆円増加。この差額82兆円がヘッジファンドに流れ投機資金となりました」


岩上「世界経済と一体化してのバブルです。乱暴なやり方をすれば、大暴落です」


菊池「私は株のことはよく知りませんが、このままいけばいつか暴落します。
日本のほうが先に下がるかもしれない。日銀自身が株を買っていることにも驚かされました」

岩上「異次元緩和は、安倍政権を援護射撃するバズーカ砲というわけですね。
浜田さんはアベノミクスは失敗していないとしています」


菊池「失礼ではありますが、正気の沙汰ではないと思います。
危惧するのはいずれ日本の株が下がること。
また、今は高い国債の価格が下がったときに、日銀が買い支えることができるか分かりません」


岩上「米国でもマネタリー・ベースを増やしても、マネー・ストックは増えないということですね」

菊池「バーナンキは『金融をいくら緩和しても、 実体経済がよくなるということは理論的に言えない』と言っています」


菊池「バーナンキは金融を緩めましたが、実体経済はよくならない。2013年6月には金融緩和の縮小を宣言。その後のG20で米国は批判にさらされます。バーナンキは責任をとり、辞任を決意します」

岩上「米国のヘッジファンドのバクチに日本が協力している構図です」


菊池「一番問題なのは、日本の中央銀行のお金で協力しているという点です。黒田さんには量的緩和のあとの出口戦略がない。浜田さんはもっと緩めろと言っている。失礼だが、どうされたの、と思わざるをえません」


岩上「異次元緩和の元祖であるバーナンキが、異次元緩和で経済はよくわからないと、失敗を認めているわけですね」


菊池「彼は責任を取った分だけ偉い。日本は米国の失敗の後追いをしているのです」


岩上「菊池先生はケインズを再評価するのですか?」


菊池「ある意味で米国はケインズの政策をとっているのです。レーガン政権は軍事ケインジアンでした。クリントンは財政支出をどんどんして、道路整備、学校を作った。これもケインズ的と呼べるものです。

 子ブッシュは軍事ケインジアンへ回帰。オバマになり米国の財政はよくなっている。米議会の予算調査局の調査では、乗数効果は3年で2.5という数字が出ています。

 米国の今の凋落の原因は、レーガン政権期の新自由主義的な政策があります。クリントン時代に少し回復しましたが、子ブッシュ政権期に戦争をやり、ドンと落ちました。共和党政権は軍事ケインジアン。民主党はドメスティック・ケインジアンとも呼べるものです」


岩上「米国の後追いをする日本には、軍事への傾斜というシナリオがあるようにみえます」


菊池「憲法9条を守り、永世に平和国家の看板をおろさない。ただ、私は防衛のための防衛力を強化することには賛成です。このあり方では、スイスが一番のよい例です」




日銀の「総括検証」の意味

日銀ももうこれ以上金融緩和を続けてアメリカにお金を流せなくなってしまった


リーマン危機以降、世界の株価と不動産価格は、中国のように当局が強く関与する「政治的」な相場になっています。

日本では、日銀や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、郵貯・かんぽによる、直接的な株買いがありあます。これらが「政治的」と言う所以です。

安倍首相は 2012年10月から数十兆円の「円売り・ドル買い」で、$1=80円の円高を120円付近にまで下げたのです。

資金残高129兆円(16年3月)の年金基金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立法人)は、事実上わが国のSWS(国家ファンド)です。ノルウェーの$5775億(57兆円)の2.2倍の規模で、1位の米国社会保障年金信託基金に次ぐものです。

2014年10月には、運用の基本ポートフォリオ(分散投資)で、国内株式と外国株式の構成比を、ともに25%へと倍増しています。

外国債券も15%に増やしたのです。外国証券と言っても、90%は米国のものでしょう。

GPIF は株式で約15兆円、米国債で10兆円の買いを行っているのです。
両方で、25兆円のドル買い、つまり米国への資金供与です。


2012年10月に、民主党の自滅から安倍政権が確実になって以降、50兆円くらいのジャパンマネーが米国に行っています。

(注)ドル買の超過分、日本の資金を米国に与えることと等しい

政府の円安誘導の方法は、政府が動かせる資金での、市場に買い主体を公開しないドル買いです。

$1=80円から120円(2016年2月まで)の円安の時期までに、50兆円の円安誘導が行われています。
http://www.mag2.com/p/money/23106/4
http://www.mag2.com/p/money/23106/5

日本政府が財政出動するか消費税を下げれば 2%のインフレ位すぐに達成できるけど、そうすると日本の金はすべて国内投資に使われてアメリカには流れなくなってしまうからね


アメリカ株が今までずっと上がって来たのはすべて日本からの資金が原因

実質実効為替レートでは80円以下が適正価格のドル円が125円の円安になっていたのは GPIFが日本の円をドルに変えてアメリカ株を買っていたから


日銀と財務省が消費税上げに拘っていたのは

消費税を上げないと日本の金はすべて国内投資に使われてアメリカには流れなくなってしまうからね


___


世界中お金が余っている!|杉田勝のFXブログ 2017-02-22

世界中お金が余ってる雰囲気になってきた。

日銀もECBも相変わらず量的緩和を続けているのだから当たり前って言えば当たり前?

いったん刷ったのに、刷りっぱなし...日銀が刷ったお金は日銀の当座預金に大部分ブタ済みされたままなので、市中に回っているのはほんの数パーセント?

ECBの場合は結果としてヨーロッパ各国の国債に回っている。
今年十二月まではそのお金は増え続けることになっている。

FRBはもう量的緩和を止めて久しいが、さりとて買った米国債が満了になったところで、また新たに買っているわけだから、QE1〜QE3でプリントした4兆ドルは再び米国債に再投資されている。


そうでないと米国の財政はなりたたない...

おかげで世界中のお金はじゃぶじゃぶ状態。

じゃぶじゃぶでも、新興国経済に不安があれば、先進国のソブリン債に集中してソブリン債が値上がり=長期金利が下がっていくことになる。

現実はソブリン債は下がり気味で上がっているのは社債!

中国が復活してきているのは良いニュース。
米国経済は絶好調。
ユーロ圏は通貨安で好調になってきている。

で、じゃぶじゃぶ状態のお金は安心してハイイールド(高利回り)を求めて世界中をうろついている状態。
リスク少ないとみている。

ヘッジファンド達が今一番評価しているのが、世界中の社債。

一番安全なソブリン債(国債)でなく、社債に回っているようだ。

その証拠に社債の金利とソブリン債の金利差がぐんぐんと縮まってきている。

ソブリン債に買いが集まらないのは、FRBの利上げと出口戦略のせいに他ならない...

つまり、FRBがFFレートを今年3回くらい上げるという読みがあるので、そうすると10年金利も上がるから、米国債は下がり易い。


だから今はすぐには米国債は買えないな〜

ってことで、社債ってわけだ。

世界中お金が余っている!
http://ameblo.jp/win-sugita/entry-12250152530.html


14. 中川隆[-7710] koaQ7Jey 2017年5月08日 19:17:08 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

マスコミの偽情報は誰が流しているのか?

アメリカによるメディア支配 2005/10/01
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=98328

アメリカからの圧力は硬軟両面から行われている。

◆1.外資系金融業の広告が急増している
昨年の外資系金融業の広告宣伝費の増加は武富士のCM自粛を補って余りあるようだ。

◇金融・保険(前年比113.9%、構成比7.9%)
消費者金融が引き続き大きく減少したが、外資系を中心に医療保険を含む生命保険の増加が非常に大きく、外資系の自動車保険が活況の損害保険、個人口座や国債などで活況の証券、ICカード化したプリペイドカードなどが大きく増加した。
媒体別では、保険や証券の伸びの大きいテレビが大きく増加している。

郵政民営化で外資参入の増加はマスコミ業界にとっては願っても無い増収になるだろう。
仮に手数料収入が資産の2%、売上に対する広告費の割合が1%とすると、郵便貯金370兆円の1割が外資に流れるだけでも74億円の広告費が見込め、現郵政公社も民営化され競争が激化するとさらなる広告費の増加が期待できるのだ。

◆2.買収圧力
ライブドアのニッポン放送買収騒動は記憶に新しいが、最終的にソフトバンクの関連会社がフジテレビの筆頭株主になったことを覚えている人は少ないのではないか。
96年に米FOXテレビを持つメディア王マードックと提携してテレビ朝日を買収(資本参加と表現されていた)に加わったのがソフトバンクである。当時は朝日新聞が株を買い受けることで和解したが、今回もライブドアに金と知恵をつけたといわれるリーマンブラザーズの背後にマードック+ソフトバンクがいるとも囁かれている。彼らはいつでも買収可能な体勢にあり、今回は脅しだけでも十分、マスコミに圧力が加わっていることだろう。

ちなみに米FOXテレビはイラク戦争報道においてもブッシュ翼賛報道を貫き、ニュース番組では3大ネットワークを越えた視聴率を獲得している。

この間の選挙・政局報道を見ていると、既にマスコミは支配を受けていると見て間違いないだろう。
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=98328

電通を媒介にしたアメリカによるメディア支配 2005/10/05
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=98551

>この間の選挙・政局報道を見ていると、既にマスコミは支配を受けていると見て間違いないだろう。

マスコミ支配の取りまとめ役として広告代理店の電通が重要な役割を担っていたようです。

以下の引用は、選挙前の7月下旬から8月上旬にかけての森田実氏の政治日誌より引用したものです。アメリカによる電通を通じてのメディア支配について、そして選挙運動中のマスコミの動きをかなり正確に予見している点で注目できると思います。
また、より支配を完成させるために、国民の受信料から成り立っているNHKに対する策動も始まっていることが見て取れます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
7月28日の日誌より

>日米関係に通じている友人によると、米国は日本を思うように動かすためにはまずマスコミを握らなければならないと考え実行してきた。そして、民放についてはほぼ目的を達した。民放を支配するのは比較的簡単だったという。広告業界が一元化されており、広告の巨大独占体である電通を押さえれば、民放を支配できる、というのである。
 民放で働いている知人は、「電通に睨まれたら民放はやっていけなくなる。個人的にも電通に睨まれたら民放では働く場所がなくなる」と語っている。
 電通を媒介にした米国による民放支配はほぼ完了した、といわれている。民放の報道番組はブッシュ政権と小泉政権の広告塔になった、というのが米国在住の友人の見方である。

8月8日の日誌より
>日本の広告業界は、事実上、丸ごと、アメリカに買収された。日本の広告業界は巨大独占体のもとに一元化されている。この巨大独占体がアメリカ巨大資本に事実上買収され、アメリカのコントロール下に置かれれば、日本のマスコミを自由に操ることができる。マスコミ企業は広告巨大独占体に睨まれたら倒産させられてしまう。生きるためには巨大独占体の言うとおりにしなければならない。いまや巨大独占体はアメリカそのものといって過言ではない。ブッシュ政権の意向は、日本の広告業界、マスコミ界にそのまま通るようになっている。

>例外はNHKのみ。公共放送だからだ。NHKだけはアメリカも直接支配できないから、一方で政府・自民党を通じてNHKの政治報道に圧力をかけながら、他方で大新聞と民放テレビと雑誌ジャーナリズムを使ってNHKを解体させようとしている。NHKの民放化に成功すれば、NHKもアメリカと一体化した巨大独占体の支配下に組み入れられる。これが、NHKをめぐる事件の本質だ。NHKの最近の混乱の裏側で外国の諜報機関が暗躍したことは、関係者の間ではよく知られている。

>小泉首相はブッシュ大統領にとって最良のジュニア・パートナーである。したがって日本の広告独占体もブッシュ世界戦略の道具と化している。
>小泉内閣はいまや衆院解散・総選挙に向かって突進している。9月4日か11日が投票日だ。ここで小泉首相を勝たせるため、アメリカと日本の巨大独占体は各テレビ局と大新聞に対して、小泉を勝利させるために総力をあげるよう工作を強めている。

各テレビ局と大新聞は、この要求を受け入れ、全力をあげることを誓った、との情報が広告業界とテレビ界で流れている。 これから日本の民放テレビ、大新聞は、広告巨大独占体の指導のもとに、総選挙で小泉政権を勝利させるため大キャンペーンを行うことにしている。同時に反対派に対するネガティブキャンペーンを準備している。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一方で電通と政府・自民党との関係は古く

>電通のもう一つの機能は、官僚および自民党のPR活動をしたり、《世論調査》を通して国民の《伝統的な価値》を支えることである。電通は、総理府及び自民党が必要な情報を収集し、偏った意見調査を通して《世論》を作り上げる手伝いをする。自民党の選挙キャンペーンというもっとも手のこんだ部門は、電通が引き受けている。原子力発電所の安全性の宣伝や、さまざまな省庁の企画に関する宣伝なども扱っている。
 このような官庁および自民党のための仕事は、主に電通の《第九連絡局》でおこなわれ、ここには、建設省、運輸省、農水省、郵政省、文部省、大蔵省、総理府の各省を担当する別々の課がある。公式には民営化されたが実際には以前とほとんど変わっていないNTTやJRなどの公共企業も、この局が扱っている。この第九連絡局は、総理府の広報予算の三分の一以上、他の省庁の同四〇パーセントを吸収する〔原注3〕。また、自民党の広報宣伝予算についても、電通が独占に近い形で自由に使っている。
以上参照:
リンク
http://www.asyura2.com/0505/bd41/msg/182.html


電通のアメリカ→小泉支援は、直接的には顧客としての政府・自民党や、今後顧客として期待される外資系、大顧客としてのトヨタなど輸出産業・・・の意向が働いているのではないかと思われます。

どうもはっきりしないのですが、アメリカと電通とは直接的に何か(ビジネスを通じた取引?)関係がある感じもします。
 
 また各マスコミに記事を配信する共同通信社や時事通信社が電通の株主であり、そこを通じたメディア支配や配信元である国際的な通信社との関係も気になるところです。
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=98551

2013.02.19 電通の親会社について
http://golden-tamatama.com/blog-asyuracom-224.html

最近はなんだか、原発事故も収束したことになってしまって人々の関心も薄れてきてます。
まぁ、しかし。
ワタスも含めて皆さんの危機感が薄れているのも、別に皆さんが悪い訳じゃない。
マスゴミ総出で危機は去ったという雰囲気を醸成してるせいなのですた。

ひとたび、マスゴミが危険と報道し始めれば、あっという間にそういう雰囲気が作り上げられる。
何が危険か安全かはマスゴミが決めている。

以下、面白い動画です。

やらせインタビュー(テレビを信じちゃいけないよ) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=33TsdMMY74A

テレビなどで道を歩く人に意見を聞いたりする街頭インタビュー。
町を歩く人に無作為にインタビューしてると思いきや。
なんと同じ人物が使いまわされてるという指摘。
面白いので見てみて下さい。

バカバカしい。
毎度書いているようにグルでグルグルやってるのです。

以下に面白い記事がありますた。

カレル・ヴァン・ウォルフレン”著『日本権力構造の謎』(原題 THE ENIGMA OF JAPANESE POWER)上巻。
https://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC-%E6%A8%A9%E5%8A%9B%E6%A7%8B%E9%80%A0%E3%81%AE%E8%AC%8E%E3%80%88%E4%B8%8A%E3%80%89-%E3%83%8F%E3%83%A4%E3%82%AB%E3%83%AF%E6%96%87%E5%BA%ABNF-%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3-%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%B3/dp/4150501777


影のメディア・ボス

電通ほど一手に、直接、あるいは多数の下請けを使って大衆文化を作り出している企業体は世界中どこを探しても、ほかにない。万国博やローマ法王訪日時の準備など、主要イベントもこのカイシャが総合企画・演出の陣頭指揮に立つ。電通はまた、政治的に活発な動きを見せる。これについては、すぐ後で詳細に考えよう。

 電通は、日本の全テレビ・コマーシャルの三分の一の直接責任者であり、ゴールデンタイムのスポンサーの
割り振りに関して実質的に独占的決定権をもつ。多数の子会社や下請け会社を通じて行使する統制力については、
いうまでもないだろう。約百二十の映像プロダクション、四百以上のグラフィック・アート・スタジオがその傘下にある。
午後七時〜十一時の時間帯の番組にコマーシャルを出したい広告主は電通を通すしかない。スポンサーの選定と放送番組の内容の大部分を電通が握っているからだ。

番組制作者たちは、冗談めかして、電通の事を“築地編成局”と呼ぶ(電通の巨大な本社は東京の築地にある)
(21)。日本では、扱い高が即、政治力になるので、電通はこうした役割を演じられるのである。
このような状況下では、電通に気をかけて扱ってもらえることが一種の特権となり、立場が逆転して広告主が電通の指示に従うことになる。商業テレビ局にとっても事情は同じで、電通に極度に依存する形になっている。

その結果、電通の影響力は日本のテレビ文化の内容まで左右し、世界中どこにも類例が見られないほど、
強力なマスメディアを通しての社会統制力になる。そして、このことには重大な政治的意味がある。
テレビという麻薬が日本ほど見事に利用されているところは他にない。また、その中毒症状がこれほど強く蔓延
しているところも他にない。レストラン、各種の店、観光バスの中、タクシーの中にまでテレビが備えつけられ
ている。テレビ番組の相対的な質の高さを誇れる国は、あったとしてもきわめて少ない。だが、テレビが全世界
的に文化を砂漠化しているとしても、その悲惨さの程度はかなりの差がある。皮肉な事に、NHKが、官界と
もっとも直接的につながる局でありながら、リポーターが社会的な問題について掛け値なしの疑問を投げかける、
まじめな番組を放映することがある。それ以外はNHK定食番組にみられるように疑似学術的で無害の、論争を注意深く避けた番組をはじめとし、風刺漫画に近い日本人好みの社会風俗を描くホームドラマがあり、そして頭がまったく空っぽのショー番組までどの局にも揃っている。

 クイズ番組や素人のど自慢は外国のもの真似番組であるが、日本ではこの種の番組は愚神礼賛の域に達している。人気“スター”は大量生産され、その“キャリア”はめったに二年以上もたない。彼らは、単に有名であるがゆえに有名だという欧米諸国の芸能人現象の拙劣な劇画といえる(22)。

..中略

今ここで我々が検討しているのは、ほぼ完全に他者を締め出して、大衆文化の質の向上を抑制したり拘束できるだけの力を持つ組織のことである。
6章 従順な中産階級 485Pより

日本では電通が全てを握って、このスカポンチンな社会の雰囲気を醸成しているのですた。
さて、一部の人は知っているかもしれませんが。
電通の親会社があるのはご存知でしょうか?
まぁ、事実上の親会社なのですが。

聞いたことがあるかもしれませんがオムニコム社です。
オムニコムというのはカナダに本拠地がある世界最大手の広告会社です。

http://golden-tamatama.com/wp-content/uploads/images/omunicom_group.jpg?x45209
http://golden-tamatama.com/wp-content/uploads/images/20130219183949ddf.jpg?x45209


ちなみにオムニコム社は、日本ではI&S BBDOという怪しい子会社を持っています。


WIKI I&S BBDO
https://ja.wikipedia.org/wiki/I&S_BBDO

I&S BBDO(アイアンドエス・ビービーディオー)は、東京都中央区に本社を置く外資系広告代理店。売り上げは非公開。
1947年6月に第一広告社として設立された。その後、1986年10月に読売グループとなっていた第一広告社とセゾングループのエスピーエヌが対等合併し、新社名I&Sとなった。
1998年にはアメリカの大手広告代理店オムニコムグループと資本提携し傘下に収まり、I&S BBDOになる。

民主党も自民党もこの良く分からない広告代理店に選挙広告を依頼したりしています。
選挙の裏にはこのI&S BBDOが暗躍している。
このオムニコム野郎が世間の雰囲気を醸成に一役買っているのですた。

さて、このオムニコム野郎のさらに上。さらに遡るとどこに行くでしょうか。
そのまた上の親会社というのがカナダのホリンジャーグループ(Hollinger Inc、今は倒産して別会社)ですた。

ボリンジャーグループというのは、聞いたことはないかもしれませんが。
世界最大規模のメディア企業ですた。
配下にイギリスのデイリー・テレグラフ、イスラエルのエルサレム・ポストなどなど。
新聞社80社、週刊誌を115所有する経営グループです。

さて、この経営一族は誰でしょうか。
このブログでもかなり前に取り上げましたが、カナダのブロンフマン一族。
このブロンフマンさんというのはイーディシュ語で酒屋という意味なのです。
つまり酒屋さん一族ということですね。


ブロンフマンさんはシーグラム社というカナダの酒造メーカーをやってるのです。
ミネラル・ウォーター ボルビックを販売してる有名な会社ですよね。

このブロンフマンさんは核兵器企業SRC(スペース・リサーチ社)の経営もしています。(この会社はソシエテ・ジェネラル・ド・ベルシックの子会社でもあります。ド・ベルシックというのはつまりベルギーの王族の会社ということです。そちらとのつながりもあるということです)

皆様はアルカポネは知ってますよね。
アメリカのギャング映画に出てくる有名な人ですが。
あのカポネさんもブロンフマンさんの手下の一人ですた。

1920年代アメリカ。当時、アメリカは禁酒法といってお酒が法律で禁止されていたのですた。
ブロンフマンさんは禁酒法時代に、カポネさんなどのギャグを使って天文学的なお金を稼いだと言われています。

つまり電通をずっと遡ると、カナダの酒屋さんに行きついた。
ブロンフマンさんは、そして世界ユダヤ人会議(略称WJC)の議長をやったりしています。

毎度のことにこのブロンフマンさんもロスチャイルドさんと親戚関係にあります。
つまりはいつものごとく奴らがメディアの大元というグルでグルグルの話ですた。

あの時代。お酒を禁止するなどという無理な禁酒法。
そういう悪法に逆らってお酒を販売してくれた優しいブロンフマンさん一族。
そして現代も放射能汚染に逆らって楽しい雰囲気を醸成してくれる。
お酒とメディアで楽しい雰囲気を醸成するブロンフマンさん。

昔も今も変わらない。

ブロンフマンさんのお陰で楽しい毎日が送れる。
ヒャッハーーーー!

酒屋のブロンフマンさんに完敗!
じゃなかった乾杯。
吉祥寺で、金玉ナイトで一緒に酒を飲みながら彼らの偉業を称えたいと思っています。

※ちょっと突っ込んだことを書き過ぎたので、もしかしたらこの記事はさっさと消すかもしれません。
http://golden-tamatama.com/blog-asyuracom-224.html

2016.05.19
電通の正体=カナダマフィア(ブロンフマン)の手下 ヤクザの上はマフィアのお話
http://golden-tamatama.com/blog-entry-2384.html

さて、東京オリンピック色々騒がれてますね。

その昔、猪瀬知事の時にトルコと競り合って東京オリンピック当選。
猪瀬やったなぁおい。
滝川クリステルさんも上機嫌だったのに。

しかし、なんのことはない。
日本は賄賂を払ったから当選したのか。。
トルコは払わなかったから落選した。

そういう話だったのか。。
それも電通が勝手にやったのだとか。


これは海外(ガーディアン紙)の説明図。

↓ 1.6億円(130万ユーロ)の賄賂

国際陸上競技連盟会長、国際オリンピック委員会会長のディアク氏の息子

これをもうちょっと分かりやすく書いた図

http://golden-tamatama.com/blog-entry-2384.html

それにしても電通。
以下のように日本の報道では電通がまったく出てこない。

海外では普通に報道されてるのに、日本の新聞各社は絶対に電通の名前は出さない。

霞が関の官僚も電通の名前は絶対に出さない。

田中龍作ジャーナル 【五輪招致疑惑】 電通は霞が関でもタブーだった
http://tanakaryusaku.jp/2016/05/00013662


大西健介議員「電通からは事情を聴くのか?」

文科官僚「そ、それは 〜〜 や、やらない」

玉木雄一郎議員「電通からブラック・タイディング社のことを聞いて下さい。資料を取り寄せて下さい」

文科官僚「そ、そこまですることは考えていない」

文科官僚は声を上ずらせながら、苦しい表情で答えた。やたらと手振りを交え、時折ツバを飲み込んだ。

何に怯えているのか? 文科官僚は滑稽なほど緊張しながら「知らぬ存ぜぬ」を繰り返した。

おいおい。
いったい電通ってどんだけ力があるでしょうか?

そもそもパナマ文章だって、風評被害でもないのに風評被害だ!
強引にマスコミ各社に風評被害と言わせてしまえる力。
マスコミ、大メディアが恐れ慄き、官僚すらおびえて泣きだす権力。

なぜそんなにも日本のマスメディアは電通を恐れるのか。
電通とはなんなのか。
電通の正体。

その昔書いた話でちょっと古いのですが再掲しときましょう。

以下、テレビ局や新聞社の本社の住所に注目して下さい。
なぜ韓国かを考えて下さい。

国内のマスコミのネタはアメリカのロイターと国内の共同通信が提供している。
即ち、良く耳にする「ロイター・共同」である。
現在、「ロイタ」ーは、2008年に買収されて正式名称は「トムソン・ロイター」である。
「AP通信」及び「AFP通信」と並び、世界3大通信社として情報通信を掌握している。
これらの組織は経済情報と広告収入等で莫大な利益をあげている。

「共同通信」は一般社団法人と子会社形態での株式会社から成り立っており、前身は「電通」である。
「電通」は日本の情報通信のドンである。
戦前には「同盟通信社」が、その任を負っていたがGHQによって解体され「電通」が設立。
「電通」から「共同通信」と「時事通信」が誕生している。
「共同通信」が社団法人であるのに対し、「時事通信」は株式会社である。
「時事通信」の筆頭株主は「電通」である。

日本の新聞社は殆どが「日本新聞協会」に加盟している。
「日本新聞協会」は社団法人であり、所管は文部科学省である。
この「日本新聞協会」にソースを提供しているのが、「共同通信」である。


「日本新聞協会」に加盟していない新聞社もある。
宗教紙(聖教新聞・世界日報)や政党紙(公明新聞・しんぶん赤旗)らが該当し、日刊ゲンダイも加盟していない。
これらの新聞社は「時事通信」よりニュースが配信されている。
余談ではあるが「産経新聞」は「統一教会」の機関紙である「世界日報」と合併している過去をもつ。

近年、ネットにて関係の指摘を受け、WIKIの書き換えが進む等の隠蔽工作に汗を流している。
産経新聞でシステム障害−世界日報の内容が混入
さて、ここからはCIAが構築した朝鮮人によるマスコミ監視システムをおさらいする。

先ず、戦後に設立された「電通」の最高顧問である「成田豊」は在日と言われている。

wiki 成田豊
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%90%E7%94%B0%E8%B1%8A


在日の記述も昨今は、改ざんが進み WIKI からも記述は消えた。
2009年には韓国政府から最高位の修交勲章光化章を受賞。
日本政府からは旭日大綬章受章。
韓日の架け橋役30年、電通の成田豊最高顧問 (中央日報 2009.03.25)


広告業界を束ねる「電通」にマスコミは逆らう事は出来ない。
実はNHKも間接的に「電通」に支配されている。
NHKの番組制作の委託を受けている「NHKエンタープライズ」は「総合ビジョン」に番組制作を丸投げしている。
「総合ビジョン」の株主は電通とNHKである。

wiki総合ビジョン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%8F%E5%90%88%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3

国民より強制徴収されるNHK受信料は「電通」の利益となって、利益の一部がNHKの役員の懐に収まる。
それでは次に、各新聞社の住所を列記する。

読売新聞東京本社  〒100-8055 東京都千代田区大手町1-7-1
韓国日報       〒100-0004 東京都千代田区大手町1-7-1 8F 

朝日新聞東京本社  〒104-8011 東京都中央区築地5-3-2
東亜日報       〒104-0045 東京都中央区築地5-3-2

毎日新聞東京本社  〒100-8051 東京都一ツ橋1-1-1
朝鮮日報       〒100-0004 東京都一ツ橋1-1-4F
 
産経新聞東京本社  〒100-8077 東京都千代田区大手町1-7-2
京郷新聞       〒100-0004 東京都千代田区大手町1-7-2

東京新聞       〒108-8010 東京都港区港南2-3-13
中日新聞東京本社 〒108-8010 東京都港区港南2-3-13
大韓毎日 〒108-8010 東京都港区港南2-3-13 4F

引き続き、テレビ局。

NHK放送センター    〒150-8001 東京都渋谷区神南2-2-1
韓国放送公社       〒150-8001 東京都渋谷区神南2-2-1 NHK東館710-C

フジテレビジョン      〒137-8088 東京都港区台場2-4-8
韓国文化放送(MBC)  〒135-0091 東京都港区台場2-4-8 18F

TBSテレビ         〒107-8006 東京都港区赤坂5-3-6 
韓国総合TVNEWS 〒105-0000 東京都港区赤坂5-3-6  

以上の様に、日本のマスコミは朝鮮人によってしっかりと監視されている。
マスコミを支配している朝鮮人は、芸能界と結託し様々な流行を巻き起こす。

そして以下はだいたいの人が理解している日本の支配構造図。

http://golden-tamatama.com/wp-content/uploads/images/d158j2014_00002150.jpg?x45209

一部の人は知っているかもしれませんが。
この在日朝鮮人の上にいるのが偽ユダヤです。(ユダヤ人のふりをしているがユダヤ人とまったく関係ない人種)

で、メディア界担当の偽ユダヤが

カナダの一族。ブロンフマン一族です。

ぇー。カナダ?
意外や意外ですね。

カナダというのはカエデの葉っぱの大人しい国だと思いきや意外です。
メディア界を牛耳ってるのですね。
驚きです。

皆様はオムニコム社は聞いたことがあるでしょうか。
オムニコムというのはカナダに本拠地がある世界最大手の広告会社です。

http://golden-tamatama.com/wp-content/uploads/images/20130219183949ddf.jpg?x45209

これは2012年の広告企業売り上げランキング

これは2014年のランキング。
電通は5位です。OMC=オムニコムです。
http://golden-tamatama.com/blog-entry-2384.html


オムニコム(OMC)は電通をはるかにしのぐ巨大企業です。

オムニコム社は、日本ではI&S BBDOという怪しい子会社を持っています。
読売グループの第一広告社とセゾングループのエスピーエヌ社が合併した子会社です。

WIKI I&S BBDO
https://ja.wikipedia.org/wiki/I&S_BBDO

I&S BBDO(アイアンドエス・ビービーディオー)は、東京都中央区に本社を置く外資系広告代理店。売り上げは非公開。

1947年6月に第一広告社として設立された。その後、1986年10月に読売グループとなっていた第一広告社とセゾングループのエスピーエヌが対等合併し、新社名I&Sとなった。
1998年にはアメリカの大手広告代理店オムニコムグループと資本提携し傘下に収まり、I&S BBDOになる。

選挙の時にはこのI&S BBDOが暗躍したりしているのです。


「電通」を取り巻く、日本でいちばん醜い利権の構図
www.asyura2.com/09/senkyo69/msg/805.html

とにかくこのオムニコムが電通を操っているのでした。
で、このオムニコム社の上にいるのがカナダのブロンフマン一族です。

ちなみにこのブロンフマンさんというのはイーディシュ語で酒屋という意味です。
つまり酒屋さん一族ということですね。

1920年代アメリカ。
当時、アメリカは禁酒法といってお酒が法律で禁止されていたのですた。

ブロンフマンさんは禁酒法時代に、カポネさんなどのギャグを使って天文学的なお金を稼いだと言われています。

皆様はアルカポネは知ってますよね。
アメリカのギャング映画に出てくる有名な人ですが。
あのカポネさんもブロンフマンさんの手下の一人です。

ブロンフマンさんは、

世界ユダヤ人会議(略称WJC)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%83%A6%E3%83%80%E3%83%A4%E4%BA%BA%E4%BC%9A%E8%AD%B0

の議長をやったりしています。

今ではブロンフマンさんはシーグラム社というカナダの酒造メーカーをやっています。
ミネラル・ウォーター ボルビックを販売してる有名な会社ですよね。
キリンと合併してキリン・シーグラムも作ったことがあります。

このブロンフマンさんはベルギーの王族の子会社とも関係があり、またロスチャイルドさんとも親戚関係にあります。
そもそもブロンフマンさんは、あのデュポンの経営一族で知られているのです。

ブロンフマン一族は奴らの中でも強硬派、過激派です。
とにかくちょっとでも逆らったらすぐ殺してしまう。

つまり電通をずっと遡ると、朝鮮人ヤクザがいてその上は?
と見ると恐ろしいカナダの酒屋マフィアに行きついた。
それもアルカポネの親分のマフィアだった。

ちなみにマフィア業界で殺人数ランキング。

1位はあの伝説のマフィア。マイヤー・ランスキー一族です。
そして2位がブロンフマン一族です。

電通の親分は殺人数第2位のマフィアだった。
これでは新聞や官僚が電通の名前を聞いて失禁する訳ですね。。

メディア業界というのは上はヤクザでその上はマフィアなのです。
これは裏を知ってる人の常識です。

残虐。凶悪の殺人集団がニュースや芸能界をプロモートしている。
まぁ、前から皆様も何となく気づいていた通りの話です。
http://golden-tamatama.com/blog-entry-2384.html

「電通」と自民党・公明党・CIA、「電通」を取り巻く、日本でいちばん醜い利権の構図<改訂版>
http://www.asyura2.com/09/senkyo69/msg/860.html
投稿者 シチズン 日時 2009 年 8 月 27 日 02:10:47: 5ciTDWA0eEak2
 

 





-------------------------------------------------

「電通」と自民党・公明党・CIA、「電通」を取り巻く、日本でいちばん醜い利権の構図 改訂版
http://www.asyura2.com/09/senkyo69/msg/881.html

〜エゴポイントも、東京オリンピックも、世界陸上も、自民党・公明党の政府広報費も、みーんな「電通」の利権です!〜

-------------------------------------------------


(第1章)「電通」と自民党・公明党・CIAの歴史


参考
http://www.h3.dion.ne.jp/~b-free/siranai/siranai-3/d-23-1.html

http://www.h3.dion.ne.jp/~b-free/siranai/siranai-3/d-23-2.html

http://www.h3.dion.ne.jp/~b-free/siranai/siranai-3/d-23-3.html

http://www.h3.dion.ne.jp/~b-free/siranai/siranai-3/d-23-4.html

http://www.h3.dion.ne.jp/~b-free/siranai/siranai-3/d-23-6.html

http://blog.goo.ne.jp/nande_ya/e/efaf6c4fa9c64880684b4423f94d753b


1895年(明治28)

11月、瀬木博尚によって教育雑誌の広告取次店として「博報堂」が創業。
社名の由来は、瀬木博尚の経営理念「博く、華客に奉仕報酬する」から付けられた。


1901年(明治34)

広告代理業「日本広告株式会社」の併設機関として、通信業「日本電報通信社(電通)」を創立。


≪黎明期の「電通」≫

http://list.jca.apc.org/public/aml/2005-September/003431.html

1935年(昭和10)の2.26事件が起きる前年、吉田秀雄は上海に渡り、排日運動が熾烈を極める中で、
邦字新聞、日系漢字新聞など、中国市場の媒体の殆どを電通扱いにしている。

この吉田秀雄の快挙の背後には、
当時の中国市場、ことに情報機関を完全に掌握していた日本軍との、何らかの連携があったに違いないが、
そのあたりのことは、現在の「電通」幹部は、全く知らないようだ。
ただ一つ、はっきりしているのは、この時、上海で吉田秀雄は塚本 誠なる人物と懇意になっている、ということだ。

この人物は、戦後、吉田秀雄に迎えられて「電通」に入社し、取締役になっている(1975年8月死去)。

塚本 誠は、元憲兵大佐であり、戦前は、上海で有名な影佐禎昭大佐の「梅工作機関」など、いわゆる特務機関と連携し、
或いは特務機関の束ね役として、反日運動などの弾圧の指揮をし、汪精衛の南京政府づくりの舞台裏でも活躍したようだ。

実は、吉田秀雄が上海で塚本 誠(岸 信介と同じく、A級戦犯だったがGHQによって釈放)と懇意になったのは、
こうした時代、つまり塚本 誠が中国市場の情報関係の人間たちに絶大な力を持っていた時代なのだ。

尚、塚本 誠は、東条英機が政権をとると憲兵特高課長に迎えられているが、
一方では近衛文麿と、彼をとりまく学者、ジャーナリストたちとも親しく、憲兵特高課長という顔の他に、
ジャーナリズムとの根回し役も務めていたようだ。

この時代、吉田秀雄は、「読売」の正力松太郎、「同盟」の松本重治、「毎日」の吉岡文六、田中香苗、
そして、「朝日」の団野信夫、宮崎世龍などと懇意になっている。

1936年(昭和11)、2.26事件が起き、日独伊防共協定が締結されるなど、日本が、破滅への途を選んだ運命の年だが、
「電通」にとっても、大きな選択を、それも無理矢理に強要された年だった。

報道管制が行われ、日本政府、そして日本軍は、報道調整という言葉を使った。
報道を掌握するには、情報チャンネルの一元化が必要で、そこで先ず、新聞に内外の情報を提供する通信社を統合して、
単一の国策通信社をつくることを考えたのである。

国家にとって都合の悪い情報は遮断する。情報整理、そして情報操作。
1936年(昭和11)1月、政府は、地方新聞など反対派を強引に封じ込んで国策通信社である社団法人・同盟通信社を発足させた。
そしてこの時から、「電通」は、通信社部門を失い、広告代理行専業の会社になったわけだ。

1906年(明治39)

「南満州鉄道」設立(初代総裁は、後藤新平)。

後藤新平は、現「NHK」の初代総裁であり、正力松太郎に資金援助し読売新聞を買い取らせた人物であり、
通信社を独立させ、翌年には逆に通信社が広告会社を合併。
「電通」はこの年、ロスチャイルドと関係の深い「ロイター(1871年、既に長崎・横浜に支局開設)」と契約。


1907年(明治40)

「満鉄調査部」設置、米国に創立された「UP(現在のUPI)」と契約。


1931年(昭和6)

満州事変が勃発

→注.謀略で起こされた満州事変とメディア(「満州国通信社」)pdf
http://maechan.sakura.ne.jp/war/data/hhkn/08.pdf


1932年(昭和7)

満州国建国。国策通信社「満州国通信社」初代社長には、里見 甫(さとみはじめ)が就任。

里見 甫は、裏社会とつながりがあり、満州国高官だった岸 信介の命によって、
アヘンの密売であげた巨額の利益を、関東軍の資金にする犯罪行為の一端を担っていた人物。

「満州国通信社」は、当時の軍国主義下の国策通信社であり、その阿片マネーから、児玉誉士夫、笹川良一といった人間に繋がり、
阿片を利用し戦争指揮をとった東条英樹、「満州は、私の作品」と豪語する岸 信介、そして、日本の右翼勢力とも元々密接な関係があり、
更には、中国の裏社会(マフィア)との繋がりもあった。


1934年(昭和9)

後に「電通」第4代社長に就任する吉田秀雄は、上海にて中国進出し、中国市場の媒体の殆どを「電通」扱いとした。


1936年(昭和11)

「日本新聞聯合社(聯合)」と「電通」の通信部門合併により、「同盟通信社」を設立。
その際、「電通」の広告部門は、「日本新聞聯合社(聯合)」の広告部門を吸収し、広告のみを扱うという現在の姿の原型が完成。

同年10月に、岸 信介が、満州国の国務院(満州国における行政機関。満州国は議会を持たなかった為、国政の最高機関であった)
の実業部総務司長に就任している。

1945年(昭和20)

敗戦に伴い、「同名通信社」は解体され、
政治、社会、一般ニュースを扱う「社団法人共同通信社」と、経済報道を扱う「株式会社時事通信社」に分社化。

しかし現在では、「共同通信社」、「時事通信社」、「電通」は株式を持ち合い、設立当初の寡占状態を回復している。


1947年(昭和22)

吉田秀雄が「電通」第4代社長に就任。
この頃から、「日本電報通信社(電通)」は戦前の準特務機関としての性格を生かし、政府・GHQに食い込むことに成功する。

吉田秀雄は、戦犯として公職追放された政財界人、満州や上海から引き上げてきた旧軍人、「満鉄(満鉄調査部、満州国通信社)」関係者などを
大量採用し、これが、「電通」が“満鉄調査部の後身”と言われる所以である。当時の電通ビルは、“第二満鉄ビル”と呼ばれていた。
彼らは、広告のノウハウは無かったものの、実質フィクサーとして活動し、現在の日本支配の礎を築きあげていった。
また、吉田秀雄はこの頃から、米国式広告=“プロパガンダ”手法を導入。


≪終戦直後の「電通」≫

http://list.jca.apc.org/public/aml/2005-September/003431.html

1947年(昭和22)5月、前社長の公職追放により、吉田秀雄が社長となった。
この経営危機の時期に、吉田秀雄は、何故か旧軍人、軍属、或いは「満州鉄道」関係者をどんどん採用しているのである。

市川 敏(満州国弘報処長)、小沼治夫(陸軍少将)、島崎千里(産業経済新聞)、高橋 渡(満州日報業務局長)、
高橋威夫(満鉄文書課長)、塚本 誠(憲兵大佐)、松本豊三(満州日報理事長)、古賀 叶(満鉄錦州鉄道局長)、
高田元三郎(毎日新聞社)、森山 喬(大陸新報理事)、森崎 実(満州日報編集局長)、芝田研三(南満州鉄道)、
金沢覚太郎(満州電信電話)、古瀬甲子郎(満州日報営業局次長)、峯間信太郎(天津米穀統制会理事長)、
白川威海(毎日新聞社)、山名文夫(資生堂意匠部)、蜂谷輝雄(台湾総督府外事部長)、東郷青児(画家)、
中西寅雄(東大教授・陸軍嘱託)、宮崎博史(三越宣伝部長)、小滝 彬(外務省情報部長)、新田宇一郎(朝日新聞社取締役)、
新保民八(花王石鹸取締役)

広告業界の連中は、誰もが電通ビル(旧電通ビル、中央区銀座七−四)を“第二満鉄ビル”と呼んだ。
あまりに満鉄関係者が多かったからである。

吉田秀雄は、経営が危機に瀕していた時期に、何故、広告のことを皆目知らない、言わば使いものにならない連中をこれ程集めたのか、
吉田秀雄は、旧軍人、満鉄関係者たちを社員として採用しただけではなく、公職追放となった政治家や財界人、新聞人などの為に、
「旧友会」という、言わば“サロン”をつくって、彼らが、月一回集まって食事をしながら、心置きなく談笑出来るように設え、
そればかりではなく、彼らの為に「ユニバーサル広告社」という会社までつくっているのである。

戦後、「電通」が大きく躍進出来た原因の一つが民間ラジオ放送で、もう一つが民間テレビ放送だと言われている。

テレビに執念を燃やしたのは、吉田秀雄よりも正力松太郎(読売新聞社主)のほうで、ついに「日本テレビ(読売)」開局に漕ぎつける。

NHK編の『放送五十年史』は、正力松太郎のテレビ計画を、
「講和、独立を控えた特殊な情勢の下で、米国の極東戦略に深く関連しながら、全国のテレビ網を一挙に手中に収めようとした」
と、極めて含みの多い表現で説明している。

正力松太郎のテレビ計画の周辺を取材すると、旧軍人たち、それもGHQとの関わりの深い情報プロたちの影が、何人も浮かび上がってくる。
そして、旧情報将校たちが米国に足繁く通う中で、折から、公職追放中だった正力松太郎が、何故か突如追放解除となり、
それをきっかけに、テレビ開局計画が急ピッチで具現化するのだが、そのキーマンとして動いたのが、カール・ムントという人物なのである。

カール・ムントは、米上院議員であり、カール・ムントは、1951年4月、米上院で、次のような演説を行っている。

「共産主義は、“飢餓”と“恐怖”と“無知”という三大武器を持っている。こうした共産主義に対する闘いにおいて、
米国が持っている最大の武器はテレビである。我々は『米国のビジョン』なるテレビ・ネットワークを海外に普及させる必要がある。
それを最初に試験的にやるべき地域は、ドイツと日本で、
例えば、日本の隅から隅まで行き渡らせる為のテレビ網建設費は460万ドル。これはB29爆撃機を2機つくるのと同じ金額である」

テレビは、共産主義勢力に対する武器としては軍事力などより遥かに強力で、しかも安いというわけだが、
このムント構想が打ち出されるや、直ちに正力松太郎の密使が米国に飛び、ムント議員と接触している。
その密使が、柴田秀利(後に日本テレビ専務取締役)である。

柴田秀利は、GHQの新聞課長インボデン少佐にも、関係者たちの話では、「かなりどろどろした手段を使って」深く食い込み、
正力松太郎を、共産主義殲滅の代理人にさせる、との約束を取りつけたようだ。

「米国が、直接行なうと、情報支配の形があまりに露骨で、日本人の神経を逆なでする。日本人の手でやらせた方が遥かに効果的だ」
との柴田秀利の説得が功を奏したものらしい。

「電通」が、戦後、初めて商売として政治と関わりを持ったのは、1952年10月、日本が独立した最初の総選挙の時だった。
吉田 茂(麻生太郎の祖父)自由党としては、国民に対して大PR作戦を展開することにし、その大きな柱の一つとして、
戦後初めて全国の主要新聞に大々的な広告を打つことになったのだが、そのプロデューサー役を演じたのが「電通」だった。

関わりが深まるにつれて、政治は次第に、吉田秀雄「電通」にとって、商売の対象だけではなくなってきたようだ。
それが、一つの頂点に達したのが、1960年の安保騒動だった。
革新陣営に「これで新聞は死んだ」と嘆かせた、所謂、「七社共同宣言」のフィクサーも、実は吉田秀雄だったと言われている。

「七社共同宣言」とは、東大生だった樺美智子が殺された直後、1960年6月17日に、
全国紙五紙(「朝日」、「毎日」、「読売」、「日経」、「産経」)と「東京新聞」、「東京タイムズ」の七紙が、
「暴力を排し議会主義を守れ」との声明文を掲載したもので、この共同宣言は、反安保の盛り上がりに水を浴びせる役割を果たした。


≪不起訴により釈放され、裁判を免れたA級戦犯被指定者≫

青木一男、安倍源基、天羽英二、安藤紀三郎、石原広一郎、岩村通世、岸 信介、葛生能世、児玉誉士夫、後藤文夫、
笹川良一、正力松太郎、須磨弥吉郎、高橋三吉、多田 駿、谷 正之、寺島 健、梨本宮守正王、西尾寿造、本多熊太郎、
真崎甚三郎、近衛文麿(自殺)、小泉親彦(自殺)、橋田邦彦(自殺)、本庄 繁(自殺)、徳富蘇峰(不起訴により自宅拘禁解除)

尚、A級戦犯に指名されながら、釈放された者は少なくとも70名強存在するが、網羅的な資料が存在せず、その人数は確定出来ない。

http://ja.wikipedia.org/wiki/A%E7%B4%9A%E6%88%A6%E7%8A%AF


1952年(昭和27)

10月の総選挙で、自由党・吉田 茂首相が「電通」にキャンペーンを依頼したことが発端となり、「電通」と吉田 茂、「電通」と自民党の関係が深まっていく。
元々、旧軍が中心だった「電通」の人脈は、政党政治家に拡大していき、「電通」は反共・安保擁護の為の保守体制に組み込まれることになった。

更には、吉田 茂を介した政界浸透や、「電通」で採用していた旧軍人・満鉄関係者の公職追放解除に伴う政府要職復帰、
コネ採用による有力者の子弟の取り込みなどにより、電通人脈は更に強力に、日本中に張り巡らされていくことになった。

こうした吉田秀雄の人脈戦略は大きな成功を収めることとなり、「電通」は総理府の宣伝予算をほぼ独占、
“影の情報局” “築地のCIA”と呼ばれるほど威力を拡大し、現在に至っている。


1953年(昭和28)

「電通」は、テレビ放送開始に着目し、多くのラジオ局・テレビ局の設立に関与、吉田秀雄は、幾つかの放送局で取締役に就任。
中でも「TBSテレビ」は吉田秀雄の関与が深く、現在でも、民放で最も電通と親密だと言われている。

何故、日本テレビの社名は「日本テレビ放送網」となっているのか?「網」の字にはどんな意味があるのか?その理由は設立時の秘密にある。
実は、日本へのテレビの導入は、米国による情報戦の一環だった。
テレビ放送網は、そのまま「反共の防波堤」であり、更に軍事通信網にもなるはずだったのである。

「テレビの父」である正力松太郎のテレビ構想は、米国側に巧みに利用されたものに過ぎない。
CIAは正力松太郎に、「ポダム」という暗号名まで付けていたのである。


http://shadow-city.blogzine.jp/net/2007/11/post_9600.html

結局、ラジオ・テレビ化の流れにいち早く対応出来た「電通」、そして少し遅れて進出した「博報堂」が、
戦後広告業界の1位2位として固定し続けることになる。
1950年代始めは、現代の広告代理店業界地図の枠組みが出来上がった時期と言える。

3S政策とテレビ放送
http://d.hatena.ne.jp/rainbowring-abe/20060315

1955年(昭和30)

「森永乳業」の粉ミルクに砒素が混入する事件(砒素ミルク事件)が発生。

死亡者は138人、被害者は1万人以上を数えたが、「電通」は、クライアントだった「森永乳業」を守る為に報道統制を行ったが、
後にそれが明るみに出て、「電通」は世論の激しい非難を浴びることになった。
何故、「電通」がメディアの報道を統制出来たか?と言えば、1951年に「新聞用紙割当統制」が解除された結果、
新聞紙の自由競争時代に入り、新聞社・雑誌社間の広告獲得競争が厳しくなったことに起因しており、
競争が激しくなった結果、多くのメディアは「電通」の存在に依存するようになり、自力での広告獲得能力を失ってしまった。

「電通」は、広告主の“宣伝” “媒体探し” “広報対策”を引き受ける一方で、
マスメディア側の“広告集め” “広告主対策”なども一手に引き受けていた為、広告業のノウハウ・情報が一元的に「電通」に集まってしまった。
その為、新聞社の中には、朝日新聞のように「電通」と資本関係を結んで、緊密な関係になるものまであった。

こうなった最たる原因は、「電通」が余りにも巨大になり過ぎたことにあり、
更には、関連会社の「共同通信」と「時事通信」が、新聞記事のネタ元になる通信記事を配信しており、
広告だけでなく、ニュースにおいても寡占状態にあることがこれを後押しした。

その上、メディアは本格的なテレビ時代を迎え、徐々に放送内容への「電通」の介入が当たり前のことになっていった。

http://www.h3.dion.ne.jp/~b-free/siranai/siranai-3/d-23-3.html


1961年(昭和36)

現在広告代理店業界4位の「東急エージェンシー」が、東急グループ総帥五島昇の肝煎りで設立。

「電通」が「第九連絡局」を介して官僚から仕事を取るのに対して、「東急エージェンシー」は首脳間のやり取りに負うところが大きい受注の構造
http://www.h3.dion.ne.jp/~b-free/siranai/siranai-3/d-23-5.html


1964年(昭和39)

「電通」は東京五輪の広告主の協賛活動の支援を行い、国策イベントであるオリンピックに深く関与。

この経験を基に「電通」は、スポーツ・ビジネスの可能性を開拓し、
1980年のロスオリンピック以降、五輪そのものが商業化したことと併せて、スポーツ・ビジネスを確立させていった。

現在、「オリンピック」、「ワールドカップ」、「アジア大会」、「世界陸上」、「世界水泳」など、テレビ放映している主だったスポーツ大会の殆どで、
「電通」は諸権利を有しており、一方で、「博覧会」という新たなイベントにも関与を深めている。

http://www.h3.dion.ne.jp/~b-free/siranai/siranai-3/d-23-3.html

オリンピックマーケティングの権利構造
http://adv.yomiuri.co.jp/ojo/02number/200411/11toku1.html


1965年(昭和40)

「大正製薬」の風邪薬ショック死事件が発生、
「電通」は、1955年の砒素ミルク事件と同じように、クライアントだった「大正製薬」を守る為の報道統制を行った。
「電通」にとっての大きな金づるであった「大正製薬」の、自社生産の風邪薬を飲んでショック死した人々についてのニュースを「電通」が検閲し、
内容を変えさせたことが発覚したが、森永砒素ミルク事件ほどの社会的ムーブメントにはならなかった。


1970年(昭和45)

「電通」は、この年の「大阪万博」を皮切りに、「沖縄海洋博覧会」・「つくば科学万博」・「大阪花博」に参画。

「愛知万博(愛・地球博、別名・“トヨタ博”)」も「電通」が取り仕切ったが、「愛知万博」の成功の背景には、「電通」と「トヨタ」の二大企業のタッグがあった。
報道管制力を持つ「電通」と、巨額の広告費を持ち、批判はクライアントタブーである「トヨタ」が組めば、マスコミは完全に沈黙してしまう。


1971年(昭和46)

「公共広告機構(AC)」の前身となる、任意団体「関西公共広告機構」が大阪市で設立。
発起人は、佐治敬三・「サントリー」社長(当時)で、当初の活動は、近畿地方が中心だった。
設立時に模範とされたのは、米国の「アド・カウンシル(Ad Council)」。


1973年(昭和48)

「電通」、取扱高世界一を達成


1975年(昭和50)

「電通」の取扱高が3000億円を突破、
高度成長の波を受け、「電通」は名実ともに巨大資本としてマスコミ界に君臨。

任意団体「関西公共広告機構」が社団法人化され、「公共広告機構(AC)」と改称し、全国組織となる。
主な業務内容は、様々なメディアを通した公共広告により啓発活動を行うこと。
広告を取り扱う企業を会員とし、会員から集めた資金で運営されており、会員社数は、放送業界・新聞業界・広告業界など1356社(2004年度)。


1982年(昭和57)

「電通」は、「adidas」2代目会長であるホルスト・ダスラーと共同でスイスに「ISL(International Sports and Leisure)」を設立。
「ISL」は、「FIFAワールドカップ」、「UEFAヨーロッパ選手権」、「UEFAヨーロッパ・クラブ選手権」などの権利を抱きあわせで販売する
「INTERSOCCER 4」の権利保持者となっていた。
この手法を快く思わないUEFA(ヨーロッパサッカー連盟)の第3代会長であるアルテミオ・フランキとホルスト・ダスラーは激しく対立。

http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/worldcupbiz/060623_5th/index.html

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/other/isl/column/ZZZL9SSJSPC.html


1983年(昭和58)

UEFA(ヨーロッパサッカー連盟)の第3代会長であるアルテミオ・フランキが非業の事故死。暗殺説が囁かれる。
紆余曲折の末、「電通」と「adidas」が合同出資した「ISL」は、1980〜1990年代を通じて、スポーツマーケティング業界の一大勢力となっていく。

http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/worldcupbiz/060623_5th/index.html

http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/worldcupbiz/060713_6th/


1986年(昭和61)

同年4月、「テレビ東京」が踏み切ったのをきっかけに、各放送局が自粛していた消費者金融の広告・放送が解禁された。
最後まで自粛していた「TBSテレビ」も2001年から流している。
新聞でも、「朝日新聞」が最後まで抵抗していたが、結局、解禁した(この時の「電通」側の人物が成田 豊)。
消費者金融の最大手である「武富士」の年間広告費は、2002年度が151億円で、この大半を「電通」が取り扱った。
「電通」の“天皇”成田 豊と、武富士の創業者である“天皇”武井保雄は、一緒にゴルフをする仲だった。


また、同年10月、読売グループの「第一広告社」と、セゾングループの「エスピーエヌ」が合併し、「I&S」となった。


1993年(平成5)

8月9日、細川護煕・日本新党代表を首班とする、非自民・非共産8党派連立内閣(細川内閣)が発足される。
9月16日、日本新党と民主改革連合が、参院会派「日本新党・民主改革連合」を結成、
更に11月18日には、新生党も加わって、参院会派「日本・新生・改革連合」を結成する。

この年、羽田 孜・小沢一郎ら羽田派(改革フォーラム21)らの賛成もあって、宮澤内閣へ不信任決議が可決され、
第40回衆議院議員総選挙で自民党は過半数を割った。小泉純一郎は、宮澤喜一の責任や退陣を閣僚懇談会でも要求し、郵政大臣の職を辞職。

郵政民営化は、小泉純一郎の自論などではない
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2009/06/post-468f.html

http://www.asyura2.com/09/senkyo66/msg/1045.html


1994年(平成6)

4月25日、細川内閣総辞職。新生・日新・民社・自由党・「改革の会」が衆院会派「改新」を結成。
4月26日、社会党が連立政権から離脱。
4月28日、羽田 孜内閣発足するが、2ヶ月の6月25日には総辞職となる。
6月30日、自民・社会・さきがけによる村山富市内閣が発足し、日本新党は下野する。
12月9日、日本新党は解散、翌日10日、新進党結成される。
「自民・社会・さきがけ」の枠組は、第2次橋本内閣改造内閣が終了する1998年(平成10)半ばまで引き継がれる。


1996年(平成8)

同年4月、電通グループの広告制作会社「電通テック」が設立。
この「電通テック」の前身となったのは、
1943年(昭和18)に設立された、広告イベント・スペース・CM・映像制作会社「電通プロックス(旧電通映画社)」と、
広告印刷会社「電通印刷株式会社(電通アクティス)」と、広告製本会社「電通コーテック」の3社である。

「電通テック」は、広告プロダクションとしては世界最大規模と売り上げを誇る、文字通り、世界最大の広告制作会社。
「オリンピック」、「ワールドカップ」、「愛知万博」など、メガイベントの実制作も手がけている。

http://www.dentsutec.co.jp/


1997年(平成9)

→注.オムニコムグループの参入は、郵政民営化をはじめとする規制緩和・民営化を後押しする為のものと考えられる。

同年10月、現地法人「フライシュマン・ヒラード・ジャパン」が設立。
「フライシュマン・ヒラード」は、1946年(昭和21)に創設され、本社をセントルイスに置き、現在世界35ヵ国、33の現地法人を含む
83に及ぶPR拠点を持つグローバルなコミュニケーションコンサルティング会社。
「フライシュマン・ヒラード」は、米国の大手広告代理店グループである「オムニコムグループ」傘下の会社である。

http://fleishman.co.jp/hc/unit/index.html

1946年と言えば、吉田秀雄が「電通」第4代社長に就任する前年であり、
その頃から、「日本電報通信社(電通)」は戦前の準特務機関としての性格を生かし、政府・GHQに食い込むことに成功する。


郵政選挙における「電通」・「BBDO」・「フライシュマン・ヒラード」の関係と役割
http://amesei.exblog.jp/2879210/

http://amesei.exblog.jp/9729548/


1998年(平成10)

同年3月、「I&S」(1986年参照)が、米国の大手広告代理店グループである「オムニコムグループ」と資本提携・傘下に収まり、
同年6月、「オムニコムグループ」傘下の「BBDOワールドワイド」と業務提携。

2000年4月には、オムニコム/BBDOグループの明確化の為に、「I&S/BBDO」に社名変更する。
2003年4月には、「BBDO」ネットワーク統一ロゴマーク導入により再度社名変更し、現社名の「I&S BBDO」になる。
(但し、現在も「読売グループ」・「セゾングループ」との資本関係は続いている)
「BBDO」という広告会社は、現在、日本では「電通」・「博報堂」と並ぶ広告代理店「アサツーDK(ADK)」を吸収する形で日本に進出しており、
この会社のクライアントには、自民党もしっかりと入っている。森田 実氏の話では、電通もこの「BBDO」に乗っ取られつつあるということだ(2006年時)。
尚、「アサツーDK(ADK)」は、1991年に中華人民共和国の「新華社」と業務提携している。


http://adv.yomiuri.co.jp/ojo/02number/199812/12toku1.html

http://www.isbbdo.co.jp/

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B5%E3%83%84%E3%83%BC_%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%82%B1%E3%82%A4

郵政選挙における「電通」・「BBDO」・「フライシュマン・ヒラード」の関係と役割
http://amesei.exblog.jp/2879210/

http://amesei.exblog.jp/9729548/


1999年(平成11)

同年5月、与野党ともに「郵政民営化」がタブー視されていた当時、超党派の国会議員で構成される「郵政民営化研究会」が立ち上げられた。
会長を小泉純一郎(神奈川県横須賀市、清和会)が、事務局長を松沢成文(現・神奈川県知事、松下政経塾)がそれぞれ務め、
メンバーには中田 宏(前・横浜市長、松下政経塾)、前原誠司(松下政経塾)、堂本暁子、上田清司らの名前があった。
「郵政民営化研究会」では、郵政民営化の実施計画として、
郵政持株会社の傘下に郵便会社、地域別の郵貯銀行、地域別の簡保会社をそれぞれ設ける案を提示していた。

郵政民営化の正体
http://www.asyura2.com/09/senkyo66/msg/1045.html

「米国年次改革要望書」と「日本道路公団の民営化」の関係
http://www.asyura2.com/09/senkyo69/msg/485.html

「郵政民営化研究会」再結成の動き?
http://www.asyura2.com/09/senkyo68/msg/884.html

手鏡事件と郵政民営化
http://www.asyura2.com/09/senkyo69/msg/526.html

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%83%B5%E6%94%BF%E6%B0%91%E5%96%B6%E5%8C%96


2000年(平成12)

青木幹雄、野中広務らの支持により、幹事長だった森 喜朗が自民党の総理・総裁に就任。
同時に、清和会所属議員である小泉純一郎が、「清和政策研究会(当時、森派)」の会長に就任。
小泉純一郎は、“加藤の乱”を潰した功績によって、自民党内での評価を上げた。

http://www.asyura2.com/09/senkyo69/msg/590.html

2001年(平成13)

森 喜朗が退陣した後を受け、同年4月の自民党総裁選で、小泉純一郎が自民党総裁に選出され、
4月26日の首班指名で第87代内閣総理大臣に就任。

「構造改革なくして景気回復なし」をスローガンに、道路関係四公団・石油公団・住宅金融公庫など特殊法人の民営化など、
小さな政府を目指す改革(「官から民へ」というスローガン)と、国と地方の三位一体の改革(「中央から地方へ」というスローガン)を含む、
「聖域なき構造改革」を打ち出し、とりわけ持論である郵政三事業の民営化を「改革の本丸」と位置付けた。

郵政民営化の正体
http://www.asyura2.com/09/senkyo66/msg/1045.html

「米国年次改革要望書」と「日本道路公団の民営化」の関係
http://www.asyura2.com/09/senkyo69/msg/485.html

「郵政民営化研究会」再結成の動き?
http://www.asyura2.com/09/senkyo68/msg/884.html

手鏡事件と郵政民営化
http://www.asyura2.com/09/senkyo69/msg/526.html

同年10月26日、「博報堂」は、「大広」・「読売広告社」と経営統合し、「博報堂DYホールディングス」を設立。
1兆円グループとして、国内第1位の「電通」や海外広告会社と対峙している。
また、経営統合に伴い、「博報堂」を含め3社のメディア枠仕入れ部門は、「博報堂DYメディアパートナーズ」に移管された為、
「博報堂DYグループ」の1社として、媒体社に対してより大きな影響力を持つこととなった。

2002年(平成14)

日韓共同開催の「ワールドカップ」で「電通」は、スポンサー権の国内販売権を独占、
更には公式マスコットなどキャラクターの商品化権(ライセンス)に関する代理店契約を結んでいる。
長野五輪の中継番組はCMも含めて、「電通」の一括買い取りだった為、メディアも「電通」へのゴマすりに必死となった。

12月には、「劇団四季」専用の劇場が、電通本社ビルにオープン。
「劇団四季」創設者の一人で芸術総監督である浅利慶太は、中曽根康弘のブレーンとしても知られていた。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E9%80%9A%E5%9B%9B%E5%AD%A3%E5%8A%87%E5%A0%B4%EF%BC%BB%E6%B5%B7%EF%BC%BD

2003年(平成15)

「ホンダ」、「日本マクドナルド」といった企業が、「博報堂」「アサツーDK(ADK)」などの複数社の扱いから、事実上、「電通」の一社扱いになった。
「ホンダ」を「電通」にとられた「博報堂」では、“ホンダチーム”が解体された。

サラ金大手の「武富士」の盗聴事件が発生。
警察が、収集した個人情報を「武富士」に渡していたという、情報漏洩事件の取材を行っていたジャーナリストたちが、
「武富士」によって盗聴されていた、として告訴合戦に至った事件。

「武富士」は、武井保雄会長が盗聴で有罪確定となる前から、一部のマスコミに“盗聴疑惑”で叩かれたが、
「電通」は、“武富士報道潰し”に動いていた。
2003年初め頃、武井保雄に頼まれた成田 豊は、2003年4月に「電通」から数人を「武富士」に出向させた。
しかし、2003年12月2日に武井保雄が逮捕されたことによって、「武富士」のCM放送中止が相次ぎ、
在京の民放各局は同日2日、広告代理店などの要請で、同社CMの放送を当面取りやめる方針を相次いで決め、同日以降のCMを差し替えた。
「武富士」側も、世間を騒がせたとして、新聞広告やテレビCMをしばらくの間、自粛すると発表。

後に、「武富士」のCM自粛は解禁され、再び放送されるようになったのだが、これを許したのが、日本経団連という構図のようである。

同年4月には、、「I&S/BBDO」が、「BBDO」ネットワーク統一ロゴマーク導入により再度社名変更し、現社名の「I&S BBDO」になる。
(但し、現在も「読売グループ」・「セゾングループ」との資本関係は続いている)
「BBDO」という広告会社は、現在、日本では「電通」・「博報堂」と並ぶ広告代理店「アサツーDK(ADK)」を吸収する形で日本に進出しており、
この会社のクライアントには、自民党もしっかりと入っている。森田 実氏の話では、電通もこの「BBDO」に乗っ取られつつあるということだ(2006年時)。
尚、「アサツーDK(ADK)」は、1991年に中華人民共和国の「新華社」と業務提携している。


2004年(平成16)

「セブンイレブン・ジャパン」が、「東急エージェンシー」から「電通」に移った。
「電通」の連結売上高が、1兆9104億円に達する。

8月20日、東京の築地本願寺で田原総一郎の妻の通夜が営まれ、
小泉純一郎首相(当時)をはじめとする政財界の有名人、「サンデープロジェクト」の出演者などが駆けつけていた。
その中にの姿もあったが、成田 豊の場合は、この葬儀を仕切る「葬儀委員長」として築地本願寺にいたのであった。
つまり、それは田原総一朗と成田 豊の親密な関係を意味する。

田原総一朗
「成田さんには僕が頼んだ。何故かというと、顔が広いから。
まさか政治家に頼むわけにはいかないし、いろいろな人が来た時に、彼ならみんな知っているだろうし、挨拶が出来る人がいいと思って頼んだ。
但し、「電通」で来たのは成田さんだけ。具体的に仕切ったのは「テレビ朝日」のスタッフだった」


2004年(平成16)

同年10月21日、「電通」は、2004年9月中間期の単独経常利益が、前年同期比35%増の252億円になったと発表した。
従来予想を30億円上回った。五輪効果で広告事業が好調だった上に、粗利益率も期初見込みより0.2ポイント改善。
IT(情報技術)関連の開発費が計画より少なくなり、販管費を抑えたことも寄与した。

http://mediainsight.jp/clip/2004/10/35.html


2005年(平成17)

日韓友情年

「電通」は、「韓流ブーム」を盛り上げるなど、メディアミックス的戦略を展開。
「電通」の“天皇”成田 豊が、日韓友情年の副委員長が務めていた。

総選挙となる8月5日の3日前の8月2日、
米国の広告代理店業界のドンである、アレン・ローゼンシャイン Allen Rosenshine が、突如首相官邸を訪れ、
小泉純一郎首相と極秘会談を持った。

http://amesei.exblog.jp/d2005-08-11

この年、郵政解散・郵政選挙が行われた。

総選挙実施日が米国同時多発テロ事件(2001年)が起きた9月11日であることなどから、“自爆テロ解散”、
自民党が分裂選挙で大敗するとの予想から、“やけっぱち解散”などと揶揄されたが、選挙後は“郵政解散”というネーミングで定着。
投票率は、小選挙区が67.51%(前回衆院選59.86%)、比例代表が67.46%(同59.81%)と上昇した。
期日前投票は、8,962,955人(有権者のうち8.67%)と国政選挙で最高を記録し、国民の関心の高さを窺わせた。

開票結果は、与党が327議席(自民党が296議席・公明党が31議席)と圧倒的勝利を収めた。
一方、野党は、民主党が113議席と選挙前の177議席から大幅に議席を減らす惨敗を喫し、
党代表だった岡田克也は責任を取って辞任し、後任には、民主党内の最右派・前原誠司(郵政民営化研究会、松下政経塾)が就任。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC44%E5%9B%9E%E8%A1%86%E8%AD%B0%E9%99%A2%E8%AD%B0%E5%93%A1%E7%B7%8F%E9%81%B8%E6%8C%99

また、同年、「オリンピック」の肖像権が選手個別に管理されることになり、
選手が「日本オリンピック委員会(JOC)」と契約せず、CM出演など、より自由な商業活動を希望した場合は認めることになった。
また、それまで広告代理店4社と契約していたマーケティング活動は、2005−2008年の次期システムでは、
36億円の収入を最低保証として提示した「電通」を基本的に専任とすることで一致した。

http://www.47news.jp/CN/200311/CN2003112801000339.html

2006年(平成18)

同年8月、「博報堂」は、世界最大の広告会社グループである「オムニコムグループ」の系列会社「TBWA」と共同出資し、
外資系広告代理店「TBWA/Hakuhodo」を東京に設立。出資比率は、「TBWA」が40%、「博報堂」が60%。

http://ja.wikipedia.org/wiki/TBWA%5CHAKUHODO

また、同年10月24日から携帯電話番号ポータビリティが実施された。


携帯の番号継続制度は「KDDI」の独り勝ちと言われているが、収益面から見ると、独り勝ちと手放しで言えるような状態ではなく、

本当の勝者は、急増したテレビCMなどの広告を一手に引き受けた“電通”である。

更に、「ソフトバンク」がブランド変更を契機に広告会社を「電通」に変えたことに加えて、番号継続制度導入による広告量の急増で、

収益面でも大幅な上積みがあった。

2007年(平成19)

「日本郵政株式会社」のグループ会社である「郵便事業株式会社(日本郵便)」と、
「電通」及び「電通テック」が、新しい郵便メディアの開発と関連事業の展開の為に、合弁会社を設立することで同意。

http://markezine.jp/article/detail/2080

同年6月30日、「日本 eスポーツ協会設立準備委員会」が発足。
この委員会は、「電通スポーツ事業局」企画業務推進部長の平方 彰が委員長補佐を務めており、
特別顧問には、「日本体育協会」会長である森 喜朗・元総理も参加している。

http://www.negitaku.org/news/10926/


また、同年12月、
「日本テレビ放送網」、「セブン&アイ・ホールディングス」、「電通」、「セブン・イレブン・ジャパン」、「イトーヨーカ堂」、「セブンアンドワイ」の6社は、
「メディアと消費の融合」をテーマに、テレビ・インターネット・小売業を結びつけた次世代型の「ショッピングポータルサイト」を運営する会社
「株式会社日テレ7」を共同出資で設立。
資本金は4億8000万円で、筆頭株主は、株式の51%を保有する「日本テレビ」である。
これまでにない番組視聴スタイルや商品購入スタイルを創造し、新たな販促&コミュニケーション市場を開拓するとしており、
2008年4月より、本格的なサービス開始が始まった。

尚、「セブン&アイ・ホールディングス」とは、2005年9月、
「セブン・イレブン・ジャパン」、「イトーヨーカ堂」、「デニーズジャパン」の3社が株式移転により、3社の持株会社として設立した会社。


2008年(平成20)

社団法人「公共広告機構(AC)」を「ACジャパン」と改称すると発表、
それに伴い、ロゴの下にあった「公共広告機構」の文字を「よりよい社会をめざす民間の広告ネットワーク」に変更。
改称の理由は、「公共広告機構」という官庁の組織のような名称によって生じる「公共広告機構は政府の機関である」という誤解を払拭する為。

企業広告を放送しない「NHK」も「ACジャパン」の会員企業であり、
2000年には「NHK」との共同による啓発キャンペーンとして公共広告を放送した実績がある。
尚、「NHK」で放送する場合に、ACのロゴは「公共放送 NHK」や「NHK環境キャンペーン」等に差し替えられるか、カットされる。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E5%85%B1%E5%BA%83%E5%91%8A%E6%A9%9F%E6%A7%8B

2008年5月、「博報堂」は、赤坂サカスにある赤坂Bizタワーに本社を移転。
先に移転を完了していた「博報堂DYメディアパートナーズ」との連携を強めた。その後も、グループ企業が赤坂に集結している。


その後、同年11月、「博報堂」は、障害者団体の定期刊行物に適用される郵便料金割引制度を不当に利用し、
家電量販店のチラシを2年半にわたり計約1100万通送っていたことが判明。顧客から「問題があるのでは」と指摘され取りやめた。
この制度の利用は、「博報堂」関連会社である「博報堂エルグ(福岡県本拠)」が提案し、勧めた為、企業が採用したが、
その後、大阪地方検察庁特別捜査部によって、翌年春にこの事案に関与した幹部らが逮捕起訴された。
これを受けて、内部処分も同時に行われた。


2009年(平成21)


6月3日、政府は、省エネ家電の購入支援策「エコポイント」の運営事務局に「電通」や「凸版印刷」などによる6社連合を選定した。
運営事務局に決まった「グリーン家電普及推進コンソーシアム」は、
「電通」、「凸版印刷」、郵便事業会社の子会社「JPメディアダイレクト」、「JP物流パートナーズ、コールセンター大手の「ベルシステム24」、
「トランスコスモス」で構成する。
事務局には7件の応募があり、第三者による評価委員会が審査して決めたという(が、恐らく随意契約)。

併せて、エコポイントと交換出来る商品の募集も、6月1日から始めた。
商品券やプリペイドカードのほか、地域産品、省エネ・環境に配慮した製品の提供事業者を11日まで募集し、
第三者委員会が6月中旬に決定する。

7月10日、2016年夏のオリンピックが米国になることを見越してか、「電通」は、ニューヨーク州に新会社「電通スポーツアメリカ」を設立。

http://markezine.jp/article/detail/7793

また、同年5月、「電通」は、連結子会社の「サイバー・コミュニケーションズ(CCI)」を完全子会社化する為、
株式交換契約を結んだ。
「CCI」は、「電通」と「ソフトバンク」の合同出資で1996年に設立。

→注.お父さん犬も、「電通」生まれ
http://www.j-cast.com/2007/12/07014303.html

http://journal.mycom.co.jp/articles/2009/07/24/dentucm/index.html

インターネット広告を手がけるメディアレップ(代理店)事業を展開し、メディアと広告主を結び付けてきた。
電通グループは、インターネットを中心とするデジタル事業領域を重視し、激化するインターネット広告の競争に本格参入。

http://amesei.exblog.jp/10131849/

これとまったく無関係ではないと思われるが、

同年8月の衆議院総選挙では、与党である自民党・公明党の圧倒的不利が伝えられる中、
本来、公職選挙法142条で禁じられているはずの、選挙運動でのインターネット活用を公然と行っている。
劣勢が伝えられる自民党は、民主党を痛烈に批判する所謂、「ネガティブ・キャンペーン」をホームページ上で展開、
18日の公示後も更新を続けている。
また、これらの誹謗中傷を書き連ねた資料は、党公認候補の事務所や、演説会で配布したり、
各選挙区のマンションなど、戸別にまで投函するなどして配布している。

また、ネット上では、新しい動画CMを公示後に流している。

http://www.yomiuri.co.jp/net/report/20090825-OYT8T00569.htm

共産党以外の各党は、献金以外にも、政党交付金を毎年受け取って党運営を行っているが、政党交付金は税金(贅金ではない!)である。
つまり、我々一般国民から徴収した税金で、このような悪質で陰湿なエゴに塗れた宣伝物(汚物)を、
「電通」と自民党が作って、ばら撒いているのを思うと、本当に許せない気持ちになります。


==--==--==--==--==--==--==--==--==--==--==--==--

【2005年までの10年間に各党が受け取った政党交付金】

自由民主党 1470億2100万円

民主党 619億5000万円

社会民主党 266億5400万円

公明党 211億1800万円

その他政党(二院クラブ、新社会党、新党護憲リベラル、自由連合、無所属の会など) 558億5400万円

※日本共産党は、政党交付金(政党助成金)の受け取りを拒否している。


【2005年の政党交付金支給額】→郵政選挙の年ですから、当然、選挙資金になってます。

自民党 157億7951万4000円

民主党 117億6529万8000円

公明党 29億4374万1000円

社民党 10億2242万2000円

自由連合 1億1950万5000円

国民新党 6094万7000円

新党日本 4003万円


【2006年の政党交付金支給額】()内は前年比

自民党 168億4600万円(+14億2700万円)

民主党 104億7800万円(−17億1400万円)

公明党 28億5800万円(−1億1300万円)

社民党 10億600万円(−2200万円)

国民新党 2億6600万円

新党日本 1億6000万円


【2007年の政党交付金支給額】

自民党 165億9583万7000円

民主党 110億6382万4000円

公明党 28億0607万円

社民党 9億6822万3000円

国民新党 3億2940万3000円

新党日本 1億7863万9037円


【2006年の日本経団連から政党への献金】

総額は26億1000万円で、前年より1億3000万円増加した。
自民党向けが25億3000万円(前年比1億1000万円増)、民主党向けが8000万円(同2000万円増)だった。

http://blogs.yahoo.co.jp/sekaiisanjapan/36935394.html


【2007年の日本経団連から政党への献金】

日本経団連から政党への献金総額は、前年比3億9000万円増の29億9000万円に伸びた。
但し、自民党向けが29億1000万円と大半を占め、民主党への献金は8300万円と、ほぼ横ばいに留まった。

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/080913/biz0809130025004-n1.htm

ネット選挙運動解禁の可能性
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0509/05/news013.html


【2007年の政党献金を自民党と民主党で比較】

2007年の政党献金を自民党と民主党で比較すると、
自民党が、総額224億円、民主党 総額40億円で、その差額は約184億円にもなる。

また、企業献金と個人献金の内訳で比較すると、
自民党が、企業献金168億円、個人献金56億円であるのに対し、民主党は、企業献金が18億円、個人献金が22億円となる。
企業献金の差額は、なんと150億円にもなり、また、個人献金はそれと比べれば開きは少ないが、それでも34億円の差額がある。

尚、日本経団連加盟企業を通じる企業献金を、自民党と民主党の比較で見てみると、
自民党が29億1000万円にも上るのに対して、民主党は8000万円と圧倒的に少ない。
日本経団連と自民党の癒着構造については、日本経団連の公式サイトの、国民意識に反した政党評価にもよく顕れている。

日本経団連が金で買う、政治への発言力
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/seiji.html


【2003年〜2008年 自民党・民主党に対する日本経団連から献金額と評価を比較】

http://www.sasaki-kensho.jp/gijiroku/download.php?f=upfile/1246725951-1.pdf&n=090702siryou.pdf

日本経団連が金で買う、政治への発言力
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/seiji.html

日本経団連の政治献金は贈収賄にあたらないのか?
http://www.amakiblog.com/archives/2007/12/12/

自民党と民主党の台所比較(グラフ表示)
http://www.jiji.com/jc/v?p=ve_pol_politics-jimin080911j-05-h420

≪補足≫

http://list.jca.apc.org/public/aml/2005-September/003427.html

Karel van Wolferen著『日本/権力構造の謎 上巻』(1994年)から、記事を以下引用します。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%B3

尚、中曾根康弘は政界引退後、「電通」の顧問になっています。
民主党の広告は、以前は「博報堂」がやっていましたが、今は多分、外資系の広告代理店だと思います。

→注.現在も「フライシュマン・ヒラード」?

以下の文中に登場する「視聴率調査会社」は、
この文が書かれた頃には外資系の「ニールセン」と「電通」の子会社「ビデオ・リサーチ」の2社がありましたが、
現在は、「電通」の子会社「ビデオ・リサーチ」1社しかありません。


「電通」ほど一手に、直接或いは多数の下請けを使って、大衆文化を作り出している企業体は世界中どこを探しても、他にない。
「万国博」やローマ法王訪日時の準備など、主要イベントもこの会社が総合企画・演出の陣頭指揮に立つ。

「電通」は、日本の全テレビ・コマーシャルの3分の1の直接責任者であり、ゴールデンタイムのスポンサーの割り振りに関して
実質的に独占的決定権をもつ。
約120の映像プロダクション、400以上のグラフィック・アート・スタジオがその傘下にある。
午後7時〜11時の時間帯の番組にコマーシャルを出したい広告主(クライアント)は、電通を通すしかない。
スポンサーの選定と放送番組の内容の大部分を、「電通」が握っているからだ。

日本では、扱い高が即、政治力になるので、「電通」はこうした役割(事実上の編成局)を演じられるのである。
その結果、「電通」の影響力は、日本のテレビ文化の内容まで左右し、世界中どこにも類例が見られないほど、
強力なマスメディアを通しての、社会統制になる。

そして、このことには重大な政治的意味がある。テレビという麻薬が、日本ほど見事に利用されている国は他にない。


「電通」の広告扱い高は、日本の総広告費の約4分の1に当たる。
大手新聞の広告の5分の1強、主要雑誌の広告のおよそ3分の1が「電通」扱いである。残りの4分の3を、約3000社の中小広告代理店が分け合っている。

「電通」が、これほど無敵の存在になれたのは、その人脈のおかげである。
同社の社員採用方針で常に目指してきたのは、
テレビ界や出版界のトップ・クラスの管理者や幹部役員、及び特別な広告主、プロの黒幕などの息子たちや近親者からなる人材プールを維持拡充することであった。
彼らを指して、大きなスポンサーと良好な関係を保つ為の“人質”だとは、「電通」のある役員が例え話に言った言葉である。

「電通」出身者の落ち着き先(天下り先)の1つは、テレビ番組の人気度を評価する視聴率調査会社「ビデオ・リサーチ」社である。

管理者たちに不評なテレビ番組を解除するのにも活用される。
論争の的になる時事問題(例えば、部落問題、文部省による教科書検定、税制など)を扱った『判決』という番組は、
低視聴率という口実をもって、放送が打ち切られた。

「電通」は、消費者の追及から大企業を庇ったりもする。
「電通」のある幹部は、米国の消費者運動活動家ラルフ・ネーダーを日本に招いた「読売新聞」が、
「電通」の警告に応じて、同紙の予定していた、ネーダーについての二面抜きの特集記事を小さな記事に分割し、しかも調子を落としたと、
スピーチで誇らしげに語った。
また同じ頃、「毎日新聞」が、これも「電通」の指示のもとに、消費者運動についての記事を穏当なものに変えた。

「電通」は、報道媒体に強大な圧力をかけ、「電通」の広告主(クライアント)の名声に傷がつくような出来事は、
報道させないか、報道に手心を加えさせることも出来る。
1955年、「森永乳業」の砒素入りミルクについてのニュースを「電通」が統制したケースは有名である。
また、1964〜1965年には、
大正製薬が製造した風邪薬を飲んでショック死した人々についてのニュースを、「電通」が検閲し、内容を変えさせた。

「電通」が報道関係を巧みに検閲出来るのは、財政的な力に起因するだけではない。
1936年から1945年まで、独占的な政府の宣伝機関だった「同盟通信社」と一体だったこと、
また、どちらも戦時中の「同盟通信社」の末裔である「共同通信社」と「時事通信社」という、
日本の二大通信社と非常に緊密な関係にあることにも起因する。この繋がりは、株式の相互持ち合いによって強化されている。
「共同通信社」が扱うニュースについては、常に「電通」に情報が入る。

「電通」のもう1つの機能は、官僚及び自民党のPR活動をしたり、世論調査を通して国民の“伝統的な価値”を支えることである。

「電通」は、総理府及び自民党が必要な情報を収集し、偏った意見調査を通して“世論”を作り上げる手伝いをする。
自民党の選挙キャンペーンという最も手の込んだ部門は、「電通」が引き受けている。
原子力発電所の安全性の宣伝や、様々な省庁の企画に関する宣伝なども扱っている。

1970年代後半に、一連の野党系市長や知事を退陣させる政治的策動を取り纏め、
政治的に重大な地方消費者運動や反公害運動に対抗する反キャンペーンを展開したのも、「電通」である。

このような官庁及び自民党の為の仕事は、主に電通の「第九連絡局」でおこなわれ、
ここには、建設省、運輸省、農水省、郵政省、文部省、大蔵省、総理府の各省を担当する別々の課がある。
公式には民営化されたが、実際には以前と殆ど変わっていない「NTT」や「JR」などの公共企業も、この局が扱っている。

この「第九連絡局」は、総理府の広報予算の3分の1以上、他の省庁の同40%を吸収する。
また、自民党の広報宣伝予算についても、「電通」が独占に近い形で自由に使っている。

自民党と「電通」とが、このような親密な関係を保てる理由の一つは、
「電通」は寡占によって、実業界の顧客から非常に高い手数料を取れる、
従って、いつも政治資金の足りない自民党は、安くしてもらったり、支払いを急がなくてもよいからである。

「電通」の「第九連絡局」は、1972年、田中角栄内閣発足直後に作られた。
その一年後に、「電通」は注目すべき『自民党の広報についての一考察』という報告書を刊行し、
その中で、自民党は既に「記者クラブ制度」を通じて、大手新聞、テレビ、ラジオの記者とはかなり有利な関係を保っていたが、
新聞社発行以外の主要週刊誌との関係は、まだ十分に決められたルールに基づくものではなかったと、よく引用される主張をしている。

「電通」のおよそ40%に当たる売上高を持つ、日本で2番目に大きい広告代理店「博報堂」もまた、
管理者、とくに財政金融界の管理者たちの間に安住している。
この会社の社長が二代続いて、また他にも数名の取締役が大蔵省からの天下りであるから、当然ともいえる。

だが、もう少し小規模で、官僚の為に宣伝活動を展開して、最も興味をひくのは、非常に積極的な「東急エージェンシー」である。
「電通」は、通常、官僚を通じて仕事の注文を受けるのだが、
中曾根康弘が首相在任中は、彼自身が直接、「東急エージェンシー」に電話をかけて指示した。
このような緊密な繋がりがあるのは、東急グループの総帥で、1987年まで「日本商工会議所」の会頭だった五島 昇(1989年死去)が、
東大の同期生・中曾根康弘を、彼の人脈の頂点に置いていたからである。

「東急エージェンシー」が担当した最大の仕事は、中曾根康弘が戦後のタブーを排除する計画の一部として遂行し論争の的となった、
建国記念の日に関連する祝賀イベントである。
対象範囲が更に広いものとしては、中曾根康弘の行政改革案に関連し、全国で展開された宣伝キャンペーンがある。
このキャンペーンでは、主婦組織などから参加者を募って圧力団体を作り、市中行進や国会前デモを組織した。
1983年3月には、15000人のデモ隊動員に成功している。

このような大きな仕事を担当して、金銭的には損失があったが、人脈の繋がりがいっそう強固なものになったおかげで、
「東急エージェンシー」は急成長する広告代理店になった。

自民党政府が次々と出す「政策要綱」は、大抵、広告コピーのように聞こえるのだが、
それは具体的な政治理念の代わりに出てくるスローガンが、前記の代理業者のどれかで作られたものだからである。


(下記、追加)

戦後、GHQとの関係をきっかけに、
CIAとも綿密な関係を持つに至り、「電通」は、日本国内の最大最強のCIAエージェント(諜報機関)とも言われており、
また、山口組を始めとする暴力団との裏のコネに豊富で、「電通」の“実力行使”の為に、
毎年かなりの金額が暴力団に第三者を通じて流れている、と言われています。

http://ofureko.exblog.jp/9158601/

「日本を思うように動かす為には、先ずマスコミを掌握しなければ」
その結果、現在、「電通」を媒介にして米国による民放支配はほぼ完了しました。

公共放送である「NHK」は、米国も直接支配が出来ないので、政府・自民党を通じて、「NHK」の政治報道に圧力をかけつつ、
もう一方で、大新聞・民放テレビ・雑誌ジャーナリズムを使って、「NHK」を解体させようとしているようです。

小泉純一郎首相は、ジョージ・ウォーカー・ブッシュ大統領にとって、最良のパートナーでした。
その小泉政権下で、日本の広告独占体(電通)は“ブッシュ世界戦略”の道具と化し、
米国と、日本の広告巨大独占体(電通)は、各テレビ局と大新聞に対して、小泉を勝利させる為に総力をあげるよう工作、
各テレビ局と大新聞は、この要求を受け入れ、全力をあげることを誓わされました。

日本の民放テレビ、大新聞は、広告巨大独占体(電通)の指導のもと、
郵政選挙で小泉政権を勝利させる為に大キャンペーンを行い、同時に、郵政民営化反対派に対する、ネガティブキャンペーンを行いました。


Benjamin Fulford氏などによれば、郵政選挙でCIAが「電通」に対し多額の資金を注入し、
「電通」が各マスコミに働きかけることで、小泉純一郎を全面的にバックアップしたと言われています。


http://benjaminfulford.typepad.com/benjaminfulford/2008/03/post-11.html

藤原 肇著『朝日と読売の火ダルマ時代』より、「秘密の鍵はニューヨークにある」
http://plaza.rakuten.co.jp/HEAT666/diary/200410030000/

http://ofureko.exblog.jp/9076799/

また、2000年7月16日付「琉球新報」によると、
1968年11月に行われた、沖縄の日本“返還”後初の「沖縄知事選挙」において、
米国CIAが、自民党の知事候補に選挙資金を援助し、自民党を勝たせるように裏工作していた事実が報道されています。

この記事では、
米国大使館から出された「自民党にCIA資金を選挙の裏金として渡すよう」指示した、1968年8月16日付の電文がスクープ掲載されています。

尚、この「沖縄知事選挙」で、自民党幹部職員として選挙を担当していた金尚氏によると、
CIAの代理人として、沖縄でCIA資金2000万円の授受を担当していたのは、小泉純一郎・元首相その人です。
(週刊文春2002年8月15日、22日合併号)

つまり、このことから小泉純一郎・元首相は40年前から既にCIA工作員であった、ということが窺えます。

(第2章)米国の占領政策


第二次世界大戦直後の米国による日本占領政策は、3R、5D、3S政策と言われました。3Rは基本原則、5Dは重点的施策、3Sは補助政策です。

3Rの第1は、復讐(Revenge)。第2は、改組(Reform)。日本の従来の組織を抜本的に組み替えること。
第3は、復活(Revive)。改革したうえで復活、つまり独立させるということです。

5Dの第1は、武装解除(Disarmament)。第2は、軍国主義の排除(Demilitalization)。この2つが憲法九条の目的です。
第3は、工業生産力の破壊(Disindustrialization)。軍国主義を支えた産業工業力を打ち壊すというもの。
第4は、中心勢力の解体(Decentralization)。財閥の解体。内務省を潰す。警察を国家警察と地方警察に分解する。
第5は、民主化(Democratization)。日本の歴史的・民族的な思想や教育を排除し、米国的に民主化する。

その為に日本帝国憲法を廃棄し、天皇を元首から降ろす。新憲法を制定して、天皇を象徴にする。
皇室、国家と緊密な関係にあった神道を国家から切り離す。国旗の掲揚を禁止し、教育勅語を廃止する。

以上の5D政策を円滑、或いは活発に行わしめる補助政策として、3S政策というものがあります。
第1のSは、セックスの解放。第2のSが、スクリーン。つまり映画・テレビ等を活用する。音楽もこれに含まれます。
第3のSが、スポーツの奨励。

これらを楽しんで、大衆は無知蒙昧なままでいろ。政治に関心を持つな、という政策でもあり、今の日本人は3S政策にすっかり
嵌ってしまっています。まさに「電通」が生業としているのが、この3S政策の分野なのです。

日本占領政策の一環として、今ある社会の娯楽があることを理解して物事を見れば、それまでと違った感じ方が出来るように
なるのではないでしょうか。

これらの日本占領政策の最終目的は何でしょうか?

それは、次に紹介するサイトに答えがある気がします。その中でも、このページが“洗脳”の理由としてわかりやすいのではないかと
思います。


『私たちは気づかぬうちに搾取されている』、『新階級社会へ』、『至高の武器“おカネ”』、『私たちに何が出来るのか?』
http://www.anti-rothschild.net/main/08.html←重要です。

日本はサンフランシスコ講和条約で独立国として承認されていなかった!?(苫米地英人著『脳と心の洗い方』より抜粋)
http://www.anti-rothschild.net/material/36.html


もし、「自分は物知りだ」と思っている人間君は、一度振り返ってみて欲しいワン。
実は、自分が得た知識って、殆どがテレビや本など、マスコミを通して知ったものばかりのはず(最近はインターネットも多いらしいね)。
自分の持っている知識のうちの何パーセントが、自分が実際に見たり体験したりして得た知識だい?
実はその殆どは、実際に自分で見聞きしたモノじゃないでしょ?
http://d.hatena.ne.jp/rainbowring-abe/20061212


日本独立の気概は、どこで失われたのか?
http://d.hatena.ne.jp/rainbowring-abe/20070329

CIAの「日本のTV放送監視機関」→CIAは米国の対外諜報機関なので、当然と言えますが・・・
http://alternativereport1.seesaa.net/article/120037441.html

「CIA(Central Intelligence Agency)」とは
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E6%83%85%E5%A0%B1%E5%B1%80

「電通」のインターネット・監視ビジネスは、軍隊のサイバー部隊の行っている仕事の民営化版である。
http://alternativereport1.seesaa.net/article/104938130.html

http://alternativereport1.seesaa.net/article/119303675.html

(第3章)「電通」と東京オリンピック誘致、世界陸上などの利権


◆「電通」と東京オリンピック誘致の利権


2016年夏のオリンピック招致にむけて東京都(不本意な石原都政)が、「電通」に委託事業費の86.5%を独占させていたことが
2009年3月11日、東京都議会予算特別委員会で明らかとなり、
その結果、2006年度から2008年度にかけて東京都(不本意な石原都政)が発注した委託事業費30億1059万円のうち、
「電通」に、26億345万円(全体の86.5%)を発注したことが判明。

また、東京都(不本意な石原都政)の招致本部が「電通」との契約を、競争入札なしで特定の企業の指定を行う「特命随意契約」で行い、
他企業に発注出来るはずの都バス車体広告、機運を盛り上げる為のTOKYO体操の企画まで「電通」に委託していたことが明らかとなった。

知事本局が2005年11月に、オリンピック招致事業の基礎調査の発注にあたり、
「博報堂」など他の広告大手と企画競争をさせず、「電通」のほか人材派遣会社など4社を指名した企画提案の審査の結果、入札なしで「電通」に発注。
これを契機に都招致本部は、重要な委託事業をすべて「電通」に特命随意契約で発注してきた。

更に、都生活スポーツ局の事業委託でも、「電通」の占める割合が51.8%(7億1000万円)もあったことが判明した。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2009-03-12/2009031201_04_0.html

北京オリンピックの視聴率の結果、オリンピック・各大会の放映権料と視聴率を比較
http://d.hatena.ne.jp/longlow/20080825

2004年10月21日、「電通」は、2004年9月中間期の単独経常利益が、前年同期比35%増の252億円になったと発表した。
従来予想を30億円上回った。五輪効果で広告事業が好調だった上に、粗利益率も期初見込みより0.2ポイント改善。
IT(情報技術)関連の開発費が計画より少なくなり、販管費を抑えたことも寄与した。

http://mediainsight.jp/clip/2004/10/35.html

2005年、「オリンピック」の肖像権が選手個別に管理されることになり、
選手が「日本オリンピック委員会(JOC)」と契約せず、CM出演など、より自由な商業活動を希望した場合は認めることになった。
また、それまで広告代理店4社と契約していたマーケティング活動は、2005−2008年の次期システムでは、
36億円の収入を最低保証として提示した「電通」を基本的に専任とすることで一致した。

http://www.47news.jp/CN/200311/CN2003112801000339.html

http://adv.yomiuri.co.jp/ojo/02number/200411/11toku1.html

石原慎太郎都知事は、東京オリンピック招致委員会に独自の調査をさせ、「東京オリンピックの招致を望む声は70%ある」としていた。
(2009年6月4日)

→注.つまり、「電通」がアンケート調査のうちで、「招致開催賛成の多い」サンプルだけを意図的に取り出して発表したようだ。
http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=338790&log=20090604


YouTube - 東京五輪誘致は「電通」のマッチポンプ
http://www.youtube.com/watch?v=jJjU_r2qstM&eurl=http%3A%2F%2Fmontagekijyo%2Eblogspot%2Ecom%2F2009%2F04%2Fblog%2Dpost%2Ehtml&feature=player_embedded#t=12

2016年夏のオリンピックが米国になることを見越してなのか、
2009年7月10日、「電通」は、ニューヨーク州に新会社「電通スポーツアメリカ(「電通アメリカ」とは別)」を設立。
http://markezine.jp/article/detail/7793

◆石原慎太郎が「東京オリンピック誘致」で誤魔化したい案件 その1


「新銀行東京」の累積損失(グラフ)
http://d.hatena.ne.jp/Takaon/20090707

http://wanwanlapper.seesaa.net/article/123030575.html


◆石原慎太郎が「東京オリンピック誘致」で誤魔化したい案件 2

「臨海部副都心開発基本計画(1988年3月策定)」の莫大な負債額は、2兆4466億円

→注.この計画の予算は当初計画で4兆1000億円とされており、最終的な総事業費は10兆円と見込まれていました。

http://www.osaka-ue.ac.jp/zemi/enshu/Resumes/lec03.pdf

http://www.jichiroren-toshokuro.com/tocyou/yosan/10.pdf

石原慎太郎が「東京オリンピック誘致」でインフラ整備などに投資したお金は、総額8兆5415億円!!

→注.開発費用ですから、ここには「電通」分の経費(広告全般など)は計上されません。

http://esashib.hp.infoseek.co.jp/chintaro04.htm

◆「電通」と世界陸上の利権


参考
http://olympico.cocolog-nifty.com/olympic_plus/2007/08/post_d525.html

http://olympico.cocolog-nifty.com/olympic_plus/2006/06/w_5e5d.html


下記、一部引用、

-------------------------------------------------

≪IAAF 世界陸上2007 大阪大会 組織委員会 理事・監事≫


最高顧問:森 喜朗 財団法人「日本体育協会」会長

最高顧問:御手洗冨士夫 社団法人「日本経済団体連合会」会長

名誉会長:青木半治 財団法人「日本陸上競技連盟」名誉会長

理事(会長):河野洋平 財団法人「日本陸上競技連盟」会長

理事(副会長):井上 弘 株式会社「東京放送」代表取締役社長

理事(副会長):太田房江 大阪府知事

理事(副会長):下妻 博 社団法人「関西経済連合会」会長

理事(副会長):關 淳一 大阪市長

理事(副会長):帖佐寛章 財団法人「日本陸上競技連盟」名誉副会長

理事(副会長):俣木盾夫 株式会社「電通」代表取締役会長

(以下略)

-------------------------------------------------

日本で「世界陸上」を独占中継しているのは「TBSテレビ」であり、1999年のセビリア大会から5回目となる。
、「国際陸上競技連盟(IAAF)」と「TBSテレビ」が直接交渉したのは、最初の1999年だけであり、以後は「TBSテレビ」ではなく「電通」が直接の窓口になっている。

1999年に「電通」は、「国際陸上競技連盟(IAAF)」主催の全47大会の、2000〜2009年の10年分の国内放映権を一括して獲得。
その金額は80億円〜90億円と推定されており、放送権は、地上波に加え、衛星、ケーブル、ラジオまで含んでいる。

「電通」は、スポーツの放送権を長期で獲得し、国内で転売するビジネスを強化しており、商社のように放送権を転売することによって儲けを出す仕組みだ。
「世界陸上」は奇数年に開催されるが、これは、偶数年の「夏季五輪(オリンピック)」や「サッカー・ワールドカップ」が開催されない年にいかに稼ぐか、を考えてのことだ。

「電通」が持っている、「国際陸上競技連盟(IAAF)」主催の国際大会の権利は、「世界陸上」以外には次のようなものがある。

「世界室内陸上選手権」、「ワールドカップ陸上大会」、「世界ジュニア選手権」、「世界ユース選手権」、「グランプリ・ファイナル」、
「世界クロスカントリー選手権」、「世界ハーフマラソン選手権」、「ワールドカップ競歩選手権」

I、「国際陸上競技連盟(IAAF)」にとってみれば、売り難い商品を抱き合わせにして一括で売っている訳で、
こうした大会は、実は「TBSテレビ」で誰も見ていない日曜の深夜などに放送されている。

昨年2006年3月には、「読売新聞」に次のような記事が載った。

==--==--==--==--==--==--==--==--==--==--==--==--

「電通」は18日、「サッカー・ワールドカップ」の2010年南アフリカ大会と、2014年の大会(開催地未定)に関する、
(日本を除く)アジア地域での放映権を獲得したと発表した。国外での放映権取得は初めて。国内分は既に2005年3月に獲得している。
2007〜2014年に行われる「国際サッカー連盟(FIFA)」主催のすべての大会の放映権も含まれている。契約金額は公表していない。

対象となるのは、テレビ、ラジオ、インターネット、携帯電話に関する分野。
1999年に「電通」が「IAAF」と契約したときには明記されていなかったインターネット、更には携帯電話がはっきり明記されていることに注目したい。

==--==--==--==--==--==--==--==--==--==--==--==--

1979年の「ワールドユース」で、初めて国際放送権の交渉も手がけた。
そして現在、「電通」は、「国際サッカー連盟(FIFA)」のマーケティング部門の一翼を担っている。
1990〜1998年の3大会の放送権は306億円だったが、2002、2006年の放送権は、2大会で計2500億円と言われる。
「電通」は、2014年大会までの国内向け放送権を既に獲得済である。


「夏季五輪(オリンピック)」テレビ放映権料(1998年〜2008年)、「サッカー・ワールドカップ」テレビ放映権料(1974年〜2006年)
http://olympico.cocolog-nifty.com/olympic_plus/2006/06/w_5e5d.html


◆「電通」と北京オリンピックの利権

参考
http://markezine.jp/article/detail/2014

http://markezine.jp/article/detail/2527

下記、一部引用、

-------------------------------------------------

「電通アメリカ(「電通スポーツアメリカ」とは別)」は、2007年10月29日、米国と英国に拠点を持つ、広告代理店「ATTIK」を買収したことを発表。

「ATTIK」は、1986年にSimon NeedhamとJames Sommervilleの2人が英国に設立。
活動を始めた当初は、James Sommerville氏の祖母の家の屋根裏(attic)にある寝室が彼らのスタジオだったという。
その後、マッキントッシュを使った斬新なグラフィックデザインによって注目され、米国にも進出。
ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンジェルスに拠点を持つ。

「ATTIK」は、「Ford」、「NIKE」、「Adobe」、「AOL」、「トヨタ」などのグローバル企業を多数クライアントに持ち、
中でも、「トヨタ」の小型車Scionについては、ブランディングから広告クリエイティブまでを担当。

広告業界情報サイト「AD WEEK」は、
日米「トヨタ」の役員から2006年に「電通アメリカ」のCEOに就任したTimothy Andree氏が今回の買収に動いたと伝えている。


また、「電通」と中国屋外広告最大手の「分衆伝媒(フォーカスメディア)」傘下の「華光広告(香港)」は共同出資で、
ネット広告企業「電衆数碼(北京)」を2008年3月、北京で設立することで合意。

新規合弁会社の役員会メンバーは「電通」より任命され、既存の北京市・上海市のネット広告業務を新規合弁会社に移転させる予定。

2007年12月時点での中国ネット利用者は、前年比53.3%増の2億1000万人に達し、
インターネット広告市場は2007年には約1400億円、2010年には約4000億円に成長することが見込まれている。

中国電通グループ(「北京電通」・「上海東派」・「北京東宝日海」)の3社は、
ソリューション向上やメディアとの交渉力を高める為に、新しく設立するインターネット広告の専門会社に業務を集約。
中国電通グループのインターネット広告事業の作業委託・集約先として機能すると同時に、直営業による新規得意先の開発などを行う。

新会社は北京市に設立し、株式の比率は、「電通」67%、「分衆伝媒」傘下の「華光広告(香港)」33%となっている。
今回、共同出資社となる「華光広告」の親会社「フォーカスメディア」は、
米ナスダック市場に上場し、屋外メディア、インターネット広告、モバイル広告の3分野で事業を展開。
フォーカスメディアグループが開発したインターネット広告の配信ソフトの市場シェアは、80%を超えるという。

電通グループは2007年、デジタル化とグローバル化への取り込みが不可欠として、「オプト」社との資本業務提携の強化、
米・英「アティック」社の経営権の取得を進めてきたが、今後も引き続き多面的な投資や事業拡大を図るとしている。

http://markezine.jp/article/detail/2392


---引用終わり---


参考
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/marketing/article/111

下記、一部引用、

-------------------------------------------------

『ロイター』の報道によると、「IOC(国際オリンピック委員会)」が手にする北京オリンピック関連の放映権料は、25億ドル(約2600億円)。
前回のアテネ大会における「IOC(国際オリンピック委員会)」の収入総額は40億ドル、そのうち53%の21.2億ドルが放映権料収入だったと報告されており、
15%の値上がりとなっている。
更に、2012年に予定されているロンドン大会の放映権料は、30億ドルを超すと見込まれており、高騰が続く傾向にある。

1984年のロサンジェルス大会が、オリンピック・ビジネスの幕開けと言われており、
この大会から「IOC(国際オリンピック委員会)」にも、開催地域に「オリンピック」により収益が期待出来るようになった。
スポンサーを1業者1社に絞り、清涼飲料水メーカーで、オリンピックマークを使えるのは世界で1社のみとしたことで、
「コカコーラ」と「ペプシコーラ」が競い合ってスポンサー料金が高騰。他にも様々な施策を行って、1セントも税金を使わずに「オリンピック」を成功させた。

このロス五輪から、アテネ五輪までで、放映権料はおよそ5倍に膨らんだ。
「サッカー・ワールドカップ」ドイツ大会では16億ドルの放映権が「FIFA」に入った。
参加選手数も多く、毎日たくさんの競技が行われているだけに「オリンピック」の放映権が高いのも頷けるが、流石にここまで高騰するとなると、
TV局にとっての負担は相当なものだ。

日本は、「オリンピック」を放送するのに、198億円を「IOC(国際オリンピック委員会)」に支払っているのだが、
放映権は、「ジャパン・コンソーシアム」が、「IOC(国際オリンピック委員会)」から放映権を一括購入して、
加入放送局と協議をして、放送協議の振り分けなどを行っている。
また、「ジャパン・コンソーシアム」は、「オリンピック」だけでなく、「サッカー・ワールドカップ」の放映権購入も行っている。

この198億円は、「IOC(国際オリンピック委員会)」の代理人を行っている「電通」に、「ジャパン・コンソーシアム」が支払っている。
「電通」が、オリンピック放映権販売手数料をいくらとっているかは不明。

「電通」は、この高い放映権料金を回収する為の、CMスポンサー探しも行っている。
「電通」は「オリンピック」の放映権だけで、CMスポンサー→TV局、TV局→「IOC(国際オリンピック委員会)」と2度手数料を得ることが出来る。

ソウル大会以降の放映権料、他のスポーツとの放映権料の金額の比較
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/marketing/article/111


---引用終わり---


他、上記内容とは前々関係ありませんが、「電通」のスポーツ事業では、次のような問題点の指摘もあります。

異議っ! ジャニーズだらけのスポーツ中継
http://www.cyzo.com/2008/04/post_468.html

◆石原慎太郎と「電通」

参考
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10129698842.html


2009年8月19日の「日本経済新聞」朝刊『私の履歴書』に、
「電通」の“天皇”成田 豊による、33年前の石原慎太郎・都知事選出馬(落選)での広告戦略の裏話が掲載された。

http://ameblo.jp/garbanzo04/image-10129698842-10086171887.html

1975年4月12日、都知事選の前日に、当時はまだリベラルだった「朝日新聞」に対して、
石原慎太郎を優勢にする為の、プロパガンダ広告を掲載させるように工作(相談と書いてありますが)をして、
そこに深く絡んでいたのが浅利慶太であり、その後、浅利慶太は記事にあるように、長野オリンピックで開会式を演出した。
浅利慶太は、「劇団四季」創設者の一人で芸術総監督であり、中曽根康弘のブレーンとしても知られていた。
その「劇団四季」と言えば、2002年12月、「劇団四季」専用の劇場が、電通本社ビルにオープンしている。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E9%80%9A%E5%9B%9B%E5%AD%A3%E5%8A%87%E5%A0%B4%EF%BC%BB%E6%B5%B7%EF%BC%BD

東京の都市計画と、築地立ち退きの関連年表
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10125747752.html

(第4章)「電通」とエゴポイント


◆煩雑化することによって、天下り法人を潤わせ、利権を作るという賤しさ
(こいつらが貪っているのは、緊急であるはずの補正予算であり、しかも、国の借金です!それを後々、消費税大増税で補うなど
絶対に許すべきではない!)


どうやら、エゴポイントをわざわざ煩雑なシステムにし、利益をいちばん貪っているのは、他ならぬ「電通」のようです。

http://www.eco-action-point.go.jp/index.php5?var=vote/Z02

http://www.eco-action-point.go.jp/business/2009/dentsu_21.html

「電通」が考えた大義名分がこれか?例のB層狙いの資料と殆ど同じレベルだ
http://www.eco-action-point.go.jp/download_data/ecopoint-dentsu.pdf

比較参考、
http://tetsu-chan.com/05-0622yuusei_rijikai2.pdf

==--==--==--==--==--==--==--==--==--==--==--==--

エコポイントの登録・商品交換申請手続き(個人)[エコポイント事務局HP]
http://eco-points.jp/EP/apply/index.html

エコポイントの登録・商品交換申請手続き(法人及び個人事業主の方)[エコポイント事務局HP]
http://eco-points.jp/EP/information/090728_1.html

上記、2つの手続きを前提とした、基金設置法人及び事務局の事務費用の見込み


◎基金設置法人:環境パートナーシップ会議基金管理及び事務局指導監督業務(3年間分)→1億2000万円

◎エコポイント事務局(グリーン家電普及推進コンソーシアム 主幹事は「電通」)→68億円


【68億円の内訳】

・事務局費(事務局人件費、事務所・作業所等賃料)→4億4000万円

・申請処理等業務費
(申請受付・入力・通知費、交換商品の受付・発注経費、コールセンター関係費、
申請書・通知ハガキ・交換商品リスト等印刷物制作費、システム関係費、広報関係費等)→57億4000万円

・交換事業者への支払関係経費(振込手数料)→3億円

・消費税→3億2000万円


http://www.env.go.jp/policy/ep_kaden/090601a.html

→注.大体、このエゴポイント用のHPだって、いくらかかっているのかわかったもんじゃない。

http://www.exblog.jp/blog_logo.asp?slt=1&imgsrc=200809/07/02/f0180002_1052677.jpg


==--==--==--==--==--==--==--==--==--==--==--==--


2009年6月3日、政府は、省エネ家電の購入支援策「エコポイント」の運営事務局に「電通」や「凸版印刷」などによる6社連合を選定した。
運営事務局に決まった「グリーン家電普及推進コンソーシアム」は、
「電通」、「凸版印刷」、郵便事業会社の子会社「JPメディアダイレクト」、「JP物流パートナーズ、コールセンター大手の「ベルシステム24」、
「トランスコスモス」で構成する。
事務局には7件の応募があり、第三者による評価委員会が審査して決めたという(が、恐らく随意契約)。

併せて、エコポイントと交換出来る商品の募集も、6月1日から始めた。
商品券やプリペイドカードのほか、地域産品、省エネ・環境に配慮した製品の提供事業者を11日まで募集し、第三者委員会が6月中旬に決定する。

http://japanimate.com/Entry/956/

電通が2009年6月9日に纏めた「夏のボーナスの使い道調査」
http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200906100042a.nwc

エゴポイント、怪しいよ
http://fujifujinovember.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-1622.html

エゴポイント、「日本経団連」と政府の深い癒着
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=210204

国策エゴポイントが胡散臭い
http://ameblo.jp/aobadai0301/entry-10241627420.html

仕組みを複雑にすればするほど仕事が増える、ということ
http://blog.goo.ne.jp/thiroi/e/3522b6bfa6323be78b236f1ab706511c

「セブンイレブン」のみの「NANACO」がよくて、青木や九十九等やヤマダ電機全店等で使える「YAMADA」のポイントがダメというのは何故?
http://reveryearth.blog.so-net.ne.jp/2009-06-21

→注.「セブン・イレブン・ジャパン」の広告代理店が「電通」だからです。

エコポイントにダマされるな!テレビを買っても庶民は4万円も損をする
http://gendai.net/?m=view&g=wadai&c=050&no=19804

(第5章)「電通」と自民党・公明党の政府広報費


聖域なき「構造改革」の聖域は、内閣・政府広報費
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/36c99b217fef54cf354548d387564fb8

http://www.exblog.jp/blog_logo.asp?slt=1&imgsrc=200809/07/02/f0180002_1052677.jpg


(第6章)満州国―岸 信介―阿片ビジネス=?ミャンマー、「電通」、小泉進次郎、タレント事務所、みーんな疑ってみよう


→注.この章は前回、編纂した『「酒井法子容疑者」の事件と「押尾 学容疑者」の事件と、森 喜朗の、点と線』に繋がります。
相互に補完する二本立てにする為に、今回、「電通」に関する資料を纏めました。ちなみに偶然ですが、ブッシュを日本語にすると、森ですね・・・。

http://www.asyura2.com/09/senkyo69/msg/590.html

アヘン戦争の再来という妄想
http://sensouhantai.blog25.fc2.com/blog-entry-72.html

麻生太郎の資金源?―ジャーディン・マセソン
http://alternativereport1.seesaa.net/article/111019486.html

http://alternativereport1.seesaa.net/article/106592726.html

麻生太郎の資金源?―ブルーム=オッペンハイマー
http://alternativereport1.seesaa.net/article/110564901.html

◆安倍晋三の祖父であり、清和会の源流である、CIAのエージェント・岸 信介が麻薬取引に関与していた可能性


参考
http://taygeta.sagafan.jp/e6883.html

http://anarchist.seesaa.net/article/18290735.html


下記、一部引用、

-------------------------------------------------

北朝鮮による覚醒剤密輸事件が新聞を賑わしているが、大日本帝国が侵略地中国において行ってきた阿片ビジネスと比べれば、カワイイものだ。

以下、久保井規夫著『戦争と差別と日本民衆の歴史』より引用、

ケシ類未熟果実に傷をつけて、滲出する乳液を乾燥乾固したものが、阿片だ。
阿片に含まれているモルヒネは、鎮痛・鎮静・催眠・快楽をもたらす薬剤となる。末期癌患者に使用されることが多い。
しかし、連用すると中毒となり、常用しないと禁断症状に苦しむこととなる。

モルヒネにアセチルを化合したのがヘロインで、薬効・中毒作用は、更に強くなる。
中毒に陥ると、増量して使用しないと禁断症状を起こして死亡するし、常用すれば衰弱して早死にする恐ろしい麻薬だ。
この阿片の中毒作用を利用して儲けようとする悪いやつは後を絶たない。
国家自体が関わって、中国へ密輸したのが、オランダと英国、そして日本なのだ。

1840年、英国は、中国(清王朝)への阿片密輸を禁止されたことに、貿易の自由を妨害したなどという口実で阿片戦争を仕掛けた。
中国は敗北し、英国の阿片の毒牙は、ますます中国民衆を蝕んでいった。
中国の弱体を見て、欧米列強は、清王朝に対して不平等条約を強要し、清王朝は、阿片亡国・植民地化の危機に陥ることとなる。

麻薬中毒の恐ろしさに、1912年に「ハーグ阿片条約」、1925年には国際連盟による「ジュネーブ阿片条約」が結ばれたが、
欧米の帝国主義者たちは、自国への阿片の弊害を防いでも、中国への阿片密輸は続け、それに日本も加わっていった。

中国の阿片中毒者(隠者)は増加し、消費される阿片は900万貫(当時5億円)に上った。
輸入額を減らそうと中国国内のケシ栽培を認めたが、かえって阿片中毒者を増やすこととなった。

1912年、辛亥革命後の中華民国による阿片禁止も、軍閥との抗争や内乱で進まず、そこへ日本の侵略が始まってしまった。

日本は、阿片戦争に驚き、当初は、ケシの栽培や阿片の輸入を厳禁した。
しかし直ぐに、医薬品としての鎮痛・麻酔剤としてモルヒネ・ヘロインが必要となり、日本は、阿片の製造・売買や輸出入を政府の許可・専売制とした。
やがて、中国侵略に伴い、中国の阿片問題に介入していくのである。
日清戦争後に、台湾を領有したことで、日本は阿片中毒者対策で阿片を必要とし、ケシ栽培と阿片輸入は本格化することとなった。

大阪府三島郡福井村の二反長音蔵(にたんおさおとぞう)は、
台湾で必要な阿片の殆どを輸入に頼っている貿易赤字を改善する為、内務省の後藤新平の支持で、ケシ栽培に取り組んだ。
モルヒネ純度の高いケシの品種改良に成功して、
大阪府・和歌山県・京都府・岡山県・福岡県の医薬品原料の商品作物として、農村の収益を高めた。

更に、遼東半島・山東半島・満州そして上海租界地では、日本陸海軍の特務部が、治外法権の特権を利用して阿片の密売を公然と進めた。
医薬品や中毒是正の目的とは無関係となり、
中国人相手の阿片・麻薬販売の利益を得ることと、中国民衆の阿片中毒による弱体化が主目的となったのである。

この時、陸海軍の手先として活躍したのが笹川良一、児玉誉士夫たちだ。
戦後右派の黒幕となり、日本を動かしていく曲者たちは、阿片で莫大な財産を手中にする。戦後、岸 信介などが作った自民党は、
元々は阿片の金で動いていた麻薬党なのである。

拡大した市場は、もはや英国の阿片密売の比ではなく、大規模なものとなっていった。

植民地だった朝鮮半島でも、中国への阿片輸出の為、
3万〜8万人が従事して、毎年、約8千haのケシを栽培し、毎年、約4万キロもの阿片を製造することとなった。
阿片・麻薬の需要は増大し、「三井物産」と「三菱商事」が、ドイツ・イラン・トルコ・シンガポールの阿片・麻薬を一手に輸入していた。

英国とフランスによって、中国華僑の活躍した東南アジアにも阿片の弊害は及んでいったのだ。
実に欧米に成り代わった日本は、大東亜阿片圏と言うべき阿片の毒牙をむき、「三井物産」・「三菱商事」の阿片船がアジアを往来した。
「三井物産」は上海へ、1938年4月に約3万トン、1939年1月に約7万トンもの阿片を運び込み、南京維新政府の財政を助けた。
「三菱商事」は、「三井物産」の3.5倍もの量を1939年2月に満州の大連へ運び込んでいる。

南満州進出、21カ条要求、満州事変と中国への日本の侵略は拡大、更に日中戦争へと突入する。

日本は、中国の占領地に満州帝国を始めとする傀儡政権を次々とデッチあげていく。
これらの傀儡政権や親日の軍閥は、日本軍の擁護の下に、阿片を政府・地域の許可・専売制として、阿片・麻薬の利潤を日本軍と分け合った。

傀儡政権の満州・内蒙古では、堂々とケシが大量栽培されていた。
満州帝国では、約3000万人が20万貫の阿片を吸引し、毎年4万貫の阿片が輸入され、約7万町歩のケシ栽培が行われていたと言われている。

阿片王と呼ばれた二反長音蔵(にたんおさおとぞう)は、満州の長白・臨江・安図へ3回、また満州の熱河省へと指導に赴いている。
長白市だけでもケシ栽培は216万坪にもなっていた。
中国軍閥の張宗昌(阿片将軍)は日本軍と組んで、吉林・黒竜江省で50〜60万貫のケシ栽培を扱ったという。


内蒙古の山西・チャハルの傀儡政権「蒙古連合自治政府」でも阿片が製造され、張家口には阪田組のヘロイン製造工場があった。
阿片・塩・鉱山物が、政府の重要な財源となっていたのだ。
日本の占領地経済を纏めていた興亜院が、阿片・モルヒネを製造・輸入・販売を管理する組織となり、中国民衆を阿片漬けとしていったのだ。
日本軍の占領地で、日の丸を掲げて商人が阿片も販売した為、中国人が、日の丸を阿片販売の商標だと思っていたという笑えない話も残っている。


流石に、日本政府による阿片販売は国際問題とされ、国際連盟の議題となっている。
国際連盟阿片諮問委員会議事録には、エジプト代表ラッセル・パッシャの陳述も残っているが、
何とも酷い、日本による阿片汚染の実態である。これが大東亜共栄圏の実態である。

安倍晋三の祖父・岸 信介は、1936年10月、
満州国国務院実業部総務司長(満州国における行政機関。同国は議会を持たなかった為、国政の最高機関であった)に就任。
満州時代、関東軍参謀長の東条英機や日産コンツェルンの総帥鮎川義介ら軍部や財界要人と関係を結んでいった。
阿片による莫大な金が岸 信介に動いたことは容易に想像出来る。


---引用終わり---


更に詳細について書かれているのが下記、

戦後秘史、伏せられ続けた日本帝国軍の中国「阿片戦略」の詳報
http://www.jca.apc.org/~altmedka/ahen.html

里見 甫は、A級戦犯として巣鴨プリズンに入りながら、無罪で釈放された。そして言葉少なに、こう語っているという。
「米国の関係者が、利用価値があると見て、釈放してくれたのではないか」
「法廷に提出されたのは供述調書の1部で、阿片取引の収益金の具体的な用途、とくに軍の情報謀略工作関係については、大部分が隠蔽された」

http://www.jca.apc.org/~altmedka/ahen-7.html

阿片と聞いてはじめに思い浮かべたのは、ミャンマー、タイ、ラオスにまたがる世界有数の麻薬生産地である「黄金の三角地帯」で
長らく「麻薬王」の異名を取ってきたクン・サーだった。
http://blog.livedoor.jp/timeless01/archives/50393047.html


◆「黄金の三角地帯」


「黄金の三角地帯」とは、東南アジアのタイ、ミャンマー、ラオスの3国がメコン川で接する山岳地帯で、ミャンマー東部シャン州に属する。
別名「黄金の三角地帯(Golden Triangle)」といい、
アフガニスタン・パキスタン・イラン国境付近の「黄金の三日月地帯(Golden Crescent)」と並ぶ世界最大の麻薬・覚醒剤密造地帯であった。
現在では、経済成長や取締強化により、タイやラオスでの生産は減少傾向にあり、
逆にミャンマーのシャン州では、いくつかの軍閥が麻薬生産ばかりでなく、覚醒剤の製造も行ない、更には合法ビジネスを行うなど二極化の傾向にある。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%84%E9%87%91%E3%81%AE%E4%B8%89%E8%A7%92%E5%9C%B0%E5%B8%AF

http://park10.wakwak.com/~asian_travel_1/Northern_Thai/sub11_5_03.htm

http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Oasis/1850/essays/02.html

バンコク週報、
タイ商工会議所が実業家を対象に実施した世論調査によれば、麻薬一掃キャンペーンの支持率は84.75%にのぼった。
http://www.bangkokshuho.com/archive/2003/daily/03archives/030303.htm

2009年7月30日、日本政府、ミャンマー難民キャンプにおける職業訓練を支援
http://www.th.emb-japan.go.jp/jp/jis/2009/0945.htm

対ミャンマー援助で日本政府が困難な立場に
http://www.afpbb.com/article/politics/2295836/2222650


『ミャンマーの軍事政権の背後に居るのは誰か?』オルタナティブ通信

http://alternativereport1.seesaa.net/article/61925826.html

下記、一部引用、

-------------------------------------------------

中国とミャンマーの国境線に沿い、
監視カメラ、通信衛星、赤外線センサー等を組み合わせた「電子監視所」が多数、設置され始めた。

通信衛星を使用していることは、言うまでもなく欧米政府(主に米国)がこの件に深く関与している事を示しているが、
この国境地帯は、アフガニスタンに次ぐ世界第2位の麻薬生産地帯であり、
栽培されている阿片盗難防止と、中国・ミャンマー両国政府間で推進されているこの地域のガス田開発の警備強化が、「電子監視所」設置の名目となっている。

これはまた、ミャンマーの軍事政権からの弾圧を逃れ、中国への亡命者が多発していることを示している。

同時に、ミャンマーの軍事政権と中国政府が、この地域の麻薬を資金源として来た事実、
その麻薬を近年「盗んで売り、資金源とする」反政府勢力(つまり、スーチー女史の勢力)が出てきていること、
政府と反政府の間で、麻薬の「奪い合い」が起こっていることを示している。

ここには、麻薬を支配した者が政治資金を支配し、政治権力を握るという、中国、ミャンマーの「権力メカニズム」が明確に出ている。
そして、麻薬盗難の監視が、ガス田開発の警備として行われていることは、麻薬の売上がそのままガス田開発に注入されている構造が透けて見える。

この中国政府、ミャンマー政府の強力なバックアップで、と言うよりも、中国政府・ミャンマー政府“そのものとして”、
麻薬生産、ガス田開発を担当し、「電子監視所」を次々設置、運営しているガス会社が、「キッシンジャー・アソシエーツ」である。

1977年、ヘンリー・キッシンジャーは、フォード政権の国務長官を退任後、国際コンサルティング会社「キッシンジャー・アソシエーツ」を設立し、社長に就任。
同社には、ジョージ・ブッシュ(父)政権で国務副長官を務めたローレンス・イーグルバーガー(後に国務長官)や、
国家安全保障担当大統領補佐官を務めたブレント・スコウクロフトなどが参加している。
また、バラク・オバマ政権で財務長官に就任したティモシー・ガイトナーも、一時同社に籍を置いていた。

最近では、ジョージ・ウォーカー・ブッシュ政権において、指南役として活躍した。
ジョージ・ウォーカー・ブッシュは、ヘンリー・キッシンジャーとは定期的に会談の機会を設けており、政権外で最も信頼する外交アドバイザーであった。
ヘンリー・キッシンジャーは、ブッシュ政権下で行われているイラク戦争も基本的に支持していた。


ヘンリー・キッシンジャー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AD%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC

ティモシー・ガイトナー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%A2%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%84%E3%83%BB%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%BC

http://www.afpbb.com/article/politics/2541782/3548905

◆小泉進次郎と、CSIS(戦略国際問題研究所)と、ミャンマー


小泉純一郎の後継者、次男・小泉進次郎は、大学卒業後、フリーターをしながら英語を学び、米国コロンビア大学に留学、
2006年6月〜2007年6月まで、ワシントンのシンクタンク「CSIS(戦略国際問題研究所)」に補助調査員として勤務。
「CSIS」は、クリントン、ブッシュ両政権の元幹部が勤務する他、日本から官僚が出向する日米両政府と緊密な関係にある。
小泉純一郎と旧知の間柄である、米国国家安全保障会議アジア上級部長だったマイケル・グリーンが、「CSIS」日本部長に就任しただけに、
コネ就職ではないか?と取り沙汰された。

http://amesei.exblog.jp/4035138/

政治評論家・有馬晴海は、「小泉氏の息子というのは受け入れ側にとって非常にメリットが大きいことを考えると、コネと考えるしかない」と指摘。
「小泉氏が一々関与しているとは言わないが、小泉家が戦略的に進次郎氏を再生させる道を作り、それが成功したと言えるだろう」と分析する。

ワシントンのジョージタウン大学内にある、「CSIS」は元々、エドマンド・ウォルシュ外交学院と言う名前で創立された。
エドマンド・ウォルシュは、ナチス・ドイツの地政学者カール・ハウスホーファーの弟子であり、ナチス地政学を米国に“移植”する為、「CSIS」を創立した。

「CSIS」は、ヘンリー・キッシンジャー、ブレント・スコウクロフトが、顧問として名前を連ねており、
ズビグニュー・ブレジンスキー(バラク・オバマのブレーン)が理事を務めている。

小泉進次郎とミャンマーの線について、中田安彦さんの『ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報』から下記、抜粋、

-------------------------------------------------

今日の『日刊ゲンダイ』に「小泉Jr.が書いた怪しい英語論文の中身」と題する記事。

要するに、マイケル・グリーンと小泉首相の次男・進次郎が共同執筆論文を発表したと内容。
論文といってもpdfで9ページ程度のもので「ブリーフィング・ペーパー」のようなもの。研究員として何かのノルマがあるのでしょう。

小泉Jr.が「CSIS(戦略国際問題研究所)」で働き始めたのは今年の6月。
内容は、『ゲンダイ』で天木直人さんが言っているようにたいしたことはないのだが、一点だけ気になる記述を発見。

それは、レポートの後半にある「イランとミャンマー」という項目。

この中でイランについては、例のアザデガン油田について述べており、
「日本はイランの各開発問題のゆえに、実質的な油田権益を守ろうとする方向からシフトしつつある」と述べているのだが、
問題はミャンマーのところ。

最近、「アッキー」こと安倍昭恵さんが、
月刊誌や女性週刊誌で「アジアのミャンマーに学校を作る運動に参加している」という記事がいくつか出ていますが、

http://www.akie-abe.jp/index.php?ID=130

日本のミャンマー戦略というのは、小泉Jr.とマイケル・グリーンが書いたペーパーによれば、
「この6月末の会談で、麻生外相とコンディ・ラス国務長官は、国際社会はミャンマーの民主化を進めることで圧力を一致して掛けなければならない」
と一致したという。
9月15日には、米、英、仏を含めて日本はミャンマー問題を国連の議題に挙げることで一致、
その背景には「法と自由の民主主義の原則を徹底させる」という小泉・安倍内閣の一致したスタンスがあると指摘している。

そんなにミャンマーに拘るのは何か理由があるのか?と思って調べてみました。

ミャンマー、天然ガスへの依存を強めるミャンマー経済
http://www.ide.go.jp/Japanese/Research/Region/Asia/Radar/Myanmar/20060801.html

その他、レアメタルとしてのニッケルの産出もあるようですが、
基本的には天然ガスのパイプラインを中国に向けてだけ引かせるわけには行かないという判断でしょう。
東南アジアで中国の資源戦略に楔を入れておくという意味があるようです。

→注. ミャンマーにおける鉱物資源と投資動向(pdf)
http://www.jogmec.go.jp/mric_web/kogyojoho/2001-09/2001-09-04.pdf

また、植物資源国でもある(勿論、ケシなども植物)
http://www.jica.go.jp/myanmar/activities/project/12.html

→注.ビルマ(ミャンマー)の歴史
http://blogs.yahoo.co.jp/deliciousicecoffee/25782658.html


小泉Jr.のレポートは後半は4枚ほど日米関係のここ数年の出来事一覧表が載っておりまして、事実上このレポートは5枚ということになりますな。
マイケル・グリーンもこんなJr.の指導係を引き受けさせられて大変だなあと思います。

(略)

----引用終わり---

小泉純一郎の後継者、小泉進次郎の正体
http://alternativereport1.seesaa.net/article/107318894.html

地政学
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E6%94%BF%E5%AD%A6

ロバート・ゲーツ元CIA長官と、ブレント・スコウクロフト
http://www.nikkei.co.jp/neteye5/sunohara/20061110n99ba000_10.html

「CSIS(戦略国際問題研究所)」には、レーガン政権元国防次官であり、「核の神学者」であるフレッド・チャールズ・イクレも名を連ねている

http://www.foreignaffairsj.co.jp/archive/yoshi/1996_02.htm

広瀬 隆著『赤い楯−ロスチャイルドの秘密 下巻』集英社、1991

1988年、27億スイス・フランの麻薬資金洗浄疑惑。
司法大臣・警察大臣を兼務するエリザベート・コップは、捜査内容を銀行経営をする夫ハンスに連絡。ハンスは容疑者。
エリザベート・コップ、旧姓イクレ。レーガン政権下国防次官フレッド・チャールズ・イクレもスイス出身。
当時CIAの秘密口座がクレディ・スイスに作られた事を思えば、イラン・コントラ武器密輸と無関係とは言えない。

http://www.oct.zaq.ne.jp/poppo456/in/b_rothschild3.htm

◆世界最大の麻薬販売企業CIAと、世界の麻薬王ブッシュ(小泉純一郎の親友?)


http://alternativereport1.seesaa.net/archives/200611-1.html

下記、一部引用、

-------------------------------------------------

1. 「ゴールデン・トライアングル」と呼ばれるタイ、ラオス、ミャンマー国境の麻薬生産地帯、そこを支配する麻薬マフィアのボス、クン・サーは言う。
「生産した麻薬は、全て米国政府が買い取ってくれる」

クン・サーの言う米国政府とはCIAの事で、中国共産党に追放された中国国民党を武装させ、中国共産党を倒す為、
再び中国政府と台湾政府、そして「ゴールデン・トライアングル」の反共産軍に戦争を行わせる。

その武器購入の資金源としてCIAが、この地域で50年前から麻薬生産を推し進めてきた。
かつて、世界最大の麻薬生産地帯だった「ゴールデン・トライアングル」を育ててきたのはCIAであり、
その中心、アジア麻薬の父が、ブッシュの前国防次官リチャード・アーミテージである。

同様の事は、かつてソ連と米国が戦ったアフガニスタンでも行われた。米国側ゲリラの武器購入費用捻出の為、CIAがアフガンで麻薬生産を推進して来た。
現在では、「ゴールデン・トライアングル」を上回る麻薬生産地であるアフガンも、CIAが育成して来たのである。

(トウ賢著『ゴールデン・トライアングル秘史』NHK出版 P144、154、167、177)


2. 米国に大量に麻薬が流入し始めた70年代、
コロンビアからの麻薬密輸業者であり、マネーロンダリング(麻薬資金洗浄)の草分け的存在でもあった伝説の人物、アイザック・カッタンは、
銀行デューク・ベレラの全米支店を利用し、麻薬密売の代金を回収していた。「ベレラ」社は麻薬資金と知りながら、カッタンに協力し続けていた。

(ロバート・ポウィス著『マネーロンダリング』西村書店 上巻 P110〜113)


3. 「ベレラ」社の創立者ニコラス・デュークは、CIAの創立者であり、デュークは第二次大戦中、児玉誉士夫と共に中国でアヘン売買を行っていた。
アヘン密売業者がCIAを創立し、米国の麻薬の黎明期、麻薬密売代金を回収して来たのもCIA創立者の銀行だった。

(アルフレッド・マッコイ著『ヘロイン』サイマル出版 上巻 P19)


4. デュークは、同時に世界最大の産金業者、南アフリカの「ニューモント・マイニング」社の創立者であり、
ブッシュ一族の経営する「ハリマン銀行」は、「ニューモント・マイニング」社の傘下企業である。

(メンシコフ著『アメリカ金融寡頭制の構造』ミネルヴァ書房 P363)


5. 父ブッシュは、麻薬商人ベレラの「ニューモント・マイニング」社のカナダ支部「バリック・ゴールド」社の取締役である。
ブッシュの大統領補佐官ブレント・スコウクロフトは、「ニューモント・マイニング」社の取締役であると同時に、
ブッシュの経営する軍事産業投資会社カーライルの取締役である。
スコウクロフトは、「ライブドア」の親会社「リーマン・ブラザース」の取締役でもあり、次期大統領候補コンドリーザ・ライスの恩師・先生である。
つまり全員、麻薬業者、CIA創立者の傘下に居る事になる。


6. 70年代から30年間に渡り、ゴールデン・トライアングルから麻薬を米国に運んでいたのは、CIAの輸送会社「エア・アメリカ」だった。
この会社は、ブッシュの部下オリバー・ノースが経営していた。
父ブッシュは90年代、大統領命令でベネズエラから1トンもの大量のコカインを米国に輸入し、街頭で販売していた。

(ジェフリー・ロビンソン著『マネーロンダリング』三田出版会 P388)


7.「エア・アメリカ」で運び込まれる麻薬は、CIAの銀行「BCCI」で支払いが決済されていた。
この銀行を使い、CIAは世界に米国製武器を密売し、麻薬資金を回収し、テロリスト、ウサマ・ビン・ラディンに資金を提供していた。

現在、インターネット上でのやり取り、電話の会話を盗聴している「軍事衛星エシェロン」に使用されているバックドア付き(盗聴システム付き)の軍用ソフト「プロミス」も、
この銀行を通じ、ブッシュとCIAにより世界中に販売されて来た。

(ジョナサン・ビューティー著『犯罪銀行BCCI』ジャパンタイムス刊)


8. ブッシュとCIA、「BCCI」の武器密売が明るみに出たのが、89年のイラン・コントラ事件だった。ブッシュとCIAは、敵国イランとニカラグアに武器を売り、
代金を受け取っていた。代金は一部現金で「BCCI」に振り込まれ、特にイランからは麻薬の形で代金が支払われた。
イランから支払われた麻薬は、ブッシュとCIAにより米国の街頭で若者に販売された。

(ジャン・ジグレル著『スイス銀行の秘密』河出書房新社 P155〜157)


9. ブッシュとCIAの下部組織として麻薬を街頭で販売しているのが、イタリア・マフィア、「コーサ・ノストラ」である。
第二次大戦中、イタリアのムッソリーニと戦う米軍のイタリア系兵士が、祖国イタリアに忠誠を誓い、米軍の軍事情報をムッソリーニに横流する事態が横行した。
困った米軍はCIAに依頼し、イタリア・マフィアにイタリア系兵士多数の身辺監視を依頼した。
それ以後、CIAと「コーサ・ノストラ」は一体化する事になる。互いの利益は麻薬販売という点で一致した。
「コーサ・ノストラ」は、麻薬の利益をCIA銀行「BCCI」から本国イタリアの「アンブロシアーノ銀行」に送金し続けた。

(リチャード・ブルム著『オフショア市場の犯罪』東洋経済新報社 P294)


10. 銀行を支配する持ち株会社「インター・アルファ・グループ」の中に、「アンブロシアーノ銀行」とブッシュの「ハリマン銀行」はあり、
この2つの銀行は、同一組織の手足である。

(布目真生著『ユーロバンキング』日本経済新聞社 P133〜135)


11. 世界最大の麻薬販売企業はCIAである。
アフガン戦争は、麻薬生産を拒否するタリバン政権を倒し、米国内の麻薬不足、CIAの裏金不足解消も目的の1つだった。

(Alfred. W. McCoy The Politics of Heroin:CIA Complicity in the Global Drug Trade. Lawrence Hill Books. P18〜19. 162〜163. 222〜223. 436〜437)


---引用終わり---


綿花の流通ルートは、ヘロインの流通ルートであり、CIAの活動ルートである
http://alternativereport1.seesaa.net/article/75055908.html

(第7章)「電通」と各テレビ局、各新聞、クライアント(外資企業、日本経団連企業)、報道規制、言論封殺、世論操作、圧力など

参考
http://www.mypress.jp/v2_writers/hirosan/story/?story_id=1143887


「電通」について語る際、どうしても外せないのがこのコネ入社の実態だ。その大半が政官財の有力子弟または関係者だといっていい。
『噂の真相』が1990年代に調査しただけでも、
「西友」、「資生堂」、「カネボウ」、「レナウン」、「味の素」、「ライオン」、「日立製作所」、「三菱自動車」、「野村證券」、
「グリコ協同乳業」、「JAL」、「第一生命」等々、日本の一流企業と言われる幹部の子息が勢揃いしたかのように、「電通」に席を置いた経験があるのだ。
自民党の安倍晋三の妻である(森永製菓社長令嬢)も、「電通」に勤務していた過去がある。
広告主企業だけではなく、マスコミの舎弟も積極的に取り込んでいる。

「電通」の顧問には、成田 豊をトップに、中曽根康弘・元首相が政界を引退後、密かに就任している。
「電通」が手がけた沖縄サミットで、警備の責を担った元警察庁警備局長の金重凱之も2001年6月に顧問に就任。
2001年の東証上場に際しては、「日銀」理事・「日本輸出入銀行」副総裁を歴任した南原 晃を社外顧問に迎え入れた。
ロサンゼルスオリンピックの組織委員会委員長を務め、現在は米オリンピック委員会の専務理事であるPeter Ueberrothという人物もいる。

テレビ界では、「テレビ朝日」と「TBSテレビ」に対する「電通」の資本投下が露骨である。
2003年の『会社四季報(東洋経済)』によると、
「電通」による出資は、「テレビ朝日(証券コード:9409)」で1.2%、「TBSテレビ(証券コード:9401)」で2.5%(=日マスト信信託口)となっている。

各テレビ局の広告収入における「電通」の占有率を見ると、
「TBSテレビ」、「テレビ朝日」、「日本テレビ」、「テレビ東京」、「フジテレビ」という順番になっている。
各キー局単体の売上高に占める割合は、「TBSテレビ」・「日本テレビ」・「テレビ朝日」は40%を上回り、「フジテレビ」でも33.4%になるという。
この収益構造からして、民放テレビ局は実質的に「電通」の支配下にある、と言える。
国内第二位の「博報堂」ですら、「電通」の半分から3分の1に過ぎないらしい。

→注.「電通」が2007年 日本の広告費を発表、テレビは2兆円を切る。同時に2008年も、新聞・テレビ広告などの減少傾向は続くと見ている。
http://news.livedoor.com/article/detail/3519013/

→注.「電通」日本の広告費を発表、2007年総広告費は7兆円台、ネット広告費は前年比124%の6000億円突破。(わかりやすい図解あり)
http://markezine.jp/article/detail/2749

→注.2008年はネット利用者の伸びについては以前ほどの伸長はなく、インターネットの総PV数の伸びは鈍化の傾向。
しかし、その一方で動画視聴などは増加して総利用時間は延びるといったこれまでとは違う質的な変化が見られるようになった。
一般的な傾向としては、PC よりもモバイルの伸長率が高く、またバナーなどのディスプレイ広告に比べて検索連動広告の伸長率が高い。
但し、2008年の年末になってからは、景気後退の影響を受けて全般に成長の鈍化が見られるようになったようだ。
http://japan.internet.com/wmnews/20090224/4.html


そんな「電通」の実力を垣間見るのが、企業絡みのスキャンダル、批判を報道する際の圧力だろう。
大手企業のスキャンダルに際し、広報に取材を申し込んだ途端、何故か企業の広告担当者だけでなく、「電通」からも担当者がすっ飛んでくる、
というエピソードは日常茶飯事、掃いて捨てるほどよくある話だ。

「勿論、企業絡みの記事に関し、現在でも「電通」からの直接の圧力はあります。
しかし、今では「電通」絡みの大スポンサーに関する事件なんて、余程の大事件でないとこちらも記事はおろか、取材さえもしませんよ。
どうせ取材しても潰れるだけですから、自粛しちゃいます。まあ、警察発表があったり、検察が動くような企業事件だけは別ですけどね」
(現役週刊誌記者)

広告主に絡む不祥事があった場合は、マスコミは報道出来ない、或いは自粛せざるを得ない、という話である。
不祥事を葬り去るのも、「電通」担当者の仕事のうちだ。

→注.宣伝費でマスメディアを支配する影武者「電通」の視えないタブー
http://www.asyura.com/0502/senkyo8/msg/662.html


「もし、50年後や100年後の歴史家が、今のテレビ番組を1週間分見たとする。彼らの目に映るのは、恐らく、今の世にはびこる退廃と現実逃避と隔絶でしょう。
アメリカ人は裕福で気楽な現状に満足し、暗いニュースには拒否反応を示す。それが報道にも表れている。
だが、我々はテレビの状況を見極めるべきです。テレビは人を欺き、笑わせ、現実を隠している。
それに気づかなければ、スポンサーも視聴者も製作者も、きっと後悔することになる」

エドワード・R・マロー(映画『グッドナイト&グッドラック』、1958年 E・マローを讃える会でのスピーチより抜粋)

◆「TBSテレビ」

「電通」は、テレビ放送開始に着目し、多くのラジオ局・テレビ局の設立に関与、吉田秀雄は、幾つかの放送局で取締役に就任。
中でも「TBSテレビ」は吉田秀雄の関与が深く、現在でも、民放で最も電通と親密だと言われている。

「TBSテレビ」と「フジテレビ」が「電通」との関係強化の為、
「電通」株を3万株ずつ取得、「電通」株の2005年12月1日の終値は1株33万8000円、取得金額は各100億円程度、
「電通」への出資比率は、それぞれ1.44%、1.37%になった(2005年12月1日)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe5300/news/20051201i212.htm

現在、「総力報道!THE NEWS」でメインキャスターを務める後藤謙次は、小沢さんを潰す為に作られた「三宝会」の世話人だった。
http://ameblo.jp/aobadai0301/entry-10262149034.html

http://www.rondan.co.jp/html/news/0007/000726.html

「TBSテレビ」の役員一覧
http://www.tbs.co.jp/company/information/yakuin.html

◆「日本テレビ放送網(読売)」

何故、「日本テレビ」の社名は「日本テレビ放送網」となっているのか?「網」の字にはどんな意味があるのか?
その理由は設立時の秘密にある。
実は、日本へのテレビの導入は、米国による情報戦の一環だった。テレビ放送網は、そのまま「反共の防波堤」であり、
更に軍事通信網にもなるはずだったのである。
「テレビの父」である正力松太郎のテレビ構想は、米国側に巧みに利用されたものに過ぎない。
CIAは正力松太郎に、「PODAM」という暗号名まで付けていたのである。

http://shadow-city.blogzine.jp/net/2007/11/post_9600.html

CIA文書には、本人に知られないように、「PODAM(=正力松太郎)」を、「ポダルトン(全国的マイクロ波通信網建設)作戦」に使うと書いてある。

http://www.f.waseda.jp/tarima/pressrelease.htm


「日本テレビ放送網」は、2006年6月1日、200人以上の社員を擁する報道局のトップに、創価学会員の石井修平を抜擢する人事を発令。
石井修平は1969年(昭和44)「日本テレビ放送網」入社、政治部記者からニュース編集部長などを歴任し、3年前に報道部長に昇格、
この抜擢は、先輩2人を飛び越す異例の人事だった。

読売グループの渡邉恒雄と創価学会の秋谷栄之助会長は、2005年9月に密会がスクープされており、
「日本テレビ」の氏家齊一郎社長も公明党の藤井富雄常任顧問らと親しいとされる。
今回の創価学会員の異例の大抜擢に、中立公正は保たれるのかと「日本テレビ放送網」社内でも声が出ている。


「日本テレビ放送網」の役員一覧
http://www.ullet.com/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93%E6%94%BE%E9%80%81%E7%B6%B2/%E5%BD%B9%E5%93%A1

「日本テレビ放送網」の大株主一覧
http://www.ullet.com/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93%E6%94%BE%E9%80%81%E7%B6%B2/%E5%BD%B9%E5%93%A1#%E5%A4%A7%E6%A0%AA%E4%B8%BB

◆「フジテレビ」

「TBSテレビ」と「フジテレビ」が「電通」との関係強化の為、
「電通」株を3万株ずつ取得、「電通」株の2005年12月1日の終値は1株33万8000円、取得金額は各100億円程度、
「電通」への出資比率は、それぞれ1.44%、1.37%になった(2005年12月1日)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe5300/news/20051201i212.htm

「フジ・メディア・ホールディングス」の役員一覧
http://www.ullet.com/4676.html#official

「フジ・メディア・ホールディングス」の大株主一覧
http://www.ullet.com/4676.html#stock


◆「テレビ朝日(朝日)」


「報道ステーション」の番組のスポンサー獲得も、全面的に「電通」が行なっている。

湾岸戦争が米国の謀略であることを裏付ける「CIA密約文書」の存在を報道したのは、テレビ朝日『ザ・スクープ』(1991年7月26日放送)だけだった。
アドルフ・ヒトラー曰く、
「戦争を始める為には、それがいかに正義であるかということを、繰り返し述べねばならぬ。一旦勝ってしまえば、その戦いが正義であったか否かを
問い質す者はいない」

(1991年頃はまだ、今のような「テレビ朝日」の読売化は進んでいなかったようだ)
http://www.jca.apc.org/~altmedka/gulfw-19.html

石原軍団とテレビ朝日
http://www.cyzowoman.com/2009/07/post_717.html

「テレビ朝日」の役員一覧
http://www.ullet.com/9409.html#official

「テレビ朝日」の大株主一覧
http://www.ullet.com/9409.html#stock


◆「読売新聞社」

政府広報でも「電通」がダントツで、政府御用達広報を殆ど独占しており、
新聞広告の圧倒的なものは「電通」を仲介にして、もたれ合いで安易な営業をしています。
そこには読者なんて存在しておらず、広告を受け取り宣伝を流す対象として、マスに対してのメディアがあるだけです。
「読売新聞」や「毎日新聞」の幹部の子弟たちが「電通」社員、
「朝日新聞」の中江社長の息子も「電通」に入社しているが、飛び降り自殺をした事件が起きた時も、「電通」が工作して新聞記事にならなかった。
それくらい日本のメディアは、「電通」に押さえられ、世界有数の発行部数を誇る大新聞でも、手も足も出ない状態なのである。

「読売新聞グループ」本社の株主構成は、非公開なので詳細はわからないが、取締役社主である正力 亨(正力松太郎の長男)が大株主か?


◆「朝日新聞社」

政府広報でも「電通」がダントツで、政府御用達広報を殆ど独占しており、
新聞広告の圧倒的なものは「電通」を仲介にして、もたれ合いで安易な営業をしています。
そこには読者なんて存在しておらず、広告を受け取り宣伝を流す対象として、マスに対してのメディアがあるだけです。
「読売新聞」や「毎日新聞」の幹部の子弟たちが「電通」社員、
「朝日新聞」の中江社長の息子も「電通」に入社しているが、飛び降り自殺をした事件が起きた時も、「電通」が工作して新聞記事にならなかった。
それくらい日本のメディアは、「電通」に押さえられ、世界有数の発行部数を誇る大新聞でも、手も足も出ない状態なのである。

「朝日新聞社」の株主構成(2005年3月31日時)は、以下のようになっている。


村山美知子 元「朝日新聞社」国際本部副部長 神戸市東灘区 36.46%
上野尚一 東京都目黒区 12.82%
村山富美子 大阪市北区 8.57%
朝日新聞社従業員持株会 8.19%
上野克二 「日本放送協会」金沢放送局長 神戸市東灘区 3.34%
上野信三 「電通サドラー&ヘネシー」取締役相談役、多摩大学大学院客員教授 東京都渋谷区 3.34% ←
朝日新聞社役員持株会 2.18%
小西勝彦 鎌倉市二階堂 1.11%
塩谷律子 東京都世田谷区 1.03%


御覧のように村山家と上野家の「私物」になっているのが朝日新聞の実態だが、3.34%を所有する上野信三氏の経歴に注目したい。

==--==--==--==--==--==--==--==--==--==--==--==--

慶応義塾大学法学部卒業。シラキュース大学大学院ジャーナリズムスクール修了。
「電通」で新聞局、営業局を経て、「電通コーポレーション・オブ・アメリカ (DCA)」執行副社長、
「電通ヤング&ルビカム(DY&Rネットワーク 日米合弁多国籍広告会社)」米国本社執行副社長、
「電通ヤング&ルビカム(DY&Rネットワーク 日米合弁多国籍広告会社)」アジア太平洋リジョナルディレクター、
「電通ヤング&ルビカム(DY&Rネットワーク 日米合弁多国籍広告会社)」ワールドワイド会長、
「電通サドラー&ヘネシー」社長・会長を歴任。
2005年時、「DY&Rネットワーク」名誉会長、兼「電通サドラー&ヘネシー」取締役相談役。多摩大学大学院客員教授。

==--==--==--==--==--==--==--==--==--==--==--==--

「電通」の超エリートのようだ。「電通」の生え抜きエリートが、「朝日新聞」の大株主になっているわけだ。


また、2006年6月26日から「朝日新聞」の主筆(一般記事と社説など論説の双方を統括する職)に就任している船橋洋一は、
下記のようなものを書いている。

アメリカとわたし 船橋洋一
http://www.jpf.go.jp/cgp/info/article/america002.html

http://d.hatena.ne.jp/Takaon/20080825

船橋洋一は、秋山耿太郎社長の改革路線により、広岡知男以来30年間空席だった、4本社編集局長と論説主幹の上に立つ主筆のポストに起用された。
秋山耿太郎社長に関しては、2006年3月、長男・秋山竜太が大麻所持で逮捕されている。

http://ja.wikinews.org/wiki/%E6%9C%9D%E6%97%A5%E6%96%B0%E8%81%9E%E7%A4%BE%E7%A4%BE%E9%95%B7%E3%81%AE%E9%95%B7%E7%94%B7%E3%81%8C%E5%A4%A7%E9%BA%BB%E6%89%80%E6%8C%81%E3%81%A7%E9%80%AE%E6%8D%95

戦後に遡れば、戦前「朝日新聞」主筆だった緒方竹虎(CIAのエージェント)のことに触れないわけにはいかないだろう。
敗戦後、緒方竹虎は、岸 信介同様にしてGHQに釈放されたのち、第4次吉田 茂内閣で当選1回ながら、国務大臣・内閣官房長官に任命され、
1953年(昭和28)5月成立の第5次吉田 茂内閣で副総理に就任。

緒方竹虎は、内閣官房長官であった時、内閣官房内に「調査室」という名称の小さな情報機関を設立した。
これが、現在の「内閣情報調査室」の源流であり、その後、日本版CIA(安倍晋三も頓挫した)を創設しようとしたが、外務省や世論の反対により挫折した。
しかし、この緒方竹虎の動きに目を付けた米国のCIAは、緒方竹虎を日本の首相にさせようと政治工作を行うようになる。

米国側は緒方竹虎(CIAのエージェント)を「POCAPON」という暗号名で呼んでいた。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%92%E6%96%B9%E7%AB%B9%E8%99%8E

http://www.asahi.com/national/update/0724/TKY200907230394.html

http://blog.livedoor.jp/saihan/archives/51604278.html

朝日新聞グループの親米化
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/231434.html

◆「日本経済新聞社」

「日本経済新聞社」の株主構成(2005年2月21日時)は、
『My News Japan』によると、社員とOBだけで全株式を保有。株式の流通を目的とした「日本経済新聞共栄会」があり、株式の約15%を保有。

http://www.mypress.jp/v2_writers/hirosan/story/?story_id=1143887

企業の叩き売りに加担した「日本経済新聞」、滑稽で悲惨なIT関連記事
http://d.hatena.ne.jp/rainbowring-abe/20070401

日本を「安値」で買う為の構造改革(上記記事と関連して)
http://d.hatena.ne.jp/rainbowring-abe/20060627

◆「毎日新聞社」


「毎日新聞社」の株主構成(2005年2月21日時)は、以下のようになっている。

「毎日新聞社」従業員持株会 12.96%
株式会社「下野新聞社」 3.61%
「毎日新聞」東京懇話会持株会 3.32%
株式会社「王子製紙」 3.13%
株式会社「UFJ銀行」 3.13%
株式会社「毎日放送」 2.89%
株式会社「日本製紙」 2.72%
株式会社「東京三菱銀行」 2.65%
株式会社「毎日広告社」 2.38%
株式会社「みずほコーポレート銀行」 2.17%


◆「内閣官房報償費」


「内閣官房報償費」は、国政の運営上必要な場合に、内閣官房長官の判断で支出される経費であり、「内閣官房機密費」とも呼ばれる。
会計処理は、内閣総務官が所掌(閣議決定等に基づく各本部等については当該事務局が分掌)する。
支出には領収書が不要で、会計検査院による監査も免除されていて、原則、使途が公開されることは無い。毎年約12億円ほどが計上されている。

以前から「権力の潤滑油」などと呼ばれ、不透明な支出に疑惑の目を向けられていた。
しかし、近年の外務省や都道府県警察本部の「捜査報償費」が裏金としてプールされたり、横領されていた問題の発覚を受け、
元内閣官房長官塩川正十郎が、
「外遊する国会議員に餞別として配られた」、「政府が国会対策の為、一部野党に配っていた」、
「マスコミ懐柔の為に一部有名言論人に配られていた」などと「内閣官房報償費」の実態をテレビで暴露する。

報償費に使い方にマスゴミや一部野党による批判や追及が激しくなり、
与野党政治家主催のパーティー券購入や会食、紳士服の購入、更には官房長官による私的流用疑惑なども噴出する。
これを受け、会計検査院も管理が不十分と指摘、政府は1998年には支出の基準(内規)を設けた(ことになっている)。
報償費には、この他にも、「外務省報償費」「捜査報償費」がある。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A9%9F%E5%AF%86%E8%B2%BB

http://archive.mag2.com/0000154606/20090513080345000.html

社民党代表の福島瑞穂は、2001年1月24日に開かれた参議院決算委員会で、「内閣官房報償費」、「外務省報償費」について追及している。
http://www.mizuhoto.org/seisaku/09back/0124.html

また、日本共産党委員長の志位和夫が、1987年〜2001年までに使われた「内閣官房報償費」の詳しい金額を暴露している。

http://www.shii.gr.jp/pol/2001/2001_02/2001_0218.html


◆クライアント(外資企業、日本経団連企業)


先ず、広告業界、放送業界、新聞・出版業界、イベント業界、インターネット業界の背後には、「広告代理店」が存在する。

この「広告代理店」の基本的な企業形態は、
“各種のメディアの広告枠を必要とするクライアントに売り、手数料をとるという業態”で、“広告そのものを制作する”こともある。

日本で有名なのは、「電通」、「博報堂」、「読売広告社」、「大広」。
日本では、第二位の「博報堂」の倍の売上げがある「電通」が寡占・独占し、マスコミ、マスメディアをほぼ支配下に収めている。

日本に限らず、マスコミ・マスメディア業界の全ての経営は、広告部門の収益営によるもので、広告収入が経営の全ての鍵を握っている。
よって、報道部門さえも、スポンサーの意向に背けないという構造がある。

日本におけるそのスポンサーは、今やすべて、経団連と米国の巨大ハゲタカファンドであり、
巨大ファンドと通じている米国・ネオコンからの支配を受けているようである。


「電通」はクライアントを三つに分けている。

A.広告売上げが年に100億円を超える企業。「トヨタ自動車(年に1000億円)」、「松下電器産業」、「花王」、「NTT」など。
→これらの企業の為には、「電通」はエース級の社員でチームを編成し、全社をあげて取り組む。

B.「大塚製薬」、「明治乳業」、「三共製薬」、「KDDI」などの中堅どころの企業。
→このランクがもっとも層が厚く、「落としても、代わりの社を取れば問題なし」という扱い。

C.いつ関係が途切れるかわからない会社。
→「電通」は粗利を支える為、躊躇うことなく引き受けるものの、
テレビ局にとっては「電通」が最優先であり、スポンサーが降りるなどして空きが出た場合、テレビ局は、先ず「電通」用にスポット枠をとっておく。

一方、ニュースの問屋と言われる通信社は、日本では、社団法人の「共同通信社」、民間の「時事通信社」などがある。

現在、「時事通信社」は経営が悪化し、「共同通信社」にシェアを譲っている。
また、株式会社「時事通信社」と社会法人「共同通信社」は、電通株をそれぞれ、12.4%、10.6%持ち、1、2位を争う株主であり、役員を派遣している。

近年の通信社の経営状況は、外資系通信社との競合や加盟社からの収入源により、かなり厳しくなっているので、
経営状況のよい「電通(年間売上1.4兆円以上)」が、電通株を手放せない通信社(資本金5億程度)に対して、
報道やニュースソースを制御することは安易である。

こうして「電通」は、広告、新聞・出版、放送業界、また、報道を掌る通信社全般を、背後の米国ファンドの力を借りて統制をとっている、
という構造が理解出来る。

一般企業の広告枠を牛耳るのも「電通」であり、その広告枠を統制すれば、企業は「電通」に頭を下げざるを得ない。

また、視聴率調査会社で知られる株式会社「ビデオリサーチ」も「電通」グループであり、民放で「電通」の出資の多い放送局は、「TBSテレビ」である。


株式会社「ビデオリサーチ」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%87%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%81

テレビタレントイメージ調査
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93%E3%82%BF%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%88%E3%82%A4%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B8%E8%AA%BF%E6%9F%BB

財団法人「日本世論調査協会」
http://wwwsoc.nii.ac.jp/japor/index.htm

株式会社「電通リサーチ」
http://www.dentsuresearch.co.jp/privacy/policy.html

(第8章)「電通」と創価学会


◆「電通」と公明党

http://plaza.rakuten.co.jp/atsushimatsuura/diary/200712170002/


◆「日本テレビ」と創価学会、クライアント、創価大学のCM

「日本テレビ」は、2006年6月1日、200人以上の社員を擁する報道局のトップに、創価学会員の石井修平を抜擢する人事を発令。
石井修平は1969年(昭和44)「日本テレビ放送網」入社、政治部記者からニュース編集部長などを歴任し、3年前に報道部長に昇格、
この抜擢は、先輩2人を飛び越す異例の人事だった。

読売グループの渡邉恒雄と創価学会の秋谷栄之助会長は、2005年9月に密会がスクープされており、
「日本テレビ」の氏家齊一郎社長も公明党の藤井富雄常任顧問らと親しいとされる。
今回の創価学会員の異例の大抜擢に、「日本テレビ」の中立公正は保たれるのかと「日本テレビ」社内でも声が出ている。

http://silver.ap.teacup.com/punisher/34.html

http://www.forum21.jp/contents/03-9-1.html


→注.丹波雄哉が、読売新聞の渡辺恒雄と、創価学会の秋谷栄之助会長との会談を画策したらしい。
http://www.marino.ne.jp/~rendaico/seito_giminto_nakasoneron.htm

http://www15.ocn.ne.jp/~oyakodon/kok_website/fireworks4/main_pages_sub/OUMUNOSEIRISEITON_PAGE8_4.HTM

(第9章)麻生太郎の祖父・吉田 茂とGHQによってつくられた、「地検特捜部」について


◆「地検特捜部」は、麻生太郎の祖父・吉田 茂とGHQが、赤狩りを目的として創設した機関


「地検特捜部」は、麻生太郎の祖父・吉田 茂とGHQが、赤狩りを目的として創設した機関であり、
そもそも反体制分子を取り締まる為の、極めて権力に迎合した政治的な機関なのです。飼い主には決して噛みつきません。

「地検特捜部」とは、敗戦後の翌々年、1947年(昭和22年→総理は吉田 茂)に
旧日本軍の軍需物資の隠匿を取り締まるという名目で、軍需物資を接収する為に、実質GHQが創設した組織である。

当時、敗戦国の日本は、GHQ(連合国軍総司令部)の管理下にあった。

GHQとは、無条件降伏した日本に対するポツダム宣言条項を執行する為に1945年(昭和20年)から1952年(昭和27年)まで
日本に設置された連合国の機関である。つまり、占領下において「地検特捜部」はつくられた。


→注.日本は「サンフランシスコ講和条約」で独立国として承認されていなかった?(苫米地英人著『脳と心の洗い方』より)
http://www.anti-rothschild.net/material/36.html

「地検特捜部」は、1947年(昭和22年→総理は吉田 茂)、「隠退蔵物資事件」を契機に、
「隠匿退蔵物資事件捜査部(通称「隠退蔵事件捜査部」)」として発足した。

「隠退蔵物資事件」とは、
敗戦後、軍需物資の燃料・アルミ・銅・貴金属・食料約2400億円相当(現在の数十兆円)が行方不明となった事件であり、
それを受けて、

1947年(昭和22年→総理は吉田 茂)3月、日本自由党の世耕弘一(清和会・世耕弘成の祖父)が、
「日銀の地下倉庫に隠退蔵物資のダイヤモンドがあり、密かに売買されている」と発言。
この発言を契機に、GHQ経済科学局長のマーカット中将の指揮の下、日銀の地下金庫を捜索してダイヤモンドや貴金属類を押収し、
「(衆議院)不当財産取引調査特別委員会」は実態を調査することになった。

「不当財産取引調査特別委員会」が調査を開始したところ、その金の一部が大物フィクサー・辻 嘉六に渡り、
大物政治家に金をばら撒き、政界への発言力を増して、自身に有利な事業展開を図ったことが判明した。

この事件を契機に、
GHQの指揮下にあった検察庁に、「隠匿退蔵物資事件捜査部(現・特別捜査部)」が設置された。

「地検特捜部」から発動される指令を制御する背後組織は今も昔も変わらず、「地検特捜部」の本質は、CIAの出先機関ということだ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E5%88%A5%E6%8D%9C%E6%9F%BB%E9%83%A8


≪地検特捜部が言う“正義”とは、“絶対権力による指令”のことか?≫

(田中派→経世会)田中角栄 ロッキード事件で逮捕 ←東京地検特捜部
(経世会)竹下 登 リクルート事件で失脚 ←東京地検特捜部
(経世会)金丸 信 佐川急便献金・脱税で失脚、逮捕 ←東京地検特捜部&国税
(経世会)中村喜四郎 ゼネコン汚職で逮捕 ←東京地検特捜部
(経世会)小渕恵三 急死
(経世会)鈴木宗男 斡旋収賄で逮捕 ←東京地検特捜部
(経世会)橋本龍太郎 日歯連贈賄事件で議員辞職 ←東京地検特捜部
(経世会)小沢一郎 西松不正献金事件 ←東京地検特捜部
(経世会)二階俊博 西松不正献金事件 ←東京地検特捜部

http://www.forum-j.com/article073.html

http://blog.goo.ne.jp/yampr7/e/94dc6a673f6e11740fd34aaf18c040bb

対して、

(清和会)岸 信介 ダグラス・グラマン事件 ←安泰
(清和会)福田赳夫 ダグラス・グラマン事件 ←安泰
(佐藤栄作の周山会)松野頼三 ダグラス・グラマン事件 ←安泰
(清和会)安倍晋太郎 リクルート事件 ←安泰
(清和会)中曽根康弘 ダグラス・グラマン事件、リクルート事件 ←安泰
(清和会)森 喜朗 日歯連贈賄事件、西松不正献金事件 ←安泰
(清和会)三塚 博 国際航業事件、博栄会によるゼネコン疑惑、日歯連贈賄事件 ←安泰
(清和会)塩川正十郎 外交機密費と官房機密費との流用、日歯連贈賄事件 ←安泰
(清和会)小泉純一郎 日歯連贈賄事件 ←安泰
(清和会)尾身幸次 西松不正献金事件 ←安泰

CIAの方針は、「民族主義者(愛国者)を潰せ!」である。

田中角栄元首相は、中国との国交回復をし、更には日本独自の中東外交を展開しようとした。だから抹殺された。
意に反する者は簡単に潰されるのだ。

摘発された中には、自民党の有力派閥で親米、タカ派の「清和会(現在の町村派)」のメンバーはいない。
「清和会」が品行方正なのか、それとも「地検特捜部」の手が緩いのか?

「ロッキード事件」では田中角栄が逮捕され失脚となった。
一方の「ダグラス・グラマン事件」では、「清和会」の岸信介、福田赳夫、中曽根康弘などの名前が挙がっていたが、
起訴はおろか事情聴取すらされなかった。

また最近では、
CIAのエージェント(諜報員)だったことが、米国外交文書の公開によって発覚した岸 信介元首相など、
国益を著しく損なったであろう前代未聞な事件で、「地検特捜部」は知らぬ顔をしていたことになる。

「西松違法献金事件」をみても、怪しい自民党議員は多数いるが、メディアを通じた“小沢潰し”の動きが顕著に見える。

→注.自民党側が仕掛けた策略であることが、ありありとわかる。
http://www.forum-j.com/article073.html

http://blog.goo.ne.jp/yampr7/e/94dc6a673f6e11740fd34aaf18c040bb

小泉純一郎元総理はかつては福田赳夫の秘書であった。
安倍晋三、福田康夫は、岸 信介>福田赳夫>森 喜朗に続く系統である。
“郵政民営化”は、貯金の行方や「かんぽの宿」など、大がかりな何かがありそうだが、未だ事件にはなっていない。

共同通信記者出身のジャーナリスト・春名幹男さんの著書に、「秘密のファイル CIAの対日工作(上・下)」(共同通信社)がある。
下巻第八章「政界工作」第1節に「日本情報機関の父・吉田 茂」とある。

吉田 茂首相は、第三次吉田内閣が発足して1ヵ月半後の1949年(昭和24年)3月、
GHQ参謀第1部チャールズ・ウィロビー少将宛てに以下の内容の書簡を送っている。

「日本の共産主義者の破壊的かつ反逆的な行動を暴露し、彼らの極悪な戦略と戦術に関して国民を啓発することによって、
共産主義の悪と戦う手段として、
私は長い間、米議会の非米活動委員会をモデルにした「非日活動委員会」を設置することが望ましいと熟慮してきた」

時代は米国で赤狩りのマッカーシー旋風が吹き荒れているころのことだったという。
この延長上に1952年(昭和27年)7月、「破壊活動防止法(破防法)」公布と同時に、「公安調査庁」が発足し、
同時期に「内閣調査室」が発足した。

「内閣調査室」は、吉田 茂首相が自分の元秘書官で警察官僚の村井 順に命じて設置した情報機関であることが、上記著書に記されている。
同書は更に、「公安調査庁、内閣調査室とも、米中央情報局(CIA)との友好的な協力関係を今も続けている」、
「CIAとこれら日本の情報機関との協力関係の基礎をつくったのが吉田 茂である」と記述する。

◆世耕弘成(清和会、自民党のゲッベルス)とはどういう人物か?


世耕弘成・自民党議員の祖父である、世耕弘一・元経済企画庁長官は、吉田 茂とGHQが検察特捜部を作る為に、
「隠退蔵物資事件」を演出した人物。
その後、吉田 茂とGHQ(→撤退後はCIA)のやりとりが記載された公文書公開により、“赤狩り”の為に特捜部が創設された事実が明らかとなっています。

また、世耕弘成・自民党議員の伯父である、世耕政隆・元自治大臣は国家公安委員長を兼任していました。
国家公安委員会もGHQ(→撤退後はCIA)によって創設された機関です。

「世耕弘成」自民党議員は森派、つまり「清和会」の一員であり、「清和会」は現在は町村派と名乗っています。

http://www.seiwaken.jp/member/member.html

2005年9月11日の第44回衆議院議員総選挙で、自民党広報本部長代理及び自民党幹事長補佐として、
自民党の“メディア戦略”を担当した、ということで注目されました。
総選挙後の雑誌のインタビュー(論座』2005年11月号)では、民間の広告会社と協力しながら、マスメディア対策を事細かに指揮していたことを明らかにしました。
これらの活躍から、“自民党のゲッベルス”との異名で、呼ばれていたそうです。

また、党の「コミュニケーション戦略チーム」で広報戦略・IT戦略を担当し、ホームページ上で募集している後援会員組織「チーム世耕」を擁しています。
恐らく、麻生政権においても、世耕弘成が暗躍しているのでは?と思われます。(表向きはどういう党内相関図を演じているかわかりませんが・・・)
何故なら、郵政選挙と手法があまりにも酷似しているからです。

小泉家しかり、吉田―麻生家しかり、こうした血脈をどう捉えるか?はそれぞれの解釈だと思いますが、
個人的な見解としては、「つまり、こうやって“CIAの飼い犬”としての血脈は脈々と続いていくんだな」というのが正直な感想です。

利権を得る為の政略結婚で繋がった売国奴一族に、いつまでも日本を支配されて、騙され続け、「借金奴隷」として搾取されていくのは不愉快極まりない思いです。
今の「清和会」自民党と創価学会党による国民を欺く策略政治、
政府の広報機関である「電通」と経団連・外資スポンサーに牛耳られたマスメディアの世論操作、
“赤狩り”の為に創設され、現在は、“愛国者”を貶める為の機関「特捜部」による国策捜査、など、
「米国年次改革要望書」と官僚の利権の為の、“改革” “景気対策”を見ていると、ナチス・ドイツのゲッベルス宣伝大臣の言葉を思い出します。

「嘘も100回繰り返せば真実になる」

ゲッベルスが発明したナチス・ドイツの“国民洗脳技術”は、戦後CIAに引き継がれました。
そして、ブッシュ共和党政権下で、「大量破壊兵器」「テロとの戦い」「ならずもの国家」などナチスを手本としたプロパガンダの手法を手本としたのです。
そのCIAとつるんで売国奴政治を続けてきたのが、「清和会」自民党なのです。

小泉政治によって国民の借金は増大しました。それなのに、「消費税増税は必要」というのはどうかと思います。
恐らく、次の選挙で政権交代が出来なければ、消費税を大増税したのに借金が倍増した、なんてことになるのでしょう。国民のお金はどこに消えたのでしょうか?


世耕弘一
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E8%80%95%E5%BC%98%E4%B8%80


隠退蔵物資事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9A%A0%E9%80%80%E8%94%B5%E7%89%A9%E8%B3%87%E4%BA%8B%E4%BB%B6


ヨーゼフ・ゲッベルスの末路
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%82%BC%E3%83%95%E3%83%BB%E3%82%B2%E3%83%83%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%B9

麻生太郎首相の消費税こだわりの裏に財務省との「密約」あり?
http://www.news.janjan.jp/government/0812/0812254159/1.php

岸 信介元首相がCIAに買収されていた事実が証明された!
http://www.news.janjan.jp/government/0902/0902107157/1.php

http://blogs.yahoo.co.jp/posutoman21/37196410.html

小泉純一郎は、岸信介と同じくCIAのエージェント
http://alternativereport1.seesaa.net/article/114475849.html


(文章終わり)
http://www.asyura2.com/09/senkyo69/msg/881.html


15. 中川隆[-7709] koaQ7Jey 2017年5月08日 19:28:30 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

日本人投資家は欧米金融資本が意図的に流す暴落を煽るデマ報道を信じて右往左往し大損する

今までの市場(株式・債券・FX・原油・貴金属・商品)はそれぞれのファンダメンタルだけ分析していれば事は足りた時代も有りましたが、現在は180度違って、それぞれの市場が複雑に絡み合いお互いに影響を及ぼし合う市場に100%変わってしまった。

世界の金融マーケットは一体化しグローバルマーケットになってしまった事をハッキリと認識して頂きたい。

プロは株の現物買い、空売り、先物・オプション、デリバティブなどを活用して、下落しようが上昇しようが利益が出る投資法を取ります。

またプロは順張りで仕掛けて来ますから底を打ったと確信すればバンバン買い上がって行く、

逆に天井を付けたと確信すれば手持ちの現物株だろうが空売り・先物だろうが機関銃のようにバンバン売って来ます。


逆に個人投資家(素人)は少し下落しただけで値ごろ感から買い下がってしまう、
今度は上昇してくると少しばかりの利益で直ぐ利食てしまう。

また評論家、雑誌、大手証券会社の勧めに簡単に乗せられて高値づかみをしてしまう。

これらの勧めは99%当たりませんので絶対に乗せられてはいけません。

これでは何年たっても、お金が減る事はあっても増える事は絶対に有りません。

____


日本の円高恐怖論を笑う 2010年7月20日

(1)日経は先週、フランス首相のユーロ安容認発言を鬼の首でも取ったように1面で報道した。しかしヨーロッパの政治家と国民は昔も今も通貨高を望んでいる。フランス首相のユーロ安容認発言は異例中の異例であればこそニュースになった。ちなみに円高を悲観する国は世界中で日本だけである。

(2)日本の異常な円高悲観論は、日経や金融機関のシンクタンクが日常的に「1円の円高で輸出企業の利益が何億円減る」という時代錯誤の試算の影響が大きいので、以下にこの種の試算がいかに非現実的であるかを指摘したい。

(3)第1に、企業は為替変動による業績悪化を避けるために、毎年海外の現地生産比率を引き上げている。今日では主要な輸出企業はみな多国籍企業である。

(4)第2に、半期ごとに想定為替レートを発表する企業は、発表した時点ですでに相当部分を先物市場でヘッジしている。その後も想定レートを上回ればすかさずヘッジ比率を増やす。

(5)第3に、総合商社は社内レートを設定し、輸出入を集計して差額を財務部がヘッジし、利益を確定している。

(6)第4に、為替で稼いでいる企業は多いが、黙っている。

(7)第5に、為替の思惑が外れた企業が円高を言い訳にしている。

(8)今どき、為替対策を持たない企業は存在しない。

ヘッジファンドの「カモ」にされた東京市場 2010年7月20日

(1)問題はヘッジファンドが日本の円高恐怖論につけ込んで東京市場を「カモ」にしているところにある。

(2)ヘッジファンドは為替市場を円高に誘導し、或いは一部の輸出株を売り崩しさえすれば、日経平均が急落することを知っている。

(3)そこであらかじめアルゴリズムを用いて為替先物、輸出株、日経平均の裁定取引を構築しておく。

(4)為替相場は小さな資金で大きく動くから、機を見て円高を仕掛ける。或いは円高局面でアルゴリズムを活用する。

(5)アルゴリズムが日本の円高と株安を増幅している可能性がある。

(6)日本には投資銀行が存在しないからリーマンショックの被害が軽微であったが、同時に投資銀行の金融工学やアルゴリズムのノウハウに無知である。そのため東京市場は投資銀行とヘッジファンドの「カモ」になりやすい。

(7)東京市場が「カモ」にされた状況は、世界の株価指数に明快に現れている。日経平均はギリシャやスペインを含む世界の大半の株価指数よりも下落幅が大きい。

(8)財政赤字が世界最大で、金利が世界1低い日本の円が投機筋の買いを集めているのも不可解である。
http://www.kyas.com/club9/QA/2010/qa100720.html

2010年11月22日  円安、日本株高へ、相場の環境が大逆転。

円売り、日本株買いの主役はヘッジファンド。

(1)11月15日付クラブ9で、私はドル円為替と日本株の大逆転をきわめて正確に予測できたと思う。

(2)先週末には逆日歩が269銘柄に達した。これは日本株買いの中心がヘッジファンドによる空売りの買い戻しであったことを明快に示している。個人投資家の買いであれば買えば買うほど信用取引の買い残高が増えるが、ヘッジファンドは借り株を用いて実弾で日本株を売り崩していたから、買い戻せば買い戻すほど信用取引の買い残が減ったのである。

(3)私はかねてから証券業協会と東証に提言しているが、ヘッジファンドの借り株による売り・買いを信用取引と同様に毎日開示させるべきだと思う。例えば川重のような大型株が短期間に急騰し、株不足になったが、ヘッジファンドが実弾で買い戻した結果だと推定される。

(4)ヘッジファンドは空売りしていた株式を買い戻すと同時に、買っていた円を売ったと推定される。彼らは円買いと日本株売りをセットにしたポートフォリオを組んでいたから、ヘッジを解消するためには円の売り戻しと日本株の買い戻しを同時に執行しなくてはならない。

(5)ヘッジファンドのヘッジの巻き戻しは11月がピークとなる可能性があるが、年内は大きな基調変化がないだろう。

(6)一方、米FRBのジャブジャブ金融を受けて世界的に株価と商品相場が高騰した。特に石油相場の値上がりで外貨を蓄積したオイルマネーが欧州系ファンドを通して日本株を買った可能性が高い。新興国市場に集中投資していた日本の年金が慌てて日本株を買ったという情報もある。日本の年金はリスクを回避しようとしてかえって後追い、高値づかみを繰り返している。
http://www.kyas.com/club9/QA/2010/qa101122.html

_____

世界最大のヘッジファンドが個人投資家に助言する2017年4月19日


世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がBusiness Insiderのインタビュー(原文英語)に答え、一問一答形式で個人投資家へのアドバイスを行なっている。なかなか面白い内容となっているので、ここに紹介したい。

投資家はどういう投資をすべきか?

投資には短期売買、長期売買、株式投資、債券投資、外貨投資など様々なものがあるが、先ずはこの質問に対してダリオ氏は次のように答えている。


投資家は分散されたバランスのよいポートフォリオを構成するべきだ。そして自分の投資判断で頻繁に売り買いを繰り返すべきではない。

短期売買をするということは、毎年何億ドルもの資金を費やして市場で勝負しているわれわれのような機関投資家を相手にポーカーをやるようなものだ。それが個人投資家の戦わなければならない相手なのだ。それは無理だ。そんなことをしてはいけない。

だから個人投資家に勧めるのは、バランスの取れたポートフォリオを構成する方法を学び、そのポートフォリオをただホールドすることだ。

レイ・ダリオ氏のような機関投資家は、単に本人が金融市場における豊富な知識と経験、そして才能において個人投資家を上回っているというだけではない。

他の投資から資産を預かって投資をするということは、一人の資産を運用するよりも運用額が膨大になるということであり、それだけ多くの予算をリサーチやトレーディングに割くことが出来るということである。

個人投資家にとっては、レイ・ダリオ氏を打ち負かすだけでも難題であるのに、ダリオ氏は更に多くの経験豊富なアナリストやトレーダーを雇い、ヘッジファンドというプロの集団として市場で戦っているのである。

個人投資家が一つの市場をリサーチしている間に、ヘッジファンドの優秀なアナリストチームは、十以上の市場について、個人投資家が一つの市場で行うよりもよほど深い考察を済ませてしまうだろう。勝負になるはずがないのである。プロの投資家は皆それを知っているが、個人投資家がそれを実感として理解することは難しいかもしれない。多くの人々にとって、金融業界の内部を目にする機会はないからである。

また、株式市場だけに気を配る株式投資家は、株式市場と債券市場、そして為替市場を網羅するプロの投資家に、株式市場においても後塵を拝していると言わなければならない。すべての市場は繋がっており、金利や為替レートなど、金融市場の様々な要素が株式市場に影響するからである。この事実についてはやはり、『マーケットの魔術師』におけるジム・ロジャーズ氏の至言を何度でも引用しておこう。


インドネシアのパーム油がどうなっているかを知らずにアメリカの製鉄株にどうやって投資できるだろうか?

バランスの取れたポートフォリオを作る方法は?

ではバランスの取れたポートフォリオとはどのようなものか? 概念的には、株式から、債券、不動産、外貨、金や原油などのコモディティに至るまでの様々な資産に満遍なく投資をするという意味だろうが、ただ盲目的に分散投資を行うことをダリオ氏は勧めているのではない。様々な投資対象について、その特徴や期待リターン(その投資からどれだけの利益が期待出来るか)を計算する方法を知っておく必要がある。


期待リターンが重要だ。ある資産を検討するときには、他の投資対象と比べて期待リターンがどうなのかを検討することになる。

それぞれの資産クラスの期待リターンは、経済全体を象徴している。

また、市場ごとの特徴について学ぶこともダリオ氏は推奨している。


株式市場は債券市場より少なくとも二倍リスクが高いということを学ぶ必要がある。そしてゴールドを少しポートフォリオに加えるべきだろう。多くの人はゴールドを加えるということをしない。しかしゴールドはポートフォリオに有用な多様性を与えてくれる。

ゴールドはある意味では珍しい投資対象である。株式は企業の利益が上がる時に上がり、債券は中央銀行が景気を刺激するために金融緩和を行なった時に上がりやすい。しかし金価格は経済成長率が鈍化する時に上昇する。その意味で、ゴールドはバランスの取れたポートフォリオに必須だとダリオ氏は考えているのである。

彼は次のように続ける。


また、手数料に着目することも必要だ。資産を乗り換える時には、売買手数料を考慮しても尚乗り換える価値があるのかを計算する必要がある。

売買手数料は個人投資家にとって短期売買の魅力を更に減少させる要素である。頻繁に売買することは、頻繁に売買手数料を払うことだからである。短期売買を繰り返す個人投資家はこのことを忘れがちだが、後で積み上がった手数料を計算して驚くような事態にはならないように注意されたい。

個人投資家はニュースに気を配るべきか?


個人投資家は日々のニュースを気を配るべきではない。どれだけ酷いことが起こり、ニュースになったとしても、市場には常に投資のプロが参加していて、彼らが瞬時にそのニュースを資産価格に反映させてしまう。

だからそのニュースが起こった後に行動しても遅いのだ。個人投資家が犯す最悪の間違いは、ニュースに振り回されることだ。

これは逆説的である。世界経済のニュースに気を配ることは投資家として良いことだと思うかもしれない。知識が増えること自体は良いことであるかもしれないが、ダリオ氏はそれに振り回されてはいけないと言っているのである。

更に、ダリオ氏は投資家初心者が陥りがちな失敗について語る。


ニュースに振り回されるだけでも悪いが、最悪なのは市場の反応に振り回されることだ。

最悪の考え方とは、「この資産はこれまで良いパフォーマンスを上げているから、この資産はこれからも良い投資なのだ」と考えることだ。価格がこれまで上がったというのは多分、より割高になったということだ。ある資産が途方もなく割高になり、それを理由にあなたがこれは素晴らしい投資対象だと考えるとすればどうだろう。過去に反応し、未来を考えないこと、それが個人投資家の最大の問題だ。

例えば、株が大きく上がったとしよう。あなたは「株式市場は素晴らしい投資対象だ」と考える。しかし価格が上昇し割高になるということは、将来のリターンが減少したということを意味する。逆に大きく下がった資産があったとすれば、価値が上がったことを意味するかもしれない。リターンを計算する方法を学ばなければならないということだ。

ダリオ氏は、個人投資家は機関投資家と真っ向から勝負するようなことをすべきではないと言う。しかし盲目的に株式などを単にホールドしておくことを推奨しているわけではない。「バランスの取れたポートフォリオ」は、その時の各資産の期待リターン次第で変化するからである。だから期待リターンを計算する方法を勉強し、かつ日々のニュースや値動きなどに惑わされないようにせよとダリオ氏は言っているのである。

ダリオ氏の助言は確かに正しく、有用である。しかし「正しく勉強し、かつニュースや値動きに動じない鉄の意志を持つ」ことが出来れば、その投資家は既に投資初心者ではなく、優れた投資家と言えるのではないか。二階に登るためのはしごは、残念ながらしばしば二階にあるものだということではないか。
http://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/6093

2017年03月30日
投資専門家の予測が当たらない理由 大資産家は損をしない

ロジャースが「ドルは消滅する」と言ったとたん、アメリカ経済は回復し始めた。
中国が超大国になるから中国人になるとも言っていた。
引用:http://kinyu-arekore.net/wp-content/uploads/2016/02/jimu2016.jpg


アナリストの予想は逆になる

2017年に入って為替と日経平均が小刻みに上下して、個人投資家や専門家を慌てさせている。

1年前に1ドル120円以上だったドル円相場は、3月現在で110円であり、先行き不透明になっています。

日経平均は2万円直前で頭打ちになり下落、NYダウは2万1000ドル達成を節目に下落しました。

         

専門家は1%上がれば「回復基調」「底打ち感がでている」と書き、逆に少し下がると「リスク回避懸念」などと書いた。

例に出して悪いが3月29日のロイターは「日経平均は続伸、米株高と円高一服が追い風」と米企業の好業績を並べていた。

だがこのつい2、3日前に1ドル110円を割り込みそうだった時には、悲観的な見通しを掲載していた。


経済メディアやエコノミスト、投資の専門家は少しでも上昇すると「上げ相場だ」と言い、少し下げると「下げ相場だ」と言っているだけです。

XXX銀行チーフエコノミストのような立派な肩書きを書いていても、やっている事はオウムと一緒で、早くAIで自動化したほうが良い。

オウムよりはしっかりした著名投資家や投資機関は中長期の見通しを発表するが、これがまた当たらない。


世界一の投資会社はゴールドマンサックスで、取引高は国家を遥かに上回る数千兆円とも言われていて、さぞ的確な予想をしているだろうと想像する。

だが2011年に東日本大震災が起きた後、GSの責任者は「日本売りで年末には1ドル195円を超え、国債大暴落が起きる」と言っていました。

現実には日本国債は大暴落どころか大人気でマイナス金利になり、年末に1ドルは80円でした。


予想の上手さと投資成績は無関係

GSの経済予想を時系列で並べても当たった例はほとんど無く、わざと逆の事を言って騙そうとしているのではという邪推すら起きてくる。

世界一の投資家のWバフェットも同様で、2008年の北京オリンピックの頃「中国の一人当たりGDPはアメリカ人と同じになり、中国のGDPはアメリカの5倍になる」という計算を披露しました。

この計算では中国の経済規模は日本の10倍になるが、現実には「水増し」を差し引くと未だにアメリカの半分、日本の1.5倍程度で頭打ちになっています。


バフェットと共に大投資家として名高いJソロスはトランプ大統領当選でドルが暴落すると予想したが、逆にドル高株高になって数千億円も損をしたとされています。

ソロスは2016年に中国人民元暴落も予想し、少しは下げたのだが暴落はしなかったので、これも儲からなかったでしょう。

冒険投資家Jロジャーズも2008年ごろは「子供を中国に移住させ、自分も中国人になるつもりだ」と述べるなど大変な入れ込みようだった。


「中国人はアメリカの4倍いるのだから4倍のガソリンを消費し、4倍の買い物をする」だから中国人になれば世界一の投資家になれると言っていました。

その後中国の失速が明らかになるとロジャースは中国の話をしなくなり、ベトナムとかミャンマーとか怪しげな国を「将来有望だ」と言っていました。

日本で経済や投資のニュース解説に必ず登場するのが元財務官僚のアナリストで、中でも「ミスター円」榊原英資は大人気です。


大恐慌でも投資家の財布は痛まない

だが榊原氏の相場予想となると、当たったことが一度も無いと言えるほど外れまくり、それでいて経済番組に必ず登場するので、テレビと財務省の癒着ではないかと疑っています。

このように経済専門家や投資専門家、アナリストから世界最大の投資機関まで、彼らの予想は99%まで外れる事になっていて、一般の人と同じレベルです。

それでもバフェットやソロスやGSは、我々一般人の年収を数分で稼いでいるので、相場の予想と投資で稼ぐのは無関係だと分かります。


彼らが運用する数兆円というような金額になると、「どこにいくら配分するか」という運用配分が重要になります。

どの国の株式に何%、どの国の国債にそれぞれ何%、あるいは成長分野の企業買収とか、細分化することで「絶対に損をしない」ようにします。

例えばリーマンショックの時ですら、世界全体では1年だけ0.05%マイナス成長だっただけで、分散していれば打撃を受けなかった筈です。


こうした事がお金持ちや大投資家の投資なので、予想が当たろうが外れようが、彼らの資産は守られているのです。

自分でリスクを負っているようで、実は株価が半分になっても、資産は保護される仕組みになっています。

一般の個人投資家はそうではなく、日経平均やNY株が1割も下がったら、資産の大半を失う人が続出します。


お金持ちや投資機関責任者の発言を真に受けると、個人投資家は酷い目に遭うでしょう。
http://www.thutmosev.com/archives/70226723.html


海外でカジノをやっていて、確信することがある。強いものが勝つ。

 強いかどうかの物差しは、確率に対する習熟と、1回の掛け金がどれほど当人にとって「大したことがないか」による。たとえ5億円を手元に持っていても、所詮カジノを経営する側の資金力にはまったくかなわない。だからハウスが必ず総体として勝ち、税金も払えるようになっている。

 あなたがもし、100人から1万円ずつ合計100万円を集め、1等の当選金は60万円、それ以外は胴元の手数料という商売を刑法改正後に始めたら、それだけで生活が成り立つだろう。そもそも、博打(ギャンブル)には2種類ある。勝率を自ら高められるものと、そうでないものと、だ。

 麻雀やブラックジャックや競馬や株は前者であり、丁半博打や宝くじは後者に属する。宝くじの当選を願って雨乞いしたり、銀座の某店で買うのが良いと本気で信じている人は小学生からやりなおすほかない。後者の勝率は常に一定なのだ。したがって、必ず一定数の勝者と敗者が出る。それだけの話なのである。

 対照的に例えば麻雀が「勝率を自ら高められる」ゲームであるのは、ビギナーズラックがあっても100回勝負すれば必ずプロ的に強い人が圧勝する事実を見れば明らかだろう。引いてくる牌は人智のあずかり知らぬところ(そうでなければイカサマ)だが、より速くより高い点数でアガるのは、もっぱら確率計算の習熟度に依存する。競馬新聞もよく外れるが、あの予想は確率を高めるためのデータであり、丁半博打とは異なる。

 刑法を当面度外視してあくまで論理的な例としてさらに述べておけば、月収150万円の人が5万円を、月収15万円の人が同じ額を賭けている場合、1回の掛け金に対する期待と絶望の深さは、単純に10倍以上違う。

安心して動かせる資金の「ゆとり」が多ければ多いほど、沈みにくいのである。同様に、なけなしの金を株に投じている人は、長い目で見るとほぼ確実に負ける。あたりまえだ。株もギャンブルも、波のように必ず浮き沈みがある。投下するものが「ぎりぎり」なら、波線が簡単に底辺に抵触して財産を失う。

 資産運用の手法としてポートフォリオ(リスク分散)が奨励されてきたわけだが、よほど資産がある人を除いてポートフォリオもくそもない。一般人は堅実に仕事をこなし、本業で稼ぐこと、万一の倒産やリストラに備えて転職できるように自己研鑽しておくこと。これしかない。

 株を経済の勉強や企業のファンクラブとしてやるなら、結構なことだ。が、小金持ち程度が株やギャンブルでマジに儲けようとするのは、ようこそカモネギチャンと思われるだけである。どうぞ勝手に沈んでいただきたい
http://asyura2.com/0601/hasan45/msg/981.html


投資家の期待と現実収支のギャップは2倍以上
http://www.thutmosev.com/archives/70805306.html


夢を売る商売という点で、投資と宝くじは似ている
引用:よく当たる宝くじ売り場で夢を買う
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/f1/0e88d154d62fa020ae726d1eb726adac.jpg


投資家の期待と現実の差

米国のニュースによると投資家が「このくらい儲かるだろう」と考えている収益と、現実の結果には大きな落差があった。

投資家(かなりの資産家が対象)自身は実質で年8%以上の利益を期待しているが、アメリカは年2%以上のインフレ率なので、名目で10%以上勝たなくては成らない。

米株式市場の上昇率は7%程度だが、これは先進国の中でも抜群に高い数字だった。

     

株価上昇率が7%で、投資家が実質8%の利益を得たいと思うのは妥当に思えるが、実際には不可能な数字です。

破産しない為には安全投資とハイリスクを組み合わせ、安全投資の方を多くしなくては成らないが、当然安全な投資ほど得られる利益は低い。

米国債金利や安全投資の利回りは3%以下なので、全体で8%儲けるには、株式投資などで年15%以上も勝たなくてはならない。


株価上昇率が7%の国で、上昇率と同等かもっと儲けるためには、全額をハイリスク投資に投入する必要があり、かなり無謀な投資になる。

結局のところ米国の資産家は分散投資をすると、希望の半分程度の年4%台の投資成績に落ち着く。

客観的に数字を見れば8%など有り得ないのだが、投資の世界ではこうした「ありえない事」が有り得るかのように語られている。


Wバフェットに代表されるような「勝ち組」が存在するのは事実だが、考える必要があるのは平均的投資家のケースです。

もしその年の投資市場全体で1兆円の利回りしかなく、バフェットのような成功者が半分の5000億円を獲得したら、平均的投資家の取り分が減ります。

投資雑誌が取り上げるような成功者が増え、彼らが成功するほど「平均的投資家」の投資成績は下がります。

なぜなら投資は他人の金を奪う行為だからです。


投資は夢を売る商売

しかもあらゆる投資は資金を多く持っている人に有利で、小額投資をする平均的投資家には不利なルールになっています。

そう考えると株価上昇率が7%だとしたら、普通の人が期待できるのは6%程度というところです。

しかも安全資産の低利回り商品に多くを配分するので、普通の人の本当の期待利回りは4%程度になります。


日本でも同じ事で、SNSや掲示板では投資で成功する方法や成功者が溢れていますが、現実とは乖離していると思います。

株価が上昇しているとしても今後は下がるかも知れないので、全額を狙った株式銘柄に投入するなど無謀です。

株式投資に失敗しても破産しない為には、実質利回り1%以下の安全な投資に分散せざるを得ません。


アナリストとかフィナンシャルプランナー、専門家と名乗る人達は、早い話証券会社や業界の宣伝マンに過ぎません。

彼らはお金を払ってくれるスポンサーの為に「投資は儲かりますよ」と言っているので、顧客の為なんかではない。

こうしたアドバイザーが例として持ち出す数字は、必ず素晴らしい結果になっているのだが、平均的投資家がそれをやっても同じ結果は得られません。


投資家が上げうる現実の収支は、せいぜい頭の中でシミュレーションした数字の半分という所なのです。

賢明な人でも事前の計算では「儲かった時だけ」を都合よく抽出し、連続で損失を出す可能性は「ありえない」と排除してしまうからです。

ところが投資をやっていると毎月のようにこの「ありえない」事が起こります
http://www.thutmosev.com/archives/70805306.html


16. 中川隆[-7707] koaQ7Jey 2017年5月08日 20:53:20 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

投資は利益5%で成功 大きな利益は大きなリスクを支払う


バイナリオプションは電子パチンコで投資ではない
引用:http://fxbinaryoption.biz/wp-content/uploads/bio.jpg


投資は何%なら成功か

政府は日本人に投資をさせたいようで、「貯蓄から投資へ」を合言葉に投資を呼びかけている。

NISAという優遇制度をつくり、年間120万円を上限に投資利益が非課税になるが、どうでも良いこと夥しい。

まず勝って始めて税金の問題が発生するので、大多数の人は心配をする必要が無い。


起業して商売を始めるのに置き換えると、商売で利益を挙げる前から税金が優遇されるから「自分は有利になった」と錯覚するようなものです。

それは実際に利益が出たら非課税は嬉しいに違いないが、どっちみち利益が出なければ税金は課されない。

そして投資をしている人の多くは、税金の心配をするほど利益なんか出せていないのです。


投資家のタイプを分けるとまず小遣いで小額投資している人は、税金を心配するほどの利益を出すことは無い。

次は大きな金額を投資するがリスクの低い投信や国債中心で、継続すれば複利効果でかなりの利益が出るかもしれない。

ダメなのは投資を「勝負事」にしている人で、元手を短期間に数倍や数百倍に増やそうとするタイプです。


ネットでは証券会社や投資業者や情報販売会社が「10万円を1億円に増やした」ような体験談を必ず掲載しています。

こうした体験談の99.999%は何の根拠もないデマで、『水素水を飲んだらガンが治った』のような類の宣伝です。

金融庁はこうした「10万円を1億円に増やした体験談」のようなものを規制しているが、違法ではないので数字の桁が変わっただけで、今も続いています。


儲かる投資ほど損をする仕組み

こうした体験談の多くは見慣れると見出しを見ただけで区別できるが、中にはストーリーや設定を良く練ってあるものがある。

「リーマンショックで大損をして人生を棒に振ったAさんだが、確実な投資で損失以上の利益を上げている」というようなものです。

ばかげた事に業者が勧める「確実な投資」がバイナリオプション(高リスク投資)だったりするので呆れてしまう。


およそどんな賭け事でも、当たったときの倍率が大きいものほど「胴元」の取り分が多くなり、プレイヤーの負けが多くなるよう設定されています。

競馬では複勝より単勝、さらに連勝より馬単と配当が大きくなるにつれてJRAの取り分が大きく、プレイヤーの負けが大きくなっています。

さらに同じ種類の馬券でも、オッズ2.0の場合よりも10.0つまり当たったら10倍になる馬券は、回収率が数分の1になるのが知られています。


これは馬券を買う人の多くがが高配当な馬の馬券を買い求める事で偏りが起こり、高配当の馬券ほど過大評価される事で起きるとされています。

いわゆる万馬券になる100倍以上の馬券を買い続けると、長期間のトータルでは購入金額の50%以下しか払い戻されないのが分かっています。

一方複勝元返しになるような馬券だけを買い続ける人は、生涯通産では少し利益が出るのが統計的に分かっています。


なぜ元返しなのに利益が出るのかは、複勝は3着までの他の馬が不人気馬ならば、組み合わせによって払戻金が増えるからです。

こうした「倍率が高いほどトータルで損失が大きい」という法則は投資でも成立します。

先ほどの「バイナリオプション」を筆頭として、元手が数倍になるような儲かる投資ほど必ず胴元の取り分が多かったり、参加者が早く損をするように設計されています。


投資は利益5%なら勝者

だが世の中には本当に「10万円を1億円に増やした」ような人が居たのは事実で、10年ほど前にBNFとかCISとかの投資家がマスコミをにぎわせました。

どちらも最初の元手は100万円程度だったのを一日に何度も短期取引を成功させる手法で増やし、数年後に100億円にしてしまったそうです。

この例で考えなくてはならないのは「BNFが増やした分は貴方が負けた」という事で、投資は参加者同士がお金を奪い合うものです。


この2人が100億円づつ資産を増やしたということは、1万人の投資家が200万円ずつ負けたのを意味しています。

しかもこうした短期取引を繰り返すと手数料の負担も大きいので、実際にはもっと多くの投資家がもっと大きく負けたでしょう。

ハイリスク取引では一人の天才のせいで数万人が数百万負けてしまうので、「貴方や私が勝者になる事は絶対にない」のです。


では堅実な投資家はどの程度のリスクを負うべきなのか、例えば今人気のマンション投資やアパート投資は年利10%の利益なら成功とされています。

年利10%は表面上の売上げなので、そこから税金や諸経費を引いたら年利5%で成功と言われています。

世の中の大半の企業の利益率を調べると5%以下で、トヨタですら10%には届いていません。


200万円のプリウスのうち、利益になるのは15万円くらいで、そこから将来への投資などもするので、ほとんど残りません。

銀行や証券会社のプロ投資家で継続して年利10%も上げたらスーパースターで業界の伝説になれるでしょう。

それどころかかなりのプロディーラーは手数料込みでは損失が出ていて、その損失を個人投資家に負わせています。

投資で毎年5%安定して勝てたら実はその人は相当投資がうまい人で、物足りないかも知れないがそういうものなのです。
http://thutmose.blog.jp/archives/68355165.html.


ヘッジファンドの平均的な利回り
日本市場で運用するヘッジファンドの2014年の運用成績は5.4%でして世界平均の4.4%を上回りました。

出展:Bloomberg 日本のヘッジファンド成績より
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NIGU486JIJUT01.html

米国のファンドや、香港・シンガポールに登録されている有名なヘッジファンドの年間成績の平均値は年間で15%から20%だといわれており、これが利回りの世界基準だと言われております。
http://1000万円資産運用.com/yield/


バフェットの遺言。億万長者を生む「インデックス投資」の秘密とは?=東条雅彦 2017年2月5日
http://www.mag2.com/p/money/32649


ウォーレン・バフェット氏が、自分の死後に備えて、妻に「資金の90%を S&P500に投資せよ」という言葉を残していることをご存じですか?

バフェットは、プロではない人々に「インデックス投資」を薦めています。
これは誰でも安全に億万長者になれる、最も合理的な投資手法と言えるでしょう


バフェット推薦!安全に億万長者になれる投資法のポイントを解説

『バフェットからの手紙』の1ページ目に書かれていること

ウォーレン・バフェットが毎年、自身が会長兼CEOを務める世界最大の持株会社、バークシャー・ハサウェイの株主宛てに送っている書簡(通称『バフェットからの手紙』)を読んだことはありますか?バークシャーのWebサイトでは、1977年から現在までの『バフェットからの手紙』が公開されています。


そして、2000年からの『バフェットからの手紙』では、必ず最初の1ページ目で、バークシャーとS&P500(配当込み)の投資成果を競い合わせています。

これは、1965年から2015年までの両者の成績を比較したものです。


1.バークシャー(BRK)の1株当たり純資産が年間何%変動したのか?
2.バークシャー(BRK)の株価が年間何%変動したのか?
3.S&P500(配当込み)の株価が年間何%変動したのか?
4.1965年から2015年までの51年間の平均年利
5.今までの合計リターン


バークシャー vs. S&P500 投資成果の比較(配当込み)
出典:Berkshire’s Performance vs. the S&P 500 (2015) [PDF]
http://www.mag2.com/p/money/32649


※『バフェットからの手紙』に記載されているリターンは名目リターンです。
そのため本稿でも名目リターンを元に話を進めます。
インフレ率を考慮した実質リターンについては次回以降のメルマガにて解説します。


投資資金が約15,983倍に!

バークシャーの1株当たり純資産と株価が、S&P500(配当込み)に対してどのような動きをしているのかを、わかりやすく提示していますね。


バフェットの生涯運用成績は年利20.8%です。


これを51年続けると、1,598,284%の資産上昇をもたらします。

1965年にバークシャー株に投資していた株主は、投資資金を51年間で約15,983倍に増やしているわけです。

100万円を投資していたら、約160億円に増えている計算です。

いかにバフェットの年利20.8%という成績が凄いのかを物語っています。

バークシャーの純資産も年利19.2%のペースで増えていて、過去51年間で798,981%のリターンを得ています。

(2)の株価だけではなく(1)の純資産(株主資本)を記載している理由は、これが株価の裏付けとなっているからです。この純資産の伸び率を記すことで、バフェットは、株価は企業の利益や資産からその価値を求めることができると、暗に伝えようとしているのでしょう。

さて、いっぽうで50年前に S&P500(配当込み)に投資していた場合でも、年利9.7%のペースで資産が増加します。過去51年間では11,355%のリターンを得られます。

1965年に S&P500に投資していた場合、2015年の終わりには資産が約114倍に増えます。
100万円を投資していた場合、約1億1400万円に増えている計算です。

バークシャーの成績と比べると、かなり見劣りはしますが、それでもかなり高い成績です。

※前回のメルマガでも触れたように、近年ではバークシャーの成績が大幅に落ちており、S&P500と良い勝負を繰り広げています。2001〜2015年の期間ではバークシャー:年利7%/S&P500:年利5%です。


なぜバフェットはS&P500と競争しているのか?

ここで、S&P500指数とインデックスファンド誕生の経緯を簡単に説明します。

S&P500とは、米国投資情報会社「スタンダード・アンド・プアーズ社(S&P)」が算出している米国の代表的な株価指数です。ニューヨーク証券取引所、アメリカン証券取引所、NASDAQに上場している銘柄のうち、代表的な500銘柄の株価をもとに算出されます。

バンガード・グループの創設者であるジョン・C・ボーグル氏は1975年に、このS&P500と同じ成績を出す世界初のファンドを立ち上げました。「バンガード500インデックス・ファンド」というファンドで、今でも継続しています。

それまでのファンドは投資家から資金を集めて、ファンドマネージャーが選定した銘柄に投資していくスタイルでした。

いっぽう、「バンガード500インデックス・ファンド」は、S&P500を構成する500銘柄と同じ構成比で投資を行ない、ベンチマークである同指数に連動した投資成果を目指すものです。

やがて、このような市場平均に追従するファンドは「パッシブファンド」、そして市場平均以上のパフォーマンスを目指すファンドは「アクティブファンド」と呼ばれるようになりました。

それまでの常識では、「S&P500に追従するだけで良いリターンを出せるはずがない」という考えが大勢を占めていました。しかし統計を取ると、実際には次のような結果になっていたのです。


米国でインデックスファンドを下回ったアクティブファンドの比率(〜2005年)

1年間:48%
3年間:68%
5年間:68%
10年間:79%
20年間:82%

なんと、年数が経過すればするほど、アクティブファンドはインデックスファンドに負けてしまうという現実が明らかになったのです。

ボーグル氏の『インデックス・ファンドの時代』(2000年出版)は、これでもかというぐらいに過去の統計データを使用して、インデックスファンドの優位性を説いた本です。

『北斗の拳』の「お前はもう死んでいる」ならぬ、「お前(アクティブファンド)はもう負けている」状態を、広範なデータを使って証明しています。

手数料の多いアクティブファンドは、まず「負けている」ところからスタートするので、もともと不利な立場にあります。ボーグル氏によると、これは「信託報酬」「売買の際に生じる手数料と税金」の2つが主因だとしています。

この説明に感銘を受けたバフェットは、「よし、それならば、バークシャーとS&P500の成績を比較して提示することで、客観的にバークシャーのことを株主に評価してもらおう」と考えたのです。


バフェットが妻に託した遺言

2013年度の『バフェットからの手紙』で、バフェットは、S&P500に連動するインデックスファンドへの投資を薦めています。

以下に発言部分を引用します。


米国のビジネスは時代を超えて素晴らしい成果を上げてきたし、今後もそうでしょう。プロでない人々が目指すべきなのは、勝者を当てることではありません。自分だけではなく、助力者にもできません。代わりに幅広い領域にわたる企業を買えば、必ずうまくいきます。S&P500種株価指数に連動する低コストのインデックスファンド(指数連動型投信)を使えば目標を達成できます。

プロでない人はS&P500に投資するように呼びかけています。さらにバフェットは、自分の妻への相続のための信託で次のように述べています。


現金の10%を政府短期債で、残り90%はS&P500のインデックスファンドで運用するよう指示しました(超低コスト投信で知られるバンガード社の投信を勧めます)。こうした方針をとることにより、高額な手数料をとる運用者を抱えている他の投資家よりも、長期では優れた結果を残せると確信します。

まさに、インデックス投資を強力プッシュしていますね。

バフェットはインデックス投資について過去にも前向きな発言をしていましたが、ここまで明確に話したことはありませんでした。その意味でも、2013年度の「バフェットからの手紙」は異例で、示唆に富む内容だったと言えます。

株式投資にあと一歩を踏み出せない人の思考パターンと「利き手」の関係

バフェットは、プロではない普通の人に対して、資産の90%を株式に投入せよと薦めています。


バフェット推奨の資産配分率

政府短期債:10%
S&P500(株式):90%

このアドバイスを聞いて、「はい、わかりました。明日から銀行預金を辞めて、すぐさま資産の90%をS&P500に当てます」と実際に行動する人は、果たしてどのぐらいいるのでしょうか?

おそらく、100人中1人いれば良いほうではないでしょうか?

1965年から2015年までの51年間の計測では、S&P500(配当込み)への投資は平均年利9.7%のリターンをもたらします。

100万円を投資すれば、約1億1400万円、1000万円を投資すれば、約11億4000万円という大きな資産を築けます。

しかし、統計上のデータでは明らかでも、私たちは論理ではなく感情で行動します。

子どもの時、毎年もらうお年玉は勝手に銀行に預けられていた人が多いと思います(または私のようにいつの前にか「抹消されてしまった」人も多い!?)。また、親や学校の先生からは、お金は大切なものだから銀行に預金するのが正しい行動だ、と刷り込まれます。そうすると、思考に「くせ」ができてしまいます。

例えば、右利きの人が明日から「右手ではなく左手を中心に使ってください」と言われたとしましょう。

朝、起きて、洗面所の前に立って、左手で歯ブラシを持って歯を磨こうとするも、なかなかうまく磨けません。着替えをする時も、無意識のうちに右手の力に頼って、服を脱いだり着たりします。朝ごはんを食べる時も、左手で箸を持って茶碗にあるご飯を口まで運ぶのは、相当難しい作業になることが容易に想像できます。

元々、左利きの人は、左右を逆にして想像してみてくださいね。こんなことを実際にやっていたら、学校や会社に遅刻するし、スムーズに日常生活を送ることが困難になるはずです。

世間の多くの人は次のようなイメージになっています。

株式投資に疑心暗鬼な人の資産配分

右手(利き手):銀行預金(90%)
左手(非利き手):株式投資(10%)

人に利き手があるように、人の思考にもある種の「利き手」があります。急に利き手を変えるのは、難しいかもしれません。

2013年度の『バフェットの手紙』における普通の人へのアドバイスが、「資産の90%をS&P500に投入せよ!」という内容だったのは、実に衝撃をもって受け取られました。


バフェットが推奨している資産配分

右手(利き手)・・・・株式投資(90%)
左手(非利き手)・・・銀行預金(10%)

このバフェットの教えが正しいのなら(もちろん、正しいのですが)、自分の利き手を左右反対にする覚悟で、ゆっくりでもいいから、銀行預金から株式投資にシフトしていく必要があります。

インデックス投資は「社会の発展」を信じる超高勝率の投資法だ

インデックス投資とは、「社会の発展」「人類の発展」を信じる投資法です。

私たちは、株式会社の作った製品やサービスを利用して生活しています。また、会社に行って働いて、給料を得て生活しています。

インデックス投資では、「資金を株式に投入して、その会社が倒産してゼロ円になったらどうするの?」といった不安を感じる必要はありません。なぜなら、S&P500を構成する500社がすべて同時に倒産するような状況では、そもそも私たちはまともに社会生活を送れないからです。

今、この文章を読むのに使っているパソコン、スマホ、タブレットPCは、株式会社が作った製品ですね。また、インターネットを利用するための回線を施設したのも株式会社ですし、各種サービスを提供しているのも株式会社です。

今、着ている服も、座っている椅子も、洗面用具も浴槽で使う洗面器も、寝るベッドも…すべて株式会社から提供されているものです。

それでも「株式投資は怖くて危険だ」と見なすのなら、いったい私たちの普段の生活は、「恐怖」に囲まれているのでしょうか?いやいや、そんなことはないはずです。

冒頭で取り上げた『バフェットからの手紙』に記されている、1965年から2015年までの51年間には、S&P500が暴落する年も確かにありました。

しかしながら、1年間で値上がりする確率と値下がりする確率は、明らかに非対称の関係にあります。

値上がりした年を「◯」、値下がりした年を「×」として、1965年から2015年までの51年間を左端から記号にして並べると、次のようになります。

S&P500:値上がり=◯ 値下がり=×

1965年〜1974年:◯×◯◯×◯◯◯××
1975年〜1984年:◯◯×◯◯◯×◯◯◯
1985年〜1994年:◯◯◯◯◯×◯◯◯◯
1995年〜2004年:◯◯◯◯◯×××◯◯
2005年〜2015年:◯◯◯×◯◯◯◯◯◯◯
結果:51試合中40勝11敗

このように視覚的に見ると、S&P500の勝率がいかに高いのかが、はっきりとわかると思います。51試合中40勝11敗、勝率に直すと78.4%となり、概ね8割の確率で勝つ勝負なのです。

インデックス投資家が「無一文」になることはあり得ない

さらに、それでも「株価が大幅に下がって大損してしまったら、どうしよう」という不安を抱えている人のために、下落してしまった年(11年間分)だけをピックアップしてみます。

下落率が20%以上の年には、目印として先頭に「◎」印、連敗した年には後ろに「※連敗」印をつけています。


S&P500:下落した年

・1966年:−11.7%
・1969年:−8.4%
・1973年:−14.8% ※連敗
◎1974年:−26.4% ※連敗
・1977年:−7.4%
・1981年:−5%
・1990年:−3.1%
・2000年:−9.1% ※連敗
・2001年:−11.9% ※連敗
◎2002年:−22.1% ※連敗
◎2008年:−37.0%

人によっては「株式投資をすると、最悪は無一文になる」と思っている人もいるかもしれませんが、S&P500へのインデックス投資の場合、そういうことは絶対にあり得ません。

過去51年間の中で、20%以上の値下がりが発生した年はわずかに3回です。それ以外の8回の下落は、大きく下げても15%以内の値下がりに収まっています。

仮に100万円を投資していた場合、年によっては70万円ぐらいに下がる可能性もありますが、ずっと落ち続けるわけではありません。

しかも、連敗する可能性もとても低いことがわかります。連敗したのは、過去51年間の中でわずか2回(1973〜1974年、2000〜2002年)だけでした。


誰でも安全に億万長者になれる、最も合理的な投資手法

反対に勝った年を見ていきましょう。上昇率が20%以上の年には目印として先頭に「◎」印をつけています。

上昇率が20%以上の年(◎印)が、なんと17回もあります。前ページの「下落した年」と見比べてみると、視覚的にも「S&P500は上昇する確率がとても高い」ことは一目瞭然です。


S&P500:上昇した年

・1965年:+10.0%
◎1967年:+30.9%
・1968年:+11.0%
・1969年:+3.9%
・1971年:+14.6%
・1972年:+18.9%
◎1975年:+37.2%
◎1976年:+23.6%
・1978年:+6.4%
・1979年:+18.2%
◎1980年:+32.3%
◎1982年:+21.4%
◎1983年:+22.4%
・1984年:+6.1%
◎1985年:+31.6%
・1986年:+18.6%
・1987年:+5.1%
・1988年:+16.6%
◎1989年:+31.7%
◎1991年:+30.5%
・1992年:+7.6%
・1993年:+10.1%
・1994年:+1.3%
◎1995年:+37.6%
◎1996年:+23.0%
◎1997年:+33.4%
◎1998年:+28.6%
◎1999年:+21.0%
◎2003年:+28.7%
・2004年:+10.9%
・2005年:+4.9%
・2006年:+15.8%
・2007年:+5.5%
◎2009年:+26.5%
・2010年:+15.1%
・2011年:+2.1%
・2012年:+16.0%
◎2013年:+32.4%
・2014年:+13.7%
・2015年:+1.4%

ウォーレン・バフェットが妻に「資金の90%をS&P500に投資せよ!」という言葉を残している理由がよくわかります。

この約8割という圧倒的な高勝率が、社会の発展に賭けるインデックス投資の根本となります。インデックス投資は、誰でも安全に億万長者になれる、最も合理的な投資手法だと言えるのです。
http://www.mag2.com/p/money/32649


ゆっくりでいいなら億万長者確定!常勝の S&P500 インデックス投資法=東条雅彦 2017年2月19日
http://www.mag2.com/p/money/33942


インデックス投資シリーズを開始して、いつもよりも多くの質問が寄せられています。中でも最も多くいただいている質問は、「今、S&P500 に投資したいと思っているが、それは正しい投資行動なのか?」というものです。

現在、バンガード S&P500 ETF(VOO)の価格は210ドル前後で推移しています。過去から現在までの価格推移を眺めると、明らかに高値に見えます。去年の12月に私が参加した講演会でも、あのジム・ロジャーズ氏が米国株への警戒感を露わにしていました。

インデックス投資では、タイミングを意識せずに、決まった期間で決まった金額をどんどん買っていく、という方法を取ります。しかし、この手法に違和感を持つ人が多いのも事実でしょう。

本当のところ、インデックス投資において、「売買のタイミング」はどこまで意識しなければいけないのでしょうか?考えてみましょう。


【関連】バフェットの遺言。億万長者を生む「インデックス投資」の秘密とは?=東条雅彦
http://www.mag2.com/p/money/32649

億万長者になりたいなら、慌てずじっくり「インデックス投資」のススメ

ほぼ確実に利益になる! S&P500に投資することのメリット

どんな投資でも、「リターンは平均年利、リスクは標準偏差」で表せます。ファイナンス理論ではリスクを「危険」ではなく、「価格変動のバラツキ」だとみなします。そして、このリターンとリスクの大きさは正比例します。

リターンの高い投資を狙う場合、価格変動が大きく上下に振れる投資を実行しなければいけません。反対にリターンの低い投資で満足する場合、その見返りとして価格変動は小さくなります。

大雑把なイメージで、銀行預金、債券投資、株式投資の3つは、次のようなイメージになります。


銀行預金

開始:100万円
1年後:100万円 (前年比0%)
2年後:100万円 (前年比0%)
3年後:100万円 (前年比0%)

⇒平均年利:0%、標準偏差:0%


債券投資

開始:100万円
1年後:98万円 (前年比-2%)
2年後:104万円 (前年比+6.12%)
3年後:106万円 (前年比+1.92%)

⇒平均年利:2%、標準偏差:3.32%


株式投資

開始:100万円
1年後:80万円 (前年比-15%)
2年後:110万円 (前年比-29.4%)
3年後:125万円 (前年比+13.6%)

⇒平均年利:7.7%、標準偏差:18.3%


銀行預金は完全に平和ですが、そのかわり平均年利も標準偏差もほぼ0%です。

それよりも少し高いリターンを狙う債券投資では、銀行預金よりも高い利益が得られます。そのかわり、元本保証はありません。

もっと高い利益を狙う株式投資の場合、価格変動がどうしても激しくなってしまいます。

しかし、S&P500 のようなインデックス投資に投資する場合、平均年利は常にプラスであり、途中経過を気にしなければ、ほぼ確実に利益になります。(後で詳述します)

決して手を出してはいけない「2つの投資」

さて、もし次のような投資(=投資案件A)があったとしましょう。


投資案件A

開始:100万円
1年後:200万円 (前年比+100%)
2年後:400万円 (前年比+100%)
3年後:800万円 (前年比+100%)

⇒平均年利:100%、標準偏差:0%


100万円を投資すると、200万円⇒400万円⇒800万円と毎年、倍々ゲームで増えていきます。投資案件 Aの標準偏差を求めると、なんと0%です。

毎年、決まって2倍に増えていき、価格が上下にブレずに前年比が常に+100%なので、標準偏差も0%となります。超ローリスク・超ハイリターンな投資です。


さらに、もう1つの投資(=投資案件B)を紹介します。


投資案件B

開始:100万円
1年後:80万円 (前年比-20.0%)
2年後:50万円 (前年比-37.5%)
3年後:5万円 (前年比-90.0%)

⇒平均年利:-63.1%、標準偏差:29.7%

100万円を投資して、次の年に80万円に下がって、その翌年は50万円、そして3年後にはなんと5万円になってしまいました。平均年利は-63.1%となります。

前年比は-20.0%⇒-37.5%⇒-90.0% と変動しているため、標準偏差を求めると、29.7%となります。これはもう悲惨な投資としか言いようがありません。超ハイリスク・超ローリターンです。

すでにお気づきの方もいるかもしれませんが、投資案件 Aと投資案件 Bは一般的には、それぞれサギ(投資詐欺)とカモ(カモにされる)と呼ばれています。


◾投資案件A=超ローリスク・超ハイリターン⇒サギ(世の中に存在しない)

◾投資案件B=超ハイリスク・超ローリターン⇒カモ(投資すべきでない)


上記のような投資案件に関わってはいけません。図解すると、次のようになります。

リスクとリターンの関係
http://www.mag2.com/p/money/33942


私たち長期投資家は、「投資すべき」の範囲で活動していくべきです。

そして、S&P500 への投資は平均年利が9.7%、標準偏差が17%(1965年〜2015年の値を元に算出)となっており、「投資すべき」の範囲の中でも、かなり優秀な部類に入るのです。


S&P500 年次リターン表から分かる「衝撃の事実」とは?

Wikipediaの英語版には

「S&P500の年次リターン表」
https://en.wikipedia.org/wiki/S%26P_500_Index#Annual_returns

が掲載されています。

この情報はとても重要なのですが、なぜか日本語版のWikipediaでは省略されています。大きな表となるため、スマホで見ている人は後でパソコンでも確認することをオススメします。

これを見れば、なぜウォーレン・バフェットが身内に S&P500 への投資を推奨しているのかが、一目瞭然でわかるでしょう。

この S&P500 のリターン表は1974年から2016年までの年利を示しています。
英語で書かれている列名はそれぞれ次の意味になります。


◾Year(年)

◾Change in Index(年利)

◾Total Annual Return Including Dividends(配当を含む年利)

◾Value of $1.00 Invested on 1970-01-01(1970年1月1日に投資した1ドルの価値)

◾5 Year Annualized Return(5年間の平均年利)
◾10 Year Annualized Return(10年間の平均年利)
◾15 Year Annualized Return(10年間の平均年利)
◾20 Year Annualized Return(10年間の平均年利)
◾25 Year Annualized Return(10年間の平均年利)


これらの列名を眺めると、なんとなく伝えたい事がわかるかと思います。

この表は S&P500 の保有期間が長くなればなるほど、「確実にプラスの収益が得られる」ということを示しています。こちらの解説をご覧ください。

S&P500 リターン表(解説その1)
http://www.mag2.com/p/money/33942/2


S&P500の年利(配当込み)は1970年から1974年の5年間で

「+4.01%⇒14.31%⇒18.98%⇒-14.66%⇒-26.47%」(赤線の範囲)

と推移しています。

大きく上昇した年もあれば、大きく下落した年もありました。
この5年間の平均年利を求めると、-2.35%です。

S&P500 は1973年と1974年に、それぞれ-14.66%、-26.47%と大きく落ち込みました。

1973年に S&P500 への投資を開始して、翌年の1974年に売ってしまった人は、-14.66%と-26.47%と資産が減っていき、散々な結果に終わっています。

しかし、投資を開始したタイミングにかかわらず、5年間、保有し続けた場合、概ねプラスになっています。マイナスになったとしても、3%未満の値です。

◾1970年〜1974年の5年間 ⇒ 平均年利-2.35%(赤色の矢印)
◾1971年〜1975年の5年間 ⇒ 平均年利+3.31%(緑色の矢印)
◾1972年〜1976年の5年間 ⇒ 平均年利+4.87%(青色の矢印)


さらに保有期間を伸ばして、10年にした場合の平均年利を示しているのが右隣の列です。

◾1970年〜1979年の10年間 ⇒ 平均年利5.86% (紫色の矢印)
◾1971年〜1980年の10年間 ⇒ 平均年利8.45%(橙色の矢印)
◾1971年〜1980年の10年間 ⇒ 平均年利6.47%(黒色の矢印)

期間を延ばせば延ばすほど、収益がプラスになっていきます。


S&P500は15年以上保有すると、ほぼ100%の確率でプラス収益になる!

さらに詳しく見ていきます。

先に挙げた Wikipedia に記載されている S&P500 のリターン表には、とてつもなく重要な情報が潜んでいます。

保有期間を 5年⇒10年⇒15年⇒20年⇒25年 と伸ばしていくと、最低リターンがどんどん切り上がっていくのです。

わかりやすいように、5〜25年間の保有で、リターンがマイナスの年を赤枠で囲いました。一番下に、High、Low、Mediumと記載していますが、これは「最高年利、最低年利、単純平均年利(※)」となっています。

(※)Mediumの値は標準偏差ではなく単純平均年利の値です。

最低年利を水色の枠で囲いました。下記の表をご覧ください。

S&P500 リターン表(解説その2)
http://www.mag2.com/p/money/33942/3


5年間の保有では合計で5回、マイナスに落ち込んでいます。

マイナスになったといっても、最低でも-2.35%になっていて、それほど、大きな落ち込みではありません。

ただ、少し気になるのは、21世紀に入ってからの S&P500 のリターンが落ち込んでいる点です。マイナスリターン(赤枠)は、2001年以降に集中しています。

近年のパフォーマンス低下問題は、S&P500に限った話ではなく、バークシャー・ハサウェイでも同じです
(このことは、インデックス投資よりも高いリターンを求める投資家には大切なことです。また別の機会で詳しく取り挙げます)。


次に、5年から10年に保有期間を延ばしたケースを見ていきましょう。

10年間の保有では 2008年、2009年の2回だけがマイナスリターンでした。
これはリーマンショックの影響です。

さらに 10年から 15年、20年、25年と保有期間を延ばしたケースを見てください。

15年以上の保有では、マイナスリターンがなんと0回!
水色の最低年利を見ると、保有期間が長ければ長いほど、成績が良くなっていることが伺えます。


最低年利の推移(水色の枠)

5年保有:-2.35%
10年保有:-1.35%
15年保有:+4.24%
20年保有:+7.68%
25年保有:+9.15%


S&P500 への投資は「ほぼ確実に勝てる勝負」です。
しかも勝負を引き延ばせば延ばすほど、勝率が100%に限りなく近づいていきます。

20年保有で最低でも +7.68%の平均年利を獲得しているというのは驚くべき事実でしょう。


年利7.68%の運用を20年間、続けた場合

・100万円 ⇒ 878万円
・500万円 ⇒ 2,196万円
・1,000万円 ⇒ 4,392万円
・2,300万円 ⇒ 1億102万円


バフェットの「ゆっくりとお金持ちになるのはかなり簡単です」という言葉が身にしみります。


ウォーレン・バフェット

『私は一番大きな間違いは、正しい貯金の習慣を早いうちに学ばないことだと思います。

貯金というのは習慣なのです。

誰もが早くお金持ちになろうとします。
ゆっくりとお金持ちになるのはかなり簡単です。
しかし、すぐにお金持ちになるのは簡単なことではありません。』


私たちは「常勝のS&P500」に“いつ”投資すればいいのか?

そこで多くの人がインデックス投資を実践する上で、「いったい、いつS&P500への投資を開始すれば良いのだろうか?」という疑問を抱きます。

一般的なインデックス投資論では、本稿で見てきたように「保有期間の長さ」がリターンを決定づけます。

そのため、S&P500 への投資を開始するタイミングをうまく捉えるよりも、コンスタントに投資を続けて、保有を継続することに集中することが推奨されています。

インデックス投資について、膨大な歴史的なデータを用いて研究しているジェレミー・シーゲル博士の著書『株式長期投資のすすめ』の内容(127〜128頁)を以下に引用します。


『15年以上もロバート・エガートはエコノミストの予測を集計し、「ブルーチップ経済指標」として発表している。1979年7月のブルーチップ経済指標によれば、多くのエコノミストが景気後退はもう始まっていると予測していた。

しかし、NBER(全米経済研究所)は景気のピークは1980年1月と決定した。エコノミストは、1980-82年の厳しい景気後退の予測にも失敗した。1985年4月には、多くのエコノミストが景気拡大は1986年12月に終わると予測していたが、これは実際よりも3年半も早すぎた。1987年の株価暴落ののち、エコノミストは成長率予想を引き下げたが、実際には経済成長率は4%に加速した。

中略

株式の価値は企業収益を基盤する。景気循環は企業収益の重要な決定要素である。もし景気循環を予想できたなら株のリターンはきわめて大きい。だが実際には難しい。さまざまな経済統計が開発されているが、予測の精度は上がらない。最悪のやり方は、景況感を後追いすること。これには株式をその高値で買い、安値で売ることになる。

投資家への教訓は明らか。経済分析をもってしても株に勝つのは難しい。景気の転換点を当てるのは、その時期を過ぎてからで、その時に株価はもう動いている。 』

注目すべきは「エコノミストは、1980-82年の厳しい景気後退の予測にも失敗した」という部分です。驚くべきことに、エコノミストの景気後退の予想にもかかわらず、S&P500はその後、約20年間にわたって黄金時代を迎えます。

1980年代、1990年代はほとんど負けることがなく、毎年のように+20%〜+30%のペースで上昇が続いています。この黄金時代は、ITバブルが崩壊する2000年に入るまで続きました。


黄金時代

1980年+32.50%
1981年-4.92% ←小休止
1982年+21.55%
1983年+22.56%
1984年+6.27%
1985年+31.73%
1986年+18.67%
1987年+5.25%
1988年+16.61%
1989年+31.69%
1990年-3.10% ←小休止
1991年+30.47%
1992年+7.62%
1993年+10.08%
1994年+1.32%
1995年+37.58%
1996年+22.96%
1997年+33.36%
1998年+28.58%
1999年+21.04%


ITバブル崩壊

2000年-9.10%
2001年-11.89%
2002年-22.10%
2003年+28.68% ←バブル崩壊から脱出!

毎年、年初に「今年の株価は上がるか?下がるか?」という特集記事が出回りますが、この種の予想が当たらないのと本質的には同じ話です。景気後退を予想して、S&P500 への投資を見送っていると、その期間分、機会損失になります。


シーゲル博士の結論は「いつでもいいから、とにかく S&P500 に投入せよ!」です。


いきなり全資金投入はアリ? 結局どういう買い方が良いのか

シーゲル博士の研究結果を元に考えると、S&P500 を長期で保有すれば、損はせずに利益になることわかった!

そして、ウォーレン・バフェットが一般の人向けに

「資産の 90%を S&P500 に、残りの 10%を債券に投資せよ」

と言っている真意もよくわかった!

それでは、いきなり全資産の 90%を S&P500 に投入するのが正しい方法なのでしょうか。

シーゲル博士は「配当をひたすら再投資する」という手法を勧めています。
しかしながら、具体的に S&P500 の購入手法についてまでは踏み込んでいません。

ヒントになるのが、シーゲル博士の著書『株式投資 長期投資で成功するための完全ガイド』で語られている「移動平均戦略」です。シーゲル博士は、移動平均戦略の有効性に一定の評価を下しています。

株価が移動平均線に近づいた時(または移動平均線よりも下回った時)が買い時だということは特に目新しい話ではありません(短期トレーダーに好まれている手法です)。

移動平均線とは、一定期間の株価の終値の平均値をつなぎ合わせた折れ線グラフのことです。

例えば、10日移動平均線であれば 10日分の終値を合計して10で割った株価を求めます。営業日が 1日進む毎に直近 10日分の終値の平均株価を求めていき、その10日分の平均株価を繋げた線を「10日移動平均線」と呼びます。

10日移動平均線よりも現在の株価の方が高ければ、過去10日間の平均に比べて、株価が高くなっているということが一目でわかります。

最終的な結論として、シーゲル博士は「バイ&ホールド」には勝てないという立場を貫いており、移動平均線はあくまで目安程度に留めておいた方が良さそうです。


バンガード S&P 500 ETF(VOO) 日足(SBI証券提供)
http://www.mag2.com/p/money/33942/5

◾緑の線=25日移動平均線
◾紫の線=50日移動平均線
◾赤の線=75日移動平均線

今の S&P500 はいずれの移動平均線よりも高くなっており、少し相場が加熱していることが伺えます。

逆に2015年8〜9月、2016年1〜2月の株価は移動平均線よりも下回っており、バイ&ホールドをしたい人にとっては良いタイミングでした。

繰り返しますが、あくまで移動平均線は一般的な目安であって、これを信じて、短期的な売買を行ってはいけません。


ドル・コスト平均法で購入するとリスクが大幅に減る

S&P500 等の株式は500社に分散されているとはいえ、価格変動がとても大きいという特性を持っています。過去のデータでは、S&P500 は1年で±37%程度の上下運動があり得ます。

もしある一時期に一点集中で購入した場合、運悪く高値で掴まされると、プラスの収益に到達するまでに時間がかかってしまいます。

そこで長期投資家の間でよく使われている購入手法が「ドル・コスト平均法」(定額購入法)です。一度に購入せず、資金を分割して均等額ずつ定期的に継続して投資します。

例えば「予定資金を12分割して、月末ごとに資金の1/12を投入し、一年かけて全量を買う」という手法です。価格が高い時は購入数量が少なく、安い時には多くなるため、単純な数量分割に比べ、平均取得単価が下がるというメリットがあります。

価格が下がった場合のみならず、上がった時にも買う点で難平(ナンピン)買いとは異なります。

ドル・コスト平均法は、シーゲル博士が推奨している「配当金をひたすら再投資する」という手法とも相性が良い点にも注目です(S&P500の配当金支払いは年4回です。博士のアドバイスに従えば、結果的に年4回、配当金をドル・コスト平均法で購入することになります)。

参考までにドル・コスト平均法を下記に図解で示します。比較のために「定量購入法」も併記します。


定量購入法
毎回10株と決まった数量を買い付ける → 購入価格が毎回変わる


ドル・コスト平均法(定額購入法)
毎回1万円と決まった金額で買い付ける → 購入株数が毎回変わる


ドル・コスト平均法と定量購入法の比較
http://www.mag2.com/p/money/33942/5


市場株価がどのように動いても、定量購入法よりもドル・コスト平均法(定額購入法)の方が平均購入単価が安くなります。一見、不思議に感じるのですが、理屈は簡単です。

ドル・コスト平均法は毎回1万円と投入金額を固定しているので、株価が割高になっている時は購入株数が少なくなり、反対に割安になっている時は購入株数が多くなります。その結果、平均購入単価が下がるというカラクリです。

さて、次回のメルマガでは「S&P500を購入する際に割安・割高は本当に関係ないのか?」という点について、ベンジャミン・グレアムの観点に立って、インデックス投資への適用を試みます。「シーゲル博士 vs. グレアム師匠」の対決です。乞うご期待願います。
http://www.mag2.com/p/money/33942


まあ、日本人が S&P500 インデックス投資をしても円高になったらすぐに 3割、4割と目減りするので下手にアメリカ株には手を出さない方がいいですけどね。


海外ETFのやさしい解説
http://kabukiso.com/apply/kinyu/k-etf.html

海外ETF比較一覧表
http://kabukiso.com/apply/kinyu/kaigai-etf/itiran.html

海外上場 ETF で世界へ分散投資
SPDR トラストシリーズ1 : アメリカの株価指数S&500に連動するETF
http://www.index-toushin.com/2008/09/vsetf.html

アメリカの株式に投資できるETF バンガード・S&P500 ETF
http://558110.info/VanguardS&P500ETF.html


___


今人気沸騰の 「レバレッジ型・インバース型ETF」 は 『ネットパチンコ』
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/893.html

知らぬが仏 _ FX は『ネットパチンコ』 _ 金はすべて胴元に取られる
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/892.html

FX ・ 先物取引 ・ 空売り は『ネットパチンコ』、 絶対に手を出してはいけない
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/894.html


17. 中川隆[-7531] koaQ7Jey 2017年5月22日 21:43:08 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

初めて実行員が暴露した、アメリカの国際陰謀・工作秘史 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=BhfCgO0ItY8


初めて実行員が暴露した、アメリカの国際陰謀・工作秘史 2012-06-03


「国家を征服しその国民を例俗化するためには、二つの方法がある。
 一つは武力であり、もう一つは負債である。」


◇途上国を食い物にするアメリカ◇


歴史上で初めての、真にグローバルなこの帝国を築いてきたのは、私たちエコノミック・ヒットマンです。・・・

・・・そして、私たちはそのために、あらゆる手段を講じているのです・・・

しかし多分、もっとも一般的な方法は、まず原油のように米国企業が携わる資源を膨大に保有する国を見出す方法だと思います。そして、世界銀行かその関連機関から、膨大なローンをその国のためにアレンジするのです。

しかしその資金が、実際にその国に行くことはありません。かわりに、電力施設、工業団地、港など、インフラ整備と言う名目で我々の大企業に行き着くのです。その国の本の一部の富裕層と、アメリカのいくつかの大企業を潤すプロジェクトにです・・そして大多数の国民は無視されながらです。

しかし、国民とこれらの国には、莫大な債務が残るのです・・・それも絶対に完済できない額の債務です。でも支払いが行き詰まるのは、この計画の一部分なのです。
そして時を見計らって、エコノミック・ヒットマンが再び伝えに行くわけです。しかし今度は、貴方の国は多額の債務を負っていますね・・・このままでは、完済は不可能ですから原油を売りませんか?我々の企業に超特価でね、とです。

ほかにも、アメリカの軍事基地を作らせてくれとか、軍隊をイラクのような戦争地域に送って一緒に戦ってくれとか、国連の決議でアメリカ側についてくれとか、電力会社や水道や下水システムを民営化して米国企業や国際企業に売却してくれとか・・・ですから本当にマッシュルームのように出来ることがひろがっていって、これが世銀やIMFの典型的なやり方なんです。


可哀想な話ですが、貧しい国はこうして借金漬けにされ、返済することも出来なくなる・・・

そして次には借金のリファイナンスを持ちかけられて、さらに大きな金利を要求される。

そして次には融資条件や良いガバナンスという名のもとに、公益事業会社を含むさまざまな社会サービス、時として教育制度、刑罰制度、保険制度などを外国企業に売却することを要求されるのです。ですからもう2重、3重、4重のぼったくりの仕組みなのです。


・・・・・
イラン 1953


エコノミック・ヒットマンの先駆けは、イランのモサッデクが、民主的な選挙によって大統領に就任した1950年代前半に始まりました。
モサッデクは、民主主義の希望として中東や世界中から期待され、タイム誌の「Man of the Year」にも選ばれていました。

しかし、彼が選挙戦で公約し実行に移しだした政策の一つは、イランの原油が寄りイラン国民の利益になるように、外国企業により大きな対価を払わせるというものでした。変った政策ですけどね・・・。

アメリカは勿論、その政策を好んでいませんでした。
でもそれまでにしてきたように、軍隊を送り出すまでの勇気もなかった・・・だから代わりに一人のCIAエージェントを送り込んだのです。
カーミット・ルーズベルト、ルーズベルト元大統領の親戚です。

すると彼はとても効率的、効果的に動き、たった2、3百万ドルの資金で、しかも数ヶ月の短期間のうちに、モサッデク政権の転覆に成功したのです。そして、アメリカの原油事業にとって都合がいいシャーを政権につけました。非常に効果的でした。


・・・・・
イランでの反乱

溢れるほどの人々がテヘランに集結しています。陸軍将校、モサッデクは降参し、独裁政権は終焉を迎えました。人々は明るく、市民は歓喜の声を上げ、シャーの写真を高く掲げながらパレードをしています。シャーは本国に温かく迎え受けられました。

これを見て、アメリカのワシントンでみんなが顔を合わせて言ったのは「ウワォ・なんた簡単なんだ・・しかもこんな安く!」。そして、これがまったく新しい手法が確立された瞬間でした。他国を操作し、アメリカ帝国を築くためのです。

しかしこの時の一つの問題は、カーミット・ルーズベルトがIDカードも携帯している公式のCIAエージェントだったということです。もし彼が捉えられていたら、ことの成り行きはかなり深刻なものとなっていた可能性があったからです。
そしてすぐに決定されたことは、これ以降は、世銀やIMFなどの金融機関との資金のやりとりをしたり、他の協力者を募ったりするのは、全て民間コンサルタントを通して行うということです。たとえ捕まっても、アメリカ政府に悪影響を及ぼさないためです。


・・・・・・
グアテマラ 1954

アーベンツがグァテマラ大統領に就任した時、グァテマラは巨大な国際企業、ユナイデット・フルーツ・カンパニー社に完全に牛耳られていました。

アーベンツ(大統領)は、自分達の土地をグァテマラ人のもとに取り戻したいと決めていました。大統領就任後、彼はこうした政策を着実に講じていったので、ユナイテッド・フルーツ・カンパニー社は嫌っていました。

そして彼らはPR会社を雇い、アメリカ国内で膨大なキャンペーンを行いました。アメリカの国民、メディア、政治家に「アーベンツはソビエトのあやつり人形だ」ということを信じ込ませようとしたのです。

さらに、「このままアーベンツ政権が続けば、ソビエトのこの地域での足がかりを確実なものとしてしまうだろう」とも脅しました。米国民は赤色テロルの恐怖のおののきました。

長い話を短くすれば、このキャンペーンの結果、CIAと軍とにより、この政権を崩壊させるための計画が策定されました。そして私たちは、それを実行したんです。私たちは、宗教関係者や兵士やジャッカルなどいろいろ送り込み、彼を引き摺り下ろしました。そして、新政権が発足すると、新大統領はユナイテッド・フルーツ・カンパニー社など国際企業に対する政策をすべて変更したのです。


・・・・・・・
エクアドル 1981

エクアドルではとても長い間、新米国政権による専制政治が行われていました。そのほとんどが比較的残忍な政権でした。しかしある時、真に民主的な選挙が行われることが決定され、ハイメ・ロルドスが立候補しました。

ロルドスが掲げた最重要政策は、エクアドルの資源はエクアドルの国民のために使うというものでした。そして彼は、それまでエクアドルの誰もが得たことのない多数の支持を得ました。圧倒的な勝利でした。

彼は公約の「エクアドルの資源からの利益がエクアドル国民のためになる政策」を着実に実行していきました。しかし、それをアメリカは嫌っていました。

そして私がエコノミック・ヒットマンの一人としてエクアドルに送り込まれたのです。

ロルドスに政策転換を迫り、買収し、彼をアメリカ側に取り込むように・・・「もし貴方が私たちのゲームに参加してくれるなら貴方と家族は大金持ちになれます。しかし、選挙公約を守ろうとするのなら、消え去ることになりますよ」と脅してです。

彼はアメリカの要求を受け入れませんでした。
そして彼は暗殺されました。

飛行機が墜落するとただちにいったいは封鎖され、近隣基地からの米軍の軍隊とエクアドル軍の数名だけが立ち入ることを許可されました。

そして操作が開始されると、最も重要な二人の承認が法廷で証言をする前に交通事故で死んだのです。こんな奇妙なことが起こり続けました。

この事件を調べたほとんどの人たちと私は、これが暗殺だったことに微塵の疑いも感じていません。エコノミック・ヒットマンとしての私の立場からも、何かが起こると当然予想していました。クーデターか暗殺か何か分かりませんでしたが、彼が引きずりおろされることを・・アメリカの言い分を受け入れなかったし、買収にも応じなかったからです。


・・・・・
パナマ 1981

パナマの大統領、オーマー・トリホスは私が真に好感を抱いた人間の一人でした。とてもカリスマ的で、国の惨状を何とか改善しようと、心の底から考えていました。


私が彼の買収を試みたとき、彼はいいました。「なぁ・・ジョン・・」、実際、彼は私のことをワニートと読んでいて、「なぁ、ワニート・・私がほしいのはお金ではないんだよ。私が本当に欲しているのは、我々の国が公平に扱われることなんだ・・・そのためには、アメリカには我々の国々で行った全ての破壊に対する償いを国民に対して清算して欲しい・・・そして私は、他のラテンアメリカ諸国が、独立を果たした時、北アメリカによる、このひどい搾取からの自由を勝ち得たとき、彼らを助けてあげたいんだよ・・・

・・・だからパナマ運河を取り戻すことが必要なんだ・・・パナマ国民の手の元に・・・、これが私の望んでいることだ。だから放っておいてくれ、買収しようとしないでくれ、試みないでくれ・・」


1981年のことでした。そして5月、エクアドルのハイメ・ロルドス大統領が暗殺されました。

オーマー・トリホスはいったい何が起こっているか、ちゃんと知っていました。
そしてトリホスは家族を集め伝えました。「次は多分私の番だろう、、でも、それはそれでいい。私は私がすべきことをやり遂げた・・・運河の交渉を再開させ、パナマ人の手に取り戻したからだ」彼はジミーカーターと、運河変換の条約を締結させたところでした。

それから2ヶ月たったその年の6月、彼が乗った飛行機が墜落し、彼は暗殺されました。CIAが手を回した、ジャッカルが殺害したことは間違いありません。証拠も沢山あります。トリホスのセキュリティガードが、トリホスが飛行機に乗る直前に小さなテープレコーダーを私、それに爆弾が仕掛けられていたのです。


・・・・
ベネズエラ 2002

ある意味では、このようなシステムがたいした変化もなく、長年存続し続けたことは興味深いことです。エコノミック・ヒットマンの能力はこの間どんどん上がり続けましたがね・・・。

ごく最近では1998年、ベネズエラでチャべスが大統領選に勝利しました。
長期間にわたるいくつもの腐敗政権のために、国内経済は崩壊状態に追い込まれていました。そんななかで大統領に就任したのがチャべスだったのです。

チャべスはアメリカに立ち向かい、言い放ちました「ベネズエラの原油はベネズエラの国民のために使う」と。アメリカはそれを嫌いました。そして2002年クーデターが起こりました。このクーデターはCIAが引き起こしたものであることを、私や私の周りのほとんどの人は疑いを持っていません。

このクーデターの起こし方は、カーミット・ルーズベルトがイランで行ったやり方と同じものです。民衆をお金で買収してデモ行進をさせ、暴動を起こさせます。チャベスに対する反対運動を「チャベスがとても不人気だ」と思わせるようなことを言わせながら起こすのです。

2、3千人の人をテレビの前に集めれば、国中が反対していると思わせることが可能です。

そしてそこからは、マッシュルームのように増加してくのです。
しかしチャベスは頭が良く、民衆の支持もとても強固であったため、これを乗り切ることに成功しました。そしてそれはラテンアメリカの歴史にとって、驚異的な出来事だったのです。


・・・・
イラク 2003

イラクは、このシステムがどのように機能するかを説明するためには最もよい事例です。

最初に私のようなエコノミック・ヒットマンが先人として政府を買収するために送り込まれ、巨大な負債を負わせ、これをレバレッジにして国全体乗っ取る計画を実行します。しかし、もし私たちがパナマのオーマー・トリホスやエクアドルのハイメ・ロルドスのケースで失敗したように買収に失敗すれば、次のステップとしてジャッカルが送り込まれます。

ジャッカルは政権を転覆させるか暗殺を実行し、新政権を打ち立てます。新政権は、刃向かえば何が起こるか知っているので、政策はすべて変更されるのです。
イラクの場合、この二つのステップで失敗してしまいました。エコノミック・ヒットマンはサダム・フセインを買収することが出来なかったのです。

私たちは何とかフセインを買収しようと、あらゆる手を尽くしました・・・サウジアラビアのお受けが受け入れたディールと同じようなディールをもちかけましたが、フセインは拒否しました。

すると次にジャッカルが送り込まれました。しかし、フセインの警備隊はとても優秀で、暗殺も失敗に終わりました。

何といっても、フセインは以前、CIAのエージェントでしたからね・・前イラク大統領の暗殺のために雇われていたのです。失敗しましたが。だから彼は私たちのやり方を熟知していたのです。


それで1991年、アメリカは軍隊を送り込みました。そしてイラク軍を破壊しました。この時点で、私たちはフセインが擦り寄ってくると考えていました。

抹殺することも可能でしたが、私たちはそれを望んでいませんでした。フセインは言うなれば私たちにとって都合のいい「強い男」のタイプで、国民やクルド人をうまくコントロールし、イラン人を国境内に封じ込め、アメリカのために原油を掘り続けてくれると考えていたからです。

そして、フセインの軍隊を破壊したので、今度は交渉にのってくると思ったのです・・・。

そして90年代、再びエコノミック・ヒットマンが送り込まれた。しかし成功することはありませんでした。もし成功していたなら、フセインはまだ大統領だったでしょう。彼が欲しただけジェット戦闘機もアメリカは売っていたでしょうし、その他にも何でもです。しかし失敗に終わりました。

そしてジャッカルもまたフセイン暗殺に失敗したのです。すると再び軍隊が送り込まれました。しかし今回は、計画の全工程を完全執行するために、フセインを葬り去り、この過程で、さまざまな利益の厚い建設案件を得てです。

私たちが破壊した国を、私たちが再建する事業を得たのです。大きな建設会社の所有者にとってはこの上ない話でした。

このようにイラクでは三つのステージがありました。エコノミック・ヒットマンが失敗し、ジャッカルが失敗し、そして最終手段として軍隊が送り込まれたのです。


このように、我々は帝国を築いていきました。とても巧妙に、秘密裏にです。
過去における定刻はすべて武力によって築かれました。


そして人々は皆、自分たちが帝国を築いていることを知っていました。イギリス人、フランス人、ドイツ人、ローマ人、ギリシャ人、そして彼らはみんな誇りを持っていた。

文明や宗教などを広めるなどのエクスキュースが何かしらあったからです。そして彼らは意識的に行っていたのです。


でも、我々は知りません。アメリカにいるほとんどの人は、この禁秘のアメリカ帝国が他国からの搾取によって得た利益で生きていることを全く知りません。
しかし以前にも増して、今日に至ってはとくにそうなのです。


帝国があるのなら、誰がその皇帝なのかということになります。それはアメリカ大統領ではありません。皇帝は選挙によって選出されるのではなく、人気もなく報告もしないのです。

だから大統領ではありません。


しかし、皇帝と同じ役割を果たしているものがあります。私はそれをCorporatocracy と呼んでいます。Corporatocracyとは大企業を動かしている個人の集団で、実質的にこの帝国を動かしている人たちです。


メディア企業を直接保有したり、広告主として圧力をかけることにより、メディアをコントロールし、企業献金や、企業収益を原始とした個人献金を通してアメリカのほとんどの政治家をも支配しています。


彼らは選挙によって選ばれるわけではなく、人気もなく、誰かに報告するわけでもありません。しかも、このピラミッドの頂点の人たちは、あるときは企業で働いていたり、あるときは政治家になったりして、外からではいったい誰のために働いているか判断できません。

ですから、例えばある時はハリバートンのような巨大建設会社の社長だった人が、次の瞬間アメリカの副大統領になったりします。そしてその政権の大統領が石油関連事業に携わったりして、これは民主党でも共和党でもまったく同じことなんです。

まるで回転ドアで前に言ったり後ろに行ったり・・・。

そしてある意味では、政府の政策は企業によって実行されることもあるため、私たちの政府が何をやっているかが見えないこともあるのです。しかも、その政策とは、もともとこのCorporatocracyによって策定され、政府によって提案されて政府の政策となったものなので、この関係は非常に心地いいものもあるのです。

これは陰謀論の類のものではありません。

集結して陰謀を企てる必要はないのです。彼らはただ、同一の前提の元に行動しているだけです。

そしてその前提とは、企業は、社会、環境コストを顧みることなく、その利益の最大化を最優先に追求しなくてはならないということなのです。

-----------------------

  ↑
(これがいつもやっている米の常套手段ですね・・。自分たちの都合のためなら飛行機を爆発させてでも、一般市民を巻き込んで多くの人の命を奪うことなど平気で屋ってのけるのです。これが米がやってきたことです。

この日本でもこの脅迫めいた脅しにより政治家らが多く米側の都合の良いような発言や行動をしているのは間違いないといえます。彼らは米に脅迫されているのだと思います。)


こういった米の裏のやり方,この闇の金で悪魔に魂を売った支配層らのやり方が、どこまでサイコパスとしかいいようのない魔人らであることはもう言うまでもないと思いますが、、しかしこのようなことをネットに開示し、顔を出してしまったこのエコノミックヒットマンは?
大丈夫なんでしょうかね??それがとても疑問??

現在、日本政府の無理やりな原発稼動や放射能拡散政策がありますが、、
橋下市長が脱原発から、大飯原発稼動について期間限定で容認という姿勢になってきたとか、私たち日本人はこの政府役人らの信じられないような棄民政策に怒り心頭、必死の攻防が(マスコミでは報道されないけれど)行われています。

実際にはやはり裏側にあるのは、やはりこの動画でも分かるように、米が自国では危険なため、植民地であり属国である敗戦国=「日本」と「日本国民」に押し付けてきたウラン燃料の有効利用=原子力産業を今後もしっかり推進してアメリカに金を注いでもらいたいという、米の思惑が確実にあるのが見えます。
http://ameblo.jp/135215/entry-11267992911.html


18. 中川隆[-7530] koaQ7Jey 2017年5月22日 22:40:58 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

モンサント社: 世界的恐怖のインパクトー真実がわかる裁判判決 環境に重大な悪影響を及ぼす行為に関与しており、
http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/682.html
https://twitter.com/tokaiama/status/864947505275953152
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=326583
http://shinhakken-blog.seesaa.net/article/449857882.html

昨年バイエルン社と合併し、モンスター多国籍企業となったモンサント社。

世界の中でも南米は、モンサント社に侵食され、多くの被害を被っている筆頭と言ってもよい地域です。なかなか我々日本人が目にする機会の少ない南米からの記事をお届けします。

モンサントビジネスの侵食がされている国からの情報は、日本でも無縁と言い切れない状況になっている中で恐怖の真実を知るよい機会と言えそうです。
(Source:Monsanto, hallado culpable por daños a la salud y el ambiente, crímenes de guerra y ecocidio)

モンサントは世界が恐れる大規模生態系破壊者なのか?

この程、国際人民裁判は、モンサント社の大規模生態系破壊、戦争犯罪、健康環境への権利侵害、科学的自由の侵害などの歴史を分析しました。

モンサント社は、20世紀初頭以来、PCB (ポリ塩化ビフェニル)、2,4,5-T、ラッソ除草剤、グリホサートで作られた有名な除草剤「ラウンドアップ」など生体への毒性が高い製品を販売しています。

roundup-products.png
↑遺伝子組み換えだけに注目されがちなモンサントですが、実はこうした有害製品こそ直接的な生態系破壊活動をしています。

この裁判で評判の高い5人の裁判官のひとりアルゼンチン人のエレノラ・ラム メンドーサ最高裁判所人権副部長は、裁判を行うためにハーグの国際刑事裁判所によってとられた同じ手続きが行われましたが、同社は参加を拒否しました。

そして裁判官たちの結論は、

❝ 大規模生態系破壊の犯罪が国際的な刑法で認められれば、モンサントの活動は生物多様性と生態系への実質的かつ永続的な損害を引き起こし、健康に影響を及ぼす限り、大規模生態系破壊の犯罪扱いとなる可能性がある❝

と、判決で疑いの余地がない結果が世界に警告されたことになりました。.

判決で取り上げられた最初の点は、モンサントが健康で公平な環境への権利を侵害したかどうかであり、これはすべての人権の行使の前提条件となっています。

この判決の裏付けに専門家たちは、スリランカで除草剤ラウンドアップ使用による慢性腎臓病、ブラジルでのがん患者の上昇、毒性成分グリホサートによるアルゼンチンとフランスの奇形の症例を発見した研究者の証言を分析してきました。

kidney_disease(1).gif
↑(参考)米国のラウンドアップ(グリホサート)とGMOの使用量と腎臓がん発症率グラフ

さらに、土壌汚染による繁殖力の喪失、遺伝子組換え農作物による農場汚染、遺伝子組み換え作物入リ飼料を与えられたブタの健康問題も取り上げられました。.

さらには、オーストラリアやカナダの遺伝子組み換え菜種油の大量生産による環境汚染、インドでの種子市場の独占やアルゼンチンの水源、多くはパラナ川の調査によるグリホサートの混入などもあげられています。.

このようなレベルの証拠に対して裁判では以下の結論に達しています。

❝ モンサントは、環境に重大な悪影響を及ぼす行為に関与しており、多くの国の無数の個人および地域社会、ならびにその環境の健康に影響を与え、結果として動植物および生物多様性に影響を与えている ❞

roundup-excessive-1000.jpg
↑第2のポイントは、世界の飢餓を終わらせる為として大量生産によるアグリビジネスのための「遺伝子組み換え(GMO)種子+農薬」というコンボ販売を行い、ゼロベースの農業を始めていることです。(写真はGMOコーン種子とセットのブランド「ラウンドアップレディー」)

判決によると、"そのようなコンボ販売に頼らずとも世界は常に伝統的な農業を追求することによってすべての人々の食糧を生産することができた" と結論付けています。

実際、スリランカの一部の地域ではキビ、ゴマ、野菜、果物、穀類の伝統的な品種で良い収穫が得られており、農薬被害を原因とするラウンドアップと他の5つの製品は2015年に禁止しています。

裁判所はまた、"農作物が必要とする栄養素の条件に悪影響を及ぼした土壌被害と、その同じ農業に使用される水路" の問題を指摘しました。

サンタフェで150ヘクタールを所有し、1996年以来遺伝子組み換え大豆の生産するディエゴ・フェルナンデス氏は、ラウンドアップの使用増加が必要になっていったことで、どのような影響を受けたのかを伝えています。

土壌凝固.jpg
“ 初めは毎年1ヘクタール当たり1リットルのRoundup使用でしたが、耐性のある枯れない雑草が増えてからは、10〜12リットルを使用するようになり、結果、土壌凝固、根の死滅、微生物活動の減少が生じました。そして土壌凝固により、水の土壌浸水ができなくなった為、洪水が発生しました "

こうした事象は、メキシコ、インド、ブルキナファソ、バングラデシュの農民から同様の証言がありました。

❝ これらの証言で健康で公平な環境への権利を侵害したことが明らかになった ❞

と裁判官は述べています。

また、ロザリオ国立大学医学部の社会環境保健研究所を率いる医師専門家たちは、アルゼンチンの4つの州、27の場所で調査が行われている「衛生キャンプ」と名づけられたプロジェクトを率いています。

これらの地域からの96,874人のデータを収集した後、遺伝子組み換え作物の使用およびモンサントが製造販売したグリホサートに関連した疾患者の割合が非常に高いことが指摘されています。

❝ モンサント社は、遺伝子組み換え作物およびそれに関連する除草剤の承認を得るために、不正かつ欺瞞的で不透明な方策や活動を日常的にしている❞

といういくつかの証言を裁判所は取り上げています。

パラグアイのフェルナンド・ルゴ元大統領は、「遺伝子組換え作物や除草剤の効果的な規制は存在しなくなり、モンサント州は遺伝子組換え綿、トウモロコシ、小麦を自由に導入することができ、地元の農家に悲惨な結果をもたらした。」と述べています。

こうした深刻なリスクに関して、フランス、カナダ、ドイツなどからも同様の証人がいました。

Agent_Orange_Cropdusting.jpg
↑最後の問題は、ベトナム戦争中に米国が使用したエージェントオレンジ(枯葉剤)を製造・供給していたモンサント社が戦争犯罪の共犯者であったかどうかでした。

❝ ベトナム戦争での枯葉剤の必要性を示し、かつ、その製品がどのように健康と環境に対して有害な影響を与えるか情報を持っていた ❞

と裁判所は述べ、結論付けています。

そして、現在モンサント社は製造者の過失は一切無いという主張で一貫しています。

-----終了


1. 2017年5月18日 09:00:37 : Epg1FwOdux : GDQEAQyOX_U[1]

モンサント問題を提起するなら、

PCBなら三菱化成(現在の三菱化学)との合弁子会社だった三菱モンサント化成も製造メーカーであったことと、遺伝子組み換えなら住友化学モンサントの名前も出さないと駄目でしょ。

そして、ベトナム戦争で使用された枯葉剤は日本モンサント製なので日本国内で製造されたと言われてます。

遠い国である米国のモンサントに日本の庶民は抗議する術を持たないので、身近な三菱財閥と住友財閥の悪行を白日の元に晒したほうが良いのだろうが、この記事もそうだが両財閥にマスコミを含めて日本は牛耳られているので、日本がモンサントに加担していたことは2CHネタにしかなりませんね。
http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/682.html

モンサントは、いかにして政府規制当局に侵略し、占領し、今や支配しているのか
Ethan A. Huff Natural News 2016年7月12日
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2016/07/post-a635.html


一体なぜ大企業が、アメリカ政府に対し、これほどの支配力をふるっているように見えるのか、不思議に思われた際、アメリカ政府で、一体誰があらゆる決定をしているのか以上のことはお考えにならなかったのではあるまいか?

より重要なのは、こうした連中の多くが、最高政府機関で、居心地良い幹部の地位を与えられる前に、一体どこで働いていたのかだ。

司法省(DoJ)、食品医薬品局(FDA)や、環境保護庁(EPA) などの各機関の、多数の上級顧問、局長、裁判官、理事など、幹部をつとめる人々、全員にある共通点があることを知れば、皆様驚かれるかも知れない。

モンサントなどの多国籍企業で重役をつとめていたことだ。

下図は、何十年も昔に遡る、モンサントと連邦政府との間で自由に行き来する回転ドア関係を示している。

皆様は、おそらくリスト上の多くの名前はご存じだろうが、納税者の税金で食べる重要な権限の役職につく前に、こうした連中がモンサントで働いていたり、同社の権益を擁護したりしたことについては、全くご存じない可能性がある。

保守派政治家もリベラル政治家も、モンサントとの協力という実績を共有している。

ドナルド・ラムズフェルドは、たぶん、すぐにお気づきになる最も著名な名で、このジェラルド・フォードと、ジョージ・W・ブッシュの下で国防長官をつとめた人物は、9/11の後“対テロ戦争推進で活躍した”ブッシュ政権の主要な戦争屋の一人として記憶されている。

ラムズフェルドも、やはり、後にモンサントと合併した医薬品会社G.D. Searleの元CEOだった。

リストにあるもう一人の有名な、おそらく皆様が驚かれる名前は、大半の物事に対する極右姿勢とされているもので、多くの保守派の尊敬を得ている元アメリカ最高裁判所判事クラレンス・トーマスだ。トーマスは、元モンサント弁護士で、負けた側のアル・ゴアから異議申し立てがあった2000年大統領選挙の票の数え直し要求を却下し、ジョージ・W・ブッシュを有利にする決定的投票をした人物だ。

FDA副長官の職を最近辞任したマイケル・テイラーも、同社の権益のために、7年間奮闘したモンサントの元弁護士だ。テイラーも、モンサントのワシントンD.C.事務所長をつとめたが、モンサントのような企業の活動を規制するFDAの業務を考えれば、明らかな利益相反だ。

EPA初代長官ウィリアム・D・ラックルサウスも、同社重役をつとめたモンサントの手先だ。ラックルサウス、1970年に長官に任命され、後には、連邦捜査局 (FBI)長官代行に出世し、更には司法省副長官の地位にのぼりつめた。

EPAは、おそらく皆様もご存じの通り、大企業が製造した化学物質の規制に甘いという評判だが、理由はご存じだろうか?

この機関は、最初から、モンサント工作員連中によって、環境保護ではない、全く別の狙いを推進するよう誘導されてきたのだ。


他の重要な連中には、下記の人々がいる。

•モンサント弁護士で、モンサント役員をつとめ、1992年には、クリントン-ゴア選対委員長をつとめた、マイケル・カンターは、1993年から1996年まで、アメリカ通商代表をつとめ、1996年から、1997年まで商務長官をつとめた。

•安全性を保証する証拠が欠如していたにもかかわらず、遺伝子操作された成長ホルモンrBGHを商業的に認可させるのを監督していたモンサントの首席科学者、マーガレット・ミラーは、1991年に、FDA副長官に任命された。

•モンサント子会社のクロップライフ・アメリカ元副社長のイスラム・サディキは、後にアメリカ通商代表部の首席農業交渉官に任命された。

•モンサント・バイオテクノロジー子会社カルジーン元重役、アン・ヴェネマンは、2001年に、アメリカ農務長官に任命された。

•元モンサント主席法律顧問、ルーファス・ヨークサは、1993年に、世界貿易機関のアメリカ副本部長任命された。

•14年間、モンサントCEOを勤めた、リチャード・J・マホニは、アメリカ・ソ連・日本韓国の貿易協議会の議長と、アメリカ政府貿易政策委員会メンバーとして働いた。

記事原文のurl:
http://www.naturalnews.com/054636_Monsanto_federal_regulators_corporate_collusion.html


日本の食と農業がモンサントに支配されます 安田節子
http://gekkan-nippon.com/?p=5356
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/604.html


種子を独占するモンサント  安田節子 2013/7/2


モンサント社員が食べないGM食品


―― 安田さんは『自殺する種子』(平凡社)で、遺伝子組み換え(GM)食品の安全性と米モンサント社による食の支配に警鐘を鳴らしています。


安田 GM食品は安全性が確認されていないにもかかわらず、世界中で食べられているのが現状です。GM食品が人体にどのような影響を及ぽすかは明らかになっていません。

 GM食品が登場したのは1996年です。同年11月から、アメリカは世界中にGM大豆の輸出をはじめました。アメリカはバイオテクノロジーによる生物特許を背景に、世界の農業や食を支配するという国家戦略に基づいて、GM作物を広めています。

 その中心はモンサントという企業です。モンサントはかつてベトナム戦争において、ベトナムを汚染した枯葉剤を開発した化学メーカーだったのですが、その後農業バイオテクノロジー分野に進出してGM作物の開発を展開。さらに種子会社の買収を繰り返し、現在では世界の種子市場でシエア1位を誇る独占的企業です。

 モンサントは(パパ)ブッシュ大統領のバイオテクノロジー産業をバックアップする規制緩和、すなわち GM食品は規制しないという方針のもと、無規制同様の形だけの安全性評価を採用させました。こうして非常に杜撰な安全基準を元に、GM大豆が輸出されていったのです。

 しかし、GM食品の危険性を誰よりもよく知っているのは他ならぬモンサント社員です。驚くべきことに、 英国モンサント社の社員食堂ではGM食品不使用が掲げられているそうです[注1]。彼らは世界中に「GM食品は安全だ」と言っておきながら、自分たちは食べたくないのです。

 それなのに第三者によるGM作物の安全性の研究には、実験用のGM種子の提供を拒むことはもとより数々の妨害を行っています。以下、モンサント社の圧力に 屈しなかった科学者の研究成果を紹介します[注2]。

 1998年、英ローウエット研究所のアーパッド・プシュタイ博士は、GMジャガイモの商品化を計画する英国政府の要請によりマウスへGMジャガイモを与える実験を行いました。その結果は、予想外の結果で、マウスの免疫力低下、脳・肝臓・睾丸の発育不全、胃腸の構造変化と細胞増殖が確認されたのです。

 ローウェット研究所はイギリス政府とモンサント社から研究資金が入っています。推進派に不都合なこの結果が握り潰されるまえに、プシュタイ博士は急きょ、テレビ番組に生出演して実験結果を明らかにし、「自分は絶対に食べない」「国民をモルモットにしてはならない」と警鐘を鳴らしました。その2日後、彼は研究所を解雇されました。

 2005年、ロシア科学アカデミーのエルマコヴァ博士は、メスのマウスに、妊娠中も出産後もGM大豆(モンサント社製)を給餌する実験をしました。

すると、仔マウスの生後3週間以内の死亡率は50%以上(通常の5〜6倍)という驚くべき結果が出ました。生き残った仔マウスには奇形・成長不全・凶暴性などが多く確認されました。さらに母マウスは妊娠する子どもの数が減り、産後の育児放棄が見られました。この研究はGM大豆を大量に食べている日本人に強く警鐘を鳴らすものです。

 2012年、仏カーン大学のセラリーニ博士を中心とする研究チームがGMトウモロコシ(モンサント社製)を与えた結果、高い発がん率や巨大な腫瘍が確認されました(次頁図[注3])。

さらに平均寿命前の死亡率はオス60%(通常の2倍)、メス80%(通常の4倍)という信じられない数値だったのです。

―― そもそもGM作物とは何なのですか。

安田 商品化されたもので最も多いのが、モンサントの除草剤「ラウンドアップ」に耐性がある「ラウンドアップレディ」(大豆、トウモロコシ、菜種、綿など)という作物です。

ラウンドアップは強力な除草剤で、雑草だけではなく作物まで枯れてしまうので、作物が生産されている時は使用できませんでした。しかしラウンドアップを浴びても枯れないように遺伝子操作を施されたラウンドアップレディならば育てられます。モンサントは「これなら除草の手間が省けますよ」という触れ込みで、ラウンドアップとラウンドアップレディをセットで販売しています。

 しかしラウンドアップは健康被害・環境破壊の危険性が指摘されています。GM作物の野外試験栽培が広い面積で行われているハワイ州では、大量の除草剤・殺虫剤を空中散布する農場の周囲で健康被害が多発しています。症状は白血病・皮膚障害・先天異常などです。農薬散布が始まると子どもたちが鼻血を出したり頭痛や目の痛みを訴えたりするので、小学校が休校になることも珍しくはありません。

 世界第3位のGM作物栽培国アルゼンチンでは、ラウンドアップの空中散布によって白血病・皮膚潰瘍・遺伝障害が多発し、住民に避難勧告が出されています。またラウンドアップ散布が盛んなサンタフェ州を調査したところ、同州では全国平均に比べ10倍の肝臓がん、3倍の胃がん・精巣がんの発生率が確認されました。2003年にはデンマークの研究所が、ラウンドアップは地下水汚染を引き起こすと発表しました。

 GM作物にはGM作物を食べることの危険性だけではなく、GM作物を作ることの危険性もあるのです。

種を支配するモンサント


―― モンサントはGM作物を通じて、どのようなビジネスをしているのですか。

安田 モンサントは種子を支配することで、莫大な利益を上げています。モンサントはGM作物の種子に特許権を持っています。種子を使用するためにはモンサントに特許料を支払う必要があり、無断で使用すれば罰せられます。種取りが特許権侵害という犯罪になってしまうのです。

 また特許権のついたGM種子は種子価格に特許料を上乗せしていますが、それに加えて特許種子から得た収穫物の売上に対して特許実施料(ライセンス料)も取り立てているのです。ブラジルでは500万軒もの農家が特許料の二重取りとして料金の返還を求めてモンサントを提訴しています。

 さらにモンサントらは農家に毎年種子を買わせるために、種取りを無意味にしてしまう「種子を自殺させる」技術を開発しました。作物に実った2代目の種子に毒を発生させ、自殺させる技術はターミネーター技術と呼ばれています。種子にターミネーター技術をプログラミングしてしまえば、農家の種取りは物理的に不可能になります。この悪魔の技術開発をしたことで、 モンサントは自らの正体が利益のためなら何でもする反社会的強欲企業であると世界に晒したのです。

 当然、世界中から強い反対の声が沸き起こり、モンサントらは「ターミネーター技術は応用化しない」と宣言しました。しかし、その後「食用では応用化しない」と言い変え、GM綿花での応用化を申請し、米農務省はGM綿花でのターミネーター技術の利用を認可しています。

―― モンサントは主に特許権でGM種子を管理している。

安田 それが損害賠償ビジネスに繋がります。モンサントは特許があるGM作物が無断で栽培されているとして農家に損害賠償を求める訴訟を起こすのです。

 その代表例がカナダの農家シュマイザー氏のケースです。1998年、モンサントは

「あなたの農場にわが社の特許作物が生えているのを確認した。特許侵害の賠償金を支払わなければ提訴する」

と通告しました。 シュマイザー氏は「身に覚えがない」と言って裁判を受けて立ちましたが、最高裁まで戦って敗訴しました。

この判例は、特許作物の種子が輸送中のこぼれ種によるものであろうと、鳥や虫、風に運ばれて自生したとしても、特許作物が生えていたら特許侵害にあたるという恐るべきものです[注4]。

 米食品安全センターの2007年の調査によれば、モンサントは特許侵害の和解で1億7000万〜1億8600万ドルを集めています。最高額はノースカロライナ州の農家から305万ドル。モンサントは損害賠償ビジネスを強化するために、年間1000万ドル・人員75名の訴訟部門を設置しています。

 さらにモンサントポリスと呼ばれる人員が、農家が特許を侵害していないかを監視しています。モンサントは探偵を雇うだけではなく、農家間の密告も奨励しています。その結果、地域共同体の人間関係がボロボロにされています。

 モンサントの種子を独占するビジネス手法は、もはやビジネスの域を超えています。これは農家を支配し、世界の食料を支配しようとしていると非難されても仕方ありません。

―― GM作物を栽培している農家は豊かになっているのですか。

安田 そうとは言えません。たとえばインドにはモンサント傘下のマヒコ社という種子企業があります。インドの農民は「害虫に強く、収穫量が増える」という触れ込みでマヒコ社のGM綿花を一斉に導入しました。 貧しいインドの綿花農民は借金をして高い特許料のかかったGM綿花の種子や肥料、農薬を購入しましたが、 結果は不作や値下がりに見舞われ、想定の利益が得られないことがしばしば起きました。

 その結果、インドでは負債は一代限りという法律があることもあり、多くの農民が自殺したのです。インド国家犯罪記録局の調査では、自殺した農家は 2002年から10年間で17万人に上っています。中にはラウンドアップを飲んで自殺するケースも少なくありません。

日本人はGM食品を避けられなくなる


―― TPPでGM食品はどうなるのですか。

安田 まずGM作物・GM食品によって食の安全・安心は崩壊するでしょう。現在、日本では大豆、トウモロコシ、ばれいしょ、菜種、綿実、アルファルファ、 てん菜、パパイヤの8種類でGM品種が認可されていますが、一応GMの表示義務があります。

 日本政府は、「GM食品表示を含め、食品の表示要件に関する日本の制度の変更が必要となる規定は設けられていない」と説明しています。しかし企業が政府を訴えることができるISDS条項によって、非GM食品の表示が訴訟の対象になる可能性があります。モンサントらが、「『遺伝子組み換え不使用』という表示は、 GM食品は良くないというイメージを消費者に植え付けている。不当な差別的貿易障壁だ」という理屈で日本政府を訴え、賠償金をとった上で表示規制を撤廃させる恐れがあります。

 また、TPPには「TBT(貿易の技術的障害)」という条項があります。ァメリカではGMの表示は不要ですから、日本の表示義務は「技術的障害」として撤廃を迫られる可能性があります。

 TPPが発効すれば、GMの表示規制は緩和・撤廃されるでしょう。消費者はどの食品がGMなのか判断できず、日本人はGM作物を避けることができなくなります。

―― 政府はTPP大筋合意の一部を「概要」として発表しました[注5]。

安田 市民グループが訳してくれた協定書を読みますと、多くの問題があります[注6]。たとえば、違法混入があってもGM作物貿易の中断を回避し、新規承認を促進するとされています。

 さらにGM作物に関する安全審査やGM表示の審議会にモンサントなど開発企業を参加させることになっているのです。安全規制や表示規制は骨抜きにされ、GM食品の流通が一気に拡大することは目に見えています。GM作物の輸出国であるアメリカの手前勝手なルールであり、GM食品の輸出拡大を狙うものです。

 しかし、何か問題があったとしても、国民は真実を知らされません。現在でもGM食品に関する審議会は「企業特許の秘密を守るため」という口実で非公開になっています。私たちは日本食品衛生協会で認可後に閲覧できる申請資料を見て、初めて詳細を知ることができるのですが、閲覧のみで複写も撮影も禁じられています。しかも資料には黒塗りの個所もあります。TPPが発効すれば、「知的所有権強化」を盾に閲覧資料は真っ黒になるのではないかと危倶します。

 「概要」は、利害関係者に審議会への参加を認めるのは、企業に対して「透明性」を確保するためだと謳っています。ですが、本当の利害関係者である国民に対する「透明性」は一顧だにされていません。審議会は企業には透明性があっても、国民にはブラックボックスです。この一事を以てしても、TPPの正体が企業の利益のために国民を犠牲にするものだということは明らかです。

―― その上で、どのようなGM食品が入ってくるのですか。

安田 いまモンサントは日本の関税撤廃・規制撤廃を視野に入れて、アメリカ国内でGM小麦やGM米の商業栽培を狙っていると思われます。すでにGM小麦は商品化が申請されています。

ただ、日本の小麦バイヤーは、アメリカでGM小麦の生産が始まれば、混入は避けられないので、GM・非GMを問わずアメリカの小麦は買わないという意思を示したため、アメリカの小麦生産者はGM小麦に反対し、アメリカ政府は認可していませんでした。しかし、日本でGM規制が緩和されれば、アメリカでGM小麦やGM米の生産が始まり、日本に輸出されることになるでしょう。

 モンサントは穀類だけではなく、GM野菜にも着手しています。また、モンサントではありませんが、GM果物の開発も加速しています。切っても茶色にならないリンゴやビタミンAを強化したバナナ、病気になりにくいオレンジなどです。

さらにGM動物まで開発されています。米アクアバウンティ・テクノロジーズ社は、なんとGMサケを開発したのです。これは成長ホルモンが出続けるように遺伝子操作したサケで、普通のサケの2倍の速度で成長します。出荷サイズになる飼育期間が半分で済むわけですが、出荷しないでいれば25倍の大きさにまで成長するそうです。

 ただ成長ホルモンが常時分泌し、細胞分裂が盛んなためがんのリスクに繋がるのではないかと指摘されています。GMサケはカナダとパナマの陸上に設置したコンクリートのプールで養殖されていますが、環境学者たちは、「万が一海に放流された場合、天然のサケが絶滅してしまうのではないか」と強く危慎しています。

 GMサケは2015年11月、米食品医薬品局(FDA) によって表示なしで食品として販売することが認められたのですが、同年12月、連邦議会上院はGMサケの表示を義務化し、表示制度がスタートするまで販売はしてはならないと決定しました。アメリカからの輸出は当面なさそうですが、カナダやパナマなどの他国を迂回して日本へ輸出される可能性は否定できません。

―― GM食品以外にも問題はあります。

安田 日本政府はTPP交渉と並行して、日米二国間協議を義務付けられ、こちらは合意済みです。その交換文書の「衛生植物検疫(SPS)」という項目には、「収穫前及び収穫後に使用される防カビ剤、食品添加物、ゼラチン、コラーゲンで合意した」と書かれています。

 つまり、「日本は国内で禁止している収穫後農薬(ポストハーベスト)を認めます。アメリカ並みに食品添加物を増やします。狂牛病の危険性がある牛由来のゼラチン、コラーゲンを認めます」ということです。安全性に疑問の残る食品がアメリカから日本へ雪崩れ込むことになると思います。


日本農業はモンサントに乗っ取られる


―― TPPで食の安心・安全は壊滅してしまいます。

安田 TPPは食の安全・安心だけではなく、日本の食料の安全保障そのものを崩壊させます。いま最も警戒すべきは、日本国内でのGM作物の生産開始です。今でも日本で流通を認められたGM作物は法的には生産できます。これまでも十勝など数か所で農家によるGM大豆の生産が試みられましたが、周辺農家や市民、県の農政課などの抵抗によって、何とかそれを阻止してきました。

 しかし現在、安倍政権の下で規制改革会議が企業の農地所有の規制緩和を進めています。国の後押しを背景に、企業が本気でGM作物の生産に乗り出せば、それを阻止することは困難になります。

 すでに国家戦略特区の「農業特区」に指定された兵庫県養父市では、外資系企業の農地所有まで認めています。モンサントが日本国内でGM作物を生産する日は、すぐそこまで来ているのです。GMの心配がないなど安全性が売りである「国産」のブランドも失われます。

 日本の農家は窮地に立たされます。関税撤廃で安く入ってくる輸人農産物だけではなく、国内の企業農業との競争に晒され、モンサントによる特許侵害の訴訟リスクも抱えます。たとえGM作物に乗り換えても、毎年種を買わされ、その度に特許料と特許実施料を払わされます。日本農家は破産するリスクが高い。

 そうなれば、モンサントを始めとする企業が廃業した農家の耕作放棄地を所有して、GM作物の栽培を加速させかねません。日本はハワイ同様、農地の回りに住居、学校、病院などが隣接しているため、近隣住民はラウンドアップなど農薬の多量の空中散布によって健康被害を受けることになります。空気、土や水、生物への環境汚染も進みます。こういう悪循環に陥る危険性は非常に高いと思います。

 日本企業も無事では済みません。モンサントが種子産業に乗り出したときは、1995〜2000年までのわずか5年間で、世界の50社以上の種子会社を買収しました。TPPによって外資によるM&Aの規制が緩和されれば、サカタやトキタなど馴染みのある日本の種企業が丸ごと呑みこまれてしまう危険性があります。

 TPPに参加すれば、日本は遅かれ早かれ、モンサントの種子支配体制に組み込まれるでしょう。ただでさえ日本は世界一の食料輸入国であり、アメリカは世界一の食料輸出国です。

そしてアメリカは食料を戦略物資と見なし、「食料はアメリカにとって最終兵器である」(1974年、CIAレポート)と考えています。

さらにモンサント社は日本の農業の種子を管理下に置こうとするでしょう。USTR(米通商代表部)のTPP農業主席交渉官には、元モンサントのロビイストが就任しているのです。

 日本政府は日本国内の食料を管理する権限、つまり「食料主権」をアメリカ政府・モンサントに差し出すことになります。

日本だけがGM食品を推進している


―― モンサントは恐ろしい企業です。

安田 実際、モンサントは「モン・サタン」と揶揄され、世界中から批判されています。2011年には、健康情報サイト「ナチュラル・ソサイエティー」から「人間の健康および環境の両方に脅威を与えている」として、「ワースト1企業」の熔印を押されています。2013年におこなわれた「反モンサント行進」には、世界中で200万人以上が参加しました。

 反モンサントの動きは民間に留まりません。EUは2014年にGM作物の栽培に関する判断を加盟各国に委ね、28か国中19か国が非GMを選択しました。ロシアもGM作物の栽培を禁止しています。また中国はアメリカ産トウモロコシの一部にGMトウモロコシが混入していたとして輸入拒否に踏み切り、アメリカにとって30億ドルの損害となりました。毎年230万トンの大豆を輸入している台湾政府はこのたび、学校給食全てにGM作物の使用を禁止しました。

 当のアメリカでさえ、GM食品に反対する機運が高まっています。アメリカ環境医学会は2010年に、GM食品のモラトリアムと安全性試験の実施、GM食品の表示義務化を求めるとともに、妊婦や幼児にGM食品を食べないように指導する必要があると指摘しています。また2013年にはハワイ州、バーモント州、メーン州など13州がGM食品の表示を義務づける州法を成立させています。

 世界的にGM作物に対する国家の規制が強まっているにもかかわらず、日本だけは世界の潮流に逆行する形で、モンサントの意向に沿ったアメリカの要求を唯々諾々と受け入れているのです。私たちはTPPに反対し、アメリカに「NO!」と言える政権を一日も早く作らなければなりません。

―― GMはTPPだけではなく世界全体の問題です。

安田 その通りです。そもそもGM作物を中心とする農業そのものが限界になりつつあります。

現在、ラウンドアップでも枯れない雑草が何十種類も生まれています。同じ薬剤を撤き続けるうち、雑草が耐性を獲得してしまうのです。そこでモンサントらはラウンドアップより強力な除草剤、それこそベトナム戦争で使われた発がん性の高い枯葉剤の使用を進めています。すでにこれらを浴びても枯れないGM大豆は日本で認可されています。

 強力な枯葉剤はしばらくは効きますが、やがて枯葉剤でも枯れない雑草が出てくるでしょう。こうして自然とのいたちごつこを繰り返している間に健康被害・環境汚染が進み、人間が住めなくなってしまう土地が増えるだけではないでしょうか。
 彼らには自然への畏れがありません。そもそも生命に特許を認めるという発想自体がおかしいのです。

 生命や遺伝子は神の領域です。科学者はヒトの遺伝子の配列を明らかにしましたが、何のためにあるのか分からない遺伝子が沢山ありました。その後、それら無用の長物だと思われていた遺伝子は、実は眠っているだけで、複雑な相互のネットワークのなかで必要な時に目を覚まして働くということがわかってきました。このことからも、モンサントらの「有用な遺伝子」を見つけて利用するという発想が、いかに薄っぺらな科学であるかが分かると思います。

 確かに生命の神秘を解き明かすために、人類は研究を続けるべきだという考えもあると思います。しかし現時点では人間に分からないことが多すぎます。そうである以上、GM食品を応用化し、生産したり、食べたりすることはあまりに時期尚早ですから、厳重に規制すべきです。

 遺伝子組み換え技術は原子力と同じように取り返しのつかない問題を引き起こします。人によって改変された遺伝子はその生物の次世代に伝わります。これから生まれてくる生命は永遠に穢されてしまうのです。 自然界を狂わせ、地球の生態系を歪めてしまうのです。だからこそ世界中の人々が反対しているのです。

大自然や生物の命に神聖な存在を感じ、これを畏れ尊んで共に生きてきた私たちの祖先たち。その感性を呼び覚まし、生命をモノのように私物化することは間違っていると反対の声を上げるべきです。

安田節子(やすだ・せつこ)
食政策センター「ビジョン21」代表。著書に『自殺する種子』(平凡社)など。
2016年3月25日取材


投稿者注

注1 「英国モンサント社の社員食堂ではGM食品不使用が掲げられているそうです」


これは1999年に報じられた件を指すか。
GM food banned in Monsanto canteen (1999/12/22 INDEPENDENT)
モンサント社は、社員食堂にGM食品不使用が掲げられていた事実を認めながらも、解釈については誤りだとしている。
Myth: Monsanto Only Serves Non-GMO and Organic Foods in Its Cafeterias


注2 「モンサント社の圧力に 屈しなかった科学者の研究成果を紹介します」

ここで紹介されているプシュタイ、エルマコヴァおよびセラリーニの研究チームによる研究については、実験方法やデータ解釈をめぐって、専門家からの批判が殺到したらしい。

しかし、ある農学者による2007年の草稿によれば、それに代って長期飼養試験や疫学的調査をしようとする動きはほとんど見られなかったという。その後の研究動向についてはわからないが、現在ではノーベル賞を受賞した科学者たち(現時点で110名)が遺伝子組換え作物および食品の安全性に太鼓判を押す公開書簡を発表するにいたっている。安全性の根拠としては、世界中の研究・規制機関が繰り返し確認して何も問題がなかったから大丈夫だとしている。

Scientific and regulatory agencies around the world have repeatedly and consistently found crops and foods improved through biotechnology to be as safe as, if not safer than those derived from any other method of production.

There has never been a single confirmed case of a negative health outcome for humans or animals from their consumption. Their environmental impacts have been shown repeatedly to be less damaging to the environment, and a boon to global biodiversity.

Laureates Letter Supporting Precision Agriculture (GMOs)


注3 「次頁図」

ここには、セラリーニらの論文中の画像(Figure 5)のうち、A、B、C(3体のラットの写真)が付されている。
Republished study: long-term toxicity of a Roundup herbicide and a Roundup-tolerantgenetically modified maize (Published: 24 June 2014)/Figure 5

なお、このセラリーニらの研究については、たとえば次のように酷評されている。
よみがえったセラリーニの「組換えトウモロコシでラットに発がん性」論文をどう読むか(2014/7/9 白井洋一)

注4 「この判例は、特許作物の種子が輸送中のこぼれ種によるものであろうと、鳥や虫、風に運ばれて自生したとしても、特許作物が生えていたら特許侵害にあたるという恐るべきものです」

これについてもモンサント社は反論している。シュマイザー氏は、自分のナタネ畑に混入していたGMナタネをラウンドアップ除草剤を使用した際に分別して収穫したことで、意図的に特許侵害をしている。

また同氏のナタネ畑に育っていたGMナタネが自然に混入したものとは考えられない。意図的でないGM作物の混入について、モンサント社が農家を訴えることはしないと。

パーシー・シュマイザー氏について(Percy Schmeiser)
Percy Schmeiser
Myth: Monsanto Sues Farmers When GMOs or GM Seed is Accidentally in Their Fields


注5 「政府はTPP大筋合意の一部を「概要」として発表しました」

この「概要」をはじめとする関連文書が首相官邸サイトで公開されている。
TPP(環太平洋パートナーシップ)協定

注6 「市民グループが訳してくれた協定書を読みますと、多くの問題があります」

どの市民グループを指すのかはっきりしないが、たとえば山田正彦、内田聖子らによる「TPP協定分析レポート」を参照。

TPP協定の全体像と問題点―市民団体による分析報告―Ver.4(2016/4/3)

_____

2016-09-19
遺伝子を改悪された種子が世界を制覇して多国籍企業が嗤う

2016年9月14日、ドイツを代表する医薬品企業バイエルは、アメリカの化学企業モンサントを買収することで合意した。

これは、2015年に発表されたダウ・ケミカルとデュポンの合併によって遺伝子組み換え種子の事業に遅れを取ることに危機感を感じたバイエル側の動きでもあった。

今、遺伝子組み換え種子の分野で非常に激しい勢力争いが起きており、アメリカ、スイス、ドイツ、中国が激しく買収攻勢をかけて規模の拡大を狙っている。

すでに遺伝子組み換え種子の分野は、モンサント、シンジェンタ、バイエル、デュポン、BASF、ダウ・ケミカルの6社による寡占となっており、この6つの企業で種子業界の7割を独占していた。

2016年12月にはこの中で、デュポンとダウ・ケミカルが合併して世界最大の遺伝子組み換え種子の企業となるのだが、これはつまりアメリカが全世界の農業を制覇し、独占するということを意味している。

そのため、IT分野以外だけでなく農業分野でもアメリカに支配されることになるのを恐れたEUと中国は、必死で巻き返そうとしており、それがバイエルによるモンサントの買収、中国によるシンジェンタの買収という流れにつながっている。


種子を常に買わせる仕組みが遺伝子組み換え種子

農業(アグリ)の分野で激しい勢力争いが起きているのは、言うまでもなく人口の爆発的増加によって穀物が不足し、その穀物を提供する企業が莫大な富を得ることになるからだ。

すでに世界人口は73億人を突破していると言われているが、これからも人口は増え続ける。このままでは2065年には人口100億人を突破することになる。

ところが、農地は減る一方だ。さらに昨今の巨大化する自然災害で農地は被害を受けており、世界の穀倉地帯は地下水不足で荒廃しつつある。

食べる人は増えるが、農作物は減る。
需要が増えるが、供給は減る。

現在すでに飢餓人口は10億人もいると言われているが、将来は供給が増えるというよりも逆に減るとも言われている。

当たり前だが、どこの国でも「食料問題」は死活問題である。国民が食えなくなると、国は成り立たない。

アメリカの政策に大きな影響を及ぼすヘンリー・キッシンジャーは、こうした状況を踏まえて「武器としての食料」の概念を提案した。

種子を独占し、「アメリカに逆らう者は種子を売らず、アメリカに追従する者は種子を与える」という支配を考え出したのである。

そのためには、常に種子をアメリカから買わせる仕組みを考え出さなければならない。それはどうするのか。その答えが「遺伝子組み換え種子」だった。

遺伝子組み換えで種子を改変し、その種子から育った種は芽を出さないように改変された。そうすると、農家は毎年毎年、これらの企業から種子を買わなければならなくなる。

それによって遺伝子組み換え種子を扱う企業は莫大に儲かると共に、その販売権を手にすることで、その国の国民の生殺与奪の権利すらも手に入れることになる。


わずか数社が全世界の食料を掌握し、支配する

アメリカは早くから「穀物」を他国に影響を及ぼす戦略物資として捕らえていたのは、農家の間ではよく知られている事実である。

この独占を強化するため、遺伝子組み換え種子を支配する多国籍企業は、在来種を駆逐して遺伝子組み換え種子に置き換えようとしている。

大穀倉地帯であるアメリカ、ブラジル、ロシア、オーストラリア、インド等、全世界の農地が今や超巨大なアグリ多国籍企業に支配されてしまっている。

誰も興味を持たない間に、各国の重要な種子企業を次々に買収していき、アグリビジネス(農業ビジネス)を独占していたのが今までの動きだ。

ここからさらに、この6大企業が合併することによって、ほんの3社4社に絞られていくのがこれからの動きだ。わずか数社が全世界の食料を掌握し、支配する。

そうなると種子はさらに「戦略物資」の側面が強く現れるようになっていくだろう。「GM=遺伝子組み換え作物」が彼らの「戦略物資」である。

そして、考えなければならないのは、彼らはただ種子を売るだけでなく、さらにあこぎなビジネスをするためにも遺伝子組み換え技術を利用していることだ。

ある除草剤だけに耐性のある種子を作り、その種子と一緒に除草剤をセットで買わないと農業ができないようにした。

農家は手間を省きたい。そのためには雑草むしりをしたくない。そこに除草剤が登場するのだが、普通に除草剤を撒くと雑草も死ぬが作物も死ぬ。

そこで、除草剤を撒いても死なない種を遺伝子を改変して作り出して、除草剤を撒けば雑草だけが枯れるようにする。

その除草剤は何でもいいわけではない。その除草剤とは「彼らが売る除草剤」だけしか効果がない。他のメーカーの除草剤を使うとやはり作物も雑草と一緒に死ぬ。彼らの売っている除草剤でしか効果がない。

彼らは種と除草剤をセットにして売り、それが独占販売になっているのである。


種子を売ってもらえなければ自給率ゼロ

今後、世界は間違いなく人口爆発と食料不足が重なる。このまま人口爆発が止められないと、そうなるのは必然なのである。そうするとどうなるのか。

今は「遺伝子組み換え作物など要らない、育てたくない、食べたくない」と言えても、国民が飢えれば背に腹はかえられない事態と化す。

世界中が遺伝子組み換え作物でも何でも独占企業から買って作ろうとする。自給率が悪化し、必然的にそうせざるを得ない状況に追い込まれる。今のままでは遅かれ早かれそうなってしまうのだ。

そうなった瞬間に生殺与奪の権利は、たった数社の独占企業を有する国に世界は支配される。

たとえば、今後登場するダウ・デュポンという巨大アグリ企業はアメリカ企業だが、仮にアメリカが国策として「お前の国には種子を売らない」と決めたらどうなるのか。

種子がないと翌年は農地があっても何も作れない。種子を売らないと決めるだけで、アメリカは特定の国に対して自由自在に状況をコントロールすることができる。

その国の自給率がいくら高くても意味がない。遺伝子を改悪された種子が使われているのであれば、種子が手に入らない限り、翌年は「自給率ゼロ」になるのである。

アメリカは、敵対国が従わなければ、単に「種子を売らない」と言えばいいだけなのである。あるいは、種子の価格を思い切り釣り上げればいい。

まさかそんなことになるはずがないと思うかもしれないが、穀物が貴重品になっていくのであれば、逆にそれが起こらないほうが不思議だ。それが「アグリ・ビジネス」の正体だ。

毎年、種子を買わなければならない。しかも、言い値で買わなければならない。反抗すれば売ってもらえない。除草剤もセットで買わなければならない。

これではまさに奴隷そのものである。地球上から穀物の在来種が駆逐されてしまったら、私たちは彼らの奴隷になるということだ。

しかし、着々と巨大化するアグリ企業に危機感を持つ人はほとんどいない。気付いた頃にはアグリ企業による支配は完成し、手遅れになっているはずだ。遺伝子を改悪された種子が世界を制覇して多国籍企業が嗤(わら)う時代が来る。

毎年、種子を買わなければならない。しかも、言い値で買わなければならない。反抗すれば売ってもらえない。除草剤もセットで買わなければならない。私たちは彼らの奴隷になる。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20160919T1758430900

2017-02-27
問題なかったはずの小麦でさえも、危険なものになった理由


人類が生み出した最悪の企業と言われているのが「モンサント」である。モンサントは1901年に創業された歴史の古い企業なのだが、この企業の始まりは「サッカリン」である。

サッカリンは人口甘味料のひとつなのだが、当初これは「砂糖よりも甘い魔法の物質」と喧伝されて人々はサッカリンに惚れ込んだ。

モンサントはこれをコカコーラ社に売って莫大な利益を出し、会社の基盤を作り上げていく。

しかし、後にこの「サッカリン」は発癌物質であるとして世間の批判を浴びることになるのだが、こうした事実が分かるまで、人々はこの人工甘味料を何の疑問もなく飲んでいた。

モンサントは殺虫剤としての「DDT」も製造していた。当初これは「ノミやシラミを効果的に駆除する魔法の殺虫剤」と喧伝されて人々はDDTに惚れ込んだ。

日本でもDDTの大量散布によってノミ・シラミを駆除してきたという歴史がある。

しかし、後にこの「DDT」は発癌物質であるとして、世間の批判を浴びることになる。こうした事実が分かるまで人々はDDTを疑問もなく「浴びて」いたのだった。


モンサントがやってきた危険なビジネスとは?

モンサントは変圧器や蓄電器に使われる「PCB」も製造している。当初これは「絶縁性や不燃性に優れた魔法の素材」として喧伝されて幅広く使われるようになっていた。

しかし、後にこの「PCB」は人体や環境に強い毒性を持つことが分かり、環境破壊の元凶とまで言われるようになって使用が中止された。こうした事実が分かるまで人々はPCBを疑問もなく使用していた。

モンサントは1970年に強力な除草剤を開発しているのだが、当時ベトナムでジャングルのゲリラ戦に悩んでいたアメリカ軍がモンサントに作らせたのが「枯葉剤」だった。

当初これは「効果的にジャングルを消滅させることができて軍事的に非常に有効だ」とアメリカ軍は惚れ込んだ。

しかし、後にこの「枯葉剤」は人間や動物に凄まじい奇形を発生させる猛毒であることが判明し、枯葉剤を使用したアメリカ軍は全世界から批判されることになった。

その後、モンサントは再び人工甘味料の世界に舞い戻ったのだがそこで発売するようになったのが、「アスパルテーム」だった。このアスパルテームは「健康被害はない」として製造され続けて現在に至っている。

科学者は「このアスパルテームが腎臓機能障害、腫瘍、脳障害、頭痛に深く関わっている」として、「これは一種の神経毒である」とも評した。

しかし、モンサントも政府も「問題はないと認識している」という見解なので、アスパルテームを使うかどうかは個人の判断に任されている。

さらに1990年代に入ってからモンサントが力に入れるようになったのは、「遺伝子組換え」の分野である。

モンサントは2000年代に入ってから遺伝子組換え作物を販売するようになっていったのだが、それは「1年しか育たず、モンサントが発売する除草剤しか効かない」というものだった。

そのため、農家は「毎年モンサントから種子を買い、毎年モンサントの除草剤を使う」ことを強いられるようになっていったのである。


飢餓を解消するために品種改良された小麦の問題

ところで、このモンサントがロックフェラー財団と共同で行っていたのが「小麦」の改良であった。

ロックフェラー財団は人類の飢餓を消滅させるという目標を掲げて、それを「グリーン・レボリューション」と名付けた。

そしてその一貫として、効果的に育つ小麦の「品種改良」に力を入れていたのだが、その「品種改良」をモンサントと組んでやっていたのだ。

なぜモンサントだったのか。モンサントが除草剤という「毒薬」の第一人者だったからである。

大量に作物を作るためには人間が手で雑草を抜いていたのでは間に合わない。雑草だけを殺す除草剤の研究が必要だった。そして、その除草剤に強い品種改良が求められた。

それができるのがモンサントだった。

本来であれば、小麦も一気に遺伝子組換えで作り変えるのがモンサントのやり方だが、小麦だけは強い反対に見舞われて導入に挫折したようだ。だから小麦は「遺伝子組換え」ではなく「品種改良」だったのだ。

実は欧米では「小麦だけは絶対に遺伝子組換えの対象にしない」と言われている。それはなぜか。小麦は自分たちの主食であり、米やトウモロコシと違うからだ。

米やトウモロコシを遺伝子組換えして問題が出ても、困るのはアジア人や動物である。小麦を主食としている欧米人は直接的には困らない。だから、積極的に遺伝子組換えの対象となる。

しかし、小麦を遺伝子組換えして問題が起きると自分たちに跳ね返る。だからしない。単純な問題だった。

それで欧米人も多くが「小麦だけは安全だ」と思っていたのだが、最近「実はそうではない」という現実が静かに広がるようになっているという。

モンサントは導入に挫折した後も秘かに小麦の遺伝子組換えの研究を行っていたのだが、それが問題だったのではない。「品種改良なら問題ないだろう」という発想で行われた、普通に出回っている小麦が問題なのである。

品種改良が繰り返された結果、現在の小麦はもう過去の天然の小麦とは遺伝子的にも「まったく別物」になってしまったと言われている。日本に入ってきている小麦も例外ではない。


「自分たちが儲かるための改変」をして食の危機に

これを発見したのは、アメリカの医師ウィリアム・デイビス氏だった。

今まで人類にまったく無害であったはずの小麦が、アメリカ人を悩ます数々の疾患の原因になっているのではないかと疑われるようになっているという。

心臓疾患、高血圧、脳疾患、免疫性疾患、生活習慣、アトピー等の皮膚疾患、セリアック病をはじめとする各種アレルギー、リウマチ、肥満……。ありとあらゆる疾病が、小麦によって引き起こされていた。

今まで問題なかったはずの小麦が人類に問題を引き起こすようになっているというのは、それを主食にする欧米人にとっては衝撃的な事実でもある。

ウィリアム・デイビス氏は、それがロックフェラー財団とモンサントが組んでやった品種改良された小麦から始まっていることを発見したのだった。

しかし、この説は証拠がないとされ、学会からも黙殺され、大規模な研究機関もなぜか「研究を避ける」状態である。

もうアメリカでは古来種の小麦はない。口に入る小麦のほぼすべては品種改良されたものである。そうであれば、なおさら研究が必要なのだが誰も事実を追及しない。

最近は徐々に「現代の小麦」は全粒粉であっても危険だと認識されるようになり、小麦を避ける人も増えているという。

しかし、細心の注意で避ける努力をすれば成し遂げられるかもしれないが、「小麦を食べない」というのは、普通に生活していると食べない選択は不可能に近い。

つまり現代人は、ロックフェラー財団やモンサントによって改変された「小麦もどき」を食べるしかない。そのために病気になっても、それが「運命だ」とあきらめるしかない状態になっている。

もともと小麦の品種改良は「増え続ける人類に対する食料不足の対応策」であった。それは人類の救世主になるはずだった。

しかし、その対応策に金儲けと支配欲が絡むと、モンサントのように「自分たちが儲かるための改変」をするようになる。そして、安全や健康が危機に晒される。

ところで、人類最悪の企業として人々から蛇蝎のごとく嫌われるようになったモンサントだったが、もう私たちはこの企業の名前を目にすることはない。

2016年になってドイツのバイエルが買収したからである。ドイツのバイエルが欲しかったのはモンサントの遺伝子組換えの技術と特許であると言われている。

「モンサント」という悪名高いブランドは逆に必要ないので、抹消していく方向にあるという。

小麦と言えばパン、パスタ、ラーメン、ピザから、多くの加工食品に使われており、今や日本人にも欠かせない食材となっている。小麦が安全ではないと言われても、もはや為す術がない。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/02/20170227T1927010900.html

米・麦・水 〜外国が日本人の命を握るカウントダウンが始まった


米、麦、大豆、水。日本人が日々の食生活で当たり前のように口にしているものが、ある日を境に水道代や米が高騰し、買えるものはほぼ遺伝子組み換えの食材しかない、という世の中になったらどうしますか?

今まで国(行政)がコントロールしてきた国民のライフラインである水と種子が、今まさに国の手を離れ、民間によるビジネスが始まろうとしています。

メディアは全くスルーし、国民の認知のないまま進行している「農作物種子法廃止案」「水道法改正案」。多くの国民は何も知らぬまま、この国が進めている日本の食の大転換期はもうそこまできています。

『農作物種子法廃止案』の驚きの実態とは?

よく民間にできるものは、民営化バンザイとか、グローバリズム歓迎とかアンチ行政の風潮がありますね。

とんでもない!

国の1番大事な仕事は自国民の安全を守ることです。だから、常に安全と安定が保証されてなくてはならない水や食のライフライン分野は国が管理しなくてはいけないんです。

知ってましたか?農林水産省はしれっと「主要農作物種子法を廃止する法案」を国会に提出し、3月に衆議院農林水産委員会が可決しちゃいました。

メディアがくだらない政治の金の問題に集中し、頼りにならない野党もその土俵に上がって次元の低いやりとりに明け暮れている中、大事なこの法案のことは与野党でほぼスルーする今の政治の現状を深刻に受け止めないと本当にマズイ、危機的状況まで来ているのです。

この流れで近いうちに廃止法案化され、いよいよ始まってしまいす。民間任せによる恐怖の種子ビジネスが。

整理しますと、そもそもこの「主要農作物種子法」というのは、戦後間もない昭和27年に国・都道府県が主導して、優良な種子の生産・普及を目指し、行政による稲、麦、大豆の国民への安全・安定供給を目的として種子のコントロールをしてきました。

この法によって都道府県は、原種の生産や種子生産工場の指定、種子の審査制度などの安全・安定と価格管理システムの役割を担って今に至っているのです。

しかし、国は「民間による競争力をあげるため、この法を廃止する」と方向転換をしたのです。

種子の不足や新種子の品種参入が競争の妨げになっているという説明は農林水産省からはないままです。なぜか?

この方向転換の意味は簡単です。外資のビジネス参入障壁が実質なくなるための法案作りです。特に種子ビジネスは、世界的に農業への遺伝子組み換え(GM)作物を推し進めているシェアNO.1のモンサント社の出番になる準備が整ってきたと言えるでしょう。

多くの人は認識していませんが、大豆の70%は米国輸入に頼っており、主に遺伝子組み換え(GM)大豆が油などに形を変え、もう既に大量に日本人の口に入っています。

それが今後は堂々と食用大豆に加え 、稲や麦などにも広がってくる可能性があるんです。毒素成分いっぱいの除草剤ラウンドアップとセット販売されるモンサント種子。自然界では存在しない植物遺伝子を操作されて誕生した不自然な食物たち。

価格競争力で勝る大量生産体制の安いモンサント種子が市場に出回り、安全安心で価格の安定した食材が減ることを示唆しています。


『水道法改正案』で日本の水の供給が外国の手に!?


そして次には「水道法改正案」です。これもしれっと3月に閣議決定がなされてしまいましたね。

日本のように水道水を全国どこでも飲むことができる国は世界中で11カ国しかないといわれています。

その水道法の民営化は、外国企業の参入を可能にするのです。水道事業のメジャーであるヴェオリア(仏)では、ヴェオリア・ジャパン株式会社が水道事業に民間参入できるよう準備を進めているでしょう。

では実際、水道事業が民営化された海外では何が起きたのでしょうか?

「ブルーゴールド(著:モード・バーロー)」より一部抜粋    
・フランス
利用者の負担が150%増加。政府発表では民営化以後に500万人以上の飲み水が汚染されたという。

同国の大手水資源企業2社に関し、経営者が汚職に関与しているとの告発があり、裁判所が過去10年にわたり調査を行っている。

・英イングランド地方
水が民営化されてから6年間で水供給会社の利益が692%増加している一方、利用者の料金は109%値上がりした。例として、ノースウエスト・ウォーター社の最高金額の重役の給与は708%上がった。

値上がりの結果、上水道を解約した利用者の数は民営化以後50%増加、イギリス医療協会は人々の健康を脅かしていると警告している。
          
・シドニー
水道料金は4年間で2倍に上がった。高レベルのジアルディア属とクリプトスポリジウム属の寄生虫が含まれていたが、住民側には知らされなかった。

・フィリピン マニラ
世界銀行によって、ベクテル社とスエズ・リヨネーズ・デゾー社の地域に分けられ、低料金を維持すると公言していたが、数ヶ月後アジア通貨危機による減収を補うため大幅値上げされた。


さてさて、国は、本当に日本国民の事を考えてこうした法案を通していると思いますか?
なぜこんな大事なことをメディアは大きく取り上げないのでしょうか。
これこそ、内閣総辞職をして国民の審判を仰ぐ選挙をすべきレベルの大事な問題です。

水も種子も人間が生きてく上で、最も大事なライフラインなのに国が管理せずに自国民の安全と安定供給を一体誰が保証できるのでしょうか。

もしあなたが村生活をしているところに、いきなり外国の人たちがやってきて「これから我々が水の管理と稲や作物などの種子管理をします。」と言われたら、村を乗っ取られたと思いませんか?

日本は一体どこに向かおうとしているんでしょうか…。
http://shinhakken-blog.seesaa.net/article/448817821.html

TPP以上の青天井の譲歩
日米経済対話の初会合
前のめりの米多国籍企業
                        2017年4月21日付


主食のコメ自給まで脅かす

 アメリカのトランプ大統領は就任当日に「環太平洋経済連携協定(TPP)からの永久離脱」を表明し、それにかわって2国間の自由貿易協定を各国に迫っていくことをうち出している。安倍政府は「トランプ大統領を翻意させる」などとうそぶきながらTPP参加12カ国の先頭を切ってTPP批准を強行し、TPP水準以上の譲歩のかまえがあることをアメリカに示した。さらにはあくまで2国間交渉を追求するトランプの意向が明確になるなかで「日米FTAを恐れてはいけない」と前言を翻し、アメリカにどこまでも国益を売り渡す姿勢を見せている。そうした安倍政府の対米従属姿勢を見て、トランプ政府はTPP以上の市場開放圧力を強めている。18日にはペンス副大統領が来日して日米経済対話の初回会合を開催したが、そのなかで日米FTA交渉に乗り出すことを表明した。


牛・豚肉や自動車、食の安全も

 日米両政府は18日、麻生太郎副総理とペンス副大統領をトップとする日米経済対話の初回会合を首相官邸で開いた。共同声明では「貿易・投資に関する高い基準の2国間枠組み」を協議すると確認した。ペンスは終了後の会見で「経済対話が日米自由貿易協定(FTA)に行きつく可能性がある」と踏み込んだ。次回の会合は年内にも開く予定である。

 対話では「貿易・投資ルール」「マクロ経済政策」「インフラやエネルギーなどでの協力」の3分野を今後の議題とすることを確認した。共同声明では、貿易に関する「2国間枠組み」を議題とするほか、「近いうちに具体的な成果」をうち出したい考えも示した。2国間枠組みにはルール分野だけでなく、関税など市場アクセス(参入)も含む。アメリカが日本に対し、2国間FTAでTPP以上の譲歩を迫ってくることは必至である。ペンスは会見で「TPPは米国にとって過去のものだ」とし、「二国間交渉はアメリカにとって国益になる」とのべ、今後の経済対話で日本にFTAを求めることを示唆するとともに貿易障壁をとり除いて米国産品の輸出拡大につなげる意向を示した。秋以降協議が加速する可能性が高い。

 日米FTA交渉を急ぐトランプ政府の政策の背後には、アメリカの農業関連の多国籍企業の要求がある。


日米FTAで譲歩迫る 際限ない要求

 初回の日米経済対話が開催された18日には、米国食肉輸出連合会(USMEF)のフィリップ・セング会長が東京都内で会見し、日米FTA交渉を早期に立ち上げるよう求める考えを表明した。同氏は「日本が米国産の牛、豚肉に課す関税率が高く、日本市場での販売を阻害している」と批判したうえで、「FTA交渉入りした場合は、TPPで合意した関税削減をスタートラインに、さらに引き下げを迫る」考えを強調した。さらに短期間の期限をもうけ、早期に成果を上げる必要性も訴えた。

 同氏はまた、米国抜きでTPP発効を目指す動きなどを警戒し、「FTAなど(日米の)2国間貿易をできるだけ早く締結すべき」と求めた。また、オーストラリア産牛肉が日豪経済連携協定(EPA)で米国より関税削減で優位に立っていることへの危機感もにじませた。日本に求める関税は「具体的な数字についてのべられない」としながらも、「TPPで合意した水準がスタートになる」とし、さらに大幅な譲歩を日本に迫る可能性を示した。TPPでは現行38・5%の牛肉関税を、最終的に9%に引き下げることで決着している。それを上回る厳しい水準を突き付けてくることは明白である。

 米国内では牛肉の供給が需要を上回っており、「はけ口」として日本への輸出拡大を急ぐ事情がある。日本の関税率が主要市場のなかで最も高いことを槍玉にあげ、「現状の牛、豚肉の輸入制度が、長年変わらず維持されている」と非難し、「再検討するべきだ」と迫った。

 牛肉輸入に関しては、安倍政府はTPP交渉の入場料として、アメリカ産牛肉の輸入条件を20カ月齢未満から30カ月齢未満に譲歩している。さらに米通商代表部(USTR)は3月に公表した外国貿易障壁報告書で、牛海綿状脳症(BSE)による輸入牛肉の月齢制限の撤廃を求めてきている。

 アメリカでと畜された肉牛の9割超が30カ月齢未満で、現在でも多くが対日輸出可能となっている。米国でのBSE発生で日本は米国産牛肉の輸入を停止したが、安全性を無視した政治決着で全頭検査なしで2006年に解禁した。その後米国産牛肉の輸入は増え続けている。17年2月の貿易統計では、関税率で優位に立つオーストラリア産の輸入量を米国産が抜いた。30カ月齢以上の老廃牛など価格帯の安い牛肉が増えれば、国産牛肉が買いたたかれることは明らかで、国内の畜産農家への打撃は大きい。

 さらに米国産牛肉の安全性の問題は無視されている。アメリカは自国が「BSEが出ていない清浄国だ」と主張し、「清浄国には輸入制限をもうけてはならない」という「国際基準」をでっちあげ、「科学的根拠がない」として30カ月齢制限を撤廃せよと圧力をかけてきている。これにも安倍政府は屈服して、すでに食品安全委員会が撤廃の準備を終えており、撤廃は時間の問題となっている。

 アメリカの牛肉や豚肉関係の団体は2月にもトランプ大統領に日本とのFTA交渉に早期に踏み出すように共同書簡を提出している。

 また、コメ生産者の団体であるUSAライス連合会もトランプ政府に日米FTA交渉入りを促す要望を表明し、日本に対してTPP以上の市場開放を迫っている。

 日本は現在77万dをミニマムアクセス(MA=最低限輸入機会)として外米を輸入しているが、その約半分の36万dがアメリカ枠になっている。TPP交渉では、77万dの枠内でプラスして業務用米枠として6万dを上乗せした。実質はアメリカ枠である。さらに77万dの枠外で約8万dのアメリカ枠をつくり、合計で50万dのアメリカのコメを買わなければならないことになっている。アメリカはこうしてTPP枠をも上回るコメを日本に買うことを迫ってきている。

 農産物の輸入においては食の安全検査が重要になるが、TPP交渉でも日米2国間の平行協議で問題になってきた。日本は収獲した農産物には農薬をかけることは禁止している。だがアメリカからの長距離の農産物輸送においては防カビ剤をかけないとカビが生えてしまうため、かけることは禁止だが、収穫前にかけると農薬、収穫後にかけると食品添加物として抜け道をつくって認めている。このため日本では農薬と食品添加物の2回の安全性検査をすることになっているが、アメリカはこれに難癖をつけ、安倍政府はこれを一本化する譲歩を約束した。

 だが、そのほかにも食品添加物には表示義務があり、アメリカはこれも撤廃することを要求してきている。今後、日米FTA交渉では強力に譲歩を迫ってくる可能性が高い。

国会で種子法廃止強行 国民の目を盗み

 さらに安倍政府はTPP批准強行と並行して、関連法案11本を成立させている。今国会では主要農作物種子法(種子法。稲や麦、大豆の種子の生産、普及を都道府県に義務付ける)の廃止法案を14日、参院本会議で可決、成立させた。

 種子法は主要作物である「稲、大麦、はだか麦、小麦及び大豆」の種子について、各都道府県が奨励品種を決め、原種と原原種の生産を確保することなどを定め、それに国が予算をつけてきた。コメをつくる農家は安く優れた稲の苗を手に入れることができた。種子法の存在はコメだけは食料自給率を達成できた大きな要因であった。

 種子法が廃止されると、公共財として守られてきた公共種子を守る制度がなくなり、農家は現在より5〜10倍も高額な種子を買わざるをえなくなる。さらにより重大な問題は、モンサントなどの米国企業に種子が独占される危険性をはらんでいることである。日本のコメが民間企業や外資に握られ、食料自給が脅かされることになる。

 種子法の廃止は2013年にTPP交渉に参加したさいに安倍首相が訪米して日米並行協議がもうけられ、その協議で米国企業の意向を汲み、規制改革会議に付託されたものである。

 TPP批准強行は、TPPが頓挫しても、合意内容を国内法を成立させることで実際上推進することになっている。

 また、トランプ政府の閣僚にはゴールドマン・サックスの関係者が3人も登用されており、世界中からマネーをかき集める陣容になっている。その一角に「JAマネー」が入っている。年次改革要望書のなかで、JA共済については「KYOSAI」という項目があり、「イコールフッティングにせよ」と指示している。イコールフッティングとは、商品やサービスの販売において、双方が対等の立場で競争がおこなえるよう、基盤・条件を同一に揃えることを指す。それはウォール街の金融保険業界の長年の要求であり、郵貯マネ1350兆円を収奪した次のターゲットとしてJAマネーの150兆円が狙われている。

 農産物以外では自動車の基準や保険、政府調達、などに対してアメリカの要求が強まっている。とくに自動車の市場開放に対する圧力が強まっている。アメリカの車は性能が悪いために日本市場ではゼロ関税でも売れないが、トランプはコメと同様にミニマムアクセスで10万台などの枠をつくり、無理矢理日本に押しつけている。とても自由貿易とはいえない強引なやり方である。

 このミニマム・カーの要求はTPP交渉に日本が参加することが決まる2年前からの事前交渉で、アメリカが交渉参加の前払い金、入場料として要求した一つであった。安倍政府はこれを丸呑みしたが、トランプはさらに要求を上げてきている。

 TPPは破棄されても、TPPをスタートラインとしてそれ以上の要求に安倍政府は次次に応えるという尋常でない事態が生じている。安倍首相の対米従属外交につけこんで、トランプ政府は「アメリカファースト」で青天井の要求を日本につきつけてきており、日本の国益が根こそぎ奪われかねない事態となっている。
http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/TPPijounoaotenjounojoho.html

2016年09月19日
日本政府の農業虐待 就業人口、5年で2割減
http://thutmose.blog.jp/archives/65972544.html


アメリカの農業が効率的で低コストというのは真っ赤な嘘、ほとんどの農作物で日本よりコストが高い。
引用:http://bcgneeds.com/wp-content/uploads/2014/03/AirTractor_402.jpg


アメリカやフランスの農業が近代的で効率が良いという都市伝説は、いい加減終わりにしたい。

実際には欧米の農業には50%から90%の補助金が出ていて、補助金無しだとどんな農作物でも日本より高い。


欧米の補助金で圧迫される日本農業

2015年11月の農業人口調査で、前回の2010年と比較して、51万6000人減少し209万人となり、19・8%減少しました。

離職者が多かったのと、高齢のため跡継ぎがないまま他界したりしたと考えられる。

残った大半も兼業農家であり、農業では生活出来ない、子供を養えないので減少しています。

ところで日本の食料自給率は39%で世界最低水準、金額ベースでは66%なのだが、減少しているのは間違いない。

食料が輸入出来ない有事の際に、お金を食べることはできないので、農水省が主張する「カロリーベース」はある意味では正しい。

カロリーベースは戦前の日本軍や戦後の食糧危機で重視された数値で、国民や兵士を飢えさせないためにカロリーが重要だった。


食料自給率が低い理由は日本の農作物の価格が高く競争力がないからで、アメリカや外国の農作物は安い。

アメリカでは飛行場くらいの広大な田んぼに、飛行機でバラバラっと苗や種を撒いて、秋まで放置して収穫しています。

「アメリカの米は日本の10分の1のコスト」とコメ市場議論で散々テレビ放送されましたが、あれは全部テレビ局の捏造です。


空から種を撒いて放置して10分の1の値段で売っているのは「家畜米」や「工業米」で人間は食べていません。

カリフォルニア米などの人間用の米は、アメリカの価格で、日本で売られている北海道米とかと同じくらいです。

アメリカでは米など多くの農作物に50%以上の補助金を出しているが、日本は補助金ゼロで日米ほぼ同じ価格という事は、実はカリフォルニア米の元々の値段は、北海道米の2倍なのです。


それが米政府が50%の補助金を出し、さらに為替レートが円高になると、カリフォルニア米が国産米より何割か安くなります。

米国は米の国と書くだけあって、米以外の小麦やらトウモロコシやらジャガイモ、牛肉豚肉など、ほとんどの農作物に50%の補助金を出しています。

それでいて「日本は保護貿易で不公正だ」と言って市場解放を迫り、自分は農業補助金で市場を保護しているのです。


安倍晋三はアメリカの工作員か

間抜けなことに日本政府と日本マスコミは米政府の言い分を鵜呑みにして、調査もせずに「日本の農産物は高い」と認めてしまいました。

アメリカは酷い国だと思いますが、欧州はもっと酷くて、日本人が好きなフランスのブドウは90%以上が補助金で生産されています。

テレビでよく「南仏やイタリアの農業は人間的で素晴らしい」と褒めているが、それは収入の9割が補助金だからです。


年収50万円しかない農家でもフランスやイタリアでは500万円の補助金が出るので、遊んでいても暮らしていけるのが「南仏プロバンスの農業」なのです。

日本では農家がどんなに必死に働いても政府は補助金を出さず、それどころが欧米の補助金つき農作物を大量に輸入しています。

これはもはや農業政策ではなく、農業虐待だと言えます。


「日本の農業は生産性が低い」「日本の農作物は価格が高く競争力が無い」というのは常識として学者や政治家まで言っています。

だが「価格」に補助金を足して「本当の価格」を比較すると、実は日本の農作物は先進国で最も安く、最も生産性が高いのです。

カリフォルニア米は補助金なしだと魚沼産コシヒカリより高くて不味いので、競争力なんか全くありません。


小麦やトウモロコシやじゃガイモも同様で、補助金を取っ払うと日本の国産品の方が安い場合が多いのです。

さらに日本政府は自由貿易だと言ってTPPなどで「関税を撤廃しよう」と言っています。

安倍晋三はアメリカやフランスの工作員なんじゃないか、と思うほど農業政策が酷いです。


マスコミが絶賛する南仏プロヴァンスの農家、赤字で農業をやって生活費全額を国が支給している「準公務員」です。
引用:http://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/005/612/91/N000/000/000/120203902023616305062.JPG


用水路より補助金を出す必要

アメリカが50%補助金を出すなら、アメリカと競合する農作物では日本も50%補助金を出すのが当然です。

そのための予算は不要な用水路を作りまくっている農水省の予算から引っ張れば良いのです。

アメリカの農業予算は年間10兆円以上だが、アメリカの農業生産額は17兆円に過ぎないので、産業として完全に赤字です。


日本は農業生産額約7兆円で農業予算3兆円なので比率としてはそれほど変わらないが、農水省が予算を使うのは「用水路」だけなのです。

日本中に用水路を作りまくって子供や老人を転落させているくせに、農家への補助金は1円も出していない。

これが日本では農業で食えない原因で、アメリカの農家が大儲けしている理由です。

________


2016年10月03日
農業でも外国人労働者 農業特区で解禁へ
http://thutmose.blog.jp/archives/66298795.html

アメリカの農家は全部赤字だが、国からの補助金で生産している
http://agrinasia.com/wp-content/uploads/2016/01/blue_river_tech_robot.png


外国人労働者に農業をやらせる政策

報道によると政府は農業に外国人労働者を、特区で解禁する方向で検討を始めています。

いわゆる単純労働者ではなく、高度な技能を持つ技術者に限定し、日本人と同等以上の賃金を条件にする。

農業を巡っては過去30年間で農業従事者が50%減少し200万人を割り込み、しかも兼業農家が増えています。


  


また外国人実習生を低賃金労働者として雇用し、給料をほとんど払っていないなどの問題も発覚した。

日本の食料時牛率はカロリーベースでは先進国中最下位で、欧米の輸出農作物にすら国内市場で負けている。

国は外国人労働者によって農業を活性化しようと目論むが、この政策は正しいのだろうか。


まず日本の農業が後進国はおろか人件費が高い先進工業国にも負けている原因は、農業自体にはない。

欧米先進国はいずれも、農家に50%から90%もの補助金を給付していて、赤字で生産しても国が給料を払っています。

一方日本は建物や用水路や農道は建設するが、補助金は出していないので農家は価格転嫁せざるを得ず、日本の農作物は高い。


日本の自給率が低い原因は農業補助金が少なすぎるからで、農家自体に問題はない。

むしろ日本の農業は「農業先進国」とされるアメリカや欧州より生産性が高く、同じ競争条件なら価格でも品質でも勝っています。

するとこれは日本政府に問題があるので、農家をどういじくっても解決しません。


日本政府の農奴政策

政府はどうしても農家への補助金を出そうとせず、関税だけ減らしてさらに生産量を減らそうとしています。

とどめはTPPで、関税を撤廃してアメリカの農作物を自由に輸入しようと言っています。

アメリカの農家が米を生産すると政府から50%の補助金を貰えるので、半分の値段で販売しています。


日本の農家は補助金なしなので、アメリカの半分のコストで生産しても、同じ販売価格になるのです。

欧米諸国が事実上のダンピングをやっているのに、日本政府は抗議すらせず「日本の農家は怠け者」などと罵っています。

話を戻して外国人労働者を受け入れて日本の農業は改善されるかというと、される筈がありません。


日本の農業は既に生産性が高く、品質は世界一であり、改善すべき点がなにもないからです。

トヨタの工場に外国人労働者を入れるようなもので、それで生産性が上がったりはしません。

農業人口の減少を外国人で補うという意見があるが、原因と結果を履き違えています。


農業が儲からない、農業では食えないから農業をやらないのであって、今の若者だって年収1千万円稼げるなら農業をやります。

農業では生活できないから、外国人実習生をタダ働きさせようというのは、南北戦争以前のアメリカ農場の考え方です。

安倍首相はアフリカから農奴でも連れて来たいのでしょうか?


_____


食料安保に大きな禍根 日本農業 外資が支配 経済評論家 三橋貴明 2016年11月18日

政府の規制改革推進会議が提言としてまとめた「農協改革に関する意見」について17日、経済評論家の三橋貴明氏に聞いた。

 規制改革推進会議の提言は、JA全農を解体し、切り売りするものだ。外国の穀物メジャーなどが全農の購買事業の関連部門を買うことが想定される。日本農業は外資に支配され、食料安全保障は脅かされる。これは亡国の規制改革だ。中国も狙ってくると思う。

 議論の在り方もおかしい。全農が肥料などの生産資材の売買で手数料を取るのは当たり前。手数料を取るのがおかしいと言うのなら、商社などの企業のビジネス自体を否定することになる。他の商社に同じ提言をするだろうか。絶対に言えないだろう。それほど理屈のない内容だ。

 提言の背景には、企業が全農のビジネスをつぶして新規参入したいという意図がある。政府官庁に働き掛けて法律や政策を自分に都合よくねじ曲げる典型的な「レントシーキング」だ。

 「農家の所得増大が実現できないのはJAや全農が原因だ」といえば分かりやすく、受ける。だからJAが敵対視される。だが、全農の弱体化は、農家から選択肢を奪い、結果的に農家が割を食うことになる。

 世界の潮流は、いつも英国から生まれている。産業革命、金を通貨価値の基準とする金本位制、社会保障制度を充実させた福祉国家、そしてサッチャーによる新自由主義。いずれも英国が最初に始めた。

 その英国が欧州連合(EU)離脱を決定し反グローバル化に転じた。そして米国は環太平洋連携協定(TPP)反対を唱えたトランプ氏が大統領選で勝利した。世界は今、グローバル化を制限する道を歩み始めている。それなのに日本はTPPに固執し、TPPとセットで浮上した農協改革を進める。日本は世界の潮流に逆行し、周回遅れのグローバル化に向かっている。

 政府が針路を誤った時、それをただすのが議会制民主主義だ。だが、与党の自民党の国会議員が執行部に物申せなくなっている。小選挙区中心の選挙制度となり、党の公認を得ることにきゅうきゅうとしているためだ。何のために政治家になったのか、議員はもう一度、よく考えてもらいたい。

 経済団体などが政府に政策を働き掛けるロビー活動は各国がやっている。JAグループは、農林議員に働き掛けて農家の声を伝え、間違ったことには対峙(たいじ)していく必要がある。大手テレビ局を買収するくらいの意気込みで、自分たちの主張を発信してほしい。このまま「農家の所得が上がらないのはJAのせいだ」と、レッテルを貼られたままで良いのか。

 まだ、間に合う。農協改革をつぶさないと日本がおかしくなる。農家は大資本に立ち向かうために協同組合を設立したことを思い出してほしい。
https://www.agrinews.co.jp/p39476.html

亡国の全農解体を阻止せよ! 前編 2016-11-19


安倍政権や規制改革推進会議が、日本の食糧安全保障を決定的に破壊する「亡国の全農解体」に乗り出そうとしています。しかも、日本国民のほとんどが知らないうちに。

 皆様、日本の食糧安全保障の根幹である全農、厳密には「全農グレイン」をカーギルに差し出すため(としか思えない)の全農解体が推進されているという事実を、どうか拡散して下さい。


政府の規制改革推進会議は、全国農業協同組合連合会(全農)に対し、
「農産物の委託販売をやめ、全量買い取りをせよ」
「購買事業について、手数料を取る方式をやめよ(=商社の機能を廃止せよ、ということ)」
 と、事実上「破綻」を求める「改革」を要求しています。

 実際に、全量買い取りを強いられ、商社の機能を廃止された場合、全農の経営は急激に悪化し、日本の食糧安全保障の「要中の要(かなめ)」である全農グレインを手放さざるを得なくなるでしょう。


 すると、アメリカから日本への配合飼料の輸出において、全農グレインを目の敵にしている世界最大の穀物会社カーギルが狂喜して株式を買い取ることになるでしょう。全農は株式会社であるため、買収はできませんが、全農グレインは株式会社なのです。


 全農グレインは、全農の子会社としてアメリカにおいて「IPハンドリング」を実施しています。つまりは、アメリカの生産者と直接契約し、

「これは、遺伝子組み換え作物」
「これは、遺伝子組み換えを使っていない」
「これは、ポストハーベスト」

 と、穀物の「一粒単位」で、実態を管理しているのです。


 全農や全農グレインがIPハンドリングを実施するため、カーギルもやらなければなりません(一応、「競争」はあるのです)。カーギルが強いられるIPハンドリングは、もちろんコスト高要因で、利益を圧迫します。


 さらに、全農は株式会社ではなく、協同組合連合会です。もちろん「適正利益」は取りますが、阿漕な利益は乗せません。すると、カーギルもまた、「適正利益」しか乗せられないということになっています。


 現在、カーギルを代表とする穀物メジャーの「利益最大化」路線に立ち塞がっているのは、もはや全農と全農グレイン以外には存在しないも同然なのです。最後の砦たる全農グレインをカーギルが手に入れれば、日本の食糧安全保障の根幹を「外資系」に握られることになり、世界の食料は「利益最大化」を狙う穀物メジャーの完全支配下に落ちることになります。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12220858347.html

亡国の全農解体を阻止せよ! 中編 2016-11-20

 さて、昨日に続き「亡国の全農解体」でございます。
 
『全農会長、規制改革会議の提言「承服できない」

 全国農業協同組合連合会(JA全農)の中野吉実会長は17日、政府の規制改革推進会議が出した全農改革の提言について「決して承服できない」と受け入れを拒否した。規制改革会議は11日、JAグループの農業商社である全農に対し、1年以内に農業資材を扱う購買部門の縮小を求める提言を公表していた。

 全農の中野会長が17日、自民党の会議で語った。提言の中でJAグループの反発が強かったのが組織改編の実行期間を1年と区切った点。グループの司令塔を務める全国農業協同組合中央会(全中)の奥野長衛会長も「無理な話だ」と語った。

 出席した議員からも「地元の農協から『だますのか』と言われた」(笹川博義衆院議員)、「大変な不信感を覚える」(二之湯武史参院議員)との反発が相次いだ。』

 今回の全農「改革」の提言の肝は、以下の二つになります(ソースは「平成28年11月11日 規制改革推進会議 農業ワーキング・グループ」)

『(1)生産資材

 @全農が行う生産資材の購買事業については、生産資材の農業者への取次規模に応じて手数料を得る仕組みとなっており、生産資材メーカー側に立って手数料収入の拡大を目指しているのではないかとの批判がある。今後は、真に、農業者の立場から、共同購入の窓口に徹する組織に転換するべく、以下の改革を実行すべきである。


〇生産資材に関するあらゆる情報に精通するために、製造業における購買の達人と呼ばれるような外部のプロフェッショナルを登用し、生産資材メーカーと的確に交渉できる少数精鋭の情報・ノウハウ提供型サービス事業へと生まれ変わる。


〇新たな事業においては、全農は、仕入れ販売契約の当事者にならない。また、全農は、農業者に対し、情報・ノウハウ提供に要する実費のみを請求することとする。

(2)農産物販売

 @農産物の様々な価値を市場に届けるための販売体制強化(中略)


〇全農は、農業者のために、自らリスクをとって農産物販売に真剣に取り組むことを明確にするため、1年以内に、委託販売を廃止し、全量を買取販売に転換すべきである。』


 まず、大前提ですが、農協や農家は、生産資材(農薬、肥料など)について、全国農業協同組合連合会(全農)から購入する義務はありません。


 たとえば、肥料。国内のJAが、全農・経済連から購入している肥料のシェアは59%。農協の時点で、全農・経済連のシェアは六割に満たないのです。残り四割は、普通にほかの卸業者から入れています。


 さらに、生産者(農家)が使用する肥料1400万トンのうち、JAのシェアは71%。残り三割は、小売業者からの購入です。


 農薬は、JAの段階で、全農・経済連のシェアは40%。農家が使用する農薬を見ると、JAのシェアは60%です。残り四割は、小売業者からの購入になります。


 別に、全農は「独占的事業者」でもなんでもないのです。


 全農の生産資材が高いというならば、農協も農家も、別の卸売業者、小売業者から買えば済む話で、実際にそうなっています。


 全農の生産資材には、営農指導のコストが含まれているため、他の業者より高くなるケースがあるのは確かです。とはいえ、農協や農家側には、全農から生産資材を購入する義務はありません。


 それにも関わらず、規制改革推進会議は、全農に対し、生産資材の商社ビジネスからの「撤退」を求めているのです。


 そもそも、全農の生産資材が「高い」と批判されるのは奇妙な話です。むしろ、全農が体力があることにかこつけ、ダンピング(廉価販売)を繰り返し、競合の卸売業者や小売業者を潰していくほうが問題だと思います。


 繰り返しますが、農家や農協は全農から生産資材を買う義務はありません。それにも関わらず、なぜ「全農の生産資材が高い」ことが批判されなければならないのか、意味不明です。


 いや、百歩譲って、高いことが批判されるだけならともかく、それを理由に、

「商社ビジネスから撤退せよ!」

 と言ってきているわけですから、もはや「狂気」だと思います。


 言葉を選ばずに書きますが、規制改革推進会議の連中は頭がおかしいか、もしくは何らかの邪な目的があるのでしょう。


 また、農産物販売において「全量買取」を強制するというのも、頭がおかしいとしか表現できません。ビジネスにおいて、委託販売を選択するか、全量買取を選択するかは、事業体の勝手です。


 要するに、全農の商社ビジネスを廃止し、農産物について全量買取を強制することで、全農の経営を悪化させ、

「全農グレインを手放さざるを得ないようにする」

 ことが、今回の規制改革推進会議に目的であるとしか思えないのです。


 全農グレインを全農が売りに出せば、その日のうちにカーギルの手に落ちるでしょう。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12221149890.html

亡国の全農解体を阻止せよ! 後編 2016-11-21


 大手マスコミはあまり報道していませんが、現在、全農「改革」をめぐり、永田町が大荒れになっています。


 自民党の自民党農林合同会議では、

「農家の所得向上でなく、農協潰しが目的になっている」
「農協の評価をするべきなのは農家だ」

 などと反発の声が相次ぎ、さらに公明党でも規制改革推進会議のやり方に批判殺到という状況です。


『全農改革案に議員も農協も猛反発

 全国農業協同組合連合会(全農)改革に向け、政府の規制改革推進会議が11日にまとめた提言を巡り、東北の農業団体や自民党国会議員に反発が広がっている。提言は、生産資材を仕入れて農家に販売する「購買事業」からの撤退などを求め、改革が進まなければ「第二全農」の設立まで突き付けた。「急進的」との声が強く、党が今月中にも取りまとめる農業構造改革の方針に、会議の意見がどの程度反映されるかに注目が集まる。(後略)』

 
 日本の食糧輸入は民間の商社や全農により担われています。すでにして、商社の多くには「外国資本」が入ってしまっている状況です。


 例えば、2013年末時点の外国資本比率は、三菱商事が30.1%、三井物産が32.9%、住友商事が33.9%、丸紅が30.6%、伊藤忠商事が43.2%。


 全農は、日本食糧輸入の25.9%を担っていますが、唯一の民族資本です。


 厳密には、日本国内の農協が組合員である「協同組合連合会」なのですが、外国資本の影響を全く受けない食糧輸入組織は、日本では全農のみとなってしまっています。


 だからこそ、邪魔、という話なのでしょう。


 昨年の農協改革で、全農の株式会社化が可能になりました。株式会社になり、株式譲渡制限という「規制」が緩和されたとき、カーギルによる全農買収を阻む術はありません(外為法の届け出だけ)。


 とはいえ、全農の組合員である農協が株式会社化に反対する限り、上記スキームは実現しないのです。もちろん、農協改革では農協の理事の過半数を経営者、認定農業者にすることが決定されるなど、着々と「布石」は打たれているのですが、短期で全農を株式会社化することは困難です。


 ならば、というわけで、今回の全農潰しが始まったとしか思えないのです。


 特に、規制改革推進会議の日付に注目で、問題の「改革案」が離されたのは、11月11日です。すなわち、ドナルド・トランプが大統領になることが決まった直後に、狂気の改革案を出してきたのです。


 トランプ当選を受け、カーギルに代表されるグローバル資本側が「焦っているのではないか?」というのが、わたくしの推測でございます。(あくまで「推測」)


 改めて書きますが、今回の全農潰しは、

「生産資材に関し、全農が商社機能を提供することを禁止」
「農産物について、全量買取を強制」

 という、民間のビジネスに対する狂気の介入であり、さらに「改革」が進まない場合、「第二全農」を作るという構想までもがあるのです。


 要するに、全農にさっさと潰れろ、という内容が、国会議員ではない民間人による規制改革推進会議で話され、実行に移されようとしているのです。規制改革推進会議の民間人たちは、一体全体、何の権利があり、日本の食糧安全保障を崩壊させる「全農潰し」を進めているのでしょうか。


 「カーギル様」の意向に沿っている、以外の理由があるならば教えてほしいものです。


 自民党の農林関係合同会議では、

「これを実行させたら自由主義の死。いつから日本は統制経済になった」

 という反発の声が上がったそうですが、同時に今回の話が通った日には、日本の「民主主義の死」でもあるという事実を、是非とも多くの日本国民に拡散して欲しいのです。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12221446200.html

続 亡国の全農解体を阻止せよ! 2016-11-30

『首相「全農刷新を断行」 政府、農業改革方針を決定

 政府は29日午前、農林水産業・地域の活力創造本部を首相官邸で開き、全国農業協同組合連合会(JA全農)の組織刷新などを盛り込んだ農業改革方針を決めた。全農に改革の自主計画を作ることを求め、国が進捗状況を確認する。安倍晋三首相は「全農は新たな組織に生まれ変わるつもりで、抜本的な改革を断行していただきたい」と語り、来年の通常国会に関連法案を提出する方針を示した。

 改革案は、肥料や農薬をメーカーから仕入れて農家に販売する全農の購買部門の縮小を提言。農産品を買い取って消費者に売る販売部門の機能を強化し、農家の手取り増につながる事業への見直しを促す。強制力はないが、全農自ら数値目標を入れた改革の年次計画を作り、国が進行度合いを確認することで実効性を担保する。(後略)』

 最終的な規制改革推進会議の提言は、以下になります。

【第6回規制改革推進会議  農協改革に関する意見 】
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/committee/20161128/agenda.html

 生産資材について、元々の提言は、

「全農は、仕入れ販売契約の当事者にならない。また、全農は、農業者に対し、情報・ノウハウ提供に要する実費のみを請求することとする。」

 と、民間事業者に商社ビジネスを禁止するという、信じがたい行政介入(しかも、規制改革推進会議には何の権限もないにも関わらず)が書かれていたのですが、今回は、

「全農は、農業者・農協の代理人として共同購入の機能を十分に発揮する。また、全農は、農業者・農協に対し、価格と諸経費を区別して請求する」

 という表現に改められていました。


 また、農産物販売については、

「1年以内に、委託販売を廃止し、全量を買取販売に転換すべきである」

 と、これまた極めて乱暴な介入になっていたのが、、

「全農は、農業者のために、自らリスクを取って農産物販売に真剣に取り組むことを明確にするため、農協改革集中推進期間内に十分な成果がでるように年次計画を立てて、安定的な取引先の確保を通じた委託販売から買取販売への転換に取り組むべきである」

 となりました。


 骨抜きと言えば、そう表現できないこともないのですが、そもそも論として、

「なぜ、農協が組合員であり、組合員の総会が【意思決定機関】であるはずの全国農業協同組合連合会(全農)のビジネスに、政府がくちばしを挟んでいるのか?」

 という、根本的な疑念をぬぐい去ることはできません。しかも、国会議員ですらない、規制改革推進会議が、なぜ全農を潰そうとするのか。


 日本の食料安全保障の根幹を担う全農グレインを、カーギル(様)に献上するため、以外に説得力がある理由を聞いたことがありません。


 全農は子会社の全農グレインから、配合飼料の原料となる穀物(とうもろこし、大豆、こうりゃん、小麦など)を数百万トン輸入しています。しかも、コスト高になるIPハンドリングを継続しつつ。


 全農や全農グレインが外資系穀物メジャーの手に落ちると、我が国は最終的に「遺伝子組み換え作物の巨大市場」と化してしまうでしょう。日本の消費者は「食の安全」について選択肢を奪われるのです。


 嫌な話ですが、日本国民のほとんどが遺伝子組み換え作物を(事実上)強制されたとしても、お金持ち層は「自分及び家族」のために、安全で健康的な食料を手に入れるルートを確保します。といいますか、お金持ち層向けに、非・遺伝子組み換え作物を提供する「ビジネス」が生まれるわけです。


 こうして、我が国は遺伝子組み換え作物を食べないお金持ち層と、「食べないという選択肢」を持たないマジョリティの国民に二分化されていくことになります。


 ちなみに、中国には「中国共産党官僚ご用達」の農場があり、美味しく、安全な農産物が「共産党官僚」には提供される仕組みになっています。


 我が国は、世界屈指の自然災害大国です。大地震が頻発する日本国において、国民を「少数の上位階層」と「多数の下位階層」に分けることが、どれほど危険か。少しでも想像力を持っているならば、理解できるはずです。


 日本国が「日本国民のための日本国」であるためにも、全農解体に代表される、安倍政権の「日本の安全保障を壊す構造改革」に反対しなければならないのです。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12224233488.html


種子法廃止が導く危険な未来 国民の胃袋握るモンサント
世界で破産農家が続出    2017年5月10日付

 北朝鮮へのアメリカの軍事挑発や森友学園騒動の陰に隠れるようにして、安倍政府は国民が納得のいく論議もしないまま密かに今国会で「主要農作物種子法」(種子法)の廃止を強行した。コメ農家のなかでは「種子」でもうけようとする企業のためであり、農家にとっては高い金を払ってコメの種子を毎年買わされることになると警戒する声が上がっている。同時に中南米など世界各国でモンサント社が開発した遺伝子組み換え(GM)種子を買わされる仕掛けのなかで、借金地獄による農家の集団自殺など悲惨な事態が頻発していることが伝わっている。日本でも同様の事態が引き起こされる可能性が高く、「食料自給」どころでない危険性が迫っていることに専門家は警鐘を鳴らしている。


 
 自然の摂理に反する遺伝子組み換え

 「種子法」は1952年に制定された。都道府県にコメ、麦、大豆など主要な穀物の原種の生産と普及を義務づけ、優良な種子の品質を確保し安定供給する役割をはたすことを目的とした。これにもとづいて、都道府県が基礎的食料のコメなどについて地域的特性に優れた品質を奨励品種に指定し、種子を生産してきた。

 戦後の食料難のなかから立ち上がり国民の食料自給に向けた農業者らの奮闘努力もあり、60年代には食料の約70〜80%を自給することができるようになった。とくに主食であるコメは100%の国内自給を達成したが、これも「種子法」の存在が大きな役割をはたした。

 ところが、種子法制定以来半世紀以上を経過した今国会で、安倍政府はこの法律が「民間の品種開発意欲を阻害している」との理由で廃止した。現行制度下でも民間企業も品種開発や育種、原種生産事業に参入できるが、安倍政府はとくに「法律で都道府県に原種生産の義務を明記している」ことを槍玉にあげ、「種子法が阻害し、民間の参入が進んでいない」として同法律を廃止した。

 現場は、同法律にもとづいて育種をし、種子の価格や品質を維持してきた。ところが法律の廃止で公的機関が優良品種を生産者に届ける責任がなくなる。農家に対しての種子の安定供給や安い価格での提供に支障が出る恐れは高い。また、公的機関による育種や種子の研究、品種開発が停滞する可能性も高い。

 それ以上に懸念されているのは、コメや大豆の種子ビジネスには資本力のある大手企業しか事実上参入は不可能であり、「外資系企業から種子を買うことになりかねない」ことである。

 安倍政府が突如として種子法の廃止に動きだしたことにも疑問の声が出ている。種子法の廃止は昨年九月に規制改革推進会議が提起したことが契機だった。規制改革推進会議では、種子法の役割や廃止の理由などの議論をほとんどしないまま、提起から半年もたたないうちに今国会に廃止法案を提出し、これまたまったくといっていいほど論議もなしに廃止を強行した。

 これに対して専門家は「あまりにも乱暴」と警鐘を鳴らしている。それは、種子はもっとも基礎的な農業資材であり、種子のあり方は農業や食料供給のあり方と直結するからである。日本ではコメ・麦・大豆は種子法によって安定供給が担保・維持され、生産、普及されてきた。

 専門家はコメなど主要農作物の種子は野菜や花きの種苗とはまったく異なると指摘する。コメなどは基本食料であり、種の増殖率が野菜などと比べて低く短期間には栽培できないという特性がある。安定的に供給し品質を厳格に管理する必要がある。そのためには必要な条件を備えた原原種圃、原種圃での生産と管理が不可欠である。安倍政府は種子法廃止ありきで突き進み、廃止後のコメなどの種子開発や生産、管理についてどうするのかの論議も検討もなく、むろん現場への説明もしていないという無謀さである。

 その背景として、専門家はアメリカのモンサント社の狙いを指摘している。アメリカでは近年モンサント社が小麦種子業者を買収するなど、巨大企業のターゲットが小麦に向かっている。大豆では1980年時点で公共品種が7割を占めていたが、1998年までに1割に減少し、現在はモンサント社など4社で70%超を支配している。しかもそのほとんどが遺伝子組み換え種子である。

 種子法の廃止で、専門家は日本もアメリカのように「公的育種、種子事業が将来的に国内大手、巨大多国籍企業の種子ビジネスに置きかわる恐れがある。種子をモンサントなど多国籍企業が狙っている」と指摘している。

 すでにモンサント社は2011年に日本政府に対して同社の一代限りの種子を使って、日本の農場でも遺伝子組み換え作物を栽培させろ、という要望をつきつけてきている。


 遺伝子組み換え作物 予測のつかない危険性

 モンサント社はベトナム戦争のときに米軍の爆撃機がジャングルに撒いた枯葉剤を開発した化学会社である。ラウンドアップという強力な除草剤も枯葉剤の研究から生まれたものであり、遺伝子組み換え種子と抱き合わせでこうした除草剤を買わせようとしている。

 世界で栽培される遺伝子組み換え作物の9割は、モンサント社の技術によるものだといわれている。そもそも遺伝子組み換え作物とはなにか。専門家の知見によれば以下のようなものである。

 遺伝子組み換えとは、遺伝子暗号を解析してどんな働きをしているかを調べ、特定の遺伝子の働きを押さえたり、またはこれを切りとって、別の生物の遺伝子配列のなかに入れこみ、新しい性質を持った生物をつくり出す技術である。この遺伝子組み換え技術によってつくられた食品が遺伝子組み換え食品であり、代表的なものとして、大豆やトウモロコシやナタネ、ジャガイモやワタ(綿)などがある。

 これらの遺伝子組み換え食品の特徴は除草剤耐性(全体の71%)、そして殺虫性(28%)である。モンサント社が開発した遺伝子組み換え作物に、ラウンドアップ耐性という性質のあるものがある。これは、ラウンドアップというモンサント社の農薬(除草剤)に抵抗力を持たせたものである。また、殺虫性とは作物自体に殺虫能力をもたせたもので、その作物を害虫がかじると死んでしまう。

 モンサントのいい分は、使用する農薬(除草剤)の種類と回数を減らすことができ、人件費等のコストダウンが可能になるというものであった。しかし、実際には除草剤の使用量は逆に増えた。それは除草剤をかけてもなかなか枯れない雑草が新たに出現して、年年急速に広まっているからである。その結果、除草剤使用量が急速に増え、しかも一つの除草剤では対応できなくなり、複数の除草剤に耐性を持たせた遺伝子組み換えが開発され、複数の除草剤を混ぜてまかなければならないなど悪循環に陥っている。除草剤耐性の遺伝子組み換えで雑草にも除草剤耐性がついてしまい、除草剤が効かなくなったように、害虫抵抗性遺伝子組み換えの場合でも効かない害虫が出現している。

 しかも、除草剤耐性にしろ殺虫性にしろ、アメリカなどの広大な土地での農業でないと農家にとってのメリットは出てこない。アメリカで生産されている大豆の約八五%は、モンサント社の除草剤「ラウンドアップ」に耐えられるよう遺伝子操作を施したものである。モンサント社が遺伝子操作して開発した遺伝子組み換え食品は、モンサント社がつくる除草剤にだけ効果があるので農家はモンサント社の除草剤を使う以外に選択肢はない。ラウンドアップは、モンサント社がつくった遺伝子組み換え農作物以外の草をすべて枯らしてしまう強力な除草剤=農薬である。その強力な農薬が散布された農作物の安全性についても世界的な問題になっている。

 そして農薬という毒性とともに、遺伝子組み換えという未知のリスクが問題になっている。遺伝子組み換えとは遺伝子操作であり、人為的・強制的に遺伝子操作をおこなうものである。たとえばクモの遺伝子をヤギにとか、魚の遺伝子をトマトにとか、バクテリアの遺伝子を大豆になど、自然界で起こらない操作をおこなう。遺伝子が親から子へと受け継がれる縦の遺伝子の継承・変容と、遺伝子組み換え企業がおこなう異なる生物間の遺伝子操作とは明らかに異なるものであり、予想不可能な大きな問題が起きる可能性が指摘されている。

 最近、遺伝子のDNAの構造の解析が進み、遺伝子そのものの構造を人類は突き止めるまでに至っているが、それでもまだまだ解明されていないものが大部分である。解明が十分進まないまま、人為的にバクテリアの遺伝子をトウモロコシに組み込むことなどにより、自然界にはない遺伝子をつくり出している。操作された遺伝子が何をもたらすか不明なまま、その遺伝子が自然の中で広まっているのが現状である。

 いったんつくられてしまった遺伝子組み換え作物は自然界の中で従来の作物とも交配をくり返していく。もし、いったん遺伝子組み換えトウモロコシを植えてしまえば、従来のトウモロコシにもその遺伝子組み換えのDNAを持った花粉がついて、交配していき、それ以前のトウモロコシとは違ったものになり、自然の生態系を破壊していく危険性が高い。

 自然がくり返す親から子への遺伝子の受け継ぎと異なり、人工的に無理矢理ある生物から別の生物への遺伝子操作をやることには予測のつかない危険があると、研究者は遺伝子組み換えの危険性に警鐘を鳴らしている。


 GM作物栽培を要求 種子買わなければ提訴

 日本は大豆の約95%を輸入しており、その約70%を米国に依存しているので、流通している大豆の65%程度は遺伝子組み換えのものと思われている。だが、分別生産流通管理された非遺伝子組み換え農作物が原料の場合は、表示不要または「遺伝子組み換えでない」と表示できる。また、大豆油や醤油などは、「加工後に組み換えられたDNA及びこれによって生じたタンパク質が残存しない加工食品」であるとして、表示は不要(任意表示)となっている。さらに遺伝子組み換えでない農産物に流通の過程で五%以下の遺伝子組み換えのものが混入しても、「意図せざる混入」として「遺伝子組み換えでない農産物」として扱われている。TPPや日米FTA交渉では遺伝子組み換え食品の表示自体をなくすことをアメリカの多国籍企業が押しつけてきている。

 さらに、日本国内では、遺伝子組み換え生物の使用等について規制をし、遺伝子組み換え生物が生物多様性へ影響を及ぼさないかどうか事前に審査することが定められている。モンサント社は日本政府に対してその規制を緩和するよう要求を出し日本国内においても遺伝子組み換え農作物を栽培せよと迫ってきている。

 種子の発芽を一代限りにしてしまうターミネーターテクノロジーという技術がある。この技術は企業による種子の独占を可能にするといわれている。種子に致死性タンパク質をつくる遺伝子を組み込み、一世代目はまくと成長して採種できるが、二世代目になるとこの遺伝子が特定の環境条件で発現し致死性タンパク質を生成することによって、種子が成長するのを阻止する技術である。この技術により遺伝子組み換え作物の種子の自家採種ができないようになる。

 倫理性の問題で、この技術による種子の流通はまだおこなわれていないが、モンサント社は契約によってターミネーター種子と同様の制約を農家に課している。モンサント社と農家が交わす契約の規定によると、同社が販売する種から採れた遺伝子組み換え作物の種を、農家が翌シーズン用に保存することは契約違反にあたる。だから農家は、毎年毎年モンサント社から種子を買わなければならない。昔から続いてきた伝統的な農業の慣行は許されない。

 アメリカでは実際に、モンサント社が遺伝子組み換え作物「不正使用」で農家を次次に提訴している。モンサント社は1999年一軒の大豆農家を訴えたが、それは同社の技術を不当に使用したとして、多額の支払いを求めるものであった。この農家は、収穫した大豆の一部をとっておき、次のシーズンに種として植えただけであった。モンサント社と契約していない農家の畑にモンサント社の種が風で飛んできただけで、特許侵害で訴えられるという事態も起きている。

 すでに世界の6大遺伝子組み換え多国籍企業は世界の種子市場の約70%を握っている。同時に自由貿易交渉などを通じて、農民が種子を保存して、翌年にそれで耕作する長年おこなってきた伝統的農業を禁止し、種子企業から種子を買わなければならないとする法律の制定を多くの国に強いている。古来から続く農の営みを断ち切り、一部の多国籍企業の利益に変えていくことで社会全体が根底から変えられていくことに警鐘が鳴らされている。

 遺伝子組み換え企業は、遺伝子組み換え作物こそが世界の飢餓を救うものだと宣伝している。だが現実には、遺伝子組み換え作物では飢餓を救うことはできない。遺伝子組み換えは高額な農薬や化学肥料を必要とする農業であるため、世界のすべての農民が実施することは不可能だからである。

 実際に遺伝子組み換えが導入された地域では、土地の集中が生まれ、多くの小農民が土地を失い、飢餓人口がつくり出されている。遺伝子組み換えの導入により、大型機械を使って大規模農業ができる農業になる。小数の資本力を持った農家は利益を得るが、多くの農民は土地を失い、失業者の群れに投げ込まれる。


 自殺する農民が急増 メキシコやインドでは

 TPP(環太平洋経済連携協定)の批准を日本の安倍政府は12カ国中唯一強行したが、TPPをめぐる論議のなかで、アメリカのモンサント社など多国籍企業の狙いはすでにNAFTA(北米自由貿易協定、1991年締結、94年発効)で実証されていると指摘されてきた。

 NAFTAはメキシコの農業に巨大な影響を与え、メキシコのいわば命の食とでもいうべきトウモロコシ生産を壊滅的に破壊した。メキシコ人にとってトウモロコシはありとあらゆる食に登場する日本のコメと同様の位置を占めている。それはマヤ文明から続く連綿とした食の歴史であり、伝統であった。

 アメリカからの輸入トウモロコシは、1991年のNAFTA締結時が131万dであったものが、2005年には580万dと4・4倍に膨れ上がった。米国はまったく輸入枠制限を順守せず、輸入制限枠をこえて輸出を増加し続けた。そのために、1991年のNAFTA締結前には100%の自給率を誇っていたメキシコ国産トウモロコシは、2005年には67%にまで落ち込んだ。

 アメリカからの輸入トウモロコシが激増し、さらにトルティーヤを加工・販売するアメリカ資本の食品企業が参入した。地域に密着していた従来の中小のトルティーヤの店はことごとく潰れ、メキシコのトウモロコシ農家は壊滅した。

 NAFTA発効前は年間約20万dに過ぎなかったメキシコのトウモロコシ輸入量は、20年後には約950万dに増加。その9割近くが米国産の遺伝子組み換えトウモロコシである。米国でこれによって潤ったのはモンサント社のようなグローバル大企業のみだった。
 
 モンサント社はトウモロコシにたかるシンクイムシを殺すために、あらかじめ植物細胞内に殺虫成分を遺伝子組み換えで組み込んだ。また作物はなんともないのに雑草だけを枯らす、除草剤耐性を持つGM種もつくった。このGM種には同じモンサント社の除草剤にしか効かないというものだった。GM種を導入すれば、ほぼ永遠にモンサントのGM種の種と除草剤を使い続けねばならなくなる。農家はまるで麻薬中毒状態におかれ、借金地獄に陥った。

 また、綿花の一大産地のインドでは2000年代初頭に「遺伝子組み換えワタ」の栽培が始まった。「害虫に強く収量が増える」として、今やインドのワタの栽培面積の九割を占めている。ところが、この種子や農薬の購入に多額の借金を抱えた農民があいついで自殺している。遺伝子組み換えワタは、殺虫タンパク質を生成する遺伝子が組み込まれており、ワタを食べた害虫が死ぬ仕組みである。遺伝子組み換えワタ種子の供給元はモンサント社である。

 モンサント社は種子とそれに合わせた農薬を販売する。最初は高い害虫抵抗性を示すため、農薬を使う量や回数が劇的に減り、コストダウンとなるが、やがて殺虫タンパク質への耐性を獲得した害虫が増え、その効果が薄れていく。そのために使う農薬が再び増えるので、結局は負担が増えることになってしまう。また、農薬の吸引による被害も広がっている。

 01年ごろからインドで爆発的に作付面積を増やした遺伝子組み換えワタは、05年ごろから徐徐に収穫量が減少していった。しかも、いったん遺伝子組み換えワタの栽培が定着すると、農家は在来種の栽培に戻ることが極めて困難になる。それは、遺伝子組み換えワタ種子の供給元が現地の種苗会社を買収して、遺伝子組み換えワタとそれに適した農薬だけを扱うようになったからだ。以前まではあった在来種の種子や農薬を、農家が手に入れることはできなくなる。また、遺伝子組み換えワタが普及するあいだに、在来種の栽培をサポートできる人材がいなくなるという問題も生じている。

 しかも、農家は遺伝子組み換え作物から種子をとって次のシーズンの栽培ができない。供給元が特許を設定しているためだ。遺伝子組み換え作物を栽培する農家は毎年、種子と農薬をセットで供給元から買わなければならない。そのため貧しい農民は借金をする。

 モンサント社の関連会社が販売する遺伝子組み換えワタの種子の価格は、在来種よりも25%高い。しかも州によっては遺伝子組み換えワタの種子しか買うことができない。干ばつや耐性害虫の出現、収量の低下も起こり、収量が伸びずに販売価格も低迷するなか、農家は借金の返済ができなくなっていく。インド国家犯罪記録局の調査では、自殺する農家は02年から10年間で17万人にのぼるとされている。借金の帳消し目的が大半と見られている。

 モンサント社は米国市場を席巻した後、隣国のメキシコを次の標的とし、その後中南米をはじめアジアなど世界各国に拡大していった。そしてTPPによってEUとともに最後の閉鎖市場となっている日本を狙ってきた。ちなみに、米国の「TPP推進のための米国企業連合」の農業部門の顔ぶれは、カーギル、モンサント、アメリカ大豆協会、トウモロコシ精製協会、全米豚肉生産者協議会などである。

 モンサント社のGMO種子は巨大アグリビジネスのカーギルと組むことで国際シェアの、実に90%を占めるモンスター企業となっている。2010年10月には、日本企業である住友化学が、モンサント社と遺伝子組み換え製品において強い提携関係に入った。このGMO種子の世界支配が完了すれば、種子と農薬という農業の必須資材はモンサント社とカーギルによって事実上握られることになってしまう。わずか1社、ないしはそれと強い提携関係にある数社が世界農業を裏で支配することになる。遺伝子組み換え作物を生産する生産者たちは、もし彼らが翌年の栽培のために種子を保存したり、あるいは特定企業以外の除草剤を使用した場合は起訴されるという内容の契約書に署名しなければならない。種の特許により、これらの企業は農産物の市場を独占しようとしている。

 安倍政府の種子法廃止は、こうした一握りの巨大多国籍企業が日本の農業、とくに主食であるコメや麦、大豆など主要穀物をも牛耳ることを容認するものである。食料生産は危機に瀕し、食料自給は崩壊し、胃袋を丸ごとアメリカの多国籍企業に差し出す売国政策にほかならない。
http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/syusihouhaisigamitibikukikennamirai.html

売国のモンサント法 2017-05-20
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12276257388.html


【Front Japan 桜】種子法廃止の恐怖 / 日本庭園に見るモンサント種の元[桜H29/5/19]
https://youtu.be/nzxDQzu6l3Y
http://www.nicovideo.jp/watch/1495181862

 さて、モンサント法として、種子法廃止法について取り上げてきましたが、もう一つ、決定的なモンサント法が、5月11日に成立しています。

『農業競争力強化支援法が成立
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS11H6A_S7A510C1EAF000/

 肥料や農薬などの農業資材や流通加工分野の業界再編を促す農業競争力強化支援法が12日午前の参院本会議で、与党などの賛成多数で可決、成立した。政府が昨年まとめた農業改革策の一環。資材メーカーや流通業者などの再編を金融面で支援する。政府は低価格の農業資材の供給や流通の効率化で農家の経営を後押しできると説明している。』

 上記、農業競争力強化の中に、とんでもない条文があるのです。

『農業競争力強化支援法
第八条 国は、良質かつ低廉な農業資材の供給を実現する上で必要な事業環境の整備のため、次に掲げる措置その他の措置を講ずるものとする。
(略)
四 種子その他の種苗について、民間事業者が行う技術開発及び新品種の育成その他の種苗の生産及び供給を促進するとともに、独立行政法人の試験研究機関及び都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進すること。』

 はあっ!!!!!????


 過去に、種子法の下で予算がつけられ、圃場(ほじょう。すみません、桜の番組では「ほば」とて呼んでいました。間違いです)において蓄積された、様々な種子に関する知見を、民間事業者へ提供する・・・・。


 予算、ですから、日本国民の税金により作られた「種の知見」を、民間事業者に譲り渡すわけです。しかも、例により外資規制はありません。


 売国、以外に、どのように表現すればいいのでしょうか。


 種子法が廃止され、農業競争力強化支援法が成立したことで、モンサントは日本の各地域の多様性に道が種の知見を手に入れ、「ちょっと変えるだけ」で生物特許を取ることができます。公共財である日本の種が、外資を含めた「ビジネス」へと変わることになります。


 一連のモンサント法により、以下の問題や懸念が生じます。

●種子法廃止後、種子は育生者権保護を強化した種苗法で管理⇒種苗法では、登録品種を「種子として販売・無償配布しない」という誓約書にサインを求められる

●農業競争力強化支援法により、公的な種苗の生産に関する知見が民間事業者に提供される

●特定企業が、過去に日本政府や地方自治体が蓄積した遺伝子を活用し、開発した新品種の「特許」が認められる⇒本来、公共財であった種の遺伝子の権利が特定企業に移行

●低廉な種子を供給してきた制度が廃止され、種子価格が高騰する可能性が高い

●日本国内で開発された種が外国の農場に持ち込まれ、農産物が生産される⇒「安価な日本原産の農産物」が、日本に輸入される

●国内の種子の多様性が奪われ、遺伝子クライシスの恐れが発生

●モンサントなどの遺伝子組み換え作物の種子が広まり、日本固有の種子遺伝子が絶滅する(花粉の伝播は止められない)

 我が国は、いずれ新嘗祭を、モンサント(等)の遺伝子組み換えの「稲」で執り行うことになるわけです。

 ヒャッハー!!!


 それ以前に、種の多様性が失われ、かつ価格が上がることで、食料安全保障は崩壊します。


 「亡国の農協改革 」
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4864104387/ref=as_li_ss_tl?ie=UTF8&linkCode=sl1&tag=asyuracom-22&linkId=93f620bfb956a3d19e17b20e74ffdec1

でも書きましたが、安全保障は掛け算です。足し算ではありません。


 すなわち、どれか一つでも安全保障が失われれば、我が国は「亡国」の状況に至るのです。


 今回のモンサント法成立は、日本の食料安全保障を決定的に失わせる可能性を秘めています。結果、カーギルが全農グレインを買収できなくても、日本は「亡国」の状況に至るのです。


 日本の国会議員は、早急に「公共の種」を取り戻す法律を制定しなければなりません。日本の「種」を守れないということは、日本国民を守れないと同義なのです。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12276257388.html


【討論】種子法廃止は日本農業を滅ぼすのか?[桜H29/5/20]
https://www.youtube.com/watch?v=3Sn3FB_6VHA&feature=youtu.be

2017/05/20 に公開


◆種子法廃止は日本農業を滅ぼすのか?

パネリスト:
 入澤肇(公益財団法人すかいらーくフードサイエンス研究所理事長)
 河添恵子(ノンフィクション作家)
 篠原孝(衆議院議員)
 三橋貴明(経世論研究所所長)
 安田節子(「食政策センター ビジョン21」代表)
 山田正彦(元農林水産大臣・弁護士)
司会:水島総


食糧安保とグローバルビジネス


現在の日本の状況をおおづかみに表現すれば、「過経済化」という言葉で形容することができる。

すべての政策や制度の適否が「収益」や「効率」や「費用対効果」という経済用語で論じられている事態のことである。

経済を語るための語彙を経済以外の事象、例えば政治や教育や医療のありかたについて用いるのは、用語の「過剰適用」である。

むろん、ある領域の術語やロジックがそれを適用すべきでない分野にまで過剰適用されることは、歴史的には珍しいことではない。過去には宗教の用語がそれを適用すべきではない分野(例えば外交や軍事)に適用されたことがあった(十字軍がそうだ)。政治の用語がそれを適用すべきではない分野(例えば文学)に適用されたことがあった(プロレタリア文学論というのがそうだ)。

人間はそういうことをすぐにしてしまう。それは人間の本性であるから防ぎようがない。私たちにできるのはせいぜい「あまりやりすぎないように」とたしなめるくらいのことでだけある。

「神を顕彰するための建築を建てよう」というのは宗教の過剰適用ではあるが、まずは常識的な企てである。「神を顕彰するために、異教徒を皆殺しにしよう」というのは常識の範囲を逸脱している。どちらも過剰適用であることに変わりはないのだが、一方は常識の範囲で、他方は常識の範囲外である。

どこに常識と非常識を隔てる線があるのか、いかなる原理に基づいて適否を判断しているのか。そういうことを強面で詰め寄られても、私に確たる答えの用意があるわけではない。

常識と非常識の間にデジタルな境界線は存在しない。にもかかわらず、私は神殿の建築には反対しないが、異教徒の殲滅には反対する。

これを「五十歩百歩」と切り捨てることは私にはできない。この五十歩と百歩の間に、人間が超えてはならない、超えることのできない隔絶があるからである。私はそう感じる。そして、その隔絶を感知するセンサーが「常識」と呼ばれているのだと思う。私たちはこの隔絶を感じ取る皮膚感覚を備えている。

その話を聞いて「鳥肌が立つ」ようなら、それは非常識な話なのだ。

今日本社会で起きている「過経済化」趨勢はすでに常識の範囲を大きく逸脱している。それは見ている私の鳥肌が立つからわかる。そういう場合には「もういい加減にしたらどうか」と声を上げることにしている。

すでに経済はそれが踏み込むべきではない領域に土足で踏み込んでいる。大阪の市長は「地方自治体も民間企業のように経営されなければならない」と主張してメディアと市民から喝采を浴びた。

だが、よく考えて欲しい。行政の仕事は金儲けではない。集めた税金を使うことである。もし採算不芳部門を「民間ではありえない」という理由で廃絶するなら、学校もゴミ処理も消防も警察も民営化するしかない。防災や治安を必要とする市民は金を払ってそれらのサービスを商品として購入すればいい(アメリカにはそういう自治体がもう存在している)。そういう仕組みにすれば行政はみごとにスリム化するだろう。でも、それは金のない市民は行政サービスにもう与ることができないという意味である。

学校教育も経済が踏み込んではならない分野である。だが、「教育コンテンツは商品であり、教員はサービスの売り手であり、子供や保護者は消費者である、だから、消費者に選好される商品展開ができない学校は市場から淘汰されて当然だ」と考える人たちが教育についての言説を独占して久しい。彼らにとって学校は教育商品が売り買いされる市場以外の何ものでもない。学校教育の目的は「集団の次世代を担うことのできる若い同胞の成熟を支援すること」であるという常識を日本人はもうだいぶ前に捨ててしまった。

医療もそうである。金になるから医者になる、金になるから病院を経営する、金になるから薬品を開発する。そういうことを平然と言い放つ人たちがいる。傷ついた人、病んだ人を癒やすことは共同体の義務であり、そのための癒しの専門職を集団成員のうちの誰かが分担しなければならないという常識はここでももう忘れ去られつつある。


農業も「過経済化」に吹き荒らされている。

最初に確認しておきたいが、食糧自給と食文化の維持は「生き延びるための人類の知恵」であって経済とは原理的に無関係である。

農業が経済と無関係だというと驚く人がいるだろう。これは驚く方がおかしい。農業は「金儲け」のためにあるのではない、「生き延びる」ためにある。今の農政をめぐる議論を見ていると、誰もがもう農業の本質について考えるのを止めてしまったようなので、その話をしたい。

人類史を遡ればわかるが、人類が農業生産を始めたのは、「限りある資源を競合的に奪い合う事態を回避するためにはどうすればいいのか」という問いへの一つの解としてであった。

農業はなによりもまず食資源の確保のために開発されたのである。

食糧を集団的に確保し、生き延びること。それが農業生産のアルファでありオメガであり、自余のことはすべて副次的なものに過ぎない。

食糧を、他者と競合的な奪い合いをせずに、安定的に供給できるために最も有効な方法は何か?

人類の始祖たちはそこから発想した。

最初に思いついた答えはまず食資源をできるだけ「散らす」ということだった。小麦を主食とする集団、イモを主食とする集団、トウモロコシを主食とする集団、バナナを主食とする集団・・・食資源が重複しなければ、それだけ飢餓のリスクは減る。

他人から見ると「食糧」のカテゴリーに入らないものを食べることは食資源の確保にとって死活的に重要なことである。自分たちが食べるものが他集団の人々からは「ジャンク」にしか見えないようであれば、食物の確保はそれだけ容易になる。お互いに相手の食べ物を見て「よくあんなものが食える」と吐き気を催すようであれば、食糧の奪い合いは起こらない。他者の欲望を喚起しないこと、これが食資源確保のための第一原則である。

食資源確保のための次の工夫は「食えないものを食えるようにすること」であった。不可食物を可食的なものに変換すること。水にさらす、火で焼く、お湯で煮る、煙で燻す・・・さまざまな方法を人間は開発した。

それでも同じような生態系のうちに居住していれば食資源はいやでも重複する。その場合には競合を回避するために、人々は「固有の調理法」というものを作り出した。調理はもともとは「不可食物の可食化」のための化学的操作として発達した。だから、「できるだけ手間を掛けずに可食化する」ことがめざされたわけであるが、人々はすぐにできるだけ手間を掛ける方が調理法としてはすぐれているということに気づいた。「ジャンク化」と同じアイディアである。特殊な道具を用いて、特殊な製法で行わない限り、可食化できない植物(例えば、とちの実)は、その技術を持たない集団からみれば「ただのゴミ」である。「ただのゴミ」には誰も手を出さない。

主食の調味料に特殊な発酵物を用いる食習慣も同じ理由で説明できる。発酵物とはまさに「それを食用にしない集団から見れば腐敗物にしか見えない」もののことだからである。

食文化が多様であるのは、グルメ雑誌のライターたちが信じているように「世界中の美食」に対する欲望を駆動するためではない。まったく逆である。他集団の人からは「よくあんなものが食える(気持ち悪くてゲロ吐きそう)」と思われるようなものを食べることで他者の欲望を鎮め、食糧を安定的に確保するために食文化は多様化したのである。

農業について考えるとき、私たちはつねに「何のために先人たちはこのような農作物を選択し、このような耕作形態を採用したのか」という原点の問いに戻る必要がある。

原点において、農業生産の目的はただひとつしかない。それは食資源の確保である。それだけである。そして、人類の経験が教えてくれたのは、食資源の確保のためにもっとも有効な手立ては「手元に潤沢にある(そのままでは食べられない)自然物」を可食化する調理技術を発達させることと、「他集団の人間が食べないもの」を食べること、この二つであった。


現在の日本の農政はこの原点から隔たること遠い。

TPPが目指すのは「手元にない食資源」を商品として購入すること、食文化を均質化することだからである。

世界中の70億人が同じものを、同じ調理法で食べる。そういう食のかたちを実現することが自由貿易論者の理想である。そうすれば市場需要の多い商品作物だけを、生産コストが安い地域で大量生産して、莫大な収益を上げることができる。

原理的には、世界中の人がそれぞれ違う主食を食べ、調理法を異にし、他文化圏から輸出されてくる食物を「こんなもの食えるか」と吐き出すというありようが食の安全保障(つまり70億人の延命)という点からは最適解なのだが、グローバル経済はそれを許さない。「全員が同じ食物を競合的に欲望する」というありようがコストを最小化し、利益を最大化するための最適解だからである。

例えば、世界中の人間が米を食うようになれば、最低の生産コストで米を生産できるアグリビジネスは、競合相手を蹴散らして、世界市場を独占できるし、独占したあとは価格をいくらでも自由にコントロールできる。自前の食文化を失い、「市場で商品として売られているものしか食えない」という規格的な食生活にまず人類全体を追い込んでおいて、それからその商品の供給をコントロールする。人々が希少な単一食資源を奪い合い、「食物を手に入れるためには金に糸目をつけない」という世界こそ、アグリビジネスにとっては理想的な市場のかたちなのである。

だから、グローバル経済はその必然として、世界中の食生活の標準化と、固有の食文化の廃絶という方向に向かう。これを「非人間的だ」とか「反文明的だ」批判しても始まらない。ビジネスというのはそういうものなのだからしかたがない。アグリビジネスは目先の金に用事があるだけで、人類の存続には特別な関心がないのである。

私が農業について言っていることはたいへんシンプルである。それは、人間たちは「金儲け」よりもまず「生き延びること」を優先的に配慮しなければならないということである。生き物として当たり前のことである。その「生き物として当たり前のこと」を声を大にして言わないといけないほど、私たちの社会の過経済化は進行しているのである。

これまで人類史のほぼ全時期において、食糧生産は金儲けのためではなく、食資源を確保するために行われてきた。でも、今は違う。人々はこんなふうに考えている。食糧の確保のことは考えなくてもいい(金を出せばいつでも市場で買えるのだから)。それよりも、どういうふうに食糧を作れば金になるのかをまず考えよう。だから、「食糧を作っても金にならないのなら、もう作らない」というのが正しい経営判断になる。

だが、これは国内市場には未来永劫、安定的に食糧が備給され続けるという予測に基づいた議論である。こんな気楽な議論ができる国が世界にいくつあるか、自由貿易論者たちは数えたことがあるのだろうか。

21世紀の今なお世界では8億人が飢餓状態にある。「費用対効果が悪いから」という理由で食糧自給を放棄し、製造業や金融業に特化して、それで稼いだ金で安い農作物を中国や南米から買えばいいというようなことを考えられる人は「自分の食べるもの」の供給が停止するという事態をたぶん一度も想像したことがない。日本の国債が紙くずになったときも、円が暴落したときも、戦争が起きてシーレーンが航行不能になったときも、原発がまた事故を起こして海外の艦船が日本に寄港することを拒否したときも、食糧はもう海外からは供給されない。数週間から数ヶ月で日本人は飢え始める。それがどのような凄惨な光景をもたらすか、自由貿易論者たちは想像したことがあるのだろうか。たぶんないだろう。

彼らにとって食糧は自動車やコンピュータと同じような商品の一種に過ぎない。そういうものならたとえ輸入が止っても、それはむしろ在庫を高値で売り抜けるチャンスである。でも、食糧はそうではない。供給量があるラインを割った瞬間に、それは商品であることを止めて、人々がそれなしでは生きてゆけない「糧」というものに変容する。

たいせつなことなので、もう一度書く。食糧は供給量があるラインより上にあるときは商品としてふるまうが、ある供給量を切ったときから商品ではなくなる。そういう特殊なありようをする。だから、食糧は何があっても安定的に供給できる手立てを講じておかなければならないのである。食糧を、他の商品と同じように、収益や効率や費用対効果といった用語で語ることは不適切であり、それに気づかずビジネスの用語で農業を語る風儀を私は「過経済化」と呼んでいるのである。

同胞が飢えても、それで金儲けができるなら大歓迎だと思うことをグローバルビジネスマンに向かって「止めろ」とは言わない(言っても無駄だ)。でも、お願いだから「日本の農業はかくあらねばならぬ」というようなことを言うのだけは止めて欲しい。他は何をしてもいいから、農業と医療と教育についてだけは何も言わないで欲しい。
http://blog.tatsuru.com/2013/12/30_1249.php


19. 中川隆[-7544] koaQ7Jey 2017年5月23日 06:16:20 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

サイコパスとその理念が世界を動かしている「悪意の時代」の中で

今回ご紹介するプラウダに載っていた記事の内容は、要するに、

「アメリカから始まり西洋(および多くの西洋の影響を受けている国)全体に広がっている現在の社会は、全体が《サイコパス的》価値観に支配されている」

(略)

ちなみに、「サイコパス」という言葉は、精神病質者をサイコパスと呼ぶ。

ひとことで言えば、サイコパスというのは、

「自分のナルシズムを満足させるためには他人をどれだけ傷つけても構わないし、無慈悲で冷酷で共感の気持ちもない。しかし、人をコントロールする魅力と能力を兼ね備えている人物」というような感じでしょうか。

こういうものは昔は「不思議で特殊だった品性」ですが、今の社会では不思議でも何でもなく、むしろ「憧れの対象」になったりしています。

普通は周囲から見て困るこのような品性が「企業理念から見れば最適」だと考えられる場合が今は多いようです。


【わずらわしいサイコパスたちがこの世界を動かしている】

アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズ氏は、成功者の偶像であり、若手起業家の理想的なモデルとして挙げられることが多いが、彼と共に働いた従業員の多くは、彼の抑止できない怒り、人への侮辱、人のやる気をくじくことなどについて、「彼と働くことは地獄だった」と認めている。

ある人物は、ジョブズ氏の事務所に呼び出された時に「ギロチン台に登るかのようだった」と飛べる。

ジョブズ氏を知る人々は、彼を「嫌な男」、「失礼な人間」、「耐えられない人間」と話す。

ジョブズ氏の最高の友人の1人であるジョナサン・アイブ氏(アップルの最高デザイン責任者)は、ビジネス・インサイダー誌に次のように語っている。

「彼が不満を感じた時に、彼がそこから解放されるカタルシスを得る方法は誰かを傷つけることだった。あたかも社会的規範というものが彼には当てはまらないかのようだった」

これから述べようとしていることは、サイコパス、つまり「反社会的人格障害」または「自己愛的人格障害」を持つ人間のことだ。

平気で人を傷つけ、他者に冷淡で、良心が欠如し、そして、自己中心的で、他人を侮蔑することなどがこのタイプの主な特徴の一部だ。共感と思いやりが完全に欠如しており、他人に害を与える行動をまったく反省することもない人たちのことだ。

そこに共通するのは、他人との共感の欠如、あるいは思いやりの欠如、不十分な社会的スキル、また、道徳的概念や、法的な規範を軽視する態度などだ。

しかし、それらの負の面が弱く出ている場合、特定のサイコパスたちは、そのサイコパス本人から影響を受ける人々を高度に「機能的」にし、そして、逆説的に、彼本人を多国籍企業や国家、あるいは教会のトップとしての成功に導く。

犯罪心理学の研究者ロバート・ヘア(Robert Hare)氏は、囚人などのサイコパスと、企業トップや政治家などとの関連についての数少ない研究を指導した一人だ。
それによれば、大企業や金融企業のトップにいる人たちの中のサイコパスの割合は 20人に 1人、あるいは全体の 4%だった。少ないように見えるかもしれないが、これは、一般の社会のサイコパスの割合の4倍高いのだ。

ヘア氏によると、「ウォールストリートでは、その割合は 10人に 1人」だという。


【共感心と罪悪感の欠如】

「組織や大企業の中で、サイコパスは、権??力と影響力を持ち、そして絶対的な権力を上位に昇格させる機能を作動させることができる」

(中略)

アメリカのシンクタンク「ブルッキングス研究所」のダレル・ウェスト(Darrell West)氏は、たとえば、企業の法および経営管理に原因があると強調する。

完全自由主義のエコノミストで、彼の教え子たちの考えを釘付けにしたミルトン・フリードマン(Milton Friedman)氏は 1970年に以下のように記している。

「株主価値の最大化こそが企業の唯一の責務であり、つまり、企業の唯一の社会的責任は、利益を最大化することなのだ」

これは複合化されており、また、最も権威のある学校だけが、ビジネス管理のための経済学と貿易の最高の権威を与えられる独自のコースを持っているという事実により認識される。

(略)

フリードマンのイデオロギーは、多国籍企業の役員やオピニオンリーダーを形成し、他者に対しての協調と責任の欠如の勧め、つまり、経営技術と会社の利益のことだけを考えさせるということを教育している。

サイコパスたちは「他人を操作するツールとしてそれを使うために、道徳的な行為をしているふりをする」が、同様に、ビジネスで成功する「連中(bastard)」は、利益を上げるためなら何でも行い、そして、それは彼らの文化と環境が利益を供給しなければならないという「道徳的な正当性」によって動機づけられている。
彼らは、彼らのサイコパスとして定義される行動や言動が(企業利益の増加に伴い)現実として評価されるので、社会で「成功」していく。

ヘア氏たちのチームの研究では、このサイコパス的な精神性がビジネス・キャリアとしての頂点に位置しているという不吉な証拠を挙げている。

彼ら(サイコパス的な精神性を持つ人たち)は、チームをまとめる協調の精神性を持たず、従業員たちからの評価も悪いという、客観的には実力のない管理者であるにも関わらず、彼らは、「創造的かつ革新的で、素晴らしい戦略的思考を持つ者」と上司によって評価されることが多い。

歴史を見てみると、有名な石油界の大物ジョン・D・ロックフェラーは、競争相手を躊躇なく台無しにするような、「私のお金は神によって与えられた」というようなことを宣言したことが思い出される。ロックフェラーはサイコパスの気質を持っていた。

これらの精神性は、アメリカ合衆国の環境に見出される。すなわち、その「自由」と「個人主義」においてだ。

経済的に繁栄する理想的な場所であるアメリカは、同時にこの(利益第一主義の)考え方を形作った。

つまり、自由の国アメリカの理念は、「貧しい人たちは彼らの過ちにより貧しいのだ」ということであり、そんな人たちを支援する価値はないという理念だ。

このアメリカの「邪悪な主義(evilism)」は、大西洋を越えてヨーロッパに渡っている。

イタリアの銀行家トマッソ・パドア=シオッパ(Tommaso Padoa-Schioppa)による「改革」の真の意味に関する言葉は以下のようなものだ。

「ヨーロッパ大陸においては、構造改革の包括的なプログラム、年金、健康、労働市場、教育は、単一の原則によって導かれる必要がある。20世紀の中で、それらは単一ではなく仕切られたが、それにより、人々は直接苛酷さと接触することがなくなった。それにより、挫折や制裁をなくしてしまい、彼ら自身の品性の欠陥を賞賛することがなくなってしまった」

つまりは今、西洋「文明」全体が、米国のエッセイストであるマイケル・エナーによって記述された点に達しているのだと思わざるを得ない。それは以下の記述だ。

「見るといい。何もかも逆さまだ。医師は健康を破壊し、弁護士は正義を破壊し、大学は知識を破壊し、政府は自由を破壊し、主要メディアは情報を破壊し、宗教は精神性を破壊しているばかりだ」

現在のこの世には「社会に隠された全身全霊の悪意」が存在する。

その悪意は、力の頂点であるサイコパスを選択しているということだろうか。

そして、「サイコパスがシステムの不可欠な部分として機能する」今の社会では、サイコパスたちが、その業績により、大衆から崇拝され、彼らの生き方が模倣されているということになるのだろうか。
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=325238
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=325239

「アラブの春」とは何であったのか


1980年代からネオコン/シオニストやイスラエルはイラクのサダム・フセイン体制を倒すべきだと主張していた。

イラクに傀儡政権を樹立させれば、ヨルダン、イラク、トルコの親イスラエル国でイランとシリアを分断することができると考えたからである。

すでにイラクを破壊、今はシリアを侵略している。

 欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)の最高司令官を務めたことのあるウェズリー・クラークによると、1991年に国防次官だったポール・ウォルフォウィッツがシリア、イラン、イラクを殲滅すると口にしていたという。そうした発言の背景には、そうしたネオコンの戦略があったということだ。

「アラブの春」、「民主化」、「人権」などは侵略を正当化するために掲げた中身のない看板にすぎない。

イラクを攻撃する際にはアメリカ軍が乗り出しているが、その後、傭兵を使い始める。1970年代の終盤、ズビグネフ・ブレジンスキー国家安全保障担当補佐官が考えた作戦に基づいて編成されたサラフ主義者/ワッハーブ派やムスリム同胞団を中心とする武装勢力をソ連軍と戦う傭兵部隊として使い始める。

 イラクでの戦乱が続く中、2007年にシーモア・ハーシュはニューヨーカー誌で、アメリカ(ネオコン)、イスラエル、サウジアラビアは手を組み、シリアやイランをターゲットにした秘密工作を開始、ヒズボラが拠点にしているレバノンを攻撃すると書いている。さらに、イランにもアメリカの特殊部隊JSOCが潜入して活動中だとされている。

 その秘密工作が顕在化したのが2011年春。北アフリカで発火した「アラブの春」だ。

おそらく「プラハの春」をイメージとして取り入れたのだろうが、リビアやシリアではサラフ主義者/ワッハーブ派やムスリム同胞団、つまりアル・カイダ系武装集団を使った軍事侵略にほかならなかった。侵略の主体はアメリカ、イスラエル、サウジアラビアだが、さらにフランス、イギリス、カタールといった国々が加わる。シリアではトルコやヨルダンも参加した。
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201608170000/


クリントン国務長官は、後に“アラブの春”と呼ばれるようになった、イラク占領後、2003年に、ブッシュ政権によって明らかにされた大中東プロジェクトの一環として、アラブ中東の至る所で、アメリカが資金提供した政権転覆の波を解き放つ陰謀にもどっぷり浸かっていた。

2011年、アメリカ政府が、フリーダム・ハウスや全米民主主義基金などの“人権”NGOを、いつも通り、億万長者の投機家ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティー財団や、アメリカ国務省やCIA工作員と共謀して利用する、アメリカによる“アラブの春”の最初の標的となった三国は、ベン・アリのチュニジア、ムバラクのエジプトと、カダフィのリビアだった。

アメリカ政府による、2011年“アラブの春”による特定中東国家の不安定化の時期と標的が、公表されたばかりの機密解除されたクリントンから、私的なリビア“顧問”で友人のシド・ブルーメンソール宛の電子メールとの関係で、今や新たな意味が浮かび上がっている。ブルーメンソールは 当時のビル・クリントン大統領を、モニカ・ルインスキーや他の性的スキャンダル問題で、弾劾されることから守った一流弁護士だ。


カダフィのディナール金貨

一体なぜアメリカ政府が、ムバラクのように亡命だけで済ませず、カダフィを個人的に破壊し、殺害しなければならないと決めたのかは、多くの人々にとって謎のままだ。カダフィが、アメリカが資金提供しているアルカイダ“民主的反政府”テロリストによって、残虐に殺害されたと知らされると、クリントンは、CBSニュースで、ユリウス・シーザーの有名な言葉を、むかつくような、ふざけた言い換えをし“来た、見た、彼は死んだ”と言い放った。彼女は心から気味悪い笑いをしながら、この言葉を言ったのだ。

リビアにおける、いや、それを言うなら、アフリカとアラブ世界におけるムアマル・カダフィの業績については、欧米ではほとんど知られていない。今、国務長官として、オバマ政権の対カダフィ戦争を指揮していた時期のヒラリー・クリントン電子メールの新たな部分が公表されて、戦争の背景に、劇的な新たな光が当てられることになった。

カダフィを抹殺し、リビアの国家としての全てのインフラを破壊するというのは、ヒラリー・クリントンの個人的判断ではなかった。判断は、アメリカ金融オリガーキーの極めて高位の集団が下したものであることは今や明らかだ。彼女はこうしたオリガーキーの命令を実行する、ワシントンの政治道具の単なる一人に過ぎない。介入は、石油貿易で、ドルに置き換わる金本位制のアフリカ・アラブ通貨を創設するというカダフィの良く練られた計画をつぶすのが目的だったのだ。1971年に、アメリカ・ドルが、ドルの金兌換を放棄して以来、ドルは劇的に価値を失った。アラブとアフリカのOPEC加盟産油諸国は、1970年以来、アメリカ政府によって、アメリカ・ドルでのみ支払うよう命じられているドルのインフレが、2001年までには、2000%以上にまで跳ね上がり、石油販売で得た購買力の消滅に長いこと反対してきた。

新たに機密解除されたクリントンの電子メール中の、2011年4月2日付けのシド・ブルーメンソールから、ヒラリー・クリントン国務長官宛のメールで、ブルーメンソールは、カダフィを排除すべき理由をあかしている。不明の“高位の情報筋”の話を引用するという口実で、ブルーメンソールは、クリントンにこう書いていた。“この情報筋が入手した機微情報によれば、カダフィ政府は143トンの金と、同様な量の銀を保有している… この金は、現在の反乱以前に蓄えられたもので、リビアのディナール金貨に基づく汎アフリカ通貨創設のために使用する予定だった。この計画はフランス語圏アフリカ諸国に、フランス・フラン(CFA)に対する代替を提供するべく設計されていた” このフランス関連の部分も、カダフィ・ディナール金貨の氷山の一角にすぎない。

ディナール金貨、そして更に

今世紀の最初の十年間、サウジアラビア、カタールなどを含むアラブ湾岸OPEC諸国は、ノルウェーの石油ファンドの成功を元に、膨大な石油やガス販売による収入のかなりの部分を本格的に国家のソブリン・フアンドに向けはじめた。

アメリカの対テロ戦争、イラクとアフガニスタンでの戦争や、2001年9月以降のアメリカによる中東政策全体への不満の高まりから、大半のOPEC加盟アラブ産油諸国は、1971年8月15日に、アメリカ政府が投げ捨てた金兌換のドルの代わりに、石油価格天井知らずに上がり、ヘンリー・キッシンジャーが好んで“オイル-ダラー”と呼んだものを作り出した1970年代以来、習慣になっている、手癖が悪いニューヨークとロンドンの銀行家に任せるのではなく、石油収入の益々多くを、国が管理するファンドに振り向けるようになっている。現在のスンナ派-シーア派戦争、あるいは文明の衝突は、実際は、2003年以降の、地域における“分割して、統治せよ”というアメリカによる操作の結果だ。

2008年、益々多くのアフリカとアラブの産油諸国が国家の石油とガス収入を、国が管理するファンドに向けていることが、ウオール街とシティー・オブ・ロンドンにとって大きな懸念となった。何兆ドルもの莫大な流動性を、彼らがもはや支配できなくなる可能性があるのだ。

今にして思えば、アラブの春のタイミングは、膨大なアラブ中東の石油の流れだけではないものを支配しようとする、アメリカ政府とウオール街の取り組みと緊密に繋がっていたことが益々見えてくる。新たな主権国家資産ファンドに集積された、彼らの何兆ドルものお金を支配することも、お同じ位重要な狙いだったのだ。

ところが、最新の2011年4月2日のクリントン-ブルーメンソール電子メールで、今や確認された通り、ウオール街とシティー・オブ・ロンドンの“お金の神様”に対し、アフリカとアラブ産油国世界から、質的に新たな脅威が出現しつつあったのだ。リビアのカダフィ、チュニジアのベン・アリと、エジプトのムバラクは、アメリカ・ドルから独立した金に裏付けられたイスラム通貨を立ち上げようとしていた。私は、2012年始めに、スイス金融・地政学会議で、このプロジェクトに関する豊富な知識をもったアルジェリア人から、この計画の話を初めて聞いた。文書は当時ほとんどなく、この話は私の記憶の中で棚上げになっていた。今や、アメリカ政府によるアラブの春の凶暴性と、リビアの場合の切迫感を総体的に把握できる、遥かに興味深い構図が現れたのだ。


‘アフリカ合州国’

2009年、当時、アフリカ連合議長だったカダフィは、経済的に窮乏したアフリカ大陸に“ディナール金貨”を採用するよう提案した。

イギリスとフランスの支援を得て、NATOによるカダフィ政権破壊の法的隠れ蓑を与えてくれる国連安全保障理事会決議を得ようというアメリカの決断に先立つ数ヶ月間、ムアマル・カダフィは、アフリカの産油諸国とアラブのOPEC加盟諸国が、世界市場において、彼らの石油販売に使用するはずの、金に裏付けられたディナール創設を組織していた。

ウオール街とシティ・オブ・ロンドンが、2007年-2008年金融危機で、ひどく厄介な状態にあった時に、もしもそういうことが起きていれば、ドルの準備通貨としての役割に対する影響は、深刻というだけでは済まされなかったはずだ。アメリカ金融覇権とドル体制にとって、弔いの鐘となっていたはずだ。膨大な未探査の金や鉱物資源を誇る世界で最も豊かな大陸の一つアフリカは、何世紀にもわたり、意図的に、低開発のまま留め置かれたり、発展を阻止するための戦争にさらされたりしてきた。国際通貨基金と世界銀行は、ここ数十年、アフリカの本当の発展を抑圧するための、アメリカ政府の道具だ。

カダフィは、アフリカ連合のアフリカ産油諸国や、イスラム教諸国に、ディナール金貨を主要通貨と為替手段とする同盟に参加するよう呼びかけていた。各国は、石油や他の資源を、アメリカや他の国々に、ディナール金貨でのみ販売することになるのだ。2009年、アフリカ連合の理事長だったカダフィは、アフリカ連合加盟諸国の会議で、リビア・ディナールと、ディルハム銀貨を、アフリカの石油を世界が購入できる唯一の通貨として使用するというカダフィ提案をした。

彼らの石油に対する、アラブOPEC諸国の主権国家資産ファンドと共に、他のアフリカ産油諸国、特にアンゴラとナイジェリアは、2011年のNATOによるリビア爆撃の当時、自分自身の国有石油の主権国家資産ファンドを作る方向で動いていた。カダフィのディナール金貨という考え方と結びついた、こうした主権国家資産ファンドは、イギリス・ポンド、フランス・フラン、ユーロ、あるいはアメリカ・ドルであれ、植民地的な通貨支配からの独立というアフリカの長年の夢を、現実のものにしていたはずなのだ。

彼が暗殺された当時、アフリカ連合の議長として、カダフィは、共通の金貨を持った、主権あるアフリカの諸国の連合、アフリカ合州国計画を推進していた。2004年、53カ国が参加する汎アフリカ議会は、2023年までに単一の金貨を持ったアフリカ経済共同体計画を立てていた。

アフリカの産油諸国は、オイル-ダラーを破棄し、彼らの石油とガスに対する、金による支払いを要求することを計画していた。参加国としては、エジプト、スーダン、南スーダン、赤道ギニア、コンゴ、コンゴ民主共和国、チュニジア、ガボン、南アフリカ、ウガンダ、チャド、スリナム、カメルーン、モーリタニア、モロッコ、ザンビア、ソマリア、ガーナ、エチオピア、ケニヤ、タンザニア、モザンビーク、コートジボワール、更に、新たな大規模石油埋蔵を発見したばかりのイエメンがあった。アフリカのOPEC加盟諸国、四カ国-アルジェリア、アンゴラ、ナイジェリア、巨大産油国で膨大な天然ガス埋蔵量を誇るアフリカ最大の天然ガス生産国と、最大の埋蔵量を持つリビアも-新たなディナール金貨制度に参加する予定だった。

カダフィに対する戦争で、アメリカ政府から前衛役を振り付けられていたフランスのニコラ・サルコジ大統領が、リビアは世界の金融の安全に対する“脅威”とまで呼んだのも何ら不思議ではない。

ヒラリーの‘反政府派’中央銀行を創設

カダフィを破壊するためのヒラリー・クリントンの戦争の最も奇妙な特徴の一つは、石油豊富なリビア東部のベンガジでアメリカが支援した“反政府派”、戦闘のさなか、彼らがカダフィ政権を打倒できるどうかはっきりするずっと前に、“亡命中の”欧米式中央銀行を設立したと宣言した事実だ。

反乱が始まってわずか数週の内に、反乱指導部は、カダフィの国営通貨庁を置き換える中央銀行を設立したと宣言した。反政府派委員会は、捕獲した石油を売るための彼ら自身の石油会社の創設に加え、“ベンガジ中央銀行を、リビア通貨政策を行う資格を有する通貨当局として認め、リビア中央銀行総裁を任命し、ベンガジに暫定本部を設置する”と発表した。

戦闘の結果が明らかになる前に、金に裏付けされたディナールを発行していたカダフィの主権ある国立銀行におきかわる欧米風中央銀行創設という奇妙な決定について発言して、ロバート・ウェンツェルは、経済政策ジャーナル誌で“民衆蜂起から、わずか数週間で作られた中央銀行など聞いたことがない。これは単なる寄せ集めの反政府派連中が走り回っているだけでなく、かなり高度な影響力が働いていることを示唆している”と言っている

今やクリントン-ブルーメンソール電子メールのおかげで、こうした“かなり高度な影響力”は、ウオール街と、シティー・オブ・ロンドンとつながっていたことが明らかになった。2011年3月に、アメリカ政府によって、反政府派を率いるべく送り込まれた人物ハリファ・ヒフテルは、カダフィの主要な軍司令官をつとめていたリビアを去った後、それまで20年間の人生を、CIA本部からほど遠からぬバージニア州の郊外で暮らしていた。

もしカダフィが、エジプトやチュニジアや他のアラブのOPECと、アフリカ連合加盟諸国とともに- ドルではなく、金による石油販売の導入を推進することが許されていれば、世界準備通貨としてのアメリカ・ドルの未来にとってのリスクは、明らかに金融上の津波に匹敵していただろう。


新たな黄金のシルク・ロード

ドルから自立したアラブ・アフリカ金本位制度というカダフィの夢は、不幸にして彼の死と共に消えた。ヒラリー・クリントンの身勝手な“保護する責任”論によるリビア破壊の後、現在あるのは、部族戦争、経済的混乱、アルカイダやダーイシュやISISテロリストによって引き裂かれた修羅場だ。カダフィの100%国有の国家通貨庁が持っていた通貨主権と、それによるディナール金貨発行はなくなり、ドルに結びつけられた“自立した”中央銀行に置き換えられた。

こうした挫折にもかかわらず、今や同様な金に裏付けされた通貨制度を構築すべくまとまっている国家の全く新たな集団は実に注目に値する。それぞれ世界第三位と、第一位の産金国であるロシアと 中国が率いる集団だ。

この集団は中国の一帯一路・新シルク・ロード・ユーラシア・インフラストラクチャー大プロジェクト建設と結びついている。これには、世界の金取引の中心として、シティー・オブ・ロンドンと、ニューヨークに置き換わるための中国による極めて確固たる措置である中国の160億ドルのゴールド開発基金も関わっている。出現しつつあくユーラシア金本位制度は、今やアメリカ金融覇権に対する、全く新たな質の挑戦になっている。このユーラシアの挑戦、その成功あるいは失敗が、我々の文明が生き残り、全く異なる条件のもとで繁栄できるようにするのか、あるいは破綻したドル体制と共に沈むのかを決定する可能性が高い。
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/post-cc58.html

巨悪の根源、アメリカにノーを突き付けたフセイン 2002年 7月


こんなことを書いても、「独裁者の下、秘密警察だらけのイラクで、まさか?」と思う人も多いと思うけれど、イラクに行く度に、世界の中で、こんな平和で美しい都市があり、苛酷な条件下でも、こんなに優しい人々がいるのだ、「生きていてよかった」と逆にこちらが励まされることが多い。

六月十七日の朝日朝刊に「米大統領、フセイン大統領暗殺容認」の記事が出ていた。声高にテロ撲滅を叫び、テロ支援国とかってに決めた国々を核攻撃で脅している本人が他国の指導者の暗殺を命じている。まるでブラックジョークであるが、そんな大統領に忠誠を誓い、共同軍事行動に踏み込もうという首相がいるなら、その顔を見たいものだ。

 筆者の考えでは、アメリカはフセイン大統領を亡き者にしようと焦っていることは間違いないが、アメリカに楯突くイラク国民をジェノサイドしてしまおうと目論んでいることもまた事実である。

今、週刊『金曜日』に本多勝一氏が連載で書いているように、あの湾岸戦争で、アメリカは、電力や貯水場などの生活に重要なインフラの破壊に重点におき、非戦闘員、とりわけ、女性や子供を標的にした学校、病院、シェルターなどをピンポイント爆撃したのも、地球の寿命ほど長く放射能の被害をもたらす劣化ウラン弾を投下したのも、そうしたフセイン大統領と一体となってアメリカに反抗するイラク国民自体の絶滅を目指してためであろう。

第二次大戦中の沖縄戦や、東京大空襲はじめ日本本土の焦土化作戦、広島、長崎への原爆の投下もさらに、ベトナム戦争、アフガン空爆その他の第三世界への干渉戦争は、兵器産業や巨大石油資本の営業部のブッシュ政権が受け継いでいる伝統的覇権主義の発露であろう。


筆者がバグダードの国際連帯会議に出席していた五月一日には、フセイン大統領が昨年出版し、ベストセラーとなった小説『ザビーバと王』が、パレスチナ生まれの詩人アディーブ・ナシールにより戯曲として脚色され、ラシード劇場で上演されていた。フセイン大統領はさらに小説を二つ、『難攻不落の砦』と『男たちと都会』も発表している。

 何はともあれ、西欧のメディアで描かれているサダム・フセイン像と大分違う。

 大統領の誕生祝いに参加した青年男女、市民の表情は、複雑な国内の宗派、民族の相違を克服して、幼稚園から大学まで無料、医療費もほとんど国庫負担、住居その他民生の向上に力をそそぎ、今日、アメリカに膝を屈しない国にまで育て上げたことへの感謝の気持ちを伝えようという熱気がうかがわれていた。そして、イラクに対するアメリカの不当な抑圧政策のへの怒りがその心の底にマグマのように燃えているからであろう。

 筆者が感銘しているのは、発展途上国では類のない児童文化の育成に力を尽したり、識字運動への熱意で、ユネスコから過去に二回も表彰されている。

 実は、この先頭に立ったのは外ならぬサダム・フセイン大統領である。それは何故か。それは、生まれた時にすでに父親は他界しており、はじめ小学校にも満足に入れなかった幼い日の悔しさがあるようだ。その背景に苛酷なイギリスの植民地政策があった。彼の貪欲な読書欲、そして祖国再興への使命感は、イラク人に共通する国民性であろう。
http://www.kokuminrengo.net/old/2002/200207-inter-ab.htm

2011年10月1日 米国にとって鳩山由紀夫とフセインとカダフィは同じ極悪人


アメリカにとって、イラクのサダム・フセインとリビアのカダフィ大佐はアメリカに敵対する極悪人のような存在だった。そして、実はアメリカの目で見ると日本の鳩山由紀夫氏もまったく同列の極悪人に見えていた可能性がある。

確かに強面(こわもて)のフセインとカダフィに比べて、我らが鳩山由紀夫氏はどこか頼りない印象でもあるが、アメリカは外見で彼らを見ているのではない。思想と行動で彼らを見ている。

そして、アメリカは彼らに共通項を見出し、明確に敵として認識した可能性が高い。


白アリに国家を食い荒らされているアメリカ

「強いドル」とはアメリカの政治家がよく口にするセリフである。アメリカにとっては世界を支配している象徴が基軸通貨としてのドルであり、決済手段としてのドルである。

ところが、2008年9月15日のリーマン・ショック以降、アメリカは目に見えるほどのスピードで急激に衰退が顕著になってきていて、それと平行して基軸通貨としてのドルの信認が揺らいでいる。

アメリカは、本当ならば2008年のリーマン・ショックでグローバル経済は破綻してもおかしくないような崖っぷちにまで追い込まれた。必死に破綻を回避して現在に至っているが、世界がアメリカを見る目がどんどん厳しくなってきている。

アメリカは2011年7月に累積債務の上限引き上げ問題に紛糾して、危うく国家破綻(デフォルト)する寸前にまで追い込まれた。

オバマ政権はタイムリミットぎりぎりの段階で何とかそれを回避したが、赤字削減学が低いとして今度は米国債の格下げで市場を動揺させることになった。

家の中で白アリが見つかると、その家の柱は食い荒らされて脆弱になっている可能性がある。

今のアメリカは莫大な負債という白アリに国家を食い荒らされている。

その結果、州財政が破綻していく問題であったり、失業率が高止まりしている問題であったり、FRBが莫大な不良債権を抱えて身動きできなくなっている問題であったり、米国債が格下げされる問題が、次から次へと噴出しているのである。

それぞれの問題を応急処置のように対処しても、もう間に合わないところにまで来ている。

そして、これらの出来事のひとつひとつが、ドルの衰退を示唆するものになってしまっている。

アメリカが覇権国家でいられたのは、世界で唯一ドルを印刷できる国だからである。ドルが信用されなくなってしまうと、アメリカは死ぬ。

だから、必死になってドルの価値を守るしかアメリカは生き残れない。

ドルを守る=ドル防衛のために、アメリカは何だってするだろう。死に物狂いになって、ドル離れを食い止め、ドルの前に立ちふさがる敵は徹底的に破壊しようとするはずだ。

「基軸通貨としてのドルを守るためにアメリカは死に物狂いである」という姿をまず、私たちは切実に意識しないとならない。


ドル防衛のために何でもするアメリカ


通貨基軸としてのドルの信頼低下

アメリカは大きな問題を抱えており、世界中がそれを認識している。その結果起きているのが米国債とドルの信頼低下である。

特に、通貨基軸であるドルはここ数年でどんどん価値を減退させており、それが日本では円高ドル安として認識されている。

実は、このドルの信頼低下がすべての問題を引き起こしているのである。

今までドルに変わる通貨基軸などないと世界は認識していた。しかし、今では世界中が「アメリカが国家破綻したらドルが紙切れになってしまう」という危惧を持っている。

国連までもが、米ドルが通貨基軸としての信認を失ってグローバル経済そのものがリクスにさらされているという見方を表明している。2011年5月25日のことだった。


国連が米ドル信頼の危機を警告、今年の日本の成長率予測を引き下げ

国連は25日、昨年12月に出した「世界経済情勢と見通し2011」の中間見直しを発表し、米ドルの主要通貨に対する価値が下がり続ければ、米ドルに対する信頼の危機、さらには米ドルの「崩壊」が起こりかねないと警告した。

中間報告は、主要通貨バスケットに対するドル相場が1970年代以来の水準に低下したことを挙げ、このトレンドの一因に、米国とその他主要国との金利差、米の公的債務の維持可能性に関する懸念の高まりがあると指摘。

「(予想される)外貨準備の一段の価値低下が起これば、それをきっかけに準備通貨としての信頼の危機が生じ、国際金融システム全体がリスクにさらされる」とした。

IMFと言えば、2009年3月25日、ドミニク・ストロスカーン(Dominique Strauss-Kahn)専務理事はこのようなことを言っていた。

「米ドルに代わる新たな基軸通貨の創設に関する議論は合理的であり、今後数か月以内に実施される可能性がある」「新たな基軸通貨について議論することは全く道理にかなっており、数か月以内に協議が行われるだろう」

2008年 リーマン・ショック、アメリカ経済崩壊
2009年 ストロスカーン、米ドル以外の基軸通貨示唆
2010年 ギリシャ危機、勃発
2011年 5月、ストロスカーン、レイプ疑惑で逮捕

ここで覚えておきたいのは、ドミニク・ストロスカーン氏は明確に米ドルに変わる基軸通貨が必要だと主張していたことだ。アメリカにとってストロスカーンは、「とんでもない男」に見えていたに違いない。

アメリカの見方は2011年5月に世界が共通認識することになった。ストロスカーンは「レイプ魔だった」のである。


レイプで逮捕されたドミニク・ストロスカーンIMF専務理事


アメリカの決死のドル防衛

ドルの通貨基軸としての地位が揺らいでいるのが今のアメリカの状況である。

アメリカの当面のライバルになるのはユーロだが、このユーロは実は2006年には紙幣供給量がドルを超えており、アメリカにとっては非常に危険なライバルになった。

ユーロ紙幣は2002年に紙幣の流通を開始しているのだが、イラクのサダム・フセイン政権は石油の決済をドルからユーロへ変更すると言い始めてアメリカと鋭く対立するようになり、崩壊していった。

1999年 決済用仮想通貨としてユーロ導入
2000年 フセイン、石油の通貨をユーロに変更
2001年 アメリカ9.11同時多発テロ事件
2002年 1月1日ユーロ紙幣流通開始
2003年 フセイン政権、崩壊


アメリカの敵として葬られていったサダム・フセイン

中東GCC(湾岸協力会議)でも、原油のドル決済をやめて、中東独自の通貨「カリージ」を作って、それで決済をする方向が2008年あたりに決定した。

しかし、そのあとにアメリカと鋭く対立するようになり、2009年にはドバイ・ショックで中東湾岸諸国が危機に陥っていった。そして今、湾岸諸国は通貨どころか、国家存続の危機に立たされている。

2008年 リーマン・ショック
2008年 GCCによる中東独自通貨の導入決定
2009年 ドバイ・ショック
2010年 アメリカによるカリージ延期要請
2011年 中東諸国、暴動・デモで全面崩壊

アフリカでもドルに変わる通貨としてアフリカ共同体の共通通貨をアフリカ連合が画策していた。特に中心となったのがリビアのカダフィ政権である。

しかし、これもカダフィ政権が崩壊したことによって恐らく延期、もしくは中止になっていく可能性もある。

2002年 アフリカ連合(AU)発足
2008年 リーマン・ショック
2009年 AU総会議長にカダフィ大佐就任
2010年 アフリカ共通通貨構想の現実化
2011年 1月、北アフリカ諸国、次々と崩壊
2011年 8月、リビアのカダフィ政権、瓦解


アフリカ共通通貨を主張していたカダフィ大佐


イランは2007年にやはりフセイン政権と同じく石油の決済をドルからユーロへと変更している。

しかし、アメリカはイランを厳しい経済制裁を2007年に課して、事実上、イランの石油が国際市場で販売できないようにしてしまっている。

ユーロ決済云々の前にイランは石油販売ができないのである。イラン攻撃についてはずっとアメリカで検討されていたが、いまだそれは行われていない。

イランは強国であり、いったん攻撃となるとアフガンやイラクのようにすぐに終わらない可能性がある。しかし、アメリカはそれをする計画を立てていた。

ところが、2008年9月にリーマン・ショックが起きて、もうアメリカはそれどころではなくなった。

2005年 アフマディ・ネジャド政権発足
2007年 石油決済をドルからユーロへ変更
2007年 アメリカによるイラン経済制裁
2007年 イランの石油は国際市場では販売禁止
2008年 アメリカ、イラク攻撃を計画
2008年 リーマン・ショック。アメリカ経済危機

イランは首の皮一枚で生きながらえている。偶然にそうなったのか、それとも最後の手段で残しているのかは分からない。


アメリカにとって非常に危険な男、イラン・アフマディネジャド大統領


日本が沈んで行った理由

ちなみに、共通通貨についてはアジアでも検討されていて、これを強力に推進しようとしていたのが鳩山由紀夫氏だった。


鳩山代表、「アジア共通通貨」を提唱

次期首相候補の鳩山由紀夫(Yukio Hatoyama)民主党(DPJ)代表が、10日発売予定の月刊誌「Voice」で、アジア地域の経済的および政治的な連携強化に向けた、アジア共通通貨の創設を提唱した。

出版社から入手した論文によると、鳩山氏はアジア共通通貨について、世界的な金融危機が将来起きた場合の衝撃を回避し、地域の政治的対立を軽減することに役立つと述べた。さらに、鳩山氏は、アジア地域において経済協力と安全保障のルールをつくりあげていくべきだと述べた。

もし、アジアに共通通貨ができあがったら、アジアの経済規模からしてドルの通貨基軸としての地位は完全に崩壊してしまうのは間違いない。

これはアメリカにとっては非常に危険な動きだった。端的に言うと、アメリカにとって、鳩山由紀夫はフセインやカダフィと同じくらいの極悪人だったことになる。


アジア共通通貨を提唱した鳩山由紀夫

そのせいなのかどうかは知らないが、結果的に言うと、アジア共通通貨を提唱した日本は現在、崩壊の危機に瀕している。

2008年 リーマン・ショック、アメリカ経済危機
2009年 鳩山氏、アジア共通通貨創設を提唱
2009年 民主党政権発足
2010年 鳩山由紀夫氏、失脚
2011年 東日本大震災、福島原発爆発

もちろん、2011年の東日本大震災、福島原発爆発は「偶然」起きた災害なのでアメリカが関係しているわけではない。アメリカは「トモダチ」作戦で助けてくれたではないか。

しかし、この震災によって、もはや日本はアジア共通通貨どころではなくなってしまったのは確かだ。

ちなみに、「ドル基軸通貨見直し論」は中国からも出てきている。これは周小川人民銀行(中央銀行)行長が2009年3月23日に「国際通貨システムに関する考察」と題する論文を発表したものが下敷きになっている。


周小川論文の波紋、中国から「ドル基軸通貨見直し論」
周小川人民銀行(中央銀行)行長は、3月23日、人民銀行のホームページに「国際通貨システムに関する考察」と題する論文を発表した。この内容は、ドルを国際基軸通貨とする現行の国際通貨システムには欠陥があり、ドルの代わりに国家主権を超越した新基軸通貨を創造すべきであり、当面はIMFの特別引出権(SDR)を活用すべきというものであった。

この論文に対し、英国タイムズは、「中国のドルに対する挑戦である」と論評し、米国オバマ大統領は、「私は(新たな)基軸通貨を創造する必要があるとは考えない」と反発した。しかし、国連の専門家チームのリーダーでノーベル経済学賞の受賞者でもあるスティグリッツは、これを支持している。

何度も言うが、ドルが基軸通貨でなくなった瞬間にアメリカは崩壊する。したがって、中国が「敵」になるのであれば、アメリカは容赦なく中国を破壊して回るだろう。


中国の将来にとても危険な発言をしていた周小川氏

アメリカが最終的に中国を破壊するのは、可能性としてゼロではない。中国がどのように破壊されるのかは、日本にとっては他人事ではないのは言うまでもない。(日本が完全に破壊され、二度と復活できない暗黒時代が来る)

アメリカが必死になってドル防衛をしている姿が世界中のあちこちで見て取れる。

ドル通貨基軸を揺るがす最大のライバルがユーロなのだとすると、当然今回のユーロ崩壊劇もアメリカの謀略が裏にあると考えていいだろう。

ギリシャの累積債務問題は、元はと言えばゴールドマン・サックスがギリシャ政府にアドバイザーとして入り込んでから始まったとも言われている。

ユーロが安定すると常にギリシャ危機が再燃する仕掛けになっていく。格下げのタイミングも絶妙だ。

最終的にユーロはどうなっていくのか。ユーロがドルを揺さぶる潜在的な危険性を持つ限り、ユーロの将来は極めて暗いと言ってもいいのではないだろうか。

なぜか。アメリカがそれを許さないからである。
http://www.bllackz.com/2011/10/blog-post.html


2011年10月24日月曜日


カダフィが死んで高笑いするヒラリーと八方美人外交の日本


欧米はアジア・アフリカを侵略し、植民地支配し、その富を奪うことで豊かになったという歴史がある。つまり、暴力で豊かになってきたという歴史が刻まれている。

暴力と成功体験がリンクしているのである。だから、根本的なところで暴力的であることが悪いとは思っていない。特にアメリカは建国史から暴力にまみれているのでそういう傾向が強い。

もちろん、暴力的であることが世界に支持されるとはアメリカも思っていないので、そこでアメリカが取ってつけた錦の御旗が「正義」である。どこかの国を「悪」に仕立て上げて、「悪を倒す」という名目で暴力を振るいに行くのである。


来た、見た、死んだ

なぜ暴力を振るうのかというと、そこの土地の指導者をいいように操ってその国の国富を収奪するためだ。だから、アメリカは「いざとなったら暴力がモノを言う」ことを否定していない。

その体質は、今回のリビアのカダフィ大佐が血まみれになって引きずり回されて殺されたのを見て、ヒラリー・クリントンがカエサル気取りで大喜びするのを見ても分かる。


"We came, we saw, he died"
(アメリカは来た、見た、カダフィは死んだ)

そういって、ヒラリー・クリントンは自分がプロポーズされたかのように屈託なく喜び、心から笑っているのが分かるはずだ。

別に私もカダフィが死んで悲しいとも思っていないが、これほどまで単純に喜べるわけでもない。

むしろ、これからリビアは収拾がつかない混乱に陥ることになるのは分かっている。喜ぶべきものではないはずだが、アメリカの戦略が一歩進んだことに、ヒラリーも喜びを隠せなかったのだろう。


捕獲され、死にゆくカダフィ大佐の最期の姿


カダフィが死んだと聞いて、心から喜ぶヒラリー・クリントン

何度も書いているが、アメリカは国家戦略の中に暴力を埋め込んでおり、世界中のどこの国も、アメリカの暴力から逃れられない。

言うことを聞かない国は叩きつぶせ(米軍)
相手が悪ならば、自分はそれ以上の悪になれ(CIA)
叩きつぶせないなら手を結べ(米政権)


アメリカの暴力哲学

アメリカの暴力哲学は歴史上、ほぼ一貫して行われていることは誰でも知っている。そもそも世界最大の軍需産業はすべてアメリカに集中している。

ロッキード・マーチン、ボーイング、レイセオンを筆頭として、そこにぶら下がる無数の企業がアメリカを支えている。

ノースロップ・グラマン、ユナイテッド・テクノロジー、ゼネラル・ダイナミックス、ハネウェル、アライアント、ロックウェル・コリンズ、L3コミュニケーションズ。

これらの企業はアメリカの雇用を支えると同時に、多くの政治家を排出して、アメリカの暴力を支えている。だから、アメリカの政治が暴力と縁が切れないのは当然のことである。

雇用を支える必要があるから、暴力は正当化される。その暴力正当化の歴史が長かったので、それがアメリカのDNAになっているとも言える。

だから、アングロサクソンがアメリカ大陸に「侵略」して、ネイティブ・アメリカン(インディアン)を根絶やしに侵略し、虐殺し、絶滅品種に追いやったのは「正当化」される。

また、日本に原爆を落として一瞬にして20万人の人々を焼き殺したのも「正当化」されている。

ベトナムではナパーム弾、絨毯爆撃、枯葉剤と、おおよそ考えられる非人道的な皆殺し作戦を実行していた。

湾岸戦争では劣化ウラン弾を使用して現地を放射能まみれにした。すべて「正当化」されていて謝罪の言葉は聞いたことがない。

また、イラク・アフガン・パキスタンで、大量虐殺が発生していても、それが正義のためであると喧伝された上に「正当化」されている。これらの国の市民が誤爆や誤射で何人死のうが同じだ。

ヨーロッパのほうも南米やアフリカを激しく収奪してきた。現在のアフリカの問題、中東の問題、イスラエルの問題は、すべてイギリスやフランス等が種をまいたと言っても過言ではない。

リビアの空爆はNATO軍が行った。多くの市民が死んでいったが、ここでの暴力は「正当化」されている。カダフィの死も、アメリカの正義戦略の中で行われて目的が達成された。

ヒラリー・クリントンの高笑いは、アメリカの暴力がまたひとつの国を崩壊させたという満足感の現れである。


リビアの反政府軍はアメリカのカダフィ排除戦略に乗っている。
http://www.bllackz.com/2011/10/blog-post_24.html

2016年11月4日
今回は、ヒラリー・クリントンなる人物が、アメリカの国務長官として何をしてきたかを、まず調べてみることにします。
    *

 さて「国務長官」というと、まるでアメリカの国内行政における最高責任者のように聞こえてきますが、実は日本の「外務大臣」にあたる外交政策の責任者です。
 アメリカの「防衛省」は、今は「防衛総省」(別名ペンタゴン)と言っていますが、かつては「戦争省」と言っていました。

 日本では「陸軍省」と誤訳(意図的?)されていますが、第2次大戦が終わる前までの正式名称は、「United States Department of War」すなわち「アメリカ戦争省」でした。

 まるで外国にたいして侵略戦争をし続けてきたアメリカの歴史を象徴するような名称ですが、アメリカにとって軍事力による外交=戦争は、内政よりも重要な「国務」であったからこそ、「外務省」を「国務省」(United States Department of State)と名付けたのかも知れません。

 アメリカ軍人として伝説的な英雄スメドレー・バトラー将軍は、退職したあと自分が軍人として果たしてきた役割を振り返って『戦争はペテンだ』という著書を著し、そのなかで、右のような事情を、次のように述べています。

 「私は、大企業、ウォール街、銀行、お偉方の用心棒として時を過ごした。
要するに私は資本主義に奉仕する恐喝者でありギャングの一員だった」

「私はウォール街の利益のために中米の六つの共和国の略奪を手伝った。恐喝の記録は長い」

「ギャングの親玉アル・カポネがやれたのは、せいぜい三つの地区のボロ儲けの口を操っただけのことだ。私なんか3大陸を操ったんだ」
(『肉声でつづる民衆のアメリカ史』上巻442頁)


 このスメドレー将軍のことばは、アメリカ外交の本質を赤裸々に暴露しているのではないでしょうか。

    *

 それはともかく、ブッシュ氏が大統領になったとき、「9・11事件」を口実にアフガニスタンを爆撃し、それをイラクへの侵略戦争に拡大したのですが、それでもアメリカによる戦争は中東の小さな範囲にとどまっていました。ところがオバマ大統領とヒラリー国務長官のもとで、戦火は一気に地中海沿岸の北アフリカ(リビアの内戦)や東ヨーロッパ近辺(ウクライナやシリアの内戦)にまで拡大しました。

 それどころか、今まではブッシュ大統領が表立って手出しをしなかった中南米にまで手を出してクーデター工作をおこなうようになりました。このような戦争やクーデターの拡大に深く関わってきたのが、ヒラリー国務長官でした。

 いま深刻な人道危機をもたらしているシリアの内戦について、ヒラリー女史が「リビアと同じような飛行禁止区域をもうけるべき」だと強く主張していることは前回の拙稿で紹介したとおりです。

 アサド政権の要請でロシアが本格的にイスラム原理主義集団の掃討作戦に乗りだし、彼らの拠点を空爆し始めてからは、ダーイッシュ(今まではISISとかイスラム国と呼ばれていた)などのイスラム原理主義集団諸派は、負け戦です。

 サウジを中心とする湾岸諸国が資金と人員を供給し、アメリカやNATO諸国が(さらにイスラエルも)裏で、武器や特殊部隊を派遣して軍事訓練をしてきたにもかかわらず、この状態なのです。

 アメリカの基本戦略は、あくまでアサド政権の転覆です。そのためにはロシア軍の空爆をやめさせる必要があります。ロシア軍の空爆はアサド政権の正式な要請によるものですから、国際法に則った行為ですが、イスラエルやNATO諸国(トルコも含む)のシリア領内における空爆は領空侵犯になりますから、どうしてもリビアの時と同じような「飛行禁止区域」の設定が必要になります。

 これを強く主張しているのが、先述のとおり、ヒラリー女史です。

 しかし、ロシアは安全保障理事国ですから今のままでは国連の許可を得ることができません。残された道は、偽の人道危機をつくりだして、「ロシア軍やアサド軍は民間人を無差別に殺傷している」とか、「彼らは化学兵器を使っている」とかの口実で、世論を喚起して彼らを押さえ込む以外にありません。

 他方、ロシアの主張は次のとおりです。

 「リビアでは『独裁者カダフィが自国の民衆を無差別に爆撃して大量の死傷者を出している。だから飛行禁止区域を』という口実で、カダフィはイスラム原理主義集団と戦う手段を奪われてしまった。その結果、何が生まれたか。国土の荒廃と大量の難民だった。同じことをシリアでも繰りかえすつもりか」
    *
 シリアになだれ込んでいるイスラム原理主義集団は、サウジを中心とした湾岸諸国からだけでなく、ロシアのチェチェンや中国の新疆ウイグル地区といったイスラム教徒が多い地域からも流入してきています。彼らはロシアや中国を不安定化させる勢力としてCIAが以前から訓練してきた勢力だと言われています。

 ですから、シリアが内戦で崩壊した場合、そこで勝利したイスラム原理主義集団は、次の攻撃目標として、ロシアや中国に還流し、ロシアや中国を不安定化させることに最大の精力を注ぎ込むことになるでしょう。

 今やEUとアメリカに対抗する勢力として経済的にも軍事的にも対抗する大国になりつつある動きを、アメリカとしては何としても阻止しなければなりません。

 BRICsという興隆しつつある経済共同体の中心がロシアと中国だから、これはなおさら、アメリカにとっては放置できない事態です。

 だからこそ、ロシアと中国を不安定化させることが必要なのです。

 かつて中東一円からイスラム原理主義集団(ビンラディンもその中の一人でした)をかき集めてソ連をアフガニスタンに引きずり込み不安定化し崩壊させた方法を、シリアでもやろうというわけでしょう。

    *

 しかし、これはロシアや中国にとっても座視できない重大事です。

 ロシアと違って、中国は表立ってシリアに味方しては来ませんでしたが、最近、中国も、アサド政権を支えるために、裏で大きく動きはじめていると言われるのも、このような情勢から見ると当然のこととも言えます。

 ですから、ヒラリー女史が「シリアに飛行禁止区域を!」と大声で叫び、「ロシアやシリアが言うことをきかないのであれば軍事力の行使もいとわない」と主張することは、世界大戦になることを意味します。

 この戦いは、NATO諸国やサウジなどの湾岸諸国と一緒になって、アメリカが、ロシア=シリア=イラン=中国といった勢力と、軍事力で戦うことになるからです。

 前回の論考で述べたことですが、イギリスの高級紙インデペンデントだけでなく、ヒラリー女史の自叙伝を書いたディアナ・ジョンストンなどが、イタリアの新聞インタビューで

「クリントン氏の大統領選の勝利は、第3次世界大戦の勃発も含め予想外の結果をもたらす可能性がある」

と語っているのも、このような背景をふまえてのことだと、私は理解しています。

    *

 ここで、もうひとつ考えておかねばならないことは、ロシアの軍事力はシリアにおける原理主義集団との戦いで明らかになったように、通常兵器ではアメリカ軍をはるかに凌駕しているということです。

 ですから、アメリカ軍がロシア軍や中国軍と戦って本気で勝つつもりならば、残されている手段は核兵器による先制攻撃しかありません。

 しかも集団的自衛権でアメリカに縛られることになった日本も、否応なしに、この核戦争に巻き込まれるかも知れません。

 しかし、いったん核戦争が起きれば、生き残れる国はほとんどないでしょう。今は、それほど深刻な事態なのです。

    *

 話が少し横道にそれたので、クリントン女史に話を戻します。

 ロシアはヒラリーの主張する「飛行禁止区域の設定」について、「シリアをリビアのように破壊して、再び大量の死傷者を出し、EU全土を更なる難民であふれさせようとするのか」と怒っているわけですが、このリビア内戦にヒラリーは、どのようにかかわっていたのでしょうか。

 2016年10月20日は、リビアの元首だったカダフィ大佐が、アルカイダの一派に惨殺されて5周年になる日でした。

 カダフィが殺されたとき、ヒラリー女史は国務長官として、NATO軍のリビア攻撃を指揮・監督する立場にいたのですが、カダフィ惨殺の報が届いたときCBSのインタビューの中で

「来た・見た・死んだ」"We came, We saw, He died"

と、身振り手振りをまじえて、嬉しげに言っています。

 この言葉は、共和制ローマの将軍カエサル(日本ではシーザーとして知られている)が言ったとされることば「来た・見た・勝った」をもじったものですが、その嬉しげに語っている映像がユーチューブに流れ、ヒラリー女史の冷酷さ・好戦性を浮き彫りにするものとなりました。

    *

 では、リビアとはどのような国で、カダフィとはどのような人物だったのでしょうか。

 元財務省高官(財務次官補)で、かつウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者だったポール・グレイグ・ロバーツ氏は、このカダフィ惨殺五周年の日に、自分のブログで、それを次のように書いています。

 「ムアマル・カダフィは、世界で最も進歩的な指導者だった。カダフィはリビアの石油の富をリビア国民のために使っていた。

 彼は宮殿ではなく、立派なテントではあるが、テントで暮らしており、アメリカ政府の中東同盟国であるサウジアラビアや産油首長国支配者一族につきものの、ヨーロッパ高級車や他のあらゆる身の回り品のコレクションを持っていなかった。

 リビアでは、教育・医療・電力は無料だった。ガソリンは事実上無料で、1リットル14セントで売られていた。子どもを産んだ女性は現金の助成金を貰い、カップルが結婚すると現金の助成金が貰えた。リビアの国営銀行は無利子で融資し、農民には無償で開業資金を供与した。」


*Hillary's War Crime
「ヒラリーの戦争犯罪」

    *

 ロバーツ氏はこれらの事実を、グローバル・リサーチという独立メディアに載せられた「リビア:知られては困る、カダフィに関する10の事実」という小論に依拠しながら書いているのですが、日本では全く紹介されていない事実ばかりです。

 このロバーツ氏が依拠した小論には、カダフィが計画していた世界最大の灌漑施設の地図も載せられていて、驚かされました。カダフィの言う「緑の革命」は単なる夢想ではなかったのです。

 しかし日本で紹介されているカダフィ像は、アメリカ政府から流れてきた情報にもとづいた「自分の国民を冷酷に支配する独裁者」という悪魔化されたものばかりでした。


*Global Research
"Libya: Ten Things About Gaddafi They Don't Want You to Know"
「リビア:知られては困るカダフィ10の事実」

    *

 では、上記のような理想国家をつくろうとしていたカダフィ政権を、なぜアメリカとNATOは倒そうとしたのでしょうか。それをロバーツ氏は、先の引用に続けて次のように書いています。

 「カダフィがアメリカ政府から自立していたことが彼の没落をもたらしたのだ。若い頃のカダフィの目標は、アラブを欧米の略奪に抵抗できる一つの連合に組織することだった。

 それが思うように進展しないことにいらだった彼は、汎アフリカ主義に向かい、アメリカのアフリカ軍に参加するのを拒否した。また彼は、ドルではなく金をもとにしたアフリカ統一通貨を導入ようとした。そうすればアフリカをアメリカの金融覇権から解放できるからだ。

 カダフィは、中国のエネルギー企業にリビアのエネルギー資源を開発させた。以前から地中海におけるロシアの存在に腹を立てていたアメリカ政府は、今や中国の存在にも向き合わねばならなくなった。だからアメリカ政府は結論を出した。カダフィは悪い連中と付き合っているので退陣させるべきだと。」

    *

 私は今まで、アメリカとNATO軍によるカダフィの追放は、リビアの石油が目当てだとばかり思ってきたのですが、実はもっと深い理由があったのです。「ドルによる世界支配」を維持し、「中国のアフリカ進出」を阻止することが、カダフィ追放の真の理由だったのです。

 では、何を口実に、どのような手段で、カダフィを追放するか。それがアメリカにとって次の問題になります。米軍が直接、アフリカに乗りだしてリビアを破壊するのでは、世界の世論はもちろんのこと、アフガン戦争やイラク戦争に嫌悪感が強くなっているアメリカの世論も賛成しないでしょう。ではどうするか。それをロバーツ氏は先のブログで次のように説明しています。

 「アメリカ政府はイスラム原理主義者を使って傭兵を編成し、シリアと同様、連中を『反政府派』と名付け、リビア政府にけしかけた。

 カダフィ軍が勝っていることが明らかになると、アメリカ政府は、初心(うぶ)で騙(だま)されやすいロシアと中国の政府を罠(わな)にかけ、国連でリビア領空に飛行禁止空域を設定することを認めさせた。それを実行するのはNATO軍だ。

 飛行禁止空域の口実は、カダフィによる民間人攻撃を防ぐためということだった。しかしそれは嘘だった。本当の理由は、主権国家のリビアが自分の領空を使えないようにして、傭兵と戦っている地上軍をリビア空軍が支援できないようにするためだった。

 ロシアと中国がこれに騙されて、安全保障理事会の議決で拒否権を行使しそこねると、今度はアメリカとNATO自身が、決議に違反してNATOの空軍力を用いてカダフィ軍を攻撃した。こうして戦局はCIAが組織した傭兵に有利になった。

 カダフィは捕らわれ惨殺された。それ以来、かつて繁栄し成功していた国家リビアは混乱・混沌の極みだ。それは、オバマ政権が望んでいたものだ。」

    *

 ところが今やイギリスでは議会による調査報告書が、「カダフィが欧米の覇権にとっての障害と見なされていたがゆえにリビアは破壊された」と明白に結論づけているのです。だからこそ、ロバーツ氏は上記のブログを次のように締めくくっているのでしょう。

 「注目すべきなのは、ニュルンベルク裁判をもとにした国際法では、彼女が有罪であることは明らかなのに、この戦争犯罪について、この「殺人婆」(killer bitch)に質問したマスコミは皆無だということだ。

 なぜなら、この戦争はヒラリーが国務長官の職に就いているときに、彼女の監督下で準備されたものだからだ。

 もうひとつ注目すべきなのは、この「殺人婆」を所有している巨大な政治力を持ったひと握りの集団オリガーキーと、連中の手先である「売女マスコミ」 (presstitute=press+prostitute)は、この戦犯を次期アメリカ大統領にするつもりだということだ。

 この「殺人婆」や「売女マスコミ」という言葉づかいのなかに、元アメリカ財務省高官だったロバーツ氏の憤りが伝わってくるような気がします。

 ヒラリー女史にたいする怒りもさることながら、ロバーツ氏の大きな怒りは、トランプ叩きに終始しているアメリカの大手マスコミにも向けられているのです。

 それにしても、実名で公けにしているブログなのに、よくぞここまで大胆に言い切れるものだと、その勇気に感心・感動しました。日本の元政府高官に、このようなひとはいるのでしょうか。私は寡聞にして知りません。

    *

 以上で「シリアに飛行禁止区域を!」と主張するヒラリー女史の冷酷さ・好戦性が少しは分かっていただけたかと思いますが、これだけでは、リビア空爆の残酷さや戦犯性が今少し伝わりにくいように思いますので、そのようすを物理化学者・藤永茂氏のブログ「私の闇の奥」から引用して紹介したいと思います。

 このブログの日付は「2011年8月31日」となっています。カダフィが惨殺されたのは10月20日ですから、そのことを念頭において読んでいただければと思います。

 「いま、リビアについての我々の関心は(好奇心は)、カダフィが何処でどのようにして捕まり、どのように処分されるかに釘付けにされているようですが、我々の本当の関心は、今回のリビア内戦でNATOが何をしたか、何をしているかに集中されるべきだと私は考えます。

カダフィの政府軍による大虐殺からリビア国民を守るという名目の下に開始されたNATOによるリビア空爆は、想像を絶する物凄さで行なわれました。8月23日のNATOの公式発表によると、過去5ヶ月間にNATO空軍機の出撃回数は2万回を超えました。1日あたり130回の物凄さです。

 対地攻撃を行なった戦闘爆撃機が1機に複数の爆弾や誘導ミサイルを搭載しているとすると、正確激烈な破壊力を持った数万の爆弾やミサイルがリビアの人々の上に降り注いだことになります。

 リビアの人口約650万人、人口的には福岡県と佐賀県を合わせた位の小国です。ミサイルの標的が戦車であれ、輸送車両、船舶であれ、カダフィの住宅であれ、放送局、大学であれ、無人ではない場合が普通でしょうから、多数の人間が殺傷されたに違いありません。8月上旬に、NATO空爆による死者2万という報道がちらりと流れたことがありましたが、あり得ない数字ではありません。

 しかも、NATOの反政府軍支援は空爆に限られたわけではありません。大型ヘリコプターなどによる兵器、弾薬、物資の補給も行なわれ、地上でも多数のNATOやCIAの要員が間接的に参戦した模様です。しかし、こうしたNATOの活動の具体的報道は殆ど完全な管制下にあります。

 これだけの規模の軍事暴力が、国際法的には全く合法性のないままで(UNの決議内容をはるかに超えて)、人口数百万の小独立国に襲いかかったのです。まことに言語道断の恐るべき前例が確立されました。カダフィと息子たちの今後の命運など、この暴虐行為の歴史的意義に較べれば、3面記事の値打ちしかありません。」

    *

 これを読んでいただければ、ロバーツ氏が先に、「注目すべきなのは、ニュルンベルク裁判をもとにした国際法では彼女が有罪であることは明らかなのに、この戦争犯罪について殺人婆(killer bitch)に質問したマスコミは皆無だということだ」と言っていたことの意味が、改めてよく理解できるのではないでしょうか。

 そして、満面に笑みを浮かべて「来た・見た・死んだ」と言ったヒラリー女史にたいして、ロバーツ氏が悪罵を投げつけたくなった理由も。

    *

 それにしても、藤永氏は1926年生まれですから、2016年11月の現在で、氏は90歳前後のはずです。

 九州大学やカナダのアルバータ大学で教鞭を執っていた一流の物理化学者でありながら、老体にむち打ちつつ、NHKや朝日新聞などの大手メディアが目をつむって通り過ぎている事実を掘り起こし、上記ブログを通じてそれを私たちに伝える仕事を続けておられます。

 唯々(ただただ)、頭が下がります。

    *

 ところでリビアの事態は、単にカダフィの惨殺に終わったわけではありませんでした。

 前述のとおり、この戦争は全土を瓦礫に変え、「リビアの民主化」どころか大量の死者と難民をうみだしただけでした。そしてリビアはいまだに混沌の極致にあります。

 そのうえ今度は、このような惨劇をシリアに輸出しようとしているのがヒラリー女史なのです。

 それは単に彼女が「シリアにも飛行禁止区域を!」と叫んでいるからだけではありません。リビアで使ったイスラム原理主義集団を、実際にシリアに輸出しようとしてきたのが、ヒラリー女史を外交政策の責任者とするアメリカだったからです。

 この間の事情を櫻井ジャーナル(2016年8月20日)は次のように伝えています。

 「カダフィ体制が倒された直後、リビアのベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられ、その映像がユーチューブにアップロードされた。その事実をイギリスのデイリー・メイル紙でさえ、伝えている。リビアを侵略した軍隊は空がNATO軍、地上はアル・カイダ系のLIFG(リビア・イスラム戦闘団)だった。

 リビアを破壊した後、侵略軍はリビア軍の倉庫から武器/兵器を持ち出してトルコへ運んでいる。勿論、戦闘員も同じように移動した。調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュによると、輸送の拠点になったのはベンガジにあるCIAの施設。輸送にはマークを消したNATOの輸送機が使われたとも伝えられている。

 運び出された武器/兵器の中に化学兵器も含まれ、これをシリアで使い、政府軍に責任をなすりつけてNATO軍が直接、シリアへ軍事介入する口実にしようとしたと言われている。」

    *

 これを読むと、リビアから傭兵集団が兵器もろともトルコを経由してシリアに輸送されていることが分かります。しかも輸送の拠点になったのはベンガジにあるCIAの施設で、輸送にはマークを消したNATOの輸送機が使われたというのですから、二重の驚きです。というよりも二重の犯罪と言うべきかも知れません。それはともかく、櫻井ジャーナルの説明は次のように続いています。

 「そうした武器や戦闘員の輸送をアメリカ国務省は黙認した。2009年1月から13年2月まで国務長官を務めたヒラリー・クリントンもこの工作を知っていたはず。

 しかも、クリントンの部下にあたるクリストファー・スティーブンス大使は2012年9月10日、CIAの武器輸送担当者と会談、その翌日には武器を輸送する海運会社の人間と会っている。勿論、武器はトルコ経由でシリアの侵略軍へ渡される手はずになっていた。

 その9月11日にベンガジのアメリカ領事館が襲撃されてスティーブンス大使が殺されている。リビア議会が首相を指名する前日だ。その2カ月後にCIA長官を辞めたデイビッド・ペトレイアスはヒラリーと緊密な関係にあることで知られ、このルートからもシリアでの工作を知らされていたはずだ。」

    *

 これを読むと、アメリカ大使館や領事館はCIAの拠点になっていることがよく分かります。日本のアメリカ大使館や領事館も同じ機能を果たしているのでしょうか。

 しかし、ここでもっと重大なのは、その領事館が襲撃されてスティーブンス大使が殺されていることです。ヒラリー国務長官が公的なメールサーバーを使わずハッカー攻撃に弱い私的メールを使ったことが、大使殺害につながったかもしれないのです。

 あるいは、うがった見方をすればこのような極秘事項を手配した人物だけに、それを外部に知られては困るから、密かにテロリスト=傭兵集団に頼んで大使を消してもらったのでしょうか。

 櫻井ジャーナルはこれについては何も述べていないのですが、この私の仮説が正しければ、これほど身の毛のよだつ話はないでしょう。櫻井氏は、これに続けて次のように述べているだけです。

 「クリントンは戦争犯罪人と言われても仕方のないようなことをしてきたわけだが、欧米の支配層はクリントンを支持してきた。投機家で体制転覆に多額の資金を提供してきたジョージ・ソロスも支援者のひとり。

 この支配層は軍事的に世界制覇を進めるだけでなく、巨大資本が国や国際機関を支配する仕組みを作り上げようとしている。それがTPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、そしてTiSA(新サービス貿易協定)の3点セットだ。」

    *

 ヒラリー女史の好戦性、あるいはヒラリー女史が大統領になると、なぜ第3次世界大戦になる危険性があるかは、以上の説明で、かなり分かっていただけたのではないかと思います。

 しかし彼女の好戦的履歴は、このリビア爆撃にとどまるものではありません。

 とはいえ本稿もすでにかなり長くなってきていますので、以下ではその略歴だけを紹介して、この論考を閉じたいと思います。以下の引用は先の櫻井ジャーナル(同日付け)からのものです。

 「ウィキリークスによる電子メールのハッキング情報が続いている。今回は投機家で体制転覆に多額の資金を提供してきたジョージ・ソロスだ。

 彼がターゲット国の体制を転覆させるために使っているオープン・ソサエティ基金もハッキングされたという。そうした電子メールの中には、ソロスがヒラリー・クリントンに対してユーゴスラビア=アルバニア情勢に対する対処の仕方をアドバイスするものがある。そのメールが書かれたのは2011年1月24日で、国務長官だったクリントンはソロスのアドバイスに従って動いたようだ。

 ヒラリー・クリントンは夫が大統領だった1990年代、マデリーン・オルブライト(国連大使から国務長官)やビクトリア・ヌランド(国務副長官の首席補佐官)と連携して政権をユーゴスラビアに対する先制攻撃へと導いているが、その背後にソロスがいたということだろう。国務長官に就任したオルブライトが主導する形で1999年3月にNATO軍は偽情報で環境作りをしながらユーゴスラビアを先制攻撃、ひとつの国を破壊した。」

    *

 上記に登場するマデリーン・オルブライトとビクトリア・ヌランドという二人の女性は好戦的人物として有名ですが、この2人を、戦争にあまり乗り気ではなかった夫のビル・クリントンに紹介し強引に新しい国務長官や国務副長官の首席補佐官に据え付けたのも、ファーストレディだったヒラリー女史だったと言われています。

 ですから、彼女のタカ派ぶりは、ここでみごとに発揮されていると言えます。

 櫻井ジャーナルの叙述は、さらに次のように続いています。

 「2003年11月にはジョージア(グルジア)で「バラ革命」、04年から05年にかけてはウクライナで「オレンジ革命」があり、新自由主義体制になった。

当然、一部のグループが不正な手段で国民の財産を奪って莫大な富を築き、その後ろ盾になっていた西側の巨大資本も利益や利権を手にした。こうした「革命」でもソロスはスポンサーとしての役割を果たしていた。

 言うまでもなく両国の庶民は貧困化、そうした状況への怒りからソロスたち西側の富豪や巨大資本にとって好ましくない方向へ動いた。そこで仕掛けられたのがウクライナ首都キエフのクーデター。

2014年2月22日、ネオ・ナチ(ステファン・バンデラ派)を主力とするグループがビクトル・ヤヌコビッチ大統領を暴力的に排除している。そのクーデターを現場で指揮していたのがヌランド国務次官補だった。クリントンは2013年2月に国務長官を辞めているが、ヌランドは彼女の同志だ。」

    *

 私は「バラ革命」や「オレンジ革命」のニュースを聞いたとき、旧ソ連圏の東ヨーロッパで、新しい民衆運動が起きているものと信じていました。

 しかし今から考えると、実に巧妙に仕組まれた「偽の民衆革命」だったのです。これは一種のクーデターでした。

 しかも、このクーデターは東欧だけにとどまりませんでした。ヒラリー国務長官のもとで、クーデターは中米にまで飛び火していました。あの悪名高いブッシュ大統領ですら、やらなかったことです。以下の櫻井氏による説明は次のようになっています。

 「クリントンが長官に就任したのはバラク・オバマが大統領に就任した2009年1月のことだが、その年の6月にホンジュラスで実行されたクーデターでクリントンは黒幕的な役割を果たしたと言われている。約100名の兵士が大統領官邸を襲い、マヌエル・セラヤ大統領を拉致し、コスタ・リカへ連れ去っている。

 現地のアメリカ大使館は国務省に対し、クーデターは軍、最高裁、そして国会が仕組んだ陰謀であり、違法で憲法にも違反していると報告している。つまり、クーデター政権には正当性がないと明言した。

 このクーデター政権は翌2010年、最初の半年だけで約3000名を殺害したとも報告されている。そのクーデターの背後にクリントン長官がいたということだ。」

    *

 以上で櫻井ジャーナルからの引用を終えます。まだまだヒラリー女史の好戦性・冷酷さを示す事例に事欠かないのですが、長くなりすぎていますので、ひとまずここで筆をおきます。今のアメリカ情勢を理解する一助にしていただければ幸いです。

 ただ一つだけ付け加えておきたいことがあります。それはアメリカの民衆が、知れば知るほどヒラリー女史に嫌気がさしているのに、他方の大手メディアがトランプ叩きに終始しているという事実です。

 これでは、アメリカ民衆は「どちらがワルとして我慢できるか」という選択肢しか残されていないことになります。これはアメリカ史上、最悪の大統領選挙と言えるでしょう。

 ただ私たち日本人に一つだけメリットがあるとすれば、今までアメリカは理想の国、民主主義のモデル国だと思われていたのに、それは虚像に過ぎなかったことが、この選挙戦を通じて見えてきたことではないでしょうか。
http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/hirarikurintontohadarekage.html


2017.03.02
世界制覇を今でも目指す米国の勢力はウクライナで攻勢を強め、シリアでの巻き返し図る(その1)

ロシアのビタリー・チュルキン国連大使が急死して8日後の2月28日、国際連合ではシリアに対する制裁を強化するように求める決議がロシアと中国の拒否権で阻止された。勿論、大使の死でびびるような2カ国ではない。この決議はアメリカ、イギリス、フランスが提出したもので、これらの国々はOPCW-UNの報告書を根拠に、2014年と15年にシリア政府軍が塩素を使用したと主張している。

 しかし、この報告書が示している根拠、証拠は信頼度の低いもの。その根拠薄弱な話を西側支配層の配下にある有力メディアがその中から都合の良い部分を都合良く解釈し、大声で叫んでいる。つまり、いつものパターンだ。

 シリアのバシャール・アル・アサド政権を倒すためにアル・カイダ系武装集団やそこから派生したダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)をシリアへ侵入させ、破壊と殺戮を繰り広げてきた国はアメリカ、イギリス、フランス、トルコ、サウジアラビア、カタール、イスラエルなど。今回、決議を提出した3カ国も含まれている。

 1991年にポール・ウォルフォウィッツ国防次官(当時)はシリア、イラン、イラクを5年から10年で殲滅すると口にしたと欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)の元最高司令官、ウェズリー・クラークは語っているが、その中で最初に破壊されたのはイラク。大量破壊兵器という偽情報を有力メディアに広めさせ、2003年3月に配下の国々を従えて軍事侵略したのである。

 シリアでの戦闘は2011年3月に始まっている。リビアで似たことが始まった翌月のことだ。両国でも侵略勢力は偽情報の流布に力を入れてきた。そうした偽情報を発信していたひとつが2006年にイギリスで設立された「SOHR(シリア人権監視所)」。そこから出てくる話を西側のメディアや「人権擁護団体」は垂れ流してきた。

 SOHRは設立当時からCIAやイギリスの情報機関MI6が背後にいると指摘されていた。アメリカの反民主主義的な情報活動を内部告発したエドワード・スノーデンが所属していたブーズ・アレン・ハミルトン、プロパガンダ機関のラジオ・リバティが存在しているとも言われている。

 内部告発を支援しているWikiLeaksが公表した文書によると、SOHRが創設された頃からアメリカ国務省の「中東共同構想」はロサンゼルスを拠点とするNPOの「民主主義会議」を通じてシリアの反政府派へ資金を提供している。2005年から10年にかけて1200万ドルに達したようだ。

 こうした工作が始まった直後、調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは2007年3月5日付けニューヨーカー誌で、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの「三国同盟」がシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラに対する秘密工作を開始した書き、その中心にはリチャード・チェイニー米副大統領、ネオコン/シオニストのエリオット・エイブラムズ国家安全保障問題担当次席補佐官、ザルメイ・ハリルザド、そしてバンダル・ビン・スルタンがいると書いている。

 ハーシュの記事に登場するバリ・ナスルはサウジアラビアについて「相当な金融資産があり、ムスリム同胞団やサラフ主義者と深い関係がある」としたうえで、「サウジは最悪のイスラム過激派を動員することができた。一旦、その箱を開けて彼らを外へ出したなら、2度と戻すことはできない。」と語っている。

 このナスルはジョンズホプキンス大学高等国際関係大学院のディーンで、CFR(外交問題評議会)の終身メンバー、つまりアメリカ支配層の一員だ。そのナスルもムスリム同胞団やサラフ主義者、つまりアル・カイダ系武装集団を使う危険性を警告していた。

 2011年10月にリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制は倒され、カダフィ自身は惨殺された。NATOの航空兵力とアル・カイダ系のLIFGの地上部隊が連携しての攻撃だった。政権が崩壊した直後にベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられたている。その映像はYouTubeにアップロードされ、デイリー・メイル紙も伝えていた。リビアでの任務が終わったアル・カイダ系武装集団の戦闘員は武器と一緒にシリアへ移動していく。

 その後のシリア情勢に関するホワイトハウス向けの報告書をアメリカ軍の情報機関DIAは2012年8月に作成している。その中で反シリア政府軍の主力はサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQIであり、そうした勢力を西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けているしていた。バラク・オバマ政権が主張するところの「穏健派」は事実上、存在しないとしているわけだ。

 また、オバマ政権が政策を変更しなかったならば、シリアの東部(ハサカやデリゾール)にはサラフ主義者の支配国が作られる可能性があるとも警告、それはダーイッシュという形で現実のものになった。この報告書が書かれた当時のDIA局長がトランプ政権で安全保障担当補佐官に就任する予定のマイケル・フリン中将だ。
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201703010000/


2016.12.13
シリアで政府軍と戦っているのはアル・カイダ系武装集団やダーイッシュであり、反体制派はいない

 シリアで政府軍が戦っている相手に「反体制派」というタグをつけているマスコミが存在する。かつて、日本のアジア侵略を「大東亜共栄圏」を建設するためだと主張した人たちがいるが、それと同じようなものだ。

 リビアやシリアで体制転覆を目指して戦っている集団が「反体制派」でないことは戦闘が始まった2011年春の段階で指摘されていた。シーモア・ハーシュなどが何年も前から予告していたことが引き起こされたのだ。

 2012年8月にはアメリカ軍の情報機関DIAが反シリア政府軍の主力がサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQIであり、そうした勢力を西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けているとバラク・オバマ政権に報告している。その結果として、シリアの東部分にサラフ主義に支配された地域が作られるとも警告、それはダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)という形で現実のものになった。この報告書が書かれた当時のDIA局長がトランプ政権で安全保障担当補佐官に就任する予定のマイケル・フリン中将だ。

 こうした武装勢力の戦闘員は武器/兵器と同じようにシリアの外から入った。リビアのムハンマド・アル・カダフィ体制が倒された後、戦闘員や武器/兵器をアメリカなどはシリアへ移動させたが、その拠点になったのがベンガジのアメリカ領事館だったことは本ブログでも紹介した。そこが2012年9月11日に襲撃され、クリストファー・スティーブンス大使も殺された。領事館が襲撃される前日、大使は武器輸送の責任者だったCIAの人間と会談、襲撃の当日には武器を輸送する海運会社の人間と会っている。

 サラフ主義から現在のタクフィール主義者は生まれた。この人びとはタクフィール(背教徒宣告)して人を殺す。2012年6月にエジプト大統領となったモハメド・モルシはシーア派へのタクフィールを許可、シリア侵略を後押しした。この許可はイラン侵略も視野に入っているのだろう。

 こうした侵略の背後にはネオコンの世界制覇戦略がある。ソ連消滅後、アメリカが唯一の超大国の超大国になり、その超大国を自分たちが支配していると認識した彼らは世界制覇プランを描き上げたのだ。1992年2月にポール・ウォルフォウィッツ国防次官(当時)たちが作成したDPGの草稿がそのプラン。「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。

 ソ連の消滅は西側支配層の傀儡だったボリス・エリツィンたちが仕掛けた。この事実は本ブログでも何度か指摘している。2度とソ連のようなライバルが出現しないように、彼らは旧ソ連圏のほか西ヨーロッパ、東アジアなどが成長しないような方策をとろうとし、力の基盤になるエネルギー源が地下に存在する西南アジアを支配しようと考えた。

 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官によると、DPGが作成される前の年にウォルフォウィッツはイラク、シリア、イランを殲滅すると口にしていている。ソ連が消滅する前から彼らは世界制覇の野望を持っていたわけで、ソ連消滅はそうした野望を顕在化させることになった。

 しかし、このプランはジョージ・H・W・ブッシュ大統領が再選に失敗、ビル・クリントンが大統領に就任したことでお蔵入りになる。それを蔵から引きずり出したのがファースト・レディーだったヒラリー・クリントン。彼女と親しいマデリーン・オルブライトが国連大使から国務長官へ異動した1997年1月のことだ。そして1999年3月、NATOはユーゴスラビアを先制攻撃した。ちなみに、オルブライトはズビグネフ・ブレジンスキーの教え子。ヒラリーのもうひとりの友人、ビクトリア・ヌランドは当時、国務副長官の首席補佐官を務めていた。

 本ブログではすでに書いたことだが、ウォルフォウィッツをはじめとする好戦派はユーゴスラビアを破壊、解体するため、ウォルフォウィッツ・ドクトリンが作成された直後からプロパガンダを始めている。例えば、ニューズデイのボン支局長だったロイ・ガットマンは1992年8月、ボスニアで16歳の女性が3名のセルビア兵にレイプされたと書いているのだが、これは嘘だった。この嘘を広めた功績で、後に彼はピューリッツァー賞を受賞している。

 2003年3月にアメリカ政府が始めたイラクへ侵略戦争も嘘を広めることから始めた。この時は偽情報を発信する目的で国防総省の内部にOSP(特殊計画室)が作られた。その室長に選ばれたエイブラム・シュルスキーはシカゴ大学でウォルフォウィッツと同じ教授について博士号を取得している。ふたりはネオコン仲間だ。

 1990年代からアメリカの侵略戦争に広告会社が深く関与してくるようになったことも本ブログで書いてきた。偽情報の作成と流布は彼らにとって御手の物だ。そうした偽情報をアメリカなど西側の有力メディアは垂れ流し、アメリカの政府や議会はそうした嘘を暴くメディアやサイトに「偽報道」というタグをつけ、検閲しようとしている。
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201612130001/

2015-09-05
ユーロの大量難民受け入れを促進するグローバリストの裏側
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20150905T1620500900


ユーロの為政者たちは「多文化主義」を強力に推進しており、移民を大量に自国に入れ、難民を大量に受け入れている。

ユーロという枠組みで国境をなくし、人の出入りを容易にして人種を混合して「世界はひとつ」を実現しようとしている。

この動きを「グローバリズム」という。

グローバリズムが推進され、それに反対する保守的な政党はすべて「極右」というレッテルを貼られてメディアで叩かれるのは、現在の支配階級(エスタブリッシュメント)がグローバル化によって莫大な利益を得るからである。

なぜ、現在の支配階級はグローバル化によって利益が得られるのか。

それは支配階級の資金源のほぼすべてが「多国籍企業」から来ているからだ。

彼らのほとんどは多国籍企業の所有者なのである。だから多国籍企業が求めるものが、彼らの基本政策となる。

その多国籍企業こそがグローバル化を求めているので、現在の強大な影響力を持った支配階級は、迷うことなくグローバル化に向かって突き進む。


100%の確率で「巨大多国籍企業」の所有者

フォーブスの億万長者ランキングをひとつひとつ見れば、そのすべてが「多国籍企業」の所有者であることが分かるはずだ。

(1)ビル・ゲイツ(マイクロソフト社)
(2)カルロス・スリム(テレフォノス・デ・メヒコ)
(3)ウォーレン・バフェット(バークシャー・ハサウェイ)
(4)アマンシオ・オルテガ(ザラ)
(5)ラリー・エリソン(オラクル)
(6)チャールズ・コーク(コーク・インダストリーズ)
(7)デイヴィッド・コーク(コーク・インダストリーズ)
(8)クリスティ・ウォルトン(ウォルマート)
(9)ジム・ウォルトン(ウォルマート)
(10)リリアンヌ・ベッタンクール(ロレアル)

上位10位の億万長者を見ても、100%の確率で「巨大多国籍企業」の所有者である。それに続く億万長者もまた然り。

ロスチャイルド一族、ロックフェラー一族、デュポン一族、ヴァンダービルト一族、メロン一族等は、こうした億万長者のリストに入っていない。

しかし、こうした旧財閥一族がもう億万長者ではないのかというとそうではない。

彼らはそれぞれ自分たちの財団を所有しているが、その財団が多国籍企業の株式を大量に所有している。旧財閥一族は今でも財団を通して巨万の富を得ているのだが、ただリストに載らないように振る舞っているだけである。

つまり、すべての支配層は多国籍企業に通じている。

そのため、多国籍企業にとって素晴らしいことは、支配階級にとっても無条件に素晴らしいことでもある。

その多国籍企業がグローバル化を求めているのであれば、すべての支配階級がグローバル化を一心不乱に推進するのは当然のことである。


なぜ多国籍企業にグローバル化は重要なのか?

では、なぜ多国籍企業にグローバル化は重要なのか。もちろん、「市場」が全世界に広がれば広がるほど成長と利益が手に入るからだ。

そして、全世界の人間が「共通の文化」を持っていればいるほど、同一製品を大量生産することができて低コストで利潤を追求できるからだ。

さらに、全世界に進出できるようになると、賃金の安いところで工場を作り、賃金の高いところで商品を売るという芸当も可能になる。

多国籍企業にとってグローバル化は自分たちが「より儲ける」ために必要不可欠のものなのである。だからこそ、多国籍企業の所有者である支配階級は、全力でグローバル化を推し進めることに余念がない。

その国の文化や伝統など、そんなものはグローバリストにとっては邪魔な存在でしかない。

文化や伝統のような独自のものが強く残っていると、その文化や伝統に商品をローカライズしなければならないのでよけいなコストがかかる。

コストを消すためにはグローバル化を推進して、価値感も文化も「同じ」にするのが一番だ。

国家の力が強大であると、国が地場産業を守るために関税をかけたり保護貿易を進めたり多国籍企業に寄生をかけたりするので、国家も邪魔になる。

多国籍企業にとって、すでに「国家」という概念は自分たちの邪魔なものになっている。だから国家を弱体化させ、ブロック化させ、最終的に国家を単に地域の役場レベルにまで弱体化した方が良いとグローバリストは考える。

こうした多国籍企業の圧倒的な影響力を背景に選ばれたのが先進国の政治家たちである。

先進国の政治家たちが揃いも揃ってグローバリズムを推し進め、それに対して何の疑問も抱かないのは、そういう人間だけを支配階級が「選択」しているからである。


難民受け入れに反発する国民をどう押さえるか?

そういった目で、現在のヨーロッパで起きている移民や難民の大量流入を見ると、こうした難民を受け入れるというのはグローバリストにとっては「素晴らしいこと」であることであると気付くはずだ。

大量の「安い賃金で働く人間」がなだれ込み、大量の「消費者」が生まれる。

しかも難民が増えれば増えるほど、ヨーロッパが持っていた伝統や文化というものは破壊され、難民たちが持っていた文化もヨーロッパの文化に触れて薄められていく。つまり、両方が同時に画一的な文化に染まっていく。

これは、多国籍企業にとって都合が良い展開だ。

もちろん、30万人も難民が一気になだれ込んで来るのだから、ただでは済まない。

現在のヨーロッパは大混乱に見舞われており、難民が増えるに比して難民排除の動きもまた活発化してヨーロッパ圏は「難民崩壊」する可能性がある。

それでもヨーロッパの政治家たちが大量難民を受け入れるのは、そうすることによって国が混乱しても「多国籍企業は儲かる」からである。

しかし、大量の難民が押し寄せてしわ寄せを受け、難民の受け入れに反発する国民をどのように押さえるか……。

最近、グローバル・メディアは、トルコ海岸で死んだシリア難民の三歳児の死をクローズアップして、「難民を受け入れないと悲劇が繰り返される」「難民を助けなければならない」という洗脳工作を一挙に繰り広げている。

そして、難民の流入に反対する人間は「かわいそうな三歳児を見なかったのか。人間としての感情がないのか」と吊し上げて非難する世論形成を作り上げている。

かくしてユーロ圏には大量の難民が押し寄せても、それに反対することはできなくなっていく。そして、多国籍企業はモノを売る人間が数十万人も増えて歓喜に湧く。

世の中は多国籍企業が儲かる方向で動いている。資本主義社会の支配者は、多国籍企業だからである。


今後、難民の受け入れに反対する人間は、この写真を突きつけられ「かわいそうな三歳児を見なかったのか。人間としての感情がないのか」と吊し上げられることになる。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20150905T1620500900


アフリカ女性を略奪・奴隷にした白人たちの現代の罪意識


『地獄の季節』で有名な詩人アルチュール・ランボーはフランス人だが詩人を辞めた後はいろんな職業を転々としながらさまよい歩き、やがてアフリカで武器商人となっていた。

なぜアフリカだったのか。フランスもかつては「帝国」であり、東南アジアのカンボジアだけでなく、アフリカの北西部に植民地を持ち、そこでは多くのフランス人が進出してビジネスをしていたのだ。

当時のヨーロッパが競って世界の未開国に突き進んで植民地にしていったのは、言うまでもなく「略奪」で国家発展をするためだった。

ヨーロッパはいろんなものを略奪した。金・銀・宝石から、珍しい文化遺産、毛皮、植物、食物。植民地にした地域から「何を奪えるか」が帝国の重要課題であり、奪えるものが多ければ多いほど帝国は繁栄した。

最も徹底的に、かつ収奪的に奪っていったのはイギリスだが、フランスも後を追ってアフリカを次々と植民地化していき、そこから手に入れた略奪物資で国全体が豊かになっていった。

「植民地から奪えるだけ奪え」というのは国策だった。だから植民地には政府の統制の取れた軍隊とは別にランボーのような山師的な人間も大量に入り込んで現地に蠢いていた。そして、山師はアンダーグラウンドで手に入れていたものがあった。それは何だったのか。
http://www.bllackz.net/blackasia/content/20160714T0220080900.html


RK: 彼らのやり方は、少数によって大多数の人々を管理して富を独占する。
  そのやり口を見ていると、まるで人間を家畜と考えていて、
  ある意味非常に効率的に管理支配していますね。

BEN:ここが農耕民族である日本人には理解しにくいところで、
  彼らの発想は非常に遊牧民的というか、非常に残酷なのです。

  それはユダヤ人の割礼なんかもそうですが、
  乳牛でもちょっとでも乳の出が悪いとすぐ殺処分するし、
  主人の言うことを聞かない暴れるオスだと、すぐに断種して
  睾丸を抜いてしまうんです。

  だけどこれが農耕民族だと、牛や馬は家族扱いにして大切にする。
  彼ら動物は田畑を耕したり、荷物を運んだりする使役動物だから、
  日本の昭和初期頃までは家の中で大切に飼って、
  潰して食用にすることもあまりなかった。それだけ感覚がまったく違うわけです。

  事実、遊牧民たちは農耕民族のことを、草を食べる
  あるいは穀物と言い換えてもいいのですが、
  羊人(Sheeple シープル)と呼んでいます。

  その羊人である農耕民族を管理するために「羊飼い」としての一神教
  (キリスト教やユダヤ教)があり、その神を動かすことで
  全体を支配するという考えです。

  これまでもその発想でずっと世界を支配してきたのです。

  ですから支配者たちから見ればその他大勢の庶民は同じ人間ではなく、
  「羊人」という家畜にすぎません。

  だから増えて管理が面倒になれば「間引こう」となるし、
  劣等な種族は断種して子孫を作らせないようにする。

  家畜を使って利益を得れば、当然のように牧場主がすべてを奪い取る。

  文句を言えば餌を減らし、ムチで叩いて大人しくさせる。

  このようにして食料と軍事力で世界を管理・コントロールしている連中が
  存在しているのです。
http://8729-13.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/post-a3d1.html


【噴水台】強者にだけ謝罪するドイツ 2016年01月11日
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]


アドルフ・ヒトラーの著書『わが闘争』が絶版から70年ぶりの今月8日、ドイツで再出版された。

この本は1925年に36歳のヒトラーがミュンヘン暴動で投獄された当時、ナチズムの思想的土台を整理した自叙伝だ。

ナチ崩壊後に版権を得た独バイエルン州が出版せず、事実上の禁書だった。
しかし昨年末に70年の著作権が消滅すると、ドイツ研究所が激しい反対を押し切って「極右人種主義を防ぐにはナチズムの正確な理解が必要」として再出版したのだ。

その間、国内外を問わず、『わが闘争』出版禁止は反省するドイツの良心の象徴のように描写されてきた。

反省をしない日本とは違い、ドイツはナチズムなら接触さえできないようにこの本を禁止したという論理だった。

ところがこの悪名高い本が出てくると、世界メディアは「ナチズムを批判するための措置」という形で再出版も美化している。出版を禁止しても解除してもドイツはいつも模範的な国と見なされているのだ。


しかし本当にそうだろうか。隠れている歴史を見てみよう。
ドイツの醜悪な顔が一つ一つ見えてくる。

1904年、ドイツは植民地のナミビアから土地を奪うためにヘレロ族・ナマ族を無惨に殺害した。

井戸に毒をまいたという話もある。

20世紀初めの人種虐殺だった。

ヘレロ族8万人のうち6万5000人、ナマ族2万人の半分の1万人が死亡した。

これだけでなくドイツは生存者2000人を強制収容所に入れて人体実験もした。その後、ドイツは遺体を本国で運んで研究用として使用し、2011年に20人の遺骨を本国に返した。

ドイツ人はあまりにも純真であるためヒトラーという狂った人物にだまされ、悪行を犯したようになっている。しかしドイツ人はヒトラーの登場前から悪魔の人体実験をしていた。

ドイツは繰り返されるナミビア政府の謝罪要求にもかかわらず、100年が過ぎた2004年に虐殺の事実を認めた。それも首相ではなく経済開発相が演説して一言述べたのがすべてだ。しかし経済的賠償は拒否し続けている。

日本の否定的なイメージを強化するため、我々は「誠実なドイツ」という虚像を築いて見たいものだけを見ている。

もう一つ。それではドイツはなぜユダヤ人だけに頭を下げるか。
専門家らの答えはこうだ。

「米国内のユダヤ人の影響力が強く、ナミビア人は弱いから」。

悲しくもこれが国際社会であり、これが「不都合な真実」だ。

日本からきちんと謝罪を受けようとするのなら、我々から強くならなければいけない。

ナム・ジョンホ論説委員
http://japanese.joins.com/article/627/210627.html

ドイツは1884年から1915年にかけて南西アフリカを植民地にしていました。

そこでドイツは先住民であるヘレロ族・ナマクア族を反乱に対する報復として虐殺しました。

20世紀最初のジェノサイドといわれている1904年から1907年にかけてのヘレロ・ナマクア虐殺である。

ヘレロ族の80%、ナマクア族の50%が虐殺されたといわれています。

南西アフリカはドイツが第一次世界大戦に敗北し国際連盟の委任統治領となりました。


ホッテントット蜂起

ドイツ本国にもこの無残な植民地統治についてある程度報告された。しかし国民の大多数はこの強制収容所での残虐行為を容認したようだ

1906年、議会で社会民主党がホッテントットへの弾圧があまりにも過酷だとして政府を追求した。

これに対し、首相ビューロウは社会民主党を追い落とす絶好の機会ととらえ、議会を解散し総選挙に訴えた。当然争点はこの蜂起事件についてだった。

国民はホッテントットへの過酷な弾圧を支持し、社会民主党の議席数は急落した。後世になりこの選挙はホッテントット選挙と呼ばれた。


首相ビューロウとはベルンハルト・フォン・ビューローのことで1900年から1909年の間、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世の下、帝国主義政策を推進したプロイセンの貴族です。

異教徒・異民族に対する宗教的偏見・人種的偏見はドイツ人の血であり本性です。

日本人はドイツの歴史を知らなさ過ぎる。ドイツ人の本性を知らなさ過ぎる。


国家社会主義ドイツ労働者党はヒトラーが入党する前から公然とユダヤ人弾圧を綱領に掲げていました。

ユダヤ人だけが例外とされる理由は存在しません。

ヘレロ族・ナマクア族と同様にユダヤ人も虐殺された。
それは疑いようが無い事実です。

ただし600万という数字は疑わしい。とはいえ犠牲者の数がどうであろうと虐殺があったことには変わりありません。
http://qa.life.auone.jp/qa6948335.html


「アメリカは正気を取り戻せるか」と「アメリカン・ジハード」が指し示すもの 2009-11-26


アメリカは正気を取り戻せるか―リベラルとラドコンの戦い 2004/10
ロバート・B. ライシュ (著), Robert B. Reich (原著)
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%81%AF%E6%AD%A3%E6%B0%97%E3%82%92%E5%8F%96%E3%82%8A%E6%88%BB%E3%81%9B%E3%82%8B%E3%81%8B%E2%80%95%E3%83%AA%E3%83%99%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%81%A8%E3%83%A9%E3%83%89%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84-%E3%83%AD%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BBB-%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%A5/dp/4492222545


の感想から連想したことなどを。


 さて、以下、「ラドコン(Radcon)」というのは「ラディカル・コンサバティブ(radical conservatives)」の略称で、よく言われるネオコンとほぼ同じ人々のことを指している。

「ラドコンにとって規律を行き渡らせる究極の道具は市場である」(150ページ)

「当時、フリードマンの提案をまともに受け取った人はほとんどいなかったが、ラドコンが支配するようになった今、その考えが主流となった」(152ページ)

「ラドコン社会学者のチャールズ・マレーは次のように言う。『今日のアメリカで、あなたが本当に頭がよければ、おそらく本当によい学校に入ることになり、収入のよい仕事に就くことになり、給料も上がり続けるだろう』」( 157ページ )


→では、右翼であるラドコン(ネオコン)と市場原理主義者の共通の「根」は何か。  


「当時(南北戦争後の好景気時代『金メッキ時代』の支配的な経済理論は自由放任であり、その哲学的ルーツは社会ダーウィニズムとして知られるようになった。

 今生きているアメリカ人でハーバード・スペンサーの著述をなにがしかでも読んだことのある人はほとんどいないだろうが、彼の著作は19世紀の最後の30 年間、アメリカに強烈な影響を与えた。・・・

(ハーバード)スペンサーと彼の信奉者にとっては、市場は人格を発展させる場であった。勤労は人々に生き残るために決定的に重要な道徳的規律をもたらした。

生きることは、最も強い道徳的素質を持っている者だけが生存できる競争的闘争であった。・・・

「適者生存」という言葉をつくったのはチャールズ・ダーウィンではなくスペンサーだった。・・・

スペンサーの熱心な信奉者だったイェール大学の政治・社会学教授ウィリアム・グラハム・サムナーはこれを簡潔に説明した。

『金持ちは生き残り繁栄するに値するが、貧者はそれに値しないだけの話だ。』」(159〜160ページ)


→強い者が勝つ、あるいは勝った者が強いのであり祝福されるべきである、と考えるところが、そのまま市場原理主義の考え方に当てはまるということなのだろう。


 一方、ラドコンが積極的に他国・他民族を侵略してよしとするのもまた、

勝てば良い、負けた者は劣っているのだから虐殺されても文句は言えない

との考えが根にあるということになる。


「強い者が勝つ」

あるいはさらに進んで

「どんな手を使っても勝てばいい、勝った者が強い者であり、祝福されるべきである」

という弱肉強食の論理は、市場原理主義の典型的なたとえだが、実はこれは侵略戦争の論理でもあるのではないか。


 市場原理主義とラドコンの共通性を論じるのに、ハーバート・スペンサーのことが取り上げられたが、彼の文章はマフムード・マムダーニ著「アメリカン・ジハード」でも

「付随的な損害を斟酌せず、完璧な幸福という大計画を実行に移しつつある勢力は、邪魔になる部族の人類は絶滅に追い込む」(注の1ページ)

と紹介され、この時代の思想傾向がどのようなものであったかが次のように記されている。


「『帝国主義が劣等人種を地上から排除することによって文明に貢献した』」

とする考え方は、自然科学、哲学から人類学や政治学に至る、十九世紀のヨーロッパ思潮の中に広く表明されている。

イギリス首相、ソールズベリ卿が一八九八年五月四日、アルバート・ホールで行った有名な演説で、

「大雑把に言って、世界の民族は生き延びていく民族と滅びていく民族の二つに分けられる」

と述べたとき、ヒトラーはわずか九歳、

ヨーロッパの空気は

『帝国主義こそ、自然の掟によれば、劣等人種の必然的破滅に通じている生物学的に必然のプロセスなのだ』

という確信が瀰漫していた」


→マムダーニは、こうした時代思潮を背景にニュージーランドのマオリ族やドイツ領南西アフリカのヘレロ族などが絶滅させられていったとし、

ヘレロ族についてはドイツの遺伝学者オイゲン・フィッシャーがその強制収容所で人種混淆の実験を行い、

「ヘレロ女性とドイツ男性の混血児は心身ともにドイツ人の父親に劣っていた」

などといった結論を引き出して「人間の遺伝原理と人種的予防措置」を著したとする。

さらに、それをヒトラーが読み、フィッシャーをベルリン大学の学長に任命し、その教え子の1人が、アウシュビッツで人体実験を行ったヨーゼフ・メンゲレだったという関連性を指摘して、19世紀後半の「適者生存」—社会ダーウィニズムが20世紀前半のナチズムを人脈的にも思想的にも支えたことを明らかにしている。


 もちろん「ラドコン・イコール・ナチズム」と短絡的に考えてはならないが、「強者の論理」であったり「人種差別的」であったりする点には、両者に共通性を感じないわけにはいかない。

世界の「衆人環視」の中、あの時代もこの時代も「大虐殺」が公然と行われたことも、両者の同質性を疑わさせるに十分ではないだろうか。
http://d.hatena.ne.jp/takamm/20091126/1259251365

弱い民族に襲いかかる弱肉強食の歴史はまだ終わっていない


動物界では弱肉強食の世界だが、人間もまたその弱肉強食のルールに支配されている。人間の歴史を紐解くと、弱い民族は常に侵略され、弱い民族の文化・言語は消し去られている。

弱い民族は、大事に保護されるのではない。侵略され、大虐殺され、結果として淘汰されるのだ。

それを一番よく知っているのは、アメリカ人だ。なぜなら、彼らはネイティブ・アメリカンの土地を侵略して国を作ったという歴史から始まったからだ。

アメリカ大陸は本来はネイティブ・アメリカンのものだったが、白人たちはこの先住民を徹底的に殺し続け、結局は彼らの95%を虐殺したと言われている。

人類史上でも類を見ない「大量虐殺の歴史」がそこにあったと言うしかない。イギリスから移住したアングロサクソンが、先住民族を淘汰して今のアメリカにしたのである。

そして、かろうじて生き残った先住民族(ネイティブ・アメリカン)は、今や天然記念物のように指定地区に押し込まれて貧困の中で細々と生きている。


大虐殺は200年ほど前まで世界中で普通に起きていた

アメリカ人は、弱い民族を大虐殺して、自分たちがそこに居座った。だから、「自分たちが弱ければ淘汰される」という本能的な恐怖を持っている。自分たちがそうしたのだから、そうされるという意識を忘れない。

オーストラリアもまた白人の国ではなかった。

しかし、イギリスから島流しにされたアングロサクソンが先住民族だったアボリジニを大量虐殺して、白人の国「オーストラリア」になった。アボリジニはその90%を虐殺されたと言われている。

その頃のアボリジニは、スポーツとして狩りの対象にされていた。信じられないかもしれないが、白人たちは先住民を「獲物」にしていたのである。

また、害虫の駆除のつもりだったのか、井戸に毒を入れたり、孤島に置き去りして餓死させたりしていた。

ラテン・アメリカでは、先住民だったインカ帝国の末裔はことごとく皆殺しにされて、残った女性はほとんどがレイプされて混血児を産むようになった。

今やラテン・アメリカは混血国家として知られているが、それは大虐殺とレイプの結果であることを日本人はもっとよく知っておいたほうがいい。

南米の混血は美しい。その美しさには血の歴史がある。(南米の混血女性が美しいのは、美しい女性だけを選別したから)

この大量虐殺は古代史ではない。つい200年ほど前まで人類が行っていた所業である。


鎖につながれたアボリジニ。アボリジニは、スポーツとして狩りの対象にされていた。信じられないかもしれないが、白人たちは先住民を「獲物」にしていたのである。


言葉も消され、伝統も、文化も、すべて根絶やし

弱い民族は一方的に駆逐され、歴史から抹殺される。そんな民族が生きていたという痕跡すらも消し去られる。そうやって歴史は無数の弱小民族を消してきた。

近年においてもこのような状況である。人類の歴史を長いスパンで見ると、淘汰された民族は夥しいリストになる。言葉も消され、伝統も、文化も、すべて根絶やしにされる。

衰退した民族が、そのまま「保存」されるのはあり得ない。

衰退した国家には強大な国家が入り込み、強大な国家が衰退した民族を駆逐していく。非常に荒々しい手段で、強制的に歴史から消していく。

現在、中東で大虐殺が繰り広げられているが、こうした大虐殺が続けば続くほど、シリア・イラクは疲弊していき、国家的にも民族的に衰退していくことになる。

いったん衰退が確実となると、それが故に他民族がその真空を埋めていく。長期化する内戦は、その民族に大きな危機をもたらすのである。もしかしたら、それが絶滅のきっかけになる可能性もある。

弱体化した民族は、他民族にとっては「獲物」なのである。

現代文明の下で、私たちはすでに人類が石器時代のような弱肉強食の社会ではなくなったと考えている。

しかし、依然として兵力という名の「暴力」が国家の基盤となっているのを見ても分かる通り、いつでも弱肉強食の社会に戻る危うさを秘めている。

そうであるならば、自分たちの民族が衰退しつつあるのか、それとも強大になりつつあるのかを見極めるのは、非常に重要なことであるのは間違いない。

弱体化しているのであれば、未来に淘汰が待っているからだ。


現在、中東で大虐殺が繰り広げられているが、こうした大虐殺が続けば続くほど、シリア・イラクは疲弊していき、国家的にも民族的にも衰退していくことになる。
http://www.bllackz.net/blackasia/content/20150529T0236190900.html


セオドア・ルーズベルト (1858年10月27日 - 1919年1月6日)

アメリカ合衆国の軍人、政治家であり、第25代副大統領および第26代大統領。

彼はその精力的な個性、成し遂げた業績と合衆国の利益、国の発展期に示したリーダーシップと、「カウボーイ」的な男性らしさでよく知られる。

彼はノーベル賞を受賞した初のアメリカ人であった

彼はアウトドアスポーツ愛好家および自然主義者として、自然保護運動を支援した。

ルーズベルトは歴代アメリカ合衆国大統領のランキングで現在でも偉大な大統領の一人として格付けされる。


ルーズベルトとインディアン

ルーズベルトが大統領職に就いた時代は、すでにインディアン民族が保留地(resavation)に強制移住させられ、表立った軍事衝突は終わった後だった。1901年の大統領就任祝賀パレードにはアパッチ族のジェロニモが見世物として連れてこられ、コマンチ族のクアナが騎馬参列している。クアナとは、二人でコマンチ族の土地で狩りをする仲だった。

一方で、故郷アイダホからワシントン州に強制連行されたままのネ・ペルセ族の窮状について、世論の批判が高まっていたのに対してまったく放置した。ギボン将軍が後押ししたジョセフ酋長の嘆願も、まったく無視し、死ぬにまかせた。「ノーベル平和賞」を受賞したルーズベルトだが、インディアン民族に対しては歴代大統領の絶滅政策を支持していた。


彼はマニフェスト・デスティニーのなかの「インディアンに対する虐殺と土地の略奪」について、次のように述べている。


それ(インディアンに対する虐殺と土地の強奪)は回避不能だったし、最終的には有益なことでした。

女・子供を含む無抵抗のシャイアン族のバンドが米軍によって徹底虐殺された「サンドクリークの虐殺」については、次のように賛辞を送っている。


これほどまでに、まさしく正当で、有益な行いが、フロンティアで起こったのです。

また、こうも発言している。


私は、「死んだインディアンだけが良いインディアンである」とまでは言いませんよ。しかし、私は10人インディアンがいたとして、そのうち、9人まではそうじゃないかと思っています。それと、私はあまり10人目については真剣に考える気になれませんね。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%82%AA%E3%83%89%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88

『月刊日本』10月号
施光恒「国民生活の根幹が破壊されている」より

厚労副大臣が外資系製薬会社の御用聞きをする異常さ


── 安倍政権は、対日直接投資推進会議の枠組みを利用して、規制改革を加速させようとしています。

【施】 投資拡大の名のもとに、あからさまにグローバル投資家や企業にすり寄る姿勢を見せています。日本国民ではなく、グローバルな資本が、日本の政策を決めてしまう事態が進行しているのです。

 対日直接投資推進会議が昨年3月に発表した「外国企業の日本への誘致に向けた5つの約束」には、重大な問題点が含まれています。「一番ビジネスしやすい環境を整えますから、日本にぜひ投資してください」と、グローバル投資家、企業に露骨に阿る内容です。

 どの「約束」にも疑問を感じるのですが、特にひどいのは五つ目の約束です。そこには、「日本に大きな投資を実施した企業が政府と相談しやすい体制を整えます」と書かれています。この約束にしたがって設けられた制度が「企業担当制」です。多額の投資をする外資系企業の相談相手として各省庁のナンバー2クラス、つまり副大臣や政務官をつけるのです。まさにこれは、日本の政権幹部と海外の大企業との結託です。「外資系企業サマに様々な便宜を図れるように御用聞きをさせていただきます」ということです。

 そして、外資系企業の要望に沿って規制改革を断行しようとしています。すでに今年5月には、規制・行政手続の簡素化について検討するための「規制・行政手続見直しワーキング・グループ」の設置が決まり、8月17日にその第1回会合が開かれました。

 しかも、規制改革について、早期に結論が得られるものについては先行的な取り組みとして年内に具体策を決定し、速やかに着手するとしています。

 すでに、副大臣を担当者、つまり相談窓口としてつける外資系企業として、IBM、ジョンソン・エンド・ジョンソン、デュポン、ファイザー、フィリップス、マイクロンテクノロジー、メルクなどが選定されました。このうち、ファイザーとメルクが製薬会社、ジョンソン・エンド・ジョンソンとフィリップスが医療機器メーカーで、厚生労働省の副大臣が担当者になることが決まっています。

 外資系企業は、日本でビジネスがしやすいように、日本の規制やルールを撤廃するよう、担当者である副大臣に対して要求することになるでしょう。担当者が経産省の副大臣ならばまだ理解できますが、製薬会社や医療機器メーカーの担当者に厚労省の副大臣が就くのは問題でしょう。医療や労働など国民の健康や生活に直結する問題を扱い、国民生活を守る役割を担うはずの厚労省が、国民一般ではなく、外資系企業の要望を直接聞く立場に転落してしまっているのですから。

 子宮頸がんワクチン「ガーダシル」を製造しているメルクは、厚労省の副大臣に対し直接、ワクチン接種を推進してほしいという要望を突きつけてくるかもしれません。あるいは、外資系企業が一斉に、解雇規制の緩和など労働法制の変更を厚労副大臣に迫ってくるのではないでしょうか。

 四つ目の約束にある「海外から来た子弟の充実した教育環境の整備を図る」という政策も大きな問題を含んでいます。すでに、国家戦略特区では公設民営学校の設置が認められており、日本の公立学校の校舎を利用して、アメリカなどの団体が英語で教育を行う学校を作ることが可能となっています。日本の税金を使って外国人が望む教育環境を整えようとしているのです。

 例えば、対日直接投資推進会議には、日本貿易振興機構が4月に、在日外資系企業・外国人材の要望をまとめた文書が提出されており、その冒頭に「インターナショナルスクールは学費が高すぎるので、日本の公立学校を国際化するほうが良いのではないか」という意見が挙げられています。

 本来、外国人子弟の教育は、外国人自身、あるいは彼らを雇用している外資系企業が負担すべきものです。それを日本の税金で賄おうとしているのです。日本の公立学校の在り方を外国人に合わせる必要などありません。(以下略)  
http://gekkan-nippon.com/?p=9484

【施 光恒】「国民」軽視が招くもの 2016/09/30


今回の蓮舫氏の二重国籍問題で明らかになったように、野党の政治家の多くは、国家への帰属意識や愛国心といったものをあまり重視してきませんでした。

そのことが、国民一般のもつ野党への信頼性を損ねてきたのではないか。
また、国民に信頼されうる有力野党がほとんど存在してこなかったことが、日本の民主政治の質を低下させているのではないか。

しかし、最近は、問題なのは、民進党などの野党陣営だけでもないようです。

残念ながら、与党である自民党のほうにも、日本という国家・国民の将来を真剣に考えて政治をしているのかどうか疑わしく感じることが少なからずあります。
(´・ω・`)

本メルマガでもたびたび指摘していますが、最近の自民党の政治は、「グローバル化」信仰に取りつかれ、米国をはじめとするグローバルな投資家や企業の影響を強く受けすぎているのではないかという点です。


(【施 光恒】「『企業担当制』という約束」(『三橋貴明の新日本経済新聞』2015年4月3日)
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/04/03/se-56/


「企業担当制」とは、多額の投資をする外資系企業の相談相手として各省庁のナンバー2クラス、つまり副大臣や政務官をつけるという制度です。

グローバル企業からさまざまな要望を直接聞き、日本に進出しやすいように規制緩和など各種の便宜をはかろうとするものです。

この「企業担当制」という制度、経世済民の観点からすれば、やはり奇妙だと言わざるを得ません。外資系企業の意思によって、日本の国民一般の生活に悪影響が及ぼされる可能性は否定できません。

当然ながら、外国の企業や投資家は、日本国民の生活の安定や安全、日本経済の長期的発展などに特段の関心を持ちません。

例えば、外国企業からすれば、日本に進出する際、各種の安全基準は、できるだけ緩いほうがいいわけです。

労働法制も、なるべく厳しくなければ助かります。

従業員の解雇はしやすいほうがいいですし、残業代もできれば払いたくないでしょう。

法人税は安いほうが助かりますし、企業の社会保障費の負担も少ないにこしたことはありません。

上記のリンク先の文章でも触れていますが、「企業担当制」の制度の下で、特に、グローバルな製薬会社や医療機器メーカーの相談相手として、厚労省の副大臣がつくのはかなり問題ではないかと思います。

医療や労働など国民の健康や生活に直結する問題を扱い、国民生活を守る役割を担うはずの厚労省が、国民一般ではなく、巨大外資の要望を直接聞く立場になってしまうのは、さすがにまずいでしょう。

人々の生活の安心や安全を脅かすような過度の規制緩和が行われてしまう恐れは残念ながら否定しがたいのではないでしょうか。
(´・ω・`)

このように、最近では、与党も「グローバル化」に踊らされてしまっており、政治を通じて国民生活を何としても守るという気概が薄れてしまってきているように思います。

国民一般が、野党だけでなく、与党も信頼できなくなってしまえば、深刻な政治不信、ひいては国民の連帯意識の弱体化は避けられません。

そうなれば結果的に、新自由主義者というか、グローバルな投資家や企業の思うつぼです。人々の暮らしが、ますます食い物にされてしまいかねません。

与党も野党もしっかりしてもらいたいものです。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2016/09/30/se-83/


【施 光恒】「企業担当制」という約束 2015/04/03


少し前の話になりますが、3月17日に政府の審議会「対日直接投資推進会議」は、海外から日本への投資拡大のための「5つの約束」というものを発表しました。

海外からの投資を呼び込むため日本は下記の5点について努力しますと、外国政府や外国企業に対して約束したのです。

「海外企業の対日直接投資加速へ 政府が5つの約束を決定」(FNNニュース 2015年3月18日配信)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00288394.html


5つの約束とは、次のものです。(政府発表の文章、そのままです)。


(1)百貨店・スーパーマーケット・コンビニエンスストア等で外国語で商品を選んで買い物をいただけるよう、病気になったときも外国語で安心して病院で診療いただけるよう、車や電車・バスで移動する際も外国語表記で移動いただけるようにします。

(2)訪日外国人が、街中のいろいろな場所で、我が国通信キャリアとの契約無しに、無料公衆無線LANを簡単に利用することができるようにします。

(3)外国企業のビジネス拠点や研究開発拠点の日本への立地を容易にするため、すべての地方空港において、短期間の事前連絡の下、ビジネスジェットを受け入れる環境を整備します。

(4)海外から来た子弟の充実した教育環境の整備を図るとともに、日本で教育を受けた者が英語で円滑にコミュニケーションが取れるようにします。

(5)日本に大きな投資を実施した企業が政府と相談しやすい体制を整えます。また、日本政府と全国の地方自治体が一体となって、対日投資誘致を行うネットワークを形成します。

(上記の「5つの約束」の詳細については下記のサイトをご覧ください)。
「内閣府 対日直接投資推進会議」HP
http://www.invest-japan.go.jp/promotion/

いかがでしょうか。

まあ、なんか情けないですよね。最初の(1)の「買い物をいただけるよう…」とか「外国語表記で移動できるよう…」なんて日本語の文章自体がどこかヘンになっていますし…。
(・_・;)

それに、こういう「国際公約」を作る最近の政治のやりかた、私は、気に入りません。

日本国民に周知する前に、「5つの約束」を外国や外国企業に対して発表し、既成事実を作っていくというのは、言うまでもなく、民主政治に反しています。

「5つの約束」について問題にしたい点は多々あるのですが、今回は、「企業担当制」の創設についてです。上記の約束(5)の一環として作られる制度です

(「企業担当制」については、先月、産経新聞の九州・山口版の拙コラムでも扱いました。そちらもご覧ください。)
「企業担当制 自国民保護へ十分な監視を」『産経新聞』(九州・山口版)(平成27年3月12日付)
http://www.sankei.com/region/news/150312/rgn1503120044-n1.html


この「企業担当制」とは、「海外から日本に重要な投資をする企業には、安倍内閣の副大臣や政務官を相談相手につける」という構想です。外国企業からさまざまな要望を直接聞き、進出しやすいように各種の便宜をはかるというのです。

この構想、ちょっとヘンだと思いませんか。

あからさまに、日本の政権の高級幹部と海外の大企業が結託し、企業に様々な便宜をはかるよう御用聞きしますよ、ということですので。

普通、政治と企業とが近い関係にあれば、注意が必要です。一般国民の利益ではなく企業の利益が優先されるのではないかと、マスコミなどは警戒します。

また、外国勢力が、日本の政治に影響を及ぼすことにも、通常は注意が促されます。

実際、日本の政治が、外国の政府、企業、個人からの影響のため、国民本位でなくなってしまうことを恐れ、そうならないように各種の規制がかけられています。

外国人の政治献金が禁じられているのも、放送局に外資規制がかけられているのも、また、外国人の参政権を認めるべきでないのも、政策が外国の影響を受け、国民本位でなくなってしまう事態を避けるためにほかなりません。

「政府と企業の癒着の恐れ」、「外国勢力から影響を受ける恐れ」という二つの懸念があるのに、「企業担当制」については、マスコミは、ほとんど批判していないように思います。なんか不思議です。もうちょっと警戒心をもって報じてもいいのではないでしょうか。

「グローバル化」の一環だから、ということで、批判の矛先が鈍っているのではないかと懸念します。

確かに、海外からの投資は、株価を引き上げたり、雇用を生み出したりするプラスの効果もあります。

しかし、グローバル化の進む現代の経済においては、グローバルな投資家や企業の利益と日本の一般国民の利益が必ずしも一致するとは限りません。

周知の通り、現在の日本はデフレ継続中です。したがって、国内市場ではモノが売れません。日本企業でさえ、投資を手控えて、内部留保をため込んでいるのが現状です。

日本企業でさえ投資を手控えるほど日本市場は稼ぎにくい状況にあるのに、「海外企業を呼び込んできたい、そのための口利きを政府の高級幹部が直接行おう」ということですから、「企業担当制」では、おそらくいろいろな「サービス」が行われるはずです。

グローバル企業に有利で、たいていの場合、日本の一般国民には不利な「サービス」です。

おなじみのものとしては、例えば、法人税の減税でしょう。

グローバル化時代の税制の基本原則は、「国境を超えて移動できる企業や投資家、富裕層には甘く、国境を移動できない一般庶民には厳しく」です。この基本原則に忠実な税制が「海外企業からの要望」、「投資を呼び込むために必要」という言い訳のもと、ますます整備されていきそうです。

他の「サービス」としては、「岩盤規制の打破」です。周知の通り、政府は、「エネルギー、医療、農業、雇用、教育」などを「規制産業」と称して、これらの分野の規制緩和を行うと繰り返し強調しています。

しかし、これ、日本の一般国民の生活という観点からすれば、結構恐ろしい話です。

これらの分野は、いうまでもなく国民生活の根幹です。「人々の生活の基盤となるので、あまり直接的に市場原理を導入してはならない」ということで、これまで政府や自治体が監督してきた部分が大きいわけです。

それなのに、そういう経緯をきれいさっぱり忘れ、最近は「既得権益」をぶっ壊して、市場原理にさらすぞ! それこそ前向きな改革なんだ!!と、安倍政権は、躍起になっています。

企業からすれば、国民生活の根幹に関わる「エネルギー、医療、農業、雇用、教育」などは、デフレでもとても「稼ぎやすい」領域です。

人々は生活が苦しいときでも、電気やガス、水道などのインフラは使いますし、医療も受けます。食品も買わなければなりません。教育についても、不況下でも、なるべくよい教育を子供に受けさせたいというのが人情です。

デフレの渦中にあっても、この領域であれば、企業は、安定したビジネスが期待できるわけです。

市場として国際的にみても非常に大きく、またデフレだろうがなんだろうが安定的に稼げる日本のこの種の領域に、グローバル企業は、参入したくてたまらなかったわけです。

「企業担当制」では、これらの領域のいっそうの規制緩和も海外企業から要望されるでしょうし、政府のほうも、「海外企業や投資家の皆様にご満足いただけるよう」それに応えていくのでしょう。

昨日(4月2日付)の日経新聞の第一面は、「裁量労働制の対象拡大──金融やIT、専門知識持つ法人営業職に」という労働規制緩和に関する記事でした。
http://www.nikkei.com/article/DGKKASFS01H51_R00C15A4MM8000/

これも、「岩盤規制の打破」の一環です。「雇用」分野の規制緩和です。

「企業担当制」ができた暁には、グローバル企業と日本政府高官との間にホットラインが敷かれるわけですから、この種の変革がさらにどんどん進められるようになるはずです。

日本人は、「外国人からこれこれの要望がある」という議論に大変弱いですからね。国内の議論ではなかなか進まなかった各種「改革」も、「企業担当制」という御用聞き制度からあがってきた要望と絡めることによって、結構簡単に実現するようになっていくのではないでしょうか。

また、「企業担当制」では、グローバル企業と政府高官や中央省庁とのホットラインだけではなく、事実上、各地の自治体とのホットラインも作られます。

政府は、各自治体間で、海外から投資や企業を引き込んでくるための競争をさせたいのでしょう。一種の「御用聞き競争」になりそうです。「法人税引き下げ競争」とか「規制緩和競争」、「補助金あげる競争」、「外国人向けの病院や学校などの施設を日本の税金で作る競争」など、グローバル企業やその従業員に便宜をはかる競争が行われそうです。
(+_+)

ホント、現在の日本では、「グローバル化」というのは、我々の通常の感覚を麻痺させる一種の「マジック・ワード」として機能しているように思います。

企業と政府が直結してしまう危険性がマスコミなどにほとんど指摘されず、スルーされてしまっているわけです。

「グローバル化」の名のもとに進められる各種「改革」提案に、もう少し警戒心をもってもいいのではないでしょうか。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/04/03/se-56/

ニコライ・ニキフォロフ通信情報大臣によれば、ロシアは外国ソフトに、毎年約 200億ルーブル(3億ドル以上)費やしているが、ロシア企業は同様な IT ソリューションを政府に提供する用意ができているという。

検索してみると、New Cloud Technologies というのは英語訳社名で、元のロシア語名があり、MyOffice も、元のロシア語名称がある。
http://ncloudtech.com/

主権国家としては、ごもっともな選択肢。

一方、TPP を推進しているこの属国では、こうした選択肢は完全に排除される。ISDS 条項。大本営広報部、別名、マスコミは、TPP のおそろしさには絶対に触れない。

冷静に考えれば、主権喪失の危険性、豊洲の土壌の危険さより、遥かに深刻、かつ明白と思うのだが。

電車の中で、隣の男性が読んでいた経済紙、シンガポール首相が来日して、TPP 批准を進めるようせっついているという記事をちらりとみた。

この人物、アメリカにもとんで、大統領と早く批准しましょうと宣伝している。

TPP 加盟で、日本も、シンガポール同様全員が英語しか話さない国になることだけは確実。


大本営広報部の漱石ドラマ、第二回、精神のおかしくなった漱石、

「イギリス人の母国語を勉強して何になる」

と叫んだ。

史実かどうかは別として、漱石は、日本で大学教育が、日本語でできることこそ、日本文化向上の結果の素晴らしいことで、大学教育が英語で行われたのを懐かしく思う精神を批判している。

英語の達人の賢明な洞察。今頃、漱石は、歯ぎしりしているだろう。
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/microsoft-outlo.html


グローバリスト官僚 2015-11-20


『グローバリズムは国民経済を弱体化させるのみならず、国民を、

「国境を越えた移動が困難で、母国語(日本の場合は日本語)を話し、労働と対価としての所得で生活する国民」

 と、

「国境を越えて移動が可能で、母国語ではなくグローバル言語(現在は英語)を話し、労働の対価としての所得ではなく、資本利益(配当など)で生きていくグローバリスト」

 に二分化する。国民が英語を話す「少数派グローバリスト」と「それ以外の多数派の国民」に分断され、各国の安全保障や社会保障が揺らいでいくのだ。安全保障や社会保障は、国民の「共同体意識」なしでは成立しない。すなわち、ナショナリズムが重要なのだが、グローバリズムは国民の連帯感を破壊する。』


 
 11月20日の日本農業新聞の「小話往来」に、信じがたい記事が載っていました。

『小話往来「日本語軽視が露呈」

 政府が「日本と米国がリードした」(安倍晋三首相)と誇るTPP交渉。実際、日米で参加12カ国の国内総生産(GDP)合計の8割近くを占め、日米の批准がなければ発行しない。しかし、大筋合意した協定文には「英語、スペイン語 およびフランス語をひとしく正文とする」と定め、日本語は入っていない。

 19日の民主党経済連携調査会。篠原孝氏(衆・長野)が「(日本語を)要求してけられたのか」とただすと、外務省の担当者は「日本語を正文にしろと提起したことはない」と認めた。

 同省は以前、日本が遅れて参加したことを理由に挙げていた。だが、同様に後から参加したカナダは一部地域でしか使われないフランス語も正文に認めさせた。矛盾をつかれても同省は「カナダには政治的に非常に重要な課題だ。日本語をどうするかという問題とは文脈が違う」と言ってのけた。

 政府自ら自国の言語を軽視しているともとれる発言に岸本周平・同調査会事務局長は「今のは聞かなかったことにする。議事録から削除」と切り捨てた。(東)』

 いかがですか?


 「2016年 」の国民の二分化。グローバル言語を話す「グローバリスト」と、日本語を使う「日本国民」とに、現実の日本で国民が二分化されていっていることが分かると思います。


 当たり前ですが、TPP交渉において、交渉に当たる外務官僚は、「日本国民」を代表する立場です。あるいは、カナダの交渉官もまた、カナダ国民を代表する立場にあります。


 カナダでは、ケベック州などがフランス語を公用語として定めています。とはいえ、メインの言語は圧倒的に英語になっています。


 そのカナダですら、国内の「一部の国民」のために、TPPの正文の言語としてフランス語を押し込んだわけです。カナダの交渉官が「カナダ国民」を代表している以上、当然だと思います。


 日本農業新聞の記事にもある通り、TPP協定はアメリカ、もしくは日本国が批准しない場合は、失効となります。それに対し、カナダは別に抜けたところで、他の国々が批准すれば、TPPは発効します。


 それにも関わらず、TPP協定の正文について、日本の外務官僚は「日本語」を要求しなかったわけです。しかも、国会で、

「カナダには政治的に非常に重要な課題だ。日本語をどうするかという問題とは文脈が違う」

 と、発言した。すなわち、外務官僚は、

「日本国民は、別にTPP正文を日本語で読む必要がない」

 と、判断したことになります。


 別に「売国奴」という話ではないと思います。むしろ、問題はより深刻で、彼ら外務官僚は、

「日本国民は英語を話し、国境にとらわれず、グローバルに生きることが正しい」

 と、勝手に思い込んでいるグローバリストなのです。彼らは、日本国民が日本語ではなく、英語で生活、ビジネスすることを「正しい」と思い込んでいるわけです。結果、国民国家としての日本国が壊れていっています。


 すでに、日本では教育分野における「英語化」が進められています。同時に、「国」を背負って外国との交渉ごとに当たる外務官僚までもが、日本語を軽視する。


 もちろん、日本国や日本語を軽視する官僚は、文部科学省や外務省にばかりいるわけではありません。と言いますか、日本を軽視するグローバリスト官僚が「いない」省庁を、わたくしは思いつくことができないでいます。


 国土交通省の官僚ですら、この自然災害大国日本の国土を守る立場にありながら、

「日本の土木・建設企業が潰れても、外国企業から土木・建築サービスを提供してもらえばいい。自然災害の発生時にどうするか? もちろん、自然災害の際には我々を助ける契約にしておけばいい」

 と、信じがたいまでに安全保障軽視なセリフを言ってのけた人物がいます。


 それにしても、日本農業新聞の外務官僚の発言を読むと、我が国が冗談抜きで「亡国の危機」に瀕していることが分かります。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12097581104.html


日本は現在でも米国の軍事占領下にある _ 日本の政治を決定している日米合同委員会とは

なぜ、日本では国会議員が地方議員の仕事をしているのか 2015年6月15日
http://www.yamamotomasaki.com/archives/1991


日本政治を図らずも30年近く見てきて、いつも不思議に感じてきたことがある。

それは、「地方分権」と言われながら、いまだにすべての情報は中央、東京に集中し、内政における大枠の情報がほとんど東京に集中していることである。しかも国家主権にわたる外交、安全保障、国の経済政策、教育政策、福祉政策、医療政策、その他の分野でも大きな方針、政策は、すべて霞ヶ関から、国会議員に「勉強会」という形で官僚から卸されてくるのである。

そこで国会議員になった人間は、その中の一つか二つの分野に精通し、期数を重ねることによっていわゆる族議員というものになって、その内政の利権のお裾分けに預かる。この仕組みが、今も続く戦後の日本政治である。

さらに不思議なことは、その霞ヶ関に大きな政策を棚卸ししてくるのが、戦勝国であるアメリカなのである。

今回は、その大きな役割の一つを担っている「日米合同委員会」なるものを改めて紹介したい。不勉強の小生はこの組織のことを知ったのが、十年ちょっと前である。2011年の311以降、ネットや一部の本でもやっと言及されるようになったが、多くの日本人はマスコミがほとんど報道しないので全く知らないのではないだろうか。

そのためにいまだに一般の日本人には、認識されていないが、「日米合同委員会」というものが、戦後日本政治をコントロールしてきた最重要会議であることは間違いないのである。憲法で規定された国権の最高機関である国会を現実には超越していると言っても過言ではない。今回の安保法制を巡ってもテレビのニュース等で、あたかも日本が独立国としてこの法制を審議しているかのような報道がなされているが、残念ながら、このような報道は戦後に創られた共同幻想を維持するためものでしかない。


ところで、話題の書である矢部宏治氏は『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』で、矢部宏治氏は、「日米合同委員会」についてこう書いている。


日本はなぜ帰途と原発を止められないか


「官僚というのは法律が存在基盤ですから、下位の法体系(日本の国内法)より、上位の法体系(安保法体系)を優先して動くのは当然です。裁判で負ける側には絶対に立たないというのが官僚ですから、それは責められない。

しかも、この日米合同委員会のメンバーがその後どうなっているかを調べてみると、このインナー・サークルに所属した官僚は、みなそのあと、めざましく出世している。

とくに顕著なのが法務省で、省のトップである事務次官のなかに、日米合同委員会の元メンバー(大臣官房長経験者)が占める割合は、過去17人中12人。そのうち9人は、さらに次官より格上とされる検事総長になっているのです」

日米合同委員会の構成メンバーを見ると、米側がほとんど軍人である。

米側代表は在日米軍司令部副司令官である。

代表代理として在日米大使館公使、在日米軍司令部第五部長、在日米陸軍司令部参謀長、在日米空軍司令部副司令官、在日米海軍司令部参謀長、在日米海兵隊基地司令部参謀長である。在日米軍の軍人が威嚇するかのごとく居並んでいる。


日米合同委員会の日本側代表は外務省北米局長である

代表代理は、法務省大臣官房長、農林水産省経営局長、防衛省地方協力局長、外務省北米局参事官、財務省大臣官房審議官である。選挙で選ばれた政治家は一人も入っていない。


これは極めて象徴的な演出で、米国側は意識的に軍人を出している。現在も日本が米国の軍事占領下にあることの象徴なのだろう。わかりやすく言えば、日本官僚はネイティブの日本支配者であり、在日米軍の意向を受けて官僚の利権を維持拡大しているというわけである。

そして、日米合同委員会から多くの検事総長を出す。そして日本の対米隷属に異を唱え、真の独立を目指す人間を裁判にかけて攻撃する。その対象になったのが、最近では小沢一郎氏であった。

また、日米合同委員会で決まったことが公表されることはない。記録として残されることもない。いわば密約である。それが日本官僚を通じて政権与党である自民党に降ろされている。前回のレポートでも指摘した覇権国である米国経済の実情を考えると、もっと多くの日本人がこのことを知るべき時を迎えている。

日米合同委員会1日米合同委員会2

下記の参考資料を読んでいただければ、総理になった人間ですら、日米合同委員会のことを知らなかったことがわかる。日本の政治は見事なまでに空洞化しているのである。


<参考資料>

(*週プレNews 2014年12月16日より)

「日本はなぜ基地と原発を止められないのか」で話題の矢部宏治が鳩山友紀夫と“日本の真の支配者”を語った!

矢部宏治

鳩山友紀夫元首相(右)と矢部宏治氏が日本が「真の独立国」として新しい戦後を歩むための方法を議論


<民主党・鳩山政権の崩壊と沖縄の基地問題を出発点に、日本の戦後史を振り返った話題の新刊

『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』(集英社インターナショナル)
https://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%9C%E3%80%81%E3%80%8C%E5%9F%BA%E5%9C%B0%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%80%8C%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%80%8D%E3%82%92%E6%AD%A2%E3%82%81%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%8B-%E7%9F%A2%E9%83%A8-%E5%AE%8F%E6%B2%BB/dp/4797672897


の著者・矢部宏治(やべ・こうじ)氏。
そして、まさにこの本を執筆するきっかけとなった鳩山友紀夫元首相。

このふたりが、辺野古移設反対派の圧勝に終わった11月の沖縄県知事選や総選挙を踏まえ、事実上、今も米軍の占領状態が続いているこの国の姿と、日本が「真の独立国」として新しい戦後を歩んでいくためにはどうすればいいのか、その方法を考えた!>


首相の時はわからなかった「見えない敵」の正体

―まずは鳩山さんに、矢部さんの本を読まれた率直な感想から伺いたいのですが?


鳩山  正直申し上げて“ぶったまげた”というか、矢部さんがここまで勇気を持って取材され、この本を書かれたことに敬服しました。先にこの本を読んでいれば、私も総理を辞めずに済んだかもしれない、と(笑)。

もちろん、私は自分の非力について言い訳する気はありません。総理として一度は沖縄県民に期待感を与えながら(県外移設を)実現できなかったのは私に大きな責任があります。

ただ、この本を読んで、当時、自分がもっと政治の裏側にある仕組みを深く理解していれば、結果が違っていた部分もあるのかなとは思いました。それだけに、自分が総理という立場にありながら、この本に書かれているような現実を知らなかったことを恥じなきゃいかんと感じるわけです。


矢部  鳩山さんは以前、インタビューで「官僚たちは総理である自分ではなく『何か別のもの』に忠誠を誓っているように感じた」と言われていましたが、その正体がなんであるか、当時はわからなかったのでしょうか?


鳩山  物事が自分の思いどおりに進まないのは、自分自身の力不足という程度にしか思っていませんでした。本来ならば協力してくれるはずの官僚の皆さんには、自分の提案を「米軍側との協議の結果」と言って、すべてはね返されてしまって。分厚い壁の存在は感じながらも「やっぱりアメリカはキツイんだなぁ」ぐらいにしか思っていなかった。その裏側、深淵の部分まで自分の考えは届いていなかったのです。

 しかし、矢部さんのこの本はもっと深いところで米軍と官僚組織、さらには司法やメディアまでがすべてつながって一体となった姿を見事に解き明かしてくれて、いろんなことが腑(ふ)に落ちました。この本を読んで、目からうろこが何枚落ちたかわからないくらい落ちましたね。


矢部  在日米軍と日本のエリート官僚で組織された「日米合同委員会」の存在は、当時ご存じなかったということでしょうか?


鳩山  お恥ずかしい話ですが、わかりませんでした。日米で月に2度も、それも米軍と外務省や法務省、財務省などのトップクラスの官僚たちが、政府の中の議論以上に密な議論をしていたとは! しかもその内容は基本的には表に出ない。

 私が総理の時にアメリカから「規制改革をやれ」という話があって、向こうからの要望書に従って郵政の民営化とかがドンドンと押しつけられた。そこで「この規制改革委員会はおかしいぞ」というところまでは当時もわかっていたのですが。


矢部  日米合同委員会は基本的に占領以来続く在日米軍の特権、つまり「米軍は日本の国土全体を自由に使える」という権利を行使するための協議機関なのですが、この組織が60年間続いていくうちに、そこで決まったことには、もう誰も口出しできないという状況になってしまった。

 なかでも一番の問題は、日米合同委員会のメンバーである法務官僚が、法務省のトップである事務次官に占める割合は過去17人中12人、そのうち9人が検事総長にまで上り詰めている。つまり、米軍と日本の高級官僚をメンバーとするこの共同体が、検察権力を事実上握っているということなんです。

 しかも、在日米軍基地の違憲性をめぐって争われた1959年の砂川裁判で、当時の駐日米国大使だったダグラス・マッカーサー2世が裁判に不当な形で介入し、「日米安保条約のような高度な政治性を持つ問題については、最高裁は憲法判断をしない」という判例を残してしまった。ですから日米合同委員会の合意事項が仮に憲法違反であっても、日本国民にはそれを覆(くつがえ)す法的手段がない。


鳩山  それはつまり日米合同委員会の決定事項が、憲法も含めた日本の法律よりも優先されるということですよね。そのことを総理大臣の私は知らなかったのに、検事総長は知っていたし役人も知っていたわけだ。


矢部  ですから、鳩山さんの言う「官僚たちが忠誠を誓っていた何か別のもの」、つまり鳩山政権を潰(つぶ)したのは、この60年続く日米合同委員会という米軍と官僚の共同体であり、そこで決められた安保法体系だというのが現時点での私の結論ですね。


―そうした仕組みの存在を知った今、鳩山さんはどのような思いなのでしょうか。

鳩山  日米合同委員会に乗り込んでいきたいぐらいだね。「何をやってるんだ、おまえら!」みたいな感じで。

 ただ、そういうものが舞台裏で、しかも、憲法以上の力を持った存在として成り立っていたとしても、決してメディアで報道されることもないし、このメンバー以外にはほとんど知られないような仕組みになっているわけですよね。

矢部  このような「見えない力」の存在は、政権内にいないと、野党の立場ではまったく知り得ないものなのでしょうか?


鳩山  私も自民党時代がありましたので、8年は政権党にいたわけですが、当選1回や2回の新人議員の間は、官邸内部で何が動いているか知りようもありませんでした。でも与党の一員としては扱ってもらっていたと思います。

 それが野党となると、与党、特に与党の中枢の方々とは情報量が圧倒的に違う。官僚も野党に話す場合と与党に説明に行く場合では、丁寧さも説明に来る人の役職も全然違う。そのぐらい野党に対しては、官僚は区別し、冷たい対応をしていました。

 つまり、自民党政権と官僚機構が完全に一体化していたということです。野党は圧倒的に情報過疎に置かれているのは事実で、国民はその野党よりも情報が少ない。

 この先、特定秘密保護法によって、ますます国民には何も知らせない国になるわけで、非常に恐ろしいことだと思います。

日本全土が「米軍の基地」という現実

矢部  「横田空域」という、1都8県の上に米軍が管理している広大な空域がありまして、日本の飛行機はここを飛べない。これなんか典型的な「米軍が自由に日本の国土を使える」事例ですね。


鳩山  私も横田空域のせいで、日本の航空会社が非常に不自然な飛行ルートで飛ばされていることは知っていましたが、「沖縄と同じように、米軍の優位性というのが東京や関東周辺にもあるんだな」という程度にしか理解していなかった。

 しかし、具体的に図を見ると、関東上空がこれほど広範囲に米軍に「占領」されているという事実に仰天しますよね。沖縄だけではなくて、実は日本全体がアメリカに今でも支配されているも同然ですから。


矢部  飛行ルートの阻害もありますが、それより問題なのは、米軍やCIAの関係者が日本の国境に関係なく、この空域から自由に出入りできる、入国の「裏口(バックドア)」が存在することです。これはどう考えてもおかしな話で、こんなことは普通の主権国家ではあり得ません。

 この問題なんて国際社会にアピールしたら、みんなすごく驚くと思うんです。これは今、日本で起きているほかの問題、特に原発の問題にも絡んでくる話ですが、日本という国が置かれている状況の歪(ゆが)みやおかしさを伝えるいい事例になると思っています。

 結局、日米安保条約とは、米軍が「日本の基地」を使う権利ではなく、「日本全土」を基地として使う権利を定めたものなのです。

 旧安保条約の第1条で米軍にその権利が認められ、60年の安保条約で文言は変わっていますが、その権利は残されている。これを「全土基地方式」というのですが、これはなんとしても国際社会にアピールして変えていかないといけない

鳩山  矢部さんの本だと、米軍がそんなことをできる根拠は、敗戦国である日本を今でも「敵国」と見なした、国連憲章の「敵国条項」があるから、という話でしたが。


矢部  そこの説明は少し複雑で、旧安保条約第1条には、そうしたメチャクチャな軍事利用のあり方は、日本側が望み、アメリカ側がそれに応えたものだということが書かれている。そうした戦後処理を日本が望んだ以上、日本の主権や国民の人権がいくら侵害されていても、国連は口を出せないというロジックになっているんです。一種の法的トリックと言ってもいい。

 ですから、日本にちゃんとした政権が誕生して、国際社会で堂々と議論し、「全土基地方式はやめてくれ」と言ったら「それは敵国条項があるから無理だ」とは絶対ならないと思います。

米軍の占領状況を米国民に訴えろ!

鳩山  矢部さんのような方の努力もあって、私もようやく目隠しが外れて真実が見えてきたわけですが、問題はそこから先をどうするかです。やはり一部の人たちだけが目隠しを外すんじゃなくて、日本の国民の多くに触れられるPR戦術というか、日本の戦後の背後には何があるのかをきちんと解き明かす手段が必要だと思いますね。

 それと、日米関係に関わっている米軍関係者を除けば、アメリカの議会や国民は日米合同委員会なるものがどういう役割を果たしてきたのか、それが今も日本の主権をさまざまな形で侵害している事実も知らないと思います。しかし、こうした状況はアメリカの国民から見ても「異常なこと」だと映るはずですから、われわれが海外、特にアメリカの議会や国民に対して「日本は今も事実上、米軍に占領されているけれど、本当にこれでいいのか?」と訴えることが重要です。


矢部  情報発信という意味では、今、ドイツなど多くの国が日本の原発汚染に対して「何を考えてるんだ!」って相当に怒っている。基地の問題だけだと「勝手にやっててくれ」となるかもしれないけれど、原発の問題はそうはいかない。全地球的な問題です。

 あれだけ深刻な原発事故を起こした日本がなぜ、今再び原発推進への道を進もうとしているのか? その背景には「日米原子力協定」という、自国のエネルギー政策すらアメリカの同意なしには決められないという、客観的に見ても非常に歪(いびつ)な構造がある。それをうまく国際社会にアピールできたら、こうした日本の歪んだシステムに世界の光が当たる可能性はあります。

鳩山  そうですね、日本のメディアも完全に取り込まれてしまっているのであれば、基地の問題だけではなく、原発も併せて海外に訴えるほうが、圧倒的に意義があると思います。

ただし、そうした「外圧」に頼るだけでなく、結局はこの国の政治を変えない限り、そして多数派にならない限り、こうした流れは大きく変えられません。

*2015.03.16 NEWSポストセブンより

「米軍幹部と日本の官僚が進路決める「日米合同委員会」の存在」


東京都港区南麻布。都内屈指の閑静な高級住宅地も、そこだけは異空間が広がる。

入り口には屈強なガードマンが立ち、脇には「100%、IDチェック」と書かれた案内書きがある。米軍施設の「ニューサンノーホテル」である。


 在日米軍関係者は、

「ここは赤坂の米国大使館以上に、米国にとって重要な施設。表向きは来日した米軍関係者の宿泊施設ですが、米海軍情報部や CIA の拠点が置かれていて、日米のインテリジェンスの集積地です」

と説明する。

 日本のメディアどころか、政治家も立ち入れない。そんな場所で、日本の高級官僚と在日米軍関係者は、定期的に会合を重ねていた。それが日米合同委員会後述するが1960年に締結された日米地位協定(※注1)をどう運用するかを協議する実務者会議だ。


※注1/1952年に旧安保条約と同時に発効した「日米行政協定」が前身。1960年に日米安全保障条約を締結した際に改めて交わされた。 

そこでは、日本の安全保障の根幹に直接かかわる問題から、米軍基地と周辺住民の諍いまで協議される。 前者は在日米軍基地の移転・縮小、米海兵隊の新型輸送機オスプレイの配備といった問題、後者は基地内のゴミ処理、航空機の騒音問題などだ。

かつては、米兵の犯罪並びにその処遇も、開かれた法廷ではなく、密室の話し合いによって、解決がなされたこともあった。 

日米合同委の組織は、米国側は在日米軍司令部副司令官、在日米大使館公使など、日本側は外務省北米局長を代表として法務省大臣官房長、防衛省地方協力局長といった面子だ。

 日本側の代表者及び代表代理は、将来的に事務次官を狙えるポストにある。そんな高級官僚が、在日米軍や米大使館の有力者と密議を交わすことから、日米合同委は「影の政府」との異名もつく。

 ただし、彼らが一堂に会するわけではない。同委員会は、基地問題、刑事、環境など35の分科会や部会に分かれ、担当ごとに参加者が決まる。実際に出席したことのある官僚が明かしてくれた。


「日米の責任者(担当者)が最低一人、書記および通訳などの職員が最低二人は出席する。対話は基本的には日本語で行なわれますが、日本側も英語の話せる通訳を連れているため、微妙なニュアンスで日米の解釈が異なるという事態は生じない」


 関係者らの話をまとめると、毎月2回ほど開かれ、開催場所は米国と日本で持ち回りとなる。米国ならニューサンノーホテル、日本の場合は外務省を中心に、分科会や部会ごとに代表者の所属する官庁内で開催されているという。

 だが、会合の中身は一切明かされない。合意の一部は外務省、防衛省のホームページに公表されているが、それも簡潔に記されているだけだ。

 同委員会を所管する外務省北米局に日米合同委の詳細を問い合わせても、「回答できるのは、既に公表しているものだけ」の一点ばりで、防衛省広報課に問い合わせても、「外務省が所管なので、外務省に聞いてください」という堂々巡りだった。


 元琉球新報論説委員で、在日米軍基地問題に詳しい沖縄国際大学大学院教授・前泊博盛氏は語る。


「日米合同委に合意内容を公表する義務はない。日米双方の合意がない限り公表しない取り決め(※注2)になっているからです。」


※注2/1996年2月に、日米両政府は日米地位協定の9項目についての運用改善で合意。「日米合同委員会の公表」もそこに含まれた。しかし、結果的に「合意内容」の公表こそ一部改善はされたものの、会合内容が公表されることはなかった。


 「基本的に軍事関係の取り決めなので米軍側は、情報を出したくない。また、米軍に有利に推移した合意内容を表に出して、日本人の神経を逆なでしたくないという思いもある。日本側としても、米国との交渉に負けた、との誹りを避けるために、できるだけ隠密に事を収めたい」


 必然的に日米合同委は「密約の温床」になってしまう。(終わり)
http://www.yamamotomasaki.com/archives/1991

日本はアメリカの仮想敵国 _ 米軍は日本が独立するのを阻止する為に日本に駐留している
http://www.asyura2.com/13/lunchbreak53/msg/528.html


私たち日本人の意識構造が英語学習によっていかに「家畜化」されてしまっているのかを検証

英米人の考え方や生活様式が合理的であり、日本人の考え方や生活様式は非合理的だという思い込みが、日本人の脳に定着していて、いまだにそこから脱却できていない。

英語教育・英語学習がこのような姿勢を助長してきた側面も否定できないと思うのです。


 明治維新で日本が新しい社会をつくろうとしたときオランダ語を勉強していた福沢諭吉が英語に切り替えたことからも分かるように、明治の日本でも英語が大流行しました。しかし英語一辺倒だったわけではありませんでした。

 二葉亭四迷によってロシア文学が翻訳されたのも明治時代でしたし、文学者としても有名だった森鴎外も実は本名は森林太郎と言い、本職は陸軍軍医(軍医総監)でした。そのため東大医学部卒業後に、陸軍省派遣留学生としてドイツに留学もしています。

 イギリス留学後に東京帝国大学で英文学を講じた夏目漱石も、長男の純一にはフランス語やドイツ語を学ばせ、英語を学ばせていません。次男の伸六が学んだ外国語もドイツ語で、慶應義塾大学文学部予科に進み、同独文科を中退しています。

 つまり「文明開化」に明け暮れた明治でさえ、英語一辺倒ではなかったのです。

 ところが日本では、アジア太平洋戦争に敗北しアメリカ軍が占領者として入り込んでくるようになってからは英語の全盛時代を迎えるようになりました。

 アメリカとしても占領期間が終わった後も日本を当時のソ連や社会主義中国にたいする防波堤として利用するために英語教育を重視しました。

 そのためにトルーマン大統領は、講和条約(1951年9月8日)が結ばれる8か月以上も前の1月22日に、ジョン・フォスター・ダレス(ロックフェラー財団理事長)を特使とする「講和使節団」を日本に派遣しました。

 このとき文化顧問として同行したロックフェラー3世は、帰国してから2か月後に(1951年4月16日)、80頁にもおよぶ日米文化関係の「機密」報告書を提出しています。

 ここで注目されるのは、この報告書が「英語教育プログラムのもつ潜在的な可能性」を強調して次のように述べていることです。

 「英語教育プログラムは表向きは英語教育法の改善を手助けすることであるが、実際には健全なアメリカの理念を日本社会に浸透させる道がこのプログラムによって約束される。」

 「資格のある英語教育専門家が日本に滞在していれば、教科書の執筆ならびにアメリカ合衆国の選定教材を日本に紹介する際に、折ある度に彼らは影響力を行使することができ、しかも長期にわたって影響を及ぼしつづけることができる。」

 「日本人は生活のあらゆる部分において英語の学習を受け入れる傾向があるので、英語教育の分野には潜在的に大きな可能性が認められる。」

(以上、拙著『英語で大学が亡びるとき』明石書店、176―178頁)
https://www.amazon.co.jp/%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E3%81%A7%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%81%8C%E4%BA%A1%E3%81%B3%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%81%8D%E2%80%95%E3%80%8C%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E5%8A%9B-%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%AB%E4%BA%BA%E6%9D%90%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%82%A4%E3%83%87%E3%82%AA%E3%83%AD%E3%82%AE%E3%83%BC-%E5%AF%BA%E5%B3%B6-%E9%9A%86%E5%90%89/dp/4750342661


 そもそもロックフェラー3世がダレス特使の文化問題顧問として日本に派遣されたのは、トルーマン大統領が1951年に 「心理戦略本部」(PSB:Psychological Strategy Board)を創設したことに由来しています。

 ですからロックフェラーの機密報告書「英語教育プログラム」も、日本にたいする心理戦すなわち「いかにして日本を『半永久的な米国依存の国』にするか」という戦略の一部として提案されたものでした。

 松田武『戦後日本におけるアメリカのソフト・パワー、半永久的依存の起源』(岩波書店)は、1951年1月に日本政府と対日講和条件を協議するために東京を訪問した時のダレス国務長官を次のように描写しています。

 「ダレスは公衆の面前では、日本のことを『戦勝国によって指図される国』ではなく『相談される当事国』と表現し、雅量のある調子で語った。しかし私的な場所では、解決すべき主たる重要な問題は『我々の好きな場所に我々の好きなだけの期間、我々の好きなだけの軍隊を駐留させる権利を手に入れることではないのかね』と側近に語った。…そして実際にアメリカ政府は、日本の領土内に合衆国の基地システムを保持することに成功した。」(126頁)

 こうして日本は、沖縄の基地問題に象徴されるように、アメリカ兵が犯罪を犯しても、垂直離着陸機オスプレイが事故を起こしても、政府が独自に調査し処罰できない軍事的従属国になっています。そして軍事的に従属しているだけでなく文化的にも従属するようになり、「アメリカのものは優れているが日本のものは劣っている」と思考形態をいつのまにか身につけてしまいました。

 というよりも軍事的従属は、英語教育などを通じた文化工作の結果として生まれた文化的従属の結果でもありました。あるいは軍事的従属は文化的従属と手を携えながら進行したと言うべきでしょう。

 その典型例がカタカナ語の氾濫です。明治の知識人は外来語を何とか日本語に移し替えようとして悪戦苦闘しながら新しい語彙・新しい日本語を創造する努力を積み重ねて来ましたが最近はそのような努力を放棄して、英語教師でさえ意味のとりづらい「コンプライアンス」などという語を、NHKでさえ平気で使うようになってきました。

 これは老人や子どもにとって生活上の障害になるだけでなく、明治の知識人が外国語と格闘するなかで日本語を磨き、それを土台にして創造力を鍛えてきた先達の遺産を放棄するという意味で、知的退廃につながっていきます。

 日本のノーベル賞受賞者の多さも、このような先達の知的努力が生み出したものの成果だとも考えられるからです。

 このような知的努力を放棄しているかぎり、小学校から英語を導入しても、そのような世代からはノーベル賞受賞者は決して生まれないでしょう。

 それどころか、日本の進路を大きく左右しかねないTPP(環太平洋経済連携協定)という協定文書は、正式な交換文書であるにもかかわらず、政府はその日本語版を要求しなかったばかりか、全文の翻訳すらもおこなおうとしませんでした。

 こうして、国会議員は内容もよく分からないままTPPへの賛成を強いられることになりました。

 カナダが、英語国であるにもかかわらず、ケベック州の公用語が仏語であるという理由だけで、協定文書の仏語版をも要求したのと、なんという大きな違いでしょう。

 これはまさに知的退廃の極みです。これでどうして国益を守ることができるのでしょうか。これでどうして安倍首相の言う「美しい国」を築くことができるのでしょうか。
http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/gunjitekijuuzokutobunnkatekijuuzoku.html


「恥の文化」の力 From 施 光恒(せ・てるひさ)@九州大学


このところ特に強く感じるんですが、最近の日本人って、ホントに自信を失ってますよね。といっても、周りの大学生などと話していると、若い世代はそれほどでもないように思うのですが、50代後半〜60代ぐらいの人たちは、なんか日本は経済も文化も根本的にダメダメみたいな感情をもっているように思います。

だから、「バスに乗り遅れるな」とか「世界の孤児になってもいいのか」「これからは英語、英語、留学、留学、トーフル、トーフル」「アジアに打って出るしかない」みたいな強迫的ともいえるグローバル化衝動が生じるのかなあなどと日々感じております。

こういう日本人の自信のなさの背景には、一つは、日本の道徳に対する不信感があるようです。

たとえば、「日本人は同調主義的だ」「自律性や主体性がない」「権威に弱い」「周りの他者や世間の目ばかり気にする」ということがよく言われます。

なんでこんなイメージが広まったかといえば、一つの理由として、アメリカの文化人類学者ルース・ベネディクトが書いて終戦後、日本でベストセラーになった『菊と刀』の議論があると思います。

この本の中で、ベネディクトは、日本は「恥の文化」だといって、日本の一般的な道徳観をかなり悪く言っています。

ベネディクトの説明によると、「恥の文化」とは、「ものの良し悪しを判断する際に、他者の目や世間の評判のみを基準とする外面的な道徳が支配的な文化だ」というんですね。

要するに、周りに他者や権威者の目がなければ、日本人は悪いことしますよ〜というわけです。

逆に、ベネディクトは自分とこのアメリカの道徳は「罪の文化」であり、自律的だといっています。たとえば、「罪の文化」は、「道徳の絶対標準を説き、良心の啓発を頼みとする」と書いています。

つまり、アメリカ人は、「良心を重視するので、誰もみていなくても悪いことしませんよ、自律的ですよ」というんですね。

こういう「恥の文化=他律的、外面的」、「罪の文化=自律的、内面的」という図式を『菊と刀』で展開して、日本の道徳を否定的にみるわけです。

『菊と刀』は、終戦直後の日本でよく読まれました。戦争でみんな自信を失っていたんでしょうね。日本人は真面目だから、戦争で負けたのは、自分たちに何か欠陥があったからに違いない。アメリカ人の言うことをよく聞いて反省しなければならない、と考えたのだと思います。

それで、「日本文化 = 恥の文化 = 良心が弱く、権威にも弱く、他律的で同調主義的だ」というイメージを受け入れてしまったんだと推測します。

でも、このイメージ、正しくないですよね。
たとえば、日本は、米国に比べれば、はるかに治安が良く、犯罪も少ないと思います。
電車に財布を置き忘れても無事に届けられる確率は、日本は世界で最も高い部類に入るでしょう。
人に見られてなければ悪事を犯すなんてことは、大部分の日本人には思いもよらぬことです。
権威に弱いというのも、間違いだと思います。日本ほど、政治家の悪口をいう国民はそうそういないように思います。私も例にもれませんが(^_^)

つまり、ベネディクトは、日本の道徳をひどく矮小化し、間違って理解していたと思います。現代の日本人も、残念ながらベネディクトの理解に影響されてしまっているところ多々があるようです。

ベネディクトの「恥の文化」の理解のおかしさについて、いくつも指摘したいことがあるのですが、今回は、上の新聞記事でも書いた一点だけ触れたいと思います。

「恥の文化」で敏感に感じとるべき他者の視点として、同時代の他者や世間だけではなく、死者の視点、つまり過去の世代の人々の視点もあるということをベネディクトは見逃していたということです。

現代の日本人も忘れがちかもしれませんが、日本の伝統では、死者の視点を常に身近に感じ、死者に思いを馳せることに、とても価値が置かれていました。
(なんか五月の連休ではなく、お彼岸に書いたほうがいいような内容ですね…。スミマセン…)
f(^^;) フタタビポリポリ

私はすごく好きな文章でよくとりあげるのですが、民俗学の祖・柳田国男は、この点についてとても美しく書いています。

「私がこの本のなかで力を入れて説きたいと思う一つの点は、日本人の死後の観念、すなわち霊は永久にこの国土のうちに留まって、そう遠方へは行ってしまわないという信仰が、おそらくは世の始めから、少なくとも今日まで、かなり根強くまだ持ち続けられているということである」(『先祖の話』)

「日本を囲繞したさまざまな民族でも、死ねば途方もなく遠い遠い処へ、旅立ってしまうという思想が、精粗幾通りもの形をもって、おおよそは行きわたっている。

ひとりこういうなかにおいてこの島々にのみ、死んでも死んでも同じ国土を離れず、しかも故郷の山の高みから、永く子孫の生業を見守り、その繁栄と勤勉とを顧念しているものと考えだしたことは、いつの世の文化の所産であるかは知らず、限りもなくなつかしいことである。

それが誤りたる思想であるかどうか、信じてよいかどうかはこれからの人が決めてよい。我々の証明したいのは過去の事実、許多の歳月にわたって我々の祖先がしかく信じ、さらにまた次々に来る者に同じ信仰をもたせようとしていたということである」(「魂の行くえ」)。

つまり、柳田国男によると、日本の多くの人々は、人が死んだら故郷の山のあたりに魂は昇って行って、そこから子孫の生活をずっと見守っているというのですね。そしてお盆になると降りてきて、子孫や近所の人たちと一緒に過ごして、お盆が終わるとまた戻っていく。そういうふうに考えられてきたというわけです。

私は、この考え、すごく好きです。私も死んだら、近くの山の頂上あたりにふわふわと漂って、後の世代の人々の生活をぼーっと見ていたいなあ、なんて思います。
柳田国男が「…限りもなくなつかしいことである」といった気持ちがわかるような気がします。
(^-^ )

少し話がズレました…。
(-_-;)

柳田国男がここで述べているのは、日本人の道徳は、死者、つまり過去の世代の人々に思いを寄せ、彼らの意を汲むことを重んじてきたことだと解釈できます。

つまり「恥の文化」は、同時代の他者や世間のみではなく、今は声をあげることのない過去のさまざまな人々の思いを感受し汲みとってはじめて完成するということです。

同時代の他者の観点やその総体としての世間の観点だけでなく、過去に生きたさまざまな人々の視点やその集合体としての祖霊に思いを馳せる。
それを通じて、いわば横軸(同時代)だけでなく、縦軸(伝統)の視点を身につけ、時間のつながりのなかで自分の位置を反省し、遠い将来まで見据えたうえで自分がいま何をなすべきかを立体的かつ複眼的に考えられるようになる。

本来の「恥の文化」とは、とても奥深く、そこまで求めたものだと思います。

そこをベネディクトは見抜けなかったし、現代のわれわれ日本人も、忘れがちのような気がします。

現代では、死者とのつながりが忘れられ、縦軸が疎かになっているので、(私もえらそうなことはまったく言えませんが)ふらふらと周囲の目ばかり気になり、自分を見失い、何をなすべきか定まらない人が増えているように思います。

靖国の問題だけではないですが、現代の日本人にとって困ったことの一つは、戦前と戦後で意識の分断が生じやすくされてしまったことですよね。

それが、日本人が本来の力を発揮するのを難しくしているのではないかと思います。

逆に言えば、日本にもう少しおとなしくしていてもらいたい国々は、何かにつけてそこに付け込もうとするんですよね。

戦前と戦後の意識の分断をどう修復すれば一番いいのか私にはわからないところも多いのですが、一つ言えると思うのは、戦前の人々も、現代の我々も、根本ではあまり変わっていないと認識することなんじゃないでしょうか。国民性って、そう簡単に変わるものではありませんので。そしてもっと身近に過去の世代の人たちに思いを馳せることではないかと思います。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2013/05/03/se-12/

内田樹 2017.01.15 「民の原像」と「死者の国」


高橋源一郎さんと昨日『Sight』のために渋谷陽一さんをまじえて懇談した。
いろいろ話しているうちに、話題は政治と言葉(あるいは広く文学)という主題に収斂していった。

そのときに「政治について語る人」として対比的に論じられたのが「安倍首相」と「天皇陛下」だった。

この二人はある決定的な違いがある。

政策のことではない。霊的ポジションの違いである。
それについてそのときに話しそこねたことを書いておく。

なぜ、日本のリベラルや左翼は決定的な国民的エネルギーを喚起する力を持ち得ないのかというのは、久しく日本の政治思想上の課題だった。

僕はちょうど昨日渡辺京二の『維新の夢』を読み終えたところだったので、とりわけ問題意識がそういう言葉づかいで意識の前景にあった。


維新の夢 (ちくま学芸文庫) 2011/6/10 渡辺 京二 (著)
https://www.amazon.co.jp/%E7%B6%AD%E6%96%B0%E3%81%AE%E5%A4%A2-%E6%B8%A1%E8%BE%BA%E4%BA%AC%E4%BA%8C%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3-%E5%8F%B2%E8%AB%96-%E3%81%A1%E3%81%8F%E3%81%BE%E5%AD%A6%E8%8A%B8%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%B8%A1%E8%BE%BA-%E4%BA%AC%E4%BA%8C/dp/4480093796


渡辺は西郷隆盛を論じた「死者の国からの革命家」で国民的規模の「回天」のエネルギーの源泉として「民に頭を垂れること」と「死者をとむらうこと」の二つを挙げている。

すこし長くなるけれど、それについて書かれた部分を再録する。

渡辺によれば第二回目の流刑のときまで西郷はスケールは大きいけれど、思想的には卓越したところのない人物だった。

「政治的な見識や展望はどうか。そういうことはみな、当時の賢者たちから教えられた。教えられれば、目を丸くして感心し、それを誠心実行に移そうとして。勝海舟、横井小楠、坂本竜馬、アーネスト・サトウ、みな西郷に新生日本の行路を教えた人で、西郷自身から出た維新の政治理念は皆無に等しかった。だから、この維新回天の立役者はハリボテであった。

だが、政治能力において思想的構想力において西郷よりまさっていた人物たちは、このハリボテを中心にすえねば回天の仕事ができなかった。これは人格の力である。

この場合人格とは、度量の広さをいうのでも、衆心をとる力をいうのでも、徳性をいうのでもない。それは国家の進路、革命の進路を、つねにひとつの理想によって照らし出そうとする情熱であり誠心であった。革命はそういう熱情と誠心によってのみエトスを獲得することができる。エトスなき革命がありえない以上、西郷は衆目の一致するところ最高の指導者であった。」(『維新の夢』、ちくま学芸文庫、2011年、341頁)

彼は戊辰のいくさが終わったあと、中央政府にとどまらず、沖永良部島に戻るつもりでいた。「官にいて道心を失う」ことを嫌ったのである。

島は彼の「回心」であったというのが渡辺京二の仮説である。

島で西郷は何を経験したのか。

渡辺は「民」と「死者」とがひとつに絡み合う革命的ヴィジョンを西郷がそこで幻視したからだと推論する。

「西郷は同志を殺された人である。第一回流島のさいは月照を殺され、第二回には有馬新七を殺された。この他にも彼は、橋本左内、平野国臣という莫逆の友を喪っている。」(343頁)。

この経験は彼に革命家は殺されるものだということを教えた。革命闘争の中では革命家は敵に殺されるだけでなく、味方によっても殺される。「革命を裏切るのは政治である」。

死者はそれだけでは終わらなかった。

寺田屋の変で西郷は旧友有馬を殺された。西郷の同志たち、森山新蔵、村田新八、篠原國幹、大山巌、伊集院兼寛も藩主の命で処罰された。渡辺は「これが西郷を真の覚醒に導いた惨劇である」と書く。

事実、この直後に西郷が知人に書き送った書簡にはこうある。

「此の度は徳之島より二度出申さずとあきらめ候処、何の苦もこれなく安心なものに御座候。骨肉同様の人々をさえ、只事の真意も問わずして罪に落とし、また朋友も悉く殺され、何を頼みに致すべきや。馬鹿らしき忠義立ては取り止め申し候。お見限り下さるべく候。」

西郷は同志朋友を殺され、同志朋友と信じた人々によって罪に落とされた。もう生者たちに忠義立てなどしない。自分が忠義立てをするのは死者たちに対してだけだと西郷は言外に宣言したのである。

彼が維新回天の中心人物として縦横の活躍をするようになるのは、彼が「お見限り下さるべく候」と書いた「あと」の話なのである。同志朋友を殺した島津藩への忠義を断念し、死者のために生きると決意したときに西郷は政治家としてのブレークスルーを果した。

「いまや何を信ずればよいのか。ここで西郷の心は死者の国へととぶ。彼はもう昨日までの薩摩家臣団の一員ではない。忠義の意図は切れた。彼は大久保らの見知らぬ異界の人となったのである。彼の忠誠はただ月照以来の累々たる死者の上にのみ置かれた。」(346頁)

みずからを「死者の国の住人」と思い定めた西郷は島で「民」に出遭う。
西郷はそれまでも気質的には農本主義者であり、護民官的な気質の人であったが、民はあくまで保護し、慰撫し、支配する対象にとどまっていた。それが島で逆転する。

「彼が島の老婆から、二度も島に流されるとは何と心掛けの改まらぬことかと叱られ、涙を流してあやまったという話がある。これは従来、彼の正直で恭謙な人柄を示す挿話と受けとられたきたと思う。しかしかほど正直だからといって、事情もわきまえぬ的外れの説教になぜ涙を流さねばならぬのか。老婆の情が嬉しかったというだけでは腑に落ちない。

西郷はこの時必ずや、朋友をして死なしめて生き残っている自分のことを思ったに違いない。涙はそれだから流れたのである。しかしここで決定的に重要なのは、彼が老婆におのれを責める十全の資格を認めたことである。それは彼が老婆を民の原像といったふうに感じたということで、この民に頭を垂れることは、彼にとってそのまま死者を弔う姿勢であった。」(347頁)

「革命はまさにそのような基底のうえに立ってのみ義であると彼には感じられた。維新後の悲劇の後半生は、このような彼の覚醒のうちにはらまれたのである。」(348頁)

長い論考の一部だけ引いたので、論旨についてゆきずらいと思うけれど、僕はこの「民の原像」と「死者の国」という二つの言葉からつよいインパクトを受けた。
渡辺京二の仮説はたいへん魅力的である。歴史学者からは「思弁的」とされるかも知れないが、僕は「これで正しい」と直感的に思う。

という読後の興奮状態の中で源ちゃんと会ったら、話がいきなり「大衆の欲望」と「死者の鎮魂」から始まったので、その符合に驚いたのである。

『維新の夢』本で、渡辺京二は日本のリベラル・左翼・知識人たちがなぜ「国家の進路、革命の進路を、つねにひとつの理想によって照らし出そうとする情熱と誠心」を持ち得ないのかについてきびしい言葉を繰り返し連ねている。

それは畢竟するに、「民の原像」をつかみえていないこと、「死者の国」に踏み込みえないことに尽くされるだろう。

「大衆の原像」という言葉は吉本隆明の鍵概念だから、渡辺もそれは念頭にあるはずである。

だが、「死者の国」に軸足を置くことが革命的エトスにとって死活的に重要だという実感を日本の左翼知識人はこれまでたぶん持ったことがない。

彼らにとって政治革命はあくまで「よりよき世界を創造する。権力によって不当に奪われた資源を奪還して(少しでも暮し向きをよくする)」という未来志向の実践的・功利的な運動にとどまる。

だから、横死した死者たちの魂を鎮めるための儀礼にはあまり手間暇を割かない。
日本の(だけでなく、世界どこでもそうだけれど)、リベラル・左翼・知識人がなかなか決定的な政治的エネルギーの結集軸たりえないのは「死者からの負託」ということの意味を重くとらないからである。僕はそう感じる。

日本でもどこでも、極右の政治家の方がリベラル・左翼・知識人よりも政治的熱狂を掻き立てる能力において優越しているのは、彼らが「死者を呼び出す」ことの効果を直感的に知っているからである。

靖国神社へ参拝する日本の政治家たちは死者に対して(西郷が同志朋友に抱いたような)誠心を抱いてはいない。そうではなくて、死者を呼び出すと人々が熱狂する(賛意であれ、反感であれ)ことを知っているから、そうするのである。

どんな種類のものであれ、政治的エネルギーは資源として利用可能である。隣国国民の怒りや国際社会からの反発というようなネガティブなかたちのものさえ、当の政治家にとっては「活用可能な資源」にしか見えないのである。かつて「金に色はついていない」という名言を吐いたビジネスマンがいたが、その言い分を借りて言えば、「政治的エネルギーに色はついていない」のである。

どんな手を使っても、エネルギーを喚起し、制御しえたものの「勝ち」なのである。

世界中でリベラル・左翼・知識人が敗色濃厚なのは、掲げる政策が合理的で政治的に正しければ人々は必ずや彼らを支持し、信頼するはずだ(支持しないのは、無知だからだ、あるいはプロパガンダによって目を曇らされているからだ)という前提が間違っているからである。

政策的整合性を基準にして人々の政治的エネルギーは運動しているのではない。
政治的エネルギーの源泉は「死者たちの国」にある。

リベラル・左翼・知識人は「死者はきちんと葬式を出せばそれで片がつく」と思っている。いつまでも死人に仕事をさせるのはたぶん礼儀にはずれると思っているのだ。

極右の政治家たちはその点ではブラック企業の経営者のように仮借がない。「死者はいつまでも利用可能である」ということを政治技術として知っている。
それだけの違いである。けれども、その違いが決定的になることもある。

安倍晋三は今の日本の現役政治家の中で「死者を背負っている」という点では抜きん出た存在である。

彼はたしかに岸信介という生々しい死者を肩に担いでいる。祖父のし残した仕事を成し遂げるというような「個人的動機」で政治をするなんてけしからんと言う人がいるが、それは話の筋目が逆である。

今の日本の政治家の中で「死者に負託された仕事をしている」ことに自覚的なのは安倍晋三くらいである。だから、その政策のほとんどに対して国民は不同意であるにもかかわらず、彼の政治的「力」に対しては高い評価を与えているのである。
ただし、安倍にも限界がある。それは彼が同志でも朋友でもなく、「自分の血縁者だけを選択的に死者として背負っている」点にある。

これに対して「すべての死者を背負う」という霊的スタンスを取っているのが天皇陛下である。

首相はその点について「天皇に勝てない」ということを知っている。

だから、天皇の政治的影響力を無化することにこれほど懸命なのである。

現代日本の政治の本質的なバトルは「ある種の死者の負託を背負う首相」と「すべての死者の負託を背負う陛下」の間の「霊的レベル」で展開している。
というふうな話を源ちゃんとした。

もちろん、こんなことは新聞も書かないし、テレビでも誰も言わない。
でも、ほんとうにそうなのだ。
http://blog.tatsuru.com/

フィリピン大統領: 西洋は他国に自分たちの文化を押し付けるな2017年3月21日
http://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/5885


フィリピンのドゥテルテ大統領が吠えている。フィリピンが現在行なっている麻薬撲滅政策のもとで超法規的な殺人が行われているとしてEU議会の政治家たちがフィリピンを非難しているが、これに対してドゥテルテ大統領が答えている。Guardian(原文英語)など各紙が報じている。


西洋の介入主義

一般的に言って、日本では有り得ないことが海外では行われる。だからフィリピンで現在行われている超法規的な麻薬撲滅について、その是非を議論をするのはこの記事の目的ではない。

ここで取り上げたいのは、西洋諸国が当たり前のように行う内政干渉全般に対するドゥテルテ大統領の主張である。彼がオバマ元大統領を含む西洋の政治家を嫌っている理由はこの一点に尽きる。彼は彼の麻薬撲滅政策を批判するEU議会の政治家に対して、はっきりと次のように言った。


この地球上で各国政府がどうあるべきかということについて、自分の文化や信仰を他国に、とりわけフィリピンに押し付けるな。

何故自分のことだけ考えないのか? 何故われわれとまぐわる(原文:fuck with us)必要がある? 忌々しい。

歴史的に、西洋諸国は自分を正義と信じて他国への政治的、軍事的介入を行なってきた。その最たる例が、存在しない大量破壊兵器を理由に行われたアメリカのイラク侵略であり、しかし大抵の西洋人は一国を侵略したことさえ多少の失敗としか思っていないだろう。


反グローバリズムと介入主義

そうした介入は軍事介入の形で行われることもあれば、国連などの国際機関が平和や人権の名のもとに政治的圧力として行われることもある。介入主義はグローバリズムの本質だからである。日本人は国際機関がどういうものかをもっと知るべきである。

•イギリスのEU離脱でOECDと財務省が化けの皮を剥がされる
http://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/3687



20. 中川隆[-7543] koaQ7Jey 2017年5月23日 06:17:01 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

トリクルダウンはあり得ない


経済関連の「詭弁」の一つに、仮説を「原則」であるかのごとく扱い、結論を断定するという手法があります。

例を挙げますと、

「トリクルダウン理論により、富裕層・法人減税は正しい」

「クラウディングアウトが起きるから、国債発行はダメ」

「マンデル・フレミング・モデルにより、変動相場制の国では財政政策が無効」


などになります。

クラウディングアウトとは、政府の国債発行が「金利上昇」を招き、企業の投資が減少するため、経済成長が阻害される。というロジックなのですが、現実の日本(欧州でも)ではデフレで民間の資金需要が不足し、政府の国債金利はむしろ「下がって」います。

マンデル・フレミング・モデルはクラウディングアウトの延長で、政府の国債発行・財政政策の拡大が「金利上昇」と「通貨高」をもたらし、輸出減により財政政策によるGDP拡大分が相殺される。よって、変動相場制の国において財政政策は無効。というロジックなのですが、長期金利0.23(!)%の国で、何言っているの? という感じでございます。

しかも、第二次安倍政権発足以降、「通貨安」が大幅に進んだにも関わらず、日本の実質輸出は増えていません。純輸出で見ても、原発を稼働しないため、外国からの原油・LNGの輸入が増え、マイナス(純輸入)が拡大していきました。

さらに言えば、日本銀行が国債を買い入れている以上、「国債発行=金利上昇」などという単純なモデルが成立するはずがないのです。MFモデルにしても、財政出動が金利上昇、円高をもたらすのがそんなに怖いなら、金融政策を併用すれば済む話です。

要するに、クラウディングアウトにせよ、MFモデルにせよ、

「絶対に財政出動の拡大はダメ。国債発行もダメ」

という「結論」がまずあり、その結論に導くための詭弁として持ち出されているに過ぎないのです。


とはいえ、この種の詭弁が政界を支配し、財政政策による需要創出が実現しないため、我が国はいつまでたってもデフレ状況から抜けられないでいます。

トリクルダウンも同じです。

トリクルダウンとは「富裕層減税や法人税減税により、国内の投資が拡大し、国民が豊かになる」というロジックになっています。

減税分を「国内の投資に必ず使う」ように政府が強制できるならばともかく(できません)、資本の国境を越えた移動が実現したグローバリズムの時代に、トリクルダウンなど成立するはずがないのです。

しかも、法人税を減税し、企業の現預金を増やしたところで、デフレで投資利益が見込めない以上、国内の設備投資が拡大するはずがありません。

上記の理屈は、「常識」に基づき考えてみれば、誰でも理解できるはずです。特に、損益計算書やバランスシートに触れる機会が多い経営者であれば、一発で分かるでしょう。

ところが、現実にはトリクルダウンが成立するという「前提」に基づき、法人税減税をはじめとする構造改革が推進されています。

それどころか、もはや政府はトリクルダウンという「言い訳」をする必要すら感じていないのかも知れません。


竹中氏が今回、トリクルダウンを否定しましたが、これは別に、

「トリクルダウンがあると嘘ついていました。ごめんなさいね」

とう話ではなく、

「トリクルダウンなど、あるわけがない。政府に甘えず、各人が努力せよ。負けたら、自己責任」


と、責任を「国民」に丸投げしたに過ぎません。

それにしても、中国が改革開放を推進した際、ケ小平は「人民」に対する言い訳として、トリクルダウン仮説の一種である先富論を持ち出しました。中国のような共産党独裁国であっても、勝ち組に優しい政策をする場合は、トリクルダウン仮説で「言い訳」をする必要があるのです。

ところが、日本ではもはやトリクルダウンという「言い訳」すらなされず、格差を拡大することが明らかな構造改革が推進されていっています。

この状況を「怖い」と思うのは、三橋だけでしょうか。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2016/01/11/mitsuhashi-345/


「トリクルダウンあり得ない」竹中氏が手のひら返しのア然 2016-01-06    

 さて、今さらですが、トリクルダウンとは何でしょうか?


 トリクルダウンとは、

「富裕層や大企業を豊かにすると、富が国民全体にしたたり落ち(=トリクルダウン)、経済が成長する」

 という「仮説」です。トリクルダウン「理論」と主張する人がいますが、単なる仮説です。


 上記は今一つ抽象的なので、より具体的に書くと、

「富裕層減税や法人税減税をすると、国内に投資が回り、国民の雇用が創出され、皆が豊かになる(=所得が増える)」

 となります。


 要するに、グローバリズム的な、あるいは新古典派(以前は古典派)経済学的な「考え方」に基づき、所得が多い層を優遇しようとした際に、政策を「正当化」するために持ち出される屁理屈なのでございます。


 ちなみに、大恐慌期のアメリカでは、財閥出身の財務長官アンドリュー・メロンが「法人税減税」を推進した際に、まんまトリクルダウン仮説が用いられました。 


 さて、現代日本において、トリクルダウンで安倍政権の法人税減税に代表される「グローバル投資家」「グローバル企業」を富ませる政策を正当化していたのが、みんな大好き!竹中平蔵氏です。


『「トリクルダウンあり得ない」竹中氏が手のひら返しのア然
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/172701/1


 テレビ朝日系の「朝まで生テレビ!」。

「激論!安倍政治〜国民の選択と覚悟〜」と題した1日放送の番組では、大田区の自民党区議が「建築板金業」と身分を隠し、安倍政権をヨイショするサクラ疑惑が発覚。「今年初のBPO入り番組」とネットで炎上中だが、同じように炎上しているのが、元総務相の竹中平蔵・慶応大教授の仰天発言だ。


 番組では、アベノミクスの「元祖3本の矢」や「新3本の矢」について是非を評価。

冒頭、「アベノミクスは理論的には百%正しい」と太鼓判を押した竹中平蔵氏。

アベノミクスの“キモ”であるトリクルダウンの効果が出ていない状況に対して、

「滴り落ちてくるなんてないですよ。あり得ないですよ」

と平然と言い放ったのである。


 トリクルダウンは、富裕層が富めば経済活動が活発になり、その富が貧しい者にも浸透するという経済論だ。2006年9月14日の朝日新聞は〈竹中平蔵・経済財政担当相(当時)が意識したのは(略)80年代の米国の税制改革だった。

その背景には、企業や富裕層が豊かになれば、それが雨の滴が落ちるように社会全体に行きわたるとする『トリクルダウン政策』の考え方があった〉と報じているし、13年に出版された「ちょっと待って!竹中先生、アベノミクスは本当に間違ってませんね?」(ワニブックス)でも、竹中氏は

〈企業が収益を上げ、日本の経済が上向きになったら、必ず、庶民にも恩恵が来ますよ〉

と言い切っている。


 竹中平蔵氏がトリクルダウンの旗振り役を担ってきたのは、誰の目から見ても明らかだ。

その張本人が今さら、手のひら返しで「あり得ない」とは二枚舌にもホドがある。

埼玉大名誉教授で経済学博士の鎌倉孝夫氏はこう言う。


「国民の多くは『えっ?』と首をかしげたでしょう。ただ、以前から指摘している通り、トリクルダウンは幻想であり、資本は儲かる方向にしか進まない。竹中氏はそれを今になって、ズバリ突いただけ。つまり、安倍政権のブレーンが、これまで国民をゴマカし続けてきたことを認めたのも同然です」(後略)』


 そもそも、トリクルダウンが成立するためには、絶対的に必要な条件が一つあります。それは、富裕層なり大企業で「増加した所得」が、国内に再投資されることです。前述の通り、トリクルダウンとは、富裕層や大企業の所得が「国内の投資」に回り、国民が豊かになるというプロセスを「仮定」したものなのです。


 現代の説明も、かなり抽象的ですね。

「トリクルダウンは、富裕層が富めば経済活動が活発になり、その富が貧しい者にも浸透するという経済論」

 まあ、それはそうなのですが、正しくは

「富裕層が富み、国内に投資がされる」ことで経済活動が活発になる

という話なのです。


 すなわち、資本の移動が自由化されたグローバリズムの下では、トリクルダウンなど成立するはずがないのです。特に、デフレーションという需要不足に悩む我が国において。


 富裕層減税や法人税減税で、「富める者」の可処分所得を増やしたところで、「グローバリゼーションで〜す」などとやっている状況で、国内への再投資におカネが回ると誰が保証できるのでしょう。誰もできません。


 結局、企業は対外直接投資、富裕層が対外証券投資におカネを回すだけではないのでしょうか。特に、日本のように国内にめぼしい投資先がなく、国債金利が長期金利で0.26%と、異様な水準に落ち込んでしまっているデフレ国では。というか、国内における投資先がなく、民間がおカネを借りないからこそ、長期金利が0.26%に超低迷してしまっているわけですが。


 無論、国境を越えた資本移動が制限されていたとしても、トリクルダウンが成立するかどうかは分かりません。減税で利益を受けた富裕層や企業が、国内に投資せず、増加した所得を「預金」として抱え込んでしまうかも知れません。


「いやいや、貯蓄が増えれば金利が下がり、国内に投資されるので、トリクルダウンは成立する」

 などと学者は反駁するのかも知れませんが、長期金利0.26%であるにも関わらず、国内の投資が十分に増えないデフレ国で、何を言っているの? 頭、悪すぎるんじゃないの? という話でございます。現在の日本は、企業の内部留保までもが史上最大に膨れ上がっています。


 お分かりでしょう。トリクルダウンが仮に成立するとしても、その場合は、

「国境を越えた資本の移動が制限されている」

「デフレではない」

 と、最低二つの条件が必要になるのです。ところが、現実の日本はグローバル化を推し進めつつ、同時にデフレです。トリクルダウンが成立する可能性など、限りなくゼロに近いわけでございます。


 そんなことは端から分かっていたし、何度も著作等で訴えてきたわけですが、残念ながらマスコミの主流は

「トリクルダウン理論により、法人税減税は正しい」

という、「頭、悪すぎるんじゃないの?」理論が主流を占めていました。


 少なくとも、現在の日本において、トリクルダウン前提の経済政策は「間違っている」と、全ての国民が認識する必要があるのです。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/


続 トリクルダウンはあり得ない 2016-01-07


 昨日は、単にトリクルダウン仮説について解説しただけで、竹中氏の「真意」には踏み込みませんでした。

そもそも、竹中平蔵氏はなぜ「トリクルダウンはあり得ない」と語ったのか。


 安倍総理は、年頭の記者会見において、フジテレビの西垣記者の「選挙に向けてこの半年、国会が今日から開く中、どういった目標を掲げていかれるお考えでしょうか」という質問に対し、

「将来の老後に備えて、あるいは子育てのためにも使っていくことになるわけでありまして、これは正に成長と分配の好循環をつくっていくという新しい経済モデルを私たちは創っていく。その「挑戦」を行っていかなければいけないと思います」

 と、答えました。


 「分配」という言葉を総理が使ったのは、初めてのような気がいたします。


 わたくしは昨年末に刊行した徳間書店「2016 年 中国・ユーロ同時破綻で瓦解する世界経済 勝ち抜ける日本 」において、


『安倍総理は2015年1月28日の参院本会議で、民主党の質問に答えるかたちで、

「安倍政権としてめざすのはトリクルダウンではなく、経済の好循環の実現だ」

 と、トリクルダウンを否定した。

 だが、実際に安倍政権が推進している政策は、消費税増税をはじめとする緊縮財政にせよ、法人税の実効税率引き下げにせよ、あるいは様々な構造改革にせよ、明らかに特定のグローバル投資家を利する政策ばかりだ。

 グローバル投資家に傾注した政策を推進しつつ、トリクルダウンを否定したため、筆者はむしろ総理が国内の所得格差の拡大を歓迎しているかような印象を受けたものである。

 すなわち、富裕層やグローバル投資家、大企業を優先する政策を打つ政権は、言い訳としてトリクルダウン理論を持ち出すのだ。

法人税減税や消費増税、構造改革など、国内の所得格差を拡大する政策を繰り出しつつ、トリクルダウンすら否定するのでは、余計に問題ではないだろうか。』


 と、書きました。


 朝生のを見た限り、竹中氏は別に、 「トリクルダウンはあり得ないんです。ごめんなさい」というニュアンスで「トリクルダウンはあり得ない」と語ったわけではないわけです。


 トリクルダウンなど起きえない。
政府の政策で富が「滴り落ちる」のを待っている方が悪い、

というニュアンスでトリクルダウンを否定したのでございます。

すなわち、格差肯定論としてのトリクルダウンの否定なのです。


 そもそも、トリクルダウン仮説は民主主義国家において、一部の富裕層や法人企業に傾注した政策をする際、有権者である国民に「言い訳」をするために編み出されたレトリックなのです。


「富裕層や大手企業を富ます政策をやるけど、いずれ富は国民の皆さんに滴り落ちるので、安心してね」

 というわけでございます。


 つまりは、政治家がグローバリズム、新自由主義的な構造改革、緊縮財政を推進し、国民の多数を痛めつける際に「言い訳」として持ち出されるのがトリクルダウン仮説なのです。


 竹中氏がトリクルダウンを否定したのは、構造改革を推進するに際し、国民に言い訳をする必要性を感じなくなったのか、あるいは言い訳するのが面倒くさくなったのかのいずれかでしょう。


「面倒くせえな。トリクルダウンなんてあるわけないだろ。

政府の政策で、富める者はますます富み、貧しい者はますます貧困化し、それでいいんだよ。

どうせ、負けた奴は自己責任なんだから」


 と、一種の開き直りで「トリクルダウンはあり得ない」と竹中氏が発言したと確信しています。


 とはいえ、総理が「分配」と言い出したということは、竹中氏はともかく「政治家」にとっては、「トリクルダウンすらない構造改革、富裕層・大企業優遇政策」は、有権者に説明がつかないということなのだと思います。


「竹中氏がトリクルダウンを否定した。へ〜え。

つまり、あんた(国会議員)たちは富める者がさらに富み、貧困層はますます貧困化する政策を肯定するんだな?」

 という突っ込みを受けるのは、安倍総理とはいえどもきついでしょう。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12114721167.html

「真面目に働くことによって明るい未来が拓く」という今までの資本主義の基幹を為していた牧歌的な時代は、グローバル化が進めば進むほど過去のものになりつつある。
現代の資本主義は、全世界を巻き込んだ凄まじい競争を強いる弱肉強食の資本主義である。企業は競争に打ち勝つために、素早く巨大化し、素早く時代に対応し、利益を極大化させることが望まれている。

利益を極大化させるためには、余計なコストがかかる雇用を必要最小限にするのが手っ取り早い。人間を雇うというのは、企業から見ると凄まじいコストなのである。

年500万円の人間を20年雇用したら、その1人だけで1億円のコストがかかる。実際にはこれに福利厚生から事務所代から雑費等含めて、かなりの出費がある。

単純に言えば、人は雇わなければ雇わないほどコストは削減される。そのために企業は、ありとあらゆる方法で雇用を削減する方法を考え出す。

それが派遣雇用の拡充であったり、アウトソーシングであったり、途上国の工場移転であったり、IT化であったり、ロボット化であったり、人工知能であったりする。

現在はそうした「雇用を排除する動き」が同時並行で行われ、加速している時代である。

これがさらに進んでいくのが2016年以降の動きだ。「働いても働いても豊かになれない」というワーキングプア層が社会の大半を占めるほどの苛烈な社会になっていくのだ。

今起きているこの大きな動きに私たちはひとり残らず飲み込まれていることに注意しなければならない。2016年以降、この流れが変わるというのはあり得ない。

「会社に雇われて働く」というのは、ワーキングプアになるというのと同義語になる。

まだ多くの人は半信半疑かもしれないが、よほどのエリートでない限り、「会社に勤める」というのは貧困に落ちる危険な行為になりつつあるのだ。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20160101T1601100900


富裕層が仕掛けているのは、自分たちが100戦無敗になる方法


100戦無敗になるにはどうしたらいいのか。簡単だ。徹底的に弱い相手と戦うことだ。たとえば、大人は3歳児と戦ったら必ず勝つ。

大人が常に3歳児と戦い続ければ、常に勝ち続けることができる。それは勝負ではなく、リンチになるはずだ。大人はその気になれば、殴り殺すことさえ可能だろう。

だから、スポーツはこういった「大人vs子供」のような、最初から勝負が分かりきっているような組み合わせを禁止する。惨劇を避けるためだ。

それを不服として、大人が「自由に勝負させろ」と叫んでいたら、どうかしていると思われるはずだ。

しかし、それはスポーツの世界だからどうかしていると思われるだけで、実社会ではそのあり得ない競争が行われる世界なのである。

100万円の資産しかない人間が、100億円の資産を持つ企業と無理やり競争させられるのが資本主義の掟である。巨大な者が「もっと自由を」という時は、「弱者を叩きつぶす自由をくれ」という意味なのである。


落ちこぼれた人間には金すらも出したくない政府

「どんどん競争させろ。競争のルールは必要最小限にしろ。弱い者がどうなったところで知ったことではない」

これが資本主義を拡大解釈した「市場原理主義」の正体である。日本は2000年に入ってから、この弱肉強食の市場原理主義が小泉政権下で組み入れられた。

事実上の実行者は、当時、経済財政政策担当大臣と金融担当大臣を兼任していた竹中平蔵だった。

この男によって社会経験の浅い若年層は非正規労働者に追い込まれ、どんどん生活が不安定化しくことになる。

こういった格差が生まれるのは当然だと竹中平蔵は言っている。さらに、「日本はまだまだ格差が少ない社会だ」との認識も示している。

つまり、もっと激しい競争社会して、それによって弱者がもっと増えても別に構わないというスタンスである。さらにこの男は2016年に入ってからトリクルダウンも否定している。

トリクルダウンというのは「資産家や大企業を先に豊かにすると、富が国民全体にトリクルダウン(滴り落ちて)、経済が成長する」というものだ。

ケ小平の唱えた「先富論」に似ているものだが、竹中平蔵はそのトリクルダウンもないと言った。強い者はどんどん富むが、その富は弱者に回らない弱肉強食の社会を日本に取り入れたのがこの男である。

竹中平蔵は派遣会社の会長なのだが、派遣会社というのは労働者の稼ぎをピンハネする事業をしている。ピンハネして、要らなくなったら捨てる。

その結果、労働者が弱者になったとしても「それは、その人の自己責任だ」と言うのが竹中平蔵の理論なのである。

弱者など、どうでもいい。落ちこぼれた人間には金すらも出したくない。だから、この男が小泉政権下でしたのは、社会保障支出の大幅な削減だった。

その結果、高齢者も、障害者も、シングルマザーもみんな追い込まれて、生活保護受給者は大幅に増えることになった。


努力しても這い上がれない社会が来ている

弱肉強食の市場原理主義を取り入れればそうなることは、はじめから分かっていた。なぜなら、強欲な資本主義の総本山だったアメリカがそうなったからだ。

アメリカではレーガン政権がこの市場原理主義を推し進めた結果、1%の富裕層と99%の低賃金層という超格差社会を生み出して、今でもその格差の分離は広がっている。

アメリカでは、強者と弱者が明確に分離しており、その格差は極限にまで近づこうとしている。富める者はさらに富み、貧しき者はさらに貧しくなっている。

中流階級は激減し、2010年には貧困者が4620万人に達した。7人に1人は貧困層だ。さらに、予備軍まで入れると、3人に1人は生活に追われている状況になっている。

問題なのは、この格差が固定化しつつあるということだ。アメリカン・ドリームはすでに消失している。努力しても這い上がれない社会がやってきているのである。

当然だ。競争を開始する時点での条件に大きな格差がついている。スタートラインが富裕層と貧困層とではまったく違う。正当な競争になっていないのである。

貧困層は満足な給料がもらえない職業を転々とするしかなく、結局、働いても働いても豊かになれないワーキングプアが常態化してしまう。

貧困が固定化するのは、次の5つの要因がある。

(1)生活に追われ、疲れて何も考えられなくなる。
(2)低賃金で自分も子供も教育が受けられなくなる。
(3)金を含め、あらゆるものが不足してしまう。
(4)這い上がれない環境から自暴自棄になっていく。
(5)社会的影響力がなく、権利は保障されない。

いったん貧困に堕ちると、この5つの要因が同時並行で始まっていき、その中で押しつぶされてしまう。

これは、アメリカだけの問題ではなく、今や日本の底辺の問題でもある。すでに、日本の底辺もこの5つの要因にがんじがらめにされて、這い上がるのが絶望的に難しい社会になっているのである。


アメリカでは、強者と弱者が明確に分離しており、その格差は極限にまで近づこうとしている。富める者はさらに富み、貧しき者はさらに貧しくなっている。


貧困層は、相変わらず見捨てられていた

格差が固定化されるというのは、富裕層と貧困層の超えられない一線ができるということである。人々は分離し、この両者は次第に違う文化を生きることになる。

暮らす場所も、食べる物も、通う学校も、遊ぶ場所も、付き合う人も、すべて違っていく。そして、この両者は互いに相手に無関心になり、話す言葉すらも違っていくようになる。

日本もそうなる危険性が高い。格差は固定化して、堕ちてしまった人は、社会から見捨てられて生きるようになっていく。

2014年3月。私は10年ぶりにインドのコルカタに向かって、インドの貧困地区がどうなっているのかを確認しに行った。

その結果、どうだったのか。書籍『絶対貧困の光景』で書いたのだが、かつての貧困層はインドの経済発展からものの見事に取り残されていた。

コルカタは、確かに一部は経済発展していた。

ところが、貧困層はまったく経済発展の恩恵に浴していなかったのだ。彼らは社会から無視され、相変わらず社会から見捨てられていた。

10年前、貧困の中で生きていた女性たちは今もまだまったく同じ状態で放置されていた。彼女たちは路上で暮らし、路上で物乞いをし、スラムは相変わらずスラムのままだった。

先進国と変わらないマンション、ショッピングモールができていて、富裕層がベンツを乗り回しているその横で、10年前に貧困層だった人たちは、まだ路上を這い回って生きていた。

(堕ちたら、這い上がれないのだ……)

竹中平蔵が言った通り、「トリクルダウン」など、影も形もなかった。貧困層に富はこぼれ落ちていなかった。完全に置いてけぼりだ。

そういった状況は私もよく知っていたはずだった。しかし、実際にそんな現状を目の前に突きつけられた時に感じたショックは、決して小さなものではなかった。

格差が固定化され、弱者が見捨てられ、貧困層が大量に増え続ける社会がどんなに悲惨な社会なのか、日本人はもっと真剣に考えるべきだ。

日本はそんな道を辿ろうとしているのである。


スラムの子供たち。富める者は富み、貧しい者は奪われるのであれば、この少年と幼い妹には未来はない。
http://www.bllackz.net/blackasia/content/20160118T0438270900.html


2016-02-06
難民・移民が流入して大混乱しても、それが止まらない理由


移民問題・難民問題は、今やユーロ圏を揺るがす火薬庫と化してしまった。

排斥デモ、異民族敵視、憎悪、相互対立は、多民族国家を目指した国のほとんどが経験している。多民族共生というのは、口で言うほど簡単なものではない。

共生どころか、むしろ衝突となり暴力の応酬となってしまう。当然だ。ひとつの地域に、文化がまったく違って、考え方も根本からして異なる人たちが押し込まれる。

民族によっては、マナーも違えば、常識も違えば、言葉も違えば、人種も違う。

何もかも違った人間がどんどん増えていくと、受け入れる側からすると、自分たちの文化が侵略されていると捉えるのは、避けられない。こういった対立は、これから世界中で吹き荒れることになる


しかし、だからと言って、移民・難民の流入や、多民族国家の動きが頓挫するとは、絶対に考えない方がいい。

どんな問題が起きても、どんな激しい国民の抵抗が起きても、グローバル社会に参加した国家では、それが強引に行われていくことになる。

なぜなら、グローバル化していく社会の中で、国家という枠組みが邪魔になっており、今は「国家」という枠組みを取り壊そうとする動きが加速しているからである。

「自国文化を守ろう、自国の歴史を大切にしよう」という動きは、「保守」とは呼ばれず、「極右」とグローバル・メディアによってレッテル貼りをされている。

世界中のメディアは、保守を必ず「極右」として扱い、レイシストと断定する。それはグローバル化を後退させる動きなので、「絶対に許されない思想」と認定して、封印されていく。

グローバル化を阻止する動きは、絶対に許されない。

多国籍企業、金融市場、巨大メディアは、グローバル化する社会の中で支配権を拡大していく過程にある。

世界を動かしているのは国民ではなく、多国籍企業、金融市場、巨大メディアである。そして、これらの企業の各ステークホルダー(関係者)たちである。

全員が揃って陰謀に荷担しているという見方もあるが、実際のところは、陰謀論によって動いているというよりも、グローバル化した方が「より儲かる」というシンプルな原則によって突き動かされていると言った方がいい。

儲かるのなら、儲かる方向に向かって資本が殺到していく。それがあたかも何らかの指示があるように一方方向に動いているように見える。

事業家や金融資本は何者かに命令されて動いているわけではない。儲かる方向に向かって動いていたら、それはグローバル化の方向だったのである。


ロンドンの光景。もうすでにロンドンでは44%近くが非白人となっていると言われている。移民・難民の流入や、多民族国家の動きは止まらない。


儲かるから、グローバル化が推し進められるのだ

グローバル化したら、世界のすべてが多国籍企業にとって市場になる。そうなれば、単純に儲かる。だから、多国籍企業はぶれることなくグローバル化を推し進める。

グローバル化したら、賃金の安い国で物を製造することができるようになる。そうなれば、コスト削減できる。そして、競争力が付いて儲かる。

グローバル化したら、移民が大量に入ってきて、やはり低賃金で人が雇えるようになる。そうなれば、またもやコスト削減ができる。だから、移民政策や、多文化主義は推進されるのだ。シンプルだ。

貿易を行うに当たって、国をまたぐたびに関税を取られたら損をする。だから、国がなくなればいいと考えるのが多国籍企業でもある。儲けのためには、関税を取る国家という存在が邪魔なのだ。

販売を行うに当たって、各国の違いに合わせて商品をローカライズするのは無駄なコストである。言語が英語か何かで統一できれば、ローカライズする手間がなくなる。だから、国がなくなればいいと考えるのが多国籍企業である。コストのためには国家という存在が邪魔なのだ。

販売を行うに当たって、文化が違っているとやはりその国に合わせなければならないが、それも無駄なコストである。だから、移民を入れて、混ぜて、独自文化を薄めさせれば、文化に合わせる手間もなくなる。

だから、文化がなくなればいいと考えるのが多国籍企業でもある。移民・難民を大量に入れて「多文化共生」にするのは、その国の独自の文化を消すのに最良の方法だ。


パリの光景。41%が非白人の人口となっている。グローバル化したら、移民が大量に入ってきて、低賃金で人が雇えるようになる。そうなればコスト削減ができる。だから、移民政策や、多文化主義は推進される。


世の中は多極化しているのではない。逆だ

ありとあらゆるものが、国家の消滅、国家の役割縮小、国家の無力化を目指している。上記以外にも、そんな動きは次々と動いている。

通貨が違っていれば、為替の変動というものに注意を払わなければならず、それは多国籍企業にとっては手間である。国家をブロック化するか、もしくは国家を消滅させれば為替も統一するので便利だ。だから多国籍企業は、通貨の統一を邪魔する国家という概念を消し去りたい。

巨大メディアも、言語・文化がどんどん統一されていけば、情報収集も、情報提供も、世論誘導もやりやすい。だから、グローバル化に乗るのは「得する」動きだ。そのために、言語・文化の守り手である国家を消滅させたい。

インターネットもまた、「情報」という分野で世界を統一しようとする動きである。インターネット企業は、世界がグローバル化すればするほど儲かる仕組みになっている。だから、国家間の情報遮断は許しがたいことであり、やはり国家という概念を消し去りたいと思っている。

グローバル化は、それを突き詰めると、世界が「ひとつ」になるということだ。世界が「ひとつ」というのは、要するに国家も、文化も、言語も、通貨も、すべてが「ひとつ」になるという意味である。

現在、そのような社会に向かっている。世界は多極化しているのではない。完全にその逆だ。

グローバル化の動きは、「ひとつ」になる動きだ。国家のブロック化は、「ひとつ」になる動きだ。多文化主義の動きは、「ひとつ」になる動きだ。金融市場の国際化は、「ひとつ」になる動きだ。移民促進の動きは、「ひとつ」になる動きだ。

グローバル化によって、世界は統一化されようと動いている。多極化しているというのは、単に政治の力学の話であって、世の中全体の動きではない。

多極化していると見せかけて、世の中はグローバル化によって「ひとつ」になろうとしているのである。

絶対に移民政策が止まらないのは、世界が「ひとつ」になるためだ。本当に、単純な話だ。そうすれば多国籍企業、金融市場、巨大メディアは儲かるのである。そして今や、すべての国がグローバル化に向かって暴走している。
http://www.bllackz.net/blackasia/content/20160206T0136500900.html

サッカーとか、ワールドカップの様子を見ていると、「日本戦見てない奴は非国民」みたいな攻撃的な同調圧力が異常に高まっていましたね。全員が同じものに、同じように熱狂することを強制する。この同調圧力がこの20年くらいどんどん高まっている。
均質化圧と同調化圧。それはやはり学校教育のせいなんだと思います。

学校はどこかで子どもの成熟を支援するという本務を忘れて、子どもたちを能力別に格付けして、キャリアパスを振り分けるためのセレクション装置機関になってしまった。

子どもたちを格付けするためには、他の条件を全部同じにして、計測可能な差異だけを見る必要がある。

問題は「差異を見る」ことじゃなくて、「他の条件を全部同じにする」ことなんです。みんな叩いて曲げて同じかたちにはめ込んでしまう。そうしないと考量可能にならないから。同じ価値観を持ち、同じようなふるまい方をして、同じようなしゃべり方をする子どもをまず作り上げておいて、その上で考量可能な数値で比較する。

見落とされているのは、この均質化圧が財界からの強い要請で進められているということです。


彼らからすれば労働者も消費者もできるだけ定型的であって欲しい。

労働者は互換可能であればあるほど雇用条件を引き下げることができるからです。

「君の替えなんか他にいくらでもいるんだ」と言えれば、いくらでも賃金を下げ、労働条件を過酷なものにできる。


消費者もできるだけ欲望は均質的である方がいい。

全員が同じ欲望に駆り立てられて、同じ商品に殺到すれば、製造コストは最小化でき、収益は最大化するからです。

ですから、労働者として消費者として、子どもたちにはできるだけ均質的であって欲しいというのは市場からのストレートな要請なんです。

政治家や文科省の役人たちはその市場の意向を体して学校に向かって「子どもたちを均質化しろ」と命令してくる。


―均質化と同調圧力を押し返し、本来の「知のありよう」を取り戻すのには、やはり教育がキーワードになっているのでしょうか?

教育だとは思いますよ。でも、今の学校教育は閉ざされた集団内部での相対的な優劣を競わせているだけですから、そんなことをいくらやっても子どもは成熟しないし、集団として支え合って生きて行く共生の知恵も身につかない。

保護者も子どもたちも、どうすれば一番費用対効果の良い方法で単位や学位を手に入れるかを考える。最少の学習努力で最大のリターンを得ることが最も「クレバーな」生き方だと思い込んでいる。

でも、学校教育を受けることの目的が自己利益の増大だと考えている限り、知性も感性も育つはずがない。人間が能力を開花させるのは自己利益のためではなくて、まわりの人たちと手を携えて、集団として活動するときなんですから。

でも、今の学校教育では、自分とは異質の能力や個性を持つ子どもたちと協働して、集団的なパフォーマンスを高めるための技術というものを教えていない。

共生の作法を教えていない。それが生きてゆく上で一番たいせつなことなのに。


僕は人間の達成を集団単位でとらえています。ですから、「集団的叡智」というものがあると信じている。長期にわたって、広範囲に見てゆけば、人間たちの集団的な叡智は必ず機能している。エゴイズムや暴力や社会的不公正は長くは続かず、必ずそれを補正されるような力が働く。

ですから、長期的には適切な判断を下すことのできるこの集団的叡智をどうやって維持し、どうやって最大化するのか、それが学校でも最優先に配慮すべき教育的課題であるはずなのに、そういうふうな言葉づかいで学校教育を語る人って、今の日本に一人もいないでしょう。学校教育を通じて日本人全体としての叡智をどう高めていくのか、そんな問いかけ誰もしない。

今の学校教育が育成しようとしているのは「稼ぐ力」ですよ。

金融について教育しろとか、グローバル人材育成だとか、「英語が使える日本人」とか、言っていることはみんな同じです。

グローバル企業の収益が上がるような、低賃金・高能力の労働者を大量に作り出せということです。


文科省はもうずいぶん前から「金の話」しかしなくなりました。

経済のグローバル化に最適化した人材育成が最優先の教育課題だと堂々と言い放っている。

子どもたちの市民的成熟をどうやって支援するのかという学校教育の最大の課題については一言も語っていない。子どもたちの市民的成熟に教育行政の当局が何の関心も持っていない。ほんとうに末期的だと思います。

―モノや資源のレベルでも、教育のレベルでも、色んな意味での持続可能性というのは、一人一人がそういった知のマップを作ることだと思います。このマッピングをどうやって可能にして、共生の知恵をもった社会に作ることができると思われますか。

今の日本の制度劣化は危険水域にまで進行しています。いずれ崩壊するでしょう。ですから、目端の利いた連中はもうどんどん海外に逃げ出している。シンガポールや香港に租税回避して、子どもを中等教育から海外に留学させて、ビジネスネットワークも海外に形成して、日本列島が住めなくなっても困らないように手配している。彼らは自分たちが現にそこから受益している日本のシステムが「先がない」ということがわかっているんです。でも、「先がない」からどうやって再建するかじゃなくて、「火事場」から持ち出せるだけのものを持ち出して逃げる算段をしている。


僕は日本でしか暮らせない人間をデフォルトにして国民国家のシステムは制度設計されなければならないと思っています。

でも、日本語しか話せない、日本食しか食えない、日本の伝統文化や生活習慣の中にいないと「生きた心地がしない」という人間はグローバル化した社会では社会の最下層に格付けされます。

最高位には、英語ができて、海外に家があり、海外に知人友人がおり、海外にビジネスネットワークがあり、日本列島に住めなくなっても、日本語がなくなっても、日本文化が消えても「オレは別に困らない」人たちが格付けされている。

こういう人たちが日本人全体の集団としてのパフォーマンスを高めるためにどうしたらいいのかというようなことを考えるはずがない。どうやって日本人から収奪しようかしか考えてないんですから。
http://blog.tatsuru.com/2014/09/05_1112.php


イスラム女性が酒を飲み、ダンスをし、ランジェリーを着る 2014-01-25


女性がアルコールを飲んで酔っ払う。そして、男たちの前でダンスする。女性がフィットネスに精を出す。女性がビリヤードをする。女性がベランダに出てタバコを吸う。女性がセクシーなランジェリーを買う。

何か問題があるだろうか?

もちろん、先進国で女性がアルコールを飲んでダンスしたところで、それが問題になるわけではない。しかし、それがイランだったら?

もちろん、イランでも表立ってこのような行為をしたら、公開処刑にされる可能性がある。しかし、時代は変わりつつある。

厳しい戒律の中、黒いベールに包まれているイラン女性も、ホメイニ師が仕掛けた1979年2月のイスラム革命以前は、実は自由はファッションが許されていたイスラム戒律の緩い国でもあった。ミニスカートをはいていた女性すらもいたのだ。

そんな時代が、イランの底辺で少しずつ戻りつつあるという。もちろん大ぴらではない。ゆっくりと、である。


世界標準に相容れない価値観は消すという流れ

インターネットによる結びつきは、全人類に共通の価値観を定着させようとしつつある。

先進国も、後進国も、今では人々の着ているものは、ほぼ同じものになりつつあり、食べ物の嗜好も統合されてきた。

もちろん、国による違いや地域差も、依然として残っている。犬食が悪いとか、鯨が悪いとか、イルカ漁が残酷だとか、激しい議論がある。

実は、そういった議論は「異質を失くす方向」で統一される可能性が高い。「世界標準に相容れない価値観は消してやる」というのが現在の社会の動きなのである。

かつては、それぞれの国にはそれぞれの衣装があった。

日本でもアメリカでもイギリスでもアフリカでも中国でも、それぞれその国特有の「衣装」があった。

現在は、そういった衣装は「民族衣装」と特定カテゴリー化されて、気がつけば「普段着るものではない」ということにされている。

そして、どこの国でもプライベートはTシャツ、ビジネスではスーツというものに統一されていく。そして、世界はどこも代わり映えしない世界となった。

どのようにして、そうなるのか。

それはグローバル企業の莫大な「広告」によって為される。広告によって人々の意識は変えられて、いつしかTシャツやジーンズ等が良いという嗜好になっていくのである。

そして、それと平行して、色も質も豊富なTシャツやジーンズ等が大量に入って来る。それらは先進国の若者も着ているので、後進国の人々も嬉々としてそれを着る。


グローバル化の本質は、画一化なのである

インドの女性たちはその美しいサリーを捨て、Tシャツにジーンズを履くようになっている。

男たちはとっくの前に民族衣装など捨てていて、背広とワイシャツとネクタイに変身している。

カンボジアも10年ほど前まで誰もがクロマーと呼ばれる手ぬぐいを帽子の代わりに頭に巻いていたが、今どきそんなカンボジア人がいたら、ただの田舎者だと思われるだけだ。

カンボジア人は今や工業製品で作られた安物の帽子をかぶるか、帽子をかぶらないでヘアスタイルの方に凝るようになった。

彼らにしてみればそれは新しいものを追い求めているのかもしれない。しかし、先進国の人々が見れば、「カンボジア人がグローバル化された」ということなのである。

グローバル化の本質は、画一化だ。

グローバル化によって画一化されることで、企業は「同じ製品」をどこの国でも大量に売りつけることができる。

国ごとに好みが違っていたら、その国に合わせてローカライズしないとならない。企業にしてみれば手間がかかる。インド女性がサリーを着ていたら、多国籍企業のジーンズ会社は困るのだ。

サリーは大量生産できないし、インドにしか売れない。しかし、インド人を画一化させて全員にTシャツとジーンズを履かせることに成功すれば、グローバル化された企業はインドで大儲けすることができる。

インド人にTシャツとジーンズを履かせること、それが「画一化」させるということである。


グローバル化の中で画一化されるように洗脳された

グローバル経済は見かけだけではない。考え方も、技術も、欲しがるものも、すべて画一化する。

たとえば、インターネットを使うための技術は世界中どこでも同じものである。そして、インターネットに接続されるOSや機器も数社ほどの製品に統一されている。

パソコンならマイクロソフト、スマートフォンならアップルやグーグルが頭脳を独占している。その世界で人々は画一化されたブラウザを使い、画一化されたSNSで友達を見つける。

車を見ても、バッグを見てもそうだ。先進国の男も後進国の男も欲しがる車はメルセデス・ベンツであり、女の欲しがるバッグはルイ・ヴィトンである。

すべての国の人たちが判で押したかのようにベンツやルイ・ヴィトンを欲しがる。画一化されたのだ。グローバル化の中で画一化されるように洗脳されてしまった。

しかし、本人だけは、なぜか自分が「画一化」されたとはまったく気がついていない。気がついていないが、しっかり「画一化」されてしまっている。

味覚もそうだ。その国にどんな飲み物があったとしても、グローバル化された社会で人々はコカコーラを飲み、ペプシを飲む。ラオスで飲むコカコーラも、タヒチで飲むコカコーラも味は同じだ。画一化されてしまっている。

中国は今でもポーレイ茶を飲んでいる。中国や香港やチャイナタウンを歩くと、あの独特の香りを街中で嗅ぐことができる。

しかし、若者はコカコーラを飲み歩き、マクドナルドのハンバーガーを食べる。

こういったグローバル化はイスラムの世界をも浸食しているのである。いずれ、イスラム世界も長い時間をかけてグローバル化されて、画一化されて来るだろう。

イランの女性たちの動きは、そういった時代の最先端となっている可能性がある。


アルコールを飲んで、ダンスをして、楽しむイラン女性。ホメイニ師が見たら激怒して処刑してしまうだろう。


おしゃれを楽しむイラン女性。もともとイラン女性はとても美しいことで知られている。

ベランダで顔も髪も隠さないで喫煙するイラン女性。タバコは別に珍しくない。髪も顔も隠さないというところが珍しい。

ランジェリーに凝るイラン女性。黒いベールの下は、とてもエロチックであると言われている。

ビリヤードをするイラン女性。こうやって女性が少しずつ街に出て人生を楽しむことが、時代を変える第一歩になるが、皮肉にもそれはグローバル化の中に取り込まれる第一歩にもなる。
http://www.bllackz.net/blackasia/content/20140125T0348290900.html

そういえば、つい数年前までインドでは髪や身体を洗う時には泥を使っていたが、今では安く変える石鹸やシャンプーが浸透していっている。
これらの石鹸やシャンプーは貧しい人たちでも買えるように小分けで売られている。

メーカーはユニリーバ。イギリス企業(正確にはイギリスとオランダに経営機能を持つ多国籍企業)である。


インドに浸透していく多国籍企業ユニリーバ。男は「ユニリーバ」と聞いても知らない人も多いかも知れないが、女性はみんなこの企業を知っている。


侵略されても、それが文化侵略などとは思わない

ユニリーバはインドで確固たるブランドを築いている。これらの人たちが生活レベルを上げるたびに、ユニリーバの高級商品が彼らの手に渡っていくことになる。

グローバル化は、安い労働力と巨大な市場を求めて世界中のどこにでも浸透していくから、地元産業は衰退し、残った企業は淘汰されていく。

日本では昔、よろず屋という形態の店があったが、今ではそんな店を捜しても見つからないかもしれない。なぜならすべて淘汰されてコンビニがそれに取って変わったからだ。

フィリピンに、サリサリ・ストアという「よろず屋」「雑貨屋」形態の個人ショップが多く見かけるが、もしフィリピンの経済状況が上がっていくなら、これらのサリサリ・ストアは淘汰されて消えていくことになる。

国がグローバル化に組み込まれると、このような個人店舗から吹き飛んでいくのは定石の動きだから誰でも分かる。

すでに1985年前後からグローバル化に飲み込まれたタイでも、コンビニエンス・ストアが幅を利かすようになって個人ストアを駆逐してしまった。

コンビニで売られるものは、自国の大企業のものと、海外の多国籍企業のものに二分される。

日本でも、コカコーラやエビアンなどは普通に売っているが、これらが多国籍企業であるのは言うまでもない。

スーパーもデパートもショッピングモールも、地元のものがスケールで敗退して、莫大な資本を投下できる多国籍企業がゆっくりと確実にその地に浸透していく。

テスコ、カルフール、ウォールマートという巨大ショッピングモール店はそれぞれイギリス、フランス、アメリカの資本だが、買い物をする人間がそんなことはいちいち考えていない。

趣味が良い空間で、大量のものがあって、安く買えるのであれば、どこの国の資本でも歓迎するし、それが文化侵略などとは思わないのである。


フィリピンのサリサリ・ストア。この国もグローバル化に飲まれると、やがてこういった個人商店の店は、大資本によるコンビニやショッピングモールに駆逐されて消えていくことになる。

すべてが画一化されたようなモノクロの世界

外国資本のショッピング・モールに入っているテナントは、マクドナルドだったり、ケンタッキー・フライド・チキンだったり、あるいはスターバックスだったりする。

しかし、それらに目くじらを立てる人間もいない。これらは新興国にとって、先進国の香りがする「素晴らしい企業」であり、文化侵略どころか「憧れ」だ。

かくして、これらの多国籍企業はゆっくり、着実に、アジアに浸透していき、やがてどこの国に行っても代わり映えのしない多国籍企業の看板に埋め尽くされる。

グローバル化はアジアを激変させている。そして、文化を画一化させていく。

多様化を失っていく文化は、人間の増加によって次々と野生動物が絶滅していく姿にだぶる。

グローバル化に対応できない国は絶滅していく。グローバル化に対応した国は均質化・画一化していく。グローバル化がとことん浸透すると、賃金もやがては画一化していく。

多国籍企業は経済的な論理で激しいグローバル化を追い求めているが、その結果についてはほとんど無視されているように思える。

グローバル化の行き着く先は、すべてが画一化されたようなモノクロの世界だ。世界中、どこに行っても同じ光景、同じ商品、同じ価値観で固定化される。

多国籍企業は、その商品が全世界を覆い尽くすまで止まらないのは間違いない。この動きに歯止めはかからない。資本主義が終わるまで続く。

すでに私たちは、日本にいても、タイにいても、シンガポールにいても、コカコーラを飲み、マクドナルドを食べ、スターバックスでくつろぐことができる。

幸せだろうか?


これがどこの国か分かるだろうか。タイだ
http://www.bllackz.net/blackasia/content/20131110T2225020900.html


日本も含め、全世界は最後に同じ文化になってしまうのか?


中国やインド、そして東南アジアの各諸国が台頭してきたのは、グローバル化が加速したからだ。

グローバル化が加速するとなぜこれらの諸国が台頭することになるのかというと、簡単に言えば「人的コストが安いから」である。

では、なぜ世界はグローバル化していくのかというと、企業間の競争があって、そこでは結果的にコスト削減を徹底的に行い、利益を上げたものが勝利を手にするからである。


コストを削減するには人件費を削減するのが一番早い。

あるいは、安い労働力を使うのが良い。

当然、どこの企業もこの2つに目をつけて、この2つは同時に行われた。具体的に言うと、以下のことが、同時に行われた。

(1)賃金の高い先進国の労働者の削減
(2)賃金の安い新興国の労働者の確保

賃金の安い国はどこだったのか。それは中国であり、インドであり、東南アジア諸国であった。


残った正社員は、リストラするか賃金削減するか

先進国の失業問題は、グローバル化によって必然的に起きたことだ。

日本人の労働者がそれに巻き込まれるのは、時間の問題だったのだ。

だから、小泉政権時代からそれは加速していったが、日本はもっと早く賃金削減が起きてもおかしくなかった。

本来であれば、バブルが崩壊して企業がコスト削減に走らなければならなかった1990年代に賃金削減が起きてもおかしくなかった。

そうならなかったのは日本には終身雇用という文化があったからで、企業が無理していたという言い方もできる。日本企業にも良心があったということだ。

結局、無理に無理が重なってどうにもならなくなったので、企業側はどんどん工場を新興国に移し、本社側の人員は派遣に切り替えた。

そして、残った正社員は、リストラするか賃金削減するかの二者択一になった。

2000年代に入ってから、この両方が平行して行われたのである。

・日本の賃金はまだ高いから、正社員はもっと削られる。
・賃金はもっと削減される。


サラリーマンをやっている人間は、もはや一部分の人間しか生き残れないことになる。グローバル化の本質を考えると、どうしてもそのような動きになってしまうからだ。

すべては賃金の安い国へと仕事が流れていく。

それが中国であり、インドであり、東南アジアだったのだ。


大量のコマーシャルを流して、その文化の中に浸透

この中で、中国とインドはよく特別化されることが多いが、それは理由がある。

最も大きな理由は「人口」だ。これらの国は安い労働力を使えると同時に、支払った賃金で潤うと、人口の多さがそのまま販売の市場につながっていく。

中国とインドはこの2国だけで人口は26億くらいで地球上の人口の40%ほどを占めているから、市場としての魅力は抜群である。

そのためには、この国に巣食う貧しい人達がもう一段階豊かになる必要もある。

それで労働コストが上がったのであれば、今度はバングラやアフリカが「世界の工場」になって、そこで作ったものを中国やインドに売るという流れになる。

多国籍企業は新興国に大量のコマーシャルを流して、どんどんその文化の中に浸透している。

まさにその動きこそがグローバル化の動きであって、これがアジアを強制的に変化させている原因だ。

アジアの文化に浸ってのんびりしたいと思っていたら、アジアの姿がどんどん変わって取り残されてしまう。


その背景には、多国籍企業の顔がちらつく。

古き良きアジアは、もはや幻想の中にしか存在しない。


______


なぜ「日本文化はいずれ死ぬ」と断言することができるのか

私たちは自国を愛しており、自国の文化、自国の言語、自国の歴史を愛している。これは誰でも心に持っている気持ちであり、国を大切にする気持ちは決して消えることはない。

しかし、「自分の国を大切に思う」という気持ちは、これから次々と踏みにじられることになる。これは現代社会の大きな方向性として、知っておくべきだ。

「自分の国を大切に思う」というのは、グローバリズムに反するものだからだ。グローバリズムは、国を消失させる動きであることは、もう誰もが気付いている。

グローバル化は文化を破壊し、最終的に国を破壊する。

そうなる理由は簡単だ。文化がそれぞれの地域で違っていると、ローカライズするのにコストがかかるからだ。

文化が違っていると、文化に合わせなければならない。「合わせる」というのが多国籍企業にとってコストであり、不確定要素になる。

国家がなくなり、文化が均質化すれば、全世界で同じ物を売ることができて、全世界に支配権を得ることができる。


独自文化は破壊される方向性にあることを認識せよ

グローバル化にとって、独自文化は邪魔だ。理解できないし、ローカライズには手間がかかるし、無視すれば市場をとりこぼすことになるからだ。

だから、私たちは気が付かなければならない。

グローバル化がこれからも進むのだから、「独自文化は破壊される方向性にある」ことを。もっとはっきり言うと、こういうことになる。

「日本文化は必ず破壊される」
「日本人は日本のものではなくなる」

日本だけではなく、すべての国がそうなる。欧米ではすでに多文化主義が執拗に推進されている。

移民が続々と入り込み、人種が地域文化に馴染まないで混乱し、国内で大きな混乱が起きているにもかかわらず、それは粛々と推進されている。

ドイツでも、イギリスでも、フランスでも、オランダでも、ノルウェーでも、すべての国でまったくブレることなく多文化主義が推し進められている。

もちろん、こういった多文化主義に反対し、「独自文化を守れ」という動きは市民の間から大きな声となって湧き上がっているのは言うまでもない。

世界各国で、次々と保守政党が立ち上がって支持されている。

しかし、こういった移民排斥の運動は、世界中で「差別主義者」のレッテルを貼られる。そして、その政党は「極右団体」と称され、グローバル・メディアによって徹底的に糾弾されて、叩き潰されていく。
http://www.bllackz.com/2013/10/blog-post_20.html?utm_source=BP_recent


金持ちが長生きして貧困層が早死にする現象が鮮明化する


米ライス大学とコロラド大学ボルダー校の共同研究では、アメリカ人の寿命は1930年代は59.85歳、ざっくり言えば約60歳だったのだが、これが2000年代になると77.1歳になっており、70年で驚異的な寿命の伸びが確認されたという。

しかし、悲しいことがある。

1940年代生まれの富裕層と貧困層の寿命を分けると、貧困層の寿命は圧倒的に短くなっており、最大では富裕層よりも12年も早く亡くなるという。

同じ結論は2016年に米医学界の学会誌「ジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエーション」が指摘している。富裕層と貧困層の平均寿命は今も拡大し続けている。

超富裕層と絶対貧困層という風に、収入の差を広げていけばさらに寿命の差は明確になる。絶対貧困で暮らす人たちは超富裕層に比べて男性は14.6年、女性は10.1年も短かった。

アメリカの貧困層は、パキスタンやスーダンのような途上国の人たちの平均寿命と同じなのである。貧困に堕ちたら、先進国に生まれても後進国で生まれても関係ないということだ。

ただし、都会の貧困層は都会のインフラを利用できることもあって、貧困層でも若干は長生きできるようだ。もっとも、それでも富裕層の快適な環境と寿命を手に入れることができないのだから慰めにもならない。


身体の具合が悪いからと言って仕事を休めない

富裕層が貧困層よりも長生きするというのは、2つの見方があるのに気付かなければならない。「金持ちは長生きする」という見方と、「貧困層は早死にする」という見方だ。

どちらが正しいのかというのではなく、「金持ちは長生きする」という現象と「貧困層が早く死ぬ」という2つの現象が同時並行で起きているというのが正しいのだろう。

医療が充実し、早期治療や健康維持の方法が確立されていくと、富裕層も貧困層も同時に恩恵を得る。しかし、どちらかと言えば富裕層の方が受ける恩恵が大きい。

なぜなら、医療は「ただではない」からである。

病院で検査を受けるのも、高度医療を受けるのも金がいる。金がモノを言う。富裕層には問題がない金額でも、それは貧困層には大きな問題になることが多い。

金がかかると思ったら、貧困層は医者に行かない。そのため、本当であれば医者にいかなければならないような病気やケガでも放置して、それを重篤化させてしまうことが多い。

その前に、時間の余裕がたっぷりある富裕層と違い、貧困層は身体の具合が悪いからと言って仕事を休んでしまえばたちまち生活に窮するので休めない。

そのため、たとえば貧困層は歯の治療などを放置することが多いことがよく知られている。

虫歯や歯石や歯槽膿漏などは早期に治療を受けていれば完治できるものだが、放置しておくとどんどん歯が悪くなって最終的にすべてを失うこともあり得る。

そのために早い段階で治療を受ける必要があるのだが、生活に余裕がなければ、どうしても仕事よりも治療を優先してしまうことになる。

あらゆる身体の不調を放置するので、それが積もり積もって寿命に反映されていく。歯を失うと固いものなどがうまく食べられなくなり、それで栄養が偏るようになって寿命が短くなるというのはよく知られている。

歯を失うと固いものなどがうまく食べられなくなり、それで栄養が偏るようになって寿命が短くなるというのはよく知られている。


富裕層と貧困層は、食べているものも違う

富裕層と貧困層は、食べているものも違う。富裕層が少々高価でも、オーガニックで栄養価が高く、健康的で、身体に優しいものを継続的に買える収入がある。

しかし、貧困層は往々にして、カロリーが高くて身体に悪くても、安いものを選んで食べることになる。安い価格でカロリーを取ろうと思うと、砂糖と添加物と油脂と加工物でまみれたジャンクフードを食べるしかない。

それしか食べられないので、栄養のバランスなどほど遠い食生活になる。

こうした食事はたまに食べるくらいならいいのだが、それを常食するとやがて体調を悪化させ、病気やケガをしやすい体質になっていく。

富裕層は食べれば食べるほど健康になるのに、貧困層は食べれば食べるほど不健康になっていく。

グローバル経済は、食品に関してもどんどんコストを下げて安いものを大量に売るために品質を次第に劣悪化させていく。そして、消費者をリピーターにさせるために、砂糖や油脂のような常習と依存を生む物質を意図的に含有させる。

多国籍企業の作り出す食べ物というのは、そのほとんどは常軌を逸する量の砂糖をまぶし、油脂をどっぷりと含ませたものである。

そうすれば、消費者が常食し、依存し、その結果として商品が売れるのだから、批判されても絶対に止めない。

富裕層は教育の中でそうした食品が身体に悪いことを知り、避け、より良い食品を選んで食べるようになることが多い。親が子供の健康を守るためにそうする。

しかし貧困層は、教育よりもテレビに影響されて毒々しい食品を食べるように洗脳されており、自らジャンクフードに飛びついて離れられない。

後でそれが身体に悪いと言われても、もうすっかり中毒になっているので止められない。そして、身体を壊すまでそれを食べ続けて、最後には寿命に影響する。

貧困層は教育よりもテレビに影響されて毒々しい食品を食べるように洗脳され、自らジャンクフードに飛びついて離れられない。


貧困層の暮らす劣悪な環境とはどんな環境なのか?

富裕層は快適な環境の中で、ストレスなく暮らすことができる。貧困層は劣悪な環境の中で、様々なストレスを抱えながら暮らすことになる。

途上国に行って劣悪な安宿やスラムに泊まると、「劣悪な環境」というのがどんな環境なのかすぐに知ることになる。

エアコンなどないので、部屋は気が狂うほど暑い。部屋の中で蒸されて意識が朦朧とすることもある。シャワーを浴びようと思うと水が出なかったり、水が濁っていたりする。

そもそもシャワーなどなくて、雨水が溜まったバケツの濁った水を浴びるのがシャワーだというところもある。1990年代後半のカンボジアでは、ほとんどがそうだった。

(「売春地帯をさまよい歩いた日々:カンボジア編)
http://www.bllackz.net/blackasia/content/20110201T0000000000.html


食事中はハエが食べ物にたかり、夕方になったら蚊の大群が襲いかかる。中にはマラリア蚊もいたりするので、蚊に刺されてマラリアになる人も多い。

ベッドに横になると今度は南京虫が襲いかかってくる。東南アジアのスラム、あるいは南アジアのスラムは南京虫の温床になっているベッドも多い。

(トコジラミ。部屋に入ったらベッドのシーツをまくって裏を見ろ)
http://www.bllackz.net/blackasia/content/20120914T0045320900.html


飲み水はドブのような臭いがしたり、食べ物にも虫が混じっていたりするのは日常茶飯事だ。

貧困層というのは、そんな劣悪な環境の中で暮らし、劣悪な仕事に就き、劣悪な食べ物を食べるしかなく、医療の恩恵にもあずかれない。

そして、そんな環境から抜け出せない絶望感もあれば、自暴自棄もある。これで富裕層と貧困層の寿命が同じだったら、それこそ奇跡であると言わざるを得ない。

結局、貧困層はこうした劣悪な環境に追い込まれてもがくしかない人生が待っており、それが寿命に反映して「金持ちが長生きして貧困層は早死にする」という統計となって表れる。

現代の資本主義は、歯止めがきかない弱肉強食の資本主義と化している。

(204倍もの格差の中で自由競争しても、一生勝てないのが現実)
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20130907T1628000900


今後、「金持ちが長生きして貧困層は早死にする」は、もっと鮮明になっていくはずだ。

結局、貧困層は劣悪な環境に追い込まれてもがくしかない人生が待っており、それが寿命に反映して「金持ちが長生きして貧困層は早死にする」という統計となって表れる。
http://www.bllackz.net/blackasia/content/20160711T0146060900.html



21. 中川隆[-7542] koaQ7Jey 2017年5月23日 06:35:53 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

イラク戦争の背景


東北学院大学講師・世界キリスト協議会前中央委員
川端 純四郎

 ご紹介いたします。

 先生は1934年のお生まれです。東北大学文学部に学ばれ、博士課程を終えられてから、ドイツのマールブルグ大学に入学されました。帰国後、東北学院大学教員として35年間お勤めになりました。その後ひきつづき講師として、現在も勤務されています。一貫して平和、人権、政治改革の活動に積極的に関わっておいでになりました。

 「9条の会」の講師団メンバーとしても、全国を股にかけて講演なさっており、昨年は1年間で80回以上の講演会を開いておられます。

 先生は今朝8時前に仙台を発ち、はるばる鋸南町においで下さいました。今日の講師としてほんとうにふさわしく、よいお話をうかがえると思います。早速、先生からお話をうかがいたいと思います。 先生、どうぞよろしくお願いいいたします。
                                        安藤

 みなさん、こんにちは。 安房郡の水清き鋸南町に伺って、こうしてお話できることをありがたいと思っています。初めておうかがいしました。木更津まで来たことはあるのですが、今日、電車で君津を過ぎたらとたんに山が美しくなり、あそこまでは東京郊外のなんとまあみっともない風景でしたけれど、あそこから南に来ると一気にほんとうに昔のよき日本の風景がよみがえってくるようでした。ほんとうに嬉しく思いました。

 いま、「さとうきび畑」の朗読と、合唱団のコーラスをお聞きしたのですが、どちらも聞いていて涙が出ました。

 私は、戦争に負けた時小学校6年生でした。仙台で敗戦を迎えましたが、仙台も空襲で全滅いたしました。街の真ん中にいましたから、もちろんわが家も丸焼けでした。忘れられない思い出があります。街の真ん中の小学校でしたから、同級生が一晩で8人焼け死にました。隣の家の、6年間毎日いっしょに学校へ適っていた一番仲の良かった友達も、直撃弾で死にました。今でも時々思い出します。

 今このような歌を聞くと、どうしてもその人のことを思い出します。思い出す私の方はもう70になりますが、記憶に出てくるその三浦君という友達は、小学校6年生のまま出てきます。どうして小学校6年で人生を終わらなければいけなかったのか、生きていてくれたらいろんな事があったのに、と思います。戦争なんて二度としてはいけない、というのが一貫した私の願いです。

 私は牧師の家に生まれました。父はキリスト教の牧師で、教会で生まれ教会で育って、讃美歌が子守歌でした。牧師の中には戦争に反対した立派な牧師さんもおられたのですが、私の父のような多くの普通の牧師は、政治や社会に無関心で魂の救いということしか考えていませんでした。で、私もその親父に育てられましたから、大学を出、大学院に入って博士課程までいって、ずっとキルケゴールや実存哲学という、魂だけ見つめているような学問をやっていて、政治とか経済、社会とかは25歳までいっさい関心がありませんでした。

 25歳の時チャンスがあって、ドイツ政府の招待留学生となってドイツヘ勉強に行くことになりました。1960年のことでした。1960年にドイツへ行ったというだけで、どんなにノンポリだったか分かります。安保改訂問題で日本中が大騒ぎの時、それを尻目に悠々とドイツ留学に行ったのです。幸か不幸かまだ世界は貧しくて、飛行機などというものは贅沢な乗り物で、まだジェット旅客機機はありませんでした。プロペラ機でヨーロッパヘ行くには途中で何遍も何遍も着地し、給油して、今のようにノンストップでシベリヤを越えて、などというのは夢のような話でした。しかもベラ棒に高いのです。船の方があの頃はずっと安かったのです。特に貨物船に乗せてもらうと飛行機よりずっと安いのです。そこで一番安いのを探して、5人だけ客を乗せるという貨物船をみつけました。

 その船で神戸を出航し、インド洋からスエズ運河をぬけ、地中海を渡ってイタリアのジェノバに上陸。そこから煙を吐く蒸気機関車でアルプスを越えて、ドイツのマールブルクという町に着きました。

 実は、飛行機をやめて船で行ったということが、私の人生を大きく変えることになりました。あの時もし飛行機で行ったなら、私は一生、世間知らずの大学に閉じこもって勉強だけしている人間で終わった、と思います。

 ところが船で行ったおかげで、しかも貨物船に乗ったおかげで、私は途中のアジア・インド・アラブの国々をくわしく見ることができました。まっすぐ行けば船でも二週間で行くそうですが、何しろ貨物船ですから、途中港、港に寄って荷物を下ろし、また積んで、一つの港に4日から5日泊まっているのです。おかげでその間、昼間は上陸してそのあたりを見て歩き、夜は船に帰って寝ればいいのですから、東南アジアからアラブ諸国をくまなく見て歩きました。

 1ヵ月かかりました。神戸からジェノバまでのこの船旅。その時見たものが、私の人生を変えたのです。何を見たかはお解りですね。アジアの飢えと貧困という厳しい現実にぶつかったのです。

 降りる港、港で、ほんとうに骨と皮とに痩せせこけた、裸足でボロボロの服を着た子供達が、行く港も行く港、集まって来るのです。船の事務長さんに、「可哀想だが、何もやっては駄目だよ。1人にやると収拾がつかなくなるよ」と言われていました。だから心を鬼にして払いのけて通り過ぎるのですが、その払いのけて通り抜ける時に触った子供の肩、肉などなんにもない、ただ骨と皮だけのあの肩、あの感触が、今でも時々蘇ってきます。

 船に帰って、眠れないのです。明日も、あの子供たちに会う。どうするか。私が考えたことは、「神様を信じなさい。そうすれば救われます」と言えるか、ということでした。

どんなに考えたって、言えるわけがありません。飢えて捨てられた孤児たちに、こちらは着るものを看て、食うものを食っておいて、「神様を信じなさい、そうすれば救われます」などとは、口が裂けても言えないと思いました。牧師館で生まれて、キリスト教しか知らずに育って、キリスト教の学問をして来て、それではお前キリスト教って何なのか、25年お前が信じてきたキリスト教とは、飢えた子供たちに言えないようなキリスト教なのか。とれが私の考えたことでした。

 もし言えるとしたら、ただ一つしかない。そこで船を降りて、服を脱いで、子供たちに分けてやって、食っているものを分けてやって、そこで一緒に暮らす、それなら言える。言えるとしたら、それしかありません。言えるじゃないか、と自分に言い聞かせました。

 それなら、船を降りるか──。くやしいけど、降りる勇気がありませんでした。折角これからドイツヘ勉強に行くという時、ここで降りて、一生インドで暮らすのか、一生アジアで暮らすのか、どうしてもその気にならないのです。
 ですから理屈をこねました。

 「降りたって無駄だ。お前が降りて背広一着脱いだって、何百人人もいる乞食の子に、ほんの布切れ一切れしかゆきわたらないではないか。自分の食うものを分けてやったって、何百人もの子供が1秒だって、ひもじさを満たされる訳がないじゃないか。お前が降りたって無駄だ。それは降りたという自己満足だけで、客観的にはあの子らはなんにも救われない。」

 「だから降りない、勇気がないのではなく、無駄だから降りない。」と自分に言い聞かせるのです。でも、降りなければ「神様を信じなさい」とは言えません。言えるためには降りなければならない、しかし降りても無駄なのだ。

 堂々巡りです。寄る港、寄る港でこの間題に直面しました。毎晩毎晩同じ問題を考え続けて、結局、答えが見つからないまま、閑々として港を後にしました。、出港の時、あの子たちを見捨て自分だけドイツへ行くことに、強い痛みを感じました。これは永く私の心の傷になって残りました。

 このようにして初めて、世の中には飢えた仲間がいるという、当然分かっていなくてはいけない事実に、何ということでしょう、25にもなってやっと気づいたのです。飢えた子供たちがいる、それを知らんぷりしてドイツに行くのか、お前が降りてあの子たちと一緒に暮らすことはあまり意味ないかも知れない、しかしやっぱり船を降りないのだとしたら、せめて世の中に飢えた子供なんか生まれないような社会を作るために、自分で何かしなければいけないのではないか。ただ魂の中だけに閉じこもっていていいのか。

 これが、私がヨーロッパヘ行く1ヵ月の旅で考えたことでした。

 ドイツヘ行って、宗教の勉強をしました。ブルトマンというドイツの大変偉い先生の所に1年いて、いろいろ教わりましたが、結局、私の結論としては、実存哲学だけではだめだということでした。自分が自分に誠実に生きる──これが実存的、ということですが、それだけでは駄目だ。自分が生きるだけでなく、みんなが人間らしく生ることができるような世の中になるために、自分にできる何か小さなことでもしなければいけない。

 こう思うようになって、日本に帰ってきたのです。

 それじゃあ、世の中で、そのように飢えて死ぬような子がいなくなるような社会とは、どうすれば出来るのか。これはやっぱり、飢え、貧困、戦争、差別、そういうものが生まれる原因が分からなければ、除きようがありません。原因を勉強しなければいけない。そのためには社会科学を勉強しなければいけない。特に経済学を勉強しなければいけない──。

 ドイツヘの留学は、大学院の途中で行きましたので、帰国して大学院に復学しました。幸い東北大学は総合大学ですから、中庭をへだてて向こう側が経済学部でした。帰ってきた次の日から、私は、経済学部の講義を経済原論から、授業料を払わずにもぐりで、後ろの方にそっと隠れてずっと聞きました。

 それからもう45年になりますが、ずっと宗教哲学と経済学と2股かけて勉強してきています。今日も、多少経済の話を申し上げるわけですが、やっぱり自分がクリスチャンとして、今もクリスチャンであり続けていますが、同時に、自分の救いということだけ考えていたのでは申し訳ないと思うのです。現実に飢えて死ぬ子がいるのです。ユネスコの統計によると、毎日2万人の子が栄養不足で死んでいるそういう世の中、このままにしておくわけにはいかない、自分でできることは本当に小さいけど、その小さなことをやらなかったら、生きていることにならない──。そう思って45年過ごしてきたわけです。

 キリスト教の中でずっと生きていますので、一般の日本の人よりは外国に出る機会が多いと思います。特に世界キリスト教協議会という全世界のキリスト教の集まりがあります。その中央委員をしていましたので、毎年1回中央委員会に出かけて、1週間か2週間会議に参加しました。世界中のキリスト教の代表者と一つのホテルに缶詰になり、朝から晩までいろいろと情報交換したり論議したりします。そのようなことを7年間やりましたので、世界のことを知るチャンスが多かったと思います。それを辞めてからも、自分の仕事や勉強の都合で、今でも毎年二週間ぐらいはドイツで暮らしています。そうしていると、日本ってほんとうに不思議な国だということが分かってきました。

 日本にいるとなかなか分からないのです。島国ですし、おまけに日本語という特別な言葉を使っています。他の国との共通性がない言葉です。ヨーロッパの言葉はみんな親戚のようなものですから、ちょっと勉強するとすぐ分かります。一つの言葉の、ドイツ弁とフランス弁、ベルギー弁、オランダ弁というようなものです。日本で言えば津軽弁と薩摩弁の違い程度のものです。津軽と薩摩では、お互いに全然通じないとは思いますが、それでも同じ日本語なのです。ヨーロッパの言葉とはそういうものです。ですからお互いに何と無く外国語が理解できるというのは、別に不思議なことではないのですね。ですから、自分の国のことしか知らないという人は、非常に少ないのです。

 新聞も、駅に行けばどんな町でも、ヨーロッパ中の新聞が置いてあります。ドイツのどんな田舎町へ行っても、駅にいけばフランスの新聞もイタリアの新聞も売っていますし、それを読める人がたくさんいるのです。そういう社会ですから、日本人とはずいぶん違います。自分の国を客観的に見られる。他の国と比べて見ることができるのです。

 日本にいると比べられません。そのうえ、日本はマスコミが異常です。ワンパターンのニュースしか流しません。ヨーロッパではいろんなテレビがあって、テレビごとに自由な報道をやっています。バラエティー番組のようなものがなくて、ニューハ番組が充実しています。きちんとした議論をテレビでやっています。ですから日本にいるよりは、比較的自分の国の様子を客観的に見られることになります。ドイツに行く度に、日本とは不思議な国だなあと思うのです。

 例えば、もうだいぶ前、バブルの頃です。日本のある有名なモード会社がミラノに支店を出しました。そしてマーケティング調査をしました。どんな柄が流行っているか、アンケートを集めそれを整理するために、イタリア人女性3人雇ったそうです。アンケートの整理をしていたら5時になりました。あと少ししか残っていなかったので、日本ならの常識ですから、「あと少しだからやってしまおう」と日本人支店長は声をかけました。ところがイタリア人女性3人は、すっと立って「5時ですから帰ります」と言って出て行こうとしました。思わず日本人支店長は怒鳴ったのだそうです。「たったこれだけだからやってしまえ」と。途端にこの日本人支店長は訴えられました。そして「労働者の意志に反する労働を強制した」ということで、即決裁判で数万円の罰金をとられました。

 これがヨーロッパの常識です。つまり9時から5時までしか契約していないからです。5時以後は命令する権利はないのです。9時から5時までの時間を労働者は売ったんであって、5時以降は売っていないのですから、自分のものなんです。会社が使う権利はありません。当たり前の話です。

 その当たり前の話が日本では当たり前ではないのです。残業、課長に言われたので黙ってやる。しかもこの頃は「タダ残業」ですからネ。本当にひどい話です。常識がまるで違うのです。あるいは有給休暇。ドイツのサラリーマンは年間3週間とらねば「ならない」のです。3週間休まなければ罰せられます。日本は有給休暇など殆どとれません。ドイツでは取らないと罰せられます。ですからどんな労働者でも3週間、夏はちゃんと休んで、家族ぐるみイタリアへ行ってゆっくり過ごしてきます。有給になっているからです。或いは日本では1週間40時間労働です。ドイツはもう随分前から36時間です。土日出勤などありえない話で、日本のように表向き40時間労働でも、毎日毎日残業で、その上休日出勤、日曜日には接待ゴルフなど馬鹿なことをやっています。接待ゴルフなど、ドイツには絶対ありません。日曜日は各自が自由に使う時間で、会社が使う権利はないのです。

 そういうところもまるで常識が違います。或いは、50人以上だったと思うのですが、50人以上従業員がいる会社、工場は必ず、労働組合代表が経営会議に参加しなければいけないことになっています。そんなことも、日本では考えられないことです。ですから配置転換とかもとても難しいし、労働者の代表が入っているから、簡単に首は切れません。

 そういういろんな面で、日本の外に出てみるとびっくりするようなことが山ほどあります。日本という国は、高度に発達した資本主義国の中で例外的な国なのです。資本主義が発達した点では、アメリカにもフランスにもドイツにも負けないのですが、資本主義が発達したにしては、労働者が守られていない。或いは市民の権利が守られていない。会社の権利ばかりドンドンドンドン大きくなっているのです。それが日本にいると当たり前のように思われています。外国で暮らしていると、日本は不思議な国だと分かります。特にこの数年それがひどくなってきているのではないでしょうか。

 私たちの暮らしは、戦後50何年かけて、少しずつよくなってきました。例えば年金なんかも少しずつ整備されてきた。健康保険制度も整備されてきた。介護保険も生まれてきた。或いは、労働者も土曜日チャンと休めるようになってきた。ところがこの数年、それが逆に悪くなつてきています。年金は削られる一方、介護保険料は値上がりする、労働者は首切り自由でいくらでも解雇できる。労働者を減らすと政府から奨励金が出る。タダ残業はもう当たり前・・・。

 特にこの数年、構造改革という名前で、日本の仕組みが変わってきています。いま申し上げたように、戦後50年かけてみんなで、少しずつ少しずつ作ってきた、いわば生活の安心と安全を守る仕組み、そういうものが今はっきり壊されかかっているのではないでしょうか。

 小泉首相という人は「自民党をぶっ壊す」といって当選したのですが、この4年間を見ていると、あの人は自民党を壊したのではなく「日本を壊した」のではないかと思われます。これまで日本が戦後50年かけて作ってきた社会の仕組みが、バラバラにされているのです。フリーターとかニートがもう30%でしょう。そうなると当然、この人たちは生きる希望がありません。お先真っ暗。いまさえよければ、ということになる。ですから若者が当然刹那的になる。人生の計画なんて立たない。今さえよければということになっていきます。

 昔なら10年に1回あるかないかのような犯罪が、いま毎日のように起きています。私は仙台にいますが、この正月には赤ん坊の誘拐事件で一躍有名になってしまいました。あんなことが日常茶飯事として起こっています。栃木県で女の子が山の中で殺された事件は、まだ解決されていませんが、こんな事件が今は「当たり前」なのです。世の中がすさんできて、何が善で何が悪なのか、みんなに共通な物差しというものがなくなったというふうに思われます。

 そのような世の中の変化、私は多分、「構造改革」というものがその犯人なのだ、と思っています。

《逆戻りの原因はアメリカの変化》

 その構造改革というのは、どこから来たのか。もちろんアメリカから来たのです。アメリカが変化した、日本はそのアメリカに右ならえをした、それが構造改革です。

 それでは何が変わったのか、これが一番の問題です。この変化の行き着くところが、憲法改悪です。

 社会の仕組み全体がいま変わろうとしているのです。憲法も含めて。いったい何がどう変わるのか。いったいどういう構造をどういう構造に変えるということが構造改革なのか。そこのところがアメリカを見ればよく分かってきます。アメリカがお手本なのですから。

 アメリカはソ連崩壊後変わりました。ソ連とか東ドイツは自由のないいやな国でした。昔1960年に西ドイツヘ留学した折、東ドイツへ何回か行く機会がありました。ふつうはなかなか行けないのですが、幸いキリスト教国なので、ドイツのキリスト教はしっかりしていまして、東ドイツと西ドイツに分裂しても、教会は分裂しなかったのです。東西教会一つのまんまです。ですから、教会の年1回の大会には、西で開く時は東の代表がちゃんと来たし、東で開く時は西の代表が行けたのです。ですから一般の人の東西の往来が難しかった時でも、キリスト教の人だけはかなり自由に行き来ができました。

 私も連れていってもらって、何回か東ドイツへ行って見ました。ご存じのように自由のないいやな国でした。ですからソ連や東ドイツが崩壊したのは当然だし、いいことだと思います。しかしソ連や東ドイツが100%悪かったかというとそんなことはありません。良い部分もありました。何から何まで全部ひっくるめて悪だったというのも間違いです。基本的に自由がない。ですから、ああいう国は長くは続かない。これは当然そうだと思います。滅びたのは当然だと私は思います。

 しかし同時に、良い面はなくしては困るのです。良い面は受け継がなければいけません。最も目につくのは女性の地位でした。これは立派なものでした。いまの日本なんかより遥かに進んでいました。男女の平等が徹底的に保障されていました。専業主婦などほとんど見たことがありません。だれでも自由に外に出て、能力に応じて働いていました。それができるような保障が社会にあるのです。文字通りポストの数ほど保育所があって、子供を預け安心して働きに出られるようになっていました。同一労働同一貸金の原則はきちんと守られていて、女性だから賃金が低い、女性だからお茶汲みだけなどというようなことは一切ありませんでした。これは凄いなと思いました。あれは、日本はまだまだ見習わなければいけないことです。

 もう一つ私がびっくりしたのは、社会保障です。私が初めて東の世界を見たのは、何しろ1960年の頃のことです。日本はまだ社会保障がない時代でした。いま若い方は、社会保障はあるのが当たり前と思っておられる方も多いと思いますが、そんなことはないのです。日本は1972年が「福祉元年」といわれた年です。それまでは、福祉はなかったのです。大企業とか公務員だけは恩給がありましたが、商店の経営者とか家庭の主婦なんか何もありませんでした。健康保険も年金も何もありませんでした。72年からようやく国民皆年金、国民皆保険という仕組みが育ってきたのです。

 もともと資本主義という仕組みには、社会保障という考えは無いのです。自由競争が原則ですから、自己責任が原則です。老後が心配なら、自分で貯めておきなさい。能力がなくて貯められなかったら自業自得でしょうがない。こういうのが資本主義の考え方です。労働者が、そんなことはない、我々だって人間だ、人間らしく生きていく権利がある。だから我々の老後をちゃんと保障しろと闘って、社会保障というものが生まれてくるのです。自然に生まれたのではありません。

 労働者が団結して闘って、止むを得ず譲歩して社会保障が生まれてくるのです。資本主義の世界で最初の社会保障を行ったのはビスマルクという人です。ドイツの傑物の大首相といわれた人です。ドイツの土台を作った人ですが、この首相の頃、何しろマルクス、エンゲルスの生まれた故郷ですから、強大な共産党があり、国会で100議席くらいもっていました。そこで、ビスマルクが大弾圧をやるのです。社会主義取り締まり法という法律を作って共産党の大弾圧をし、片方では飴として労働者保険法という法律で、労働者に年金を作ります。世界で初めてです。辞めた後年金がもらえる仕組み、病気になったら安く治してもらえる仕組みを作った。こうやって鞭と飴で労働運動を抑えこんでいったのです。

 社会保障というのは、そうやって労働者の力に押されてやむを得ず、譲歩として生まれてくるのです。放っておいて自然に生まれてくるものではありません。

 そこへ拍車をかけたのが、ソ連や東ドイツです。ソ連や東ドイツヘいってみて、1960年の時点なのですから、日本にまだ社会保障などなかった時、そう豊かではなかったのですけれども、老後みながきちんと年金をだれでも貰える、そして、病気になればだれでも、医者に行って診察を受けて治療を受けられる。これにはほんとうに驚きました。これが社会主義というものかと、その時は思いました。ただ自由がないのです。例えば、牧師さんの家に泊めてもらうと、こちらがキリスト教徒ということが分かっていますから、牧師さんも信用して内緒話をしてくれるわけです。

外国から来る手紙はみな開封されていると言っていました。政府が検閲して開封されてくる。だから、「日本へ帰って手紙をくれる時は、気をつけて書いてください。政府の悪口など書かれると私の立場が悪くなるから。手紙書くときは開封されることを頭に入れて書いてくれ。」というふうに言われました。こんな国には住みたくないなと思いましたけれど、同時に社会保障という点では驚きました。こういうことが可能な社会の仕組みというのがあるんだなあ、とこう思ったのです。

 その後、スターリン主義というものによって目茶苦茶にされていくのですが、私の行った頃はまだ、東側の社会保障がある程度きちっと生きていた時代です。こうして、ソ連や東ドイツが社会保障というものを始めると、資本主義の国もやらざるをえなくなってきます。そうでないと労働者が、あっちの方がいいと逃げ出してしまいます。ですから西ドイツが一番困りました。地続きですから、何しろ。ですから、東に負けないだけの社会保障をしなければならなかったのです。そうすると、自由があって社会保障があるのですから、こっちの方がいいということになります。いくら向こうは社会保障があっても自由がないのです。こうして西ドイツは大変な犠牲を払って、社会保障先進国になってきました。そのことによって、東ドイツに勝ったのです。

 実際西ドイツの労働者は、別に強制されたわけではありません。自主的に西ドイツを選んだのです。ですからあのような東西ドイツの統一も生まれてきたのです。

 つまり資本主義の国は、ひとつは自分の国の労働者の闘いに押されて。そこへもってきて、ソ連、東ドイツの社会保障という仕組みの外圧で、それに負けるわけにいかないものですから、そういう力があって、社会保障というものを造り出していくのです。しかし社会保障というものは莫大な財源がかかります。


《社会保障をやめて小さな政府へ──構造改革の中身(1)》

 いま日本政府は社会保障をどんどん削っていますけど、それでも国家予算の中で一番多い費目は社会保障です。大変な財源が必要なのです。そこで資本主義の国は、新しい財源を見つける必要ができてきます。

 そこで見つけたのが2つ。1つは累進課税です。それまでの資本主義にはなかった、累進課税という新しい仕組みです。つまり収入の多い人ほど税率が高くなるという仕組みです。日本でも1番高い時は1980年代、1番大金持ちはの税率75%でした。ですから、年収10億あれば7億絵5千万円税金にとられたのです。今から考えれば良く取ったものです。今は35%です。大金持ちは今ほんとうに楽なのです。35%ですむのですから。年収10億の人は3億5千万払えばいいのです。昔なら7億5千万取られたのです、税金で。「あんまり取りすぎではないか、これは俺の甲斐性で俺が稼いだ金。それを取り上げて怠け者のために配るのか。」と彼らはいいました。

 そうすると政府は、「いやそういわないでくれ。そうしないと、資本主義という仕組みがもたない。だから体制維持費だと思って出してくれ。そうでないと社会主義に負けてしまう」と言って、大金持ちからたくさん取ったのです。大企業も儲かっている会社からたくさん税金取った。法人税もずっと高かったのです、以前は。こうやって大金持ち、大企業からたくさん取る累進課税で一つ財源を作ったのです。

 もうひとつは、企業負担です。サラリーマンの方はすぐお分かりですが、給料から社会保障で差し引かれますね。そうすると、差し引かれた分と同額だけ会社が上乗せするわけです。自分が積み立てたものが戻ってくるだけなら、貯金したのと同じです。労働者の負担する社会保障費と同額だけ会社も負担しているのです。倍になって戻ってくるから、社会保障が成り立つわけです。

 これも資本主義の原則からいえば、おかしいことです。いまいる労働者の面倒を見るのは当たり前です。会社は労働者がいるから成り立っているのですから。だけど、辞めてからは関係ないはずです。契約関係がないのですから。辞めた人が飢え死にしようがのたれ死にしょうが、会社の責任ではないはずです。

 だけども一歩ふみこんで、それでは資本主義の仕組みがもたないから、労働者が辞めた後まで面倒みてくれ、そこまで企業負担してくれ、そうしないと資本主義がもたないから、ということになります。

 こうやって、社会保障というものが資本主義の国で成り立っているのです。これは、ただの資本主義ではありません。資本主義の原則に反するような累進課税とか、企業負担というものを持ち込んで、社会主義のよいところを取り入れた資本主義です。これを「修正資本主義」と呼びました。

 資本主義の欠点を修正して、社会主義に負けないようないい仕組みに造り直した資本主義ということです。学者によっては、資本主義の経済の仕組みと社会主義経済を混ぜ合わせた「混合経済」と呼ぶ人もいます。所得再配分機能を政府が果たすということです。もちろん修正資本主義というものは、このような良い面だけではなくて、公共事業という名前で国民の税金を大企業の利益のために大々的に流用するというようなマイナスの面もあることも忘れてはなりません。

 しかし、ともかくこうやって、西側の世界は、自由があって社会保障がある、そういう社会に変わっていくのです。そのことで東に勝ったのです。ところが、そのソ連と東ドイツが居なくなったのです。

 その前にもうひとつ。先進資本主義国というのは或る一種の傾向として、労働者が闘わなくなってきます。これは先進資本主義国の宿命のようなものです。つまり資本主義国というのはご存じのように、地球上の大部分を占めている低開発諸国、貧しい第3世界といわれた世界から、安い原料を買ってきてそれを製品にして高く売っています。そして差額、莫大な差額を儲けている。超過利潤と呼ばれています。だから遅れた国は働けば働くはど貧しくなるのです。一生懸命働いてコーヒー豆作っても、それを安く買われてチョコレートやインスタントコーヒーなどの製品を高く買わされるのですから、結局差額だけ損をすることになります。

 この20年、先進国と遅れた国の格差は開く一方、全然縮まらない。地球上の富を先進国が全部集めちゃって、とびきりぜいたくな生活をやっています。ですから先進国の労働者にも、当然そのおこぼれの分け前に預かるので、低開発国の労働者にくらべれば、ずっと豊かになります。豊かにれば闘わなくなってしまいます。その上、それを推し進めるようなありとあらゆる謀策が講じられているのです。

 資本主義というのは、物を売り続けなければなりたたちません。売ったものをいつまでも使われていたのでは、資本主義は成り立たないのです。早く買い換えてもらわなければなりません。いま、日本の車はよく出来ているので、30年は楽に乗れるのに、30年乗られたら日本の自動車会社はみな潰れます。3年か5年で買換えてもらわなれりばいけません。買い替えてもらうには、自分の車は古いと思ってもらう必要があります。ですからコマーシャルで、朝から晩まで何回も、「あんたは古い、あんたは古い。こんないい車ができてます。こんな新しい車が出ましたよ。もっといいのが出ましたよ」と宣伝して洗脳しいるのです。だから3年も乗ると、どうしても買換えざるをえない心境に引き込まれてしまいます。全てのものがそうです。まだまだ使えるのに新しいものに換えてしまう。そういう仕組みができているのです。

 そうしないと、資本主義はもちません。ですから労働者はどうなるかというと、「次、この車に買換えよう、次、パソコンこっちに買換えよう、次、今度はデジタルテレビに買換えよう、じゃあセカンドハウス、つぎは海外旅行・・・」。無限に欲望を刺激され、自分の欲望を満たす方に夢中になって、社会正義とか人権とか考えている暇がなくなっていくのです。

 いま日本の大部分がそうですね。「もっといい生活を」ということだけ考えています。ほかの人の人権だの社会正義なんて見向きもしない。見事に資本の誘惑にひっかかってしまいます。

 もちろん、欲しいからって、お金がなければ買えません。家がほしい、車がほしい、パソコンほしい・・・。それが、実はお金がなくても買える、なんとも不思議な世の中です。ローンというものがあるのですね。

 フォードという人が見つけたのです。それまでは、「つけ」で何か買うなどということは、労働者にはありませんでした。労働者が「つけ」で買ったのはお酒だけです。酒飲みはお金がなくても飲みたいのです。だから酒屋だけは「つけ」がありました。大晦日に払うか払わないかで夜逃げするかどうかもあったでしょうが、今は家を「つけ」で買う、車を「つけ」で買う、なんとも奇妙な世界になってきました。これをフォードが始めたのです。それまでは、自動車というのは大金持ちのものでした。フォードが、あのベルトコンベアーというのも発明して、大量生産を始めたのです。そうなれば、大量に売らなれりばなりません。大量に売るためには労働者に買ってもらわなくてはなりません。でも労働者にはお金がないのです。そこで、ローンという、とんでもないものを考え出したのです。ローンなら金がなくても買えるんですから、みんな買う。当然な話です。

 そりゃあ豊かなのに越したことはありません。マイホームが欲しくなる。ですからみんなローンで買う。そして「マイホーム」という感じになるのです。でも本当はマイホームではありません。あれは銀行のものです。払い終わるまでは、所有権は銀行のものです。銀行から借りてローン組んだだけなんです。こうして次々と新しいものを買わされていく。そのローンは多くの場合退職金を担保に組みます。一度退職金を担保にローンを組んでしまったら、ストライキはできなくなります。会社と闘って退職金がすっとんだら終わりなのです。家も途中でおしまいになってしまいます。ですから、ローンでマイホームが変えるようになってから労働運動は一気に駄目になりました。みんな闘わない、会社と喧嘩したくない、というふうになります。これはもちろん、向こうは計算済みのことです。

 ですから、高度に発達した資本主義社会というのは、労働者が、ある程度ですが、豊かになり、そして、このような消費社会に組み込まれてしまって、身動きができなくなるのです。

 こうして、いま日本では労働組合も、労働運動もストライキもほとんど力を失いました。そうなれば、政府は社会保障なんて、何も譲歩する必要がはありません。労働者が必死になって運動するから、止むを得ず健康保険とか年金制度とかやってきたのであって、労働者が闘わなければ、その必要はないのです。いま、どんどん社会保障が悪くなってきています。次から次から悪くなる。20年前だったら、いまのように社会保障が悪くなったらたちまち、大ストライキが起こりました。しかし今は何も起きません。労働組合が弱体化している、労働運動が骨抜きという状態です。

 そこへもってきて、ソ連や東ドイツがいなくなったのです。こうなればもう社会保障をやる必要はありません。社会保障は止めます、修正資本主義は止めます、ということになるわけです。修正資本主義にはいろいろな意味があるのですけど、一つの特徴は、大金持ちや大企業からお金を取って、弱い立場の人たちに配るところにあります。所得再分配と言われる働きです。だから政府は大きな政府になります。こういう仕組みが修正資本主義で、いろんなマイナス面もあるのですが、プラスの面も大いにあります。

 この仕組みをやめる、というのが今のアメリカです。もう政府は面倒みません、自分でやりなさい、と自由競争に戻る。自由競争一筋。これが、ソ連が崩壊した後に新しくなったアメリカの仕組みなのです。そして、それに日本が「右へならえ」ということなのです。

 それに対してヨーロッパは、アメリカのいうことを聞かず、「われわれはこれからも、社会保障のある資本主義でいきます。むき出しの裸の自由競争には戻りません」。これがヨーロッパなのです。なぜヨーロッパがそういえるかというと、労働運動が強いからです。先進資本主義国なのになぜ労働運動が弱くならないのか。これはこれで時間をかけて考えなければならない問題なのですが──。

 現実の問題として強い。ヨーロッパだって大企業は社会保障を止めたいにきまっています。しかし止めると大騒ぎになります。労働者が絶対に言うことを聞きません。だからやむを得ず守っているのです。企業負担もうんと高いです。日本の会社の倍以上払っています。ですからトヨタ自動車もフランスに、フランス・トヨタを作っていますけど、日本トヨタの倍以上払っています。それでも儲かっているのです。

 ですから、ヨーロッパでも、社会保障は少しずつ悪くなってきてはいますが、日本に比べれば遥かに違います。このようにして、ヨーロッパはアメリカと別の道を進み始めました。アメリカは剥き出しの資本主義に戻りますが、ヨーロッパは修正資本主義のままでいこうとしています。

 しかし、それでは競争で負けます。アメリカや日本は企業の社会保障負担がうんと減っていますから、利潤が増えています。ヨーロッパは高い社会保障負担でやっていますから、儲けが少ないのです。そこで競争しなくてすむようにEUいうものを作って、枠を閉ざしちゃいました。アメリカや日本の会社がヨーロッパに来るときは、ヨーロッパ並みの負担をしなければ、EUには入れません。だからEUの中でやっている時には、日本にもアメリカにも負ける心配はないのです。

 そういう仕組みを作って、アメリカとは別の道を進み始めました。そのためにユーロという別のお金も作りました。イラク戦争で表面に出てきたのですが、イラク戦争がなくても、ヨーロッパはアメリカとは別の道を進み出していました。もう2度とアメリカとは一緒にならないでしょう。

《規制緩和とグローバリゼーション − 構造改革の中身(2)》

 もう一つ、ソ連、東ドイツ崩壊の結果、アメリカが大きく変化したことがあります。それは何かというと、大企業・大資本を野放しにしたことです。

 ソ連がいる間は、大企業や大資本に、「あなた達は資本主義なんだから儲けたい放題儲けたいだろうけど、それをがまんしてください。あなたたちがやりたい放題にやったら、他の資本主義国はみんな負けてつぶれてしまう。アメリカの資本と競争できるような資本などどこにもありませんから。そうなれば、ソ連の方がましだということになる。だから、やりたい放題は抑えてほしい」と言ってその活動を制限してきました。

 具体的に何を抑えたかというと、為替取引を規制したのです。これが一番大きな規制です。いまではもう、中央郵便局へ行って「ドル下さい」といえば、すぐドルをくれます。「100ドル下さい」といえば「ハイこれ1万2千円」。ユーロでも、「下さい」といえば「100ユーロ・ハイ1万4千円」とすぐくれます。でもこれはごく最近のことです。それまでは、外貨・外国のお金は、日本では勝手に手に入りませんでした。お金を外国のお金と取り替える、つまり為替取引は厳重に規制されていて、個人が勝手にはできなませんでした。外国旅行に行くとか、何か特別な理由が認められた時しか、外国のお金は手に入りません。

いまは何も制限ありません。自由にだれでもいつでもできます。理由など聞きませんから、100ユーロとか千ドルくださいと言えば、そのままくれます。これが為替取引の自由化というものです。これがなかったのです。ソ連が崩壊するまでは、アメリカも厳重に規制していました。それをとっぱらったのです。理屈っぽく言えば、資本の国際移動が自由にできるようになったということです。こうして、アメリカの巨大な金融資本が、世界中を我が物顔にのし歩く時代が来るのです。

 もうソ連も東ドイツもなくなったのですから、「いや永いことお待たせしました。今日からもう儲けたい放題儲けていいですよ。やりたい放題やっていいですよ」ということになったのです。これが規制緩和とことです。規制緩和ということは要するに、大資本が野放しになったということです。そうなったらどうなるか、世界第2の経済大国といわれる日本でさえ、全然太刀打ちできません。アメリカの巨大資本、金融資本・銀行ですね。日本の銀行とは勝負になりません。ボブサップと私が裸で殴り合ぅようなもので、一コロで殺されてしまいます。

 それでもやれというなら、ボブサプは手と足を縛ってもらって、目隠ししてもらって、こちらは金槌でも持たしてもらって、それでやっと勝負になるのです。今まではそうだったのです。それを全部外して自由にする、無条件で自由競争にするというのです。負けないためには、相手に負けない位大きくなるしかないですから、合併、合併、合併。あっという間に30ほどあった都市銀行が3つになってしまったのです。UFJとか「みずほ」とか、元何銀行だったか覚えておられる方おられますか。すぐ言えたら賞金をさし上げてもよろしいのですが、まず、言える方おられないでしょう。合併、合併であっという間に3つになりました。3つにになってやっとなんとか対抗できるというくらいにアメリカの巨大銀行というのは大きいものなのです。それでもダメで、長銀はのっとられてしまいました。北海道拓殖銀行も山一証券ものっとられてしまいました。次々とのっとられています。

 ついこの間は青森県の古牧という温泉がのっとられまし。広くていい温泉なんですけど、驚いたことにゴールドマンサックスでした。世界最大のアメリカの金融投資会社、ハゲタカファンドの代表のようなものです。これがどうして古牧温泉なのかと思ったのですが、テレビで放送していました。古牧だけではありません。他に28ケ所、超有名温泉みんな買い占めちゃったのです、ゴールドマンサックスが。

どうするかというと、従業員みんな首切っちゃってパートにして、腕利きのマネージャーを送り込み、部屋をヨーロッパ、アメリカ向きに整備しなおして、欧米からの観光客をワーツと呼ぼうという作戦なんですね。儲かるようにして高く売るのです。ゴールドマンサックスが経営するのではありません。いま赤字の会社を買い取って、儲かるように造り直してすぐに売っちゃうのです。これが投資銀行のやっていることです。確かに、いわれてみればそのとおりで、日本の温泉ほどいいものはありません。知らないだけで、こんないいものは世界中どこにもありません。だから日本の温泉の良さが分かったら、おそらくヨーロッパ、アメリカからごっそり観光客が来ると思います。そこにゴールドマンサックスが目をつけたのですね。そして近代経営やって外国人が来て楽しめるような設備に変えて、世界中にジャパニーズスパーなんていって売り出す気なのですね。ですから、そのうち皆さんも温泉にいらっしやるとみんな英語で案内され、アメリカのお湯の中に入ることになってしまいます。

 アッという間に日本はアメリカ資本に乗っ取られようとしています。去年のホリエモン合併もそうです。今年から商法改正(改悪)して、乗っ取りを認めるということになったのです。株の等価交換、面倒な仕組みですから詳しいことは申し上げませんが、アメリカ株1億ドル分と日本の株1億ドル分を、等価父換していい、こういっているんです。ところが、アメリカの株の値段が高いのです。ですから1億ドルといっても、株の数からすると、例えば千株位しかない。日本は株が安いですから、同じ1億ドルで1万株位あるのですね。そうすると、千株と1万株で取り替えますから、あっという間にアメリカは大株主になってしまう。この等価父換を認めると、日本の大企業全部乗っ取られてしまう。

 そこで、日本の優良企業が狙われています。超優良企業を株式等価交換で、簡単にアメリカが乗っ取ることができる。今年からそれが可能になるはずだったです。それで去年、実験をやったのですね。ホリエモンにやらせてみたのです。ホリエモンはアメリカのリーマン・ブラザースから借りてやったのです。で、出来そうだなと分かったので、アメリカはお金を引き上げてしまいました。ホリエモンに乗っ取られては困る、いずれ自分が乗っ取るのですからネ。最後の段階で資金引き上げましたたから、ホリエモン降りる外なかった、多分そういう仕組みだったのではないかと思います。

 今年から自由に、日本中の会社をアメリカが乗っ取れるはずだったのですが、あのホリエモン騒動のおかげで日本の大企業が震え上がり、政府に泣きついて、「なんとか商法改正を見送ってくれ」と。それで見送りになりました。ですから、ちょっと一息ついているのです。今年すぐ、乗っ取られるというわけではありません。でも、いつまでも見送りというわけにはいかないでしょう。2・3年後には解禁。そうなれば、日本はほぼアメリカ資本に支配される、ということになるでしょう。

 日本ですらそうなのですから、まして、フィリピンとかタイとかいう国はたまったものではありません。あっという間に乗っ取られてしまいます。アメリカに勝手に経済的属国にされてしまう。それに対して、いやそんなの困るから、アメリカ資本が自分の国の株を買うことを法律で禁止する、というようなことをやろうとすると、アメリカはそれを認めないのです。グローバリゼーションだから地球はは「一つ」だというのです。いくら規制緩和しても相手国が法律で規制してしまったら終わりです。ですから、自分の国だけ勝手に現制することは認めません、地球はひとつですよ、グローバリゼーションですよ、ときます。フメリカの大資本が地球上のどこの国でもアメリカ国内と同じ条件で商売できるようにする、これがグローバリゼーションです。いやだと断ると制裁を加えられます。

 クリントン大統領の時は経済的制裁だけですんだのですが、ブッシュになってから、軍事的制裁になりました。いうことを聞かないと軍事制裁だぞという、これがネオコンという人たちの主張です。イラクを見ればみな震え上がるでしょう。ですから、アメリカの言いなりにグローバリゼーションで国内マーケットを開放して、アメリカ資本に全部乗っ取られてしまう、というのがいま着々と進行しているのです。

《アメリカの孤立》

 そこでどうなったかというと、ヨーロッパと同じように、「そんなの困る。自分の国の経済の独立は自分たちで守りたい」という人たちが手を繋いで、「アメリカに支配され引きずり回されないように、防波堤を作ろう」という動きが始まりました。だいたい5・6年前からです。アセアン(ASEAN東南アジア諸国連合)の動きが始まりました。5つの国です。インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン。元来はアメリカが造らせた組織だったのですが、いつのまにか自主独立を目指す組織に成長しました。

 手を繋ぎ、アメリカに引きずり回されないように、アメリカの資本が勝手に入ってこないように、自分たちの経済は自分たちでやりましょう、と。ところが、ASEANが束になったってアメリカにはとてもかないません。そこで、知恵者がいました。アセアンだけではかなわないので、中国と手を繋いだのです。「アセアン、プラス中国で、アジアマーケットを作り、アメリカにかき回されないようにしよう」しようというのです。確かに、中国が入ったらアメリカはうかつに手が出せません。しかし中国だけ入れると、反米色があまりにも露骨ですから、「アセアン、プラス・スリーでいきましょう。アセアン+日本+韓国+中国、でいきましょう」ということになります。日本はアメリカの51番目の州だといわれているのですから、日本が入れば、アメリカも安心します。

 EUのように、アセアン+スリーで、自分たちの経済は自分たちでやれるように、アメリカに引きずり回されないような自立したアジアマーケットを形成することが目標です

 ただひとつ、日本が具合が悪いのです。日本はそのスリーに入っているのですが、(アセアンの会議に)行く度に「アメリカも入れろ、アメリカも入れろ」というのです。アセアン諸国はアメリカから自立するために作っているのですから、「アメリカを入れろ」といわれたんじゃあ困るので、結局日本は棚上げになってしまいます。実際にはアセアン+中国で、経済交流が進んでいます。いずれ2010年には、東アジア共同体・EACというものを立ち上げる、という動きになっています。

 そうなってくると韓国が困りました。日本・アメリカ側につくのか、中国・アセアン側につくのかで、2・3年前から中国側に大きく傾いています。留学生の数を見ると分かります。中国の北京大学には世界中の留学生が集まります。21世紀は中国と商売しなければメシが食えなくなることが分かっていますから、将釆、中国語がしゃべれる人が自国のリーダーになり、中国の指導者に友達がいないと困ります。それには北京大学に留学するのが一番いいのです。あそこはエリート養成学校です。この前行った時聞いてみたのですが、入学試験競争率5千倍だそうです。超難関です。大学の構内を歩いて見たのですが、広い敷地に6階建てのアパートが36棟ぐらい建っていて、みな学生寮です。全寮制。そばに教職員住宅があって、朝から晩まで共に暮らしながら勉強しています。授業は朝7時からです。ものすごく勤勉に勉強しています。

35年間私は大学の教員でしたが、愛すべき怠け者の学生諸君を教えてきたわが身としては、「あ、これはかなわないなァ、20年もしたら──」と思いました。向こうは国の総力を上げて次の時代の指導者を養成しているのです。日本はもう全然、ニートとかフリーターとかいって、若者の気迫がまるでレベルが違います。これは置いていかれるな、という気持ちになりました。このように世界中の国が、いま一流の学生を北京大学に送り込んでいるのですが、去年、北京大学留学生の中で一番数が多いのが韓国なのです。

 おととしまで韓国の学生は殆どアメリカヘ行っていました。去年あたりから中国へ変わったようです。つまり韓国は、21世紀の自国は、アメリカ・日本ではなく、中国・アセアンと組むことで繁栄を図りたい、と向きを変えたということです。

 それに拍車をかけたのが小泉首相の靖国参拝。これで韓国は怒っちゃってあちらを向いた。そうなると、アセアン、中国、韓国と繋がって、日本だけはずされてしまった、という状況がいま生まれつつあります。

 さらに中国は、数年前からいま、「ふりん政策」を国の方針としています。フリンといっても男女の不倫ではありません。富、隣。隣の国を富ます、隣の国を豊かにする──富隣政策です。隣の国と仲良くする。中国だけ儲けたのでは相手に恨まれてしまいます。英語では「ウィン、ウィン」(win-win)というようです。どっちも勝つ、中国も儲けるけど相手も儲けるような関係を必ず作っておく、ということが基本政策です。

 つまりアメリカは、やっとソ連を倒したと思ったら、今度は中国が出てきたのですから、中国を目の敵にしているのは当然です。中国にすれば、アメリカにやられないためには、単独では対抗できませんから、周りの国と手をつなぐ、ということです。

 アメリカは修正資本主義を止めて自由競争の資本主義に戻りました。その結果大企業・大資本は野放しになりました。そのためにアジアにそっぽを向かれることになりました。アメリカにはついていけない。アメリカに勝手にされては困る。もちろんアメリカと喧嘩をしては駄目ですが、自分の国は自分の国でやれるようにしなければならない──、というふうに変わったのです。

 そして最後に、3年前から南米が変わりました。ようやく日本でも報道されるようになりましたからご存じと思います。ただ日本のマスコミはちょっとしか書きませんから、気づいておられない方もおありかと思います。南米がものすごい勢いでアメリカ離れを始めたのです。

 今まで200年、南米はアメリカの裏庭といわれていました。アメリカはやりたい放題やっていました。チリは世界一の銅の産出国ですが、このチリの銅はすべて、アナコンダというアメリカの銅会社が一手で採掘していました。だからいくら掘ってもチリは豊かにならない。アメリカのアナコンダだけが儲かるのです。

 ブラジルは世界一の鉄の産地です。これもみな掘っているのは欧米の会社で、いくら掘ってもブラジルは豊かにならない。ベネズエラは世界第五位の産油国です。これもみなアメリカの石油資本が持っていく。

 こういう国はこれまで軍事独裁政権でした。政治家は、自分の国の資源をアメリカに売り渡し、自国の国民の反発は力で抑えつけ、莫大なリベートを貰って自分たちだけベラボウな贅沢をしてきました。これがアメリカと南米のパターンだったのです。

 それが、3年ほど前から、「おかしいではないか。やっぱりベネズエラの石油はベネズエラ人のものだ。石油を掘ったら、ベネズエラが豊かにならないとおかしいではないか。いくら掘ってもアメリカだけ儲けるのはおかしい。石油をアメリカの石油会社から取り上げて、ベネズエラで掘ることにしよう。国有化しよう」というような政策を訴える大統領が、当選するようになりまし。この3年間で、南アメリカは80%が、このような自主独立派の大統領になりました。アメリカ資本に任せず、自国の経済は自分でやろうという政策を掲げた大統領が、次々と当選したのです。

 いまでは、南アメリカでアリカの言いなりというのは、多分コロンビアしかないと思います。あとは殆どみな、自分の国は自分でやりましょというふうに変わってきました。ベネズエラのウゴ・チャベスという人がそのチャンピオンです。ご存じですね、時の人です。アメリカはそのチャベスの当選を必死になって妨害したのですが、結局ダメでした。チャベスが圧倒的多数で選出されました。その彼の言い分がふるっているのです。

 「失礼にならないようにアメリカから遠ざかりましょう」というのです。いきなり遠ざかったのではゴツンとやられますから、アメリカを怒らせないように、喧嘩しないように、少しずつ「小笠原流」で遠ざかって自主独立に向かいましょうというのです。

 これがいま世界の合言葉です。「失礼にならないようにアメリカから遠ざかる。」日本もそうしなければいけない、と私は思っているのですが。絶対にやりません。

 こうやってアメリカは、ソ連や東ドイツがなくなってから、修正資本主義をやめて、いまの言葉でいえば「新自由主義」という仕組みに代わりました。日本はそれに右ならえしたのです。いま申し上げたように、このアメリカの新自由主義経済に無条件で追随しているのは、日本しかありません。あとはみな、「失礼にならないように」距離をおきました。

日本だけが無条件でついていきました。だから「ポチ」だといわれるのですネ、確かにポチと言われてもしょうがないほど、無条件でついていきます。それは恥ずかしいことですが、日本が追随していく。これが構造改革なのです。修正資本主義経済から新自由主義経済に変わるということです。簡単にいえば、弱い人の面倒を政府が見るような仕組みから、もう弱い人の面倒は見ませんという仕組みに、変わっていく──。これが構造改革です。

 だから、社会保障はどんどん悪くなる。自由競争で勝ち組と負け組がある。中には1千万ぐらいのマンション買って落ち着いているのもいる。片方には、国民健康保険料さえ払えなくて医者にも行けない。そういう人がもう全国で膨大な人数出てきている。まさに格差社会です。

 どんどんその格差が広がっています。金持ちからお金を取って弱い人の面倒を見る、というのが修正資本主義なのですが、それを止めてしまいました。野放しなのです。強い人はますます強くなり、弱いものは負けたら自己責任なんですよ。こういう仕組みにいま変わったのですね。

 それがいいか悪いか、止むを得ないのかどうかは、いろいろな立場によって考えが違うのですが、事実はそうなったのです。

 しかしヨーロッパは別の道をとっています。このように別の道もありうるというのも事実なのです。ヨーロッパのように社会保障を止めない資本主義もあり得るのです。

 日本の場合、アメリカほど徹底していませんが、流れとしては「政府はもう弱い人の面倒は見ません」、という方向に大きく動いています。


《憲法改悪の要求》

 こうして、アメリカは新自由主義経済で自国の企業を野放しにして、それを世界中に押しつけようとしたのですが、意外に抵抗が大きかった。ヨーロッパはいうことを聞かない。アジアも聞かない、南米も聞かない。これでは困るので力づくで押しつける。こういうことになるのですね。力づくで押しつける時に、最大の目標・ターゲットはもちろん中国です。やっとソ連を倒して、21世紀はアメリカが王様になれると思ったら、中国が巨大な国になってきて、アレリカの前に立ふさがっいます。このままではアメリカは王様ではいられません。中国を抑え込むことが21世紀へ向けてのアメリカの最大の長期的課題になっています。しかし戦争はできません。中国と戦争したのでは共倒れになります。唯一の道はエネルギーを抑えることです。

 ネオコンという人たちの書いた文章を読むと、非常にはっきり書いてあります。21世紀にアメリカが世界の支配権を握るには、中近東の石油を抑えなければならないというのです。中国は石油の自給ができません。どんどん石油を輸入していますが、殆どいま中近東から輸入しています。アメリカが中近東の石油を抑えれば、中国はアメリカのいうことを聞かざるをえなくなる。当然でしょうね。

 世界一の産油国サウジ・アラビアはすでにアメリカ側の国です。そこで第二の産油国であるイラクをアメリカは分捕りたいのですが、その理由がありません。そこでアメリカは「大量破壊兵器、テロ応援」という嘘をつきました。プッシュ大統領も、ついにウソであったことを認めました。

 ではなぜイラク戦争をやったのか。本当の理由はまだ公表されていません。しかしネオコンという人たちの文章を読むと、明らかに「石油を抑える。抑えてしまえば中国は言うことを聞かざるをえない」。ここに本当の理由があったことは明白です。そうだとすれば、恐ろしい話ですが、(次に)絶対にイランが狙われます。

 世界第1の産油国サウジアラビアは、昔からアメリカの同盟国です。第2位のイラクは抑えてしまいました。そしてイランは第3位の産油国です。ここを放っておいたのでは意味がないのです。中国はいくらでもイランから石油の輸入ができます。どうしてもイランまで抑えなければならないというのは、アメリカでは、いわば常識です。どんな新聞雑誌でも次はイランだということが堂々と語られています。

 ライス国務長官も3日前、「今イランに対するは軍事力行使の予定はない」と言っていました。「今は」です。イランは核開発やっているというのが理由です。たしかに妙な国ですが、しかし別に悪い国ではありません。あのあたりでは1番民主的な国です。曲がりなりにも選挙で大統領を選んでいますから。女性はみな顔を出していますし、大学へもいっています。イランは近代化した国なのです。サウジアラビアなどの国に比べたら、ずっと民主的な近代国家です。イスラム教のお妨さんが、選挙で選ばれた大統領より偉い、というのだけが変ですが、全員がイスラムですから、他国がとやかく言うことではないです。

 ですから、イランが悪魔の国というのは嘘なのです。イラクがそういわれたのも同じで、要するに悪魔の国と誤解させて、戦争しかけてもやむを得ないと思わせるための宣伝が行われているのです。

 イランはイランで、自分で自分他ちの国を近代化していけばいいのであって、核兵器持つなといっても、隣のパキスタンもインドも持っているのです。こちらのイスラエルもです。イランだけ持つなといっても、聞くわけありません。イランに持たせたくないのなら、「俺も止めるからあんたも」と言わなければなりません。「俺は持っている。お前だけ止めろ」と言ったってイランが聞くわけありません。そんな理屈が通るはずがないのです。実に馬鹿な理屈です。

本当にイラクに核開発をやめさせたいのなら、イギリスもフランスもアメリカも 「先ず自分が止める、だからお前も止めろ」と言うしかありません。お前だけ持つなと言って、聞くと思う方がどうかしています。核開発は現在の大国の論理では抑えられません。イランに言わせれば、「イラクがなぜあんなに簡単に戦争しかけられたかといえば、核兵器を持っていなかったからだ。持っていたら恐ろしくてとても戦争なんか仕掛けられない」ということになります。だからイランはいま核開発を急いでいるのです。核兵器を持たないとアメリカに攻められるから。そう思い込んでいるのです。

 そう思わせるようなことをアメリカはやってきたのですから、イランに核兵器開発を止めさせるためには、イラクから撤収して、中東の平和は中東に任せる、という姿勢を示すしかありません。自分がイラクを分捕って居座ったままで、イスラエルやパキスタンやインドの核兵器には文句をいわずイランにだけ、というのは通じない理屈です。実にゆがんだ国際常識というものが罷り通っている、と思います。

 もしアメリカがイランまで分捕ってしまえば、サウジアラビア、イラン、イラクと合わせて、世界の石油の70%ぐらいになるはずですから、中国はアメリカのいうことを聞かざるをえなくなります。だからつぎはイランだというのが、ネオコンの論理です。

 ただ問題は、イランに戦争を仕掛けるとしても単独ではできなません。兵隊がたりない。徴兵制ではなく志願兵制度ですから。いま、ありったけの兵隊さんがイラクに行っています。あれ以上いないのです。だからハリケーンが来ても出せなかったのですね。そうすると、イランに出す兵隊なんていないのです。そこで、アメリカの右翼新聞の社説など、堂々と書いています。「イラクにいるアメリカ軍でイランを乗っ取れ。カラッポになったイラクの治安維持は、日本にやらせろ」と。
 アメリカの論理から言えばそうなるのでしょう。自衛隊にイラクの治安維持をといいますが、実際は内乱状態ですから、今も毎日アメリカ兵は毎日5人位殺されています。そんなこと引き受けたら、自衛隊員何人死ぬか分かりません。第一そんなことは、憲法9条があるかぎりできないのです、絶対に。憲法があるおかげで、自衛隊はイラクにいますけれども、ピストル1発撃つことができないのです。憲法9条第2項というのがあるのです。自衛隊は戦力ではない・交戦権はないとなっていますから、不可能なのです。だから給水設備備を作るとか、学校修理とか、そういうことしか出来ません。これじゃあアメリカから見れば役に立たないのです。


《平和憲法こそ 日本生存の大前提》

 そこで、「9条2項を変えて、戦争ができる自衛隊になってくれ」というのがアメリカの強い要求なのです。みんな分かっています。言わないだけです。日本の新聞記者も知っています。しかし、「9条変えろ」がアメリカからの圧力、と書くと首になるから書かないだけです。でも誰も知っています。アメリカのに戦争に参加しなさい、という強い圧力がかかっているのです。

 ここのところをよく見極めておくことが必要です、「9条を守る」ということは、「アメリカの言いなりにならぬ」ということと一つ、なのです。

 アメリカと喧嘩しては駄目ですから、「失礼にならないようにアメリカから遠ざかる」のが何よりも大切です。仲良くするけれども言いなりにはならない、ということです。ところが、憲法が危ないという、この危機的な状況にもかかわらず、国内で労働運動が弱体化していますから、ストライキも起きない。大きなデモも起きない。大反対運動も起きない──。という状況です。

 ではもう駄目なのでしょうか。そうではないと思います。それには日本の国内だけではなく、世界に目を向ける、アジアに目を向けるこちとが必要のです。ご存じのように、これからの日本は、中国と商売せずには、生きていけなくなりま。いま、大企業だけですけど、多少景気がよくなってきています。全部中国への輸出で持ち直したのです。中国マーケットがなくなったら日本経済はおしまいだ、ということは誰も分かってきています。

 お手元の資料の中の(貿易額の)丸い円グラフは、2003年のもので少し古いのですが、アメリカ20.5%、アジア全体で44.7%、つまり日本にとって一番大事な商売の相手は、アメリカではなくてアジアなのです。

 アジアと仲良くしなかったら、経済が成り立たないところへ、いま既にさしかかっているのです。左隣の棒グラフは2004年ですが、左上から右に折れ線がずうっと下がってくる。これが日本とアメリカの貿易です。点線で右へずうっと上がっていくのが中国との貿易。遂に去年(2つの折れ線が)交差し、中国との貿易の方がアメリカとの貿易額より多くなりました。しかも鋏状に交差していますから、今後この2つは開く一方になってきています。

 つまり、あと2・3年もすれば、日本は中国との商売なしには生きていけない、ということが国民の常識になるということです。いま既に、中国を含めたアジアが、日本の一番大事なお客さんなんです。仲良くしなければいけません。一番大切なお客さんの横っ面ひっぱたいたんじゃ商売は成り立ちません。

 靖国参拝などというものは、一番大事なお客さんの横面ひっぱたくと同じことなのですから、個人の信念とは別の問題です。小泉首相は総理大臣なのですから、個人の心情とは別に日本の国全体の利益を考えて行動しなければいけません。それは総理大臣の責任だと思います。その意味でアジアと仲良ぐできるような振舞いをしてもらわなければ困るのです。

 もう一つ。アメリカとの商売はこれからどんどん縮小していきます。それは、ドルというものの値打ちがどんどん下がっていくからです。これはもう避けられません。

 昔はドルは純金だったのです。1971年まで、35ドルで純金1オンスと取り換えてくれました。だからドルは紙屑ではありませんでした。本当の金だったのです。

 われわれのお札はみな紙屑です。1万円なんて新しくて随分きれいになりましたけど、綺麗にしただけちょっとお金がかかって、印刷費に1枚27円とかかかると聞きました。27円の紙がなぜ1万円なのか。これは手品みたいなものです。あれが5枚もあるとなかなか気が大きくなるのですが、本当は135円しかないのです。それが5万円になるのは、法律で決めているのです。日銀法という法律で、こういう模様のこういう紙質のこういう紙切れは1万円、と決められている。だから、あれを1万円で受け取らないと刑務所に入れられます。法律で決まっているからです。ですから日本の法律の及ぶ範囲でだけ、あれは1万円なのです。その外へ出ると27円に戻ってしまいます。

 金と取り換わらないお札というのは、簡単にいえばその国の中でしか通用しません。他の国へ行ったら、その国の紙屑と取り換えなければ通用しません。ところが、ドルだけは世界で通用しました。純金だからです。

 ところが、1971年にアメリカはドルを金と取り換える能力を失いました。ベトナム戦争という馬鹿な戦争をやって莫大な軍事費を使ったのです。背に腹は代えられなくてお札を印刷し、航空母艦を造ったりミサイル、ジェット機を作ったりしたのです。そのために、手持ちの金より沢山のお札を印刷しちゃったのです。

 その結果、アメリカは、ドルを金と取り換える能力を失ったのです。そこで、71年8月15日、ニクソン声明が出されました。「金、ドル交換停止声明」です。あの瞬間にドルも紙屑になったのです。ドルが紙屑になったということは、ドルがアメリカの国内通貨になったということです。

 ところが、問題はそれ以後なのです。世界で相変わらずドルが適用したのです。皆さんも海外旅行へ行かれる時は、大体ドルを持って行かれますね。どこの国へ行っても大丈夫なのです。金と取り換えられないお札が何故世界で適用するかは本当に不思議で、経済学者にとって最大の難問なのです。いろんな人がいろんな答を言っていますけど、あらゆる答に共通しているのは、ひとつは「アメリカの力の反映」だから、ということです。

 つまり、日本が自動車を作ってアメリカヘ売ります、ドルを貰いますネ。日本は損をしているのです。自動車という貴重なな物質がアメリカへ行って、紙屑が返ってくるのですから。物が減ってお札だけ増えると必ずバブルになります。

 バブルの犯人はそこにあるのです。日本が輸出し過ぎて貿易黒字を作り過ぎているのです。だから日本は、アメリカに自動車を売ったら、「純金で払ってください」と言わなければなりません。ところがそう言うと、ジロッと睨まれてお預けになってしまいます。日本には米軍が5万人います。「アメリカのドルを受け取らないとは、そんな失礼なこと言うなら、在日米軍クーデター起こしますよ」、これで終わりなのです。黙って受け取ってしまう。だから日本は無限に物を提供し、無限に紙屑をもらう。こうしていくら働いても日本人の生活はよくならないのです。しかもその紙屑でアメリカの国債を買っています。アメリカに物を売って、払ってもらった代金をアメリカに貸している。言ってみればツケで輸出しているようなものです、現実に。アメリカにいくら輸出しても日本は豊かにならない仕組みになつています。

 2週間前に『黒字貿易亡国論』という本が出ました。有名な格付け会社の社長さんですが、「貿易黒字を作るから日本は駄目なのだ」、ということを詳しく論じたたいへん面白い(文芸春秋社の)本です。確かにそうだと思います。だからドルは、本当は受取りたくないのです。みんな紙屑なんです。だけど受け取らないと睨まれる。アメリカの軍事力が背景にあるのです。

 その力をバックにして、紙切れのお札を世界に通用させている。例えていえば──餓鬼大将が画用紙に絵をかき1万円と書いて鋏で切り、これ1万円だからお前のファミコンよこせ、とこれを取り上げる──のと同じです。いやだと言ったらぶん殴るのです。怖いから黙って渡して紙屑もらうことになります。その紙屑で、他の人から取り上げればよいのです。「お前のバイクよこせ、よこさなかったらいいつける」。「あの人、あんたの紙屑受け取らない」、するとガキ大将が釆て、ゴツンとやってくれる──。餓鬼大将の力の及ぶ範囲ではそれが通用するのです。

露骨にいえば、ドルがいま世界に適用しているのは、そういう仕組みが一つあります。

 もう一つは、ソ連の存在です。もし紙屑だからアメリカのドルを受け取らないといったら、アメリカ経済は潰れます。アメリカが潰れたらソ連が喜ぶ。だから紙屑と分かっていても受け取ってきた。ソ連に勝たれては困るから──。

 これも確かに一理あります。ということは、ソ連がいなくなって、紙屑は紙屑だということがはっきりしてきたのです。今まではソ連がいるために、紙屑なのに金のように適用したが、今や「王様は裸だ」というのと同じで、「ドルは紙屑だ」といっても構わない時代です。

 ともかくドルが危ないのです。私が言ってもなかなか信用してもらえませんが、経済誌『エコノミスト』、一流企業のサラリーマンなら必ず読んでいる雑誌すが、これの去年9月号が中国“元”の特集でした。その真ん中へんに「プラザ合意20年」という対談がありました。その中で、榊原英資さんは「5年以内にドル暴落」と言っています。

 榊原さんは大蔵省の元高級官僚で日米為替交渉の責任者を10年やりました。円・ドル問題の最高責任者だった人です。「ミスター円」といわれていました。通貨問題に最も詳しい現場の責任者です。停年で大蔵省をやめて今は慶應大学の先生になっています。この人が「5年以内にドルが暴落する」、つまりドルが紙屑だということが明らかになる日が近いと言っているのです。

 ソ連がいる間は隠されていたのですが、いまはもう、ドルは紙屑だから受取りたくないという人たちが増えてきています。これまでは世界通貨はドルしかなかったので、受け取らなければ商売ができなかったのですが、今ではユーロという代わりが出来てしまいました。ドルでなくてユーロで取引する国が増えてきています。そしてユーロの方が下がりにくい仕組みになっています。ドルは下がるのです。

 なにしろアメリカは、永いことドルが世界通貨ということに慣れてきました。だから自動車が欲しければ日本から自動車買って、アメリカは輪転機を回せばよいのです。紙とインクがあればいいのですから。ほかの国はこんなことできません。自動車が欲しければ、一生懸命働いて何か輸出し、その代金で輸入しなければならないのです。アメリカ以外の国は全部そうやっているのです。

 輸入は輸出と一緒です。輸入するためには輸出しなければなりません。ところがアメリカだけは輸出しないで輸入ができるのです。ドルという紙切れが世界通貨ですから。極端に言えば、欲しい自動車や石油を日本やアフリカなどから買って、紙とインクで支払う。実際そうして世界の富がアメリカに集まったわけです。

 71年以降の30年間、この仕組みのために、世界中にドルが溢れ出ました。ドルがどんどん増えますから、当然値打が下がります。こうしてドル下落傾向。(資料の一番下のグラフがそうです。円が上がっていく様子、為替取引だから短期的には上下しますが、長期的には間違いなく円高。ドルがドンドン下がるのは確かです。)これがあるところまでいくと、ガクッと下がります。

 あるところまでいくと、「ドルは信用できない、下がる通貨は持っていたくない」となります。ですからドルを受け取らない、ユーロか何か、別な、下落しない通貨でなければ受け取らないということが出てくる。そうなるとドルは暴落します──。榊原氏がそういっているのです。

 ヨーロッパはユーロでいくでしょう。アジア経済圏はなんといったって元です、中国の。中国は賢いですから、元を押しつけないで、何かアジアの新しい通貨を作るかもしれません。しかし元が中心になることは間違いないでしょう。ドルはアメリカでしか使われなくなる。そうすると、今まで全世界で使われていたドルが、みんなアメリカに集まって来るわけですから、アジア、ヨーロッパで使われいていたドルがみな戻ってきて、簡単にいえばドルの値打が3分の1に下がることになります。

 アメリカの生活は大きく収縮します。一家で3台自動車持っていた家は1台に。1台持っていた家は止めなくればならなくなる、ということです。

 アメリカ経済の収縮。これは大変恐ろしい話なのです。世界経済が大きく収縮し、日本経済は大きな打撃を受けます。しかし避けられない動きなのです。いつのことか分からないが、そう遠くない将来にドルの信用がドンと落ちていく。結果として日本がアメリカにだけ頼っていたら、大変なことになります。

 いまのうちに、アメリカに輸出してドルをもらったらユーロに代えておいた方がいい。ユーロの方は下がらないからです。EUという所は、国家財政が赤字だと加盟できないことになっています。赤字だと穴埋めにお札を出すので乱発ということになって下がるのです。だからユーロは一応下がらない仕組みになっています。乱発できないようになっているのです。ドルは短期的に持つのはかまわないが、3年、4年と長期的に持っていると下がってしまいます。それならユーロにしておいた方がいいとか、これから生まれるかもしれないアジア通貨にしておいた方がよいとかいうことになります。世界の大企業や国家が、決済のために多額のドルを持っていますが、これがユーロに切り替えられるとなると、ドルはもう世界通貨ではなくなります。

 そうなると、アメリカだけに依存している国は、大変苦しくなります。21世紀の日本を考えた時、アメリカと仲良くするのは大切ですが、しかしアメリカ一辺倒では駄目な時代になっているのです。アジアと仲良くしなければいけません。

 しかしアジアと仲良くするのには、無条件ではできません。なぜなら、60年前、アジアに戦争を仕掛けて大変な迷惑をかけた。その後始末がちゃんとできていないのです。仲良くするするためには、60年前のマイナスを埋めるところから始めなければいけません。別に難しいことではないのです。「あの時はごめんなさい。2度とやりませんから、勘弁してください」。これで済むわけです。

 問題は、「2度とやりません」が、信用してもらえるかどうかです。信用してもらうための最大の決め手が「憲法第9条」です。憲法9条第1項、第2項がある限り、日本は2度と戦争はできません。イラクの状態を見ても、自衛隊は鉄砲一発撃てない。(世界中)みんなが見ています。この憲法9条第1、第2項がある限り、日本は戦争はできません。だから安心して日本と付き合うのです。

 もし日本が憲法9条を変えて、もう1回戦争やりますということになったら、アジアの国々は日本を警戒して、日本との付き合いが薄くなってしまいます。いま既にそうなりつつあります。小泉首相は靖国に何度も行く。自民党は憲法9条を変えることを決め、改憲構想まで発表した。アジアの国々は用心します。「そういう国とは、あまり深入りしたくない」。

 小泉首相は「政冷、経熱」でいいじゃないか、といいます。政治は冷たくても経済では熱い関係というのでしょうが、そんなことはできません。中国と日本の経済関係はじわっと縮小しています。統計でもそれははっきり出ている。

 おととしまで中国の貿易のトップはアメリカでした。次が日本、3位はEU。これがひっくり返ってしまいました。去年はトップはEU、2位アメリカ、3位日本です。明らかに中国は日本との商売を少しずつ縮小させている。その分EUに振り替えています。

 去年5月、ショッキングなことがありました。北京・上海新幹線という大計画をEUに取られました。北京〜上海って何キロあるのでしょう。日本の本州より長いのではないでしょうか。このとてつもない計画があって、去年、まだ予備調査の段階すが、日本は負けました。ドイツ、フランスの連合に取られました。予備調査で取られたということは、本工事は駄目ということです。中国にすれば、日本にやらせるのが一番便利なのです。近いですし、新幹線技術も進んでいます。まだ1度も大事故を起こしたことがありません。ドイツもフランスも、1回ずつ大事故を起こしたことがあります。技術からいっても資本からいっても、日本にやらせれば一番いいのに、日本が負けました。明らかに政治的意図が働いたと思われます。日本との関係を深くしたくない。いざという時、いつでも切れるようにしておく。いざというとき、切れないようでは困る。そういうことではないでしょうか。

 いまのままアメリカ一辺倒でいいのでしょうか。私は長島さんをよく思い出します。後楽園での引退試合の時、最後に「読売ジャイアンツは永久に不滅です」といったのです。永久に不滅どころか、去年のジャイアンツのサマといったらもう、見ていられない。アメリカもそうなるのではないでしょうか。小泉首相は「アメリカは永久に不滅です」と、いまもいっているのですが、そうではないのではないでしょうか。

 アメリカにさえ付いていれば、絶対大丈夫という時代は終わったのです。アメリカとも仲良くしなければいけませんが、しかしアジアとも仲良くしなければいけない、そういう時代がいま来ているのです。仲良くするのには、憲法9条を守ることが大前提です。これを止めてしまったら、アジアとは仲良くできません。

 憲法9条は、日本にとって“命綱”です。いままでは、憲法9条というと、「理想に過ぎない。現実は9条で飯食えないよ」という人が多く、中には鼻で笑う人もいました。しかしいまは逆です。9条でこそ食える。9条を変えたら、21世紀日本の経済は危ないのです。

 憲法9条を守ってこそ、この世紀の日本とアジアとの友好関係を守り、日本も安心して生きていけるのです。こういう世の中をつくる大前提が憲法9条です。憲法9条は美しいだけではなく、現実に儲かるものでもあります。そのことがやっと分かってきました。

 奥田経団連会長は、去年までは小泉首相を応援して靖国参拝も賛成だったのですが、そんなこといってたらトヨタは中国で売れなくなります。そこで今年の正月の挨拶でついに、「中国との関係を大事にしてほしい」と、向きが変わりました。
 財界が、中国と仲良くしなければ自分たちは商売ができない、となってくれば、日本の政治の向きも変わるだろうと思います。あと3年たてば多分、これは日本の国民の常識になってきます。中国と仲良くしないと経済が駄目になる。それは中国のいいなりになることではないのです。良くないことはきちんという。だけど敵にするのではなく、仲良くする。でなければ、日本の経済は成り立たない。これがみんなの常識になってくるでしょう。

 これまで60年、アメリカベったりだったから、アメリカから離れたら生きていけないと皆思ってきました。しかし現実の数字はそうでなくなっています。一番大事な経済の相手は、もうアメリカではなくアジアなのです。これに気づくのにあと2・3年かかるでしょう。これが世論になれば、もう、憲法を変えるなどということは、絶対にできません。

 しかし、この3年の間に、国民の世論がそのように変わる前に、憲法が変えられてしまったら、どうにもなりません。

 あと3年、必死の思いでがんばって、子供たちに平和な日本を残してやるのが、私たちの務めだと思います。そう思って、私も必死になってかけ回っています。あと3年ぐらいはまだ生きていけるだろうから、なんとしても3年間は9条を守るために全力をつくしたいと決心しています。

 ありがたいことに、9条を変えるには国民投票が必要です。国会で決めただけでは変えられません。国民投票で過半数をとらないと、憲9条は変えられないのです。逆にいえば、これによってこちらが憲法9条を守る署名を国民の過半数集めてしまえばいいことになります。住民の過半数の「9条を守る」署名を3年間で集めてしまう。そうすればもう、変えることは不可能になります。

 そうすれば、子供たちに憲法9条のある日本を残してやれます。2度とアジアと戦争する国にならないようにして、そしてもし長生きできれば、新自由主義という方向、つまりアメリカ言いなりではなく、もっと自主的な経済ができるように、せめてヨーロッパのような修正資本主義、ルールのある資本主義の仕組みにもう一度戻すこともできるでしょう。

 日本中で、飢えている人、因っている人、貧しい人が、それでも人間らしく生きていけるような、最低限の保障ができる、生きる希望が出る──。そういう社会にすることが大切なのだ、と思います。これは長期的展望です。簡単にはできません。一度、新自由主義になってしまったので、10年位かかるでしょう。国民が賢くなって、正しい要求を政府につきつけていかなければいけません。その中心になる労働運動の再建が必要です。

 結局国民が主権者なんですから、国民の願いがかなうような、そういう日本に作り替えていきたいなと、そういう道を進んでいきたいなと思います。

 鋸南町は合併を拒否なさったというので、日本でも有数な自覚的な町といえます。合併するとまず住民自治がダメになります。大きくなるということは、住民自治が駄目になることでもあります。住民が主人公になる町こそ大切。ぜひこの美しい山と海と禄のある町で、1人1人が主人公であるような地域共同体というものを、みんなが助け合える町になることを私も希望して、講演を終わらせていただきます。
http://kyonannet.awa.or.jp/mikuni/siryo/2006/kawabata-kouen060114.htm


22. 中川隆[-7541] koaQ7Jey 2017年5月23日 07:02:30 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

時代錯誤なリカードの比較優位論

2017年05月09日
日銀の黒田総裁がアジア開発銀行(ADB)の年次総会で、金融政策について「(経済の)教科書を文字通り適用できない」と、こぼす場面がありました。

しかし残念ながら、黒田氏が読んでいる教科書は算数ですが、今の経済は数学で動いているのであり、対応がつかなくて当然です。

マネタリーベースを拡大すればインフレ、算数ではそう書いてありますが、数学では金融政策の方向性、資金の流出入量、人口動態からの消費動向など、様々なものが加味されます。

日本ではいくらマネタリーベースを増やしても、消費が弱いので物価が上がらない。買わないからモノの価値が上がらないのです。

3月の毎月勤労統計は、実質賃金が前年同月比で0.8%減。これで消費が盛り上がるわけもありません。しかも深刻なのは、パート労働者の時間当たり賃金は2.1%増なのに、実質賃金は2.2%減。つまり単価は上がったけれど労働時間が減ったために、手取りが減った。

企業が労働力を確保しよう、とするために薄く広く集めた結果、一人一人には恩恵が行きわたりにくい。そして恐らく、増えた部分は年金を減らされる高齢者の補填に回っているのであり、これでは経済がうまく回るはずもありません。


日銀のある幹部が、金融緩和を止めてインフレ目標が未達となったとき、支払うコストが膨大、として金融政策をつづける、と述べました。簡単に言えば、ここで止めると景気も回復していないから、日銀が抱えた資産のネガティブな部分にかかるコストが日銀の経営を圧迫するから、つづけるしかない。というダメ経営者の典型のようなことを言い出したのです。

残念ながら、日銀が東芝と重なってみえます。失敗した政策を見直しもできず、泥沼に嵌まっていく。平気で数字のうそをつく安倍政権といい、数字すら正しく読み解けない日銀といい、この国では数字がすでにおかしくなり始めているのでしょう。

「経済学者の9割が安倍ノミクスは危険」という中での、爆騰する市場が示す数字、何を信じるか、さえこの国ではおかしくなり始めてしまっているのでしょうね。
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/



植民地インドの後釜にされた日本


 実はアメリカのこの「うまい話」は、19世紀に繁栄した大英帝国をまねているだけだ。大英帝国の場合は、その繁栄の謎をとく鍵はインドをはじめとする植民地が持っていた。たとえば当時イギリスの植民地であったインドは、香辛料などの原材料を輸出してイギリスを相手に多額の黒字を計上していた。ところが黒字はルピーではなく、ポンドを使って決済され、そのままイギリスの銀行に預けられていた。

 だからイギリスはいくら植民地を相手に赤字を出しても平気だった。イギリスの銀行に預けられたポンドを、イギリス国内で使えばいいからだ。インドは名目上は債権が増え、お金持ちになったが、そのお金をイギリスの銀行から自由に引き出し、自分の国では使えなかった。お金の使い道は預金者ではなく、イギリスの銀行が決めていたからだ。そしてもちろん、イギリスの銀行は国内の人々に貸し出した。

 イギリス国民は植民地から輸入した品物で生活をたのしみ、しかもしはらったポンドもイギリスの銀行に吸収され、イギリスのために使われるわけだ。こうしてイギリスはどんどん発展した。

 一方植民地はどうなったか。たとえばインドは商品を輸出しても、その見返りの代金はポンドでイギリスに蓄積されるだけだから、国内にお金がまわらなくなる。どんどんデフレになり、不景気になった。


仕事がきつくなり、給料が下がり、ますます必死で働いて輸出する。ところが黒字分の代金は、ポンドのまま名義上の所有としてやはりイギリス国内で使われる。こうしていくら黒字を出してもインドは豊かになれなかった。そして、赤字を出し続けたイギリスは、これを尻目に繁栄を謳歌できた。

 このイギリスとインドの関係は、そっくり現在のアメリカと日本の関係だと言ってもよい。経済同友会元副代表幹事の三國陽夫さんは、「黒字亡国」(文春新書)にこう書いている:


輸出拡大によっていくら日本が黒字を蓄積しても、それはアメリカ国内にあるアメリカの銀行にドルで預け入れ、アメリカ国内に貸し置かれる。日本からの預金は、アメリカにしてみれば資金調達である。貸し出しなどに自由に使うことができる。

 日本は稼いだ黒字にふさわしい恩恵に与らないどころか、輸出関連産業を除いて国内消費は慢性的な停滞に喘いでいる。停滞の原因であるデフレはなかなか出口が見えない。

 日本の黒字がドルとして流入したアメリカはどうなのか。ドルはアメリカの銀行から金融市場を経由して広く行き渡り、アメリカ経済の拡大のために投下されている。日本の黒字は結局、アメリカが垂れ流す赤字の穴埋めをし、しかもアメリカの景気の底上げに貢献しているのである。・・・

 輸出で稼いだ黒字を日本がドルでアメリカに預け、日本の利益ではなく、アメリカの利益に貢献している限り、円高圧力もデフレ圧力も弱まることなく、政府・日銀がいくら財政支出や金融緩和というデフレ解消策を講じても、一向に持続性ある効果は現れないのである.
http://www.asyura2.com/0601/hasan45/msg/253.html


インド,日本そしてその次は?  


アメリカ政府も大資本も日本のマネーを吸い取っているのです。アメリカの日本経済研究者の間には次のような見方が強いそうです。

―『2015年くらいまで、日本の金を使ってアメリカの繁栄を支える。2015年になれば日本の金は尽きてしまう。その時は中国とインドをアメリカ財政の補給源にする』

「2020年の世界」という2004年秋に作られたアメリカ政府部内のリポートには、「2020年にはアメリカのパートナーは中国とインドだ」と書かれています。 つい先日、アメリカの著名な大学教授がNHK・BSで「中国とインドがアメリカのパートナーだ」と明言したということです。アメリカの有力な経済人も同趣旨の発言をしています。

アメリカは日本の富を緻密に計算して「2015年限界説」を述べているのでしょう。日本はアメリカによって使い捨てにされようとしているのです。
http://wanderer.exblog.jp/4632381/

2016年 04月 20日:トランプ氏は正しい、自由貿易は米国民を殺す

Robert L. Borosage


[14日 ロイター] - 2016年の米大統領選に向けた政治論争のなかで、通商政策が焦点となっている。共和党指名争いでトップを走る不動産王ドナルド・トランプ氏は中国からの輸入品に45%の関税を主張している。

また、民主党指名を目指すバーニー・サンダース上院議員からのプレッシャーを受け、ヒラリー・クリントン前国務長官まで、オバマ米大統領が進める環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に反対している。同氏は以前、貿易協定の「模範」とまで称賛していたにもかかわらずだ。

いま明らかになりつつあるのは、米国のグローバル通商政策・関税政策がいかに破壊的なものだったかという点だ。確かに、輸入品の価格低下とその多様化は、米国民に恩恵を与えた。だが、その一方で米国は過去に類を見ないほどの貿易赤字を抱えており、その額は現在、年間約5000億ドル(約54.5兆円)、すなわちGDP(国内総生産)の約3%に相当する。

中国との貿易に限っても、米国は1990年から2010年までに、推定240万人の雇用を失っている。対中貿易収支も、記録を開始して以来となる過去最大の赤字である。企業は人件費が安く環境保護・消費者保護の規制がほとんどない中国のような国々へ良質な雇用を移転させてしまい、米国には地域社会が丸ごと荒廃してしまった例がいくつもある。

エコノミストの試算によれば、人件費の安い国々との貿易に伴い、米国のブルーカラー労働者の賃金は年間約1800ドル低下してしまったという。解雇された労働者は所得も家も失い、結婚もできず、希望を失っている。次の職を見つけるために驚くほど長期にわたって苦労したあげくに、多くは以前よりも低い収入の職に就かざるを得ない。

貿易協定による恩恵の大部分は、企業のバランスシートを改善し、投資家、経営上層部を潤わせる。一方で労働者は、所得も、雇用の安定も、力も失っている。

では、米国の新たな通商政策とはどのようなものだろうか。

第1に、批准待ちの状態になっているTPPを放棄し、現在進行中の環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)の交渉を中断することにより、最近の貿易協定のテンプレート(ひな形)とは縁を切ることだ。

新たな通商政策は、今までとは異なる原理に基づくものになる。ハーバード大学ケネディスクールで国際政治経済学を研究するダニ・ロドリック教授が主張するように、貿易は、それ自体が目的ではなく、手段として見なされるべきだ。連邦政府は、米国が、そして他国が、自身の価値観を追求できるような貿易システムを模索すべきなのである。

良識あるシステムの下では、各国は労働者の権利保護や環境関連法制など、自国の社会的な取り決めを守っていけるだろう。議会は、貿易協定について明確な目標を定め、何を交渉の対象とするかを決定する権限を取り戻し、進行中の交渉内容を知ることができるようになる。大統領に秘密交渉を認め、議会は合意内容を修正できずに賛否だけを表明せざるを得なくなるファストトラック権限は撤回されるだろう。

また、貿易協議の実質も大きく変わるだろう。たとえば、製薬会社の特許権の執行に関する詳細な交渉の代わりに、労働者に影響を与える差し迫った問題が新たに注目を集めることになる。「パナマ文書」が暴露した租税回避スキャンダルが裏付けているように、グローバル企業に対する課税の強化と調和、タックスヘイブン(租税回避地)の閉鎖と協調的な税務執行が交渉の中心になるだろう。気候変動対策としてグローバルな炭素排出価格の設定推進も優先課題になる。各国が通貨操作に対して報復する権限を与えることも重要だ。

経済政策研究センターのディーン・ベイカー共同所長が提案する取り組みとして、医師、歯科医師、弁護士の過剰な所得を守っている障壁の排除がある。海外で訓練を受けた医師や歯科医師が米国で開業できるようになれば、年間900億ドル、1人あたり約300ドルの医療費が節約できるとベイカー氏は試算している。

また国際的な交渉によって、医療研究に対する公的な直接融資を行うグローバル基金が誕生する可能性もある。研究の成果はパブリックドメインのままとなる。ベイカー氏の試算では、米国において、医薬品のコストが下がれば、年間3600億ドル、対GDP比で2%、1人あたり約1100ドルの節約になるという。これはTPP推進派が同協定から得られるとする恩恵よりもはるかに大きい。

下院最大の議員連盟として70名以上が参加する「進歩的議員連盟」は、思慮に富む代替的な包括通商政策を提示している。この計画では貿易の拡大、ただしバランスの良い貿易を目標として掲げている。米大統領の立場から、米国が5年間で貿易収支をほぼ均衡状態にまで持っていくことを計画していると発表することもできる。そうすれば貿易黒字を抱える諸国は、国内需要を増やし、輸出主導の成長への依存を低下させなければならないと気づくだろう。またグローバル企業も、もし米国市場にアクセスしたければ、米国内でもっと投資した方がいいことに気がつくはずだ。

より均衡のとれた貿易を求める声は、2009年の金融危機発生後に開催された主要20カ国・地域(G20)会合でも支持されていた。だがドイツと中国が危機を脱するために輸出に力を入れたことで、この合意は長続きしなかった。

貿易収支均衡は、かつて著名投資家ウォーレン・バフェット氏が提唱したように、トレードバウチャー制度によって実現することも可能だ。一定の額の財を輸入する権利を企業に与え、毎年その額を予想輸出額に近づけていく仕組みだ。または、米国の主要貿易相手国について、米国が遵守すべき貿易赤字の上限をそれぞれ定めてもいい。そうすれば貿易相手国には、輸入増加と輸出削減を迫るプレッシャーがかかり、さもなければ事実上の関税として作用する課徴金を支払うことになる。

第2に、議連が提案する計画には、労働者の権利、人権、消費者保護、環境保護を実現する手段を詳述している。これらの課題について各国がその希望に応じてより厳しい法制を定める権利も保護される。貿易協定によって必須医薬品に対する妥当な価格でのアクセスが確保されることも必要とされる。こうなれば、特許による保護を拡大しようとする製薬会社の企ても抑制されるだろう。

第3に、議連の計画では、貿易協定が「国家としての権利」を尊重することを求めている。これを実現するために、投資家対国家間の紛争解決制度(ISD制度)は撤廃され、グローバル投資家は各国の法制度に依拠せざるをえなくなる。グローバル企業が腐敗した国内制度に懸念を持つのであれば、自家保険をかけるか、別の国に投資すればいい。

また計画は、政府調達に関する「米国製品優先購入(バイ・アメリカン)」政策を拡大し、擁護することになる。自分が納めた税金が、世界中の雇用を支えるためではなく、自国の雇用を支えるために使われることを要求できるようにすべきなのだ。

第4に、実はこの計画は、自由貿易主義者が理屈のうえで支持していることをうまく達成することになる。つまり、グローバル貿易の勝者が敗者に補償を与えるということだ。

失業した米国の労働者は、拡大貿易調整支援法に基づく支援を得られる。以前より賃金の低い仕事に就かざるを得なければ、拡大された失業給付・賃金保険を受けられる。新たなイニシアチブでは、工場閉鎖によって打撃を被った地域社会に対する的確な支援が提供されるだろう。米国よりも労働者の賃金が高いデンマークとドイツでは、労働者が貿易システムの犠牲にならないよう、米国よりはるかに多くのリソースを高度な研修・就職斡旋プログラムに投じている。

明快な産業戦略も、より均衡のとれた貿易のためにプラスになる。すなわち、すでに世界を席巻しつつある「グリーン産業革命」に欠かせない製品の発明、製造、販売における優位を生かすことに特化した戦略である。

米政府の現在のシステムの支持者は、自由貿易か保護主義かという選択を装っている。だが、現在のような貿易協定は自由貿易を生み出すものではない。特定の利権のための選択的な保護を行っているだけだ。米国の破滅的な貿易赤字は、グローバリゼーションの避けがたい帰結ではなく、通商・関税政策の意図した結果なのである。


サンダース、トランプ両候補は、米国の現在の針路の愚かしさを暴くのに貢献した。

我が国の通商政策は、少数の利益に有利なルールの典型的な例である。労働者が不利になり、CEOたちがますます高額の所得を得るなかで、エコノミストたちも、米国の異常なまでの格差拡大に彼らが直接貢献していることを認めるようになっている。進歩的議員連盟の提案は、理にかなった代替案が可能であることを示している。米国の現在の窮状は、政治と権力の問題であり、運命ではないのだ。


*筆者は進歩主義的な米シンクタンク「Institute for America’s Future」の設立者。姉妹団体「Campaign for America’s Future」の共同ディレクターも務める。
http://jp.reuters.com/article/borosage-trade-idJPKCN0XH05T?sp=true


三教授のサマーズ論の解説 14/7/28(807号)


•サマーズとトマ・ピケティへの大きな反響

本誌14/6/30(第803号)「サマーズとトマ・ピケティ」
http://www.adpweb.com/eco/eco803.html


で取上げた、米国経済の長期停滞論が日本でも注目され始めた。サマーズ元財務長官は消費や投資の減少などで、米国経済が長期停滞に陥ると警告している。この話は、筆者が本誌にこれまで述べてきたことに合致するところが多い(筆者は長期停滞論に関してこの他にいくつかの原因を仮説として提示している)。

サマーズ氏は、この対策として米国のインフラの大改修や成長産業への投資促進策を提言している。またフランスの経済学者のトマ・ピケティは所得格差の拡大が全体の消費を抑え需要不足を生むと指摘している(この点についてサマーズも同じことを言っている)。両者の主張は欧米で反響を呼んでいる。長期停滞論に人々が何となく共感を覚えるからであろう。リーマンショック後の落込みから日・米・欧の経済は、程度の差はあるが回復基調にある。しかし期待したほどの力強い回復ではないと人々は感じている。


先進国においてこれまでの経済論壇の主流派(つまり古典派、新古典派経済学)の議論は、もっぱら供給サイドを重視するものであった。例えば職業訓練によって労働市場のミスマッチをなくすといったものである。また彼等、主流派は供給サイド重視の観点から、潜在成長率を高めることを主張してきた。このためには規制緩和による構造改革が必要と言い続けている。

一方、サマーズとトマ・ピケティは消費と投資の不振による需要不足を問題にしている。ただ各国政府も全く需要サイドを無視してきたわけではない。実際、リーマンショック後の急激な経済の落込みに対して、財政出動などによる需要創出政策を実施した。しかしギリシャの財政危機が起り、各国は一転して緊縮財政に転じた。英国は付加価値税、そして日本は消費税を増税し、また米国は軍事費などの財政支出を削減している。


ところでIMFは14年の先進国の需給(デフレ)ギャップが110兆円(GDPの2.2%に相当)と推計している(しかし筆者はこれを小さ過ぎると指摘した)。サマーズは米国のGDPは潜在GDPを10%も下回っていると主張している。ところが日本では内閣府がデフレギャプを0.2%、日銀はなんとデフレギャツプが解消し、逆にインフレギャップが0.6%生じていると実にばかげたことを言っている。これも主流派(供給サイド重視派)の影響であろう。

実際、現実を見れば欧州は若者の失業率が10%を越えており、設備投資も盛上がりに欠けている。米国も失業率は低下しているが、非正規雇用が増えているだけである。各国政府は、この状況を見て苦慮している。しかし財政が逼迫していると思い込んでいるので、財政政策は打てず、もっぱら金融緩和に頼っているのが現状である。ところがトマ・ピケティは、今日の状況においての金融緩和はさらに所得格差を拡大すると批判している。

筆者は、経済論壇の主流派が世間から相手にされなくなる時期が近付いていると見ている。サマーズやトマ・ピケティの説が全て正しいかどうかは別にして、需要サイド重視という考えが、世間に何か新鮮なものと受取られている。これも今日の経済論壇の主流派がボロボロになっているからであろう。


サマーズやトマ・ピケティの主張は、当たり前のことと筆者は考える。需要があれば経済は成長し、需要が不足すれば経済は停滞する。したがって先週号で取上げたように需要が旺盛な新興国や途上国は、条件さえ揃えば高い経済成長が可能である。

逆に供給サイドがネックになって経済成長が出来ないなんて、例外的なケースである。過度に一次産品に依存し製造業が貧弱な、ブラジルやアルゼンチンなどの南米諸国やロシア、そして近代産業のほとんどない途上国の一部などに限られる(一方、少し前の中国なんて一週間に電気が3日間しか供給されない状況で高い経済成長を続けてきた)。この限られた国々にしか適用できない主流派経済学のポンコツ理論で、成熟した日・米・欧の経済を分析し経済政策を進めようとしてきたことがそもそもの間違いだったのである。


•日経新聞のサマーズ理論の解説

昨年11月サマーズはIMFの会議で長期停滞論を初めて論じ注目された。IMFは元々経済論壇の主流派色(つまり古典派、新古典派経済学)が強い機関である。このIMFでさえ先進国全体でデフレギャップを前述の通り110兆円と推計している。たしかにこの数字は異常に小さいが(サマーズは米国のデフレギャップをGDPの10%としているので、米国だけで110兆円なんて軽く越える)、IMFでさえデフレギャプの存在を認め問題にしたことに意味がある。ちなみにデフレかどうかは、このデフレギャップで見るべきなのに、ポンコツエコノミスト達はいまだに物価の上がり下がりで見ようとする。

本来、長期停滞論は日本で言い出すべきものである。ところがバブル崩壊後、何を勘違いしたのか日本では供給サイド重視の論調が一斉を風靡し、今日でもこの路線が続いている。逆に日本では、サマーズ氏のような需要サイド重視や積極財政を唱える経済学者やエコノミストがほとんど排斥されて行った。

ところが欧米経済も日本経済を追い掛けるようにデフレが深刻になったのである。ようやく欧米もデフレに真面目に取組もうという雰囲気が出てきたのである。この先駆けとなっているのがサマーズとトマ・ピケティと筆者は捉えている。


情けないのが日本の経済論壇であり、いつも米国の経済学の流行りを追い掛けるしか能がないのである(人材不足が深刻)。おそらく米国の経済論壇で需要サイド重視の流れが定着すれば、日本も追随する可能性がある。そしてその徴候が既に出ていると見られる。

7月26日発行の週刊東洋経済は、トマ・ピケティの特集を組んでいる。また日経新聞は7月14日から3日間に渡り、サマーズの長期停滞説を経済学教室で取上げている。経済論壇の主流派(古典派、新古典派経済学)色が極めて強い、つまり供給サイド重視一辺倒の日経がサマーズの長期停滞論を取上げたのには筆者も驚いた。


3日間の執筆者は、福田慎一東大教授、池尾和人慶応教授、そして岡崎哲二東大教授である。3氏ともサマーズ氏が需要不足を根拠に長期停滞論を展開していることを紹介している。ただ岡崎氏だけは、米国の投資率(GDP比率)はまだ15%程度とまだ比較的高く投資と実質金利の関係では米国の停滞説は早計と見なしている。

ただ三氏とも長期停滞という点では日本の方が事態は深刻という分析をしている。それなら、何故、これまで日本で需要不足に起因する長期停滞を警戒する声が出なかったのかという話になる。やはりこれも米国が動かなければ日本は動かないという情けない図式なのであろう。


しかし三氏ともサマーズ氏の総需要政策には必ずしも賛同していない。今日のような過度の金融緩和状態での需要政策は、バブルを発生させると三氏は主張している。筆者は現状では簡単にバブルが起るとは考えないが、中には先走りしてバブル崩壊の惨状を説いている者までいる(福田教授)。

三教授は、サマーズ氏の長期停滞論を受けた対策をそれぞれ提示している。少子高齢化と財政健全化に正面から向き合って経済の構造を改革することが急務(福田教授)。サマーズ氏は成長戦略に消極的であるが、政治的忍耐力を持って成長戦略を実行(池尾教授)。高齢化社会に適合する経済構造への移行(岡崎教授)。それにしても「これらは一体何だ」といった惨めな政策のオンパレードである(対策を思いつかないのなら「ない」と言えば良い)。三教授の対策を見ると、やはり今日の日本の経済学者にサマーズ論の解説は無理だったようである。

日経新聞がサマーズ氏の長期停滞論を取上げたので筆者も日経も少しは変わったのかと思った。しかし23日の「エコノミクス・トレンド」では、柳川東大教授が「供給能力の天井 克服を」とまさに供給サイド重視一辺倒の文章を書いている。柳川氏はサマーズ氏の長期停滞論を引用しながらこれを書いているのだから驚く。また24日には「大機小機欄」に隅田川氏が同様の論調で間抜けなコラムを書いている。

そもそも日本経済は需要の天井にぶつかっても、供給の天井にぶつかることは百パーセントない(三教授でさえ日本のデフレが一番深刻と言っているではないか)。現実の経済の実態を知らずに経済を論ずる人々は幸せである。どうも日経新聞は、リハビリ程度では治らないほどの重病である。
http://www.adpweb.com/eco/


経済コラムマガジン 16/10/24(913号)


落日の構造改革派


•スッポリ抜けているもの

日本経済は低成長が続いている。筆者達はこの原因を需要不足と分析している。この主な要因は、日本で30才台、40才台の「消費年齢世代」の人口が減少していることである(需要不足なのだから「生産年齢世代」の人口の減少は主な問題ではない)。また所得(可処分所得)が伸びないこともこの一つの要因になっている。さらに他にも需要不足の要因は色々と考えられるが、ここではこれ以上の言及は省略する。

これに対して、低成長の原因は需要サイドではなく、日本の供給サイドに問題があるからと主張する者が実に多い。この考えから導き出される対策は日本の構造改革ということになる。先週号で述べたように、この構造改革派によとって、筆者達が主張する財政支出による需要創出政策は、むしろ日本の構造改革にとって邪魔であり障害になるらしい。


構造改革派の発想は古典派経済学理論(新古典派経済学を含む)に根ざしている。いわゆる「セイの法則」、つまり作ったものは全て売れるという法則が成立つ世界である。したがってもし売れ残りや失業が生じるなら供給サイドに問題があるということになる。具体的には生産設備が陳腐化していて製品が時代に合わないとか、労働者の質に問題があるということになる。

構造改革派の対策は、まず規制緩和などによる競争政策の強化ということになる。これによって劣化した生産設備やゾンビ企業の退出を促すことになる。また技術的に劣る労働者には教育・訓練を施すということになる。これらの話は、構造改革派に染まっている日経新聞などのメディアでもよく見かける。


構造改革派の経済成長理論の支柱となっている定式がある。それについて

08/9/15(第541号)「経済成長の定式(モデル)」
http://www.adpweb.com/eco/eco541.html

14/7/7(第804号)「経済成長の三つのパターン」
http://www.adpweb.com/eco/eco804.html


などで説明した。

これは経済学の教科書に載っている

g(経済成長率)=s(貯蓄率)/v(資本係数)+ n(労働人口増加率)

である

(これに技術進歩を加味すると

g(経済成長率)=s(貯蓄率)/v(資本係数)+n(労働人口増加率)+t(技術進歩)

になる)。

したがってs(貯蓄率)が一定なら、経済成長率を大きくするには合理化などによって資本係数を小さくし、労働者に教育・訓練を施し労働投入量を増やせば経済は成長することになる。

上記の経済成長理論の定式は、一見正しく当たり前のように感じる。ところがこれには「スッポリ抜けているもの」がある。それは「需要」である。もし需要不足が常態化しているなら、上記の定式は何の意味もない。つまり構造改革派は、需要サイドを全く見ていないのである。まさに「作ったものは全て売れる」という「セイの法則」の世界にいる。このように構造改革派の経済理論は著しく現実離れしている。


ところが安倍政権の登場で状況は一変した。安倍政権は第一の政策をデフレ経済からの脱却とした。つまりデフレギャップの存在を公式に認め、この解消を第一の政策目標に置いたのである。政府機関も渋々とデフレギャップの存在を認めるようになった。

ところが政府機関の公表するデフレギャップはいつも1〜2%と異常に小さい。これは

16/8/1(第902号)「大きな車はゆっくり回る」
http://www.adpweb.com/eco/eco902.html


で述べたように、デフレギャップの算出に「可変NAIRUアプローチ」という浮き世離れした手法を採っているからである。またデフレギャップ異常が小さいため、潜在成長率も異常に小さく算出されている。

筆者達は、ヘリコプター・マネーによる需要創出政策を唱えている。しかし構造改革派に染まった日本の経済の論客は、デフレギャップが小さいのだからたちまち日本経済にインフレが起り物価が高騰すると脅かすのである。これもヘリコプター・マネー政策への一つの雑音である。


•有り得ないデフレギャップの1〜2%

日本経済の成長率を高めるには、生産性の向上しかないという話をよく聞く。この根拠は潜在成長率がこれだけ小さくなっているのだから、生産性を上げる他はないというのである。具体的には規制緩和によって競争を活発にすることや生産工程への新機軸の導入、そして労働者の教育・訓練などである。ちなみに本誌では過去

01/9/10(第221号)「「生産性」と「セイサンセイ」の話」
http://www.adpweb.com/eco/eco221.html


で、この話を取上げたことがある。

しかしこれらの全てが前段で紹介した構造改革派のセリフと一致する。つまり生産性を上げるということは構造改革を実施することと同じ意味である。言い方を変えると構造改革を行うことによって生産性が上がるという話である。

たしかに国全体ではなく一つの企業で考えると、注文が殺到し生産が間に合わない場合は生産工程の改善(新機軸の導入などを含め)や従業員の教育・訓練が必要になってくる。つまりこの生産性の向上によって注文増に対応するということは有りうる。しかし反対に注文が少なくなるケースが有りうる。この時にはリストラによる生産性の向上という方法が考えられる。また場合によっては不採算部門の整理といういうことが必要になる。


しかし一国の経済を考える場合と一企業を対象にする場合では事情が異なることがある。たしかに国全体の需要が伸びている時代なら、国も企業もやるべきことは似ている。言っているように生産性の向上ということになる。企業はこれによって限られた生産資源(生産設備と労働者)をより効率的に使って最大限の生産を行うのである。国はこの動きを税制などで支援することになる。

ところが今日のようなデフレ経済で需要不足が常態化している現状では、国と企業では利害が異なるといった事態が起る。例えば企業は売上が落ちれば、当然、前述のような生産性の向上のためリストラを考える。しかし国にとって企業のリストラによる失業者の増加は由々しき問題となる。


このように構造改革派の論客は、経済の高度成長期のように需要がどんどん増える時に適合したかもしれない稚拙な経済理論(供給サイドの重視)を、慢性的な需要不足が続く今日の日本にも適用しようとしているのである。筆者はこのことを間違っているとずっと言って来た。

精一杯優しく言えば、構造改革派の面々は現実の経済に疎い「おバカ」の集りということになる。少しでも現実の経済を知っているなら、1〜2%のデフレギャップとかほとんどゼロの潜在成長率といった現実離れしたことは決して言わない。本当にデフレギャップが1〜2%なら、景気は超過熱状態であることを意味する。そのような状況ならほとんどの生産設備の稼働率は100%であり、商店やデパートの店先には買い物客が殺到し長い行列を作っているはずである(終戦直後の日本や旧ソ連時代の店頭と同じように)。

また本当にデフレギャップが1〜2%なら、どの企業や商店ではこれ以上売ることのできる製品や商品の在庫がなくなっていて、営業担当者のほとんどの仕事は注文を断ることになっているはずである。したがって販売促進のための広告・宣伝なんてとんでもないことである。このように「可変NAIRUアプローチ」によって導き出されるデフレギャップの数字はばかばかしく有り得ないものである。


さすがに構造改革派の中にも、段々と問題は供給サイドだけでなく、需要サイドにもあるのではないかと考える者が現れるようになった(日本の供給サイドは特に大きな問題がないと筆者は見ている)。明らかに構造改革派は落日を迎えている。しかしいきなり財政支出による需要創出というわけには行かない。筆者の記憶では、最初に需要サイドに着目した構造改革派は「霞ヶ関埋蔵金」を問題にした人々である(埋蔵金を使っての需要創出をしろと主張)。

その次は外国人観光客の誘致を唱える人々である。これは外国人観光客の買い物による需要増を狙っている。そして最近ではTPP締結が注目されている。ところでアベノミクスの第三の矢である「成長戦略」の柱は規制緩和などによる構造改革だったはずである。ところが奇妙なことに最近になって「成長戦略」の第一はTPPという話が出るようになっている。これは TPP による輸出増が狙いである。

このように外国人観光客の誘致やTPPの目的は需要増といっても外需の増加ということになる。たしかに構造改革よる供給サイドの強化といった現実離れした考えからは、これらはいくらか進歩していると言える。しかしこれに対して筆者達は、これ以上外需依存を高めるのではなく(外需依存はいずれ円高で苦しむことになる)、財政政策(ヘリコプター・マネーなどによる)による内需拡大政策を主張しているのである
http://www.adpweb.com/eco/


貯蓄と貧困 再論(セイの法則をめぐって)
http://www.asyura2.com/11/hasan72/msg/908.html

経済学には、売り切れる経済学と、売りきれない経済学がある。

(私の説明がつたなくて何のことを言っているのかわからないという方がいらっしゃるかもしれないので、

小室直樹『資本主義のためのイノベーション(革新)』
http://www.amazon.co.jp/%E5%B0%8F%E5%AE%A4%E7%9B%B4%E6%A8%B9-%E7%B5%8C%E6%B8%88%E3%82%BC%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%AB-%E8%B3%87%E6%9C%AC%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E9%9D%A9%E6%96%B0-%E5%B0%8F%E5%AE%A4-%E7%9B%B4%E6%A8%B9/dp/4822229025


から、

第4章 イノベーション(革新)理解のための経済原論 の冒頭部 
−「有効需要の原理」と「セイの法則」だけ分かれば、あなたも立派な経済学者− 
を数ページこちらに引用→ (『情況へ…shn』19.1小室直樹)しておきます。

「経済学は、アダム・スミスから始まり今日にいたる古典派とケインズ派とからなる。古典派は自由放任を唱え市場万能論者である。ケインズは古典派を批判した。本章は中学1年程度の数学で理解できる。」だそうです。)


売り切れる経済学とは古典派で、セイの法則が成立するとします。

セイの法則を小室直樹は少し長く説明していますが、私が昔読んだときにはもっと単純な説明であったと思います。

"supply creates its own demand"、供給は自分自身に対する需要を生み出す。

一番単純な例を考えると、床屋さんの商品は散髪することで、散髪料金が2500円なら、一人散髪をすると2500円の収入が発生する。市場に或る商品を提供すると、同額の収入がもたらされる。少し複雑な場合を考えると、120万円のトヨタカローラが一台売れると120万円の収入がもたらされる。120万円は土地(自然)、労働、資本という生産の三要素にそれぞれ地代、賃金、利潤として支払われ、それらは地主、労働者、資本家の収入になる。商品の総額と収入の総額は等しい。

ここまでは当たり前で、ケインズ派もマルクス派もだれも反対しない。
ここから先が違う。

古典派は、人は商品を売って収入を得てそれで何かを買い(消費)、残りは必ず投資するだろう、と考える。自分で投資しないときは人に貸し、借りた人はただ利子を払うのではなく必ず投資する。500兆円の商品が市場にもたらされるときは500兆円の収入が発生し、それは必ず500兆円の需要になる。収入は必ず支出される。ため込まれてしまうことはない。だからたとえ市場の一部で売れ残りが発生してもそれと同額の購買力が他方に残っているのだから、市場に任せておけば必ず売り切れるように市場自身が調整する。…

マルクスは、資本主義においては「売り」は強制されるが「買い」は強制されない、だから必ず「買い」が不足する、と批判しました。売り上げを握りしめて模様眺めをすることだってできるわけです。

ケインズは流動性選好という言葉で説明しています。

たとえば「投機」目的のためには自分の収入をなるべく現金に近い形で(流動性の高い形で)持っている必要がある。すると、収入が現金で持たれている分だけ商品が売れ残り、失業が発生する。

収入が貯蓄され、貯蓄が投資されずに溜め込まれると失業、貧困が発生する。

ここまで説明すると必ずと言っていいほど

いや、「三面等価の法則」があって、必ず売り切れることになっているのだ、というコメントが寄せられるのですが、「三面等価の法則」というものはない、あるのは「三面等価の原則」なのだそうです。

野口悠紀雄もたしかビデオニュースドットコムで「貯蓄が失業の原因だという考えがあるが」と意見を求められて「三面等価の法則があって、売り切れるのです」と答えていました。

三面等価の原則に関してはこちらがわかりやすくまとめられています。
→   http://free-learning.org/?page_id=390#05

検索する場合は、フリーラーニング→速習マクロ経済学→part2国民経済計算−日本経済をどう測る?→第5回 三面等価の原則 です。


テキストでは

「三面等価の原則は統計上の操作を行うことによって常に成立する統計上の原則にすぎません。しかし、この原則より、現実経済の需要と供給も等しいと勘ちがいする人が多いので気を付けましょう。」

と中扉で注意を呼びかけられています。(石川秀樹 「速習!マクロ経済学」65ページ)

その「三面等価の原則」というのは

 (生産面からみると)国内総生産・500兆円
=(分配面からみると)国内総収入・500兆円
=(支出面からみると)国内総支出・500兆円

ですが

「国内総生産より、国内総支出が小さい場合、生産した分より支出が少ないので、ものが売れ残り、倉庫に売れ残り品が増えます。ところが統計上は、この売れ残った分は、その作った企業が支出したと考え、在庫品増加という項目にして国内総支出に加えるのです。(中略)

 このように考えれば、統計上は、支出面の国民所得(国内総支出)と生産面の国民所得(国内総生産)とは常に等しくなります。」

「しかし、これは、統計上は、売れ残った分は作った企業が支出して買ったことにしてしまうので、等しくなるというだけで、現実の生産量と需要量(支出額)が等しく売れ残りがないということではありません。」(同67ページ)

個々ばらばらの生産額の数字を集計すると、個々ばらばらの収入額の合計とは誤差や漏れがあって必ずしも一致するとは限らないから、統計上はその数字をそろえる、というのはわかる。しかし総支出額も操作して揃えてしまうというのは一種のトリック、インチキで、「勘ちがいする・させる」の元になるのではないか。

貯蓄の一部が投資されないでため込まれると商品が売れ残り失業が発生するからその分を(政府が)新たに投資しなければいけない、と話を進めると

「売れ残り在庫は在庫投資という投資だから、投資しているのだ」

という反論が寄せられたことがあったのですが、それが「勘ちがい」なのでしょう。

で、野口悠紀雄もその勘ちがいをしている一人なのでしょうか。

例えば薄型テレビ業界に参入するために1000億円をかけて工場を建てた、労働者も雇った、部品も仕入れた、これが1000億円の投資だ。一方、売れるはずの見込みが外れて10万円のテレビ100万台が売れ残ってしまった、これが1000億円の在庫だ。この二つが同じだ、投資だ、という人にまともな経済運営は可能なのでしょうか。

結局小室直樹の結論も一緒で、貯蓄が投資されずに溜め込まれると失業が発生する。

だから貯蓄を吸収しきるだけの国債を発行して公共事業をするなり、「何とか手当」という口実を作ってお金を使いたいという人にばらまけば売れ残りが一掃されて市場の機能が回復する。市場を否定するのではなくて、市場の機能を回復させるために、貯蓄分をプラスマイナスでゼロにするだけのバラマキをしなければいけない。

または、初めから、お金を使う必要のない人にはお金が回らない所得体系にしなければいけない。

 また、いったん売れ残り・失業が発生すると、立場の弱い商品から投げ売りが始まる。

底辺の「労働力」は一番立場の弱い商品だから、すぐ値崩れが起こる。つまり貯蓄によって不当廉売を強いられることになる。すると、不当に安値を付けられた労働の買い手はその分不当な利益を得ることになる。
だから、アメリカ大統領選で語られたという「真面目」に働いて自分の生活を成り立たせてきた人間(53%の納税者)、対、「税金で食わしてもらっている人間」(47%非納税者)という対比そのものが不当なものだといえる。

労働力の供給に関する古典派・新古典派の理論では労働者は労働するかしないか自分で選べることになっている。ある時間働いて得られる収入と、そのために失われる余暇とをはかりにかけていいほうを選ぶのだという。そんな労働者を見たことがあるか。それはまるで食べるには事欠かない親がかりの学生アルバイトだ。

 ならば国民一人当たり100万円のベーシックインカムを保証して働くか働かないか自由に選べるという条件を作り出せば古典派・新古典派の市場の理論が実現するといえる。

(「セーの法則」を眺めていたらこんなことも言えるのではないか。

日本は労働賃金が高いから国際競争力が失われる。…

 ある業界で賃上げが行われ、計10兆円賃金が上がり、それがすべて価格に転嫁されて、国内の全商品の値段が計10兆円上がったとする。けれどその時、その商品を買う国民の総収入も10兆円増えているのだから、国民全体が損をするわけではない。損をするのは輸出業界だろう。輸出のために労働者の賃金を貧しい国並みに引き下げるというのは、本末転倒ではないか。

 特に農業問題でも同じだ。

 日本の農業が全体で10兆円の農産物を生産していたとする。しかし外国では同じものを8兆円で作っている。ならばといって日本の農家も値下げして8兆円で作ることにしたら、国民の総収入も2兆円減ってしまう。国民の利益が全体として増えるわけではない。

 その8兆円の農産物を輸入してしまったら、国民の総収入が8兆円失われ、8兆円の商品が売れ残り、8兆円分の失業が発生する。…)
http://www.asyura2.com/11/hasan72/msg/908.html

わたくし共は以前から「グローバリズム」(厳密には「日本国民を貧しくするグローバリズム」)を批判してきたのですが、アメリカでも似たような議論が起きています:


コラム:TPPで米国が払う自由貿易への代償 2015年 04月 13日


[10日 ロイター] - 自由貿易は米国政府の合言葉だ。オバマ政権が環太平洋連携協定(TPP)妥結に向け、政府に貿易交渉権限を委ねる「ファストトラック」と呼ばれる貿易促進権限(TPA)の取得に意欲を示すのは、政府の伝統の一部でもある。しかし、一連の証拠が示すところによると、発展途上の低所得国に通商上の完全な最恵国待遇を認めれば、往々にして米国のコスト負担になる。

エコノミストたちは自由貿易がもたらす大きな利益に関して、古典派経済学の基本原則である比較優位説を引き合いに出す。もし貿易相手国・地域が互いに最も得意な分野に集中すれば、最終的に双方が豊かになると主張するのだ。

米国は19世紀、その理論が誤りであることを証明した。欧州向けに鉄や綿花を輸出する一方で、「未発達な」自国の産業を保護するために高い関税を設けた。1890年代までに米国はほとんどの先進産業分野において英国を凌駕した。米国にとってそれが容易に達成できる目標であったのは、当時の英国が純粋な自由貿易の実現を頑なに目指していたためだ。

最新の研究は、相互に恩恵を及ぼす貿易およびオフショアリング(外国への業務移管・業務委託)の相手国と、そうではない相手国を分けて考える一助になる。貿易もしくはオフショアリングの相手国が先進国だった場合、米国の賃金は上昇する傾向にある。しかし、途上国が相手だった場合、とりわけ熟練度が低い労働者や中程度の労働者の賃金は低下する。

このような賃金の下落効果は製造業に限ったことではなく、他の業界の同じような職にも及ぶ。一般に製造業の賃金はサービス業より高い。しかし、輸入や生産の海外移転が増えると、製造業の雇用削減圧力は一段と強まり、職を失った労働者が従来より賃金の低いサービス業に移行するドミノ効果が生じる。こうして賃金の縮小は全体に及ぶのである。

賃金の低下圧力は、生産の海外移転よりも途上国からの輸入によりもたらされる場合の方がはるかに影響が大きい。それは中国が貿易相手国である場合に最も顕著に表れる。中国から輸入が10%増加した際に、米国の関連する職種の賃金は全体で6.6%低下した。さらに、ほぼ全てのケースにおいて賃金の低下は、とりわけ高卒未満の学歴しかない低所得労働者に最も厳しい打撃を与える。

米国の製造業の雇用者数は1970年後半にピークを迎え、その後全般的に減少傾向にある。しかし、中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した2000年が明らかに分岐点となった。そこから中国からの集中的かつ壊滅的な米国市場への製品流入が始まったのだ。

2000─2009年の間に米国は約600万人分の雇用を失った。これは2000年の雇用者の約3分の1に相当する。最近は緩やかな雇用回復がみられ、製造業で2010年以降に85万人の職が創出されたが、減少分を埋め合わせるには少なすぎる。

中でも破壊的なブランドとしての中国の競争力は軋轢を生んでいる。世界で最も効率性の高い製鉄会社の1つである米ニューコアの例を考えれば分かる。ダン・ディミッコ元最高経営責任者(CEO)によると、ニューコアが1トンの粗鋼生産に要する労働時間はわずか0.4時間、賃金にして約8─10ドルにすぎない。原料の大半はスクラップだ。一方、中国では割高な鉄鉱石を使用しているうえ、米国への出荷コストは1トン当たり約40ドルだ。

ディミッコ氏は近著「アメリカン・メード」の中で、仮に中国の労働コストがゼロだった場合でも、中国の製鉄業者が自国市場でニューコアより安値で販売することはできないと主張する。しかし、過去1年間のうち大半で、中国の低価格の鉄鋼製品は米国市場になだれを打って流入しており、ディミッコ氏は違法な「不当廉売(ダンピング)」の明らかな証拠だと指摘する。これに対して中国政府は当然のように、すべては公正な貿易ルールにのっとった行為だと主張している。

しかし、中国はわれわれと異なるルールに基づいて動いている。有力な製造業企業は大半が国有企業であり、資金調達から用地のリース、税制や燃料費まで共産党が決定するコストで提供されており、あらゆる形で政府の補助を受けているからだ。

さらに悪いことに中国政府は近年、欧州や米国企業に対し、大型契約の受注の条件として特許技術を移転するよう圧力を掛けている。

顕著な例は国有企業の中国商用飛機(CACC)と米航空・宇宙関連企業7社の間の提携だ。米国側では航空機大手ボーイングとゼネラル・エレクトリック(GE)が主導した。参加した米企業はすべて中国に対してかなりの特許技術を提供している。GEの重要資産である航空電子工学技術は契約の主要部分を占める。先進の航空工学技術は中国側が軍事面で強い関心を示した分野だ。GEは技術が軍事部門に漏えいすることはないと主張し、それに反する証拠が見つかった場合はプロジェクトすべてを終結すると約束している。当然のことだ。

中国のこれまでの実績を見ると楽観的にはなれない。中国は現在、世界最大の高速鉄道産業を有し、記録的なスピードで鉄道整備を推進する。独シーメンス、川崎重工業など先進国企業から車両を購入し、それらの技術を自社製品に応用するリバース・エンジニアリングを進めている。これらが標準的な手段となりつつあるのだ。中国に対するコンピューター供給契約の大半は、ベンダー側がソフトウエアの設計図に当たるソースコードのコピーを中国政府に提供することを義務付けている。どんなハイテク企業でも成功のカギを握るのはソースコードだ。

中国は偉大な国家であり、非凡な才能と勤勉な人民を抱える。しかし、政府の官僚機構には深刻な腐敗が露呈しており、官僚たちはルール対して口先だけの約束をすることもしばしばだ。数十年前に米国の鉄鋼会社が外国企業のダンピングに不服申し立てを行った時、これらの米企業はさらに進歩した競争相手からの保護措置を求めていると受け止めた人もいるかもしれない。だが、特にニューコアのような企業には、そうした見方はあてはまらない。

今こそ中国のような収奪的な競合相手に対して、法に基づく処方薬を投与すべき時だ。中国はTPP交渉に参加していないが、その急速な経済発展は途上国すべての目指す目標となりつつある。米国政府は、自国企業に対する公平な処遇を確保する備えができて初めて、新興国との自由貿易協定の検討を始めるべきだ。
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0N40JS20150413?sp=true

 グローバリズムに基づく自由貿易−ここでは「モノ・サービス」に限らず、「カネ(資本)」そして「ヒト(労働者)」の移動の自由化も含みますが−により先進国の国民は貧困化していきます。特に、グローバルスタンダードが確立した世界では、製品もサービスも、

「どこの国で作っても、同じような品質」

 になってしまうのです。


 よく、農業「改革」を叫ぶ人が「付加価値を高めて〜、世界で戦う〜」などと主張していますが、現実には困難です。グローバリズムにおいて、最も重要なのは「価格」なのです。

 というか、付加価値、付加価値言うなら、まずはあんたがやってみなさい。付加価値を高めて、価格差10倍をひっくり返してから言ってくれ、てなもんです。


 グローバリズムが進展した結果、先進国から雇用が失われるか、もしくは国内の雇用が「安い人件費」からの外国移民に奪われていきます。日本、西欧、北米の国民の実質賃金が下がり、貧困化し、世界は「フラット化する」ことになるわけです。


そもそも、先進国の企業の経営者が工場を外国に移転するのは、そちらの方が「儲かる」ためです。先進国側の労働者の雇用が失われ、彼らが稼いでいた所得が企業経営者、投資家、工場が移転された先の労働者、そして消費者に移転されます。すなわち、投資家からしてみれば「資本利益率」が最大化されるのです。


 本来、資本利益率の最大化は、「技術開発投資」「人材投資」そして「設備投資」という、国内における投資活動で実現されるべきものです。とはいえ、投資拡大は費用増でございますので、

「そんな無駄なことにカネを使うならば、外国に工場を移転して資本利益率を最大化せよ」

 これが、グローバル株主資本主義の決定的かつ最大の「危険」なのでございます。


 無論、資本を外国に移転すれば、短期的には利益が増えます。とはいえ、国内の投資が先細りになるため、中長期的には技術力が失われ、さらに国民が貧困化していきます。


 先進国は、次第に発展途上国化していきます。逆に、工場や技術が移転されてくる発展途上国は、次第に先進国の方向に近づきます。
 最終的には、世界がフラット化され、めでたし、めでたしという話です。


 勘弁してください・・・。


 申し訳ないですが、わたくしは世界の他の全ての国々が貧しいままだったとしても、日本国が繁栄し、国民が豊かになることを望みます。なぜなら、わたくしは日本国民であり、外国の国民ではないためです。しかも政治家でもありませんので、綺麗ごとを言う必要もないわけです。


 また、現在の先進国がグローバリズムの「進展度合いを引き下げ」(グローバリズムを批判すると、すぐ「鎖国するというのか!」とか言ってくる単純おバカさんがいるので、こう書いておきます)、自国の国民が豊かになる「黄金の四半世紀」と同じ路線に戻れば、先進国の国民のみならず、途上国の国民も潤うことになるでしょう。理由は、巨大で膨張する先進国の需要に対し、途上国側が「自国で発展させた技術、ノウハウに基づき生産した製品、サービス」を輸出していくことができるためです。


 外国資本が途上国にやってきて、工場を建設し、安い労働者をこき使いながら先進国に輸出するモデルでは、途上国側に真の意味で「供給能力」はつきません。つまりは正しい意味の「経済成長」は不可能なのです。


 中国は、それを理解しています。だからこそ、外国資本を招くときは、「えびす顔」を見せ、大歓迎し、自国に技術を移転させたら、「悪鬼の顔」となり、容赦なく追い出そうとするわけです。(逆に、取れるもの取れないうちは、追い出しませんが)


 短期の利益を追求した先進国(特に酷かったのが日本)の企業経営者たちは、中国の「やり方」にすっかり騙され、今や自国の安全保障を危機に陥れてしまったわけでございます。


 いずれにせよ、自由貿易一つとっても、話はシンプルではないのです。本エントリーに書かれている「情報」を頭にインプットするだけで、

「TPPは自由貿易です。自由だからやるんです(竹中平蔵氏が実際にわたくしに言ったセリフそのままです)」

 あるいは、

「比較優位論があるから、自由貿易は常に善」

 などと子供じみたことを主張し、グローバリズムやTPPを推進している連中が、いかに「危険か」が分かるでしょう?
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/

セイの仮説の呪縛 2015-06-04


 実体経済が失速する中、株価のみが上昇する。中央銀行の金融緩和にも関わらず、実体経済における投資が増えず、行き場を失ったおカネが証券市場に流れ込む。日本などの主要国と同じ現象が、中国でも起きています。


 もっとも、中国の株価上昇ペースは「極端に早い」ため、近々、2008年同様に上海株式市場が暴落する可能性は決して低くないと思います。上海総合指数の時価総額は、6月1日時点で対前年比2.37倍に膨張しました。


 上記の「実体経済が振るわない中、株価のみが上昇する現象」、すなわち所得と資産価値の乖離について、第一生命経済研究所の熊野英生氏が恐ろしく適切なコラムを書いていらっしゃったので、ご紹介。

『コラム:カネ余り第二幕、株価上昇の背景=熊野英生氏
http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPKBN0OI15Z20150602


熊野英生 第一生命経済研究所 首席エコノミスト

[東京 2日] - 2万円を突破した日経平均株価が、目先どんどん株価が上昇していきそうだというストーリーを合理的に説明することは、エコノミストにはつらいところだ。

 何しろ、最近の日本の経済指標は悪いものが目立つ。足元のファンダメンタルズだけでは説明しづらい。4月の消費支出が大きく減少し、生産統計も4―6月にかけて低調だ。5月上旬に発表された決算は良かったが、それは過去の業績拡大である。日本の景気は、「長い目でみて良くなっていく」と婉曲話法を用いて説明せざるを得ない。

そこで発想を逆転させて、「景気が足踏みするから余剰マネーが株価を押し上げている」と説明してみよう。すると、すっきりと説明できる。これは日本のみならず、米国や中国にも共通することだ。

 金融緩和の効果が効いているから、先行きの強気予想に基づき、資産価格の上昇が後押しされるという説明である。株価上昇は、マネタリーな要因なのだ。(後略)』

 ことは「経済学」の大元に関わります。


 実体経済において、経済学の前提である、

「供給が需要を創出する、セイの法則」

 ならぬ、

「セイの仮説」

 が成立しているならば、金融緩和により実体経済で投資が拡大するはずです。すなわち、企業が銀行融資を受け、投資を拡大するわけです。


 ところが、現在の世界(日本、ではありません)では需要が不足し、セイの仮説が全く成立していません。結果的に、金融緩和で銀行に「おカネを貸しやすくする」を実施しても、おカネは実体経済には向かいません。株式市場(あるいは土地)に向かい、資産価格を押し上げます。


 反対側で、実体経済の投資は活性化せず、つまりは「需要」が増えないため、GDPがマイナス成長になり(1−3月期のアメリカ)、乗用車生産が激減し(中国)、実質賃金が低迷を続ける(日本)というわけでございます。


 上記の「セイの仮説の誤り」に政策担当者が気が付き、需要創出策という適切な政策を打ってもよさそうなものですが、株価の上昇が「実体経済の不振を覆い隠してしまっている」というのが現状なのでございます。


 リーマンショック前も、ほぼ同じ現象が発生し、株価をはじめとする資産価格が大暴落し、実体経済を一気に痛めつけました。同じことが起きるのでしょうか。


 あるいは、このまま資産価格と所得の乖離が拡大していくのか。まさに、ピケティのいう「r>g」が継続するわけですが、そうなると「持続不可能な格差」が拡大し、社会は不安定化していかざるを得ないでしょう。


 いずれにせよ、主流派経済学の基盤となっている「セイの仮説」は、まさに呪いとして機能してしまっています。各国は、早急にこの「セイの仮説の呪縛」を打ち払う必要があるのです。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12034756797.html

経済成長の三つのパターン 14/7/7(804号)

•経済成長の定式(モデル)

今週は、改めて経済成長のメカニズムについて述べる。このテーマはこれまで何回も取上げてきた。まず


08/9/15(第541号)「経済成長の定式(モデル)」
http://www.adpweb.com/eco/eco541.html


で説明したように、経済学の教科書には、

g(経済成長率)=s(貯蓄率)/v(資本係数)+n(労働人口増加率)

で示される経済成長の定式がある。


しかしこの定式が規定しているのは供給サイドである。

つまりこの定式は暗黙のうちに生産されるものが全て消費されることを想定している。

まさにこれは古典派経済学(新古典派を含め)の「セイの法則」の世界である。


しかしケインズは「セイの法則」が成立するのは特殊な状況においてのみと説明する。彼は古典派経済学がこのような特殊理論であることを証明するため「一般理論」を著したのである。

筆者も、「セイの法則」が通用するのは、生産力の極めて乏しかった大昔や大きな戦争で生産設備が徹底的に破壊されるといった特殊なケースに限られると認識している。


教科書で学ぶ経済成長理論は、事実上、古典派経済学の世界である。

上記の定式に従えば、経済成長率を大きくするには貯蓄率を大きくし、資本係数を小さくする必要がある。資本係数を小さくするには、技術進歩による生産性の向上や社会の構造改革ということになる。また労働人口を増やすことも有効ということになる。

しかしこれらは全て供給サイドの話であり、またこのg(経済成長率)は潜在的な成長率に過ぎない。したがってケインズの指摘したような需要不足が起れば、これは全く成立たない定式になる。

ところがほとんどの経済学者やエコノミスト(さらには多くの政治家やマスコミ人まで)は、今日でも役立たずのこの定式にしがみついている。

それどころか自分達がこの定式にしがみついているという事さえ理解していないのである。


筆者は、単純に需要があれば経済は成長し、反対に需要が減少すれば経済は停滞し、場合によってはマイナス成長になるとずっと主張してきた。つまり少なくとも今日の日本にとって、供給サイドの経済成長の定式なんかまるで関係がない。また世間に流布している経済成長への処方箋はほとんどが嘘である。

新興国や途上国が高い経済成長を続けているのは大きな需要があるからである。何もない途上国の人々には、物やサービスに対して飢餓感に似た大きな需要がある。たしかにこのような国には経済成長の定式が適用できるかもしれない。

実際、ある程度の条件(具体的には政治の安定や基礎的な国民教育など)が揃えば、今日、元々十分な需要がある新興国や途上国は経済成長を続けることができる。仮に資金が不足していても、投資機会が乏しくなった先進国から潤沢な余剰資金が流れてくる。つまり貯蓄の必要性は小さい。また技術がなくとも先進国から技術を伴った最新設備を導入することができる。

また経済発展に必要なインフラも、例えば携帯電話などの登場によってハードルが低くなっている(以前は電話線網の設置工事から始める必要があった)。要するに旺盛な需要さえあれば、どのような国でも経済成長は可能なのである。いずれにしても規制緩和や構造改革なんて経済成長にほとんど関係がない。


先進国の中で、米国は比較的高い経済成長を続けてきた。これについて筆者は

01/6/18(第212号)「需要があっての経済成長」
http://www.adpweb.com/eco/eco212.html


で米国の貯蓄率が低下していることに着目した分析を行った。しかし今になって思えばこれは不十分な説明だったと感じる。筆者は、米国に流入した膨大な移民(合法・違法を問わず)の影響をもっと考えるべきだったと今日思っている。

米国は先進国の中でもめずらしく人口増加率が大きな国である。これは移民の影響が大きい。特に移民の出生率は大きく、移民の代表であるヒスパニック系住民だけでも既に5,000万人(全人口の17%)を越えている。何千万もの移民の流入は、米国に新興国・途上国の一国が生まれたようなものである。何も持たずに米国へやってきたのだから移民には旺盛な需要がある。これによって

07/11/5(第503号)「米国のサブプライム問題」
http://www.adpweb.com/eco/eco503.html


他で述べたように、これまで米国の経済成長率がある程度かさ上げされてきたと筆者は考える。


•精神的に分裂状態

先週号でフランス経済学者のトマ・ピケティが、1930年代から1980年まで小さかった米国の経済格差が、1980年(レーガン大統領時代、つまり新保守主義台頭期)以降大きくなったと指摘した話をした。そして経済格差が大きくなると、国全体では貯蓄が増え経済成長にはマイナスに働くとトマ・ピケティは主張している。すなわち米国では特にヒスパニック系の移民が増えることによる需要増が、このマイナスを打ち消していたとも見られる。

ところが米国の比較的高い経済成長率は、レーガン大統領以降の規制緩和や構造改革のお陰と新古典派のエコノミストは間抜けたことを言い続けている。

彼等は、経済成長が需要で決まるということをどうしても認めたくないのである。

そして経済成長の定式から導かれる理論と「経済成長は需要が決める」という経済理論(筆者などが主張する)との間には大きな溝がある。

ここをはっきりさせず曖昧なまま日本で経済論議が進められてきた。これが原因で日本の経済学者やエコノミストが言っていることが分かりにくく混乱している。

経済学者は、学校で供給サイドの新古典派の経済成長理論の定式を教える。

ところが彼等は、実際の経済成長の実績や予想の分析には、内閣府が作成する経済成長の数値(速報値、改定値など)を使う。

この内閣府の数値は、供給サイドではなく需要サイドを積上げたものである。具体的には、個人消費、設備投資、公共投資、住宅投資、政府消費、在庫投資、そして純輸出(輸出−輸入)を合計したものである。


つまり彼等は、経済理論は供給サイドであるが、現実の経済分析は需要サイドで行うといった精神的に分裂状態である。

これを誤魔化すために、彼等は極めて悪質な細工を使う。

例えば需要と供給のギャップであるデフレギャップを異常に小さく算出するのである。


経済成長理論を構築したのは、ハロッドやサミュエルソンといったケインズの弟子達である。しかし彼等が作った経済成長の定式は、供給サイドだけに着目したものであり、事実上、需要サイドを無視している。

唯一需要サイドも考慮したのがハロッドである。ハロッドは、自分達が作った経済成長理論では、需給の不均衡に陥る危険性があることを認識していた(均衡点はナイフの刃の上を歩くように不安定と説いた)。今日の日本などの先進国の経済を見れば、ハロッドの認識が正しかったと言える。もっともサミュエルソンやソローなど当初新古典派と呼ばれた経済学者も後に考えを変えている。これについては来週号で触れる。


筆者は、経済発展段階によって適用できる経済成長のメカニズムは異なると考える。これを筆者は三つのパターンに分けて理解している。

一つは新興国や途上国のような十分な需要のある国のものであり、

もう一つは日本や欧州の先進国のように慢性的な需要不足に陥る国の経済成長メカニズムである。

もう一つ加えるならば、米国のような新興国・途上国の要素を併せ持つ国の成長パターンがある。

つまり供給サイドの経済成長の定式がある程度当てはまる国と全く適用できない国、そして米国のようなそれらの中間の国ということになる(ただし米国は今後日本などのグループに近付くと考える・・つまりサマーズの言っている長期停滞)。

このようなその国が置かれている状況を無視して経済政策を押し進めるから、訳の分からないことになる。例えば国内に十分な需要がない状態で設備投資を刺激しても、民間企業が設備投資を行うはずがない(設備投資が需要のある新興国・途上国に流れるのは当たり前)。またNISA(少額投資非課税制度)を拡充すれば、ますます個人消費が減少することになる。ましてや消費税増税なんてもっての他である。
http://www.adpweb.com/eco/eco804.html


ポンコツ経済理論の信奉者達 14/7/14(805号)


「セイの法則」が意味を持った時代もあった

先週号で、

g(経済成長率)=s(貯蓄率)/v(資本係数)+n(労働人口増加率)

で示される経済成長の定式は古典派(新古典派を含む)の経済理論の本質を示すものと説明した。

これは供給サイドだけを規定したものである。一方、需要サイドでは作ったものは全て消費されるという「セイの法則」が暗黙のうちに想定されている。したがって現実の経済で需要不足が当たり前になれば何の価値もない定式になる。


つまり慢性的に需要が不足している今日の日本など先進国にとっては、ほとんど関係のない定式である。今日のような低成長になれば、需要サイドだけを見ていれば十分であり、供給サイドはほとんど無視して良い。

ところが役立たずの経済学者やエコノミストは、相変わらず既にポンコツとなったこの定式にしがみついて経済成長戦略とか言っているのだから驚く。


この理解を容易にするため、s(貯蓄率)とv(資本係数)についての説明を行う(ただし平均値と限界値への言及はややこしくなるので割愛する)。

v(資本係数)は資本(K)/総生産額(Y)で算出される。

資本(K)は総資本ストックであり、総生産額(Y)はGDP(国内総生産)や総国民所得と読み替えても良い。

v(資本係数)はより小さな資本(K)でより大きなGDPを産み出す国では小さくなる。つまりこの数値が小さいほど生産効率の良い国である。


また古典派経済学では

S(貯蓄)=I(投資)と s(貯蓄率)=i(投資率)

が成立していることになっている。したがってI(投資)やs(貯蓄率)が大きくv(資本係数)が小さい(生産効率の良い)国ほどg(経済成長率)は大きくなる。

つまり貯蓄(つまり投資)が大きく生産効率の高い国ほど経済成長が高いという、分かりやすい話である(正しいかどうかは別)。


また生産物(GDPと見なして良い)を消費財と資本財に分け、この議論を補足する。

生産物の全てが消費財で資本財がゼロの国は、総資本ストックが増えないので生産力が増えない。したがって古典派経済学の世界では経済成長ができなことになる。反対に消費を切り詰め(貯蓄を増やすことと同じ意味)、それを投資に回す国は高い経済成長が実現できるということになる。


第二次世界大戦で生産設備が壊滅的な打撃を被った日本は、戦後、消費を削り設備投資に資金を回した。貯蓄が奨励され、預貯金の利息への課税を免除するマル優制度まで導入した。また企業は多額の銀行借入れを行い、最新鋭の生産設備を導入した(古くて生産効率の悪い設備が戦争で破壊されたことが幸いした)。このため日本の企業の自己資本比率はずっと小さかった。

人々も新技術を学び日本全体の生産性は飛躍的に向上した。これによって日本のv(資本係数)は欧米先進国より小さいまま推移している(傾向としては近年大きくなっているが)。この結果、日本製品は驚異的な競争力を持つことになった。しかし生産力が大きくなり過ぎたため日本国内では生産物が全部消費されず、余った生産物は輸出されるようになった。戦後、日本の貿易収支は慢性的に赤字であったが、1964年の東京オリンピックの年を境に貿易収支が黒字に転換した。この様子は

11/3/7(第653号)「日本が貿易立国という誤解」
http://www.adpweb.com/eco/eco653.html


で紹介した。


少なくとも1973年のオイルショックまで日本は高いレベルの設備投資が続いた(それ以降も日本の設備投資のGDP比率は欧米に比べ大きい)。これが原因で日本は過剰生産力を常に抱えることになった。したがって日本経済は景気後退で国内需要が縮小すると、直に輸出ドライブが掛かるという状態になった。

しかし日本の貿易収支と経常収支の黒字幅が拡大するにつれ、欧米からの批難が大きくなった。この貿易のインバランス解消のため円高が要求され、従順に日本はこれに従ってきた(この点が中国と大きく違う)。しかしどれだけ円高になっても、日本はそのハードルを乗り越え貿易黒字を維持してきた。この結果、とうとう1ドル76円と言った明らかに行き過ぎた超円高に到った。

このように見てくると1973年までの高度経済成長期は、日本経済は古典派(新古典派)経済学の経済成長の定式がほぼ当て嵌まっていたと考えて良い。戦争で着の身着のままになった日本国民の需要(テレビや冷蔵庫を買い、次は車や住宅を買いたいといった時代)は旺盛であった(人口構成も関係するがこの話は後日に)。また一時的に生産過剰になっても余剰生産物は輸出すれば良かった。特に日本製品は圧倒的な国際競争力を持っていた。つまり作ったものは全て消費(輸出を含め)されるといった「セイの法則」がある程度意味を持った時代はたしかにあった。


•高所得国の罠

今日の平均的な日本人は、一応の耐久消費財と住宅を所有している。したがってこれから日本で飛躍的に消費が伸びることは考えられない。消費物資が不足しているとしたなら、これは若い年代層、特に低賃金の非正規労働者であろう。しかしそれも彼等の親が住宅や車を所有しておれば、これらを購入する意欲は弱くなる。

ただし購買意欲が弱いと言っても、昔の日本(高度経済成長期)や今日の新興国・途上国と比べた話である。実際のところ今でも日本の耐久消費財や住宅の購入はそこそこ高いレベルにある。例えば日本では自動車が年間500万台程度売れている。中国は自動車ブームと言われているが、年間の販売台数は2,500万台程度である。中国の人口は日本の10倍であるから、つまり一人当りの平均では日本は中国の倍の車を購入している計算になる。

住宅も日本は年間100万戸建築されていて、人口が2.5倍の米国とほぼ同じ数字である(ただし米国の方が住宅の耐用年数は長い)。また資産家や株価上昇の恩恵を受けた者達は、高額商品を盛んに買っている。しかし国全体の消費の伸びという点では極めて弱く、ここが問題であり、このままではとてもデフレ脱却なんて無理と言いたい。


日本など比較的高い所得水準が続く国においては、国民は既に一揃の耐久消費財や住宅を所有していると考えて良い。したがって需要と言っても買い替え需要が中心になる。つまり爆発的な需要増というものは生まれにくくなっている。

また日本のように高い消費レベルが続いている国では、これ以上の消費はどうしても選択的になる。消費が個人の考えや趣味に左右されるのである。多くの人々が同じような電化製品や車を買い求めた現象は過去のものとなった。つまり昔のような大ヒット商品というものが現れにくい。要するに今日の日本の平均的な消費レベルが低いわけではないので、これを飛躍的に伸ばすことが難しいのである。


これまで経済成長が著しかった新興国の経済が今日怪しくなっている。このような現象を「中所得国の罠」と呼ぶケースがある。「高所得国」になる前に既にもたついているのである。

しかし「中所得国の罠」が存在するなら「高所得国の罠」があって良いと考える。筆者は、前から人々に消費意欲に限界みたいなものがあるのではないかと考えてきた。これに関連し

98/4/20(第62号)「消費の限界を考えるーーその1」
http://www.adpweb.com/eco/eco62.html

99/8/30(第128号)「日本経済と欲求の限界(その1)」
http://www.adpweb.com/eco/eco128.html

などで、消費者の欲求にも限界があるという仮説を唱えてきた。


しかし一方には消費や需要は無限という経済論を唱える者がいる。

作ったものは全て消費されるという、例の間抜けな「セイの法則」の信奉者達である。

また中には規制緩和で需要が増えるといった奇妙な経済論を平気で説く者までいる。これについて

04/3/29(第338号)「規制緩和に飛びつく人々」
http://www.adpweb.com/eco/eco338.html


他で筆者は、純粋に需要が増えるのは、麻薬、銃、売春、賭博といった公序良俗に反するものの規制緩和だけと述べた(規制緩和の影響はほぼ中立と説明)。

しかし筆者は、日本の消費や需要を確実の伸ばす方法はあると主張してきた。

それは国民の所得を増やすことである。

増えた所得の一定割合は消費に向かう。国民所得を増やすには財政支出を増大させれば良い。

一時的に国の財政赤字が増えても、将来、税収増となって返って来る(政府紙幣の発行や永久債の日銀買入れという手段もある)。また今日の長期金利が0.5%と、市場は国債の増発を催促しているのである。

この手の肝心な政策を考えず、「特区」とか「岩盤規制の緩和」による成長戦略とか言っているからおかしいのである。

これを言っている人々は、既にポンコツで廃棄処分にすべき経済成長の定式(モデル)の信奉者なのである。
http://www.adpweb.com/eco/


一家に一台が需要の天井 14/7/21(806号)


•需要サイド重視という風潮

先週まで述べたように、教科書の経済成長理論は供給サイドだけを規定したものである(需要は常に十分あるというばかげた暗黙の前提がある)。当然、これは日本など成熟した国の現実の経済には全く当て嵌まらない。ところが教科書のこの間違った記述を本当のことと信じている者が極めて多い。特に学校で、一生懸命、経済学を学んだ秀才タイプ(教科書に書いてあることは真実と思い込み、柔軟に物事を見ることができないタイプ)がこれである。また公務員試験などの各種試験の経済学の出題もこの教科書からなので問題は大きい。

このタイプは経済学者やエコノミストだけでなく、政治家や官僚、そしてマスコミ人などによく見られる。彼等は「自分は教科書でよく勉強し間違っていない。間違っているのは現実の方」と堅く信じている。そのためかこのタイプが好むのが「構造改革」である。「構造改革」によって、現実の経済を自分が信じている経済理論が機能する形に変えようというのである。ところがこの間違った認識を持った人々が、現実の経済政策に影響力を持っているのでさらに問題を大きくしている。実際、今日の経済成長戦略のほとんどは、この教科書の記述に沿ったものである。


教科書の古典派経済学の中心命題は、資本の蓄積と生産性の向上である。これに関連した例え話がある。ある漁師が魚を一匹ずつ釣っているとする。しかしこれでは自分が食べる分の魚しか釣れない(つまり生産物が全て消費される自給自足時代の経済である)。そこで魚を釣る時間を割いて、漁師は網という資本財を作製する。この網という資本財によって以前より多くの魚を獲ることができる。

この結果、漁獲(生産物)に余剰が生まれ、これによって漁師はさらに別の網を手に入れることができる。網という資本財がさらに増えるので、漁獲量ももっと増え、余剰はさらに大きくなる。そこで漁師を資本家と読み替え、経済の概念を一人の漁師から一国全体に広げると新古典派の経済成長理論になる。


新古典派の

g(経済成長率)=s(貯蓄率)/v(資本係数)+n(労働人口増加率)

で示される経済成長の定式が正しければ、資本主義経済は自律的に成長するメカニズムを内在していることになる。したがって経済はこれによってどこまでも持続的な成長が可能という話になる。

この経済成長理論の信奉者は、日本経済がこの定式通りに成長しないのは、政府の経済への余分な介入や労働組合の存在が原因と訴える。彼等は、例えば政府が資本家から税金を取ることによって資本蓄積の邪魔をし、これを無駄な公共事業に使っているとずっと主張してきた。また彼等は各種の規制によって資本蓄積(投資)の機会を奪われ、さらにこの規制が国の経済の生産性を低下させたと言っている。まさに供給サイドだけを見ている者の言い分である。


この古典派経済学に沿った経済成長のメカニズムは単純である。したがってたとえ法律しか学んでこなかった政治家や官僚でも簡単に理解できる。実際、高度経済成長期の日本を思い浮かべたり、これまでの中国などの経済成長を目の当たりにすると、この定式がもっともらしく見える。

大学の教師はこの単純な経済成長論を学生に教えて生活をしている。しかし経済理論そのものは単純であるが、厳密性という名のもとに複雑な数式で化粧しているので学ぶ者にとって難しく感じる。彼等が教える経済理論は、なにか新興宗教の教義や密教の奥義と通じる所がある。したがって学ぶ者は苦労して数式が解けると、自分のステージが上がって経済が解ったような気になる。

ただこの単純であるが幼稚な経済理論を唱えてきた日本の経済学者も最近では少し不安になっている(ほぼノイローゼ状態になっていると言って良い・・これについては翌週取上げる)。これまで彼等は低成長になったのは日本の政府の対応や日本の社会の在り方に問題があったと片付けてきた。つまり日本固有の障害で日本経済は低成長に陥ったと誤魔化しておけば良かったのである。


ところが日本における経済認識が大きく変わる兆しが出てきた。

14/6/30(第803号)「サマーズとトマ・ピケティ」
http://www.adpweb.com/eco/eco803.html


で取上げたように、欧米の経済成長の論議において、供給サイドではなく需要サイドを重視するという考えが注目されるようになっている(筆者に言わせれば当たり前の話)。筆者は、そのうちこの流れが日本にも及んでくるのではと考える。

まずトマ・ピケティの著作の日本語版翻訳がそのうち出版され、反響が出ると予想される。また米国経済が長期停滞に陥ったと説くサマーズは、この対策として米国の老朽化したインフラの大改修を主張している(まさに批難を浴びながらも昔から日本でやってきたこと)。日本でもこの需要サイド重視という風潮が及んでくれば、これまで「真っ赤な嘘」を風潮してきた経済学関係者の立場がなくなるのである。


•日・米・中の年間新車販売台数

古典派(新古典派を含め)の経済成長理論がおかしいことは、昔から相当の人々が気付いている。たしかに需要が旺盛で作れば全てが売れる時代の企業経営者は、どれだけ生産力を引上げるかが経営の最重要課題であった。日本の高度経済成長期の企業経営を思い浮かべれば良い。銀行からの借入金でどんどん設備投資を実施し、人を雇い入れ、生産工程を改善して生産性を上げることが経営の要諦であった。まさに新古典派の

g(経済成長率)=s(貯蓄率)/v(資本係数)+n(労働人口増加率)

で示す経済成長の定式が適用できる世界であった。

ところが段々と売上が伸びない時代になる。経営者は、新製品の開発や販売促進を行うだけでなく、従業員のリストラをおこなって合理化を進めるようになった。そして国全体で売上(需要)が伸びない事態に陥ったのがここ20年くらい(筆者は、既に40年も前からこの徴候は出ていたと言ってきた)の日本経済である。

資本主義経済では需要不足が起るというケインズ理論は、戦後一時的にもてはやされた。しかし米国産業の競争力が弱くなった頃から、ケインズ理論に対する風当たりが強まった。ただケインズ理論を否定した後の埋草に使われたのが、なんとポンコツ同然の古典派経済学であった。


経済成長が続き生産力が増せば、そのうち需要不足が起ることは誰でも分かる。ところが日本の経済学者は、この当たり前のことを絶対に認めようとはしない(生活が掛かっているのであろう)。このばかばかしさを示す一つの方法として、各国の新車販売台数の推移を取上げ、これを分析してみる。

次の表は日本、米国、中国の年間新車販売台数の推移を示している。ただし日本だけは、ベースが年度であり、また98年度から01年度までは乗用車のみの集計である。


日・米・中の年間新車販売台数(万台)


年  日本  米国  中国 

98
(414) 1,544 167

99
(419) 1,677 208

00
(426) 1,724 215

01
(430) 1,702 237

02
587 1,681 325

03
589 1,664 456

04
582 1,686 520

05
586 1,694 587

06
562 1,650 722

07
532 1,608 879

08
470 1,319 963

09
488 1,040 1,365

10
460 1,155 1,806

11
475 1,273 1,851

12
521 1,444 1,930

13
569 1,549 2,198


まず目を引くのが中国の物凄い伸び率である。ここ10年間は毎年10〜30%程度の増加を示している。中国の国民所得の伸びはすごく、自動車に対するニーズが極めて高いことは分かっていた。しかし国内産業振興という中国政府の政策があり自動車に対する輸入関税は極めて高い。また人民元が低く操作されていることもあり、中国への自動車輸出はほぼ不可能であった。

したがって中国で車を売ろうという外国企業は中国政府の方針に従い、現地企業との合弁で中国国内に生産拠点を設ける他はなかった。しかし車に対して旺盛な需要があったから、外資は大挙して中国に進出した。つまり中国には十分な需要があったので、むしろ問題は供給サイドであった。まさに中国の自動車産業こそ新古典派の

g(経済成長率)=s(貯蓄率)/v(資本係数)+n(労働人口増加率)

の経済成長の定式が適用できる世界であった。

はたして外資は、設備資金の提供に加え、生産性の高い最新の生産設備を中国に導入した。つまり

s(貯蓄率)/v(資本係数)

は外資導入によって大きくすることができたのである。また中国にはタダ同然(人民元が極めて低く抑えられているため)の余剰労働力がありn(労働人口増加率)は確保されていた。このように中国の自動車産業はほぼ古典派経済学の理論通りの経済成長を成し遂げているのである。


一方の日・米は08年のリーマンショック後のスランプを除き、年間に売れる車の台数はほぼ一定である。まさに日米は買い換え需要が全てと言って良い。つまり生産力増強の投資はほぼ必要がない。投資が行われるとしたなら設備の減耗を補う程度か合理化に伴う投資であり、その他では車に新装備を施すもの(例えばハイブリッド)に限られる。実際、少なくとも日本国内ではここ10年くらいは、新工場の建設は全くない(米国は、新工場の建設される場合、どこかの工場が閉鎖されているケースが多い)。

つまり日米はともに需要の天井にぶつかっているので、新古典派の

g(経済成長率)=s(貯蓄率)/v(資本係数)+n(労働人口増加率)

の経済成長の定式は無関係である。しかし日本も米国も、今の中国と同じような高度成長期が過去にあった。ところがある程度まで来ると、全く伸びなくなったのである。


ここまでの話は自動車産業だけを例に採った。これは自動車産業の規模が大きく、また関連産業が広く(ガソリン販売、保険など)、適当と思われたからである。実際、中国では車以外の産業でも同じような高度成長が続いてきた。これからの関心は、中国の高成長がいつまで続くかということになる。

しかしその中国で成長に陰りが既に出ている。一つは過剰在庫を抱えた住宅産業である。他にも自動車産業に先行して成長してきた電機産業が既に需要の天井にぶつかったと見られる。今年のテレビの販売が減少に転じると予想されている。おそらくエアコン、冷蔵庫、洗濯機といった他の家電製品も近々減少に転じるものと考えられる。これも家電製品は既に一家に一台以上普及していて、旺盛ただった需要が消えているからである。

やはり耐久消費財は、一家に一台というものが一応の需要の天井になるようである。唯一中国で一家に一台普及していないのは自動車だけということになる。つまり中国でさえ、新古典派の経済成長理論が適用できなくなる時代が近付いているのである。それにしても日本でこのポンコツ経済学を教えている人々は、一体何を考えているのであろうか。
http://www.adpweb.com/eco/

リカードの比較優位説 2011年11月18日


『列強の植民地化政策と、比較優位』


悪魔の碾き臼 新自由主義の推進者池田信夫などが賞賛するTPP賛成論の中では、リカードの『比較優位説』なる聞き慣れない言葉が突然言い出されている。

デヴィッド・リカード(David Ricardo、1772年〜1823年)は、各国が比較優位に立つ産品を重点的に輸出する事で経済厚生は高まる、とする『比較生産費説』を主張したイギリスの経済学者。

『比較優位』とは比較生産費説ともいい18世紀の膨張するイギリスの帝国主義を経済学の立場で合理化・説明している。

比較優位論は、『国際分業の利益』を説く理論であるが、ダーウィンの進化論の悪しき庶子である社会ダーウィニズムや優生学との共通点を考えることが出来そうです。

この『比較優位論』とは18〜19世紀当時全盛だった過酷な帝国主義(植民地主義)的な、自由貿易を推進する考え方でリカードモデルの基本である。

穿って考えれば、この『比較優位論』の意味とは、1813年よりイギリスの対インド貿易が自由化(関税自主権の剥奪)され、産業革命のイギリスから機械製綿織物がインドへ流入、インドの伝統的な綿織物産業が完全に破壊され植民地化された例や、『自由貿易の確立』を口実にしたアヘン戦争(1839年〜1842年)でイギリスが清を半植民地化した、当時の西欧列強諸国の無慈悲で過酷な植民地化政策を経済理論的に正当化する為の武器でもあった。

屁理屈と膏薬は何処にでもつくとは言うが、幾ら『悪魔の碾き臼』の新自由主義とは言え、200年も前のこんな血まみれの禍々しい過去の亡霊『比較優位』が今頃蘇るとは地下のデヴィッド・リカードも苦笑いしているだろう。


『水説:比較優位とTPP』潮田道夫 毎日新聞 2011年11月16日

ある女性弁護士がその町で1番のタイピストでもある場合、彼女が利益を最大にするには、タイピストを雇わず自分で書類をタイプするのがよいだろうか。

答えは給料を払ってでもタイピストを雇い、自分は弁護士業務に専念すべきだ、というものだ。

仮に10万円給料を払っても、その時間を弁護にあてれば15万円の報酬を得られる。ふたりともトクする。

タイピストはタイプの能力で弁護士に劣るのに、2人の関係においてはタイピングで『比較優位』を有する。

この『劣っていても優位』というのがミソである。

経済学者リカードが自由貿易の正しさを説くのに初めて使った経済学上の大原理だ。何でもかんでも自国で生産するより、各国が比較優位を有するものを分業し、貿易する方が利益になる。

女性弁護士のたとえ話はあのサミュエルソンが、教科書史上空前のベストセラー「経済学」のなかで、比較優位の応用問題として述べていることである。分かりやすい。

今度の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)について、経済学者はほとんどが賛成に回った。比較優位の観点からは自由貿易を推進することがどの国にとっても利益になるのは明白で、経済学の教えに忠実であれば賛成するのが当然だからだ。
で、TPP推進論を述べるに当たって、多くの経済学者は『比較優位』を説き、

『であるからTPP参加は当然である』

と胸をはったのであるが、多くの場合、人々を納得させられなかった。ある先生は

『タイピストという例えが古すぎたかな。そういう職種はもう存在しないと注意された』

と反省していた。ま、それは軽口として、経済学者がTPP問題で人々をうまく説得できなかったのは事実で、まじめな方々はちょっとショックを受けているようだ。

JPモルガン証券の北野一氏によれば、1950年代、『法皇』と称された一万田尚登日銀総裁や民社党委員長になる西尾末広衆院議員らは、日本は乗用車生産を中止し輸入したほうがよい、と主張したそうだ。


『比較優位からすると両者は正しいことを言っていたのかもしれない。当時、日米自由貿易協定(FTA)で合意していれば、いまの日本にトヨタもホンダもなかっただろう』

と言う。なるほど。

ともあれ、自由貿易論も自由貿易神話論も、TPPを機にボンヤリ聞いていれば分かるという段階を過ぎ、聞き手に学習を強いている。やれやれ、えらいことになってきたなあ。
(専門編集委員)

『科学と偽科学』

毎日新聞など大手マスメディアは全員がTPP推進の方針で一致しているので、この上記のコラム『水説:比較優位とTPP』潮田道夫専門編集委員も、勿論推進の為の記事を書いている。・・・はず、なのである。


確かに、コラムの前半の4分の3はリカードの比較優位を使ってTPPの効用(正さ)を説いている。ところが続く6行は、この『比較優位』論が誰にも支持されなかった事実が述べられている。

最後の8行に至っては、正反対に前半部分(リカードの比較優位説)が真っ赤な嘘(偽科学)である明確な事例を書いている。潮田氏はコラムで何が言いたい(目的)のだろうか。


半世紀前には日本の自動車産業など、アメリカの足元にも及ばないほど貧弱な、リカードの比較優位説では絶対に無理な(産業として無駄な)代物だったのです。当時のトヨタクラウンはアメリカの高速走行には耐えられずエンジンが焼け付いたし日産エコーは98キロ以上だとプロペラシャフトが脱落して仕舞い大事故を起こしている。

過去のイギリスとインドや清の歴史が証明している様に、国内産業保護の関税がなければ(自由貿易なら)今の日本の自動車産業の隆盛はあり得ない。日本政府の手厚い保護政策(関税と消費税の戻し税以外にも免税や各種の優遇策)の結果、日本の自動車産業は、今では絶対的な比較優位を獲得した。

自動車に限れば『比較優位』は、今では日米の立場が逆転しているのです。トップメーカーGMまでが倒産の危機に瀕し、連邦政府の全面支援で息を吹き返したアメリカの自動車産業は、日本のマスコミでは報道されていないが実はTPPに反対している。


科学の仮説とは、誰が何を説いても良いが必ず第三者の検証作業に耐えて初めて定説となる性質を持っている。『事実』とは違いすぎる、間違っていた仮説は捨て去られる。

究極の新自由主義であるTPPの賛成論が、崩壊した18〜19世紀の帝国主義の経済論理(間違いが証明されている偽科学)を出すまでに落ちぶれ果てたとは驚くばりで、実は潮田道夫氏は、毎日新聞専門編集委員の立場なので嫌々TPP推進を言っているが、本心でTPP推進が売国行為である事実を、誰よりも良く知っているのです。

だから潮田氏は、迂闊に一見するだけならTPP推進に見えるが最後まで読めば正反対になる支離滅裂で意味不明のコラム『水説:比較優位とTPP』を書いたのでしょう。

『ブードゥー教経済学池田信夫の比較優位論』


『無制限の規制緩和』が格差拡大やワーキングプアの大量発生など間違いであることが証明されている新自由主義のミルトン・フリードマンを、未だに『最強の経済学者』として信奉する目の前の事実が見えない自称マクロ経済学者の池田信夫が、今回は比較優位論を絶対視して『リカードの比較優位も知らないのか』と、TPPに反対する人々を口汚く罵っている。

比較優位とは、巨大な対象を扱うマクロ経済学ではなくて、その正反対の微細な経済単位が対象の経営学の御粗末な誤用である事実に気が付かないふりを装う。

リカードの比較優位が成立する為には、完全雇用とか為替の完全な固定相場制とか人口増加率がゼロであるなど形而上学的な絶対にありえない経済モデルを採用した時だけ限定的に成り立つが、普通はその逆で成立しない。

貿易で一国が大きな貿易黒字を得る場合、その相手国は輸入超過となって貿易赤字なる。貿易では(グローバリストの好きな)Win-Win はない。片一方が黒字なら、片一方は必然として絶対に赤字になる。

相撲の白星の数と黒星の数が必ず『同じ』であるように国家間の貿易でも原理は同じで、それ以上でもそれ以下でもない。例外は一つも生まれない。

この事実は中学生でも気が付くが、池田氏は

『リカードの比較優位の原理を知らないバカ』

と罵るばかりで、この子供でも判る論理には絶対に答えない。答えたくとも答えられないのですよ。池田信夫は、


『日本のような製造業に比較優位をもつ国が農産物に高率の関税をかけて農業を保護するのは、製造業を犠牲にして世界経済を収縮させているのだ。
このとき貿易黒字になるか赤字になるかはどうでもよい。』


と、無茶苦茶である。

経済学では、経常収支の『赤字』は大問題である。日本を除く世界各国の普通の政府も同じで、池田信夫的には『どうでも良い貿易などの経常収支の大赤字』を問題とするのですよ。

そして今世界経済の大問題のアメリカのデフォルト危機や欧州のPIIGS諸国のソブリンリスクも同じで、各国の抱える大赤字が全ての原因である。

勿論オバマアメリカ大統領のTPP推進の目論みも全く『同じ』である。日米の倍近い貿易不均衡の是正(アメリカの大赤字の解消)であることは論を待たない。


『貿易黒字を目的にするのは17世紀の重商主義で大間違いである』

と主張する池田信夫の非科学性には呆れるばかりで、科学的に正しいものは時間には無関係で例え17世紀であれ紀元前であれ正しい。

まともな国家(政府)なら貿易赤字を忌避し黒字を目指すのは、力士が白星を目的に土俵に上がるのと同じで、(八百長を除けば)時代に関係ない絶対的な真理である。

21世紀の今でもアルキメデスの原理は矢張り正しくて、否応なく誰も逆らえないのですが、今とは大違いのアメリカが絶対的な比較優位を保持していた時代のポール・サムエルソンの『経済学』など、今では誰も信用していない。

サミュエルソン『経済学』の明確な間違いが、半世紀の時間の検証によって証明されているのです。

http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/ec52d4bbc8ecd0e74524b831157f3363


経済成長の定式(モデル)08/9/15(541号)


構造改革の定式化


自民党の総裁選で経済論争が行われている。その中で積極財政派と財政再建派の主張は、正しいかどうかを別にして分りやすい。しかし上げ潮派(構造改革派)の言い分が曖昧である。そこで今週から筆者なりに上げ潮派の主張の背景にある経済理論を解明してみる。

まず最初に理論経済における経済成長の定式(モデル)を示すと次のようになる。


g(経済成長率)=s(貯蓄率)/v(資本係数)


v(資本係数)とはY(生産・所得)1単位を増やすのに必要なK(資本・・生産設備など)である。つまり


v(資本係数)=K(資本)/Y(生産・所得)


となる。そこでv(資本係数)が一定ならば(技術進歩がなく生産設備の効率が不変ならば)、s(貯蓄率)が大きい国ほどg(経済成長率)が大きくなる。

つまり生産されたもの(所得)が、なるべく消費されず貯蓄され、これが投資に回される国ほど経済成長率は大きくなる。極端なケースで生産されたものが全て消費されるような国は、経済成長率はゼロになる(外資の導入はないものとする)。またs(貯蓄率)が同じ大きさであっても、資本係数(生産(所得)1単位を増やすのに必要な資本量)が小さい、したがって生産効率の高い資本備えている国の方が経済成長率は大きくなる。

次にこの定式にn(労働人口増加率)の要素を加味すると次のようになる。


g(経済成長率)=s(貯蓄率)/v(資本係数)+n(労働人口増加率)


この式は

s(貯蓄率)/v(資本係数)が一定ならば、n(労働人口増加率)が大きい国ほど経済成長率が大きくなる。


よく上げ潮派の政治家やエコノミストが

「人口がこれから減るのだから、日本は経済成長のため積極的に移民を受入れる必要がある」

と主張するのもこのような定式が頭の中にあるのであろう。


さらにここにt(技術進歩あるいは生産性の向上)の要素を加味すると次の通りになる。


g(経済成長率)=s(貯蓄率)/v(資本係数)+n(労働人口増加率)+t(技術進歩)


ただしこのt(技術進歩あるいは生産性の向上)は、資本(生産設備など)と労働の双方の効率化の成果を外に出して一つにまとめたものである。

具体的には、生産工程の改良や新しい技術を体現した設備の導入であり、労働者の教育・訓練による生産性の向上である。


またt(技術進歩あるいは生産性の向上)を外に出さない表現も考えられる。

この場合「技術進歩あるいは生産性の向上」は、v(資本係数)を小さくするとか、n(労働人口増加率)を大きくするものとして理解される。


上げ潮派(構造改革派)は

「構造改革なくして経済成長なし」

と主張する。しかしこの「構造改革」という言葉がはっきりしない(もっとも構造改革派の人々もこれを本当に理解しているか疑わしいが)。そこで筆者の示した経済成長の定式(モデル)でこれを考えてみる。

構造改革とは端的に言えばt(技術進歩あるいは生産性の向上)を大きくすることである。その方法はの

v(資本係数)を小さくし、n(労働人口増加率)を大きくすることである。

たしかにこれによってg(経済成長率)は大きくなる。


これをさらに具体的に説明する。


v(資本係数)=K(資本)/Y(生産・所得)


である。v(資本係数)を小さくするには、K(資本)が一定ならそれから産まれるY(生産・所得)を大きくするような「技術進歩あるいは生産性の向上」を行うことになる。

またY(生産・所得)が一定ならば、一単位のY(生産・所得)を産出するためのK(資本)を小さくするような「技術進歩あるいは生産性の向上」を行うことになる。

さらに教育・訓練による労働の生産性を向上させることがn(労働人口増加率)を大きくする。


これらを一つの企業で考えた場合、当り前の話である。しかしこれを一国の経済で考えた場合は多少複雑になる。

一国の資本(K)と言った場合、民間の生産設備や販売設備などだけではなく、道路や港湾と言った公共資本や社会資本も含まれる。

また一国のY(生産・所得)はGDPということになる。

したがってY(生産・所得=GDP)の増加に結び付かないような公共投資を構造改革派は「無駄な公共投資」と批判する。


また上げ潮派(構造改革派)は「官」が「民」より非効率と考え、政府部門の縮小を訴える。

「「民」にできることは「民」」

ということになる。そして社会全体の「技術進歩あるいは生産性の向上」のために行う施策が、規制緩和などの競争促進政策である。このように構造改革に必要な具体的な施策は、規制緩和や公企業の廃止や民営化ということになる。

スッポリ抜けているもの


ところが上げ潮派(構造改革派)が念頭に置いていると思われる経済成長の定式(モデル)には、大事なものがスッポリ抜けている。

抜けているのは「需要」である。

彼等が訴える施策は全て「供給サイド」に関するものに限られる。

しかしどれだけ企業や国を効率化しより多くの生産物を生産しても、需要がなければ生産物は余る。生産物が売残れば、その次には資本や労働が余剰となり、資本や労働の遊休が生じる。

しかし上げ潮派(構造改革派)の考えには、

作った物は全て売れ消費される

というびっくりするような前提条件が、暗黙のうちに設定されている。ところが上げ潮派(構造改革派)の人々は、このことに気付いていないか、もしくは気付いていても誤魔化す。多くの場合、単に需要不足が原因で遊休設備や失業状態になっていることを、上げ潮派(構造改革派)は認めない。


彼等は遊休設備や失業という現実を突き付けられても、遊休状態の設備は既に陳腐化して使い物にならないと決めつける。また失業者は、生産性の向上に追いつけない人々であり、新たな教育・訓練が必要であると主張する。したがって一時的に余った資本や労働といった生産資源は、もっと生産性の高い成長分野にシフトさせるような構造改革が必要があると説く。このように上げ潮派(構造改革派)は供給サイドのことしか言わない。

しかし筆者は遊休設備の全てが陳腐化しているとは考えない。また職に就いている人と失業している人の間に、技術や知識に大きな差は認められない。そういう事ではなく、多くの場合需要の不足によって遊休設備や失業が発生していると考えるべきである。特に日本は慢性的に需要不足(内需不足)に陥る体質にあり(このことを本誌は何回も取上げてきた)、むしろ構造改革を目指す政策がさらなる需要不足を促進している。


上げ潮派(構造改革派)の考えの背景には、

「作ったものは全て売れる」という古典派経済学の「セイの法則」がある。


しかし現実の経済を知っている者は「そんなばかなことはない」とすぐ分る。ところが頭がおかしい構造改革派は、この単純な経済理論の信奉者なのである。

「セイの法則」が成立つのは極めて特殊な時だけと指摘したのはケインズである。

たしかに「作ったものは全て売れる」のは、例えば戦争で大半の生産設備が破壊され極端な物不足に陥った国や、新興国における経済の高度成長期くらいのものである。古典派の特殊理論に対して、彼は一般的な一国の経済状態での理論展開を行った。ケインズは著書「一般理論」で、ごく普通に需要不足が起き、遊休設備や失業が発生するメカニズムを解明した。またケインズの弟子のハロッドは、経済成長理論を展開したが、供給と需要の増大の過程での両者の関係の不安定さを指摘した。

ケインズは需要不足による不況が起ることを理論的に解明した。彼はその場合には金利を下げるだけでなく、政府が財政支出を増やすことによって需要を創出することが有効とした。今日このような政策は世界中の国で採られている。これもあってか第二次世界大戦後、先進資本主義国家は深刻な不況に陥っていない。


また上げ潮派(構造改革派)が盲目的に信奉する「供給サイド重視」の考えは、貿易収支が慢性的に赤字の米国で生まれた。たしかに米国のように供給サイドに問題のある国で、このような考えが一定の支持を得るのは解る。しかし慢性的に貯蓄が過剰で内需が不足し、過剰生産のはけ口を外需に頼っている日本に「供給サイド重視」の考えを適用しようとするからおかしくなるのである。

だいたい供給サイドに問題のある米国でさえ、今日サブプライム問題で不況になったため、減税などによる需要創出政策、つまりケインズ政策を行っているのである。需要創出政策を「オールドケインズ政策」と否定的な決めつけをするエコノミストや、自民党の総裁候補の中で今だに「私は構造改革派」と言っている人々は、頭の中の構造の改革が必要だ。

http://www.adpweb.com/eco/eco541.html


技術進歩の恩恵 11/11/28(688号)

意味のない経済成長の定式(モデル)

人々の所得が増え、一人一人の国民が豊になるのが国家の理想と筆者は思う。

そのためには経済が成長する必要がある。本誌はこの経済成長の定式(モデル)を08/9/15(第541号)「経済成長の定式(モデル)」で取上げた。これを示せば


g(経済成長率)=s(貯蓄率)/v(資本係数)+n(労働人口増加率)+t(技術進歩)


となる。つまり机上の経済理論では、

s(貯蓄率)とv(資本係数)が一定ならば、労働人口が増え技術進歩がなされれば経済は成長することになる。

実に簡単な話である。しかしこの理論の最大の弱点は、これが供給サイドのみに着目していることである。したがってこの定式(モデル)が有効なのは生産力が乏しかった時代や、よほど産業の発展が遅れている国だけである。

今日、少なくとも先進国でこの経済理論があてはまる国はない。どの国も余剰の生産設備と労働力を抱えている。ところがいまだに構造改革派は「改革」が必要と寝ぼけたことを言っている。


今日、国の経済成長を決めるのは供給ではなく間違い無く「需要」である。毎年、10%前後の経済成長を続けている中国は、供給サイドに様々な大きな問題を抱えている。例えば慢性的な電力不足といった致命的な問題をずっと抱えて来ており、当分、これは解消される見通しがない。しかし旺盛な民間と政府の投資、さらに輸出の伸長といった需要増がこれまで続いて来たので(今後の見通しは不透明)、高い経済成長が実現できたのである。

つまり現実の経済においては、中国のように供給サイドに問題があっても需要さえあれば経済はどれだけでも成長する。つまり伝統的な古典派の経済理論なんて、現実の経済において何の役にも立たない。しかし経済学者は、これしか知らずまた現実の経済に興味がないので、今でも意味のない経済理論を学生に教えて生活をしている。


彼等は、日頃の言動と現実の経済の動きとの辻褄を合わせるため、供給サイドと潜在需要にミスマッチがあるといった奇妙な事を言う。彼等のいう潜在需要とは例のごとく医療や介護といったものである。

「この分野の規制緩和がなされないから、潜在需要が顕在化しないのだ」

と主張する。しかし仮にかれらの言っている事が正しくそれが解決したとしても大してGDPは伸びない。また医療や介護の需要を伸ばす有効な方法は、筆者は規制緩和ではなく予算の増額による医療や介護に勤務する人々の待遇改善と考える。決して規制緩和やフィリピンやインドネシアから看護士を連れてくることではない。


彼等は何十年も前から

「規制緩和が不十分で潜在需要が顕在化しない」

という間抜けな主張を続けている。つまり何でも需給のミスマッチと言って誤魔化そうとしている。しかし民間は、四六時中、どこに潜在需要があるのか必死になって探し回っている。供給力が需要をはるかにオーバーしている日本においては当り前の話である。実際、


09/4/13(第565号)「筆者の経済対策案」
http://www.adpweb.com/eco/eco565.html


で述べたように、少なくともリーマンショックの前までは日本の製品在庫率指数はずっと100前後で推移していた。つまり日本では、消費者が必要とする商品はピタリと供給されてきた。またサービスについても供給サイドにネックが生じているとは思われない。つまり日本経済はコンビニみたいなものであり供給サイドにさしたる問題はない。

ちなみにリーマンショック後の世界的な経済の混乱以降、この数値が乱れ始めた。ただし2010年から東北大震災の直前まではこの数値も落着きを取戻していた(100〜110程度で推移)。ところが震災後は再び120程度まで上昇している。おそらく復興事業の遅れによる、関連製品の在庫増が影響していると筆者は見ている。

豊かさを与えない技術進歩

昔の経済学のメインテーマは、供給力をいかにして上げるかであった。消費を抑えながら生産力を増やすための資本の蓄積(つまり投資)が重要であった。また生産資源の適正な配置が経済成長に有効と考えられた。そのためには価格メカニズムを働かせることが大切と考え、規制緩和による競争政策が必要とされた。

この経済理論の背景には、需要は無限にある(セイの法則)という錯覚がある。しかし前段で述べたように、たいていの先進国はどこも生産設備と労働力の余剰を抱えている。必要なのは供給力の整備ではなく「需要」である。


たしかにギリシャのような例外的な国がある。このギリシャのように慢性的に経常収支が赤字の国は、供給サイドの強化が有効である。そのためには一刻も早くユーロから離脱し、自国通貨を大幅に切下げることが必要と考えられる。

一方、少なくとも日本は需要不足の経済が常態化している。必要なのは需要創出政策であり、ギリシャのような国にとって必要な「改革」ではない。ただし通貨の切下げ(円安)は日本にとっても有効と考える。ただし経常収支の黒字が常態化している日本の通貨の切下げは、なかなか国際的に認められるものではない。


筆者は、先進国における需要不足の一つの原因を、長らく平和が続いたことによって生産設備の破壊がなかったことと考える(大きな戦争がなくせいぜい大災害があったくらい)。そしてもう一つ重要なことは、第二次世界大戦後、生産技術が飛躍的に向上したことである。つまり世界的な供給力の余剰が生じている。さらに世界的なバブル生成の過程で凍り付いたマネーサプライが積み上がった(GDPより金融資産の方が伸び率が大きく、これによって大きな有効需要の不足が生じている)。


筆者は、生産技術の向上、つまり技術進歩に注目している。技術進歩によって小さな生産資源(生産設備投資と労働力)の投入によって、より大きな産出が生まれるようになった。たしかに


需要は無限にある(セイの法則)


といった改革派の戯言(たわごと)が本当なら、問題(設備の遊休や失業)は生じない。ところがこれが大嘘だから今日問題が起っているのである。


毎年10%前後の高度経済成長を続けている中国で失業がなくならないといった奇妙な現象が起っている。同じような高度経済成長を経験した日本では、当時、人手不足が深刻で人件費がどんどん上がったが、中国の現状は対照的である。これについて本誌は10年前

01/11/12(第230号)「中国通商問題の分析(その2)」
http://www.adpweb.com/eco/eco230.html


で、この原因を中国が先進国の進んだ技術を取り入れながら経済発展したからと指摘した。

今日、中国でもバブルが起って物価上昇が起っているが、日本の高度経済成長期と比べれば大したことはない。むしろ中国の雇用問題は深刻で、人気のある公務員の募集に1,000倍の応募があったという話さえある。これだけの経済成長を達成しても失業問題が解消しない背景には、労働力をさほど必要としない進んだ生産システムを中国が取入れたからと筆者は考える。


技術進歩は人類にとって大事であり、人々に豊かさを与えるものと思われてきた。筆者も技術進歩は絶対に必要なものと考えている。技術進歩は、過酷で長時間の労働から人々を解放してくれるものと考えたい。実際、技術進歩によって日本では労働者の単純作業が軽減され、労働時間も短縮されてきた。例えば週休二日制も技術進歩なくして実現しなかったと考える。つまり日本もある時期までは良い方向に進んでいたのである。

ところが今日、日本ではむしろ労働強化の方向に向かっていて、雇用条件がどんどん悪くなっている。日本でも中国と同じように技術進歩の恩恵が人々に行き渡らず、むしろ人々を不幸にしているかのようだ。いつ頃からこのような事態が目立つようになったのか筆者も考える。大雑把な感想で申し訳ないが、筆者は日本で財政再建運動と構造改革運動が盛んになってからと思っている。
http://www.adpweb.com/eco/


TPPを推奨しようとする人達の背景にあるのは、比較優位説などの自由化が善であるとする間違った経済理論を踏襲していることである。

このような自由化理論は、欧米が植民地政策の推進や、アジアへの進出に当たってのプロパガンダであったことが分かっていないのである。このプロパガンダにより明治初頭の日本やアジア、そしてアフリカ諸国がどれほどの被害を受けたことか。これによりヨーロッパがどれだけ利益を受けたであろうか。


このことを理解せずうかつに比較優位説などを唱えてはならない。みんなの党などの賛成派は、その真意を理解せず、現実を理解せず、自分たちも昔と同じようにその恩恵を受けられると思っているのだ。


この理論は、単なる平均値の問題であり、それぞれの国が今より豊かになるという保証はしていない。総額が伸び平均値は上がるという理論に過ぎないのである。

比較優位説は、物物交換の場合で、同じような経済状態にある国同士で成り立つ特殊理論であり、貨幣経済が発達し、グローバル化した市場では、すべてが成り立つものではない。

特にバブル国やデフレ国との交易では成り立たない。

バブル国とデフレ国の交易は、一方的にインフレ国が、利益を得、デフレ国は損を被ることになるからである。お互いの利益にならないのである。

ここではデフレ国とインフレ国との交易を主に説明しよう。それを説明すれば比較優位説もどんなものか分かるからである。


生産量と資金量の間に大きな差額が生じているデフレ国とインフレ国の所得線の角度を、インフレ国が60度、デフレ国が30度としよう。インフレ国は、生産量に比べ資金量が著しく多くなっている。デフレ国は逆に生産量に比べ資金量が著しく少なくなっている。それゆえ所得線の角度が違っている。

(デフレの原理と消費税参照
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/teraxBLG/blg-hiduke.html

もちろん正常な国は45度である。


デフレの国は、生み出した付加価値に対する貨幣的評価が本来あるべきものより低く評価されるため、常に儲けの悪い状態にある。8時間の労働で6時間ぐらいの儲けしか得られない。(8時間労働で生み出した付加価値が、資金量が少ないため貨幣的評価が少なくなされる。)

逆にインフレの国は付加価値に対する貨幣的評価が高く評価されるため常に儲けが良い状態です。8時間の労働で10時間ぐらいの儲けが得られる状態です。

正常な国は当然の8時間の労働で8時間の儲けになります。

このような時デフレ国とインフレ国が通商を行ったとしよう。全体で平等に交渉が行われ、適材適所で生産が行われすべてが融合した時、資金量と生産量の差がなくなり所得線の角度が45度になった。めでたしめでたし。数値的には正しいでしょう。

しかしその内容を吟味すると、デフレ国はよりデフレが激しくなり、所得線の角度がさらに下がり20度になっており、インフレ国は所得線が70度になって、よりバブルが激しくなるのです。二つを足して90度これを2で割れば45度になる。

デフレの国は所得線が30度より下がっている。インフレの国は60度より上がっている。デフレの国は資金量がさらに少なくなり、インフレの国は資金量がさらに多くなる。

同じ労働時間でも、稼ぐ資金量が違うため、デフレ国は常にインフレ国にたくさん買われ、デフレ国はいつも少なく買うことになり、資金がどんどん流出していく。

デフレ国は物でもサービスでも資産でも、株式でもどのような物でも値下がりしているため、相手国側に有利に買われるのである。

インフレ国は反対に物でもサービスでも資産でも常に割高になっている。相手国側が買い難いのである。

しかもデフレ国は、ハートランド(産業経済基盤)から湧出する資金がほとんど無く逆に枯渇している状態である。それゆえ国内資産の換金売りが多く、海外資産の購入などほとんどできない。

逆にインフレ国は旺盛なハートランドの活動により、資金がどんどん湧出し、国内資産や海外資産の購入が活発になる。

このようなことが世界的に起こると、デフレの国は世界全体でいくらパイが増えようとも、その恩恵を被ることができずさらに食い物されるだけなのだ。


比較優位説でも結論は同じです。この理論は、正常な経済同士の間だけで成り立つものであるが、それでも適材適所の生産が行われ、全体のパイが大きくなっても、その恩恵は平均値以上の国がもっていくのであり、平均値以下の国は損失を被るものです。

そのため自由貿易による損失を防ぐため、あるいは自国の生活レベルを維持するため、競争力のない国はさまざまな障壁を儲けることになる。それは民主主義国家として当然のことなのです。

自由貿易を善とする考え方は、弱肉強食の考え方であり、強い国はより強く、弱い国はより弱くなる。自由貿易は万能ではない。適度に管理しながら全体の国富を上げて行くのが良いのです。それにはどの国もデフレでないことが前提になります。

現在デフレにあえぐ日本は、自由化をすればさらに不利被るのは必定です。この20年間日本はぼろ負けであり、一方的に負け続けているのです。

それは時間が経つにつれその差がどんどん大きくなっていきます。
例えばバブルの時、東京の人達の資産価格が寝ている間に上がり、その他の地域の人達は寝ている間に資産を買い取られたの同じようなものなのです。

資金不足による内需の停滞は多くの企業や個人に借金をもたらし、その返済のための換金売りが増えたため、商品価格や資産価格、株式が割安になっている。それが外資の餌食になっている。

最近になりようやく欧米がデフレに陥り始めたため、以前のようなぼろ負け状態ではないが、ここにカナダやメキシコなどの正常な経済国が参入すれば、確実に彼らに日本は食われるであろう。また中国や、東南アジアの国が入っても同じくすさまじい様相を照らすだろう。

TPPの怖さはアメリカだけにあるのではない。バブルの新興国の方が怖いのである。特にバブルの中国や発展する東南アジアが日本の富を食い荒らすのである。
アジアの発展を取り込むより以上に彼らに食われてしまうのだ。
デフレの国はそうではない国に食われてしまうのです。TPPの広がりは、デフレの日本にとって非常に悪いことです。このような非常識なことが日本で行われようとしているのです。

日本の山林や土地の多くが外国人に買われ、株式市場は外国人バイヤーがいなければ閑散としてしまうのが現状だ。上場企業の多くが外国資本に変わっている。

外資の導入などという甘い言葉にだまされ、日本の多くの企業が買われ、名前を変え、日本が食われているのです。

外資がいくら増えても、デフレの解消にはなりません。それは皆さんよくご存じでしょう。デフレは消費不足で起こっています。外資は消費をしません。企業を買収するだけなのです。

(デフレの成長戦略とは何か参照)


このことを経済専門家は如何に考えているのだろうか。政治家はどこを見ているのだろうか。相も変わらず間違った教科書紐解いて、デフレを促進し続けているのである。

第2次世界戦争後の世界経済の拡大期、欧米や日本がその拡大の恩恵の大半を享受し、南北間格差はさらに広まったのです。それは発展途上国の多くが、デフレ経済であり、内需が停滞し、伝統的産業が廃れ、輸出品が安く買い叩かれ、大量に外国に流れ、輸入品に国内産業が圧倒され、資金がどんどん流出したのです。そして多くの資産が外国資本に買われたのです。

今の日本と寸分変わりません。

そのようなことが現実に日本でこの20年間起こったのです。日本は自由貿易の敗者なのです。その根本的認識がないため、TPPを推進しようとするのです。

日本で反対しているのは、農業もそうですが、多くの地方経済が疲弊している地域です。彼らは身をもってその現状が分かっています。日本は敗者であること。これ以上の自由化は地場産業がなくなること、地域経済が崩壊することをよく知っているのです。

しかし今なお日本の中枢、官僚組織、公務員層、政治家達、新聞の解説者達は勝者だと思っているのです。

日本の敗退の主な原因はデフレだからです。それが内需を減退させ、輸出を促進しているのです。内需の減退は低価格競争を余儀無くさせ、輸入品の拡大をもたらしています。

日本人は怠けているのではなく、冒険をしないのでもない。ただ政策が悪いだけなのです。

船中八策
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/参照、

日本のウイニングショット
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/winningshot.html


今の日本は少しでもよいから資金を増やし消費を増やしたいのです。TPPはそれを真っ向から潰すものです。弱体化した経済を、解放して得することはなにもないのです。

TPP参加の中で、デフレから解消するのは至難の業だ。2千5年頃の日本にとって有利な輸出状況でも、一向に借金を返すことができなかったのだから。

日本は、デフレから逃れ、拡大再生産がなされる時までTPPなどの無制限な自由化に応じてはならないのです。
http://www.asyura2.com/11/hasan74/msg/275.html

御用学者たちの真実 2016/10/24

財務省は、財政制度について議論する「財政制度等審議会」や、 国債管理政策について「有識者」から意見を聞く「国の債務管理の在り方に関する懇談会」といった会議を開き、 緊縮財政を推進しようとします。

各会議のメンバーは、基本的には財務省の官僚が選定します。

この種の会議の名簿に「委員」として掲載されることは、 特に「学者」にとってはステータスになります。

当然ながら、緊縮財政を推進する学者以外が財務省に選ばれることはありません。

いわゆる「御用学者」たちですが、 審議会や懇談会の委員に選出されれば、日経新聞などの「御用新聞」に寄稿する機会なども増えます。

御用学者たちが、財務省の飼い犬として御用新聞に緊縮財政推進論を掲載し、世論を動かそうとするわけです。

財務省は、審議会などのメンバー以外にも、「資料提供」「情報提供」など、 様々な手段で学者たちを手中に収め、 御用学者として成長させようとします。

財務省肝いりの御用学者たちは大学の中で教授としてのパワーを高め、その下に就いた准教授、講師、学生たちも、トップ(教授)と同じ路線を進みます。

何しろ、御用学者の下で、反緊縮財政論の論文を書いたとしても、採用されません。

というわけで、御用学者の弟子たちも、緊縮財政派として長じ、財務省に飼い犬として認められ、審議会や懇談会のメンバーになる。

彼らの弟子たちもまた、緊縮財派として教授への階段を上る。

と、御用学者再生産の構造がガッチリと組み上げられてしまっているのが、我が国なのでございます。

かつて、社会保障削減や緊縮財政を「正しい論旨」に基づき批判していた吉川洋氏も、今は立派な御用学者として「財政制度等審議会 財政制度分科会」の会長としてご活躍されています。

以前は、この手の「事実」が一般の国民に知られることはありませんでした。

とはいえ、最近はインターネット等、 新たな情報メディアの出現により、 御用学者たちの真実が世間に広まりつつあります。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2016/10/24/mitsuhashi-484/


時代錯誤の「比較優位の原理」を鵜呑みにしている自称経済学者 池田信夫


内田樹氏の知らない比較優位 (池田信夫blog)
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51752213.html


自由貿易で交易が活発になることによって、経済が成長すると思っている人が多い。この理論的根拠の一つがリカードの「比較優位の原理」である。

このリカードの理論は供給サイドだけで経済の成長を捉えている(需要は無限で生産したものは全て消費されるといった前提)。交易によって余った生産要素が他の物の生産に振り向けられ、経済が成長するといった理屈である。つまりデフレ経済の今日の日本には全く当てはまらない幼稚な経済理論である。

しかし教科書でこのリカードの「比較優位の原理」を学んだ学校秀才は、いかなる時にもこの理論が適合できると思い込んでいる。そしてこの自由貿易の障害が、関税であったり、また非関税障壁と呼ばれている補助金や各国の規制と考えている。

中でも最大の交易の障壁が関税という認識である。したがって関税撤廃を目指すTPPは、自由貿易の信奉者に熱烈に歓迎されている。しかしリカードの「比較優位の原理」が唱えられたのは、18、19世紀の牧歌的経済システムの時代を前提にしている。また後ほど述べるが、今日では関税以外の大きな貿易の障壁があることが常識になっている。

http://adpweb.com/eco/eco651.html


 池田氏は、『内田樹氏の知らない比較優位』のなかで、「「アメリカが強硬に日本のTPP参加を要求」しているというのは、何を根拠に言っているのだろうか。たとえばNYタイムズで"TPP"を検索すると、2件しか出てこない。その一つでBergstenは「大統領も共和党もTPPに関心をもっていない」と嘆いている。アメリカにとってTPPは、小国を相手にしたローカルな通商協定にすぎない。そこに主要な輸出先でもない日本が入って来ても来なくても、どうでもいいのだ」と書いている。

 米国政権が日本政府にTPP参加を要求しているわけではないという根拠の最初に、NYTの記事検索を持ち出すのには驚いた。 それは、TPP(や対日通商交渉)が米国国民やメディアにとってそれほど大きな関心事ではないことを意味しているとしても、米国政権が日本政府にTPP参加を要求していないという傍証にすらならない。 TPPのキーワードでNYTの記事を検索せずとも、米国政権が日本政府にTPP参加を強く望んでいることは、日本で報道されている米国政権の言動から十分にわかることである。

 日米の貿易関係は、「水平分業」で棲み分けがうまくいっている構造になっていると考えている。

 韓国企業との関係とは違い、それほど激しいつばぜり合いを演じることはなく、品目や対象地域(市場)で棲み分けている。(韓国企業とは、市場と品目(完成品)の両方で深刻な角逐状況にある)

 池田氏は、米国にとって日本が主要な輸出先ではないという説明を否定せずそのまま使っているが、ちょっと調べればわかるように、カナダ・メキシコ・中国に次ぐ第4位の位置にあり、英国やドイツよりも上位なのである。(対日輸出512億ドル:輸出全体の4.8%)

 池田氏は、さらに、「TPP反対派は、高校の政治経済レベルの経済学も理解していないことが多い」と指弾し、その根拠として、『比較優位の原理』を持ち出している。

 池田氏は、クルーグマン氏の教科書から説明を引用し、

「各国で生産費が異なるときは、相対的にコストの安い財に特化して輸出することによって世界全体の生産量が増え、双方の国が利益を得るWin-Winが実現するのだ。これがリカード以来知られている(そして内田氏の知らない)比較優位の原理である」

と教示している。 クルーグマン氏の教科書からの引用部分:

『アメリカでは1000万本のバラを栽培しているが、これに使う資源で10万台のコンピュータを生産できるとしよう。他方、南米では同じ資源で3万台のコンピュータしか生産できないとする。アメリカでバラの生産をやめて全量を南米から輸入したら、南米のバラの生産は1000万本増えてコンピュータの生産は3万台減るが、アメリカではバラの生産がゼロになってコンピュータの生産が10万台増える。つまり世界全体では、バラの生産量は変わらないが、コンピュータの生産量は7万台増える』

 この論理で、南米にコンピュータ製造をやめさせバラ栽培に傾注させられると考えているのならお手並み拝見である。

 まず、近代経済学は物理的量ではなく金額的量が基本の考察ベースである。

 バラ1000万本の付加価値とコンピュータ3万台の付加価値を比較しなければならない。それが同じなら、とりあえずは比較優位の論を受け入れよう。 しかし、バラの付加価値が100万Gでコンピュータの付加価値が130万Gなら、南米はご冗談でしょとバラ栽培への特化を拒否するだろう。  付加価値は同じだとしても、商品の性質も関わってくる。


● バラの盛りは短く、売り時に売れなければ、腐らせてしまい収入が大きく減少する。輸送にも気をつかわなければならない。

  コンピュータは、コストダウンペースや技術革新が速く生鮮食品とも揶揄されるが、バラほどではない。見切りをつけ安売りすればバラほどの大損は食わない。経済的腐敗はあるが、物理的腐敗はほぼない。

● バラの栽培も奥行きは深いと思っているが、近代資本制産業を発展させる動因はあまりない。コンピュータの方は、半導体・映像表示装置・ソフトウェア・製造装置など近代資本制産業を発展させる要素が詰まっている。

  近代国家として今後も成長を遂げたいと思っている国であれば、現段階の生産性は低くとも、コンピュータの製造を放棄したりはしないだろう。


 池田氏は、「比較優位の原理」を使って、「日本のような製造業に比較優位をもつ国が農産物に高率の関税をかけて農業を保護するのは、製造業を犠牲にして世界経済を収縮させているのだ」という結論を導いているが、製造業従事者がこの3年間だけで100万人も減少し(総数900万人)、若年労働者層の8%以上(200万人)が失業しているこの日本で、「製造業を犠牲にして」というロジックは通用しない。

 世界最高レベルの競争力を持つがゆえに、日本の製造業は、日本国内で労働力を使いこなせなくなったのである。日本の製造業にとって日本の労働力人口は過剰なのであり、農業を保護しようがしまいが、それは変わりないのである。

「比較優位の原理」は、そのような状況ではまったく通用しないのである。

 池田氏が批判している内田氏のブログは申し訳ないが未読なので、池田氏が引用している


『貿易において一国が輸出によって大きな貿易黒字を得る場合、その相手国は輸入超過となって貿易赤字が増えることになっている。ふつうはそうである。貿易では(グローバリストの好きな)Win-Win はない。片一方が黒字なら、片一方は赤字になる。』

という部分のみについて感想を述べたい。  貿易収支の不均衡からWin-Win はないということらしいが、貿易黒字の多寡がWINの指標だというのなら別だが、経済成長や国民生活の向上を指標にするのなら、Win-Win はありえる。


 池田氏の誤りは、内田氏の主張を「比較優位の原理」で裁断していることだ。比較優位は、静態的一時的な話としては通用しても、持続的なWin-Win が論証できているわけではない。  持続的なWin-Winの条件は、


○ 一つは、米国のように、膨大な貿易赤字にお構いなしで、旺盛な財貨の輸入ができる国があること。

 戦後世界の経済発展は、国際基軸通貨ドルの発行国で軍事的にも破格の力を持つ米国が、鯨飲馬食とも言える輸入超過構造を継続してきたことに支えられている。


○ もう一つは、米国の輸入超過構造を頼りに、近代的製造業の移転を通じて途上国の国民所得をアップさせるような貿易関係。

比較優位ではなく、コストの比較どころか製造条件さえない国に先進国が製造拠点を築き、そこに生産財や部品を輸出し、そこから米国や自国などに完成品を輸出するという構造だ。それにより、雇用された人々の所得が増加し、その所得が消費を通じてその国の経済社会全体に回る。進出先の国の所得水準が上がることで、製造拠点の生産量が増えたり、自国からの製品輸出が増える。

 というようなもので、「比較優位の原理」は、Win-Winの条件でもなければ、その論証にもなっていない。


以下のリンク先の比較は参考になります。

野田オバマ初会談―各紙は何を書き何を書かなかったか

http://d.hatena.ne.jp/oguogu/20110923/1316769113

オバマ大統領


『大統領は初顔合わせにもかかわらず、具体的な結果を明確に求めてきた』(朝日新聞)、『オバマ大統領が示したビジネスライクな要求』(毎日新聞)、

『一変した大統領の実務的な口ぶりに、同席の米高官らも驚いたという』(産経新聞)、『初顔合わせで、米大統領が懸案を巡り、ここまで単刀直入に善処を迫るのは異例といえる』(日本経済新聞)。


オバマ大統領の口調が、これまで行われた日米首脳会談とは違っていた事を各紙が伝えています。しかし、どうしてオバマ大統領が、そういう口調で話さなければならないのかという事まで触れた新聞社は一社もありませんでした。私は、各社の論説委員が国内の事だけしか考えていないからだと思わざるを得ません。オバマ大統領が日本との外交で結果を求めたのは、それだけアメリカ国内で追い詰められているからです。実際に世論調査では再選が危ういと言われていますから。

結局、オバマ大統領は、野田総理に得点になるような物を寄越せと言っているわけです。

http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/582.html


【経済学理論の虚妄】 「比較優位」というリカードの“詐欺的理論”が今なお生き延びている不可思議 

− 「自由貿易主義」は「保護貿易主義」である 


「国家破産15」ボードにも「比較優位」学説が散見されたので、それを俎上に乗せたい。

まず、「自由貿易主義」は、それが有利だと考える国家が主張する「保護貿易主義」だと考えている。

自由貿易がお互いの国民経済にとってメリットがあるという理論的根拠としては、「比較優位」という考え方が示されている。

「比較優位」は経済学で幅広く受け入れられている(流布されている)理論であるが、現実と歴史をとてつもなく捨象したモデルにおいでのみかろうじて成立するものでしかない。

ここで取り上げる「比較優位」の理論は、リカードの「比較生産費説」と「ヘクシャー=オリーンの定理」とし、その対抗理論(政策)としてリストの「幼稚産業保護論」を取り上げる。

経済学から少し離れ、経済が国民経済であり、国民経済が近代国家の基盤であることを考えれば、「比較優位」がどれほど“現実離れ”したものであるかわかる。
「比較優位」を根拠として、鉄鋼産業や機械産業を確立せず、それらを外国に依存した近代国家が、国際政治の荒波を乗り越えることができるのか?

「比較優位」を根拠として、食糧を外国に依存した国家が、農業の自然規定性と自然変動や国際政治の変動を考えたとき、それで長期的な国民生活の安定を維持できるのか?

諸外国と対等に交渉できる自立した国家をめざす統治者が「比較優位」を受け入れることはないだろうし、国民の安定的な生存を第一義とする統治者も、「比較優位」を受け入れることはないだろう。

また、グローバル化が進んだ戦後世界でも、日本を除く先進諸国は「比較優位」を度外視して食糧自給率100%をめざし、自由主義の権化と見られている米国でさえ、繊維・鉄鋼・家電・自動車・半導体と次々に対日貿易規制を強要してきたことなどを思い浮かべれば、「比較優位」が、建前や理論は別として、現実としては受け入れていないことがわかる。

「比較優位」が理論としては受け入れられていても、現実の近代世界史で「比較優位」に基づいて交易が行われたことはないというのが実態である。

(近代産業勃興期の英国も、相手国(インドなど)に強制するかたちで輸出増加を達成したのだから、相互が納得する「比較優位」で交易が行われていたわけではない)

しかし、このような政治論的立場から「比較優位」を批判することが目的ではないので、経済論理に限定してその誤りを考察したいが、先にリストの「幼稚産業保護論」を見ることにする。

■ リストの「幼稚産業保護論」


リカードの「比較生産費説」を批判したドイツのリストは、自由貿易があらゆる国に利益をもたらす政策だとしても、産業構造が不変で、短期静態的な条件でのみ適用できるとした。

例えば、ドイツが近代的な紡績工場を綿糸業の比較生産費を切り下げていけば、小麦の輸出国から綿糸という工業製品を輸出する工業国に変身し、生産が大きく拡大し、経済厚生水準も大きく向上すると説明し、国家の政策で、英国製品の輸入を抑え、綿糸の国内価格を引き上げることで綿糸工業の拡大を実現すべきだと主張した。そして、リストの考えはその死後1879年にビスマルクによって採用され、それが、ドイツの工業化を促進し、重化学工業で英国を凌駕するまでになった。

これは、19世紀末のドイツまで遡らなくとも、戦後の日本を考えれば理解できることである。

米国の産業に較べて劣っていた日本の産業がついには米国を凌駕するまでになった過程を考えれば、「幼稚産業保護論」どころか「幼稚国家保護論」に基づく政策によってそれが実現されたことがわかる。

戦後日本の高度成長期は、保護関税のみならず“舶来品は贅沢”という価値観まで国民に浸透させることで輸入を抑制し、外資の直接投資を原則禁止とし、輸出の増進を国策として取り組んだ成果である。

1960年前半までに「自由貿易」や「外資受け入れ」を政策として実行していれば、今では名だたる輸出優良企業のほとんどがなく、国民生活の水準も現実の歴史過程よりずっと下回るものになったはずである。

(安価な財の輸入により国民生活が一時的に上昇することは否定しない)

■ 戦後の発展途上国


「自由貿易」主義者が戦後世界を取り上げるときは、「幼稚産業保護論」で成功した日本ではなく、戦後独立を果たした発展途上国を対象とするだろう。
発展途上国はその多くが近代化をめざし、「幼稚産業保護論」に相当する「輸入代替工業化政策」を採った。

その具体的な政策は、保護関税・輸入数量割り当て・高い為替レートをベースに、育成対象の産業が生産する財の国内価格を引き上げ、その産業が必要とする資本財の輸入に必要な外貨を優先的に割り当てるという政策を採った。

しかし、このような政策が成果を上げることは稀であった。

戦後日本やかつてのドイツが成功を収める一方で、戦後類似的な政策を採った発展途上国がうまくいかなかった要因が何かを考える。

技術力・経営・活動力という歴史的蓄積の差異を総括的要因として上げることができるが、


● 資本における有機的構成の高度化すなわち固定資本比率と規模の拡大

戦後とっても「産業革命」から既に100年以上が経過し、二つの世界大戦を経ていることから、産業の機械化が生産装置と言えるまで高度化しており、国際競争力を確保するためには、競争優位の規模を実現するためには厖大な資本投入を必要とする。

特定産業を優遇的に育成するためには、他の産業に犠牲を強いることである。
資金(外貨)が不足しているのが途上国だから、国際借り入れを行い、生産した財を輸出することで返済していなければならない。

途上国はGDPの絶対的規模が小さいのだから、対外債務の返済負担が過大なものとなる。

対外債務の過大な負担はイコール国民生活の耐乏を意味するから、国際競争力を確保できるほどの規模で産業を確立するのは無謀な試みとなる。

せいぜいが「輸入代替」という規模に制約され、国内市場向けに販売されることになる。

しかし、産業育成の資金は国際借り入れだから、その債務履行分だけは、国民経済の需要が減少する。

巨額の生産財を国際借り入れで輸入しながら、それによって生産される財が国内市場だけで販売されていれば、その産業の維持さえ困難な国民経済状況になる。

● 自国通貨を高めに設定した為替レート

為替レートが“実力”以上に高ければ、国際借り入れも相対的に軽減でき、財の輸入も有利になる。

ところが、そのために財の輸出競争条件は厳しいものになる。

「輸入代替工業化政策」という国内市場に限定した考えであったが故に、途上国の産業は育成はうまくいかなかったと言える。

国際借り入れの返済のために国内需要は減少するのだから、最低でも、債務履行に必要な外貨を輸出で稼ぎ出さなければならないのである。

■ 東アジアの経済成長


東アジア地域は、ラテンアメリカ・南アジア・中東・アフリカと違って経済成長を達成した。

東アジアが経済成長を遂げたのは、「比較優位」に従った結果でもなく、「輸入代替工業化政策」を採った成果でもない。

成功の要因は、日本を中心とした外資を積極的に誘致し、輸出拡大と国内需要拡大を成し遂げたことにある。

自前の産業育成であれば国際借り入れが必要になるが、外資であれば、生産設備の投資は外資自身が行い、そこで働く人々の教育だけ面倒を見ればいい。

極端な例をあげると、外資の工場で生産される財が全量輸出されるのであれば、財が国内に供給されることなく、そこの勤労者が得る賃金がまるまる国内企業にとっての需要として増加することになる。

財の輸出でデフレ圧力がかかることなく、需要の純増加により産業活動が活発化するインフレ傾向を生み出すことになる。

そのような経済状況であれば、需要“純”増加を梃子に国内企業の力を徐々に高めていくことができる。 そして、産業育成に国際借り入れを行ったり高価な生産財を輸入する必要がないのだから、為替レートは安い状態でいいというか、外資誘致のためにも安いほうが有利である。


国内企業の力が付いて輸出ができるようになれば、安い為替レートが国際競争力の支えとして貢献することになる。

このような発展途上国の経済成長論理は、ここ10年の中国経済を顧みれば理解できるはずである。

■ リカードの「比較生産費説」


「比較優位」の先駆理論であるリカードの「比較生産費説」からまず見ていくことにする。 簡単に「比較生産費説」を説明すると、


「世界に英国とポルトガルの2ヵ国しか存在せず、生産している財も毛織物とワインの2種類しかないと仮定する。英国は毛織物1単位を生産するのに100人、ワイン1単位を生産するのに120人を必要している。

ポルトガルは毛織物1単位を生産するのに90人、ぶどう酒1単位を生産するのに80人必要だとする。そして、英国の全労動量を220人、ポルトガルの全労動量を170人とすれば、貿易が行なわれないときの2ヵ国の毛織物の総生産量は、英国1単位、ポルトガル1単位の合計2単位である。同様に、ワインの2ヵ国の総生産量も2単位となる。

         英国     ポルトガル   2ヵ国の総生産量  
 毛織物    100人     90人     2単位
 ワイン    120人     80人     2単位
 総労働力量  220人    170人


生産性という視点で見れば、毛織物とワインともポルトガルのほうが優位にある。
直感的に考えれば、ポルトガルが両方の財を英国に輸出すればいいということになるのだが、リカードは、“より生産性が優れている財に特化して生産した方がお互いにより利益を得ることができる”と唱える。

ワインを基準にすると、  

(100/120)0.83 < (90/80)1.13

だから、英国は毛織物の生産が相対的に得意ということになる。


毛織物を基準にすると、  

(120/100)1.25 > (80/90)0.89

だから、ポルトガルはワインの生産が相対的に得意ということになる。
だから、英国は比較優位の毛織物に特化し、ポルトガルは比較優位のワインに特化したほうがいいとする。


そうすれば、

        英国     ポルトガル  2ヵ国の総生産量 
 毛織物    220人      0人   2.2  単位
 ワイン      0人    170人   2.125単位
 総労働力   (220人) (170人)  


 2ヵ国の総生産量を見ればわかるように、貿易しない場合に比べて、総労働量に変化がないにもかかわらず、それぞれの財の生産量が増加する。」


このような“詐欺”的説明でリカードは、自由貿易がお互いの国民経済にとって有利なものだと主張した。

財の特性にふれることもなく二つの財だけを比較するだけで、国民経済の利害を論じるとはなんとも雑ぱく話である。

例として上げられたポルトガルは、当時英国の属国同然だったから反論をしなかったかもしれないが、まっとうな統治者がいればきちんと反論していたであろう。
仮想のポルトガル統治者による反論を試みる。

● ポルトガルの仮想反論


「私どもの生産性のほうが毛織物でもワインでも高いということがよくわかりました。しかし、私どもの国では毛織物とワインの生産量と需要はぴったり合っていて、ご提案の内容によって賃金総額が増えることはありませんから、生産量が増えてもそれらの需要は増加しません。余った財はどうなさるのですか?全部お金に代えるとしたら、安く売るしかないんじゃないですか?」

「リカードさん、ではこうしましょう。英国の毛織物とワインの需要量はどれほどですか?私どもでその分を生産して貴国に輸出して差し上げます。もちろん、現状の労働力量では生産量を増加させることはできませんから、おたくの国から労働者に来てもらって結構ですよ。ほら較べて見てください。


        英国   ポルトガル  2ヵ国の総生産量 
 毛織物     0人    220人   2.44  単位
 ワイン     0人    170人   2.125単位
 総労働力  ( 0人) (170人)


        英国     ポルトガル  2ヵ国の総生産量 
 毛織物    220人      0人   2.2  単位
 ワイン      0人    170人   2.125単位
 総労働力   (220人) (170人)


ワインの生産量は変わりませんが、毛織物は2.2単位が2.44単位に増加します。うちで全部生産したほうが毛織物も生産量が増えますよ」


「それがおいやでしたら、英国はワインを、ポルトガルは毛織物をという分担は如何でしょう。毛織物は機械産業も必要ですし、毛織物や機械産業を別の織物業の発展にも貢献します。ワインの生産量が減ることについては、飲酒抑制を呼び掛けて何とかしますから大丈夫です」


現代のリカードは、ポルトガルの反論にどう答えるのだろう。

国民経済の発展が、農業就業人口の減少とそれに代わる工業就業人口と商業・サービス業就業人口の増加という現象を伴ったこと、金額であるGDPでも同じ現象を示し、現在の日本の農林水産業がGDPに占める割合は1.4%しかないことを考えれば、ポルトガルがワインに特化すれば、その後どういう“発展”を遂げなければならないかを推測するのはそれほど難しいことではない。

■ ヘクシャー=オリーンの定理


 比較優位を説明する理論としては、リカードの「比較生産費説」の他に、ヘクシャー=オリーンの定理がある。

ヘクシャー=オリーンの定理は、貿易する2国間で生産関数と消費関数が同一であったとしても、2国間に要素賦存比率の違いがあれば両国で異なる財に比較優位が発生して貿易が有効になると証明したとされるものである。

ヘクシャー=オリーンの定理が成立する条件は、


(1)2国2財2要素モデル
(2)生産関数と消費関数は2国で同一
(3)市場は完全競争
(4)二つの国は一方が資本豊富国でもう一方が労働豊富国
(5)二つの財は一方が資本集約財でもう一方が労働集約財
(6)二つの要素は資本と労働であること。
(7)生産要素は国内では自由に移動できるが、国境を越えて移動できない


である。そして、要素賦存の違いが国内の財の相対価格に反映されるとする。
資本豊富国では、同一の生産関数の下では労働豊富国よりも資本集約財の相対価格が低く、労働集約財の価格が高くなる。

だから、各国は、自国に相対的に豊富にある生産要素を集約的に用いる財に比較優位をもつことになると結論する。

まず、この定理では、類似的な要素賦存比率である先進諸国間や途上諸国間の自由貿易の正当性を説明することができない。

先進国と発展途上国のあいだの自由貿易を正当化する説明として“限定的に”有効性を持っていることは認められるが、自由貿易ではなく、前述した外資導入による東アジア諸国の経済成長論理に較べれば劣った“経済利益”である。

また、発展途上国の位置づけを固定化するものであり、通貨的尺度で測られる資本増殖ではなく、財生産量の最大化や財価格の最小化が経済利益に直結すると考えたときのみ通用するものである。

日本経済や世界経済を見ればわかるように、「近代経済システム」では、財価格の極小化は経済利益をもたらすどころか、「デフレ不況」という経済的大災厄をもたらすことがわかっている。

「自由貿易主義」は、世界レベルで需要規模が大きく付加価値も大きい財の生産分野で国際競争力を誇っている国民経済の国家が主張する「保護貿易主義」なのである。

そして、それを高らかに唱え続けるためには、国内で完全雇用に近い経済状況が維持されていなければならない。

http://www.asyura2.com/2002/dispute3/msg/570.html

貿易とグローバリズム 05/3/7


リカードの「比較優位の原理」


ライブドアのニッポン放送買収劇は、色々な教訓を与えてくれた。日頃グローバリズムを唱えている日本のマスコミが一夜にして国家主義者に変身した。例えばテレビ朝日の広瀬社長は、政府が外資系企業による放送局への出資規制強化へ電波法や放送法の改正を検討していることについて「歓迎したい」と賛成する意向を示している。

今日、日本のマスコミは構造改革派やニュークラシカル経済学派に席巻されており、本来なら、市場至上主義を唱え、あらゆる規制に反対する立場のはずである。ところが自分達に降り掛かった災難に対してだけは、規制をして守れとはたいした了見である。まるで先週号で取上げた昔の社会党の政治家のように、日本のマスコミはダブルスタンダードである。


ところで筆者は、外資規制に賛成である。ただし放送業界だけに外資規制を適用するという考えには反対である(外国でもメディアに対して外資規制があることを根拠にしているらしいが)。全ての企業についても外資の規制を検討すべきと考える。そもそも筆者は、経済のグローバリズムそのものに疑問を持っている。筆者は、それぞれの国がメリットのある範囲で国際的な規制緩和を行えば良いという考えである。何でも規制を緩和すれば、国民が幸せになるという話は幻想と考える。

外国と交易することは、国とって良いことだという意見が強い。この考えの延長で、貿易をどんどん自由化したり、外国から大量の労働者の受入れることが良いことと考える人々がいる。日本にはFTAを積極的に進めることが必要と唱える政治家がいたり、経団連は単純労働者を日本も受入れるべきと考えている。

一般の人々の間には、素朴に日本人は国内に産出しない石油が使え、日本の製品が各国に輸出ができ雇用機会を確保できるという意見がある。しかし貿易というものは双方にメリットがあるから行われるのである。産油国は、その辺を掘ったら石油が出てきたのであり、そんなものを買ってくれる者がいることに感謝しているとも考えられる。交易が一方的に日本だけにメリットがあると考えるのはおかしい。


筆者は、経済のグローバリズムには光と影があり、今日、光の部分だけがやけに強調されていると考える。そこで本誌はしばらく経済のグローバリズムを取上げる。しかし経済のグローバリズムと言うと、テーマとして大きい。そこで経済のグローバリズムを「物の交易、つまり貿易」「資本の移動、つまり外資の進出」「人の移動、つまり外国人労働者」の三つの側面から論じたい。

まず「貿易」を取上げる。貿易が活発になることが、どの国にとっても良いという意見は誰もが主張したがるが、驚くことにこの根拠はとても薄弱である。このような考えの根本を辿って行くと、どうしてもリカードの「比較優位の原理」に到る。これについては中国との交易の関係で、本誌02/7/22(第261号)「中国の不当な為替政策」で取上げた。

「比較優位の原理」が適切に働くには、為替レートが適切な水準にある必要がある。しかし日本のように購買力平価より高い為替水準で推移している国がある一方、中国やインドのように購買力平価より著しく低い為替水準の国がある。さらに中国は、不適切な為替レートを米ドルにぺッグすることによってずっとこの不適切な為替レートを維持している。このようなことが許されるなら「比較優位の原理」が働くのではなく、全ての生産物は中国で生産することが有利になる。

だいたいリカードは18世紀後半の経済学者であり、当時は金本位制の時代である。つまり不適切な為替レートなんて考える必要がなかったのである。さらにリカードの唱える古典派の経済学では「生産した物は全て売れるというセイの法則」が成立っている。つまり「比較劣位」となって競争に破れても、生産者は他の物を生産する道があるという現実離れをした考えが根本にある。

やはり日本は内需拡大を


「比較優位の原理」は為替変動が適切でなければ適切に働かないだけでなく、古典派経済学の前提になっている完全競争下でなければ公正に働かない。ところが現実の経済では産業によって参入障壁の高さがまちまちである。参入障壁が高い産業は、政府の保護政策がなくとも自由貿易で損をすることがない。一方、参入障壁の低い産業は、貿易の自由化の悪影響をもろに受ける。

経済のグローバリズムと参入障壁の関係は、本誌でも

00/5/15(第162号)「経済のグローバル化とNGO」
http://www.adpweb.com/eco/eco162.html

で述べた。参入障壁の高さがまちまちの状態のままで、単純に貿易の自由化を進めれば、貿易の自由化で恩恵を受ける人々と、損害を被る人々に別れる。たしかに日本において所得格差の広がっているが、これも貿易の自由化の進展と関係している。また参入障壁が低い産業(農業などが典型)は主に地方に配置されており、貿易の自由化の進展は今日の地方経済の疲弊と密接な関係がある。

また部品工業を取り上げれば、参入障壁が低い汎用品を生産しているところは貿易の自由化で損害を受け、特殊な部品を造っているところは影響が少ない。たしかに汎用部品なんか作っている時代ではないという意見もある。しかし全ての部品メーカが特殊部品の製造メーカに簡単に移行できるわけではない。ましてや中国のような不当な為替政策を行っている国の台頭を容認することは問題である。

農業についても、北海道のような工作面積広く米に頼ることのない農業をやっている所と、本州のように農家が依然米作にこだわりを持つ地域とでは利害が対立する。北海道は貿易の自由化を容認するかもしれないが、本州の農家は簡単には農産物の自由化を容認できない立場である。このように貿易の自由化と言っても、国民の利害は一様ではないのである。


中国やインドの為替政策は不正であるとか、日本国内の産業構造を見ても競争が公正に行われるはずがないと言っても、貿易の自由化は確実に進んでおり、所得格差は大きくなっている。しかし中国やインドが簡単に政策を変えるはずがない。今日の日本の風潮を前提にするなら、残念ながら競争にさらされやすい産業の人々は、これに対抗する必要がある。物事を深く考える政治家もマスコミ人も少ない今日、これらの産業に携わる人々は自分で防衛手段を考える他はないという立場に追い込まれている。

日本の教科書には、日本は貿易立国であり、貿易で恩恵を受けていると記述されている。しかし単純にこのようなことが言えない時代になっている。貿易黒字が溜まれば、円高になる。円高を阻止するため資本の海外流出を続けると、今度は海外に持つ資産が増え、これからの利息や配当収入が増え、これがまた次の円高要因になる。円高になれば企業は合理化に迫られ、リストラを行い競争力を回復することになる。

政府が内需拡大をしない今日では、企業は輸出に頼ることになる。しかしこれが将来、自分達の首を絞めるのである。つまり貿易が、誰にとってメリットがあるのか分からなくなっている。企業のメリットと言っても、企業の経営者なのか従業員なのか、はたまた株主なのか、メリットを受ける者が分からない。


今期、最高益を記録したある企業では賃金の引下げを計画している。会社の利益は伸びているが、これは国内の販売の不振を海外事業がカバーしたからである。つまり国内従業員の給料を上げる理由がないのである。国内従業員は会社の海外進出に協力し、技術の海外移転に協力した。しかし海外事業発展の成果は、国内の従業員には還元されないのである。特にこの会社は外資の持ち株比率が高く、安易な国内従業員の賃上げはできず、むしろ賃下げに動いているのである。

このように日本は貿易に頼る貿易立国で、貿易によって国民は幸せになるという単純な概念は今日では通用しない。輸出が伸びれば、円高が進み、さらに輸出先の国での設備投資が要請される。会社は成長し生き残るが、国内の従業員や下請け業者はそのうち犠牲になるのである。

受験秀才のマスコミ人や政治家は、教科書の記述通り、貿易が盛んになれば国民は豊かになると信じている。政府も、FTAを推進すれば日本の経済成長率を押し上げると言っているが、これも一時的なものである(それもほんのわずかな数字)。むしろ将来、この反動の方が大きい。

今日では企業の利益が、国民や国家の利益とはならない時代になっている。筆者は、貿易黒字は、日本のODAの額に見合うだけで十分であると考える。もっと言えば所得収支が黒字であるから、さらに貿易黒字く小さくて良い。むしろ日本は、内需拡大を行って、海外に依存する度合いを低くしても成立つような経済に転換すべきである。  

来週は「資本の移動、つまり外資の進出」を取上げる。冷徹な資本の論理が正しく、これに逆らうのは資本市場の働きを歪めると言われている。たとえば「ライブドアの行動は、現行の法律の上で許されているのであり、これを否定することは市場を否定することになる」という意見はこれに沿っている。またこれがグローバルスタンダードとかアメリカンスタンダードと言われている。

しかし今回のようなだまし討ちのようなライブドア陣営の行動は、アメリカでも卑怯な行動と否定される可能性が強い。リーマンブラザースだって、米国なら今回のような商売を行っていたか疑問である。ハゲタカファンドだって、米国ではとてもやれないことを日本でやっている可能性が強い。それを日本のばかで思考力のない政治家やマスコミが、これがグローバルスタンダードと誤解しているのである。

http://adpweb.com/eco/eco380.html


中国の不当な為替政策 02/7/22

比較優位の原理


最初に、交易の有益性の理論的な背景を述べることにする。そのために分りやすい例えを用いる。まず北海道と鹿児島の交易である。

例えば北海道では、「じゃがいも」が極めて安く作れるが、「サツマ芋」の生産コストが物凄く高いとする。反対に鹿児島では「サツマ芋」を安く作れるが、「じゃがいも」の生産費がばか高いとする。このような場合、北海道は余計に「じゃがいも」を作り、これを鹿児島に売ることにし、反対に鹿児島は「サツマ芋」を増産し、増産分を北海道に売ることにする。そして北海道は「サツマ芋」、鹿児島は「じゃがいも」の栽培をそれぞれ取り止める。

このような交易を行うことによって、北海道と鹿児島の双方にメリットが生まれる。北海道は高コストの「サツマ芋」の栽培を止めることによって、生産資源を他の作物に振向けることができ、鹿児島も「じゃがいも」の生産資源を他の有益な作物に振向けられる。つまり北海道と鹿児島は、互いに低コストの生産物を交換することに、生産余力が生まる。さらにこのことによって所得の増加が可能になる。このように交易は、双方の所得増加と言うメリットを与えることになる。そしてここでポイントとなることは、交易が「双方」にメリットを与えると言う点である。

そしてこの交易によるメリットは、国内に止まらず、海外との交易にも広げることができる。このように互に生産コストが安い物を交換する、つまり外国と交易することによって双方の国に所得の増加がもたらされることを始めて理論的に説明したのがリカードである。そしてこれは「比較優位の原理」と呼ばれ、国際分業を推進する理論的根拠となっている。上の例の場合、北海道は「じゃがいも」が、そして鹿児島は「サツマ芋」が夫々「比較優位」と言うことになる。

人々がよく口にする

「自由貿易を推進し、交易を広めることは、双方にメリットがあり、これを阻害する障壁を除去することが大切」

と言うセリフの背景にも、このリカードの理論がある。WTOは、この精神に乗っとって、関税や補助金と言った貿易の障壁をなるべく低くすることによって、貿易の自由化を推進することを目的にした機関である。


たしかに先進国の間では、それぞれの国に得意な生産物があり、これを交易と言う形で交換すれば、互にメリットがあるるような気がする。しかし国際間の交易には、国内の交易とは決定的に違いことが存在する。貿易には為替が介在するのである。もちろん為替レートが適正な範囲に収まっているのなら問題はない。ところが日本のように購買力平価より著しく高く実際の為替レートが推移している場合には問題が生じる。

もっとも現実の円レートについては、購買力平価より高く推移している原因の大部分は日本に責任がある。まず国内需要が慢性的に不足しており、産業が輸出指向型になっていることがあげられる。さらに資本流出(為替介入による外貨準備金の増大も含まれる)による膨大な海外資産の累積があり、これらから発生する利息や配当が円高圧力となっている。本来なら、内需拡大を行ってこなければいけなかったのであるが、これが十分行われてこなかったツケが今日の円高となって跳ね返ってきているのである。


このように円レートはいびつな水準で推移している。しかし一方には、逆に購買力平価より著しく安い水準で推移している為替がある。中国の「元」やインドの「ルピア」などである。特に貿易量が増大している中国の「元」が大問題である。

01/5/28(第209号)「中国との通商問題」
http://www.adpweb.com/eco/eco209.html


で取上げたように、世銀の調査によれば、元の購買力は実際の為替レートのなんと4.55倍もある。ちなみに日本の円は逆に0.78倍の購買力である。これらの数値を元に、円と元の購買力を比較すると、中国の元は日本の円の、実に6倍の購買力があることになる。

今日、公定レートでは1元が15円である。したがって元の本当の購買力は、6倍の90円と言うことになる。また中国の元は米ドルにリンク(ベッグ)しており、特に今日のような円高が続けば、1元は100円、110円になる可能性がある。たしかに世銀の試算はちょっと古いが、中国の「元」が極めていびつな管理が行われているはたしかである。

中国の工業の発展がめざましいことは認めるが、中国の輸出の急増は、品質の向上ではなく、このようなとんでもない為替レートの維持政策によるものである。中国の工場労働者の賃金は、日本の20分の1とか、30分の1と言われているが、これはあくまでも公定レートの換算によるものである。元の購買力平価で換算すれば、3分の1から5分の1と言うのが実態である。

これは本誌で以前から述べていることであるが、こと中国の物価は、6倍で計算すると実態に合う。例えば、中国のGDPは1兆ドルを越えている。これを購買力平価で換算すると6兆ドル超と言うことになり、日本のGDPをはるかに越えることになる。もっともこれでも一人当りのGDPは、日本の8分の1から7分の1程度である。軍事費も公表されている額が200億ドルであるが、米国の国防省は、この3倍以上の650億ドルと見ている。もし国防省の見解が正しいなら、購買力平価で換算した中国の軍事費は45兆円となり、これは50兆円の米国に匹敵する額である。たしかに中国は年間50基ものミサイル基地を増設しいる。とても額面の200億ドルの軍事費ではとても賄えないような軍備の増強を行っているのである。


最初の交易の話に戻す。

「比較優位の原理」が働くには、交易を行う両国の為替が適正な範囲に収まっている必要がある。

日本の場合、対先進国でも厳しい円高を強いられている。しかしこれは日本が内需に依存する経済を実現することを怠ってきた結果でもあり、甘受すべき面もある。しかし対中国は事情が大きく異なる。あまりにも中国は異常な為替水準(常識を逸した元安)を維持している。これでは日本と中国の間ではとても「比較優位の原理」が働かないことになる。今後はほとんど全ての生産活動を中国で行うことが合理的となる。

ところで本来一時的に為替水準が異常な水準でも、しばらくすれば、パラメータである為替が適正な値に動くはずである。中国は、対日本だけではなく、米国を始め各国との貿易収支は大きな黒字である。つまりこのような状態が続けば、元が強くなり、円を始め各国の通貨が安くなるよう動くはずである。しかし中国は米ドルにしっかりリンクさせることによって、安い元を維持しているのである。特に中国の元は国外に持出しが禁止されており、各国が売買することによって元の為替水準に影響を与えることができない仕組になっている。

為替操作の結果


ドイツのフォークスワーゲンは、昨年チェコに自動車工場を造ることを検討したが、最終的にこれを取り止め、ドイツ国内に工場を造ることにした。チェコの人件費は、ドイツの5分の1であり、これはフォークスワーゲンにとっては魅力的である。しかしチェコのインフラの状況などを勘案すると、やはりドイツ国内の生産設備を増強した方が良いと言う結論になったのである。

ところが中国の人件費は、日本の20分1、30分の1である。これではいくら中国のインフラが劣っていても、日本の製造業は全て中国に移転した方が良いと言う結論になる。

このように全く「比較優位の原理」が働かない状態である。まさに中国の為替政策は、日本を始めとして、各国に対する産業の破壊活動である。

実際、日本だけでなく世界的に中国の為替政策の犠牲者がどんどん出てきている。香港は超不況で失業率は7.7%となっており、東南アジアや台湾の生産拠点もどんどん中国に移転している。メキシコの保税工場も、中国製品の対米輸出の急増で、瀕死の状態である。

中国が不適正な為替を是正すれば、人件費はチェコ並(ロシアも同じくらい)になるはずである。こうなれば、フォークスワーゲンの例ように、中国に移転した方が良い工場もあれば、やはり日本に置いておく方が良いと言った住み分けも起るはずである。ちなみにフォークスワーゲンは、中国に生産拠点があり、「サンタナ」などを製造しており、中国で4割以上のトップシェアーを占めている。


筆者が、危惧するのは、中国のこのむちゃくちゃな為替政策があまりも問題視されていないことである。本誌が異常な中国の為替政策を取上げたのは1年以上も前である。それ以降、中国の経済や中国との通商問題は、色々なメディアで取上げられている。しかしほとんど全てが、この不適正な為替操作には全くと言って良いほど触れない。中国の経済を考える場合には、為替を問題にしなければ、全く意味がない。したがって中国の実状を伝えるテレビ番組も全てピントが大きくづれている。


一般の人々も中国の為替政策を放任したまま、「比較優位の原理」が働かない状態が続けば、大変なことになると言うことに気がついていない。

ただ人々は何故か日本の製造業がどんどん移転していく様子を不安げに見つめているだけである。そのうちこの流れも変わると楽観的に考えようと努めている。しかし中国の為替政策が変わらない限り、この流れは止まらない。5年後、10年後には大変な事態になっているはずである。


国際的に中国の為替政策に無頓着なのは、国際機関の主流派となっている人々がほとんど欧米人と言うことと関係があると筆者は考える。まず欧州各国は、国外との経済交流は大きいが、大半がユーロ圏内であり、単一通貨ユーロ導入で、経済は為替変動にあまり影響されない。一方、米国は、元々GDPに占める貿易額の比率が小さい。さらに米ドルは世界の基軸通貨であり、これにリンクしている通貨も多い。つまり米国も為替の変動をあまり気にしなくても経済活動が行えるのである。

米国が多少気にするとしたなら次のようなケースだけである。米ドルが高くなった時の国内産業、特に自動車メーカーからの不満が出る場合である。また反対に米ドルが安くなった場合の産油国からのクレームが起るケースなどである。しかし総じて米政府は、選挙の時でもない限り、あまり為替を気にしていない。このように欧米の経済は、日本ほどには為替水準の動向に影響を受けないのである。

実際、WTOは各国の為替の水準や為替政策をほとんど気にしていない。ここは重要なポイントである。WTOは、交易を活発化させるために障害となるのは、関税と補助金、そして各国の商慣行や国内産業の保護を目的とした法律などの非参入障壁だけと考えている。ところが中国が行っているいる為替政策は、関税と補助金などと比べられないくらい大きな参入障壁である。しかしどう言う訳か、どうしてもWTOはこの事実を公には認めたがらないのである。かろうじて中国のWTOの加盟と同時に、中国に対する特別のセーフガード

(01/9/17(第222号)「対中国、WTOの特例保護措置」
http://www.adpweb.com/eco/eco222.html


を参照)を認めたことに止まっている。どうも米国やWTOの認識はまだまだ甘いようである。

また政治家だけでなく、経済学者やエコノミストも為替に関する関心が低い(米ドルの大幅下落によって米国の製造業は持直したと筆者は考えているが)。ニュークラシカル派の代表的な存在(教祖の一人)であるロバート・ルーカスなどは

「米国に居ながらフランスのワインと日本のスシが味わえる」

「中国へ生産拠点が移るのも、中国人の人件費が安い上に製品の質が向上しているからであり、これは自然の流れである」

と極めて単純に経済のグローバル化を礼讃している。しかしこの程度の発言なら小学生の意見とほとんど変わらない。中国が政策として、とんでもない為替水準を維持し、世界中の経済を撹乱していることには、全く考えも及ばないのである。

教祖が教祖なら、彼の日本の信者も信者である。日本が農産物に対してセーフガードを発動すると途端に反応し、

「自由貿易に反する」とか

「日本は競争力をつけるべき(中国の為替操作によって人件費が20分の1や30分の1になっていては、競争力もへったくりもないであろう)」

とばかな発言をしている。中には「WTOの交渉の進展のためには、日本はもっと農業分野の開放をおこなうべき」と言っている人々もいる。日本の食料の自給率はたったの40%であり、この数値はほぼ世界最低である。これをさらに下げろとまじめに言っているのであるから、本当にあきれる。

日本が行うことは、まずWTOに為替水準が著しく異常な水準にある国に対して是正を求めるよう要請することである。もしこれが認められない場合には、日本独自で、為替不適正国に対する特別関税を設ける他はない。もちろん日本と同じ被害を被っている国と同一歩調をとることも考えられる。そこで中国がこのような動きにクレームをつけるようなら、中国との貿易を大幅に制限するか、最悪の場合は取り止めることも考えるべきである。中国との交易を止めても、今なら日本にはほとんど被害がないはずである。むしろ今日の状況が続けば、それこそ抜き差し成らぬ状況に追込まれるだけである。


最後に、中国の為替政策の変遷について述べる。今日の1元15円と言う為替レートが、何か合理的な経緯で決まっていると誤解している人々が多いはずである。しかしこれには合理性は全くない。実際、1,980年には1元は実に151円であり、1,990年には30円であった。つまり中国は実に簡単(適当)に「元」の信じられないほど大幅な切下げを行っている。ただ当時の中国経済が今日のように大きくなかったから誰も注目しなかっただけの話である。そして以前の為替水準なら、中国の人件費は1,980年で2分の1から3分の1であり、1,990年で10分の1から15分の1と言うことになる。

このように昔から中国は極めていい加減(適当)に為替を操作している。ところが何も知らない経済学者やエコノミストは、昔から中国の人件費は20分の1、30分の1だったと誤解しているのである。中国はおそらく東南アジア諸国との競争で勝てる水準を探りながら、為替をここまで操作してきたと思われる(たしかにここまで元が安くなれば、日本の企業も東南アジアから中国に生産拠点を移すようになった)。

「水が高いところから低いところに流れるようにコストの低い中国に生産拠点が移転するのは当然」

と判ったようなことを言っている識者と言われる人々が実に多い。しかしこの低コストは、中国政府が適当に決めていると言うことに気づくべきである。したがって万が一でも日本がものすごい努力をして、中国とのコスト競争に勝つようなっても、中国にとっては為替の切り下げをもう一度行えば済む話なのである。


このようなめちゃくちゃの中国の為替政策によって、企業倒産や工場の移転によって失業したり、不幸な目にあっている人々が相当いる。しかしマスコミやメディアには、不思議と中国の為替政策の不当性を指摘する声がない。外務省のチャイナースクールが話題となったが、どうも日本のマスコミもチャイナースクール化しているようである。来週はこのチャイナースクール化を取上げる。

小泉首相は、今日の深刻な日本のデフレ経済にもかかわらず、公共投資の削減や数々の公的支出の削減を進める方針である。およそ経済原則に反する政策のオンパレードである。しかしどうもマスコミはこれを悪い政策とは見なしていないようである(たしかに悪影響が現れるまでには時間がかかり、政策と結果の因果関係が分かりにくくなる)。

まず公共投資や他の支出を削減した場合、どう言う経済効果が期待されるのかを明示すべきである。もし財政赤字が減り、金利が低下するとか、投資や消費が増えると言う目算があるなら、そのような説明をすべきである。もう昨年のようないきなり補正予算を策定すると言ったみっともないことは止めてもらいたい。周りも小泉政権に景気対策を求めることを止めるべきである。本人の希望通りにさせる。そのかわり、結果についてはきっちり責任をとってもらうことが大切である。

これまでの小泉首相の行動を見ていて、筆者の知人は

「日本の首相は俺でもやれそうだ」

と言っていた。結果を見ようとしないのなら(失業が増えてもミスマッチで、株価が下落しても米国のせいにする)、どのような政策でも良いし、誰でも首相は勤まる。彼が進める政策の結果、日本の経済と社会がガタガタになっても、おそらく彼は「辞めれば良いのか」の一言であろう。彼を日本の首相に選んだ人々は、真剣に責任を感じるべきである。

竹村健一氏が、久しぶりにまとものことを言っていた。

「日本は、個人だけでなく企業も貯蓄を始めた。つまり巨額のその貯蓄は政府が使わざるを得ない。金利もこれだけ安くなったのであるから、政府は公共投資を減らすのではなく、今こそ増やすべきである。」

と言っていた。まさに正論である。


ただ今日、安易に大量の国債を増発することは難しい。たしかに国債利回りが3%(これでも国際的には一番低い金利)になるまで国債を発行すれば、数十兆円から100兆円程度の資金は調達できると思われる。しかし大手銀行だけでも70兆円から80兆円の国債を既に保有しており、利回りが3%(今日1.26%)と言うことになれば、相当大きな評価損を抱えることになる。地方銀行も大量の国債で資金運用している。預貸率が55%と言う銀行もある。残りの45%近くは国債と地方債の運用である。ここまで野方図に金利低下を放置していた政府の責任は大きい。

したがって今日、公共投資などの積極的な財政政策で、経済を活性化させ、銀行の不良債権問題を解決し、さらに財政再建を実現するには、我々が主張しているセイニアリッジ政策、つまり政府の紙幣発行特権(日銀の国債引受けも含む)を使う他はないのである。ところで竹村氏のこの「公共投資を増やす」と言う意見に対してマネックス証券の若い社長が、思わず反論しようとしていた。今日、公共投資の賛同者はテレビには出してもらえないのであろう。今日、「中国の為替政策」と「公共投資」はタブーである。このようなメディアの言論統制に勝てるのは、よほどの有力者に限られるのである。

http://adpweb.com/eco/eco261.html


関税以外の貿易障壁 11/2/21


WTOの弱体化


現実の経済を理論的に論じることは難しい。ましてや話が世界に及ぶと、整合性を持って経済を語ることが一段と困難になる。そのような事もあってか、中には議論の混乱を見越し、自分達にとって有利な政策を実現したいがために、とんでもない虚言・妄言を発する人々が出てくる。

TPPの議論に関しても、根拠が薄弱な意見がまかり通っている。例えば自由貿易こそが、日本にとって(日本だけでなく世界のどの国にとっても)極めて好ましいと主張する人々がいる。彼等はTPP参加こそ唯一正しい選択とまで喧伝する。

また日本のマスコミ人には「日本は貿易立国だ」という強い思い込みがある。彼等は経済が成長するには輸出を伸ばすことしかないとさえ思っている。しかし日本が高度経済成長していた時代は、主に内需が増えていた。むしろ低成長になってから、日本経済は外需に依存する度合が大きくなったのである。これについては来週取上げる予定である。


このように自由貿易で交易が活発になることによって、経済が成長すると思っている人が多い。この理論的根拠の一つがリカードの「比較優位の原理」であり、本誌は02/7/22(第261号)「中国の不当な為替政策」でこれを取上げた。

しかしこのリカードの理論は供給サイドだけで経済の成長を捉えている(需要は無限で生産したものは全て消費されるといった前提)。交易によって余った生産要素が他の物の生産に振り向けられ、経済が成長するといった理屈である。つまりデフレ経済の今日の日本には全く当てはまらない幼稚な経済理論である。

しかし教科書でこのリカードの「比較優位の原理」を学んだ学校秀才は、いかなる時にもこの理論が適合できると思い込んでいる。そしてこの自由貿易の障害が、関税であったり、また非関税障壁と呼ばれている補助金や各国の規制と考えている。

中でも最大の交易の障壁が関税という認識である。したがって関税撤廃を目指すTPPは、自由貿易の信奉者に熱烈に歓迎されている。しかしリカードの「比較優位の原理」が唱えられたのは、18、19世紀の牧歌的経済システムの時代を前提にしている。また後ほど述べるが、今日では関税以外の大きな貿易の障壁があることが常識になっている。


しかし第二次大戦後、自由貿易を推進する人々が常に問題にしたのが、この関税であった。GATT(関税と貿易に関する一般協定:WTOの前身)やWTOのメインテーマも関税であった。関税は単純であり目に見えやすいためか、これまでの交渉である程度まで引下げが実施されてきた。しかし補助金や規制などのその他の保護政策に話が及ぶと各国の利害がもろにぶつかり、話が進展しなくなった。


このため各国は、妥協が見込める国とのFTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)の締結に走り出している。しかしこれは一種の抜け駆けであり、世界中の国の一斉の貿易自由化を目指すWTOの精神に反している。FTAやEPAが結ばれる毎に、今日、WTOは弱体化している。

筆者は、今後の世界の貿易体制は、TPPに見られるようなグループ化による保護貿易と見ている。ところが自由貿易信奉者は、WTOの弱体化については何もコメントしなくなった。おそらくこれも、彼等の頭の中が混乱しているからであろう。


現行、日本の工業品の輸入関税率はほとんどゼロに近い。つまりTPPに加入した場合、相手国の関税が基本的にゼロになるのだから、輸出企業にとって極めて有利になる。したがって輸出企業に携わっている人々がTPPに賛成なのは理解できる。

ところでこれまで規制緩和や郵政改革などの改革運動では、幼稚な観念論者と強欲に自分の利益を求める者が結び付いていた。筆者は今回のTPP推進派にも同じ匂いを感じる(リカードの「比較優位の原理」などを信じるような観念論者と輸出で利益を得ようする者)。しかし今回は彼等がとんでもない矛盾を抱えそうである。

シー・シェパードのような説得不能な国

貿易の障壁が関税だけでないことは周知の事実である。WTOでも知的所有権といったものが問題になっている。しかし知的所有権は法律だけで縛れるものではない。その国の国民性というものが関係してくる。

先週号で取上げた環境問題も、今日、大きな障壁になっている。中国のように環境を無視する国は、環境を気にせず低コストで製品を製造し輸出することができる。しかし自由貿易の信奉者はこのような問題から逃げている。

しかし何度も繰返すが、筆者は、今日、世界貿易で最大の問題は為替操作と考えている。中国は大きな貿易黒字を続けながら、いまだに購買力平価の4分の1、5分の1の為替レートを維持している。実際、貿易の障壁の話なら、為替操作に比べれば関税なんて霞んでしまう。しかし為替操作はWTOで問題にならないし、自由貿易主義者も触れようとしない。


本誌は、昔、1人民元が1ドルだったことを指摘した。つまり1人民元が360円だった時代もあったである。今日の人民元レートは、対円で30分の1に減価しているのである。世界最大の貿易黒字国の通貨が、購買力平価の4分の1、5分の1でしか評価されていない異常な事態が起っている。

訳の分らない評論家は

「東京の中国人のアルバイトはよく働く」、

一方「日本の若者はニートとなって引きこもっている」


と発言している。彼等の考えでは、これが日本経済の低迷の原因らしい。しかし中国人のアルバイトとっては、中国の所得水準が低いことに加え、人民元が購買力平価の何分の1に維持されていることが大きい。

反対に日本の円が購買力平価より高く推移していることを考慮すれば、東京でのアルバイトの時給は、中国人にとって6,000〜7,000円程度に感じられるのである。時給が6,000〜7,000円ということになれば、日本の若者も目の色を変えて働くはずである。ニートも半減するであろう。

韓国も、近年、為替操作が目立つ国の一つである。KーPOPタレントの本国での低賃金が話題になっているが、これも彼等が日本に進出したことによって気付いたことと思われる。筆者は、これも少なからず韓国の為替操作が影響していると考える。


今日、一番のTPPの推進者は大手の輸出企業である。輸出企業がCMスポンサーとなっているため、メディアも概ねTPPに賛同している。しかしTPPはとんだ問題を孕んでいる。

これは先週号でも述べたように、TPPが中国排除を意識したものと見られるからである。既に中国に生産設備を移した企業にとって、このことが将来痛手になる可能性がある。せっかく中国を世界の輸出基地にしようと思っていた企業にとって、これまでの中国での設備投資が無駄になるのである。


TPP推進の母体である財界にも、中国との親密な関係を望む者が多い。しかし、今後、彼等はTPPを取るか、中国を取るかの選択に迫られる可能性がある。TPPの内容を見れば、両方を同時に取る(具体的には中国のTPP加入)ということはほぼ不可能である。

筆者は、日本のTPP参加の是非について、判断に正直迷っている。もし農業などへの悪影響が最小限に抑えられるのなら、TPP加入もしょうがないと思う今日この頃である。貿易を含め、国同士の付合いは、最終的には、国民同士の価値観の相違ということになると筆者は考える。

国民の価値観の違いが一定の範囲にある国だけがTPPに参加するのなら、筆者は日本もこれに加入しても良いと考えるようになっている。それにしても日本の周りは、領土問題に見られるようにデリカシーのない国ばかりである。日本はまるでシー・シェパードのような説得不能な国に取り囲まれているのだ。TPPに活路を見い出すのも悪くないかもしれない。もちろんTPP加入の目的は、自由貿易信奉者のそれと大きく異なる。
http://adpweb.com/eco/eco651.html


自由貿易理論の問題点〜リカードのウソ

貧困と環境破壊を招く自由貿易の問題点を検証する


このページでは、フェアトレード(公正貿易)の対極にあると考えられている、 自由貿易の問題点について説明したいと思います。

今、自由貿易は世界中で失業や貧困、環境破壊を引き起こしています。にも関わらず自由貿易を世界がやめないのは、 「比較優位」という経済学の考え方を信じているためです。18世紀のイギリスの経済学者リカードによって提唱された理論です。

比較優位とは、ものすごく簡単に言うと、 それぞれの国でそれぞれ得意なものを作ればいい。食料を作らなくてもその土地で採れたもので稼いで、輸入すればいい」と言う考え方です。この考え方を「信じている」というより、自由貿易にした方が儲かる人たちがいて、 そういう人たちによって、世界に経済が動かされているから、 みんなで信じているふりをしていると言った方が適切かも知れません。

今の世界で、途上国に貧困などの問題を引き起こしている大きな原因の一つに、 欧米先進諸国による穀物の過剰生産が挙げられます。先進国では、大型機械を使う大規模な農業が行われ、生産性を上げています。機械化、効率化が進むとともに、生産量が増大し、自国の需要以上に穀物が生産されるようになりました。

過剰生産を放っておくと、農産物価格が低下し、 農民が失業して都市に流入するなどして社会不安を引き起こしかねません。そこで、お金のある先進国では、補助金をつけて輸出をするようになります。補助金にはいろいろありますが、自国の農民に所得を保証したうえで、穀物を輸出相手国の国内価格か、 それ以下の価格にダンピングして売るのが目的になています。これにより、先進国の農民は救われます。

が、輸出先にも農民はいるわけです。先進国の補助金付きの安い穀物が入って来るようになって、 アジアやアフリカの途上国での主要産業であった農業が立ち行かなくなりました。これらの貧しい国ぐにでは、自国の農民に補助金を出すことはできません。結果、農民たちは輸入農産物に対抗するため、生産性を上げようとします。

先進国のように機械化するのではありません。より高い生産性を得られる土地を探すことになります。すなわち森林を焼いて畑を作れば、先進国の穀物に対抗できる価格での生産が可能になります。が、長くは続きません。そうした方式の農業は、土地から収奪する農業です。3〜5年で地力が落ちて養分がなくなり、作物が作れなくなります。そして耕作が放棄され、また別の場所を探すことになります。捨てられた土地は、すでに周りの森林もなくなっていて他から養分を供給されることもなく、荒れ果てます。

日本でもそうですが、耕作放棄された田畑は荒れ果ててしまい、回復させるのは困難です。熱帯では気温が高いために土地の有機物の分解が速く、 土地を覆っていた森林がなくなると雨や風によって薄い表土が流れてしまいます。場所によっては、砂漠化が進むことになります。こんなことの繰り返しで、途上国では新たに畑にできる場所はどんどん少なくなります。

行き場をなくした農民は、都市に出てスラムに集まります。あるいは、大地主のもとで小作人になるしかありません。でも、地主もそのうち農業を機械化するようになり、人がいらなくなります。結局農民は失業して、都市のスラムに流れこむことになります。

スラムでは、先進国の食糧援助があるために、貧しくてもとりあえず飢えることはありません。が、その援助のための食料は、先進国の余剰農産物のはけ口になっているという側面もあります。

先進国の補助金付きの農産物の輸出は、自国農民の保護のためでした。が、それはアジアやアフリカの生産性の低い零細農民を失業させ、貧困に陥らせる原因となりました。 生産性が低いというのは、それだけたくさんの人に職が与えられるということでもあったのに。

先進国で広く行われている化学肥料や農薬を大量に使い、地下水をくみ上げ大型機械で耕作する農業は、 自然から収奪する農業です。こんなことで生産性を上げても長続きはしません。異常気象にでもなればたちまち収穫が激減して、食料の不足を招くことになるでしょう。先進国こ援助に回せるだけの食料がなくなれば、世界的な食料不足、飢餓が引き起こされます。

かつて途上国で行われてきた農業は、 小規模ではあっても定期的に土地を休ませて行う持続可能な農業でした。とりあえずは飢えたりすることはなく、自給自足的な生活を送っていました。そこに入ってきたのが今の先進国による植民地支配です。やっとそこから独立したと思ったら、 今度は先進国から入ってくる安い農産物のために貧困と失業、環境破壊がもたらされることになりました。

途上国の農民が失業したり、貧困に陥ったりする原因には、かつての植民地支配の影響もあります。植民地支配や今の補助金付き作物の輸出といった、 途上国の人たちにとっては何も良いことのない経済の有り方は、自由貿易の考えに基づくものです。フェアトレードを行う団体は、ずっと「自由貿易より公正貿易(フェアトレード)を」と訴え、 活動をしています。


では自由貿易の何が問題なのか?そのあたりのことを次にお話します。

自由貿易の問題点〜比較優位のウソ


自由貿易の考え方を作ったのは、200年ほど前のイギリスの経済学者で商人のリカードです。リカードは、「比較優位」という言葉を使って、 国際分業をすることがすべての国にとって利益になると説きました。


槌田敦著「エコロジー神話の功罪 サルとして感じ、人として歩め」
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A8%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%83%BC%E7%A5%9E%E8%A9%B1%E3%81%AE%E5%8A%9F%E7%BD%AA%E2%80%95%E3%82%B5%E3%83%AB%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E6%84%9F%E3%81%98%E3%80%81%E4%BA%BA%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E6%AD%A9%E3%82%81-%E6%A7%8C%E7%94%B0-%E6%95%A6/dp/4795238529

という本に、リカード理論の問題点が わかりやすく解説されているので、この本で示されている考え方を使って、 自由貿易の問題点を探っていきたいと思います。


リカードは「貿易論」という本の中で、イギリスとポルトガルの毛織物と、 ワインの生産性の比較をしました。その中でイギリスは、毛織物が国内で生産されるワインよりも生産性が高く、 ポルトガルは、ワインの生産性が国内で生産される毛織物よりも生産性が高いと説明しました。つまり、イギリスでは農業に比べて工業の生産性が高く、 ポルトガルは工業に比べて農業が生産性が高いということです。そこで、それぞれの国で生産性の高い商品を交換すれば、 両方の国にとって得になると主張したのです。イギリスは工業国になり、ポルトガルは農業国になれば、両国ともに利益を得ることになる。これが比較優位という自由貿易、国際分業の理論的根拠となっている考え方です。

でも、本当にそうでしょうか?

もし、リカードが正しければ、今の世界はもっと違った形になっていたはずです。それぞれの国が比較優位なもの、得意な物の生産に特化し、輸出をしてお金を儲けて、 そのお金で必要な物を輸入すればいい。そうすればすべての国が利益を得て豊かになれるのなら、 なぜ世界には貧困に苦しむ国ぐにや人びとがこんなにも多く存在するのでしょうか?

カカオの生産が比較優位な国は、カカオの生産に力を集中して、輸出して儲けて、 必要な物はすべて儲けたお金で輸入すればいい。そうしていれば豊かになれるのなら、コーヒーの生産が比較優位な国はコーヒーの生産に特化して、 それを輸出して必要なものを外国から買えばいいということであれば、 なぜそうした商品作物の生産農家の多くが、貧困に苦しんでいるのでしょう?
コーヒー農家の生活については、

「あのスターバックスにも、フェアトレードコーヒーが!」
http://www.fair-t.info/ft-coffee/index.html


をお読みください。

貧困に苦しむカカオの生産地の中でもとりわけ状況が厳しいのは、 コートジボアールなど西アフリカの国ぐにです。この地では、のカカオ農園主たちは貧困に苦しんでいるのでしょうか?

なぜ子供たちを奴隷にしなければならないのでしょうか?

21世紀の今でも奴隷を使った生産が行われています。奴隷を使っているのなら、給料を払う必要がないから、 農園主は儲けているはずと思うかも知れませんが、農園主もまた貧しいのです。

なぜ、理論どおりうまくいかないのでしょうか?


リカード理論には、ごまかしがあるからです。


先ほどのイギリスとポルトガルの例で言えば、両国内での毛織物やワインの価格は関係ないというのが、 この理論の特徴です。イギリスの毛織物が、ポルトガルの毛織物より高くてもかまわないのです。

イギリス商人は、ポルトガルに行って自国の毛織物をポルトガル価格にダンピングして売ります。

イギリス商人が損するように見えますが、彼らは毛織物を売ることで、 ポルトガルのお金を手に入れることができます。

そのお金で安いポルトガルのワインを買ってイギリスで売れば高く売れるわけで、 商人は利益を得ることができます。

同じようにポルトガルの商人も、自国のワインをイギリスで売れば高く売れて、 それだけ多くのイギリスのお金を得ることができます。そしてポルトガルで買うより多くの毛織物をイギリスで買うことができます。

比較優位の考え方を使えば、お互いの商人が儲かるというのが、リカードの理論です。

もっとも、商人などという言葉は使わず、もっと学問的な言葉を使って説明し、 当時の経済学者たちを説得しましたが。

比較優位の理論は、経済学者たちが本や学問の世界だけで勝手に議論していてくれているだけなら害はないのですが、世界中がこの理論を信じてしまい、実行してしまったために、様ざまな問題が起こることになりました。

現実の世界にはイギリスとポルトガルだけでなく、もっとたくさんの国ぐにが存在します。毛織物とワインだけでなく、もっとたくさんの生産物が存在し、貿易が行われています。それに、リカードの理論ではお互いの国が儲かることになっているのですが、 実際に貿易を行うのは国ではなく、貿易商です。

それでもイギリスやポルトガルの商人が活躍して、利益を上げれば、 税金と言う形で国家は利益を得ることができます。が、ここに第三国の商人が介入したらどうでしょうか?

比較優位のウソ〜商人だけが儲かるしくみ


ここで、金と銀の貿易を例として、国際貿易について考えてみたいと思います。

A国とB国があって、A国では金1キロが銀5キロと同じ値段だとします。

そしてB国では、金1キロと銀100キロが同じ値段だとします。


A国:金1キロ = 銀5キロ
B国:金1キロ = 銀10キロ


私がA国の商人だったら、金1キロを持ってB国へ行きます。

そしてその金を売って銀を10キロ買います。

そしてA国に戻って金2キロを買います。A国とB国をただ往復するだけで、 手持ちの金を2倍にすることができます。

B国の商人も、国内で銀10キロを買ってA国に行き、金2キロを買うことで、 手持ちの金を2倍にすることができます。

いづれにしても両国ともに利益を得て儲かるように見えます。が、ここに第三国、 C国が加わると話が違ってきます。

C国の商人10キロを手に入れます。

その銀をA国に持って行けば、金が2キロ手に入ります。

手持ちの金を2倍にすることができるのです。しかし、A国とB国はどうでしょうか?

まずB国は、C国商人が持ってきた金1キロと、銀10キロを交換しただけなので、損得はゼロです。

A国も銀10キロと金1キロを交換しただけなので、同様に損得ゼロです。

両国ともに何の利益もありません。

C国商人だけが一方的に儲かるのです。


これが自由貿易によって商人が利益を手に入れる仕組みです。実際には関係国であるAB両国は、何の利益も得ていないのに、巧妙なトリックによって、 リカードは両国が儲かると主張し、世界はだまされたのです。

リカードは、お金儲けがうまい貿易商人でした。だから自分に都合の良い理論を作り出したのです。自分の理論の矛盾は承知の上で、一人大儲けをしてほくそえんでいたことでしょう。


C国商人を、多国籍企業とします。A、B国はアメリカと日本。


C国商人は、日本で比較優位の自動車を買い付けてアメリカに持っていきます。
そして自動車を売った金でアメリカの比較優位の安い米を大量に買い付けて日本で売ったら...。

こう考えると失業や貧困に苦しむ人が出ることなど、比較優位の理論で様ざまな矛盾、 問題が発生することが良くわかると思います。

次にぜひ、あなたに知っていただきたいのは、代表的な商品作物である、カカオについてです。 おいしいチョコレートの原料になるカカオですが、その生産に、 「奴隷」が使われていることを知っていましたか?

奴隷といっても10代前半くらいの少年の奴隷です。世界最大のカカオ産地、 西アフリカのコートジボアールの奴隷を使ったカカオ豆生産について、 それから自由貿易がもたらした単一栽培も問題点についてをご覧ください。

カカオ農園の少年奴隷問題 
http://www.fair-t.info/ft-cocoa/index.html

http://www.fair-t.info/economy-society/freetrade-ricardo.html


TPPや自由貿易は未だにリカードの比較優位論を根拠にしており、そして比較優位論は以下の三つが成り立たないと巧くいかないためです。


◆セイの法則:供給が需要を産み出す(逆じゃないです)
◆完全雇用
◆資本移動の自由がない


 最後の資本移動の部分ですが、工場などの資本移動が自由自在になってしまうと、リカードの比較優位論も何もあったものではないという話です。実際、アメリカは日独などの製造業の猛攻を受けた時期('70〜'80)に、本来であれば「技術開発投資」にお金をつぎ込むべきだったのですが、資本を外国に移すという道を選び、製造業の一部が「産業ごと」消えてしまいました。

 残った製造業(自動車ーメーカーなど)も、やはり技術開発投資を軽視し、自国や各国の制度システムを変えることで生き残りを図ります。すなわち、市場にあわせた製品開発をするのではなく、市場を自分に合わせようとしたのです。

 制度システムを変更するのは政府にしかできませんので、アメリカの自動車メーカーなどはロビイストや献金を通じて政府に影響力を発揮し始めます。しかも、アメリカの自動車メーカーは自国のシステムならともかく、外国(日本など)の制度システムも目の敵にし、「非関税障壁だ!」と叫び、政治力を使い、「市場を自分に合わせようと」したわけです。結果、現在のTPPに繋がる日米構造協議が始まりました。

 世界経済はいま、上記リカードの比較優位論の前提条件を三つとも満たしていません。こんな状況でTPPを推進したら、日本は物価がますます下落し、失業率が上昇することになります。恐ろしいことに、アメリカの方もそうなる可能性があります。

 木下栄蔵先生は、デフレに突っ込んでいる国同士の自由貿易協定は「ロス−ロス」になると警告していらっしゃいます。日本とアメリカがTPPで「ロス−ロス」になった日には、冗談抜きで世界は大恐慌目掛けてまっしぐらということになりかねず、そんな未来は心から願い下げだと思うわけです。

22 ■型に嵌めたがる習性の多面的考察

>比較優位論は以下の三つが成り立たないと巧くいかない

 リカードモデルに限らず、あらゆる自由貿易賛美論には、

「自分の求める品質の財・サービスを相手国が作れる」

という前提条件が組み込まれています。日本人なら「おい、おい、ちょっと待ってよ」と、この前提条件がいかに現実離れしているかすぐに気づくでしょ。

はっきり言って、「モデル」って名付けるのも馬鹿らしい「リカちゃんハウス」なんです、あんなもの。


 そもそも経済学は、「品質」なんて取り扱えません。

例えば、PS3とXboxの「品質」をポイント計算できる「客観的」基準なんて存在しない。近代以降の経済学は、そういった非客観的要素を排除し、市場売買価格を基礎に据えることによって数学を自在に取り込み、科学の装い(あくまで装いですよ)を身に纏うことができたんです。

 ここに気づいてない学者連中がほんとうに多いんです。経済学にそもそも出来ることと出来ないこと、を根元から考えたことがない。経済産業省の「信者」さんも恐らく同じなんでしょう。、自分のやってる学問を外から冷静に眺めたことがない。ただただひたすら「覚えた」だけ。いい意味で「遊んだ」経験がなく、例えば「自動車の排気音の文化的価値」なんてものを感じたことがない。そりゃ、「品質」なんか気になりませんよ。学歴はあっても、文明人・文化人じゃないんです。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11049519345.html

グローバリストを信じるな


Againの定例経営会議で箱根湯本に集まり、平川くん、兄ちゃん、石川くんと日本の行く末について話し合った。

EUの先行き、日本のデフォルトの可能性から、TPPが「空洞化したアメリカ産業の最後の抵抗」という話になる。

いったいアメリカは自由貿易によって日本に何を輸出して、どういうメリットを得るつもりなのか?

この中心的な論点について、メディアは実はほとんど言及していない。


「TPPに参加しないと、『世界の孤児』になる」とか「バスに乗り遅れるな」

というような、「自己利益(というよりは「自己利益の喪失)」にフォーカスした言葉が飛び交うだけで、

「なぜアメリカがこれほど強硬に日本のTPP参加を要求するのか?」

という、アメリカの行動の内在的なロジックを冷静に解析した記事をメディアで見る機会はほとんどない。

まさか、アメリカが自国の国益はさておき日本の国益を守るために完全な市場開放を日本に求めているのだと思っている国民はいないと思うが、メディアの社説を徴する限り、論説委員たちはその数少ない例外らしい。

TPP参加は日本の国益のためだ、と推進派の人々は言う。だが、それではアメリカが日本に市場開放を求め理由を説明したことにはならない。アメリカが他国に市場開放を求めるのは、自国の国益がそれによって増大するという見通しが立つからである。そして、貿易において、一国が輸出によって大きな貿易黒字を得る場合、その相手国は輸入超過となって貿易赤字が増えることになっている。ふつうはそうである。

貿易では(グローバリストの好きな)Win-Win はない。片一方が黒字なら、片一方は赤字になる。

アメリカは自国の貿易収支が黒字になることをめざして他国に市場開放を求めている。それは「売りたいもの」があるからで、「買いたいもの」があるからではない。アメリカが自国の貿易黒字を達成すれば、相手国は貿易赤字を抱え込むことになる。

だから、「アメリカの求めに応じて、日本が市場開放することは、日本の国益を増大することになる」という命題を有意味なものにするためには、

「アメリカの国益を最大限に配慮することが、結果的には、日本の国益を最大化することになる」

という命題をそこに媒介命題としてはめ込むしかない。だが、「アメリカの国益を最大限に配慮することが、結果的には、日本の国益を最大化することになる」という命題は汎通的に真であるわけではない。

そう思っている人は少なからずいるが、それはあくまで個人的な「信念」であって、一般的真理ではない。もちろん私はそのような「風が吹けば桶屋が儲かる」式の推論にまるで根拠がないと言っているわけではない。経験的に「そういうこと」が繰り返しあったからこそ、彼ら(松下政経塾系政治家とか財界人とか官僚とかメディア知識人のかたがた)はそのような推論になじんでいるのである。

私とて経験則の有効性を否定するものではない。でも、その場合には、「この政治的選択は原理的には合理性がないが、経験的にはわりと合理性がこれまではあったので、これからも妥当するかも・・・」というくらいの、節度ある語り口を採用すべきだと思う。「バスに云々」のような、人を情緒的に不安にしておいて、その虚を衝いてガセネタをつかませるあくどいセールスマンのような安手の語り口は採るべきではないと私は思う。

誤解して欲しくないのだが、私は市場開放や自由貿易に「原理的に」反対しているのではない。その点については、ぜひご理解を頂きたい。ただ、市場開放や自由貿易は「主義」として採用すべきものではなく、国民経済に資する範囲で「按配」すべきものだという下村治の立場に与するのである。貿易政策の得失については、「これでいいのだ」と包括的に断定したりしないで、個別的に吟味した方がいいと申し上げているだけである。

とりあえず私たちが知っているのは「アメリカは必死だ」ということである。ここでTPPに日本を巻き込むことができるかどうかが「アメリカ経済の生命線」であるかのような悲壮な覚悟でアメリカは日本に迫っている。別に、日本の国運を案じて悲愴になっているわけではない。アメリカの行く末を案じて悲愴になっているのである。

アメリカの貿易について考える場合に、私たちがまず前提として理解すべきことは、「アメリカには、日本に売る工業製品がない」ということである。アメリカの製造業は壊滅してしまったからである。「ものつくり」という点について言えば、もうアメリカには世界のどんな国に対しても国際競争力のある「もの」を輸出する力がない。自動車も家電も衣料品も、なにもない。
一応作ってはいるけれど、クオリティについての信頼性が低く、割高なので、買い手がつかないのである。「もの」でまだ国際競争力があるのは、農産物だけである。

残りは「ノウハウ」、つまり「頭のなかみ」である。GoogleとAppleのような情報産業と司法、医療、教育といった制度資本を「金にするノウハウ」だけはまだ「売り物」になる。でも、正直に言うと、GoogleもAppleも、「なくても困らない」ものである。あると便利なので私も愛用しているが、ほんとうに必要なのか、と改めて考えるとわからなくなる。

「そうやって温泉宿にまでiPhoneやiPadを持ち込むことで、キミたちの人生は豊かになっていると言えるのかね。そんなものがあるせいで、キミたちはますます忙しくなり、ますます不幸になっているようにしか、オレには見えないのだが」

と兄ちゃんに言われて、私も平川くんも返す言葉を失ったのである。たしかに、そのとおりで、このような高度にリファインされた情報環境があった方がいいのか、なくてもいいのか、考えるとよくわからない。朝起きてパソコンを起動して、メールを読んで返事を書いているうちに、ふと気づくとが日が暮れ始めていたことに気づいて愕然とするとき、

「いったいオレは何をしているのか」

と考え込んでしまう。私が機械を使っているのか、それとも機械が私を使っているのか。『モダンタイムス』的不条理感に捉えられる。

兄ちゃんの話では、最近のサラリーマンたちはオフィスで朝から晩までプレゼン用の資料をパワーポイントとエクセルで作っているそうである。

「仕事の時間の半分をプレゼンの資料作りに使っているのを『働いている』と言ってよいのだろうか?」

と兄ちゃんは問う。情報環境の「改善」によって、私たちの労働は軽減されるよりはむしろ強化された。それは実感として事実である。家にいながら仕事ができるようになったせいで、私たちは外で働いているときも家にいるときも働くようになり、そうやって増大する作業をこなすためにますます高度化・高速化した端末を求めるようになり、その高度化した端末のせいで私たちのしなければいけない仕事はますます増大し・・・

エンドレスである。アメリカはこのエンドレスの消費サイクルに私たち「ガジェット大好き人間」を巻き込むことによって、巨大な市場を創設することに成功した。もうアメリカが「売ることのできるもの」は、それくらいしかない。

だから、アメリカの大学と研究開発機関は世界中から「テクニカルなイノベーションができそうな才能」を必死で金でかき集めようとしている。アメリカの先端研究の大学院に占める中国人、インド人、韓国人の比率は増え続けているが、それは彼らにアメリカで発明をさせて、それを絶対に故国に持ち帰らせず、アメリカのドメスティックなビジネスにするためである。いつまで続くかわからないが、しばらくはこれで息継ぎできるはずである。

「アメリカの大学は外国人に開放的で素晴らしい」

とほめたたえる人がよくいるが、それはあまりにナイーブな反応と言わねばならぬ。先方だって生き残りをかけて必死なのである。外国人だって、国富を増大させてくれる可能性があるなら、愛想の一つくらい振りまくのは当たり前である。これが「教育を商売にする方法」である。

アメリカの学校教育には「子供たちの市民的成熟を促す」という発想はもうほとんどない。

学校はビジネスチャンスを生み出す可能性のある才能をセレクトする機会であり、市民的成熟のためのものではない。

アメリカでは、高付加価値産業だけが生き残り、生産性が低い代わりに大きな雇用を創出していた産業セクターは海外に移転するか、消滅した。だから、「才能のある若者」以外には雇用のチャンスが減っている(失業率は2010年が9・6%だが、二十代の若者に限ればその倍くらいになるだろう)。ウォール街でデモをしている若者たちは「まず雇用」を求めている。これまでアメリカ政府は彼らに「我慢しろ」と言ってきた。

まず、国際競争力のある分野に資金と人材を集中的に投入する。それが成功すれば、アメリカ経済は活性化する。消費も増える。雇用も増える。貧乏人にも「余沢に浴する」チャンスが訪れる。だから、資源を「勝てそうなやつら」に集中しろ、と。

「選択と集中」である。

でも、それを30年ほどやってわかったことは、


「選択されて、資源を集中されて、勝った諸君」は、そうやって手に入れた金を貧乏な同胞に還元して、彼らの生活レベルを向上させるためには結局使わなかった、ということである。

それよりは自家用ジェット機買ったり、ケイマン諸島の銀行に預金したり、カリブ海の島を買ったり、フェラーリに乗ったり、ドンペリ抜いたり、アルマーニ着たり(たとえが古くてすみません・・・)して使ってしまったのである。


選択-集中-成功-富の独占というスパイラルの中で、

「選択から漏れ、集中から排除された、その他大勢の皆さん」

が絶対的な貧窮化にさらされ、今ウォール街を占拠している。彼らの運動に

「政策的な主張がないから、政治的には無力だろう」

と冷たく言い捨てる人々が日米に多いが、それは間違いだと思う。彼らが政府に何を要求していいかわからないのは、


「完全雇用は経済成長に優先する」


という(日本の高度成長を理論づけた)下村治のような「常識を語る人」がアメリカでは政府部内にも、議会にも、メディアにもいないからである。ウォール街を占拠している若者たち自身

「成長なんか、しなくてもいい。それより国民全員が飯を食えるようにすることが国民経済の優先課題である」

という主張をなしうるだけの理論武装を果たしていないのである。

「生産性の低い産業分野は淘汰されて当然だ(生産性の低い人間は淘汰されて当然だ)」

というグローバリストのロジックは貧困層の中にさえ深く根付いている。だから、彼らはこの格差の発生を「金持ちたちの強欲(greed)」という属人的な理由で説明することに満足している。「属人的な理由で説明することに満足している」というのは、それを社会構造の問題としては論じないということである。「強欲である」というのは「能力に比して不当に多くの富を得ている」という意味である。

問題は個人の倫理性のレベルにあり、国家制度のレベルにはない。「アメリカはこれでいい」のである。ただ、一部に「ワルモノ」がいて、国民に還元されるべき富を独占しているので、それは「倫理的に正しくない」と言っているのである。

このような一部の富者だけを利する経済システムは「アメリカの建国理念からの倫理的な逸脱」であって、構造的な問題ではない。だから、建国の父たちが思い描いた「あるべきアメリカの姿」に立ち戻れば問題は解決する。

彼らの多くはまだそう思っている。

アメリカのこの頽落はもしかすると「建国の理念のコロラリー」ではないのか・・・

という足元が崩れるような不安はまだアメリカ人のうちに広まっていない。それが最大の危機であるように私には思われる。


話を続ける。情報と教育の他、あと、アメリカが商売にしようとしているのは司法と医療である。これについては、専門家が的確に危険性を指摘しているから、私の方からは特に付け加えることはない。医療については、前にご紹介したYoo先生の『「改革」のための医療経済学』をご一読いただければよろしいかと思う。


そして、アメリカの最大の売り物は農産物である。

驚くべきことに、アメリカが「かたちのあるもの」として売れるのはもはや農産物だけなのである(あと兵器があるが、この話は大ネタなので、また今度)。

農産物はそれは「その供給が止まると、食えなくなる」ものである。Googleのサービスが停止したり、Appleのガジェットの輸入が止まると悲しむ人は多いだろうが(私も悲しい)、「それで死ぬ」という人はいない(と思う)。日本列島からアメリカの弁護士がいなくなっても、アメリカ的医療システムが使えなくなっても、誰も困らない。でも、TPPで日本の農業が壊滅したあとに、アメリカ産の米や小麦や遺伝子組み換え作物の輸入が止まったら、日本人はいきなり飢える。国際価格が上がったら、どれほど法外な値でも、それを買うしかない。そして、もし日本が債務不履行に陥ったりした場合には、もう「買う金」もなくなる。

NAFTA(North America Free Trade Agreement)締結後、メキシコにアメリカ産の「安いトウモロコシ」が流入して、メキシコのトウモロコシ農家は壊滅した。そのあと、バイオマス燃料の原材料となってトウモロコシの国際価格が高騰したため、メキシコ人は主食を買えなくなってしまった。基幹的な食料を「外国から買って済ませる」というのはリスクの高い選択である。

アメリカの農産物が自由貿易で入ってくれば、日本の農業は壊滅する。

「生産性を上げる努力をしてこなかったんだから、当然の報いだ」

とうそぶくエコノミストは、もし気象変動でカリフォルニア米が凶作になって、金を出しても食料が輸入できないという状況になったときにはどうするつもりなのであろう。同じロジックで

「そういうリスクをヘッジする努力をしてこなかったのだから、当然の報いだ」

と言うつもりであろうか。きっと、そう言うだろう。そう言わなければ、話の筋目が通らない。


でも、こういうことを言う人間はだいたい日本が食料危機になったときには、さっさとカナダとかオーストラリアとかに逃げ出して、ピザやパスタなんかたっぷり食ってるのである。

TPPについて私が申し上げたいことはわりと簡単である。


「生産性の低い産業セクターは淘汰されて当然」とか

「選択と集中」とか

「国際競争力のある分野が牽引し」とか

「結果的に雇用が創出され」とか

「内向きだからダメなんだ」


とか言っている人間は信用しない方がいい、ということである。そういうことを言うやつらが、日本経済が崩壊するときにはまっさきに逃げ出すからである。彼らは自分のことを「国際競争に勝ち抜ける」「生産性の高い人間」だと思っているので、

「いいから、オレに金と権力と情報を集めろ。オレが勝ち残って、お前らの雇用を何とかしてやるから」

と言っているわけである。だが用心した方がいい。こういう手合いは成功しても、手にした財貨を誰にも分配しないし、失敗したら、後始末を全部「日本列島から出られない人々」に押しつけて、さっさと外国に逃げ出すに決まっているからである

「だから『内向きはダメだ』って前から言ってただろ。オレなんかワイキキとバリに別荘あるし、ハノイとジャカルタに工場もってっから、こういうときに強いわけよ。バカだよ、お前ら。日本列島なんかにしがみつきやがってよ」。

そういうことをいずれ言いそうなやつ(見ればわかると思うけどね)は信用しない方が良いです。私からの心を込めたご提言である。

http://blog.tatsuru.com/2011/10/25_1624.php

池田信夫VS内田樹


TPP 対 反TPP、池田信夫センセイは詭弁を弄す2011.11.04 Friday


全体の論旨を無視して、部分だけを取り上げて批判して、さらに、それを根拠として全文の内容を否定する。こういう池田信夫の様な批判のやり方が、私は一番嫌いである。 卑怯だからだ。


内田樹氏が、TPPに反対する『グローバリストを信じるな』という記事をブログに書いた。その批判を池田氏がブログに書いた。しかし、この池田信夫と言う人物は、論理的整合性ということを知らないのだろうか?

ある人物が書いた、ある文章と、それとは違う別のところに書いた文章との論理的整合性が無いということはよくあります。それは、語る対象の人物が違う以上、ある程度仕方が無いのですが、この池田信夫という人物は、短い一つの文章の中でも、論理が破綻しています。

論理というか、言ってることが真逆だったりして驚きます。例えばこれ。

『グローバル化の最大の受益者は見えない』
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51751717.html

という文章の最初の方では、


>中国で700円でジーンズをつくれるとき、日本で7000円でつくる意味はない。

>中国に比較優位があるものは輸入すれば、あなたの実質所得は10倍になるのだ。


と書き、後の方では、


>理論的には、世界中で同一労働の賃金が同一になるまで進む。

>労働移動がなくても、低賃金労働の製品を輸入することによって労働を輸入するのと同じ効果があるからだ。

グローバル化で、あなたの賃金は10倍になると言っておきながら、同じ文章の中で、先進国日本に住むあなたの賃金は、発展途上国並になると言う。(発展途上国並になる、ではなく、平均化されて、発展途上国と変わらなくなるということですね。どっちにしろ、グローバル化で、記事の前半では賃金が増えると言い、後半で賃金が減ると言っています。)

(池田信夫の) 頭は大丈夫か?

ということで、池田信夫氏の『内田樹氏が知らない比較優位』という文章ですが、まず、文章の一番の要点を無視して批判している。文中の経済学的観点での間違いを指摘している(けど的外れ)だけで、肝心要の内田氏の結論、一番のキモを無視している。

内田氏は、アメリカが執拗に日本にTPP参加を迫っているというが、アメリカの世論、マスコミはTPPに関心が無いと池田氏は指摘する。

アメリカが、日本にTPP参加を迫っていないというなら、誰が迫っているのか?チリかブルネイかシンガポールか?

(池田信夫は)アホか。

内田氏がここでアメリカと言っているのは、アメリカの世論やマスコミじゃないことぐらい分かるはずです。

アメリカの金融、産業資本、財界、多国籍企業、その手先であるアメリカの政治家、官僚等、TPP利権に与れる者でしょう。日本にTPP締結を迫るのに、アメリカの世論やマスコミを煽る必要がどこにある?
逆にアメリカのマスコミや世論が日本にTPP参加を激しく迫れば、逆効果でしょう。怪しさも百万倍です。


>各国で生産費が異なるときは、相対的にコストの安い財に特化して輸出することによって世界全体の生産量が増え、双方の国が利益を得るWin-Winが実現するのだ。


というのが比較優位の原理であり、内田氏はこの比較優位の原理を知らないと池田氏は批判する。

しかし、『グローバリストを信じるな』を読んでみると、そのことについては、内田氏良く理解しているように読める。

>だが、「アメリカの国益を最大限に配慮することが、結果的には、日本の国益を最大化することになる」という命題は汎通的に真であるわけではない。

(中略)

>経験的に「そういうこと」が繰り返しあったからこそ、彼ら(松下政経塾系政治家とか財界人とか官僚とかメディア知識人のかたがた)はそのような推論になじんでいるのである。

>私とて経験則の有効性を否定するものではない。

というように、内田氏は、日米の関係において、Win-Winの関係は成立したこともあったであろうと述べていて、比較優位の原理を知らないという批判は的外れである。というか、卑怯であり腹立たしい。

全体の論旨を無視して、部分だけを取り上げて批判して、さらに、それを根拠として全文の内容を否定する。こういう批判のやり方が、私は一番嫌いである。卑怯だからだ。


さて、この池田氏が言う比較優位の原理ですが、大変に問題です。

>各国で生産費が異なるときは、相対的にコストの安い財に特化して輸出することによって世界全体の生産量が増え、双方の国が利益を得るWin-Winが実現するのだ。

まず、生産量が増えればそれだけで人類は幸せになるか?

なりません。生産量が増えても、それを分配するシステムが無い限り、格差と貧困が広がるだけの可能性が高い。現にそうなってるじゃないですか。『双方の国が利益を得る』というが、双方の国の誰か?という問題です。

グローバル化で利益を得るのは、多国籍企業、生産と流通、分配の『システムを所有する者』です。システムを所有しないもの、システムの支配を受けるもの、一般の消費者、労働者は酷い目に合わされる可能性が高い。コーヒー、ココア、天然ゴム、パーム椰子等、商品作物を作っている途上国の農民は、グローバル化で豊かな暮らしを享受していますか?

なぜ、自分たちの食べる食べ物も作れないで、貧困に喘ぎながら、先進国の企業に賃金を買い叩かれて、先進国の企業の売る高い食べ物を買わされているのか?

グローバル化で利益を得るのは誰か?

仮にグローバル化で生産量は増えても、普通の人が普通に暮らしやすい世の中になるとは到底思えません。

_________

コメント

池田センセイの物言いには甚だ不快感を催すのですが、まぁそれはいつもの事として・・・。

>実質所得は10倍になるのだ。

これは”実質”じゃなく、”実質的”なのでしょうね。グローバル化(←この語句がそもそもマヤカシっぽいです)=均一化なら、高所得国側の”実質”所得は減りますよね。”実質物価”が下がっても、”実質”所得がその割合より下がれば、”実質的所得”も下がり結局”豊か”にはなりません。

センセイの理屈では、得意な物を得意な者が効率よく生産・従事する事でモノやサービスのコストを下げ、すなわちその”価値”を下げる事が”豊さ”への道っと言う事なのでしょうか?。

既存の個性・文化伝統・風習・地域性・国民性を無視し、効率のみを優先して資本主義の都合で全てに均一化を計ることが、皆の幸せである言う見識には納得できません。

鍛冶屋 2011/11/04 6:24 PM


____


>生産量が増えても、それを分配するシステムが無い限り、格差と貧困が広がるだけの可能性が高い。
>。リ双方の国が利益を得る』というが、双方の国の誰か?という問題です。
>グローバル化で利益を得るのは、多国籍企業、生産と流通、分配の『システムを所有する者』です。

生産効率が上がり、生産量が増えても、その生産システム、分配システムを所有する者が肥え太るだけで、労働者、つまり、労働以外に交換手段(お金)を得ることが出来ないものは、徹底的に買い叩かれるということです。先進国だろうと、発展途上国だろうと同じことです。まったく、池田信夫氏の言説は腹立たしい限りです。

湧泉堂 2011/11/04 6:38 PM

_______


おはようございます。初めてお邪魔いたします。先般EXAスレッドで意見交換させていただいたローズです。湧泉堂さんとはEXA交流の親しさからコメ入れしたくなりましたので、よろしくお付き合いのほどお願い申し上げます。


さてTPPですが、ISD条項ぬき/知財ビジネスぬき、で、関税のみ撤廃/モノ主体というフレームでなら、参加すべきと考えています。"鎖国"と"開国"の価値の相違は、明治維新でも証明されていますので。しかし、米国の経済陰謀に対しては、日本として今の100倍ぐらい警戒しつつ、実証主体の理論武装の増強を実施すべきと思います。

という意味で、前述の、条件付き参加、論者です私は。

マルクスの資本論が経済学の表舞台から消えて早30年経過します。しかるに、彼の拡大再生産循環論は、企業家にとっては、規模の利益の追求、などでバックボーンにはなっているようです。反ケインズのピグーなどが端緒となり、昨今のノーベル経済学受賞学者たちは、資本主義経済学ではなく自由主義経済学にカジをきって久しいです。

湧泉堂さんも仰せのように、課題は、再分配システム/すべての厚生利益は消費者に回帰するシステムの実現、です。為政者も企業家も、マクロの優位さにばかり注力しているので、なかなか実現しそうにない昨今です。

人間(ミクロ社会)を真に幸福にする経済学や経済活動は、まだまだ未熟な地球世界のようです。

いけだ氏の持論サイトは、数年前に覗いた記憶があります。そのときは、偏狭的で、裏づけ理論も乏しい、ある意味、フツーの人だな、と感じ、わたし、ROMしなくなりました。湧泉堂さんブログのおかげで、久しぶりに彼の論に触れることができました。偏狭的なのは相変わらずですね。

裏づけ理論の提示のほうは、以前にだいぶ叩かれていたことから、今般は改善されているように、私は感じました。
ただし、(私が敬愛する浜矩子氏を、歪曲しながら否定しているので)、心証はワルイですが(笑)。

あと、僭越かつ失礼をお許しいただきたいのですが、

いけだ氏に関する湧泉堂さん

>グローバル化で、あなたの賃金は10倍になると言っておきながら、同じ文章の中で、先進国日本に住むあなたの賃金は、発展途上国並になると言う。


これは少し違いますね。彼の原文は、

・実質所得は10倍、ですから、賃金が10倍になる、とは言ってない、から。

・理論的には世界中で同一労働の賃金が同一になるまで進む、ですから、発展途上国並になる、とは言ってない、から。


ちなみに私は、世界中で同一労働の賃金が同一になるまで進む、これ同感なんです。

世界で最低人件費の最後の国(≒アフリカ)の殖産興業に行き着いたら、最高人件費の諸国(≒先進国)と最低人件費の諸国(≒南米&アフリカ)の、人件費水準の加重平均値あたりに落ち着くのでは、と推測しています。
なぜなら、最高諸国のそれは逓減し、最低諸国のそれは逓増していき、収れんするはずだから。


>というか、卑怯であり腹立たしい。
>全体の論旨を無視して、部分だけを取り上げて批判して、さらに、それを根拠として全文の内容を否定する。
>こういう批判のやり方が、私は一番嫌いである。卑怯だからだ。


同感です。いけだ氏がメジャー認知の一歩手前で停滞している原因です。


>さて、この池田氏が言う比較優位の原理ですが、大変に問題です。
>>。ハ各国で生産費が異なるときは、相対的にコストの安い財に特化して輸出することによって世界全体の生産量が増え、双方の国が利益を得るWin-Winが実現するのだ。)
>まず、生産量が増えればそれだけで人類は幸せになるか?


いけだ氏の原文には、生産量が増えればそれだけで人類は幸せになる、とは書いていないので、これについては湧泉堂さんの勇み足じゃないでしょうか?

なお、いけだ氏の言うWin-Winの環境が整うのは、今後おおむね50年はかかると思います。

わたし前述の、世界で最低人件費の最後の国(≒アフリカ)の殖産興業に行き着いたら、それ以降は、Win-Win成立の可能性が飛躍的に高まると思いますが、それまでは、弱肉強食/人件費による価格破壊の時代が続くので、真のWin-Winは成立するわけが無いからです。


>グローバル化で利益を得るのは、多国籍企業、生産と流通、分配の『システムを所有する者』です。


同感です。私すぐ上に記述の、その時期、が到来するまでは。

ローズ 2011/11/06 9:58 AM

_____


ローズさん、コメントありがとうございます。

賃金は発展途上国並になる、というよりは、平均化されて、発展途上国と変わらなくなるということですね。はい。

ローズさんは、世界レベルで、同一労働同一賃金になるとお考えのようですが、ずいぶんと楽観的なお考えのように思えます。私の考えでは、

『あらゆる労働はすべて、ほとんど同一賃金になる』

です。つまり、奴隷制度ですね。どんな職業に就こうと、労働者は、生きていけるだけの最低の賃金しか得られなくなるということ。なぜ、公認会計士や弁護士が就職難で、歯科医がワーキングプアなになってしまったのか?

それは、所詮は労働で賃金を得る職業だからです。支配階級、つまり、生産流通分配の『システムの所有者』、権利収入を得るものだけが圧倒的な富と権力を手に入れる。これが、グローバル化の行き着く未来です。説明します


新自由主義、強欲資本主義、自由競争自己責任主義、ネオリベラリズム、弱肉強食の殺戮の荒野資本主義を徹底的に推し進めると何が起こるか?

もっとも強い、もっとも資本力のある企業(グループ)が全ての産業を独占するようになる。(もはや企業間の競争も無い社会=共産主義社会実現)

当たり前です。資本力を利用して、官僚の天下りを受け入れ、政治献金で政治家を抱きこみ、マスコミに宣伝費を垂れ流して手なずける。そして、法律を捻じ曲げ、あるいは、自分たちに有利な法律に改定、新法を制定して何でもかんでもやりたい放題になるからです。

パチンコは賭博なのに、なぜ、取締りの対象にならないのか?警察官僚を天下りで受け入れ、政治献金をして、テレビで宣伝費をばら撒くからです。法律なんてあったもんじゃない。これが、世界レベルで起こるわけです。

資本主義を無制限に解放するということは、より資本力のあるものが無制限に勝つことになるから

たった一つの最強の資本グループが全ての産業を牛耳る世界(世界の共産主義化)では、どんな職業であろうと労働者の賃金は徹底的に買い叩かれます。

新自由主義とグローバル化を推し進めると、世界の共産主義化が実現し、どんな職業であろうとも、賃金労働者はすべてワーキングプア、奴隷になるということです。


★補足

>世界全体の生産量が増え、双方の国が利益を得るWin-Winが実現するのだ。

という池田氏の意見に対して、私は、疑義を呈しているわけです。『国が利益を得ること=人類を幸福にする』のか?国が利益を得ても、国民にその利益を分配するシステムが無ければ、格差と貧困が広がるだけであると。

湧泉堂 2011/11/06 10:51 AM

____


>賃金は発展途上国並になる、というよりは、平均化されて、発展途上国と変わらなくなるということですね。はい。

いえ、違います。

私が書いたのは、最高人件費の諸国(≒先進国)と最低人件費の諸国(≒南米&アフリカ)の人件費水準の加重平均値あたりに落ち着くのではと推測する、でした。ほぼ中央ゾーンに収れんする、という意味でした。それと、平均化されて発展途上国と変わらなくなる、は文章として間違っていませんか?


>ローズさんは、世界レベルで、同一労働同一賃金になるとお考えのようですが、ずいぶんと楽観的なお考えのように思えます。

いえ、その逆です。そういう覚悟をしている、という意味です。

なぜなら、泣いても笑っても、今後50年ぐらいのあいだに、地球全体が、避けようの無い物理メカニズムによって、すなわち、必然的に、そうなってしまうと考えるからです。狭いエリアで短期的に見ても、すでに、日本と中国は、そういうことになっています。(日本の人件費は逓減し、中国の人件費は逓増していっている)。


>私の考えでは、『あらゆる労働はすべて、ほとんど同一賃金になる』です。つまり、奴隷制度ですね。
>どんな職業に就こうと、労働者は、生きていけるだけの最低の賃金しか得られなくなるということ。

これら二つも、違います。
上記の、賃金水準の今後予測の結論が根本的に(≒間違っている)ので、それを前提にしてお書きの事柄は、別方向に行ってしまっていると考えます。


>なぜ、公認会計士や弁護士が就職難で、歯科医がワーキングプアなになってしまったのか?

需要の総量を無視した、供給の過剰、これによる、当然の結果です。その証拠に、需要と供給がバランスしていた時代の彼らの平均年収は、他に比して突出して高かったです。


>それは、所詮は労働で賃金を得る職業だからです。

はて?イミフです。
用益(サービス)も立派に価値がある職業だと思いますが。ゆえに、仰せのような就職難やワーキングプアの発生根拠には、なりえないと考えます。


>支配階級、つまり、生産流通分配の『システムの所有者』、権利収入を得るものだけが圧倒的な富と権力を手に入れる。
>これが、グローバル化の行き着く未来です。説明します
>新自由主義、強欲資本主義、自由競争自己責任主義、ネオリベラリズム、弱肉強食の殺戮の荒野資本主義を徹底的に推し進めると何が起こるか?
>もっとも強い、もっとも資本力のある企業(グループ)が全ての産業を独占するようになる。(もはや企業間の競争も無い社会=共産主義社会実現)
>当たり前です。資本力を利用して、官僚の天下りを受け入れ、政治献金で政治家を抱きこみ、マスコミに宣伝費を垂れ流して手なずける。
>そして、法律を捻じ曲げ、あるいは、自分たちに有利な法律に改定、新法を制定して何でもかんでもやりたい放題になるからです。
>パチンコは賭博なのに、なぜ、取締りの対象にならないのか?警察官僚を天下りで受け入れ、政治献金をして、テレビで宣伝費をばら撒くからです。


別方向にブッ飛んでいますが、お書きのことそのものは、仰せのとおりです。でも、上の事柄の説明としては、弱いです。というか別方向。


>法律なんてあったもんじゃない。これが、世界レベルで起こるわけです。

人間世界は卑しいですから、理想への過渡期なんだと思います。天下りもパチンコ献金も今後さらに規制され、早晩、なくなるだろうと考えます。


>資本主義を無制限に解放するということは、より資本力のあるものが無制限に勝つことになるから


たしかに1980年代までは、その面が強かったですが、それ以降は、当てはまらなくなってきています。開発力の乏しい巨大企業は、収益的にも資産的にも脆弱化してきています。価値が高いものを開発&提供している企業は、どんどん伸びてきています。


>たった一つの最強の資本グループが全ての産業を牛耳る世界(世界の共産主義化)では、どんな職業であろうと労働者の賃金は徹底的に買い叩かれます。
>新自由主義とグローバル化を推し進めると、世界の共産主義化が実現し、どんな職業であろうとも、賃金労働者はすべてワーキングプア、奴隷になるということです。

>たった一つの最強の資本グループが全ての産業を牛耳る世界(世界の共産主義化)では、どんな職業であろうと労働者の賃金は徹底的に買い叩かれます。
>新自由主義とグローバル化を推し進めると、世界の共産主義化が実現し、どんな職業であろうとも、賃金労働者はすべてワーキングプア、奴隷になるということです。


違います。共産主義化の真逆です。賃金の買い叩きも発生していません。地球世界をひとつの労働市場にした中での、理にかなった収れん、これに近づいていっているのです。鎖国は、200年前も現在も、誰のためにもならないのです。


>★補足
>>>世界全体の生産量が増え、双方の国が利益を得るWin-Winが実現するのだ。
>という池田氏の意見に対して、私は、疑義を呈しているわけです。
>『国が利益を得ること=人類を幸福にする』のか?国が利益を得ても、国民にその利益を分配するシステムが無ければ、格差と貧困が広がるだけであると。


これについては、先に既述のように

・分配システム不備なままでは、仰せのとおりです。
・人間(ミクロ社会)を真に幸福にする経済学や経済活動、これが喫緊の課題であり、私の願望でもあります。

ローズ 2011/11/06 12:06 PM


_______


ローズさん、コメントありがとうございます。

>それと、平均化されて発展途上国と変わらなくなる、は文章として間違っていませんか?

えーっと、これは、日本語の問題で、議論してもしょうがないような気もするのですが…。

グローバル化で平均化されて、賃金の高い先進国も、賃金の低い発展途上国も同一労働同一賃金になるということで、言ってることは同じではないですか?

先進国も発展途上国も、同じ賃金になるという意味で。こんなことで議論してもしょうがないと思いますが。

>はて?イミフです。
>用益(サービス)も立派に価値がある職業だと思いますが。
>ゆえに、仰せのような就職難やワーキングプアの発生根拠には、なりえないと考えます。

いや、あのですね、私が言っているのは、

『労働で収入を得る者 VS 権利収入を得る者』

ということです。サービスを提供しようが、教員だろうが、消防士だろうが、警察官だろうが、弁護士や医師だろうが、所詮労働をしないと収入が得られない者にしか過ぎません。ここで言う権利収入の権利というのは、『システムを所有する権利』で、システムとは、生産流通分配のシステムのことです。

もちろん、個別の企業で言えば、大企業のGMやソニーが衰退したりはしています。アップルや、グーグル、DeNAの台頭ということもあるでしょう。しかし、そういう個別の企業の話ではないのですよ。もっと大きな資本の流れを見れば、巨大な資本を握るものが富を膨らませ続けています。見えませんかね?

見えないよ!と言われればそれまでですが(笑)。

新自由主義、規制無き強欲資本主義とグローバル化の行き着く最終形態の話です。自動車メーカーも、経営統合や資本提携などで、各国小メーカー乱立から、大きなグループに統合されていく。強い企業が弱い企業を飲み込んでいく。


>別方向にブッ飛んでいますが、お書きのことそのものは、仰せのとおりです。
>でも、上の事柄の説明としては、弱いです。というか別方向。

別方向ではなくてですね。お金(資本力)さえあれば、何でもありだということです。法律も、世論も、道徳も、すべて乗り越えてゆける。

仮にパチンコ産業が衰退しても、資本は肥え太りながら、収奪を繰り返し、軽々と別の産業に乗り換えていく(国境も法律も乗り越えて)。都市銀行も3大メガバンクに統合されていきました。より巨大な企業(資本)に飲み込まれ、あるいは弱いもの同士が合併してより強くなり、統合を繰り返していく。

この世にたった一つの金融機関しかない世界(競争の無い社会。あるいは表向きは数社あっても、裏で利害を共にする関係)。一つの産業につき、一つの企業(グループ)しかない社会。さらに、最強の企業(資本)グループが、全ての産業を支配する社会。無制限の弱肉強食資本主義で、弱い企業は強い企業に飲み込まれ、統合されていく(長い目で見れば)。

ホワイトカラーエグゼンプションというのもありましたが、そうなれば、ホワイトカラー労働者の賃金も買い叩かれます。企業間の競争が無く賃金はコストだから。


>違います。共産主義化の真逆です。賃金の買い叩きも発生していません。
>地球世界をひとつの労働市場にした中での、理にかなった収れん、これに近づいていっている、のです。

新自由主義とグローバル化をこれからさらに推し進めれば、全ての労働に対する賃金、報酬は徹底的に買い叩かれます。これから、起こることです。


>需要の総量を無視した、供給の過剰、これによる、当然の結果です。

なぜ供給過剰になったのか?
なぜ、規制緩和、制度改革されたのか?
なぜ抵抗できなかったのか?
(資格の規制緩和が一般国民にとってどうかは別問題)

弁護士や公認会計士が巨大資本の所有者ではなかったからです(たいした権力が無かった)。システムの所有者でもないのに、高収入なのは目障りだった。個人が個人のまま力をもっていたのが邪魔だったのでしょう。弁護士や公認会計士は、所詮は資本の使いっ走りでしかなかった。新自由主義とグローバル化をこれからさらに推し進めれば、全ての労働に対する賃金、報酬は徹底的に買い叩かれます。今後、規制無き弱肉強食を推し進めれば、そうなります。部分を見れば逆流したり、渦を巻いていたりする所もありますが、大きな流れはそういうことです。

規制を撤廃した弱肉強食資本主義においては、国家や法律を超越して資本(企業)の論理がまかり通ります。巨大多国籍企業の経済活動が、全てに優先する。ISD条項や、米韓FTAやNAFTAが良い例です。

やがて最強の資本(企業)グループが生まれ、独裁体制が成立し(企業活動は法律に優先するから)、世界の共産主義化、労働者の奴隷化が実現します。これは、


>最高人件費の諸国(≒先進国)と最低人件費の諸国(≒南米&アフリカ)の人件費水準の加重平均値あたりに落ち着く

のようなことが起きた、そのさらに後に起こることです。


>鎖国は、200年前も現在も、誰のためにもならないのです。

アメリカ大陸に住んでいたネイティブアメリカンは、ヨーロッパ人の侵入で何か良いことがあったのでしょうか?

ピサロがやってきた南米は?

オーストラリア大陸のアボリジニは?

アイヌ民族は?

沢山の人々を奴隷として拉致され植民地化されたアフリカは?

コーヒー、ココア、天然ゴム、パーム椰子等、商品作物を作っている途上国の農民は、グローバル化で豊かな暮らしを享受していますか?

もともとは、自分たちの食べる食べ物を自分たちで調達して自給自足していた人たちですよ?

なぜ、自分たちの食べる食べ物も作れないで、貧困に喘ぎながら、先進国の企業に賃金を買い叩かれて、先進国の企業の売る高い食べ物を買わされているのですか?

生産流通分配、そして労働の機会も企業が独占しているからですよ。これがグローバル化の行き着く未来図です。

世界が共産主義化などする前に、ヨーロッパ経済危機や米国債デフォルトや中国バブル崩壊等によって、世界の経済システムは、システムクラッシュを起こすんじゃないでしょうか)
その後のことは私にはわかりません。)

湧泉堂 2011/11/06 3:08 PM

_____


湧泉堂さん一つ前のブログ記事の冒頭


>それよりは、グローバル化を拒否して緩慢に衰退して死に至るほうが、痛みが少ないかもしれません。
>どのみち、人は死ぬし、人類は絶滅するし、地球は消滅する(45億年も経てば)んだから、日本固有の文化などどうでもよいのかも知れませんが…。
>あるいは、鎖国して、アーミッシュのような生活をするのも一つの選択肢かも知れません。


湧泉堂さんの思想ポリシーが集約されています。

お気づきのように私は、システム等々の不備な点は人類の英知で打開して人類幸福の最適解を諦めずに追求する、という思想ポリシーですので、この辺は、永遠にマッチングしないと思っていましたし、100人いたら100人ともそういうものですので、それでいいと思っています。


>(先のご返信)ずいぶんと楽観的なお考えのように思えます。
>えーっと、これは、日本語の問題で、議論してもしょうがないような気もするのですが…。
>先進国も発展途上国も、同じ賃金になるという意味で。こんなことで議論してもしょうがないと思いますが。
>見えませんかね?見えないよ!と言われればそれまでですが(笑)。

書くほうだけが墓穴を掘っていることになるので、こちらはシラけます(笑)し、互いの議論のノリも損なわれますので、あまり価値は無いと思います。


>(先のご返信)賃金は発展途上国並になる、というよりは、平均化されて、発展途上国と変わらなくなるということですね。はい。

これについては、すでに、文章的な間違い指摘を済ませ、私の思う正解も提示し、そして、さきほど、後付け詭弁のような返信を頂戴していますが、

加重平均値あたりにほぼ収れんした時点で、もともとの発展途上国の水準からは高いほうに移動しているわけですから、発展途上国と変わらなくなる、という結論づけは間違っている、と思います。


>ここで言う権利収入の権利というのは、『システムを所有する権利』で、システムとは、生産流通分配のシステムのことです。

湧泉堂さんブログで頻繁に出てくるフレーズですが、具体的な意味の記述は無いまま、のように思いますので、
いい機会?ですので、お手すきのとき、具体的な、システム形態名/または多国籍集団名/あるいは官民合同のグループ名/とかをお教えください。


>もちろん、個別の企業で言えば、大企業のGMやソニーが衰退したりはしています。
>アップルや、グーグル、DeNAの台頭ということもあるでしょう。
>しかし、そういう個別の企業の話ではないのですよ。

私が先レスで書いたことも勿論個々の企業の断片的な事例ではありません。普遍的なウネリ(価値主義での優勝劣敗)です。


>もっと大きな資本の流れを見れば、巨大な資本を握るものが富を膨らませ続けています。見えませんかね?
>見えないよ!と言われればそれまでですが(笑)。

これも、いい機会ですので、お手すきのとき、具体的な、資本形態名/または多国籍企業名/とかをお教えください。


>この世にたった一つの金融機関しかない世界(競争の無い社会。あるいは表向きは数社あっても、裏で利害を共にする関係)。
>一つの産業につき、一つの企業(グループ)しかない社会。さらに、最強の企業(資本)グループが、全ての産業を支配する社会。
>無制限の弱肉強食資本主義で、弱い企業は強い企業に飲み込まれ、統合されていく(長い目で見れば)。


失礼ですが、過去の数々の打開実例をご存じないのでしょうか?
人類は愚かな面は多々ありますし失敗や誤認も多かったですが、ほぼどれも乗り切ってきたと考えます。

なお、反面教師の教訓として生かしてきたか?というと、苦笑する歴史ではありますが。


>弁護士や公認会計士が巨大資本の所有者ではなかったからです(たいした権力が無かった)。
>システムの所有者でもないのに、高収入なのは目障りだった。
>個人が個人のまま力をもっていたのが邪魔だったのでしょう。

ここまでくると、もう、教祖的レベルですので、なにをかいわんや、です。

>世界が共産主義化などする前に、ヨーロッパ経済危機や米国債デフォルトや中国バブル崩壊等によって、
>世界の経済システムは、システムクラッシュを起こすんじゃないでしょうか

世界は共産主義化の反対方向を力強く歩んでいますので前提としてはナンセンスですが、たしかに経済システムのクラッシュは早晩勃発すると思います。湧泉堂さんに同意です。

でもただし、私は、湧泉堂さんのように、悲観的ではないし、厭世的でももちろん無いので、湧泉堂さんご持論の終末イメージとは真逆の予測をしています。世界のビジネス人間は卑劣な面は持っていますが、しばらくしたら悪は善に叩かれ、価値あるモノや良いモノだけが生き残るという、自動制御が機能します。そこまでのリードタイムは長いですが、最後の最後は、悪行は衰退し、正義のシステムが勝ち残るのです。過去の勝利事例をもとに、人間の英知を信じませんか?
人間って、それほどの馬鹿ではないと思うんです。

ローズ 2011/11/06 5:05 PM


_______


ローズさん、コメントありがとうございます。


>>グローバル化で利益を得るのは、多国籍企業、生産と流通、分配の『システムを所有する者』です。

>同感です。私すぐ上に記述の、その時期、が到来するまでは。


はあ。同感いただいているとのことで『システムを所有する者』の説明は不要だと思いますが?

ジェイ・ロックフェラーだ!とか、ジェイコブ・ロスチャイルドだ!とか、国際金融資本だ!とか言ったところで仕方が無いでしょう。誰か特定の個人や団体ではなく概念ですから。そういう概念(道具)を使って、現象を説明しようとしているだけです。


議論が、言葉の細かい定義や、言葉遣い、言い回し、人格についての攻撃になってくると、私はあまり楽しくありません。不毛だからです。あまり建設的な議論にはならないでしょう。

池田氏が、文章の前半ではグローバル化で賃金が増えると言っておきながら、後半では賃金が下がると言っているという矛盾を指摘したまでです。

なぜそんな言い回しの細かい違いにこだわるのか理解できません。『平均化されて』ということの定義の問題にしか過ぎないのじゃありませんか?

一億人の人が年収1千万円で、十億人の人が年収百万円。平均化すると、550万円てことはないでしょう?

(一億人×一千万円+十億人×百万円)÷十一億人です。算数が苦手なので計算しませんが。一千万円の年収の人の収入は激減しますね。

>ここまでくると、もう、教祖的レベルですので、なにをかいわんや、です。

人間が世界や現象について理解しようとするときには、あるモデルを使って理解するより他ありません。事実はありのままに人間存在に届けられるのではなく、事実は概念によって区切られ、意味付けられて人間の意識に届けられます。例えば、世界を

『労働で収入を得るしかない者VSシステムを所有し、権利収入を得る者との対立』

というモデルで見ると何が言えるのか?ということを考えた次第です。

証拠を見せろ!と言われても困ります。こういうモデルで考えるとこういうことが言えますよという話です。


私は、議論に勝ちたいとか、相手を論破したいとかいう欲望は余り無いのです。私の欲望は、私の言うことを正しく理解して欲しいということです。議論のための議論には興味ありません。

湧泉堂 2011/11/06 7:13 PM


______

横レス失礼します。 

最初はよい議論の方向へ話が向かうかと期待していたのですが、途中からはやはり何時ものような流れになってしまい残念です。

>>ローズさんへ
議論の対象は、池田氏の記事に対する意見を述べ合う事ではありませんか?。

湧泉堂さんの解釈や発言、思考が理解できないまたは納得できない、ご自身のお考え方と違うからといって、その結論に至る証拠や実例を具体的に提示せよと言うのはいささか乱暴すぎるのではないでしょうか。池田氏の発言に対しローズさんなりの解釈・見解を示し、もしそれを証明したいのであれば、それを述べられるだけでよろしいのではありません?

鍛冶屋 2011/11/06 8:32 PM


_______

湧泉堂さんへ

いけだ氏の原文

@中国で700円でジーンズをつくれるとき、日本で7000円でつくる意味はない。中国に比較優位があるものは輸入すれば、あなたの実質所得は10倍になるのだ。

A理論的には世界中で同一労働の賃金が同一になるまで進む。労働移動がなくても低賃金労働の製品を輸入することによって労働を輸入するのと同じ効果があるからだ。


湧泉堂さんの誤謬≒スリカエ

@池田氏が、文章の前半ではグローバル化で賃金が増えると言っておきながら、

A後半では賃金が下がると言っているという矛盾を指摘したまでです。


湧泉堂さんの誤謬については既に指摘&説明済みなので割愛しますが、上記の、原文と湧泉堂さん代弁は、明らかに食い違っています。そういうのは、フェアじゃない、と言いたかっただけです。

>弁護士や公認会計士が巨大資本の所有者ではなかったからです(たいした権力が無かった)。
>システムの所有者でもないのに、高収入なのは目障りだった。
>個人が個人のまま力をもっていたのが邪魔だったのでしょう。

後付けで、概念による論述だと抗弁なさっていましたが、それにしてはリアルな事象を例示して、事実としては誰も信用しない説明でしたね。私は穏便にオブラートに包んで、教祖的うんぬんと書きましたが、はっきり言うと、間違っているんですよね。

はい、いずれの供給過剰も、怪しげなグローバル企業や巨大資本家コンツェルンが関係しているのではなく、

・仰せの司法試験合格者の激増そして就職難は、法科大学院の乱立からの派生。供給過剰。

・仰せの公認会計士試験の合格者の激増そして就職難は、会計士受験専門学校の乱立からの派生。供給過剰。

・仰せの歯科医師試験の合格者の激増そしてワーキングプア化は、私立歯科大学の乱立からの派生。供給過剰。


いずれも、個別事情と収益源としての、学校の乱立ですから、仰せのようなグローバル巨大システム集団とかの仕業では無いのです。

ちなみに私も、いけだ氏に対しては、好感はもっていませんので、弁護するつもりは皆無です。しかし、どんな評論家でも、その人なりにアップしている論述なので、批判するなら、もっとフェアに批判しませんか?だったのです。

たぶん湧泉堂さんもお嫌いな、歪曲した前提の上に、批判自論を積み重ねる、そういうアン・フェアなことを、湧泉堂さんご自身がおやりだったので、老婆心ながら指摘と正解提示をした次第です。

御用学者ならぬ御用コメントだけを、もしも想定または期待されておられるなら勿論それも自由ですが、それについて何か価値はありますか?

ローズ 2011/11/07 2:36 AM


______


ローズさん、コメントありがとうございます。

私は、こういうモデルで社会現象を見てみるとこういうことが言えますよというアイデアを提示しているだけで、それに賛同しろとか共鳴しろとか言っているわけではありません。そういうモデルを使わなければ、そうは見えないということは当たり前です。それについて、正しいとか間違ってるとか言い合いをしても不毛です。そういうモデルは採用しないということであれば、はいそうですかと言うより他ありません。


>はい、いずれの供給過剰も、怪しげなグローバル企業や巨大資本家コンツェルンが関係しているのではなく、
(中略)
>いずれも、個別事情と収益源としての、学校の乱立ですから、仰せのようなグローバル巨大システム集団とかの仕業では無いのです。

ある具体的な社会現象に、どういう力学が働いているかということについて、ある概念、モデルを用いて説明したと言ってるじゃないですか。特定の権力者や、企業の仕業だなどと言っているのではありません。

ジグムント・フロイトが、エス(イド)・自我・超自我のモデルで具体的な人間の行動を説明したように、モデルを使って現象を解釈したら、ということです。フロイトに向かって、エスや自我や超自我など実在していない!と言ったところで何になるんです?

概念やモデルは道具なので、使うか使わないかは自由ですよ。ところで、他人に対して、自分がわからないことを質問するときに、なぜそのように高圧的で居丈高な物言いをされるのでしょう。

離れ小島に島民が千人、仲良く暮らしておりました。

そこへ、船がやってきて、船員が島民を皆殺しにして島に住み着きました。

やがて、船でやってきた新しい島民は農耕と漁労の技術に長けていたので、生産性が上がり、人口は二千人に増えました。

おお!島民が、千人から二千人に増えた!漁業も農業も発展した!この島は、発展したので良かった!

旧島民の立場から見るか、新島民の立場から見るかで、物事の在り様は、まったく異なります。

湧泉堂 2011/11/07 7:37 PM

_______


またまた詭弁が続いていますね。

>ある具体的な社会現象に、どういう力学が働いているかということについて、ある概念、モデルを用いて説明したと言ってるじゃないですか。
>概念やモデルは道具なので、使うか使わないかは自由ですよ。


あなたは学者ではないみたいなので仕方がないのかも知れませんが、一般人でも賢人なら、抽象的モデルを使って論及する場合は、抽象的な事象に対して論ずるのが、正常な定石です。もしも、抽象的モデルを使って、具体的な事象を論ずるのなら、現実と真逆な結論づけは、説得力ゼロです。ですから、本当の知識人は、はなから、そういう愚は、おかさないのです。

例の、弁護士・会計士・歯科医師の事例なんぞは、具体的に原因背景が証明されているのですから、無理やり、モデルとかなんとかで言及すると、今やご自身も本当はお気づきのように、あのように、とんでもない頓珍漢な論及になります。


>旧島民の立場から見るか、新島民の立場から見るかで、物事の在り様は、まったく異なります。

これも、お得意の誘導詭弁ですね。私は、ここまでのコメ入れで、貴方のような、片方からだけ見た、そういう論及はしていません。全体双方の最適解を、あなたに対して、説いてきました。

あなたの【論法】を借りるなら、そんな片方からだけのモノの見方しても【仕方ないでしょう】、です。

ちなみに、あなたは、例の、セーフティネット必需論も含めて、とにかく弱者保護のスタンスのようですが、それについては、個人の自由思想ですので、少なくとも尊重は致します。もちろん、賛同するかどうかは、関係なく。


昨日だか、ブログ記事の部分訂正をしておられましたね。これは評価できます。
しかるに、残念ながら、あなたの頑迷さ(または当該知識そのものの錯誤)により、ほとんど変わり映えしていないですね。残念です。

>>>中国で700円でジーンズをつくれるとき、日本で7000円でつくる意味はない。
>>>中国に比較優位があるものは輸入すれば、あなたの実質所得は10倍になるのだ。

>と書き、後の方では、

>>>理論的には、世界中で同一労働の賃金が同一になるまで進む。
>>>労働移動がなくても、低賃金労働の製品を輸入することによって労働を輸入するのと同じ効果があるからだ。

>グローバル化で、あなたの賃金は10倍になると言っておきながら、同じ文章の中で、先進国日本に住むあなたの賃金は、発展途上国並になると言う。
>(コメント欄で注意を頂きましたので、訂正をいれさせていただきます。発展途上国並になる、ではなく、平均化されて、発展途上国と変わらなくなるということですね。
>どっちにしろ、グローバル化で、記事の前半では賃金が増えると言い、後半で賃金が減ると言っています。)


ハハハ(失礼!)、
どっちにしろグローバル化で記事の前半では賃金が増えると言い後半で賃金が減ると言っています、
ですか。また苦笑しました。

今回わたし初コメ以来、すでに2度も、あなたの知識錯誤やアン・フェアな他者批判の愚かさを指摘してきましたが、ブログ訂正ここに至っても、実質的には、なんら改善されていないのは何故か?

その(悲しい)答を、絞り込むことが出来ました。

失礼ですが、あなた、所得または可処分所得の余裕余剰の増加、と、賃金の増加、を、同一視しておられるようですね。言ってわるいですが、悪い意味で、あなた、とても珍しい御仁です。

ここの読者に、一定以上のレベルの知識人がいらっしゃるなら、苦笑しておられると思います。

_____


ローズ 2011/11/08 12:56 AM

実は、つくづく、あなたのことを不思議な論述者と感じたので、礼儀上、過去ログを以前よりも、さらにソコソコさかのぼって、ざっと拝読してみました。おかげで、ほぼ、解明できました(笑)。

以下に、特別おもしろかったふたつ、例示します。

湧泉堂さんブログ2011.02.02
http://miruton.jugem.jp/?eid=480#comments

>資本主義というのは、拡大再生産→拡大再消費

他の記事も、その殆どが、拡大再生産/システム所有者うんぬん、ほぼ、これ一辺倒ですね。
30年も前に廃れたマルクス経済学での資本主義論ですか?
現代は、とっくの昔から、自由主義経済学の時代ですよ。

拡大再生産論/システム所有者うんぬん、だけでは、湧泉堂さんも実は、しんどいのでは?
もっともっと現代学やリアル実態を、勉強しませんか?

それと、システム所有者うんぬん、ホント頻繁に出てきますが、不思議に、どの記事にも、その定義は皆無ですね。
また、お得意の論法である、モデルだからイイだろ、ですね?(笑)。
明確な知識、裏づけデータ、お持ちなんですよね?
まさか?
(笑)

>売上が上昇しないとき、企業は経費削減の方向に向かいます。
>所謂リストラというヤツです。人員削減、賃金カット、正社員から派遣社員への移行。
>そして企業は内部留保を増やし、株主配当と役員報酬を拡大する。

ハハハ(失礼)、まるで不勉強な高校生の政経の答案みたいなので、つい。

マーケティング活動や、VE/TOCによるコスト・リダクション活動、ニーズとシーズのマッチング、新規開発力の増強、CS向上活動などが、収益主要対策ですよ。
内部留保は、設備投資の原資化が、第一プライオリティ、ですよ。

まるで、大昔の共産党か社会党みたいですね。

>もちろん、いまさら世界が共産主義化するとは思っていませんが、
>これ以上経済システムが暴走し、人間を踏み潰すようなら、民衆は黙っていないでしょう。

あれあれ、上記2011.02.02湧泉堂さんブログでは、いまさら世界が共産主義化するとは思っていません、なのに、

ナント(笑)、今般2011/11/06湧泉堂さんコメントでは、世界が共産主義化などする前に、と、書いておられる、
* 湧泉堂 2011/11/06 3:08 PM=世界が共産主義化などする前にヨーロッパ経済危機や米国債デフォルトや中国バブル崩壊等によって世界の経済システムはシステムクラッシュを起こすんじゃないでしょうか。

失礼ですが、拡大再生産/システム所有者うんぬん、一辺倒だけでなく、誰もが失笑する共産主義化うんぬんも、場面によっては正反対になるんですね。
大丈夫ですか?


おしまいに、

やはり、私ローズ既述の直感はビンゴ!でした。
はい、あなたは、やはり、教祖さま、です。(笑)

なぜなら、あなたのブログ記事に対して、ほんのたまにあるコメントを見てたら、その証拠があります。

コメント文面から伺える、

・素朴な一般人からは、ブログ記事への賛同が多くて、

・幅広い知識をお持ちのかたからは、やんわり嘲笑されておられるから。


ではでは。(笑)。

ローズ 2011/11/08 6:19 AM コメントする
http://miruton.jugem.jp/?eid=539

ローズさんのは唯の言い掛かりにしか見えないですね。 これは経済ではなく生物学的な適応と淘汰の問題ですから。直観力がゼロのローズさんが経済の知識と論理だけでいくら考えても本質には到達できないのですね。

人類は天敵がいないので互いに殺し合って人口を減らすしかないのですね。だから、環境に適応した民族が適応できなかった民族を滅ぼすしか進化の道は無いのですね。


“世界のビジネス人間は卑劣な面は持っていますが、しばらくしたら悪は善に叩かれ、価値あるモノや良いモノだけが生き残るという、自動制御が機能します。そこまでのリードタイムは長いですが、最後の最後は、悪行は衰退し、正義のシステムが勝ち残るのです。過去の勝利事例をもとに、人間の英知を信じませんか?
人間って、それほどの馬鹿ではないと思うんです。“


“失礼ですが、過去の数々の打開実例をご存じないのでしょうか?
人類は愚かな面は多々ありますし失敗や誤認も多かったですが、ほぼどれも乗り切ってきたと考えます。“


ローズさんのこの言葉には笑ってしまいますね。


縄文人を滅ぼさなければ弥生人は日本列島を奪えなかったのですね。

アメリカインディアンを滅ぼさなければアングロサクソンはアメリカを奪えなかったのですね。

ネアンデルタールを滅ぼさなければホモ・サピエンスは生き残れなかったのですね。

全く同じ様に今、西欧人は有色人種を滅ぼそうとしているのですね。地球に68億人は多過ぎますから。

ロスチャイルドは地球の世界人口68億人のうち、40億人を削減する計画みたいですね。聖書の「黙示録」では人類の2/3が滅ぶことになっているので。


まあ、民族の優秀さでは西欧人が世界一ですが、生存できるかどうかは優秀さではなく環境への適応力で決まりますから、西欧人が最終勝者になる事は絶対に有りないんですけどね。

ローズさんは目先の10年・20年単位でしか物を考えられない人なんでしょう。研究者には一番向かない性格ですね。


湧泉堂さんの考え方の本質はこういう事でしょう:


グローバリズムは、帝国主義。 August 25, 2007


すこし、涼しくなってきた。アメリカの経済にも秋風が吹いている。このままだと、近い将来ドルの暴落という事態も考えられる。

政治的なアメリカの威信は、イラク戦争の失敗ですでに翳りを見せていた。必然的にアメリカはユニラテラリズムを採用せざるを得なかったということだろう。難破船からねずみが逃げ出すように、ブッシュ政権からは何人もの関係者が退散している。そして、政治的な威信失墜の兆しが、今度は経済的な信用崩壊へと接続されそうな気配である。クレジットクランチである。

日本の経済学者は、楽観論が多いようであるがこの度の住宅ローンの破綻に始まる米国経済の混乱と、連動する世界同時不況は予断を許さない状況になっている。アメリカの事態に関しては悲観的な観測を述べているエコノミストの一人、水野和夫の『人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか』
http://www.amazon.co.jp/%E4%BA%BA%E3%80%85%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%9C%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%AB%E7%B5%8C%E6%B8%88%E3%81%AE%E6%9C%AC%E8%B3%AA%E3%82%92%E8%A6%8B%E8%AA%A4%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B-%E6%B0%B4%E9%87%8E-%E5%92%8C%E5%A4%AB/dp/4532352452

を読んだ。

 水野は、1995年を境にして、戦後が終焉し、日本も世界もこれまでの経済的な常識はもはや使い物にならないということを、実証的に裏付けてゆく。

彼はシンクタンクの保有しているあらゆるデータを分析することで、95年が時代の転路点であることを発見する。ここまでなら、多くの経済学者、エコノミストも予見することはできる。水野の創見は、それが経済の世界における近代の終焉であり、同時に資本による反革命の始まりであるという、経済システムの変換を読み込んだことである。

 大変に面白く、スリリングな理論である。

俺もかつて、94年という年が時代の転換点であると書いたことがあった。

「ぼくはビジネスの世界で、1994年を境に劇的な変化、価値変動がおこったと考えています。そしてその変化は日本中を隈なく覆い尽くして文化や人々の言葉づかいまで変えていくほどの繁殖力をもっていました。正確に言えばアメリカン・スタンダードというものがカバーする地域、人種、職業すべての価値観に大きな修正をもたらすものとなった」(『東京ファイティングキッズ』)

俺は、ビジネスの現場における人々の言葉づかいが大きく変わったことから、このアイデアを思いついたのであるが、水野は専門家らしく経済的な指標を読み解くことの中から、この転換が根源的なシステムの転換であることを「発見」する。そして、ポスト近代とは、インターネットや金融技術が牽引する超近代などではなく、帝国の再来,資本が、自らへの分配を確保するための反革命であると言うのである。 これは、実に目から鱗の指摘であった。

なるほど、グローバリズムとは、自由主義の拡大ではなく経済帝国主義であったのか。

そう考えればいろいろなことが腑に落ちる。そう考えなければ、グローバル企業の飽くなき膨張や、経済成長しながらも拡大する格差や周縁の疲弊といった問題がうまく理解できない。膨張しているのは、資本だけであり、国民経済ではないのである。

帝国主義とは何か。

レーニンはその帝国主義論でこう述べている。

「帝国主義とは、独占体と金融資本の支配が成立していて、資本輸出が著しく重要性を増し、国際的なトラストによる世界の分割が始まり、最強の資本主義諸国による世界の全領土の分割が完了したという発達段階に達した資本主義のことである。」

簡単に言えば、帝国主義とは、国益拡大のための際限のない周縁国の植民化であった。

帝国主義はどのようにして終結したのか。

それは、有限な世界の中で、覇権同士がぶつかり合い、経済的なブロック化が進行し、ついには戦争による以外、つまりは覇権の蕩尽という方法でしか決着をつけることができなかったからだ。

 いま起こっているグローバリズムとは、この帝国主義の時代における軍に代わって、企業が、世界経済を再分割してゆく動きであるといえるかもしれない。低賃金の労働力、飢えたマーケットを固定化、植民化するという形で、企業が国境を超えていく。
 
 「グローバリゼーションは誰の手にも負えないコントロール不可能な経済現象で、関わる者すべてはこれに影響を受け、そして、たまたま適切な準備ができていた者だけがその恩恵を受けることができるのだと考える人もいる」

(『ウォルマートに呑みこまれる世界』)
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%AB%E5%91%91%E3%81%BF%E3%81%93%E3%81%BE%E3%82%8C%E3%82%8B%E4%B8%96%E7%95%8C-%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%9E%E3%83%B3/dp/4478000905


ちょうどいま書評を書いている本の中で、その著者チャールズ・フィッシュマンが言っている。市場主義といい、グローバリズムといい、その渦中にいるものにとっては、それが時代の中の過程的なシステムであると考えるよりは、究極の姿であると考えやすい。ビジネスも政治も、限定的な時間の中での損得勘定しかできないからである。


「改革なくして成長なし」も

「成長がすべての怪我をなおす」

という法則も、限定的な時間の中でしか意味を持ち得ない。こういったスローガンは、何かの真理を言いあらわすというよりは、現在のシステムが、それを弁護ないしは強化するために言わせているのだと思ったほうがよいのである

http://plaza.rakuten.co.jp/hirakawadesu/diary/200708250000/


帝国主義・民主主義・グローバリズム


 帝国主義は悪で、民主主義は善、そして少し前までグローバリズムは正しかったと言うのが、良識派の人の認識である。そして、帝国主義 vs 民主主義の戦いが、第二次世界大戦で、正義が勝ったのだと言うのが常識となっている。しかし、この図式の中には忘れられていると言うか、隠蔽されている重要な事実が隠されている。

 帝国主義も民主主義もグローバリズムもプレイヤーが違うために一見違う目的を持つものだと考えられがちだが、役者(と出し物)が違うだけで、目的は15世紀から代わっていないという事なのだ。役者や出し物は代わっても同じ興行主が掛けている芝居(ヨーロッパの興行主がロスチャイルドで、アメリカはロックフェラー)に過ぎないと分かれば国際金融資本というものがどういうものかは自ずと明らかになってくるのだ。便宜的にユダヤと言う言葉を使う事もあるが人種としてのユダヤでも、イスラエルに住んでいる人達を指すものでも無い。そもそも、純粋なユダヤ人など本当は存在しないと考えるべきなのだ。

自虐史観に囚われた人達から見れば帝国主義と言えば枢軸国(日独伊)の事になるのだろうが、第二次大戦中の最大の帝国は間違いなく大英帝国だったし、日本が占領した地域の多くは大日本帝国では無くヨーロッパの列強の植民地だった。植民地を持っていると言う事は、フランスやオランダも当然帝国主義国家で、帝国主義を批判していたアメリカだってフィリピンを統治(満州を批判したアメリカだって傀儡政権を使ってフィルピンを植民地化していたのだ)していた立派な帝国主義国だったのだ。

 要するに戦勝国が善だとすれば帝国主義は悪では無く枢軸国だけは限定的に悪い帝国主義だったと考えなければならない。では、何故帝国主義は悪となったのだろうか。第二次世界大戦で悪の帝国主義国家が胡散霧消しただけでは無く、多くの植民地が独立し、ヨーロッパ列強が帝国主義を続けられなくなり帝国主義では金儲けが出来なくなったから悪になってしまっただけの話なのだ。第二次大戦は民主主義と帝国主義の戦いと言われているが、古い帝国主義と新興の帝国主義の戦いに過ぎなかったのである。その両方の帝国を育てたスポンサーは東インド会社のオーナーだった連中(ロスチャイルド)だったのだ。

 民主主義(資本主義)の方はどうだろう。帝国主義が無くなったあとに敵対したのは共産主義だった。ドイツや日本と言うビッグプレイヤー(勝つ事はないが取りあえず長い間戦争の相手を出来ると言う意味)がいなくなった時には、共産主義と言う種が大きく育っていた。

 敵対する相手がいない事には世の中は平和でなければいけないが、平和では金儲けは出来ない。日露戦争で日本に加担(シフを通じてロスチャイルドが支援)し、同時に共産主義者たち(実は労働者では無くロスチャイルドに資金を提供された貴族階級だ)はソビエトと言う国を興し、民主主義国家と渡り合えるようになった。冷戦と言う長い戦い(核兵器を競い合ったが、核兵器の原料は誰が支配していたかを忘れてはいけない)が続けられたが、アフガニスタンと言う火種を残しソビエトは崩壊したが、それは火種が出来たからであって、民主主義が正しかったからではなかったのだ。

 アフガニスタン侵攻と軍拡競争で疲弊したソビエトは消えてなくなり、世界は平和になる筈だったが、イラクによるクェート侵攻と言う出来過ぎのシナリオで中近東が火薬庫の役目を果たしてくれた。悪いアラブと良いアラブ、アラブとイスラエル、パレスチナとイスラエルと争いの種はいくらでもあるが、ロックフェラーは、911を口実にイラクとアフガニスタン(どちらもロックフェラーのテリトリー)に戦いを仕掛けて金儲けの種にし、オイルマネーを絞り取るためにドバイなどの窓口に資金を集めるために金融バブルを仕掛けてきたのが、ついこの前までの話だった。結局、世界の金融を実際に牛耳っているロスチャイルドには敵わなかったのが今なのである。グローバリズムも、要は金儲けのための一時的な道具だったのだ。

結論:世の中に数多ある主義主張やイデオロギーに正しいも何も無い。金を儲ける手段として機能している内は善で、そうでなくなれば悪になるだけの話なのだ。神聖ローマ帝国の御用銀行家がルーツのロスチャイルドは、英国だけでは無くユーラシアからアフリカ全体を支配する金融資本の総元締め。北米が主体のロックフェラーが出先に過ぎない(表面的に戦後60年以上最強に見えたが)のは仕方がない。イデオロギーなどという色眼鏡を外し、金の流れを見れば世の中の仕組みは非常に単純なのである。

http://maimaikaburi.blogspot.com/2009/01/blog-post_1042.html

マルクスは資本主義については正しかった 2011/11/05 (Sat) 22:40:26


 カール・マルクスは共産主義については間違っていたが、資本主義の大部分については正しかった、とジョン・グレイは書いている。

 金融危機の副作用として、ますます多くの人々がカール・マルクスは正しかったと考え始めている。19世紀の偉大なドイツ人哲学者、経済学者であり革命家は、資本主義は根本的に不安定であると信じた。 資本主義には、より大きなブームと破滅を作り出す傾向がビルトインされており、長期的には自分自身を破壊するにちがいないというのだ。

 マルクスは、資本主義の自滅を歓迎した。彼は、大衆的な革命が起こり、より生産的ではるかに人間的な共産主義システムを実現すると確信していた。

 マルクスは、共産主義については間違っていた。彼が予言的に正しかったのは、資本主義の革命のとらえ方においてだった。彼は、資本主義固有の不安定性を理解しただけではない――もちろん、この点で彼は、当時の、また現在の大多数の経済学者よりも鋭かったのだが。

 もっと深くマルクスが理解したのは、どのようにして資本主義が自分自身の社会的基盤――中産階級 the middle-class の生活様式――を破壊するか、ということだった。ブルジョアジーとプロレタリアというマルクス主義者の用語は古い響きをもっている。

 しかし、資本主義は中産階級を当時の厳しく抑圧された労働者の不安定な存在に似た状態におとしいれるとマルクスが主張するとき、彼は、われわれの生活の変化を予測していた。それは、いまわれわれが立ち向かっているものだ。

 彼は、資本主義を、歴史上もっとも革命的な経済システムとして描き出した。資本主義がそれ以前の経済システムと根本的に違っていることは疑い得ない。

 狩猟・採取民は、何千年もその生活を守り続け、奴隷は長期にわたって耕し、封建社会は何世紀も続いた。反対に、資本主義は、それが触れるものすべてを変化させる。

 資本主義は、絶えず変化するだけではない。企業と産業は、革新の絶えざる流れのなかで創造され破壊され、その一方で、人間関係は解体され新しい形態で再現する。

 資本主義は、創造的破壊のプロセスとして描かれてきた。資本主義が驚くほど生産的であったことは誰も否定できない。実際、現在のイギリスに暮らす誰もが、資本主義が存在しなかった場合に受け取っていたであろう収入よりも多くの収入を得ている。


否定的な帰結

 問題は、プロセスの中で破壊されてきたさまざまなもののなかで、資本主義が過去において依拠した生活様式を破壊してきたことだ。

 資本主義の擁護者たちは、次のように主張する。資本主義はあらゆる人に利益を提供するが、それは、マルクスの時代にはブルジョアジー――資本を所有し、生活において適切な水準の安全と自由を享受した安定した中産階級――だけが享受したものだ、と。

 19世紀資本主義においては、大多数の人々は何も持たなかった。彼らは、自分の労働を売って生活した。市場が低迷すると、彼らは厳しい生活に直面した。しかし、資本主義が発展するにつれて、ますます多くの人々がそこから利益を手にすることができるようになるだろう――資本主義擁護者たちはそう言う。

 誇るべきキャリアは、もはや、少数の特権ではなくなるだろう。もはや人々は、毎月毎月、不安定な賃金で苦労して生活することはないだろう。貯蓄、自身が所有する家屋および相当な年金によって保護され、彼らは、懸念なしに生活設計することができるだろう。民主主義および富の拡張とともに、誰かがブルジョア的生活から締め出される必要はなくなる。誰もが中産階級になれるのだ。

 実際には、イギリスやアメリカ、その他の先進国では、過去2、30年間にわたって、反対のことが起こっている。仕事の安定は存在しない。過去の職業や専門は、ほとんど消えうせて、生涯にわたるキャリアというものはほとんど記憶でしかない。

 もし人々がなんらかの富をもっているとすれば、それは家の中にあるが、住宅価格はつねに上昇するわけではない。いまのように信用がタイトなときには、彼らは数年間にわたって停滞するだろう。快適に暮らすことのできる年金をあてにできる人はますます少数派になっており、多くは十分な貯蓄を持ってはいない。

 ますます多くの人々が、将来のことをほとんど考えることもなく、その日暮しをしている。中産階級の人々は、彼らの生活が秩序正しく展開すると考えたものだった。しかし、人生を、最後から一つずつ昇っていくステージの連続とみなすことは、もはや不可能だ。

 創造的破壊のプロセスのなかで、梯子は外されてしまい、ますます多くの人たちにとって、中産階級であることは、もはや人生の目標にさえならなくなっている。


リスクを負わされる人


 資本主義が発展するのにつれて、それは大多数の人々を、マルクスの言うプロレタリア階級の不安定な存在の新バージョンへと追い返した。現在の収入ははるかに高いし、ある程度は、戦後の福祉国家の名残によって衝撃から守られてもいる。

 しかし、われわれは自分の人生コースをほとんど効果的にコントロールしてはいない。われわれは不安定さのなかで生活しなければならず、その不安定さは、金融危機に対処するためにとられた政策によって悪化させられている。物価上昇のもとでのゼロ金利は、あなたのカネにマイナスの報酬をもたらし、やがてあなたの資産を腐らせるということだ。

 多くの若者の状況はもっと悪い。必要なスキルを身につけるためには、あなたは、借金を背負わなければならない。いくつかの点から、あなたは貯蓄に努めるように再訓練されなければならないだろう。しかし、もし出発点から借金を背負っていたら、貯蓄は、あなたにできる最後のことだ。何歳であれ、今日、大多数の人々が直面している可能性は、不安定な生活である。

 資本主義は、人々からブルジョア的生活の安全を奪い取るのと同時に、ブルジョア的生活を送ってきたようなタイプの人々を絶滅させてきた。1980年代には、ビクトリア朝的価値観のことがしきりに言われた。そして、自由市場の促進者たちは、それがわれわれを過去の健全な美徳に連れ戻すだろうと主張したものだった。

 多くの人々にとって、たとえば女性や貧困者にとって、これらビクトリア朝的価値観は、彼らの効果においてほとんど無意味なものになっただろう。しかし、より大きな事実は、自由市場がブルジョア的生活を支えた美徳を掘り崩す働きをすることだ。

 貯蓄が融けてなくなってゆくとき、質素倹約は、破滅への道になるかもしれない。たくさん借金をして、破産宣告することを恐れない人こそが生き残り、成功へむかうのだ。

 市場の力によって持続的に変化させられる社会では、伝統的価値観は上手く機能せず、それによって生活しようとする人は誰もがガラクタの山にたどり着く恐れがある。

莫大な富

 市場が人生のすべての曲がり角に浸透した未来を展望して、マルクスは、「共産党宣言」で、「すべての固定したものは消え去る」と書いた。ビクトリア朝初期――「宣言」は1848年に出版された――のイングランドに生活する者にとっては、これは、驚くほど遠くまで見通した観察だった。

 当時、マルクスが生活した社会の周縁部以上に固定的に見えたものはなかった。一世紀半ののち、われわれは、われわれ自身が、彼が予告した世界にいることを発見する。そこは、あらゆる人の生活が暫定的で一時的であり、いつでも突然の破滅が起こりうる世界だ。

 ごくわずかな人々だけが莫大な富を蓄積してきたが、それははかない、たいていは幽霊のような性質をもっている。ビクトリア朝時代には、とてつもない富者は、自分たちのおカネをどう投資するかという点で保守的でありたければ、くつろいでそうすることもできた。ディケンズの小説の主人公たちは、最終的には、遺産を手に入れ、その後は永久に何もしない。

 今日、安息地はどこにも存在しない。市場の急激な変動は、わずか数年後であれ、何が価値を持っているか知ることができないほどだ。

 このような永久に休息することのない状態は、資本主義の永続革命であり、資本主義は、現実的に考えられる限りのどんな未来にわれわれを連れてゆこうとしているのかと考える。

 通貨と政府は、われわれがずっと安全だと思ってきた金融システムのさまざまな部分と一緒に、ほとんど破滅しかかっている。たった3年前に世界経済を凍りつかせる恐れのあったリスクは、手つかずのままだ。リスクは国家にしわ寄せされただけだ。

 政治家たちが、赤字を抑制する必要について何を言っても、負債は返済できないほどのスケールで膨れ上がっている。 それらが膨れ上がるプロセスは、多くの人々にとって痛みをともない、多くの人々が貧しくなるプロセスと結びついている。

 結果は、非常に大きなスケールで激動が起こるという以上のものでしかありえない。しかし、 それは世界の終わりではないだろう。あるいは資本主義の終わりでさえないだろう。何が起ころうと、われわれは、依然として、市場がときはなってきた マーキュリー(商業の神様)のエネルギーとともに 生きてゆくしかないだろう。

 資本主義は、革命に導いてきたが、それはマルクスが期待したような革命ではない。燃えるようなドイツ人思想家はブルジョア的生活を嫌い、共産主義がそれを破壊することを期待した。そして、彼が予測したとおり、ブルジョア的世界は破壊された。 しかし、共産主義に席を譲ったのではない。資本主義がブルジョアジーを殺してしまったのだ。
http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/726.html

【青木泰樹】「経済学を学ぶ理由は、経済学者に騙されないためです」


「経済学を学ぶ理由は、経済学者に騙されないためです」と経済学者ジョーン・ロビンソンは警句を発したと言われています。

経済論理は、特殊な前提条件の下で成り立つ理屈にすぎません。

いわば「狭い土俵の中」での話であることを忘れてはならないのです(学説ごとに土俵の広さは異なりますが)。

しかし、世間には経済学の原理原則を現実経済の分析に直接適用しようとする経済学者やエコノミストが後を絶ちません。

彼等は、経済学という土俵の中の理屈で、現実経済という土俵の外の話を論じるという過ちを犯しています。

言うまでもなく、現実経済は経済学の要求する前提条件を満たしておりません。
それゆえ現実経済を論じる(土俵の中に入れる)ためには、前提条件を緩める(土俵を拡げる)ことが必要です。

さしずめ私の指向する経済社会学はこれにあたります。

しかし、現在の主流派経済学(新古典派経済学の後継の諸学説)は、土俵を狭くすることに専心していきました。

その結果、経済学と現実経済の距離はますます開いていったのです。

経済学者の経済認識と現実経済のズレが拡大している以上、もはや経済学者の言をそのまま信じては現実経済の動向を見誤ることになります。

彼等の提言通りに経済政策が実施されたら、国民経済はたいへんな災厄(人災)を被ることになってしまうのです。

本日は、経済学の原理原則を絶対視すること、もしくはそれに基づき現実経済を認識することの危険性について具体的にお話ししたいと思います(分量の関係で二回に分けます)。

経済学の原理原則の具体的な題材として、著名なニュー・ケインジアンの学者であるグレゴリー・マンキューの提示する「経済学の10大原理」のうちマクロ経済に直接関わる二つの原理を取り上げます。

ちなみに10大原理は、マンキューの世界的なベストセラーである著書『経済学原理』に示されているもので、その邦訳書『マンキュー経済学』は経済学の教科書として有名ですので、ご存知の方も多いと思います。

今回取り上げるのは、「政府がお金を発行しすぎると物価は上がる」という貨幣に関する原理で、次回は「社会はインフレと失業の間の短期トレードオフ関係に直面している」という物価版フィリップス曲線に関する原理です。

いずれもリフレ派の経済学者の依拠する理論的基盤ですね。

これらの原理(いわば経済学者の経済観)で現実経済を認識するのは不適切であることを説明します。

以前、このコラムで三橋さんが貨幣の定義についての話をされていました。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/09/28/

その記事の中で興味深かったのは、貨幣(この場合は通貨)の定義をめぐる岩田規久男氏(現日銀副総裁)と三橋さんのやり取りです。

岩田氏は「貨幣はマネタリーベース(現金)」と考え、三橋さんは「貨幣はマネーストック(現金プラス預金)」と考えておりました。

実は、このやり取りの中に「経済学における貨幣の定義」と「現実経済における貨幣の定義」の相違が潜んでいるのです。

もちろん、岩田氏は前者の立場、三橋さんは後者の立場です。

この貨幣の定義の違いを理解するためには、国民経済の基本構造を知る必要がありますので、簡単なイメージを示しておきます。

国民経済は「政府ムラ」と「民間(経済)ムラ」から成り立っており、それぞれのムラには2軒の家が建っていると考えてください。

政府ムラの2軒は、「親(政府)」の家と、「子(日銀)」の家です。

民間ムラの2軒は、「銀行」の家と個人と企業が暮らす「実体経済(民間非金融部門)」の家です。

経済学の支配的な貨幣観は、「貨幣は民間経済の外で造られる」と考える外生的貨幣供給論です。

この点に関してはケインズ経済学もマネタリズム(新貨幣数量説)も同じです。
すなわち、貨幣は政府ムラの造る現金(マネタリーベースもしくはベースマネー)と定義されます。

民間ムラで現金を保有しているのは、銀行と実体経済に住む個人と企業ですから、その合計額を貨幣量と考えているのです。
ちなみに銀行は保有する現金を「準備」として日銀に預けております(日銀当座預金)。

他方、マネーストックは「実体経済内で保有されている現金と預金の合計額」として定義されます。

そこには現金に加えて、民間内部で銀行によって造られる「預金通貨」も含まれています。

言うまでもなく、マネーストックの動向、特に国内の財サービスの購入に使われるカネの量(アクティブマネー)の動向が景気動向(実体経済の規模の変動)に直接関係しています。

逆に、銀行の現金保有量の変動は景気に直接関係するものではありません。

超過準備が発生しようと、融資が増えるか否かは景気に依存するからです。

それゆえ、実体経済の動向を見る指標としてベースマネーよりマネーストックを重視するのは自然なことです。

それではなぜ支配的な経済学の貨幣の定義には、預金通貨が含まれていないのでしょう。

先に示した国民経済の簡略イメージを思い出してください。

個人や企業(実体経済)の保有する預金とは、「預け入れ」という名称がついておりますが、実際は銀行への「貸し付け」のことです。

すなわち実体経済の預金(資産)は、銀行にとっての同額の負債であり、民間経済内で合計すると純額としてゼロになってしまうのです。

その場合、民間ムラで資産(購買力)として残るのは現金だけとなります。

このように経済学の基本的な考え方は、単純に「政府」と「民間」を対峙させるだけで、各部門の内部(2軒の家の存在)にまで洞察を加えないために、どうしても現実経済を考える場合に齟齬が出てしまうのです。

しかし、経済学の貨幣の定義と現実のそれが異なっていようと、両者を関連づける概念があります。

それがマネーストック(M)とベースマネー(H)の比率として定義される「貨幣乗数(M/H)」です。

この貨幣乗数の値が一定の値として安定しているならば、「貨幣とは現金のことだ」とする経済学の定義を現実に適用しても問題はなくなります。

その場合、ベースマネーとマネーストックの間に一定の比例関係が常に維持されます(貨幣乗数の定義式を因果式と解釈すれば)。

例えば、貨幣乗数が7で安定していれば、ベースマネーを1兆円増やした時、マネーストックは7兆円増えることになり、政府はベースマネーの量を操作することでマネーストックを制御することが可能になるからです。

実際、岩田氏は、かねてからベースマネーによるマネーストックの制御は可能とする学問的立場を取っておりました(経済学の教科書の立場)。

ベースマネーによる制御が可能か否かに関して、以前、彼は当時日銀に所属していた翁邦雄氏と「岩田・翁論争」を起こしたくらいです。

それゆえ、岩田氏が、三橋さんに問われた時、「貨幣の定義はマネタリーベース」と答えたのは、当然でしょう。

しかし、岩田氏の強弁は、現実経済を前提とすれば成り立ちません。

貨幣乗数は、(金融政策の結果として)「事後的に算出されるHとMの比率」に過ぎないのです。

事前に決まっている数値(パラメーター)ではありません。

そのことは、政府から民間へ現金を注入する経路を考えれば容易にわかります。

日銀の量的緩和策を考えてみましょう。

日銀は民間ムラの銀行の保有する国債を買い取り、現金を渡します。

しかし、実体経済に現金を渡しているわけではありませんから、マネーストックは増えません。

なぜなら、「ベースマネーとして定義される現金(民間保有の現金)」と「マネーストックを構成する現金(実体経済保有の現金)」は、同一ではないからです。

先述したように、マネーストックの定義の中の現金に銀行保有分は含まれないのです。

このことさえ認識されれば、需給ギャップを解消し2%インフレを目指すとする量的緩和策の限界はおのずから明らかでしょう。

確かにベースマネーを増やすことは出来ます(量的緩和策とは、銀行保有の現金を増やす政策ですから)。

しかし、マネーストックを増やすには銀行による実体経済への融資が必要なのです。もちろん、融資の前提は実体経済の資金需要です。

それも不動産投資向けやM&A資金向けではなく、(景気浮揚のためには)国内の実物投資への融資の増加が必要なのです。

今後も量的緩和は継続されますから、貨幣乗数は下がり続けることになります。
それはベースマネーによるマネーストックの制御が不可能なことの端的な証(あかし)なのです。

政府から民間へ現金が流れる現実的経路を考慮しないどころか、融資自体を無視するのがマネタリズムです。

実は、銀行融資を考慮すると、

「貨幣的要因は実物的要因に影響しない」、

簡単に言えば、

「価格が変化しても取引量は変化しない」

とするマネタリズムの理屈(「貨幣の中立性」)が破綻するのです。

融資を受けた投資家は、自分の必要なものしか買いません。

それによって追加需要の生じた特定の財の価格は上昇しますから、相対価格体系(諸財の交換比率)は変化してしまうのです。

その結果、取引量も変化します(貨幣が非中立的となる)。

マネタリズムは、融資の代わりに、実体経済へ直接現金を渡す荒唐無稽な経路を考えました。

それが「ヘリコプター・マネー」です。

ヘリコプターで現金を実体経済へばらまくのです。

これは例え話と言われていますが、民間への貨幣の注入経路を持たないマネタリズムにとっては極めて重要な前提なのです。

さらに現金を拾う側にも厳しい条件が課されます。

例えば、10%の物価上昇を目指す政府が当該額の現金を民間にばらまくとします。

このとき拾う側は、現在保有している現金の10%だけ拾わなければなりません(それ以上でも以下でもいけません)。

そして拾った人達が、拾う前と同じ嗜好(消費パターン)を維持していたとすると、その時初めて、物価が10%上がり、かつ取引量は不変という状況が現れるのです。

如何ですか。

経済学の理屈は、厳しい前提条件を受け容れれば成立する真理であることに疑いはありません。

しかし、その条件が現実にどの程度妥当するかを考えずに、結論をそのまま受け容れてはなりません。

政府がお金を発行しすぎても、それを使わなければ物価は上がりません。

銀行へお金をたくさん渡しても、実体経済の人々がそれを借りて使わなければ物価は上がりません。

民間が使わない状況であるなら、政府が使う(公共投資)しか物価は上がりようがないのです。

ロビンソン女史は、「経済学を学ぶことは、同時に経済学の限界(適用範囲)を知ることでもある。それを理解した上で、経済学の原理原則に盲従するのではなく、現実経済の分析に適した方法を選択せねばならない」と言いたかったのかもしれません。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/11/07/aoki-20/

生産したら必ず売れる世界
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/11/23/mitsuhashi-320/

財・サービスは生産すれば、必ず売れる。

預金は必ず借り入れられ、投資に回る。

法人税を引き下げれば、必ず企業の設備投資が増える。

雇用環境は常に完全雇用が成立している。

金利を引き下げれば、必ず企業の投資が増える。

為替レートが下がれば、必ず輸出が増える。

国債を発行すると、金利が上がり、企業の設備投資が減り、成長率が下がる。

デフレ脱却のために必要なのは、マネタリーベースの拡大である。

個別価格が低下しても、余ったおカネが必ず他の財・サービスの購入に回るため、一般物価は上がらない。

潜在成長率を高めれば、成長する。

生産性向上は常に正しい。

消費税を増税しても、十分な金融緩和(定義不明)を実施すれば、デフレにはならない。


などなど・・・・。


上記、現在の日本で全く成立していない「常識」は、全て「ある仮設」を前提にしています。すなわち、セイの法則ならぬ「セイの仮説」です。

セイの仮説。「供給が需要を生み出す」という経済学の基本となる考え方に基づくと、経済成長のためには潜在GDP(供給能力)を高めればいいという話になります。

そのためには、規制緩和、自由貿易を推進し、競争を激化すればいい。政府の財政出動は、不要な需要を創出するだけなので、NG。

という話なのですが、上記は「デフレーション」という現象を想定していません。さらに、国民の安全保障も無視します。

そして、決定的な話なのですが、なぜかデフレ対策は「国民」を豊かにする政策であり、逆に緊縮財政・構造改革(規制緩和・自由貿易)というインフレ対策は、国民ではなく一部のグローバル投資家を潤す政策になってしまうのです。

ここで言うグローバル投資家には、もちろん一部の日本人も含まれています。

現在の世界は、デフレ期にも関わらず「インフレ対策」に各国が血眼になり、状況を悪化させてしまっています。その根っこには、そもそも、

「緊縮財政や構造改革というインフレ対策が、グローバル投資家を利する政策である」

という現実があるわけです。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/11/23/mitsuhashi-320/

秘書の仕事からリカードの比較優位論を考えてみた


週刊アサヒ芸能の連載で、自由貿易論者がことあるごとに持ち出す「リカードの比較優位論」について、

『例えば、筆者の会社に「執筆」と「筆者のスケジューリング」という、二種類の仕事があったとする(実際にある)。筆者が執筆、スケジューリングという二つの仕事において、共に秘書よりも生産性が高い、分かりやすく書くと「得意」だったとしよう。

その場合、筆者は秘書を雇わず、執筆とスケジューリングの二つの仕事を自分でこなすべきだろうか。そうはならない。雇われた秘書は、スケジューリング業務はこなせるが、執筆業務は全くできない。この場合、執筆という仕事を基準にすると、秘書はスケジューリング業務において、筆者よりも「比較優位にある」という話になるのだ。

というわけで、筆者は執筆業務に専念し、スケジューリングは秘書に任せた方が、全体としての「仕事の消化量」が増える。つまりは、筆者及び秘書の労働生産性が高まることになる。』

と、解説しました。リカードの比較優位論を「国家間の貿易」に当てはめ、かつ「経世済民」を志向した場合、実際には様々な条件・制約があるのですが、それらについては週刊アサヒ芸能の連載をご一読頂くとして、上記の「筆者と秘書の例」について、もう少し深く考えてみましょう。

実際、弊社では三橋が執筆や講演等に専念し、スケジューリングは秘書が担当しています。現在、三橋のスケジュールは複雑怪奇になってきており、各イベントについて理解し、日本の交通インフラを把握し、宿泊施設をどうするのか、地方講演が連続した際にはどうす移動するべきか、交通費の負担はどうするのか、現地での交通手段はどうするのかなどなど、様々なパラメータを理解しなければ、「生産性の高いスケジューリング業務」はできません。

さて、現在の三橋の秘書が入社した時点では、確かにスケジューリング業務についても、三橋の方が生産性が高かったのです。三橋が弊社の業務について熟知している以上、当たり前なのですが。

その後、秘書は様々な仕事の経験を積み、現在はスケジューリング業務について、三橋よりも「絶対優位(比較優位)」な状況に至っています。何しろ、毎日、毎日、次々に舞い込む依頼を調整し、スケジュールを組む業務を続け、様々な経験やノウハウを「蓄積」したわけですから、ある意味で当然です。

その間、三橋はスケジューリング業務を全くしていないわけで、「三橋のスケジューリング業務に関する生産性」は、間違いなく落ちています。

何を言いたいのかといえば、生産性は「仕事の経験の蓄積」という人材投資により向上しますが、逆に仕事をしないと低下していく一方という話です。

三橋のスケジューリングに話を絞れば、あまり大した話ではありません。とはいえ「国家」という視点で見た場合、話はまるで変わってきます。

例えば、日本国が「兵器生産(自衛隊は「装備品」と呼びますが)」「自然災害時の土木・建設サービス」「医療サービス」等、国民の安全保障に関連する生産について「比較優位にある他国」に任せた場合、我が国の安全保障は100%の確率で弱体化する、という話に間違いなくなります。

モノやサービスの生産の力(=供給能力)は、仕事の蓄積により向上する。同時に、仕事の蓄積が全く行われない場合、国家から「消滅」する。

という、当たり前の事実を認識すれば、「自由貿易は自由だからやる(竹中平蔵氏)」といった「考え方」が、いかにナイーブであるかが分かるはずです。ここで言うナイーブとは「純粋」ではなく、「幼稚」という意味を持ちます。

この種の幼稚な主張が、あたかも真実であるかのごとく受け入れられている我が国の言論空間に、三橋は危機感を覚えるわけです。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/

2016年07月04日
訪日外国人2000万人も経済はマイナス 外国人観光は経済に貢献しない

外国人が何千万人来ても、それで経済成長することは絶対に無い。


http://livedoor.blogimg.jp/aps5232/imgs/a/5/a5a20193.png


外国人観光客は2016年も増え続けていて、この調子なら2000万人達成も可能だと言っています。

だが外国人がいくら増えても日本の景気は良くならず、むしろマイナス成長になっているのは何故でしょうか。


無策のツケを誰が払う?

政府は訪日外国人が1000万人を超えたとして、次は2000万人、あるいは3000万人だと言っています。

2011年の原発事故の後、増え続けた訪日客は特に安部政権が始まった2013年から、目だって増加しました。

安倍首相は「訪日外国人が増えたのは自分の手柄だ」と言っていて、それは別に構わない。


だが不思議なのは外国人が2倍に成っても日本のGDPがマイナス成長な事で、むしろ外国人が増えるほど経済が悪化している。

訪日外国人が増える事と、日本の経済成長に関係があるのかないのか、議論されませんでした。

皆当たり前のように「訪日客が増えれば経済効果がある」と言っているが、わたしはそう思いません。


訪日外国人がお金を使うのは、お金の流れを見ると輸出と同じで、例えば自動車1台輸出すると200万円のドルが得られます。

実際は原材料費などを輸入しているので1台100万円として、外国人が5人くらい訪日すると、交通費込みでそのくらい使います。

外国人がお金を使うのだから日本は儲かっている、と輸出論者は言うのだが、それは戦前から1980年頃までの話です。


その頃までは通貨は事実上固定相場制で、日本が何台自動車を輸出しても、1ドルは360円や200円で固定されていました。

ところが日本の輸出で大損をしたアメリカはぶち切れてしまい、ある日日本の大蔵大臣をNYに呼んで「今日から変動相場制にするから」と通告しました。

これが1985年のプラザ合意で、以来30年間日本はずっと円高不況で苦しんでいます。


同じ場所でクルクル回るだけのハムスター経済
f0189122_15113970
引用:http://pds.exblog.jp/pds/1/201209/15/22/f0189122_15113970.jpg


日本はハムスター経済?

変動相場制では輸出すればするほど円高になるので、輸出で儲ける自体不可能で、むしろ輸出するほど損をします。

アメリカのような輸入超過国のほうが儲かるように出来ていて、その為にアメリカはルールを変更したのでした。

観光客がドサドサやってきてお金を使うのも同じ事で、彼らの買い物のせいで円高になり、余計輸出企業が苦しむだけです。


固定相場制では「輸出するほど儲かった」が、変動相場制では「輸出するほど罰を受ける」のです。

2016年に入って中国ショックやイギリスショックで円高になり、一時99円に達してまた戻っています。

評論家はイギリスのEU離脱の影響と言っていますが、何も無くたって輸出と観光客のせいで円高になるのです。


安倍首相の経済政策をみると、円安に誘導して輸出や観光客を増やしているが、輸出が増えたら必ず円高になります。

輸出とはドルを円に交換するで、観光客もドルや人民元を円に交換し、際限なく円高になります。

なんだかハムスターが車輪を回しているが、同じ場所で自分が走っているだけ、というのを連想してしまいます。


輸出や観光客でお金を集めようとして必死に働いているのだが、こんな事をいくら頑張ってもゼロ成長のままです。

観光と輸出にはもう一つ大きな問題があり、日本人が働いた成果が国外に流出し、蓄積されない事です。

日本で自動車を生産しアメリカに輸出したら、日本には何もなくなり、アメリカには自動車が1台増えます。


輸出や観光で経済成長はしない

お金という紙切れを受け取る代わりに、高度な工業製品である自動車を渡すのは、あまり有利な取り引きではありません。

アメリカは受け取った自動車を何年か有効に使いますが、日本の自動車メーカーが受け取ったお金は有効に使われているでしょうか。

大抵は中国や海外に別な工場を建てたりして、日本人には何の恩恵ももたらしはしません。


あるいは企業の内部留保になったり、株価や地価を吊り上げたり、ロクな事に使われないのが現実です。

輸出や観光で日本が受け取った外貨は、一般国民のために使われる事は、まずありません。

外国人旅行者より国内旅行者を増やした方が経済効果が大きいのに、外国人を泊めるために日本人をホテルから追い出しているのです。


この政策を続ける限り、来年も再来年も、日本はゼロ成長でしょう。

ではどうすれば経済が成長するかと言うと、今まで書いた逆、つまり輸入を増やして貿易や観光を赤字にすれば、その分円安で輸出し易くなります。

貿易黒字の日本より貿易赤字のアメリカ企業の方が、成長力があり儲かっているのはこの為です。
http://thutmose.blog.jp/archives/62830797.html


2016年10月25日
自由貿易時代の終わり 世界の貿易額が縮小


自由貿易が人々を豊かにしたと主張するIMF幹部は、中国から賄賂をもらって統計をごまかして不正蓄財してきた。
引用:http://e.noticias.americadigital.pe/ima/0/0/2/1/4/214319.jpg


世界の貿易額が減少

今世界の貿易額が縮小していて、2015年の世界の貿易額は、前比12.7%減の16兆4,467億ドルに沈み、2016年もマイナスで推移している。

さらに今までは世界経済の伸び率を、世界貿易の伸びが上回っていたが、現在では貿易の伸びが下回っています。

「スロー・トレード」現象と言い、2016年の世界経済成長率は3.1%予想だが、貿易伸び率は2.8%予想です。


     


2016年4月から6月の世界貿易量はマイナス0.8%、1月から3月もマイナスだったので通年でもマイナスの可能性が高い。

2014年の世界貿易も、前年比0.8%増の18兆7,461億ドルに留まっていて、短期的な景気循環ではなく長期的な大きな流れになる可能性が高い。

IMFや世界銀行、欧米の経済責任者は「反グローバリズム」と呼び経済の敵だと主張しているが、果たしてそうなのだろうか。


IMFのラガルド専務理事は自由貿易が世界を成長させ、人々の福祉を向上させてきたと話しているが、日本ではそんな現象は起きていない。

むしろ自由貿易をするほど仕事を中国人に取られて貧しくなり、収入が減って消費もできなくなり、外国人観光客相手に物乞い商売に励んでいる。

実は欧米においても同じであり、アメリカでこの20年間にお金が増えたのは「富裕層」だけで、他の全員が貿易によって貧しくなりました。


アメリカ人の50%は資産を10万円以下しか持っていないそうですが、一方でアメリカ人の平均収入は日本人よりずっと多い。

年収数百億円や数千億円の人が「平均所得」を上げている一方で、アメリカ人の9割は昔より貧乏になっている。

欧州でも同様でギリシャは自由貿易で経済破綻し、イタリアや東欧諸国も右へ倣え、儲かっているのはドイツだけになっている。


自由貿易はくそだった

そのドイツでも豊かになったのは富裕層と「国営企業」のフォルクスワーゲン労働者などで、国営企業と公務員以外の労働者は難民のために家を追い出されている。

自由貿易なんか駄目だという否定論者が出てくるが、偉い人たちは彼らを保護主義者と呼びヒトラーと同列に批判している。

彼らの理論では第二次世界大戦は保護貿易によって自由貿易を止めたのが原因で、保護主義はヒトラー礼賛と同じ罪だそうです。


実際には自由貿易なんか世界の人々を豊かにせず、ただ金持ちを豊かにして、貧困者を作り出すシステムなのが分かってきた。

EUはイギリス離脱で崩壊しようとしているが、要するにEUの自由貿易なんかイギリス人を貧乏にしただけだというのが離脱の理由でした。

北米自由貿易圏NAFTAにしても、それがアメリカやメキシコの人々を豊かにしたという統計はない。


せいぜいで金持ちは豪華ヨットを増やし、貧乏人はシートで路上にテントを建てただけのことでした。

グローバリズムを主張する人たちは例えば日本政府が国内の産業や農業を促進することも「保護貿易で世界経済の敵だ」として批判している。

日本の農業が壊滅すれば貿易額が増えて世界経済は拡大するというのだが、日本人には何のメリットも無い。


公共事業や新たな産業への政府の投資も全て「保護貿易」で貿易を阻害して世界経済に打撃を与えるそうだ。

世界経済なんかくそ食らえと考える人が世界中に増えているのも無理からぬ事で、自国の雇用を捨てて自国民を貧乏にするようにIMFや世界銀行は仕向けている。

1991年にソ連が崩壊し世界貿易は拡大し続けたが、日本のGDPは縮小し続け、日本人は貧しくなり続けた。


国内の産業や農業を犠牲にして自由貿易を推し進めたからこうなったのであり、貿易は国民に何の役にも立たないのを実証しただけだった。
http://thutmose.blog.jp/archives/66835420.html

『富国と強兵 地政経済学序説』– 2016/12/9 中野 剛志 (著)
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4492444386/asyuracom-22?p=TK

トランプ勝利もBrexitも「衆愚政治」ではない
エスタブリッシュメントの誤りが証明された 中野 剛志 2016年12月09日
http://toyokeizai.net/articles/-/145294


「グローバリゼーションは良いことだ」というエスタブリッシュメントの「常識」は、本当に正しかったのでしょうか(写真:SK Photo / PIXTA)

衰退著しい覇権国アメリカ、混乱する中東、クリミアを強引に奪取するロシア、東シナ海・南シナ海で挑発行為をやめない中国……。

パワー・バランスが大変動する今、「地政学」という、古めかしく、禍々しいニュアンスすら伴った言葉が現代によみがえってきている。一方、これまでの地政学的思考だけで、世界を分析し、生き抜くことは非常に困難ではないだろうか?

『TPP亡国論』において、日米関係のゆがみを鋭い洞察力でえぐり出した中野剛志氏による『富国と強兵 地政経済学序説』が、このほど上梓された。

本稿では、「富国」と「強兵」をキーワードに、トランプ現象や英国のEU離脱の背景にある「イデオロギー」をえぐり出す。


反省しようとしないエスタブリッシュメント


2016年6月の英国のEU(欧州連合)からの離脱の是非を問う国民投票、そして11月の米大統領選をめぐる世界の反応は、驚くほど酷似していた。

まず、いずれも事前の予測を覆す結果となった。そして、いずれの結果に対しても、世界の政治指導者や経済界、有識者あるいはマスメディアの主流派、いわゆる「エスタブリッシュメント」は驚愕し、恐怖し、あるいは侮蔑の視線を投げかけた。曰く、「内向き」「保護主義」「排外主義」「ポピュリズム」等々。

だが、問題は、英国のEU離脱やドナルド・トランプの勝利という結果それ自体にあるのではない。そのような結果を招いた原因の根本は、エスタブリッシュメントが抱くイデオロギーの誤りにある。それにエスタブリッシュメントが気づいていないこと、そして反省しようとしていないこと、そのことが最大の問題なのである。

エスタブリッシュメントが共有するイデオロギーとは、要すれば、おおむね次のようなものである。


世界は、グローバリゼーションという不可避・不可逆の潮流の中にあり、国家主権はますます制限される。モノ、カネそしてヒトはやすやすと国境を越えて移動するようになる。国家はもはやそれらを管理できないし、すべきでもない。なぜなら、グローバリゼーションは、各国に経済的な繁栄をもたらす最善の道であるのみならず、より平和な世界をもたらすからだ。つまり、経済的な相互依存が高まることにより、国家間の戦争はもはや割に合わないものとなるのである。「富国」を徹底すれば「強兵」は不要となるのだ。


このようなイデオロギーは、特に冷戦終結以降、広く流布したものである。

たとえば、1996年、著名な政治経済学者のリチャード・ローズクランスは、資本、労働、技術、情報が国境を越えて自由に移動するようになった世界においては、国家による領土への執着は過去のものとなり、国際社会はより平和になるだろうと論じていた。

それから20年が過ぎたが、このような世界観は、エスタブリッシュメントの間ではなお根強くある。「もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました」というわけである。

だが、2016年の英国の国民投票と米国の大統領選は、エスタブリッシュメントの期待を裏切り、国境や国籍にこだわる者たちの勝利に終わったのであった。

EUの東方拡大が英国離脱の引き金に

なぜ、英国のEU離脱やトランプの勝利は、エスタブリッシュメントのイデオロギーが招いた結果だと言えるのか。それは、それぞれの経緯を振り返れば分かる。

まず、英国の国民投票から見てみよう。

英国では、2008年から5年間で実質賃金が8%も低下していた。また、主に東欧の低賃金労働者が移民として流入し続け、その純増数は2015年に33万人を超えるに至った。離脱派は、この移民の急増こそが実質賃金の引き下げの要因だと主張したのだが、その主張は確かに正しい。

低賃金労働力である移民の大量流入という問題が顕著になったのは、2004年以降のEUの東方拡大からである。2004年、旧ソ連圏の8カ国とマルタ、キプロスがEUに加盟した。2007年にはルーマニアとブルガリアが、2013年にはクロアチアが加盟した。

EUの東方拡大は、経済統合によって国境の壁を著しく低くすることが、繁栄と平和への道であるという欧州のエスタブリッシュメントの理念を体現するものだった。だが、その東方拡大が英国のEU離脱の引き金を引いたのである。


そもそもEUの前身であるEEC(ヨーロッパ経済共同体)を創設した6カ国の間には、1人当たりのGDPの大きな格差は存在せず、1973年に加盟した英国の1人当たりGDPと原加盟国との間にも、さほどの開きはなかった。

しかし、2004年の東方拡大により、最も貧しい新規加盟国の1人当たりGDPは最も豊かな国のおよそ3分の1しかなくなり、2007年のルーマニアとブルガリアの加盟によりその数値はさらに下がった。そのような中で、EU域内の労働移動を自由にすれば、東欧の低賃金労働者が豊かな西欧諸国に殺到し、後者の実質賃金を押し下げることになる。英国政府が国境を管理できなければ、実質賃金の下落を止めることは不可能なのだ。英国の労働者層がEU離脱に票を投じたのも無理からぬ成り行きであった。

グローバリゼーション推進が生んだトランプ現象

米国でも同様の現象が起きていた。

1990年代以降、米国の戦略目標は、グローバリゼーションの推進であった。1994年に米国、カナダ、メキシコの間で発効したNAFTA(北米自由貿易協定)も、その一環である。

メキシコでは、NAFTAに加盟した結果、米国から安価なトウモロコシが流入し、農業が壊滅するにいたった。そして、困窮した地方のメキシコ人たちは不法移民として大量に米国に流入し、米国の労働者層はメキシコの不法移民によって職を奪われたと強い不満を抱いた。だから、NAFTAを見直し、メキシコとの国境に壁を築くというトランプの主張は、労働者層の強い支持を得たのである。

1990年代の米国は、中国に対しても、グローバル経済への統合を支援するという戦略を進めていた。中国を経済的な相互依存関係の中に絡めとり、グローバルなルールの下に服させれば、米国主導のアジア太平洋の秩序を認めさせることができると考えたのである。この戦略に基づき、米国は、中国の世界貿易機関(WTO)への加盟を後押しした。

だが、その結果、中国からの安価な製品の輸入や中国への企業の進出が拡大し、米国人の雇用が失われることとなった。1999年から2011年の間の中国からの輸入によって、米国の雇用は200万人から240万人ほど失われたと推計する研究もある。

問題は、NAFTAやWTOに限らない。この20年間、グローバリゼーションが進められたことで、英米をはじめとする先進諸国の実質賃金は伸びなくなり、労働分配率は低下し、格差は著しく拡大した。米国民の多くがTPP(環太平洋経済連携協定)を支持しなくなったというのも、何ら驚くに値しないのだ。

さらに金融のグローバリゼーションが進んだことにより、金融市場はバブルとその崩壊を繰り返すようになり、しまいには2008年のリーマン・ショックを引き起こした。それ以降、世界経済は「長期停滞」と呼ばれる不況に陥っている。

2008年以降、世界の国内総生産(GDP)に占める世界貿易の比率は横ばいで推移している。これは、戦後最長の停滞である。GDP比でみた海外直接投資のフローも、2007年以降、著しく低下し続けている。世界経済の景気動向を示すバルチック海運指数は、2016年に、1985年の算出開始以来の最低値を更新した。


いずれの指標も、グローバリゼーションが終焉したことを示しているのである。

にもかかわらず、エスタブリッシュメントは、なおグローバリゼーションを疑わず、あまつさえ、それをさらに推進しようとしている。それでは、深い閉塞感に陥った米国民がトランプのような人物に救いを求めるしかなくなっても当然ではないか。

なお、TPPの挫折をもって自由貿易体制の崩壊だと騒ぎ立てるのは早計である。TPPが発効しなくとも、環太平洋はすでに十分に自由貿易体制だ。米国の民意が拒否したのは、自由貿易体制そのものではなく、エスタブリッシュメントが過剰に進めたグローバリゼーション(TPPはその象徴)なのだ。

「強兵」なき「富国」を夢見ることができた時代は終わった

グローバリゼーションは経済的繁栄を約束しないというだけではない。それがより平和な世界をもたらすというのも間違いである。

大統領選の最中のトランプは、米国はもはや「世界の警察官」たり得ないと訴え、日米同盟の見直しにも言及して、わが国を震撼させた。だが、これもグローバリゼーションが招いた結果なのである。

すでに述べたように、グローバリゼーションは米国の経済力を弱体化させるものである。他方、軍事力を支えるのは経済力だ。経済力が衰えるならば、米国の軍事力も弱まり、「世界の警察官」たり得なくなる。

しかも、グローバリゼーションは米国民の豊かな生活を約束しないのである。ならば、米国民が多大なコストを負担してでもグローバルな秩序を守ろうという動機を失って当然であろう。

グローバリゼーションが「富国」をもたらし、「強兵」を不要とするはずだというエスタブリッシュメントのコンセンサスは、こうして破綻を露呈したのである。

さらに悪いことに、2000年代の中国は、米国の支援によってグローバル経済に統合されたのを利用して、まんまと輸出主導の高度経済成長を達成するとともに、年率2ケタ台のペースで軍事費を拡大した。中国は「富国強兵」を実践したのである。

その結果、アジアにおける米中間のパワー・バランスが崩れ始めた。それがまさに、中国による東シナ海や南シナ海への攻撃的な進出として現れているのである。そのアジアにおける危険な地政学的変動の只中に、わが国は置かれているのだ。

「強兵」なき「富国」を夢見ることができた時代は過去のものとなった。われわれは、再び「富国強兵」に否が応でも取り組まなければならないのである。
http://toyokeizai.net/articles/-/145294


2016.12.07
内田樹の研究室 『赤旗』インタビューロングヴァージョン

『赤旗』の12月4日号にインタビューが載った。
記事には書き切れなかったこともあったので、以下にロング・ヴァージョンを掲げておく。

―トランプが勝つと予想していましたか。

まさか。けっこういいところまでゆくだろうと思っていましたけれど、僅差でヒラリーが勝つと思っていました。実際、200万もヒラリーの得票の方が多かったわけですから「アメリカ人はヒラリーを選ぶ」という予測は間違ってはいなかったわけです。選挙制度のせいで、得票数の少ない方が大統領になってしまった。僕はヒラリーが別に好きじゃないけど、トランプは何をしでかすかわからないから怖いです。現段階ではアメリカの国際的な威信が地に落ちるだろうということしかわからない。


―トランプ勝利の背景に何があったのか。日本共産党は、第j回大会決議案で、アメリカ社会はグローバル資本主義のもとで格差と貧困が広がり、深刻な行き詰まりと矛盾に直面しており、トランプ勝利はそのひとつの反映にほかならないと指摘しました。

中西部の製造業で働く人たちが雪崩を打ってトランプに投票した。中産階級の没落と格差の拡大が、今回の投票行動に関与した最大の要因だったと思います。一握りの巨大多国籍企業や最富裕層に富が集中し、階層分化が極限化していくグローバル資本主義がついに限界に達した。トランプ登場はその断末魔の痙攣みたいなものじゃないですかね。

もちろん、グローバル資本主義の欠陥を補正できる手立てをトランプが持っているわけじゃない。たぶんトランプ政権下で、格差はさらに拡大し、トランプを支持したブルーカラーの生活はさらに苦しくなると思います。

でも、トランプはその「諸悪の根源」を資本主義システムではなく、ヒスパニックやイスラム教徒に転嫁することで本質的な問題を隠蔽した。排外主義的なイデオロギーを煽り立て、国内外に「アメリカをダメにした」元凶を見つけるように仕向ければ、失政が続いても、支持層の不満をしばらくの間はそらすことができるでしょう。


―日本でいえば、橋下・維新の手法や期待に似ていますね。

そっくりです。やることは洋の東西を問いません。体制の「不当な受益者なるもの」を特定して、これが「諸悪の根源」なので、これを排除すればすべての問題は解決するというデマゴギーです。攻撃する対象がユダヤ人なら反ユダヤ主義になり、対象が移民なら排外主義になる。大阪の場合は、公務員・教員・生活保護受給者などを「受益者」に仕立てて、それを攻撃して市民たちの不満をそらした。


―ヨーロッパでも同じような動きが生まれています。


ヨーロッパ諸国でも、次々と極右政治家が登場してきています。その前提になっている歴史的条件は「グローバル資本主義の終わり」ということです。

グローバル資本主義によって、世界はフラット化し、資本・商品・情報・人間が国境を越えて高速移動するようになった。グローバル化に適応できない人たち、高速移動できるような社会的機動性を持っていない人たちは下層に脱落した。

製造業の工場労働者が典型的ですけれど、特定の業種に特化した技術や知識で生計を立て、生まれ故郷の地域社会で暮してきた人は、グローバル化した世界では、それだけの理由で下層に振り分けられる。両親や祖父母の代までだったら「まっとうな生き方」をしてきたのに、まさに「まっとうな生き方』をしてきたという当の理由で下層に格付けされることになった。不条理な話です。ですから、彼らが「アンチ・グローバル化」に振れるのは当然なんです。

でも、彼らが選択した「アンチ・グローバル化」はさまざまな人種や宗教や価値観が相互に敬意をもって距離を置き、穏やかに共生するという方向には向かわなかった。そうではなくて、「自分たちさえよければ外の世界なんかどうなっても構わない」という偏狭な自国第一主義に向かっている。


―アメリカではサンダース現象が起き、世界中で格差と貧困をなくす運動が広がり、日本では市民革命的な動きが起きています。

あまり語られることがありませんが、19世紀までのアメリカは社会主義運動の先進国の一つでした。東欧ロシアからの社会主義者が19世紀末からアメリカに群れをなして移民していったんですから当然です。カール・マルクスでさえ青年期にはテキサスへの移住を夢見ていた。それくらいに当時のアメリカはヨーロッパに比べると自由で開放的な社会に見えた。けれども、ジョン・エドガー・フーヴァーのFBIの偏執的な反共活動と、1950年から54年まで猛威をふるったマッカーシズムによって、アメリカ国内の左翼運動はほぼ根絶されてしまった。

その「左翼アレルギー」もソ連崩壊、中国の「資本主義化」による「国際共産主義運動の終焉」によって「敵」を失った。サンダースの登場はアメリカ社会が70年に及ぶ「反共」のファンタジーから覚醒して、現実を見るようになった兆候だろうと思います。

いずれにせよ、トランプの登場によって、私たちがどのような歴史的転換点にいるのかはっきり可視化されました。グローバル資本主義の終りが始まったということです。

脱グローバル化は政治過程でも、経済活動の過程でもこれから必然的な流れとなるでしょう。この流れは市場の飽和と人口減という一国の政策レベルではどうにもならない人類史的条件の所産ですから、抵抗することができない。私たちにできるのは、「グローバル資本主義の終わり」をソフトランディングさせるための具体的な手立てを考えるだけです。世界中の人々が衆知を集めて知恵を絞るしかない。

そのような歴史的局面にあって、日本の反=歴史的な暴走だけが異常に際立っています。世界は脱グローバル化局面にどう対処するか考え始めたときに、今ごろになってグローバル化に最適化すべくすべての社会制度を変えようとしている。自分たちがどういう世界史的文脈の中にいるのか、日本の指導層はまったくわかっていない。何が起きているのか理解しないままに「アクセルをふかして」突っ込んでゆく。

安保法制、改憲、原発再稼働、TPP、南スーダン派兵、カジノ合法化、どれをとっても「なぜ今そんなことを慌ててやらなければいけないのか」理由がわからないことばかりです。

安倍首相自身は主観的には「最高速でグローバル化に最適化している」つもりなのでしょう。たぶん「慌てる」ということが「グローバル化」だと思っている。TPPがよい例ですけれど、先行きの見通せない国際情勢の中で「慌ててみせた」ことでいかなる国益を確保できたのか。

これから先の政治的な対立軸はそこに置かれるべきだと思います。

暴走する政治を止めて、とにかくいったん立ち止まる。今世界では何が起きているか、世界はどこに向かっているかを見つめる。先行きが見通せない時に、アクセルをふかして暴走すれば事故を起こすに決まっています。こんな政治をいつまでも続ければ取り返しのつかないことになる。「暴走」か「スローダウン」か。政治の対抗軸はそこだと私は思います。

国際情勢の変化と「脱グローバル化」に振れている市民感情を適切にとらえられれば、野党共闘が次の選挙で安倍政権を追い落とす可能性は十分にあると思います。
http://blog.tatsuru.com/

どうやら日本には、「保護主義」を忌み嫌うパブロフの犬がたくさん居るようです。
2017/01/24 FROM 藤井聡@内閣官房参与(京都大学大学院教授)

トランプ大統領の就任演説における最大のエポックは「保護主義」の姿勢を大統領として鮮明にした点にあります。

実際、アメリカの大手ニュースメディアCNBCは、次の様なヘッドラインでトランプ就任演説を報じています。

「Trump inauguration speech:
   ’Protection will lead to great prosperity and strength’」
トランプ就任演説:
‘保護主義こそが偉大な繁栄と強さにつながる’ 」

http://www.cnbc.com/2017/01/20/donald-trump-were-transferring-power-from-washington-back-to-the-people.html

この「保護主義」(※ NHKの全文訳より)を主張したたった一つのセリフがヘッドラインを飾ったその背景には、現代のアメリカはそもそも、(少なくともタテマエの上では)自由貿易主義を掲げ保護貿易を蛇蝎のごとく忌み嫌い続けた、という歴史的事実があります。

そのアメリカ大統領が、就任演説にて保護主義を前面肯定したわけですから、もうそれだけで大きなニュースになる、という次第です。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170121/k10010847631000.html

ところが、日本では、このセリフは全く取り上げられませんでした。

新聞各社はこぞって、「アメリカ第一」(America First)を見出しに掲げた一方で、「保護主義」という言葉をほとんど用いなかったのです。

それどころか、あの天下のNHKが最初に公表した「演説全文訳」では、「Protection will lead to great prosperity and strength」というセリフがすっぽりそのまま抜け落ちるほど、軽視されていたほどでした。

ちなみにこれは、「軽視」というよりも「隠蔽」と言うに相応しいほどの対応。詳しくは、下記をご参照ください。
https://www.facebook.com/Prof.Satoshi.FUJII/posts/959135840854026?pnref=story

なぜ、日本のメディアは「保護主義」という言葉を、忌避し続けたのでしょうか?

その背景には、「ポリコレ」の影がちらつきます。

つまり、「保護主義」という言葉は「悪」を意味するもので、これを使うのは、政治的に(つまりポリコレの視点から)望ましくない――という空気が、言論空間を支配していたが故に、そういう空気に敏感なメディア界の「インテリ」達は、意識的か無意識的かはさておき「保護主義」という言葉を使うことを回避してしまっていた、という次第です。

一方で「アメリカ第一」は、ポリコレ棒にはひっかからない言葉。そもそも「アメリカ第一」なんてアメリカ大統領であれば当たり前の主張で、そんなものは何も驚くに値しません。そもそも、日本だって蓮舫の二重国籍があれだけ大問題となったのも、政治家たる者「日本第一」の姿勢が絶対的に求められているからに他なりません。

かくして、日本のメディアでは、差し障りのない「アメリカ第一」が見出しを飾る一方、差し障りある「保護主義」という言葉は、全文翻訳からすら削除される程に忌避され、隠蔽されたという次第です。

――ただし、よくよく考えれば、この「保護主義」は、決して滅茶苦茶なエキセントリックな過激なものでもなんでもありません。

そもそも貿易政策の方針を

  保護貿易 < − − − − − −> 自由貿易

の二元論で考えるとするなら、完全な「保護貿易」の国も、完全な「自由貿易」の国も、この世には存在する筈はありません。

保護にも自由にもそれぞれメリットデメリットがあるのですから、「超極端国家」は、捨て去った一方の考え方のメリットを受けることができず、結局は、大きく衰退せざるを得なくなるからです。

自由貿易のメリットは、自由な交換を通して、各国の長所短所を補いながら、万国が世界中の財やサービスを共有でき、より強い国のより強い産業がさらに発展していくところ、にあります。そのデメリットは、それが過剰になれば、弱肉強食が横行し、より弱い国のより弱い産業が育成できなくなると同時に、雇用が失われ、挙げ句に需要が縮小してデフレ化していくところ――にあります。

一方で、保護のメリットとデメリットは、ちょうどその「逆」になります。

だとすれば、それぞれの国の繁栄、さらに言うなら、世界の繁栄のためには、状況に応じた保護と自由の「バランス」が必要だ、ということになります。

(※ 折りしも、世界的な需要不足が指摘され続けている今日、デフレ圧力を高める「自由」に修正を加え、幾分「保護」を重視する方向に舵を切るのは、極めて理性的な当たり前の対応だと言うことすらできます)

いずれにせよ、保護が悪で自由が善であるわけでもなく、保護が善で自由貿易が悪、というわけではないのです。

もしも「善」があるとするなら、「保護と自由のバランス」こそが「善」なのであり、「保護と自由のアンバランス」「保護の過剰」「自由の過剰」こそが「悪」だ、ということになります。

この様に考えれば、今回のトランプの「保護主義」の宣言は、「保護と自由のバランス」において、「過剰」な自由貿易に「修正」を加えて「保護貿易」を幾分重視する側にリバランスを図ろうとする宣言だ、というものであるという実態が浮かび上がります。

そもそも、トランプとて完全な鎖国をするとは一言も言ってはいません。NAFTAをはじめとした様々な貿易協定を、一つずつ「見直す」と言っているに過ぎないのですから。

・・・・にも拘わらず、ここ数日テレビを見ていると、我が国の多くのコメンテーターが、

  「トランプの保護主義は危険だ」

という論調を口にし続けています。

そんな通り一遍のコメンテーター達の態度に「辟易」してしまうのは、筆者だけではないと思います。どうやら、彼らにしてみれば、

(1)トランプのマスコミや論敵に対して、ツイッター等を用いて悪態をつく行儀の悪い態度、

を批判するのとまったく同じ調子で、

(2)トランプの保護主義という行儀の悪い下品な主張

を批判する、というのが、「インテリとして望ましいふるまいと思われるのだ」と思っている節があります。

当方はもちろん、(1)については大いに批判すべきだと考えています。

(1)のツイッター政治は、それを「肯定」する論調が(かつてそれを振り回していた方から)一部主張されてはいるようですが、
https://twitter.com/t_ishin/status/822380771247669250
こういうツイッター政治を「放置」しておけば、政治権力者の横暴につながるのは必至です。

しかも、こうしたツイッター政治がまかり通るようになれば、「邪心」を持った人々がツイッター政治家にすり寄り、議会や法律をすっ飛ばしてその政治家を使って、世の中をその「邪心」に基づいて動かすようになるのもまた、必定です。だから、度を越した(1)の態度には、常に批判を差し向け、その暴走を食い止めることが必要なのですが――まぁ、これは常識の範囲。

したがって、この(1)を否定する風潮それ自身には、(その動機はさておき)同調はできるのですが、だからといって(2)の保護貿易の論調もついでに非難するのは、あまりにも短絡的。

繰り返しますが、「保護貿易が悪」なのではなく、「保護と自由のアンバランス」や「過剰な保護」「過剰な自由が悪」なのです。だから、トランプの「保護貿易」の主張を批判するなら、「現状に過剰な保護貿易が存在し、それによって、公益を大いに棄損している」ことを説明する義務があるのです。

ですが、彼らは絶対にそういう批判をすることはありません。彼らはただ単に、条件反射的に、つまり、

  「パブロフの犬」

の様に「保護貿易=悪」の図式で反応しているに過ぎません。

このままでは、日本と日米、世界を豊かにする「貿易政策」を議論することが不可能となってしまいます。

自由貿易に正義があるように、保護貿易にも正義があるのです。
同時に、保護貿易に不正義があるように、自由貿易にも不正義があるのです。

トランプ勝利という現象を、多面的に解釈しない限り、日本の繁栄や、日米の繁栄、そして世界の繁栄を育む貿易政策を議論していくことそれ自身が不可能となるでしょう。

私たちは如何なる政治的課題についても、「パブロフの犬」になることだけは避けねばならならないのです。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2017/01/24/fujii-233/


「日本第一主義」時代の幕開け。なぜグローバリズムは死んだのか?=児島康孝 2017年1月26日
http://www.mag2.com/p/money/31930

米国におけるトランプの勝利は、私に言わせれば「国民の生活実感がもたらした当然の結果」です。グローバル化はなぜ失敗したか?巷の評論家が見落としている点を解説します。

奥手な日本は今こそ「ジャパンファースト」に舵を切るべきである


自国民の保護に乗り出した英国と米国

英国と米国ともに、グローバル化よりも「自国民の保護が第一」という判断です。先進国の状況はというと、日本は貧困化し、EUという域内グローバル化を進めた欧州は当初の理想から大きく離れて大混乱。トランプ大統領による「雇用重視」への政策転換は、こうした中で起きました。

理論上は、正しいようにみえる「グローバル化」。コンサルタントや評論家はバラ色の「グローバル化」を主張しますが、これは間違いであったのです。問題はどこにあったのでしょうか。


巷の評論家は「雇用」を考慮していなかった

グローバル化の推進論者は、各国が得意分野に集中することで生産性が上がり、世界は良くなると主張します。一番良いものが、一番安い価格で買える社会です。まさに「そのとおり!」と短絡的に思いそうですね。

しかし、これには大きな誤りがあります。グローバル化は、各国の国民の収入がそのまま(あるいはそれ以上)で、雇用もそのままということが前提になっているのです。

なぜ、これまで多くの人がこの誤りに気が付かなかったのでしょうか? それは、こういう理由です。

ある「物」の値段が、ある国から輸入されることで、100円だったものが80円になったとしましょう。

100%→80%(20%のディスカウント)

食料品でも雑貨でも、こうしたことは日常的に起きていますね。安く買えると、大助かりですね。

一方、雇用は、デフレで給料が8割になったとか、そういうことではありません。雇用を失えば「収入ゼロ」です。

100%→0%

これにともなって、例えばすべての買い物の価格も同様にゼロになれば問題ないのですが、そういうことはあり得ません。つまり、物の価格が2割安とかになる一方で、収入はゼロ(10割安)とか、再就職や派遣労働で収入が3割(7割安)ということが、日常的に起きたわけです。

これをみますと、グローバル化で物の値段が安くなったメリットよりも、雇用の損失のほうがはるかに大きいことがわかります。

物の価格は「下方硬直性」があって、2割安とか3割安にはなるものの、ゼロにはならない。スーパーで、商品をゼロ円で販売していることはありません。一方、雇用はゼロになり、再就職で7割安とか8割安になるということです。雇用に関しては、下方硬直性がないのです。

これが、コンサルタントや評論家たちが、グローバル化(=デフレ傾向)で見落としている点です。なので、米国民がトランプ大統領に投票したことも、一般国民の生活実感からすれば当然ということになります。

賃金には下方硬直性がない

ちなみに、物の価格の下落分と、雇用喪失分(人件費削減分)の差は、どこに消えたのでしょうか? これは、グローバル企業の内部留保と、途上国の賃金アップに流れたわけです。

先進国では、雇用がなくなれば、景気悪化と政府の社会保障費増加が起こります。さらに、グローバル企業と途上国の賃金アップが進みます。

途上国の生活コストは安く、また先進国並みの物価になるには時間がかかります。一方、先進国では、雇用を失っても、途上国のような物価にまではなりません。

物価の下方硬直性。これがグローバル化をめぐる議論のカラクリです。難しい理論よりも、実際の生活実感の方が正しいわけです。昔の経済アナリストなどでも、賃金の下方硬直性を信じている人がいます。しかし現実は、物価の方に下方硬直性があり、賃金には下方硬直性はないということです。


なぜ、トランプ政権は「アメリカ第一主義」を実行できるのか

トランプ政権が本格始動し、雇用増加の施策・行政手続きの簡素化などを進めています。実は、日本も、経済分野での「日本第一主義」を進めることが可能なポジションにいます。「日本第一主義」というと軍事面を想像しそうですが、ここでは「経済分野」の話です。

ところで、トランプ政権の「アメリカ第一主義」は、なぜ可能なのでしょうか。その理由は、大きな消費市場をアメリカ自身が持っているためです。いわば、巨大な買い手であるわけです。

最近のアメリカは、グローバル化とか自由貿易という名目があり、大きな買い手の力をうまく活かすことができていませんでした。たくさん買っているのに、自身の雇用は失われ、中間層消失と貧困化が起こっていたのです。「これはおかしい」ということで、政策転換をしたわけです。

実は「日本」は有利なポジションにいる

では、日本の立場はどうなのでしょう。これまでは貿易摩擦とか、守りの一辺倒ですね。

GDPを見てみましょう。日本のGDPは、1990年代には、アメリカに追いつく勢いでした。しかし、その後は世界の経済成長の趨勢(すうせい)に取り残され、あっという間にポジションが低下しました。

1995年→2000年→2005年→2010年→2014年
(名目GDP、米ドル、単位100億ドル、総務省HPより)

日本:534→473→457→551→460

アメリカ:766→1028→1309→1496→1734

中国:73→120→229→600→1043

アメリカの4分の1、中国の半分というのが、最近の日本の姿です。

しかし、世界の経済成長に落ちこぼれたとはいえ、絶対額では欧州のドイツやフランスなどより上ですし、英国よりも上です。

1995年→2000年→2005年→2010年→2014年
(名目GDP、米ドル、単位100億ドル、総務省HPより)

日本:534→473→457→551→460

イギリス:123→155→241→240→298

ドイツ:259→194→286→341→386

フランス:160→136→220→264→282

イタリア:117→114→185→212→214

こうした立場は、経済の「日本第一主義」に非常に向いているのです。この「日本第一主義」は、雇用創出です。つまり、これまで日本が苦手だったり考えもしなかったこと、日本の巨大な消費市場を活用するということです。

手続きの簡素化など、外国企業の活動に便宜をはかる一方で、トランプ政権のように、こう言えばよいのです。
◾「これだけ日本市場で儲けてますね」
◾「生産拠点の一部でも、日本に移してもらえませんか」
◾「包装やパッケージだけでも、結構です」
◾「どれだけ、日本人を雇用していますか?」
◾「日本の業者に発注していますか?」

巨大な日本の消費市場で儲けている外国企業に、このように声をかけていけば良いということです。

買い手の力は強いです。発想だけ転換すれば、このようにして大量の雇用を生み出すことは可能です。日本人的には、「そんないやらしいことはできない」という感覚でしょう。しかし、外国はこうしたことを平気でやります。かつて日本が貿易摩擦で苦労したのとは、全く逆の話です。


日本は「日本の巨大な消費市場」の力を活用せよ

これは、日本が、外国人観光客の集客が苦手だったのと似ています。今でこそ積極的に外国人観光客を集客していますが、かつての日本は、海外旅行には行っても、外国人が日本に来ることは考えもつきませんでした。

これと同様に、日本の巨大な消費市場の力を活用することはほとんど考えつきません。巨大な消費市場を活用して、日本での雇用を生み出す。これは買い手のパワーがありますので、極めて有利です。これは、落ちぶれたとはいえ、いまだに世界有数のGDP・消費市場を持つ「日本」だからこそできる、向いている方法です。

「今さらアメリカに工場を戻しても」論の誤り

大手メディアでは、今さら製造業の拠点をアメリカに戻しても仕方がない、コストが高くつくだけという論調が多いですね。かえって消費者が高い商品を買うことになるだけ、とも。でも、商品価格の何割かの下落よりも、雇用の価値の方が大きいという話は先に述べた通りです。

「今さら製造業をアメリカに戻しても」論は、コンドラチェフサイクルで「技術革新の時代」に入りつつあることも関連してきます。

IT・AI分野で世界を独走するアメリカに、製造業の拠点を移すと何が起きるのか。想像もつかない、IT・AIと製造業の融合、新商品などが出てくる可能性があるのです。

例えば自動車業界では、電気自動車がこれまでの自動車産業を大きく変える可能性が出てきています。電気で動く仕組みに変わりますと、これまで重要だった部品がいらなくなったり、簡単なつくりでよくなったり、大きく変わります。自動車の「家電化」もあり得るわけです。そこに、ITやAIが結びつくと…。これまで途上国で低コストで従来通りに製造していた方法が、一挙に変わるかもしれないのです。

「今さら論」は、現状の延長線上が前提

「今さら論」は、これまでと同じ自動車を同じ方法でつくるということが前提になっています。このまま何も変わらないので、安くつくる方が良いに決まっているという発想です。

しかし、未来が現状の延長線上にあるとは限らず、想像以上の技術革新が起きる時代へと移ってきています。こうして考えると、アメリカに製造業の拠点を置くことは、マイナスではないということになります。それなりのメリットが出てくるはずです。

金融に例えますと、NYはオフィス賃料が高いですが、世界の金融系企業はNYに集まっています。コストだけ考えれば、田舎に会社をつくったほうが安いですよね。しかし、そうはなっていません。都会の方がメリットがあるので、NYに集まるのです。

ですから製造業も、ITやAIの技術革新が目覚ましいアメリカに拠点を置くことで、想像外のメリットが出てくる可能性が高いのです。





23. 中川隆[-7540] koaQ7Jey 2017年5月23日 08:13:47 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

アメリカを心底恐怖させた国ソ連は消滅しました。

この時、アメリカ政府は、今後のロシアをどのようにしたらいいだろうかと考えました。

 心優しい日本人であれば、「経済危機に陥っているロシアに支援を送る」とかなんとか善意に基づいた行動をとるでしょう。

 しかし、「普通の国」アメリカはもちろんそのようなことは考えない

これは当然、「ロシアが二度とアメリカに反抗できないよう、この国を破壊し尽くそう」と考えた。

 アメリカは国際通貨基金(IMF)を通して、ロシアに「改革のやり方」を伝授した

 まず「政府による経済管理の廃止」。貿易が自由化され、西側の優れた製品がロシア市場になだれ込み、ロシアの国内産業は壊滅した。

 次に「価格の全面自由化」。国内産業が駆逐され、輸入に頼るしかない状況で、ロシアの通貨ルーブルは急落し、国内はハイパーインフレーションに見舞われた。改革がスタートした92年のインフレ率はなんと2600%、GDP成長率はマイナス14.5%。ロシア経済はアメリカの思惑通り破綻した。

 さらに大規模な「民営化」。国有財産はそれを今、手元に持つ人の所有となった。アパートの住人は、アパートの所有者となった。そして国有石油会社のトップは、その会社をほとんど無料で手に入れた。ここから生まれた新興財閥はエリツィン政権に賄賂を送って、税金をほとんど免除してもらった。当然、国家財政は大幅な赤字に転落した。
http://www.asyura2.com/0502/war67/msg/218.html


ロシア 聖なる我等が国
ロシア 愛する我等が国
固き意志 偉大な栄光や
永久に汝が富ならん

   讃えよ我等が 自由なる祖国
   いざ集え 兄弟よ
   先人が知恵 我等がもとに
   讃えよ 汝が誇りを

新世紀を間近に控えた2000年。プーチン大統領は、それまでの愛国歌からソ連国歌のメロディーに変えました。

ソ連からの独立後のロシアには未来への希望が満ち溢れていました。共産主義の呪縛からの解放、独立、そして自由。しかしエリツィン政権のもとでは共産主義からは逃げられましたが、安定した生活は得られませんでした。そして独立を境にしロシアからは光が失われつつありました。ロシアの大国としての誇りが失われ、犯罪は多発し、誇りである軍隊はほぼ崩壊に近くなりました。

アメリカには頭が上がらなくなり、西欧との生活環境の落差は広がる一方。これらに追い討ちをかけたのが98年の経済危機。帝政ロシア、ソ連を通じ自らの経済を見つめてきた、またロシア人の誇りのルーブルが紙くず同然となりました。

ロシアの人々は現実に打ちのめされました。しかし。ロシアの人々はこんなことではへこたれません。・・ですが、やっぱり自分達の生活には限界が近づいてくるわけです。

エリツィンは何もせず酒ばかりのんでいる。国民の生活の不満は政治に向けられました。そんな中。1999年の大晦日。ロシアと全世界に衝撃が走りました。エリツィンが突如辞任したのです。

後任は元ペテルブルグ市長プーチン。名も知らぬ若き男に大国ロシアは委ねられたのです。国民はあまり期待をしませんでした。「エリツィンよかましなだけだろう」と。

しかし、そんな国民のさめた目を横目に、「強いロシア」を掲げた大統領は次々と改革を断行。経済はだんだんと回復。生活も苦しいながらも徐々に改善。なんと言っても「強いロシア」が現実に感じられるようになったのです。

もう昔の我々ではない。昔の栄光を取り戻そうじゃないか!

ロシアの人々は沸き立ちます。
http://www.medianetjapan.com/10/travel/vladimir/russian_house/russian_anthem.html

【プーチン大統領モンゴルを訪問】

モンゴル軍が演奏するロシア国歌を聞いて泣き出す 2014/09/06
http://www.liveleak.com/view?i=648_1409884280

チンギスハーン広場で温かい歓迎に泣くプーチン大統領。
モンゴルのツイッターで話題に。

ロシアの理解に必読、プーチン大統領誕生秘話  2015.5.21 杉浦 敏広 JBpress
オルガルヒの操り人形のはずが、糸が切れるや否や・・・
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43836


■朝日新聞連載「プーチンの実像」


 皆様既に御存知かと思いますが、朝日新聞が「プーチンの実像」というコラムを連載しました(2015年3月30日〜5月5日)。第一部・二部・三部からなる長期連載です。


 無名のプーチン氏がロシア連邦大統領に登りつめる軌跡を描いており、関係者に丹念にインタビューした力作で、大変読み応えがありました。今後1冊の本になるそうです、楽しみですね。


 しかし読まれた方には、多少なりとも消化不良の読後感が残ったかもしれません。筆者のもとには、そのような感想が多数寄せられました。


 無名のウラジーミル・ウラジーミロビッチ・プーチンがロシア首相・大統領に駆け上る背景は、本人が優秀・有能だからではなく、あくまでソ連邦国家保安委員会(KGB)内部では平凡な人物であり、御しやすいと当時の新興財閥(オリガルヒ)が判断したからにほかなりません。


 すなわち、プーチンは“軽い神輿”として担がれたというのが真相です。


 ここが一番肝腎な点なのですが、「プーチンの実像」ではこの点にあまり触れられていないのです。


 もちろん、オリガルヒ側の判断ミスであったことは、その後の事態の推移が証明しています。無名のプーチンを軽い神輿として担いだはずのオリガルヒは飼い犬に手を噛まれ、権力を掌握した有能なプーチン大統領に追放されてしまいました。


 ソ連邦国家保安委員会(KGB)第1総局第4課(海外諜報担当)に配属されたプーチン氏は1985年、KGB少佐として東独(当時)ドレスデンに赴任しました。赴任中に中佐に昇進し、私生活では2人の娘が誕生。彼はのちに「ドレスデン駐在中が一番幸せであった」と述懐しています。


 1990年に故郷のサンクト・ペテルブルクに戻り、KGBを辞職したプーチン中佐は、慣例により階級が1つ上がり予備役大佐になりました。一方、プーチン氏と同僚のセルゲイ・イワノフ現ロシア大統領府長官は現役時代KGB中将まで昇進し、現在は予備役大将です。


■1917年10月革命前夜


 ここで、プーチン大統領の出身母体であるソ連邦国家保安委員会誕生の歴史と、その時代背景を概観したいと思います。帝政ロシアは文字通り波乱万丈の歴史であり、興味が尽きません。


 今から約100年前の1914年8月に第1次世界大戦が勃発。宮廷を牛耳っていた怪僧ラスプーチンが暗殺され、帝政ロシアは大混乱に陥ります。


 1917年3月12日(旧暦2月27日)の2月革命によりニコライ3世が退位して、ケレンスキー臨時政府が樹立。ウラジーミル・レーニン(1870〜1924年)はかの有名な“封印列車”で、亡命先のスイスのチューリッヒから敵国ドイツを通過(*“敵の敵は味方”)、サンクト・ペテルブルクに凱旋しました。


 この年の11月7日(旧暦10月25日)、巡洋艦“オーロラ”号の冬宮(エルミタージュ)砲撃を合図に水兵が冬宮に突入し、ケレンスキー内閣は崩壊。この10月革命によりレーニン(本名ウリャノフ)を首班とするソビエト政権が樹立して、ボルシェビキ政権が誕生しました。


 一方、ロシア内部では赤軍と白軍の内戦が勃発。この機に乗じ、日本軍はウラジオストクに上陸。トルコ軍は黒海沿岸のグルジアのバツーミ(*露バクー原油の輸出港)を制圧、ドイツ軍はウクライナ全土とクリミア半島を占領。


 その後ボルシェビキ党は分裂し、かの有名なクローンシュタットの反乱が勃発。10月革命に参加した水兵が、10月革命の指導者に反旗を翻したのです。


 この頃からロシアでは赤色テロが始まり、ポーランド系ユダヤ人フェリックス・ジェルジンスキー(本名)を初代長官とする秘密警察(反革命・サボタージュ取締り全露非常事態委員会/別名“チェーカー”)が設立されました。


 この秘密警察組織はその後何回か名称を変更しましたが、“国家保安委員会”(KGB)、現在の“ロシア連邦保安庁”(FSB/ボルトニコフ長官)へと名前を変えながらも連綿と続くことになります。


 KGBのライバル組織GRU(赤軍参謀本部情報総局)は、レフ・トロツキー(1879〜1940年/本名ブロンシュテイン)により1918年に創設された赤軍の諜報機関です。「日本軍、北進せず」で有名なリヒャルト・ゾルゲ(アゼルバイジャン共和国バクー生)はGRUの諜報員であり、KGB所属ではありません。


■プーチン首相・大統領登場の時代背景


 プーチン大統領はソ連邦国家保安委員会出身です。これは本人が公表しており、秘密ではありません。ロシア大統領府のホーム・ページには、プーチン大統領自身の略歴が記載されています。


 ソ連邦は1991年末に解体されました。ソ連邦解体後の約8年間、ボリス・ニコラエビッチ・エリツィン(1931〜2007年)初代ロシア連邦大統領の政権下、魑魅魍魎とした新興財閥(オリガルヒ)がエリツィン周辺に“ファミリー”として君臨。“民営化”という錦の旗のもと、旧ソ連邦の国家資産を搾取していきました。


 その結果、第2期目のエリツィン大統領政権末期の1999年になると同大統領の支持率は1桁台に落ち、翌年6月の大統領選挙ではロシア共産党候補者が当選する可能性が大となりました。


 ロシア共産党候補者が大統領ともなれば、旧ソ連邦の資産を搾取した新興財閥の財産は再度国有化されかねません。担ぐ神輿は軽ければ軽いほどよい。焦った新興財閥が白羽の矢を立てたのが、当時無名の国家保安委員会出身のプーチン予備役大佐でした。


 プーチン中佐は東独ドレスデン勤務後(1985年〜1990年)、国家保安委員会を退職(実態は解職に近い)。傷心のプーチン予備役大佐を迎え入れたのが、当時のサプチャーク/レニングラード(現サンクト・ペテルブルク)市長です。


 その後、チュバイス統一電力公社社長やボロージン大統領府総務局長らの庇護を受けて出世の階段を上り始め、ロシア大統領府副長官に抜擢され、KGBの後身たる連邦保安庁(FSB)長官(1998年7月〜99年8月)にまで昇進したのです(肩書きはすべて当時)。


 その後1999年8月9日にステパーシン首相が突如解任されるや、エリツィン大統領から首相代行に任命され、ロシア下院の賛成多数をもって首相に就任しました(同年8月16日)。


 ステパーシン首相は大物で、“ファミリー”の言うことを聞かない。ゆえに、大物は解任して、無名の操り人形を首相に任命し、エリツィン大統領の後継者に指名することが伏魔殿の深奥で決定された。


 そこで無名の小物が“ファミリー”の操り人形として必要になり、一朝選ばれてエリツィンの後継者に指名された1人の男。それが、その昔“スパイ失格”の烙印を押された無名のプーチン氏だったというわけです。


 そのエリツィン大統領は1999年の大晦日、テレビ実況中継で目に涙を浮かべながら大統領職辞任を発表し、プーチン首相を大統領代行に指名。大統領辞任により、大統領選挙は2000年3月に繰上げ実施されることになりました。


 急な繰上げ選挙で慌てる有力候補を横目に、大統領選挙ではプーチン大統領代行が当選。同年5月、ロシア連邦2人目の大統領に就任しました。


 当時は油価が低迷しており、一時期バレル10ドルを割り込みました。ロシア国庫はほぼ空の状態になり、国民の不満は高まっていきました。


 しかし、エリツィン前大統領残滓が政権中枢に居残り、抵抗勢力が跳梁跋扈する伏魔殿の中にあっては、行政改革は遅々として進みません。


 そこでプーチン新大統領が“ファミリー”残滓に仕かけた抵抗勢力排除策こそ、レニングラード人脈重用による治安・情報機関の再編成でした。まず、治安・情報機関を身内で固め、次に大幅な内閣改造に着手。エリツィン前大統領“ファミリー”残滓を次々と政権中枢から追放していきました。


■プーチン大統領の権力掌握過程


 プーチン首相代行誕生後(1999年8月9日)、無名のプーチン氏が“エリツィン大統領ファミリー”の傀儡として権力の階段を登り始めました。これが上述のごとく、ソ連邦資産を搾取した新興財閥の権益を維持すべく、無名のプーチン氏に白羽の矢がたった背景です。


 プーチン首相代行が誕生した8月9日、西側の反応は予想通り“Putin, who?”でした。この時、いくつかの日系紙はプーチンの読み方が分からず「プチン首相代行誕生」と報道、後に「プーチン」に訂正しています。


 筆者は当時サハリンに駐在していましたが、米ロナルド・レーガン大統領誕生前後、当初「リーガン」と報道していた日系紙が後に「レーガン」と訂正した事例を想起した次第です。


 一方、政治の舞台では困ったことが生じました。エリツィン大統領の政敵は2000年6月の大統領選挙に向け、着々と選挙態勢を整えつつありました。しかし、プーチン氏は無名ですから、大統領選挙に当選する保証はありません。


 ルシコフ・モスクワ市長やプリマコフ元首相などの大物が当選すれば、“ファミリー”は息の根を止められてしまいます。


 そこで編み出された奇策が、プーチン氏を大統領にするための“ヤラセ戦争”でした。


 当時報じられた1つの仮説をご紹介します。当時のヴォローシン大統領府長官は1999年7月4日、仏ニース近郊ブリエにある国際武器商人ハショギ氏の別荘でチェチェン独立派シャミール・バサエフ野戦司令官と会談。仲介者は「灰色の枢機卿」ウラジスラフ・スルコフ大統領府副長官。


 この会談で両者は翌8月にバサエフ部隊がロシア南部のダゲスタン共和国に侵攻して、ロシア正規軍が反撃・勝利する悪魔のシナリオに合意したと言われています。


 この台本通り、チェチェン武装勢力約1500人が1999年8月、ダゲスタンに侵攻。ロシアは直ちに同地に国防省正規軍と内務省国内軍を派遣して、武装勢力の一掃に成功。第1次チェチェン戦争(1994年12月〜1997年)で負け戦の続いたロシア国民にとり、久々の勝利となりました。


 国民は勝利の美酒に酔い、無名のプーチン新首相の毅然たる態度は国民の間に瞬時に支持を獲得、名声は鰻登りに急上昇した次第です。


 次は、チェチェンが戦場に選ばれました。大統領選挙まで、プーチン人気を維持しなければなりません。そのための手段は、国民に勝利の美酒を飲ませ続けることです。プーチン新首相の号令一下、ロシアの精鋭部隊がチェチェンに侵攻したのです。


 1994年12月の第1次チェチェン戦争では新兵を投入したため、ロシア軍はチェチェン武装勢力に負けてしまいました。同じ轍を繰り返せば、逆効果。そこで今回は、最初から下士官・将校を中心とする筋金入りの精鋭部隊を投入。これが第2次チェチェン戦争(1999年9月〜2009年)です。


 ロシア軍は着々と戦果を挙げ、プーチン氏はさらに男を上げました。


■プーチン大統領/“ファミリー”排除


 しかし、プーチン人気は長く続きそうにもありません。そこで編み出されたのが、ウルトラCの大統領年末辞任・繰上げ選挙実施です。


 すなわち、エリツィン大統領の1999年大晦日の辞任や繰上げ選挙など、すべてシナリオ・ライターはオリガルヒであり、プーチン氏はオリガルヒの掌中で踊らされていたにすぎません。


 モスクワに権力基盤の全くなかったプーチンは、水面下で巧妙に権力基盤の確立・拡大に努めました。1999年12月にはモスクワに「戦略策定センター」を設立して、ゲルマン・グレフを中心とするテクノクラートに経済政策を立案させました。また、昔のKGB仲間を順次モスクワに召集し、情報機関の人事を刷新しました。


 プーチン氏の大きな転機は大統領選挙です。舞台の筋書きは“ファミリー”にとり予想外の方向に展開しました。決選投票を待たず1回目の投票で当選したプーチン氏にはオリガルヒの選挙資金が不要となり、操り人形のはずのプーチン氏が自立し始めたのです。


 “ファミリー”の利益を代弁するヴォローシン大統領府長官のシナリオは完全に狂い、ヤラセのはずの第2次チェチェン戦争は“ファミリー”の制御外の展開となっていきました。


 では、当時のオリガルヒは誰だったのか具体的に申せば、2期目のエリツィン大統領当選を演出したボリス・ベレゾフスキー、ウラジーミル・グシンスキー、ミハイル・ホドルコフスキーなどです。ベレゾフスキーの師匠ロマン・アブラモービッチはプーチン候補が大統領選挙当選後新大統領派に転向、今では政権支持側に立っています。


 追放されたオリガルヒの代わりに台頭したのが、プーチンのサンクト・ペテルブルク人脈、柔道仲間(ローテンベルク兄弟など)や友人たち(チムチェンコなど)ですが、この辺の人物像は『プーチンの実像』にも登場しておりますね。


 そして、プーチン大統領最大の支援材料になったのが油価動向です。


 プーチンが大統領就任後、油価は上昇開始。国庫歳入に占める石油・ガス税収は下記の通り、プーチン氏が大統領就任時の約2割から現在では5割超になりました(2016年は予測/ロシア財務省)。

 逆も真なり。現在の油価低迷局面は、プーチン大統領にとり最大の試練と言えましょう。


 プーチン大統領の周囲には現在、大別して4つの派閥が存在します。しかし、プーチン派閥とは言え烏合の衆ですから、派閥同士の拮抗・対立もあります。この意味で、プーチン大統領が突然いなくなれば、派閥同士の抗争は表面化することでしょう。


 戦後、英ウィンストン・チャーチル首相はソ連の政治家を評して曰く、「ソ連の多くの政治家は、絨毯の下で足を蹴りあっている。誰が誰の足を蹴っているのか、我々外国人には永久に分からないだろう」


 誰が誰の足を蹴っているのか分かるようになればプーチン政権の透明性が増し、世界の民主主義勢力からも認知されることでしょう。


 しかし、クレムリンの奥の院が透明になれば、世の中のクレムノロジストは失職してしまうかもしれませんね。


_______

巨大資本が世界を支配するファシズム体制を築くため、TPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)の成立を西側支配層は急いでいるようだ。

 アメリカを中心とする支配システムが揺らぎはじめ、巨大資本による直接支配、近代農奴制とも言えそうな体制へ移行しようとしている。アメリカが世界を支配するシステムの中心には基軸通貨を発行する特権があるのだが、ロシアや中国を中心としたグループが力を持った上、そのグループを潰すために仕掛けたはずの原油価格下落がアメリカやサウジアラビアを追い込んでいる。ドルを守るために考えられたペトロダラーの仕組みを揺るがし、その支配システムに崩壊の危機が迫っているのだ。

 現在、西側支配層が配下の「専門家」やメディアを動員、目指しているシステムに近い体制だった国がある。その一例がボリス・エリツィン時代のロシア。

 1985年3月にソ連共産党の書記長となったミハイル・ゴルバチョフは90年に一党体制を放棄して大統領制を導入、初代大統領に選ばれる。東西のドイツが統一されたのはその1990年だが、その際、統一されたドイツはNATOにとどまるが、東へNATOを拡大させることはないとアメリカのジェームズ・ベイカー国務長官はソ連のエドゥアルド・シュワルナゼ外務大臣に約束した。勿論、その約束は守られていない。
 アメリカ支配層の「約束」を信じた「お人好し」のゴルバチョフだが、1991年7月にロンドンで開かれたG7の首脳会談でショック療法的経済政策、いわゆる「ピノチェト・オプション」を強要された際には断っている。新自由主義的な政策で西側支配層を儲けさせろという要求で、ロシア国民の大多数を貧困化させることは明白だったからだ。

 1973年9月11日にチリではCIAを後ろ盾とするオーグスト・ピノチェトの軍事クーデターが実行され、独裁体制が成立した。CIAを動かしていたのは大統領補佐官だったヘンリー・キッシンジャーだ。クーデターで合法的に選ばれていたサルバドール・アジェンデ大統領は死亡、軍事政権は自分たちの政策、つまりウォール街がカネを儲ける障害になる人びとを排除していく。一説によると約2万人が虐殺された。

 アメリカ資本にとっての障害が排除された後、ピノチェト政権は「マネタリズム」に基づき、大企業/富裕層を優遇する政策を実施した。その政策を実際に実行したのがシカゴ大学のミルトン・フリードマン教授やアーノルド・ハーバーガー教授といった経済学者の弟子たち、いわゆる「シカゴ・ボーイズ」である。

 彼らは賃金は引き下げ、労働者を保護する法律を廃止、労働組合を禁止、つまり労働環境を劣悪化、1979年には健康管理から年金、教育まで、全てを私有化しようと試みている。国有企業の私有化とは、国民の資産を略奪することにほかならない。こうした政策をロシアも導入しろとゴルバチョフは求められたのだ。

 G7の直前、ロシア大統領に就任したのがボリス・エリツィン。西側支配層はゴルバチョフに見切りをつけ、エリツィンへ乗り換えたと見られる。一方、ソ連を存続させようとしていたグループはエリツィンがロシア大統領に就任した翌月、「国家非常事態委員会」を組織して権力の奪還を狙うものの、失敗する。エリツィンは党を禁止、西側支配層の支援を受けながらソ連の解体、消滅へ突き進んでいく。1991年12月8日にベロベーシの森でウクライナのレオニード・クラフチュクやベラルーシのスタニスラフ・シュシケビッチと秘密会談を開き、エリツィンはソ連からの離脱を決めたのである。こうした動きを受け、ネオコン/シオニストは年が明けると世界制覇プロジェクトをDPGの草稿(http://www.nytimes.com/1992/03/08/world/us-strategy-plan-calls-for-insuring-no-rivals-develop.html)という形でまとめる。

 エリツィンは独裁体制を整え、ジェフリー・サックスを含むシカゴ派の顧問団が作成する政策を推進する。1992年11月にエリツィンは経済政策の中心にアナトリー・チュバイスを据えるが、この人物が連携したHIIDなる研究所はCIAとの関係が深いUSAIDから資金を得ていた。

 このチュバイスはエリツィンの娘、タチアナ・ドゥヤチェンコ(注)の利権仲間。現在に至るまで、アメリカの巨大資本の手先となり、私腹を肥やしているロシアの腐敗勢力はタチアナを中心に結びついてウラジミル・プーチンのグループと戦っている。

 タチアナのグループと結びつき、「規制緩和」や「私有化」によってロシア国民の資産を略奪、巨万の富を築いた人びとを「オリガルヒ」と呼ぶ。こうしたオリガルヒは犯罪組織のフロント企業のような会社を拠点にして「ビジネス」を展開、ロシア政府はオリガルヒに支配された。庶民の貧困化は深刻になり、街は荒廃、街には売春婦が急増してロシアは破綻国家になる。

 1923年9月1日に起こった関東大震災では復興資金の調達をアメリカの金融資本、JPモルガンに頼ったのだが、その影響で日本は新自由主義的な政策が導入され、日本の不況は深刻化、東北地方では娘の身売りが増え、欠食児童、争議などが問題になった。エリツィン時代のロシアと似た状況になったのだ。

 こうした経済政策を推進した浜口雄幸首相は1930年11月に東京駅で銃撃されて翌年の8月に死亡し、32年2月には大蔵大臣でJPモルガンと最も親しい日本人だったという井上準之助が本郷追分の駒本小学校で射殺され、その翌月には三井財閥の大番頭だった団琢磨も殺され、5月には五・一五事件が引き起こされている。

 現在、西側金融資本の餌食になったギリシャでは尻ぬぐいを押しつけられた庶民が窮乏し、大学では食費を稼ぐために学生が売春を強いられている(http://www.thetimes.co.uk/tto/news/world/europe/article4624755.ece)という。その結果、売春の料金が大きく値下がりしているとも伝えられている。似た現象は西側各国で現れているようだが、TPP、TTIP、TiSAが成立すれば、参加国はこうした状態になるだろう。

(注)タチアナは結婚相手が捜査の対象になったこともあって2001年に離婚し、すぐにエリツィンの側近だったバレンチン・ユマシェフと再婚した。ユマシェフの娘、ポリナ・ユマシェバが結婚したオレグ・デリパスカはイスラエル系オリガルヒで、ロシアのアルミニウム産業に君臨、ナサニエル・ロスチャイルドから「アドバス」を受けている一方、ロスチャイルド系の情報会社ディリジェンスの助けで世界銀行から融資を受け、政治面でも西側との関係を強めている。
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201601250000/


1991年はソ連が消滅した年でもある。7月にイギリスのロンドンで開かれたG7の首脳会談で西側の首脳はソ連のミハイル・ゴルバチョフ大統領に対して新自由主義経済、いわゆる「ピノチェト・オプション」の実施を要求、それに難色を示したゴルバチョフは排除されることになる。
 言うまでもなく、ピノチェトとは1973年9月11日にチリで民主的政権をクーデターで倒したオーグスト・ピノチェトを指している。その軍事クーデターを操っていたのはヘンリー・キッシンジャーだ。

 クーデター後、ピノチェトはシカゴ大学のミルトン・フリードマン教授の「マネタリズム」に基づく政策を導入、大企業/富裕層を優遇する政策を実施した。その政策を実際に実行したのがシカゴ大学のフリードマン教授やアーノルド・ハーバーガー教授といった経済学者の弟子たち、いわゆる「シカゴ・ボーイズ」である。

 具体的な政策としては、賃金は引き下げ、労働者を保護する法律を廃止、労働組合を禁止、つまり労働環境を劣悪化、1979年には健康管理から年金、教育まで、全てを私有化しようと試みている。国有企業の私有化とは国民の資産を略奪することにほかならず、安倍晋三政権が執着しているTPP(環太平洋連携協定)と基本的に同じ。実際、安倍政権はその方向へ向かっている。

 西側支配層はゴルバチョフに替わる選択肢を持っていた。ボリス・エリツィンだ。1991年7月に彼はロシアの大統領に就任する。

 その一方、ゴルバチョフの政策をソ連解体の策謀と考えるグループは「国家非常事態委員会」を組織、8月に権力の奪還を狙うものの、失敗する。その目論見を利用して主導権をを奪うことに成功したのがエリツィン。1991年12月8日に彼はベラルーシにあるベロベーシの森で秘密会議を開き、国民に諮ることなくソ連からの離脱を決めた。いわゆる「ベロベーシ合意」だ。12月21日にはCIS(独立国家共同体)が発足、ソ連は消滅するのだが、この過程に国民の意思は反映されていない。

 会議に出席したのはロシアからエリツィン大統領とゲンナジー・ブルブリス国務大臣、ウクライナからレオニード・クラフチュク大統領とビトルド・フォキン首相、ベラルーシのソビエト最高会議で議長を務めていたスタニスラフ・シュシケビッチとバツァスラフ・ケビッチ首相。会議を主導したのはロシアのブルブリスだと言われている。

 ソ連の消滅によってアメリカの支配層はアメリカが唯一の超大国になり、その超大国を支配している自分たちが世界を支配するというストーリーを考える。そこで1992年2月に国防総省のDPGとして世界制覇プロジェクトを作成する。いわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンで、旧ソ連圏だけでなく、西ヨーロッパ、東アジアなどの潜在的なライバルを潰し、膨大な資源を抱える西南アジアを支配しようと計画している。

 こうした計画はビル・クリントン政権で塩漬けになるが、本ブログで何度も書いているように、ヒラリー・クリントンが政権の内部に引き込んだマデリーン・オルブライトやビクトリア・ヌランドが軌道修正、つまり戦争へと導いていく。オルブライトはズビグネフ・ブレジンスキーの教え子であり、ヌランドはネオコンだ。

 ビル・クリントン政権が侵略戦争へ進み始めるのはオルブライトが国連大使から国務長官に異動した1997年1月が大きな節目だった。なお、ヌランドは国務副長官の首席補佐官を務めていた。

 2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンにある国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されると、ホワイトハウスでネオコンなど好戦派が主導権を握る。攻撃の10日後、ドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺では攻撃予定国リストが作成され、そこにはイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランが載っていたとクラーク元欧州連合軍は語っている。
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201611300000/


プーチンがロシアを救ったように、トランプはアメリカを救えるだろうか?
The Saker 2016年10月28日
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/post-faca.html


読者の皆様

以下の記事で、The Sakerが、ウラジーミル・プーチンが、いかにして、ロシアの主権を、英米-シオニスト帝国からもぎ取ったかを説明している。彼はドナルド・トランプが、アメリカを救うことを期待している。彼の記事を、本人の了解を得て掲載する。

プーチンがロシアを救ったように、トランプはアメリカを救えるだろうか?

The Saker 2016年10月22日


アメリカが直面している危機:

選択肢その一: ヒラリーの勝利。これは、より酷い方向に強化したオバマだ。オバマそのものが、ブッシュ・ジュニアで、しかも、より酷いものであることを想起されたい。もちろん、ブッシュ・ジュニアは、クリントンにすぎず、より酷いだけだ。今や一巡り。クリントンに戻るのだ。ただし今回は、女性で、やることなすことに失敗して、今や30年におよぶ、惨事と失敗の実績を誇る非常に不安定な人物だ。彼女には戦争を開始する権限もない時でさえ、彼女は戦争を一つ始めたのだ(ビルに、セルビア人を爆撃するように言って)。今や、彼女はその権限を持ちかねないのだ。しかも、彼女は何百万人もの人々の前に立って、トランプが、彼女に“プーチンは、ありとあらゆる段階で、あなたを出し抜いた。”というのを聞かねばならないのだ。彼がそう言った時の、彼女の凍り付いた表情をご覧になっただろうか? トランプは正しく、プーチンは実際、彼女とオバマを、あらゆる段階で出し抜いた。問題は、今、プーチンに対して劣等感を持っている大統領(オバマ)の後、またしても、全く同じ劣等感と、シリアで、ロシア軍に対し、飛行禁止空域を押しつけようという異常な決意を持った大統領になることだ。短い髪と滑稽なズボン姿のヒラリーを見るにつけ、“彼女は、自分は全ての点で、あらゆる男性同様にタフであることを証明しようと懸命な女性だ、と私には思える” - もちろん、彼女はそうてはないのだが。彼女の実績も、彼女は弱く、臆病で、何があっても決して刑罰を受けることがないと確信していることを示している。そして今、この悪の救世主の出現を信じる変人で(http://thesaker.is/the-messianic-lunatic-in-her-own-words/)根深い劣等感をもった人物が、全軍最高司令官になりかねないのだ?! 神よ我々全てを救いたまえ!

選択肢、その二: トランプ勝利。問題: 彼は全く孤独だ。ネオコンは、議会、マスコミ、金融機関と裁判所を、もう完璧に支配している。夫クリントンから、妻クリントンまでの間に、連中は、ペンタゴンや、国務省や、三文字の政府機関に深く潜入してしまった。連邦準備制度理事会こそ、連中の拠点だ。トランプは、こうした“地下にたむろする猛烈な狂人連中”に一体どう対処するのだろう? http://www.opednews.com/articles/opedne_donald_a_080423_leo_strauss_and_the_.htm

あらゆる“名士連中”(俳優から、政治家、記者に至るまで)トランプに対して解き放った悪意ある憎悪キャンペーンを考えると - 彼らは退路を断ったのだ。連中は、もしトランプが勝てば、彼らは全てを失うことを知っており(そして、もし彼が、簡単に影響を受けてしまう人物であることがわかれば、彼を選んでも何の違いもなくなることになる)。

ネオコンは何も失うものはなく、連中は最後の一人まで戦うだろう。もし彼がネオコンと、連中の代理人に包囲されたら、トランプは一体何ができるだろう?
全く違うチームを呼び入れるのだろうか?
彼は一体どうやって、彼らを調査するつもりだろう?

彼の最初の選択は、ペンスを副大統領に指名することだったが、これは惨事で(既に彼は、シリアと選挙結果で、トランプを妨害している)。トランプが、ホワイト・ハウス大統領首席補佐官に一体誰を任命するのかを聞くのを私は大いにおそれている。ネオコンをなだめるためだけに、彼は悪名高いラーム・エマニュエルの新版のような人物を任命するのではあるまいかと心配しているので… もし、トランプが原則と勇気の持ち主であることを証明すれば、ネオコンはいつでも彼を“ダラスの目”に会わせ、彼をペンスで置き換えることができる。一丁あがり!

私には、一つしか解決策は思いあたらない。

プーチンは、いかにして、ロシアを救ったか

プーチンが権力の座に着いた際には、今のホワイト・ハウス同様、徹底的に腐敗し、裏切り者が蔓延するクレムリンを、受け継いだのだ。ロシアは、独立し、ナチスが支配しているウクライナと同様、かなり悲惨な状態にあった。ロシアも、銀行家と、英米シオニストの傀儡に支配されており、大半のロシア人は惨めな暮らしをしていた。大きな違いは、トランプに起きている物事とは違い、アメリカ・ネオコンのロシア版連中は、プーチンに脅かされようとは夢にも思っていなかったことだ。彼は、支配者たちによって、治安機関の代表として、大企業資本の代表、メドベージェフとともに働くよう、選ばれたのだ。これは、ロシア社会でも依然機能していた、たった二つの部門、治安機関と、石油/ガスの金の間の妥協策だった。プーチンは、サイズがあわないスーツを着た小役人で、内気で、いささかぎごちない小男のように見え、ロシアを動かしている七人の銀行家という強力なオリガルヒにとって、何の脅威にもならないはずだった( https://en.wikipedia.org/wiki/Semibankirschina )。ただし、彼はロシア史上、もっとも手強い支配者の一人だったのだ。権力の座につくやいなや、プーチンがしたのはこういうことだ。

第一に、彼はチェチェンのワッハブ派叛徒を、素早く効果的に粉砕し、国軍と治安機関に、クレムリンへの信頼性を回復させた。これで、オリガルヒと対決する際に、頼りにせざるを得ない人々との間で、彼の個人的な信頼を確立したのだ。

第二に、1990年代には、たとえ実際には、法律がなかったためにせよ、ロシアの全員が、ありとあらゆる実業家や企業が、多かれ少なかれ、法律を破っていた事実を、彼は活用した。彼は、ベレゾフスキーや、ホドロフスキーの類を、連中の政治活動で、弾圧するのではなく、連中を(全く正しいが)賄賂のかどで粉砕した。決定的に重要なのは、彼はこれを、非常に公然と行い、もう一つの大敵、マスコミに、明瞭なメッセージを送ったのだ。

第三に、欧米の人権団体やロシア・リベラルの幻覚と逆に、プーチンは、いかなる反体制派をも決して直接弾圧したり、マスコミを厳しく取り締まったり、まして誰かの殺害を命じたりはしない。彼は遥かに賢明に事をなしとげた。現代のジャーナリスト連中は、何よりもまず、売女マスコミであることを想起願いたい。 プーチンは、オリガルヒを容赦なく取り締まることで、売女マスコミから、収入と政治的支援の源を奪った。ウクライナに移住した者もあれば、辞任しただけの者もあり、ドーシチTV、エホー・モスクヴィ・ラジオや、コメルサント新聞など、ごく少数の容易に識別できるマスコミは、特別保留地、あるいは動物園状態に置かれた。移住した連中は、無関係なものとなり、“リベラル動物園”に止まった連中は - すっかり信憑性を失ってしまい、無害になった。決定的に重要なのは、全員が“メッセージを理解したことだ”。それから先は、ごく少数の本当の愛国者(ドミトリー・キセリョフやマルガリータ・シモニアンら)を主要な地位に任命しさえすれば、運命の風の方向が変わったことを全員すぐに理解した。

第四に、主要マスコミさえ正気に返らされてしまえば、“リベラル”(ロシアでは親アメリカを意味する)政党が、死のスパイラルに入り込むのに、さほど長くかからず、そうした政党は決して回復しなかった。その結果、あらゆる“リベラル”が排除され、ロシア国会には、現在、4党しかなく、いずれの党も、多かれ少なかれ“愛国的”だ。これが、プーチン戦略でも、うまく機能した部分だ。

これまでの所、プーチンは、私が“汎大西洋統合主義者”と呼んでいる第五列の連中を(http://thesaker.is/putins-biggest-failure/ を参照)政府そのものから排除し損ねている。確実なことは、プーチンは、銀行/金融部門内の第五列連中には取り組んでおらず、連中も、彼には、彼らに対して行動をとる口実を与えないよう非常に用心している。

ロシアとアメリカは全く違う国なので、お互い簡単に処方箋を写して済ますことはできない。それでも、“プーチン・モデル”には貴重な教訓があるだろうが、とりわけトランプの最も手ごわい敵は、おそらく連邦準備制度理事会に居すわる連中と、連邦準備制度理事会を支配している銀行だ。確実なのは、当面アメリカのイメージは、アメリカ政府に捨てられたホームレスの退役軍人が国旗に身を包み、カップに小銭を要求するというものであり続けるだろうことだ。

ヒラリーは、アメリカの戦争は見事な成功だと考えている。トランプは、そうした戦争は恥ずべきことだと考えている。この二者間の選択は、実際極めて単純だと私は考える。

英米シオニスト・エリートの中で分裂など有りえないとおっしゃる向きには、ドミニク・ストロス-カーンが次期フランス大統領になるのを防ぐための陰謀の例があるとお答えしたい( https://en.wikipedia.org/wiki/New_York_v._Strauss-Kahn)。これが、ハイエナと同様、英米シオニスト指導者連中は、時に、お互いに攻撃するのだ。そういうことは、政治イデオロギーと無関係にあらゆる政権でおきる(ナチス・ドイツの親衛隊対突撃隊、あるいはボルシェビキソ連でのトロツキー主義者対スターリン主義者を想起願いたい)。

鉄の箒

レオン・トロツキーは、ソ連は、アナキストや貴族を“鉄の箒”で一掃する必要があると良く言っていたものだ。彼はプラウダに“我々には鉄の箒が必要だ”という題の記事すら書いている。もう一人の大量虐殺マニア、フェリックス・ジェルジンスキー、悪名高いChK秘密警察の創設者、秘密警察職員には“燃える心、冷静な頭脳と、清潔な手”が必要だと言っていた。こうした連中に、弱さや、共感を求めても全く無駄だ。彼らはイデオロギーに突き動かされた“熱狂的な信者”、共感という感覚が欠けた社会病質者で、自分たちの邪魔をする誰に対しても大量虐殺的な憎悪を持った根っからの悪連中なのだ。

ヒラリー・クリントンと、彼女のネオコン集団は、精神的に(時には、物理的にも)ソ連のボルシェビキの後継者で、彼らは、ボリシェビキの先祖と同様、敵を粉砕するのに一秒たりともためらわない。ドナルド・トランプは - 彼が本物で、言っていることが本気であるならば - これを理解し、プーチンがした通りにしなければならない。最初に、しかも激しく攻撃することだ。

ちなみに、スターリンも、まさにこれを行い、トロツキストは粉砕された。

最終的に、プーチンが第五列連中を、権力の座から排除できるかどうか、まだはっきりしていないと私は思う。確かなことは、ロシアは少なくとも、英米シオニストの支配からは、ほぼ自由で、アメリカが、現在、連中の最後の砦だということだ。トランプに対する連中の熱狂的憎悪は、(愛国的な意味で言うのではなく、むしろ寄生虫が“自分の”宿主を気づかうように)自分たちの祖国と考える場所において、初めて脅かされてという、こうした連中が感じている危機感によって、一部説明がつくかも知れない。連中には恐れるべきもっともな理由があるのかも知れない。連中には恐れる理由があって欲しいと思う。

トランプを恐怖で萎縮させようという最近の企みへの見事な対処を見て、私は勇気づけられた。昨日トランプは、選挙で不正が行われる可能性があるので、結果を認めるとは誓わないと、あえて断言した。読み書きができる人なら誰でも、大統領選挙を含め、アメリカの選挙では過去に不正が行われてきたことを知っているにもかかわらず、トランプが犯罪的思考という大罪をおかしたと、メディアは主張している。シオニスト・マスコミは独善的に激怒して彼に襲いかかり、発言を撤回するよう彼に大変な圧力をかけている。寝返って“犯罪的発言”を撤回するかわりに、トランプは、もし自分が勝ったら選挙結果を尊重すると答えたのだ。

素晴らしいではないか? 彼がこの勇気を示し続けてくれよう願おう。

トランプは、ジャン=マリー・ル・ペンがフランスでしたことを、今実行している。彼はネオコンに、彼があえて公然と彼らに楯突くことを示し、連中のルールで動くのを拒否しており、連中の激怒も、彼には何の効果もなく、連中は検閲もできず、まして彼を沈黙させることなどできずにいる。彼は、またもや、サイバー攻撃をロシア人のせいにするのを拒否し、逆にロシアとアメリカにとって、友人であるのは良いことだという発言を繰り返した。彼がこの姿勢を一体いつまで保てるか私にはわからないが、当面、彼が英米シオニストの陰の政府や帝国にあからさまに楯突いていることは否定しようがない。

結論:

アメリカ合州国は、アメリカ史上、最も深刻で最も危険な危機の可能性がある状態に入り込もうとしている。もしトランプが選ばれたなら、連中が彼を政治的な動機の抑圧だと非難するいかなる口実も与えることなく、敵に対し、十分に練られた攻撃を、即座に開始しなければなるまい。ロシアでは、プーチンは軍と治安機関の支持が期待できた。トランプが一体誰を頼りにできるのかわからないが、アメリカ軍内には、依然、本当の愛国者がいると私は強く確信している。

もしトランプが、FBIを率いる適切な人材を得られれば、彼も、この機関を活用して大掃除し、賄賂や、(ここには随意の単語を)の陰謀や、権限濫用や、公正の妨害や職務怠慢などに対する起訴を次々と行えるだろう。そのような犯罪は、現在の支配層中で蔓延しており、こうしたものは証明が容易なので、賄賂を取り締まれば、トランプは、アメリカ国民から総立ちの拍手喝采を受けるだろう。次に、プーチンがロシアでしたように、トランプもマスコミに対処しなければならない。具体的に、どうするのか私にはわからない。しかし彼は、このけだものと対決し、打ち負かさねばならないのだ。プーチンがそうであるのと同様に、この過程のあらゆる段階で、彼は国民の積極的な支持を得る必要があるだろう。

トランプに、それができるだろうか? 私にはわからない。陰の政府を打倒し、人々の権限を復興するのは、ロシアの場合より、アメリカでの方がずっと困難だと私は思う。英米シオニスト帝国は、一番可能性が高いのは軍事的および経済的敗北の組み合わせにより、外部から打倒する必要があるだろうと私は常々考えている。私はいまでもそう信じている。だが私は間違っているかも知れない - 実際、私は間違っていることを望んでいる - あるいは、トランプは、アメリカ合州国を救うために、帝国を打倒する人物になるのかも知れない。どれほどわずかのものであれ、もしそのような可能性があるなら、我々はそれを信じ、そのために行動すべきだと思う。他の代案は、いずれももっと酷いのだから。
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/post-faca.html

2016.11.15
トランプが次期米大統領に決まったことを受けてソロス一派が秘密会談、露では新自由主義者逮捕

 ドナルド・トランプがアメリカの次期大統領に選ばれた後、アメリカ、EU、そしてロシアで興味深い動きが見られる。アメリカでは13日から3日間の予定でジョージ・ソロス、その息子のジョナサン・ソロス、あるいはトム・ステイアーを含む富豪たちが音頭を取り、トランプ対策を練る秘密会談をワシントンのマンダリン・オリエンタル・ホテルで開催、やはり13日にベルギーのブリュッセルではイギリスとフランスを除くEUの外務大臣がトランプに関して話し合っている。こうした会議以上に興味深いのはロシアで新自由主義者、つまりアメリカ巨大資本の傀儡グループ(いわゆる第5列)に属すと見られているアレクセイ・ウルカエフ経済開発相が汚職で逮捕された事実だ。

 ウルカエフたちのグループには中央銀行総裁エリヴィラ・ナビウリナや新旧財務大臣のアントン・シルアノフとアレクセイ・クドリンも含まれ、ボリス・エリツィン時代のように、社会的な強者が富を独占する仕組みを復活させようと目論んでいる。

 そのグループにおける中心的な存在がエリツィンの娘であるタチアナ。ボリスが大統領だった時代、飲んだくれで心臓病を抱える父親に代わり、クレムリン内外の腐敗勢力と手を組んでロシアを食い物にしていた。1996年にボリスはタチアナを個人的な顧問に据えたが、2000年にウラジミル・プーチンから解雇されている。

 タチアナはウラル・エネルギーのCEOだったアレクセイ・ドゥヤチェンコと結婚していたが離婚、2001年にエリツィンの側近で広報担当だったバレンチン・ユマシェフと再婚した。

 ユマシェフの娘であるポリナ・ユマシェバと結婚したオレグ・デリパスカはロシアのアルミニウム産業に君臨するイスラエル系オリガルヒで、ナット・ロスチャイルドから「アドバス」を受ける一方、ロスチャイルド系の情報会社ディリジェンスの助けで世界銀行から融資を受け、政治面でも西側との関係を強めている。

 タチアナの利権仲間に属すひとり、アナトリー・チュバイスは1992年11月にエリツィンが経済政策の中心に据えた人物で、HIID(国際開発ハーバード研究所)なる研究所と連携していた。ここはCIAとの関係が深いUSAIDから資金を得ていた。言うまでもなくUSAIDはCIAが資金を流す際に使う機関だ。(Natylie Baldwin & Kermit Heartsong, “Ukraine,” Next Revelation Press, 2015)

 エリツィン時代のロシアで経済政策を作成していたのはジェフリー・サックスを含むシカゴ派の顧問団だが、ロスチャイルドとのつながりも目立つ。また、ソ連時代から現在のロシアに至るまで、この地域を支配しようとしてきたのがジョージ・ソロス。そうした西側支配層の配下のロシア人がウラジミル・プーチン体制になっても経済分野では主導権を握り、プーチン体制のアキレス腱とも言われている。

 米英のロシア/ソ連制圧の計画は1904年にハルフォード・マッキンダーのハートランド理論として顕在化した。イギリスが日本の軍事力強化や対ロシア戦の戦費調達に協力した一因はそこにある。

 当時、イギリスはライバルのフランス、ドイツ、ロシアに対抗するために約14万人の兵士が必要だと見ていたが、実際の兵力は7万人。その不足分を補うために目を付けられたのが日清戦争に勝利した日本だった。そして1902年、日英同盟協約が結ばれている。日露戦争でアメリカのセオドア・ルーズベルト大統領が乗り出してきた理由も同じだろう。同じルーズベルトでもセオドアはフランクリンと違い、棍棒外交で有名な好戦派だ。

 現在、米英支配層とロシアとの鍔迫り合いはシリアで行われている。ヒラリー・クリントンなどアメリカの好戦派はシリアをリビアと同じように破壊、戦闘員をカフカスなどロシア周辺へ移動させ、西側のウクライナではネオ・ナチを使ってロシアへ迫っていくつもりだったのだろう。NATOもロシアとの国境近くに部隊を配備、ロシアに対する軍事的な圧力を強めてきた。ちなみに、ウクライナのクーデターを現場で指揮していたネオコン、ビクトリア・ヌランド国務次官補はヒラリーと親しい仲だ。

 ところが、シリアでは昨年9月末にロシア軍がシリア政府の要請に基づいて軍事介入、アル・カイダ系武装勢力やそこから派生したダーイッシュに対する攻撃を始めた。アメリカが主導する連合軍とは違い、本当に攻撃して侵略軍は大きなダメージを受けた。そこでアメリカの好戦派はリビアのように飛行禁止空域を設定するように要求する。ヒラリーもそうした首相をする仲間だ。

 アメリカ上院の軍事委員会でジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長が語ったようにシリア上空をロシア軍やシリア軍の航空機が飛行することを禁止した場合、アメリカはロシアやシリアと戦争になる可能性が高く、世界大戦、つまり核戦争に発展する可能性が高い。アメリカなどがアル・カイダ系武装集団やダーイッシュなどを攻撃しているロシアやシリアの戦闘機や爆撃機を撃墜すれば、ロシアもアメリカなどの戦闘機や爆撃機を撃墜する。必然的に直接的な軍事衝突になるからだ。

 好戦派と見なされているダンフォードでさえロシアとの戦争には消極的だが、軍の内部にもヒラリーの仲間はいる。例えば、陸軍のマーク・ミリー参謀総長はロシアに対し、かつて経験したことがないほど激しく叩きのめしてやる、つまりスターリングラードなど第2次世界大戦でソ連が受けた以上の打撃を加えてやると演説した。先制核攻撃すると言っているのに等しい。

 それに対し、トランプはダーイッシュの打倒を最優先すべきだとしている。すでにトランプはプーチンと電話で話し合っているようだ。このまま進めばアメリカとロシアとの関係は修復される。ソロスたち「リベラル派」はそれを恐れている。
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201611150000/


2016.09.12
英国へ亡命中のベレゾフスキーがエジンバラ公の「ポルノ写真」を脅しに使ったとする説の信憑性

 1990年代、ボリス・エリツィンが大統領だった時代のロシアで政権の中枢と手を組んで国民の富を略奪、巨万の富を築いて「オリガルヒ」と呼ばれるようになった一団が存在する。その象徴的な人物だったボリス・ベレゾフスキー(亡命後に「プラトン・エレーニン」へ改名)は2013年3月23日にイギリスで死亡する。ロシアへ戻る動きを見せた直後のことだった。ベレゾフスキーの背景にはチェチェンの戦闘集団や犯罪組織が存在した。

 そのベレゾフスキーに焦点を当て、エリツィン政権の腐敗を明らかにしたアメリカのジャーナリスト、ポール・クレイブニコフは2004年7月にモスクワで射殺されている。「全ての悪事はウラジミル・プーチンの為せる業」だと唱える人もいるが、暗殺の背後にベレゾフスキーがいたのではないかと疑う人も少なくない。(Paul Klebnikov, "Godfather of the Kremlin", Harcourt, 2000)

 ベレゾフスキーの下で働いていたアレクサンドル・リトビネンコは2006年11月に放射性物質のポロニウム210で毒殺されたとされているが、このリトビネンコもロシアへ帰国する動きを見せた直後の死だった。ポロニウム210は放射性物質であり、明白な痕跡を残す。何十年も前から痕跡を残さないで人を殺せる薬物は開発されていると言われているので、ポロニウム210を使ったというのは不自然。殺害には別の毒物が使われ、ポロニウム210は追跡させるために利用されたのではないかというのだ。

 その死について、兄弟のマキシム・リトビネンコはアメリカ、イスラエル、イギリスの情報機関に殺された可能性があると主張している。死の数週間前、ロシアの石油会社ユーコスの元幹部レオニド・ネフツーリンと会うためにイスラエルを訪れていていたことも知られている。

 リトビネンコの体調が悪くなった日、ロンドンの「寿司バー」で彼と会っていたというのがイタリア人のマリオ・スカラメッラ。事件後、イタリアで逮捕されているが、この人物はイタリアのカンパニア州を拠点としていて、ECCP(環境犯罪防止プログラム)という組織を運営、その一方でナポリの犯罪組織、カモッラともつながっていた。

 それだけでなく、スカラメッラはイタリアの情報機関とも緊密な関係にある。2002年5月にはローマの近くで開かれた秘密会議に出席しているのだが、同席者の中には情報大臣だったフランコ・フラティニ、SISDE(治安機関)のマリオ・モッリ長官、SISMI(対外情報機関)のニッコロ・ポッラーリ長官、ルイジ・ラムポーニ元SISMI長官も含まれていた。

 ポッラーリ長官はその後、CIAによる拉致事件に絡んで解任されるのだが、この拉致にはスカラメッラも協力していたと言われている。スカラメッラとつながっていたロバート・セルドン・レディはCIAのミラノ支局長だと噂されている人物だ。

 ところで、9月7日付けのサン紙はイギリスの情報機関が殺害したとする主張を紹介、その理由として挙げられているのはエジンバラ公(フィリップ・マウントバッテン)の「ポルノ写真」。1950年代に彼の友人が「木曜クラブ」で撮影したもので、イギリスの当局へ提出ずみだったという。ベレゾフスキーは自身の悪事が明らかにされることを防ぎたかったというのだが、王室サイドはそうした話が漏れることを恐れ、情報機関が動いたという説である。真偽は不明だが、説得力に欠ける印象は否めない。

 ベレゾフスキーはエリツィンと親しかったが、西側では「メディア王」とも呼ばれるルパート・マードック、1980年代に「ジャンク・ボンド」を売りまくってウォール街の敵対的買収を下支えしたマイケル・ミルケン、ジョージ・W・ブッシュの弟でS&L(アメリカの住宅金融)スキャンダルで名前が出てきたニール・ブッシュ、ジェイコブ・ロスチャイルド卿、その息子のナサニエル(ナット)・ロスチャイルドらと親しくしていた。

 エリツィン時代からロシアで西側勢力とつながり、富の略奪を続けているグループの中心人物はエリツィンの娘であるタチアナ。飲んだくれで心臓病を抱える父親に代わり、クレムリン内外の腐敗勢力と手を組んでロシアを食い物にしていた。1996年に父親のボリスはタチアナを個人的な顧問に据えている。彼女は2000年、ウラジミル・プーチンから解雇された。

 ウラル・エネルギーのCEOだったアレクセイ・ドゥヤチェンコと離婚したタチアナは2001年、エリツィンの側近で広報担当だったバレンチン・ユマシェフと再婚した。その娘であるポリナ・ユマシェバと結婚したオレグ・デリパスカはロシアのアルミニウム産業に君臨するイスラエル系オリガルヒで、ナット・ロスチャイルドから「アドバス」を受ける一方、ロスチャイルド系の情報会社ディリジェンスの助けで世界銀行から融資を受け、政治面でも西側との関係を強めている。

 タチアナの利権仲間に属すひとり、アナトリー・チュバイスは1992年11月にエリツィンが経済政策の中心に据えた人物で、HIID(国際開発ハーバード研究所)なる研究所と連携していた。ここはCIAとの関係が深いUSAIDから資金を得ていた。言うまでもなく、USAIDはCIAが資金を流す際に使う機関だ。(Natylie Baldwin & Kermit Heartsong, “Ukraine,” Next Revelation Press, 2015)

 エリツィン時代の経済政策はジェフリー・サックスを含むシカゴ派の顧問団が作成、今でも影響力を保持している。基本的に新自由主義に基づく政策を推進、西側巨大資本がロシアを揺さぶるための手先でもある。中央銀行総裁エリヴィラ・ナビウリナ、経済開発大臣アレクセイ・ウリュカエフや、新旧財務大臣のアントン・シルアノフとアレクセイ・クドリンもその仲間だ。こうした勢力を排除できないところにプーチンの弱点があると言われている。

 ベレゾフスキーがプーチンとの和解に成功してロシアへ帰国した場合、今でもロシア経済に大きな影響力を持つ親西側資本勢力のネットワークが明らかになる可能性があった。すでにロスチャイルドを中心とするネットワークと強く結びついていることは判明しているが、ロシア国内のつながりが露見した場合、ロシア制圧は今よりさらに難しくなる。ベレゾフスキーが死んだことにより、西側支配層にとって最悪の事態にはならなかったと考えることができるだろう。
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201609120000/

ロシア国民がプーチン大統領を圧倒的に支持する理由 日本外交と政治の正体
2016年10月14日 孫崎享 外交評論家 日刊ゲンダイ 


  
「赤の広場」の祝賀行事で国民に取り囲まれるプーチン大統領/(C)AP
http://www.asyura2.com/16/kokusai15/msg/630.html


 米経済誌「フォーブス」は毎年、「世界で最も影響力のある人物」を発表している。2013〜15年にかけて上位の顔ぶれは変わっていない。15年の1位はロシアのプーチン大統領、2位はドイツのメルケル首相、3位は米国のオバマ大統領で、4位はバチカンのローマ法王、5位は中国の習近平国家主席と続く。

 プーチンの強さの“カギ”がどこにあるのかといえば、国民から圧倒的な支持を得ていることだろう。ロシア国内の支持率(ギャラップ調査)の推移を見ると、09年は77%、10年は74%、11年は65%。12〜13年はそろって54%と下落傾向にあったものの、14年は83%と再び持ち直した。そして今年3月に実施されたロシアの世論調査機関「レバダ・センター」の調査でも、支持率は82%だった。

 一方で、米シンクタンクのピュー研究所が15年に世界40カ国で実施した世論調査によると、プーチンを「信頼する」は24%、「信頼できない」が58%だった。つまり、世界とロシア国民のプーチンに対する評価は真逆なのだ。

 ロシアはエリツィン大統領時代に国家崩壊の道を進んでいた。チェチェンなど、イスラム教の強い地域の「分離」は時間の問題とみられていたし、経済は悪化の一途をたどっていて、年金生活者は苦境のドン底だった。そんな時代背景の中で現れたのがプーチンだ。

 話は少し外れるが、今の世界の多くの政治家は私利私欲にかられ、自身の利益を最優先し、経済的に困窮している弱者にほとんど目を向けない。しかし、幼少期を「エリート」として過ごしていないプーチンには、こうした姿勢がみられない──とロシア国民の多くが感じている。

 プーチンがロシア国内で重用されているのは、「世渡りのうまい政治家ではロシアは救えない」という危機感がロシア国内で広がっているからで、国民はプーチンと自分たちの思いは「乖離していない」──とみている。それが圧倒的な支持を得ている理由だろう。プーチンと親交のある柔道家の山下泰裕氏はこう言っていた。

「プーチンはうまく、上手に生きていくということを嫌う。自分は柔道家として個人の利益を優先するのではなく、人間としての生き方を追求することを教えた」

 プーチンは諜報員として、長く海外で生活してきた。諜報員に求められるのは「事実を客観的に見る能力」である。ロシアはクリミア問題やウクライナ問題で世界から制裁されているが、ロシア国民の多くは、米国などが仕掛けた陰謀――として、毅然とした態度を取り続けているプーチンの姿勢に共鳴しているのである。

____

プーチンみたいな彼

ロシア人にも大人気のプーチン大統領の歌があります。

プーチン大統領のような頼りがいのある彼が欲しいというロシア人女性の願望でしょうか。

KGB出身でロシアの絶対権力者であるプーチン大統領。ロシア国民の間でも彼は絶大な人気を誇っております。


ロシアでは「プーチンのイレズミ」が大人気 

ロシアでは今プーチンのイレズミを体のどこかに入れるのが流行っており、イレズミの順番待ちをしている状態らしい。

オムスク市のジョセフ・ラディモフさんは「自分の肩にプーチンの顔のイレズミを入れることにしました。それは安全を感じるのです」っと言い、「プーチンのイレズミを入れるのは今とても流行っていて、彼の友達は全員イレズミを入れています」っと話してるそうです。

イレズミを入れるといつでも大統領の自信と安全があるように感じさせるらしく、更に「どのくらいプーチンを信仰してるか?」ってのをイレズミで競う人達もいるそうです。

最近ではオムスクの町でプーチン大統領に敬意を表するために、自分の名前を「プーチン」に変えた人までいたらしい・・・・。

___


2017年05月19日 民主主義という究極のポピュリズムを制す「かわいさ」


■冷血な人殺しでも人気絶大なプーチン大統領

2000年3月、ボリス・エリツィン大統領の後任としてウラジミール・プーチンがロシアの第2代大統領に正式に選出されたとき、ある方が新大統領を評して「何十人も人を殺してきた目をしてる」と言われたのが今でも忘れられません。

当時、プーチン氏は政治家としても大統領候補としても世界的にはほぼノーマークで、元KGBの優秀なスパイという以外ほとんど情報がありませんでした。プーチン大統領就任により、ゴルバチョフ、エリツィンと続いた民主主義ロシアがどうなってしまうのか、という危惧を多くの人々が抱いたと思います。

しかしプーチン大統領は、現在世界を震撼させているトランプ大統領の「ロシア・ゲート」も含め、自らのスパイとしての経験と手腕を最大限活かして政権を維持。白昼堂々とホテルに核物質を送り付けたり、夜のニューヨークのビルから突き落としたりと、独創的かつ強引な手法で反対勢力陣営の人々を排除していく様子も、これまでの民主主義国家の政治家像を大きく逸脱しています。

最近では、ウクライナ問題でプーチンを説得するためにわざわざクレムリンまで出向いた独メルケル首相に会う際、メルケル首相が大嫌いな大型犬連れで登場して威嚇するなど、ある意味、トランプ大統領にも通じるパフォーマンス政治家という側面ももっているようです。

ただし、ソ連時代ならいざしらず、現在のロシアはいちおう民主主義国家で、大統領も国民選挙で選ばれます。強引かつ強圧的な手段で治世するプーチン大統領が国民に恐れられ忌み嫌われ、人気も低いかというとそれがまったくの逆で、2012年の大統領選挙時には、63.6%と約2/3の得票。現在の支持率は90%近いとも言われます。

しかも毎年、「プーチンカレンダー」なるものが発売され大人気。

Vladimir Putin's inspirational 2017 calendar - CNN.com
http://edition.cnn.com/2016/10/19/europe/vladimir-putin-calendar-2017/

上半身裸で釣りをしている写真や、映画スターさながらにサングラスにラフなジャケットで歩いている様子に混じって、花をもってポーズを決めたり、猫や犬と戯れていたり、まるでアイドルスターのようです。

このカレンダーを誰が買っているかは写真を見れば一目瞭然でしょう。ロシアの女性たちに圧倒的な人気を誇るのもまた、プーチン大統領の一面なのです。

■「かわいい」政治家に投票してしまう私たち

私たちが選挙で投票行動をする時、意識するかしないかの程度の違いはあっても、最も重点が置かれるのは「政策」ではなく、実は「政治家の人間性」であると私は思います。

比例区では政策で政党を選ぶ人も多いかもしれませんが、小選挙区で所属政党の政策に共感はできても、外見や話し方に嫌な感じをもってしまう候補者より、支持政党ではなくても好感をもてる候補者に投票した経験のある方は決して少なくないのではないでしょうか。

しかし、実際にはその候補者がどんな人間かは顔に書いてありません。もちろん本人や推薦人はいかに候補者の人間性が素晴らしいかを強調するでしょうが、その言葉が必ずしも事実とは限らないのです。

そこで私たちが人間性を判断する基準は、性別を問わず、その候補者に「かわいさ」を感じられるかどうかになります。単にハンサムであるとか美人であるとか(もちろん容姿は良いに越したことはありませんが)にとらわれず、その人を「かわいい」=「人間として好ましい」と思えるかどうか、が問題となってくるのです。

声や話し方、言葉の使い方、しぐさ、表情など、その人の内面からにじみ出てくるようなかわいらしさは、いくら頑張って作ろうと思っても決してマネできるものではありません。逆に、プーチン大統領のように実際には冷血な殺人者であっても、ふとした拍子にこぼれる笑顔などに、女性をはじめ一部の男性もかわいらしさをつい感じてしまうのです。
http://blogos.com/article/224069/


16 7月 2014, 18:41
プーチン大統領の支持率:ロシア大統領の人気には何が影響するのか?


世論調査によると、プーチン大統領の支持率は現在およそ80パーセント。一方で専門家たちは、この傾向が今後も続くとの確信は示しておらず、政府の経済プランと野党の行動が、国民の気分に変化を与える可能性もあるとの見方を示している。政治分析センターの報告書の中で発表された。


ロシア人の圧倒的大多数(80パーセント)が、すでに数ヶ月間にわたり、プーチン氏の大統領としての活動は成功しており、完全に国民の関心に応えているとの確信を表している。政治分析センターの依頼で実施された世論調査によると、最近2年間で国民の25パーセントがプーチン大統領への「態度を改善」した。プーチン大統領への「態度を悪化」したのは、たったの4パーセントだった。

なお、プーチン大統領を支持する年齢層が上がるとの予測は覆されている。プーチン大統領の政策を支持する大学生の数は、年金受給者の数と等しく、プーチン大統領を支持する人々の3分の1を占めている。政治分析センターのパーヴェル・ダニリン氏は、次のように語っている。

「ソチ五輪の成功とクリミアの出来事は、メドヴェージェフ政権時代にプーチン氏の支持者ではなくなった多くの有権者たちが、再びプーチン大統領の支持者に加わるための原動力となった。そのほか最近では、今まで一度もプーチン大統領を支持したことのなかった人々も、プーチン大統領の支持者となっている。」

国家戦略研究所のミハイル・レミゾフ所長は、プーチン大統領は3期目の大統領に就任後、社会にとって最も切実な社会・経済問題の解決に取り組み始めたと述べ、次のように語っている。

「プーチン大統領は、2000年代初頭に存在し、後回しにされていた社会問題に着手した。これは、社会における国家公務員や軍人の立場に関するものだ。国家公務員や軍人の給与は、受け入れ可能な水準にまで引き上げられた。また経済の脱オフショア化にも取り組み始め、この政策の方向性が決められた。これは、社会の期待と一致している。」

社会の大多数がプーチン大統領の活動を支持したことで、ロシアの野党陣営は著しく縮小した。一方で、プーチン大統領の支持率に影響を及ぼす可能性のある経済および社会分野には、不安定要素がある。レミゾフ氏は、政府は消費税を引き上げ、年金額の物価スライドを一的に凍結する計画であり、これがプーチン大統領の支持率にネガティブな影響を与える可能性があるとの見方を示し、次のように語っている。

「ロシア社会では一部のみしか実現されていないいくつかの要求がある。その一つは、社会的および経済的正義だ。2つ目は、大量の移民や民族がらみの犯罪と関連する一連の民族問題だ。このテーマは、社会が憂慮する事柄の上位リストに安定して含まれており、これに関する政府の行動はまだそれほど効果的ではない」。

プーチン大統領の国内における政治的立場の強さは、大統領がどれほど社会の要求に応えることができるかにかかっている。
http://japanese.ruvr.ru/2014_07_16/274714419/

プーチン大統領がロシアから叩き出したい5つのものとは? 2014-07-06


ロシアのプーチン大統領が嫌いなものは何か。

まず、同性愛者だ。それは欧米的価値観から生まれた「病気」だからだという見解だ。

次にプーチン大統領が嫌いなものは何か。それは、移民だ。移民はロシア人の仕事を奪う者たちであるという見解だ。

もちろん、プーチン大統領は、ユーロ圏にはびこっている「多文化主義」も大嫌いだ。多文化主義はロシアの文化を破壊するものであると認識している。

プーチン大統領は、自分に敵対する存在も嫌っている。何よりも信用ならないと思っているのはアメリカで、その次にヨーロッパだ。中国も日本も信用していない。

プーチン大統領は、メディアも大嫌いだ。メディアはあることないことを垂れ流して国民を煽動する存在なので、有害だとすら考えている。

プーチン大統領はNGO(非政府組織)も嫌いだ。NGOは、外国の有害組織の隠れ蓑になっていると考えており、放置しておけば、いずれ反社会勢力になると信じている。


プーチン大統領がロシアから叩き出したい5つ

プーチン大統領は、だからこういったものを根こそぎ制限し、ロシアから叩き出すつもりでいる。

ここに上げたものはすべて欧米のグローバル資本がその国の国家主権を崩壊させるための「道具」であると、プーチンは考えているようだ。

同性愛の容認は、ロシアが古くから持っている道徳観を破壊する道具。移民の容認は、ロシア人の仕事を破壊する道具。多文化主義もロシアのアイデンティティを崩壊させるための道具。メディアもロシアの世論を動揺させるための道具。NGOはロシアで破壊工作をするための隠れ蓑の道具。

分かりやすく言うと、プーチン大統領は、このように考えているのだ。

(1)同性愛は、その国の性の価値観を破壊する。
(2)移民は、その国の職業的安定を破壊する。
(3)多文化主義は、その国の文化を破壊する。
(4)メディアは、その国の世論を破壊する。
(5)NGOは、その国を裏側から破壊工作する。

欧米のメディアはこうしたプーチン大統領の「締め上げ」を被害妄想だと批判している。

しかし、実のところ欧米ではプーチンが嫌っているこれらのものは、すべてがこれを取り入れた国で大きな問題を引き起こしているのも事実だ。

実は今、この5つを否定する政治家・指導者は、トップに立てない世の中になっている。あるいは、トップになっても激しく批判されて追い落とされる世の中になっている。


プーチン大統領は、反政府運動をすべてグローバル主義者が裏で煽動していると考えている。こういったデモは、ロシアでは徹底的に封じ込められていく。


グローバル化とは、実は国家破壊の動き

逆にこの5つを受け入れた国は、何を受け入れたと言われるのか。それは「グローバル化を受け入れた国」と言われる。

そう考えると、グローバル化とは何かという根源的な問いかけが見えてくるはずだ。グローバル化とは、実は国家破壊の動きなのである。

プーチン大統領がエリツィンの後継として大統領になってからまずしたのは、ロシアからオリガルヒ(新興財閥)を徹底的に駆除することだったが、このオリガルヒの多くは、ユダヤ人だった。

言うまでもなく、ユダヤ人は歴史的に国を持たず、全世界に流浪して定着している民族である。そして、上記の5つは、すべてユダヤ人のアイデンティティとなっているものでもある。

プーチン大統領は、実質的にユダヤ人をロシアから追い出すことによって、グローバル主義をロシアから追い出した。

ユダヤ人の政策を拒絶することを欧米では「反グローバリズム」と呼ぶ。今、プーチン大統領は反グローバリスト、あるいは独裁者と欧米から呼び捨てにされている。

そう考えると、今ロシアで起きているのは、プーチン大統領という保守派と、ユダヤ人というグローバル派の激しい権力闘争であるというのが分かる。

たとえば、プーチン大統領はアンドレイ・ルゴボイ議員を使って二重国籍取得を非合法化する動きを進めているが、これも「ロシア人のなりすまし」を防止するためであり、グローバル派の締め上げである。

内務省の全職員の出国を禁じているが、これも「グローバル派への寝返り」を防止するためのものである。

欧米メディアは必死になってプーチン大統領を権力の座から追い落とそうとしているが、隙を見せないプーチン大統領は、より強行にロシア文化の防衛に走っており、ロシア人の多くはこれに賛同している。


プーチン大統領がエリツィンの後継として大統領になってからまずしたのは、ロシアからオリガルヒ(新興財閥)を徹底的に駆除することだった。


ロシアは断固としてそれを拒否する方向で動いている

こういった動きはもちろん、ロシア経済を縮小させるものであり、実際にロシア経済、ロシア株式市場は暴落したまま停滞に入っている。ロシアは厳しい状況になる。

しかし、ロシア国民の多くは、ユダヤ人オリガルヒに国富をすべて奪われつつあったエリツィン時代の惨状を覚えている。したがって、「あんな時代になるのであれば絶対にプーチン大統領を支持する」という声の方が大きい。

つまり、ロシア国民はほとんど誰も民主化やグローバル化を望んでいない。

ヨーロッパはそれを受け入れたかもしれないが、ロシアは断固としてそれを拒否する方向で動いているのである。

プーチン大統領は、グローバル化によるロシア破壊を撥ね飛ばすために、着々と独裁化を推し進めているが、その独裁化も「ロシアには強い指導者が必要だ」ということで容認されているのが現状だ。

世界全体がグローバル化に飲まれていこうとしている今、公然としてグローバル化に反旗を翻しているロシアには勝算があるのだろうか。

この結論は、まだ簡単には出ない可能性は高い。

ユーロ圏はグローバル派が天下を取ったと思われていたが、現在、欧米のあちこちの国で極右政党が台頭してきている。

これらの政党は、多文化主義も移民も猛烈な勢いで吹き飛ばそうとしている。各国の国民がその極右政党を支持しており、今までの政治家との乖離が非常に大きなものへとなっている。

今まで国際世論から無視されて見えてこなかった「反グローバリズム」の動きが、いよいよ顕在化しつつあるのが、ロシアのプーチン大統領の動きで明確になってきた。


「反グローバリズム」の動きが、いよいよ顕在化しつつあるのが、ロシアのプーチン大統領の動きで明確になってきた。
http://www.bllackz.net/blackasia/content/20140707T0113040900.html


1998年8月17日のデフォルト(債務不履行)


ロシアは1990年代にはすでに経済的に行き詰まってボロボロになってしまっていた。そして、そのクライマックスは1998年8月17日に来た。

ロシア政府はこの日、ルーブルの切り下げとデフォルトを余儀なくされ、外資の流入がストップして輸入も大幅に落ち込み、国家が事実上崩壊してしまったのである。

ロシアがこうなる予兆は前々から予測されていた。エリツィン大統領は1997年に健康を害してレイムダックになっていたし、政権は何とか維持していたが、もはやその弱体ぶりは誰の目にも明らかだった。

そして、その年にはアジア通貨危機が勃発していて、バーツが売り込まれたように、今度はルーブルが激しく売り崩されて危機が高まっていった。

やがてロシアが頼りにしている主要な外貨獲得の元である原油が暴落するに至って、ロシア政府もIMFも御しがたいほどのルーブル売りが勃発し、この国はとうとうデフォルトに追い込まれてしまったのだった。

国が崩壊したら何が起きるのか。

それは行政の停止と、企業の倒産と、飢える国民の徘徊である。ロシアの国民は物資も貯金も仕事も一気に失って、貧困のどん底に突き落とされた。

年金暮らしの老人が物乞いとなってモスクワの街のゴミ箱を漁っている光景や、家財道具も何もない小屋の中で飢える我が子を呆然と見つめる母親の写真などが記事になったのはこの頃だ。

ロシアが破綻したために、ロシア圏全体が極度の貧困に堕ちていった。

ロシア圏の女性たちは1990年代から売り飛ばされていたが、このデフォルト以来、その動きはさらに加速して、2000年に入ると、とうとうアジアにまで到達するようになっていた。

ロシア系の女性は美しい。彼女たちはロシア・マフィアにとっては素晴らしい「商品」だったし、美しい女性に対する需要はどこにでもあった。

かくして、アジアのあちこちの国で、ロシア圏の女性が人形のように立って男に拾われるのを待つようになった。

このあたりの状況はブラックアジアにも取り上げたことがある。

(マイクズ・プレイス。緑の虹彩を持った女性とロシアの崩壊
http://www.bllackz.net/blackasia/content/20120116T2045350900.html


「私は敵と寝てるのよ」と彼女は言った

国が崩壊した後、ロシア女性は「こんな生活は嫌いだ」と言いながら、セックス産業から逃れられなかった。

今でもタイやシンガポールでは当たり前のようにプターナ(ロシア人娼婦)の姿を見るが、2000年当時は日本にも「外人パブ」なるものができていた。

そこに所属していた金髪白人は、大抵がロシア系だった。サハリン経由やウラジオストック経由で現地マフィアと組織暴力団のルートでロシア女性が入ってきていたのだった。

また当時は、サイパンやハワイでもロシア女性が高級ホステスとして働いていたのは知る人ぞ知る事実である。

プターナと呼ばれる彼女たちの裏には「オリガルヒ」と呼ばれるロシアの新興財閥が絡んでいたのだが、彼らの存在は早い話がマフィアの類いだった。

ロシア女性を人身売買して金を儲けたのだから、マフィアという以外に言葉がない。

この時期にインタビューした女性のひとりは、その状況を当時のジュリア・ロバーツの映画に引っ掛けてこう言った。

"I"m sleeping with the enemy."
(私は敵と寝てるのよ)

ところが、強い酒を煽る殺伐としたプターナの姿は2005年あたりから急激に歓楽街から消えていくことになる。

今度は何が起きたのか。

まず、2004年から原油価格が徐々に上昇していってロシア経済がフル回転を始め、プーチンの政治手腕が冴えて国際社会にロシアの影響力が回復していったのだ。

プーチン時代と石油高騰時代は重なっており、逆に言うとプーチンがあれほどまでロシアで絶大な支持を得ることができたのは、原油価格の高騰に助けられたことも大きかった。

そして、2014年。

今度は時計が逆回転するように、ロシアの状況が悪くなっている。これがロシア女性を追い詰める可能性がある。欧米の経済制裁が勝つのか、それとも猛烈な逆風を何度も切り返してきたプーチンがまた危機をすり抜けるのか。

状況は流動的だが、ロシアには再び激動の時代がやってきているのは間違いない。


果たして、プーチン大統領はロシア女性を守ることができるのか。今後のロシアは綱渡りの政治となる。プーチン大統領が命運を握っている
http://www.bllackz.net/blackasia/content/20140718T0527290900.html

金融の自由化はISOによってではなく、グローバル化なる経済用語あるいは
新自由主義なる政治用語によって露骨に国家間の争いとして実現されてきた。
ここにおける戦いが逆にISOを規定してきたといえるのである。
 それは98年8月27日、史上3番目の米欧での株の大暴落という劇的な形で始まった。
米12%、英13%、独18%の暴落だった。翌日アジアに波及する。日本19%香港33%
マレーシア59%。仕掛けはニューヨーク株式市場だった。この点に注目しておいて
いただきたい

ロシア売りである。直撃を受けてロシアの株価は実に84%も下落する。
一夜にして価値が6分の1に下落してしまったのである。

 この資金は「Hot Money」と称せられ、公式的には短期資金とされHedge Fund
とされる。資金の源は「ソ連邦崩壊により軍需に回されていた資金が民間に回り、
金融市場にあふれた」からとされているが、鵜呑みにするわけにはいかない。
軍需に回されていた資金の源は?民間に回される?馬脚が出ているのである。
公的資金が隠匿された回路を通って市場に投入されていることを自ら暴露して
しまっている。隠匿されているので分からないが、ヘッジファンドの資金のかなり
の部分が米では政府筋から出ている可能性がある。


1990年代初頭の旧ソ連と東欧の民主化は、西側諸国にとってあらたな潜在的脅威を生んだ。それまで共産圏内に閉じ込められていた高い技術力、技術開発力、先端科学が開放され、西側先端産業を脅かすことになるからだ。民主化の過程で、これら先端科学や先端技術を破壊する必要があった。旧ソ連と東欧の民主化、自由主義経済への移行過程に、IMFと世界銀行が深く関わることになる。

両機関の政策により、旧共産圏の経済生産は半分に落ち込んだとも言われる。また、経済の全域が商業マフィアに乗っ取られ、正常な経済活動が営まれなくなった。先端産業は発展の道を封鎖され、科学者や技術者は失業するか西側企業に格安で雇われることになった。IMFと世界銀行は、旧共産圏の経済を見事なまでに破壊し、国民生活を世界最低レベルにまで落とした。

かつての旧ソ連、東欧での生活水準はけっして高くはなかった。しかし、教育や医療など中心的な社会サービスは無料で提供され、完全雇用が約束されていた。しかし、IMFと世界銀行の指針により、社会保障制度は自ら財源を確保しなければならなくなった。教育、医療は有料化され、多くの人々が教育と医療を受ける権利を剥奪された。かつて西側先進国をしのぐほどの高い教育・医療レベルも維持できなくなった。

旧共産圏は、経済や産業だけでなく、教育、医療、福祉、文化、芸術、スポーツなどあらゆる分野が瓦解し、第三世界化してしまった。かくして、旧ソ連は西側先端産業にとって何の脅威でもなくなった。ヨーロッパ産業にとっては、すぐ隣に低賃金の労働市場が誕生したことを意味する。以降、東欧諸国は、西側ヨーロッパ産業に低賃金労働を提供するだけの存在となってしまった。


IMFによる「改革」によってロシア経済は混乱を増幅させ、IMFが決めた追加支援の
実行を求めるロシアのキリエンコ首相に米は拒否を通告、2日後のルーブルの大幅
切り下げ、そしてついには外為取引停止へと突き進んでいった。ロシア経済が立ち
直るのはエリツィン政権が終わり、IMFの言うことを聞かないプーチン政権が誕生
してからのことである。

 とすると、IMFで意図的にロシア経済を米欧に都合のいい状態に置き、その
締めくくりとしてロシア売りを仕掛け、世界的株価暴落を実現したと考えることも
出来る。

全てを「政府の手を離れた」「国境を越えた」ヘッジファンドのせいにする論調
ばかりが見受けられるが、よく考えてみる必要がありそうだ。そもそもIMFは米が
中心になって「社会主義諸国圏」を包囲し、帝国主義諸国間の金融を安定させる
ために作られた組織である。そのIMFのロシア資本主義化計画に基づいてロシアは
経済を運営したのだが、計画をしてその実行段階に入ってしまった後に米国が資金
提供を拒否するというシナリオは、非人為的なものだろうか。意図的であれ意図的
でないにせよ、人為的所為であることは確かである。

ロシアで何が為されたかを検討してみよう。91年の国有企業就労人口は78%程度
であったものが5年後の96年には38%となり、民間企業と逆転する。この間、
外資企業は1000から15000近くとなる。国営企業は株式化され株式売却益を国家
財政に返納するという方式すら採ることが出来ず、安値で個人に売却されるという
形しか採れなかった。国家財の収奪である。収奪された富は民営化された企業の
初期赤字という形で移転されていく。どこに移転したのかといえば、赤字に
ならざるをえない環境=すなわち国際環境に吸収されていったのである。
要するに外国資本が入り組んだ形で少量ずつの分け前にあずかるという形式で
ロシア国外に移転されたのである。

他方、民営化は外資が入り込むという形で急速に進展したのである。外資が入り
込みやすくするために国営・公営企業が急速に解体させられていったのである。
そしてこれこそがIMFの方針の確固とした部分だったのである。

 瞬時に国境を越える資金による恫喝とその実行を背景に、米国資本の利害に
連邦政府がその手先として地ならしをするというのがその実態だったのである。

日本もそうであり、ISOやIMFはその国家形態をとった手段だったのである。

http://www.hibana.org/


アメリカがロシアにしたこと:

・1992年1月に開始されたIMF式「ショック療法」は、ロシアの民族資本主義への移行の可能性を最初から排除させるものであった。西側の目的は、どのようにしてロシアを手なづけ従属させ、ロシア経済の長所である先進科学、人的資源、知的財産権を奪うかにあった。

・IMFとエリツィンが主導する経済改革はアフリカとラテンアメリカの債務国に強要された構造調整プログラムのコピー版が適用されたのだった。この経済改革で物価が100倍以上に跳ね上がったと言われている。IMF関係者によると、国民の購買力が非常に高く過剰流動性を吸収しなければいけないと述べていた。マクロ経済政策が実施されると、生活水準は下落し、第二次対戦の時のほうが食べるものがあったという声があるほどだった。

・冷戦は実際に破壊なく進行した戦争であったが、マクロ経済政策という武器を通して、敗戦国の経済を瓦解させながら、幕を下ろした。市民社会は破壊、経済活動の領域が犯罪の巣窟になり、国家の財産が奪取され、黒い金がロンダリングされ、資本は海外へと流出した。さらに、商業銀行の半数以上を地域マフィアが掌握、モスクワの不動産の半分を犯罪組織が所有しているのだ。

◆国家財産の安価購入◆

・新興富裕層は、法外に儲けた金で国家財産をただ同然の安価で買ったり、政府の民営化計画を通して民営化企業を買ったりした。先端のミサイル生産施設は、100万ドルあれば買うことができ、モスクワの中心にあるホテルは、パリにあるアパート一軒の値段より安く取引された。


◆膠着状態に陥ったIMFの改革政策◆

・1992年末に、イェゴール・ガイダル首相の指揮で進められていたIMFの改革政策は、議会だけでなく、中央銀行からも猛反対にあった。中央銀行総裁はIMFの勧告とは反対に国営企業に貸出しを拡大し、代わりに保健医療、教育、年金の削減を盛り込んだ、「対案的経済政策計画」を発表したが、ガイダル首相が解任されると、その計画は実行されなかった。
・そして相次ぐ議会の反対から、1993年9月21日にエリツィンが大統領令を布告し、議会の両院を解散させた。

◆西側諸国のエリツィン支援◆

・1993年末にはいって、ロシアの資本は海外流出によって枯渇状態になってしまっていた。その年の国際収支赤字は400億ドルで、1993年に東京で開かれたG7首脳会議で決定した430億ドルの援助に匹敵する額であった。同年バンクーバー・サミットで締結された米国とロシアの二国間協約に従って、クリントン大統領は16億ドルの支援をすると約束したが、これにはたくさんの条件が付けられており、ロシアは自由に使えなかった。


◆債務返済の足かせ◆

・1993年9月議会の抵抗を制圧したロシア政府は、債権金融団との債務交渉戦略を修正した。1993年10月初め、フランクフルトでロンドン・クラブ会議が開かれた。そこでロシア交渉団は、商業債務返済は必ず守らせると断言した。この会議で、治外法権放棄を除外してはロンドン・クラブが提示したすべての条件を受け入れた。そして、国際収支の危機、悪性債務の蓄積によってロシアは、事実上の支払い不能状態に陥るようになった。今やロシアは卑屈で従順な第三世界国家へと転落してしまい、債務と構造調整という沼に落ちてしまった。

◆市民社会の崩壊◆

・ロシア国民は両極化し、民主主義を導入後は、雇用に関しては最悪の結果で1993年には産業施設の半分以上が閉鎖倒産した。1994年の公式統計によると、3万3千ほどの国営企業および集団農場に勤務する労働者の賃金が遅払いされた。

・問題は貧困化と大量失業だけではなく、ロシア社会の基礎、国家制度自体が破壊されており、ロシア連邦さえ瓦解する危険性があるのだ。
http://www.h3.dion.ne.jp/~ymuroi/02-1-zemi-03s-12.htm

1990年代初頭の旧ソ連と東欧の民主化は、西側諸国にとってあらたな潜在的脅威を
生んだ。それまで共産圏内に閉じ込められていた高い技術力、技術開発力、先端
科学が開放され、西側先端産業を脅かすことになるからだ。民主化の過程で、
これら先端科学や先端技術を破壊する必要があった。旧ソ連と東欧の民主化、
自由主義経済への移行過程に、IMFと世界銀行が深く関わることになる。

両機関の政策により、旧共産圏の経済生産は半分に落ち込んだとも言われる。
また、経済の全域が商業マフィアに乗っ取られ、正常な経済活動が営まれなくなった。
先端産業は発展の道を封鎖され、科学者や技術者は失業するか西側企業に格安で
雇われることになった。IMFと世界銀行は、旧共産圏の経済を見事なまでに破壊
し、国民生活を世界最低レベルにまで落とした。

かつての旧ソ連、東欧での生活水準はけっして高くはなかった。しかし、教育や
医療など中心的な社会サービスは無料で提供され、完全雇用が約束されていた。
しかし、IMFと世界銀行の指針により、社会保障制度は自ら財源を確保しなければならなくなった。
教育、医療は有料化され、多くの人々が教育と医療を受ける権利を剥奪された。
かつて西側先進国をしのぐほどの高い教育・医療レベルも維持できなくなった。

旧共産圏は、経済や産業だけでなく、教育、医療、福祉、文化、芸術、スポーツ
などあらゆる分野が瓦解し、第三世界化してしまった。かくして、旧ソ連は西側
先端産業にとって何の脅威でもなくなった。ヨーロッパ産業にとっては、すぐ隣に
低賃金の労働市場が誕生したことを意味する。以降、東欧諸国は、西側ヨーロッパ
産業に低賃金労働を提供するだけの存在となってしまった。
http://ime.nu/blog.goo.ne.jp/leonlobo/c/a9cbe326ad861948839e438fab6ebb5b


ロシアと社会主義

11日に発表された、ロシアの世論調査機関が行った国民意識調査によると、
ペレストロイカを失敗と見なした人が56%、
「1985年以前の体制を続けていれば生活水準は良くなっていたはず」とした
人が48%、
「ペレストロイカがなければ超大国の地位を維持できた」と答えた人は36%
に上ったという。

一般の日本人から考えると信じられない数字かもしれない。
西側メディアのプロパガンダによって、旧ソ連も人たちも今の北朝鮮の人の
ような生活を送っていたと考える人が大半なようだが、実情はそんな悪いもの
ではなかったと思う。

確かにモノ=商品は質が悪く、流通量も少なかったが、
きちんと働いていれば、生活に困ることはなかったし、老後も安心して
過ごせたのだ。病院も学校もタダだった。
今は、1割のお金がある人は良い生活を、残りの9割の人は食うや食わずで1日中働く。
男性の平均寿命を見ると面白い。
85年には63才ぐらいだったものが、10年後には55才を下回ってしまったのだ。

もともと社会主義は競争を否定し、(成長を犠牲にして)平等と共生を重視する理念だった。
しかし、冷戦構造に巻き込まれ、米国と真っ向から世界対立する路線を進んだために、
資本主義と競争する羽目になり、戦時態勢をずっと続けるようなことになってしまった。
本来なら2次大戦が終わった時点で、軍事から民生重視に産業を移行するべきだったものが
できなかった。その辺にソ連崩壊の最大の理由があるのではないか。

24時間仕事と金のことばかり考え、生き馬の目を抜くような人生しか
送れないのが、資本主義社会の本当の姿だと思う。
http://kenuchka.paslog.jp/article/11458.html


オリガルヒ

1990年代後半のロシアには、7人の大資本家がいた。ボリス・ベレゾフスキー、
ウラジミル・グシンスキー、ミハイル・ホドルコフスキー、ウラジミル・ポタニン、
ミハイル・フリードマン、ウラジミル・ビノグラドフ、アレクサンダー・スモレンスキー
の7人で、彼らは「オリガルヒ」と呼ばれてきた。

 オリガルヒは、最年長が1946年生まれのベレゾフスキーで、いずれも
20−30歳代だった1980年代後半に、ソ連でペレストロイカの経済自由化
が行われたときに個人でビジネスを開始した。

 1987年にソ連で銀行の設立が自由化された際に相次いで金融業に進出し、
1991年にソ連が崩壊した後、為替市場で通貨ルーブルの下落を利用した
取引で儲け、経済システムが変わって財政難に陥った中央や地方の役所に
その金を融資することで権力の中枢に食い込み、儲けを急拡大させた。

 何人かのオリガルヒはテレビや新聞などのマスコミ企業を買収し、
自分たちを敵視する政治家を攻撃するキャンペーンを展開できるようにした。
オリガルヒは「7人合わせるとロシア経済の半分を支配している」とベレゾフスキー
が豪語するまでになった。

1996年の選挙でエリツィン大統領が再選を狙った際、オリガルヒたちは
こぞってエリツィンに選挙資金を出した。「ショック療法」と呼ばれた
エリツィンの経済改革は、従来のソ連型経済を一気に破壊するもので、経済活動
の停止とインフレにより一般の人々の生活を苦しくする一方、オリガルヒら
一部の金持ちをますます富ませるだけだったため、多くの人々は不満を持ち、
共産党系の対立候補を支持する姿勢を見せた。

 ORT(ロシア公共テレビ)とTV6という2つのテレビ局を所有する
ベレゾフスキー、NTVを所有するグシンスキーらは、選挙戦の時期に
エリツィンを支援するマスコミ戦略を展開し、エリツィンを続投させてやった。
選挙後、政府に対するオリガルヒの影響力は強まり、人々はエリツィン政権
を「7人の銀行家による統治」(semibankirshchina)と呼んだ。


人のオリガルヒのうち、ベレゾフスキー、グシンスキー、ホドルコフスキー、
フリードマン、スモレンスキーの5人がユダヤ人である。

ロシアのユダヤ人人口は、公式な統計では全人口の0・15%で、混血者を
含めても人口の約3%である。こんなに少ないのに、ロシアを支配する7人の
大富豪のうち5人がユダヤ人である。

「オリガルヒ」と呼ばれる人々は最有力の7人以外にもいるが、後発のオリガルヒ
にもユダヤ人は多い。たとえばベレゾフスキーの「弟子」で、昨年イギリス
のサッカーチームであるチェルシーを買収して有名になったローマン・アブラモビッチがそうだ。
エリツィン政権の民営化担当副首相からお手盛り行政で民営化した石油会社
UESの社長になり、オリガルヒの仲間入りをしたアナトリー・チュバイス
もユダヤ人である。

 また、オリガルヒの後押しを受けて首相に就任したセルゲイ・キリエンコ
(1998年4−8月)、エヴゲニー・プリマコフ(1998年9月−99年5月)
や、地方行政を成功させて1997年に副首相に抜擢されたボリス・ネムツォフなど、
政界にもユダヤ人が多い。

 前出の米のユダヤ系雑誌フォワード(97年4月号)は「ロシアを動かして
いる政治家や銀行家には、ユダヤ人が多すぎる」と懸念している。彼らの
多くは自分たちの財力や権力を拡大することにだけ熱心で、ロシアの一般市民
の生活が悪化するのを放置した。

クレムリンの中枢に入り込んだオリガルヒは、一時は権力を磐石にしたかに
見えた。だが、2000年の大統領選挙でプーチンを当選させた後、子飼い
のはずのプーチンに反撃され、権力と財力を一気に失うことになった。
http://ime.nu/tanakanews.com/e0309russia.htm


イギリスのスパイだったオリガルヒ

イギリスは、冷戦を起こして欧米にロシア敵視戦略をとらせただけでなく、冷戦後は、欧米中心の国際社会に入れてもらえるものと考えて、国有企業の民営化などの市場原理導入を進めたロシアを逆手にとって混乱させる戦略を続けた。

 冷戦後のロシアでは「オリガルヒ(オリガーキー)」と呼ばれる何十人かの新興財閥が登場した。彼らは、民営化される国有企業の株を巧みに買い漁り、石油や鉱物資源など、ロシアの主要な産業を買い占めた。彼らは、資金力を使って政界に入り込み、エリツィン政権の中枢に入ってロシア政府を牛耳ったが、その時期のロシアは国民が貧しくなり、治安は悪化し、ひどい状態だった。

 このロシアの窮状を救ったのが、2000年から大統領になったプーチンの政権で、主要なオリガルヒに相次いで脱税などの罪をかけて逮捕し、民営化のどさくさの中でオリガルヒが取得したエネルギーなど主要産業を没収し、再国有化した。オリガルヒの何人かは海外に亡命したが、その行き先はみんなイギリスだった(イスラエルに亡命した者も少数いる)。(関連記事)

 オリガルヒの多くは、最初から企業の買収や経営の技能があったわけではなく、ソ連崩壊までは、技術者や教師など、企業の買収や経営とは全く関係ない仕事に就いていた。ノウハウのない彼らが、どうやって数年間で新興財閥にのし上がったのか。そして、プーチンに退治された後の亡命先が、なぜみんなイギリスなのか。


おそらくオリガルヒたちは、イギリスが冷戦後のロシアを弱体化させておくために支援した勢力である。イギリスは冷戦時代から、イスラエルとつながりがあるユダヤ系ロシア人などを使って、ソ連国内にある程度のスパイ網を持ち、冷戦後はスパイ網を一挙に拡大させ、その過程で接点があった何人かのロシア人に企業買収の情報やノウハウ、資金などを供給し、オリガルヒとして台頭させたのだろう。オリガルヒの多くはユダヤ系だ。(関連記事)

 エリツィンに評価され、2000年に大統領となったプーチンは、おそらく就任前から、オリガルヒを退治して、彼らが私物化していたエネルギーや鉱物資源の企業を没収して再国有化することを目標としていた。プーチンは諜報機関KGBの出身だから、イギリスがロシアでスパイをやったり、オリガルヒを使って混乱を助長していたことは、よく知っていたはずだ。強いロシアを取り戻すためには、イギリスによる破壊活動を止める必要があった。

▼イギリスとのスパイ戦争に勝つロシア

 米英がイラク占領に失敗し、世界的に外交力を失った2006年ごろまでには、プーチンはオリガルヒ退治を完了し、黒幕であるイギリスをロシアから追い出す戦略に着手した。イギリス系の石油会社が冷戦後にオリガルヒから買った石油開発権などを、次々と理由をつけて安く手放させ、再国有化した。

 昨年には、イギリスに亡命したオリガルヒであるベレゾフスキーの手下として動いていたロシア人リトビネンコが、放射性物質で謎の死を遂げる事件があったが、これも英露どちらが仕掛けたのかはわからないものの、英露のスパイ間の戦いであろう。ロシア政府は最近、モスクワなどにあるブリティッシュ・カウンシル(英政府の文化交流施設)が、スパイ行為を行っているとして閉鎖を命じた。これも英露のスパイ戦争であり、英マスコミが報じているような、ロシアによる無根拠な攻撃ではない。


3月19日には、イギリスの石油会社BPがロシア企業と合弁で作っているモスクワの石油ガス会社に、ロシア当局が強制捜査に入り、翌日にはロシア人従業員らがスパイ容疑で逮捕された。ロシア政府は、BPがロシア国内に持っている石油ガスの利権を没収(格安買い上げ)することを狙っている、と英側は考えている。この合弁企業の油田の産油量はロシア第3位で、BPは全社的な原油生産量の2割を、この合弁会社の油田から出している。(関連記事その1、その2)

 ロシア政府は、欧米全体を標的にしているように受け取られているが、必ずしもそうではない。BPの合弁会社がロシア当局に強制捜査され、対露投資を奪われる過程に入った翌日、フランスの石油ガス会社トタールの幹部は米AP通信社の取材に応えて「石油ガス部門におけるロシアの投資環境は安定している。ロシア政府のガス会社ガスプロムと、新たなガス田を開発したい」と述べている。(関連記事)

 英露間のスパイ戦争は、2000年にプーチン大統領が就任するまではイギリスの優勢だったが、その後はロシアが巻き返し、今では完全にロシアの勝ちになっている。ロシアの次期大統領になるメドベージェフは、若いころからのプーチンの忠実な部下だから、イギリスを痛めつけるロシアの戦略は、今後も変わらないだろう。
http://tanakanews.com/080325UK.htm


共産主義体制崩壊後のロシアの政治を、日本では、改革派(民主系)と保守派
(旧共産党系)の対立を軸にしたものとしてとらえ、そこに中間派系、民族派系
などの諸派が絡んだ政争の流れとして見ている。しかし、本当の問題は民族
闘争なのである。ロシア人とユダヤ人の対決、それがロシアで起きていること
の根本にあることである。


1991年8月、世界を揺るがしたソ連のクーデターはあっけない失敗に
終わった。しかしその結果起きたことは、紛れもない革命だった。これは
ユダヤ人によるクーデターであり、「ユダヤ第二革命」と呼ぶべきものだった。
過激派のユダヤ人たちは、穏健なゴルバチョフ政権を倒して自らが政権を
握ろうとしたのである。クーデター失敗後、エリツィン・グループが政権を
握ったが、エリツィン大統領を取り巻くロシア政府高官のほとんどがユダヤ人
であった。

エリツィンはユダヤ人の妻を持つが、彼自身は純粋のロシア人である。しかし
彼は頭が悪く、しかもアルコール中毒である。彼は使われているロボットに
すぎない。彼の補佐官は80%がユダヤ人であり、彼の補佐官の中には20人
のアメリカ人がいた。そのアメリカ人の中でも指導的な役割を果たしている
のは、ジェフリー・サックスというハーバード大学の教授であり、もちろん
ユダヤ人である。

ロシア国内のユダヤ人たちは、8月クーデターでロシア政府内の実権を握った
ことを幸いに、次に海外のユダヤ人と相呼応して、ロシア経済を支配下に
置こうとした。そのため、欧米の、中でもアメリカのユダヤ資本が怒涛の
ようにロシアになだれ込むことになったのである。

エリツィンと取り巻きのユダヤ人たちは、8月クーデター以後、急進的な市場
開放路線を議会で承認させると、ガイダル政権を発足させた。そして年末の
連邦崩壊・CISの形成を経るや、一気に市場開放、価格自由化という
ショック療法を実行に移したのである。その結果ロシアでは、国際派ユダヤ人
による猛烈な「ゴールド・ラッシュ」が起きた。1991年8月クーデター
以後しばらくの間、ニューヨークからモスクワ行きの飛行機は、ほとんど
ユダヤ人たちに占められていた。

ユダヤ人はモスクワやサンクト・ペテルブルグ、キエフなどの大都会では力があるが、
農民や労働者の中にはユダヤ人はほとんどいない。これは喜ばしいことである。
さらに、ユダヤ人たちの影響はまだ地方にまでは及んでいない。ロシアの
地方には本当のロシアが残っている。

ロシア人たちの反発は、ロシア人によるユダヤからの解放運動として、すでに
地方に広がりはじめている。ロシア人たちは必ず自分たちのロシア人のリーダーを選ぶだろう。

以前ゴルバチョフはペレストロイカは地方からの革命ではなく「上からの革命」であると言った。
しかしこれは「革命」というよりは反ロシア的な陰謀であった。決して下からの解放運動、革命ではなかった。

私たちロシア人はすでに革命の歴史をもっている。最初の10月革命、これは
明らかにユダヤ革命だった。そしてまた、2年前の1991年8月にあった革命も、
ユダヤ革命であった。ロシア人たちはユダヤ革命はもう十分だと思っている。
我らはもうこれに我慢できない。ロシアのユダヤ人たちは、ロシアにおいて
悪質なことをやってきたし、今もやっている。しかし彼らはすでにやりすぎている。

今後、ロシア人とユダヤ人との闘いは、もっと激しくなっていくにちがいない。
やがてロシア人の解放運動が巻き起こるだろう。
http://ime.nu/inri.client.jp/hexagon/floorA4F_ha/a4fhb500.html


『罪と罰』の深層

私たち日本人の多くは、この小説をラスコーリニコフという一人の青年の心
の苦悶(くもん)として読むだろう。が、 ドストエフスキーは、この小説で
ロシア人とユダヤ人の葛藤(かっとう)を描こうとしたのである。

主人公ラスコーリニコフはまちがいなくロシア人である。そして高利貸の老婆
はユダヤ人を象徴している。ロシア人の読者には、この高利貸がユダヤ人を
意味していることがすぐにわかったはずである。そして娼婦ソーニャは、
ロシア文明を支え続けたロシア正教を表わしていると読むことができる。

ラスコーリニコフの苦悩は、そのままロシア人がユダヤ人に対して抱え込ま
された葛藤の、象徴的な表現なのであった。
http://ime.nu/www.coara.or.jp/~dost/5-1-2-3.htm 

プーチンの逆襲


4月25日に前ロシア大統領のエリティンが死んだ。ソ連を崩壊させ、ロシアに民主主義革命をもたらした立役者でありながら、彼の人気は、その後急速に崩壊した。それもそうだろう。経済オンチのエリティンはアメリカや世界銀行の言いなりになって国営企業を民間に売り渡し、ロシア経済を完全に破壊した。

 92年のGDP成長率は、マイナス14.5%で、インフレ率は2600%になった。1千万の貯金がなんと1年間で38万円になってしまう。これはお金が紙くず同然になるということだ。ロシアは92〜98年でGDPを43%も減らし、国家の財政は破綻し、国民は塗炭の苦しみを味わった。庶民の生活は最低で、平均寿命が毎年減少した。

 その一方で新興財閥がのさばった。エリツィン時代「クレムリンのゴッドファーザー」と呼ばれたベレゾフスキーは、「7人の新興財閥が、ロシアの50%の富を牛耳っている」と公言していたという。ベレゾフスキーは、99年、エリツィンの後継者にFSB(旧KGB)の長官のプーチンを選ぶ。彼はその見返りに自分の地位と富を保障してもらうつもりだった。

 ところが2000年、プーチンは大統領になると、ベレゾフスキーの一派をさっそく切り捨てた。当局から手のひらを返したような冷たい仕打ちを受け、横領や脱税の罪で追いつめられたベレゾフスキーは、たまらずイギリスに政治逃亡した。こうして新興財閥を退治すると、プーチンはふたたび歴史の針をもとにもどした。エリツィン政権下で次々と民営化された天然ガスなどの基幹産業はふたたび国営化された。

 この冷徹な独裁的指導者プーチンの人気がロシアではダントツである。就任以来一貫して70%台という驚異的人気をほこっている。理由は簡単明瞭である。財閥を退治し、海外資本を一掃して、国を豊かにし、庶民生活をよくしてくれたからだ。国民の平均月収は98年に80ドルだった。これがこの10年間で5倍の400ドルになった。彼が大統領に就任して以来、ロシア経済は順調に成長し、00〜06年まで平均7%の経済成長をつづけている。
http://ameblo.jp/renshi/entry-10032167761.html


ロシアのマスコミの多くはここ10年近く、オリガルヒ(大富豪)たちによる
企業買収の結果、彼らにとって都合の良い報道が流される傾向が強かった。
ロシアでは「オリガルヒが国有資産を私物化した結果、一般市民が貧しく
なった」と考えている人が多く、オリガルヒに対する批判が強いので、政府が
マスコミを検閲することが必要だと考えるロシア人が多いのだろう。

世論調査には「あなたが最も信頼している人(組織)はどれですか」という
質問もあり、それに対する回答は「プチン大統領」が50%で、「キリスト教会」が14%、
「政府」「軍」「マスコミ」が9%ずつ、「警察(司法当局)」が5%、
「議会(下院)」が4%、「どれも信用していない」が28%だった.

 ロシアでマスコミ不信が強いことと、プーチン大統領に対する信頼があついことは、
ひとつの現象の裏と表である。プーチンは2000年に大統領に就任した後、
前任者のエリツィン政権がオリガルヒに牛耳られていた状態だったのを脱却
し、しだいにオリガルヒとの対決姿勢を強め、何人かを亡命や投獄に追い込み、
残りを政府に従順な態度をとらざる得ない状態にした。

 ロシアの人々がプーチンを支持するのは、オリガルヒに対する反発と一体
になっている。オリガルヒを「退治」するたびに支持率を上げたプーチンは、
3月14日の大統領選挙で72%という高い得票率で再選を果たした。

プーチンは3月14日の選挙で圧勝して大統領に再選されたが、これによって
ますます強気になり、オリガルヒをロシアのエネルギー・地下資源などの業界
から追い出す動きを続けていくと予想される。そしてロシア国民の大半は
プーチンを「スターリン以来の強い指導者の登場」とみて支持している。
世論調査によるとロシア国民の64%が「ソ連の崩壊は残念だった」と考えて
いる。その多くは「ソ連時代のように世界と周辺諸国に対して強い態度を
とれる国に戻ってほしい」と考え、プーチンがロシアを再び強い国にして
くれることを望んでいると思われる

http://ime.nu/tanakanews.com/e0318russia.htm


ロシアの新興財閥・繁栄と没落の軌跡

「新興財閥」とは、1990年代後半以降ロシア経済を牛耳った【オルガルヒ(寡頭資本家)】という7人の資本家のことです。彼等は、20〜30代の若さで1980年代後半、ソ連でペレストロイカがはじまった時に金融業界で頭角を現し成功し(=混乱に乗じて「市場」から莫大な金を吸い上げ、ロシアという国家をしゃぶりつくし)、遂にはロシア政治をも支配するに至った人物たちです。

【オルガルヒ】は、ボリス・ベレゾフスキー、ウラジミル・グシンスキー、ミハイル・ホドルコフスキー、ウラジミル・ポタニン、ミハイル・フリードマン、ウラジミル・ビノグラドフ、アレクサンダー・スモレンスキー、の7人のことを指しますが、うち5人はユダヤ人です。「7人合わせるとロシア経済の半分を支配している」とベレゾフスキーが豪語するまでになっていましたが、まんざら誇張ではありませんでした。
1996年のロシア大統領選挙でエリツィンが選任されましたが、この再選は【オルガリヒ】の存在なしにはありえなかったのです。 【オルガルヒ】の狡猾なところは、金融業界のみならずロシア・マスコミをも支配したことにあり、この構図はアメリカとまったく同様ですね。彼等はメディアを利用して徹底的に「エリツィン再選キャンペーン」をはる一方で、対立候補に対しては醜悪なまでのネガティブ・キャンペーンをはり、それが見事に効を奏したわけです。

この時のキャンペーンの旗印(=奇麗事)は「自由主義」ですが、「自由主義」という言葉には歴史的に「ユダヤ人が市場をしゃぶりつくして金を”自由”に吸い上げることができる社会の実現」という意味が込められていることが少なくない、と注意する必要があります。


健康状態が悪化し大統領の責務に耐えられるはずもないエリツィンは、重病人であるからこそ【オルガルヒ】の操り人形として再選させれられたのであり、再任期間中の殆どを病床で過さざるをえず、当時のロシアを実質的に支配したのは【オルガルヒ】の頭目のベレゾフスキーでした。

この<金融業とマスコミを独占して、表(マスコミ)と裏(金)から政治を操る>という手法は、過去の歴史を通じてユダヤ人が得意とするところです。

ロシアでは現在、プーチン大統領により【オルガルヒ】はほぼ放逐されたのですが、実はプーチン自身、大統領候補として頭角を現したのは【オルガルヒ】の力(資本、マスコミ)に拠るところが大きかったのですから面白い。
プーチンがロシアで圧倒的な支持をえている背景には、このような事実(=【オルガルヒ】の力を利用して台頭しながら、ロシア社会に巣喰う【オルガルヒ】を放逐したということ)に基く、ロシア人のプーチンに寄せる政治的・民族的信頼感があることを理解しておくべきでしょう。

アメリカ、ヨーロッパ、中東と同様、ロシアという国の歴史は、「 vs ユダヤ人」という構図抜きには語れません。
また、ロシアを代表する重要人物にはユダヤ人が少なくない、ということもよくご存知でしょう。代表がレーニンで、トロツキーもそうです。また、ロシアではありませんが彼等に思想的影響を与えたマルクスやフロイトもユダヤ人です。
ユダヤ人迫害というとナチやヒトラーが有名ですが、ヨーロッパは全域的かつ伝統的にユダヤ人を迫害し続けていたのですし、実は今でもそういう面が少なくありません。ヒトラーよりもっと過酷にユダヤ人を迫害したのは、実はスターリンのほうなのです。
そういう来歴を有するユダヤ人にとって、経済活動の機会が保障される「自由主義」や「平等」という旗印は一般的に好ましいものです。


上で”この<金融業とマスコミを独占して、表(マスコミ)と裏(金)から政治を操る>という手法は、過去の歴史を通じてユダヤ人が得意とするところです”と書きましたが、本来ユダヤ人が得意とするところは金融業でした(シェークスピアの『ヴェニスの商人』をイメージしてください)。しかも、社会の混乱に乗じて<ハゲタカ>的に金を吸い上げる彼等独特の狡猾で冷酷な手法が、各地で反感をかっていたのです。最近では、アジア市場で同様のことが行われてもいます(ユダヤ系の金融資本が、日本の「バブル崩壊」に乗じて数十兆円とも数百兆円ともいわれる金を吸い上げていったのは記憶に新しいところですし、アジア各国で金融危機が生じるたびに彼等の跋扈が公然と囁かれていました)。

そういう彼等が、ソ連やナチスによる迫害を経て身につけたのが、所謂「プロパガンダ」の効能というものです。実はユダヤ人自身、欧州によるプロパガンダに散々やられ、非常に悪いイメージを植えつけられた、という苦い経験を有するのですが(その典型を『ヴェニスの商人』にみることができます)、それに習ってまずはアメリカで(金融業とともに)マスメディアを支配したわけです。

私はこのまえ”現在アメリカを舞台に繰り広げられている「慰安婦狂想曲」は米韓合作である”と評しましたが、米韓合作の「米」の<裏>の主体として「ユダヤ系」を想定していた、ということをここに白状しておきましょう。朝鮮半島という利権、マスメディアを通じたプロパガンダ、政治的な情報操作・・・・こういう判断材料が揃うと、嫌でも「ユダヤ」という文字が頭に浮かんできたという次第です。
http://wolf.accela.jp/cgi-bin/zatudanwa.cgi

ロシアではプーチン政権が政敵のオリガルヒ(欧米寄りの新興財閥)たちに
「脱税」などを容疑をかけて次々と倒し、オルガルヒが所有していた石油や
天然ガスの会社を没収し、再国有化し、ガスプロムなど数社に統合した.
折からの世界的な石油価格の高騰を受け、それまで赤字で欧米からの借金が
重荷だったロシアの政府財政は一気に黒字化し、プーチンは欧米から借りて
いた金を前倒しして返し、借金を理由に欧米から内政干渉されることを防げる
ようになった.
ロシアでは昨年末、プーチン政権が、外国から資金供給を受けている人権団体
や民主化団体の活動を禁止する法律を策定した。これは、欧米側から
「民主化や人権に対する弾圧である」と非難されているが、この問題で欧米
が「善」でプーチンが「悪」だと見るのは間違いである。

実際のところは、米英が「民主化」や「人権」の問題を誇張して非難し、
それを口実に、ロシア周辺の国々を政権転覆しようとする欧米(米英)側と、
それを防ごうとするプーチンのロシアとの「陣取り合戦」の中で、ロシアが
強くなり、欧米側が不利になっていることを示しているにすぎない
「サダム・フセインは悪だ」と思わせたのと同様、米英による「戦争」の一部
となっている。

1998年に東南アジアに始まった金融危機がロシアに波及し、ロシア経済
が崩壊した後、それまでロシアのエネルギー産業を所有していたオリガルヒ
たちは、自分たちの会社を欧米の石油会社などに売却する傾向を取り始めた。
これに対して「待った」をかけたのが、2000年に大統領になったプーチン
で、彼はオリガルヒを逮捕追放し、ロシアのエネルギー産業を国有化した。

大半がプーチンの支持者で構成されるロシア議会では昨年末、エネルギー産業
を外国人に売却することを禁止する法律が成立し、欧米がロシアのエネルギー
産業を牛耳る道は閉ざされた。これによって欧米が描いていた「ロシアの欧州化」
の構想も頓挫した。
http://ime.nu/tanakanews.com/g0112russia.htm


プーチン大統領は、冷戦後の10年間、弱い状態が続いていたロシアを、国家
経済の中心をなすエネルギー産業の再国有化と強化によって、強い状態に
戻しつつある.
エリツィンが大統領をしていた時代には、石油など資源産業は、ソ連崩壊後
に国有企業が民営化される過程で経営権を握った新興資本家「オリガルヒ」
たちに握られていた。オリガルヒは儲けた金で政治献金し、エリツィン政権
の中枢に座っていた。

 自由市場経済に転換した冷戦後のロシアでは、企業には名目上、納税義務が
あったが、取り立てる行政メカニズムが未整備だったため、誰も税金を払って
いなかった。プーチンはこれに目をつけ、オリガルヒたちに「脱税」容疑を
かけた。特に、最大の石油会社だったユコスに対しては、企業資産を凍結
した上で巨額の重加算税を科して支払不能に陥らせ、国有石油会社ロスネフチ
などに安値で買収させ、国有化してしまった.

まさに今のロシアは、経済も政治も、プーチンという「秘密警察出身の経済
マフィア」が一人で握っている独裁国家である。だがロシアの世論を見ると、
ロシア人は、以前のオリガルヒよりもプーチンの方を、はるかに強く支持して
いる。それは、オリガルヒが自分の金儲けを越えた大目標を持たず、エリツィン時代
のロシア政府を私物化して混乱させるばかりだったのに対し、プーチンは最初
から「ロシアを再び世界の強国にする」という国家的な目標を持って独裁政治
をやっているからだ。
 ロシア人の多くは、かつて強かったソ連を壊してしまったゴルバチョフを
嫌い、自国がソ連時代のような強い国に戻ることを望んでいる。資源を使って
ロシアを再強化するプーチンの戦略は、こうしたロシア人の気持ちに沿って
いる。

 プーチンは、ゴルバチョフとエリツィンが廃止した、ソ連時代の国歌や紋章
などを復活させる政策を採っており、これもロシア国民の多くに支持されている。
このような背景があったため、プーチンは2004年の大統領選挙で71%の
得票で再選され、プーチンの政党である「統一ロシア」は2003年の連邦議会選挙で圧勝した。
http://ime.nu/tanakanews.com/g0116russia.htm


ロシアの復活

 アメリカの戦略は奏功して、ロシアは90年代を通じて、ほ
とんどの年にマイナス成長を続けた。ところが98年にKGB出
身のプリマコフが首相となって金融危機を克服。翌年、これま
たKGB派閥のプーチンが首相に就任した年には、いきなり
5.4%のプラス成長に転じ、大統領となった2000年にはなんと
9%の高成長を記録した。その後も4〜7%のプラス成長を続
けている。

 その理由の第一はルーブル切り下げの効果である。ルーブル
の価値は、98年の金融危機以前に対して4分の一以下となり、
輸入品の値段が高騰して、国民は仕方なく「安かろう悪かろう」
の国産品を買うようになった。同時に輸出が急増した。これに
より一度は市場開放で壊滅状態に陥った国内産業が息を吹き返
した。

 第二は原油価格の高騰である。世界最大の原油供給地・中東
の情勢不安定、中国の石油需要急増により、原油が値上がりし、
石油大国ロシアの輸出収入が増大した。

 こうした環境の変化に上手く対応した政策も奏功した。まず
ロシア政府は石油会社が原油輸出で得た外貨の75%をルーブ
ルに換えることを義務づけた。これによりルーブルのさらなる
下落が食い止められた。

 同時に、今まで税金逃れをしていた新興財閥から税金を取り
立てるようになった。これでロシア国家財政も黒字に転換した。


ロシアは、経済面でもアメリカを追いつめようとしている。
この面でのアメリカの一極支配はすでに崩壊寸前なのである。
アメリカは世界一の財政赤字と貿易赤字を持つ国だからだ。

 米財務省の04年10月の発表によれば、米政府の借金は約7
兆4千億ドル(800兆円)、そのうち2.5兆ドル以上が対
外債務である。貿易赤字は03年通期で約5千億ドル(54兆円)。
毎月平均で4.5兆円ものドルが国外に流出していったことに
なる。

 アメリカが通常の国だったら、とっくの昔にドルは大暴落し、
財政は破綻していただろう。それが起きないのは、ドルが国際
貿易の基軸通貨であり、ドル紙幣さえ印刷していれば、他国か
らモノを買えるからである。したがって、たとえばユーロがも
う一つの基軸通貨となり、「もうドルは受け取らない。貿易代
金はユーロで払ってくれ」という国が増えたら、アメリカは一
気に破産状態に追い込まれる。アメリカを「ボロボロになった
覇権国家」と北野氏が呼ぶのは、このためだ。

 2000年9月に、イラクのフセインは「石油代金として、今後
一切ドルを受け取らない」と宣言した。ユーロを決済通貨とす
るというのである。当時、イラクは国連を通じてしか石油を売
れなかったが、その国連は「イラクの意向を受け入れる」と発
表した。

 フセインはこの時、アメリカという虎の尻尾を踏んでしまっ
たのである。これがイラク戦争の遠因となった。しかもこのフ
セインの宣言には、石油ドル体制を崩そうとするフランス・シ
ラク大統領が後ろ盾になっていた。


フランスはドイツとともに「ヨーロッパ合衆国」を建設し、
アメリカ一極体制崩壊を目論んでいる。そのために通貨統合に
よってユーロを創設し、基軸通貨の地位を奪おうとしている。

 アメリカの一極体制を終わらせようという点で、ロシアと独
仏は利害を同じくしている。プーチンは03年10月ドイツ首脳
との会談の席で、「私たちは、ロシア産原油輸出をユーロ建て
にする可能性を排除していない」と発言。数日後、モスクワを
訪れたドイセンバーグ欧州中央銀行(ECB)総裁は、「ロシ
アがユーロで石油を売るのは理にかなっているかもしれない」
という声明を発表した。

 石油大国ロシアの貿易相手の最大はEUで51%以上。それ
に対して、アメリカは5%以下。ロシア−EU間の貿易で、な
ぜドルを使わねばならないのか。ユーロ建てにするのは確かに
「理にかなっている」のである。

実はドルの暴落を防いでいる防波堤がもう一つある。日本が
アメリカ国債をせっせと買い支えていることだ。日本は中国や
北朝鮮などの軍事的脅威をアメリカの軍事力で守って貰い、そ
の代償としてドルを買い支えている[b]。だから北野氏は日本
がアメリカ幕府の「天領」、すなわち直轄地であるという。

 アメリカ幕府のもとで平和に慣れた日本人は、その天下とそ
れによる平和が永久に続くと考えている。だから、独仏露中が
アメリカの一極体制に挑戦しているなどという事には考え及ば
ない。
http://ime.nu/www.asyura2.com/0502/war67/msg/218.html

プーチンさんの時代、ロシアはどのように変貌したのでしょうか?

数字を見ると驚かれるでしょう。
 
ロシアのGDPは、2000年の2511億ドルから07年の1兆2237億
ドルまで、なんと約5倍化(!)。

すでにフランスを抜いている。

平均月収は、00年に約100ドルだったのが、07年は540ドルで
5.4倍(!)増加。

外貨準備高は、04年にはじめて1000億ドルを超え、3年後の
07年には4000億ドルを超え、世界3位に浮上。

株価指標RTSは、00年の200から07年には2000ポイントを突
破し10倍化。


まあ、善悪はともかく、なぜロシア国民が「独裁者プーチン」を
愛するのかわかるでしょう。

経済をボロボロにした民主主義者エリツィンより、ワンマンで
も生活を楽にしてくれるプーチンの方がよい。
http://www.asyura2.com/08/senkyo50/msg/146.html


ロシアも90年代は、依存国家でした。

しかし今は、自立国家になっています。


1、財政と経済の自立

プーチンが大統領に就任した00年から、ロシアはず〜と財政黒字の
国。

90年代は借金大国だったが、現在ほぼ完済。


2、軍事的自立

ロシアは、アメリカのMDを突破できる多弾頭ミサイルを完成させて
いて、アメリカも手出しできない。

アメリカが東欧MD配備や、NATO拡大を急ぐのは、ロシアの脅威を
感じているから。


3、食糧の自立

ソ連崩壊後ロシアの農業もボロボロになった。

それでも、世界有数の農業大国であることに変わりない。


4、エネルギーの自立

説明の必要なし。


5、精神の自立

ロシア人は共産主義教がインチキだとわかった後、アイデンティティ
ー・クライシスに陥りました。

しかし、現在はロシア正教・イスラム教・チベット仏教等の復興により、
危機は克服されたようです。


このように、プーチンは独裁者ですが、ロシアを「依存国家」から「自
立国家」に進化させました。


1991年12月、ソ連が崩壊しました。

新生ロシアの初代大統領は、故エリツィンさん。天下をとったものの、彼も共産主義国で生まれ育った。資本主義のことなんて全然知らない。
どうやって改革したらいいんだろう。

それで彼は、アメリカとIMFの勧告にしたがうことにした。内容は、

1、政府による経済管理の廃止 
2、大規模な民営化 
3、価格と貿易の自由化

エリツィンはわけもわからず、このアホな改革を実行します。

(なぜアホな改革なのか? 例えば、当時のソ連は物不足が深刻だった。トイレットペーパーを買うのに、2時間行列に並ぶ。そんな状態で価格を自由化すれば、ハイパーインフレになるにきまっている。

また、ソ連崩壊でルーブルが大暴落していた。

そんな状態で貿易を自由化すれば、これもハイパーインフレにな
るにきまっている。)


結果は悲惨。

改革初年度92年のGDP成長率はマイナス14.5%(!)。

インフレ率は2600%(!)。

ロシアのGDPは、金融危機があった98年までになんと43%も減
少したのです。


▼なぜ、ロシアは超格差社会になったの?


ロシアといえば万人平等の共産国家。

貧富の差も失業もないんですよね。

ところが、今のロシアはとんでもない格差社会になっています。


ロシア1の金持ちはデリパスカさん(非鉄金属ルサール社長)。

彼の資産は07年1兆3000億円だったのが、08年には2兆8000
億円まで増えた。(現在世界9位)

ということは、年収1兆5000億円。(!)


一方、おとしよりは、月1万5000円の年金で暮らしている。

なんでロシアは超格差社会になったのか。

IMFは、「大規模な民営化しないと金かしませんよ!」という。

ロシア政府はしゃあないから、民営化しますね。


なぜロシア経済は90年代ボロボロだったのか?

90年代初めのバカな改革の結果である。

しかし石油・鉄鋼など主要部門を手中におさめた新興財閥軍団が、
税金をおさめなかったのも大きな理由。
http://www.asyura2.com/08/senkyo50/msg/146.html


分かり易いソ連後のロシア独立史

1991年12月
アメリカとの経済戦争にソ連敗北。
エリツィンさんの下で民主主義、自由資本主義体制が始まる。

エリツィンさんもロシア国民も、資本主義なんてわからないのでIMFに従い、以下の自由競争を実施。

1、政府による経済管理の廃止 
2、大規模な民営化 
3、価格と貿易の自由化

この結果、ハイパーインフレが起こる。

改革初年度92年のGDP成長率はマイナス14.5%。
インフレ率は2600%。

ロシアのGDPは、金融危機があった98年までになんと43%も減
少した。 今でいうところのジンバブエ状態。

勿論、これはIMF=アメリカ=資本を持っている欧米の金持ち(はっきり言えばユダヤ)の計画通り。


さらに資本主義にうといロシアンが右往左往している間に、新興財閥が企業(今まで国営だった)の株をただ同然でかき集
める。

結果、ロシアはたった7人の新興財閥が50パーセント以上のロシアの富を牛耳るはめに。ちなみに、この7人中、6人がユダヤ人。

1、ベレゾフスキー(基盤は石油大手シブネフチ・ロシア公共テレビ等)
2、ロマン・アブラモービッチ(シブネフチ)(42歳)
3、ピョートル・アヴェン(53歳)(アルファ銀行、石油大手TNK)
4、ミハイル・フリードマン(44歳)アルファ銀行、石油大手TNK)
5、ウラジーミル・グシンスキー(55歳)(メディアモスト、傘下に民放最大手NTV)
6、ミハイル・ホドロコフスキー(44歳)(メナテップ銀行、石油大手ユコス)
7、ウラジーミル・ポターニン(47歳)(インターロスグループ、ノリリスクニッケル)

ポターニン以外は皆ユダヤ系。


この連中は経済を牛耳った後、政治も牛耳り、税金を全く払わなくなった。それで、今にも死にそうなアル中のエ
リツィンさんの後釜に「俺たちの操り人形をトップに添えようぜ」と元KGBのプーチンさんを据える。日本で言えば、GHQが元特務機関の岸信介(安部っちのじいさん)を首相にしたり、やくざや在日を代理人として据えたようなもん

99年12月の下院選挙。
当時首相だったプーチンが支持する政党「統一」が、プリマコフの政党「祖国−全ロシア」に勝利。
プーチンは、思惑どおり、00年3月の選挙で大統領になった。

プーチンさんは新興ユダヤ財閥のバックアップで大統領にめでたく就任。
ところがプーチンさんは権力を掌握するやいなや、即座にユダヤ財閥を裏切る。
片っ端から彼らを消していく。
結果、彼らは降参し税金を納めるようになり、ユダヤ支配からロシアは脱却。
ユダヤ新興財閥の企業は国営に戻り、原油高もあってどんどんロシ
ア経済は成長。
GDPは、2000年の2511億ドルから07年の1兆2237億
ドルまで、なんと約5倍化。すでにフランスを抜いている


ロシア国民の平均月収は、00年に約100ドルだったのが、07年は540ドルで5.4倍増加。
外貨準備高は、04年にはじめて1000億ドルを超え、3年後の07年には4000億ドルを超え
、世界3位に浮上。

株価指標RTSは、00年の200から07年には2000ポイントを突破し10倍化。
勿論、民衆に大喝采を浴び、軍事部門でも、エネルギーでもアメリカから独立している。

歴史認識でももちろん周辺諸国に土下座なんてしていない。
以上がロシアの現代史。

ロシアと比べるとアメリカと中国、そして代理人の朝鮮人のの植民地である我が国との差が・・・・
日本のプーチンはどこだ!
http://zip.2chan.net/6/res/60748.htm


ソ連崩壊後のロシアは借金がありアメリカIMFの言いなりにならざるを得なかった。
そして資本主義に疎い事を逆手に取られ、まんまとロシア経済崩壊の愚策を取らされた。
これがエリツィン時代の酷い経済の真相なんだよ。
お前はあの吸血鬼アメリカが他国の為の経済改革など本気で支援すると思うお人よしか?
当然、違うよな。だからお前は判ってて嘘を書いてる事になる。
しかもロシアの復活を手助けすれば強力な敵対国家が誕生する事になる。
アメリカに限らず、わざわざ国益に反するような支援なんてものはやらないんだよ。

IMFがジェフリー・サックスなんかの市場経済原理主義者で構成されたチームを送り込んだのがロシアを封じ込めるためだったと考えられる

連中は韓国やアルゼンチンなんかでも同じ事をやっているが、封じ込めの他に対象国を米国型市場経済にした上で多国籍企業が搾取しやすいようにしようとした


ロシアを見よ。プーチンから2年後、ユダヤ新興財閥はことごとく壊滅させられた。

エリツィンの新自由経済に乗じたロック、ロス茶がバックについて、わずかな期間でそれぞれが何兆円もの資産を築きオリガルヒと呼ばれ栄華を極めていたのが、今は全部没収され、

  ホドルコフスキーは2003年から現在までずっと刑務所(涙)

  ベレゾフスキーは2002年にイスラエルへ逃亡w その後イギリスへ亡命した。

  リトビネンコ毒殺事件の黒幕と言われ、あれこれ小細工を弄しているようだがいまやロシアでの影響力ゼロ(涙)

日本であれロシアであれダメリカであれ「民衆を裏切った」輩どもの末路は皆同じじゃ!!

プーチンはエリツィンを見捨てなかった  


プーチンは、エリツィン元大統領が、その権力の後継者として、プーチンを「指名」する事によって「皇帝権力の継承」を実現し、現在の権力者の地位に就任した。

エリツィンはソ連共産党時代、その余りの急進的な資本主義導入路線の考え方を権力者に嫌悪され、あらゆる役職から追放され、事実上「自宅軟禁」の扱いを受けた時期があった。

政治的な友人達が、次々とエリツィンを見捨てて行く中で、唯一、プーチンだけはエリツィンと共に「自宅軟禁」に「同伴」し続けた。

失意のエリツィンが、「これからは農業をやりながら、生計を立てて行く」と宣言し、政治の世界と絶縁せざるを得ない状況に追い込まれ、エリツィン自身がクワを持ち畑を耕し始めた時も、プーチンはエリツィンと一緒に泥まみれになり農作業を行なった。

プーチンは絶対にボスを見捨てなかったのである。

そのためエリツィンがロシア大統領となった時、プーチンは側近中の側近として絶大な信用を得、後継者としてロシアの権力者の地位を継承した。
http://alternativereport1.seesaa.net/article/109766862.html


独裁を倒してもロシアは良くならない

 1990年代半ば以降のロシアにおいては、マスコミはオリガルヒの持ち物
であり、ベスラン事件で政府批判を展開してクレムリンから圧力を受け、編集者
が首にされた「イズベスチヤ」も、オリガルヒの一人であるウラジミル・ポタニン
が所有している。ベレゾフスキーが所有する経済紙「コメルサント」も、
プーチン批判を展開しているが、これらの動きは「報道の自由」をめぐる問題
として見るより、政治闘争として見た方が良い。(関連記事)

 プーチンは確かに独裁者で報道の自由を規制しているが、プーチンが弱体化
し、ロシアが再び混乱して喜ぶのは、オリガルヒやネオコンである。自由や
民主主義、人権などを標榜しつつ「独裁者を倒せ」と叫ぶ勢力に賛同して独裁
政権を倒す戦争に賛成し、その結果、民主化どころか大混乱を招いてしまった
ことを、私たちはすでにイラク戦争において経験したはずだ。

 ロシアだけでなく中国などをめぐる話にもいえるが、欧米人や日本人が
「独裁政治を倒せ」と叫ぶことは、ロシアや中国の人々の暮らしを良くする
ことにはつながらず、英米の好戦的な勢力による巧妙な破壊作戦の一端を
知らないうちに担がされていることになりかねない。

http://ime.nu/tanakanews.com/e0928russia.htm


プーチンは反民主的か?

最近急にマスコミでロシアの「民主化の後退」が言われるようになった。
そのほとんどは単純に政府による「資源の国有化」や「マスコミ支配」を非難
するだけのものだ。
しかし、国民の利益は必ずしも民主的であることと一致するとは限らない。

ソ連崩壊後、ロシアでは民主化が進んだと言われたが、一般国民からすれば、
マフィアと新興財閥が資源と産業基盤を独占しただけのことだった。
彼らは国有企業を「民営化」し、エリツィン政権の要人に「政治資金」を
渡して独占した。その結果、資源を売却した金はすべて外国の銀行にプール
され、税金すら支払われなかった。ロシアの民主化とは、金と人材の国外流失
という「失われた10年」に過ぎなかった。現在のロシアでも「民主派」や
「改革派」を名乗る人々はすなわち、独占資本を擁護するマフィアと財閥と
旧西側諸国から資金援助を受けている。

これに対して、プーチンを頭とする「保守・官僚派」は独占資本の殲滅
(国有化)と旧西側の影響力の排除(マスコミ支配)を目論んでいる。
それが「民主化の後退」の本質だと私は考えている。
企業から税金を取り、資源は国家と国民に還元されるべきなのは当然のこと
だろう。
特にロシアの場合、石油と天然ガスを売却した金でしか社会資本の再整備は
果たせないのだ。

政治の基本は、国民・住民の衣食住の保障にある。腹が減っては自由も人権
も意味をなさないだろう。だから民主主義はブルジョワジーの論理なのだ。
貧しいロシアにはやはり社会主義が似合うと思う。
http://ime.nu/kenuchka.paslog.jp/category/1927.html

IMFと世界銀行を隠れ蓑にしたアメリカの世界支配
IMFと世界銀行において、決議に対する拒否権を持っているのはアメリカ一国だけだ。IMFと世界銀行は、国連のような一国一票制ではない。出資割当額に応じて投票率が与えられている。

IMFの決議には85%以上の賛成が必要。
主要国の投票率は以下の通り。
アメリカ:17.11%
日本  : 6.23%
ドイツ : 6.14%
イギリス: 5.07%
フランス: 5.07%
つまり、アメリカ一国だけが単独の拒否権を有している。

世界銀行の決議には80%以上の賛成が必要。
主要国の投票率。
アメリカ:16.40%
日本  : 7.87%
ドイツ : 4.49%
フランス: 4.31%
イギリス: 4.31%
アメリカ単独では拒否権を有していないが、イギリスを合わせれば拒否権を行使できる。イギリスがアメリカの意向に反することをする可能性は非常に低い。

IMFにおいても世界銀行においても、アメリカ一国だけが拒否権を持っている。ということは、アメリカの利益に都合の悪いあらゆる議案、議題を葬り去ることができる、ということだ。IMFも世界銀行も、実は国連傘下の専門機関なのだが、両機関は実質的にアメリカの私有物といってもいいだろう。ノーベル経済学者のスティグリッツ教授も「IMFとはアメリカ財務省のことだ」とおっしゃっている。


IMFと世界銀行には明確な役割分担がある。

IMFが政策立案を行い、世界銀行がそれを実際に実行する。
参謀本部と実戦部隊というところだ。

IMFが当該国の政治・経済・社会の状態を調査分析し、政策を立案する。しかし、ほんの二週間ほど滞在して「調査」するらしいが、実際は調査などほんどしない。最初から、プログラムはできあがっており、あらゆる国へ同じプログラムを適用する。スティグリッツ教授いわく、”同じ書類の国名をパソコンで入れ替えるだけだ”と。その書類を持ってIMFは当該国との交渉に当たる。ただし、当該国に交渉の余地は与えられない。融資を受けるためには、IMFの「構造調整プログラム=コンディショナリティ」を無条件で呑むことが要求される。当該国とIMFとの調印がすめば、世界銀行の出番である。

世界銀行は、加盟国や民間資本を組織して「構造調整プログラム」に必要な融資金を集め、当該国に貸し付ける。世界銀行は債権国や民間債権団に対して、利息の配当と元本を保証する。当該国が遅滞なくスケジュール通りに利息の支払いをするよう、世界銀行の職員は当該国に常駐し、忠実にプログラムを実行するよう徹底的に監督・指導する。


当該国は、教育や医療、福祉などの予算をとことん削り、債務の返済にあてる。それでも、返済が滞るようなら、追加の融資が行われる。ただし、これは債務返済用の融資であるから、右から左に消えていく。単に、債務の数字が増えただけである。こうして、国によっては債務が際限なく膨らむ債務地獄へと陥る。もちろん、融資増額のたびに、より厳しい「構造調整プログラム」が突きつけられ、国民生活は極限まで追い込まれる。

「構造調整プログラム」の結果がどうあろうと、つまり、どのような破壊的結果をまねいたとしても、IMFや世界銀行は一切の責任を負わない。プログラムそのものに欠陥があり、当該国にいっさい落度が無かったとしても、当該国はすべての債務を負わされ、返済義務を履行しなければならない。


IMFと世界銀行によって進められる「構造調整プログラム」によって、途上国の国内産業は間違いなく衰退する。そのことによって、大量の失業者を生むと同時に、労働賃金は必然的に低下する。

先進国の製造業は国際競争力をつけるため、低賃金労働を必要としている。より安い労働力を手にしたものが、競争を勝ち抜くことになる。現在、先進国の産業基盤の多くが労働力の安い開発途上国へと移転している。IMFと世界銀行は、途上国の産業を衰退させることによって、低賃金労働の下地をつくった。

先進国の多国籍資本は、より低賃金の地域を求め、簡単に生産設備や下請契約を移転する。このため、豊富な低賃金労働を提供できる予備国家の存在が、世界の労働費用の上昇を抑える役割をしている。つまり、中国や東南アジア、メキシコなどが労働費用を少しでも上昇させれば、生産設備はあっという間に他の国へ逃避してしまう。したがって、こうした国では半永久的に低賃金を維持しなければならない。

しかし、こうした低賃金による世界的貧困の固定は、結局のところ世界的な需要の伸びを抑えてしまう。途上国を、先進国企業の製品市場にしようという試みは、低賃金労働ゆえに挫折している。それだけでなく、先進国内でも産業が空洞化し、失業率が増加し、景気の後退が起こる。


結局のところ、途上国の貧困化と低賃金労働の固定は、世界規模での景気の沈滞をまねいている。しかし、先進国の生産設備は、今後もより安い労働力を求めて途上国へ移転していくことになるだろう。果てしない世界規模の悪循環である。

IMFから融資を受けようとする国は、IMFが示す「コンディショナリティ:付帯条件」を受け入れなければならない。コンディショナリティを構造調整プログラムとも言う。つまりIMFの強要する「構造改革」を受け入れなければ融資は受けられない。

IMFは、「構造調整プログラム」を実施すれば、国の制度は効率化し、産業は発展し、経済は円滑になり、最終的に豊かになると主張する。しかし実際は、世界100あまりの国で実施された構造調整プログラムによって、途上国の自立への道は塞がれ、多国籍企業による際限のない市場・産業・企業の収奪がおこなわれた。途上国は、一部の富裕者と大多数の貧者へと二極分解された。世界そのものも貧困国と富裕国に二極分解され、貧困の拡大再生産の過程をたどることになった。


<主な構造調整プログラム>

●貿易の自由化
IMFは国内産業の競争力を高めると主張するが、貿易の自由化によって流入する外国製品によって、国内商品は駆逐され、国内産業は没落した。

●民営化
最も収益性のある国営企業は、外国資本や合併企業に引き渡され、当該国の資産を減少させた。石油やガス、通信などの公共事業の国有化を憲法に規定している国では、憲法改正までおこなわされ国営企業が外国資本に売り渡された。

●租税改革
付加価値税や販売税の導入により、中・低所得層の租税負担が増加した。しかし、膨大な利益を上げる外国企業や合併企業は税制上の優遇を受けた。

●土地保有
農耕地が少数に集中するような方向に法改正が推進され、小農は土地を没収されるか抵当にとられ、季節労働者へと転落した。一部の地主や企業が農業部門を独占するようになった。大土地所有制の地域では地主階級の利権が保護・固定された。


●金融制度の規制撤廃
途上国の中央銀行は、通貨政策に対する権限を奪われた。金利は、人為的に高金利へと誘導され、海外から投機だけを目的とする「ホット・マネー」が流入した。規制撤廃により国内の主要な銀行が外国資本に買収された。

●議会制度
借款協約には、多党制による選挙までもが条件として付加されている。


こうしたIMFの構造調整プログラムは、「自由化」と「緊縮財政」という二つの考えに基づいて制作されている。「自由化」とは、金融や貿易の自由化、規制撤廃を意味する。いわゆるグローバリゼーションと言い換えてもいい。それによって、途上国では外国資本が自由に活動し、市場や産業、企業、国営企業を買収していった。

「緊縮財政」とは、小さな政府だ。緊縮財政により、利益を生まない分野である教育、医療、福祉、農業は見捨てられ途上国に未曾有の人災をもたらした。国民の生活を犠牲にする緊縮財政によって浮いた財政資金は、債務の返済にあてられる。

IMFと世界銀行は、世界100あまりの国に、まったく同じこの「構造調整プログラム」を強制・実施させる。途上国の経済発展段階や社会制度には非常な差異があるにもかかわらず、IMFはまったく同じ政策を強要する。


何十年にもわたるIMFと世界銀行の活動とその結果をみれば、その目的は明らかと言える。

開発途上国の国内経済を破壊し、発展の道を閉ざし、多国籍企業と多国籍金融資本に占領させる。途上国を先進国の工業製品、農業製品の市場へと変える。途上国の資源を際限なく先進国へ供給させる。経済崩壊にともなう賃金の低下を利用して、先進国の企業へ格安の労働力を提供させる。

途上国における、飢餓、貧困、低賃金労働、疾病の蔓延、教育の崩壊、治安の悪化、暴動、独裁のほとんどすべては、IMFと世界銀行がもたらしたと言っても過言ではない。


<世界の食料危機は、IMFと世界銀行の政策>

途上国の人口に占める農業人口は非常に高い。放って置けば、農産物の輸出国になるのはまちがいなかった。途上国の農産物の生産能力を奪い、アメリカの市場にすること。そうした目的もIMFは担っていた。

IMFと世界銀行の途上国政策は、アメリカの金(Gold)が枯渇しはじめた1968年に急変している。両機関の政策は、発展途上国に向けられ始めた。

IMFや世界銀行の融資というのは、使用目的が制限されている。たいていの場合、農業や教育といった分野には使えない。食料生産を伸ばしたくても、農業にお金をまわせない。ただし、融資金を輸入食料の購入に当てることは許されている。そして、その場合の食料購入国もあらかじめ指定されている。要するに、アメリカや先進国から買わなければならない。隣国で小麦が豊作であっても買えないのだ。

IMFによるこうした理不尽な制約を「コンディショナリティ:付帯条件」という。いくら理不尽でも、これを承諾しない限り、融資は受けられない。途上国には、選択の余地も交渉の余地もない。オール・オア・ナッシングだ。こうして、融資を受ける途上国は、100余もの付帯条件を甘受する。先に書いたように、農業や教育、福祉、医療といった分野には一切使えないよう条件が付けられている。それでも、無いよりはましと途上国は考えた。しかし、「コンディショナリティ」とは、罠以外の何ものでもない。


IMFや世界銀行の融資というのは、鉱工業などの資源開発分野に集中していた。鉱物や石油・ガスの開発と輸出だ。また、それらに付随する産業や輸送手段の整備といった分野も含まれる。アメリカが必要とする膨大な原料や燃料を開発・輸送することに限定することによって、農業生産力をも奪うことができた。

もともとの農業人口の多い途上国の労働力は、必然的にこうした分野に流れた。途上国の農業の衰退がはじまる。農業生産力が落ちた分、途上国政府は、融資金で先進国の農業製品を輸入するしかなかった。

農業の衰退が進むと農産物の価格は上昇し、安い輸入品と競合できなくなった。農業生産で生活できなくなった農村人口は、都市へと流れ始めた。人口は時と共に都市に集中し、農業の衰退はさらに進むことになった。したがって途上国政府は、農産物の輸入を増加せざるを得ない。途上国の農業衰退と食料輸入は構造的なものになり、歯止めが利かなくなってしまった。

現在、アフリカでは労働力の60%が農業に従事しているが、アフリカの食料自給率は80%程度だ。食料自給率は下降の一途をたどっている。単位面積あたりの収穫量も落ちている。

たいていの途上国というのは、豊富な土地と人口を有している。本来、食料の自給自足を営むことは難しいことではない。しかしそれは、戦後のアメリカの世界政策と真っ向から対立する。アメリカは、IMFと世界銀行の「融資」という餌によって、途上国の食料自給の発展を根本から破壊することに成功したといえる。皮肉なことに途上国が求めた「援助」こそが途上国の農業を破壊した。今日の途上国における貧困、低賃金問題もすべて同じ地平にある。

かくして、アメリカは世界一の食料輸出国の地位を確立した。

現在、農産物輸出国は世界でもそう多くはない。アメリカ、カナダ、オーストラリアが三大輸出国だ。その他にアルゼンチン、ブラジル、EU、ロシア、中国が名を連ねる。コメに関しては、タイ、インドが顔を出しているが、コメでもアメリカは世界第三位の輸出国だ。世界の農産物の輸出がごく少数の先進国に限られているというのは、非常に危険なことだ。

<根本的な食糧問題の解決策>

以上に述べたようにIMFと世界銀行は、戦後、途上国の農業生産力を奪うための政策を執ってきた。しかし、表面的には途上国の食糧問題に取り組んでいるふりをしている。彼らは、様々な農業援助プログラムを実施し、毎年高らかにその成果を報告している。彼らの農業援助というのは、大半の小作農には利用できないような高度な技術を必要とするものが多い。すべては、一時的な数字による見せ掛けの成果に過ぎない。


IMFや世界銀行が、本当に途上国の食糧問題に取り組んでいるなら、まず真っ先に取り組まなければならないものがある。

「農地改革」だ。

途上国の土地制度とは、ほとんどが封建的大土地所有制だ。農民は大土地所有者の土地を借りて作物を生産している農奴的小作農だ。収穫物の大半は土地所有者のものになる。農民は残ったものを細々と売ってわずかな現金収入を得ているに過ぎない。そんなところに、先進国が農業援助と称して近代的農法や技術など持ち込んでも、農民にはありがた迷惑なのだ。手間をかけて収穫が上がった分、大土地所有者が得をするだけだ。土地所有者を潤すのだけの近代農法を受け入れる小作農はまずいない。

IMFと世界銀行が、農地改革に取り組まないのは、「内政干渉」になるからではない。「コンディショナリティ」そのものが内政干渉と言ってもいいのだから。彼らは、ひとえに途上国から農業生産力を奪い続けたいのだ。

世界が飢えるのは、気候や土地に根本原因があるのではない。遅れた農業技術でもない。努力が足りないからでもない。

世界の飢餓は、IMFと世界銀行が、アメリカの国益のために行ってきた政策によって、人為的にもたらされている。そして、今後も世界は飢え続ける。援助額がいくら増えても、債務を帳消しにしても解決にはならない。

http://blog.goo.ne.jp/leonlobo/c/a9cbe326ad861948839e438fab6ebb5b


アジア通貨危機の際に、タイ、韓国、インドネシアは、IMFの融資を受け入れた。
しかし唯一、マレーシアだけがIMFの支援を拒絶した。

IMFの融資を受けたタイは、100以上ものコンディショナリティ(付帯条件)とその達成期限を強制された。その結果、もちろん危機は拡大した。
IMFはタイの金利を25%に上げさせた。IMFは、高い金利が外国資本を呼び戻すと説明した。しかし金融危機の凄まじさに恐れをなした外資は、まったくタイに来なかった。それどころか25%の高金利は、タイの企業には、まったく手の届かないものだった。このため、資金を調達できなくなったタイ企業は、バタバタと倒産していった。長い時間をかけて育ててきた産業が、IMFの政策により、あっという間に壊滅させられてしまった。その結果、多量の失業者が生みだされた。

またIMFのコンディショナリティには、なぜか金融危機とはまったく関係のない社会改革分野まで含まれていた。そのため社会関係費用が削減され、教育と医療現場が大きな打撃を受けた。児童の教育を受ける権利は縮小され、多くの貧困層の医療を受ける権利も縮小され、衛生環境も悪化した。
結局のところ、IMFの「緊急援助」の目的とは、タイに投資していた「外国債権者の利益保護」でしかなかった。つまりタイの教育や医療まで縮小して、財政を緊縮させ、なるべくカネを浮かせ、外国債権者にカネを回収させることだった。

そのため、タイの失業率は三倍になり、タイ社会の貧富の差は拡大した。ごく一部の者だけが、外国企業とともに富を得た。

IMFの融資を唯一拒絶したマレーシアのマハティール首相は、資本の移動を禁じて外国資本の逃避を阻止した。そして保護貿易に徹っした。通貨も固定した。IMFとはまったく逆の政策を執った。

IMFの支援を受け入れたタイ、韓国、インドネシア、そしてIMFを拒絶したマレーシア。いま共に順調に経済を回復している。しかし、そこには根本的な違いがある。

IMFの支援を受け入れた国の主力産業や公営企業は、外国資本の餌食となり占領された。富は底の抜けたビンのように、外国へ流れている。
数字で見る経済成長は伸びても、アジアの人々の暮らしはまったく豊かになっていない。それどころか、貧富の差が拡大し、貧しい人々はより貧しくなり、一部の富める者だけがより豊かになっている。アジアの中産階級はほとんどが貧困層に転落したとさえ言われている。


現在、多くの開発途上国の国々は、IMFや世界銀行の正体を見破っている。しかしながら、すでに多額の債務を負わされ、まったく身動きが取れなくなってしまっている。主力産業、銀行、公営企業が外国資本に乗っ取られたあとでは、数字上の経済成長があるだけで、富のほとんどは、外国資本が持っていく。
国庫は債務の利息を支払うだけでも手一杯だ。それどころか、多くの開発途上国では、利払いにも事欠き、その利払いのためだけの追加融資をIMFや世界銀行から受けている。サラ金の借金を、サラ金から借りて返すようなものだ。完全な債務地獄だ。

IMFと世界銀行が活躍するところには、必ず、経済と社会の破壊、そして貧困がおとずれる。
IMFと世界銀行とは、開発途上国の経済を乗っ取り、外国資本へ富を移転していくための機関にほかならない。


戦後の1946年にIMFと世界銀行が正式に設立され、「ブレトンウッズ体制」がはじまる。そしてこのたった二つの規約が、今日にいたるアメリカの繁栄を約束した。第二次大戦末期の疲弊した世界は、アメリカ政府が二つの規約にこめた真の意図をまったく読めなかった。

●「ドル金本位制」の意味
「ドル金本位制」とは、簡単に言えば、イギリス・ポンドとフランス・フランを貿易から締め出し、戦前のポンド経済圏とフラン経済圏の復活を阻止することにあった。それによってヨーロッパの戦後復興を抑え、世界をアメリカ・ドルの一極経済圏にすることができる。

もし、この規約がなければ、復興をはじめたイギリスやフランスは、かつての植民地と貿易をはじめることになる。そうすると戦後の世界はドル、ポンド、フランの三つの経済圏に分かれてしまう。アメリカは戦後の世界経済を完全に支配したかったのだ。

●「通貨の固定相場制」の意味
これも、その意図は同じだ。世界の通貨を、実態よりも高く設定し固定してしまう。そのことによって、あらかじめ将来の貿易競争力を奪ってしまう。

こうして、アメリカは基軸通貨ドルを好きなだけ刷り、世界の燃料や原料を買い、アメリカの製品と農業品を世界中に売りさばき、世界の経済を独り占めしてしまった。また、世界中にドルを貸し与え、巨大な債権国となり、今日の礎を築いた。
212投稿者:アメリカの世界戦略  投稿日:2005年12月17日(土) 00時04分29秒


IMF(国際通貨基金)の設立目的とは、アメリカが戦後の世界経済を支配するため以外の何ものでもなかった。いまでも、当然IMFは存在する。戦後、世界の復興と経済状況に合わせて、IMFの役割も変化してきたが、その目的はいまも変わらない。すべては、アメリカのために。


<巨大借金国が、世界を支配する>

戦後、世界の基軸通貨がアメリカ・ドルと定められたことによって、アメリカ一国だけは好きなだけドルを刷り、モノを買えるようになりました。製品でも、原料でも、燃料でも。ここから、アメリカの超浪費文化が生まれたのだと思います。輪転機を回すだけで何でも買えるのですから。

1971年までは、ドルというのはいつでも金(ゴールド)と交換できる兌換紙幣でした(金1オンス=35ドル)。第二次大戦後、アメリカは世界の金の60%(後に72%)を保有していました。この金が、ドルに信用を与えたわけです。しかし、じゃんじゃんドルを刷りまくっているうちに、ドル発行量が金保有高を越えてしまいました。つまり、ドルに対する信用供与がなくなりはじめたわけです。世界は、急いでドルを金に換えはじめました。アメリカの金保有高は急激に減少し、あわてたニクソンは1971年、突然、金とドルの交換を停止してしまいました。世に言う、ニクソン・ショックです。

世界は大混乱しましたが、アメリカはこんな風に言いました。
”みなさん、心配はいりません。これからは、アメリカ財務省証券(アメリカ国債)とドルを交換します。これは、金と同じ価値があります”と。アメリカは、紙切れと紙切れを交換するという子供だましのような策に出たわけです。


でも、この子供だましを世界は受け入れざるを得ませんでした。なぜなら、これを受け入れなければ、いままで溜め込んだドルが、本当の「紙切れ」になるからです。

世界が、金(ゴールド)に裏打ちされたドルを信用して、貿易通貨としてどんどん溜め込んだために、ついにドルに支配されるということになったわけです。べつの言い方をすると、アメリカは世界中を、ドルでじゃぶじゃぶにすることによって、世界経済を支配してしまったということです。

アメリカがドルを刷りすぎたために、ドルというのは現在でも常に不安定な状態にあります。世界は、必死になってドルの価値を一定の水準に維持しなければなりません。日本や世界が、大量のアメリカ国債を溜め込んでいるのもそのためです。しかし、溜め込んだアメリカ国債を売るとドルがなおさら不安定になるので、売るに売れないのです。アメリカ国債というのは、すなわちアメリカの借金です。

世界一の大借金国が、世界経済を支配しているという実に奇妙なことが起こっているわけです。


世界銀行はIMFの経済政策(構造調整プログラム)を具体的に実行するための機関だ。その結果、世界中の開発途上国の経済を破壊してきた。途上国の国内産業は壊滅し、外国資本と多国籍企業に占領された。電力や水道といった公共事業さえ外国資本に占領されはじめている。農業も破壊され、食糧の自給はできなくなり、輸入や援助に頼るようになった。教育、医療は無きに等しいレベルに落ちた。世界の何十億という人々が貧困と飢餓の縁に追いやられた。

 途上国の悲惨な現況は、世界銀行とIMFがもたらしたものだ。世界銀行やIMFがしてきたことは、人類に対する犯罪行為以外の何ものでもない。

<グローバリゼーションの罠>
 グローバリゼーションとは、国家を越えて「地球全体がひとつになる」ということだ。その理念は否定しない。しかし、自由貿易、自由市場、国際投資といったグローバリゼーションの経済原理によって、世界にもたらされた結果は、到底受け入れ難い。

 グローバリゼーション推進派は、全世界の生活水準が向上し、共に繁栄を享受すると謳ったが、結果はまったくその逆だった。貧困層はより貧困になり、中間層は没落し、富裕層だけがさらに豊かになった。途上国の、農業、教育、労働、医療衛生環境は壊滅的打撃を受け、食糧不足、教育機会の喪失、失業と低賃金労働、疾病の蔓延等をもたらした。それだけでなく人口の都市集中、地方の荒廃、犯罪率の増加、暴動、内戦という結果まで引き出している。特に農業の破壊と土地の荒廃は深刻だ。わずかな自然環境の変化でも、大規模な飢餓が発生し、大量死をもたらしている。いや、殺戮と言った方が正しい。

 このグローバリゼーションの輝かける旗手がIMF、世界銀行、WTOだ。 
http://blog.goo.ne.jp/leonlobo/c/a9cbe326ad861948839e438fab6ebb5b


プーチン当選。涙のわけは、
http://www.youtube.com/watch?v=Y_CO2leb5Ys

プーチン 最後の聖戦

ロシア最強リーダーが企むアメリカ崩壊シナリオとは? 北野 幸伯 (著)


「あの男が帰ってきた!!!」

いままで世界を牛耳ってきたアメリカの支配者たちは今、恐れおののいています。
アメリカは1991年末、ソ連崩壊で「冷戦」に勝利。世界唯一の「超大国」になりました。

そして、90年代は「ITバブル」により、空前の繁栄を謳歌していた。新千年紀がはじまる頃、誰もが「アメリカの時代は永遠につづく」と信じていました。

しかし、あれから12年。もはやすべての人が、「アメリカの時代は終わった」ことを知っています。いったい、何が起こったのでしょうか?

一般的には、「欲ボケしたアメリカ人が、自滅した」と信じられています。

具体的には、「住宅バブル崩壊」「サブプライム問題」「リーマンショック」などが起こり、没落していったと。しかし......。


「アメリカは自滅したのではない。没落させられたのだ!」


というのが、この本で明かされる数多い真実の一つです。

でも、いったい誰に......?

それは、「多極主義陣営」と呼ばれる国々にです。


「アメリカ一極世界をぶち壊せ!」

「多極世界をつくろう!」


という運動は、そもそも西欧から起こってきました。

ソ連崩壊で「東の天敵」が消滅したとき、西欧のエリートたちは、「アメリカから覇権をとりもどそう!」と考えたのです。しかし、西欧の一国が昔のように覇権国家になるのは、現実的でない。それで、「EU拡大による欧州統合」と「共通通貨ユーロの導入」で欧州を「巨大な一つの国」とし、覇権を奪回しようとしたのです。

そんな欧州の反逆を03年までに鎮圧したアメリカ。

しかし、そのときもっとも強力な敵が現れた......。

その敵こそが、ロシア史上最強のリーダー、プーチンだったのです。


プーチンは、「イラク戦争」「ユコス問題」「グルジア・バラ革命」「ウクライナ・オレンジ革命」「キルギス・チューリップ革命」等々で、ことごとくアメリカと対立。08年8月には、アメリカの傀儡国家グルジアとロシアの戦争にまで発展していきます。

しかし、同年9月、「リーマンショック」が起こり、ついにアメリカの一極世界は自壊。「100年に1度の大不況」のなか、米ロとも、戦いを継続するのが難しくなり、両国は停戦で合意。「米ロ関係『再起動』」なる言葉も生まれました。

しかし、「再起動」の時代は、プーチンの復活により終わりつつあります。そう、「米ロ新冷戦」は、必然的に再開されることになるのです。

プーチンの目標は、「アメリカにとどめを刺す」こと。


でも、いったいどうやって......?


本書『プーチン 最後の聖戦』でわかることの一部を、ここに挙げておきます。


・90年代ロシアを支配した7人の新興財閥(うち6人はユダヤ系)とは?(その名前と基盤)

・たった一回の訪問で、新興財閥のボスの心をわしづかみにしたプーチンの行動とは?

・「逃げ道なし」。新興財閥軍団を罠にはめたKGB流「トリプル戦略」とは?

・90年代ボロボロだったロシア経済が、プーチン政権下で大復活した理由とは?

・アメリカを没落させる、絶対確実な方法とは?

・プーチンに反逆したユダヤ系石油王ホドルコフスキーとヤコブ・ロスチャイルド卿の「危険な関係」とは?

・アメリカが、ロシアの勢力圏「旧ソ連諸国」で革命を起こした理由と証拠とは?

・プーチンがアメリカを没落させた、具体的な方法とは?

・プーチン・ロシアが同盟関係を結んだ中国が提案する「世界共通通貨」構想とは?

・メドベージェフは、なぜプーチンを裏切ったのか? 彼の背後にいた勢力とは?

・アメリカに「とどめを刺す」プーチンの戦略とは?

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4797672250?ie=UTF8&tag=asyuracom-22&linkCode=xm2&camp=247&creativeASIN=4797672250


ロシア、自立への戦い


「アメリカからの自立に成功した例」をあげておきましょう。そう、私の住む国ロシアです。


ロシアは、いつ「依存国家」になったのでしょうか?

「ソ連崩壊後」です。

ソ連崩壊直後の1992年、新生ロシアのGDPはなんと−14.5%。

ロシアは、欧米日、および国際金融機関からの借金に深く依存するようになっていきます。(正確にいうと、ゴルバチョフ時代から、かなり借金があった)


それで、エリツィン・ロシアは、アメリカの「依存国家」になってしまいました。

ちなみに、「自立のための5つの条件」をあげましたが、ロシア
はとても恵まれています。


・軍事的自立=ロシアはいまだに核超大国である

・エネルギーの自立=ロシアは原油、天然ガス生産で常に世
界1、2位である

・食糧の自立=自国を十分養える


しかし、「経済の自立」を失ったとき、元超大国ロシアは「依存
国家」に転落したのです。


プーチンは、「自立への戦い」を開始しました。

その基本は、「財政黒字化」と「借金返済」。

ロシアはなんと、プーチンが大統領に就任した2000年から、危機が起こった08年まで一貫して「財政黒字」でした。さらに、借金も着実に返済し、07年には実質債権国になっています。

▼プーチンと世界の支配者


欧米からの自立を目指すプーチン。そんな彼に、世界の支配者たちが、立ちはだかります。きっかけは二つありました。


1、プーチンは、ユダヤ系新興財閥を迫害していた


90年代ロシアを牛耳っていたユダヤ系新興財閥軍団。

プーチンは、「クレムリンのゴッドファーザーとよばれたベレゾフスキー」を追放。さらに、「世界ユダヤ人会議副議長」「ロシアユダヤ人会議会長」グシンスキーも追放。


おそれをなした石油最大手ユコスのホドルコフスキー社長は、ヤコブ・ロスチャイルド卿と「オープンロシア財団」をつくり、プーチン排除に乗り出しました。

これでプーチンは、欧州の支配者を敵に回した。

2、プーチンは、ユコス売却を阻止した

ホドルコフスキーは、ロックフェラー系で有名なエクソンモービル、そしてシェブロンテキサコに、「ユコスを売る」と約束していました。


プーチンはこれに激怒。


「原油生産量世界一ロシアの最大手企業をアメリカに売れるか!」

と、ホドルコフスキーを逮捕してしまった。これで、アメリカの支配者を敵にまわしてしまった。その後何が起こったか。


ロシアの影響圏である旧ソ連諸国で、次々と革命が勃発。

03年グルジア、04年ウクライナ、05年キルギス。

そして、次々と「親米反ロ傀儡政権」が誕生することになった。

そして「米ロ新冷戦」なる言葉も生まれ、結果08年には「ロシア−グルジア戦争」にまで発展していったのです。

資源と食糧に恵まれた核保有大国ロシア。

そんなロシアですら、アメリカからの自立は容易ではなかった。
http://www.asyura2.com/12/senkyo128/msg/609.html

ロシアの資本規制 2014-12-25


最近、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のポートフォリオ(運用先)において、株式の割合を高めたり(日本株25%、外国株25%)、さらには「子ども版NISA」で子供向けに株式で資産形成することを促したりと、日本国民の資産を株式に振り向ける動きが目立ちます。


 現在の株式は、先行指標でも「企業のファンダメンタルを示すもの」でもありません。日本の株式は、今や為替レートの反映に過ぎないのです。何しろ、日本の株式市場の「取引(保有ではないです)」において、外国人投資家のシェアは65%に達しています。


【2013年 東京証券取引所投資家別売買シェア】
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/image-11968728012-13168854068.html

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_49.html#baibai


 ほとんどの外国人は、別に「日本企業の将来性」に期待してお金を投じたりはしません。多くの外国人投資家は、

「円安になれば、日本株がお買い得になるから、買う。
円高になれば、日本株が売り時なので、売る」

 ただ、これだけの投資行動を採り、利鞘を抜き取っているに過ぎないのです。

為替レートと外国人投資家の動向で決定される日経平均に政権が引きずり回され、国民の「年金の運用」というレトリックにより、株価に一喜一憂する。日本国民は、いずれ経済的な主権を失ってしまうことになります。


 正直、上記の問題を解決するためであれば、わたくしは「資本規制」をかけても構わないとすら思っています。外国人投資家による短期のキャピタルゲインに、99%の税金をかける等の規制をかけても、わたくしは別に懐は痛みません。そもそも、日本の株式市場は企業が「成長」のための資金を調達する場であって、外国人投資家のカジノではないのです。


 もっとも、資本移動の自由は、グローバリズムの「肝中の肝」です。よほど、国民世論が盛り上がらないと、我が国で実現するのは至難の業でしょう。


 などと思っていたら、ロシアのプーチン大統領が資本規制に乗り出しました。


『ロシアが「非公式」な資本規制導入、ルーブル急回復
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPKBN0K200B20141224?sp=true


- ロシアは23日、1998年の財政危機再発を防止すべく、「非公式」な資本規制を導入した。ルーブルは2週間ぶりの高値水準に上昇した。

 ロシア政府は、政府系の輸出関連企業に対して、外貨建て資産の保有高(ネットベース)に上限を設定。また当局筋や銀行関係者の話によると、ロシア中銀は大手国営銀行の外為取引デスクに監督官を派遣した。

 ルーブルRUBUTSTN=MCXは一時、1ドル=52.88ルーブルと、12月8日以来の高値をつけた。先週は80ルーブルまで下げていた。

エコノミストは、今回導入されたのは緩やかな形の資本規制との見方を示している。プーチン大統領はこれまで、本格的な資本規制の導入には否定的な見解を示しており、今後も正式な規制実施はないとの見方が大勢だ。

エコノミストのセルゲイ・グーリェフ氏は

「政府はすでに、政府系輸出企業にドル売りを義務付けている。銀行についても、同様の命令が下るのではないか。資本規制は事実上、すでに行われている」

と述べた。(後略)』

 ロシアが始めた資本規制は、外国人投資家ではなく、国内企業(政府系輸出企業)の外貨資産保有を制限し、ルーブルに両替させる、という主旨ですが、それにしても思い切った手に出たものです。


 8月に、ロシアは欧米の経済制裁に対抗し、農産物の輸入を禁止しました。結果的に、誰が困ったかといえば、もちろん欧米の農家ですが、逆に誰が喜んだかといえば、ロシアの農家です。欧米からの農産物輸入禁止措置とは、要するに「国内農業保護政策」でもあるわけです。


 プーチン大統領は、制裁措置への対抗措置というお題目で、ロシア農業を保護する政策を採ったということになります。


 そして、今回はルーブルの過度な暴落を防ぐための、「外貨保有制限」という資本規制です。上記は「モノ・サービスの国境を越えた移動の自由」、資本規制はもちろん「カネの国境を越えた移動の自由」という、プーチン政権はグローバリズムのテーゼに真っ向から歯向かっているわけです。


 ロシアの資本規制について、グローバリズム信奉者は猛烈に批判するでしょう。とはいえ、

「国民経済は『国民』を豊かにするために存在し、グローバル投資家のマネーゲームのために存在するわけではない」

 という原則は、厳然たる事実なのです。


 それにも関わらず、日本ではGPIF「改革」に代表されるように、グローバル投資家を利するのみならず、国民経済を不安定化させる政策が次々に繰り出されてきます。なぜなのでしょうか。


 答えは、来月発売になる飛鳥新社「黄金の拘束衣を着た首相」(タイトル決定しました)で書きました。いずれにせよ、日本で頻繁にみられる「グローバル投資家の利益になり、国民の損になる政策」とは、何も我が国でのみ実施されているわけではないのです。グローバリズムが「世界の問題」と化し、成長を抑制し、社会を混乱させる方向で機能してしまっているわけでございます。


 各国の政治家が、

「国民経済は『国民』を豊かにするために存在し、グローバル投資家のマネーゲームのために存在するわけではない」

 基本に立ち返り、「黄金の拘束衣」を脱ぎ去ることを決意しなければ、現在の混乱が収束することはないでしょう。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11968728012.html


達人プーチンのワナ 2014年12月25日 木曜日
ドミトリー・カリニチェンコ(ロシア)
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/post-c100.html

欧米の対プーチン非難は、伝統的に、彼がKGBで働いていたという事実に基づいている。そして、それゆえ、彼は残酷で不道徳な人物なのだ。プーチンはあらゆることで非難される。だが、プーチンは知性が欠如していると非難するものは皆無だ。

この人物に対するあらゆる非難は、素早い分析的思考と、明快で、バランスのとれた政治・経済的判断をする彼の能力を強調するだけだ。

欧米マスコミは、この能力を、公開でチェスの多面打ちをする達人の能力にたとえることが多い。アメリカ経済と欧米全般における最近の進展で、アメリカは、プーチンの人物評価と言う点で、欧米マスコミは全く正しいと結論できそうだ。

フォックス・ニューズやCNN風の無数の成功報道にもかかわらず、現在アメリカ合州国が率いる欧米経済は、欧米の誰一人として脱出方法が分からない、プーチンのわなにはまっている。欧米がこのワナから脱出しようとすればする程、益々深くはまりこんでしまうのだ。

欧米とアメリカ合州国が陥った本当の悲劇的な苦境の実情とは何だろう? そして一体なぜ全ての欧米マスコミと主要欧米エコノミストは、しっかりと護られた軍事秘密の如く、これについて沈黙しているのだろう? 現在の経済的出来事の本質を、道徳規範や、倫理や地政学等の側面はさておき、経済という文脈で、理解を試みよう。

原油価格の展開


ウクライナでの失敗を自覚した後、アメリカが率いる欧米は、ロシア経済を破壊する為、石油価格、更には、主要輸出収入源で、ロシア金準備の主要補充源であるガス価格をも押し下げ始めた。ウクライナにおける欧米の主な失敗は、軍事的でも政治的でもないことに留意が必要だ。だが、プーチンは、ロシア連邦予算を出費して、ウクライナでの欧米の計画を支援することを、実質的に拒否したのだ。おかげで、この欧米プロジェクトは、近未来でも、更なる未来でも、実行可能ではなくなってしまった。

前回、レーガン大統領の下で、同様な欧米による石油価格下落活動が、‘成功し’ソ連は崩壊した。だが歴史は常に繰り返すというわけではない。今回、欧米にとって、状況は違っている。欧米に対するプーチンの反撃は、チェスと柔道の両方に似ていて、敵が用いる力は、敵自身に対して使われるが、防御側が使う力と資源とコストは最小だ。プーチンの本当の政策は公開されているわけではない。それゆえ、プーチンの政策は、常に概して、効果ではなく、効率が狙いだ。

プーチンが現在行っていることは、ごくわずかの人々しか理解していない。そして、彼が将来何をするかについては、ほぼ誰も知らない。

どれだけ奇妙に見えようと、現在、プーチンは、ロシア石油とガスを金の現物でしか売っていないのだ。

プーチンは、それを声高に世界中に叫んでいるわけではない。そして、もちろん、彼は中間的支払い手段として、アメリカ・ドルを、依然受け取る。だが彼は、石油とガスの販売で得たこうしたドルの全てを、すぐさま金の現物に変えるのだ!

これを理解するには、ロシア金準備高増加の動態を見て、このデータを、ロシアが石油とガスの販売で、同時期に得ている外貨収入と比較するだけで十分だ。

しかも、第三四半期にロシアが購入した金の現物は、史上最高記録水準だ。今年の第三四半期、ロシアは、55トンという信じがたい量の金を購入した。これは全世界の全中央銀行を合計したよりも多い(公式データによれば)!

2014年の第三四半期に、世界中全ての国の中央銀行は、合計93トンの貴金属を購入した。中央銀行による金純仕入れは、連続15期目の四半期だった。この期間に、世界中の中央銀行が購入した金93トンのうち、驚くべき購入量の55トンを、ロシアが保有している。

さほど遠くない過去、イギリス人科学者が、見事に、数年前、公表されたアメリカ地質調査の結果と同じ結論を出した。つまり、ロシアからのエネルギー供給無しでは、ヨーロッパは存続できないというものだ。英語から世界中の他のあらゆる言語にされており、これはこういう意味だ。“もしロシアからの石油とガスが、世界のエネルギー供給バランスから、無くなってしまえば、世界は存続できなくなる”。

そこで、オイルダラー覇権の上で成り立っている欧米世界は、破局的な状況にある。彼らはロシアからの石油とガスの供給無しでは生きられないのだ。しかもロシアは今、欧米に、石油とガスを、金現物と引き換えでしか売らないようにする用意ができている! プーチンのゲームの巧みさは、ロシア・エネルギーを、金でしか、欧米へ輸出しないという仕組みが、欧米が、ロシア石油とガスに、人為的に安くしている金で支払うことに同意しようがしまいが機能することだ。

ロシアは、石油とガス輸出により、ドルを定期的に得るので、いずれにせよ、欧米により、あらゆる手段で押し下げられた現在の金価格で、金に転換することができるのだ。つまり、市場操作によって、人為的に押し上げられているドルの購買力で、連邦準備制度とESFによって、人為的かつ、細心の注意を払って、何倍も押し下げられている金価格で。

興味深い事実: アメリカ政府の専門部門、ESF(為替安定基金)による、ドルを安定化させる狙いでの金価格押し下げは、アメリカ合州国で法制化されている。

金融業界では、金が反ドルなのは、当然のこととして受け入れられている。
•1971年、1944年、ブレトンウッズで、アメリカが保証した、ドルと金の自由交換をやめ、アメリカのリチャード・ニクソン大統領が‘金の窓’を閉じた。
•2014年、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、ワシントンの許可を得ずに‘金の窓’再度開けたのだ。

現在欧米は、金と石油の価格を押し下げるのに、努力と資源の大半を費やしている。それにより、一方では、アメリカ・ドルに有利なように、実際の経済的現実を歪曲しながら、その一方で、ロシア経済を破壊し、欧米の忠実な属国役を演じることを拒否している。

現在、金や石油等の資産は、比例的に弱体化されたように見え、アメリカ・ドルに対して、極端に過小評価されている。これは欧米による膨大な経済的努力による結果なのだ。

今やプーチンは、欧米の努力で人為的に押し上げられているアメリカ・ドルと引き換えにロシアのエネルギー資源を売っている。彼はそれで、欧米自身の努力によって、アメリカ・ドルに対し、人為的に低めにされている金を即座に購入するのだ!

sources
プーチンのゲームには面白い要素がもう一つある。ロシアのウランだ。アメリカ電球の6個のうち1個は、ロシアからの供給に依存している。ロシアがアメリカにドルで販売しているのだ。

そこで、ロシアの石油、ガスとウランと引き換えに、欧米はロシアに、石油と金に対し、その購買力が、欧米の努力で人為的に押し上げられているドルを支払う。しかし、プーチンは、アメリカ・ドルを、まさに同じ欧米によって、人為的に押し下げられているアメリカ・ドル建て価格で、金の現物を欧米から回収する為にだけ使っているのだ。

プーチンによるこの実に見事な経済政策の組み合わせは、アメリカ合州国が率いる欧米を、自分のしっぽを積極的かつ熱心にむさぼり食う蛇の様な立場に追い込んだのだ。

欧米に対する、この経済的な金のワナという考えは、恐らく、プーチン自身が発案したものではない。プーチンの経済顧問、セルゲイ・グラジエフ博士の考えである可能性が高い。そうでなくて、一体なぜ、一見事業に関与していない様に見える官僚グラジエフが、多くのロシア人実業家達と共に、ワシントンによって、個人的に制裁リストに含まれているのだろう? 経済学者グラジエフ博士の発想が、中国の仲間、習近平から全面的支持を得て、プーチンによって見事に実施されたのだ。

特にこの文脈で興味深いのは、必要であれば、ロシア中央銀行は、準備金の金を、輸入への支払いに使用することが可能であることを強調した、11月のロシア中央銀行第一副総裁クセニア・ ユダエワの声明だ。欧米世界による経済制裁という文脈の中で、この声明は、BRICS諸国、そしてそもそも中国に向けられたものであることは明白だ。中国にとって、ロシアが、商品に対して、進んで欧米の金で支払うというのは、実に好都合だ。理由は下記の通りだ。

中国は最近、金とアメリカ・ドル建て外貨準備を増やすのをやめる予定だと発表した。アメリカと中国との間の貿易赤字の増大を配慮して(現状では、違いは、中国が五倍優位だ)、この金融語による声明を翻訳すると、“中国は商品をドルで売るのは停止する”ということなのだ。世界中のマスコミは、この最近の通貨制度史上最大の出来事に気がつかないふりをしている。問題は、中国が文字通り、商品を、アメリカ・ドルで売るのを拒否しているということではない。中国は、もちろん、中国商品に対する支払いの中間手段として、アメリカ・ドルの受け取りは継続するだろう。だがドルを得ると、中国は即座に、ドルを処分し、中国の金と外貨準備高構造中で、何か他のものに置き換えるのだ。そうでなければ、中国の通貨当局の声明には意味がない。“我々は、金とアメリカ・ドル建て外貨準備を増やすのをやめる。”つまり中国は、他のあらゆる国との貿易で稼いだドルで、これまでそうしていた様に、アメリカ合州国長期国債を購入することは、もはやしないのだ。

かくして、中国は、アメリカからのみならず、世界中から、その商品に対して得る全てのドルを、中国の金・アメリカ・ドル建て外貨準備高を増やさない他の何かに置き換えるつもりだ。そこで、興味深い疑問がおきる。中国は、貿易で得た全てのドルを、一体何に置き換えるつもりなのだろう? どの通貨、あるいは資産で? 現在の中国通貨政策を分析すると、貿易で得るドル、あるいは、そのかなりの部分を、中国は静かに、置き換える可能性が一番高いが、事実上、既に、金に置き換えつつあることを示している。

我々はドル時代の終焉を目にしているのだろうか?

この点で、ロシア-中国関係の二人遊びゲームは、モスクワと北京にとって大成功だ。ロシアは、中国から商品を購入し、時価で直接、金で支払う。一方、中国は、ロシアのエネルギー資源を、金で時価で購入する。このロシア-中国間の命の祭典では、あらゆるものが取引される。中国商品、ロシアのエネルギー資源と金が、相互の支払い手段だ。アメリカ・ドルだけは、この命の祭典に居場所がない。そして、これは驚くべきことではない。アメリカ・ドルは、中国製品でもなければ、ロシアのエネルギー資源でもないからだ。ドルは、中間的な金融決済手段に過ぎず、しかも不必要な仲介者だ。そして、二つの独立したビジネス・パートナー間の取引から、不要な仲介者は排除されるのが普通だ。

金現物の世界市場は、石油現物供給の世界市場と比較して、極端に小さいことに留意が必要だ。そして、特に金現物の世界市場は、石油、ガス、ウランという商品現物の全世界市場と比べれば、顕微鏡でしか見えないほど小さい。

“金の現物”という言葉を強調したのは、‘紙の’エネルギー資源ではなく、現物のエネルギーと引き換えに、ロシアは現在、欧米から金を回収しているが、紙の上の金ではなく、金の現物だけだからだ。中国も同様に、製品現物の、欧米輸出に対する支払いとして、欧米が人為的に引き下げた金の現物を得ている。

ロシアと中国が、両国のエネルギー資源や商品への支払いとして“シット・コイン”つまり、様々な種類のいわゆる“紙の上での金”を受け入れるという欧米の願いも実現しなかった。ロシアと中国は最終支払い手段として、金と現物の金属にしか興味はない。

参考: 金先物市場における紙の上の金取引高は、月3600億ドルと推定される。ところが、金現物の引き渡しは、月にわずか、2億8000万ドルだ。そこで、紙の上の金、対、金現物取引の比率は、1000対1というわけだ。

欧米に人為的に押し上げられている別の金融資産(米ドル)と引き換えに、欧米によって人為的に押し下げられている金融資産(金)を、市場から積極的に回収する仕組みを利用して、プーチンは、オイルダラーの世界覇権を終わらせる秒読みを始めたのだ。かくして、プーチンは、欧米を、いかなる前向きな経済見込みも不在の、手詰まり状態に追い込んだのだ。欧米は、人為的にドルの購買力を高め、石油価格を下落させ、金の購買力を人為的に引き下げる為、努力と資源はいくらでも費やせる。欧米にとっての問題は、欧米が所有している金現物の在庫が無限ではないことだ。それゆえ、欧米がアメリカ・ドルに対して、石油と金を押し下げれば押し下げる程、価値を低くしている金を、無限でない準備高から、より急速に失うことになる。プーチンの経済的組み合わせという、この素晴らしい手によって、金の現物は、欧米の準備高から、ロシア、中国、ブラジル、カザフスタンとインド、BRICS諸国へと、急速に移動しつつある。金現物備蓄減少の現在の勢いでは、欧米は、欧米オイルダラー世界全体の崩壊まで、プーチンのロシアに対して何をする時間も、もはやない。チェスでは、プーチンが、アメリカが率いる欧米を追い込んだ状況は、“タイム・トラブル”と呼ばれるものだ。

欧米世界は、いままさに起きている様な、経済的事態や現象には決して直面したことはない。ソ連は、石油価格下落の際に、金を素早く売却した。ロシアは、石油価格下落に際して、素早く金を購入している。かくしてロシアは、オイルダラーによる世界支配というアメリカ・モデルに対して、本当の脅威を与えているのだ。

世界オイルダラー・モデルの基本原理は、世界通貨制度(GMS)で支配的なアメリカ通貨の役割に基づいて、他の国々や人々の労働力と資源を犠牲にして、アメリカ合州国が率いる欧米諸国が暮らせるようにするものだ。GMSにおける、アメリカ・ドルの役割は、それが究極の支払い手段であることだ。これはつまり、GMS構造において、アメリカ合州国の自国通貨は、それを他のあらゆる資産と交換する為の究極的な資産蓄積手段というのが、意味をなさなくなってしまうのだ。ロシアと中国が率いるBRICS諸国が現在行っていることは、実際、世界通貨制度における、アメリカ・ドルの役割と立場を変えつつある。究極的な支払い手段と、資産蓄積から、アメリカの自国通貨は、モスクワと北京の共同行動によって、単なる中間的支払い手段へと変えられてしまうのだ。別の究極の金融資産、つまり金と交換する為に意図された、単なる中間的支払い手段にされてしまうのだ。そこで、アメリカ・ドルは実際、究極的な支払い手段、兼資産蓄積という役割を失い、両方の役割を、別の広く認められて、特定国家のものでなく、政治的要素が取り除かれた金融資産である、金に譲り渡すことになる。

カラー革命の地図

伝統的に、欧米には、世界における、オイルダラー・モデル覇権と、結果としての、欧米の極端な特権に対する脅威を抹殺する二つの方法がある。

こうした手法の一つは、カラー革命だ。第二の方法は、通常万一、前者が失敗した際に、欧米によって行われるもので、軍事攻撃と爆撃だ。

だがロシアの場合、この方法のいずれも、欧米にとって、不可能だったり、受け入れ不能だったりする。


なぜなら、そもそもロシア国民は、他の多くの国々の国民と違い、自らの自由や、孫子の将来を、欧米のソーセージと交換しようと望んではいないからだ。これは主要な欧米格付け機関によって定期的に公表されるプーチンの記録的支持率から明らかだ。ワシントンのお気にいりナヴァルニーと、マケイン上院議員の個人的友情は、彼にとっても、ワシントンにとっても極めて否定的な効果しかなかった。この事実をマスコミで知った98%のロシア国民は、今やナヴァルニーを、単なるワシントンの傀儡で、ロシア国益の裏切り者としか見ていない。従って、まだ正気を失っていない欧米の専門家連中は、ロシアでは、いかなるカラー革命をも夢想することはできない。

直接軍事攻撃という欧米の二つ目の伝統について言えば、ロシアは確実に、ユーゴスラビアでも、イラクでも、リビアでもないのだ。アメリカが率いる欧米による、ロシア領へのあらゆる対ロシア非核軍事作戦は、失敗する運命にある。またNATO軍指導部を本当に掌握しているペンタゴンの将軍達もこれを理解している。同様に、いわゆる“予防的武装解除核攻撃”という概念も含め、対ロシア核戦争にも見込みはない。NATOは、厳密に言えば、ロシアの様々な形の核能力を完全に武装解除する一撃を加えることはできない。敵に対する大規模核報復攻撃や、敵の遺体の山が不可避だ。しかも、ロシアの総合能力は、生き残った人々が死者をうらやむほど十分ある。つまり、ロシアの様な国との核攻撃の応酬は、迫り来るオイルダラー世界崩壊の問題に対する解決策ではない。最善の場合は、歴史上、核戦争の最後の和音、最終点となるだろう。最悪の場合は、核の冬と、放射能で突然変異したバクテリア以外の地球上のあらゆる生命の絶滅だ。

欧米の経済支配層は、状況の本質が見えており、理解している。主要欧米エコノミスト達は、プーチンの金という経済的ワナによって、欧米世界がおかれた状況の、苦境の酷さと絶望感を確実に把握している。結局、ブレトンウッズ合意以来、我々全員が黄金律を知っている。“より金を多く持っている者が、ルールを決める。”だが欧米でこれについて全員が沈黙している。沈黙しているのは、この状況からの脱出法を誰も知らないせいだ。

もし欧米大衆に、迫り来る経済的大惨事の詳細全てを説明すれば、大衆は、オイルダラー世界の支持者達に、最も恐ろしい質問をするだろうが、それはこういうものだろう。

ロシアから、金の現物と引き換えに、石油とガスを、欧米は一体どれだけ長期間買い続けられるのか?
そして、ロシアの石油、ガスやウランや、中国商品に対する支払いとして払う金の現物が欧米で尽きた後、アメリカ・オイルダラーに一体何が起きるのか?

現在、欧米では誰一人として、この一見して素朴な質問に答えられる人はいない。

これは“チェックメイト”と呼ばれており、紳士淑女の皆様、勝負はついたのだ。
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/post-c100.html


2016.11.04
破産国ウクライナでクーデター体制の腐敗が深刻化、その国の富豪がクリントン基金に多額の寄付


 キエフ体制で政治家の腐敗が西側のメディアも取り上げるほど深刻化、ファシズムはウクライナだけでなく旧ソ連圏に広がっていると伝えられている。こうした実態を隠すひとつの手段としてロシア、そしてウラジミル・プーチンを悪魔として描くプロパガンダが西側では展開されてきた。

 この体制はクーデターで成立したものだが、その背後にはアメリカの支配層がいることから「国際社会」とやらは容認している。選挙で成立したビクトル・ヤヌコビッチ大統領の政権はネオ・ナチの暴力で揺さぶられ、2014年2月23日に憲法の規定を全く無視した形で倒された。その際、西側はヤヌコビッチ政権の腐敗を宣伝していたが、真の腐敗はクーデター後に始まっている。

 現在、ウクライナの平均月収は214ドルにすぎないのだが、伝えられるところによるとボロディミール・フロイスマン首相は100万ドル以上の預金があり、24名の閣僚を合計すると700万ドル近くの現金を持っていると推計されている。高価な自動車やスイス製の時計、宝石、広大な土地などを所有している人もいるという。現在、ウクライナは破産状態だが、政治家や官僚は国を食い物にし、莫大な資産を形成中のようだ。

 勿論、クーデターの前に腐敗がなかったわけではない。1991年12月にソ連が消滅、ロシアはアメリカの傀儡だったボリス・エリツィンが大統領として君臨し、旧ソ連圏には新自由主義が広がると腐敗も広がる。国の資産は政府の腐敗勢力と結びついたグループに奪われ、庶民は貧困化した。当然、国民の間で不満が高まり、新自由主義(親米)陣営は支持されなくなる。

 ウクライナでは2004年の大統領選挙で西側の意に反し、ヤヌコビッチが当選した。西側の支援を受けたライバル候補のビクトル・ユシチェンコは「不正選挙」だと主張、デモや政府施設への包囲などで新政権を揺さぶり、2004年から05年にかけて反ヤヌコビッチのキャンペーンが展開された。いわゆるオレンジ革命」である。この「革命」にもヌランドは参加していた。

 しかし、そのオレンジ革命も新自由主義化が目的で、前と同じように貧富の差が拡大、2010年2月にはヤヌコビッチが大統領に就任した。そのヤヌコビッチ政権を倒すため、西側はNGOを使って抗議活動を演出、2013年11月にはキエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)へ約2000名の反ヤヌコビッチ派が集まる。当初、抗議活動は人びとのEUへの憧れを刺激する「カーニバル」的なもので、12月に入ると50万人が集まったとも言われている。

 規模が大きくなったところで登場してきたのがネオ・ナチのグループ。そのメンバーを西側は軍事訓練して準備していた。ネオ・ナチのグループは2月18日頃からチェーン、ナイフ、棍棒を手に、石や火炎瓶を投げ、ブルドーザーなどを持ち出し、中にはピストルやライフルを撃つ人間も出始める。そうした中、アメリカのバラク・オバマ大統領はウクライナ政府に対し、警官隊を引き揚げさせるべきだと求める。ヤヌコビッチ政権は強硬策をとることはなかった。

 2月21日にヤヌコビッチ大統領と反ヤヌコビッチ派は平和協定に調印するが、22日に狙撃で多くの死者が出始め、議会の議長を務めていたボロディミール・リバクは「EU派」の脅迫で辞任、アレクサンドル・トゥルチノフが後任になる。憲法の規定を無視して新議長を議会が大統領代行に任命したのはこの日だ。

 この狙撃について西側のメディアは政府側の仕業だと宣伝していたが、2月25日にキエフ入りして調査したエストニアのウルマス・パエト外相は翌日、キャサリン・アシュトンEU外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者)に対し、反政府側が実行したと強く示唆している:

 「全ての証拠が示していることは、スナイパーに殺された人びと、つまり警官や街に出ていた人たち双方、そうした人びとを同じスナイパーが殺している。同じ筆跡、同じ銃弾。実際に何が起こったかを新連合(暫定政権)が調査したがらないほど、本当に当惑させるものだ。スナイパーの背後にいるのはヤヌコビッチでなく、新連合の誰かだというきわめて強い理解がある。」そして、「新連合はもはや信用できない。」

 アメリカのビクトリア・ヌランド国務次官補は話し合いでの解決を嫌い、話し合いを進めていたEUを罵倒している。ヌランドとパイアットが電話で「次期政権」の閣僚人事について話し合っている音声がYouTubeにアップロードされているが、その中でEUに対して「くそくらえ(F*ck the EU)」と言っている。

 旧ソ連圏では西側巨大資本の手先になり、国の富を盗む手助けをして自らも巨万の富を手にした人びとがいて、オリガルヒと呼ばれている。そうした富豪のひとりであるビクトル・ピンチュクが2009年から13年にかけてクリントン基金へ少なくとも860万ドルを寄付していることがWikiLeaksの公表した電子メールで発覚した。このピンチュクはユーロマイダンで始まったクーデターを支持していたひとりだ。

 本ブログではすでに指摘しているが、ビル・クリントン大統領に対してユーゴスラビアを空爆するようにヒラリーは求めていた。その時、政府に入っていたヒラリーの友人には戦争推進派のヌランド、そしてマデリーン・オルブライトが含まれている。現在、ヒラリーの側近中の側近と言われ、ムスリム同胞団と強く結びついているヒューマ・アベディンはインターンとしてヒラリーの下で働いている。
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201611040000/

プーチンとメディア(欧米による植民地民主主義)との闘い


今でこそ非常に高い支持率を得たプーチンだが、2011年には下院の不正選挙疑惑もあり、支持率は低迷していた。台頭してきたインターネットメディアの中には反プーチン派も少なくなかった。それが今では支持率80%である。この高い支持率はどのようにして形成されたのか。

ソ連崩壊後、プーチンは「共産主義の非効率性を批判しつつ、同時に海外モデルの模倣では復興できない」と主張。第三の道を探った。そのポイントは民主化と平行して進む地方首長が直接海外資本と連携して地方領主として国家からの遠心力が強まっていく流れを断ち切って、国家へ税収が回収される仕組みを強化したことであった。そして、そこで得た資金を、地方に眠る資源開発へと投資し、プーチンは資源外交によって力を得た。

プーチンはレニングラード大学で法律を学んだが、あわせてレニングラードの鉱山大学で経済学を学んでいる。そこでのノウハウがプーチンの力となった。

シベリアの資源はプーチンの力の源泉のひとつだが、それを国家財源とするためには、エリィツィン前大統領のもとに結集した新興財閥勢力(エリツィン・ファミリー)との権力闘争に勝つ必要があった。その代表格がホドルコフスキーだが、ホドルコフスキーはエクソンモービルにロシアの石油会社の株式を譲渡する提携交渉を進めていた。「ロシアの地下資源はロシアの資産」が信条のプーチンは、この売国的交渉を止めさせるために、ホドルコフスキーを脱税の罪に問うた。

こうした権力闘争を闘う上で、プーチンはマスコミ支配に力を入れた。テレビを使った国民対話にも力を入れた。それ故に欧米マスコミからは「統制された民主主義だ」という批判も受けたが、金貸しによる欧米のメディア支配を知っているプーチンは「統制された民主主義とは外国から押し付けられた統治モデルのことだ。ロシアは外部からの統制は受けない。ロシアの民主主義は主権民主主義だ」と強烈な皮肉で切り返している。プーチンは独立国家としての主権のない民主主義は欧米に支配される植民地民主主義に過ぎないということの本質を見抜いているし、そのことを明確に発信している。

こうしたプーチンの対決姿勢に対して、欧米は、周辺国の民主主義=選挙をコントロールする戦略に出た。オレンジ革命(ウクライナ)、バラ革命(グルジア)、チューリップ革命(キルギス)・・・。そして市民団体、人権団体を駆使して、民主化ドミノを後押しした。

そんな中、プーチンに批判的なメディアも増えていった。そして事態は反プーチンの急先鋒であった女性ジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤ女史の殺害事件へと発展した。

これはプーチンにとってマイナスになった。世論はプーチンに批判的となった。インターネットも普及し、反プーチンの受け皿となるブロガーも登場した。そこでプーチンは親欧米を装うためにメドベージェフとの双頭体制に切り替えた。プーチンの支持は低迷し、2011年の下院選挙では不正選挙を海外からも国内からも疑われるに至った。けれどもプーチンは欧米支配、植民地民主主義に屈しないというスタンスを維持し続けた。

このプーチンの主張は静かに広まっていったのだろう。政治状況は根底から転換していった。プーチンの対抗勢力として登場してきたアレクセイ・クドリンは反プーチンの野党勢力を結集させ「市民イニシャチブ」を結成したが、その席上で「われわれは外国からのカネは受け取らない」と宣言したのだ。反プーチン・デモで有名になったブロガー、アレクセイ・ナワルニーも反プーチンではあるが、ロシア人優先という民族主義的な主張の持ち主でもある。

もともとKGB出身であったプーチンは欧米がメディア支配によって民主主義=選挙をコントロールし、植民地支配を行っているという現実を知っていた。そこでプーチンは根気強く、その現実を語り、大衆にその現実を広めていった。その主張は反プーチン派にも浸透し、外国に買われる自称リベラル派を壊滅させることに成功したのだ。その結果が2012年のプーチンの大統領再選であり、現在の80%近い高支持率になっている。

さて、日本はどうだろうか。強力な指導者を求めるロシアと強力な指導者を求めない日本の違いを踏まえると、同じ道をたどることはできないと思われる。おそらく草の根から、マスコミ支配の現実を広めていくしかない。それでも、プーチンとメディアの闘いは「最後は事実が勝つ」という単純な事実を物語っているように思う。道は違っても日本にできないことはない。

参考:プーチンの思考 佐藤親賢 2012年10月 岩波書店
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=295343

クリントンの世界戦略は1992年2月に国防次官だったネオコンのポール・ウォルフォウィッツが中心になり、国防総省で作成されたDPGの草案(通称、ウォルフォウィッツ・ドクトリン)に基づいている。
アメリカの支配層は1991年12月にソ連を消滅させ、ロシアを属国化することに成功した。中国にはウォール街やシティのネットワークが張り巡らされ、ライバルは消滅したかのように見えたことから、彼らはアメリカを「唯一の超大国」だと位置づけ、そのアメリカに君臨している自分たちが世界の覇者になることは確定的だと考えたのだろう。アメリカという国ではなく、私的な権力が世界を支配するファシズム体制だ。

 残るは雑魚。旧ソ連圏、西ヨーロッパ、東アジアなどの潜在的なライバルを潰し、ライバルを生む出すのに十分な資源を抱える西南アジアを支配するだけだとネオコンは考え、ウォルフォウィッツ・ドクトリンは作成されたわけだ。

 つまり、ネオコンの戦略はロシアや中国がEUや日本と同じようにアメリカの属国だという前提で成り立っている。自立した国が残されていたとしても、脅せば屈するような弱小国ばかりのはずだった。

 その前提を崩したのがロシアのウラジミル・プーチンを中心とするグループだ。ロシアを再独立させることに成功、米英の巨大資本と結びつき、法律を無視して国の富を略奪していた腐敗勢力、いわゆるオリガルヒはそうした犯罪行為を理由にして逮捕されていく。逮捕を免れるため、ロンドンやイスラエルに逃れたオリガルヒも少なくない。

 前提が崩れたウォルフォウィッツ・ドクトリンは機能しない。シリアでは手先に使ってきたアル・カイダ系武装集団やそこから派生したダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記する)はロシア軍の空爆で大きなダメージを受け、崩壊寸前だ。今でもアメリカやサウジアラビアなどから武器/兵器など物資の支援はあるようだが、トルコ政府がネオコンの戦略から離脱したこともあり、兵站線も細っている。

 ネオコンの戦略が機能しなくなった原因はプーチン露大統領にあるとも言える。西側の政府や有力メディアが彼を悪魔化して描き、激しく攻撃している理由はそこにある。プーチンを排除し、ロシアを再属国化しなければ世界制覇の野望は実現しない。

 生産手段を放棄したアメリカは基軸通貨を発行する権利だけで生きながらえている国になっている。カネを発行し、回収、あるいは吸収するという作業を続けているのだが、この流れが止まれば終わりだ。国が潰れるだけでなく、その背後にいる巨大資本が崩壊してしまう。いかなる手段を使ってもロシアや中国を「レジーム・チェンジ」し、属国にしなければならないのだ。だからこそ、ヒラリーはロシアや中国と核戦争も厭わない姿勢を見せていた。

 アメリカの歴史に登場する大統領の大多数は、こうした支配層のために尽くしてきた。0.01%にすぎない富豪の権力を強化するため、カネと情報がそこへ集中する仕組みを作ってきたのだ。そのためにアメリカの巨大金融資本は連邦準備制度を作って通貨の発行権を政府から盗み、「安全保障」を口実にして大多数の国民から情報を知る権利を奪った。
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201701160001/



24. 中川隆[-7644] koaQ7Jey 2017年5月25日 14:04:11 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]


真説・企業論 ビジネススクールが教えない経営学 (講談社現代新書)
アメリカに学んではいけない! 2017/5/17 中野 剛志 (著)
https://www.amazon.co.jp/%E7%9C%9F%E8%AA%AC-%E4%BC%81%E6%A5%AD%E8%AB%96-%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%8C%E6%95%99%E3%81%88%E3%81%AA%E3%81%84%E7%B5%8C%E5%96%B6%E5%AD%A6-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E4%B8%AD%E9%87%8E-%E5%89%9B%E5%BF%97/dp/4062884259/ref=as_li_ss_tl?s=books&ie=UTF8&qid=1495004462&sr=1-1&linkCode=sl1&tag=gendai_asyuracom-22&linkId=0aa3202ab156774fa13ae67defe914a4


日本経済「長期停滞」の本当の原因〜アメリカに学んではいけない!
短期主義がイノベーションを潰す 中野 剛志
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51764


起業大国から転落したアメリカ

「ではの守」という言葉をご存知だろうか。


何かにつけて「アメリカでは〜」「シンガポールでは〜」と海外の事例を持ち出しては羨ましがり、それをもって日本の現状を批判し、「日本でも〜を導入すべきだ」と他国の制度を真似たがる。

そういう人を「出羽守」と引っかけて皮肉ったのが、「ではの守」である。

経済や経営の議論では、この「ではの守」が頻繁に登場する。中でも、ベンチャー企業やイノベーションについて語られる際には、「アメリカでは」「シリコンバレーでは」と、「ではの守」が大見得を切るのが定番となっている。

例えば、こんな調子である。

「アメリカでは、若者がリスクをとってベンチャー企業を次々と起こしている。

シリコンバレーでは、世界中から優秀な人材が集まってきて、次々とイノベーションを生み出している。
グーグル、アップル、フェイスブックを見よ。これこそが、アメリカ経済のダイナミズムだ。

それに比べて、日本人はリスクをとろうとしない。
雇用の安定した企業にしがみついている。
だから日本経済は長く低迷しているのだ。」


もっとも、「ではの守」が一概に悪いと言うつもりはない。海外に学ぶべき成功事例があるのに、「日本には日本のやり方がある」などとかたくなに拒むこともないであろう。

だが、問題は、「アメリカではの守」の多くが、当の「アメリカ」の実態を正確に理解していないということなのだ。

アメリカの実態

例えば、過去30年間のアメリカにおける開業率と廃業率の推移を見てみよう

(図1)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51764?page=2


アメリカにおける開業率は、1980年代半ばから、ほぼ一貫して下がり続けている。しかも、2009年以降の開業率は、1978年の約半分しかない。


さらに、次の図2は、30歳以下の起業家の比率であるが、これも1990年代を通じて減少ないしは停滞しており、特に2010年以降は激減している。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51764?page=2

若者の起業家の比率は、1990年代のIT革命以前の方が高かったのだ。

しかし、ベンチャー企業を論じる「ではの守」の中で、この事実を指摘している者にはお目にかかったことがない。


アメリカ経済は、明らかにダイナミズムを失っているのである。

例えば、アメリカの全要素生産性(TFP)は、1947年から1973年までに比べて、1974年以降は鈍化している(図3)。


http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51764?page=2

経済学者のタイラー・コーエンは、過去40年間のアメリカ経済を「大停滞」と呼んでいる。

あるいは、アメリカの男子フルタイム労働者の中位の実質賃金の推移は、1970年代半ば以降、横ばいである。恐るべきことに、一般的な労働者の生活水準は、過去40年間、上がらなかったのだ。これによる労働者の不満が、ドナルド・トランプを大統領へと押し上げたと言っても過言ではない。


最近では、著名な経済学者のロバート・ゴードンが、1970年代半ば以降のアメリカでは、画期的なイノベーションが起きなくなっていると警鐘を鳴らしている。1990年代のIT革命が「第三次産業革命」として喧伝されているが、それも過去の二度の産業革命に比べたら、たいした効果はなかった。このゴードンの主張は、アメリカで大きな話題を呼んだ。

要するに、アメリカでは、1980年代以降、経済が停滞していたのである。アメリカは、「ではの守」が喧伝するようなベンチャー企業とイノベーションのパラダイスではない。長期停滞に苦しむ日本が手本とすべき国ではなかったのだ。


1: https://www.whitehouse.gov/sites/default/files/page/files/20160414_cea_competition_issue_brief.pdf

2: http://www.wsj.com/articles/endangered-species-young-u-s-entrepreneurs-1420246116

3: https://www.cscollege.gov.sg/Knowledge/Documents/CGLEI24%20The%20Great%20Stagnation.pdf

短期主義という病理

なぜアメリカ経済は、長期停滞に陥っていたのか。

その最大の理由は、アメリカの企業が短期的な利益の最大化を優先するようになったからである。これを「短期主義(ショート・ターミズム)」と言う。

1992年、著名な経営学者であるマイケル・ポーターは『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌において、アメリカ企業の投資の視野が短期的で、研究開発や企業内訓練など長期を要する投資を怠る傾向にあると警鐘を鳴らした。

その要因の一つは市場の圧力にある。例えば、株式保有の平均期間は1960年には7年以上であったが、今では2年程度になっている。この株式市場の短期的な利益を求める圧力が、企業の長期的な投資を妨げる一因だというのである。5

ところが、ポーターの警鐘からおよそ20年後、マッキンゼー社のドミニク・バートンが同じ『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌において、アメリカ企業の短期主義を批判している。

しかも、短期主義は、ポーターが心配していた20年前よりもひどくなっていた。

例えば、アメリカにおける株式の平均保有期間は、2年どころか、ついに7ヵ月程度にまで短期化した。全米の株式取引の七割は、極端な場合は数秒だけしか保有しないような超短期の取引を行う「ハイパースピード」トレーダーが動かしている。

バートンは、そんな短期主義が蔓延したアメリカの資本主義を「四半期資本主義」と呼ぶ。

アメリカの短期主義の病は、ついに四半期にまで悪化したのだ。

企業が短期主義に陥れば、効果が出るまでに長期の時間を要する研究開発投資や労働者の教育訓練は、敬遠されるようになる。アメリカでイノベーションが起きなくなるのも当然であろう。

昨今、人工知能(AI)が次なる産業革命の担い手としてもてはやされている。しかし、「人工知能の父」と呼ばれるコンピューター科学者のマービン・ミンスキーは、1980年頃から、長期的な研究をする研究者が激減し、人工知能分野の進歩が一世代前よりもはるかに遅くなっていると嘆いている。

そして、その原因は短期主義の蔓延にあるとミンスキーは証言する。

──いまは非常に短期的なものになっていると……。

ミンスキー  とても短いものになっている。以前は、たとえばベル研究所など、大企業付属の大きな研究所があったんですね。1952年、まだ学生だった頃、ベル研究所でひと夏過ごす機会があったのですが、「30年もかからないような仕事には手を出すな」とくり返し言われた。

いまではそれが、「2年」ということになっているわけです。ですから、過去50年の間に、難しい問題に打ち込めるような仕事や場所が、極端に少なくなってしまった。学生が行ける場所がない。

クリステンセンのビジネススクール批判

短期主義が蔓延するようになったのは、ビジネススクールのせいだ。こう主張するのは、『イノベーションのジレンマ』で有名な経営学者クレイトン・クリステンセンである。

アメリカのビジネススクールでは、企業の良し悪しを数値化して判断することを教える。もし、その数値が上がれば、優良企業だというわけだ。その数値としては、例えばIRR(内部収益率)やRONA(純資産利益率)などが使われる。

だが、例えばIRRを上げようという企業は、長期的な研究開発投資を嫌がる。何年も収益が上がらないようなことのために資金を投じると、IRRが悪化するからだ。RONAを上げようとする企業も、積極的に技術開発や生産のための設備を手放すようになる。RONAを上げるには、資産を少なくした方がよいからだ。8

このように、IRRやRONAといった指標に頼ると、画期的な技術開発にじっくり取り組まない企業の方が優良企業ということになる。9

経営目標の数値化が、企業の短期主義を助長する。それがイノベーションを阻害する。クリステンセンは、そう強調し、ビジネススクールを厳しく批判するのである。

しかし、悪いのはビジネススクールだけではない。1980年代以降のアメリカでは、金融市場の圧力を強め、短期主義を助長するような改革が次々と行われていたのである。

例えば、1982年、証券取引委員会が規則10b-18を制定し、自社株買いを容易にした。また、1981年にストック・オプションの最高所得税率が引き下げられ,経営陣が受け取ることができるストック・オプションの上限が事実上 撤廃された。

自社株買いにより株価が上昇すれば、経営者はストック・オプションを行使して高収入を手にすることができる。このため、経営者が短期的な株価の上昇を目指すようになった。自社株買いとストック・オプションは、短期主義のインセンティブとなったのだ。

さらに、金融市場の規制が緩和されたことで、大量の資金がなだれ込み、金融機関の支配力が飛躍的に増大した。支配力を増した金融機関は、企業に対して、株価の最大化や短期的利益の追求を強く求めた。こうして、短期主義の圧力は、格段に強くなったのである。


5:Michael E. Porter, ‘Capital Disadvantage: America’s Failing Capital Investment System,’ Harvard Business Review, September-October, 1992.

6:Dominic Barton, ‘Capitalism for the Long Term,’ Harvard Business Review, March 2011.

7:吉成真由美編『知の逆転』、2012年、NHK新書、pp181-3.

8:Steve Denning, ‘Clayton Christensen: How Pursuit of Profit Kills Innovation and the U.S. Economy,’ Forbes, Nov.18, 2011.

9:Steve Denning, ‘Clayton Christensen: How Pursuit of Profit Kills Innovation and the U.S. Economy,’ Forbes, Nov.18, 2011.

「ではの守」の改革

ところが日本の「ではの守」たちは、あろうことか、このアメリカの短期主義化を範として、20年にも及ぶ構造改革を断行してきたのである。

例えば、1997年の改正商法でストック・オプション制度が導入され、さらに2001年の改正商法によってその普及が促進された。

2001年の改正商法では、自社株買いについて目的を限定せずに取得・保有することが可能になり、2003年の改正商法で、さらに取締役会の決定で自社株買いが機動的にできるようにする規制緩和が行われた。


金融市場の規制緩和も行われた。

1996年から2001年にかけて、外国為替業務の自由化、証券デリバティブの全面解禁、銀行業務と証券業務の相互参入のための規制緩和、投資信託の商品多様化、証券会社の業務多角化などのいわゆる「金融ビッグバン」である。

これらの制度改革は、いずれもアメリカでは短期主義化の効果を発揮したものである。

さらに、外資の導入も進められた。

2002年の改正商法ではアメリカ的な社外取締役制度が導入された。
2005年には会社法が制定され、株式交換が外資に解禁された。

その結果、日本企業の外国人持株比率は、かつては全体の一割程度だったが、2006年には約四分の一を占めるまでに上昇した。

一般に、海外投資家は株主利益の最大化を強く求める傾向にある。
外資とともに短期主義も、日本に導入されたのである。


ところが「ではの守」たちは、これだけやってもまだ満足していない。

最近の一例を挙げよう。

2014年8月、経済産業省の研究会が「持続的成長への競争力とインセンティブ〜企業と投資の望ましい関係構築〜」プロジェクト「最終報告」(通称「伊藤レポート」)なるものを公表し、その中でグローバルな投資家に認められるROE(株主資本利益率)の最低水準は8%であると明記した。

クリステンセンが批判したように、アメリカのビジネススクールでは、数値目標に基づく経営を教える。

しかし、ROEとは、当期純利益を自己資本で割った数値に過ぎない。分子の当期純利益は変わらなくても、株主還元により分母の自己資本を減らせば、ROEを改善するのである。つまり、イノベーションの源泉である中長期的な投資を削減すれば、ROEは簡単に改善するのだ。

さらに、ROEの改善を目標にするならば、企業は自社株買いを積極的に行うようになる。自社株を購入して消却すると株式の発行数は減少し、分母の株主資本が圧縮され、ROEが改善するからだ。しかも、自社株買いにより株価が上昇すれば、経営者はストック・オプションを行使して高収入を手にすることもできる。ROEとは、短期主義のインセンティブなのだ。

アメリカでは、1980年代以降、経営の数値目標化や制度改革が進み、短期主義が蔓延した。その結果、アメリカでは、画期的なイノベーションを起こすことが困難になり、長期の停滞に陥ってしまった。

日本も、1990年代から20年にもわたって、そのアメリカを範とする改革を行ってきた。日本経済は長い停滞から抜け出せないでいるが、何も不思議なことではない。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51764


25. 中川隆[-7642] koaQ7Jey 2017年5月25日 14:06:55 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017年05月23日
高卒の4割が生活苦 アメリカンドリームの現状

アメリカの実力主義は大卒者だけの話、高卒以下は競争に参加できない
引用:https://gaishishukatsu.com/wp-content/uploads/2013/03/3566373909_a5d8350af6_z.jpg


アメリカは実力主義か

日本は学歴社会だが外国(例に挙がるのは大抵アメリカ)は実力社会などと良く言われている。

あるいは最近は、学歴は無意味だという意見が支持を得て、大学に行かずに起業する人も居るようです。

果たしてアメリカは本当に「学歴より実力」なのか、そうでは無いというデータがアメリカの調査から出てきている。


米連邦準備制度理事会(FRB)が5月19日に公表した資料によると、高卒の40%が生活が苦しいと回答しました。

大卒で同じ質問に苦しいと回答したのは17%だったので、学歴による格差が現われたと分析している。

反対に生活に余裕があると回答したのは大卒が80%、高卒以下では60%と格差が存在した。


この他に人種間や地域間の格差も調査したが10%未満であり、学歴による格差の方が大きかった。

アメリカでは高卒と大卒の収入にはどのくらいの差があるのか、Fusionというネットサービスの資料では、生涯で1.4倍の差が出ている。

MBA、法学部、医学部の有資格者の場合だと、平均で高卒の2倍以上の生涯賃金になり、確かに学歴による収入格差は存在しています。


因みに高卒以下の生涯収入は約1万ドルで、高卒の生涯収入は約1.4万ドルと言われています。

高卒以下というのは中学以下しか行かなかったり、そもそも学校に行った事が無い人(移民など)も多いからのようです。

日本で高卒の生涯収入は2億6千万円だそうなので、アメリカの高卒は日本の高卒の半分しか、一生涯の収入が貰えません。


アメリカに学歴差別は存在する

アメリカは自由で学歴差別が無い、という都市伝説は早くも崩壊したような気がしますが、アメリカに留学した人は揃って「学歴差別は無い」のような感想を言います。

学歴不要論については、主張しているホリエモンなどの知識人(?)は必ず大卒者なのが疑問です。

ホリエモンは東大を中退しましたが、もし彼が中卒だったら、失礼な言い方だがホリエモンなんか誰が相手にするだろうか?


かなり非常識な事を言ったりやったりしても「東大だから」許されている訳で、本人が気づいていないだけだと思います。

ホリエモンに限らず学歴不要論を主張しているのは大卒の人が多く、高卒や中卒の人はあまり言いません。

学歴が無い人は、自分が受けた差別や区別を身にしみて感じたから、あまり言わないのだと思います。


たとえば実力社会と言ったって、どんな国家資格でも必ず、学歴によって試験項目が違います。

医師や弁護士のように大卒しか受験できない資格があり、自動車整備や大工でも学歴によって受験できない資格があります。

(高卒だと実務経験が数年間必要だが、大卒だと一部試験免除されたり等)世の中には色々な差別や区別がある。


高卒の人と大卒の人が同じ企業に入社したとして、大卒者は最初から管理する人、高卒者は管理される人に分かれます。

この区別は一生つきまとい、高卒者がどれだけ頑張って世間に評価されたとしても、やっぱり自分より能力が劣る大卒者より、会社の扱いは下なのです。

まあ人間国宝のような技術があれば関係ないですが、学歴はあるに越した事は無く、色々な面で優遇されます。


それでも数字で見ると日本は良い方で、アメリカでは高卒の収入は大卒よりもっと低いのです。
http://www.thutmosev.com/archives/71031234.html


26. 中川隆[-7641] koaQ7Jey 2017年5月25日 14:23:32 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

実力主義だと白人男性だけしか高い地位を得られない


ウーバーのトラビス・カラニックCEOは先日、ウーバーの運転手と料金で口論になり、罵る動画の車載カメラが公開されて謝罪していた。

2月19日には元エンジニアのスーザン・ファウラーさんが、2015年から2016年12月まで、社内でハラスメントを受けていたと告発した。


会社に被害を訴えたところ、ウーバー人事部は加害者が好業績を上げているとして、制裁に難色を示したと言っています。

ウーバーは「実力主義」を第一に掲げていて、反面実力さえあれば何をやっても許される風土もあるようだ。

結果としてウーバーの上層部は男性ばかりで女性は男性の部下になり、「男性は女性に何をしても良い」ルールが出来上がっている。

「実力主義」が派閥主義になる

このような風土はシリコンバレー出身のIT企業に多く見られ、経営者や重役のほとんどが男性で、「実力主義」を自画自賛している。

またウォール街の金融機関にも多く見られ、やはり実力主義で優秀なトレーダーのほぼ100%を男性が占めている。

アップルやグーグルやマイクロソフトも例外ではなく、女性をCEOにした米ヤフーは事実上破綻してしまった。


アメリカ特有の問題として、最高幹部になるのは必ず白人の男性で、他の人種や女性がなる事は、極めて稀です。

これも実力主義を掲げる企業ほどそうなっていて、不思議な事に「実力主義」は人種や属性を固定してしまう。

そういえばスポーツの世界でも白人が強い競技は白人だけ、黒人が強い競技は黒人だけという風景が、オリンピックで良く見られる。
http://www.thutmosev.com/archives/69852868.html  

起業家の半数が1年で廃業し収入はバイト以下

平凡な会社ですら1%以下しか継続できない(ヴァージングループ会長)

起業家の厳しい実態

10年ほど前から日本政府は起業を奨励していて、起業すれば必ず成功するかのようなキャンペーンをやっていました。

ブームに乗って実際に起業した人たちがどうなったか検証してみると、政府が振りまいた夢とは正反対の現実があった。

中小企業白書によると個人事業主として開業した人の約3割が、1年以内に廃業し、2年で約半数、10年後には88%が廃業しています。

       

個人ではなく会社を設立した場合、1年以内で6割が廃業(倒産)し、5年後には85%が廃業、10年後に残っているのは6%でした。

個人事業主より会社設立の方が、より速いペースで廃業しているのが分かります。

理由は自分ひとりでやるよりも、他人に給料を払えば余計なコストが発生するからだと考えられます。


会社を設立する人はだいたい、会社員として仕事がデキる人で、自信満々で部下を引き抜いたりして開業する。

いわば人生のピークで勝負をかけて起業するのだが、統計からは例外を除いて失敗に終わっています。

「起業に成功する人、失敗する人」のような本は多く出ていますが、そもそも会社の数は足りているのです。


現在存在している会社だけで世の中は足りているのに、そこに割って入って仕事を奪うのが「起業」だと言えます。

既存の会社には目の敵にされるし、会社員として実績があっても、おそらく助けては貰えないでしょう。

それでも起業して数ヶ月の間は、会社員だった頃のツテやコネから仕事を得られる場合があるが、それも無くなります。

最先端のビジネスほど続かない

起業する人には何かアイディアがあり「これが世の中に必要とされる筈だ」というような構想があると思います。

ところが革新的なアイディアの99%は、短期間で社会から不要になる事が多いです。

インターネット関係の新しいアイディアは1年もたずに陳腐化してしまい、事業として続かない事が多いです。


自分が住んでいる地域で30年続いている会社は、不動産とか床屋とか食堂とか、平凡で代わり映えしない業種しかないと思います。

まわりで10年続いている会社を見ても、喫茶店とかコンビニとか薬局、設計事務所や大工など「パッとしない」業種ばかりだと思います。

これが意味するのは新しいアイディアほど早く陳腐化している事で、生き残ったのは平凡で「ダサい」ものだったのでした。


中でも手堅いのは食堂で、味が良くて固定客が多くついていたら、店主の体力が続くまで営業が続けられます。

人気食堂が閉店する理由の多くは、親父が病気になったとか代替わりで息子が継がなかったなどだと思います。

社会が変わっても人間はメシを食うので、30年後も家の近所で食べ物屋は存在している筈です。


日本政策金融公庫の調査で起業家の4割がが月商30万円未満だと発表されました。

月商はもちろん売上げであって、そこから様々な経費を差し引いたのが収入になります。

仮に月商の50%が利益になるとしても月収15万円未満な訳で、起業した人の家計が非常に苦しくなるのが分かります。

10年続いたら成功者

良く不動産ビジネスで「年商1億円」のように言う人が居ますが、不動産の利益は良くて年10%以下と言われています。

しかもこれは借金が無い場合なので、利子の支払いなどがあれば年商1億円でも「年収」は500万円以下かも知れません。

起業家の8割は1人で自宅で仕事をし、最近はネットで仕事をするネット企業家が増えています。


起業した人の多くは会社員時代より収入が減り、しかも労働時間が延びる傾向があります。

働いた分だけ収入になるのは、働かなければ収入がない事なので、特に時給に換算した収入が減少します。

会社では10人分の仕事を10人でやり、起業すると1人分の仕事を1人でやり、一見同じ事に思えるが効率が大幅に悪化します。


設計の仕事で起業したとしても、膨大な雑事が発生してやりたい仕事になかなか取り掛かれないでしょう。

顧客の獲得や対応、宣伝、値引き要求や代金不払い、理不尽なクレームなどありとあらゆるトラブルを1人で処理しなくてはならない。

一時的に成功しても、流行の業種ほどすぐに陳腐化して仕事と売上げが減るのが普通です。


時代の波を乗り越えて10年後に事業を続けていられる人は、10%前後というわけです。
http://thutmose.blog.jp/archives/69215505.html



2017-03-09
「凶悪極まりない産業破壊の道具」としてのインターネット

インターネットは新聞社、出版社、音楽会社の次はデパート・総合スーパーを破壊し始めた


現在、全世界で「ビジネス崩壊」に関するいくつもの興味深い動きが同時並行で起きている。

それぞれ、関係がないように見えてすべて相関関係にある動きであると言っても過言ではない。

たとえば、時計の老舗セイコーホールディングスと、セブン&アイの売り上げ不振は、それぞれ会社も事業形態もまったく違うので関連性がない動きに見える。しかし、よくよく見ると、不振に至った根の部分は同じだ。

さらに、業績不振がまったく打開できないとして三越伊勢丹ホールディングスの社長が辞任する騒ぎと、運送業のヤマトホールディングスの未払い残業代はまったく関係ないように見える。しかし、これも根は同じだ。

デパートと言えば、アメリカでもデパート業界の雄であるシアーズやメーシーズやJCペニー、さらに小売業の雄ウォルマートなどが、それぞれ100店舗以上を急いで閉鎖する動きが出てきている。

同時に日本の総合スーパーであるイオンも、赤字に追い込まれている。これらも、まったく関係ないように見える。しかし根は同じだ。

いったい、何が起きているのか。もちろん、ビジネスモデルを破壊する「凶暴な存在」が暴れ回っているのである。

いよいよ、ビジネスモデルが崩壊し始めたのか?

それぞれの「老舗」であったはずの企業で何が起きているのか。なぜ同時並行的に今まで通用してきた老舗のビジネスが赤字や業績不振に追い込まれているのか。

それは、それぞれの企業の内情を見つめると、自社に抱える独自の問題に対処できなくなったとか、経営判断を誤ったとか、流行を読み違えたとか、様々な固有の問題が上げられる。

しかし、今まで「老舗のビジネス」をしていて何の問題もなかったはずなのに、ここにきて急激にすべての老舗が同時並行的に起きている。

それならが、固有の問題が深刻化しているというよりも、むしろ社会が大きく転換しているという見方の方が正しい。

セイコーホールディングスが売り上げ不振になったのは、商品力云々もあるが、その前に売り場であるデパートに人が集まらなくなったからでもある。

セブン&アイはコンビニのセブンイレブンのイメージが強いが、実はデパートの老舗そごうや西武などを抱えており、これが足を引っぱっていた。

セブン&アイが深刻な問題に陥っていないのは、単にコンビニ事業がデパート事業の不振を補っているからに過ぎない。

逆に言えばコンビニ事業を持っていないデパートや総合小売店である事業体、日本の三越伊勢丹ホールディングスやイオン、あるいはアメリカのシアーズ、メーシーズ、JCペニー、ウォルマートは全部まとめて危機に陥っている。

ほとんどのデパートや総合スーパーの経営不振がここに来て一気に噴き出しているのは、景気が悪いからではない。景気が悪ければ、運送大手のヤマトホールディングス、アメリカではフェデックス、UPS等の企業の売上は激減している。

しかし、現在これらの運送業を見ればまったく逆で、あまりにも忙し過ぎて人手が足らず、過大な仕事量で現場が崩壊しそうな目に遭っているのである。

そう考えると、デパートや総合スーパーは「いよいよ、ビジネスモデルが崩壊し始めた」と見るのが正しいと多くの識者が指摘する。


デパートに集まるはずだった商品は倉庫にある

運送大手ヤマトホールディングスの仕事量がキャパシティを越えて仕事がパンクしそうになっているという状況と、オフィス用品の通販大手アスクルの倉庫が12日も燃え続けたというニュースも同時並行に起きているのだが、これもまったく違うニュースに見えて根は同じだ。

アスクルの埼玉県内にあった倉庫が12日も燃え続けたのはなぜか。それはこの倉庫が普通の倉庫ではなく、約7万2000平方メートルにも及ぶ東京ドーム並みの「超巨大倉庫」だったからである。

こんな巨大な倉庫が燃え上がったら、確かに消防車が何台あっても足りないだろう。

しかし、考えなければならないことがある。日本にはこのアスクルの倉庫の約3倍もの大きさを持つ「超巨大倉庫」が神奈川県小田原市にある。それはアマゾンの倉庫である。

アマゾンはこの他にも12の倉庫を持っていて、それぞれが燃え上がったアスクルと同等か、それ以上の巨大倉庫になっている。

今、こうした巨大倉庫、別の言い方をすれば大型物流施設が次々と建設されていて、撤退した電機メーカーの工場跡地を物流業者が次々と買い漁ってありとあらゆる商品をそこに集積させている。

つまり、本来はデパートに集まるはずだった商品は、今は倉庫に集まっていて、その倉庫から直接、顧客に届けられるスタイルにビジネスモデルが転換している。

消費者はもうデパートや総合スーパーを徐々に「面倒だ」と思うようになっており、インターネットで買い物をして運送屋に運んで来てもらう消費スタイルに転換した。

それが、いよいよ臨界点を超えて、巨大なショッピングセンターから打撃を与えるようになっているのだ。

そのインターネット通販の入口を独占したのが、アマゾンである。だからこそ、アマゾンは超巨大倉庫を次々と日本に建てて運営するようになっている。

三越伊勢丹ホールディングスやイオン、あるいはアメリカのシアーズ、メーシーズ、JCペニー、ウォルマートは、すべてアマゾンによって打撃を与えられた。

アマゾンは破壊者であると言われているが、そのアマゾンの中核はインターネットだ。現象を正確に捉えるのであれば、インターネットこそが真の破壊者である。ただの破壊者ではない。凶悪極まりない破壊者だ。


インターネットは、凶悪極まりない産業破壊の道具

インターネットによる通販は、ここ10年で定着した動きなのだが、その立役者としてはスマートフォンの存在がある。

パソコンは今でも重要な機器だが、一般消費者はもうパソコンではなくスマートフォンでインターネットに接続し、コンテンツを消費し、買い物をするようになっている。

だから、いよいよ巨大なショッピングセンターのビジネスモデルが崩壊したというのは、要するにスマートフォンに客を取られたという言い方もできる。

このスマートフォンを制したのがアップルとグーグルだ。さらに、ネット通販を押さえたのがアマゾンである。

こうした動きは10年以上も前から始まっていたので、各デパートや総合スーパーもそうした動きがあるのを気付かなかったわけではない。

その証拠に、それぞれが独自のショッピングサイトを立ち上げてネット通販を試していた。

しかし、インターネットを知り尽くしたアマゾンの徹底的な拡大戦略に負け、デパートが片手間でやる自社のネット戦略はうまく機能しなかった。

そうしているうちに、アマゾンの拡大と侵食によって本業まで食われ、経営に壊滅的な打撃を受けるようになってしまったのである。

だからデパートや総合スーパーは全世界で同時並行的に「ビジネス崩壊」するようになっており、そこに販売を託している業者も一緒に不振にあえぎ、もはや生き残りの手がかりすらも得られないような状況になっている。

これが、破壊者としてのインターネットの姿だ。

インターネットは、新聞社を破壊し、出版社を破壊し、音楽会社を破壊してきたのだが、次はデパートを破壊し、総合スーパーを破壊し、ありとあらゆる業界のビジネスモデルを破綻させている。これからも既存のビジネスモデルを破壊し続ける。

それぞれの業界の人間たちは漠然とそれを意識しながらも、インターネットが凄まじく凶暴であることに気付かない。そのため、ビジネス崩壊が起きて初めて蒼白になるのだが、その時はもう遅いのである。すべては破壊される。

私たちがすべきことは簡単だ。時代の変遷に立っているのであれば、破壊される側に立たないということである。

インターネットが凶悪極まりない産業破壊の道具なのであれば、その道具で叩きのめされる方ではなく、叩きのめす方に立たなければならない。いよいよ、待ったなしだ。

本来はデパートに集まるはずだった商品は、今は倉庫に集まっていて、その倉庫から直接、顧客に届けられるスタイルにビジネスモデルが転換している。インターネットがデパートや総合スーパーを破壊した。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/03/20170309T1806350900.html  


2017年03月08日
家庭環境が貧しいと子どもの脳は「貧困脳」になる
http://gigazine.net/news/20170308-brain-on-poverty/


貧困が「子どもの脳の発達」に強い影響を与えることが研究により明らかになっていますが、コロンビア大学の神経科学者であるキンバリー・ノーブル氏が「貧困と脳の関係」を視覚化した画像を一般向けの科学雑誌としては世界最古のScientific Americanの中で公開しています。

This Is Your Brain on Poverty - Scientific American Blog Network
https://blogs.scientificamerican.com/sa-visual/this-is-your-brain-on-poverty/

貧困が脳に強い影響を与えることが明らかになっていますが、これはお金が脳の構造や機能に直接何かしらの影響を与えるわけではなく、貧困に伴う環境や遺伝的影響が合わさった影響が脳構造に出ている可能性が高いそうです。これは相関関係にあるのか因果関係にあるのかを解き明かすことが実質的に不可能なのではないかという問題でもあるのですが、ノーブル氏は現在利用可能なさまざまなツールを用いて「貧困と脳のつながり」を解き明かそうとしています。

「貧困と脳のつながり」をひもとく上で必要なのは、「貧困はどのように脳機能に影響を与えるのか?」を定義することです。そのためにノーブル氏はさまざまな社会経済的背景(SES)を持つ約150人の子どもを被験者として集め、脳の特定部分に関連する認知能力を評価するための標準的な心理テストを行いました。

心理テストの結果を示したのが以下のグラフで、横軸が被験者のSES(高いほど裕福な家庭であることを示す)、縦軸がテストのスコアを示しています。

グラフは左上から

「Language Skills(言語能力)」
「Perception of Spatial Relationships(空間的関係の認識)」
「Memory of Facts and Events(真実と出来事の記憶)」
「Cognitive Control(認知制御)」
「Short-Term Memory(短期記憶)」

を示しており、程度の違いこそあるものの、すべての認知能力で「貧しいほど認知能力が低い」という正の相関があることがわかります。


http://i.gzn.jp/img/2017/03/08/brain-on-poverty/s01.png

上記のグラフは「貧困はどのように脳機能に影響を与えるのか?」を明確に示していますが、「貧困が脳に物理的にどのような影響を与えるのか?」まではわかりません。そこで、ノーブル氏は約1100人の小児および青年の脳をスキャンし、SESに基づく差異を見いだそうとしました。

「貧困環境で育った子どもは脳の皮質の一部面積が減少している」ということを示したのが以下の図。

「皮質面積の減少」が見られる領域は帯状回・楔前部・下前頭回・上前頭回・下側頭回で、図では赤色に塗られています。


http://i.gzn.jp/img/2017/03/08/brain-on-poverty/s02.png

以下のグラフは横軸が家庭の年間収入、縦軸が脳の皮質面積を示したもの。

特に注目すべきなのは、年間収入が5万ドル(約570万円)以下の家庭の子どもは収入が低ければ低いほど皮質面積が指数関数的に縮小する傾向にあるという点。


http://i.gzn.jp/img/2017/03/08/brain-on-poverty/s03.png


最も低所得な貧困環境で育った子どもたちは、脳の発達において重度の損失を被っている、というわけです。
http://gigazine.net/news/20170308-brain-on-poverty/


「経済格差は知能の格差」という現実から目を背けるな[橘玲の日々刻々]
http://diamond.jp/articles/-/114447


 2016年に国際社会を揺るがした最大の事件は、イギリスのEU離脱を決めた6月の国民投票だと思っていたら、11月のアメリカ大統領選でそれを上回る衝撃が起きました。もうひとつの驚きはAI(人工知能)で、ディープラーニングによってコンピュータがチェスだけでなく、より複雑な将棋や囲碁でプロを圧倒する時代がやってきました。

 じつはこのふたつの出来事は、「知識社会化」という同じコインの裏表です。

『ワイアード』創刊編集長のケヴィン・ケリーは、人間がテクロジーを開発しているのではなく、テクノロジーが人間を利用して自ら進化しているのだという「テクニウム(テクノロジー生態系)」を唱えました。テクノロジーはまるで生物のように、さまざまな知を吸収して未知の領域へと自己組織化していくのです。

 社会が高度に知識化すれば、それに適応するにはより高い知能・技能が求められます。――パソコンを使いこなせないと事務の仕事すらできない、というように。仕事に必要とされる知能のハードルが上がれば、必然的に多くの労働者が仕事を失うことになるでしょう。これが「格差社会」とか「中流の崩壊」と呼ばれる現象です。

 しかし失業したブルーワーカーは、なぜ自分が虐げられるのかがわかりません。その怒りを動員するのがポピュリストの政治家で、今年はフランスやイタリア、ドイツなどでも同じ光景を見ることになるでしょう。なぜなら、知能の格差が経済格差を生み、社会を混乱させるのは、(新興国との競争にさらされる所得の高い)先進国に共通の問題だからです。

 AIがその驚くべき能力を示しはじめたとき、多くのひとが、人間がロボットに支配されるSF的なディストピアを予感しました。しかしその後、すこし冷静になると、AIは人間に取って代わるものではなく、人間の知能を拡張するツールだといわれるようになりました。脳(身体)とコンピュータは仕組みが本質的に異なっているので、AIがどれほど学習しても、人間のような認知能力や共感能力を持つことはできないからです。

 しかしこの事実も、あまり明るい未来は見せてはくれません。

 AIが知的能力を大きく引き上げるとしても、それはすべてのひとに平等に恩恵を与えるわけではありません。そこからもっとも大きな利益を得るのが、高度で複雑なテクノロジーを効果的に使いこなす、知的能力の高いひとであることは間違いないからです。同様のことはビッグデータ(統計解析)などの分析手法や、ビットコイン(ブロックチェーン)、3Dプリンタ、VR(ヴァーチャル・リアリティ)のような新しい技術にもいえるでしょう。

 このようにしてテクノロジーの「進化」がますます知能の格差を広げ、それによって富は局在化し、経済格差が深刻になり、社会は分断されていきます。これは知識社会化がもたらす必然ですから、人類がこの運命を避けることは(おそらく)できないでしょう。

 だとすれば、私たちはどうすればいいのでしょうか。

 そのこたえを私は持ち合わせませんが、ひとつだけ確かなことがあります。それは、「経済格差は知能の格差」という現実から目を背けるなら、私たちはグロテスクな「陰謀論」の世界に落ちていく以外の未来はない、ということです。

参考:ケヴィン・ケリー『テクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか?』
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4622077531/ref=as_li_tf_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4622077531&linkCode=as2&tag=mailmagazin0asyuracom-22
 


お金持ちが経験、お金がお金を呼ぶ「ゾーン」とは?
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170326-00000011-zuuonline-bus_all
ZUU online 3/26(日) 18:30配信

お金持ちは、お金を引き寄せる。
お金の性質を理解して、
お金がお金を呼ぶ「ゾーン」を体験せよ。

私は、よく「菅下さんはお金持ちでいいですね」と言われます。
自分の貯金額を明かしたことはないのですが、なぜかそう言われます。どうも、私は「お金持ち顔」なのだそうです。

(本記事は、菅下清廣氏の著書『今こそ「お金の教養」を身につけなさい 稼ぎ、貯め、殖やす人の”37のルール”』(PHPビジネス新書)の中から一部を抜粋・編集しています)

でも中学生で父が事業に失敗したあのころ、私はしばらくお金に嫌われてしまいました。大学生の頃もアルバイトをしていましたが、貯金をするほどの余裕はなかった。必死にアルバイトをしていた私と、いまの「お金持ち顔」の私。何が違うのでしょう。

私は「貧乏」も「お金持ち」もどちらも経験しましたが、明らかに違うことがあります。それは「お金が向こうから寄ってくるかどうか」です。

お金を持つと、お金がお金を吸い寄せ、さらにお金が集まります。なぜか。お金持ちの人には、お金儲けの話が集まるからです。

「あの人はお金持ちだから、おそらくいい頭脳と人脈をもっているに違いない。相談にいってみよう」

と、なるわけです。有益な相談もたくさんありますから、結果としていい人脈やお金が集まってきます。

よく考えたら、当然のことです。貧乏な人にお金儲けの案件を持ち込んでも、無駄ですから、貧乏な人には、人も金も集まってきません。

■お金がお金を呼ぶ「ゾーン」とは?

お金持ちは、一定額以上貯まったら、あえて貯金をしようとはしていません。お金が向こうから寄ってきて、よほど浪費しなければ結果として貯金できてしまうからです。

私も年収10年分貯まった頃から、「お金を貯めよう」という意識は無くなりました。10年分の貯金があれば、人間は気前が良くなります。すると、さらにいい人が集まってきます。ですから、もともとお金持ちの家に生まれた人は、お金が集まりやすいはずなんです。それでもお金が貯まらないということは、頭が悪いか、素行が悪い。どちらかです。

話を戻します。お金がお金を呼びはじめると、お金は勝手に増えてくれます。たとえば、1千万円をローリスクで利息10%の商品に投資すると、年間100万円になります。月8万円程度のお小遣いがもらえれば、これまで食事などに使っていたお金を、別のことに投資できるようになります。

でもこれでは、「お金がお金を呼ぶ」と言うほどではないです。まだ、少し甘い。本当に「お金がお金を呼ぶ」スパイラルをつくるには、5千万円、1億円クラスのお金が必要です。

1億円あれば、たとえ5%の運用であっても、年間500万円のキャッシュフローが生まれる。30代くらいの方の年収が、そっくりそのままもらえちゃうわけです。

こうなると、お金がお金を呼ぶ「ゾーン」に入ります。あなたに関係のない話をしているのではありません。1億円だって、今は夢のように思えても、貯まります。その「はじめの一歩」が、この本でおすすめしている「恒産」なのです。

お金というのは不思議なもので、10万円しかない人には減る一方、100万円くらいなら横ばい、1000万円になるともう減りません。1億円貯まったら、もう楽勝ゾーン。

■金融リテラシーや投資頭脳は、お金の量に比例

貯蓄が一定のレベルを超えると、貯金の利子もつきますし、お金につながる情報も自然に寄ってきます。おそらくあなたの頭には、最低限の金融リテラシーも備わっているでしょう。さらに一定額になると、「もう少し増やしたい」と思いはじめるから、自然と投資や金融の勉強をはじめます。

お金もリテラシーもないときは、勉強も苦痛です。でもお金が増えると、さらに知識量が増え、お金も増える。すると勉強が楽しくなるから、やっぱりお金も増えます。

金融リテラシーや投資頭脳は、お金の量に比例します。資産家ほど、実はとても勉強家なのです。やっぱり、樽に小銭を貯めていてもダメなんです。

■ピンチをチャンスに変えた経験

お金持ちは、素直。
浅はかな失敗をしても、すぐに方向転換できるかどうか。

エニグモの田中さんは、ピンチをチャンスに変えました。ピンチを機に、自身の人生を上昇気流に乗せました。でもピンチの渦中にいる時には、どうすれば上昇できるのか、一体なんで下降しているのか、わからないことが多いものです。私もそうでした。

私は大和証券時代、常にトップセールスを誇っていました。しかし、当時の日本企業は成果主義を導入していませんでしたから、どんなに頑張っても月給以上はもらえません。私は、転職を考えました。

私の先輩で、相場能力の優れた方がいました。営業成績が極めて高く、良質なお客さんをたくさん持っていた先輩は、大和証券を辞め、小さな証券会社の外務員になりました。

外務員になると、取引手数料の一部が収入になるので、成績が上がるほど手取りも増えます。証券会社に机と電話を貸してもらい、「身ひとつ」で営業します。頑張りによっては、年収1億円も夢ではありません。

その先輩から、「菅下君、一緒にやろう」と誘われたのです。まだ新人でしたが、「君の相場観は抜群だし、営業もできる。2人でチームを組めば、自分がいないときにお客さんを見てもらうこともできるから都合がいい」と言われ、うかつにも「やってやろう」と思ってしまいました。22歳か、23歳のころです。

大和証券という一流の証券会社に入社したわけですから、その後の人生も、一流で終えられる可能性があります。でも小さな証券会社に行ったら、先はないかもしれない。でも若いから思慮が浅く、新しい会社に「来週からお世話になります」と挨拶に行ってしまったのです。先輩の隣に、席が用意されていました。

こんな私を救ってくれたのが、当時私が勤めていた大和証券の大阪営業部長です。「思い立ったたが吉日」と私は大和証券にさっさと辞表を提出し、過去にお世話になったこの部長に挨拶に行きました。大阪の営業を仕切っている方で、めちゃくちゃ偉い人です。

その部長に、「『大番』のギューちゃんを目指して、相場で勝負します」と言ったら、すごい剣幕で怒られました。彼のデスクは、100坪くらいのフロアの一番前にありました。500人の部下のデスクが整然と並び、営業マンたちは忙しく電話をしています。その前で、飛び上がるほど怒られました。500人、ほぼ全員が私を見ました。

「目先の金儲けに目をくらませて、人生を誤るとは何事だ。辞表を提出してしまったのなら、しょうがない。俺が口をきくから、世界最大の証券会社に行け」

その言葉が、ピンチをチャンスに変えました。当時、世界最大の証券会社だったメリルリンチが、日本に進出したばかりだったのです。先輩も「同じ相場師になるなら、ちっぽけな大阪の相場師より、世界の相場師になれ」と言ってくれました。

私がメリルリンチに入社できたのも、先輩が大和証券の国際部門経由で、推薦してくれたからです。メリルリンチの採用担当者は「大和証券の推薦なら採ります」と言ってくれました。

些細なことで、ピンチはチャンスに変わります。特に若いと、人生経験が少ないから、判断も浅い。判断を簡単に誤り、人生を下降させます。私を叱ってくれた部長は、私にとって人生の神様です。彼はのちに大和証券の副社長になり、私がメリルリンチに行ったあともずっと応援してくれました。

いい先輩や上司に恵まれた方は、是非大切にしてください。そして先輩の言葉には、素直に耳を傾けましょう。もしも、悪い遊びに誘う先輩に恵まれてしまったら、それは悪い運です。さっさと断ち切って、遊びや飲みの時間を勉強に充てましょう。それが、幸運を呼び込む秘訣です。

菅下 清廣
スガシタパートナーズ株式会社代表取締役。国際金融コンサルタント、投資家。立命館アジア太平洋大学学長特別顧問。

______

“独立”する富裕層  - NHK クローズアップ現代 2014年4月22日(火)放送
〜アメリカ 深まる社会の分断〜

100万ドル以上の資産を持つアメリカの富裕層。
その富裕層が今、自治体の在り方を変えようとしています。
貧富の格差による社会の分断が進むアメリカ。

富裕層は税金が貧困層のためばかりに使われていると反発。
みずからが住む地区を周囲と切り離し、新たな自治体を作る動きを強めています。

女性
「高い税金を払っているのに、それに見合うサービスを受けていません。」

全米で富裕層の自治体は急増。
社会を2分する議論が起きています。

報道官
「反対派を押し切って、新たな市が誕生しました。」

オバマ大統領も危機感を強めています。

オバマ大統領
「アメリカの格差は拡大し、固定化している。」

一方、富裕層を失った自治体は税収が減り、公共サービスを削減。
貧困層が打撃を受けています。

男性
「公立病院の予算が削減されたので、私たち家族は困っています。」

深まる富裕層と貧困層の分断。
アメリカ社会はどこへ向かうのか。
最前線からの報告です。


“独立”する富裕層 税に対する不満


アメリカ南部、ジョージア州の議事堂。
先月(3月)新たな自治体の設立を求める法案を巡り、議論が交わされていました。
この法案を提出したのは会社経営者や弁護士など、富裕層を中心とした住民のグループです。

住民
「私たちが作る市の方が、税金をより有効に使える。
この法案の支持を求める。」

住民
「今の自治体は住民の方を向いていない。
私の会社をサポートしてくれる自治体を作りたい。」

一方、法案は富裕層の身勝手だと批判する声も上がりました。

反対派
「これは有色人種や貧困層を隔離するための意図的な行為だ。」


自治体の設立は地域住民の意思だとする富裕層の報告書にも、抗議が殺到しました。

反対派
「あなたが作る自治体に住みたい人はいない。
あなたはおかしい。
うその報告をしている。」

男性
「いや、おかしいのはあなただ。
私たちの報告は正しい。」

法案を提出したグループの代表、ウッドワースさんです。
経営コンサルタントの夫を持ち、自身もインテリア関係の会社を経営。
湖畔に邸宅を構えています。
自治体の設立に動いたきっかけは税金の使われ方への不満でした。
特に問題にしているのが警察官の配置です。

マリーケイ・ウッドワースさん
「私の家の近くでも麻薬取引や売春が行われるようになってきた。」

警察官は貧困層が多く住む治安の悪い地区にばかり回され、自分の地区はおざなりにされていると感じていたのです。

マリーケイ・ウッドワースさん
「自分たちが支払う税金に見合う行政サービスを受けているとは思えません。
私たちは社会を分断したいわけではありません。
ただこれまでの自治体に代わって、より自分たちに合った自治体を作りたいだけなのです。」


富裕層が作る自治体 衝撃の運営手法とは


富裕層の動きを後押ししているのが、同じジョージア州で大きな成功を収めた市の存在です。
州の北部にある人口9万4,000人のサンディ・スプリングス市です。
市民の平均年収は1,000万円近く。
医師や弁護士、会社経営者などが多く住む高級住宅地です。

市が誕生したのは2005年。
住民投票で94%の圧倒的賛成を得て、それまで属していたフルトン郡から分離したのです。
貧困層に多く配分されていた税金を取り戻そうという主張が、富裕層だけでなく中間層にも支持されたのです。

サンディ・スプリングス市 エバ・ガランボス初代市長
「私たちの税金はほかの場所で使われ、私たちのためには使われていませんでした。
1ドルの税金につき半分の50セントしか、サンディ・スプリングスに使われていなかったのです。」

住民グループ代表 オリバー・ポーターさん
「政府による所得の再分配には反対です。
人のお金を盗む行為だと思います。」


ジョージア州で50年ぶりに新たな市として誕生した、サンディ・スプリングス。
州の法律によってさまざまな財源が与えられました。

市民が支払う固定資産税の15%。
売上税の一部。
そして酒税や事業の登録料など、市の去年(2013年)の収入は、日本円にしておよそ90億円。
州で1、2を争う豊かな自治体が誕生したのです。

さらに富裕層は、市の運営にビジネスのノウハウを取り入れました。
警察と消防を除く、すべての業務を民間に委託。
同じ規模の市なら数百人は必要な職員の数を9人に抑え、徹底的なコストカットを進めました。

市民課や税務課。
道路や公園などを造る建設課。
さらに、市の裁判所の業務まで民間に委託しました。
裁判長は必要なときだけ時給100ドルで短期雇用します。


この結果、当初年間5,500万ドルと試算された市の運営費を、半分以下に抑えることに成功したのです。
コストカットによって生まれたお金は富裕層の要望によって、市民の安全を守るサービスに使われています。


女性職員
「事故発生、けが人なし。」

ここは24時間市民から通報を受け付ける、民間の緊急センターです。
市民の承諾を得て、住所や家族構成、持病の有無など、さまざまなデータが登録されています。

10秒以内に電話を取ることが義務づけられ、90秒で警察や消防が出動します。
市が市内全域に配置する警察官はおよそ150人。
早ければ2分で、現場に警察官が到着するといいます。
現在、市民の9割が公共サービスに満足と回答。
うわさを聞いた富裕層が、全米から相次いで流入し人口が増えています。

市民
「(この街が)好きかって?
大好きよ。
ニューヨークから移り住んで来たけど、ここにはすべてが揃っているわ。」

市民
「とても安全だと感じています。
サンディ・スプリングス市に住めて幸せです。」

今サンディ・スプリングス市の設立と運営のノウハウを知りたいと、全米各地から視察が相次いでいます。
そのほとんどが、税金の使われ方に不満を持つ富裕層だといいます。
サンディ・スプリングス市を手本に誕生した自治体は、ジョージア州ですでに5つ。
現在、フロリダ州、テキサス州カリフォルニア州などで30余りの自治体が、新たに誕生しようとしています。

サンディ・スプリングス市 ラスティ・ポール市長
「自治体は税金を当たり前だと思わないことです。
税金に見合うサービスを提供しなければ、市民はすぐ不満をため、税金を払わなくなります。
公共サービスの質を高めて、市民に税金を払う動機を与え続けるのです。」


“独立”する富裕層 アメリカ 深まる分断

このように富裕層が、自治体を作る動き、今後、全米に拡大していくと見られています。
一方で富裕層がいなくなった自治体は、歳入が減って、一部公共サービスの削減を始めています。
貧困層の暮らしに暗い影を落とし始めています。


富裕層を失った自治体 貧困層に打撃が


ジョージア州フルトン郡。
サンディ・スプリングス市の設立などによって、年間40億円余り税収が減りました。
南部のサウス・フルトン。
郡の中で最も貧しい地域で、住民の生活に大きな影響が出ています。

機械部品のセールスをする、アブラハム・ワトソンさんです。
今年(2014年)に入り、次々と公共サービスが打ち切りになっていると訴えています。

アブラハム・ワトソンさん
「臭いです。
ごみが腐り始めています。
ごみ収集車がめったに来なくなったので。」

3人の子どもを持つワトソンさん。
暮らしに余裕がない中、公共サービスの利用は欠かせません。
家の近くにある、フルトン郡が運営する図書館です。
子どもたちは放課後や週末、ここで読書や宿題をしてきました。
しかし今年の2月、突然開館時間が2時間以上短縮されました。

算数の勉強に使っているパソコンも、閉館時間が来れば強制的にシャットダウンされます。

子ども
「閉館につき使用不可。」

アブラハム・ワトソンさん
「閉館するから切ったんだ。」

閉館時間の変更は、事前に住民には知らされていませんでした。

アブラハム・ワトソンさん
「誰が閉館時間を決めているのか?」

職員
「議会で承認されたんですよ、予算が削減されたから。」

アブラハム・ワトソンさん
「郡の議会で?
予算の削減が理由?」

職員
「予算の削減。」

フルトン郡の一般会計です。
歳入が減少し続け、ついに2年前歳出が上回るようになり、公共サービスの削減が余儀なくされているのです。
図書館のほかに、郡が運営する公園の予算も削減されました。
20か所ある高齢者センターの食事代は、一部値上げになりました。

中でも深刻なのが、貧困層の治療を中心に行う公立病院の予算削減です。
2,500万ドル、日本円でおよそ26億円が削減されることになりました。
医師の数が減らされ、診察に支障が出るのではないかと不安が広がっています。

フルトン郡 ビル・エドワーズ議員
「郡の税収が少なくなれば、当然その範囲でやりくりしなければなりません。
やむをえずサービスをカットしているのです。
私は、フルトン郡の住民が状況を理解することを望んでいます。
さもなければ、フルトン郡の財政は破綻してしまいます。
これだけは、なんとしても防がなくてはなりません。」

ワトソンさんは公立病院の予算削減が、息子のキャメロン君に与える影響を心配しています。

アブラハム・ワトソンさん
「この子には右耳に障害があります。
耳がふさがった状態になっているのです。
息子の治療ができる専門医の数が削られてしまうから、予算の削減は本当に困ります。」

全米で貧富の格差の研究をしてきたコナー准教授です。
富裕層の自治体設立が格差の拡大に拍車をかけていると、警鐘を鳴らしています。

テキサス大学 公共社会学部 マイカン・コナー准教授
「アメリカ社会では分断が深まっています。
同じ地域の中でも少し離れただけで、全く違う社会が生まれています。
経済面でも教育面でも、機会の平等が失われているのです。
このまま富裕層の独立が続けば、公共サービスを支える人がいなくなってしまいます。
それを顧みず、社会の分断は進む一方です。」


“独立”する富裕層 アメリカ 深まる分断

ゲスト堤未果さん(ジャーナリスト)

●格差拡大し加速化する社会の分断 この動きをどう受け止める?

今まさにアメリカは、経済格差が完全に1%の持てる者とそれからそれ以外の持たざる者、完全に国を分断してしまっていると。
そういう状況になっています。
(分断されていると。これが法律の下に行われている。自治体を作るという動きはそうだったが?)
はい。
もともと合法的に市が独立するということはもちろん可能なんですけれども、サンディ・スプリングス市のように、統治機能まで含めて民営化してしまう、民間に委託して、そうするともう税金というものが全く意味が変わってきて、サービスをお金で買うという契約社会になっていくわけですね。
その分税が、税金が囲い込まれることになるので、不動産の価格は上がる、その周りの地域が税収が減って、荒廃していくと。
ですから全米の都市の中に、捨てられた居住区のようなものが、点々と今存在している状況になっております。

●富裕層やその周辺地域 実際に取材に行ってどうだったか?

サンディ・スプリングス市自体は、本当にお金持ちの社会主義国のような、天国のような、ぴかぴかですばらしい所だったんですけど、本当に目に見えないフェンスが建っていて。
(目に見えないフェンス?)
はい、フェンスで囲われている、合法的な特権地区というような形ですね。
先ほども言いましたように、税収がほかで減っていきますので、やはり仕事がなくなって、まず治安が悪くなるんですね。
そうすると犯罪率が高くなりますから、ますますフェンスは高くなっていく。
ここがやっぱり1番大きいです。
サンディ・スプリングス市のような所の近くにある都市で取材をしたときに、公共サービスの1つとして刑務所を維持できないから開放すると。
(刑務所を開放する?すると、どうなるのか?)
そうなると囚人が街に解放されて、たくさん普通に歩くようになるんですけれども、警察もまた公務員ですから、警察は失業中なわけです。
ですから非常に恐ろしいSFのような状況になっていて、片や、目に見えないフェンスの中の富裕層の地区は、非常にハイテクでハイセキュリティーの地区になっていると、すごくコントラストが激しかったですね。

●公共サービスの1つ 教育という点ではどうだったか?

アメリカは、教育予算が連邦と自治体と半分ずつ予算を出すんですけれども、サンディ・スプリングス市のような例えば富裕層の街というのは、公立の学校にやる必要がないので、公教育にお金を出すという概念がなくなっていくんですね。
そうしますと、公立の学校が切り捨てられていった州では、自治体では、貧困層の子どもの受け皿がなくなっていくので、教育難民、学校に行かれなくなった子どもたちが、もう全米各地の都市であふれているという、そこまで事態が進んでおります。
(先進国のアメリカで、そういうことがすでに起きている?)
そうですね。
ブッシュ政権、オバマ政権と続いた2大政権で公教育を解体して、教育ビジネスという民間サービスに委託するということを国が後押ししてやってきたんですね。
ですから公教育というのは、弱い立場の子どもたちを平等にすくい取るという社会的共通資本ですから、これが徐々に解体されているということです。

●フェンスを隔て、本当に互いが見えないのか?

そうですね。
これは本当に今、アメリカで起きていることというのは、1つの国の中に2つの違う国が存在しているような感じで、例えば日本で若年ホームレスは私たちの目に映らないというようなこといわれますけれども、フェンスの中の富裕層にとって、フェンスの外の荒廃した、捨てられた居住区の人たちは、やはり見えないわけですね。
全くお互い別の次元に住んでいるような、そんな状況になっています。
(別の次元?)
はい。

●格差是正のためにある公共サービス 富裕層がその義務を放棄するとどうなる?

公共ですとか税金ですとか、共同体とか、もっといってしまうと、もう国とは何かという、そのコンセプトが全く違うものになっていく。
お金を払って、その分のサービスをもらうという契約社会のようになっていくわけですよね。
ですから言ってみれば、お金がなくなったらそこでそのコミュニティーに、地区の中には恐らくいられなくなると、それが縁の切れ目のようになってしまう。
公共という概念があれば、弱い立場になったり、急に事故に遭って障害を負ってしまったり、高齢になってしまったりという、困った立場になったときは、税金を払っている分、国や自治体が守ってくれると、それが公共の概念なんですけれども、全くこれが対極にあるという、こちらは株式会社化された自治体であり、国家だということになっています。

●アメリカンドリーム 今は存在しないような状況?

80年代ぐらいまでは頑張れば報われるとか、努力すればチャンスをつかめば、マイノリティーでもスターになれる、そういうのがあったんですけれど、今、構造として1%が99%を切り捨てていく構造を、国の政策が後押しをしているために、アメリカンドリームが機能する構造自体が崩れていると。
そしてまた中流層が消滅していますから、ますます富める者はますます富む、それ以外の者は地盤沈下していくという、国の構造が全く変わってしまっているんですね。

●アメリカという国は今後どうなっていくのか?

今アメリカ国内にも2つの流れがありまして、オバマ大統領はブッシュ政権の政策を継承して、1%のための、より1%が大きくなっていくような政策の方向性を進めてはいるんですけれども、一方で、1対99%の分断はおかしいじゃないかと、失われたものをもう一度取り戻したいという声が、相当アメリカで大きくなっている。
これ今、どちらの流れがこの国を、未来を引っ張っていくかという、今ちょうど岐路にいるという。
(岐路とは、国を見つめ直す時期ということか?)
国とか共同体は何かということですね。
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3488_all.html  


27. 中川隆[-7640] koaQ7Jey 2017年5月25日 14:26:12 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

自然の恵みが豊かだった田舎が貧困の象徴になっていく理由

2014-01-03
熱帯の国は実り豊かだ。東南アジアを旅すると、その豊穣さが分かる。

温暖な気候のために草木が豊穣に生育し、果物がふんだんに取れ、山にはたくさんの動物がいて、湖や川には魚が群れをなして泳ぐ。蝶やトンボが舞い、色とりどりの小鳥が鳴き、木々に大きなトカゲが這う。

食べるものは、目の前に何でもある。野草も食べることができる。小動物も、昆虫も、魚も好きなだけ取って食べることができる。空気も水もとても澄んでいて気持ちが良い。

人々はあくせく働く必要はない。水田も、三期作も三毛作もできる。放っておいても、いくらでも生育する。

ニワトリやアヒルやブタは放し飼いをして、残飯を放っておけばいい。気が向いたら卵を食べることもできるし、鶏を絞めれば肉を食べることもできる。

そうやって人々の生活は回っていて、それが何百年も続いていた。田舎は豊穣で豊かなのだ。ところで、ここで疑問に思わないだろうか?

近代社会になっていきなり貧困の象徴になった田舎

タイのイサーン地方でも、インドネシアの辺境でも、カンボジアの田舎でも、そしてバングラデシュやインドでも、田舎はみんなそうやってうまくやってきた。中国でもそうだ。

何百年も自然と共に生活してきて、まったく何の問題もなかったはずだった。それなのに、「田舎」は、なぜ近代社会になってから貧困の象徴になってしまったのだろうか。

今や、アジアの田舎はどこも貧困にあえぎ、農家はどの国でも貧乏人であると烙印を押されている。

彼らは昔と同じように、今でも自然と共存し、自然に取れるものをいくらでも取って生活できる。それなのに、近代社会になっていきなり貧困の象徴になってしまっている。

飢饉がやって来たわけでもない。疫病が蔓延したわけでもない。外敵が滅ぼしにやってきて戦争が起きているわけでもない。それなのに、アジアのすべての農村が貧困に陥った。

それは、何が原因だったのか。

もちろん、言うまでもなく「資本主義」が村にやって来たからだ。資本主義で作られた工業製品が村に入り込んだのだ。電気が入り込み、テレビが入り込む。

人々は電気代を払わなければならない。そして、テレビを見ながら物欲を刺激され、テレビで売っているいろんな興味深い商品が欲しくなる。

バイクも欲しくなれば、車も欲しくなる。村の生活は豊穣だが、困ったことに唯一、不足しているものがある。それは何だったのか。

現金だった……。

村の生活は豊穣だが、困ったことに唯一、不足しているものがある。それは、現金だった。


人々は借金のために働かなければならなくなる

多くの男たちがまず欲しがるのは運搬用のバイクや車だ。しかし、それは非常に高価なものであり、一括で買えるようなものではない。

そこで多くの人たちはあきらめようとするのだが、資本主義は欲しがる人をあきらめさせるほどヤワではない。分割ローンという手もあれば、借金という手もある。

何かを担保にしてローンを組ませるのだが、その瞬間、村は資本主義に組み入れられて、人々は借金のために働かなければならなくなるのである。

借金は、麻薬のようなものだ。一度、前借りして物を買うと、必ず他にも何か欲しくなる。そして、買う。買うと、忘れた頃に返済日がやって来る。

返せないと担保を取られることになるのだが、担保にしているのはほとんどが自分の土地だ。

そこで、借金が返せないと、自分の田畑や、今まで住んでいた土地を取り上げられて、追い出されることになってしまうのである。

借金を猶予してもらっても、次の返済日には金を返さなければならない。それは大きなプレッシャーになる。今まで自給自足でのんびり生活していた頃とはまったく違う生活だ。

自然の豊穣さはまったく意味がない。金にならないからだ。庭を駆けずり回るニワトリもアヒルもブタも役に立たない。金にならないものは資本主義では意味がない。

そして、多くの「田舎」が資本主義に組み入れられ、収奪され、人々を次々と困窮させていく。


それが便利だと思って取り入れていただけだったが……

ベトナムのメコンデルタは自然が豊穣で、川沿いはほとんどジャングルのようになっている場所がある。

そこに住むベトナム人の村人はみんな豊かな自然の恵みの中で静かに生きてきた。

しかし、メコンデルタも開発されていき、それぞれの村に道路が建設され、電気が入り込み、テレビが見れるようになった。

そして村人は我先に便利な電気を家に引き込み、面白いテレビを見ているうちに、知らずして資本主義に組み込まれる生活になっていった。

カンボジア・プノンペンの売春地帯に放り込まれた貧困女性たちの多くは、このメコンデルタから売り飛ばされてきたベトナムの娘たちだった。

タイの東北地帯(イサーン)でも、似たような経緯を辿って村に電気がやってきてテレビがやってきて、人々は資本主義に組み込まれていった。

そして、村人たちは知らないうちに借金まみれになっていき、やがては娘を売り飛ばすしかなくなってしまった。

現在でも、バンコクやパタヤの売春地帯にいる女性たちの多くは、決まってイサーン出身の女たちである。

本来は、自然の恵みを享受していてとても豊かだったはずの田舎は、そうやって資本主義の中で「貧困」の最前線に仕立て上げられている。

田舎に住む村人たちは、資本主義を強制されたわけではない。

それが便利だと思って取り入れていただけだ。

しかし、それが仇になった。金が足りなくなって、やがて追い立てられる生活になり、破綻して、最後には持っているものをすべて失う。

今でも、世界中で同じことが次々と繰り返し起きている。そして、場末の売春地帯には貧しい女性たちがひしめく。
http://www.bllackz.net/blackasia/content/20140104T0147230900.html


2014-01-04
マイクロファイナンス。希望と悲劇の両方を生み出す仕組み

東南アジアのみならず、多くの農村は無理やり資本主義に組み入れられて貧困にあえぐようになった。(自然の恵みが豊かだった田舎が貧困の象徴になっていく理由)

その貧困は今まで自給自足だった村が道路によって外界とつながり、電気が入り、テレビが入り、家電製品が入り、バイクや車が入り込むことによって起きた現象だった。

資本主義が農村を追い詰める姿は、世界中で起きているのだが、バングラデシュでもインドでも同じだった。

2010年、インドでは女性が次々と自分の身体に火を付けて自殺するという事件が相次いだことがあった。何が起きていたのか。

彼女たちは金を借りて事業をしていたのだが、その事業が失敗して借金だけが残り、たまりかねて自殺をしていたのだった。

彼女たちに金を貸していたのは、誰だったのか。それは、「マイクロファイナンス」の事業者だった。

貧困者に金を貸しつけて資本主義に組み入れる

マイクロファイナンスの概念が有名になったのは、グラミン銀行のムハンマド・ユヌス氏が2006年にノーベル平和賞を取ってからだ。

資本主義に組み入られていない貧困者に金を貸しつけて資本主義に組み入れるのがこのマイクロファイナンスの特徴だ。

グラミン銀行のユヌス氏はバングラデシュだが、このマイクロファイナンスの概念自体は、すでに世界中の多くの国に取り入れられている。

貧しい人々が困難から抜け出すには「元手」がいる。しかし、貧しい人たちに金を貸し付ける銀行はそれまでにはなかった。

だから、貧しい人たちはいつまで経っても、資本主義に「参加」すらできなかった。

しかし、マイクロファイナンスという仕組みは、貧しい人たちにマイクロ(小口)でお金をファイナンス(貸出)し、それを仲間同士で相談・援助・監視させることによって経済活動に取り込む方法を生み出した。

ムハンマド・ユヌス氏はバングラデシュのチッタゴン出身だが、チッタゴンはエビ養殖や農業が盛んな場所である。

バングラデシュの水田は行ってみれば分かるが、どこか日本の田舎の水田地帯の光景と良く似ている場所も多くて、私も息を飲んでそんな光景を見つめたものだった。

その水田を耕すのに工作機械もあれば便利だろう。あるいは、農具も揃っていれば効率が上がる。

しかし、貧しい人たちにファイナンスする銀行がなかったので、効率が上がるはずの農具を買う金がない。収穫が上がらない以上は、そこから抜け出すきっかけすら見つからない。

彼らに必要なのは施しではなく、キャピタル(資金)である。仕事はあるのに資金がない。それで行き詰まっているのである。

だから、目の前の広大に広がる水田やエビ養殖池を見つめながら、ムハンマド・ユヌス氏はマイクロファイナンスのアイデアを得て、それが信念になったのは想像に難くない。

グラミン銀行創設者。ムハマド・ユヌス氏。バングラデシュのチッタゴン出身だった。


その金利が高いのか安いのかと言われると、高い

グラミン銀行の場合は、そのマイクロファイナンスの利息として年利で20%ほどを取っていて、必ず返済させることをモットーにしている。

議論になったのが、マイクロファイナンスが取り立てる20%の金利である。

多くの人がマイクロファイナンスの手法を知ったときに、真っ先に言葉を失ったのもその金利の高さだった。

20%の金利は、ファイナンスの世界では決して珍しいものではない。しかし、借りる側の立場から見て、その金利が高いのか安いのかと言われると、当然「高い」と言うだろう。

少なくとも、貧困者が資本主義に参加するチケットにしては、あまりにも高利である。

それが「高利貸しやサラ金会社がノーベル平和賞を取ったようなものだ」という批判にもつながっている。

批判はともかく、今までになかった概念が試されて、そこから少なからずの貧困者が成功できるのであれば、それは意義あることなのかもしれない。

今のところ、貧困脱出のための手がかりとして提供されるサービスはそれしかないからである。

しかし、その金利に押しつぶされる人が出てきてそれが別の問題を生み出すのも時間の問題だったのだ。その想像は、次々と破綻して死んで行く貧困者の姿で証明された。

グラミン銀行はマイクロファイナンスの理想を具現化する銀行だ。だから週に一度は貸し出しと返済についての相談会や知識の説明を繰り返し行なっており、啓蒙が進んでいる。

これはとても必要な教育だ。

そもそも、資本主義の外部にいた人間には金利の理屈が分からない。理屈が分かっても何パーセントが妥当なのかという計算ができない。

私がねぐらにしていた民家の目の前。バングラデシュの水田の光景。


80%から100%もの暴利をかける銀行も生まれた

なぜだか分からないが、先進国でも金利の概念が身につかない人が多い。資本主義の中にどっぷりと浸って生きていても、金利にまったく無頓着な人が山ほどいる。

先進国でもそうなのだから、貧困国で金融の知識がない人たちにとってはなおさらだ。

それをいいことに、中には貧困者に貸し出して、20%どころか80%から100%もの暴利をかける銀行が生まれてきていた。

メキシコのコンパルタモス社がそうだった。この会社は上場企業になって創業者が莫大な富を得たが、これは貧困者を利用した新しい搾取事業だと断言してもいい。

実態は知らなくても、金利100%と聞いた瞬間に、これは世の中にあり得ないほど恥知らずな事業だと激怒しなくてはならない。存在そのものが許されないビジネスである。

ムハンマド・ユヌス氏の理想とは程遠いものであり、これはマイクロファイナンスというよりも、最も悪質な部類の高利貸しでしかない。非難されて然るべきだろう。

では金利20%のマイクロファイナンスは称賛されて然るべきなのかと言われれば、やはり逡巡してしまう人は多いのではないだろうか。

この世の中に金利20%のファイナンスをして、それ以上の利益を上げられるビジネスというのはそうザラにない。第一次産業であれば、特にそれは厳しいはずだ。

そして、20%の金を借りるのであれば、20%以上の儲けがなければ、遅かれ早かれそのファイナンスは破綻に向かう。これはビジネスを評価する上での基本だ。

貧しい村人に金を貸し付けて何らかの事業を運営してもらう。成功すればいいが、失敗すれば20%の金利に追われることになる。


良いものなのか悪いものなのか評価できない

もし貧困者が従事しているビジネスが年間20%のリターンを生んでいるのであれば、いつまでも貧困者でいるはずがない。

そうでないから貧困者は貧困から抜け出せない。

グラミン銀行側の立場から考えると、貸し倒れ率(すなわちリスク)が通常よりも高いファイナンスだから相対的に20%になるのは理解している。

金利は常にリスクと表裏一体の関係である。だから、金利を見て単純にマイクロファイナンスを批判する人間もまたビジネスの基本を分かっていない。

それはボランティアではないのだから、リスクと照らし合わせてグラミン銀行が20%の金利を設定しても誰も批判できない。

しかし、そこに20%を貸し付ける仕組みそのものがムハンマド・ユヌス氏の理想と裏腹に、常に危ういものを抱えていることも現実としてある。

ちなみに、ここで言う20%とは最高額で20%の計算で、グラミン銀行に限って言うと教育ローン等では5%程度に抑えているという。

私も含め、多くの人が何年経ってもマイクロファイナンスが良いものなのか悪いものなのか評価できないのは、単にその金利の設定が妥当かどうかが理解できないからである。

つまり、マイクロファイナンスの存在の重要性と、金利が生み出す問題を測って、どちらが重いのかがまだ分からない。

結局、高利が多重債務に結びつき、灯油をかぶって自殺しなければならない貧困者も生まれる。

それは事実である。

マイクロファイナンスで金を借りたが事業に失敗して、殺虫剤を飲んで自殺した女性。悲劇があちこちで起きている。
http://www.bllackz.net/blackasia/content/20140104T0329110900.html


28. 中川隆[-7639] koaQ7Jey 2017年5月25日 14:46:23 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

アメリカの医者は儲かって幸せなのか?

2014年04月17日
「アメリカの医師の9割が医者になることを勧めず、年間300人が自殺している」衝撃の結果に海外の反応は…
http://labaq.com/archives/51823334.html

アメリカでは患者の高額医療費が社会問題となっていますが、では医者は儲かって幸せなのかというと、彼らもまた苦しんでいる現状が浮き彫りになっています。

参照
「もうこんな国いやだ…」アメリカで請求された恐ろしく高額な医療費14例
http://labaq.com/archives/51816136.html


医者も患者も不幸だという、ゆがんだアメリカの現状に対する、海外掲示板の反応をご紹介します。


The Daily Beast紙によると、医者は鬱による自殺率が高く、また医者という職業に就くことを10人中9人が勧めていないとのことです。

さらに可能なら医者を辞めたいと思っていながらも、膨れ上がった学生ローンの返済のために他の選択がないのが現状だそうです。

また、アメリカの保険制度により医者は患者を増やさなくてはならず、その結果1人当たりの診断時間が短くなり、そのことで医師も患者も満足できずにいます。

複雑な保険システムにより、ほとんどの医師はノーという権限が与えられていないことから、仕事への情熱を失っていくケースも少なくないようです。

この現実に対し、医師も含め多くの人がコメントを寄せていました。

●想像してほしい。やっとの思いで到着した目的地が、すごくイヤでしかたがないことを。しかも巨額のローンが反面鏡で映し出されているんだ。

↑私の担当医は選択権を与えられたら、二度と医学の道には行かないと打ち明けてくれた。一生学生ローンの返済をしていかないといけないそうで、それから逃れる別の方法は死ぬしかないとも言っていた。

↑一緒に働いている麻酔技師が告白してくれたのだけど、彼女の学生ローンは50万ドル(約5000万円)近くあると言ってた。だから彼女はいつも残業して患者が多いんだなと思った。

↑麻酔技師は給与が高いことで知られる職業でもある。10年もすれば彼女は大丈夫さ。

↑むしろそれだからこそ、実は働く職場を見つけにくい。

●医者だが、記事を読んですべての点に同意せざるを得ない。患者の要求をほぼ無条件に聞かなければいけないのは事実で、この問題はひどくなる一方だと思う。医者にノーという権限を与えられていないことはつまり、患者は医師と会うのではなく、患者は人質を取ることを意味する。

●自分はNHS(イギリス)の医師だが、とても大変な仕事で長時間労働の上に、常に無料で奉仕しないといけない部分もある。
他にも患者がいることを理解しない患者から怒鳴られることも多く、アルコールやらヘロインやらの禁断症状なども私のせいだと思われることも多い。他の心臓発作の患者のところに行かなければならないことで怒鳴られたこともあった。給料は学校の先生より少し多いくらいのものだ。
でもこのコメントを書きながら自分はスマイルになっている。なぜなら上に書いたことが全部本当でも、毎日家に帰ると笑顔で「ああ、この仕事が好きだ」と思えるからだ。
もし僕に支援者やスポンサーがいて、日々の生活費とちょっとした贅沢(時々の葉巻やお持ち帰りのピザなど)を面倒みてくれるなら、仕事を無賃で奉仕してもいいと思っているよ。
NHSで働いているということは僕の誇りでもある。自分に向いていると思っているし、人の命を救えるだけでなく、患者の状態をよくする手助けも出来る。人々の良いときと悪いときを見ることができて、患者はその瞬間を僕と共有してくれる。そういった特権の感覚を僕は失っていない。自分も医学も完璧ではないので、毎日が学習で向上させていくことができ、退屈になるということもない。一緒に働く人々も才能があって貢献できる人ばかりなんだ。
もちろん日常的にイヤな奴(患者でも同僚でも)を扱わなくてはいけないことは否定できない。でも、よく若い医師たちが言い合っているように、「トイレに行く時間がないが、そもそも最初に飲む時間もない」ので問題ないんだ。
実際に関係があるのは、「自分に価値があるか」ということだけど自分にはある。全員が医師になるわけではないし、それも感謝しているよ。自分がそんな風に考えていることを幾人かに知ってほしいと思うので書いてみた。僕は医者で、それはとにかくすばらしいと思っているよ。

●長く医者をやっている。多くのコメントが長時間勤務や高額借金のことだが、本当にみじめな気分になることは、記事に美しく書かれていたように悪夢のようなペーパーワークだ。それも保険のための。終わりのない雪崩のようにやってきて、医師を完全燃焼させてしまう。全員が給料と引き換えに自由時間を求めているのは、もう疑いもない。

●医療勤務する友人がたくさんいるが、聞いていて一番ひどいと思うのは、とにかく不眠だってこと。医者はほぼ24時間シフトで仮眠を許可されている。私たちは飛行機のパイロットにしっかり休息を取ってもらいたい、管制塔の人間にしっかり休息をとってもらいたいと思っている。
それなら心臓の移植手術をしたり、出産を手伝う医師にも、しっかりと休息を取ってもらいたい。ほとんどの人が、手術室のカーテンの裏で何が起こっているかを見たら、恐ろしく思うに違いない。

●弁護士だが、記事にあるような医師の苦情を自分の友人や身内も含めてよく聞く。そのとき僕は静かにうなずいて、財布から自分の弁護士の免許状を出す。そして裏をめくって見せる。そこには弁護士免許に関する情報ではなく、太字で薬物乱用や自殺ホットラインの番号かいくつか載っている。

↑自分も最初弁護士の記事かと思った。人に弁護士になるように勧める弁護士を知らないしね。

●医師はミスをするとすぐに免許はく奪だ。訴訟も心配しないといけない。15年もかけて借金を背負ってなれたとしても、人から感謝されてないと感じることが容易に理解できるよ。

●婚約者が実習3年目で、10年付き合っているのでずっと見てきたよ。とにかく試験に次ぐ試験ばかりだった。しかも1つの試験が1000ドル(約10万円)くらいかかって、時々テストを受けるために飛行機代がいるほどだ。
仕事のローテーションも週に80時間ほど働いたり、医師になるまでに通り抜けないといけない障害物がすごいんだ。それでも彼女は幸運で、費用は全て両親が出してくれていた。普通の人はみんな20〜40万ドル(2000〜4000万円)ほどかかるので簡単な職ではない。なるためには極端な貢献、融通、忍耐、知能、そして経済力が必要だ。

日本でも医師になるのは大変ではありますが、アメリカでは相当厳しい境遇のようです。

医師も患者も満足できないというのは、やはりどこかゆがんでいるのかもしれません。

How Being a Doctor Became the Most Miserable Profession: Nine of 10 doctors discourage others from joining the profession, and 300 physicians commit suicide every year.
 


29. 中川隆[-7638] koaQ7Jey 2017年5月25日 14:48:34 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

派遣は生かさず殺さず…いい言葉だね

うちの課も派遣ちゃんが6人いるけど、頭もお股もユルいから
課長に相談するだけじゃ足りなくて俺のとこにまで相談にきたよ

朝まで相談に乗ってあげたら腰がガクガクになっちゃった

生きるためなら何でもできる女の子が増えればみんな幸せになれるってこと
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/eco/1247366929/l50


この言葉を与えてやるから、泣いて感謝するように↓ 読んだ感想を述べてみたまえ

★まず低学歴は頭が悪いんだから、生きてる価値は無いよ ゴミクズだな
俺のようなイケメンで有名大卒じゃないとな  
当然、モテモテ王子だよ
頭が悪いと何をやってもダメだな ずーっと負け組のままで終わるv 冷笑


★禿げやチビも、大きく減点だ  ~~
身長174センチ以下は遺伝子に問題でもあるんだろ  欠陥人間だ
禿げなんて笑いの対象にしかならんわな


★ブサイクやキモい奴は、地球から消滅したほうがいい  キリッ
醜い男たちよ モテないだろうな(笑) それでオタになったのか?
整形でもしろ 世間の迷惑だからよ  ゴキブリ君たち


★やっぱ頭が悪いと金儲けもできんだろ  
それで銭に困って借金して、犯罪に走る馬鹿がけっこう多いんだよな
俺のような勝ち組になれるのは、世間の1割程度だからな

ゴミのような負け組どもとは絶対に関わりたくねーよ(マジでマジで)
俺のように、女達とラブラブしながら、遊んでいられる身分になりたいだろ?  でも無理だ


★悔しかったら泣けよ ^^  
でも不幸しかない未来が変わることもないがなw
まぁ馬鹿でも前向きにやっていけば、運が良くなるかもしれんぞ


▼デブは脳機能に問題があることは、明らかになってるから、土方の仕事でもやって
世の中に貢献してからポックリくたばれな

でもなー、負け組のクズどもに、下手に期待をもたせるのは良くないな  ウホホホホww
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/eco/1323944359/l50


30. 中川隆[-7629] koaQ7Jey 2017年5月26日 16:43:52 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

マスコミに載らない海外記事 Chris Hedges 2017年5月22日

共和国の死
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2017/05/post-79c9.html


2017年のアメリカ合州国とよく似た、肥大化した軍隊と、巨大な政治力を有するひと握りの腐敗した連中とに支配された古代ローマの陰の政府による、虚栄心が強い大ばかなコンモドゥス皇帝を浴室で絞殺するという192年の決定も、ローマ帝国の増大する混乱と急激な衰退は止められなかった。

多くの他のローマ皇帝たちやトランプ大統領と同様、コンモドゥスは無能で、虚栄心で頭が一杯だった。彼はヘラクレスに擬した彼の像を無数に造らせたが、治世にはほとんど無関心だった。彼は国家元首としての地位を、見せ物でスターになるのに利用した。アリーナでの八百長試合で、闘士として勝ち誇って戦ったものだった。コンモドゥスにとっての権力は、トランプの場合と同様、主として、その計り知れない自己愛、快楽主義と富への渇望を満たすためのものだった。彼は公職を金で売ったので、古代のベッツィ・デヴォスやスティーヴン・マヌーチンに等しい連中が、大規模な盗賊政治を画策できた。

コンモドゥスは、当時のバーニー・サンダースたる改革者、ペルティナックスにとって変わられ、ペルティナックスは、古代版軍産複合体たる近衛兵の力を削ごうと、むなしい取り組みをした。この取り組みの結果、権力の座について、わずか三カ月で、ペルティナックスは近衛兵に暗殺された。近衛兵は、皇帝の座を一番高値で売る競売にかけた。次の皇帝ディディウス・ユリアヌスは、たった66日しかもたなかった。コンモドゥス暗殺の翌年、A.D. 193年、皇帝は五人も変わった。トランプと、我々の腐敗した帝国には不吉な歴史的前例があるのだ。もし陰の政府が、無能さと愚かさが帝国を当惑させているトランプを置き換えても、その行為とて、コンモドゥスを置き換えても、ローマの民主主義が回復しなかったのと同様、民主主義が回復することはあるまい。我が共和国は死んでいる。

かつては開かれ、民主的伝統があった社会は、民主主義の敵にとって格好の餌食だ。これら扇動政治家連中は、かつての民主的政治制度の愛国的な理想や儀式や慣行や形式を、破壊しながら、敬意を払うふりをする。自らを“第一番の市民”と称したローマ皇帝アウグストゥスが共和国を去勢した際、彼はかつての共和国の形式を維持するよう配慮した。レーニンとボリシェビキも、権力を掌握した際に同じことをし、自治ソビエトを粉砕した。ナチスやスターリン主義者さえもが、彼らは民主的国家を支配していると主張した。トーマス・ペインは、専制政府は腐敗した市民社会から生えるカビだと書いていた。これが、かつてのこうした民主主義に起きたのだ。それが我々に対して起きている。

我々の憲法上の権利である、適正手続き、人身保護令状、プライバシー、公正な裁判、搾取からの自由、公正選挙や異議を唱える権利は、司法の専断により、我々から剥奪されている。こうした権利は、名目上しか存在していない。国家の価値観とされるものと、現実との間の余りの断絶ゆえに、政治論議はばかばかしいものとなっている。

大企業は連邦予算を食い物にし、自ら搾取し強奪する権限を合法的に付与している。ゴールドマン・サックスやエクソン・モービルの権益に反対して投票するのは不可能だ。医薬品と保険業界が、病気の子供を人質にし、息子や娘を救おうとして両親は破産する。学生ローンの重荷を負った人々は、破産宣告しても、借金は決して消し去ることができない。多くの州で、病気の家畜が屠殺のために倉庫に入れられる巨大な工場式畜産場の状態を広く知らせようとする人々は、刑事犯罪で告訴されかねない。大企業は合法的に脱税している。大企業は、小農や小企業を破壊し、アメリカ産業を空洞化させる自由貿易協定を画策した。空気や水や食品の汚染や高利の債権者や貸し手から国民を保護するために設けられた労働組合や政府機関は無力化されてしまった。ジョージ・オーウェル並みの権利の逆転で、最高裁は、政治運動似対する無制限の大企業献金を、政府に対する請願権やら、言論の自由の一形態だと定義している。大企業が所有するマスコミの大多数は、エリートのための音響室だ。州営企業や市営企業や公共事業は、料金を引き上げ、貧しい人々へのサービス提供を拒否する大企業に売却されている。教育制度は徐々に民営化され、一種の職業訓練へと変えられつつある。

賃金は横ばいか下落している。偽造された統計で隠された失業や過少雇用が、国民の半数を慢性的貧困に追い込んでいる。社会福祉は、緊縮政策という名目で廃止されている。文化と芸術は、性的商品化や陳腐な娯楽や生々しい暴力描写に置き換えられてしまった。無視されて資金不足のインフラは崩壊しつつある。破産や差し押さえ、逮捕、食糧不足や治療しないままの病気放置が早過ぎる死をもたらし、苦しむ最下層階級を悩ませている。絶望した人々は、薬物や犯罪や人身売買が蔓延する地下経済に、逃げ込んでいる。国家は、こうした経済的困窮に対処せず、警察を軍隊化し、非武装の一般市民に対し、殺傷力の高い武器を使用する権限を警察に与えている。警察は、刑務所を230万人の国民で一杯にしているが、そのうちの極少数の人々しか裁判を受けていない。刑務所内で、100万人の囚人が、企業のために現代の奴隷として働かされている。

国民を暴政から守ることを目指している憲法修正は無意味だ。例えば、修正第4条にはこうある。“不合理な捜索及び逮捕・押収から、その身体・家屋・書類及び所有物の安全を保障される人民の権利は、これを侵してはならない。宣誓または確約によって証拠づけられた相当の理由に基づくものであって、捜索すべき場所及び逮捕すべき人または押収すべき物件を特定して記載するものでなければ、いかなる令状も発してはならない。”現実には、我々の電話会話、電子メール、テキスト、財政、司法や医療記録は、我々が見るあらゆるウェブサイトや移動とともに、追跡され、記録され、政府コンピューター・データベースに永久保存される。

国家による拷問は、アフガニスタンのバグラム空軍基地やグアンタナモ湾にあるような秘密軍事施設のみならず、コロラド州フローレンスにある、囚人が長期の独房監禁で精神衰弱をわずらうスーパーマックADX [最大監視]施設などでも行われている。囚人は国民なのに、24時間態勢で電子監視され、一日のうち23時間閉じ込められるのに耐えさせられている。彼らは極端な感覚遮断を味わっている。囚人は殴打にも耐えさせられている。彼らはカメラ監視下で、シャワーを浴び、風呂に入らなければならない。彼らは、週に一人の親族に、一通の手紙を三枚の紙でしか書けない。彼らは新鮮な空気を味わう、ハツカネズミの踏み車に似た巨大な檻での一日一時間のレクリエーションを妨げられることも良くある。

囚人から法的権利を剥奪するため、国は“特別行政措置”略称SAMsとして知られているものを利用している。SAMsは囚人の外部世界との通信を制限する。囚人は弁護士以外の誰とも、電話、手紙、面会ができなくなり、家族との接触も厳しく制限される。SAMのもとでは、機密情報刑事手続き法CIPAと呼ばれる法律のおかげで、囚人は自分に不利なほとんどの証拠を見ることが許されない。レーガン政権時代に始まったCIPAは、裁判での証拠が機密扱いされ、起訴されている人々に見せるのを控えることが許される。フランツ・カフカの小説“審判”のヨーゼフ・Kのように、自分が有罪になった証拠も全く見ずに裁判され、有罪判決を受ける可能性があるのだ。SAMsのもとでは、弁護士を含め、囚人と接触した人が、囚人の肉体的、心理的状態について話すと違法になる。

また囚人が釈放された場合には、投票権や公的支援を受ける権利を失い、罰金を支払う負担を負わされ、支払えなければ、牢獄に戻される。彼らは恣意的な捜査と逮捕の対象にされる。彼らは余生を、膨大な犯罪人カーストの一員としてのけ者にされて暮らすのだ。

行政府は、自らにアメリカ国民を暗殺する権限を与えた。国防権限法第1021条のもとで、行政府が、大衆暴動を鎮圧するために軍隊を街に出動させることができるようになり、軍隊を国内警察部隊としての活動禁止が終わってしまった。行政府は、テロリストである、あるいはテロリストと関係していると見なしたアメリカ国民を逮捕するよう、軍隊に命令できる。これは“特例引き渡し”と呼ばれている。軍隊によって拘留された人々は、適正手続きや、人身保護令の権利を否定され、軍施設に無期限拘留されかねない。かつては憲法修正第一項で、権利が守られていた活動家や反体制の人々は、無期限投獄に会いかねない。
憲法で守られている言論、信仰や集会は非合法化される。国家は、人々が行ったことに対してでなく、しようと計画していることでさえなく、煽動的だと見なす宗教、政治信条を持っているだけで、人々を拘留し起訴する権限を持っている。最初に標的にされたのは忠実なイスラム教徒だったが、彼らが最後の標的というわけではない。

民主的参加、投票、競合する政党、司法による監視や司法的立法といった外観は無意味な見せ物だ。絶えざる監視下で暮らし、どこでも、いつでも拘留される可能性があり、会話、メッセージ、集会参加、性癖や習慣が記録され、蓄積され、分析される、大企業の搾取を前にした無力な人々を、自由と表現するのは不可能だ。国家と、常時監視されている市民の関係は、主人と奴隷との関係だ。しかも、たとえトランプが消えたとて、手かせ足かせが外されることはないのだ。


31. 中川隆[-7627] koaQ7Jey 2017年5月26日 19:13:26 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

アディダス、ナイキ、リーヴァイスは、犯罪組織 2012年01月20日


 スポーツシューズの有名ブランド、ナイキは、インドネシアで15歳以下の児童を工場で酷使し、ユニセフ等から犯罪企業として非難を浴びているが、国際的に禁止されている児童の酷使、労働を、ナイキは止めようとしない。

 ナイキのシューズは児童の酷使により、1足あたりわずかに5ドル=400円弱で製造され、1〜2万円で販売されている。原価の50倍前後であり、シューズ価格の98%がナイキの利益となっている。

 また、有名なスポーツ用品メーカーのアディダス、ジーンズのリーヴァイスは、インドネシアで同様の、15歳以下の児童による違法な労働で利益を上げている。児童は工場に閉じ込められ、学校に通う事も出来ず、十分な食料も与えられていない。これは犯罪である。

 アディダスとリーヴァイスは、児童と女性に「睡眠を与えず」死ぬまで働かせるために、覚醒剤の入った飲み物を飲ませ、麻薬中毒にし、文字通り奴隷として死ぬまで酷使している。

 アディダスとリーヴァイスのために多数の児童が「殺され」、児童と女性が麻薬中毒になっている。

 リーヴァイスは、タイではジーンズの原料となる綿花の農園で大量の農薬を使用し、河川を汚染、タイの一般市民にガン患者の多発を引き起こしている。
http://alternativereport1.seesaa.net/article/247288059.html


上司が部下の女性従業員を自由に強姦出来るスポーツシューズ、ナイキ
2007/10/12(金)

 スポーツシューズの有名ブランド・メーカー、ナイキのメキシコ、インドネシアの工場では、13歳〜14歳の少女達が時給わずか17セント、20円程で働かされている。子供を学校にも通わせない、この児童労働は違法な児童虐待と言える。

 ナイキは、13歳〜14歳の少女達が生理で仕事を休むためには、少女達を上司の男性全員の前で全裸にし、出血を確認するという「義務」を強制していた。

 この義務は、従業員全員に強制されていた。

 これは極めて悪質な人権侵害である。

 また、この少女達は仕事中、強引に別室に連れ込まれ、上司の男性により日常的に強姦されていた。

 ナイキはこの犯罪事実を「隠し」、そのような事は無いと嘘を述べて来たが、2003年6月、米国連邦最高裁判所は、児童労働、人権侵害、強制猥褻、集団強姦等の犯罪で、ナイキに有罪判決を下した。

 現在、従業員の13歳〜14歳の少女達を強姦し続けたスポーツシューズ、ナイキの企業犯罪の有罪判決は確定している。
http://blogs.yahoo.co.jp/y2001317/25567191.html

CIAを作ったのは誰か

 バナナボートという有名な曲がある。中南米のバナナ農園で、奴隷として労働する黒人、先住民(インディアン等と差別的に呼ばれて来た)の悲哀を歌った曲である。
 かつても現在も、米国の貿易商社(穀物商社等)に支配された中米では、住民の食べる食糧を生産する事が禁止され、商社が輸出するバナナだけを生産する、単一作物農業=モノカルチャー化が推進されている(注1)。

 しかも中米全体の経済中枢が、UF=ユナイテッド・フルーツ社(チキータ・バナナ)1社によって、強硬に支配されて来た。

 かつてUFは、黒人、先住民族等の「奴隷」の反乱を押さえるため、秘密警察とスパイ組織を中米の全域に張り巡らせ、奴隷労働に反抗する奴隷=有色人種を次々と殺害して来た。「見せしめ」のために反抗した黒人の体を500片の「肉片」に引き裂く拷問を奴隷の眼の前で行い、その500片の「肉片」が動物により食べ尽くされ、腐敗して消失するまで奴隷の眼に付く場所に放置された。

 こうした奴隷労働と秘密警察による虐殺により、かつて南北アメリカ大陸に居た先住民族の95%以上が殺害された。その数は5000万人を超え、文字通り「皆殺し」である。

 この中米のスパイ、拷問、虐殺組織が、後に米国のCIAとなる。UFの経営者がブッシュ大統領一族であり、CIAの中核部隊がブッシュ一族のUFの秘密警察であったため、CIA本部が「ジョージ・ブッシュ・センター」と呼ばれる事となる。

 第二次世界大戦以前の、こうした状況は現在も変化していない。

 第二次世界大戦後、中南米諸国では、米国の穀物商社にバックアップされた軍事独裁政権が乱立し、穀物商社の農園での奴隷同様の低賃金に反抗する黒人、先住民族は軍事独裁政権の秘密警察により、次々誘拐、殺害されて来た。

 奴隷農園の農園主が、軍事独裁政権の大統領に交代しただけであった(注2)。

 中米の内陸にあるバナナ農園からのバナナを輸送するために、中米には鉄道網が整備され、それは米国本土の鉄道王ブッシュ大統領一族により建設されて来た。ブッシュ一族は、特に豊かな農園地帯であるニカラグアでは、強い支配権力を振るって来た。

 1935年、ニカラグアを植民地として支配するため、米軍の海兵隊の大軍がニカラグアに「侵撃」した。それ以降、ニカラグアは米国の「奴隷農園」になった。

 このニカラグア侵略戦争を実行した米国海兵隊の指揮官=将軍、スメドレー・バトラーは晩年、日記の中で以下のように語っている。

 「私はブッシュ、ロバートソン一族のために、海兵隊を指揮しニカラグアを支配下に置いた。」

 ロバートソン一族とは、「日本人を始めとした有色人種は、人種的に劣った人種であり、核戦争により絶滅すべきだ」と主張するキリスト教原理主義教会の指導者パット・ロバートソン一族である。若い時代、アルコール中毒患者であったブッシュ大統領を説得し、立ち直らせた現在の大統領の「育ての親」ロバートソンである。

 ブッシュ大統領の最大支持基盤であるキリスト教原理主義教会=ロバートソン一族と、ブッシュ一族の「一体化」は、その源流を中米の「奴隷農園」の共同経営に持っていた(注3)。

 中米の奴隷農園で、黒人、先住民族=有色人種を奴隷として虐殺して来た人種差別思想が、「宗教の装い」を取ったものがキリスト教原理主義教会である。


※注1・・このモノカルチャー化は、WTOによる農作物の「貿易自由化」でも同一の事が推進される。WTOの正体が何かをこれは明確に示している。現在の「貿易自由化」とは、中南米に見られた農民の奴隷化の「別名」であるという実態が、そのモノカルチャー化と言う同一の農業形態により、明確に見えて来る。拙稿「日本のコメが危ない」を参照。

注2・・第二次世界大戦後、中南米諸国に乱立した軍事独裁政権の秘密警察には、ドイツから逃亡して来たナチスの生き残りが雇用され、有色人種の虐殺を担当した。

 ナチスの生き残りが中南米に逃亡する「手配」を行ったのは、CIAとローマ・カトリック教会=バチカンであった。ナチスの生き残りは、カトリック教会の修道院の世界的ネットワークを使い、修道院から修道院へと逃亡し、ブラジル、アルゼンチン等に逃げ延びた。

この世で一番恐ろしいことは、「自分で生きていく術を失われる」ということである。自分たちで食料も生産できなくなった社会では、奴隷になる以外の生き方が存在しない。デカイ企業に時給数百円で(言い値)で雇われ続けるしかない。

新たな奴隷商売は世界で起きていることで、この日本にも入ってこようとしている。

日本のJAICAという組織をご存知だろうか?
発展途上国へいって、収入を得る術を教えに行くボランティア集団を抱えている組織である。彼らは、現地民に土地を捨て、現金収入を得るよう促す努力をしている。もちろん日本製品を販売する礎を作るためである。

それはそれでいい。が、問題は彼らから自立を奪い、現金収入に頼る経済機構を構築することにある。これがどのような問題を起こすのか。
想像できない方は、これから先の日本では生きていくことはできないであろう。
http://keifugaku.blog110.fc2.com/?mode=m&no=7


奴隷が作るインスタント・コーヒー=ネッスル社のネスカフェ 2007年10月10日

 アフリカのコートジボワールでは、近隣のマリ共和国から誘拐されて来た7歳から14歳の少女達が2万人、給料も休憩も無く奴隷として強制労働させられている。  現場監督により、この少女達は日常的に殴る蹴るの暴行を受けており、彼女達は病気になっても医者にも見てもらえず、死ぬまで奴隷として労働が強制されている。  ユニセフは、これは悪質な奴隷労働であると「非難」している。  

2万人もの少女達を誘拐し、奴隷として強制労働させている犯罪者は、ロックフェラー(ブッシュ)の経営する穀物商社カーギル=ネッスル社、クラフト・チーズで有名なクラフト社(親会社が最大手の穀物商社コナグラ社)、タバコのマルボロで有名なフィリップ・モリス社(食品加工・最大手)、クラッカーで有名なリッツ社である。  

「非難」するだけで国際刑事警察機構に刑事告訴しない所が、大企業の「味方」国連=ユニセフである。

これらの世界では、自分たちで自立をする手段が全て貨幣経済に差し替えられた。ゆえに貨幣という(紙幣か)虚構を、他人の借金を、使って生きることを余儀なくされている。

彼らの借金とは何か? IMFである。

この高利貸し集団が政府に莫大な借金をさせ、借金返済のための外貨獲得を余儀なくされている。IMFを拒否すれば、武力によって国は蹂躙されることになる。 そうして、IMFとその仲間たちはいわば合法的に奴隷商売に手を染め、莫大な利益を得ることになる。 この世界の姿が、今後の日本の姿になりえるとどれほどの人々が思っているのだろう?
教育上決して教えられない効した事実は、何も知らされない庶民を大量生産し、奴隷商売を助け、そのまま奴隷として死んでゆくのだ。
http://fuen-desu.blogspot.jp/2007/10/blog-post_12.html


安くて従順な子供を、朝から晩までこき使う資本主義の裏の顔


グローバル経済の中で「人件費を下げる」「コストを下げる」というのは非常に重要な部分である。コストを下げるために、企業は何でもする。そうしなければ、競争に打ち勝つことができないからだ。

消費者は、品質よりも安さを求めることが多く、他人よりも安く買えれば「得した」と満足を得て、高ければ「企業努力が足りない」と悪態をつく。ぼったくられて高い値段を払うのは誰でも苦痛だ。自分の給料や資産にも限りがあるのだから、少しでも安いものを選ばなければならないと誰もが思う。


安くて、文句を言わず、朝から晩までこき使える労働者

それがより安いものを選ぶ消費者行動になり、そして企業はその一点に向けて骨身を削るような「企業努力」を行う。その企業努力というのが、「人件費を下げる」「コストを下げる」という部分になる。

先進国の労働者はコストが高い。だから企業は先進国の労働者をみんな捨てて、新興国の安い賃金に群がる。そして、新興国の中でもより安い人材を求めて捜し回る。人件費は安ければ安いほどいい。安くて、文句を言わず、朝から晩までこき使える労働者であればあるほどいい。

そして、グローバル経済は何を生み出したのか。

いち早く新興国に工場を移したシューズ企業の工場では、より安い労働者を確保して奴隷のように働く労働者を見つけていた。それは「子供たち」である。中国でも、アフリカでも、カンボジアでも、インドでも、新興国では学校に行けない貧しい子供たちがたくさんいる。ある経営者は、そんな子供たちを捕まえてきて、二束三文で働かせて利益を生み出すようになっていた。

2004年にインド・チェンナイの裁縫工場で働かされていた12歳の子供たちは1日14時間も拘束されていた。休みもなし、食事は1日2食、それもほんのわずかな量だ。工場内は非常に暗く、高温多湿で、立ち入った検査官が気分が悪くなるような場所だった。


貧しい子供たちは、それまでずっと犠牲にされたまま

ある朝、カンボジアで食事をしているとき、ひとりの少年が私の前に立って靴を磨かさせてくれと手振りで言った。私はいらないと言って食事を続けていた。こんな少年に労働をさせたくないと思ったからだ。しかし、少年は立ち去ろうとしなかった。とても貧しい身なりの少年だった。

気がつくと、遠くに彼よりもさらに小さな少女がじっとこちらを見ていた。そのとき、ふとこの少年に「労働」させないとこの兄妹が飢えるのだと思って靴を磨いてもらい、金と一緒にテーブルのヨウティアオ(中国の揚げパン)を渡した。少年はそれを妹に渡して消えていった。

新興国では肉体労働にも子供が駆り出されている。バングラデシュを訪れたとき、ダッカ郊外に多くのレンガ工場があったが、そこで働いていたのは小さな子供たちだった。カンボジアではスタンメンチャイのゴミ集積所で大人にまじって子供がゴミ拾いをしている。タイではスクンビットでカンボジア出身の子供が物乞いを強制され、ベトナムではゴミのリサイクル工場で子供が働いている。

これは見える「児童労働」だ。

しかし、先進国の人間が100円ショップに行って安い品物を買ったときはどうだろう。その陰に、強制されて働かされている多くの子供たちの存在がある。そのことを思い浮かべる人はどこにもいない。これは見えない「児童労働」だ。

グローバル経済は、今も新興国・後進国と呼ばれている国で、平然と児童を労働に使っている。これは正しいことではない。しかし、私たちはそれを止めることはできないでいる。あなたは会社に行って

「グローバル経済は人類を幸せにしないから競争なんかやめましょう」

と言えるだろうか。社員から経営者まで誰もそんなことを言えない。競争をやめたら企業は存続できないからだ。現代文明は人類そのものを不幸にしながら暴走するしかない。

行き過ぎた資本主義、行き過ぎたグローバル経済、行き過ぎた消費文化は、いずれ行き詰まる日が来る。それまで貧しい子供たちは、犠牲にされたままだろうか。恐らくそうだろう。先進国では、誰も彼らに興味がないのだから。


2012-08-22 08:31:06 25b5592tut

以前テレビで、アフリカのどこかの国でカカオの収穫に子供を働かせているのを見たことがあります。朝から晩まで不当にこき使われて、ぶたれたり食事を抜かれたり奴隷のようでした。どの子もみんな痩せ細ってて胸が痛みました。

しかも、本人達はそのカカオがチョコレートの原料であることを知らないばかりかチョコレートを食べたこともないというのが衝撃的でした・・

以来、あまりチョコレートを買わなくなりました。ただこれはショックな事を思い出したくないという自己保身にすぎません。私のようなヘタレは現実に向き合うのがとても厳しいです。知りすぎると何も買えなくなってしまいそうです・・

安い人件費や子供達の犠牲のもとに今の入手価格があるのがわかっても、高くなるとやっぱり不満に感じてしまう・・私も含めこんな人間が多ければやはりこのような問題は解決することがないように思います。

2012-08-22 16:31:39 ssb5t21u79

子供を労働者に使うと暴動を起こしませんものね(知的障碍者を雇うってのもありましたね)。昨今、海外新興国の工場で賃上げ暴動やストが盛んです。その点、子供ならそういう発想や暴力・団結等はできない・・

搾取する側の大人は、資本主義は、「グローバル経済」とやらは本当に儲け主義で狡猾な発想を生み出します。鈴木さんが言われるように、このままエスカレートしていったら、どうなるのでしょう。

ここ何年かいろいろ購買していて気が付いたのですが、安いものであまり品質の良いものはありません。100円ショップで買ったスリッパはたった1週間で壊れました。じゃあ、と他のドラッグストアで298円のスリッパを買ってみたら、2週間ちょっとで崩れました。値段との正比例っぷりがおかしくて、自分でも納得しました。それらの安い商品は当然「Made in chaina」です。やっぱりスリッパは400〜500円の日本製のものを買わなくちゃなあ・・と思いました。

ところで、先日うちのパソコンが壊れました。グラフィックのBIOSファイルが壊れたようなので、グラフィックボードだけ買いなおすかと思いましたが、新品パソコンとたいして値段が変わらないので、新しいパソコンを買いました。買ったのは「ACER(台湾製)」です。

それまでのは「DELL」でした。たったの4年で壊れました。まあHDの内容がすべて破壊されていたわけではないので、HDは新PCに移行して主要ファイルを移してそのまま使っています。しかし実は私もダンナも日本の某電機メーカ社員です(お互い違う会社です)。当然、両社ともPCは販売しています。最初のころは、お互いの会社のPCを交代に買って穏便に済ませていました。が、その後、買い替える時に私が「うちの会社のは高いから論外!」と言うようになりました。まあ、いろいろ内情を知れば知るほど、わかるものです。

日本製は、人件費(部品は海外で作っているので安いのですが、販促や物流費用やユーザ対応等)や高い広告費等いろいろ付加され、性能が海外PCとそんなにかわらないのに高いのです。ダンナの会社の製品も価格・性能ともに50歩百歩だったので、そのうち私たちは自社のPCを買わなくなりました。だって、中身を分解して時々掃除したりして見ているし、役員や幹部のスピーチを聞く機会がありますから、いろいろわかります。でもそこでお給料をもらっている身としては、多少の罪悪感はあります。いや、多少どころかかなりです。会社の利益とそこからもらう給料、自分の家庭の経済・・これを比較して考えると頭が痛くなります。

かつて、ある役員のスピーチで私の頭に衝撃を感じたものがあります。

「法律を犯さなければ何をやってもいい、いや、ばれなければいい、とにかく儲けろ!」・・・・

この倫理観。私はこうはなれません。会場にいた管理職たちは、「オー!」とか言って応じていました。無常観を感じました。私の父も一部上場企業の役員までいきましたが、技術畑出身なのでこんな発想は決してなかったと思います。むしろ、40年以上前に「原発は危ない」とぽつりと言うような(現地を見てきてから)人でした。
http://www.bllackz.net/blackasia/content/20120821T2341010900.html



子供の奴隷を使っているチョコレートブランド7社 世界の裏側ニュース
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/558.html


子供の奴隷を使っている有名チョコレート企業7社
7 Famous Brands That Use Child Slaves To Make Your Chocolate

2月9日【AnonHQ】
http://anonhq.com/7-famous-brands-that-use-child-slaves-to-make-your-chocolate/ より翻訳


Vandita著:


西アフリカのカカオ豆農園では、15歳に満たない子供たち(中には5歳の子供も)が朝6時から夕方まで働いています。そしてこれら農園は、あなたの大好きなキットカットやM&Mといったチョコレートの生産のためにネスレーやハーシー(Hershey)、マース(Mars)、クラフト、ADMココア、ゴディバ、そしてFowler’s Chocolateなどと取引を行っているのです。


2015年9月、カリフォルニア州でネスレー、ハーシー、マースに対する集団訴訟が起こされました。これは同社らが社会的・同義的に責任を取っていると間違った印象を与えている一方で、西アフリカのカカオ豆供給業者による人権侵害を黙認していたためです。


2005年に子供の奴隷であった三人のマリ人が現在、ネスレー、カーギル、ADMに対して別個の訴訟を起こしており、コートジボアール国内でのカカオ豆市場で子供の奴隷の使用を支援し、教唆していたと訴えられています。


2000年に公開された「Slavery: A Global Investigation(仮訳:奴隷制度・世界的な調査)」というドキュメンタリーでは、チョコレート産業と子供の奴隷によるカカオ豆の収穫という深い闇の関連性について明らかにしています。

Slavery A Global Investigation
https://www.youtube.com/watch?v=P-mgXSojRuo


コートジボアールの当局によって奴隷の立場から逃れることのできた19人の子供の保護者は、当時の子供たちは毎日、夜明けから日暮れまで働かされた上で毎晩、鍵のかけられた小屋の中に閉じ込められた後、排尿のためのブリキの缶を渡されて服をもぎとられ、縛り付けられて定期的に暴行を受けると言う日常を、チョコレート製造企業に伝えました。


そして、数千人もの子どもたちがマリやブルキナファソ、トーゴなどの国からわずかのお金のために両親から買い取られ、あるいは一部にはあからさまに奪い取られ、コートジボワールに船で運ばれて同国のカカオ豆農園で奴隷とされるまでの経緯も伝えました。


奴隷制度を支援することを避けるために、こちらに子供の奴隷制度を食い物にし、児童労働から利益を得ている7つの人気のあるチョコレートのブランドをリストアップしました。


ネスレー


ネ スレー社は経営上の行動規範の中で、サプライ・チェーンの中での児童労働の使用を禁止しているものの、公正労働協会(FLA)の調査員は、強制労働や、子 供たちがマシェーテ(なたに似た刃物)を使用したり重い荷物を運ぶなど、危険な労働条件の下で14時間労働している子供たちと、同社の関連性を示す証拠を 発見しています。


ガーディアン紙のインタビューに対するネスレーの広報官の説明は次の通りです。


「これまでのところ、自分の家族が経営する農園で労働し(約10%が調査の対象)、児童労働に該当する危険な仕事に関与している3,933人の子供を特定しました。


当社はその児童のうち半分を、当社の「児童労働に対する観察および改善システム」に含めました。このシステムは、学校に必要な物資の提供、出生証明書の取得、そして312人の確認された児童の家族に対して所得創出活動を発展させる役割を担っています。


残念なことに、この問題の規模や複雑さはあまりにもひどいため、コートジボアールをカカオ豆の入手元としている企業はどの社も、供給チェーンから児童労働のリスクを完全に取り除くことができると保証することはできません」


ネスレー社は2014年、チョコレートの売上として916億スイスフラン(約105兆円)を計上しています。


ハーシー


アメリカ国内最大のチョコレート製造企業であるハーシー社は、製品の主な原料をコートジボアールから購入しています。しかしコートジボアールは、強制労働や人身売買、児童労働や子供の奴隷などの面で最悪の環境であると悪名の高い国です。


2012 年、同社の西アフリカで栽培されたカカオ豆のうち、子供の奴隷によって生産された可能性のあるものはどれだけなのかハーシー社の重役が把握している知識に ついて、ルイジアナ州の年金基金が疑問を投げかけたことがありました。虐待的な慣行に対する認識について、ハーシー社企業広報部長のジェフ・ベックマン氏 はConfectionerynews.comに対して次のように説明しています。


「訴訟の申立の内容は新しいものではなく、カカオ豆産出国内での長期的な課題であり、NGOを含む株主やカカオ豆供給チェーンの企業、アメリカ政府が地道に何年にも渡って取り組んできた問題です」


2014年度のハーシー社は純利益として約8.5億ドル(約952億円)を計上しました。


マース(Mars)


マース社は2020年までには(児童労働が用いられていないと)認定を受けたカカオ豆だけを調達すると2009年の時点で誓約しました。


し かしExaminer紙がマース社に対し、なぜ同社のチョコレートに一切、児童奴隷が使用されてないことが認証されるまでに2020年まで必要なのかと質 問したところ、マース社は「カカオ豆農園で人身売買され、あるいは強制労働させられている子供の数はごくわずか」とし、「西アフリカの何百万ものカカオ豆 農園の全員に手を差し伸べるのは難しい仕事」で、子供の奴隷が関与していないチョコレートと保証するのは「複雑」な問題であるため、持続可能性を保証する ためには「10年が現実的な期限」であると考えていると応えています。


チョコレート産業全体での協定として、2005年までにチョコレート産業として子供の奴隷制度を自主規制し、終わらせることを目的としたハーキン=イーグル議定書(Harkin-Engel Protocol)が2001年に調停されましたが、その期限は2005年から2008年から延期され、その後再び2010年に延期されています。


そして2016年になった今も、子供の奴隷制度の終結を誓約しつつも、虐待的な慣行から数百万ドル単位の利益を弾き出しているチョコレート製造企業が存在しているのです。


さらに、2015年の報告書によると、カカオ豆産業で働いている児童の数は2009年から2014年を比較すると51%増加し、現在では合計で140万人になっているということです。


奴隷状態の労働条件で働く子供の数は、2009年から10%増加し、現在は合計で110万人になっています。

ADM、クラフト、ゴディバ、Fowler’s Chocolate


205年、コートジボワールのカカオ豆プランテーションで強制的に労働させられたマリ国籍の者3人が、ネスレーやADM、カーギル(カーギル社はADM社の国際的なチョコレート取引部門を企業価値約4.4億ドルとして買収)が、児童労働によって収穫されたカカオ豆を購入し、奴隷制度、児童労働、虐待を「支援・ほう助」したとして、カリフォルニア州の連邦裁判所で集団訴訟を起こしました。


カカオリカー、ココアパウダー、ココアバターの製造加工業者であるADM社に対する10年越しの訴訟が継続する中、同社はココア関連ビジネスをシンガポールに拠点を置く農業総合商社オーラム・インターナショナル社に13億ドルで売却しました。


2012年、キャドバリー(Cadbury)やクラフトフーズ(Kraft Foods)を買収したモンデリーズ・インターナショナル社は4億ドル(約44.8億円)を投資し、カカオ豆生産農家の生活基準を改善し、持続可能なカカオ豆経済を創設すると誓約しています。しかし、サプライチェーンから強制労働を取り除こうとする同社の企業努力は何年も苦戦し、これまでのところ効果が出ていません。


ゴディバを含め、世界で用いられているカカオ豆の60%以上は西アフリカから供給されています。他の大規模なチョコレート製造企業とは異なり、ゴディバ社は原料が児童労働によって収穫されていないことを確実にするために同社のカカオ豆のサプライチェーンを追跡調査したり、あるいは地元と協力し合うという宣誓をしていません。


ゴディバ社は2020年までにはカカオ豆の供給の100%を持続可能な供給元から行うと約束はしたものの、公正な給料や安全な労働環境を保証し、児童労働をなくすためのゴディバ社の具体的措置については明らかににはされていません。


Fowler’s Chocolate社は児童労働を糾弾する一方で、コートジボアール産のカカオ豆を使用し続け、同社のチョコレートに児童労働が用いられてないことを保証することは不可能になっています。


2010年、BBCがイギリス国内で販売されているチョコレートの大部分に供給しているサプライチェーンについて行った調査
http://news.bbc.co.uk/panorama/hi/front_page/newsid_8583000/8583499.stm


では、人身売買や子供の奴隷が使われている証拠を見つけただけでなく、予防対策は取られているフェアトレードとして販売されているチョコレートでも、サプライチェーンで児童労働がまったく使われていないと保証することはできないということも明らかにされています。
 


(翻訳終了)


*****


【コメント】


バ レンタインですが、あまり甘くないチョコの裏側の話です。児童労働の情報については日本語でもありますが、社名を特定されていた記事があったので翻訳しま した。とはいえもちろん、ここに名前の挙がっていない企業でも同罪なところはたくさんあるので、この辺だけを避ければよいというものでもなく、さらに言え ばこのような問題のある製品はチョコレートに限定されるものでもありません。


【関連記事】


★「安い中国産製品」の裏側に潜む現代の奴隷制度
http://ameblo.jp/wake-up-japan/entry-11961955129.html

イギリスでは、大人もチョコレートが大好きな人が多く、何か行事がある度にとりあえずチョコレートでも・・・とばかりに販売合戦がすごいです。


Internet.com.の日本語サイト
http://internetcom.jp/wmnews/20120209/2.html


の情報によれば、イギリスのチョコレートの消費量は世界第三位だとか。カカオは摂り方によっては健康によい側面もありますが、チョコを買う=児童労働・奴隷を認めてそこにお金を流し、支援していることになるので控え目にしたいなとは思っています。


ネスレー社といえば、このチョコレートの問題だけでなく、このブログで取り上げてきた記事の中でも何度も登場している「常連」さんです。


ガザ地区で非人道的な侵略を行っているイスラエル政府を支援していたり、


★ボイコット・イスラエル
http://ameblo.jp/wake-up-japan/entry-11807316661.html

製品にGMOを使用していたり、


★GMOが含まれる外国(アメリカ)製品一覧
http://ameblo.jp/wake-up-japan/entry-11555568003.html

もちろん、ビルダーバーグ・グループの一部でもあります。


★99%vs1% ビルダーバーグに関連している企業一覧やデモ状況など
http://ameblo.jp/wake-up-japan/entry-11869072484.html


しかも他の多国籍企業と同様、他の企業やブランドを買収してもいますので、その周辺にも気をつけたいところです。こういう系図を見ていくと、私たちにはいろいろと選択の自由が与えられているようで、実はどの会社を選んでも親会社が同じだったということもよくありますね。


Disclose TVには、世界の水資源を利益のために販売し、子供の奴隷を用い、GMOを支援しているビルダーバーグのネスレーに宣戦布告を行っているアノニマスの動画もアップされています

(Disclose TV リンク)。
http://www.disclose.tv/action/viewvideo/175954/Anonymous__Bilderberg_Nestl_Want_to_Control_World_Water_Supply_Use_Child_Slaves_and_support_GMOs/


イ ギリスではキャドバリー(Cadbury)社もかなり大手で人気ですが、甘すぎる割にチョコの味もしないので私はあまり好きではありません。それ以前に、 ミルクチョコレートの原料になる牛の扱いが非人道的で、それを明らかにした動画を見てからはとてもプレゼント用でも買う気がしません。でも娘の学校で遠足 として、キャドバリーのチョコレート工場見学に行ったりしているんですよね〜


M &Mのチョコレートも人気ですが、フランスにあるM&Mを製造している工場の近くにある蜂の巣の蜂蜜がすごい色になった写真などを見ると・・・M&Mは果たして、人間の食べるものかなと考えてしまいます。


こちらがM&M工場の廃棄物に触れたミツバチの作るはちみつです。見た目にはきれいですが、食べ物にこだわりの強いフランス人農家は激怒していました。


日本のチョコレートを製造・販売している企業はこの問題に対して、どのような取り組みを行っているのでしょう?

子供の奴隷を使っているチョコレートブランド7社 世界の裏側ニュース
http://ameblo.jp/wake-up-japan/entry-12127771409.html

_____

うーん、100年前と今と全然変わっていないのが一番問題ですね:


ビール一杯のため、黒人の手首を切り落として遊ぶロスチャイルドの部下達 

藤永茂 「闇の奥の奥」 三交社
http://www.amazon.co.jp/%E3%80%8E%E9%97%87%E3%81%AE%E5%A5%A5%E3%80%8F%E3%81%AE%E5%A5%A5%E2%80%95%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%89-%E6%A4%8D%E6%B0%91%E5%9C%B0%E4%B8%BB%E7%BE%A9-%E3%82%A2%E3%83%95%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%81%AE%E9%87%8D%E8%8D%B7-%E8%97%A4%E6%B0%B8-%E8%8C%82/dp/4879191671


かつてベルギー領であったアフリカのコンゴでは、ベルギー国王レオポルト2世の経営する無数の大規模ゴム農園で、黒人が凄まじい奴隷労働を強制された。

この奴隷農園を経営していた実働部隊が、ロスチャイルド一族とその盟友・銀行ソシエテ・ジェネラル・ド・ベルジック[Société Générale de Belgique]である(拙稿「核兵器の密売人フランス」参照)。


本書p28には、ロスチャイルドによって手首を切り落とされた黒人の少年の写真が載っている。

黒人には1日に採集するゴムの量が1人1人割り当てられた。1日でもその割り当てノルマが達成できないと、ロスチャイルドはその黒人奴隷の手首をオノで切断し、制裁を加えた。相手が少年であっても容赦はされなかった。

本書に掲載されている写真が残されている事は、「写真という技術が登場し、しかもアフリカの奥地にまで持ち込める携帯用のカメラが開発・販売されるようになったつい近年まで、ロスチャイルドによる黒人奴隷の手首切断が実行されていた」事実を示す。

この有色人種を奴隷とし人間とも思わない一族が、今後、中国を支配し、原発と核兵器を大量生産する事になる。原発の事故が起こり、核戦争が起こり、アジア人=有色人種が死のうとロスチャイルドが「何とも思わない」事、むしろ不要な人種が死んで喜ぶ事を、この写真は事実として示している。

今後、国連の中心となり、国連という国際機関を「動かす」中心国となるベルギーとロスチャイルドによる、この黒人・有色人種虐殺の犠牲者は、数百万人に上る(p33)。

 国連が平和維持活動と称しPKO部隊を送り込み、有色人種の国々で虐殺を繰り返している事実は、このベルギーとロスチャイルドによるコンゴでの大虐殺に「同一起源・源流」を持つ。

本書p79にも、切り落とされた黒人奴隷の手首を持つ黒人の写真が掲載されている。
ロスチャイルドは、逆らった黒人、病気・ケガで働けなくなった黒人を射殺する事を農園の監督人に命じた。しかしライフル銃の弾丸を節約するために、殺害に使用した弾丸の数と同一の数の黒人の手首を持ち帰る事を監督人に要求した。殺害された黒人1名につき弾丸1個しか使用してはならない、という弾丸の節約命令が出されていた。
黒人の命より、弾丸1個の方が「もったいない」という事である。

一方、監督人は木の棒等で黒人を撲殺し、弾丸を未使用のまま残し、「黒人が逆らったので銃殺した」とウソの報告を行い、弾丸を銃器販売店に「横流しし」、その利益を「小遣い」として着服する事が常態化していた。

つまり逆らってもいない黒人を撲殺し、弾丸を横流し販売する事で「小遣い」が得られた。ロスチャイルドの監督人達は、ビール1杯を飲む小銭のために、逆らってもいない黒人を殴り殺し続けて来た事になる。

このベルギー国王(英国王室と同族のザクセン・コブルク・ゴータ一族)とロスチャイルドの行った大虐殺を知り、写真を撮り世界に知らせた勇敢なジャーナリストが三名居た。

最初の告発者ワシントン・ウィリアムズ[George Washington Williams, 1849-91]は、わずか32歳(引用注:正しくは41歳)の若さで何者かに毒殺されている。

盟友の毒殺にも屈せず政府とロスチャイルドの告発を行ったジャーナリスト、ロジャー・ケースメント[Roger David Casement, 1864-1916]は「国家反逆罪」で、ベルギー政府の手で逮捕され「絞首刑」となり処刑されている。

3人目のE・D・モレル[Edmund Dene Morel, 1873-1924]も逮捕され、ケースメントと同一の刑務所に収監され、出獄後、病死している。

こうした写真は、この勇敢なジャーナリスト達が自分の命と引き換えに撮影してきたものである。

本書p142には、南アフリカで絞首刑にされ、「さらし者」にされている3名の黒人奴隷の木に吊り下げられた死体の写真が掲載されている。

裁判等抜きで、白人が「気に入らない黒人を自由にリンチ処刑している」。 同時に、リンチにされた黒人の姿を「満足気に葉巻を吸いながら眺めている白人達の姿」も撮影されている。有色人種をリンチ殺害する事は、大好物の葉巻を吸いながらそれを眺める程、「最もリラックスできる楽しい時間」であった事を、この写真は示している。 これは、携帯用の小型カメラが世界中に販売されるようになった時代のリンチであり、「つい最近」の出来事である事を、写真撮影という事実そのものが示している。 そしてコンゴだけでなく、南アというロスチャイルドの支配下に入った国・地域では、どこでもリンチ殺人が行われていた事実を、こうした写真は示している。

コンゴは、ゴムだけでなく核兵器原料のウランの最大手の生産国であり、ロスチャイルドの核兵器原料企業ソルベイ社[Solvay]が、コンゴでのウラン採掘と世界への販売を担当してきた。

このソルベイ社とベルギー国王が「国連所在地のブリュッセル」で3年に1度開催する「ソルベイ会議[Solvay Conference]」は、世界中の核兵器メーカーと核物理学者が集まり、今後の核兵器販売計画を密談する、ソルベイ社から招待された者だけが参加可能な、マスコミにも情報を出さない「隠密会議」となっている。

かつて、第5回ソルベイ会議に出席したアインシュタインが、ソルベイ社に説得され、米国のルーズベルト大統領に書簡を送り、原爆開発の推進を「提言」した事実は有名である。著名であったアインシュタインの書簡であれば米国大統領も「核兵器開発を認め、説得されるであろう」と計算したソルベイ会議は、アインシュタインを「上手に誘導し説得した」のである。

このソルベイ会議が無ければ、日本の広島・長崎への原爆投下も原爆開発も無かった。 この会議を開催している者が、ロスチャイルドとベルギー王室、つまりコンゴの奴隷虐殺者達である。

日本人という有色人種を大量に虐殺した広島・長崎への原爆投下と、コンゴでの有色人種=黒人大虐殺が、同じ「論理」、同じ企業・人間達によって行われてきた事実が浮かび上がる。その論理とは「有色人種虐殺」である。

この企業・人間達が、今後アジアの盟主として中国の政権中枢を担当する。その金融面での動きがアジア統一通貨の形成であり、それは欧米・ロスチャイルドの新しい支配戦略である。

アジア通貨の誕生をドル支配からのアジアの独立である等という寝呆けた主張は、国際情勢への無知か、自分がロスチャイルドの「手先」である事を自白しているに過ぎない。
*・・・なお、ベルギーによるコンゴ支配を描いた小説「闇の奥」の作家ジョセフ・コンラッド[Joseph Conrad, 1857-1924]は、「ベルギーのような遅れた国がこうした虐殺を行うが、自分達、英国人であれば、こうした虐殺は行わない」と英国人を自画自賛している。

英国王室とベルギー王室が同一一族である事実を知識人コンラッドが知らないはずは無く、悪質なデマをコンラッドは流している。

こうした悪質なデマを流し、真実を隠す作家でなければ「大作家」「人種差別に最初に気付いた知識人」などと言う「名誉ある称号」は手に入らない。

またコンラッドの小説を映画化し「地獄の黙示録」を製作した映画監督・「巨匠」フランシス・コッポラ[Francis Ford Coppola]は、ベルギー政府とロスチャイルドの行った、この残虐な黒人奴隷の手首切断をベトナムに舞台を移し、「ベトナム共産軍の行った野蛮な行為」として描き出している。

ベトナム戦争でベトナム共産軍を敵として戦争を行った米国政府の「ご機嫌を伺うために」、ベルギー政府の行った虐殺を「ネジ曲げ」、米国政府の敵=共産軍が行った野蛮な行為として手首切断を、「巨匠」コッポラは描いている。

手首切断を行ったロスチャイルドの米国支部はロックフェラーであり、そのロックフェラーこそがベトナム戦争を行った米国政府中枢である事を、無知からか意図的にかコッポラは無視し、デマを世界中に「タレ流している」。

こうした悪質なデマを流し、真実を隠す作家でなければ「巨匠・映画監督」にはなれない。

真実を語るものが絞首刑になり、デマを「タレ流す」者だけが「大作家」、「巨匠」になる。現代世界と芸術界は、ニセ者だけが表通りを歩く事の出来る肥溜めと化している。
http://satehate.exblog.jp/15342781/  


何も考えないで生きていると、必ず誰かに「モノ化」される


人間は考えることを止めても生きることができる。どうするのか。支配してもらうのである。国に支配してもらい、会社に支配してもらい、親に支配してもらい、言われた通りにする。

そうすれば、自分で何か考えたり、決断したり、行動したりしなくてもいい。

独裁国家は考える人間を排除し、考えない人間だけを作り出し、そしてその「無脳集団」を自分の思う通りに動かして独裁を完成させる。

(独裁者が誕生するのは、独裁して欲しいと思う人がいるから)
https://www.bllackz.net/blackasia.php/content/20170403T0400140900.html


自分で考えないで生きるというのは、誰かの駒になるということである。人間社会は昔から、考える人間が考えない人間を支配することで成り立ってきたのだ。

それは、今も社会の中で公然と行われており、これからも続いていく。考えない人間は誰かに都合良く動かされ、要らなくなったらゴミのように捨てられる。

独裁者は国民を使い捨てにするし、ブラック企業は社員を使い捨てにする。考えない人間は奴隷のようにこき使われて、ゴミのように捨てられる。何も考えないと、必ず誰かに「モノ化」される運命が待っている。

人間のモノ化とは、抽象的な概念ではない。文字通りの意味である。人間が人間扱いされない。生きた人間そのものが「商品」や「物体」として認識され、効率的に使い捨てされるようになっていく。誰がそうなるのか。考えない人間だ。


考えないで生きていると、必ずモノ化される運命

4月になったら、多くの新卒の学生が新入社員としてどこかの会社に入る。何か目的を持って会社に入ったというよりも、まわりに合わせて自分もそうした人も多いはずだ。

何も考えないでまわりと同じようにやっていると、必ずモノ化されることになる。企業が労働者をモノ化するというのは昔から行われていることであり、すでに労働者をモノ化する手法は確立されているからだ。

労働の世界で、企業が人間をモノ化するのは今に始まったことではない。

映画『モダン・タイムス』では、チャーリー・チャップリンが強烈な風刺でそれを世に知らしめて、この映画はチャップリンの代表作になった。

日本でも「女工哀史」に見られるように、女性が機械の部品のように扱われて労働者の「人権」はどうなっているのかと世の中が嘆いた。

(日本女性が忘れた女工哀史は、途上国ではリアルタイムだ)
https://www.bllackz.net/blackasia.php/content/20141119T0212040900.html


そういった極度な労働強要はやがて姿を消すようになったが、しかし1980年からグローバル化が加速していくと、それが見えない形で復活するようになった。

まず、強制労働は途上国の、誰も見ていないところで急速に広がることになった。

中国・インド・バングラデシュでは、子供たちが薄暗く、暑く、埃の舞う衛生観念のないような場所で14時間もぶっ通しで働かせられるようになった。

(児童労働。アジアで知り合った子供たちの顔を何人も思い出す)
https://www.bllackz.net/blackasia/content/20130707T2126240900.html


それが常態化すると、今度は先進国で労働者の賃金格差が起きて、アメリカでは高学歴の人間がファーストフードのデリバリー、若年層はインターンという名の無償労働が起きるようになった。

そして、日本では大量に若者を採用して、つぶれるまで働かせて使い捨てするブラック企業が大量発生するようになった。

人間性を奪い取って、機械の部品のように働かせるのは、紛れもなく、人間の「モノ化」という視点がそこにあるからだ。


ポルノの世界でも、日に日に女性がモノ化していく

こういった表社会で起きている「モノ化」の視点は、もちろん裏社会にも波及している。

たとえばインターネットの普及によって凄まじく粗製濫造されているポルノは、もはや女性との出会いや愛からセックスに至るというような「まどろっこしい」描写は消えた。

欧米でも日本でも、ポルノが蔓延すればするほど、もっと剥き出しに、もっと過激に、もっと激しく女性が陵辱される行為を望んだ。

それが突き進んだ結果、普通の快楽ではもう飽き足らなくなり、過激表現はどんどん突き進んで、ポルノは暴力になる。性行為を通して、暴力的なまでに女性を痛めつけるような過激描写になって、それが喜ばれている。

そこでは女性の意思はないし、あったとしても尊重されない。これは何を意味しているのか。もちろん、女性の「モノ化」である。

その大きな流れの中で見ると、女性がどんどん「モノ化」されていることが見えてくる。本当に女性を「モノ化」するには、究極的には女性を「殺す」ことにつながる。

女性が死ねば、女性の肉体は一個の物体になる。完全なるモノ化の完成だ。

今はまだ信じられないかもしれないが、いずれは女性を殺して死姦するポルノが作られることになる。なぜなら社会が「人間のモノ化」「女性のモノ化」を望んでいるからだ。

そういった目で見れば、最近になって大量に起きるようになった女性の人身売買や拉致監禁事件の本質がどこにあるのかが分かってくるはずだ。

それらは「女性のモノ化」にあったのである。

誰かをモノ化すれば、自分の私利私欲が遂げられるというのを考える人間は悟っており、だから考えない人間を作り出し、そんな人間たちを自分の思う通りに動かそうとするのである。


考えることができるようになればモノではなくなる

私たちは、消費社会にどっぷりと浸って生きている。生まれてから死ぬまで、モノを大量消費することで生きてきた。大量消費するということは、大量に「使い捨て」するということでもある。

「モノを買って、利益を得て、棄てる」という行為が延々と繰り返されて、それが現代人の「物の見方」になっていった。だから「モノを買って、利益を得て、棄てる」という行為に、現代人は疑問を抱かない。

そうであれば、社会全体が人間をそのように扱おうと考えるようになるのは決して意外なことではないはずだ。現代社会がモノを使い捨てにすることを奨励しているのであれば、モノの扱いは人間の扱いにも反映されていくのである。

現に労働の現場では「労働させて利益を得て壊れたらクビにする」が徹底されている。労働のために人間がモノ化した。ポルノの現場では「性行為をさせて利益を得て女性を使い捨てにする」が徹底されている。快楽のために女性もモノ化された。

人間をモノ化できたら、自分の利益・快楽・楽しみのために、他人を消費して、要らなくなったら使い捨てできるわけだから、支配者がそれを求めても不思議ではない。

だから、何も考えずに他人に自分の人生を委ねるというのは、とても危険なことなのだ。

何も考えずに学校で教師の言うことを鵜呑みにし、みんなが行っているからとわざわざ莫大な借金を背負って大学に入り、みんなが会社に入るからと自分も会社に入るような生き方をしている人は多い。

みんなと同じように生きていたら何も考えなくてもいいので楽だ。政府も企業も親もあなたがモノ化していれば扱いが楽なのでモノ化するように働きかける。

だから誰もがモノ化して「考えない道」を選ぶ。

ずっとそんな生き方をしていたら、いずれ「自分で何も考えられない、決断できない、行動できない」人間と化す。何も考えられないから誰かに命令されるだけの人生になる。

そして、自分の人生が自分のものでなくなり、誰かにモノ化されて、良いように使われて捨てられる。

まずは自分が今、モノ化されていないかどうかを考えなければならない。そして、モノ化されていることに気付いたら、自分に問いかけなければならない。

「それでいいのだろうか?」

何も考えないで生きていると、必ず誰かにモノ化されることになる。逆に言えば、考える力を取り戻すとモノ化から脱却できる。考えることができるようになれば、モノではなくなる。

労働の世界で、企業が人間をモノ化するのは今に始まったことではない。

映画『モダン・タイムス』では、チャーリー・チャップリンが強烈な風刺でそれを世に知らしめて、この映画はチャップリンの代表作になった。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/04/20170403T1453160900.html


32. 中川隆[-7626] koaQ7Jey 2017年5月26日 19:19:56 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

主要企業・銀行の殆どが外資に乗っ取られてるとこういう社会になる


なんとサムスンなどの主要企業・銀行の殆どが外資に乗っ取られてる韓国(笑)
韓国猿がどんなに働いても、利益のほとんどが日本と欧米に吸い上げられる絶望的な構造が完成しているのですwww


【朝鮮日報】韓国の大企業、もはや「韓国企業」ではない


各企業が公表してる最新のIRでは、

 サムスン - 外資比率60%
 ポスコ - 58%      ←日本が筆頭株主です
 現代自動車 - 49%
 LG - 50%
 SKテレコム - 55%

さらに韓国の主要銀行はウリ銀行以外はすべて外資。

韓国の銀行は最大規模でも300億ドル前後と、日米英に比べて資金力が欠如しているために、外資比率がドンドン高まっている。

日本と比較しても、銀行の資金力は5〜10倍程度差がある(英米と比較すると20倍程度の開き)
ポスコは新日鉄との提携強化を進めた結果、ボスコの筆頭株主は新日鉄に。


第一銀行 外資比率: 0.1%→100.0% 主要株主:スタンダード・チャータード(100%)
韓美銀行 外資比率:29.4%→99.90% 主要株主:シティグループ(99.91%)
KB金融 外資比率:41.2%→85.68% 主要株主:Bank of New York(15.21%)
韓国外韓銀行 外資比率: 2.7%→74.16% 主要株主:ローンスター(50.53%)
ハナ銀行 外資比率:21.3%→72.27% 主要株主:ゴールドマンサックス(9.34%)
新韓銀行 外資比率:23.4%→57.05% 主要株主:新韓フィナンシャルグループ(100%)
ウリ銀行 外資比率: 8.6%→11.10% 主要株主:ウリィフィナンシャルグループ(韓国預金保険公社)(77.97%)
http://www.scbri.jp/PDFgeppou/2006/2006-10.pdf

TOEIC900点でも就職先がない韓国

韓国・中国では今や若者が就職できないと社会問題になっています。


【韓国】

『英語検定能力テストTOEICで900点以上を獲得。
自信を持って、SKエナジーなどエネルギー関連企業への就職試験に臨んだ。フタを開けてみると全敗だった。』

これはソウルの私立大学に通う25歳の学生の実態を報じた日経新聞からの記事ですが、TOEIC900点以上でも就職先がないのです。

ソウル大学と言ったトップ校でも3人に2人しか就職できなく、就職率2割台の大学もあるとこの記事は報じており、
例え就職出来ましても、大学卒の4割が学歴に見合う仕事に就けないという現実があるとも報じています。

中国を見ますともっと悲惨な現実があります。

【中国】

2012年の卒業生は680万人。
この8割しか仕事につかない。
働かない(働けない)新卒は100万人を超える。
就職しても仕事は不安定で、都市部ではベッドと机しかない狭いスペースに住む若者が増えている。
http://blog.livedoor.jp/nevada_report-investment/

697 :金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2013/02/19(火) 03:46:55.74

半島はインフレの先例だよね

@時給300円社員500円無住居者200万人

Aアパート都市部坪1万円/月(都市率80%)

B物価食費日本の2倍。ウォルマート以外は日本の2倍

C日本並の生活をする場合の参考生活コスト
食費6万(衛生機にするなら12万)
家賃15万駅15分1LDK空港都心まで30分
ガソリン代5万
世帯で2倍規模
保険10万
税別30万から50万税込1000万くらいで
ほとんど世帯の1%以下でありそもそも市長クラスがこの3文の1


699 :金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2013/02/19(火) 06:55:19.95
>>697
通貨を安くしすぎだわ
輸出ばかり優遇しその利益は韓国国民に還元されていない
経済植民地になっている
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/eco/1357967323/l50

 4月14日、福岡県の「魚べい」という回転ずし屋を訪れた。中央駅近くの家電売り場の4階にあったが、店内の至る所から韓国語が聞こえてきた。以下は、近くの席で話していた人たちの会話内容だ。

 「1皿105円なら安い方でしょう。今のレートで1200ウォンくらいだから」「ソウルに『スシロー』という回転ずしチェーンが進出したけど、そこで一番安いのが1皿1700ウォンだよ。高いのは3600ウォンもする」。

 ソウルに3店舗をオープンしたラーメン店「一風堂」は、福岡に本店がある。一昨年5月にソウル店をオープンした際、韓国と日本の為替レートは大きな開き(100円=1300ウォン水準)があった。一風堂の看板メニューである「赤丸新味」を日本の値段に合わせると、1万ウォン以上に跳ね上がる。しかし「ラーメンは安いメニュー」という韓国人消費者の先入観、さらに昼食時の「1万ウォン抵抗線」のため、値段を9000ウォンに引き下げた。

 福岡市中央区にある一風堂本店にも韓国人の客がいた。「本場のラーメンを味わってみたい」という人たちだった。ところでここでも、メニューを見ていた韓国人観光客が値段に対する会話を交わしていた。

 「おっ、ソウルの一風堂よりも安いね」「800円だから、11倍すると8800ウォンだ」

 翌日、福岡からソウルに戻る機内で、韓国人の乗客2人が次のような話を交わしていた。

 「今となっては日本の物価も大して高くないね」

 「でも、変だよな。円安になったとは言っても為替レートはいまだに11倍。6年前に7倍だったころ、日本と韓国の物価はちょうどいいと思っていたけど、今では11倍でちょうどいい気がする」

 4月23日、こうした疑問を解決するニュースが飛び出した。韓国と日本のビッグマックの値段が4年ぶりに逆転したというニュースだった。

■韓日ビッグマック価格逆転の秘密

 ファストフードチェーン、マクドナルドの看板メニュー「ビッグマック」は、マクドナルドが進出している国ではほぼ同じような品質で販売されている。ところで、ビッグマックの値段は国によってずい分違う。物価と為替レートが別々に変動するためだ。ビッグマックの値段が競合国よりも高ければ、物価が高過ぎるか、その国の通貨が高く評価されているということを意味する。これを換算する「ビッグマック指数」というのもある。

 現在、韓国のビッグマックの値段は3900ウォン、日本のビッグマックの値段は320円だ。4月25日現在のウォン・円レートを適用すると、日本のビッグマックは現在3520ウォンということになる。韓国のビッグマックが380ウォン高いわけだ。価格が逆転した正確な日付を調べてみると、為替レートが12.2倍になった今年1月3日だった。ビッグマックの値段が相対的に変化した二つの理由は、韓国と日本の経済がこれまで数年間、どのような経路をたどってきたかを表している。
 一つ目は、2009年に100円=1600ウォン水準にまで跳ね上がったウォン・円レートは、最近の円安により100円=1100ウォンにまで低下したという点だ。そしてもう一つは、韓国のビッグマックの値段が日本に比べて大幅に値上がりしたという点だ。韓国マクドナルドは07年からこれまでビッグマックの値上げを4回も行い、実に34%も値上げした。日本マクドナルドは6年間で1回、14%を引き上げた。両国ともに値上げしなかったら日本のビッグマックの方が韓国に比べ180ウォンほど高かったはずだ。これは、為替レートと同じくらい、韓国の値上げが韓日のビッグマックの価格逆転の重要な理由となっていることを物語っている。もちろん、こうした現象は何もビッグマックに限ったことではない。

 極端的なケースが両国の代表的なランチメニューであるソルロンタン(牛のスープ)と牛どんの値段の変化だ。もちろん、ソルロンタンと牛丼は味や質、量的な側面で単純な比較はできない。しかし、これらの相対的な価格の変化は20年にわたって韓国と日本の経済がどのような道を歩み、価格逆転の時点がどうして早まったのかを説明している。

 日本の代表的な牛丼チェーン「吉野屋」の牛丼は17年前(1996年)に400円だった。ところで今は280円まで下がっている。日本経済のデフレーション(物価下落)とランチ市場をめぐる牛丼チェーンの激しい価格競争がもたらした、劇的な値下げの賜物だ。

 韓国のソルロンタンの場合、その逆で粘り強く値上げの道を歩んできた。ある大型店の17年前のソルロンタンの値段は3500ウォンだった。その後、値下げが行われたことは1度もない。そして現在、同店のソルロンタンの値段は9000ウォン。17年にわたって日本の牛丼の値段は30%下がったが、韓国のソルロンタンの値段は150%引き上げられたというわけだ。キムチの材料である白菜の値上げや、口蹄疫発生の影響で牛肉の値段が上がるたびに、ソルロンタンの値段を引き上げてきたためだ。


■スターバックスやユニクロでも価格の逆転現象

 ビッグマックで起きた価格の逆転現象は、ほかの品目にも拡散している。ビッグマックのように国際的に比較可能な品目の一つが、世界最大規模のコーヒーチェーン店、スターバックスコーヒーだ。比較可能な両国のスターバックスの六つのメニューを比べると、4月25日現在、3品目の価格が逆転していた。カプチーノ、キャラメルマキアート、ティーラテだ。このうち、カプチーノのトールサイズの値段の逆転は、ビッグマックと流れが似ている。

 韓国のスターバックスは2006年に3800ウォンだったカプチーノの値段を2度引き上げ、7年後の現在は4400ウォンとなっている。引き上げ率は16%だ。日本スターバックスは同品目の価格を1度引き上げ、現在380円(韓国では4180ウォン)で販売されている。こちらは引き上げ率が12%だ。2012年に値上げしたとき、スターバックスは「大幅に上昇した牛乳、コーヒー豆、人件費、賃貸料など、各種の直間接的な運営コストを反映し、値段を調整した」と説明した。

 比較可能なそのほかのブランドはユニクロだ。ユニクロは日本のブランドだが、各国の売り場で販売されている衣類の70%を中国で生産している。残りはバングラデシュ、ベトナム、インドネシアの工場で生産する。日本を通さず、全て販売国に向け直接輸出されているため、日本と韓国の輸入コストはほぼ同じになる。

 ところが、ユニクロのヒット商品「ヒートテックの半袖(メンズ)」と「エアリズム(レディース)」は、日本では990円で販売されているが、韓国では1万4900ウォンで販売されている。ソウルの売り場と福岡の売り場を調査したところ、レディースのかばんやランニングシャツのように日本で990円で販売されている製品が、ソウルでは1万4900ウォンで売られていた。

 日本で990円で売られている製品がソウルの売り場にも並ぶようになったのは、ウォン・円レートが円高に振れた2008年だった。当時の為替レートを反映し、価格が策定されたわけだ。ウォン・円レートが100円=1500−1600ウォンだったときは、同じ品目の値段は日本の方が高いときもあったが、1500ウォンを下回った時点から価格の逆転現象が生じ始めた。その時点が昨年半ばだった。ユニクロの関係者は「生産から販売まで8カ月かかるため、生産した時点の為替レートを反映し、販売価格を決めている。今後もウォン高が長期化すれば、追加で価格調整する可能性もある」と話した。

 旅行客たちは特に為替レートの変動に敏感だ。ウォン・円レートが円安に振れ、今年韓国を訪問した日本人観光客の数は半減した。2012年4月の第3土曜日に大韓航空で仁川−成田路線(KE701・702便)を利用した日本人は502人。今年4月の第3土曜日に大韓航空の同じ路線を利用した日本人は236人だった。4月15日に韓国を訪問したある日本人は「品質が日本と同じだということを前提にすれば、韓国製品の価格メリットはもう終わったようだ」と話す。ウォン・円レートが100円=700ウォンだった2007年、韓国の対日本旅行収支の赤字額は31億ドル(約3030億円)まで拡大した。

■現在の日本の競争力は100円=700−800ウォンだった時代と同じ

 実質実効為替という概念がある。基準時を設定し、主な交易相対国(韓国を含む)との物価上昇率の差を反映した為替レートだ。基準時に比べて100以上なら高くなったことを、それ以下なら低くなったことを表している。高くなればなるほど自国商品の価格競争力が弱まったことを意味し、低くなればなるほど強まっていることを意味している。低くなるときは、自国の貨幣価値が下落すると共に物価が相対的に安定した場合、そのスピードはさらに速くなる。

 日本の円の実質実効為替は2011年10月に105で頂点を記録した後、低下し始め、今年1月には87にまで下がった。これは韓国の対日本旅行収支赤字が拡大し、日本製品の価格競争力が上昇した2007年と類似する。韓国銀行の関係者は「物価を考慮する際に、ウォン・円レートは100円=700ウォンだった2007年水準にまで下落した(円安)。韓国と日本の旅行者の立場からすれば、ウォン・円レートが円安に振れ、韓国の物価上昇の影響を同時に受けている」と説明した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130506-00000372-chosun-kr

大木広也の息子が韓国で見たものは


 私事で恐縮だが、私の息子は日本で売れない役者やモデルをやっていたものの、行き詰まりを感じたらしく女優の笛木優子さんの男性版を狙ってソウルに渡り、笛木優子さんと同じ大学に在籍しながら「韓流ドラマ」に関係するなどして二〇〇七年の暮れから四年半韓国で生活していた。一年に二回ほどスカイプでソウルでの生活を中心に四方山話をしたのだが、その内容は最初のうち、にわかには信じられないものであった。そのくらい日本で聞く話とはギャップがあったのである。

 「ソウル市役所の職員は冬になると毎朝、凍死したホームレスの死体を片付けるので大忙しなんだ。ソウルの地下鉄駅には乞食やホームレスが溢れているからね」

 韓国には国民健康保険も社会福祉制度も皆無であるから病気または失業は即、乞食への転落または死を意味する。また冬にはソウルの最低気温は零下二〇度まで下がる。

 「ソウルでは日本円で十万円出してもまともな住居には住めない。一千万近い保証金が積めないなら、地下室とか屋上に建てられたプレハブくらいだね。順番待ちのアルバイトの時給が二五〇円くらいのところでだよ」

 おそらく、いつぞやのIMF騒動の際に不動産が外国資本や一部特権富裕層に買占められてしまったのだろう。本来、息子など人並みに部屋など借りられない身分なのだが、ろくに言葉も話せないうちから韓国人スッチーの部屋に転がり込んで家賃を不要としたのは天晴れとしか言いようがない。

 「KBSにずっと勤めている知り合いでも家が買えないんだよ。KBSって言えば日本のNHKなんだけど、外国資本だから韓国人の職員の給料は死ぬほど安いんだ」

 これも同じくIMF騒動のときに企業の株式が外資によって底値で買い占められてしまった結果だろう。これは日本でも二〇〇三年から既に現実になっていることである。

 「もう僕のいる大学を出ても実際に就職できるのは十人に一人くらいしかいない。仕方がないから若い人は国外に出るんだ。こっちに来て友だちになった四人は全員、香港、カナダ、シンガポール、日本に移住してしまった。女の子は売春しか仕事口はないよ」

 おそらく非正規就業者が五割を超えると若者が国外に流出し始め、国家のメルトダウンが開始されるようである。そしてこれはアメリカに徹底的に収奪された一九〇〇年代後半の中南米諸国の動向を髣髴とさせる。

「国が崩壊するっていうのは怖いもので、こないだの延坪島砲撃事件で韓国軍が反撃したんだけど一発も当たらないんだ。士気が衰えちゃって兵士が逃げ腰になっているからだと、こっちではいわれている」

 国家が崩壊・破綻してしまったなら、どれほど精神力を謳おうとも、軍隊は必ず烏合の衆の敗残兵集団と化すことは記憶しておかねばなるまい。死力を尽くした戦争など出来るわけもない。またこういうときに真っ先に腰砕けになって逃げ出すのは最も勇ましいことを声高に叫んでいた人間であるのは様々な戦史の等しく教えてくれるところである。

 「韓国みたいな完全植民地になると老人は飯も食えずに死んで行くしかないみたいだ。こっちには日本の牛丼屋にあたる『キンパップ天国』という韓国式海苔巻屋があるんだけど老人がここで一本の海苔巻を三人で分けて食べるというのが当たり前の光景になっている。大体一〇〇円のものをだよ。紅生姜みたいにキムチは食べ放題だからこれで出来るだけ腹を満たすようにするみたい。それにスープも付くからね。日本人の間では『一杯のカケ蕎麦』をもじって『一本の海苔巻』って呼んでいるんだ」

 何とも悲惨な光景だが、一歩間違えると我国も十年、二十年先には、まさかと思いつつ、こういう状態になっているかもしれないことは十分、警戒する必要がある。油断大敵。

 そして韓国情報で何よりも恐ろしいのは、このような韓国国内の惨状が日本に一切伝わってこないことであり、おそらく正確な情報を完全に遮断したうえで巧妙なすり替えや情報の偽造が行われているものと推測される。韓国の技術が日本の技術を凌駕したなどという韓国人経営者の傲(おご)った発言が報道されたことなど、その最たるものであろう。

 これは大きく見れば、戦時中、軍の開発した自決用の毒薬(帝銀事件でも使用されたといわれている)が服用から致死までにタイムラグを持っていたことによく似ている。誰だって先に薬を飲んだ人間が、もがき苦しんで死んで行く様子を見れば警戒するなり躊躇するなりしてしまう。韓国はハゲタカに食い荒らされて一足早く既に死に体となっているのである。次の標的である日本に自身の近未来の姿を見せるわけにはいかない。
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2013/02/post-d9db.html

 
【速報】 韓国、時給300円なのに日本と物価同じに

1 : ベンガル(愛知県):2013/05/07(火) 16:01:12.91 ID:ioBcJm0j0● ?PLT(12100) ポイント特典

韓日の物価逆転、いよいよ本格化

ファストフードチェーン、マクドナルドの看板メニュー「ビッグマック」は、マクドナルドが進出している国ではほぼ同じような品質で販売されている。
ところで、ビッグマックの値段は国によってずい分違う。これを換算する「ビッグマック指数」というのもある。

 現在、韓国のビッグマックの値段は3900ウォン、日本のビッグマックの値段は320円だ。4月25日現在のウォン・円レートを適用すると、
日本のビッグマックは現在3520ウォンということになる。

画像
http://www.chosunonline.com/site/data/img_dir/2013/05/06/2013050600686_0.jpg

朝鮮日報 2013/5/6
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/06/2013050600372.html?ent_rank_news


◆韓国4大卒の就職志望者 大半が月給6〜7万円、残りは無職

>今年春に四年制大学を卒業した32万1740人の就業状況を調べたところ、
>進学や徴兵などを除く就職希望者28万人以上のうち、実際に就職できたのはおよそ14万人(約51%)だった。
>さらに就職できた人の給与水準を調べてみると、100万ウォン(約6万5000円)台が48.9%(7万362人)で
>最も多かったが、そのほとんどがコンビニでのアルバイト社員やインターンだった。
www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/10/12/2011101200744.html


◆韓国人アルバイトの46.8%、「最低賃金ももらっていない」 民衆の声

韓国での労働者のうち、半数近くが最低賃金(韓国は4320ウォン)以下の給料で働かされていることが分かった。

1681人を対象に実施したアンケート調査の結果を発表した。46.8%が最低賃金の時給4320ウォン(約320円)より低い賃金だったと述べた。

賃金のほかにも、勤労基準法違反はさまざまなものがあった。76%が勤労契約書を作成しておらず、事故が起きた時に守ってもらえなかったと答えた人は 65.9%に達した。

また、56.7%が「雇用主から一方的に勤労条件を変更させられた」と答え、「賃金未払いおよび削減」のケースは 26%に達した。

セクハラや身体的な暴力を含む人格冒涜を経験した人は30.9%に達し、また不当な待遇を受けた時は誰かに助けを求めたケースはたったの7.7%だった。
www.vop.co.kr/A00000412011.html

24 : ピューマ(千葉県):2013/05/07(火) 16:20:20.59 ID:/yGExgVx0

【速報】 韓国、時給100円なのに物価が日本の2倍に

こんぐらいでオナシャス

25 : アビシニアン(東京都):2013/05/07(火) 16:20:59.17 ID:fkb5GpD70

これ、働いた時間そのままの金がもらえるって訳じゃなくて、
サービス残業みたいなのもあるんだろ?
実質時給250円以下じゃね?


26 : スナネコ(東日本):2013/05/07(火) 16:22:36.78 ID:tMxf1GmHP

スシロー
日本 1皿105円=1200ウォン
韓国 1皿1700ウォン


一風堂
日本 800円=8800ウォン
韓国 9000ウォン


スターバックス
日本 カプチーノ380円=4180ウォン
韓国 カプチーノ4400ウォン


ユニクロ
日本 ヒートテック 990円=11000ウォン
韓国 ヒートテック 14900ウォン


_____


2014-04-05
泣く子も黙る。IMFの融資と、それを取り戻す強引な手口


ウクライナを巡って、欧米諸国とロシアが激しく対立し、現在も一触即発の状況になっている。ウクライナは元々貧困国であり、ロシアの支援がないと成り立たない国家だった。

今後、ロシアと敵対するのであれば、欧米がウクライナを支援しなければならないのだが、ここに来てIMF(国際通貨基金)がウクライナを支援する用意があると言い出し始めている。

2014年3月27日、IMFが発表したのは140億ドルから180億ドルの「融資」である。それだけではなく、それを皮切りに西側の支援も入れて総額270億ドルの支援ができるという。

しかし、私たちはIMFの支援というのは、事実上、西側資本による「略奪」であることは知っている。IMFは、「最初に貸して、返せないのを見計らって奪い取る」のを合法的に行う機関として知られている。

つまり、IMFの融資を受けた瞬間、ウクライナの土地・資産・資源は、合法的に「略奪」されていくことになる。


IMFが融資した国から金を生み出す方法とは

IMFの略奪とは、どのような方法を取るのだろうか。

IMFは融資をした国には、それがどんな歴史を持っていようが、どんな経済規模であろうが、ほぼ一律に似たような政策を押しつける。

IMFが真っ先に行うのは、通貨の切り下げだ。なぜ通貨を切り下げるのかというと、輸出を増やすためだ。

ウクライナは世界でも有数の小麦の生産地であり、IMFの融資を受けると、まずは通貨切り下げと極限までの輸出中心経済を強いる。

国民が食べる分の小麦がなくなるまで、国民が必要としている資源がなくなるまで、すべてを輸出に回させる。それによって、貿易黒字を無理やり作る。

そして、その貿易黒字を借金の返済として無理やり取り上げるのである。まとめると、以下のようになる。

(1)通貨をギリギリまで切り下げる。
(2)資源を極限まで輸出させる。
(3)貿易黒字(輸出の儲け)を返済として奪い取る。

要するに、その国の輸出品は安く叩き売られ、それで入って来た金をIMFが根こそぎ持って行く。これが「IMF商法」である。資源を西側が奪い取り、さらにその儲けはIMFが奪い取る。

ところで、極度の通貨切り下げになると、国民はどうなるのか。通貨が切り下がると、輸入品の価格は上がる。

輸入品は買えないほど高くなる。エネルギーのない国は石油価格等の生活の基盤となる物資が高騰し、国民は一気に困窮する。

IMFの融資を受けたら、国民が塗炭の苦しみに

それだけではない。国内の資源は根こそぎ「輸出」という形で国外に持って行かれるので、自分たちの食べる分すらもなくなってしまう。

不足したものは、当然のことだが価格が上がる。IMFに融資を受けた国は、通貨切り下げで輸入品の物価が高騰し、必要以上の輸出を強いられて国内品の物価も上昇させられる。

まだある。IMFは政府の支出を減らすために、IMFは教育・医療・行政の予算を削減させる。さらに公務員を解雇し、国民の福祉・年金制度も撤廃させる。

そうやって政府の支出を根こそぎカットして、浮いた部分をIMFが「返済金」として持っていく。

まだある。その国に国営企業があると、それを民間に売り払う。もちろん、それで得た金もIMFが持っていく。政府の持っているものをIMFが片っ端から剥がして、叩き売って、その金をIMFが持っていく。

ところで、安く叩き売ると言っても、誰に売るのか。それは国外の多国籍企業である。

その国が保護貿易や関税を敷いていたとしても、IMFの管轄になった瞬間にそれらはすべて撤廃させられる。

そして、多国籍企業を進出させて、IMFが多国籍企業に安く売り払うのだ。多国籍企業は合法的にそれらを叩き値で買い取っていく。

その国の政府の資産は土地・建物・設備が含まれるが、こういったものもすべて多国籍企業が安く買い漁るので、気が付けば不動産も、基幹産業も、すべて多国籍企業のものになっている。IMFが売り払い、多国籍企業が買う。

この頃になると、自国企業も窮地に陥っているので、多国籍企業はその国の有力な企業の株式をごっそりと買い漁る。そして、配当という形で利益を吸い上げていくのである。

IMFのやり口は、乗っ取り屋、清算屋と同じ

IMFがやっていることは別に難しいことではない。乗っ取り屋や清算屋のやっていることと同じだからだ。

乗っ取り屋や清算屋は何をしているのか。借金を返せない人の家や企業に乗り込んで、金目のものをどんどん持ち出して売り飛ばす。

何もかも売り飛ばし、従業員も家族も裸同然で追い出す。その人の事情など何も考えない。一切合切を叩き売ってしまう。

それを、国家単位でやるのがIMFなのだ。

苦境に落ちた国に金を貸して、「金を返せ」と言いながら、片っ端からその国の資産を「略奪」する。

IMFが乗り込んで来た瞬間、その国の国民は、自分たちの国がズタズタに切り売りされるのを、ただ見つめるだけになってしまうのだ。自分たちのものはすべて他人のものになる。

IMFが乗り込み、去って行った国の国民は、貧困に落ちてボロボロになる。

気が付けば、自分たちの不動産や企業の所有者はすべて外国人のものになっていて、長い期間に渡って富は外国に流れていく仕組みになっているのだ。

ウクライナがIMFの融資を受けると、この国は立ち直るのではない。むしろ逆に、どんどんウクライナの富は西側の支配者や多国籍企業のものになっていくことになる。

すでにウクライナは破綻寸前にあって、このまま支援がなければ、あと2ヶ月以内にも国家破綻に見舞われる。

ウクライナが将来をロシアに委ねるのか、それともIMFに委ねるのかは分からないが、いずれにしても「前門の虎、後門の狼」で身動きできない状態になっているのが見て取れる。
http://www.bllackz.net/blackasia/content/20140405T0218440900.html


セウォル号沈没事故が示す教訓

乗客の安全ないがしろの市場原理
他人事で済まぬ日本社会の実態    2014年4月23日付


 韓国の珍島沖で旅客船「セウォル号」が沈没し、乗客270人以上が行方不明になるという大惨事が起こった。過積載だったことが事故原因としてあげられ、固定されていなかった積み荷が崩れ、バランスを失って急旋回したことや、25歳の三等航海士に操舵させていたこと、乗客を救助しなければならないはずの船長や船員は我先に逃げ出して助かったことなど、通常では考えられないような事実が次から次へと明るみに出ている。90年代末に通貨危機を経験した韓国では、その後IMFが乗り込んで市場原理改革を徹底し、金融資本が経済活動の頂点に君臨したもとで各種の規制緩和が実行されてきた。非正規雇用大国と呼ばれるほど階級格差は拡大し、過当競争によって低運賃や低賃金がはびこり、それが労働のモラルすら崩壊させていること、今回のような過積載・海難事故もそうした社会的構造と切り離すことはできない問題であることを浮き彫りにしている。
 
 契約社員だった雇われ船長

 急旋回した原因は過積載だったことが、その後の関係者の証言から明るみになっている。「舵を切って荷崩れした」というのは二次的なもので、既に傾いて航行していたという目撃証言も出てきている。「セウォル号」は燃料が下層に積まれており、航行して燃料消費すればなおさら傾きやすい構造であることや、復元力がなく、しかも傾いた状態だった事から少し舵を切っただけでいっきに急旋回した事などを専門家は指摘している。

 ひどすぎたのが事故対応で、船長や船員の船乗りとしての資質の劣化も暴露した。乗客には「動かないように」と指示しながら、みずからは逃げ出すというあり得ない対応となった。救命ボートを出したり、最後まで乗客の生命を守るために身を挺するという、船乗りとしての社会的使命感や責任感が乏しい姿をさらした。

 本来なら傾いている船を停船して復元しなければならないのに、アンカーを打って船体を立て直すわけでもなく、そのまま航行していたり、韓国沿岸では有数の難所を未熟な三等航海士に操船させていたり、最終的にはひっくり返ることを判断して乗客を救出しなければならないのに、その対応も後手後手だったことなど、航海や船舶の知識についてどれほど持ち合わせていたのか疑われるような事実ばかりが露呈した。

 過積載について、船舶会社がみずから発表している数値だけ見ても、事故当時の「セウォル号」には乗用車124台、1dトラック22台、2・5d以上の貨物車34台、貨物1157dなど合計3608dの車両や貨物が積まれていたとされている。さらに、50d以上する大型トレーラー(20dの鉄製タンクを搭載)を3台積んでいたことも、救助された運転手の証言から明らかになっている。乗客数は定員の半分だったが、船会社の自己申告による車両数だけでも30台超過していた。こうした過積載の取締はおこなわれておらず、海運会社の判断に委ねられていることも明らかになった。

 一回の航海で大量の人員や貨物を運べば、企業経営にとって利益効率は上がる。船長や船員たちの航海のプロとしてのモラル崩壊もさることながら、船会社の経営体質や責任、体制についても究明が避けられない。

 過半数が短期契約社員 技術軽視が横行

 船長は1年契約の契約社員で、給料は日本円に換算して26万円(同業他社の6〜7割)だったこと、本来の「セウォル号」船長は休暇中だったことも明らかになった。韓国最大級の旅客船2隻を運行している船会社だったが、経営が悪化して正規社員を減らし、船長も契約社員の非正規雇用に切り換えていたとされている。「セウォル号」の全乗務員のうち半数以上が6カ月から1年の契約社員で、船長、航海士、操舵手、機関士ら運行に重大な責任を負う船舶職15人のうち9人が契約社員だった。船舶運航の統制にもかかわる問題で、契約社員の船長が無謀な過積載を断れない関係だったことも容易に想像がつく。厳しい労働条件のもとで労働者としての誇りや責任感、使命感が抜き去られ、ムリな航行に甘んじて最後は自分だけが逃げる。労働の荒廃や船員モラルの崩壊についても重要な問題を投げかけている。船員なら船員の労働者としての誇りを回復しなければ安全も何も守れないことを突きつけている。

 「セウォル号」は94年に日本で建造された中古フェリーを2012年に購入し、改造したうえで使用していた。船齢は20年で、いかに経営効率を求めた会社経営がやられていたかをあらわしている。韓国は造船大国で、釜山港は世界最大のコンテナ港として知られる。造船大国でありながら、その船舶運航を取り巻く環境は運賃のダンピング競争にさらされ、過積載でもしなければ経営がやれないほど過当競争が強まっていたこと、規制が撤廃されて非正規雇用がはびこり、技術軽視が横行していたことも、今回の海難事故の背景にある。

 バスやJRで事故頻発 共通する日本社会

 市場原理で安全規制を撤廃することがいかに犯罪的なものであるかを「セウォル号」沈没事故は示した。同時に、それは韓国に限った話ではなく、共通の土壌を抱えている日本社会にとっても、決して他人事といえる代物ではない。

 隣国で海難事故が騒がれている折に、日本国内ではまた高速バス事故が引き起こされた。乗客を乗せた高速バスの事故や無謀運転が「またか…」と思うほどくり返される。今回、名神高速で事故を起こしたバスは、運転していたのが社長本人で、従業員を雇う経済力もなく非正規雇用で回したり本人みずからがハンドルを握るなどし、過去に何度も行政指導が加えられていたことも明らかになっている。

 2000年に規制緩和されて以後、バス業界は大きく変貌し、旅行会社が格安運賃で運行させる新規参入組が急増した。下請のバス会社は消耗する車体の整備にもカネをかけられず、安売り競争のもとで安全を犠牲にし、非正規雇用の運転手を酷使してきた。過当競争にさらされ、労働現場が安全を確保できないところまで追い詰められている関係は、韓国の産業構造とも共通している。

 107人が亡くなったJR尼崎線脱線事故では、経営効率を追い求めるJR西日本の殺人経営が問題になった。JR北海道では列車の整備不良や歪んだレールが問題になった。国鉄分割民営化から30年がたって鉄道事業がまるで私企業化されてしまい、かたや都会のドル箱路線を持っているJRが不動産商売にまで手を染めるなど急成長を遂げながら、一方では鉄道管理の能力すら疑われる事態に行き着いた。国労が解体されるなど労働運動の力が弱まるなかで、鉄道輸送を担うJR職員は半減。「鉄道員(ぽっぽや)」の誇りは線路の安全を守ることにあるのに、強烈な人減らしがやられ、保線を担う現場の仕事はみな下請や孫請を酷使する外注化が進むなど、利潤追求と安全担保が共存できず大きな矛盾になってきた。

 鉄道だけでなく航空、トラックやバスなどの輸送手段、高速道路にいたるまで、安心して乗っていたら知らぬ間に死んでいたという事故が他人事ではない。NEXCO中日本が管理する中央自動車道では笹子トンネルの天井が崩落し、9人が犠牲となる前代未聞の事故も起きた。原発は「安全神話」を自慢していたのに爆発し、放射能をばらまいて収拾がつかない。各地のコンビナートで爆発事故が絶えないのも、労働現場の人員削減を原因にしたものが大半を占めている。公共性を否定し、社会にとって有益であるか、安全であるかを二の次にして、反社会的な企業利益だけを追い求めていく新自由主義改革路線の犯罪性をあらわしている。

 「小さな政府」路線、すなわち新自由主義改革によって公共性のある自治体業務や施設の管理運営も軒並み民間開放し、企業の利潤追求や競争性に委ねる動きも活発になっている。人件費カットでワーキングプア状態はますます広がり、公共性と切り離れた企業管理のもとで過重労働が横行し、労働者も素人化する関係となっている。

 労働の誇り回復が急務 社会潰す資本原理

 極端な安全無視、効率経営がめだち始めたのは、90年代以後の規制緩和と小泉構造改革がおこなわれてからで、カネもうけ一本槍で社会的有用性や役割など否定して、ひたすら利潤を追い求める企業経営、自由競争に火がついた結果にほかならない。労働者に対して過酷な合理化を実施し、社会の役に立つという労働本来の目的を否定し、労働者の誇りをじゅうりんしてきたことに最大の特徴がある。「社会のため」「安全のため」につくられた規制を「企業のもうけのため」に破壊し、あるいは民営化して横暴に振る舞う。その産業資本の上には金融資本が君臨し、株主の利益のために尻を叩いてきた。老朽原発を稼働させればさせるほど利益効率は上がり、老朽列車や線路を使い回すことで目先の支出を抑え、非正規雇用にすることで人件費を抑え、労働現場には技術力の劣化をもたらした。労働の役割を否定した結果、考えられないような事故が頻発し、さまざまな分野で社会の崩壊状況があらわれるようになった。

 市場原理がはびこる社会では、もっぱら金融資本がもうけるために社会に対して構造改革を迫り、その阻害物となる規制を緩和させたり、撤廃していく。搾取が徹底されるのとセットで労働現場では安全がないがしろにされている。大企業天国というが要するに金融資本天国で、資本主義社会はいつの間にか物作りで成長するのではなくて、金融で成長するのだ! という詐欺経済に変貌した。

 企業利益、もっといえば金融資本や株主の利益のために社会を犠牲にする構造を転換させなければ、第二、第三の尼崎脱線事故や「セウォル号」沈没事故はくり返される。強力な労働運動を復活させ、「社会のため」に労働者みずからが力を発揮すること、強欲な資本原理を規制して、労働の誇りを回復することが待ったなしの課題になっている。
http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/seuorugoutinbotujikogasimesukyoukun.html

『韓国…揺らぐ巨大財閥1・「遺体が消えた」格差の現実とは

http://jcc.jp/news/8533057

 韓国の巨大財閥(サムスングループ)を巡る労働争議で起きている不可解な事象、韓国での厳しい格差の現状を取材。

 サムスンのグループ会社で修理工として働き、去年発足した労働組合で中心的役割を担い、デモにも参加していたヨムホソクは、労働環境是正を訴え5月に自殺。
 更に組合の仲間たちに火葬を託したヨムホソクの遺言に反し、警察がヨムホソクの遺体を安置所から運びだし、火葬した遺骨も組合に引き渡さないまま隠したとされている。

 ヨムホソクの父親は、当初は組合側に葬儀など段取りを一任していたが、突如態度を変えて遺骨を持ち出した。

 会社側に寝返ったのではないかと元同僚は見ている。(後略)』

 韓国最大の企業サムスン(サムスンだけではないでしょうが)、極めて「合理的」な雇用を実現していました。すなわち、従業員の過半を「非正規化」し、歩合制で給料を支払っていたのです。


 歩合制とは何のことかと言えば、

「仕事があるときに出社させ、時間給で給料を支払う。仕事がないときは、給料を支払わない」

 という話です。要するに、コンビニのバイトと同じですね。


 仕事があるときは、一日15時間労働で、さらに土日も返上して働かせる。
仕事がないときは、平日でも給料を支払わない。


 というわけで、昨日のサンデースクランブルで取り上げたヨム・ホソク氏の14年4月の給料は、4万円ほどだったそうです。(母親が愕然としていました。息子さんは彼の「サムスングループ」に勤めていたわけですから、無理もありません)


 サムスンは以前は「無労組経営」を貫いていましたが、昨年、ようやく労働組合が発足しました。組合の中心人物だったヨム・ホソク氏は、組合員たちに、

「私の遺体が見つかれば、支会が勝利するまで安置してほしい。 支会が勝利した日に火葬してここに撒いてほしい」

 という遺書を残し、今年の5月17日に自殺しました。


 ところが、ヨム・ホソク氏の希望はかないませんでした。警察権力が介入し、氏の父親の要請で強引に火葬にし、骨壺は父親と共に行方をくらませてしまったのです。警察の後ろに「誰」がいたのか。父親が会社側に籠絡されたのではないか。と、言われていますが、真相は現時点では分かっていません。


 さて、「合理的」な雇用と書いたのは、まさにサムスン電子式「非正規化&歩合給」こそが、企業の利益を最も大きくする雇用制度だと思ったためです。何しろ、需要が少なく、生産をする必要がない時期は、会社側は社員に給与を支払う必要がないのです。


 とは言え、気まぐれな需要により歩合給の給与が決定される非正規社員たちは、生活設計が成り立ちません。4万円の給料では、韓国ですら普通に暮らすことはできないでしょう。


 もちろん、それなりに需要が大きく、仕事がコンスタントにある状況であれば、歩合給でも生活していくことは可能でしょう。とはいえ、特に韓国の大手企業は「グローバル市場」が中心です。グローバル市場の需要がどうなるか、長期的な予想がつく人はいません。さらに、そもそもグローバル市場で勝つためには、人件費を引き下げなければなりません。歩合制の非正規雇用は極めて「合理的」な雇用制度なのです。


 サムスン・グループのように「超大手企業」に努めている人々が、歩合給の非正規雇用で、需要に振り回され、貧困化していく。所得が足りない人々は、借金に頼り、生活する。とはいえ、韓国は信用階級が比較的厳しいため、彼ら、彼女らは最終的には闇金(年利数百%の世界です)に依存するようになり、人生が終わる。


 まさに、「グローバル経済の優等生」でございます。現在の韓国の経済構造に、「国民の所得や中間層が増える形で経済成長する」という発想は全くありません。


 お分かりでしょうが、現在の安倍政権が進めている各種の労働規制の「改革」は、日本の韓国化の道です。別に、日本が韓国化すると断言する気はありませんが、方向的には間違いなくそうなのです。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11893889483.html


2016-06-07
韓国が経済危機に直面しているが、日本は助ける義理はない

韓国は経済成長したように見えるのだが、それは表面だけの話であり、内部はボロボロになっている。

韓国の受験競争は苛烈なものだと言われているが、そんな苛烈な受験競争を勝ち抜いても何ら意味がない。なぜなら、韓国はどこも縁故主義であり、有能な他人よりも無能な身内の方が大切だからだ。

どんな巨大な企業になっても、会社を継ぐのは創業者の身内であり、だから身内で固めたその大企業は「財閥」と呼ばれるのである。

財閥は一族を富ませ、他人はこき使って使い捨てにする。言ってみれば、韓国は今も「身分制度」なのだ。

だから、財閥はナッツ姫のように自分のやりたい放題を行い、それ以外の人間は低賃金で働かされて、40歳にもなればゴミのように会社から追い出される社会と化す。

こうした状況を韓国の若者は「ヘル朝鮮」と自嘲している。

貧困層で生まれ、人脈も持たない人間は、どんなに努力したところで浮かばれない。大学を卒業しても就業率は57.4%なのだから、これでは豊かになれるわけがない。


韓国経済は韓国人のためにあるのではないのが現実

韓国の大企業は賃金を上げることよりも、内部留保と配当の方を重視する。なぜなら、韓国の企業はその多くが株主が外国人投資家だからである。

韓国は1997年の通貨危機で国内の企業はほとんどが外資に安値で買い叩かれる状態になり、めぼしい韓国企業はほとんど外資が支配するようになっていった。この時期に韓国経済の8割を外資が乗っ取ったと言われている。

本来は韓国政府が救済しなければならないのだが、韓国政府は無為無策で何もできなかったのだ。だから、やすやすと外資に乗っ取られた。

韓国を代表するサムスン・グループも、外資比率は60%近くであると言われている。現代自動車も、LGも、SKテレコムも、株式のほぼ半分は外資が掌握している。

さらに、韓国の第一銀行、韓美銀行、新韓銀行も完全に外資が乗っ取り、その他の銀行も主要なところはすべて外資が株主として支配する構図となった。

その結果、韓国経済はどんなに成長してもその成長分は外資がすべて持っていくのである。

これは言ってみれば、韓国人の労働者は外資に稼ぐために働いているような状況である。韓国経済は韓国人のためにあるのではない。外資のためにある。

だから、どんなに韓国経済が成長しても、韓国は豊かになれない。外資に貢ぐ構造になっているのだから、韓国人の労働者が豊かになれないのは当然のことだ。

韓国人がやたらと日本にやってきて働きたがるのも、韓国人女性が世界中に散らばって売春ビジネスをしているのも、日本のマスコミが言うほど韓国が豊かな国ではないからだ。

そこは、地獄(ヘル)だったのである。

労働者が使い捨てにされ、ホームレスが溢れる国

日本では、2009年から2012年は民主党が政権を取って円高を放置するがままにしていたので、日本の輸出企業は競争力を失い財務的に最悪の状況と化した。

そこにウォン安で韓国企業が伸びたのを見て、日本のマスコミは「韓国を見習え」と叫んでいた。

単に円安で日本企業が衰弱しただけなのだが、その部分は触れず、あたかも韓国企業が素晴らしい経営をしているかのようにミスリードして「韓国を見習え」と言っていたのである。

マスコミの言うとおりに韓国を見習っていたら、今ごろ日本の企業はすべて外資に掌握されていたはずだ。そして、韓国のように、今よりもさらに苛烈に大株主に収奪される弱肉強食の資本主義が訪れていた。

外資に支配された韓国は、いち早く「株主優先社会」がやってきて労働者が使い捨て歯車になっている。企業は労働者に最低賃金しか出さず、しかも労働者が高齢化してきたら40代で早くも早期退職させる。

定年は60歳のはずなのだが、民間企業では40代、50代で、早くも労働者を捨てるのである。それは、自主退職という名のリストラだ。

こうして「自主退職」をさせられた労働者は生きていくために次の仕事を探すのだが、高齢の労働者を雇う企業はほとんどない。だから、多くの労働者は「いちかばちか」の起業を強いられることになる。

ほとんどの労働者は、焼き肉屋やらフライドチキン屋のようなものを始めるのだが、過当競争である上に、素人の商売なのでうまく行くはずがなく、ことごとく潰れてしまう。

その結果、韓国では貧困にあえぐ高齢者が山のように出現して、彼らがスラムに住み、あるいはネットカフェのようなところで身体を休めているという。

韓国の65歳以上の貧困率は48.6%というのだから尋常ではない。韓国の高齢者の2人に1人は「生活できない」のである。

このままでは韓国はより深い地獄に堕ちていく

韓国では路上で倒れているホームレスも多い。ソウル駅や永登浦駅の周辺もホームレスがうじゃうじゃと徘徊しているような惨状と化している。

韓国ではホームレスからビニールハウスに住むような人間たちが20万人以上はいると言われている。

こうした韓国の貧困は、李明博(イ・ミョンパク)大統領時代からずっと言われていることである。

そこで、朴槿恵(パク・クネ)が颯爽と出てきて「創造経済」なるものを公約にして大統領選に勝ち上がり、2013年2月25日より大統領に就任した。

ところが、この大統領は経済のことは何ひとつ分からない無能で実行力もないことが早々に発覚した。これで韓国はますます経済的に失速していくようになった。

そこで、国内の不満の目をそらすために、いつものように反日をけしかけて「日本が悪い」「日本がひどい」「日本を1000年恨む」「日本は謝れ」と朝から晩まで言い始め、国外に言っても日本の悪口を言うだけの「告げ口外交」を繰り広げた。

これだけは韓国国内で絶賛されたが、そうだとしても国内で難しい問題が起きるとすぐに海外に「外交」という名目で逃げていくので、韓国人からもすっかり見放された。

この無能な大統領には、今や何の重みもない。もうとっくの前に「レームダック」と化して何の政策も出せない。

折しも2015年6月以後、中国では株式バブルが崩壊し、経済成長が急激に縮小している。

中国圏に飲み込まれた韓国はこの不況の波をまともにかぶって、いよいよ韓国財閥も破綻が始まる危機的状況に入ったと言われている。

造船・機械のセクターが全滅になっているのだが、それだけではなく、建設も、鉄鋼も、石油化学も、輸送も、ほぼ全セクターに問題が発生している。

このままでは韓国はより深い地獄に堕ちていく。反日国家に相応しい末路である。別に韓国が地獄に堕ちても、日本は助ける義理はない。この国の本質は「反日」だ。そんな国には関わるべきではない。

朴槿恵。この無能な大統領には、今や何の重みもない。もうとっくの前に「レームダック」と化して何の政策も出せない。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20160607T0519410900


2016-08-25
韓国の社会問題も日本のせいにされて謝罪と賠償を要求される

2016年8月15日、韓国の大統領である朴槿恵(パク・クネ)が、「いつからか、韓国を否定的に描写する誤った風潮が広がっている」と憂慮してみせた。

朴槿恵が大統領になってからも、韓国経済は引き続き停滞し、じり貧になり、国内に貧困と絶望が広がる一方だ。

その結果、韓国の若者たちはいつしか自分の国を指して「ヘル韓国(地獄の韓国)」だとか「地獄火半島」とか言うようになっている。

朴槿恵はそれを「韓国を否定的に描写する誤った風潮」と嘆いてみせたのだが、これを聞いて韓国の若者たちはいっせいに反撥し「誰のせいでこうなったのだ?」「これは卑下ではなくて現実だ」と叫んでいる。

韓国では食べていけなくなった女性が世界中で売春ビジネスをしている。その中の一部は日本人になりすまして海外売春しているのである。

(海外で、韓国人女性が日本女性になりすまして売春している)
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20160701T0551090900


韓国女性が出稼ぎして身体を売っているのは、韓国でまともな仕事がなく、稼ぐこともできないからである。

こんな状況で、朴槿恵が他人事のように「韓国を否定的に描写する誤った風潮」などと言うのだから、反撥を食っても不思議ではない。無能と呼ばれる所以である。


大学を卒業しても就職できるのはそのうち半分だけ

韓国経済はもともと財閥寡占型で、まともな競争が国内にない。そして朴槿恵は就任以後、中国傾斜に拍車をかけた。

ところが、その中国が2015年から株式バブルが崩壊して消費が激減し、そのあおりを韓国がまともに食らっている。中国一辺倒が裏目に出て、韓国経済はますます苦境に落ちている。

韓国では大学を卒業しても、まともに職が見つかるのはそのうちの半分しかないと言われている。

大学を卒業して、就職できるのがそのうち半分だけだとしたら、それは正しく機能している社会と言えるだろうか。いや、これはかなり不幸な社会であると多くの人が見なすだろう。

韓国はすでに、そのような社会となっている。

韓国の大学進学率は84%で非常に高いのだが、必死になって大学で勉強しても卒業したら働けない。働く場所がない。社会に出た瞬間、半数の若者が生きていけない。それが、韓国という国の実情である。

では、就職できた人々はきちんとした賃金を得ているのか。いや、韓国の労働者のうち、半数近くが最低賃金以下の給料で働かされているという。

韓国の物価は、日本とほぼ同じであると言われている。しかし、大学卒業して就職できた人たちのほぼ半数が6万5000円程度の給料しかもらっていない。

しかも、韓国ではそのなけなしの賃金ですらも、未払いに遭ったり、いきなり削減されたりするケースが相次いでいると言われている。

では、きちんとした大企業に就職できた者は勝ち組になるのかというと、それがまったくそうではない。

土曜日の出勤は当たり前で、中小企業ではボーナスなしのことが多い。さらに、セクハラやパワハラは当たり前の社会風土でもある。過労死も増えている。


脱落者を生み出しながら、打つ手がなくなった韓国

こういった苛酷な状況に耐え抜いても、韓国の多くの企業では、40歳が実質的な定年であると言われている。

韓国の企業は法的には55歳で定年だ。しかし、それは表向きの話で、多くの人は40歳になればリストラ対象になり、実際にいろいろな手口で会社から放り出される。

40歳で実質的な定年なのだから、尋常な社会ではないことが分かるはずだ。韓国人の平均寿命は約80歳だから、まだ人生が半分残っているのに、もう人生の岐路に立たされる。

年金は60歳から支給されることになっている。しかし、韓国人の4割が年金未加入なので、支給すら受けられない人も半分近くいる。

大学を出ていないと就職口はまったくない。必死の思いで大学を出ても、職に就けるのは半分の人たちだけ。運良く職に就けて、必死で働いても40歳になったらもうリストラである。

まさに、絶望社会としか言いようがない。

どんどん脱落者を生み出しながら、どうしようもなくなっているのが現在の韓国だ。韓国の若者が「ヘル韓国」と自国を自嘲し、韓国の女性が海外で身体を売ってもおかしくない社会なのである。

ところで、40歳でリストラされたとすると、あと20年をどうするのかという話になる。誰も彼らの面倒を見ないので、彼らの多くは自営業に向かう。

しかし、それは計画された入念な自営ではない。リストラされてせっぱ詰まった後の自営業だから、その多くが失敗して、さらに追い込まれることになる。

実際、韓国政府の統計では、毎年約100万人の人たちが自営業に挑戦するのだが、そのうちの80%は事業経営に失敗しているという。

自営業と言っても職種はさまざまだが、韓国の場合は小売りや飲食店に集中している。

飲食店は非常に競争が激しく、しかも多くが零細なので、どこの国でも潰れやすい職種のひとつとして認識されている。そんなところに集中しているので、韓国人は国内でほとんど潰し合いをしているようなものだ。

一年で80万人が廃業に追い込まれているのだが、実際にそうなったら彼らはそれからどうすればいいのか。

どうしようもない。再就職しようと思っても、そもそも再就職が難しいから起業したわけで、そこで失敗したら、もう人生が終わったも同然だ。


この状況を見ると、次にどうなるのか分かるはずだ

ほとんどの人たちが廃業の際に負債を抱えることになるので、貧困層に落ちていく。それでも、死ぬわけにはいかないので、何とかしようとあがく。

多くの人は、さらに借金をして第二、第三の起業をする。しかし、借金で起業すると、利益が出てもそこから借金に支払いをしなければならない。自転車操業そのものだ。

少しでも利益を落とすと、その瞬間に借金の支払いができなくなる。

韓国では、他国に比べてサラ金やヤミ金と言ったノンバンクにカネを借りる人が多いが、自営業者のノンバンク依存率は突出している。多重債務者も多く、自己破産も深刻だ。

当然、自殺も多い。韓国の自殺は人口10万人あたりの自殺者数で世界一位となっている。

朴槿恵はこうした社会情勢の中で中国とアメリカを両天秤にかけるコウモリ外交を繰り広げて、どちらからも利益を得ようとした。しかし、両方を天秤にかけたことで両方から信用をなくしただけだった。

あれほど傾斜した中国にもTHAAD(高高度迎撃ミサイルシステム)を設置すると決めた瞬間に蜜月は吹っ飛んで「何をしてるんだ。THAAD(サード)を撤回しろ」と恫喝され、嫌がらせに近い経済的圧力を加えられている。

米中を天秤にかけるコウモリ外交が破綻した今、朴槿恵に打つ手はほとんどない。

中国と蜜月だった数年間、朴槿恵はあからさまに日本を見下していたのだが、この状況を見ると、次にどうなるのか分かるはずだ。

韓国は間違いなく、再び「お人好し」の日本にすり寄り、寄生し、たかりに来る。韓国社会の惨状を、日本にしがみついて、日本人の金で何とかしようとする。日本を自分たちの利益のために利用することを韓国では「用日」と呼ぶ。

これから韓国は日本に「用日」を開始する。しかし、日本はさんざん韓国に騙され、利用されてきたのだ。次の「用日」は断固として拒絶しなければならない。

さもないと、韓国社会の問題を日本人が背負わされることになる。そして、いつしかこの韓国社会の失敗は、「日本のせい」にされて日本に謝罪と賠償を要求してくる。

それが韓国のやり方だ。

これから韓国は日本に「用日」を開始する。しかし、日本はさんざん韓国に騙され、利用されてきたのだ。次の「用日」は断固として拒絶しなければならない。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20160825T1640150900

2016-09-23
サムスンが爆発スマートフォンでますます窮地に落ちている

サムスン電子のスマートフォン「ギャラクシーノート7」がバッテリーの不具合で世界中で爆発して社会問題化している。

これまで26人が火傷を負い、車や車庫が燃えるなどの被害も55件も報告された。この中には6歳の男児が手を大火傷するという事件も含まれている。

すでに、アメリカは法律に基づくリコールを決めており、これによって世界各国の航空会社や航空当局が、機内での使用禁止を決めている。無理やり航空機内で使うと法律違反になる。

アメリカ・カナダ・メキシコだけでも100万台のリコールが決定しており、サムスンはリチウムイオン電池を交換することで事態を収めようとしている。

ところが、交換したその新品のギャラクシーノート7も、急速放電と発熱という異常現象が起きている。充電すると、逆に放電されるという奇怪な現象まである。

もしかしたらバッテリーの不具合だけでなく、設計上の不具合も発生しているのではないかと言われている。設計上の不具合であれば、バッテリー交換しても意味がなく、サムスンは大きな問題に直面することになる。

サムスンの売上高の3分の2は、モバイル事業だが、このモバイル事業がこければサムスンは死ぬ。


コマーシャルで「ヤバイ」と自分たちを自己紹介

もっとも、アンドロイド業界で言えば、サムスンは大勢いるプレイヤーのうちの1人に過ぎず、サムスンが死んでも誰も困らない。サムスンの代わりはいくらでもいる。

最近ではサムスンと同じ「パクリ商法」でファーウェイやシャオミ等の中国企業が怒濤の勢いで伸びており、中国市場ではすでにサムスンの牙城は崩れ去っている。

サムスンがパクリで成長できるのであれば、中国企業もまたパクリで成長できるということだ。中国企業がサムスンのパクリビジネスをパクってサムスンを追い出しているという皮肉なことになっているのだ。

サムスンはコマーシャルで「ヤバイ」と自分たちのことを自己紹介しているようだが、本当に危険で問題のある企業だ。

技術は日本からパクリ、デザインはアップルからパクり、彼らの新技術と言えば、ベンチマークの水増し機能や、バックドアを付けることくらいだ。

大きな会社がバックドアを付けてユーザーの情報を盗むとは信じられないかもしれない。しかし、それは本当のことだ。

嘘だと思う人がいたら、「サムスン・ベンチマーク水増し」「サムスン・バックドア」でグーグルで検索をかけて調べてみて欲しい。いくらでもサムスンの行状が出てくる。

こうした大きな問題を、サムスンは巨額の広告費をかけることで握りつぶしてきた。問題はいつでも発生しており、今回はたまたま隠せないほどの欠陥があったということだ。

相手からパクリ、パクった相手を執拗に貶し、嘲笑し、いやがらせをする。このサムスンの気味の悪い体質は、まるでストーカーに通じるものだと分析する人もいる。

アップルを執拗にストーキングし、アップルのスタイルを剽窃した挙げ句、そのアップルを嘲笑するのだから、この企業の体質は普通ではない。


なりすまし企業が、なりすまし製品を作る

サムスン電子は、アップルストアのスタイルまでもパクって、あたかもアップルのようなフリをして製品を売っているというのもよく知られている。そのパクリには際限がない。

サムスンはかつては「三星(みつぼし)」と自分たちを言っていたが、それはローマ字で書くと「Mitsuboshi」で「三菱」の一字違いの社名でもあった。つまり、社名もパクリだった。

欧米で「Mitsuboshi」のブランド名で商品を売られると、誰もがそれをMitsubishi(三菱)と間違えるか、もしくは日本製と誤解するだろう。

さらにサムスンはテレビを売る際には「富士山」や「相撲」などをコマーシャルに映し出して製品を宣伝していた。もはや意図的に「日本企業のなりすまし」をしていることがこれで分かるはずだ。

韓国企業だと言えば売れなかったので、日本企業に「なりすまし」したのである。もちろん、欧米人はこれにコロリと騙された。未だにサムスンを日本の会社であると勘違いしている人もいると言われている。

そして、この「なりすまし」企業の作る製品は、いつもライバル企業のパクリであり、製品から外装までライバルをそっくりそのまま真似ている。つまり、製品もまたパクリであり、「なりすまし」である。

この企業は、いつも売れているライバル製品に「なりすまし」していたのである。

このパクリ被害に遭っているのは、もちろんアップルだけではない。たとえば掃除機のダイソン社もサムスン電子に丸パクリされて、それを訴えたら逆提訴された。

理由は、「ダイソンの訴訟提起でサムスンのブランドイメージが傷つけられたから」という奇妙なものだった。これは報復訴訟であるのは言うまでもない。

パクリ企業にブランドイメージがあったのかどうかは知らないが、このような傲慢な行動が、サムスン電子に対する嫌悪につながっている。


弱り目に祟り目になっているサムスン電子

このようにパクリ丸出しの傲慢な経営をしていても、騙される消費者は世の中にたくさんいるので、サムスンの製品は売れ続けた。

品質については必要な技術を日本から吸い上げていたのは誰でも知っていることだ。

サムスンはコマーシャルから日本列島だけはわざわざ消し去るような反日的な体質があるのだが、こんな反日企業に金で釣られて技術を売り渡すクズのような日本人がたくさんいた。

サムスンはそんな技術者を金で買って用済みになったら使い捨てするという方法で品質を上げていたのだ。今でもサムスンに重要な技術を提供しているのは金に買われた日本人であり、日本企業である。

しかし、それでもどこか抜けているところがあるのか、サムスンのスマートフォンには大きな欠陥が入り込む。ギャラクシーノート7はそれがバッテリー問題だったということだ。

サムスンはこの問題で対処を誤ると、すぐに見捨てられて他の企業の製品に取って変わられる運命が待っている。

そもそも、スマートフォンはすでに市場が飽和したと言われており、これを乗り切っても将来があるわけではない。

アップルはその世界で最も強固なブランドで高級路線を突き進んでいけるが、サムスンは急激にコモディティ化していくスマートフォン業界の中で、大勢のライバルと安売りの消耗戦に巻き込まれていく。

サムスンは中国市場を重視してきたが、その中国で韓国企業は嫌われている。そのため、日本と同様にわざわざ名前を隠して販売している始末だ。

しかし、そんな姑息なことをしても、サムスンが韓国企業であることを知らない中国人はいない。中国企業で間に合うのであれば、中国人はわざわざサムスンの製品を買うわけがない。今後、サムスンは駆逐される。

そんな中でギャラクシーノート7も爆発して「サムスンのスマートフォンは買うな」という風潮になっているのだから、ますますサムスンは追い詰められていくだろう。


爆発するサムスンのスマートフォン。この問題の対処が片付いても、サムスンは急激にコモディティ化していくスマートフォン業界の中で、大勢のライバルと安売りの消耗戦に巻き込まれていく。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20160923T1800170900


2017年3月26日[三橋実況中継]韓国は未来の日本国 From 三橋貴明
日本国は現在、世界第五位の「移民受入大国」と化しています。

ちなみに、2014年の移民受入数のランキングは、首位からドイツ、アメリカ、イギリス、韓国、日本となっています。

注目すべきは、韓国です。韓国は、移民送り出し国(特に、日本へ)でありながら、
同時に移民受入大国という興味深い状況になっています。

韓国の若年層失業率は、10%台に達しています(恐らくは、10%台後半)。
日本とは異なり、若者の雇用環境は極めて悪いのです。
それにも関わらず、韓国は2014年に日本を上回る41万人もの移民を受け入れました。

ちなみに、本稿(及び明日の稿)でいう移民とは、国連及びOECD定義の

「出生地以外で一年以上暮らしている人」

という定義になります。日本に来ている技能実習生、留学生という名の外国人労働者も、全て移民です。

なぜ、韓国は移民受け入れ国と移民送り出し国を兼ねているのでしょう?
いわゆる「単純労働」の生産性を上げず、賃金水準が低迷し、韓国の大卒の若者たち(韓国の大学進学率は70%と、世界最高)が、その種の職に就かず、「人手不足」と「若年層失業率上昇」が同時発生しているのです。

賃金を上げたくない企業側は、生産性向上の努力をせず、外国人労働者を「安い賃金」で雇用し、あぶれた(というか、その種の職に就きたがらない)韓国の若者が若年層失業者と化す。

外国人労働者を年間に40万人も受け入れていながら、韓国の商工会議所は「日本で就職しよう!」という異様なキャンペーンを展開する。

正しい道は、「単純労働」と考えられている職の生産性を高め、実質賃金を上昇させ、「国民」が雇用され、大いに所得を稼ぐというスタイルであるにも関わらず、
その道は採らない。結果、若年層失業率の上昇と人手不足が同時進行し、 外国人労働者を日本以上に受け入れていながら、移民送り出し国でもある。
https://38news.jp/economy/10251


グローバリズムの目的は、単純に「利益」です。
個々人の利益になるからこそ、政府に規制緩和、自由貿易、構造改革を求めるのです。

グローバリズムが緊縮財政を好むのは、

「国の借金で破綻する〜っ!」

と、キャンペーンを展開し、国民に財政破綻論がインプットされれば、「政府の支出・予算のカット」が容易になるためです。

もっとも、政府の支出や予算をカットしたとしても、公共サービスや社会保障は提供され続けなければなりませんし、最低限のインフラも必要です。

というわけで、

「ならば、我々にお任せを。民間活力を導入しましょう」

と、”彼ら”が登場し、公共サービスが「ビジネス」と化していくわけでございます。


水道といった基本インフラを含む、公共インフラはコンセッション方式で民営化。

社会保障はカットし、民間ビジネスである年金、保険へ切り替え。

新たな診療については保険適用せず(医療亡国!とか叫び)、自由診療を拡大。
公務員も削減し、代わりに派遣会社が行政サービスを提供。

全ては、同じ「スキーム」に基づき推進されます。

具体的には、「我々が儲けるには、どのように政府の規制緩和を推進すればいいのか?」でございますね。

もっとも、上記の類の規制緩和、構造伊改革は、後に法律を制定することで「元に戻す」ことが可能です(論理的には)。

例えば、韓国はソウルの地下鉄9号線を民営化し、外資系(マッコリー・インフラ)に売却しました。

ひどい話ですが、地下鉄9号線の年平均事業収益率は8.9%に設定され、収益率が下回った場合はソウル市から補填を受ける契約になっていたのです。すなわち、収益保証条項です。

現実には、収益率が8.9%に達することはなく、ソウル市はマッコリーに毎年、数十億円の補償金を支払わざるを得ませんでした。

その後、マッコリーのやり方に批判が殺到し、2013年に収益保証条項は破棄されました。

「利益にならない」ことが判明した時点で、マッコリーはあっさりとソウルの地下鉄事業から撤退してしまいます。

民営化された公共サービスを「受注」した株式会社(外資含む)は、利益にならないとなれば、即座に事業から手を引きます。

何しろ、彼らの目的は利益であり、他にはないのです。
https://38news.jp/economy/10256


33. 中川隆[-7620] koaQ7Jey 2017年5月27日 11:48:31 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

先進国で有数の貧乏国民になりつつある日本人 2015年05月03日


日本人はまだ理解していませんが、統計からは先進国では最下位層の貧乏国民になりつつあるのが分かります。

以下は国民一人当たりの名目GDPです。


1位 ルクセンブルク $111,716 

2位 ノルウェー  $97,013

4位 スイス  $87,475

5位 オーストラリア $61,219ドル

10位 アメリカ $54,597ドル  

《27位  日本 $36,332ドル》 

これをみれば日本人は先進国で27番目のGDP(一人当たり)となっているのが分かります。
しかも今後円安が進めば更に額は下がり、下手しますと、ヨーロッパでダメな国とも言われていますイタリアやスペインよりも下回る可能性すらあるのです。


今中国人やアジア人が日本に買い物に来ていますが、彼らが買ってるものは言わば日用品であり、安いから買ってるのです。
日本は安い国とみられているのです。

かつて日本人は世界中にショッピングに出掛けていきましたが、ブランド品を買いまくっていたもので、ショッピングの内容が全く違っています。

今の中国人やアジア人がかつての日本人のようにブランド品を本格的に買い始めれば世界中のブランド品は中国人やアジア人に買い占められるかも知れません。

今、日本の¨質屋さん¨に中国人やアジア人がブランド品を買いに来ていますが、質屋さんへの売り手は日本人、買い手は中国人やアジア人となりつつある今、ブランド品を持ち続けられない日本人は猛烈な勢いで貧乏化が進んでいると言えます。


今、ゴールデンウイークで海外にいってマクドナルドの価格を見て驚いている日本人も多いはずです。

ビッグマック

スイス 900円
アメリカ 580円
ドイツ 500円


日本は370円ですから、本家のアメリカより大幅に安い価格となっているのが分かります。

これだけ日本はデフレが進んでいる訳ですが、日本人からすれば、何でこんなに海外は高いのか?となるでしょうが、海外からみれば何で日本がこんなに安いのか?となっています。

*日本マクドナルドの赤字が積み重なって来ており、本家の判断次第では日本撤退もあり得るかも知れません。
安く売っても売り上げが減少しており赤字が出ており、これではやっていけないと判断しましても何ら不思議ではないからです。


ニューヨークでも大戸屋での焼き魚定食が3000円、ざるそばが1500円程しますが、日本人は殆どいません。
こんな価格に日本人はついていけないからですが、不味いラーメンでも1000円しますから、安いツアーでニューヨークにいった観光客は食べるものに四苦八苦するはずです。

次第に貧乏化が進む日本ですが、高齢化が進み、1000兆円を超えて更に借金が積み上がる中、日本はこの先やっていけるでしょうか?

円安が仮に1ドル150円にまで進めば、日本人の
一人当たりのGDPは2万円ドル台に転落し、もはや日本は先進国ではないと判断されましても不思議ではありませんし、その時何が起こるでしょうか?

外資の大量脱出となります。
先進国の中で最貧国となる日本人を相手にしないとなりましても何ら不思議ではないからです。
http://blog.livedoor.jp/nevada_report-investment/


世界の消費税と最低賃金 2014.02.21


アべノミクスのせいで、収入はぜんぜん増えないのに物価ばかりがどんどん値上がりして、もともと苦しかった生活がさらに苦しくなったけど、それでも、

日本の物価の高さは、スイス、ノルウェー、デンマーク、オーストリアに継ぐ「世界5位」なので、世界一物価の高いスイスと比べれば遥かにマシだ。


「ロケみつ」の「ヨーロッパ横断ブログ旅」でスイスに行った早希ちゃんは、日本でも見慣れたマクドナルドを発見して、いくら世界一物価の高い国だと言っても、さすがにマックは安いだろうと思って店内に入ってみると、

ナナナナナント!ハンバーガーとポテトとドリンクのセットが1000円以上!

驚いてお店を飛び出した!


そして、キオスクでお水を買おうとしたら、500mlのミネラルウォーターが300円以上、

スーパーでサンドイッチを買おうとしたら750円以上、

あまりの値段の高さに早希ちゃんはビビッてた。他にも、

日本だと10個で200円前後のタマゴが、スイスのスーパーだと3倍の約600円、

日本だと12ロールで300円前後のトイレットペーパーが、スイスのスーパーだと2.5倍の約750円、

これじゃあとても生活なんてできない。

でも、早希ちゃんがお世話になった現地で暮らす日本人女性によると、ビールは安い。500mlの缶ビールが50円!500mlのミネラルウォーターは300円以上もするのに、同じ量のビールは50円だなんて、いくら日本みたいにバカ高い酒税がない国だからって、これは安すぎる。あたしだったら、お水の代わりに、朝からビールを飲んじゃいそうだと思った今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?(笑)


‥‥そんなワケで、ビールが安くても食べ物や日用品が日本の2倍から3倍もするんだから、スイスで生活するのは大変だと思うかもしれないけど、実は、そんなこたーない。何故かと言えば、スイスは世界一物価の高い国だけど、お給料のほうも物価に見合ってたくさんもらえるからだ。

スイスには、日本や他の先進国のように法律で定めた「最低賃金」てのはないけど、その代わりに、自主的な団体交渉で最低ラインの月給が決められてて、平均すると

現在の「最低月給」は4000フラン(約46万円)だ。

アルバイトの時給も、スーパーのレジのバイトで1時間17〜26フラン(約2000円〜3000円)だ。

早希ちゃんがお世話になった日本人女性も「普通のバイトで月に30万円以上は稼げる」って言ってた。


だから、世界各国の主要都市の「平均年収ランキング」では、スイスの最大都市であるチューリッヒが517万円で世界1位だ。

つまり、物価の高さは世界一だけど、平均年収の高さも世界一ってワケで、さらに言えば、アルバイトの時給も世界一ってワケだ。

だから、日本で働いてお金を貯めて、そのお金を持ってスイスに旅行すると「物価が高い!」ってことになっちゃうけど、スイスに住んでスイスで働いて暮すぶんには、物価の高さなんて感じなくなるハズだ。

だって、スーパーのレジのバイトで時給3000円ももらえるなら、マックのハンバーガーセットが1000円でも安く感じちゃうだろう。

日本の場合、東京のスーパーのレジのバイトでも時給850円とか900円とかだから、スイスの時給の比率で考えると、マックのハンバーガーセットが300円以下で食べられる計算になる。

500mlのミネラルウォーターが300円しても、時給の10分の1だと考えれば、日本なら85円とか90円とかってことになるから、ぜんぜん高くはない。


‥‥そんなワケで、ここでクルリンパと最初に戻るけど、スイスの消費税はどうなってるんだろう?

ちなみに「消費税」ってのは日本式の呼び方で、スイスでは他の多くの国々と同じく「付加価値税」と言って、一般的には「Value Added Tax」の頭文字を取って「VAT」って呼ばれてる。で、スイスの場合、日本の消費税にあたる付加価値税がどれくらいなのかって言うと「7.6%」だ。これなら、日本の消費税が5%から8%に引き上げられても、スイスとほとんど変わらない‥‥って思ったのもトコノマ、スイスの付加価値税には「軽減税率」が導入されてる。

たとえば、食品、医薬品、書籍、新聞などは「日用品」であり「生活必需品」なので、税率が3分の1以下の「2.4%」に軽減されてる。また、スイスは観光が大きな収入源の国だから、ホテルの宿泊などは「3.6%」に軽減されてる。さらには、病院、保険、銀行などは「0%」だ。つまり、スイスで生活して行く上で絶対に必要なものに関しては、ちゃんと「軽減税率」が適用されてるってワケだ。

一方、日本の場合は、食品や医薬品からホテルの宿泊まで、さらには病院や保険、挙句の果てに銀行のATMの手数料まで、「日用品」であろうが「生活必需品」であろうが、すべてのものの消費税が4月1日から「8%」に引き上げられる‥‥ってワケで、ここで、世界各国の付加価値税を見てみると、日本以外の先進国は、どこもスイスと同じように「軽減税率」を導入してることが分かる。

たとえば、イギリスの場合、基本的な付加価値税は「17.5%」と高いけど、電気やガスなどの家庭用の燃料費は「5%」に軽減されてるし、食品、水道、医薬品、書籍、新聞、電車やバス、家賃などの「生活必需品」から、病院、保険、銀行、教育、郵便などに至るまで、すべて「0%」だ。フランスやドイツを始めEU各国も、基本的な付加価値税は日本より高いけど、すべての国が「軽減税率」を導入してる。食品や医薬品にまで贅沢品と同じ税率を課すようなバカな国は、先進国の中で日本だけなのだ。


スイスの場合は、世界一物価が高いけど、平均年収も世界一だし、アルバイトの時給も世界一だし、その上、食品や医薬品を始めとした「生活必需品」には「軽減税率」が適用されてるから、実際に生活するとしたら、日本よりは遥かに暮らしやすいと思う。

日本の政府や財務省は、ことあるごとに先進各国の付加価値税の税率だけを引き合いに出して「日本の消費税は低すぎる」って言うけど、この理屈には、所得の違いも、物価の違いも、そして「軽減税率」も、すべてが抜け落ちてる。


‥‥そんなワケで、今度は、各国の「最低賃金」を見てみよう。スイスの場合は、実際には世界一だけど、さっきも書いたように「法律で定めた最低賃金」じゃないから、ここではスイスは抜きにして、それぞれの国の「法律で定めた最低賃金」だけを比較してみる。それぞれの国で通貨単位が違うので、現在の日本円のレートに換算して、分かりやすいように「1時間あたりの時給」として比較してみる。


1位 オーストラリア 1610円
2位 ルクセンブルク 1450円
3位 フランス 1310円
4位 アイルランド 1230円
5位 ベルギー 1220円
6位 ドイツ 1180円
7位 オランダ 1160円
8位 イギリス 1055円
9位 ニュージーランド 1050円
10位 カナダ 1045円


もちろん、これらの国々は、物価も違えば付加価値税の税率も違うから、1時間あたりの最低賃金の高い国が、イコール「暮らしやすい国」ってワケじゃないけど、これらの国々は、少なくとも日本よりは遥かに暮しやすいハズだ。

ちなみに、現在の日本の最低賃金は、最高が東京都の869円、最低が鳥取県や島根県、九州の各県や沖縄県などの664円で、全国平均は764円だ。


アメリカも州ごとに違うけど、全国平均は816円、日本よりは少しだけマシだ。でも、日本もアメリカも、ランキングでは韓国よりも下で、先進国の中だけで比較すると、日本はダントツのワースト1位なのだ。今年の1月、国連が発表した先進各国の最低賃金調査によると、「日本の最低賃金は人間が生存するために必要な最低金額を下回っており、先進国の中では最悪の水準」と指摘されてる。

で、またまたクルリンパと最初に戻るけど、日本の物価の高さは、スイス、ノルウェー、デンマーク、オーストリアに継いで「世界5位」なのだ。

物価が世界で5番目に高い国なのに、最低賃金は先進国の中でワースト1位の764円、

それなのに消費税に「軽減税率」が導入されてなくて、食品や医薬品などの「生活必需品」にも贅沢品と同率の税金が課せられてる。そして、4月1日からは、こうした「生活必需品」の消費税も、何の考えもなしに8%に引き上げられる。


‥‥そんなワケで、アメリカのオバマ大統領は、現在約8ドルの最低賃金を10ドルちょいに引き上げるって宣言したけど、いくら大統領が宣言したって、その瞬間にアメリカの低賃金労働者全員の時給が10ドルになるワケがない。

日本にしたって、最低賃金は764円だなんて言ってるけど、これより安い時給で働いてる人は数えきれないほどいる。あたしの原稿打ちの内職なんて、徹夜でがんばっても2500円行くか行かないかで、時間で割ると時給300円ほどだ。だから、あたしの場合、アベノミクスのせいで食品や日用品が軒並み値上がりして大打撃を受けてるし、これで消費税まで引き上げられたら、冗談じゃなくて1日の食事を2回にしなきゃならなくなる。

「駆け込み需要」なんてのは、雲の上で高級な天ぷらを食べてるような人たちだけの話であって、あたしにとっては、3月中に、トイレットペーパーを少し多めに買っとくのが精いっぱいの今日この頃なのだ。
http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2014/02/post-d7b5.html
 


2017年05月27日
日本は輸出と観光を辞め、労働力を国内のために使うべき

観光客が10倍に増えてもサービスを受け取るのは外国人なので、GDPが大幅に増えたりはしない
引用:https://www.projectdesign.jp/201607/images/gazou/22_1.jpg


日本が世界最大の純債権国

財務省は5月26日、2016年末の対外純資産が前年比2.9%増の約349兆円で、26年連続で世界一だったと発表しました。

ところで似たような発表で「外貨準備高」という数字を聞いた事があると思うが、両者はどのように違うのだろうか。

中国の外貨準備高は2017年4月末で3兆295億ドル、日本の外貨準備高は2017年4月末で1兆2422億9500万ドルと発表されています。


外貨準備高は中国が1位だが、対外純資産は210兆3027億円で2位、因みに対外純資産3位はドイツだった。

対外純資産は外国に対する「資産−借金」だが外貨準備高は「外貨だての金融資産」なので借金でも何でもかまわない。

もし中国の外貨準備3兆ドルが全額どこかからの借金だとしても、漫画のセリフではないが「金に変わりは無い」のでした。


日本は純粋に海外に保有している資産が世界一なので、一般的には良い事だと考えられている。

経済学者も財務省もテレビ解説者も「日本は金を持っている」から良い事だと言っています。

反対にアメリカは世界最大の純債務国で、対外資産2793兆円、対外負債3740兆円と世界一対外債務が多い


では日本が豊かでアメリカが貧困に悩んでいるかと言えば、その逆であり貧困に悩んでいるのは「金持ち」のはずの日本です。

どうしてこうなるのかは個人に置き換えると分かりやすいかも知れない。

日本人Aさんは100万円をBさんに貸していて、アメリカ人Bさんは100万円を借りているとする。


お金を使うのはBさんであり、Aさんは自分のお金なのに自分では使えません。

アメリカ人Bさんは借りた100万円を元手にIT事業なんかで稼ぎまくり、日本人AさんはせっせとBさんに送金しています。

つまり日本がアメリカに貸したお金はアメリカの為に使われるのであり、日本の為には使われません。


日本は外国にどんどんお金を貸して金利を儲けているが、金利が日本に送金されるほど、経常利益になって「円高」を引き起こします。

アメリカが日本に金利を送金すると、ドルを売って円を買いますから、永久的に円高圧力が高まります。

円高になると日本は輸出でダメージを受けるので、稼いだ金利は泡のように消えるのです。


これが世界一の純債権国なのに、日本が世界一貧乏になっている仕組みです。

日本の貿易黒字、経常黒字が復活

2011年の超円高によって日本の輸出が止まり、日本は貿易赤字になり、経常黒字は縮小しました。

マスコミや評論家は「稼ぐ力がなくなった」さあ大変だと大騒ぎしていました。

だが2016年には貿易黒字が復活し、財務省や評論家が今度は「稼ぐ力が回復した」と喜んでいます。


あるいは訪日外国人が過去最多になり、3,000万人を突破するとも言われていて、これも「大変良い事だ」と言われています。

少し先ほどの理屈を思い出して欲しいのだが、観光客が増えたり輸出が黒字になったら、ドルから円に交換するので、円高を招いてしまうだけです。

観光客が3,000万人来日して一人数十万円ずつを日本円に交換したら、いったいどれだけ円高になるでしょうか?


私には安倍首相の外国人観光客誘致は、自分の首を自分で締めているようにしか見えないのです。

輸出と観光にはもう一つ問題があり、それは日本人の労働力が外国人のために「浪費」されるという問題です。

日本人観光客に日本人従業員が奉仕するのは問題ないが、国内労働力を外国のために使ったら、理論上経済成長の足を引っ張ります。


日本が貧困国家だった頃には、カローラを生産してアメリカ人に使ってもらい、日本はドルを受け取ってドルで国内に必要な物を買っていました。

今の日本が自動車を生産してアメリカに買ってもらっても、それで経済成長はできないのです。

逆にアメリカから見て日本の自動車を輸入するのは、日本人の労働者を雇ってアメリカの資産を増やしている事になります。

外国人観光客で経済成長はしない

工場が日本に存在するというだけで、生産した自動車はアメリカの資産になり、日本はドルという紙切れを受け取ります。

だがドルを受け取ったために円高を招いてしまう原理は、先ほど説明した通りです。

困った事に日本経済を主導している財務省はこれを分かっておらず「輸出が増えるのは良い事だ」「観光客が増えるのは良い事だ」と考えている。


良い事かも知れないが、観光客や輸出がいくら増えても、それで日本のGDPが増えたりはしません。

愛知のトヨタ工場で生産した自動車をアメリカに輸出するのは、日本の労働力が日本の為に使われず、アメリカに移住したのと同じ事なのです。

逆にアメリカから見ると、住所が日本にあるだけで、工場で生産したものはアメリカの資産になるのであり、対価として紙切れを印刷して渡せば良いだけです。


この理屈は分かり難いのだが、国内の労働力を国内資産を増やすために使わないと、労働力不足なのに経済はマイナス成長という結果になりかねません。
http://www.thutmosev.com/archives/71088272.html

植民地のインドは商品を輸出しても、その見返りの代金は
ポンドでイギリスに蓄積され、デフレになり、不景気になった
2006年2月9日 アメリカの謎を解く 橋本裕の文学・人生日記帳


ブッシュ大統領が1月31日の一般教書演説で、「私は8800億ドルを減税し、国民に返却した。今後も減税を恒久化し、09年に財政赤字を半減する」と述べた。

 一方で、アメリカの経常赤字は05年が7900億ドル(93兆6940億円)、財政赤字も06年度は4230億ドル(約50兆2千億円)で過去最大、債務残高はすでに8兆ドル(約950兆円)を越えている。

 日本では、税制赤字を解消するために、増税をしなければならないと考えられているが、アメリカは逆である。減税をして国内消費を活性化し、景気をよくして税収をあげようとする。さらにアメリカの場合は戦争によって軍需景気を作りだしているわけだ。

 いずれにせよ、アメリカは消費大国。国も国民も借金をして消費を楽しんでいる。このアメリカの消費を助けているのが日本をはじめとするアジア諸国だ。とくに日本の貢献が大きい。日本は政府と民間が何百億ドルというアメリカ国債を買っている。

 先日、朝日新聞夕刊「経済気象台」に「米国のもう一つの謎」という文章が載った。経常収支の赤字が拡大しているにもかかわらず、ドル高が持続している謎について、それは借金国のアメリカが負債について支払う金利が「異常」に低いからだと書いている。これに反して、アメリカの対外資産は巨大な利益を手にしている。

 アメリカは莫大な借金をし、そしてその中から、わずかな一部を他国に貸している。そして不思議なことに、巨大な借金のための利払いよりも、わずかな海外資産の方が多くの利益を生み出しているというのだ。

 どうしてこんなマジックが可能なのか。それは日本がこの逆をしているからである。なぜ日本がこの分の悪い役回りを続けるのか、実はこれこそが本当の謎だということになる。

驚くべきことに、小さな対外資産から受け取る利子と配当が、大きな対外負債に支払う利子と配当を今日まで上回り続けている。家計にたとえると、収入を上回る買い物をして毎月赤字が続き、借金が膨らんでいる。ところが、多額の借金に支払う金利がゼロに近ければ、わずかばかり保有する預金などから受け取る利子の方が大きいという状態なのだ。これでは赤字をいくら出しても、借金さえできれば、後は何の憂いもなく買い物ができる


このうまい話に手放しで悪のりして、米国は経済収支赤字を続け、負債の増加に加速度がついている。この構図が最近話題になり、債権国が浮き足だっている。日本にその気配がないことが「謎」の源である


 実はアメリカのこの「うまい話」は、19世紀に繁栄した大英帝国をまねているだけだ。大英帝国の場合は、その繁栄の謎をとく鍵はインドをはじめとする植民地が持っていた。たとえば当時イギリスの植民地であったインドは、香辛料などの原材料を輸出してイギリスを相手に多額の黒字を計上していた。ところが黒字はルピーではなく、ポンドを使って決済され、そのままイギリスの銀行に預けられていた。

 だからイギリスはいくら植民地を相手に赤字を出しても平気だった。イギリスの銀行に預けられたポンドを、イギリス国内で使えばいいからだ。インドは名目上は債権が増え、お金持ちになったが、そのお金をイギリスの銀行から自由に引き出し、自分の国では使えなかった。お金の使い道は預金者ではなく、イギリスの銀行が決めていたからだ。そしてもちろん、イギリスの銀行は国内の人々に貸し出した。

 イギリス国民は植民地から輸入した品物で生活をたのしみ、しかもしはらったポンドもイギリスの銀行に吸収され、イギリスのために使われるわけだ。こうしてイギリスはどんどん発展した。

 一方植民地はどうなったか。たとえばインドは商品を輸出しても、その見返りの代金はポンドでイギリスに蓄積されるだけだから、国内にお金がまわらなくなる。どんどんデフレになり、不景気になった。

 仕事がきつくなり、給料が下がり、ますます必死で働いて輸出する。ところが黒字分の代金は、ポンドのまま名義上の所有としてやはりイギリス国内で使われる。こうしていくら黒字を出してもインドは豊かになれなかった。そして、赤字を出し続けたイギリスは、これを尻目に繁栄を謳歌できた。

 このイギリスとインドの関係は、そっくり現在のアメリカと日本の関係だと言ってもよい。経済同友会元副代表幹事の三國陽夫さんは、「黒字亡国」(文春新書)にこう書いている。


輸出拡大によっていくら日本が黒字を蓄積しても、それはアメリカ国内にあるアメリカの銀行にドルで預け入れ、アメリカ国内に貸し置かれる。日本からの預金は、アメリカにしてみれば資金調達である。貸し出しなどに自由に使うことができる。

 日本は稼いだ黒字にふさわしい恩恵に与らないどころか、輸出関連産業を除いて国内消費は慢性的な停滞に喘いでいる。停滞の原因であるデフレはなかなか出口が見えない。

 日本の黒字がドルとして流入したアメリカはどうなのか。ドルはアメリカの銀行から金融市場を経由して広く行き渡り、アメリカ経済の拡大のために投下されている。日本の黒字は結局、アメリカが垂れ流す赤字の穴埋めをし、しかもアメリカの景気の底上げに貢献しているのである。・・・

 輸出で稼いだ黒字を日本がドルでアメリカに預け、日本の利益ではなく、アメリカの利益に貢献している限り、円高圧力もデフレ圧力も弱まることなく、政府・日銀がいくら財政支出や金融緩和というデフレ解消策を講じても、一向に持続性ある効果は現れないのである


 幸い、最近この貿易構造がかわりつつある。日本の貿易相手国が中国をはじめとするアジアやヨーロッパにシフトしたことで、日本の対米黒字の割合が相対的に低下したからだ。こうして日本がデフレから解放されるチャンスがここから拡大した。

 しかし、問題はすでに厖大なドル建て資産をアメリカに持っていることだ。日本人の汗の結晶であるドル建て資産が、今後ドル安で何百兆と失われる可能性がある。こうした形で、アメリカは最終的に日本の資産を合法的に手に入れようとする。

「今後も減税を恒久化し、09年に財政赤字を半減する」というブッシュの一般教書の宣言は、これからも日本をはじめ、世界から資金を調達するという意思表示と読むべきなのだろう。
http://www.asyura2.com/0601/hasan45/msg/253.html

2016.02.15 経済学のウソ 金融=養分吸い取り装置の説明
http://golden-tamatama.com/blog-asyuracom-2264.html

それにしてもちょっと前の記事で

経済学など存在しませんよ。
だって金融や通貨って養分吸い取り装置なだけなんだもの。

そう、元も子もないことを書いたら、お前が経済学を知らないだけだろ!

と突っ込みが来ました。

おいおい。
あんたね。。

まだ騙されてるんでしょうか。

以下、ワタスが思い描く現代人のイメージ図。

http://golden-tamatama.com/blog-asyuracom-2264.html


奴隷さん同士結束すれば良いのにお互いに仲悪しにさせられている。
わたしは悪くない!そう叫ぶベッキーさんを奴隷仲間で集団で叩いたりしてます。

そのせいで支配者に目もくれず、反乱も起きず、
まんまとうまく支配されてしまっているのでした。

ったく。この馬鹿共どもが。。。
一生、このまま5000年間ピラミッド作ってろ!このスカポンピン!

ったく。もう。
何度言ったら分かるのか。

分割統治。

いい加減、ピラミッド作りやめたら?
弱いもの同士団結したら?
99%が団結して1%の奴らをやっつけましょう!!

と言ってもワタスが攻撃されるんですから。
毎日、ふてくされて股間をかきあげるしかないというものです。

なぜ1%が99%を支配できるのか。
普通に考えれば人口で圧倒的多数の99%が反乱を起こせば1%なんてひとたまりもないですよね。

例えばなんで若者が体力のない爺どもの奴隷になってるのでしょうか。
昔の農村なら、老人などこの死にぞこない!と山に捨てらてた時代もあったのです。

完全に洗脳されている人々。

おいおい。あんたんとこの教祖は信者に一生懸命修行しろなどと言いつつ
裏で女性信者と乱交パーティやってますよ。

そう親切心で真実を教えてあげても逆にぶちぎれて、
逆にワタスをポアしようとしてくるんですから
ふてくされて遠くのアルプスを眺めるしかなくなるというものです。

経済学がちゃんとした学問だと言う人。

では、経済学で以下の事実を理論的に説明して下さい。
中央銀行制度がない国がなぜか戦争になって、政権が転覆させられてしまう不思議。

これを経済学でどう説明するんでしょう?


911以前、中央銀行制度(BIS配下)がなかった国は以下の7カ国でした。
アフガニスタン、イラク、スーダン、リビア、キューバ、北朝鮮、イラン

2001年の9.11に世界同時多発テロが起きました。
イラクとアフガニスタンが攻撃され中央銀行が設立されました。

その後、2011年にリビアとス−ダンに中央銀行が設立されました。リビアはカダフィ大佐が死亡。

残りはキューバ、北朝鮮、イランになりました。

世界中のモルガンやロスチャイルド配下の中央銀行がない国は、
なぜか戦争になってしまい政権を転覆させられてしまう。

リビアのカダフィさんなんかは悲惨ですよね。
民衆にリンチされて殺されてしまいました。
日本も同じですよね。江戸幕府が浪人達に倒されてその後、三井の番頭の渋沢栄一さんが日銀を作りました。
渋沢栄一さんと言えばフランスロスチャイルド家の弟子ではないですか。

これを経済学ではどう説明するんでしょうか??
納得できる説明があればワタスは経済学がちゃんとした学問だと認めますが。

いまや、中央銀行がない国はキューバ、北朝鮮、イランの三ヶ国になってしまいました。

ちなみに北朝鮮などはこれから攻められそうなので、しきりに核を持ってますアピールをしてます。

以下はBIS配下の中央銀行リストです。
ほとんどすべての国の中央銀行がBIS配下(モルガンやロスチャイルド配下)なのです。


http://www.bibliotecapleyades.net/sociopolitica/esp_sociopol_rothschild40.htm

つまり

通貨=養分吸い取り装置を取り付けてない国は占領されて、無理やり取り付けられてしまうのです。

前に通貨は全部、不換紙幣だと書きました。
つまり日本もアメリカもEUもインチキ通貨なのです。
好きなだけ刷りまくれる。

個人に置き換えて見れば、
ワタスが金玉通貨を刷りまくって、いろんな人の土地とか家とか
車とか食べ物とか。はたまたキャバクラのお姉さんのサービスとか。
そういうものを自分の刷ったお金で買いまくる。
これは人の養分を吸ってるのと同じですよね。

くほほほ
楽しいですねぇ。楽ですねぇ。
ワタスは何にも働いてないのに、他人の養分をチューチュー吸いまくれる。

あまり派手にやり過ぎて罪に問われそうになったら検察を買収してしまえば良い。
いや国会議員を買収して、法律を変えてしまえば良いので楽ちんです。

これが兌換紙幣なら、そんな極悪非道なことはできません。

当たり前ですよね。
通貨を発行するためには、ワタスは何らかの価値があるものを提供して
それと通貨を交換しなければいけないのですから。
現物との交換を保障する=ワタスはせっせとお米を作って交換を保障しなければならない。
=真面目に働かないといけない。

という訳で

現在の通貨(不換紙幣)制度=養分吸い取り装置

この基本が分かってない人が多すぎる。

以下は、とてつもない特権という本です。


とてつもない特権 [ ベリー・アイケングリーン ]
http://books.rakuten.co.jp/rb/11904909/?scid=af_pc_link_tbl&sc2id=af_101_0_0

この本は現在の基軸通貨となっている米ドルの法外な特権について書かれています。

例えばです。
あなたのお隣に通貨をバカスカ刷る国があったらどうでしょうか。

この野郎。
そんなに通貨を刷りやがって。
これ以上、我々の養分を吸い取るのか?
それで、怒って皆さんその国の通貨を相手にしなくなりますよね。
そんな国の通貨なんて使わない。
そうやって完全スルーするようになります。

通貨を発行し過ぎると価値が薄まってしまいます。(通貨の希釈化)
養分吸い取り装置は希釈化するとうまく作動しなくなるのです。

金玉通貨だって、ワタスが調子に乗って刷りまくるとうまく作動しなくなる。
これ以上養分を吸い取れなくなるのです。

そうすると、その薄まった価値を元に戻すために
どこかの国の誰かが一生懸命働いて価値を維持しなければいけません。

良く外貨準備高と言いますが、例えば東南アジアなどでその昔、通貨危機がありましたよね。
タイバーツとか。
ヘッジファンドがタイバーツの空売りして暴落させた。
固定相場にしてると攻撃されてIMF管理下になる仕組み。

それで東南アジア諸国は自国の通貨を防衛するために外貨準備として
米ドルを蓄えなければならなくなりますた。

これは、希釈してしまった米ドルを日本や中国、東南アジア諸国が働いて
買い支えたということです。

それが最近、あーやめやめ。
ドルなんて使うのやめやめ。
自分達で刷ろう。
それが今、中国がやってることですよね。
米国債を売っぱらって、ドルをスルーする経済圏を作ろうとしています。

もう一つはサウジアラビア。
良く米ドルのことをペトロダラーと呼びます。
石油のpetroleum(ペトロリアム)と、米ドルdollar(ダラー)を合わせてペトロダラーです。
今まで世界一の産油国のサウジアラビアが自分とこの石油は米ドルじゃなきゃ売らないよと言ってました。

これがどういうことかというと、
例えば日本がサウジアラビアの石油を買うのに日本円じゃ買えなかったのです。
それで、わざわざ日本円で米ドルを買って、それからサウジの石油を買ってました。
そのために米ドルというのは何もしてなくても需要があったのです。

それが最近、あーやめやめ。
バカバカしい。
ドルで石油売るのやめやめ。
サウジアラビアもそう言い始めたのです。

とにかく誰もが価値の希釈化した米ドルをもう使わない。
スルーし始めたということです。
養分吸い取り装置がだんだん作動しなくなっているという話なのです。

ということで、以上。

本当の敵は誰なんだ?
最近、奴隷たちもようやく気づき始めた。
ハンガリーやアイスランドは民衆が早々に気づいて養分吸い取り装置を取っ払った。
(これは、未だにどこのマスコミも報道してません)

遅れてる日本は未だに養分吸い取り装置をつけられて苦しんでる。
庶民は未だ敵が分からずにベッキーや清原叩きをしている。

なんで派遣社員がここまで増えるのか。
8%に飽き足らず、消費税が10%導入などと言ってるのか。
どっかに自分達の養分が吸い取られてるからに決まってるでしょう。

それが、さっぱり理解できず養分吸い取り装置の現場操作員。
パソナ会長のとぼけた経済理論を信じたりしている。
http://golden-tamatama.com/blog-asyuracom-2264.html


34. 中川隆[-7619] koaQ7Jey 2017年5月27日 14:07:40 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2015•07•02 ギリシャ危機の原因はドイツ


ここ最近、またギリシャ危機が騒がれ始めました。

私のブログのアクセス解析でも、【ギリシャ人 働かない】なんて検索ワードで訪れてくださる方がチラホラと。

しかし、前にも投稿で書いたことが有るのですが、今回のギリシャ危機の主な要因は、ドイツに代表されるEU内の先進国です。

ユーロという枠組みは、通貨を統合して政治的には統合しないという不思議な枠組み。
このシステムで一番得をしたのが、ドイツです。

そもそもドイツは、国際競争力の高い高級車等が主力商品の工業国。
売っている商品のジャンルこそ違えど、日本と同じ様な貿易黒字国です。
貿易黒字国の宿命として存在するのが、通貨高。
通貨高になってしまうと、優れた商品を作っても他国から見れば割高な商品となってしまう為、競争力は失われてしまう。

ではどうすれば良いのかといえば、そもそも通貨が変動しなければ良い。
ユーロという枠組みを作って、ヨーロッパ圏内の通貨を統一してしまえば、通貨変動によって競争力が変化しない。
よって、ドイツがどれだけ黒字を出そうが、ヨーロッパという市場では競争力が変化しない事になる。

またこの枠組みを作ることで、ドイツにとってもうひとつ有利な点が生まれる。
それは、通貨安。

ドイツが貿易黒字を出すと、通貨高の要因になるのは先ほど書きました。
では、ユーロという枠組みを作り、貿易赤字を垂れ流している国を引き込めばどうなるでしょうか。

赤字と黒字がユーロ経済圏内で相殺し合い、上手く行けば通貨安に誘導できる。

ユーロという通貨が安くなれば、世界市場で販売しているドイツ車の国際競争力は更に増し、ドイツ経済にとって良い影響を与える。

つまりユーロという枠組みは、ドイツのような貿易黒字国にとっては良いことづくめと言える。


しかし、経済だけを統一して国を統一しないと、問題が起こってきます。
それは、一部の都市のみが発展し、地方が衰退してしまうという現象です。

ヨーロッパという地域で考えると、イマイチ『ピンッ!』と来ないという方は、日本という枠組みで考えれば分かりやすいでしょう。

日本も、東京一極集中で、地方が衰退しています。
しかし日本の地方は、むかし夕張等で破綻が起こりましたが、それ以外は比較的安定しています。

何故かと言うと、国が地域差を是正する為に再分配を行っているからです。
具体的には、東京で稼いだ税金を吸い上げて、地方交付税という形で再分配をする。

もし、この日本の中で東京が

『地方は怠け者で働かないから発展してないだけだ。
何故自分達の税金が、関係のない地方に配られるんだ!
東京で稼いだ税収は東京のためだけに使うべき!』

と言い出したらどうでしょうか。
東京都地方の格差は、更に拡大することになります。


潤沢な資金が有る東京は、有り余る資金で最新設備を設けた大学などを何個も創ることが出来ます。

そうなれば、日本中の優秀な若者は、地方から東京に移住することになります。
東京という地域には人が流入し、経済的にも更に発展。
更に増額した税収で、住民サービスは良くなります。

すると、地方の引っ越しが出来る程の財力が有る人達は、発展していて住民サービスも良い東京に移住した方が得になるので、また、住民の移動が起こってしまう。

結果として、経済的・学力的に東京の大学に行けない若者と、引っ越す財力のない人達が地方に取り残されることになる。

この様な人たちは収入も少ない為、地方の税収は更に下がる。
財政を維持する為には、緊縮政策を取らなければならない。
つまりは、住民税の増額と公共サービスの削減・低下につながる。

簡単に表現すると

富める者はより裕福に。
貧しい者はより貧しくなってしまう。

この流れを避ける為に行われるのが、同じ経済共同体内での再分配です。
しかし、EUはこのが機能していない。

ドイツ人達は、『何故ギリシャ人の為に、自分達の税金が使われなければならないんだ!』と主張し、ギリシャに金を貸すことはあっても、再分配という形で分け合うことはしていない。

もしEUの要求通りに、ギリシャで緊縮財政が起こればどうなるのか。
先程日本で例えた際の、【東京】と【地方】の関係と同じようなる。

やる気があってまじめに勉強をしているギリシャ人の学生は、ドイツの大学に進学してドイツの会社に入社する。

当然、税金もドイツで支払い、ドイツはより潤う事になる。

その一方でギリシャは、公共サービスが低下して、税金も上昇。

EU国内では国民は移住が自由である為、余裕のある人はサッサとドイツに移住してしまう為、主な収入源の富裕層が国を出て行くことになる。
こうなると、更に税収は激減する。

つまり、ギリシャにとっては緊縮財政を採用しても借金を踏み倒しても、どちらにしても地獄ということ。

これは、ギリシャが悪いというわけではなく、EUという制度に致命的なエラーが存在するということ。

因みにこの話は、私が考えた机上の空論では有りません。

この話を、日本に留学で来ているスエーデン人の方に話した所、大きく頷き、ドイツに全て搾取されているといった事を話されていました。

その方の話によると、ドイツは経済状態も良く、物も大量に消費される為、物価自体が安いそうです。

どれぐらい安いのかというと、スエーデンでビールを購入するより、ガソリンを使ってデンマーク経由で陸路でドイツに渡り、トランクに詰めるだけ積んでスエーデンに戻った方が安いそうです。

ここまでモノが安いと、ドイツ周辺国の人は皆、ドイツで買物をすることになり、ドイツの税収が上がる一方で周辺地域は疲弊してしまう。

これが成り立つのも、再分配が行われていないからです。

今回のギリシャ危機は、どのような形で処理するかによって、EUという枠組みそのものが存続できるかどうかという重要な問題です。

ギリシャの意見を聞き入れ、再分配を真面目に考える事ができれば、存続できる可能性はあるでしょう。

しかし、ギリシャを切り捨てた時点で、EUという枠組みは近いうちに空中分解することでしょう。
http://kimniy8.hatenablog.com/entry/2015/07/02/193000  


ギリシャ危機、金融メディアが語らない10のこと
http://jp.wsj.com/articles/SB10468926462754674708104581085121389238598


ギリシャ人たちが危機に陥っているのは、彼らが怠け者で借金を踏み倒す連中だからだ、というのは正しいか?

 結局のところ、彼らは1年に10カ月間しか働かず、14カ月分の支払いを受け取っている。25歳で引退し、カフェにたむろしてウーゾ(アニスの香りがするギリシャの蒸留酒)をあおっている。ドイツからの施しで生活し、税金をごまかす。欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)のトロイカが繰り返し支援しようとしたが、彼らは聞く耳をもたない。そして今や、極端なリベラルに走り、借り入れたカネをびた一文返そうとしない。

 それは正しいか?

 全く正しくない。

 ギリシャ危機について皆さんが教えられているほとんどあらゆるものは、完全なたわごとである。以下はその理由だ。

 1.ギリシャ人は既に要請されている以上に緊縮している。5年前の救済取り決め以降、ギリシャ政府は支出を削減し、増税し、そして基礎的財政収支(プライマリーバランス)を240億ユーロの赤字から30億ユーロの黒字に転換した。同国は実際には救済側の要求以上に債務を削減した。IMF自体が緊縮対策は「どんな基準でみても異例だ」と述べ、改革面での彼らの「重要な進展」を称賛したのも無理はない。

 2.本当の問題はトロイカの薬が効かなかったということだ。IMFは当初、緊縮政策を採用すれば、ギリシャは2011年から「V字型」の経済回復に入ると予測していた。「信頼感の効果と、市場アクセス再開」が期待されたのだ。だが、現実にはそうではなかった。これらは10年の救済文書から引用したものだ。IMFは、14年までに経済成長率が3%を超え、「失業率は12年までに15%近くでピークになるだろう」と予測した。何たることだろう。つまるところ、ギリシャ政府が債務を削減する間、経済は一段と縮小しただけだった。

 3.引用される「専門家」の発言は、皆バイアスがかかっている。確かに、TVやインターネット上では大勢の賢人たちがあれこれ非難したり警告したりしている。問題はどこにあるか。彼らがおおむね金融部門で働いている点だ。したがってその関心事は株式、債券、その他の金融資産であって、アテネやテッサロニキのような諸都市の雇用や世帯収入など日常生活の実態ではない。金融は実際に大切かもしれないが、それがすべてではないことは確かだ。

 4.ギリシャは既に破局している。わたしにとって開いた口がふさがらないのは、ギリシャはトロイカへの返済を停止したり、ユーロから離脱したりすれば、経済的な災厄に直面すると別の専門家が主張する時だ。国内総生産(GDP)は8年間で25%減少した。輸入は40%減少した。公式の失業率は25%だ。災厄だって?それは既に発生している。

 5.国というものは、財政緊縮でマネーを「創出」できない。ギリシャとトロイカの話し合いは、ギリシャ政府がどれほど増税ないし支出削減すべきかをめぐって決裂した。これは「単式簿記」システムの誤りに基づいている。それでも、広い範囲(尊敬すべき報道機関をも含む)で繰り返されている。ある国が増税ないし支出削減しても、全体としてマネーを創出しない。それは、一つの手から別の手にマネーが移動するだけだ。

 6.本当は、ギリシャのドラクマ再導入は極めて容易だ。容易でないとする恨み言は、全く偽りだ。この種の措置は以前にも実行されたことがある。例えば、ベルリンの壁崩壊後の多くの東欧諸国がそうだ。当時、IMFとその他国際機関は手を差し伸べたし、新通貨への移行は成功し、比較的痛みも少なかった。彼らがギリシャを助けるのを拒否するなら、それは意図的な悪意ある行為だろう。

 7.本当は、ユーロ無しでもギリシャはやっていける。英国がそうだし、ポーランドがそうだし、スカンジナビア諸国がそうだ。アイスランドは自国通貨の管理ができることもあって、2008年の通貨危機から回復した。実際、IMFは、ギリシャが今もドラクマを使っていてそれを切り下げてさえいれば、このような不況を回避できた可能性があると認めている。ギリシャがユーロを必要とするという考えはくだらないのだ。

 8.ギリシャだけがこの危機の原因だったのではない。非は「ダボスの寵児たち」にある。彼らはお気に入りの「ユーロ」構想を誰にでも売り込んだ。その中にはユーロは不釣り合いなギリシャなどの国も含まれていた。これが過去10年間の膨大な債務バブルを膨らませる一因になった。それ以降、ダボスの寵児たちは自分たちの専売特許のパンと水と粥(かゆ)という治療食を強く勧めた。だが、効果は全くなかった。皆さんは、ダボスの寵児たちが自分たちのこの治療法を自分で試そうとするほど間抜けでないことに気づくだろう。ブリュッセル、フランクフルト、ロンドン、ワシントンでは、食事のメニューはこのような治療食ではなく、ロブスター・テルミドール、オイスター・ロックフェラー、そしてシャトー・ディケムだ。


 9.パニックになるな。今回のギリシャ危機は他の世界にとって大きな問題にならないはずだ。ギリシャ経済の規模は米アラバマ州のそれと同じくらいだ。市場は既にギリシャの金融資産の大半を償却している。ギリシャ危機が「伝染」するのは、海外の政策担当者がそれを放置した場合だけだろう。わたしは良いパニックを好む人がいることは評価しているが、彼らは気持ちを落ち着かせる必要がある。


 10.トロイカの提案する「治療薬」は無意味だ。トロイカが提案するように、ギリシャは年金制度を改革すべきか?課税基盤を広げて簡素化すべきか?港湾を民営化すべきか?確かに。よろしい。しかし、これらはどれも100万人規模の人々を職に復帰させ、カネを稼がせ、消費させるのに全く助けにならない。弾丸による負傷を「食事と定期的な運動」で治療しようとするようなものだ。それらの処方が悪いのではない。完全に的外れなのだ。


(筆者のブレット・アレンズはマーケットウォッチのコラムニスト)

原文:Opinion: 10 things they’re not telling you about the Greek crisis
http://www.marketwatch.com/story/10-things-theyre-not-telling-you-about-the-greek-crisis-2015-07-01

http://jp.wsj.com/articles/SB10468926462754674708104581085121389238598


“ギリシャは犠牲者”

クルーグマンから擁護の声 ユーロの構造的問題を指摘 2015年6月29日

深刻な財政危機に直面しているギリシャは、EUが求めている財政緊縮案を受け入れるかどうかを問う国民投票を7月5日に実施することを決定し、ユーロ圏離脱の可能性も出て来た。ギリシャを非難する意見は多いが、責任はギリシャだけにあるのではないという見方もある。

◆資本規制発表で国内は混乱。影響は国外にも

 27日に、ギリシャへの金融支援延長は債権団によって拒否され、28日には欧州中央銀行が、ギリシャの銀行に対する資金援助枠の引き上げを見送った。これにより、ギリシャには銀行の営業を停止させ、資本規制を導入するという選択しかなくなったとロイターは報じる。

 資本規制の発表を受け、ギリシャの市民は銀行のATMに長蛇の列を作った。また、29日の日経平均もギリシャ混乱のニュースを受け、今年最大の下げ幅を記録。他のアジアの国々でも、為替や株式に影響が広がった。

◆押し付けの緊縮策こそ問題

 このような状況のもと、ビジネス・インサイダー誌のヘンリー・ブロジェット編集長は、皆が悪者探しをしていると指摘。多くがギリシャのチプラス首相を無責任だと責めているが、経済学者のポール・クルーグマン氏は、これに異議を唱えていると述べている。

クルーグマン氏は、過去7年間、欧州はギリシャ経済の首を絞めてきたと主張。欧州が金を貸すたびに、ギリシャは歳出カットで応えており、緊縮財政こそが、ギリシャ経済にダメージを与えてきたと説明する。同氏は、危機に陥るたびに譲歩したことで、ギリシャは不況に苦しむ経済上の奴隷国になり果てたとし、ギリシャが持続可能な方法で負債を減らして現状から脱却することを欧州が認めないならば、ギリシャに残された道は債務不履行とEU離脱しかないと述べる(ビジネス・インサイダー誌)。

 ブロジェット氏は、支出は各国政府がそれぞれの裁量で行うが、借り入れは単一通貨で行う現在のユーロの仕組みは、豊かな国が貧しい国を助成しない限りは、長期的にうまくいくはずはないと指摘。欧州の「中心」の国々は、この考え方を受け入れそうもないため、ギリシャや他の弱小国は、ユーロ圏を離れた方がおそらく幸せなのではないか、と述べている。

◆富に負けた民主主義

 英ガーディアン紙のコラムニスト、ゾーイ・ウィリアムズ氏も、ユーロのあり方に批判的だ。同氏は、国民投票の選択肢は、終わりなき緊縮か今すぐの大混乱だとし、どちらもギリシャ国民は望んでいないと説明。失業率は25%に達し、若者に至っては、ほぼ半分が職を持たず、40%の子供の生活レベルが貧困ラインを割っている現状では、EUがギリシャに求める緊縮案では、何も変わらないと主張する。

 同氏は、単一通貨の導入で、自分たちの通貨のコントロールを失ってしまったとたんに、一国の政府は、その力を制限されてしまうと指摘。結局、強者が支配するのだと述べ、最も富めるドイツのやり方に従うことになると述べる。通貨管理は政治とは切り離すというユーロ創設時の神話は崩れ、民主主義はそれとともに降ろされたのだと同氏は主張。ギリシャはわれわれすべての力を弱める、間違った考えを維持するために犠牲になっていると述べている。


◆ユーロ自体が悪?

 英テレグラフ紙で執筆する政治コメンテーターのイアン・マーティン氏は、ギリシャのチプラス首相は、EU加盟国との慎重な話し合いを選ばず国民投票実施を決めたことで、欧州の政治家や官僚たちからは完全に狂っていると思われている、と述べる。しかし、狂っているのはチプラス首相ではなく、ユーロを作った側だと同氏は主張。彼らこそが、必要なセーフガードなしに、広大な大陸に通貨同盟を作ることで、政治的な夢と虚栄心が、経済感覚や文化、国の違いに打ち勝つと信じていたと断じる。

 同氏は、ユーロ圏からギリシャが去り多大な影響が出れば、ユーロのエリートたちは、彼らのアプローチが機能していないことに、ようやく気づくかもしれないと述べている。
http://newsphere.jp/world-report/20150629-2/


日本より長い労働時間 「ギリシャ人=怠け者」は大ウソだった 2015年7月8日
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/161509


「緊縮財政計画」を拒否したギリシャに対し、EU各国は呆れ果てている。もともと、ギリシャ人を「怠け者」と軽蔑していることもあって、「あいつら働きもしないで」と怒りを強めているようだ。

 しかし、本当にギリシャ人は怠け者なのか。意外にもギリシャ人の労働時間は、日本人より長いという。ギリシャ人の労働実態について「東短リサーチ」が詳細にまとめている。チーフエコノミストの加藤出氏がこう言う。

「ギリシャ人が怠け者というのは、勝手な思い込みです。OECDの2013年の調査では、ギリシャ人の年間労働時間は、2037時間と世界2位。

1位は2237時間のメキシコ。日本は1735時間で16位でした。

この調査結果を疑った英BBC News Magazineが、フルタイムやパートなどさまざまな切り口で統計を見直したのですが、やはりギリシャの長時間労働は事実でした。

賃金の水準が低いため1つの仕事だけでは生活ができず、2つ、3つと仕事を掛け持ちしている人が多い。労働時間が長いという統計は、ギリシャ人の間で浸透している。だから“怠け者”と決めつけるドイツに対して猛烈に反発しています」


■楽天的な国民性でイメージ定着

 実際、1950年代、ドイツに移住したギリシャ人の勤勉ぶりは、よく知られている。

 しかし、どうして「ギリシャ人は怠け者」というイメージが定着してしまったのか。

「公務員があまりにも恵まれているため、ギリシャ人は働かない、というイメージがついてしまったのでしょう。ステレオタイプの報道が多いのも原因です。

ドイツのテレビ局は、ヨットハーバーを映して〈経済危機でもギリシャ人はヨットを保有している〉と報じています。でも、実際にはヨット所有者の多くは裕福なドイツ人でした。

ギリシャ人が楽天的だということも大きいでしょう。気候が良いためか、“まぁ、しょうがないか”と深刻にならない。北ヨーロッパの国からすると、そうした態度が怠け者に見えるのでしょう」(加藤出氏)

 怠け者ではないらしいが、あまりの楽観主義が、ここまで債務を膨らませてしまったのは確かだ。

____


100年前の「ユーロ」とギリシャ 2015-07-10

ギリシャのこれからが問題になっているが、実は、ギリシャが欧州通貨連合を抜けそうになったのはこれで2回目なのである。

そのことはこのBBCニュースの記事(2012年)で知ったのだが、150年前にラテン通貨同盟という欧州の通貨同盟(各国の通貨は残して、交換レートを固定化して、交易の便を図る試み)が生まれた。

「ラテン通貨同盟の発足は1866年8月で、当初の加盟国はフランス、ベルギー、イタリア、スイスでした。

4カ国は、各国の通貨を標準化し、交換可能にすることに合意しました。

2年後、当初の4カ国にスペインとギリシャが新たに加入し、1889年には、ルーマニア、ブルガリア、ベネズエラ、セルビア、サンマリノが加盟し、さらに拡大しました。」(BBCニュースから引用)

ということなのだが、ドイツはこれには当初から入っていない(ドイツは各州の通貨がまだ別だったので、ドイツ通貨統合でそれを固定化していた)。また英国は迷ったが加入しなかったというのも、ユーロの場合と同様だ。
 
そして、その後の歴史はこうだ。BBCから引用すると
 
「1832年、苦闘の末にオスマントルコ帝国からの独立を勝ち取って以来、ギリシャは度重なる財政危機や債務不履行に悩まされ、長い間、国際資本市場から事実上締め出されてきました。そしてラテン通貨同盟の草創期に加盟しましたが、やがてその存在は歓迎されなくなり、懸念の的となっていきました。 

 無責任で容認できない行動をとり続けたギリシャは、1908年にラテン通貨同盟から正式に除名されました。その結果、ギリシャは通貨政策を見直し、2年後に再び同盟に加入することができました。」

と、「無責任で容認できない(ギリシャ)」と、まるで現在と同じようなことが書いてあるのには驚く。しかし、その結末は、こうだった。

「しかし、その頃には同盟全体がますます脆弱になり、将来の見通しも次第に不確かになり、わずか4年後には第一次世界大戦が勃発しました。」

ここで実質的にラテン通貨同盟は終わりを迎えたのである。100年前にも、ギリシャ問題がきっかけで崩壊した通貨統合。これはやはりギリシャという地域が、通貨統合によって「財政危機」になりやすいということを示しているのだろう。そもそも、ギリシャを入れるべきではなかったのである。今回は、最後の結末だけは、繰り返して欲しくないと願うばかりである。
http://blog.goo.ne.jp/yamahafx/e/99bb684872164ef1517359030c4a8434


繰り返される共通通貨の歴史 BBCニュースサイト


ギリシャは共通通貨を巡って、隣国とうまくいかなくなっています。

 約1世紀前と同じことが繰り返されているわけですが、共通通貨を媒介とした親密な関係は、ほとんど長続きすることがないと、歴史学者デイヴィッド・キャナダインは言います。

 ギリシャ経済の長引く低迷と、それが欧州経済通貨統合(EMU)に与える悪影響への懸念は、どちらも目新しく前例のないことのように見えますが、実はいくつかの重要な点において、何度も繰り返されてきたことなのです。通貨統合は、近年の革新的な発想のようですが、通貨そのものと同じくらい長い歴史があります。しかし2500年の歴史の中で、さまざまな共通通貨が生まれたものの、長く続いたものはほとんどありません。そのため、多くの人が、その存在をいとも簡単に忘れてしまっているのです。

 初期の通貨統合でも、ギリシャは重要な役割を担っていました。時にはよい意味で、時には悪い意味で。そして近年、歴史はまた繰り返しています。英国がヨーロッパの枠組みとしての現在の統一通貨を敬遠するのは、今回が初めてではないのです。

 ヨーロッパの歴史は、通貨統合の失敗の歴史と言っても過言ではありません。EMUの前には、19世紀のラテン通貨同盟がありました。最も多く流通している硬貨がまだ金や銀でできていた当時、ヨーロッパのいくつかの通貨を統一しようという試みがなされたのです。

 ラテン通貨同盟の発足は1866年8月で、当初の加盟国はフランス、ベルギー、イタリア、スイスでした。4カ国は、各国の通貨を標準化し、交換可能にすることに合意しました。

 共通の単一法定通貨は作られませんでしたが、加盟国の通貨が互いに定率で固定されたのです。

2年後、当初の4カ国にスペインとギリシャが新たに加入し、1889年には、ルーマニア、ブルガリア、ベネズエラ、セルビア、サンマリノが加盟し、さらに拡大しました。こうして大きくなったラテン通貨同盟は、第一次世界大戦まで続きました。

 しかし、戦争の勃発で、金本位制の国際金融制度が突然終わり、その結果、ラテン通貨同盟は1927年の正式解散まで法人としては存続したものの、1914年には事実上終焉を迎えました。

 ラテン通貨同盟の実現に向けての交渉が始まったのは1865年で、初めは英国も話し合いに参加していました。しかし、2つの提案が大きな障壁となりました。1つ目は、英国が、1ポンド硬貨をフランスの25フランと全く同等にするため、ごく少量ではありますが、硬貨に含まれる金の量を減らさなければならないというものでした。2つ目は、英国が、ほかのヨーロッパ通貨と同じ10進制の貨幣制度にするため、シリングとペンスを廃止しなければならないというものでした。どちらの提案も受け入れられないということになり、1999年の時と同じように、英国は同盟を離れ、ヨーロッパ大陸の国々だけで共通通貨の仕組みを作ることになりました。

 1867年にフランスが提案した、フランス、英国、アメリカが同等の金貨を発行するという、さらに壮大な「世界貨幣」の構想にも、英国は興味を示しませんでした。

 ここに、英国の最近の態度や行動の兆候が、はっきりと表れています。

 『エコノミスト』紙のコラムニストで編集者でもあったウォルター・バジョットは、1860年代後半に、次のように深刻な危機の訪れを警告しました。

 「遠くない将来、英国以外のヨーロッパ全体が、統一の通貨を持つようになり、英国だけが独自の通貨に固執して取り残されるだろう」バジョットの警告は続きます。「俗な言い方をすれば、我々は『仲間はずれにされる』だろう。もし、この通貨制度を導入するのに重大な不都合がないのなら、私個人としては、是非そうするべきだと考えている」

 しかしバジョットは、それを実行に移すには、「どうしても乗り越えられない」困難があると考えていました。そして総合的には「統一通貨を導入する試みは、現時点では不可能」であると危惧していました。彼のその懸念は、のちのラテン通貨同盟の不運な結末によって、裏づけられることになりました。 
  
 それでも、20世紀末の欧州経済通貨統合の設立により、バジョットがかつて予想し恐れていた状態が、実現に大きく近づいたのです。2001年にギリシャが欧州経済通貨統合に加盟し、あとは、ご存じの通りの史実となりました。しかもその歴史は、まだとても終わったとは言えないのです。

 1832年、苦闘の末にオスマントルコ帝国からの独立を勝ち取って以来、ギリシャは度重なる財政危機や債務不履行に悩まされ、長い間、国際資本市場から事実上締め出されてきました。そしてラテン通貨同盟の草創期に加盟しましたが、やがてその存在は歓迎されなくなり、懸念の的となっていきました。 

 慢性的な経済の低迷で、ギリシャ政府が何代にもわたって硬貨の金含有量を減らしたため、他の加盟国の硬貨と比べてギリシャ通貨の価値が下がった為です。またそれは、当初の合意に反する行為でもありました。

 無責任で容認できない行動をとり続けたギリシャは、1908年にラテン通貨同盟から正式に除名されました。その結果、ギリシャは通貨政策を見直し、2年後に再び同盟に加入することができました。

 しかし、その頃には同盟全体がますます脆弱になり、将来の見通しも次第に不確かになり、わずか4年後には第一次世界大戦が勃発しました。

 19世紀のヨーロッパでは、ラテン通貨同盟以外にも、同様の試みが行われていました。

 1857年に結成されたドイツ通貨統合は、ドイツ各州で流通していたさまざまな通貨を統一しようというもので、北部ドイツのターレルと南部ドイツのグルデンの2本建てでした。

 この制度は、このような試みの中ではまれな成功例で、1870年のドイツ統一まで続きました。

 ドイツ統一で政治と共に通貨制度も事実上統合され、5年後には2つの通貨に代わってライヒスマルクが公式通貨になりました。

 ドイツほど成功はしませんでしたが、1873年にデンマークとスウェーデンがスカンディナヴィア通貨統合を結成し、2年後にはノルウェーも加わりました。その目的は、ラテン通貨同盟がヨーロッパ全体でより広範に行おうとしていたことを、スカンジナビアでも実現することでしたが、第一次世界大戦の勃発で事実上その機能を失い、1924年に正式に解散しました。

 19世紀と20世紀に行われたこのような共通通貨の試みは、通貨制度そのものが生まれて以来何度も繰り返されてきた努力のうちの、ごく最近の例に過ぎません。このような試みの先駆者の中に、ほかならぬ古代ギリシャ人がいたことは、何とも興味深い歴史の皮肉です。

 通貨統合の最も初期の試みの一つは、紀元前400年頃に小アジア西岸地域で行われました。ギリシャの7カ国が同盟を組み、貨幣制度を作ったことは、のちの欧州通貨統合の先駆けともいえるでしょう。 

 硬貨の表には赤ん坊のヘラクレスが蛇を絞め殺している絵と、ギリシャ語で同盟を意味する言葉の最初の3文字が共通して描かれています。硬貨の裏には、それぞれの国が独自のデザインを施しました。硬貨はすべて同じ重さに鋳造され、統一通貨となり、7カ国による経済同盟の具体的な象徴となりました。

 この初期の通貨統合が、いつ、どのような理由で崩壊したかは定かではありませんが、200年後に、古代ギリシャでは別の試みが行われました。アカイア同盟として知られるこの試みは、ペロポネソス半島一帯の地域や都市国家が参加して、紀元前280年ごろに形成されました。

 ここでも、共通通貨の表には共通デザインであるゼウスの頭部が描かれ、裏側にはそれぞれの発行当局が独自に考案した図案が施されていました。

 歴史家ポリュビオスによると、このアカイア同盟により、ギリシャ人は「友好的な同盟地域を構築しただけでなく、共通の法律、度量衡単位、通貨制度も導入し、役人や議会、裁判所まで共有した」といいます。これほど高いレベルの統合が実現したことは、現代の熱心で野心的な欧州官僚にしてみれば羨ましい限りでしょうが、ラテン通貨同盟やスカンディナヴィア通貨統合と違って、アカイア同盟が100年以上続いた理由は、そこにあるのでしょう。

 アカイア同盟は紀元前146年に消滅しましたが、その原因は、通貨などの問題に関して加盟国同士の意見が食い違ったからではなく、コリントスの戦いでローマ軍に惨敗したという外的要因でした。

 このように歴史をひもといてみると、私たちには次のようなパラドックスが見えてきます。

 古代ギリシャ人は通貨統合のパイオニアであり、それを持続させることに努力を惜しまなかったということです。一方、現代のギリシャ人は、通貨統合に参加するたびにその組織を脅かし、危機に陥れているのです。
https://www.bbcworldnews-japan.com/uk_topics/view/0000162


ギリシャの真実 2015-07-09
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12048360210.html


相も変わらずといえば、日本国内のギリシャ問題に関する報道が相も変わらず、

「ギリシャ人は怠け者で、公務員だらけで、財政赤字を膨らませたから破綻した!」

 といった嘘八百が流れておりますので、訂正しておきたいと思います。


 ギリシャ人の労働時間は、OECD諸国の中では最長です。ドイツ人はもちろんのこと、日本人よりも多いのです。

 そして、2014年のギリシャ政府はプライマリーバランス(基礎的財政収支)が黒字化していました。

 さらに、パパンドレウ政権までのギリシャの公務員数が妙に多かったのは確かですが、今は激減し、主要先進国の中では「日本に次いで」少なくなっています。


【主要先進国の公務員対労働人口比率(%)】
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/image-12048360210-13360844829.html
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_50.html#OECD

 ギリシャ問題については、当ブログ以外では以下の記事がかなり適切かと存じます。

『【オピニオン】ギリシャ危機、金融メディアが語らない10のこと
http://jp.wsj.com/articles/SB1046892646275467470810458108512138


 ギリシャ人たちが危機に陥っているのは、彼らが怠け者で借金を踏み倒す連中だからだ、というのは正しいか?

 結局のところ、彼らは1年に10カ月間しか働かず、14カ月分の支払いを受け取っている。

25歳で引退し、カフェにたむろしてウーゾ(アニスの香りがするギリシャの蒸留酒)をあおっている。

ドイツからの施しで生活し、税金をごまかす。

欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)のトロイカが繰り返し支援しようとしたが、彼らは聞く耳をもたない。そして今や、極端なリベラルに走り、借り入れたカネをびた一文返そうとしない。


 それは正しいか?

 全く正しくない。

 ギリシャ危機について皆さんが教えられているほとんどあらゆるものは、完全なたわごとである。以下はその理由だ。

1.ギリシャ人は既に要請されている以上に緊縮している。(後略)』9238598


 WSJの記事でブレット・アレンズは「1」以外にも、以下のポイントを挙げていました。


2.本当の問題はトロイカの薬が効かなかったということだ。

3.引用される「専門家」の発言は、皆バイアスがかかっている。

4.ギリシャは既に破局している。

5.国というものは、財政緊縮でマネーを「創出」できない。

6.本当は、ギリシャのドラクマ再導入は極めて容易だ。

7.本当は、ユーロ無しでもギリシャはやっていける。

8.ギリシャだけがこの危機の原因だったのではない。

9.パニックになるな。

10.トロイカの提案する「治療薬」は無意味だ。

 全て、正しいと思います。


 上記が「事実」であるにも関わらず、なぜ、

「ギリシャ人は怠け者で、公務員だらけで、財政赤字を膨らませたから破綻した!」

 のようなウソが蔓延するのか。

もちろん、緊縮財政を正当化するためです。日本の場合は、

「ギリシャは破綻した。日本も破綻する。だから、緊縮財政」

 という、陳腐なレトリックが相も変わらず報道されています。

この手の「ウソ」からいい加減に目覚めなければ、日本もギリシャも経済の縮小と国民の貧困化から逃れられません。


 というわけで、皆様もギリシャについて「ウソ」を語っていたり、書いたりしている人を見かけたら、容赦なく「ギリシャの真実」を教えて差し上げて下さいませ。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12048360210.html

昨日のギリシャに関するレトリックは、実に「理不尽」でございますが、その上、問題解決を不可能とします。

ギリシャが財政破綻したのは、生産性が低い状況で関税自主権や通貨発行権を手放し、さらに国債発行に際し、共通通貨で国際金融市場から政府が資金調達しなければならなくなったためです。

ギリシャ政府は、国債を発行する際にドイツ政府やフランス政府と「競争」を強いられたわけでございます。


 結果、ギリシャの金利は高止まりし(現在の長期金利は18.9%)、しかも関税と為替レートという「盾」を失っている状況で、生産性向上のための投資が困難な構造に置かれました。ギリシャの問題こそが、構造問題なのです。


 ギリシャの構造というよりは、ユーロの構造ですが、ユーロという構造問題を解決するためには、結局は「ユーロという構造」を壊すしかありません。正しい解決策である「ユーロの構造を壊す」ことを防ぐためにも、全てを「ステレオタイプなギリシャ国民の印象」に押し付け、

「ギリシャ人は怠け者で、公務員だらけで、財政赤字を膨らませたから破綻した!」

 などと、嘘つきたちが蔓延する結果になったのだと思います。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12048719130.html


【青木泰樹】ギリシャ危機は対岸の火事ではない 2015/07/11


ギリシャ危機は対岸の火事ではない。

この手の論評が目に付くようになりました。

確かに、私もそう思います。

しかし、ギリシャ危機から何を教訓として学ぶのでしょうか。そこが問題です。

財務省シンパと思われるマスコミの論調は、概ね一致していますね。

一言で言えば、「身から出た錆(さび)」。

ギリシャ危機を招いたのは他ならぬギリシャ自身の放漫財政の結果であると。

放漫財政のツケは必ず払わなくてはならない。まさに今のギリシャ危機がそれを物語っているのだと。


そして例によって、「翻って、日本の場合はどうなのか」というお決まりのパターンが続くわけです。

今回驚いたのは、ギリシャが2014年度に基礎的収支(プライマリーバランス:PB)を黒字化していたことでした(三橋先生が前にブログで指摘されて初めて知りました)。

「我が意を得たり」と思ったかどうかはわかりませんが、マスコミの論調もヒートアップします。

曰く、「ギリシャは日本より財政は健全であったにもかかわらず破綻寸前。ましてや日本は危機目前。早急に財政再建を」となるわけです。

確かに、ギリシャの政府債務対GDP比は180%くらいで、日本のそれは200%を超えています(もちろん幾つかある政府債務の定義のうちの一つの場合ですが)。

また日本は2020年度のPB赤字解消さえ危ぶまれているとマスコミは報じていますから、国民の危機感を煽るにはギリシャ財政との比較は格好の材料なのでしょう。

「消費税再増税も歳出削減も、日本のためなのだ。財政出動などもっての外だ」と言いたいために。

しかし、財政健全化の指標とされる政府債務対GDP比の国際間比較は、実はほとんど意味はありません。

外国と比較して多い少ないではなく、その比率が中長期的に一定の枠内に収まっていれば問題ないのです。

以前、サラリーマンの住宅ローンを組む時の目安は、年収の五倍程度までと言われておりました。

つまり住宅ローン対年収比率は500%までが健全ということです。

もちろん、まだまだ債務を膨張させられると言いたいのではありません。
あまり目くじらを立てるほど神経質になる必要はないと言っているのです。

以前からお話ししているように、国債問題とは民間保有の国債残高が累増し、利払い費が膨張することです。

本年中に日銀は国債発行残高の3割を保有することになるでしょうから、国債問題は事実上解決したのも同然なのです。

後は適当な時期に政府と日銀間で、すなわち広義の政府部門内で処理すれば良いだけの話です。

政府が新しい債券(例えば長期のゼロクーポン債)を発行し、それと日銀保有の国債を交換すれば済むことです(そうすれば、万一金利が上がっても日銀のバランスシートは痛まない)。

それによって民間の債権債務関係が変更するわけではないので、民間経済に悪影響は及びません。

政府債務対GDP比の国際間比較以上に意味がないというか、逆に経済成長にとって最悪なのが「PB目標」、すなわち基礎的収支を単年度で均衡させる財政目標です。

財務省、そのシンパのマスコミ、経済学者、評論家、政治家たちはギリシャ危機から財政再建の重要性を学ばねばならないと考えているのでしょう。

日本も、2020年度のプライマリー赤字解消に向けて9.4兆円歳出削減をしなければならないと息巻いていた自民党の政調会長もいましたね。

その方たちに是非、ギリシャ危機の本質を学んでいただきたい。
まさに対岸の火事ではないのです。
なぜギリシャ危機が生じたのか。その原因は何なのかを。


それは財政均衡主義がもたらした災厄なのです。

まさしく経済思想が現実経済を潰した事例なのです。

欧州委員会(EU)、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)という三者、いわゆるトロイカに押し付けられたPB目標を達成しようとして、ギリシャは忠実に増税と歳出削減を履行し、結果的に経済を破綻させました。

5年間でGDPは25%減少しました(日本に置き換えて考えるなら、日本の名目GDPは約490兆円ですから、120兆円以上が消し飛んだことになります)。
失業率も平均で26%超、若年層に至っては60%超です。

若者が希望の持てない、未来のない国にしてしまったのです。
万死に値する所業です。

ここまで経済を破壊して得たものは何か。

若干のPB黒字だけです。

それによって財政再建はかなったのでしょうか、財政破綻の危機は去ったのでしょうか。

とんでもない、PBを黒字化しても財政破綻寸前です。

PB目標の達成は、国家の安寧も財政再建も、何ももたらさなかったという歴史的事実が残ったのです。

これを教訓とせずして、何を教訓とすべきでしょうや。


PB目標の達成のためには、増税と歳出削減しかありません。

しかし、公的支出を削減すれば、総需要が減り、名目GDPが減り、税収も減る。
増税分を国内で使えばまだしも、対外債務の返済に充てれば、ますます名目GDPは減る。

民需か外需が公需の減少した分を補てんするだけ増加しなければ、国民経済は縮小する。

ただの足し算引き算です。


この誰にでもわかることを財務省も、トロイカも、特にドイツのメルケル首相はわからないのです。

それは、「入を量りて、出を制す」という財政均衡主義の原点である個人の経済感覚に根ざすものなのでしょう。

部分だけを見て全体を顧みない。
財政を均衡させれば、万事うまくいくと思っている。
救いのない頑固脳。

そうした経済通念から脱却しない限り、為政者の思い込みによる経済破壊が続くのです。これは本当に人災です。


果たして、財政均衡主義の犠牲となったギリシャはどうなるのでしょうか。
トロイカは、金融支援の替わりにより厳しい緊縮策をギリシャに要求しております。

増税(付加価値税における軽減税率廃止)によってGDP1%分の増収を、そして歳出削減策(年金制度変更)によってもGDP1%分の増収を目指せと言っています。

他に軍事費も4億ユーロ削減せよと要求しております。
ギリシャの国防にまで口を出してきています。

到底、声は届かないでしょうがギリシャのチプラス首相に二つ助言を送っておきましょう。


先ず財政支援に関して。


歳入=税収+国債収入(国債を中心とする借入金)。

歳出=一般歳出(国債費を除く政策経費)+国債費(利払い費および償還費等)


ですね。財政赤字は「税収<歳出」です。


他方、プライマリー均衡は、「税収=一般歳出」です。


ギリシャはプライマリー黒字の状況ですから、問題は国債収入が確保できない(金融支援=借金ができない)ということです。

それゆえ借金の返済(国債費)ができずにトロイカに支援を仰いでいるわけです。
この状況を打開するためにチプラス首相はこう言えばいいのです。

「私が金融支援を仰ぐのは(追加の借金したいのは)、あなたたちに借金を返すためだ。」と。

さらに、あなたの右のポケットにあるカネを貸してくれ。すぐにあなたの左のポケットにそれを入れるから」と言えばよいのです。

つまり、トロイカのカネはギリシャ政府経由でトロイカに戻るのです。
トロイカに損はない。

これによってギリシャの銀行は救われ、実体経済をこれ以上毀損することなく、問題を先送りできるのです。

先送りが大切なのです。

世の中には、先送りを嫌悪する人達が一定数おりますが、それは物事の二面性を理解していないことを表明するに等しい。

先送りの対語は、拙速です。

拙速にならずに、じっくりと時間をかけて解決することが適切な場合も多々あるのです。今回のギリシャのケースがまさにそれです。

経済を立て直して、ユーロからドラクマに移行する時間稼ぎが必要なのです。


もう一つ、チプラス首相は緊縮策を受け容れないほうが良いのです。
これ以上、ギリシャ国民に貧困の淵を覗かせてはならないのです。
メルケルに従って、若者の失業を増やしてはなりません。

その代り、次のように逆提案すればよいのです。

「ギリシャは経済成長を成し遂げることによって、トロイカに債務を返済することを約束する。ついては、成長のための資金を融資してくれ。

これまで、トロイカの要求に素直に従ってきたが、結果は最悪だった。経済を潰してしまった。あなたたちの論理でギリシャを救えないことが分かった。

あなたたちもわかっただろう。成長によってのみ、ギリシャは救われ、ユーロも命脈を保つことができる(ただし、一時的ですが)。ギリシャには世界に誇れる観光資源がある。それを中心にギリシャ強靭化計画を実施することで再生を図りたいのだ」と。

もちろん、なかなか難しいでしょう。

ギリシャはユーロ通貨を導入したことで、先の見えない将来を自ら造ってしまいました。

以前の通貨ドラクマのままでいれば、現況以上に再生は可能であったと思います。
厳しい時期が到来しようと、未来に希望が持てれば生きていけるものですから。
ユーロ圏に留まる限り、ひとたび金融支援が滞るとギリシャの銀行システムは破壊されます。

今後も繰り返し、そうした状況が続きます。
それが実体経済にとって最も厳しいことなのです。決済ができないと商売が成り立たないからです。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/


緊縮財政の犠牲者 週刊実話 2015年7月23日 特大号


 2015年7月1日、ギリシャがIMF融資15億ユーロ(約2000億円)の返済不能となり、デフォルト(債務不履行)した。すなわち、財政破綻である。

 6月末時点で、ギリシャ議会は欧州連合(EU)などが金融支援の条件として示した構造改革案の是非を問う国民投票を、7月5日に実施することを賛成多数で承認。ギリシャのチプラス首相は6月27日にテレビで演説し、

 「ギリシャは緊縮策の継続をEUなどから強要されている。国民の意思に逆らう要求に対して回答を迫られている」

 「国民は(EU案による)脅迫から自由に決断すべきだ」

 と、発言。EU側は激怒し、ユーロ圏19カ国財務相会合がギリシャ側の支援要請を拒否することを決断。ギリシャはついに、デフォルトに至った。

 現在のギリシャは、国内の銀行を営業停止とし、資本規制導入も決定している。

 何しろ、ユーロ加盟国であるギリシャは自国の「通貨発行」が不可能であるため、銀行を営業させると、確実に取り付け騒ぎになる。昭和金融恐慌時の日本のように、紙幣を印刷して銀行に積み上げるといった沈静化もできない。

 ギリシャ国内の銀行が、片っ端から倒産していく状況になりかねない。

 国民投票の結果がどうなるか、本稿執筆時点では不明だが、とりあえず「なぜ、ギリシャが財政破綻に至ったのか」について、日本国民は正しく知るべきだ。

 とにかく、日本には“家計簿脳”の自称識者や政治家が少なくない。

 「ギリシャは放漫財政を続け、財政赤字が膨らんだから財政破綻した。日本も増税や歳出削減でプライマリーバランス(政府の基礎的財政収支のこと。以下、PB)を黒字化しないと、財政破綻する」

 などと、もっともらしく語る“無知な論者”が、溢れかえるほど存在するのだ。

 信じられないかも知れないが、昨年のギリシャはPBが「黒字」だった。ギリシャの、地方政府分を合わせた2014年のPBは、国内総生産(GDP)比0.4%の黒字だったのである。

 なぜ、ギリシャはPBが黒字であるにもかかわらず、財政破綻したのだろうか。話はまるで「逆」で、ギリシャはPBを黒字化するほど緊縮財政(主に支出削減)を実施したからこそ、デフレが悪化し、税収が減り、財政破綻に追い込まれたのだ。

 日本のエコノミストと自称する連中や、

 「PBを黒字化しないと破産する」

 などと発言した自民党の政調会長をはじめとする無知な政治家には、是非とも以下の事実を理解してほしい。

 ギリシャはPBが赤字だから財政破綻したのではない。PBが黒字化するほど緊縮財政を実施し、デフレが悪化し、税収が減り、財政破綻したのだ。

 ギリシャは「緊縮財政の犠牲者」なのである。

 アメリカのノーベル経済学者であるポール・クルーグマン教授は、ビジネス・インサイダー誌のインタビューで、

 「過去7年間、欧州はギリシャ経済の首を絞めてきた。欧州が金を貸すたびに、ギリシャは歳出カットで応えており、緊縮財政こそが、ギリシャ経済にダメージを与えてきた。危機に陥るたびに譲歩したことで、ギリシャは不況に苦しむ経済上の奴隷国になり果てた。ギリシャが持続可能な方法で負債を減らして現状から脱却することを欧州が認めないならば、ギリシャに残された道は債務不履行とEU離脱しかない」

 と、語っている。

 その通りだ。ギリシャはカネをEUなどから借りるたびに、きちんと「緊縮財政」を実施してきた。だからこそ、こんな事態に至ってしまったのだ。

 デフレ期に緊縮財政を続けた結果、ギリシャはGDPがピークから26%も減ってしまった。戦争でもなければ、普通はこれほどまでのGDP減少は起きない。

 デフレとは、戦争並みに(あるいは戦争以上に)経済にダメージを与えるのだ。

 GDPが縮小すると、税収も減る。GDPとは国民が働き、モノやサービスという付加価値を生産することで獲得する「所得」の合計だ。

 そして、国民は所得から税金を支払っている。所得の合計である名目GDPが縮小すると、税金の「源」が小さくなるという話になってしまう。当然ながら、政府の租税収入も減る。

 通貨発行権がないギリシャ政府は、緊縮財政で税収が減り続ける中、結局は対外負債の返済不能となりデフォルトに至ったのだ。

 翻って我が国を見ると、6月30日に安倍(晋三)政権は「骨太の方針」を閣議決定し、2020年度までのPB黒字化と、'18年度のPB赤字対GDP比半減という「緊縮財政」の目標が設定された。

 本来、財政健全化の定義は「政府の負債対GDP比率の低下」だ。財政健全化の目標を設定したいならば、当然ながら政府の負債対GDP比率の引き下げ目標を立てるべきなのだ。

 それにもかかわらず、安倍政権は財政健全化の手段の一つにすぎないPBをことさらにクローズアップし、黒字化目標を立ててしまった。 
 PB黒字化を短期で「主体的に」達成しようとすると、税収が増えない場合(2015年度は対前年比で減収になるだろう)、政府の歳出削減以外にやれることがない。

 というわけで、政府が支出を削り、日本を再デフレ化させ、GDPを減らし、税収が減り、さらなる歳出削減、という悪循環に突っ込んでいくことになってしまう。

 我々もまた、緊縮財政の犠牲者であるという「現実」を、日本国民はいい加減に理解するべきなのだ。
http://wjn.jp/article/detail/1252119/

 



万死に値する所業 2015-07-12
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12049464532.html

   


  ギリシャ議会が、アテネで市民が反緊縮のデモ行進をする中、EUと債権者側が示した120億ユーロの緊縮財政を承認しました。


 国民投票は、何だったんだという話で、これでチプラス政権は支持率を失い、早急に退陣という運びになると予想します。

 というか、自分の首を賭けて緊縮を受け入れるなら、別に国民投票に打って出る必要はなかったでしょうに・・・。

『ギリシャ議会:譲歩案を賛成多数で承認
http://mainichi.jp/select/news/20150711k0000e030166000c.html


 ギリシャ議会(1院制、定数300)は11日未明(日本時間同日午前)、チプラス政権が欧州連合(EU)など債権者側に示した120億ユーロ(約1兆6000億円)規模の財政改革案を賛成多数で承認した。ロイター通信によると賛成251、反対32、棄権8で9人が採決を欠席した。ギリシャが改革実行への決意を示し、EUなど債権者側も改革案を肯定的に評価しており、11日のユーロ圏財務相会合でのEU側との支援交渉開始に向け大きく前進したことになる。

 改革案は、総額535億ユーロ(約7兆2000億円)の金融支援をEU側から受けるための条件。EU側が要求した緊縮策をほぼ受け入れる内容のため、5日の国民投票で緊縮反対を訴えた与党・急進左派連合(149議席)の一部から強い反発が出て、審議が長時間にわたった。

 だが、最大野党の中道右派・新民主主義党(76議席)など野党の大半はユーロ圏残留を最優先すべきだと主張し、賛成に回った。

 チプラス首相は採決を前に「国家としての責任を問う選択だ。私たちには国民を守る義務がある」と、賛成投票を促した。改革案について「公約とはかけ離れている」と認めたが「EU側の提案よりは少なくとも良い」と主張した。(後略)』


 朝日新聞の記事「私たちの国民投票どこへ? ギリシャで緊縮反対デモ(7月11日)」で、興味深いインタビューが載っていました。アテネで街頭インタビューに答えた元数学教師のステリオス・マリーニヌさん(65)が、

「EUのせいでギリシャは生産性を失い、外国から製品を買わされるばかりになった。緊縮財政には最後まで『ノー』を貫き、EUを離脱すべきだ」

 と、語っているのです。


 本質を突いています。結局のところ、ギリシャ問題とは、

「生産性が異なる国同士が国際協定で統一市場、統一通貨を構築し、フェアに競争すると何が起きるのか?」

 という実験の結果を、典型的に示してくれたという話なのです。


 経常収支のインバランスが発生し、さらに国債発行まで「フェアに競争」ることになり、負け組は金利が高くなり、生産性向上のための投資が困難になります。さらに、関税や為替レートで自国市場を保護することもできない。


 最終的には、経常収支の赤字(対外純負債の増加)が限界に達し、政府が財政破綻するわけです。


 ちなみに、ギリシャのGDPは1790億ユーロであるため、120億ユーロの緊縮とは対GDP比6.7%のマイナスのインパクトが生じます。


 すでにして、ギリシャのGDPはピークから26%減り、失業率は全体で26%、若年層失業率は60%超。この上、更なる緊縮財政。


 失業者たちは、現在の所得を得られないのはもちろんのこと、自身の中に仕事の経験、ノウハウ、スキル、技能等を蓄積する機会を奪われ、将来的に「人材」に成長することがありません。すなわち、先のステリオス・マリーニヌさんではないですが、ギリシャは高失業率に対する対策を打てない時点で、生産性向上が不可能な環境に置かれているのです。


 将来的に(「近い」将来的に)、ギリシャは発展途上国に舞い戻ることになるでしょう。これまでにギリシャが先進国だったのかという議論は置いておいて(わたくしは、そうは思っていません)、更なる発展途上国化が進むという話です。


 一つ、世界にとっていいことがあるとしたら、今回のギリシャ議会の決定により、緊縮財政が国民経済にどれほど凄まじい「害」を与えるか、さらに世界に示す結果になること確実、という点です。その分、ギリシャ国民が悲惨なことになってしまうわけですが。


 青木先生は、


【青木泰樹】ギリシャ危機は対岸の火事ではない
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/07/11/aoki-16/


 において、EUやユーロがギリシャにやってきたことについて、

「欧州委員会(EU)、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)という三者、いわゆるトロイカに押し付けられたPB目標を達成しようとして、ギリシャは忠実に増税と歳出削減を履行し、結果的に経済を破綻させました。

 5年間でGDPは25%減少しました(日本に置き換えて考えるなら、日本の名目GDPは約490兆円ですから、120兆円以上が消し飛んだことになります)。

 失業率も平均で26%超、若年層に至っては60%超です。
 若者が希望の持てない、未来のない国にしてしまったのです。

 万死に値する所業です。
 ここまで経済を破壊して得たものは何か。
 若干のPB黒字だけです。」
 
 と、書いてらっしゃいますが、まさに「万死に値する所業」をギリシャは継続することになるわけです。若者が働く機会を得ることができない国家に、未来はありません。何しろ、しつこく書きますが、真の意味における「経済力」とは、


「国民のモノやサービスに対する需要を、国民の供給能力で満たすこと」


 なのです。そして、国民の供給能力は、国民が働くことによってしか蓄積されません。EUやギリシャ議会は、ギリシャの未来を奪いました。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12049464532.html





ギリシャ危機の原因についてメディアが嘘を並べています。 2015年07月06日

日本でもネット上でギリシャはヨーロッパの韓国だなんて、ギリシャをお荷物のように扱っていますが。。。メディアの報道に騙されている人々はギリシャと韓国を結び付けたがるのでしょうね。

ギリシャは、年金受給額も良いし、受給開始年齢も若いし、公務員の数もかなり多いのは確かですが。。。

以下の記事にて、ギリシャ経済がここまで悪くなったのは、金融エリートやグローバル企業(イルミナティ=ハザールマフィア)がギリシャを騙したからだということが分かります。なぜ、彼らはギリシャを騙してギリシャの財政を破綻させたのでしょうか。。。

彼らはギリシャの民営化を強要し、ギリシャの重要なインフラや遺産や資産を安く買い取ってしまったのです。そしてギリシャ政府をも乗っ取ったのです。ギリシャは彼らの支配下となり、完全に荒されてしまいました。その目的は。。。ギリシャの富を奪うためです。

彼らは世界の国々から資源や資産を奪うことしか頭にありません。そのためには、あらゆる手段を講じて国を破壊し乗っ取ります。また、その国の国民がどうなってもかまわないと考えています。大量虐殺さえします。このような欲深く汚らしい獣たちが世界を支配している限り、世界は常に彼らによってコントロールされてしまいます。

今回の投票で、ギリシャ国民は緊縮財政にNOを突き付けました。ギリシャはユーロ離脱をすることになるのかもしれません。しかしギリシャが次に頼る国は残念ながら中国とロシアでしょう。そしてギリシャはロシアの中国の支配下になってしまいます。ギリシャがたとえユーロを離脱しても、ロシアと中国に頼り、BRICSの仲間になるなら、ギリシャは永遠に独立国になることはないでしょう。

ギリシャはロシアと中国に頼らず主権を取り戻すことができるのでしょうか。それとも、欧米と同じようにイルミナティ(ハザールマフィア、バチカン)が支配しているロシアと中国に助けを求め、ロシアや中国の命令に従う国家になってしまうのでしょうか。

最も気の毒なのはギリシャ国民です。どの国も一般国民が犠牲となります。


http://beforeitsnews.com/eu/2015/07/greece-the-one-biggest-lie-you-are-being-told-by-the-media-2585602.html
(概要)
7月5日付け:Greece — The One Biggest Lie You Are Being Told By The Media


No to blackmail and austerity

By Truth and Satire

ギリシャ危機に関して、どこのメディアもギリシャが悪いと批判をしています。例えば、ギリシャ政府は巨額の財政支出を行ってきたために破たんしたとか、寛大な金融機関が彼らにお金をあげたのにギリシャはお金の管理がきちんとできなかったため返済不能になったとか。。。このような批判はいかにも筋の通っ手いるように見えます。

しかしメディアのギリシャ批判は全くの嘘に基づいています。ギリシャだけでなくスペイン、ポルトガル、イタリア、アイルランドもギリシャと同じように様々な種類の緊縮財政を強いられています。

また、ラテンアメリカ、アジア、アフリカ諸国に関しても、数十年前から金融機関や企業体は大きな嘘をついてきました。
つまり、ギリシャは自ら破たんしたのではありません。破たんさせられたのです。
グローバル金融機関がギリシャ政府をつぶし意図的に持続不可能な債務を押し付けたのです。

しかも、収益を創出する公有資産はオルガルキーとグローバル企業に売却されました。

例えば、マフィアが流行っているレストランを乗っ取る時には、まず、レストランの営業を妨害し、レストランで殺人事件を起こすか放火をします。

レストランの経営が悪化すると、ゴッドファーザーはレストラン側に寛大にも大金を与えます。その代り、マフィアはレストランの経営権を奪います。

このようにマフィアはレストランのオーナーに窮乏の連鎖を与え、オーナーを一文無しにさせます。オーナーが殺されずに済むならかなり運が良いということです。

では、グローバル金融機関のやり方はどうでしょうか。

彼らは4段階に分けて対象国を破綻させます。


第一段階: ウォール街とグローバル銀行が仕組んだ2008年の金融恐慌により、ギリシャの経済がかなり悪化しました。金融機関は、金融恐慌を起こすために、サブプライム・ローンを誰にでも貸しつけ、それらを証券パッケージにして売りさばき世界中の金融機関に大きな利益をもたらしたのです。

金融エリートらは、このような恐ろしい構想を実行に移しました。そして、サブプライムローンを使った犯罪活動の実行部隊は金融エリートらが支配するS&P、フィッチアンドムーディーズなどの格付け機関です。彼らは初めから国家を破たんさせるために作り出した金融商品に対し、意図的に素晴らしい評価をしたのです。

恥知らずな政治家のトニー・ブレア英首相はゴールドマンサックスと共謀しサブプライムローン関連の証券をヨーロッパ諸国の政府、年金基金、地方自治体に売りさばきました。その結果、金融機関やウォール街の権威者たちは何千億ドルもの利益を得ました。

しかし第二段階に移ると、彼らはさらに巨額の富を得たのです。


第二段階:彼らは適時にサブプライムローンを崩壊させました。世界中の金融機関がたった数週間で破たんしてしまいました。そして各国の政府(地方政府?)の投資資金や資産が消滅しました。世界中がカオス状態となりました。
一方、ゴールドマンサックスなどのハゲワシは以下の3つの方法で巨額の富を得ました。


1)彼らはリーマンブラザーズやワシントン・ミューチュアルを通常よりもかなり安い価格で買収したのです。

2)ゴールドマンサックスやジョン・ポールソンなどのインサイダーらは、サブプライム証券が破たんすると賭けました。もちろんポールソンは賭けに勝ち、メディアは彼らの洞察力の良さを賞賛しました。これは9.11のテロリストが9.11が起こることに賭け、巨額の利益を得た場合と同じです。

3)厚かましい大手金融機関は、傷口を塩で擦るために、彼らによって生活が破壊された国民が納めた税金を金融機関の緊急支援にまわせと要請したのです。

アメリカの大手金融機関は納税者が納めた何千億ドルもの税金を強奪しました。また金融エリートらの偽装団体であるFRBからも何兆ドルもの緊急支援を得ました。
ギリシャでは、国内の金融機関がギリシャ国民が納めた税金のうち300億ドルの緊急支援を得ました。


第三段階:グローバル金融機関は対象国の政府に巨額の債務を無理やり受け入れさせました。

寄生虫の金融エリートらが使ったテクニックとは。。。2009年末から、対象国の国債を格下げしました。その直後に国債利回りが上昇しました。そして対象国はこれ以上借金をすることが難しくなり。。。既存の国債をロールオーバー?することも難しい状況になりました。

2009年から2010年中旬にかけて、ギリシャの10年国債の利回りが3倍に上昇しました。このような残酷な金融テロ攻撃を行った金融エリートらは、次に、ギリシャ政府を服従させ、ギリシャとの最初の協議では1100億ユーロを勝ち取りました。

さらに彼らは、破たんした国の政治家をも支配するようになりました。当時のギリシャ首相は2回目の巨額の緊急支援を断ったとき、彼らはギリシャ首相を即退任させ、欧州中央銀行の副総裁をギリシャ首相に任命しました。(選挙は行われませんでした。)

この時、金融エリートらはギリシャの民主主義を破壊しました。

そして新首相は、金融エリートらが用意した書類に署名するだけのパペットでした。

翌日にはイタリアでも全く同じことが起きたのです。イタリアの首相が辞任し、金融エリートらのパペットが新首相になりました。

その10日後にスペインで早すぎる選挙が行われ、スペインでも金融エリートらのパペットが新首相となりました。

2012年には、金融エリートらは証券市場の操作を行い、ギリシャの国債の利回りを50%まで引き上げました。彼らによるギリシャに対する金融テロはすぐに効果が表れました。

それは。。。ギリシャ国会が金融エリートらが押し付ける2回目の巨額の緊急支援(一回目よりもはるかに多い額)を受け入れることになったのです。

このようにギリシャが2回の緊急支援を受け巨額の債務を抱えた時に金融エリートらはギリシャに対して国の資産の民営化を強要しました。


第四段階:ギリシャは強制的に押し付けられた債務により、国が所有する様々な重要資産をオルガルキーやグローバル企業に売却しなければならなくなりました。
民営化は無慈悲です。有益な国の資産が全て民営化されてしまいました。ギリシャの民営化は水道、電気、郵便、航空サービス、国営銀行、テレコミュニケーション、港湾管理(ギリシャは世界有数の海運国家でした。)、その他の施設にまでおよびました。

さらに、金融界の暴君たちは、ギリシャ政府の予算を全て決定しました。つまり政府が予算を決めることができなくなったのです。

ギリシャの民営化後に金融エリートらによる独裁政治が始まると、政府の歳入が減り、借金が増えていきました。そうなると、緊縮財政を受け入れざるを得なくなります。

公務員の大量リストラ、最低賃金の引き下げ、社会福祉のカット、年金の引き下げ、そしてギリシャ人口の99%の人々(1%の富裕層には影響しない)の生活に影響を及ぼす増税が断行されました。

このような緊縮財政策が実施された結果、ギリシャは1930年代にアメリカで起きた大恐慌よりも酷い状態となってしまいました。

もちろん、金融エリートらは、ただちにギリシャのメディアの民営化を断行したため(彼らがギリシャのメディアを乗っ取った)、ギリシャ国民は金融エリートらにとって最も都合のよい報道やプロパガンダしか耳にすることができなくなりました。ギリシャのメディアは「金融機関はギリシャを救おうとしており、彼らが提案する緊縮財政が最も効果的な方法だ」と伝え続けたのです。

もし、緊縮財政の恐ろしさについてギリシャの全国民が理解していたなら、このような状況には陥らなかったでしょう。そして同じく緊縮財政を強いられたスペイン、イタリア、ポルトガル、アイルランド、その他の国々も同じなのです。

このような残酷な政策は今に始まったことではありません。第二次世界大戦以降、アジア、ラテンアメリカ、アフリカでIMFと世界銀行により緊縮財政が断行されたのです。

これこそ、ニューワールドオーダーの本質なのです。世界はほんの一握りのエリートらによって支配されています。

今まさに、ギリシャの素晴らしい人々がゼウスのように立ち上がるべきときがきました。ギリシャ国民は欲深いパペットマスターや国賊のオルガルキー、寄生虫の金融エリート、腐敗した政治家にNOを、そして彼らが押し付ける緊縮財政にNOを突き付けましょう。
http://blog.livedoor.jp/wisdomkeeper/archives/51963097.html




2015年7月23日 木曜日
緊縮財政のギリシャで 軍事予算だけは削られない理由
ジャーナリスト 堤未果


二〇一五年六月三十日。ギリシャはIMFへの返済が出来ず、事実上債務不履行に陥った。七月五日には、EUからの要望である緊縮策の賛否を問う国民投票が実施された。

ここまで財政赤字が膨れ上がった原因は、高すぎる年金、公務員優遇だなどと報道されているが、何故か触れられないもうひとつの重要要素についてはあまり知られていない。

債務の半分以上を占めるといわれる、防衛予算だ。

NATO同盟国28か国の中で、ギリシャの軍事支出はトップのアメリカに次いで2位と突出している。金融危機から5年たった2015年においても、財政赤字がGDPの175%だった前年よりも軍事費は1%増やし、GDP比2.4%というEU最大規模を維持し続けているのだ。

この問題について、欧州外交政策財団のサノス・ドコス所長はガーディアン紙のインタビューでこう答えている。

「1300車両という、イギリスの二倍以上の数の戦車が本当に必要なのかどうかは議論が分かれるところだろう。だがトルコの軍事的脅威に対しバランスをとるためには、やむを得ない措置なのだ」

トルコの脅威。だが本当にそれだけだろうか?

奇妙なことに、危機に陥ってからこの間、IMFやEU、欧州中央銀行から提示された緊縮財政メニューの中に、軍事費削減はのっていない。

ギリシャへの財政支援条件として最も強く緊縮財政を要求していた債権国のドイツも、ギリシャに軍事費を半減させ、ドイツと同じGDPの1%台に抑える事でIMFへの当座の支払いをさせるという現実的な要求は決してしなかった。代わりにメルケル首相は、救済金の大半を国内経済の立て直しではなく軍事支出に振り分けるよう、ギリシャ政府に圧力をかけている。

だがメルケル首相にはそうするだけの理由があった。ドイツは武器輸入大国ギリシャから、アメリカに次いで最も恩恵を受けている国の一つだからだ。ちなみに三位は、ドイツ同様長年ギリシャ政府に軍事費増の政治的圧力をかけてきた、

やはり債権国のフランス。2010年から2014年までの5年間、ギリシャ政府は5億5100万ドル分の武器をドイツから、1億3600万ドルの武器をフランスから購入している。

二〇一二年に金融支援の条件としてギリシャ政府が課された20%もの最低賃金引き下げや、公務員の給与凍結は一体何のためだったのか?IMFに言われるままに、障害者の自己負担を高騰させ、医師数を大幅に減らし、病院を閉鎖させ、国家にとって最大の財産である筈の国民を公衆衛生上の危機に陥れた対価は、更なる財政赤字となってギリシャ政府にのしかかった。

二〇一〇年に、メルケル首相とサルコジ大統領が、借入金が入る前に武器輸入契約の維持をギリシャ政府に約束させた事実や、二〇一三年にドイツの防衛産業からの収賄が暴露されたギリシャの元防衛大臣他政府高官らの逮捕など、次々に暴露される腐敗劇に国民の怒りは爆発寸前だ。

百万人の失業者、ホームレス人口の急増、若者の二人に一人が職を失い、二十万人もの国民が国外へ逃げ、貧困層の間で感染症が拡大しているギリシャ。

欧米の商業 マスコミが描く公務員天国の自堕落なギリシャ像の裏で、笑いが止まらない勝ち組たちの姿が、私たちに見えるだろうか?

(週刊現代「ジャーナリストの目」2015年7月掲載記事)
http://www.mikatsutsumi.org/blog/?p=98


ジョージ・ソロス氏: ギリシャ経済はユーロ圏にいる限り決して回復しない2016年1月10日
http://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/2277


引き続き、ドイツの週刊ビジネス誌Wirtschaftsによるジョージ・ソロス氏のインタビュー(原文ドイツ語)の翻訳である。今回はギリシャ問題の先行きについてである。

先ず、ユーロ圏における緊縮財政に対するソロス氏の意見は以前より一貫している。ドイツのメルケル首相がTIME誌の「Person of the Year」に選ばれたことについて、これは過大な評価かと聞かれ、ソロス氏はこう答えた。


とんでもない。メルケル氏がヨーロッパに押し付けている緊縮財政はどうしようもなく間違っているが、彼女が長らくヨーロッパの指導者として、そして間接的には自由を尊重する世界全体の旗手として、疑いようのない活躍をしていることは確かだ。

移民受け入れはオープンな社会を望むソロス氏の政治的立場と一致している。しかし今回の主題は経済である。ユーロ圏の盟主としてのドイツの立場について、彼はこう語る。


ドイツはメルケル氏のリーダーシップのもとヨーロッパの覇権国(訳注:経済学の術語、ウィキペディア)となったが、しかしドイツは覇権国として得られる利益に対し対価を払わなければならない。

ドイツ人が負債についてどれほどギリシャ人を責めようとも、対価を払うべきなのはドイツなのだ。覇権国には覇権国に委ねられた他国の利害というものがある。ドイツは1945年以後のアメリカのように義務を果たすのかどうか、決めるべき時が来ている。

読者にも周知のように、わたしもこれに同意する。というよりは、これに同意しない人間は経済学に明るくない人々とドイツ人だけである。経済学には以下の等式がある。
•政府貯蓄 = 貿易収支 + 投資 – 民間貯蓄

つまりは貿易収支が増えれば政府の赤字は減り、貿易収支が減れば政府の赤字は増える。ユーロという通貨がドイツにとって非常に安く、ギリシャにとって非常に高いという事実を思い出そう。この事実は長年ドイツの政府債務を軽減し、ギリシャの政府債務を肥大化させてきた。

したがってドイツ人が勤勉でギリシャ人が怠惰であるというのは、上記の経済的事実から生じた全くのまやかしである。両方の国を知る人間は、ドイツ人の仕事ぶりが評判に反して案外に適当で無責任であり、ギリシャ人がとりわけ怠惰ではないということを知っている。

ギリシャはどうなるだろうか? ソロス氏はこう予想する。


2009年後半にギリシャで債務危機が生じた時、ドイツの率いるEUは支援の手を差し伸べた。だが要求した対価が大きすぎた。彼らはあまりに高い利子を負債に課したため、ギリシャは負債を返せなくなってしまった。残念ながら、ドイツは最近の交渉で同じ誤りを犯した。ドイツの強制した条件はギリシャを更に深刻な債務危機へと陥れるだろう。ギリシャの負債が返済されることはない。

ギリシャは投資先としてどうかと聞かれると、ソロス氏はこう答えた。


ギリシャがユーロ圏に留まる限り、魅力的な投資先にはなりえない。ユーロ圏のなかではギリシャは決して回復することはない。通貨レートが高すぎるからだ。

もう一度例の等式を思い出そう。彼も単純にこの式を想定しているはずである。
•政府貯蓄 = 貿易収支 + 投資 – 民間貯蓄

ドイツ人にまともな経済学の知識さえあればユーロ圏の悲劇は起きなかったのだが、彼らは自分に都合の悪い事実は見ようとしない。彼らの財政黒字が自分たちの勤勉さの結果だと信じたいのだ。

彼らの主題は常に、自分を誇ることができるかどうかにある。そしてドイツの振る舞いのために南欧諸国の貧困層が子供にスリや売春を押し付ける生活を送ろうとも、ドイツ人は決して気に留めることがない。
•ヨーロッパには移民受け入れ能力はない: イタリアで邂逅した少女の話とドイツの欺瞞

ドイツ人が自己中心的な国民性を形成した歴史的、文化的背景については以下の記事に詳しく書いたので、そちらを参考にしてほしい。
•移民を歓迎するドイツの本音と哀れなハンガリーの受難

ヨーロッパの今後については、個人的にはもう諦めつつある。あまりに多くの悲劇が既に起こってしまった。本当に行くところまで行かなければ、彼らは気付かないのだろう。
•パリ同時多発テロの犠牲者130人はドイツが殺した
•大晦日に移民が集団でヨーロッパ人女性に性的暴行、ドイツ、スイス、フィンランドで


ユーロ圏がドイツの植民地だと一目で分かる各加盟国の貿易収支比較2017年1月29日
http://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/5343

ユーロ圏は崩壊寸前である。2010年には欧州債務危機が起こり、南欧諸国の財政は破綻の危機に瀕した。ユーロ圏の失業率はいまだ10%近い水準であり、イタリアやフランスにはユーロ圏やEUからの離脱の兆候が見られる。


•イタリア改憲国民投票否決はユーロ圏離脱の始まり

•フランス大統領候補ル・ペン氏: EUは死んだ、変化なければフランスはEU離脱を


しかし何故ユーロ圏はこれほどに混乱しているのか? 移民問題などの理由もあるが、経済的な混乱の原因は、一つの経済指標を調べれば非常に端的に理解できる。それはユーロ加盟国の貿易収支である。


為替レートと貿易収支

ここの読者にはお馴染みの話となるが、先ずは為替レートと貿易収支にどういう関係があるのかから説明したい。

アベノミクスが量的緩和で紙幣を印刷し、日本円の価値を意図的に引き下げたのは、通貨安になれば国内の輸出企業にとって利益となるからである。自国の通貨が安ければ、自国通貨建てでは同じ値段の輸出品であったとしても、外国の買い手から見れば安くなるため、輸出品が売れやすくなるわけである。

では、ユーロ圏の場合にはこの理屈はどう作用しているか? ユーロは元々別の通貨を使っていた複数の国がその通貨を統一したものである。元々、ドイツにはマルク、フランスにはフラン、イタリアにはリラという通貨があったが、これがすべてユーロという一つの通貨に統一されたのである。

ユーロ採用以前にはそれぞれの通貨がそれぞれの通貨に対して為替レートを変動させていた。イタリアの輸出が振るわない場合、景気刺激のために金融緩和をすれば、イタリアのリラはドイツのマルクに対して下落し、イタリアの輸出業は通貨安による一時的な底上げを得ることが出来た。変動通貨制においてはその国の産業の好調不調に対してこのように自動の調整機能が働くのである。

しかし、いまやヨーロッパの大部分はユーロを採用した。つまり、複数の国が一つの為替レートを使用していることになるわけだが、ではその一つの為替レートはどのように決まっているのか?

それは、非常に大まかに例えとして言えば、すべての加盟国の為替レートの平均となる。ユーロ圏内で豊かな国は先ずドイツであり、輸出で外貨を稼ぎ、金融緩和も南欧諸国ほど必要としないドイツのマルクは強かった。一方で、ドイツ経済より弱く、失業率がドイツほど低くないイタリアのリラは、一般論で言えばマルクより弱い通貨であった。それがユーロという一つの通貨に統一されるのだから、ユーロの為替レートはある意味その間を取ったものになるわけである。


矛盾をはらんだ共通通貨ユーロ

この「平均的な」ユーロこそが問題の元凶であった。大国ドイツが入ったユーロという通貨は、当然イタリアのリラよりも高くなった。結果、イタリアの輸出は振るわず、ユーロ圏加盟前にはGDP比で5%近くあったイタリアの貿易黒字は、1998年のユーロへの段階的移行を境に瞬く間に減少してゆき、ついには貿易赤字の状態まで転落してゆく。

http://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2017/01/italys-net-exports-to-gdp-after-joining-euro.png


その悪化は10年以上続き、ようやく改善されたのは2010年に欧州債務危機が表出してECB(欧州中央銀行)が事後的に対策に乗り出してからである。それまでの間にイタリアの債務は膨れ上がり、経済は瀕死の状態まで追い込まれてしまった。

輸出が振るわないということは、外貨を稼ぐことが出来ないということである。マクロ経済学上、稼いだ外貨は政府と民間で分け合う(つまり輸出の利益は税金と企業利益に分割される)ことになるため、外貨を稼ぐことが出来なければ、輸出企業の利益が減少するだけでなく、税金を得られない政府の財政も急激に悪化してゆくことになる。これこそが欧州債務危機の真実なのである。


他国の状況

「高すぎるユーロ」の犠牲となったのはイタリアだけではない。スペインの貿易収支も1998年辺りを境に同じような下落トレンドを辿っている。その悪化速度はもはや見事なほどである。

http://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2017/01/spains-net-exports-to-gdp-after-joining-euro.png


ユーロ圏で一番状態の悪いギリシャの貿易赤字は一時GDPの10%を超えるところまで悪化した。

http://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2017/01/greeces-net-exports-to-gdp-after-joining-euro.png


ニュースになったギリシャの債務危機は、高すぎるユーロのために外貨が稼げなくなったことが理由であり、南欧諸国の財政が悪化してゆく理由はこうしたグラフを眺めれば素人でも分かるものだったにもかかわらず、明らかに必要とされていた金融緩和をドイツが自分に必要がないからという理由で頑なに拒否し続けたために起こった悲劇である。

それでもドイツ人はギリシャ人を怠惰だと罵り続けた。しかし経済学の知識のある人々は全員、その原因がユーロにあると知っていた。
•ジョージ・ソロス氏: ギリシャ経済はユーロ圏にいる限り決して回復しない

因みに興味深いことに、こうした貿易収支の悪化を経験しているのは南欧諸国だけではない。以下はユーロ圏で二番目に大きいフランス経済の貿易収支である。

http://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2017/01/frances-net-exports-to-gdp-after-joining-euro.png

天秤の反対側

さて、加盟国の通貨レートの「平均」であるユーロがこうした国々にとって高すぎるということは、その天秤の反対側にはユーロが自国にとって安すぎる状態となっている国があるはずである。そしてその国の貿易収支は、上記の国々の貿易収支が悪化した分、凄まじい改善を見せているはずである。

その国はドイツである。以下はドイツの貿易収支のチャートである。もう笑うしか無いだろう。

http://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2017/01/germanys-net-exports-to-gdp-after-joining-euro.png


これがドイツ人が他のユーロ加盟国の犠牲をもとに稼いだ外貨の総量である。GDPの7%分にも達している。ドイツ人はこれらの外貨を自分の政府の財政状態の改善のために使い、その結果実現したドイツの財政黒字をドイツ人が勤勉である証拠だと誇っている。そしてイタリア人やギリシャ人を怠惰だと馬鹿にしているのである。


結論

しかし他国人はそうは見ていない。こうしたユーロ圏の狂気を知っていたイギリス人は2016年に何を決断したのだったか? イギリスのEU離脱を主導したジョンソン外相の言葉をもう一度眺めたい。


•元ロンドン市長: EU統一を目指すドイツの目的はヒトラーと同じヨーロッパ支配だ


EUの悲惨な失敗は加盟国間の緊張をもたらし、そしてドイツにヨーロッパにおける過大な権力を与え、彼らがイタリア経済を乗っ取り、ギリシャを破壊することを許す結果となった。

イタリア人はかつて優れた自動車製造業を誇っていたが、これはユーロによって完全に破壊されてしまった。ドイツ人が望んだ通りにである。

ユーロはドイツの生産力がユーロ圏の他の地域に対して不可侵の優位性を得るための道具となってしまった。これはわれわれイギリス人にとって、節度と常識の声としてヨーロッパの救世主となり、目の前で繰り広げられる無秩序を止めるためのチャンスなのだ。

このように、経済的に完全にドイツの植民地となったヨーロッパの現状を詳細に理解しながら、イタリア人とフランス人が2017年にどういう政治的決断を行うのかについてもう一度思いを巡らせてみたい。ル・ペン氏の言葉通り、EUは既に死んでいるのである。

•イタリア改憲国民投票否決はユーロ圏離脱の始まり

•フランス大統領候補ル・ペン氏: EUは死んだ、変化なければフランスはEU離脱を


http://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/5343


2017年02月25日
ドイツの植民地と化したギリシャ、緊縮財政の末路

ドイツはギリシャを騙して財政悪化させて支配下に置いた
引用:http://mandiner.hu/attachment/0122/121638_merkel_ciprasz.jpg


経済植民地になったギリシャ

2010年のギリシャ危機から早くも7年が経ったが、あれからギリシャがどうなったのか報道されなくなりました。

IMFの管理下に入って支援を受け、ドイツなどEUからも支援を受けたが、悪くなる一方だと言われています。

IMFが僅かな金融支援の代わりにギリシャに求めたのは破壊的な緊縮財政で、実行すればギリシャ経済が破綻するのは予想できた。

       

IMFおよび欧州議会は「今すぐに」財政黒字化を達成するようギリシャに迫り、その手段は国家予算をカットする以外に無い。

例えば日本の政府予算は年100兆円だが、他にも地方予算が100兆円ほどあるので、合計200兆円くらいの規模になっている。

日本のGDPは500兆円なので、そのうち4割の税金を徴収すれば財政赤字にはならないが、税収額が下回っているので赤字です。


これを例えば「明日財政黒字にしろ」と指示されて政府と地方予算を半減したら、経済活動が縮小して不況になります。

その代わりにIMFとドイツが「はした金」を援助してくれるが、結果は支援を受けないのと変わらない気がします。

このような経済政策は下の下で、第一次大戦後にドイツを経済破綻させたフランスの手口と同じです。


フランスも当時のドイツに緊縮財政を要求して、はした金を出し、事実上ドイツを植民地支配する事にしました。

国民生活が破綻したドイツでは「フランス野郎をぶちのめせ!」と主張するナチス党が大人気になり、後に公約は実行されました。

戦争に勝ったからといって調子に乗りすぎたフランス人が悪いので、自業自得というところです。


ドイツがギリシャにした事

ギリシャの財政危機が表面化したときに、ドイツのメルケル首相は「ギリシャ人は怠け者だからこうなった」と露骨にギリシャ人を見下す発言をしました。

実際その通りなら仕方がないが、ギリシャはEUに加盟するまで欧州でもっと健全財政で、怠け者でも浪費家でもありませんでした。

ギリシャはGDP2422億ドル(約27兆円)で政府債務は計約3200億ユーロ(約43兆円)だったが、最初からこんなに酷かったのではなかった。


ギリシャは1981年にEU加盟し、1990年にEU統合し、2002年にユーロを導入しました。

1990年のギリシャ政府債務はGDP比50%以下と健全だったが、ユーロ加盟条件は単年度赤字GDP3%以下、政府債務残高はGDP60%以下でした。

2002年時点でEUの財政規律を守っている国は一カ国も無かったが、ギリシャはEUの勧告に従って緊縮財政に転換しました。


財政が健全だった国が緊縮財政をすると経済成長率が低下し税収も少なくなるが、運が良ければ財政赤字が減少します。

たとえば日本は1990年時点での財政は(今よりも)健全だったが、やはりIMFや欧米の勧告に従って緊縮財政に転換しました。

消費税のように増税して支出を減らしたのだが、それ以上に景気悪化で税収が減ったので、財政赤字は悪化しました。


ギリシャでも同じ事が起きて財政破綻してしまい、EUとドイツ、IMFなどに従ったせいで国が破産してしまいました。

1990年に健全財政だったギリシャだが、ドイツの口車に乗って緊縮財政にした結果、2002年にGDP比98%になっていました。

2011年には170%に達したが、またドイツとEU、IMFに従って緊縮財政した結果、GDP比180%以上に増えています。

「ギリシャ人は怠け者だ」とメルケルは言ったが、実際はギリシャの労働時間はドイツよりもずっと長いのが分かっている。


食い物にされていく日本とギリシャ

結局緊縮財政で政府が支出を減らすと、経済活動が縮小して節約した以上に税収が減るという、戦前の経済理論をおさらいしただけでした。

アメリカは1929年に大恐慌で経済破綻しやはり緊縮財政したが、節約すればするほど財政が悪化してしまいました。

この間違った政策を正したのが教科書に出てきたニューディール政策で、ルーズベルト大統領は逆に公共事業でお金をばら撒いて経済と財政を好転させました。


つまり緊縮財政すると財政悪化して最終的に経済破綻するのは、70年も前に分かっていた事で、ドイツ人はギリシャが破産するのを承知でやらせていました。

日本の緊縮政策も全く同じで、緊縮財政すれば経済破綻するのを最初から知りながら、財務省は緊縮と増税に突っ走っています。

財務省がそうする理由は増税すれば出世するからで、アメリカが緊縮財政と消費増税を指示しているからでもある。


ドイツやアメリカが自分では浪費しておいて、なんで日本とギリシャに緊縮を迫るのかは、敵国を破産させる為です。

アメリカは1980年代に財政赤字で破産しかけましたが、レーガンは軍拡と浪費政策を取り、90年には日米逆転していました。

当たり前のことで政府がお金を使えば経済が拡大して税収が増え、政府が緊縮すればするほど財政赤字が拡大していきます。


アメリカにとっては日本経済が好転して良い事は一つも無く、ライバルは落ちていったほうが良いに決まっています。

その口車にまんまと乗せられているのが財務省の無能官僚たち、そして財務官僚に経済を教えてもらって「経済通」を自認しているのが麻生財務大臣と自民党政治家です。

この構図が続く限り、アベノミクスがどうなろうと日本の再生はありえず、ギリシャと同じになるでしょう。
http://thutmose.blog.jp/archives/69556428.html


2017年03月01日
ドイツはなぜ難民が溢れても財政黒字なのか

メルケルはドイツが繁栄した時期に首相を務めた
引用:https://jp.sputniknews.com/images/149/31/1493178.jpg


ドイツはなぜ財政黒字なのか

ドイツを巡って2つのニュースが2017年2月に世界へ伝わり、一つは良いことで、もう一つは悪いことだった。

良いほうはドイツの財政黒字が統一後最大になり、お金が余って使い道に困っているという話でした。

悪いほうはドイツで排他主義が勢力を増し、難民施設襲撃が過去最多になったという話題でした。

まずドイツの財政黒字については本当に黒字なのか、黒字に見せかけているだけなのかを慎重に見極める必要がある。

というのは国家の「借金」は国家の「資産」と同額であり、ドイツの資産の分だけ必ずどこかに借金が存在するからです。

日本の財務省は毎日24回は「日本は世界最大の借金を抱えている」と1000兆円の借金を誇示しているが、半分本当で半分は嘘です。


まず日本政府の借金が仮に1000兆円だとしても、世界最大はアメリカか中国のどちらかです。

両国ともGDPが日本より大きいので金額で政府債務が上回っているのは当然として、対GDP比政府債務でも日本を上回っています。

アメリカは合衆国制なので「連邦債務」だけを公表し「公的債務」全体を公表しておらず、州や自治体、民間公的機関の債務は非公開にしています。


アメリカ全体の公的債務の合計は3500兆円とも5500兆円とも言われているが、建国以来一回も計算していないので大統領すら知らない。

アメリカのGDPは約1600兆円(1ドル100円として)なので公的債務3500兆円だとしても日本より良いという事はありません。

中国も省と国家は別々に経営されている上に、GDPも債務総額の数字も信憑性に乏しい。


なぜドイツだけが繁栄するのか

欧米の大手金融機関や情報機関の推測によると、中国の公的債務はGDP比200%から300%の間とされています。

ドイツも連邦制度でドイツ連邦とそれぞれの州は独立していて、連邦政府が発表した数字がドイツ国家の合計である訳ではない。

日本はどうかというと北海道から沖縄まで「日本政府」が配る予算で経営されていて、民間の公的機関の借金も政府債務に含めて発表しています。


ざっくりいうとアメリカ、中国、ドイツのような連邦制国家は、国全体の公的債務の2分の1か3分の1だけが「政府債務」で他は関係ないのです。

というわけでドイツの財政黒字もそれが本当なのかは、大いに疑って掛かる必要があるのです。

ドイツは2015年に300万人の移民を一旦は受け入れて、そのうち200万人を送り返したり他のEU諸国に押し付けて100万人を受け入れた。


2015年に約90万人の難民申請があり、2016年にも28万人の難民申請があり、さぞや財政負担で苦しんでいるだろうと思いきや、儲かりすぎて困っています。

ドイツは日本よりは遅いが高齢化と少子化が進んでいて、移民の負担もあるのに財政黒字になっている。

消費拡大と就業者数増加で税収が増えたが、メルケル首相は「黒字幅が小さすぎるので支出は増やさない」と言っています。


ドイツ経済を支えているのは輸出で、EU統一通貨ユーロのおかげで、いくら輸出しても絶対に「円高不況」はおきません。

1ドル360円で輸出し放題だった頃の日本と同じと言ってよく、特にEU域内で関税なしの無制限で輸出できます。

その犠牲になっているのはドイツ以外のEU加盟国で、貿易黒字はほぼドイツだけで、他は全て貿易赤字に近い。


ドイツの春はいつまで続く

ギリシャが経済破綻したのもドイツのせいだし、他のEU諸国が不況なのもドイツのせいと言い切っても良いほどです。

EU域外への輸出でも、ギリシャやイタリアなど他の国の貿易赤字のおかげで、ユーロは安いままなので、ドイツの輸出は止まりません。

自動車王国の日本でも輸入車が10%を超え、大半をドイツ車が占めているのも、ユーロ安のお陰です。


財政黒字もユーロ安による無制限輸出のお陰で、この状況が続けばドイツはアメリカに匹敵する「超大国」になるかも知れません。

だがドイツの黒字を負担させられている他のEU諸国は、ずっとドイツ人の言いなりになるのかは分かりません。

イギリスのように「ドイツに支配されるのはごめんだ」と言ってEUから出て行くかもしれません。


ドイツでは実は「ドイツ人」つまり昔からのドイツ民族が急激に国外に移住し、変わって外国人がドイツに移住しています。

このためドイツの2割超が既に移民で占められていて、難民受け入れ後はさらに急速に移民が増加しています。

そうなると反発も強くなり、ナチズムを支持する人が増えたり、難民排斥を主張して襲撃する事件が多発しています。


12年に渡ってドイツ首相を勤めてきたメルケルは、難民政策の失敗でどうやら今年で交代する可能性が高い。

ドイツには日本の自民党やアメリカの2大政党のようなものがなく、少数政党が乱立して連立政権をつくっています。

メルケル交代をきっかけに、ドイツをめぐる情勢も変化していくと考えられます。
http://thutmose.blog.jp/archives/69641007.html


35. 中川隆[-7623] koaQ7Jey 2017年6月01日 10:18:58 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017年6月1日【島倉原】耐久財消費は格差問題の指標?
https://38news.jp/economy/10548


もう1カ月近く前のことになりますが、前々回の5月4日号では、 「GDP統計に見る、経済の衰退と家計の貧困化」と題して、 超長期的な傾向である「経済のサービス化」のこの10年ほどの停滞は、 日本経済の衰退と家計の貧困化が進んでいることの証であると論じました。
https://38news.jp/economy/10412

その際、議論の対象として取り上げなかった個人消費の大項目が、それなりに値段が張り、1年以上利用することが一般的な「耐久財」に対する支出。

自動車、家具、家電などが典型です。

その耐久財消費の個人消費全体に占める比率をたどってみると、サービス消費、非耐久財消費の超長期的な傾向とは、明らかに違った動きをしています。

しかも、同じ耐久財消費でも、日米の間では、これまた明らかな違いが見られます。

https://twitter.com/sima9ra/status/869842936468389889/photo/1?ref_src=twsrc%5Etfw&ref_url=https%3A%2F%2F38news.jp%2Feconomy%2F10548


アメリカの耐久財消費比率は、第二次世界大戦後横ばいで推移した後、1973年以降、とりわけ1980年代に入ってから、低下傾向となり現在に至ります。

対する日本は、バブル経済が生じた1980年代後半から急上昇した後、1996年まで上昇が続き、その後は低下傾向を示しています。

実は、こうした耐久財消費比率の低下傾向の始まりは、トマ・ピケティの『21世紀の資本』で示された、 両国においてトップ0.1%の所得シェアが上昇を開始したタイミングとほぼ一致します。

http://amzn.to/2r96pgZ
http://piketty.pse.ens.fr/files/capital21c/en/pdf/F9.5.pdf
http://piketty.pse.ens.fr/files/capital21c/en/pdf/F9.6.pdf

また、拙著『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』では、
就業環境の長期的動向を示す指標として、25〜54歳男性の就業率等を取り上げましたが、 同就業率が両国で低下傾向を示し始めたのも、ほぼ同じタイミングです。
http://amzn.to/1HF6UyO

現在に至る経済のグローバル化が本格化したのは1970年代以降。

その基盤となったのは、1960年代以降主要先進国で進められた国際資本移動の自由化。

主要先進国における1973年の変動為替相場制導入は、中でも画期的な出来事の1つでした。

そうしたグローバル化によって先進国労働者の就業環境が徐々に悪化し、それによって所得格差も拡大し、将来の所得見通しが立たない人々が増加する。

結果としてもたらされたのが、まとまった金額が必要な耐久財消費の比率低下であり、その典型が、世界経済の中心に位置するアメリカであったと考えられます。

対する日本は、1990年代半ばまでは国内経済、すなわち内需主導の成長を続けていたため、グローバル化時代以降も、終身雇用で賃金格差の少ない戦後の雇用制度が機能してきた。

ところが1990年代後半以降、国内経済すなわち名目GDPの成長が止まり、そうした制度が機能しなくなると共にグローバル化の悪影響が顕在化し、 格差拡大や耐久財消費比率の低下も生じています。

してみると、耐久財消費比率は格差問題の有力な指標と言えるのではないでしょうか。

政府が支出を切り詰める緊縮財政が、現在に至る国内経済の停滞の要因であることは、 従来から述べている通りです。

したがって政府が行うべきは本来、既に20年にも及ぶ緊縮財政路線から脱却すること。
しかしながら、国内経済の停滞でかえってグローバル化志向の影響力が強まったことで、 政府自らがその音頭を取り、国民経済を破壊しようとしている。
それが、「大胆な金融緩和によるデフレ脱却」という誤った処方せんを掲げた
安倍政権の下で進行している現実なのです。


経済の停滞により家計の貧困化や格差の拡大が進み、様々な社会問題が生じている
根幹には緊縮財政という経済政策の誤りがあること。
そのことを多面的、長期的な観点から理解されたい方のための一冊です。
↓『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』
http://amzn.to/1HF6UyO


2017年05月31日
アメリカ人の家計は火の車だった のしかかる住宅、医療、教育費

平均的なアメリカ人が一戸建てを買えたのは50年も前の話
引用:http://blog-imgs-54.fc2.com/g/l/o/globalproperty/MP900442184.jpg


アメリカ白人の苦悩

アメリカでは最近低学歴層や低所得層(ほとんど同じ意味だが)の寿命が短くなっている。

他の先進国や新興国ですらこうした数字は改善方向に向かっているが、アメリカでは逆に悪化している。

特に深刻なのが白人の低学歴、低収入層の短寿命化で、この20年ほどで急激に悪化していた。

          


NT紙によると高卒白人中年の年間死亡率は1999年から2014年までに、約3倍に上昇している。

では白人以外の人種はどうかというと、黒人の場合は最初からかなり高く、白人との比較では現在も高い。

ヒスパニック系中年の死亡率は白人や黒人よりもかなり低く、白人中年だけが悪化し続けていた。


白人の生存条件が急激に悪化するような変化が、この20年間でアメリカに起きているのを意味している。

高卒白人中年とわざわざ書いたのはアメリカでは高卒と大卒で社会が断絶しているからで、生涯収入で2倍から3倍の差がある。

アメリカの大卒は日本の大卒より高収入だが、アメリカの高卒は日本の高卒の半分以下の生涯収入だとされている。


高卒だと日本で言う「正社員」のような安定職業に就くのは不可能で、一生涯日雇い労働者から抜け出せない。

そして1990年代以降のアメリカでは競争や市場原理、IT化などで高卒の安定職業はますます減少し、ハンバーガーショップの店員すら液晶モニターに替わられてしまった。

高卒が自動車工場で働くとか、企業の社員になるなど、もはや親の世代の話になってしまった。


そして苦しんでいるのは白人だけではなかった。


プール付き一戸建ては幻になった

90年代以降のアメリカ経済は日本よりかなり良く、リーマンショック以降もいち早く立ち直り、羨ましいほど好調だった。

だが現実のアメリカ人は、生活がどんどん苦しくなり、「こんな馬鹿な」と思っているようです。

リーマンショックは元々2007年に「サブプライム住宅ローン」が破綻した住宅ローン問題から飛び火したのは、今は忘れ去られています。


アメリカ人の理想はプール付きの広い一戸建てを所有することで、政府や政治家もこれを実現すべく努めてきました。

その結果2007年には、ホームレスや無一文の移民にも高額の住宅ローンを貸付け、投資家には「絶対安心で高利回り」と言って出資させていました。

実態としてはもうアメリカの平均的夫婦がプール付き一戸建てを買うことなど不可能で、それどころか家賃すら払えなくなっている。


リーマンショックの乗り切るためにFRB(中央銀行)は空前の金融緩和を行って世界中にお金をばら撒きました。

日本の金融緩和はさっぱり効果が見えないが、アメリカでは不動産ブームが起きて住宅価格が高騰しました。

サンフランシスコ、ロサンゼルス、ニューヨークのような街では住宅を買うどころか、家賃も払えないほど高騰してしまった。


これらの都市では平均的な1LDKの1ヶ月の家賃が30万円以上であり、労働者の1ヶ月の賃金に等しい。

ハワイでも同様に家賃は高騰し、都市の外側に出なければ住居を借りれなくなった。

年収10万ドル(1100万円)以上あっても日本で言うワンルームを借りる事ができずに、ホームレス状態になったという笑えない話もある。


のしかかる教育費と医療費

アメリカでは大学に行かないと年収が2倍か3倍違うと書いたが、大学に行くための学費はますます高騰し、社会に出る前に1000万円以上の借金を背負う。

仮に親が払うとしたら、子供が2人居れば4年間の費用は数千万円+人数分なので、やはり重く圧し掛かっている。

加えてアメリカでは医療費が飛び切り高く、医療費負担を減らすための医療保険も高い。


救急車(有料)は1キロ走るごとに1万円以上請求されるのが普通で、国土が広いのでヘリで搬送すると1回数百万円が掛かる。

ガーゼ1枚数千円、消毒も数千円、簡単な治療で数万円、手術なら確実に100万円単位が請求される。

それではと医療保険に加入するが、民間医療保険は結局保険会社が儲けるので、加入するとトータルの支払い金額が増えてしまう。


日本の国保、社保は健康な人が病気の人の医療費を払う制度なのだが、アメリカ人はそういう制度を嫌います。

アメリカで破産する人の最も多い原因が医療費で、しかも破産した人の多くは医療保険に加入していました。


こうしてアメリカ人の家計の借金は増え続け、2017年3月末の家計債務残高は約12.7兆ドルにもなりました。

リーマンショックの最悪期2008年9月に約12.6兆ドルだったが、これを上回りました。

最も急激に増えたのが学生ローンで、2000年ごろにはほぼゼロだったのが、2017年には1.4兆ドルに成っています。


アメリカでは自動車販売が好調だったが、自動車ローンも学生ローンに近い水準に増えていて、これは自動車販売が持続しないのを意味している。

つまりアメリカの平均家庭では収入以上に借金が増えてしまい、家計は火の車であり、羨ましいどころではありませんでした。

むろんこれも低学歴で低収入な人ほど、恩恵が少なく負担だけが重かったのです。
http://www.thutmosev.com/archives/71143793.html


36. 中川隆[-7619] koaQ7Jey 2017年6月01日 17:30:27 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

グローバル化の流れは終わりを迎える 水野和夫・法政大教授に聞く 2017年6月1日


英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)や「米国第一主義」を掲げるトランプ米大統領の誕生など、内向き志向を強める世界経済はどこに向かうのか。

独自の視点でグローバル経済を論じてきた水野和夫・法政大教授が

『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』
https://www.amazon.co.jp/%E9%96%89%E3%81%98%E3%81%A6%E3%82%86%E3%81%8F%E5%B8%9D%E5%9B%BD%E3%81%A8%E9%80%86%E8%AA%AC%E3%81%AE21%E4%B8%96%E7%B4%80%E7%B5%8C%E6%B8%88-%E9%9B%86%E8%8B%B1%E7%A4%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E6%B0%B4%E9%87%8E-%E5%92%8C%E5%A4%AB/dp/4087208834

を上梓した。

500年続いた近代システムが、800年の資本主義の歴史とともに終わりを迎えつつあると主張する水野氏は、どんな先行きを見通しているのか。(聞き手は浅松和海)

――タイトルにある「閉じてゆく」とはどういう意味でしょうか。

水野:世界の国々は産業革命や技術革新を経て、「より遠く」「より速く」というグローバリズムの動きを進めてきました。こうした動きに逆行し、ある一定規模の同盟という形に回帰したり、自国第一主義の方向に進んだりする動きを「閉じる」と呼んでいます。世界の流れは今、この「閉じる」方向に向かっています。

 グローバル化が進むと、例えばある特定の企業のパワーが大きくなり過ぎるなどの弊害が起こります。ペーパーカンパニーを作って税金を逃れるようなケースも出ています。欧州などでは増えすぎた移民に対し、国民の不満が募っています。これもグローバル化による弊害と言えるでしょう。

――「閉じる」方向へ進んでいるのは世界全体でしょうか。

水野:昨年は英国がEUを離脱し、米国では自国第一主義を抱えるトランプ氏が大統領に選ばれました。どちらもグローバリズムの流れに逆行した、国を「閉じる」動きです。

――米国が北朝鮮問題など外交面で積極性を強めています。これはグローバルな動きとも言えないでしょうか。

水野:確かに米国は外交面で積極性を強めている部分もありますが、外交政策については継続性があり、いきなりやめられるものではありません。ただ、司法と争っている入国禁止令などはひるまずにやっています。外交面では難しくても、内政面でできるところでは自国第一主義を進めている状況です。

 日本などから見ればおかしい政策という気もしますが、米国ではヒスパニック系の人口が増え、遠からず多数派になると見られています。入国禁止令に賛成する白人層などは、そうした現状に危機感をおぼえているのだと思います。グローバル化を進めた結果、金融やビジネスの面では、米国は世界を支配してきました。ただ、人の面では逆に「乗っ取られ」そうになっているのが現状なんです。

仏大統領選で浮かび上がった「二重構造」

――5月のフランス大統領選では親EU派のマクロン氏がEU離脱を掲げるルペン氏に勝利しました。これは「閉じる」動きに反するものではありませんか。

水野:これも基本的には昨年からの英米の流れを引き継いだものと見ています。マクロン氏が選ばれたことは、フランスは一国単位ではなくEUというある一定の規模で「閉じる」ことを選んだということです。

 マクロン氏とルペン氏の対立は、グローバリズムとナショナリズムの対立という世界の構図をより鮮明に映し出しました。4月の第一回投票ではマクロン氏、ルペン氏を含む各候補の得票が僅差でした。これはフランスでもナショナリズム、グローバリズム双方の考え方が綱引きをしていることを示しています。

 同じ状況は、「閉じる」選択をした英米にも言えることです。英国ではEU離脱に対する批判がかなりあります。米国でもトランプ大統領の支持率が低いことなどが、そのことを物語っています。大きく世界の流れをとらえれば「閉じる」流れにありますが、個別で見るとそれぞれの国内で双方が綱引きしている二重構造になっているのです。

――なぜ二重構造になっているのでしょうか。

水野:「閉じる」流れがまだ過渡期にあるからです。グローバリズムは、(米国がドルと金の交換を停止した)ニクソンショックや石油危機の発生した1970年代から退潮が始まり、徐々に過渡期に入っています。

第4次産業革命は救世主にならない

――世界が「閉じる」方向へ向かう背景には何があるのでしょうか。

水野:前述の通り、グローバリズムの弊害が表面化していることがあります。その背景には資本主義が限界を迎えつつあるということがあります。資本主義はモノやサービスが足りないのが前提です。しかし、例えば日本では、コンビニエンスストアは飽和状態ですし、住宅も空き家が出るほど足りている状態です。廃棄される食品ロスも大量に発生しているほどです。

――AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)に代表される第4次産業革命によって新たな市場が生まれ、飽和状態が解消される。そんなふうに資本主義が今後も力を持つという可能性はないのでしょうか。

水野:AIをはじめ、今の技術革新の原則は「より遠く」「より速く」というグローバリズムの延長線上に乗ったものです。どういう結果になるかといえば、例えばAIであればAIを所有している人間に富がどんどん集まっていきます。

 AIというのはディープラーニング(深層学習)によって常に競争が行われ、瞬時に新しくなっていくものです。ということは負け組がいっぱいできて、最後に残ったわずかの勝ち組が全財産を持つことになります。オール・オア・ナッシングの世界になっていくということです。AIはますます不平等を加速させていくでしょう。

――今後、日本も「閉じる」方向へ進んでいくべきなのでしょうか。

水野:日本でも企業が海外に進出しグローバリズムの流れに乗ってきた経緯があります。ただ、もうその制度自体が疲労していて、ちょっと柱一本で支えたくらいでは解決できません。どの道が正しいというのは分かりませんが、日本が世界の中心にはなかなかなりにくい以上、安全保障を考える上では強い国と同盟を組むというのが現実的です。


37. 中川隆[-7613] koaQ7Jey 2017年6月04日 23:19:25 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

リスクを取らなかった人間にはリターンが与えられない事実


現代は「資本主義」の世の中なのだが、基本的に資本主義の世界ではリスクを取った人間がリターンを手に入れる世界である。リスクを取らなかった人間にはリターンは与えられない。

そのような社会になっているという例は、サラリーマンを長くやっている人が一番よく知っているはずだ。

会社の業績が上がったら株価も上昇する。しかし、どれだけ業績が上がっても基本的に自分の給料はほとんど上がらない。業績が2倍になったから給料も2倍になったという話など聞いたことがないはずだ。

仮に会社の業績が2倍になって株価も2倍になったとしても、給料は絶対に2倍にならない。一生懸命に働き、真面目に努力しても、さして給料が上昇していくわけではない。

では、業績が上がって株価も連動して上がったら、いったい誰が得するのか。それは従業員ではなく、株主に他ならない。業績が上がって株価が2倍になれば、株主の資産も自動的に2倍になる。

株主は基本的にはその会社で働いていない。通勤などしないし、朝から晩までその会社に尽くしているわけではない。にも関わらず、最も利益を得るのは株主である。

一見、これは不公平極まりない事象のように見える。いったい、従業員と株主は何が違ったのか。

資本主義はすべてこの公式に則って成り立っている

株主は何をしたのか。株主は「リスクを取った」のである。

たとえ、その会社が減収になっても破産しても文句は言わないという契約で、自分の大切な資金を会社に提供した。その代わり、会社が儲けて株価が上がればその利ざやは全部まとめて自分のものにできるという契約をしている。

株式を買うというのは、その会社の存続に関してのリスクを負うということである。うまくいかなかったら資本を減らし、うまくいけば資本を増やす。

リスクを取ったからその儲けをがっぽりと手に入れることができる。その権利を与えられている。

資本主義とは、すべてこの公式に則って成り立っている。

「資本でリスクを取った者にリターン(利益)を与える」という社会なのである。逆に言えば、資本でリスクを負わないものはリターンも手に入らない。

一生懸命に労働したところで報われない世界が来ているのは、現代は資本主義がどんどん効率化されているからだ。労働よりも資本の方が上位に立っている。

だから「資本主義」という。

資本主義においては、労働というのは単なるコストである。コストは下がれば下がるほど得するので、労働の対価は削られていく可能性の方が高い。コストは常に削減されるものなのだ。

ちなみに会社側にとっての「コストの削減」という言葉は、労働者側から見ると「搾取」である。

「資本でリスクを取らないと報われない」ということに気付かないと、いつまで経っても資本主義でうまく生きていくことができない。資本主義の正体に気付かないと、どんなにもがいてもじり貧になる。

もし、自分の人生が資本主義の正体に気付かないまま「じり貧」に追い込まれているのであれば、資本主義から搾取された分を奪い返さなければならない。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/06/20170604T1705340900.html


38. 中川隆[-7598] koaQ7Jey 2017年6月07日 05:42:50 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

バブル崩壊、就職氷河期、引きこもり、格差の次に何が来る?



金融広報中央委員会が実施した「家計の金融行動に関する世論調査(単身者)」の2016年版を見ると、ここ10年で金融資産を持たない世帯比率がどんどん上昇しており、今や48.1%にもなっていることが結果として記されている。

2007年は30%だったので10年経って「貯金がない層」が約18%も増えたということになる。

収入を得ることができない高齢層が人口比率で見ると増えているので「貯金がない」という層が増えるのも当然だと私たちは漠然と思う。

確かに金融資産を持たない高齢層は増えている。しかし、それだけが原因ではない。

「金融資産非保有世帯」を年齢別に分けて時系列で見てみると、ここ10年でどんどん比率を上げているのは高齢層ではなく、実は20代であることが分かる。

分かりやすく言うと、「ここ10年で20代の貯金がない層が増えた」ということだ。この10年は高齢層にとって苦しい時代だったというよりも、むしろ20代にとって苦しい時代だったということになる。

銀行等の預貯金口座を持っているのだが、「残高がない」が14.4%もある。実に切ない状況だ。

1993年、日本の社会でいったい何があったのか?

若年層が経済的に苦しむようになったのは、1993年からだと言われている。この時期に何があったのか。日本を覆い尽くしていたバブルの完全崩壊である。

1990年にバブルが崩壊し、1993年にもなると土地バブル、株式バブルに踊っていた企業のほとんどが業績を急激に悪化させていった。

バブルが崩壊したばかりの1990年から1992年までは、まだ「ここで踏みとどまれば再び日本の陽は昇る」と考える経営者も多く存在していた。

そのため、バブルが崩壊していく最中に、さらなる借り入れをして暴落した株式や土地を買い漁る強気な経営者もいた。ところが、崩壊したバブルは戻らなかった。

高値の不動産や株式をしこたま買い込んだ企業はたちまち莫大な負債に身動きが取れなくなり、経営が悪化していった。

会社の資産や業績が急激に悪化していく中で、ほとんどの企業は自衛のためにに支出を引き締め、求人を取りやめたり、人減らしをするようになっていった。

そこで起きたのが「就職氷河期」である。

就職したくても仕事が見付からない。働きたくても企業が求人しなくなる。企業はバブル期に大量の人間を採用したのだが、この人員が莫大なコストになって、もはや新規の求人どころではなくなったのだ。

さらに、悪いことが起きていた。この頃からグローバル化が本格的に始まって、日本企業は新興国との激しい価格競争に巻き込まれていき、賃金の高い日本人を雇う余裕が急激になくなっていった。

かくして、若年層は仕事を探しても見つからず親にパラサイト(寄生)しながら、アルバイトのような仕事で細々と生きていくしかなくなった。こうした若者を当時の社会はこのように罵った。

「負け組」……。


働かないで自室に引きこもる人は時代が生み出した

誰が彼らを「負け犬」と言っていたのか。それは、バブルが崩壊する以前に就職できた人間たちである。

1990年代は、まだ運良く会社に潜り込めた人間がいたので、就職氷河期によって仕事が見付からない人が社会の変化の犠牲になったという理解がなかった。

特にバブル期であった1986年から1989年までに、引く手あまたで就職できた人たちにとっては、「就職できない」というのは実感としてまったく理解できないことでもあった。

この世代は後に「バブル世代」と言われるようになるのだが、バブル世代は豊かな日本経済を享受できた最後の世代であったと言える。

もっとも2010年代に入ると、この世代がリストラの対象となって路頭に迷うことになる。

就職氷河期の若年層を「負け犬」と言っていたバブル世代も、また2010年代には「負け犬」になったというのは皮肉な巡り合わせだ。

「負け犬」と指をさされた就職氷河期の若年層は、バブル世代の若年層と何が違ったわけではない。違ったのは、就職する時期になって日本の経済環境が大きく激変して、その波をまともに食らったという部分だ。

彼らは翌年には状況が改善されているかもしれないと期待を寄せたが無駄だった。日本経済は回復せず、状況は後になればなるほど悪くなっていった。

莫大な不良債権を抱えた銀行は必死になって貸し剥がしに近い資金回収に走っていたのだが、それでもバブル崩壊に対処できなかったのだ。

その結果、1995年には兵庫銀行が破綻し、1997年以後は北海道拓殖銀行、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行が次々と破綻した。

株価崩壊で証券会社も立ちゆかなくなり、山一證券も三洋証券も吹き飛んでいった。結局、就職氷河期の若年層は助からなかったのだ。

引きこもりやニートは、2000年代に入ってから日本の社会問題となったのだが、働かないで自室に引きこもる人たちはこの世代から生まれている。

それは、時代が生み出していたのだ。


この「負のスパイラル」は何を生み出すのか?

もちろん、就職氷河期の若年層でも何とか就職活動に成功した人もいる。彼らは自分たちが幸運だったことを感謝し、給料が安かったり昇進しなかったりしても淡々と働いた。

就職に失敗したら、非正規雇用で働くか、引きこもりになるしかないのだが、実際に自分たちの回りを見回すと同年代の若者がそのようになっていた。

「雇ってもらう」というのがどれだけ厳しいことなのかを就職活動で骨身に染みた彼らは「正社員」という地位にしがみついた。

その結果、何が生まれたのか。格差である。

何とか就職できて地道に働いて賃金をもらえる人と、低賃金の非正規雇用者や無賃金の引きこもりやニートに、貯金や資産形成に差が生まれるのは当然のことである。

その差が埋めがたいものとして社会問題化するようになったのが2005年頃からである。

この頃になると、「就職できなかった若者たちは本人の責任ではなく社会にも問題があったのだ」という認識が浸透するようになっていた。

それまでは「働けない、食べていけないのは努力が足りないからだ、自己責任だ」という突き放した声も多かったのだが、やっと社会は「時代が働けない若者を生み出していた」ということに気付いた。

しかし、気付いた時はもうすでに遅く、若年層の人生は破壊されていた。

彼らはまともな仕事を得ることもできないまま、30代や40代になり、ますます仕事が見付からなくなっていたのだ。

一方でグローバル化はもはや完全に定着して、日本企業は終身雇用も年功序列も維持できなくなっている。さらにインターネット化も進んで効率化がより加速し、雇用は減らす方向に向かっている。

年によって波があるので、一時的に雇用が増える現象も見られるのだが、大きな波としては凄まじい技術革新と効率化によって雇用は消え去る方向に向かっている。

つまり、バブル崩壊、就職氷河期、引きこもり、格差……と続いてきた社会の動きはまだ終わっていない。この次に、この「負のスパイラル」は何を生み出すのか。

それは完全なる貧困層とスラムである。

仕事もない、努力しても這い上がれない、貯金どころか生活もできない層が社会の底辺で膨大に増え、彼らが増えるとスラムも生まれる。

このまま推移するなら、日本に極貧層と彼らが住むスラムが誕生したとしても不思議ではないと思わないだろうか。


仕事もない、努力しても這い上がれない、貯金どころか生活もできない層が社会の底辺で膨大に増え、彼らが増えるとスラムも生まれる。このまま推移するなら、日本に極貧層と彼らが住むスラムが誕生したとしても不思議ではないと思わないだろうか。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/06/20170606T1748550900.html


39. 中川隆[-7522] koaQ7Jey 2017年6月12日 15:11:52 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

内田樹の研究室 2017.06.12「愛国的リバタリアン」という怪物

金滿里さんが主宰する劇団「態変」の出している『イマージュ』という媒体が「相模原事件」を特集した。そこに事件についてのコメントを寄稿した。なかなか手に取ることのない媒体なので、ブログに採録しておく。

相模原の大量殺人事件のもたらした最大の衝撃は、植松聖容疑者が事前に安倍晋三首相宛てと大島理森衆院議長宛てに犯行を予告する内容の書簡を届けていたことにある。それは単に権力者を挑発するための犯行予告ではなく、自分の行為が政権と国会多数派には「好ましい」ものとして受け止められ、権力からの同意と保護を得られるだろうという期待をこめたものだった。逮捕後も容疑者は「権力者に守られているので、自分は死刑にはならない」という趣旨の発言をしている。
もちろん、これは容疑者の妄想に過ぎない。けれども、何の現実的根拠もない妄想ではない。彼の妄想形成を強化するような現実が今の日本社会内部にはたしかに存在しているからである。

アナウンサーの長谷川豊は事件の直後の2016年9月に自身のブログに「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!」というタイトルの記事を投稿した。これには批判が殺到し、専門医からも事実誤認が指摘されたが、この人物を日本維新の会は千葉一区から衆院の立候補者として擁立するということが先日発表された。

重篤な病人や障害者に対する公然たる差別発言にはまだ一定の社会的な規制が働いており、有名人の場合には、それなりの批判を受けて、社会的制裁が課されているが、在日コリアン、生活保護受給者やLGBTなどの社会的弱者に対する差別や攻撃の発言はほとんど何のペナルティもないままに垂れ流しされている。

際立つのが片山さつき議員で、生活保護受給者は「実質年収4百万円」の生活をしているという無根拠な都市伝説の流布に加担して、生活保護叩き発言を繰り返してきたが、最近も捏造投稿に基づいてNHKのニュース内容にクレームをつけて、生活保護受給者が社会福祉の「フリーライダー」だという世論の喚起に励んでいる。もちろん、本人がそう「信じている」という信憑の問題もあるのだろうが、「そういうこと」を公言すると選挙で票が集まるという現実的な打算も同時に働いているはずである。

アメリカではドナルド・トランプ大統領が「弱者叩き」の代表格である。「ラストベルト」のプア・ホワイトたちの輿望を担って登場したはずのトランプだが、就任後実施された政策は富裕層への厚遇措置ばかりで、移民排斥や、海外企業の国内移転への圧力などの「雇用対策」は今ここにいる社会的弱者のためには何の利益ももたらしてはいない。選挙公約だったオバマケアの廃止は、それによって2400万人が医療保険を失うという予測が公表されて、さすがに与党共和党も加担できず、改廃法案を撤回するという騒ぎになった。アメリカの有権者はそのような人物を大統領に選んだのである。

これはおそらく全世界的な傾向である。社会的弱者たちは、自己責任で弱者になったわけであり、いわばそういう生き方を選択したのだから、政府や自治体が、公金を投じて彼らを支援することは「フェアではない」というロジックは目新しいものではない。これはアメリカ社会においては「リバタリアニズム(libertarianism)」というかたちで、建国当初からつねに伏流していた考え方である。アメリカが世界に冠絶する覇権国家となり、その国の作法や価値観が「グローバル化」したことによって、アメリカ的な「リバタリアニズム」もまたグローバル化したということだと私は理解している。

「セルフメイドマン(self made man)」というのは建国以来、理想とされてきたアメリカ市民像だが、要するに誰にも頼らず独立独行で自己実現を遂げることである。「リバタリアン(libertarian)」というのは、その過激化したかたちである。
リバタリアンは、人間は自分の運命の完全な支配者であるべきであり、他者であれ公共機関であれ、いかなるものも自分の運命に介入する権利はないと考える。だから、リバタリアンは政府による徴税にも、徴兵制にも反対する。当然ながら、社会福祉のための原資の提供にも反対する。

ドナルド・トランプが徴税と社会福祉制度につよい嫌悪感を示すのは、彼がリバタリアンの伝統に連なっていることを示している。トランプは選挙期間中に対立候補から連邦税を納めていないことを指摘されて、「すべてのアメリカ人は納税額を最小化するために日々知恵を絞っている。私が連邦税を払っていないのは私が賢いからである」と述べて支持者の喝采を浴びた。これは別に露悪的な発言をしたわけではなく、ほんとうにそう思っているからそう言ったのである。彼に喝采を送ったプア・ホワイトたちは、自分たちとは桁が違う大富豪であるトランプの「納税したくない」というリバタリアン気質が「自分と同じだ」と思って、その発言に賛意を評したのである。

トランプは軍務の経験も、行政の経験もないはじめての大統領だが、それは軍務に就くことも、公共機関で働くことも、どちらもリバタリアンとしては「やらないにこしたことはない」仕事だからである。アメリカの有権者たちは彼の「公的権力を用いて私利私欲を満たすが、公益のためには何もしない」という態度がたいそう気に入ったのである。

今の日本で起きている「弱者叩き」はアメリカ原産のリバタリアニズムが日本に漂着し、日本独特の陰湿なしかたで退廃したものだと私は理解している。トランプのリバタリアニズムはこう言ってよければ「あっけらかん」としている。ロシアとの内通疑惑が暴かれたことによって、彼が「愛国者」であるかどうかについてはアメリカ人の多くが疑問を抱いているだろう。けれども、リバタリアンにおいて、愛国者であることは「アメリカ人的であること」のための必要条件ではない。国家や政府などというものは「ない方がいい」というのが正統的なリバタリアンの立場だからである。

けれども、日本では公的立場にある人間は「国よりも自分が大事」というようなことを(心で思っていても)口には出さない。仮に、安倍晋三が所得税を払っていなかったことが発覚したとしても、彼は「私は賢いから税金を払わずに済ませた」という言い訳をしないだろうし、その言い訳に喝采を送る有権者も日本にはいないはずである。日本ではリバタリアンも愛国的なポーズをすることを強いられる。
だから、日本では「リバタリアンでありながら、かつ愛国的」という奇妙な生き物が生まれてくる。現代日本に跋扈しているのは、この「愛国的リバタリアン」という(「肉好きのベジタリアン」とか「気前のいい吝嗇漢」というような)形容矛盾的存在である。

一方において、彼らは自分が獲得したものはすべて「自己努力によって獲得されたもの」だから、100%自分の所有に属し、誰とも分かち合う気がないと断言する。同じ理屈で、貧困や疾病や障害や不運などによって社会的弱者になった者たちについても「すべて自己責任で失ったもの」であるので、そのための支援を公的機関に求めるのは筋違いであると主張する。

ここまではリバタリアン的主張であるが、日本の「愛国的リバタリアン」はこれに愛国主義(というより排外主義、外国人嫌い(ゼノフォビア))をぱらぱらとまぶして、社会的弱者というのは実は「外国人」であるという奇妙な社会理論を創り出す。ここが日本のリバタリアニズムの独特の歪みである。

日本型リバタリアンによると、社会的弱者やあるいは社会的弱者を支援する人たちは「外国人」なのである。仮に血統的には日本人であったにせよ、外国渡来のイデオロギーや理説に「感染」したせいで、「外側は日本人だが、中身は外国人」になっているのである。

だから、社会福祉や教育や医療などの活動に公的な支援を求める組織や運動は本質的には「日本の国益よりも、彼らが忠誠を誓っている外国の利益に奉仕するもの」なのだという妄説が出来上がる。生活保護の受給者は多くが在日コリアンであるとか、日教組の背後にはコミンテルンがいるとか、朝日新聞は反日であるとか、沖縄県知事は中国に操られているといった類のネトウヨ的妄説はその典型的なものである。

語っている本人もさすがにほんとうだと思ってそう言っているわけではいないだろうが、それにもかかわらず、彼らが「反政府的な人間=外国人」というスキームに固執するのは、彼らにリバタリアンに徹底する覚悟がないからである。

リバタリアンであれば、話はすっきりしている。貧乏なのも、病気なのも、障害者であるのも、すべては自己責任である。だから、それについては他者からの同情や公的支援を当てにしてはならない。医療保険制度はいらない(医療は「サービス」なのだから金を出して買え。金がないやつは死ね)。公立学校も要らない(教育は「サービス」なのだから、金を出して買え。金がないやつは働いて学費を稼ぐか、有利子で借りろ)。社会福祉制度はいらない(他人の施しがないと生きていけないやつは死ね)と、ずいぶん非人情ではあるけれど、バケツの底が抜けたように「あっけらかん」としている。

しかし、さすがに日本では(心ではそう思っていても)そこまでは言い切れない。居酒屋のカウンターで酔余の勢いで口走ることはあるだろうが、公的な立場ではなかなか口にはできない。

その不徹底をとりつくろうために、日本的リバタリアンは「排外主義」的イデオロギーを装飾的に身にまとう。そして、貧乏人も、病人も、障害者も、生活保護受給者も、みな本質的には「外国人」であるという摩訶不思議な理説を噛ませることで、話のつじつまを合わせようとするのである。

相模原事件の植松容疑者はその意味では障害者支援をめぐる問題の本質をよく見抜いていたというべきだろうと思う。彼自身は生活保護の受給者であったが、その事実は「わずかな賃金を得るために、他人に顎で使われて、自分の貴重な人生を空費したくない」という彼のリバタリアン的な気質と齟齬するものではなかった。けれども、自分以外の生活保護受給者や障害者は彼の目には許し難い社会的寄生者に見えた。この矛盾を彼はどう解決したのだろうか。自分には公的支援を受けることを許すが、他人には許さないという身勝手な識別を可能にする境界線として最終的に彼が思いついたのは「私は日本人として日本の国益を優先的に配慮しているが、彼らはしていない」という「日本人/非日本人」スキームであった。

だから、植松容疑者がこれは「日本のために」したのだとか、「社会が賛同するはずだった」とかいう自己弁明を繰り返し、「国益を害するものたち」を「処分」する「官許」を首相や衆院議長に申請したことには論理的には必然性があったのである。彼は自分が「愛国的リバタリアン」という政治的奇形物であり、現在の日本の政界の指導者たちの多くが程度の差はあれ自分の「同類」だと直感していたのである。
http://blog.tatsuru.com/


40. 中川隆[-7520] koaQ7Jey 2017年6月13日 11:06:23 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

ハイテク神話の終わり


2番目のリスクは90年代からアメリカ経済を引っ張ってきた、ITベンチャー企業が失速している事で、一見するとそんな兆候は無いように見える。

だがアメリカのハイテク企業の資金調達や成長力は悪化し続けていて、そう見えないのは一部の大企業の業績が良いからです。

ハイテク5銘柄の フェイスブック 、アマゾン、アップル、グーグル、 マイクロソフトは今年の時価総額上昇分の41%を占めた。


またフェイスブック 、アマゾン、 ネットフリックス 、グーグルの頭文字をつないで「FANG銘柄」という造語も生まれている。

2017年は新興EVメーカーのテスラが、フォードやGMを上回って、時価総額で米国自動車メーカーナンバーワンになった。

こういった頂点の成功企業は好調で株価を押し上げているが、新興ベンチャー企業やスタートアップ企業は苦戦している。


70年代から80年代のアメリカは、あらゆる産業で大企業による寡占化が進んだが、当時と同じ事がハイテクやITで起きている。

今後アマゾンに挑戦するEC企業は出てこないし、グーグルを脅かす検索サイトも登場しないと考えられている。

効率化された資本主義では最も強い企業が市場を独占し、非効率で寡占化された世界になるという、古い資本主義理論そのままではないか。


米調査会社によると2014年から15年の2年間で、新興企業は約750億ドルの投資を得たが、2016年は大幅に減少し、2017年はさらに減少している。

新興企業の4分の3は新たな資金を調達できておらず、投資は一部の有望な企業だけに集中している。

まるで巨大な恐竜だけが生き残り、進化が止まった世界のようです。
http://www.thutmosev.com/archives/71328400.html


41. 中川隆[-7509] koaQ7Jey 2017年6月14日 08:22:39 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

772 :山師さん:2014/10/18(土) 16:22:32.56 ID:MPo3itg5

30歳の平均年収300万でどうやって結婚するんだよ
結婚はともかく家族3人はまともに養えないだろう
無茶なこといいやがる

775 :山師さん:2014/10/18(土) 16:28:35.10 ID:h2lXnQGn

いまはFXとかオプションとか先物とか、資金が少なくてもけっこうな額をやり方次第で稼げるじゃない。

年収300万だったら、仕事やめて専業投資家になったほうが儲かるだろ?

月に25万、平日に1万ちょっとでしょ。
安全確実に稼げるじゃんそのくらい。

もはや個人での起業って成立しなくなっている。

なんか逆転現象が起きていて、本来カタギの係わるべきものではない株式等の金融投機のほうが比較的リスクが少なく、 起業は大手も含めて、よほど山師的な才能とコネクションがある人、しかもそういう破滅的な博打と横暴、暴力、不正等々の世界がよほどど好きな人しか参入できなくなっている。

ここで株に行くのは誰もが安易だとは思いつつ、他に手段がない。 今、自分の金で起業するのは無謀です。

企業の資産があるなら、それを株に投資して派遣で働きながら、長期的な視点で投資するなら、そっちの方が成功する可能性あるんじゃない?

(自主的、強制的wな)脱サラの行く方向が株しかないので。


42. 中川隆[-7508] koaQ7Jey 2017年6月14日 08:25:39 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

「競争が進むとみんなが豊かになっていく」(笑)

ヘ・イ・ゾー!ヘ・イ・ゾー!ヘ・イ・ゾー!ヘ・イ・ゾー!
ヘイゾーヘイゾーヘイゾーヘイゾー
ヘイゾヘイゾヘイゾヘイゾ
ヘゾヘゾヘゾヘゾ・・・(笑)


改革が不十分なので、地方が疲弊しています

金持ちを貧乏人にしても貧乏人が金持ちになるわけではない

格差社会とか地方の疲弊などというキャンペーンを張って改革(笑)を邪魔する(笑)

生産性の低い建設業労働者をIT産業に(笑)

介護で500万人の雇用創出(笑)

石原都知事から、アメリカの手先と指弾された、ユダヤ資本に飼われた竹中さん。売国奴の標本です。

知的レベル・政治意識の高い階層は騙すことが出来ないので、「IQの低い、イメージだけで物事を判断する傾向のある、主婦・子供・シルバー層の支持を取り付けて郵政民営化を強行しよう」というのが、小泉一派の方針だそうです。

竹中大臣の知人の会社が作成した内部文書が暴露されています。

「小泉内閣支持基盤はIQの低い「主婦層や子供、シルバー層」といった具体的なことはわからないが、小泉総理のキャラクターだけを支持している層が多いから、その層を中心に学習を促進させれば、容易に騙すことができる」ともとれる内容の大衆扇動手段が提言されています。

質はどうであれ、数だけそろえて、小泉支持の声を上げさせているわけです。創価学会の低所得層の大量動員と同じ発想ですね。そして、民営化に反対した議員には、女性対立候補を刺客としてどんどん送り込んでいます。

これこそが、「イメージだけで判断する、あまり脳細胞を使う習慣のない主婦、子供、シルバー層」の票を狙った狡猾な手口です。

どうせ主婦なんかに、民営化の議論など解りはしないと馬鹿にされているわけです。

「改革改革」と繰り返せば、主婦や子供は、本当に改革派だと思い込んでくれる、「抵抗勢力だ」と繰り返せば、無知蒙昧な主婦層は、抵抗勢力と名指しされた人たちは、本当に悪い奴らだと思い込んでくれると計算しているのです。どんな無知無能な有権者でも、一票は一票ですから。ユダヤ人がアメリカで培ってきた選挙戦のノウハウが、そのまま投入されているように思います。
http://www15.ocn.ne.jp/~oyakodon/newversion/yuuseiminneika.htm

人口100人の青い目の人達の村_takenaka village があった。

4人の資本家に支配された労働者庶民96人が住んでいた。

資本家の年俸は2億円、残りの庶民は年俸200万円
全体で9億9200万円の紙幣が循環していた。

takenaka village では、自動車は6〜7台しか売れず、他の者は自転車だった。
暴動や略奪や薬物中毒・犯罪が頻繁に起こっていて
ズタズタなスラム社会になった。


その村の隣に、ジパングという人口100人の島国があった。

20人の知恵者をリーダーとした職人庶民80人いた

リーダーの年俸は1440万円、残りの職人は年俸500万円

全体で takenaka village より少しすくない6億8800万円の紙幣が循環していた。

その村では、自動車は100台売れた。 自転車も売れた。

あらゆる産業が学問が医療が社会福祉が発展し
インフラが整備されていき、すばらしい街を形成していった。


43. 中川隆[-7507] koaQ7Jey 2017年6月14日 10:18:25 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]


日本の未来を考える勉強会 youtube 動画
https://www.youtube.com/playlist?list=PLbEblF5PPOjTN_wdPWaOWGVrBO_8VBevV


財政再建と成長の二兎を得るためのアベノミクス戦略
平成29年4月12日 講師:内閣官房参与・京都大学大学院教授 藤井聡氏

ー貨幣と租税ー 
平成29年4月27日 講師:評論家 中野剛志氏

ー財政出動を阻む経済通念についてー 
平成29年5月9日 講師:京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授 青木泰樹氏

ー積極財政で復活する日本経済ー 
平成29年5月16日 講師:経済評論家・株式会社クレディセゾン主任研究員 島倉 原氏


44. 中川隆[-7493] koaQ7Jey 2017年6月15日 10:02:36 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

【生活保護】母子加算廃止で回転寿司も食べられなくなった。月に一度のささやかな贅沢だったのに…

月1度の回転寿司がささやかなぜいたくだった。

乳癌で働けなくなって生活保護を受ける京都市山科区の辰井絹恵さん(46)は長男(18)と2人暮らし。向き合って座り、積み上がった40枚以上の皿を見る時だけは、貧しさを忘れられた。

毎月約2万3000円の「母子加算」は、06年度から減らされ、翌年度に打ち切られた。回転寿司はあきらめた。

_________________


幼い頃に父が亡くなり、母は再婚もせずに俺を育ててくれた。

       J('ー`)し
        (  )\('∀`)
        ||  (_ _)ヾ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

そんな私たちにとって月に一度のささやかな楽しみ・・・それが回転寿司

       J('∀`)し 明日は母子加算の手当てが出るからお寿司食べに以降ね
        (ヽロロ   ヽ('∀`)/
        ||      (_ _)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

役所に行くと母子加算が廃止されたことを知らされた
──┐
   │                _[自民党]
   │   J( ;'A`)し       (`Д´ )お前らにやる金なんてあるかよボケ
   │     (  )\( 'A`) ロロヾ(  ) 
   │     ||  (_ _)ヾ     || 
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

母は 「母ちゃんバカでごめんね」 と言って涙を少しこぼした

  ( 'A`) J('A` )し
  .(_ _)   (  )  .┌─
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄くく ̄ ̄ ̄|  
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

そんな母が去年の暮れに亡くなった。

死ぬ前に1度だけ目を覚まし思い出したように
「回転寿司、ごめんね」 と言った。

                 ('A` )
         J('A`)し    (  )
      /⌒⌒⌒⌒⌒ヽ  ||
     // ̄ ̄ ̄フ /
   / (___/ /
   (______ノ


俺は 「楽しかったよ」 と言おうとしたが、最後まで声にならなかった


45. 中川隆[-7492] koaQ7Jey 2017年6月15日 16:02:13 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]


実質賃金の上昇と賃金引き上げと求人倍率上昇の落とし穴とは



実質賃金とは「賃金額を物価指数で割った値」を指し、本当に賃金が上がったかどうかを推し測るものだ。

たとえば、賃金が1%上がっても、物価がそれ以上に上がっていたら賃金は上がったとは言えない。実質賃金はそのあたりを調整して、本当に賃金が上がっているのかどうかを見る指標である。

実質賃金が上がるというのは良いことだ。だから、どこの国も実質賃金が上がると「政府の施策が良かったからだ」と大いに喧伝される。もちろん、日本でもそうだ。

しかし、「実質賃金」という指標には、とんでもない落とし穴がある。

賃金が変わらなくても、実質賃金が上がる事象もあるのだ。それはどういうことか。賃金の上昇率が0%であっても、デフレで物価がマイナス2%になっていたら、実質賃金は上がることになる。

多くの人たちが考える実質賃金の上昇というのは、「物価が上昇しても賃金がそれ以上に上昇する」ものを想定しているわけで、「賃金は上がっていないが、物価が下がったので賃金が上がったと見なす」では意味がない。

このような「落とし穴」は他にもある。

コストを上昇させないで賃金を上げるトリックとは?

たとえば、どこの国の政府も、常々「社員の賃金を上げろ」と企業に要求する。

政治が要求して賃金が上がったということになると、現政権がそれを成し遂げたと自画自賛できるし、それによって支持率も上がるからだ。

しかし一律に賃金を上げると、大企業はコスト負担が上昇して損することになる。政治の要請を無視すれば叩かれる。馬鹿正直に従っていると価格競争に負けて会社が傾く。

だから、企業は政治の要請を受け入れつつ、コスト負担にならない対策を取る。対策と言っても、単純な話だ。

(1)社員を減らしていく。
(2)残った社員の賃金を少し上げる。
(3)非正規雇用者を増やしていく。
(4)非正規雇用者の賃金はそのまま。

こうすれば、「賃金を上げました」と政府に報告することができる。賃金を上げた分だけ人を減らし、減らした分は非正規雇用にしておけば、企業はコスト負担にならない。政治も満足する。

リストラされて路頭に迷った人間はもう社員ではないので、この人たちが仕事が見付からずに低賃金の仕事に就こうが、生活保護受給者になろうが企業は関係ない。

そういうことなのである。

しかも、企業は社員の賃金を上げるとき、所定内給与を上げるのではなくて手当を上げるようにする。そうすれば、何かあれば手当をざっくり削減して逆に賃金を下げることも可能だ。

2017年5月23日に厚生労働省が実質賃金が上がったと報告しているが、別に喜ぶべきことでもない。総務省の方は5月30日に「実質消費支出は前年同月比1.4%減少し、14カ月連続のマイナスになった」と言っているではないか。

さらに総務省の労働力調査では、「雇用は改善しているが、増加幅は非正規が正社員を大幅に上回った」と言っているではないか。非正規の賃金は上がらないし、少しでも不況になればすぐに仕事は消える。そういうことだ。


「求人倍率はバブル期超え」にも落とし穴がある

賃金は上がらないし、雇用も不安定化したままだ。そうなると、どうなるのか。もちろん、消費は減退する。実質消費支出が14カ月連続のマイナスというのはそれを指している。

物を買う金が減るのだから、買い物を減らそうと思うのは誰しも当然のことである。こういった消費の減退は、後になってじわじわと現れていく。

そうなると、どうなるのか。商品が売れない企業は結局のところ、価格を下げることを余儀なくされる。

そうやって追い込まれた企業が売れないので値下げをしているのだから、利益が下がった分を「社員の削減」でカバーしようとする動きが裏で進む。

「いや、求人倍率はバブル期超えと報道されているではないか」という声もある。

確かに、厚生労働省が2017年5月30日に発表した有効求人倍率(季節調整値)は1.48倍であり、バブル期の最高値である1.46倍を上回っている。

ところが、この「求人倍率はバブル期超え」もまた、落とし穴があるのである。

どういうことか。日本はもう何十年も少子高齢化が進んで国家的な危機にあるのだが、いよいよ高齢化も少子化も極まって、求職者が減り、その結果求人が同じであっても求人倍率が上がるという皮肉な世界になっているのだ。

「景気が良くなったから求人倍率が上がった」のではなく、求職者が減ったから求人倍率が上がったように見えるだけだったのだ。結局、求人倍率もまた本来の期待とは違う上がり方をしている。

だから、「実質賃金が上昇している」とか「政府の賃金の引き上げ要請に企業が応えた」とか「求人倍率はバブル期超え」という上辺だけを見ていると、世の中が分からなくなる。

「景気が良い話があるのに、なぜ実感できないのか」という理由がここにある。


すでに、あちこちで火の手が上がっている

物事は何でもそうだが、世の中が悪くなっていくときは、全員が等しく悪くなるのではなく、底辺にいる人たちから先にポロポロと切り落とされて堕ちていく。

だから、社会の底辺が次第に広がっていても、自分がそこに堕ちていないので「まだ大丈夫」と堕ちていない人は思う。だから、自分が社会の落とし穴に堕ちてから、はじめて世の中がどうなっているのか、その現状に気付くのである。

日本社会での弱者はシングルマザー・障害者・高齢者だが、こういった世帯が最初に立ちゆかなくなっているのは、見ての通りだ。

こうした人たちが最後に頼るのは生活保護である。だから、生活保護の受給者は今後は増えることがあっても、減ることは絶対にない。

不正受給の問題もあるが、本当に必要としている人たちが生活を破綻させて受給するのだから、いくら不正受給を取り締まっても生活保護受給者が長期で減少することは決してない。

統計上では、短期での減少はもちろんある。しかし長期で見ると、もはや手に負えないまでの増加になっていく。

年金も下がる。国家財政の赤字は膨れ上がる一方で、政府も払うものが払えなくなるからである。

厚生労働省がすでに2014年5月3日に公的年金の財政検証結果を公表して、「40年後の年金給付の水準は今より3割から4割は目減りする」と、何気なく発表している。

あくまでも試算なので、数字自体が適当なものなのだが、年金制度が揺らいでいるということ事態は事実である。このままでは、もう日本人は悠々自適な老後などあり得ない。

このまま何とかなると思ってはならない。もう何ともならない時代に入った。今の生活はゆっくりと、しかし確実に足元から切り崩されて、成り立たなくなってしまう。

生活保護受給者増加を見ても分かる通り、末端から生活が壊れ続けている。私たちはもっと真剣に考えなければ、生きることさえままならない極限に追いやられてしまう。すでに、あちこちで火の手が上がっている。


このまま何とかなると思ってはならない。もう何ともならない時代に入った。今の生活はゆっくりと、しかし確実に足元から切り崩されて、成り立たなくなってしまう。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/06/20170615T2341030900.html


46. 中川隆[-7468] koaQ7Jey 2017年6月17日 09:39:42 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
2017-06-16
貧困ビジネスは貧困問題を解決しない。逆に貧困層から奪う


これから日本で伸びていくビジネスとは何か。高い需要と共に巨大化していくビジネスとは何か。それは「貧困ビジネス」である。

現在、東京の山谷や大阪のあいりん地区では、簡易宿泊所が「福祉の方、歓迎」という看板を出して、生活保護を受けている貧困の労働者たちを取り込んでいる。

あるいは暴力団の関係者がこうした労働者を集めてタコ部屋に放り込み、生活保護を受けさせてそれを宿賃という名目で大半を搾取するようなビジネスをしている。

労働者を囲い込んで生活保護費だけを搾取するので、こうしたビジネスを手がける人間たちのことを「囲い屋」と呼ぶこともある。

ずいぶん前から、そのような貧困者をターゲットにして行うビジネスが為されるようになっている。これを「貧困ビジネス」と言う。

「労働者に生活保護を受けさせて、それを搾取する」というのは、貧困ビジネスの基本になっている。

違法な貧困ビジネスは、社会の底辺で蔓延していく

貧困層に生活保護を受給させるのは別に違法でも何でもないし、その貧困層に宿を貸して金を取るのも違法ではない。

生活保護費の搾取は、やっていることは搾取なのだが合法と違法のスレスレを渡っているので、摘発はよほどの違法行為が他になければなかなか難しいと言われている。

だから、こうした違法な貧困ビジネスは、社会の底辺で蔓延し、広がろうとしている。

こうした労働者を搾取する目的で行われる「貧困ビジネス」だが、今や日本の貧困層は底辺の日雇い労働者だけではなくなっているのが現実だ。

2001年から2006年まで小泉政権が「新自由主義経済政策」と「構造改革」を推し進めた結果、企業は終身雇用を捨てて正社員の代わりに派遣労働者を取るようになった。

これを推し進めた張本人は竹中平蔵という男だ。

この男は「企業は正社員をたくさん抱えるということが非常に大きな財務リスク」と言って、派遣労働者を増やす政策を強力に推し進めていった。

(正社員をクビにしやすい社会になったら、儲かる男がいる)
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2014/06/20140610T1628000900.html


その結果、企業は若年層を正社員として雇わなくなっていったので、彼らはいつクビにされるのか分からないような不安定な状況の中で働くことを強いられるようになった。

結局、その中でも学歴のない人や、職種が合わずに会社を辞めざるを得なくなった人や、怪我や病気になった人などが、改めて仕事を探しても正社員になれず、やむなく非正規雇用で雇われて、貧困に落ちていくことになった。

一流企業に就職できた者でも、リストラや一身上の都合で会社を辞めたら、次の仕事がなかなか見付からず、非正規労働者となって落ちぶれていく姿も普通になっていった。

そして、どうなったのか。日本の底辺では貧困の人間をターゲットにしたビジネスがどんどん増えていくようになったのだ。


貧困に落ちれば落ちるほど条件が悪くなる理由とは

ネットカフェは、今や「宿なし」の若者たちが泊まり込む簡易宿泊所である。

一泊900円(3時間)から1400円(8時間)なので一泊の料金としてみれば安いのだが、月で見ると安いアパートを借りられるくらいの金額になる。

しかし、非正規雇用の若年層は保証人もなければ敷金も礼金も払えないので、その安いアパートにすらも入れないのが実情だ。そのため、総合的に見ると割高になるネットカフェを利用するしかない。

ネットカフェはそのような絶妙な価格を用意していて、困窮する若年層を取り込み、囲い込む。これもまた貧困層を相手にして利益を上げる貧困ビジネスである。

また、同じように普通にアパートを借りられない層に一軒家の部屋をタコ部屋状態にして貸す「シェアハウス」も貧困ビジネスである。

こうした人たちはしばしば日雇い(ワンコール・ジョブ)に追いやられて仕事がなくなると金欠になる。しかし、普通の銀行は彼らに金を貸さない。リスクが高すぎるからだ。

そこで、彼らに金を貸すのが消費者金融でありヤミ金である。金は貸すが、凄まじい高利となる。しかし、そこしか貸してくれないので、貧困層はそこから借りるしかない。

貧困に落ちれば落ちるほど、何をするにも条件が悪くなるのだ。貧困に落ちてしまうと、生活コストは下がるのではなく逆に上がるのである。

貧困層が増えれば、当然のことながら貧困層から絞り取るビジネスがどんどん伸びていく。一度貧困に落ちてしまうと、なかなか這い上がれないのは足元を見られて、いろんなところからぼったくられるからだ。

貧困層がそこから這い上がったら商売が上がったりになるので、貧困ビジネスは、貧困層が貧困から這い上がれないように生かさず殺さずのギリギリのビジネスを展開する。

貧困に堕ちた人々に救いはないのか。一見、救済をするような顔をして近づいてくるグループはある。


いよいよ貧困ビジネスが本格始動できる状況に

こうした貧困層に、味方のフリをして近づいて来るNGO団体やカルト教団や政治団体もある。

本当に貧困層の味方として、粉骨砕身する素晴らしい人がいる一方で、実は救済の見返りを得るために貧困層を利用しようとしてやって来るいかがわしい人間や組織も多い。

貧困層の救済をする個人や団体の中には、あからさまに「売名行為」をしているとしか思えないような人間もいる。

「貧困問題に取り組んでいる」というのは売名のネタだ。

本当はマスコミに自分を売り込むのが真の目的なので、貧困層といるより、テレビやマスコミで座談会でもしながら、偉そうに貧困論をぶち上げたりしている時間の方が長い。

同じく貧困問題に取り組みながら、貧困層を利用しているとしか思えないような政治団体もある。これらの政治団体が貧困層に着目しているのはいくつかの理由があるからだ。

(1)貧困をすべて与党のせいにして攻撃できる。
(2)攻撃に貧困層を焚き付けることができる。
(3)貧困層に福祉を取らせて、それを搾取できる。
(4)貧困層に会報誌を買わせて儲けることができる。
(5)最終的に貧困層から票をもらえる。

結局、貧困層は与党攻撃や会費獲得や票獲得のために「利用されている」のである。これも、一種の貧困ビジネスと言えなくもない。

ちなみに、こうした党の幹部は、小学校よりも敷地の広い豪邸に住んでいたり、夜寝るときはピアノでショパンを弾いて優雅な時間を過ごしたりしている。

ここに来て、いろんな人間や組織が貧困に着目しているのは、日本に貧困が定着したので、いよいよ搾取的な貧困ビジネスが本格始動できる状況になったからである。

彼らは貧困問題を解決しない。逆に、貧困層から奪う。そんなあこぎな貧困ビジネスが、これから日本で伸びていく。


ここに来て、いろんな人間や組織が貧困に着目しているのは、日本に貧困が定着したので、いよいよ貧困ビジネスが本格始動できる状況になったからである。彼らは貧困問題を解決しない。逆に、貧困層から奪う。そんなあこぎな貧困ビジネスが、これから日本で伸びていく。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/06/20170616T0358380900.html

2014-06-10
正社員をクビにしやすい社会になったら、儲かる男がいる


テレビに出ている人や、新聞に載っている他人の意見を信用してはいけない大きな理由は、その人の意見は個人的な利得が裏に隠されているからである。

分かりやすく言うと、何かを発言することによって、その人自身が「儲かる」ようにできている。

たとえば、小泉政権で経済財政政策担当大臣と金融担当大臣をしていた竹中平蔵という男がいる。現在は慶應義塾大学教授という肩書きである。

竹中平蔵は、非常に強い調子で「企業は正社員をたくさん抱えるということが非常に大きな財務リスク」なので、正社員は解雇されやすい環境にすべきだと主張する。

もっとも、「正社員をクビにしやすい環境にしろ」と言う言い方をしたら袋叩きに遭うのは分かりきっているので、そんなあからさまな言い方をしない。竹中平蔵はこのように言う。

「衰退産業から成長産業への労働力の流動化を促すべきだ」

そうすることによって、日本はさらなる成長をつかむことができると彼は主張している。

日本のことを真剣に考えて言っているのか?

竹中平蔵は経済学者だが、日本のことを真剣に考えて、そう提言してくれているのだろうか。

彼が「衰退産業から成長産業への労働力の流動化を促すべきだ」と発言したら、私たちはそうすべきかどうかということに焦点を合わせて考える。

竹中平蔵が、「なぜ」そのような提言をしているのかということをあまり考えない。経済学者としての長年の研究の結果、そのような結論に辿り着いたのだと思うはずだ。

しかし、彼が人材派遣会社「パソナグループ」の取締役会長という立場でいることを考えると、なぜ竹中平蔵が「労働力の流動化」を力説するのか、その背景が見えてくる。

労働力の流動化とは、すなわち社員を解雇させることである。解雇された労働者は次の仕事を見付けなければならないが、そのために派遣会社を利用する。

その派遣会社の大手が竹中平蔵が支配している「パソナグループ」だ。とすれば、どういうことなのか。

・労働力が流動化すると、派遣会社が得する。
・竹中平蔵は派遣会社の取締役会長である。
・労働力が流動化すると、竹中平蔵が得する。

竹中平蔵は学者として「日本のために、労働力の流動化を促すべき」と言っているのではない。明らかに派遣会社の取締役会長の立場で、「自分が儲かるために、労働力の流動化を促すべき」と言っている。

自分の金がかかっているのだから、その発言には熱がこもるのは当然だ。


正社員を簡単にクビにできれば喜ぶ業界

為政者がテレビで一方的な主張をするとき、大抵はそれを主張をすることによって「彼自身が儲かる」仕組みが裏にある。

電力会社に金をもらっている人は電力会社の都合が良い発言をするし、韓国ロビーから金をもらっている人は韓国に都合の良い発言をする。人材派遣会社の人間が、労働力の流動化をバラ色に語るのも同様だ。

正社員制度をバラして労働力が流動化すると、自分の懐が潤うのだから、臆面もなくそれを主張する。

正社員を簡単にクビにできない法律があって、それが自分たちのビジネスの邪魔になっているのであれば、「規制を緩和しろ」と彼らは叫ぶ。

人材派遣会社の取締役会長が「規制を緩和しなければならない」というのは当然だ。

表向きには、もちろん「日本企業の成長力促進のため」とか「日本の成長のため」という美辞麗句が続く。

自分たちが儲かるからなどとは、口が裂けても言わない。そんなことを言ったら袋叩きにされるので、「日本のため」と取り繕うのである。

自分が儲かる方向に向かって発言することを「ポジション・トーク」という。

竹中平蔵はまさにこのポジション・トークを平然とやってのける男である。しかし、私たちが理解しなければならないのは、多くの事業家・政治家・投資家は、すべてポジション・トークで動いていることだ。

誰がテレビに出て自分が損するようなことを言うだろうか。誠実な人は中立な意見を心がけるだろうが、そんな人格者はそもそも最初からテレビに出ない。


誰もが、自分が儲かるために発言している

テレビで誰かが何かを主張していたら、言うまでもなくその裏には自分自身に対する利益誘導がある。

自分が儲かるために発言しているのであって、そんなポジション・トークを私たちが聞いたり信じたりしても、私たちは1円も得しない。

発言している人はそれで得するかもしれないが、それを信じ込まされている人は単なる「カモ」である。

これを「ひどい」と批判することもできる。しかし、誰でも意識的にも無意識的にもポジション・トークになってしまうのは明らかだ。

だとすれば、私たちが気を付けなければならないのは、マスコミが何を言っても、それを頭から信じないという基本的な姿勢を持つことだ。

マスコミは朝から晩まで世論操作をする。

テレビを点けて、竹中平蔵のような人間が好き放題に何か主張しているのを真面目に聞いているだけで、あなたは他人に誘導され、利用されていくのである。

だから、テレビは見ないに越したことはないし、テレビが言っていることを信じる必要もさらさらない。

彼らはそれで儲かるのでいいが、あなたは何の見返りもないのだから、信じるメリットがない。

なぜ、竹中平蔵が儲かる意見をあなたが時間をつぶして聞かなければならないのだろう。馬鹿げている。時間の無駄とは、まさにこのことだ。

ポジションを持たないで何かを信じても何の意味もない。

何かを信じるのであれば、それを信じることによって自分にメリットがなければならない。メリットがないことを信じさせられるのは、絶対に拒絶すべきだ。



竹中平蔵は、日本のために正社員をクビにしやすいようにしろと叫ぶ。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2014/06/20140610T1628000900.html


47. 中川隆[-7405] koaQ7Jey 2017年6月20日 18:32:19 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

日本はなぜ超格差社会になったのか?その「制裁」は1989年に始まった=矢口新
2017年6月20日
http://www.mag2.com/p/money/246725


日本社会の格差が固定化、拡大を続けている。負担の大きい中間層はさらに没落しつつある。その背景には20年以上も続く経済停滞があるが、これほど長期に渡って低成長を続けるのは、経済制裁を受けている国を除けば日本だけだ


我が国は「経済制裁」を受けているも同然。誰が、何のために?

『不安な個人、立ちすくむ国家』への違和感

2017年5月に発表された、経済産業省の次官と若手有志がまとめたという『不安な個人、立ちすくむ国家(PDF)』には、現在社会の大問題として、「格差の固定化、格差の拡大」などが含まれている。

この提言は、経済産業省でありながら、「経済成長以外の幸せの追求」を語るなど、ツッコミどころ満載のものだった。この提言に関する私が覚えた違和感は、他に提供しているコラムや有料メルマガに詳しく書いたが、ここでも簡単に述べる。

この提言では、価値観の変遷を述べ、経済成長が望めない中で「高齢者は社会保障制度の受け取り手ではなく、支える側にまわれ」と、マインドに解決策を求めている。

こうしたことは日本の政策や、識者の論調に例外的なことではない。例えば、日銀の現状の金融政策は、「人々のデフレマインドを払拭する」と謳っている。つまり、気の持ちようで、インフレにもなり、経済も回復するという考え方だ。景気は「気」だという説もある。

また、若者の結婚離れ、自動車離れなどの理由を、価値観の変化に求める論調も一般的だ。ところが、雇用の安定と婚姻率とが強い相関関係にあることは、下図のような資料を見なくても誰にでも納得できることだ。私自身は就職前に結婚したが、雇用の不安があるのに家庭を持つことになったことを、「本当に大丈夫か?」と言われたものだった。つまり、価値観やマインドだけではなく「先立つもの」が必要なのだ。

http://www.mag2.com/p/money/246725

消費行動も同じだ。可処分所得の増減と、消費支出の増減に、強い相関関係が見られる。これは健全な現象で、収入が増えないのに借金して支出すれば、将来的に破綻するか、でなければ、将来の支出を抑えるしかない。いずれにせよ、「先立つもの」を整えることが先決だ。マインドだけの精神論、竹槍では、B29とは戦えないのだ。

http://www.mag2.com/p/money/246725

所得の伸びがない時に、自動車などの大型物件の買い物を控えるのは、これも当然ではないだろうか?また、ローンを組んで大型物件の買い物を行ったなら、他の支出を抑えるのも自然ではないだろうか?つまり、価値観が変わったために、結婚をしない、自動車を買わないというよりは、職の安定がなく、所得が伸びないので、結婚できない、自動車を諦めたというのが、より実態に近い。

今「経済成長以外の幸せの追求」が語られる理由は、経済成長が望めないから仕方なく他の幸せを求めるか、あるいは、経済成長の恩恵を味わい尽くし、もうこれ以上いらないと満足して他に幸せを求めるかのどちらかだ。日本経済の現状がどちらであるかは、可処分所得が増えていないことで、明らかだと言える。

もっとも、経済成長だけで幸せになれるわけでもなければ、経済成長がなくても幸せにはなれるが、これらはあえて今さら言うべき必要もないことであり、よもや経済を担当する省庁が提言することではない。

http://www.mag2.com/p/money/246725

日本は実質的な「経済制裁」を受けている?

では、日本は格差社会なのか?

結論を述べると、年収550万以上の世帯から、それ以下の世帯へと所得の再分配が行われているものの、格差は固定化、拡大している。

出典:『不安な個人、立ちすくむ国家(PDF)』
http://www.mag2.com/p/money/246725


それのみならず、基本的には20年以上、経済成長が止まったなかでの再分配なので、中間層の負担が大きく、中間層が没落しつつある。

つまり、この20年間に行われた国営企業の民営化や、企業の統廃合促進、特区を含めた規制緩和、エコポイントなどを含む、すべての経済政策、財政政策、金融政策は、国内での所得移転を生み、中間層の没落を通じて格差を拡大させただけで、経済成長には役立たなかったのだ。

20年以上も経済成長が止まっているのは、経済制裁を受けている国を除けば日本だけだ。このことは、「もしかすると日本も実質的な経済制裁を受けているのでは?」という合理的な疑問を抱かざるを得ないほどの異常事態だ。

日本が経済制裁の対象?一体どうして?このようなことを、私などが断定できるはずもないが、投資運用の世界で、あらゆるリスクについて突き詰めてきた視点から、その可能性も排除できないことを、ここで述べたい。
http://www.mag2.com/p/money/246725


「日本の終わり」は1989年に始まった
http://www.mag2.com/p/money/246725/2

ここで、ウィキペディアで、1989年のできごとを検索(2017年6月14日時点)してみよう。その引用が以下だ。

こうして羅列して見ると、ウィキペディアの情報は随分と偏っていると感じられる。とはいえ、年間を通して目立つのは東欧情勢だ。第二次世界大戦後の世界の実情だった「米ソ冷戦構造の終わり」の始まりが見て取れる。その意味では、昭和天皇の崩御も、「戦後の終わり」の象徴だったのかもしれない。

一方このリストからは、日本経済を語る上で、私が最も重要だと見なしている事項が抜け落ちている。あなたは、それに気づくだろうか?「あの頃」を振り返って、少し考えていただきたい。


1989年のできごと

1月:
1月7日 – 昭和天皇が崩御。日本での元号「昭和」の最後の日となった。
1月8日 – 日本で元号法に基づき、元号「平成」が始まる。
1月16日 – 日産自動車がパイクカーの「パオ」、「エスカルゴ」を発売。


2月:
2月1日 – 富士重工業が「レガシィ」を発売し、ワゴンブームの火付け役となる。
2月2日 – ソ連、アフガニスタンから撤退開始。
2月6日 – ポーランドで政府と反体制勢力による円卓会議はじまる。4月5日まで。
2月15日 – ソ連軍のアフガニスタン撤退が完了。
2月20日 – マツダがBG型「ファミリア」系列を発表。


3月:
3月13日 – 大規模な磁気嵐が発生。カナダ・ケベック州で大停電が発生するなど地球各地で被害(1989年3月の磁気嵐)。
3月24日 – エクソンバルディーズ号原油流出事故発生。


4月:
4月17日 – いすゞ自動車が「ミュー」を発売。
4月21日 – 任天堂の携帯型ゲーム機「ゲームボーイ」(GAME BOY) が日本で発売開始(北米では7月、欧州では翌年発売)。


5月:
5月1日 – フロリダ州オーランドにあるウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート内に新しいテーマパーク、ディズニー・MGM・スタジオがオープン。
5月2日 – ハンガリー政府がオーストリアとの国境にある鉄条網の撤去に着手。鉄のカーテンが破られる。
5月22日 – 日産自動車がR32型スカイラインを発売(GT-Rは8月21日発売)。
5月23日 – ミッキーマウスの登場する第一作映画『蒸気船ウィリー』の日本国内における著作権の保護期間満了。


6月:
6月4日 – 北京で天安門事件が起きる。中国では1989及び64はネット検閲対象の数字になっている。
6月4日 – 1989年ポーランド議会選挙の1度目の投票行われる。
6月15日 – 18日 – 欧州諸共同体加盟国において欧州議会議員選挙の投票が行われる。
6月18日 – ミャンマーの軍事政権が同国の英語国号を「Burma」から「Myanmar」に改称。
6月18日 – 1989年ポーランド議会選挙の2度目の投票の結果、「連帯」の地滑り的圧勝が確定。
6月 – ポーランドで、自由選挙実施。非労働党政党「連帯」が上院過半数を占める。東欧革命のさきがけ。


7月:
7月19日 – ユナイテッド航空232便不時着事故。


8月:
8月14日 – トヨタ自動車が「デリボーイ」を発売。
8月14日 – セガ・エンタープライゼスが“Sega Genesis”(前年に発売された日本のメガドライブに相当)を北米で発売。後に発売された任天堂の“Super Nintendo Entertainment System”(略称:SNES、日本のスーパーファミコンに相当)と互角以上のシェア争いを展開し、セガのゲーム機の中で最大の成功を収めた。
8月19日 – ハンガリーで汎ヨーロッパ・ピクニックが開催、約600人の東ドイツ市民がオーストリア経由で西ドイツへ亡命。
8月24日 – ピート・ローズが監督在任中の野球賭博の廉で、MLBから永久追放される。


9月:
9月1日 – ユーノスが「ロードスター」を発売(10月には「100」、「300」も発売)。
9月12日 – 本田技研工業が「アスコット」を発売。
9月18日 – トヨタ自動車が「コロナEXiV」を発売。
9月19日 – UTA航空772便爆破事件。
9月24日 – フランス国鉄 (SNCF) TGVの第二世代にあたるTGV Atlantique が、世界初の時速300Km/hでの営業運転を開始した。


10月:
10月7日 – ハンガリー社会主義労働者党、ハンガリー社会党への改組を決定し、一党独裁政党としての歴史に終止符を打つ。
10月9日 – トヨタ自動車が「セルシオ」を発売。
10月12日 – 本田技研工業が「インスパイア」を発売。
10月17日 – 東ドイツで強権的な政治を行っていたエーリッヒ・ホーネッカー・ドイツ社会主義統一党書記長の書記長解任が党政治局で決議され、ホーネッカーが失脚。エゴン・クレンツが後任となる。
10月23日 – ハンガリー人民共和国が社会主義体制を完全に放棄し、ハンガリー共和国に。


11月:
11月9日 – 東ドイツがベルリンの壁の通行を自由化。
11月10日 – ベルリンの壁崩壊。ブルガリアで共産党書記長のトドル・ジフコフが失脚。これを機にブルガリアでも民主化が始まる。
11月24日 – チェコスロバキアでビロード革命。共産党政権が崩壊。


12月:
12月1日 – 東ドイツで憲法が改正され、ドイツ社会主義統一党(SED)による国家の指導条項が削除される。SEDの一党独裁制が終焉。
12月3日 – アメリカのジョージ・H・W・ブッシュ大統領とソ連のミハイル・ゴルバチョフ最高会議議長がマルタ島で会談し、冷戦の終結を宣言(マルタ会談)。
12月20日 – 米軍パナマ侵攻。
12月22日 – ルーマニアのニコラエ・チャウシェスク政権崩壊(ルーマニア革命 (1989年))

さて、上記をざっと眺めて、「私が最も重要だと見なしている事項」にお気づきいただけただろうか?この一覧から抜け落ちているのは、ずばり「消費税の導入」だ。これが「日本経済の終わり」の始まりとなった。

「日本の終わり」は1989年に始まった

ここで、ウィキペディアで、1989年のできごとを検索(2017年6月14日時点)してみよう。その引用が以下だ。

こうして羅列して見ると、ウィキペディアの情報は随分と偏っていると感じられる。とはいえ、年間を通して目立つのは東欧情勢だ。第二次世界大戦後の世界の実情だった「米ソ冷戦構造の終わり」の始まりが見て取れる。その意味では、昭和天皇の崩御も、「戦後の終わり」の象徴だったのかもしれない。

一方このリストからは、日本経済を語る上で、私が最も重要だと見なしている事項が抜け落ちている。あなたは、それに気づくだろうか?「あの頃」を振り返って、少し考えていただきたい。


1989年のできごと

1月:
1月7日 – 昭和天皇が崩御。日本での元号「昭和」の最後の日となった。
1月8日 – 日本で元号法に基づき、元号「平成」が始まる。
1月16日 – 日産自動車がパイクカーの「パオ」、「エスカルゴ」を発売。

2月:
2月1日 – 富士重工業が「レガシィ」を発売し、ワゴンブームの火付け役となる。
2月2日 – ソ連、アフガニスタンから撤退開始。
2月6日 – ポーランドで政府と反体制勢力による円卓会議はじまる。4月5日まで。
2月15日 – ソ連軍のアフガニスタン撤退が完了。
2月20日 – マツダがBG型「ファミリア」系列を発表。

3月:
3月13日 – 大規模な磁気嵐が発生。カナダ・ケベック州で大停電が発生するなど地球各地で被害(1989年3月の磁気嵐)。
3月24日 – エクソンバルディーズ号原油流出事故発生。

4月:
4月17日 – いすゞ自動車が「ミュー」を発売。
4月21日 – 任天堂の携帯型ゲーム機「ゲームボーイ」(GAME BOY) が日本で発売開始(北米では7月、欧州では翌年発売)。

5月:
5月1日 – フロリダ州オーランドにあるウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート内に新しいテーマパーク、ディズニー・MGM・スタジオがオープン。
5月2日 – ハンガリー政府がオーストリアとの国境にある鉄条網の撤去に着手。鉄のカーテンが破られる。
5月22日 – 日産自動車がR32型スカイラインを発売(GT-Rは8月21日発売)。
5月23日 – ミッキーマウスの登場する第一作映画『蒸気船ウィリー』の日本国内における著作権の保護期間満了。

6月:
6月4日 – 北京で天安門事件が起きる。中国では1989及び64はネット検閲対象の数字になっている。
6月4日 – 1989年ポーランド議会選挙の1度目の投票行われる。
6月15日 – 18日 – 欧州諸共同体加盟国において欧州議会議員選挙の投票が行われる。
6月18日 – ミャンマーの軍事政権が同国の英語国号を「Burma」から「Myanmar」に改称。
6月18日 – 1989年ポーランド議会選挙の2度目の投票の結果、「連帯」の地滑り的圧勝が確定。
6月 – ポーランドで、自由選挙実施。非労働党政党「連帯」が上院過半数を占める。東欧革命のさきがけ。

7月:
7月19日 – ユナイテッド航空232便不時着事故。

8月:
8月14日 – トヨタ自動車が「デリボーイ」を発売。
8月14日 – セガ・エンタープライゼスが“Sega Genesis”(前年に発売された日本のメガドライブに相当)を北米で発売。後に発売された任天堂の“Super Nintendo Entertainment System”(略称:SNES、日本のスーパーファミコンに相当)と互角以上のシェア争いを展開し、セガのゲーム機の中で最大の成功を収めた。
8月19日 – ハンガリーで汎ヨーロッパ・ピクニックが開催、約600人の東ドイツ市民がオーストリア経由で西ドイツへ亡命。
8月24日 – ピート・ローズが監督在任中の野球賭博の廉で、MLBから永久追放される。

9月:
9月1日 – ユーノスが「ロードスター」を発売(10月には「100」、「300」も発売)。
9月12日 – 本田技研工業が「アスコット」を発売。
9月18日 – トヨタ自動車が「コロナEXiV」を発売。
9月19日 – UTA航空772便爆破事件。
9月24日 – フランス国鉄 (SNCF) TGVの第二世代にあたるTGV Atlantique が、世界初の時速300Km/hでの営業運転を開始した。

10月:
10月7日 – ハンガリー社会主義労働者党、ハンガリー社会党への改組を決定し、一党独裁政党としての歴史に終止符を打つ。
10月9日 – トヨタ自動車が「セルシオ」を発売。
10月12日 – 本田技研工業が「インスパイア」を発売。
10月17日 – 東ドイツで強権的な政治を行っていたエーリッヒ・ホーネッカー・ドイツ社会主義統一党書記長の書記長解任が党政治局で決議され、ホーネッカーが失脚。エゴン・クレンツが後任となる。
10月23日 – ハンガリー人民共和国が社会主義体制を完全に放棄し、ハンガリー共和国に。

11月:
11月9日 – 東ドイツがベルリンの壁の通行を自由化。
11月10日 – ベルリンの壁崩壊。ブルガリアで共産党書記長のトドル・ジフコフが失脚。これを機にブルガリアでも民主化が始まる。
11月24日 – チェコスロバキアでビロード革命。共産党政権が崩壊。

12月:
12月1日 – 東ドイツで憲法が改正され、ドイツ社会主義統一党(SED)による国家の指導条項が削除される。SEDの一党独裁制が終焉。
12月3日 – アメリカのジョージ・H・W・ブッシュ大統領とソ連のミハイル・ゴルバチョフ最高会議議長がマルタ島で会談し、冷戦の終結を宣言(マルタ会談)。
12月20日 – 米軍パナマ侵攻。
12月22日 – ルーマニアのニコラエ・チャウシェスク政権崩壊(ルーマニア革命 (1989年))

さて、上記をざっと眺めて、「私が最も重要だと見なしている事項」にお気づきいただけただろうか?この一覧から抜け落ちているのは、ずばり「消費税の導入」だ。これが「日本経済の終わり」の始まりとなった。
http://www.mag2.com/p/money/246725/2


「消費税」という大失政がもたらした成長鈍化と経済規模縮小
http://www.mag2.com/p/money/246725/3


日本経済は1990年から著しい鈍化を始め、デフレに向けて進み始める。また、経済規模は1997年にピークを付け、2016年に計算方法の見直しで30兆円強を上乗せするまで、19年間更新できなかった。つまり、日本の経済成長は1990年に急ブレーキが踏まれ、1997年からは徐々に縮小していた。この両年に何が起きたか?

1990年の前年1989年に3%の消費税が導入された。1997年には、消費税率が3%から5%に引き上げられた。このことは、個人消費が6割を占める日本経済は、消費税3%で病気になり、5%で死に体になることを示唆している。また内需が死ぬと、為替レートが日本経済を左右するようになる。

それまでの日本は内需が強く、中小企業が強く、零細企業や個人商店も健全だった。消費税は、これら日本の足腰を弱くさせ、為替レートを動かすだけで、景気も株価も左右できるようになった。プラザ合意後の急激な円高でも立ち直り、バブル経済にまでなった日本の底力は昔話となったのだ。

消費税率が8%になってもまだ生き延びているのは、未曽有の金融緩和がカンフル剤となり、一時的に息を吹き返しているに過ぎない。下図の後、2017年6月まで実質成長が4年7カ月続き、バブル期の4年3カ月を抜いて戦後3番目の長さになったとされるが、これはインフレ率が低いための実質成長で、デフレの恩恵だ。

出典:財務省Webサイト「もっと知りたい税のこと」
http://www.mag2.com/p/money/246725/3

また、消費税の導入は、法人税率引き下げとセットになっていた。これは企業を優遇し、個人を冷遇することだ。すべての人が会社員というわけではなく、会社員もまた消費税を支払うので、「格差拡大政策」だと言える。

法人税率引き下げは、企業に大きな恩恵を与えた。企業収益が急増しても納税負担の伸びは少なく、微増の場合には納税額が減りさえしたからだ。

結果的に、消費税を導入した1889年が、法人税収のピークとなった。

http://www.mag2.com/p/money/246725/3

また所得税収も、消費税導入の2年後にピークを付け、以降はほぼ一貫して減り続けている。

もっとも、消費税は増え続けているので、格差拡大政策とはいえ、政府としては何を優先すべきかだけの問題だと、言い訳することができるのだろうか?

http://www.mag2.com/p/money/246725/3

残念ながら、消費税導入の翌年には、税収そのものがピークを付け、財政は悪化の一途を辿った。赤字の穴埋めに借金することになったので、国債残高も急増した。

政府の経済運営、財政という観点から見ても、消費税導入と法人税引き下げのセット政策は、取り返しのつかないほどの失政だったと見るのが自然だ。

http://www.mag2.com/p/money/246725/3

これが税収不足、財源不足による社会保障制度破綻の直接の原因だ。経済産業省が指摘するような少子高齢化、高齢者優遇では、ここまでの急速な悪化はない。
http://www.mag2.com/p/money/246725/3

殺された個人消費、拡大する格差
http://www.mag2.com/p/money/246725/4

繰り返すが、日本経済の最大のエンジンは個人消費だ。消費税導入によりそこに急ブレーキをかけたために、日本経済は失速、消費税率を5%に引き上げ後は、成長そのものが止まった。

現在放映中のテレビのCMに、フリーマーケットのようなところで、出店者と顧客との売買が成立した時、フーテン風の人気俳優が出てきて、「ハイ、手数料ネ」と、売上の10%を巻き上げるというものがある。理不尽さを印象付けるものだが、実社会ではこれを政府が行っている。消費税では売上から、現状では8%、2年後にはCM同様10%を巻き上げるので、販売者と顧客の双方にネガティブな影響を与えるのだ。

日本経済最大のエンジンである個人消費への課税は、財政引き締め政策だといえる。つまり、景気を殺す政策だ。その結果、消費税導入後に赤字企業が急増、税金を払えない欠損法人が一時7割を超えるまでになった。その傾向は特に資本金1億円未満の法人に顕著だ。つまり、消費税導入には中小企業潰しの効果があった。個人商店への悪影響は言うに及ばない。

しかし、実際に潰すと社会に大きな混乱を引き起こすので、資金供給を行い、生存だけはさせている状態だ。とはいえ、赤字企業に勤める人が、所得増を期待することは困難だ。ここでも、大企業と中小企業、正規と非正規の所得格差は拡大した。

http://www.mag2.com/p/money/246725/4

赤字だけではない。金融機関を含む企業の破綻も相次いだ。預金保険機構のWebサイトには、「はじめに」と題した、以下のような文章がある。


かつて、金融機関不倒神話が語られた我が国は、平成3(1991)年から同14(2002)年にかけて、合計180にのぼる金融機関の破綻を経験した。とりわけその破綻は平成8(1996)年6月から同14(2002)年3月迄の間(いわゆるペイオフ凍結時代)に集中し、合計164件を数えるなど未曾有の事態となった。このような状況は、破綻金融機関の数のみを見れば、米国の1980年代後半から1990年代初めの金融危機に比べ少ないものの、例えば金融機関全体の収益状況の落ち込みあるいは金融機関数減少度合い等においてはかえって米国の上記事例を上回る深刻さが認められるのであり、その実質的な規模や内外に及ぼした影響(インパクト)、処理コスト等を総合すると、我が国においては、まさに平成金融危機と呼んで差し支えないと考えられる。

出典:預金保険機構 機構の活動 はじめに

1989年に3%の消費税が導入され、1997年に消費税率が3%から5%に引き上げられたことを振り返ってみて欲しい。金融機関の破綻は、比較的身近な出来事なので、銀行や信金、あるいは保険会社、証券会社の破綻をご記憶の方々は多いことと思う。

http://www.mag2.com/p/money/246725/4

死に体となった経済は、金融政策で救うしかない。成長が止まり、デフレとなった経済にゼロ金利政策が導入された。

これにより、赤字企業や債務の大きな企業は救われたが、年金、保険の運用が困難になり、貯蓄の金利もほぼゼロとなった。つまり、ここでも個人から法人への所得移転が行われ、中間層の沈下による格差拡大となった。

また、日銀は2016年2月のマイナス金利政策導入により、金融機関の業績悪化は避けられないとした。金融庁は地銀の6割は赤字になると明言した。マイナス金利政策には、大手の金融機関もこぞって音を上げているが、中小は存続そのものが危機的になる。

ここでも、中小潰しが行われ、大小企業間、そこに勤めている人たち、正規、非正規の格差が広がった。

http://www.mag2.com/p/money/246725/4

誰が得するか?

未曽有の低利回りが長期化する運用難は、調達側から見れば借り手優位の時代が長く続くことを意味する。

最大の赤字に苦しむ、最大の資金調達者は日本政府だ。また米国政府の資金調達にも、ジャパンマネーが使われた。日本の米国債保有額は2017年4月末時点で1兆1070億ドルと、世界一の規模を誇っている。

日本のそうした対外純資産の大きさから、日本は世界一の金持ちだと主張する輩がいるが、それは大きな間違いだ。個人を見ても、企業を見ても、国を見ても、世界一の金持ちは米国だ。日本の対外資産が大きいのは、20年以上も国内に運用先がないために、やむなく海外資産を保有しているに過ぎない。米国債や、ウェスティングハウスなどの企業を保有しているゆえの対外資産だ。

マイナス金利政策で、対外資産の購入は加速しているが、それは同時にリスクが増大していることも意味している。しばしば取り沙汰されている「有事の円買い」の根っこは、そうした外貨建て資産の為替ヘッジなのだ。
http://www.mag2.com/p/money/246725/4

日本は「実質的な経済制裁」を受けているのか?
http://www.mag2.com/p/money/246725/5

歴史は残酷だ。イラクのフセイン政権は難癖をつけられて潰され、大統領は処刑されたが、忘れ去られつつある。エジプトなどのアラブの春は民主化運動の象徴的なものだったが、反米色が強く、軍事クーデターで潰された後は、「原理主義」だと言われている。米政府が軍事援助をしている相手国は、イスラエルとエジプトの軍事政権が他を大きく引き離している。ここに米国の本音を見ることが出来ないだろうか?

http://www.mag2.com/p/money/246725/5

ベトナム戦争で米国が悪く言われるのは、負けたからだ。米国が勝っていれば、ベトナムは属国扱いとなり、歴史は塗り替えられていたはずだ。

その米国に負けた日本が、一時、「Japan as No1」などと持ち上げられた時代があった。1980年代後半だ。危険な兆候だった。その辺りから、米国と国際機関の日本に対する「助言」や「提言」は、国際化のためグローバル・スタンダードなどと言われたが、必ずしも日本のためにはならなかった。プラザ合意しかり、BIS規制しかり、税制改革しかりだ。

これは当然で、歴史を見れば、隣国や友好国への助言が相手国のためだった試しはなく、すべては自国(この場合は米国)のために行われるものだからだ。

http://www.mag2.com/p/money/246725/5

またその頃、1991年には、もう1つの歴史的な大事件があった。ソ連邦の崩壊だ。ソ連邦は米国の政治上、軍事上のライバルだったが、それが消えた。ソ連邦に対抗するための極東の要だった日本の存在価値は大きく下がった。また、米国に政治上、軍事上のライバルがなくなってからは、ライバルは経済的に自国を脅かす国だけとなった。「Japan as No1」とは、米国人作家が言い出したことだが、危険な兆候だった。

私はメディアなどで、「親日的」「親中派」などと聞く度に、違和感を覚える。好き嫌いがあるとしても、好き嫌いで政治をするのだろうか。政治は、結局のところ損得だろう。私の見方では、日本の根本的な政策で、最も恩恵を受けているのは米国だ。日本の政治家は、米国に負けているのだ。

http://www.mag2.com/p/money/246725/5

消費税の廃止が日本を救う

冒頭で紹介した、経済産業省の次官と若手有志による『不安な個人、立ちすくむ国家』には、「自分で選択しているつもりが誰かに操作されている?」との項目がある。

しかし私としては、日本の政治家、官庁にこそ「自分で選択しているつもりが誰かに操作されている?」のではと疑っていただきたい。そして、日本経済の低迷、格差拡大、財政破綻、社会保障制度破綻問題と、1989年から始まった「税制改悪」との関連を、自分のその目で確かめていただきたい。

政治家や経済人の多くが、社会保障制度の維持のためには消費税率の更なる引き上げが必要だと主張するが、上記の資料を見れば、それは妄言、あるいは虚言だと断言できる。

私は、消費税を廃止し、格差是正の税制に方向転換することが日本を救うと見ている。
http://www.mag2.com/p/money/246725/5


48. 中川隆[-7402] koaQ7Jey 2017年6月20日 19:07:47 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017-06-20


「格差は是正されない。あきらめろ」と言われる時代が来る



ドナルド・トランプは経済格差に苦しむアメリカの貧困層が支持して大統領の座に押しやった人物であり、「貧困層の希望の星」だった。

貧困層は今まで政治の世界から無視され続けてきたので、既存の政治家を信頼しておらず期待も持っていなかった。だから貧困層はこぞってドナルド・トランプに賭けた。

しかし、ドナルド・トランプ大統領は5ヶ月経っても何ら成果を出せないばかりか最初から政権運営で混乱している。あげくの果てに、今や弾劾される可能性まで出てきている。

ドナルド・トランプが失墜すると、もうアメリカの貧困層ができることは何もない。極端な経済格差は放置され、より深い断絶が生まれていく。

アメリカでは企業経営者が10億円から100億円規模の年収を得ているが、一般の労働者は240万円を稼ぐこともままならない。それどころか120万円にも満たないこともある。

この格差の中で、普通の労働者がコツコツ貯金すれば豊かになるという幻想はアメリカからは完全に消え去った。アメリカン・ドリームは死んだのだ。

富める者はますます富み、持たざる者は持っているものすらも奪われるような苛烈な社会となってしまった。それがさらに進んでいく。

トランプ大統領の政治生命が止まる方が早い

アメリカの多国籍企業は安い賃金の労働者がいる国に工場を移し、高い賃金の自国労働者を切り捨てている。トランプ大統領は、その動きをやめさせようとしている。

「アメリカで層の厚かった中産階級が没落したのは工場が出ていったからだ。だからアメリカの大企業は工場をアメリカに戻せ」とトランプ大統領は言った。

しかし、グローバル化した多国籍企業は熾烈な競争を勝ち抜くために「人間を雇うコスト」を激しく嫌うようになっており、素直にトランプ大統領の言うことを聞くとは限らない。

仮にトランプ大統領の言うことを聞いたとしても、IT化による技術革新、インターネットによる業務改善を推し進めて雇用を徹底して削減しているので、労働者の雇用が増えていくとも限らない。

つまり、どちらにしろ労働者の雇用環境は改善しない。そうすると、どうなるのか。仕事がなくなると、人は安い賃金でもそれに甘んじるしかなくなってしまう。

「そんな安い賃金では働けない」と突っぱねても、他にそんな安い賃金で働く人間たちが山ほどいるので、結局は自分が無職のまま困窮してしまう。

仕事がなくなってしまえば、どんなに安い賃金でもそれで我慢するしかないのだ。

それが繰り返されるうちに、賃金は生活していけるかいけないかのギリギリにまで抑えられるようになり、「働いても生活できない」というワーキングプアに陥る。

いったん、ワーキングプアに落ちると、低賃金のために貯金することすらもままならない。貯金どころか、病気や怪我や失業といった予期せぬ出来事が起こるたびに借金が増える。

ワーキングプアに落ちると、そこから這い上がるのは容易なことではない。

トランプ大統領は無理やりそれを是正しようとしているが、大勢は「トランプは失敗する」という見方をしている。グローバル化が止まるより、トランプ大統領の政治生命が止まる方が早いということだ。


この「株主資本主義」こそ、グローバル化の正体

トランプ大統領は、2017年5月9日にコミーFBI長官を解任した。

これはフリン前補佐官とロシアとの関係をFBIが捜査するのを阻止するためだったとして、ロシア疑惑隠しが激しい批判を浴びる結果となっている。

こうした混乱を収拾する能力はトランプ大統領にはない。その結果、トランプ大統領は次第にホワイトハウス内でも孤立するようになっており、政権は大きく揺らいでいる。

トランプ大統領が任期の4年を全うできるのかどうかはまったくの未知数なのだが、トランプが大統領の座から降りた後に何が来るのかは知っておかなければならない。

トランプ大統領はグローバル化を押しとどめて孤立主義に向かおうとしていた。それが選挙公約であり、そのためにトランプは政権に送り込まれた。

今後、トランプ大統領はその路線が現実的ではないと自ら気付いて修正するかもしれない。しかし、少なくとも当初はそれを進める予定で動いていたし、今のところはまだその路線を捨てるつもりではないようだ。

しかし、もうグローバル化はすっかり全世界に行き渡っており、今さらそれをトランプ大統領ひとりの考えで止まるようなものではなくなっている。

だからトランプ大統領の孤立主義路線はどこかで頓挫する。

いや、そもそも5ヶ月経ってもまだトランプは何もできていない。抵抗が多すぎて実務に入れないのである。

トランプの孤立主義の姿勢が問題を引き起こしていたのだから、トランプの次の大統領はトランプの路線を破棄する可能性の方が高い。

つまり、グローバル化の路線が戻ってくる。


「一生続く貧困の中でいかに生きるか考えておけ」

「貧困層の希望の星」は踏みにじられ、その次には貧困層がグローバル化に蹂躙されていく。

トランプ大統領以後のグローバル化は、ITの技術革新も相まってより激烈に進むことになるので、経済格差は是正されるどころか、さらにひどくなる。

「雇用を排除するイノベーション」が進むので、仕事は絶望的に見つからなくなり、見つかっても足元を見られて低賃金になっていく。

(今、世界で起きているのは雇用を排除するイノベーションだ)
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2015/10/20151013T1601180900.html

政府も何もできない。増え続ける失業者に対処するために政府は財政赤字を膨らませることになるが、それも限度がある。ある時期で貧困層は政府にも見捨てられる。

そうなると、何も持たない貧困層がグローバル化を生きるのは、弱肉強食の社会で生きるのと同様になる。まさに社会はジャングルのように危険になっていくのである。

その弱肉強食の資本主義を押しとどめるものが何もないのだということがアメリカで証明されたのであれば、それは世界中に広がっていくのも容易に想像できる。

格差是正はもはや現実的ではなくなるので、政治家すらも格差是正を言わなくなる時代が来る。

富裕層と貧困層の存在する社会が長く続くと、次第に「格差はあって当たり前、格差は悪いものではない」と言い出す人が増えて、その考え方を強制され、それが今後の常識的な考え方になっていく。

「資本主義は何をどうしても格差が生まれるので、自分に与えられた格差の中でどのように生きるかが重要」と誰かがしたり顔で言い出すのを私たちは聞くことになるはずだ。

つまり、「格差は是正されない。あきらめろ」と言われる時代が来るということだ。

「もう格差の是正だとか貧困の解消だとか言うな。貧困層は這い上がれないのだから、一生続く貧困の中でいかに生きるか考えろ」と言われ、貧困層もそれを受け入れる。

トランプ大統領以後のグローバル化は、そういう地獄のような社会を生み出す可能性が高いことを私たちは覚悟しておかなければならない。

今のところ、これを止めるものは何もない。


ドナルド・トランプが失墜すると、もうアメリカの貧困層ができることは何もない。極端な経済格差は放置され、より深い断絶が生まれていく。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/06/20170620T1548260900.html


2015-10-13
今、世界で起きているのは雇用を排除するイノベーションだ


数々の問題を提起しながらじわじわと浸透している商業用のドローン(無人航空機)。様々な現場で浸透していこうとしているロボット。さらに人間の知的分野にまで進出する人工知能。

この3つは、今まで人手をかけてやっていた作業を機械に置き換えて人手を削減できるという意味で、企業経営者が特に注目しているものである。

企業にとって「人手」というのは最大のコストだ。

何しろ人間を雇ってしまえば昇級も必要で、ボーナスも必要で、仕事が減ったからと言ってすぐにクビにもできず、いろんな要求を聞かなければならない。

福利厚生も必要であれば、職場環境の充実も必要であれば、退職金の積み立ても必要だ。さらに、それだけ金をかけてもその人間が期待通りの働きをするかどうかは分からない。

つまり、企業にとって人間を雇うというのは常にリスクであり、リスクは減らす方向に向かうのが企業の常である。

そのリスクを削減できるという流れは企業にとって利益の拡大を意味するので、ドローンもロボットも人工知能も将来は必ず一般化していく。

「雇用を排除する」システムが標準となっていく

「雇用を排除する」というのは、企業にとってリスクを減らすことにつながる。そして、コスト削減にもつながる。

そして、雇用を排除したシステムを他社よりも早く構築できれば、それだけ商品やサービスを格安で提供できるようになるので他社よりも競争力が増す。

そうなると、他社もまた「雇用を排除する」システムを構築するようになるので、気が付けばどんどん雇用が減少していくことになる。「雇用を排除する」システムが標準となっていくのである。

現在、世界的に雇用の減少と中間層の没落と若者の失業率の悪化が起きているが、この3つは別々の現象ではない。

1990年代から確実に広がっていったインターネットは、2000年代に入ってから爆発的に企業内に浸透して、ついにはインターネットそのものが企業活動の中心となっていった。

このインターネットもまた「雇用を排除する」中心的な存在であったのは誰もが知っている。

現場で起きていることはイントラネット(企業内ネットワーク)で上層経営者が直接把握できるようになり、それによって迅速で的確な分析が可能になり、効果的な手が打てるようになっていった。

情報の流れが速くなり、一元化されるようになった。その中で企業内に必要だった中間管理職が不必要になり、また中間管理職を補佐する社員もまた不要になっていった。

本来、こうした中間管理職こそが社会の中間層だったのだが、こうした人々が没落していったのは、「企業が不要だと判断して解雇した」からだ。

今までインターネットによって雇用の削減が起きていたとすると、今度はそれがドローン利用やロボット化や人工知能によって、さらなる雇用の削減が行われることになる。


インターネット化は雇用の排除を加速させた

インターネット時代になったとき、インターネットの波に乗れない企業はことごとく没落していった。

インターネット化とは「アナログがデジタル化していく流れ」のことである。デジタル化することを拒絶し、アナログに固執していた企業が没落していったのだ。

たとえば、紙の媒体に依存していたマスコミは全世界で一気に経営破綻に向かっていったし、紙の媒体を売る出版社や書店という存在もまとめて危機に瀕した。

また一時期は超優良企業であったイーストマン・コダック社も「フィルム」というアナログに固執したために2012年1月、会社更生法の適用を申請するという事態に陥っている。

フィルムの写真は独特の味があると言われているが、今やフィルムを使うプロはもうほとんどいない。デジタルの圧倒的な優位さにフィルムは太刀打ちできなかったのである。

これらの没落した企業に変わって成長していったのは、インターネット化に対応してコンテンツを押さえたグーグル社や、流通を押さえたアマゾン社や、インターネットを見るための機器を押さえたアップル社だった。

こうした時代の流れの中で、アナログに固執するビジネスモデルを持つ企業が成長できるはずもない。

結局ほとんどの企業がインターネットを取り入れ、どんどん効率化が進められていった。そして、現在の姿となっている。インターネット化に乗り、「雇用を排除する」システムをいち早く構築できた企業が生き残った。

インターネット化は「雇用を排除する」という企業のトレンドを加速させた革新(イノベーション)だったが、それで終わりではない。

インターネット化が普及してそれが差別化にならなくなると、企業は「次の革新」に歩を進めることになる。


今起きているのは、雇用を排除するイノベーション

次なる革新とは何か。それが、ドローンの活用や、ロボット化や人工知能の利用である。これらは共に「無人システム」であることに気付かなければならない。

今後はインターネットとドローン、ロボット、人工知能によってさらに無人化が進み、企業はよりコスト削減が可能になり、「儲けられる体質」になり、競争力を手に入れる。

その「儲けられる体質」というのは、「雇用を排除する」ことによって成し遂げられるので、今後の企業の成長は必ずしも人々の雇用につながっていくわけではない。

むしろ、雇用を削いで成長していくので、人々は仕事が見つけられなくなり、窮地に落ちていく確率が高まる。

単純労働の仕事をロボットに奪われ、流通もドローンに奪われ、知的労働の分野も人工知能化していく自律プログラムが働くようになって消えていく。

すでに知的な作業と思われていた「ものを書く」分野ですらも機械に取って代わっている。

(人工知能が人間に答えを与え、仕事を奪い、殺人をする時代 )
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2015/09/20150911T1659030900.html


そのため、最先端の企業になればなるほど、雇用する人が減っていく。

企業の経営者と、インターネット・ドローン・ロボット・人工知能で構成された企業システムと、少数の労働者というのが次世代の企業の形になっていくのだ。

その結果、企業の儲けを独占できる経営者がどんどん巨額の儲けを手にするようになり、その他は最低賃金をかろうじてもらえるしかない労働者と化して、格差もより広がっていく。

インターネット社会になって、そういった動きが格差社会を生み出したが、この格差社会が限界まで突き進むのは、このようにして雇用が消滅するイノベーションがどんどん生まれてきているからだ。

今起きているのは、雇用を排除するイノベーションである。その中で、どのように生きていくのかが、今私たちに問われている課題だ。


今はまだ小さな存在かもしれないドローン。しかし、今後は企業の経営者と、インターネット・ドローン・ロボットで構成された企業システムと、少数の労働者というのが次世代の企業の形になっていく。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2015/10/20151013T1601180900.html


2013-12-21


いずれやって来るロボット化の時代が、あなたを無職にする



日本人を含め、先進国の人間がどんどん貧しくなっていくのは、今の時代では当たり前のことだ。

世界はグローバル化して、企業は世界中どこでも工場を建てることができるようになった。そして、どこの国の人間でも雇えるようになった。

先進国の人間の賃金は高い。
途上国の人間の賃金は安い。

それなら、シンプルに物を考えると、経営者は誰でも途上国の賃金の安い人間を雇うに決まっている。事実、世界中でそうなっている。それが「グローバル化」である。

まわりがみんなそうやってコストを浮かして製品やサービスの価格を下げたら、先進国の人間を高い賃金で雇っていた企業は窮地に落ちる。だから、いったんグローバル化の波が突き進むと、もう競争原理で止まらない。

先進国の人間の多くがグローバル化によって貧しくなっていくのは当たり前のことなのだ。日本でも多くの労働者が貧しくなっていく。

先進国の普通の人はグローバル化で苦境に落ちた

グローバル化は先進国の労働者、すなわち「普通の人たち」を苦境に叩き落としている。それは、多くの仕事が途上国に行ってしまったからだ。仕事は途上国の労働者たちが取ってしまったのである。

最初は組み立て等の単純労働だけの話だったが、2000年以降は電話受付サービスからプログラム開発から会計処理まで、多くの業種が途上国にアウトソーシングされた。

その結果、先進国ではホワイトカラーを含めて急速に仕事が消えてしまった。

先進国の人々は仕事を探すのに苦心惨憺している。特に若年層に仕事がなくなった。なぜなら、若年層は即戦力にならないからだ。

途上国では熟練した経験豊かな人間を、先進国の半分以下の賃金で雇える。それなのに、わざわざ先進国の経験もない人間を雇う方がどうかしている。

この流れは一過性のものではないので、これから数十年に渡って大きなトレンドとして続いていく。先進国では普通の人たちの生活水準の低下は決定づけられている。

先進国で普通の人たちに仕事がなくなるのだから、政治は間違いなく不安定化する。治安も乱れる。そして、移民排斥や差別がどんどん増えて行く。

欧米でも、日本でも、同じ問題が時期を同じくして起きているのは偶然ではない。いずれ、移民に対する排斥は殺し合いに発展し、政府に対するデモは暴動となって吹き荒れていく。

しかし、基本的に先進国の労働者が追い詰められて貧困化するという流れは、グローバル化の流れがある限り止まることは絶対にない。


ロボット技術が急速に取り入れられようとしている

先進国の労働者と途上国の労働者の仕事の奪い合いで、先進国の労働者は圧倒的に不利な立場に落ちた。

途上国の労働者があまりに安い賃金でも嬉々として働くので、先進国の労働者は太刀打ちできないのだ。

これは政治家がどう頑張っても解決できない。それは自国の問題ではなく、国際的な問題だからだ。グローバル化という仕組みがそうなっているのである。

日本人の給料も、どんどん引き下げられている。それを見ても分かる通り、日本人もまた巻き込まれており、人々は給料の低下を余儀なくされている。同じことが、アメリカでも、フランスでも、イギリスでも、先進国のすべてで起きている。

それだけでも先進国の労働者には痛手だが、ここに来て、さらに人々を追い詰める大きな波が来ている。

それは急速に進む「ロボット技術」である。

先進国の労働者は、途上国の労働者に仕事を奪われた。そして、先進国の労働者の賃金が下がり、途上国の労働者の賃金が上がった。

賃金が同じになったところで仕事は先進国に戻ってくると、私たちは単純に考えていた。しかし、仕事は戻ってこないかもしれない。

人間の数十倍、数百倍の効率で働き、決して文句を言わず、疲れず、さぼらないロボットが労働のほとんどを奪っていく時代になる。

すでに工場の生産ラインでは20年以上も前からロボットが当たり前のように作業をしていた。その技術が大量生産を可能にしているのだが、それがどんどん進化している。


新しい時代の波が来ていることを見逃すな

アメリカには「DARPA」と呼ばれる世界最高峰の軍事研究組織がある。「国防総省国防高等研究計画局」と呼ばれる組織だ。

インターネットは軍事研究から生み出されたというのはよく知られているが、そのインターネットを生み出したのが「DARPA」である。

(インターネットを生んだ軍事組織、脳を拡張する兵器を開発中)
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2012/01/20120127T0447000900.html


すでに戦争の現場では「無人機」が当たり前になっているが、この無人機を実用化したのも「DARPA」だった。

研究と言えば、何か科学者のお遊びのようなものを考える人がいるかもしれないが、「DARPA」は実用的な技術を次々と生み出して世の中を変えている。

現在、この組織が全力を挙げて取り組んでいるのが、ロボット研究なのである。

この組織のトップだったレジナ・デューガン長官は、実は2012年に民間の企業に引き抜かれているのだが、その企業こそがグーグル社である。

現在、グーグル社はロボット技術を猛烈な勢いで買収しており、2013年12月には軍用ロボット関連の企業であるボストン・ダイナミクスをも手に入れている。

無人機を生み出した「DARPA」と、インターネットの覇者である「グーグル」が結びついて、「ロボット」技術に邁進しているが、その先に何が待っているのか。

折しもアメリカの小売りを制したもうひとつのネット企業の覇者であるアマゾンが「無人飛行機」を使った商品の配達テストしているというのも2013年12月2日に発表された。

多くの人々はこれらの「未来っぽい話」を好意的に見ているのだが、実際に何を生み出すのか知ったとき、愕然とするはずだ。



アマゾンが研究に入った無人機による配達。

ロボットが、経営者の指示通りに仕事をする時代に

ロボットが経営者の指示通りに「仕事をする」ようになる時代が来るというのは、どういうことなのか。

とても簡単な話だ。今まで仕事をしていた人間は、ますます要らなくなる。「労働者がいらなくなる」のである。

すなわち、企業は人を雇う必要がなくなって、さらにコストを浮かすことが可能になる。

DARPAは無人機の技術を持っている。グーグルは無人自動車の技術を持っている。アマゾンは無人飛行機の研究を行っている。ボストン・ダイナミクスは無人で悪路も走る獣のような形のロボット研究を行っている。

これらが組み合わされて社会に応用されるようになると、ロボット社会がやって来る可能性が非常に高い。そうなると人間が仕事をしていた分野が広範囲に渡ってロボットに置き換わる可能性も高い。

もちろん、全員が要らなくなるわけではない。ロボットを動かすほんの少人数はいる。しかし、あとの大多数はリストラされることになる。

ファーストフードの店員や、ピザの配達員等は低賃金労働の代名詞になっているが、こういった単純作業の仕事はロボットに置き換えられやすい。また、無人機が商業活用されると、ドライバーもお払い箱になる。

今でも普通の人が行える仕事が減りつつあるが、それがさらに減っていく未来が来る可能性が高まりつつあるということだ。

ロボット化する未来は、グローバル化が先進国の労働者を追い詰めたのと同じような未来を生み出すというのは、まだ誰も気付いていない。

いつか顕在化してから人々は気付く。いつ気付くのか? もちろん、自分の仕事がロボットに置き換わって失業したときに気付くのだ。

グローバル化が自分たちにどのような影響を与えるのか、実際にグローバル化が来て仕事を失わないと人々は気付かなかった。ロボット化も同じになる。



悪路の山道すらも走り抜けることが可能な奇妙な形態のロボット。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2013/12/20131221T1914000900.html


2012-01-27
インターネットを生んだ軍事組織、脳を拡張する兵器を開発中


インターネットの前身はARPA-NET(アーパ・ネット)と呼ばれているもので、これは軍事技術を民間に転用したものであることはよく知られている。

実は、共感覚を生み出して、人間を天才にする可能性のある能力を秘めたドラッグであるLSD-25(通称LSD)を調べているうちに、奇妙な裏の事実が分かってきた。

LSDとインターネットは、「ある組織」で結びついていたのである。その組織とはアメリカの国防総省の研究組織「アメリカの国防総省国防高等研究計画局」という。

国防総省国防高等研究計画局

アメリカの国防総省国防高等研究計画局
Defense Advanced Research Projects Agency

この頭文字を取ると「DARPA」になるので、この組織は通称「ダーパ」と呼ばれている。この組織の名前から「国防」の Defense を取ると、アーパになる。

この組織は一時、単に「高等研究計画局(アーパ)」と呼ばれていたので、アーパ・ネットはその名残りで「アーパ」が用いられた(現在はダーパ)。

インターネットの前身である ARPA-NET とは、要するに「高等研究計画局ネットワーク」だったということになる。

DARPAは核戦争が起きて米国が攻撃されるケースを想定していた。時は1969年で、アメリカはベトナム戦争の泥沼に足を取られた頃だ。

このベトナム戦争は共産主義国家ソ連との代理戦争であり、アメリカはかなり深刻に核戦争を想定していた。

もし仮に核戦争が起きて米国が攻撃された場合、軍隊へ命令が送れないとアメリカ軍は任務を遂行することができなくなる。

だから、軍隊の命令系統が途切れないようなネットワークを構築するのは国防総省としては切実な要望であり、それが高等研究計画局(アーパ)に託された。

軍用技術は民間技術と違って実践で使えるか使えないかが第一であって、賞を取るためのものではない。だから、技術は荒削りであっても、使える技術を生み出すのが得意だ。

この高等研究計画局(アーパ)は実は基礎研究を実用化するために、ありとあらゆるものを発見しているが、たとえばコンピュータで使うマウスも、アーパの資金を得たダグラス・エンゲルバート氏が発明したものだった。


すべての目的は「戦争に勝つ」ため

アーパは優れた基礎研究を軍用に転換するために多くの大学の科学者に協力を求め、資金を提供し、そして数々の技術革新を生み出してアメリカの軍事的優位性を生み出した。

核攻撃されても生き残るネットワークの研究では、一箇所が死んでも他の網を迂回して最終的にはどこにでもパケット(命令)を送り出すというアイデアで、このアイデアは見事に成功した。

成功したばかりか、この技術が世の中を激変させていったのは私たちもよく知っている。

現在、私たちが使っているコンピュータ、マウス、そしてインターネットはすべてこの高等研究計画局(アーパ)が産み出したものなのである。

マイクロソフトやアップルやグーグルは、アーパが産み出した技術を民間に広めるために貢献したのであって、基礎研究をしてコンピュータを生み出してのではない。

本来であれば、これほどの技術革新を成し遂げたのだから、実に賞賛すべき組織ではあるが、アーパ(後に改名してダーパ)はノーベル賞を得ようとか、世の中を変えようと思って仕事をしていたわけではない。

すべての目的は「戦争に勝つ」ために研究されたものなのである。

アーパ・ネットを生み出したあと、アーパはダーパに改名されて、そのあとも「戦争に勝つ」ため、ありとあらゆるアイデアが出されては実現できるものを探し出していた。

アーパ・ネットが研究所の中で生み出されていた1969年、巷では反戦運動が引き起こされていて、ヒッピー・ムーブメントが猛威をふるっていた。



ジャニス・ジョプリン。ヒッピー・ムーブメントの落とし子。

人間をマインド・コントロールする手段

このヒッピー文化の思想が、反政府・反戦争・反道徳だった。そのために、運動の中では道徳を破壊するためにドラッグとセックスの自由が祀り上げられて、人々は髭を伸ばし、髪を伸ばして、ドラッグを吸った。

ここで使われていたドラッグはマリファナとLSDで、特にLSDは人々の意識を覚醒させるための起爆剤になっていた。

このLSDの爆発的大流行を、ダーパ(DARPA)は非常に複雑な目で見つめていたはずだ。なぜなら、LSDは彼らの「研究対象」だったからである。ダーパはこのLSDをどんな軍事的目的で使おうとしていたのか。

最初は自白剤としてである。LSDを取ると意識が変容し、多幸感が増し、そして人を大いに開放的にしていく。だから、これを自白剤として使えば、ロシアのスパイも軍事機密をペラペラとしゃべるのではないかと期待された。

ところが、LSDは共感覚を引き起こすので、話す内容が論理的ではなく、それが正確な自白を引き出せないことが判明した。自白剤として使うよりも、むしろ敵を混乱させるために使うべきものだったのである。

そういった試行錯誤をしているときに、社会ではどんどんLSDが拡散していっており、アメリカは1965年にそれを違法としていたが、実は軍用では研究がなされていたのである。

いったいダーパは何を目指していたのか。それは、人間をマインド・コントロールする手段を探していたのである。

軍事目的のために人間をマインド・コントロールするというのはどういうことか。それは、無敵の兵士を作り出すためだ。

・戦場で兵士が恐怖やためらいを感じないようにする。
・戦場で寝ないで24時間でも戦える兵士を作り出す。
・兵士が外気に合わせて体温を調整できるようにする。
・傷ついた兵士が傷を自己修復できるようにする。

こういった「超人」的な兵士を作り出すために、インターネットを生み出したこの組織は研究を重ねて来ており、最終的には次のようなことを目指している。

・兵士をロボットのように上官が扱えるようにする。



米国防総省が目指しているのは「超兵士」の存在。

脳を支配する技術

ダーパ(DARPA)は同時並行で多くの軍用技術を生み出している。

人間をマインド・コントロールするための研究を重ねる間に、たとえば、以下のような「史上最高級」とも言われるレーダーに映らない戦闘機(ステルス戦闘機)や、無人の戦闘機(無人戦闘機)と言った軍事革新を生み出し続けてきている。

そうやって成果を出しながら、今この組織が向かっているのは、「人間の脳を支配する」技術を生み出すことなのである。

2001年にアメリカは同時多発テロに見舞われて、アフガン・イラクに侵攻していったが、そのときダーパ(DARPA)は軍事的戦略として今後何を目指しているのかを2003年2月の「戦略計画」で明らかにした。

「思考を行動に変換する方法を発見し、開発することができるなら、それが、防衛に及ぼす長期的な影響たるや、巨大なものになる。想像して欲しい。単に考えるだけで遠距離から作戦をおこなうことができる米軍兵士を……」

何が言いたいのか。それはこうだ。「上官が考えるだけで、最前線の兵士が動く技術を発見し、開発したい……」

これは、他人を将棋やチェスの駒のように動かす技術を開発しているということなのである。

2003年にダーパ(DARPA)はそのように明言しており、マインド・コントロールの技術、脳を支配する技術が、どんどん研究されている。

インターネットを発明し、ステルス戦闘機を発明し、無人戦闘機を発明した軍事機関が、いよいよ、「他人の脳を支配する技術」を発明しようとしている。



マッハ20で飛ぶ超高速軍用機もDARPAの研究だ。

人間の脳は他人によっていじられる

さらに、敵に対する攻撃方法としても「非致死性兵器」として脳を破壊する技術まで研究されている。

破壊と言っても、単純に破壊するのであれば殺してしまえばいい。

しかし、ダーパ(DARPA)が考えている破壊とはそのようなものではなく、たとえば「記憶を消してしまう」ものであったり、「別の記憶を埋め込む」ものであったりする。脳の記憶を「改変」してしまうのだ。

自国の兵士を最強軍団に変えるために「脳を改良」するというのは、逆に言えば、他国の軍隊を「脳を改悪」すればいいということになる。

記憶障害を治療することができるということは、逆に記憶障害を起こすこともできるわけである。

脳を強化する技術と、脳を破壊する技術が、同時並行で進んでいる。医学に転用されれば、革新的な技術なるものがある反面、軍用で実践されたら、破壊的な技術にもなる。

どちらの結果になるにしろ、人間の脳は他人によって、めちゃくちゃにいじられる時代がやってくる。遠い未来ではない。もう研究所の中では何かが実現されているかもしれない。

ある時、グーグルの創始者のひとりであるラリー・ペイジはラスベガスの国際家電市こう言ったことがあった。

「グーグルを脳に移植したい」

多くの人は冗談だと思って笑っていたかもしれないが、冗談ではないかもしれない。

実はダーパ(DARPA)では損傷した脳にチップを埋め込んで、脳の機能を肩代わりさせるという研究もしている。

実現するかどうかは分からない。もし実現したらどうなるのか。このチップがBluetoothのようなもので外部で接続されたとき、ラリー・ペイジの語った夢は実現する可能性も見えてくる。

チップと脳のニューロンをどのように融合するのかは研究が進められているのだろうが、未来が恐ろしくないだろうか。LSDで夢を見るくらいで進化がとまっていればよかったと思う。



Googleを脳に移植するのは冗談ではない可能性も。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2012/01/20120127T0447000900.html


49. 中川隆[-7382] koaQ7Jey 2017年6月23日 07:29:27 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017-06-23
奇妙な日本食を食べながら、グローバル化の次を考えてみる

私は国外ではあまり日本食を食べないのだが、自己規制しているわけではないので、たまに食べることもある。

以前、タイ・バンコクのサイアム駅につながった駅ビルに入ったとき、たまたま目の前に日本食レストラン『8番らーめん』が目に付いた。

空腹を手っ取り早く解消しようと思ってそこに入り、タイ人のウエイトレスに「カレー・ラーメン」なるものを頼んだ。日本食だが、日本で見ない奇妙なメニューだ。

ラーメンの上に、カレーを載せている。

日本には「カレーうどん」のようなものがあるが、そういったものではなく、本当に普通のラーメンの上に普通のカレーを載せているものである。

普通と普通を足すと、必ずしも普通になるとは限らない。私はカレーとラーメンの汁が混じってわけが分からなくなったその日本料理を食べながら、まわりを見回してみた。

厨房にいるのはタイ人の料理人たち。そして、ウエイトレスも全員がタイ人。客はタイ人もいれば欧米人(ファラン)もいれば、中国人もいれば、私のように日本人もいる。

「多国籍だな……」と思いながら、私はこの奇妙な料理を食べたのだった。

日本国内でも、日本国外でも、多国籍になっている

グローバル化が進んでいくと多くの企業が国外に出ていき、現地の人たちを雇って経営をすることになる。日本企業も、多くが国外に出て、現地で定着しようと必死になっている。

カンボジアでは、プノンペン国際空港の入口に「吉野屋」があるのを見て意表を突かれたが、よくよく考えれば吉野屋はバンコクにもあるし、シンガポールでも普通に見かけた。

アメリカのファストフード店も、スターバックスもカンボジアに進出しているのだから、今さら日本のレストランが国外にあって不思議に思う方がどうかしている。

よく考えて見れば、日本国内でもタイ料理屋があってタイ人が経営していたり、インド料理屋があってインド人やネパール人が経営していたりする。

そこで日本人の女性がウエイトレスをやっていることもあれば、料理人がインド人と日本人の混成であったりすることもある。日本国内でも、日本国外でも、多国籍になっているのだ。

そもそも、ブラックアジアの読者の多くも国外に住んでいて、それぞれの国で仕事をしたり家庭を持ったりしている。もう、そんな状況は普通だ。

グローバル化は問題を引き起こしながらも止まらない。

だから、ドナルド・トランプのような人物が出てきて、問題の多すぎるグローバル化に歯止めをかけようとしても、それは「すでに普通になってしまった世界を壊す」ことになるので、なかなかうまくいかない。

EUも一気に多国籍を実現しようとして「多文化主義」だとか「多文化共生」を強制して暴力を伴う反撥も起きた。今も各国で人々が右に左に動揺している。

社会は企業を通してグローバル化に突き進んでおり、もうそれは止めるには遅すぎたと企業の経営者は、ほぼすべてがそう考える。「今さら止められない」というのが本音だ。

仕入れも多国籍であれば、製造現場も多国籍、そして販売もまた多国籍である。商品もそれぞれの国でローカライズされて多国籍になっており、ユーザーも多国籍である。

今、これを止めることは、社会を破壊することになる。そこまでグローバル化は浸透してしまっている。


普通のラーメンに普通のカレーを上に載せた和風カレー・ラーメン。奇妙ではあるが、外国人はこんなものなのかと思って食べるのかもしれない。


何もかも多国籍化すると、最後に無国籍化になる

グローバル化は企業が「コストの安いところで作り、多国籍に売る」という利益追求から始まった。そして、「国境が邪魔なのでいっそのこと国境をなくしてしまえ」という発想からエスカレートしていった。

しかし、そうなると自国に異民族が大量に流れ込んで軋轢を起こし、収拾が付かない状況になって現在に至っている。

国民はグローバル化に激しく抵抗するが、その国民は企業に雇われて生きている人が多いので、やがて企業が国民を手なづけることになっても不思議ではない。

現代は資本主義社会だが、この資本主義を最も具現化した存在は企業である。だから、企業が突き進む方向に、社会がついていく。

企業が巨大化すれば、社会は企業中心に回る。企業が多国籍になれば社会も多国籍化する。

かつて多国籍企業と言えば、多くの国で統一ブランドを売る石油会社、食品会社、製薬会社、車会社がその地位を欲しいままにしてきた。

これが、最初の多国籍企業の登場だった。

今の多国籍企業は、それにグローバル化によるコスト削減と、インターネットによるスピード経営と、ソフトウェアのローカライズが加わっている。

グーグルは日本で接続すれば日本語にローカライズした画面が出るし、カンボジアで接続すればクメール語にローカライズされた画面となる。

アップルのアイフォーンも多くの国でローカライズされた言語で使われていて、誰もがそれに違和感を感じていない。まるでアップルという企業が作り出した製品は、最初から自国で作られていたかのように使いこなしている。

これらの企業の特徴で面白いのは、もはや「多国籍」という概念を超えて「無国籍」になっていることである。


無国籍の流れが、企業から個人へと波及していく

この多国籍が行き着くと、最後にはどうなるのだろう。

グローバル化した社会は、やがては社会を「無国籍化」する可能性がある。これは、私がそうなって欲しいと思っているのではなく、可能性の問題を言っている。

それは、私たちが生きている間は実現しないかもしれないし、永遠にありえないかもしれないのだが、方向性がそちらに向かっているというのは誰もが感じるところだ。

かつての多国籍企業は「販売する場所が多国籍」だったので多国籍企業だった。

しかし、今は製造する工場も多国籍なら、部品も多国籍に調達、経営者も多国籍ならば、社員も多国籍、商品も多国籍になっている。

さらに、企業は税金が安いところに本社を移すようになるので、本社機能も多国籍化した。

何もかもすべてが「多国籍になっている」というのは、要するにどういうことなのか。もはやそれは、「多国籍」ではなく「無国籍」というべきなのである。

多国籍企業はもう「国境」という概念が邪魔だと感じており、さっさと国境をなくしてほしいと心から願っている。国境を規定しているのは国家だ。つまり、国家そのものが企業にとっては邪魔になっている。

国家が消えると国境が消えるばかりか国籍すらも消えるので「無国籍」の状態が発生する。

ただ企業は国家を消すと言っても無政府状態を望んでいるわけではなく、管理された国家の撤廃を望んでいる。どうするのかというと、その実験こそがEU(欧州連合)である。

ヨーロッパをブロック化して、国境を撤廃し、国家の権限もEUに委譲し、結果的に国境を消滅させて「無国籍」にする。

このブロック化をアメリカ、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、中東で作り出して、最後にブロックそのものを統治すれば全世界から国境がなくなって、世界は「無国籍」と化す。

多国籍企業はそれを望んでいる。実現するかどうかは別に、社会はそこに向かっている。今の世の中の動きは、そのようになっているということだ。

話が大きくなった。

もし、あなたがタイに行く機会があれば、「8番らーめん」のタイ人が作る「カレー・ラーメン」なるものを食べてみて欲しい。それは、もしかしたらすべてを混ぜ込んだグローバル化の味がするかもしれない。


タイに行く機会があれば、「8番らーめん」のタイ人が作る「カレー・ラーメン」なるものを食べてみて欲しい。それは、もしかしたらすべてを混ぜ込んだグローバル化の味がするかもしれない(ただ、今もこのメニューがあるのかどうかは保障の限りではありません)。
https://www.bllackz.net/blackasia/content/20170623T0149120900.html


50. 中川隆[-7375] koaQ7Jey 2017年6月23日 13:15:22 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017年 06月 23日 特別リポート:製造業の町、労働者がトランプ氏に求めるもの
http://jp.reuters.com/article/usa-workers-elkhart-idJPKBN19E08H?sp=true

[エルクハート(米インディアナ州) 20日 ロイター] - トランプ大統領をはじめとする多くの政治家は、米国にはもっと製造業の雇用が必要だと主張するが、この小さな町には、十分すぎるほどの働き口がある。ここにいる労働者の多くにとって、問題は雇用の数ではなく質だ。

ブランドン・サイツさん(32)の場合がまさにそれだ。中西部インディアナ州エルクハートは、世界のキャンピングカー(RV)の首都と呼ばれるほどRV製造が盛んで、サイツさんは、地元工場の組み立てラインで12年間働いた。そこで、細身のサイツさんは体を壊しかけたという。

他のRV工場の組み立て作業員と同様に、サイツさんの給料は、低い時給と、「ピース・レート(出来高払い)」と呼ばれる、割の良い特別手当という組み合わせだった。生産目標を達成して特別手当を得るため、組み立てラインは大忙しで、事故が起きることも多かった。工場勤務を始めた年、鉄鋼フレームがサイツさんに当たり、膝の腱が切れた。

そして、工場の中は暑い。大半のRV工場には、空調設備がない。「いつも汗をかいていた。夏は、2.5ガロン(約9.5リットル)の水を飲んでもまだ喉がかわく日もあった」と、サイツさんは言う。2014年に、背中を切開してレーザーで腎臓の結石を除去する手術を受けた。脱水状態が原因だと言われたという。

それをきっかけに、サイツさんはRV工場の生産ラインでは二度と働かないと決めた。「カネは良いが、身体に悪すぎる」

昨年の大統領選で、トランプ候補がアメリカ造業の復活を公約し始めたころ、エルクハートでは、まさにその復活が進行していた。

2008年から2009年にかけてのグレートリセッション(大不況)では、地元の失業率は20%に達しており、全国でも最悪レベルだったが、その後、季節調整後で1.9%にまで低下。この20年で最低となっただけでなく、全米平均の4.3%も大きく下回っている。

RV産業は、その改善に大きく貢献した。地元当局者は、雇用の半分が製造業で、そのさらに半分がRV関連だと推測する。現在、エルクハート郡とその近隣地域で、米国製RVの85%を製造している。昨年の売り上げ台数は、1970年代以降で最高に達した。


エルクハートのソーア工場でキャンピングカーを組み立てる労働者(2017年 ロイター/Joshua Lott)

エルクハートのソーア工場でキャンピングカーを組み立てる労働者(2017年 ロイター/Joshua Lott)

こうした数字を見る限り、エルクハートの景気は良好で、中央政治に忘れられたと感じ、トランプ氏を当選させる原動力となった白人労働者が集まる街ではないように見える。

トランプ氏の牙城

しかし、この町では有権者の3分の2がトランプ氏に票を入れた。共和党が強いインディアナ州全体よりも、トランプ氏の支持率が高かった。

新政権発足から数カ月、ロシアによる大統領選介入疑惑の捜査が行われ、トランプ大統領が公約のほとんどを実現できていないにもかかわらず、地元労働者のトランプ支持は根強い。今回ロイターの取材に応じた大統領選の投票棄権者にも、その傾向が見られた。

サイツさんもその1人だ。彼は、昨年11月の大統領選で投票しなかった。誰を信じていいか分からなかったという。今は、トランプ氏に投票するだろうと感じているという。「メキシコから雇用を取り返すという約束を果たしつつある」と、サイツさんは言う。


ブランドン・サイツさん (2017年 ロイター/Joshua Lott)


サイツさんや今回インタビューを受けた多くの労働者は、エルクハートにすでにあるような仕事を、さらに求めている訳ではない。彼らは、長期間働けて、安定した収入が得られる仕事が欲しいのだ。数十年前は、こうした仕事はふんだんにあり、エルクハートを含む中西部の産業地帯一帯で、中間所得者層の形成と維持に貢献した。

彼らは、移民とグローバル化により、エルクハートで見つかる仕事の質が変わってしまったと感じている。

「(トランプ大統領が)アメリカを再び偉大にできると本当に思っている」と、マリー・スワイハートさん(28)は話す。

大統領選でトランプ氏に投票したスワイハートさんは、RV製造の米最大手ソーア・インダストリーズ(THO.N)の工場で車両用ハーネスにワイヤーを取り付ける作業を、時給15ドル(約1670円)で行っている。

他の多くの労働者と同様に、スワイハートさんも、移民は米国出身の労働者よりも低い賃金で働き、悪条件にもあまり文句を言わないと考えている。「もし彼らを送り返すことができれば、合法的な米国人の雇用が増えることになる」と彼女は言う。

国勢調査によると、エルクハート郡における人口の75%は、ヒスパニック系以外の白人で、約3万人のヒスパニック系住民は、コミュティの規模は小さいものの、急増しているという。

全米各地の不法移民数を推計した、移民研究センター(ニューヨーク市)のロバート・ウォーレン氏によると、エルクハート郡には、主にメキシコからの不法移民が約9400人いる計算になる。そのうち、仕事を持つ人の67%が、工場や生産関係の仕事についているという。

ソーアなどのRVメーカーは、待遇面で移民を他と異なる扱いはしておらず、不法移民は雇用していないと回答した。

労働者には水を

仕事内容について、ソーアなどは、工場は忙しいものの、安全だとしている。ソーアのケン・ジュリアン副社長は、業界として常に組み立てラインのデザインなどを改善し、どの年代の従業員も作業しやすく、かつ安全に働けるよう配慮していると説明する。

暑さ対策として、水や飲み物を常に用意し、「気温が華氏100度(摂氏37.8度)を超えたら、工場を閉鎖する」と同副社長は話す。

また、業界幹部は、特別手当制度は、短期間で効率よく稼げるとして労働者に人気だと話す。

魅力的かどうかは別にして、RV業界の仕事は、米国のブルー・カラー労働者にとって最善の選択肢となりつつある種類の仕事を象徴している。業界には年間を通じて好不況の波があり、今回の生産ブームでは起きていないが、レイオフが行われることもある。

組み立てラインの猛烈な作業ペースは、多くの労働者にとって、耐えられる限界、もしくは健康や体力が衰えるまでしか、一番稼ぎの良いラインでの仕事を続けられないことを意味する。これ以上働けないとなった時点で、より給料の低い仕事に移っていく。

サイツさんも、腎臓結石の手術を受けた後、そうした。今は、ソーアが最近買収したRVメーカー「ジャイコ」のサービス部門で働いている。今の仕事は週48時間勤務で、組み立てラインでの平均35時間より長いが、週給は500ドル少ない。だが、自分のペースで働くことができ、顧客とやり取りできる今の仕事の方が気に入っているという。


ソーアのキャンピングカー工場(2017年 ロイター/Joshua Lott)

古き良き時代


RV業界の労働者は、「雇用されているが不安な層」に属すると、マイク・ダウンズ・インディアナ政治センターのアンドリュー・ダウンズ氏は言う。

トランプ氏はこうした層に、「一生懸命働いているのに、望むほど暮らしが楽にならないね」と語りかけ、かつて、生活や仕事の質が今より良かった時代があったと主張して、支持を訴えた。

そうしたメッセージは、エルクハートでは共感を呼んだ。かつてこの町には、もっと多様な産業拠点があり、中産階級を支える雇用があった。RVの前には、十数軒の楽器工場があり、「世界の楽器の首都」として知られた時代があった。そうした工場は、今では中国に移転してしまった。また、巨大製薬会社が拠点を構えた時期もあった。

エルクハートで起きたことは、米国産業界のあちこちで起きていることだ。

米国の工場賃金は、2006年に全民間産業の平均賃金を下回り、それ以降、差が拡大している。労働省の統計によると、現在、製造業の平均時給は20.79ドルで、全産業平均の22ドルより低い。2008年に製造業を抜いたサービス業の平均時給は21.79ドルだ。

カリフォルニア大バークレー校の労働センターによる2016年の研究では、米製造業労働者の3分の1は賃金が低すぎて、フードスタンプ(食糧配給券)などの政府補助の対象になるという。

ステイシー・カーチスさん(54)がトランプ氏に投票したのは、「良い」仕事を取り返し、移民に対して強硬策をとるとの公約が気に入ったからだ。


ステイシー・カーチスさん(2017年 ロイター/Joshua Lott)


カーチスさんは、16歳で学校を中退してバンをカスタム仕様にする店で働き始め、その後、人気の楽器工場で職を得た。労働組合があり、給料も良く、薄い金属を加工してトランペットやトロンボーンを製造するために必要な技術力によって立派な職だと認められていた。

2006年に、カーチスさんが働いていた工場を経営するコーン・セルマーの金管楽器部門が、中国製品との競争のため、就業規則を変更して給与を引き下げる提案を行い、労働者がストライキを行った。ストライキは3年続き、労働者側が労組との関係を絶って会社提案を受け入れることで決着した。カーチスさんはトロンボーンを製造する仕事に戻らなかった。

白人がほとんどいない

カーチスさんは近年、工場での職探しをするたびに給料が下がり、自身の経歴が不利に働いていると感じている。「今日、工場をのぞいて見れば、白人やアメリカ人はほとんどいない。メキシコ人ばかりだ」

今は無職で、彼女は線維症と皮膚病を理由に障害給付金の受給を申請をした。

移民に対する苦々しい態度は、トランプ氏が選挙戦で刺激した、グローバル化の威力に対する広範な敵対心の一部だ。そして、カーチスさんが発したようなコメントは、エルクハートにおけるトランプ人気に明確に存在する「人種的要素」を反映していると、一部の人々には映っている。

トレイシー・デグラフリードさん(48)は、アフリカ系米国人で、大統領選では民主党のヒラリー・クリントン候補に投票した。サプライヤー向けに長年RV業界に関わり、2015年に、RVをディーラーへと運ぶトラック運送業者として独立した。

彼は、なぜ近隣に暮らす白人の多くがトランプ大統領を支持する訳を理解できるという。「アフリカ系米国人として、われわれは常に苦労してきた。でも白人は、欲しいものは常に手に入れてきた。他の人たちが常に感じてきた痛みを、彼らはいま感じるようになったのだ」


トレイシー・デグラフリードさん(2017年 ロイター/Joshua Lott)

この「痛み」とは、エルクハートにかつて比較的多く存在した、給料が良く安定した仕事を手に入れるための努力のことを指すと、彼は言う。「だから、トランプ氏はここで勝ったんだ」

時間とともに、さまざまな業種の工場が他に移転したことで、地元経済は、RV製造への依存を強めることになった。

それぞれの工場で製造されるRVのモデル数は数種類に限定されることが多く、結果的に、製造拠点が拡散されることになった。ソーアは、エルクハートとその周辺を中心に190の工場を運営している。売上高は、昨年46億ドルに達した。

どの工場も、これまで一度も労組が結成されたことがない。ほとんどの従業員が、他の産業ではほぼ撤廃されたピース・レートで給与を受け取っている。基本給は時給10ドルと安く、生産目標を達成すればボーナスが出る。最も高級なRVを製造する組み立て工場では、景気が良い時には、労働者1人当たり年間6万ドル程度を稼げるという。

給料は低いが、楽な仕事

3人の子供の母親のカースティン・サザンさん(34)は、2つの会社のRV組み立てラインで働き、ピース・レートで給料を受け取っていた。「しばらくすると、体がガタガタになった」と彼女は言う。「ピース・レートがあると、悪いことが起こりやすくなる。完成を急ぐからだ」


カースティン・サザンさん(2017年 ロイター/Joshua Lott)

勤務中のけがはなかったものの、常に疲労状態だったという。

いまは、RV部品などを製造するLCIインダストリーズ(LCII.N)のエルクハート近郊工場で、部品供給を管理する仕事に就いている。勤務時間は固定で、待遇はおおむね良好だという。

もし昨年大統領選に投票していたなら、トランプ氏に投票しただろうと、サザンさんは言う。「トランプ氏は雇用の回復を掲げている。それには賛同する」

彼女が働くLCIは、職場環境や待遇改善に乗り出した企業の1つで、人事担当のニック・フレッチャー氏によると、離職率は4年前の100%から40%以下に低下した。

フレッチャー氏は、「労働者の安全や品質への意識を高めるものではない」して ピース・レートの廃止を訴えている。今は同社従業員の75%以上が固定時給制で、平均時給17.50ドルだという。勤務時間中の事故の発生率も、従業員数が3000人増えて8000人規模となったにもかかわらず、2013年比で大きく低下した。

だが、ほとんどのRV工場労働者にとって、労働条件はこれまでとほとんど変わってない。キャシディ・デイビーズさん(29)は以前、あるRV工場から別の工場へと、転職を重ねた。職場の雰囲気が悪く、耐え難い工場が多かったためという。

「ドリルの電池を勝手に借りたというだけで、殴り合いをする様な人がいた」という。生産台数に応じて、「給料も、いつも上がったり下がったりを繰り返した」と彼は言う。

いま、彼はソーアの大型工場で働いており、そこは今までで一番気に入っている職場だという。だが、キャリアを築いていける仕事だとは考えていない。「後どれぐらい働けるか、正直分からない。毎日、自分をいたぶっているようなものだから」

デイビーズさんは、これまで投票に行ったことがないという。「トランプ氏の人に対する話し方や態度は嫌いだ」と言う。「でも、やっている事には賛成できるものもある」。良質な製造業の雇用を取り戻すという主張は、その1つだという。


51. 中川隆[-7373] koaQ7Jey 2017年6月23日 14:41:55 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017年6月23日知の力をあらためて実感する本
From 施 光恒(せ・てるひさ)@九州大学

中野剛志さんと柴山桂太さんとの対談本

『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』(集英社新書)
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%83%A0-%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%85%88%E3%81%AE%E6%82%B2%E5%8A%87%E3%81%AB%E5%82%99%E3%81%88%E3%82%88-%E9%9B%86%E8%8B%B1%E7%A4%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E4%B8%AD%E9%87%8E-%E5%89%9B%E5%BF%97/dp/4087208869

が発売になりました。


最近は、例えばテレビをつければ、インテリぶったコメンテーターが的外れな意見を述べていたり、高学歴の政治家がしどろもどろでおバカな答弁をしていたりするのをいやというほど目にしています。

そのためか、受験に有利になるといった表面的なこと以外では、「勉強すること」の大切さを子供たちに自信をもって語ることが少なくなっているように思います。

今回の新著『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』を読んで感じたのは、シンプルなことですが、まさに、学ぶこと、知性や教養を身に着けることの力です。

昨年来、ブレグジットやトランプ大統領の誕生、フランスの選挙でのルペン氏の善戦など、脱グローバル化とでもいうべき動きが顕著になってきています。しかし、識者と称される人々のコメントは、いまひとつピンとこないものがほとんどです。

例えば、ブレグジットやトランプ大統領の選出などのグローバル化に反発する動きは、ポピュリズムの噴出であり、危険だなどとよく言われますが、こうした動きが本当に危険だと言えるのか、またポピュリズムと民主主義はどう違うのかなど、納得できる説明が提供されることはあまりありません。

本書は違います。脱グローバル化の近年の動向の背景にあるものはどういう事態なのか、二人の対談を読めば、容易に理解できるようになっています。


新たな視点も数多く提示されます。

例えば、米国の大統領選で現れた「ポピュリズム」について、柴山さんは、クリストファー・ラッシュという歴史家を引きつつ、次のように述べます。

「……アメリカのポピュリズム運動の奥底を流れているのは、「服従と憐憫の拒否」なのです。エリートに服従したくないし、福祉という憐憫を受けたいわけでもない。自分の仕事と家族を大事にしながら、誰に頼ることなく自立している状態を理想としているのです。

トランプが大衆人気を獲得した理由は、自立を求める層を取り込んだからだとも解釈できるのです。おまえたちが自立できるよう、仕事をつくってやるというトランプの言葉が、彼らの心をつかんだ。アメリカ史の底流を流れるポピュリズムの通奏低音を、トランプはうまく言葉にしたんですよ。(略)一方で民主党の側は、貧困層に福祉を与えてやるという態度だった」。

なるほど、と思いました。米国庶民層の倫理の特質、クリントンではなくトランプに庶民層の指示が集まった理由について認識が深まります。
( ゚д゚)ホゥ

また、巷にあふれる、事実に基づかない陳腐な物言いに対しては、二人とも的確かつ手厳しい批判を展開します。

例えば、中野さん。グローバル化すれば、経済的に繁栄すると同時に、経済的相互依存の深化のため戦争も生じなくなるというグローバル化推進派のエリートがよく用いる理屈に対して、次のように反駁します。

「経済的相互依存で平和になるという理論は、第一次世界大戦直前の英独相互の貿易依存度が実は高かったという事実を持ち出すだけで、崩れ落ちる。その程度の脆い理屈ですよ」。

そして、次のように続けます。

「それに、何が利益になるかというのは、階級や集団によって違うわけですね。だからこそ国家は、特定の集団の利益によって代表されてはならない。しかし、グローバル化はグローバルに移動できる特定のエリートたちには恩恵を与えますが、好き勝手に国境を越えて移動できない庶民には不利益を与える。そのくせグローバリストは、グローバル化があたかも国民全体の利益になるような顔をしているのです。

つまりエリートぶっている彼ら自身が、根本的に間違った理論に基づいて発言をし、その上で自分たちに有利な社会をつくっているのです」(39頁)。

明快かつ痛快な指摘です。

他にも、「日本は自由貿易で戦後成長したんだから、自由貿易を捨てちゃいけない」などと言って、TPPなども全肯定して突き進み、現在でも世界の保護主義化の盾になろうとする日本のグローバリストに対しても、二人は事実に基づき、明確な批判を提示します。つまり、「戦後の自由貿易体制こそ日本の繁栄を築いた礎である。それゆえ日本は保護主義に常に反対し、自由貿易の側につかなければならない」といったこれもよく聞く論法に対する批判です。

一部だけ、紹介しましょう。

中野「まず指摘しておきたい一般的な誤解は、1960年代の高度経済成長期でさえ、GDPに占める輸出の割合は、一割前後で推移していたということです。戦後日本は、別に貿易立国でも何でもなかった。むしろ、日本の経済は戦後一貫して内需依存型だったんです」(134頁)。

柴山「(略)戦前と戦後で分ければ、日本は戦前のほうが外需依存型だったわけでしょう。そんな経済史上の事実の前提も抜きにして「自由貿易が日本の繁栄を築いた」と言われても、困りますよね」(同頁)。

また、柴山さんは続けて次のように言います。

「戦後に貿易依存度が若干、高くなったのは、終戦直後や高度経済成長期ではなくて、日本経済が不調になってから。いわゆる「失われた二〇年」の、デフレ期に入った後なんですね。(略)小泉政権以降というか、2000年代に入って輸出がむしろ伸びています。これは決して褒められたことではなくて、内需がしぼんだから外需に頼った。外需依存型の経済というのは、非常に脆弱なんです。外部環境でショックがあったときに打撃が大きいので」(135頁)。

本書は、以上のように、「識者」やマスコミが無批判に流布してしまっているグローバリストの怪しげな通説の誤りを丁寧に指摘していきます。

お二人が、インチキな通説に流されず、世界の現状を的確に把握しているのは、政治や経済の歴史に通暁しているからでしょう。

中野さんは、「はじめに」でこの本の狙いについて次のように書いています。

「…激動の時代にあっては、もはや、周回遅れの思想にしがみついている、役立たずのエリートたちなどを頼っても、仕方がありません。我々一人一人が、これまでの通俗観念を疑い、現実を直視し、知識を洗いなおした上で、自らの世界観の座標軸を新たに設定しなおさなければならないのです。本書は、そのための試みです」(6頁)。

学ぶことの大切さ、知性や教養の力というものをあらためて実感できる本です。
https://38news.jp/economy/10645


52. 中川隆[-7343] koaQ7Jey 2017年6月25日 12:05:00 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017年06月24日
外国人労働者の増加が実質賃金低下を招いている

人手不足と言いながら外国人が確保できるから企業は給料を上げない
引用:http://txbiz.tv-tokyo.co.jp/getchapter_ajax.php?chapter_id=66696

外国人労働者の増加が招くもの

東京や大阪はどこを見ても外国人観光客で溢れているが、それより多いのが外国人労働者です。

観光客はすぐ帰国するが労働者はずっと居住するので、一時点に滞在する人数としては労働者のほうが多い。

コンビニ店員が外国人は普通だし、牛丼屋では客と店員全員が外国人という場合もある。

         

建設現場や内装工事なんかでも、よく見るとアジア系の人達という事が多い。

外国人労働者は2016年10月に初めて100万人を超えて108万人になり、2017年も増加している。

16年10月時点で技能実習生が約21万人、留学生約21万人で4割を占めている。


国別では中国が約34万人、ベトナム約17万人、フィリピン約12万人と3カ国で6割超を占める。

数値は事業主から届け出のあったものだけで、届出が無いものや不法就労は含まれていない。

体感的にはこの数倍も居るような気がするがかなりの地域差があり、首都圏や近畿、中部、九州北部などの都市部で非常に多い。


田舎や地方都市では(農業実習もあるが)外国人労働者は少ないと思う。

現在の日本は5年前とは様変わりして人手不足であり、企業は外国人労働者で足りない人手を補っている。

ところでアベノミクスで株価とGDPが上昇したのに給料は増えず物価も上がらない現象が、政府と日銀を悩ませている。

安倍首相夫婦の残念な考え方

一体どうして景気が良いのに(彼らはそう言っている)賃金と物価が上がらないのか、東大卒の官僚たちが頭を抱えている。

東大卒でもなんでもない一般人から眺めると、賃金が上がらない理由は明白で「外国人労働者が労働力を供給しているから」です。

資本主義の労働市場では労働者が不足すると、企業は賃金を上げて労働力を確保しようとするので賃金が上昇します。


ところがここに外国人労働者100万人が現われて「テイチンギンデモ、イイデス」と働き出したら、企業は賃金を上げるのを辞めてしまいます。

さらに悪いのは安倍政権が進めている「女性が輝く社会」という意味不明の計画で、女性労働者を増やし続けています。

誤解している人が居るが、今や日本女性の就労率はアメリカや欧州平均より高くなっています。


さらに悪い事に政府は高齢者の就労も促進していて、毎年何十万人も新たな就労者が増えています。

女性が働く事はもう一つの社会問題である少子化の原因にもなっていて、安倍首相は女性全員が働くべきだという奇妙な考えを持っている。

女性全員が就労したら、一体誰が子供を生んで育てるのか?試験管で培養して水槽や動物園で育てるのか?実に奇妙です。


安倍首相夫婦には子供が居ないからか、誰が子供を生んでどうやって育てるのかというのが、この夫婦には分かっていない気がします。

「保育園落ちた日本しね」というのがありましたが、もともと保育園の数は釣り合っていたのに「女性が輝く政策」のせいで短期間に不足しました。

出産や育児を放棄するとどうして女性が輝くのか、さっぱり理解できません。

不要になった外国人労働者は逮捕するのか

外国人労働者についても同様で、「移民政策はとらない」と言いながら外国人労働者をどんどん増やしています。

在日韓国人を見れば分かるとおり、一度入国して定住し、職業に就いた外国人は決して出て行きません。

外国人労働者が用済みになったら、警察が逮捕して入管に引渡し、全員を犯罪者として強制送還するのでしょうか?


それも人権無視の酷い話であり、日銀の出口戦略以上に外国人労働者が不要になった時どうするかを考える必要があります。

今は労働者が不足しているので「外国人労働者を増やそう」という議論ばかりしているが、不況になったら一転して「出て行け」となる。

実はこのパターンは1990年ごろのバブル期に外国人労働者を大量に受け入れて、バブル崩壊で追い出した再現です。


外国人留学生は本来、日本で就学する人が学費を得るために労働を許可しているが、現実は100%労働目的で就学は隠れ蓑です。

企業は中国やベトナム、フィリピンで労働者を募集し、適当な日本語学校や専門学校に入学させて来日させている。

するとそれを仲介する労働ブローカーも現われ、闇世界で外国人労働者を斡旋し日本に連れてくる。


これもバブル期に一度起きていた事で、タコ部屋で働かせた末に、バブル崩壊後は犯罪者として追い返しました。

酷いのはこうした外国人労働者の「輸入」が日本経済に役立つどころか、賃金上昇を妨げてデフレの元凶になっている。

外国人労働者が輸入できるので、企業は口では人手不足と言いながらブラック労働を続けさせ給料は上げず、余剰金を数百兆円もプールしている。


労働生産性の向上やIT化もさっぱり進まず、いかにして外国人や女性を低賃金で働かせるかに知恵を絞っている。
http://www.thutmosev.com/archives/71489950.html


53. 中川隆[-7342] koaQ7Jey 2017年6月25日 12:12:52 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017年06月25日 アメリカの田舎で限界集落が増加


自然は豊かだが現代から取り残された地域が増えている
引用:https://smalltowngirlsguide.files.wordpress.com/2009/06/dscf0291.jpg

都市と過疎地の格差が拡大

アメリカはリーマンショックが収束した2009年から8年間ずっと好景気が続いているが、全国一律ではなかった。

ニューヨークに代表される都市部は繁栄を続けているが、アメリカには田舎や過疎地が意外に多い。

都会ではITが生活に浸透したのに、100キロ離れた田舎ではインターネットや電話さえ通じない事が良くある。

          

アメリカでは日本のように国土の大半をカバーする移動電話会社はなく、どの電話を契約しても空白地域ができます。

しかも都市部では複数の電話会社がカバーしているのに、過疎地は1社もサービスをしていない地域が多い。

そうした地域にも電話はあるがインターネットはなく、あったとしても昔のダイヤルアップ回線程度の通信速度になる。


こうなった理由は田舎は人が少ないから投資する企業がないからで、田舎のIT化は80年代後半で止まっている。

アメリカの全ての村々に高速インターネットを普及させるには数十兆円かかり、高速の移動電話サービスにも同じくらいかかる。

ネットや携帯電話を使えないので、そこで起業する人や進出する企業はなく、就職場所は農場しかない。


しかも近代的な農場ではなく、生産性が低い遅れた農場やガソリンスタンドなど、20世紀から存在する業種しかない。

人口の1割に相当する約3000万人がこうした地域に住んでいて、アメリカ版の限界集落になっている。

こうした地域では医療などの住民サービスも遅れていて、失業率は高い。

アメリカの限界集落

こうした過疎地域の大半では人口が減っていて、しかも域外への流出を除いても、新生児よりなくなる人の方が多い。

アメリカの歴史が始まって以来始めて、人口移動ではなく、人口の自然現象に見舞われる地域がでてきている。

アメリカでは学歴によって収入が2倍以上違うが、過疎地域では大学進学率が低く、したがって生涯収入もかなり低い。


アメリカの田舎にいくと、住民が去ったゴーストタウンがあらゆる州に存在し、朽ち果てるに任せている。

1980年代のアメリカでは製造業が国外に流出したといっても、農業を中心に田舎には豊かな生活があった。

だが90年代にクリントン政権で市場原理や競争原理が導入され、2000年代にはIT化が進んで田舎は取り残された。


昔は田舎にも高収入を得られる職業があったが、IT化が進んだら都会にしか「良い仕事」が無くなってしまった。

ITが普及し始めた頃は、ITによって地域格差がなくなると予想されていたが、現実は逆になった。

最も高収入な職業は都市の中心部にあり、中間層の職業は都市の周辺、その周りが低賃金労働者の貯まり場になった。


さらに地方都市でも同じ事が起き、地方の過疎地は最貧困地域になってしまった。

昔は地価や人件費が安い田舎に倉庫や拠点を置く企業が多かったが、今では都会の真ん中に倉庫を借りるのが流行っている。

人のいる場所に仕事が集まり、人が少ない場所ではますます仕事がなくなり、人が少なくなった。
http://www.thutmosev.com/archives/71497492.html


54. 中川隆[-7337] koaQ7Jey 2017年6月25日 16:13:58 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

[やさしい経済学]グローバル化とナショナリズム

(1)戦後の認識 見直し迫られる

九州大学准教授 施光恒

 第2次大戦後、ナショナリズムは先進各国で自由民主主義の立場から警戒視されるのが常でした。他方、グローバル化は、政治的には人々が国境や国籍にとらわれず平和な世界を目指す試みであり、経済的には関税や各種障壁のない自由貿易の実現を通じて人々に豊かさをもたらすものだと一般に理解されてきました。

 しかし、いわゆる新自由主義(小さな政府主義)の影響を受けた昨今のグローバル化により、認識の変化が迫られています。グローバル化をあまり楽観的に捉えるのは誤りで、格差拡大や移民増大など多くの不安定要因を世界にもたらしてきたのではないかとの見方が強まっています。一方、そうしたグローバル市場の猛威から人々の生活基盤を守るものとして、国民国家や国民の連帯意識などナショナルな力に頼らざるをえないのではないかという認識も広まりつつあります。

 フランスの歴史人口学者エマニュエル・トッドは近年、「グローバル化疲れ」という言葉をしばしば用いています。トッドによれば先進諸国の多くの人々は、1980年代から続くグローバル化の流れがもたらした格差拡大、移民の急増、民主主義の機能不全、グローバル・エリートの身勝手さなどに辟易(へきえき)し、疲れ切っている。英国のEU離脱や米大統領選挙におけるトランプ現象の背後には、人々に広がった「グローバル化疲れ」があるというのです。

 そしてトッドは、世界には現在、「脱グローバル化」や「国民国家への回帰」の兆しが表れつつあると論じています。英国や米国などの一般市民は、現在のグローバル化の果ての不公正な秩序ではなく、より公正で民主的な「脱グローバル化」の秩序を模索し始めているとみるのです。

 この連載では、主に政治哲学や政治経済学の諸理論を手がかりに、グローバル化やナショナリズム、自由民主主義の相互の関係性について検討し、行き詰まりを見せつつあるグローバル化の現状や「ポスト・グローバル化」の展望について解説していきます。

 せ・てるひさ 慶応大博士(法学)。専門は政治理論、政治哲学

[日経新聞6月13日朝刊P.28]


(2)「ナショナルなもの」の起源重要

九州大学准教授 施光恒

 国民意識や国(国民国家)などのナショナルなものはどのように現れてきたのでしょうか。この問いは単なる歴史問題ではなく、現代のグローバル化に対する見方にも関わってきます。

 ナショナルなものの起源に関する見方の一つに「近代主義」があります。ナショナルなものは近代化の産物だと強調する立場です。国民国家や国民意識は産業革命以降のものであり、経済発展の要請から構築されたとみます。

 英国の社会学者ゲルナーは近代産業社会の登場から国民意識や国民国家の成立を説明しました。小さな町で暮らし、地域特有の方言や生活習慣を保持する人々ではなく、もっと大きな社会の一員だという意識を持ち、標準語や共通の行動様式を身に付けた労働者が多数いなければ、近代産業社会は成り立たない。ナショナルなものはこうした経済上の要請から作られてきたとゲルナーは論じました。

 これに対してアンソニー・スミスは近代主義を批判し、ナショナルなものは単に近代化の産物ではなく、民族の歴史的起源に関わる神話や言語、文化の共有も重要だと述べます。

 前世紀末以降、次のような言説をよく耳にします。「現代経済は国民国家の枠を超えた。グローバル市場に対応して政治もグローバル化しなければならない。地域統合体など超国家的な政治枠組みが必要だ」

 現代のグローバル化推進のこのような言説は、近代主義と非常に相性がいいものです。どちらも経済発展の要請が人々の意識の土台にあるとみるからです。近代主義は、近代の経済発展の要請がナショナルなものを生じさせたと考えます。グローバル化推進派も、経済発展の要請が超国家的な政治体や地球市民意識を求めていると捉えます。

 しかしスミスの指摘のように、ナショナルなものの根底には、経済の要請だけではなく、古来の民族の文化や神話などの共有があるとすれば、グローバル化推進派の言説への懸念が生じます。ナショナルなレベルでは民族的要素が人々の連帯意識や秩序の安定性を担保しますが、グローバルなレベルで同様の連帯意識や安定性が得られるのか不明だからです。

[日経新聞6月14日朝刊P.26]


(3)投資家優先なら政治不信招く

九州大学准教授 施光恒

 グローバル化の進展は、格差拡大や民主主義の機能不全を招く懸念があると指摘されますが、どのようなメカニズムが働くのでしょうか。グローバル化(グローバリゼーション)とは一般にヒト、モノ、カネ、サービスの国境を越えた移動が盛んになる現象、またはそれを促進すべきだという考え方のことを指します。一番重要なのはカネ、つまり資本です。資本の国際的移動が自由になったため、各国の経済政策は大きく変化しました。

 資本の国際的移動が自由になれば、グローバルな投資家や企業はビジネスしやすい環境に資本や生産拠点を移動させるようになります。例えば、法人税率が低い国や地域に本社機能を移動させる一方、生産拠点はできる限り人件費が安く、労働法制の縛りの緩い場所を選択しようとします。

 このため各国政府は、自国の国民一般の声よりも、グローバルな投資家や企業に配慮した政策をとるようになります。そうしなければ、海外からの投資が国内に入ってこなくなってしまうからです。また、すでに国内にある資本や企業が国外に流出してしまう恐れもあるからです。

 グローバルな企業や投資家に好まれる政策は、一見して一般国民にとっては望ましくない場合が少なくありません。例えば「法人税率を下げる一方、消費税率を引き上げる」「正規社員を非正規に置き換えたり、外国人労働者を受け入れたりして人件費を削減する」「解雇しやすくするなど労働基準を緩和する」「電気、ガス、水道など社会的インフラを民営化する」といった政策です。

 以上のような政策がとられる国は、グローバルな投資家や企業にとってはビジネスしやすい、つまり稼ぎやすい環境となります。ビジネスしやすい環境になった結果、国全体の経済成長が促され、一般国民も生活水準の向上を実感できれば政策を支持するでしょう。しかし、生活が改善せず、むしろ不安定化したり悪化すれば、一般国民の不満は高まります。その不満を政府が無視し、グローバルな投資家や企業を優先する政策を続ければ、政治不信を招いて民主主義の機能不全につながりかねません。

[日経新聞6月15日朝刊P.27]


(4)平等の実現 連帯意識が必要

九州大学准教授 施光恒

 戦後の日本では、自由や平等、民主主義といった理念を前面に掲げるのは、おおむね革新派(左派)でした。同時に、戦後左派は愛国心や国民意識のようなナショナルなものを嫌い、否定する傾向にありました。

 しかし、国民意識や愛国心といったナショナルなものを否定しつつ、自由や平等、民主主義を訴えることは、実はなかなか両立しません。英語圏の政治理論の一潮流に「リベラル・ナショナリズム」があります。これは、自由や平等、民主主義といった理念は、ナショナルなものがしっかりしている環境、つまり安定した国民国家で最もよく実現されると論じるものです。

 例えば「平等」という理念を考えてみましょう。平等の実現のためには、現代では福祉(再分配)政策が必要です。福祉政策は人々の間に強い国民意識がないと実現できません。なぜなら、恵まれた立場にある人々が自分の利益の一部を断念し、恵まれない人々のために差し出す行為を前提とするからです。こうした行為は社会に強い連帯意識(仲間意識)が存在しなければうまくいきません。

 歴史を振り返ると、福祉政策が実現したのは例外なくナショナルな社会、つまり国民国家でした。福祉とは国民の相互扶助意識のうえに成り立っているのが実情なのです。実際、EUでも金融政策はユーロ圏で共通になりましたが、福祉政策は各国単位が原則です。

 リベラル・ナショナリズムの政治理論は、平等を実現するには国民の相互扶助意識が大切だと論じます。逆に言えば、グローバル化が進展し、国民意識が希薄になれば、格差を是正し、平等な社会を実現するのは困難になると示唆しています。むろん、「EU人意識」や「東アジア人意識」、あるいは「地球市民意識」のような国境を越えたアイデンティティーが確立されれば別ですが、こうした意識の確立は今後数十年単位ではほぼ無理でしょう。

 資本移動の自由化を伴うグローバル化は、格差拡大を招きがちです。同時に、グローバル化で国民意識が希薄化すれば、再分配政策による格差是正も難しくなります。グローバル化の進展と、平等という理想の実現は両立が難しいのです。

[日経新聞6月17日朝刊P.29]


(5)一般国民 政治過程から疎外

九州大学准教授 施光恒

 昨年、英国のEU離脱が国民投票で支持されたり、米国の大統領選でトランプ氏が当選したりするなど想定外の出来事が生じたと騒がれました。しかし、政治学的にはそれほど想定外でもありませんでした。

 先に見たようにグローバル化、特に資本の国際的移動の自由化に伴い、各国の経済政策は大きく変わりました。自国内の資本の流出を避け、海外から投資を呼び込むために、各国政府はグローバルな投資家や企業に受けのよい政策を専ら採用するようになります。その半面、一般国民の声は軽視されがちになります。

 これは民主主義から見れば問題であると多くの研究者が指摘してきました。例えばドイツの政治経済学者W・シュトリークは、経済のグローバル化以降、各国では経済権力が政治権力に変換されやすくなり、一般国民が自分たちの利益や要求を政治経済的仕組みに反映させる力を大幅に低下させたと論じています。

 米政治経済学者R・ライシュも深刻な事実を指摘しています。ライシュによれば、グローバルな投資家や企業は、稼ぎやすくなった環境の下で得た利益を政党や政治家に対するロビー活動につぎ込むようになりました。そして、市場経済の基礎となるルール(知的財産権や契約条件に関するものなど)を自分たちに有利に変更してしまう傾向が近年、顕著になったと論じます。例えば、米国ではかつて自然産物由来のワクチンの知的財産権は認められなかったが、1990年代に認められるようになった。その結果、製薬業界に多大な利益がもたらされると同時にワクチン価格の高騰が生じたと指摘しています(『最後の資本主義』)。

 個々の事例については何が公正なのか見解が分かれるかもしれませんが、グローバル化に伴う資本移動の自由化が、グローバルな投資家や企業の政治力の増大を招いたこと、その半面として一般国民が政治過程から疎外されているという感覚を強く持つようになったとは言えるでしょう。ポピュリズム(大衆迎合主義)の政治の噴出を懸念する声も耳にしますが、背景には以上のような各国国民の不満の高まりがあることを考慮する必要があります。

[日経新聞6月19日朝刊P.12]


(6) 保護貿易、政治理論では正当化も

九州大学准教授 施光恒

 トランプ米大統領の登場以降、保護貿易を巡る議論が活発化しています。経済学的観点からすれば、保護貿易は全く許容できないものなのかもしれません。しかし政治理論の見方では、保護貿易は必ずしも悪いものとは限りません。

 リベラリズムの政治理論では個々人の「選択の自由」を重視します。そして、ある人が「選択の自由」を実際に享受するためには、様々な人生の選択肢が実際に手の届く範囲に存在している必要があると考えます。この場合の「選択肢」とは様々な考え方や生き方、あるいはもう少し具体的に職業選択の幅を意味すると考えても構いません。

 するとナショナルな言語(国語)や文化(国民文化)の大切さが明らかになってきます。例えば多くの日本人にとって、実質的に選び取れる職業の選択肢の範囲は、主に日本語を使って就ける範囲であることが普通です。そのため、選択の場としてナショナルな文化や言語が栄えているかどうかを考慮する必要が生じてきます。

 経済学的見方ではリカードの比較生産費説に立ち、各国は比較優位な製品に生産を特化し、互いに生産物を貿易した方が効率的なため、自由貿易が望ましいとされます。これは机上の経済理論としては正しいとしても、現実世界では望ましくありません。各国の産業構造が少数の産業に偏ったいびつなものになってしまうからです。人々の人生の実質的選択肢が非常に狭くなり、選択の自由が奪われてしまいます。

 このように政治理論的見方では、人々の実質的な選択の自由を守るという理由で保護貿易が正当化される可能性は大いにあります。国民の選択の自由を守るために、政府が貿易条件を監督し調整するのです。もちろん、「自国の市場は守るが、お前の国の市場は開放しろ」という主張は不公正なので通りません。

 しかし、国同士でそれぞれ開放する範囲、保護する範囲を公正な話し合いで決めていく。そして、各国の人々が経済的豊かさとともに、選択の自由も享受できる環境を整える。このような形で保護主義的政策の導入が正当化されることは十分にありうるのです。

[日経新聞6月20日朝刊P.26]


(7)民主社会脅かす新エリート層

九州大学准教授 施光恒

 昨年、「パナマ文書」問題でタックスヘイブン(租税回避地)が注目を集めました。租税回避地の利用は違法ではないとしても、企業経営者や投資家の倫理として問題ではないかと議論されました。グローバル化が進めば、エリートの社会的責任が問われる事例も増加します。米国の歴史家クリストファー・ラッシュは20年以上も前に『エリートの反逆』を刊行し、グローバル化時代のエリートをいち早く批判しました。

 米国でも日本でも、かつてエリートは地域の名望家であり、天下国家を憂い、義務や責任を率先して担う覚悟を持った存在でした。地域社会の中に自らの生産基盤を持ち、自分の現在の地位が地域社会や国からの恩恵を被っていることに自覚的だったため、地域や国の公共の問題に強い関心を抱きました。

 ラッシュはこのようなエリート像がグローバル化の進展に伴って変質すると主張しました。スペインの思想家オルテガはかつて『大衆の反逆』を著し、民主社会を破壊するのは、文化や伝統とのつながりを自覚しない愚かな大衆だと記しました。これに対してラッシュは、グローバル化の進む現代世界では、民主主義や一般国民の生活を脅かすのはエリート層の方だという見方を示したのです。

 ラッシュがこのように論じたのは、エリート層の存立基盤が地域社会や国ではなく、グローバル市場に変わったからです。ラッシュは次のように記します。「米国の新しいエリート層の忠誠心は、(略)地域的、国家的、あるいは局所的ではなく、国際的である。彼らにとっては、地球規模のコミュニケーション・ネットワークにいまだプラグをいれていない米国の大衆よりも、ブリュッセルや香港にいる商売相手の方が、共通点が多いのである」

 つまり、新しいエリート層は地域社会や国には愛着も忠誠心も持たず、同胞国民に対する連帯意識も感じない存在ではないかと危惧したのです。日本は現在、世界で活躍できる「グローバル人材」の育成に熱心ですが、彼らに地域社会や国に対する責任や義務感を身につけてもらうことは、非常に重要な、そして難しい課題なのです。

[日経新聞6月21日朝刊P.26]


(8)功罪見つめ、よき形態探求

九州大学准教授 施光恒

 本連載ではグローバル化の招く難問、とりわけ自由民主主義の理念と矛盾する事態をいくつか指摘しました。読者は次のような感想を抱いたかもしれません。「なるほどグローバル化にはまずい点もあるようだが、グローバル化を否定してナショナリズムに回帰するのは危険ではないか」

 確かにナショナルなものの重視が自国中心主義的な偏狭なものになってしまう懸念は否定できません。その一方、先に述べたようにナショナリズムには自由で平等な民主的社会の実現を促す働きもあります。

 取り組むべきはナショナリズムの全否定ではなく、よりよき形態の探究です。それを考える有力な手掛かりとして2点挙げることができます。一つは「公正さ」という理念です。自分が自らの国や文化、言語に愛着を持ち、そこから様々な恩恵を受けているように、他者もまた彼らの国や文化、言語を大切に思い、そこから恩恵を享受しています。よき形態のナショナリズムは、自国の基準や文化、慣習を他国に押し付けるようなことはせず、他者のナショナリズムも認めて尊重する必要があります。

 もう一つは、ナショナルなものを「関係主義的に」捉える態度です。近代以降のどの国の文化や言語も、他国の文化や言語の影響を受けています。日本人は特によく実感できるかもしれません。かつて加藤周一氏は日本文化を「雑種文化」と呼びました。日本は近代以前は主に中国大陸から、明治以降は欧米から学び、国を豊かにしてきました。

 日本ほど意識していなくても、どの国も多かれ少なかれ「雑種文化」なのです。自国文化の発展を願う真のナショナリストであれば、他国にも独自の文化が栄えるよう他国の自律を尊重し、またそこから学び自国文化を豊かにできるよう国際交流や貿易も重視せざるを得ません。

 「地球市民意識」は一朝一夕には生まれず、やみくもなグローバル化の推進は自由民主主義や安定した人々の生活基盤を損なう恐れがあります。ナショナリズムの功罪を冷静に見つめ、よりよき形態を模索していく必要があるでしょう。

[日経新聞6月22日朝刊P.31]


55. 中川隆[-7336] koaQ7Jey 2017年6月25日 16:37:28 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

米軍が日本から撤退する理由

背に腹は替えられない米軍


米国が独裁者の治める国ならば、その人物の一存でなんとでもなるだろう。

しかし、米国は、国民の参加する民主的な選挙で選ばれた大統領が治める民主主義の国である。国民が国に納めた貴重な税金で、米軍は武器を揃え、兵士に給料を払い、活動しているわけだ。

即ち、米軍は、莫大な国民の税金を使っている以上、米国と米国市民のために、最大限に奉仕しなければならないのだ。

当然、米国の納税者たちの意見は、大きく軍に影響を与えることになる。


---撤退する最大の理由は何ですか?

最大の理由は、軍事費の節約でしょう。

---と言いますと?

米国の財政は悪化していて、さらに金持ちと貧乏人の二極化は限界まで進んでいます。米国で暮らしていると分かるのですけれど、ここが、先進国かと思うくらい、アフリカの第三世界のような貧困地帯が広がっています。だから、国民の最大の関心事は経済です。

自分が1993年に大学留学した時、大学における一単位の価格は50ドルでした。今(2014年現在)は、一単位取得するのに400ドル前後もかかります。

---金持ちしか大学進学できないじゃないですか!!

まさにその通りなんです。

---世界平和を持続するために、軍隊を海外に派遣しているより、米国内を豊かにするほうが先じゃないですか?

そういうことです。かつて、マルクスは、資本主義は金持ちと貧乏人の二極化がどんどん進み、金持ちはさらに金持ちになり、貧乏人はもっと貧乏になり、最終的に破局すると予測しました。今、米国はその予測通りになっています。

数年前に、米国におけるガソリンの平均価格が1ガロン4ドルを超えました。その時、各地で、タンクローリーからガソリンを盗む略奪事件が多発しました。

上がったのはガソリン代だけではなく、医療費もしかりです。オバマ大統領は就任前から医療改革を進めようとしました。ですがあまり上手くいきませんでした。大統領が率先して対応しても対応しきれないほど、問題は深刻化しているということです。

---世界の警察官をつとめる前に、まずは国内の治安維持ですね。

莫大な金を軍備に使って、自分たちの地元の生活が貧しい。だから、イギリスがどこにあるか地図で指させないような連中でも、これはおかしいと思っています。

この人たちは、自分の生活する周辺に確実な雇用があるかないか、そしてガソリンの値段だけが、最大の関心事です。だから、世界の辺境が戦争でどうなろうと、知ったこっちゃない。

この階層は、ガソリン代が、3ドル50セントまでならば、何とか暮らせるというのが実情です。

---この方々は、日本の尖閣諸島問題とかは?

場所も含めて、絶対に知らないといっていい。

---だから、莫大な金を軍事費に使うよりも、家の近所の仕事確保とガソリンの値段を下げるほうに金を使え、となりますね。

そうなります。

米国の国防予算は、2001年は3,162億ドルだったのが、2010年は6,909億ドルと約2.2倍になっています。ちなみに米国を除いた世界各国の軍事費を総計しても4,500億ドル程度にしかなりません。

---これを機会に儲けようとした輩もいるでしょ?

いましたよ。

例えば2005〜06年ごろですが、イラク、バグダッドの米大使館に、PMC(民間軍事企業)の警備員を大量に雇う契約が交わされた。しかし、守るべき大使館職員の数が少ないので、今度は、米国本土から急遽、職員が大量に増員されて、送り込まれました。本末転倒の話です。

---ミリタリーバブルですね。

まさに。米国で専門家筋にリサーチしてみると、適正な国防予算は4,000億ドル以下のようです。理想は、3,000億ドル。

段階的に3,500億〜4,000億ドルに減らして様子を見て、可能ならば、3,000億ドルのレベルまで、国防予算を減額しなければなりません。

この金の問題も、日本から撤退する理由の大きな部分を占めています。
http://www.asyura2.com/13/dispute31/msg/483.html


56. 中川隆[-7306] koaQ7Jey 2017年6月28日 22:38:26 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017年06月28日 アメリカの企業数が半減 寡占化進み新規起業は昔話


昔起業した独占企業は、新規参入者が現われないように潰している
引用:http://blog.prtimes.co.jp/yamaguchi/wp-content/uploads/2013/03/1.MarkZuckerberg_jdlasica1.jpg

アメリカ起業ブームの緩やかな終焉

米新興企業といえばこの20年間成長の代名詞で、IBMやマイクロソフトから始まって、次々と成功を収めてきた。

だがそれもどうやら終わるらしいというのが、統計上の数字になって現われている。

マイクロソフトがまだ新興IT企業(とは言えないほど既に大きかったが)だった頃、米上場企業は7300社以上存在した。

          

雨後の竹の子のように次から次に新興IT企業が地面から生えては、天高く伸びていった。

現在の米上場企業は3600社まで減少していて、差分の3800社は倒産や廃業、夜逃げや他社吸収されたらしい。

20年間の間にも多くの企業が現われては消えていったので、成功企業より失敗企業のほうが遥かに多かった。


日本の現在の上場企業数は約2400社(日本企業のみ)なので、それよりは多いが1.5倍しか違わない。

しかもアメリカで上場している企業にはアリババなど米国以外の企業を多く含んでいるので、実態は3600社よりかなり少ない。

新興企業や小型株だけで20年前と比較すると、さらにアメリカ起業ブームの衰退がはっきりしてくる。


20年前に新興企業を中心とした小型株は6500社も存在したが、現在は3000社程度にまで減少している。

奇妙なのはこのところの米株高で、上場企業数が激減したのに、ダウ平均は7900ドルから2万1000ドルに上昇した。

この動きは企業の寡占化がすすんだと考えると、うまく説明できる。

新興企業が寡占企業になった

1960年代から70年代前半のアメリカ自動車産業はビッグ3による寡占化が進み、ライバル不在で空前の好景気だった。

GMにとって最大の関心事はフォードを倒産させて独禁法違反議論を呼び起こさない事で、「どうやって車を売らないか」に苦心していた。

驚く事にアメリカの自動車メーカーは戦前から40年間も基本的に同じエンジンと車体でデザインや内装だけを変えて、新型車に見せかけていた。


70年代にはオイルショックが襲い、次いで日本車の猛攻撃で3社とも倒産しかけるのだが、60年代には独占と寡占を謳歌していた。

米IT企業もほとんど寡占が進んでいて、実は数年前から新たな企業など誕生していない。

それどころかインターネット検索はグーグルだけ、SNSはフェイスブックだけ、ネットショップはアマゾンだけなど、大半の業種は1社独占が進んでいる。


もはや学生起業家や新興IT企業が出る幕はなく、60年代の自動車産業と同じになっている。

そして寡占が進んだ産業は変化に弱く、日本のバブル崩壊や米自動車企業のように、状況が変わると総崩れになりやすい。

米国の上場企業数は1997年までは上昇したが、すぐに減り始め、2000年代は実際には淘汰と減少の時代だった。


ITブームに沸いて誰も気づかなかったが、9.11の頃すでにITブームは終焉に向かっていた。

現在株高を牽引している10社ほどの独占企業たちがコケたら、もうアメリカには新興企業など存在しないのです。
http://www.thutmosev.com/archives/71547823.html


57. 中川隆[-7317] koaQ7Jey 2017年7月03日 20:48:53 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

人工知能に駆逐される側にいたら、次の時代は生き残れない


人工知能はすでにチェスや囲碁や将棋等のゲームの世界で人間を完膚なまでに叩きのめしているのだが、これは単なる余興のようなものでしかない。

人工知能が人間社会で人間よりも上位に立つ「予兆」であり、本番はこれからだ。

人工知能は膨大なデータを分析・解析して正しい答えを導き出したり、的確な成果物を生み出したり、コミュニケーションしたり、仕事を完遂させたりする。

そのため、ほとんどの仕事は不必要になる時代がやってくる。残る仕事もまた人工知能によって仕事の方法が変わる。

深い知識と専門性が必要な分野でも、専門家に判断させるよりも人工知能に判断させた方が的確で能力も高いので、専門家も要らなくなっていく。

「判断」は経営者がディープ・ラーニングに裏打ちされた人工知能を使って行うので、部長・課長等の上司の仕事もなくなっていく。

事務系の仕事も人間が必要なくなっていくので、サラリーマンのやっている仕事の多くも人工知能が浸透して消えていくことになる。

人工知能は「仕事を喪失させる社会現象」である

すでに新聞社では株式速報や決算記事やスポーツの勝敗報告などの記事は「人工知能」が書いているというのはよく知られている。そのため、記者・ライターはどんどん切り捨てられていくようになっている。

今後は投資銀行もディーリングを人工知能に任せ、投資信託の購入相談も受け付け対応も人工知能が引き受けるようになっているので、こうした仕事に就いている人間も一掃されつつある。

人工知能は前倒しで取り入れられるようになっているのだが、そこで起きているのは、やはりというべきか「人減らし」に他ならなかった。

仕事は消えるのである。

人工知能によって数百種類もの職業が消えると言われている。その時になって転職しようと思っても、あらゆる分野で仕事が消えているので失職したままになる可能性も高い。

ありとあらゆるものが人工知能に取って変わると、その傾向はますます強いものになっていく。

本格的に人工知能が社会に浸透していくのは2020年頃からだと言われているので、それ以後の社会は今まで私たちが知っているのとはまったく違う社会になっていく確率が相当高い。

今ではまだ誰もが他人事のように見ているが、これから人工知能が浸透するに従って、急激に立場が危うくなってしまう人が激増する。

グローバル化によって中国等から安い品物が大量に日本に流れ込んで、「100円ショップ」等が席巻したとき、日本人は「安い商品が買えるようになって嬉しい」と単純に喜んでいた。

しかし、安い商品が大量に入り込んでいくということは、世界から見て高い自分たちの給料が安い方に引き下げられていくという仕組みに気付いた人はほとんどいなかった。

100円ショップでモノを買って喜んでいたら、自分たちの首が絞まっていくのがグローバル化の正体だった。

(100円ショップでの安物買いが、人生を破綻させる5つの理由)
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2012/08/20120827T1458000900.html


グローバル化は「賃金を引き下げる社会現象」だった。これから来る人工知能は「仕事を喪失させる社会現象」であることに気付いている人は、どれだけいるだろうか。


人工知能はインターネットを超える変革になる

2000年代に入ってから日本企業のグローバル化も急激に進んでいったのだが、それと共に日本独自の年功序列も終身雇用も崩れていった。

100円ショップで「安いモノが買えた」と喜んでいた人は、ついに100円ショップでしかモノを買えない人になっていったというのが日本のグローバル化の結末だった。彼らは気が付かなかったのだ。

社会がこれから大きく変革するのに気付かないというのは珍しくない。

インターネットもそうだった。

1990年代、インターネットが拡散していくとき、「これは自分の仕事を変えてしまう恐るべき技術だ」と考えた人がいる一方で、「こんなものが自分の職場を変えるとは思えない」と考える人も多かった。

たとえば、音楽業界・出版業界・報道界・小売業界の多くの経営者や従業員はそうだった。音楽業界は相変わらず人々がCDを買うと思い込んでいたし、出版業界は紙の本が売れなくなることはないと信じ込んでいた。

報道界は記者が書いて紙に印刷したものが情報だと思い込んでいたし、小売業界の人は人々は店で商品を見て買うのが普通でインターネットで買わないと想像していた。

しかし、間違っていた。すべての業界はインターネットに取って食われるようになっていった。

2000年代の後半からスマートフォンの時代に入ると、人々のインターネット依存は急激に深まり、インターネット側に立ち位置を変えられなかった企業の多くは淘汰されていく流れに入った。

人工知能では同じことが起こり得る。

社会の変革で言えば、人工知能はインターネットを超える凄まじい社会変革のイノベーションとなる。


自分の仕事は人工知能の時代でも生き残れるか?

グローバル化の時代で起きたこと、インターネット化の時代で起きたことは、人工知能の時代になっても繰り返されていく。

グローバル化やインターネット化で起きたのは雇用の削減である。職場に20人いたら、これらの波が浸透するに従って人が減っていった。

20人は15人になり5人がリストラされる。15人が10人になり5人がリストラされる。10人が5人になり再び5人がリストラされる……。

じわじわと、しかし確実に人員削減が為されていく。

社会のすべてでそれが起きるので雇用が縮小していき、いったんリストラされたら次は雇われにくいという現象が発生する。そのため、リストラされるたびに低い賃金でやむなく働くしかなくなるので貧困は拡大していく。

グローバル化とインターネット化で起きたこれらの流れは、大きな格差社会を生み出したのだが、人工知能の時代はそれがより鮮明に、かつ大規模になっていくのは避けられない。

何しろ、人工知能は「正しい答えを導き出したり、的確な成果物を生み出したり、コミュニケーションしたり、仕事を完遂させたりする」のだ。

今までのイノベーションとはレベルがひとつもふたつも違うと言っても過言ではない。

多くの人は人工知能に駆逐される側になってしまうのだが、いったん駆逐されてしまうと二度と仕事が見付からないような最悪の事態に陥ってしまうはずだ。

このような未来はグローバル化やインターネット化で起きたことを見れば容易に予測できる。しかし、多くの人はまったく何も気付かないまま人工知能の時代を迎え入れる。

そして、自分が人工知能に駆逐されてから「実は人工知能は雇用を喪失させるイノベーションだったのだ」と気付いて蒼白になる。

100円ショップが社会に蔓延しても自分の賃金が引き下げられるということに気付かなかった人が人工知能の猛威で雇用が消えると気付かないのは仕方がないのかもしれない。

しかし、あなたは知っておくべきだ。

人工知能に駆逐される側にいたら次の時代は生き残れない。今のうちに自分の立ち位置が人工知能の時代でも生き残れるか、よく考えておくべき時期にきている。


多くの人は人工知能に駆逐される側になってしまうのだが、いったん駆逐されてしまうと二度と仕事が見付からないような最悪の事態に陥ってしまう。しかし、多くの人はまったく何も気付かないまま人工知能の時代を迎え入れる。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/07/20170703T1734100900.html


58. 中川隆[-7273] koaQ7Jey 2017年7月07日 08:39:28 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

異常気象は階級闘争を引き起こす


自然災害がこれからも続いていくのであれば、農作物の収穫がこれから不順になり恒常的な食品の高騰につながる。

食品価格がどんどん高騰していけば、貧困層は生存のための略奪や殺人を引き起こす。奪わなければ死ぬのなら誰でも奪う。貧困層の大勢がそのように行動するようになると、治安が保たれることはない。

結局、自然災害は生き残るための階級闘争を生み出す。


2017-07-06 巨大な災害は、地方を最初に荒廃させて最後に都市部を襲う


2017年7月5日から九州地方に凄まじい豪雨が襲いかかっており、河川の氾濫で43万人以上に避難指示が出されている。福岡県朝倉市に来たのは「観測史上最大」の豪雨だった。

実は今、中国でも広範囲で「爆弾が落ちてきたのではないか」と言われるようなひどい豪雨が降っていて、内陸部の四川省から沿岸部の天津までひどい状態だ。

長江の支流の堤防も決壊して橋も流されたりしており、長沙市では冠水した道路の中に車が沈んでいるような様相になってしまっている。

中国ではもはや都市が洪水で沈没する光景は毎年の恒例行事となってしまって異常なまでの豪雨に驚く人はひとりもいなくなった。異常気象も恒例化すれば異常と思わなくなる。

一方で、欧州や中東やアメリカでは、強烈な熱波が襲いかかっており、パキスタンでは2017年5月28日に史上最悪の最高気温である54度を観測、イランでも南西部で53.7度となった。

豪雨と熱波は180度違う気象現象だが、どちらにしても人間の存続を脅かすような強烈な気候が、もはや恒常化してしまっているということは間違いない。

地球環境の激変が迫っている。これは、人間が止めることは不可能である。

私たちの日常生活はいとも簡単に吹き飛ぶ

この気候の変動の要因については様々な説が出されては議論されている。地球温暖化が進んでいるという説もあれば、逆に氷河期が進んでいるという説もある。

私たちは気象の専門家ではないので、どれが正しいのかを判定する立場にない。

重要なのは、どの仮説が正しいのだとしてもすでに地球は「大災害時代」に突入しているという事実である。地球全体がおかしくなっている以上、私たちはどこにいても気候変動の被害に遭うのを避けられない。

気象が荒れると、私たちの日常生活はいとも簡単に吹き飛ぶ。家が破壊され、街が破壊され、熱波で人が死に、寒波で人が死ぬのが恒常的に繰り返される。

海面が上昇して住める地が消えているツバルやキリバスのような国もあれば、海岸線が削られて今まで住んでいた場所が住めなくなっているバングラデシュのような国もある。

今後30年の間で、マーシャル諸島もモルディブもソロモン諸島も沈没してしまう可能性も指摘されている。

消える国々のほとんどに私たちは縁がない。しかし、地球はつながっている。こうした国々が消えるというのは、凄まじいまでの気候変動が着実に世界を変えているということの証(あかし)である。

それは形を変えて私たちに襲いかかってくるのだ。たとえば、何が起きるのか。

(1)世界各国で激しい豪雨が襲いかかる。
(2)世界各国で穀倉地帯の干魃が起きる。
(3)世界各国で、熱波と寒波が襲いかかる。
(4)沿岸部が沈没し、消える島国も出てくる。
(5)被災した地方が、復旧できなくなっていく。
(6)最後に各国の主要都市が機能停止する。

もう、それは現在進行形であるのを私たちは悟っているはずだ。徐々に、しかし着実にそれはやってきている。


パキスタンは数年前から激しい洪水や信じがたいほどの熱波が襲いかかるようになっているのだが、いよいよ2017年5月28日に史上最悪の最高気温である54度を観測する事態となった。


「こんなのは見たことがない」と言われる異常災害

今後も、地震・猛暑・山火事・集中豪雨・暴風雨・洪水・干魃と、ありとあらゆる巨大災害が吹き荒れる。毎年毎年「こんなのは見たことがない」と言われるような異常災害が立て続けに起きる。

10年前まで、世界中で起きるこれらの自然災害の劇症化は、一過性のものなのか、さらに深刻な事態が続いていくのかどうか議論が戦わされていた。

もう答えは明らかだ。

これは一過性ではなく、継続的なものである。世界各国で起きているのは「観測史上最悪の激甚災害」ばかりになっている。

今はまだ、本当は大きな災害が起きても、速やかに復興が進んで何とか収束ができている。

しかし、激甚災害が日常的に起きてしまうならば、いずれ復興できないダメージを負うケースが必ず発生する。

年を追うごとに自然災害の「異常」が度を超していくと、最初は地域の被害に過ぎなかったものが、復興が不可能なまでの広範囲な影響になっていく。

そうなれば、もはや復旧を諦めて放棄するしかない場所も出てくるだろう。

過酷な自然環境は人をイライラさせるが、灼熱の夏と酷寒の冬が恒例になったら、それが社会に影響を与えないはずがない。

農作物にも影響が出る。自然災害の被災地は、往々にして穀倉地帯だったり資源地だったりする。当然、穀倉地帯が壊滅したら、穀物価格・資源価格の高騰でグローバルに影響を与えていくことになる。


今後、地震、猛暑、山火事、集中豪雨、暴風雨、洪水、干魃と、ありとあらゆる巨大災害が吹き荒れる。毎年毎年「こんなのは見たことがない」と言われるような異常災害が立て続けに起きている。


社会崩壊は順序がある。なぜ地方が危ないのか?

ここ最近の異様な気象、歴史に残るような巨大地震などが、これからも頻繁に起きるのであれば、それによって治安が崩壊する国や地域が続々と出現するのは間違いない。

社会崩壊は順序があるはずだ。

まず最初に聞いたこともない島々が消え、次にそれぞれの国の地方が来て、最後の人類の牙城である都市が崩壊する形になるのではないだろうか。

なぜ地方が先に崩壊するのか。災害が過ぎ去ると復旧が必要になる。しかし、復旧できる国家予算と国民の体力は無限ではない。それぞれの国で限度がある。

災害が大規模化かつ恒常化して、繰り返し国土にダメージを与えるようになると、どうなるのか。

国家予算はいつか枯渇する。もはや復旧の体力すらもなくなって、現場の放置が生まれる可能性が高まる。放置されるのは、当然だが人口の少ない地方からである。

どこの国でも都市は社会の中枢なのでどんなに破壊されても復旧されるが、逆に言えば地方は都市を守るために予算削減で犠牲にされていく。

だから、最初は聞いたこともない小さな国々が死に、次にそれぞれの国の地方が死に、最後に都市が守れなくなっていく順番になる。

しかし都市部も平穏ではない。都市部も絶えず災害に見舞われて、激しい気象変動に熱波や洪水の被害を受けるわけだから、そのストレスは並大抵のものではない。

また自然災害がこれからも続いて地方が災害で崩壊していくのであれば、農作物の収穫がこれから不順になる傾向が強いことを意味する。それはすなわち恒常的な食品の高騰につながる。

この食品の高騰が、社会不安を引き起こす。食品価格がどんどん高騰していけば、多くの人はそれに対して黙って受け入れることはないからだ。

貧困層は生存のための略奪や殺人を引き起こす。奪わなければ死ぬのなら誰でも奪う。貧困層の大勢がそのように行動するようになると、治安が保たれることはない。

結局、「自然災害は最終的に大きな社会不安の前触れ」であるとも言える。生き残るための闘争を生み出すのだ。

国家予算は無限ではない。もはや復旧の体力すらもなくなって、現場の放置が生まれる可能性もある。世界中で、災害がきっかけでまずは地方が先に崩壊し、最後に都市の攻防となる。自然災害は最終的に大きな社会不安を引き起こす原因と化す。
https://www.bllackz.net/blackasia/content/20170706T0156540900.html


59. 中川隆[-7220] koaQ7Jey 2017年7月09日 02:25:20 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017-07-08 1130万人のワーキングプア層の生活不安定化が生み出すもの

1年を通じて働いているのに賃金が200万円以下の人たちを社会は「ワーキングプア」と呼ぶ。直訳すると「働いているのに貧困」という意味になる。

当初アメリカで見られたこのワーキングプア層は、日本でも「非正規雇用」が拡大したことによって、小泉政権以後どんどん膨れ上がっていくことになった。

国税庁「民間給与実態統計調査」では、2006年にワーキングプアは1000万人を超えて、2015年には約1130万人に膨張していったと記している。

非正規雇用はもちろんこれからも増える。

それは企業の立場から見れば分かる。非正規雇用で人が安く雇える仕組みができたのに、なぜわざわざ正社員を増やしてコストを上げなければならないのか。

正社員を減らせば減らすほど非正規雇用で人が安く雇えるようになって、しかも景気が悪くなればいつでもリストラできるのだから、非正規雇用という仕組みを企業が自分から捨てるのはあり得ない。

企業はこれからもコスト削減に邁進して、コストの最も大きな部分を占める人件費をいかに引き下げるかに腐心する。

資本主義なのに、資本を増やす道が断たれている

企業の経営者と株主は、企業がコストを削減してその分を利益として計上すれば自分たちが儲かる。

彼らは利益を吸い上げ、どんどん金持ちになっていく。企業が内部留保した利益にアクセスできるからである。

労働者は自分たちの賃金が引き下げられ、最後には「使い捨て」されるので、いずれはワーキングプアになる。格差とワーキングプアは表裏一体の関係にある。

それであれば、労働者も起業するか経営者になるか株主になればいいと考える人もいるのだが、現実を見るとそのどれも望み薄だ。

起業は10年で90%が破綻する世界である。経営は高学歴のエリートが地位を独占する。そしてワーキングプア層は年収200万円かそれ以下なので、生活に窮して株式を買うような余裕などないことの方が多い。

資本主義なのに、資本を増やす道が断たれているのである。

現在の資本主義は巨大企業が莫大な利益を吸い上げて肥え太るようになっており、端的に言えば経営者か株主になれなければ救われない社会となっている。

日本人の約1130万人は、最初から資本主義の埒外に蹴落とされていて、絶望的なまでに厳しい社会を生きなければならなくなっている。

この厳しい世界が生み出すのが、人生の不安定化である。

仕事は安定しない。企業が景気が悪いと思えば「雇い止め」するので、自分の都合とは関係なく頻繁に仕事がなくなる。そして「雇い止め」されたら、すぐに次の仕事が見付かるわけでもない。

この不安定化は外部からもたらされているので、自分ではどうしようもない状況であると言える。

仕事が安定しないのだから、当然のことながら賃金も安定しない。賃金が減って生活が安定するわけがない。貧困化すると、人生の不安定化は極度に増す。


ワーキングプア層はいつまで経っても浮かばれない

賃金減少のショックを緩和するのが貯金だ。しかし、常にギリギリの生活を強いられていると、その肝心な貯金ができない。できたとしてもわずかな額でしかない。

これは、日本人の約40%は貯金額がゼロなのであることで見て取れる。ワーキングプア層こそ「何かあったときのため」に貯金をしなければならない。ところが、その層に貯金がない。これも不安定化を増大させる。

では、雇い止めされて賃金がもらえず貯金も消えたら、ワーキングプア層はいったいどのように危機をしのげばいいのか。そこに出てくるのがキャッシング(借金)である。

クレジットカードを使うにしろ、消費者金融を使うにしろ、金利は驚くほど高い。貯金しても0.02%くらいしか金利がつかないのに借金をすると途端に11%だとか15%の金利を毟り取っていくのが銀行だ。

こんなところで金を借りたら、以後は金融機関の奴隷のようになってしまうしかない。働いても働いてもわずかな賃金しかもらえず、その賃金を今度は金融機関にごっそりと毟り取られていくのである。

これで、生活の不安定化はさらに増す。

ワーキングプア層は、それでも社会に理解されたり保護されることはない。むしろ社会や政府から冷たい扱いを受けることの方が多い。

ワーキングプア層は企業から搾取されて使い捨てされている側なのに、なぜか社会からは「努力が足りない」「自業自得だ」と罵られる。

政府もあまりワーキングプア層の存在に触れない。なぜなら貧困層が増えたという統計や事実や社会現象は「不都合な真実」だからである。

あまりそこに光が当たると、それが政権批判の種になるので政府としてはなるべく触れたくない。

そのため、政府は往々にして大企業の正社員賃金が上がったとか、株価が上がったとか、そういったワーキングプア層に関係のないところで経済対策を行って終わりにする。

社会からも無理解や無視されるので、ワーキングプア層はいつまで経っても浮かばれない。そうした立場もまた、ワーキングプア層の生活を不安定化させる。


不安定化が極限まで行き着くと、どうなるのか?

そんな不安定化した生活を強いられると、絶望や自暴自棄や慢性的なストレスや精神疲労に追い込まれても仕方がない。心も身体も壊れやすくなる。

鬱病に追い込まれたりすると、もはや生活破綻を避けられない状態となる。ワーキングプア層が生活保護受給者になるのは、そうしたケースが多い。

ワーキングプア層の生活の極度の不安定化は、絶望しか生み出さず、それが社会の底辺に渦巻く閉塞感となっている。

では、その底辺の人々の極度の不安定化と閉塞感は何を生み出すのか。

それは、いち早くワーキングプア層の増大を生み出した国家であるアメリカを見れば分かる。

アメリカでは2000年代の金融機関の壮大なマネーゲームで格差が広がり、2008年9月15日のリーマン・ショックで「大きすぎる銀行は潰せない」として国民の税金で金融機関を救済した。

これ以後、アメリカでは「ウォール街を占拠せよ」運動が広がり、「1%の金持ちとそれ以外の99%」の分断が国を揺るがすようになった。

やがて反グローバル化の声が大きくなり、グローバル化を擁護するマスコミに激しい批判がインターネットで繰り広げられ、保守が台頭し、泡沫候補だったはずのドナルド・トランプを大統領に押し上げた。

これらの動きはすべて「底辺の人々の極度の不安定化と閉塞感」の爆発という根源的なもので一直線につながっている。つまり、「底辺層の不安定化は、社会システムそのものを不安定化させる」のである。

これからも日本でワーキングプア層がどんどん増えていき、彼らの不安定化が極限まで行き着くと、それが社会全体に波及していっても不思議ではない。

「今の社会は不満だ。どのようにしたらいいのか分からないが、今の社会を破壊したい」と考える層は間違いなく底辺で増えている。


亀裂は放置すると広がる。これからも日本でワーキングプア層がどんどん増えていき、彼らの不安定化が極限まで行き着くと、それが社会全体に波及していっても不思議ではない。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/07/20170708T1815130900.html


60. 中川隆[-7197] koaQ7Jey 2017年7月10日 05:43:55 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

世界「最終」戦争論 近代の終焉を超えて (集英社新書) 2016/6/17
内田 樹 (著), 姜尚中 (著)
https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%80%8C%E6%9C%80%E7%B5%82%E3%80%8D%E6%88%A6%E4%BA%89%E8%AB%96-%E8%BF%91%E4%BB%A3%E3%81%AE%E7%B5%82%E7%84%89%E3%82%92%E8%B6%85%E3%81%88%E3%81%A6-%E9%9B%86%E8%8B%B1%E7%A4%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%86%85%E7%94%B0-%E6%A8%B9/dp/4087208362


内田樹『現代の仏の知識人たちは、一ひねりも二ひねりもしたややこしいロジックで結局何を言いたいのかわからない。仏も衰えた』

 

≪はじめに−悲劇の氾濫の中で/姜尚中≫

 一つは、人間が、歴史が、そして世界史が大きく旋回していくのは、悲劇的な出来事によってであるということ。

 もう一つは、すべてがどこかで繋がっているというたった一つの世界であり、世界史と言える歴史を生きているということである。

第一章 液状化する国民国家とテロリズム

内田 フランスはイスラム系の移民を500万人(人口の1割)近く抱えている。そしてこの1割の市民たちはフランス社会に適切に統合されていない。パリ郊外の(バンリュー)と呼ばれる巨大なスラムがあります。イスラム系市民はそこに押し込められている。そこで生まれた移民の子どもたちは、社会的上昇の機会を制度的に奪われている。

 バンリューを舞台にした映画『憎しみ』や『アサシンズ』がある。移民の青年たちの日常生活をドキュメンタリータッチで撮った作品で、社会的に排除された青年たちがしだいに凶悪な犯罪に手を染めて行く様子が活写されています。

 バンリューの中学校に勤めていた女性教師と話したことがあるが、彼女によると、バンリューには文化的なものが何もない、と。美術館も図書館もコンサートホールも本屋も映画館もない。だからバンリューで生まれた子どもたちは、文化資本を獲得するチャンスから制度的に遠ざけられている。


姜 ゼロだと思います。実際行ってみて僕もそう感じました。

内田 そういう文化資産は成人してからの学習努力で身に付くものじゃない。「生まれ育ち」で決まる。

勉強のできる子どもなら、奨学金をもらえば大学まで行けるだろうが、学歴では文化資産の差は埋められない。そういう若者はフランスのような階層社会では、大きくチャンスを損なわれている。レースへの参加資格そのものが、文化資産を持たない若者たちには与えられない。

≪収奪を尽くした植民地支配のツケ≫

内田 19世紀末にドレフェス事件というのがあった。でも19世紀のフランス人たちは自力でこの問題を解決してみせた。エミール・ゾラを始めとする知識人たちが団結して、同胞であるユダヤ人の人権を守り抜いた。

 この時期の知識人たちの書いたものを読むと、本当に話がすっきりしている。ねじれたレトリックもなく、堂々たる雄弁を持って近代市民社会の理想を語ったり、整った論理と品格のある言葉で、迫害されている少数者の権利を守ろうとした。立派なものです。

 でも、今のフランスには当時の知識人を思わせるような堂々たる論陣を張る知識人は見当たりません。奥歯に物が挟まったような物言いをする人や、一ひねりも二ひねりもしたややこしいロジックで結局何を言いたいのかわからないような話をする人はいるが、政府を相手に「ムスリムの人権を守れ」と堂々の論陣を張るようなタイプの知識人は出て来ない。フランスも衰えたな、と思った。

≪敗戦国の総括をしなかった後遺症≫

 なぜ現代のフランスの知識人たちはドレフェス事件や対独レジスタンスのとき見せたような堂々たる倫理的態度や理路整然とした発言ができないのか。それは1930年代から後のフランスの政治的経験の総括がちゃんとできていないからだと思うのです。知性の明晰さ、批評性の確かさというのは、自分たちが犯した失敗や罪過に対する冷静な吟味によって担保される。

 最大の罪は「フランスは敗戦国である」という事実を隠蔽したことです。フランスはヴィシー政権の間、事実上の枢軸国であり、ナチスドイツの協力者であった。でも、その事実を徹底的に隠蔽した。戦後、あたかも戦勝国のような顔をして国際社会に登場し、国連の常任理事国になった。

姜 しかし、他の国々では、フランスが先の大戦で敗戦国だったという認識はないですよね。


内田 ないですね。それは第二次世界大戦については。「敗戦の総括」にどこの国も失敗しているからだと思います。フランスを責めることができるほどきちんとした「敗戦の総括」をしている国なんかないですから。

内田 総括がきちんとできていたら、その後のフランスはもっと「まともな国」になっていたと思います。アルジェリア戦争も、ベトナム戦争も、現実に起きたこととは違った展開になっていただろうと思う。戦後のフランスの迷走は、自分たちの戦争犯罪と敗戦の事実を隠蔽して、汚れた手を「白い」と言い張って、国民的欺瞞を演じたことに由来すると思っています。

内田 シャルリー・エブド銃撃事件の後も、その後のテロ事件の後も、国際的汎通性のある知見を語ったフランスの知識人がいません。かつてはサルトルとかカミュとか、個人の知性を賭して天下国家を論じた人がいたのに、そういう平明な知性がもういない(エマニュエル・トッドは吟味に値する、と)。

≪アメリカとフランスは、なぜテロの標的に?≫

姜 アメリカとフランスの右傾化は、国民国家が解体していく過程での「きしみ」や「絶叫」との見方は、私も非常にそんな感じがします。


内田 アメリカの場合は、自分たちがネイティブ・アメリカンを虐殺し、その土地を奪ってできたものだという建国時点での「原罪」を認めて、それについての国民的規模の謝罪をしないと病気は治らないと思いますね。

 フランスもそうです。反ユダヤ主義もファシズムもフランスが発祥の地なんです。…その歴史的事実を平明に認めればいいのです。自分たちが病んでいるということを認めない限り、治療は始まらない。

 フランスもアメリカも自分たちが罹患している病気から目を背けている。
姜 逆にいうと、自分たちが正義だという思い込みは、建国以来ハンパじゃないですから。
http://www.asyura2.com/13/dispute31/msg/488.html


61. 中川隆[-7188] koaQ7Jey 2017年7月11日 13:09:30 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

第三章 帝国再編とコミューン型共同体の活性化

≪難民が帰属感を得られる共同体支援は?≫

内田 ヨーロッパで枢軸国について敗戦国になった国々は…自国の歴史的な汚点を直視すべきです。すれば中東からの難民流入について「迷惑」とは軽々と口にできる立場じゃないことは分かるはずです。

 その点、イギリスはやはり相対的には「大人」の対応をしていると思う。もちろん、イギリスは帝国としてかなりあくどい植民地主義的な収奪を行ってきました。でも、七つの海を支配していた大英帝国を切り回すだけの資源がなくなったと判断した段階で、帝国を畳んで、大西洋の小さな島国にまで縮減してみせた。世界帝国を島国にまで縮小することに成功したんです。これを評価する人はあまりいまでんが、僕はこれはすごい成功事例だと思います。

 確かに、短期間に帝国から島国までシュリンクしたわけですから、それによってイギリスのシステムはガタガタになりました。でも、それが亡国の危機というところまではいかず「英国病」と呼ばれた社会的な停滞くらいで済んだ。


≪オーディエンスの質問に答えて/第六章≫

内田 アメリカはアングロ=サクソンの先輩であるイギリスが世界帝国を縮小したという実例を半世紀前に見ているわけです。ソフトランディングした実例を見ているんだから、それは参考にしていると思います。だから、「帝国の縮小」という戦略をアメリカが今真剣に検討しているということを、日本の政治家も誰も考えてないのじゃないですか。

【出典】同前。


62. 中川隆[-7180] koaQ7Jey 2017年7月12日 07:48:09 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

もはや富豪でなければ無理か−香港での生活、かつてないほど厳しく
Prudence Ho、Matthew Campbell 2017年6月20日 12:13 JST


ラウさんの目はどうしてもカレンダーに向いてしまう。次の給料日はまだ1週間余り先で、夫や子どもを養うのに十分なお金がない。住まいは当局からの補助を受ける香港の小さなアパートで、家族4人で身を寄せ合って暮らしている。背中を痛めている夫は働くことができず、子どもたちは母親がなぜ新鮮でない食べ物ばかり買ってくるのか理解していない。


  「食事は3食ともおかゆになる」。スーパーのレジ係をしているラウさん(42)は、フルネームは明かさないという条件でこう話す。夫の療養中、7歳の娘と15歳の息子のために生活費を稼ぐのは彼女だけになった。時給は5.40米ドル(約600円)。米シアトルなどは香港より生活費が安いが、最低時給は15ドルでその差は大きい。

  こうした話は香港ではますます一般的になりつつある。超高層ビルが立ち並び、きらびやかな高級ブティックが軒を連ねるこの都市は恐らく、先進国・地域における所得不均衡の縮図となった。英国がこの旧植民地を中国に返還して20年。李嘉誠氏や李兆基氏らの富豪は不動産価格の高騰や小売り、公益事業、通信、港湾などの寡占的支配を通じて資産を拡大。一方でラウさんのような一般市民は置き去りにされた。

  トロントにあるマーティン・プロスペリティー研究所のディレクター、リチャード・フロリダ氏は「香港は信じ難いほど極端な不均衡社会で、それに歯止めをかけるものもほとんどない」と指摘。「持続可能だとは思わない。問題は経済的なことではなく政治的な反動だ。こうした状況は反動を生み、人々は最終的に怒りを覚える」と述べた。


  香港の賃金上昇ペースは生活費の上昇ペースに追い付いていない。所得格差を測るジニ係数はゼロが完全な平等を示し、1になると1人の人間が全ての資金を得ていることを示すが、香港当局が発表した最新データは0.539と、1970年代にデータ保存を開始してからの最高水準。香港はアジアで最も格差が大きい。

原題:Unless You’re a Tycoon, Hong Kong Life Is Harder Than Ever (1)(抜粋)


63. 中川隆[-7169] koaQ7Jey 2017年7月14日 20:04:12 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017-07-14 最底辺に落ちたくなければ国も企業も信用しないで生き残れ


貧困層は貯金を持っていても、株式や不動産のような資産は持っていないことが多い。

そのため、株式市場や不動産市況が活況化するような「資産価格上昇」や「資産バブル」の局面になると、富裕層と一気に格差を広げられる。

たとえば最近では、2012年11月頃から始まった円安・株高において、そうした格差拡大の流れが一気に起きた。

民主党政権時代には日経平均は8000円台から9000円台をうろうろとしていたが、自民党が勝利して第二次安倍内閣が成立すると、その瞬間に株価は爆上げして、2015年には2万円台を付けるようになった。

たった3年で資産は2倍になったということだ。

仮に資産が1000万円の株式であれば、優良企業の株式をしっかり持っていれば、何もしなくても資産は2000万円になっていたということである。資産が大きければ大きいほど、上昇のメリットを存分に享受できた。

しかし、株式を持っていない層は特に変化がなかった。一部の大企業を除けば賃金はどこも上昇していないし、この間には生活保護受給者も増加していた。

資産バブルの陰で、貧困や生活苦で追い詰められている人が増えていたのである。

生活保護受給者の52.1%は高齢者が占めている

生活保護は、不正受給が増えていることもあって、政府の施策としては安易に受給させないという方向に向かっている。

しかし、政府の意向とは裏腹に、それでも生活保護の受給者がじわじわと増えている。それだけ追い詰められている人がたくさんいるということになる。

内訳を見ると、増えているのは高齢者世帯だ。

団塊の世代と言えば、年金をもらって悠々自適の優雅な生活を送るのだろうと思われて若年層から嫌われている。しかし、実態を見ると、それほど優雅でも何でもない。

2017年3月、高齢者世帯における生活保護受給者は85万5586世帯となって、過去最高を記録したと厚生労働省は発表している。受給者の52.1%が今や高齢者世帯が占めている。

しかも高齢者の貧困化はこれからが本番なので、生活保護受給者はもっと増えていくのは確実視されている。

ちなみに母子世帯も同時に追い詰められている。

(母子家庭。ひとつ踏み外すと、いつでも地獄が待っている)
https://www.bllackz.net/blackasia/content/20170712T0318310900.html

考えなければならないのは、2014年4月1日以降は、消費増税、年金の切り下げ、医療費の自己負担増と、生活を追いやる動きが一度に動き出していたということだ。

安倍政権は2015年は10月に予定していた消費税10%アップを阻止したのだが、自民党内部には増税論者は大勢いて、安倍内閣の退陣後は消費税10%に向けて動き出す可能性もある。

それだけではない。

消費税10%以降のことは何も言われていないが、それでも歳入が足りず最終的には15%から20%には到達するのではないかという噂も根強くある。


貧困層はわずかな物価上昇や手取りの減少が致命傷に

資産も収入も十分にある世帯は、消費税が10%になったからと言って、それで生活が破綻するわけではない。確かに年収が多ければ取られる税金も多いのだが、取られてもまだ貧困層の年収以上に残る。

資産は消費税の対象ではないので、安心して保有し、増やしていくことができる。

しかし、低所得層や貧困層は、ただでさえ少ない手取りからさらに税金で毟り取られることになる。わずかな物価上昇や手取りの減少が致命傷になってしまう。

生活が苦しいのではなくて、生活が成り立たなくなる。

言うまでもないが、物価が上がったり消費税が上がったからと言ってそれに合わせて賃金が上がるわけではない。現状維持がいいところで、下手すれば賃金は下がる。

消費増税は買い控えを引き起こして企業収益を悪化させる。そんな中で賃金を上げるはずがない。

企業収益が悪化すると、企業はコスト削減に走る。コストで最も大きなものは人件費なので、当然、人を減らすか、給料を減らすかという選択になる。

大企業はともかく、経営にシビアな中小企業は景気が悪化したら給料アップなどあり得ないのだ。

だから、中小企業で働く多くの低所得層は、今までギリギリでバランスを取っていたのが、一気に崩壊して生活破綻に突き進んでしまう。

消費税を上げるたびに日本の経済成長率は下がってきた。本来であれば、消費税は段階的に下げていくか、もしくは撤廃するのが日本のためになる。

(安倍首相は消費税を引き下げて経済復活を成し遂げるべきだ)
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/07/20170711T1828580900.html

しかし、政府は消費税を下げるだろうか。下げるどころか「国の借金が悲惨なことになっているので税金を上げるしかない」と考えて、消費増税を強行突破するだろう。


「国も企業も信用しないで生きる能力」が必要に

気がつかなければならないのは、すでに日本は1990年のバブル崩壊以降、ずっと経済成長率が低下し続けており、ほとんど成長できていないことだ。

内需が戻らないのである。

その結果、日本企業も体力を失い、労働者を守れなくなってしまっている。すでに終身雇用も年功序列も日本企業から消えて久しい。

契約社員、派遣、アルバイト、パート、フリーターのような不安定な働き方が普通になっていき、正社員はどんどん数が減っている。グローバル化とIT化が雇用を減らし、今後は人工知能のような技術革新でさらに雇用は消える。

そんな中で、国自体も累積債務を1071兆円にまで膨らませてにっちもさっちもいかなくなっている。

だから日本政府と官僚は、とにかく国民から消費税で毟り取り、年金や生活保護は減らすような施策ばかりを打ち出すしかない。しかし、そうすれば間違いなく消費が消えて経済成長率も低下する。

日本はこのままでは負のスパイラルから抜け出せない。

日本人はどんどん貧しくなっていくというのは、もう10年以上も前から繰り返し言われ続けてきた。しかし、どれだけ警鐘が鳴らされても、当初は誰もが「一部の怠惰な人間の末路だ、自己責任だ」と意に介さなかった。

本来であれば、国が莫大な借金を抱えてもがいているということは、そのツケが国民にかかってくると言う当たり前の事実を、もっと自覚すべきだったのだ。

ここまで来ると、国に何とかしろと叫んでも無駄だ。国が生き残りのために収奪に来ているのだから、その国に何とかしろと言ったところで、もう何もできない。

いよいよ、自分の身は自分で守らなければならない事態に向かっているのだ。経済的に、いかに国や企業に頼らないで生きられるかのサバイバルゲームが始まった。

状況はどんどん悪化している。これから必要になるのは、「国も企業も信用しないで生きる能力」である。「お上が何とかしてくれる」と思ったら最底辺に転がり落ちる。


日本人はもはや国にも企業にも頼れなくなっている。あなたは、国や企業に頼らずに、生きていけるだろうか。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/07/20170714T0444030900.html


64. 中川隆[-7137] koaQ7Jey 2017年7月17日 08:56:53 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017年07月16日 習近平のオトモダチ人事で中国の政治腐敗進む

全人代で反対意見は出ない。反対したら失踪するか消される
引用:http://images.china.cn/attachement/jpg/site1004/20130317/001ec94a25c512af8d6413.jpg


習近平のサッカー好き

日本では安倍首相が幼馴染だの親戚だの友達だのを優遇したという「加計・森友」騒動が起きたが中国も負けていない。

この手の事では中国が元祖であり、秦の始皇帝の時代から親族や友達で国を支配してきました。

そして現在、最高指導者の習近平がこのトモダチ人事によって国を私物化し、支配しようとしています。

          
最近「中国のサッカーが凄い」という話をテレビニュース等で聞いた事があると思います。

上海上港などの有名クラブになると南米や欧州の有名選手を、週給5000万円以上、年俸30億円以上で何人も契約している。

上海上港は2016年シーズン後に、ポルトガル代表ロナウドを移籍金約360億円、年俸約122億円で誘ったが断られた。


さては中国はサッカーブームで各クラブはお金が有り余っているのかと思いきや、多くのクラブ収入は数十億円に過ぎません。

この種明かしは習近平が熱狂的なサッカーファンで有名なため、スポンサー企業は習近平の歓心を買う為に巨額支出しています。

上海上港のスポンサーである上海国際港務グループは中国最大の港湾運営会社で、政府や軍や共産党に近いと言われています。


もし他の企業に港湾事業の許可が出たりしたら打撃を受け、1社独占であれば利益が保証されるので、サッカーに数百億円出す価値があるのです。

それだけではなく中国では教育相がサッカー強化を国策に掲げ、全人民にサッカーを奨励し、サッカー学校を5万校創設するのが決まっている。

安倍首相の獣医学部なんかとは、比較にならないほどの壮大な計画です。


中国版オトモダチ人事

習近平は就任以来、腐敗防止キャンペーンを展開し、多くの腐敗分子を逮捕して刑務所に送り込みました。

だが逮捕された「腐敗分子」に習近平支持者は1人も居らず、江沢民派など反・習近平だけだったのは周知の事実でした。

習近平支持グループでありさえすれば絶対に腐敗で捕まる事はないので、実際にはこの数年でより一層腐敗政治が進行しました。


習近平の腐敗キャンペーンで国外に逃亡し、事実上アメリカに亡命した郭文貴という事業家が、中国の腐敗の実態を告発している。

習近平の不正蓄財は8000億ドル(90兆円近く)もあり、地方役人や官僚と組んで成功した事業家が無数に居るなどと訴えた。

共産党中央幹部の平均蓄財額は1人数兆円と噂されていて、2016年に話題になったカリブ海のタックスヘイブンなどに隠されているとされる。


共産党最高指導者ともなれば10兆円を遥かに超える資産を持っているというのは、中国に批判的な人には常識になっている。

習近平は国家の要職に多くのトモダチを任命してきたが、北京市と重慶市の党委員会書記に自分の側近を任命した。

既に香港行政長官は共産党の推薦を得なければ立候補できない制度にしてあり、各地の長を習近平支持者で固めている。


中国では表から見える最高会議「全人代」代表が約3000人、中で中央委員が約200人、さらに政治局員が約25人、さらに常務委員7人が居て、最高指導者が居る。

これらがピラミッド型の権力を構成し、全人代代表になるには市長などで実績を上げる必要がある。

その「市長」ってのが大問題で、経済成長率や各種統計で上昇率が高いほど、党内で早く出世できる。


実力主義なのだが中国には統計を発表するだけで数字を監査する機関が存在しないので、それぞれの市が数字を盛り上げて報告している。

1割り増しから5割り増しにもなっている統計を政府が集計して、多すぎる所は差し引くのだが、これでは統計の意味を成していない。

そして上は最高指導者から、下は役場の警備員まで、役人は何らかの利権を持ち(賄賂を出さないと受付に並ばせないなど)、全員が不正を行っている。
http://www.thutmosev.com/archives/71797334.html

中国国有企業9割不正 反腐敗へ異例の公表 2017年07月13日


 表題は本日(7月12日)付け日本経済新聞朝刊1面トップの見出しです。

 日本経済新聞社まで、本年秋に迫った中国共産党大会に向けて勢力拡大を図る習近平の「プロパガンダ」を請け負ったのかと思うような記事ですが、要は日本の会計検査院に当たる中国審計署が最近公表した中国国有企業大手20社への調査結果で、その9割にあたる18社で不正計上が発覚したというものです。

 またその18社による売上高の水増しは、2015年までの数年間の合計で2000億元(3兆円)に上るそうですが、そんな控えめなものではないはずで「氷山の一角」です。

 しかしこの18社の中には中国石油天然気集団公司(中国最大の石油・天然ガスの生産・供給および石油化学製品の製造・販売グループ)、中国化工集団公司(中国最大の化学グループで本年6月にスイスの農薬世界大手を5兆円で買収)、東風汽車公司(上海汽車、第一汽車と並ぶ中国3大自動車製造会社グループで日産やホンダとも合弁)、中国宝武鋼鉄集団有限公司(2016年10月に宝鋼集団と武漢鋼鉄集団が統合した中国最大級の国有鉄鋼製造グループ)、中国船舶重工業集団公司(世界有数の船舶製造グループ)などが含まれています。

 これらは中国国有会社のなかでも中国政府(国務院)が直接所管する「中央企業」と呼ばれる大型国有企業で、その資本は中国共産党の国有資産監督管理委員会が独占保有し、その経営も中国共産党から任命された党幹部が行います。

 「中央企業」の中には中国石油天然気集団公司の子会社であるペトロチャイナのように「上場会社」もありますが、だいたいが資産や事業の「ほんの一部」を市場に売り出しているだけで、「中央企業」を含む国有企業のすべては中国共産党の所有財産となります。

 「中央企業」は徐々に再編が進んでおり現在は101社となっていますが、これに地方政府が所管する企業や、所有権と経営権のどちらかだけを中国政府や地方政府が所有する企業なども加えた「いわゆる国有企業」の総数は30万社に上ります。

 これは中国にある全企業1600万社の2%にすぎませんが、この国有企業が中国経済の約20%を動かしているとも言われています。改めて考えると中国共産党は「世界最大の企業グループの所有者」であり、中国共産党は常にその支配権(つまり利権の配分権)を巡って内部で暗闘を繰り返していることになります。

 しかし中国共産党としてもこの「巨大な財布」を完全なガラス張りにしてしまうはずがなく、ここは5年に1度の中国共産党大会に向けて習近平が綱紀粛正を前面に出しながら、これら国有企業(とくに規模の大きい中央企業)の主導権を一気に江沢民派から奪い取ってしまおうと画策していることになります。

 現在の中国共産党中央政治局常務委員の7名は、もちろんトップが習近平、No.2が首相の李克強ですが、No.3の張徳江、No.5の劉雲山、No.7の張高麗の3名は江沢民派です。

 そのうち張徳江は中国東北部・朝鮮半島の利権を完全に掌握しており、劉雲山は金正恩のカウンターパーティーです。この辺は4月14日付け「金正恩の命運を握る瀋陽軍区とは?」にも書いたように、習近平がほとんど切り込めていない利権となります。

 そして張高麗は、江沢民が支配する石油閥が必ず1名確保する政治局常務委員のポストについています。この辺は習近平が是が非でも江沢民派から奪い取っておきたい利権となります。

 習近平は、胡錦濤の流れを引く共青団の代表である首相の李克強ともしっくりせず、今のところ明らかな盟友はNo.6で綱紀粛正を任せる王岐山しかいません。No.4の兪正声も習近平と同じ太子党ですが、立場は中立です。

 そこで今秋の共産党大会では、内規の年齢制限(常務委員就任時に67歳以下)があるため習近平、李克強以外の5名は交代となります。習近平は内規を変えて王岐山を留任させ、李克強を祭り上げて後継首相に据えようとも考えているようですが、さすがに無理がありそうです。

 しかしこれは突拍子もない話でもなく、李克強は5年後の共産党大会でも67歳でさらに再任されてトップとなる可能性もあるため、ここで力を削いでおく必要もあるからです。

 さらにここにきて綱紀粛正の責任者である王岐山まで、不正蓄財のスキャンダルが米国に逃亡した中国人スパイに暴露されています。王岐山が今秋で引退するにしては不穏な動きになります。

 また今秋の共産党大会ではポスト習近平を争う2人の新任常務委員が昇格するはずで、少し前までならともに54歳の胡春華(広東省書記)と孫政才(重慶市書記)が「当確」と考えられていましたが、これもここにきて流動的となっています。胡春華は共青団、孫政才は江沢民に近いとされているからです。

 いずれにしても今秋の共産党大会まで暗闘は続くはずで、それに合わせて国有企業の不正ももっと出てくる可能性があり、日本経済新聞ももっと忙しくなりそうです。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-2045.html


65. 中川隆[-7141] koaQ7Jey 2017年7月17日 17:44:34 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

アレクサンダー大王 O Megalexandros (Alexander the Great)
https://www.youtube.com/results?search_query=Theo+Angelopoulos++O+Megalexandros

監督 テオ・アンゲロプロス
音楽 クリストドゥロス・ハラリス
配給 フランス映画社 1980年

キャスト

Alexander オメロ・アントヌッティ
The Stepdaughter エヴァ・コタマニドゥ
The Schoolteacher グリゴリス・エヴァンゲラトス
The Guide ミハリス・ヤナトゥス
Mr. Zelepis クリストフォロス・ネゼル
Mrs. Zelepis Miranda Kounelaki
Man of the Commune Thanos Grammenos
Man of the Commune Photis Paparamprou
Woman of the Commune Toula Stathopouluo
Italian Anarchist Francesco Carnelutti
Italian Anarchist ブリツィオ・モンティナーロ
Italian Anarchist ラウラ・デ・マルキ
Italian Anarchist Claudio Betan
Italian Anarchist Norman Mozzato
Alexander as a Boy イリアス・ザフィロプロス
Shepherd ストラトス・パキス

日々の雑感 アンゲロプロス「アレクサンダー大王」


ギリシャの映画監督テオ・アンゲロプロスというと、「旅芸人の記録」や「永遠と一日」といった作品でその名を知られ れた映画監督です。私もその作品を何本か見たことがありますが、ロングショットを多用し、時系列が頻繁に入れ替わる 事が多いように感じる作品がかなりあると思います。今回の「アレクサンダー大王」は時系列が頻繁に入れ替わることは ないものの、主人公は多くを語らず(ほとんど台詞はない)、映像で語らせるという感じの映画になっています。

物語は20世紀初頭、脱獄した政治犯がアレクサンダー大王を名乗り、仲間と共に外国人を誘拐し、自分たちの故郷にかえっ てそこに籠城する、という話です。まず、脱獄のシーンからして、いつの間にこうなったのかとおもわされるところが ありますし、脱獄した後に武装するシーンなどはまさに寓話めいています。馬と武器のあるところだけ月明かりがさして いるという場面やアレクサンダー大王のが昇る太陽を背に白馬に乗って登場する所などは、それを見ただけでもしびれて しまいます。

スニオン岬で外国人達を人質にしたアレクサンダー大王とその仲間は自分たちの特赦と村の農民達の土地所有を認める ことを要求しますがそれは認められず、彼らは故郷にはいって、そこで人質とともに立てこもることになります。村に入る 前に人質にした外国人のなかで女性は解放したものの、男性はそのまま連れて行き、故郷の村へと入ります。このあたり では、人質に対する扱いでトラブルを起こした部下を処刑するなど、かなり統制の取れた集団にしようとしていることが うかがえます。そして村に入った後、その後は村における様々な出来事が書かれていきます。歓迎の宴の場面では、村の 歌や踊り、イタリア人たちの歌など、さまざまな歌や踊りが登場しますが、こういうところは何となく「旅芸人の記録」 の歌合戦のシーンのようでした。しかしこの歓迎の宴の時点ですでにこの後の破滅が何となく予見できる作りになって います。思想的に相容れない人々が一緒にやっていくことが果たして出来るのかという不安を残しつつ、村での生活がスタート します。

故郷の村では、彼らがとらえられ獄につながれている間に原始的な共産社会がつくられ、そこでは「先生」という人が 指導的立場に立っています。また大王一行と途中で出会って村に着いてきたイタリア人無政府主義者達もいます。

これら 2つの政治勢力と、大王一行の3つの立場が村の中に存在するようになりますが、やがて解放者のようであり、盗賊であり ながら村人の支持を得ていたアレクサンダー大王が共有財産である羊を殺したり、いままで止められていた時計を動かしたり、 何の理由もなく人を殺したりする中で村の社会が崩れ、やがて彼も破滅に至ることになります。

共産社会を営んでいる村でも、 地主が土地は村民のものであることを認めると、その後村民間で今後も土地を共有にするべきか、伝統的な私有制にするべき かをめぐって対立するようになり、徐々にきしみが出てきています。結局イタリア人無政府主義者たちはうまくいかずに 村を出ようとして殺されることになります。それでも問題はまだまだ続き、アレクサンダーが共産社会のルールを破る行動 を繰り返し、独裁者として村を力で抑えていくことになります。そして最終的に政府軍との戦いに敗れ、彼は群衆の中にその 姿を消していくことになります。

村には盗賊の首領のアレクサンダーのほか、少年アレクサンダーもいます。かれは村において「先生」の指導する原始共産 社会の経験をしつつ、村にやってきた無政府主義者の思想にもふれ、さらにアレクサンダー大王というカリスマによる支配 も見ています。最後、傷を額に負った彼は、馬にのせられ、20世紀初頭のギリシャの寒村を飛び出し、現代のアテネの町へ と消えていきます。このあたりは、よく言われているところではありますが、子供に希望を託したといったところでしょうか。

大まかに内容をまとめてみましたが、まずこの映画の場合は時系列をいじると言うことは見られません。時間の流れは出来事が 起きた順番に流れていきます。そのため、いきなり過去のシーンに飛んだりすると言うことはなく、その分流れには乗りやすい とおもいます。

映像自体はどんよりと曇ったギリシャの空のもと、雪のシーンなどもあり、色彩鮮やかとか明るい映像という ものはみられません。しかし、ロングショットを多用し、カメラを軸に一周して町の様子を移すといった映像表現は他の作品 でもよく見られる特徴でしょう。また、内容については、やはり近現代ギリシャの歴史に目を向けつつ、古代ギリシアの神話的 な世界の要素や、中世のビザンツ・キリスト教的な要素を映像表現の中にも加えつつまとめたという感じです。

映画のタイトルは「アレクサンダー大王」となっていますが、そこに書かれているのは歴史上のアレクサンドロスではなく、 紀元後3世紀頃に起こり、オスマン帝国の支配を受けるようになってから民衆の間に広まった「アレクサンダー伝説」の アレクサンドロスです。古代以来、様々な伝承が積み重なって作られる過程で、歴史上のアレクサンドロス像から大きく離れ、 民衆の心の中ではアレクサンドロスは解放者としてのイメージが強く広がっていきます。そしてその伝説とイメージの存在が、 20世紀初頭の義賊の首領にアレクサンダーの名が与えられる理由になるわけです。このような解放者としてのアレクサンダー というイメージは、古代のアレクサンドロスに関する伝記にも見ることが出来ます。東征初期、小アジア沿岸部のギリシア人 諸ポリスを「解放」していることがそう言った伝記にも書かれていますが、そういったことが時を経るにつれて伝説の中で 解放者としてのイメージを民衆に広める一員となったのでしょう。

一方、村の支配者となったアレクサンダーは当初は解放者として村民の支持を得ていたようですが、時が経つにつれて 徐々に独裁者となっていきます。この展開も古代のアレクサンドロスに関する史料にすでに見られます。ペルシア帝国を 滅ぼした後のアレクサンドロスは征服地支配の必要上、ペルシアの仕組みを採用したり宮廷儀礼を導入していますが、その ようなアレクサンドロスの姿をオリエントの風習に毒されて独裁者と化したように書くという叙述も古くからあります。 インタビューなどを見ると古代のアレクサンドロスと関係ない、民衆の伝承の中に存在するアレクサンダー大王を書いた ということを述べているので、映画の方とは関係ないとは思いますが。ただ、見る側としては古代の時点でそんな書き方も あるということが頭の片隅にあったため、アレクサンダーが独裁者となり村が崩壊するという過程はすんなりと受け入れて しまいました。

古代ギリシアと現代ということに関して、映画の中で、イギリス人貴族が古典の一節を引用して現代ギリシア人がそれを 分からない様をみてバカにするような所があったり、アレクサンダー大王の裁判の場面でもイギリス人貴族が古典の一節 を朗詠して一人悦にいる中でギリシャ人達には何をやっているのかさっぱり理解されないという場面が見られます。古代 ギリシアと現代ギリシャの関係というものは常に問題になるところだと思います。ルネサンス期の「古代の発見」以降、 古代ギリシアの文献や美術に対する興味が高まり、その結果近現代の西欧人にとり、現代ギリシャは古代ギリシアとは別 のものであり、自分たちこそ古代ギリシアの文明を継承しているという意識が強かったと聞きます。映画の中でのイギリス 人の振る舞いもそう言ったところが有る程度反映されているのでしょう
http://historia334.web.fc2.com/days/megalexandros.html

昔は先生と大王は利害が一致してともに列強の支配に対して戦っていたんでしょう。
しかしいざ向き合ってみれば先生は社会主義、大王は民族主義。対立は必至だ。
コミューンも政府から勝ち取った土地をめぐって個人所有の意識を押さえることができない。

かくて始まる大王による恐怖政治。

植民地支配、社会主義の興亡、恐怖政治、大量虐殺、民族主義の台頭、ほんとに20世紀はこんな時代でした。まさに20世紀の縮図。


66. 中川隆[-7139] koaQ7Jey 2017年7月18日 10:01:39 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
2017-07-17 高齢者が地獄に堕ちる時代。生活保護の51%は高齢者世帯だ


2017年6月7日、厚生労働省は生活保護受給世帯数が164万1532世帯で過去最多となったと発表している。事態は刻々と悪化している。

この受給世帯数の中で圧倒的に増えているのが高齢者世帯で、すでに全体の51%を占めている。

昨今の生活保護受給の窓口は、不正受給の関係でどんどん厳しくなっている。そのせいで本来は生活保護を受けられる人でさえも窓口で断られ、追い詰められて死んだりしている。

たとえば、2015年8月6日、京都市右京区の民家で40代の姉弟が死んでいるのが発見されていたが、この2人の姉弟は精神的に問題を抱えていて働けない状況だった。しかし、生活保護の申請をしたが受給できなかった。

やがてこのふたりは、電気もガスも止められ、冷蔵庫もほぼ空っぽの状態になったまま死後数週間後に死体となった発見されている。

生活保護を不正受給できる人間たちもいる一方で、困窮化した日本人が申請を撥ね付けられて死んでいる。追い詰められているのは、圧倒的に高齢者である。

毎年のように生活保護受給世帯数が増える中で、この傾向はさらに強まっていくはずだ。

政治家も官僚も、まったく何も手を打たなかった

日本は高齢者が多くて若者が少ない「少子高齢化」が急激に進んでいる。少子高齢化は日本社会が抱える大きな問題であるが、誰もが問題を先送りにしてしまった結果、問題はどんどん深刻化しつつある。

高齢者の生活を支えているのは「年金」であり「生活保護」である。ところが、日本の財源はどんどん累積債務が膨らんでおり、年金も生活保護も危ういものとなっている。

それは徐々に、確実に削減されていこうとしている。2013年から実質的な削減は始まっており、2015年度からは住宅補助も冬季加算も削られた。

また、政府は円安政策を取っており、意図的にインフレを起こそうとしている。海外資産、海外株式を持っている人間にとって円安は望むところだ。

しかし、そうでない人にとって円安はなかなかメリットを感じにくい。特に年金受給者、生活保護受給者にとっては、インフレが起きれば、真っ先にデメリットをこうむる立場である。

だから、少子高齢化を解決するために日本は死にもの狂いで何か対策をしなければならなかったのだが、政治家も官僚も、まったく何も手を打たなかった。

そして、日本人自身もまた少子高齢化に関心がない。

子供を産んでも何らメリットはないと若者は強く考えている。そもそも、こんな不安な時代では自分が生きていくのに精一杯だ。子供どころではない。

また、子供以前に、結婚すらできなくなっている。仕事が見つからないし、見つかっても身分は保証されない派遣社員のような仕事だけだ。

グローバル化の中で、日本企業は日本人を雇わなくなった。だから、若者は今よりもさらに追い込まれていき、結婚も子育てもどんどん実現不可能な夢になっていく。


粗悪品のために賃金も仕事も失うのがグローバル化

グローバル経済というのは、企業が多国籍化し、コストの安い国や場所を見つけて、そこで低価格商品を大量に作って世界にばら撒く経済である。

モノの値段はどんどん安くなっていき、安いものが買えるので、人々は幸せになるはずだった。

ところが、ひとつ誤算があった。企業が安い賃金の国へ移動していくので、先進国が空洞化してしまったのだ。その結果、先進国の仕事が激減していくことになった。

働いている人たちの賃金が下げられ、失業する人がどんどん増えていった。そんな時代になって、やっと人々はグローバル経済の本質を知った。

グローバル経済とは、安いものが大量に出回って自分たちの賃金も安いところに合わせられるシステムだったのだ。

しかも、安いと思ったものは、単なる粗悪品だった。粗悪品のために賃金も仕事も失うのがグローバル化だったのだ。

1990年代まで、日本人はずっと高賃金だった。給料が下がっていくという社会を知らない人も多かった。

だから、グローバル化が語られることになっても、大部分の人がまったくの他人事だった。2000年代に入っても、まだグローバル化の真の意味を知らない日本人は山ほどいた。

そのため、非正規雇用の拡大やリストラは自分たちには関係がないと思って無理な住宅ローンを組んだり、給料が右肩上がりのつもりで人生設計を立てたりする人もいた。

しかし、2000年代に入ってから、このグローバル経済の毒は急速に日本に回り始めた。

ニート、フリーターが数十万人単位で現れるようになり、格差が問題になりはじめ、若者の失業が深刻になった。そんな中で団塊の世代の大量退職が始まっていた。


高齢者も、これから若者と一緒になって地獄を見る

すでに2012年以降から団塊の世代が「引退」し、年金生活に入るようになっている。今後は悠々と年金生活をして人生を楽しみたいと考えている人たちも多かった。

「日本がどうなろうが、あとは年金をもらって悠々自適だ。逃げ切った」

しかし、年金が削減されていくようになり、医療費の自己負担が上がり、さらにインフレも起きていくのであれば、高齢者は貯金を取り崩して生きていくしかなくなる。

団塊の世代は逃げ切っていない。むしろ、団塊の世代が追い詰められることになる。

現在、日本人の貯蓄率はマイナスとなっているのだが、その原因は高齢者が貯金を取り崩しながら生きているからだ。さらに若年層が貯金できなくなっており、この2つが同時並行で起きて貯蓄率がマイナスになってしまった。

1975年、日本人の貯蓄率は25%で世界で最も高い国だったことを考えると、これは衝撃的な結果である。

資産を守るとか株式を買うとか、それどころではない。日本人の金融資産の平均値は1101万円だが、実はその平均値に到達している人は半分もいない。

高齢者がいったん貧困に堕ちてしまうと、働けない以上、貯金か子供にすがるしかない。

しかし、子供にすがろうにも今は子供がニートになって親にすがっているような状態であり、貯蓄もそれを切り崩して生活していれば、遅かれ早かれ消えていく。

そうなると、年金や生活保護にすがるしかないが、それすらもすがれなくなっていくとすれば……。もはや、生きるか死ぬかの貧困の中で孤立するしかなくなってしまう。

誰も助けてくれない。助ける余裕がない。高齢者には絶望の時代が迫ってきている。


年金や生活保護にすがるしかないが、それすらもすがれなくなっていくとすれば……。もはや、生きるか死ぬかの貧困の中で孤立するしかなくなってしまう。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/07/20170717T0502230900.html


67. 中川隆[-7130] koaQ7Jey 2017年7月24日 20:39:31 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
2017-07-24 国家はグローバル化で手足を縛られ、死に追いやられていく


現代の資本主義は、企業が極限まで利益を求めるようになっている。利益至上主義になったのだ。

そして、そこで働く労働者は企業の売上を貪り食う「コスト」として見られるようになっていった。利益至上主義なので、「コスト」は削減されなければならない。

そのため、企業はコスト削減のために労働者を常にリストラするようになっている。

また、労働者を雇わないで済むように、ロボット化、IT化、人工知能の導入と、思いつく限りの雇用削減のイノベーションが考えられ、現場に取り入れられている。

こうしたことから、これからは「労働では富を得られない」という凄まじい資本主義の時代に入っていく。ワーキングプアの存在は、まさに「労働では富を得られない」という状況を示している。

アメリカはすでに膨大な資産を持った1%程度の勝者が、99%の人からすべてを収奪する社会と化している。

国家は何をしているのか。国家はすでにグローバル化に手足を縛られて身動きできない。さらに、拡大していく貧困と格差のために社会保障費が膨れ上がって死にかけている。

「国は国民をリストラできない」ので弱者になる

企業は雇用なきイノベーションに突き進み、国家は社会保障費の増大にあえぐ。

そのため経済的な不均衡が生み出され、這い上がれない貧困が巨大な暴動や社会不安を生み出していく。

アメリカでは中産階級の収入が毎年激減している。すでに4600万人が貧困になっている。世界最大の経済大国と言われているアメリカでさえも、6人に1人が貧困層だ。

貧困層予備軍を入れると3人に1人が貧困に苦しむ社会となってしまっている。そんな世帯が爆発的に増えている。

アメリカ人の多くが貧困を意識し、実際に生活していけない状態に突き落とされており、中間層はいつ自分がそうなるのかと不安の中で暮らしている。

アメリカは株式市場の時価総額が増大しているのだが、にも関わらず国力が低下しているのは、国内の貧困問題を解決することもできないでいるからだ。

だからこそ「アメリカ第一」を標榜するドナルド・トランプが予想を裏切って大統領になったのだ。

一部の勝者がありったけの富を奪い取っていくのが許される社会というのは、「弱肉強食の資本主義」とも言われる。

それは、分かりやすく言えば「あるところから根こそぎ奪う」ための強者総取りの世界だ。この歪みきった資本主義がグローバルに展開されている。

グローバル化した資本主義社会に適応できているのは、国ではない。その理由は明らかだ。「企業は社員をリストラできても、国は国民をリストラできない」からである。

国は弱者の面倒を見なければならない。そのため、どこの国も社会保障にかける費用が膨れ上がり、莫大な借金を抱えて身動きできない状態になっている。

国民を切り捨てることができない運命があるがゆえに、国そのものも資本主義社会では弱者となる。

では、いったい誰が強者なのか。


自由化の押しつけを「グローバル化」と呼ぶ

資本主義社会での強者は多国籍企業である。彼らは世界中から莫大な儲けを得るために、ありとあらゆる国に自由化を押しつける。その自由化の押しつけを「グローバル化」と呼ぶ。

ターゲットに定めた国(奪い取りたい国)は、外国人でも投資できるように自由化される。そして、投資に制限がかかっていない状態にする。その後、乗っ取り、奪い取り、売り飛ばす。

要するに自分たちが企業を買収したり、売り飛ばしたり、投資したり、空売りしたり、「自由に」経済活動できるようにするためのものである。

ここで言う自由とは、彼らの自由である。

自分たちの収奪的な経済活動に対して、その国の政府に介在させないようにする。市場で何が起きても介在させない。

邪魔したら賠償金が取れるようにする。そうやって狙い定めた国を法的に丸裸にしたあと、市場操作をしてその国の富の一切合財を奪い取る。

グローバル化というのは、多国籍企業がその国の権限を弱体化して、自分たちがその国に乗り込んで、根こそぎ儲けを持っていくという状況を指しているに過ぎない。

グローバル化はアメリカ政府が仕掛けているのではない。「アメリカの多国籍企業」が仕掛けている。ここのところを誤解する人が多いが、国と企業はまったく違う。

アメリカ国家は、アメリカの多国籍企業の命じるがままに「動かされている」のであって、主ではなくて従なのだ。

だから、アメリカ政府を見ていても世の中はまったく分からない。それもそうだ。アメリカの議員は、単に多国籍企業の使用人でしかないからだ。

ドナルド・トランプ大統領はここに風穴を開けようとしているのだが、多国籍企業が所有するグローバル・メディアによって激しい攻撃を受けており、何もできないまま今に至っている。

このままではトランプ大統領は轟沈し、結局はグローバル主義者が世界を支配することになる。

すでに多国籍企業が資本主義を制した現代、社会はさらに多国籍企業が有利に、労働者が不利になっていく。そして、ワーキングプアは常態化する。


多国籍企業が富の収奪のためにそれを望んでいる

日本もまた完全にグローバル経済に飲み込まれている。だから、日本人も弱肉強食の資本主義の荒波に巻き込まれて、収奪されている。

そのため、貧困層の増大と、格差の開きは、さらに深刻化していくことになる。政府もグローバル化を止められないので、問題を解決することは難しい。

グローバル化は政府の規制を取り払う動きなので、いったんグローバル化に飲まれると政府はもう国民を守れない。だから、ワーキングプアの問題は解決に向かうのではなく、拡大化していく。

G7、G20を代表とする国際社会が、世界中の政府に「グローバル化」を執拗に押し付けるのは、多国籍企業が富の収奪のためにそれを望んでいるからである。

自由を押しつけ、政府が介在できないようにして、市場操作して、すべて奪い取る。収奪された国の経済は荒廃し、国家は国民を救済するために社会保障費を増大させ、やがて破綻するところにまで追い込まれてしまう。

1994年 メキシコ
1997年 タイ・インドネシア
1998年 ロシア
1999年 ブラジル
2000年 トルコ
2001年 アルゼンチン
2008年 アメリカ
2010年 ギリシャ
2017年 プエルトリコ

現在、ベネズエラやブラジル等の南米国家が危機的な状況に見舞われている。どの国もグローバル化に飲み込まれてから金融で破綻している。

グローバル化によって国富を奪われた国が破綻して、それが国民の生活を困窮させていく。文字通り国民が不幸のどん底に叩き落される。それが繰り返される。

いずれ次の国家破綻が引き起こされるのは、時間の問題なのである。グローバル化は止まっていないからだ。国家はグローバル化によって手足を縛られ、そこに多国籍企業がやってきて莫大な富を収奪して去っていく。

そんな社会で私たちは生きている。


国家はグローバル化によって手足を縛られ、そこに多国籍企業がやってきて莫大な富を収奪して去っていく。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/07/20170724T1700570900.html


68. 中川隆[-7124] koaQ7Jey 2017年7月27日 07:47:46 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

Theo Angelopoulos 旅芸人の記録 1975

The Travelling Players (O Thiasos) - Film by Theo Angelopoulos - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=9OeQMxgAbJc&list=PL0qe0yfw-hyT2LLysV48-S9lndZnAhDxf

O Thiassos (The Travelling Players) - Bloody Sunday - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=_-2GD7gu8tQ&index=2&list=PL0qe0yfw-hyT2LLysV48-S9lndZnAhDxf
https://www.youtube.com/watch?v=_BsiDkHPcDM&index=3&list=PL0qe0yfw-hyT2LLysV48-S9lndZnAhDxf


監督 テオ・アンゲロプロス
音楽 ルキアノス・キライドニス
出演 エヴァ・コタマニドゥ


旅芸人の記録 1975 Full movie - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=aeS3MtLm3Aw


ダメダメ人間の現代ギリシャ人が熱中するのは政治だけ


ギリシャの芸術家の名前って、皆様は、どれくらいご存知ですか?

「まあ、彫刻家や音楽家は名前が伝わっていないけど、文学関係なら、有名なホメロス、それに3大悲劇詩人のエウリピデス,ソフォクレス,アイスキュロス、喜劇のアリストファネス。別の方面?でも有名なレスボス島の女流詩人のサッフォーとか・・・」

まあ、出て来る名前って、こんなところでしょ?
これらの名前は全員古代の人ですよね?それ以降のギリシャの芸術家の名前は?

こうなると途端に出てきませんよね?
アレキサンダー大王以降のギリシャの芸術界は一体何やっていたの?
2千年以上もサボっていたの?

ギリシャ人も、かつては、すばらしい芸術家を輩出したのに・・・遺伝子的にレヴェルが低いわけではないでしょう?
だって、かつては立派だったんだし・・・

それに、16世紀のスペインの画家に、その名も「ギリシャ人」という名前のエル・グレコというギリシャ系の人もいます。ギリシャ人もギリシャ以外の国では活躍しているわけ。

どうして、ギリシャ国内では芸術家を生み出さなくなってしまったのでしょうか?

このように芸術家を産まない国や地域ってありますよね?
日本のお隣の朝鮮半島の芸術家の名前って、ご存知ですか?
中国の芸術家の名前なら、世界史でいやというほど覚えさせられましたよね?
詩人だけでも李白、杜甫、白楽天、孟浩然・・・ああ!!思い出したくも無い、勉強ばかりのあの日々!?

しかし、朝鮮半島の芸術家の名前って、出てきませんでしたよね?

あるいは、イスラム圏の芸術家の名前って、出てきますか?
イスラムでは歌舞音曲を禁じているはず。絵画もダメなの?文学だって禁じているのかな?

「テメエらは、コーラン読んでりゃ、ええんや!」なの?

しかし、ペルシャにはイスラムとは異質なキャラクターの詩人のオマル・ハイヤームという人もいました。別に遺伝子的に芸術とは無縁の人というわけではないんですね。どうしてイスラムの下では、芸術家が出なくなってしまったのでしょうか?

これらの国や地域の経済的な問題なの?
しかし、どのみち、創造的な芸術家がその作品でお金儲けをできるわけもないことは歴史的な現実。芸術家というものは死んでから認められるものでしょ?
芸術作品を制作すると言っても、文章を書くのは費用がかかるわけでもないので、「その気」になりさえすれば、できることでしょ?

芸術家の絶対数が少なく、多くの人が芸術家との接触することが少なかったから、芸術作品を作る意欲や発想が起こらなかったの?
しかし、例えばギリシャなどは様々な芸術家が訪れていますよね?
それにギリシャ人も外国に出てみればいいじゃないの?
韓国人だってそう。中国に行けばいいだけ。その気になれば、様々な芸術家との接触は可能なんですね。

では、これらの国や地域が何故に、芸術家を生み出さなかったのでしょうか?

それはそれらの人々がダメダメだからですね。

「悪いのは全部アイツのせいだ!」

そのような発想なので、自分自身を厳しく見つめることをしないわけ。自分自身から目をそらしているような人間が、芸術家になれるわけがありませんよ。

職業としての音楽家や物書きや絵描きにはなれるかもしれません。しかし、そんな自分自身から目をそらすような人間は、永遠に届くような作品を生みだす「芸術家」になれないわけです。

別の言い方をすると、自分から逃避してしまっているので、仕事にはなっても、使命にはなっていないわけ。

今回の文章で取り上げる映画はギリシャの映画監督テオ・アンゲロプロス監督の75年の作品である「旅芸人の記録」という映画です。テオ・アンゲロプロス監督は現在における最も厳しい精神の「芸術作品」を作る監督です。まあ、映画の分野において、芸術性では3本指には確実に入るような大芸術家。

しかし、ギリシャという芸術不毛の地で、どうしてアンゲロプロスのような芸術的な映画監督が出現したの?

また、彼は、どのようにして、芸術家不毛の地から芸術作品を生み出すような芸術家になったの?

アンゲロプロスは自分自身の「内なるギリシャ」、つまり自分の中の「内なるダメダメ」を厳しく見つめ、それを克服していったわけです。今回取り上げる「旅芸人の記録」という作品は、ダメダメなギリシャ人の一員であるアンゲロプロスの心の中に巣食う「ダメダメな部分」を白日なところにさらしているわけ。その過程があったがゆえに、近年のアンゲロプロス監督作品の「人間と人間のコミュニケーション」「人間の再生への希望」を語る豊穣な作品群が生み出されることになったわけです。

では、彼の作品「旅芸人の記録」の導きに従って、ギリシャ人のダメダメな面・・・これは呆れるほど韓国やイスラムにおけるダメダメな面と共通しています・・・を見てみることにいたしましょう。

ちなみに、この「旅芸人の記録」という作品は1939年から1952年のギリシャを舞台に、「羊飼いの少女ゴルフォ」というお芝居を上演している旅芸人の一座を描いた映画です。事件を時系列的に追った映画ではありません。

一座がそのお芝居を上演しようとすると、当時のギリシャの様々な情勢によって、途中で上演がストップしてしまう・・・そんな映画です。

つまり「羊飼いの少女ゴルフォ」の上演という「まがりなりにも」芸術活動と言える活動がジャマされていくことについての映画といえるわけです。
「ギリシャにおいて何故に芸術が育たないのか?」そのような問題意識が反映しているわけですね。

この映画について、日本の3文映画ライターが「激動のギリシャ現代史を語る映画」などと解説したりしていますが、現代史ではないんですね。もし、現代史を語るつもりなら、登場人物の名前をもっと現代的にするでしょう。

この「旅芸人の記録」という作品での登場人物の名前はエレクトラとかアガメムノンなど、昔のギリシャ人の名前です。そして起こっている事件も、昔から何回も繰り返されているような事件。つまりそれだけアンゲロプロス監督は「いつまで経っても変わらない」ギリシャを描きたいわけです。

それに現代史を描くつもりなら、事件の配置を時系列的にしますよ。歴史を描くつもりが無いから、事件の時系列を無視しているわけです。まあ、それがわからないからこそ、「映画ライター」なんでしょうが・・・

さて、この映画に従って、ギリシャのダメダメやダメダメ家庭の問題というより、もっと一般的な意味でのダメダメ精神の事例を以下に列挙いたします。


1. 働かない・・・ギリシャ人は働かない。この4時間の映画で、働いている人はレストランのウェイターくらい。労働者が「資本家打倒!」と言うのはいいとして工場で働いているシーンはない。「労動者ならまずは労働しろよ!」と言いたいところ。

また、資本家も工場を経営したり、外国と貿易を行うというそぶりもない。とにかく働かない連中なんですね。さすがに韓国では働いているシーンは出てきますが、イスラム圏でも働いているシーンって出てこないでしょ?商店で働いている人は多少出てきますが・・・イスラム圏の工場って見たことありませんよね?やっぱり働かない連中なんですね。


2. 政治好き・・・経済的な面では意欲がない連中ですが、政治には熱心です。「悪いのは全部政治が悪いせいだ!」などと思っていたりするので、やたら政治には熱心なんですね。この映画でもデモ行進のシーンが多い。あるいは政治議論も活発です。

個々の人間が政治について確かな見解を持つことは必要でしょう。しかし、問題の全部を政治のせいにしてもねぇ・・・しかし、デモのシーンはイスラムでも韓国でもおなじみですよね?そして、この手の人は、政治論議が好きでも、実際に政治に携わって、現状を改善しようとはしないもの。ただ、「ダメな政治のせいで、うまく行かない。」という理屈がほしいだけ。


3. 会話がない・・・登場人物の皆さんは、とにかく人の話を聞かない。4時間にもわたる映画なのに、会話のシーンがない。どちらかが一方的に言っているだけ。人の話を聞くという習慣がなさそう。


4. 被害者意識・・・何かと被害者意識が出て来る。『イギリスには裏切られた!』『国王には裏切られた!』とか・・・「ああ、オレ達って、何てかわいそうなんだ?!」そして相手を恨むわけ。


5. 当事者意識がない・・・被害者意識があるのに、当事者意識がない。「じゃあ、アンタはギリシャという国をどうしたいの?」と言われても答えられない状態。ただ、相手を恨んでいるだけなんですね。イスラムや韓国でもこんな感じですよね?


6. 内部分裂・・・ギリシャ人の内輪もめは、それこそ紀元前のアテネとスパルタの戦争など、いつもやっているようです。「イギリス人はギリシャから出て行け!」と本気で思っているのなら、ギリシャ人が結集して、イギリス人を追い出せばいいじゃないの?

ところがこの映画では内輪もめのシーンばかり。ギリシャ正規軍とイギリス軍が戦うシーンなどは全然なくて、いつもギリシャ人同士で戦っているんですね。同じようにイスラムだと宗派対立などが出てきますよね?
韓国だと地域対立とか・・・彼らがまとまるのは「○○大嫌い!」それだけなんですね。


7. こびへつらい・・・この映画で出て来るギリシャ人は、強きにこびへつらい、弱い人には威張っている。そのような権威主義なのもダメダメの特色の一つですね。落ちたイヌだけを叩こうとするのがギリシャ人の特色のようです。まあ、これはイスラムや韓国も同じですが・・・


8. ユーモアがない・・・4時間にわたる映画なのに、笑えるシーンがない。まあ、それは監督のアンゲロプロスの個人的キャラクターの面も大きいでしょう。しかし、ダメダメな人間は「自分自身を笑う」心のゆとりって無いものなんですね。「オレってバカだなぁ・・・」なんて自分を笑わないのに、自分以外の人のことは高笑いするわけ。

ユーモアって、いつもとは別の見方で物事を見たりすると、出てきたりするものでしょ?
ユーモアがないってことは、それだけ、ものの見方が画一的ということなんですね。


9. ホスピタリティーがない・・・この面は、むしろアンゲロプロス監督の別の作品で強調されています。どうもギリシャ人は外の世界から来た人を歓迎するという発想がない様子。外来者を、ヘタをすれば政治的な人質として利用したりするくらいの扱い。外の世界から来た人と会話して自分の知識を広め、相手に自分のことを知ってもらおうなんてこれっぽちも考えていない。

自分自身が被害者意識に凝り固まっているので、人をもてなす心の余裕がないわけ。このような面は韓国もイスラムの全く同じですよね。スポーツ大会などヒドイものでしょ?これでは味方ができませんよね?


10. 歴史自慢・・・この「旅芸人の記録」という作品では強調されていませんが、ギリシャは偉大な歴史がありますね。それはそれで結構なこと。しかし、ちょっと考えて見てください。「オレは小学校の時は優秀で、学級委員をやっていたんだ!」・・・そんなことを言う人間ってショボイオヤジでしょ?
ちゃんとした人間はそんな昔の自慢話などはしないものでしょ?

歴史自慢しかするものがない連中って、それだけ今現在がダメダメということですよね?
しかし、ダメダメな人間は歴史しか自慢するものがないので、歴史自慢をしたがる。
そして「こんなに偉大な歴史を持つ我々なのに、今うまく行かないのはアイツのせいだ・・・」と被害者意識をますます膨らませるわけ。


このように、「悪いのは全部アイツのせいだ!」と思っていると、自分の気持ちとしてはラクですよね?だって、自分自身では何もしなくてもいいんですからね。ただ相手を恨んでいるだけでいい。
まあ、一般の人はそれでいいのかもしれませんが、そんな貧しい精神では芸術家は育たないでしょ?

真の芸術家になるためには、自分の内面にあるそのようなダメダメな面を自覚していく必要があるわけです。
ギリシャ人のアンゲロプロスは、このような自分に厳しい映画作品を作ることによって、自分自身を一歩前に進めたわけです。

ちなみに、この「旅芸人の記録」という映画はギリシャ映画ですので、セリフはギリシャ語です。ということで字幕担当の人も「とある芥川賞受賞作家さん」がやっています。その作家さんはギリシャ語が出来るので、アンゲロプロス監督作品の字幕だといつもこの人です。この作家さんは、ギリシャに住んだり、最近ではイラクに行って「フセイン政権下ではイラク人はすべて幸せだった!アメリカ人は出て行け!」とかおっしゃっておられます。メールマガジンも発行されていて、私も読む時がありますが、実に「お・も・し・ろ・い」わけ。

自分自身の問題から目をそらし、グチばかり言う人間は、やっぱりそんな類の人間が多いところに行きたがるものなんですね。そうして、グチで盛り上がることになる。
「アンタたちは全然悪くないのよ!悪いのは全部アメリカなんだ!」
そう言われれば言われた方もラクでしょ?
確かに同情してもらったイラクの人も幸福かもしれません。だって「自分自身は全然悪くない!」と思っていられるわけですからね。「悪くはない」んだから、自分自身では何もしなくてもいいわけ。

そのような精神的に怠惰な状況に、外国からのダメダメ人間が、まるで腐臭にハエやゴキブリが吸い寄せられるように喜んで出かけ、集まり、そしてグチで盛り上がる。

職業としての物書きや絵描きや音楽家は、そこそこのスキルがあればなれるものです。しかし、芸術家になって未来に残る作品を生み出すには「自分自身を厳しく見つめる」ことが必要不可欠なんですね。

ダメダメなギリシャの映画監督のアンゲロプロスが「旅芸人の記録」という、何より自分に厳しい作品を作って、自分自身を見つめ大芸術家になっていったのに対し、グチばかり言っていて、世界中のグチ人間を求めて自分から逃げ回っている人間が、芥川賞という新人賞止まりなのは、芸術的にみて必然なんですね。

この映画で描かれたギリシャの人々は、誰かを犯人認定して、対抗心ばかりを膨らませ、自分では何もする気もなく、しょーもない議論ばかりという、典型的なダメダメ人間の姿といえるでしょう。これは何もギリシャの問題だけでなく、たとえば、インターネットの掲示板が、まさに絵に描いたようにこんな様相でしょ?

作り手のアンゲロプロスとしては、「激動のギリシャの歴史」を描いているのではなく、バカばかりやっているダメダメ人間の姿を描いているわけ。彼は歴史学者ではなく、芸術家なんだから、普遍的な人間心理を描きますよ。

ダメダメというのは、時とか場所とかのテンポラリーな問題ではなく、人間の普遍的な心理の問題なんですね。だから、ちょっと見方を変えると、21世紀の日本での様相を理解するのにも役に立つわけ。

ちなみに、ギリシャもイスラム圏も韓国も、独裁政権が多い。民主的政体は育たない。

それは民主主義というものは、個々の責任という面が要求されるからですね。自分自身が主体的に政治に参加する。そしてみんなの選択に共同責任を持つわけ。しかし、責任を取りたくないダメダメ人間は、独裁政治の方がラクなんです。だって独裁だったら上手くいかなかったら、その原因の全部を独裁者のせいにできるでしょ?そして「オレたちは独裁政治の被害者だ!」と言うだけ。

だから、これらの国の政権担当者は、政権を降りた後は大変な目にあいますよね?
それは「うまく行かない原因」を一手に引き受けされられるからです。「自分たちは被害者だ!」と思いたいダメダメ人間は、とにもかくにも加害者というレッテルを何かに貼りたがるわけ。民主的政体だと、自分自身にも責任を取らないといけないので、精神的にラクができない。だから、このようなダメダメな連中は無意識的に独裁政治を望んでいるわけです。

ダメダメというのは、経済的な問題というより、まずもって心が貧しいわけなんです。
http://space.geocities.jp/kinoufuzennkazoku/04-11/04-11-12.htm


69. 中川隆[-7064] koaQ7Jey 2017年8月01日 18:36:25 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
勝手に金が増えるという現象を、誰でも体験する権利がある


すでに日本はグローバル化が定着して雇用が流動化しており、非正規雇用で雇われている人はいつクビを切られるのか分からない状況の中で働いている。

いったん非正規のキャリアが長くなれば、正社員で雇われることも難しくなり、それによって低賃金の仕事から抜けられなくなって人生に余裕を失っていく。

また、非正規雇用でなくても中小企業や零細企業では充分な収入が得られないこともある。平均年収は約400万円とも言われているのだが、実際には300万円以下しか収入が得られない人も多い。

300万円と言えば、月換算で約25万円である。月25万円もあれば貯金ができているのだろうか。

いや、金融広報中央委員会(日本銀行情報サービス局)の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)によると、300万円未満では54%が「貯蓄なし」の状況となっている。

300万円から500万円未満の、平均収入世帯で見ても29.20%が「貯蓄なし」ということになる。日本では単身世帯が増えているのだが、この単身世帯も約50%は「貯蓄なし」である。

20代、単身者、母子家庭、高齢者は「貯蓄なし」に追い込まれる可能性が高い社会と化している。

低所得であればあるほど貯蓄ができないのが現実

現代の資本主義は、すでに株式という金融資産を持つ人間だけが資産を増やして富裕層に至る「株式《至上》主義」の社会へと変質している。

フォーブスの金持ちリストを見ても、事業家という名の大株主、投資家という名の大株主、創業者一族という名の大株主で占められる社会が出現しているのだ。

株式を持つというのは、この弱肉強食の資本主義で生き残るためには唯一絶対の条件になりつつある。

富裕層になるつもりがなくても、優良企業の株式を保有しておくというのは意味がある。それが資本主義の中核になっているのだから、株式を持てば二重にも三重にも「うまい話」にありつけるのだ。

優良企業の株式を保有しておけば、企業が利益を出し続けてやがては株価は上昇する。その企業の株式を保有しておけば資産が膨らむ。

さらに配当も継続的にもらえる。不労所得が増えていく。さらに優良企業は増配するので不労所得は年々膨らんでいくことになる。

優良企業の株式を保有しておくだけで、こんな「うまい話」に乗れるのである。金持ちはそうやって何もしないで資産を膨らませているのだ。

優良企業の株式を保有するというのは悪い話ではない。

しかし、株式を買って長期に保有するためには、生活費とは別に決して使わない資産が必要になる。この資産は貯蓄によって生み出されるのだが、低所得であればあるほど貯蓄ができないのが現実である。

だから、低所得層は現代の資本主義で生きていても、まったく何のメリットも享受できていない。

資本主義の社会で生きているのに、資本主義の最も旨みのある部分から弾かれている。そして、ただ過酷な労働に追いやられて、明日が見えない人生を強いられているのだ。

では、どうすればいいのか。


いくら目指すべきか。最初の目標はもちろん100万円

資本主義はこれからも延々と続いていく。すでに社会主義やら共産主義やら全体主義のような薄気味悪いものは、社会実験として失敗したので、これらの主義が復活することはない。

また、そんなものにしがみついてみたところで資本主義の中でうまく生きられるわけもない。資本主義は、私たちの人生の最初から最後までを覆い尽くす冷徹な現実である。

資本主義が死ぬときは現代文明が終わるときであると言っても過言ではない。それほどまで資本主義は現代文明の奥深くまで刻み込まれているのだ。

ということであれば、私たちは現実に向かい合うしかない。資本主義の中で、要領良く生きることを決断すべきだ。

資本主義の資本とは「元手」のことである。個人で言えば、資本というのは貯金を指していると単純に考えて欲しい。ということは、資本主義で生きる第一歩は、まずは「貯金を増やす」ことから始まるということだ。

たとえ、年収が300万円未満でも同じだ。「貯金を増やす」ことが、弱者を食い物にする「邪悪な世界」での最初のもがき方となる。

そのため、今の自分が貯金ゼロであるならば非常事態であると考えた方がいい。たとえ、本当に微々たるものであっても、貯金をすることからすべては始まる。

非常事態なのだから、それは人生の何においても最優先事項でなければならない。

単身世帯、20代、シングルマザー、高齢層は貯蓄ゼロが多いのだが、すべてが貯蓄ゼロであるというわけではないのは留意すべきだ。

非常事態であることを認識しながら、わずかな収入の中から貯める努力をしている人たちもいる。貯蓄ゼロであるならば、まずはそこから脱することが生き延びるための目標になる。

いくら目指すべきか。最初の目標はもちろん100万円だ。まず100万円を貯めて、それがないことにして生活できる環境を手に入れる必要がある。


何も持たない者は自制と自律を持てば貯金ができる

すでに数千万円を持っている人たちにとって、100万円というのは実はすぐに手に入れることができる端した金額である。

1000万円を3%の配当がもらえる株式で回せば、3年と少しで何もしなくても100万円が転がり込む。貯金などしなくても勝手に貯まっているのだ。

2000万円を配当3%の株式で所有している人は2年で100万円が転がり込む。3000万円であれば1年と少しで100万円くらいは転がり込んでくる。

こうした資産を優良企業の株式で回している人は、何もしなくても100万円が楽に手に入る。そのため、「100万円を貯める」というのは、聞いただけで失笑してしまうほど楽なことを言っているように聞こえる。

しかし、何も持っていない人間は違うのだ。

ゼロから自分の労働と節約で金を貯めていかなければならないので、「100万円を貯める」というのは地獄のパレードのように感じることになる。

しかし、自暴自棄にならないのが重要だ。月に2万円を貯められることができたら1年で24万円になっている。4年継続すれば、96万円であり限りなく100万円に近づいている。

「月2万円が工面できない」というのであれば、2万円が生み出すのを目標として今の人生を変える必要がある。どのように変えるのか。

「収入を極大化し、支出を極小化する」

自分のできる範囲で、収入の極大化と支出の極小化を極限まで行っていく。やるべきことをやる。淡々と継続する。

見栄を捨て、無駄を捨て、金のかかる趣味を捨て、金のかかる友人を捨て、酒やタバコのような贅沢も止め、宝くじのような無駄金も使わない。

何も持たないところから資本を生み出すのだから、それくらいの犠牲は払うべきだ。そうやって非常事態からしっかりと抜け出す。

この犠牲は確実に報われる。なぜなら、それによって資本主義で最も重要な小さな資本が手に入るからだ。

そして資本が生み出せると、次はその資本がゆっくりと確実に不労所得を生み出してくれるようになり、自分の環境が変わっていくことになる。

何も持たない者は、自制と自律を持てば時間がかかっても貯金ができる。すべては、そこから始まる。そして、ある程度の金が貯まれば、自律的に金が増えるという面白い現象を体験することができるようになる。

資本主義に生きているのだから、それくらいは体験すべきだ。誰でもその権利がある。


「収入を極大化し、支出を極小化する」自分のできる範囲で、収入の極大化と支出の極小化を極限まで行っていく。時間がかかっても、やるべきことをやる。淡々と継続する。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/08/20170801T1631460900.html


70. 中川隆[-6903] koaQ7Jey 2017年8月05日 21:00:13 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
内田樹の研究室 2017.08.02 「愛国的リバタリアン」という怪物

金満里さんたちが出している「イマージュ」という媒体が、相模原の「やまゆり園事件」についての考察を特集した。そこに私も一文を寄稿した。あまり目に触れる機会のない媒体なので、私の書いたものだけここに再録する。

相模原の大量殺人事件のもたらした最大の衝撃は、植松聖容疑者が事前に安倍晋三首相宛てと大島理森衆院議長宛てに犯行を予告する内容の書簡を届けていたことにある。それは権力者を挑発するための犯行予告ではなく、自分の行為が政権と国会多数派には「好ましい」ものとして受け止められ、権力からの同意と保護を得られるだろうという期待をこめたものだった。逮捕後も容疑者は「権力者に守られているので、自分は死刑にはならない」という趣旨の発言をしている。

もちろん、これは容疑者の妄想に過ぎない。けれども、何の現実的根拠もない妄想ではない。彼の妄想形成を強化するような現実が今の日本社会内部にはたしかに存在しているからである。

アナウンサーの長谷川豊は事件の直後の2016年9月に自身のブログに「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!」というタイトルの記事を投稿した。これには批判が殺到し、専門医からも事実誤認が指摘されたが、この人物を日本維新の会は千葉一区から衆院の立候補者として擁立するということが先日発表された。

重篤な病人や障害者に対する公然たる差別発言にはまだ一定の社会的な規制が働いており、有名人の場合には、それなりの批判を受けて、社会的制裁が課されているが、在日コリアン、生活保護受給者やLGBTなどの社会的弱者に対する差別や攻撃の発言はほとんど何のペナルティもないままに垂れ流しされている。

際立つのが片山さつき議員で、生活保護受給者は「実質年収4百万円」の生活をしているという無根拠な都市伝説の流布に加担するなどして、生活保護叩き発言を繰り返してきたが、最近も捏造投稿に基づいてNHKのニュース内容にクレームをつけて、生活保護受給者が社会福祉の「フリーライダー」だという世論の喚起に励んでいる。もちろん、本人がそう「信じている」という信憑の問題もあるのだろうが、「そういうこと」を公言すると選挙で票が集まるという現実的な打算も同時に働いているはずである。

アメリカではドナルド・トランプ大統領が「弱者叩き」の代表格である。「ラストベルト」のプア・ホワイトたちの輿望を担って登場したはずのトランプだが、就任後実施された政策は富裕層への厚遇措置ばかりで、移民排斥や、海外企業の国内移転への圧力などの「雇用対策」は今ここにいる社会的弱者のためには何の利益ももたらしてはいない。

選挙公約だったオバマケアの廃止は、それによって2400万人が医療保険を失うという予測が公表されて、さすがに与党共和党も加担できず、改廃法案を撤回するという騒ぎになった。アメリカの有権者はそのような人物を大統領に選んだのである。

これはおそらく全世界的な傾向である。社会的弱者たちは、自己責任で弱者になったわけであり、いわばそういう生き方を選択したのだから、政府や自治体が、公金を投じて彼らを支援することは「フェアではない」というロジックは目新しいものではない。これはアメリカにおいては「リバタリアニズム(libertarianism)」というかたちで、建国当初からつねにアメリカ社会に伏流していた。アメリカが世界に冠絶する覇権国家となり、その国の作法や価値観が「グローバル化」したことによって、アメリカ的な「リバタリアニズム」もまたグローバル化したということだと私は理解している。

「セルフメイドマン(self made man)」というのは建国以来のアメリカ市民の理想像だが、要するに誰にも頼らず独立独行で自己実現を遂げる生き方のことである。「リバタリアン(libertarian)」は、その過激化したかたちである。

リバタリアンは、人間は自分の運命の完全な支配者であるべきであり、他者であれ公共機関であれ、いかなるものも自分の運命に介入する権利はないと考える。だから、リバタリアンは政府による徴税にも、徴兵制にも反対する。当然ながら、社会福祉のための原資の提供にも反対する。

ドナルド・トランプが徴税と社会福祉制度につよい嫌悪感を示すのは、彼がリバタリアンの伝統に連なっていることを示している。

トランプは選挙期間中に対立候補から連邦税を納めていないことを指摘されて、

「すべてのアメリカ人は納税額を最小化するために日々知恵を絞っている。私が連邦税を払っていないのは私が賢いからである」

と述べて支持者の喝采を浴びた。これは別に露悪的な発言をしたわけではなく、ほんとうにそう思っているからそう言ったのである。彼に喝采を送ったプア・ホワイトたちは、自分たちとは桁が違う大富豪であるトランプの「納税したくない」というリバタリアン気質が「自分と同じだ」と思って、その発言に賛意を評したのである。

トランプは軍務の経験も、行政の経験もないはじめての大統領だが、それは軍務に就くことも、公共機関で働くことも、どちらもリバタリアンとしては「やらないにこしたことはない」仕事だからである。アメリカの有権者たちは彼の「公的権力を用いて私利私欲を満たすが、公益のためには何もしない」という態度がたいそう気に入ったのである。

今の日本で起きている「弱者叩き」はアメリカ原産のリバタリアニズムが日本に漂着し、日本独特の陰湿なしかたで退廃したものだと私は理解している。トランプのリバタリアニズムはこう言ってよければ「あっけらかん」としている。ロシアとの内通疑惑が暴かれたことによって、彼が「愛国者」であるかどうかについてはアメリカ人の多くが疑問を抱いているだろう。けれども、リバタリアンにおいて、愛国者であることは実は「アメリカ人的であること」のための必要条件ではない(国家や政府などというものは「ない方がいい」というのが正統的なリバタリアンの立場だからである)。

けれども、日本では公的立場にある人間は「国よりも自分が大事」というようなことを(心で思っていても)口には出さない。仮に、安倍晋三が所得税を払っていなかったことが発覚したとしても、彼は「私は賢いから税金を払わずに済ませた」という言い訳をしないだろうし、その言い訳に喝采を送る有権者も日本にはいないはずである。

日本ではリバタリアンも愛国的なポーズをすることを強いられる。

だから、日本では「リバタリアンでありながら、かつ愛国的」という奇妙な生き物が生まれてくる。現代日本に跋扈しているのは、この「愛国的リバタリアン」という(「肉好きのベジタリアン」とか「気前のいい吝嗇漢」というような)形容矛盾的存在である。

一方において、彼らは自分が獲得したものはすべて「自己努力によって獲得されたもの」だから、100%自分の所有に属し、誰とも分かち合う気がないと断言する。同じ理屈で、貧困や疾病や障害や不運などによって社会的弱者になった者たちについても「すべて自己責任で失ったもの」であるので、そのための支援を公的機関に求めるのは筋違いであると主張する。

ここまではリバタリアン的主張であるが、日本の「愛国的リバタリアン」はこれに愛国主義(というより排外主義、外国人嫌い)をぱらぱらとまぶして、社会的弱者というのは実は「外国人」であるという奇妙な社会理論を創り出す。ここに日本のリバタリアニズムの独特の歪みがある。

日本型リバタリアンによると、社会的弱者やあるいは社会的弱者を支援する人たちは「外国人」なのである。仮に血統的には日本人であったにせよ、外国渡来のイデオロギーや理説に「感染」したせいで、「外側は日本人だが、中身は外国人」になっているのである。だから、社会福祉や教育や医療などの活動に公的な支援を求める組織や運動は本質的には「日本の国益よりも、彼らが忠誠を誓っている外国の利益に奉仕するもの」なのだという妄説が出来上がる。生活保護の受給者は多くが在日コリアンであるとか、日教組の背後にはコミンテルンがいるとか、朝日新聞は反日であるとか、翁長沖縄県知事は中国に操られているといった類のネトウヨ的妄説はその典型的なものである。

語っている本人もさすがにほんとうだと思ってそう言っているわけではいないだろう。にもかかわらず、彼らが「反政府的な人間=外国人」というスキームに固執するのは、彼らにリバタリアンに徹底する覚悟がないからである。

リバタリアンであれば、話はすっきりしている。貧乏なのも、病気なのも、障害者であるのも、すべては自己責任である。だから、それについては他者からの同情や公的支援を当てにしてはならない。医療保険制度はいらない(医療は「サービス」なのだから金を出して買え。金がないやつは死ね)。公立学校も要らない(教育は「サービス」なのだから、金を出して買え。金がないやつは働いて学費を稼ぐか、有利子で借りろ)。社会福祉制度はいらない(他人の施しがないと生きていけないやつは死ね)と、ずいぶん非人情ではあるけれど、バケツの底が抜けたように「あっけらかん」としている。

しかし、さすがに日本では(心ではそう思っていても)そこまでは言い切れない(居酒屋のカウンターで酔余の勢いで口走ることはあるだろうが、公的な立場ではなかなか口にはされない。

その不徹底をとりつくろうために、日本的リバタリアンは「排外主義」的イデオロギーを装飾的に身にまとう。そして、貧乏人も、病人も、障害者も、生活保護受給者も、みな本質的には「外国人」であるという摩訶不思議な理説を噛ませることで、話のつじつまを合わせようとするのである。

相模原事件の植松容疑者はその意味では障害者支援をめぐる問題の本質をよく見抜いていたというべきだろうと思う。彼自身は生活保護の受給者であったが、その事実は「わずかな賃金を得るために、他人に顎で使われて、自分の貴重な人生を空費したくない」という彼のリバタリアン的な気質と齟齬するものではなかった。

けれども、自分以外の生活保護受給者や障害者は彼の目には許し難い社会的寄生者に見えた。この矛盾を彼はどう解決したのだろうか。自分には公的支援を受けることを許すが、他人には許さないという身勝手な識別を可能にする境界線として最終的に彼が思いついたのは「私は日本人として日本の国益を優先的に配慮しているが、彼らはしていない」という「日本人/非日本人」スキームであった。

だから、植松容疑者がこれは「日本のために」したのだとか、「社会が賛同するはずだった」とかいう自己弁明を繰り返し、「国益を害するものたち」を「処分」する「官許」を首相や衆院議長に申請したことには論理的には必然性があったのである。

彼は自分が「愛国的リバタリアン」という政治的奇形物であり、現在の日本の政界の指導者たちの多くが程度の差はあれ自分の「同類」だと直感していたのである。
http://blog.tatsuru.com/


71. 中川隆[-6626] koaQ7Jey 2017年8月18日 08:29:06 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017-08-18 不安定化する社会の中でも普通に生き残れるライフスタイル
https://www.bllackz.net/blackasia/content/20170818T0135140900.html

世の中が安定しているとき、あるいは景気がどんどん良くなって人々が幸せな状態にいるとき、最も強いのは資産を持つ人である。

なぜなら、世の中が安定すると資産は配当を生み出し、あるいは投資が利益を生み出すからだ。資産があれば贅沢もできるし、良い環境で暮らすこともできるし、良い教育も医療も受けることができる。

安定した国で資産を持つ人間は最強だ。

しかし、自国の経済情勢が悪化し、自分を取り巻く社会が混乱し、愛する祖国が衰退や破綻に向かうようになると、持っている資産は見る見る減少していく。

資産は何も生み出さなくなり、今の生活水準も維持できなくなる。混乱が続くと、失意の中でダウングレードを強いられ、自信も喪失していく。

戦争や、突発的な金融危機や、国家の債務不履行や、強度の不景気(大恐慌)が起きて社会が崩壊したとき、ビルから飛び降りたり首を括ったりする人は「資産を失った人」である。

多くの人にとって地道にコツコツと築き上げた資産は命の次に大切なものなのだが、それを失うというのは強烈なショックであり、深い絶望である。だから、すべてを失った人は生きる希望も失い、自ら死を選ぶようなことになる。

世界の不安定化で、資産を持つ人がすべてを失う

国の崩壊で「すべてを失う」というのは、1945年の日本人はみんな経験している。

日本は第二次世界大戦にのめり込んでいったが、やがて戦況は悪化し、国土が空襲で焼かれ、最後には二発の原爆で人類史上類を見ない被害を受けた。

広島の惨劇は今も世界中で語り継がれている。
(原爆が投下された広島の惨劇は、いよいよ重みを増していく)
https://www.bllackz.net/blackasia.php/content/20150806T1651080900.html

人類の歴史は戦争の歴史であり、「すべてを失う」という経験はあり得ないことでも珍しいことでもない。

現在、イラクやシリアの人々は国土の破壊で何もかも失ってしまっており、数百万人にものぼる人たちが着の身着のままで自国を捨てて国外に脱出している。

この人たちの中には国内で資産を持ち、安定的な生活をしていた人たちもたくさんいた。しかし、国の崩壊と共にすべてを失ってしまった。

社会を崩壊させるのは戦争だけではない。

経済崩壊もあちこちで起きている。2014年以後、中南米は動乱に見舞われているのだが、その中でも最も動揺しているのがベネズエラである。

ベネズエラはウゴ・チャベスの死後、ニコラス・マドゥロ大統領が後を継いだ。

しかし、2014年以後、石油価格の暴落と共にベネズエラは国家崩壊の危機に見舞われ、すさまじいインフレと治安悪化で通貨も大暴落してしまった。ベネズエラの自国資産を持っている人は、資産価値のほぼすべてを失った。

メキシコも再びドラッグ・カルテルが活動を活発化させて死者を莫大に増やしているのだが、この国はドナルド・トランプ大統領が登場してから「アメリカの富を奪っている」と激しく攻撃されて、経済が不安定化している。

いつの時代でも、何らかの要因で経済状況が悪化して止められなくなる局面が発生する。うまく立ち回れない国がまわりを巻き込みながら破綻していき、その国にいる「自国資産を持った人」がすべてを失う羽目に陥る。


暴動、略奪が横行するベネズエラ。いつの時代でも、何らかの要因で経済状況が悪化して止められなくなる局面が発生する。うまく立ち回れない国がまわりを巻き込みながら破綻していき、その国にいる「自国資産を持った人」がすべてを失う羽目に陥る。


それは、何も持たなかった人間たちの下克上の動き

では、世の中が不安定になったり、景気が破滅的などん底に転がり落ちていく局面で最も強いのは誰か。

皮肉なことに、何も持たない人である。

最初から「何も持たない人」は、世の中の動きに関係なく常にどん底で生きている。そのため、世の中が不安定な局面になったとしてもそれが日常なので動揺することはない。

世の中が不安定化しても、最初から不安定な中で生きている人は、何をどうすればいいのか知っている分だけ強い。

資産も持たないので金融動向がどうなろうと知ったことでもない。たとえば、自分の国がめちゃくちゃになって通貨価値がゼロになったとしても何の問題もない。もちろん、不動産価値がゼロになっても困らない。

持っていないからだ。

持っていない物の価値など、最初からどうでもいい。「何も持たない人間が一番強い」というのは、社会が動乱すればするほど真実と化す。

世の中が地獄のようになろうとも、何も持たない人間は最初から何も持っていないので一番影響が少ないのである。

社会の大激変の影響が少ないというのは、その時代で最もエネルギーを持つということでもある。

だから、国家が崩壊するような局面になると、何も持たない層が台頭し、彼らが弱り切った金持ちや資産家を血祭りに上げて下克上を果たしたりする。

世の中の激変や革命が、常に「何も持たない人間」が中心になるのは、既存の社会やシステムから何も得ることができなかったからだ。何も持たないがゆえに革命を好む。

国家崩壊したシリアにはEU(欧州連合)で貧困に堕ちて何も持たなかった人間がどんどん流れていったが、それは何も持たない人間たちにとって国家崩壊した場所というのはチャンスを得られるかもしれない場所だったからでもある。

ISIS(イスラム国)という超過激暴力集団の登場は、何も持たなかった人間たちの下克上の動きでもあった。彼らはそこで下克上のユートピアを作り出そうとしていた。


ISIS(イスラム国)という超過激暴力集団の登場は、何も持たなかった人間たちの下克上の動きでもあった。彼らはそこで下克上のユートピアを作り出そうとしていた。


不安定化する社会の中でも普通に生き残る方法?

不安定化する社会が本格的にやって来ると、「何も持たない人間」が強くなる。失うものがないというのは、すべてが破綻する社会では最強の立場となる。

最近、日本では必要最小限の物しか持たないようにして生きるミニマリストが増えているのだが、これは日本の将来に大きな社会的動乱が来ることを薄々と感じる人が増えていることの予兆であるのかもしれない。

社会が崩壊するような動乱がくると、必要最小限の物以外は何も持たない訓練をしていた人たちが「本当に何も持たない人」と同様に生き残る。

ミニマリストは「生き残るためのライフスタイル」である。それを取り入れるというのは生き残るための訓練にもなる。彼らの手法が国家崩壊が起きても平穏に生き残れるライフスタイルである。

凄まじい経済崩壊がきたら私たちの全員が生活のダウングレードを強いられるのだが、洗練されたダウングレードの手法としてミニマリストの生き方は注目に値する。

フランス女性のドミニック・ローホー氏は、そういった「物は最小限に、精神性を最大限に」という生き方を指南する第一人者でもある。

「物を持たないことが物に振り回されないこと」と彼女は述べる。ちなみに、彼女の言うシンプル主義の実践には、以下のようなものがある。

「少ないものが多くをもたらすことを実感する」
「欲求と必要の違いを区別できるようにする」
「物の処分に罪悪感を持たない」
「買わなくても済むものリストアップする」
「自分の欲求や経験から迷いが出るものは捨てる」
「1年間、1度も使わなかったものは捨てる」
「大事なもの以外なにもいらない、をおまじないにする」
「可能な限り物質的なものを排除する」
「嫌なことは引き受けない」

彼女はそのいくつかの著書で、女性らしく、きめ細かい実践方法をたくさん書いている。

上記は彼女の言っていることのごく一部だが、こうしたライフスタイルを知っておくのは重要だ。

知っておくだけでなく、余裕のあるうちから可能な限り実践していくのは、不安定化する社会の中でも普通に生き残れるライフスタイルであると私は認識している。


凄まじい経済崩壊がきたら私たちの全員が生活のダウングレードを強いられるのだが、洗練されたダウングレードの手法としてミニマリストの生き方は注目に値する。
https://www.bllackz.net/blackasia/content/20170818T0135140900.html


72. 中川隆[-6582] koaQ7Jey 2017年8月25日 10:16:34 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

世界で「殺人的熱波」50度超も
航空便、農作物に影響 2017/8/25 10:03


洪水に襲われた村=15日、インド・アッサム州(AP=共同)

 世界各地が「殺人的な熱波」(米メディア)による異常気象に見舞われている。中東とアジア、北米で気温が50度を突破し、豪雨や森林火災で死者が続出。航空便の離着陸、農作物にまで被害が広がり「過去10年で最も厳しい夏」(イタリアのマルティーナ農林相)に苦しんでいる。

 海外メディアによると、アジアと中東に熱波が襲来したのは5月下旬。パキスタンでは54度を記録。ユーラシアやアフリカ、オーストラリア大陸を含む東半球の観測史上最高気温に並んだ。6月にはイラン、アラブ首長国連邦(UAE)でそれぞれ50度以上を観測した。(ローマ、ニューデリー、東京共同)



73. 中川隆[-6564] koaQ7Jey 2017年8月31日 10:03:37 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

格差の次には「何がくるのか」を日本人は理解しているか?


現代社会では、経済格差がどんどん広がっている。最初は少しの差であった格差は、やがては1000倍も2000倍も、いや1万倍も2万倍も開いて、もはや貧困層がどうあがこうが克服できないものとなる。

そして、この極度なまでの経済格差が定着すると、その後に何が来るのか理解しているだろうか。

それは、もちろん「階級」である。

世界の多くの国では、ひとつの国家が見えない層(レイヤー)で区分けされている。経済格差の層である。この経済格差の上と下とでは生活も文化も考え方も違う。場合によっては話す言葉までもが違ってくる。

メキシコでも、ブラジルでも、アメリカでも、イギリスでも、安全な地域と危険な地域は明確に分離して存在している。

分かりやすく言えば、金持ちたちが集う地域は安全だ。そして貧困層が集う地域は治安が悪い。だから金持ちは貧困層がいる地区には決して足を踏み入れないし、逆に貧困層が金持ち地区に行っても警備員や警察に追い出される。

それが定着すると、世界中どこでも貧困層と富裕層は自然に、明確に、完全に分離し、長い年月を経て同じ民族でも違う文化や生活になってしまうのだ。


何もかもが分離し、お互いに接点が極端になくなる

一億総中流の意識がまだ多少でも残っている日本人から見ると、これは階級、身分、差別があるという認識になる。その通りだ。凄まじい経済格差が定着すると、自然に「階級」が生まれて上と下で分離するのだ。

今の日本はそうではない。確かに経済格差は広がっているが、まだ極端ではない。だから、たとえば金持ちが住む地域の住民がそうでない地区に行かないということはないし、その逆もまた然りだ。

しかし、問題はこれからだ。日本は、今のような平等社会を維持できるのだろうか。経済格差が広がるだけ広がって、それが社会に定着してしまった場合、日本もまた「階級社会」になってもおかしくない。

グローバル化は確実に「格差のある社会」を作り出す。それは間違いない。時間の問題なのだ。だから、将来の日本は今までと違う世界になる可能性がある。

日本人も富裕層と貧困層で分離する。

富裕層と貧困層で分離するというのは、住むところも、通う学校も、付き合う人間も、行きつけの店も、持ち物も、食べる物も、やがては話し方も、すべてが違っていくということだ。

何もかもが分離し、お互いに接点が極端になくなっていく。

教育で言うと、貧困層は親の資金面から安い学校にしか通えなくなり、ここで富裕層と貧困層の子供たちが分離される。富裕層の子供たちは質の良い教育を行う私学に通い、教育に理解のある親と熟練した教師に守られて学力を伸ばす。

一方で貧困層の子供たちは親の理解もなく、給料が安くてやる気のない教師の教育を受けて、教育の質が落ちて学力も低下していくことになる。塾にも通う経済的余裕もない。

公立校ではどんなにやる気のない生徒、問題生徒、非行生徒がいても学校から放逐できないので、しばしば学級崩壊も起きて授業がストップしたりする。

だから、富裕層の子供たちが学力を上げる環境の中で貧困層の子供たちは学力を落とし、名門校にはなかなか入れない構造的な問題が発生する。

気が付けば、学歴で大きなハンディが生まれていく。

富裕層の子供たちが学力を上げる環境の中で貧困層の子供たちは学力を落とし、名門校にはなかなか入れない構造的な問題が発生する。気が付けば、学歴で大きなハンディが生まれていく。


格差を生み出すことになるのは目に見えている

さらに地域で見ると、ある地域に貧困層が多くなっていくと、地価が下がってますます貧困層が流れ込んでいく。そうすると、不動産価格の下落や環境の悪化を嫌って、富裕層が少しずつ、しかし確実に抜けていく。

そうすると、ますます貧困層がその地区を埋め尽くすようになっていく。一方で、富裕層が集まるところは地価が上がって貧困層が住めなくなる。これで人々が分離される。

職業で言うと、富裕層の子弟が卒業する大学卒の勤める職種と、貧困層の勤める職種も違っていく。入れる企業も違い、同じ企業でもエリートクラスと労働者クラスに分かれてこのふたつは交差しなくなる。

この格差は、一度下に落ちると、容易に這い上がれない地獄の格差になっていく。

日本はいずれ、遅かれ早かれそのような社会になる。これについては、多くの社会学者、経済学者、政治家たちが警鐘を鳴らし、危険を訴えている。

誰のせいでこんなことになったのか。全世界がこのようになっているのだとすれば、誰のせいでもなく、現在の社会構造が生み出しているというのが分かるはずだ。

弱肉強食の資本主義が、このような社会現象をどんどん増長させて止まらないのである。強いて言えば、グローバル化を無批判に取り入れた政治家や大企業が悪いということになる。

しかし、日本を鎖国化したら大丈夫なのかというと、それはそれで日本全体が孤立化して北朝鮮のように困窮するだけだ。取り入れても拒絶しても問題が発生するのである。

日本はもうとっくの前にグローバル化を完全に受け入れた。これからも、どんどん受け入れていくことになる。それがさらなる格差を生み出すことになるのは、目に見えている。

もはや、格差が日本国民を分離してしまうのは避けられない事態だ。私たちはどちらかに分けられてしまう。1%の金持ちか、それとも99%の貧困層か。

そして、「階級」の上か下か……。

もはや、格差が日本国民を分離してしまうのは避けられない事態だ。私たちはどちらかに分けられてしまう。1%の金持ちか、それとも99%の貧困層か。そして、「階級」の上か下か……。


日本社会はこれから階級で分離していくことになる

問題は、貧困層に落ちた人は、もはやその子供もまた貧困層になってしまうことだ。個人の努力云々の話ではない。子供たちはスタート時点から極端な差を付けられており、貧困から抜け出せない。

日本がそんな社会になることは、高齢層よりも若年層の方が切実に感じ取れるかもしれない。

日本は若者の自殺が多い国だが、それは就職活動を行っている段階から、多くの企業に断られ続け、自分たちが社会から必要とされていないことを悟ってしまうからでもある。

就職できても生活していくことができないほどの給料だったり、不安定な身分だったりすることも多い。それで必死で働いても、身体を壊して使い捨てされる。

彼らの多くは、自分たちが貧困に生きるしかない現実を突きつけられている。当然、無理して結婚して子供を作っても、子供が貧困で暮らすことになることくらいは容易に想像がつく。

だから、結婚して子供を作るということすらも逡巡する社会と化している。

日本は超少子高齢化となっており、減り続ける子供と増え続ける高齢者のアンバランスで国家の社会保障費に問題が生じているのだ。

これから日本は、過酷な増税、削られる医療費、延長される年金受給年齢などがすべて同時並行で起きて、国民は痩せ細っていく。

国家はない袖を振れない。企業も終身雇用を捨てた。そのため、ごく普通の人が、年々転がり落ちるように貧困化する。

周辺国との軋轢、憎悪の連鎖、グローバル化の加速、格差の定着、若者の貧困化、超少子高齢化……。すべては、弱肉強食の資本主義が生み出したものであり根は一緒なのだ。

これらの問題が最後まで暴走していく中で、日本でも経済格差が「階級」を生み出して、上と下とではまったく違う文化の中で生きることになる。

格差で騒いでいる段階は終わった。次は階級社会に突き進んでいくのを、日本人は理解しておくべきだ。日本社会は階級で分離していくことになる。

日本でも経済格差が「階級」を生み出して、上と下とではまったく違う文化の中で生きることになる。格差で騒いでいる段階は終わった。次は階級社会に突き進んでいくのを、日本人は理解しておくべきだ。
https://www.bllackz.net/blackasia/content/20170831T0331260900.html


74. 中川隆[-6563] koaQ7Jey 2017年8月31日 10:06:40 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
国の中の90%以上の女性が文字をまったく読めないとしたら?


ひとり当たりの年間所得が最も少ない国をIMFの2016年のデータから拾い上げると南スーダン、マラウイ、ブルンジ、中央アフリカ、マダガスカル、モザンビーク、ニジェール、ガンビア、リベリア、コンゴ……と続く。

ここで上げた国は、人が貧しいというよりも国そのものが極貧にあって、経済発展はなかなか厳しいものがある。

もうほとんど報道されなくなっているのだが、南スーダンでは国土の6割が戦乱地区と化しており、中央アフリカでもコンゴでも大量虐殺が続いている。

アジアでも、アフガニスタンやネパールは非常に貧しい地区であり、EU(欧州連合)には、アフガニスタン難民も大量に入り込んでいるのはあまり知られていない。

政府が脆弱な国は、貧困が蔓延している。戦争が吹き荒れる国もまた貧困が吹き荒れる。

その結果、多くの人たちから教育の機会が奪われる。

生きるか死ぬかの瀬戸際で、人々が安全な地区を目指してさまよい歩いているような地区で、あるいは教育を与える必要がないという声が支持される地区では、意図的に教育の機会が踏みにじられるのだ。

中でも、女性の教育が犠牲になることが多い。


人材を作るには、教育に力を入れる必要がある

途上国では、誰がリーダーになっても、経済を立て直し、貧困を撲滅するのは非常に難しい仕事になる。

途上国のあらゆる問題は貧困から来ている。そして、その貧困のあらゆる原因は、インフラや汚職や内戦や先進国の収奪から生まれている。

豊かな国だったとしても、一度、国が衰退してしまうと立て直すのが難しいのは、歴史を見ると分かる。

日本は第二次世界大戦の敗戦で、国は焼け野原になってほぼ壊滅したも同然だったが、そこから奇跡的な復興を遂げて現在がある。

しかし、こういった奇跡は「例外中の例外」だ。普通は、国が壊滅すれば、その後は何十年も立ち直れないのである。

国が回復するには、経済が回らなければならない。経済が回るためには人材や資源が必要になる。資源があるかどうかは、その国の運次第だ。資源がないのであれば、人材を強化するしかない。

人材を作るには、教育に力を入れる必要がある。

ところが貧困国は、底なしの貧困ゆえに教育制度が破綻していることが多い。それならば、教育に金をかければいいという話になるのだが、ここにひとつ問題が発生する。

教育の成果を見るには、長い時間がかかるということだ。

1年や2年ではない。10年も20年もかかるのだ。だとすれば、任期が数年の政治家が教育に力を入れ続けるのは、相当な意思と覚悟が必要になる。

どこの国でも、教育の大切さを自覚する政治家は少ない。

教育はいつも置き去りにされる。「女性に教育は必要ない」と決めつけるアフガニスタンのような国もある。

アフガニスタンはわざわざ作られた女子学校を、イスラム原理主義のタリバンが叩き壊して回っている。

このタリバンのイスラム主義はパキスタンにも広がっているのだが、だからパキスタンの地方都市でも女子学校の破壊やテロが起きたりしている。

さらにこのような動きはナイジェリアでも広がり、テロ集団ボコ・ハラムが女子学生を大量拉致してイスラム原理主義に洗脳したり、自爆テロに使ったりするようにもなった。

そこまでして教育を奪おうとしている国もあるのだ。

アフガニスタンはわざわざ作られた女子学校を、イスラム原理主義のタリバンが叩き壊して回っている。このタリバンのイスラム主義はパキスタンにも広がっているのだが、だからパキスタンの地方都市でも女子学校の破壊やテロが起きたりしている。


90%以上の女性がまったく文字を読めない国もある

教育の機会が奪われたら国はいつまで経っても立ち行かない。これは、多くの途上国が共通して抱えている問題である。

教育がしっかりしていれば、その国は立ち直る余地はある。あるいは、すべてを失っても成長する余地がある。

どんなに国が傾き、経済破綻し、暴力・麻薬・売春が吹き荒れ、汚職が蔓延していたとしても、教育がしっかりしていれば嵐の中で芽が育つ。

逆に、教育自体がおざなりになっていたり、荒廃していたり、教育行政が破綻していたりすると、成長している国であっても、次世代の衰退は間違いない。

何を差し置いても教育に力を入れる風土があれば、その国は助かる。そうでないのであれば、その国の政治家が一時的に何かをやっても、結局は貧困に戻っていく。

教育は軽く見てはいけない問題だ。なぜ貧困層がそこから抜け出せないのか。

それは教育を受けていないからだ。

教育を受けても成功するとは限らない。しかし、教育を受けていなければ、スタート地点にすら立つことができない。

先進国にいると、文字が読めて、計算ができるというのは当たり前のように思えるかもしれない。しかし、それは当たり前のことではない。教育の成果だ。

日本の識字率は99%なので、国民のほぼすべてが文字が読める状態である。だから、文字が読めない人がいるというのが信じられないかもしれない。しかし、途上国では想像以上に文字が読めない人が多い。

たとえば、教育を奪われているアフガニスタンでは、女性の識字率は17.6%であると言われている。これを逆に言えば、女性の82.4%が文字が読めないということだ。自分の名前を読むことも書くこともできない。

国民の85%がイスラム教であるギニアでも女性の教育がほとんど為されておらず、女性の87.8%が文字を読めない。やはりイスラム教が圧倒的大多数を占めるニジェールに至っては、女性の91.1%が文字を読めない。

国の半分を占める女性が無教育なのであれば、国の半分は知的能力を必要とする現代社会で落ちこぼれるということだ。これでは国の再建や発展どころではない。


幼少の頃にきちんと教育を受けていれば……

インドでもカンボジアでもバングラデシュでもインドネシアでも、文字が読めない人たちは想像以上に多い。

私が知り合ったインド・コルカタの物乞いの女性たち、あるいはコルカタの売春地帯にいた女性たちも文字が読めなかった。

(書籍『絶対貧困の光景』インドの取り残された女性たち)
https://www.bllackz.net/blackasia/content/20140610T1741180900.html


彼女たちは知的能力が劣っていたわけではない。現に、彼女たちはヒンディー語を話す以外に、英語もきちんと話して欧米人と会話もできる。

文字は書けないのだが、ストリートで覚えた英語を駆使して欧米人と渡り合っている。もし、彼女たちが幼少の頃にきちんと教育を受けていれば、何十年も物乞いで生活していなかったかもしれない。

彼女たちに欠けていたのは教育だということが分かる。教育の機会がなかったのだ。

教育を受けると、物事を判断したり、分析したり、専門を極めていくことが可能になる。それもまた、貧困から抜け出すのに重要な要素である。

教育と言っても大学で学ぶような高度な専門知識の話をしているわけではない。読み書きソロバンの基礎的な教育の話をしている。それすら受けられないと、何もできない。

何しろ、名前も書けず、計算もできないのだ。そうなると、仕事は単純労働でしかない。単純労働の賃金は、どこでも最低賃金そのものだ。

最低賃金で生きていても、貧困から抜け出すことはできないのだ。字が読めないし書けないのだから、できる仕事は限られてしまう。賃金をごまかされても、計算ができないから抗議すらもできない。

また、世の中の仕組みはすべてドキュメント(書類)によって記されている。契約書も、賃金明細書も、請求書も、何もかも書類に記されて、そこには文字が書かれている。

それらの書類が読めず、意味も分からなければ、自分の置かれている立場すらも分からないままだ。やはり抑圧されたままの人生を送るしかなくなる。

国はどれだけ多くの国民に教育を受けさせることができるか。自分や子供たちは教育に接することができるか。そして、教育はどれだけ適切で実用的か……。

それが、貧困撲滅の鍵を握っている。しかし、多くの国でそれが理解されない。その結果、貧困が永遠に続いていくことになる。

教育を受けても成功するとは限らない。しかし、教育を受けていなければ、スタート地点にすら立つことができない。教育がきちんと続かなければ、彼女には将来がない。
https://www.bllackz.net/blackasia/content/20170829T0223580900.html


日本でも貧困地域の子供は漢字が読めない

【“貧困”無間地獄の現場】(05) 2003年『千葉少女墓石撲殺事件』の舞台――不良だらけの荒れた街が老人だけの枯れた街に


「貧しい昭和がこびり付いたような街」――

『最貧困女子』(幻冬舎新書)
https://www.amazon.co.jp/%E6%9C%80%E8%B2%A7%E5%9B%B0%E5%A5%B3%E5%AD%90-%E5%B9%BB%E5%86%AC%E8%88%8E%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E9%88%B4%E6%9C%A8-%E5%A4%A7%E4%BB%8B/dp/4344983610


で貧困問題を世に問うたジャーナリストの鈴木大介氏は、最貧困女子の出身地をそんな表現で語ったことがあった。


その1つが千葉市の千城台、正確には千葉市若葉区の千城台市営住宅団地だ。
言葉は悪いが、“最貧困女子の故郷”とでも言おうか。

地図
https://www.mapion.co.jp/m2/35.62610819,140.18221072,16


千葉駅からモノレールに乗り換える。タウンライナー(千葉都市モノレール)からは、新興のニュータウンと自然豊かな公園の景色が広がる。

約25分、終点の千城台駅に到着する。この街は以前、取材で訪れていた。

2003年10月に起こった『千葉少女墓石撲殺事件』である。犯罪史に残る陰惨且つ稚拙な事件。

風俗店(抜きキャバ)で働いていた16歳の石橋裕子さんが、偽装結婚していた夫(当時22歳)に離婚を切り出したところ、夫は地元の高校生ら5人と共謀し、石橋さんを墓地に連れて行き、歯形がわからなくなるまで殴りつけ、指紋を消し去る為に灯油で焼き殺した。

主犯の夫は、偽装結婚で戸籍をロンダリングしては、消費者金融からカネを借りる詐欺行為を繰り返していた。

当時、この夫は新しい相手と偽装結婚する予定だったが、身元不明状態では離婚できないと気付いて「自分の妻」と名乗りを挙げた結果、呆気なく御用となった。

事件の当事者たちは全員、市営住宅の出身者だった。
石橋さんの働いていた風俗店も千城台にあった。

次に偽装結婚する予定だったという別の16歳の少女を取材した。
彼女もやはり、市営住宅出身者だった。

彼女に事件をコピーした記事を見せた際、「漢字、読めないから」と言われて強い衝撃を受けた。

主犯の夫と族仲間だったという不良3人にも取材したが、やはり漢字が読めず、全員が無免許と自慢げに語っていた。

「21世紀の日本で、こんなことがあり得るのか…」。それが当時の印象だった。

千城台はニュータウンとして開発が進む一方、その裏手には古びた市営住宅団地が現存していた。夜ともなれば、漢字も読めないガラの悪い連中が団地から溢れ出て来る。治安の悪さでは、千葉でも屈指の場所と言われていた。その構図に、現在も違いは無い。

モノレールの駅を降りれば静かなニュータウンの表情を見せるが、古びた脇道を1本入れば、“貧しい昭和がこびり付いた街”がいきなり目の前に現れる。

この界隈の市営住宅の多くは、1960年代半ばから後半にかけて建設されている。
半世紀以上経っているのだから古臭くて当然だが、それでも以前の取材時には活気だけはあった。しかし、今夏に訪れた時、市営住宅は妙な静けさの中にあった。違和感を覚える。明らかに、2003年とは何かが違うのだ。

最も古い木造平屋建ての市営住宅に行く。犬の世話をしていたお婆さんが言う。

「ああ、今、ここは取り壊し前でね。半分以上があっちの新しい団地に移ったよ。私かい? ほら、この子(犬)がいてねえ。犬や猫を飼う為に残っているんだよ」。

このお婆さんが説明した通り、周囲の市営住宅の多くは新規建て替えや改修の真っ最中だった。「前に住んでいた若い人の多くも出て行ったよ」と寂しそうに語る。

夜になって、漸く違和感の原因に気付いた。周囲にコンビニが全く無くなっていたのだ。

駅前界隈は小中学校が揃い、市営住宅とニュータウンの住人合わせて1万人以上が住んでいる。明らかに異常だろう。プール帰りの小学5年生ぐらいの少女にコンビニの場所を尋ねたら、「あそこにあった」と潰れた店を指差された。

そう言えば、駅前にも赤提灯1つ無く、大手チェーンの居酒屋も無かった。
何とか探したところ、市営住宅の脇にスナックが2軒あるだけだった。

その1軒のマスターが言う。「この数年かな。駅前の飲み屋も全部、無くなったんだよ。前はキャバクラや風俗店もあったんだけど」。

私が「事件の影響ですか?」と尋ねると、「若い人が夜に集まりそうな場所は、警察が厳しく取り締まったからね」と頷きながら説明する。

客の1人も、「コンビニは、ほら、トイレで子供を産んで捨てた事件あったろ? あれ以降、どんどん潰れたんだよ」。

これは2011年、地元の20歳女性が千城台のコンビニで起こした事件のことだろう。

8月、お盆前だというのに、街に屯する不良たちが公園で花火に興じる様子も無ければ、暴走族が撒き散らす騒音も聞こえてこない。

マスターは、「兎に角、そういう若者はこの街から本当に消えたんだよ」と繰り返す。昭和の貧しさがこびり付いた街は、急速に変貌しているようだった。


「違法住人の楽園だった」。
市営住宅に暮らす60代の老人客が自嘲気味にそう語る。

母子家庭と言いながら夫と暮らす。夜の店で働きながら生活保護を受け、子供の給食費を払わない親たち。

毎日、パチンコをして飲み屋で暴れる――そうした“貧者の楽園”は消え去ろうとしているのだと、このスナックの客たちは誰もが実感している。

老人客が続ける。

「今、古い市営住宅は建て替え中だろ? 新しい市営に入れるのは、俺のような高齢の年金暮らしや生活保護は大丈夫だけど、以前のように20代の働き盛りで子供がいるとか、偽装結婚しているような家は契約を更新できないからな。だから、親が子を追い出しているんだよ。『お前らがいたら新しい市営住宅に住めないから』って」。

こうして、市営住宅から不良たちや若い層は消え、老人だけの枯れた街になりつつある。

“貧しい昭和がこびり付いた街”は、市の指導の下、健全且つ理想の街へと生まれ変わるのだろう。

12年前、主犯の夫と“偽装結婚”する予定だった16歳の少女の顔を思い出す。
漢字が読めず、「東京の都心は怖いので、夢は葛西に住むこと」と言っていた彼女は今、28歳となり、どこで何をしているのだろうか。

「(殺された石橋さんと)PUFFYの曲をデュエットで、朝までカラオケしたんだよ」。
そう嬉しそうに思い出を語っていた彼女は、既に都会の片隅で最貧困化しているかもしれない。

だが、その姿が顕在化することはないだろう。

夜8時過ぎ。千城台の駅から部活動で健康そうに日焼けした、或いは塾のテキストを持った学生たちと、ネクタイを締めたサラリーマンが続々と降りて来る。そして、小奇麗なニュータウンへと消えていった。 (取材・文/西本頑司)
http://mmtdayon.blog.fc2.com/blog-entry-1118.html?sp

千葉少女墓石撲殺事件とは、2003年(平成15年)10月1日に千葉市若葉区の墓地で発生した殺人事件である。


2003年10月1日の午前7時10分頃、千葉市若葉区の墓地駐車場で、ジョギングしていた男性が遺体を発見した。遺体は、若葉区千城台東の飲食店アルバイトだった少女(当時16歳)であった。

遺体は頭を鈍器で強く殴られて殺害された後、焼かれていた。
千葉県警は少女の夫で若葉区千城台西の運転手である男(当時22歳)を殺人の容疑で逮捕。共犯として高校3年の男子生徒(当時18歳)などを含む若葉区内の未成年の男子あわせて4人も逮捕した。


加害者と被害者の偽装結婚

被害者の少女は幼い頃は活発な少女で、中学時代はハンドボール部に所属していた。しかし部活を引退した3年の秋から性格が変わり始めた。不良グループと付き合うようになり、そこで後に自らを殺害する男に出会う。高校に進学するが、1年生の10月には自主退学し、以後はカラオケ店でアルバイトを始めた。

主犯の男は母親が再婚した義父と折り合いが悪く、家庭内で喧嘩を繰り返した。そして恐喝事件を繰り返し、高校1年の時には少年鑑別所送致にされる。18歳の時にはコンビニ強盗事件を起こして東北少年院送致となり、出所後も遊興費欲しさに窃盗事件を繰り返した。

少女はカラオケ店で働いたものの、給料面などから不満を持っており、水商売で働こうと考えていた。しかし18歳未満という年齢では働くことは不可能である。そこで男は自分との結婚を持ちかけた。結婚すれば成人として扱われるからである。ただし民法の上では成人扱いになるが、風俗営業法による規制から16歳で就職することは禁じられている。そして2人は2003年7月に婚姻届を提出し、少女はキャバクラで働き始めた。

ただし両者の間には恋愛感情は無く、2人の利害が一致したためでの偽装結婚に過ぎなかった。男は消費者金融に300万円に及ぶ多額の借金を抱えており、以前も別の女性と偽装結婚していた。女性の苗字を名乗って名前と戸籍を変更することで、消費者金融の借金を踏み倒そうとしていたのである。

しかし男は少女に結婚した見返りとして上納金を要求する。少女は初めこれに応じたが、次第に金銭トラブルを引き起こすようになり、遂に少女は偽装結婚を警察に通報すると言い出す。男は以前に起こした詐欺の事件で執行猶予中であった。

これが通報されれば猶予を取り消される可能性もあり、口封じを決意し、仲間の未成年4人を「自分たちの起こした窃盗事件を少女が警察に通報しようとしている」と騙すことで犯行に加わらせ、2003年10月1日午前3時過ぎに駐車場内でハンマーで少女を順番に殴りまわしたうえ、重さ70キロもある墓石用の石材を少女の顔に何度もたたきつけて殺害した。

そして少女の遺体にオイルを10数本もかけて火をつけて逃走したのである。
後に少女を発見した男性の証言では、発見したときには少女の遺体の上半身が炭化しており、まだ火もついているという状態だったという。


逮捕と裁判

事件発覚後、男は自ら警察に情報を提供して自分に疑いがかけられないようにした。またマスコミのインタビューにも悲痛な発言をすることで被害者を装っていた。

しかし警察は男と少女の偽装結婚をつかみ、さらに近所のスーパーやコンビニで大量にライターオイルを購入または万引きする男と少年らの防犯カメラの映像を入手して、男と少年らを逮捕する。男は最初容疑を否認していたが、少年4人が犯行を自供したため、遂に男も犯行を認めた。

2005年2月23日、千葉地裁で判決公判が開かれ、「暴行は想像を絶する残虐さ」、「自己中心的で幼稚極まりなく、動機に酌むべき点は無い」、「確定的殺意に基づく極めて残虐な犯行で、矯正は不可能」として、求刑通り無期懲役となる。4月19日に控訴を取り下げて刑は確定した。

また、未成年の少年らも、殺害と遺体損壊に加わった3人を5年から10年の不定期刑に、遺体損壊に加わらなかった1人を3年半から7年の不定期刑に処して確定した。こちらも「残虐な犯行」、「遺体損壊に対する悔悟の念が感じられない」とされた。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%83%E8%91%89%E5%B0%91%E5%A5%B3%E5%A2%93%E7%9F%B3%E6%92%B2%E6%AE%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6


75. 中川隆[-6456] koaQ7Jey 2017年9月11日 07:44:22 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017.09.11
2度の「9/11」を経て米国を中心とする世界は不公正で侵略、略奪、破壊、殺戮が横行するように


9月11日には世界の流れを決める大きな出来事が引き起こされている。そのひとつが1973年9月11日にチリであったヘンリー・キッシンジャーを黒幕とする軍事クーデター。アメリカの巨大資本はラテン・アメリカを植民地化、「バナナ共和国」と呼ばれる略奪システムを作り上げていたが、その仕組みを揺るがす民主的なサルバドール・アジェンデ政権が誕生、それを潰したのである。言うまでもなく、アメリカは民主主義の「伝道者」ではなく、「破壊者」だ。

このクーデターでアジェンデ大統領は死亡、多くのチリ国民が殺された。後に設置される「チリ真実と和解委員会」によると、軍事政権の時代に殺されたり行方不明になった人は少なくとも2025名、一説によると約2万人に達する。この粛清後、ピノチェト体制に逆らう人はいなくなり、強者総取りの新自由主義経済が導入されている。

社会的な弱者から搾り取り、強者を富ませるこのシステムを導入することは容易でない。少なからぬ人々がこの不公正な仕組みに反対することが予想されるからだが、クーデターによってそうした人々は排除された。

チリへこのシステムを導入するにあたり、中心的な役割を果たしたのはシカゴ大学のミルトン・フリードマン教授やアーノルド・ハーバーガー教授、そしてその弟子たち、いわゆる「シカゴ・ボーイズ」だ。

彼らは賃金は引き下げ、労働者を保護する法律を廃止、労働組合を禁止、つまり労働環境を劣悪化、1979年には健康管理から年金、教育まで、全てを私有化しようと試みている。国有企業の私有化とは、国民の資産を略奪することにほかならない。こうした政策を賞賛する人が日本には少なくなかった。

1979年から82年にかけてチリ政府は自国の通貨を過大に評価させて輸入を奨励、そのために国産製品が売れなくなり、国内の生産活動は破綻してしまう。1980年代の後半になると人口の45%が貧困ラインの下に転落してしまった。1980年代の半ばから日本でも円高、国内産業の衰退というチリと同じようなことを行っている。日本で貧富の差が拡大したのは日米支配層の政策だということだ。

チリのクーデターは国内で富を収奪しやすくする仕組みを導入するために使われたが、国外への侵略、略奪、破壊、殺戮をもたらす流れを作ったのが2001年9月11日の出来事にほかならない。その日、ニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンにある国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されて国内は混乱、それに乗じてネオコンがホワイトハウスの主導権を握り、1992年2月に国防次官だったポール・ウォルフォウィッツが中心になって作成されたドクトリンを実行に移し始めたのである。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201709110000/


76. 中川隆[-6455] koaQ7Jey 2017年9月11日 07:47:30 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017.09.02
米支配層の意向に沿い、日中関係を悪化させる引き金を引いた前原を党代表に選ぶ政党の厚顔無恥


前原誠司が民進党の代表に選ばれたそうだ。野田佳彦幹事長と同じ松下政経塾の出身で、考え方は似ている。経済問題は新自由主義(ニューリベラル)、国際問題は新保守(ネオコンサーバティブ/ネオコン)。リベラルとコンサーバティブは正反対のようだが、実態は同じで、強者総取り、巨大資本が世界を支配する体制の構築を目標にしている。こうした人物を党代表にしたり幹事長にする政党が庶民の利益を考えているわけがない。有権者もその程度のことは理解しているだろう。


前原は鳩山由起夫内閣と菅直人内閣で国土交通大臣(2009年9月〜10年9月)、菅内閣で外務大臣(2010年9月〜11年3月)などを、野田は菅内閣で財務大臣(2010年6月〜11年9月)、そして内閣総理大臣(2011年9月〜12年12月)を務めた。2011年12月に野田は炉心溶融という大事故を引き起こし、全く機能していない東京電力福島第1原子力発電所の原子炉が冷温停止状態を達成したという戯言を主張、11年12月には内閣総辞職して安倍晋三政権誕生への道を作った。その間、菅直人政権はTPPへの参加を、また野田政権は消費税増税を打ち出している。いずれも弱者から搾り取り、強者を裕福にする政策で、日米の支配層が望んでいたものだ。

1991年12月にソ連が消滅、西側支配層の傀儡、ボリス・エリツィンがロシア大統領として新自由主義経済を導入、ロシア国民の資産を西側巨大資本とその手先が略奪する手助けをするようになると、中国脅威論が唱えられ始めた。国防総省のシンクタンクONA(ネット評価室)で室長を務めていたアンドリュー・マーシャルが発信源だ。

マーシャルは中国の地対地ミサイルなどが東アジアの基地や空母にとって脅威になるとしてミサイル防衛の必要性を強調、中国脅威論を主張した。ジョージ・W・ブッシュ政権で国防長官を務めたドナルド・ラムズフェルドが軍再編の見直しを任せた人物はこのマーシャルである。

冷戦時代、マーシャルはソ連脅威論を主張、それを正当化するために偽情報を流していたのがCIA内に設置され、ジョージ・H・W・ブッシュが長官だった時期に活動したチームB(あるいはBチーム)。このチームの中心には後にネオコンと呼ばれる人物がいた。

中国を締め上げる最前線は言うまでもなく日本。両国の間には尖閣諸島の領有権問題があるのだが、これは1970年代に田中角栄と周恩来とが「棚上げ」で合意していた。この問題を棚上げにして両国の友好を推進、経済関係を強めようとしたわけだ。この問題を棚から引きずり下ろしたのが民主党の菅直人政権だった。

2010年9月、菅政権の時に海上保安庁は尖閣諸島付近で操業していた中国の漁船を取り締まり、漁船の船長を逮捕しているが、これは「日中漁業協定」を無視する行為。当然、海上保安庁は協定を熟知しているはず。海上保安庁は国土交通省の外局で、その当時の国土交通大臣は前原。大臣の意思がなければ不可能な行為だ。つまり、前原は田中と周による棚上げ合意を壊し、日本と中国との関係悪化を図ったのである。

実際、この逮捕で日本と中国との関係は悪化するが、2011年3月11日に東北の太平洋側で巨大地震が起こり、日本と中国の対立は緩和されそうになる。そうした雰囲気を消し去って関係悪化の方向へ戻したのが石原親子だ。

2011年12月に​石原伸晃​が「ハドソン研究所で講演、尖閣諸島を公的な管理下に置いて自衛隊を常駐させ、軍事予算を大きく増やすと発言した。この背後にはネオコンの大物でポール・ウォルフォウィッツの弟子にあたるI・ルイス・リビーがいたと言われている。リビーはハドソン研究所の上級副所長だった。さらに、2012年4月に石原伸晃の父親、​石原慎太郎​知事(当時)が「ヘリテージ財団」主催のシンポジウムで尖閣諸島の魚釣島、北小島、南児島を東京都が買い取る意向を示して中国との関係は決定的に悪くなる。安倍晋三もハドソン研究所と関係が深いが、そのつながりを築いたのもリビーだ。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201709020000/


77. 中川隆[-6415] koaQ7Jey 2017年9月12日 10:27:48 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017年09月12日
アメリカの老後貧困 見捨てられる「動けない老人」


ホームレスの半数が高齢者
引用:http://media.bani.md/image/201503/700x/bani_a4fda996dc018fb4887555988b329061.jpg

老後貧困は日本にしか無いのか

日本では貧困老人とか老後貧困、下流老人が社会問題になり、「自分もああなるのか」という事が消費の足を引っ張っている。

1人最低3000万円の貯金がないと老後破産するというマスコミの煽りが受け、皆消費せずに貯金しています。

だが現実には月15万円使ったとしても年180万、3,000万円なんか16年で使い果たしてしまいます。



これなら生活保護を受けたほうが様々な支払いが免除になる分、良い生活が出来るし、何より枯渇しません。

ところで日本の老後貧困問題はよく報道されるのに、日本以外の外国について、マスコミは一切報道しません。

日本の高齢化率が最も高いのですが、それにしても情報の片寄りには作為的な意図を感じます。


日本はGDPに占める高齢者福祉の支出では世界トップクラスなのだが、なにぶん高齢者が多すぎるので、1人当たりではトップクラスではない。

アメリカはGDP比高齢者支出では日本より少ないが、高齢者の人口比率が少ないので、1人当たりではそう悪くない。

アメリカでは高齢者の貧困は社会問題になっていないが、問題になっていないだけで、切り捨てられている。


OECD(経済協力開発機構)によると老人(65歳以上)の貧困率は、日本19.4%で、アメリカ21.5%でアメリカのほうが少し悪かった。

この調査の貧困とは平均所得の50%以下の収入しかない人で、困窮具合などは考慮されていません。

世界最悪は韓国の49.6%で、2位はオーストラリア35.5%、3位と4位が日米で見事に太平洋周辺の「アメリカ式経済」の国が上位を独占しました。

アメリカの貧困老人

日本との比較ではアメリカ式経済の権化であるアメリカに登場してもらう事にしたが、日米では老人の貧困の質がかなり違う。

日本では高齢者の経済的な貧困が問題であり「老後の生活資金はいくら必要」「月に2万円の食費しか使えない」などが大きく報道されている。

アメリカの老後貧困はそういう人も多いのだが、多くの高齢者が医療を受けれずに放置されなくなっている。


アメリカの医療費の高さは度々報道され知られているが、高齢者だからといって医療費が安くなるわけではない。

むしろ医療費の大半は人生の最後の数年間に掛かるので、年を取るほど医療費が高くなり、支払えない人が多くなる。

例えばアメリカでは救急車が有料だが、平均すると1Kmあたり1万円くらいはかかる感覚だそうです。


アメリカは広いので近くの病院まで100kmという場合もあり、ヘリや飛行機で搬送したら、やっぱり1Kmあたり1万円は取られます。

多くの高齢者にとって「救急車を呼ぶ」のは破産してホームレスになるのを意味するので、それよりは自宅で死ぬほうを選びます。

これがアメリカに「寝たきり老人」が居ない原因で、寝たきりになる人を助けないので、寝たきりにならないのです。


日本では無料で救急車で病院に運び、医療費も(場合によっては)無料で、介護老人ホームで世話をしたりしているので、際限なく動けない高齢者が増えていきます。


アメリカではどこかが痛いからと言って毎週病院に行っていたら、あっという間に数千万円の借金を背負います。

オバマ大統領はオバマケアという高齢者医療保険を作りましたが、それで医療費が無料になった訳ではないので、状況はそれほど変っていません。

老人は常に病気になるもので、常に身体のどこかが痛いと言い、際限なく医療費は掛かるからです。

アメリカの介護問題

アメリカの高齢者は自宅で家族の介護を受けているが、アメリカは離婚大国で親と別居するので、子供と同居するのは恵まれた老人です。

多くの高齢者は夫婦か1人暮らしで、病院に行く事も出来ず、自分で歩けなくなったら自宅で亡くなるのです。

日本では統計上、平均所得以下の高齢者にかかる医療費の9割を国が負担しているので、収入がほとんど無くても「医療漬け」になるほど病院に通っています。


アメリカには「医療」はあるものの「介護」という考え方がまだ無く、国や自治体の介護体制は十分ではありません。

アメリカ人の認識としては自分で歩けるのが「生きている人」で、自分で動けないのは「亡くなった人」という感じです。

今後アメリカでも高齢者が増えて寝たきりや歩けない人が大問題になるでしょうが、現在は存在しないものとして、切り捨てられています。


日本では生活保護受給者の過半数が高齢者で、生活保護が認められれば医療費一切が無料になります。

アメリカはこうではなく、生活支援が認められても等級によって免除や支給額が細かく別れ「一切無料」「生活費全額補助」はまずありません。

アメリカでの老後貧困問題とは、医療費が高額なために十分な医療を受けると、ある程度の資産や収入があっても破産してしまうという事です。

問題視されないアメリカの貧困老人

まったくの無一文になれば政府の支援を受けて、公的な老人ホームに入居する事ができる。

さてアメリカ人は浪費が多いので有名だが、3人に1人は老後資金がなく貯蓄も貯金もゼロです。

アメリカの調査では老後資金は1人37万8千ドル必要だそうで、4000万円超なので日本の3000万円より多い。


だがアメリカの医療費を考えると、健康なら良いが一度病気になったら4000万円は1年で吹っ飛ぶ金額でしかありません。

アメリカの破産者のほとんどが民間医療保険に加入していて、それなりの収入と資産もあったのに破産しているという現実があります。

アメリカはホームレスの50%以上は50歳以上であり、2016年のホームレス総数は約55万人でした。


55万人は「一晩でもホームレスだった事がある人」の人数で、必ずしもずっとホームレスだった人ばかりではない。

ホームレス寸前の困窮者はこの数倍居るはずなので、アメリカの限界ギリギリの高齢者は百万人以上存在すると推測できます。

本当の問題は、アメリカでは老人の貧困問題が、これほど深刻なのに問題視されていない事かも知れません。
http://www.thutmosev.com/archives/72522961.html


78. 中川隆[-6402] koaQ7Jey 2017年9月12日 18:56:21 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

グローバル化の中では保守派が抹殺される対象となっている


グローバル化が進むにつれて起きているのは、人種対立と宗教対立と軍事対立と領土対立と文化対立と経済対立と思想対立と歴史対立である。

グローバル化は欧米の多国籍企業が経営の効率化と利益の極大化のために取り入れた方向性なのだが、これが企業から個人へと急激にブレイクダウンされたのが、ここ20年ほどの社会の動きであったと言える。

「グローバル化は多様性を認める社会を生み出し、それは最終的には人類の平和や安定に結びつく」と喧伝された。

だから、当初はこのグローバル化による社会の変革は好ましいものとして手放しで歓迎されていた。またIT化による「世界の人たちとの結びつき」もまた新しい社会に相応しいと歓迎された。

しかし、現実はどうだったのか。

グローバル化の中で多様性を認めようとする動きは、その底辺で徐々に緊張を生み出すものになっていた。平和や安定どころか混乱と対立が生まれ、それがインターネットで増幅されて社会を極度に不安定化させている。

なぜ、こんなことになったのか。多様性を認め合うというのは、実は別の意味の差別を生み出すものだったからである。

多様性を認め合うというのは、別の差別を生み出す

「多様な意見をすべて認めて、多様性の中で共生する」というグローバル化の概念は、大きな矛盾を内包する。

どういうことか。たとえば、多様性や多文化共生を進めるグローバリストはこのように言う。

「人間はみんな違って当然。だから相手の違いを認めて共生できる社会にしましょう」

すべての人を受け入れるというのであれば、「違う人種、宗教、文化の人と暮らすのは絶対に嫌だ。同じ人種、同じ宗教、同じ文化の人たちとだけ仲良くやりたい」という人をも取り込むことになる。

つまり、自分たちとは真逆の意見を持つ人たちを受け入れることになる。すると、どうなるのか。

多様性を受け入れる社会では、常に多様性を受け入れたくない人と激しい対立や衝突を繰り返すということになるのだ。

だから、多文化共生を進める社会、すなわちグローバル化が進む社会では、自国を愛し、自国の宗教を愛し、自国の文化を愛する人を「狭量だ」「差別だ」「排外的だ」と言って排除するようになっていく。

つまり、反グローバル主義の考え方を持つ人は排除されていくのである。「違う人たちを認める」と言いながら、それに賛同しない人を排除するというわけだ。

「多様性を認め合うというのは、実は別の意味の差別を生み出す」というのはそういうことだ。多様性を認め合おうと言う人は、多様性を認めない人を差別するのである。

実際、このようなケースが表面化している。

たとえばグーグルで「男性と女性の能力には違いがある。女性よりも男性の方がコーディングを好む。性別による違いを性差別だと決めつけるのを、やめなくてはならない」と主張したジェームズ・ダモアというエンジニアがいた。

この人は、この文書を出した瞬間に解雇された。それが真実かどうかは別にして、グーグルはある特定の意見を持った人を、その意見を持ったが故に一瞬にして解雇したという事実に注目する必要がある。


自分たちの意見と反対のものは、とたんに排除する

男性と女性の能力の違いがあるのかどうかについては様々な意見があり、ジェームズ・ダモア氏の意見が正しかったかどうかは専門家ではない私たちには分からない。

問題はそこではない。グローバル化した社会の中では、「多様性を認める」と言いながら、本当のところはそうではないことが露呈しているということだ。

グーグルがジェームズ・ダモア氏を解雇したというのであれば、それは多様性を認めなかったということなのである。

興味深いと思わないだろうか。

「多様性を認める」「多様な意見を認める」と言いながら、いざ「多様な意見」が出て、それが自分たちの意見と反対のものだったら、とたんに排除してしまう。

しかも、グーグルの経営陣は「自分たちが多様性を排除した」という自己矛盾に気付いていない。

本当に多様性を認めるのであれば、男女の能力についていろんな意見を持つすべてのエンジニアの雇用を保障するはずだ。しかし現実には、「男性と女性の能力には違いがある」という意見を持つエンジニアだけを排除した。

ここから何が見えてくるのか。

それは「多様性を認める」というのはただの理想や建前であるということだ。多様性を認めるという企業でも、自分たちと相反する意見を持つ人は排除する。

自分たちとは真逆の意見を持つ人間は追い出す。認めない。そして許さない。つまり「多様性」だとか「共生」だとか、きれい事を言っているのだが、真の意味での多様性は、成り立っていないのである。

ある意味、これは当然の帰結である。男女平等を謳っている企業でそうではないと意見する人がいたら企業運営が成り立たない。だから、自分たちの企業文化に合わない人は最終的には排除せざるを得ない。

グーグルは、企業文化と合わない人を排除したのだ。大事なことなので、この意味をよく考えて欲しい。ジェームズ・ダモア氏は「文化が合わないから排除された」のだ。


グローバル化の中では保守派が抹殺される対象だ

何のことはない。このグーグルがやったことこそ、多文化共生は成り立たないという典型的なケースである。

多文化共生と言っても、自分たちの存続を脅かす存在があれば、それは排除しないと自分たちが自滅する。

だから、グーグルは自滅しないために排除を選んだ。自分たちと異なる意見の者とは共生できなかったから排除した。そして、世論は企業文化に合わない人を排除したグーグルを賞賛した。

排除は賞賛されたのだ。

結局、多様性を認めるというのは、ある種の欺瞞と矛盾で成り立っているというのが現実だと分かる。社会が指し示す方向性と違った概念を持ったら、結局のところあらゆる理由を付けられて排除されてしまうのである。

多様性や多文化共生は差別や排除をなくしていく動きだと捉えてはいけない。「新しい差別や排除」を生み出す動きであると捉えなければならない。

グローバル化に邁進する社会、そしてその中で多様性や多文化共生を理想として突き進んでいく社会の中では、それに反する人間は「反社会的な人間」と定義されて排除される。分かりやすく言えば「邪魔者は消される」のだ。

つまり、保守的な考え方を持つ人たちは、これからより強固になっていくグローバル化の中では「反社会的な人間」として排除される対象になるということである。

現代社会ではグローバル化が止まらず、さらに国家が弱体化して多国籍企業がさらに強大な存在になっていく。

まだ多国籍企業が世界に君臨しているという現実が見えていない人もいるのかもしれない。しかし、いい加減に気付くべきだ。多国籍企業は世界を乗っ取り、彼らが推すグローバル化は止められないものとなった。

これからは、彼らの考え方に合わない人間が差別され、排除されていく。

たとえばドナルド・トランプ大統領のような保守的な考え方を持つ人物はこうしたグローバル化の流れに必死に抵抗しているが、「きちがい、愚か者、差別主義者」と罵られて激しく糾弾され、敵視されている。

多様性、多文化共生が「強制」される社会では、保守派が抹殺される対象となる。そんな社会の構図を私たちはきちんと認識しているだろうか?


ドナルド・トランプ大統領のような保守的な考え方を持つ人物はこうしたグローバル化の流れに必死に抵抗しているが、「きちがい、愚か者、差別主義者」と罵られて激しく糾弾され、敵視されている。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/09/20170912T1701170900.html


79. 中川隆[-6404] koaQ7Jey 2017年9月14日 11:26:56 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

高齢貧困社会。認知症、心中、ホームレス、ゴミ屋敷、孤独死

1990年までは、日本人が日本に生まれるというのは、それだけで無条件に幸せなことだったと思われていた。日本は稀に見る経済大国だったし、自他共に認める先進国だ。

退屈な仕事でも、どこかで真面目にきちんと働けば終身雇用が当たり前で生活は安定した。だから、結婚してマイカーを買ってマイホームを持って子供を作って和気藹々と暮らすという普通の生活は普通に実現できた。

しかし、バブル崩壊以後、就職氷河期が始まり、土地神話が吹き飛んで資産も減少、終身雇用を約束してくれていたはずの企業も経営が苦しくなり、2000年以後はそれを約束しなくなっていった。

人を雇うのであれば、いつでもクビにできる非正規雇用を増やすようになり、雇用も不安定化した。格差が拡大し、貧困が広がり、重苦しい不安が社会を覆い尽くすようになった。

そこに、子供が減って高齢者ばかりが増えるという少子高齢化の問題も深刻になっていく。すでに日本は世界でも類を見ない超絶的な高齢化社会に突入している。

それは、ただの高齢化社会になるのではない。日本は社会保障費の増大で国家財政は極度の負債を抱えているので、高齢層の面倒を見れなくなる。

「早く死にたいが死ねない」という絶望の貧困

少子化も加わっており、さらに家族の解体も進んで親と子の絆も弱まり、人々が孤独になっているので、高齢層は貯蓄の乏しい層から貧困に転がり落ちる。

つまり、日本は「高齢貧困社会」になっていく。

国は頼りにならないのだが、それでも国の保護にすがらないと生きていけない高齢者が爆発的に増える社会になる。生活保護を受けている世帯の半数以上がすでに高齢者になっているのを見ても分かるはずだ。

高齢者の貧困は、当事者にとっても社会にとっても実に致命的な問題である。

現実問題として、65歳を過ぎた高齢者を雇うような職場はあまりないし、雇われても低賃金だし、体力的にも無理が効かなくなっている。

だから、ほとんどが収入を得る手段がないまま世の中にも捨てられ、「早く死にたいが死ねない」という絶望の貧困に放り込まれる。

今の社会保障費は早晩、限界に達する日がくる。国が貧困の高齢層を見捨てて、社会も彼らを無視すれば、住むところもなくした高齢層はホームレスになるしかない。

地方では朽ち果てそうな「あばら家」に住んでいる高齢者を西日本で見かけたが、今後地方の6割は少子高齢化によって街や村の存続が危機に落ちる。

都会ではどうなのか。都会でも今後は主要なターミナル駅に高齢のホームレスが集まるような光景になっていく。

1970年代の石油ショック以後、見捨てられた労働者たちがターミナル駅の地下で段ボールを敷いて暮らし始めた時期があったが、その再現となるかもしれない。

行政は彼らを追い出そうと努力するが、夥しいホームレスの出現に、そのうちに予算も気力もなくして放置されるようになっていく。


現実問題として、65歳を過ぎた高齢者を雇うような職場はあまりないし、雇われても低賃金だし、体力的にも無理が効かなくなっている。だから、ほとんどが収入を得る手段がないまま世の中にも捨てられ、「早く死にたいが死ねない」という絶望の貧困に放り込まれる。


街全体が貧困に乗っ取られるような状況になる

貧困層が増えると、都会では地価の安い昔からの貧困地区に引っ越す層が増えていく。その地域は人口過密になっていき、明らかな貧困地区として街全体が貧困に乗っ取られるような状況になっていく。

東京の山谷や大阪のあいりん地区は今も貧困地区だが、安い宿は外国人観光客を呼び寄せて街の光景を変えている。昔と雰囲気が変わった。

その一方で、相変わらず貧困層がそこに寝泊まりしている姿もある。よく見ると、その人たちは「ほとんどが高齢層」と化してしまっている。

この姿は各都市の未来の姿でもある。これからの日本の絶対貧困層は高齢者が占めるので、貧困の街は全体が老人ホームのようになる。

そのため、貧困高齢者のホームレス、スラム化したマンションやアパートが街を覆い尽くすことになる。

日本は1960年代までとても貧しい国だった。東南アジアとは変わらない世界があった。しかし、日本はそこから飛躍して、豊かな国に変貌した。

しかし、豊かな国が人口政策を間違え、少子高齢化と社会保障費の増大を放置すれば貧しくなるのは必然であり、日本もまたその宿命から逃れられない。

再び貧困が日本に戻ってくるのだ。

多くの日本人が「このままでは国が駄目になるかもしれない」と気付いたのは、2005年を過ぎたあたりからだった。

バブルが崩壊して15年。社会構造が変化して経済的な勢いを取り戻すことなく貧困と格差が広がり、若者や女性と高齢者が困窮しているのに人々は気付いた。

統計を見ても、若者が経済的に追い詰められているのは隠しようがない事実だったし、企業の非正規労働者の拡大が若者の将来設計を奪うという流れも見えていた。


豊かな国が人口政策を間違え、少子高齢化と社会保障費の増大を放置すれば貧しくなるのは必然であり、日本もまたその宿命から逃れられない。再び貧困が日本に戻ってくるのだ。


増税やインフレで高齢層は絶望の貧困に落ちていく

貧困と格差は止めることができず、2012年を過ぎた頃から団塊の世代の引退によって貯蓄のない層から貧困に追いやられていくようになった。

「こうなることは、あらかじめ予測されていた」という部分に注意して欲しい。そうなるのは分かっていたのだ。にも関わらず、誰もそれを止めなかった。

少子化も進んでいたが、これも放置されるがまま放置されてきた。今でも放置され続けている。だから人口構成のいびつさで日本の成長は不可能になることも「すでに予測されている」のである。

ほんの数年前まで、「団塊の世代は勝ち逃げで引退後は年金で悠々自適の生活に入る」などと夢みたいなことを言っている馬鹿丸出しの経済学者もいた。

現実的に考えて、1071兆円の借金を抱えて政府が苦境にもがき、高齢層だけが爆発的に増えていく社会の中で、悠々自適などあり得るわけがない。

日本人の貯蓄率を見ると、すでに貯金が100万円未満で7割以上を占めている。

若者であれば、貯金があってもなくても労働すれば生きていけるかもしれないが、高齢者には仕事などない。何もできないまま見捨てられる。

何が起きるのかは火を見るよりも明らかだ。

これから高齢者が見捨てられて、大量に死んでいく時代になるのである。年金が削減され、増税やインフレが来たら、それが合図になって高齢層は極限の貧困に落ちていく。

施設に預けられても金が切れて、そのまま路上に放り出される高齢者も出てくる。

孤独死も山ほど増える。高齢者の夫婦が心中する事件も増える。のたれ死にする高齢者も増える。ホームレスになって凍死する高齢者も増える。

認知症の高齢者も増える。ゴミ屋敷で暮らす高齢者も増える。餓死する高齢者も増える。

すでに少子高齢化は日本を蝕んでいる。地方は人口減で自壊しつつある。ボロボロになってしまっているのだ。地方が先に壊れ、街は見るからに貧相な状況になっていく。その次に都会が壊れていく。

こうした日本の未来の姿を、想像したことがあるだろうか?


すでに少子高齢化は日本を蝕んでいる。地方は人口減で自壊しつつある。ボロボロになってしまっているのだ。地方が先に壊れ、街は見るからに貧相な状況になっていく。その次に都会が壊れていく。
https://www.bllackz.net/blackasia/content/20170914T0401200900.html


80. 中川隆[-6393] koaQ7Jey 2017年9月16日 20:18:32 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

日本よ、いい加減、現実を見よう 自由貿易が社会を傷だらけにする
世界も国内も、グローバル化で分断された

柴山 桂太 京都大学准教授
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52829

「アメリカ・ファースト」を強調するトランプ大統領。EUからの離脱を決めた英国。先進各国では「アンチ・グローバリズム」の動きが、今も続いている。一方、日本政府は「自由貿易こそ経済発展のかなめ要だ」という構えを崩さない。しかし、それは「時代を読み違えた態度」なのではないか? そう語るのは、経済思想が専門の京都大学准教授・柴山桂太氏だ。近著

『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』(集英社新書)
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%83%A0-%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%85%88%E3%81%AE%E6%82%B2%E5%8A%87%E3%81%AB%E5%82%99%E3%81%88%E3%82%88-%E9%9B%86%E8%8B%B1%E7%A4%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E4%B8%AD%E9%87%8E-%E5%89%9B%E5%BF%97/dp/4087208869/ref=as_li_ss_tl?ie=UTF8&qid=1504751914&sr=8-1&keywords=%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%83%A0+%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%85%88%E3%81%AE%E6%82%B2%E5%8A%87%E3%81%AB%E5%82%99%E3%81%88%E3%82%88&linkCode=sl1&tag=gendai_asyuracom-22&linkId=c11fbd599679a223cd8355b07e5502b3


で、自由貿易が社会に深刻な「分断」をもたらすと指摘した柴山氏に、グローバリズムがもたらした矛盾をどう見るべきかを聞いた。

自由貿易の擁護にまわったBRICs

自由貿易についての国際世論に、変化の兆しが見られる。

これまで自由貿易の推進役だった先進国で反自由貿易の機運が高まり、どちらかと言えば保護貿易に傾きがちだった新興国から、「自由貿易を守れ」との声が上がり始めている。

先日開かれたBRICs首脳会議では、「あらゆる国と人々がグローバル化の利益を分かち合える、開放的な世界経済の重要性を強調する」とする共同宣言が採択されたという。これが、保護貿易に傾きつつあるアメリカ・トランプ政権への牽制であることは明らかだ。


BRICsBRICsサミットに集まったブラジル、ロシア、中国、南アフリカ、インドの新興5ヵ国首脳(Photo by Getty Images)

少し前まで、世界中の国々に市場開放を押しつけていたのはアメリカだった。ところが今では、新興国が自由貿易の意義を強調し、当のアメリカでは反自由貿易派の大統領が選ばれる。時代の変化をこれ以上、雄弁に物語るものはない。


自由貿易への幻滅が拡がっているのはアメリカだけではない。

世界18ヵ国を対象に行われた英エコノミスト誌の調査によると、「グローバル化で世界は良い方向に向かっている」と考える人の割合は、アメリカ、イギリス、フランスなどの先進国で軒並み5割を切っている。ベトナム、フィリピン、インドで、8割以上がグローバル化に好意的なのとは対照的だ。

この調査では、総じて新興国の方がグローバル化に好意的で、先進国は批判的という傾向が見られる(残念ながら、日本は調査対象に入っていない)。

「グローバル化が人々に利益をもたらす」は本当か?

なぜ、先進国で反自由貿易の機運が高まっているのだろうか。マスメディア等でおなじみの解釈は、「自由貿易の利益が正しく理解されていない」というものだ。

自由貿易は先進国、新興国を問わず全ての国に恩恵をもたらす。それぞれの国が、自国のもっとも優位な分野に特化した生産を行えば、世界全体の労働生産性は上昇し、消費者は安くて質のいい財やサービスを享受できる。保護貿易で海外製品をブロックすると、一部の生産者は助かるかもしれないが、消費者は割高な国産品しか買えなくなるので、社会全体で見ると損失の方が大きくなる――。

こうした説明を、誰もが一度は聞いたことがあるはずである。

実際には、経済学者は市場が教科書通りに働かないケースが多々あることを認めており、貿易についてももっと複雑な見方をしている。しかし世間一般には、自由貿易についての通り一遍の説明で済ませることが多い。

世界中のメディアも、この立場を支持している。日本も例外ではない。自由貿易に反対する者は、経済学の基本(特に「比較優位の原理」)をわきまえていないか、関税や補助金をあてにする圧力団体(JAなど)に与しているかのどちらかだ、というわけである。

この伝でいくと、アメリカなどの先進国で保護貿易派の政治家が出てくるのは、「有権者が貿易について正しい知識を持っていないからだ」ということになる。反対に、グローバル化を歓迎している新興国の人々は、「立派に教育されている」ということになるはずだが、本当にそうなのだろうか。


低賃金サービス業に追いやられる先進国の中間層

先進国の人々がグローバル化に幻滅しているのは、端的に所得がほとんど増えていないからである。経済学者のB・ミラノヴィッチの推計では、1988年から2008年までの20年間で、実質所得を大幅に増やしたのはグローバルな上位1%と、グローバルな上位40〜50%にあたる中国・インドなどの都市労働者で、先進国の大多数の労働者(グローバルな上位10〜20%層にあたる)はその恩恵にあずかっていない。

先進国の中間層は没落し、グローバルな富裕層とグローバルな中間層が隆盛したのである。


なぜ、そうなったのか。いくつもの説明が考えられるが、大きな要因は国際貿易の質的変化だ。

経済学者のR・ボールドウィンは、20世紀後半から始まった生産システムの世界的な変化を(それ以前との質的違いを強調する意味で)「新グローバル化」と呼んでいる。20世紀中盤までの国際分業は、先進国が工業化し、途上国が脱工業化(農産物や原材料の生産に特化)するというかたちで進んでいた。

ところが1980年代以後は、それまで先進国に集中していた工業の大部分が、賃金の安い新興国へと流れていった。生産拠点の海外移転、いわゆるアウトソーシングである。

その結果、新興国が工業化し、先進国は脱工業化(ハイテクや一部サービスに特化)していくという、全く新しいタイプの国際分業が見られるようになったのである。

工業化の進む新興国では、比較的幅広い層の都市労働者が恩恵を受ける。一方で、先進国では先端的なハイテク産業に関わる知識労働者が恩恵を受けるが、その割合は限られている。大多数は都市部の低賃金サービス労働に従事することになり、当然ながら所得の格差は広がることになる。


オキュパイ・ウォールストリート格差是正を訴える「オキュパイ・ウォールストリート」運動は毎年のように続いている(Photo by Getty Images)

以上は、ごく単純化した説明に過ぎないが、なぜ先進国の平均的な労働者がグローバル化の「負け組」になったのかを分かりやすく示している。

中間層の発言力を奪い、税負担を増やすグローバル化

もう一つ、資本と労働の力関係が変化したという点も無視できない。

投資に関わる国境の壁が大幅に削減されたことで、企業や投資家は資本を自由に動かせるようになった。しかし労働者はそうではない。国境を跨いで活躍の場を求めることのできる層は、全体のごく一握りだ。多くは、自分の住み慣れた国を簡単に離れることはできないし、離れたいとも考えていない。

経済学者のD・ロドリックは、企業や資本の国際移動がもたらす国内政治への負の影響を問題視している。アウトソーシングが進むと、先進国の労働者の立場はどうしても弱くなる。労働者の権利が弱い国に仕事を移す(あるいは「移す」と脅す)ことで、経営者や投資家は譲歩を引き出すことができるからだ。


あるいは法人税引き下げ競争を例に出しても良い。1980年代初頭から、世界中の法人税率は明らかに低下している。企業が税金の安い国に逃げるのを防ぐために、一つの国が税率を下げたら別の国も追従せざるを得ない。

反対に労働者は、税を逃れる方法がない。法人税は下がり、消費税や付加価値税は上がる。国際的に移動出来る資本から、移動出来ない労働者に税の負担が移ってしまう。グローバル化が進むと、資本にアクセス出来る者の発言力が大きくなり、労働者の発言力は小さくなる傾向にあるのだ。


なるほど、自由貿易で消費者は安くて高品質な財やサービスを手にできるようになったかもしれない。しかし、消費者は労働者でもある。「新グローバル化」の下で進む国際分業は、先進国の平均的な労働者を不利な立場に追いやってもいる。単に所得が増えないだけでなく、政治的な発言力も低下する一方だ。

他方で、新興国の労働者は着実に所得を増やし、国内の富裕層は着実に富を増やしていく。自由貿易が利益をもたらすという一般的な見方が正しいのだとしても、利益の分配は、国際的にも国内的にも、先進国の中間層にとって厳しいものになっている。反自由貿易の機運の高まっている背景には、そのような事情がある。

日本もグローバリズムへの幻想を捨てよ

この点、昨年のアメリカ大統領選挙は示唆的だったと言える。旋風を巻き起こしたのはトランプとサンダースだが、トランプは中間層の富が新興国の労働者に横取りされたと力説し、サンダースは中間層の富がトップ1%に吸い取られたと強調していた。二人とも、過去20〜30年のグローバル化の所得分配が不公平だと訴えて、人気を獲得したのだ。


サンダースとプラカード民主党の大統領候補サンダースの背後にも「アメリカの労働者」「職を守ろう」のプラカードが(Photo by Getty Images)

もちろん、私個人は「国境に壁を」といった、彼らの個々の主張に賛同しているわけではない。しかし、確認するべきは、自由貿易が国際社会と国内社会の至る所に歪みと亀裂を作り出してしまった、という歴然たる事実だ。

政治の不安定化は、アメリカだけで終わることはないだろう。先進国は遅かれ早かれ、似たような困難に直面していくことになるはずだ。そして保護貿易の機運は、それが成功するか失敗するかに関わらず、これから高まっていくはずである。

日本では、今のところアメリカや一部の欧州諸国に見られるような、極端な反グローバル化の機運は見られない。だが、この先はどうか。中間層の没落は、先進国全体で起きている現象であり、日本もその例外とはなり得ない。

もちろん、中間層が没落した原因は、グローバル化の他にもある。技術進歩、産業構造や社会規範の変化など、多くの研究者がさまざまな要因を指摘している。しかしグローバル化がもっとも重要な理由の一つであることは、今や否定し得ない事実である。

「あらゆる国と人々がグローバル化の利益を分かち合える」世界経済が理想であるというBRICs首脳会議の宣言は、字面だけを見れば正しいことを言っている。しかし、その実現は決して容易なことではない。

自由貿易やグローバル化がもたらしてきた、負の側面に目を向ける。日本が次の針路を定めるには、まずそこから始めるしかないだろう。


81. 中川隆[-6391] koaQ7Jey 2017年9月16日 20:58:54 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』刊行記念 中野剛志さん×柴山桂太さんトークイベント - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=RqWpokdk_iA
https://www.youtube.com/watch?v=1DErfYEACvY
https://www.youtube.com/watch?v=5TBPefNLsY4

82. 中川隆[-6380] koaQ7Jey 2017年9月18日 10:24:47 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

【三橋貴明】グローバリズムの罠


なぜ日本の実質賃金は上昇しないのか?
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12309380630.html

エレファント・カーブ
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12311207006.html


エレファント・カーブとは、
グローバリゼーションが進んだ結果、
所得の増加が先進国の富裕層と、
新興経済諸国などの労働者層に集中。

先進国の中間層や貧困層は
恩恵を受けなかったことを示す
有名なグラフです。

それはまあ、資本(カネ)の移動が
自由化されてしまい、
かつ技術も国境を越えて動くとなると、
特に大手製造業が、

「人件費の高い国内から、
人件費が安い外国に工場を移し、生産しよう」

となるのは当然です。

特に、グローバル株主資本主義により、
「国家」「国民経済」を意識しない
グローバル株主の意向が経営に
働きやすくなると、必然的にそうなります。

グローバル株主が求めているのは、
あくまで「自分の利益最大化」です。

株主構成に占めるグローバル投資家の
割合が増えると、株主から配当金増額や
自社株買いを求める圧力が強まり、
企業は費用(人件費など)の引き下げに走ります。

正規雇用を非正規雇用やパートタイマー、
アルバイトに切り替えるのはもちろん、
最終的には「安い人件費」を求めて、
資本(工場など)が国境を越えるのです。

結果的に、国内から良質な雇用が失われていき、
エレファントカーブが描かれる。

グローバリズムにより、国内の所得格差は拡大。

社会は不安定化していき、
国民にルサンチマンが蔓延。

となると、ナショナリズムが前提となる
「経世済民」的な政策は打てなくなります。

さらに、企業が「安い人件費」を求め、
外国人労働者の雇用に走る。

すると、ますますナショナリズムが壊れ、
経世済民が遠のく。

これが現在の日本、
さらにはほぼ全ての先進国が陥っている
グローバリズムの罠です。

加えて、グローバリズムは
資本主義を衰退させます。

資本主義とは、産業革命の時代から
「生産性向上のための投資」により、
生産者一人当たりの生産量を拡大することで
発展するものなのです。

「生産者を増やす」のではなく、
「生産者一人当たりの生産量を増やす」
のがポイントです。

GDP三面等価の原則により、
生産量=所得になります。

無論、労働分配率の問題はありますが、
とにもかくにも生産性を向上させなければ、
実質賃金の元になる所得は
「一人当たり」では増えないのです。

生産性向上は、いわゆる国際競争力
(厳密にはグローバル市場における価格競争力)
をも高めます。

例えば、日本の人件費が中国よりも高いならば、
生産性向上により「単位労働コスト」を
引き下げる努力をする必要があります。

まさに、それこそが資本主義の神髄です。

とはいえ、グローバル投資家の影響力が高まると、
企業は生産性向上のための投資に
踏み出しにくくなります。

なぜならば、あらゆる投資には利益を減らす
「リスク」があるためです。

また、実質賃金が伸び悩むのみならず、
グローバリズムは企業を「国家」から
解き放つことで、企業の政府への影響力を高めます。

「日本の法人税は高すぎる。
このままでは、外国に工場を移転しなければならない」

と、大企業がこぞって主張すると、
政府は雇用を守るために法人税を
引き下げざるを得ません。

実際、各国はまるで競争するかのように法人税を減税。

不足する税収を「消費税」もしくは
「社会保障費のカット」で補おうとするため、
ますます中間層や貧困層が打撃を
受けることになってしまうのです。

日本国は、グローバリズムの罠にはまり、
国民が貧困化し、安全保障が揺らぎ、
技術小国化し、資本主義国ですら
なくなっていっているのです。

日本国民を豊かにし、安全保障を強化し、
技術強国を目指し、資本主義を維持したいならば、
「グローバリズム」というアイコンを疑い、
是正するべきは是正しなければなりません。

グローバリズムは歴史の必然でもなければ、
常なる善でもない。

単なる、考え方の一つに過ぎないという
「良識」」を、我々は取り戻す必要があるのです。
https://38news.jp/economy/11088


83. 中川隆[-6325] koaQ7Jey 2017年9月22日 11:22:06 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017年09月22日
アメリカ版、非正規・派遣労働者の実態

机を並べて同じ仕事をしても、正規社員と非正規は天国と地獄ほど違う
引用:https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-PX101_GERECR_J_20160919211751.jpg

アメリカの非正規社員とは

日本では非正規労働者が増え続け4割に達し、すぐに半数に達すると予想されています。

デフレで正社員を減らしてパートや派遣を増やした結果、労働者一人当たりの収入は減少しました。

正社員は給与が多い上に福利厚生にもお金が掛かり、ボーナスも出て、解雇するには何重もの規制があります。

         

非正規はほとんど福利厚生がなく、いつでも解雇でき、最初から基本給が少ないので、企業には良い事づくめでした。

最近は失業率が下がって人手不足になり、労働者を確保するために正社員を増やす企業もありますが、いずれ不況になればまた非正規化するでしょう。

アメリカには正社員という制度がなく、フルタイムとパートタイムに別れ、パートタイムは企業が必要な時だけ雇用するバイトのような感じです。


さらに契約社員と派遣社員も存在し、日本と同じように「不要になったら切るための労働者」という位置づけです。

契約社員は企業に直接雇用されるが、継続雇用される可能性はまず無く、いつかは契約を打ち切られます。

報酬は時給で3割から5割低い上、ボーナスと福利厚生がないので、実質半額以下で同じ労働をさせられます。


派遣社員も同じだが、派遣会社を通すので天引きされていると考えられます。

天引きされても派遣会社と契約したほうが、解雇されても継続して仕事を紹介して貰えるので、意外に人気があります。

アメリカには日本のハローワーク(職安)や就職サイトに当たるものが少ないので、職業を紹介してもらうメリットがある。

非正規の壁

契約社員に関する統計はないが、全米で1000万人以上は居ると推測されています。

日本では「200万円の壁」という言葉があり、派遣にしろバイトにしろ正社員以外で年収200万円を超えるのは、実は大変です。

多くの募集は時給であり、時給は1,000円前後、一日8時間を月25日働いて20万円、1年では240万円になります。


正社員なら当然支給される交通費は自己負担、昼食代、税金、保険年金をちゃんと払っていたら、手取り150万円程度でしょう。

だから非正規では納税せず、無保険で年金を支払っていない人が多く、もし全て払ったら生活ができない。

これは正社員だった人が会社を辞めたら誰でもそうなる事で、たとえ部長や課長だった人でも、時給1,000円を大きく超える仕事は滅多にありません。


アメリカでは今後数年で、やはり労働者の過半数が非正規雇用になると予想されています。

そしてアメリカの契約社員の実態として、一度契約社員に「落ちた」人は、人生で2度と正規社員に戻ることはできない。

正規社員の方が圧倒的に高待遇である以上、生存競争は非常に厳しく、出て行った人間を暖かく迎えたりはしない。


シリコンバレーの有名IT企業でも同じ事で、同じ部屋で隣りの机で、ほとんど同じ仕事をしても給料は半分です。

非正規が失敗の責任を負わされるのも日本と同じで、「声が大きい」「臭い」などの理由で非正規だけが叱責される。

日本の楽天で「正社員にしか食堂を使わせない」のが問題になり、楽天は否定したが、毎日がそうした差別の連続だそうです。

一度落ちたら2度と上がれない

社員の子供を招待するときも非正規の子供は招待されず、食事場所や食費補助、送迎や靴箱、ロッカーまで社員とは差がある。

2008年に日本で秋葉原通り魔事件というのがあり、原因の一つは(他にも色々あったが)仕事場で作業着を隠された事でした。

日本でもアメリカでも非正規にはまともなロッカーがなく、他にも社員とはありとあらゆる格差が設けられています。


社員と非正規では入場ゲートの手続きが違ったり、名札の違いで分かるようになっていて、社員はチラッと非正規を見て通り過ぎます。

社員は社員同士としか口を利かず、非正規は非正規だけで固まって行動し、決して交わる事がありません。

そんな場所で「底辺」扱いされていると腐ってくるのも自然な事であり、もし犯人が「正社員」だったら同じ事をしただろうかと感じます。


アメリカはチャンスの国だが最近はそうでもなく、一度非正規になると他の会社でも、絶対に正規社員に雇ってはくれない。

非正規の履歴はマイナスのキャリアなので、どの企業ももう正規社員としての採用はしないのです。

日本では年齢が35歳になると非正規でも採用されにくくなるが、アメリカでも高齢になると求人が減ります。


IT業界のような流れが速い世界では新卒が最も求人が多く、30代40代と求人が減り、50代では非正規でも就職が難しくなる。

年齢による募集は行われていないが、どの企業も年齢によって採用を決めているのは周知の事実です。

大学を卒業して有名IT企業や銀行に就職しても同じで、非正規である限り「マイナスのキャリア」にしかならない。


そして50代でどの会社でも働けなくなるとホームレスになる人が増え、ホームレスの半数が60代以上です。
http://www.thutmosev.com/archives/72724286.html


84. 中川隆[-6320] koaQ7Jey 2017年9月23日 06:48:12 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

甘い希望など持つな。貧困層の子供はもう抜け出せない現実


政治家の子供たちは大抵が政治家になっている。なぜか。政治家は儲かるからである。

金持ちの子供たちも大抵が金持ちである。遊び狂って財産を散財するだけの息子たちもいるが、こういった息子たちは、金があるから散財できる。

また金持ちの家庭の子供たちは高学歴が普通だ。なぜなら、子供の教育に金を出す余裕もあれば、安心して学業に励める快適な環境もあるからだ。親のコネや人脈で有名大学に入るルートもある。

現に、ハーバード大学やオックスフォード大学は世界各国の権力者の子弟を受け入れている。おまけに大学卒業後も、仕事や役職が約束されている。

端的に言うと、エリートや金持ちや権力者の子供たちというのは、最初から社会的な地位が用意されており、貧困家庭にはない多くのメリットを享受できる。

アメリカでは親の所得が高いほど子供の成績が良いのが確認されているが、その理由は言うまでもなく教育に最適な環境を整備できるからである。

子供が将来、社会的に成功しやすいかどうかというのは、本人の努力が問われる以前に、親の収入も影響する。世の中は公平ではない。それは冷徹な事実である。

極貧の家庭は、常に何らかのトラブルに追われる

これは別に社会学者が統計を出さなくても、普通の人ですら日常を観察してしみじみと思う現象でもある。

収入のある家庭では、子供にいろんな習い事をさせることができる。塾にも行かせることができるし、家庭教師を呼ぶこともできる。

また、親が精神的余裕も経済的余裕もあるので、子供に目をかけやすい。家族の団欒を持てたり、一緒に旅行ができたり、一緒に勉強したり遊んだりすることができる。

もちろん、すべての富裕層がそんな理想的な家庭ばかりではなく、それぞれ複雑な事情を抱えているのも事実だ。何の悩みもない家庭はひとつもない。

しかし一般的な比較で言うと、総じて富裕層は子供に最適な環境を与えることができる。それが、子供の能力を伸ばすので、富裕層の子供に社会的能力の高い子供が多いのは別におかしなことでも何でもない。

では、極貧の家庭で育つ子供たちはどうなのか。彼らは富裕層の子供たちが持つメリットは何もないだけでなく、大きなマイナスをも抱えている。

極貧の家庭は、常に何らかのトラブルに追い込まれている状態であると言ってもいい。親はストレスにまみれ、家庭そのものが破綻していることもある。

経済問題はありとあらゆる問題を先鋭化させるのだ。今を生きていくだけで精一杯であり、子供の教育などはすべて後回しにされる。

習い事をさせる余裕もない。塾や家庭教師など、とんでもない話である。義務教育が終われば、あとは一刻も早く社会に出て金を稼いで欲しいと考える家庭も多い。

そのように口に出して言わなくても、子供たちは親の貧窮ぶりを見て育っているので、悠長に教育を受けるよりも、さっさと社会に出て稼ごうと考える。

環境的に、低学歴で社会に出るしかない。

そうすると結局はそれが仇になって、低収入の仕事に甘んじるしかなくなっていく。もちろん、彼らに人脈やコネがあろうはずがなく、折に触れて助けてくれる人もいない。


貧困家庭に生まれたことから、すべてが始まっている

富裕層の子供たちが多くの良き助言者を持っているのに比して、貧困層の子供たちは多くの悪い友人を持っている。だから、マイナスの方向に引っ張られやすい。

そして、低学歴を余儀なくされた子供たちには、条件の良い仕事はあまりない。

低学歴でもできる収入の良い仕事というのは、極度に体力を使う仕事であったり、極度に危険な仕事であったり、反社会的なものであったりすることが多い。

その仕事に就いていること自体がトラブルの元になり、やがては自分の人生がトラブルによって潰される。しかし、そこから逃れられない。

良い仕事に就きたいと思っても、現実には低収入の仕事しかなく、将来の展望は見えてこない。

貧困家庭に生まれたことから、すべてが始まっている。「経済格差が遺伝する」というのは、こういった現象から言われているものだ。

日本は2000年代に入ってから、極度に格差が広がる社会になった。この「労働者使い捨て時代」に成人して社会に出た人々は今は30代から40代に入ろうとしている。

2017年、厚生労働省は20年間の国民生活基礎調査の家計所得を分析した結果を出した。

これによると「世帯主が40歳代の世帯では、単独世帯やひとり親世帯の増加で総所得が300万円未満の低所得世帯の割合が増加した」と報告している。

今「生活はやや苦しい、大変苦しい」が合わせて62.4%にまで増えた。

将来の展望もなく、低収入を余儀なくされているわけだから、結婚が激減して少子化が加速しても当然だ。しかし、それでも非正規労働のまま結婚し、将来の安定のない中で子供を持つ人たちも、もちろんいる。

重要なのは、こういった貧困を余儀なくされている人たちを社会が救済できなければ、彼らの子供たちもまた貧困層から抜け出せなくなる可能性があるということだ。


貧困層の子供はもう抜け出せない現実を知るべき

「6人に1人の子供が貧困状態にある」とはよく言われるようになっているのだが、この子供たちが助からない。貧困の子供たちを貧困のまま固定化させる現象が日本で生まれている。

2017年9月17日、総務省は65歳以上の高齢者人口が総人口の27.7%になったと報告した。そして90歳以上も初の200万人台に入ったことも合わせて報告している。

少子化も急加速で進んでいるのだが、超高齢化も止まらない。だから人口動態が日本の致命傷になっていくのは、もう結論的に分かっている。

経済大国としての日本は外国に抜かれていき、日本人が豊かになるチャンスも減少していく。内需が消え、社会が萎縮し、イノベーションを生み出す力も衰え、ありつけるパイがどんどん小さくなっていく。

その中で、富の大部分を富裕層がごっそりと持っていき、残りを大勢の貧困層が奪い合うという醜悪な社会になっていく。

いよいよ、そういった社会が見えてきている。

政府も無力になる。財政赤字が膨れ上がり、高齢者を養うために社会保障費の増大に苦しむ政府に余裕などない。余裕がないから、私たちからもっと税金を取り立てて奪ってくる。

隣人が何かしてくれるだろうか。それも期待できない。格差社会は、激烈な競争が生み出したものだからだ。助け合うのではなく、競争し合って他人を蹴落とす。

では、競争に勝つのは誰か。

もちろん最初から恵まれた富裕層の子供たちである。社会はフェアではない。フェアではない競争社会では、最初から何も持たない不利な貧困の子供たちは助からないのだ。

現実を見れば、すでにそんな強烈な社会になっている。そして、この問題は完全に放置されている。

だから、金があるかないかできれいに分離する一種の身分社会になって、ピラミッドの底辺が底辺のまま抜け出せない社会が到来する。

今の社会に甘い希望など持ってはいけない。貧困層の子供はもう抜け出せない現実を見る必要がある。この現実に気付いて危機感を持たないと、すべての日本人が不幸になる。


今の社会に甘い希望など持ってはいけない。貧困層の子供はもう抜け出せない現実を見る必要がある。この現実に気付いて危機感を持たないと、すべての日本人が不幸になる。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/09/20170922T1712200900.html


85. 中川隆[-6292] koaQ7Jey 2017年9月24日 10:30:11 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

日本だけが「AI仕事革命」に乗り遅れる、致命的な欠点が見えた 問題は、雇用制度だった
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52902
2017.09.24 鈴木 貴博  現代ビジネス


AIとロボットの進化で2035年までには仕事の半分が消滅する可能性か高い。そのとき、日本の企業が維持してきた終身雇用という岩盤規制はどう崩壊するのか。また、それに備えて個人はどう生き方を変えるべきなのか。

経営コンサルタントで

『仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』
https://www.amazon.co.jp/%E4%BB%95%E4%BA%8B%E6%B6%88%E6%BB%85-AI%E3%81%AE%E6%99%82%E4%BB%A3%E3%82%92%E7%94%9F%E3%81%8D%E6%8A%9C%E3%81%8F%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB-%E3%81%84%E3%81%BE%E7%A7%81%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%AB%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE-%CE%B1%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E9%88%B4%E6%9C%A8/dp/4062729989/ref=as_li_ss_tl?ie=UTF8&qid=1505376814&sr=8-1&linkCode=sl1&tag=gendai_asyuracom-22&linkId=13d68fd9f2860eb7fbd572dcdda99127


の著者・鈴木貴博氏と人事コンサルタントの城繁之氏が9月1日東京・八重洲ブックセンターでのトークイベントで激論を戦わせた。

■付加価値の高い仕事が危ない

城 『仕事消滅』はすごく衝撃的な本ですね。帯には生存率51%、つまり49%の仕事がなくなるかもしれない、とあります。これ自体ショッキングですが、それ以上に意外だったのは、付加価値の低い仕事から順にAIに取って代わられると想像していたが、実はそうではないらしい。むしろAIやロボットが一番苦手なのが手や指を使う作業だという指摘でした。

たしかにパテシエのような繊細な仕事は今のロボットには難しいと思うし、もっと言えばマックでパテを焼きながら盛り付けも同時並行的に行うのはロボットやAIにとって簡単ではないだろうな、と。

鈴木 そうなんです、AIは過去の膨大な情報の中から必要なものを取り出して正解を導き出す作業ならなんなくこなせますからね。

城 そこで直感的に思ったのは、今企業の中で既得権益を握っている正社員が抵抗するだろう、ということ。例えば2000年前後、大手製造業では海外移転や自動化で余った製造ラインの職員をシステムエンジニアとして教育しようとした。しかしまったくの畑違いですから、成果が出ませんでした。

なぜそんなことをするのかというと、日本企業はまず人を採用し、それを前提に仕事を作ろうとするんです。企業の体質改善や組織の見直しがうまくいかないのもそのため。アメリカは仕事があって、そのために人を雇うのとでは対極です。

だとすれば、AIで作業が置き換えられたとしても、正社員という既得権益を持つ人たちは死に物狂いの抵抗する可能性が高いのではないでしょうか。

鈴木 経営のコンサルの立場で言えば、既得権を持っている人の立場を守ることはとても重要なんです。私に依頼してくるのは既得権を持っている人たちだから(笑)。その観点で言えば、城さんの指摘に異議はありません。

ただし、その状態は長くないと思っています。例えば、自動運転技術が確立しました→長距離ドライバーとタクシー運転手の仕事を守ろうとする→運転席には必ず人間が座る必要があるという法律ができる、ということですね。ただ、こんなことをしても、世界の他の国はそこをスルーして無人のクルマを走らせた場合、運輸にかかるコストで日本とそれらの国で大きな差が生じる。

こうした事態がさまざまな業界で起きれば、国と国との経済格差が劇的に広がってしまうでしょう。要するに日本の競争力は低下するわけです。

城 それを日本人がどう考えるのか、ということですね。

鈴木 ウーバーという便利なものがあってアメリカはもちろん中国でも急速に普及しています。一度使うとわかるのですが、きわめて便利ですが、日本ではウーバーがちゃんと仕事ができないような法律ができてしまった。

世界の人はAIの恩恵を受けて低コストで快適な暮らしをしているのに、日本だけはタクシー運転手を守るために多くの人はそれを享受できない。それってとても恐ろしい未来ではないでしょうか。

城 雇用を守る代わりに国民全体が不幸になる。ほとんどブラックジョークですね。

■終身雇用のしがらみ

城 AIと終身雇用の関係は大きな課題ですが、いまのお話を聞いてますます疑問が大きくなりました。日本企業の頑固さ、打たれ強さにはほんとうに頭が下がります。ただ、本書に書かれたAIの未来はまさに革命で、それが現実になれば、さすがに変わらざるをえないでしょうね。

日本企業が「いや、担当部長は必要だ」と抵抗し、名前だけは部長を遺すことに成功したとしても、そうしたしがらみや組織文化を持たない外資系企業がこれからはどんどん攻めてくるからです。

彼らとの戦いは日本企業の論理など通用しない無階級サバイバル。いずれどこかで終身雇用のシンギュラリティが起きることになるのでしょう。

鈴木 そうした中で個人がどう生きるかは大変難しい課題ですね。


鈴木氏(左)と城氏

城 そこで私が言いたいのは、一つの企業に長く勤めることによるしがらみやデメリットがあるということ。例えば、雇用を守ってもらうためにはなんでも企業のいうことを聞かなければいけない。転勤、残業。時には違法行為まで。会社の都合を優先することで個人のキャリア形成のチャンスを奪われるとも言えます。

60才定年で平均寿命が80才の時代はよかったかもしれませんが、平均寿命が100才になれば、65才で定年してもその後20年は働かなければいけない。なんのスキルもなければ、第二の人生が非常に暗い物になってしまう。

そうならないためには、東大の柳川先生も提唱していますが、40才時点で自分のキャリアの棚卸しをしてはどうでしょう。本当にやりたいことは何か、できることは何か、足りないものは何かを考え、就職活動をしてみる。

そういう風に人生を考えた方が幸せになれるし、多くの人がそうなれば、終身雇用のシンギュラリティも意外にスムーズに乗り越えられるかもしれない。

鈴木 それが理想ですが、残念ながら私はやや懐疑的なんです。日本社会は古い規制やしがらみを断ち切る必要があることは経営者や政治家もそれはわかっているのですが、できていない。要するに日本は既得権の守り方がいびつで、とてつもなく下手なんです。もっとも顕著な例が年金でしょう。

20代の若者に今真面目に保険料を払えば将来、返ってきますよ、というのはどう考えても嘘なのに、それを言い続けるから何も解決しない。このままいけば今の20代が高齢者になる頃は、年金は90才支給になっている。元本割れどころではありません。だとすれば、年金はネズミ講で、新たな加入者が減れば成り立たない。申し訳ないが嘘をついていました、と謝るべきです(笑)。しかし、それは政治的にできない。

城 たしかにいずれ起こるとわかっていたはずなのに、気づかないふりをして、実際に起きると「想定外でした」で終わり、だれも責任を取らないという話ばかりですね。

終身雇用で言えば、入社した時「65才まで雇うし、給料も上がる」と言った上司はすでに定年していなくなっている。話が違う、と怒っても「そう言われても、当事者がいないので」で終わりで、裁判をしても勝てないでしょう。どこにも「終身雇用します、年功で給料も上げます」と書いた契約書がないから。だとすれば、個人で防衛するしかない、とう結論になるしかないんですかね。

鈴木 老後の生活も年金に頼らず個人で防衛しましょうという意見が最近は多くなっていますが、既得権と思われていたものは「そんなものは知らない」で逃げるのはよくない。やはり守るべきです。

そうしないと日本のために頑張ろうという人がいなくなります。ただし、30年50年という時間軸で守るなど、できもしない嘘はやめるべき。

城 だとすれば、賃金制度を根本から変えて、完全な成果報酬にするしかない。

鈴木 そうなのだけれど、終身雇用の幻想を抱いている人を大量に抱えた会社ではそう簡単ではないでしょう。ではどうなるか。

前にも触れましたが、しがらみを維持して高い人件費を払い続ければ、当然利益が減り、新たな投資もできなくなるから、新興企業に徐々に駆逐される。最終的にはシャープが鴻海に買われたような形で、雇用は守られるけど雇用契約はすべて新たにやり直すというやり方しかない。

そういうと暗い話のようですが、これでしがらみがなくなったことで、シャープの業績が回復しているように、日本経済の活性化する。それは決して悪い話ではないのではないでしょうか。

城 既に目鼻の利く学生はそれに気づいている。東大でも優秀な学生は、いわゆる重厚長大型企業は就職先の候補にも入れていない人は多い。若い連中は、理屈はともかく、感覚としてわかっているし、変わりつつある。

我々大人が心配するよりも、若者はうまくシンギュラリティに対応できるのかも知れませんね。

■創造的な仕事はむしろAIと相性がいい

城 この本で目からうろこだったことのひとつが、クリエーターがAIで仕事を失う可能性がとても高いという主張でした。

しかし、言われてみれば、アーチストやクリエーターと言っても、作品の多くは過去の作品からインスパイアされて生まれている。悪く言えば焼き直しです。だとすれば、そうした作業はAIの一番得意な仕事なんですよね。

鈴木 創造的な仕事ってAIととても相性がいいんです。私が所属しているオスカープロモーションにも人工知能を研究している美人の先生がいて、電気通信大学の坂本真樹教授ですが、彼女が中心になって「仮面女子」の歌詞を人工知能で作る実験を進めています。実際にそうしたやり方で作られた歌詞があるが、けっこういい歌詞なんです。

曲に関しても過去のヒット曲を分析することでどんな曲が支持されるかがわかり、それを元に売れる曲が作れるらしい。人間が作った曲に対しても、これは売れるかどうかが、かなりの確率で判断できるらしく、海外の大手音楽会社ではその判断を参考にプロモーションにどれだけお金をかけるか決めるようになるそうです。

城 AIで作曲される時代も間近ということですね。

鈴木 清水ミチコさんが「だれだれ風の作曲法」というネタをやっているのをご存じですか。いきものがかり風ならいきなり最初にサビから入り、いったんだらだらしたフレーズが来て、再びサビで盛り上げる、みたいなやつ。その手法をAIがマスターすれば桑田佳祐風の曲も作れるらしい。

かりにそれが実現したとして、私が音楽会社の経営者で人間が作曲した曲とAIが作った曲のどちらを採用するかと言えば、AIです。だって売れる確率が高いから。

城 経営的にはそうかもしれませんね。ただ、そうなった時、人間はどんな存在として生きればいいのでしょうか。かなり気持ちが暗くなりますね(笑)

鈴木 数日前の話だけれど、ゴールデンボンバーの歌広場淳さんと会う機会があり、本書でも彼のことを書いているから渡しました。「なにが書いてあるの?」と聞くから「2030年頃に音楽アーチストが絶滅する」と書きましたが同時に「ゴールデンボンバーは生き残る」と本書の中で書いています。

ご存じない方のために説明すると彼らはエアバンド。つまり、演奏をしないんです。歌広場さんはベースで弾くことはできるのだが、ステージでは演奏をしているふりだけをしている。他のメンバーも同じ、楽器演奏のための練習をする時間を使って、どうすれば観客を喜ばせることができるか、それを考えることに100%エネルギーを集中している。結果として彼らのステージはとても楽しく、多くの観客を集めている。

城 パフォーマーとして生き残るのは彼らのようなタイプだとすると、一般のビジネスマンで言えば、頭を使う分野ではなく、器用というか世渡りがうまい人が生き残ると言うことか。

鈴木 それは多分にありますね。その一つの方向として私が注目しているのが、メカトロという考え方。要するにAIと機械が合体した分野です。IT分野で日本がアメリカ企業に牛耳られそうになった時、日本の防波堤になれるのがメカトロ産業だと言われました。プログラムや半導体などはアメリカが強いけど、彼らはメカが苦手なのです。例えばATMの機械はアメリカでは作れない。

それと同じでメカトロ人間がこれからは有望かもしれません。頭を使う部分はAIに頼りその恩恵を受けつつ、そこにプラスして行動力で稼ぐとか、手先を動かして稼ぐ。それができれば、AIでパワーアップされた人間になれるし、それを目指せというのがありなのではないか、と。

城 メカ的な能力とはどんなのものなのですか?

鈴木 医者で言えば内科医ではなく外科医や歯科医。外科医も過去の蓄積から患者の症状を把握して原因がどこにあるかを突き止める必要があり、そこはAIを活用することで精度を高めることができる。誤診も減らせます。

また、誰かが開発した術式の習得もAIを使うことで短期間にマスターできるようになる。そうすることでメカトロ医者としてパワーアップした外科医になれる可能性があるわけです。

城 一般企業の中間管理職で言えば、なんだろう。

鈴木 それが実はなかなか難しい。だから早い段階でAIに取って代わられると考えているのですが(笑)、少なくとも考える部分が自分の強みだ、といった一点張りのやり方には限界が見えています。専門的知識、過去の経験はかなり早い段階でAIに取って代わられるのは間違いありません。

じゃあクリエイティブな発想ができるから大丈夫だという自信を持っている人も2030年から35年には怪しくなる。では、そこで残るのはなにかと言うと、妙に人を動かす魅力があるとか、彼にはついていこうと思わせるカリスマ性があるなど、定量化されていない能力が最後の最後まで価値を維持するのではないでしょうか。

城 最後は信頼感や包容力という人間性が問われるということなのかもしれませんね。


86. 中川隆[-6410] koaQ7Jey 2017年9月28日 14:00:17 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

【小浜逸郎】いずこも同じ「絶望の党」


衆議院が解散されます。
10月22日が投票日と決まりました。

安倍首相は、2019年10月の消費増税を実行することを約束し、
増税による増収分をすべて「国の借金返済」に充てるのではなく、
「より多くを」教育無償化などに充てるそうです。
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20170919/k00/00m/010/085000c

あ〜あ、というしかありません。
いまさら言うまでもなく、PBの黒字化のために増税するというロジックには、何の根拠もありません。

そもそも日本には、財政問題など存在しないのですから。

増税によって税収が増すというロジックにも、何の根拠もありません。

増税によって消費が落ち込みデフレがいっそう進行すれば、GDPは下がり、税収はかえって減ります。

その可能性のほうがよほど高いでしょう。

このチンケな公約(?)に人気が得られないことを素早く見て取ったのか、
小池東京都知事は、「絶望の党」もとい「希望の党」代表に就任するや、
さっそく「消費増税凍結」を打ち出しました。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFB25HKJ_V20C17A9L83000/?n_cid=NMAIL005

さすがは人気取りの得意な小池さん、あっぱれと言いたいところですが、
実現させる気のないインチキ公約であることは見え見えです。

というのは、「希望の党」の政策には、

一院制、ワイズスペンディング(賢い支出)、議員定数・議員報酬の削減、行政改革

などが掲げられていて、緊縮財政路線とぴったり一致するからです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%8C%E6%9C%9B%E3%81%AE%E5%85%9A

つまり両者は、あちら立てればこちら立たずの関係にあるわけです。
それにこれらは、すでに誰かが提唱してきたことで、何の新味もありません。

でもそんな理屈はどうでもいい。
「とにかく選挙、選挙、目玉がなきゃダメなのよ!」と、
小池サン、若狭クンを叱咤したかどうか知りませんが、
もし本当に増税凍結を考えているなら、財務官僚の鉄壁の緊縮路線や、バカなマスコミの国民洗脳にどうやって打ち勝つのか、その処方箋くらいは示してほしいものです。

「徹底した情報公開」を政策に掲げている限りは。

期待しても無駄でしょうが。

ついでに言わせてもらいますと、失言居士・麻生副総理は、最近ご高齢で耄碌されているのか(失礼)、
今回の小池氏の「消費増税凍結」打ち出しに対して、

「東京で景気回復を実感できないというのは、感性がおかしい。地方で実感できないというならまだわかるが」

などと、とんでもないオトボケを言っています。
http://www.sankei.com/politics/news/170926/plt1709260048-n1.html?utm_source=browser&utm_medium=push_notification&utm_campaign=PushCrew_notification_1506368619&pushcrew_powered=1

問題は「実感できるかできないか」ではなく、景気が客観的に回復しているかどうかでしょう。

財務大臣を勤めながら、地方の疲弊、東京一極集中という格差が財務省の緊縮路線に起因していることも見えないらしい。
すっかり財務官僚の罠にはまってしまって、もはや官僚をコントロールする気概もないようです。

というわけで、いまの政局見渡せば、
花も紅葉もなかりけり。
いずこも同じ絶望の党。

でも総選挙となると、国民はけっこう興奮するんですよね。
「今度こそ何かが変わるかもしれない」なあんてね。
しかし、それこそが盲点なのです。

選挙に関心が集まるということ、
結果に何かを期待するということ、
これは、みんなが、「国権の最高機関」たる国会が国政の大筋を左右すると信じていることを意味します。

ところが、いま実際に国政を左右しているのは、
財務省、経産省、国交省、外務省、厚労省などの有力官庁であり、
パソナ会長・竹中平蔵氏のようなグローバリズム「民間議員」です。
実際、彼らの意向によって、この間、多くの悪法が通ってきました。
安倍総理、麻生副総理などは、ほとんどこの勢力の傀儡にすぎません。

ちょっと、そこのオバサン、
仮に万が一、小池新総理が誕生したとしても、この実態は変わりませんよ。

すると、総選挙というのは、大騒ぎをして、そういう実態を国民に見えなくさせる
「お祭り」にすぎないことになります。

そう、民主主義など、もはやこの国では機能していないのです。

では、選挙、つまり代議政治にはまったく意味がないのか。
いまのままではそう言えるでしょうね。
https://38news.jp/politics/11121


87. 中川隆[-6404] koaQ7Jey 2017年10月01日 07:08:34 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

もはや個人での起業は不可能になっている

775 :山師さん:2014/10/18(土) 16:28:35.10 ID:h2lXnQGn

年収300万だったら、仕事やめて専業投資家になったほうが儲かるだろ?
月に25万、平日に1万ちょっとでしょ。
安全確実に稼げるじゃんそのくらい。

もはや個人での起業って成立しなくなっている。

なんか逆転現象が起きていて、本来カタギの係わるべきものではない株式等の金融投機のほうが比較的リスクが少なく、 起業は大手も含めて、よほど山師的な才能とコネクションがある人、しかもそういう破滅的な博打と横暴、暴力、不正等々の世界がよほどど好きな人しか参入できなくなっている。

ここで株に行くのは誰もが安易だとは思いつつ、他に手段がない。 今、自分の金で起業するのは無謀です。

企業の資産があるなら、それを株に投資して派遣で働きながら、長期的な視点で投資するなら、そっちの方が成功する可能性あるんじゃない?

(自主的、強制的wな)脱サラの行く方向が株しかないので。

_____

起業は株トレードより博打性が高い


起業・副業はキャッシュを得ることが重要
現金が増えないことには事業継続できなくなる


架空の利益に意味はない

マフィア映画とか小説に「キャッシュを見せろ」という場面があり、彼らの世界では現金がすべてに勝るようです。

一般社会で「誠意を見せろ」となるところが、マフィアはキャッシュが誠意を示した事になる。

政治家で「最後は金目でしょ」と言って大臣を辞任した人が居たが、マフィア相手なら通用したのかも知れない。

          

個人で独立したフリーランスや会社を起業した人にもこれは当てはまり、現金が何よりも勝る。

独立したばかりの弱い立場だと、請け負った仕事の対価はたいてい後払いで、値引き要求や踏み倒しが多い。

「そのくらい当然でしょう」と当たり前のように何割か値引き要求し、何度も支払いを遅らせ、挙句は完全に踏み倒される。


多くの会社は大きい会社や役所への支払いを先に済ませ、個人への支払いは一番後、イザとなったら強引に踏み倒そうと考えている。

起業するとこうした事が次々に起こり、仕事をしたのに予定した売上げが入ってこない事が多い。

売上げが入ってこないと事業費や生活費のために借金をし、それがどんどん増えていきます。


ネットでブログを書くみたいな事ならネットさえ繋がれば可能ですが、仕入れとか設備や人件費が掛かる職業だと、運営できなくなって破綻します。

計算上儲かっているのに資金ショートするのは、儲けが含み益や期待利益にすぎず「現在は儲かっていない」からです。

例えば3ヶ月かけて仕上げた仕事の対価が後払いなら、「3ヶ月ただ働き」と同じで、しかも値切りや先送りが容易に予想されます。


計算上儲かっていても、こんなのは「今は儲かっていない」し大赤字だが、それを認めたくないのです。


お金を早く受け取る重要性

1ヶ月から数ヶ月もかけた仕事の支払いが後払いだと、相手は支払ってくれないかもしれず、生きた心地がしないと思います。

食事も喉を通らず頭の中は支払いの事ばかり、破産や夜逃げが脳裏に過ぎり、早く支払って欲しいと待つばかり。

こういう商売をしていたら、遅かれ早かれこの事業は資金繰りがつかなくなり、首が回らなくなるでしょう。


個人で小規模の起業をしたら、何はともあれ「先に先に」現金を得る事が重要で、事業を回転させなくてはなりません。

良くあるのが遠大な目標を立てて、完成まで何年も売上げゼロというパターンで、そもそも事業にすらなっていません。

現金を手に出来るまで何ヶ月や何年も掛かるようなのは、起業には向いていない。


多額の開業資金が必要だったり、多額の運営資金が必要なものも、入ってくる筈の現金が入らなかったら、行き詰ってしまいます。

入ってくる金はなるべく早く現金で受け取り、支払う金はなるべく遅らせる(事が可能)にすると、事業継続が楽になります。

個人事業や会社起業した5割は最初の1年以内に廃業していますが、2年目以降も続くのはたいてい「1人社長」でこつこつやっている人です。


自分ひとりだと自宅=事務所で場所代が不要だし、人件費も不要、営業車両とか固定電話などもろもろが不要になります。

自宅の部屋と携帯電話、在庫などを置く場所があれば言い訳で、自分ひとりの売上げがあれば事業を継続できます。

事業が小さいので多額の借金をする必要も無く、もし失敗しても小さな失敗で済むでしょう。
http://www.thutmosev.com/archives/72453123.html


まあ、起業と言っても小売り業では Amazon に対抗できないので素人でもできる分野が殆ど無くなっているのですね。

下手に起業をやるより株で儲ける方が遥かに楽で安全なのですね。
(FXや商品先物は完全なギャンブルなのでNG) :

トイザラス破綻は、セブン&アイやイオンさえ危機に陥る可能性を示している
http://biz-journal.jp/2017/10/post_20773.html
2017.10.01 文=真壁昭夫/法政大学大学院教授 Business Journal


 18日、米国の玩具小売り大手トイザラスが、連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。

 米国の小売り企業全体が、アマゾンをはじめとするネット企業の脅威にさらされている。その脅威は、従来のビジネスモデルを基礎とした経営の強化だけでは、成長が実現できないほどに厳しい。今後もこのトレンドは続くだろう。アマゾンを筆頭とするネット関連企業の急成長を受け、消費者の行動が大きく変化している。世界中でネット関連企業のビジネスによって、競争が激化している。トイザラスの苦境はわが国の企業にとって、対岸の火事ではない。

■激動の時代を迎える小売り業界
 
 世界中で小売り業界が激動の時代に突入している。背景には、オンラインショッピングサービスを展開するアマゾンなどの存在感が大きくなり、店頭でモノを買うことが少なくなってきたことがある。中国のアリババドットコムは、自ら店舗を運営してきた。そこには、スーパーマーケットだけでなく、オンラインショッピング、購入した食材を調理してもらうサービスなども含まれる。アリババは従来のビジネスモデルと大きく異なるコンセプトを実現したのである。

 言い換えれば、オンライン(インターネット上での消費行動)と、オフライン(実店舗)の融合が急速に進んでいる。小売り革命というよりも、物流革命と呼ぶにふさわしい動きだ。アマゾン、アリババだけでなく、オンライン上でのフリーマーケット出店サービスを提供するわが国のメルカリなど、スタートアップ企業の存在感も日増しに大きくなっている。

 トイザラスはこうした動きに対応することができなかった。そのため、顧客をつなぎとめることができず収益性が悪化した。アマゾンに対抗するためオンラインショッピングにも進出したが、投資負担が業績を圧迫し、同社は4期連続の最終赤字に陥っている。

 トイザラスの経営悪化には、スマートフォン(スマホ)などの普及によって子供の遊び方が変化してきたことも影響している。たとえば、児童がスマホでゲームアプリをダウンロードし、友人同士で遊ぶケースは日常化している。ハード(玩具などのモノ)ではなく、ソフト(ゲームや動画などのコンテンツ)が重視されるようになってきたのである。

 このように考えると、消費を行い一定の効用(満足感)を得るという心理は、技術の革新とともに大きく変化してきたことがわかる。モノをつくっている、あるいはモノを販売してきた企業が、これまでと同じことをやり続けることによって成長を達成することは、一段と難しくなっていくのではないか。

■苦戦する国内小売り企業
 
 わが国でも、今のところ米国ほどではないが、小売り企業の苦戦が鮮明となっている。特に、総合スーパー業界の事業環境は深刻だ。それを印象付けたのが、激安ディスカウントチェーンを運営するドン・キホーテが、東海地方を地盤としてきた総合スーパーのユニーに出資したことだ。

 業界のなかでは、“ドン・キホーテは異端児”との見方が強かった。激安を謳い、圧迫陳列といわれる独自のマーケティング手法によって同社は成長を遂げ、老舗スーパーの長崎屋を再生した。それでも、近隣住民などとのトラブルなどもあり、ドン・キホーテのやり方はなじまないと考える小売り業界の関係者もいるようだ。そのドン・キホーテに救いの手を求めなければならないほど、ユニーは窮地に追い込まれたといえる。

 小売り業界の苦戦は今後も続くだろう。すでに、イオン、セブン&アイ・ホールディングス、西友、良品計画(無印良品)、イケアなどが値下げを進めている。消費者の節約志向が強いというのがその理由だ。プライベートブランドを豊富にそろえている大手企業であれば、値下げ競争が進むなかでも、一時的に売上高をつなぎとめることはできるかもしれない。しかし、メルカリの急成長を見ていると、小売り業界が本当に顧客が欲するモノとサービスを提供できているかは疑問だ。

 わが国の小売り業界は薄利多売のトレンドに陥っている。これを短期間で修正するのは難しいだろう。この動きが続くと、国内の小売り業界はかなりの規模での業界再編に直面する可能性がある。

 その際、国内企業同士の経営統合だけでなく、国内の小売り大手や百貨店などが中国などの新興国企業の傘下に入る展開も排除できない。企業が拠点を置く国、歴史の長さが企業の競争を左右する要素ではなくなっている。新興国の企業が先進国の大企業を吸収し、さらなる発展を目指す時代に入っていることは、確実に理解すべきポイントだ。

■通用しないこれまでの常識

 4〜6月期の米国の企業決算を見ていると、多くの小売り企業の経営者の弱気な発言が目立った。いわば、“アマゾン恐怖症”だ。アマゾンに顧客が流れ店舗への客足が遠のいている状況のなかで、どのようにすれば業績を改善できるか妙案が見当たらないと苦悩を吐露する経営者もいた。

 打開策が見当たらないということは、事実上、今後の戦略展開を描けないことに等しい。その背景には、これまでのビジネスモデルありきの発想が影響しているのだろう。慣れ親しんだ発想=“常識”がこれまでにはない新しい動きを生み出すことを阻害しているように見える。

 アマゾンやアリババ、メルカリなどのベンチャー企業はこうした常識とは関係がない。こうした企業の発想は、人々が必要とするものを発掘し、需要を喚起することを重視している。モノを売るのはその一つの手段だ。アマゾンのように、必要とあらば自社製品を開発し、販売していくことも増えるだろう。オンラインとオフラインの融合が進む以上、従来の「製造業」「非製造業」という区分けは難しくなる。

 そのなかで、「小売り」「物流」など個々の事業に特化し、シェアを維持し伸ばすことはさらに難しいだろう。生き残るためには、アマゾンなどのネット企業との協働を模索する、あるいは異業種を買収してビジネスモデルを刷新するなど、大胆な取り組みが必要だろう。

 今後、連邦破産法11条の申請を検討し、より抜本的な経営立て直しを検討し始める米国企業が増えたとしてもおかしくはない。それは、わが国の小売り業界にも当てはまる。それほど、オンラインビジネスは急速な勢いで拡大している。

 オンラインビジネスの成長は続き、さらに競争は熾烈化するはずだ。そのなかで、これまでの発想=常識に基づいて現状維持を選択することがベストとはいいづらい。それは、さらなる低迷への第一歩と考えるべきかもしれない。

______


自分に投資する(起業する)より多国籍企業に投資した方がギャンブル度は遥かに低い


内藤忍 2017年09月22日 シニア起業で「蕎麦打ち職人になる」のはやめなさい


定年後に起業するというのがブームになりつつあるようです。若いうちにできなかった夢に、引退してからチャレンジしてみる。ワクワクする気持ちはよくわかりますが、そこには大きな罠があることを忘れてはいけません。

銀座でワインバーの経営を始めてからもうすぐ3年になります(写真は最近注文の多いフレンチハイボール)。同じように店舗経営をしたいと思っている同世代の人から、やってみたいと相談を受けることがあります。私のアドバイスは「飲食はやめておいた方が良い」です。

飲食ビジネスとは資金さえあれば参入は簡単ですが、収益を上げるのは極めて難しい。しかも、初期投資額が大きいので、リスクが高いのです。

誰でも好きな食べ物やお気に入りのお店があるものです。そんな自分の好みを素人が商品化しようとしても、プロの世界は甘くありません。プロ野球に草野球のメンバーが参戦するようなもの。結果は明らかです。

それでも、どうしてもやってみたい人はどうしたら良いのでしょうか?

まず、店舗を開店する前に、どこかのお店で修行することです。飲食店の裏側を見ることで、お金を稼ぐことの難しさやコツがどこにあるかを学ぶことができます。仕入れ、仕込み、調理、盛り付け、接客、会計、清掃、人材管理。すべての業務を一通りやってみて、それでも自分のやりたいことがブレなければ、何をやるかを考える次のステージに入っても良いでしょう。

次に、お店のコンセプトです。広さや家賃から必要な売り上げを考え、それに沿って来店数や客単価を想定して、どのような付加価値が提供できるかを決めていく。ここで重要なのは「できるだけ競合しないための差別化」です。

例えば、SHINOBY`S BAR銀座の向かいには300円で飲めるワインバーがありますが、同じワインバーでも客層はまったく競合しません。向かいのお店は通りがかりの人が対象。こちらは、メールマガジンやFacebookを見て来てくれる方がほとんどです。

同じ業態であっても周辺のお店と競合すると、最終的には価格競争になって、個人経営のお店はチェーン店には勝てません。他のお店には無い価値をどうやって作り、それを維持していくのか。どこにでもあるお店では、サステイナビリティのある経営はできません。

そして最後に資金調達です。飲食店の多くは先行投資の資金を回収する前に手持ち資金が底を突いて撤退になってしまいます。自己資金を使ったり金融機関の借入を使うだけでは、リスクが高く負担が重すぎます。

そこで、考えたいのがクラウドファンディングのような新しい資金調達の仕組みです。この手のスキームでは「投資家=お客様」になってくれますから、資金調達のメリットだけではなく集客にもプラスの影響があります。多くの人から広く資金を集めることができれば、それはファンがたくさんいることの裏返しですから、成功の可能性も高くなります。

ここまで考えて、それでもやってみたいという人は私のような経験者にプランを見せてアドバイスを求めるのも良いでしょう。少なくとも、退職金をつぎ込んでいきなり「蕎麦打ち職人になる」のはやめるべきです。
http://blogos.com/article/247678/


飲食店経営に手を出したら、その先には「地獄」が待っている
町中華は残り、あなたの店が潰れる理由 三戸政和
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52348

筆者は前回掲載記事で、退職後の選択肢として、退職金で会社を買うことを薦め、逆に多くの人がやりがちな「退職後の飲食店経営」については否定的に書いた。これには、大きな反響が寄せられた。

(『60過ぎたら、退職金で会社を買いなさい〜500万円で優良企業の社長になる方法』→http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51636

(『世の中には500万円で買える会社がこんなにあった!〜500万円で優良企業の社長になる方法』→http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51638

特に、規模を問わず飲食店を経営したことがある人たちからは、本記事を読んでこぞって「その通りだ!」という反応を示してくれた。


それでも、脱サラや退職を機に飲食店をはじめたいと思っている人は、後を絶たない。自分好みに味付けした食事を出す店や居心地の良い空間を作りたいと思い、飲食店経営を安易にはじめてしまう人も減らない。なぜか。飲食店経営の厳しさを語る人がほとんどいないからだ。

飲食業は「勝てないビジネスモデル」

筆者は、ベンチャーキャピタリストとして1000以上のビジネスモデルを見てきたと同時に、自身でも事業のゼロからの立ち上げ、飲食業も含めさまざまな投資案件を見極めている。現在、投資実行している会社の売上合計は60億円で、4億円の営業利益を出している。

この経験から感じたのは、飲食業は「基本的には勝てないビジネスモデル」だということである。これはもう、断言してもいい。


もちろん、飲食店経営に夢を持つのは自由だし、成功しているところだってあるのは事実だ。しかし、ここで述べる事だけは、少なくとも頭に入れておいてほしい。

実際に、日本政策金融公庫が行なっている「新規開業パネル調査」における業種別廃業状況において、調査期間の5年間(2011年から2015年)における全業種の廃業率平均が10.2%であるのに対し、飲食店・宿泊業の廃業率は18.9%となっている。

これは、全業種を通して1番の廃業率だ(ちなみに、2番が情報通信業で15.8%、3番目が小売業の14.5%)。まず、データが飲食店経営の難しさを物語っているのである。

事前の情報・リスク把握をせずに、安易に事業をはじめて過酷な競争環境で負け続け、初期の設備投資で資金が枯渇してしまう…というのが「飲食業の負けパターン」なのだが、今回は具体的に、どのような理由で飲食業が「勝てないビジネスモデル」なのかをお伝えしたいと思う。


なぜ、郊外のさびれた中華店が存続するのか

まず、「上」をみてみよう。外食産業の売上高トップは、すき家やなか卯を運営するゼンショーで、売上高は5400億円。一見大きな数字に見えるが、外食産業の市場規模が25兆円であることを考えると、たったの2.4%のシェアしか有していない。

さらに外食産業のトップ10企業の売上を合計しても2.2兆円、全体の8.7%のシェアにしかならない。独占的な企業がないということは、外食という産業が、毎年毎年、数多くのプレイヤーが新規参入し、競争に敗れながら退出している「レッドオーシャン」であることを示している。

25兆円市場は、参入の余地も多いが、それだけ激しい入れ替わりが起こっているということだ。

さて、ここでひとつクイズを出したい。大手外食チェーンが倒産することもある一方で、あまり美味しいとも思わない中華料理店が、数十年も続いていることもある。みなさんの家の近くにも、いわゆる「町中華」が何店舗か存在するだろう。なぜ、そんな中華料理店が存続するのか?


これには、いくつか理由がある。一番大きいのは、人件費がほとんど掛からないことだ。町中華には、夫婦で切り盛りし、忙しい時間帯には子供も手伝うようなお店が多い。また、自分の店で食事をとれば食費も浮くので、生活にかかる経費を大きく落とすことができる。さらには、店と自宅が共用であれば、家賃負担も大きくならない。

飲食ビジネスの言葉で、FL比率というものがあるのをご存じだろうか。Fはフード(食材原価)、Lはレイバー(人件費)である。これを売上の55%以下に落とさないと、採算が合わなくなり、経営が傾くと言われている。

食材原価を抑えるために、一皿ごとの食材量を細かく計算したり、同じ食材を他に転用できるようにメニューを工夫したり…と涙ぐましい努力を日々行わなければならないのだ。だいたいのお店の日替わりランチメニューが、前日の夜の食材転用であるのは、みなさんご承知の通りである。


また後述するが、人件費の調整は、アルバイトのシフト編成なども絡まって、さらに難しい問題となる。

ここで何が言いたいかといえば、あなたが飲食店を開くことに対して家族の理解があり、家族が手伝うことで人件費・運営費が下げられるなら、まだ可能性がある。逆に、いちから食材コストを管理し、人を雇うということになれば、まずはこの「町中華」に勝たなければならないのだ。

これがいかに難しいかは、あなたの家の周りの飲食店を思い浮かべていただければ分かるだろう。チェーン店は残るが、突然オープンした謎の居酒屋はすぐに姿を消す。一方で、町中華や、中国人が家族で経営する中華料理店は、なぜだか残っていたりする…。ピンとくる方も多いだろう。


「やってみようかな」が誤り

さらに、外食は箱ビジネスであり、立地に左右され、簡単に動くことができないのも、戦いを厳しくする大きな理由の1つである。隣に新しい競合店ができても、その場で戦い続けなければならない。また、その界隈に同様の店が乱立してしまえば、新しいもの好きの人々はそちらに行ってしまうだろう。

一度流行りのイタリアンが出来れば、「この地域はイタリアンが流行る」と評判がたち、似たような店が乱立する…これも思い当たるところがあるだろう。飲食店を作ってしまえば消耗戦が余儀なくされる。

実は、欧州などはこうした過当競争を避けるため、厳格にライセンスビジネス制を敷くなど、行政が参入障壁を作っている。たとえば、ストリートごとにアルコールを提供できる店舗数を決めており、その提供時間なども22時までとか、0時までとか取り決めがある。また、火を使っていい店舗やダメな店舗というライセンスも店舗ごとに付与されている。

飲食店としては、アルコールの提供ができなければ利幅が小さくなるし、火を使えないとメニューの幅が狭くなるので、これらのライセンスが付与されたストリートの場所取りが激しく行われている。

ロンドンやパリでは、この営業権と呼ばれるライセンスの争奪戦が過熱していて、人が集まる繁華街で飲食店を開設しようとすると、数億円を超える営業権を購入しなければならなかったりする。善し悪しあるが、相応の体力がなければ始められないということは、「やってみようかな」という程度の考えの人の参入を防ぐことにつながっている。


一方日本は、このような参入障壁がない上に、コンビニやスーパーの惣菜など、他業界との競合も多いことから、利用者が飲食店に求める味のレベルは高くなり、提供価格は驚くほどに安い。いや、利用者にとってはいいことなのだが、飲食業者にとっては、厳しい条件が2つものしかかってくる。


美味い料理を出しても、流行らない

他業界も含めて、強豪ひしめくなかで勝ち続けるためには、その場の雰囲気や料理やお店のストーリーを大切にしていかなければいけない。例えば、宮崎の地鶏を自社の養鶏場から直送し、中間マージンを排除することで、「いいものを安く食べられる」という触れ込みで店舗を拡大した「塚田農場」を想像いただきたい。


宮崎、地鶏、産直…これらを分かりやすくイメージした「農家風の店舗」というストーリーを利用者に提示し、快進撃を続けてきた。ところが、2012年からモンテローザグループが「山内農場」という、非常に似通ったブランドの店舗を増やしていくなど競合が増加すると、塚田農場の既存店売上高は33ヶ月連続で前年度を下回る形となった。

つまり、お客さまが感動するストーリーやプレゼテーションが集客には必要だが、それらは特許のような形で保護できるものでもないので、模倣されやすい。実は、この模倣こそが飲食店ビジネスの難点なのだ。

また、消費者は基本「新しもの好き」である。新業態のなかでも定着するのはほんのわずかであり、飽きられる前に新業態を展開していかなければならない、という苦しみに追われ続けることになる。

ゲリラ戦のような戦いを強いられる日本の飲食業界だが、これに追い打ちをかけるのが、人材確保の問題だ。

人口減少社会に突入し、全業種において人材確保が難しくなってきているなか、「低賃金」「重労働」などブラックな印象が強くなっている飲食業界は、アルバイトの採用において大きなビハインドを背負っている。


そのようななか、アルバイト代を浮かすために、正社員として採用した従業員をサービス残業で働かせ、FL比率を下げる…というのが業界としての「ならわし」になってきている。それが現実だ。

とはいえ、個人で飲食店を経営する場合、新たに「正社員」を雇う余裕はない。家族や知人が働いてくれればいいが、あなたの店で働いてくれる人が頭の中に何人浮かぶだろうか? 浮かばない場合は求人を出さなければならない。求人を探すコストがどれだけかかるかご存じだろうか…?


外食が一番難しいビジネスモデルである

前述の通り、飲食業は、市場環境をみればゲリラ戦のような状況で、血を血で洗う戦いが繰り広げられている。ビジネスは戦争だというが、最も激しい戦闘が繰り広げられているのが、飲食業界なのだ。


そこで勝ち残るためには、武器となる食材や兵士となるスタッフはもちろん、ノルマンディーを攻略するような見事な作戦…つまりは時流にそったコンセプト作りやストーリー作りが大切なのである。

さらには、どういう形で利益をあげるのか、原価率をどう下げるのかを考え抜いたビジネスモデルの構築も必要な上に、商売の状況は日々移り変わりゆく水商売。ミスのない在庫管理や原価計算などがとても重要である。

設備投資にも多くのカネがかかり、箱ビジネスなので移動することもできないという外部環境に依存することから、自助努力では対応できないリスクもある。


はっきりいおう。飲食業は、経営学の本に載っているフレームワークを全て詰め込んで、ようやく土俵にあがれるような、極めて困難なビジネスなのである。料理に自信があるからといったぐらいのことでは、どうにもならない。

脱サラや退職金で、趣味程度にはじめるような気軽さは許させる余地がないということは、ご理解いただきたいのだ。

今日もまた、全国の各地で飲食店がつぶれ、そして新たな「廃業予備軍」が誕生している。筆者自身、コンサルティング業務を行う中で、そうした悲劇を何度も目にしている。その姿をみるたび、飲食業界の難しさを知り、その実態を伝えていなかければ、と思っている。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52348

飲食店経営に手を出して地獄を見る人の「三つの共通点」
だから止めておけといったのに…
三戸 政和
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52856


飲食業界は「飽和状態」である

前回、飲食店経営に手を出したら、その先には地獄が待っている(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52348)という記事を執筆・公開したところ、多くの反響をいただいた。定年後の生き方が話題になるなか、会社を辞めて飲食店を始めようと考える人が増えているのだろう。加えて、実際に飲食店業を営んでいる方からも「その通り」「手を出すべき業種ではない」と共感の声があがった。

しかし、残念なことに「飲食店は素人が勝てないビジネスであることは分かったが、それでも夢を追いかけたい」という、定年間近の方々のコメントが多くあったのも事実だ。

一体なぜなのか、理解に苦しむ。夢を追いかけることを止めはしない。だが、現実は甘くない。失敗してもいい…あなたはそう思うかもしれない。しかし、妻(夫)や子供たちは、あなたの夢破れたあとどうなるのか。

実際、記事公開から1ヶ月も経たないうちに、私の通勤路にあったラーメン屋が姿を消した。開店したのは、わずか1年前である。オーナーが懸命に貯めてきた資金と長年の夢を、たった1年で取り崩し、消えていったのだろう。

まずはこの図をご覧いただきたい。中小企業調査室が今年4月に発表した、開業と廃業の関係を示したものだ。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52856


宿泊業と並び、飲食業は「高開業」かつ「高廃業」の業種に括られている。これが示すところはひとつ。飲食店は参入障壁は低いが、つぶれる可能性も相当高いということだ。

厚生労働省大臣官房統計情報部が発刊している「衛生行政報告例」を覗いてみると、2009年度時点での全国の飲食店の数は144万店とされており、毎年、16万店ほどの飲食店が新規出店しているという。これは、ほかの業種ではありえない数字だ。この業種の人気の高さがうかがえる。


ところがその5年後、2014年の「衛生行政報告例」を覗くと、飲食店施設数は142万店、と微減していることが分かる。日本の外食市場は、完全に飽和状態にあるのだ。さらに、数が増えていないということは、毎年新規出店と同じだけの数がつぶれていることになる(微減なので、新規出店以上に廃業が多い、ということだ)。

もう一度、声を大にして伝えたい。素人が、飲食店経営に手を出すのはやめなさい。そこには、絶対に地獄が待っています。

今回は、それでも諦めきれないという人のために、飲食店を始めようとする人が陥る「3つの罠」を紹介し、その「地獄」の実態を改めて見せていきたい。

独りよがりの店を作りがち

まずは、「プロダクトアウトの罠」を紹介しよう。多くの飲食店がつぶれる理由は、この罠にかかってしまうことにある。

「マーケットイン」「プロダクトアウト」という概念をご存じだろうか。ごく簡潔にいえば、マーケットインは市場や消費者のニーズからビジネスやサービスを考えることで、プロダクトアウトはサービスを提供する側の発想でビジネスを行うことだ。

会社経営をはじめる際に必要な概念なのだが、会社経営をわかっていない素人がビジネスをスタートする際、必ず「プロダクトアウトの思考」に陥り失敗する、と言われている。そして、特にこの思考に陥りがちなのが、飲食店業を始めようとする人なのだ。

会社を定年退職して、退職金で自分の思うようなカフェやレストランを始めようとした場合、とかく「自分の作りたい料理を提供して、内装にこだわって、使いやすい設備をいれて…」と、考えがちだ。顧客が何を望んでいるかではなく、「自分が何をやりたいか」しか考えない…これがプロダクトアウトの発想だ。

気持ちはよくわかる。だが残念なことに、これが失敗の始まりなのだ。

脱サラでそば屋を始める、というケースが典型だ。自分自身がそば好きで、職人も気取れる。こねて茹でるだけなので簡単にも見え、それなりに美味いそばをつくれば、客が来る…と勘違いしがちだ。

しかし、かけそばは、売値の割に原価が高く、単品ではほとんど利益がでない。トッピングやサイドメニューで利益を出さねばならないのだが、そんなことまで考えている人はほとんどいない。

また、おでん屋をはじめようと考えるのは、愚策中の愚策だ。これもまた「おでん屋でもやろうかな。おでんは好きだし、原価も安そうだし」という、プロダクトアウト型の発想で始めてしまいがちな業種だ。


みなさんは、おでんを年に何回食べるだろうか。カレーやラーメンより多く食べる、という人は少数だろう。おでん業態の顧客の来店頻度は低く、素人ハダシではコンビニのおでんとたいして味の差も出ず、かつ庶民的な食べ物とのイメージが強いため高単価では提供できない。加えて季節商品であることから、夏場は閑古鳥が鳴く。家賃などの固定費の支払いに戦々恐々とする日々が続くことになる。


これらの失敗を避けるためにも、飲食店を始めるなら少なくともマーケットインの発想に立たなければならないのだ。

「いま、世の中にはどういった店(食べ物やスタイル)が求められているのか。出店するならどこがいいのか。そのエリアの競合店舗を考えると、どういった店であれば勝てるのか…」

こんなことを、リサーチしながら延々と考えていく。その結果「この場所でこの業種なら勝てる、生き残れる」という道を見出すことが正解なのだ。

「投資回収」という発想をもたないから

次に問題となるのは、内装や設備などにお金をかけ、初期費用で手持ちの資金が圧迫するという「罠」だ。これを「投資回収の罠」と呼びたい。

ビジネスを始めるときに、「はじまり」を考える人はいても、「終わり」を考える人は少ない。実は、これが大問題なのだ。前回の記事では、飲食店業は戦争と同じだと指摘したが、戦争と同じく、「終わり」を考えないと、地獄への入り口に片足を突っ込むことになる。

「終わり」とはなにか。それは、初期費用にかけたコストを、どれぐらいのスパンで回収するかという計画のことである。

退職金が2000万円あったとしよう。この2000万円を投入する計画を立てるのは簡単だ。だが、「回収」まで考えられる人は少ない。


この目安にもつかえる会計用語に「減価償却」という言葉がある。ほとんどの人が知っているだろうが、簡単にいえば、店を出す際にかかる最初の費用を、経営を続ける年数で「費用」として認識していくということだ。

よくある飲食店のケースで考えてみよう。20坪くらいの小さな店を賃貸で構えようとすると、保証金や礼金、仲介手数料などでまず500万円くらいがかかる。これに加えて、設計内装や厨房機器、POSなどの設置・導入に300万円くらいかかる。また、出店時の広告費(チラシやHP制作)なども考えると、合計で大体1000万円ほどになる。

ここまで考えるのはそう難しくはない。が、この金額を回収する計画を立てられるだろうか。


いったいどのくらいの期間でこの初期投資を回収しなければならいのか。飲食店の流行り廃りや競合店舗の進出などを鑑みると、通常は3年。銀行で初期資金を借りている場合、返済計画を考えても、最低5年以内での回収をしなければならない。

1000万円を5年間で均等割りしていくので、年間200万円、つまり月々17万円ほどを取り返さなければいけない。これが減価償却費の概念だ(あくまで、ごく簡潔に表現したものだが)。銀行への返済金額も、おおよそこのような目安感になってくるはずだ。

これに家賃が坪単価1万円だとして、光熱費などを合わせた月々の支払いが30万円となり減価償却費とあわせて47万円となる。

前回の記事ではFL比率の説明をしたが(食材原価と人件費を売り上げ全体の60%以下にしないと、その店は回らない、ということ)、最低限の利益確保として必要なFL比率を60%、最終的な利益を2%残そうとするだけでも、店を回すには月に240万円は売り上げないといけないことになる。

・売上高(100%) 240万円
・食材原価+人件費(60%) 144万円
・家賃など固定費+減価償却費(20%) 47万円
・消耗品や販促費などその他販売管理費(18%)43万円
・営業利益(2%) 6万円

それだけ売り上げても、なんと利益は6万円しか残らない。恐ろしい話である。


その店、満員に出来ますか?

では、「月に240万円の売上を立てる」。このことが具体的にイメージできるだろうか。

月240万円を売り上げるために考えなければならないのは、「席数」と「満席率」である。まず20坪の店舗面積で、どれだけ客席を取れるかを考える。席数の取り方は、業態や不動産物件によっても変わる。牛丼屋は肩を寄せ合って食べても苦にならないが、割烹料理では個室が求められるから席数は多くとれない。気に入った不動産物件のまん中に柱があれば、うまく席数が配置できずに席数が減ったりする。

「満席率」は、その席数のうち、何席が現実的にうまるのかという数値で、4人がけの席でも2人で使われたら、満席率は50%となる。

これらの席数を、一日(あるいは時間当たり)何回使えるかを示すのが回転率だ。

牛丼屋だとすぐに食べて店を出ていくので、ランチ時なら5回転。20席あれば、一時間で100人をさばける。逆に割烹料理のランチだと、お客は1時間居座って帰らないから、回転率は低い。一日に1回転がやっとで、20席なら一日20人だ。席も広くとるから、満席率は70%程度。結局14人しかさばけないことになる。

客が平均して支払う金額を客単価というが、牛丼屋が500円だとすれば、ランチに100人来て売上5万円。割烹料理のランチが4000円だったとすると、ランチ売上が5万6000円となる。客単価で8倍違えば、回転率の5倍の差は埋められる。

ただ、割烹料理の家賃(牛丼屋よりは広いので、必然高くなる)まで考慮すると、割烹料理のランチ営業は大きく不利となる。だから、割烹料理屋のランチは、ディナーに来てくれる客をつかまえるための「お試し利用」の意味と、前日に余った食材を消費するためにあるのだ。


このかけ算で売上が出来上がっていくのだが、さらに変数は存在している。ランチタイムとディナーでは同じ店でも客単価は異なる。場所によっても、オフィス街であれば土日の客入りは少ないので回転率は低くなり、昼間の住宅街であれば、ランチタイムは回転率を期待することはできないだろう。

飲食店は、装置産業に近い部分もあることから、安定して席を埋めることが重要となる。そのために、朝の喫茶店は、「モーニング」で軽食を提供することで客を呼び、ランチタイムには、ダラダラと居座られないよう「禁煙タイム」を導入する。

一方で、愛煙家を呼び込むために、ランチの時間を過ぎれば、喫煙可とする飲食店も多い(これで喫煙、禁煙両方の客を取り込むことが可能だ)。居酒屋メニューを提供する吉野家のちょい飲みは、牛丼業態で最も弱い、夜の時間に立ち寄ってもらうための打ち手だ。

では、このような計算式をベースに、月240万円を売り上げるには、どのくらいのお客さんを呼ばなければいけないのかを考えたい。

20坪のお店で、26席取れ、満席率が70%で、2回転する業態を想定する。一日に36人が来てくれる計算だ(26席×70%×2回転=36.4)。客単価が2,500円だとすると、一日の売上が9.1万円となる(2500円×26席×2回転×70%=9.1万円)。これで週に一回休むとすれば、月商240万円程度となる(9.1万円×26日)。

つまり、一回で2500円使ってくれるお客が毎日36人くればなんとかなるのだが…あなたが夢みるお店は、平均で2,500円使ってくれるお客さんを毎日36人集めることができるだろうか。

「友達がきてくれる」は、大間違い

ここで、3つ目の罠が登場する。それは、「友達の罠」だ。友達が来てくれれば、店は何とかなる、と思い込んでしまう罠である。

あなたには、何人の友達がいますか。オリコン調べでは、友達の数の平均は、学生で44.8人、20代で21.4人、30代では15.1人と、年齢をかさねるにつれ減っている。悲しいが、これが現実だ。仮に、この友達が全員、毎日あなたの店に来ても、目標売上の半分にしかならない。計算式は割愛するが、売上が半減すれば、いっきに月20万円の赤字となる危険性を秘めている。


逆に尋ねよう。あなたの周りにも、友達あるいは知人がオープンしたお店があるだろう。あなた自身は、そのお店にどのくらいのペースで行っているだろうか。最初の数回足を運んだら、その後は、なんとなく足が遠のいているということがほとんどのはずだ。

一般に、初めてお店に来たお客さんが再訪する率は40%といわれている。2回目に来てもらえる率が32%。3回目に足を運んでくれる割合は、26%となり、4回目も来てくれるようになるには、23%となる。4回来てくれた人は、常連になりやすいともいわれている。つまり、36名の常連客を確保するには、新規で160名が店に訪れなければならない(160名×23%=36名)。


当然、その36名が、毎日店に来るわけではない。「マイボイスコム」の調査では、全ファミリーレストランの来店頻度について、月に1回以上と答えた人が全体の20.0%、月に1回程度が27.4%、数ヶ月に1回程度が52.7%となっている。このデータをもとに考えると、同じ店に2、3ヶ月に1回来てくれたら「御の字」なのである。

仮に常連客が2ヶ月に1回来てくれると考えた場合、月の営業日数が26日だから、52日に1回しか来てくれない。常連客だけで店を回せるようになるには、160名に52日をかけた8320人が新規で来店しなければ、月の利益6万円を達成することができないことになる。

ここで落ち着いて考えて欲しい。あなたの友人知人の数は、8000人を超えていますか(残念ながら、Facebookの友達上限数は、5000人だ)。

自分の店の場合、常連客はもっと増えるし、もっと定期的に増えるはずだ…そう考えるのは自由だが、そうした「希望の屍」が積みあがってできたのが、このデータなのだ。

ひとつの変化で、一気に大赤字

このように「回収」と「集客」がいかに難しいかが、マーケットインの発想を持てばおのずと見えてくるのだ。当然、あなたが競合する外食チェーン店は、これらの数値を緻密に計算し、システム化しながら、日々の係数管理もおこなっているのである。

また、これまで見てきた数値は、仮置きの計算であり、不動産の条件や業態、近隣の競合状況や、人件費の変動などによって、すぐに変わってしまうものである。

さらに前回も少し触れた「人手確保」の問題も出てくる(いうなれば、4つ目の罠だ)。大手外食チェーンであれば、従業員が突然辞めても、近隣の他店舗から緊急で人を派遣することで対応ができたり、正社員とアルバイトで全体の人件費を調整することができる。人材採用も採用センターで一括して行うことから、人材難のご時世でもなんとか人手を確保できる。


一方で、個人経営の飲食店では、手伝ってくれる予定だった奥さんが病気にでもなれば、融通の利く働き手を欠き、人手確保にも奔走しなくてはならない。ここで、アルバイトを雇うとなれば、当然、FL比率が上がってしまい、当初の収支計画が大きく変わってくる。

また、店の料理が職人に依存するような業態であれば、その職人が辞めてしまえば、メニュー構成も変更せざるをえない。これは決して割烹料理などに限らない。たとえば、焼肉における肉の加工などであれば、職人が加工するのと、アルバイトのような素人が加工するのでは、利用できる肉の割合が10%は変わってくる。これは、直ちに、原価率に影響をおよぼす。

このようなことを避けるために、焼肉チェーンの牛角は、セントラルキッチン方式を取り、加工センターで効率的に加工した肉を店舗に送り、店舗では皿に盛り付けるだけという業務改善を行った。

牛角は「人に依存しないビジネスモデル」で勝ちパターンを作りあげたが、個人レベルでここまでできるとは考えにくい。規模の経済が働く、チェーンならではの戦い方なのである。

自分の力ではどうにもならないこと

さて、最近の起業ブームの中で、「ピボット経営」という言葉がよく使われるようになっている。事業の大まかな軸はずらさず、トライアンドエラーでビジネスのあたりをつけ、事業の形を変えながら、収益があがる事業を特定していくという経営手法だ。

消費者の嗜好サイクルの変化が早くなり、ニーズを先読みしてサービスを提供することが必要となってきている時代だ。一つの事業に大きく投資するのではなく、怪我を負わない程度で勝負し、勝てなければ次の事業に挑戦していく…これをバスケットボールのピボットに例えているのだ。

ところが飲食店経営では、このようなピボットを踏むにも、簡単に業態変更はできないうえ、店舗の移動もできない。個人経営の飲食店は資本力もなく、設備投資の大きい飲食店経営で、トライアンドエラーを繰り返しにくい。初打席で初安打を打たなければいけないのだ。そんな「超高校級」の才覚の持ち主はどれだけいるだろうか。

別に夢を持つ人を揶揄したいのではない。30年間立派に会社勤めをした人や、若くて意欲のある人に、飲食店ではなく、ほかにも才能を活かせる道があるはずだ、と伝えたいだけだ。

進むべき道は飲食店だけではないのだから。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52856

ジャズ喫茶や名曲喫茶は道楽でやるもの

Q: ジャズ喫茶の経営って大変ですか?

質問者:Nihao-Annyon
投稿日時:2005/09/27 09:51

数年前からジャズにはまり、月に数回はジャズ喫茶に通うようになりました。

数千枚はあるのではと思うほどたくさんの貴重なレコードがズラリ、オーディオも最高の条件でセッティングされていて、2時間くらいはアッと言う間です。

将来、現役を引退したらこんな店を経営して好きなジャズを毎日聞いていたいなあと思っているんですが、考えれば客の回転は悪いし、単価は低い、おまけに定期的に新アルバムを入れないとマンネリしてしまうし、毎月の家賃やら電気代やらで結構、経営するとなると大変じゃないかなと思うのですが、実際にはどうなんでしょうか?

もしかすると 「思ったほど儲からない」 状態どころか、プラマイ・ゼロを通り越して、毎月赤字状態が続くのかなと思っているんですが ・・


回答

Ans:noname#13890

 ご自身は、そのお店に幾ら投資してるかで判るのではないでしょうか?

 コーヒー1杯400円で2時間、席を占領。

いつも行く店は何人のお客を見ますか?

 ふつーの喫茶店の1日の売り上げは2〜3万円、それ以下になると潰れます。

 ほとんどのお店が毎月赤字でしょう、私の知ってる店も何軒か潰れました、いつ行っても客は2、3人。1日数千円程度の売り上げしか無いのですから、当たり前ですね。

 喫茶をメインとして昼はランチ、朝はモーニングとジャズに関係無い部分で利益を稼がないとやっていくのは無理でしょう


_____


Ans2:Reiher

 儲かりそうにはありませんが、好きでやっている方には「生活できれば問題ない」と考えている方が多いですね。

 それにJASRACというヤクザがショバ代を取り立てに来ますから注意してください。

 JASRACが起こした騒ぎとしてはスワンとジャズママが有名ですね。

ジャズママは潰された挙句

「死ぬまで金を払い続ける(毎月二千円程度ですが)」

「自己破産は許されない」

という刑を受けましたがスワンは何とか営業中です。


ジャズ喫茶スワン
http://www.jazzswan.sakura.ne.jp/


どちらも著作権が浸透していなかった頃からの老舗である為の悲劇ですが、JASRAC任せでは月5万だの10万だのの請求になりかねません。


>ジャズ喫茶包括契約   18900円/月(レコード演奏のみ)
>同規模の喫茶店BGM契約 6000円/年(レコード演奏のみ)
      http://www4.ocn.ne.jp/~swan/jasrac01.html


という状況ですし。

 実際のところはジャズ喫茶のマスターに聞いた方が詳しいと思いますが。
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/1676138.html


fitnessdd3258さん

Q: 一関の有名なジャズ喫茶について

なぜあんな田舎に出来て、維持もされているのですか?

不思議です。

質問日時:2012/5/16 15:48:52


Ans: won_bow_bowさん


ベイシー詣ではしたことある。

だが土日に地方から客がくるとしてもや、、、

一日10人×土日で20人

×4で一ヶ月80人
×12ヶ月で年間960人

コーヒー一杯500円として×960人で48万


毎週末20人ベイシー詣で客がくるいうんもかなりサバよんでの見積もりやが、どう見積もっても年間50万程の利益にしかならんやろ。


地元常連客もたかが知れた人数やろし、店を維持できるんはほかにも収入あるからつー意見に賛成。


____


Ans2: akid_shinobuさん

ミもフタもない言い方をすれば、ジャズ喫茶というのは資産家が道楽で経営しており、採算や儲けなどは全く度外視しているものです。

東京・吉祥寺の頑固親父オーナーは、他にも多数の飲食店を経営している実業家で、このことは本人も著書等で書いています。

つまり、生活の糧は経営する他店の営業利益であり、ジャズ喫茶の経営のみで暮らしているワケでは決してありません。

『ベイシー』オーナーとは面識もありませんが、『ベイシー』の店舗自体が古文書などを収めた“蔵”であったことが有名です。 岩手の最南端地方で“蔵”を所有する家…相当な資産を有する名家だと想像されます。

結論として、店が赤字であっても、他に収入の道があるから維持していけることが推察されます。

ジャズ喫茶経営は、仮に資産家ではないとしても、少なくとも自身が土地を持ち、その土地の上で店を経営するのが最低条件でしょう。 いわゆるテナントとして入居しているジャズ喫茶というのは、今ではあまり聞いたことがありません。

なぜなら、ジャズ喫茶の利益では、賃料も払えないからです。

ぶっちゃけ、その程度の商売です。


____


Ans3: waterspinksingerさん

「ベイシー」ですか。

店主の菅原さんが一関出身と聞きましたが。

昔からオーディオで超有名で、近隣だけでなく相当な遠隔地からも「ベイシー詣で」があるくらいジャズファンの聖地と化してるようですから、維持どうのこうのというレベルではない別格店でしょうね。

菅原さんは本を何冊も書いてる有名人ですし。

もっとも、利益はほとんどオーディオにつぎ込んでそうですが。

まあ、再生装置なんかに回す金など1円もない我々ビンボージャズファンには無縁な存在ですが、吉祥寺の某店主がメラメラ対抗心を燃やしてるようですね。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1387438033


ジャズ喫茶に来るたび、ジャズ喫茶とは何と良いところだと思います。

まず、ジャズ喫茶の店主で、金儲けを第一に考えジャズ喫茶を経営する店主はいないはずです。ジャズ喫茶などを経営するよりは、お金を稼ぐということだけを観点にするならば、普通にサラリーマンなどをしていた方が余程安定した収入を得られます。

そもそも金儲けを第一に考える人は、無限に続くオーディオの調整、回転率の悪い客に一杯数百円の珈琲を出すような商売はしないでしょう。

 ジャズ喫茶の店主には、おそらく趣味と仕事と人生が一致しているところに、他の仕事ではあまりないものを感じます。私を含め大多数のサラリーマンなど、明日一人、二人、十人程度居なくなったところで、会社なり組織は滞りなく回っていくでしょう。私などのように、逆に居なくなったほうが、良くなったりする場合すらあり得ます。(笑)

しかし、ジャズ喫茶の店主には代わりが居ません。店主と店が運命共同体という、儚い存在であると思います。中には店主が亡くなられても、店が続いていく場合もあるのでしょうが、ほとんどが店主とともにお店も消えてしまいます。

 そして、ジャズ喫茶の店主という仕事は、仕事と同時に趣味であり、"遊び"でもあります。遊びに妥協はありません。仕事、特に会社や組織で働いているサラリーマンは、仕事は食うためにお金を稼ぐ手段と、割り切らなければならないときがあるでしょう。「いや私は自分の信念や信条に一片の妥協もない仕事をしている。」という方もおられるかも知れません。そういう方には心から尊敬いたします。

で、結局何が書きたいのかというと、仕事と割り切れば続く状態も、遊びとなるととことん完璧を求めてしまう。そして遊びなので自分に嘘は付けない状態で、そうなると遊びを続けていると、仕事以上に疲労をためてしまうこともあると実感しています。なので、毎日遊びを仕事にしているジャズ喫茶の店主などは、考えようによっては知らず知らずのうちに疲労を貯めているのではないかと思うのです。
 
 そういえば、私の好きなジャズ喫茶ロストアンドファウンドのブログを読むと、店主が店を休むということが書かれていました。数ヶ月休み無しで毎日営業。早い店主の回復を祈る他ありません。遊びは重要ですが、恐ろしいことのようにも思えてきます。

全国の絶滅危惧のジャズ喫茶の店主様方、お身体大切に
http://exp.bakufu.org/exp070_half-note-02.htm


参考

ジャズ喫茶「ベイシー」の選択 _ JBLの本当の音とは
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/402.html

アンティーク・オーディオが聴ける店 _ 小布施 JAZZ喫茶 BUD
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/209.html

超絶人気の名曲喫茶ネルケンのマダム _ クラシック・ファンが本当に求めているのは…
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/281.html

名古屋 名曲喫茶フィガロ と ジャズ喫茶 Days
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/659.html

日本一の音楽喫茶 阿蘇 オーディオ道場
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/713.html

倉本聰 優しい時間で寺尾聡が営んでいた富良野の喫茶店は儲かっているのか?

倉本聰 優しい時間 動画
https://www.youtube.com/results?search_query=%E5%84%AA%E3%81%97%E3%81%84%E6%99%82%E9%96%93+Yasashii+Jikan+Episode


21年間続いた国民的人気ドラマ「北の国から」の脚本家・倉本聰の2005年作品。
倉本氏が連ドラを書くのは実に15年ぶり。

「北の国から」と同じく北海道・富良野を舞台にし、父と子の絆の再生を描く。

主人公・勇吉(寺尾聡)が営む喫茶店「森の時計」には毎回様々なゲストが訪れる。この喫茶店は撮影のために建てられたもので、倉本氏自ら設計。


原案 - 倉本聰
脚本 - 倉本聰、吉田紀子、田子明弘、小林彰夫


出演者

寺尾聰
二宮和也
大竹しのぶ
長澤まさみ
余貴美子


第1話 2005年1月13日 雪虫 :脚本 倉本聰
第2話 2005年1月20日 拓郎 :脚本 倉本聰
第3話 2005年1月27日 初雪 :脚本 倉本聰
第4話 2005年2月3日 根雪 :脚本 倉本聰
第5話 2005年2月10日 記憶 :脚本 吉田紀子
第6話 2005年2月17日 聖夜 :脚本 吉田紀子
第7話 2005年2月24日 息子 :脚本 田子明弘
第8話 2005年3月3日 吹雪 :脚本 倉本聰
第9話 2005年3月10日 傷痕 :脚本 小林彰夫
第10話 2005年3月17日 刺青 :脚本 倉本聰
最終話 2005年3月24日 雪解け :脚本 倉本聰


ロケ地

@ 北海道富良野市(北の峰地区)
新富良野プリンスホテルに隣接するニングルテラスに、ロケ用の喫茶店
「森の時計」が建てられた。撮影終了後から営業されている。

A北海道美瑛町(白金温泉付近)

B北海道上富良野町
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%84%AA%E3%81%97%E3%81%84%E6%99%82%E9%96%93


珈琲 森の時計 |新富良野プリンスホテル
http://www.alived.com/tblog/2005/03/319.html
http://www.princehotels.co.jp/newfurano/restaurant/morinotokei/

「優しい時間」のメイン舞台である「森の時計」。

このドラマのために実際に富良野の森の中に建てられた喫茶店ですが、
撮影終了後 実際の喫茶店として営業開始しました。

ドラマと同じくコーヒーミルを使って自分で豆を挽けます!


所在地: 北海道富良野市中御料 新富良野プリンスホテルから徒歩3分


アクセス

富良野駅から3,708m
(「新富良野プリンスホテル」と「Soh's Bar」の中間。ホテル進入路から約600m先の右側)
森のガーデンとニングルテラスへ行く分岐点から徒歩3分ほど。


地図
http://tabelog.com/hokkaido/A0104/A010403/1005200/dtlmap/


営業時間: 12:00NOON〜8:45P.M. (ラストオーダー8:00P.M.)


メニュー:

■飲み物
ブレンドコーヒー ¥540
紅茶(ダージリン)¥600
アイスコーヒー ¥600
アイスティー(アールグレイ)¥600
ふらのぶどう果汁 ¥620

■お食事
「森のカレー」     ・カレー&バターライス(辛口) ¥1,030
「雪のシチュー」    ・きのこのシチュー&バターライス¥1,030

■ケーキ¥780
http://tabelog.com/hokkaido/A0104/A010403/1005200/


『2011.10北海道旅行2日目「森の時計(ドラマ優しい時間)」編』
http://4travel.jp/travelogue/10612042


ドラマ「優しい時間」で一番多く登場した「森の時計」にコーヒーを飲みに(正しくはコーヒーの豆を挽きに)行くことに

「ニングルテラス」はこのように、ログハウスのようなものがいくつもあり、それぞれが店舗に

「北の国から」でも「'98時代」と「遺言」で雪子さんが働いていた「森のろうそく屋」は「ニングルテラス」あるそうです(時間がなかったので行けませんでした…)


「ニングルテラス」を歩いていると…
「森の時計」の看板が!

さらに歩くんだ…


それと、その先には「Soh's bar」という倉本聰さんのバーがあるようです

「風のガーデン」でハチ(昆虫の)屋?のお兄ちゃんがルイ(黒木メイサ)をずっと待っていたバーがここみたいです


こんな感じの道をさらに歩いて行きます
本当にあるの?と疑ってしまうくらい普通の森です


右前方にそれらしき建物が!


あった!
…けど、人がいっぱい。。
嫌な予感。。


とりあえず、みんながお店の中へ入った隙に撮った一枚


嫌な予感的中
中はこんな感じで行列です。。

店員さんが「カウンター席とテーブル席、ご希望はございますか?
ちなみにテーブル席だとミルは挽けません」と。


私はコーヒーを飲みに来たというより、ミルを挽きに来たのでカウンター席を希望。後ろから入ってくるお客さんを見て分かりましたが、カウンターだとこの行列、テーブル席だとすんなり入れるみたいでした。。

私は、富良野に来るのが決まってから「優しい時間」を見たので結構リアルタイムな感じでしたが(最終回を見終えたのも2〜3日前)、このドラマって2005年に放送されたみたいで、もう6年も経っているのにこの行列って…すごいですね。。


待っていて暇だったので、カメラをズームにしてカウンター席を撮ってみました
見る限り、あそこのカウンター席は回転が悪いです

「きっとみんな、あそこで豆挽きたいだけなんだから、豆挽いたらテーブル席に移るとかそういうシステムにすればよいのに。。」…と心の中で思っていました。。


待ちに待った、カウンター席へと案内され
ブレンドコーヒーとケーキ―のセットを注文


ずらーっとミルが並んでます


しばらく待つと、こんな感じでミルと豆が出されます
(これだけで5分〜10分は待ったと思います)


ミルに豆をセットして回します
これがやりたかった!


挽いたコーヒーはここに落ちていきます


お店の人がこの器に移し替えてくれて、「コーヒーの香りをお楽しみください」と
コーヒーのほろ苦い香り、癒されます


こんな感じで自分のコーヒーを入れてくれてるのを見ることができます


私のセット
【コーヒーとケーキのセット¥1200】
コーヒーはもちろん、ケーキも美味しかったです


夫のセット
こちらのケーキも味見させてもらいましたが、私のケーキよりもあっさりしていました。
こちらも美味しかったです


後ろを向いて、テーブル席を一枚

帰りがけにもう一枚
ここの席もドラマでよく出ていました。
二人で寄り添ってずーっと動かなかったお客さんとか、こちらの席にいたと思います

ちなみに「森の時計」での待ち時間は約30分・滞在時間も約30分でした☆
http://4travel.jp/travelogue/10612042


2015-03-13
ドラマ「優しい時間」を鑑賞。カフェ経営の理想と現実について考えてみた


「カフェの起業」・・・若い女性を中心に憧れる方も多いでしょう。

調理専門学校でも「カフェ経営科」という課程を見かけます。
定年退職後に趣味を生かして起業したいという年配男性もいるのでは?

「儲けたいから」ではなく、「美味しいコーヒーで人を癒したい」がコンセプトの涌井のお店は、そんな人々の憧れそのもの(「きっかけは妻の死」という辛い事情は別として)。

しかしながら、「森の時計」の経営が成り立っているのは、あくまでもドラマだからということを忘れてはならないのです。

カフェの起業はそんなに甘いモノではありません!


「森の時計」の1日の売上をざっくりと計算してみましょう。

ドラマ内での営業時間は11:00〜20:00くらいのようですが、来店客は日中、地元の顔なじみの男性がポツポツ・・・暗くなってからの来店はほぼありません。

テラス席もあり、やけに広い店内ですが、顔なじみ客は皆、カウンターに着席するため、空席が目立ちます。

お客は各自、ミルで自分のコーヒー豆をひき、その粉を使って涌井マスターがネルドリップでコーヒーを入れてくれるシステムなので、店内滞留時間は軽く1時間は越えるでしょう。

コーヒーは1杯¥520です。

1日の来店客数は、どう見積もっても30人というところ。

メニューにはカレーライスもあるようですが、コーヒー目当てが大部分なので、平均客単価は¥1,000いけばいいところではないでしょうか?

¥1,000×30人=¥30,000

1日の売上は3万円というわけです。

週休1日として毎月25日間の営業ならば、月商75万円。

日によって来店客の増加もあると見越しても、100万円いけば御の字ではないでしょうか?

そして、ここから経費を差し引かねばなりません。


カフェ経営における経費の目安

@材料費:30%
A人件費:30%
B家賃:10%
Cその他:10%(光熱費、雑費、消耗品費など)
D償却:10%(初期費用、改装等に要した費用のローンなど)
E利益:10%


月商100万円では利益はたったの10万円なのです。

でも、元エリートサラリーマンで経済的余裕がある(らしい)涌井マスターは、ガツガツと売上UPや経費節減を意識する様子はありません。

しかし、「森の時計」の人件費を考えると、気が気でないpoohです。

なんせバイトの梓(長澤まさみ)を含めて3人もの女性従業員を雇用しているのですから(驚)

来店客30人に対しスタッフ4人・・・「森の時計」人手かけ過ぎ!

しかも梓、しょっちゅう食器割っているし、無断で外出しちゃうし(苦笑)

スタッフ数が多いのは、店内が広すぎる(屋内31席 屋外16席)のが原因。

涌井マスター、なぜ、こんなに広い店を建てたのでしょう?
カウンターのみ6席もあれば今の客数なら十分だろうに・・・。

実はこれには理由があります。

「森の時計」は、現実の世界でも営業するために創設されたカフェなのです。


参考:新富良野プリンスホテルのオフィシャルHP
http://www.princehotels.co.jp/newfurano/restaurant/morinotokei/


人気観光地のオシャレカフェ、ドラマで認知度もUPさせれば繁盛間違いなしでしょう。

女性グループ観光客なら、ケーキやランチのセットメニューもバンバンオーダーしてくれるはず。

夏の最盛期ならば、入店待ちの行列すら発生するかもしれません。
脱サラ男性の個人経営ではなく、ホテル直営というのも強み。


「ドラマの主人公みたいなステキなカフェを作りたい」

夢を持つことは良いけれど、現実を考えるのも大事です。
カフェの起業には緻密な計画、そして潤沢な資金が必要なのです。
軽〜い気持ちで素人が手を出すのは危険です。

いつものクセで散々電卓を叩いてしまったpoohですが、ドラマはドラマと割り切って「優しい時間」の今後の展開を楽しもうと思います。


Comments

2015-03-13 17:44 いろいろでセカンドライフ No.2826

「新富良野プリンスホテルのオフィシャルHP」を見ると、なんだか都会の人間が憧れるようなログハウスが見えます。

多分、上ものだけで2000〜3000万円はしそうですね(セルフビルドすれば別だけど)。まさかローン組んではいないですよね(組んでたら、自営だからボーナス返済無しで最初の返済が少なめの元利均等返済かな、あ〜もうだめ、貸してくれそうにない)^^

富良野なら土地単価はきわめて安いのでしょうから、地代はあまり心配しなくてよいのでしょう。ただ、固定資産税や、ほぼ2〜3年に一回のログハウス特有の全面塗装の塗り直しとか、その他のメンテも必要でしょう(まあ、一般的な家屋に比べればメンテ費用かからないとか言われるけど)。

おしゃれは諦めて、6畳のログで始めますかww

それじゃ、客が来ないなあ。
息子が働きに出るしかないですね。
宝くじが当たったのかも^^


招き猫の右手 No.2829
飲食店の経営は廃棄率が一番のポイントだそうですよ。

食材がちょっと古くなったらどんどん捨てる、メニューが多ければ滅多に出ないメニューのために食材をそろえて出なければ捨てる、こういうのがかなりのロスです。

なのでカフェ経営者目指している人が言うには、コーヒーだけに特化して食事は出さないのが基本、カレーライスでもやったらヤバイでしょうね、経営的には。
出すとしてもクッキーなどの乾き物だけ。

回転数をあげるためには角地などの立地も必要でしょうね、でもそういうところは高いでしょうけどね。。。


panpi No.2830 [Edit]
実在するカフェに行ったことがあるのですが、夏の最盛期でしたので行列を待って入りました。

カウンターがやはり人気のようでカウンターだともっと長い時間並ばなくてはいけなかったような気がします。

当然、店内は大混雑。

確かにあの喫茶店ですけれども、なんだか違う店のような気がしました。
確かにあんなにお客さんがこないと、経営は難しいですね。
http://pooh2013.blog.fc2.com/blog-entry-557.html


ここは北海道ファンに一番人気の超有名な民宿ですが、何故か10年前から売りに出ていて、全然買い手が見つかりませんね:

民宿 三香温泉
北海道 川上郡 弟子屈町 屈斜路 391-15

【宿 主 紹 介】

 宿 主 : 三上 務
   妻 :   裕美
   母 :    薫


宿主は、所謂、団塊に近い年齢です。
東京、札幌でのサラリーマンを経て、85年35歳で、
ここ弟子屈町屈斜路に移住してきました。

家族は、宿主の母親、妻、娘二人の五人。
当時娘は、1歳と2歳でした。

一部建物はありましたが、改めて営業にこぎつけるまでには、用途変更をしなければならず、届出や改修工事などで、大変な苦労をした思い出があります。

脱サラをし、温泉宿をやる方は、まだ当時珍らしく、よくテレビや雑誌の取材受けたものです。

それから、20余年、が経ってしまいました。
何か、あっ、という間の出来事のように思えます。

まだまだ、素人っぽさが残る宿主ですが、温泉の良さ、この屈斜路の自然の豊かさを、お客様にお伝へしていきたい思います。


** 三香温泉の近況について **

三香温泉は、平成19年の春閉館する旨、ご案内いたしました。

当温泉は、家族3人で切り盛りする小さな宿です。
気がつくと20余年が過ぎ(もう、まだ?)、皆歳をとりました。
現在後継者は無く、また将来に向けて温泉施設を改修する予定もありません。
もちろん家族で営業することの限界や経営上での事情等もあります。

以上の理由から温泉を売却する方向で検討してきましたが、なかなかまとまりません。

たいへん心苦しく身勝手とは存じますが、今後のめどがつくまで、今しばらくは一部営業形態が変わるかも知れませんが温泉を継続していくことと致しました。

何卒宜しくお察し頂けます様お願い申しあげます。

尚、当温泉を含め温泉物件に興味のある方は、「大道開発(だいどうかいはつ)」のホームページをご覧ください。
http://www3.plala.or.jp/sankospa/yoyaku.html#kinkyou


1980年(昭和55年)、民宿「三香温泉」開業。
土地面積 2,653 坪(8,771.00 平方米)
建物面積 132 坪(436.76 平方米)
宿棟:木造亜鉛メッキ鋼板葺2階建、昭和55年完成
居宅棟:鉄骨造亜鉛メッキ鋼板葺2階建、昭和60年完成
1997年(平成9年)改築
2007年(平成19年)より民宿は売却に出されている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E9%A6%99%E6%B8%A9%E6%B3%89


温泉掘削と温泉付分譲地のディベロッパー 有限会社 大道開発

物件番号 309 (温泉源付き中古温泉宿)
物件名 和琴・温泉宿(わごと・おんせんやど)
所在地 北海道川上郡弟子屈町字屈斜路

売り物件詳細 調査実施日(2007.10.1)

価格 5,500 万円

温泉源付き
大型露天風呂(男女/各脱衣室有り)あり

宿棟1階:客室10帖・8帖/管理人室8帖/トイレ/風呂
宿棟2階:客室12帖・10帖・8帖
居宅棟1階:広間19.5帖/台所/車庫
居宅棟2階:居室6帖×5/食堂・ダイニング/トイレ
http://www.daidou.net/catalogue/no309-0.html


車の姿が見えなくなるまで館主は見送る。
4 室だけの小さな湯宿、館主は、その宿に泊まった人を最後まで見送る。

湖畔を周回する道路から 20分ほど森林の中の道を走る。

何も PR をしているわけでもないのに、この小さな湯宿にやってくる人は少なくない。
木造の家。「三香温泉」の文字と暖簾がなければ気が付かないかもしれない。

館主の三上務さんは脱サラして、この宿を作った。
1975 年(昭和 3 年)、母親が持っていたこの屈斜路湖湖畔の土地をボーリングしたら温泉と出会ったのが、この湯宿の始まり。

1986 年(昭和 3 年)札幌、東京で広告の仕事をしていた三上さんは、仕事をやめ、この温泉地で手作りの宿を始める。

「母親の夢だったんですよ、一緒に住むことがね」と言う。
https://books.google.co.jp/books?id=QRnJ1Rp3R-0C&pg=PA50&lpg=PA50&dq=%E4%B8%89%E4%B8%8A%E3%80%80%E5%8B%99++%E4%B8%89%E9%A6%99%E6%B8%A9%E6%B3%89+%E5%BA%83%E5%91%8A&source=bl&ots=lwNQR88NDd&sig=2hnv_KVnAFI5WBcuykvlMCjuILU&hl=ja&sa=X&ved=0CB8Q6AEwAGoVChMI_JCu0uqbxwIVplKmCh3scQLX#v=onepage&q=%E4%B8%89%E4%B8%8A%E3%80%80%E5%8B%99%20%20%E4%B8%89%E9%A6%99%E6%B8%A9%E6%B3%89%20%E5%BA%83%E5%91%8A&f=false


216 :名無しさん@いい湯だな:2014/08/20(水) 08:53:48.43 ID:jP5iNsG00

三香温泉いいよね
家族経営の小さな宿だけど、温泉、食事、雰囲気どれをとっても最高だよ
宿主さんも気さくで親切、とてもリピーターさんに愛されている宿だね
玄関先では人懐っこい温泉犬キンタが出迎えてくれる
道東方面に行くなら絶対おすすめだな
http://hello.2ch.net/test/read.cgi/onsen/1338696929/


2007年11月08日
そして、わたくしの悲願の温泉。「三香温泉」に行ってきました。
屈斜路湖畔すぐそばの温泉です。

あぁ以前泊まった時と変わらず、すんばらしい温泉宿だ。。。
常時ため息が出ます。嬉しくて。

あのですね、年内もしくは年明けに閉宿する予定らしいので、皆様何としてでも行った方がいいですよ!
普通の温泉場に行く何十倍もの満足を得られますから。
特に道外の方、行かれたらカルチャーショックですよ、ありゃ。

ムチャクチャ美味しい愛情たっぷりご飯、もちろん源泉100%かけ流しすっげぇいい香り、プラネタリウムのような星空、薪ストーブを囲んでの語らい、エゾリスに出会える露天風呂。。。。

ひ〜!今すぐにでも行きたい!
http://kendikuun.seesaa.net/index-21.html


安いし仕方ない? いえ、そういう問題ではないと思う。
人の感じ方はそれぞれであるが、清潔感というのは誰しもが気持ち良いと感じるものだろう。

峰も、三香温泉も、鹿の谷も、いずれも贅沢なものや華美なものは使っておらず、どちらかというば粗末な部類に属するようなものを使っているけれど、シーツやまくらカバーはほっとする綺麗さで、手足を伸ばした時のあの気持ちよさは、それを用意してくれる人の心遣いを感じられて、なんとも嬉しいものである。

帰る時にそんな心遣いをまた思い出し、そしてああ、また来よう、と思うのであった。
http://www.yuge-marumi.com/index.php?1%E6%9C%884%E3%83%BB5%E6%97%A5%E3%80%80%E5%B3%B0%E3%80%812%E6%9C%8816%E3%83%BB17%E6%97%A5%E3%80%80%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E3%80%80%E9%87%8E%E5%9C%B0%E6%B8%A9%E6%B3%89%E3%83%9B%E3%83%86%E3%83%AB


まあ、三上さん以外の人がこの民宿を引き継いでも、リピート客は誰も来ないでしょうね。


詳細は

屈斜路湖畔 三香温泉 その人気の秘密
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/589.html

という事で、飲食店と Amazon と対抗しないといけない小売り業で起業するのは最悪のギャンブルなのですね。

飲食店と小売り業以外でも、コンビニ経営とアパート経営は絶対に止めておいた方がいいです:

コンビニオーナーは使い捨て
http://www.asyura2.com/13/ban6/msg/776.html

「住宅は資産」という幻想で誰があなたをカモにするのか? _ 大家さん引退します
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/615.html#c1


結論として、自分で商売するより株で儲けた方が確実なんですね。

株の空売りや日経平均のオプション売りの方がまだリスクが低いかな。


農業も止めておいた方がいいです

2016年07月05日 田舎暮らし 農家に転職 ブラック農業の実態


5年間は国が150万くれるが、5年経ったら開拓した農地は地権者に取られてしまう
開拓した農地を取られるとは、5年間の努力がゼロになる事です。


http://livedoor.blogimg.jp/aps5232/imgs/4/c/4c38cc52.jpg


田舎暮らしにあこがれて移住し、農業を始めるのがブームだったが、そうした人たちはその後どうなったのだろうか。

農業で成功した人が居る一方で、やはり上手く行かず都会に「Uターン」する人も多いようです。


田舎暮らしの失敗例

田舎に移住する人の中には農業に憧れて、田舎に引っ越す人が居るが、当然ながら土地を持っていません。

今農業をしている人の多くは親から農地を「タダで」受け継いだ人たちで、親から農業の手ほどきを受けたと思います。

大げさに言うと農業英才教育を受けたエリート達で、そんな人たちですら農業で食べていけないと言っています。


対して田舎に移住する人は若い人は20代も居るが、30代から40代、あるいは50代で農業経験なしという人も居る。

考えただけで前途多難だと思うのだが、最近は地方自治体が農業体験の機会を設けたり、給付金を出したりしています。

農業用地や住む家も、空き家とか耕作放棄地を紹介するなど、都会の人が農業に参加しやすくしています。


最近では政府が就農給付金制度をつくり、農水省が「農業を始めたい皆さんを応援します!」とPRしています。

内容は新たに農業を始める人には、年間150万円をくれるという凄いもので、研修期間も年150万円を助成する。

自治体が農地や住む家も紹介してくれて、何の問題もなく農業を開始できるようになっている。


ところがこれらは皆、始める前の支援なので、田畑を耕したり収穫して売るのは、自分でしなければならない。

農業を始めてから上手く行かずに、結局は撤退する人が多いのが現状だそうです。

まず新たに農業を始める人たちは「農業エリート」と違い、親が農民じゃないし、子供の頃から手ほどきも受けていない


多くの転職者が5年で廃業する理由

家庭菜園とかアウトドアをやった事がある程度なので、大人になって農業の技術を習得するのが難しい。

子供の時から、田んぼや畑で虫を取っていた人とは、やっぱり経験や知識、技術に大差があります。

研修を受けて農地を手に入れて、教えられた通りにやっても、周囲の農家の半分も収穫できないでしょう。


新たに始める人は無農薬とか有機栽培とか、理想的な農業を目指す人も居て、それらは普通の農業よりも難しい。

年間利益は100万円以下なので、給付金150万円を足してやっと生活できる程度です。

それだと農機具とか必要な経費が出ないので、農閑期には都会に出稼ぎに出る事になります。


この調子で5年目を迎えると、多くの人は「辞めて都会に戻ろうかな」と考えます。

農地や空き家を貸している農家も、4年目くらいになると、「そろそろ出て行ってくれないか」と言い出します。

農業でやっていけないのは傍から見て分かるので、給付金が無くなったら家賃や地代を払えなくなるからです。


やっと耕した田んぼや畑が、ようやく収穫できるようになって「出て行け」というのも酷い話ですが、続けたらもっと酷い事になるでしょう。

実際真剣に頑張った挙句、農作業と出稼ぎで身体を壊し、ボロボロになった人も居るようです。

経営的に上手く行っていたとしても、やっぱり5年ほど経つと立ち退かせる例が多く、この「5年間」に秘密があるらしい。


騙され利用される就農者たち

放棄して荒廃した農地を耕して収穫できるようになるのが大体5年で、農地を貸す人は最初からそれ目当てで貸す場合があります。

荒れた農地を耕したら、所有者は農地を取り上げて自分で収穫すれば、面倒な手間を省けるのです。

農業就職支援制度などは国や自治体がやっている事で、農家は必ずしも「よそ者」を歓迎しません。


だいたい農村というのは隣同士ですら仲が悪い事が多く、僅かな事で反目しあっているものです。

隣りから農薬が飛んできたとか、隣から来た虫に作物を食われたとか、争いの種は無数にあり協力的ではない。

まして都会から来た新規就農者は「利用できるだけ使ってやれ」と考えている地主も居るのです。


借地権は30年間有効な筈ですが、正式な契約を交わしていないのか、一方的に立ち退きを宣告されます。

無料で仕える開拓民として利用されたあげく、土地を開墾したら追い出されます。

こうして非常に多くの人が、5年以内に農業を辞めているのでした。

これから農業を始める人は、開墾したら自分の土地になるのか、契約書を良く確かめた方が良いです。
http://thutmose.blog.jp/archives/62900430.html


141219/evt14121908000001-n1.html

ブラック農業、経験者は語る(^◇^;)


今度は茨城の大葉(シソ)農家ですね。

セクハラがあったとか、給料がちゃんと払われてないとか、、、

契約では8時〜17時までだったのがいわれの無い残業があったとか。


昨年には長野県はあのレタスで有名な川上村でもありました。

実は私、農家に転職する年の夏、川上村でレタス作ってました。
もちろん、アルバイトで、、、です。
だから状況はよーくわかってます、はい。


もっとも30年も前のできごとですけどね。(^^;;
しかし、仕事の基本はおそらくほとんど変わっていないと思います。


この仕事、、、

今でいえば、間違いなくブラックでしょうね。

そもそも日本人でこのアルバイトをしてくれる人が いなくなったから外国人を実習生?として雇うしかなかったのだと私は思ってます。

事実、私がアルバイトしていた時もバイトが夜逃げした、、、という話をよく耳にしましたし、毎年のようにバイトが逃げだすことは当たり前のようにあったらしいです。


では、なぜ夜逃げするのでしょう?

答えは簡単で、仕事がきついからです。

実際、私が経験した一日を書きますと、、、


 4:00  起床

〜8:00  レタスの収穫および箱詰め

 8:00〜 畑の現場で朝食

 8:30〜12:00 収穫可能な畑を全て回って収穫、箱詰め、農協に出荷

〜13:00  一度家に帰り昼食

 13:00〜19:00 畑の草取り、農薬散布、新たな苗植えなど

 19:00〜  翌日の出荷のためのダンボール作り


と、ざっとこんな感じです。

ダンボールは200枚から300枚を作り、それで終了

その後、夕食でお風呂に入って寝て、また翌朝4時に起きる

の繰り返しです。


以上は仕事だけの状況を書いてみましたが、これだけじゃぁありません。

色んなことを言われます。

今でいう、パワハラとでも言うんでしょうかね?


まず、JRに乗って(中央線と小海線)信濃川上という駅に着くのですが

さっぱりお世話になる農家の場所がわからないし誰もいないので

仕方なく農家に電話してみると、渋々迎えに来てくれたのですが

ここで第一声が、、、


「迎えに来てくれ!なんて言われたのは初めてだわ!」


と、いきなりの先制パンチです。(^◇^;)


この仕事大変ですねぇ、、、

とか言おうものなら、「今年は全然楽!去年の子はもっと大変だったわ!」

とか、ダンボールが足り無いものなら、

「お前(私のこと)がどこかに落としてきたんだろ!」

とか、嫌味や皮肉のオンパレードですよ。


そのくせして、、、

実は私、7月2日からバイトに入って途中、家族で北海道旅行に行くことになっていたのでお盆過ぎに一度帰る、と申し出たんですが

そうすると、「本当に帰ってくる? ホント、帰ってくる??」

と、何度も何度も確認するように聞いてくるんです。

旅行から帰ってきたらまた来ますよ、と何度も説明してもなかなか信じてくれなかったですね。(^^;;


理由ははっきりしてます。

一度帰してしまっったら、二度と戻ってこないと思ったんでしょうね。

こんな仕事ですもん、それに明らかに虐めてるし。。。

一応、その日までの給料をくれたのは意外でしたけど。


お盆を過ぎて今度は場所もわかったし、車で行きました。

約束通り、復帰しました。

そんなもん、逃げるくらいならもっと早く逃げとるわい!

というのが本音で、そりゃ朝早くから夜まで仕事をして大変ですけど、そんな逃げるほどの仕事かぁ?

というのが私の印象でしたし。。。


なんかね、戻ってきてからというものの、あちらさんの態度が明らかに変わったように感じました。

前半戦に見せたあの嫌味や皮肉が影を潜めたんですね。

なぜなのかは、未だにわかりませんけど。(^^;;


結局、9月の半ばまでそこで働かせてもらいました。

途中中抜けしましたが実質的に2ヶ月ほど働いてきました。

帰る時には車に積みきれないほどの野菜をもらって帰りました。

電車で行ってたらもらえなかったのでラッキー?(^◇^;)


私の場合は、当時100円でしたけ?

書店に売っていた「日刊アルバイトニュース」を見て申し込んだんですが、一日いくらというものでした。

今の中国人研修生と違って途中にブローカーとか、ややこしい中間業者が入っていない分、もめることも無かったんでしょうけど

細かい契約があればあるほど、言った言わない、契約と違うとかちょっとしたことでも揉めるんでしょうね。


正直言って、外国人研修生を雇っているような産地は家族だけでは絶対にできないから必要なんですが、仕事がきつすぎて日本人のバイトはまず集まらない、

そこに現れたのが安い賃金で雇える外国人研修生。

想像ですが、農家も相当な上から目線で仕事をさせていたんじゃないかと思います。

もちろん、農家さんにも色んな人がいるので運の悪い農家に当たってしまった、、、 のかもしれません。

ただし、8時から5時までじゃ途中から仕事に参加して仕事中に帰っちゃうことになるので、これはこれでどうかな?

とは思います。
http://kaerigumo.jimdo.com/2015/06/27/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E8%BE%B2%E6%A5%AD-%E7%B5%8C%E9%A8%93%E8%80%85%E3%81%AF%E8%AA%9E%E3%82%8B/


なんか腹立った、レタス食うのやめる - ネットゲリラ


中国人研修生が日本の農家で働いていて、時々、使用主が殺されたりしているんだが、たいてい調べてみると使用主に原因があるらしいw 

まぁ、百姓は一人でやる仕事なので、他人様をちゃんと使いこなすという事が出来ない。
それでもむかしは大地主がいて、それなりに小作や使用人を使っていたんだが、マッカーサーがブチ壊してしまったので、その伝統はない。

今じゃ、農家は全て、個人経営。他人を使ったことがない、使われた事もない、息子や孫の家族ですら、呆れて出て行ってしまう、もちろん嫁も来ない。

こういう農家でも農繁期にはバイトを雇うんだが、バイトも奴隷のようにコキ使うので有名で、むかしは夏休みの大学生を使っていたんだが、あまりにキツくて誰も来なくなったので、今では中国人奴隷です。
http://blog.shadowcity.jp/my/2013/08/post-3303.html

内田樹 2017年07月31日 地方移住の意味するもの
http://blogos.com/article/237706/


先日、奈良の山奥の集落で、都会から移住してきた若者たちと話し合う機会があった。

都市住民の地方移住は3・11以来途絶えることなく続いているが、メディアはこれを特に重要なことだとは考えていないらしく、ほとんど報道されることがない。総務省も国交省も農水省も、この動きには特段の関心を示していない。そもそも今のところ、地方移住については公式の統計さえ存在しない。

2015年末に毎日新聞が明治大学の研究室と共同調査を行い、2014年度に地方自治体の移住支援策を利用するなどして地方に移住した人が1万1735人であることを報じた。それによると、09年度から5年間で地方移住者は4倍以上に増えたという。ただし、これは自治体の移住支援を受けた移住者だけの数であり、行政の支援を受けずに移住した人たちがおり、アンケート未回答の自治体もあるので、移住の実態は明らかにされないままである。

私はメディアと政府のこの無関心にむしろ興味をそそられる。過疎化・高齢化による「地方消滅」という危機的事態の切迫を考えると、若者の地方移住をどうやって支援するかということは国家的な急務だと私には思われるからである。だが、そのような熱意を政府やメディアから感じとることはない。なぜか。

そのときのトークセッションのテーマは「10年後の地方移住」というものであった。

集まってきた人たち(若者ばかりではない)はそれぞれの仕方で地方移住を果たした人たちである。住民たちと親しくなり、高齢の農業従事者からは「地域の農業文化を絶やす事なく継承して欲しい」と頼られるようになり、それなりに質の高い生活を営めるようになった。

あと数年は「こんな感じ」で暮らしていけるだろう。けれども、10年後にはどうなっているのだろう。今のような生活がこの先10年後も20年後も維持できるのか。それについて意見を聴きたいと言われた。

私の見通しは明るいものではない。だから、こんなふうな話をした。

いま、みなさんが村落共同体のメンバーとして迎え入れられたのは、限界集落化という地方の窮状ゆえである。かつての村落共同体は、都市からやってくる「ニューカマー」たちに対してそれほど宥和的ではなかった。村の閉鎖性が解除されたのは、「このまま人が減り続ければ集落が消滅する」という危機感がリアルなものとなったからである。

だから、当然のことだが、移住者に対して最もフレンドリーなのが70代以上の高齢者で、それより年齢が若くなるほど移住者に対して距離感を持つということが起きる。同じことをいくつかの場所で聞いた。そうだろうと思う。「まだ時間がある」と思えば、見ず知らずの部外者の助力を求めるまでもなく、自力で何とかしようと考える。「もう時間が残されていない」と感じる人は「藁をもつかみ」、「猫の手」も借りたいと思う。閉鎖的な村落共同体の扉が緩んだのは高齢者たちが抱くこの危機感ゆえである。

だが、このような「チャンス」は長くは続かない。というのは、「脱都市」志向は文明史的な出来事だから、これからも続く者が出るだろうが、「限界集落消滅寸前」という事態にはタイムリミットがあるからである。

先日、私がある席で隣り合わせた岐阜県の人は、故郷の村はいま200戸あるが、子どもたちが引き続き村に住むと言っているのは2戸だけだと悲しげに語っていた。おそらくあと20年もすれば彼の故郷はほとんど住む人のない村になるだろう。

まだ集落としての体をなしているうちは移住者の受け入れもできる。だが、ある時点で、受け入れる主体そのものが消えてしまう。だから、地方移住はある意味で時間との競争なのである。このまま高齢化・少子化が進めば、20年後には「地方移住希望者をぜひ受け入れたい」と切望する集落そのものがなくなってしまう。諸君は「村落共同体の扉が一時的に開き、たぶん永遠に閉じる前の、ごく限られた時間帯」に地方移住を果したのである。そういう話をした。

気を付けなければいけないのは、地方の人口はなだらかな曲線を描いて減るのではなく、ある時点で一気に垂直に下降してゼロに近づくということである。先にあげた「200戸の集落が2戸になる」ケースを考えてみればわかる。2戸だけしか住人がいない集落にはもうバスも通らないし、学校もないし、病院もないし、警察もないし、消防署もない。住みたければ住んでもいい。

「そういう生き方」を自己責任で続けたいという人を止めることはできない。だが、同じ地方自治体の他の地域の住民と同じクオリティの住民サービスを行政に期待してはならない。そう告げられるだろう。住民が2戸だけの集落にバスを通したり、ライフラインを維持したりするコストを税金で分担することを、他の地域の住民は拒否するだろう。

だが、家族の中に子どもがいる場合は学校が近くになければ困る。介護看護を要するものがいる場合には病院が近くになければ困る。だから、人口減によって行政サービスが劣化した地域の人々は、生業を捨てて、「地方都市」へ移住することを余儀なくされる。

「コンパクトシティ」構想という国交省のプランは、この「里山から地方都市へ」という人口移動を利用しようとするものだと私は考えている。

たしかに、里山の住人たちを地方都市に呼び集めれば、一時的に地方都市は人口を回復し、消費活動も活発になるだろう。だが、それも一時的なものに終わる。そもそも里山の人口減は高齢化によるものである。高齢者を地方都市へ集めれば、地方都市が高齢化するだけの話である。彼らは年金や貯金の取り崩しによって、しばらくの間はいくばくかの消費活動を行い、介護など高齢者対象の雇用を創出しはするだろう。

だが、里山で営んでいた生業を継続することはもうできないし、新たに起業することも期待できない。そして、何年か経って、消費活動に特化したこの高齢者層が「退場」したあと、「コンパクトシティ」はかつての里山と同じステイタスになる。住民たちは「採算が取れない」という理由で、それまで享受していた交通や通信や上下水道や医療や教育や防災や治安のサービスを打ち切られる。

「採算が合わない行政サービスは廃止すべきだ」というロジックをかつて一度受け入れた以上、二度目も三度目も、受け入れ続けるしかない。かつて里山からコンパクトシティへ移住したように、今度は次の「もう少し大きい地方都市」への移住が促される。でも、やがてそこも人口減になる。すると、今度は「首都圏」への移住が促されるだろう。そして、最終的に首都圏に列島の人口の大部分が集まり、その外には「無住の荒野」が広がる。


______


定年退職後の起業は完全なギャンブル

自分に投資する(起業する)より多国籍企業に投資する(現物株を買う)方がギャンブル度は遥かに低い

なぜ将来の自分は劣化する前提で生きなければならないのか


国立がん研究センターによると、2016年から新たに癌(がん)と診断される人が初めて100万人を突破し、今後もさらに癌患者が増えると警鐘を鳴らしていた。

ところで、この癌なのだが、最近は早期発見や医学の発達などによって長く生きられるようになっている。癌になったからと言ってすぐに死ぬわけではない。

これは表向きでは朗報なのだが、手放しで喜ぶ人はひとりもいない。

なぜなら、その後の人生は長い闘病生活に明け暮れることになり、自分の持っている能力を上げられない状況の中で生きなければならないからだ。

癌だけではない。すべての病気は、その人が持っている体力や知力を奪い、本来の能力を生かし切れない過酷な状況に追いやられる。

国民病とも先進国病とも言われているのは糖尿病だ。厚生労働省の国民健康・栄養調査によると糖尿病患者は1000万人に突入し、予備軍も入れると2000万人にもなるという。

この糖尿病もまた個人が持つ能力を奪っていく。どんなに屈強でエネルギッシュな男でも、癌や糖尿病になったりすると、突如として弱い立場になる。


自分が持っている能力を発揮することはできない

肉体的な病気だけではない。精神的な病気になっても人は本来持っているはずの能力がまったく発揮できなくなる。

日本の鬱病患者は治療を受けて鬱病だと診断された人だけで100万人近くいるのだが、治療を受けていない患者も含めると倍以上にのぼる。

精神的な病気は鬱病だけではない。睡眠障害、摂食障害、適応障害、統合失調症、パニック障害、発達障害、認知症と数多くの病気がある。

こうした病気にかかると、どんな人でも自分が持っている能力を発揮することはできない。

それだけではない。さらにアルコール依存、ドラッグ依存、ギャンブル依存のようなものもあるわけで、これらのすべては人間の能力を劣化させ、個人そのものを経済的にも苦境に落としていくことになる。

つまり社会的に「弱い立場」になる。

よくよく考えてみれば、誰もが「弱い立場」に落ちる瞬間がある。強い立場の人間がいつまでも強いわけではなく、必ずどこかで転落する日が来る。

この世は諸行無常である。いつまでも自分が最高の能力を発揮できる環境でいられると思ってはいけない。たった1つの予期していない何かが自分の能力を破壊してしまうのである。

実のところ、人は健康である時や絶頂期にある時は、自分の能力が減退するとか劣化するとか弱体化するということをまったく考えない。

だから多くの人は、気付いた時にはいつしか自分が弱い立場になっていて愕然とするのである。

そうであれば、病気に細心の注意を払い、ストレスにも注意して精神的に追い込まれないようにすれば弱い立場になることはないのか。

いや、それでも弱い立場になるのは時間の問題だ。なぜなら、「老い」が必ずやってくるからだ。


「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」という現実

自分の能力がどこまでも向上すると思うのは幻想だ。それは危険だし現実的ではない。

肉体的な能力は10代から20代の前半がピークであり、それ以後はどんどん衰えていく。

30代に全盛期を迎えているかのように見えるアスリートもいるのだが、それでもピークは20代の前半にあって以後は経験によってパフォーマンスが維持できている状況である。

肉体的な能力はピークを過ぎれば、その後は何をどうやっても若い頃のパフォーマンスを取り戻せない。

超絶的な能力を持っていたアスリートも、やがてはスピードが落ち、キレが落ち、持久力が落ち、回復力が落ちていく。つまり、どんどん弱くなっていく。

楽観主義でいようが、最新精鋭の機材とスタッフを揃えようが、最高の医師のアドバイスを受けようが無駄だ。

まわりをすべて最高にしても、自分の衰えは止められない。そして、遅かれ早かれ競技から脱落していく。

「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」とダグラス・マッカーサーは言った。本来の能力のすべてを生かし切れない状況で、残りの人生を生きるという意味だ。

肉体的なピークを売りにするのはアスリートだけではない。

若い女性も、自らの肉体の美しさを売りにして稼ぐ。しかし、どんなに若くて美しい女性であっても、30代に入れば肉体的な衰えは隠せなくなっていき、40代に入れば脱落する。

どんなに必死に若さを維持しようとしても無駄で、美容整形などであがけばあがくほど、身体に負担をかけて「崩壊」が早まっていく。いくら大金をかけても、老いからは誰も逃れられないのである。

普通の生活をして、普通の仕事をしている人であっても、ある程度の体力は求められるのだが、20代の頃に持っていた体力は30代、40代、50代と年齢が上がれば上がるほど失われていくので無理が効かなくなる。


自分が向上することを前提としてはいけない理由

脳はどうなのか。もちろん、脳も老いれば老いるほど判断力も思考力も集中力も落ちていく。

世の中の変化についていけなくなり、やがては新しい社会現象が分からなくなっていく。

老いても自分の知的能力は劣化しないと思うのは大間違いだ。必ずどこかの段階で知的能力が落ちていき、全盛期に及ばなくなる。

一般的には40代が限界で、以後はなだらかに能力が消え去っていくことになる。

もちろん個人差は大きいので、誰もが40代で目に見えて劣化するわけではない。しかし、いつまでも若々しさを保てる臓器や器官はないので、脳も劣化するのは100%約束されている。

遅いか早いかの違いだけで、物理的に脳も劣化する。それに伴って脳の働きも弱くなっていき、脳が司っている知的能力の部分もまた劣化していく。

だから、将来は自分の体力や知的能力が失われる前提で計画を立てておくのはいつでも正しい。30代を過ぎれば、もう今後は衰える運命だと思わなければならない。

向上するのではない。衰えていくのだ。

特に40代を過ぎると「今後の自分は今の能力が発揮できない状況になる」と発想を転換しなければならない時期になる。

以後は、「より劣化する」というのが自分でも意識できるようになっていくので、将来の自分の能力を過信しないのが重要になっていく。

病気になっても、老いても、能力が発揮できなくなっても、すぐに死ぬわけでない。死ぬのではなく、衰えていくのだ。衰えて弱くなっていく。そして、弱い状態の中で生きなければならなくなっていく。

自分が向上することを前提としてはいけない。それは正しい現実認識ではないからだ。それよりも、劣化することを前提としなければならない。

つまり、肉体と知能のピークを過ぎたと実感した人は、弱くなっていく中でいかに生きるのかという現実主義の人生哲学が必要となっていく。

____


起業したり相場をやるなら酒を飲んではいけない


「節度ある」飲酒も脳に悪い? 流ちょうさに影響も 研究
2017年06月07日 13:12 発信地:パリ/フランス


【6月7日 AFP】節度ある適度な飲酒であっても、脳の損傷や知的技能のわずかな低下につながるとの研究論文が7日、発表された。多くの国が定める飲酒ガイドラインに異議を唱える内容だ。

 英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に掲載された論文によると、1週間に14〜21杯の飲酒を数十年にわたり続けた男女は一切飲酒をしない人と比べて、海馬が萎縮する可能性が2〜3倍高まるという。海馬は記憶や自らの位置の把握などを司る脳領域。

 飲酒1杯(1ユニット)は、10ミリリットル(8グラム)の純アルコールを含む量と定義された。大きなグラスのワイン1杯、アルコール5%のビール1パイント(約500ミリリットル)、ウイスキーやウオッカなどショットグラスに1杯がこれに相当する。

 過度の飲酒が脳にもたらす悪影響については十分に実証されているが、これまで「適度」とされてきた1日平均2〜3杯の飲酒の潜在的悪影響についての研究は少なく、結論に達していない。

 さらに深く研究を行うために、英国のオックスフォード大学(University of Oxford)とユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)の研究チームは、いわゆるホワイトホール研究II(Whitehall II)の一環として30年間モニターされた男女550人のデータを精査した。被験者は飲酒習慣について定期的に報告するとともに、一定の間隔で脳検査を受けた。調査開始時にはアルコール依存症患者はいなかった。

 その結果、14〜21ユニットのアルコールが海馬に与える影響が、撮像技術によって明瞭に示された。一方、知的能力試験ではそこまで決定的な結果は得られず、明らかな影響を示したのは言葉の流ちょうさだけで、その他の試験では脳機能の低下は見られなかった。

 今回の研究は実験ではなく観察に基づくものであるため、因果関係について確固たる結論を引き出すことはできない。さらに論文の執筆者らは、標本数が小さいことも認めている。
 
_____


2017年07月09日 350ml缶ビールを週に9本以上飲むと脳の海馬が萎縮する? 英研究


 ほどほどにお酒を飲むだけでも、脳の一部が縮小してしまうなど悪影響が見られることがイギリスの研究により明らかとなっている。大量の飲酒は健康に害があるのが周知の事実であった一方で、ほどほどであればアルコールの摂取は健康にむしろいいものとも思われてきた。同研究はそうした見方を覆すものとなっており、飲酒による脳への悪影響についてこれまで以上に注意喚起している。


◆多量の飲酒は脳の萎縮を招く

 英医師会誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ))の発表された論文において、アルコールの消費が脳の構造と機能に関してどのような影響をもつかが調査されている。調査では、550人の男女が対象となり、一週間のアルコールの摂取量が計られ、30年間(1985年〜2015年)に渡る脳の認識機能が継続的に計測された。

 お酒を多量に飲む人については予想通りの結果が観測された。計測された30年間に渡りアルコールの消費量が高かった者(一週間に30ユニット以上の飲酒量)には、海馬の萎縮が高い確率で起こったのである。なお、お酒の1ユニットは、純アルコールの10ミリリットルもしくは8グラムを意味するといい、標準的なアルコール度数5%のビールであれば、200ミリリットルに当たる。海馬とは脳の記憶や空間学習能力に関わる部位である。また、海馬の萎縮に加え、言葉の流暢さにも衰えが早く観測されたという。


◆ほどほどでも脳に悪影響をもたらす?

 ただ海馬の萎縮は驚くべきことに適量を守って飲酒する人の場合でも同様に観測されたのである。この研究では適量を守って飲んだ人は一週間に14〜21ユニットの飲酒量とされているが、全く飲まない人と比較すると3倍もの確率で海馬の萎縮が起こったのだという。

 こうした研究結果によると、どうやらこれまで適量と思われていた量を飲んでいても、アルコールの脳への悪影響は避けられないようだ。一方で、イギリス紙のガーディアンの取材に答えた英のブリストル大学で認知症の神経学を教えるエリザベス・クルサード氏は、この研究はアルコールが脳に損害を与えるということを証明するものではないと警告している。


◆アルコールとのつき合い方

 アルコールの脳への悪影響が事実であるならば、我々のライフスタイルも再考を迫られるだろう。イギリスの保健医療省が発表した

「新アルコールガイドライン」
https://www.nhs.uk/oneyou/drinking

は男女両方に対して、毎週最高でも 14ユニット以下の飲酒を提言している。
この量は350ミリリットルのビール 8缶に相当する。

パブ文化が盛んなイギリスにおいてこの量は非現実的とも見えるかもしれないが、BMJの発表した論文はこのガイドラインの妥当性を裏付けているだろう。

 こうした研究結果は、毎日お酒を飲む習慣がある人にはショックな結果だろう。これからは大酒飲みだけでなく、習慣的に飲酒をする者も自身の脳の健康に気をつけて飲酒量に注意したいものだ。
http://blogos.com/article/233546/


「酒は少量でも脳に影響」英オックスフォード大による研究の衝撃 2017.07.25
http://www.mag2.com/p/news/258145

これまでの常識として「少量の飲酒であれば身体に良い」とされてきたことは周知の事実ですが、最新の研究で「お酒は少量でも脳に悪影響が出る」という驚きの結果が出ました。今回のメルマガ『ドクター徳田安春の最新健康医学』では、この英オックスフォード大学で研究・発表された、飲酒による脳への悪影響について現役医師(総合診療医)の徳田先生が詳しく解説しています。

J型曲線のピットフォール(落とし穴)

お酒は脳を不健康にする。そんな研究結果が最近英国のオックスフォード大学から出ました。適量でも長期間継続的に飲酒していた人は、全く飲まない人やほぼ飲まない人に比べて、脳に異常が出てくることがわかったのです。記憶を司る海馬という脳の大切な部位が、お酒を飲むとその飲酒量に相関して萎縮していたのです。すなわち、お酒を飲めば飲むほど記憶力が低下するリスクが高くなるのです。

飲酒と健康についての昔の疫学研究はJ型曲線を示していました。アルコールの消費量を横軸にし、健康アウトカムを縦軸にしたグラフでの結果です。健康アウトカムとして心筋梗塞と脳梗塞をとると、全く飲まない人に比べて、適量の飲酒者は、それらの病気になりにくいという結果を示していました。そのグラフの形がJ型だったのです。

しかしながらこれらの疫学研究にはピットフォールがありました。原因と結果が逆転していたのです。体力が弱って病気の人はお酒も飲めなくなりますね。そのような人々も含めてグラフにするともともと病気の人が非飲酒者群に含まれてしまうことになります。

このような原因と結果が逆転してしまうような現象を取り除いて分析してみるとJ型の形は消失し、正の相関を示す直線となったのです。すなわち少量の飲酒でも心筋梗塞や脳梗塞になりやすくなるということが判明しました。お酒はまた、クモ膜下出血や脳出血のリスクでもあります。

アルコールは発がん物質

心臓血管系の病気だけではありません。世界保健機関(WHO)の外部組織である国際がん研究機関(IARC)は、アルコールをグループ1(確実な)発がん物質とみなしています。このグループには、タバコやアスベスト、ヒ素、マスタードガスなども含まれています。明らかな発がん作用があるこれらの物質とアルコールは、発がん作用のリスクについて同じグループとみなされているのです。

飲酒とがんとの関係も正の相関があります。全く飲まない人と比べて少量でもがんのリスクが高まります。特に体質的にがんになりやすい人は要注意です。乳がん、咽頭がん、口腔がん、食道がん、肝がん、膵がん、などです。乳がんの家系のある女性は飲酒は控えた方が良いと思います。

飲酒による脳の構造と機能の変化

飲酒と脳の健康に関しても以前はJ型が示唆されていました。少量の酒は脳には良いとされていたのです。認知症についてもそのようにいわれていました。そこで出てきたのが今回の研究結果です。イギリスで行われたこの研究対象はお役所の労働者550人でした。真面目な人たちなので、30年間もきちんとデータを残し検査も受けていました。

そしてその30年経った結果が公表されたのです。全く飲まない人または1週間に6ユニットまでの飲酒者に比べて、1週間に7から21ユニットの飲酒者では、海馬が萎縮するリスクが3倍まで増えていました。また、適量の飲酒でも、脳の白質の構造が破綻していました。そして実際にも、1週間14ユニット以上の飲酒者では、語彙力や高次脳機能が低下していました。

1ユニットはアルコール10グラムに相当します。アルコール5%で350mlの缶ビールなら1缶あたり1.75ユニットとなり、4缶で7ユニットです。750ml入りのワイン(13.5%)は約10ユニット、175mlのグラスワインでは約3杯分で7ユニットです。ウィスキー(40%)で25ml、焼酎(25%)で40ml、日本酒(15%)で67mlが1ユニットです。

脳を萎縮させない飲み方

脳を萎縮させたくない場合、1週間に飲酒を、1日1ユニット未満または1週間に6ユニットまでに制限した方が良いことになります。1週間に、350mlのビールなら3缶まで、グラスワインなら2杯まで、ウイスキーなら150mlまで、焼酎なら240mlまで、日本酒なら400mlまで、となります。

臨床的にも、アルコール依存症は認知症の強い危険因子です。若年性認知症の10%はアルコール関連脳障害が原因と言われています。また、施設に入所中の認知症患者さんの20%もアルコール関連脳障害を持っているものと推定されています。

認知症で多い原因はアルツハイマー病と脳血管障害ですが、多くのケースでアルコールはこれら病態に追加的に寄与しているものと考えられています。そしてかなりの大量長期飲酒者は、それ単独でも認知症のリスクが高いと言うことになります。

文献 Topiwala A et al, Moderate alcohol consumption as risk factor for adverse brain outcomes and cognitive decline: longitudinal cohort study. BMJ 2017; 357 (Published 06 June 2017)

生涯の総飲酒量が脳の萎縮に影響する
http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100015/032000006/

『酒は百薬の長』という諺(ことわざ)にもあるように、アルコールは脳にとって、何かしらの健康効果は期待できるのだろうか。

お酒の飲み過ぎによる脳への影響は、前回ご紹介した「感情のコントロール」「長期記憶」「平衡感覚」といった酔っ払いならではの“奇行”だけにはとどまらないことが分かった。

自然科学研究機構生理学研究所の教授で、医学博士の柿木隆介教授に話を聞いた。

 人の名前が思い出せない、ごく簡単な漢字が書けない、今、何をしようとしたか忘れてしまった…など、加齢に伴って、日常的に起こるちょっとした物忘れ。酒を飲む習慣があまりない人にとっては「良くあること」と流してしまうことだったとしても、左党にとっては一抹の不安をかきたてられることはないだろうか。その不安とは、「酒の飲み過ぎで、脳の機能が低下しているのではないか?」ということだ。

 普段の言動をコントロールしている理性、すなわち脳内の前頭葉によって抑えられている感情や思いを解き放ち、幸せな気分を増幅させる酒は、まさに「人類の至宝!」ともいえる存在(「どうして酔っ払いは同じ話を繰り返すのか?」)。だが、その一方で気になるのが酒の飲み過ぎによる脳自体への“健康被害”である。


左党にとって、心底まで酔えるのはかけがえのない幸せではあるが、飲酒量が増えるにつれて「脳」の萎縮も進むことがわかっている。(©ximagination-123rf)


 アルコールはくも膜下出血、脳梗塞、認知症といった脳疾患を誘因する危険性はやはり高いのだろうか? こうした疑問について、前回に引き続き、ヒトの体と脳について研究をしている自然科学研究機構生理学研究所の教授で、医学博士の柿木隆介氏に話を聞いた。

酒好きは脳が小さくなりやすい!

 「アルコールの過剰摂取に起因する生活習慣病が引き金となった脳梗塞などの血管リスク、日常的に大量の飲酒をすることで起こるアルコール依存症などを除けば、脳への直接的なリスクは、適量であればそれほど高くないと考えられています。しかしお酒を頻繁に飲む人の脳を調べると、あまり飲まない人に比べ、年齢以上に萎縮している傾向が見られます」と柿木教授。

 つまり、アルコールによって脳が“縮んでいる”というのだ!

 一般的に脳の萎縮は、30歳を過ぎた頃から始まるとされている避けられない加齢現象の一つだ。主に、脳内の白質と呼ばれる神経線維が集まる領域が死滅し、脳が小さくなっていくために起こる。


萎縮による代表的な自覚症状の一つが記憶力の低下で、急速に進むと認知症にまで進展してしまうこともある。ただでさえ加齢とともに脳は萎縮していくわけだが、「アルコールが加わるとかなり進むと考えられています。同じ年代でお酒を『飲む人』と『飲まない人』の脳をMRI(核磁気共鳴画像法)の画像で比べると、前者の脳は後者に比べ10〜20%ほど萎縮していることが多い。特に目立つのが、大脳で対になっていて、脳脊髄液で満たされている側脳室(そくのうしつ)が大きくなっていることです。これは脳全体が小さくなったことによって、側脳室が広がったことを示しています」と柿木教授は話す。ではアルコールは具体的に、脳のどの部分に強い影響を与えるのだろうか?

縮んだ脳は二度と元には戻らない!?

 「例えば、脳の萎縮が原因の一つとされる認知症、アルツハイマー病は、記憶を司る海馬や、理性をコントロールする前頭葉、言語認識や視聴覚を担う側頭葉前方の萎縮が特有なのに対し、アルコールは脳全体を萎縮させます。

最近では飲酒量と脳の萎縮の程度は正の相関にあり、飲酒歴が長い人ほど進行が早いとの研究も発表されています。

“休肝日”の有無など飲酒の頻度や、蒸留酒、醸造酒といった酒の種類とは関係がなく、『生涯のうちに飲むアルコールの総量』が強く影響していると考えられており、つまり、酒を飲めば飲むほど萎縮が早く進むということです。

恐ろしいことに、脳内の神経細胞は、一度死滅すると、そのほかの臓器に備わる幹細胞のように再生することはなく、元の大きさに戻ることは二度とないとされています」(柿木教授)


脳の萎縮は避けられない加齢現象の1つ


写真は25歳、78歳の男性の脳を比較したもの。写真中央部にある脳側室が大きくなり、全体的に小さくなっていることがわかる。脳は30歳前後をピークとして、萎縮が始まるとされる。1日およそ約10万もの神経細胞が減少するとされ、60〜65歳ごろにはMRIの画像を見ても、萎縮していることが明らかになってくる。


(写真:公益財団 長寿科学振興財団 健康長寿ネット「脳の形態の変化」)
http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100015/032000006/?SS=imgview&FD=723670982


 さらに柿木教授によると、「日常的にアルコールを大量に飲んでいた高齢男性を調査した研究によれば、あまり飲まない男性に比べて認知症の危険性が4.6倍にもなり、うつ病のリスクも3.7倍になったとの報告もある」。

生涯のアルコール総摂取量と萎縮の程度の関係について、学術的な結論はまだ出ていないとのことだが、飲み過ぎが脳疾患のリスクを何かしら高めてしまう可能性はやはり否定できない。


「アルコールで脳を鍛えられる術があれば、左党の私が知りたい(笑)」

 飲み過ぎれば認知症やうつ病のリスクを高めることを知ってもなお、酒を止められないのが左党というもの。以前、この連載で、「日常的に酒を飲むことで、ADH(アルコール脱水素酵素)活性が高まる可能性がある」(「鍛えれば酒に強くなるは迷信!?」)という話を紹介したが、脳に関しても、同様の“トレーニング効果”は期待できないのだろうか。柿木教授に問うてみた。

 「残念ながら、脳科学者の立場から言うと、飲酒の機会を増やしたとしても、肝臓のように、アルコールで脳を鍛えることはできません。もし鍛えられる術があれば、左党の一人でもある私も知りたいです(笑)。脳にとってアルコールは、生理学の観点から言っても、そもそも毒なのですから」

 “毒”とまで言われてしまうと、一瞬ひるんでしまうが、科学的に合成された薬も毒の一種であることに違いはない。また、日本には、古来から「酒は百薬の長」という言葉もある。脳に対する酒の効用は、全くないのか。


 すがるような思いの左党にとって、“一筋の光”となるかもしれないグラフを下に紹介する。

飲酒量とによる認知症のリスクの関係を調べたある研究では、ほどほどの量(週にビール350mlを1〜6本)を飲んでいる人が、認知症のリスクが最も低くなるとの結果が出ている。つまり、毒と薬は紙一重? さじ加減さえ間違えなければ、酒は脳にとっても“百薬の長”となる可能性が示唆されている。


適度な飲酒は「認知症」のリスクが最も小さくなる


65歳以上の男女3660人を対象に、米国4地域で行われた「飲酒と認知症のリスク」を調べたコホート研究。対象者は1992〜94年の間にMRI検査を受け、その後、1998〜99年に再び同じ検査を受けた。

結果、1週間あたりビール350ml、1〜6本相当の適度な飲酒は、「全く飲まない人」と1.0として比べたときに、最も認知症のリスクが低くなることがわかった。


(出典:JAMA;289.(11),1405-1413, 2003)
http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100015/032000006/?SS=imgview&FD=-1174796919


脳の委縮は少し進むが、あまり心配する必要はなし

 「アルコールは脳を確かに萎縮させますが、記憶に関わる『海馬』や身体のバランス機能を担う『小脳』のように、脳内でも重要な領域が急激に変化しない限り、日常生活に支障を来たすことはありません。飲み過ぎない、適量を守るというルールを決めれば、脳の委縮が少し進むこと以外、あまり心配する必要はありません」(柿木教授)

 自身も大酒飲みだと自称する柿木教授は、飲み過ぎ対策として、「時間を決めて、家族に車で迎えに来てもらうことがある」という。家族がわざわざ迎えに来たら、「もう少し」と思っていても、やはり帰らざるを得ないからだ。健康をキープしながら、大好きな酒を生涯飲み続けるためにも、「もう一杯飲みたいな」と感じたところで盃を置く理性をキープする。これこそが脳、身体にとっても負担がない飲み方なのだ。
http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100015/032000006/


どうして酔っ払いは同じ話を繰り返すのか?
アルコールは「前頭葉」「小脳」「海馬」を麻痺させる
http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100015/022300005/?ST=food&P=1


業務中ではしっかりしている人でも、ひとたび酒が入ると違った一面が見えてくるもの。その原因は一体何なのだろうか?

 酔っ払いの行動は滑稽で突飛(とっぴ)だ。杯を重ねるにつれ、あきれるほど同じ話を繰り返したり、電車で帰ればいいものを、わざわざ歩いて帰ってみたり…。こうした特有の行動の裏側に、実は脳とアルコールの不思議な関係がある。アルコールによる脳の影響について、ヒトのからだと脳の働きを研究している自然科学研究機構生理学研究所の教授で、医学博士の柿木隆介先生に話を聞いた。

 「脳には、脳にとって有害な物質をブロックする『血液脳関門』があります。いわば脳のバリア機能を果たす器官で、分子量500以下のものや、脂溶性の物質に限って通過することができます。この2つの条件を満たすアルコール(エタノールの分子量は46.07)は、脳関門をやすやすと通過し、脳全体の機能を一時的に“麻痺(まひ)”させるため、さまざまな行動を引き起こすのです」(柿木先生)

 柿木先生によると「アルコールによる影響が出やすいのは前頭葉、小脳、海馬の3つ。前頭葉は人間の思考や理性の制御、小脳は運動機能の調節、海馬は記憶の保存を司っています。しらふでは到底考えもつかない、酔っ払いならではの奇行は、これらの部位の機能低下によって引き起こされる」という。


図1◎ アルコールによって麻痺しやすい「前頭葉」「小脳」「海馬」の位置と機
http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100015/022300005/?SS=imgview&FD=-654642772


アルコールは脳全体の機能を麻痺(機能低下)させる。中でも前頭葉、小脳、海馬の影響が最も表れやすい。


前頭葉が麻痺すると出てくるのが「ここだけの話…」

 「正常時、脳は“理性のガードマン”とも言える前頭葉によって、理性的な行動が保たれています。しかし一旦アルコールが入ると、前頭葉は徐々にガードマン的な役割から解き放たれ、結果的にコントロール機能が低下します。ほろ酔いになってくると、例えば、悪口や秘密、自慢話を言いたがる人がいるでしょう? 初期段階では『ドーパミンやアドレナリンなどの脳内ホルモンによる興奮作用がそうさせる』という説もありますが、普段なら絶対に言わないことをしゃべり始めるのは、前頭葉が麻痺し始めた典型的な状態なのです」と柿木先生は明かす。
 
 行動は人によってさまざまだが、やたら大きな声でしゃべる、下ネタを話す、遠い距離でも歩いて帰ろうとする―なども、前頭葉が麻痺することが原因。酔いが深まるにつれて、前頭葉の理性を抑制する力は徐々に弱まってゆくそうだ。酒の席でよくありがちな「ここだけの話…」もまさにこれ。アルコールによって“解放された”前頭葉は、どこまでも人をおしゃべりにさせる。


千鳥足の原因は小脳の麻痺


アルコールで小脳が麻痺すると、スマホの操作など細かな作業が難しくなる。(©ratchanida thippayos-123rf)

 しかし、悪口や自慢話を言っているうちはまだ軽度。さらに酔いが進むと、ますます挙動にも影響を及ぼしてくる。こうしたことに関与しているのが小脳だ。

 小脳は平衡感覚、精緻な運動や行動(細かい動き)、知覚情報などを司る部位。「アルコールによって小脳の機能が低下してくると、運動のスムーズさや正確さが保てなくなる。そのため、 千鳥足になる、呂律(ろれつ)がまわらなくなる、スマホを操作するなど指先を使った細かい動作ができなくなるといった、一見して誰もが“酔っ払い”と認識できる状態になります」(柿木先生)。

ひどく酔っ払っても家に帰れるのは長期記憶のおかげ

 多くの酒飲みが経験している「記憶の忘却」。翌朝、「二次会の店でお金を支払っただろうか?」と、振り返って不安になる。一緒に飲んでいた人に聞いてみると、「きちんと会話していたし、お金も払っていたよ」と言われ、胸をなで下ろすものの、当の本人は全くといっていいほど記憶がない。その謎を解く鍵は海馬が握っていた。

 「海馬は短期記憶を残し、それを長期記憶に変えるという2つの役割があります。短期記憶とは、新たなことを一時的に記憶するだけで、覚えていられる時間はごくわずか。例えて言うなら、パソコンにキーボードでデータを入力して、それをセーブせずに電源を切ってしまうようなもの。酔っ払いが何度も同じ話をしたり、きちんと精算を済ませたかを覚えていないのは、『1度話をした』という記憶をセーブしていないからです」(柿木先生)。だから、酔っぱらいは同じ話を何度も繰り返す。

 だが、どんな会話をしたか覚えていなくとも、カーナビで自宅を目的地設定したかのように家に帰りつけるのはなぜだろう。「それは長期記憶のおかげ」と柿木先生は明かす。

 「長期記憶は“思い出記憶”“エピソード記憶”ともいわれ、脳に長く留まる記憶です。帰宅するまでの道のりは、毎日同じ道を繰り返し通ることで、長期記憶として固定化されます。日々記憶の格納庫から記憶を取り出しているので、酔っていても容易に記憶を取り出すことができます。ほとんど意識がない状態でも家に帰ることができるのはそのためです」(柿木先生)。例えば、旅先や出張先などで酔いつぶれてしまうと宿泊先に戻れなくなるという珍事も、経路が長期記憶として定着していないことと関係している。

 こうしてアルコールと脳の関係性をひもといていくと、酔っ払いの全ての奇行に説明がつく。だが「酒の席だから」と笑っていられるのは、かなり酔っ払った本人だけ。さほど酔っ払っていない人は、常に冷静な目で酔っ払いを観察している。心当たりのある方は、評判を落とさぬよう、今一度、酒との付き合い方を見直してはいかがだろうか。
http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100015/022300005/?ST=food&P=1

ワインを毎日飲んでる女性は全員 癌になってるし、脳はスカスカになるし

お酒だけは止めといた方がいいです。



酒を飲むとバカになる _ アルコールが7種のガンの直接的要因であることが判明
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/723.html#c1


自分が向上することを前提としてはいけない。それは正しい現実認識ではないからだ。それよりも、劣化することを前提としなければならない。つまり、肉体と知能のピークを過ぎたと実感した人は、弱くなっていく中でいかに生きるのかという現実主義の人生哲学が必要となっていく。
https://www.bllackz.net/blackasia/content/20170924T0348510900.html


 


88. 中川隆[-6371] koaQ7Jey 2017年10月03日 18:36:46 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

レイ・ダリオ氏率いる世界最大のヘッジファンド、Bridgewaterは顧客宛ての書簡で、Fed(連邦準備制度)の進める金融引き締め政策が失敗する可能性が高いと警告した。ダリオ氏は少し前に、Fedが金融引き締めのペースを見誤り、アメリカ経済が景気後退に陥るシナリオを懸念していた。

ここ最近のダリオ氏は貧富の差の拡大を懸念しており、アメリカ経済全体の平均が上手く行っていたとしても、その平均値は一部の億万長者によって引き上げられたもので、経済のうち貧困層の部分は既にリセッションに陥っている可能性を指摘している。

その状態で金融引き締めを行えば、富裕層は耐えられたとしても、貧困層の経済にとっては致命的な結果となり、暴動や社会不安に発展する可能性をダリオ氏は恐れている。
http://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/6877


89. 中川隆[-6353] koaQ7Jey 2017年10月05日 13:45:34 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

アメリカ経済は悪化しつつある
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2017/10/post-e2f0.html
マスコミに載らない海外記事
2017年9月29日Paul Craig Roberts

ウオール・ストリート・ジャーナル論説ページの編集者は自分の新聞を読んでいるのだろうか?

労働者の日の週末の一面見出しは“賃金伸び率の低さが連邦準備金制度理事会の難題”だ。完全雇用を意味する4.4%の失業率とされるものにもかかわらず、賃金上昇はない。一面記事は、経済は完全雇用で拡大しているとされるが、賃金の上昇も、インフレもなく、連邦準備金制度理事会の政策決定を困難にする謎だ”と正しく指摘しいる。

論説ページの“編集者への手紙”で、カリフォルニア州立大学のトニー・リマ教授が、私が長年強調していることを指摘している。“就業率は、史上最低のままだ。労働力率が大きく減少しているのは18-34歳のグループで、55歳以上の労働力率は増加している。”リマ教授は、アメリカ人労働者の調子が良くない証拠は、益々多くのアメリカ人には、収入が切り詰められ、医療などの付加給付がないパートの仕事しか見つからないことだと指摘している。

この事実に基づく手紙のすぐ横に、一面記事も教授の手紙も読まない誰かが書いた社説がある。社説にはこうある。“今年の労働者の日最大の労働の話題は、アメリカ全土で、雇用者は労働者を捜すのに苦労していることだ。” ウオール・ストリート・ジャーナルの論説ページ編集者は、労働力不足とされるものの解決策は、各州が500,000件の就労ビザを外国人に発行するのを認めるロン・ジョンソン上院議員(共和党 ウィスコンシン州選出)の法案だと考えている。

私が、ウオール・ストリート・ジャーナル編集者、コラムニストだった当時なら、この論説を拒絶する問いがなされていたはずだ。例えば、給料を押し上げる圧力が存在しないのに、一体どうして労働力不足なのだろう? 逼迫した労働市場では、雇用者が労働者を奪い合うので、賃金は競り上がる。例えば、就業率が史上最低なのに、どうして労働市場が逼迫しているはずがあろう。雇用があるなら人々は職につき、就労するので、就労率は上がる。

24-34歳のグループのアメリカ人の益々多くが、自活せず、実家で両親と暮らしており、55歳以上の人々が、パート仕事をしているという連邦準備金制度理事会の研究を何度も私は報じてきた. 一体なぜだろう? パート仕事では、自活できるだけの収入が得られず、連邦準備金制度理事会の十年にもおよぶゼロ金利政策の結果、退職後用の蓄えは何の収入ももたらさないので、退職者に就労を強いているというのが答えだ。労賃を切り下げ、重役と株主への支払いを最大化すべく、外国人に移転されているのは、製造業の中産階級ブルーカラー雇用のみならず、ソフトウエア、設計、会計やITなどの、アメリカ人が、学資ローンを返済するために就きたがっている移転可能な専門職雇用もだ。

ウオール・ストリート・ジャーナル論説は、若者が就労しないのは、薬物漬けだったり、障害者だったり、教育が足りなかったりするせいだと主張している。だが、アメリカ中に、良い教育を受けたのに、雇用が海外移転されているため仕事を見つけられない大学卒業生がいる。危機を悪化させるべく、あるウィスコンシン州選出共和党上院議員は、就労許可で、より多くの外国人を招き、アメリカの賃金を更に押し下げ、アメリカ人が誰も、賃金で暮らせなくしようとしたがっているが、ウオール・ストリート・ジャーナル論説ページは、この茶番を支持しているのだ!

就労ビザの外国人の給与は、アメリカの現行賃金より三分の一低い。彼らは狭い部屋で共同生活をしている。彼らには被雇用者の権利がない。重役のボーナスと、株主のキャピタル・ゲインを増やすべく、彼らは搾取されるのだ。著書、The Failure of Laissez Faire Capitalism (Clarity Press、2013年)で、私はこの構図を詳細に暴いた。

トランプが雇用を国内に戻すつもりだと語った際、彼は人々の共感を得たが、もちろん、、ロシアとの関係を正常化することを許されないのと同様、雇用を国内に戻すことを彼は許されないのだ。

アメリカでは、政府は国民の手中にはない。政府は巨大な政治力を有するひと握りの集団の手中にある。選挙結果とは無関係に、ひと握りの集団の支配が優先するのだ。アメリカ人は、これまでにあったあらゆるものより過酷な奴隷制の世界に入りつつある。雇用がなく、常に削減されかねない、したたり落ちる恩恵をご主人たちに依存し、発言権も、代表議員も出せないアメリカ人は、1パーセントを除き、歴史上最も奴隷化された人々だ。

アメリカ人は借金を累積させて、負債の奴隷と化している。多くはクレジット・カードの最低金額しか支払えず、借金は累積する。連邦準備金制た度理事会の政策によって、金融資産価格は高騰した。その結果、大多数の国民には可処分所得がなく、価値が現実に適応するまでは、金融資産を持っている連中は裕福だ。

経済学者として、アメリカ合州国の経済ほど、下手に運営され、前途の見通しが酷く損なわれる経済を、歴史の中で思いつくことはできない。政策は短期/中期的に、アメリカ労働人口の将来性を損ない、雇用の海外移転で、企業経費を低減し、経済の金融化で、残った可処分所得は、利子や金融部門の手数料に変わり、1パーセントの連中が恩恵を受ける。しかし、消費者の可処分所得が消滅し、借金の負荷が増大するので、総需要はぐらつき、経済を駆動するものは何も残らない。

アメリカ合州国で、我々が目にしているのは発展過程を逆転させ、産業、製造業や移転可能な専門職を外国に渡して後退する最初の国だ。労働力人口は、国内サービス業の低賃金雇用が高生産性、高付加価値の雇用に取って代わる第三世界のものと化している。

最初の対応は、妻や母親を働かせることだったが、今や多くの共働きの家族でさえ、物質面での生活水準は停滞するか、悪化している。大学新卒者は、借金を返済するのに十分な収入を得られる雇用がなく、膨大な借金に直面している。

今アメリカは、過去への逆戻りの道を一層早く進んでいる。ロボットが益々多くの仕事を奪い、益々多くの人々を追い出すことになっている。ロボットは、家や家具、電化製品、車、服、食品、娯楽、医療などを購入しない。ロボットが給与税を支払わない限り、社会保障やメディケア用の資金調達は崩壊する。以後は衰退が続く。消費者支出はひたすら枯渇することになるが、ロボットが製造した商品や提供するサービスは一体誰が買うのだろう?

これほど重要な考察が広く論議されていないことが、アメリカ合州国が現在の産業空洞化、脱製造業化の道を進み続けるだろうことを示唆している。

Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Order.が購入可能。

----------
会社の品格を信じていない、あるいはその政治傾向に反対なので、PayPalを使いたくないという方々は、Stripeを使われるか、私ではなく、Institute for Political Economyを受取人とする小切手を下記にお送り頂ける。
Wells Fargo, 23046 Panama City Beach Parkway, Panama City Beach, FL 32413.

外国の方々で、国際的にStripeがお使いになれない場合には、受取人とする国際郵便為替を、上記銀行宛てにお送り頂ける。PayPalを信じないということが、このウェブサイトをご支援されない口実にはなるまい。


90. 中川隆[-6339] koaQ7Jey 2017年10月08日 12:28:56 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017年10月08日
アメリカは借金で経済成長を買い、一般家庭に押し付けた

借金や毎月の支払い、増えない賃金、上がる物価がアメリカの一般家庭を圧迫している
引用:カリフォルニアの住宅http://img-cdn.jg.jugem.jp/252/475963/20100416_622236.jpg

アメリカは借金で経済成長を買っている

アメリカはリーマンショック以来、8年にも渡って経済成長を続けてきました。

成長の枝葉を見ればIT産業の隆盛だが、もっと根元の部分に注目すると、債務と成長率の交換だと言える。

リーマンショックの時、ブッシュ政権時代に米国の公的債務は約30兆ドルと言われていました。



それが今では50兆ドル以上と言われていて、日本政府が言っている1050兆円の4倍以上に相当する。

アメリカは連邦制なので公式発表している「国の借金」は連邦債務だけであり、国全体の公的債務は通常は公開されない。

米ソ冷戦時代には国の借金は国家機密として守られていて、現在も公表されていません。


シリコンバレーという米IT企業の総本山は、米国防省が核ミサイルなどの研究を外部委託して始まった軍需城下町です。

アメリカは年間数十兆円もの軍事予算を投入するので研究費も莫大であり、膨大な軍事研究費は米IT企業を作りました。

初期の研究はマンハッタン計画すなわち日本に原子爆弾を投下することで、アポロ計画でも莫大な投資が行われました。


こうした『公共事業』がシリコンバレーやマイクロソフトを形成したので、おめでたい有識者が言うような創造性とは何の関係もありません。

アメリカがリーマンショック後に行ったのも、要するに公共事業を行って景気を良くするという事でした。

たった8年間で1000兆円以上も、アメリカの借金が増えている事実からは、「借金を成長率に交換した」と言えます。

経済成長したのに貧しくなった

借金と成長率の交換は中国も行っていて、中国のGDPはアメリカの半分以下なのに、既に3,000兆円以上の借金があると言われています。

こうした数字を掲げているのは世界的な経済メディア、格付け会社、大手投資機関などで、事実だと考えられます。

経済の基礎として「資産=負債」で両者は必ず釣り合うので、経済成長して資産が増加すれば、同じ金額の借金がどこかで増加した筈です。


アメリカと中国に関しては、借金で成長を買ったのだが、この間日本の借金はあまり増えませんでした。

アメリカは成長によって富裕層は莫大な富を増やしたが、富裕層でないほとんどの人は、1980年代より相対的に貧しくなりました。

豊かさは相対的なものなので、自分の給料が増えても平均所得より低いなら、貧しくなった事になります。


借金で成長を買うとこのように、見えない借金によって平均的庶民はどんどん貧しくなって行きます。

例えばアメリカではインターネットが通じない地域に住む人が2000万人居て、金にならないのでずっと放置されています。

こうした地域は大きな医療施設もなく、教育施設も限られていて、近代的な就職先も存在しません。


アメリカは8年間経済成長したのだが、最近は賃金上昇率が年3%未満に留まっています。

アメリカのインフレ率が年2%以上なのを考慮すると、実質的な賃金上昇は限りなくゼロに接近しています。

米IT企業たちはますます繁栄しているが、ITと無関係な労働者たちはどんどん貧しくなっています。

成長で置き去りになった低所得者

成長しても賃金が上がらないのは世界的な傾向で、ITやAIのせいとも言われるが、理由は良く分かっていません。

一般的労働者の収入は増えないのに、経済成長によって家賃や公共料金は値上げされています。

最近では大学進学率が上がった結果、大学に行かなくては「まともな職」につけなくなり、大学ローンの負担も増加しました。


家賃や自動車リースなど借金以外の毎月の支払いは平均5.5%で、最悪だった1980年代と同水準になりました。

アメリカで持ち家世帯の年収は6万3400ドルなのに、借家世帯の年収は2万7800ドルに過ぎません。

アメリカで自動車は不可欠だが、買うよりリースする人が増えています。


だが自動車リースは、当たり前だが購入するより支払い金額が多くなり、さらに支出を増やしています。

自動車リースを利用するのは現金を用意できない低所得者だが、リースを利用すると支出が増えてしまいます。

携帯電話やインターネット料金も1980年代の過去にはなかった物で、一般労働者の生活を苦しめています。


これらの始末が悪いのは、必ず必要で、永続的に支払いが続き、逃れる事が出来ない点です。

さらにアメリカの医療費の高さは有名で、オバマケアで改善されたが、高い事に変わりはありません。

アメリカでは国全体のホームレス集計をしていないが、各地を合計すると推定で10万人程度ではないかと言われています。


さらに貧困家庭が4500万人以上、貧困予備軍が1億人とも言われています。

一度貧困予備になってしまうと毎月の支払いで圧迫されて、そこから這い上がるのが難しいです。

結局成長の豊かさはビルゲイツのような富裕層が甘受し、成長のための借金は貧困層に押し付けられるのです。
http://www.thutmosev.com/archives/72982065.html


91. 中川隆[-6333] koaQ7Jey 2017年10月08日 14:39:32 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

企業の内部留保(というより、現金預金)の巨額さが問題になっています。
というわけで、希望の党のように「内部留保課税」などと私有財産権の侵害を言い出す政治家がいるのですが、あれは根本からおかしな話です。


 なぜならば、企業に現預金を過剰に余らせたくないならば、法人税率を引き上げれば済む話であるためです。ストックではなく、貯まる前のフローに課税をするのです。


 企業に貯まる現預金の「出所」がどこか、経営者なら全員が分かるはずです。もちろん、純利益です。税引き前利益から法人税を差し引かれた残り、純利益が現預金として貯まるのです。

 ならば、法人税を増税すればいい。


 しかも、法人税が増税されると、わたくし達経営者はできるだけ「税引き前利益を残さない」ように経営を始めます。すなわち、人件費を増やし、交際費を増やし、そして減価償却費(投資)を増やします。デフレ脱却のためには、まことに有効な施策になります。


 ところが、そんなことをすると純利益が減ります。ただでさえ費用が増え、税引き前利益が小さくなっているところに、法人税率が引き上げられれば、ますます純利益が減ります。


 それを許せない人たちがいるのです。もちろん、純利益から「配当金」「自社株買い」により利益を得ることができる、グローバル株主たちです。


 安倍政権の法人税引き下げにせよ、希望の党の内部留保課税にせよ、「純利益を減らさない」という点は共通しています。すなわち、両者ともにグローバリズムなのでございます。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12317377064.html

新自由主義的な政策、
もしくはグローバリズムの政策には、
表面的にお化粧を施し、
「国民のための政策です」と
装っているものが少なくありません。

代表が、ベーシックインカムです。

ベーシックインカムは、元々は
新自由主義の祖たる
ミルトン・フリードマンが言い出した政策
なのですが、簡単に書くと
「小さな政府」における社会保障です。

既存の公的年金、失業手当、生活保護、
公的医療保険等、社会保障の制度は全て廃止。

高所得者層から低所得者層へ
所得を機械的に渡し、
生き延びるために必要な
最低限の所得を保障する。

結果的に、社会保障支出が「削減」できる。

これが、ベーシックインカムです。

低所得者層は、受け取る所得税
(ベーシックインカム)で日常生活はもちろん、
医療、将来の保証等を全て賄い、
政府はそれ以上の面倒を一切見ません。

ベーシックインカムだけでは、
非常事態(事故による負傷や重病等)
に対処できない?
そんなものは、自己責任です。

しかも、高所得者から低所得者に
機械的に所得が分配されるため、
生活保護の不正受給といった問題も出ません。

ね、効率的でしょ? というお話。

低所得者層は、所得税を払うのではなく
「貰う」ことになるため、負の所得税
と呼ばれたりもします。

とはいえ、日本の政治家が
「ベーシックインカム」と口にする際に、
上記の「仕組み」について
説明することはありません
(一度も聞いたことがないです)。

国民は単に
「え? 働かなくてもカネをもらえるの?」
と、ベーシックインカムの本質に気が付かず、
「良い政策だ!」などと思ってしまうわけです。

ちなみに、今回の総選挙において、
ベーシックインカムを公約に掲げたのは、
希望の党でした。
https://38news.jp/economy/11159


92. 中川隆[-6353] koaQ7Jey 2017年10月09日 08:13:21 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017年10月9日
【三橋貴明】安倍政権の経済政策の「全て」が間違っている理由
https://38news.jp/economy/11162


少子化が国難というならば
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12317090870.html

安倍政権の経済政策の過ち
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12317377064.html

安倍政権の経済政策の
「全て」が間違っている理由は簡単です。

目的をはき違えているのです。

そもそも、デフレーションとは
国民が貧困化する
(国家全体ではGDPが減る)
経済現象です。

問題は、国民の貧困化であり、

「株価が低い」
「対内直接投資が少ない」

といった話は、本質でも何でもありません。

というよりも、デフレで需要が縮小している国に対する、
海外からの投資が少ないなど、当たり前です。

何で、儲からない国に投資を
しなければならないのでしょうか。

ところが、安倍政権は
「国民の所得を実質値で引き上げる」
という正しい目標に背を向け、
グローバル投資家を利する、

「法人税は無条件で引き下げなければならない」

「労働規制緩和で、派遣労働を拡大する」

「さらに、残業代ゼロ制度を導入する」

「金融緩和で円安をもたらし、
外国人株主の買いを増やし、日経平均を引き上げる」

「同じく円安で、外国で稼ぐ企業の
日本円建て利益額を膨らませる」

「コーポレートガバナンスだ何だと、企業を
ROE(自己資本利益率)重視の経営に走らせる」

「年金や中央銀行も、日本株を買うことで
株価引き上げに貢献する」

といった政策を推進してきました。

上記は全て、企業の「純利益」を増やす
政策になります(及び株価上昇)。

別に、企業の純利益を増やすこと自体を
問題視したいのではありません。

誰のために、行われたのか。
が、ひたすら問題なのです。

誰のための、純利益拡大なのか。

もちろん、配当金の支払いや自社株買い、
株価上昇により「自己利益」の最大化を果たせる、
グローバル株主のためです。

安倍政権の経済政策の目的は、
グローバル株主の利益最大化だったのです。

大本の目的が間違えている以上、

【日本の一般企業の現預金残高(左軸)と月額給与(右軸)の推移 】


http://mtdata.jp/data_57.html#gennyokin

のごとき惨状になってしまったとしても、
むしろ当たり前なのでございます。

ちなみに、新自由主義的(グローバリズム)
的な理想の税制は、法人税と所得税ゼロ、
税金は「人頭税」で賄うです。

もっとも、人頭税は
国民の反発が大きいため、
代わりに「法人税引き下げの代替財源」
として広まっていったのが、
「消費税」なのでございます。

国民はグローバリズム=デフレ化政策の下で、
社会保障を削られ、消費税を増税され、
企業の労働分配率を引き下げられ、
ひたすら貧困化していきます。

つまりは、人件費が下がっていくわけです。

「人件費が下がることは素晴らしいことだ。
何しろ、グローバルな国際競争力
(=価格競争力)が上がる」

という理屈で、我が国において、
ひたすら「グローバル株主」を利する
政策が行われてきました。

結果的に、若い世代の
所得が下がっていき、結婚が減り、
少子化が止まらない。

日本の少子化は、
政府のデフレ化政策の当然の結末なのです。

この現実に国民の多数派が
気が付かない限り、
我が国の国民の貧困化と少子化、
そして「小国化」は終わりません。
https://38news.jp/economy/11162


93. 中川隆[-6347] koaQ7Jey 2017年10月10日 17:45:40 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

(2010.10.15) ジャーナリスト・堤 未果さんに聞く  貧困大国アメリカで今、起きていること
http://www.jacom.or.jp/archive03/tokusyu/2010/tokusyu101015-11261.html


 米国には1960年代から貧困層に食料交換クーポン券を配布する「フードスタンプ」という食料費補助政策があるほか、学校給食にも「無料―割引給食プログラム」がある。これらは同国が食料・農業を重視している姿勢を示すものとの受け止め方もある。

 しかし、

『ルポ貧困大国アメリカ』
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4004314305/asyuracom-22/


で堤さんが描いたのは、市場原理の導入で食ビジネスに参入し利益を上げようとジャンクフードを大量に提供する巨大企業と、それによる肥満児童の急増、医療費の増大、そして格差拡大の悪循環という姿だった。

 堤さんは「いのち、暮らし、教育といった人間の根幹が『市場化』されたとき、一体どうなるのか、私たちは考えるべきです」と話す。市場原理主義の行き着く先、を聞いた。


「オバマを動かせ!」

◆ジャンクフードでも死にはしない!?


ジャーナリスト・堤 未果さんに ――最初にフードスタンプ制度の実態からお聞かせいただけますか。


 アメリカは今、史上最大に格差が広がってしまったこともありフードスタンプはまさに生命線です。新規申請者が一日2万人のペースで増えています。フードスタンプ自体はやはり考え方がキリスト教ベースいうこともあり、困っている人への福祉政策としてとても支持されています。

 しかし、この制度は人間にとって食とはどういう意味があるかを考えてのものではなく、ぎりぎりのところで飢え死にはさせないようにという政策です。予算もかなり絞られている。

 するとたとえば4人家族で1か月平均100ドル(約1万円)のフードスタンプをもらい、さあ1か月の食事をまかなおうと思ったとき、どうなるか。多くの家庭ではできるだけ安く、調味料も調理器具もいらない、栄養の知識がなくても作れて少量でお腹がいっぱいになるもの、ということになる。

 そうすると当然インスタント食品が中心になりますから、それを99セントストアで買ってくる。99セントストアや大手ディスカウントフードショップが潤っていくわけですが、そういった企業はたとえば、途上国で大量生産した安い農産物を原料に添加物などをたっぷり入れることで食品を安く市場に出している。

 99セントストアが出てきたときには、よかったね、これで貧しい人たちも人並みの食事ができるね、とアメリカでも言われたのを覚えています。しかし、実は安売りストアがたくさん出てくるということは食の質も文化もやせ細り、アメリカ国内の農業もやせ細っていくということ、結局、「食も職も」なくなってしまうことに気がつかなかった。

 安ければ安いほどいいんだという安価信奉が、90年代に起きた「外注革命」を加速させて、本当にひどいことになってしまったのだと思います。

◆学校給食も利益の標的


 なぜそうなったか? 一言でいえば、食も含めた子育て、医療、教育、雇用など国の根幹を、政府が責任を持つ代わりに市場化してしまったからです。

 かつて中流層がしっかりしていた「よきアメリカ」の時代には税金を社会保障として還元するという考え方を、当時はソ連に対抗するという政治的な意味からも大事にしていた。ところが、ソ連が崩壊しナンバーワンになったとき、世界で力を持つにはやはり大企業の国際力だと、法人税を下げ社会福祉を切り捨てた。

 大企業を大事にするのは市場化を進めることと同義語ですから、競争力をつけるために、たとえば食であればいちばん効率よく利益を出すために人件費とクォリティが削られる。

 ですからフードスタンプとは「食べ物は心と体をつくるとても大事なもので人間の基礎であり国にとっては財産なんだ」という考え方が前提にあっての政策ではなく、市場化の加速とともに「貧困肥満」を増大させています。いまアメリカ人の死因の第2位である「肥満」は医療費をどんどん押し上げ、年間6万人が死亡しています。フードスタンプはこうして間接的に社会問題を深刻化させる制度と化しているのです。

 食の市場化はフードスタンプだけでなく子どもたちの学校給食にもじわじわと浸透しています。

 アメリカでもかつて学校で自前で給食をつくっていたんです。ところが国が教育予算をどんどん削っていったためにできなくなった。経営が苦しい学校に、待ってましたとばかりにピザハットなどのファストフード企業が「ウチと契約すれば大量に安く給食を提供できますよ」と近づいてくる。それで給食のコストだけでなく質がどんどん低下しました。保育園まで契約していて離乳食が終わったばかりの子どもがピザを食べています。

 国民の心と体の健康は財産だという考え方を、国は放棄したということです。みなさん、どうぞご自由に。大企業さん、どうぞマーケットに、と。

◆教育でも民営化レース!?


 最近、アメリカ法務省は史上最悪の貧困率だと、とうとう発表しました。本当に貧困大国になったと政府が公式に認めたということですね。大人の失業率は実質20%ですから、フードスタンプをもらう人は史上最高の5000万人近くになっています。07年は約2800万人でしたから異常な増え方です。

 一方で大統領夫人、ミシェル・オバマは新しく肥満児対策のキャンペーンを始めました。栄養を考えた食事を、そして、もっと体を動かそうよ、と。

 ところが、今、アメリカは教育を市場化しています。日本ではあまり報道されていませんが、すべての自治体が赤字なので大統領は賞金をエサに州に教育民営化レースをさせている。

 これは、たとえばテストの点数を上げるため、関係ないムダな教科は廃止するといったまさに市場原理でアイデアを競争させ、これにそった政策を成立させた州が賞金を獲得するというレースです。赤字の公立学校をつぶしてできるだけ民営に変えていくという条件に教育現場は悲鳴をあげて反対していますが、不況のうえ国が教育予算をどんどん切っているために州に選択肢はなく、立て直すにはこの賞金を狙うしかない。

 そうするとどうなるか? 競争強化の中でテストに関係ない体育の授業が減らされる、もしくはなくなっていくわけですよ。運動しないからジャンクフードを食べている子どもたちの肥満をさらに深刻化させる。 そもそも政府が公教育予算を切り民営化を進めたところから、給食のジャンクフード化も子どもの肥満も始まっているのに、大統領夫人は食品業界にもっと栄養表示をして塩分を減らせとよびかけ、こどもたちにはもっと体を動かしましょうというキャンペーンをやる(笑)。こういう非常に矛盾したことが起きているわけです。

 アメリカはブレーキが壊れた市場原理主義が暴走しているのです。取材していて思うのは、市場化、日本で言う民営化ですが、これは一度やってしまうと勝手に動き出し、自分で加速していくということです。どこまでも効率良く、どこまでも利益を上げるように走り出し、終わりがありません。

◆「個」を「数」にする社会

 ――ルポ第二弾では「刑務所という名の巨大労働市場」というショッキングなレポートがありますが、まさに象徴ですね。

 「刑務所ビジネス」を取材した時、ああこれが市場原理主義による労働市場の最終完成形だ、と確信しました。国内の非正規労働力よりももっと安くと、最初はインドなどの労働者を使ったけれども、インドの労働者だって月800ドルかかる。そこでもっと安い時給はないかと考えたら、灯台もと暗し、刑務所にいる受刑者に働かせることだった、というわけです。

 ところでアメリカは「テロとの戦争」をしていますが、実際は敵がいるようで見えないわけですからテロリストの最後の1人がいなくなるまでずっと戦争状態にしておけるわけですね。国はそれを最優先するという名目で教育、労働、医療などは後回しにできる。

 これを後押しするのが「愛国者法」という法律ですが、テロリストから国民の安全を守るといいながら自国民を監視している。これは市場化を邪魔させないためです。市場化とは国民を分断することですから。それに対してものが言えないようにするためには、まずはテロの恐怖で押さえつけるということをやった。

 そして、それに対しておかしいと人々がまとまって声を上げた労働組合や協同組合的な組織は次々にターゲットになりました。

 つまり、仮想敵を作り恐怖で人々を押さえつけつつ、実は市場化を邪魔しないよう個人をバラバラにしておく政策も進めてきた。

 わかりやすい例をあげましょう。社会の治安を守るという名目で導入された「スリーストライク法」というのがあります。これは前科が何かに関わらず3度目の有罪で終身刑になるという法律。これで受刑者が増えるから刑務所の安い労働力も増え企業は競争力を保つ――。こういう構造になっているわけです。

 今、不穏な気配を感じさせたらそれだけでみんな捕まりかねない。警官にもノルマがあるから。ここまで市場原理主義の徹底です。

 「市場化」からわかることは、市場化の下では国民が名前や顔、それぞれの歴史、家族、夢、などを持った一人ひとりの「個」ではなくて、「数」になってしまうんですね。あるいは「消費者」とか「モノ」になる。

 これに対してヨーロッパなどでは国民を市民として見ている。市民は権利を持った個です。今、世界が2つに分かれていて、では日本はどっちを選ぶのか? という岐路に立っていると思います。

 そのとき「個」にとって非常に大事なファクターに「食」がある。だから農協のみなさんは、国の未来にとっての「食」の意味を投げかける存在として大きな使命をもっていらっしゃると思います。なぜなら、食とは一体国にとって何なのか、ということが今ほど強く問われた時代はなかったように思うからです。食やエネルギーを他国に依存してしまうと絶対的に弱い立場になります。

 だから自給率を上げることはあらゆる面で日本が対等になる必要不可欠なことだと思います。

◆結託強める政治と企業


 ――日本に先駆けたアメリカの政権交代には期待も高かったと思いますが。


 「チェンジ」をかかげた選挙は、本当に期待が高かったです。けれどあれから1年がたち、いまアメリカの市民で起きているのは「ムーブ・オバマ」の運動です。オバマが大統領になって全てうまくいくかと思ったらその逆で、貧困率は急上昇し戦争は拡大し教育はさらに競争が強化され、格差はついに史上最大になってしまった。

◆ ◆ ◆

 国民はハッと気がついたのです。素敵なリーダーに丸投げして終わりではなく、もっと1人ひとりが社会がどうなっているのかきちんと知って、リーダーを動かしていかなければならなかったことに。

 たとえばオバマ大統領誕生は「黒人がなった=誰でも大統領になれる時代が来た!」とどこでも言われましたが、本当は巨額の選挙資金が必要で、やはり大企業から献金を受けたほうが当選しやすくなるという構造になっていることを証明した選挙でした。

 今年の1月、アメリカの最高裁判所は選挙の献金に国境をなくすことを認めました。つまり、この先の選挙ではたとえばサウジアラビアの大金持ちが献金できて、アメリカの軍事でも農業政策でも動かせるのです。献金額の上限も撤廃しました。ますます企業が政治と結託し市民の声は届きにくくなる。ほとんど日本では報道されていませんが実に恐ろしいことです。

 これを国民が知っているのと知らないのとでは絶対未来は違ってくる。

 ムーブ・オバマとはオバマが大統領になったからもう大丈夫だということではなく、まず社会の構造をしっかり見よう、選挙のあともずっと監視し続ける、政治で何が起きているのか情報を自分でつかんでいくということです。これはアメリカの後を追うように政権交代をし、1年たって同じように「あれ? おかしいな」という声がそこかしこで上がっている日本の私たちにとっても他人事ではない話ですね。

 アメリカでは「気づき」が始まっています。やはり民主主義というのはメンテナンスがいるしくみだとつくづく思います。「食」を通して社会を見ると本当に沢山の箇所に矛盾がみえるからです。日本も今まさに、メンテナンスをするいい機会ではないかと思います。

オバマになれば「チェンジ」と思ったが……。(「9.11」追悼式、ホワイトハウスHPより)


PROFILE
つつみ・みか
東京都生まれ。ニューヨーク市立大学大学院国際関係論学科修士課程修了。国連婦人開発基金(UNIFEM)などを経て米国野村證券に勤務中に9.11同時多発テロに遭遇。以後ジャーナリストに。「ルポ・貧困大国アメリカ」(岩波新書)(08年日本エッセイストクラブ賞受賞等)。近く「アメリカ弱者革命」(新潮文庫)「もうひとつの核なき世界」(小学館)刊行予定。
http://www.jacom.or.jp/archive03/tokusyu/2010/tokusyu101015-11261.html


2013-07-08 【読書感想】(株)貧困大国アメリカ
http://fujipon.hatenadiary.com/entries/2013/07/08#p1


内容紹介

1% vs 99%の構図が世界に広がる中、本家本元のアメリカでは驚愕の事態が進行中。それは人々の食卓、街、政治、司法、メディア、人々の暮らしを、音もなくじわじわと蝕んでゆく。あらゆるものが巨大企業にのまれ、株式会社化が加速する世界、果たして国民は主権を取り戻せるのか!? 日本の近未来を予言する、大反響シリーズ待望の完結編。


堤未果さんの『貧困大陸アメリカ』シリーズの最新作(完結編だそうです)。

この新書を読んでいる途中で、「あーはいはい、そんな感じだよなー」と、特に驚くことすらなく、読み流している自分に気づき、愕然としました。

シリーズの第1作『貧困大陸アメリカ』を読んだときには、「自由の国」で行われている、「貧困ビジネス」の実態に僕も怒りまくっていたのです。

その後、さまざまな本を読み、今の「グローバル企業と政治の癒着」についての知識も得てきたのですが、なんというか、もう読んでいるだけで疲れてきた……というのもあって。

「企業の『帝国化』」と、「多くの市民、国民の健康や幸福よりも、一部の大企業の利益を優先する政治」は、ほとんど変わっていないどころか、「それが当然」のようにすら、思えてくるようになりました。


 SNAPとはアメリカ政府が低所得層や高齢者、障害者や失業者などに提供する食料支援プログラムだ。以前は「フードスタンプ」と呼ばれていたが、2008年10月にSNAPと名称を変えている。クレジットカードのような形のカードをSNAP提携店のレジで専用機械に通すと、その分が政府から支払われるしくみだ。

 受給額は州や受給者の収入によって異なるが、ニューヨーク州では、単身者で月収1180ドル(約11万8000円)以下なら月117ドル(約1万1700円分)支給される。全米の平均支給月額は132ドル(約1万3200円)。カードは全国23万1000店舗で使用できる。が、嗜好品は買えず、あくまでも食品のみという条件付きだ。

 SNAPは月に一度、夜中0時に支給されるため、毎月その日は夜中過ぎから全米各地の安売りスーパーに受給者があふれるという。

 ミシェルの買い物袋も、加工食品や炭酸飲料、缶詰やインスタント食品でいっぱいだった。


 アメリカの貧困率と失業者の数は、リーマンショック以来増え続けている。

 四人家族で年収2万3314ドル(約230万円)という、国の定める貧困ライン以下で暮らす国民は現在4600万人、うち1600万人が子どもだ。失業率は9.6%(2010年)だが、職探しをあきらめた潜在的失業者も加算すると実質20%という驚異的な数字となる。16歳から29歳までの若者の失業率を見ると、2000年の33%から45%に上昇、経済的に自立できず親と同居している若者は600万人だ。

 ミシェルのようなSNAP受給者は年々増加。2012年8月31日のUSDA(農務省)発表では、約4667万373人と過去最高に達した。1970年には国民の50人に1人だったのが、今では7人に1人がSNAPに依存していることになる。

 考えようによっては、「それでも、最低限の食べものを保障してくれるだけ、マシなんじゃない? 世界には飢えている国だってたくさんあるのだから」とも言えるのかもしれません。

 財政の厳しさから、生活保護を「水際作戦」などと極力行わないようにしている日本に比べて、アメリカ政府は、国民にSNAPを利用するようにアピールしているそうですし。

 ところが、このSNAP受給者が増えていく一方で、失業率は全然改善されない。

 SNAPでは、安くてカロリーが高いジャンクフードやジュースなどが選択されがちで、「この20年、アメリカでは子どもの2型糖尿病が激増している」そうです。

 貧困層ほど、偏った食事をしており、健康状態も悪化しやすい。
 こうして、負の連鎖が止まらなくなっているのです。


 なぜそんな制度が続いている、というか、いっそう拡大されていっているのか?


 ウォルマート広報部門担当で副社長のレスリー・ダックは、同社の収益におけるSNAPの重要性をこう協調した。

「SNAPからの収入は我が社にとって大変大きいですね。多くの州でSNAP利用者の2人に1人が、ウォルマートで食品を購入してくれています」

「公共のための科学センター(Center for Science in the Public Interest)」の調査によると、炭酸飲料や砂糖を含む清涼飲料水産業も、2010年度だけでSNAPによる売り上げが40億ドル(約4000億円)と、こちらもSNAPから巨額の利益が流れ込んでいる。

「ワーキングプア人口の拡大で、黙っていても利用者がどんどん増えるSNAPは、食品業界にとってドル箱になっているんです」

 要するに「まともな待遇の雇用を確保するよりも、低賃金の単純労働+SNAPでとりあえずなんとか食べられるくらいの保障はして生き延びさせ、その食費も大企業に吸収される」ようになっているのです。

 明らかに「国民の健康を害する」システムなのに、政府は、見てみぬふりをして、大企業の利益を優先しています。

 これって、間接的な「奴隷制度」じゃないのか?


 また、アメリカでは、GM(遺伝子組換え)作物が食生活に占める割合が、年々上昇しているそうです。


 だがGMは新しい技術であるため、長期にわたる環境や人体のへの影響を検証した実験結果が確立されていない。そのため安全性を巡る議論は今も続いており、現在世界では35ヵ国が、GM作物の輸入を規制または全面禁止措置中だ。

 アイオワ州の農業従事者のラッセル・リードは、多くのGM作物が耐性を持つ、「ラウンド・アップ」という商品名の除草剤についてこう語る。

「『ラウンドアップ』はGM種子最大手のモンサント社が販売する、世界で最も普及しているグリホサートを主成分とする除草剤です。モンサント社はこの除草剤を、これに耐性を持つGM種子と必ずセットで販売する。農家がこの除草剤を散布すると、GM種子以外の雑草だけが枯れるしくみです。

ですがヨーロッパではすでにこの除草剤は発がん性を有し、奇形、喘息発症を誘発するなど安全性に問題があるとして、禁止されています。

さらに1996年にはニューヨークで、2001年にはフランスで、それぞれ消費者団体や環境活動家たちが、モンサント社のこの除草剤に対し訴訟を起こしているのです」

 それは「土に落ちると無害化して土壌に残らない」というラウンドアップの「生分解性」ラベル表示が虚偽であるという内容だった。結果はどちらも裁判所がモンサント社側に「虚偽広告」の判決を下している。

 この「GM種子+特定の除草剤」の組み合わせは、一度使い始めると、ずっと続けざるをえなくなるのです。

 除草剤に耐性を持つGM種子じゃないと、生育できない土壌になってしまうので。
 そして、この種子を世界各国で使わせることによって、多国籍企業は各国の農業を「支配」していくのです。

 ちなみに、科学雑誌に、このGM種子の危険性を訴える研究論文を載せたりすると、壮絶な「あら探し」がはじまり、論文を書いた人は大バッシングを受けるのだとか。科学の世界も、企業の営利活動と無縁ではありません。

 研究にはお金がかかるし、お金を持っている企業の力で、科学者の「警告」はもみ消されてしまう。
 

 この本を読んでいると、アメリカの荒廃っぷりには愕然とします。

 義務教育レベルの学校が「自由競争」という名目で選別され、公立学校が無くなり、授業料が高い私立ばかりになる「ビジネス化」。

 民営化され、不採算部門が削られていくことによる公共サービスの劣化。


 2012年10月。
 メジャーリーグの試合で盛り上がるミシガン州デトロイト市のタイガース球場入り口では、こんなチラシが配られていた。


「注意! デトロイトには自己責任でお入りください」

・デトロイトは全米一暴力的な町です。

・デトロイトは全米一殺人件数の多い町です。

・デトロイト市警は人手不足です。

・人手不足のため12時間シフトで働かされ……警官は疲労困憊しています。

・デトロイト市警の賃金は全米最低ですが、市はさらに1割カットしようとしています。


 配布していたのは、現役のデトロイト市警官たちだ。

 デトロイトは2000年から2010年の10年間で、住民の4分の1が郊外や州外に逃げ出してしまった町だ。財政破綻による「歳出削減」で犯罪率が増えているにもかかわらず市は公共部門の切り捨てを実施、学校や消防署、警察などのサービスが次々に凍結されている。

 こうした傾向はミシガン州だけでなく、全米の自治体で起きている。2010年7月にはやはり財政難に陥ったオレゴン州の自治体が維持費が続かずに刑務所を閉鎖、すでに警官が大量解雇された町中に刑期を終えていない囚人があふれだし、恐怖のあまり州外に逃げる住民が急増した。

 これ、『リアル北斗の拳』の世界じゃないですか……

 また、大企業は「安い給料でも辞めずに働く労働力」として「囚人」に目をつけて、どんどん酷使してもいるのです。

 州によっては、囚人労働力確保のため、早期釈放を行わない制度まで導入されているのだとか。

 名目上は「犯罪者に厳罰を与える」ということで。

 一般社会で生活している人が、どんなに安い賃金でガマンするといっても、囚人にはかないません。

 なんかもう、「金のためなら、なんでもあり」すぎて、笑えてくるほどです。


 また、2005年には「完全民間経営自治体サンディ・スプリングス」が誕生したそうです。

 人口10万人のこの町は、富裕層で占められ、大手建設会社によって「運営」されています。

 この町ができた経緯を、著者はこんなふうに紹介しています。


 2005年8月、ハリケーン・カトリーナによって大きな水害に見舞われたジョージア州では、水没した地域住民のほとんどがアフリカ系アメリカ人の低所得層だったことから、アトランタ近郊に住む富裕層の不満が拡大していた。

 共和党の彼らは、「小さな政府」を信奉している層だ。

 なぜ自分たちの税金が、貧しい人たちの公共サービスに吸い取られなければいけないのか? ハリケーンで壊滅状態の被災地を、わざわざ莫大な予算をかけて復興させても、住民の多くは結局公共施設なしでは自活できないではないか。政府の介入の仕方はまるで社会主義だ。私たちはいったい、今後も延々と行政支援を必要とする人々のために、どれだけ貴重な税金を投じなければならないのか? 

 どうしても納得いかない彼らはこの件について住民投票を行い、やっとベストな解決策を打ち出した。

 郡を離れ、自分たちだけの自治体を好きなように作って独立すればいいのだ。

 僕の感覚では、「こういうのって、頭の中で考えることはあっても、堂々と主張するべきではない」ような気がするんですよ。

 助け合うのが「公共のルール」だろう、って。
 多くの日本人も、たぶんそうだと思います。

 ところが、このサンディ・スプリングスの人たちは「自分たちが巻き添えになるのはイヤだ」と声高に叫んだのです。

 そして、叫んでみたら、意外と、彼らを阻むものはいなかった。

 こういう「公共の意識のゆらぎ」は、たぶん、アメリカの一部の富裕層だけに起こっていることじゃないんですよね。
 
 
 それでも、オバマ大統領になって、少しはマシになったのではないか、オバマさんを議会が邪魔しなければ、もうちょっと社会保障制度が改善されたアメリカになるのではないか、と思っていたのです。

 でも、現実はほとんど変わっていなかった。


「2012年の選挙は、大きな政府に反発するティーパーティ運動の存在に焦点があてられ、赤と青に分断されるアメリカというイメージで描かれていましたね」

「赤と青に分断されたアメリカ、そのとおりです。国民の意識は保守対リベラルにひきつけられる。けれどそれはバーターで、今のアメリカ民主主義は「1%」によってすべてが買われているのです。司法、行政、立法、マスコミ……

「1%」は二大政党両方に投資し、どちらが勝っても元は取る。テレビの情報を信じる国民は、バックに巨大企業がいることなど夢にも思わずに、いまだに敵を間違えているのです」

みんなはオバマvsロムニーの「対決」だと思っていた。

ところが、内実は「1% vs 1%」であり、どちらが勝っても、大勢に影響はなかったのです。

大企業は、どちらが勝ってもいいように、あらかじめ両方に賭けていたのだから。


ああ、アメリカって酷い!と言いかけて、日本のことを思いだしてみると、自民党と民主党だって、似たようなものですよね。

民主党のなかには、もと自民党だった人がたくさんいて、政策もそんなに大差はありません。

政権交代というけれど、結局のところ「自民党的なもの」がずっと勝ち続けているだけ。


この新書の後半では、「1% vs 99%」という構図が何度も出てきます。

でも、『貧困大陸アメリカ』が世に出てから5年間のことを思いだしてみても、本当に、これが実情なのかどうか?

「1%が幸福を独占している(というか、本当にここまでやって、企業が金を儲けることが、「1%組」を幸福にしているのだろうか?と僕は疑問なのですが)」というけれど、残りの99%は、一枚岩じゃない。

99%のなかのごく一部の(これも「1%」くらいかもしれません)「意識高い系」が格差の是正を訴えている一方で、「99%」の大部分は、目の前の生活に追われ、「1%」を呪いながら、「意識高い系」の高偏差値な啓蒙運動にもついていけずにいるように思われます。


「毎日テレビ観て、ウォルマートで買ったジャンクフードを食べている生活で、それなりに幸せ」な人が、世の中の多数派なのではないか?

もしかしたら、「1%対99%」ではなくて、「1%対1%対98%」なのではないか?


著者は最後に「希望めいたこと」を書いておられるのですが、僕は、これからの日本もこうなっていくんだろうなあ、という絶望感がつのるばかりでした。

こんな世の中で、誰が幸せになっているのかねえ……
http://fujipon.hatenadiary.com/entries/2013/07/08#p1


アメリカ人の超絶肥満の原因は「フードスタンプ」で食べる ジャンクフード + コーラの糖分だった


【衝撃】 アメリカのデブが異次元すぎるwwwwww どうやったらここまで太れるんだよ
http://blog.livedoor.jp/nwknews/archives/4537088.html
https://matome.naver.jp/odai/2137949022098247301


94. 中川隆[-6323] koaQ7Jey 2017年10月12日 12:27:38 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

国民をベーシックインカムで釣る希望の党「小池劇場」の三文芝居 2017.10.06
by 宮脇 睦『マスコミでは言えないこと』
http://www.mag2.com/p/news/287930

10月6日午前、記者会見で「衆院選公約・政策集」を発表した希望の党の代表・小池百合子氏。「ユリノミクス」を掲げ、安倍政権が成しえなかったとする経済格差の是正を、ベーシックインカムなど大胆な政策で解決すると表明しました。これを受け、無料メルマガ『マスコミでは言えないこと』の著者でITジャーナリストの宮脇睦(みやわき・あつし)さんは「ベーシックインカムの政策ひとつ取っても、希望の党や小池氏の中身のなさがわかる」と厳しく批判しています。

ベーシックインカムと希望の党

小池百合子氏率いる「希望の党」が2017年10月6日午前9時より記者会見を開き、その政策を発表しました。「都民ファースト」のコピペに、脱原発など一部加筆で、その大半が「議論をすすめていく」というもの。

私はこう考えます。「議論してから政策を発表せよ」と。その代表が「ベーシックインカム」。まず、「ベーシックインカム」を1分で解説します。

ベーシックインカムの歴史は古くトマス・モアが1516年刊行した「ユートピア」にそのひな形があり、フリードリヒ・ハイエクやミルトン・フリードマンもその列にならびます。かつて米国のニクソン大統領が、真剣に導入を検討したこともあります。

ざっくりといえば、国民一人当たりに国家が毎月なり、毎年一定額の現金を支給するというもの。

超バラマキ政策ながら、一方で健康保険や年金、その他の公共福祉を停止します。


世界中各地で実験が行われ、それなりに良好な結果も得られており、これをポジティブにまとめたルトガー・ブレグマン著「隷属なき道」が世界中でベストセラーに。そして古くからあった概念「ベーシックインカム」に再び光が当てられます。

ここまでが「ベーシックインカム」の説明。絶望の党…もとい、希望の党の政策は、まるでこの本の「あらすじ」のようです。だから、ベーシックインカムの現実を理解していません。それについても1分でまとめてみます。


希望の党がパクッたと見られる、「隷属なき道」にあるベーシックインカムの大前提にはAIの普及があります。小池百合子希望の党代表は「AIによって仕事を奪われていく人のためにベーシックインカムの導入を検討する」と説明しました。小池百合子氏にあるのは政局と野望だけで、中身がないとは政界通がそろって口にすることですが、なるほど、AIひとつからもそれが透けて見えます。

ざっくりといえば、AIが人間の仕事を代替することにより生まれた余裕分をベーシックインカムとして還元するというものだからです。ベーシックインカムは失業保険でも生活保護でもありません。職業の有無、年令性別所得を問わず一律に支給するものです。

後藤祐一氏(前民進党)が「世界中で地域や対象を絞って実験されている(要旨)」と補足しますが、ならば財源もあり、島嶼も過疎も都会の地域も管轄する「東京都」こそが、その実験にもっとも相応しく、「都知事」の立場をフル活用すればできる政策を、国家レベルで取り組むとはまるで民主党政権時代の「社会実験」の再来です。

はい、ここまで。いかに彼らがベーシックインカムを理解していないかがわかることでしょう。これらのことは、先の本を斜め読みしただけでもわかるレベル。これが政策ならば、国会議員はテレビコメンテーターでも務まる仕事ということです。

テレビといえば、この夏、テレビ朝日「モーニングショー」のなかで、そのクレーム力に定評のある玉川徹テレビ朝日社員の「人工知能が仕事を奪う」という企画のなかで「ベーシックインカム」を取りあげていました。

そこに出演していた有識者は「古代ローマでは食事の支度などは奴隷がやり、ローマ市民は働かなかった。奴隷に替わるのがAIだ」と指摘します。

一種のAI万能論であり、テクノユートピア論という幻想である理由について、またまた1分で説明します。


AIはすでに「日本語変換ソフト」などで普及しており、今後は税理士、会計士など、一定の法則に従う業務を担うことになるでしょう。自動車の普及で飛脚がいなくなり、DTPの発展が写植屋をなくしたように、技術の発展により消えていく職業があるのは世の常です。一方でプログラマーに代表されるように、新しい技術とともに生まれる職業もあります。

ただし、AIはプログラムであり、様々な作業を道具の進化としてのアシストはしても、人間を完全に代替することは不可能です。それはAIではなく「ロボット」の出番となります。

また、古代ローマにおける奴隷には家庭教師や医師もいて、現代的価値観の「奴隷」とニュアンスが異なり「自分の人生を選択できる自由がない身分」のことで、当時のローマは「植民地経営」もしており、こうした諸事情をすっ飛ばしての例示は、理想論でなければ妄想に過ぎません。

AIに関するこの手の空論は実に多いのですが、それを政治家が鵜呑みにする粗忽さは、希望の党が持参金付きで受け入れる民進党の前身、民主党における「永田偽メール事件」を彷彿とさせます。

ところが、ここに小池百合子氏が、政策はなく中身がなくとも、政界渡り鳥として政界にあり続けた理由があります。最後にこの理由を1分で説明して本稿を結びます。

ベーシックインカムとはバラマキ政策で、民主党が政権交代したときの「高校無償化」や「子ども手当」と同じです。貰えるもなら貰いたいと考える庶民は多く、政策の違いは理解できなくても、目先の損得は計算できます。

政策を発表する小池百合子氏の発言は、キーワードを並べただけの空疎なものでしたが、マスコミはキーワードを拾い集めた「要約」を記事として報じます。そこに「ベーシックインカム」と未知の単語があれば、紙幅を割いて解説を余儀なくされます。

さらに、小池氏は会見で「AIからBI(ベーシックインカム)へ」とスローガンを語りました。「これを見出しにしなさいよ」というメッセージに飛びつくマスコミは多いことでしょう。実現のためのロードマップは一切示さず、マスコミにネタを提供する。これが「小池劇場」です。

マスコミの踊らせ方を知っていること。小池百合子という政治家の正体はマスコミといっても良いでしょう。

最後といいながら、「小池劇場」について少し補足しておきます。

新聞などの「報道」は建前上「ファクト(事実)」を報じることになっています。するといまだ世界中で結論が出ていない「実験」を失敗と断じて報じることはできません。そこで実現が怪しくても、政策として掲げた「事実」を伝えるしかできません。

都知事選挙や都議会議員選挙で、小池百合子氏がまざまざと見せつけた手口です。

そして発表内容と会見内容から見る限り、希望の党の政策は看板だけで、ハリボテというより「書割(かきわり)」。「書割」とは歌舞伎の背景を指し、立体的な構造物ではなく「絵」だけで表現でき、さらに分割して持ち運びも便利で、舞台ではお馴染みの大道具で、当然ながら実体は伴いません。

コピペに加筆ですから、立体によりそれらしく見せる「ハリボテ」より手抜きですが、書割があった事実をマスコミが報じ、その深い意味を考えもしない国民が、目先の利益でステージにかぶりつく。これが小池劇場です。
http://www.mag2.com/p/news/287930


95. 中川隆[-6327] koaQ7Jey 2017年10月12日 14:44:42 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

ネットがざわついた「ベーシックインカム」に希望はあるのか?
2017.10.11 by 中島聡『週刊 Life is beautiful』


小池百合子氏率いる新党「希望の党」が公約として掲げたことで、一気に現実味を帯びてきた「ベーシックインカム」。この制度に肯定的な見方を示しているメルマガ『週刊 Life is beautiful』の著者で世界的プログラマー・中島聡さんは、まず「ベーシックインカムとは何か?」という基本を解説。さらに「希望の党」のこの制度に対する本気度についても考察しています。

AI がもたらす大失業時代のベーシックインカム

希望の党が、公約の一つとしてベーシックインカムを掲げました。票集めのためのリップサービスだとは思いますが、ベーシックインカムというアイデアそのものは、議論する価値のあるものなので、簡単に解説します。

ベーシックインカムが最近注目を集めている一番の理由は、グローバル化により拡大した(そして、AIの進化によりさらに広がる)貧富の差がもたらすだろう社会秩序の混乱と政治不安です。

米国で、トランプのようなとんでもない人物が大統領に選ばれてしまった一番の理由は、グローバル化のメリットを受けることが出来ずに衰退してしまった Rust Belt と呼ばれる旧工場地帯に大量にいる、現状に不満を持つ人々による支持です。トランプは、移民排除、メキシコ国境への壁の建設、中国に対する高い関税などの甘い言葉により、彼らの票(および彼らと同じような境遇にある人々の票)を大量に集めることに成功したからこそ大統領になれたのです。

現状に不満を持つ人々の怒りの矛先を、移民や異宗教の人々に向くように仕向けた上で票を集めるという手法は、アドルフ・ヒットラーが使った手法として有名ですが、その行き着く先が、ユダヤ人の大量虐殺であり、第二次世界大戦だったことは歴史が証明しています。

あんな不幸を2度と繰り返さないためには、ヒットラーのような人が票を集めて国の代表になってしまうことをなんとか阻止しなければならず、そのためにもっとも重要なことは、グローバル化やAI化によって大量に生み出される失業者対策なのです。

これまでの社会は、最低賃金、労働組合、解雇規制、失業保険、年金、生活保護、職業安定所などの仕組みで、労働者を守り、失業者を保護しようとして来ました。しかし、それらがどれも不十分であるだけでなく、不公平感も産み、やたらと政府を大きくしてしまうという弊害も持っていることが明らかになって来ました。

日本で、生活保護を受けながら毎日パチンコ屋に通っている人がいて、それを監視するために雇われた役人がいるとか、特定の人が生活保護を受けられるかどうかは(明確な基準ではなく)担当の役人の裁量次第で決まる、などはその弊害の良い例です。

ここ数年の AI の劇的な進化を見ると、「仕事のAI化」が社会にもたらすインパクトは、グローバル化とは比較にならないほどの大きなものであり、日本も含めた多くの先進国が近いうちに「大失業時代」に突入することは明確です。

そこで、その「大失業時代」の社会秩序の安定方法として最近注目を浴びて来たのがベーシックインカムなのです。

ベーシックインカムとは、ひとことで言えば、国民全員に、生きて行くのに最低限必要なお金(生活費)を毎年配布するという社会保障制度です。

お金持ちから失業者まで、満遍なくお金を配るというのがミソで、それにより、(特定の条件を満たした人たちだけが受けることができる)失業保険・生活保護・年金・介護保険・私立助成金・子供手当などを全廃し、役所の機能と政府の支出を大幅に削ることが可能になります。

それだけでなく、ベーシックインカムの導入と同時に、労働者を保護するための、最低賃金、労働組合、解雇規制、派遣法、職業安定所などシステムも全廃が可能になります(全廃してこそ、ベーシックインカムの導入の意味があります)。派遣社員と正社員の区別などなくなり、会社は必要に応じて、いつでも自由に解雇することが可能になります。

ベーシックインカムにより、人々は「生活費を稼ぐために働く」ことから解放され、「生きがい」や「より良い生活」のために働くようになる、というのがベーシックインカム支持者の意見です。その結果、今のように「過酷で給料が安い」仕事には人が集まらなくなり、過酷な仕事にはそれなりの高給が支払われるようになると主張しています。人々から「生活費を稼ぐためには働かなければならない」という弱みを取り除くことにより、労働市場に競争原理が働くようになる、という発想です。

ベーシックインカムだけで暮らして行くことを決めた人は、職探しなどせず、生活費の安い地方に移り住んでのんびりと生きて行くことも可能だし、今だとごく一部の人たちしか生活費を稼げていない、芸術家・音楽家・作家などの職業を選ぶことも容易になります。

このように、ベーシックインカムとは、社会保障だけでなく、雇用のあり方から、人々のライフスタイルまでを根本的に変える大改革なのです。ベーシックインカムを公約として掲げるのであれば、ベーシックインカムの導入と同時に何を廃止するのか、国の予算をどのくらい縮小するのか、財源はどうするのか、人々の労働意欲をどうやって維持するのか、などの根本的な議論が必要なのです。

さらに、大量に解雇されることになる役人達(及び大量に廃止される特別法人)からの必死の抵抗にあうことは目に見えているので、どうやって「ベーシックインカムは導入したものの、政府の大きさは変わらない」などの腰抜け政策にならないようにするかの綿密な戦略も必要です。

ちなみに、希望の党の公約にベーシックインカムを入れることを提案したのは、木内孝胤(たかたね)衆院議員だそうです(参照:希望の党「ベーシックインカム公約」発案者を直撃ー 実現可能性を検証した)。この記事を読む限り、希望の党の公約は「導入の検討をする」程度のものであり、党として明確なビジョンを持っているわけではないようです。
http://www.mag2.com/p/news/294962


96. 中川隆[-6180] koaQ7Jey 2017年10月16日 19:30:21 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]


東南アジアにおける欧米プロパガンダ - 本物の“サクセス・ストーリー”
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2017/10/--c05c.html
2017年10月16日 マスコミに載らない海外記事

全てが実にあつかましい形でおこなわれている。世界のこの場所にいない人々には、これほど‘完璧な’設計など到底想像できまい。

所属クラブに、私の場合はタイ外国人記者クラブ(FCCT)に入るやいなや、洗脳の長い腕が伸びて来る。

居心地の良い長椅子に座るとすぐ、しっかり世話をしてくれる。一体何を考え、考え方をいかに形成し、変更するか、指示され、命令されるのだ。

時折、中国における“腐敗と不品行”に関する映画を見せられる。とりわけフィリピンの反欧米大統領を中傷するような公開討論に参加するよう奨励される。

最近のことではあるが、中東、特にシリアも、注目を浴びるようになった。

もちろん、FCCTのような場所で提供されるほぼ全て、欧米の見解というか、より正確には保守派から‘リベラル’に至るまでの一連の欧米の見解だ。クラブはアジアでも東南アジアの中心にありながら、欧米の思考方法に熟達したごく少数のタイ人を除いて、きわめて少数のアジア人しか招かれない。あるいは、ダライ・ラマのような欧米の代理人、もちろん、このような人々は何時でも大歓迎だ! ‘反対側’の話をきくことなどあきらめて頂きたい- 中国本土からの共産主義思想家や作家、フィリピンの親ドゥテルテ派の学者や活動家のような講演者たちに出くわすことは決してない。

FCCTで見受けられるタイ人の大半は、実際、欧米主要マスコミの権威者に支援業務を提供する人々だ。通訳、フィクサー、ウエーターや数人の業務担当者だ。

ここは、アジア人が欧米人に、アジアに関して講義をする場ではない。ここは、欧米人がアジア人に、概して、どのように考えるべきか、とりわけ、自分たちの国について何を考えるべきかを教える場なのだ。

FCCTと同じ階の絨毯を敷いた狭い廊下の先には、BBC、NBCや、いくつかの他の主要欧米マスコミ事務所がある。バンコクの‘ペントハウス’マニヤー・センター・ビルディングは、実際、自給自足可能なプロパガンダ総合施設なのだ。

そして今晩、シリア国境からわずか数キロの場所で、約80,000人の難民を収容しているヨルダン’の巨大なザータリ難民キャンプに関する「サラーム・隣人」と題するアメリカ・ドキュメンタリー映画の無料上映(我々のような会員向けに)が行われる。

FCCTのビラには、あからさまに、こうある。“在バンコク・アメリカ大使館とアメリカ・フィルム・ショーケースの協力“

アメリカ大使館職員が映画を紹介する。(あからさまに)アメリカ国務省が後援している映画だ。

FCCTは混雑している。皆ビールを飲んでいる。冒頭のあらゆる演説に、人々は従順に拍手する。帝国の外務省が東南アジアでも最も重要な都市の外国人記者クラブで催しを主催する皮肉には誰も気がついてないように見える。冗談が飛び交うこともなく、風刺は皆無だ。欧米マスコミ連中は、きちんとしつけられている。オリバー・ストーンの“サルバドル”など期待してはならない - 全く違う時代のものなのだ。

生ぬるい当惑に満ちている。ここでは激烈なイデオロギー対決を目にすることは決してない。人は場所をわきまえている。彼らは、一体何を言うべきか、どう振る舞うべきかを十分承知している。しかし最も重要なのは、連中が何を書くべきかを知っていることだ。

*

映画は短く、わずか75分ほどで、実際はなから分かりきっていた。全く酷いというものではない。映画技法は立派で、おそらく、ごく僅かな事実しか提示していないせいで、事実上の間違いは非常に少ない。映画制作者たちは‘政治的に正しい’のだ。連中は時に、特に難民の子供たちとやりとりする際、感情を抑えきれず涙ぐむ。

“キャンプ住民は我々に心を開き、家も見せてくれた”などの陳腐なきまり文句に満ちている。

だがFCCTのあらゆる場所にあるモニター画面に冷ややかに規則的に現れる、いくつか当然予想できる場面もあった。たとえばこういうものだ。子供たちは暴力的な戦争ビデオ・ゲームで遊んでいる。ある子供が突然こう言う。

“ああ、これはアサド政権の旗だ… この人たちが僕に弾や武器をくれるんだ。”

ソフトで‘善意で’うまく撮影されたプロパガンダを吹き込まれたのだ。シリア戦争における欧米の重要で、恐ろしい役割に関して、一言たりとも発せられない。ザータリ難民んキャンプが、最も過激な親欧米、親湾岸諸国テロ組織の訓練キャンプの一つであることに一言も触れない。

映画が終わった後、Q/Aコーナーにも参加することにした。

アメリカ納税者の負担でタイまでやってきた二人の映画監督を、いささか皮肉に称賛した。私もケニヤ-ソマリア国境の悪名高い残虐なダダーブも含め、難民キャンプ内で何本か映画を撮ったと言った。そこで、私は単刀直入に聞いた。

“シリア難民は一方の側だけの話ししかすることが許されていないのはご存じですか? 私はザータリ難民キャンプを良く知っています。そこでは、イラクのクルド地域にあるシリア難民キャンプ同様、シリア人はふるいにかけられ、アサド大統領に反対だと言わない限り、対応してもらえず、支援を得られないのです。”

練達の欧米プロパガンダ制作者の当惑した顔が私をじっと見据えた。アメリカ大使館官僚連中は冷静さを保っている。連中はプロで、うろたえるようなことはまずない。

だがマスコミ連中は憤慨した。ロシア語なまりを誇張して、私が映画を制作している放送局の一つとして南米のテレスールの名前をあげた。よく言うよ。何と身の程知らず。非欧米人が、欧米の世論を形成する連中に、世界について説教を垂れるとは!

私はこう結論づけた。

“大半のシリア難民はシリア政府から逃れているのではありません。彼らは欧米や湾岸やあちこちの同盟諸国が始め、支持している戦争の恐怖から逃れているのです。”

沈黙は完璧になった。

すると、上流中産階級出身で、欧米で育ったことが明らかな現地タイ人の若い女性がマイクに近づき、可愛らしく笑いながら言った。

“ザータリ・キャンプを来年早々訪問したいと思います。中東については何も知らないので、なぜだかわかりませんが… 難民に何かできるかもしれませんね? 私は何かを学べるかも知れません?”

“何枚か自取りを撮影するかも”と私は思った。

すぐに私は気分が悪くなり、文字通り、そこから逃げ出した。

*

東南アジア丸ごとが、欧米や日本の親欧米プロパガンダという、きつい拘束衣に閉じ込められているのだ。とは言え主要マスコミや、連中が欧米プロパガンダを流布する手口が、拘束衣が機能する仕方の唯一の例というわけではない。

ほぼ全ての真面目な大手書店(少なくとも英語本を販売している店)は、日本の巨大書店、紀伊国屋に、既に‘打ち負かされている’。東南アジアにおいて、書籍販売における紀伊国屋は、食品小売りにおけるカルフールにあたる。インドネシア、マレーシア、タイとシンガポールで営業しており、店舗は上品で、洗練されている。だが何か売れ筋の本を買いたいのでない限り、棚に見る(見つからない)ものに失望し、衝撃さえ受けるかも知れない。

こうした書店で、ノーベル文学賞受賞者のスヴェトラーナ・アレクシェェヴィッチ作品などの何百冊もの酷い反ソ連プロパガンダ本を見つけられるのは言うまでもない。だがエレナ・ポニアトウスカのような偉大な代表的メキシコ人左翼作家の本を探そうとしても、一冊も見つからない! ジョゼ・サラマーゴ、ダリオ・フォのような(だが共産主義の)思想家やハロルド・ピンター(この作家三人全員ノーベル文学賞を受章しているが、政権には大いに嫌われている)の大半の作品をそこで見つけることなどあきらめていただきたい。運が良ければ彼らの著作の一冊か二冊は見つけられるかも知れないが、それ以上は無理だ。

おそらくベルトルト・ブレヒトの戯曲の一編や二編なら見つけられるかも知れない。私はバンコクで探して、一冊しか見つからなかった。ガリレオだ。

東南アジアの書店では、反中国、反共産主義プロパガンダなら“食べ放題”だが、莫言を除いて、本当に偉大な現代中国共産主義の小説家や詩人の本は一冊もない。

もちろん、何か“好ましからぬもの”を見つけ出そうなどしてはならない。「好ましからぬ」という表現で、私は、欧米がこの地域に植えつけ、支持している、宗教や、新植民地主義や君主制や、‘文化’といった言葉の陰に隠れていることが多い現地の封建構造などのあらゆるものに対する皮肉っぽい批判を意味している。

インドネシアでは状況は最も途方もない。スハルト退陣後、急激に増えたあらゆるまともな書店は文字通り消滅した。以後、紀伊国屋はジャカルタの商売を‘模様替えし’、現在は大衆小説や、若干のペンギン・クラシックや似たような主流作品しか売っていない。

ジャカルタのプラザ・スナヤンにある紀伊国屋のマーケティング担当者アリフがこう説明してくれた。

“棚の配列はシンガポール店と同じはずですが、ここでは、インドネシア人経営層が何を売るか決めます。”

確かに彼らは決めている! 想像通り、アドルフ・ヒトラー (インドネシアでは、非常に人気の高い歴史上の人物)や、彼の‘ベスト・セラー’ (少なくともジャカルタでは) “我が闘争”を含む多数の本だ。そのすぐ隣には、最低の反共産主義プロパガンダに満ちた棚がいくつかある。

国民洗脳の点で、インドネシアは、1965年以来、常に東南アジアの先達だ。

もちろん、もっぱら東南アジア言語の本を売る現地書店チェーンもあるとは言える。とはいえ、それは極めて限定されている。率直に言って、世界でも、この地域では、高品質翻訳の本という文化がなく 現地言語で刊行されている書籍の数は比較的少ない。最も傑出したインドネシア人小説家プラムディヤ・アナンタ・トゥールでさえ、マクシム・ゴリキーの“母”を、バハサ・インドネシアに翻訳する際(“イブンダ”)、作業に、元のロシア文章をスクロールしながら(彼はさほどロシア語は話せないと認めている)オランダ語訳と彼の‘直感’を使ったと私に告白したことがある。

*

何十年もの大変な努力で、欧米による東南アジアの知的洗脳は今やほぼ完成している。

洗脳は、学生に奨学金を支出し、インドネシア人、タイ人、マレーシア人や他の‘学者’や教授に条件付きの資金供与をして部分的に‘教育’によって行われている。

欧米プロパガンダは‘文化’を通しても‘首尾よく’流布されている。欧米‘文化センター’は、大半の地方都市で、‘高尚な芸術’を提供する(奇妙にも)唯一の場所であることが多いのだが、明らかに、ヨーロッパと北アメリカの帝国主義的狙い(最新小説“Aurora”で私が鮮やかに描写した通り)を推進している。

現地エリートは、ほぼ完全に外国の企業権益と政治権益にこびへつらっている。愛国心などただのはやり言葉にすぎず、何の実態もない。

欧米帝国主義に対するイデオロギー的、物理的反対から、東南アジアほど隔離されている場所は、世界に他にない。

欧米による完璧な洗脳の結果は壊滅的だ。巨大な東南アジアが、偉大な思想家、作家、映画監督や科学者を生み出すことができないのだ。タイ(重要な小説家チャート・コープチッティ)や、インドネシア(オーストラリア人の友人で画家のジョージ・バーチェットが、‘ディエゴ・リベラとピカソの現地版の爆発的融合’と表現するスハルト・ファシスト政権時代の元政治囚だった政治画家ジョコ・ペキック)は、ごく僅かな例外だ。

ナイジェリアからレバノン、イランからメキシコに至るまで、世界の他の貧しい、荒廃させられた、複雑な場所は、文字通り、大量の素晴らしい作家、映画監督や知識人を生み出している。

*

ベトナム (そして、ある程度は、ラオス)を除き、欧米は、全ての共産主義と社会主義的な考え方や国際主義を、文字通り根絶した。それは、大虐殺と粛清の画策によって、残忍に行われた。インドネシアだけで、何十万人、おそらく、何百万人もの左翼が、1965年のクーデター後に殺害された。東チモールでは、左翼FRETILIN運動が、ポルトガルからの独立を獲得し、公正で明快な選挙で、権力の座についた後、住民の30%が、スハルトの軍によって殺された。タイでは、共産主義者は、石油樽の中で、生きたまま焼かれた。マレーシア、シンガポールとフィリピンでは、共産主義者の殺害や失踪が起きた。

インドネシアを含む幾つかの国々で、‘共産主義イデオロギー’は依然、公式に禁止されている。

国際主義、反帝国主義や共産主義や知的追求が破壊された後、東南アジアには、外国から保守的な形の宗教や、大量消費主義、‘伝統的な家族の価値’や、グロテスクなほど極端な個人主義が注入された。

同時に、既に何年も、何十年も、この地域は、買春ツアーと、安く、安易な生き方を探し求めている多数の‘国外在住者’とで、有名、いや悪名まで高くなった。その過程で、彼らは現地‘文化’を形成し、この地域脱知性化してしまった。北京や東京は、磁石のように、無数の偉大な外国人学者、思想家や創造力ある人材を惹きつけているが、概して、東南アジアは、控えめに言っても、大いに異なる種類の外国人たちが殺到している。連中は、一体なぜここが居心地良いのだろう?年齢や功績と無関係に、白人だと言うだけで、東南アジアで享受できる‘大いなる尊敬’のおかげだ。この尊敬は、欧米文化は優れており、実際、世界最高だという何千回も繰り返される(大半は間接的に)明白なウソによる、現地人の洗脳に由来している。

ヨーロッパ人や北アメリカ人が、更に居心地がよくなるものがある。東南アジアでは、欧米プロパガンダによって広められるほぼ全ての基本原理、最もprimitive grain資本主義と右翼イデオロギーが歴史的に受け入れられ、大目に見られ、うやうやしく複製さえされている。

現地の学界の連中にとって、欧米(あるいは日本)のお墨付きだけが重要なのだ。その結果、東南アジアは、愛国的な自立思考が、実際一体どのように構成されるものかを忘れてしまったのだ。

大半の東南アジアの新聞は、遠い国々に‘海外特派員’を置いていない。彼らのほぼ全ての国際ニュース報道が、ロイター、AFPやAPなどの欧米主要通信社から直接送られている。それを通って、少なくとも、多少の異なる反対の情報が入り、大衆に影響を与えられるような抜け穴は、全くなさそうに見える。

バンコクやジャカルタやクアラルンプールの街頭で‘南-南’協力について質問をすると、相手はぽかんとする。何か新しい携帯電話用アプリかファスト・フード・レストラン・チェーンについて話をしているのではと思われるだろう。BRICSって何、石工?

書店は基本的に終わっており、商業映画は極めて入念に選ばれた(空虚であればあるほど良い)ハリウッド ‘ブロックバスター’や現地ホラー映画を提供している。

ジャワ歌舞劇の伝統的政治劇(ケトプラック)を含む、現地の芸術は最近は‘時代遅れ’、つまり、脇に追いやられ、全く意味のないものにされ、沈黙させられたのだ。

Scarce芸術映画クラブ、バンコクのリバー・シティーにある、アメリカやヨーロッパの文化施設 (“スポンサー”)ステッカーが玄関を飾っている。

リバー・シティー映画クラブ近くの画廊の一つにある行儀の悪い画商が、股から二基の醜悪なミサイルがぶら下がっているオバマの絵をつい最近無謀にも展示した。だが、どうやら、トルコ大使館が後援し、何人かの欧米外交官が出席する公式上映直前に挑発的な芸術作品を取り除くよう依頼されたようだ。“倉庫に一緒に行きましょう、ご覧にいれますよ”と、何か違法ポルノや麻薬の類をあっせんするかのように、彼は私にささやいた。

*

たぶん、“いかに物事がおこなわれるか”の最も分かりやすい例は、数年前にジャカルタのゲーテ・インスティテュート構内で私が出くわしたものだ。学芸員たちは、グダニスクでのある抗議行動中に、治安部隊が、抗議行動参加者に向けて発砲した際のポーランドの‘連帯’時代の何枚かの古い写真を展示することに決めたのだ。

展示は‘共産主義’が公然と禁じられ、1965年、アメリカが支援したクーデターの際、何百万人もが虐殺され、巨大な群島全体が、多国籍や現地の採掘や、伐採カルテルによって、取り返しがつかないほど略奪され破壊されたインドネシアの首都でぬけぬけと、開催された。悪夢のような超過激資本主義が、何十年間もインドネシアを支配し、破壊しているのに、ドイツがインドネシア国民に見せることにしたのはグダニスクなのだ!

何十年か昔、ポーランドで殺害された一握りの共産主義者が追悼され、インドネシア国民に紹介されるのだ。もちろんドイツの文化施設は、インドネシアの親欧米虐殺部隊による共産主義者の大量虐殺を追悼する展示をしようなどとは夢想だにしなかった。

*

今東南アジアの人々は、ロシアについて、ほとんど何も知らず、中国についても、ほとんど何も知らない(欧米の民衆扇動家連中が、民衆に知って欲しいと思っていること以外は)。南アフリカを含むアフリカはよその惑星にあり、中南米もそうだ。現地エリートだけが遠隔の地まで旅行する余裕があり、この連中は、欧米のご主人たちや、公式教義に忠実だ。彼らは決して真実をかたらず、決して偽情報に波風をたてることはない。

この地域の人々は、たいてい近隣諸国のことより、北アメリカのポピュラー音楽やヨーロッパのサッカーのことを良く知っている。東南アジアの貧しい人々は、公正で平等主義の社会を構築しようとしている中南米に関して、ほとんど無知のままにされている。彼らは、キューバ、ボリビア、ベネズエラやエクアドルについては、ほとんど何も知らない。

もちろん、東南アジアで、最近のアンゴラでのMPLA再選(アンゴラは、人類に対する欧米植民地主義犯罪と、新植民地的略奪の象徴の一つなので、世界にとって極めて重要な意味を持つ出来事)が論じられる可能性は全くない。東南アジアでは、キューバや、その国際主義についてや、欧米帝国主義に対し、今誇らしく、断固として立ち上がっている国々の連合についてさえ論議することは決してない。

中東についてはどうだろう? 話題は、パレスチナ問題のみに限定されており、それすら、大部分がイスラム教徒のインドネシアとマレーシアにおいてしか議論されていない。他の中東の‘つながり’は、余りに‘非宗教的’で、余りに‘社会主義者’だと非難されている、不自然に注入された、アサド大統領憎悪だ(もちろん、こうしたものは、こちらでは大変な‘犯罪’で、明らかに称賛にはならない)。

*

東南アジアでは、欧米が明らかに勝ち誇っている。欧米はこの巨大な(そして過去には多様だった)地域を、まんまと‘無力化し’、‘鎮定し’、洗脳し、知的に奴隷化した。

この状況が永遠に続かなければ、それも余り長時間続かなければ良いのだが。

フィリピンとベトナムは急速に正気を取り戻し、欧米の命令に従わない意思を固めつつある。

だが、インドネシアは、‘イスラム教を侮辱した’という全く不合理で異様な非難(非難が余りに奇怪なので、現地の言語学者たちすら彼の支持に回ったが、判決は‘政治的’で、公正とは無関係だった)で中傷され、投獄されたジャカルタの進歩的州知事‘アホック’に対する伝統的な形の‘法的クーデター’の後、大きな挫折を味わった。彼の本当の‘罪’はこうだ。アホックが、この依然絶望的なファシスト国家において、少なくとも多少は社会主義的な要素を導入しようとしたことなのだ。彼は倒れた。間もなく、他の人々が新たな試みをするかも知れない。

一方、中国もロシアも、この地域に本格的に入り込もうとしている。現地の‘最上流連中’は注視している。東南アジア・エリートの大半は、もちろん北ベトナムの人々を除いて、何世紀もずっと売り物だった。

反帝国主義連合が、より強力でより豊かになるにつれ、実際、近い将来、いくつかの東南アジア諸国トップの本格的な心変わりもあり得る。共産主義さえ、最終的には再度合法化される可能性があるが、多少の資金提供や奨学金や相当な助成金を広めるのに成功できたらの話に過ぎない。

もしそうなれば、バンコクFCCTでの画一的な論議も、最終的に、活気に満ちた多様なものとなり得よう。

もちろん、欧米はそういうことが起きるのを阻止すべく、全力を尽くすだろう。

アンドレ・ヴルチェクは、哲学者、小説家、映画製作者で、調査ジャーナリスト。彼は数十ヶ国で、戦争や紛争を報道してきた。彼の新刊書、三冊には、革命小説“オーロラ”と、政治ノンフィクション・ベストラーの二冊 “帝国の嘘を暴く”と“欧米帝国主義と闘う”がある。他の著書は、ここで見ることができる。彼は、テレスールと、アル・マヤディーンTVに映画を制作している。ルワンダと、コンゴ民主共和国に関する彼の画期的ドキュメンタリー「ルワンダ・ギャンビット」を見る。中南米やオセアニアで暮らした後、ヴルチェクは現在、東アジアと中東に暮らし、世界中で働いている
neo.org/2017/09/23/western-propaganda-in-southeast-asia-a-true-success-story/


97. 中川隆[-6174] koaQ7Jey 2017年10月16日 22:54:11 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

(日経平均株価の上昇による損失拡大について)
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/blog-entry-345.html

海外投資家はバブル崩壊後の1991年から累計で、取引所内取引を通じて現物株を86兆円も買い越している。すなわち、海外投資家は今より低い価格で86兆円も仕込んでいる。

国内から見れば、安値で海外投資家に株を86兆円も売り渡したことになる。

現時点での国内投資家の選択肢は、海外から高値で株を買い戻して巨額の損失を確定させるか、デフレ不況に戻すしか選択肢がない。あるいは、株は全部海外投資家に売り払って日本企業をすべて外資系にし、たとえどんなに高くとも配当金を毎年支払い続けるという選択肢もあるかもしれない。

いずれにしても、どうすれば巨額の損失を少しでも少なくすることができるかという選択の問題であり、過去の長期にわたる金融政策の誤りが導いた悲劇的な結末である。

ただ買い戻すならば、早めに買い戻す必要がある。現状でも日経平均株価が1000円上昇すると、国富と対外純資産を10兆円弱ずつ失うことになる。株式債務の含み損の拡大である。

2年半前の時点でアベノミクス相場開始以降の国富と対外純資産の損失は100兆円を超えていた。
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/blog-entry-184.html

仮に、日経平均株価が3万円、4万円になった後で買い戻すと、国内投資家の損失と海外投資家の利益はとてつもなく巨額なものとなる。

かつてフィンランドで類似の現象が発生したことがある。
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/blog-entry-278.html

株価が上がると利益は確実に増える。これは誰にでも理解できることであり、株価は安いよりも高い方が利益が大きい。しかし、利益だけではなく、同時に損失も発生することについては、ほとんど認識されていない。現在、日本の株式市場が置かれている大変深刻な状況を多くの人が認識し、どうすれば損失が一番少なくてすむのか議論くらいは始めることが必要だと思われる。
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/blog-entry-345.html


98. 中川隆[-6087] koaQ7Jey 2017年10月19日 17:48:32 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

道州制 From 三橋貴明


ベーシックインカムの他にも、
表面的にお化粧を施し、
「国民のための政策です」と装っている
グローバリズムの政策があります。

例えば、「道州制」です。

道州制とは日本を複数の道もしくは州に分割し、
現在の都道府県より高い地方自治権を
与える構想になります(北海道のみ、そのまま)。

各道州が、中央政府のコントロールから離れ、
独立した道州として自治を行うのです。

一見、良さそうな政策に思えるかも知れませんが、
道州制構想の基本には「自己責任」
があるという現実を理解しなければなりません。

すなわち、各道州は自らの地域から徴収される
税金のみで行政を提供しなければならないのです。

現在の地方交付税は廃止され、
各道州は全て自前の税収で、
行政サービスの支出を賄うことになります。

つまり、税収が少ない道州は、
十分な交通インフラの整備ができません。

医療、福祉、警察、消防、教育といった
基本サービスも劣化せざるを得ないのです。
(でも、自己責任)

そうなると、住民は間違いなく流出し、
東京を取り込んだ東京州に向かうことになるでしょう。

日本国家「最悪のリスク」である、
東京一極集中がますます進みます。

人口が減った道州は、税金が減るため、
行政サービスの質はひたすら落ちていきます。

すると、人口が流出し、さらなる税収減という
悪循環がどこまでも続くことになります。

要するに、道州制とは地方自治の
「小さな政府版」なのです。

中央から地方に対する支出を減らし、
各自治体に「自己責任」を要求。

負け組の自治体は「潰す」という前提になっており、
国家全体で成長し、安全保障を強化するという
「国家の責務」を放棄する政策です
(そもそも、新自由主義的な小さな政府路線は、
国家責務の放棄的な傾向が強いのです)。

さて、今回の総選挙。

先週取り上げたベーシックインカムと、
今回の道州制の双方を「公約」として
掲げた政党があります。希望の党です。

もっとも、自民党の地方創成策にしても、
各地方自治体に「競争」させ、
勝ち組には地方交付税を厚く配分。

負け組の地方は自己責任で切り捨て
という点で、道州制に近い発想なのですが。

ちなみに、

「(地方間で)競争しろというのか、その通り。
そうすると格差がつくではないか、当たり前だ。
努力した自治体としないところを
一緒にすれば国全体が潰れる」

と発言したのは、
石破茂地方創成担当大臣(2016年当時)でした。
https://38news.jp/economy/11189


99. 中川隆[-6082] koaQ7Jey 2017年10月20日 09:26:37 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017年10月20日
輸出神話の間違い 輸出は日本を貧しくしている


「貿易黒字が回復」「貿易赤字が悪化」のように言うのは間違い
引用:http://www.asahicom.jp/articles/images/AS20161024001223_comm.jpg

「輸出は良いこと」と言う間違い

日本には「輸出は良いこと」で「輸入は悪いことだ」という考え方が、徳川300年の因習のように染み付いています。

しかもこう信じている総本山が自民党幹部だったり、経産省や財務官僚、東大教授、経団連トップだったりします。

無学な人間ががどう喚いても総本山は自分が正しいと思っていて、改める気配すらありません。



安倍首相のアベノミクスも良く言われるように大企業偏重で、もっと言えば輸出企業偏重でした。

それを象徴するように大新聞やテレビは日本の貿易黒字が増えると「稼ぐ力が戻った」と大喜びしました。

財務省や経産省や自民党も「貿易黒字が”回復した”」とガンが直ったように喜んでいました。


アベノミクスでは貿易黒字を増やすために観光客誘致に力を入れ、2016年に2000万人を達成し、2017年は2500万人以上が確実になっています。

外国人が金を使うのは自動車を輸出するのと同じで、日本が儲かる=良い事だと皆思っています。

政府は輸出や観光客を増やすために円安に誘導し、現在は1ドル112円程度で推移しています。


ところが為替レートは日米の物価上昇率によって、同じ数字でも実効為替レートはどんどん変動しています。

たとえば日本の物価上昇率が20年間ゼロ、同じ期間アメリカは2%だったとすると、同じ為替レートでも実質的に、毎年2%円安になっています。

現在の1ドル112円は1995年時点の、130円か140円に相当する「超円安」になっています。


仮に今後1ドル80円になっても、1995年時点の1ドル100円以上でしかない筈で、円安の恩恵を受けて貿易黒字になったのが良く分かります。

輸出と観光偏重が日本を貧しくする

では貿易黒字で儲かったからこのまま続ければ良いのではないか、とも思えるがそうは行きません。

日本の貿易黒字で喜ぶのは日本人だけで、貿易相手はみんな不愉快になり怒り出します。

中国の貿易黒字が増えたとき、日米では中国人への反感が高まりましたが、80年代には欧米で「ジャパンバッシング」がありました。


日本がこのまま輸出を増やして貿易黒字を増やすと、間違いなくジャパンバッシングは復活するでしょう。

さらに貿易黒字だけが拡大し続けると、儲かった外貨の一部は日本円に交換されるので、円高圧力がどんどん高まります。

80年代に貿易黒字を溜め込んだ日本は、1995年の超円高で全て吐き出す破目になりました。


超円高や阪神大震災の傷も癒えて、小泉政権で再び貿易黒字を溜め込んだが、2011年の超円高でまた吐き出しました。

言っては悪いが「大食い選手権」で食えるだけ食って、トイレで吐いている大食い芸人と同じです。

これらで分かるのは輸出で儲けてから吐き出すには10年以上の時間差が有った事で、恐らく安部首相も引退する2030年までに次の超円高が起きます。


もっと前にも「高度成長期」に溜め込んだ貿易黒字を1985年プラザ合意の超円高で吐き出しています。

1971年にはニクソンショックによって1ドル360円の固定レートが廃止され、変動相場制に移行しています。

これら全ては、日本が貿易黒字で儲けすぎたのに欧米諸国が反発し、為替レートを上げる事で調整した結果でした。


10年か20年ごとに同じ事を繰り返しているわけで、偉い人達もいい加減に学習して欲しいです。

輸出するには同額の輸入が必要

ではどうすれば良いのかというと、実は非常に簡単な話で、輸出と同じ金額の輸入をすれば良いだけです。

自動車を100万台輸出しようが1000万台輸出しようが、同額の輸入をすれば為替相場は円高に動きません。

”偉い人達”は輸出を喜んで輸入を毛嫌いしていますが、その原因になっているのは恐らく、財務省の勘違いです。


財務省はGDPの計算方法で「輸出はプラス」「輸入はマイナス」にしていて、間違いではないが非常に誤解を与えています。

「輸出はプラス」に異論はないが「輸入はマイナス」の部分は、まるで輸入するほど日本のGDPが下がっているような印象を与えています。

毎回同じ例を挙げるが、例えばアメリカから100グラム50円で牛肉を輸入したとします。


スーパーで売るときには100gあたり150円とか300円になり、3倍から5倍もの値段で販売されています。

さらに牛肉は牛丼になったり、しゃぶしゃぶ、ステーキなどになり国内で付加価値がついて販売されています。

日本が輸入する大半は原料なので、輸入した価格の何倍もの価値が国内でつけられ「輸入によってGDPが増えている」のです。


アイフォンのような完成品でさえ、輸入したものを販売しサービスし課金されることで、やはり何倍もの付加価値が国内で生まれます。

輸出がGDPに貢献しているのと同様に、輸入もGDPに貢献していて、国内で付加価値が生まれているので分かり難いのです。

日本政府が輸出を増やしたいのなら、同額の輸入を増やすべきだが「輸出だけ増やせ」と言うから必ず失敗するのです。


今回の「安倍景気」も輸出だけに偏重するのなら、小泉景気と同じく、10年後に無残な失敗に終わるでしょう。
http://www.thutmosev.com/archives/73197193.html


100. 中川隆[-6079] koaQ7Jey 2017年10月20日 10:03:54 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
>>98 に追記

カタルーニャと道州制 2017-10-20

 スペイン政府が、カタルーニャの自治権を停止する動きに入りました。


『スペイン政府:カタルーニャ自治停止の手続き進める、21日に閣議
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-10-19/OY2A306JIJUO01

 スペインはカタルーニャ州の自治を停止する手続きを前に進める。プチデモン自治州首相が19日、独立の主張撤回を拒否したことを受け、スペイン政府が声明を発表した。
 カタルーニャを直接統治下に置くというスペイン政府の前例のない決定が、同州と中央政府の対立をさらに激化させることは必至だ。
 政府は声明で、カタルーニャに関し「政府は憲法155条が定める手続きを続ける」と表明した。(後略)』


 スペインのラホイ首相は、

「カタルーニャ自治政府の合法性を取り戻すため、スペイン政府は憲法155条に明記された手続きを進める」

 と声明を発表。


 フランコ将軍の死から3年後の1978年にスペインは民主制に移行したのですが、その際に施行された憲法の155条に「危機の際には中央政府による直接統治が可能になる」と定められているのです。


 カタルーニャの独立の是非を問う住民投票以来、スペイン政府と自治政府との間の緊張状態が続いていました。住民投票では独立派が多数を占めましたが、スペイン政府は「住民投票は違法」との立場を崩していません。


 スペイン憲法155条では、地方自治体が国家に深刻な被害を与える際に、上院の過半数の支持を得た上で、自治停止を遂行するための必要な手段を取れます。現在、スペインの上院は与党が多数派であるため、カタルーニャ州の自治停止の提案は承認される可能性が高いです。


 自治停止とは、具体的には州議会の解散と、前倒し選挙などになるとのことです。


 カタルーニャの独立騒動の記事を見るたびに、わたくしは日本における「ある政策」が頭をよぎるのです。すなわち、道州制です。



 道州制とは日本を複数の道もしくは州に分割し、現在の都道府県より高い地方自治権を与える構想になります(北海道のみ、そのまま)。各道州が、中央政府のコントロールから離れ、独立した道州として自治を行うのです。


 一見、良さそうな政策に思えたりもするのですが、道州制構想の基本には「自己責任」があります。すなわち、各道州は自らの地域から徴収される税金のみで行政を提供しなければならないのです。現在の地方交付税は廃止され、各道州は全て自前の税収で、行政サービスの支出を賄うことになります。


 問題は、現時点で日本の各都道府県には、生産性について圧倒的な格差があるという点です。分かりやすく書くと、生産性が高い「東京」を取り込んだ道州は、間違いなく勝ち組になるという話でございます。


 ただでさえ人口や企業が集まっている東京圏が、「東京州」として独立すると、地元のために使える税収は間違いなく増えます。何しろ、地方交付税として各地に配分されていた税金まで、東京州のために使えるのです。


 というわけで、東京のインフラはますます充実し、公共サービスも強化されていきます。充実したインフラや公共サービスを目指し、全国各地から陸続と人間や企業が集まり、ますます税収が増えるという好循環になるでしょう。


 逆に、生産性が低い地域を取り込んだ負け組の道州はどうなるのか。


 生産性が低いとは、所得が小さいという意味になります。税金は所得から支払われる。所得が小さい道州は、当たり前ですが税収が極端に不足する状況になり、インフラ整備も公共サービスの提供も困難になっていきます。


 インフラがボロボロで、修理もされない。医療サービスや介護サービスが劣悪で、警察や消防といった基本サービスすら、まともに提供されない。


 当たり前ですが、負け組の道州から人々は次々に「東京州」へと移っていくことになるでしょう。東京は人口と税収が増え、インフラ整備や公共サービスの充実が進む。反対側で、負け組の道州からはひたすら人口が流出し、貧困化していく。


 日本が勝ち組道州と、負け組道州に二極化し、勝ち組の道州は支援を求める負け組道州に対し、
「自分たちは努力したから勝ち組になった。負け組の道州は甘えている!」
 などと、傲慢な思いを抱き、ナショナリズムが壊れていくことになるわけです。


 世界屈指の自然災害大国で「ナショナリズム」が破壊されると、我々は「次なる災害」を生き延びることはできません。


 要するに、道州制は地方自治の「小さな政府版」なのです。中央から地方に対する支出を減らし、各自治体に「自己責任」を要求。負け組の自治体は「潰す」という前提になっており、国家全体で成長し、安全保障を強化するという「国家の責務」を放棄する政策です。


 さて、今回の総選挙。道州制を「公約」として掲げた政党があります。希望の党です。


 もっとも、自民党の地方創成策にしても、各地方自治体に「競争」させ、勝ち組には地方交付税を厚く配分。負け組の地方は自己責任で切り捨てという点で、道州制に近い発想なのですが。


 ちなみに、
「(地方間で)競争しろというのか、その通り。そうすると格差がつくではないか、当たり前だ。努力した自治体としないところを一緒にすれば国全体が潰れる」
 と発言したのは、石破茂地方創成担当大臣(2016年当時)でした。
 
 特に、現在の日本はナショナリズムが瓦解する政策は絶対に採用してはなりません。


 スペインの混乱は、道州制を採用した日本の未来です。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12321135044.html


101. 中川隆[-6056] koaQ7Jey 2017年10月22日 10:29:23 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

ゲスト講師として、柴山桂太先生に正しい意味における「ポピュリズム」について解説して頂き、色々と感銘を受けました。


 特に、エレファント・カーブの


【エレファント・カーブ】

http://mtdata.jp/data_57.html#elephant


 真ん中の膨れ上がっているところを批判するのが、右寄り反グローバリストの「ポピュリズム」、一番右の突出しているところを批判するのが、左寄り反グローバリストの「ポピュリズム」という話には、心から納得させれました。


【2017年 総選挙 政治マトリクス】

http://mtdata.jp/data_57.html#matrix


 右寄り反グローバリストにポジショニングするトランプ大統領は、メキシコや中国、さらにアメリカの中間層に被害を与える移民を叩きますが、所得上位1%層(一番右)には寛容です。逆に、左寄り反グローバリストであるバーニー・サンダース氏は、一番右を攻撃しますが、移民には比較的寛容です。


 まあ、わたくしはエレファント・カーブの真ん中も右端も両方共に「経世済民に反する」と批判しまくっていますが。国内の所得格差が開くのも問題であり、同時に対外直接投資や移民流入で日本国民の所得や雇用が奪われるのも問題でございます。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12321698225.html


102. 中川隆[-6066] koaQ7Jey 2017年10月24日 18:52:30 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

今でもマスコミは強い影響力を持つが、それは風前の灯火だ
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/10/20171024T1706270900.html


かつてのイギリスは、広大な植民地を持って世界に君臨した歴史を持つ。この国は世界を征服した。そのため、当時のイギリスの知識層の課題となっていたのは、「いかに国民を効率的に支配するか」という点だった。

誰もが知っていることだが、世の中は「ほんの一部の支配者」が膨大な人数を支配することで成り立っている。これは当時も今も変わらない。

だから、どのように膨大な人間の群れを支配するかを、18世紀頃の「大英帝国」はずっと考えてきた。

広大な植民地を効率的かつ収奪的に支配するためには、それが重要な課題であり、国を左右する大きな問題でもあった。この点に関しては、歴史家にして経済学者だったデイビッド・ヒュームは、このようなスキームを提唱していた。

「政府は、国民(被支配者)の屈従を確実にするために、ますます意見をコントロールすべき」

「統治される者は同意する権利を持つが、それだけである。同意以上の権利はない。人民は観客であることはできるが、参加者にはなれない」

「国民の意見をコントロール配する」組織がある

デイビッド・ヒュームの要旨は、「国民を支配しながらも、さも自由があるように見せかけるための仕組み」の骨格であることに気付くはずだ。

「国民の意見をコントロールする」
「国民を観客にさせる」

「国民の意見をコントロール配する」とは、要するに国民の意見を画一化させて、それを統治者の都合の良い方向に導くということだ。それは、世論操作とも世論誘導とも言う。

「国民を観客にさせる」というのは、政治で決まる重要な案件に国民を関与させないということだ。観客であることは許すが、参加は許さないということである。

それによって表向きには自由に見えて、実は自由でも何でもない「民主主義」という名の欺瞞が生まれる。

この中で、国民の意見を画一化させたり、国民をただの観客にさせたりしている組織は何なのか。もちろん、それは誰もが知っている「あの組織」だ。

私たちは、それを「マスコミ」と呼んでいる。

マスコミは国民の意見を画一化させ、自分たちの都合の良いように国民を世論操作して誘導して「あらかじめ決まっている結論」に落とし込む。

デイビッド・ヒュームの「国民支配の構図」は、マスコミという存在が誕生することによって成し遂げられたと言っても過言ではない。マスコミは強烈な支配ツールだったのである。

当初マスコミは支配者が支配ツールとして自由に使っていたのだが、やがて時代が変わると、マスコミ自身が権力を持つようになっていく。

そして、次第にマスコミ自身が暴走して、自分たちの都合の良い世論誘導をするようになっていった。自分たちが国民の世論を支配して、都合の良い政権を生み出したり、都合の悪い政権を崩壊させたりするようになったのだ。

マスコミ自身が支配者となった。


マスコミが暴走するようになると中立性はない

かつてマスコミは非常に大きな力を持ち、中立的で信頼に厚いものだと信じられてきた。ところが、マスコミが暴走するようになると、もはや中立性はない。

だから今、マスコミの存在自体が社会問題となっているのだ。

インターネットが普及するようになると、世界中で「マスコミは中立でない」ことが、急激に暴露されるようになってきた。マスコミが自分たちのやりたいようにやってきたのが次々と発覚している。

アメリカでもドナルド・トランプ大統領がマスコミが偏向しているとして激しく戦いを繰り広げているのだが、日本でもマスコミに対して「偏向するな!」と国民が激しくマスコミを攻撃するようになった。

マスコミは好き勝手に世論を誘導し、ミスリードし、都合の良いものだけを報道し、都合の悪いものは報道規制している。

マスコミに取材された人々は、マスコミがいかに歪んだ報道をしているのかを常々訴えてきたが、その声は今までマスコミの大量配信の前に掻き消されて届かなかった。

しかし、今ではマスコミの報道の方がインターネットの圧倒的な物量の前に掻き消されようとしている。

世論誘導を行うたびにインターネットで暴露されて信用が消し飛び、世論操作ができなくなり、マスコミの神通力は足元から崩れ去っていく。

現在、マスコミの多くは今までのビジネスモデルが通用しなくなって財政的に問題を抱えるようになってりる。今後は倒産するか、どこかに吸収されるしか生き残れなくなってきている。

全世界のマスコミがそのような状態に陥ったが、もちろん日本も例外ではない。

日本の場合、朝日新聞や毎日新聞が非常に悪質な世論誘導新聞として認知されるようになってきた。

朝日新聞は従軍慰安婦問題や南京大虐殺問題を捏造した疑惑が国会議員によって指摘されるようになった。毎日新聞は英字版で日本人を変態扱いする記事を配信し続けてそれが暴露されて窮地に陥った。

いずれも日本人を陥れ、日本人を自虐的にさせるために世論誘導をしていた悪質な機関だったのだ。朝日新聞や毎日新聞だけではない。夥しい新聞社がそうしていた。


マスコミそのものが「叩かれる存在」になったのだ

マスコミが安倍政権を激しく攻撃しているのも、実のところ安倍政権が中国・韓国・北朝鮮と距離を置いており、これらの反日国家の恫喝に折れないからである。つまり、安倍政権は中国・韓国・北朝鮮には不都合な政権なのだ。

しかし安倍政権がこれらの反日国家に不都合な存在であるということは、逆に言えば日本の国益に沿っているということでもある。

だから国民は安倍政権を支持しており、それが選挙での圧倒的勝利という結果になっている。

もちろん安倍政権も数々のミスをしている。最大のミスは2015年12月28日に締結された日韓合意だ。

これは「慰安婦問題を最終かつ不可逆的に解決するために行われた日本政府と韓国政府の合意」だったが、こんなものを結んでも韓国が守るわけがないのは最初から分かりきっていた。

それなのに、こんな合意を強行して韓国に10億円を毟り取られ、案の定、蒸し返され続けて慰安婦像も世界中で林立している。これは安倍政権の最大のミスである。

安倍政権がしなければならなかったのは、「非韓三原則」であり「報復外交」だった。

安倍政権も完璧ではなく、こうしたミスがあるのだが、それでも頭から足のつま先まで反日と売国だった民主党政権と比べると超絶的に優れた政権であり、日本を安定させて国益に沿って政治をしてくれている安心感がある。

だから、マスコミは安倍政権を叩き続けているのだが、インターネットの台頭で今ではマスコミそのものが「叩かれる存在」になってしまった。

今まで「国民の意見をコントロールして国民を観客にさせる」というスキームは「マスコミ」という機関を通してうまく働いていた。

もうこれからはそういうわけにはいかない。

今でもマスコミは強い影響力を持つ存在だが、もうその存続は風前の灯火のようになっている。


今まで「国民の意見をコントロールして国民を観客にさせる」というスキームは「マスコミ」という機関を通してうまく働いていた。もうこれからはそういうわけにはいかない。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/10/20171024T1706270900.html


103. 中川隆[-6065] koaQ7Jey 2017年10月26日 20:25:14 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

雇用を削減するイノベーションは、次に銀行員を無職にする


インターネット・テクノロジーとスマートフォンの普及は、社会の光景をどんどん変えている。現実社会でデジタルに置き換えられるものは、すべてデジタル化して既存の「アナログ業界」を破壊して回っている。

インターネットは「CD媒体で音楽を聞く」というスタイルを崩壊させた。また、インターネットの回線が速く太くなることで、今度は「DVDで映画を観る」というスタイルを崩壊させようとしている。

CDやDVDの販売やレンタルで生きていた業界は軒並み淘汰されていき、もはやリアル店舗として生き残るのは不可能になりつつある。

また、インターネットは「紙媒体で本を読む」というスタイルも時代遅れにしようとしている。そのため、紙に依存していた新聞社も出版社も軒並み時代遅れの企業と化して大きなダメージを受けるようになっている。

デジタル化できるものはすべてデジタル化されていき、既存の業界は吹き飛び、そこで働いていた人たちは路頭に迷うことになる。

インターネットは凄まじく利便性の高いインフラだが、だからこそ既存の業界は、「置き換えられる」と生き残れないほどの壊滅的ダメージを受けるのだ。

紙で流通している最大の「時代遅れ」とは何か?

紙に印刷されて流通しているものは、すべてデジタルに置き換えられて紙媒体は消えていくと思って間違いない。もう紙の時代は終わっている。デジタルが紙の印刷物を駆逐する。

ところで、紙で流通している最大の「時代遅れ」がまだ残っていることに気付いている人はいるだろうか?

それは、紙幣である。

私たちは未だに「紙の紙幣」を持ち歩き、手渡しでやりとりしている。「デジタル化できるものはすべてデジタル化される」という法則の中で、紙幣は例外なのだろうか。

いや、紙幣もまた駆逐されていく「モノ」である。すでに、欧米や中国では紙幣は時代遅れのものとして扱われている。紙幣のやり取りはデジタルのやり取りに変わっているのだ。

欧米では早くからクレジットカードが普及していて、現金を持ち歩く習慣が消えつつあった。

そして現在、インターネットとスマートフォンの爆発的普及によって、クレジットカードという物体そのものもインターネットの中に取り入れられた。もうスマートフォンのみで購買ができるようになったのだ。

たとえば、アップルは「アップル・ペイ」という技術でユーザーが持っている多数のカードをスマートフォンの中で仮想的に表示して、スマートフォンの中で好きなカードを選びながら電子決済が簡単にできる仕組みを作り上げている。署名する必要も暗証番号を入力する必要もない。

紙幣はクレジットカードに飲まれ、クレジットカードはスマートフォンの電子決済に飲まれていく。

「スマートフォンをかざすだけで買い物ができる」というスタイルは、紙幣や小銭をレジの前で数えながら手渡しして、店員もそれを数えて確認する作業を完全に凌駕する。

こうしたスタイルが、普及にどれくらいの時間がかかるのかは分からない。

しかし、インターネットがCDやDVDや新聞や出版物を駆逐したように、いずれは紙幣をも駆逐するようになっていくのは必然である。

日本人はことさら紙幣と小銭にこだわる民族性があるのだが、それでも日本人も時代の変化に抗えなくなる。

そう遠くない将来にスマートフォンが紙幣やクレジットカードの決済機能を飲み込んでいくのは約束された将来である。「デジタル化できるものはすべてデジタル化される」のである。


フィンテックが金融の分野にも広く深く入り込む

紙と言えば「切符」も紙媒体だが、これは近年SuicaやPASMOに置き換えられつつあった。それが今度はSuicaがスマートフォンに取り込まれていくスタイルに転換しつつある。

アップルは、イギリスではアップルペイに登録されているクレジットカードでそのまま地下鉄に乗れるようにしているのだが、日本ではSuicaのような電子マネーを通して乗れるようにしている。

方法論は違うのだが、こうした各国の事情をアップルのようなテクノロジー企業がきちんと押さえて根幹部分を飲み込んでいるということに気付かなければならない。

テクノロジー企業は金融部分をもテクノロジーで変えようとしており、こうした動きは「フィンテック」と総称されて広がっていこうとしている。

フィンテックとは金融を意味する「ファイナンス」と、技術を意味する「テクノロジー」を組み合わせた造語である。

フィンテックはその技術でインターネット決済が楽になるような部分が強調されている。

しかし、この技術は決済の利便性だけでなく、最終的に紙幣や小銭と言った「アナログ」を駆逐する可能性があるというのはあまり強調されていない。

「デジタル化できるものはすべてデジタル化される」という法則に基づいて、紙幣や小銭はすべてデジタルに置き換えられていく。そして、最終的には紙幣や小銭を時代遅れのものにしてしまう。

もちろん、今でも時代に取り残された人がCDやDVDを買ったり、紙の新聞や書籍にこだわったりしているように、デジタル化の動きに取り残されてしまう人が一定数いる。

アナログは常に完全に駆逐されるわけではない。小さな領域で生き残る。紙幣や小銭も完全に消え去るわけではなく、デジタル機器を使えない人たちのために生き残る。

しかし、時代の趨勢はもはやそこにない。

フィンテックが金融の分野にも広く深く入り込んでいく。フィンテックが確実に広がる理由は、そこに圧倒的な利便性と効率化があるからだ。


世の中は便利になるのだが、仕事は消える

買い物がすべてフィンテックに置き換えられると、レジで並ぶ時間も紙幣や小銭をやり取りする時間も劇的に早くなる。

それはユーザーにとっては並んでイライラする時間がなくなるということであり、店にとってはコストが削減できるということである。

さらに正確な売上がリアルタイムで把握できるようになるので、経営者に必須のものとなる。また、金勘定の人員もいらなくなるのでここでもコスト削減が進められる。

紙幣や小銭を数える人員が要らなくなるというのは、圧倒的なコスト削減とスピードの迅速化につながるので、フィンテックは銀行の経営者が求めるものでもある。

しかし、経営が効率化するというのは、銀行員がまとめて要らなくなるということなので、金融業界はリストラが吹き荒れる業界になる。

すでに、その兆候は出て来ている。

2017年10月11日、三菱東京UFJ銀行の三毛兼承頭取は、「ロボットなどデジタル技術を使い、全体で9500人分に相当する業務をシステム化したい」とインタビューで述べている。

なぜか。「スマートフォンなどを通じた取引が増える一方で、訪れる人は減っている」からである。決済がスマートフォン経由になることで店舗も人員も要らなくなっているのだ。

当然だが、この動きは三菱東京UFJ銀行だけでなく、すべての銀行で起きるわけで、そうならば銀行員がそれぞれの企業で数千人規模でリストラされ、以後は雇われなくなっていくのである。

人工知能が人間の職場を奪っていくというのは、別に遠い過去の話ではない。

こうした流れはいったん現場に取り入れられて効果があると分かったら、急激に導入が進んで人員削減が現実のものとなっていく。

雇用を削減するイノベーションが次に炸裂するのは、金融の分野である。ゆえに銀行員は、自分たちの仕事がなくなることを今から覚悟しておかなければならない。

世の中は便利になるのだが、仕事は消える。それが、「今」起きていることだ。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/10/20171026T1732180900.html


104. 中川隆[-6041] koaQ7Jey 2017年11月01日 16:10:49 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

金融的な知識を身につけなければ、踏みにじられるだけになる


「年功序列で給料が右肩上がりに増えていく」という現象が停止し、年々給料が減っていくという逆流現象が生まれるようになったのはいつのことなのか分かるだろうか?

それはバブルが崩壊した4年後、1994年のことだ。

日本の空前のバブルが崩壊したのが1990年だったが、バブルで有頂天になっていた人々が金策に行き詰まり、本格的に破綻をするようになった1994年から、日本人全体の平均世帯年収が減少するようになっていった。

自殺者は1998年から一気に3万円台に駆け上がったが、普通の人々が多額の借金を抱えるのは住宅ローンが原因だった。

住宅ローンの返済は「給料が年々上がって行く」という想定の下に組まれていたのだが、その右肩上がりが停止したのだから人々が追い込まれていくのも無理はない。

通常なら、住宅とは縁がなかったと売り飛ばすしかない。しかし、すでにバブル崩壊で土地価格は半値以下に下がってしまっている場所も多く、売ればすべてを失って借金だけが残る状況になっていた。

そういった人たちの一部が持ち家を死守しようとサラ金やヤミ金に堕ちて、最期に自殺まで追い込まれていったのだ。

日本人はどのようにして地獄に落ちていったのか?

この当時からサラ金をやっていた武富士のような胡散臭い会社が、史上空前の利益を叩き出していたのは偶然ではない。

バブル崩壊、給料現象、自殺、サラ金の隆盛と言う1990年代に起きていた現象は、すべてつながっていたのだ。この悲劇は2000年代に入ると、さらに深刻化していくことになる。

小泉政権に入ってから、何が起きたのか。

企業が続々と「非正規雇用」を拡大するようになっていった。つまり若年層の大部分は、景気が悪くなるとすぐにリストラされるような不安定な身分に落とされた。

その結果、若者の給料はいつまで経っても低いままで、将来設計もままならず、「格差社会」という言葉が生まれ、それが広がるようになった。

親から自立せずに家に引きこもる若者も増え、親に依存できない若者はネットカフェを転々とする生活に追い込まれるようになっていったのがこの時代だ。

追い込まれた若年層の中には人生大逆転を狙ってFX(外国為替証拠金取引)のようなギャンブルに染まっていく。

しかし、ギャンブルはしょせんギャンブルであり、それで生活が支えられるわけでも金持ちになれるわけでもなく、ほぼ99%の人々が勝負に負けて、さらなる苦境に堕ちていく。

若年層の格差社会や貧困を見て、最初は努力が足りないと言っていた人々も、やがて異様な空気が社会を覆うようになっているのに気が付き始めた。

2008年9月にはリーマン・ショックで金融市場は崩壊寸前に追い込まれ、2009年以後は年収300万円以下の世帯が40%を占めるようになっている。

2009年にもなると、さすがに多くの日本人は現状に青ざめて焦燥感を感じるようになっていた。そして日本人は、ここで「日本の戦後史でも最悪の選択」をしてしまった。


アベノミクスの恩恵が受けられない人が増えた

2009年9月。日本人は「自民党はもう駄目だ」という理由だけで民主党を選択した。しかし、この政党は日本史上でも稀に見る無能と売国の集まりだった。

民主党は政権を取ってしばらくすると、ことごとくマニフェストを破り捨て、日本人よりも中国・韓国・北朝鮮に利する政治活動ばかりをするようになった。

政治的混乱は鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦と三首相も続いてひどくなる一方だったのだ。

もはや民主党が政権にあることが「国難」であることに気がついた日本人は、総選挙を求めて民主党を突き上げた。2012年になるとやっと民主党はそれに応じて、政権は自民党に戻っていった。

2013年より、第二次安倍政権は矢継ぎ早に経済政策を実施して、民主党政権時代にボロボロになった日本の立て直しを急いだ。これらの一連の経済政策はアベノミクスと呼ばれているが、ここにひとつの問題がある。

アベノミクスは円安と株高を招いたのだが、すでに日本人の40%は年収300万円以下の貧困に突き進んでいて恩恵を受けられない人が大半になってしまっていたことだ。

円安と株高が起きる時代に重要なのは、

・ドル資産を持つ。
・株式を持つ。

この2点に尽きるのだが、そもそも年収300万円以下の貧困層が、ドル資産を持ったり株式を持ったりする余裕があるはずもない。

今や年収300万円以下の世帯は40%を超えている。さらに貯蓄ゼロの家庭も30%近い。

すでに生活が破綻して生活保護を受給している人々も212万人を超えており、まったく減ることがない。アベノミクスでは「ドル資産と株式を持つ」という経済戦略が必要であると分かっていても、生活に窮していては何もできないのである。


放っておけば、どんどん格差が開いていってしまう

弱肉強食の資本主義は、富裕層と貧困層に二極分化する動きである。現在は株式《史上》主義なので、株式を持たない貧困層はより資本主義から置いてけぼりにされていく。

雇用を削減するイノベーションも進んでいる。これがさらに続くと、今までの日本を支えてきた「サラリーマン」という労働形態が消失していく可能性も高い。

遠い未来の話ではない。これはすでに起きている動きでもある。(雇用を削減するイノベーションは、次に銀行員を無職にする)

今後は、よほどの特殊技能を持っている人間以外は、一生低賃金で暮らさなければならないような世界になっていく。

資本主義とは、政治がどのように動いても、社会がどのような変化をしても、持てる者はどんどん豊かになり、持たざる者はどんどん貧困に落ちていく構造になっている。

毎日必死で働いて年収300万円の人もいる。しかし、1億円の資産を配当率3%で運用している人は、1年遊んで300万円が手に入る。資産が2億円あれば600万円、3億円あれば900万円が何もしないで転がり込んでくる。

放っておけば、どんどん格差が開いていってしまうのである。

もちろん、人は誰でも金のために働いているわけではないので、金持ちになることを目標にする必要はさらさらない。やりたいことをして、ほどほどに生きて行ければそれが最高の人生である。

しかし、年収300万円では生活に追い立てられるだけで人生が終わる可能性が高い。

資本主義とは何なのかよく研究し、この「金こそすべて」の世界でサバイバルできるように金融的な知識を身につけなければ踏みにじられるだけになってしまう。

学校では「資本主義の生き残り方」をまったく教えてくれないが、だから重要ではないわけではない。教えてくれないものこそが重要なのだ。

生き残るために自分が何をしなければならないのか、じっくりと考え抜いておかないと、もう誰も助けてくれない。そんな、残酷な時代が続いている。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/11/20171029T2000520900.html


105. 中川隆[-6036] koaQ7Jey 2017年11月02日 10:24:17 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017年11月02日
EU離脱投票後のイギリス経済 報道ほど悪化していなかった


マスコミは酷い事になっていると騒ぐが、数字には表れていない
引用:http://livedoor.blogimg.jp/satoki_segawa-eco/imgs/5/6/5642d4d8.gif

国民投票後のイギリス

2016年6月のEU離脱国民投票で離脱を決定したイギリスは通貨や株価が大混乱したが、その後どうなったのだろうか。

国民投票後の混乱を引き起こした犯人は、投票そのものではなく、騒ぎ立てるマスコミの方でした。

EUという統一市場から離脱すると、確かに関税や税関手続きが煩雑になり、輸出競争で不利になる。


だが価格競争の点で言えば、要するに通貨のポンドを少し安くすれば良いだけであり、騒がれ過ぎていました。

例えばEU離脱で3%の関税を掛けられるとしたら、ポンドが3%下落すれば同じことです。

ロンドンの「シティ」は金融サービスの中心地だったが、これは確かに銀行などの撤退で減少しているようです。


経済の専門家達は、国民投票で離脱が決まればイギリスはたちどころに破滅すると言っていたが、今の所イギリス人は生きている。

専門家達は「国民投票が可決すれば」の部分を「EU離脱が実現すれば」と言い換えて、やっぱりイギリス破滅を唱えています。

きっとイギリスがEUを離脱して何も起きなかったら、「数年後に影響が現われる」と言い始めるでしょう。

悪化していないのに騒ぐマスコミ

ユーロに対するポンド相場は安くなる必要があったが、必要以上に下落し、去年6月前より15%以上下げている。

ポンド安によって物価が上昇し、購買力は下がってしまい、ハイパーインフレが懸念されています。

不況とインフレが同時に起きるのをスタグフレーションというが、これはデフレ不況より対処が難しい。


不況退治には金利を下げれば良いが、利下げはインフレを加速するので、昔の南米経済みたいになります。

英中央銀行はインフレを抑えるために利上げを予定しているが、利上げは当然景気を冷え込ませる。

この数十年のイギリス経済は金と人をロンドンに集める事で成長してきました。


EU離脱するとこうした流れが制限され、移動にはパスポートとビザが必要になり、貿易には税関検査が必要になります。

関税分のコストはポンド安で吸収できるが、こうした人と物の移動を制限されるのは痛い。

経済成長率は2016年が1.8%、2017年が1.65%(予想)、2018年が1%予想となっています。


低い数字が並んでいるが、実は国民投票前も良い時が2%台で、普通の年は1%台だった。

インフレ率は2017年が2.63%予想だが、2000年代の平均は2%台なので、言うほどインフレでもない。

失業率は国民投票前に5%台だったのが現在は4.4%なので改善され、長期的にも低下しています。


経済は停滞しているが、数字で見る限り国民投票前と、目だった違いは見られません。
http://www.thutmosev.com/archives/73425230.html


106. 中川隆[-6043] koaQ7Jey 2017年11月05日 19:02:11 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017年11月05日
富の再分配なき世界 好景気でも収入増えず


(非課税を除き)低収入ほど負担が重く、1億円以上では社会保障費が実質無料。
ばかげているとしか言いようがない。
引用:https://pbs.twimg.com/media/BjaeYC4CUAElagp.jpg

豊かな者はもっと豊かに、貧しい者はもっと貧しく

日本は好景気だと言われているが、実質所得はあまり増えていません。

失業率が低下したので労働者が受け取る賃金合計は増えたが、給料が上がらない状態が続いています。

世界的にも特に欧米先進国で、景気が良くなっても収入が増えないのが常態化しています。



この原因になっていると言われているのが「富の再分配」が行われておらず、富が偏在している事です。

例えば最初同じような収入だった労働者の中から、競争によって勝者が生まれ、多額の資産を築いたとします。

富を蓄えた一族は有利に競争を進め、その後もどんどん資産を増やしていきます。


一方競争に負けた労働者は元のままで、その子供や孫もずっと労働者のまま収入は増えません。

これが中世以前の封建社会なのだが、21世紀の社会構造は封建時代に近づいています。

こういう固定した富の偏在を一度チャラにしようというのが明治維新や資本主義、民主主義だったが今では機能していません。


日本では高度成長期からバブル期に働いた高齢者が富を独占し、若者は「時給1,000円」の世界から中々抜け出せずに居ます。

成長期の労働者は働いた以上の報酬を貰い、年金や医療もただ同然で手厚く、その上退職金と高額な年金も受け取りました。

一方でバブル崩壊後の氷河期世代は、正社員になれず保険や年金に加入できなかったので、国や企業による保証は一切ありませんでした。

富の固定化は社会を滅ぼす

成長期に労働者だった世代と、バブル崩壊後の世代では生涯収入が何倍も違います。

しかも成長期の世代は年功序列だったので、それほど有能や働き者で無くても勤まりました。

ある種の統計では上位数%の富裕層が、人類の全資産の半分を保有していて、中世暗黒時代に近いそうです。


日本の江戸時代は時代劇では、農民は非常に貧しく描かれていたが、実際はかなり違いました。

「米」という商品はとても高価であり、米を作るのは農民で、しかも米は技術的に難しい農作物だったからです。

武士や上流階級は米を入手するために高額なお金を払い、農村には莫大な資金が流れ、豪農や資産家が続出しました。


多くの農民は自分の土地を持たない小作人だったが、彼らは現代でいう「IT技術者」のような存在で、技術によって収入を得ていました。

研究者によると幕府領の小作人は現代に換算して年収700万円(経費を引いた後で)程度と都市住人より高収入でした。

だが江戸時代も後半になるとインフレが進み、米価格は相対的に下落し、農家の実質収入はどんどん下落し明治維新に至りました。


米経済による富の再分配が止まって、富裕層はどんどん金持ちに、貧しい人はどんどん貧しくなり、不満が高まった事が明治維新を誘発しました。

IT技術は特に先進国では、労働者には恩恵が無く、ITが無かった時代よりも社会的に貧しくなりました。

富の固定化がこのまま進行すると、日本や先進国は徳川幕府のように崩壊するかも知れません。
http://www.thutmosev.com/archives/73480960.html


107. 中川隆[-5962] koaQ7Jey 2017年11月09日 20:35:21 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

専門技術を持たないというのは、もはや自殺行為にも等しい


これからさらに苛烈になる弱肉強食の資本主義社会では、会社に依存して生きることは、もう許されない。会社は世界的な競争にさらされて、ひとつ間違えるとすぐに淘汰される。

東芝や神戸製鋼所の惨状を見て分かる通り、名の通った大企業であっても、経営を間違うと屋台骨が吹き飛んでいく。場合によっては再起不能に追い込まれるような悪夢もあり得る。

どんな会社でも来たるべき不景気に備えて、コスト削減を追求するので、よけいな社員は常に切り捨てられる。もはや終身雇用は過去の話になった。

そうなると、すべてのサラリーマンは、リストラされることを前提として人生を構築しなければならなくなる。

それが、これからの社会の姿だ。世界中の労働者は、その前提で生きている。日本人もここ10年で状況が変わったことを肌で感じているはずだ。

もう会社に依存して生きられない。真面目に勤めていても、会社が苦境に追い込まれたら、すぐにリストラの嵐に巻き込まれていく。

会社が自分の将来の安泰に役に立たない時代になった。そうすると、必然的に「自分の持っている能力」を武器にして生き残るしかなくなる。

専門技術を持たないというのは、もはや自殺行為だ

「他人よりも抜きんでた何か」がないと、無能だと見なされて捨てられる。そして、いったん捨てられたら能力がないので誰も拾ってくれない。

つまり、自分の持っている「特殊能力=スキル」だけが自分の存在価値になる。

これから生き残るには、何らかの専門家(スペシャリスト)になって、その専門を究めなければならないのである。

いったん専門家になると、自分の雇っている会社が駄目になっても、どこかの会社が自分の能力を即戦力だと考えて雇ってくれる可能性も高まるし、それで起業することもできる。

はっきり言って、専門技術を持たないというのは、もはや自殺行為にも等しい。

ただし、絶対に勘違いしてはいけないことがある。スキルとは資格のことではない。仕事の中で徹底的に活かせない仕事は、ただの紙切れだ。

意味のない資格、誰もが持っている資格、時代遅れの資格、趣味もどきの資格など、ただのゴミである。そんなゴミを掻き集めて自滅する人もいる。

(学歴・会社・資格に頼っている人は未来がないという現実)
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2016/11/20161122T1935330900.html


必要なのは、実際の業務に裏打ちされた「特別な能力」である。それは、自分が技能で食べていけるための磨き抜かれた能力でないといけない。

仮にもし自分の「特別な能力」を使ってくれる企業がない、条件に合う企業がないのであれば、その能力を元に起業することも検討する必要もある。

自営は生やさしいものではない。少なくとも、趣味で取ったような資格では、まったく何の意味もない。生き残るために、実際に役に立つものでなければ身を助けてくれない。


他人よりも抜きん出た特別な能力は後天的なものだ

生まれつき、天才的な何かを持つ人もいることはいる。しかし、そうでない人の方が多い。では「特別な能力がないとこれから生きていけない」というのであれば、普通の人は路頭に迷うしかないということなのか。

もちろん、そうではない。

「他人よりも抜きん出た特別な能力」は、先天的なものばかりではなく後天的なものの方が多い。

つまり多くの人は、何もないところからその専門性や特殊技能を手に入れているのである。どうやって手に入れたのか。難しいことではない。

自分自身をよく見つめて自分の可能性を探り、それに打ち込み、長い時間をかけて努力することによって手に入る。多くの人は自分に合った方向性を見つけ、その中で地道な努力の結果、特別な能力を身に付けているのである。

特別な能力は、懸命にひとつのことに打ち込み、長い時間をかけて経験を得た結果である。

長い時間とはどれくらいか。少なくとも1万時間であると言われている。

(知能指数がいくら高くても、社会的に成功するわけではない)
https://www.bllackz.net/blackasia/content/20150606T0355370900.html

何年も何年もそれに打ち込み、その分野で熟練し、経験を積んだから人は特別な能力を手に入れることができるのだ。

とすれば、自分で自分の人生を切り開くには、結局のところ「必死になって自分の可能性に打ち込む」ことを、まず最初にしなければならないというのが分かる。

人生は長いので、小手先だけのテクニックで乗り切れるようなものではない。努力を回避し続けて楽して生きていけるほど世の中は甘くない。

「他人よりも抜きん出た特別な能力」は努力を繰り返すしか手に入らない。誰も見ていないところで、必死で努力することによってしか手に入れることができない。


現代は、個人と個人の競争になっているのだ

これから国も会社も自分の面倒を見てくれない可能性があるのだとすれば、ますます自分で自分を助けるしかなくなる。

競争はどんどん苛烈になって止まらない。最初は国と国の競争だったものは、次に企業と企業の競争となり、最後には個人と個人の競争になっている。

競争がどんどん上位から下位に展開していき、生き残れるかどうかは「個人の能力」によって決まるような時代になったのだ。だからこそ、「弱肉強食の資本主義」なのである。

景気が良くなったら楽になると勘違いしてはいけない。もう今までの「寄らば大樹」の時代はとっくに終わっている。

国も莫大な累積債務を抱えて身動きができず、社会保障も福祉も切り捨てにかかる。企業も景気の動向に関わらず、常にリストラをするようになっていく。

さらに雇用を削減するためのイノベーションが想像を超えるスピードで広がっている。

ITテクノロジーの進歩、ドローンや自動運転の技術、ロボット化、人工知能、仮想現実、自分自身の状況を自動的に知らせる機器、3Dプリンター……。

デジタル化が促進していく時代は、次々と「安定した職業」を奪っていく。

(雇用を削減するイノベーションは、次に銀行員を無職にする)
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/10/20171026T1732180900.html


急激に起きている時代の変化を絶対に甘く見てはいけない。

個人となった人間が、自らの能力で生き残ることが求められているのは、社会がそのように変わったからだ。「要らない人間を捨てる」のが今まさに起きていることなのだ。

誰もあてにできず、誰も助けてくれず、仕事も消えていくのだから、最後は自分で自分を生かすしかない。真剣に生きないと見捨てられるのだから、生き残るのに必死になるべきだ。

特別な能力を手に入れるのは、ますます重要な時代になっており、そのために必死で努力している人だけしか生き残れない時代となっている。


個人となった人間が、自らの能力で生き残ることが求められているのは、社会がそのように変わったからだ。「要らない人間を捨てる」のが今まさに起きていることなのだ。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/11/20171109T1649530900.html


108. 中川隆[-5888] koaQ7Jey 2017年11月14日 18:42:27 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017年11月14日
国の借金が1080兆円、個人資産が1800兆円に増加

財務省が発表する「国の借金」は2倍に膨らませてある
引用:http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/004.gif

「国の借金」という謎の考え

財務省は11月10日に、9月末時点で国の借金が1080兆円に増えたと発表しました。

わずか3ヶ月で1.4兆円増加し、国民1人当たり約852万円の借金だと危機を煽っています。

ところがこの「国の借金」の概念が曖昧で、政府の借金でも公的債務でもない。

欧米や新興国が発表している「政府債務」などとは全く違うので、混乱と誤解を招いています。

2015年に発表された「1053兆円」で解説すると、まず政府短期証券117兆円は為替介入のための、短期の支払いに当てられている。

2012年以来日本は為替介入をしていないが、事務処理のために数ヶ月借りては返すを繰り返していて、実際には存在していません。


財政投融資残高は約163兆円で、特殊法人の借金は「法人の借金」なので国が支払う責任はない。

建設国債残高は250兆円程度で、道路や橋を作った借金なのだが、ガソリン税や有料道路料金などで支払っています。

これらは日本以外の国では「国の借金」に含めておらず、残りの460兆円だけが本当の日本政府の借金です。


日銀の黒田総裁は国債買い取りを進め、日銀の国債保有残高は437兆円(6月末)に達しました。

国の借金は460兆円程度で、そのうち437兆円を日銀が買い取ってしまったので、日本政府は日銀に償還しています。

ところが日銀は日本政府の組織なので、自分の借金を自分に支払っているという状態です。

まあ払わなくても誰も困らないのだが、この制度を維持したい人達が守っています。

個人資産1800兆円を握る人達

9月20日には日銀がもう一つの数字、金融資産残高(個人資産)が1832兆円で過去最高になったと発表しました。

個人資産が1832兆円で国の借金が1080兆円なら、持ってる人に払わせれば一瞬でチャラになるような気がします。

個人資産の多くは富裕層が保有していて、日本では保有資産に税金はかからないので、富裕層は働かず税金も支払っていません。


この現象は世界的にも同じで、富裕層は税金を払わず、労働者が納税した金でサービスを受けています。

これに課税しようというのが消費税なのだが、消費税は資産や収入が少ない人ほど税率が高く、富裕層はほとんど払っていません。

世の中はどこまでも金持ちに有利に作られていて、資産への課税や相続税が検討されていますが、必ず反対意見で潰されています。


てっとりばやく富裕層の全資産を没収してしまえば良いのだが、富裕層は金によって権力を持ち、政治への影響力を持っています。

個人資産がいくら増えても、それが消費や投資にまわらなければ、1円たりとも日本のGDPは増えません。

だが税金も払わず経済にも貢献しない人達の資産ほど、手厚く保護されているのです。
http://www.thutmosev.com/archives/73606389.html


109. 中川隆[-5815] koaQ7Jey 2017年11月23日 09:17:07 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

日本人は現金決済にこだわって前が見えていない危険な状態


ロイヤルホールディングスは、2017年11月1日に支払いを電子マネーやクレジットカードだけにした実験店「ギャザリングテーブル・パントリー」という店を出している。

この店は人手不足に対応するために、注文はタブレット端末で行い、さらに支払いも電子マネーやクレジットカードに限るという斬新なものだ。

ウエイトレスやウェイターが注文を取りに来て、帰りに現金で支払うという部分を、タブレット端末と電子決済を使うことで効率化する。

すでに様々なスーパーやコンビニでもレジで電子マネーを使う人が出てきているのだが、今後はこうした支払い方が普通になり、現金決済は排除されていく流れになっていく。

ファストフードでも、「セルフレジ」と言って、大きな液晶パネルで注文を選ぶシステムが実験的に導入されている。ここでも支払いは電子決済である。

アメリカのマクドナルドでは2014年に従業員が「賃金を上げろ」とデモを起こしたところ、マクドナルドの回答はこの「セルフレジ」だったというオチだった。

賃金引き上げのコストを増やすよりも、雇用削減のイノベーションを取り入れることを選択したということだ。

現金決済では、もう次の時代を担うことができない

すでに、セルフレジと電子決済のシステムで合理的かつスピーディーに注文処理を受けることができる。それによって、企業は回転率を上げながら雇用を削減することが可能だ。

回転率が上がることによって売上が増え、雇用を削減することによって利益が上がる。

「回転率を上げて、さらに雇用の削減もできる」というのは、企業にとっては二重のメリットがあるのだ。だから、世の中はこの方向に向かって走り出す。

「人に注文を取ってもらい、現金で支払う」というやり方は古いやり方になり、こうしたやり方に固執している店は価格競争の中で敗退して消えていくことになる。

さらに、いつまでも「注文は人に取ってもらいたい、支払いは現金でやりたい」という人も、気が付けば時代に取り残される。

今の世の中は、「デジタル化できるものはすべてデジタル化される」という流れになっており、この流れの中でいかに合理性を自分の生活に取り込めるかで、次の時代に生き残れるかどうかが決まる。

買い物ひとつでも、より安く、より早く、より合理的に商品を手に入れるために、インターネットで多くの店を比較検討して最も安く最も信頼のおけるところから買い物をするのは当たり前になっている。

だから、ここに特化したアマゾンは世界最大手の小売り企業となり、創業者のジェフ・ベゾスはビル・ゲイツやウォーレン・バフェットを抜いて世界最大の金持ちに成り上がったのだ。

未だに「インターネットでの買い物は信用できないし、クレジットカードも使いたくないので、インターネットでは買い物は絶対にしない」という人もいるのだが、もはや今の時代では理解を得られない。

それでも彼らは生きられるのだが、現代の利便性を享受できていない人として捉えられる。


次の時代にわざわざ取り残されることを宣言するな

別に世の中がデジタル化しているからと言って、すべてをデジタル化する必要はまったくない。アナログにはアナログの良さがあって、それを評価できることは素晴らしいことでもある。

しかし、デジタル化の流れを意固地になって拒絶していたり、それが時代に逆行する反逆者のように思えて格好が良いとか勘違いしていると、やがては取り残されることを覚悟しなければならない。

巨大なパラダイムシフトは、それに乗り遅れれば乗り遅れるほど生活に支障が生じていく。

かつては、自動車が普及していく中で馬にこだわった人もいただろうし、CDが普及していく中でレコードにこだわった人もいただろう。すべて時代に取り残された。

そろばんは電卓に取って変わり、電卓はパソコンに取って変わり、そのパソコンも今やタブレット端末やスマートフォンに取って変わろうとしている。

それぞれの時代の流れの中で、時代を先取りできる人もいれば、逆に時代に取り残される人も出現する。

日本ではいまだに「スマートフォンは必要ない、ガラケーで充分だ」と発言する人がいて、しかも、そうした発言に拍手したりする人もいる。

こうした人は次の時代にわざわざ取り残されることを宣言している人であり、まったく賢明ではない。

スマートフォンは単なる情報端末ではなく、「知能拡張」のためのツールでもあるので、「スマートフォンは必要ない」と言っている人は「知能は必要ない」と言っているも同然だ。

知能万全の社会で「知能は必要ない」という選択をするのは、自らを無能に落とすと宣言しているわけで、これは大きな、そして愚かな選択肢である。

日本人には今も「ガラケーで充分だ」という人がいるのだが、これは美徳ではない。とても危険な立場に自分を追いやっている一種の自殺行為でもある。


超巨大なパラダイムシフトがマネーの分野で起きる

紙の紙幣と小銭を使って現金決済するというのも、それにこだわっていると次の時代に取り残される元凶と化す。

マネーは資本主義の世界を貫いている最も重要な要素なので、この部分で遅れてしまうのは、資本主義の根幹から弾かれる可能性すらもある。

2000年代はパソコンができない人が、みんな就職や転職でふるい落とされた。

この時代に非常に重要なアプリケーションはエクセルだと言われていたが、エクセルは主に「マネーの計算」をするためのソフトだった。

2010年代はインターネットができない人が、みんな就職や転職でふるい落とされた。

インターネット時代にはサーバーサイドで動くデータベースが重要視されているが、このデータベースもまた「マネーの情報」を蓄積する必須のシステムである。

パソコンもインターネットも、マネーの「取り扱い」で重要な部分であったから、ビジネスで重要視されていたと言っても過言ではない。

2020年代は、いよいよ紙幣と小銭がデジタルの世界に取り込まれていき、電子マネーが主流になる。

電子マネーを使い、電子決済をすることによって、今後は収支をコンピュータの中でデジタル管理することができるようになり、それによって信用の構築にも差が生まれる。

そうすると、電子マネーの取り扱いができない人が、みんな就職や転職でふるい落とされる時代がやってくる。

また電子マネーを掌握した企業、あるいは電子マネーを最も効率的に使っている国家が、次の時代の覇権を握ることになる。これは、新たな「産業革命」と言っても等しいインパクトを持つものである。

だからこそ、私たちは今のうちに電子マネーに移行し、早い段階で慣れておき、その癖やメリットやデメリットを評価できるようになっていなければならない。

超巨大なパラダイムシフトがマネーの分野で起きようとしているのに、日本人はあまりにも現金決済にこだわりすぎて前が見えていないように感じる。

国を挙げてこの分野を強化しないと、日本は致命的なまでに時代遅れの国となってしまう。


もうクレジットカードすらも、スマートフォンに取り込まれた。超巨大なパラダイムシフトがマネーの分野で起きようとしているのに、日本人はあまりにも現金決済にこだわりすぎて前が見えていないように感じる。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/11/20171122T1808280900.html


110. 中川隆[-5802] koaQ7Jey 2017年11月23日 19:07:07 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

資本主義を改変する動きは、どんなものであれ大混乱を招く


現代は、平等であることよりも自由であることを追求した社会であると言える。誰でも自由に何でも好きな職業に就いたり、やりたいことをやったり、買いたいものを買ったりすることが可能だ。

そんな中で、ある人は享楽を追求し、ある人は金を追求する。享楽を追求している人と、金を追求している人では、長い目で見るとその資産には大きな差ができる。

金を追求している人は結果的に資産が貯まる。享楽を追求している人は結果的に資産が貯まらない。

最終的に所有する財産を見ると、ふたりは平等にならないのが普通だ。

スタートは同じだったとしても、結果は不平等になる。求めているものが違っているのだから、ふたりの人生は平等になるというのは、どう考えてもあり得ない。

誰でも金がある方がいいに決まっている。そうすると、最終的に金をなくしてしまった享楽型の人は不幸なのだろうか。いや、そうとも限らない。

世の中は「金」があれば幸せであるとは限らないからだ。金は人生の一部であって、すべてではない。

金よりも想い出、仕事よりも趣味、節約よりも享楽

享楽を追求する人は、その人生の中でたくさん楽しい経験をして、良い想い出を作って、気が置けない友達もたくさんできたはずだ。

金を追求して生きたわけではないので、大きな資産はないかもしれない。しかし、それ以上に豊かな人生を手に入れている可能性もある。

金よりも想い出、仕事よりも趣味、節約よりも享楽が重要な人はこの世にたくさんいる。

それなりに働けばそれなりの給料だが、必死で働けばたくさんの給料がもらえる。一方は想い出が充実し、一方は資産が充実する。

資産から見るとその結果は平等ではない。しかし、人生の目的や生き方が違っているのだから、他人にとやかく言うのは大間違いだ。

いろんな生き方があって、それを許容するのが自由主義であり、資本主義である。私たちが生きている社会はそのような社会である。

この仕組みは、結果の平等にこだわった共産主義よりもうまく機能したので、今や全世界がこの資本主義に覆い尽くされようとしている。

共産主義の総本山だったソビエト社会主義共和国連邦は1991年に死んだ。その次に共産主義大国だった中国もこのままではアジアの眠れる豚となってしまうと考え、ソ連崩壊の翌年に共産主義を捨てて資本主義に移行した。

結果の平等にこだわった共産主義、あるいは結果が平等になるように自由に規制をかける社会主義よりも、自由主義や資本主義の方が社会システムとしては優れているということは、1991年にすでに決着を見ているのである。

社会主義も共産主義も、1991年に死んだのだ。


想い出は財産のように継承することができない

しかし、資本主義の世界が先鋭化していくと、企業が利益拡大のために労働者を最低賃金で働かせたり、コスト削減でリストラを恒常化するようになる。

その結果、あまり金を追求しないで自由に生きていた人が貧困に転がり落ちるようになり、自由どころではなくなった。

資本主義はあまりにも弱肉強食化し、それ自体が不平等を生み出すシステムになった。そして、そのひずみがどんどん大きなものになってしまっている。

金を徹底的に追求する人間と享楽に生きる人間では、最終的に残る財産はまったく違ってしまう。しかし、自由主義や資本主義の社会ではそれを許容した。それを許容しなければ、自由主義にならないからだ。

問題は、このシステムが長く続いて行くと、やがて超格差社会が生まれてしまうことである。富める者はますます富み、貧しいものはますます貧しくなる社会が出現するのだ。

そして、財産が子供たちに継承されるようになると、格差はもはや埋めがたいものとなる。

金持ちの子供たちは生まれながらにして巨大な資本に囲まれて生まれ育ち、その資本を十二分に活用してさらに財産を殖やすことができる。

一方で享楽に生きて想い出をたくさん作った親の子供は、何も継承されないで世の中に放り出される。残念なことに想い出は財産のように継承することができない。想い出は一代限りのものなのだ。

仮に、1億円を継承した金持ちの子供はその1億円を3%の株式で運用していたとすると、彼は何もしないで年間300万円の配当収入を得る。

彼が普通に働いて、その300万円をそっくり配当再投資に回すと、30年で1億円は株式がまったく値上がりしていないとしても財産は2倍になっている。

こうした財産の継承が数代続くと、それだけで金持ちの一族の子供は10億円、20億円の財産が継承されることになる。

仮に10億円の財産が継承されると、3%配当でも年間配当収入は3000万円である。年間3000万円の収入を得られる人というのは、相当なエリートでもない限り不可能である。この時点でもう社会の不平等は極まっている。


爆発的なエネルギーが社会の底辺で渦巻いている

現在の世界有数の富裕層の資産は10億円や20億円のレベルではない。上を見れば10兆円のレベルである。この1%の富裕層は黙っていても資産はさらに巨大化していく。

しかし、何も持たない層は、効率化を極限まで推し進める企業によって賃金が抑制されるか削減される傾向にあり、どんどんワーキングプア化している。

もはや、極限的な不平等は社会の仕組みを少し変えたくらいでは解消できないレベルにまで達した。格差は「永久」に解消しないし、不平等はもっと凄まじい不平等になる。

何をどうやっても逆転できないような超絶的な格差社会がすでに生まれてしまっており、それを自由主義と資本主義が後押ししているような状況になってしまっているのである。

だから、「今の社会を破壊したい」という爆発的なエネルギーが、これから社会の底辺からマグマのように噴火していく。

2009年には「巨大銀行で我々の税金を使うな」というデモが起き、2011年には「ウォール街を占拠せよ(オキュパイ・ウォール・ストリート)」運動が盛り上がり、そして2016年には現状打破のためにドナルド・トランプが大統領が選ばれるという番狂わせが起きた。

これらはすべて、競争することすらも不可能になった巨大な富裕層たちに対する絶望的な怒りが生み出しているものである。同一の怒りが違う運動として起きているのだ。

こうした世の中の一連の動きを見ても、現在の資本主義システムはすでに人々の不満を掻き立てている問題のあるシステムに変質していることが分かるはずだ。

ところが、この資本主義システムはあまりに深く現在社会に溶け込んでいるので切り離せない。資本主義は現在の文明の中核に埋め込まれて一心同体と化しているので、これを変革することができない。

この不平等を増長させるシステムを打倒するというのは非常に難しく、現代文明の根幹を破壊するのと同じことになってしまうのだ。資本主義を改変する動きは、どんなものであれ大混乱を招く。

そもそも政治・経済・言論を動かしているのが富裕層であり、エスタブリッシュメントであり、そのエージェントなのだ。彼らが自分たちの資産を減らすような資本主義の変革を容認するはずがない。

そのために社会的な矛盾は解消されることも解決されることもなく続く。そして社会はより荒廃していくことになる。

ドナルド・トランプ大統領が社会を変えられないと底辺の人々が悟った時、また次のマグマが吹き荒れて多くの番狂わせが起きてくる。

社会の底辺で渦巻いている巨大な不満が再び爆発するのは時間の問題だ。


ドナルド・トランプ大統領が社会を変えられないと社会の底辺にいる人々が悟った時、また次のマグマが吹き荒れて、多くの番狂わせが起きてくる。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/11/20171123T1845400900.html


111. 中川隆[-5800] koaQ7Jey 2017年11月28日 08:07:10 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]


低所得層が病気になりやすく重篤化しやすく治りにくい理由


厚生労働省の調査では、所得が低い層であればあるほど米やパンなどの炭水化物を主体とした食事になり、野菜や肉類をとらなくなっていくという結果を出している。

なぜか。炭水化物は安いからだ。たとえば、低所得層の多くはインスタントラーメンを好んで食べるのだが、その麺はもちろん炭水化物でできている。カロリーは意外に高いのだが、一袋100円以下で買えるのでかなり安い。

食べにいくとどんな安い食事でも300円以上になるし、まともなレストランで食べると1000円以上するのは当たり前だ。もし金がなければ、1000円も出して1食しか食べられないのであれば、インスタントラーメンで10回くらい食べた方が断然お得だと思う。

ここに野菜や肉を合わせればいいのだが、どちらも高いので節約するのであれば素のままのインスタントラーメンを食べるのが一番安い。

すると、必然的に炭水化物を主体とした食事になって、野菜も肉類も食べていないので栄養が極度に偏っていく。

コンビニで売られている弁当も炭水化物の塊であり、菓子パンに至っては炭水化物と糖分がびっしりと混ぜられている。300円台で食べられる各種ジャンクフードも、やはり炭水化物主体である。

炭水化物まみれの食品やスナックが大量生産される

アメリカやメキシコでも低所得層がでっぷりと太っているのは、炭水化物の塊であるピザやタコスが安く大量に買えるからだ。そのため、アメリカでは今やピザが国民食と言えるほど食べられている。

炭水化物に砂糖をまぶしたスナック菓子も安く、炭水化物に脂肪をたっぷりまぶしたジャンクフードも安い。そこに砂糖まみれの炭酸飲料をガブ飲みしている。

そうすれば、安くて確実に腹が膨れる。だから、炭水化物食ばかりを低所得層が食べるようになり、どんどん太っていく。

途上国でも、インドなどは極貧の環境なのに、でっぷりと太った人たちが大量にいる。スラムに住んでいるのにみんな腹が突き出て肥満が顕著に見て取れる。

このインドも米や小麦が大量に安く流通していて、低所得層が炭水化物を流し込むようにして食べている。おまけにどこの店でも小分けにしたスナックを安く売っており、子供たちが朝から晩までそれを口にしている。

炭水化物は日持ちがしやすく、工場での大量生産に向いており、消費されやすい。

そのために企業は炭水化物まみれの食品やスナックを大量生産するようになり、大量に溢れたものがどんどん出回って価格も安くなっていく。

極度の低所得層は飢えていくが、そこまで至らない低所得層は炭水化物漬けになるのだ。

今の世の中は世界中で低所得層が炭水化物を大量に食べる時代であり、低所得層になればなるほど炭水化物が過剰になり、肥満になっていく仕組みになっている。

そして、こうした肥満が生み出すのが糖尿病である。

最近、日経ビジネスが『全世代に忍び寄る「健康格差」の厳しい現実』として、この低所得層に深刻な糖尿病が蔓延していることを報告している。


健康診断も受ける精神的余裕も経済的余裕もない

日経ビジネスは、全日本民主医療機関連合会が全国の医療機関96施設で、40歳以下の2型糖尿病患者の実態調査をした結果、患者世帯の年収分布から年収200万円未満が57.4%を占めていると記事にしている。

この「2型糖尿病」というのは、インスリンの作用不足で起きる糖尿病だが、その原因は体質以外には「肥満や運動不足や食べすぎといった生活習慣の乱れ」が引き起こしていることが分かっている。

つまり、年収200万円以下の低所得層が、肥満や運動不足や食べすぎといった生活習慣の乱れで2型糖尿病になっている。

アメリカでもメキシコでもインドでも糖尿病が深刻な国民病となっているのだが、低所得層が炭水化物の過剰摂取で肥満となり、その肥満が糖尿病を引き起こしているのが実態だ。

その「低所得層が炭水化物過剰によって糖尿病の発病」という流れがいよいよ日本にも現れているのが分かる。

しかも、低所得層の糖尿病は重度で深刻なものになっていることが多いのだが、そこにも低所得層特有の理由があることが分かっている。

低所得層の糖尿病が重度になりやすいのは、健康診断を受ける余裕がないからである。また、健康診断を受けて異常が発覚しても病院に行く金や時間がない。

そして、医者に生活改善を求められても、やはり経済的な理由で対処できないからだ。生活改善どころか、その後の通院すらもできない。

低所得層の多くは非正規雇用者なのだが、彼らは企業にとっては使い捨て要員である。だから、彼らに健康診断を受けさせてケアさせてその費用を負担して長く働いてもらうという発想にならない。

安い賃金でギリギリまで働かせ、壊れたら使い捨てて新しい人員に入れ替える方がコスト削減になる。逆に言えば、企業に捨てられたくない非正規雇用者はなかなか休めないし、健康診断も受ける精神的余裕も経済的余裕もない。

だから、体調が悪化しても動けるのであれば無理して働き、どうしようもならなくなって医者に行くと、すでに手遅れになっている現状がある。


低所得層と高所得層は最終的に寿命まで違ってくる

低所得層は満足な賃金を得られていない上に、何年働いても賃金が上がる見込みもない。

長く勤めれば評価されて賃金が上がっていくというのは正社員の話であって、非正規雇用者は長く勤めても契約更新でリスタートされて終わりだ。

賃金を上げられないのであれば、仕事を掛け持ちして賃金を上げる方策がある。

しかし、そうして時間的な余裕も体力的な余裕もなくなると、食事はより簡素で適当なものになり、炭水化物漬けとならざるを得ない。そして、疲労が溜まって病気になりやすくなるのに、逆に医者に行く時間がなくなる。

医者にかからないで無理をする環境と偏った食生活が長年続くことによって、最後に自滅するかのように重篤な病気になっていくのである。

厚生労働省の国民健康・栄養調査では、低所得層は高所得の人に比べて肥満や脳卒中でおよそ1.5倍発症のリスクがあるというのは、こうした複合的な理由がすべて積み重なるからだ。

健康にも明確に格差が現れてきているのだ。

低所得層は病気になりやすく、病気が重篤化しやすく、経済的な理由で病気が治りにくい。そして、病気が原因でさらなる貧困に落ちやすい。貧困に落ちると、なおさら医者にかかれなくなってしまう。

最終的には、低所得層と高所得層は寿命まで違ってくることになる。

ところで、これは驚きの事実だったのだろうか。

いや、こうしたことは貧困が蔓延すると起こり得ることであると誰もが指摘していることだった。低所得層が追い込まれると、もはや健康すらも維持できなくなると、誰もが知っていたと言っても過言ではない。

低所得層がいよいよ健康の面でも破滅的になっているのは、起こるべきものが起こっているということなのである。

企業は雇用を削減するイノベーションをどんどん進めて低所得層をもっと追い込むし、持つ者と持たざる者の格差も大きく開いていく。

日本の貧困と格差は、今までが序章でこれからが本番だ。低所得層が次々と健康を害する時代の幕開けになっている。


最終的には、低所得層と高所得層は寿命まで違ってくることになる。ところで、これは驚きの事実だったのだろうか。いや、こうしたことは貧困が蔓延すると起こり得ることであると誰もが指摘していることだった。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/11/20171127T1659210900.html


112. 中川隆[-5761] koaQ7Jey 2017年12月08日 14:00:16 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017年12月08日 史上最大のバブル 世界の投資資金1京円以上

世界の債権・株式総額は2007年に1京円を超え、現在はさらに増えている
引用:http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2009/2009honbun/image/i01010103.png

資産運用スーパーバブル

世界は今、史上最大のスーパーバブルの最中にあると言われいて、全世界で金が有り余っています。

2016年末の世界のアセットマネジメント(資産運用業)の運用資産は約1京円(1万兆円)で、2025年には1.7京円になると推測されています。

サウジアラビアはムハンマド皇太子1人で約6兆ドル(約670兆円)もの運用資産を動かす事ができ、中世の王より富が集中している。


2017年にソフトバンクが立ち上げた10兆円ファンドすら、こうした中では小人に過ぎず、生保や銀行もビッグプレイヤーではない。

1990年の冷戦終結以降、新興国や旧共産国が急激に経済成長し、産油国も需要急増で大儲けしました。

ついには1人で100兆円以上を所有する王まで登場し、人類史は古代ピラミッドの時代に戻った。


中国共産党中央幹部は一人が数兆円の資産を持ち、最高指導者は数十兆円を持っていると言われている。

人類最大のスーパーバブルが進行していると言って良く、それを象徴するのがビットコイン急騰でした。

ビットコインはわずか1年で10倍になり、国家が発行する通貨を凌ぐ存在に成長した。


これらは「お金」が増えたというおめでたい話でしたが、経済には「資産=負債」という法則が存在します。

誰かが持っている資産は必ず、他の誰かがしている借金と同額であり、国全体あるいは地球全体では借金と資産が吊り合っています。

という事は1京円の運用資産があるのだから、同じ世界には合計1京円の負債も存在しています。

資産=負債の原則

例えば日本の個人資産は1800兆円ですが、国は1,000兆円の借金があり、個人や銀行にもそれぞれ借金があります。

個人が持っている1,800兆円の資産の中身は、日本国債や個人や企業の債券、借用証書なのです。

資産が急増したという事は、どこかに非常に無理をして借金を重ねている人達が居るのを意味しています。


全世界の投資資産は既に、全世界の国家のGDPの2倍に達しているといわれています。

つまり人類全体として年収の2倍の借金をしている事になり、大変まずい事態に向かっています。

日本の国の借金は財務省によるとGDPの2倍の1,000兆円ですが、既に人類全体がこうなっています。


負債を急増させているのは各国政府で、表面化しないようにお金を浪費して借金をし、経済成長して資産を増やしています。

日本は今の所破綻していないが、世界全体がGDPの2倍の負債を抱えたら、返済不能になって破綻する国家や巨大企業などが出てくるでしょう。

破綻の引き金を引くのはおそらく米FRBによる利上げで、過去何度もアメリカの利上げで世界恐慌が発生していました。
http://www.thutmosev.com/archives/73945884.html


113. 中川隆[-5764] koaQ7Jey 2017年12月11日 08:27:13 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017年12月11日
経済成長してもなぜ賃金は上がらないか? 成長分のほとんどが借金返済に充てられている

金融経済は実体経済の2倍なり急拡大している。
言い方を変えると企業に金を貸した人間が大儲けしている。
引用:http://shigenkanri.jp/root/wp-content/uploads/2016/10/kinnyuu-keizaikibo.png

世界で起きている低賃金成長

2017年の日本の経済成長率は1.6%の見通しで、2018年も同じ程度と予想されています。

一方賃金上昇率は名目で0.6%、実質ではたった0.2%に過ぎなかった。(2017年10月対前年同月比)

GDPとは国民総所得+経常収支なので、大まかに言えば「全国民の所得=GDP(+経常収支)」になる。


GDPが1.6%成長なのに賃金上昇率がたった0.2%という事は、では残りの1.4%はどこに消えてしまったのだろうか?

賃金とは会社員の給与なので、アルバイトや非正規の所得が大幅に上昇したのかも知れない。

確かに募集広告を見ると正社員より非正規雇用の時給の上昇率は高く、都会では深夜1500円などの条件も珍しくない。


だがもっと大きな要因として考えられるのは、成長分の大半が富裕層や資産家に渡ってしまった可能性です。

報道によると2017年は企業収益、株式配当、株価(バブル崩壊以降)、利益剰余金すべて過去最高だったが、労働者の賃金だけが「過去最高」ではなかった。

企業は労働者の賃金を出し惜しみ、一方では株主配当金を湯水のようにばら撒いていました。


一体どうして企業は株主には気前良くお金を払うのに、労働者には「1円たりとも余計な金を払わない」という態度を取るのだろうか?

『経営者の根性が捻じ曲がっているから』という話は置いて、世界的にも同じ事が起きていて、何らかの原因があると考えられる。

企業が労働者に金を出さず、株主に大盤振る舞いする理由は、おそらく過剰な債務を背負っているからだと考えられる。

借金で押しつぶされる企業、潤う貸し手

世界全体の実体経済規模は約1京円とされるが、金融市場は何倍もの速度で拡大し、実体経済の2倍に達したと推測されている。

この「金融市場」とは企業などに投資する事だが、早い話企業にお金を貸して、金利をつけて返してもらうのが「金融市場」だと言える。

という事は世界の企業は実際の経済活動の2倍も借金をしている事になり、返済金利だけで利益の大半を取られてしまう。


急成長している企業ほど投資によって資金調達し、その代わり投資家や金融機関には利子をつけて返済しなくてはならない。

これが企業が労働者を無視しても投資家を優遇する理由で、企業がいくら利益を出しても借金返済に充てられてしまっている。

企業の利益の大半が借金返済に充てられるから、富裕層と資産家だけが超え太り、労働者の賃金は低く抑えられる。


こういうカラクリで、世界では成長率が高くても、成長分のお金のほとんどが、富裕層の資産を増やすのに使われるのです。

例えばソフトバンクという日本人が良く知っている会社は15兆円も有利子負債があり、年間売り上げ約9兆円、年間営業利益は約1兆円です。

利子だけで年間約4,500億円を支払っていて、もし金利が上昇したら経営破たんする可能性があります。


15兆円で年4,500億円の利払いなので、ソフトバンクは平均すると3%の金利で借金しているのが分かります。

急成長している優良企業ほどこういう状況で、いくら儲けても借金返済に使われてしまいます。

世界中の企業が成長のために膨大な借金をしていて、稼いでも稼いでも、配当金や借金の利息として投資家の収入になり、労働者には回らないのです。
http://www.thutmosev.com/archives/73990340.html


114. 中川隆[-5696] koaQ7Jey 2017年12月13日 18:09:48 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

55歳までに資産を保有していないと地獄でもがくことになる

病気、失職、転職失敗、借金、無学歴、無資格、事故、怪我、障害……。誰でも何らかの問題を人生で抱え、誰でもホームレスに落ちる可能性はある。

金がなければ人はすべてを失い、路上で寝るしかない。それは後進国だろうが先進国だろうが同じことだ。

日本は豊かな国であり、2000年頃までは「貧困」に興味を持つ人はほとんどいなかった。「日本には貧困などない」と思っている人も大勢いた。

しかし本当は日本にも貧困があって、闇がぽっかりと口を開いて人々を飲み込んでいたのだ。

バブル期が日本のピークだったが、1990年にバブル崩壊して以後は状況が悪くなるばかりだった。

その頃から自殺者が急激に増え出して、つい最近まで約3万人台がずっと続いていたことは、貧困が拡大したことと無関係ではない。

自殺者は40代から50代の男性が多い。様々な理由で普通の生活から転がり落ちて人生に行き詰まった男たちが、精神的に追い込まれて自殺する。

「ホームレスになるくらいなら、死んだ方がマシだ」と思い詰め、ホームレスに落ちる前に死んでいく。

肉体労働は、55歳が限界というひとつの証明

日本のホームレスは、何歳代が多いのだろうか。厚生労働省の出している『平成24年ホームレスの実態に関する全国調査検討会報告書』を紐解くと、このように書かれている。

「55歳以上が全体の7割以上を占める」

よく、一流企業を失職してどうにもならなくなった男性が最後にホームレスになったという「転落話」を聞く。

あるいは、ホームレスになる人々の中には、自営業をやっていて多額の負債を抱えたまま会社を倒産させてしまったとか、パチンコや公営ギャンブルにハマって多重債務者になったとか、そういった経歴の人間もいる。

しかし、実際にホームレスを構成する大多数はそうではなく、別の人生のストーリーを持っている。

それは、「若い頃からずっと肉体労働をしていたが、年を取ったり、身体を壊したりしたのをきっかけに働けなくなり、ホームレスにまで落ちた」というものだった。

厚生労働省は「初めて路上(野宿)生活をする前にやっていた仕事」をも調査しているが、全体を見ると45.9%が「建設・採掘従事者」であったことが分かっている。他に多かったのは、「輸送、機械運転従事者」と「運搬・清掃・包装等従事者」である。

あくまでもホームレスで大多数を占めるのは、肉体労働をしていた人たちの生活破綻である。建設作業員などは、社員であっても日雇い労働者に近く、怪我をしたり身体を壊したりすると途端に生活に窮する。

人間だから病気になったり、怪我をするのは誰にでも起こり得ることだ。そして、年を取れば取るほど身体が言うことを聞かなくなっていく。

ホームレスを構成しているのが「55歳以上が全体の7割以上を占める」ということは、肉体労働は55歳が限界だというひとつの証明になっている。

だから、肉体労働をして生きている人たちは、一般論で言えば、それができるのは40代の終わりまでだと考えるべきだ。50代に入ると、とたんに厳しくなる。


「堕ちないための金」を積み立てておくということ

50代と言えば、まだ死ぬ年代でもない。死ぬどころか平均寿命から見るとまだ30年も残っている。

したがって、50代を過ぎても生きるためには、肉体労働ではなく、マネージメントやその他、体力を消耗しないで生きていける何らかの仕事に就けるようにしなければならない。

それがなかなか難しいのが低学歴の人たちだ。肉体労働がキツくなると分かっていても上に這い上がれる人は多くない。

本人の能力が低いからではない。企業は高学歴の人間をマネージメント職につけて、低学歴層を現場につけるからだ。社会はそのようになってしまっているのである。

それであれば、50代に向けて堕ちないように「準備」をしておかなければならない。

準備とは要するに「堕ちないための金」を積み立てておくということだ。しかし、日雇いのような仕事が続くと、その「積み立てる」ということ自体が難しい。

積み立てるどころか、多重債務に堕ちていくのも実はこういった人たちが多い。借金慣れしていくと、やがてその借金が返せなくなって一気に多重債務者になる。

多重債務に堕ちると、もう這い上がるのは難しい。

だから、少なからずの人たちが自殺し、少なからずの人たちが貧困ギリギリの生活になり、少なからずの人たちはさらに堕ちてホームレスとなる。

資本主義は金がすべての世の中だ。

それは自由な世の中の、唯一の絶対ルールと言ってもいい。底辺に堕ちれば堕ちるほど、そのルールはより非情なレベルになって弱者に襲いかかっていく。

金がなければ、世の中に食べ物が満ち溢れていても、自分だけは飢えて死ぬ。食べ物が大量に余っても金のない人間に配るのではなく、破棄するのが資本主義である。

自国に餓死しそうな人がいても関係ない。金がなければ破棄するだけだ。


「55歳以上が全体の7割以上を占める」ということ

国が発展している時代であれば、仕事がいくらでもあるので、こういった人たちも救済されることがある。高度成長期はどんな人であっても仕事に恵まれた。

しかし、経済大国としてのピークを過ぎて経済が縮小していく時代に入ると、普通の人であっても運が悪ければホームレスに転がり落ちていくことになる。

日本もそうだが、経済大国としてのピークを過ぎた国は、往々にして社会保障費の増大に苦しんで財政不足に陥っている。そのため、社会的な弱者に落ちてしまった人は救済されるのではなく逆に突き落とされる。

バブルも崩壊し、長く政治も混乱し、少子高齢化も放置されてきた日本は、いよいよ敗者が見捨てられる段階にきた。最初は確かに肉体労働に就いてきた人たちが50代を過ぎて働けなくなって転がり落ちる傾向が続く。

しかし、ブルーカラーだけが地獄に落ちるのではなく、その次にはホワイトカラーの地獄が待っているのである。

内需が減退して売上が上がらなくなり、それでいてグローバル化によって競争が激しくなり、さらに雇用を削減するイノベーションが進むことによって、企業はホワイトカラーを大量に削減するようになるからだ。

真面目に会社に勤めていても、その会社が社員をリストラしていく。あるいは、会社そのものが破綻していく。

一部上場の巨大企業でも破綻する。たとえば、日本を代表する家電メーカーであっても経営破綻寸前になり、多くの技術者が無理やりリストラで放り出される。

あるいは社会環境が変わったことでお堅い職業であったはずの銀行員も不要になってしまう。

(雇用を削減するイノベーションは、次に銀行員を無職にする)
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/10/20171026T1732180900.html

誰が「要らない」と言われて放り出されるのか。IT技術に疎く、それでいて高賃金をもらっている50代の人々である。

若年層は生活破綻しても親の住居に潜り込んで部屋に籠もっていれば生きていける可能性は残されている。しかし、50代の人間が生活破綻したら誰も助けてくれない。

不幸が重なって堕ちても、世の中からは自己責任だと言われて救済はほとんどない。経済的に追い詰められた人に、温かく金を与えてくれる人はひとりもいない。

ホームレスは「55歳以上が全体の7割以上を占める」ということは、55歳までに自らを救うための資産を保有していないと、地獄でもがくことになりかねないということでもある。


大阪あいりん地区にて。ホームレスは「55歳以上が全体の7割以上を占める」ということは、55歳までに自らを救うための資産を保有していないと、地獄でもがくことになりかねないということでもある。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/12/20171213T1834120900.html


115. 中川隆[-5662] koaQ7Jey 2017年12月15日 17:19:11 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

最底辺は「資本主義の世界でもがく地獄」だった

私は20歳の時に社会から完全にドロップアウトして、東南アジアや南アジアのスラムや貧困街に巣食って真夜中の世界をウロウロして生きていた人間です。

東南アジアや南アジアの社会の最底辺というのは、日本の相対的貧困どころではなく、まさに今日を生き抜けるかどうかの究極の「絶対貧困」の中にあります。

そこは、資本主義から完全に疎外されている人が「資本主義の世界でもがく地獄」であったと言えます。この地獄というのは比喩ではありません。

親は子供を売り、女性は身体を売り、自暴自棄に陥った男たちが飢えた野獣のような目をして真夜中を徘徊するような世界を地獄と言わずに何と言っていいのか私には分かりません。

この社会の最底辺に巣食っているうちに、私はこの最底辺を支配している存在をつぶさに知ることになります。誰もが金を持っていない社会の最底辺を支配しているのは何だったと思いますか?

それもまた「金」だったのです。社会の最底辺は「剥き出しの資本主義」だったのです。

誰もが金を持っていないから資本主義の世界から外れるのではなく、むしろ最底辺に向かえば向かうほど人々は剥き出しの資本主義に染まっていくのです。

「人は金のために生きているのではない」と社会の最底辺で言えば生きて帰れないでしょう。なぜなら、最底辺の人々は金のために苦しみ、金のために生きているからです。

金がなければ飢えて死にます。金がなければ雨風もしのげません。金がなければ、家も、持ち物も、健康も、尊厳も何もかも失います。理想など語っている暇も余裕もないのです。

「金のため」に、ある人は人間の尊厳を捨てて物乞いをし、ある人は身体を売り、ある人は犯罪を犯します。生存の極限にあります。だから、持たざる女性はこのように言うのです。

No Money, No Honey.(お金がなければ、蜜もない)

これほど凄まじい資本主義の光景を私は見たことがありません。この荒んだ世界で、私は「この世は資本主義であり、絶対にここから逃れられない」と叩き込まれました。

こうしたアンダーグラウンドを徹底的に描いているのが私の主催するもうひとつのブログ『ブラックアジア』です。このような世界を書き続けているのは日本では私だけであり、ブラックアジアは唯一無二の存在となっています。


資本主義の仕組みに気づき、利用するということ

資本主義の世界は格差を生み出す構造になっています。持たざる者からすべてを奪い取り、持っている者はさらに得ることができるのです。

絶対貧困の中では、人々は死ぬほど働いても年間約3万円ほどしか稼げません。

ベネズエラのように国が経済運営に失敗していたり、シリアやイランのように戦争に巻き込まれていたり、北朝鮮のように独裁者が国民を弾圧していたりする世界では、どんなに才能や勤労精神があっても誰でも絶対貧困に追い込まれます。

一方で、アメリカでは事業家や投資家が莫大な資産をさらに膨れ上がらせており、すでに富裕層の上位は個人資産が10兆円に迫ろうとしています。

絶対貧困層の資産がゼロだと考えると、その差は10兆倍であると言えます。

10,000,000,000,000倍です。

10倍や100倍の差どころではなくなっているわけです。1000倍や1万倍でもありません。10兆倍です。あまりに常軌を逸した格差で、私たちはもうこの数字を実感として捉えることすらもできません。

それにしても、なぜ持たざる者がさらに失い、なぜ富裕層の富みだけが増えていくという現象が起きるのでしょうか。

それは陰謀ではありません。資本主義のシステムです。

資本主義ではある一定の資産増大の仕組みが用意されており、資産を持つ人間であればあるほどさらに資産を増やせる仕組みになっています。

資産を大量に持つ人間がその資本主義の仕組みに気づき、そして利用することができます。

逆に資産を持たない人間は資本主義の仕組みに気付かず、気付かないから何もしないのです。

資本主義の仕組みはどうなっていて、どうすれば富裕層が利用しているシステムを使えるのかは、さらにこのシステムを使うにはどのような考え方を持たなければならないのか。

『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』
http://www.mag2.com/m/0001566290.html

は、それを解き明かそうとして、毎週いろんな角度で資本主義の仕組みと、その利用の仕方を書き続けています。読めば読むほど、資本主義のリアルな世界が見えてくるはずです。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/12/20171215T1428200900.html


116. 中川隆[-5767] koaQ7Jey 2017年12月16日 19:54:12 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

組織はもう人生を安定化させる役目を失ったことを自覚せよ


1990年代までの日本は、企業が終身雇用の制度を取っていたので、サラリーマンは自分の人生に責任を負う必要がなかった。どこかの企業に所属しているだけで、その企業が定年まで面倒を見てくれたからである。

そして定年後は国が引き継いで自分の面倒を見てくれた。サラリーマンは大過なく働いていれば、あとは何も考えなくても良かった。

そして、自分の仕事の結果すらも考えなくても良かったと言える。すべては「上の人」が責任を負っていたからだ。その代わりサラリーマンは会社の命令には逆らえず、人生の大半を会社に飼い殺しされることになる。

「社畜だ」とサラリーマンは自分たちを自嘲した。

しかし、「社畜生活はやってみればやめられない」と当事者は言う。なぜなら、仕事で失敗しても追い出されず、生産性を上げられなくてもクビにならず、賃金はそれなりに上がり、定年まで安泰だったからである。

自分で自分の仕事を見付け、食い扶持を探し、必死になって収入を確保するというのは、とても苦しいことだ。何しろ自分が失敗したら自分が責任を取らなければならない。下手したら翌日から路頭に迷う。

だから、会社というぬるま湯に浸かり、「社畜」として生きることに徹する日本人が大半になっていった。

自分の人生に自己責任を負わないでも生きていけた

多くの自営業者が「毎月、決まった給料を振り込んでもらえるサラリーマンが羨ましい」というのはそういうことだ。

寝ていようが、サボっていようが、だらだら仕事をしていようが、給料はそれなりに振り込まれる。定年まで、それが絶対的に保証される。

給料を意図的に増やしたければ、昼間は仕事をしないで、夜から仕事をすると、今度は残業手当というものさえも会社からせしめることもできた。

必死にならなくてもいいのだ。仕事の結果を考えなくても、会社はせっせと給料を振り込んで養ってくれる。確かに給料は安いかもしれないが、これほどの「安定」は想像できないほど恵まれたことだ。

つまり1990年代までのサラリーマンは、自分の人生に自己責任を負わないでも生きていけた特権階級だったのである。

しかしバブル崩壊と共に、こうした終身雇用の制度は徐々に機能しなくなり、見捨てられていくことになる。

バブル崩壊によって日本企業が体力をなくしたのと同時に、この頃からインターネットによる情報革新が急激に進んでいき、世界は完全なるグローバル化に覆い尽くされた。

グローバル化した社会で、ほぼすべての企業が世界中の企業と激しい競争を強いられるようになっていき、苛烈なコスト削減で生き残らなければならなくなった。

コストの中で大部分を占めているのは人件費である。だから人件費は極限まで削減される動きとなっていく。

IT化によって不要な社員は切り捨てられる。ビジネスモデルが変わっても、やはり社員は切り捨てされる。企業が競争に負けても社員は切り捨てられる。会社に利益が上がっても、不景気に備えて社員が切り捨てられる。

つまり、会社はもう終身雇用とは真逆の経営をしている。常に社員を削減する方向で動くようになったのである。


企業の「利益」がすべてにおいて最優先される世界

今までは、「どこか大きな会社に就職すれば将来は安泰」という標準的な人生設計が日本人にはあった。それが崩れた。サラリーマンは安定した職種ではなくなって、突如として日本人は目指す人生設計を失ったのだ。

そして今、日本人は社会を頼りなく浮遊している。企業が不要だと思う社員をどんどん切り捨てていくようになった結果、転職は当たり前の社会となった。

そして、どのみち社員は辞めさせるか、勝手に辞めるので、最初から社員として雇わずに非正規雇用で使い捨てにするのが常態となった。

総務省の労働力調査でも、非正規雇用が今も相変わらず増えていることが確認されている。

ひとつの企業が、その人の人生を定年まで面倒を見ることがなくなり、「自分の面倒は自分で見ろ」ということになっていったのだ。

こうした傾向は、インターネットの高度な発展、人工知能の進化、ロボット化などによる雇用を削減するイノベーション(技術革新)によってさらに苛烈なものになっていく。

こうした次世代の技術革新をリードし、圧倒的な優位に立っているのはアメリカの巨大ハイテク企業である。こうしたイノベーションが世界を席巻し、支配していくようになる。

だから、雇用はさらに減り、削減され、従業員は今よりももっと「コスト扱い」されて、切り捨ての対象になっていく。容赦ないリストラ、非正規雇用、低賃金、使い捨ては、止まらない動きになる。

ブルーカラーの仕事も大幅に減るが、ホワイトカラーの仕事もまた削減されていく。これから起きるイノベーションは、時代を凄まじく変化させていく。

それなのに、何の危機感もなくサラリーマンを続けているというのは、自殺行為であると言っても過言ではない。サラリーマンはもっと激しい危機感を覚えなければ未来に抹殺される。


すべてが「自己責任」に帰結していく

会社組織は従業員を守らなくなる。だから、「組織」に依存して生きる今までの人生設計は崩壊する。今後は自分の人生の浮沈は否が応でも「自己責任」になっていく。

大企業に勤めていても安泰ではない。シャープや東芝を見ても分かる通り、巨大企業であっても経営者が馬鹿丸出しだと会社は一気に傾いていく。

シャープの経営陣は、ライバルのサムスン電子に情報を盗まれてもヘラヘラと笑っていた。とんでもない間抜けが、社長や会長をしていたのである。

(あまりにもお人好しすぎて骨の髄までしゃぶられるシャープ)
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2015/03/20150320T1809490900.html


ところが会社が傾いた時、何が起きたのか。リストラされるのは経営者ではなく社員の方だったのだ。間抜けが残って、従業員を切り捨てていたのである。

東芝もそうだ。経営者が保身し、従業員の賃金を減らし、ボーナスを減らし、子会社に飛ばし、リストラして、自分たちの失策のツケを従業員に負わせていた。

大手企業でもこれだ。

これからは放り出される前提で生きる必要がある。そして、いざ放り出されたとき、それでも生きていけるのか、食べていけるのか、すべてが「自己責任」に帰結していく。

自己責任の時代だから、自分の生き方を誰かに責任をもってもらうわけにいかない。自分の人生に起きる結果は、すべて自分が受け止めなければならなくなる。

今まで「給料が低い、待遇が悪い、生活できない」というのは、国や企業のせいにしていれば良かったが、今後は自己責任になるので、「そうなったのは自分が悪い」ということになってしまう。

組織はもう人生を安定化させる役目を失った。そのため、個人がサバイバルを強いられる。

ますます凶暴化するグローバル社会の中で、個人が社会の庇護を失っていく。社会が弱肉強食化しており、個人が生き残りの能力を試される。自分ひとりで生き残れるかどうか、社会があなたを試してくる。


社会が弱肉強食化しており、個人が生き残りの能力を試される。自分ひとりで生き残れるかどうか、社会があなたを試してくる。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/12/20171216T1645300900.html


117. 中川隆[-5766] koaQ7Jey 2017年12月17日 14:35:49 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017年12月17日
Amazonドライバーが世界で過酷労働

最近良くみかけるAmazonの配送車
引用:http://livedoor.blogimg.jp/himasoku123/imgs/d/1/d1293671-s.jpg

英Amazonドライバーのブラック労働ぶり

年末年始にかけてAmazonなどネットでの商品購入が増え、物流崩壊や仕事の過酷さが、度々報道されている。

最近イギリスではアマゾンの専属ドライバーらが、過酷なノルマのために重労働を強いられていると改善を訴えている。

ドライバー達によると一日に約200個の配達ノルマがあり、1日に11時間以上働いている。


Amazonの配達ノルマは、Amazon製の専用タブレット端末に搭載されたソフトウェアが機械的に決めていて、現実とかけ離れている。

渋滞など配達を遅らせる条件は考慮されておらず、必ず遅延が発生するので、その分は長時間労働でカバーしている。

ドライバーは昼食を取ることも出来ず、休憩を取れないのでペットボルの中に尿をしていると訴えている。


イギリスのAmazonドライバーはトラックを自分でレンタルして請負業のようにやっているが、保険なども自腹になっている。

あるドライバーは経費を差し引きすると、週160ポンド(約2万4000円)の収入しかないという。

イギリスでは運転手の勤務は1日10時間までだが、実際には14時間勤務する事があり、速度違反も常態化している。


Amazonはドライバーを派遣会社から調達していて、雇用関係がなく、ドライバーには十分な報酬と休憩を与えていると説明した。

Amazonによると配達ドライバーは最低でも時給12ポンド(約1800円)支給し、ノルマなど一切無く自由に仕事をしていると言っている。

Amazonの荷物の多さを考えると「ノルマが無くマイペースで良い」はちょっと信じられない話だ。

Amazonだけが儲かる仕組み

隣りのスコットランドでは去年、エディンバラ近郊のAmazonフルフィルメントセンターの労働者が、野外でテント生活をしていると報道されていました。

地元メディアが本人に取材した映像によると、自宅はあるが100km離れていて、低賃金のため毎日通う事はできない。

またAmazonは寮を用意したり宿泊費用を出さないので、テントを張って野宿するしかなかったと説明した。


日本でも他人事ではなく、ヤマト運輸はAmazonのためにドライバーにはブラック労働を強いていたと言われている。

かつてAmazonの荷物は佐川急便・日本郵便・ヤマト運輸の主に3社で分担していたが、郵便と佐川は不採算で撤退しました。

増え続けたAmazonの荷物をヤマト運輸だけで配達した結果、ヤマトでは定期的に物流崩壊や、ブラック労働問題が発生しました。


ヤマトでは一般の荷物を1,000円以上で配達していますが、Amazonの荷物は300円以下で配達していたとも言われています。

これではドライバーの休憩時間はなくなり、残業手当が出せないのも道理で、未払いの残業代が問題になりました。

国土交通省によるとヤマトの荷物は年間約17億3千万個で、そのうちAmazonは2億5千万個でした。(2016年)


ドライバーは一日中ずっと走りっぱなしで、しかも超過残業で目を付けられているので、残業をしていないように記録の偽装までしていました。

毎日十数時間走りっぱなしだが、1個300円程度の料金なので頑張っても給料には反映されない。

そして年末年始は普段に輪をかけてAmazonの荷物が増加し、世界中で過労のドライバーが配達している。
http://www.thutmosev.com/archives/74092424.html


118. 中川隆[-5747] koaQ7Jey 2017年12月19日 10:12:56 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017年12月19日
日本人の本当の所得、245万円が中央値だった 格差は縮小


これは世帯収入なので、一人当たりではさらに低くなる。
引用:https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/b6/0f9363d09c20c41dcad7f1754ed6812a.jpg


日本固有の格差社会事情

アベノミクスで格差が拡大している、あるいは日本は格差社会になっているというのは、常識として語られています。

10年単位の大きな流れとしてそうなっているが、最近数年は改善してきている。

格差が拡大したのは景気悪化や自由競争、市場原理の導入で、競争敗者が切り捨てられたからでした。


 


悪い事に日本では江戸時代からの伝統によって、一度でも競争で巻けたら、その後2度と競争機会は与えられない場合がある。

例えば受験戦争で負けると一生学歴格差があり、一度リストラされ「正社員」でなくなると、その後2度と正社員にはなれない傾向がある。

こういう制度を始めたのは徳川家康で、彼は寝返る人間を忌み嫌い、例え無能でも「三河以来の忠臣」だけを重用した。


江戸時代の260年を通じて将軍の考えは日本中に行き渡り、一度でも寝返ったり、道を踏み外したら2度と元に戻れない社会風土が完成した。

明治以降も完成された風土はなかなか変わらず、今も日本の隅々に行き渡っている。

こういう国で競争原理を導入した結果、一度落伍したものは2度と競争に参加させないようなルールが出来た。


平成不況によって一度でもリストラされたり、最初の就職で失敗すると、その後の一生を通じて競争に参加できなくなった。


日本の所得中央値は245万円で、この半分未満が貧困層
引用:https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/none/path/s6aa5bf8934431ba5/image/i113eb5dbb9984c66/version/1469077137/image.jpg


日本人の平均年収は420万円、世帯平均所得は約546万円、一人当たりGDP(年収に近い)443万円だが、こうした数字では本当の実態は見えない。

日本人の所得中央値は245万円で、平均収入や平均所得とは大きく食い違っている。

これは年収1兆円のような高所得者が「平均値」を吊り上げてしまうからで、人数としての中央値は245万円です。


もしあなたの所得が245万円だったら、日本人の所得中央値と同じという事になります。

いわゆる貧困層は年収がこの245万の半分に満たない人の割合で、この5年間で徐々に減少し、現在は15.5%以下と推測されます。

年収122万円以下の人が15%居る社会は褒められないが、景気回復によって減少している。


おそらくこの年収122万円以下は高齢で働いておらず、年金や生活保護で暮らしていると推測できます。

景気が良くなってもこの人達の収入は増えないので、改善するには社会保障を充実させる必要があるでしょう。

一度正社員でなくなった事によって、保険も年金も切れてしまった人が、今後増加するからです。
http://www.thutmosev.com/archives/74117254.html


119. 中川隆[-5764] koaQ7Jey 2017年12月19日 11:28:14 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

次の10年、全人類の仕事を奪う人工知能(AI)に殺されないための投資術=鈴木傾城
2017年12月17日



人工知能(AI)は雇用を削減する技術革新だ。1日に8時間しか働けないのに文句を言い、高賃金を要求する「人間」はどんどん淘汰されていく。この脅威に打ち勝てるのは一握りの投資家だけだ。どういうことか?

AIが創造するディストピアを生き残るのは臆病な投資家だけである

絶望の中に放り込まれた人類

コンピュータが急激に進歩し、今まで不可能だったことができるようになっている。

たとえば、コンピュータは写真を判断して何が写っているのかを判別することができるようになった。それが人間なのか動物なのか、男性なのか女性なのか、年齢はおおよそ何歳くらいなのかを判断する。

コンピュータは、写真に写っている人物が泣いているのか笑っているのか怒っているのかも判断することができる。

コンピュータは自ら絵を描くことができるようになり、自ら歌を歌うようになり、自ら文章を書くようになった。欧米では、すでに日々の株式情報やスポーツや天気の記事はコンピュータが自動的に書いている。

さらにコンピュータは人の言葉を理解して答えを出してくれるようになり、疑問に答えてくれるようになっている。翻訳もより高精度になり、今後は車の運転もしてくれるようになり、病気の診察までしてくれるようになる。

コンピュータは凄まじく「進化」している。この進化の根底にあるのが人工知能(AI)の進化である。

私たちは人工知能による巨大な技術革新の中に放り込まれた。これからの10年は、今までの10年とは比較にならないほど社会と生活が激変する。

人工知能は、まさしく雇用を削減する技術革新だ

人工知能は私たちの生活を便利にする。今まで人間がやるしかなかった作業を人工知能が担ってくれるようになり、それを人間では到底かなわないような正確さと早さでやってくれるようになる。

そして人工知能は、人間のように8時間しか働かないどころか、24時間365日に渡って仕事をしてくれるのだ。それは、素晴らしい社会の到来のように見える。

もう面倒なことはすべて人工知能に任せておけばいいのだ。それで人間は楽ができる。

しかし、それを「素晴らしい」と思うのであれば、物事の一面しか見ていないことになる。冷静に考えれば、逆に凄まじく危険な社会が来ていると危機感を覚える人もいるはずだ。

何が危険なのか。

人工知能が今まで人間しかできなかった仕事をできるようになるということは、もはやその仕事に人間は要らなくなるということでもある。つまり、人工知能は人間の職場を次々と奪っていくのである。

小売店の販売員も、カウンターも、会計士も、セールスマンも、秘書も、レジ打ちも、ウェイトレスも、銀行の帳簿系も融資系も、トラック運転手も、コールセンターの人員も、タクシーの運転手も、上級公務員も、ビル管理人も、みんな仕事を失ってしまう。

サラリーマンの仕事の内訳を見ても、一般事務も受付もデータ入力も中間管理職も次々と仕事を失っていく。

人工知能は、まさしく雇用を削減する技術革新だったのだ。

2017年12月4日、フォーブスは米マッキンゼーの調査部門の報告として「自動化で雇用を失う人、2030年までに日米で1億超える可能性」との懸念を記事にしている。

日米だけではない。中国では約2億3600万人の雇用が失われ、インドでは1億2000万人もの人の雇用が失われる。

仕事が失われたら新たな仕事に就けばよいと簡単に言う人もいる。しかし、人工知能によって全般的に人間が行う仕事が減る上に、新たな技能を身につける必要があったり、まったく新しい分野での訓練を受ける必要がある。それは、口で言うほど簡単なことではない。

介護の仕事などは最後まで残ると言われているのだが、では人工知能で失職する確率が高い弁護士や中央官庁職員など上級公務員などが介護の仕事に転職できるだろうか。

生身の人間は人工知能(AI)には勝てない

人工知能はその全能ぶりで、今後10年に渡ってありとあらゆる人々の仕事を奪っていく。

「人間」は8時間しか働かず、サボり、文句を言い、休日を必要とし、パフォーマンスが一定しないのに高賃金・好待遇を要求する。

企業はそんな「人間」を切り捨てて、どんどん人工知能に入れ替えていく。

その迫り来る脅威をまだ多くの人々は他人事のように見ているが、10年後には大きな社会問題になるのは必至だ。

しかし、問題はそれだけではないのだ。

人工知能の判断能力は人間を圧倒的に凌駕するので、あらゆる分野で人間は勝てなくなってしまう。

チェスや囲碁やポーカーや各種オンラインゲームの分野で、人工知能は第一人者を完膚なまでに撃破している。判断能力の点で、人間はもうAIに勝てなくなった。

人工知能が人間を打ち負かす局面は今後もさらに広がっていくが、他の業界に先駆けて、その「判断」が世の中を動かしている場所がある。それが金融市場である。

人間に短期トレードで勝てる余地はない

人工知能は、市場の価格変動にひるむことなく、過去データ、類似チャート、統計、数理、理論などのすべてを瞬時に解析して、取引の執行まで自動的にやってしまう。

アルゴリズムに則って、判断から執行から売却までのすべてを高速で行う。1秒間で売買を何回も行うことも可能だ。

こうしたアルゴリズムに則った取引手法は「クオンツ系」と呼ばれているが、人工知能がさらに解析を磨き上げてクオンツ系のレベルを引き上げることになる。

クオンツ系の弱点としては、硬直した類似パターンの動きをしやすいというものがあったのだが、これが人工知能によって克服されてより高度な取引になっていくのである。

もちろん、その中で人間が挑んでも撃破される可能性が高い。人間は瞬時に莫大な変数を把握して理解できないし、高速取引も機械にかなわない。相場の世界で人間は人工知能が支配するクオンツ系には勝てない。

結局、金融市場の相場は各社が所有するクオンツ系のアルゴリズムの戦いになっていくのだが、そこに人間が入り込む隙間はどこにもない。

人工知能が人間を次々と殺戮する未来が来る

人工知能は人間を凌駕する。人間の能力は人工知能と真っ向からぶつかり合っても勝てる見込みがなくなる。今後、人工知能が社会に浸透していくのが分かっているのだが、人間はその能力の限界から対抗することができないのである。

それが故に、技術を深く知る多くの識者が人工知能に対して最大限の警鐘を鳴らしている。たとえば、マイクロソフトの創始者だったビル・ゲイツは2015年1月28日にこのように言っている。


「当面、機械はわれわれのために多くのことをしてくれるはずだ。超知的にはならず、うまく管理できている場合はプラスに評価できる。しかし、数十年後には知能が強力になり、懸念をもたらす」

テスラ・モーターズの会長イーロン・マスクは人工知能を「人類文明が直面している最大のリスク」と断言し、ビル・ゲイツよりも、もっと激しい言葉で人工知能を懸念している。


「人工知能は悪魔だ。悪魔を召喚する所業に等しい。それは今すぐに規制すべきだ」

なぜ、イーロン・マスクがこれほどまで人工知能を恐れているのかというと、実は各国政府が人工知能を搭載した兵器を開発していることを知っているからだ。

人間を効率的に殺すためだけにプログラムされた人工知能搭載のマシン、通称「キラー・ロボット」を、アメリカ、イギリス、ロシア、中国、イスラエル等の国が開発している。

人工知能は感情を持たずに効率的に人間を殺すことができる。しかも正確に、迅速に、大量にそれをする。こうした完全自律型の人工知能兵器が実現すれば、やがて私たちは人工知能によって殺される未来を迎えることになる。

だから、イーロン・マスクは人工知能に規制をかけるべきだと主張しているのである。

スティーヴン・ホーキング博士もまたこのように言う。


「人工知能が人類を凌駕する程の知識や力を持ち、コントロール出来なくなる事態になりかねない」

絶望の中の希望。「ドラゴンの背」に乗れ

人工知能が良識を持てるのか、人間殺戮兵器と化すのかは、まだ誰にも分からない。

しかし、人工知能があらゆる分野で人間の仕事を奪い、人間の判断能力を超えて人間を叩きのめすのは「すでに予測されている未来」である。

そんな中で、人工知能に「絶対に勝てない存在」である私たちは、どのように生き延びればいいのか。

ドラゴンが凶暴かつ強大であれば、ドラゴンと戦うのは徹底的に避けるのが生き延びるための方策だ。勝てないところで真っ向勝負しても無駄死にするだけだ。しかし、逃げ回るだけでは能がない。

ではどうするのか。ドラゴンが世界を支配する未来が避けられないのであれば、ドラゴンの背に乗ってドラゴンに踏み潰されないようにして、さらにドラゴンが飛び立てば背に乗っている自分も連れて行ってもらえるようにすればいい。

「ドラゴンの背に乗る」とはどういうことか。それは人工知能を作り上げている強大な企業に先回りして投資しておくということに他ならない。

人工知能が全世界を支配すればするほど、その人工知能の産みの親が莫大な利益を得る。投資家は人工知能と戦うのではなく、人工知能を創造する企業に投資することによって人工知能から利益を得ることができる。

すでに強大な人工知能を持っている企業は、グーグル、アップル、フェイスブック、マイクロソフト、アマゾン等のナスダック市場に上場している巨大ハイテク企業だ。こうした企業に投資するのは悪い話ではない。

そして、他にもアドビシステムズやセールスフォースやインテル等の企業もまた独自のアプローチで人工知能に取り組んでいる。投資先はいくつも選択肢がある。

さらに、これらの人工知能に関する企業の攻防の中で、私たちがまったく知らない企業が急激に頭角を現す可能性もある。

グーグルやフェイスブックが突如として巨大企業になったように、今後は人工知能を専業にした巨人が急激に立ち上がって、10年後はその見知らぬ企業を中心に業界が回っていたとしても私は驚かない。

「QQQ」を使って激動の次世代を投資で生き残る方法

そこで私は人工知能への投資に関しては、今までとはやや異なった戦略を採ることにした。未来は読めないものだが、それでも1つだけ確実に読める部分があったからだ。

それは何か。

すなわち、全世界を覆い尽くすことになる人工知能ビジネスの覇者は、間違いなく「ナスダック市場」に存在しているという点である。

ハイテク産業の多くはナスダック市場にいる。アップルも、マイクロソフトも、グーグルも、アマゾンも、フェイスブックも、みんなナスダック市場である。

NYSEはオールド産業がひしめく市場だが、ナスダックは新興産業がひしめく市場なのだ。人工知能を制する巨人は、それがどこの企業であれ、確実に「ナスダック市場」に存在する。

しかも、現代のハイテク業界が検索はグーグル、オフィスはマイクロソフト、小売りはアマゾン、ハードはアップルと、それぞれの分野で群雄割拠しているように、未来の人工知能ビジネスも一社独占ではなく、複数のナスダック企業がそれぞれ群雄割拠している可能性が高い。

そうであれば、読めない未来の中でどこか一社に勘で賭けるよりも、ナスダック市場の大手上位企業をすべて網羅したETFを1つ持って人工知能ビジネスのすべてを手に入れた方が効率が良い。

そんな都合の良いETFがある。それが「パワーシェアーズ QQQ トラスト・シリーズ1(QQQ)」と呼ばれるものだ。ナスダック市場の大手約100社を束ねたETFで、ナスダック総合指数とかなり連動するものである。

どこのハイテク企業が人工知能ビジネスを制覇したとしても、まだ知られていない人工知能ビジネス専業の企業が凄まじい時価総額を得るようになっても、この「QQQ」を持っていれば、取りこぼすことなく恩恵を受けることができる。

人工知能(AI)だけにとどまらない「QQQ」の強み

さらにこの「QQQ」はバイオ企業やフィンテック企業をも含んでおり、人工知能以外の成長をも広範囲に取り込める。だから、私は「QQQ」を保有してこれを増やすことによって次世代も投資で生き残るつもりでいる。

間違えても、自ら相場に乗り込んで、人工知能が支配するクオンツ系と張り合うつもりはない。相場に乗るのではなく、相場を荒らしている人工知能の背に乗って利益を吸い上げる。ドラゴンの背に乗るというのは、そういうやり方だ。
http://www.mag2.com/p/money/350388


120. 中川隆[-5754] koaQ7Jey 2017年12月20日 17:34:53 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017年12月20日
メガ銀行は3万人大リストラ 「AIで不要になる職業」が現実に

2013年頃に考えられてた「消える職業」、実際は意外にも最初は銀行員からだった
引用:http://sharetube.jp/assets/img/article/image/image_18816.jpg

メガバンクが3万人リストラ

AIやITで不要になる職業がいろいろと噂されていたが、最初に顕在化したのは意外にも大銀行でした。

三菱、三井、みずほのいわゆるメガバンク3行は先日、合計3万2500人ものリストラを発表しました。

山一証券破綻では数兆円の負債を抱えていたが、3行は利益を上げているし、隠し負債もたぶん無い。

就職先として人気の優良企業が大規模リストラを発表するのは異例で、過去のパターンに当てはまらない。

しかも日本は今バブル以来の人手不足で失業率2.8%、人手不足型倒産を恐れている大企業すらある。

こうした状況で金融界のトップ企業が人員削減するのは、やはりAIなどによって人間が不要になっている。


加えて日銀のマイナス金利政策の長期化によって、預金を預かって高金利で貸し出すという銀行の収益が悪化している。

国内事業では儲からなくなり、3メガバンは海外での利益が4割を占めるようになりました。

国内での預金や貸し出しは利益が出にくいので、利益が出ない場所に高額報酬の行員を大勢配置するわけには行かない。

高度な頭脳労働ほど人手あまり

それに昔と違って現在では預金や貸し出しをネット上で行う割合が増加していて、口座を持っていても店舗に来ない客が多い。

銀行に来ても大半の用事はATMや自動貸出受付機で済んでしまうので、むしろ人が居ないほうがクレーマーを相手にしなくて済む。

さらに従来銀行だけが行っていた決済業務を、スマホなどで金融機関を通さず行えるようになった。


客にとって銀行を通してお金のやり取りをするのは、銀行に手数料を払うことでも有り、通さないほうが望ましい。

コストを下げるにはIT化が必要で、給与の高い行員は減らしたほうが良いとなる。

AIやITで真っ先に不要になるのは高度な頭脳労働で、逆に低賃金な肉体労働は影響を受けにくいと言われている。


理由は単純に、ITは歩いたり物を運んだり出来ないからで、掃除や盛り付けや配達も、機械がやるには結構高度な技術です。

反対にITは「考える」事が得意であり、銀行員や弁護士や会計士など、高度な頭脳労働ほど不要になる。

証券会社や生保などもこれからリストラが始まる可能性があり、人手不足業界とは対照的です。
http://www.thutmosev.com/archives/74136523.html


121. 中川隆[-5750] koaQ7Jey 2017年12月21日 10:09:57 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
2017.12.21
財源不足と言いながら庶民から富豪へ資金を移動させる近代的専制体制の根幹はオフショア市場


二言目には「財源が足りない」と言われる。「健康で文化的な最低限度の生活」は実現されず、公的な教育はほとんど破壊された。ところが軍事予算は膨張し続け、「空飛ぶダンプカー」とも呼ばれる高額戦闘機F-35をアメリカから購入する一方、最近では巡航ミサイルを日本で開発をすると言い出している。

こうした日本の政策はアメリカの戦略に基づいて決められてきた。その戦略とは巨大資本に国を上回る権力を与え、軍事力を使って世界を制覇すること。国内での略奪によって大多数の庶民は疲弊、搾り取る対象としては効率的でなくなっている。

権力は資金や情報が流れていく先に誕生する。こうした権力構造が確立されると、社会的な強者はより強く、弱者はより弱くなる。この仕組みを正当化するために使われた戯言が「トリクルダウン理論」。もっとも、これは理論に値する代物ではない。単なる信仰だ。

資本主義の勃興期、19世紀には不公正な手段で巨万の富を築いた人を「泥棒男爵」と呼んだ。例えば、石油業界を支配することになるジョン・D・ロックフェラー、金融帝国を築いたJ・P・モルガン、鉄鋼業界のアンドリュー・カーネギー、ヘンリー・クレイ・フリック、鉄道のエドワード・ヘンリー・ハリマン、金融や石油で財をなしたアンドリュー・W・メロンなどが含まれている。こうした富豪たちは富で新たな富を生み出すため、投資で新たな産業を生み出した側面があることは否定できない。

しかし、現在はオフショア市場へ資金を沈め、投機市場へ資金を回している。単なる資金のコロガシであり、生産活動には結びつかない。また、税金を回避するシステムも整備され、かつてより略奪は効率的だ。

租税を回避する仕組み、いわゆるタックスヘイブンが肥大化したのは第1次世界大戦のころだと言われている。戦費を賄うために増税され、富豪たちは税金から逃れる仕組みを求めたのだ。スイス、ルクセンブルグ、オランダ、オーストリア、ベルギー、モナコ、アンドラなどヨーロッパのタックスヘイブンはそうして誕生したという。アヘン戦争以来、香港は麻薬取引を含む中国での略奪された資金のロンダリングに利用されてきた。

いずれも有名なタックスヘイブンだが、1970年代からの主役はイギリスの特別行政区域であるロンドン市(いわゆるシティ)を中心とするネットワークが中心。ジャージー島、ガーンジー島、マン島、ケイマン諸島、バミューダ、英領バージン諸島、タークス・アンド・カイコス諸島、ジブラルタル、バハマ、香港、シンガポール、ドバイ、アイルランドなどが含まれている。

このネットワークでは信託の仕組みが使われ、沈められた資金の持ち主を割り出すことは困難だ。こうしたこともあり、ロンドン市にメスを入れようとする動きはあったのだが、その壁は厚い。何しろ、その奥には世界の支配者が隠れている。

ロンドンを中心とするオフショア・ネットワークに対抗する形で、アメリカは1981年にIBF(インターナショナル・バンキング・ファシリティー)を開設、これをモデルにして日本では1986年にJOM(ジャパン・オフショア市場)をオープンさせた。

ブルームバーグによると、ロスチャイルド家の金融持株会社であるロスチャイルド社のアンドリュー・ペニーが2015年9月、サンフランシスコ湾を望むある法律事務所で税金を避ける手段について講演、その中で​税金を払いたくない富豪に対して財産をアメリカへ移すよう、顧客へアドバイスするべきだと語った​という。アメリカこそが最善のタックス・ヘイブンだというわけである。

オフショア市場を禁止、少なくとも厳しく規制しな限り、世界はごく少数の富豪が圧倒的多数を支配する独裁体制から抜けですことはできない。逆に、こうした仕組みをシステム化する目的で考え出されたのがTPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)の3点セット。そのキーワードはISDS(国家投資家紛争処理)条項である。

この条項によって、生産活動やサービスのルール、労働条件、環境汚染、食糧の安全などに関する規制、あるいは健康保険や年金など社会保障の仕組みを決める最終的な権限をアメリカを拠点とする巨大資本が握ることになる。政府、議会、司法といった仕組みは機能しなくなる。

1938年4月29日にアメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領は「個人、あるいは私的権力をコントロールするグループ、あるいはそれに類する何らかの存在による政府の所有こそがファシズムだ」と定義したが、そうした体制を作り上げようという仕組みがTPP、TTIP、TiSAだ。この仕組みを西側支配層が諦めることはないだろう。タグを付け替えてくるだろうが、何度でも実現しようと試みるはずだ。

ファシズム化を実現するため、軍事力で障害になる国々をアメリカ支配層は破壊しようとしてきた。そのため、アメリカはロシアや中国を核戦争で脅しているが、効果がない。じりじり追い詰められている。アメリカの戦争マシーンに組み込まれた日本はロシアや中国との戦争で最前線になり、崩壊する。もし戦争になれば、生き残れる人は多くないだろう。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201712210000/


122. 中川隆[-5747] koaQ7Jey 2017年12月21日 17:18:53 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

すぐに第4次産業革命が来る。自分を高度化させないと死ぬ


終身雇用の時代が終わり、年功序列の時代も終わった。

企業のビジネスサイクルも短くなり、企業の効率化で人が要らなくなり、リストラが恒常的に行われるようになった。学歴があろうがなかろうが、すべての従業員は巻き込まれる。

同時並行で、新しいテクノロジーが次々と社会を変え、今までの仕事を消滅させ、複雑化させ、高度化させていく。

さらに巨大企業や富裕層が巧みに税金逃れをするようになっていき、多くの政府が深刻な税収不足に見舞われるようになっている。そのため、政府は結果的に国民の福祉を切り捨てるしかなくなっている。

このすべては、今まで自分を守ってくれていたものが、自分を見放すようになっている動きであるということに気付かなければならない。

終身雇用が終わったというのは、企業はもう従業員を守らないということだ。年功序列が終わったというのは、中高年も企業から放り出されるということだ。

ビジネスサイクルが短くなったというのは、企業そのものが潰れやすくなって、会社もろとも仕事を失うということだ。新しいテクノロジーが導入されるということは、ついていけない人間は見捨てられるということだ。

自分を守るのは、自分自身だけでしかなくなった

路頭に迷ったら政府が助けてくれるのかというと、政府もまた財政不足で苦境に落ちた国民を助けるよりも見捨てる動きになっている。国も自分を守ってくれない。

学歴があっても、企業が効率化して人が要らなくなったら容赦なく見捨てられる。これは、「学歴も自分を守ってくれなくなった」ということだ。

そもそも現代社会では、無理して学歴を手に入れること自体が一種のワナになっている。

学歴がないと就職できないと煽り立て、学生に多額の借金を背負わせて大学と消費者金融が儲ける。学歴をエサにして学生をカモにしている。(役に立たない学歴のために、借金を背負わせて搾取する社会 )

学歴が身を助けるどころか、学歴を取るための莫大な借金が学生を自滅させていく。企業は学歴がないと雇わない。かと言って、学歴にすがりつく者を徹底的に食い物にする。現代はそんな邪悪な世界である。

では、いざとなったら「家族」が助けてくれるのか。

それも期待できなくなりつつある。若年層だけがこうした社会環境に巻き込まれているのではなく、親世帯もまた安定を失いつつあるからだ。

ニートやフリーターや引きこもりをしていた人間たちは親に依存し、寄生して生きていた。しかし、現在はその親世代が困窮化しており、いつまでも自立できない子供の面倒を見られなくなりつつある。

このように見ると、社会は非常に厳しい方向に変質したことが分かるはずだ。

今まで安定した生活を保障してくれていたはずの、「学歴・企業・国家・家族」のすべてがセーフティーネットとして機能しなくなった。

自分を守るのは、もう自分自身だけでしかなくなった。

放っておけば誰かが助けてくれるどころか、食い物にされていく。自分で自分を何とかしないと、容赦なく叩き落とされる社会と化したのだ。


要らない人間を捨て、高度な知識を有した人間を雇う

誰も頼りにできない中で生き残るためには、何が自分に必要なのかを常に考えておかなければならない。生き残るために必要な武器は自分で手に入れるしかない。

現代社会では、一般的には高度に専門化・体系化された知識があれば、それが生き残るための武器となって収入を生み出す。

ちなみに、テレビのお遊びのクイズ的な雑学は、単なる暇つぶしだ。専門化も体系化もされておらず、ビジネスにおいて何ら関連性もなく、従って成果も収入も生み出さない。

テレビのクイズ番組を見ても、優秀な人間になることは決してない。むしろ、脳が思考停止状態になって馬鹿になる。(テレビが人間を愚鈍にさせるというのが科学的に証明された)

現代社会でサバイバルするためには、テレビの雑音をシャットダウンして、自分に必要な専門知識を貪欲に吸い込んでいかなければならない。

今後の、高密度かつグローバルに発達していく高度情報化社会で生き残るためには、そういった社会の変化を読み、自分で自分を助けられるように動くしかない。

言ってみれば、自分で動いて業界の深い専門知識を手に入れることができるかどうかで、人生が大きく分岐していく。

誰も助けてくれないので、自分で何とか専門知識を身につけるしかない。それが持続してできるかどうかで、現代社会で生き延びられるかどうかが決まっていく。

これからの企業は人間を歯車の部品のように使い、状況が変わったら使い捨てする。高度化かつ複雑化した社会は、人間の消耗品化をどんどん加速させていく。

社会の状況が変わったら、今までのように社内の人間を教育して育てるのではない。要らない人間を捨て、高度な知識を有した人間を雇い直す。

激甚な競争に晒されている企業は、もはや昔のように人を育てている暇も金もない。さっさと即戦力を雇う。単に学歴があっても高度な知識がなければ役に立たない人間なので切り捨てられるだけだ。

企業はすでに「従業員を捨てること」を前提に動いている。そのため、自分で自分を助けられない人は、どんどん使い捨ての最低賃金かそれ以下にされる。


自分で自分を引き上げないと社会に見捨てられる

今後は、国も企業も家族も頼れないことを見越して、自分で自分を助けるしかない。誰も助けてくれないのだから、そんな社会では「自分で自分を高度化させる」以外に生き残れない。

これからやってくるのは、凄まじいまでの技術革新だ。

インターネットのさらなる進化、人工知能の促進、ロボット化、フィンテックの浸透によって、社会は「第4次産業革命」の時代に移行するのだ。

そのため、端的に言うとIT分野への知識と対応がどこまでできるかで自分の将来が決まると言っても過言ではない。

IT技術の基本的な部分が理解でき、高度に使いこなし、次々と生まれるイノベーションで自分の生活を合理化できなければならない。

社会が一段も二段も高度化するのに自分が高度化しないのであれば、それは次の時代に取り残され、生きていけなくなるということだ。待ったなしだ。

現在、大きな格差社会になっているが、この格差は自分で自分を向上できる人とできない人との間で、さらに大きな差となっていく。

自分を自分で向上させることに成功した人は、これからの格差社会の中で有利なポジションを手に入れることができる。そして、豊かな生活を送ることが可能になっていく。

その逆に自分を助けられなかった人は、まわりも助ける余裕がなくなっているので、そのうちに捨てられて社会の底辺に落ちていくことになる。

誰も頼りにならないのだから、自分自身でどれだけ自分を引き上げることができるのかが生き残れるかどうかの鍵になる。

もう今の世の中で生き延びるためには、「頼れるのは自分だけ」になっているのだ。

「第4次産業革命」が社会を変える中で自分で自分を引き上げないと、個人も国も容赦なく時代に見捨てられて下手すれば為す術もなく死んでしまう。

第4次産業革命はすぐに来る。


「第4次産業革命」が社会を変える中で自分で自分を引き上げないと、個人も国も容赦なく時代に見捨てられて下手すれば為す術もなく死んでしまう。第4次産業革命はすぐに来る。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/12/20171221T1533170900.html


123. 中川隆[-5740] koaQ7Jey 2017年12月22日 08:22:54 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

急激に「日本経済化」している米国経済 2017年12月22日


 米国の大型減税を含む財政改革案は12月20日(現地時間)、上下院とも議会を通過しました。これはトランプ政権発足後、初めて公約していた重要法案が実現化したことになり、向こう10年間で1.5兆ドル規模の大型減税となります。

 ただ中身を見れば見るほど大企業と富裕層への優遇策で、一般国民への恩恵が少ないようです。

 ここで表題にある「日本経済化」とはどういう意味なのでしょう?
 
 日本経済においては1997年をピークに一般国民が「疲弊」していくことになり、現在に至るまで一向に改善されていません。

 1997年4月に消費税が3%から5%に引き上げられただけでなく、減税の打ち切りや社会保障費の負担増が重なり、消費の大幅落ち込みにより日本経済が大きく落ち込んでしまいました。

 せっかくバブル崩壊から少しずつ回復していた日本経済は、1997〜98年に金融恐慌一歩手前となるまで「大不況」となってしまいました。その消費税はさらに2014年4月に8%に引き上げられ、2019年10月には10%となる予定です。

 また1996年には派遣法の対象業務が26業種に拡大されたこともありますが、実質賃金は(名目賃金もですが)やはり1997年をピークに、現在に至るまで長期低落中です。

 最近のGDP統計はソフトウエア開発などが加えられて30兆円以上も水増しされていますが、旧基準では1997年がピークだったはずです。さらに家計の貯蓄率、一戸建て住宅着工なども1997年がピークだったはずで、1997年以前の日本経済は現在よりはるかに「元気」だったことになります。

 一方で法人税は、安倍政権となってからだけでも2013年の37%から29%台まで引き下げられています。

 安倍政権のスタートした2012年12月以降、いくら「異次元」金融緩和・量的緩和を続けても、それに付随する円安とも相まって企業業績を押し上げていますが、肝心の一般国民が「疲弊」したままであるため本格的に消費が拡大せず、物価も上昇していません。

 そのため「異次元」金融緩和・量的緩和を想定以上に継続させることになりますが、その恩恵は資産価格上昇を通じて大企業や富裕層に及ぶだけで、一般国民はますます「疲弊」していくことになります。

 ここは本誌が突然に社会主義者になったわけではありませんが、一国の経済とは一般国民を「疲弊」させると、トータルとして大きく成長することはありません。日本でもGDPに占める消費の割合が56%あり、消費が盛り上がらないと日本経済はいつまでたっても本格回復しません。

 この辺を理解していないため、いつまでたっても追加緩和やさらなる法人減税が必要との議論しか出てきません。安倍首相は大企業に賃上げを要請しているようですが、もちろん強制力はありません。

 この状態を「日本経済化」と呼ぶことにすれば、表題にあるように米国経済は急激に「日本経済化」していると感じます。

 足元の米国経済は3%をこえる成長を続けていますが、個人消費は2%台半ば、何よりもFRBが重視するPCE(個人消費)コアデフレーターは1%台半ばで止まったままです。

 先日のFOMCでは「物価停滞は一時的なもの」として利上げに踏み切りました。さらにトランプ政権も、大型減税により大企業や富裕層に恩恵が及べば(一般国民への恩恵は少なくても)米国経済はもっと成長すると考えているはずです。
 
 どちらも間違っています。

 米国GDPに占める個人消費の割合は68%もあり、その米国経済が「日本経済化」すれば、その影響は「20年先輩」の日本経済を大きく上回るはずです。

 つまり急激に「日本経済化」している米国経済で利上げを継続することも、大企業や富裕層に恩恵が及ぶだけの大型減税に過剰期待することも、間違っているはずです。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-2143.html


124. 中川隆[-5739] koaQ7Jey 2017年12月22日 08:26:58 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017年12月22日
米減税法案 超富裕層だけ減税、子育て世帯は増税か

1%の超富裕層と巨大企業は減税、その他は増税の可能性が高い
引用:http://prt.iza.ne.jp/kiji/world/images/171220/wor17122008210006-m1.jpg

アメリカで減税法案が成立

米下院は12月20日、法人税率を35%から21%に引き下げる法案を可決しました。

10年間で1.5兆ドルの減税は1986年のレーガン政権の大規模税制改革になる。

この減税によって米国の法人税率は欧州や日本より低くなり、大企業にとって米国の魅力が増すとしている。



個人向けの税制でも高額所得者の最高税率引き下げや、相続税の軽減措置などが盛り込まれている。

だが通過した法案には「得をするのは超富裕層だけ」という批判が早くも出てきている。

減税は巨大な多国籍企業を米国に引きとめるためという意味合いがあり、大企業ほど恩恵を受けやすい。


またこうした巨大企業を所有している超富裕層は、株価上昇や配当金などの利益を得るほか、所得税引き下げや相続税軽減までしてもらえる。

その一方で大多数を占めている年収5万ドル以下の労働者には、減税の恩恵はあまりない。

トランプ大統領自身も、恩恵を受ける超富裕層の1人となっている。


減税法案の大部分は8年間の時限措置で、全体でも10年間だけの時限立法となっている。

2026年から2028年にかけては一転して増税になると予想され、財政悪化とともに景気悪化を招く可能性がある。

現在アメリカはリーマンショックの2009年から8年間ずっと好景気であり、失業率や成長率は比較的高い。

将来にツケを回す可能性

経済状況改善のために減税をする必要はないのであり、何のために減税するのかわからない。

アメリカは格差拡大や低所得者の貧困問題をかかえているが、今回の減税は超富裕層対象なので、むしろ格差を拡大する。


また財政悪化も招く恐れも見逃せず、アメリカの「国の借金」は5,000兆円とも6,000兆円とも言われている。

好景気の今減税し、2028年頃にもし不況になっていたら、不況下で増税するというチグハグな政策になってしまう。

よってこの大規模減税は、10年後に失敗の評価を下される可能性が高い。


ではなぜこのタイミングで減税法案を成立させたのかと言えば、民主党と共和党のパワーゲームにあるようです。

オバマの民主党時代には「オバマケア」という医療制度改革を実施し、共和党は8年間何もできなかった。

今度は共和党のトランプ政権なので、以前からの公約だった減税法案を成立させたので、アメリカの経済状況は考慮されなかった。


超富裕層には減税と言いながら、9割の人々にはむしろ増税になる可能性が指摘されている。

というのは減税の財源として、地方政府への補助金が減額され、住宅ローン控除や地方政府に支払った分の税控除が縮小される。

この結果住宅ローン支払い中の世帯は大幅増税になり、しかも住宅価格下落によって資産価値も減少するとも予想されている。

子育て世帯にとっては悪夢のような減税になりかねない。
http://www.thutmosev.com/archives/74159367.html


125. 中川隆[-5775] koaQ7Jey 2017年12月28日 08:52:16 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017-12-26
トランプ減税という「歴史的な一歩」をどのように見るか?

2017年12月20日、アメリカで大きな動きがあった。何があったのか。「大減税」である。個人所得税も減税になるのだが、それよりも何よりもインパクトが大きいのは法人税が35%から21%に引き下げられることである。

これによって政府は約170兆ドルの収入を失う。端的に言うと、今でも凄まじい赤字に苦しんでいるアメリカ政府がさらに借金体質になり、そして「企業がより強大になっていく」ということを意味している。

なぜ、ドナルド・トランプ大統領は政府の財政を極限まで追い詰めても、企業を肥え太らせようとするのだろうか。

それは、アメリカ企業を肥え太らせて世界支配をより強大にさせ、それによって雇用も増やし、「アメリカ第一」を実現するためである。

トランプ大統領がやっているのは、究極のアメリカ一極主義であり、その戦略的な中核を担っているのがアメリカ企業であるというのが分かる。

トランプ大統領は「経済成長を促す歴史的な一歩である」とこれを誇った。言うまでもないが、今後アメリカの企業は税制の面でも有利になり、利益を出しやすくなる。

当然、これによって優良企業は必ず自社株買いや配当引き上げを行って株主に報いる。


多国籍企業と株主がトランプ減税で利益を確保する

たとえば、ボーイングやバンク・オブ・アメリカなどはいち早く自社株買いを宣言している。

大手製薬企業ではファイザーも配当の増配と自社株買いを発表した。ファイザーは以前より自社株買いを進めていたのだが、それに100億ドルを追加し、さらに配当は6%増配される。

トランプ減税で、真っ先に、かつ確実に利益を得られるのはアメリカの企業であり、次に確実に利益を得られるのはアメリカの企業の株式を保有する株主たちである。

今までアメリカ企業は税金逃れのために本社を外国に移したり、外国で儲けた利益をアメリカに戻さないで外国に貯め込んだりしていたが、これらの資金もアメリカに戻る。

さらに見過ごせないのは、法人税が21%に引き下げられたことによって、これが世界中の多国籍企業をアメリカ本土に呼び寄せる誘い水になることだ。

アメリカの市場はより活性化し、ダイナミックなものになっていく。

これによってアメリカ通信企業大手のAT&Tなどは「20万人を超える従業員全員に1000ドルずつの特別ボーナスを払う」と太っ腹なところを見せている。

では、トランプ大統領の思惑通り、企業が富んで従業員もトリクルダウンを享受するようになっているのだろうか。

いや、それがそうではない。AT&Tは特別ボーナスを支給すると同時に推定700人以上の従業員を解雇している。今後もさらにリストラを推し進めていく予定である。

これを見れば、企業は豊かになっても、企業の合理化の意思や社員の切り捨ての姿勢は変わらないので、利益が社員に還元されるかどうかは未知数だ。

もうひとつ懸念されることがある。トランプ減税によって、最も「損する」のは税金という歳入を失ったアメリカ政府である。アメリカ政府の財政がより悪化すれば、当然だが国民に対する社会保障費は削減される。


100%確実に利益を手に入れるのは多国籍企業だけ

今の弱肉強食の資本主義では、どこまでも多国籍企業とその株主が優位に展開し、国家や労働者が相対的に弱体化しているという構図が見えてくるはずだ。

企業は14%も引き下げられた税金で、前年度と同じ税引前利益であったとしても、純利益が14%も増える。仮に1兆円の純利益を得られる企業であれば、何もしなくても1400億円も純利益が増えている計算になる。

企業は、棚からぼた餅でこの利益の増加分を手に入れることになるのだ。

もちろん、多国籍企業が莫大な利益を上げれば、税収を得る政府も、そこで働く従業員にも「おこぼれ」が得られるという理屈もある。

ところが、それがそう簡単な話ではない。

多国籍企業は、引き下げられた21%の税金をも払いたくないからである。つまり、企業にとっての至上命令は税金の支払いをゼロにすることである。

だから、わざと負債を膨らませて赤字経営に見せかけて税金を払わなかったり、海外に子会社を作って利益をそこに貯め込んだり、あげくの果てにはタックスヘイブンに利益を隠して見えなくしてしまうのだ。

つまり、理論的には「減税されたら自動的に政府や従業員にトリクルダウンがくる」のだが、現実は理論通りに動くような甘いものではなく、裏もあれば闇もある。

トランプ減税でアメリカの多国籍企業の純利益が増加するのは100%確実だが、アメリカ政府と国民が利益を得られるというのは100%の確率ではない。

こうしたことを考えると、企業の利益が増えるのだから、国家の歳入も増えて従業員も豊かになるという「理想」はほどほどに聞いておいた方が身のためだ。

多国籍企業は現代の資本主義の世界では圧倒的有利な立場にあるのだが、他はそうではない。


アメリカ企業は「伸るか反るか」の賭けとは無縁

今回のトランプ減税は多国籍企業に圧倒的に有利だ。

だから、トランプ減税に関わった共和党は、わざわざ「税金の抜け穴を埋めて、逆により厳しく税金を取ることによって歳入を増やすことに努める」と発表している。

法人税ほどではないが、個人の所得税に関しても引き下げられることが決定している。

個人所得税は税率を12%、25%、35%と簡素化され、最高税率も35%に引き下げられる。さらに単身世帯なら1万2000ドル以下、共働き世帯では2万4000ドル以下の所得の人々は「課税対象にならない」ことになった。

これだけやって、内需が拡大せず、アメリカ企業も儲けることができないのであれば、一番問題を抱えるのは誰か。もちろん、アメリカ政府である。

減税して約170兆ドルが吹き飛んだままになってしまうのだ。このインパクトは計り知れない。

失敗すればアメリカ政府は財政赤字で吹き飛ぶ。しかし、成功すればアメリカは再び繁栄を取り戻して強大な国家となる。どちらに転ぶのか、そんなことはまだ誰にも分からない。

しかし、トランプ大統領はそのリスクをすべて飲んで「やる」と決めたわけであり、国運を賭けて大きな賭けに出たということが見えてくるはずだ。

豪胆だ。「減税する」というのは大統領選での公約だったのだが、並みの大統領であればできなかったことをトランプ大統領がやったのは間違いない。

ただし、間違えてはいけないのは、賭けの俎上に上がっているのは「アメリカ政府」であって、「アメリカ企業」ではないということだ。

アメリカ企業は「伸るか反るか」の賭けとは無縁だ。トランプ減税によって利益増大が約束されたわけであり、個人所得が減税分だけ増えることから内需も期待できる環境になった。

減税は単発ではなく今後も継続されるのだから、アメリカの企業はより利益を得やすくなり、それによって株主もまた利益を手にしやすくなる。

トランプ減税が失敗すればアメリカ政府は財政赤字で吹き飛ぶ。成功すればアメリカは再び繁栄を取り戻して強大な国家となる。トランプ大統領はリスクをすべて飲んで「やる」と決めた。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/12/20171226T1720200900.html


126. 中川隆[-5725] koaQ7Jey 2018年1月01日 20:06:35 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2018.01.01
2018年が始まりました。時間の流れに変化があるわけではありませんが、心理的な区切り目であり、今年は世界史の大きな節目になる可能性があります。

すでにアメリカを中心とする支配システムを支えてきたドル体制は崩れ始め、そのシステムは大きく揺らいでいます。それを暴力、つまり軍事力やテロ行為で世界を脅して安定化させようと試み、さらに揺れを大きくしているのが実態でしょう。

帝国としてのアメリカは終焉を迎えようとしています。アメリカの支配層もその現実を受け入れざるをない状況で、その帝国に巣くうことを諦め、巨大資本が国を凌駕する力を手に入れて人々を直接支配する体制を築こうとしているように見えます。これは、かつてフランクリン・ルーズベルトが定義したファシズム体制にほかなりません。

そうした支配のキーワードがISDS(国家投資家紛争処理)条項であり、それを組み込んだTPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)の3点セットで新たな世界秩序を実現しようとしたのでしょう。その新秩序を築くためにアメリカ帝国は使われています。

それに対し、中国やロシアは主権国家の存在を前提とする多極化した世界というビジョンを示し、米英の指導層に引導を渡そうとしています。中露と米英との対立は外交的にも軍事的にも前者が優位にあり、後者は反撃のためにメディアを使ったプロパガンダで圧倒しようと試み、軍事的な緊張を高めて脅してきました。

中露がそうした脅しに屈する可能性はゼロに近く、必然的に第3次世界大戦、つまり全面核戦争の危険性が高まります。それが2018年の世界です。安倍晋三政権が戦争の準備を進めている理由もそこにあるのでしょう。

こうしたアメリカの好戦的な姿勢を西側のメディアは報道したがりません。危機的な状況を日本のマスコミは気づいていない、あるいは気づかない振りをしています。本ブログはそうした世界をウォッチし続けます。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201801010000/


127. 中川隆[-5726] koaQ7Jey 2018年1月02日 20:16:23 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2018年01月02日
中小企業の4割がボーナスなし 今やボーナスは少数派
http://www.thutmosev.com/archives/74327487.html


大企業の正社員は1000万人ほどしか居ない
引用:http://www.news24.jp/images/photo/2017/12/25/20171225_211841522u_l.jpg

ボーナスは都市伝説になるか

年末に冬のボーナスが支給されたが、ボーナスを受け取ったのは、今や労働者の半数以下になったのが分かった。

経団連発表によると大手企業の2017年冬のボーナスは、平均額は88万793円で、過去4番目の高水準になった。

一方で大阪シティ信用金庫の発表によると、中小企業では42%がボーナスなし、平均支給額は27万円だった。


支給しない企業も平均すると、全中小企業はおそらく18万円以下の支給額だったと考えられます。

大企業でボーナスを支給しない企業はないでしょうから、全中小企業平均の5倍ものボーナスを受け取っていました。

中小企業は従業者数で3,361万人、大企業は1,433万人を占めているが非正規雇用も含まれているので、全員にボーナスが支給されるわけではない。


日本の労働者の4割が非正規なので、この人達は最初からボーナスとは関係がありません。

雇用者数5381万人のうち2016万人が非正規で、3365万人が正規雇用だが、3分の2以上が中小企業で、その4割はボーナスなし。

大企業の正社員1000万人ほどと、中小企業性社員のうち1300万人くらい、国家公務員64万人と地方公務員275万人くらい。

収入格差が日本のGDPを下げている

全員合計して2600万人からオマケして3000万人がボーナスを貰える人です。

就業者数は6552万人なので、過半数の労働者はボーナスなしで、ボーナスを貰えるのは総人口の4人に1人以下しか居ません。

今後も非正規が増えるとすると、ボーナスを貰える人も減少するでしょう。


ボーナスを貰えない3500万人の多くは低賃金低収入で、年収200万円以下という人も多い。

大企業の正社員は最初から基本給が多い上に福利厚生や手当ても多く、そのうえボーナスは桁外れに多い。

こうして日本では大企業と官僚を頂点として、ピラミッド型の社会格差が定着している。


支給されたボーナスの使い道では1位は貯蓄(57.1%)で、レジャーや衣料品、教育費や生活費が20%台で並んでいます。

収入格差が拡大し多くの労働者がボーナスなしだと、大企業社員は使いきれずに貯金し、一方少ない人やもらえない人は使うお金もない。

これは日本のGDPの7割を占める個人消費が減少する原因になっていて、多くの人が平均に手厚い報酬を貰うほうが、個人消費は多くなる。


個人消費の合計=日本のGDPとも言えるので、収入格差の拡大は日本のGDPを下げてしまっている。
http://www.thutmosev.com/archives/74327487.html


128. 中川隆[-5698] koaQ7Jey 2018年1月04日 14:15:11 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

高度化・複雑化する社会でも適者生存のルールが当てはまる


哲学者ハーバート・スペンサーが提唱した「サバイバル・オブ・ザ・フィッテスト(survival of the fittest)」というのは日本語では「適者生存」という言葉に訳されている。

この考え方は後のチャールズ・ダーウィンの生物観察によって自然界の掟であることが確認され、まさにこの「適者生存」が進化論を指し示す言葉となった。

ダーウィンはこの自然界の掟を「最も環境に適した形質をもつ個体が生存の機会を保障される」と表現した。さらにこれを噛み砕いたのがこの言葉だ。

「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるでもない。唯一生き残るのは変化できる者である」

最も凶暴で、最も力があり、最も獰猛な性格を持った生物が最後まで生き残るわけではない。生態系(環境)に合わせて、どんどん自分を変化させることができた種が生き残れるのだ。

これは当然ながら人間にも当てはめられる。人間はすでに自然環境よりも社会環境に大きな影響を受けるようになっており、人間の敵は社会であり他人と化している。

人間もまた「より最適に社会に適合できた者」が、生存の機会を保障される世界に生きているのである。

現代社会に適応するというのはどういうことか?

石器時代では力があって筋肉があって獰猛な人間が頂点に立っていた。こうした人間が獲物を狩り、自分の家族に恵みをもたらしたからだ。

こうした能力は今や見世物として楽しまれているだけで、いくら獰猛になったところで現代社会の適者生存の頂点に立てるわけではない。

今の社会は体力や獰猛さに最適化された人間や組織が勝ち残るわけではない。社会は限りなく複雑化し、高度化し、ハイテク化している。その傾向は凄まじい勢いで進んでいる。

今の社会に適応するというのは、複雑化した社会の仕組みを俯瞰して理解することができる能力を持ち、ハイテク化が進む社会に完全に適応できることを指す。

動物を狩る能力や動物と戦って勝てる能力などは、あれば便利かもしれないが社会的にはどうでもいい。社会はそれを求めていない。

それよりも超高度化・情報化する社会に適応して、そこで能力を発揮できる人間を求めている。

実際問題として、現代人はハイテク化という生態系(環境)の中で生存競争を繰り広げている社会になったと言っても過言ではない。

ハイテク化に適応するというのは、どういうことか。

それは、毎年のように爆発的に高性能化するコンピュータを縦横無尽に使いこなすことができる能力、ネットワーク化された情報を引き出すことができる能力、次々と生まれる技術革新の重要性や目的を理解し、それにいち早く馴染むことができる能力を指す。

そして、これらを通して自らを高みに引き上げ、最終的にはハイテク化を通して経済的にも恩恵を得られるようにするというところまでが「現代社会に適応する」という真の意味なのだ。

世の中は「機械化、大量生産、自動化」という産業革命を終えて、いよいよ次の産業革命に向かおうとしている。それは「第四次産業革命」と呼ばれるべき性質のものだ。


インターネットによる高度化に向かっている社会

人間は機械化によって社会を変革し、大量生産によって多くの人間が機械化を享受できるようになり、やがて大量生産された機械によって様々な業務を自動化できるようになった。

次は機械そのものが人間の知的分野の部分に進出し、人間に変わって判断し、実行し、物事を解決していくようになっていく。それを超高速に正確に成し遂げる。

具体的には人工知能やロボットがそれを実行するのだが、この2つはインターネットに接続されて、そこに広がる膨大なデータを解析し、学習することで成り立っている。

すなわち、インターネット内の莫大なデータを深く学習することによって「判断・実行・解決」を実現する。「第四次産業革命」は、インターネットというインフラを使うのである。

莫大なデータのことを「ビッグデータ」と呼び、深い学習のことを「ディープラーニング」と言うが、このビッグデータとディープラーニングが次の「第四次産業革命」の核となる。

そうすると、次の時代に適合して生き残れるのはインターネットの世界に深く馴染んだ人間であり、それを縦横無尽に使いこなせる人間であるのは明白だ。

人工知能やロボットはインターネットの向こう側から人間を支配してくる。

それはすなわち、インターネットの世界を作り出す側、そしてインターネットを駆使できる側の人間が、それをできない人間を支配するということなのだ。

つまり、これからの「適者生存」はインターネットという世界で自分の立場を確保できるか否かにかかっている。社会の中心はインターネットそのものとなり、インターネットは産業のすべてを取り込んで支配する。

この社会変化の中で生き残るためには、インターネットの中で主導権が持てるかどうかにかかっている。

「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるでもない。唯一生き残るのは変化できる者である」という言葉をもう一度思い出して欲しい。

社会がインターネットによる高度化に向かっているのだから、私たちが「唯一生き残る」ためには「インターネットに最適化できる者」となるのは確実なのだ。


あと5年も無為に過ごしたらもう間に合わない

2010年頃から「デジタルデバイド」という言葉が言われるようになっている。

デジタルデバイドとは情報格差のことを指すのだが、その意味は「情報技術を使いこなせる者と使いこなせない者の間に格差が生じること」を指す。

現代社会では、パソコンもスマートフォンも使えない高齢者や貧困家庭の子供が社会的に不利になっていき、高度情報化社会で落伍してしまう現象が見られる。

それもそうだ。社会に出たら、その時点でパソコンもスマートフォンも使いこなせ、あらゆる業務アプリケーションを短期間で習熟できる能力が求められるからだ。

社会人になってもパソコンが理解できず、まともに使いこなせず、文字も打てないというのであれば、その時点で排除されても仕方がない。情報格差はキャリアを制限してしまう。

しかし、これからくる人工知能とロボットの時代では、高齢者や貧困家庭の子供どころではなく、きちんと高度情報化の根幹に関わっていない人間も落伍者と化す危険がある。

超高度化していく社会の中では、単にパソコンやスマートフォンが高度に扱えるだけでなく、そこに付加価値を付けられる能力を持つことが求められるからだ。

付加価値というのは、たとえばデータベースの技術であったり、プログラムの技術であったり、ネットワークの構築であったりするだけでなく、ありとあらゆる最先端を理解して使いこなす技術も含まれる。

社会が高度化すればするほど、そこに向かえる人と脱落する人が明確になっていき、デジタルデバイドは深刻化する。

複雑化する社会に「適者生存」するためには、より意識的かつ戦略的に自らを引き上げなければならない。

まだ間に合う。第四次産業革命はこれから始まるからだ。しかし、あと5年も無為に過ごしたらもう間に合わない。取り残されて失職し、時代遅れと化し、格差のどん底に落ち、凋落する一方と化す。

高度化・複雑化する社会でも適者生存のルールが当てはまる。これからは、ハイテク化していく社会に自分をどれだけ適応させられるかが生き残りの鍵になる。


複雑化する社会に「適者生存」するためには、より意識的かつ戦略的に自らを引き上げなければならない。まだ間に合う。第四次産業革命はこれから始まるからだ。しかし、あと5年も無為に過ごしたらもう間に合わない。取り残されて失職し、時代遅れと化し、格差のどん底に落ち、凋落する一方と化す。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2018/01/20180103T1700460900.html

[12初期非表示理由]:管理人:混乱したコメント多数により全部処理

129. 中川隆[-5697] koaQ7Jey 2018年1月04日 15:01:04 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

東京都の下水道運営権売却について 2018-01-04

 
 グローバリズムのトリニティとは、「規制緩和」「自由貿易」「緊縮財政」の三パッケージになります。


 規制緩和の中でも、レントシーカーたちにとって最も「美味しい」市場は、公的分野になります。


 ノーベル経済学者ジョセフ・E・スティグリッツの言葉を引用します。


「アメリカの政治制度は上層の人々に過剰な力を与えてしまっており、彼らはその力で所得再配分の範囲を限定しただけでなく、ゲームのルールを自分たちに都合よく作りあげ、公共セクターから大きな”贈り物”をしぼり取ったからだ。経済学者はこのような活動を”レント・シーキング”を呼ぶ」


 米国の経済と社会は、グローバリズムという「鵺」により、レント・シーカーの王国と化していきました。


 公共セクターを規制緩和、民営化し、民間の「ビジネス」と化すために必要なものは何でしょうか。答えは、緊縮財政とデフレーションです。


 デフレにより、政府の財政が悪化する。すると、緊縮財政。


「今までは官が提供していたサービスだが、緊縮財政の一環として民間に委ねる」
 というレトリックが力を持ち、アメリカや日本の公共セクターは「民営化」され、そこに新規参入したレントシーカーが儲けるという構図です。


 例えば、地方財政の悪化を受け、「行政窓口」の民営化が実行に移されました。結果的に、パソナをはじめとする派遣会社が、行政窓口の仕事を「受注」し、多いに儲けています。


 パソナの取締役会長である竹中平蔵氏が、政府の諮問会議の「民間議員(と称する民間人)」として、民間企業のビジネスを生み出す規制緩和政策を推進しているのはご存知の通り。


 これが、経済が好調で、地方財政も潤沢であれば、行政窓口は普通に公務員でいいわけです。


「それでは儲からない」
 というわけで、財政悪化を大義名分に緊縮財政。緊縮財政の一環としてとして、政府の公共サービス、公的セクターを民営化するというスキームになっているのです。


 もはや、緊縮財政&公共サービスの民営化は一種の「信仰」と化してしまい、今や財政が好調の都道府県までもが、公共サービスの民営化を言い出す有様になってしまいました。



『民間への下水道運営権売却、東京都が検討
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25108280W7A221C1L83000/

 東京都は下水道施設の運営権の民間事業者への売却(コンセッション)を検討する。人口減少などをにらみ、包括的な民間委託も含め、経営効率の改善策を探る。災害対応などの課題を点検したうえで、3〜4年後をめどに新しい運営手法に移行する。

 下水道のコンセッションは26日の都政改革本部(本部長・小池百合子知事)の会議で検討課題として報告した。今後、老朽化した施設の更新などで事業費が膨らむ一方、人口減少で収入は落ち込む見通し。施設の維持管理など個別業務の委託にとどまらず、幅広く民間のノウハウを取り入れて経営基盤を安定させたい考えだ。

 下水道は公共インフラとして確実に維持する必要があるため、下水道法の規定で完全民営化はできない。このため都はコンセッションや包括委託などの形式を想定。2018〜19年に民間事業者の意向調査などを進め、20〜21年ごろから本格的な検討、試行に入る。

 下水道分野のコンセッションは浜松市が先行して取り組んでいる。小池知事は都内でも予想される人口減に言及して「コンセッションを真剣に考えてほしい」と話した。』


 記事にもありますが、浜松市は下水道の一部をコンセッション方式で民営化しており、浜松ウォーターシンフォニーが受注しました。


 浜松ウォーターシンフォニーは、フランスのヴェオリア社、JFEエンジ、オリックス、東急建設・須山建設グループが設立した特別目的会社です。


 何と、浜松の下水道コンセッションの時点で、「外国資本」が入っているわけです。つまりは「カネの移動の自由」という意味の自由貿易ですね。


 浜松の事例を見ると、緊縮財政、規制緩和(コンセッション)、自由貿易の三つが、シンフォニーを奏でていることが分かります。いやあ、見事なものです。


 それにしても、日本で最も財政的に豊かな東京都まで、コンセッションを進めるとは、藤井先生がFBに書かれていた通り、

『民営化をすることが「カッコイイ」というとんでもない勘違いをして、人々に何の役にも立たない(しかし、民営化で受注した大企業だけが儲かる)改革や民営化を進めようとしています。』

 という話なのでしょう。


 「改革」「民営化」「規制緩和」の多くが、実は日本国民の豊かさには結びつかず、外資系を含めた特定企業の利益拡大にしかならないという現実を多くの国民が理解しない限り、我が国の公共サービスは売られ続け、スティグリッツの言う「贈り物」をレントシーカーたちに搾り取られ続けることになるでしょう。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12341669390.html

[12初期非表示理由]:管理人:混乱したコメント多数により全部処理

130. 中川隆[-5734] koaQ7Jey 2018年1月04日 19:21:30 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

株価上昇でも国民が幸福にならない安倍経済政策ー(植草一秀) 4th Jan 2018

株価上昇とともに2018年が実質的に始動した。

2016年年初には中国初の世界経済危機が警戒されたが、

2年たって状況は一変している。私は2016年初が陰の極と判断した。

中国、新興国、資源国が緩やかに底入れして世界経済が緩やかな改善に進む。

圧倒的少数見解であったが、そのように世界経済を展望した。

現実に2016年初を境に中国、新興国、資源国は底入れを実現していった。

2016年11月に米国大統領選があった。

メディアはクリントンの当選が9割以上の確率であると言い切った。

私はトランプ勝利の可能性が十分にあると判断した。

そして、金融市場はトランプが当選すれば米ドルとNYダウは大暴落すると宣言した。

果たして大統領選で勝利したのはトランプだった。

私は2016年12月に刊行した年次版TRIレポート

『反グローバリズム旋風で世界はこうなる』のサブタイトルを

「日経平均2万3000円、NYダウ2万ドル時代へ!株価再躍動!」と記した。

内外株価の本格上昇を予測する見解は圧倒的少数見解だった。

1年たって日経平均株価は2万3000円台に乗せた。

NYダウは2万5000ドルに迫っている。

振り返って考えると、2016年の年初が大底だった。

中国の株価が急落したのは、その直前に中国株価が大暴騰したからだった。

大暴騰した株価が反落するのは当然のことで、

急落しても株価暴騰が始まった時点と比較すれば

3割以上も高い水準に株価は位置していた。

したがって、このことが中国経済のメルトダウンをもたらすとは

到底考えられなかったのだ。


世界経済は2016年初を転換点に、緩やかな改善基調をたどり、

連動してグローバルな株価上昇が観察されている。

世界経済の流れは概ね順調であると言ってよいだろう。

しかし、経済の内実に目を転じると、そこに重大な問題が横たわっている。

言うまでもない。際限のない格差拡大が広がっているのだ。

大企業の収益は拡大し、資本のリターンは高まっている。

株価は経済全体の変化を反映して変動しない。

株価は株式の利益変動を反映して変動するのである。

日本経済全体は決して好調と言えないが、

上場企業の収益だけは絶好調を維持しているのである。

株価が1万円から2万3000円になって何の文句があるかなどの言葉が聞かれるが、

「経世済民(けいせいさいみん)=世を經(おさ)め民を濟(すく)う」の意味で

「経済」を捉えるなら、これではまったくだめだ。

株価が上昇しても恩恵を受けるのは一握りの人々に過ぎない。

圧倒的多数の普通の労働者がどうなるのかが何よりも大事なのだ。

労働者一人当たりの実質賃金指数が厚生労働省から発表されている。

賃金には固定給、時間外手当、ボーナスがあるが、

現金給与総額というのはこれらをすべて合わせたものだ。

その現金給与総額の変化から物価上昇分を差し引いた実質賃金指数が発表されている。


実質賃金指数は2009年10月〜2012年12月の民主党政権時代には

ほぼ横ばいで推移した。

ところが、2012年12月の第2次安倍政権発足以降に約5%も下落した。

下落の最大の要因は消費税増税の影響だが、

消費税率は5%から8%へと3%ポイント上昇しただけだが、

実質賃金指数は約5%も減少した。

最近になって、実質賃金指数はやや持ち直す傾向を示しているが、

おおむね横ばいの域を出ていない。

株価上昇で経済全体が良くなったかのような報道が多いが、

株価が表示される上場企業というのは約4000社で、

日本の法人数約400万社の0.1%にしか過ぎない。

経済全体の上澄みの0.1%の大企業の利益が史上最高を更新し、

この利益拡大を反映して株価が上昇しているだけなのだ。

経済全体のパフォーマンスを示すのは実質経済成長率だが、

民主党政権時代の実質GDP成長率平均値が+1.8%だったのに対して、

2012年12月の第2次安倍政権発足以降のGDP成長率平均値は+1.5%で、

あのパッとしなかった民主党政権時代よりも、

第2次安倍政権発足以降の日本経済の方がさらに低迷が深刻化しているのだ。

安倍政権はそれなのに、消費税を増税して法人税を減税するという経済政策を

推進している。主権者である国民の生活を向上させるのではなく、

主権者である国民の生活を踏みにじって大企業の利益だけを膨らませる政策を

遂行している。

だから、この政権をできるだけ早くに退場させるべきなのである。

民を虐(しいた)げて巨大資本を潤わせる安倍政治を終焉させて、

大資本に応分の負担を求めて、民の暮らしを向上させる政権を樹立することが、

日本の主権者の幸福をもたらす方策である。


安倍政治というのは非常に分かりやすい。何が分かりやすいのかと言うと、

安倍政治が追求しているものが、すべての面において、

大企業=巨大資本の利益拡大であるからだ。

政治を見る一番大事な視点は、「誰のための政治」であるのかという視点である。

安倍政治はこの点で極めて明瞭な特性を有している。

巨大資本=大企業の利益拡大のための政治なのだ。

この問題は企業献金が合法化されていることと直結する。

日本国憲法は参政権を自然人だけに与えている。

しかも、その参政権は、貧富の差に関わりなく、一人一票というものだ。

これが参政権の基本なのだが、最高裁が政治権力の僕(しもべ)に

なってしまっていることから、

企業献金について最高裁が違憲の判断を示さなかった。

このために、日本国憲法の規定に反して、企業献金が合法とされてしまい、

大企業が金の力で政治を買ってしまっているのである。

政治を金で売っている代表が自民党である。

自民党は大企業から巨額の献金を得て政治を行っている。

自民党は大企業の利益になる政治を行うことによって

巨大な資金を獲得しているのである。

合法的な汚職が堂々と展開されているわけだ。

経済運営を市場原理にすべて委ねてしまう。

本当の政府の役割というのは、市場原理に委ねてしまうことに伴う

さまざまな問題を解決する点にある。

一番大きな仕事が所得再分配という仕事だ。

市場原理は必然的に弱肉強食をもたらす。力の強い者がより強くなり、

力の弱い者は生存すら不可能になってしまう。

これを是正するために政府が介入して、金銭的には、経済力の大きい者に

資金を提供させて、その資金を経済力の小さな者に給付する。

能力に応じた課税と社会保障給付が、この目的に沿う施策である。

しかし、力の強い者のための政策を追求すると、

こうした社会保障政策や、能力に応じた課税というものを廃止せよとの方向に

修正を迫られる。

巨大資本の利益を第一とする経済政策の考え方を総体的に表しているのが

「ワシントン・コンセンサス」というものだ。

これは、経済学者のジョン・ウィリアムソンが1989年に表現したもので、

ワシントンに本拠地を置くIMF、世界銀行、米国政府などが、

経済危機に見舞われた途上国などに適用する経済政策のパッケージを、

この言葉で表現したものである。

その柱となる政策が、

1.社会保障の圧縮、

2.規制撤廃、

3.民営化、

4.市場原理の重視である。

つまり、経済政策運営においての政府の役割を最小限にして、

基本的にすべてを市場原理に委ねるというものだ。

この政策の結果が弱肉強食の圧倒的蔓延につながることは言うまでもない。


日本において、この考え方に基づく経済政策運営を始動させたのが

小泉純一郎政権だったが、その完全な継承政権が第2次安倍政権以降の政権である。

安倍政権が提示する経済政策はアベノミクスと呼ばれているが、

その柱は

1.金融政策、

2.財政政策、

3.成長政策である。

財政金融政策は通常のマクロ経済政策だが、

特徴的なのは「インフレ誘導」を目標に掲げたことだ。

「インフレ」は実質賃金を低下させる意味で資本の側に利益をもたらし、

労働の側に不利益をもたらすものである。

安倍政権が「インフレ誘導」を目標に掲げたことも、

この政権が労働の側ではなく、資本の側に立つ政権であることを物語っている。

何よりも重要なのは、成長政策の中身である。

安倍政権が提示する成長政策の内容は、

1.農業の自由化、

2.医療の自由化、

3.解雇の自由化、

4.法人税の減税、

5.経済特区の創設、である。

これらのすべてが、大企業=巨大資本の利益増進策なのである。

農業の自由化は巨大資本に日本の農業を支配させるための施策である。

これまで農業を担ってきた農家を駆逐し、巨大資本に農業を支配させる。

その結果として、食料の自給率は下がり、食の安全と安心も崩壊する。

国民に与える不利益は無限大だが、

大資本の利益さえ拡大すれば問題なしという判断から生まれている施策である。

医療の自由化は医療関連の価格を自由化するとともに、

公的医療保険でカバーされない医療を一気に拡大させる施策である。

医療のGDPを拡大させる施策であるが、

その結果として、公的医療保険による医療しか受けられない国民には

十分な医療が提供されなくなる。

医療の分野に露骨で冷酷な貧富の格差が持ち込まれることになる。


解雇の自由化は、より広く表現すると労働規制撤廃ということになる。

「働き方改革」と表現すると耳に聞こえが良いが、推進されているのは、

1.正規労働から非正規労働へのシフト、

2.長時間残業の合法化、

3.残業代ゼロ制度の創設、

4.外国人労働力の導入拡大、

5.金銭解雇の全面解禁などである。

狙いは明確だ。

大資本が労働力を最小コストで使い捨てにできる体制を確立することなのだ。

そして、大資本にとってのパラダイスを生み出す最重要施策が、

消費税増税による法人税減税の推進である。

法人税負担を激減させて、消費税大増税を推進する。

消費税大増税がもっとも過酷な影響を与えるのが所得の少ない階層である。

大資本の利益を極大化させるためには、

所得の少ない階層の生存権をも奪って構わない。

この考え方が鮮明に浮かび上がっている。

民営化は利益が保証される事業を民間に譲り渡すことである。

水道などの事業は公共性が高く、また独占事業になるため、

政府が利益を生まない事業として実施してきた。

水道を必要としない家庭はないため、

こうした事業は努力なしに成り立つ事業である。

また、独占事業であるため、事業者が価格を吊り上げて超過利潤を獲得することも

可能になる。このような事業の運営権を獲得することは大きな利権であり、

特定の者にこの利権を付与することが典型的な政治腐敗の温床になることは

疑いようがない。

現に安倍政権が実行している特区における事業には、

この種の政治腐敗を強く疑わせるものが多数含まれている。


安倍晋三氏は2012年12月総選挙で、

「ウソつかない!TPP断固反対!ブレない!日本を耕す自民党」のポスターを

貼り巡らせて総選挙を戦った。

ところが、選挙から3ヵ月もたたぬ2013年3月にTPP交渉への参加を

正式決定した。そのTPP交渉から米国が離脱した。

安倍政権は米国が離脱する可能性のあるTPPの国会承認を急ぎ、強引に批准した。

米国が離脱すれば最終合意文書の修正が必要になるなかで、

最終合意文書に一切手を入れさせぬために批准を急ぐと主張した。

その後に米国が離脱して、最終合意文書の修正がなければ、

米国抜きのTPP発効は不可能になった。

すると、今度はTPP最終合意文書の修正を日本が先頭に立って主張し始めた。

この経緯は安倍政権が完全なペテン師政権になっていることを意味している。

「TPP断固反対!」のポスターを貼り巡らしていた安倍政権が

TPPに突進している。

その理由はTPPが巨大資本の利益極大化を目指す枠組みだからである。

TPPの最大の問題はISD条項にある。

ISD条項は各国の制度・規制について、投資者である資本が、

損害を蒙ったと提訴し、国外の裁定機関が決定を下すと、

その決定が強制力を持つという仕組みである。

つまり、主権国家の制度・規制を外部の裁定機関が決定できる枠組みなのである。

しかも、その外部の裁定機関に最も強い影響力を与えることができるのが、

巨大資本自身であると考えられている。

日本政府はISD条項が「国の主権を損なう」として

「合意しない」と公約に掲げたにもかかわらず、

いまや、ISD条項を盛り込むことを強引に主張する先頭に立っている。

巨大資本の利益のために活動する安倍政権の正体が鮮明に浮かび上がっている。


このような政権が存続することは、

日本の主権者にとって百害あって一利なしである。

株価が上昇していることの意味を間違って解釈し、

この政権の存続を容認ししまうことが、

日本の主権者自身の首を絞めることになることに早く気付かなければならない。

主権者国民にとって大事なことは株価が上がることではなく、

すべての主権者の生活が向上することなのである。






[12初期非表示理由]:管理人:混乱したコメント多数により全部処理

131. 中川隆[-5745] koaQ7Jey 2018年1月06日 19:04:40 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

水道・下水道の民営化と再公営化 2018-01-05


 昨日の続きですが、今年は日本政府による公共サービスの売却(事実上の)という「売国」、一部企業、投資家に対するレントの提供が一気に進みそうな状況です。


『公共インフラの民間売却容易に 自治体の負担軽く
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25291440T00C18A1MM8000/

 政府は地方自治体が運営する公共インフラの民間への売却を促すためPFI(民間資金を活用した社会資本整備)法を改正する。上下水道や公共施設の運営権を売却する際、地方議会の議決を不要にし、国から借りたお金を前倒しで返すことも認める。公共インフラの老朽化が進む中、民間の資金を使った低コストの運営に転換し、公共料金の引き下げも視野に入れる。(後略)』


 政府は昨年、PFI推進の行動計画を改定し、インフラ売却などの合計額を22年度までの十年間で21兆円とする目標を掲げました。


 つまりは、21兆円の「国民の資産」が売り払われ、外資系企業を含む特定企業や投資家の「利益の源泉」と化すわけでございます。


 改めて、スティグリッツ教授の言葉を掲載します。


「アメリカの政治制度は上層の人々に過剰な力を与えてしまっており、彼らはその力で所得再配分の範囲を限定しただけでなく、ゲームのルールを自分たちに都合よく作りあげ、公共セクターから大きな”贈り物”をしぼり取ったからだ。経済学者はこのような活動を”レント・シーキング”を呼ぶ」


 アメリカでは、すでに相当に進んでしまったレント・シーキングの大波が、今、日本国に押し寄せているというわけです。


 ゲームのルール(政府の規制)を自分たちに都合が良いように作り、公共セクターから贈り物を搾り取る。


 そのためには、政府の諮問会議(規制改革推進会議など)に経営者(例:竹中平蔵氏など)が「民間議員」として乗り込み、国民の代表である国会議員の頭越しに政策を推進する。


 種子法もそうでしたが、「国民の安全や豊かさ」を追求するためには、コストがかかるのです。そこに「利益」という発想を持ち込んではなりません。
 


 日本の種子が素晴らしい(素晴らしかった、と過去形になりそうですが)、具体的には「有料で多種多様な種子」が安価に農家に提供されていたのは、国民の税金で支えていたためです。


 あるいは、日本の水道や下水道サービスの品質が素晴らしいのは、「利益」ではなく「国民の生活」を求めて、コストが費やされてきたためなのでございます。


 そこに「利益」を追求する民間事業者を参入させる。


 いかなる屁理屈をこねようとも、「利益」を追求する限り、公共サービスの品質は下がるか、もしくはサービス料金が上がらざるを得ないでしょう。


 というか、その種の事例は世界に満ち溢れており、世界的な趨勢は、水道・下水道サービスの「再公営化」なのでございます。特に、アメリカ、フランス、ドイツなどの先進国において、再公営化が進んでいます。


 パリやベルリンといった大都市の水道も、民営化されていたのが再公営化されました。


 再公営化の理由は様々ですが、とりあえず水道・下水道民営化の「謳い文句」の嘘が明らかになったことが決定的でした。


 具体的には、


● 民営化により管理運営が劣悪になった
● 投資の不足
● 事業コストや水道料金をめぐる対立
● 水道料金の高騰
● 民間事業者に対する監督が困難
● 財務の透明性欠如
● 人員削減
● 劣悪なサービス品質


 などになります、


 失敗が明らかになっているにも関わらず、日本政府は民営化を推し進めようとしている。


 結局、安倍政権が「日本国民」のためではなく、一部のレント・シーカーたちのための政権であることが、種子法廃止や水道・下水道民営化の動きを見ていると分かります。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12341929267.html


132. 中川隆[-5744] koaQ7Jey 2018年1月06日 19:06:39 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2018-01-06
中国の世論操作を排してアメリカに賭けた方が確実に勝てる


中国の歴史プロパガンダ紙と化した朝日新聞、あるいは中国の回し者と化した日本人の政治家やジャーナリストたちは、執拗に中国を持ち上げてアメリカの崩壊を叫び続けている。

もう何十年も前から「アメリカが崩壊する」とか「ドルが紙くずになる」と彼らは言い続けてきた。実際には中国の元の方が先に紙くずになりそうだが、それには触れない。

もちろん、これは親中派の世論操作であり

「超限戦」
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2015/06/20150609T1632350900.html

とか

「三戦」
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/12/20171219T0405140900.html

と呼ばれている情報工作のひとつだ。アメリカよりも中国に将来があると思わせるための執拗な洗脳工作である。

1970年代にベトナム戦争の敗戦を経験したアメリカを見て、もう終わりだと言っていた人も多かった。この戦争の敗戦は、それほどアメリカの威信とアメリカ国民の自信を傷つけていた。

しかし、アメリカはロナルド・レーガンの「強いアメリカ」時代を経て、やがて不死鳥のように蘇った。ベトナム戦争敗戦の痛手を乗り切って再び成長するようになっていったのである。

2000年のITバブル崩壊の時にも、これでアメリカは終わったと考える人がたくさんいた。それほど巨大なバブルが弾け飛んだ。しかし、アメリカはまたもや蘇った。

今後、凄まじい技術革新の時代が第四次産業革命を切り拓くが、その最先端に立っているのはまぎれもないアメリカのIT企業群である。

中国の下らない情報操作で、歴史を見誤ってはならない。

情報を盗んで模倣製品を作り出す中国に賭けるな

2008年のリーマン・ショックの際は、アメリカどころか資本主義そのものが終わったと誰もが思った。

実際、アメリカ政府がメガバンクを救済しなければ、資本主義はこの年に終わっていた可能性がある。しかし、アメリカはこの未曾有の危機も乗り切り、再び蘇った。

資本主義は現在も続いているし、これからも続く。アメリカという国もいまだ強大な力と影響力を残したまま継続しているし、これからもその状態が続く。

政治的には、アメリカは大混乱の最中にある。何もできないバラック・オバマ大統領が去ったら、今度は何をするのか分からないドナルド・トランプ大統領が登場して世界は息を飲んだ。

トランプ大統領は凄まじく強引に選挙公約を実現しようとしているのだが、その言動はストレートで容赦なく全世界に波乱と混乱を巻き起こしている。

しかし、それが「アメリカの終わり」であるかどうかはまだ分からない。トランプ大統領はいずれ終わるかもしれないが、アメリカ国家は逆に盛り返す可能性が充分にある。

アメリカは先進国で唯一、人口が増え続けている国である。仮に人口が減ったとしても、移民政策をひとつ変えるだけでいつでも人口を増やすことができる。

イノベーションもすべてアメリカ企業から生まれている。

インターネットはアメリカの軍事技術から生まれたものであり、アップル、グーグル、アマゾン、マイクロソフト、フェイスブック、IBM等、インターネットに君臨する企業はほぼすべてアメリカ企業だ。

クラウドも人工知能も自動運転も、すべてアメリカの企業が掌握している。

また、次世代の医療を担うバイオ技術も、すべてはアメリカ企業が主導でイノベーションを起こし続けている。

こうしたイノベーションは軍事的な面でも起こっている。無人機・ロボット・新型兵器開発・宇宙開発のすべてもアメリカ企業が世界の中心だ。

アメリカは今も重要なイノベーションを生み出す文化を持っているのだ。

一方の中国は、国家レベルで不法に情報を盗んで下らない模倣製品を作り出すことしかできない。そんな中国にアメリカが敗退すると考える方が不自然だ。


中国に将来を賭けるのは「分が悪い」という現実

アメリカと中国のどちらに金と将来を賭けるべきかと考えたとき、好き嫌いは別にしてもアメリカに賭けた方が100%得するのは分かりきっている。

現実主義者であれば、誰でも共産独裁国家の中国よりも、アメリカの方が投資対象としても「割が良い」と考えるのは当然のことである。

アメリカが重要な最先端技術で世界を席巻している現実は揺るぎがない。世界最大の軍事力、世界最大の金融市場を持ち、民主主義も機能している。

素直にアメリカに賭けた方が中国に賭けるより勝つ可能性は高い。そんなことは常識があれば誰でも分かる。

中国はこれから台頭すべき国であるのに、もはや経済成長も終わり、国土は大気汚染と土壌汚染にまみれて腐敗している。

技術的に言っても、世界を根底から変えるような凄まじいイノベーションを生み出す土壌は欠片もない。

都合の悪い情報はことごとくシャットダウンして、民主化運動をする自国民を天安門で1万人近く虐殺するような国に次世代をリードするイノベーションが生み出せるわけがない。

政治や外交で見れば、策略・超限戦で周辺国をワナにかけ、歴史をことごとく捏造し、世論の自由もなく、政治は圧政と独裁に向かっている国だ。

そんな国が、いくら情報操作の工作活動をあちこちの国で行ったとしても、中国が世界の覇権を握れるような力がある国ではないことは明白だ。

覇権を握るどころかむしろ国家崩壊する方が先ではないかという懸念すらもある。

中国に将来を賭けるのは、どう考えても間違っているのである。中国は14億人近い人口がいるので、そこに市場があるのは間違いないが、それだけだ。


現代資本主義に最適化されたのがアメリカ

アメリカの覇権体制もいずれは機能しない時代が来る。弱者を大量に生み出す現代の「弱肉強食の資本主義」も、永遠に存続できるはずもない。

しかし、アメリカの覇権体制や資本主義が数年のうちに崩壊してしまうと考えるのは完全に間違っている。

資本主義に変わる「何か新しいもの」があるわけでもないし、そもそも資本主義は現代文明の核になっている。資本主義が終わるというのは、現代文明が終わるというのと同様のインパクトである。

すでに現代文明と資本主義は切り離せない一心同体のシステムとなっており、現代文明が終わらない限り現代の資本主義も終わらない。

この現代文明の中心(コア)となっている資本主義に合わせて、徹底的に最適化された国家がアメリカという国であり、さらにアメリカ企業である。

こうした文明の根源的な部分が見えてくれば、別に親米派でなくてもアメリカに賭けた方がいいと現実的に思うはずだ。

結局、まだアメリカに適う強大な国家は出現しておらず、中国の時代というのも現実に即していない。

ついでに言うと、ユーロがアメリカに取って代わるというのも、今のところは夢のまた夢だ。中国もユーロもあまりにも問題を抱えすぎて、アメリカに取って代わる前に自滅しても不思議ではない。

そう考えると、現代社会においてはすでにアメリカしか長期投資の選択余地はなく、逆に言えば、単にアメリカに投資するだけで資本主義の中で生き残れる可能性が格段に高まる。

現代の資本主義を支配しているのがアメリカであり、そこで最も利益を得ているのがアメリカ企業なのだから、別に難しく考える必要は何もない。

「中国の時代だ」と叫んで回っている日本の中の工作員や中国シンパの声はよりヒステリックになっているが、それは現実を見ていない世論操作に過ぎない。

きちんと世の中を俯瞰すれば、崩壊しそうになっているのはアメリカではなく、中国の方であることが分かるはずだ。中国の世論工作など信じたら、資本主義社会で生き残れない。


現代資本主義社会の総本山、ニューヨーク証券取引所。現代の資本主義を支配しているのがアメリカであり、そこで最も利益を得ているのがアメリカ企業なのだから、別に難しく考える必要は何もない。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2018/01/20180106T1554340900.html


133. 中川隆[-5722] koaQ7Jey 2018年1月09日 13:33:09 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2018年01月09日
世界やアメリカで派遣労働者が増加 社員との格差が拡大


こうした写真を見て羨ましいと思っても、時給12ドルの派遣社員かも知れない
引用:https://s-media-cache-ak0.pinimg.com/originals/4f/9b/21/4f9b21404a92dde6bdf88f05a657350e.jpg

世界でも派遣労働が激増

日本では平成不況で解雇された人が大量に派遣会社に所属したが、世界でも同じ傾向が起きていました。

S&Pグローバルの分析によると世界の雇用者数上位20社のうち、アウトソーシング(外部委託)企業が5社を占めた。

2000年の時点では、上位に人材派遣専門の会社は、1社も名前を連ねてはいませんでした。



それまで多くの労働者を雇用していた自動車など製造業は機械化が進み、少ない労働者も外部から調達している。

かつて米ビッグ3は全米自動車労組との戦いで消耗していたが、今は派遣労働者なので雇用関係がなくなっている。

正社員の減少と派遣労働者の増加は日本特有の問題と思われていたが、そうではありませんでした。


アメリカのIT企業でもオフィスに派遣労働者が増加していて、正社員との格差が拡大しています。

シリコンバレーの超有名企業のオフィスの写真を見ると、きっとみんな年収1千万円以上なんだと想像するが、そうではありません。

同じように机を並べて同じ仕事をしていても、社員なのか派遣労働者なのかで条件は天と地ほど違います。


賃金が2倍違うのは当たり前で、片方は時給15ドル、隣りで同じ仕事をしている人は年俸10万ドルかも知れません。

アメリカでは契約社員と呼ばれる事が多いが、彼らはIT企業ではなく派遣会社に所属または登録し、派遣会社から給料を受け取っています。

天引きされるので直接雇われるより給料は下がるのだが、継続して仕事を紹介してもらえるので、利用者は増えています。

派遣増加が格差を拡大

直接の臨時雇用では雇い先の都合によって、突然契約を打ち切られてしまい、その度に失業してしまう。

契約社員に関する統計はないが、全米で1000万人以上は居ると推測されています。

アメリカでは今後数年で、日本と同様かなりの労働者が非正規雇用になると予想されています。


アメリカでも一度社員から契約社員に「落ちた」人は、その後社員として雇われない傾向が出てきています。

アメリカは自由な国のはずだったが、労働市場には日本と似た傾向が現れてきています。

直接雇用では企業は社内の不満を抑えるため、下の取り分を増やし、上の取り分を減らす傾向があります。


大企業には「社内清掃や電球を取り替える」みたいな部署があったが、それでも他の社員と差が付かないような報酬が与えられました。

現在は労働者のごく一部だけが正社員で、かれらは以前より多くの報酬を受け取り、外部委託の人は可能な限り低賃金になっています。

これが社会の分断や格差拡大を煽っているのは間違いなく、世界はさらに分断が進むでしょう。
http://www.thutmosev.com/archives/74417879.html


[12初期非表示理由]:管理人:混乱したコメント多数のため全部処理

134. 中川隆[-5858] koaQ7Jey 2018年1月14日 18:37:39 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2018年01月14日
アメリカは起業大国か 80年代から上場企業数は半減


ビルゲイツが起業したのは40年前なのに、今も同じイメージでアメリカを語っている
引用:https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/ef/3fc82d4d32a342771b0f168eaddbbcd7.jpg

アメリカで起業が多いといのはウソか

日本は起業が少ない、外国特にアメリカでは起業する人がとても多い、これは定説になっているが疑わしい。

というのはこの20年でアメリカの企業数は増えるどころか減り続け、上場企業は7000以上から3600に半減した。

対する日本はこの20年の不況下で企業数は増え、3600社とアメリカに並んでいる。


日経平均株価はようやく2万円台を回復したが、数年前は1万円を切るほど低迷していました。

対するアメリカはダウ平均は2万ドル台(200万円以上)もあるが、この差は実は企業数によって生じている。

日経平均は225銘柄に対してダウ平均はたった30銘柄の超優良企業だけの株価で、上位30位に入らなかった企業は、アメリカの株価には反映されない。


S&P500は500銘柄あるが、これは東証株価指数(TOPIX)のようなもので、東証一部は2,065社も存在している。

きっと日本も上位30社と上位500社の指数にきりかえたら、今よりずっと良い数字に見せかける事ができるでしょう。

それはともかくこの20年間で「アメリカでは企業数が減少し、人口3分の1以下の日本と同程度になった」のでした。


もし本当に有識者(笑)が言うとおりアメリカ人がガンガン起業して成功したなら、アメリカ全体の企業数も増えた筈だが、逆に減ったのは腑に落ちない。

アメリカの新興企業をざっと挙げるとマイクロソフト、グーグル、アマゾン、アップル、フェイスブックの5大IT起業が知られている。

フェイスブックは2004年起業で アマゾンは1994年、グーグルは1998年でFBを除くと古参企業と言って良いです。

起業は多いが99.99%失敗している

もっと新しいのはスペースX(テスラ)、Airbnb(エアビーアンドビー)、ウーバーとかがあるが新興企業も確実に減少している。

20年間で上場企業が半減したという事は、その間に起業したほとんどは上場するほど成功せず、消え去ったか個人事業のままだった事になります。

2014年頃のフォーブス社の報道によると、アメリカでは毎月543,000社が設立されていたが、にも関わらず企業数は減少を続けた。


毎月543,000社が設立されて、そのうち54万2900社くらいはすぐに潰れていると考えられます。

確かに起業大国なのかも知れないが、99.99%の確率で失敗するような起業はしたくないです。

1社のフェイスブックが成功した影では、きっと何千何万という似たようなSNSやネットサービスが失敗したのでしょう。


日本の起業件数は調査によって異なるが年間約20万件(中小企業庁)と、アメリカとは桁が3つくらい違うようです。

でも結果としてアメリカでは上場企業数は減少したのに、日本は毎年増えているので、「起業して成功する確率」は日本のほうが高い。

起業する人は最初「俺も大企業の社長に」と考えているので、上場=成功と考えても良いでしょう。


ビルゲイツやジョブズが大学で起業したのは1970年代の大昔で、80年代にアメリカの企業数はピークに達しました。

米上場企業は7300社以上存在したが、90年代に入ると企業数は減少し、半減しました。

20年前に新興企業を中心とした小型株は6500社も存在したが、現在は3000社程度にまで減少している。


だが現在も「起業の本場はアメリカ」というイメージは残っていて、有識者は「アメリカは凄い」と言っています。

実際には日本の方が「起業して成功する確率」はずっと高いです。
http://www.thutmosev.com/archives/74488662.html

[12初期非表示理由]:管理人:混乱したコメント多数により全部処理

135. 中川隆[-5841] koaQ7Jey 2018年1月19日 09:27:49 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2018年01月19日
アメリカで急増する低所得者むけ ダラーストアとは


ホームセンター並みの広さの100円ショップという感じだが、アメリカではこれでも狭い
引用:http://static6.businessinsider.com/image/58e7dad577bb70b41a8b480b/dollar-general-beats-on-earnings-and-revenue.jpg

米国の田舎 低所得者向け店舗が急拡大

アメリカでは最近ダラーゼネラルという格安ショッピングマートが急速に店舗数を増やしています。

日本でいうと100円ショップであり、多くの商品の価格は1ドル、格安ぶりが受けて田舎や郊外で店舗を増やしています。

こうした1ドルショップはダラーストアと呼ばれていて、貧富の差が拡大するとともに増加してきました。



日本で100円ショップが急速に拡大したのは1995年の阪神大震災からで、アメリカでは80年代からこの手の店が存在していました。

両国とも小売業の減少やネット通販の普及などを尻目に急成長を続け、今やどの街に行っても必ず見かける事ができます。

国民全員が同じような生活をし、格差が小さかったら「格安」という概念は生まれないので、それだけ貧富の差が拡大したといえます。


日本も昭和の中期までは多くの商品に定価があり、全国どの店でも同じ値段で販売していました。

それだけ所得格差が小さかったのだが、1990年代中ごろから多くの人は「自分は低所得者層だ」と自覚し始めました。

昭和期には国民の8割が「自分は中流だ」と考えていたが、今では平均より上か下のどちらかに分かれてしまった。


社会の分断はアメリカのほうが早く進み、中流階級は消滅し、富裕層と貧困層しか存在しません。

アメリカのダラーストアでは低品質なものもあるが、一般スーパーで売られているサイズ(特大)を小分けして売る場合が多い。

例えば量が3分の1になって値段は半額など、実は普通に買うより損な事があり、店の利益率は意外に高い。

ダラーストアと100円ショップの違い

一般スーパーでは量が多いので割安だが、価格は高いので低所得者層は買う事ができない。

ダラー・ゼネラルはもっと大きな商品を売るスーパーよりも、2倍の利益率を誇っている。

ダラー・ゼネラルは1万4000店舗をさらに数千店舗増やそうとしていて、そのうち外国にも進出するかも知れない。


同じような低所得層向けのチェーン店がいくつもあり、合計では全米で数万店舗も存在します。

ダラーストアの価格は1ドル均一ではなく、高いものは10ドルだがそれ以上の価格の商品は少ない。

ちょっとした金が財布の中にあれば買える金額で、それでいて普通のスーパーより割高で利益が多い。


日本のダイソーで売っているお菓子が、実はスーパーで売っているスナックより価格当たりの量が少ないのに似ている。

大型スーパーは広い商圏が必要なのに対して、ダラーストアは周囲の客が1000軒でも利益を出せるという。

「ダラーゼネラル」「ファミリーダラー」(2015合併)「ダラーツリー」と似たような名前のチェーン店があります。


日本の100円ショップが「おしゃれ」方向に向かっているのに対し、アメリカは実用品や日用品を重視している。

100円ショップにはローソン100を除いて生鮮品は少ないが、ダラーストアでは肉・野菜・乳製品なども多い。
http://www.thutmosev.com/archives/74508667.html


136. 中川隆[-5887] koaQ7Jey 2018年1月20日 16:48:08 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
「ホームレス大国アメリカ」の現実 世界覇権どころではない国内の疲弊 2018年1月19日
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/6755


生活支援の窓口に列をつくるホームレスたち(2017年4月、サンディエゴ)

日本の将来を映し出す貧困先進国の実態

 年明けから株価が過去最高値を更新するなど高水準を維持する金融市場と対照的に、アメリカ国内では深刻な貧困化が進行している。フェイスブックやツイッター、ユーチューブなどのネット上で米国内の路上でテント生活をする多くのホームレスの映像が数多く投稿され、「ショッキングな光景だ」「先進国と思えるものはなにもない」などのコメントが飛び交っている。

 リーマン・ショック後、米連邦準備理事会(FRB)は、大銀行などの金融資本を救済するため量的緩和(QE)で膨大な紙幣を市場に供給してきたが、それはさらに極端な富の集中と偏在を進め、多くの国民はバブル経済の外側に追い出され、住居すら持てない貧困状態が蔓延している。米国の政策を後追いする日本の将来を考えさせる実態がそこにある。


ロサンゼルス・スキッドロウの路上にはホームレスのテントが並ぶ(2017年12月25日)※画像をクリックすると動画ページへ移動します。

 昨年12月25日のクリスマス。ロサンゼルスのダウンタウン・スキッドロウの街並みを車載カメラで流し撮りした映像には、シャッター通りで閑散とした街中にゴミが散乱し、路上生活者たちが寝泊まりしているビニールシートやテント、段ボール小屋が歩道を埋め尽くすように連なっている。生活物資と思われる大きなゴミ袋を抱えて移動する人、生気なく横たわっている人、行き交う人や車に物乞いをする人の群れ、食料配給などの生活支援の窓口にできる長蛇の列。この地域だけで約一万人ものホームレスが暮らしているといわれ、ホームレスの営みがそのまま街の日常となっている様子がうかがえる。そこには映画やテレビで伝えられる本場アメリカの煌びやかなクリスマスのイメージとはほど遠いアメリカ社会の現実がある。「子ども食堂」のレベルでは解決できないほど深刻さを増した「貧困先進地」の実態だ。


 米政府が公式に発表している全米のホームレス数は55万4000人(米住宅都市開発省調べ、2017年1月時点)で、そのうち路上の生活者は19万3000人と2年前から9%増加した。だが、ホームレス支援のNGO団体は、「同省が把握している数値には、住宅がなくモーテルなどで共同生活を送っている数百万人規模の米国人を除外している」と指摘しており、実態はその数倍にのぼると見られている。


 昨年11月、シカゴ大学が発表した報告書では、ホームレス状態にある学生が全米で少なくとも420万人にのぼり、そのうち13〜17歳は70万人、18〜25歳が350万人という衝撃的な数値が物議を醸した。


 また、約46万人の学生を擁するカリフォルニア州立大学(全米最大)が委託した調査によると、同大学では10人に1人にあたる約5万人の学生が特定の住所を持たないホームレス状態にあり、さらに5〜4人に1人にあたる10万人が食べ物の確保ができていない。路上や施設で暮らしたり、定住先を持たないため友人や知人などの家を渡り歩いたり、「カウチ・サーフィン(インターネット上で提供される無料民泊)」で日日をしのいでいるという。学歴社会のアメリカでは高校を卒業していない人の年収は大卒の半分以下で、失業率は3倍近くにのぼる格差があり、将来のために高利子の学生ローンを組んで進学するものの、アルバイトをしても巨額の返済金と生活費をまかなえず、多くが借金を抱えたまま路頭に放り出されている。


 その貧困状態が薬物や暴力といった社会問題を作り出しており、アメリカでは子どもが成人を迎える前に死亡する確率が他のOECD諸国(先進19カ国)と比べて57%も高い。銃による死亡率は82%も高く、とくに黒人未成年者の主要死因となっている。


 さらに、妊娠25週以下で産まれる“超未熟児”の増加や病気による新生児(1歳未満)の死亡率も他の先進国と比較して76%(約3倍)も高く、毎年約2万人もの子どもや未成年者が死亡していることを、ジョンズ・ホプキンズ病院の研究チームが健康情報誌「health affairs」(今年1月)に掲載している。医師らは、「慢性的に高い貧困率、反映されない教育の成果、相対的に乏しい社会福祉は、米国を先進国の中で子どもが誕生するのに最も危険な国とさせている」と結論付けている。


 全米で貧困に喘ぐ子どもは、全体の約21%にも及ぶとされ、先進国の中でも突出している(日本は13・9%)。ニューヨークでは、住む場所を持たない公立小学校の児童数が2015〜16年度で約10万人(1年で20%増加)にのぼり、この傾向が続けば全児童の7人に1人に達することが指摘されている(非営利機関「ICPH」調査)。「子どもの貧困」は、それを養うことのできない「親の貧困」を意味しており、生活基盤まで失ったホームレスの増加は、「アメリカン・ドリーム」とはほど遠い、生きていくことさえ困難になった米国社会の現実を映し出している。


食糧配給に列を作るホームレスたち(ロサンゼルス)

 とくに近年は西海岸(カリフォルニア、オレゴン、ワシントン)の3州でホームレスが急増していることが報告されており、少なくとも州内10自治体が「非常事態」を宣言する事態となっている。ホームレスの多い都市を調査したAP通信の報道(2017年11月)によると、西海岸3州のホームレスは16万8000人となり、わずか2年間で2万人も増加した。そのうちバス停や駅、廃屋や車両で野宿する人の割合は18%増加し、10万5000人にのぼっている。


 西海岸を代表する都市ロサンゼルスは、家がなく公共のシェルター(避難所)にも入り切れない人の数が全米で最も多く、2017年にホームレス状態にある人の数は3万4189人で、前年比で20%増加した(支援機関「LAHSA」調査)。18歳から24歳までの若年層ホームレスは64%も上昇しており、「ロサンゼルス短大地区の学生の5人に1人はホームレス」という調査結果(ウィスコンシン大学)もある。2015年には市長が「非常事態宣言」を出して住宅建設などの対策を講じているものの、そこに周辺各地からホームレスが押し寄せて「焼け石に水」のジレンマに陥っているという。


 またニューヨークでも、ホームレスはシェルター生活者を含めて約7万7000人(昨年2月)となり、3年間で1万人近く増えている。年明けに全土を襲った大寒波ではホームレス凍死者も続出しており、行政がホテルなどを借り切り緊急の避難所としている。

賃金は減り 住宅価格は暴騰


路上で寝るホームレス(ニューヨーク)、行政が設置したシェルターベッド。入居待ちが続いている(2017年、ロサンゼルス)

 ホームレス増加の主な理由は、工業の機械化による解雇や病気による失業の増加、実質賃金は増えず家計収入は減っているのに進む物価上昇、とくにリーマン・ショック以来続く住宅価格と賃貸料の異常な高騰である。


 全米のホームレスは08年のリーマン・ショック直後に爆発的に増えた。政府は大銀行を7000億j(約70兆円)もの公的資金で救済する一方、FRBによる量的緩和でドルを刷って米国債と住宅ローン担保証券(MBS)を大量に買い入れた。それによって住宅金利は下がり、住宅への投資を促進したが、余剰マネーがふたたび不動産市場に投機する流れをつくり、不動産価格はリーマン・ショック以前をしのぐ天井知らずの高騰を見せている。


 一方、労働市場は「完全雇用に近づいた」というものの、失業状態が1年をこえると失業人口の統計から外される。それら職探しを諦めた失業者や、正社員の長期雇用を失った後、食べていくために短期アルバイトに切り替えて働いている人を加えた失業率は20%にのぼり、とくに16歳〜29歳までの若者では45%といわれる。賃金上昇率もリーマン・ショック前の3〜4%に比べ、2・5%程度に落ち込んでおり、物価上昇に家計が追いつけない。


 その矛盾が集中したのがIT産業で急成長を遂げたシリコンバレーを抱える西海岸で、全米で進む不動産市場のバブル化に、企業進出や労働人口増加による需要増大という条件が加わり、住宅価格は高いところで年平均20%も上昇。高級住宅に暮らす人人がいる一方で、低価格帯でもワンルームの家賃が3000j(約33万円)にもはね上がったため、多くの人人が住居での生活を諦め、路上生活をしながら働いている。


 「更新手続きでいきなり家賃が500j(5万5000円)も上がった」「年収700万円稼いでも家族を養うのが難しい」というほど異常な高騰が家計を襲い、空き地や川縁にはテント村ができ、道路に連なる宿泊用の車両が急増した。時給15j(1650円)程度の所得ではフルタイムで働いても、とても2000〜3000jもの家賃は支払うことはできない。いまや「ホームレス=失業者」という概念は過去のものとなり、工員やショップ店員、技師、教員までが路上や車上生活をしながら職場に働きに出て、シャワーを浴びるためだけにスポーツジムの会員になっている(AP通信)。


 グーグルやアップルなどハイテク企業の本社が集中し、国内でもっとも平均収入の高いシリコンバレーの大都市が、米国最大のホームレス地帯となっている。


シアトルにつくられたテント村(2016年)

 アマゾンやマイクロソフトが本拠地を置くワシントン州シアトル(人口70万人)では、ホームレスが1万人をこえて過去最大を更新し、ホームレス人口が全米ワースト2位になった2015年には緊急事態宣言を発令した。人口が増えた反面、住宅価格が年平均10%上昇し、賃貸価格も六年間で57%も上昇しており、多くの一般家庭が家を失った。「好景気」によって富が集まり、経済活動が盛んになったのは数%の上流層だけであり、多くの人人は低賃金労働のもとで住む家すら失って社会の枠組みからはじき出されている。


 2016年の公的調査では、全米のホームレスの人種比率は、白人が26万5660人(48%)と最も多く、次いでアフリカ系の21万5177人(39%)、ヒスパニック系は12万1299人(22%)、多人種は3万9525人(約7%)、原住民インディアンは1万5299人(3%)、太平洋諸島系は8734人(2%)、アジア系は5603人(1%)となっている。移民層よりも地位が保障されている白人層のホームレスが多く、「白人層の地位向上」を約束したトランプ政権のもとでもこの傾向に変化はない。単純に人種間の格差だけでは片付けられないほど貧困化が加速している。


 メディアの多くは、トランプ政府の下で米株価が上昇し、アメリカがリーマン危機を乗り越えた「好景気」の渦中にあると報じているが、その金融市場の活況と反比例して実体経済は完全に行き詰まっている。さらにトランプ政府は、リーマン危機後に公的資金を注入するかわりに定められたドット・フランク法(金融規制改革法)の廃止、法人税の大幅引き下げ、個人所得税控除の引き下げを進めているが、それはホームレス社会をさらに蔓延させ、実体経済から乖離した金融バブルを膨らませるだけでしかない。


 ニューヨークで起きた「ウォール街を占拠せよ」をスローガンにしたオキュパイ(占拠)運動は、欧州に飛び火して新自由主義に抗する大衆行動を広げる発信源となり、大統領選を下から揺さぶった。トランプの「米国第一主義」や好戦的な言動は、戦争によって新たな投機対象を作り出すとともに、これらの国内矛盾を外に向けるためのパフォーマンスに他ならない。その凶暴性は市場原理社会の行き詰まりと弱体化のあらわれであることを示している。


 ホームレス大国アメリカの現実は、その後を追いかけている日本社会の将来を暗示するものといえる。
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/6755


137. 中川隆[-5886] koaQ7Jey 2018年1月20日 16:51:04 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

ロサンゼルス・スキッドロウの路上にはホームレスのテントが並ぶ(2017年12月25日)


Skid Row Downtown Los Angeles Christmas Day 2017 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=e8fsfwo6R-Y


138. 中川隆[-5880] koaQ7Jey 2018年1月22日 14:53:37 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017年の富、1%の富裕層が8割強を独占 オックスファム
2018.01.22 Mon posted at 13:57 JST

格差の拡大が一段と進んでいる現状が明らかに=CNNMONEY

ロンドン(CNNMoney) 2017年は新たに生じた富のうち82%を世界の1%の富裕層が独占し、世界の人口の50%は財産が増えなかった――。国際非政府組織(NGO)オックスファム・インターナショナルがこのほどまとめた報告書で、そんな推計を明らかにした。

世界経済は富裕層に有利になるようゆがめられ、労働よりも富が報いられる傾向があるとオックスファムは指摘し、「億万長者ブームは経済繁栄の証しではなく、失敗している経済体制の症状だ」と述べている。

今回の報告書は、ダボスで開かれる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)を前に、クレディ・スイスの統計をもとにまとめられた。

報告書では性別格差の悪影響にもスポットを当て、男性の方が女性よりも土地や株式などの資産を多く持つ現状を浮き彫りにしている。

格差拡大は長年にわたり、ダボス会議のテーマだった。しかしオックスファムは、「格差についての懸念を口にしない政治家や経営者を見つけるのは難しい。だがそれについて行動を起こしている政治家や経営者を見つけるのはもっと難しい」と指摘。「多くは減税と労働者の権利剥奪によって、積極的に事態を悪化させている」と述べ、政府は富の公正な配分と労働者の権利向上につながる政策に重点を置く必要があると訴えた。


139. 中川隆[-5861] koaQ7Jey 2018年1月23日 18:13:49 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

GDPは浪費で成長する 日本人が受け入れたくない真実

地震だから自粛しろと強要していたが、自粛したらなくなった人が生き返るのか?
自粛強要で消費を減らしたせいで、この後大不況に突入していく。

東日本大震災に鑑み_花見の宴はご遠慮願います_(5583518212)
http://livedoor.blogimg.jp/aps5232/imgs/3/5/35d04ec8.jpg


労働時間を増やしたらGDPが減った

GDP(国民総生産)は大きく分けて3つの計算方法があり、「生産」「所得」「支出」のどれかを合計した数字です。

「全ての国民と企業が生産した金額」、「全ての国民の収入」、「全ての国民と企業・政府の支出」のどれで計算しても同じになります。(三面等価の原則)

どういう訳か日本政府は「生産」だけにこだわり、特に輸出だけに偏重したので、GDPとは輸出を増やす事だという考えが広まりました。

日本を代表する企業の経営者にも、こういう間違った考えを持っている人が居ます。

「生産」「所得」「支出」のそれぞれどれを合計しても答えは同じなのだから、このうち「所得」つまり給与を倍増させればGDPは2倍になります。

これが戦後高度成長期の所得倍増論で、池田勇人首相は原則を良く理解していました。


労働者が労働時間を2倍にすればGDPは2倍になるが、国民全員がそんな事をしたら、国中が疲弊して倒れてしまうでしょう。

そうではなく労働者の賃金を2倍に増やせば、労働時間を2倍にしたのと結果は同じ、GDPは2倍になります。

どう考えたって労働時間2倍よりは、労働時間そのままで給料2倍の方が楽だし簡単に達成出来ます。


ところが1990年代のバブル崩壊からこの原則を理解しない政治家や官僚、経営者が増えて、むしろ労働者の給料を減らして労働時間を増やしました。

先ほど書いた「労働時間を2倍にする」方法で、結果どうなったかというと、GDPが増えるどころか20年間減り続けました。

国民全員が労働時間を2倍にした結果、労働の価値が下がり、時給はどんどん下がり、給料を減らしたので消費も減りました。


日本はもっと「無駄遣い」をするべき

経団連の経営者達は「労働者の給料が減ったので生産コストが下がった」と喜んでいたが、労働者の給料を減らせば当然「国民の収入」が減るのでGDPはマイナスになりました。

これに追い討ちを掛けたのが日本政府の「構造改革」で、公務員を大幅に削減した上に、公務員給与もカットしました。

もう想像がつくと思いますが、政府や自治体が公務員を削減して給与を減らしたら、その分GDPが減って税収も減少します。


そのうえさらに「行政改革」行革といって無駄な予算を減らし、政府や自治体は不要な道路や公民館を作らなくなり、公共事業費を半減しました。

「生産」「所得」「支出」のうちの「支出」の出番で、公共事業という支出を政府が減らしたら、その分GDPが減少するだけです。

特にこれらの政策を推し進めたのが橋本総理から小泉総理あたりで、日本のGDPの世界シェアは劇的に減少してしまいました。


防衛費の削減というのも行われ、戦闘機や軍艦を作るのをやめたが、政府が支出を減らしたので、これもGDPマイナスに貢献しました。

逆にGDP増大に貢献したのは「医療費の増大」「介護費用」「教育や保育費」社会保障費の増加などでした。

これらは「支出を増やした」ことになり、日本のGDPを増やしたが、政治家や官僚、国民はそう考えていません。


今でも覚えていますが2011年の東日本大震災のとき、石原東京都知事は「自販機、コンビニの深夜営業をやめ節約するべきだ」と発言しました。

管直人首相も自粛や節約を呼びかけて、驚いたことに国民のほとんどが賛成して「1億総自粛」が行われました。

自粛とは「支出」を減らす事なので、これは日本経済は大変な事になると思ったら、やっぱり大変な事になり、成長率はマイナスになりました。


石原知事や管首相が「消費は美徳」とでも言って金持ちに浪費を呼びかけていたら、この年の成長率はプラスだったでしょう。

自粛や節約をした結果、観光や小売業はバンバン倒産し、デフレ不況の嵐が吹き荒れて、ブラック労働ブラック企業が蔓延しました。

ここでまた「労働者に2倍働かせる」ような事が行われ、当然の結果としてまたGDPはマイナスになっていきます。

もうこういう経済の法則に逆らうような、ばかげた経営や政治や、それを賞賛する行為はやめたほうが良いと思います。
http://www.thutmosev.com/archives/74613967.html


140. 中川隆[-5798] koaQ7Jey 2018年1月26日 19:33:10 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
学歴重視の社会はグローバル化でより強化されて極端化する


2018年1月22日。国際NGOオックスファムは「世界人口の1%にあたる富裕層が1年間に生み出された富の82%を独占した一方、所得の低い人口の約半分は財産が増えなかった」という報告を出している。

相も変わらず、格差は広がり続けている。

この弱肉強食の資本主義では、貧しい家庭に生まれるか、豊かな家庭に生まれるか。貧困国で生まれるか、先進国で生まれるか。それだけで人生はまったく違ってしまう。

先進国の富裕層の家庭で生まれれば、経済的な苦労はしない。親の資力や人脈をフルに使って、親と同様に豊かで実りある人生を築き上げることができる確率が高い。

しかし、その逆も然りである。貧困層に生まれれば、親と同様に、貧困の中で喘ぎ、這い上がりたくても這い上がれないことが多い。

これを「貧困の悪循環」というが、国の貧困、親の貧困は、子供にも引き継がれやすい。

もちろん、最初は貧困状態であっても、一生懸命努力し、アイデアと、実行力と、不屈の精神で金持ちに成り上がっていく人も、世の中にはたまにいる。

そういった人の人生は、多くの貧困層を力づけ、大きなモチベーションの元になる。アメリカ人は特にそういった「成り上がり」の物語が大好きだ。

子の世代が親の世代と同じ階層にとどまる確率

アメリカ人の持つ人生観は、最初は何もなくても、そこから自分の才能や努力でポジティブに成功をつかみ取っていくという「アメリカン・ドリーム」で成り立っている。

しかし、このアメリカン・ドリームは、どんどん難しくなっているのだと経済学者は指摘するようになっている。

ウィートン大学の経済学者であるジェイソン・ロング氏もそのような主張をする人のひとりである。

アメリカは、貧困世帯の子供たちが中流層や富裕層に移動する割合が高いと思われているが、実際に「世代間所得弾力性」を数値化してみると、子の世代が親の世代と同じ階層にとどまる確率の方が高かった。

つまり、親が貧困であれば子供もまた貧困で終わる。

もう、アメリカはチャンスの国ではなくなっている。親が貧困層でも、子供が中流になる確率は、現代ではむしろ、中国、インド、南米諸国のような新興国の方が高いというのが、ジェイソン・ロング氏の分析だった。

「米国人は今でも自分たちは移動性が極めて高いと信じているが、それは真実ではない」

ここで発言されている「移動性」というのは、貧困層から中流以上に「移動」する世代間移動を指している。主要先進国の中では、イギリスが最も世代間移動が低い。

すなわち、イギリスでは、貧困層の子供は中流に成り上がるのはとても難しい。イタリアもまた、そのような硬直した社会である。

アメリカン・ドリームという言葉によって希望に満ち溢れていたはずのアメリカもまた、現代では貧困の固定化が進んでいて、成り上がれない社会になりつつある。

資本主義がグローバル化すればするほど、そして企業の合理化と効率化が進めば進むほど、その傾向が高まっていく。


学歴社会がアメリカン・ドリームを難しいものに

ここで注意しなければならないのは、資本主義そのものは別に階級を固定化させているわけではないので、今でもアメリカン・ドリームを実現する人たちは存在するということだ。

貧困層が中流に成り上がっていく物語は、今も消えていない。

しかし、かつては努力と根性で何とかなったアメリカン・ドリームは、もうそれだけではどうにもならないほど難しいものになっているのが現状なのだ。

これには、多くの理由がある。

その理由のひとつとして経済学者の誰もが指摘するのは、アメリカが明確な学歴社会と化して、学歴のない人間は「良い仕事」を見つけるのは絶望的に難しくなっていることが挙げられる。

良い仕事に就くためには、良い大学に行く必要がある。とにかく大学を卒業するのが必須だ。しかし、その大学に行くためには莫大な費用がかかる。

アメリカの有名大学では、だいたい年間600万円以上かかるので、4年間通えば2400万円以上も必要になる。これだけの金を出せる家庭は中流階級でもなかなかいない。奨学金制度もあるが、誰もがもらえるわけではない。

そこで学生ローンを利用して大学に通うことになるのだが、貧困家庭では、そもそもその学生ローンですら組めない。

かくして貧困層は大学から閉め出され、良い仕事から閉め出され、努力と根性で何とかなったアメリカン・ドリームは遠くに消え去ってしまった。

ちなみに、中流階級でも、無理して学生ローンを組んで大学を卒業しても、たまたま不景気でまともな仕事が見つからないと、借金を抱えたまま首が絞まって「成り上がる」どころか、貧困層に堕ちていく確率が高まる。

アメリカではアメリカン・ドリームを実現する人たちよりも、貧困層に堕ちる人たちの方が増えている。


どこの国でも、アメリカと同じ傾向が進んでいる

実は、グローバル化した社会では、アメリカだけではなく、どこの国でも同じ傾向が進んでいる。人々は国境を越えてビジネスを行い、外国企業に就職し、異国で生活するのが当たり前になっている。

多国籍企業は、その人材の良し悪しはまずは学歴を見る。有名大学、ブランド大学の卒業であれば優秀であると、だいたい学歴を見れば判断できる。

だから、世界的に学歴社会がこれから進んでいき、それが標準になっていく。

この傾向が進めば、経済的な理由や、家庭環境によって学歴が持てなかった人間は、どんどんドリーム(成り上がり)から排除されていくことになる。

「貧しい者は、貧しいまま終わる」という身分の固定化が進み、それが格差となり、長い格差の時代は階級(クラス)の固定化につながって「身分制度」同様になっていく。

(1)資金力の欠如で大学に行けない。
(2)好待遇・高賃金の仕事に就けない。
(3)低賃金の仕事を余儀なくされる。
(3)結果として貧困に落ちる。
(5)貧困に落ちたらそれが固定化される。

社会はより高度に複雑化していく。そのため、今までも珍しくなかったこのような格差は、グローバル化した社会でより強化され、徹底され、先鋭化し、極端化する。

日本でもそうだ。資金力の欠如で大学に通えず、低賃金の仕事から抜けられず、貧困層のまま推移し、貧困の固定化が身分制度のようになりつつある。

好待遇・高賃金の仕事に就けた者はその資金を投資に投じてますます資産を膨らませ、一方で貧困層は資産を増やす元手すらも貯まらない。

かくして、「世界人口の1%にあたる富裕層が1年間に生み出された富の82%を独占した一方、所得の低い人口の約半分は財産が増えなかった」という社会が出現したのだ。

私たちは、いつの間にかその中で生きていることに気付かなければならない。


良い仕事に就くためには、良い大学に行く必要がある。良し悪しに限らず、とにかく大学を卒業するのが必須だ。しかし、その大学に行くためには莫大な費用がかかる。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2018/01/20180126T1725560900.html


141. 中川隆[-5796] koaQ7Jey 2018年1月27日 12:32:59 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2018年01月27日
アメリカの貧困者を寒さが直撃 ホームレス54万人

NYのホームレス用シェルター
引用:https://sites.psu.edu/allielong/files/2016/08/HomelessShelter-1nhfdl9.jpg

低所得者層が固定化している

アメリカは8年間好景気が続き、国民の「平均収入」や「合計資産」ではより豊かな国になった。

だが内容を見ると上位1%の富裕層が総所得の19%、上位10%の富裕層が総所得の50%を占めている。

収入より資産を見るともっとえげつない事になっていて、上位3人の資産が下位50%の資産を超えている。(フォーブスより)


上位10%の富裕層で米国の個人資産のほとんどを所有し、下位の50%は負債があるため資産がマイナスになっている。

大きく分けて「下位50%」「中間40%」「上位10%」は違う国に住んでいると言っても良い。

上位10%を除いた所得は好景気にも関わらず増えていないし、下位50%に至っては減少している。


「中間40%」に入れば人間らしい生活ができるが、下位50%の下のほうに一度なってしまうと、そこから上がるのは難しい。

アメリカの貧困率は17.5%で高齢者に限ると20%、貧困率とは平均所得の50%以下の収入しかない人の割合です。

アメリカ人の5.7人に1人(約5660万人)が貧困だが、日本の貧困率16.1%と比較してそう酷いわけではない。


アメリカの物価上昇率は年3%程度が多いが、賃金上昇率はこの何年か平均3%以下しかないので、実質賃金上昇はゼロかマイナスだった。

ここでも富裕層や高所得者は収入の伸びが大きく、低所得者層ほど賃金の伸び率は低かった。

こういう社会で階級を「上に上がる」のは大変だというのが想像できます。

ホームレスと路上生活者

統計によるとアメリカ人の1割はインターネットが繋がらない地域に住んでいて、アメリカ版「限界集落」が存在している。

アメリカではホームレスがNY州8万6000人、カリフォルニア州で11万人、フロリダ州の3万3000人などが多い。

アメリカ全体では2016年の集計で54万人が、一定期間以上ホームレス状態だった。


日本と違うのはホームレス=路上生活者ではない事で、多くの人はシェルターと呼ぶ施設で収容されたり保護されている。

日本では何にせよ住居内で生活していればホームレスに数えていないが、アメリカの路上生活者はホームレスの3分の1程度です。

NYマンハッタンだけで7万7000人のホームレスが居て、市はシェルターの他に民間ホテルも借り上げて収容している。


このマンハッタンを寒波が襲い、路上生活をしている3000人ほどを直撃している。

路上生活者の中にはシェルター入りを拒否している人達が居て、シェルターの中は治安が悪く路上より危険だと言われている。

路上に『家』を作れば最低限のプライバシーがあるが、シェルターでは自分の部屋がないのを嫌う人も多い。


NY市がホームレスのために支出するホテル代は一日(1年ではない)6400万円に達していて、税金の無駄遣いという批判も出ている。

一度ホームレスになってしまうとそこから上がるのは困難で、就職したくても「着ていく服や靴がない」というジョークのような状態になる。

ホームレスの多くは家を失う前は働いていたり、現在もホームレスをしながら働いている人が多い。

アメリカの都市では好景気で賃貸価格や住居費用が高騰し、働いて収入があるのに家や部屋を失う人が多い。
http://www.thutmosev.com/archives/74647002.html


142. 中川隆[-5707] koaQ7Jey 2018年2月05日 14:23:36 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
年収5億円vs.186万円「新・階級社会」日本の真実 もはや「格差」ではなく「階級」だ
2018.02.05 週刊現代  :現代ビジネス
http://www.asyura2.com/17/hasan125/msg/734.html


頑張れば報われる――それは、昭和の牧歌的な風景だったのかもしれない。努力しても報われない、現代日本の残酷な現実。

入会金540万円のスポーツジム

仮にW氏としよう。40代男性。シンガポールに住む投資家である。元々、メーカー勤務のサラリーマンだったが、ベンチャー投資で財を成した。その後、資産は倍々ゲームで増えている。

そのW氏が語る。

「資産がいくらあるのか――正直、自分でも正確に把握できていないんですよ。数百億円といったところでしょうか。複数のプライベートバンカーに運用を任せていて、株や債券、外貨、資源、ゴールドなど、ありとあらゆる金融商品に分散投資をしています。

何かで損が出たとしても他が補ってくれますから、資産は安定的に増えていく。年収5億円?それくらいは優にありますかね」

豊かな人はより豊かになり、貧しい人はより貧しくなっていく――。トマ・ピケティ氏が『21世紀の資本』で喝破した現実は、現代の日本でも着実に進行している。
W氏が続ける。

「月に1000万円を使うって大変なんですよ。昔は酒とオンナで浪費しました。入会金100万円を払って、VIP向けの会員制交際クラブに入り、有名グループの女性アイドルを買ったこともあります。でも、実際に寝てみたら『こんなものか』という感想。

ワインは多少高いものを飲みますが、飲める量には限度がある。結局、酒もオンナもほどほどで、健康が一番という結論に辿り着きました。

ああ、時計は買いましたね。アラスカでオーロラを見た後、スイスに寄った際に。リシャール・ミルの1億円の時計を2本買った。一つは自分がつけて、もう一つは保存用です。これも希少性が高く、今では買った価格よりも高値で取り引きされているようです」

使っても使ってもカネが減らない。年収5億円以上の超富裕層が日本にも存在する。彼らに共通するのは、こんな特徴だ。

●限度額が著しく大きなブラックカードを持ち、現金は原則使わない。

●事故を起こすリスクを考え、自分で車は運転しない。移動はハイヤーかタクシーを利用する。

●会員制高級ジムに通って健康維持に励む。

資産数十億円、年収1億円の上場企業創業者A氏はこう話す。

「カネを使うのは、自己研鑽、情報収集、人脈形成のためですね。たとえば、一般の方がとても入会できない高額のスポーツジムで汗を流しています。

大手町にある超高級ホテル内にあるフィットネスクラブです。入会金は540万円、年会費64万8000円。ここには私のような経営者や投資家が集まり、体を鍛えると同時に情報交換の場になっています」

超富裕層はこういった場で、公になっていない情報をやり取りし、新しい儲けのタネを仕込んでいく。前出のW氏は、こんな豪快なカネの使い方をしたと言う。

「ミシュランの星付きの店はたいてい行きましたが、高くておいしいのは当たり前。

むしろ私は、安くておいしいものに目がありません。博多で一人前800円のもつ鍋が評判だったので、シンガポールからビジネスクラスに乗って食べに行ったこともあります。

800円のもつ鍋を食べるのに、30万円くらいかかりましたが、まあ、いくら使ってもおカネはなくなりませんので……」

7割近くが結婚していない

超富裕層の中には財布が膨れるのが嫌というだけの理由で、お釣りの小銭を全額募金箱に入れる人もいる。一方で、日々の生活もままならない「階級以下」の層=アンダークラスが登場している。

「格差社会」が社会問題として一般に認知されるようになったのは、この言葉が流行語大賞トップテンに選ばれた'06年のことだった。所得が低く、結婚もできない「非正規労働者」の存在が問題視された。

その後、格差は縮小するどころか、拡大し、今や絶対に超えられない壁=階級となった。早稲田大学人間科学学術院教授(社会学)の橋本健二氏は著書『新・日本の階級社会』で膨大なデータを用いて分析している。

「これまでの社会は、資本家階級があり、中間階級がいて、一番下に労働者階級がいると考えられてきました。労働者階級の給料は安いですが、正規労働者として身分は安定し、生活できるだけの所得はもらっていた。

ところが近年、その条件に当てはまらない非正規労働者、『階級以下』の存在(アンダークラス)が増えています。彼らはたしかに雇われて働き、賃金をもらっている労働者です。しかし、身分は不安定で、給料も安く抑えられている。

社会調査データから明らかになった、彼らの平均年収は186万円で、貧困率は38.7%。男性の未婚率は66.4%にも上ります。こうした人が929万人も存在し、就業人口の14.9%を占めているのです」

彼らの暮らしぶりはどのようなものか。東京都武蔵野市に住む日雇いバイト(45歳・男性)の話。

「20代の頃、人気グループのバックダンサーをやっていました。'90年代には小室哲哉さんと何度も仕事をしたことがありますよ。

でも年齢を重ねるごとにダンス関係の仕事は減っていき、安定した収入を得るために、洋服の包装・仕分け工場で非正規社員として働いたこともあります。

40歳を過ぎたとき、年下の上司と揉めて契約を更新されなくなりました。それ以来、イベント会場の設営などの日雇いバイトで収入を得ています。月の収入は15万円程度です。

中央線の駅から徒歩30分のボロアパートに住んでいます。家賃は6万5000円。夕食は100均で買ったカレールーを湯でとかしたもの。少し野菜も入れますが、この歳になると米は太るし、節約のために食べません。

2週間に一度、ラーメン屋に行って食べるのが唯一の贅沢です。移動は基本、人からもらった自転車。現場によっては交通費が支給されるので、それが浮くのがありがたい」

収入が低いと、異性と付き合うことにも困難を伴う。介護職に従事する男性(29歳)が物悲しいエピソードを披露する。

「学生時代から付き合っていた彼女がいたのですが、卒業後はデートをするにも交通費や食事代がかかり、厳しいものになりました。クリスマスはおカネのかかるイベントですから大変でしたね。

プレゼントは、彼女の革のブーツをピカピカに磨いてあげるというもの。おカネがないなりに相手を笑わせようとした精一杯の誠意だったのですが、彼女は笑うどころか引いていましたね。それが彼女との最後のクリスマスになりました」

一日頑張っても500円

愛知県在住の派遣労働者(26歳・男性)は、派遣労働の合間に小銭を稼ぐのに四苦八苦している。

「部品工場に派遣され、流れてくる部品を組み立てたり、運んだりします。時給900円で、一日7000円程度にはなる。

景気のいいときは月収12万〜13万円ですが、派遣先が見つからないときもあり、そういうときはネット上のニュース記事を書くバイトをしています。500文字書くと50円もらえる仕事。一日頑張ると、500円くらいにはなります」

一日頑張っても500円。かたや財布がかさばるから小銭はすべて募金箱に投げ入れ。たしかに「格差」という言葉では生ぬるい。

アンダークラスの多くに共通するのは、正規労働者になりたいという切実な願いだ。

だが、企業は一度採用するとなかなかクビを切れない正規社員の雇用を渋っている。
'03年の時点で「年収300万円時代」の到来を予見した経済アナリストの森永卓郎氏は、今後、階級間の断絶はさらに広がると指摘する。

「資本家階級と労働者階級は、同じ日本で暮らしているかもしれませんが、超富裕層にとって、自分たち以外の人は人間ですらない。彼らにとっては金儲けの道具でしかないのです。

資本家と労働者階級が対立するのが、マルクス経済学が読まれた時代の資本主義でした。しかし、今の階級社会では、両者の間に接点がないので、対立になりようがない」

これがアベノミクスの背後に隠れた「日本の不都合な真実」なのである。

「週刊現代」2018年2月10日号より


143. 中川隆[-5683] koaQ7Jey 2018年2月08日 11:27:43 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2018.02.07 新階級社会 日本の不都合な真実
https://golden-tamatama.com/blog-entry-kaikyu-shakai-japan.html

さて、週刊現代と言えば、えっちな写真が載ってるオジサン向け週刊誌です。

ワタスも時々、コンビニで股間を膨らませつつ楽しませて頂いています。

新階級社会とあったので読んで見ました。

張っときます。


入会金540万円のスポーツジム

頑張れば報われるそれは、昭和の牧歌的な風景だったのかもしれない。

仮にM氏としよう。 シンガポールに住む投資家で元々メーカー勤務のサラリー マンだったがベンチャ ー投資で財を成して、その後、資産は倍々ゲームで増えている。

そのM氏が語る。
「資産がいくらあるのか正直、自分でも正確に把握できていないんですよ。数百億円といったところでしょうか。

複数のプライベートバンカーに運用を任せていて株や債券、外資、資源、ゴールドなど、ありとあらゆる金融商品に投資している。

何かで損が出ても他が補ってくれるので、資産は安定的に増えていく。年収は5億円くらいは優にある。」

M氏は続ける。

月に1000万円使うって大変なんですよ。昔は酒とオンナで浪費しました。入会金100万円払ってVIP向けの会員制交際タップに入り有名グループの女性アイドルを買ったこともあります。

でも、実際に寝てみたら「こんなものか」という。ワインは多少高いものを飲みますが、飲める量には限度がある。結局、酒もオンナもほどほどで、健康が一番という結論にたどり着きました。

ああ、時計は買いましたね。アラスカでオーロラを見た後、スイスに行った際に。リシャール・ ミルの1億円の時計を2本買った。

金を使うのは自己研鑽、情報収集、人脈形成のためですね。

一般の人がとても入会できない高級スポーツジムで汗を流してます。大手町にある超高級フィットネスクラブ。入会金540万。年会費64万8000円。

ここは私のような経営者や投資家が集まり、体を鍛えると同時に情報収集の場になってます。超富裕層はこういった場で、おおやけになってない情報をやり取りして、新しい儲けの種を仕込んでいく。

前出のW氏はこんな豪快の金の使い方をしたという。

ミシュランの星付きの店は大抵行きましたが高くておいしいのは当たり前、むしろ、博多で一人前800円のもつ鍋が評判だったので、シンガポールからビジネスクラスに乗って食べに行ったこともあります。800円のもつ鍋を食べるのに30万くらいかかりましたよ。お金はいくらつかってもなくなりませんので。


___


つぉぉぉ。
わざわざ800円のもつ鍋食べに飛行機で?
うらやますぃ。

何たる豪勢な使い方。


https://golden-tamatama.com/wp-content/uploads/2018/02/WS20180104AZC21AGAG000617.jpg?x45209

読むと日本はもう既に階級社会になってて一方で年収186万円、一日500円稼ぐのがやっと。
そういうアンダークラスの人々がどんどん増えてるとありました。

もう子供の教育からして全然違うのですね。


富裕層の子供は富裕層になる

全国に飲食店を展開する実業家は3歳の子供をこれから慶應義塾幼稚舎に入れようと画策している。
慶応に入れたいなら高校や大学からでもいいと言われることがありますが、実は中学校以降で慶応に入ってもあまり意味がありません。

幼稚舎は6年間クラス替えがなく、クラス全員が固い絆で結ばれている。この人脈が実社会で生きる上での武器になるのです。幼稚舎出身以外のそのた大勢の慶応生とは住む世界が違うのです。

私は子供をスイスの寄宿学校へ進学させました。年間は軽く1千万はかかる。日本ので画一的な教育を受けても仕方ありません。早めにそういう世界を見せておくことはプラスになるでしょう。富裕層の子息は優れた教育を受け、同じような階級の学友にも恵まれ、その後も経済的な成功を収める。
孫の代になってもこうした傾向は続く。

こうなっては逆転不可能。
この階級は固定化され未来永劫ずーっと続くとありました。

こんなのも載ってました。
これは酷い。。
ここまで酷く書かなくても良いと思いますが。

資本家階層とアンダークラスでは身体的にも身長も違うし、うつ発生率も違うとありました。

もう同じ人間として扱われてない社会ですね。


https://golden-tamatama.com/wp-content/uploads/2018/02/WS20180104AZC21AGAG000618-1.jpg?x45209


以下は最近ネットに載ってたものです。
アベノミクスで自殺者が減ったってのは完全に嘘だとか。

単なる数字のトリック。
まぁ、これはこっそり食べ物のサイズを小さくするぐらいだからあり得る話です。


https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/lifex/198569/1
自殺者7年連続減に“トリック” 元刑事・飛松五男氏が解説

昨年の自殺者数は、7年連続減の2万1764人――。
警察庁の発表は明るい話題に思えるが、ちょっと待ってほしい。

「変死体」の数は10年前には1万2747体だったが、一昨年は2万211体と約8000体増えている。
比例するように自殺者数はこの10年間で8000人減っているのだ。

最近は、遺書などの具体的な証拠がなければ、自殺とは認めず、変死体として処理するようになったそうです。
すると、見かけ上の自殺者数が減るだけでなく、司法解剖を行うので予算を要求しやすくなる。

一石二鳥なわけです。このようなトリックは『統計の魔術』と呼ばれ、考え出した人が警察内部で出世してい

なるほど。

自殺者が減ってるのは、自殺者とカウントせずに変死者としてカウントしてたからなのか。
確かに、自殺者が減った分、変死者が増えて、全体の数は変わってない。

http://tmaita77.blogspot.jp/2018/02/blog-post_5.html より


https://golden-tamatama.com/wp-content/uploads/2018/02/henshitai.png?x45209


まぁ、こういうのを見ると。

この現代社会は、究極の我よし(エゴ)社会が実現している。

今回の新刊でも書いたことですが、
上位数パーセントの金持ちだけ幸せで95%が不幸せな社会。

果たして今後長続きするのか。

こういう話を書くのは、なんというか
日本人特有の価値観なのか。

何か心の底から湧いてくる違和感。

例えば、自分だけ幸せになったとしても
多くの人が不幸なのを知ったら、あなたは楽しめるでしょうか。

こんな社会で良いの?
ワタスの場合、普通に反発を覚えてしまうのですが。

最近は、ネットを見てもいつも人々が罵り合い。
世の中に広がる私刑。

自分勝手に理屈をつけて人を責め立てる。
不倫や不謹慎発言で誰かを叩いてやり玉にあげて留飲を下げてる。

正義でもなんでもないことです。

人を退場させて喜んでる週刊文春とか。
ワタスから言わせると退場する側の人々です。

退場するのは今後どちらなのか。
今まで人を退場させた人が逆に退場することになる。

人を痛めつけ、苛め抜いたこの現代社会システムが退場する日が近い。

これはもう直感と言うか。
いつも聞こえてくるメッセージというか。

弱い者同士助け合って生きなさい。
今後は、お金を持ってても意味がない社会が来ますよ。

いますぐ仲間。
お互いに助け合える仲間を持ちなさい。

もうすぐ元の人間本来の姿に戻りますよ。
もう今の社会から離れなさい。

今の社会はもうすぐ終わる。

これは妄想と言われようがなんだろうが、直感でそう感じるのだからしょうがない。
https://golden-tamatama.com/blog-entry-kaikyu-shakai-japan.html


144. 中川隆[-5635] koaQ7Jey 2018年2月12日 18:14:44 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
2018年02月12日
「日本企業」が栄えても日本人が豊かにならない


上場企業の収益はついにバブル越え、だが賃金はマイナス
引用: (NIKKEI STYLE) - Yahoo!ニュースhttps://amd.c.yimg.jp/amd/20180130-00010000-nikkeisty-002-1-view.jpg


儲けても給料払わない日本企業

日本企業の業績拡大が続き、2017年は過去最高、2018年3月決算も過去最高が続出する見通しになっています。

一方で実質賃金は2017年を通してマイナスと、企業は儲けた金を労働者に渡していないのが明らかになった。

物価上昇率も年間0.5%前後と政府目標の2%には遠く及ばず、企業と株主だけが儲かった。


ビットコインなどマネーゲームに興じる人達も恩恵を受け、株価が値上がりして発生した余剰資金が還流している。

労働者は去年より貧しくなったのに、遊んで暮らしている連中がどんどん豊かになる異常社会になっている。

上場企業の2018年3月期純利益は27%増の27兆円、2年連続で過去最高、売上合計は561兆円でこちらも過去最高だった。


設備投資や鉱工業生産も高い伸び率を記録し、企業がITやAIなど新たな設備を導入しているのが見て取れる。

「IoT」やロボットなど先端分野への投資が世界で増え、高品質な日本製品の需要が高まったのも一因になっている。

企業はこれだけ儲かったが、労働者の賃金は逆に減少しました。


輸出偏重の経済政策を見直すべき

厚生労働省の毎月勤労統計調査(速報値)では、2017年の実質賃金は0.2%減少に沈んだ。

現金給与総額(名目賃金)は0.4%伸びたが、物価上昇率が賃金上昇を上回ったためマイナスになった。

賃金調査は常用労働者を5人以上雇用する事業所で、1ヶ月以上雇用の非正規労働者も含まれている。


先ほどの企業収益は上場企業のみであり、雇用している人数としては1割程度に過ぎません。

日本の大企業労働者は1,433万人を占めているが、この中には非正規も含まれるので正社員は実質的には1000万人程度でしょう。

中小企業労働者は従業者数で3,361万人、この中にも非正規が含まれるので、日本の労働者の正社員とは3000万人か4000万人に過ぎません。


安倍首相が毎年賃金を上げるよう要請しているのは、一部上場企業の1000万人だけで、それすら去年はマイナスだった。

日本人の3分の2は無職か自営業、非正規、扶養家族なのでこの人達の収入が増えない限り、物価も実質賃金も上昇しない。

日本政府は輸出と観光客を増やして外貨を稼ぐ政策をやってきたが、この考えは1950年代のもので、半世紀以上時代遅れです。


日本はフィリピンや韓国ではないので、国内で需要を喚起して国内で消費する事でしか、経済成長や賃金上昇は起こりません。

新興国なら輸出で儲ければ経済成長して賃金が上がるが、今の日本で輸出を増やしても、円高を招いて不況になるだけです。

政府に強い影響力を持つ経団連もおかしな組織で、大半を輸出企業が占めているが、現在の日本で輸出が経済に占める割合は10%以下でしかない。


GDPの9割を占めている国内産業にはほとんど政治への影響力がなく、経団連での発言力もない。
http://www.thutmosev.com/archives/74888354.html


145. 中川隆[-5614] koaQ7Jey 2018年2月18日 18:50:48 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2018年02月18日
世界の大富豪の資産 バブル崩壊で縮小するか

バーナンキが空から撒いた金は富裕層に渡った
引用:http://www.bullnotbull.com/gallery/images/g-helicopter-big.jpg

世界は10年間スーパーバブルだった

2017年は世界のあらゆるものがスーパーバブルを起こし、仮想通貨や株式、金融資産の価値が上昇しました。

このスーパーバブルはある出来事がきっかけで発生し、おそらく現在崩壊しつつある。

最近世界の富の増加をめぐるニュースは常軌を逸していて、現実とは思えないことが多い。



世界の富豪500人の資産が600兆円に達し、その中の63人の資産は人類の下位半数の資産に等しい。

あるいはアメリカでは1%の富裕層が富の半分を握っているとか、その手の話は枚挙に暇がなかった。

実際にはアメリカの富裕層にも巨大な格差があり、資産1億円から10億円程度は「貧しい富裕層」だという。


中国の富豪(資産1.6億円以上)は400万人で、香港の富豪50人の資産は34兆円に達した。

中国共産党の有力者は1人1兆円の資産を持っていて、習近平の隠し資産は10兆円を超えていると噂されている。

特にアメリカと中国で富裕層の資産が爆発的に増加し、ローマや秦の皇帝より遥かに優雅な暮らしをしている。


彼らの資産は「ある出来事」をきっかけに急増したと書いたが、それは2008年のリーマンショックと、続いて行われた米FRBの金融緩和でした。

それまで5.25%だった政策金利が0.25%に下がっただけでなく、FRBは破産した企業の社債などを毎週何兆円も買い取っていました。

先週倒産してなくなった会社の社債や株券を、中央銀行がお金を印刷して買い取ったので、アメリカは爆発的な好景気になった。


中国の個人資産が数百倍増えたなら、中国政府の負債も増えたという事
6bae04a4ceec4fa48d82cb1c68bd2b63_th
引用:http://img.mp.itc.cn/upload/20161007/6bae04a4ceec4fa48d82cb1c68bd2b63_th.jpg

ヘリコプターマネーの回収

これがバーナンキ議長のヘリコプターマネーと呼ばれるもので、お金は富裕層に渡り、富裕層は中国に投資しました。

経済危機が終わっても、米政府はバーナンキを首にしてでも超低金利を続けさせ、ゼロ金利政策で資産バブルが発生しました。

金利が物価上昇率より低いので、借りれば借りるほど得な状況になり、富裕層は借りまくってまた中国に投資しました。


こうして中国も儲かりアメリカも儲かったのだが、問題が一つだけ発生し、政府の借金が耐え難いほど増加したことです。

社会科で習った人も居るかと思いますが「資産=負債」という法則があり、例えば日本政府の借金1000兆円は個人資産1000兆円に化けています。

アメリカや中国の富裕層の資産が爆発的に増えたなら、政府債務も爆発的に増えたか、別な場所に存在するはずです。


中国政府もアメリカ政府も「借金なんかないよ」と言っていますが、地震で揺れているのに「地震なんかないよ」と言っているのと同じです。

隠し続けられない借金が徐々に巨大化し、押しつぶされるのがバブル崩壊で、FRBはたまらず利上げ路線に転換しました。

現在の米政策金利は1.25%だが来年には2%台、2019年には3%台になるでしょう。


米金利が3%を上回ると歴史的に循環不況や株式市場低迷が起きていて、連動して世界不況や世界経済危機も起きています。

今までFRBが世界にばらまいたお金は回収され、バブルで上昇したNYの株価や上海の地価は下落します。

各国政府が隠していた債務が表面化し、中国は危険な状況になるかも知れません。
http://www.thutmosev.com/archives/74971475.html


146. 中川隆[-5616] koaQ7Jey 2018年2月21日 10:28:43 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

過酷な競争社会では「精神的に鈍感な人」が望まれている?
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2018/02/20180220T1705380900.html


147. 中川隆[-5603] koaQ7Jey 2018年2月23日 16:36:57 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]


裁量労働制、実施すればGDP減少しデフレに逆戻り

能力主義や成果主義にするほど、能力の無い人間が出世し給料が下がる
引用:日経ビジネスオンラインhttp://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090507/193988/graph001.jpg

またデフレにしようとする政府

政府が熱心に取り組んでいる働き方改革で、残業代を支給しなくて済むようにする「裁量労働制」が議論になっている。

一目見て問題だと分かるのは、この法律によって日本のGDPが減少する点です。

GDPは国民総生産ですが、国民総所得でもあり、みんなの収入を合計すると日本のGDPになります。(国際収支も差し引きされる)



「みんなの給料の合計=GDP」なので残業代を払わなくて良くなったら、当然日本のGDPは減少します。

残念ながら麻生財務大臣や安倍首相は頭がパー、ではなく自由主義的な経済運営が好きなので、企業側に有利な法律になっています。

日本企業は経団連という組織が代表者になっていて、経団連役員のほとんどは輸出企業で構成されています。


輸出企業は日本がどうなろうが世界で儲かれば良いので、人件費を払わなくて済むのは良い事だと考えています。

ですが日本という国を考えると、労働者の給料が減れば国内消費が減り、GDPも減少するので悪い影響があります。

トヨタという会社は90年代には田舎の3流企業だったが、今では世界最大の自動車メーカーになりました。

国滅んでトヨタあり

だが輸出企業トヨタが世界一になっても、工場の労働者を含めて日本人は誰も恩恵を受けていません。

トヨタが成功すればするほど海外に工場を移転するので、トヨタは儲かるが日本人はどんどん貧しくなりました。

輸出企業は自分が儲かればそれで良く、日本の利害と輸出企業の利害は一致していません。


隣りの韓国も同じ状況になっていて、サムスン電子はいくつかの分野で世界一ですが、サムスンが栄えれば栄えるほど韓国人は貧しくなっています。

いったいどうして日本人や韓国人は、何の恩恵もないのにサムスンやトヨタを優遇して支えなくてはならないのでしょうか?

こういうのを「敗者のゲーム」と呼び、輸出企業が豊かになればなるほど国民は貧困化します。


裁量労働制は労働時間ではなく労働の成果で報酬を判断され、より公平になると言うが、この手の嘘は30年も聞かされてうんざりしている。

企業は労働者の給料を減らすために裁量労働制を採用するのであって、給料が増えるのなら従来の時給方式を選びます。

故にこうした成果主義で労働時間が短くなったり、労働者の報酬が増えるのは絶対に在りえないのです。
http://www.thutmosev.com/archives/75031759.html


148. 中川隆[-5593] koaQ7Jey 2018年2月24日 22:41:22 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2018年2月24日 植草一秀の『知られざる真実』

アベノミクスは、財政出動、インフレ誘導、成長戦略の三つによって構成されているが、財政出動は消費税増税で自爆し、インフレ誘導は玉砕するとともに、その政策が完全な誤りであったことが現実によって実証された。

第2次安倍政権が発足してからの5年間で実質賃金が増加したのは2016年の1年限りだった

2016年だけ、実質賃金がわずかに増加した。理由はインフレ誘導に失敗してインフレ率がマイナスに回帰したことだった。

インフレ誘導は実質賃金を減少させる政策であり、間違った政策方針なのである。

そして、アベノミクスの核心は成長戦略である。

成長戦略とは「大資本の利益を成長させる戦略」のことであって、主権者国民の利益、所得、幸福を成長させる戦略ではない。

成長戦略の柱は、農業自由化、医療自由化、労働規制撤廃、法人税減税、特区創設・民営化の五つであるが、すべての目的は、大資本の利益を極大化させることにある。

農業自由化は日本農業を農家の農業から外資が支配する農業に変えることが目的である。

医療自由化は医療費や薬価の高騰を容認して公的保険でカバーされない医療を拡大することに狙いがある。

法人税減税は日本企業を支配する外資の税負担を軽減することが目的である。

特区・民営化は独占利潤を生む公的事業を大資本に提供するとともに、インナーサークルに利益と便宜を供与するための施策である。

国境を超えて活動する巨大資本が世界市場を統一して、利潤を極大化させる行動を「グローバリズム」と呼ぶ。

グローバリズムは巨大資本の利益極大化のための基本戦略なのである。

安倍政権の経済政策は、そのすべてが巨大資本の利益極大化を目的としたものである。つまり、安倍政権は国際巨大資本の支配下にある政権なのである。

TPPがこのグローバリズムのひとつの集大成であることは言うまでもない。

そして、巨大資本がグローバルに利益を極大化させるうえで、最重要の施策になるのが「労働コストの最小化」である。

安倍政権が提示している労働法制改変は、まさにこの「労働コスト最小化」を目的としたものなのだ。

五つの達成目標がある。

非正規労働へのシフト加速、長時間残業の合法化、残業代ゼロ制度の拡張、外国人労働者の導入拡大、解雇の自由化、である。

すべての目的はただひとつ。
労働者を最低のコストで酷使して、使い捨てにすることができる制度を確立することである。

「残業時間に上限を設定して、罰則規定を設ける」ことが、あたかも労働者を守るための施策のように説明されているが、そう評価できるのは、上限が低く設定される場合に限られる。

月100時間の残業を認めることは、過労死に政府がお墨付きを与えるものであり、労働者の使い捨てを国家が公認する制度の確立に他ならない。

http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2018/02/post-e010.html


149. 中川隆[-5586] koaQ7Jey 2018年2月25日 09:02:31 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
グローバリズムとは、モノ、ヒト、カネの国境を越えた移動の自由化を「善」とする教義です。同時に、「個人の利益最大化」のみを目指すドグマでもあるわけです。


 すなわち、国家の繁栄、社会の安定、多様な地域社会の興隆、治安の改善、所得格差の縮小、安全保障の維持、福祉の向上等、実際に「国民」の幸福に直結する概念は、目的に含まれていません。目的はあくまで「個人の利益最大化」なのです。


 いやいや、国家が衰退し、社会が不安定化、地域社会も治安もボロボロ、所得格差が極端に開き、安全保障も弱体化し、国民が不幸になるような国には、グローバリストといえども住みたくないでしょ。


 と、普通の人は思うわけですが、ご心配なく。その国の状況が耐え難い状況になったならば、グローバリストは他の国に移るだけです。


 何しろ、資本(カネ)の移動も自由化されています。グローバリストは、世界のどこに住もうが構いません。どこからでもおカネを国境を越えて動かし、「最も利益になる国」あるいは企業に投資するだけの話です。何しろ、価値観の中心にあるのはカネであり、国民国家ではありません。


 ヒトがいない? カネで解決(育てるという発想はない)


 技術ない? カネで解決(投資するという発想はない)
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12355579860.html


150. 中川隆[-5592] koaQ7Jey 2018年2月25日 17:20:28 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

給料を減らして社長が喜ぶ会社に未来などない

年収100万円も仕方ないという柳井氏、自分は親から会社を相続している
引用:https://pbs.twimg.com/media/BgbMoxcCIAAlKCl.jpg

従業員を貶めて自慢する経営者

何年か前に経団連会長の「トイレ」みたいな名前の人(御手洗 冨士夫)が、従業員の給料を減らして合理化したと、得意げに語っていました。

そのトイレ氏が社長だった上場企業 キヤノン株式会社は一時ブラック企業として名を馳せていて、歩く速度や歩数を計測して罰金を課したと言われていました。

歩くの遅かったり休憩が長いなど、色々な項目ごとに採点し、罰金として給与から引いていたという噂があった。


キヤノン株式会社社内の廊下には歩く速度を計測する装置があり、速度が遅いと警報が鳴るしくみだったとネット上では書かれていました。

社内には(社長を除いて)イスが存在せず、「イスがあると座って怠ける」からだそうです。


こういう人が日本の産業界の代表として経団連会長に居座り、総理大臣や官僚に助言して政策を決めたら、それは日本中がブラック労働になります。


従業員を異常な低賃金で働かせて、それを誇らしげに自慢するこの手の経営者が、デフレ不況後に持てはやされました。

例えばユニクロの柳井正は「頑張らない人間は年収100万円以下で仕方ない」と言い、自社店員の給料は年100万円以下が妥当だと語った事があります。

ユニクロの店員なんかやっている人間は頑張らなかったからそうなったんで、そんな人間には月給8万円以下で十分だという理屈です。


社長からそこまで侮辱されて、まだユニクロで働く人の気持ちは正直言って分からない。


歩く速度を測定して罰金を取っていたと噂されたキヤノン株式会社
引用:http://blog-imgs-24.fc2.com/k/e/e/keen135/bbb.jpg

人格否定企業とオウム真理教

「やりがい搾取」と呼ばれる労働者を食い物にする労働形態が増加していて、アニメ業界や介護職が良く知られている。

本人が「やりがい」を感じている意欲を食い物にして、時給100円など考えられない条件で働かせているケースもある。

アニメ業界では最低賃金以下が当たり前になっていて、請負を偽装しているので法律上は問題ないように見せかけている。


以前話題になった「わたみ」でも従業員に「やりがい」「意欲」を押し付けて無給の長時間労働を強要していた。

同様の問題は多くの有名企業でもあり、コンビニではオーナー一家に借金させて、無給の長時間労働を強制している。

いずれも労働者の意欲ややる気、根性、やりがいなど精神力を重視し、「本当に意欲があるなら報酬を要求するのはおかしい」という論理で圧迫します。


実はこれは90年代に地下鉄サリン事件などを起こしたオウム真理教と同じ論理で、オウムも信者に同じ事を言って洗脳していました。

オウムは熱湯に10分間浸かるみたいな事を要求して、「こんな事はおかしい」と信者が反論すると「お前には信仰心が無いから出来ないのだ」と人格否定されます。

集団の中で生きるためには熱湯風呂に耐えなくてはならず、次第に洗脳されて善悪の判断もできない人間に変わって行きます。


人格否定企業の中で生きていくためには、無給で毎日8時間残業するような、熱湯風呂と変わらない苦痛に耐える必要がある。
http://www.thutmosev.com/archives/75055838.html


151. 中川隆[-5562] koaQ7Jey 2018年2月28日 17:55:27 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

「公平な貿易」は誰を幸せにするか?日本が知らないフェアトレードの今と未来=田中優
2018年1月30日 ニュース
http://www.mag2.com/p/money/368677


「フェアトレード」を知っているだろうか? 途上国の生産物を「適正な価格」で買おうという運動だが、南北格差の根本解決にはほど遠い状態になっている


子供の奴隷労働が支える豊かな生活。世界に「観客席」などないのに

「フェアトレード」とは何か

先日友人に話したら、「フェアトレードって何?」と聞かれてしまった。「公正な貿易」と答えたとしても、理解はされないだろう。現象としては「貧しい国とされる南の国の生産者に公正なレベルの報酬を支払い、適正な価格で商品取引を継続すること」となるだろうか。とりわけ近年は理解されにくくなった。おそらく人々の意識が内向きになり、海外に対する意識が乏しくなっているせいもあるだろうが、もっと大きい点は貧しくて生きるのがやっとという人々が世界の中で見えにくくなったことが影響しているだろう。

それは海外ばかりでなく、同じ国に住んでいても見えにくい。子どもの5人に1人が貧困状態にあるなどと言われても、具体的には見えないのだ。だからまず、貧しさによる生活困窮の状態を知ってもらった方がいい。2001年にはこんな事件があった。

2001年に発覚した悲惨な事件


・さまよえる奴隷船と児童労働

2001年4月17日未明のこと、西アフリカのベニンの港町「コトヌー」に一隻の船が帰港した。船はナイジェリア船籍の「MVエティレノ号」だ。全長60mほどの小さな船舶だが、その船の中には23人の子どもがおり、みな病気で食糧や水も不十分な状態だった。

この船が3月30日に同港を出港したとき、多数の子どもたちが積み込まれたというのだ。その数は130人とも180人とも伝えられた。「ユニセフ(国際児童基金)」など諸団体は警告を発した。「その子どもたちは近隣諸国の農場や家庭に人身売買される『奴隷』である」と。

このため船は近隣諸国で入港を拒否されてさまよっていたという。帰港を待ち構えていたベニン政府、警察、ユニセフなどの関係者はくまなく船内を捜索したが、船内で確認できた子どもは23人だけであった

その後調査がおこなわれ、実際に人身売買が確認されたのは13人とされた。親には子ども1人につき14ドル相当のお金(当時のレートで1400円)が支払われていたという。しかし100人以上の子どもの消息は不明のままだ。

子どもたちはどこに消えたのか。

出典:カカオとチョコのほろ苦ものがたり(4) – mamataroの未来のつくりかた(2009年5月17日配信)

しかしこの事件は氷山の一角だ。ユニセフによれば、この地域で人身売買される子どもの数は少なく見積もっても年間20万人。ブルキナファソやマリなどより貧しい国々の子どもたちが30ドルほどで売買されてくるという。受け入れ先は「ガボンや赤道ギニア、コートジボワール、ガーナ」で、待っているのは「家内労働」、「農場や漁場の労働」、「児童買春」などの強制労働だった。

船に乗せられた子どもたちは10才から14才で、強制労働や債務労働、少年兵士、児童買春などは「最悪の形態の児童労働」に就かされるという。調べると、それは奴隷労働に等しい酷使の実態であった。

なかでも注目されたのが「コートジボワールのカカオ農園」だった。「コートジボワール」は世界最大のカカオ産出国で、世界中で食べられているチョコレートやココアの40%がここで作られている。そのカカオ生産が過酷な児童労働に支えられていたのだ。

新しい21世紀だと世界が祝賀を挙げていた頃、世界の一方の片隅では、こんな事件が発生していたのだ。

たわわに実ったバナナ畑の脇で、飢えて死ぬ子どもたち

ぼく自身も海外で実際の状態を見ている。フィリピンの片隅では、山頂に近い荒れたはげ山の土地に先住民が追いやられ、そこからバナナのプランテーションに働きに出ていた。バナナの房は1つ20キロ程度あるが、それは人間が肩に担いでいかなければならない。日本に輸出されるバナナは、傷があると売れないので機械で運び出すことができないのだと聞いた。

そのバナナは、現地の人々の口には入らない。輸出専用だからだ。それを洗浄して防腐して箱詰めしてトラックで運び、船の船倉に運び込むまでが彼らの仕事だった。それでも1日の賃金は100円ほどにしかならない。そのため飢餓の状態で亡くなる子どももいるのだと。

想像してみてほしい。たわわに実ったバナナ畑の脇で飢えて死ぬのだ。書かれてはいないが、そのバナナは「日本人食用専用」だ。自らは飢餓の状態でいながら、輸出しなければならない。文字通りの「飢餓輸出」が起こっていた。

奴隷労働で学校に通えない子どもたち

マレーシアでは油やしのプランテーションを見に行った。子どももプランテーションの中で働いている。親の傍で働くので楽しそうにしているのだが、その子は学校に行っていない。学校に行こうにもそれだけのおカネが稼げない。ましてや油やしのプランテーションは、切り落としてから1日以内に精製しなければ良い油が取れないので、工場の周囲に市町村1つ分のプランテーションがなければ操業できない。市町村1つ分の面積の外に学校があっても、通うことができないのだ。

そして数字も文字も習わないまま結婚に至る。その相手もまたプランテーションの中に住む労働者の子だ。なんと一生に渡って遠くない距離にある街に出たことがない人々が住んでいた。これは奴隷ではないのか。

このようにして私たちの「豊かな」暮らしが成り立っている。そんな血塗られたチョコレートやバナナ、揚げ油にやし油を使ったスナック菓子など食べたくないと思うのは当然ではないだろうか。

「適正な価格で買ったものを食べたい」という運動

そこで人々を奴隷労働させたのではない、適正な価格で買ったものを食べたいと思ったところから「フェアトレード」は始まった。

西欧のクリスチャンに始まったフェアトレードの運動は、多分に慈善運動の要素を含んでいた。だからよく教会で販売するものは、バザーのように買うことが慈善につながると思って買われていた。だから当初は生産現場の公害問題や使っている薬品、デザインや環境的なダメージまでは考えられていなかった。

そのせいで徐々にフェアトレードの品は売れなくなっていった。いくら慈善のためと言っても、その文化圏では着られないような服を購入することはできなかったからだ。

現在もバングラデシュのジュートを使った「ジュートワークス」の籠や服などを販売している「グローバルビレッジ」が、日本にありながらそれに対応できる答えを出した。「グローバルビレッジ」の代表のサフィア・ミニーは、普通のおしゃれなお店で売られているような衣服を販売したかった。そのためにはデザインが良く、素材や染料まで天然のものに代えて、十分センスに対応できるものにしたのだ。これがいち早く日本で広がり、その手法は海外にも広がっていった。

ここからフェアトレードは「2.0」の段階に入る。海外生産者の内部にまで踏み込んで、女性や子どもの労働環境改善といった外部不経済の解決、持続可能社会の実現に向けた環境的配慮にまで活動の裾野が広がってきたのだ。慈善活動からここまで広がることによって、フェアトレードは、「買い物を通してできる身近な国際協力の形」となってきたのだ。


埋まらない南北格差

ここで「一次産品のフェアトレード」の話に戻そう。

世界での南北問題が1960年代に焦点となり、地球の北半球に位置する豊かな先進国と、南半球に分布する貧しい工業発展途上国との対立が先鋭化した。

1961年の国連「開発の10年」を契機として、南北格差を解決すべくUNCTUD(国連貿易開発会議)が国連に常設機関として決議された。ところが、発展途上国間の関税削減と非関税貿易障壁の排除・削除をはかる特恵関税は1988年になってから、一次産品の輸出に大きく依存する発展途上国に援助を提供する政府間金融機関の一次産品共通基金(CFC)は1989年と、実現までに「開発の10年」から25年以上も経っていた。1990年代からは債務削減に関するさまざまな合意へと進んだが、実に緩慢な動きだった。

その間に1973年からは第一次・第二次のオイルショックに見舞われ、南の国々は激甚な被害を受けることとなった。下図はオイルショック当時の原油、食料品、その他の一次産品の価格を指数で示したものだ。

http://www.mag2.com/p/money/368677/3

これを見ると、原油価格が急激に見上がりしたにもかかわらず、石油を使って生産している食料品も一次産品も価格が追いついていない。生産しても原油価格の値上がりに追いついていないのだから、より利益が少なくなるか赤字輸出に陥っていったのだ。これがそもそも「国連貿易開発会議」が必要になるほど困窮していた開発途上国に襲い掛かったのだ。

このオイルショックによって世界全体が不況に陥る中、世界銀行は不況によってだぼついた資金を、開発途上国に振り向けた。先進国は生産のためのプラントなどを途上国に輸出することで不況から脱していった。

特にこれら生産プラントを輸入して工業化をめざした国を「ハイ・アブゾーブドカントリー」と呼ぶが、そうした政策を取り入れた国であればあるほど赤字化した。それらの輸入したプラントは、旧式の品だったのだ。ここから世界中を貧富の格差で分割するような債務問題が発生したのだ。

先進国の付け値で販売を続けるしかない途上国

そして債務問題が深刻化すると、債務を返済させるための仕組みが始まった。国際通貨基金(IMF)が「構造調整プログラム」を債務国に課し、それに従わないと追加融資しないだけでなく、実質的に国際貿易から締め出した。

従わないという選択肢はない。そこで押しつけられる政策は、「社会構造を調整して債務を返済できるようにする」ものであり、具体的には途上国の通貨価値を引き下げること、「福祉・教育・医療」に使うようなおカネがあるなら返済させること、国内で消費するような産物は生産せず、海外への輸出に振り向けて返済に充てることを求めた。同時に途上国にある採算性の良い企業を、先進国企業に身売りさせた。

これは上の「国連貿易開発会議(UNCTUD)」の方針と真逆であることに気づいてほしい。しかも国連よりはるかに強力な国際金融機関によって推進されたのだ。この構造調整プログラムに世界銀行もまたすぐに参加した。しかし世界銀行こそ古いプラントを売り込んで借金地獄に陥れた張本人なのに。

その結果は悲惨なものだった。次の図をみてほしい。

http://www.mag2.com/p/money/368677/3

上で述べたように「一次産品の輸出に大きく依存する発展途上国」なのだ。しかし否応なしの債務返済の圧力によって、「価格が上がって戻るまで待つ」のではなく、「より多量に輸出する」ことを選んだことによって、一次産品の価格は下がり続けたのだ。

実質的に「国連貿易開発会議」の方針と「構造調整プログラム」の方針は真っ向から逆になっている。しかし国連は「一国一票」だからある程度民主主義が進められるが、IMFも世界銀行も出資国の出資額に応じて票になる。なんと先進国G7だけで投票数の過半数を超えるのだ。実質先進国が過半数を得て進めている。

このような仕組みと社会で一次産品共通基金(CFC)を作ったところで、どうなるかは火を見るより明らかだった。

途上国で生産されるコーヒー、紅茶、バナナなどの食料・飲料類、非食用原料、油脂、鉱物性燃料、金属、鉱産物などの一次産品に対しては、途上国経済が大きく依存する品である。そのため価格安定・輸出所得の改善を目的として「国際商品協定」が締結されたのだが、すでに一方には「構造調整プログラム」が進んでいた。やがて「国際商品協定」は実質的に意味を失い、人々の認識の中ですら忘れ去られていった。

実質的に失敗したまま、現在に至っている。途上国の側には価格形成権などなく、ただ先進国側の付け値で販売するしかなくなったのだから。

さらに進む先進国有利

このように実質的に途上国には全く闘う術がないという状況の中、世界はさらに先進国に有利な「経済のグローバリゼーション」の時代に入っていったのだ。その後の世界の価格市況を見てみよう。

http://www.mag2.com/p/money/368677/4

いまだに一次産品の価格指数は下がり続けている。その間にブリックス諸国の台頭、とりわけ中国の資源輸入の急増があったというのに、下がり続けている。

こうして世界の中には貴族のようにマネーゲームで暮らすような先進国と、奴隷のように働きながら食べることも困難な途上国とに分離したのだ。

フェアトレードに期待するのは難しいが…

この経過をきちんと知るなら、フェアトレードに過大な期待などできないことがわかるだろう。国連自ら機関を作って進めたのに敗北したのだ。それを強大な力で叩き潰したのが、多国籍企業とその手先と化している国際通貨基金(IMF)と世界銀行なのだ。

ところが今では「フェアトレードは偽善だ」とか、「効果がほとんどない」とか「相手の団体の組織運営が民主的でない」とか、非難するのが流行っている。もともとそんなに大きな効果はないのだ。国連すら敗北する強大な力に対して何ができるというのか。

しかしだからといって、貧しい国の人々の努力を踏みにじるような行為に加担したくないというのが「フェアトレード」なのだ。そしてさらに言えば、それをさらに進化させたい。「グローバルビレッジ」のサフィアさんは以前に言っていた。国内の農産物も販売したいと。そこに格差があるなら、なくなるようにしたいのだ。

大きな企業の「フェアトレード」への参入もある。否定したい気持ちもわかるが、それでも「悪人」にはしたくない。それほどの効果がなかったとしても、企業の企画に取り入れるのは大変なことだからだ。

フェアトレードを活かす方法とは

その中でぼく自身はさらに夢を見る。インターネットの発達と決済方法の多様化、国際的な物流の発達は、やがて世界中を覆うだろう。その時、個人から発信する商品が販売されていく時代が来るのではないか。

ぼくの友人は「現代農業」という出版社から、『小さな農家で稼ぐコツ(西田栄喜著)』という本を出版し、2年経つというのに未だに売れている。本に書かれている農場では、たった30アールの農地(普通の農地の10分の1しかない)で、年間1200万円の売り上げを出しているのだ。


しかし、インターネットを活用するにしても、画一的な価格だけが競争力になるものの販売には向いていない。私は「一品物」を販売するのに適したツールではないかと思っている。「貿易」がインターネットの発達などによって次世代の販売方法に移っていくなら、新たな「フェアトレード」が可能になるかもしれない。

ただ「フェアトレード」をそしるより、参加する人の気持ちを実現できる仕組みを編み出した方がいい。この世界の中には「観客席」はないのだ。


152. 中川隆[-5560] koaQ7Jey 2018年2月28日 17:57:53 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
日本の農業をぶっ壊す種子法廃止、なぜほとんど話題にならない?=田中優
2018年2月25日 ニュース
http://www.mag2.com/p/money/384427


私たちが口にする食べ物が体を蝕み、様々な疾病の原因となるとしたら…。そんな未来が現実になりかねない「主要農作物種子法の廃止」がこの4月に迫っています。

無意味な「遺伝子組み換えでない」の表示。春から日本はどうなる?

食べ物が体を蝕むという恐怖

私たちは体を維持し、健康を増強するために食物を食べている。ところがその食べ物が期待を裏切り、体を蝕み、さまざまな疾病の原因となるとしたら…どう考えればいいのだろうか。体は健康に維持したい。しかし食料は体を蝕んでしまう。「食べるべきか、食べるべきでないか」と思いわずらうことになる。

ならば「安全な種から育てた食品を選ぼう」と思ったとしても、主要農産物の種を守ってきた「主要農作物種子法」が2018年の今年から廃止されて、種は入手が困難になっていく。種は遺伝子組み換えのものに入れ替わり、それから育てた作物しか選べなくなる。

一見すると私たちに関係なさそうな「主要農産物種子法の廃止」が、私たちの選択の余地をなくし、健康を維持できない可能性が高まるのだ。

自閉症増加の原因は…

最初にデータを見ておきたい。6歳児の自閉症児の増加とグリホサート(商品名「ラウンドアップ」除草剤)の相関グラフと、6歳から21歳の自閉症患者の相関だ。

http://www.mag2.com/p/money/384427

自閉症は遺伝的なものと言われていたが、現在では否定されている。「母原病」とも言われ、「親の育て方の問題」とも言われていたが、これも現在は否定されている。

グラフを見てもわかる通り、この急増ぶりこそがその根拠だ。遺伝子はこんなに早く広がらないし、子育てという「文化」でもこんなに早く広がることはないからである。

現在は自閉症の原因は、化学物質汚染との関係だと考えられている。その中で大きな可能性を持つのがグリホサートなどの有害化学物質だ。このグリホサートを撒いても枯れない遺伝子を組み込んだ作物がモンサント社の「遺伝子組み換え作物」で、それが使われるときには、必ずグリホサートが撒かれることになる。


「遺伝子組み換え作物」に甘い日本の規制

自閉症はアメリカのデータだが、遺伝子組み換え作物の承認について最も規制が甘い国はこの日本となっている。その日本にはすでに「ミツバチの失踪問題」で脚光を浴びた「ネオニコチノイド農薬(殺虫剤)」がたくさん撒かれている。水に溶けやすいこの農薬が、川の上流部にも「松枯れ対策」として撒かれている。

ここでもう1つのデータを見たい。文科省の発表した「通級による指導を受けている児童生徒数の推移(公立小・中学校合計)」というものだ。

http://www.mag2.com/p/money/384427/2

指導を必要とする児童数が2000年頃から増えていて、増えているのは「注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、自閉症、情緒障害」で、「難聴その他と言語障害」は増えていない。

また同時期のネオニコチノイド農薬の出荷量を「国立環境研究所」のデータから見てみよう。

http://www.mag2.com/p/money/384427/2

どう思うだろうか。ネオニコチノイド農薬は持続性が高く、使われた農地にはしつこく数年は残る。これが脳の中の海馬や偏桃体に作用し、短期記憶を妨げ、集中力を失わせてうつ状態を生み出したり、乱暴に興奮させたりすることまでわかったところが今の時点だ。

私は相関関係があると思う。この状態の日本の食に、さらに遺伝子組み換えされたコメや小麦が入ったらどうなってしまうのか、というのが私の危惧だ。

やがて、食べ物がみな毒になる…

今はまだコメや小麦に遺伝子組み換え作物は使われていない。しかしコメは遺伝子組み換えのものが日本でも実験されていて、小麦は2020年頃には世界的に販売される見通しがある。

私は「主要農産物種子法の廃止」は、私たちの安全な食を、危険なものにする大きなきっかけとなると思う。特に子どもたちが壊されていくかもしれない時期に、このままにしていいのかと思う。

確かに今は親の対策によって、多少は被害を低減することができる。しかし気を配っている親ばかりではないし、生活に追われていれば考えるだけの余裕もない。そしてこれはこの先、扉が閉ざされるように選択の余地が失われていくのだ。

人々が選択できた時期は過去のことになり、食べ物はみな毒になる。今がその時代の変換点だと思うのだ。


種を制する者は世界を制す

ボクシングの格言に「左を制する者は世界を制す」というものがある。左でジャブを繰り出す技術が優れた者は、右ストレートで試合を有利に制することができるというもの(右利きが前提だが)だ。同様に「種を制する者は世界を制す」という言葉もある。要は農業は種から育てるものだから、それを握ってしまえば世界を制することができるという意味だ。だが、こうした言い方は専門家の間には評判が悪い。

私は法学部出身だが、どこが問題かを判断するときに、法の条文から適切でないとするのは良いが、民法の大原則である「公序良俗に反する」というのを持ち出すと鼻で笑われるようなものだ。「公の秩序および善良な風俗」に反するからダメというのは大雑把すぎる。それを理由にしたのでは大岡裁きと同じで、他の条文が不要になってしまうからだ。

だが企業の力は強大になり、それを持ち出さなければならないほどのレベルになった。それが「種子法の廃止」だと思う。だから個別の法理で闘いたい気持ちはやまやまだが、それで事足りるような事態ではなくなったのかもしれない。種自体が企業の所有物となり、他の人々は単に種を借りて育てる農奴の位置に落とされるからだ。

科学の名の下に無視される倫理

思えばアメリカで生物特許が出されたときに、「そんなバカな」と人々は思いながらも正面切って反対できなかった。そして「遺伝子の順序」が特許の対象にされてしまったときにも同じ反応だった。そして今年2月、科学誌では名高い「ナショナル・ジオグラフィック誌」に「人間と羊のハイブリッド胎児の作製に成功」との記事が出た。この羊と混合された子は「人間への移植を目的とした臓器作製向け」だそうだから、殺されて臓器を提供することを目的に生み出されることになる。この子の人権などは考えられていない。勝手に羊と遺伝子が混ぜられ、殺されるために生まれるのだ。

私はめちゃくちゃな話だと思う。人には倫理的にしてはいけない領域がある。こんなことをしてしまったのは、専門家たちが「大雑把すぎてカッコ悪い」と反対するのにためらっていたことの結果ではないか。正面切って反対しなければならないものが登場するほど、人間の力は強大になり、それを利益で結集させる企業が強くなりすぎたのだと思う。

原子力もそうだった。今や高くて危険で役立たないことが明らかになっているのに、まだ日本では廃止できない。小さな芽の時点でなくしておけば、こんな数万年も管理しなければならない厄介ものなど生み出さずにすんだだろうに。

私たちは敢えて大原則を振りかざして、禁止させなければならない技術に直面していると思うのだ。その1つが遺伝子組み換え作物だ。

不明瞭な「主要農作物種子法」廃止

去年、「主要農作物種子法(以下、種子法)の廃止が決められ、ついにこの4月から施行される。

私が大学の講義で「種子法は廃止すべきでない」と触れたところ、生徒から「種の保存がされなくなることを授業で問題にしましたが、何か政府の側からの良い点が示されていたのではないでしょうか? 一方的でない授業を望みます」という意見をもらった。その学生の懸念は、「偏った授業をしている」というものだったのだろう。廃止法案は政府が閣議決定して法案を通したのだから、そこに「良い点」が書かれていなければならない。

そこには「戦略物資である種子・種苗については、国は、国家戦略・知財戦略として、民間活力を最大限に活用した開発・供給体制を構築する。そうした体制整備に資するため、地方公共団体中心のシステムで、民間の品種開発意欲を阻害している主要農作物種子法は廃止する」とあるのみだ。

この中のどこが良い点だと読み取れるだろうか。種子法は「民間の品種開発意欲を阻害している」主要農作物種子法は廃止するというのだから、「民間の品種開発意欲を阻害している」ことが問題なのだとなる。

得をするのは「特定の企業」だけ

では、民間はなぜ開発意欲を阻害されるのだろう。それは開発費用を掛けたとしても、高く売れないことに尽きる。要は、民間が開発した種子を高く売りたいのだ。

ところが種子法は都道府県を主体として良い種を作り、農家に高くない価格で提供している。それが「阻害している」というのだ。しかもすべての作物の話ではない。ここは「主要農作物」が対象で、具体的には「稲、大麦、はだか麦、小麦及び大豆」だけを指す。

それ以外の作物の種には「育苗法」が適用され、育苗法は「品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を通しての農林水産業の発展に寄与する」ことを目的としていて、品種育成をした企業などのパテント(知的財産権)を保護することにしている。今回の「種子法廃止」では、法の残る部分は「育苗法」に併合されることになっている。

つまり種はパテント(特許)付きのものばかりになり、自然のものだったはずの種がいつの間にかすべて「特許対象」となってしまうのだ。そして農業ビジネスはその対象として主要農作物である「稲、大麦、はだか麦、小麦及び大豆」をも対象にしようとしている。

そこで気付くのは、それらの作物は容易に遺伝子操作の対象作物になり得るということなのだ。つまり遺伝子操作作物を拡大しようとする企業以外に、今回の廃止法案の動機がないことになる。

問題だらけの遺伝子組み換え作物

世界の遺伝子操作作物は、生産物の順で「大豆、トウモロコシ、コットン、ナタネ」で99%を占める。コムギは直接食用にすることからアメリカすら認可に慎重で、すでに実験的に作られてはいるが、栽培されるのは2020年頃と言われている。またコメもすでに実験はされているものの、世界的に栽培されていない。今回の種子法廃止の対象の主要農作物は、「稲、大麦、はだか麦、小麦及び大豆」なのだから、戦略的に種子法の枠を外す必要のある作物だと言えるだろう。

その遺伝子操作作物は、モンサントの場合には農薬グリホサート(商品名「ラウンドアップ」/特許切れにより各社が販売していて今は百均でも売られている)を撒かれても枯れず、他の雑草のみが枯れることを目指したものだ。だから「ラウンドアップ・レディー(ラウンドアップに抵抗性のあるの意)」と呼ばれる。ところが生命はさらにそれを超えてくる。「スーパー雑草」と呼ばれる抵抗性のある雑草が蔓延る結果となったのだ。

もう1つの問題点は、人間の健康に対する影響だ。ラウンドアップは人間が体内で作ることができない「必須アミノ酸」の1つである「トリプトファン」組成を妨げることで草を殺す。ところがこの「トリプトファン」こそ人間の体内でインスリンを作るのに必須のアミノ酸なのだ。もしラウンドアップが土壌などに残っていれば、糖尿病を増加させるかもしれないし、遺伝子組み換え作物そのものが影響するかもしれない。そして現実に、アメリカでの糖尿病患者の増加と、遺伝子組み換えの大豆・トウモロコシ生産量との間に相関関係があるのだ。

次のグラフは、糖尿病の発病と「大豆とトウモロコシの遺伝子組換えされたものの耕作比率」、同じく「大豆とトウモロコシに撒かれたグリホサート入りの収穫量」を示すものだ。ここには相関関係があると見ていいだろう。

http://www.mag2.com/p/money/384427/5

スーパー雑草の発生などで、遺伝子組み換え作物の生産コストは急上昇することになった。そこでモンサントは他社の除草剤成分を混入させる試みをずっと進展させている。従来のラウンドアップで枯れなかった植物を、より根絶やしにしようとしているのだ。そうやって作られていく作物が、ヒトにどのような影響を及ぼすのか、とても心配になる。

種子法が生まれた理由と功績

そもそも種子法は戦後直後の1952年(昭和27年)に制定されたように、戦後の食糧混乱期に制定されている。十分に人々が食べられない時代に、冷害に強かったり気候風土に見合う食味の良いものを栽培、研究し、都道府県単位の気候に合うものを作り、推奨することで食糧の生産増大を目指してきたものなのだ。

しかもその種はエフワン種(F1)というようなハイブリッド種ではない。そのエフワン種は「雑種第一代」とも呼ばれ、違う品種の野菜を人間が意図的にかけ合わせて作ったものだ。エフワン種とは雑種を掛け合わせることで「ヘテロシス」と呼ばれる「トンビが鷹を生む」現象を利用したものだ。とても優れた種になる。ところが、生まれた「鷹」同士を交配させて種を採ると、元の「トンビ」の雑種に戻ってしまうのだ。だからその一世代だけがいい種になる。逆に言うと、農家が自家採種して育てることができない、永遠に買わなければならない種なのだ。

ところが種子法で作って来た作物は「エフワン種」ではない。その作物から自家採種して育てたとしても、同様の優れた作物が作れるのだ。そのため種子法は「主要作物」のみに限定されている。数限りない作物の中で、「稲、大麦、はだか麦、小麦及び大豆」を主要農作物として、政府、自治体が関与して種を守ると同時に風土に見合った種を地域に推奨してきたのだ。

とても手間のかかる作業に加えて、その地域の特性に合わせた種を選別してきた。それが「主要農産物種子法の意味」だった。だから「自家採種」が基本だ。自分で種を持つことが基本的人権の1つだから、それを国が保証するための法だった。

特に大変なのは純粋系統の種を作ることだ。栽培に使う種を「原種」といい、その種を作るために栽培したものを「原原種」という。それが他の種と交配しないようにしなければならない。たとえば大豆など、4キロ周囲に植えられた種と交配する可能性がある、だから栽培者は神経を使って栽培し、守ってきたのだ。

廃止の根拠に「生産コスト削減」があるが…

種子法廃止の根拠として、「生産資材の価格の引き下げ」をするという文脈で語られていることもある。しかしこれまで種子法によって守られてきた種の価格は安い。この制度を廃止して壊せば「生産資材の価格が下がる」としたら、種代ではなく「農薬代」などを指しているとしか考えられない。主要農作物の種を作ったメーカーは、種子法では安くて開発費用を賄えないと言っているのだから、種は安くなりようがない。

実際には、種子の値段は高くなるだろう。利益を求める企業が「公共種子」より安く供給できるはずがない。にもかかわらず、「生産資材の価格の引き下げを行う」というのは、百均でも販売しているようなグリホサート(除草剤)を前提にしているとしか思えない。とするとこの「種子法廃止」の理由は、グリホサートを撒いても枯れない遺伝子組み換え作物が使われることを予定しているとしか思えないのだ。


生きるための種が「売るための種」へ

種には2つの法体系がある。それが「種子法」と「種苗法」だ。種苗法は「品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を通しての農林水産業の発展に寄与する」ことを目的としていて、エフワン種のような品種育成をした人や企業のパテント(知的財産権)を保護することを目的としている。種子法が「食料の生産につながるような種子を安定的に確保する」ことを目的とするのとは全く異なるのだが、この種子法を廃止し、種苗法の付則で種子法の制度の一部を引き継ぐというのだ。

では種子法の「品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を通しての農林水産業の発展に寄与する」という目的はどうなるのか。これを壊して「生きるための種」から、「売るための種」へと変質させるのが廃止の真の目的だ。

「国連人権宣言」の条文に、「経済的・社会的及び文化的権利に関する社会権規約」がある。締約国は「すべての者に技術的及び科学的知識を十分に利用することにより、栄養に関する原則についての知識を普及させることにより並びに天然資源の最も効果的な開発及び利用を達成するように農地制度を発展させ、または改革することにより、食糧の生産、保存及び分配の方法を改善すること」と書かれている。

これが失われるのだから、こういう実態になる。「人々に食の権利はなく、ただ大企業のみが技術的及び科学的知識を持ち、人々は栄養に関する知識も知らず、天然資源の効率的な使用もできずに、食糧の生産・保存・分配ができなくなる」ことになる。

まったく信用できない「遺伝子組み換えでない」の表示

遺伝子組み換え作物には「Btコーン」と呼ばれるものもある。これはコーンを食べた害虫の腸が破裂して、死んでしまうというモノだ。すべての生物は消化管から発達したとする説もあるぐらい消化管は大事な組織だ。これに穴が開いてしまうと、消化した後の排せつ物が体内に回ってしまう。体内というのは消化しやすい温度の中に消化しやすい内臓があるのだから、消化する微生物は生物を内側から食べまくってしまう。

この「リーキーガット(漏れる腸)」という疾患もまた、人間に増えている。こうした遺伝子組み換え作物が身の回りに増えてきている。まず第一に「遺伝子組み換え」が問題なのだから、遺伝子が分解されている「加工品ならいい」と表示しなくていいことになって、「味噌・醤油・油」の原料に使われている。

さらに素材の5%以下なら「遺伝子組み換えでない」と表示できることになっているため、「遺伝子組み換えでない」と書かれていても信用できない。さらに多い成分量から3位以下なら「遺伝子組み換えでない」と表示できる。要はザルなのだ。

飼料として日本に輸出される遺伝子組み換え作物

もっと深刻なのは、アメリカで遺伝子組み換え作物は売れなくなり、急激に非・遺伝子組み換え作物の消費が伸びている。そのため余ってしまった遺伝子組み換え作物は、畜産の飼料として日本に輸出されている。かつては「非遺伝子組み換え作物」のコーンを輸入していた日本は、遺伝子組み換え作物をどんどん輸入せざるを得なくなっている。

もう外堀は埋められ、あとは国内の生産さえ開始できればいいのだ。今回の「主要農産物種子法の廃止」は、アメリカの圧力のせいだとも言われているが、現にアメリカでもこうなっている。アメリカの多くの州では「公共種(州立大学、他の大学、他の自治体からの供給)が半分近くを占めていた。それが減らされ、その分を「モンサント」「シンジェンタ」等の企業が支配した。法規制された種を解禁すると、そこにアグリビジネスが入り込むのだ。

こうした全体の流れからすると、すでにモンサントと協力・提携・買収してきた「日産化学」や「住友化学」「三菱モンサント社(現三菱MKV)」などは参加を画策していることだろう。これらの会社は種子法廃止を足掛かりにして、公共財だった主要農作物の種の譲渡を受け、遺伝子組み換え事業に参入しようとしてくるだろう。


種子法廃止で苦しむか、別な社会を求めるか

今回の「種子法廃止」の目的は、ここまで調べると明白だろう。「種を制する者は農業を制する」のだ。その傍らで農薬被害の子どもたちの「要指導児童」の増加に苦しみ、多くなる疾病と安心できない食品に苦しみ、高くなる種は買えず生産者は農奴化することになるのだ。すると当然、効くかどうかに関わりなく製薬会社が儲かる。アメリカでは日本で「要指導児童」と呼ばれる子どもたちに薬を出し、大きな収入源としているのだ。


一方にはインターネットと宅配の発達により、直接生産者と連携を図る方法があるかもしれない。世界的にはアグリビジネスの流れに対抗して、人々の「生態系を守る農業のあり方や社会のあり方を求める科学や運動」としてアグロエコロジー運動が広がってきている。「農」とは大企業のものなのか、それとも人々が生きるためのものなのか、それを問われる時代になった。

もう一度、生命の循環の輪の1つとして、誰もが関われる「農」に戻して考えてみたい。種は自然から与えられた生きるための糧だった。それを再度、人々の手に戻すべきではないか。


153. 中川隆[-5591] koaQ7Jey 2018年3月01日 17:39:09 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
逆転不能!日本はいつのまにか「階級固定社会」になっていた それは、孫の代まで引き継がれる
2018.03.01 週刊現代  現代ビジネス
http://www.asyura2.com/18/hasan126/msg/302.html



蛙の子は蛙――。富裕層の子供が金持ちになる傾向は極めて強い。その大きな要因が教育だ。

全国に飲食店を展開する実業家(38歳・男性)は3歳の子供をこれから「慶應義塾幼稚舎」に入れようと画策している。自身も幼稚舎の出身だ。

「そのために、子供を有名幼稚園に通わせています。慶應に入りたいなら高校や大学からでもいいと言われることがありますが、実は中学校以降で慶應に入ってもあまり意味がありません。

幼稚舎の最大の特徴は6年間クラス替えがないこと。同じ担任の先生を中心にクラス全員が固い絆で結ばれます。そして卒業後も、その先生を中心として、歴代の卒業生が定期的に会う会合が開かれるんです。

6学年ずつ上の先輩が、弟のようにかわいがってくれる。12歳年上、中には2回り、3回り年上の先輩も同じ先生に習ったというだけで親しくしてくれる。

この人脈が実社会で生きる上での武器になるのです。幼稚舎出身以外の『その他大勢』の慶應生とは世界が違うのです」

この他、富裕層は子供の将来を考えて、インターナショナルスクールに入れる家庭も少なくない。前項にも登場した投資家のW氏は、子供を海外に送り込んだ。

「スイスのプライベートバンクに一定以上の資産を預けると、バトラー(執事)がついて、資産運用だけでなく、プライベートの面倒も見てくれます。

そこで、段取りをしてもらって、子供をスイスの寄宿学校へ進学させました。もちろん、入学のために一生懸命勉強したのは子供ですが、書類の作成や手続きなどで無駄な労力を使いたくないですからね。

年間軽く1000万円以上かかる、選ばれし者たちの学校です。ただ、日本で画一的な教育を受けても仕方がありませんし、早めにそういう世界を見せておくことはプラスになるでしょう」

富裕層の子息は優れた教育を受け、同じような階級の学友に恵まれ、その後も経済的な成功を収める。孫の代になっても、こうした傾向は続く。

一方、アンダークラスはどうか。川崎市在住の部品工場で働く派遣労働者(26歳・男性・月収15万円)の話。

「両親は物心つく前に離婚し、僕は母方の祖父母の家に預けられて育ちました。祖父母には迷惑をかけられないと、商業高校に入った直後から近所のスーパーのレジ打ちのバイトをし、卒業後、いったんはゴルフ場に勤めたのですが、将来が見えずに6年で退職。

つなぎとして派遣会社に登録し、現在に至ります。派遣会社や工場の正社員を見ていると、僕も大学を出ていればよかったと思いますが、祖父母は頑張って育ててくれたわけで、恨む気持ちはありません。

今は築50年の木造アパートに家賃5万円で住んでいます。すきま風が入ってくるため、冬の寒さは過酷です。部屋の中でも手袋、帽子、マフラーの着用は欠かせません。食事は半額の値札のついた弁当を狙って、深夜のスーパーで購入します」

こうした貧富の差は見た目も左右する。資本家階級と労働者階級の身長と体重を比べると、栄養状態が違うからだろう、明らかに資本家階級のほうが体格に恵まれているのだ。

男性の場合、資本家とアンダークラスの間には3.8cmの身長差、7.1kgの体重差がある。

貧困層はうつ病になりがち

メンタル面の階級差も見逃せない。早稲田大学教授の橋本健二氏の統計的分析によれば、アンダークラスの5人に一人がうつ病やその他の心の病気の診断や治療を受けたことがあり、4人に一人が絶望を感じている。

人間関係も貧困で、資本家階級には親しい友人・知人が平均で20人いる一方、アンダークラスには5人しかいない。男性に限れば3.2人とさらに少なかった。そして、アンダークラスの半数が将来の生活に「とても不安」を感じている。

このような状況下で、アンダークラスが結婚・出産・育児に前向きになれるはずがなく、仮に子供に恵まれたとして、その教育にカネを回すことはできない。その結果、社会は殺伐としたものになっていくと、前出の橋本氏は予言する。

「階級差が大きい社会では、多くの人々は公共心や連帯感を失ってしまう。人々の間には友情が形成されにくくなり、コミュニティへの参加も減少します。このため犯罪が増加していくでしょう。

また、アンダークラスの多くは独身で家族がいませんから、彼らが働けなくなると生活保護を受けざるを得ません。そうなれば、政府の財政負担も加速度的に増えていくでしょう」

非正規労働者はいくら努力しようと、資本家どころか、正規労働者にすらなれず、一方、資本家たちは肥え太っていく。新旧中間階級はアンダークラスに転落しないよう、自己保身に汲々とする。

「失われた20年」で、こうした日本社会の構造は揺るぎないものになった。ぶち壊すには革命しかない。それは歴史が証明しているのだが……。


154. 中川隆[-5594] koaQ7Jey 2018年3月03日 18:46:04 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2018年03月03日
経済センスゼロの麻生大臣と安倍首相

この2人よりましな人が居ないとしたら、日本の将来は暗い

これからも日本経済は良くならない

裁量労働制の議論で分かったのは、日本のリーダーの誰も経済の簡単な原則を知らないという事でした。

麻生財務大臣・安倍首相・官僚たち・自民党の次期首相候補の誰も「給料を減らせばGDPが減る」のを知りませんでした。

話は「経済優先の安倍首相」と「生活優先の野党」になってしまっているが、そうではありません。



スポンサー リンク


「国民の給料の合計=GDP」なのだから残業代をカットすれば当然GDPが減り、税収が減って財政悪化するのです。

たとえば某安売りブラック衣料品店の基本給12万円、残業代8万円で20万円払っていたとします。

これからは基本給12万円だけで労働時間は同じになり、労働者の収入は減ります。


収入が減ったので消費しなくなり、納税もしなくなり、国保や年金も払えなくなり国の財政は悪化します。

こういう話なので、経済にとっては最悪で国の税収は悪化、デフレ経済に逆戻りするでしょう。

問題はどうも麻生財務大臣や安倍首相らが、「自分たちは経済に良い事をしようとしている」と考えているらしい事です。


確信犯の悪党ならまだ政策転換する可能性があるが、無知ゆえに「良い事をしている」と思っているから直らない。

給料を減らす発想は輸出幻想から来ている

政治家の無知をもたらしているのは経済界、経団連で名前を聞くと経済に良い事をしているように見えます。

ところが経団連を牛耳っているのは輸出企業で、輸出企業は日本が滅んでも輸出を拡大するのが利益に繋がります。

例えばトヨタの労働者の時給を「100円」にしたら、日本は滅びるがトヨタは輸出で大儲けします。


こんな連中が政府の顧問として政策提言や助言をしているので、「給料下げれれば経済が良くなる」と思い込むのです。

輸出は日本経済の5%程度に過ぎないが、60%以上を占める消費と内需は輸出のために犠牲にされている。

その輸出なのだが、輸出が経済に貢献しているというデータはなく、世界で高成長している国のほとんどが貿易赤字です。


GDPが大きな国で貿易黒字なのは中国・ドイツ・日本の3ヶ国くらいなのにたいして、他の大半は貿易赤字です。

では貿易黒字国は赤字国より成長率が高いかというと、そんな事はありません。

中国の成長率は高いがドイツと日本は高成長ではなく、赤字のアメリカ・カナダ・フランス・オーストラリアとそれほど変わりません。

国のリーダーが無知では経済は回復しない

現代では生産技術の向上によって、一カ国で全世界全ての工業製品を生産して輸出するのも可能になりました。

すると輸出国なんてのは一つあれば十分なので、過当競争で「輸出するほど国が衰退する」現象が起きます。

反対に貿易赤字国は自国内の経済活動で成長しているので、他国との競争に勝つ必要がなく、安定した経済成長をしています。


人口が多い国だけではなく、日本より人口が少なく面積が狭い貿易赤字国で、日本より良い暮らしをしている国もあります。

貿易赤字にする事で為替が安くなり、輸出競争力が高まるという矛盾した現象も起きます。

アメリカは貿易赤字なのでドルが安く、安価な製品を日本に輸出して儲けています。


日本は輸出を増やせば増やすほど貧しくなりGDPが減少し、GDPを増やすには国内消費を増やすしかありません。

国内消費を増やすためには国民全員の収入を増やす必要があり、その認識があれば「残業代カット」という発想が出てくる筈がありません。

消費税というのも最悪で、消費すると罰せられるのだから、100%消費を縮小させGDPを悪化させます。


ところが国のリーダーがこの事を理解せず、経済を悪化させて「おれは良い事をした」と思っています。
http://www.thutmosev.com/archives/75153438.html


155. 中川隆[-5525] koaQ7Jey 2018年3月06日 14:16:11 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

なぜ日本では裁量労働制を拡大するべきではないか May_Roma 2018年3月5日

日本では裁量労働制の拡大が話題になっていますが、国際経験豊富で海外での仕事経験が豊富な元国連専門機関職員の@May_Roma (めいろま)さんは、今の状態で拡大するべきではないと述べます。


このところ日本では裁量労働制の拡大に関することが話題になっています。一旦先送りになったようでありますが、経済界からは失望の声が聞こえる聞こえてくるようです。 しかしおそらく今後何らかの形で拡大した形で適用されるようになるでしょう。

しかし私は日本で裁量労働制を拡大することは、うまくいかないどころか、悲惨な状況に陥る労働者が増え、究極的には日本経済全体の活力をそぐのではないかと懸念しています。最近だした「バカ格差」という書籍でも書きましたが、これは日本における格差を拡大する要因のひとつになるでしょう。

私は日本と欧州を往復しており一部の人からはネオリベの人間だと思われてるようですが、私はリバタリアンですから、単に個人個人が自分の能力を最大限活かして、自由に暮らし、社会を活性化していくべきだと考えているだけです。

今の状況で日本で裁量労働制を拡大して導入することは、「個人個人の能力を最大に生かす」ことにはなりませんので反対しているわけです。

問題点1 労働時間を切り売りする職種にも適用

その第一の理由というのは、 裁量労働制というのは仕事の結果をアウトプットの質や量で話される職業に適用されるべき 仕組みであって、労働時間を売って報酬を得るような業種には合わないということです。

例えば研究者や経営コンサルタント、作家といった仕事はアウトプットの質や量などでその能力を問われる仕事です。

私が在籍していた経営コンサルティングの世界ではアウトプットのことを成果物と呼びます。

顧客に提供するアイディアや情報が報酬を得る源泉になるわけですから、作成する文書やプレゼンテーションには最大限の努力を払います。またメッセージがうまく伝わるようにプレゼンテーションや会議での発言を工夫します。

顧客が満足すれば高い報酬を得られますから、何時間働いたかということには意味がありません。

一方で例えば一部の営業職や販売員、オペレーション、 サービス業、介護職といった仕事には形になって残る成果物というのがありませんから、「労働時間」を切り売りすることになります。何時間働いたかということが大変重要になりますので、裁量労働は適切ではありません。

ところが日本の場合は、裁量労働制を実際は労働時間を切り売りする仕事にも採用しようという話です。強引に職種名を変えたり、部署を作ってしまったりします。これは大変恐ろしいことです。労働時間を売って一時間いくらでお金をもらうような人達に際限なく仕事させようという魂胆が背景にあるわけです。 元々安い賃金の人たちを際限なく酷使できるわけですから経営側が歓迎するのは当たり前です。

問題点2 日本では職務区分があいまい

二点目に日本では職務区分がはっきりしないことです。

英語圏や欧州北部ではこれは当たり前の事なのですが「誰さんが何をやる」ということを文書ではっきりと明記します。 この文章のことを職務記述書(ジョブデスクリプション) 呼びます。

この文章はとても重要なものです。

なぜかというと「誰が何やるか」ということは、 組織設計の土台になるからです。

例えば誰さんは CRM システムのプログラマ、 誰さんは カスタマーサポート、夜間のネットワークの管理をやるということを決めます。

そして具体的な作業を決め、それに沿って市場標準の人件費を決めます。誰が何時間、どの程度働くかということを決めて、積み上げていくことで部署全体、会社全体の人件費というのはきちんと計算できるようになるわけです。

そして人間は機械ではありません。かならず疲弊しますから、 法律で決められた安全基準や休息時間の他に妥当な労働時間を考慮して、人員が円滑に働けるようにスケジュールを組みます。これは事故が間違いが起きないような環境を設計する上で大変重要です。無理をすればかならず事故が発生し、これは企業にとって大変な損失となります。

私の専門のひとつは ITガバナンスという仕事で、情報システム部などのIT業務を行う組織において「 誰が何をやる」ということを整理して統括する仕事ですから、まさにこの職務記述書の作成に関わってきました。

ところが日本ではこの職務記述書や権限分掌(誰が何をどこまで決める)というのが大変あいまいです。

曖昧だと お互いが助け合ったりするという点で良いところもあるのですが、IT 組織の点から見ると決して芳しいことではありません。

なぜなら誰が何をやってどのくらい働いた、ということが明瞭になりませんから疲弊する人や 具合が悪くなってしまう人が出てきてしまいますし、 正当な報酬を払うことができなくなりますから組織内に不平不満が溜まってしまいます。 結果、雰囲気が悪くなり生産性が低下します。

さらに1時間いくらでチャージする外部の方に プロジェクトなどに参加していただいた場合、適切な費用を計算できなくなってしまいます。

「誰が何をやる」とはっきりしておかないと、システムで何か問題が起きた場合にその原因を突き詰めるのに時間がかかります。

さらに、システムや情報へのアクセスはその人の業務によって厳密に決めなければなりませんので、曖昧だと漏えい等のリスクが高まります。

これは業務の流れの効率化を進めるのにも大変重要なことです。「 誰が何を」「どのくらいの時間をかけてやった」ということがわからないと、「全体では一体どのくらいの時間がかかるのか」「いくらの人件費がかかるのか」ということがわかりません。

わからなければ「どんな作業を削るべきか」、「何をデジタル化したらもっと早くなるか」、 「どの部分にシステムを導入したら間違いが減るか」などといったことがわかりませんから、効率化がなかなか進まないというわけです。

ですから英語圏の人や北部欧州の人々は職務記述書や権限分掌があいまいな日本の組織に関して大変な難色を示します。

コスト計算、品質管理、 要因の健康状態の維持、 プロセスの適正化と言った経営管理に重要なことがうまく進まなくなるからです。 また外部から監査の人が入った場合に大変な問題が起きてしまいます。 文書と実態の乖離は経営上のリスクですので、避けなければならないことです。

問題点3 法律や契約が守られない

その次の日本の問題というのは、法律や契約が守られないということです。これは日本の雇用慣習の最大の問題点でもあります。

労働法や 労働基準法はよく整備されていて、法治国家であるので労働者と雇用者側が雇用契約をきちんとを結んでいる社会なのにも関わらず、守られないことが当たり前になっています。

例えば日本の職場では雇用契約以外の仕事をやらせることが当たり前ですし、 そうしない人は村八分になってしまいます。ほとんどの職場ではサービス残業が当たり前ですし、 有給休暇も雇用契約書通りにとることができません。多くの職場では「違法行為」が行われているのです。

ところがこの 法律や雇用契約書をきちんと守るということは、裁量労働制を導入するにあたって大変重要なことです。

裁量労働というのは成果物に対して報酬を与える仕組みですから、 例えば 契約書に180ページの本を一冊かきあげたらいくら払いますということが書いてあったら、そのお金をきちんと払わなければなりません。「約束を守ること」が裁量労働制を導入することの前提になります。

ところが日本の場合、多くの働く人というのは雇用契約書に書かれていること、労働基準法に書かれていることは堂々と破られることを前提として働かなければなりません。 決め事はあるのにその実態は裁量労働が際限なく導入されているのと変わりません。

また裁量労働制が導入されても、労働時間や権限が自由ではなかったり、休暇の取得なども自由にならないことが多いです。

そのような状況は北米や北部欧州ではありえないことです。 約束を破る経営者や企業に対しては大変厳しい制裁が加えられるからです。

労働者は違反があった場合に労働裁判所などに訴えて莫大な賠償金を得ることも可能です。そしてそれは当たり前のことであるという合意が社会にあります。罰則があまりにも大きいので企業や経営者は法律違反や契約書違反を避けるようにします。契約書や法律を守った方が経営リスクが低いのですから、合理的な行動です。政府はこういった合理的な行動を促すように、法律や賠償金の徴収と行った形で市場に介入しているわけです。

ところが日本では企業に対するペナルティがあまりにも小さいですから労働法家契約書の内容を守ろうというインセンティブがわかないわけです。つまり、政府がやるべき役割を果たしていない、ということです。

約束が守られない、企業にに対してのペナルティが小さいということを無視をして、裁量労働制の導入だけを熱心にやるというのはどう考えても狂ったことです。 根本的な問題が解決されずにそれを悪化させるようなことをするのはどう考えてもおかしいのです。

そしてこの状況というのは外国の人から見た場合良いことではありません。日本では契約や法律を無視することが横行していますから、例えば外国の人が働きに来ようと思っても、日本では恐ろしくて働く気になりません。

経営側からしてもこれは好ましいことではありません。 なぜならコストがきちんと管理できませんし、 約束を守らないということはトラブルが発生する可能性が高いわけですから、経営的なリスクになるからです。

日本では社会全体がまだまだまだ封建的ですから、労働者側から経営者や政府に対して雇用契約が守られないことや、法律が守られないことに対して反論することができません。 上の人やお上に逆らうことは「 反社会的行動」と考えられてしまいますから、 労働者側からの働きかけでこのような慣習が変わることは期待ができません。

したがって、裁量労働制が拡大適用された場合、労働者はますます疲弊し、 賃金は下がり、賃金の下がった労働者は消費しなくなりますから日本経済は悪化していきます。 中流層は消え国はますます貧しくなっていくのです。年金も健康保険も介護保険も上がりますから、労働者の生活はもっと苦しくなるでしょう。
https://cakes.mu/posts/19938


156. 中川隆[-5510] koaQ7Jey 2018年3月06日 23:52:42 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

巨大格差の中で、富裕層は貧困層に対して常に100戦無敗だ
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2018/03/20180302T2023060900.html#QlW3S3n.google_plusone_ninja_m


100万円の資産しかない人間が、100億円の資産を持つ企業と無理やり競争させられるのが資本主義の掟である。巨大な者が「もっと自由を」という時は、「弱者を叩きつぶす自由をくれ」という意味なのである。


「社会から使い捨てにされる立場」追い込まれた

「どんどん競争させろ。競争のルールは必要最小限にしろ。弱い者がどうなったところで知ったことではない」

これが資本主義を拡大解釈した「市場原理主義」の正体である。日本は2000年に入ってから、この弱肉強食の市場原理主義が浸透するようになった。


157. 中川隆[-5474] koaQ7Jey 2018年3月10日 08:41:11 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2018年03月09日
潰れる企業のダメ風土 江戸時代のような制度とは

正社員以外は社内で食事禁止の会社があったという
引用:三木谷「楽天食堂は派遣・アルバイトでも全品無料」 → 後でこっそり撤回して、社員以外立ち入り禁止にしていたと判明http://livedoor.blogimg.jp/mona_news/imgs/f/8/f84ad9de.jpg

つぶれる会社がやっている事

政府調査では日本はバブル期を超える好景気らしいのだが、労働者の賃金は前年比マイナスで、消費も前年度マイナスです。

儲かっているのは企業と、ワイロを貰える政治家、天下りで高給を貰える官僚だけという不思議な『好景気』です。

儲かっている筈の日本企業は東芝や神戸製鋼、スバル、リニア談合など次々に不祥事を起こし、日本企業=犯罪組織とすら言われている。


また日本企業の生産性はぶっちぎりで先進国最低であり、世界でも悪い部類になっている。

バブル期以前の日本は世界最高の生産性を誇っていたが、いまや見る影すらない。

こうした不祥事を起こしたり経営危機に陥るような「ダメ企業」には共通点があり、どこも同じ事をしている。


まず社長や経営陣は人件費を削るのを最重視していて、前年より従業員の給料を減らすと、株主総会や経済誌で高く評価される。

こういう会社では派遣労働者が多く、労働条件は社員と大差があり、ほとんどの企業で何らかの違法行為をしている。

例えば非正規にトイレや食堂・休憩室などを使わせない、請負を偽装したり話題の「裁量制」にして残業代を払わない。


交通費を払わない、当然のように非正規にはボーナスや手当てなし、業務上必要な費用も払わず制服費を給料から天引きする。

社員には手厚い社会保険や福祉も非正規は補助なし、最近読んだ記事では「非正規はストーブに当たるな」と命令する会社が存在するそうです。

こういう会社に限って「愛社精神」「感謝の気持ち」などの標語を大きな文字で書いてあるが、何かのジョークだろうか?

ダメ企業のダメ風土

数年前にネット通販大手企業が、「正社員以外食堂利用禁止、非正規は休憩室や社内での食事禁止」と報道されていました。

同社は否定し「食堂は自由に使わせている」と反論したが、叩かれて直したが以前はそうだった可能性が高い。

そういう事をしていてもおかしくない風土があり、その後同社の事業は低迷し、ライバル企業に大差をつけられた。


日本中の企業が低賃金労働者として非正規を大量に使っていて、多くは正社員の半額以下の給料しか支払っていない。

これのどこがダメかというと、人道的にとか道徳的にではなく、労働効率を低下させその会社はいずれ立ち行かなくなります。

アメリカの南北戦争で奴隷制廃止の北軍が勝ち、制度維持の南軍が負けたのは、根本的には南部の効率の悪さが原因でした。


日本でも身分制度維持の徳川幕府や諸藩と、身分制度廃止の薩長連合が戦い、最初兵力で500倍もあった幕府側は惨敗しました。

第二次長州征伐では幕府軍は15万人を動員し、長州軍の奇兵隊主力はたった300人ほど、率いたのは平民の山縣有朋でした。

平民を集めた奇兵隊は幕府軍に襲い掛かり、旗本や大名は戦わずに逃げ出して、クモの子を散らすように15万人の幕府軍は解散しました。


フランス革命やロシア革命、イギリスの名誉革命など世界のあらゆる場所で同じ事が起こり、非効率な軍隊は効率的な軍隊に破れました。

「正社員でないものは食堂で食べるな」などは江戸時代の土佐藩と同じで、土佐藩では身分の低いものは雨の日でも土下座して上士とすれ違わないと叩ききられました。

こうした制度への不満が坂本龍馬らの脱藩につながり、薩摩や長州とともに討幕運動に至りました。


同じ業務をしているのに、非正規には業務で使う携帯電話を支給せず電話代が自腹など、どこでもやっている事です。

一部上場のある工場では非正規がマシンの下敷きになり大怪我をしたが、偽装請負だったので叱責され解雇されただけでした。

同じ場所で正社員が転んで打撲したところ、重役がすっとんできて工場は操業停止、「なぜ社員に怪我をさせたのか」と非正規を叱責しました。


こんな会社でやる気を出すはずがなく、労働者の意欲は最低で、こんな会社潰れてしまえと内心思っています。

こうした会社ほど生産性が低く、儲からないのでより社員や非正規の給料を下げようとします。

従業員の給料を下げるほど、非正規を差別するほどその会社は落ちぶれて、最後に倒産するのは歴史が証明しています。
http://www.thutmosev.com/archives/75226511.html#more  


158. 中川隆[-5447] koaQ7Jey 2018年3月13日 12:12:23 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2018年03月13日
郵政民営化がもたらした郵便崩壊 離島に郵便が届かなくなる日


郵便物が届かないということは、日本の施政下になく、国際法上日本国の領土ではない
引用:朝日新聞https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20171121003434_comm.jpg

郵便が配達されない島は日本の領土ではない

ある説によると国家の定義は「郵便が配達される範囲」で、国内郵便で届かなければ外国だという。

明治の日本政府はそう考えて、大急ぎで北海道の奥地まで調査をして郵便制度を整備しました。

日本の全ての離島まで郵便局を配置し、これによって千島列島から沖縄まで日本国の領土と言えるようになった。



時は流れて平成になると郵便局は分割民営化され、儲からなければ郵便が配達されない地域が出るおそれがあります。

現在は日本政府が日本郵政の株主なので、政府の命令によって全国に赤字で配達しているが、完全民営化したら儲かる地域だけ配達するようになるでしょう。

特に危険なのは離島で、人口数十人の島にはがき1枚届けるのに数万円かかるかも知れず、企業としてのメリットがない。


もしカルロスゴーンが日本郵政のCEOになったら、離島への郵便配達は終了し、収益性を重視するでしょう。

先ほどの国家の定義では、郵便が配達されない島は日本の領土ではなくなるので、中国やロシアが占領しても日本が文句を言う筋合いはない。

そんな危険性が現実になるかも知れない事件が2017年に、鹿児島県三島村の竹島で起きていました。


新聞などによると竹島の人口は80人で本土まで船で3時間かかり、簡易郵便局以外には銀行や金融機関は存在していない。

竹島簡易郵便局は日本郵便から業務委託されており、本土出身の男性嘱託職員が1人で業務を行っていた。

職員は7月から島に来て働き始めたが、今まで郵便職員の経験はなく、手際が悪く仕事に時間が掛かっていたと島民は証言している。

郵便崩壊と雇用崩壊

職員は10月27日に勝手に休暇を取って実家に帰り、それっきり郵便局と連絡が取れなくなり、郵便局は閉鎖された。

竹島簡易郵便局は他の島から職員を呼んで週2日だけ営業を続け、新たな嘱託職員を募集している。

同じことの繰り返しであり、新しい人も島に適応できなければまた本土に戻っていくでしょう。


嘱託職員は日本郵便の正社員ではなく、1年間などの雇用期間が終われば解雇され、業務をやり遂げても見返りは何もない。

孤島でたった一人、島民のために働いても何も得られず、続けたたくても郵便局の都合によって解雇される。

昇給や昇進も一生なく、収入は月給20万円未満で、推測では終業後もサービス残業を強いられていた。


というのは離島では自分しか職員がいないので、今日やらないと明日の仕事が増えるだけであり、昼休みも取れていなかったと島民は話している。

日本中の非正規労働者の縮図であり、責任やノルマだけが重く、見返りは一切ないのにノルマをこなせないと厳しく罰せられる。

「もうひとつの竹島」と同じように、郵便が配達されなくなったら日本国の領土ではなくなる。


このような事態は今後日本中の離島や過疎地で発生するでしょう。
http://www.thutmosev.com/archives/75277605.html


159. 中川隆[-5471] koaQ7Jey 2018年3月20日 08:14:45 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
怠けながら頑張る人達

トヨタは期間従業員の日給を100円上げ、月間ベースでは2,000円以上に相当する。

またコストコでは以前から、アルバイト時給を全国同一1200円とし、1,000時間ごとに時給70円前後昇給する制度だった。

一般的な勤務だと1年ごとに140円程度昇給し、長く働くと最高1650円になり、最終的に正社員に登用される。(全員ではない)


勤続すると毎年昇給するという当たり前の事が、今の日本では正社員以外はなく、いくら頑張っても見返りはない。

資本主義社会では労働者は「頑張った分の見返りがある」から働くので、それが無ければなるべく怠けようとします。

この悪しき制度が日本企業の生産性を下げていて、正社員も非正規も「可能な限り怠けよう」としています。


ここで言う怠けるとは会社に貢献する意欲がないという意味で、彼らは長時間働いているし、倒れるまで頑張っています。

ただその働き方は「罰を受けないように働いているように振る舞おう」というもので、例えば用もないのに退社時間を過ぎて全員で残業しています。

自分だけ先に帰って批判されたくないために、用もないのに会社に居残って「頑張っている」のだが会社に貢献はしてません。


頑張っても見返りがない会社の頑張り方とはこんな事であり、生産性は最悪だし従業員は過労でバタバタ倒れています。

ここからは、より短い労働時間で済ませ、より高い業績を上げて高収入を得ようという人は決して出てこない。
http://www.thutmosev.com/archives/75376111.html


160. 中川隆[-5511] koaQ7Jey 2018年3月24日 04:13:27 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8634]
>>91, >>95 に追記

ベーシックインカムの論点
「全国民に月7万円」は誰も幸せにしない
まずは金のなる木を探そう
2018.2.22 東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授 柳川 範之
http://president.jp/articles/-/24443

すべての個人に一律で生活費を現金給付する「ベーシックインカム(BI)」。この制度を導入すれば、働かなくても生活費がもらえるようになるため、格差是正や失業対策になると期待されている。だが、東京大学大学院の柳川範之教授は、「いまの社会保障制度は低所得者に手厚いのでBIになれば低所得者ほど損することにもなりかねない」と指摘する。論じられてこなかった「BIの論点」とは――。

「ベーシックインカム(BI)」とは、社会のすべてのメンバーに、一定額の所得を定期的に受け取る権利を認めるという考え方のことだ。イギリスの思想家トマス・モアが1516年に『ユートピア』という著書で発表して以降、このアイデアは繰り返し論じられてきたが、近年、あらためて爆発的に関心が高まっている。

BI推進派のリーダーであるロンドン大学のガイ・スタンディング教授は新刊『ベーシックインカムへの道』(プレジデント社)で、「猛烈なグローバル化が進み、20世紀型の所得分配の仕組みは破綻してしまった。新しい所得分配の仕組みとしてBIが必要だ」と訴えている。その訴えはどれだけ妥当なのか。BIに懐疑的な東京大学大学院の柳川範之教授に聞いた――。

いくらあれば生活が維持できるのか


柳川範之・東京大学大学院経済学研究科教授

わたしはベーシックインカムに関しては、どちらかといえば反対派です。積極的に反対するというよりは、懐疑派といったほうがよいかもしれません。理念として共感できる部分もありますが、現実的には難しいと思います。最大の問題は、全国民全員に一律で、働かなくても生活が維持できるだけのお金を配る、という点です。

「全員に一律で配る(経済学でいうところのランプサムトランスファー)」という部分にはメリットはあると思います。いろいろな条件をつけ、資力調査などを行ったうえで給付する社会保障は莫大な行政コストがかるうえに、働いて収入を得たらその分援助を減らされるといった「貧困のわな」にもつながり、生産性や幸福度の向上を阻害している場合もあります。そういうものを整理してシンプルなやり方に変えよう、という考えは否定しませんが、問題は「生活が維持できるだけの」金額がいくらになるか、そして、果たして「維持できるだけ」でいいのか、という点です

難易度は消費税の比ではない

日本の2018年度予算でいうと社会保障費は100兆円弱です。これを国民全員に平等に配ると6〜7万円になります。フィンランド政府によるベーシックインカムの実験でも毎月支払われる額は7万円程度です。たとえば東京のような都市で月6万円とか7万円でまともな暮らしができるでしょうか。しかし、それを大きく超える額を出した場合、財政がさらに悪化します。社会保障費の総額を変えずにベーシックインカムに移行する場合、もうひとつ問題があります。とくに低所得者や貧困層のあいだでいまより受取額が減る人が出てくる、という点です。

中長期的にはランプサムトランスファーにすることで制度の無駄や歪みは緩和されますが、給付額をフラット化すればするほど短期的にはもらえていたものがもらえなくなるという人が多く出てくるので、実現する際の政治的な難易度は消費税の比ではないと思います。いま給付しているものはそのままで、それに上乗せして6〜7万配りますというのなら誰も文句は言わないでしょうが、それだと単なるばら撒きです。

結局、どうやってお金を配るかという再分配の方法論だけでは、ベーシックインカムの財源問題は解決できません。つまり、「ない袖は振れない」のです。中東の産油国であれば、原油輸出から得られた収入の一部を国民に還元することも考えられます。リターンが湧き出てくるような資産があればその一部を国民の権利として平等にもらえるという理念を実現するメカニズムは導入しうるでしょう。しかし、そういう資産がない場合はみんなで汗をかかないかぎりリターンは得られないわけです。

日本の観光資源は「旧家のお宝」

全体のパイを大きくする場合、王道はみんなの能力水準をあげて稼げるようにすることですが、日本は少子高齢化が進み、労働人口が減るので、それだけでは間に合いません。そこで考えるべきは、わたしたちの代わりに稼いでくれるアセットがないかということです。ひらたくいえば「働かなくてもお金が入ってくる仕組み」です

真っ先に思い浮かぶのは観光資源でしょう。日本のインバウンド観光客数も2017年には2800万人を超え、5年で3倍になるなど急成長していますが、日本より人口の少ないフランスやスペインは日本の3倍以上のインバウンド観光客を受け入れています。たとえば観光業などでお金がどんどん入ってくれば、1人ひとりが稼ぐ力をつけるための再教育への投資もできます。

まだ発掘されていない観光資源は、旧家に眠っているお宝のようなものです。時代の変化で家業がたちゆかなくなった旧家で、子どもがアルバイトをしながら学費を稼いでいるが、仕事をしながらだと思うように勉強も進まない。でもそこでお父さんが気づくわけです。うちの蔵にはお宝が眠っているじゃないか、と。ためしに入場料をとって近所の人に見せたら、評判になって遠くからも続々と人訪れるようになった。その結果、この家には収入がもたらされるようになり、子どもは受験勉強に専念できるようになって希望の大学に進み、よい仕事につくことができるようになった。資産を有効活用するとこういう好循環が生まれるわけです。日本は幸いにして眠っているお宝がある旧家です。ベーシックインカムの導入の是非を問う以前に、まずはこうした「お金のなる木」をつくることに時間をさくべきだと思います。

稼げる人が逃げてしまっては元も子もない

AI(人工知能)の普及によって失業者が大量に増えるので、そこにベーシックインカムのようなセーフティネットが必要になるという議論もあります。AIと補完的に必要になってくる仕事ものも多いので、技術的失業についてはそこまで心配することはないとわたしは考えています。ただし、その新しく生まれる仕事が今ある仕事よりも稼げるとはかぎりません。

より稼げる人と、そうでない人の所得水準が二極化していくという見方はおおむね正しいと思われます。所得が下がってしまう人がより稼げる仕事につくには、その間の生活を下支えするだけでなく、何らかの能力開発への支援や職業機会の提供も必要です。それには月7万円程度の給付ではまったく不十分でしょう。となると、やはり国全体の富を増やしていくことが先決です。AI時代にはものすごく稼げる人も出てくるわけですから、その人たちから税金をとってベーシックインカムの財源を充実させるのがいちばん簡単なわけですが、そんなことをすれば彼らはタックスヘイブン的なところに逃げてしまいます。

再分配の方法を変えるだけでは不十分


Guy Standing著『ベーシックインカムへの道』(プレジデント社刊)

ベーシックインカムによって生活できるだけの所得を保障することで労働力の移動を促したり、起業のリスクをとりやすくしたりするといった議論もありますが、これは実質的には失業保険を充実させるということと同じです。となるとやはり財源の問題に突き当たります。北欧など高福祉国の一部では、高額な失業給付をランプサムで給付するよりも、職業訓練を受けることに対してお金を払う方式に変えてきています。

ただ単に生活を支えるというより、次によりよく働けるためのお金として限定したほうが再就職には効果があるということです。ランプサムで生活費が給付された場合でも稼げばもっと増えるので、働く意欲は落ちないという意見もあります。しかし、働く意欲があっても、能力がなければ稼げる仕事にはつけません。ベーシックインカムなど、社会保障制度による再分配の方法を変えるだけではその能力の底上げにはつながらないというのがわたしの考えです。


161. 中川隆[-6549] koaQ7Jey 2018年3月29日 13:07:26 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-9304]

賃金上昇は「最底辺」が最重要 まず隗より始めよ

高所得者の賃金を上げても銀行預金になるだけ
引用:https://pbs.twimg.com/media/Cy1lGxHVEAEHekx.jpg

高所得者の給料を上げる愚策

賃金上昇の必要が言われているが、2017年の日本は実質賃金マイナスに沈み、消費もマイナスだった。

給料が減ったから消費も減ったのであり、不思議なことなど何もないが、政府はこれを理解していない。

首相は経団連に賃金を上げるよう要請し、3%ベースアップしているのに、なぜか日本の実質賃金はマイナス。



首相や政府が上げるよう働きかけたのは一部上場企業の正社員だけで、日本人の1割にも満たない。

彼らは上げてもらうまでもなく良い生活をしているので、3%収入が増えても消費せず貯金している。

これではまったく社会に還元されておらず、景気は良くなりません。


株価を上昇させて富裕層の収入を増やすのも同じで、富裕層は増えた収入を銀行に預けるだけです。

最初から高収入な人の収入をさらに上げても、増えた分は銀行預金になるだけ、消費は増えない。

そうではなく、国民所得は「低所得者から先に」増やさなくては意味がないのです。

まず隗より始めよ

低所得者は貯金ゼロでカツカツの生活をしているので、収入が増えると全額を消費と借金返済に充てます。

貯金する余裕はないので借金を除くと全額が消費にまわり、全額が経済効果になり経済対策として効率が良い。

もし生活保護の人に特別給付金1万円を渡したら、彼らは1万円を消費するので、給付した全額が経済効果になります。

一方一部上場の正社員とか、株価上昇で儲けるような人達は、生活費は十分なので増えた収入を貯蓄か貯金するでしょう。


高所得者や富裕層の収入を増やすのは、経済対策として無駄であり、金をドブに捨てています。

安倍首相は毎年経団連に圧力をかけ「一部上場正社員だけ」賃上げしていますが、一体何をやりたいのか不明です。

中国の故事に「まず隗より始めよ」という諺があり、一番下から始めたほうが良いという意味です。


燕(えん)の昭王が賢者を求める方法を尋ね、問われた郭隗(かくかい)が「まず隗より始めよ」と答えた逸話からきている。

最初に凡庸な自分を登用すれば、重く用いられるのを知った本当の賢者が、自然に集まってくるという意味です。

一番下の貧困層の収入を増やせば、100%社会に循環して、上のほうの収入も自然に増えるのです。
http://www.thutmosev.com/archives/75512677.html


162. 中川隆[-7221] koaQ7Jey 2018年4月01日 18:23:02 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-9724]
現代の資本主義は、すでに多国籍企業が乗っ取った

多国籍企業をしのぐ組織体はこの世に存在しない。資本主義は多国籍企業が乗っ取った。

その結果、本来は国境という壁があったものを企業はやすやすと乗り越えて税金逃れを可能にし、さらに先進国の高賃金の労働者を切り捨てて途上国で工場を建て、失業者の面倒は国に押し付けるようになっていった。

その結果、世界各国で起きているのは「国家負担の増大」である。それは福祉や年金という形を通してどんどん国家を締め付けている。

それを是正しようとしているのがドナルド・トランプ大統領なのだが、だからこそトランプ大統領は執拗に叩かれ、攻撃され、排除されようとしているのだ。

トランプ大統領の任期には限りがある。しかし、多国籍企業には任期がない。だから、必然的にトランプ大統領という抵抗勢力が消えたら、世界は再びグローバル化に邁進していくことになるのは間違いない。

そうなると、世の中はどう変わっていくのか。

多国籍企業の利益は莫大になり、税金逃れも徹底化していくので、最終的には国家の破綻が相次いでいく。次に、国家の概念そのものが消滅する。

そして、多国籍企業が世界を統治する。

今、世界中のあちこちの国で国家財政の赤字が膨らんで、破綻が起きるか起きないかの瀬戸際にまで追い込まれている。日本も同様だ。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2018/03/20180331T1609030900.html#QnrlsL5.google_plusone_ninja_m


163. 中川隆[-7717] koaQ7Jey 2018年4月03日 12:36:52 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-9859]

2018年04月03日
トラック運転手不足 金にならない仕事など誰もやらない

ハイリスクで低収入、責任だけが重い
引用:http://adeco12.com/kokudou1gou-jiko-aichi/

自業自得のドライバー不足

トラック運転手の不足は以前から言われていたが、この春は引越し業界でドライバー不足が顕在化した。

引っ越したくても引っ越せない引越し難民が発生し、予約拒否や料金値上げがあいついだ。

中には例年の2倍以上を提示した引越し業者もあり、予約を断る業者も多かった。



引越し件数そのものは例年と同じだったが、アリさん引越し便などのブラック労働が社会問題になり、改善が求められた。

そこで業者は深夜残業をなくすため、1日3件こなしていたのを2件までとして、3件目の深夜便は断った。

これであぶれたのが引っ越し難民で、引越し業者はドライバー確保のために、労働条件改善を図った。


デフレ不況の間はブラック労働でもドライバーのなり手が多かったが、景気回復で人手不足になった。

月給18万円程度で夜中まで休み無く走り続けるのが常態化し、バスやトラックの居眠り事故が多発した。

トラック業界の悪評は世間に知れ渡り、ますますトラック運転手のなり手は居なくなったのが現状です。


不況時には足元を見て時給数百円で酷使しておいて、ドライバー不足を訴える業界には、批判的な意見が多い。

バブル崩壊の1990年ごろまでは、トラック運転手は「稼げる職業」の代表格で、年収1000万円のドライバーも存在した。

ところが政府はトラック業界を規制緩和したため、トラックも運転手も余ってしまい、収入は半額以下になった。

仕事が増えたのに収入は減る業界

この構図はタクシー運転手も同じであり、規制緩和して台数が増えた結果、収入が半減して食えなくなった。

運転手になりたがらないのは稼げるどころか、「食えない」「生活できない」からです。

景気回復してもドライバーの収入は増えず、それでいて「運転手が不足している」と言っています。


不足しているなら給料を2倍にすれば私がやりたいですが、給料は低いままで「ドライバー募集」と言っているのです。

ネット通販が増えた結果、輸送量は増えたのにコスト低下圧力が運送業に掛かり、アマゾンなどでは多くの商品が送料無料です。

トラックや運転手に払う金など1円もないということで、これがドライバーの収入が低いままの原因になっている。


90年代以前のようにトラックの台数制限があれば市場原理で配達量料金や運転手の給料は上がるが、トラック自体は余っている。

政府の政策はなんともチグハグで、「自動運転になれば運転手は不要になる」と寝言のような事を言っている。

問題は運転手の給料が安すぎて魅力がないことで、これを改善しないと誰も運転手にはならない。
http://www.thutmosev.com/archives/75581325.html


164. 中川隆[-7817] koaQ7Jey 2018年4月05日 16:44:16 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-9973]
知能指数が高ければ、社会がどんなに悪くなっても要領良く生きて豊かになると思われがちだ。

しかし、イギリスのジャーナリストであるマルコム・グラッドウェル氏は知能指数の高い人々を調べた結果、必ずしもそうとは限らないという結論に至っている。

神童と呼ばれていた子供が成人しても、凡人以下の貧困生活に落ちている人たちがいる。彼らは高度な知能を持ちながら、社会では落ちこぼれた。

その理由は、親の貧困を受け継いだり、学歴が得られなかったり、家庭環境が崩壊していたりして、知能を発揮できる環境が最初からなかったからだった。

虐げられ、家庭でも冷遇され、社会からも見捨てられた子供時代を送ると、知能を社会的な成功に向けようとする努力さえなくなってしまうのだ。

社会的な成功に意味を見出せなくなり、場合によっては社会から背を向けて生きるようにもなっていく。成功する素質はあっても、子供時代や自分を取り巻く社会環境が不幸なものであれば知能は生かせない。

インドでは10億人の人口があって、しばしば天才的な知能を持つ人たちが生まれる。しかし、その多くはがんじがらめのカースト制度や根の深い貧困によってその芽が潰されていく。

自分を取り巻く社会環境が悪すぎれば、成功しようという気持ちそのものが早い段階から台無しにされる。
http://darkness-tiga.blogspot.jp/2018/04/20160414T1644580900.html


165. 中川隆[-7843] koaQ7Jey 2018年4月06日 18:37:36 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-10003]
金利ゼロの現代はマルクスが予見した「成長の限界」に近づいている
http://diamond.jp/articles/-/166180
2018.4.6 的場昭弘:神奈川大学教授 ダイヤモンド・オンライン

 


 いったい利子はどこから生まれるのだろうか?

 お金を貸せば利子が生まれることは、少なくとも現在のわれわれには一般的常識だ。

 だがその金利がゼロというのはどういうことか。

 それは、資本が自己増殖を続ける資本主義経済で、資本があり余った状態、つまり資本主義が新しい段階に入る胎動を示しているのかもしれないのだ。

利子はどこから生まれる?
生産による利潤の一部

 基本的なことから考えてみよう。利子とは何なのか。

 借り手がいなければそもそも利子など成立しないはずだ。お金を貸したいという「貸し手」と借りたいという「借り手」がいれば、なるほど利子は自然に生まれるように見える。

 だから、利子は「借り手」と「貸し手」との需要と供給の関係から生まれるように見える。しかし、「借り手」が借りたお金を貯め込んで、生産に投資しなければ、利子など生まれるはずがない。利払いに回す原資がないのだから。

 こう考えると、借りた以上は利子を支払わねばならないという点から生じる利子の発生の問題と、利子がどこから生まれるかという利子の起源の問題はまったく違うことがわかる。

 それでは利子は、いったいどこから生まれるのか?

 交換経済というのは、人間社会がものをつくり、それを消費して成り立っている。人間が生きるための物質的生産に資本が投資され、生産したものが購入されて利益が出ないかぎり、利子が生まれるはずはないといえる。

 つまり利子の原資は、基本的に、物質的生産から得られる利潤の一部である。だから資本は生産に投資せざるをえないのである。

 もちろんサービスへの投資も利子を生み出すが、それは物的生産が前提にされる限りでのことだ。人間は霞を食って生きてはいけない。だから、サービス産業を中心とする先進国経済も、背後に後進諸国の、物的生産である工業や農業を前提にしている。

 要するに、先進国経済は、資本を後進国に投下し、後進国の物的生産によって生み出された利潤の一部を利子として受け取っているのである。

 しかしこうした基本的事実は、現代社会ではなかなか見えてこない。むしろ利子は、貨幣が自然に生み出す魔術のように見えるが、そうではないのだ。

資本蓄積が進むと
利潤率や利子率は長期低下傾向に

 ただ、利子が物的生産によって得られる利潤の一部とはいえ、利子が生まれるのは、生産に投資される資本が相対的に稀少であることが前提だ。

 あり余るほど資本がある場合には、「借り手」はいないから利子率はゼロに近い。逆に資本が稀少である場合は利子率が高い。

 資本主義の歴史を振り返っても、資本蓄積が少ない時代には利子率は高く、資本蓄積が進むと利子率が低くなる傾向にあることがわかる。

 貨幣の価値が金などとリンクしていた19世紀までは、貨幣の供給量が金や銀の生産を前提にしていたから、供給が限られることで相対的資本不足であり、利子率は高かった。

 その後、現在の金などとの交換を前提にしない不換紙幣になり、また株式発行による資金調達などが拡がると、資本の拡大とともに、自然利子率は(政府の意図は別として)徐々に下がる傾向にある。

 資本主義発展の初期の段階は国内市場も世界市場も十分あり、新製品への需要も十分あり、労賃は安く、投資は活発だ。経済成長の始まりの時期であり経済成長率は高く、利子率は高い。

 しかし、次第に資本蓄積が進むにつれて、成長は鈍化し、市場も閉塞化し、新製品もなくなり、経済成長は次第に停滞していく。こうして成熟した時代、過剰資本と過剰蓄積の社会が生まれる。

 過剰資本と過剰蓄積の結果、投資をしても得られる利潤率が相対的に低落することで、利潤の一部から生まれる利子は相対的に減少する。それによって利子率は減少する。

 現代の「ゼロ金利」の背景には、こうした資本主義の発展段階の変化が反映されていると考えたほうがいい。

マルクスが予見した
利潤率低下の法則

 マルクスはこうした現象を利潤率の傾向的低落という法則から、説明している(『資本論』第3巻の議論)。

 表面上、もっといえば個別の資本で見れば、現在では個別の企業と言い換えてもいいかもしれないが、利潤率が下がろうが、上がろうが、「貸し手」としては貸した以上、利子をいくらでも取っていいように見えるが、資本全体の立場から見たら、利子率は利潤率に依存せざるをえない。

 では、利潤はどこから生まれるか。

 マルクスは、利潤は人間(労働者)が働いて産み出した価値の一部を資本がかすめとっもの(「剰余価値」)だと考えた。

 利潤が、機械や原料から、あるいは企業家の創意工夫から生まれるのであれば、労働者がいなくても利潤はどんどん生まれていくことになる。

 ところが、我々が生きている交換経済というのは、人間と人間との生産物を貨幣を媒介して交換しあう仕組みだ。

 つまり、生産した生産物はほかのだれかに購入され、消費されねばならない。生産物が「商品」として購入されることで、資本は利潤を得るのだ。

 生産だけの社会では利潤は実現できない。つねに生産し、購買し、消費する人間が前提とされなければならない。

 動物社会には利潤は存在しないし、ロボットの世界にも存在しないのである。人間の代わりに動物やロボットを使うことで、労働力を代替することはできるが、動物だけ、ロボットだけの社会では、利潤は生まれないのだ。

 より正確に言えば、利潤は、ほかの人間、すなわち労働者からの剰余価値の収奪として出現する。

 つまり、資本が、労働者を使った生産から得られる剰余価値(利潤)は、その生産物を、他の労働者が働くことで得た所得で購入することによって初めて利潤として具現化するわけだ。

 要するに利潤とは、ほかの人間の労働からかすめ取られたものであるということだ。

 その「収奪」の形態は、個別の資本の場合は、労働者が支出した労働力とそれに対して支払われた労賃との不等価交換によって行われる。

 しかし、資本全体の間では、こうした不等価交換だけでなく、競争によって、生産性の高い企業が生産性の低い企業から利潤を収奪するという形をとる。

 このため企業はこぞって生産性を向上させるために新しい機械を導入し、利潤を得よううとする。だからこそ、資本主義経済では、利潤が労働者の労働から生まれるというよりは、資本家相互の競争から生まれるように見える。

 だから利子が利潤から生まれることは理解できても、それが労働と関係しているとは誰も考えない。

フロンティアの拡大、難しく
投資を控える資本

 そして利潤が相対的に低い状態とは、利潤率が下がった状態である。

 資本がだぶつき、投資を控える状態が、利潤率が下がった状態であり、投資しても利潤が得られないことで、利子率はさらに下がっていく。利潤が上がらなければ利子率はゼロに近づく。

 資本主義は、利潤率を上げるために懸命の努力をしてきた。

 海外市場への展開や新製品の開発で「フロンティア」を拡大し、一方で原料コストの引き下げ、労賃の引き下げなどをしてきた。市場が飽和し、新製品がなく、労賃の引き下げがそれ以上進まない場合には、利潤率は傾向的に下がっていく。それは、とりもなおさず経済成長の停滞を意味する。

 資本主義はつねに成長拡大のために資本投資を行い、利潤を獲得し、その中から利潤を上げ、利子を支払い続けねばならないシステムだともいえる。

 利潤率の傾向的低落の法則は、いくつかのそれを阻止する要因がない場合、資本主義にとって致命的な法則だといってよい。利潤率が下がれば、利子率も次第に下がっていく。

成長力を失い新たな段階へ
資本が「社会化」する時代に?

 こう考えると、いまの「ゼロ金利」や「金余り」の現象は、経済成長が難しくなり利潤も得られなくなった結果であり、資本主義は時代を終えつつあるのかもしれない。

 利子率を引き上げるには、本来、利潤率を引き上げるしかない。そのためには新しい製品を開発し、市場を拡大し、労賃を引き下げることだが、それが難しくなっている。

 地球環境という有限性を考えれば、いつか資源は枯渇するだろうし、新製品の開発が環境破壊を生み出すことにもつながっている。宇宙にモノを売りに行くわけにはいかず、地球という市場の閉塞性を打破できないとなれば、いつかはその「成長の限界」の時は来る。

 繁栄した国が衰退しても、新たなる繁栄した国が生まれることで成長を続けることができた牧歌的時代がかつてはあった。

 当面、アフリカやアジアの一部では、労働力が増え、先進国では飽和状態の製品が売れ、市場が拡大することによる利潤率の上昇という砦が残されてはいるが、やがては次第に全体としての成長力を失い限界に到達しつつあるのかもしれない。

 金利ゼロという現象は、もはや一国の問題ではなく、資本主義全体の問題でもあり、近未来社会への兆候にも思える。

 その姿はまだはっきりしないが、資本があり余り、資本が「社会化」する時代が到来するのかもしれない。


166. 中川隆[-7867] koaQ7Jey 2018年4月09日 17:29:34 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-10066]

2018年04月09日
イギリスの貧困問題 貧困の固定化と世襲

貧困層は固定化し、貧困家庭の子供はグループを作り非行にはしる。
するとますます社会から排除される
引用:https://i.pinimg.com/originals/af/94/55/af9455320213a6cb6ddb33f550fcbba0.jpg

イギリス人の収入減少

イギリスはEU離脱にともなう経済ショックがあり、一見立ち直ったようだが貧困化が拡大している。

イギリスでは収入の上昇率がインフレ率を下回る年が続いていて、日本と同じく実質賃金が減少している。

働いても賃金が増えないのは国民の労働意欲を低下させ、EU離脱国民投票の一因にもなりました。



インフレ率が2%や5%の年も、マイナスの年もあったが、いずれも賃金上昇率のほうが低かった。

毎年じわじわと収入が減ったがイギリス人は支出を減らさず、クレジットカードの借入金を増やした。

イギリスの貧困はEU離脱やリーマンショックが原因ではなく、20年以上前から進行していました。


イギリスには南北の経済格差があり、大陸に近い南は豊かで、北極に近い北側は貧しい。

表日本と裏日本、あるいは東北と関東以南のようなものかも知れない。

イギリスは身分制度の名残からか貧困者や弱者を非難する傾向があり、「貧乏なのは自分のせい」のような言い方をする。


貧困者を救済するという考えは乏しく、貧困家庭の子供は「一目見ると分かる」ほど違う。

肌の色が(人種の違いではなく)栄養不良のため浅黒い、ボロボロで汚れた服、給食を余分に取って持ち帰るなどの違いがある。

イギリスには貧困は自己責任という考え方が強いので、貧困家庭に生まれた子供を救済するという考えもない。

イギリスの貧困の固定化

イギリス政府は貧困対策費として10兆円以上を支出していて、その4割以上は医療費に、3割は教育や児童福祉に当てられている。

食料補助のフードバンク利用者は100万人以上で、他にも生活保護のような制度があるが、貧困者は国民の11%を超えて増え続けている。

イギリスの貧困を固定化させたと言われているのは、意外にもイギリス経済を救ったとされるサッチャー首相でした。


サッチャーは自由主義経済を掲げて民営化や競争原理の導入を推進したが、日本で小泉改革で起きたことを想起すると良い。

競争を促進した結果、豊かな人はより豊かに、貧しい人はより貧しくなって、「貧困階級」が生まれて固定化した。

自由主義では貧困の原因は「本人が愚かなため」教育を受けなかったり怠けたり、安逸に暮らしたからだとされる。


自由競争社会とは要するに、バケツにザリガニを入れて戦わせ、生き残った奴だけにエサをやるのに似ている。

なるほど生き残ったザリガニは優秀で、負けたザリガニは弱かったのだろうが、生き残るザリガニは少数しかいない。

少数の勝ち組と大多数の負け組みに別れ、負け組みは親から子に貧困が受け継がれる。
http://www.thutmosev.com/archives/75660973.html


167. 中川隆[-7891] koaQ7Jey 2018年4月10日 09:52:53 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-10090]

グローバリズムとは「世の中に金で買えないものはあってはならない」というイデオロギーである (self.tikagenron)


・中流層の破壊

「衣食足りて栄辱を知る」「恒産なくして恒心なし」という諺が示すように、人間は食うや食わずの状態になると倫理や道徳を省みる余裕もなくなる。「カネのためなら何でもする」恥知らずの数も、いきおい多くなってゆくだろう。ゆえにリアリストを任ずる政治家は民衆を「食わせる」ことを第一に考えるものだ。

ところが昨今の日本やアメリカでは、政治の不作為で、あるいは作為で、中流層が貧困層に追いやられている。意図的に行われているとすれば、それは「カネのためなら何でもやる」人間を増やすためにやっていると考えるほかはあるまい。「カネのためなら何でもやる」人間が増える前と増えた後では、カネのもつ性質そのものが変化する。たとえば愛や友情や名誉や品性といったふつう金では買えないとされるものがカネで買えるようになるかも知れないし、カネを伴わないそれらが無意味なものになるかも知れない。

一生かけても使いきれないほどの金を手に入れながら、幸せに暮らす中流層を貧困層に陥れてまでもさらなる収奪を行うのは、そういう「金の性質を変える」目的を持っていると考えなければつじつまが合わない。人間の使える金には限界がある。限界を超えた財産を持ってもふつうは意味がない。意味があるとしたら、自分が豊かになるだけでは決して手に入らないものを、他者を貧困に落とし込むことにより手に入れようとしていると考えざるを得まい。

・「情念」

現在日本から収奪の対象にされようとしている「水」や「種」。本来は市場原理になじまない「社会的共通資本」を彼らは平気で商売の道具にする。アメリカで一大ビジネスとなっている「刑務所ビジネス」や「教育ビジネス」、日本の郵政民営化なども文脈は同じである。先人の知恵として商売の対象にしてはならないものが今の時代にことごとく食い物にされているのは、「世の中に金で買えないものはあってはならない」という彼らのイデオロギーが発露した結果である。「権威」もまたターゲットになっている。学問の世界が企業の出資に頼らざるを得なくなった結果、学問的権威はもはや金で買えるものになりつつある。橋下徹は文楽を妾のように扱い、小泉に至っては皇室を最後の抵抗勢力と放言したという。彼らを操るグローバリストたちの暗い情念をそこに読み取らない人は、よほど鈍感なのだろうと思う。

・国民国家

ウェストファリア条約以降、市場原理になじまない「公」のものを司るのは国民国家だった。ゆえにグローバリストの努力が国民国家の解体へと向かうのは必然である。無論「カネのためなら何でもする」という恥知らずをいくら買収しても「多数派」にはならない(国民の「多数」を全員買収していては貧困層を生み出すことなどできない)から、必要となるのが不正選挙や捏造世論調査、本質を外した報道や政治活動団体などの道具立てというわけだ。

(→擬似民主主義)
https://www.reddit.com/r/tikagenron/comments/5abnsb/擬似民主主義/

カネのためなら何でもする恥知らずや、グローバリストが用意した本質を外した軸を信じ込む馬鹿に権力を握らせなくてはならないから、必然的に政治のレベルは下がる(特に日本はひどい)。政治家のレベルが下がるのは不正選挙でそういう人間しか通らないように仕向けているからで、断じて選挙制度のせいなどではない。

・「売り物じゃない」

今世界で巻き起こる反グローバリズムとは、つまるところ「それは売り物じゃない」という訴えである。先人の知恵が商売の対象にしてはならないとしたものを守る、または取り戻すための運動なのだから、彼らは正しく「保守」である。「極右」や「極左」といったラベルは「グローバリズムこそ中道」という虫のいい前提のもと選ばれたもので実態を表していない。その分類に日本会議やネオナチといったグローバリズム劇場の役者を紛れ込ませるのも彼らの計算のうちなのだろう。グローバリズムとファシズムは親和性が高い。というか同じものである。

→対立軸・偽軸
https://www.reddit.com/r/tikagenron/comments/5f525h/対立軸偽軸/


「移民」という国民国家を破壊する最終兵器に対するカウンターを「人種差別」問題にすりかえてグローバリズム劇場の悪役と同一視させるのは、最も悪質な詭弁だと思う。

・「言論」

保守派のことを英語でdie hardという。なかなか死なないからだ。そして何度殺しても復活するものは、良きにつけ悪しきにつけ、人間の本性に根ざしているからこそ復活するのだろう。では保守は何ゆえに死ににくいのかと言えば、私は「言語」の働きだと思っている。グローバリストたちはその企みを実現するために、今まで嘘をつき続けてきた。大きな嘘、小さな嘘、統計。詭弁、本質からズレたタグ、疑義を封殺する弾圧。彼らが嘘をつかざるを得ないのは、既存の言語では彼らの行動も目的も正当化することができないからだ。言語はその民族のもつ倫理・美意識のもとに世界を秩序づけるものである。我々が何を正しいと思い何を醜いとするかは、長い長い年月をかけて我々の言語に蓄積され体系づけられている。だからグローバリストがその目的を達成するために嘘をつかざるを得ないということ自体が、彼らの目的が倫理にもとる醜いものであることを示している。

まっとうな言論こそグローバリズムへの最大の抵抗だと考える所以である。

https://www.reddit.com/r/tikagenron/comments/688yfn/グローバリズムとは世の中に金で買えないものはあってはならないというイデオロギーである/


168. 中川隆[-7890] koaQ7Jey 2018年4月10日 09:54:22 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-10090]

擬似民主主義)
https://www.reddit.com/r/tikagenron/comments/5abnsb/擬似民主主義/


現在アメリカと日本で運用されている制度は、「擬似民主主義」とでも呼ぶべきものである。

まず世論調査会社が嘘の支持率を流す、不正選挙業者がそれに沿った結果を出す、ネット世論工作業者が複数アカウントを使って「多数」を演出し、メディアは本質からズレた政治マターを選択して流し、アストロターフが派手に噛み付き、炎上芸人が馬鹿な発言を叩かれることによりガス抜きをする。必要とあらば俳優や新興宗教を使って現実に集会をして見せたり、賑わいを演出したりもする。

上記はすべて、「国民に支持されている政権」を擬制するための虚構である。為政者から見て、民主主義という制度は不自由で面倒くさいものである一方で政治の結果を国民の責に帰せるというメリットもあるが、この虚構を作り出すことによって、デメリットを消してメリットのみを享受できる。大枚はたいても実現する価値はあるだろう。

だから擬似民主主義における「工作員」は

・不正選挙を決して疑わない。もしくは影響を軽んじる。

・世論調査のデータを疑わない。

・選挙結果が全てであるという態度をとる。選挙前は国民の不満を選挙で表すよう誘導し、選挙後は選挙で負けたのだから結果を受け入れるよう誘導する。

・選挙結果で国民に不利な結果が齎されるのは、多数が愚かであるからと説明する。

・重要でない政治マターに拘泥する。

などの特徴を見せる。

主体は広告会社だろう。

現在、この擬似民主主義が米国で破綻している。もしくは、しかけている。

擬似民主主義は真実の世論とは違った虚構の世論を本物に見せかけ、責を民衆に追わせる手法である。当然ながら、本物の世論とはズレがある。長く使っていればズレは大きくなってゆくだろうし、またそのズレこそが多くの金銭的・人的資源を投入してでも得たいものなのだから、規模が拡大するにつれズレが大きくなるのは投資対効果の観点から見て当たり前だとも言える。

恐らく原初の民主主義の時代から種を宿していたこの考え方は、主要メディアの寡占とネットの台頭を機に全人類的な規模で表象する場を得て、911の欺瞞を覆い隠す必要性から実現するに至った。そして15年目の今に至って、民衆が受容できないほどズレが大きくなったのである。

アメリカの場合、やはりトランプの存在が大きいのだろう。彼は聖人君子でも品行方正でも学識豊かでもないが、全米の擬似民主主義を正そうとする民衆の受け皿になった。その意味で、彼は英雄であるとは言える。またウィキリークスやアノニマスの存在の大きさは言うまでもない。

日本でもそういう受け皿になる人間が出てこれば、同じことが起きうるのかも知れない。(三宅洋平は愚かすぎたが)


169. 中川隆[-7889] koaQ7Jey 2018年4月10日 09:55:50 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-10090]

対立軸・偽軸
https://www.reddit.com/r/tikagenron/comments/5f525h/対立軸偽軸/

対立軸

1 多国籍企業優先主義(A)/自国民優先主義(B)

トランプの勝利はアメリカ国民がAからBへ転換することを選んだことを示す。現実としてその路線をあゆめるかどうかは別として。

2 欧米陣営(C)/中露陣営(D)

軍事同盟や経済圏としてどちらに属するか。フィリピンのドゥテルテはCからDへ移行。トルコのエルドアンはCべったりからDよりに軸足を移した。中露は多国籍企業の影響を今のところ排除できているようなので、ABの軸とも無関係ではない。

偽軸

3 民主主義(E)/独裁(F)

実際はBのタイプの国の元首にFのレッテルを貼っているだけだ。擬似民主主義は独裁と変わらない。責を国民に着せる点で独裁よりタチが悪いとも言える。またサウジアラビアのようなC陣営に属する国は、王制でも「民主化」圧力を受けない。

4 移民推進(G)/排外主義(H)

Hは「極右」と呼ばれることが多いようだが、実際はABの対立軸で、移民を安い労働力として歓迎する多国籍企業と、雇用が脅かされる国民との軋轢をこう呼んでいるだけである。

5 差別反対(I)/差別主義者(J)

ジェンダーにせよ人種にせよ性的マイノリティにせよ、「被差別者」の側に立つか否かという軸。リンカーンの時代とか婦人参政権の是非を論じた時代なら確かに国論を二分する軸になりえただろうが、現在の先進国でこれが軸になるか、私にはよくわからない。

6 資本主義陣営(K)/社会主義陣営(L)

書くのも馬鹿馬鹿しいが、もうそんなものはない。バブル崩壊前の日本が「最も成功した社会主義」と呼ばれていたことを考えれば、「社会主義」路線の方が「資本主義」社会で勝てると言えるくらいだ。

7 右翼(M)/左翼(N)

もはや定義不能になったこの概念。社会的共通認識を欠いた言葉は、単に無意味な言葉だ。

AがBを攻撃する際、偽軸のどれかにすり替えてレッテルを貼るのだが、その時副次的にMNの軸を使うことがある。「極左」とか「極右」と呼ばれるのは、たいがいAから敵視される存在だ。

8 自由貿易(O)/保護主義(P)

TPPのようなメガFTAが「自由貿易協定」とか馬鹿も休み休み言えと。Aが多国籍企業独り勝ちのルールを永続化するために「自由貿易」のタグを使っているに過ぎない。(→「弱肉強食」ではない)

(補足)「リベラル」という語は様々な使われ方をする。以下参照。

・「リベラル」を整理する

メタ軸

9 贋物(Q)/本物(R)

疑似民主主義の下で偽軸の論争に明け暮れる役者連中、日本会議やしばき隊のようなアストロターフ、世論工作会社、扇動会社、大手メディアなどが贋物(Q)である。少人数ながら、影響力の大きなポジションを占めていたりネットで複数アカウントを駆使したり捏造世論調査で多数に見せたりする。根が同じだから同一人物が偽軸の両方の立場を使い分けたりもするし、敵同士のはずが舞台裏では談笑していたりもする。

それらの欺罔に気づいて踊らされまいとする人々は今や世界中にいる(R)。AB軸のBと重なる層だ。

Qのグループはさまざまな陣営になりすます(特にネットにおいては容易)ので、誰が本物(R)であるかの見極めは難しい。その人物や団体の来し方や、わかるなら資金源などから判断する他あるまい。


170. 中川隆[-9630] koaQ7Jey 2018年4月14日 10:02:43 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-10276]
2030年には世界の6割以上の資産が1%の最富裕層の手中に―中国メディア
http://www.recordchina.co.jp/b591128-s10-c20.html
2018年4月12日(木) 22時40分


英国下院図書館の専門家がこのほど発表した研究報告によると、2030年までに世界の1%にあたる最富裕層が世界の総資産の64%を掌握する見通しという。英紙ガーディアンの報道を引用して中国新聞網が伝えた。

2008年の金融危機以来、世界の物質や資産は、次第に一握りの限られた人々に集中する傾向を見せている。世界の1%にあたる最富裕層が保有する資産が世界の総資産に占める割合は、年6ポイントずつ増加している。また、他の99%の人々が保有する資産の割合は、年3ポイントの増加にとどまっている。

このすう勢が変わらないままで、かつ予測が妥当なものであれば、2030年までに世界の最富裕層は総額305兆ドル(約3京2700兆円)の資産を保有する見込みとなる。推計によると、彼らが現在保有している資産は140兆ドル(約1京5000兆円)となっている。

専門家は「所得分配のアンバランス、富裕層の貯蓄率の高さ、資産の累積増加が、富裕層の保有資産増をもたらす原因となっている。証券投資や金融資産に対する情熱によって、富裕層に比類のない巨額な収入がもたらされ、このようなすう勢がどんどんと高まっている」との見方を示した。

アナリストは「世界の資産が現在のペースで再分配され、富裕層にさらなる利益がもたらされることが続けば、今後10年以内に多くの普通の人々の不信感や不満がじわじわと増長していくであろう」と警告している。(提供/人民網日本語版・編集/KM)


171. 中川隆[-9641] koaQ7Jey 2018年4月14日 11:23:21 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-10288]
2018.04.14
TPPへの復帰はファシズム体制の樹立を目指す米支配層のプランに沿う政策


 TPP(環太平洋経済連携協定)へ復帰するために再交渉するべきかどうかを検討するようにドナルド・トランプ米大統領は通商代表や国家経済会議議長に指示したという。この協定のほか、TTIP(環大西洋貿易投資協定)やTiSA(新サービス貿易協定)はアメリカを拠点とする巨大資本が世界を直接統治するための仕組みで、その核心はISDS(投資家対国家紛争解決)条項にある。


 この条項によって巨大企業のカネ儲けを阻むような法律や規制は賠償の対象になり、健康、労働、環境など人びとの健康や生活を国が守ることは難しくなるのだが、それだけでなく、日本の法体系が破壊させられると警鐘を鳴らす法律家もいる。


 TPPにアメリカが復帰すれば、その主導権を握るのはアメリカ。環太平洋ではアメリカのほかオーストラリア、カナダ、ニュージーランドはアングロ・サクソン系で、判例法を基本とする英米法の国。これらの国々の母国語は英語だ。この4カ国とイギリスは深く結びついている。


 それに対し、日本は国会で制定された法律が基本の大陸法を採用しているので、TPP内で統一した法体系を作りあげることは不可能。トラブルの仲裁を担当する法律家は英米法の人間だと考えなければならず、日本の法律は意味をなさなくなる。


 アメリカの支配層は自分たちにとって都合の悪いルールを採用している国が存在すると、その国の「エリート」を買収したり、恫喝したり、場合によってはクーデターや軍事侵略で体制を転覆させてきた。そうしたことを行わなければならないのは、主権国家が存在するからだ。その主権国家を消滅させ、巨大企業という私的権力によって支配される国際秩序を築くのがTPP、TTIP、TiSAの目的だ。


 フランクリン・ルーズベルトは大統領時代の1938年4月29日、ファシズムについて次のように語っているが、これは3協定の定義でもある。


「もし、私的権力が自分たちの民主的国家そのものより強くなることを人びとが許すならば、民主主義の自由は危うくなる。本質的に、個人、グループ、あるいは私的権力をコントロールする何らかの存在による政府の所有こそがファシズムだ。」


 現在、アメリカ政府が中国やロシアに対して仕掛けている経済戦争の目的もここにある。この2カ国が持つ主権を破壊し、全世界の人々を巨大資本の臣民にしようとしているのだ。


 中国は1980年代から新自由主義を導入しているが、国家主権は維持しようとしてきた。中国が世界銀行と共同で2013年に作成した「中国2030」は中国に根本的な、つまり西側巨大資本が望む条件で市場改革を実行することを迫るもの。ちなみに、2007年7月から12年7月まで世界銀行総裁を務めたのはロバート・ゼーリック元米通商代表だ。


 しかし、2014年に状況は一変する。この年の2月にネオコンはウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを成功させ、合法的に選ばれたビクトル・ヤヌコビッチ大統領を暴力的に排除したことが主な原因だ。ウクライナをロシア制圧のカギを握る国だとアメリカの支配層は以前から考えていたが、ヤヌコビッチは西側の傀儡ではなかった。それが排除された理由のひとつだが、ロシアとEUを分断するという意図も無視できない。両者を結びつける大きな要因はロシアの天然ガスで、輸送のためのパイプラインがウクライナを通過している。ウクライナに傀儡体制を樹立させてつながりを断ち切ろうとしたのだ。


 ところが、事態はネオコンが想定していなかった方向へ向かう。ロシアが中国に目を向け、ロシアと中国が急接近したのだ。アメリカのやる口を目の当たりにした中国もアメリカを警戒するようになり、ロシアと中国は戦略的パートナーになる。その後、両国の関係は深まり、今ではドルを基軸通貨とする金融システムを揺るがす存在になった。


 そして中国は一帯一路構想を打ち出し、「中国製造2025年」というプロジェクトを公表する。習近平体制になったこともあるが、2014年のウクライナにおけるクーデターも中国の戦略変更に影響しただろう。トランプ政権はその変更を元に戻させようとしていると指摘する人もいる。アメリカの巨大資本の前に跪かせようとしているとも言えるが、そうしたことを実現するのは難しいだろうとも言われている。同じことはロシアについても言える。


 アメリカによる軍事的な恫喝も経済戦争もTPPへの復帰も目的は同じで、ファシズム体制への移行。日本の政治家や官僚は忠実にアメリカ支配層の命令に従い、庶民は教育を受ける権利や労働者としての権利を奪われているのだが、そうした動きの前には中国とロシアが立ちはだかっている。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201804140000/


172. 中川隆[-9996] koaQ7Jey 2018年4月16日 19:21:25 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-10678]

2018年4月16日【三橋貴明】移民問題の「目的」

ヒトを安く買い叩くことを望む人々
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12367469847.html

安倍移民受入内閣
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12367986037.html

財政破綻論者の「財政破綻のロジック」
あるいは「緊縮財政の理由」は、
目まぐるしく変わります。

次から次へと、意味不明な
レトリックが登場するわけですが、
「結論は変わらず、手法や理屈が変わり続ける」
は、グローバリストの特徴でもあります。

三橋は言論活動を始めた当初から、
日本の「輸出対GDP比率」を計算し、
グラフ化した数字を他の国と比較しつつ、

「日本はグローバリストが言うように、
輸出依存経済ではない(相対的に)。
日本は内需中心で経済成長できる」

と、主張してきました。

すると、ようやく
「日本の輸出依存度は低い」という
事実が共有されたと思ったら、それまで、

「日本の輸出依存度は高い。だから、
日本はグローバルで生きていくしかない」

とのロジックをまき散らしていた
連中が、いきなり、

「日本の輸出依存度は確かに低い。
だからこそ、グローバル市場を
目指さなければならない」

と言い出したわけですから、
吃驚してしまったのです
(代表が田原総一朗氏)。

この種の

「結論を変えず、結論を
導く理屈を変える」

という思考方式は、三橋の
脳内には存在していませんでした。

その後は、いやというほど

「結論が変わらず、
メソッド(方式)を変える」

という「詭弁」に、何度も何度も
遭遇することになります。

もっとも、そもそも「経済学」
自体が詭弁の学問なのです。

というよりも、自己利益最大化を
求めるグローバリストの要望に
応えるため、経済学が詭弁を
提供したというのが真実ですが。

経済がデフレ化し、失業率が
高まった時期には、財政による
雇用創出に反対し、

「雇用は常に完全雇用。
雇用対策を打ってはならない。
必要なのは雇用の流動化」

と、失業率が高い時期に
「失業率を高める」政策を主張し、
国民の所得水準を引き下げていく。

逆に、経済が人手不足状態になり、
失業率が下がってきたら、

「人手不足解消のためには、
移民を入れなければならない」

と、労働者同士の競争を激化させ、
国民の所得水準を
引き下げる政策を主張する。

いずれにせよ、国民の実質賃金は下がり、
企業の人件費が圧縮され、利益が拡大。

利益から「配当金」が支払われ、
グローバル株主の自己利益最大化が
達成される、というわけです。

経済学の「完全雇用」の考え方も、
移民推進も、いずれにせよ
「人々の実質賃金を引き下げる」
という結論は変わりません。

なぜならば、

「そうしなければ、我々(グローバリスト)
の自己利益最大化が
達成されないじゃないか!」

という話なのです。

日本の移民問題は、
「人口問題」ではありません。

「賃金問題」なのです。

人口減を補うのではなく、
人手不足解消でもなく、
「賃金引下げ」が移民政策の目的です。

この事実に早急に日本国民の
多数派が気が付かなければ、
我が国の移民国家化は
避けられない状況になりつつあります。
https://38news.jp/economy/11834


173. 中川隆[-10160] koaQ7Jey 2018年4月17日 10:17:51 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-10864]

なぜ経団連が消費税増税を主張するのか 2018-04-17


 昨日、経団連や商工会議所などの「経済界」までもが財務省プロパガンダに毒され、消費税増税を推進していることをご紹介いたしました。


 榊原会長や三村会頭が意識しているのかどうかは知りませんが、両者ともに見事なまでに「グローバリズム」の手先の役割を務めていることになります。


 グローバリズムにおいては「緊縮財政」「規制緩和」「自由貿易」の三つの政策パッケージが「トリニティ(三位一体)」となって推進されます。


 「規制緩和」の中には、政府の徴税を緩和する、という政策も含まれます。すなわち、法人税減税です。


「法人税を減税し、景気を良くする!」
「法人税減税で競争力強化」
「法人税を減税しなければ、企業が外国に逃げてしまう」


 といったレトリックで法人税減税という「規制緩和」が行われるわけですが、本当の理由は「配当金」「自社株買いの原資」を拡大することです。


 そもそも、デフレで国内に投資先がない状況で、法人税減税で利益を拡大したところで、投資が増えるはずがありません。現実は、グローバル株主の配当金やキャピタルゲインを拡大するためにこそ、法人税が減税されるのです。


 法人税を減税すると、当たり前ですが歳入が減ります。


 その穴埋めとして「消費税増税」「社会保障支出削減」が行われる。法人税減税という「規制緩和」の代償として、消費増税や医療や年金カットという「緊縮財政」を推進されるのです。


 理由は、「自由貿易(資本移動の自由という意味で)」によりグローバル投資家が増え、彼らの利益最大化のために政治が動く「構造」が造られてしまったためです。


 規制緩和、緊縮財政、自由貿易が見事に「トリニティ」になっているのが分かると思います。


 グローバリズムのトリニティは、要するに「一定の所得のパイ」があったとして、その配分を「国民」から「企業」「グローバル投資家」に移す政策なのです。国民から所得を取り上げ、企業やグローバル投資家におカネを配るのでございます。


 もっとも、露骨に「国民からおカネを取り上げ、グローバル投資家に渡します」などと説明すると、さすがに支持を得られないため、
「国民に痛みを伴う改革が必要だ!」
 と、政治家が自己陶酔的に叫び、メディアに「改革! 改革!」と大合唱させるわけでございます。



『経団連 消費税10%超議論を
http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20180413/0010463.html
 経団連は先進国で最悪の水準にある国の財政を健全化するため、10%を超える消費税率の引き上げを議論すべきだとする提言をまとめました。
 それによりますと、財政健全化は「必須の課題だ」としたうえで、高齢化で膨らみ続ける社会保障費を抑制するため、75歳以上の後期高齢者の医療費について、自己負担の引き上げなどを検討すべきだとしています。
 焦点の消費税については、来年10月に税率が8%から10%に引き上げられる予定ですが、税率のさらなる引き上げも有力な選択肢の1つとして議論すべきだと提言しています。
 経団連は「国民負担の増加は避けては通れない」としていますが、企業が負担する法人税の税率は競争力の強化などを目的に段階的に引き下げられており、企業優遇との指摘も出ています。(後略)』


 というわけで、経団連が法人税減税については歓迎しつつ、
「国民負担の増加は避けては通れない」
 と、消費税増税やら、医療費の自己負担引き上げやらを主張することは、トリニティ的に「真っ当」なのでございます。


 日本の経団連は、「日本国民」を見て政治運動をしているわけではありません。利益をもたらす対象は、あくまでグローバル投資家です。


 資本の移動の自由化という「自由貿易」により、日本の企業が「日本国民の企業」ではなくなってしまった。結果的に、経団連が日本国民に不利益をもたらす政策を推進することが「当たり前」になってしまった。


 この本質に国民や政治家が気が付かない限り、日本国民の貧困化は止まりそうにありません。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12369013395.html


174. 中川隆[-10851] koaQ7Jey 2018年4月21日 11:22:25 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-11674]
グローバリズムとは「モノ」「サービス」「ヒト」「カネ」の国境を越えた移動の自由化を「善」とする「イズム(教義)」でございます。


 本来的には、グローバリズムは「政府の関与を小さくする」という意味であり、国境を越えたモノ、カネ、ヒトの移動に対する「国家の制御」を無くすことを志向します。


 とはいえ、落ち着いて考えてみてください。


「自由貿易です! グローバリズムです!」
 と叫びつつ、自国の国内は完全に「ビッグブラザー」のコントロール下に置き、他国に対しては国境を引き下げ、モノ、サービス、ヒト、カネの流入を妨げる規制の撤廃を要求する国があったとしたら?


 第零次グローバリズムの時代、イギリスは当初はインドからの綿製品(キャラコ)の流入を規制したにも関わらず、産業革命で自国の綿製品の生産性が上がったと思ったら、途端にインドに対し、
「自由貿易をやろう!」
 と、綿製品の完全引き下げや輸入規制の禁止を強要しました。


 「自由貿易」の結果、世界最大だったインドの綿産業は壊滅。


 それまで綿布産業で繁栄を極めていたインドのダッカ、スラート、ムルシダバードなどの街は貧困化の一途をたどり、当時のイギリスのインド総督が、
「この窮乏たるや商業史上にほとんど類例を見ない。木綿布工たちの骨はインドの平原を白くしている」

 と嘆くに至ります。


 1882年、インドは綿布の関税を「撤廃」させられ、完全な自由貿易の国になりました。


 さらに、イギリスはインドに「鉄道」を建設していきます。理由は、インド住民の生産性向上では「もちろん、なく」、インドの綿花を速やかに港に運び、逆にイギリス産綿製品を速やかにインド市場に売りつけるためでした。


 インドのみならず、当時のビルマ、マレーシアもまた、イギリスの「自国の利益」を目的とした帝国主義により、悲惨な状況に陥ります。マレーシアでは、森林が焼き払われ、ブラジル原産のゴムの木が植えられました。マレーシアの森林を基盤としたコミュニティは崩壊状態に陥ります。


 ゴムの木を植え、インド人労働者にゴムを採取させ、アメリカのデトロイトに送る。マレーシアの森林は「ゴム」に化け、デトロイトで自動車のタイヤになり、イギリスのシティの投資家の懐に配当金をもたらしたのでございます。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12370009469.html


175. 中川隆[-11250] koaQ7Jey 2018年4月24日 18:07:41 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-12184]

2018年04月24日
新興国の成長が先進国を上回った20年間

去年だけを見ても新興国の株価上昇は圧倒的だった
引用:https://a248.e.akamai.net/f/248/29350/7d/pict.sbisec.co.jp/sbisec/images/base/g_fund_comment_170620_01.gif

新興国の成長が先進国を上回り続けた

90年代ごろから新興国が目覚しい経済成長をとげ、投資対象としても高収益を上げるようになった。

新興国に投資すると儲かるので、ますます多くの投資を集め、発展の正のスパイラルとも呼ぶべき状態になった。

今では新興国の経済成長率が先進国を上回るのは当たり前だが、80年代以前はこうではなかった。



中南米やアジア諸国・中東など新興国は一時的には高度成長するが、10年も持たずに息切れして失速するものでした。

今では考えられないが、かつて南米の国々は数年間高度成長し、やがて先進国になると言われていました。

80年代以前に東南アジア諸国や韓国・台湾は高度成長した時期があったが、やはり数年で息切れしていた。


新興国はこのように賞味期限があるもので、数年は目覚しい成長をするが、スイッチが切れたようにある日成長は終わります。

だが90年代以降、新興国全体の成長率が先進国を大きく上回る状況が続き、お決まりの失速も起きなくなりました。

どうして90年代を境に、新興国はそれほど強くなり、逆に先進国は弱くなったのでしょうか。

アメリカの超低金利終了で甘い蜜は吸えなくなる

中国、韓国、台湾、インド、ブラジルなどは幾度となくバブル崩壊がささやかれたが、今のところ投資家を満足させている。

お金に心はないので、中国やロシアや、北朝鮮にすら儲かるのが分かれば投資家は大金を投じる。

91年のソ連崩壊によって共産圏がなくなり、全世界のどの国にでも投資できるようになり、お金が世界を駆け巡った。


欧米や日本は低金利なのでそれら先進国で融資を受け、新興国でハイリターンを得るのが流行しました。

日本で融資を受けても金利は1%以下であり、新興国で3%も利益を出せるなら十分に投資として見合う。

反対に日本では平均成長率が1%程度なので、融資を受けて自国に投資しても利益を出すのが困難です。


特に影響が大きかったのはアメリカの低金利政策で、数百兆円もの投資資金が新興国に向かったといわれている。

超低金利で融資されたお金は投資資金として中国や世界に投資され、新興国の経済成長を可能にした。

だがFRBは加熱する経済を冷やすために利上げペースを速める方針で、今後はいままでほど新興国に有利な時代ではなくなる。
http://www.thutmosev.com/archives/75864201.html


176. 中川隆[-11561] koaQ7Jey 2018年4月30日 14:28:32 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-12643]

2018.04.28


中国の若者たちよ、マルクスを読もう

中国の新華社からメールで質問状が届いた。

中国でもマルクス生誕200年がにぎやかに祝われるようだけれど、その中で「マルクス再読」の機運が高まっている。その流れの中で

石川先生との共著『若者よマルクスを読もう』
https://www.amazon.co.jp/%E8%8B%A5%E8%80%85%E3%82%88%E3%80%81%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%82%92%E8%AA%AD%E3%82%82%E3%81%86-20%E6%AD%B3%E4%BB%A3%E3%81%AE%E6%A8%A1%E7%B4%A2%E3%81%A8%E6%83%85%E7%86%B1-%E8%A7%92%E5%B7%9D%E3%82%BD%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%A2%E6%96%87%E5%BA%AB-%E5%86%85%E7%94%B0-%E6%A8%B9/dp/4044086125/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1525065889&sr=8-1&keywords=%E8%8B%A5%E8%80%85%E3%82%88%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%82%92%E8%AA%AD%E3%82%82%E3%81%86


も中国語訳が出て、ずいぶん売れている(らしい)。

質問状には6つの質問があった。僕の方はこんなお答えをした。


1.『若者よ、マルクスを読もう』が出版され以来、日本ではベストセラーになり、中国でも大好評となり、愛読されています。その原因はどこにあるのでしょうか。なぜ資本主義社会の日本にはマルクス主義を愛読する人がこんなに多く存在しているのか、その原因は何だと思われますか。

日本では、マルクスは政治綱領としてよりはむしろ「教養書」として読まれてきました。つまり、マルクスのテクストの価値を「マルクス主義」を名乗るもろもろの政治運動のもたらした歴史的な帰結から考量するのではなく、その論理のスピード、修辞の鮮やかさ、分析の切れ味を玩味し、テクストから読書することの快楽を引き出す「非政治的な読み方」が日本では許されていました。マルクスを読むことは日本において久しく「知的成熟の一階梯」だと信じられてきました。人はマルクスを読んだからといってマルクス主義者になるわけではありません。マルクスを読んだあと天皇主義者になった者も、敬虔な仏教徒になった者も、計算高いビジネスマンになった者もいます。それでも、青春の一時期においてマルクスを読んだことは彼らにある種の人間的深みを与えました。

政治的な読み方に限定したら、スターリン主義がもたらした災厄や国際共産主義運動の消滅という歴史的事実から「それらの運動の理論的根拠であったのだから、もはやマルクスは読むに値しない」という推論を行う人がいるかも知れません。けれども、日本ではそういう批判を受け容れてマルクスを読むことを止めたという人はほとんどおりませんでした。「マルクスの非政治的な読み」が許されてきたこと、それが世界でも例外的に、日本では今もマルクスが読まれ続け、マルクス研究書が書かれ続けていることの理由の一つだろうと思います。

2.マルクス主義の日本への影響についてご説明いただけますか。特に現在の日本への影響について。

戦後の社会運動の多くはマルクス主義の旗の下に行われました。特に学生たちの運動はほとんどすべてがマルクス主義を掲げていました。ラディカルな社会改革のための整合的な理論としてはそれしか存在しなかったからです。しかし、60年安保闘争でも、60年〜70年代のベトナム反戦闘争でも、実際に日本の学生たちを深いところで衝き動かしていたのは反米ナショナリズムだったと思います。対米自立をめざすこの国民感情はその後「経済力でアメリカを圧倒する」という熱狂的な経済成長至上主義にかたちを変えて存続しました。そこにはもうマルクス主義の影響は見る事ができません。

ですから、現代日本にマルクス主義がどう影響しているのかという問いには「政治的理論としては、ほとんど影響力を持っていない」と答えるしかありません。
日本共産党はマルクス主義政党ですが、選挙で共産党に投票する人たちの多くはその綱領的立場に同調しているというよりは、党の議員たちが総じて倫理的に清潔であり、知性的であり、地域活動に熱心であるといった点を評価していると思います。

ただ、日本では1920年代以後現代にいたるまで、マルクス主義を掲げる無数の政治組織が切れ目なく存続し続け、マルクス主義に基づく政治学や経済学や社会理論が研究され、講じられてきました。マルクス主義研究の広がりと多様性という点では東アジアでは突出していると思います。そのせいで、マルクス主義者でなくても日本人の多くはマルクス主義の用語や概念を熟知しており、そのスキームで政治経済の事象が語られることに慣れています。それは間違いなくわれわれのものの考え方(とくに歴史をとらえる仕方)に影響を与えているはずですけれど、それを「政治的影響」と呼ぶことは難しいと僕は思います。


 
3.先生はいつごろからマルクスの著作を勉強し始めたのでしょうか。先生が考えられているマルクス主義の偉さを何点か挙げていただけますか。

最初にマルクスを読んだのは高校一年生の時です。『共産党宣言』でした。マルクスの著作で一番好きなのは『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』です。これはロンドンにいたマルクスが、ニューヨークの友人に依頼されて、アメリカのドイツ語話者のための雑誌に書いた、フランスの政治的事件についての分析記事です。この入り組んだ執筆事情のせいで、マルクスの天才的な「説明能力の高さ」が遺憾なく発揮されています。同じ条件の下でこれだけ明快で深遠な分析記事を書くことのできたジャーナリストが果たしてその時代のアメリカやヨーロッパにいたかを考えてみるとマルクスの偉大さが分かると思います。

4.「マルクスを読めば人々がより賢くなる」とおっしゃいましたが、具代的な事例を挙げていただけますか。

クロード・レヴィ=ストロースは論文を執筆する前に必ずマルクスの著作を書架から取り出して任意の数頁を読んだそうです。そうすると「頭にキックが入る」のです。

この感じは僕にもよくわかります。マルクスを読むと「賢くなる」というより、「脳が活性化する」のです。マルクスの文体の疾走感や比喩の鮮やかさや畳み込むような論証や驚くべき論理の飛躍は独特の「グルーヴ感」をもたらします。マルクスの語りについてゆくだけで頭が熱くなる。いささか不穏当な比喩ですけれど、ロックンロールなんです。マルクスのテクストは。

5.マルクス思想を使って、現代社会における矛盾を解決する事例を挙げていただけますか。


マルクスの理論的枠組みをそのまま機械的に適用して解決できる矛盾などというものはこの世に存在しません。シャーロック・ホームズが難事件を解決した時の推理をそのまま当てはめても次の事件が解決できないのと同じです。ホームズから僕たちが学べるのはその推理の「術理」だけです。

僕たちはマルクスを読んで、広々とした歴史的展望の中で、深い人間性理解に基づいて、複雑な事象を解明することのできる知性が存在するということを知ります。そのような知性がもしここにいて、今のこの歴史的現実を前にしたときに、どういう分析を行い、どういう解を導き出すかということは自分で身銭を切って、自力で想像してみるしかありません。それはマルクスをロールモデルにして自分自身を知的に成熟させてゆくということであって、「マルクス思想を使って」ということではありません。

6.中国の若者たちが学校からマルクス主義に触れ始めています。マルクス生誕200周年を迎える今、中国の学生の皆さんに、または世界の若者たちに送りたいメッセージはありますか。

「マルクス主義に触れる」ということと「マルクスに触れる」と言うことは次元の違うことです。僕たちがこの本で若者たちに向けて語ったのは「マルクスを読もう」であって「マルクス主義を知ろう」とか「マルクス運動にコミットしよう」ということではありません。それもそれで価値ある政治的実践でしょうけれども、僕はマルクスを読むことの意味は「政治的」に限定されないと考えています。若い人たちが知性的・感性的に成熟して、深く豊かな人間理解に至るためにマルクスはきわめてすぐれた「先達」だということを申し上げているだけです。このアドバイスはどの時代のどの国の若者たちに対しても等しく有効だろうと僕は信じています。
http://blog.tatsuru.com/2018/04/28_1006.php


177. 中川隆[-12087] koaQ7Jey 2018年5月06日 17:55:30 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-13378]


罪務省は不公平な税制を変革せよ 超高額所得者に手をつけろ!
https://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/3eeb431e201f8db28b85c0f85031a074
2018年05月06日 世相を斬る あいば達也


以下のレポートは、2016年時点のものだが、現在2018年も、それほどの相違がない。言いたいことは、五千万〜1億円以上の所得のある人への所得税率が低い、と云うだいじな話だ。税の公平性に関する問題と、国のかたちと云う二つの問題が、その国の税制に現れると考えて良いだろう。

現状の税制は、経済成長至上主義における税制であり、いわば、旧通産省的な立ち位置に立脚している。特に、第一次安倍内閣時代の2007年が高額所得者への税負担率がピークを迎えると同時に、その後下降線を描くことになる。それ以降、麻生内閣、民主党内閣、第二次安倍内閣と、あきれるレベルで、高額所得者の税負担率は下がり続けているのが現状だ。

現在の課税では、超高額所得者への課税は、あらゆる側面において、公平性を欠いた税制に守られ、超高額所得者は豚のように太るばかりになっている。まず、累進課税と云う税の体形を、単純累進課税方式から、超過累進税率方式に変えることで、大幅にトータルの税額を免除する方式をとり、超高額所得者を守っている。

その上、その所得税率も、ピークの1962年時点の75%だった所得税率を、1999年には、なんと37%まで引き下げた。さすがに酷すぎると思ったのか、その後、改正が加えられ、現在は所得税の最高税率は45%になっている。しかし、ピーク時の6割であり、且つ、超過累進税率方式なので、実際上の納税額は、ピーク時の半分以下になっているのが現状だ。

このような金持ち優遇な税制の流れは、自由主義経済とグローバル経済と云う二つの側面から、世界的流れに沿って変遷した事情は理解出来る。民間で出来ることは、すべて民営化していくのが正しいというイデオロギー的変革だったが、公共財を民営化する考えは、民営化された企業が“人”である場合には、公正公平に寄与する可能性はあるが、民営化と云うのは、“マネー”という正体不明の妖怪に、公共財を任せるのと同義的である。

ようするに、その国家が、際限なく自由な“マネー”の欲望に、身を任せるべきか、否かの問題である。国の税システムで再配分を行い、社会を維持するのか、“マネー”のなすがままにして、その市場原理によるトリクルダウンで、再配分機能を機動させるかと云う問題だ。市場原理主義的考えが、いかにも成立しそうな時期が、一時あったのは事実だが、“マネー”の正体は移ろうもので、国家が、身を委ねるほど信頼のおける“もの”ではなく、いつまでたっても太ることをやめない、自制心などの欠片もない俗物であることが証明されつつあるのが、現状だろう。

ピケティの21世紀の資本論の著作が、世界的に売れた原因も、自由主義経済、市場原理主義の行きすぎが、グローバル経済化するに従い、国家の喪失と人力では制御不能な世界を迎えることになると気づき始めた人々が多く現れた証左なのだろう。時を同じくする形で、国家統制のもとで、資本主義や市場原理主義を導入した「中国」と云う国のかたちが、独り勝ちする事実を目の当たりにした欧米社会は、それぞれの方法で、1%対99%の国民分断型社会構造に危機をつのらせている。

日本でも、経済成長至上主義に疑問を持つ人々も増えてはきているが、まだ多くの人は、経済成長こそが、すべてを解決してくれるという“呪文”に囚われ人になっているようだ。その国に、自然なかたちで、経済成長の糊代があるのであれば、その考えに問題はない。経済成長と云うものは、その国の人口、餓え具合、開拓すべき場所を有している状況において、自然発生的に起きるものであり、無理矢理、人工的に市場を作りだすことには限界があり、副作用が多い。

我が国で言えば、リニア新幹線、原発新設や再稼働、水道の民営化、オリンピックの誘致と再開発など、人工的に市場を作らざる得ない状況に陥っている。つまり、根本的な成長余力がないのに、何が何でも経済成長が生じそうなものに、無理やり投資を続け、“屋上屋を重ねる”ことでしか、マネーに市場を提供出来なくなった国が選択すべき税制ではなくなっているのが真実だろう。いまこそ、我が国は、国のあり方について、根本的に考えるべき時期が来ているのだと思う。

このような重要な転換期において、些末な憲法改正に血道を上げる政府が出現したことは、まさに、皮肉でしかない。経済成長≒善という考えは、心持ちはいいが、“屋上屋を重ねる”ことでしか市場を提供出来なくなった国なのだから、180度考えを変えていくしかないことに気づくべきなのだが、どうも同調者をメジャーにすることは困難なようだ。定常経済論を繰り広げている学者もいるが、現状は道半ばだ。将来の国のかたちを展望することで、本日のテーマである不公平税制についても、自ずと改革が行われるのは当然だ。


≪所得1億円超だと税負担率はこんなに低い、金持ち優遇の実態

 政府税制調査会の議論が、大詰めを迎えている。報道では配偶者控除の引き上げやビール税の一本化などが注目されているが、実は隠れた重要なテーマがある。それは日本の所得税が金持ち優遇になり過ぎているのではないかという点だ。

 日本の所得税は二つの大きな課題を抱えている。一つは、共働きやパートタイムなど働き方が多様化している今、働き方に影響を与えない税制にいかにリフォームしていくか。もう一つは、格差拡大を是正するために、いかに所得の再配分機能を回復していくか、である。金持ち優遇は後者に関連する。

■所得金額約1億円超から 税負担が軽くなる

 日本の所得税率は現在、5%〜45%まで7段階の累進税となっている。最高税率は45%で、4000万円以上の課税所得に適用される。よく誤解されがちだが、例えば、課税所得が5000万円の場合、丸々5000万円に45%が適用されるのではなく、4000万円を超える1000万円に対して45%の税率が適用される。いわゆる超過累進税率方式を採用している。

 グラフを見ていただきたい。これは分母に所得、分子に所得税を採って、所得税負担率を計算したものだ。対象者は確定申告を行った申告納税者だけで、企業が税金徴収を代行(源泉徴収)しているほとんどの会社員が含まれていないという限定つきながら、大きな傾向を示していると言える。

 グラフの実線が負担率。ひと目で分かるように2013年、2014年とも所得税負担率は1億円近辺をピークに、それ以上稼ぐと徐々に低下していき、100億円以上では13年で11.1%、14年で17%しか負担していない。それはなぜか。

 理由は簡単だ。給与所得や事業所得に対しては、最高税率45%の累進税が適用されるのに対して、株式等譲渡所得(いわゆるキャピタルゲイン)や配当、債券・預金の利子などの金融所得に対しては、20%の軽減税率が適用される「分離課税」となっているためだ。
 このため所得(グラフでは合計所得)に占めるキャピタルゲインの比率が高くなるほど、全体を平均すると負担率が低くなる。グラフの破線が所得に占めるキャピタルゲインの比率を示しているが、超高額所得者ほどキャピタルゲインの占める比率が高く、その結果、負担率が低くなっている。

 負担率が20%を下回る所得層がいるのは、金融所得に対する税率20%の内訳が、所得税15%+住民税5%となっており、国税庁の元データが所得税の15%のみを集計しているため。2013年分では、その15%をも下回る層が存在するのは、2013年末まで10%(所得税7%+住民税3%)と、軽減税率をさらに軽減した税率が適用されていたからだ。

■金融所得課税5%の引き上げで 約1兆円の税収増が見込める

 税率は負担能力に応じて徐々に高くなっていくのが公平だとすれば、この状態は明らかに公平の原則に反しているように見える。ただ、ことはそう単純ではない。

 理由は大きく言って二つある。一つはキャピタルゲインをどう考えるかという問題。株式に対する課税は毎年の含み益(株式を保有したままで利益が出ている状態)に課税されるわけではなく、売却して利益が実現したときに課税される。

 とすると、ある企業が小さいときに投資して、それが10年や20年後に大企業となった結果、売却して大きな利益を得た場合、その一時点だけを捉えて、給与所得並みの高い税率を課すのは公平と言えないという考え方もある。同じようなことは、ベンチャーの経営者が努力してビジネスを成功させて株式の上場にこぎつけ、保有株式を売却した際にも起こる。キャピタルゲインに対する税率を高くし過ぎると、リスクに挑戦する意欲をそぎ、経済全体の活力をそぐことにもなりかねないというわけだ。

 もう一点は、グローバル化し資本が自由に動ける現在の世界では、金融資産に対する投資は「逃げ足が速い」という性質を持っていること。キャピタルゲインに対する税率を上げた結果、投資資金が海外に逃げ出し、かえって税収が減るという可能性もある。実際、G5(英米仏独日)では、フランスを除く4ヵ国が、金融所得に対して分離課税制度を採用しており、事業所得などとは別の税率を適用している。

 一方、キャピタルゲインをもたらす企業の利益も、社会全体からもたれされたものだから、税負担率を上げて社会全体に還元すべきという考えも成り立つ。東京財団の森信茂樹上席研究員の試算によれば、いまの分離課税のままで、金融所得に対する税率を20%から25%に引き上げると、約1兆円の税収増になるという。これを原資に、貧困対策や教育に回すこともできる。社会全体が健康になり教育水準も上がれば、ひいては企業の利益にもプラスになるだろう。

 税の形は、どのような国の形を目指すのかということの具体的な表現であり、民主主義の基本中の基本のテーマである。確かに、金融所得一つをとっても、分離課税がよいのか、どの税率が公平なのかをピンポイントで判断するのは難しい。だが少なくとも専門家任せでなく、納税者である国民が、いまの所得税が金持ち優遇になっているという現状を知る、このことが議論のスタートになる。
≫(「週刊ダイヤモンド」編集委員 原 英次郎)


178. 中川隆[-12123] koaQ7Jey 2018年5月08日 19:49:04 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-13492]

イギリスは全世界の広大な植民地を支配した歴史を持つ国家だった。この国は世界を征服した。その頃、歴史家にして経済学者だったデイビッド・ヒュームが言っていたのはこうだ。

「政府は、国民(被支配者)の屈従を確実にするために、ますます意見を支配することが必要となる」

「統治される者は同意する権利を持つが、それだけである。同意以上の権利はない。人民は観客であることはできるが、参加者にはなれない」

「一般民衆は経済の場からは完全に排除されなければならない。経済の場こそ社会で起きることがおおむね決定される場所だからだ」

誰もが知っていることだが、政治も経済も、ほんの一部の人間が膨大な人数を支配することで成り立っている。

だから、支配に関わっている人たちは、どのように膨大な人間の群れを支配するかを、ずっと考えてきた。

特に18世紀頃の世界中に植民地を持つイギリスにはそれが重要な課題であり、国を左右する大きな問題でもあった。

「国民の意見を支配する」とは、要するに国民の意見を画一化させて、それを統治者の都合の良い方向に導くということだ。

「国民を観客にさせる」というのは、政治で決まる重要な案件に国民を関与させないということだ。観客であることは許すが、参加は許さないということである。

「経済の場」から排除するというのは、金利の上げ下げ、国債の発行権、通貨の供給に関しても関与させないし、必要以上の情報も与えないということだ。

それによって、一見自由に見えて、実は自由でも何でもない「自由主義」という名の欺瞞が生まれている。自由を与えているように見えながら、肝心な情報を隠しているのだから、その自由はもちろん偽りの自由でもある。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2018/05/20180508T0842140900.html


179. 中川隆[-12448] koaQ7Jey 2018年5月14日 10:13:48 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-13960]

2018年5月14日【三橋貴明】忌まわしき税金


6月の骨太の方針2018閣議決定
を前に、「財政目標」関連の
攻防が激しくなってきました。

それにしても、なぜ財務省は
ここまで緊縮財政、特に
「消費税増税」に固執するのでしょうか。

グローバリズムの歴史を辿ると、
何となく理解できています。

グローバリズムあるいは
「新自由主義」の考え方では、税金は

「平等(※公正ではありません)
に徴収するべき」

となっています。

特に、個人や企業が稼いだ所得から
過剰に税金を徴収することを
「悪」とするのです。

というわけで、新自由主義的には税金は

「所得税ゼロ、法人税ゼロ、
税金は人頭税のみ」

が理想なのです。

三橋が東京都立大学
(現、首都大学東京)で経済学の
講義を受けていた際に、教授が、

「人頭税は最も効率が良く、
望ましい税制である」

と、力説していたのを記憶しています。

人頭税とは、文字通り
「一人頭いくら」で
徴収される税金です。

貧困層も超高所得者層も
「同額」の税金を徴収されるわけです。

当たり前ですが、人頭税には
「国内の所得格差是正」といった
概念は一切なく、多数派の
「非・高所得者層」の反発を
受けるため、導入は困難を極めます。

実際、典型的な新自由主義政権で
あったイギリスのサッチャー政権は、
居住する家族の頭数分だけ税金を課す
「コミュニティ・チャージ税」
なる人頭税を導入。

大邸宅に住む一人暮らしよりも、
狭いアパートに住む
子沢山家族の方が、高い税金を
支払う羽目になり、
サッチャー政権の支持率は急落。

退陣に追い込まれました。

というわけで、現代において
人頭税の導入は難しいのです。

だからこそ「消費税」なのではないか。

消費税の場合、何しろ人間は
消費しなければ生きていけないため、
誰もが逃れられません。

また、高所得者も低所得者も、
消費をするたびに「同じ税率」の
税金を徴収されるため、
まことに平等である、
という理屈なのです。

どれだけ所得が高い人でも、
お腹が一杯になれば
それ以上は食べられません。

金持ちが消費を増やす
とはいっても、限界があるのです。

というわけで、高所得者層の
消費性向(所得から消費に回す割合)は
低くなります。

逆に、低所得者層は所得の
ほとんどを消費に使わざるを得ないため、
消費性向は高まります。

つまりは、支払った消費税が
所得に占める割合を比較すると、
低所得者層の方が高所得者層よりも
高くなってしまうのです。

人頭税ほどではありませんが、
消費税もまた「逆累進性」が強い
ことは間違いありません。

消費税は、格差拡大型の税制です。

また、消費税には所得税や
法人税のように、景気を安定化させる
スタビライザー(安定化装置)の
機能がありません。

何しろ、失業者や赤字企業
であっても、消費税は
容赦なく徴収されます。

景気とは無関係に徴収可能
であるため、消費税の
「安定性」は抜群です。

財務省的には、そこ(安定財源)も
魅力なのかも知れません。

消費税は、弱者からも
容赦なく徴収される、
格差拡大型の税金なのです。

97年の消費税増税後の
デフレ環境下において、
日本国民の所得格差は拡大しました。

所得格差拡大に、消費税が
一役買っているのは間違いないと思います。

国民を豊かにする経世済民
という視点から見ると、
そもそも消費税は忌まわしき税金なのです。
https://38news.jp/economy/11933


180. 中川隆[-12658] koaQ7Jey 2018年5月31日 20:21:53 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-14590]
2018.05.31
米国の支配層が平和を望んでいるとは思わない方が安全


 リチャード・ニクソンは1972年2月にアメリカ大統領として中国を訪問した。ニクソン政権で外交や安全保障といった分野を任されていたヘンリー・キッシンジャーは1969年から中国側の首脳と接触しようと試みていた。そうした中、1970年12月にエドガー・スノーが毛沢東中国共産党主席と会うが、そこで中国側はアメリカ大統領の中国訪問を歓迎すると述べている。それを受け、1971年2月にニクソン大統領は外交教書で「中華人民共和国」という正式名称を使い、北京との対話を確立したいと述べた。そしてニクソンの訪中につながったわけだ。


 大統領になった最初の年からニクソンは中国との関係改善を模索、デタント(緊張緩和)を打ち出している。これだけ聞くと平和的な人物のようだが、そう単純ではない。大統領選挙では民主党にとって優位になるベトナム戦争の終結交渉を妨害し、チリでは民主的に選ばれたサルバドール・アジェンデ大統領を倒すために軍事クーデターを実行している。その黒幕もキッシンジャーだった。


 軍事クーデターは1973年9月11日、オーグルト・ピノチェトによって実行される。その際にアジェンデは死亡した。クーデターの目的はアメリカを拠点とする巨大企業の利権を守り、チリを食い物にし続けることにあった。そうした政策にとって邪魔な人々を殺害したり拘束したりしたうえで、シカゴ大学のミルトン・フリードマン教授が展開していた「経済理論」が実践される。新自由主義の導入だ。


 その政策によって富豪や巨大企業の経営者たちは「自由の尊厳」が認められて大儲けできたが、庶民は貧困化する。この政策を指揮したのはシカゴ・ボーイズと呼ばれるフリードマンの弟子たち。ピノチェト体制は輸入を促進するため、ペソを過大に評価させて輸入品の価格を下げている。


 その結果、贅沢な舶来品の消費ブームが起こるのだが、その一方で国産製品は売れなくなり、チリ国内の経済活動は破綻していく。1980年代の後半になると、チリでは人口の45%が貧困ラインの下に転落していたとされている。


 こうしたチリでの実験を肯定的にとらえた学者がフリードリッヒ・フォン・ハイエクで、親しくしていたマーガレット・サッチャー英首相にフリードマン理論を売り込む。このハイエクがフリードマンの「師」だった。サッチャーは1982年のフォークランド戦争で高揚した雰囲気を利用してイギリスに新自由主義を導入、イギリスの庶民も無残なことになる。


 新自由主義とは巨大資本に国を上回る権力を与えるもので、その延長線上にISDS条項を軸とするTPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)はある。世界のファシズム化がその目的だとも言える。


 エリートの利益になるこの政策は中国やソ連にも広がっていく。中国では1976年10月に江青など「四人組」が粛清され、77年に復活したケ小平がそうした流れを促進していく。1980年にはフリードマンが中国を訪問、レッセフェール流の資本主義路線へと導いていった。フリードマン1988年に妻のローザとともに再び中国を訪れ、趙紫陽や江沢民と会談している。


 アメリカでは1989年にジョージ・H・W・ブッシュが大統領に就任しているが、この人物は本ブログで再三書いているようにCIAの非公然オフィサーである可能性が高く、74年から75年にかけて中国駐在特命全権公使を務めている。


 そのブッシュとエール大学時代から親しいと言われているCIAオフィサーのジェームズ・リリーが1989年に中国駐在大使に就任、中国乗取りの総仕上げを目論んだ。その手先と考えられていたのがジョージ・ソロスから資金が流れていたとされている趙紫陽だ。そのほか、NEDなどを通じてCIAの資金が「活動家」へ渡っていた。この目論見はケ小平が同調しなかったことなどから成功していない。


 ソ連でも似たことが行われ、こちらは成功してボリス・エリツィン時代の惨劇につながる。アメリカが示す「和平」に気を許すと最後には裏切られる。ジョン・F・ケネディ大統領は本当に平和な世界を目指したようだが、1963年11月22日に暗殺された。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201805310000/


181. 中川隆[-12699] koaQ7Jey 2018年6月01日 17:05:39 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-14650]

2018.06.01
公的情報を隠し、国民の富を略奪する仕組みを守るのが検察の役割との声


 公文書の改竄や国有地の不適切な価格での売却は起訴に当たらないと大阪地検特捜部は決めたそうだ。公的な情報を公開せず、国民の富を略奪する新自由主義に浸食された日本では当然の結論だという声があがっている。

 庶民から高等教育を受ける権利を奪い、公的な年金や健康保険も廃止の方向へ動いている。そうした政策を具現化したのがISDS条項を軸とするTPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)にほかならない。つまり、この協定を西側の支配層は放棄しないだろう。


 新自由主義で破壊された国は少なくないが、その典型例がボリス・エリツィン時代のロシア。本ブログではすでに書いたことだが、ソ連時代のどこかの時点でKGBの中枢は西側支配層と手を組み、ソ連を解体してエリツィン体制を樹立させた。1970年代からKGBの実質的なトップで、「KGBの頭脳」とも呼ばれたフィリップ・ボブコフも西側と組んだKGBグループに含まれていた。組んだ目的は、言うまでもなく、私利私欲。日本の場合、そうした浸食の歴史は少なくとも明治維新から始まる。ロシアより事態は深刻。


 今回、大阪地検は屁理屈をこねて不起訴を決めたが、鳩山由紀夫首相や小沢一郎を失脚させるため、屁理屈をこねて小沢を起訴する方向へ引っ張った可能性が高い。さすがに検察自体が起訴すると自分たちに傷がつくような話だったので検察審査会を使ったと見る人はすくなくない。審査会に疑惑の目が向けられていた。


 その後、審理が進む中で虚偽の調書や捜査報告書が作成されていたことが判明する。通常は作成しないらしい捜査報告書をわざわざ作ったこと自体不自然なのだが、その報告書も事実に反する内容。検察審査会を騙して小沢議員を起訴、つまり裁判で縛り付けるために検察官が仕組んだと思われても仕方がない。検察官の個人的な判断だったのか、あるいは組織の意向が反映されているのかは不明。そこまでメスは入れられなかった。


 財務省の問題も検察が安倍晋三政権の意向を忖度したわけではないだろう。政権にそれだけの力がないことは鳩山政権で何が起こったかを考えればわかる。


 かつて、日本には田中角栄という絶大な力を持つ政治家がいた。その田中に関するスキャンダル攻勢が1974年から激しくなる。その幕開けは「文藝春秋」誌の同年11月号に掲載された立花隆の「田中角栄研究」と児玉隆也の「淋しき越山会の女王」。その2年後、アメリカ上院の多国籍企業小委員会で明るみ出たロッキード社による国際的な買収事件で田中の名前が浮上し、その年の7月には受託収賄などの疑いで逮捕された。事件が発覚する切っ掛けは小委員会へ送られてきた資料だった。委員会が仕掛けたのではなく、資料を送った人物、あるいは組織が仕掛けたのだ。


 田中が逮捕される何カ月か前、アメリカで発行されていた高額のニュースレターに田中の逮捕が決まったとする記事が載ったと言われている。それを某財界人から知らされた人物が目白の田中邸を訪れて取材したところ、田中は検察も警察も押されているから大丈夫だと楽観していたという。が、実際は逮捕された。


 ロッキードによる賄賂工作の暴露はジョン・マックロイの調査から始まっている。アンゴラで革命が起こった後、アメリカ支配層は「制裁」に出るのだが、それを無視する形でガルフ石油はビジネスを継続しようとし、それに怒った支配層の意向でマックロイは動いたと言われている。その延長線上にロッキード事件もあるというのだ。このマックロイはウォール街の大物で、第2次世界大戦後、世界銀行の総裁を経てドイツの高等弁務官を務め、高等弁務官時代にはナチスの大物を守ったことでも知られている。


 ただ、起訴だけでは田中を完全に潰すことができず、中曽根康弘が首相になったときにマスコミは「田中曽根」と揶揄していた。こう呼ばれた最大の理由は中曽根政権に官房長官として田中の懐刀と言われた後藤田正晴が入ったからだが、これはスキャンダルで後藤田を失脚させることに失敗したからだった可能性が高い。その年、警察を揺るがすスキャンダルが発覚していた。政界の事情に詳しかった某氏によると、中曽根政権の実態は「岸影」。そこに田中の懐刀が監視役として入ったのだという。


 いずれにしろ、検察に何か「社会正義」的なことを期待するのは間違っている。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201806010000/


182. 中川隆[-12771] koaQ7Jey 2018年6月02日 18:07:28 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-14761]

2018年06月02日
日本の対外資産1千兆円 国内に投資が必要

これだけの金が国内で投資されず、海外で投資されたとも言える
日本の対外純資産(対外資産ー対外負債)推移20171101-620x349
画像引用:大切なのはおカネじゃない2017/11/09 http://ryusuke-m.jp/

対外投資は大幅に拡大

財務省の5月25日発表によると、日本の対外資産が初めて1千兆円を超え、対外純資産は328兆円だった。

対外純資産328兆円は中国を上回り3年連続世界一だが、金額では3年連続で減少している。

対外資産は1012兆4310億円で前年より26兆円増加し、内訳では企業買収や工場建設などの直接投資が19兆円増えた。



対外資産が増えたことは日本にとって良い事なのか、悪いことなのかは議論がある。

日本企業や個人が海外で会社を買収したり土地を買ったり、政府が外国に援助や融資すると、海外資産は増えます。

確かにこれは日本の資産が増えて、お金持ちになったのだが、別の見方もできる、


本来日本国内に投資されるべきだったお金が、海外に流出して外国は経済成長し、その分日本の成長率は鈍化するからです。

例えば対外資産のうち100兆円が海外ではなく国内で投資されていたら、それだけでGDPの20%にも匹敵します。

見方を変えると日本は外国に投資するよりも、国内に投資していたほうが、より豊かになれた。

日本は国内で投資すれば豊かになる

逆に日本から投資された国から見ると、日本に借金したことになり、対外債務が増加して貧しくなります。

だが日本が投資したお金で工場を建てたりインフラ整備したりするので、受け入れた金額分の経済成長がおきます。

日本は対外資産を増やす変わりに自国には投資せず、相手国は対外債務を増やす変わりに経済成長します。


どちらが得をするかと言えば、日本が投資した相手国の方がより得をするのです。

相手国は日本に金利をつけて借金を返済したり、配当や利益を支払うが、それ以上に経済成長しています。

日本の対外資産はバブル崩壊後の1990年代から急増しましたが、対外資産は増えたのに、経済はうまく行かなくなりました。


この理由は日本人のお金が国内で投資されずに外国で投資されたからで、日本人が豊かになるには国内で投資しなくてはなりません。

M&Aの大型買収は企業に利益をもたらしますが、投資するのは外国に対してなので、日本人は豊かになりません。

反対に外国が日本に投資すると、日本の対外債務になって日本の純資産が減り、一見すると貧しくなります。


だが相手国が日本に投資したお金で日本は経済成長し、GDPは増えて国民所得も増えます。

どちらかというと日本は外国への投資に精を出すよりも、外国からの投資を積極的に受け入れたほうが良い。
http://www.thutmosev.com/archives/76323986.html


183. 中川隆[-13024] koaQ7Jey 2018年6月13日 09:23:35 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-15310]
「努力しても報われない」世界がある

私は「必死で働く人は報われる」と頑なに思い込んでいた。

「怠惰な人が運だけで豊かになって、必死で努力している人が報われないのは、正義ではないし、残酷だ」という考え方が、ずっとこびりついて離れなかったからだ。

私は自覚していなかったが、それは日本の教育の成果だったのだ。「必死に努力すれば道は拓ける」というのは、今も昔も学校教育の基礎だ。

本当は、人間ひとりひとりに能力があって、生まれつき頭の良い子供もいれば、どう努力しても能力の足りない子供もいる。この差は、生まれつきのものなので埋めがたいものがある。

しかし、学校教育は駄目な子供も面倒を見なければならないし、彼らをある程度「向上」させなければならない。そこで、学校は「必死に努力すれば道は拓ける」と教えることになる。

子供たちは、自分が勉強ができないのは「生まれつきではなく努力が足りないから」だと教育される。

自分を客観的に見つめられる子供は「ひょっとして自分は頭が悪いのか?」と冷静に思うのだが、教育はそれを認めず「努力が足りない」と言って「本当にできない子」を勉強に駆り立てていく。

本当は能力は人によってバラバラで、その差は決して埋まることはないのだが、「努力すれば報われる」と思い込まされるのである。

私も日本の教育を受けてきたので、無意識に「努力すれば報われる」という現実的ではない哲学が身についていた。

しかし、東南アジアで必死で生きている人たちを見て、気付いてしまったのである。必死で働き、必死で努力している人が報われるのであれば、なぜ彼らが報われないのか……。

現実を客観的に分析すると、努力など「何ひとつ」していない私の方が彼らよりも経済的余裕があった。日本に生まれて、なおかつ時代がバブルだったという僥倖があったからだ。

私はたまたま日本の良い時代に生まれていた。努力はまったく関係なかったし、私に持って生まれた特別な才能があったわけでもない。

私は愚かではないが天才でもない。本当に普通の人間だった。日本という国は素晴らしかったが、私自身は語るべきものは何もなかった。

それなのに、私は必死で生きようともがいている人たちよりも圧倒的に恵まれていた。

「努力すれば報われる」というのであれば、これは不可解な現実だ。「もしかすると、努力しても報われない」のが現実なのではないか、と私はうっすらと思うようになっていった。


とどめになったのは、カンボジアの売春地帯にいた女性たちと付き合うようになってからだ。

彼女たちは、もう生まれたときから家が貧しく、教育もなく、計算もできず、身体を売るしか生きる方法がなかった。

そんな中で売春宿のオーナーに搾取され、乱暴な客に罵られ、這い上がることなど到底不可能な世界の中でもがいていた。

「努力したら報われる」どころの話ではない。あまりにも極限の底辺に堕ちると、足りないものが多すぎて必死で働いても浮かばれないのである。

借金もある。計算できないから売春宿のオーナーからピンハネされ放題だ。抜け出しても、字も書けず、計算もできないから普通の職業に就けない。教育を受けるにも金が要るが、そんな金もない。今を生きなければならない。

そんな世界で「努力したら報われる」など、きれい事でしかなかった。しかも、途上国で必死で働いても、先進国のアルバイトの時給にも負ける。時間が経てば経つほど差が開いていく。

先進国で生まれるか途上国で生まれるかは、それこそ運でしかない。富裕層で生まれるか貧困層で生まれるかも運だ。いろいろな環境が本人の努力を超えた部分で決まり、人生が左右される。

もし私がカンボジアの底辺で生まれていたら。あるいは、インドの低カーストで生まれていたら……。

私が生まれた国と時代が悪ければ、「一匹狼だ、野良犬だ、ハイエナだ」と斜に構えて生きることなど到底できなかった。必死で働いても何も得られず、社会に押しつぶされながら生きていたはずだ。

「努力しても報われない」世界があるのだ。
https://blackasia.net/?p=7713


184. 中川隆[-13554] koaQ7Jey 2018年6月25日 06:14:04 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-16141]

新・日本の階級社会 (講談社現代新書) 橋本 健二
https://www.amazon.co.jp/%E6%96%B0%E3%83%BB%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E9%9A%8E%E7%B4%9A%E7%A4%BE%E4%BC%9A-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E6%A9%8B%E6%9C%AC-%E5%81%A5%E4%BA%8C/dp/4062884615

新・階級社会をブッタ斬る 安倍政権で1000万人! アンダークラスの衝撃 倉重篤郎のサンデー時評
https://mainichi.jp/sunday/articles/20180619/org/00m/070/003000d
https://blog.goo.ne.jp/owarano51/e/c7624749a70eae4b645c05fb87ddedb1
2018年6月20日 サンデー毎日 おはら野のブログ

倉重篤郎・本紙専門編集委員

▼いまや「就業人口の15%」がアンダークラス

▼急増する「生活保護予備軍」

男性未婚率が7割近い

「働き方改革関連法案」が衆院本会議で可決された。法案には格差是正が大きな目的として謳われているが、現実には安倍政権下の日本は「新・階級社会」を形成しつつある。平均年収186万円以下の「アンダークラス」が15%を占めるというこの国の衝撃的な実態を、橋本健二・早稲田大教授に聞く。

 噴飯物の森友・加計(かけ)問題。蚊帳の外でもがく外交。出口なしの異次元緩和……。安倍晋三首相統治下の政治には悉(ことごと)く批判的な目を向けてきたつもりだが、日本の経済社会構造のある変化には、鈍感であった。

 それは格差問題である。薄々は気付いていたものの、その社会問題としての深刻さを顧慮することなしに通り過ぎてきた。それが、『新・日本の階級社会』(講談社現代新書、2018年1月)という書と出合い、認識を新たにした。

 少し前までは総中流化と言われた日本社会が、かくまでに激しく階層分化していたとは知らなかった。しかも、そこにはアンダークラス(階級以下)という、一生非正規労働を続け、結婚もままならず、老いては生活保護を受けることが確実な最底辺の新しい階級が1000万人規模で誕生していたとは。

 今年はマルクス生誕200年でもある。そのマルクスが発見したのがプロレタリアートだった。勃興しつつある資本主義社会の中で、生産手段を持たず自らの労働力を売るだけでひたすら搾取される賃金労働者階級をそう命名したわけだが、アンダークラスは見方によっては、さらにその下に位置する新階級ともいえる。安倍政権下の日本の変貌を見据えるうえで、こういった社会構造分析は不可欠ではないだろうか。

 現代資本主義が作り出した、マルクスの想定をも超えた新たな階級の出現。そこにいち早く気づき、実態を学問的に定量分析し、日本社会に与える負の影響について警告を発しているのが、前掲書の著者、橋本健二・早稲田大教授(59)である。さっそく話を聞いてみた。

「新中間階級」が総崩れになる

 この本は難しい統計本だが、よく売れている。

「1月に初版を出して6刷、6万5000部です。この手の本では珍しい、と言われる。調べると、東京・大手町や日本橋の書店で売れた。大企業の大卒サラリーマンが買っているようだ。日経と朝日にやや大きめの広告を載せた。朝日ではあんまり反応がなかったが、日経に出て爆発的に売れた。アマゾンの全カテゴリーでベスト10入りし、2時間で在庫が売り切れた、という」

 日経購読者というサラリーマン心理に訴えた。その心は?

「不安なんでしょう」

 なぜ? 彼らはあなたが分類するところの新中間階級、正規労働者の上の階級だ。

「今はそうだが、いずれリストラされて非正規になるかもしれない。一流企業のサラリーマンが50代後半でリストラされ、マンションや駐車場の管理人をやっているケースはざらにある。自分の子供も心配だ、アンダークラスになるんじゃないかと」

 橋本氏が社会学者としてユニークなのは、座学だけではない点だ。街や居酒屋を愛し、そこでの社会観察を学問の糧にしている。『居酒屋ほろ酔い考現学』(毎日新聞出版)という著作まである。さまざまな階層の人々が出入りして、本音の姿をさらす居酒屋にも階層分化のヒントがあった。

「あちこち通ってみてわかったことは、居酒屋が随分短期間に序列化されたことです。高級店から立ち飲みまで階層分割された。かつて総中流社会と呼ばれていた時代に普通のサラリーマンが行ったような業態、つまり、スナックとか小料理屋とかが、ほとんど壊滅状態となり、高級店か大衆酒場に分かれてしまった」

 なるほど階級社会の進展は、居酒屋文化をも変えた。ちなみに、今回の取材も橋本氏行きつけの池袋の居酒屋で行った。

 それはそれとして、なぜ今、階級論なのか。

「元々マルクス主義系の理論で階層論、階級論を研究してきた。階級という言葉には理念先行的イメージがあるので、それを実証的データで補強したかった。ただ、方法論が難しく、米国の研究者のやり方などを参考に試行錯誤、大学院のドクターを出る時に何とか手法を確立した」

 階級とは、マルクス主義の洗礼を受けた世代には懐かしい用語だが、今の時代には敬遠されるのでは?

「1980年代に論文をいくつか書いたが、当時は1億総中流社会と言われており、そんなに注目されなかった。変わったのが90年代の終わりごろ。格差が注目され、何冊か本を書いた。世紀が変わり、小泉純一郎政権下で非正規労働者が増え、2006年に『格差社会』が新語・流行語大賞でトップテン入りし、講演や執筆依頼がさらに増えた。ただ、それも11年の東日本大震災でピタッと止まった。格差などと贅沢(ぜいたく)言うな、という風潮となった」

   ×  ×  ×

 そして今回の本の爆発的な売れ行き。安倍政権下で格差が一層拡大したこともあろうが、アンダークラスという新階級の出現を学問的に精緻に分析したことが、ショックと反響を呼んだのではないか。

 ここで簡単なおさらいをしておく。

 日本社会は五つの階級、つまり資本家階級(経営者・役員)、新中間階級(被雇用の管理職・専門職・上級事務職)、正規労働者、旧中間階級(自営業者・家族従業者)、そしてアンダークラス(パート主婦を除く非正規労働者)に分かれる。

 全般的に階級の固定化が進んでいると。

「資本家階級がそうだ。経済の成長力が弱くなり、新規事業を始めるのが難しくなった。技術革新で初期投資もかかる。となると、親が経営者でないと経営者にはなれなくなる。一方で、新中間階級は違う。大卒サラリーマンの子供がフリーター化する流れも出てきた」

 この著作のすごいところは、さまざまな公的統計を駆使して、すべてを定量分析し切っているところである。それによると、アンダークラスは、現時点では929万人と就業人口の14・9%を占める。02年691万人、07年847万人で、5階級の中で唯一激増を続けている。年金が受給できる60歳以上を除くと、平均個人年収は186万円と極端に低く、貧困率は38・7%とこれまた極端に高い。際立った特徴は、男性の未婚率が高く(66・4%)、女性に離死別者が多いことだ。

 アンダークラスはいつ出現した?

「1990年前後だ。80年代後半のバブル時代にフリーターが増えた。景気は良かったが、石油ショックの教訓から企業が正社員を抑制、非正規を意図的に増やした。雇われる側も好景気なので気にしなかった。その後も就職氷河期、リーマン・ショックと景気変動の波はあったが、毎年10万人から30万人くらいの若者が非正規になっていった。人生の一時期の非正規ではなく、人生の大半が非正規という全く新しい階級、アンダークラスの誕生だ。87年の時のフリーターが今は50歳代。元フリーターの中高年と現役フリーターとひっくるめての命名だ。そこには、夫と離死別して非正規で働く元主婦たちも入ってくる」

 なぜ非正規が固定化?

「かつて非正規は景気の調整弁とされ、景気がいい時には減って、悪い時には増えるといわれたが、近年の統計によると、景気変動と非正規の数は連動しなくなっている。景気の良し悪(あ)しに関係なく、企業は一定数の非正規を使うことで経営を成り立たせている。例えば、飲食業だと7〜8割、製造業だと3割くらい非正規化し、収益確保することがビルトインされている。全くの固定費用だ」

「肉体的生存」だけがぎりぎり可能

 先進国共通の現象か?

「欧州でも非正規は多いが、同一労働同一賃金で、日本ほど給与格差はない。日本企業特有の問題として人材活用能力の低下がある。人を育てられなくなっている。高度成長期の日本は、経営者はそんなに給料をもらってなかったし社員間の給料格差もなかった。それでもみんなで一生懸命頑張ることができた。人材活用がうまくいっていたからだ。今や経営者は億単位の報酬を与えないと仕事をしない」

 アンダークラスには大卒者もいる?

「大学中退者と高卒者に多いが、2000年代前半の大学生の就職率が6割を切っていた就職氷河期には、大卒者でありながら非正規になった人も多い」

 なぜアンダークラスと命名?

「アンダークラスには中年も多く、離死別したシングルマザーも入るから、フリーター(非正規の15歳から34歳の若者)としては括(くく)れない。『下層階級』では中小企業の正社員労働者も入る。『ロウアークラス』だと職人、農民が入る。そういった階層分類と差別化する必要があったし、この30年で新しくできあがった階級として、非常に不安定で貧困な人たちを総称するには『アンダークラス』と言うしかなかった。あえて訳せば『階級以下』だ」

 その最大の特徴は?

「結婚できない、ということ。マルクスの考えからいうと、労働者階級は下層階級だが、労働力を再生産するだけの賃金はもらう。彼らは家庭を持ち子孫を作った。そうしないと資本主義は滅びる。ただ、アンダークラスの人たちは、労働力を再生産するための十分な賃金ももらっていない。自分一人の肉体的生存はぎりぎり可能だが、家庭を作って子供を産み育てるまでには至っていない。勉強して技能を向上、そこから抜け出すこともできない。つまり次世代の労働者を再生産できない。生物種としての条件を欠いている。生物以下、生かさず殺さずだ」

 プロレタリアート以下?

「少なくとも労働者以下だ。生存権をはじめとする人権が十分に保障されていないこと自体が問題だ」

 加えて社会的にも大きな損失があり、また社会保障のコストも甚大だと。

「人材活用ができていない。貧しい家の子は大学に入れない。本来持っているはずの才能を磨き発揮できる場を持てない。非正規は使い捨てだから、企業が人材開発投資の対象にしない。だからますます育たない。そうやって低賃金のままに置かれてきた人たちが65歳になると、ほぼ間違いなく生活保護受給者になる。そのコストは数十兆円だ」

「健康状態が良くない人が多いから医療費もかかる。社会全体の健康レベルも下がる。自殺も多くなる」

「格差拡大で利害対立が起こりやすくなり、社会不安も懸念される。偏見を持ってはいけないが、生活苦で犯罪を犯す人が増えることも予想される。現に高齢者の万引きが増えている」

 ファシズムの温床にも?

「ネトウヨ、ヘイトは必ずしもアンダークラスの人たちではない。だが、最底辺の社会基盤として常に社会に対する不満を抱え、低賃金の外国人労働者らと競合しているのは事実で、頭のいいエリート右翼がアンダークラスをたきつけて動かすことはありうる。オレたちに金よこせ、外国人出ていけ、となる。まさにナチスの支持基盤と一緒だ」

 この先はどう予測?

「フリーター第1世代が今50歳前後だ。彼らが65歳まで働くとすると、あと15年は先述の毎年10万人から30万人規模でアンダークラス層が増え、現在が約900万人だから1100万〜1200万人に膨張する計算だ。その段階で出と入りが均衡するだろう」

人類史上になかった異常な社会

 新たにアンダークラス化するのはどういう人々か?

「アンダークラスは子供を持てないので一代限りの人が多い。正規労働者階級や新中間階級の子供が流れ込まないと、企業に必要な非正規枠が維持できない。実際流れ込んできている」

 1200万人といえば就業人口の2割を占める。一大階級になる。

「アンダークラスと他の4階級という対立図式が鮮明になり社会の分裂がますます激しくなる。これほど多くの人たちが貧しいために結婚もできないという社会は異常だ。人類史上かつてなかったディストピア(ユートピアの対極)だ。若者の貧困はさまざまな文化が継承者を失うことでもある」

 聞くほどに深刻な問題だ。

「アンダークラスという階級の大きな塊(かたまり)があって、固定化して脱出できない。それが今の日本社会に深刻な問題を撒(ま)き続けている。果たして為政者や国民にどれだけ理解されているか」

 確かに安倍政権の認識も薄く、無策のままアンダークラス層が拡大していく一方だ。まずは実態調査を徹底し、どう救済していくかを考えるべき時だ。かのマルクスは「共産党宣言」でプロレタリアートに団結と改革の原動力になることを求めた。今のアンダークラスにそのパワーは?

「ない。彼らには時間も情報もない。新聞も読まないし投票にも行かない。ある程度余裕のある新中間階級層が軸になり、各階級のリベラル派が合同して対処するしかない」

「現状では彼らを組織する政党はないが、これからは無視できなくなるのではないか。野党も所得再分配について国民の理解を求め、問題提起していく姿勢が必要だ。政治腐敗の追及も大事だが、政治にしか解決できないこういった構造問題にも切り込んでほしい」

 橋本氏は具体的な処方箋にも触れた。最低賃金の引き上げなど賃金格差の縮小、累進課税の強化、相続税率の引き上げ、資産税の導入など所得再配分政策の推進、そして、こういう時に必ず出てくる自己責任論に対する反論だ。

 曰(いわ)く。「自己責任論の立場で格差拡大を容認すると、先述したように社会全体の状況が悪化する。自己責任論者は、悪化した状態、壊れた社会を自分の責任として引き受けなければならない。それができますか」

 万国の労働者よ。否、万党の指導者よ。安倍首相よ。かつての若者のみならず、今の若者にも手を差し伸べよ。このままでは美しい日本も立ち行かぬ。右も左も関係ない。日本という国家の持続可能性の問題だ。

はしもと・けんじ
 1959年生まれ。社会学者。早稲田大教授。「階級」という切り口で日本社会の構造的な問題を明らかにしている。著書に『「格差」の戦後史』『階級都市』ほか


185. 中川隆[-13463] koaQ7Jey 2018年7月13日 05:44:03 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-16528]

新・日本の階級社会 (講談社現代新書) – 2018/1/18
橋本 健二 (著)
https://www.amazon.co.jp/%E6%96%B0%E3%83%BB%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E9%9A%8E%E7%B4%9A%E7%A4%BE%E4%BC%9A-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E6%A9%8B%E6%9C%AC-%E5%81%A5%E4%BA%8C/dp/4062884615


あなたはどの階級? 「格差社会」から「階級社会」に落ちる日本
亀井洋志 2018.7.12 07:00週刊朝日
https://dot.asahi.com/wa/2018071100016.html?page=1


企業に手厚く、労働者に冷淡。経済3団体共催のパーティーに出席した安倍首相 (c)朝日新聞社



 安倍政権は6月末、働き方改革関連法を成立させた。非正規労働者の待遇改善のため、「同一労働同一賃金」を掲げる一方で、長時間労働を助長する「高度プロフェッショナル制度」を押し込んだ。だが、働く人の格差拡大に歯止めがかけられず、新・カースト社会が到来していた。

【ピラミッド図で見る】あなたはどの階級?資本家階級〜アンダークラスに分類された新・カースト社会とは?
https://dot.asahi.com/print_image/index.html?photo=2018071100016_2

*  *  *

 穏やかな表情とは裏腹に、口を衝いて出る言葉は重たいものだった。

「野垂れ死ぬ覚悟はできています。預貯金はゼロ、年金や国民健康保険の保険料も払えない。病気になったときにどうするか。いまは、老後の不安も直視しないようにしている。考えるとうつになってしまうからです」

 東京都練馬区在住の藤野雅己さん(49)は現在、引っ越し業の日雇い労働をしている。このほか、大工の業務請負の仕事が不定期に入ってくる。それでも月収は、平均して20万円前後にしかならない。以前は30万円以上稼いでいたこともある。朝6時に自宅を出て引っ越しの仕事に向かい、その後、建設現場で深夜まで働いた。月に40件もの仕事を掛け持ちして、毎日の睡眠時間が3、4時間だったことも。体はとうに悲鳴を上げていた。藤野さんが続ける。

「引っ越し業者のトラックに乗るとき、血圧チェックがあるのですが、いつも上は170くらいあります。片頭痛に悩まされ、痛風の発作もたびたび起きています。保険証がないから病院にかかれませんが、派遣労働者は仕事をいくつも掛け持ちし、無理してでも働かないと生活できないのです」

 藤野さんはもともと東京の新宿や銀座などで、バーテンダーとして働いていた。店に正社員として雇用され収入は安定していたが、15年前にうつ病を患って辞めた。以来、派遣の肉体労働に従事するようになった。

「引っ越しの仕事も長くなり、若い正社員に仕事の段取りを教えることもあります。それでも、賃金は正社員のほうがずっと上。やりきれなくなります」

 非正規社員の賃金は正社員の6割程度にとどめられており、ワーキングプアの問題が露見して久しい。かつて、日本は「一億総中流」の社会であると、人々は信じて疑わなかった。だが、オイルショックで高度経済成長が終わりを告げ、「中流」意識は解体。1980年代初頭から格差の兆しが見え始める。80年代後半のバブル期からは、新卒ですぐには就職せず、フリーターになって非正規で働く若者が増えていった。バブル崩壊とその後の就職氷河期を経て、いつのまにか正社員が激減した世の中になっていた──。

近年、富裕層と貧困層の格差がますます拡大し、二極化が急速に進んでいる。「格差社会」が流行語になったのは、小泉政権下の2006年のことだ。だが、格差社会に目を背け続けた結果、さらに苛酷な「階級社会」が形成されているというのだ。

 しかも、貧困問題を放置したため、生活水準が極端に低い“アンダークラス”という階級が一つの塊となっていったのである。家計補助的に働くパート主婦を除いて、派遣社員やアルバイト、パートの単身女性など非正規労働者によって構成される。職種は下級事務職やサービス業、清掃員、工場や建設現場などで単純作業に就いている。

『新・日本の階級社会』(講談社現代新書)でアンダークラスの出現を指摘した、早稲田大学人間科学学術院の橋本健二教授が説明する。

「アンダークラスは本来、資本主義社会の最下層である労働者階級の一部のはずですが、正社員と非正規労働者に分裂して両者の格差が大きくなっています。正社員と比べてきわめて低賃金に抑えられ、貧困状態に置かれている人々です。従って、非正規労働者を“階級以下”の存在として位置づけざるを得なくなったというのが現状です」

 現代日本の階級は、「資本家階級(従業員5人以上の企業経営者・役員)」「新中間階級(管理職、医者や弁護士など専門職)」「労働者階級(正規労働者)」「アンダークラス」「旧中間階級(自営業者、農業など)」に5分類される。資本家階級の個人の平均年収が604万円と意外と低いが、小零細企業の経営者が大部分を占めることが理由の一つ。従業員30人以上に限れば861万円に跳ね上がるという。

 特筆すべきは、やはりアンダークラスの生活水準の低さだ。15年の個人の平均年収は186万円で、正規労働者の370万円の約半分しかない。所得が国民の平均値の半分に満たない人の割合である「貧困率」も38.7%と極端に高い。男性は既婚者が少なく、女性は夫と離死別した人が多い。未婚者が男性66.4%、女性56.1%と他の階級と比較してずば抜けて高い。アンダークラスは92年393万人、02年710万人、15年時点で929万人と右肩上がりで増え続け、就業人口の14.9%を占める。労働者の3人に1人が非正規で、いまや新たな階層をなしている。橋本氏が語る。

「アンダークラスの労働時間は週平均36時間で、意外と長い。実際に分布を見ると過半数は40時間以上で正社員(44.5時間)並みに働いている。それで年収がようやく186万円です。自分一人がぎりぎり生活するのに精いっぱいで、結婚して子どもを産み育てることは困難です。アンダークラスになるのは、高校や大学を中退してドロップアウトする若者もいれば、親が貧困で進学の機会が奪われるケースもある。いじめや不登校の経験もアンダークラスに結びつきやすい」

 底辺労働の形態もすっかり様変わりした。『ぐにゃり東京 アンダークラスの漂流地図』などの著書がある、エッセイストの平井玄氏はこう話す。

「貧困のあり方は時代によって変遷します。これまで都市労働者の最底辺は東京の山谷や、大阪の釜ケ崎など寄せ場の日雇い労働者でした。それでも彼らはとび職を花形に建設現場で働き、『あのビルは俺が建てた』と言える意地と誇りを持っていました。ところが、現在のアンダークラスは昔の下層労働者と比較してもさらに異質な存在です。工場で働いていてもマニュアル化されて、何の部品を作らされているのかもわからない。労働そのものが苦痛でしかない階級といえるのではないでしょうか」

(本誌・亀井洋志)

※週刊朝日  2018年7月20日号より抜粋


186. 中川隆[-13929] koaQ7Jey 2018年7月24日 07:50:41 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-17287]

グローバル化と多文化共生の「強制」は社会を混乱と破壊に導くのだ │ ダークネス:鈴木傾城
https://bllackz.com/?p=514


インターネットとグローバル化と多文化共生の「頭の中がお花畑の理想主義」が現実に生み出したもの。それは、社会に対する強烈な対立と不満と憎悪だった。

グローバル化を推進し、多文化共生を「強制」させたのはエリートとエスタブリッシュメントである。彼らはそこから莫大な儲けを手にする。そのため、グローバリズムを心から愛している。

しかし、こうしたエリートやエスタブリッシュメントは、人口から見るとほんの1%に過ぎない。残りは非エリートであり、グローバル化した社会の中で支配される側の階級だ。

その支配される側の人々は、別に今の社会を心から愛しているわけでもない。グローバル化によって恩恵を受けているわけはない。

むしろ彼らは社会の底辺に押し込まれ、エリートに歯車扱いや使い捨てにされて怨嗟を抱き、ブラックな仕事を強制されて不満が鬱積し、低賃金で怒りが爆発しそうになっている。

エスタブリッシュメントにとっては企業を成長させ、利益を生み出すためにグローバル化は非常に大切な動きだが、労働者にとってはそんなものはどうでもいい。

むしろ、グローバル化は支配される側の労働者にとっては敵である。なぜか。


187. 中川隆[-13900] koaQ7Jey 2018年7月25日 14:45:27 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-17311]

腐敗したエリートの更なるウソ
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2018/07/post-6cc5.html
2018年7月25日 マスコミに載らない海外記事


2018年7月23日 彼らを信じてはいけない Paul Craig Roberts

 20年間、アメリカの雇用をアジアやメキシコに海外移転してきたことで、何千万人ものアメリカ国民の仕事や収入、州や地方自治体の年金税基盤、社会保障やメディケア用の連邦税基盤や、かつてはアメリカ合州国の特徴だった機会に満ちた社会が破壊された。

 アメリカ国民とアメリカ経済を犠牲にして、アメリカ人労働者を外国人労働者に置き換えた結果としての企業利益の増加で、企業幹部や取締役会、ヘッジ・ファンド、大株主やウオール街が、儲ける恩恵を得た。

 資本家の強欲のために政治家がおかした大きな過ち、金融規制緩和に起因する2008年の金融危機からの回復とされるもの以来の経済成長率の低さは、もっぱらインフレの過小評価に基づいている。アメリカ人は、十年間何のインフレにも苦しんでいないとされているが、何か買い物をする人なら誰でも、それはウソだと知っている。雇用の海外移転がもたらしたものは、アメリカ経済を駆動していた、生産性を元にしたアメリカ消費購買力成長の破壊だ。要するに、目先のことしか考えない執行役員や、取締役会やウオール街が、アメリカの総需要を損ねたのだ。

 無能なアラン・グリーンスパン指揮下の腐敗した連邦準備金制度理事会が、無くなった消費者所得増加の代わりに、消費者の負債を増加させた。これは消費者がこれ以上の借金を抱えられなくなるまでは機能する。後続の連邦準備金制度理事会議長は、金融資産の価格に何兆ドルも注ぎこむことで、砂上の楼閣を倒さないよう維持している。

 私の現役時代、このような連邦準備金制度理事会の不適切な振る舞いは重大な犯罪と見なされていた可能性が高い。連邦準備金制度理事会議長は、おそらく逮捕され、裁判にかけられていたはずだ。アメリカ国民を犠牲にして、五つの銀行を救済したかどで、少なくとも、辞任を強いられていたはずだ。

 何もなされなかったので、現在、金融資産の価格は、連邦準備金制度理事会と、その共犯者、日本銀行、EU中央銀行と、イングランド銀行が印刷する紙幣に基づいている。世界中での金融犯罪だ。

 状況は途方もなく悪いが、更に悪化しようとしている。無頓着なアメリカ人に、雇用の海外移転は、アメリカ人に、より多くの、より良い仕事をもたらすと言っていた全く同じ利己的エリート連中が、今度は、ロボットについて、同じことを言っている。

 会計事務所プライスウォーターハウスクーパースが、ロボットは、仕事を破壊するより、より多くの新しい仕事を、仕事から追われたアメリカ人のために生み出すという“研究”を発表するため、誰かに雇われた。雇用の海外移転で同じ結果が得られると、果てし無く繰り返したのと同様、このウソを、新自由主義経済学者や経済マスコミが果てし無く繰り返すことになる。

 製造業とソフトウエア・エンジニアリングのような専門技能職を失ったあと、看護士など一部の仕事は、アメリカ人看護士が不足しているという偽りの主張で、就労ビザで看護士を外国から呼んで穴埋めできるとは言え、国内サービス業で、海外移転が不可能な仕事をロボットは攻撃するのだ。長年、私が雇用統計について報じるようになって以来、国内サービス業雇用は、およそ90%あるいは、それ以上の新規雇用を占めている。今、アメリカ人は、多くの国内サービス雇用を、ロボットに奪われようとしているのだ。

 今やアメリカ雇用の大半を占める国内サービス業の仕事をするようプログラムするのに、必ずしも人工知能は必要ではない。しかも、今のレベルのロボットは、仕事をする負担を、顧客に押しつけている。疑念をお持ちであれば、最近、サービス・プロバイダーと連絡しようとした時の経験をお考え願いたい。

 人々は、その意味をなくされつつある。間もなく、人々は自動車の運転方法もわからなくなり、自動運転車がその機能を人々から奪い去る。ビデオ画面でプロパガンダに洗脳されながら、無頓着な人間が車の中に座っていることになる。人々は人間としての存在を経験するのを停止し、全員消耗品になる。

 彼らを処分する以外に、そういう人々を支援するのは金持ちの利益損失と見なされる可能性が高い、自立できる仕事を持たない何百万人もの人々を一体どうやって一掃できよう?

 生産手段が国有化されない限り、ロボットは人間社会のためには機能できるまい。不幸なことに、欧米の人々は徹底的に洗脳されていて、無頓着で、革命をすることが出来ない。

 あなたは抹消されたいだろうか? それがアメリカ資本主義があなたに対してしていることだ。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/07/23/more-lies-from-the-corrupt-elite/


188. 中川隆[-13843] koaQ7Jey 2018年8月04日 16:43:27 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-17599]

愛国的リバタリアンという怪物 - 内田樹の研究室 2018-08-04


これは2017年の6月に劇団態変の金満里さんの求めに応じて寄稿した一文である。
杉田水脈発言から「社会的弱者は殺してもいい」と言って19人を殺害した植松聖に言及する人が多かったので、旧稿を筐底から引き出して諸賢のご批判を請うことにした。

相模原の大量殺人事件のもたらした最大の衝撃は、植松聖容疑者が事前に安倍晋三首相宛てと大島理森衆院議長宛てに犯行を予告する内容の書簡を届けていたことにある。

それは単に権力者を挑発するための犯行予告ではなく、自分の行為が政権と国会多数派には「好ましい」ものとして受け止められ、権力からの同意と保護を得られるだろうという期待をこめたものだった。逮捕後も容疑者は「権力者に守られているので、自分は死刑にはならない」という趣旨の発言をしている。

もちろん、これは容疑者の妄想に過ぎない。けれども、何の現実的根拠もない妄想ではない。彼の妄想形成を強化するような現実が今の日本社会内部にはたしかに存在しているからである。

アナウンサーの長谷川豊は事件の直後の2016年9月に自身のブログに「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!」というタイトルの記事を投稿した。これには批判が殺到し、専門医からも事実誤認が指摘されたが、この人物を日本維新の会は千葉一区から衆院の立候補者として擁立するということが先日発表された。

重篤な病人や障害者に対する公然たる差別発言にはまだ一定の社会的な規制が働いており、有名人の場合には、それなりの批判を受けて、社会的制裁が課されているが、在日コリアン、生活保護受給者やLGBTなどの社会的弱者に対する差別や攻撃の発言はほとんど何のペナルティもないままに垂れ流しされている。

際立つのが片山さつき議員で、生活保護受給者は「実質年収4百万円」の生活をしているという無根拠な都市伝説の流布に加担して、生活保護叩き発言を繰り返してきたが、最近も捏造投稿に基づいてNHKのニュース内容にクレームをつけて、生活保護受給者が社会福祉の「フリーライダー」だという世論の喚起に励んでいる。もちろん、本人がそう「信じている」という信憑の問題もあるのだろうが、「そういうこと」を公言すると選挙で票が集まるという現実的な打算も同時に働いているはずである。

アメリカではドナルド・トランプ大統領が「弱者叩き」の代表格である。「ラストベルト」のプア・ホワイトたちの輿望を担って登場したはずのトランプだが、就任後実施された政策は富裕層への厚遇措置ばかりで、移民排斥や、海外企業の国内移転への圧力などの「雇用対策」は今ここにいる社会的弱者のためには何の利益ももたらしてはいない。選挙公約だったオバマケアの廃止は、それによって2400万人が医療保険を失うという予測が公表されて、さすがに与党共和党も加担できず、改廃法案を撤回するという騒ぎになった。アメリカの有権者はそのような人物を大統領に選んだのである。

これはおそらく全世界的な傾向である。社会的弱者たちは、自己責任で弱者になったわけであり、いわばそういう生き方を選択したのだから、政府や自治体が、公金を投じて彼らを支援することは「フェアではない」というロジックは目新しいものではない。これは「リバタリアニズム(libertarianism)」というかたちで、建国当初からつねにアメリカ社会に伏流していた考え方である。アメリカが世界に冠絶する覇権国家となり、その国の作法や価値観が「グローバル化」したことによって、アメリカ的な「リバタリアニズム」もまたグローバル化したということだと私は理解している。

「セルフメイド・マン(selfmade man)」というのは建国以来、理想とされてきたアメリカ市民像だが、要するに誰にも頼らず独立独行で自己実現を遂げることである。「リバタリアン(libertarian)」というのは、その過激化したかたちである。
リバタリアンは、人間は自分の運命の完全な支配者であるべきであり、他者であれ公共機関であれ、いかなるものも自分の運命に介入する権利はないと考える。だから、リバタリアンは政府による徴税にも、徴兵制にも反対する。当然ながら、社会福祉のための原資の提供にも反対する。

ドナルド・トランプが徴税と社会福祉制度につよい嫌悪感を示すのは、彼がリバタリアンの伝統に連なっていることを示している。トランプは選挙期間中に対立候補から連邦税を納めていないことを指摘されて、「すべてのアメリカ人は納税額を最小化するために日々知恵を絞っている。私が連邦税を払っていないのは私が賢いからである」と述べて支持者の喝采を浴びた。これは別に露悪的な発言をしたわけではなく、ほんとうにそう思っているからそう言ったのである。彼に喝采を送ったプア・ホワイトたちは、自分たちとは桁が違う大富豪であるトランプの「納税したくない」というリバタリアン気質が「自分と同じだ」と思って、その発言に賛意を評したのである。

トランプは軍務の経験も、行政の経験もないはじめての大統領だが、それは軍務に就くことも、公共機関で働くことも、どちらもリバタリアンとしては「やらないにこしたことはない」仕事だからである。アメリカの有権者たちは彼の「公的権力を用いて私利私欲を満たすが、公益のためには何もしない」という態度がたいそう気に入ったのである。

今の日本で起きている「弱者叩き」はアメリカ原産のリバタリアニズムが日本に漂着し、日本独特の陰湿なしかたで退廃したものだと私は理解している。
トランプのリバタリアニズムはこう言ってよければ「あっけらかん」としている。ロシアとの内通疑惑が暴かれたことによって、彼が「愛国者」であるかどうかについてはアメリカ人の多くが疑問を抱いているだろう。けれども、リバタリアンにおいて、愛国者であることは「アメリカ人的であること」のための必要条件ではない(国家や政府などというものは「ない方がいい」というのが正統的なリバタリアンの立場だからである)。

けれども、日本では公的立場にある人間は「国よりも自分が大事」というようなことを(心で思っていても)口には出さない。仮に、安倍晋三が所得税を払っていなかったことが発覚したとしても、彼は「私は賢いから税金を払わずに済ませた」という言い訳をしないだろうし、その言い訳に喝采を送る有権者も日本にはいないはずである。日本ではリバタリアンも愛国的なポーズをすることを強いられる。
だから、日本では「リバタリアンでありながら、かつ愛国的」という奇妙な生き物が生まれてくる。現代日本に跋扈しているのは、この「愛国的リバタリアン」という(「肉好きのベジタリアン」とか「気前のいい吝嗇漢」というような)形容矛盾的存在である。

一方において、彼らは自分が獲得したものはすべて「自己努力によって獲得されたもの」だから、100%自分の所有に属し、誰とも分かち合う気がないと断言する。同じ理屈で、貧困や疾病や障害や不運などによって社会的弱者になった者たちについても「すべて自己責任で失ったもの」であるので、そのための支援を公的機関に求めるのは筋違いであると主張する。ここまではリバタリアン的主張であるが、日本の「愛国的リバタリアン」はこれに愛国主義(というより排外主義、外国人嫌い(ゼノフォビア))をぱらぱらとまぶして、社会的弱者というのは実は「外国人」であるという奇妙な社会理論を創り出す。ここが日本のリバタリアニズムの独特の歪みである。

日本型リバタリアンによると、社会的弱者やあるいは社会的弱者を支援する人たちは「外国人」なのである。仮に血統的には日本人であったにせよ、外国渡来のイデオロギーや理説に「感染」したせいで、「外側は日本人だが、中身は外国人」になっているのである。だから、社会福祉や教育や医療などの活動に公的な支援を求める組織や運動は本質的には「日本の国益よりも、彼らが忠誠を誓っている外国の利益に奉仕するもの」なのだという妄説が出来上がる。生活保護の受給者は多くが在日コリアンであるとか、日教組の背後にはコミンテルンがいるとか、朝日新聞は反日であるとか、翁長沖縄県知事は中国に操られているといった類のネトウヨ的妄説はその典型的なものである。

語っている本人もさすがにほんとうだと思ってそう言っているわけではいないだろう。にもかかわらず、彼らが「反政府的な人間=外国人」というスキームに固執するのは彼らにリバタリアンに徹底する覚悟がないからである。

リバタリアンであれば、話はすっきりしている。貧乏なのも、病気なのも、障害者であるのも、すべては自己責任である。だから、それについては他者からの同情や公的支援を当てにしてはならない。医療保険制度はいらない(医療は「サービス」なのだから金を出して買え。金がないやつは死ね)。公立学校も要らない(教育は「サービス」なのだから、金を出して買え。金がないやつは働いて学費を稼ぐか、有利子で借りろ)。社会福祉制度はいらない(他人の施しがないと生きていけないやつは死ね)と、ずいぶん非人情ではあるけれど、バケツの底が抜けたように「あっけらかん」としている。

しかし、さすがに日本では(心ではそう思っていても)そこまでは言い切れない(居酒屋のカウンターで酔余の勢いで口走ることはあるだろうが、公的な立場ではなかなか口にはされない。

その不徹底をとりつくろうために、日本的リバタリアンは「排外主義」的イデオロギーを装飾的に身にまとう。そして、貧乏人も、病人も、障害者も、生活保護受給者も、みな本質的には「外国人」であるという摩訶不思議な理説を噛ませることで、話のつじつまを合わせようとするのである。

相模原事件の植松容疑者はその意味では障害者支援をめぐる問題の本質をよく見抜いていたというべきだろうと思う。彼自身は生活保護の受給者であったが、その事実は「わずかな賃金を得るために、他人に顎で使われて、自分の貴重な人生を空費したくない」という彼のリバタリアン的な気質と齟齬するものではなかった。けれども、自分以外の生活保護受給者や障害者は彼の目には許し難い社会的寄生者に見えた。この矛盾を彼はどう解決したのだろうか。自分には公的支援を受けることを許すが、他人には許さないという身勝手な識別を可能にする境界線として最終的に彼が思いついたのは「私は日本人として日本の国益を優先的に配慮しているが、彼らはしていない」という「日本人/非日本人」スキームであった。

だから、植松容疑者がこれは「日本のために」したのだとか、「社会が賛同するはずだった」とかいう自己弁明を繰り返し、「国益を害するものたち」を「処分」する「官許」を首相や衆院議長に申請したことには論理的には必然性があったのである。彼は自分が「愛国的リバタリアン」という政治的奇形物であり、現在の日本の政界の指導者たちの多くが程度の差はあれ自分の「同類」だと直感していたのである。
http://blog.tatsuru.com/2018/08/04_1031.html


189. 中川隆[-13870] koaQ7Jey 2018年8月06日 07:54:30 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-17665]

「正しい子宮から生まれて来たか」で格差が決まって埋められない現実 │ ブラックアジア:鈴木傾城
https://blackasia.net/?p=8734

日本財団は「子供の貧困対策を取らなかった場合はどうなるのか」という点に関して、「子供の生涯所得が減る」「政府の税収も減ってしまう」という二点に問題が発生することを報告している。

しかし日本だけではなくアメリカもそうなのだが、この格差が社会に問題をもたらすと警鐘が鳴らされ続けているにも関わらず、問題を解決するのは難しい。

その理由は明らかだ。現在の資本主義の構造からして、格差の是正はほぼ不可能だからである。

資本主義の世界では、資本を持っている者が得するようにできている。そして、資本を持っている者と持っていない者の差は、何もしなくても、どんどん開いていく。

これは単純な話だ。配当の年利回りが3%の株式があったとする。資本を持っている人が1億円でそれを所持し、資本をあまり持っていない人が100万円でそれを所持したとする。

税金・手数料を考えないで考えると、1年経って手に入る配当は、1億円の人は300万円、100万円の人は3万円となる。

同じ3%の条件であっても、結果は297万円も違う。現実は1億円と100万円どころではなく、個人で数十億、数百億の資本を持っている人もいれば、ゼロの人もいる。資本主義では、これほど圧倒的な差が付いたまま競争をしなければならない。(鈴木傾城)


190. 中川隆[-13819] koaQ7Jey 2018年8月10日 11:34:18 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-17776]

日本経済はこうすれば復活する: 自民党が絶対に実行しない経済政策2016年5月26日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/3366

日本経済は本当に瀬戸際にある。アベノミクスは円安と株高で経済を持ち上げようとしたが、それは永遠に続くものではなく、金融市場が日銀に反旗を翻した途端、日本経済は失速し、それは既にGDPに表れている。これは最初から分かりきっていたことである。

•金融市場に隷属する中銀: マイナス金利に踏み込んだ日銀の追加緩和が示す株式市場の先行き

•2016年1-3月期日本のGDP内訳: ついにマイナス成長、円安減速で輸出減加速

ではどうすれば良いか? 批判するばかりでは芸がないから、本稿では瀕死の日本経済を少なくとも可能な限り最良な状態へ持って行くための経済政策を考えてみたい。

消費税の撤廃

先ずは消費税からである。消費増税と法人減税が日本経済のためになるという、自民党の面白い論理から崩してゆこうと思う。

そもそも日本経済の問題とは何か。労働人口減少による個人消費の長期的減少傾向である。高齢化により仕事を辞めて年金で暮らす人が増えれば、仕事をして収入を得ていた頃と比べ、人々は消費をしなくなるだろう。日本は先進国で一番初めに、いわゆる長期停滞に陥ったのである。


•元米国財務長官ラリー・サマーズ氏が長期停滞論とは何かを語る

需要減少のもたらす結果は、成長減速とデフレである。インフレ率とは需要と供給のバランスで決まるのであり、需要が供給に対して少なすぎる場合、物価は下がりデフレとなる。

デフレは需要が足りていないというサインである。クルーグマン氏らとともに安倍首相が招聘したハーバード大学のジョルゲンソン氏は、日本経済の問題点は生産性の低さであり、そのためには法人減税を行うべきだと述べて経団連と財務省を喜ばせたが、この論理は無茶苦茶である。


•国際金融経済分析会合、ジョルゲンソン教授への反論: 日本の生産性は低いのか? 法人税減税と消費増税は善か?

先ず、世界経済のデフレ傾向はもう40年ほど続いているが、われわれはその間にIT革命を含む近世以降稀に見るほどの生産性向上を経験している。そしてそもそも、生産性の向上とはコスト減を意味するのであり、コスト減の結果は物価の低下となる。

実際に世界経済はデフレなのであり、生産性が低下しているとする学者らの主張はこうした物価動向を説明できていない。低い生産性はコスト増、そして物価の上昇を生むはずだからである。

だから低成長の原因は生産性ではなく需要減である。アベノミクスの目的もデフレ脱却であったはずなのだが、それでは需要の腰を折る消費増税は理にかなっていない。あり得る選択肢は、デフレ脱却を標榜して消費減税を行うか、デフレ容認を標榜して消費増税を行うかのどちらかであり、それ以外の選択肢はない。上げるべき税金があるとすれば、それは少なくとも消費税では有り得ないのである。これは法人税との比較において詳しく説明しよう。

法人税の大幅増税

消費税を減らすのであれば、その分を補う方法を様々考えなければならないが、先ずは法人税の大幅増税である。

そもそも自民党がさも当然のように法人税の引き下げを行っているのは、経団連がそれを望んでいるからである。経団連とは要するに役員賞与を受けている会社社長などの集まりであり、社内政治以外に特技のあまりない方々である。日本企業で働いている読者が居れば、能力と役職が一致しない会社員など見飽きているだろう。彼らはその成れの果てである。

彼らの受けている役員賞与には会社の費用として計上されるものとそうでないものがあり、費用として計上されないものについては法人税を引いた後の会社の利益から支払われるため、経団連は利益というパイを法人税と取り合っていることになる。だから法人減税を望むのである。

しかし消費税と法人税、どちらを増やすべきか、少し考えてみてもらいたい。消費税とは経済が上手くいっているかどうかにかかわらず、経済活動そのものに課税するものである一方で、法人税とはビジネスを行い利益が出た場合にのみ課税し、儲からない場合には課税をしないというものである。

この意味では消費税は国民が経済活動を行うインセンティブそのものを失わせるものである。どのような場合にも課税がなされるからである。

法人税のように利益に課税されるのであれば、経済活動への影響は軽微で済む。利益が出なければ税金を払わなくとも良いからである。しかしいずれの場合にも課税が発生するのであれば、利益が僅かしか出ないような場合においては経済活動を行わないほうが得となる場合があり、行われるはずだった経済活動が消滅してしまう。したがって法人増税、消費免税が当然の帰結だと思うのだが、自民党がそう思わないのはただ経団連を利するためなのである。

法人税を増税すれば日本からビジネスが逃げてゆくという反論があるかもしれないが、これはナンセンスである。グローバルビジネスの当事者がどのように動くかを理解していない。法人税を40%程度まで上げたとしても、事業が海外に流出することはほとんどないだろう。この理由についてはグローバル・ビジネスにおける法人設立について説明した記事で解説しておいたので、そちらを参考にしてほしい。


•グローバルビジネスにおけるタックスヘイブンの使い方

緊縮財政

次に行こう。次は緊縮財政である。しかし公共事業を減らすという意味においてであり、増税という意味においてではない。

ここでは先ず、そもそも政府の役割というものを考えてみたい。政府には主要な機能が二つあり、一つは公共サービスの提供、もう一つは所得の再分配である。

しかし現在の政権が公共事業を行う目的はそのどちらでもなく、主に景気刺激という名目である。麻生財務相は次のように述べている。


•麻生太郎氏、日銀による財政ファイナンスを肯定: 日本の財政破綻問題はどのように解決されるか


(日本経済では)年間約30兆くらい借りてくれる人が足りない。(中略)誰かがそれを借りてくれない限りは30兆分だけデフレになりますから。それを借りてくれてるのが政府。

つまりは需要が足りないから公共事業で政府が需要を創出するという論理だが、これはおかしいのである。

そもそもの話だが、政府の創りだした需要よりも経済活動で自然に生まれた需要の方が効率的であることに議論の余地はない。だから政府が先ず行うべきは、需要の成長を妨げる課税を先ず取り払い、それでも需要が足りないようであれば財政出動を行う、という手順でなければならない。しかし自民党は消費増税と財政出動を行っている。

増税と財政出動を同時に行うことを正当化する唯一の論理は、所得の再分配である。しかし日本の財政出動は貧困層の利益にはなっていない。上がった株価と上がらない賃金を見ればそれは明らかである。そもそも財政出動は雇用を生み出す目的で行うのだが、日本の労働市場は完全雇用である。

だから異様なまでに膨らんだ日本政府の予算を構成する公共事業は本来不要なのである。所得の再分配にはなっていないし、経済対策と言うのであれば先ずは消費減税である。この論理に反論できる自民党の政治家が一人でもいるだろうか。

経済学的に理にかなっていないにもかかわらず、自民党がそれほどまでに公共事業を行いたがる理由は、いわゆる「大きな政府」を作るためである。

政府とは国民から資金を吸い上げ、そして別の形で吐き出すことを目的としている。そして何処に吐き出すかは政治家が決めることである。だから資金を吐き出す先を決める政治家の周りには企業が集まり、政治家には政治献金や天下りなどの形で便宜が図られる。

これがいわゆる利権であり、政府というものの性質上利権が産まれることは避けられないのだが、日本の場合はかなり度を超えているように思う。ここまで議論してきたように、日本の政策で本当に日本の経済のためを考えて行われた政策は一つもないからである。経団連のために法人減税を行い、財務省のために消費増税を行う。そこに日本経済などは一切関係がない。

政府に存在する利権を拡大する方法とは、端的には増税と財政出動である。こうすれば自民党の経済政策の本質が見えてくるだろう。そうして経済における政府の役割を増やすことで、政府に出入りする資金を増やし、利権を増やしてゆく。

政治家に限らず、財務省が増税を望むのは、財務省が分配する予算が増えれば、財務省に頭を下げに来る政治関係者が増えるからである。そして財務省の権限で配分された予算は、別の利権へと渡ってゆく。そうして日本政府の負債は溜まり、経済は沈む。これが何十年にも及んだ戦後の自民党政治の総決算である。

こうした悪循環を避ける端的な手段は、先ず小さな政府を作ること、そしてもう一つは政府が資金を吐き出す際の政治家の裁量を最小化してしまうことである。つまりは財政出動よりも減税と、そしてヘリコプターマネーである。

ヘリコプターマネー

最後に議論するのは最近話題のヘリコプターマネーであるが、ここで議論をするのは的を絞ったヘリコプターマネーである。

上記のように政治家を利するだけの公共事業をするよりは、国民に直接配ったほうがよほど健全である。とりわけ労働市場が完全雇用であり、公共事業による雇用創出が民間の人材需要締め出しにしかなっていない局面では議論の余地がない。

しかし国民にキャッシュを配るという政策には経済学上の欠点がある。それは消費者の消費性向は企業の消費性向よりも少ないということである。より分かりやすい言葉で言えば、同じ金額を消費者と企業に渡せば、一般的に企業の方がより多くの消費を行う。だから地域振興券などの政策はほとんど使われず、またその事実は財政出動を行う口実にもなる。

これは確かに経済学的な事実である。だからわたしは、ヘリコプターマネーよりは先ず減税を、そしてヘリコプターマネーを行う際には、的を絞って特定の需要のある層に資金を集中投下することを提案したい。

真っ先に対象となるのは子供を産んだ家庭である。日本経済減速の第一の原因は少子高齢化であるが、少子高齢化の原因は20代の若者に子育てのための資金的・時間的な余裕がないことである。

だから少なくとも資金的な問題をヘリコプターマネーで解決する。子供を産んだ家庭には月に5万から10万程度を支給し、出産およびその後の負担を軽減する。

こうした方法の長所は、資金を投下して需要を刺激しようとするのではなく、資金の供給を提示することで消費を増やすインセンティブを作るということである。単に現金をばらまいたのでは、貯蓄に回る可能性が高い。だから需要を増やす特定の行動をした場合には資金を供給する、という順にすることで、個人の消費性向が低いという欠点を回避するのである。

これでどの程度消費性向を上げられるかは分からないが、効果の薄い他の政策よりはやる価値があるのではないかと思っている。所得の再分配としての機能はより単純となり、そこに利権の入る余地はほとんどない。特に子育て家庭への資金供給には意味があると考えている。しかし先ずは消費税撤廃であり、ヘリコプターマネーはそれからだろう。

結論

長くなったが、ここまで眺めてみれば、日本の経済政策の本当の意味が見えてくるだろうと思う。何故消費増税で法人減税か? 何故増税と財政出動か? そうした疑問の答えのなかに、日本経済のためになるからだというものは一つもない。

日本が国として機能していない一番の原因は、自民党に変わるまともな保守政党が存在していないことである。先日取り上げた移民政策などは恐らくは日本人のほとんどが望んでいないものであるにもかかわらず、海外の政治家や安い労働力を望むグローバル企業などを喜ばせるためにそれを実行出来てしまうのは、日本の政治が一党独裁だからである。


•安倍首相がシリア難民150人受け入れを発表、日本の治安と文化は終焉へ


自民党は保守などではない。自民党とは経団連や財務省など様々な既得権益者が集まって利害調整をするための場なのであり、彼らには日本経済がどうなるかなど最初から念頭にないのである。アベノミクスは既にほぼ終了しているが、次に政権を握る政治家も、残念ながらこの枠内から出ることはないだろう。日本には自民党以外の政党が本当に必要なのである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/3366


191. 中川隆[-13836] koaQ7Jey 2018年8月11日 07:59:17 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-17821]

「誰かに支配してもらう」と、考えることを止めても生きていける │ ブラックアジア:鈴木傾城
https://blackasia.net/?p=8823


人間は考えることを止めても生きることができる。どうするのか。誰かに支配してもらうのである。

国に支配してもらい、会社に支配してもらい、親に支配してもらい、言われた通りにする。そうすれば、自分で何か考えたり、決断したり、行動したりしなくてもいい。

独裁国家は考える人間を排除し、考えない人間だけを作り出し、そしてその「無脳集団」を自分の思う通りに動かして独裁を完成させる。

自分で考えないで生きるというのは、誰かの駒になるということである。人間社会は昔から、考える人間が考えない人間を支配することで成り立ってきたのだ。

それは、今も社会の中で公然と行われており、これからも続いていく。考えない人間は誰かに都合良く動かされ、要らなくなったらゴミのように捨てられる。

独裁者は国民を使い捨てにするし、ブラック企業は社員を使い捨てにする。考えない人間は奴隷のようにこき使われて、ゴミのように捨てられる。何も考えないと、必ず誰かに「モノ化」される運命が待っている。

人間のモノ化とは、抽象的な概念ではない。文字通りの意味である。人間が人間扱いされない。生きた人間そのものが「商品」や「物体」として認識され、効率的に使い捨てされるようになっていく。誰がそうなるのか。考えない人間だ。(鈴木傾城)



192. 中川隆[-13776] koaQ7Jey 2018年8月15日 16:46:33 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-17878] 報告

『若者よマルクスを読もう4』まえがき - 内田樹の研究室 2018-08-15


9月にかもがわ出版から石川康宏先生との共著『若マル4』が出る。中身は『フランスの内乱』についての往復書簡と、「マルクスとアメリカ」連続講義、それから新華社からのアンケートにふたりが回答したものなど。販促のために予告編とて「まえがき」を掲載しておく。


みなさん、こんにちは。内田樹です。

『若者よマルクスを読もう』も番外編の『マルクスの心を聴く旅』を含めて、巻を重ねること4巻目となりました。ここまで続くとはほんとうにびっくりです。ご愛読くださった読者のみなさんと編集の松竹伸幸さんに深く感謝いたします。
たしかにこれは「『共産党宣言』から『資本論』まで、マルクスの全著作を俯瞰するようなかたちで、中学生、高校生にも読めるマルクス入門のための本を書こう」という壮図をもって始まった企画でした。口ではそういう壮大なプランを語りながらも、心の中ではなんとなく「途中で挫折するんじゃないかな・・・」と思っておりました(黙っていて、すみません)。だって、「若者よマルクスを読もう」ですからね。若者たちが「やだよ」と言ったら、それってきりです。

本書の企画が出たのは何よりも「若者たちが全然マルクスを読まなくなった」というきびしい現実があったからです。「市場のニーズ」というものがないことを前提に始まった企画ですから、「やっぱり全然ニーズがなくて、返本の山でした」ということになっても誰を恨むこともできません。

しかし、意外なことに、2010年に出た『若マル1』はロングセラーとなって、3年後には角川ソフィア文庫に収録されることになりました。それどころか、韓国語、中国語に訳されるという驚くべきことが起きました。

マルクスについての本を読んでくれる若者が日中韓にこれだけいたのです。これは「椿事」と呼んでよろしいかと思います。

韓国語訳が出るのはわかるんです。韓国にはマルクス研究の「蓄積」というものがありませんから。李氏朝鮮の後は日本に併合されて、植民地支配を受け、日本からの独立後は朝鮮戦争があって、マルクス主義は「敵性思想」に認定され、反共法が1980年まで存在して、マルクスを読むだけで懲役刑という国でした。そんな国でマルクスの研究が蓄積されるはずがない。ですから、僕たちの書いたような「マルクスのテクストを噛んで含めるように逐条的に解説し、かつその歴史的意義を俯瞰する」という本に対して「ああ、こういう本が読みたかったんだ」と思ってくれる読者がそれなりの数いたことは理解できます。

驚いたのは中国語訳です。マルクス主義は公認の政治思想です。中国はマルクス研究の「本場」のはずです。そこで僕たちが書いたマルクスの概説書がベストセラーになった(らしいです)。

こちらもたぶん、「こういう本」がなかったということが理由だと思います。今の中国社会でも、もちろん若者に向かって「マルクスくらい読んどけ」ということを言う人はいると思います。でも、それは党官僚とか知識人とか学校の先生とか、総じて「権力サイドの皆さん」であって、若い人はそういう「上から目線」の、説教じみた要請に対しては内心では「うっせえな」というリアクションをしてきたんじゃないでしょうか(想像ですけど)。

でも、僕らの本はぜんぜん「偉そう」ではありません。「偉そう」どころか、どちらかというと若い人たちに「お願い、読んで」ととりすがるような態度で貫かれています。著者二人ともがマルクスを心から敬愛して、叡智の書物を押し戴くように読んでいて、「マルクス読むときっといいことあるよ」と若い人たちをお誘いしている。こういう素朴な敬慕の念と教化的善意のみに駆動されて書かれたマルクス入門書というのは中国でも、それ以外の社会主義国でも、あまりお目にかかることがないのではないかと思います。

という思いがけない展開になったせいで、『若マル』は続いて出版されることになり、番外編で池田香代子さんとご一緒に回ったドイツ〜イギリスの旅では(僕は8泊9日全日程風邪ひきで、高熱を発したまま移動し、講演をし、対談をするという悪夢のような日々でしたけれど)、思いがけず、「マルクスとアメリカ」という本書のアイディアのきっかけが得られました。

マルクスについて書かれた解説書は無数にありますけれど、「マルクスとアメリカ」だけに論点を絞った論考というのはたぶん日本語で書かれた文献としては存在しないんじゃないかと思います。

本書でも触れましたけれど、ヨーロッパからアメリカに移民した社会主義者たち、いわゆる「48年世代(フォーティ・エイターズ)」の活動について、『ニューヨーク・デイリー・トリビューン』のホレス・グリーリーとマルクスのかかわりについて、アメリカに本部があった時代の第一インターナショナルの活動についてなどなど、調べてゆくうちにもっと知りたいと思うトピックはたくさんありました。きっとアメリカやドイツの歴史家の中には、こういった論件について論文を書いている人たちはいると思います。でも、僕の年齢を考えると、これからあれこれと資料を集めて、それをまとめるだけの時間はなさそうです。誰か志のある若い人がこの研究を続けてくれることを願っています。

あと一つだけ書き加えておきたいことがあります。それはもしかするとアメリカでマルクスの再評価が始まるかもしれない・・・というちょっとわくわくするニュースです。

僕は『フォーリン・アフェアーズ・レポート』というアメリカの外交専門誌の日本語版月刊誌を定期購読しています(日本のメディアがまず書くことのない「アメリカの本音」が赤裸々に吐露されているので、「宗主国」の人々が今何を考えているのかを知るにはまことに便利な道具です)。その今月号の巻頭論文が「マルクスの世界」と題されたもので、そこにはこんなことが書いてありました。

「ソビエトとその共産主義モデルを採り入れた諸国が次々と倒れたにも関わらず、マルクスの理論は依然としてもっとも鋭い資本主義批判の基盤を提供し続けている。特筆すべきは、マルクスが、この40年間のように、政府が対策をとらない場合に先鋭化する資本主義の欠陥と弊害のメカニズムを理解していたことだ。マルキシズムは時代遅れになるどころか、現状を理解する上で必要不可欠の理論とみなされている。」(ロビン・バーギーズ、「マルキスト・ワールド 資本主義を制御できる政治形態の模索」、『フォーリン・アフェアーズ・レポート』、No.8, 2018, p.7)

アメリカではあと少しでAIの導入による巨大な規模の「雇用喪失」が見込まれています。控えめな予測で14%、不穏な予測で30%の雇用がオートメーション化で失われます。失業した人たちを「機械化で失職するような先のない業界に就職した本人の自己責任だ」といって路上に放り出したら、アメリカの路上を数百万を超えるホームレスがうろつくことになります。市場は縮減し、経済は破綻し、治安も公衆衛生も悪化し、行政サービスも途絶えた『マッド・マックス』的終末論的光景が広がることになる。なんとかして完全雇用の手立てを講じないと破局が到来することはもうわかっているのです。でも、新技術を導入して人件費コストを削減することを企業経営者に断念させることはできません。ここで政治と経済が対立することになる。

資本主義社会のさまざまな矛盾は「富裕化する資本家」と「窮乏化する労働者」の絵に描いたような対立として尖鋭化しています。資本主義が延命するためには、どこかで市場原理の支配を抑制し、資本財を広い社会層に分配し、完全雇用を実現するための政策的介入を行わなければならない。もちろん「そういうこと」を僕たちは学生時代から何万回も読んだり書いたりしてきましたけれど、同じ言葉をアメリカの政治学者やエコノミストが口にする時代になったということに、僕は少なからず驚いています。アメリカ人たちがマルクスを読みなおす時代が来るのでしょうか。これがアメリカとマルクスの「かつて一度失敗した出会い」の仕切り直しの機会になってくれるといいんですけれど。
 
最後になりましたけれど、今回も僕の投げつける「悪球・暴投」をそのつどちゃんとミットに収めてくれた石川康宏先生の技術の確かさとオープンマインドに心から敬意を表したいと思います。

石川先生がかちっと学術的に確かな読解をして、僕がふらふらと思いつきを語るというこの分業体制も始まってもう9年となりました。僕が思いついた変てこなアイディアをどこまでも追いかけてゆけるのも、石川先生の絶妙のアシストがあってこそです。自由に遊ばせてくれる先生の雅量に(内心では「うう、面倒くさいなあ。またわけのわかんないこと言い出して・・・」と思ったこともあるでしょうが)心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
http://blog.tatsuru.com/2018/08/15_1431.html

193. 中川隆[-13732] koaQ7Jey 2018年8月21日 09:41:59 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-17998] 報告

文明を退化させる四半期決算 2018-08-21
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12399314436.html


 トランプ大統領が、企業の「四半期決算」の廃止案を検討するよう指示したとの報道が流れています。


 四半期決算とは、まさに企業にとっての「プライマリーバランス」でございます。しかも、期間は一年ではなく三か月。


 企業経営者は、株主から「三か月ごとの利益」を出すことを求められます。しかも、ひどい話ですが、経営者もストックオプションで、株主と同じ立場にいるのです。


 三か月という短期の利益を求められた企業がやることは、当然ながら人員削減、人件費のカット。人材投資、設備投資、技術投資、何それ? すぐ儲かるの? 三か月で結果出る?

「出るわけないだろ!!!」


 という話なのですが、人材、設備、技術を疎かにし、短期の人員削減で「利益」を拡大することができた企業の株価は上がり、株主はもちろん経営者も(ストックオプション行使で)「自己利益最大化」を達成。


 代わりに、従業員、そして未来が犠牲にされるというわけでございます。


 四半期決算がある限り、企業の視点は短期的にならざるを得ません。結果的に、企業の投資(人材投資含め)が減り、未来の可能性が摘まれる。


 四半期決算は、人類の文明を退化させていると確信しています。


『焦点:四半期決算の廃止案、米国株投資に悪影響も
https://jp.reuters.com/article/trump-quarterly-reporting-analysis-idJPKCN1L504W
 トランプ米大統領が企業の決算発表義務を四半期から半年に延ばすことを検討するよう証券取引委員会(SEC)に要請したことが、市場関係者や金融専門家の間で波紋を広げている。
 一部の投資家やアナリストから聞かれたのは、株主の目をふさぎ、企業の無軌道を許すだけでなく、米国株の魅力を損ない、公開企業への投資を縮小させかねないという懸念だ。
 カンバーランド・アドバイザーズのデービッド・コトク会長兼最高投資責任者は「決算発表頻度を半分にすれば、弊害を招き、確立された規律を取り除くことになる」と警告する。
 半年に1回の決算発表となれば、情報開示強化の流れに逆行する上、不正行為を呼び込む恐れがあると心配する投資家も出ている。(後略)』



 ロイターは、もちろんトランプ大統領に批判的。決算を半年に延ばすことで、
「株主の目をふさぎ、企業の無軌道を許す」
 とのことですが、その株主の目的が「短期の自己利益最大化」であることが問題なのです。短期利益拡大を望む株主に毎四半期「結果」を出さないとならないとなると、中長期的視点に立った投資はできません。


 結果、技術投資がおろそかになり、設備が老朽化し、人材も育たない。それでも「短期の利益」が出れば、株主としては満足。


 この種の株主資本種が正しいとは思えません。


 それにしても、改めて四半期決算の問題を考えると、その延長線上に「プライマリーバランス黒字化」やら「財政均衡主義」といった国家財政の「考え方」があるのがわかります。


 しかも、政府の場合は「株主」はおらず、かつ主権者である国民の利益に「逆らってまで」緊縮財政路線を貫こうとする。色々な意味で歪んでいます。


 いずれにせよ、四半期決算やPB黒字化といった「短期の視点」が文明を退化させるのは間違いありません。実際、緊縮財政の猛威が吹き荒れた我が国では、地方が文明的に「退化」していっています。


 緊縮財政である以上、「選択と集中」というわけで、地方を切り捨て、東京一極集中になるのは必然です。とはいえ、その東京都にしても、消費税増税後はマイナス成長が続いているので、一体何のための東京一極集中なのか、という事態になってしまっています。


 日本国民は、そして「人類」は短期の利益追求が「文明」にいかなる事態を迎えるのか、そろそろ理解するべきです。


 とりあえず、日本国もアメリカ同様に四半期決算の廃止を検討する必要があります。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12399314436.html

194. 中川隆[-13715] koaQ7Jey 2018年8月22日 10:16:13 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-18019] 報告

ヨーロッパによみがえった奴隷貿易 2018-08-22
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12399549241.html

 また、煽りのタイトルを・・・。と、思われたかも知れませんが、実はNewsweekの見出しです。


 日本の技能実習生制度は、「現代の奴隷制」と批判されていますが、理由は日本国内の労働法を逸脱した劣悪な環境で外国人が働かされているためです。


 しかも、彼らは故郷で多額の仲介手数料をブローカーに支払い、借金をして来日します。もっとも、技能実習生の給与では借金の返済はできず、貯蓄もできません。


 それはまあ、逃亡する実習生が増えるのも無理もありません。


 実習生はブローカー及び「低賃金で労働者を雇用したい日本の経営者」という両者から搾取されているわけです。


 もっとも、ヨーロッパの「現代の奴隷制」は、日本の上を行きます。


『ヨーロッパによみがえった奴隷貿易
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/08/post-10803_1.php

<奴隷の供給元はアフリカ、仕入れて売るのはヨーロッパの仲介業者だ>

 イタリア南部のフォジアは、トマトの一大産地である。アドリア海の輝く太陽に恵まれてイタリアの全生産量の4分の1以上を占める。ここで、EUの移民問題の根深さを痛感させる事件が起こった。

 8月4日と6日、仕事を終えた農業労働者が、窓もない有蓋小型トラックにすし詰めにされて帰る途中トマトを運ぶ車と衝突し、乗っていた16人のうち4人が負傷した。全員がアフリカ出身の不法移民で、いまだにどこの誰だかわからない。

 こうした動物並みの扱いに、100人ほどの移民労働者が「もう我慢ならない」と抗議のデモをした。アフリカ出身者を中心に、「我々は労働者だ。家畜じゃない」「ゲットー反対、仕事に尊厳を」などと手書きのプラカードをもった参加者の中にはポーランド人、ブルガリア人、インド人もいた。

 彼らは、不潔な貧民街やバラックに住み、朝まだ暗い頃来る小型トラックに定員の倍にもつめこまれて畑に行き、猛暑の中10〜12時間働く。休憩はせいぜい30分。そして時給は2〜3ユーロ(260〜390円)、法律ではイタリアの農業労働者の最低賃金は時給7ユーロで、1日の法定労働時間は最高7時間。

 労働組合によれば、この地方では40万人が農業労働者として働いているが、そのうちの15万人は無届だという。デモをしたのは、不法移民とはちがい、滞在許可証をもっていたり、亡命申請中だったりして正規に居住している人々。だが、労働は無届なので、保険も何もない。(後略)』



 何と言いますか、欧米諸国がアジア、アフリカを植民地にした際の「プランテーション」が、欧州国内に再現された印象を受けました。


 しかも、日本とは異なり、欧州ではアフリカなどからの労働者の仲介業は禁止されているのです。つまりは、アフリカ人が奴隷として「密貿易」されていることになります。


 グローバリズムにより、時代は「退化」していっているのです。


 奴隷の密貿易のシステムは、日本に実習生を送り込むブローカーたちとほぼ同じです。アフリカの現地組織が、手数料を払わせ労働者をヨーロッパに送り込む。欧州では、労働者は人手不足に苦しむ経営者の下に送られ、事実上の奴隷労働。


 日本や欧州の現実を見れば、「問題」が見えてくるはずです。


(1) 先進諸国の経営者側には、「高い人件費を払わずに人手を確保したい」という、エゴイスティックな需要がある

(2) 低賃金諸国では「日本で働ける」「欧州で働ける」などと甘い言葉で誘いをかけ、高額な手数料を取り、移民を送り込むビジネスがある

(3) 先進国側で、
「人手不足なのだから外国人労働者受け入れやむなし」
 といった、資本主義的に間違った発想があり、政治家や国民に蔓延している。


 というわけで、(3)がある以上、今後の日本や欧州で出てくるレトリックは、

「人手不足だから外国人は必要。彼らを奴隷のように扱っているのが問題。きちんと移民受入のルール作りをしよう」

 になります。取り合えず、不法に移民を送り込み、国民経済を「外国人依存」にしてしまい、移民受入を既成事実化する。グローバリストのいつもの手法です。


 特に、少子高齢化による生産年齢人口比率の低下を受け、人手不足深刻化が確実な我が国では、「移民受入のルール作りを・・・」といった言説が蔓延するでしょう。


 とはいえ、それでは過去のドイツと同じです。ドイツは、当初はゲストアルバイターとして受け入れていた移民について、受け入れのルール化を進めるうちに、

「●●の仕事はトルコ人無しでは成り立たない」

 といった状況が次々に作られていき、最後には移民国家化しました。


 移民受入のルール作りなど、とんでもない話です。といいますか、他国の事例を少しは見ろ、という話。日本がするべきは「移民制限」以外にはありません。


 そして、人手不足を「日本人が働く」「日本人の生産性を上げる」で解消したときにこそ、我が国は本格的な経済成長路線に戻れるのです。


 特に、いわゆる保守系の支持者を失うことを嫌う自民党が、「移民受入をルール化して・・・」などと詭弁を弄してくるでしょう。


 この手の詭弁に国民が騙されると、普通に「ドイツの道」でございます。


 繰り返します。日本がすべきことは「移民制限」であり、ルール作りとやらではありません。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12399549241.html

195. 中川隆[-13705] koaQ7Jey 2018年8月24日 20:15:51 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-18073] 報告

ギリシャ国民の集団大虐殺
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2018/08/post-87b7.html
2018年8月24日 マスコミに載らない海外記事


2018年8月21日 Paul Craig Roberts

 欧州連合や他の政治声明が、ギリシャ危機は終わったと発表し、ギリシャ国民集団大虐殺の政治とマスコミによる隠蔽が、昨日(8月20日)始まった。 それが意味するのは、ギリシャはもう終わりで、死んで、おしまいだということだ。ギリシャは限界まで搾取され、死骸が犬に投げ与えられたのだ。

 350,000人のギリシャ人、主に若い専門職の人々がギリシャから去った。出生率は、残った人口を支えるのに必要な率より遥かに低い。EUやIMFやギリシャ政府によってギリシャ国民に課された緊縮政策が、ギリシャ経済の25%もの縮小をもたらした。減少はアメリカ大恐慌にも等しいが、ギリシャでの結果は最悪だ。フランクリン・D・ルーズベルト大統領は、社会保障法や、預金保険や公共事業計画など社会福祉の他の手段で、大量失業の影響を緩和したが、ギリシャ政府は、IMFとEUの命令に従って社会福祉手段を剥奪し、大量失業の影響を悪化させた。

 伝統的に、腐敗、誤った運営、不運、予想できない出来事なりのいずれかで、主権国家が、債務を返済できなくなった場合、その国の債権者たちは、債務を負った国が返済できる水準まで債務の帳簿価格を切り下げる。

 ギリシャの場合、状況が一転した。ジャン-クロード・トリシェ率いる欧州中央銀行と国際通貨基金が、ドイツやオランダやフランスやイタリアの銀行が保有しているギリシャ政府国債の利子と元金の全額を、ギリシャは支払わなければならないと裁定したのだ。

 一体どうして、こういうことが実現したのだろう?

 いずれも危機を悪化させた二つの理由が、現在のギリシャを、ほぼ十年前の危機の始めにそうであったより遙かに酷い立場におくことになったのだ。

 “危機”の始めなら、ギリシャ債務はギリシャ国内総生産129%で、債務金額の一部を切り下げることで、容易に解決できていたはずなのだ。現在、ギリシャ債務はGDPの180%だ。

 一体なぜだろう?

 債務者が一セントたりとも失わずに済ませるため、ギリシャの債権者に利子を支払うべく、ギリシャは更に融資を受けたのだ。売女経済マスコミが“緊急救済措置”と呼んだ追加融資はギリシャにとっての緊急救済措置ではなかった。ギリシャの債権者にとっての緊急救済措置だったのだ。

 緊急救済措置を期待して、ギリシャ債務のクレジット・デフォルト・スワップをアメリカの銀行が売っていたため、オバマ政権は、この緊急救済措置を奨励した。緊急救済措置が無ければ、アメリカの銀行は賭けに負け、ギリシャ国債のデフォールト保険を支払っていたはずなのだ。

 更にギリシャは、外国人への公共資産売却や、例えば、最低限の生活以下への年金引き下げや、病人が治療を受ける前に亡くなるほどになった実に劇的な医療引き下げなど、ギリシャの社会福祉削減を要求された。

 記憶が正しければ、中国はギリシャの港を買収した。ドイツは空港を買収した。様々なドイツやヨーロッパの企業がギリシャ各都市の水道会社を買収した。不動産投機家連中が、ギリシャの保護された島々を不動産開発のために購入した。

 このギリシャ公共財産略奪は、ギリシャが負っている債務を減らす方向には向かわない。あらたな融資と同様、利子の支払いに使われたのだ。

 かつてない膨大な債務はそのままだ。債務を負っているギリシャ国民同様、経済は、かつてないほど小さい。

 ギリシャ危機が終わったという宣言は、外国銀行の儲けのために、ギリシャ国民から搾り取れるものはもはや何もないという声明にすぎない。ギリシャは急速に沈没しつつある。港や空港や都市公益事業や強制的に民営化された他の公共財産にまつわる収入は今や外国人のものとなり、彼らがお金をギリシャから奪い取り、更にギリシャ経済を悪化させる。

 ギリシャ人は彼らの経済的な未来を奪われてしまっただけではない。彼らは主権も失ってしまったのだ。ギリシャは主権国家ではない。EUとIMFに支配されている。2013年の私の著書、The Failure of Laissez Faire Capitalism第III部、“The End of Sovereignty”で、これがいかにして行われたかを私はご説明した。

 ギリシャ国民はツィプラス政権に裏切られたのだ。ギリシャ国民には自分たちを国際銀行家連中に売り渡した政府に反乱し、暴力的に打倒するという選択肢があった。そうはせずに、ギリシャ国民は自らの破滅を受け入れ、何もしなかった。ギリシャ国民は本質的に集団自殺したのだ。

 2008年の世界金融危機は終わっていない。アメリカやEUやイギリスや日本の中央銀行による膨大な貨幣の創造によって、隠されているだけだ。貨幣の創造は実際の生産の成長を遙かにしのいでおり、“実際の条件”が維持可能なものを超えて、金融資産の価値を押し上げている。

 この危機が一体どういう展開になるかは、見ていなければわからない。欧米文明の崩壊という結果をもたらしかねない。食うか食われるかなのだろうか? ギリシャの後はイタリアやスペインやポルトガルやフランスやベルギーやオーストラリアやカナダで、最後は誰もいなくなるのだろうか?

 欧米世界丸ごと、自分たちの権益に役立つよう強力な既得権益経済集団が醸成するウソの中で暮らしている。オンラインのものを除き、自立したメディアはなく、そうした独立メディアは悪者扱いされ、アクセスできないようにされつつある。情報が管理されている世界に暮らしている人々は、自分たちに一体何が起きているのか全くわからずにいる。それで、彼らは自分の利益のためにある行動ができずにいるのだ。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/08/21/genocide-of-the-greek-nation/

196. 中川隆[-13642] koaQ7Jey 2018年9月09日 10:29:28 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-18382] 報告
2018.09.09
欧米金融資本の食い物になってきたギリシャに対し、事実上の死亡宣告


 ギリシャに対するESM(欧州安定メカニズム)の第3次金融支援が終了し、8年間におよぶ支援を脱却したのだと報道された。が、予定通り進んでも債務の返済にはあと半世紀は必要だとされている。支援の過程で経済は4分の1に縮小、若者や専門技術を持つ人びとを中心に約40万人のギリシャ人が国外へ移住、メンテナンスを放棄したことからインフラを含む700億ユーロ相当の資産が失われた。ギリシャ危機が終わったのではなく、ギリシャという国が終わったのだと言う人は少なくない。

 欧米の巨大金融資本はさまざまな国で甘い汁を吸ってきた。金融の仕組みを利用することも少なくない。巨大銀行がターゲット国へ融資、その国が破綻するとIMFが「支援」に乗り出して融資、その資金は欧米の銀行へ流れ、IMFへの債務が残る。IMFの取り立てはヤミ金並みだ。

 国の経済を破綻させるひとつの手法は融資と為替レートの操作。例えば、ドル安の状態でドル建ての融資を行い、頃合いを見計らってドル高にする。レート変動への対策を怠っていると返済額は大幅に増えてしまう。アメリカの支配層が通貨戦争を始める理由のひとつはそこにある。

 そもそも、ギリシャの財政危機を招いた大きな原因は第2次世界世界大戦や軍事クーデターによる国の破壊であり、もうひとつは欧米巨大資本の商売。年金制度や公務員の問題などが急に悪化したわけではない。ギリシャの人びとを地獄へ突き落とす直接的な原因になったのは通貨の変更だ。2001年にギリシャは通過をドラクマからユーロへ切り替えたのだが、財政状況の問題から本来はできないことだった。

 そこに登場したのがゴールドマン・サックス。財政状況の悪さを隠す手法をギリシャ政府に教え、債務を膨らませたのだ。CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)などを使い、国民に実態を隠しながら借金を急増させ、投機集団からカネを受け取る代償として公共部門の収入を差し出すということが行われていたという。借金漬けにした後、「格付け会社」がギリシャ国債の格付けを引き下げて混乱は始まった。ヤミ金の手口にほかならない。

 そうした操作が続けられていたであろう2002年から05年にかけてゴールドマン・サックスの副会長を務めていたマリオ・ドラギは06年にイタリア銀行総裁、そして11年にはECB(欧州中央銀行)総裁に就任する。ECBが欧州委員会やIMFと組織する「トロイカ」がギリシャへの「支援』内容を決めてきた。

 トロイカの基本スタンスは危機の尻拭いを庶民に押しつけ、債権者、つまり欧米の巨大金融資本を助けるというもの。それが緊縮財政だ。

 そうした理不尽な要求をギリシャ人は拒否する姿勢を示す。2015年1月に行われた総選挙で反緊縮を公約に掲げたシリザ​(急進左翼進歩連合)に勝たせ、7月の国民投票では​61%以上がトロイカの要求を拒否した。トロイカの要求に従うと年金や賃金がさらに減額され、社会保障の水準も低下し続け、失業者を増やして問題を深刻化させると考えたからだ。選挙で勝ったシリザはアレクシス・チプラス政権を成立させる。

 それに対し、バラク・オバマ政権はネオコンのビクトリア・ヌランド国務次官補を2015年3月に派遣した。その前年の2月にアメリカ政府はウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを成功させたが、その際に現場で指揮していたのはヌランドだ。

 この次官補はチプラス首相に対し、NATOの結束を乱したり、ドイツやトロイカに対して債務不履行を宣言するなと警告、さらにクーデターや暗殺を示唆したとも言われている。イギリスのサンデー・タイムズ紙は7月5日、軍も加わったネメシス(復讐の女神)という暗号名の秘密作戦が用意されていると伝えていた。

 ギリシャ政府にはもうひとつの選択肢があった。ロシアのサンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラムでチプラス首相はロシアのウラジミル・プーチン大統領と会談、天然ガス輸送用のパイプライン、トルコ・ストリームの建設に絡んで50億ドルを前払いすると提案されているのだ。

 また、地中海の東岸、エジプトからギリシャにかけての海域には9兆8000億立方メートルの天然ガスと34億バーレルの原油が眠っているとUSGS(アメリカ地質調査所)は推定している。しばらく踏ん張れば、国は復活する可能性があったのだが、そうなると欧米支配層は困る。その資源を自分のものにできなくなるからだ。

 結局、チプラス首相はギリシャ国民を裏切り、欧米支配層の利益へ奉仕することになった。そして結果は予想通り。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201809090000/

197. 中川隆[-13666] koaQ7Jey 2018年9月13日 08:06:54 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-18514] 報告
現代社会で右派・保守派が言論弾圧される「たった1つの理由」とは?2018.09.12
https://bllackz.com/?p=4845

2018年8月18日、アメリカの大統領ドナルド・トランプはツイッターで「ソーシャルメディア各社は右派の見解を持つ利用者を完全に差別している」「検閲はとても危険なもの」と激しく批判した。そして、連続するツイートでこのように述べた。

「そんなことはさせないというのが、トランプ政権の断固とした明確な立場だ。彼らは右派以外の人々には何もしていないのに、右派の多くの人の意見を遮断している」

このトランプ大統領の咆哮は被害妄想なのか真実なのか。アメリカでは多くの人が「真実だ」と捉えている。

ここでやり玉に上がっているSNSというのはフェイスブックやツイッターなのだが、最近、この両社は著名な右派陰謀論者であるアレックス・ジョーンズのアカウントを完全に排除したことでも知られている。

フェイスブックと言えば、広告費を得るためにフェイクニュースを垂れ流しにしたり、差別言動を煽るコンテンツであってもアクセス数が多ければ放置したりするような自社に都合の良いポリシーで運営していることが明白になり、世界中で批判の的になっている巨大SNSサービスだ。

そして、最近フェイスブック内部からもトランプ大統領の「右派の見解を持つ利用者を完全に差別している」という発言が裏付けられる動きが出てきた。(鈴木傾城)


フェイスブックはすべての視点を歓迎すると主張?

2018年8月28日にニューヨークタイムズが報じて、メールオンライン等各紙が一斉に取り上げているのは、フェイスブックの上級エンジニアであるブライアン・アメリゲ氏がフォーラムに書き込んだ内容だ。

ブライアン・アメリゲ氏が「FB’er」というフェイスブックの内部で使われているメッセージボードで書かれた投稿のタイトルはこのようなものだった。

“We Have a Problem With Political Diversity”
(我々は政治的多様性に問題を抱えている)

フェイスブック社内はかなり”left-leaning”(左に傾いた)の文化であり、トランプ大統領のポスターを破壊したりするような状況がまかり通っているとブライアン・アメリゲ氏は語っている。

「フェイスブックはすべての視点を歓迎すると主張しているが、実際には左翼思想に反する見方をしている人間は、しばしば排斥の対象にされる」

「私たちは様々な見解に耐えられない政治的な単一文化の中にある」

それも「群衆にまぎれて、すばやく攻撃される」というのだから悪質だ。フェイスブック社内では、意図的に保守派が攻撃されているのである。

社内でもそのような状況なのだから、ユーザーの主義主張に関しても「左派の主張は放置され、右派の主張は言論封殺される」という現象が現れても不思議ではない。

ドナルド・トランプ大統領が激しく批判しているのは、こうしたものだった。そして、トランプ大統領はこのように結んでいる。

「良かろうが悪かろうがすべての人を参加させ、私たち皆が自分で判断するしかない!」

グーグルがあからさまに偏向するとどうなるのか?

アメリカのハイテク産業が強烈なリベラル思想に支配されているのは、かねてから言われていた通りで、今さらそれが明らかになっても何ら驚きはない。

「グーグルも検索結果がリベラル優位に偏っている」とトランプ大統領は批判している。

グーグルは中国で金儲けをしたいがために、中国政府におもねるような検索エンジンを作って社内のエンジニアたちから大批判が湧き上がるような事態になっている。

グーグルの上級幹部と一部のプログラマーだけで極秘で進められていたプロジェクト「ドラゴンフライ」は、中国政府の検閲をそのまま取り入れたものだった。

(ダークネス:グーグルは、秘密プロジェクト「ドラゴンフライ」で邪悪になるのか?)
https://bllackz.com/?p=4740


この計画が従業員の密告でバレると、グーグルのCEOであるサンダー・ピチャイ氏は「中国で検索商品を出す状況に近づいていない」と計画を引っ込めた。

バレなければ、そのまま中国に納入して中国政府におもねりながら金儲けをするつもりだった。

もし、仮にグーグルがこの「ドラゴンフライ」で中国に進出し、広告費を稼ぐようになったのを見届けた後、中国政府が「全世界の検索も検閲しろ」と圧力をかければどうなったのかを想像すれば恐ろしい。

グーグルの上級幹部が、中国市場とその売上を失いたくないために従うという決定をしたら、検索エンジンでは中国共産党に都合の悪いコンテンツ、都合の悪い書き手はいっさいグーグルの検索エンジンから弾かれることになっていく。

検索エンジンの市場はグーグルが独占している。グーグルがあからさまに偏向すると、言論封殺は完成するのである。


資本主義の中では「愛よりもカネ、国よりもカネ」

ところで、ハイテク大手ばかりでなく、世界中のほぼすべての多国籍企業、政治家、経営者、エスタブリッシュメントたちが左派(リベラル)に偏っているのは何か理由があるのだろうか。

それは、何かの陰謀なのだろうか。

いや、基本的に多国籍企業は左派(リベラル)に偏っていくのは自然な現象だからそうなっていると考えた方がいい。

どういうことなのかというと、多国籍企業は常に「安い労働者」と「世界の市場」のふたつを追い求めて活動している。このふたつを追求することによってコスト削減と売上増大が図れるからである。

安い労働者=コスト削減
世界の市場=売上増大

安い労働者を見つけるには途上国の人間を使うのが手っ取り早い。だから多国籍企業は世界中に出ていく。また先進国の人口は萎んでいくばかりだが、途上国の人口は爆発的に増えていく。売上を上げるには途上国の人間をどんどん取り込むのが合理的な判断だ。

これを成し遂げるには国という概念は希薄である方がいいし、安い労働者を使うためには保守派はいない方がいい。だから、多国籍企業のすべては左派(リベラル)に偏っていく。

この多国籍企業が莫大なロビー活動を行うので既存の政治家はことごとくグローバリストとなって「国という概念の撤廃」「移民・難民の歓迎」「多文化共生」を主張する。

そして、この多国籍企業の大株主がエスタブリッシュメントであり、多国籍企業を動かしているのが経営者たちである。

多国籍企業、政治家、経営者、エスタブリッシュメントたちは、単に儲かるからグローバル化を推進している。それが現実なのである。

そう考えると、ドナルド・トランプ大統領が徹底的にグローバル・メディア、既存の政治家、エスタブリッシュメント、経営者たちから攻撃されるのは、「金儲けの邪魔」だからであるとすぐに気付くはずだ。

なぜ右派・保守派は弾圧されるのかも、これで見えてくるはずだ。グローバル社会の中で、右派・保守派は「金儲けの邪魔」なのである。

多国籍企業はイデオロギーなんかどうでもいい。グローバル化に左派のイデオロギーが利用できれば左派を利用し、金儲けとう本音を隠して多文化共生みたいな建前を謳う。

それが、今の社会で起きていることだ。イデオロギーが問題だと思っていたら、まだ世の中が分かっていない。(written by 鈴木傾城)

198. 中川隆[-13651] koaQ7Jey 2018年9月14日 10:29:00 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-18538] 報告
映画『マルクス・エンゲルス』 カール・マルクス生誕200年記念作品
http://www.hark3.com/marx/


書評・テレビ評2018年9月11日

 カール・マルクス生誕200年を記念してハイチ出身のラウル・ペック監督が作成した映画である。フランス、ドイツ、ベルギーの合作で2017年に公開。世界各国で上映されている。西欧諸国でマルクスを主人公に描いた初の長編映画となる。出版から150年以上が経過した『共産党宣言』や『資本論』が、なぜ今なお世界の人人のなかで読みつがれ、現代社会を解明する力を発揮しているのか。映画は若き24歳のマルクスと22歳のエンゲルスが、何に怒り喜び、情熱を注いだのかを浮き彫りにし、『共産党宣言』(1848年)を執筆するまでの5年間に絞って描いている。

 1843年4月、プロイセン政府によって木材窃盗取締法(貧困者が慣習的におこなっていた木材採集を窃盗として取り締まる法律)が施行された。木材を集める庶民たちを、官憲の男たちがサーベルを振りあげてめったうちにしていく。

 19世紀中葉、絶対王制下のヨーロッパを描き出す象徴的な出来事で、民のものだったはずの森が、今や枯木の枝の一本たりとも産業資本家の物であるという所有権をめぐる論争が起こった。それは産業革命がもたらした差別と貧困の問題を浮かび上がらせ、やがてブルジョアとプロレタリアという階級間のたたかいへと発展していく。

 ドイツで『ライン新聞』の記者をしていた24歳のマルクスはこの法律に怒り、鋭く批判する。彼は権力の取り締まりにあい、ドイツを追放されてフランスをめざす。一方、22歳のエンゲルスは、イギリスのマンチェスターにある父親の紡績工場で、労働者たちの過酷な労働環境と搾取を間近に見ていた。そして貧民街を調査し、『イギリスにおける労働者階級の状態』などの論文を執筆した。マルクスはエンゲルスの論文に感嘆し、2人はパリで意気投合して生涯の理解者として運命的な出会いを果たす。

 若き2人は熱い論議をくり返し、資本主義世界を変革する理論を掴もうと格闘した。その燃えるような怒りやエネルギーの原点は、枯れ枝も拾えず死ぬしかない貧しい人人、紡績工場で搾取にあえぐ労働者への愛情であり、人間の尊厳を奪い不当な労働を強いる資本家への怒りだった。常に労働者階級に身を寄せた彼らは、同盟者であったヘーゲル左派や真正社会主義者、プルードンなど現実に基づかない観念的で抽象的な論説を容赦なく批判する。その過程で資本主義体制に対する、共産主義の理論を鍛え上げていく彼らの姿がいきいきと描かれている。

 例えば、1846年3月にパリ在住のドイツ人によって組織された秘密結社・義人同盟のメンバーが、「友愛」を旗印に人人を煽動しようとし、綱領も「すべての人間を私有財産の所有者に変える」といった浮ついた日和見主義的な内容だったものをマルクスは手厳しく批判した。さらに「所有とは盗みである」というテーゼを提唱した思想家プルードンが、労働組合の組織やその闘争を否定し、生産者による平等な商品交換が社会的正義への道だと説いたことに対して、「我々には、“非所有”は抽象論ではなく、絶望的なほどの現実なのです」といい、“持つ者”と“持たざる者”を階級的に鮮明にするよう迫った。彼らは権威に媚びず、闘いをうまく避け、人をよい気分にとどめおく曖昧な言葉に対して容赦なく意見した。

 マルクスが「哲学者は世界を解釈するが、肝心なのは世界を変えることだ」と語っているように、みずから労働者階級の側に身を寄せて現実の矛盾を分析し、資本主義を変革しうるのはプロレタリア階級だけであるという普遍性を科学的に解明した。それは共産主義者同盟の「万国のプロレタリアよ、団結せよ」という標語となり、「今日までのあらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である」という言葉で始まる『共産党宣言』にまでたどり着く。彼らが理論を構築する動力は、資本主義社会のなかで労働者を搾取する者に対する怒りであり、それを変革するために現実に徹底的に迫って生み出された論文が、今も多くの人に示唆を与えている。

 映画では、エンゲルスは支配階級でありながら共産主義を啓蒙するという自身の立場に葛藤して悩み、一方のマルクスは言説が思ったように受け入れられず生活は困窮を極めたことなども描かれている。また、同志のように支え続けた妻たちの存在も印象的だ。

 『共産党宣言』が出されて170年、『資本論』が世に発表されてから150年以上が経過した現代は、より巨大な貧富の格差と腐敗がまん延し、1%にも満たない富裕層のために大多数の貧困層が生み出されている。欧米をはじめとした資本主義各国では、若年層や女性を中心に社会主義を志向する動きが広がっているが、そのなかで資本主義の矛盾に切り込んだマルクスの理論に希望を見出す動きは新鮮であり、ある意味必然ともいえる。

 「不断の批判こそが変革と自由の第一歩である」というマルクスとエンゲルスの言葉は、現代を生きる私たちにも鋭く問いかける。
https://www.chosyu-journal.jp/review/9246

199. 中川隆[-13572] koaQ7Jey 2018年9月19日 07:52:42 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-18628] 報告

終身雇用が消えたのだから、意識を転換させて生き残る必要がある2018.09.18
https://bllackz.com/?p=4865

給料というのは、「その人が食べて行ける必要最小限」を出すのが基本である。

だから、一生懸命に働いたところで、給料はべらぼうに上がるわけではない。多少は上がるかもしれないが、その範囲はほぼ決まっている。

なぜなら、会社というのは従業員をコストと考えているからだ。コストにはいくら支払うかは、「従業員は、いくらならギリギリで暮らせるか」で決めている。

若年層の給料が安く、年齢が上がれば給料が高い。それは、簡単に言えば、年齢が高い方が生活コストがかかるからだ。その分だけ払わないと彼らが生きていけない。

給料が安すぎれば、従業員が食べていくことができないので、仕事が続けられない。だから、必要最小限は出す。

しかし、出し過ぎるとコストが上がって会社としての競争力が下がるので、必要以上は出さない。だから、従業員がいくら頑張ろうが給料の範囲は高がしれている。

これは、単純なコスト計算なのである。(鈴木傾城)


「その人が食べて行ける必要最小限」しか出さない

多くの人々が常に生活に追われている感じがするのは、言うまでもなく、賃金をギリギリしかもらっていないからだ。

かつての日本は終身雇用であり、年功序列でもあった。それなりに、社員のことを考える会社が多かった。

しかし最近は企業自体が変質した。終身雇用が崩壊し、社員はどんどん派遣やアルバイトやパートに置き換えられ、従業員に対しては必要最小限の責任しか持たない。

コスト意識がさらに進むと、賃金はどんどん落ちていく。賃金は職種や経験や景気に左右されるので、一本調子で下落というわけではない。ムラはある。

しかし、現代の資本主義で起きているのは、一貫して先進国の従業員の賃金の減少と、労働環境の悪化だ。賃金は政府が何をしても、どんどん落ちていく。

社会が壊れようとするときは、必ず末端から壊れていく。こういった状況を人々は肌で感じ取っているから必死で働く。しかし、企業は「その人が食べて行ける必要最小限」しか出さない。結果から言うと、一生懸命に働いても「たかが知れている」ということになる。

仕事をするにしても、仕事の仕方を今までと変えなければならないということだ。結局どうすればいいのか。

一瞬で金持ちになろうと、ギャンブルや投機に手を出す人もいるが、そんなものでは生活を成り立たせることはできない。

(フルインベスト:一瞬で金持ちになりたいなら、大きなリスクを負って一点集中投資)
https://fullinvest.xyz/?p=5799


どのみち、企業は社員の面倒を最後まで見ないのが基本になる。終身雇用は消え、企業はいつでも不景気になれば社員をリストラする。

だから、自分の面倒は自分で見る必要がある。会社に雇われて生きているという発想から、自分の能力を会社に売って生きているという発想になる必要がある。

「会社に雇われて生きる」というのは、会社に依存して生きていることを意味している。「能力を会社に売って生きている」というのは、会社に勤めていても個人営業と同じだ。まず、この意識の転換が必要なのだ。

「これができるのは自分だけ」という能力が必要

会社に「能力を売って給料をもらっている」とすれば、リストラされても、その能力で独立できたり、すぐに他の会社で同じ仕事を継続できる。

この「能力」は、自分の人生を成り立たせるためのものだから、すぐに廃れたり、誰でもできるような陳腐な「能力」では意味がない。高度で専門的なものであるべきだ。

・一生を成り立たせることが可能な「能力」であること
・高度で専門的な「能力」であること


この能力は「技能」と言ってもいいし、「知識」と言ってもいい。自分の一生をそれで成り立たせるのだから、好きなものでないと長続きしない。

まずは、これを身につけるか、もしくは見つける。そして、この「能力」を会社に売って生きる。あるいは、この能力で独立できることも可能になるようにする。

ここが出発点だ。

ただ、「能力」があるだけでは足りない。なぜなら、自分以外に数千万人が同じ能力を持っていたとしたら、せっかく能力があったとしても、その能力は安売りするしかない。

私たちは自分だけの「能力」、すなわち「希少価値のある特殊な能力」を見つけるか身につける必要がある。

分かりやすく言うと、「これができるのは、世界で自分だけ」という能力を「開発」するのが先決であるということだ。

それは口で言うほど簡単なことではないし、そんな能力を自分の中から見つけるのも、身につけるのも並大抵のことではない。

だから、人生を賭けて作り上げる壮大な目標になる。その能力に需要があれば、一生をその能力で支え、食べて行ける。

また、その能力を活かして、自分にしかできない仕事を作ることもできる。自分にしかできないのだから、その能力が要らない時代にならない限り、食いっぱぐれることはなくなる。

この4つを中心にして、自分の人生を構築する

一生を支える能力、一生継続させて使う能力なのだから、流行が終われば使えなくなるような能力では意味がない。一生、継続して使える「能力」でなければならない。

その、自分だけが持つ特殊能力は、経験と知識が積み重なり、何らかの「資産」が積み上がるようにすべきだ。

たとえば、歌手であれば、過去の仕事がレコードやCDという「資産」として社会に残る。それは、永遠に作品として残り、収益をもたらす。俳優や、芸術家もそうだ。作品が残って、資産が積み上がる。

一方で、単なる単純労働の仕事は、毎日必死で働いても、「資産」が積み上がらない。何も自分に残らない。

自分に帰属する資産が残らないのは、自分が休んだり動けなくなったら終わりだから、資産が積み上げられる仕事に比べて、それだけで不利であることは考えなくても分かる。

その資産にずっと需要があって、ずっと収益化できるものであれば、資産が資産を生む。

もし、どうしても「能力」に資産が残らないものであれば、能力で得た収益を、成長する企業に長期投資して、それを資産として持つという方法もある。

しかし、本来であれば自分の過去の仕事が資産として残り、それを収益化できる「能力」を持つことができるようにすべきなのである。

(1)一生を成り立たせることが可能な「能力」を持つ
(2)高度で専門的な「能力」を持つ
(3)自分だけができる特殊な「能力」を持つ
(4)資産を生み出すことのできる「能力」を持つ

この4つを中心にして、自分の人生を構築すれば、会社に依存することもなく生きていけるようになる。すなわち、自分で自分を支えることが可能になる。(written by 鈴木傾城)

200. 中川隆[-13566] koaQ7Jey 2018年9月19日 22:42:22 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-18649] 報告
【討論】サヨクの本質−共産主義は本当に死んだか?[桜H30-2-24] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=LpR4wJivgPw

2018/02/24 に公開


◆サヨクの本質−共産主義は本当に死んだか?

パネリスト:
 岩田温(政治学者・大和大学政治経済学部専任講師)
 加藤清隆(政治評論家)
 河添恵子(ノンフィクション作家)
 篠原常一郎(元民主党・日本共産党国会議員秘書)
 西岡力(「救う会」全国協議会会長・モラロジー研究所歴史研究室室長)
 森口朗(中央教育文化研究所代表・教育評論家)
 渡邉哲也(経済評論家)
司会:水島総

201. 中川隆[-13543] koaQ7Jey 2018年9月23日 13:56:58 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-18784] 報告

2018年09月23日
新興国の罠 先進国との格差は縮まらない理由


新興国の成長率は急低下し、成長を維持しようとバブルを起こす


バブルが弾けたら、気づくと新興国のまま

画像引用:http://1.bp.blogspot.com/-S3_IlRwWB7I/VjaW16vUTVI/AAAAAAAAAlk/2xuzAzHjcrU/s640/img_7fad0bbab46ddd038d7be4c140f3f30474279.jpg

新興国の罠にはまる国々

新興国の罠という言葉があり、一時期急成長した後進国は経済ショックで跳ね返され先進国になれない。

経済成長率が年10%を超え、それが10年も続くと必ず「先進国入り」を目標にする。

だがもう少しで先進国入りかに見えた瞬間、経済ショックが起きてマイナス成長か通貨暴落してしまう。




気づくと経済は10年前のまま先進国とは大差がついて、経済成長は鈍化している。

韓国や台湾やアセアン諸国がこの壁に挑んだが、必ず跳ね返された。

現在のこれらの国の成長率は3%から5%程度で、先進国よりは高いが追いつくほどのペースではない。


後進国から先進国への壁を超えたのは日本とアメリカくらいで、カナダやオセアニアも生活レベルとしては先進国とされる。

先進国としての地位は西欧先進国が独占していて、ロシアと中国を先進国と呼ぶ人は居ない。

どうして新興国は急速に経済成長しながら、先進国にはなれなかったのでしょうか?


一般的には「中所得国の罠」と呼ばれていて、一人当たりの所得がある水準から上昇しない現象を指します。

後進国が高度成長する原動力になるのは安い労働力で、先進国から投資を受けて先進国に輸出します。

後進国にはお金も技術も市場もないので、先進国が投資しないと経済成長は起きません。

なぜ先進国になれないか

輸出は先進国にとっては大きな産業ではないが、後進国にとってはGDPを何倍にも拡大させるパワーがある。

中所得国は一人当たりのGDPが3千ドルから1万ドルを指すが、インフレによって水準は徐々に上がっていきます。

1万ドル前後になると「先進国入り」を目標にするが、そこから2万ドルや3万ドルに達する例は少ない。


1000ドルだった所得が1万ドルに上がれば人件費の上昇で輸出競争力がなくなり、経済成長率が低下します。

新興国と呼ばれるようになると、先進国並みの国内投資で成長しようとしてバブル経済を起こします。

バブルが弾けることで経済ショックが起き、1998年のアジア通貨危機はその典型でした。


僅か数年前にBRICS(ブリックス)という新先進国が提唱され、ブラジル・ロシア・インド・中国が次の先進国だと言われていました。

今では「混乱した国」の代名詞になっていて、誰もブリックスが現在の先進国に変わるとは思っていない。

中国はまだ持ちこたえているが、公的債務が歯止めなく膨張していて既にGDPの3倍を超えている。


日本も70年代の輸出至上主義が通用しなくなり、80年代にはバブルで成長しようとして、90年台に経済ショックを起こした。

ある意味新興国の罠にハマったが、先進国に留まり続けている。


最近経済ショックに見舞われているトルコやアルゼンチン、ベネズエラも成長しているときは先進国を目指していたが失敗した。
http://www.thutmosev.com/archives/77604511.html

202. 中川隆[-13497] koaQ7Jey 2018年10月02日 12:01:57 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-18964] 報告

韓国は既に共産体制へ向かって驀進中


韓国、「文大統領」海外メディアに金正恩氏報道官と「皮肉られる」 2018年10月01日
http://hisayoshi-katsumata-worldview.livedoor.biz/archives/12548018.html

文大統領の「北朝鮮愛」は本物である。国連総会での演説で金正恩氏の宣伝役を十分に果たしたからだ。文氏の両親は北朝鮮出身である。それが、朝鮮戦争の動乱の際、韓国へ移ってきた事情がある。文氏は韓国で生まれである。だから、ルーツを追えば北朝鮮になるわけで、個人的な思いが北朝鮮に向けられるのは当然であろう。

政治家としては、個人感情を政治に結びつけてならない。文氏の場合、「思想信条」面からも北への理解度が高いはずである。かつての学生運動家上がりで、火焔瓶を投げつけていた闘士であるからだ。

『朝鮮日報』(9月28日付)は、「海外メディアに金正恩氏の首席報道官と皮肉られる文大統領」と題する記事を掲載した。

(1)「ブルームバーグ通信は9月26日「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は国連で北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の首席報道官になった」という見出しの記事を掲載した。記事には「金正恩氏は国連総会には出席しなかったが、彼を称賛する事実上の報道官を送った。それが文大統領だ」と記載されていた。実際に文大統領が韓国、米国、国際社会に向け金正恩氏の善意を伝える窓口のような役割を果たしていたのは確かだ」

文氏は、自らの手で米朝関係を正常化の斡旋役になりたい意欲は十分に伝わってくる。だが、「金正恩氏」といえば、国際的な評判がすこぶる悪い人物である。それを褒めることに違和感の強い向きが多いのだ。非核化と言っても、具体化は何一つ進んでいない。

(2)「文大統領は北朝鮮による核・ミサイル実験場の閉鎖について説明する際「北朝鮮の核ミサイルが米国の脅威になることは完全になくなった」と発言した。しかし北朝鮮は今なお数十発の核弾頭を保有しており、また移動式の発射台や大陸間弾道ミサイル(ICBM)もそのまま残っている。一国で安全保障政策に責任を持つ人間は相手の言葉をたやすく信じるべきではない。文大統領が金正恩氏の業績や人間性を高く評価しているのは確かだ。しかし金正恩氏は北朝鮮の3代続く独裁者であり、海外の空港で腹違いの兄を化学兵器を使って殺害し、その叔父を高射砲で跡形もなく粛正した。平壌の一部市民を除く北朝鮮住民は「人権」や「愛」などの言葉さえ知らないまま今なお悲惨な生活を送っている」

文氏が、北朝鮮の歓迎会で卑屈な演説をしたのはまずかった。韓国大統領と言うべき所を「南の大統領」などと北朝鮮の呼称に合わせるなど、自らが韓国大統領職にあることを忘れたような振る舞いであった。これでは、「北の報道官」と揶揄されても致し方ない。

文氏の人柄は、「お人好し」とお見受けする。個人レベルの友人としては最高としても、一国の運命を担う大統領として物足りない。政治的な判断が、個人レベルの友情の延長で決められている面が多いからだ。最低賃金引き上げもその例である。自分の友人が言い出した政策だから、見直さずにやらせている。どうも、そういう「お人好し」の面が出ているようだ。信賞必罰のできない人間が、金正恩氏の後援者になったような行動は慎むべきことだ。



▲△▽▼

韓国、「仮面」文政権が目指す国家像は左派独裁で「北との連携」2018年09月30日
http://hisayoshi-katsumata-worldview.livedoor.biz/archives/12526082.html

文在寅氏の構想する韓国の政治体制は、北朝鮮との連携を基本にした「南北統一型」にシフトさせようとしている。すでに教科書も書換えさせた。韓国の国是の「自由と民主」から自由を除いて、「民主」だけにした。こうすれば、北も「人民民主主義」を掲げているので、「民主」で南と北が結びつける。こういう、子どもだましのようなことに夢中である。

文氏の発想は、明らかに北朝鮮を主体に考えている。それに合わせて、韓国国内も同じ方向へ向けさせようとしているのだ。前記の教科書の書き換えはその第一歩である。次は、労組を持たない大企業に検察を向けさせて、強硬な労組組織を作らせようと画策している。

労組の存在は、企業の発展に不可欠である。労使協調という言葉の通り、日常の意思疎通で果たす役割は極めておきい。だが、韓国ではその労組の活動が過激すぎて、無法な賃上げを迫って企業を破綻させる例がいくつかある。労働攻勢によって企業を倒産させれば、労働者は職場を失う。それでも「主義主張」に殉じて賃上げ闘争に突っ走る原動力は何か。資本主義社会を否定して、北朝鮮式の社会を目指す運動の一環であろう。

韓国左派には、北朝鮮社会がモデルに見えるようだ。形式主義を重んじる韓国では、「人民民主主義」という言葉に限りない魅力を感じている。人民民主主義とは、労働者階級の指導の下に権力を掌握するという政治思想である。資本主義社会を否定するもの。韓国での意常軌を逸した「大企業批判」は、人民民主主義という考え方に基づけば当然、出てくるのであろう。大企業は、人民を搾取するという前提に立つからだ。人民民主主になれば、大企業は打倒の対象でしかない。強烈な賃金闘争を仕掛けて大企業を破綻に追い込む。労働組合にとって、それは勝利という感覚なのだろう。

『朝鮮日報』(9月28日付は、「サムスンとポスコが『無労組』にこだわった理由を考えよ」と題する社説を掲載した。

(1)「サムスン電子サービスの労組つぶし疑惑に関して、韓国検察はサムスン電子理事会(取締役会)議長を含む計32人を起訴すると発表した。検察は6カ月にわたってこの事件を捜査する間、実に9回の家宅捜索、16件の逮捕状請求を行った。捜査の規模や起訴の規模は全く類例がない。サムスンが数十年間守ってきた「無労組経営」に、検察が鉄槌を下したのだ。少し前には鉄鋼最大手ポスコにも、会社設立以来初めて、全国民主労働組合総連盟(民労総)の金属労組が傘下組合を組織した。親労働路線を取る現政権になって以降、民労総は、これまで進出していなかった大企業に次々と根を張っている」

全国民主労働組合総連盟(民労総)は、労働貴族の「総本部」という位置づけである。労働貴族とは、労組員の所得が上位10%に入るほどの高所得を得ているからだ。この労組員の高所得が象徴するように、労組を持つ企業では、戦々恐々としている。連続ストライキはいうまでもなく、山猫ストも発生するなど、徹底的に企業へ損害を与えても賃上げを実現させるのだ。労働生産性にはお構いない賃上げである。「人民民主主義」の立場からいえば、企業は敵という位置付である。

(2)「なぜサムスン電子やポスコのようなグローバル企業が「無労組」原則にこだわってきたのかも考えなければならない。民労総の強硬な闘争のせいで倒産した企業は一つや二つではない。民労総所属労組の占拠闘争で双竜自動車は廃虚と化し、韓進重工業は抜け殻になった。現代自動車は、年俸1億ウォン(約1000万円)に迫る貴族労組の専横のせいでグローバル競争に遅れを取っている。強硬な貴族労組は韓国経済の宿痾(しゅくあ)である、という事実を知らぬ者はいない」

民労総の強硬な闘争での倒産企業はいくつかある。双竜自動車、韓進重工業、そして、現在起こっている被害会社は現代自動車である。このような実例を見れば、サムスン電子やポスコ(鉄鋼)が、「無労組」原則にこだわって、労組を持たなかった理由が分る。その代わり、最高の賃金を支払い、社員へ厚遇で報いてきた。長期のストライキを打たれる経済的な損失を考えれば、「無労組」は褒められることでないにしても、それなりの理由があった。

(3)「サムスンやポスコは、労組はなかったが、従業員の待遇や福利厚生の面ではどの企業よりも優れている。両社はいずれも、求職者が入社したがる最高の職場だ。もしサムスン電子とポスコに民労総の強硬な労組が入り込み、闘争を繰り広げたら、今のようにナンバーワンの企業になれたかどうか、考えてみるべきだ。恒例行事のようにストライキを打ち、どうかすると経営を妨害するというのに、世界第1位の座を守って今のようなグローバル競争力を維持できただろうか。検察がサムスンに対し捜査に入った今年4月、民労総は「サムスン共和国を取り壊さなければならない」として「サムスンの全ての系列会社に労組が作られてこそ、真に世の中が変わっているという兆し」と主張した。実際、そうなりつつある」

サムスンもポスコも、来年以降は強力なストライキに悩まされるだろう。業績は落ち込み、韓国経済はさらに泥沼へはまり込む。韓国労組はそれが狙いだ。韓国経済を混乱に陥れて、「人民民主主義」の旗の下で北朝鮮と連携する。こういう政治戦略に違いない。文政権が、大筋でそれを容認していると見るべきだ。そうでなければ、最低賃金の大幅引上げを行なって、韓国経済を混乱させるはずがないだろう。


▲△▽▼

韓国、「大統領府秘書官」学生運動家上がりが6割も占める「リスク」2018年09月30日
http://hisayoshi-katsumata-worldview.livedoor.biz/archives/12526098.html

文在寅大統領は学生時代、権力と戦った元学生運動家を大統領府に集めている。「人民民主主義」の信奉者である。1980年の光州事件の「戦友」だ。あれから幾星霜を経て、今や大統領府で権力の頂点に立っている。感無量であろう。この理想の地へ辿り着いた以上、いかなる批判を浴びても学生時代に掲げた理想の実現に邁進する。有り体に言えば、こういう心境であろう。

すでに、最低賃金の大幅引き上げも行なった。教科書も書換えさせた。南北首脳会談も3回開き、統一へのレールが出来はじめた。財閥企業にも労働組合を作らせた。文政権は就任1年半にもならないのにかくかくたる戦果を上げている。しかし、これが本当に韓国社会にとってプラスになるだろうか。

経済がガタガタになっても文政権が支持され続ける保証はどこにもないのだ。韓国左派にとって、最大の弱点は経済政策の失敗にある。「人民民主主義」では、経済を混乱させることが目的である。だから想定の範囲内のこととしても、左派でない人々にとっては迷惑千万な経済政策である。韓国大統領府は、このように異常な雰囲気に飲み込まれている。

『朝鮮日報』(8月8日付)は、「韓国大統領府の元活動家重用は度が過ぎる」と題する社説を掲げた。

(4)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領が8月6日に行った韓国大統領府秘書室、政策室の1級以上秘書官人事で、スタッフの6人中5人が運動圏と呼ばれる左翼系の元学生運動活動家で占められるようになった。今回の秘書官人事は、全国大学生代表者協議会(全大協)など運動圏や市民団体出身者が昨年末の17人から2人増えて19人となり、率にすると61%に達した」

文氏は、自らの「イエスマン」を側近に集めている。韓国の政治システムでは、大統領府に権力が集中する。日本のように各省庁が責任を持って行政を司るシステムではない。絶大な権力を握る大統領府は、秘書官の6割が「元学生運動家上がり」が占領している。韓国をどこへ引っ張ってゆくのか。それは、北朝鮮社会と同じ「人民民主主義」であることは間違いないだろう。彼らが、学生時代に信じていた思想は「金日成主義」であったからだ。

(5)「大統領府スタッフに、大統領と考え方が近い人物が就任するのはある意味自然なことだ。現政権ほど、大統領府スタッフに特定の集団出身者が多数を占めるようなケースはこれまでなかった。文大統領は先日行われた新任の大法官(最高裁判所裁判官に相当)任命状授与式で、『大法官の顔触れは多様性が確保されなければならない』と述べた。ところが大統領府のスタッフはもはや完全に左翼活動家ばかりとなりつつある。大統領の側近が運動圏出身者で占められ、彼らが大統領府を掌握すれば、国政におけるバランスは完全に失われてしまうだろう。バランスが崩壊すれば国政そのものが完全に暴走してしまうのではないか」

大統領府の秘書官人事構成を見れば、文大統領が何を目指しているかは明らかだ。最低賃金の大幅引き上げは、韓国労組の強い突き上げによって実現したものだ。すでに、最低賃金引き上げは破綻しており、失業率は4%と金融危機時並みの悪化である。その対応策と言えば、財政資金の投入だけである。大本の最賃政策の手直しには一切、応じないという強硬姿勢である。切開手術(最賃政策の手直し)には手を付けず、対症療法(財政資金投入)策によって糊塗しているのだ。これは、政策発案者を擁護するカムフラージュである。身内を守るのが文式の人事であり、「信賞必罰」など薬にしたくてもない政権である。

『中央日報』(8月23日付)は、「文在寅経済の残忍な逆説」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のパク・ボギュン/コラムニスト/論説委員である。

(6)「文政権は、『ろうそく勢力(注:朴槿惠大統領弾劾請願デモ)・市民団体・労働組合』が現政権創出の大株主という意識を抱いている。文大統領がその勢力に借りがあるという意識から抜け出してこそ、実事求是の革新成長に進むことができる。似た性向で構成された集団は排他的だ。偏向と極端に向かう。大統領府の核心勢力は公務員を信じない。政策修正の拒否はそのような意識による。大統領府の肥大化はそのような軽蔑を反映する。大統領府の経済責任者は政策室長、経済補佐官、雇用首席秘書官、経済首席秘書官、社会首席秘書官だ。そのような膨張と布陣は集中と簡潔の原則から外れる。『経済担当首席秘書官がなぜこれほど多いのか。政策の核心は雇用だが、別々に分けるのは間違っている』と指摘する人は述べた」

このパラグラフでは、大統領府の秘書官の6割が学生運動家上がりという同質性がもたらすリスクを指摘している。そのリスクは次のようなものだ。

@ 似た者同士の性向で構成された集団は排他的だ。偏向と極端に向かう。

A 大統領府の核心勢力は公務員を信じない。政策修正の拒否はそのような意識による。

B 大統領府の肥大化は公務員軽蔑を反映する。

要するに、学生運動家上がりの大統領府集団は、偏向・孤立・軽蔑という最悪集団に化する危険性を秘めている。これは、韓国政治の危機である。

203. 中川隆[-13476] koaQ7Jey 2018年10月03日 02:25:55 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-18973] 報告

ぐっちーさん「日本人もGAFAで大量失業する」
今は「確実に訪れる大災害」の前夜に等しい 2018/09/29


アマゾンはどんどん無人化を進めていますし、アマゾンゴー(商品を取ってレジを通らずそのまま商品をもって出てくれば課金されるレジ無しコンビニ)が出てきた今、全米にいる340万人のレジ係(全米労働者の2.6%とも言われる)は間違いなく職を失うでしょう。

ここの読者はそうでないことを願いますが、多くの日本人サラリーマンは同様にFB、アマゾンなどによって職を失うことになります。リンクトインなどで、グローバルな人材市場で優秀と評価されれば、恐らく何億円なんて給料は、どうってことのない水準だと思います(現在でもそうですから)。そしてその選別は恐ろしいことにAIがやっている。

一方で、「まあ、せいぜいAI程度だな」、と判定されたらそれはもう、何百万人という世界の同レベルの労働者が競合相手になることを意味しています。もはや日本人同士の戦いではすみません。彼らと職を奪い合えば給料が上がることは期待できないでしょう。事実、われわれが雇っているエンジニアの短期アルバイト(大卒、英語も堪能)はインド人で時給500円程度です。

これはもう「リーマン危機の再来」とか言っているレベルではないのです。とんでもない「災害」前夜にいて、それは大地震と違ってかなりの確率で予測できるのです。
https://toyokeizai.net/articles/-/239925?page=5

204. 中川隆[-13358] koaQ7Jey 2018年10月24日 05:21:06 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-19486] 報告

身分制度は、頂点にいる人たちには「楽しい制度」であることに気づけ2018.10.24
https://blackasia.net/?p=2062

数年前、「1%の金持ちと99%の貧乏人」の存在が強調されて、世界で経済格差が凄まじく広がっている実態が問題になったことがあった。最近は、もう誰もこの「1%の金持ちと99%の貧乏人」の問題を口にしない。

この問題は解決したのか。

まさか。現在は世界で経済格差がどんどん広がっていて、もう富裕層と低所得層の乖離は埋められないほど大きなものになってしまっている。解決するどころか、問題はどんどん拡大しているのが現状なのである。

さらに、それは「金持ち」と「貧乏人」という身分制度として固定化されつつある。

こういった固定化された身分は是正されなければ社会に柔軟性が生まれない。しかし、実は逆にいったん経済格差や身分制度が生まれると、それを「解決したくない理由」が生まれるようになってくる。

「解決されたら困る」という人が出てくるのである。いったい、それはどういうことなのか?

経済格差が全世界で深刻化していく中で、これは考えなければならない問題だ。(鈴木傾城)

身分制度は、頂点にいる人たちには楽しい制度

経済格差は「1%の金持ちと99%の貧乏人」のピラミッド構造を生み出し、それがそのまま身分制度となる。

そしてピラミッドの頂点にいる階層は、身分制度の枠組みは自分たちにとって非常に有利であると考える。なぜなら、その社会では自分たちが最も有利な立場であり、既得権益になるからだ。

誰もが自分たちを敬ってくれる。誰もが自分たちを特別扱いしてくれる。やりたいことは、ほぼ何でもできる。自分が働かなくてもカネで誰かを働かせられる。カネで何でも解決できる。これほど、楽しいことはない。

身分制度は、そのピラミッドの頂点にいる人たちは「楽しい制度」なのである。

富裕層はその気になれば、一年中ハワイでもグアムでも行って遊んでいても暮らせる。旅行ばかりしていても問題ない。

富裕層の男はどんな美しい女でも金にモノを言わせて手に入れることもできる。富裕層の女も金にモノを言わせて靴でもカバンでもブラジャーでも倉庫いっぱいに買い揃えることができる。

望むのであれば、フィリピンの独裁者だったマルコス大統領の妻イメルダ夫人がそうしたように、宮殿に住んで靴を3000足も集めることも可能だ。そして、宮殿のような家に住み、下の身分の人間をあたかも奴隷のように使うことができる。

自分がそんな立場になれば、このピラミッド構造は「長持ちさせなければならない」と思うはずだ。身分制度が解決されてしまったら困るのである。

グローバル化した社会の中で成功した人たちもまた同じだ。富裕層は自分たちの財力や権力を誇示できる「下の人間」が必要だ。そして、社員を奴隷のようにコキ使うブラック企業の社長は、そのような低所得層がいなくなったら困る。

だから、経済格差や身分差別を解決したいなどとは絶対に思わない。むしろ、極限に達するまで身分が固定化した社会が続けばいいと願う。

身分が固定化したら、それを変革することは不可能

社会で影響力を持っているのは貧困層ではなく、富裕層だ。

彼らは政治家に金で影響力を及ぼし、カネで世論を動かし、カネで自分たちの都合の良い法律を作ることができる。

だから、いったん身分が固定化したら、それを変革することは不可能になる。富裕層の人々は富裕層のまま、貧困層の人々は貧困層のままという社会が続いて行く。

富裕層は、「貧困なのであれば、一生懸命に働いて金持ちになればいい。金持ちを恨むのは筋違いであり、努力が足りないのだ」というのだが、あまりにも格差が広がった場合、それは現実的ではない発言となる。

富裕層は金で金を生み出すことができる。10億円あれば、それを3%の株式に投資しているだけで、年間3000万円の配当が転がり込んで来る。

しかし貧困層が必死で働いても、せいぜい300万円だか400万円程度の年収にしかならない。それが数年続くだけで、ますます格差が広がるというのは、誰が計算しても分かるはずだ。

このような中で、徒手空拳で成り上がれる貧困層はごくわずかであり、低所得層の多くは低所得の人生で終わる。こういった社会の変革は、最後には社会転覆を伴った暴力的な「革命」しかなくなる。

もちろん、富裕層は自分たちが貧困層の上に君臨していたら不満を持たれることは承知している。では、どうするのか。経済格差や身分差別を解決するのか。いや、そうではない。もっと良い方法がある。

どうするのかというと、貧困層よりも、さらに下の貧困層を作るのである。つまり、下には下があるという社会にする。そして、その下の階層の人間には、何をしてもいい、という暗黙の了解を作る。

そうすると、鬱憤はさらに下の階層に向けられる。上に刃向かうより、下をいじめた方が楽だからだ。いったん、そうなると経済格差や身分差別は絶対的固定となる。

地獄のようなインド売春地帯を描写した小説『コルカタ売春地帯』はこちらから

社会システムは、常に不満のはけ口が用意される

人間社会は、それがどんな社会であっても、最後は必ず「身分制度」になるというのは覚えていた方がいいかもしれない。

最初に持てる者と持たざる者が分かれていく。次に、それが自分の子供、孫へと継承される。そうやって身分は固定化してしまう。

そして、身分制度の中では「極限の貧困者」が社会不満や閉塞感の「はけ口」のために作られていき、彼らにはどんな虐待をしても許されるようになる。

学校でも会社でも、まるで決まっているかのように、必ず「とことんいじめられる弱者」が生まれて、本当にみんなからいじめ抜かれる。社会システムは、常に「不満のはけ口」が用意されている。

上に刃向かうのではなく、下をいじめるような仕組みになっているのだ。

経済格差が固定化していくと、極限の貧困者が、はけ口として「わざと作り出される」のである。衝撃的かもしれないが、これが社会の仕組みでもある。

何のために生まれて来たのか分からないような、いじめられるだけの人生を送っている人たちもたくさんいる。

インドでは、カーストにも入れてもらえない「不可触民(ダリット)」という存在があった。不可触民は「サブ・ヒューマン」とも言われている。サブ・ヒューマンは日本語に訳すと「非人」である。

不可触民 = 触ることができないほど穢れた人。
サブ・ヒューマン = 人間になりきれてない人。
非人 = 人に非(あら)ず = 人間ではない。

これらの言葉は、激しく人格否定をしている言葉であることに気付くはずだ。社会が「この人たちは、人間ではない」と宣言して言葉として定着させたのである。

そして、あえて社会が「人間ではない層」を許容して、何かがあったときの「はけ口」に向かうように方向付けしている。

上に這い上がるのは難しく、下に落ちるのは簡単

どこでもそうだが、そういった最下層の身分の女性たちが、レイプされたり、強制結婚されたり、人身売買されたり、性奴隷にされたりしている。最下層は、そのために存在させられていると言ってもいい。

残虐だ。

こういった話は、先進国では「前近代的」「他人事」だと考える人が多いのだが、先進国を覆い尽くす経済格差がさらに極まっていったとき、本当に「前近代的」「他人事」と言っていられるだろうか。

その最下層の人権剥奪は、もしかしたらグローバル経済の最下層にも適応されても不思議ではない。

たとえば、今の日本はホームレスと言えば「個人」である。しかし、家族みんなが路頭に迷うと、いずれそれが「家族」になり「集団」となっていく。

何も持たない貧困層が個人から家族や集団になったとき、彼らはインドで言うところのダリットのような身分になってしまうかもしれない。

途上国ではホームレス家族は珍しいことでも何でもない。タイでも、路上で寝る妻に寄り添ってあげている夫の姿を見ることもあった。

大部分の貧困層が貧困層から抜け出せず、世代を超えてずっと貧困状態になる。大部分がそこから抜け出せなくなったら、それは身分が固定されたも同然なのである。

今のまま放置していると、このグローバル化の最終的な形はそういった「身分制度」になるまで突き進む。

上に這い上がるのは難しく、下に落ちるのは簡単なのだ。いったん経済格差が身分制度になると、本当にきれいなピラミッド型の構造になる。そして、身分が固定化したら、それを変革することは不可能になっていく。

しかし人々は黙っていない。「1%の金持ちと99%の貧乏人」の問題は、再び爆発する。(written by 鈴木傾城)

大部分の貧困層が貧困層から抜け出せず、世代を超えてずっと貧困状態になる。大部分がそこから抜け出せなくなったら、それは身分が固定されたも同然なのである。今のまま放置していると、このグローバル化の最終的な形はそういった「身分制度」になるまで突き進む。

205. 中川隆[-13364] koaQ7Jey 2018年10月29日 13:49:39 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-19651] 報告

2018年10月29日
税逃れを謀った偽善ミュージシャン / 国内で搾取される一般人
http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68738835.html

  ここのところテレビ局は消費税アップの話題を以て安倍政権を叩こうとしているが、果たして安倍総理は本気で消費税を10%に上げるつもりなのか? 来年の参議院選挙を考えれば、とうてい増税するとは思えない。第一、再選を迎える自民党の参議院議員が黙っちゃいないだろう。なぜなら、増税を掲げて当選できると信じる馬鹿はいないからだ。だいたい、今までのデフレ経済で日本人の消費マインドがどうしようもなく冷え切っているのに、更なる増税で経済成長が達成できるはずがないだろう。しかし、財務省は何としても増税したいから、「社会保障費を維持するためにも絶対必要です」と宣伝する。役人は日本人の国民性を知っているから、「増税しないと医療や福祉が大変になるぞ」と脅せば、渋々ながらも同意すると踏んでいるのだ。でも、老人への医療費は膨らむばかりで、ちょっとした消費税アップくらいじゃ足りないから、医療や介護に流れる支出を減らすしかない。高齢者は隠居して病気になるよりも、仕事を辞めず「一生現役」の方が幸せだ。

  そもそも、政府は消費税を上げることばかり口にするが、どうして国民は消費税を下げる「選択肢」を要求しないのか。消費税アップの背景には法人税の軽減が隠れており、法人税のパーセンテージがどのように推移したかを見れば分かる。消費税を導入した1989年には、42%から40%へ引き下げられたし、消費税を3%から5%に引き上げた1997年以降には、37.5%から34.5%へと引き下げられている。2012年になると、30%から25.5%へ落ちたし、消費税が5%から8%にハネ上がると、法人税は25.5%から23.9%へと下降した。更に23.4%へと引き下げられている。財務省は国民に知らせないけど、法人税を下げた事によるしわ寄せは、消費税アップに廻っているのだ。

  政府の御用学者は法人税を上げると企業が海外へ逃げ出し、国内の産業が空洞化するぞ、と一般国民を脅迫すればいいと考えている。しかし、法人税が高いからといって「じゃあ、外国に会社を移転しよう」と考える経営者は意外と少なく、海外進出を図る企業は外国に於ける市場の開拓だったりするのだ。(経産省「海外事業活動基本調査などを参照。) 中には「円高で苦しいから」とか「安い労働力を求めて」という理由で海外移転というケースもあるが、移った先の支那で痛い目に遭うことを考えれば、多少苦しくても日本国内で頑張った方がいい。もし、法人税が高くて「やってられない」というのなら、バブル期の1980年代に多くの企業が日本から逃げ出したはずだ。当時の法人税率は52%くらいだったから、今よりも遙かに高かった。

  現在、日本よりも法人税が高い国は五ヶ国あって、OECDの税率データベースによれば、2018年の法定実効税率 は以下の通り。
   1位  フランス      34.43%
   2位  ポルトガル    31.5%
   3位  オーストラリア   30%
   3位  メキシコ      30%
   5位  ドイツ        29.83%
   6位  日本        29.74%
  (アメリカ合衆国の法定実効税率は、断トツだった2017年の38.91%から25.84%へと落ちた。)

  とにかく税制の変化には色々な理由や要因があるけど、今になって法人税の引き下げ圧力が強いのは、強欲な株主が配当金をガッポリ貰いたいからだろう。「会社はオレのもので、社員は単なる家畜」というのが、「モノ言う株主」の考え方だし、外国人投資家にはグローバリストが多いから、日本人の労働者など眼中に無い。投資先から最大限の富みを吸い取ろうと考えるだけ。そして、政治家というのは彼らの資産形成を助ける執事のような役割を担っている。

租税回避を手助けする楽園

Paradise Papers 1Tax Haven 1


  お金持ちと貧乏人の違いは色々あって、大富豪は最小限度の税金しか払わず、国境を跨いで全世界的に商売を展開する。一方、500円玉貯金で小銭を貯める庶民は、きっちりと税金を搾り取られ、国外逃亡どころか他県への引っ越しすら困難だ。地球規模で儲けるビジネスマンは、「タックス・ヘイブン(tax haven / 租税回避地」などを使って“節税”に勤しむ。この軽課税地域については既に様々な書籍が出ているので、一般国民にも馴染みだろう。筆者も学生時代、アメリカの大富豪や財閥などが、どうやって課税を免れていたのかを勉強したことがあるので、富岡幸雄・中央大学教授が『サンサーラ』に連載していた「TAX爆弾発言」を楽しく読んでいた。カリブ海には法人税や相続税が全く無い極楽のような地域があって、バハマ、英領のヴァージン諸島やケイマン諸島、ジャマイカ、ネーデルラント領アンティールなどが有名だ。平成の初め頃、日本の企業もケイマン島で子会社を作り、日本に本店を置く会社が株主になっていたものだ。

  国境を越えた企業の課税は、相手国の税制が絡んでくるので何かと厄介で、国税の役人も追跡を諦めることが多い。富岡教授の連載で面白かったのは、1990年当時、調べたら80近くのタックス・ヘイブンがあったのに、大蔵省は41の指定地域しか把握していなかったのだ。(富岡幸雄 「大企業の『税金のがれ』のメカニズム」、『サンサーラ』 1990年12月号、p.139) まぁ、エリート官僚といっても、日本国内でしか睨みが利かないので、外国の租税回避地は管轄外だ。たとえ判っていても「無駄だよなぁ〜」と諦めるのがオチである。富岡教授が規制地域外進出子会社を調べたら1418社もあったそうだ。指定地域には約3000社の日系外国企業があったと確認されたが、野放し地域の数は不明だった。そこで、富岡教授が大蔵官僚に質問すると、野放しの地域には日系企業が存在しないので、指定する必要はありません、との回答であった。しかし、お役人様の答弁には然(さ)したる根拠は無かった。要するに、お上は「面倒な事は訊くな!」と言いたいのだろう。

  脱線したので元に戻す。2017年に「パラダイス文書(Paradise Papers)」が明らかとなって、日本でも結構話題になった。この「パラダイス・ペーパーズ」というのは、タックス・ヘイブン取引に関する電子文書のことで、英領バミューダ島を拠点とする「アップルビー(Appleby)」から流出したデータであるらしい。(‘Paradise Papers : Tax haven secrets of ultra-rich exposed’, BBC News, 6 November 2017) 件(くだん)の「アップルビー」はオフショア投資で上等な顧客を抱える法律事務所。カタギの庶民は「オフショア云々って何?」と首を傾げるけど、簡単に言えば儲けている企業や個人が自国の規制をのがれて、税率の低い、つまり「恩恵」や「特典」がいっぱいの場所に金銭や資産、利益を持って行くことである。

  こう聞けば近所のオバちゃんだって「私もオフショアで税逃れをしたい」と考えてしまうけど、オフショア投資にかかる手数料を知れば「えっ!?」と腰を抜かしてしまうだろう。『Capital Without Borders : Wealth Managers and the One Percent )』を書いたブルック・ハリントン(Brooke Harrington)女史によれば、50万ドルの資産を持つ人でも手数料を払うには充分でないらしい。彼女の話によれば、オフショア投資は人口の1%を占める富裕層ではなく、たった0.001%しか存在しない超大富豪のためにあるという。ボストン・コンサルティング・グループの調べによれば、10兆ドルがオフショア投資に注がれているそうだ。これはブリテンとフランス、日本のGDPを合計した金額にほぼ匹敵する。ただし、この総額でも控えめな数字だという。

  タックス・ヘイブンの存在は我々にとってかなり深刻である。本来、英国や日本に落ちるはずの税金が、別の地域に消えているんだから、その不足分は庶民の懐から取って穴埋めするという事態になりかねない。名も無き庶民は「えぇっっっ!! そんな、ひど〜い!!」と不満を口にするが、税務署のお役人様と政治家はお構いなし。色々な税金を乱立させて、チョコチョコ取ればいい。例えば、いきなり徴税人が個人のポケットから10万円を抜き取れば、「テメェ〜、俺のカネだそぉ ! 何しゃがるんでぃ !」と喧嘩になるが、1,000円とか500円の課税項目を100個ないし150個作れば問題ないだろう。例えば、食堂で極上天丼を食べたら特別飲食税、クルマを買ったら何とか自動車税、新しい道路を歩いたら通行税、ウィスキーを店内で飲んだらドリンク・イン酒税、とすればいいし、狡猾な議員だと、綺麗な空気を吸ったから環境税、サイクリングをする人には道路通行税プラス自転車保有税、マラソンを楽しむ人にはスピード歩行税とかの課税を考えつくかも知れないぞ。(こうした課税は馬鹿らしいけど、庶民の所得なら半分くらいむしり取っても平気なのだ。)

Gerhard Schroder 1Brian Mulroney 1Charles Koch 1David Koch 2

(左: ゲルハルト・シュレーダー / ブライアン・マローニー / チャールズ・コーク / 右: デイヴィッド・コーク)

  「パラダイス文書」が世界中に暴露されたことで、一般人は有名人の資産運用や租税回避を知ることになった。注目を浴びた人物と言えば、英国のエリザベス女王、ドイツのゲルハルト・シュレーダー元首相、カナダの元首相であるブライアン・マローニー(Brian Muroney)とポール・マーティン(Paul Martin)、ユダヤ人のカジノ王シェルドン・アデルソン(Sheldon Adelson)、マイクロソフト社の共同創業者であったポール・アレン(Paul G. Allen)、「コーク・インダストリーズ」を率いるリバタリアン慈善家チャールズ&デイヴッド・コーク兄弟(Charles & David Koch)などの名前が挙がっていた。藝能人では、女優のニコール・キッドマンやキーラ・ナイトレー、歌手のマドンナやシェリル・クロー、ジャスティン・ティンバーレイクなどがいたという。

Nicole Kidman 5Kiera Knightley 3


(左: ニコール・キッドマン / 右: キーラ・ナイトリー)

  しかし、世間が驚いたのは、そのリストの中に「U2」のヴォーカリスト、「ボノ(Bono)」という名前があったことだ。日本のU2ファンなら知っていようが、彼は2007年のG8サミットで貧困に喘ぐ世界の人々について唄い、弱者に優しい善人をアピールしていた。しかし、その裏にある顔は別人で、こっそりと「税逃れ」に勤しんでいたのだ。本名を「ポール・デイヴィッド・ヒューソン(Paul David Hewson)」というアイリス人ミュージシャンは、マルタ島にあるタックス・ヘイブンに郵便箱だけの会社を設立し、そこにお金を流していたのである。そして、この「ヌード・エステイト・マルタ・リミテッド(Nude Estates Malt Limited)」はリトアニアの会社と合併し、ウテナにあるショッピング・センターを580万ユーロで買収していた。この商業施設は利益を上げていたのだが、現地のリトアニアでは税金を一銭も払っていなかったそうである。2012年には、ショッピング・センターのビジネスは、ガーンジー(Guernsey)島に創設された「ヌード・エステイト1(Nude Estate 1)」に移され、この新会社は先ほどのショッピング・センターを“たった”100ポンドで購入したそうだ。(Philip Goff, 'Tax rogues like Bono are harming the world's poorest people', The Guardian, 7 November 2017と'U2 frontman Bono named in Paradise Papers tax evasion leak' , Deutsche Welle, 6 November 2017.)

  ちなみに、このガーンジー島は英仏海峡に浮かぶ英国王室領で、女王陛下の意向を受けた執行官が、代理で管轄する地域である。だが、連合王国には属していないという。ここは元々、第10世紀、ノルマンディー公ウィリアム・ロングソード(William Longsword)が治めていた島で、ブリテン王国の一部というよりノルマンディー公爵の私的領土と考えた方がよい。ウィリアムの父親はあの有名なロロで、ヴァイキングの血を引いていたことになる。この島では税金がほぼゼロで、あっても5%くらい。だから、ボノはここに会社を作って「節税」に励んでいたのだ。

Bono cccU2 aaa

(左: ヴォーカリストのボノ / 右: U2のメンバー)

  善人を演出するボノは遣り手の商売人で、「ヌード・エステイト・リミティド」はドイツでもビジネスを展開し、デュイスブルクに10階建てのビルをもっている。もう世間の人々は忘れているけど、世界的な売れっ子バンドのU2は、かつて税金問題で藝能雑誌を騒がせたことがある。2007年、アイルランドを本拠地とするU2は、大好きな祖国が楽曲税の免除を廃止すると、大金をもたらすヒット曲のカタログをアイルランドからアムステルダムに移した。なぜなら、ネーデルラントはミュージシャンへの課税が極めて低く、ほぼゼロに近いからである。(Paula Froelich, 'Irish Bono's boundless hypocrisy', The New York Times, November 11, 2017) ボノたちは祖国で多額の税金を納めてきたし、世界各国で音楽活動をしているんだから、ネーデルラントを納税地にしても違法ではないと反論した。しかし、アイルランドやイングランドの一般人は、U2の投資や節税を「課税逃れ」、あるいは納税の誤魔化しと考えていたそうだ。

  極左分子とも思えるボノは、矢鱈と第三世界の人々に同情的で、アフリカの黒人やアジア地域の下層民に優しかった。2012年、この慈善家もどきのミュージシャンは、家族や手下を連れてマリ共和国のトンブクトゥを訪れた。現地のトゥアレグ族から歓迎されたボノは、調子に乗って「我々は兄弟だ」と叫び、「音楽は戦争よりも強い !」と語っていたそうだ。ステージで天使を演じたスター歌手は、たっぷりと愛想をふりまいて満足しきったのか、さっさとジェット機に乗り込み、マリの首都バマコに向けて去って行った。

Bono in Africa 02Bono & jet

(左: アフリカ人と一緒のボノ / 右: ボノが乗ったジェット機)

  それから間もなく、トュアレグ族は反政府行動を起こすと宣言した。かくして三ヶ月が過ぎると、アルカイーダがトュアレグ族の叛乱軍を襲撃し、彼らの女を強姦すると、その手足を切断するという暴挙を犯した。さらに、アルカイーダは貴重な古い本を所蔵する図書館に火を点け、単なる灰にしてしまったのだ。ところが、西歐の報道機関は、この惨劇をまったく伝えず、ほぼ無視という状態だった。もっと赦しがたいのは、現地を訪れたボノが何も発せず、沈黙していたことである。普段、チャリティー・コンサートや国際イベントがあれば、「苦しんでいる人々を助けよう」とか「アフリカの貧困を直視せよ」と説教するくせに、マリで起きた虐殺には言及しないなんておかしい。「兄弟」と呼んでいた民族が悲惨な目に遭ったのに、それを知らんプリするなんて冷酷というか、あんまりじゃないか。タックス・ヘイブンや銀行口座に秘蔵する5億9千万ドルを使って可哀想なアフリカ人を助けてやればいいのに。ボノはプライベート・ジェット機を購入するほどの余裕があるのに、手足を失った黒人への人道支援はせず、白人を侮辱する映像制作に熱心だった。(つまり、有色人種のファンに媚びていたということだ。) 人気商売だから仕方ないけど、「アフリカを救え !」と他人に説教するなら、先ず自分の懐からカネを出せ !

大地に根を張る国民が最も大切だ

  ミュージシャンや映画俳優の偽善なんかは珍しくないけど、我々が注目すべき点は、富裕層が国境を跨いで資産を動かすことだ。人気ミュージシャンともなれば、世界各地でコンサートを開き、好きな所で納税を済ませば、合法的に大金を蓄積することが出来る。グローバリストの金融資本家ともなれば、優秀な会計士や脱税アドヴァイザーを雇って、税務署の網をくぐり抜けてしまうだろう。そして、違法な資金を貯め込んだマフィアは、アメリカの大富豪やヨーロッパ貴族から脱税の方法を学びとり、秘密を守る外国に財産を移している。一方、企業に雇われるサラリーマンは、所得の総てを税務署に把握され、根こそぎ税金をむしり取られる。小売店のオっちゃん達はタックス・ヘイブンに売上金を移したくても、外国語がチンプンカンプンだし、第一どうやっていいのか分からない。大根や人参を作っている農民も国際貿易なんか知らないし、金融商品を売買して利益を得るなんて考えたこともないだろう。

  大抵の庶民は日本に根を張り、喜びや悲しみを家族、友人、同胞と分かち合う。そして、人生のほとんどを祖国で暮らし、灰になった肉体は祖国の土に還る。渡り鳥の如き華僑やユダヤ商人とは根本的に違っているのだ。税制で基本となるのは、国家の主体となる一般国民を第一に考えることである。人口の1%を占める者が「節税」で巨額の資産を形成し、残りの90%が苦しい家計に喘ぐ社会は間違っている。中流家庭が豊かになってこそ、繁栄する国家と言えるのではないか。日本が素晴らしいのは、健全な庶民が中心となって国家を支えているからだ。日本の魅力は普通の国民にある。支那をみれば分かるじゃないか。支那が地上最低の国家であるのは、それを構成する支那人が下劣で、近寄りたくない鼻つまみ者であるからだ。なるほど、支那には大富豪がいるけど、その金持ちには人間的な魅力が無い。大金を持っているのに、人格を比較すると、素朴な日本人に及ばないのだ。我が国は皇室と武士と庶民が一体で、互いに「思いやり」を持ちながら暮らしてきたから、高度な文明を築くことができた。重税で民衆を窮乏化させれば、日本の「良さ」は徐々に失われて行くだろう。支那人や朝鮮人並にギスギスした日本人など見たくはない。

  グローバリストが推進する税制は、平民を貧困にする促進剤に等しい。国境の無い世界では、大企業が安い労働者を世界各地から寄せ集め、税金が低い便利な場所で働かせる。外人労務者を輸入する口利き屋、あるいは仲介業者、および移民をこき使って収益を上げようとする経営者は、多民族社会を歓迎するが、そのコスモポリタン的な地域に住もうとしない。莫大な利益を得たグローバリストや株主は、下層民が近づくことが出来ない高級住宅地や、森に囲まれた田園地帯、快適な環境を有する外国の一等地に豪邸を構えたりする。タックス・ヘイブンで儲けた高額所得者は、汗臭い労働者が集う大衆食堂で飯を喰わないし、満員電車に揺られて通勤することもない。また、アジア人やアフリカ人がたむろするドヤ街、支那人が群れる賭場、フィリピン人やタイ人が密集する中古団地とは縁が無く、たとえ目にするにしてもリムジンの窓越しから、といった具合だ。

  ある特定の階級に有利な税制が固定化し、国民の間に所得格差が開くと、富裕層は自らの地位を守るために、多額の献金を通して政治家を買収しようとする。アメリカだと規制の緩い「ソフト・マネー」が人気で、政治家個人にではなく、彼らの政党に振り込まれるから、“いかがわしさ”が薄くなるし、いくらでも大歓迎という「寄贈」になってしまうのだ。100万ドルを献金する投資家と、20ドルくらいしか渡さない平民が対等な訳がない。支持者からの「お願い」は金額によって違ってくる。日本でも対岸の火事ではない。移民を輸入する大手企業は一般国民を犠牲にして儲けようとする。アジア人並の給料になった日系社員は、低所得のアジア帰化人のために更なる社会保障税を払い、貯金すら出来なくなってしまうだろう。そして、支那系や朝鮮系の政治家が台頭し、同胞への優遇政策を実現するから、バラバラな日系有権者はもっと惨めになる。日系日本人は華僑に支配されるフィリピン土人のようになってしまうだろう。一昔前は「アジア人」と「日本人」は別の種族だった。しかし、これからは日本人も重税を払う為に生きる「アジア人労働者」になってしまうかも知れないぞ。
 http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68738835.html 
 

206. 中川隆[-13383] koaQ7Jey 2018年10月31日 14:51:22 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-19744] 報告
超富豪による支配は暴政か革命
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2018/10/post-1381.html
2018年10月31日 マスコミに載らない海外記事


2018年10月22日
TD originals
Chris Hedges


Mr. Fish / Truthdig

 10歳の時に、私は奨学生として、マサチューセッツ州にある超富豪向け全寮制学校に送られた。それから8年間、私は最も裕福なアメリカ人の間で暮らした。私は彼らの偏見を耳にし、閉口するほどの彼らの権利意識感覚を目にした。彼らは自分たちは、より頭が良く、より才能があるので、特権があり、豊かなのだと主張した。彼らは、物質的、社会的地位が彼らより下位の人々を、あざ笑うように蔑視していた。超富豪の大半には共感や思いやりの能力が欠如している。彼らは連中にへつらう世界に逆らったり、合わなかったりして、彼らに順応しない人々全てをからかい、いじめ、あざけるエリート徒党を組んでいた。

 大半の超富豪の息子たちと、私は友情を築くことができなかった。彼らにとっての友情は「私にとって何のとくになる?」で定義されていた。彼らは子宮から生まれ出た瞬間から、彼らの欲求や必要に応える人々に囲まれていた。彼らは、苦しんでいる他者に手を差し伸べるということができなかった。何であれ、彼らが当面抱えている、けちな思いつきやら問題が彼らの宇宙を支配しており、彼ら自身の家族内の人々さえ含め、他者の苦難に優先していた。彼らは、いかにして奪うかしか知らない。彼らは人に与えることができない。彼らは奇形化した抑えられない利己主義に支配されているとても不幸な人々だった。

 超富豪の病理を理解することが極めて重要だ。完全な政治権力を掌握した。こうした病理がドナルド・トランプや、彼の子供たちや、ブレット・カバノーや、彼の政権を運営している億万長者を特徴付けている。超富豪は、他の誰の視点でもなく、自分自身の視点でしか世界を見ることができない。彼らの周囲の人々は、資格のある男性たちが食い物にする女性を含め、束の間の欲望を満たしたり、操られたりするために造られた対象だった。超富豪はほとんど常に道徳規準をもたない。正しい。誤り。真実。ウソ。公正。不正。こうした概念は彼らの理解を超えているのだ。何であれ彼らのためになるか、よろこばしいものは良いのだ。そうでないものは、破壊しなければならない。

 超富豪の病理こそが、トランプや彼の未熟な娘婿ジャレッド・クシュナーが、無制限な資格授与と縁故主義のもう一人の産物、事実上のサウジアラビア支配者ムハンマド・ビン・サルマーンと、私が中東で一緒に働いたことがあるジャーナリストのジャマル・カショギ殺害の隠蔽を共謀するのを可能にしているのだ。超富豪は、彼らの人生を、連中が相続した富や、富が及ぼす権力や、超富豪友愛会の他メンバーや、連中の弁護士や広報担当者含む助長者の軍団によって守られて過ごす。彼らが失敗や、他者への虐待や、酷使や犯罪をしても、まず何の影響もないのだ。これがサウジアラビア皇太子とクシュナーがきずなを深めた理由だ。二人は超富豪が決まって生み出す小人なのだ。

 超富豪による支配は、この理由で恐ろしいのだ。彼らは限界を知らない。彼らは決して社会規範に拘束されておらず、将来もそうなのだ。我々は税金を払うが、彼らは払わない。エリート大学に入学したり、仕事についたりするため、我々は一生懸命やるが、彼らはそういうことはしない。我々は失敗すれば代償を払わねばならないが、彼らはそうではない。犯罪をおかせば、我々は起訴されるが、彼らはそうならない。

 超富豪は、人造の泡型構造物、我々の現実と切り離されたフランケンマンションや自家用ジェット機がある場所、リッチスタンと呼ばれる国で暮らしている。富は、それ自体が永続するだけでなく、新たな富創出の機会を独占するのには使われていると私は思う。貧乏人や労働者階級にとっての社会的流動性など、ほとんど神話だ。超富豪は、トランプやクシュナーやジョージ・W・ブッシュのような凡庸な白人男性を財閥の連中を権力の立場へと教育する育てるエリート学校に押し込んで、究極的な形の少数派優遇措置を行使しているのだ。超富豪は決して成長するようには強いられない。連中は一生、幼児期状態に保たれていることが多く、欲しいものがあるとわめき声をたて、ほぼ常に、それを手に入れる。そして、これが連中を実に実に危険にするのだ。

 アリストテレスやカール・マルクスからシェルドン・ウォリンに至るまでの政治理論学者が超富豪による支配を警告している。超富豪が権力を握ってしまえば、アリストテレスが書いているように、唯一の選択肢は暴政と革命だ。連中は、いかに育てるかやら、いかに作り上げるかを知らないのだ。彼らは底無しの強欲を満たす方法しか知らない。超富豪には滑稽なところがある。連中は何十億ドル所有していようとも彼らは決して満足しない。彼らは仏教でいう餓鬼だ。連中は、権力や金や品物の収集を通して、達成不能な幸福を追い求めるのだ。こうした際限のない欲望の人生は、超富豪が妻や子供たちと疎遠になり、本当の友人を失って、寂しく終わることが多い。そして、彼らが亡くなると、チャールズ・ディケンズが“クリスマス・キャロル”で書いた通り、大半の人々は連中とおさらばしたことを喜ぶのだ。

 超富豪の病理研究で最も優れている本の一冊『パワー・エリート』で、C. ライト・ミルズは、こう書いている。

彼らは国家の資源を搾取し、連中同士で経済戦争をし、同盟し、公有財産を利用して個人的財産を作り、自分たちの狙いを実現するため、ありとあらゆる手段を講じる。連中はリベートを得るため鉄道会社と談合する。彼らは新聞社を買収し、編集者を買収する。連中は競合する自立した企業を潰し、自分たちの権利を維持し、特権を確保するため、腕利き弁護士や評判の政治家を雇う。こうした大御所の形成には、何か悪魔的なものがある。彼らを泥棒貴族と呼ぶのは単なる修辞ではない。

 我々の民主主義を破壊した大企業資本主義は超富豪に抑制のない権力を与えてしまった。これら少数独裁エリートの病理さえ理解すれば、我々の未来を想像するのは容易だ。超富豪が支配する国家機関は、今やもっぱら連中の権益のために尽くしている。連中には、よりどころのない人々の叫び声は聞こえない。連中は国民を抑圧しつづける機関、国内支配のための治安・監視体制や軍隊化した警察や国土安全保障省や軍に権限を与え、公教育、医療、福祉、社会保障、公平な税制、食料配給券、公共交通やインフラ、そして裁判所などの、社会的、経済的、政治的不平等を和らげる組織やプログラムを、骨抜きにするか、減らす。超富豪は、連中が着実に貧困化させている人々から、益々大変な額の金を搾り取る。国民が反対したり、抗議したりすると、連中は民衆を鎮圧するか殺害する。

 超富豪は自分のイメージに異常なほど気をつかう。彼らは自分を見ることにとりつかれている。彼らは彼ら自身の宇宙の中心だ。ありもしない徳や特性で一杯の架空人格を作り出すためには、彼らはどんな苦労も費用もおしまない。これが超富豪が広く報道される慈善行為をする理由だ。慈善は、超富豪が断片的道徳に携わることを可能にするのだ。彼らは、超富豪が貧乏人の災いだと主張する頽廃や放蕩の類が特徴であることが多い自分たちの生活の道徳的堕落を無視しし、ささやかな慈善行為によって、思いやりがあり、情け深いふりをする。カショギがサルマーンに対してしたように、このイメージを台無しにする連中は、特に忌み嫌われる。そして、これが、トランプがあらゆる超富豪同様、批判的なマスコミを敵と見なす理由だ。それがトランプやクシュナーのカショギ殺害隠蔽を幇助する共謀への熱心さが不気味な理由だ。彼の中に、自分たちに欠けていて、得たいと熱望している、全能を見ている支持者に対するトランプの扇動や、批判する人々に対する暴力行為の実行は、カショギを電動骨ノコでバラバラにした皇太子の暴漢からわずか数歩しか離れていない。マスコミには、暴力的に対処すべきだと彼が言う際、トランプは冗談を言っているのだと、もし思われるのであれば、超富豪について、読者は何も分かっておられない。何の罰も受けないで済むことなら、彼は殺人さえするだろう。彼は大半の超富豪同様、良心が欠如しているのだ。

 より賢明な超富豪、イヴァンカやジャレドが、かつてはしゃぎ回っていた世界、イースト・ハンプトンズやアッパー・イースト・サイドの超富豪は大統領を粗雑で下品と見ている。だがこの違いはスタイルだけで、中身ではない。ドナルド・トランプと、ゴールドマン・サックスの裕福なハーバードやプリンストン卒業生にとっては困りものかも知れないが、彼はバラク・オバマや民主党がしているのと同様、一生懸命超富豪に尽くしているのだ。これが、オバマ夫妻が、クリントン夫妻同様、超富豪に殿堂入りした理由だ。それが、チェルシー・クリントンとイヴァンカ・トランプが親しい友人でいる理由だ。彼らは同じカースト出身なのだ。

 支配機構内には超富豪による国や生態系の略奪を止める勢力は皆無だ。超富豪には、大企業に支配されているマスコミや、彼らが資金を与えて選出される議員連中や彼らが掌握した司法制度には何も恐れるべきものはない。大学は大企業の情けない取り巻きだ。彼らは、その階級権力を復活させるため超富豪によって考案された新自由主義という支配的イデオロギーに異議申し立てをして、主要寄贈者連中を怒らせる知識人批判者を沈黙させるか追放した。超富豪は、かつては労働者が権力と戦うのを可能にしていた改革のための民主的機構とともに、労働組合を含め大衆運動を破壊した。世界は今や連中の遊び場だ。

 『ポストモダンの条件』で、哲学者のジャン=フランソワ・リオタールは、“一時的契約”が“職業や感情や性や文化や家族や国際関係や政治問題における恒久的機構”に取ってかわる将来の新自由主義秩序の姿を描いていた。人、もの、組織や自然世界に対するこの一時的関係は、集団自殺を保証する。超富豪にとっては、何ものにも固有の価値はない。人間や社会機関や自然世界は、枯渇するか崩壊するまで、個人の利益用に搾取するための商品だ。統治される人々の同意のような公益は、概念として死んでいる。この一時的関係は、超富豪の根本的病理の具体化なのだ。
 カール・ポランニーが書いた通り、超富豪は、最悪の自由、つまり“自分の仲間を搾取する自由や、比例するサービスを共同体に提供せずに、計り知れない利益を得る自由や、技術的発明を公益のための利用を阻止する自由や、私利私欲のために密かに仕組んだ人々の被災から利益を得る自由”を称賛する。同時に、ポランニーが述べている通り、超富豪は“良心の自由、言論の自由、集会の自由、結社の自由、職業選択の自由”に戦争をしかけるのだ。

 大衆文化やマスコミがもてはやす超富豪の暗い病理は、我々自身のものとなっている。我々は彼らの毒を摂取してしまったのだ。超富豪によって、我々は、ひどい自由を褒めたたえ、良い自由をけなすよう教えられている。トランプ集会をどれかご覧頂きたい。リアリティー・テレビ番組をどれかご覧頂きたい。地球の状態を検討願いたい。我々がこうした病理を拒否し、超富豪を権力の座から排除するため団結しなければ、彼らが我々を、既にそうだと考えているもの、つまり連中の手助け役に変えてしまうだろう。

記事原文のurl:https://www.truthdig.com/articles/the-rule-of-the-uber-rich-means-tyranny-or-revolution/

207. 中川隆[-13437] koaQ7Jey 2018年11月03日 09:46:00 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-19927] 報告

2018年11月3日
コラム:富の集中がもたらす「本当の格差」
https://jp.reuters.com/article/global-billionaires-breakingviews-idJPKCN1N710T?feedType=RSS&feedName=topNews&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+reuters%2FJPTopNews+%28News+%2F+JP+%2F+Top+News%29

[ロンドン 31日 ロイターBreakingviews] - スーパーリッチ階級のライフスタイルをのぞき見る「ウェルス・ポルノ」は、普段は思慮深い人の心も狂わせる。

数十億ドル、数兆ドルに上る富の描写に目を奪われ、過剰なまでに贅沢な浪費の物語に夢中になってしまうのは世の常だ。だが、超富裕層の台頭について、本当に重要なことは、胸がときめくような贅沢ではなく、富の集中が社会に与える影響だ。

ミリオネアやビリオネアが抱える資産の世界的傾向に関するレポートは、こうした話に熱中する人々にとっては格好のテキストだ。今はそんなレポートの「旬」と言える。スイスの2大銀行が先日、本格的な調査結果を発表。UBSは純資産10億ドル(約1120億円)以上、クレディスイスは純資産100万ドル以上の富裕層についての調査だ。

出てくる数字だけでも印象的だ。

UBSの試算によれば、純資産10億ドル以上を保有する個人は、世界で2158人存在しており、彼らの資産総額は8兆9000億ドルに達する。クレディスイスは、世界の資産総額は317兆ドルと、2000年の117兆ドルから増加しており、2007年以降、資産全体の約85%を最も富裕な上位10%が占めている、と指摘している。

こうした数字は幻想をさらにかき立てる。超富裕層(HNWI)向けの商品を扱う者はビジネスをなんとか成功させようと夢見るだろうし、経済的公正さを支持する者は憤怒を駆り立てるだろう。

だが、こうした富裕層に興味津々の人たちは冷静になるべきだ。


理由は2つある。第1に、こうした資産の大半は、かなり仮想的なものだ。クレディスイスは住宅や金融資産の価格上昇を「現実的な」プラスとして描写しているが、これは真実を歪めている。現在価格で現金化できるのは、一握りの人々だけだ。売り手が多すぎれば、あらゆる金融資産の価格は(そしてすべての富裕層の純資産は)下落する。

第2に、先進諸国においては、地道に中流層であることに比べて、富裕層であることの物質面での優位は非常に小さい。大量生産、福祉国家、ユニバーサルサービスの義務付けによって、誰もが同じ道路、電力、電話などを利用することができる。誰が運転する車でも同じ速度制限を守らなければならない。米国におけるいくつかの例外を除いて、医療はユニバーサルサービスに近づいている。人口の上位4分の3は、快適でそこそこの広さのある住宅で暮らしている。

もちろん、郊外の標準的な集合住宅に比べれば、富裕層の豪邸やペントハウスは贅沢だ。個人所有の島やプライベートビーチといった不動産は、市街地にある観光客向けの2つ星ホテルに比べれば、もちろん居心地が良かろう。だが、現実的な快適度の差はかなり小さい。今日の中流層が「大変」快適な生活を送っているのに比べて、超富裕層は「ものすごく」快適な生活を送っているという程度だ。

この程度の違いになぜ人々の関心が集まるのか。それを最も的確に説明しているのは、精神分析学の開拓者であるジークムント・フロイトが「小さな差異のナルシシズム」と呼んだ分析だろう。

人間は、より眺めのいいオーシャンビューの部屋、より大きなダイヤモンド、あるいは何であれ社会的地位の高さを示すあれこれがもたらす、客観的には価値の上積みが微々たるからこそ、ナルシズムを刺激され興奮するというものだ。

巨額の資産があれば、なるほど、そうしたステータスシンボルを買うことはできる。だがこうした社会的なシンボリズム(象徴主義)は、経済的にはほとんど意味がない。ほぼすべての人が多くのモノを所有している国では、より多くを所有する喜びと、より少なく所有することの不満は、宝石やランボルギーニの金銭的な価値ではなく、もっぱら文化的な価値観によって決まってくるのだ。

だが、巨額の資産があれば、通常のブルジョワジーには手の届かない大切なものを手に入れることができるかもしれない。それは「影響力」だ。


金融資産、親からの遺産、エリートとしての教育、そして報酬をほとんど、あるいはまったくもらえないような仕事を引き受ける余裕があることで、恵まれた富裕層は、社会的な優先順位を設定し、倫理的な問題に関する合意形成を主導し、メディアを構築するという点で、桁違いの権威を手に入れている。

こうした社会形成における常人離れした力は、超富裕層とそれ以外の人々のあいだに、消費面における差異よりも、はるかに大きな格差を生み出している。

富裕層の文化的な影響力は、彼らの政治力と切り離すことが難しい。民主的な社会では、富裕層は資金と時間、スキルを提供することによって望ましい政策を「買える」ことが多い。

独裁体制下では、富裕層と権力者は非常に緊密に結合しており、ほとんど見分けがつかないほどだ。

富がもたらす以上3つの優位性、「ステータス」と「影響力」そして「権力」は好ましくないものと判断されるかもしれないが、UBS、クレディスイスの調査に見られる数値とはほとんど何の関係もない。富裕層の社会的な権威は、資産価格の上昇によって増すことはほとんどないし、市場が暴落してもほとんど傷つかないためだ。

富がもたらす特権に、市場価格よりもはるかに大きな影響を与えるのは「時間」だ。富によるパワーを特に増大させるのが「相続」だ。富裕層の子どもは、人々のリーダーになるように育てられ、十分な時間と磨かれたスキル、豊富な人脈を、慈善活動や政治キャンペーンに投じることができる。労せずして手に入れた社会的ステータスが、彼らにさらなる影響力を与える。

富によるパワーがひどく偏っている状況、それも相続によって継承されている状況下において民主主義を健全に保つことは容易ではない。20世紀前半、富裕エリート層による支配を抑制したいという願いが、多くの国で累進的な税制、つまり所得や相続財産が多ければ多いほど税率を上げるという発想につながった。

だがここ20─30年、政治的な流れは、特に富裕層への課税を軽減する方向で進んでいる。これによって利益を得た層は、この流れが続くよう、自らの影響力と権力を駆使している。このトレンドは、富のパワーをさらに定着させ、非エリート層の声を抑え込む傾向を示すだろう。


民主的な政府が直面している問題は富のパワーだけではないが、この問題は恐らく多くの有権者の離反を招いている。特に相続税率の引き上げは、正真正銘のポピュリスト的方向に向かう動きを抑える有効な手立てになろう。だが、そのような革命は起きそうにない。

それが起きるのを待つ中で、1つ確実なことがある。現在のような環境は、UBSやクレディスイスなどが手掛ける資産運用ビジネス、そして富裕層を熱烈に支持する業界全般にとって、好都合だということだ。
https://jp.reuters.com/article/global-billionaires-breakingviews-idJPKCN1N710T?feedType=RSS&feedName=topNews&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+reuters%2FJPTopNews+%28News+%2F+JP+%2F+Top+News%29

208. 中川隆[-13434] koaQ7Jey 2018年11月03日 20:16:58 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-19957] 報告

アメリカの支配力低下によってアメリカやサウジアラビアで権力抗争が激化
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201811020000/
2018.11.03 櫻井ジャーナル

 サウジアラビアが揺れている。ドナルド・トランプ米大統領がサウジアラビア王制の脆弱さを口にしたのは今年(2018年)10月2日。アメリカ軍の支えがなければ2週間しか体制は維持できないと指摘したのだ。この段階でアメリカとサウジアラビアとの間に隙間風が吹きはじめている。

 その10月2日、サルマン皇太子の人脈と対立関係にあるジャマル・カショーギがトルコのイスタンブールにあるサウジアラビア領事館へ入ったまま行方不明になった。その日に殺された可能性が高いと見られている。この事件を明らかにしたのはトルコ政府だ。

 モハマド・ビン・サルマン皇太子はトランプやイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と近いのだが、アメリカとの関係がギクシャクし始めていたことも確か。2017年10月にサウジアラビアのサルマン国王がロシアを訪問、防空システムのS-400購入で合意するなど関係を強めようとしている。その一方でアメリカの防空システムTHAAD(終末高高度地域防衛)システムの導入に関しては動きが鈍かった。

 サウジアラビアはアメリカの支配システムを支える重要な柱のひとつである。リチャード・ニクソン大統領は1971年8月にドルと金との交換停止を発表、ブレトン・ウッズ体制は崩壊し、世界の主要国は1973年から変動相場制へ移行していく。この新しいシステムの中でドルを支える仕組みのひとつがペトロダラー。石油取引の決済をドルに限定し、産油国へ集ったドルをアメリカへ還流させるという仕組みだ。その中心にはサウジアラビアが存在している。

 集まったドルを産油国は財務省証券や高額兵器の購入といった形でアメリカへ還流させる。日本の場合はドルと工業製品を交換、ドルは同じようにアメリカへ還流させている。日本の巨大企業は受け取ったドルを資産として手元に置き、政府は還流させるドルを集めるために庶民の富を使う。つまり、アメリカとの貿易で日本の大企業が儲かるほど日本の庶民は貧困化していく。その一方、アメリカ支配層を助ける仕組みを維持する代償として、産油国や日本のエリートたちは地位と収入を保証される。

 権力基盤の弱い独裁者をアメリカ支配層は望んでいる。サウジアラビアも日本も支配層の権力基盤は弱く、アメリカ支配層なしに地位を維持できない。「2週間しか体制は維持できない」というトランプの発言はこうした状況を指摘している。日本でもアメリカ支配層の権益、戦略に逆らった「実力者」は排除されてきた。

 21世紀にはいってウラジミル・プーチンはロシアを再独立させたが、当初は容易に再属国化できるとアメリカ支配層は考えていた。例えば、アメリカ支配層の機関誌的な存在である​フォーリン・アフェアーズ誌の2006年3/4月号に掲載されたキール・リーバーとダリル・プレスの論文では、アメリカ軍の先制第1撃でロシアと中国の長距離核兵器を破壊できるようになる日は近いと主張されている。つまり、アメリカはロシアと中国との核戦争で一方的に勝てると見通している。ボリス・エリツィン時代に破壊されたロシアの経済や軍事力はプーチン政権になっても回復していないと見ていたのだ。

 そして2008年8月7日、ジョージアのミヘイル・サーカシビリ大統領は分離独立派に対して対話を訴えてから8時間後に南オセチアを奇襲攻撃した。ジョージアは2001年以降、イスラエルの軍事会社(つまりイスラエル政府)から無人飛行機、暗視装置、対航空機装置、砲弾、ロケット、電子システムなどを含む武器/兵器を提供され、将兵は軍事訓練を受けていた。

 このサーカシビリ政権の閣僚には流暢なヘブライ語を話せるふたりの人物が含まれている。ひとりは国防大臣のダビト・ケゼラシビリであり、もうひとりは南オセチア問題で交渉を担当しているテムル・ヤコバシビリだ。ケゼラシビリはイスラエルの市民権を持っていたことがあるという。それだけでなく、2008年1月から4月にかけて、アメリカの傭兵会社MPRIとアメリカン・システムズが元特殊部隊員を派遣、同年7月10日にはコンドリーサ・ライス国務長官がジョージアを訪問している。

 つまり、2008年の奇襲攻撃はイスラエルとアメリカの支配層が準備万端整えて実行されたのだ。この奇襲攻撃はロシア軍の反撃でジョージア軍が惨敗しているが、イスラエル軍とアメリカ軍がロシア軍て通常兵器で衝突した場合の結果を暗示している。

 その奇襲攻撃の翌月、アメリカの大手投資会社リーマン・ブラザーズ・ホールディングズが連邦倒産法の適用を申請した。当時、アメリカの金融システムは破綻状態だったが、この投資会社の倒産を利用して超法規的な救済を実行した。その尻拭いを強いられたのは西側の庶民だ。大きすぎて潰せない、大きすぎて罪に問えないということで、資本主義国は無法時代に入った。

 おそらく、こうした危機を軍事侵略で切り抜けようとしたのだろうが、その目論見はロシアによって潰される。そのロシアに対する攻撃の一環としてバラク・オバマ政権はウクライナのネオ・ナチを利用して2014年2月にキエフでクーデターを成功させるが、クリミアやドンバスの制圧には失敗する。こうした様子を見ていた中国はこの年からアメリカから離反、ロシアと戦略的な同盟関係に入る。

 アメリカ支配層が中東でダーイッシュ(イスラム国、IS、ISIS、ISILとも表記)を売り出したのは2014年の前半。この年の夏から石油相場が暴落しているが、これはアメリカ政府がサウジアラビアの協力を受けて実行したと言われている。WTIの場合、2014年6月には1バーレルあたり100ドルを超していたが、2009年1月には30ドル台まで下がっている。

 この相場下落でロシア経済を揺さぶろうとしたのだろうが、ロシアよりもサウジアラビア、アメリカ、イギリスの方が大きなダメージを受けた。2014年に390億ドルの財政赤字が生じ、15年には980億ドルへ膨らんだと言われている。伝えられるところによると、サウジアラビア政府から巨大建設企業へ支払われるべきものが支払われず、兵士や労働者の中には賃金を受け取れない人も出たという。兵士はインド、パキスタン、スリランカの出身者が多く、労働者の大半も出稼ぎだ。サウジアラビアはイエメンに対する直接的な軍事介入を始めたのは2015年3月のことだった。イエメンへの軍事侵略はイエメンに破壊と殺戮をもたらしたが、戦争の泥沼化でサウジアラビアも苦しむことになる。

 アメリカ支配層に従属することでサウジアラビアの支配層は地位と富を保証されてきたのだが、アメリカの戦略によって、サウジアラビアの支配システムを揺るがす事態になっている。しかもアメリカ支配層の内部で対立が激化、それはサウジアラビアやイスラエルにおける権力抗争とも連動している。アメリカを中心とする支配システムが不安定化、通常では外に漏れてこない支配システムの暗部の一端が明るみに出始めた。

 おそらく、韓国はアメリカを中心とする支配システムに見切りをつけたが、日本はあくまでもアメリカに従うつもりのようだ。

209. 中川隆[-13432] koaQ7Jey 2018年11月04日 05:55:21 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-19957] 報告

ハゲタカ資本の利益しか追求しない安倍内閣
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2018/11/post-0ddf.html
2018年11月 3日 植草一秀の『知られざる真実』

「成長戦略」、「働き方改革」、「平和安全法制」など、

言葉の響きに騙されてはいけない。

安倍晋三氏は2012年12月の総選挙に際して

「日本を取り戻す」

とも言っていた。

これらの言葉は、重要な主語が抜けていたり、本質に関わる部分で言葉が入れ替えられていたりするもので、人々の「印象を操作」するために用いられているものだ。

「成長戦略」は「大資本利益の成長戦略」である。

「働き方改革」は「働かせ方改悪」を言い換えたもの。

「平和安全法制」は「戦争法制」を言い換えたものだ。

「日本を取り戻す」に主語を補えば、「米国が日本を取り戻す」になる。

こうした「ペテン師的手法」が安倍政治ではふんだんに用いられている。

「成長戦略」は大資本=ハゲタカ資本の利益を極大化させるための政策パッケージである。

その柱は次の五つだ。

農林水産業自由化
医療自由化
労働規制撤廃
法人税減税
特区創設・民営化

農林水産業自由化は、日本の農林水産業を農家や漁師の手から奪い、ハゲタカ資本に提供するものである。

ハゲタカ資本の行動の特徴は「収奪」にある。

日本の土地、海から収穫物を収奪して、収奪し終えれば、立ち去るだろう。

持続可能な、安心安全の農林水産業を営む考えはない。

このような営利至上主義の巨大資本に、国民の生命の源になる農林水産業を上納しようとするのが農林水産業の自由化である。

医療の自由化の中心は価格自由化で、価格自由化で薬価や医療機器価格が跳ね上がる。

その結果、公的保険医療がカバーする医療の領域が限定されることになる。

医療は公的保険医療と非公的保険医療の二本立てとなり、高額の民間医療保険ビジネスが急拡大することになる。

すべては、ハゲタカ資本の利益を極大化させるための政策である。

「水」は私たちの命の源であるから、公的管理下に置く必要がある。

公的事業で経営が放漫になる面があるなら、市民による監視を強化する制度を構築すればよい。

施設が老朽化しているなら、公債を発行して資金調達すればよい。

インフラ整備を借金で賄う場合、負債に見合う資産が存在するから不健全でない。

水道事業を民営化しなければならない理由は存在しない。

成長戦略のなかの五つの柱のなかで、大資本が要請する核心が労働規制撤廃である。

企業利益を増大させるための核心が労働コストの圧縮であるからだ。

労働規制撤廃は、ハゲタカ利益の成長戦略の核心部分である。

この労働規制撤廃の中身は次の五つだ。

1.正規から非正規へのシフト促進
2.長時間残業の合法化
3,残業代ゼロ制度の適用範囲拡大
4。解雇の自由化
5.外国人労働力の利用拡大

である。

安倍内閣は「働かせ方改悪法制」を強行制定した。

これによって、2.長時間残業の合法化、と3.残業代ゼロ制度の適用範囲拡大、を実現した。

正規から非正規へのシフト加速は、小泉政権以降、全面推進してきたものだ。

今後、解雇の自由化が全面推進されることになるだろう。

このなかで、ハゲタカ資本=大資本が強く求めてきたのが、5.外国人労働力の利用拡大、である。

これが、安倍内閣にとっての、今次臨時国会最重要テーマのひとつだ。

狙いはただひとつ。

安価な外国人労働力の利用を拡大して、賃金水準全体の抑制を図ることだ。

国会は、こうした「ハゲタカファースト」の政策スタンスを粉砕する必要がある。

210. 中川隆[-13431] koaQ7Jey 2018年11月04日 10:00:54 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-19975] 報告

外国人労働者流入で賃金25%減…政府がひた隠す驚愕の論文

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/240977
2018/11/04 日刊ゲンダイ


外国人労働者100万人受け入れると日本人の給与は25%減(C)日刊ゲンダイ

 案の定、政府が推し進める「入国管理法改正案」に深刻な問題があることが明らかとなった。

 安倍政権は、人手不足をカバーするために外国人労働者を大量に受け入れるつもりだが、もし「入管法改正案」が実施されたら日本人の賃金が大幅にダウンすることが分かった。

 1日の衆院予算委員会で、立憲民主党の長妻昭代表代行が経済企画庁から出されたという論文をもとに「安易に制度を始めると労働賃金が下がる可能性がある」と指摘したのだ。

 問題の論文は、現在、一橋大学経済研究所の所長を務める小塩隆士氏が、経済企画庁(当時)の広報室に勤めていた1990年5月に、経企庁が編集協力していた広報誌「ESP」に寄稿したものだ。

「外国人労働者問題の理論分析」と題された論文では、外国人労働者が単純労働にのみ就労すると仮定した場合、50万人の外国人労働者が流入すると単純労働の賃金は13.82%減少すると試算。さらに外国人労働者の流入数が100万人となると単純労働の賃金は24.24%減少という恐ろしい数字が示されていた。

 要するに、外国人労働者を100万人受け入れると、日本人の給与は25%減るということだ。安倍政権は、120万人を想定している可能性がある。

 内閣府の参事官が今年の3月に人手不足の人数の参考数値を発表。仕事に従事する者がいない状態を補充するために行っている「未充足求人」が、2017年6月時点で121万人と発表しているのだ。

 本当に外国人労働者の流入で賃金が下がってしまうのか。経済評論家の斎藤満氏はこう言う。

「論文自体は古いものですが、問題は現在でも変わらず、外国人労働者が流入することで賃金が下がる可能性は高いです。それも現在はバブル期のような一時的な人手不足ではなく、構造的な人手不足のため流入の影響はさらに大きいと考えられます」

 安倍首相は、長妻議員の質問に対して、「政府として答える立場にない」などと逃げていたが、現在の拙速な対応のまま外国人労働者を受け入れたら、市民の生活が成り立たなくなる。

211. 中川隆[-13427] koaQ7Jey 2018年11月05日 11:28:14 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-20005] 報告

移民の大量流入や貧困格差が進んでいく理由と「1%の富裕層」の関係とは2018.11.05

移民・難民の大量流入は、その国の社会を混乱させて文化を破壊する元凶になっているというのは、いまや誰もが知る事実である。そのため、欧米では「反移民」が大きな社会運動となっている。

移民を大歓迎したのはドイツのアンゲラ・メルケル首相だった。

しかし、この受け入れ政策によってドイツが混乱すると、メルケル首相の支持率はどんどん落ちていった。そして2018年10月には州議会選挙で歴史的な惨敗を喫し、CDU(キリスト教民主同盟)の党首を辞めなければならないところにまで追い詰められてしまった。

EU(欧州連合)は、ほぼすべての国で「反移民」を訴える政党が躍進している。人々は誰も移民の大量流入を望んでいないことは明確だ。

移民・難民の大量流入に関してはアメリカでも大きな話題になっている。中米から数千人にものぼる難民がキャラバンを作ってアメリカに向けて行進する事態となっており、トランプ大統領はそれを徹底阻止に動いている。

しかし、実際のところ、アメリカに密入国しようとする人々を止められるのかどうかは分からない。

分かっているのは、受け入れても拒絶しても大きな問題になるということだ。(鈴木傾城)


1%程度の勝者が、99%の人からすべてを収奪する

ところで、現代社会では貧困格差も鮮明なものになっている。

資本主義が暴走しているのだ。暴走するというのは、要するに「カネこそすべて」になって、強者が弱者からどんどん奪い取る社会になっているということだ。

世界全体が、この暴走する資本主義に飲み込まれて動いている。だから、この「暴走」は、行き着くところに行くまで止まらない。

最終的にどうなるのかというと、資本の多寡によって世界全体が「階級社会」になる。

国際支援団体「オックスファム」が、「世界の人口の1%の富裕層の資産総額は、残る99%の人口の資産を合わせた額と同程度になる」と発表したのは2015年1月19日だった。

それから事態は改善されたのか。まったくされていない。富の集中は加速している。ほんの1%程度の勝者が、99%の人からすべてを収奪するまで止まらない。それが完成した時、階級社会が姿を現す。

アメリカでは中産階級の収入が毎年激減しており、すでに4600万人が貧困になっている。世界最大の経済大国と言われているアメリカで、6人に1人が貧困層だ。貧困層予備軍を入れると3人に1人が貧困に苦しむ社会となってしまっている。

多くのアメリカ人が「生活していけない」状態に突き落とされているのだが、もう誰もがそんな社会のあり方に慣れてしまって、社会が異様な姿になっていることに何の違和感も感じていない。

1%の人間の富が、99%の資産と同じになる社会が来るとは誰が想像しただろうか。

その富の偏在の過程で、経済的な格差や、深刻な失業問題はどんどん深化してしまい、それが現在の巨大な社会不安を生み出しているのだ。

実のところ、ドナルド・トランプという異質の人間が大統領になったのは、99%の持たざる人々がエスタブリッシュメントの政治家たちに見切りをつけた結果である。

ブラックアジアでは有料会員を募集しています。よりディープな世界へお越し下さい。

政治を動かしているのは政治家に見えて政治家ではない

国民は「移民の大量流入は反対だ」と言っているのに、なぜ世界は移民の大量流入が当たり前の世界になってしまったのか。なぜ世界中の政治家は基本的に移民の大量流入を政策として進めるのか。

国民は「貧富の差を何とかしてくれ」と言っているのに、なぜ政治家は何も対処せず、むしろ貧しくなる一方の国民に税金を課したりするのか。

政治家は何も分かっていないのか?

いや、政治家は分かってやっている。移民の大量流入も国民の貧困化も、それは意図的に行われているのだ。なぜか。自分たちに票や献金をしてくれる「ある存在」がそれを望んでいるからだ。

政治家は自分たちに多額の献金をしてくれる「ある存在」に忠誠を誓っているだけなのだ。「国」に忠誠を誓っているのではない。カネを支払ってくれるところに忠誠を誓っている。

重要なのは、政治を動かしているのは政治家に見えて政治家ではないということだ。政治家を動かしている「ある存在」が重要なのだ。その「存在」は誰もが知っている。

多国籍企業である。

多国籍企業がロビー活動を行い、既存の政治家に多額の献金をし、あるいは自分たちの組織から自ら人を送り込んで政治を自分たちに都合が良いように動かしている。

だから企業は常に減税になり、国民は増税になる。人がいつでも切り捨てられるようになり、人を安く雇えるように移民政策が進められるようになり、移民問題や貧困問題が深刻化するようになっているのだ。

国民から見ると、大量の移民がやってくるのは問題かもしれないが、多国籍企業から見ると安い人間がいつでも雇えるようになるので大歓迎である。ついでに移民が大量に入り込んで人口が増えれば購買者も増える。

グローバル化は多国籍企業にとっては利益の増大を意味する。利益が増大するのであれば、それは実現すべき政策だ。だから多国籍企業は政治家に対してロビー活動を行いグローバル化を推し進める政治家に力を与える。

すべて、企業の利益のためだったのである。

1%の富裕層は、いったい何を所有しているのか?

資本主義社会での強者は言うまでもなく多国籍企業である。彼らは世界中から莫大な儲けを得るために、ありとあらゆる国に自由化を押しつける。

ターゲットに定めた国(奪い取りたい国)が、外国人でも投資できるように自由化される。そして、投資に制限がかかっていない状態にする。彼らは、それを「グローバル化」と言っている。

グローバル化は、多国籍企業に徹底的に有利なものになっている。

それは、自分たちが世界中のあちこちの企業を買収したり、売り飛ばしたり、投資したり、空売りしたり、自由に野放図に経済活動できるようにするためのものである。

移民を大量に入れて賃金コストを下げるのも、賃金をどんどん引き下げられるようにするのもグローバル化で実現できる。

そして、自分たちの収奪的な経済活動に対して、政府に介在させないようにする。市場で何が起きても介在させない。そうやって国や国民を丸裸にしたあと、富の一切合財を吸い上げる。

アメリカという強大な国家でさえも、アメリカの多国籍企業の命じるがままに「動かされている」のであって、「国」は主ではなくて従なのだ。主は「多国籍企業」である。

ドナルド・トランプ大統領はそれを打破しようとしているのであって、だからこそグローバル社会はトランプ大統領を執拗に、かつ猛烈に攻撃している。この攻撃に裏には多国籍企業があるということだ。

世界中の国家が執拗に「グローバル化」を押し付けられるのは、多国籍企業がそれを望んでいるからだ。

ところで、多国籍企業は誰のものか。それは、もちろん大株主のものである。その大株主とは誰か。それが、地球人口の1%の富裕層なのである。

1%の富裕層とは、多国籍企業の所有者だ。多国籍企業が現代社会の支配者であるというのは、すなわち1%の富裕層が現代社会の支配者であるというのと同義だ。現代社会の支配者は決して国ではなく、1%の富裕層になりつつある。(written by 鈴木傾城)

アメリカという強大な国家でさえも、アメリカの多国籍企業の命じるがままに「動かされている」のであって、「国」は主ではなくて従なのだ。ドナルド・トランプ大統領はそれを打破しようとしているのであって、だからこそグローバル社会はトランプ大統領を執拗に、かつ猛烈に攻撃している。
https://blackasia.net/?p=10010

212. 中川隆[-13628] koaQ7Jey 2018年11月16日 07:47:18 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-20773] 報告

「お前たちはカネを持っているはずだ。奪ってやる」という社会に向かう2018.11.16
https://blackasia.net/?p=10125

嘘でも何でも、カネが取れれば他人を踏みにじってもいいと考える。これは弱肉強食の資本主義の行き着いた姿である。日本の夜の世界ではホストを巡ってこうした度を過ぎた弱肉強食が蔓延しているのが分かっている。

マスコミはホストを囃し立てているのだが、その裏側で彼らの強引であこぎな「営業」の犠牲になって破産したり自殺したりする女性が次々と出ている。今、歌舞伎町では「空から人が降ってくる街」になっている。(ブラックアジア:空から人が降ってくる街、歌舞伎町。境界線を踏み越えたら助からない)

ホストにカネも身体も骨の髄までむしゃぶり尽くされた女性たちが、すべて奪われた後に正気にかえり、そのまま死んでいく。あまりにも次々に死ぬので歌舞伎町では自殺の名所まで出てくる始末だ。(ブラックアジア:歌舞伎町の自殺の名所。ホストに疲れた女たちはここで飛び降りる)

日本人が「カネこそすべて」と傲慢になって弱肉強食の資本主義に染まったのは1980年代後半のバブル期だったが、1990年代になるとバブルは崩壊して「カネこそすべて」は急速にしぼんでいった。

しかし、2000年頃からグローバル化が日本内部にも浸透していくと、「カネこそすべて」はむしろ強烈な反動で人々を揺り動かしていくことになった。(鈴木傾城)

弱肉強食の資本主義が蔓延すると社会は間違いなく荒廃

経営者は正社員を減らして人件費を削減し、自らの年俸をアップさせていた。「カネで何でも買える」と豪語する経営者も出てきていた。

国民のカネを詐取する公務員もいた。政治家は不必要な工事を行って税金を投入し、そこからリベートとしてバックさせていた。宗教団体は無税を享受し、葬式で戒名に数十万もの金額をぼったくっていた。

官僚たちは不必要な組織を作ってそこに天下りして税金を奪い取っていた。証券会社は「手っ取り早く儲けられる」とFX(為替証拠金取引)やデイトレードのようなギャンブルを投資と煽って人々をカネに追い立てた。

FXが規制されると、今度は仮想通貨に舞台を移して「買えば儲かる、買わない奴は人間ではない」と煽り立てていた。金融業者は、資本主義をバクチ場に見立てて、人々に伸るか反るかのバクチを「投資」と言って煽り立てたのだ。

そして、バクチに勝った者が負けた者のカネを総取りし、それを賛美するような世の中になった。

気が付けば、日本でも弱肉強食の資本主義が着々と深まっていき、育っていたのである。こうした弱肉強食の資本主義が蔓延すると社会は間違いなく荒廃していく。

弱肉強食の資本主義の根本は「自分さえ良ければいい」「自分が儲かれば、他人が泣いてもいい」「世の中に貢献しようがしまいが、儲かりさえすればいい」というものだから、これで世の中が良くなるはずがない。荒廃して当然なのだ。

こうした社会は徹底的な利己主義を増長させる。最終的には、思いやりも、愛情も喪失させる歪んだ社会を生み出す。

格差が広がっていくと、最初は格差を何とかしようと問題意識を持った人々が救済に入るのだが、社会が格差を作り出す構図が止められないのであれば、救済する以上に格差が蔓延し、やがてそれは一般化していくのだ。

そして、人々はどうなるのか。格差を「受け入れる」のである。

「他人を騙してでも脅してでもカネを奪おう」と決意する

このような弱肉強食の資本主義が社会を覆い尽くすと、どうなるのか。もっと短絡的で、残酷で、救いのない事件が、次から次へと現れていく。「自分さえ良ければいい」のだから、他人から奪う社会が誕生するのだ。

実は、これから日本を覆い尽くしていこうとする弱肉強食の資本主義は、一足先にそれを取り入れたアメリカのような国では当たり前に見られる社会現象だ。

成功者は賛美されるのだが、失敗者は顧みられない。豊かな人間はより豊かになっていき、堕ちた人間はよりどん底に突き落とされる。

自家用ジェット機で世界のリゾート地を飛び回ってバカンスに明け暮れる富裕層がいる一方で、ホームレスになってダンボールの中で寝るしかない人々がいる。それが「当たり前」として許容される。(ブラックアジア:欧米では女性ホームレスも当たり前。日本だけがそうならないとでも?)

弱肉強食の資本主義は、貧困層が持てるものをすべて奪われていく中で強化されていく。それは、経済的な格差を拡大させ、固定させる。いったん固定化されたら、貧困が遺伝のように継承される。そして、どうなるのか。堕とされた人間は、ある時このように考えるのである。

「奪ってやる」

持たざる者が底辺に叩き落とされたとき、そこから這い上がるには持っている人間から奪い取るしかないと思うようになる。「努力して這い上がろう」とか「向上心を持って地道にやろう」という希望が貧困の固定化で打ち砕かれると、生まれるのは弱肉強食の資本主義に対する「怒り」でしかない。

精神的にも余裕をなくし、日々の食事にも事欠く。そんな中で、目の前にカネを持っている人間が通りかかったら、「脅してでも殺してでもカネを奪おう」と決意する人間が出てきても不思議ではない。

「お前たちはカネを持っているはずだ。奪ってやる」

そういった憎悪にも似た感情が、持たざる者の中から生み出されていく。そして、それが蔓延したとき、弱肉強食の資本主義は社会を一気に荒廃させていく。

地獄のようなインド売春地帯を描写した小説『コルカタ売春地帯』はこちらから

愛も慈しみもカネにならないので評価されない

弱肉強食の資本主義は、そうした苛烈な資本主義に合ったビジネスライクな人間がのし上がっていく社会だ。事業的才覚と豪胆な決断力と強運を持った人間が強欲に動き回り、苛烈な競争を生み出して、勝ち組と負け組を鮮明にさせる。

いまや普通の人々は、グローバル経済に叩きのめされて将来に対して不安どころか恐怖すらも感じるようになっている。

当然だ。企業も弱肉強食の資本主義の中で変質している。

つまり、企業は株主と経営者を富ませて労働者をコストとして切り捨てる体質になっている。今までのように会社を支える従業員のひとりとして一生懸命に働いても、会社側がコスト削減を思い立ったら、あっさりと切り捨てられる。(フルインベスト:労働の価値が下がり、ますます働く者が報われない社会になっていく理由)

人々は社会の底辺に転がり堕ちないように必死になって踏みとどまり、何とかこの資本主義の中で生きていけるように悪戦苦闘する。しかし、足元は限りなく不安定になっている。

いったん競争に敗れて社会の底部に転がり落ちていくと、這い上がれない。焦燥感や自暴自棄が生み出され、そこから堕とされた人々も「カネが手に入るなら、何でもする」という発想になっていく。

「エリートも儲けるために、やりたい放題やっているではないか。奴らがやっているのなら、俺たちもそうやって何が悪い」

だから、弱肉強食の資本主義になると、必然的に社会の底辺も弱肉強食と化していき、他人を騙しても脅しても「奪う」ようになっていく。嘘でも何でも、カネが取れれば他人を踏みにじってもいいと考え、それを実行するようになるのだ。

日本社会も「カネこそすべて」がすっかり定着するようになっている。

これが社会に何をもたらし、どのようなインパクトを与えるのかに気づいている人々はそれほど多くない。それは、社会を荒廃させていき、やがては地獄のような社会を出現させるのである。

弱肉強食の資本主義では、愛も慈しみもカネにならないので評価されない。カネしか評価されない。そうであれば、他人から奪ってでもカネを儲けたいと思う人間が主流になって何が驚きなのだろうか。(written by 鈴木傾城)

遠い昔の日本の光景だと思うだろうか。まさか。つい最近、鈴木傾城が横浜のとある地区で撮った写真だ。こうした光景が社会に何をもたらし、どのようなインパクトを与えるのかに気づいている人々は、今はまだそれほど多くない。
https://blackasia.net/?p=10125

213. 中川隆[-13655] koaQ7Jey 2018年11月17日 10:17:47 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-20848] 報告
2018.11.14
中間選挙の勝者が共和・民主両党でなくトランプ大統領だった理由
中野剛志
https://diamond.jp/articles/-/185419


 米国の中間選挙は、上院では共和党が過半数を維持したものの、下院では民主党が過半数を奪還し、「ねじれ」議会となった。

 だが、「ねじれ」以上に問題なのは、米国の政治が、「共和党vs民主党」あるいは「右派(保守)vs左派(リベラル)」といった二元論では理解できなくなったということだ。

 もちろん、「右派vs左派」という対立軸は、かつてほどではないとはいえ、依然として強く残ってはいる。

 しかし、近年、とりわけ2008年の世界金融危機以降、「もう1つの対立軸」が鮮明に現われ、米国やヨーロッパの民主国家の政治を変え、国民を分断するようになった。

 その対立軸とは、「親グローバル化vs反グローバル化」というものである。

グローバル化が生んだ
「4元構造」の対立軸

 グローバル化は、先進諸国の労働者の賃金上昇の抑圧、雇用の喪失、所得格差の拡大をもたらした。

 しかし、先進諸国のエリート層は、グローバル化は豊かさをもたらすものだとして、その負の側面を是正しようとはしてこなかった。これに対して、グローバル化によって不利益を被り、疎外された中低所得者層は、グローバル化に抵抗するようになった。


こうして、「親グローバル化(エリート層)vs反グローバル化(中低所得者層)」という新たな対立軸が出現するに至ったわけだ。

 この新たな対立軸は、かつての「右vs左」という対立軸に回収されてしまうものでもなければ、それに取って代わるものでもない。

「右vs左」は、かつてと比べれば曖昧になっているとはいえ、依然として存在する。その「右vs左」に、「親グローバル化vs反グローバル化」が上乗せされるのである。

 この2つの対立軸からなる構造を分かりやすく図式化したのが、図1である。

https://diamond.jp/articles/-/185419?page=2

 このように、今の政治は「右」と「左」の2大勢力ではなく、「親グローバル化/右」「親グローバル化/左」「反グローバル化/右」「反グローバル化/左」の4大勢力間の争いとなる。

 この4元構造は、政治の不安定化をもたらしやすい。というのも、2者間の勢力争いとは違って、4者間の勢力争いは、さらに決着がつきにくいからである。

 しかし、米国の政治は、依然として「右vs左」によって分けられた二大政党しかない。その結果、政治勢力の動きは、従来の二大政党制の枠組みから外れたものとなり、混乱してしまうわけだ。


二大政党では対応できず
混迷の象徴が「トランプ大統領」

 それが顕著に表れたのが、トランプ大統領を誕生させた2016年の大統領選だった。

 当時の主要な大統領候補(トランプ、ヒラリー・クリントン、バーニー・サンダース)を、4元構造の図式の中に配置したのが、図2である(理解のために、あえて単純化している)。


https://diamond.jp/articles/-/185419?page=3


 まず、トランプ氏の立場は「右」であるが、同時に、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉からの離脱やNAFTA(北米自由貿易協定)の見直し、移民管理の厳格化など「反グローバル化」の主張を鮮明にした。

 このトランプ氏の「反グローバル化/右」を支持したのは、保守的な価値観をもちながらグローバル化によって不利益を被る人々(例えば、白人男性の労働者)だった。

 トランプ氏の「反グローバル化」主張は、「右」の共和党の中でも異端であり、主流派が受け入れるところではなかった。共和党主流派の立場は「親グローバル化」だったのである。

 これに対して、クリントン候補は、親グローバル化のリベラルだった。それは民主党の主流派を代表するものだった。

 そのクリントン氏と民主党内で争ったのは、「民主社会主義」を標榜する急進左派のサンダース候補である。サンダース氏とその支持者たちは、社会的弱者や労働者を疎外するグローバル化には批判的だった。それゆえ、彼らは「反グローバル化/左」に位置づけられる。

https://diamond.jp/articles/-/185419?page=4

これに対して、民主党の立場、今後の方向性は曖昧である。もちろん、「反トランプ」であるのは明らかだ。しかし、その「反トランプ」の意味するところが、「親グローバル化」なのか「左」なのかが、はっきりしない。

 つまり、中間選挙の結果、共和党は「反グローバル化」でまとまりやすくなったが、民主党内は「親グローバル化」と「反グローバル化」の対立が解消されていないということだ。

 このため、今後、民主党内で、「親グローバル化」の主流派と「反グローバル化」の急進左派との間の路線対立や主導権争いが勃発すると考えられる。

 しかし、内部に対立をはらんだままでは、民主党のトランプ政権に対する攻勢も鈍らざるを得ないのではないか。

 今後の米国政治を考える上で注目すべきポイントは、民主党主流派が「親グローバル化」を維持するか、「反グローバル化」に傾斜するかである。

 それによって、米国の政治は大きく変わるだろう。

 あえて大胆に予測するなら、民主党が「親グローバル化」を維持した場合には、2年後の大統領選は、2年前のクリントン候補の轍を踏むことになるだろう。

 逆に、もし民主党が「反グローバル化」に転じるなら、米国政治は、反グローバル化の下での「右vs左」という新たな二大政党制の時代を開くことになるかもしれない。

214. 中川隆[-13634] koaQ7Jey 2018年11月21日 14:07:14 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-20962] 報告

資本主義の中で「自由」という言葉が美しいと思っていたら騙されるだけ
https://blackasia.net/?p=10179

ドナルド・トランプ大統領は野放図な自由主義を制し、保護貿易を訴えて選挙に勝ち上がった人物だが、これに対して多国籍企業からマスコミまでが一斉に「ヒト・モノ・カネが自由に行き来する世界を壊すな」とトランプ大統領を攻撃した。

「自由を守れ」「世界の自由を阻害するな」

「自由」という言葉は、とても美しい言葉だ。「不自由であるのがいいのか、自由であるのがいいのか?」と問われて「不自由の方がいい」と答える人は、ほとんどいない。誰もが自由を愛する。

しかし、何でもかんでも自由にするのは正しいのだろうか。

多くの国では、実は自国の産業を守るためにいくつかの保護政策を取っている。守りたい産業を保護するために外国製品には高い関税をかける。

あるいは守りたい産業を国営化して、その重要な産業がつぶれないようにしている。インフラや農業は、多くの国で保護対象になる。なぜか。ここが潰れれば、一気に国民生活に影響が出るからだ。

根幹部分を持っていかれると、場合によっては国が回らなくなってしまうのだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

目次 閉じる 1. 国民の多くは「安ければ何でも良い」
2. 裏側の弊害やダメージの方は絶対に語られることはない
3. 大事な部分を乗っ取られて国がめちゃくちゃになる

国民の多くは「安ければ何でも良い」

実は、この政府が保護する分野というのは、そこが乗っ取られたら国民生活が急激に困窮していく部分なのである。

たとえば、電気・ガス・水道を考えてほしい。この部分を外国企業に乗っ取られて、外国企業が儲かるためにどんどん値段を釣り上げたらどうなるのか。電気・ガス・水道が二倍、三倍になっていったら生活できなくなる層もいるはずだ。

だから政府はこの部分を保護して、国民が困窮しないようにしている。

そうであれば、外国企業がある国を乗っ取るには、この部分を掌握すればいいということになる。まず政治家を買収して、保護貿易を止めさせる法律を策定させて、重要なインフラをすべて民営化して、それを乗っ取ればいいのだ。

政治力と資金力のある外国企業は、場合によっては圧倒的な競争力でその分野を乗っ取ることが可能になる。

この乗っ取り方法で、乗っ取りたい側が常に訴えるのが「自由」という甘美な言葉なのである。たとえば、このような言い方をする。

「自由競争は重要です。競争によって企業同士が切磋琢磨して新しいサービス、安い商品が手に入るようになります」

自由競争によって、安い商品が怒濤のように入ってくるのは間違いではない。国民は常に安い商品を求めている。国民が欲しいのは自国製品ではなく、安い製品なのである。

新自由主義、構造改革、民営化によって、安い製品やサービスが入ってきたとき、それを提供しているのは外国企業の製品であるということを多くの国民は気付いている。

しかし、国民の少なからずは「安ければ何でも良い」ので、安い製品を買うことに躊躇はない。

その結果、安い外国企業の製品が市場を独占し、自国の産業は潰れていく。

ブラックアジアでは有料会員を募集しています。よりディープな世界へお越し下さい。

裏側の弊害やダメージの方は絶対に語られることはない

この自由競争の物語は続きがある。国をすべて乗っ取るには、ここからが本番だ。

外国企業はある国に自由競争を取り入れさせると、そこで自分たちが市場を独占したと悟られないように、弱体化した地場産業を買収して、その地場産業のブランドを残しつつ市場独占を進めていく。

国民は自国製品を買っているつもりでいるのだが、実はもう外国企業の手に落ちているので、自国のものではなくなってしまっている。

ブランドが残されると、それが外国企業であることに多くの国民が気付かないのである。それで、自由競争が行われていると勘違いするのだが、その裏では産業の乗っ取りと独占が粛々と行われているということになる。

市場を乗っ取り、市場を独占することが可能になると、その市場からは永遠に利益を吸い上げることが可能になる。

企業にとっては「利益」こそが生きる養分であり、利益を第一に動く。最も安定的かつ永続的な利益は、独占から生まれる。国を丸ごと乗っ取れば、その国から永続的に利益が吸い上げられる。

だから「自由」という言葉を表に出して、「乗っ取り=独占」という裏の意図を見えなくするのである。

(1)自由競争によって、世の中は発展していく。
(2)自由競争によって、どんどん良い物が生まれる。

このような神話は、資本主義社会に生きる私たちの誰もが脳に刻み込まれ、それが正しいものであると信じ込まされている。しかし、物事には表があれば裏もある。この裏側の弊害やダメージの方は絶対に語られることはない。

都合が悪いからだ。

1999年のカンボジアの売春地帯では何があったのか。実話を元に組み立てた小説、電子書籍『スワイパー1999』はこちらから

大事な部分を乗っ取られて国がめちゃくちゃになる

忘れてはならないことがある。競争は美しいというのは、「条件が同じ」であった場合の場合である。資本や組織力に圧倒的な差があった場合の競争は、強者が弱者を踏みつぶす残酷ショーと化する。

時価総額が1兆円の企業と10億円の企業とでは、その差は1000倍にもなる。社員10万人の企業と社員100人の企業とでも、その差は1000倍になる。

普通、これほどの差があった場合、同じ土俵では競争は成立しない。スポーツの世界で言うと、大人と赤ん坊が格闘技で戦うようなものである。それをするのが「自由」競争である。

競争の対象が洗剤やヒゲ剃り用のカミソリであれば、別に独占されたところで何と言うこともないと言えるかもしれない。

しかし、銀行や農業や医療や水道や電気と言ったインフラを外国企業に独占されると、「それが資本主義だ」と鷹揚に構えていられなくなっていく。

外国企業が国民の生命に関わるインフラ部分を掌握し、値段を吊り上げることによって国民の生活を危機に陥れることが可能になるからだ。

外国企業が水道事業を掌握し、ある日「水道料金を2倍にする」と言われても、国民は水道を拒絶することはできない。水が出ない家で人は暮らせない。

電気を外国企業に掌握され、ある日、電気料金を2倍にすると言われても、国民は「では、明日から電気は要らない」と言うことはできない。もちろん、ガスも同様だ。

アメリカは医療制度すらも民営化したことによって、「より良い治療を行って欲しければ、もっと金を出せ」という弱肉強食の世界になっていった。その結果、自分が病気になったり家族が病気になったりして「破産」する国民が増えた。

自分の痛みは我慢できても、自分の家族の痛みは何としてでも治して上げたい。金よりも家族の健康の方が重要なのだから、家族には選択の余地などない。

こういった国民の福祉や行政に関する部分には自由な競争を取り入れたらいけないというのが普通の考え方である。

しかし、「自由」という言葉に騙されると、大事な部分を乗っ取られて国がめちゃくちゃになってしまうこともあるのだ。美しい言葉には棘(とげ)がある。美しい物事には裏がある。私たちはそれを忘れてはならないはずだ。(written by 鈴木傾城)

もし、電気・ガス・水道のすべてが二倍に三倍に上がっていったら、国民生活はめちゃくちゃになるはずだ。「自由競争は重要です。競争によって企業同士が切磋琢磨して新しいサービス、安い商品が手に入るようになります」と言われて、インフラを乗っ取られると、そうなっても不思議ではない。

215. 中川隆[-13718] koaQ7Jey 2018年11月30日 22:00:38 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-21481] 報告

社会主義は「バラ色の幻想」? ロシア革命から101年、社会主義が破綻する理由
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181130-00010003-nkbizgate-bus_all
日経BizGate 11/30(金) 14:45配信


ロシア革命から11月7日で101年を迎えた


 1917年に社会主義政権を樹立したロシア革命から11月7日で101年を迎えました。この日は旧ソ連時代の最大の祝日「革命記念日」で、赤の広場などで祝典が開かれていましたが、1991年のソ連崩壊後は政府主催の記念行事は開かれなくなりました。現在のロシアではロシア革命について、その後の社会主義政権下での政治弾圧や経済破綻の経験から、批判的な意見が多いといいます。

 ところが一方、かつて資本主義陣営としてソ連と対峙(たいじ)した米英では、今になって社会主義が若者を中心に大衆の人気を集めています。

 米国では2016年大統領選の民主党予備選で民主社会主義者のバーニー・サンダース上院議員が旋風を巻き起こし、11月の中間選挙に向け今年6月にニューヨークの選挙区で行われた同党予備選では、サンダース氏系で同じく民主社会主義者のアレクサンドリア・オカシオコルテス氏が現職の重鎮議員を破りました。

 英国では、ジェレミー・コービン党首の下で社会主義的政策を打ち出す野党・労働党による政権獲得が現実味を帯びています。同党は鉄道を含め一部産業の国有化を目指しているほか、9月に開いた党大会では、大企業の株式の最大10%を基金に割り当て、配当を従業員に支払うよう義務付ける計画を発表しました。

 ソ連や東欧の旧社会主義諸国の崩壊と、それによって明らかになった国民のきわめて貧しい生活から、世界は社会主義が劣悪で持続できない経済体制であることを学んだはずです。教訓はどこにいってしまったのでしょうか。

 サンダース氏らが標榜する「民主社会主義」とは革命を否定し、議会制民主主義の中で社会主義の理想を実現しようとする考えです。独裁体制だったソ連や東欧の社会主義とは違うと支持者は強調します。けれども社会主義が持続不可能なことは、独裁制であろうと議会制であろうと変わりありません。それには理由があります。

 社会主義経済が機能しない理由としてよく指摘されるのは、まじめに働いた人も怠けた人も同じ報酬しか受け取れないのであれば、誰もまじめに働かなくなってしまうというものです。これを経済学で「誘因問題」と呼びます。わかりやすく言えば「やりがい問題」です。

 これに対し社会主義者は、その問題は克服できると反論します。人望厚い指導者が生産高、売上高などの目標を設定し、市民のやる気を鼓舞し、一丸となって努力すればよいといいます。要は気の持ちようというわけです。

■必要なデータがないため事業の採算を判断できない

 そううまく運ぶかどうかは疑問ですが、仮に誘因問題をなんとか克服できたとしましょう。ところが社会主義にはもう一つ、もっと深刻な問題があるのです。それは「経済計算問題」と呼ばれます。

 この問題を早くから指摘したのは、オーストリア出身の経済学者ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスです。ミーゼスは次のように説きます。

 社会主義とは、原材料、土地、道具、機械、建物といった「生産手段」を国有化する体制です。国有化されている以上、市場で売買されませんから、価格が存在しません。するとこれらの生産手段を使った事業の採算を判断できません。

 資本主義であれば、ある事業が黒字ならさらに多くの資本や労働を投入し、逆に赤字なら事業の規模を縮小するといった判断ができます。社会主義ではそれができません。社会主義政府の指導者がどれほど頭脳明晰であっても、ある事業を続けたほうがよいか、それとも廃止したほうがよいか、合理的に判断できません。判断に必要なデータがないからです。

 合理的な経済計画を立てることができなくても、社会主義がすぐに破綻するわけではありません。しかし経済は非効率にならざるをえず、少なくとも資本主義と比較して、貧困が広がり、経済成長が阻害されるでしょう。

 ミーゼスが最初にこう主張したのは1920年。ロシア革命の勃発(ぼっぱつ)からまだ3年しかたっていない時期です。当時、世界の知識人や学生の間では社会主義が人類の希望として、今の社会主義ブーム以上に熱狂的に支持されていました。資本主義を上回る繁栄を社会主義によって実現できるという幻想に、ミーゼスは冷水を浴びせたのです。

 ミーゼスの主張に社会主義側の経済学者たちは猛然と反発しました。やりがい問題は気の持ちようで克服できても、経済計算問題は社会主義そのものを論理的に不可能にしてしまうのですから、猛反発するのもうなずけます。

 有力な反論とみられたのは、ポーランド人経済学者、オスカー・ランゲらによるものです。ランゲは、物の生産量と生産方法を決定するには、市場価格を使う代わりに、政府が中立な「せり人」となり、需要と供給がつりあう均衡価格を発見すればよいと主張しました(尾近裕幸・橋本努編著『オーストリア学派の経済学』)。

 具体的には、まず企業が生産物の需要量を把握し供給量を決定して政府に報告します。それを受けて政府は「需要量が供給量を上回ったら価格を引き上げる」「下回ったら価格を引き下げる」という試行錯誤を繰り返し、すべての生産物の需要量と供給量がつりあうまで価格を調節するというものです。

 しかしこの方法は、ミーゼスの批判に答えていません。企業が生産物の供給量を決めるには、費用を最小化する原材料の組み合わせを選択しなければなりませんが、原材料の市場価格が存在しなければ、その判断は不可能です。政府も、企業の決定が正しいかどうか判断できません。結局、生産手段に対する私有財産権が否定され、売買できない社会主義で正しい経営判断はできないのです。

 ミーゼスやその弟子のハイエクは社会主義の経済学者と論争を繰り広げましたが、その後、ソ連の経済5カ年計画が当初はうまくいっているように見えたことから、ミーゼスらの社会主義批判は誤りとの見方が広がります。しかし実際にはソ連国民は貧困にあえいでおり、ミーゼスの予言から71年後の1991年、ソ連はついに崩壊します。

 米国の著名な経済思想家、ロバート・ハイルブローナーは「ミーゼスが正しかったことが判明した」と述べています。

 ソ連の経験から学んだはずの経験を忘れたかのように、世界は再び社会主義のバラ色の幻想に惑わされようとしています。天国のミーゼスはどんな思いでこの光景を見つめているでしょうか。

216. 中川隆[-13700] koaQ7Jey 2018年12月03日 05:46:00 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-21562] 報告

インド。改善されない貧富の差と腐敗、縁故主義が経済成長を阻害する
https://blackasia.net/?p=10432

2018年11月30日。日本経済新聞は『インド7.1%成長、消費・投資ともに堅調』というタイトルで、インド経済が好調であることを伝えている。7.1%とは大した伸びだと、感慨深くインドを思った。

しかし、私はインドに関しては、やや懐疑的なスタンスを崩していない。

私はシンガポールでインド系の女性と知り合ったあと、南アジアに興味を持って、インド・バングラデシュ・パキスタン・スリランカと立て続けに訪れた。インド圏の特異性や、文化や、凄絶な貧困や、人々の魅力に、すっかり取り憑かれた。

しかし、インドの最底辺の人々と付き合う時間が長くなるにつれて、インドの経済成長がまったく末端に行き届いていないことに気が付かざるを得なかった。

路上で暮らす物乞い家族、路上でセックスを誘う貧困女性、炎天下に衰弱した赤ん坊を抱えて物乞いする母親、野良犬と一緒にゴミを漁って食べている子供たち。

インドの貧困層の貧困ぶりは、東南アジアの貧困を知っている私ですらも絶句したほどだ。今後、インドが経済成長するにしても、こうした貧困層が普通の暮らしを手にいれるのは相当な時間がかかるはずだと私は確信したものだった。

実際にインドに行き、スラムの中を徘徊して一週間暮らしてみれば、誰でも私と同じ心境になるはずだ。圧倒的な貧しさと社会の見えない壁を知った瞬間に、インドで起きている経済成長というものが、表層だけのものであることに気がつくのだ。(鈴木傾城)


自分の器よりも多いカネは持ち続けられない

インドは本当に問題の多い国だ。

教育格差、貧困の放置、カースト間の断絶、民族間の断絶、人間性を無視した弱肉強食の世界、宗教間の断絶、隣国との断絶、官僚主義、汚職……。ありとあらゆるものが、スムーズな経済発展を拒んでいる。

すべてが経済発展を邪魔する要因ばかりなのである。インドの貧困問題が解消される見込みはないか、もしくは非常に長い時間がかかる。何よりも、貧困者があまりにも多すぎて、解決するにはハードルが高すぎるのである。

それならば、貧困者に直接カネを渡せばいいのではないかと考える人もいる。たとえば、バングラデシュで生まれたグラミン銀行の「マイクロファイナンス」はそのような発想から来ている。

しかし、貧困層にカネを渡したら豊かになると思うのは、先進国の人間の思い込みかもしれない。いくらカネが入っても貧困者がそれをを持ち続けることはできない確率は高い。

日本人は分からないかもしれないが、最低限の教育がなければカネを持ち続けることすらできない現実がそこにある。

カネを計画的に使うというのは、実はそれなりの教育が必要になるが、貧困層はその基本的な土台がない。

だから、あればあるだけ使う。計算ができないので、損得や物の価値が理解できない。金銭配分も、うまくできない。将来設計も立てられない。うまい話を持ちかけられても、それが詐欺だと分からない。

よく宝くじで大金を手に入れた人が、あっという間に蕩尽して以前よりも貧しくなったという話をよく聞く。それとよく似た現象かもしれない。金融リテラシーがないと、カネはあっという間に消えていく。

人は、自分の器よりも多いカネを手に入れても、それを持ち続けるのは不可能だったのである。

教育がないというのはどういうことなのか

金銭観念というのは、教育を受ければ身につくとは限らない。教育を受けていても、まったく金銭観念がない人がいる。しかし、基礎的な教育を受けないと身につかないというのは確かに言える。

分割払い、金利計算、割引率、確率……。

ほんのちょっとしたものだが、それを私たちは教育で身につけた。計算ができるから、こういったものが理解できる。計算を習っていなければ、概念すらも理解できない。カネを借りたら金利がかかると言われても、金利の意味も分からないし、その重さも分からない。

たとえば、借金を抱えて分割払いをしたとき、何回払いで返せばいいのかが分からないので、言われるがまま永遠に払い続ける貧困層も多い。金利25%でカネを借りても、それの何が問題なのか、まったく分からない。

教育がないので契約書の意味も分からないし、その重要性も分からない。字が読めなければ、そもそも書かれている内容が確認できない。インドの約37%は文字が読めない人たちである。

そのため、「カネが返せなければ娘を売り飛ばすことに同意する」と書かれた契約書を読めずにサインして、合法的に娘を取られた親もいる。彼らは、ありとあらゆる罠に簡単に落ちる。

貧困層の女性たちは鼻や耳のピアスで小さなゴールドを所持しているが、これはファッションのためではなく、銀行が利用できないのでそうやって財産を持つしかないからでもある。

銀行はカネを預けるところだが、彼女たちは自分の名前も契約書も書けないので口座を開くのも難儀する。その上に、銀行員というアカの他人をどこまで信用していいのか分からない。

そのため、手元のカネを「見も知らぬ赤の他人」の銀行員に渡すことに断固として抵抗する。

インドの貧困地区をさまよって、来る日も来る日もそういう人たちと接していると、インドという国が想像以上に分断されていることに誰でも気がつく。


貧困層はいつでも爆発する準備ができている

トーマス・フリードマンは、2005年に『フラット化する世界』という重要な本を発行している。

(アマゾン:フラット化する世界 経済の大転換と人間の未来)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B073S3BRZM/ref=as_li_qf_asin_il_tl?ie=UTF8&tag=blackbook2tok-22&creative=1211&linkCode=as2&creativeASIN=B073S3BRZM&linkId=6af921b4663664b943c2683178604a2a


このフラット化という言葉を言い出したのはインドが誇るテクノロジー企業「インフォシス社」のナンダン・ニレカニ氏だ。

ここで言うフラット(水平化)は、世界はフラット化して教育があれば、個人が世界にフラットにアクセスできるのだという意味である。皮肉なことに、インドでは昔から人々がフラット化した各層の中で暮らしており、別の層(レイヤー)とはアクセスできないようになっている。それをカースト制度という。

カースト制度は恐ろしい文化である。

インド圏に身分があるというのは、外国人でも感じることができる。ジーンズをはいた洒落た女性の隣に、ボロボロのサーリーを着た女性が物乞いをしている。見かけも態度もまるっきり違う人間が、互いに相手が見えないように暮らしている。

同じ国でありながら人と人の間に線が引かれ、それぞれが同じ場所で別の国を生きているような状態だ。インドの圧倒的多数がそういう貧困層であることを考えると、どう考えても順調な経済発展をするとは思えない。格差も縮まるどころか逆に拡大してしまっている。

フォーブスは2018年2月20日にこのような記事を書いている。


『1980年代前半に全体の約7%を占めていたインドの所得上位1%の所得は、2014年には22%に増加。一方で所得下位50%の所得は、全体の約23%から15%に減少した』

インドの首相ナレンドラ・モディ氏は剛腕でインドをまとめているが、経済政策はそれほどうまくいっているわけではない。社会が混乱し、経済発展が頓挫した時には何もかも駄目になる可能性のほうが確率として高いのではないかと思わざるを得ない。

いったん政治が乱れて経済成長がとまれば、その瞬間にインドに投資されていた資金はブラックホールのように闇に飲み込まれてなくなっていく。フォーブスはこのようにまとめている。


『投資家たちは、インドの貧困と拡大する所得格差に細心の注意を払う必要がある。改善されない貧富の差と腐敗、縁故主義は、経済成長と好調な株式市場にとっての最大の脅威だからだ』

インドには極貧層が約6億人いる。格差が目立って社会不安が噴き上がっていくと、貧困層が上・中流階級を打ち倒す日があってもおかしくない。インドでは貧困層に革命を訴えかける煽動者が、それこそキラ星のごとく存在するのだ。

そのようなことを考えると、確かにインドは数字で見ると7.1%の成長を成し遂げているのかもしれないが、まだまだ国として乗り越えなければならない壁はかなり高いのではないかという感触を持っている。

インドの貧困はひどすぎるので、貧困層が経済成長によって底上げされるのを私は望んでいる。そうすれば、インドもアンダーグラウンドを這い回るハイエナにとっても、もっと快適な国になれるはずだ。(written by 鈴木傾城)
https://blackasia.net/?p=10432

217. 中川隆[-13721] koaQ7Jey 2018年12月03日 12:22:50 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-21610] 報告

2018年12月03日
フランス暴動はなぜ起きたか 空気読めないマクロン

12月1日のパリ


画像引用:https://cdnph.upi.com/svc/sv/upi_com/1401543683808/2018/1/c89bb02dcd06a08401cd6c46d60bdf63/80-injured-more-than-100-arrested-in-Paris-protest.jpg

パリで大規模な暴動が発生

フランスのパリで燃料税導入の反対デモが拡大し、2日までに680人が拘束され多数が負傷している。

フランスでは毎年大規模なデモが起きているが、2018年に入ってからマクロン政権への批判が強まった。

マクロンは財政再建のため公務員削減を主張していて、反対派が大規模デモを行っていた。




2018年3月に30万人規模の公務員削減抗議デモが行われ、パリでは100人ほどが暴徒化して焼き討ちなどをしてた。

4月に入ってもデモやストライキは続き、多くの大学では学生による占拠デモが発生した。

フランスでは全国共通の大学入学資格に合格すると、どの大学にも入学できる制度だったが、希望者が増えて制度破綻している。


そこで成績によって大学ごとに選別する制度に変えようとして、学生側の反発を招いている。

最盛期には60以上の大学が反対派学生に占拠されたが、5月には鎮圧された。

5月に入るとメーデーのデモがあり、週35時間労働制の緩和に反対する労働者ら数万人が参加した。


首都パリではやはり暴動が起き、黒いフードを被った200人ほどが車をひっくり返したり、商店を打ち壊した。

マクロン大統領は強気の態度を崩さず、改革で引き下がることはないと表明しました。

メーデー以降は反マクロンデモが活発化し、それぞれのデモ隊が合流して5月26日には数十万人規模になった。

反マクロンデモ

6月にマクロンは徴兵制復活を宣言し、7月には大統領警護隊がデモ隊に暴行する事件が明るみになった。

大統領府に所属するアレクサンドル・ベナラは、マクロン大統領と親密な関係にある腹心の部下でした。

事件が起きたのは5月1日のデモで、容疑者は警察官バッジをつけて景観になりすまし、デモ参加者に暴行する動画が拡散された。


9月には気候変動デモがあったが比較的平和で、9月15日に「マリーアントワネット騒動」が起きていました。

マクロンは人気回復のために失業中の若者と面会したが、職がないと訴える若者に「やる気があればいくらでも仕事がある」と切って捨てた。

メディアは「パンがなければケーキを食べればいい」と言ったマリー・アントワネットと比較したが、実はこれはねつ造です。


王妃マリー・アントワネットが「ケーキを食べればいい」と言ったという新聞記事は、革命家がでっち上げて書いたと自白している。

「パンがなければケーキを食べればいい」はマリーが生まれる100年も前から出現していて、革命家によって都合よく使われていた。

10月になると反政府デモに警察が催涙弾を使用し、デモ側との衝突が過激化していった。

デモは暴動に発展

マクロン政権の支持率は低下し、閣僚は次々に辞任して政権末期の様相を示し始めた。

11月17日に全国2000か所で12万人の反燃料税デモが起き、主催者はなくSNSで集まった人たちだった。

武力衝突の様相を示し始めたのは11月25日で、警官が襲撃されて催涙ガスや放水銃でデモ隊も負傷した。


11月27日にマクロンは反対を抑えるため、原発閉鎖を事実上撤回し、事態の鎮静化を計った。

原発は(事故が起きなければ)コストが安いので、原発を閉鎖すれば電気代や燃料代は上がる。

11月後半にはシャンゼリゼ通りが主戦場になり、過激派が車や商店を襲撃し、多数の負傷者が出始めた。


12月1日には暴動に発展し、全国で700人前後が拘束され、マクロンは徹底抗戦を指示しました。

警察はデモ参加者に極右が紛れ込んでいると批判したが、日本の官邸デモに極左が紛れているのに似ている。

こうした時にゴーン逮捕で日産の独立騒動が起きて、「国営企業」ルノーが崩壊しようとしている。


マクロン大統領の支持率は25%に低下し、辞任するか続投するかが注目されている。
http://www.thutmosev.com/archives/78351287.html

218. 中川隆[-13731] koaQ7Jey 2018年12月04日 19:13:27 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-21673] 報告

馬渕睦夫×水島総 「世界を統治する者との最終戦争が始まる!」 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=L06Zs03T2D0


2018/11/29 に公開

既成概念にとらわれない大きな視座で国際情勢を俯瞰し、ぶれることのない日本の軸を示し続けている馬渕睦夫氏。

閉ざす門を一度解き放つことによって見えてくるものがあるように、物事の本質を見極める言葉と思考を、対談を通じて伺います。

出演:
 馬渕睦夫(元駐ウクライナ兼モルドバ大使)
 水島総(日本文化チャンネル桜代表)

219. 中川隆[-13716] koaQ7Jey 2018年12月05日 12:37:11 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-21685] 報告


【秋の特別対談】馬渕睦夫氏と語る - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=BU4nkKMmVfo&app=desktop


2018/10/06 に公開

ゲスト:馬渕睦夫(元駐ウクライナ兼モルドバ大使)
聞き手:水島総(日本文化チャンネル桜代表)

220. 中川隆[-13756] koaQ7Jey 2018年12月10日 07:39:09 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-21889] 報告
年報酬10億円超の外国人経営者、年収6百万の日本人社員、時給5百円台の外国人労働者
https://biz-journal.jp/2018/12/post_25813.html
2018.12.09 文=山田稔/ジャーナリスト Business Journal


カルロス・ゴーン日産自動車元会長(AP/アフロ)


「カリスマ経営者」ともてはやされた日産自動車元会長、カルロス・ゴーン容疑者の逮捕劇を受けて、外国人経営者の超高額報酬がクローズアップされている。

「プロ経営者」として日本企業に招聘された外国人トップや経営陣の役員報酬は、すさまじく高い。東京商工リサーチの「役員報酬1億円以上開示企業調査」(2018年3月期)や各社の有価証券報告書によると、ソフトバンクグループ(SBG)のロナルド・フィッシャー副会長は20億1500万円。以下、SBGのマルセロ・クラウレ副社長兼COO(最高執行責任者)13億8200万円、ラジーブ・ミスラ副社長12億3400万円。武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長12億1700万円、トヨタ自動車のディディエ・ルロワ副社長10億2600万円と続く。

 過去には、もっとすごいケースもあった。SBG創業者の孫正義会長兼社長が、後継者としてグーグルから招いたニケシュ・アローラ元副社長の16年度の報酬は、驚くなかれ103億円だった。それに引き換え孫氏自身は、ニケシュ氏の100分の1のわずか1億3700万円(18年3月期)。日本一を達成したプロ野球・福岡ソフトバンクホークスの主力選手たちよりも少ない額だ。もっとも、孫氏は同社株を約2億3120万株保有しているので、年間の配当で巨額の収入を得ている。

 役員報酬高額トップ10のうち5人が外国人。ここに、報酬過少記載疑惑のゴーン容疑者(18年3月期の記載額は7億3500万円=この期も十数億円の過少記載の疑いが報じられている)が加わるのだから、日本は外国人経営者の天下である。

 一方、従業員の報酬はどうなっているのか。SBGの有価証券報告書を見ると、連結会社の従業員総数は7万4952人だが、持株会社のSBGはわずか195人。平均年齢40.5歳で平均年間給与1158万1086円となっている。上場企業の平均年収は約620万円(東京商工リサーチ調査)だから、2倍近い。SBGは高収入集団といえよう。それでも10億円超の外国人経営陣の100分の1レベルでしかない。破格の報酬を得ている外国人経営者が在籍する企業の従業員や子会社の従業員たちは、外国人役員の高額報酬をどう思っているのだろうか。

■最低賃金以下で働かされている外国人労働者たち

 世の中、オモテがあればウラもある。巨額報酬で脚光を浴びる外国人経営者がいる一方で、最低賃金を大幅に下回る時給500円台で働いていた外国人労働者の姿が浮かび上がってきている。

 舞台は外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法などの改正案をめぐる国会審議。失踪後に摘発された外国人技能実習生に対する法務省の聴き取り調査の「聴取票」を基に野党側が、月収と1週間の労働時間が記された176人分について時給を試算したところ、全国でもっとも安い鹿児島県の最低賃金761円を上回ったのはわずか33人。東京新聞は、もっとも多かったのが時給500円台の52人で、時給100円台、200円台という、信じられないようなケースもあったと報道している。

 むろん、これは氷山の一角にすぎない。技能実習制度は「国際貢献のため、開発途上国等の外国人を日本で一定期間(最長5年間)に限り受け入れ、OJT(現任訓練)を通じて技能を移転する制度」(法務省のHP)とされ、1993年(平成5年)に創設された。17年末の技能実習生の数は27万4233人で、技能実習2号(2年目・3年目)への移行者は8万6583人だった。技能実習2号移行対象職種は農業、漁業から建設、食品、繊維、機械など77職種139作業に及ぶ。

 技能実習生の受け入れ人数が多い国はベトナム(45.1%)、中国(28.3%)、フィリピン(10.1%)、インドネシア(8.0%)、タイ(3.1%)などとなっている。

「技能移転」は名ばかりで、日本人がやりたがらない単純作業や重労働の現場で酷使されている実習生の実態が、次々と報じられている。なかには建設会社で実習のはずが、いつのまにか除染現場で働かされていたケースもあった。制度を悪用して外国人実習生を「底辺労働力」として斡旋する業者、低賃金で仕事をさせる企業が後を絶たないのが現状だ。

■それでも経済成長の幻影を追いかけ続けるのか

 人口減、少子高齢化が急加速していくなかで、生産年齢人口は確実に減り続けていく。18年1月1日時点の人口動態調査によると、日本の総人口は1億2520万9603人で9年連続の減少。15歳から64歳の生産年齢人口は7484万3915人で全体の59.77%と調査開始以来初めて6割を切った。

 高齢社会白書によると、生産年齢人口は、20年7406万人、25年7170万人、30年6875万人と減り続け、40年には5978万人と6000万人の大台を割り込んでしまう。十数年後には今よりも600万人も減少し、逆に高齢化率は3割を超すという大変な時代が待ち受けている。

 そうした状況にあるにもかかわらず、官邸のHPには「アベノミクス 成長戦略で明るい日本に!」といった文字が躍っている。国会での首相の所信表明演説(10月)では「激動する世界を、そのど真ん中でリードする日本を創り上げる」と、なんとも勇ましい言葉が並んだ。

 その成長戦略に欠かせないのが、巨額報酬の外国人経営陣と、低賃金の外国人労働者ということなのだろうか。しかし、冷静に考えればこんな手法がいつまでも続くわけがない。グローバルな競争に勝つための近道なのかもしれないが、外国人経営者に依存しすぎれば、自前の日本人の後継者が育たない。経営力や経営体質だって本当に強化できるかどうかは、はなはだ疑問だ。

 FA(フリーエージェント)になった有力選手を大金を払って補強し続けたにもかかわらず、低迷が続くプロ野球の人気球団、読売ジャイアンツのようなケースもある。さらに、日産のように権限集中で不正と腐敗が生じ、悪しき土壌が出来上がる。

 外国人労働者の受け入れにしても、受け入れ人数は5年間で最大34万5000人というから、抜本的な生産年齢人口減少対策にはほど遠い。しかも、中国のように経済成長が進む国では、ブローカーに搾取されることを考えると自国で働いたほうが実入りがいいから、日本にやってくる労働者は確実に減っていく。

 日本で働く外国人実習生や労働者の待遇を含めた実態が、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)などを通じて広まっていけば、経済・産業界が思い描くような規模の労働力を確保できなくなるのは自明のことである。

 外国人に依存してまでも「強い国」「経済成長」にこだわるのは、いい加減やめにしてはどうか。20年後、30年後の国と国民生活のあり方を冷静に考え直すチャンスである

(文=山田稔/ジャーナリスト)

221. 中川隆[-13814] koaQ7Jey 2018年12月13日 10:22:17 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-22108] 報告

混迷する韓国経済、青年の5人に1人が失業へ。文在寅大統領がハマった罠とは?=勝又壽良 2018年12月9日
https://www.mag2.com/p/money/596639



文在寅大統領の政策で最低賃金を引き上げた韓国では、中小企業による大量解雇が起こって失業率が急増しました。その悲惨な現状と失敗要因について解説します。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2018年12月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

支持率50%割れ。文在寅「韓国は不平等な社会」発言に見る敗因は

「最低賃金引き上げ」で雇用崩壊

ビル・クリントン元米大統領が、初の選挙スローガンで「経済こそが重要なのだ、愚か者」という言葉を使ったことは有名です。政治の要諦は、経済を成長させて国民生活を豊かにすること。それを、見事に言い当てたものとして、人々の記憶に残っています。

韓国の文在寅大統領は、政権発足に当たり「雇用政権」という看板を掲げました。クリントン元米大統領並みの意気込みでした。韓国大統領府の執務室には、31種類の経済データのパネルが持ち込まれました。それが、記者団に公表されたほどです。皮肉にも、「雇用政策」の目玉であった「最低賃金引き上げ」が、韓国経済に大きな混乱を持ち込みました。最低賃金が、実態経済から乖離してあまりにも大幅な引き上げになったことです。

今年は、昨年より16.4%もの最低賃金引き上げをしました。この結果、これに耐えられない中小・零細の企業では従業員の大量解雇が行なわれています。完全失業率は、4%に接近する状態で、就業者数が激減しています。最低賃金の大幅引き上げが、雇用を破壊するという逆効果をもたらしたのです。普通の政権であれば、すぐに政策失敗を認めて軌道修正するものです。

失敗を糊塗する新政策パッケージ

文政権は、この失敗を認めず新たな政策パッケージを持出しました。

文在寅大統領は、先にアルゼンチンで開かれたG20首脳会議で、次のような演説をしました。「人中心の経済が定着すれば、成長の恩恵を幅広く分ける『包容的成長』が可能になる。『人が優先』は、私の政治スローガンであり、以前からの政治哲学」と述べたのです。

所得主導成長論=大幅な最低賃金引き上げは、失敗しているにも関わらず、その失敗の原因を総括せず、新たに「包容的成長」を展開しました。

「包容的成長」は、これまで使われてきた「所得主導成長論」と同じ内容です。それが、「包容的成長」に言葉が変わったのは、OECD(経済開発機構)が、今年5月に「包摂的成長」という新たな政策枠組みを提案したことと関連しています。韓国大統領府は、韓国の「包容的成長」は、OECDの「包摂的成長」の先駆的な概念であると自慢しています。これが、先のようにG20の場で、文大統領の演説となって現れたのでしょう。

OECDはこの5月に、「包摂的成長」を加盟各国に提案しました。その内容は次のようなものです。

「各国は、経済成長をあらゆる人々の生活水準の向上に変換する取り組みを進めることが、不可欠である。社会の中で最も貧しい人々でも、自分の能力を最大限生かせるように手助けし、政府がそのための手段を得られるようにしなければならない。そうなれば、社会全体が繁栄と暮らし良さを享受できる」

要約すれば、社会の底辺にいる最も恵まれない人々の暮らしを引き上げる経済政策を行なえば、社会全体が繁栄するとしています。

韓国では、所得主導成長論として最低賃金の大幅引き上げをして、逆に社会底辺の人々の暮らしを破壊しました。それは生産性を大幅に上回る最低賃金引き上げであったからです。この大幅引き上げについて、OECDもIMF(国際通貨基金)も警告を発したものです。韓国政府は、それを強行して惨憺たる結果を招いているのです。

Next: 支持率は50%割れ。文在寅氏の発言「韓国は不平等な社会」に敗因が見える

文大統領が落ち込む正義の「ワナ」

文大統領は、韓国は不平等な社会である。公正でない社会であると常に主張しています。ここで問われますのは、「公正」とは何か。小難しいことではありません。
1.努力したことに正当に報いる「公正」
2.不平等を取り除く「公正」

の2種類があるのです。文氏は、前者の「公正」を無視して、後者の「公正」だけを取り上げています。ここが、文氏の陥っている最大の「ワナ」と言えます。

文氏は、反企業主義者です。企業は、労働者を搾取する。そういう古典的な社会主義思想に染まっています。具体的には、法人税率を引き上げたり、規制を強化するという企業性悪説に取り込まれています。そこから脱して、「企業が生産性を上げ、働く者に高賃金を支払う」。この単純な事実こそ、高生産性=高賃金を実現させます。こうして、先の2つの「公正概念」が同時に成立することになります。以上の関係を要約します。

・企業が生産性を上げる=(1)努力したことに正当に報いる「公正」
・働く者に高賃金として支払われる=(2)不平等を取り除く「公正」

文氏の経済政策の根本的な誤りは、(1)の公正を否定して(2)の公正だけを拡大させる点にあります。並列する二輪に例えれば、片方だけ大きくし、もう一方を小さくするのと同じ愚を演じているのです。これでは車はスムーズに動くはずがなく、経済は破綻して当然です。現在、韓国の失業率が高まっている事情の裏には、こういう歪な考え方が存在しています。

OECDの提案する「包攝的成長」は、前記の2つの公正を実現することが暗黙の前提でしょう。韓国の大幅最低賃金引き上げを批判したOECDが、韓国政府の唱える所得主導成長論=包容的成長を容認するとは思えません。

経済不振反映で支持率50%割れ

再び、冒頭のビル・クリントン元米大統領が、初の選挙スローガンで用いた「経済こそが重要なのだ、愚か者」という言葉に戻ります。いくら美辞麗句を並べても、経済面で実績を出せない政権は、国民の支持を得られません。文政権が、その試練の場に立たされています。

文大統領の支持率は、11月28日発表で就任後初めて50%を割り48.8%になりました。政権与党である「共に民主党」も37.6%と最低水準に落込みました。5月末の世論調査では85%の高支持率を得ていました。文大統領の訪朝で、「民族融和」への夢が膨らんだものと見られます。これは、一時的な「噴き上げ現象」でした。その後は、厳しい失業問題に足を引っ張られ、50%を割り込むことになりました。

最近期である10月の完全失業率は3.5%で、前月より0.3%ポイント上昇して10月を基準に13年ぶりの最高値となりました。失業率は、文政権の支持率に敏感に響いています。まさに、「経済問題こそが重要なんだ」というクリントン発言を証明しています。失業の被害は青年に集中しています。その実態を見ておきます。


失業で苦しむ青年たち

今年7〜9月期、青年層(15〜29歳)の失業率は、9.4%で昨年同期に比べて0.1%の上昇でした。7〜9月期基準では1999年以降19年ぶりの最悪値となりました。

これだけではありません。就職活動学生まで含めた「拡張失業率」(体感失業率)という青年層の失業率が異常な高さです。拡張失業率は、就職浪人で公務員試験の勉強中という者まで含めています。韓国独特の指標で22.8%にもなります。

この「拡張失業率」は、2015年の統計作成以来の最悪値でした。青年の5人に1人の割合で失業している状態を意味するからです。こういう人的資源の無駄は、日本とかけ離れた公務員志望(お上意識の強さ)の結果でしょう。

韓国は儒教社会です。朝鮮李朝時代、「科挙(かきょ)」(公務員)は絶対的な権力を握っていました。その伝統が、未だに若者に受け継がれているものです。公務員にならずとも、職業はいくらでもあるはず。公務員になれば、科挙の歴史を継いで「エリート人生」を保障されているのでしょう。この辺りにも、韓国社会の前近代性を感じるのです。

前述のように文大統領の支持率は、就任後初めて48.8%になりました。この支持率を地域的に見ると、これまで重工業地帯として発展してきた地域で、文支持率の低下が目立ちます。

工業地帯の支持率がつるべ落とし

世論調査会社のリアルメーターは11月29日、釜山市、蔚山(ウルサン)市、慶尚南道での文大統領支持率が37.6%まで低下したと発表しました。9月第1週の62.7%から2カ月で25ポイントもの低下になります。この間、全国支持率は65.3%から48.8%へと17ポイントの低下でした。繰り返しますと、前記の3地域の支持率低下が25ポイント。全国平均が17ポイントの低下です。改めて、その落ち込み幅の大きさに気付きます。

もともと、これら3地域は保守色の強い地域とされます。文大統領が、地元出身であることから、党派を超えて支持したと見られます。だが、経済の落ち込みにしびれを切らして、不支持に転じたのでしょう。保守色の強い大邱市・慶尚北道での支持率(34.8%)と同じ傾向を示しています。

文在寅氏の大統領得票率は41%でした。すでに48.8%まで支持率が下がっています。


この先、韓国経済の上昇はない

この先、韓国経済が上昇することはありません。今年10月から「不況期」へ突入したからです。

韓国統計庁の正式発表があるまで、韓国政府は不況を否定し続けるでしょう。国民もそれを信じていれば別ですが、政府に都合のいい状況は続きません。失業率のさらなる上昇、GDPの低下などで、否応なく不況を実感させられるでしょう。

となると、文支持率は低下し続けます。問題は、大統領得票率の41%をいつ割るかです。その時、文政権は経済政策でどのような対応をするのかが注目されます。


支持率40%割れで起きる衝撃波

その際の経済政策の争点は、最低賃金の大幅引き上を棚上げするか、引き上げ幅を縮小するかでしょう。来年の引き上げ幅は10.9%です。今年の16.4%ですら引き上げられず、従業員の解雇が急増して失業率を押上げました。来年の最低賃金引き上げ幅が予定通りとなれば、韓国経済は失速するでしょう。

問題は、文大統領がすでに「包容的成長論」を発表しており、文政権における経済政策の「憲法」のような位置を与えていること――

222. 中川隆[-13787] koaQ7Jey 2018年12月16日 07:42:33 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-22177] 報告
人手不足なのに賃金が上がらないのはなぜか
https://wezz-y.com/archives/62057
2018.12.15 wezzy


 空前の人手不足だという。確かに求人は増えている。これは、労働市場において需要(求人する側)が供給(働く側)を上回っているということであり、それならば需要と供給の関係で価格、つまり賃金は上昇するはずだ。

 実際、宅配便業界の社員や飲食業界のアルバイトの時給などは上がっている。しかし、上場企業など一部の大企業を除いた一般的なビジネスパーソンには、賃金が上昇したという実感があまりないようだ。人手不足なのに、なぜ賃金が上昇しないのだろうか。

■過去最高の人手不足は事実

 帝国データバンクの『人手不足に対する企業の動向調査(2018年10月)』によると、正社員が不足している企業は52.5%で、前年より3.4ポイント増加している。この結果は調査開始以来の最高記録だそうだ。

 正社員が不足している業種トップは「放送」の78.6%で、「情報サービス」74.4%、「運輸・倉庫」70.6%と続く。これら3業種はいずれも70%を超えている。

 この下には、「建設」、「自動車・同部品小売」、「メンテナンス・警備・検査」、「家電・情報機器小売」、「農・林・水産」と続き、これらの業界はそれぞれ60%台となっている。

 また、なにかと話題になる「飲食店」は53.1%が人手不足となっており、前年より9.2ポイント増加している。ただ、「飲食店」業界は正規社員では低いが非正規社員になると、断トツな人手不足業界に躍り出る。

 非正規社員の人手不足を、業種別に見ると、「飲食店」がトップでm84.4%の企業が人手不足を感じている。続いて「飲食料品小売」、「メンテナンス・警備・検査」、「娯楽サービス」、「人材派遣・紹介」となる。傾向としては、接客業ほど非正規社員に依存しており、その人手が足りていない、ということのようだ。

■賃金は本当に上がっていないのか

 このように、人手不足は顕著であるにもかかわらず、賃金が上がらないことに対して、ネット上では「強欲な企業経営者や政治家の陰謀である」といった説が流れている。

 本当に賃金は上がっていないのだろうか。好景気が盛んに叫ばれているが、政府やマスコミが発表するトリッキーな数字と、世間の肌感覚に乖離があるのも否めない。

 そこで、厚生労働省の『毎月勤労統計調査 平成29年分結果確報』の『時系列第6表 実質賃金指数』から、給与の実質賃金の変化を抜きだしてみた(ボーナスなどの臨時収入を除く)。

 各年度の右側の数値は、平成27年を100とした場合の変化で、右端の数値は前年比を表す。

 平成17年 108.7 0.8

 平成18年 108.2 -0.4

 平成19年 107.6 -0.6

 平成20年 105.6 -1.8

 平成21年 104.9 -0.8

 平成22年 106.1 1.1

 平成23年 105.9 -0.1

 平成24年 105.7 -0.2

 平成25年 104.2 -1.4

 平成26年 100.8 -3.4

 平成27年 100.0 -0.7

 平成28年 100.3 0.3

 平成29年 100.1 -0.2

 一目瞭然だ。平成17年から平成29年まで、実質賃金は下がり続けていたのだ。つまり、「人手不足なのに賃金が上がっていない」という多くの人の肌感覚は、正しかったのだ。

 そうなると、需要と供給のバランスを保つ“神の見えざる手”(アダム・スミス『国富論』)は作用しないことになる。市場原理は働いていないのか?

■雇用のミスマッチを表す「均衡失業率」と「需要不足失業率」の乖離

 独立行政法人労働政策研究・研修機構の『均衡失業率、需要不足失業率』の統計を見ても、興味深い数字が出てくる。

 2018年9月の完全失業率は2.34%。そして注目すべきは、「均衡失業率」の2.81と、「需要不足失業率」の-0.47という数値だ。

 まず、完全失業率だが、これは労働人口のうち、職が決まらずに求職活動をしている最中の人の割合を示している。人手不足なのに、一定数の人が求職活動から解放されていないのだ。

 そこで、この謎解きのヒントとなるのが、「均衡失業率」と「需要不足失業率」だ。「均衡失業率」は別名「ミスマッチ失業率」とも呼ばれている。世間に仕事はあるのに、仕事内容や待遇に対して納得できないために職に就いていない人の割合を示している。

 一方、「需要不足失業率」は、どんな仕事でもいいから(つまり仕事を選ばずに)働きたいのに職に就けない人の割合だ。

 繰り返しになるが、「均衡失業率」が2.81、「需要不足失業率」が-0.47という数値となっている。つまり、「均衡失業率」のほうが高いのだ。これは、「求人はあるが、希望とマッチしていないので失業してしまっている」人が数値を持ち上げていることになる。そう、仕事と求職者のミスマッチこそが、失業率を上げていたという可能性が浮かび上がってきた。

■人手不足の偏り

 内閣府『人手不足感の高まりについて』の「ハローワーク・職業別の「有効求人-有効求職」によると、職種による偏りが顕著なことも見えてくる。

 介護や食品販売、飲食料の調理、接客業などでは有効求人数、つまり募集側が圧倒的に超過しており、応募希望者がいないことがわかる。

 一方、一般事務などでは有効求職者数が超過している。つまり、職業により、人材を求めている側と就職したい側にミスマッチが生じているのだ。

 同資料の「民間職業紹介・職業別の転職市場における求人倍率」を見ると、圧倒的に求人倍率が高いのは、インターネット専門職や建設エンジニア、組込・制御ソフトウエア開発エンジニアなど高度のスキルが要求される職業だ。

 一方、圧倒的に求人倍率が低いのがオフィスワークである。つまり、稼ぎたいと思ったら、求人倍率もスキルも高いインターネット専門職や建設エンジニア、組込・制御ソフトウエア開発エンジニアなどの職に就けばよいわけだ。

 逆に、高度なスキルが養成されない(語弊があるかもしれないが誰でもできる平凡な)オフィスワークは人材が足りているため、高い給料を払わなくても人が集まると考えられる。

 スキルがそれほど必要ではない仕事は、固定費で賄うよりも必要に応じてアウトソーシングしたり、あるいは機械化や外国人労働者で賄ったりすることも検討されやすいだろう。

 一方、介護や接客など、人気がない仕事は、求人が多い。

 以上のことを整理すると、こうなる。

@ 誰でもできるが給料が低い仕事

→求人が少ない(事務職など)

A 高度で給料が高い仕事

→求人が多い(専門職など)

B 人気がなく給料が低い仕事

→求人が多い(介護・接客など)

 このことから、平凡な仕事で稼ぐことは難しいため、高度な知的産業に従事するか、人が嫌がる(もちろん、好む人もいる)が、あまり稼げない仕事のいずれしか選べないような時代になっていることがわかる。

■「平凡な仕事」では生きづらい時代

 高度成長期の日本では、単純労働も含めてあらゆる仕事があり、どの仕事でも愚直に働いていれば、それなりに給料がもらえたし、毎年のように昇給もしていた。

 だから、工場の流れ作業に従事していても、家族を養うことができたのだ。それは、平凡な人が平凡な仕事をして家族を養えることができた包容力のあった時代だったといえる。

 しかし現在は、単純な仕事は機械化され、外国人労働者で賄われるようになった。たとえば、以前はレジ打ちでも速さや正確さが要求され、レジ打ちのコンテストさえ行われていた。しかし、現在はポスシステム化されたので、バーコードを読みさえすればいい。

 その結果、まともに稼ごうと思ったら、高度なスキルが要求される知的産業に従事しなければならない傾向が強くなってきた。

 それなら、みんなでそのような仕事に就ければよいのだが、残酷なことに、教育環境や能力、適性は平等には備わっていない。現在は平凡な人が平凡な仕事で生きていくことが難しい時代になってきているのかもしれない。 

223. 中川隆[-13729] koaQ7Jey 2018年12月19日 08:10:38 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-22207] 報告
デモと暴動の国、露わになったフランスの本質
国を動かすのは「一握りのエリート」
2018.12.18(火) 佐藤 けんいち

【写真特集】フランス全土に広がるデモ、「黄色いベスト」運動
フランス・パリで行われた政府の燃料税引き上げに抗議する「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)」運動で、道路を走る装甲車(2018年12月8日撮影)。(c)AFP/Zakaria ABDELKAFI 〔AFPBB News〕

(佐藤 けんいち:著述家・経営コンサルタント、ケン・マネジメント代表)

 今年2018年は「明治150年」であると同時に「日仏交流160周年」の記念すべき年である。だが、日本におけるフランスのイメージは急速に悪化している。それは、立て続けに発生し、今なお着地点が見えない2つの事件が、日仏両国で交差しながら進行中だからだ。

 2018年も押し詰まってきた11月19日、日本の日産自動車と三菱自動車、フランスのルノー3者の会長を兼任していたカルロス・ゴーン氏が逮捕され、フランス政府が出資しているルノーによる日産支配の構造が一般人の目に明るみになった。それだけではない。フランス側の当事者であるマクロン大統領が、12月1日から始まり現在もなお継続中の「黄色いベスト」運動のデモと暴動で窮状に立たされている。

 この2つのニュースが連日メディアで流されているので、フランスのイメージが悪化するのは避けられない状況にある。

 だが、もともと日本人はあまりにもフランスを知らなさすぎたのである。日本人はフランスの芸術・文化には慣れ親しんでいるが、フランスの政治体制についてはほとんど関心がない。実はフランスという国は中央集権の官僚国家であり、警察国家である。もう記憶が薄れているかもしれないが、南太平洋で核実験を強行した国だ。こういった側面だけを見たら、およそ一般の日本人が憧れたりうらやましいと思ったりする存在ではないはずだ。おそらく例外は官僚だけではないか。日本の官僚にとってフランスの官僚は羨望の対象である。その理由については、おいおい見ていきたい。

 とはいえ、せっかくの機会である。この機会にフランスというものをしっかりと見つめてみよう。よく知ったうえで、友好関係を深めていけばいいのだ。

 もはや、かつてのように日本人が一方的にフランスに憧れるという時代ではない。日本のアニメやマンガを愛する若者は多く、彼らは日本に熱いまなざしを注いでいる。マンガを読みたいから日本語を学ぶというフランス人も少なくない。

 逆に日本では、日本の大学の選択外国語からフランス語が転落して久しい。大学時代に第二外国語としてフランス語を選択した私としては寂しい限りだが、フランスの国際的な相対的地位の衰退を如実に反映しているといえよう。いつの時代でも、若者は先物買いをするものだ。

 今回は「明治150年」「日仏交流160年」という意味について文化・芸術面以外の側面から振り返りながら、現在のフランスという国の特質について考えてみたい。

フランスに警察制度を学んだ『翔ぶが如く』の裏主人公
 さて、「明治150年」といえば、NHK大河ドラマ『西郷(せご)どん』であろう。一昨日の日曜日(12月16日)に最終回を迎えたが、展開があまりにも早く、西南戦争もたった1話で片付けられたとネット上で賛否両論もあったようだ。だが、私自身はこの大河ドラマは夏前に見るのをやめてしまったので、確かなことは言いようがない。ドラマとはいえ、あまりにも脚色の多い描写に、見る気がなくなってしまったからだ。

 その代わりというわけではないが、同じく西郷隆盛を主人公にした18年前の大河ドラマ『翔ぶが如く』の原作を読むことにした。言うまでもなく、司馬遼太郎による歴史小説である。『翔ぶが如く』は、放送当時は日本にいなかったためドラマを見ておらず、原作も読んだことがなかったのだ。今年になってから、書店の店頭に文庫版が平積みになっていたので、思い切って読むことにした次第だ。

 文庫本で10冊もある大河小説ともいうべき『翔ぶが如く』の主人公は、実は西郷隆盛(=西郷吉之助)だけでない。倒幕プロジェクトにおいては、同じ薩摩藩出身で無二の盟友でありながら、明治維新後は「近代化」の方向をめぐって対立することになる大久保利通(=大久保一蔵)の物語でもある。「情理」という点からいえば、「情の西郷」に対して「理の大久保」といっていいだろう。むしろ作者の司馬遼太郎は、大久保利通のほうに多く共感を寄せているように思われた。

川路利良の肖像(出所:Wikipedia)
 そして裏主人公ともいうべきなのが、日本の「警察制度の父」となった川路利良(かわじ・としよし)だ。いきなり小説の冒頭でフランスを舞台に登場する川路利良も、また薩摩藩出身であった。もともと西郷にかわいがられた人だが、のちに大久保に心酔し、大久保の「近代化」構想の一翼を担うことになる。西欧先進国にキャッチアップするため、近代的な官僚制の確立を急いだ大久保が根幹に据えたのが内務省であったが、その内務省において大きな役割を果たすことになったのが、治安を守る警察制度であった。

 では、どの国をモデルに警察制度を設計すべきなのか? それを検討する責任者として任されたのが川路利良であった。1871年(明治3年)には、司法省が派遣した西欧視察団の一員として欧州各国の警察を視察し、なかでもフランスの警察制度に大きな感銘を受けている。日本に帰国後には、フランスの警察制度をモデルに日本の警察制度の確立に邁進することになった。

 西郷隆盛が西南戦争(1877年)で敗北し、鹿児島の城山で壮絶な最期を遂げたことは周知の通りだが、西郷軍の鎮圧には川路利良率いる警察が政府軍として動員されていることは意外と知られていないようだ。陸軍だけではマンパワー不足であったからだ。

 大警視(現在の警視総監)の川路は陸軍少将を兼任し、その傘下にあった警視隊で組織された別働第三旅団を率いて参加、分水嶺となった田原坂(たばるざか)の激戦では大きな功績をあげている。ちなみに、主力となっていたのは、「薩摩憎し」の感情に煮えたぎる旧会津藩士たちであった。

 日本の警察制度が確立するのは、西南戦争以後のことである。川路利良と警察制度の確立、そして出発点がフランスであったことは、東京の京橋にあるポリスミュージアム「警察博物館」の常設展示で知ることができる。機会があれば、ぜひ訪れてみてほしい。

帝国陸軍もフランスがモデルだった
 面白いことに明治政府は、警察だけでなく、発足当時の陸軍もまたフランスをモデルとしていた。日清・日露戦争から第1次世界大戦にかけての陸軍上層部は、フランス式のエリート教育を受けた軍人たちであった。

 陸軍がドイツ式にモデルチェンジしたのは、1885年(明治18年)に陸軍大学校教授としてプロイセン陸軍のメッケル参謀少佐が招かれ、その翌年から陸軍改革が開始されて以降のことである。1870年の普仏戦争で、フランス陸軍に勝利したプロイセン陸軍の評価が陸軍内部で高まっていたからだ。

 司馬遼太郎の代表作の1つには、おなじくNHKでドラマ化された『坂の上の雲』がある。その主人公で、日露戦争でロシアのコサック部隊を破った「日本騎兵の父」秋山好古もまた、数学中心のフランス式の教育を受けて、フランスに留学して騎兵のなんたるかを学んだ人であった。松山藩出身の秋山は、最後は陸軍大将まで昇進している。帝国陸軍で元帥まで昇進した軍人は、西郷隆盛を除けば歴代で17人しかいないが、そのなかでも薩摩藩出身の上原勇作は「日本工兵の父」であり、秋山好古の同期であった。しかも、同じくフランスに留学したフランス派であった。賊軍となった会津藩出身だが、義和団事件で活躍し国際的に絶賛された柴五郎は砲兵科出身であり、秋山や上原とは同期であった。最終的に陸軍大将まで昇進しているが、子孫のためにのこした遺書によれば、すべてをフランス語で学んだと回想している。

 近代日本はまた、教育制度もフランスをモデルに制度設計したことにも、触れておかなくてはならないだろう。陸軍に警察に教育制度。近代日本が中央集権制のフランスから学んだ社会制度は少なくない。その功罪については、いろいろと考えなくてはならない。

フランスを牛耳る「一握りのエリート」
 現在の日本の官僚や官僚出身者には、フランスを礼賛する者が少なくない。それはフランスの文化や芸術を礼賛するというよりも、フランスの官僚制を礼賛しているのだ。

 すでに見てきたように、フランスは警察国家であるだけでなく、首都パリを中心にした中央集権制で強固な官僚国家である。日本の官僚が羨望のまなざしでフランスの官僚制度を見ているのは、当然といえば当然であろう。とはいえ、官が強すぎるのは考えものだ。経済とビジネスに関しては、同じ大陸欧州の連邦国家ドイツと比べるパッとしないのは、そのためではないか?

 米国社会には、「リボルビングドア」(回転ドア)があるといわれる。トップクラスのビジネスパーソンが政治任命でホワイトハウス入りしたり、政治家が落選後や退任後には再びビジネス界やシンクタンクに転職というケースが多いことを指している。だが、フランスはその比ではない。「一握りのエリート」によって、高級官僚から大企業の経営職にいたるまで、要職がたらいまわしされているといっても言い過ぎではない。

 冒頭でも触れたが、いま日本とフランスで焦点となっているゴーン氏と、暴動に翻弄されるマクロン大統領という因縁の2人もまた、それぞれ一握りのエリートの1人であり、似たもの同士である。カルロス・ゴーン氏は官僚出身ではないが、ルノー前会長は高級官僚出身者であった。エマニュエル・マクロン氏も、投資銀行出身であることが強調されているが、キャリアの第一歩は高級官僚である。エリート中のエリートである財務総監(日本でいえば財務省)の上級公務員であった。

 こういったフランスのエリート官僚制度を人材面で支えているのが、「グランゼコール」と呼ばれる高等教育機関の卒業生たちだ。グランゼコール(Grandes Ecoles)とは、日本で表現すれば「大学校」となるが、フランスでのプレステージは「大学」よりもはるかに高い。日本人はフランス最高峰の大学というとソルボンヌ、すなわちパリ大学を想起する人が多いかもしれないが、実はそうではないのだ。

 そのなかでもとくに、「エコール・ポリテクニーク」(日本語の通称は「理工科学校」)、「エコール・ノルマル・シュペリュール」(日本語の通称は「高等師範学校」)、「エコール・ナシオナール・ダドミニストラシオン」(略称はENA、日本語の通称は「国立行政学院」)の3つが最難関かつ最高峰とされている。自分の頭脳と成績に自信をもつ者が目指す、憧れの存在だ。

 ゴーン氏はエコール・ポリテクニークを卒業した上で、さらにエコール・デ・ミーヌ(パリ鉱業学校)を卒業している。エコール・デ・ミーヌは1学年100人程度しか学生がおらず、フランス最高のエリート校という評価もある。かつては鉱山技術者養成の学校であったが、現在では理工系のビジネススクールのような存在に変化している。いかに超優秀な超エリートであるかがわかるだろう。

 一方、大統領のマクロン氏は、パリ第十大学(通称「ナンテール」)でヘーゲル哲学を学んだあと、アンスティチュート・デチュード・ポリティーク・ドゥ・パリ(日本語の通称は「パリ政治学院」)で公共問題を専攻したあと、エコール・ナシオナール・ダドミニストラシオン(ENA)を卒業している。

 このように、ゴーン氏が理系の超エリートなら、マクロン氏は社会科学系の超エリートである。しかも、ともに哲学も修めているのである。グランゼコールや大学の入学資格である「バカロレア」の試験には哲学が課されるからだ。これはフランスの際だった特色である。

 余談めいた話になるが、私は日本の大学を卒業後に米国に留学して、米国最古の工科大学である「レンセラー・ポリテクニーク・インスティチュート」(略称RPI、通称レンセラー工科大学)でMBA(経営学修士号)を取得している。日本に帰国後に、とある飲み会の席でそのことを話したところ、えらく驚かれたことがある。会話相手の日本女性はフランス留学経験があり、「ポリテクニーク」に過剰反応したようだった。うるわしき誤解(笑)は、その場でただちに修正しておいたが、それほどゴーン氏の母校の1つであるエコール・ポリテクニークはフランスで評価が高いのだ。

ナポレオンが創設したエコール・ポリテクニーク
 グランゼコールのすべてを解説している余裕はないので、ここではエコール・ポリテクニークを中心に取り上げることにしよう。

 エコール・ポリテクニークは、フランス革命中の1794年に創設されたが、実質的な創設者は1804年に皇帝となったナポレオンである。拙著『ビジネスパーソンのための近現代史』でも、同時代と後世に多大な影響をあたえたナポレオンの業績について詳しく取り上げているが、ナポレオンは、もともと土木技術者養成のために設立されたエコール・ポリテクニークを、軍事技術者養成のための学校として改組し再建した。

 そういった経緯があるので、エコール・ポリテクニークは現在でも国防省管轄の大学校であり、初年度は新入生全員が兵役につくことになっている。7月14日の革命記念日のパレードで先頭に立つのは、制服に身を包んだ学生たちなのだ。

 ただし現在では、この学校を卒業して職業軍人の道を進む者はきわめて少数だ。圧倒的多数はゴーン氏の場合のように、その他のグランゼコールに進学する者が圧倒的に多いようだ。

 エコール・ポリテクニークは、学業成績による入学者選抜を行っているが、それだけでなく体力テストも合格基準をクリアしないと入学できない。軍の学校である以上、当然といえば当然だが、フランス型エリートがフィジカルエリートでもあることは強調しておくべきポイントだろう。確かにフランスでも英米でもエリートは一般人とは体格が違うことが多い。この点は、異なる教育システムではあるとはいえ、英米とも共通している。

 エコール・ポリテクニークは、エコール・ノルマルやENAといったトップクラスのグランゼコールと同様、学費が無料であるだけでなく、公務員扱いとして給与が支給されるのも特色だ。日本で同様の存在といえば防衛大学校が該当するが、国内でのプレステージにおいてはフランスとは比較にはならないだろう。

卒業順位ですべてが決まるENA
 グランゼコールは、基本的に入学者の選抜を学力によって行っているが、第2次大戦後に創設されたENA(国立行政学院)は、国家上級官僚を養成する実学コースであり、卒業順位ですべてが決まる仕組みになっている。

 一番から順番に、自分が希望する官庁に配属されることになっているが、一番人気は国務院と財務総監(日本でいえば財務省)であり、会計検査院である。職業キャリアの第一歩を財務総監の上級公務員から始めたマクロン氏が、いかにエリート中のエリートであるかがわかるだろう。成績が一生つきまとうという点において、日本の陸軍大学校はENAと同じ仕組みであった。だが、その結末がいかなるものであったかは、ここであえて指摘はしない。

 官僚人気が衰えた現在の日本では、試験の成績だけで入学者を選抜し、卒業順位ですべてが決まるフランス型のシステムには違和感を抱く人も少なくないだろう。だが、実はこの選抜システムは、フランス革命の申し子なのだ。身分や財産ではなく、学力のみで選別するのは、まさに「機会均等」を全面に打ち出した啓蒙思想の成果であり、「近代」を体現しているフランス革命の申し子であった。

デモと暴動でしか社会変革ができない国
 今回フランス全土に拡大した暴動は、格差社会における「一握りのエリート」への反乱といっていい。燃料費値上げから始まった「黄色いベスト」運動のデモが、異議申し立ての段階から暴動にまで発展しているのは、食糧暴動から始まって民主化運動に発展した2011年の「アラブの春」とよく似ている。SNSでの呼びかけで始まり、明確なリーダーが不在なまま急速に拡大していった姿も共通している。

【写真特集】フランス全土に広がるデモ、「黄色いベスト」運動
フランス・パリで行われた政府の燃料税引き上げに抗議する「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)」運動で、機動隊の前にひざまずいて両手を頭に乗せるデモ参加者(2018年12月8日撮影)。(c)AFP/Sameer Al-Doumy〔AFPBB News〕

 先進国フランスを支える一握りのエリートと、グローバルな理念やタテマエばかりを語る上から目線の大統領。これに「ノン」をつきつけたのが、中産階級から転落した勤め人たちだ。かつてのような大学生や労働者階級を中心としたイデオロギー主導のデモではない。移民や難民が中心の暴動でもない。仕事と生活に不可欠なクルマの燃料費が普通の勤め人たちの家計を直撃しているのである。それだけ切実なものが背景にある。

 民主主義の先進国でありながら、デモと暴動でしか社会変革ができないフランスは、変革を一歩一歩確実に実行していく本来の意味の「保守主義」とは、ほど遠い場所に位置している。妥協を余儀なくされたマクロン大統領のもと、今後なんらかの改革は行われるだろうが、正直いってフランスに対する評価はネガティブにならざるをえない。ドイツのメルケル首相の指導力が失速しつつあるいま、フランスのマクロン大統領がEUの盟主になるかと思われたが、その可能性は遠のいた。いや、はたしてそういう日が来るのかどうかさえ不明であり、EU崩壊の可能性も絵空事ではなくなるかもしれない。

「ノーブレス・オブリージュ」という表現がある。人の上に立つエリートは、自らを犠牲にしてでも、率先垂範して義務を果たさなくはならないという思想の表明である。そもそも「ノーブレス・オブリージュ」(noblesse
oblige)というフレーズはフランス語だ。英語でもそのまま使用されるが、日本語に直訳すれば、「高貴さは義務を負わせる」となる。

 フランスの「一握りのエリート」たちに、はたしていまでも「ノーブレス・オブリージュ」が存在するのかどうか。ゴーン氏の行状やマクロン氏の惨状を見ていると、疑問をもたざるをえないのだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54962

辻仁成が見る仏暴動「なぜ黄色いベストなのか?」
過去の暴動とは違う。国民の声から「ジレ・ジョーヌ運動」の特異性が聞こえる
2018.12.18(火) 辻 仁成
フランス「黄色いベスト」デモ、4週連続 機動隊と衝突 略奪も
フランス「黄色いベスト」デモ、4週連続 機動隊と衝突 略奪も。「親愛なるブルジョワの皆様 お邪魔して申し訳ありません 私たちは皆、尊厳を持って生きさせて頂いてもよろしいでしょうか?」と書かれたプラカードを掲げる人〔AFPBB News〕

  (作家、辻仁成)
※編集部注:一部デバイスでは辻のしんにょうの点がひとつになりますが、正しくはふたつです

 なぜ、彼らはジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)を着るのか。世界中の人々はこのデモ衣装の統一を不思議に思ったのではないか。

 実は数年前、ここフランスでは、自動車内に黄色いベストの携帯が義務付けられた。だから、私の車にもこの黄色いベストが常備されている。事故が起こった時、運転手は車外に出て危険から自らの身を守るためにこれを着る。

 ガソリン税の増税が決まった時、これに反発する人々が皮肉を込めてこれを羽織り、危険から身を守るためにデモ行進をはじめた。この皮肉こそが政府の増税政策に不満を持つ人々の心を掴んだ。つまり、私もしようと思えば自分のジレ・ジョーヌを羽織って簡単にデモに参加することが出来るのだ。この黄色いベストは空港でも、工事現場でも、工場でも、路上でも、ありとあらゆる人々が危険から身を守るために日常羽織っているものだから。同時にそれは労働者のシンボルでもある。どこかの団体を意味するマークではなく、まさに市民運動の象徴ということになる。

「ガソリン代を払えないなら電気自動車を買えばいい」
 パリはクリスマスを前に規模は縮小したもののまだ予断を許さない状態が続いている。

 マクロン大統領をマリー・アントワネットに譬える批評もある。「パンがないならブリオッシュを食べればいい」と言ったアントワネットの言葉が「ガソリン代を払えないなら電気自動車を買えばいい」に変換され皮肉られている。

 個人的な話だが、私はマクロン大統領誕生時に強い期待を持った一人だった。マクロン一人を悪者にしていいのか、という記事も確かにあるし、彼がこの30年の政治的なツケを背負わされた格好であることも事実であろう。

 しかし、フランスの国民に同情する気持ちはなく、その怒りは想像を超えて拡大した。なぜか?

 黄色いベストを着た人たちがパリでデモを始めた5週間前、マクロン大統領はこの運動を重要視していなかった。現場に駆けつけることもせず静観した。これは初動対応のミスであり、大統領という立場上責められても仕方がない。マクロン大統領は代議士の経験も自治体を代表したこともないので市民に耳を傾けることや市民との駆け引きに長けていないのではないか。事態が深刻化してやっと12月10日テレビで謝罪した。初動対応の悪さやその最中の態度の冷たさによって、予想をはるかに超える状態となった。立ち上がったフランス庶民の声も「マクロン、辞任!」へと傾きつつある。

フランス人は今の状況をどう思っているのか?
 そこで今のフランスの空気を読みほどきたく、様々なフランス人にインタビューを試みた。「あなたは今この状況を、そしてマクロン大統領をどう思うのか」

テレビ局勤務50代「これはこの30年あまり、政府が庶民のことを無視し続けた結果です。物価や税金はうなぎ上り。その一方、SMIC(最低賃金)が1200ユーロ弱(15万円程度)でどうやって庶民は暮らしていけますか? 華やかな印象の『パリ』とは対照的にフランスの貧困層は明らかに膨張している。今回のデモの発端となったガソリン税増税は郊外に暮らし、車が必要不可欠な人たちにとっては大打撃となる。President des riches(金持ちのための大統領)と言われるマクロン大統領に対する不満は爆発しました。この怒りは理解できるし、その怒りを主張する行為こそフランスの伝統なのです」

ホテル従業員40代「クリスマス前なのに、毎週末、買い物することができない状況が続いています。その結果、購買力低下が大きな社会経済問題になっています。観光面からいうと過去3年はテロの問題で旅行客が激減した。2018年、やっと取り直しつつあったのに、この問題が起き、またパリから旅行客の足が遠のいている。ホテルの予約もデモ5週目に入り、キャンセルが相次ぎ、今日現在(12/15)では客室稼働率が50%ですよ。信じられますか? クリスマス前、パリ中心部での出来事です」

カフェ勤務ギャルソン20代「政府が国民の声を一切聞かないから、ジレ・ジョーヌが出てきたんだよ。政府は俺たちの生きる気力を奪うほどに高い税金を市民に果たしてるからね、こうなったのも当たり前だと俺は思う。いいか、俺の仲間たちの中には、この8年間バカンスも取れずに働き続けている奴もいれば、ばかげたことに税金を、ローン組んで払ってる奴さえいるんだ。日本じゃ考えられないことだろ?」

工場勤務30代「マクロンはテクノクラート(技術官僚)であり、冷たく傲慢な男だ。国民や市民に全く寄り添っていない。僕が求めるのはお金じゃない。彼が大統領の座から去ることです」

銀行勤務30代「政府への反感を表明することには賛成しますが、自分個人の意見としては、今回の騒動、特に暴力で解決を促す流れには一切共感を見出せない。黄色いベストを纏った人たちの暴力行為は100パーセント無意味だし、やっちゃいけない。恐らく多くのフランス人もそう思っているはず。中流階級と呼ばれる所得税、住民税、等をきちんと納めている人達は、今回の騒動の最中は暴動行進に参加しないと思いますよ」

労働者、最低限の人たちだけの問題ではなくなっている
12月10日にマクロン大統領はデモの沈静化狙い演説。それを聞く「ジレ・ジョーヌ運動」の参加者たち。(写真:Abaca/アフロ)
 企業に勤める中産階級の中にはデモを否定的にみる人たちがいる一方で、やはり大多数の庶民、労働者たちは政府への不満を募らせている。他方、ブルジョア階級や知識人の中にもデモに理解を示す意見があった。マクロン大統領を支持する人たちは都市部のどちらかというと富裕層かもしれない。その富裕層も一枚岩ではない点が今回の特徴と言える。

 フランスのデモと言えばそれに便乗し破壊活動や略奪をするカッサー(破壊者)が有名だが、彼らは郊外に暮らす鬱憤を持った若者たち、仕事を持つことのできない行き場のない移民を中心とする低所得者の子供たちだが、そこに一部、政治的意図を持ったプロや単なる窃盗グループが混じっていることも注意しなければならない。

 ともかく今回の大きな特徴は怒りが頂点に達しているジレ・ジョーヌにカッサーが合流し大きな暴動へと発展した。カッサーの行動は常に批判の対象となってきたが、そういう子たちを産んだ社会と政府の責任を問う声も大きい。物価が高くなり税金が高騰するフランスで富裕層を優遇しているととらえられた政府の長にその矛先が向かうのも当然かもしれない。

 パリはすでに5週間にもわたって暴動が続き、その間にテロまで起こり、世界中が不安視している。これがフランス革命のようなものにまで発展するとは考えにくいが、けれども1968年の五月危機とは異なった流れを生みつつある現実は無視できない。五月危機では学生を中心に暴動が起きたが、その時は政府側がデモ隊側の条件改善要求を大部分受け入れ事態を収拾させている。ところが今回のデモ隊は五月危機の時の組織ある集団ではなく、あらゆる層を巻き込んだ市民であることに着目しなければならない。

 大統領はSMIC(最低賃金)の人たちに毎月100ユーロの支援、残業代を課税対象から外すなど幾つかの妥協案を提示したが、お金で解決しようとする姿勢が裏目に出ている。すでに最低賃金の人たちだけの問題ではなくなりつつある。

 なぜデモ隊は黄色いベストを着ているのか、この根底にある問題をマクロン大統領が直視する時、このフランスの政治的綱渡りの糸口が見えるのかもしれない。黄色いベストが赤いベストにならないことをパリで生きる一人として私は祈る。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54983  

224. 中川隆[-13384] koaQ7Jey 2018年12月28日 09:38:49 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-22210] 報告

中国、「総崩れ」11月工業利益は約3年ぶりのマイナス「不況浸透」2018年12月28日

中国の改革開放40年の今年、経済は総崩れになった。市場経済化を否定し、計画経済化を大胆に推進した習近平氏の敗北である。「餅は餅屋」の言葉通り、経済運営の舵は経済専門家に任せるべきであった。従来の慣例では首相がその任である。習氏は、それを強引に取り上げて、自らの権限に組み込んでしまった。最早、言い逃れはできない。現在の中国経済の惨状は、すべて習近平氏の責任に帰すのだ。

今年6月、習氏の側近はとんでもない発言をして物議を醸した。「最早、民営企業の時代でない。国有企業の時代である以上、民営企業は縮小すべきだ」と放言したのだ。この傲慢さが、11月の工業利益を前年比1.8%の減益に追い込んだ。特に国有企業が振るわず、民営企業の増益でも補えなかった。

11月の利益は微減だが今後、マイナス減益幅は拡大していく見通しである。最終消費財の自動車やパソコン、スマホなどが売上不振であるからだ。過剰生産による商品市況の下落が工業利益の足を引っ張っている。市場経済機構を重視すれば、これほどの過剰生産に落込まなかったであろう。肝心のブレーキ(市場機構)が、縮小されていたので機能しなかったのだ。習氏は、今になって初めて市場機構の有難味を知ったはずだが、どうだろうか。

『日本経済新聞 電子版』(12月27日付)は、「11月の中国工業利益、約3年ぶり減少、消費低迷・素材価格下落が重荷」と題する記事を掲載した。

(1)「2018年11月の工業企業の利益は前年同月比1.8%減った。前年水準を下回るのは15年12月以来、2年11カ月ぶり。鉄鋼や化学など素材価格が下落し、国有企業の利益が減った。個人消費低迷で自動車やパソコン・携帯電話も振るわなかった。一定規模以上の製造業、鉱業、エネルギー企業の利益を集計したものだ。利益の伸びは18年4月の21.9%を直近のピークに7カ月連続で縮小している」

工業利益は、今年4月がピークですでに7ヶ月連続の減益であったが、前年同期比ではプラスを維持してきた。それが、11月になって同マイナスに落込んだ。需要先の耐久消費財が今後とも不振見通しであり、工業利益のマイナス幅が広がる。中国の産業部門で「健在」であるのは、ほとんど消え「不況一色」になった。

自動車は、典型的は過剰生産業種である。

「コンサルティング会社PwCによると、中国の工場では年間4300万台の製造が可能だが、今年の生産台数は2900万台を割り込む見通しだ。海外メーカーも国内メーカーもプレッシャーにさらされているが、減速の打撃が最も大きいのはタイミングを誤って増産体制を築いた企業である」『ウォール・ストリート・ジャーナル』(12月26日付)

自動車産業の操業度は、わずか67%である。これでは、採算に乗るはずがない。世界一の自動車市場を襲う本格的な不況到来である。そこへ、自動車関税率を15%に下げたので、国内メーカーにとっては死活問題になっている。

(2)「11月は国有企業の利益が落ちこむ一方、民間企業は利益が回復した。業種別では石油・ガス採掘、鉄鋼、化学、石油精製など幅広い業種で利益の伸びが鈍った。原因は素材価格の下落だ。中国政府は16年1月から鉄鋼や石炭の生産設備の廃棄に乗りだした。供給を強制的に減らして素材価格を引き上げ、国有企業の利益を急回復させた。19年は生産設備の過剰に再び焦点があたる可能性がある。11月は自動車やパソコン・携帯電話も振るわず、いずれも1〜11月の累計利益が前年同期の水準を下回った。販売低迷で在庫が積み上がっており、米国との貿易戦争で輸出も下押し圧力が強いようだ」

川上である素材市況の下落は、川下企業のユーザーには増益要因として寄与した。だが、トータルで見た工業利益は、マイナスになっている。そこで、工業利益のテコ入れとして、素材価格引上げを狙って過剰設備の廃棄に乗り出す可能性も残されている。ただ、これまでは、民営企業中心の設備廃棄であった。今後は、国有企業の過剰設備に切り込まなければならない。それが、首尾良くできるかどうか。相当の抵抗があるに違いない。国有企業の過剰設備廃棄となれば、失業者の増加で政府は苦しい対応を迫られよう。
http://hisayoshi-katsumata-worldview.com/archives/14600305.html

225. 中川隆[-13371] koaQ7Jey 2018年12月29日 07:38:58 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-22210] 報告

韓国、「ゆで蛙」政府は規制緩和に無関心すぐに始る「経済崩壊」2018年12月29日

反企業主義の文在寅政権は、企業に規制を加えて喜ぶ「サディズム」である。あの中国経済すら、規制を緩和して改革を行なえと言われているご時世なのだ。韓国は逆である。法人税率を引上げる、最低賃金の大幅引き上げを行なう。一挙に労働時間の上限を週52時間にするなど、雇用側の負担が手に負えないほど増えている。

これに耐えている韓国企業は、「ゆで蛙」に喩えられている。じっと我慢して「規制の湯」に浸かっている間に、落命する危険性が各方面からい指摘されている。

『中央日報』(12月27日付)は、「韓国経済はゆでガエル、もうすぐやけどー大韓商議会長」と題する記事を掲載した。

(1)「朴容晩(パク・ヨンマン)大韓商工会議所会長は、これまで何度も規制改革の必要性を説明してきた。韓国経済が直面している状況があまりにも深刻であるからだ。金東ヨン(キム・ドンヨン)前経済副首相兼企画財政部長官側に規制改革案を40回以上も伝えたほどだ。朴会長は12月26日、記者団のインタビューで規制改革に対する政府の役割を何度も強調した。規制改革のない来年の韓国経済は『ゆでガエル』の姿になると考えているからだ」

大韓商工会議所会長は、前経済副首相兼企画財政部長官側に40回以上も規制緩和の必要性を訴えたが、成果はなかった。現政権は、「規制の鬼」で反企業主義であることも手伝い、企業の活力を奪っている。これは、回り回って文政権の支持率を下げ、政権の首を締めることになる。それが分からないほど、規制の夢に酔っているのだ。

(2)「しかし朴会長は、『政府が規制廃止に率先すべきだが、言葉だけで率先していない』と遺憾の意を表した。朴会長は規制改革が行われない理由に、規範と法が十分に役割を果たさない社会の雰囲気を挙げた。朴会長は現在国会で審議中の商法改正案を事例に挙げながら「法の問題があり規範の問題があるが、我々の社会は特に規範が作動せず法だけが作動する国」と批判した。朴会長は、『第20代国会に入っても企業関連法案が1500件ほど発議されたが、うち800件以上が規制法案』とし『今でも規制のために死にそうだというのに、800件も追加する規制がどこにあるのか』と反問した」

このパラグラフでは、実に興味深い点が指摘されている。「法と規範」の関係である。韓国では、この両者の関係が曖昧にされているから、すべて「法」という上からの規制で解決しようとしている。欧米流の市民社会では、「規範=民間ルール」という民間の自主的な取り決めに委ねる部分が多い。これが、一々「法」で縛らなくても、社会が円滑に回って行ける秘訣である。韓国も、経済では「法と規範」の関係を見直して、「法」を減らし「規範」を増やす経済になれば、現在よりもスムーズに動ける社会になるであろう。

文政権の与党は、「共に民主党」という立派な党名を持っているが、やっていることは民主主義とは反対の「法という規制依存」である。この悪弊を絶つにはどうするか。法律を外して規範という民間ルールに委ねる度量が必要である。

口うるさい親による教育よりも、約束を守らせたあとは自由にさせる。そういう子ども教育が見直されている時代だ。スポーツでも、監督ががんじがらめに規制するよりも、選手同士の自主性に任せるほうが好成績を挙げている。例えば、学生マラソンで急に頭角を現している青山学院大学のマラソン部は、その適例である。監督の仕事は、マネジメントのようだ。韓国政府も一緒だ。「経済の監督役」よりも青山学院大学流のマネジメント役になれるかどうかであろう。
http://hisayoshi-katsumata-worldview.com/archives/14620857.html

226. 中川隆[-13253] koaQ7Jey 2019年1月01日 18:03:48 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-22210] 報告
「金融資本の袋小路から人間主体の真っ当な社会へ ー年頭にあたってのご挨拶ー
社会2019年1月1日
 2019年の新年を迎えて、読者・支持者の皆様に謹んでご挨拶申し上げます。

y     y 

 全世界を揺さぶった2008年のリーマン・ショックから10年以上が経過し、またしてもバブル崩壊の兆しがあらわれています。膨らみ過ぎたものが破裂するのは時間の問題であり、それが今年になるか、あるいはしばらく持ちこされるかという程度の違いしかありません。次なる世界恐慌の襲来は、バブルの膨らみ方が異常極まりない分、10年前よりも破壊的であることは疑いありません。

 あの世界同時株安以後、深刻な金融危機を乗り切るために、アメリカのFRB(米連邦準備理事会)や欧州のECB(欧州中央銀行)、白から黒へとトップが交代した日本銀行など、各国の中央銀行が異次元緩和を実行し、過剰な資金供給によって資本主義体制の延命に励んできました。金融危機への対処法としては、無制限に資金を供給することがセオリーであるかのようにジャブジャブと注ぎ込み、日銀だけを見てもこの6年で400兆円もの資金供給をおこなっています。そしていまや、この供給をストップすれば、それ自体がバブル崩壊の引き金を引くことになるため、出口戦略などなく、垂れ流し状態にあるのが実態です。次なる金融危機には打つ手なしと自己暴露しているような光景でもあります。

 各国は国家の財政資金すなわち税金を投入して、不良債権を国家が買い上げ処理することで金融資本を救済し、この資金を国債増発によってまかなうことから財政危機・ソブリン危機を招いてきました。その結果、必然的に各国で福祉・教育、公共部門への支出削減、増税となり、民衆には窮乏化が押しつけられました。救済されたのは金融資本だけであり、彼らが強欲なマネーゲームによって引き起こした危機でありながら、困ったときには国家に寄生し、国家を道具にして尻拭いを強いる構造を赤裸裸に暴露しました。

 これらの前代未聞ともいえる対処法によってリーマン・ショック後の金融危機を封じ込めてきたかに見えましたが、沈静化というよりは、むしろその膨大な資金供給によって再び擬制資本による利潤獲得競争すなわちマネーゲームが激しさを増し、人為的に株価を上昇させ、バブルを膨らませ、火に油を注いでいます。

 それ自体、何らの価値もない、富も生み出さない株式や証券という擬制資本の値段をいかに高めるかに世界中のすべての政策が集中し、その売買によって損した得したをくり返して、ときがくれば破裂する。各国の民衆の頭上で、つかみどころのないほど膨大な資本が、使い道がないがゆえにあふれかえり、性懲りもなく金融資本が奪い合いに明け暮れています。

 こうして世界にカネは有り余っているのに各国は財政危機に見舞われ、貧困人口は増大する一方です。そして、富める者はますます富み、何に使うのか再生産への目的すらない資本の投機だけがたけなわとなり、終いには蓄えた資本を租税回避地に隠匿している始末です。当たり前に考えるとバカげているように思えるものですが、極限まで発達した資本主義体制のもとで、一握りの金融資本や多国籍企業に富が偏在しているのが現実です。

y     y 

 第二次大戦後の世界は資本主義各国が疲弊しているもとでアメリカが覇権を握ってきましたが、ベトナム戦争によるドル垂れ流しなどによって71年にはニクソン・ショックとなり、金ドル交換停止に追い込まれ、ブレトンウッズ体制は終焉を迎えました。その後、70年代以降は資本主義各国が見舞われた深刻なるスタグフレーションを乗り切るためにグローバル化・新自由主義を唱え、アメリカはより搾取収奪を徹底する方向に舵を切り、一極支配をはかってきました。

 新自由主義政策は、カネもうけの自由のために社会のありとあらゆる規制をとり払い、緩和させていくことに特徴があります。公的企業や国家財政を通じて維持してきた社会的機能を私企業の利潤獲得のために民営化したり、労働であれば労働基準法を緩和して働かせ放題を可能にしたり、企業側の解雇の自由を保障したり、大型店の出店規制を緩和して中小零細企業をなぎ倒したり、大企業がビジネス展開・開発を進めるために環境規制を緩めたり、カネもうけの阻害物となる規制をことごとく撤廃、あるいは緩和・解体させ、資本の自由に委ねていくものにほかなりません。「小さな政府」などといって鉄道、郵便、水道など社会インフラを担ってきた部門を解体民営化していくのもその一環です。

 そして、教育や福祉政策、社会保障については個人の自己責任に丸投げして、勝手に生きていけ(死んでいけ)というものです。「ゆりかごから墓場まで」(第二次大戦後のイギリスの社会保障政策のスローガン)などと持て囃されたのも遠い昔のおとぎ話となり、産業資本のさらに上段に君臨する金融資本によって、ムキだしの搾取収奪がくり広げられるようになりました。圧倒的な民衆の側は賃金奴隷、あるいは税金奴隷のようにカネを巻き上げられるだけの存在として扱われ、国家が国民大衆のために機能するのではなく、独占企業や金融資本のためだけに献身する社会構造が浮き彫りになっています。これは日本社会に限らず、世界の資本主義国に共通のものであり、税金を搾るだけ搾って、統治機構が何ら国民生活の世話をしないという状況が普遍的です。

 そのなかで、この新自由主義による露骨な搾取構造に対して、世界各国で大衆的決起が始まっています。アメリカであれ、デモが加熱しているフランスであれ、スペイン、イタリア、韓国であれ、くたびれた左翼政党の枠外から新しい大衆闘争の芽が吹き始め、終焉を迎えている現代資本主義を乗りこえ、人間が人間として生きていける社会を希求する動きが広がっています。世界を股にかけた強欲資本主義のもとでは、圧倒的な大衆は生きていけない現実があるからにほかなりません。社会主義陣営が崩壊し、変質したとはいえ、資本主義である限り労働と資本の矛盾は激化し、終末期だからこそよりわかりやすく先鋭化しています。あきらめや絶望ではなく、未来を拓くための行動が国境をこえた連帯意識をともなって発展しています。

 この社会を支えているのは、日日勤労に生きている幾多の大衆であり、その生産労働がなければ社会のあらゆる機能が麻痺し、衣食住をまかなうことも、移動することもままならないのが現実です。収奪者も収奪する対象を失ったときには存在する根拠を失う関係です。金融資本がいなくても社会は構成員である人間の共同の労働によって存続できますが、労働がなくなれば社会を維持することはできません。人間の労働こそが古今東西の社会を支え、発展を促す原動力になってきたことはまぎれもない事実です。資本あっての労働ではなく、労働あっての資本であるという関係について、その歴史的な過程とも併せて曖昧にするわけにはいきません。現代資本主義の終末期に問われているのは、社会の主人公は寄生的な金融資本などではなく、日日の生産活動に従事している人間そのものであること、その暮らしをより豊かにする社会構造にしなければならないというものです。有り余ったカネをそのために使え!という単純明快なものです。

 アフリカ大陸の密林から出てきた人類が、5万〜6万年ともいわれる進化の過程をたどり、原始共同体の時代から奴隷制社会、封建制社会をへて資本主義社会にたどりつき、一部の国では社会主義体制も経験し、遙かに豊かで発達した社会をつくり出してきました。文明の利器は発達し、互いに言語で意思疎通をこなし、衣食住を満たすために生産力を増大させ、より暮らしやすいように社会インフラを築き上げ、国境をまたいでヒト、モノ、カネが行き交うようになりました。科学技術が発展したことで、人間が人間として生きていくための環境は、これまでのどの時代よりも豊かになったはずです。ところがその豊かさが、社会を支える全構成員が享受できる豊かさとして共有されていないことに最大の問題があります。

 社会発展の桎梏になっている新自由主義のイデオロギーは、社会を金融資本の都合や願望に従わせるという身勝手なものであり、この社会の主体は人間ではなく資本であるという原理にほかなりません。そのためには、人間の生命がどうなろうが知ったことではないという残酷なものです。この主客転倒をひっくり返し、まともな社会にせよという要求を強めなければなりません。

 世界各国で資本と労働の矛盾、帝国主義と人民の矛盾が激化し、さらに帝国主義国同士による市場争奪も激しいものになっています。社会主義を標榜する中国資本と米国資本の争い等等、数十年前には想像もしていなかったような変質的な世界があらわれ、まるで資本主義の次男坊と長男坊による覇権争いのようなことがくり広げられています。こうした情勢のなかで、もっぱら自分だけがもうかればよいという強欲な資本のイデオロギーに対して、その他の圧倒的な大衆の側のよりよい社会にせよという本質的な要求を束ね、労働者が社会の主人公としての自覚にたって立ち上がるなら、資本主義のもとでくり返される貧困、失業、戦争の連鎖を乗りこえ、それに成りかわる次の社会への展望を切り開くことは疑いありません。

y     y 

 長周新聞社は今年で64年を迎えます。60周年に際して、読者の皆様に世代交代の課題を成し遂げることを約束して以後、20代、30代の記者たちが主力となって取材、編集、企画する力を強め、ベテランの経験や力とも融合しながら努力を重ねてきました。

 「われわれは真実を泥土にゆだねてはならない。いいたいことをあからさまにいい、欺瞞のベールをひきはがし、そのことをつうじて、真に大衆的世論を力強いものにしなければならない。そのために必要なことは、いかなる権威にも屈することのない真に大衆的言論機関をみずからがもつことである」。

 64年前の創刊にあたって、私たちの先輩はこのような訴えを発し、ホームページにも掲載している掘っ立て小屋から出発して言論を貫いてきました。大手スポンサーに依存したり資金的な力に屈服するのではなく、またいかなる国際権威や権力に対しても迎合することなく、真理真実に対して忠誠を貫くこと、一人一人の読者に依拠し、みずからの努力によって困難を乗り切ることをモットーにして歴史をつないできました。

 長周新聞の編集発行に携わっている私たちの任務と課題は、よりよい社会の実現を目指す広範な人人との結びつきをつくることであり、そのために研鑽を重ね、編集内容をさらに飛躍させることです。勤務員一同、現状に甘んじることなく、よりパワフルに前進することを年頭の誓いといたします。全読者の変わらぬご協力を切にお願いいたします。
                        2019年元旦
                             長周新聞社」
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/10506  

227. 中川隆[-13112] koaQ7Jey 2019年1月09日 13:50:19 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-22222] 報告
経済格差をめぐる誤解、原因は移民や安い輸入品ではなかった 「デジタル経済の嘘とホント」(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/496.html
 

2019.1.9 岩本晃一:経済産業研究所/日本生産性本部 上席研究員 ダイヤモンド・オンライン

 2019年も年初から「米国第一」を掲げるトランプ政策で振り回されることになりそうだ。

 1月には日米物品貿易協定(TAG)交渉が始まり、また、米国が25%追加関税実施の期限を3月末に延期して「一時停止」状態にある米中貿易戦争も、中国側の改善努力が足りないと米国が判断すれば、さらなる泥沼に入り込む可能性がある。

トランプ大統領は
IT化の「真実」語らず

 トランプ大統領は、米国人の失業や中流層の賃金低下による所得層の二極化、いわゆる経済格差が拡大した原因は、流入する移民や中国などから輸入される安い製品が米国人の雇用を奪っているからだと主張している。

 それで移民の流入を防ぐためにメキシコ国境に「壁」を作り、一方で中国などには貿易不均衡を迫って強硬な姿勢を続けている。

 だが、これは政治的な意図を持った宣伝に過ぎず、経済格差の発生原因はそこにはない。

 トランプ大統領が誕生したのは、工場の閉鎖や海外移転でさびれた「フローズンベルト」と呼ばれる中西部の、職を失ったり賃金が下がったりした白人労働者らの支持があったからだというのはよく知られたことだ。

 こうした白人中流層らの根強い支持は、昨年秋の中間選挙でも同じだった。

 こうした地域と対極にあるのが、IT企業が集まるカリフォルニアのシリコンバレーだろう。

 また聞きなので、どこまで正確かわからないが、今、シリコンバレーに立地する企業に勤める社員の平均賃金は約1300万円だと、知人の米国人研究者は話していた。

 先日、放映されたNHKのフェイスブック社の特集番組のなかでも同社の社員の平均賃金は2300万円と説明していた。

 シリコンバレーは、不動産価格や賃料も高騰し、それはかつての日本のバブル期をはるかにしのぐ状態で、大学生の中にはアパートも借りられず、ホームレスになる学生もいると聞く。

 ワシントンDC本拠のシンクタンク「Institute for Policy Studies(IPS)」が先日、発表したレポートによれば、米国のお金持ち上位400人である「フォーブス400」にランク入りするための最低資産額は上昇が続いている。

 1982年の最低資産額は1億ドルだった。今年の最低資産額は過去最高の20億ドル(約2260億円)に達している。

「この状況が続けば、過去数十年続いている一部の人々に富が集中する流れは、さらに強まっていく」とレポートの共同執筆者のJosh Hoxieは述べている。

 IPSの報告によるとフォーブス400に登場する富豪らの合計資産額は、米国の下位64%の人々の合計資産額を上回っている。下位64%の人々の人口は“メキシコやカナダの人口の合計よりも多い”という。(出典;2017/11/10フォーブスジャパン)

政治的プロパガンダで
移民や中国を「敵」に

 米国における経済格差の推移を見る最も簡単な指標は、ジニ係数である(図表1)。

 米国はジニ係数が上昇し続けており、しかもOECD諸国と比べても水準は高く、国内での経済格差が拡大し続けていることがわかる。

 しかし一方で、図表2を見れば、アメリカのジニ係数のもう1つの特異さがわかる。

 図表の横軸は、所得再分配前のジニ係数であり、縦軸は所得再分配後のジニ係数だ。

 所得再分配というのは、例えば、税制や社会保障政策で、所得の高い人から低い人に政策的に所得を再分配することだ。金持ちほど税金が高くなる所得税の累進税率や税収による低所得者への住宅や教育費の補助などが典型だ。

 この図表を見ても、米国政府には所得再分配を行う意思がほとんどないように見える。一方、ドイツは、強力な再分配を実施することで、稼いだ人の富を他者に分配している。これを求めて移民・難民がドイツに殺到しているのである。

 もしトランプ大統領が米国内の経済格差が問題というのなら、富裕層から貧困層への富の分配をすればよい。この図からもわかるように、米国もドイツのように強力な所得再分配策を実施すれば、国内の経済格差はかなりの程度、緩和される。

 それをしないで、移民や対米貿易黒字国の中国や日本などを非難するという、外に「敵」を作って攻撃しているところに、トランプ大統領の政治的意図を見ることができる。

格差の原因は情報化投資
雇用・所得の二極化を生み出す

 では、経済格差が拡大してきた「ホント」の原因は何なのか。それは国内の活発な情報化投資だ。

 以下に紹介するのは、デイビッド・オーター(David H. Autor、1967年生まれ)がJournal of Economic Perspectives, Volume 29, Number 3, Summer 2015 に投稿した論文“Why Are There Still So Many Jobs? The History and Future of Workplace Automation”である。

 同氏は、ハーバード大で修士号・博士号を得て、現在、MITで教授をしている。労働経済学が専門で、これまで、Econometric Society (2014)、American Academy of Arts and Sciences (2012)、Society of Labor Economists (2009)などで賞を得ている著名な研究者だ。

 将来、ノーベル賞を受賞してもおかしくないくらい経済学会での存在感は大きい。

 オーターが本論文で解明しようとした課題は、古くは機械の導入やロボット、ITなどと雇用や格差の関係だ。

 すなわち、過去2世紀にわたって新しい技術の出現は多くの職業を奪ってしまうと警告され続けてきた。19世紀には、英国で、織機を打ち壊すラッダイト運動も起こった。雑誌TIMEは1961年2月24日号で「オートメーションが職を奪う」とのタイトルで特集記事を組んだ。

 だが現実にはそうはなっていない。2世紀経った今でも多くの職業が存在している。それは、「嘘」だったのか。いやそうでもない。

 彼は、独自の計算方法で、米国における1つひとつの職(ジョブ)に対して、「スキル度」(例えば、当該職業で働く大卒比率やその他要因などを加味して計算)を算出し、横軸にスキル度0%の職(ジョブ)から順に100%に向けて、左から右に向かって並べた。

 例えば、低スキルの職とはトイレの清掃員、中スキルの職とは企業の経理職員、高スキルの職とは企業コンサルタントやアナリストなどである。

 そしてそれぞれの職(ジョブ)ごとに、縦軸に雇用比率の変化をプロットした。それが次に示した図だ。

 つまり、1979年から1989年、1989年から1999年、1999年から2007年、さらに2007年から2012年まで、それぞれの変化率を4本の折れ線で示した。

 恒常的にマイナスになっている部分は、1979年から2012年まで恒常的に雇用者が減少していることを示している。

「スキル度」の計算は、オーター独自のものだが、図自体が示す各職種のスキルによって雇用比率が、米国で1979年から2012年までにどう変わってきたかという傾向は、歴然たる事実である。

 この図から次のことが言える。

 第1に、中スキルの職業の労働者が、情報化投資によって機械に代替され、過去、継続的にずっと減少を続けている。

 オーターは、過去、職を失ってきた労働者は、機械に代替されてきた「ルーティン業務」であるとしている。

「ルーティン業務」は、どんなに難しい仕事であったとしても、また人間が仕事をするために長年の訓練が必要であってとしても、ロジックに基づいているので、簡単にプログラム化できるからである。

 一方、オーターは、中スキルであったとしても、プログラム化できない対人関係業務の労働者は増えてきたとしている。

 第2に、低スキルの職業の労働者が過去、継続的にずっと上昇を続け、かつ、上昇スピードが加速している。

 第3に、高スキルの職業の労働者が過去、継続的にずっと上昇を続けているが、上昇スピードが減速している。

 技術が進むほど高スキル者に対する企業の需要はますます強くなるが、それに応えられる人材の市場への供給がますます難しくなるため、労働者の伸びは鈍化し、高スキル者の賃金は上昇してきた。

 第4に、雇用が失われる境界が、より高スキルの職の方に移動している。

 そして、第5に、職を失った中スキルの労働者が移動する先は、高スキルか、または低スキルのどちらかだが、これまで記したように、技術が進むほど企業が求める高スキルのレベルは高くなり、中スキル者だった人がいくら自己投資しても高スキルに移行していく人はとても少ない。

 例えば、そこそこの大学を出て年収300万円くらいで経理業務をしていた人が、いくら自己投資をしても、情報機器を使いこなしてさまざまなビッグデータを分析し、数千万円を稼ぐ企業コンサルタントやアナリストになることは難しい。

 そのため、大部分の中スキルだった人は、低スキルに落ちていったことがうかがえる。

 低スキルの仕事がほとんど増えないなかで、中スキル者が低スキルに落ちていって低スキルの総労働者数が増えているため、賃金は低いままに据え置かれ、かつ雇用がますます不安定化している。

 これが米国で言われている「高学歴ワーキングプア」であり、そこそこの大学を出ても、企業経理のような仕事もなく、低スキル者がするような低賃金の不安定な仕事しかない、という状態である。

 第6に、情報通信技術の進歩が、いまの米国の経済格差を発生させている大きな要因であることだ。

 このことは、次に示したOECDによる日独米が世界に占めるICT投資割合の調査結果を見ればわかる(図表4)。

 2000年後半以降、中国におけるICT投資が急増したにもかかわらず、米国の比率が増加している。これは、米国におけるICT投資の絶対金額が急増していることを示している。

 これに対して、日米独のICT投資を比較すると、 日本のGDP・人口は、ドイツの約1.5倍なので、GDP原単位当たり・人口1人当たりのICT投資はドイツの約2/3と考えられる。米国には圧倒的に及ばない。

「誤解」「うのみ」は
社会をおかしくする

 つまり、オーターの分析によればここ40年、米国では、IT化によって、例えば、工場の生産ラインの調整・管理や、オフィスでのデータ管理や会計などの業務がITに置き換わり、かつ海外への外注が進んだ。

 そのために、そうした仕事をしていた人が失業したり賃金が下がったりする一方で、GAFAに象徴されるITビジネスの成功者が巨額報酬を得るという経済格差発生のメカニズムが起きたのである。

 具体的に経理業務を例に挙げると、電卓が出現し、経理ソフトが出現し、いまはRPAの出現により、経理課の人員はますます少人数化している。

 一方で、いま企業が最も欲しがっているデータサイエンテイストはごく少数であるため、巨額の報酬を得ている。

 そしてその原因が活発な情報化投資だということがわかる。

 このことは、米国の経済学者の間ではほぼ合意されている。移民の流入や中国・日本からの輸入の増加は、経済格差とはほとんど関係ない。

 ここにITと経済格差、雇用をめぐる「ホント」がある。

 トランプ大統領はそのことを知っているはずである。

 もしトランプ政権が国内の経済格差を本当に深刻な問題だと認識するなら、(1)国内の情報化投資を抑え、かつ(2)富の再分配を強力に実行することである。富の強力な再分配はドイツやフランスなどは実行しているのだから、米国政府もやる気になればできるはずだ。

 それを全くしないで、関係のない外敵を攻撃しても、図表1からわかるように、これから米国の経済格差はますますものすごい勢いで拡大するだろう。

 そうなったら、今のままでは米中の対立は、収まるどころか、もっと激しさを増していく、そして日本も大きな影響を受ける。それが私の予想であり懸念だ。

ライフスタイルへの影響が大きいのに
社会科学研究の専門家少ない

 IoT、AIなどに象徴されるデジタル化は、急速に経済社会を変え始めているが、メディアなどからは、こうした政治的プロパガンダがそのままの形で伝えられ、その情報をうのみにしてしまうという例が少なくない。

 それはなぜなのかといえば、日本にはデジタル化について社会科学的なアプロ―チで研究する専門家が少ないことが一因だ。

 この分野に、研究時間の1〜2割程度を使っている人は、最近、やっと出てきたが、この分野が主専門という人は私の知る限り、日本には他にいない。

 社会科学とは、経済学、経営学、商学、社会学、ビジネスマネンジメント、テクノロジーマネンジメント等の分野を指す。

 IoT、AIなどデジタル分野では、人間のライフスタイルに与える影響が大きく、単に進んだ技術だけを開発してもだめで、自然科学と社会科学の両分野の専門家同士が、車の両輪のごとく協力しあいながら、開発を進めることがとても重要なのだ。

 このことはAIの研究・開発だけでなく、応用がいかに人間の生活を変えるかを考えればわかりやすい。

 日本はかなり以前から、「技術で勝って商売で負ける」と言われてきた。

 単に、先端的な技術を開発するだけではだめで、それを企業の商品やサービスとして販売し、グローバル競争に勝たなければ意味がない。

 最近の事例で言えば、有機ELがそうだ。日本人の偉大なる発明であり、その研究開発費に多額の公費が投じられた。だがそれを商品化して利益をがっぽり得たのは韓国企業だ。

 それは、有機ELを商品化して世界で売るための社会科学研究が日本では全くなされてこなかったからだ。

 そしてこのことは、企業の競争に限らず、日本社会全体にとって大きなマイナスになっている。

 日本には、IoT、AIなどデジタル化の社会科学分野の専門家がほとんどいないため、さまざまな分野で、誤解したり、誤った情報をうのみにしたりという現象がみられる。今回はその一例を書いてみた。

 これから、折に触れ、デジタル経済の「定説」と考えられているものが、いかに

228. 中川隆[-13119] koaQ7Jey 2019年1月10日 07:48:47 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-22222] 報告


「誰でもできる仕事」をやっているのだとしたら、それは危険なことなのだ2019.01.10

日本ではバブル崩壊以後に非正規雇用が急拡大し、働いても働いても生活が楽にならずに追い込まれる人が増えてきた。2000年以後、こうした非正規雇用で働く若年層の経済格差が社会問題化した。

その次代の流れの中で何があったのかはこちらに書いた。(ダークネス:1971年〜1974年生まれは、自分たちは過酷な時代に生きる世代だと認識せよ)

非正規雇用の若年層は必死で働いているのだが、低賃金なので生活を支えることができない。こういった人たちのことを「ワーキング・プア」と呼ぶが、これはアメリカから直輸入された言葉だ。

低賃金労働者というのは真っ先に挙げられるのはファーストフードの店員や、ピザの配達員である。あるいは、ウェイターやウェイトレスや皿洗い等の外食産業に関わる人たちもまた低賃金の代表でもある。

それ以外にも日雇いの土木建設業、工場の組み立て工員に見られる単純労働、清掃作業員、レジ係も、どんなに真剣に働いても賃金が低くて生活が豊かになることはない。こういった労働者は失業者とは違うので、「仕事がないよりはマシ」だと言われている。

しかし、病気やリストラや職場の倒産によって、翌日から生活破綻の可能性もある。どんなに必死で働いても、底辺ギリギリの生活しかできない。身体を壊せば、生活も吹き飛ぶ。(鈴木傾城)


ワーキング・プアを量産する社会に

アメリカの貧困層はすでに5000万人を超えている。この5000万人の貧困層が既存の政治家を激しく憎んでドナルド・トランプという異色の大統領を生み出したのだが、トランプ政権になって彼らが豊かになったという話は聞かない。

今も依然として貧困層は下の生活レベルに落ちている。

最初は貧困層であっても、努力や才能で成り上がることを「アメリカン・ドリーム」と言う。

実際のところアメリカン・ドリームをつかめる栄光の人はとても少なくて、多くの人は逆にアメリカン・ナイトメア(アメリカの悪夢)の方に落ちているというのは統計を見ても分かる。

アメリカ自体は別に貧困国になっているわけではないのだが、国内の格差はあまりにも凄まじいものになっていて、景気が回復しようが株価が上がろうが、金融市場とはまったく何の縁のない国民の多くは追い込まれたままである。

景気回復で雇用は増える。しかし、貧困層の就ける仕事の多くが最初に挙げたファーストフードの店員のようなものばかりである。こうした職業では地道に働いても食べていくだけで精一杯の賃金でしかない。

現代の資本主義社会はワーキング・プアを量産する社会になっている。貧困層は貧困から抜け出せないまま人生を終える可能性が高まっている。

アメリカは身分制度などないのだから、努力したらアメリカン・ドリームをつかめるはずだという理想論はいまだにアメリカ人に根付いている。

確かにアメリカン・ドリームをつかめる人は少数であっても存在するから、その理想論は嘘ではない。宝くじは買っても一等が当たらないが、それでもどこかで当たっている人がいるのと同じである。しかし、大多数の人には、それは関係のない話だ。

スキルのいらない、つまらない仕事

日本もアメリカと同様に資本主義社会なのだから、アメリカと同じ状況にある。

資本主義社会の中では、すべての企業が競争に晒される。そのため、競争に打ち勝つには商品やサービスの価格は常に切り下げられる方向にある。

それは、すなわちコストの削減をするということであり、コストの削減のためには人件費の削減をするのが最も効果的なアプローチになる。賃金が常に最小に向かっていく理由はここにある。

企業が利益を出すためには、余計な出費を減らすのだ。すなわち利益の拡大のためには、従業員の賃金を引き下げるのが最も効果的なのである。

では、誰の賃金を引き下げるのか。もちろん、切り捨てても代わりがいくらでもいる人間の賃金を引き下げる。つまり、誰でもできる仕事をしている人の賃金を引き下げていく。

賃金が安いと言って辞めていったとしても、生活に困っている人をまた雇って、その人が潰れたらまた違う人を雇う。

だから、誰にでもできる仕事であるウェイトレス、皿洗い、レジ係、工場の単純労働、清掃員、小売り店の販売店等の仕事はどんどん最低賃金に近づき、場合によっては最低賃金以下の賃金に落ちていく。

そして、働いても働いても生活は楽にならず、黙って自分の手を見つめて「どうなっているのだ」と呆然とする。

職業に貴賎はない。しかし、誰にでもできるワーキング・プアの仕事というのは価値が低く、世間はその仕事を評価していない。つまり、「つまらない仕事」であると思われている。

もちろん、皿洗いにもスキルが要るが、そのスキルは世の中に重要なスキルではなく、言わば「時代遅れのスキル」と世間は見なす。

「スキルがない」「あっても時代遅れ」というのは、資本主義の社会では価値がない。それがゆえに「時代遅れ」を続けていると、どんどん困窮してしまう。


やればやるほど貧困になっていく

国が最低賃金を引き上げてワーキングプアの人々を救おうとしても、企業は機械化・ロボット導入・効率化・途上国の外国人雇用などの方法で対抗するので、最低賃金が引き上げられたらすべてが解決するわけではない。

むしろ、効率化することによって職場が消えることさえもあり得る。

「誰でもできる仕事」を続けていたら、それ以上の発展性はまったくない。どんどん追い込まれて窮地に落ちていく。

非正規雇用の若年層の他にも、高齢者やシングルマザーも追い込まれている。生活保護受給者の大半は彼らで占められているのだ。彼らは仕事が必要だ。しかし、その仕事は「誰でもできる仕事」である可能性が高い。

それは、貧困から抜け出せる足がかりになるだろうか。恐らく、ならない。

「誰でもできる仕事」は、やればやるほど貧困になっていく。なぜなら、「誰でもできる仕事」は価値がないと社会は見ているからだ。そして、価値がないものは叩き売られるのだ。

そんなところで長く時間を潰していれば、どんどん人生を消耗してしまう。それが資本主義の残酷な一面だ。

唯一そこから抜け出す方法があるとすれば、高度なスキルを身につけて、そのスキルを売り込んで生き残るしかない。誰でもできる仕事を一生懸命にするのではなく、スキルを磨く時間を増やして稼げる仕事にシフトする方向に一生懸命になるべきなのである。

しかし、ワーキングプアに陥っている人々は、いくつも仕事を掛け持ちして長時間労働を余儀なくされていることも多い。

スキルを身につけようにも、そうした時間的余裕もなければ精神的余裕もない。そのために、日々の暮らしに汲々としているうちに歳をとってますます這い上がれなくなる。

もし、「誰でもできる仕事」をやっているのだとしたら、それは危険なことなのだ。今はそうではなくてもワーキング・プアに落ちていく要因がそこにある。「誰でもできる仕事」は、やればやるほど貧困になっていく。

もし、そうした仕事についているのであれば、全力でそこから脱却しなければならないのである。(written by 鈴木傾城)
https://blackasia.net/?p=10861

229. 中川隆[-13063] koaQ7Jey 2019年1月12日 08:34:20 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-22222] 報告
北朝鮮は「国全体が監獄」と国連の人権調査!
https://85280384.at.webry.info/201901/article_115.html

2019/01/11 22:34 半歩前へ

▼北朝鮮は「国全体が監獄」と国連の人権調査!

 韓国で北朝鮮からの脱北者らと面会し、北朝鮮の国全体が監獄問題に関する情報を収集した国連のキンタナ特別報告者は11日、ソウルで記者会見し、北朝鮮には政治犯収容所が存在したままで一般市民が厳しい統制を受けており「国全体が監獄だと聞いた」と述べた。3月の国連人権理事会で報告書を公表する予定。  (以上 共同通信)

***********************

 日本のマスコミが北朝鮮の招かれて撮った動画がテレビで流れる。知らないだろうが、あれはすべて「北朝鮮が許可した」ものだけだ。

 首都、ピョンヤンの広場で着飾って踊っているのはすべてヤラセである。外国メディアが撮影するための「儀式」だと、覚えておいた方がいい。

 それより何より、首都に住めるのは外交官のほかは外国からのビジネスマン、共産党(北朝鮮では朝鮮労働党と呼ぶ)や政府の関係者に限られている。

 北朝鮮は徹底した階級社会。共産党幹部を頂点に何段階にも階層が細かく細分化されている。私は階層分布図というものを見せてもらったことがある。かなり分厚い資料だった。

 北朝鮮を訪れた日本メディア。通訳と称して日本語が堪能な公安関係者が日本人報道関係者に1人づつ密着する。勝手な行動は許されないのである。言葉遣いは丁寧だが、滞在中は四六時中監視されている。

 下手に許可なく撮影したらたちまち「スパイ」の嫌疑をかけられひどい目に遭う。日本と同じに考えたら大間違いだ。

 それほど北朝鮮は監視社会なのである。いつ密告されるか分からない。人民は毎日ビクビクしながら生きている。

230. 中川隆[-12971] koaQ7Jey 2019年1月16日 09:12:03 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-22225] 報告

2019年01月16日
富裕層より生活保護者のほうが経済に貢献している?


生活保護者は支給した全額を消費してくれるので、お荷物どころか最良の消費者といえる

画像引用:http://livedoor.blogimg.jp/monkey_papa0822-fb_parfect/imgs/1/8/18ecf5a9.jpg

富裕層が出ていくと日本は困るのか

最近日本からアメリカなどに移住する富裕層が増えているそうで、理由は資産に課税されるからだそうです。

このニュースは「富裕層が日本から出ていったら大変だ」というニュアンスで報道されていたが、本当に大変なのでしょうか?

一般的な理解では日本の上位1%の富裕層が日本から出ていくと、日本はその分貧乏になる気がします。



どの国でも資産の50%くらいは上位10%ほどの富裕層が所有していて、日本も例外ではありません。

日本政府は相続税の最高税率を55%とし、富裕の世襲を断ち切る方針を示しています。

アメリカではバフェットやビルゲイツのような超富裕層が、相続税を一切払わず子供に資産を受け継げる。


その仕組みは慈善団体に資産全額を寄付することで、息子や娘は団体役員に収まります。

団体理事や役員は寄付がもっとも多い人が収まり、世襲が可能で税金は1ドルもかかりません。

そして慈善団体は「営利事業を行い」利益の一部を恵まれない人に寄付し、一部を出資者に配当します。


つまりアメリカの慈善団体は非課税の投資会社と同じで、株や土地や企業買収で利益を挙げて出資者に還元しています。

このような制度は日本にはないので、富裕層からはとても魅力的でしょう。

問題は富裕層が出ていったら日本はその分貧しくなるのかでした。

富裕層より生活保護者の方がお金を使っている。

富裕層は生活に必要な金額の数百倍や数万倍ものお金を持っているので、大半を資産運用に使っています。

たとえば資産100億円年収10億円の人は、毎月の生活費100万円以内としたら、保有資産の1万分の1しか毎月消費していません。

大半は株式や投資信託や土地を買って運用して、新たなお金を増やし続けます。


それも経済貢献には違いないのだが、富裕層だからと言って毎月フェラーリを買う訳ではなく、毎年豪邸を建てたりもしません。

富裕層になったら普通に生活するだけではお金を使いきれなくなり、使っても使ってもお金は増えていきます。

つまり富裕層とは多額の資産を保有しているけれども、一切消費しない人たちだと定義できます。


逆に貧困層の代表とされる生活保護世帯では、お金がないので受け取った金額を100%消費に使います。(多少の貯金は認められている。)

生活保護を受けていない貧困世帯は借金を背負っていることが多いので、100%どころかもっと消費しているでしょう。

すると貧困者や生活保護者は「資産の全額を毎月消費する人達」と定義できます。


よく言われる話で富裕層対象の減税とか給付金を実施しても経済効果はほとんどありません。

富裕層は受け取った給付金の分を資産運用に回すだけで、1円も消費に使わないので経済効果がゼロです。

対する貧困層は政府から受け取った金を100%使い切ってくれるので、景気対策効果は抜群です。


このように富裕層がいくら資産を持っていても、それは永遠に消費されない「死んだ金」です。

富裕層が出ていったら投資家が居なくなる気がしますが、投資に国境はないので海外投資家が日本に投資してくれます。

このように考えると富裕層が出ていくデメリットは特になく、むしろ資産の不均衡を是正するために出て行って貰えば良い。
http://www.thutmosev.com/archives/78735398.html

231. 中川隆[-12817] koaQ7Jey 2019年1月21日 15:47:54 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-22225] 報告

世界の超富裕層26人、世界人口の半分の総資産と同額の富を独占
2019年1月21日 14:19 発信地:ダボス/スイス
  

【1月21日 AFP】世界で最も裕福な26人が、世界人口のうち所得の低い半数に当たる38億人の総資産と同額の富を握っているとの報告書を、国際NGO「オックスファム(Oxfam)」が21日に発表した。拡大する一方の貧富の差を是正するため、裕福層への増税が必要だと各国政府に強く求めている。

 スイス・ダボス(Davos)で開かれる世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)を前に発表された最新報告によると、資産額10億ドル(約1100億円)以上の裕福層の人々が世界各地に保有する資産の総額は2018年、毎日25億ドル(約2700億円)ずつ増加した。

 世界一の富豪である米アマゾン・ドットコム(Amazon.com)の創業者ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏の資産は昨年、1120億ドル(約12兆2800億円)に増えた。オックスファムによればベゾス氏の総資産のわずか1%が、人口1億500万人のエチオピアの保健医療予算全額に匹敵するという。

 一方、世界人口のうち経済的に恵まれない半数に相当する38億人の資産総額は昨年、11%減少した。

 オックスファムは、拡大する格差によって貧困対策の効果が損なわれ、経済は打撃を受け、人々の怒りをあおる結果になっていると強調。各国政府が保健医療や教育といった公共サービスに割く予算を削減する一方で、富裕層に対する税制優遇を続け、経済格差をさらに深刻化させていると警告した。

 報告書は、富裕層や大企業に課税して「底辺への競争」をやめるよう各国に強く要求。最富裕層がたった0.5%多く税金を払えば、「現在教育を受けられずにいる子どもたち2億6200万人に教育を授け、330万人の命を救えるだけの保健医療を提供しても、余りある資金を確保できる」と指摘している。(c)AFP

232. 中川隆[-12571] koaQ7Jey 2019年1月31日 13:09:06 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-22231] 報告

迫る中国の経済崩壊。5,000万戸の空き家が引き起こすリーマン級ショック=吉田繁治 2019年1月29日
https://www.mag2.com/p/money/628666

「中国の空き家が5,000万戸」との報道が出ました。銀行とノンバンクの不動産融資は不良化し、これから中国はリーマン危機のような金融危機に向かいます。(『ビジネス知識源プレミアム』吉田繁治)

富裕層の住宅投資も大きく減少。中国不動産バブル崩壊は近い…

中国の住宅価格は(統計マジックで)下がらない

ブルームバーグが「中国の空き家が5,000万戸」と報じています。ご承知のように、住宅価格を含み、中国の経済統計は、信頼に足るものが少ない。日本の厚労省とは次元が違って、集計の基準が、激しく任意だからです。

中国の経済統計には、かつてのソ連のような計画経済のものが多くなっています。ソ連では、製造された商品の価格は政府価格であり、売れ残った不良在庫があっても、下がらなかったのです。

中国の新築住宅の価格は、日本や米国のように、自由な市場が、売買で価格を決めたものではありません。新築住宅価格、GDP統計には、作りすぎて残った住宅在庫の、値下がり統計が入っていません。

GDPは生産額を集計します。いつも4%付近とされている失業率も、都市戸籍の人だけが対象です。農村戸籍の人には失業という概念がないからです。

この中国でも、株式市場の株価は、売れた価格です。しかし資本(=マネー)を自由化してはいず、世界市場からは、保護された株価です。

通貨では、
・資本の流入になる、ドルから人民元への交換は自由
・元の国外流出になる「ドル買い、ユーロ買い、円買い/元売り」には、金額の制限がある
という状況です。

中国の株価は、2018年は、年初の3,500ポイントから2,535へと、28%も下げています(19年1月14日:上海総合の平均指数)。時価総額では250兆円という大きな損失が生じ、株の形の金融資産は250兆円縮小しています。

株が250兆円下がっているのに、住宅価格が下がっていないのは、新築の売り出し価格の統計だからです。売れた価格の統計は公表されていません。

計画経済では、商品・住宅価格はどうなる?

共産主義の計画経済では、在庫が売れたときの価格統計ありませんでした。ソ連のGDP統計では、商品は政府の統制価格で全部売れたとされていました。流通在庫、不良在庫という概念はなかったのです。このため価格は下がらず、GDPは増え続けていました。

風船のように膨らんでいたGDPに応じて増刷されていたルーブルは、ソ連邦が解体した1991年(ゴルバチョフの時代)、暴落(1/1000)して、ハイパーインフレになったのです。紙幣は、政府の意思で、生産にかかわらず、いくらでも増刷できるからです。通貨の増刷は、砂糖水を水で薄めるように、マネー1単位の価値を希薄化させます。

中国の住宅価格も、新築価格だけを統計する限りは、下がりにくい(筆者注:住宅、不動産、固定資本の建設額は、そのままGDPになります)。

政府統計をもとにした、2012年から6年間の住宅の単価は、以下のように、2014年を除いて、上がり続けています。

一級とは、周辺部を含むと3000万人クラスの人口が住む北京、上海、シンセン、広州の4都市です。二級は武漢、成都など25都市。三級・四級都市は邯鄲、金華など21の市です。

経済体制が今も違う香港は、除外されています。

リーマン級の危機に向かう中国

<中国の住宅単価の指数:2012年から2017年>

    2012年  13年  14年 15年 16年  17年 平均上昇
—————–
一級都市 100  110  110  140  160  185  13%/年
二級都市 100  105  100  100  120  130   5%/年
三級都市 100  100  105  95  105  115   3%/年
—————–
(データは、三井住友銀行中国有限公司:17年9月)

一級都市の1平方メートルあたりの住宅単価は、2012年を100とすると、年平均13%上がり続け、5年で1.85倍です。今、1億円や2億円の住宅はザラです。統計から漏れている香港では、2億円から数億円。一戸の面積の増加もあるからです。

ドルペッグ制(対ドルの準固定相場)をとる香港ドルが、元の送金・受金の、仲介と中継基地になっていて、香港は、ロンドンのシティのような金融都市だからです。

二級都市では、平均年率5%の上昇。三級都市では、年率3%の上昇と穏やかです。ただし、人口では三級都市でも、大都市周辺の東莞、佛山、廊坊、中山などでは、一級都市と同じように、5年で1.8倍の上昇率。総じて、年10%の上昇を続けてきたと言っていいでしょう。

住宅と商業用不動産は、固定資本投資の新築価格として、中国のGDPを底上げしています。あとで述べる5000万戸(新築の5年分)という、膨大な売れ残り在庫が、世帯に売れるときの価格を統計したら中国のGDPは、2ポイントは低下するでしょう。

住宅価格の過大見積もりという要素で、6.5%が4.5%の成長になるということです。

それとともに、銀行とノンバンクの不動産融資は不良化し、リーマン危機のような金融危機に向かいます。不良債権は200兆円以上になるかもしれません。


一方でローン残高は、過小に集計されている

住宅ローンの残高は、2016年で20兆元(320兆円)とされていますが、これは日本とあまり変わらない額です。

米国が1000兆円ですから、中国は、その1/2の500兆円はあるでしょう。店舗やオフィスの商業用不動産のローンは含んでいません。

中国では、GDPの中に占める、住宅と不動産投資、および道路や鉄道、電力、通信などの社会インフラの投資率が異常に高く、45%です(日本では20%:米国では15%)。代わりに、個人消費の構成比が少ない。

固定資本投資額がGDPの40〜45%(※日本は約20%)

2018年の名目GDPは13兆ドル(1430兆円;日本の2.6倍、米国の2860兆円の半分)です。


固定資本投資は1年分で、日本のGDPを超える570兆円(40%)を占めています。そのための資金が、(1)企業負債、(2)政府負債、(3)個人負債の、増加の原因になっているものです。

特にリーマン危機のあと、企業負債の増加率が高い。金融危機になった米欧への輸出の減少を、中国政府は、住宅建設、商業用不動産、政府の固定資本の増加でうずめる政策をとったからです。

計画経済の中国では、政府の政策は、時間差なく、企業の投資行動になります。人民銀行が元を刷って銀行に貸して、銀行は増えたマネーを企業に貸す。これが08年のあと、企業負債の増え方が大きくなった原因です。この点も、政策の波及時間が長い先進国と違います。

人民元の増刷は世界一のスケール

人民銀行のB/S(資産=負債)の規模は、元発行の金額を示します。2017年5月で、580兆円に膨らんでいます。米国のFRBが4.14兆ドル(455兆円)、日銀が553兆円です(19年1月)。
※参考:https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2019/ac190110.htm/


5年間、世界の中央銀行の、約100年の歴史で、異例な異次元緩和を行っている日銀より、人民銀行の通貨発行が多い。住宅建設、商業用ビル建設、道路、電力、通信の固定資本投資を増加させるための元の増発を行ったからです。

ドル準備で元を発行している

日本や米国では、中央銀行が通貨を増発するときは、代替資産として国債を買います。ところが中国では、人民銀行がドル債を買って元を発行しています。人民元は、世界にはあまり知られていませんが、ドル準備制の通貨です。

理由は、元と中国国債は、資本が自由化されてないので、国際的な信用が低いからです。資本の自由化とは、企業や個人が自由に、外貨を買うことができることです。

政府は「中国人の、ドル買い/人民元売り」を恐れ、外貨への交換に制限を加えています。

資本を自由化すると、ホンネでは共産党政府と人民元の価値を信用していない富裕者の多くが「ドル買い/元売り」に殺到するからです。海外への留学と移住が多いことからも、わかるでしょう。


増えすぎた経済主体別の負債

こうした通貨シナリオを知っていれば、中国共産党は、以降で示す、リーマン危機のあとの不動産投資による負債の急増を、冷静に眺めることもできるでしょう。バブルの崩壊からの失業が引き起こす、天安門のような民主革命の恐れがなくなるからです。

政治・経済の体制の転覆であり下克上でもある民主革命は、計画経済の中で失業した、あるいは所得が減った貧者の連合の、富者への反感が起こすものです。中国では、資産バブルにより巨大な貧富の格差が生じています。

<中国の主体別負債:リーマン危機後から2年ごと(単位:10億ドル)>

   2008年  2010年  2012年 2014年 2016年  2018年
——————-
政府 1,162  1,749  2,646  3,697  5,021  6,428  
世帯  767  1,359  2,227  2,312  4,706  6,629 
企業 3,928  6,429  9,818 14,096  18,090  22,052
——————-
合計  5,837  9,537  14,692 21,105 27,817  28,681
——————-
GDP比 145%  180%  187%  205%  255%  239%
——————-
データ:BIS(国際決済銀行)※ここでは2年ごとに示した

世界中の、部門別負債の大きなエクセルなので、分かりにくい元データが公開されています。BISの中国の負債データには、偽装はないと考えています。日本でも、順次、新聞が書くようになってきました。当方は、ほぼ4年前から、講演や書く時に使っています。
※参考:https://www.bis.org/statistics/totcredit.htm


中国では、建設会社が建物の骨組みを売り、買った人が内装と設備をします。このため、売れ残って夜間に照明がつかない骨組みだけの建物は、幽霊の屋敷に見えるので、「鬼城」と言われます。

建設する企業部門の負債は、2008年は3.9兆ドル(429兆円)と、GDPに対して97%と他国よりは大きかったものの、まぁまぁ妥当での線。

これが、2018年の3月には、22兆ドル(2420兆円)に膨らみ、GDP比184%という残高になっています。年平均の増加率は21%と、GDPの増加である10%程度の2倍です。平均増加額は、2兆ドル(220兆円)です。GDP比で1.8倍の企業部門の総負債は、日本の国債(GDP比約200%)と同じく、異常な大きさです。

企業の負債は、なぜ10年間も、年率20%という高さで膨らみ続けてきたのか。年1,000万戸の住宅建設、商業用不動産建設、インフラ投資のためです。


しかし、住宅建設では、それが売れれば、建設会社の負債は減って、世帯の負債に置き換わります。世帯の負債の増加は2008年に7670億ドル(84兆円)から6.6兆ドル(726兆円)です。

年平均で、71兆円の増加でしかない。他方で。多い建設業を含む企業の負債は、1年に220兆円という速度で増加しています。「近代化の経済」では、住宅、ビル、道路や電力の土木・建設業が多くなります。日本でも1980年代まで建設業は600万人でした。現在は500万
人。

なぜこんなに企業の負債が増えたのか。年平均1,000万戸の建設した住宅に、鬼城のままの売れ残り在庫が出ているからです。

新築の価格は、多くが売れていないので、下がっていない。毎年、新築が行われている新しい価格の統計だからです(筆者注:NYの調査会社によると、上海では、2018年の新築価格は、前年比で8%下がっているという調査が出ています。これは、まだ政府統計には入っていません)。


住宅在庫が5,000万戸

18年の12月に、ブルームバーグから、驚くべきデータが公表されました。中国の住宅在庫が5000万軒というものです。調査したのは、中国の西南大学の甘犁教授という。重慶市にある、この大学は、中国の失業率でも、本当を示すデータを出しています。

5,000万戸は、中国の全住宅の22%、1年で行う1,000万戸建設の5年分です。
※参考:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-11-09/PHWXGI6TTDSF01

一級都市の北京、上海、広州での、政府の在庫統計は、5か月分から10か月分でした。もっとも多いシンセンでも、20か月分です。しかしこの在庫が、全中国で5000万戸、新築の5年分という。

(筆者注:日本も、全住宅の13%・新築の8年分にあたる800万戸の空き家がありますが、中国とは、要因が違います。日本は、人口減と老朽化による空き家です。中国では、GDPを増やすための政府が音頭をとった「建て過ぎと価格高騰」が原因の空き家が多い。政府・銀行が、「貸付金」を増やしたからです。)


これで、中国の企業負債が、毎年平均2兆ドル(220兆円)増える一方で、減らない理由が分かりました。

作った物件が、約5年分も売れ残っていたのです。普通の世帯が買うことのできない価格(年収の10倍から15倍以上)の新築価格だったからです。

売れていないから、価格は最初のまま統計され、次のまた上がった新築価格になっているのでしょう。売れなければ世帯のローンには振り替わらないので、企業の建設費の負債が増えるままになります。

商業用の不動産でも、急激に伸びているアリババなどのネット販売によって、客をとられ、閑古鳥が鳴いているショッピングセンターが多いという。これも、企業部門の負債の増加になります。利益が出ず、借金を減らすことができなくて、運転資金借り入れが増えているからです。


こうした不動産が、投げ売りするしかない不良在庫にならないのは、政府の意向で動く、計画経済の銀行が企業に対して、利払いの分の追い貸しをしているからでしょう。他の国では、資金繰りのために投げ売りになります。

銀行からの追い貸しが続く間(企業負債が増える間)は、新たな借入金で利払いができるように見えるので、不良債権ではない。GDPの70%を生む国有企業の負債は、年220兆円という異常な金額で、膨らみ続けています。


価格下落の端緒は、最も住宅が高くなっている上海・香港・シンセン

最近10年で3倍に上がり(年12%上昇)、中国でもっとも高い香港の住宅価格は、2018年の8月のピークからは5%下げています(大手仲介業の中原不動産より)。※参考:WSJ2018年11月27日

戸籍人口2,418万人という上海の新築物件も、10%下げています。売れていない在庫が、もっとも多いシンセンも下げているはずです。なお中国の都市人口は、無戸籍(農村戸籍)を含むと約20%は多いでしょう。中国人には居住地の自由はないからです。

2019年は、中国住宅価格が下がる開始年でしょう。中国の総人口は、2018年から、日本の8年遅れで減り始めています。

世帯所得の増加率も年10%の期待から、商品生産の粗利益であるGDPの伸び率の低下に対応して、5%程度かそれ以下に下がってきているからです。


<期待所得の増加率は低下>

所得の、期待上昇率の低下への認識は、年収の10倍から20倍の高い住宅を買ってローンを組むことを、押しとどめます。共稼ぎを想定した男性は10年後、20年後の住宅価格と、所得の上昇を期待して(織り込んで)、住宅を買っているからです。

中国に多い共稼ぎで、無理なく買える住宅価格は、大都市部で、共稼ぎ700万円の年収の5倍から6倍までです。中国では、住宅を買うことが結婚の条件ですが、価格が上がってしまった30歳以下の世代には、これが果たせなくなっています。

<今後、住宅価格が上がる、需給面からの要素はない>

2019年に、中国の新築住宅価格が上がる要素はあるでしょうか。

(1)米中貿易戦争で、輸出が減り、所得を決めるGDPの伸びは低下する
(2)増え続けていた中国の人口が、横ばいから下落に入ったことにより、増え続けていた住宅の需要動機が下がり、少しずつ減少に向かう


ということは決定的な要素です。

国連は中国の人口は、2020年からピークになり、減少は2030年からとしていましたが、現実では、12年早まっています。1人の女性の出生率が1.28と日本の1.41よりも相当に低く、幼少人口の減少に慌てた政府が一人っ子政策を停止しても、子供の誕生が過去の想定より減ってきたからです。
※参考:https://toukeidata.com/country/china_jinkou.html

人口減は0.2%や0.3%と低いように見えても、平行する住宅価格の下落率では、年10%と高くなります。これが、シンセン、香港、上海で先駆けて起こっている下落でしょう。

住宅は「1年に10%は上がるという期待」から、賃貸しの投資用としても多く買われてきました。「10%下がるという予想」になると、中の上の所得クラスの人で二軒目三軒目、富裕者の10軒目や20軒目の新築住宅購入が、大きく減ります。


富裕層の住宅投資も大きく減少する

中国では、2014年ころまで、先進国以上に富んだ階層の投資・賃貸住宅の買いが多かった。世帯の居住のための需要より、価格が高く上がっていた理由でもあります。

需要数が減れば、売れる住宅価格は10%、15、20%、30%と価格が下がります。これが、2018年秋から2019年にかけ、新築価格ピークアウトしたあと、起こることでしょう。

政府が管理している新築住宅価格に、需要数の急減が反映されることはなくても、実際の売買市場では、下がって行きます。数年後は、新しく作られる新築価格も、大きく下げるでしょう。全住宅の5戸に1戸の割合にもなる、5000万戸の空き家が価格低下に及ぼす圧力は巨大です。

住宅価格の下落は、景気循環からでなく構造要因から

景気の減速がもたらす住宅価格の下落なら、回復もあるでしょう。2019年からの下げは構造的なものです。


日本では、200万戸/年だった新築が、1980年代末に、今の中国と同じ需要の構造変化から80万戸から100万戸に減っています。平均価格も年収の6倍から6倍で買うことができる価格(約半分)に下がりました。

同じことが、2019年からの中国で起こります。景気循環の問題ではないのです。

233. 中川隆[-12527] koaQ7Jey 2019年2月02日 10:13:41 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-22231] 報告

多くの人間を貧困に固定化させ、飼い殺しするのが貧困ビジネスの神髄?2019.02.02

大阪のあいりん地区で働く労働者たちは「日雇い」の仕事を探し、手配師や斡旋屋や雇用主から「ピンハネ」されながら暮らしている。

多くの日本人は、それはあいりん地区や山谷のようなどん底の労働者だけで起きていることであり、一般社会には関係ないと思っていた。しかし、資本主義が暴走するにつれて、時代は「日雇い」や「ピンハネ」が横行する社会に変質しつつある。

「いい仕事」に就いている人でも、いったん会社を辞めると、そこから思うように仕事が見付からず、負のスパイラルに落とされるという地獄に堕ちることが多い。

仕事を辞めるのはリスクが高い時代だと言われても、人が仕事を変わらなければならなくなる理由はたくさんある。

たとえば、気付かないで入った「ブラック企業」でずっと勤められる人はいない。間違えて、そういった極悪企業に入ってしまった人たちは、心身共につぶされるので、遅かれ早かれ転職を余儀なくされる。

フリーターやアルバイトで入った仕事も、低賃金の単純作業であり、何年続けても進歩がないから、やがては辞めざるを得ない状況になる可能性がある。(鈴木傾城)

味方に思えた存在が自分の足かせに

あるいは、入ったときは良かったが、業績が悪化して給料やボーナスがカットされて生活できなくなることもある。あるいは、病気になったり、怪我をしたりして仕事が続けられず、退職を余儀なくされることもある。

待遇や、人間関係や、合わない仕事によって、ノイローゼや精神的な問題を引き起こし、会社を辞めないと心が壊れてしまうところまで追い込まれた人もいる。

仕事を辞めたくないと思っても、どうしようもない不可抗力によって、仕事を辞めなければならない状況に追い込まれる人は、決して珍しい存在ではない。

グローバル化が日本を覆い尽くし、終身雇用も年功序列も吹き飛び、リストラが常態化し、企業の寿命が非常に短くなっているのが現在の社会だ。

このような時代では、一度も転職をしたことがない人の方が少数派になっている。

会社から離れると、多くの人は不安に駆られる。それも当然だ。仕事をしなければ収入が入らないが、収入が入らなければ蓄えを取り崩すしかない。

仮に300万円の貯金があったとしても、1年も「充電」していたら、1年後は貯金ゼロになってしまうのだ。堅実な人であればあるほど、会社を辞めたらすぐに次の仕事を探し始める。

適職だと思う仕事がすぐに見つかればいいが、そうでなければ、人材派遣に登録する人も多い。

仕事が見つからなければ貧困に転がり落ちるのだから、何とか仕事を斡旋してくれる人材派遣会社は自分の味方のように感じるかもしれない。

しかし、追い詰められたときに頼った人材派遣が長い目で見れば貧困の入口であったということが多い。

なぜ、そうなってしまうのか。

なぜなら、人材派遣の仕事は「非正規労働」だからである。派遣されたら、人材派遣がその人の賃金から「マージン」や「手数料」を取る。そして、どんなに真面目に働いても状況が変われば相手先企業から切られる。

続けていても明日の見えない絶望

搾取されながら働く。相手の都合で切られる。同じ仕事をしても給料が安い。このような状況下で働き続けて安定した将来設計が描けるはずもない。

実績が認められて昇進するというような、キャリアの積み重ねができない。いつまで経っても使い捨て要員だ。

実際、あちこちに派遣され、何度も使い捨てにされながら、派遣労働者は荒んでいく。辞めればストレートな貧困、続けていても明日の見えない絶望が続く。

しかし、どんなに景気が回復しても、利益を出すことを株主に強制されている企業は、永遠のコストになる正社員を雇うようなリスクは冒さない。これからは、さらに非正規雇用を増やしていくことが確実視される。

そのため、人材派遣業は必要不可欠な業種になった。いつしか日本は、人材派遣を直接的・間接的に扱う企業が東証第一部だけでも20社近くも存在する国になっている。

そして、これらの企業が、非正規雇用者の賃金を吸い上げながら、空前の利益を上げるようになっている。

これに飽き足らず、次から次へと人材派遣関連の企業が上場を果たしている。今でも新興市場では30社近くがひしめいているが、さらに増えていくとも予測されている。なぜか。もちろん、儲かるからである。

これほど中間搾取で生きている企業が増えているというのは、ある意味、社会の底辺では労働者が搾取されるのが当たり前になっているということだ。

人に働かせて、自分たちはそこからマージンや手数料を取って稼ぐ。そんな企業が増えているのだから、底辺の見えないところで、搾取社会が急激に進んでいることが窺える。

この姿は、どこかで見た光景ではないか。そうなのだ。あいりん地区や山谷で起きていた労働者搾取とまるっきり同じものだったのだ。

貧困ビジネスの神髄とは何か?

働いても働いても豊かになれないというのはなぜか。昇進もなく、福利厚生もなく、交通費支給もなく、最初から低賃金で、人材派遣会社に賃金をピンハネ(中間搾取)され、要らなくなったら捨てられるからだ。

そこで働いていると、どんなに必死で働いても浮かび上がれない仕組みができあがっている。人材派遣は、もともとドヤ街の「日雇い派遣」の「口きき」と同じことをシステマチックにやっているような業種なので、貧困ビジネスの一種なのである。

ここでよく考えてみてほしい。

貧困ビジネスというのは、労働者が働いて豊かになってしまったら寄生する対象がいなくなる。だから、彼らを無意識に労働者を貧困のまま固定化させる。

労働者が、向上心があり、能力があり、有能であったら、貧困から抜け出してしまうが、そんな人間も仕事を与えないで放置しておけば腐っていく。ブラック企業に送り込めば、心身が壊れる。

そうやって多くの人間を貧困に固定化させ、飼い殺しするのが貧困ビジネスの神髄なのである。いつまでもピンハネできるように永遠に貧困に固定化させる。

日本の社会の底辺で、こうした貧困ビジネスがじわじわと人々を取り込んでおり、ワーキングプアから抜け出せない社会を作り上げている。実は、こうした「口利き」と「ピンハネ」が横行する社会は、途上国では一般的な光景である。

先進国の底辺が、どんどん途上国の光景に似てきているが、それはこうした貧困ビジネスが拡大していることからも読み取れる。

いつしか日本は、落ちたら抜け出せない社会が広がった。日本社会がもっと一段上の経済成長をしない限り、この社会の暗部はこれからもずっと続いていく。そして、貧困ビジネスは自分たちの利益が膨らむように、多くの人間を貧困に固定化させ、飼い殺しするのだ。(written by 鈴木傾城)
https://blackasia.net/?p=11175

234. 中川隆[-11826] koaQ7Jey 2019年2月26日 10:16:19 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[153] 報告
一国のGDPを超越する超巨大企業が台頭…今という時代がヤバい理由(週刊ダイヤモンド)
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/286.html

2019.2.26 週刊ダイヤモンド編集部 


『週刊ダイヤモンド』3月2日号の第1特集は「今が全部ヤバい理由」です。地球規模の影響力を手に入れた超国家企業、魔力を失った市場の守り神、エゴむき出しの国家――。リーマンショックから10年が過ぎた今、中でも、GAFAと呼ばれるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンなどの米巨大IT企業は、世界中の個人や企業の生殺与奪の権を握っています。彼らは軍隊こそ持たないものの、その影響力は絶大です。そんな“今”という時代のヤバさを、「10年」と「1万3000年」という二つの時間軸で読み解いていきます。(本記事は特集からの抜粋です)

 “ベルギーのGDP(国内総生産)”がたった数ヵ月で吹っ飛んだ。

 2019年1月2日、アップルのティム・クックCEOは18年10〜12月期の売り上げが予想を下回ると発表。これを受け、アップルの株価が急落し、日本など各国の株式市場も連動し急落した。いわゆる、「アップルショック」だ。

 実際には18年の8月ごろから中国市場での不振が指摘され、株価は下落傾向にあった。クックCEOの発表はその懸念にトドメを刺したのだ。8月末から1月初旬までのおよそ4ヵ月で失った時価総額は4630億ドルと莫大だ。

 この4630億ドルという金額はなんと、ベルギーのGDPと同水準。それが吹っ飛んだのだ。

 今、アップルに加えて、グーグル、フェイスブック、アマゾンの4社はGAFAと呼ばれている。いずれも、世界中の人々の生活をがらりと変えてきた企業だけに時価総額は莫大で、合計3兆ドル近くで推移している。

 GAFAはどれだけすごいのだろうか。例えば、アップルのフリーキャッシュフローはスリランカのGDPより多い(下図参照)。グーグルのスマホ向けOS「アンドロイド」は20億のデバイスに入っている。また、フェイスブックのユーザーは22億人で、中国と米国と日本の人口の合計18億人を上回る。

 まさに、GAFAは世界中の人から愛されるスーパーヒーローのような企業なのだ。

 しかし、光があるところには影がある。子供向けの特撮番組の最後では、必ず悪い怪獣を巨大ロボットがやっつけてくれる。テレビでは毎度、ハッピーエンドとなるわけだが、現実に巨大怪獣と巨大ロボットが戦えば、人も踏まれるし、街は破壊され尽くすだろう。

 GAFAはまさしく巨大ロボットのような存在だ。幸せを運ぶ一方で、破滅ももたらしてきた。そして、今や国さえも凌駕する超国家企業となったのだ。

 1961年、米国のアイゼンハワー大統領は「軍産複合体の不当な影響力を排除せよ」と、軍需産業の危険性に警鐘を鳴らした。巨大企業への警戒は今に始まったことではない。

個人と企業の生殺与奪の権を握る
まるで“神”

 ところが、2010年代に入ってからの超国家企業の恐ろしさは、人類が初めて経験する代物だ。

 軍産複合体や資源メジャーなどの大企業は、あなたの好物を知っていたり、恋人との写真を“のぞき見”したりはしなかった。

 だが、今や世界中の人はGAFAなしでは生活を送れなくなっている。もちろん、ただ大きいだけなら人気の証しであって、何の問題もない。しかし、“巨大ロボット”の負の側面はすごい。

 何を食べ、どこに行き、どんな本が好きなのか。検索を通じて数十億人の情報がグーグルに筒抜けだ。また、同じくフェイスブックは子供の写真、誕生日や好きな映画まで……22億人分も把握しているのだ。つまり、冒頭で挙げたGAFAの「すごさ」はそのまま「怖さ」になるのだ。

 個人情報を握るだけではない。各社はまるで、神のように世界中の人の運命を決めてしまう。グーグルが検索のアルゴリズムを一度変えれば、多くの人々や企業が右往左往する。それまで検索上位に表示されていたおかげで潤っていた企業が検索結果の2ページ目に表示されるようになれば、一転して倒産の憂き目に遭いかねない。

 実際、米国の百貨店J.C.ペニーは自社のサイトへ偽のリンクをたくさん張ることで、検索上位に表示されるような“インチキ”をしていた。11年にそれが報道されると、グーグルは検索結果を2ページ目以降に追いやり、J.C.ペニーは大打撃を受けた。

 あるいは、理由も分からずに、フェイスブックのアカウントが突然停止され、アップしていた家族の写真を二度と見ることができなくなるようなこともあり得る。

 すでにアマゾンはリアルの小売業者を次々と破滅に追い込んでいるし、アマゾンが今後死に追い込む候補の会社約60社の候補すら存在する(前ページの図参照)。

 日本ではある日突然、アマゾンが雑誌を合計2000円以上購入しなければ発送しない「あわせ買い」の対象にしたために、出版業界は大打撃を受けた。

 GAFAはもはやグローバルなルールメーカーであり、規制当局でもあり、まるで“神”のようだ。

 また、GAFAなど超国家企業の特徴的なところは、自身がイノベーションの申し子のような存在であるのに、イノベーションの芽を摘んでしまうことだ。GAFAのライバルになりそうなサービスが登場すると、企業ごと買収してつぶしてしまうことは珍しくない。

 例えば、フェイスブックは近年、Q&Aアプリやフィットネス関連サービス、ビデオ広告、音声操作関連など複数の企業を買収した後、その事業を廃止している。

 さらに恐ろしいのはフェイスブックなどのソーシャルメディアに広がるフェイクニュースだ。

 16年の米大統領選挙に際して、ヒラリー・クリントン陣営に関係する男性の民主党幹部が、ワシントンのピザ店の奥で児童買春を行っているというフェイクニュースがソーシャルメディア上で一気に拡散した。このニュースを真に受けた男性は、ライフルを持ってピザ店を襲撃し逮捕された。

 他にもソーシャルメディアにはフェイクニュースがあふれ、米国の大統領選を混乱させた。背後にはロシアの影もちらついている。

 このフェイクニュースの事例は個人にとってだけではなく、国家にとっても超国家企業が危うい存在であることを示している。

『ホモ・デウス』ではサイバースペースが民主的につくられていないという、根源的な問題点を指摘している。インターネットの設計は「主権や国境、プライバシー、セキュリティーのような従来の政治的な問題に関連しているにもかかわらず、民主的な政治プロセスを通して行われなかった。あなたはサイバースペースの形態について投票などしただろうか?」と。

 実際、英国の議会はフェイスブックがフェイクニュースへの対策を怠り、ロシアによる外国選挙への介入の隠蔽を試みたと指摘。「自社が法に勝るとか法を超越していると考えて、デジタルギャングのように振る舞うことは許されない」と強く批判している。

 何より国家にとって腹立たしいのは、超国家企業が国家運営の源泉である税を巧みに逃れようとすることだろう。多くの企業はより税率の低い国に利益を移し、負担を減らそうとしている。日本でもグーグルがシンガポールに利益を移したとして国税局から申告漏れを指摘されているし、アマゾンが売上高の規模に比べて少ない法人税しか支払っていないことは頻繁に話題になる。同様に欧州でも税回避は長年問題視されている。

中世に逆戻り
一部に富が集中し他は農奴になる?

 超国家企業の“横暴”に、国家の側も反撃に出ている。

 6月に大阪で開催されるG20でも超国家企業対策は大きなトピックになる(文末の「ニュースの全体像」参照)。

 個人情報の保護などの規則を定めたEUの「GDPR」は、超国家企業を縛るというのが、大きな目的だとされている。

 とはいっても、事はそう簡単には運ばない。忘れてはいけないのは、GAFAの怖さはこれ以上ない便利さや楽しさと表裏一体なことだ。

 あなたは「なんとなく不気味」というだけで、超国家企業のサービスを手放すことができるだろうか。そもそも、規制しようにも政治の意思決定は超国家企業のスピードに追い付いていない。

 ただし、このままいくと待っているのは中世のような世界観かもしれない。『the four GAFA』の最後の章のタイトルは「少数の支配者と多数の農奴が生きる世界」だ。

 少数精鋭の超国家企業が次々と世界の中小企業をつぶしたりイノベーションの芽を摘んだりして、税も払わずに拡大していくのなら、富が一部のエリートに集中する可能性がある。それはあたかも多くの人が中世の農奴に戻るような搾取構造というわけだ。

 同書では、GAFAの従業員は合計41万人だが、4社の時価総額は人口6700万人のフランスのGDPに匹敵するとしている。さらには、iPhoneの発売により、米モトローラとフィンランドのノキアが大打撃を受け、両方で10万人の雇用が削減された。絶頂期にはフィンランドのGDPの30%を担い、国家の法人税のほぼ4分の1を支払っていたノキアの凋落によってフィンランド経済全体が落ち込んだとも紹介。

「この調子だとアメリカは300万人の領主と3億人の農奴の国となる」と締めくくる。

 少し話がそれるが、巨大ロボットが怪獣と戦う人気ハリウッド映画「パシフィック・リム」の製作会社を中国企業が16年に買収した。するとその続編では、舞台が中国となり不自然なほど中国人が活躍する内容になっていた。

 映画のようにスムーズにはいかないかもしれないが、仮にGAFAの支配の力学が変化する可能性があるとしたら、中国のIT企業という“巨大ロボ”がその座を奪うことだろう。しかし、それが世界の救世主になるとは限らない。少なくとも前述の映画の続編は、ファンからはかなり不評だった。

【今さら聞けない! ニュースの全体像】
GAFA vs 国家の規制の行く末


フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO Photo:Bloomberg/gettyimages

 本文でも紹介したが、情報と税に関してGAFAは多くの国家をいら立たせている。ただし、むやみに規制すれば経済にも影響を及ぼす。そのため米国政府のGAFAを規制するモチベーションは低いかもしれない。

 しかし、米国以外の国家はGAFAに対して強い態度で臨んでいる。

 実際、EU(欧州連合)で施行されたGDPR(一般データ保護規則)はGAFAが個人情報を握ることへの対策だ。企業が個人情報の保護などのルールに違反した場合、2000万ユーロか世界売上高の4%のいずれか金額の大きい方という、とてつもない制裁金が科される。

 また、納税に関しては2019年1月末にOECD(経済協力開発機構)が、デジタル課税に関しての論点をまとめた。そこでは、企業が本社でなくとも恒久的な拠点などを設置した場合にその国で得た利益に課税するという原則や、国際的企業の利益の国家間での配分ルールの見直しが盛り込まれた。

 そして、OECDでの議論を受けるのが、6月に大阪で開催されるG20(20カ国・地域)首脳会議とみられている。ただし、すんなりまとまるとも思えず、エゴがぶつかり合う可能性が高い。


235. 中川隆[-11781] koaQ7Jey 2019年2月28日 13:54:11 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[200] 報告

なぜ今アメリカで「社会主義」が注目されるのか
2020年大統領選、民主党と「社会主義」(前編)
西山隆行(成蹊大学法学部教授)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15502



 冷戦期、アメリカは社会主義・共産主義と対峙する資本主義圏の盟主としての地位を確立していた。現在、そのアメリカで、社会主義という言葉に大きな注目が集まっている。

 ドナルド・トランプ大統領は、2月に行った一般教書演説で、アメリカを社会主義の国にしてはならない、そして、アメリカは決して社会主義の国になる事はないと強調した。冷戦期の国際情勢や社会主義国の状況を知るものからすれば、何を当然のことを言っているのだろうという気がしなくもない。だが、今日のアメリカでは、社会主義という言葉に対するとらえ方が以前とは大きく変化している。1940年代、アメリカで社会主義と言えば、様々な企業等を国家が管理する考え方だとされた。しかし、今日では、社会主義という言葉は、政府による管理や統制よりも、平等と結びつけて理解されるようになっている。


一般教書演説で「アメリカを社会主義の国にしてはならない」と強調したトランプ大統領
(写真:AP/アフロ)

「社会主義」に好意的なイメージを抱かせた
バーニー・サンダース

 アメリカで近年、社会主義と言う言葉に好意的なイメージを抱かせるきっかけを作ったのは、2016年大統領選挙で民主党候補となることを目指していたバーニー・サンダースであろう。従来型権力の象徴的存在であったヒラリー・クリントンに対抗し、革命を訴える自称民主社会主義者であるサンダースの主張は、とりわけ若者の心をとらえた。そして、2018年の中間選挙では、サンダースが連邦議会上院で三選を達成したのみならず、ニューヨーク州でアレクサンドリア・オカシオ・コルテス、ミシガン州でラシダ・タリーブら社会主義者を称する人物が当選している。

 彼らの当選を可能にした社会的背景としては、近年のアメリカにみられる大きな経済格差がある。アメリカの富の大半が上位1%の富裕層に独占されていると批判し、我々は99%だとのスローガンを掲げて富の偏在を批判したウォール街選挙運動と連続性が見いだせる。

 他方、社会主義という言葉にソフトな印象を与えたきっかけは、ひょっとするとティーパーティ運動かもしれない。ウォール街選挙運動とは対照的に、徹底的な小さな政府の実現を主張してバラク・オバマ政権期に登場したティーパーティ運動の活動家は、オバマ政権による医療保障改革を社会主義的医療として、そしてオバマをレーニン(マルクス主義的社会主義者)やヒトラー(国家社会主義者)に並ぶ社会主義者(民主主義的社会主義者)であるとして、強く批判した。

 だが、オバマが成立を目指していた国民皆医療保険は、日本やカナダでも実現しており、決して過激な制度ではない。このような主張を受けて、一部のアメリカ人、とりわけ、冷戦を経験していない若い人たちの間に、社会主義とは必ずしも過激な考え方ではないという印象を作り出した可能性があるように思われる。

 この点を考える上で興味深いのは、共和党支持者と、民主党内で社会主義を提唱する人たちの間で、社会主義と言って思い浮かべるものが大きく異なっていることである。トランプに代表される共和党の政治家が近年、社会主義を想起させるものとして取り上げるのは、ベネズエラの事例である。これに対し、サンダースが社会主義の例として出すのは、北欧のスウェーデンやノルウェーである。これらの国々は、社会主義ではなく社会民主主義の国だというべきであろう。これは民主党を支持する若者の間に他国や歴史に対する知識が欠如していることの表れであるが、彼らが提唱している社会主義の概念は世界標準でいえばかなり「穏健」なものなのである。

民主党に大きな分断をもたらす「社会主義」のイメージ

 では、アメリカ国民は社会主義という言葉をどのようにとらえているのだろうか。2018年のギャラップ社の調査によると、民主党支持者の57%が社会主義に好意的な立場をとっているのに対し、共和党支持者で社会主義に好意的な立場をとるのは16%に過ぎない。共和党支持者は、現在アメリカが社会主義的な方向に進んでいることに対して懸念を示している。同様の調査結果は、フォックス・ニュースの調査等からでも明らかである。

 選挙との関連でいえば、2015年6月にギャラップ社が行った調査によれば、社会主義者に投票するかと問われた場合、50%程度の回答者が投票したくないと回答しており、その割合は、イスラム教徒、無神論者、イスラム教徒、同性愛者に投票したくないと回答した人の割合より高い。また、2018年8月の、YouGovの調査では、民主党支持者の41%、無党派層の29%が、社会主義者を自称する人物が大統領候補になることに対し好意的な立場を示す一方で、ためらいを感じる、あるいは非常に不愉快であると回答した人の割合は、民主党支持者の59%、無党派層の71%に達しており、民主党支持者の間にも、社会主義者を自称する人に投票したくないという考えが強く残っていることを示している。このような状況を考えると、トランプ大統領が民主党候補のことを社会主義者と批判しているのは、効果的な戦略だと言えるだろう。

 実際、この状況は、民主党の政治家の間に大きな分断をもたらしている。アメリカは領土が広大なこともあり、地域によって社会的な構成が大きく異なっている。一般的には、東海岸や西海岸の大都市部では圧倒的にリベラル派が強いのに対し、農村地帯や郊外では保守的な傾向が強い。そして、社会主義者を自称する政治家は、多くの場合、圧倒的にリベラルな有権者が多く、左派的な立場をとっても民主党が負けるとは考えられないような地域から選出されていることが多い。

 他方、選挙で二大政党のいずれが勝利するかがわからない激戦の選挙区から出馬している人々は、穏健な有権者の支持を勝ち取らなければ勝利できないこともあり、民主党に社会主義のイメージがつくのを避けようとする。そして、民主党が以後の議会選挙で多数を勝ち取るためには、このような激戦区で勝利を積み重ねることが極めて重要なため、主流派やナンシー・ペロシ下院議長ら指導部は、党の政治家が左派的傾向を示すのに歯止めをかけようと努めている。それが、オカシオ・コルテスら左派的傾向の強い政治家の間で党主流派に対する不信感を生み出す原因となっている。

右でも左でもない「穏健派」の支持を集めるというシュルツ

 2020年大統領選挙をめぐって、スターバックスの元CEOであるハワード・シュルツの動向にも注目が集まっている。シュルツは、2020年の民主党の大統領候補と目されている人物たちを、過激な立場をとる者として強く批判している。例えば、富裕層に対する増税を強く提唱している、マサチューセッツ州選出の上院議員であるエリザベス・ウォーレンの主張について、ニュースの良いヘッドラインになるかもしれないが、実現可能性がなく馬鹿げていると一蹴した。なお、大統領選挙に出馬する年齢には達していないが、同様に富裕層増税を提唱しているオカシオ・コルテスについては、勉強不足であり、非アメリカ的な人物だと手厳しく批判している。

 シュルツは、カリフォルニア州選出の上院議員、カーマラ・ハリスについても手厳しい。ハリスは、「全ての人にメディケアを(メディケア・フォー・オール)」と呼ばれる立場に賛同している。アメリカでは国民皆医療保険が公的に制度化されておらず、政府が提供する医療保険は、退役軍人や公務員を対象とするものを除けば、児童向けのもの(CHIP)、貧困者向けのもの(メディケイド)、高齢者や一部の障碍者向けのもの(メディケア)しか存在しない。それ以外で医療保険を必要とする人々は民間医療保険に加入しているのであり、その比率は非常に高い。

 このような状況を踏まえて、メディケアの対象を拡大することで、政府が提供する医療保険制度を利用したいと考える人は利用できるようにしようというのが「全ての人にメディケアを」の基本的立場である。だが、ハリスは先日、比較的穏健なそのような立場を乗り越えて、いずれ民間医療保険を全て廃止し、医療保険をメディケアに一元化することも将来的な目標とするべきだと発言した。シュルツはこの発言をとりわけ強く批判している。シュルツによれば、そのような考え方はアメリカ的でなく、仮にそのようなことが認められれば、他の産業、例えばコーヒー産業等についても、国営化することになってしまうというのである。

 このような状況を受け、シュルツは、もし民主党が穏健な立場に立つ柔軟な人物を大統領候補に据えないようならば、自ら第三党候補として立候補すると宣言している。彼が想定している穏健な候補とは、オバマ政権の副大統領であるジョー・バイデンや、元ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグなどである。彼は、民主党が左派的な候補を選出すれば、その左派的な立場にも、右派的なトランプにも賛同したくない、穏健な有権者の支持を集めて勝利できると主張している。

 他方、シュルツは、自らが立候補を検討する最大の理由はトランプ大統領の再選を阻止することにあると明言している。民主党の候補が最終的に決定するのは2020年の7月から9月であることを考えると、それまでの間、第三党候補としての立場を維持するには莫大な費用がかかる。だが、たとえその費用が無駄になったとしても、民主党が穏健派候補擁立するならばトランプの再選を阻止することができるため、自らの立候補を取り下げるとしているのである。

 2010年の連邦議会選挙前後から、ティーパーティ派が共和党を右傾化させ、党の在り方を大きく変質させたと指摘された。それと同様の現象が現在、民主党の側にも起こっているのであろうか。2020年大統領選挙に向けて、民主党の動向に注目する必要があるだろう。


236. 中川隆[-11555] koaQ7Jey 2019年3月09日 20:05:33 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[438] 報告

パリ・コミューンについて - 内田樹の研究室 2019-03-05

石川康宏さんとの『若者よマルクスを読もう』の三巻目は「フランスにおける内乱」をめぐっての往復書簡だった。

『反抗的人間』を読んでいたら、ぜひ引用したいカミュの言葉が出て来たので、それを数行加筆することにした。

それを含む、パリ・コミューン論を採録する。


『フランスの内乱』、読み返してみました。この本を読むのは、学生時代以来50年ぶりくらいです。同じテクストでも、さすがに半世紀をおいて読み返すと、印象がずいぶん違うものですね。

パリ・コミューンの歴史的な意義や、このテクストの重要性については、もう石川先生がきちんと書いてくださっていますので、僕は例によって、個人的にこだわりのあるところについて感想を語ってゆきたいと思います。
 
「コミューン」というのは、そもそもどういう意味なんでしょう。「コミューン」という言葉を学生だった僕はこの本で最初に知りました。そして、たぶん半世紀前も次の箇所に赤線を引いたはずです。

「コミューンは本質的に労働者階級の政府であり、横領者階級に対する生産者階級の闘争の所産であり、労働者階級の経済的解放を実現するために、ついに発見された政治形態である。」(『フランスの内乱』、辰巳伸知訳、マルクスコレクションVI, 筑摩書房、2005年、36頁、強調は内田)

「ついに発見された政治形態」であると断定された以上、それは前代未聞のものであるはずです。僕は素直にそう読みました。なるほど、パリ・コミューンは歴史上はじめて登場した政治形態だったのか。すごいな。それなのに反動的なブルジョワたちから暴力的な弾圧を受けて、徹底的に殲滅されて、多くのコミューン戦士は英雄的な死を遂げた。気の毒なことをしたなあ・・・。そう思いました。それくらいしか思いませんでした。でも、さすがにそれから半世紀経つと感想もずいぶん違うものになります。

 僕が気になったのは、パリ・コミューンがマルクスの時代において「ついに発見された」前代未聞のものであったことはわかるのですが、それに続くものがなかったということです。

 パリ・コミューンからすでに150年を閲しましたけれど、パリ・コミューンのような政治形態はそれを最後に二度と再び地上に現れることはありませんでした。それはなぜなのでしょう。

 もし、パリ・コミューンがマルクスの言うように、1870年時点での革命的実践の頂点であったのだとしたら、その後も、パリ・コミューンを範とした革命的実践が(かりに失敗したとしても)世界各地で、次々と試みられてよかったはずです。でも、管見の及ぶ限りで「この政治形態はパリ・コミューンの甦りである」とか「この政治形態はパリ・コミューンが別の歴史的条件の下でいささか相貌を変えて実現したものである」というふうに名乗る事例を僕は一つも知りません。「われわれの戦いはパリ・コミューンを理想としてしている」と綱領的文書に掲げた政治運動や政治組織も僕は見たことがありません。

 変な話だと思いませんか?

 かのマルクスが、「ついに発見された政治形態である」と絶賛した究極の事例について、それを継承しようとした人たちも、未完・未済のものであったがゆえにその完成をこそ自らの歴史的召命として引き受けようとした人たちも、1871年から後いなかった。どうして、パリ・コミューンという政治的理想をそれからのちも全力で追求しようとした人たちは出てこなかったのか? 

 少なくともそれ以後フランスには「パリ・コミューン的なもの」は二度と登場しません。フランスでは、1789年、1830年、1848年、1871年と、比較的短いインターバルで革命的争乱が継起しました。いずれも、その前に行われた革命的な企てを引き継ぐものとして、あるいは先行した革命の不徹底性を乗り越えるものとしてなされました。でも、1871年のパリ・コミューンから後、パリ・コミューンを引き継ぎ、その不徹底性を批判的に乗り越える革命的な企てを構想した人は一人もいなかった。

 1944年8月25日のパリ解放の時、進軍してきた自由フランス軍に中にも、レジスタンスの闘士たちの中にも、誰も「抑圧者が去った今こそ市民たちの自治政府を」と叫ぶ人はいませんでした。1968年には「パリ五月革命」と呼ばれたラディカルな政治闘争がありましたが、その時に街頭を埋め尽くしたデモの隊列からも「今こそ第五共和政を倒して、パリ・コミューンを」と訴える声は聴こえませんでした。少しはいたかも知れませんが(どんなことでも口走る人はいますから)、誰も取り合わなかった。

 今も「パリ・コミューン派」を名乗っていて、少なからぬ力量を誇っている政治組織が世界のどこかにはあるかも知れませんけれど、寡聞にして僕は知りません(知っている人がいたらぜひご教示ください)。

 これはどういうことなのでしょう。なぜ「ついに発見された政治形態」は後継者を持ちえなかったのか?

 以下はそれについての僕の暴走的思弁です。

「マルクスとアメリカ」でも同じ考え方をご披露しましたけれど、僕が歴史について考える時にしばしば採用するアプローチは「どうして、ある出来事は起きたのに、それとは別の『起きてもよかった出来事』は起きなかったのか?」という問いを立てることです。

 このやり方を僕はシャーロック・ホームズから学びました。「起きたこと」からではなくて、「起きてもよかったはずのことが起きなかった」という事実に基づいて事件の真相に迫るのです。「白銀号事件」でホームズは「なぜあの夜、犬は吠えなかったのか?」というところからその推理を開始します。なぜ起きてもよいことが起きなかったのか?

 (...)

 なぜパリ・コミューンはマルクスによって理想的な政治形態と高く評価されたにもかかわらず、それから後、当のマルクス主義者たちによってさえ企てられなかったのか?

 それに対する僕の仮説的回答はこうです。

 パリ・コミューンはまさに「ついに発見された政治形態」であったにもかかわらずではなく、そうであったがゆえに血なまぐさい弾圧を呼び寄せ、破壊し尽くされ、二度と「あんなこと」は試みない方がよいという歴史的教訓を残したというものです。

 パリ・コミューン以後の革命家たち(レーニンもその一人です)がこの歴史的事実から引き出したのは次のような教訓でした。

 パリ・コミューンのような政治形態は不可能だ。やるならもっと違うやり方でやるしかない。

 パリ・コミューンは理想的に過ぎたのでした。

 それは『フランスの内乱』の中でマルクスが引いているいくつもの事例から知ることができます。マルクスが引いている事実はすべてがヴェルサイユ側の忌まわしいほどの不道徳性と暴力的非寛容と薄汚れた現実主義とコミューン側の道徳的清廉さ、寛大さ、感動的なまでの政治的無垢をありありと対比させています。どちらが「グッドガイ」で、どちらが「バッドガイ」か、これほど善悪の対比がはっきりした歴史的出来事は例外的です。少なくともマルクスは 読者たちにそういう印象を与えようとしていました。

 ティエールは国民軍の寄付で調達されたパリの大砲を「国家の財産である」と嘘をついてパリに対して戦争をしかけ、寄せ集めのヴェルサイユ兵を「世界の称賛の的、フランスがこれまで持った最もすばらしい軍隊」と持ち上げ、パリを砲撃した後も「自分たちは砲撃していない、それは叛徒たちの仕業である」と言い抜け、ヴェルサイユ軍の犯した処刑や報復を「すべて戯言である」と言い切りました。一方、「コミューンは、自らの言動を公表し、自らの欠陥をすべて公衆に知らせた」(同書、44頁)のです。

 マルクスの言葉を信じるならまさに「パリではすべてが真実であり、ヴェルサイユではすべてが嘘だった」(同書、46頁)のでした。パリ・コミューンは政治的にも道徳的にも正しい革命だった。マルクスはそれを讃えた。

 でも、マルクス以後の革命家たちはそうしなかった。彼らはパリ・コミューンはまさにそのせいで敗北したと考えた。確かに、レーニンがパリ・コミューンから教訓として引き出したのは、パリ・コミューンはもっと暴力的で、強権的であってもよかった、政治的にも道徳的にも、あれほど「正しい」ものである必要はなかった、ということだったからです。レーニンはこう書いています。

 「ブルジョワジーと彼らの反抗を抑圧することは、依然として必要である。そして、コンミューンにとっては、このことはとくに必要であった。そして、コンミューンの敗因の一つは、コンミューンがこのことを十分に断固として行わなかった点にある。」(レーニン、『国家と革命』、大崎平八郎訳、角川文庫、1966年、67頁)

 レーニンが「十分に、断固として行うべき」としたのは「ブルジョワジーと彼らの反抗を抑圧すること」です。ヴェルサイユ軍がコミューン派の市民に加えたのと同質の暴力をコミューン派市民はブルジョワ共和主義者や王党派や帝政派に加えるべきだった、レーニンはそう考えました。コミューン派の暴力が正義であるのは、コミューン派が「住民の多数派」だからです。

「ひとたび人民の多数者自身が自分の抑圧者を抑圧する段になると、抑圧のための『特殊な権力』は、もはや必要ではなくなる!国家は死滅し始める。特権的な少数者の特殊な制度(特権官僚、常備軍主脳部)に代わって、多数者自身がこれを直接に遂行することができる。」(同書、67−8頁、強調はレーニン)

 少数派がコントロールしている「特殊な権力」がふるう暴力は悪だけれど、国家権力を媒介とせずに人民が抑圧者に向けて直接ふるう暴力は善である。マルクスは『フランスの内乱』のどこにもそんなことは書いていません。でも、レーニンはそのことをパリ・コミューンの「敗因」から学んだ。

 レーニンがパリ・コミューンの敗北から引き出したもう一つの教訓は、石川先生もご指摘されていた「国家機構」の問題です。これについて、石川先生は、レーニンは「国家機構の粉砕」を主張し、マルクスはそれとは違って、革命の平和的・非強力的な展開の可能性にもチャンスを認めていたという指摘をされています。でも、僕はちょっとそれとは違う解釈も可能なのではないかと思います。レーニンの方がむしろ「できあいの国家機構」を効率的に用いることを認めていたのではないでしょうか。レーニンはこう書いています。

「コンミューンは、ブルジョワ社会の賄賂のきく、腐敗しきった議会制度を、意見と討論の自由が欺瞞に堕することのないような制度とおき替える。なぜなら、コンミューンの代議員たちは、みずから活動し、自分がつくった法律をみずから執行し、執行にあたって生じた結果をみずから点検し、自分の選挙人にたいしてみずから直接責任を負わなければならないからである。代議制度はのこるが、しかし、特殊な制度としての、立法活動と執行活動の分業としての、代議員のための特権的地位を保障するものとしての、議会制度は、ここにはない。(...)議会制度なしの民主主義を考えることができるし、また考えなければならない。」(同書、74−75頁、強調はレーニン)
 
 法の制定者と法の執行者を分業させた政体のことを共和制と呼び、法の制定者と執行者が同一機関である政体のことを独裁制と呼びます。パリ・コミューンは「議会制度なしの民主主義」、独裁的な民主主義の達成だったとして、その点をレーニンは評価します。

 この文章を読むときに、代議制度は「のこる」という方を重く見るか、立法と行政の分業としての共和的な制度は「ない」という方を重く見るかで、解釈にずれが生じます。僕はレーニンは制度そのものの継続性をむしろ強調したかったのではないかという気がします。レーニンは何か新しい、人道的で、理想的な統治形態を夢見ていたのではなく、今ある統治システムを換骨奪胎することを目指していた。そして、マルクスもまた既存の制度との継続を目指したしたるのだと主張します。

「マルクスには『新しい』社会を考えついたり夢想したりするという意味でのユートピア主義など、ひとかけらもない。そうではなくて、彼は、古い社会からの新しい社会の誕生、前者から後者への過渡的諸形態を、自然史的過程として研究しているのだ。」(同書、75頁、強調はレーニン)
 
 ここで目立つのは「からの」を強調していることです。旧体制と新体制の間には連続性がある。だから、「過渡的諸形態」においては「ありもの」の統治システムを使い回す必要がある。レーニンはそう言いたかったようです。そのためにマルクスも「そう言っている」という無理な読解を行った。

「われわれは空想家ではない。われわれは、どうやって一挙に、いっさいの統治なしに、いっさいの服従なしに、やっていくかなどと『夢想』はしない。プロレタリアートの独裁の任務についての無理解にもとづくこうした無政府主義的夢想は、マルクス主義とは根本的に無縁なものであり、実際には、人間が今とは違ったものになるときまで社会主義革命を引き延ばすことに役だつだけである。ところがそうではなくて、われわれは、社会主義革命をば現在のままの人間で、つまり服従なしには、統制なしには、『監督、簿記係』なしにはやってゆけない、そのような人間によって遂行しようと望んでいるのだ。」(同書、76―77頁、強調はレーニン)

 レーニンが「監督、簿記係」と嘲弄的に呼んでいるのは官僚機構のことです。プロレタリアート独裁は「服従」と「統制」と「官僚機構」を通じて行われることになるだろうとレーニンはここで言っているのです。「すべての被搾取勤労者の武装した前衛であるプロレタリアートには、服従しなければならない。」(77頁)という命題には「誰が」という主語が言い落とされていますが、これは「プロレタリアート以外の全員」のことです。

 これはどう贔屓目に読んでも、マルクスの『フランスの内乱』の解釈としては受け入れがたいものです。

 マルクスがパリ・コミューンにおいて最も高く評価したのは、そこでは「服従」や「統制」や「官僚機構」が効率的に働いていたことではなく、逆に、労働者たちが「できあいの国家機構をそのまま掌握して、自分自身の目的のために行使することはできない」と考えたからです。新しいものを手作りしなければならないというコミューンの未決性、開放性をマルクスは評価した。誰も服従しない、誰も統制しない、誰もが進んで公的使命を果たすという点がパリ・コミューンの最大の美点だとマルクスは考えていたからです。

「コミューンが多種多様に解釈されてきたこと、自分たちの都合のいいように多種多様な党派がコミューンを解釈したこと、このことは、過去のあらゆる統治形態がまさに抑圧的であり続けてきたのに対して、コミューンが徹頭徹尾開放的な政府形態であったということを示している。」(マルクス、前掲書、36頁)

 マルクスの見るところ、パリ・コミューンの最大の美点はその道徳的なインテグリティーにありました。自らの無謬性を誇らず、「自らの言動を公表し、自らの欠陥のすべてを公衆に知らせた」ことです。それがもたらした劇的な変化についてマルクスは感動的な筆致でこう書いています。

「実際すばらしかったのは、コミューンがパリにもたらした変化である! 第二帝政のみだらなパリは、もはやあとかたもなかった。パリはもはや、イギリスの地主やアイルランドの不在地主、アメリカのもと奴隷所有者や成金、ロシアのもと農奴所有者やワラキアの大貴族のたまり場ではなくなった。死体公示所にはもはや身元不明の死体はなく、夜盗もなくなり、強盗もほとんどなくなった。1848年二月期以来、はじめてパリの街路は安全になった。しかも、いかなる類の警察もなしに。(・・・)労働し、考え、闘い、血を流しているパリは、―新たな社会を生み出そうとするなかで、(・・・)自らが歴史を創始することの熱情に輝いていたのである。」(同書、45―46頁、強調は内田)

「新しい社会を生み出そうとするなかで」とマルクスは書いています。この文言と「マルクスには『新しい』社会を考えついたり夢想したりするという意味でのユートピア主義など、ひとかけらもない」というレーニンの断定の間には、埋めることのできないほどの断絶があると僕は思います。

 でも、パリ・コミューンの総括において「パリ・コミューンは理想主義的過ぎた」という印象を抱いたのはレーニン一人ではありません。ほとんどすべての革命家たちがそう思った。だからこそ、パリ・コミューンはひとり孤絶した歴史的経験にとどまり、以後150年、その「アヴァター」は再び地上に顕現することがなかった。そういうことではないかと思います。

 勘違いして欲しくないのですが、僕はレーニンの革命論が「間違っている」と言っているのではありません。現にロシア革命を「成功」させたくらいですから、実践によってみごとに裏書きされたすぐれた革命論だと思います。でも、マルクスの『フランスの内乱』の祖述としては不正確です。

 ただし、レーニンのこの「不正確な祖述」は彼の知性が不調なせいでも悪意のせいでもありません。レーニンは彼なりにパリ・コミューンの悲劇的な結末から学ぶべきことを学んだのです。そして、パリ・コミューンはすばらしい歴史的実験だったし、めざしたものは崇高だったかも知れないけれど、あのような「新しい社会」を志向する、開放的な革命運動は政治的には無効だと考えたのです。革命闘争に勝利するためには、それとはまったく正反対の、服従と統制と官僚機構を最大限に活用した運動と組織が必要だと考えた。

 レーニンのこのパリ・コミューン解釈がそれ以後のパリ・コミューンについて支配的な解釈として定着しました。ですから、仮にそれから後、「パリ・コミューンのような政治形態」をめざす政治運動が試みられたことがあったとしても、それは「われわれは空想家ではない。われわれは、どうやって一挙に、いっさいの統治なしに、いっさいの服従なしに、やっていくかなどと『夢想』はしない」と断定する鉄のレーニン主義者たちから「空想家」「夢想家」と決めつけられて、舞台から荒っぽく引きずりおろされただろうと思います。

 アルベール・カミュは『国家と革命』におけるレーニンのパリ・コミューン評価をこんなふうに要言しています。僕はカミュのこの評言に対して同意の一票を投じたいと思います。

「レーニンは、生産手段の社会化が達成されるとともに、搾取階級は廃滅され、国家は死滅するという明確で断固たる原則から出発する。しかし、同じ文書の中で、彼は生産手段の社会化の後も、革命的フラクションによる自余の人民に対する独裁が、期限をあらかじめ区切られることなしに継続されることは正当化されるという結論に達している。コミューンの経験を繰り返し参照していながら、このパンフレットは、コミューンを生み出した連邦主義的、反権威主義的な思潮と絶対的に対立するのである。マルクスとエンゲルスのコミュ―ンについての楽観的な記述にさえ反対する。理由は明らかである。レーニンはコミューンが失敗したことを忘れなかったのである。」(Albert Camus, L'homme révolté, in Essais, Gallimard, 1965, p.633)

 僕はできたら読者の皆さんには『フランスの内乱』と『国家と革命』を併せて読んでくれることをお願いしたいと思います。そして、そこに石川先生がこの間言われたような「マルクス」と「マルクス主義」の違いを感じてくれたらいいなと思います。マルクスを読むこととマルクス主義を勉強することは別の営みです。まったく別の営みだと申し上げてもよいと思います。そして、僕は「マルクス主義を勉強すること」にはもうあまり興味がありませんけれど、「マルクスを読む楽しみ」はこれからもずっと手離さないだろうと思います
http://blog.tatsuru.com/2019/03/05_1542.html

237. 中川隆[-11357] koaQ7Jey 2019年3月19日 22:33:37 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[646] 報告

2019年03月19日
アメリカ人のお金事情 収入の半分は家賃、残りも保険や医療費に消える


アメリカの救急車は有料と無料があり、有料が来るとキロ1万円は取られる


画像引用:https://www.performancemagazine.org/wp-content/uploads/EMS-USA-Ambulance.jpg

アメリカ人のお金事情

アメリカは2009年から10年間も好景気が続いているが、国民全員がお金もちではありません。

むしろアメリカでは超富裕層に対して資産ゼロ、預金もゼロというゼロゼロ世帯が増加しています。

経済紙フォーブスによるとアメリカ世帯の34%が貯蓄ゼロ、69%が1000ドル未満でした。



預金は銀行などの現金資産だけですが貯蓄には株や土地などを含むので、これがゼロの人はまったくお金が無いことになります。

ING調査では欧州でも約30%が貯蓄ゼロ、日本も金融広報中央委員会の調査で30.9%が金融資産ゼロなのでアメリカだけが酷い訳ではなかった。

ただ日本の調査では「普通預金」「現金や貴金属」「事業資産」を除くので、本当の貯蓄ゼロ世帯は20%以下の可能性が高いでしょう。


アメリカでは仕事をしている人の約21%が全く貯金がなく、もちろん仕事をしていない人も貯金がない。

どうしてこれほどお金が無いかの分析では、ローンの支払い、医療費や保険料、住居費の高騰が挙げられている。

アメリカでは全国平均すると年収の4倍で住居が買えるが、NYやLAなど主要都市では10倍を超えている。


日本の東京都心のタワーマンションがやっと10倍くらいなので、米大都市はそれより遥かに高い。

これほど住居費が高騰すると収入の半分が家賃に消えるようになり、NYでは年収700万の人が家賃に年350万も払う。

NYの平均家賃はなんと33万円でサンフランシスコは37万円、人気の主要都市はどこもこんな感じです。

住居費、医療費、ローン支払い

住居費の次に高いのは医療費と保険費で、この2つはセットになっています。

アメリカの医療費の高さは知られていて、入院すると1泊100万円から500万円も取られるので、大手術でも入院しない人が居ます。

アメリカでは破産原因トップが医療費、しかも大半は医療保険に加入していたのに医療費で破産しています。


ちなみにアメリカは救急車や救急ヘリの類も有料で1キロ1万円ほどなので、ヘリで100キロ搬送されると1万ドルは請求されます。

なので救急車が来ても有料か無料か尋ね、有料なら「乗車拒否」する人も居ます。

次に高いのは学生ローンで、アメリカの有名大学を卒業するには授業料だけで2000万円もかかります。


アメリカでは自動車がないと就職もできないので自動車や駐車場にもお金がかかり、子供が生まれたら養育費もかかります。

アメリカ人の収入の半分は家賃に消え、残りの半分も保険や車などに消えていきます。

わずかな貯蓄も1回入院しただけで数百万円請求されるから、お金がない人が多いのです。
http://www.thutmosev.com/archives/79323973.html

238. 中川隆[-11274] koaQ7Jey 2019年3月22日 18:06:13 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[732] 報告
書評 『エスタブリッシュメント』 
オーウェン・ジョーンズ著、海と月社発行
(B6判・439ページ、定価2600円+税)

長周新聞 2019年3月21日
 
 イギリスのEU離脱をめぐり、日本のメディアは「合意なき離脱か」「離脱延期か」というだけで、いったい何と何が対立しているのか今ひとつわかりにくい。この本は1984年生まれのイギリスのコラムニストが、エスタブリッシュメントと呼ばれる人たちへの取材をもとに、新自由主義導入から30年あまりたってイギリス社会はどのように変貌したのか、英国人の意識はどう変わっているのかを描いたものだ。そこからEU離脱の背景も探ることができる。
 
 エスタブリッシュメントとは誰か? マルクス、エンゲルスが活動した19世紀のエスタブリッシュメント(一握りの特権階級)は、もし労働者階級に普通選挙権を与えたら富の平等な分配を要求するに違いないとおびえた。現代のエスタブリッシュメントは、世界を危機に陥らせながら最大のボーナスを要求する金融資本家やその代理人である政治家、特権階級の犯罪から庶民の目をそらすマスメディアなど、新自由主義を信奉する特権階級のネットワークのことで、同じように有権者を排除して自分たちの富と権力を守ろうとしている。それは保守党のサッチャー時代に生まれ、労働党ブレア時代に完成した、と著者は見ている。
 
 その先兵となったのは、新自由主義学派の祖であるフリードマンやハイエクの弟子たちだった。戦後、英国政府は社会主義国との対抗上、電力や鉄道の国有化や社会保障制度の整備を進めたが、彼らは金ドル交換停止を決めたニクソン・ショック(1971年)を奇貨として、民営化、規制緩和、富裕層の減税をメディアで拡散し始めた。もう一つの先兵が、無党派の草の根運動の姿をまとった「納税者同盟」などの民間団体で、政府の税金の無駄遣いを告発し、公共部門の支出の削減運動をやり始めた(削減した大部分が私企業に移された)。
 
 こうした団体には銀行や保険会社をはじめ大企業が資金を提供しており、そのメンバーが政治家になり内閣の一員になったりしている。著者によれば、右も左も財界とべったりになり、政界と財界のエリートは混合が進みすぎて区別がつかないほどになったという。
 
 その典型が、2001年に総選挙で「歴史的勝利」を収めたといわれるトニー・ブレアの労働党だった。ブレアは「富裕層への増税はしない」と誓い、法人税を減らし続け、反労働組合法を継続し、サッチャーを上回る規模で公共サービスの民営化を推進した。またアメリカのイラク戦争に参戦した。それはサッチャーをして「私たちの最大の功績はブレアを新自由主義者にしたことだ」といわしめたほどだった。
 
 その流れに乗って労働党の政治家たちが、多国籍企業の特別顧問になったり大企業の取締役に収まったりして荒稼ぎしまくったことを、本書は逐一暴露している。元共産青年同盟でブレアの政策の主要な推進者となったピーター・マンデルソンもその一人で、投資顧問企業の会長になったり、インドネシアの熱帯雨林の破壊で非難されたアジア・パルプ&ペーパー社のコンサルティングで大金を得、「大金持ちになる」夢を達成した。米ソ冷戦構造の崩壊で元からの性根が暴露されたわけだ。そして英国民は既成政党を見限った。
 

■ 富裕層千人が78兆円所有 大企業は納税拒否
 
 その結果、イギリスはどうなったか?
 
 最富裕層の1000人が5200億ポンド(約78兆円)の富を所有する一方で、何十万人の人がフードバンクで食べ物をもらう列に並んでいる。
 
 イギリスの大企業の5分の1がビッグ・フォー(四大会計事務所)の手ほどきで法人税を一切払っておらず、納税額が1000万ポンド(約15億円)を下回る企業が半数をこえている。大企業は国家に寄生しながら、租税回避地を使って納税を拒否している。
 
 一方労働者は、ゼロ時間契約(雇用主の必要があるときにだけ働く契約)を結んでいる者が550万人にのぼるなど、非正規化が進んでいる。自営業の英国人の収入は2006年以降、2割減り、リーマン・ショックの後で自営業になった10人中9人近くは週に30時間未満しか働いていない。
 
 たとえばブレアは2005年、障害者給付金の申請者を減らすのを目的にフランス企業アトスと契約を結んだ。給付を希望する者は、アトスに申し込んで就労能力審査を受けねばならないが、その審査というのがデタラメきわまりない。
 
 脳卒中で体が不自由な元警備員(57歳)が審査を受けたが、就労可能と判定されて給付金を止める通知がきて、その翌日に路上で心臓発作を起こして他界したという。そればかりか提出書類をそもそも受け付けてもらえない申請者が多く、アトスの医師による報告書の改ざんも見つかっており、審査した4割以上が否決となっている。
 
 こうした福祉削減のための委託金として、英国政府は年間40億ポンド(約6000億円)もの税金を民間企業に注ぎ込んでいる。英国メディアは生活保護受給者や障害者、移民などを「たかり屋」といってバッシングしているが、本当のたかり屋は彼ら民間企業にほかならない。
 
 そして、最大のたかり屋はリーマン・ショックのときの銀行だ。英国政府による銀行支援は、1兆1620億ポンド(約174兆3000億円)にものぼった。貧困者100万人が借金を返済できなくなっても政府による救済はないどころか、執行人が家財を差し押さえるため玄関口にあらわれる。ところが世界経済を大災害に巻き込んだ銀行には、国の「福祉」が救出にあらわれる。
 

■ 「右傾化」嘆く左翼の外側で新たな運動の息吹
 
 以上のような新自由主義・グローバリズムにNOを突きつけたのが、2016年のEU離脱国民投票だった。日本のメディアがいうような排外主義だけがそれをもたらしたのではない。右派ポピュリスト政党と報道されるUKIP(イギリス独立党)でさえ、七割以上の支持者は緊縮政策に反対し、電力や国鉄の国有化を求めていると著者はのべている。
 
 注目すべきは、既存の左翼がひたすら年長世代の右傾化と排外主義を嘆き、文句をいうだけなのに対して、著者が、それより先に自分たちが労働者階級の生活や共同体から遊離していることを直視すべきだ、とのべていることだ。左翼がアカデミック志向の人向けの仰仰しい学術書や、衰退していく左翼コミュニティーだけに読まれる本を出しているかぎり、自滅するしかないというのである。変化は、政治の外側にいる普通の人人が、集団の力を使って権力を圧倒することによって起こるものであり、それによってエスタブリッシュメントが私物化している富と権力を民衆の側に取り戻すのだ、と。
 
 新自由主義が破綻するなかで、欧米で巻き起こっている新しい運動の息吹を感じさせる一冊である。
 
https://www.chosyu-journal.jp/review/11231  

239. 中川隆[-10720] koaQ7Jey 2019年4月11日 13:12:45 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[1322] 報告


2019年4月11日
中間層が縮小、所得の伸び悩みとコスト上昇で=OECD

[パリ 10日 ロイター] - 経済協力開発機構(OECD)は10日、先進国で中間層が縮小していると指摘した。賃金の上昇ペースが住宅価格や教育費、医療費の上昇に追い付いていないことが背景という。

OECDは中間層をその国の平均所得の75─200%に相当する世帯と定義している。加盟36カ国のほとんどの人が中間層に含まれる。

しかし、OECDのリポートによると、データが入手可能な加盟国における中間層の割合は現在61%と1980年代の64%から緩やかに低下している。

また中間層の割合は世代間でも縮小し、1942─64年に誕生したベビーブーム世代が20代のころに中間層に占めた割合が68%だったのに対し、1983─2002年に生まれたミレニアル世代では60%となった。

OECDは、所得の伸びが抑制されていることが中間層縮小の一因とみている。

一方、中間層の生活の柱となる住宅などの価格はインフレ率を大幅に上回るペースで上昇している。教育、医療にかかるコストも増えている。

OECDは、こうした状況と同時に労働者は職の不安定さにも直面していると指摘。近年、自動化が進んだことで中間層の6人に1人の職が脅かされているとの見解を示した。

また中間層の20%以上は支出が収入を上回り、生活のために債務を抱える状況が増えているという。

OECDのグリア事務局長は、声明で「現在の中間層は、荒波の中のボートのような様相が強まっている。政府は国民の懸念に耳を傾け、中間層の生活水準を向上させる必要がある」と指摘した。

240. 中川隆[-10718] koaQ7Jey 2019年4月11日 16:39:11 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[1324] 報告
2019年4月11日
焦点:揺らぐスウェーデンの平等社会、富裕層減税で格差拡大へ

[ストックホルム 10日 ロイター] - 平等な社会だと世界的に定評のあるスウェーデンだが、社会民主労働党率いる政府が導入する高所得者層向けの減税策により、富裕層と貧困層の格差が拡大することになる。

概要が10日発表された今回の減税策は、昨年9月の総選挙によってどの政党も過半数を握れない「ハングパーラメント(宙吊り議会)」に陥った中道左派と中道右派が政党間で合意した妥協策の一環だ。反移民を掲げる極右スウェーデン民主党を政権から排除する狙いがある。

これは、ドイツやデンマークといった欧州諸国の政治家が直面しているジレンマを映す鏡とも言える。こうした国々の主要政党は、左派と右派の対立を隠すか、あるいはポピュリスト(大衆主義)政党に権力の一端を担わせるかの選択を迫られている。

だが、多くのスウェーデン国民は治安や教育、高齢者介護などの公共サービスに不満を募らせており、富裕層への減税により、格差の拡大に根ざしているとみられる外国人嫌いや大衆主義的な感情がさらに悪化する恐れがある、とアナリストは警鐘を鳴らしている。

今回の減税策では、70万スウェーデンクローナ(約840万円)を超える年間所得者に上乗せされていた5%の税金が廃止される。この追加課税は1990年代初頭の経済危機時に財政支援のため導入されたものだ。

スウェーデンの高所得層に対する課税率は約60%と依然、他の多くの国と比べて群を抜いて高いとはいえ、来年実施される減税措置により、同国社会における「持てる者」と「持てざる者」の格差が拡大する可能性が高い。同国は近年、富裕税廃止を含めた高所得者層を利する一連の政策を打ち出してきた。

世界的に最も平等な社会を擁するスウェーデンだが、経済協力開発機構(OECD)によれば、他の先進諸国よりも速いペースで貧富の格差が拡大している。社会全体に所得がいかに平等に分配されているかを計測するため、OECDは「ジニ係数」を使用している。

2019年予算で導入された富裕層への減税や他の広範囲な所得減税による200億クローナの減収は、高齢者介護や海外援助向け予算の削減、環境税の引き上げによって一部相殺されることになる。

こうした措置について、福祉大国スウェーデンを築き上げ、平等と公平さの基準とみなされている社会をつくった党の価値観に対する裏切りだと、中道左派の政権与党・社会民主労働党の一部議員は反発している。

「それは民主主義を守ることであり、われわれの党にとっては、1人も見捨てられることのない福祉国家を守ることだ」と、同党のマーカス・カリファテイデス議員は言う。「スウェーデンはもはや、そのような社会ではない」

だが他の多くの人にとって、反移民のスウェーデン民主党を排除することはその代償を払うに値する。

「高所得層への減税が、格差を和らげるわけではない」とマグダレナ・アンダーソン財務相は3月29日、ロイターに語った。「社会民主労働党の優先事項でないことは確かだが、議会で過半数を得る必要があり、妥協せざるを得ない」

昨年9月の総選挙では、社会民主労働党は過去1世紀以上で最悪の大敗を喫する一方、亡命希望者に門戸を閉ざす政策を掲げる、欧州連合(EU)懐疑派のナショナリスト政党、スウェーデン民主党は議席数を伸ばし第3党に躍進した。

こうした事態を打開するため、社会民主労働党と緑の党は、協力と引き換えに所得減税や、賃貸住宅・労働市場の自由化を求める中道・右派の各政党と、4年間にわたる73項目から成るプログラムで合意した。

<それほど平等なのか>

こうした措置は福祉大国スウェーデンの立役者には耐えられないかもしれないが、何年も続いている変化の一端にすぎない。

世界の富裕層に関するクレディ・スイスの調査によると、スウェーデンの最富裕層1%が自国に占める富の割合は、米国のそれよりも大きい。

「経済的な貴族社会が復興しているようなものだ」と、スウェーデン労働組合連合のチーフエコノミスト、オラ・ペターソン氏は言う。

スウェーデンでは一部の国で見られるような社会的混乱はないものの、多くのスウェーデン人は、2013年に首都ストックホルムで発生した暴動や、犯罪組織による暴力事件の急増は、欧州でポピュリストの躍進をもたらしているような社会的分断の表れだと感じている。


Slideshow (2 Images)


1970年代まで続いた歴代の社会民主労働党政権は、富裕層に対し、高額な所得税や富裕税、相続税や贈与税、固定資産税を課してきた。

スウェーデンの家具小売り大手イケア創業者イングバル・カンプラード氏ら多くの富裕層は、自身の資産を海外で保有した。

こうした海外流出に直面したスウェーデンは、市場志向の改革に着手し、小規模ビジネスや起業家を優遇した。

長年かけて引き下げられ、緩和された富裕税は2007年に廃止された。高額な固定資産税は上限7812クローナの手数料に取って代わった。

相続税も廃止された。一方、英国では、相続を受ける者は32万5000ポンド(約4700万円)を超えた場合には40%の税金を支払わなければならない。

同時に、超低金利政策が取られた10年間で、不動産と株式の価値が急上昇し、所得の大半を月給ではなくキャピタルゲイン(株式などの譲渡益)で稼ぐ人々が増加した。

中道右派政権は2006─14年、所得減税に着手した。上乗せ分を除く最高税率は1970年代後半の約90%から60%程度に引き下げられた。福祉給付もカットされた。

「スウェーデンは世界最高の国だ。富裕層にとってはね」と、社会民主労働党の元議員で現在は医療分野のビジネスマンに転向したヤン・エマヌエル・ヨハンソン氏はユーチューブ動画で皮肉に語っている。

スウェーデンで人気のリアリティー番組シリーズ「ロビンソン」で優勝した有名人で富豪のヨハンソン氏は、格差拡大は、街で暴動が起きるなど社会全体にとって代償を伴うと警告する。

「自分は特権階級の1人で、自宅周辺に高い壁を築くことができるとも言える。もしくは、地下鉄に乗る人たちに降りかかる災いは、いずれロールスロイスを運転する人たちにも災いとなることを認識する必要がある、とも言えるだろう」

241. 中川隆[-10769] koaQ7Jey 2019年4月13日 09:37:54 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[1273] 報告

2019年04月13日
ITやAIで余計な仕事が増えている現実 仕事はむしろ増えた


自動化すると仕事が増えるのは駕籠と自動車を比べても分かる


自動化すると余計な仕事が増える理由

パソコンがまだ世のなかに普及する前「パソコンで人間の仕事が減る」「電気やエネルギー消費が少なくなる」と考えられていました。

今まで人間がやっていた仕事がパソコンで自動化されるので、パソコンに取って代わられる仕事がかなり出るだろうという予想もありました。

インターネットによって人々は移動しなくてもネットやPC上で仕事できるので、エネルギーの節約になるとも言われました。




実際はどうだったかというと、パソコンを稼働させるために膨大な電力が必要になり、地球温暖化に一役買っています。

パソコンに代わられた仕事は確かにあったが、それ以上に新しい仕事が生まれて、より人手不足になりました。

小売店はネット通販に変わり、社会のサービスはどんどんネット上のサービスに変わっています。


予想では膨大な失業者が発生している筈なのに、世の中は空前の人手不足で、しかも世界的な傾向です。

この話の続きとして「ITでなくなる仕事」「AIでなくなる仕事」バージョンもあり、それぞれ大量の失業者を産むと言われていました。

実際にはパソコンでもネットでもITやAIでも、その手のものが普及すればするほど人手不足になっています。


このカラクリは人々の交流が活発化するほど、社会全体の仕事量が増えていくからで、なくなった仕事より新しく生まれた仕事が多かったからです。

例えばAさんとBさんは毎日直接会って打ち合わせしていたのを、メールかSNSで済ませるようになったとします。

直接会う必要はなくなったが、毎日ネット上で連絡を取り合うことで、ネット上でより多くの仕事を生み出しています。

機械化すると仕事が増える

もう一つの理由として、すべてのネット上のサービスは「人間」にサービスするために存在し、ネット上では完結しません。

例えばアマゾンや楽天でネット上で買い物しても、商品を実際に配達しているのは宅急便の人です。

今後自動運転とか自動配達が普及しても、物理的に商品を届ける必要性は変わりません。


AIやITでなくせるのはごく一部しかなく、人間にサービスできるのは人間しか居ません。

健康分野へのネット企業進出が目立っていますが、「肩を揉んで欲しい」という要求を満たすには、人間が肩を揉むしかないのです。

バーチャルなんとかで肩こりを解消しても生きた人間には届かないので、AIで近くのマッサージ師を照会するくらいがせいぜいです。


人間へのサービスは機械で代替することもできるが、新しい機械が増えるとそれを世話する人が必要になります。

イギリスでは昔自動車が普及する前、「馬車がなくなると大量の失業者が出る」と言って自動車を禁止しました。

結果は自動車を整備する人や様々な仕事が自動車によって生まれ、かえって仕事が増えました。


機械化すると従来の仕事はなくなるが、必ず新たに生まれる仕事の方が多くなるというのが機械の歴史でした。
http://www.thutmosev.com/archives/79531939.html

242. 中川隆[-10407] koaQ7Jey 2019年5月02日 16:03:01 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[1683] 報告
フランス「黄色いベスト」運動が総会 「資本主義からの脱却が必要」2019年5月2日

 新自由主義のマクロン改革と対決するフランス人民の「黄色いベスト」運動は昨年11月以来、5カ月にわたってたたかわれている。このなかで各地での「黄色いべスト」の運動の代表が一堂に会する第2回総会が4月5日〜7日まで、フランス西部の港湾都市サン・ナゼールで開かれた。

 第1回の総会は1月下旬にコメルシーで開かれ、75地域から200人が参加した。今回は運動の発展を反映して、200地域から800人が参加した。サン・ナゼールの市長は「黄色いベスト」運動を「過激派」とみなし、公共施設の利用を拒否したことから、総会は占拠中の「人民の家」で開催され、地元の人たちが炊き出しなどによって総会を支えた。

 総会に各地から参加した代表は、運動の経験を交流し、「黄色いべスト」運動を既存の運動や政治勢力と一線を画した新しい運動としてどのように発展させていくか、その課題や方向性について、分科会にわかれて活発に論議した。

 この論議のなかで「黄色いベスト」が「人民による、人民のための力」であり、「自由、平等、友愛」(フランス革命のスローガン)を実現するためには、「資本主義からの脱却」が必要であり、資本主義にかわる新しい時代の入口に立っているとの意見がかわされた。総会は討議の「まとめ」を全体で採決し、各地域にもどって論議し、確認・採決していくことを決めた。以下は「まとめ」の要旨である。

◇−−−−−◇−−−−−◇−−−−−◇

 各地から集まった「黄色いベスト」は、全国民に訴える。最初の総会以後、自由、平等、友愛のたたかいを続けてきた。政府による弾圧がエスカレートし、私たちの生活条件を悪化させ、私たちの権利や自由を破壊する法律が積み重なっている。それに対する抗議行動は、マクロン改革に示されたシステムの変革をめざしている。この5カ月間、フランスのいたるところで、デモや集会、討議をおこないたたかっている。私たちは最低限生活を確保できる賃金、年金、社会的給付の増加、そしてすべての人人への公共事業を要求する。私たちの闘争での連帯は、とくに貧困ライン以下で暮らす900万人に向けられている。気候の緊急事態も意識している。

 特権的な一握りの層に奉仕する(国民を代表しない)政府のもとで、私たちは新しい形態の直接民主主義をとる。総会は政党や労組に対する独立性を再確認し、いわゆる「指導者」を認めない。

 3日間の討議をまとめ、提案をおこなっている。すべての「黄色いベスト」の運動がこの総会の結論を広めるよう訴える。各地で行動と総括に貢献するだろう。

 政府の弾圧や投獄、有罪判決について世界に訴える必要がある。まだ立ち上がっていない人たちに理解を求めるために、働きかけを強める。5月1日からは1週間にわたる「黄色いベスト」の行動を呼びかけている。闘争の激増は、行動の統一を追求するよう私たちに求めている。

 私たちは社会的、経済的、環境的、そして民主的な要求を満たすために、あらゆるレベルで、地域でともにたたかうことを求める。私たちはグローバルなシステムとたたかう必要があることを認識している。そして私たちは資本主義からぬけだす必要があると思う。

 私たちを見ているのではなく、私たちに加わってほしい。人民による、人民のための、人民の力だ。
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/11621

243. 中川隆[-10358] koaQ7Jey 2019年5月11日 12:43:31 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[1747] 報告

アメリカには徳政令が必要だ
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2019/05/post-7ab348.html
2019年5月11日 マスコミに載らない海外記事


2019年5月6日
Paul Craig Roberts

 小学生時代、私や友達は考古学と古代文明にとても興味を持っていた。我々は手に入る限りの本を読んだ。私の親友は考古学者になって、我々が実際知っている以上に妄想していた古代遺跡を調査するつもりだった。

 最近私が理解している限り、一般人は誰もシュメールやバビロニアやアッシリアやウルについて全く考えていない。アメリカの若者たちにとって、紀元前2,500年ではなく、1940年代が古代の話なのだ。

 旧約聖書に先行するずっと昔のことは、おそらく残虐で、人をいけにえにする、野蛮で差別的な時代だと想像されているのだ。要するに、ホラー・ファンタジー映画か、ビデオゲームの脚本だ。

 実際は、これら文明は、我々自身の文明よりずっと進歩していて、ずっと人道的だった。支配者は、債務者と債権者間のバランスを維持し、社会が長く継続できるよう精力を傾けており、遥かに進んでいたのだ。以来ずっと下り坂なのだ。

 支配者は、周期的に債務を帳消しにすることで、社会的バランスを維持し、それによって、社会の寿命を維持していた。支配者は、複利では負債が経済より早く増大することを理解していたのだ。その結果、農地の差し押さえとなり、富と権力が、少数の債権者の寡頭政治勢力に移ってしまう。税収源であり、軍の兵士や公共インフラを維持するための賦役を提供する、経済的に自立した自作農民を、支配者と社会は奪われることになるのだ。大惨事になるはずだ。貪欲な寡頭政治集団が支配者を打倒しかねず、農地を奪われた住民は、債務免除と引き換えに、軍で保護してくれる侵略者側に逃げかねない。

 支払い不能な債務によって社会が溶解してしまうのを防ぐため、支配者は実業家間の商業債務ではなく、一般市民の農業債務を周期的に帳消しにしていたのだ。

 債務免除の理由は、平等主義ではなく、安定性だった。

 マイケル・ハドソンが、ハーバード大学ピーボディ博物館特別研究員として、古代言語学者と働いて、30年過ごしたおかげで、我々はこの青銅器時代の経済政策成功という魅力的な物語を知っている。研究は、10年間にわたり、五つの専門家会議と、最近のハドソン著書『彼らの債務を免除せよ』を生み出した。

https://www.amazon.com/forgive-them-their-debts-Foreclosure/dp/3981826027/ref=sr_1_1?crid=Z9WVJTCJ64ID&keywords=michael+hudson+and+forgive+them+their+debts&qid=1557095068&s=books&sprefix=michael+hudson%2Caps%2C157&sr=1-1#customerReviews

 現在、アメリカで国民は支払い不能な債務に溺れている。学生ローン債務、クレジットカード債務、住宅ローン債務、州政府や地方自治体の債務、事業債務。しかし為政者は、大銀行と金融機関のひどい無責任な投資にまつわる債務だけ免除した。連邦準備銀行は、1000万人の自宅所有者が差し押さえられるのを放置しながら、銀行の不良債権を買い上げるために、4兆ドルを印刷した。学生ローン債務が、大学卒業生が独立した家庭をもつことを阻んでいる。住宅ローン債務とクレジットカード債務が家庭が小売り販売を押し上げる自由裁量所得を得るのを阻んでいる。だが現代経済学には、我々の社会が債務過剰で崩壊するのを阻止する処方せんがないのだ。

 債務過剰のため、アメリカはずっと昔に独立農民を失っている。干ばつや黄塵や、連邦準備制度による融資金利の上昇が、農民が土地を差し押さえられて、農地が企業農業の手に渡るのに十分だった。今日同じことが乳製品生産者に起きている。トランプ関税への対応として、カナダはアメリカ乳製品に関税をかけるはずだ。所得下落で、アメリカ酪農家は、債務元利返済負担を過度に負ったままになる。酪農業も少数の手に集中される定めのように思われる。経済的自立は、アメリカ社会から追放されつつある。

 市場独占や買い手独占や少数独占の問題は本物だ。債務をかかえたアメリカ人が彼らの高生産性、高付加価値の雇用を海外移転され、更に今就いている低賃金の国内サービス職からAIロボットに追いだされようとしているのだから、なおさらだ。企業利益を最大にする活動は、アメリカ人の収入を減らすが、債務を減らすわけではない。こうして債務返済はいっそう困難になる。

 現在のアメリカは、ニューヨークの巨大銀行が、連邦準備銀行の政策や、例えば銀行制度の規制緩和や、それに続く救済措置のような金融関連法制を支配する状態だ。市場独占や買い手独占や少数独占のほうが、彼らを抑制したり、どんな形にせよ、彼らに逆らって行動したりできない中央政府より強い状況になっている。企業が雇用を海外移転して、国民の職を奪っている。債権者の要求が、大学卒業者が自分の家庭をもつのを阻止している。更なる債務拡大による場合を除き、債務返済が小売り需要に、とって代わっている。

 これは上昇ではなく下降する経済だ。ワシントンがアメリカ人にしているより、明らかに、ハムラビはバビロニア人に遥かに良くしていた。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2019/05/06/america-needs-a-debt-jubilee/

244. 中川隆[-10112] koaQ7Jey 2019年5月27日 07:15:38 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[2237] 報告
2019年05月27日
終身雇用がなくなり全員がアルバイトになる


昔の定年は50代だったが今は65歳か70歳まで、会社は高齢者だらけになった


企業は終身雇用を辞めたい

最近大企業経営者から、終身雇用制度は限界だとか、終身雇用を辞めたいという発言が相次いでいます。

大企業はなぜ終身雇用を辞めたがっているのか、そこには日本企業の競争力低下が関わっていました。

元日立の経団連中西会長は「今後、終身雇用を続けるのは難しい」と発言したのに続いて、豊田章男社長も同様の発言をしている。



豊田社長は「雇用を続ける企業へのインセンティブ(見返り)がないと、終身雇用は難しい」と発言しています。

終身雇用制度ができたころ、日本人の平均寿命は今よりずっと短く、終身雇用と言ってもせいぜい55歳までを指していた。

1950年の平均寿命は60歳だが男は少し短いので、55歳まで生きれば天寿と全うしたことになった。


そんな時代なら16歳から50歳まで終身雇用しても企業に負担はなかったが、寿命が延びるにつれて定年は延長された。

1960年代に55歳定年が主流になり、80年代に60歳定年、2000年代には65歳定年、さらに65歳以上にも雇用が奨励されている。

企業からすれば終身雇用は50歳までだった筈なのに、いつのまにか70歳まで延長されてしまった。


会社は高齢者ばかりで若い人は少なく、活力のない融通の利かない社風になってしまっている。

高齢者はどうしても若者より運動量が少なく、柔軟性に欠け、新しいものを覚えられず、ミスが増えていく。

インターネットやエクセルをやっと覚えたら、次は英語やプログラミングと言い、それもすぐ古くなる。

終身雇用で日本企業は衰退した

日本企業はITで欧米やアジアにも遅れているとされるが、会社に高齢者が増えたのと無関係ではない。

アメリカではIT技術が必要となったら、工場労働者や古い技術者は即日解雇し、技術や知識を持つ人と総入れ替えします。

ハリウッド方式とも呼ばれるが、その時必要な人材を集めて新たなプロジェクトを始めます。


日本は今までの技術が古くなっても解雇せず、英語やインターネットやプログラミングを教えるところから始めます。

結果アメリカなら3か月でできるような事を、日本は10年かけてやらなくてはならない。

先端分野で日本企業が周回遅れになる例が非常に多いが、社員教育から10年かけてやっと新技術を導入できるのなら周回遅れも止むを得ない。


この終身雇用制度が生まれたのは明治時代で、江戸時代には会社で働く習慣がなたったため、人々は日雇い感覚で働いていました。

当時の先端産業は鉄鋼や造船だったが、定着率が悪く熟練職人が育ちませんでした。

そこで企業はボーナス、終身雇用、年功序列といった制度で労働者の定着を図ったのが始まりです。


第二次大戦でまた日雇い感覚に戻り、労働争議で大混乱する中で、混乱を収めるため再び終身雇用に戻っていく。

労働争議は不満を持った労働者が暴れていたので、ボーナスや終身雇用をぶらさげて手なずけていった。

企業側の事情による解雇が法律で禁止され、制度として定着して今日に至ります。


終身雇用制度では、例えば企業はコンピュータプログラマを必要としているのに、技能を持たない労働者を解雇できない。

50過ぎのおじさんにプログラミングを覚えさせようとするができる筈がなく、時間だけが流れて会社は経営危機に陥ります。

思えば東芝もシャープもサンヨーも、こんな風に危機が進行したのかも知れません。


ところで現在終身雇用が適用されているのは一部の大企業とせいぜい中企業だけで、大企業ですらリストラで終身雇用されない人が増えています。

すると終身雇用の恩恵を受けているのは日本の労働者の1割程度で、多くの人にはまったくどうでも良い話です。

それより問題なのは役所の終身雇用で、民間ではほとんど行われていないのに、18歳で就職すれば65歳までずっと雇用されています。


「終身雇用はもう続けられない」と本当にいうべきなのは役所や省庁でしょう。
http://www.thutmosev.com/archives/79940594.html

245. 中川隆[-9914] koaQ7Jey 2019年5月31日 15:11:32 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[2441] 報告

2019年05月31日
アメリカ大卒者の半数が、店員など高卒と同じ職業に就いている


学生ローンの負担を含めると生涯収入が高卒を下回る人が増えている


画像引用:https://finance-gfp.com/wp-content/uploads/2018/01/student_loan_entai201801.png

大卒の生涯収入が高卒を下回る

生涯収入を増やすのに最も有効なのは学歴を増やすことで、大卒者の収入は高卒者より多かった。

だがこれはもうアメリカでは過去の話になりつつあり、高卒の生涯収入が大卒を上回る事態になっている。

原因その一は大学卒業に4年かかり、生涯の就労年数も高卒者より4年間短くなるが、従来は年収の多さでカバーしていた。


原因その2は大学卒業までに必要とする費用で、小学校から高校まで良い学校に通う必要がある。

めでたく大学受験に合格してもアメリカの学費は非常に高額なので、学生ローンを借りる事になる。

大学を卒業した時点で多額の教育費を親が負担しているうえに、子供は500万円以上の学生ローンを背負って社会に出る。


加えて高卒者より4年遅く最初の給料をもらい、マイナス500万円から社会人生活をスタートします。

もっとも大学卒業までの教育費や学生ローンを負債として差し引かないなら、大卒の収入は高卒者より多い。

アメリカの学費ローンの残高総額は1.5兆ドル(約164兆円)、平均的なアメリカの大学生は卒業時に400万円の借金がある。


アイビーリーグと呼ばれる有名大学だと、年間費用(学費、寮、その他)は5万3千ドルなので4年間で21万2千ドル(約2300万円)にもなります。

親が金持ちなら自分で払わなくて良いが、そうでなければバイトと学生ローンで払わなくてはならない。

この金額は日本の都内有名大学の4倍以上に達している。(学費は2011年時点なので、現在はもっと高くなっている)

大卒の半数は運転手や店員をやっている

日本でも学生ローンが卒業に重い負担になる奨学金問題が指摘され、破産する人もいるようです。

日本とアメリカの学生ローンには決定的な違いがあり、アメリカのは国がお金を貸しているので自己破産できません。

どれだけ貧困で返済困難であっても破産できないので、破産できるだけ日本の奨学金は良心的と言えます。


アメリカの大学進学率は88%に達していて、もはや高収入を得られる学歴ではなく、最低限必要な学歴になっている。

昔は大学を出れば高収入を得られたが、今は大学を出ても他の人と同じ学歴でしかなくなっている。

そこで学歴で高収入を得ようとする人は、アイビーリーグのようなよりお金がかかる大学を目指している。


こうした高学歴競争が「学歴インフレ」を加速させ、際限のない学費上昇と学生ローンの負担になっている。

調査によると大学卒業者の半数は大卒資格が必要ない職業に就いていて、事実上大学に掛けた時間とお金は無駄になった。

大学で学んだ内容が就職して役立っているなどはあるが、大卒だから高収入とは結びついていない。


大卒で運転手、消防士、店員、サービス業などについている人が半数で、これは社会のメカニズムから考えて止むを得ない。

例え大学進学率が100%になっても運転手やウエイターや店員は必要なので、全員が高収入管理職になることはない。

日本の大学進学率は57%でアメリカより30%も低いので、まだ大卒のメリットが残っている。


だが日本でも大学進学率が8割になったら、半数が高卒と同じ職に就くようになり、大卒だから高収入という事はなくなるでしょう。
http://www.thutmosev.com/archives/79958540.html#more

246. 中川隆[-9462] koaQ7Jey 2019年6月19日 21:33:19 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3016] 報告

2019年06月19日
韓国で貧困層が世襲化 親子代々貧困の相続


生活保護だけで住めるのはこういう家なので、山谷やあいりん地区に来ると綺麗すぎてびっくりする。


画像引用:https://farm5.staticflickr.com/4676/40173893972_717864e6d5_h.jpg


金持ちの子は金持ち、貧困の子は貧困

親の収入が低いと子供も低収入の傾向が世界的にあるが、韓国では貧困の相続といえる状況になっています。

中央日報による生活保護に相当する基礎生活保障受給者への調査では、5割が親も貧しかったと回答した。

42%の人は祖父の代から貧しかったと回答していて、世代間の連続性が非常に高い。



韓国と言えばGDPの8割を財閥企業が占めるとされていて、財閥は親族企業でオーナーが世襲される。

国会質疑によると韓国では相続税を収めた人が2%しかおらず、相続には事実上税金がかからない。

2011年から15年に相続した145万6370人のうち、相続税を納めたのは3万2330人だけだった。


相続税の最高税率は50%なのだが非課税となる例外があまりにも多いため、適用される人がほとんど居ない。

親の資産を受け継ぐ人にはまことに好都合で、これは強力な財閥企業を育成する国の方針に基づいている。

富が親子間で相続されるのは貧困も相続されるのを意味し、富裕層の子は富裕、貧困者の子は貧困と生まれる前から決まっている。


相続税は身分や資産の格差を縮める意味合いがあり、日本ではどんな資産家でも孫の代にはゼロになるとされている。

韓国の場合やっかいなのは身分格差が李氏朝鮮の時代から続いていることで、国民は疑問に思わず当然だと思っている。

李氏朝鮮には「槍一本で城を取った」ような武勇伝はなく、どんなに活躍しても子の身分は親の身分で決まっていた。

韓国に立身出世は無い

韓国では建国時に起業や創業があいつぎ、アメリカの資本主義黎明期のような活況を呈した。

このまま発展するかに思えたが成功した財閥一族は貴族化し、今では李氏朝鮮のような社会になっている。

韓国の社会保障支出はGDP比10%で、OECDに報告した29カ国中最下位にとどまっている。


日本の社会保障支出は119兆6,384億円でGDP比20%だった。(国立社会保障・人口問題研究所、平成 28(2016)年度 社会保障費用統計)

貧困層から抜け出すための支援が日本では生活保護、韓国では基礎生活保障受給者となっている。

中央日報によると基礎受給者の平均収入は労働賃金を含めて51万から75万ウォン(6万円前後)となっている。


韓国の基礎生活保障は日本の生活保護とは大きく異なり、まず日本のように生活費全額補助し医療費と公費全額免除という国は世界に存在しない。

韓国の基礎生活保障は満額支給されても3万円程度で、この中から家賃や食費を支払わねばならない。

加えて働けば働くほど支給額を減らされるシステムなので、労働意欲は低くなり働いても貧困から抜け出せない


かといって働かないと3万円では食費がやっとなので、貧困地区にバラックを立てて生活している。

日本ではデフレ期に公園や河川敷にブルーシートの家が並んでいたが、あれと同じものと思えば良い。

日本では生活保護の母子家庭が「回転ずしに行けない」「割引品しか買えない」のが問題になったが、それどころではない。


韓国の貧困率は10.2%で世界ワースト2位、景気後退で貧困化が進むのではないかと懸念されています。

良く言われる在日の人はなぜ韓国に帰らないのかですが、韓国に帰国したら3万円でテント生活、日本なら10数万円支給されて公的支出と医療費全額免除だからです。


貴族や財閥オーナーなら韓国の方が良いが、そうでなければ日本の方が良いと思うでしょう。
http://www.thutmosev.com/archives/80162362.html

247. 中川隆[-9408] koaQ7Jey 2019年6月21日 10:19:04 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3076] 報告
元国税調査官が暴く「少子高齢化は政府による人災」の決定的証拠
https://www.mag2.com/p/news/402263

2019.06.18 大村大次郎『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』 まぐまぐニュース


歯止めのかからない少子高齢化にあえぐ日本。なぜここまで状況は悪化してしまったのでしょうか。元国税調査官で作家の大村大次郎さんは、自身のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で、少子高齢化は「人災」とした上で、歴代政権が繰り広げてきた「愚行」を詳細に記しています。


プロフィール:大村大次郎(おおむら・おおじろう)
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

少子高齢化は人災である

昨今、日本は急激な少子高齢化に見舞われています。先日の厚生労働省の発表では、出生数は91.8万人であり、過去最少を3年連続で更新しています。この急激な少子高齢化は、「日本人のライフスタイルが変わったため」と思っている人が多いかもしれません。しかし、それは誤解です。

確かに、日本人のライフスタイルが変わったことにより、晩婚化や少子化となりました。が、これほど急激な少子高齢化が起きたのは、政治の失策が大きな原因となっているのです。というより、ここ20〜30年の政治というのは、わざわざ少子高齢化を招いているとしかいいようがないほど、お粗末なものなのです。

実は少子化という現象は、日本だけのものではありません。「女性の高学歴化が進んだ社会は少子化になる」ということは、かなり前から欧米のデータで明らかになっていました。そして、欧米では、日本よりもかなり早くから少子高齢化の傾向が見られていました。

日本の少子化というのは1970年代後半から始まりましたが、欧米ではそのときにはすでにかなり深刻な少子化となっていました。そして1975年くらいまでは、欧米の方が日本よりも出生率は低かったのです。つまり、40年以上前から少子高齢化というのは、先進国共通の悩みだったのです。

が、その後の40年が、日本と欧米ではまったく違うのです。この40年の間、欧米諸国は子育て環境を整えることなどで、少子化の進行を食い止めてきました。欧米諸国のほとんどは、1970年代の出生率のレベルを維持してきたのです。だから、日本ほど深刻な少子高齢化にはなっていません。

1975年の時点で、日本の出生率はまだ2.0を少し上回っていました。フランスは日本より若干高いくらいでしたが、イギリスもアメリカもドイツも日本より低く、すでに出生率が2.0を下回っていました。しかし、フランス、イギリス、アメリカは、大きく出生率が下がることはなく、現在は出生率は2に近くになっています。

一方、日本は70年代から急激に出生率が下がり続け、現在は1.4にまで低下しています。もちろん、出生率が2に近いのと1.4とでは、少子高齢化のスピードがまったく違います。

なぜ先進国の間でこれほどの差がついたかというと、日本はこの40年の間に、子育てを支援するどころか、わざわざ少子高齢化を招き寄せるような失政をしてきたからです。待機児童問題が20年以上も解決されなかったり、大学の授業料を40倍にしたり、子育て世代に大増税を課すなどの愚行を繰り広げてきたのです。その愚行の主なものをご紹介していきたいと思います。

非正規雇用の増大が少子化を加速させた

まず、少子化の大きな要因となっているのは、非正規雇用者の増大です。90年代の後半から、2000年代にかけて、日本は労働政策を大きく転換し、非正規雇用を増やしました。

1999年には、労働派遣法を改正しています。それまで26業種に限定されていた派遣労働可能業種を、一部の業種を除外して全面解禁したのです。2006年には、さらに派遣労働法を改正し、1999年改正では除外となっていた製造業も解禁されました。これで、ほとんどの産業で派遣労働が可能になったのです。

派遣労働法の改正が、非正規雇用を増やしたことは、データにもはっきりでています。90年代半ばまでは20%程度だった非正規雇用の割合が98年から急激に上昇し現在では35%を超えています。

なぜ非正規雇用がこれほど増えたのかというと、大企業でつくられた経済団体が政府に働きかけて「非正規雇用を増やせるように」法改正をさせたからなのです。

この非正規雇用の増大は、日本の非婚化を促進しているのです。正規雇用の男性の既婚者は4割ですが、非正規雇用の男性の既婚者は1割しかいません。このデータを見れば、日本社会の現状として、「非正規雇用の男性は事実上、結婚できない」ということです。

現在、非正規雇用の男性は、500万人以上います。10年前よりも200万人も増加しているのです。つまり、結婚できない男性がこの10年間で200万人増加したのと同じなのです。

消費税は子育て世代がもっとも負担が大きい

次に、みなさんに認識していただきたいのが、「消費税は子育て世代がもっとも負担が大きい」ということです。

消費税というのは、収入における消費割合が高い人ほど、負担率は大きくなります。たとえば、収入の100%を消費に充てている人は、収入に対する消費税の負担割合は8%ということになります。

が、収入の25%しか消費していない人は、収入に対する消費税の負担割合は2%でいいということになります。収入に対する消費割合が低い人というのは、高額所得者や投資家です。彼らは収入を全部消費せずに、貯蓄や投資に回す余裕があるからです。こういう人たちは、収入に対する消費税負担割合は非常に低くなります。

では、収入における消費割合が高い人というのは、どういう人かというと、所得が低い人や子育て世代ということになります。人生のうちでもっとも消費が大きい時期というのは大半の人が「子供を育てている時期」のはずです。そういう人たちは、必然的に収入に対する消費割合は高くなります。

ということは、子育て世代や所得の低い人たちが、収入に対する消費税の負担割合がもっとも高いということになるのです。

児童手当は焼け石に水

子育て世帯に対しては、「児童手当を支給しているので負担は軽くなったはず」と主張する識者もいます。しかし、この論はまったくの詭弁です。

児童手当というのは、だいたい一人あたり月1万円、年にして12万円程度です。その一方で、児童手当を受けている子供は、税金の扶養控除が受けられません。そのため、平均的なサラリーマンで、だいたい5〜6万円の所得税増税となります。それを差し引くと6〜7万円です。つまり、児童手当の実質的な支給額というのは、だいたい年間6〜7万円しかないのです。

しかも、子育て世代には、消費税が重くのしかかります。子供一人にかかる養育費というのは、年間200万円くらいは必要です。食費やおやつに洋服代、学用品などの必需品だけでも平均で200万円くらいにはなるのです。ちょっと遊びに行ったり、ちょっとした習い事などをすれば、すぐに200〜300万円になります。子供の養育費が200万円だとして、負担する消費税額は16万円です。児童手当で支給された分を、はるかに超えてしまいます。

つまり子育て世代にとって、児童手当よりも増税額の方がはるかに大きいのです。少子高齢化を食い止めるためには、政府は子育てがしやすいように「支給」しなければならないはずなのに、むしろ「搾取」しているのです。

子育て世代への大増税

また子育て世代からの搾取は、消費税だけではありません。政府はこの40年の間、子育て世代に大増税を何度か行っています。その代表的なものが、「配偶者特別控除」の廃止です。「配偶者特別控除」というのは、「年収1,000万円以下の人で、配偶者に収入がない場合は税金を割引します」という制度でした。それが、平成16年に廃止されたのです。

この「配偶者特別控除」の廃止でもっとも大きな打撃を受けたのは、所得の「低い子育て家庭」だったのです。配偶者特別控除を受けている家庭というのは、子供のいる低所得者が非常に多かったのです。働いているのは夫だけであり、妻はパートしても微々たる収入しか得られない、でも子供もいて養育費がかかる、そういう家庭がこの「配偶者特別控除」を受けていたのです。

配偶者特別控除を受けていた主婦というのは、働きたくても子供に手がかかったりして働けない。働いたとしてもせいぜい近所でパートをする程度。夫の給料だけで、なんとかやっていかなければならない、そういう人が多かったのです。

子供が小さくて妻が働きに出られない家庭などにとって、配偶者特別控除の廃止は大きな打撃でした。この制度が廃止されたために、少ない人でも、だいたい4〜5万円の増税となったのです。

子供がいる所得の低い家庭に4〜5万円もの増税をするなどというのは、少子高齢化の国は絶対にしてはならないことです。「配偶者特別控除の廃止」は、少子高齢化が人災だったことの象徴でもあります。

現在も「配偶者特別控除」という名称の所得控除はありますが、これは平成16年以前のものとはまったく別のものです。現在の「配偶者特別控除」は、一定以上の稼ぎがあって配偶者控除を受けられない人が、ある程度の控除を受けられるという制度です。配偶者控除を補完するための制度に過ぎません。

なぜ待機児童問題は20年以上解決されないのか?

この40年間、子育て世代には、税金の負担増だけじゃなく、様々な負担がのしかかかってきました。その代表的なものが、待機児童問題です。この待機児童問題は、最近でもよく話題に上りますが、問題として認識されたのは1990年代なのです。実に20年以上、解決されていないということです。

1990年代のバブル崩壊以降、サラリーマンの給料が減ったために、主婦が働きに出るケースが激増しました。現在は、夫婦共働きというのは普通のことであり専業主婦の方が珍しいですが、1990年代前半までは、「共働きの家庭」よりも「専業主婦のいる家庭」の方が多かったのです。当然、保育所の需要が増えたわけですが、保育所がなかなか新設されないために保育所に入れない待機児童が激増し社会問題となったわけです。

この待機児童問題は、実はいかにも「現代日本」らしいというか、現代日本社会の政治の貧困が如実に表れたものなのです。

待機児童問題というのは、実は解決しようと思えば、まったく簡単なのです。待機児童の数は2万人前後です。一人あたりに100万円かけたとしても200億円程度で済むのです。日本の国家予算は現在、100兆円の規模がありますから、わずか0.02%です。まったく他愛もなく解決するはずです。

にもかかわらず、なぜ20年間も解決しなかったかというと、保育業界が強力に反対してきたからなのです。「今後少子化が進めば子供の数が減るから、保育所の数をこれ以上増やすな」ということで、保育業界全体が、待機児童問題の解決を阻止してきたのです。

保育所の経営者たちは、自民党の支持母体となっています。また公立保育所の職員たちは、革新系政党の支持母体となっています。この両者が結託して、保育所の新設に反対してきたのです。そのために、たかだか200億円もあれば解決する待機児童問題が、20年以上も解決されず現代も大きな社会問題として残っているのです。

自分たちの利権のために、保育所の新設に抵抗し続けてきた保育業界も保育業界ですが、嘆くべきはたった200億円程度で解決できる問題を放置してきた政治の貧困さ、です。

国公立大学の授業料は40倍に高騰

さらに悲しい事実を紹介しなければなりません。信じられない事に、この40年間で、日本政府は国公立大学の授業料を大幅に値上げしているのです。あまり世間で注目されることはありませんが、現在、日本の国公立大学の授業料は、実質的に世界一高いのです。

日本の国公立大学の授業料は入学金その他を合わせて年80万円程度です。これはイギリス、アメリカと並んで世界でもっとも高い部類になります。が、イギリス、アメリカは奨学金制度が充実しており、学生の実質的な負担はこれよりかなり小さいのです。

日本は奨学金制度は非常にお粗末で英米とは比較になりません。だから実質の学生の負担としては、日本が世界一高いといっていいのです。そのため日本の大学生の半数に近い90万人が、奨学金とは名ばかりの利子付きの学生ローンを背負わされています。

そして日本の大学の授業料がこれほど高くなったのは、80年代後半から2000年代にかけてなのです。つまり、ちょうど少子高齢化が社会問題化したころに、大学授業料の大幅な引き上げが行われているのです。

国立大学の授業料は、昭和50年には年間3万6,000円でした。しかし、平成元年には33万9,600円となり、平成17年からは53万5,800円にまで高騰しているのです。

なぜこれほど高騰したかというと、表向きの理由は、「財政悪化」です。「少子高齢化で社会保障費がかさみ財政が悪化したために、各所の予算が削られた。その一環として、大学の授業料が大幅に値上げされた」というのです。

しかし、日本は90年代に狂ったように公共投資を濫発しています。また80年代から2000年代にかけて歳出規模も大幅に拡大しています。そして、大企業や高額所得者には、大減税を行っています。大企業への補助金も莫大なものです。

2000年代、自動車業界に支出されたエコカー補助金は1兆円に近いものでした。その一方で、国公立大学の学費は大幅に引き上げているのです。政治家や官僚たちに「お前ら正気か?」と言いたくなるのは、私だけではないはずです。

「米百俵の精神」と真逆だった小泉内閣

小泉純一郎氏は、2002年に首相に就任したときに、所信表明演説の最後に「米百俵の精神」を説きました。「米百俵の精神」というのは、明治維新直後の長岡藩では、藩士たちの生活が困窮し、救援のために米百俵が届けられましたが、長岡藩の当時の指導者は、この米百俵を藩士に支給せずに、売却し学校をつくったという話です。

小泉純一郎氏は、この話を引用し、将来の日本のために今の苦しい生活を我慢して欲しいと国民に訴えました。世間的に非常に話題になりましたので、覚えている方も多いはずです。

が、この米百俵の精神で教育の大切さを説いていた小泉純一郎氏は、首相在任中に、国公立大学の授業料を2倍近く引き上げているのです。また先にご紹介した「配偶者特別控除」を廃止したのも、小泉内閣でした。

小泉内閣は、その一方で、投資家の税金を所得税、住民税を合わせて10%にするという、先進国では例を見ないような投資家優遇税制を敷きました。その結果、株価は上昇し、数値の上では景気はよくなったように見えましたが国民生活はどんどん悪くなっていったのです。

以前、このメルマガでもご紹介しましたが、公益法人「1more baby 応援団」の既婚男女3,000名に対する2018年のアンケート調査では、子供が二人以上欲しいと答えた人は、全体の約7割にも達しています。しかし、74.3%の人が「二人目の壁」が存在すると回答しているのです。

「二人目の壁」というのは、子供が一人いる夫婦が、本当は二人目が欲しいけれど、経済的な理由などで二人目をつくることができないということです。この「二人目の壁」をつくってきたのは、間違いなく、この国の愚かな政治家たちだったのです。

日本という国は、世界有数の金持ち国です。バブル崩壊後も決して日本経済は悪くなく、国民一人あたりの外貨準備高は断トツの世界一、国民純資産(資産から負債を差し引いた金額)も同じく断トツの世界一。そして日本企業も、断トツ世界一の利益準備金を保有していますし(人口比換算)、億万長者(100万ドル以上の資産保有者)の人口割合も世界一なのです。実質的に世界一の金持ち国と言っていいでしょう。

にもかかわらず、若い夫婦がたった二人の子供を育てることさえ出来ないのです。今の日本と言う国が、いかに富が偏在しているか、いかに必要な人にお金が回っていないかということです。今の日本に必要なのは、「経済成長」ではなく、「経済循環」なのです。もう富は十二分にある、その富をちゃんと分配していないことが問題なのです。

しかし今の日本の政治というのは、相変わらず「経済成長」を目標にしています。政治家たちが、いかに社会が見えていないかということです。これ以上、日本が富を集めれば、世界中から嫌われます。日本がこれだけ富を集めているのに、若い夫婦がたった二人の子供さえ持てない社会となっていることは、世界的な大恥なのです。(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』より一部抜粋)

248. 中川隆[-9298] koaQ7Jey 2019年6月25日 17:08:35 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3201] 報告

2017-02-12 伊藤貫氏 「The World with President Trump」 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=Y_oD0ZWfWz4


2017/02/12 Grand Design by Japan 2016年度,フォーラム(4)
Part II
伊藤貫氏(国際政治アナリスト,著述家)
「The World with President Trump」

249. 中川隆[-9227] koaQ7Jey 2019年7月01日 05:55:29 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3334] 報告

安倍首相「消費税上げても大企業・富裕層に増税はダメ」443万回再生の動画が暴露、年金の「国家的詐欺」 志葉玲(フリージャーナリスト)
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/569.html


6/27(木) 12:00  志葉玲 | フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)


443万回再生された国会質疑の動画 ツイッターより
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/569.html


 金融庁のワーキンググループが「平均的な高齢者が退職後の30年間を生きる場合、年金収入だけでは2000万円不足する」「自助の充実が必要」との報告書をまとめた問題で、小池晃参議院議員(共産)が、安倍晋三首相を追及する動画がネット上で話題となっている。この動画は、大企業や富裕層への税率を上げ、それを財源に年金制度を立て直そうという国会でのやり取りを紹介したもので、今月10日にツイッターに投稿されてから、既に443万回以上、再生されている。

○443万回再生動画の中身

動画が紹介したのは、今月10日の参議院決算委員会での小池議員と安倍首相のやり取り。同委員会で、小池議員は、金融庁ワーキンググループ報告書について、「百年安心だと言っていたのが、いつの間にか人生百年の時代だから年金当てにするなと、自己責任で貯金せよと。国家的詐欺に等しいやり方ですよ」「この貧しい年金制度をどうするのかを真剣に考えるのが政府の責任なんじゃないですか」と追及。これに対し、安倍首相から「小池さんは、それをどうすればいいとおっしゃっているんでしょうか」と聞かれた小池議員が対案を述べるところから動画は始まる。

小池議員:
「だから、私たちはこれをしっかり底上げしようではないかと言っている。財源も、法人税について、大企業にせめて中小企業並みの基準で法人税の負担を求めれば、これ4兆円出てまいります。それから、株で大変なもうけを上げている富裕層の皆さんに平等に所得税を払ってもらう、そして所得税の最高税率を上げていく。これで3兆円の財源出てまいります。こういった財源を私ども示して、年金の底上げをやろうじゃないかということを提案していますから」

安倍首相:
「それは全く馬鹿げた、政策なんだろうと、こう言わざるを得ない。間違った政策だと思いますよ、それは。日本の経済自体が相当のダメージを私ははっきり言って受けると思います」

小池議員:
「実際、安倍政権になってから6%年金削っているんですよ。何を胸張って言っているんですか。さらに、これからだって、今、はっきり増えないと言ったけど、減るわけでしょう。マクロ経済スライドで。明らかに減るんですよ。それをこの報告書では正直に言ったのに、慌ててまた隠している。私はこういう姿勢こそが年金不安をあおっていくんだと思いますよ。やっぱり正直に認めるべきですよ。これから年金はどんどんどんどん目減りしていきますと。今の生活水準は保障できなくなりますと」

「私は、そういったことを正面から問うて、じゃ、F35に1兆円使うとか、そういったことが許されるのか。笑っている場合じゃないでしょう、菅さん。やっぱり税金の使い方見直さなきゃいけないでしょう。こんな貧しい年金で」

「何を平然とこれが将来世代のためだなんて言えるんですか」

「こんな年金の問題をそのままにしておいたら、それこそ将来不安をあおり、内需を冷え込ませ、消費を抑えていく。で、消費税を更に増税する。こんなことをやったら、日本の経済、大破綻になりますよ。私は、今必要なのは、税金の使い方、集め方を根本から切り替えて、大企業にもちゃんと物を言って、内部留保400兆円もあるんだから、しっかり負担をしてもらうべきじゃないですか。そして、株で大もうけをしている人たちには、所得1億円を超えるとどんどんどんどん所得税の負担が下がっていく、こんな逆転現象やめようじゃないですか。今回の金融庁のこの報告を機に私は真剣に考えるべきだと思いますよ」

○大企業・富裕層優遇の安倍政権

生活できる年金に底上げを


 実際の国会中継を観てみると、安倍首相が「馬鹿げたこと」と言っているのは、マクロ経済スライド*をやめることについてであり、ツイッター上にあげられた動画のこの部分については、実際のやり取りを歪めた恣意的な編集だと言えよう。ただ、小池議員の「富裕層や大企業にかける税率を上げて年金の財源とすべき」という主張に対し、安倍首相は以下のように反論している。

「ただいまの財源については、それは全く私は信憑性がはっきり言ってないと思いますね、全然、それは。日本の経済自体が相当のダメージを私ははっきり言って受けると思います。言わば、経済は成長どころかマイナス成長になるかもしれないし、それによって税収はこれは逆に減っていくだろうし、これ、収入が減れば保険料収入は減っていくことにつながっていくんだろうと思います」

 つまり、全体の文脈からすれば、ほぼツイッター上の動画の通りだとも言えるだろう。安倍首相は、大企業や富裕層への増税に対しては「日本の経済自体が相当のダメージを受ける」と否定的であるが、安倍政権が参院選後に行う消費税の税率引き上げは、GDPの6割を占める個人消費の落ちこみにつながり、日本経済に深刻な悪影響が及ぶと、多くのメディアや専門家から指摘されている。アベノミクスでの円安誘導の下、トヨタのように輸出の多い大企業は過去最高益を叩き出すものの、報道各社の世論調査では「景気の実感を感じない」との声が大多数、むしろ原材料費のコスト増などによる物価上昇の中で、実質賃金は低下し格差は拡大している。また、今回の金融庁ワークグループの報告書にも書かれているように、高齢者が年金だけでは生活できなくなること自体は、経産省の審議会など政府の他の報告からも明らかだ。安倍首相の姿勢が、「大企業・富裕層を優遇」「庶民に対しては冷淡」と受け取られているからこそ、小池議員とのやり取り動画に、注目が集まっているのだろう。

(了)

*マクロ経済スライド:
年金給付額の伸びを物価上昇率より0・9%分抑える仕組み。少子高齢化が進んでも年金財政を維持することが目的であるが、年金給付額は実質目減りする。

250. 中川隆[-9218] koaQ7Jey 2019年7月01日 08:22:29 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3343] 報告

2019年07月01日
コーヒー豆の価格 高級豆でも1杯2円しか農家に渡っていない

フェアトレードでもそうでなくても、一杯あたり2円しか農家に渡らないのは同じ


画像引用:http://www.kaanapalicoffeefarms.com/

コーヒーブームなのに農家は赤字

世界的なコーヒーブームによってコーヒーの需要が増加し、日本でのコーヒー消費量は増加している。

国内消費量は平成10年に35万トンだったのが、平成30年に45万トンに増加していました。

喫茶店では1杯400円のコーヒーが飛ぶように売れ、コンビニなどでは100円コーヒーが売られている。




ところで日本人が100円から500円で飲んでいるコーヒー代金のうち、生産者や労働者に渡っている金額は1%前後でしかない。

1杯のコーヒーを入れるには約10g必要だが、2018年にアラビカ豆は1ポンド(453g)1ドル以下で生産者から買い付けている。

このコーヒー豆10gを使って1杯400円のコーヒーを売ると、生産者が受け取るのは2.2円ほどになる。


コーヒー豆価格は2019年になってさらに下落し、世界の多くの農家はかけた費用以下の価格で販売している。

コロンビアの山岳地帯で栽培されている最高級の生豆は、1袋(12.5キロ)平均21ドル(約2300円)で買い取られている。

計算すると10gあたり1.84円という事で、例えばカフェで最高級の豆で淹れたコーヒーを注文しても、農家に支払われるのは2円以下です。


コーヒー農家の貧困は以前世界的な問題になり、解決策としてフェアトレードが広まりました。

国際フェアトレード認証ラベルというものが公正に取引された証として張られ、「フェアトレード認証製品」として販売されています。

ところがこのフェアトレード導入によって、コーヒー豆価格がさらに下落し、農家はさらなる貧困に貶められました。

フェアトレードなのに価格下落

フェアトレードなんだからコーヒー豆を高値で買うような気がしますが、事実はまったく逆でフェアトレードでさらに値下がりしました。

コーヒー豆は10g2円ほどに下落したのですが、フェアトレード導入前はその2倍はありました。

最低保証価格は1ポンド当たり140セントで有機認証だと170セントなのですが、これは10g4円以上になる筈です。


ところが実際にコロンビアなどでフェアトレード認証を受けた生豆が、10g2円以下で買い付けされ、日本やアメリカのカフェでは一杯400円で売られています。

こうした事実を見るとフェアトレードは現実の生産地では有名無実で、「フェアトレードしている」というアリバイ作りに利用されているようです。

コーヒー豆農家と日本のお茶農家を比較すると、コーヒー豆がいかに狂った市場なのかが分かります。


農水省などによると日本の茶農家の平均所得は1000万円ほどだが、家族数人でやっているので1人当たりの年収は日本の平均を下回っている。

これは問題だと農水省は言っているのだが、世界のコーヒー農家と比べると夢のような高収入です。

コーヒーと緑茶の栽培はどちらも難しく、豆と茶葉の価格もあまり変わらない。


スーパーで売られている茶葉は100g500円くらいで、コーヒー豆は200g500円くらいでしょう。

お茶一杯分の茶葉は約2g、コーヒー一杯分の豆は約10g、一杯分の小売り価格としては茶葉のほうが安いです。

にも拘わらず茶農家は一人年収数百万円、コーヒー農家は年収10万円程度だったりするのです。


違いは日本の茶葉は農協や農水省、あるいは販売業者が直接買い取っているが、コーヒーは世界的な農業メジャーが仲介している事です。

コロンビアのコーヒー豆農家を救えるのは、もしかしたら日本の農水省の役人かも知れません。
http://www.thutmosev.com/archives/80219759.html

251. 中川隆[-9231] koaQ7Jey 2019年7月01日 20:02:37 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3345] 報告

2019年07月01日
サムスンの実態 世界で人権無視の過酷労働、警察や政府と癒着
http://www.thutmosev.com/archives/80272167.html


ベトナム工場で過労死した女性をサムスンは、仕事との関係なしと切り捨てた

全世界の工場でこうした行為を行っている

画像引用:https://t1.daumcdn.net/news/201906/19/hani/20190619180608328remi.jpg


19世紀のような企業体質

サムスンは前政権との癒着や副社長逮捕のスキャンダル後、ますます政権との癒着を強めている。

文大統領は朴政権や李政権の腐敗を追及しているが、その実自分もサムスンと癒着している。

癒着と腐敗は海外にも及んでおり、インド政府を巻き込んでサムスン告発運動を潰しにかかった。




ハンギョレ新聞によると、インドの市民団体がサムスンの実態を暴いた調査報告書を書いたところ、様々な手段で妨害を受けた。

2016年8月13日にサムスン調査報告書をネット上で公表したところ、直後に警察官の訪問を受けた。

実は市民団体メンバーの一人が警察のスパイで、協力するふりをして密かに潜入捜査をしていたのだった。


2カ月後に最初の警察官がサムスン社員ともに団体を訪問し、団体の資料を押収し帰っていった。

ところがこの警察官は実は退職した元警官で身分証は偽物、サムスンがインド警察を詐称して市民団体の弾圧に利用していた。

サムスンは警察官を騙って団体メンバーの名簿を押収し、1人1人に電話を掛けたり訪問して圧力をかけた。


最初は元警察官を利用していたがやがて郡警察がサムスンに協力し、「本物の警察官」が団体を捜査し始めた。

警察は団体が何らかの犯罪や不正を行っていないか、目を皿のように探したが、結局何も見つからなかった。

ある市民団体メンバーには20分ごとに電話が掛かってきて、海外テロ組織の関係を強引に結び付けて身辺調査を行った。

サムスンの恥部と出自の秘密

これが21世紀の現代の「もっとも成功した韓国IT企業」の姿であり、民主主義や遵法精神などの基本的要素が欠けている。

サムスンは過去に他の企業から多くの技術を盗んだ疑惑があるが、こうしたスパイ活動や外国政府を巻き込んだ手法も用いている。

サムスンの海外工場では労働組合を一切認めていないが、各国には労働組合を妨害してはならないという法律もある。


そこでサムスンは様々な手段で労組結成を妨害し、結成した労働組合を破壊してきた。

サムスンという企業の始まりは日本軍や日本財閥が朝鮮半島に残してきた工業遺産で、米軍占領時に軍に協力して大儲けした。

韓国のすべての財閥はこのように始まっていて、元をたどると例外なく旧日本軍と日本遺産にたどり着く。


民主的なセンスはひとかけらもないし、彼らが最も憎んでいる日本人が作った企業です。

2012年にインドネシアは世界で初めてサムスン工場の労組を結成したが、脅迫・暴行・買収・分裂工作・雇われ暴力団の暴行などで40日間で解体に追い込まれた(ハンギョレ新聞より)

インドネシアでは違法な事でも、インドと同じく警察や政府と癒着してどんな事でも合法にしていった。


仕事中に呼び出されて監禁され質問攻めにされたり、組合幹部にはひとりずつに監視員をつけ、ずっと監視した。

仕事が終わって工場から出ても尾行がついてきて、家の周囲にも監視役が居たという。

さらに通勤に使うバイクなどを傷つけたり、サムスンが雇ったと思われる暴力団の襲撃を受けた幹部もいた。


このようにサムスンは違法行為でも相手政府を抱きこんで合法にしてしまい、今も労働組合は存在していない。

「世界最強のIT企業」の実態はこうであり、効率や生産性の高さ、先進性や独創性で成功したのではない。

現在サムスンはベトナムに工場を移転しているが、ベトナムでも同様の悪事を繰り返している。


ベトナムの賃金は中国沿岸の5分の1、韓国の10分の1なので低賃金を目当てに工場を建設している。

サムスンがベトナム人に期待するのは低賃金長時間労働なので、過労死が続出している。

工場で事故や過労死が続発し、不満を訴える労働者はごろつきに襲撃させたり警察を抱き込んで潰しにかかっている。

(参考資料、ハンギョレ新聞『グローバル・サムスン持続不可能報告書』など)
http://www.thutmosev.com/archives/80272167.html

252. 中川隆[-9169] koaQ7Jey 2019年7月09日 07:23:33 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3513] 報告
2019年07月09日
世帯平均所得551万円の実態は、1人250万円の2世代労働だった

実際に多いのは100万円から399万円の所得層だった


画像引用:平成30年国民生活基礎調査(平成28年)の結果からグラフでみる世帯の状況https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/20-21-h28.pdf

もっとも高収入なのは3世代同居

日本政府の統計と現実が食い違っていることが多く、特に収入や貯蓄に関する調査では違いが大きい。

19年7月に厚生労働省が公表した国民生活基礎調査では、平均世帯所得551万となりニュースでも報道された。

日本中のすべての家庭の平均収入が551万円かといえば、これはそういう意味ではない。


世界的にも日本でも数%の富裕層が富の多くを持っているので、平均が釣り上げられてしまう現象が起きている。

より実態に近い数字は中央値で423万円、5099万世帯のうち所得が中間の世帯の所得を表しています。

だが前年度版(平成28)のグラフを見ると最も多いのは「所得100万円から399万円」の世帯でした。


100万円から199万円、200万円から299万円、300万円から399万円のそれぞれ13%台で、この階層が最も多かった。

中央値の400万円から499万円は10%、平均値の500万円から599万円は8%台に過ぎなかった。

平均層を超える600万円以上の世帯は34%で、1000万円以上世帯は11.7%、2000万円以上は1.3%だった。


こうして見ると100万円から399万円が40%、500万円から999万円が31%、1000万円以上が約10%、2000万円以上が約1%という階層になっている。

世帯人員1人当たり平均所得は212万円で、平均所得や中央値の半分にも満たない。(平成28年度調査より)


これは所得が多い世帯は一人が高収入なのではなく、単純に働いている人数が多いのを表している。


世帯人数が多いほど世帯所得も増える事からは、1人が高収入なのではなく

家族の働き手が多い世帯が高収入になっている


タイトルなしf
画像引用:平成30年国民生活基礎調査(平成28年)の結果からグラフでみる世帯の状況https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/20-21-h28.pdf


年収500万円未満の世帯は子供が少ない

父母と息子と祖母の4人が年収250万円でも、世帯全体としては1000万円の高収入世帯になっている。

単身者の平均所得は255万円、夫婦は499万円、夫婦と子供世帯は731万円、3世代は877万円と家族の中で労働者が増えるほど世帯収入も増えている。

こうした数字からはもう父親一人の収入では家族を養うことが出来ず、家族全員の収入で生活している。


児童のいる世帯の平均所得金額は707万円とかなり高く、逆にいえば年収499万円以下の世帯は子供を諦めている。

直接には収入が理由ではなくても、統計からは年収499万円以下の夫婦は子供をつくっていない。

父親一人の収入で年収600万円以上はハードルが高く、夫婦でやっとクリアできるかという水準です。


どうして子供を作るのに年収600万円必要かは、住宅と借金が大きく関係しています。

公団住宅で子供6人育てる夫婦は今は少なく、まず家を建ててから子供を作る順番になります。

家を建てた段階で平均3000万円以上の負債を抱え、年収600万円以下だと負債が重くなってしまうのです。


家を建ててローンを返済するのに30年かかってしまい、やっと子供の養育費用を出せるころには60代になっています。

住宅に5000万円、子供を一人大学まで入れると3000万円、有名大学に入れるには(天才でない限り)6000万円かかるそうです。

夫婦500万円以下の収入で子供をつくると、マイホームと大学進学のどちらかは諦める必要があります。


このように高収入世帯は家を建てて子供をつくり、中間層は子供2人の大学進学は困難で、399万円以下の層は子供を諦めている。


日本はこうした3段階プラス富裕層、そして所得100万円以下の5段階くらいの階層社会になっています。
http://www.thutmosev.com/archives/80336426.html

253. 中川隆[-9123] koaQ7Jey 2019年7月12日 05:51:27 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3565] 報告
企業を儲けさせて賃金を減らしたアベノミクス、国民重視に転換しないと日本は衰退する=斎藤満 2019年7月11日
https://www.mag2.com/p/money/723021


選挙戦が始まっています。政府はそろそろアベノミクスの失敗を認め、発想の転換をすべき時期でしょう。企業を儲けさせても家計は潤わず、経済が停滞します。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

トランプは企業よりも国民の利益重視。日本は発想の転換が必要だ

企業ばかりを優遇しすぎたアベノミクスの失敗

参議院選挙で各党が政策論議を展開しています。

その中で自民党は、あえて「政治の安定」を訴えて戦っています。アベノミクスを前面に出して戦えなくなったためです。

今やアベノミクスの失敗は多くの認めるところとなりました。財政金融政策を総動員しながら、平均成長率は実質で1%に留まり、「悪夢」の民主党政権(安倍総理の発言)時の平均をも下回りました。


失敗の本質は資源・所得の配分がバランスを失するほど法人に傾斜したことで、企業は最高益を更新し、家計が所得や資産の圧迫を余儀なくされ、消費が長期停滞しました。

足して「チャラ」ならまだしも、儲かった企業が利益を家計に還元せず、投資に十分回さず、内部留保という貯蓄を大きく増やしたために、全体が需要不足となり、成長が抑制されてしまいました。

企業を儲けさせれば、いずれ労働者、家計にもおこぼれが回るという「トリクル・ダウン」に期待し、そのために家計には厳しく、企業にやさしい政策を集中しました。

企業を肥やしても、家計は豊かにならない

財政では家計に消費税増税、社会保険料引き上げ、ゼロ金利で金利収入を奪い、円安でコスト高とし、年金にはマクロ・スライドで実質減額を図りました。

これでは消費が増えるはずがありません。

一方、企業には法人税減税を行い、非正規雇用促進で企業の社会保険料負担を軽減し、円安で輸出利益を拡大し、ゼロ金利で金利コストを抑制。安倍政権になって企業の経常利益は60%も拡大し、株価は一時約3倍に上昇しました。

しかし、企業はその利益を投資に十分回さず、人件費で労働者に還元せず、ひたすら利益準備金という「内部留保」に積み上げました。

財務省の「法人企業統計」によると、企業の「内部留保」は2013年1-3月期の285兆円から今年1-3月期には467兆円に、6年間で182兆円も増えています。

これは企業の「貯蓄」にあたり、このうち50兆円でも設備投資やせめて賃金に回していれば、年間500兆円余りのGDPは10%近く拡大していたことになります。

個人を犠牲に企業を儲けさせた結果が、企業の貯蓄増で低成長をもたらしたのです。

企業が儲けた資金を国内投資に回さない理由の1つに、国内市場が右肩下がりだから、というのがあります。

人口が減少期に入ったこともありますが、個人消費が長期的に停滞しているためでもあり、これはアベノミクスの結果でもあります。


自分で自分の首を絞めています。この点は十分な反省が必要になります。

トランプは企業より米国民の利益重視

日本に比べて経済が好調な米国では、トランプ大統領が米国民に目を向けた政策を進めています。

減税は個人だけでなく企業にも行いましたが、それが賃金に回るよう仕向け、現に法人減税の後、年明けには個人の賃金が増え、消費を刺激しました。

また、国内の生産、雇用を増やすために、コストの安いメキシコや中国に進出するグローバル企業を米国に戻すため、関税を掛けました。

中国やメキシコで作った自動車などを米国に輸出すれば25%の関税を掛けると脅し、米国回帰を図りました。

米国第一主義は、企業でなく米国民が対象になっている点で、アベノミクスとは本質的な違いがあります。関税が国民生活を圧迫するなら、必需品を外したり、税率を抑えたり、国民の利益に配慮もしています。

日本も発想の転換が必要

米国に倣う必要はありませんが、日本でもアベノミクスの失敗に鑑み、思い切った発想の転換が必要かもしれません。


少なくとも失敗の原因となっている企業優位の資源配分は停止したほうが良いでしょう。

まず税制ですが、法人税減税、消費増税は止め、少なくとも消費増税は中止し、不足分は米国に倣って「富裕税」を採用するか、社会保険も含めた累進課税も一考です。

マイナス金利による円安も、家計の犠牲が大きく、円安低金利で設けた企業が家計の損をカバーできていません。それならば初めから金利を上げて円高にし、財政を使わなくても消費者の購買力を高めることです。

今、1,800兆円の家計金融資産からはほとんど利息収入が入りませんが、かつては年間30兆円から50兆円の利息収入、財産所得が入り、家計の所得を補填していました。

個人減税をしなくても、金利を1%にすれば、それだけで年間10兆円の利息収入が入り、減税や年金の補填になります。

これで円高になれば、ガソリンや輸入食材のコストが下がり、これも減税効果になります。日銀はこれまで円高を恐れて金融緩和を止められなかったのですが、円高をむしろ利用するとすれば、この縛りからも解放されます。

金利をマイナスにするほど下げても借り入れ需要は高まらず、むしろ銀行が利ザヤをとれなくなって貸出が増えなければ意味がありません。

円安に拘っても米国から睨まれれば、これも続けられなくなります。金利を上げることで銀行が信用創造に積極的になれば、むしろ金融緩和効果をもたらします。


これらの恩恵にあずかれない、つまり金融資産を持たない層や若い世代には、教育補助、ポイント還元、所得還元などでカバーすることも可能です。家計全体に減税をするよりはコストが軽く済みます。

企業が儲けても個人は潤わない

また日本でも富裕層が一般サラリーマンより低い税率となっている面もあり、ソロスやバフェット氏の提唱する富裕者負担を考えても良いと思います。

さらに政府は非正規雇用化を促し、企業の社会保険負担を軽減したことが、非正規雇用の無年金世帯化、年金制度の維持に不安をもたらしています。

年金保険料を皆が負担し、将来の無年金者を出さないためにも、企業には社会保険負担を非正規も含めて広く負担させるようにすべきでしょう。

企業に負担をかけると海外に逃げるとの指摘がありますが、目先の利益しか考えない志の低い企業が流出しても困りません。

税金逃れのタックス・ヘイブン利用が難しくなり、トランプ流の政策で海外生産のメリットが減じ、コスト逃れの海外脱出は、企業のイメージダウンになります。また、均質で安全かつ規模の大きな日本市場のメリットを考えれば、安易な海外脱出は考えにくくなります。

日本では6年間にわたって企業をまず儲けさせ、トリクル・ダウンで家計にも前向きな循環が働くとの想定が失敗に終わりました。


6年間で実質賃金は3.5%も減少

昨年までの6年間で実質賃金は3.5%も減少し、今年になっても減少が続いています。

それなら逆にまず家計を豊かにし、消費需要を拡大させることで、国内市場に前向きな循環が働く可能性に賭けてみるのも一案です。実際、米国はこの発想です。

利上げ、円高による景気対策というのも斬新です。それだけマイナス金利などのやりすぎがかえって金融機能を抑圧していたわけで、利上げでこれから解放されるからです。

野党の中には、家計に目を向けた政策を訴えるところが出てきました。参院選をきっかけに、活発な政策論議に期待したいと思います。
https://www.mag2.com/p/money/723021

254. 中川隆[-8991] koaQ7Jey 2019年7月19日 06:36:27 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3710] 報告
元国税が断言。法人税を上げても大企業が日本から去らない理由
https://www.mag2.com/p/news/406368

2019.07.18 大村大次郎『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』 まぐまぐニュース


先日掲載の「元国税調査官が暴露。『日本の法人税は世界的に高額』という大嘘」で、政府が国内大企業に対して「大優遇」とも言うべき税制を適用していることを白日の下に晒した、元国税調査官で作家の大村大次郎さん。今回は「法人税の実質アップは大企業の海外流出を呼ぶ」というもっともらしい意見を、自身のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で完全論破しています。


プロフィール:大村大次郎(おおむら・おおじろう)
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。


法人税を上げても大企業が海外移転することはない

このメルマガでは、バブル崩壊以降、ずっと大企業や富裕層の税金が減税されてきたことをご紹介してきました。また前号「元国税調査官が暴露。『日本の法人税は世界的に高額』という大嘘」では、日本の大企業の法人税の名目の税率は高いけれども、いろんな抜け穴があるので、実質的な税率は非常に低く、先進国ではあり得ないレベル、タックスヘイブンとあまり変わらないレベルということもご説明しました。そして、当然のことながら、増税するとすれば消費税ではなく、法人税であり、しかも法人税の名目税率をあげなくても、抜け穴を防ぐだけでもかなりの増収が見込めるのです。

が、こうような話をすると、決まってこういう反論をする人がでてくるはずです。

「そんなことをすれば、企業が海外に出て行ってしまう」

これを言われれば、ほとんどの人は黙ってしまうようです。しかし、法人税を増税すれば企業が海外に出ていく、というのは、まったく根拠のないデタラメの話です。というのも、これは少しでも会計の知識があれば、誰でもわかる話です。実は法人税(住民税も含む)というのは、企業の支出の中で、わずか1%にも満たないのです。

日本の企業全体の会計というのは、次のようになっています。日本企業全体で、年間売上高はだいたい1,500兆円前後です。そして、その90%以上、1,400兆円以上が経費などで支出されています。一方、法人税というのは、年間10数兆円に過ぎません。企業の支出全体から見れば、1%程度なのです。しかも法人税というのは、利益が出ている企業にしかかかりません。つまり、法人税というのは、利益が出ている企業に対して、支出のせいぜい1%を徴収するというものであり、企業経営を圧迫しているようなことはまったくあり得ないのです。もし法人税が今の倍になったとしても、せいぜい支出が1%増えるに過ぎないのです。

その一方で「海外に進出するということ」は、非常に大きなリスクを伴います。新たに莫大な投資をしなければなりませんし、一から人材発掘や教育もしなければなりません。相手国の国情などにも大きな影響を受けます。また相手国と日本との関係が悪くなれば、企業活動自体ができなくなってしまいます。実際に、中国などでは、反日感情が高まったときなどには、多くの日系企業が休業を余儀なくされた時期もあります。1%程度の経費が増えるからといって、そういう危険な海外進出をするようなバカな企業はありません。

企業が海外移転する理由は「諸経費の安さ」

今、日本の企業が東南アジアなどに進出しているのは、土地代や材料費(物価)、人件費が安いからです。地代、材料費(物価)、人件費は、企業の経費の中で大きな部分を占めています。税金の何十倍も占めるのです。企業は、そういう地代、材料費、人件費の安さを求めて海外に拠点を移すのです。「税金が安いから東南アジアに工場を移した」などという企業は、聞いたことがないはずです。税負担が高いからといって日本の企業の本社が外国に移ることは、まずないのです。

ヘッジファンドなど世界のどこにいてもやっていけるような企業体は、税金の安いタックスヘイブンに移転するというようなこともあります。また日本の大手企業グループが持ち株会社を、オランダなどの準タックスヘイブンに移すことは時々あります。が、持ち株会社を外国に移しても、企業活動の主体は日本にあるわけで、日本の法人税はしっかり課せられています。

日本の企業のほとんどは日本に基盤があり、日本の文化を持っています。日本の企業文化というのは独特のものがあり、外国に出て行って、そうそうやれるものではありません。また日本の企業のほとんどは、企業の中枢部分の技術やノウハウなどは、日本人スタッフによるものです。日本人がいないと成り立たない企業がほとんどなのです。

今の日本の大企業たちも、海外に移せる部分はすでに移しています。それほど精密でない製品の工場などは、とっくに海外に移転しているのです。しかし、日本経済の中枢を担っている大手企業が、税金が安いという程度の理由で、企業活動の主要部分を海外に移転することなどは、現実的に出来ないのです。

実際に、今よりはるかに法人税が高かったバブル以前は、今よりもはるかに企業の海外進出は少なかったのです。当時は、まだ東南アジアなどが開発されておらず、企業が海外に出ていく環境が整っていなかったからです。

財界人たちは自分たちの利益しか考えていない

だから、昨今、財界人たちが「法人税を上げると海外に出ていくぞ」などと言うのは、単なる脅しに過ぎません。財界人たちが、なぜ執拗に法人税の引き下げを要求するのかというと、それは株主の利益になるからです。

法人税というのは、企業の利益に課されます。企業の利益というのは、株主の物ですから、法人税が減らされれば、それだけ株主の持ち分が増えるということです。そして、財界人のほとんどは、自社の大株主でもありますので、法人税を下げれば、自分自身の実入りが増えるわけです。

つまりは、財界人たちは日本経済のために法人税を下げろと言っているわけではなく、自分たちの実入りを増やすために言っているのです。(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』より一部抜粋)

255. 中川隆[-8932] koaQ7Jey 2019年8月02日 07:47:01 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3796] 報告

2019年08月02日
小さな政府が国民を貧乏にするメカニズム

規制緩和したら金持ちは超金持ちに、中間層は貧困層になった


画像引用:https://d2dcan0armyq93.cloudfront.net/photo/odai/400/9ab9db061b606f2abedb744384ea2d94_400.jpg

小さな政府のペテン

日米ではそれぞれ、小さな政府論が国民から圧倒的な支持を受け実行されたが。惨憺たる結果に終わった。

アメリカではレーガン大統領、日本では小泉首相が小さな政府を提唱し、多くの人が賛成して実施した。

政府を小さくすればコスト削減になり、少ない税金で大きなサービスを受けれるという一見正しそうな主張でした。



マクドナルドなどファーストフードチェーンでは、徹底的にコストカットし、低価格で良い商品を提供している。

小泉首相や竹中大臣の主張もこれとまったく同じで、中間コストをカットすれば税金を少なくし手厚い福祉が可能な筈でした。

それから15年が経った現在、両氏の政策失敗は明らかで、税金は重くなり福祉は軽くなり、ブラック労働が蔓延しています。


小さな政府論の中核は規制撤廃で、小泉首相やビルクリントンは規制をなくせばすべての人が幸福になれると言っていました。

だが日本ではあらゆる産業の規制が撤廃や緩和された結果、デフレが発生し毎年給料が下がり労働者は奴隷のような身分に貶められた。

有名企業の社長が従業員に「しぬまで働け」「働けるのを感謝しろ」と言っていたのが、この時代を象徴していました。


国民全員がしぬまで働いて過労死が続出し、それでも食べていけずに路上生活者が溢れました。

より正確にいえばこの時代に富裕層が激増し、100人に1人以上が富裕層になったかわりに、中間層がなくなり貧困層が激増しました。

政府という「中間コスト」を減らしたのに、どうしてマクドナルドのように復活しなかったのでしょうか?

政府はマクドナルドではなかった

まず規制を緩和すればするほど日本人の給料が下がりましたが、これはタクシーとトラック業界の例で簡単に説明できます。

1990年代以前の日本ではタクシー・トラック業界とも台数制限があり、過当競争を防いでいました。

100台の仕事がある地域には100台の導入しか許されなかったので、価格競争はなく消費者は高い料金を取られていました。


橋本首相の頃に台数制限が緩和され、100台分の仕事しかないのに200台や300台が導入され激しい競争を始めました。

同業他社が増車したら自分も増車しないと客を奪われるので、同じ地域で一斉に車両数と運転手数を増やしました。

だが仕事は昔と同じ100台分しかないので、当然運転手一人当たりの給料は半分になりました。


あらゆる産業で規制緩和した結果、あらゆる産業でデフレスパイラルに陥って、あらゆる労働者の給料は半減しました。

規制緩和の結果、残業代を払わずに倒れるまで何日も連続で働かせるのが合法になり、死者が続出しました。

「規制を緩和する」とは商品やサービスの価格が下がることで、規制を緩和して値段が上がったらみんな怒ります。


日本は90年代からデフレだったのに、物の価格を下げる規制緩和をやってしまったのが「小泉、竹中」でした。

労働者の収入が激減した一方で株価が上がって資産価値が増大し、富裕層が激増したのもこの時代でした。


結局規制緩和とはデフレを悪化させて中産階級を貧困者にし、富裕層を超富裕層にしただけでした。

むろんこれを実行した政治家たちは超富裕層になり、イケメンの息子は相続税すら払っていません。

なお景気が良すぎてインフレの国では、規制緩和で物価を下げると経済が良くなる事がありますが、日本には関係ありません。
http://www.thutmosev.com/archives/80563494.html

256. 中川隆[-8931] koaQ7Jey 2019年8月02日 07:58:16 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3797] 報告
チャンネル桜関係者は全員で必死の山本太郎叩きを始めましたね。

山本太郎=ヒトラー、斎藤まさし =ゲッペルス

なんだそうです:

「れいわ新選組」、躍進の影に危険で孤独な日本 [R1-7-31] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=UjmK6LjkQx8

キャスター:水島総・水野久美



▲△▽▼


【Front Japan 桜】高橋洋一〜「れいわ新選組」・「MMT」[桜R1-8-1] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=LM5UXZQ_wfE

キャスター:水島総・清水有子
ゲスト:高橋洋一(嘉悦大学教授・「政策工房」会長)


▲△▽▼


【討論】参議院選挙後の日本の近未来[桜R1-7-27] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=e_mGl6vQV6Q


◆参議院選挙後の日本の近未来

パネリスト:
 安藤裕(内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官・衆議院議員)
 佐々木類(産経新聞論説副委員長)
 石平(評論家)
 長尾たかし(内閣府大臣政務官・衆議院議員)
 西岡力(「救う会」全国協議会会長・モラロジー研究所歴史研究室室長)
 浜崎洋介(文芸批評家)
 宮崎正弘(作家・評論家)
司会:水島総


▲△▽▼

馬渕睦夫

山本太郎は反グローバリストを装った極左の隠れグローバリスト

選挙公約は既存の体制を破壊する事だけで、その後の事は何も考えていない

一般大衆が喜ぶ事ばかり言って、権力を得たら180度政策を変えて独裁者になる
過去何度も繰り返されてきた典型的パターン

【Front Japan 桜】馬渕睦夫〜参院選の影に Deep State 在り [桜R1-7-25] - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=7EfwUGSZFKs

■ 参議院選挙の影にディープステート在り (1:32 より)
 ゲスト:馬渕睦夫(元駐ウクライナ兼モルドバ大使)


▲△▽▼


れいわ新撰組の選挙参謀は森大志、斎藤まさし。

森氏の父親は連合赤軍派最高幹部田宮高麿。
母親は森順子、ヨーロッパで有本恵子さんら3人を拉致し北へ連れて行った主犯。

森氏は北で生まれ、「日本革命村」でスパイ教育を受けた。

斎藤まさしは菅直人らと活動。大虐殺したポルポト崇拝者。ヤバいだろ?

2019/07/24
https://tr.twipple.jp/t/7d/1153760807710126080.html

山本太郎 斎藤まさし - YouTube動画
https://www.youtube.com/results?search_query=%E5%B1%B1%E6%9C%AC%E5%A4%AA%E9%83%8E++%E6%96%8E%E8%97%A4%E3%81%BE%E3%81%95%E3%81%97&sp=mAEB


▲△▽▼

斉藤まさし(2018、8最高裁にて公職選挙法違反で有罪)が街宣に現れた!
やはり山本太郎は操り人形だったのね。
http://houdoumimamoru.cocolog-nifty.com/blog/2019/07/post-b6ae9e.html


山本太郎の選挙を指揮していると言われてる斉藤まさしが新宿西口で行われた「山本太郎の街頭演説」の場に現れた。

http://go2senkyo.com/articles/2019/07/14/42583.html

斉藤まさしは静岡市長選挙で公職選挙法違反で有罪が確定した人物だが、、、

内容

2015年4月の静岡市長選挙で「市長選 出馬」と大きく印刷された高田とも子氏のビラを選挙期間前に大量に街中で配っているのだ。
その時は警察から警告を受け、新しく作り直したビラを街頭で配った。

ここまでは、警察の警告に従い、「選挙違反に気がつきませんでした〜。2度と間違いをおこしませ〜ん」という事で良かったのだが、

なんと、この陣営は、その警告を受けた「市長選 出馬 高田とも子」というビラを各戸に配ったのだ。
そして、その事前の選挙運動を広告会社に540万円支払う事を約束していた。

(斉藤まさしこと酒井剛)

2015年4月の静岡市長選を巡る選挙違反事件で公職選挙法違反(利害誘導、事前運動)の罪に問われた選挙アドバイザー、酒井剛被告(67)を懲役2年執行猶予5年とした一、二審判決が確定する。最高裁第二小法廷(三浦守裁判長)が24日付の決定で、被告側の上告を棄却した。

このように、選挙アドバイザーとも思えるような仕事をしている人なのか、と思いきや、、そんなもんじゃ無い!

斉藤まさし(こと酒井剛)の事をよく調べている資料をご覧ください。

(2010、10月 月刊正論)


民主党からの巨額献金や、日本人拉致実行犯の息子の選挙擁立で注目される「市民の党」。その代表が、自ら語った恐るべき活動歴と思想

ジャーナリスト・野村旗守(のむらはたる)


■謎の政治献金

民主党からの巨額献金問題で一躍注目を浴びた市民の党代表の斎藤まさし(本名=酒井剛)。極左過激派の活動出身で、かつて日本社会党からはじまって左派小政党を渡り歩いたスター政治家・田英夫(09年、死去)の娘婿(2000年に離婚)でもあった。


国政選挙や地方選挙で数々の無所属候補を応援して当選させ、「市民派選挙の神様」と呼ばれたこともある。最近の国政では民主党に肩入れし、資金面ばかりか政策面でも大きな影響を及ぼしているようだ。元義父の田英夫の紹介ではじまったという菅直人首相との交友は、30年以上に及ぶという。


その菅首相の政治資金管理団体(草志会)からの6,250万円を筆頭に、民主党から市民の党とその関連団体に計1億円近くにものぼる資金が流れていたことが産経新聞の報道で明るみに出た。逆に市民の党所属の地方議員らからも、政権与党と議員の関係団体などの計1,700万円近い献金がおこなわれている。いったい何のための巨額の資金移動だったのか?


8月9日の衆院法務委員会で江田五月法相らに詰め寄った自民党の平沢勝栄は、一連のカネの流れをこう見る。


「菅首相からの献金は07年に5,000万円、08年に1,000万円、09年に250万円。以降はない。ということは、09年の総選挙に備えて民主党の選挙資金をプールしていたのではないか。両者間のカネの動きに関しては不可解なことだらけで状況的にはっ黒だが、現時点では違法性がないので調べようがない。内部告発が出ない限り真実が明るみに出ることはないだろう。」


民主党にとって、かつてない重要な選挙であった09年の政権交代選挙を睨んで資金を蓄えていたという仮説は確かにありそうだが、「プールしていた」というより、事前の根回しに使っていたのではないかと、別の政府関係者は話す。


「本当に選挙に強い政治家は、選挙期間よりも事前の瀬踏み(準備)行為にカネと労力をかける。選挙のプロである斉藤がそのことを知らないはずはない。首相経由の資金のうち大部分が総選挙の2年前に渡っていたのはそのためだろう。」
 

しかし、民主党の政策策定過程に異議を訴え、除名処分を受けた土屋敬之東京都議(現創新党)は選挙資金説に疑問符をつける。


「いざ選挙となれば、民主党には労組経由で幾らでも資金が集まる。選挙資金というより、斎藤と思想的に共鳴する菅が公然と市民の党に資金を横流しするための既成事実をつくろうとしていたのではないか。」


あるいはまた、「民主党と市民の党のあいだで寄付をしあって所得隠しをしていたのではないか」


というマネーロンダリング説を唱えた自民党関係者もいたが、真相はまだ藪の中だ。いったい、なぜこんな不可解な資金移動が繰り返されたのか-。今後の検証に備え、この市民の党という不可思議な政治組織を率いる斎藤まさしなる人物の来歴を追ってみよう。


■極左機関紙に登場

斎藤まさしは1951年、島根県邇摩郡五十猛村(現大田市)に生まれる。70年に上京して、上智大学外国語学部ロシア語学科に入学。「毛沢東が大好きだった」という斎藤は、翌年には学生訪中団に参加。帰国後、学費値上げに抗議し、デモを起こして逮捕されている。


これによって大学を除籍処分となった斎藤は74年、党派に属さない全国の学生活動家に呼びかけて日本学生戦線(日学戦)というノンセクト組織を結成する。そして、田英夫の娘と結婚するのはその後の77年だ。「田英夫さんの紹介で」と本人が語っていところを見ると、菅直人との接点が出て来たのは、おそらく77年から79年のあいだだろう。


同時期、弁理士として独立する傍ら市民運動を続けていた菅直人はみずから結成した「あきらめないで参加民主主義をみざす市民の会」を率いて、落選中の市川房枝を参院選に担ぎ出す。「市川房枝さんを勝手に推薦する会」との名称で、選対事務所の代表となった。その後いわゆる「勝手連」選挙のはしりのひとつとなった。


やがて菅直人は中央政界進出を目指して76年の衆院選(無所属)、77年の参院選(社会市民連合)、79年の衆院選(社会民主連合)と出馬するが立て続けに落選。80年の衆院選で再び社民連から出てようやく初当選を勝ち取った。


では、現首相と最初に接点をもったこの当時の斎藤まさしはいったい何をしていたのか?


03年10月27日号の『AERA』(「現代の肖像」)によると、「アルバイトをしながら、ベトナム反戦運動、狭山裁判闘争、カンボジア難民救済、北方領土返還などの市民運動に関わった」とある。しかし、それは表面上の活動に過ぎなかったようだ。実践社という左翼系出版社が発行する『理戦』という季刊誌がある。実践社の社長は今年5月に逝去した荒岱介。彼は新左翼の世界では知らぬ者のないほどの有名人だった。


60〜70年代に隆盛を極めた新左翼運動の二大潮流が革共同(革命的共産主義者同盟=中核、核マルなど)と共産同(共産主義者同盟=ブント)だが、荒はそのブントの名前を継承した共産同戦旗派のリーダーだった。共産同から別れた他の諸派のなかには、アラブにとんだ日本赤軍や、あさま山荘で集団リンチ殺人事件を起こした連合赤軍、北朝鮮に逃げたよど号ハイジャック犯グループなどもある。


『理戦』はもともと共産同の学生組織だった社会主義学生同盟(社学同)の機関誌で、60年安保に先駆けて発行された『理論戦線』を継承する伝統ある左翼雑誌だが、04年、この『理戦』(秋号)誌上で、往年の新左翼のカリスマ・荒岱介と斎藤まさしが対談をおこなっている。日頃は、”革命的警戒心”の強い彼らだが、仲間意識というのはやはり舌のすべりを滑らかにするものらしい。市民の党に関してはネット上にホームページも持たない謎の政党とされ、代表の斎藤まさしも選挙ボランティアとしてしか知られてなかったが、この人物が実は極左も驚く並外れた革命思想の持ち主であることが、自身の口から赤裸々に語られているのだ。


70年代後半、ベトナム反戦運動などの市民活動の裏で斎藤は何を考え、何をやっていたのか?


「30年間革命一筋」

荒 イデオロギー的にはどんな傾向だったんですか。中共派系だったとも聞いていますが。
斎藤 僕は毛沢東が大好きだったけれど、日学戦はそうじゃない人の方が多数はだった。
荒 日学戦を通じて中国共産党のような「党」を作るつもりだったのですか。(略)
斎藤 実はね、今から思うとマンガだけど、完全な地下組織を作っていたのです。
荒 日学戦の中に?
斎藤 いや、学生だけじゃない。労働者のなかにも。
荒 何という組織だったのですか。
斎藤 革命を目指す「同盟」というだけで、名前もない》


名前もない地下組織をつくるとはまさにプロの革命化の所業であるが、その当時はまだ極左の活動も隆盛であり、公安警察の人員も多かった。77年の狭山闘争で大規模な抗議集会とデモ行進がおこなわれた際、斎藤は参加者中ただ一人逮捕されている。「デモ隊を指揮して石を投げた」というのが表向きの理由だが、実際には斎藤がつくっていた地下組織の実態を調べるのが本当の理由であったと思われる。


このとき全国30ヵ所にガサ(家宅捜索)が入ったが、結局斎藤に実刑が下ることはなかった。斎藤によれば、この時「地下組織」が何をしていたかといえば、「マルクス・レーニン主義と毛沢東思想に立脚した新左翼セクト」(公安筋)立志社の立ち上げと、新聞(『アカハタ』から後に『新生』に改称)を出す準備をしていたという。

荒 『アカハタ』と『新生』の発行元はどこだったのですか?
斎藤 発行元は立志社です。
荒 立志社?じゃあ今も変わってないじゃないですか?
斎藤 変わってないですよ。僕は全然転向していないですから(笑)。環境主義にも
なっていないし、いまだに革命一筋です。
荒 そういわれるとなんだか困るなー


と、ここで斎藤はソ連崩壊以降、革命路線を棄てて環境派に転じた荒を皮肉っている。荒としては「痛いところを突かれた」といったところだろうが、驚くべきはこの後のやり取りだ。

荒 毛沢東思想、マルクス・レーニン主義で革命をやろうと思っていた?
斎藤 今もそう思っています。
荒 エッ!今も?(略)
斎藤 そうです。でもぼくは、荒さんたちの言葉でいえば「スターリン主義」、いわゆるソ連型の社会主義というのは最初から信じていない。スターリン主義党のような党組織ではダメだと思ってきたわけです。
荒 毛沢東が好きで、共産党や革共同とは違う、もっと大衆路線の革命思想をやろう
としてきたということですか。
斎藤 そう、革命一筋。この30年間、他に何も考えたことはない。》


荒岱介といえば、早稲田の学生時代からの活動家であり、第一次・第二次羽田闘争、王子野戦病院設置阻止闘争、佐世保エンタープライズ入港反対闘争、三里塚闘争、東大安田行動事件などでも勇名を馳せた過激派闘士である。71年には戦旗派のリーダーとして分派闘争(内ゲバ)の標的となり、頭部に重傷を負ったこともあった。斎藤は、その元極左武闘派閥士が「エッ!今も?」と仰天するほどの堅牢な革命思想の持ち主なのである。


■フィリピン革命を「総力をあげて支援」

そしてその後の80年代、「日本はまだ革命情勢にない」と見た斎藤は、東南アジアに革命の根拠地を求める。


83年、自民族大虐殺の狂気を招いたカンボジアのクメール・ルージュ武闘派勢力(ポル・ポト派)の幹部が市民の党の機関紙『新生』に親密なメッセージを寄せていた事実はすでに産経新聞の報道で明らかになっているが、じつは80年代、斎藤まさしがもっとも力を入れていたのはフィリピンのマルコス独裁体制打倒、いわゆるフィリピン人民革命の支援であったという。荒との対談のなかで、「もう時効だからこの話しちゃうけど」と言いながら斎藤は「僕は、86年マルコスが追い出されたとき、マラカニアン宮殿に殺到したデモ隊の中にいたんです」と告白しているのだ。

斎藤 (前略)具体的にいうと1980年から86年の間、僕は1年の半分以上はフィリピンにいて、地下のCPP・NPA(フィリピン共産党・新人民軍)勢力と合法野党勢力、それからその他の反マルコス勢力をどうやって繋ぐかと、奔走していました


7年間ものあいだ、1年の半分以上も日本を空け、フィリピン革命のためにかけずり回っていたというのだ。しかも斎藤自身の弁によれば、その功績は並大抵のものではなかったようだ。


斎藤 統一戦線の発展で、ぼくの言うことは割合影響力があった。実際、予想外に早くマルコス政権は倒れたし、アジア最大の米軍基地もなくなった。(略)戒厳令下でデモひとつできなかった1980年から、アキノ暗殺を経て86年のマルコス打破ー米軍基地撤去に至るまでの急激な革命情勢の発展の渦中に、直接参加していました。その中で感じだことは、長年の社会の矛盾と人民の長期にわたる苦闘が、ひとつの事件を契機に予想を超えて一気に爆発的に革命的高揚に発展するという「革命の現実性」と、一方での党の役割の決定的重要性とその責任の重さでした。

荒 「同盟」はどうかかわっていたのですか。

斎藤 グループの総力をあげて支援していました。今、選挙に注ぎ込んでいるよりも多額の資金を支援した(笑)。彼らが一番困っていたのはお金だから。

アメリカの協力な庇護を背景に20年間続いたマルコス独裁政権を、組織の総力をあげて、日本での選挙よりも多額の資金を注ぎ込んで支援していたという。しかし、一国の書くねいに影響を及ぼすような、そんな莫大な資金がいったいどこから湧いて出てきたというのか?「背後にいたのは中国共産党ではないか?」「ひそかに朝鮮総連から献金を受けていたのではないか?」などと資金疑惑が取り沙汰される所以の一つだ。


前出『AERA』記事によれば斎藤の資金源は市民の党の地方議員らによる個人献金とカンパということだが、この時期にはまだ市民の党は結成されておらず(母体となった「MPD・平和と民主連動」は83年に結成)、そんな巨額資金がカンパで集まったはずもない。中国共産党や朝鮮総連の名前が出てくるのは、先述のように若いころの斎藤が熱烈な毛沢東主義者であったことや、現在の市民の党が朝鮮総連系大物商工人の所有するビルのなかに居を構えていることなどに由来するようだ。


■「全部言うと繋がり・・・」

しかし、マルコス独裁体制は倒れたが、斎藤が物心両面から支援したフィリピン共産党(CPP)は政権の座に着けず、新たに樹立されたのはコラソン・アキノ政権だった。路線対立が表面化した斎藤とCPPは結局袂(たもと)を分かち、日本に戻った斎藤は主に無党派候補の選挙ボランティアに本腰を入れるようになる。

荒 さて、斎藤さんは選挙で、いろんな人を当選させてきました。僕が知っているかぎりでも、田(英夫)さんでしょう、堂本(暁子)さんでしょう、喜納(昌吉)さんでしょう。他に当選させた人は誰ですか。

斎藤 全部言うとつながりがばれちゃうからなー。差し障りのない範囲で言うと、他には、中村敦夫さんとか、広島の秋葉忠利市長とか、新潟の黒岩宇洋(たかひろ)君とかね。

荒 分との黒岩(卓夫)さんの息子さんですね。

どうやら、全部バレては困るようなつながりがあるようなのだ。


国政・地方併せて、斎藤まさしはおよそ30年のあいだに千数百の選挙にかかわっている。


斎藤が「差し障りのない範囲で言」った「(全学連のリーダーだった)ブントの黒岩さんの息子さん」である黒岩宇洋法務政務管(民主党)が5月を月の衆院法務委員会でやり玉にあげられている。5月11日と17日の質問に立ったのは自民党の河井克行と柴山昌彦だった。


5月11日、河井克行はまず09年に黒岩の関係団体「越後の暴れん坊」が市民の党所属の横浜市議・井上桜から139万円の寄付を受けている点を指摘。この井上は01年、同僚議員とともに議会での国旗掲揚に反対して騒ぎを起こして退場を命じられ、その翌月、報復措置として6時間にわたって議長席を不法占拠して除名処分を受けたことのあるという、いわくつきの地方議員だった。


この献金と井上の起こした事件について黒岩は「知らない」「承知していない」と躱(かわ)したが、翌
週の柴山昌彦の質問で、この井上桜が、黒岩が初当選を果たした02年の参院補選でウグイス嬢を務めていたこと、事件後黒岩が井上に激励のメッセージを送っていたことなどが暴露されてしまう。そして姑息にも黒岩は、ナット上の日記に公開していたこの事実を前週の河井の質問の直後にこっそり削除していたのだ。


さらに河井克行は「越後の暴れん坊」が市民の党からカネを受け取っていたばかりでなく、09年には392万円もの献金を市民の党におこなっていた事実を指摘した。しかもその市民の党から、よど号ハイジャック犯のリーダー・田村高麿とその妻で日本人拉致事件の容疑者・森順子の長男・森大志が三鷹市議選候補として擁立されていたこと、「越後の暴れん坊」の会計責任者が武蔵野市で市議をしている山本ひとみ(市民の党)であることにも言及した。国会でこれらの事実が指摘されたのはこの時が初めてだった。

河井 多額の献金をした民主党の名前を付した、しかも現職の大臣政務官が、今公安調査庁を所管する法務省の最高幹部のお一人でいらっしゃる。しかも、あなたは衆議院で政務官になる前に北朝鮮拉致問題特別委員会の筆頭理事や委員をお務めでしたね。(略)

黒岩 平成21年になります。

河井 まさにあなた自身が拉致特の筆頭理事をお務めの時に、あなたの名前を付した政治団体が市民の党に多額の献金をしてきている。そして、あなたご自身の選挙区は新潟ですね。たくさんの拉致事件が発生したところ。(略)そういう厳しい選挙の中で、あなたの名前を付した政治団体から出たお金によって市民の党の政治活動、選挙活動が営まれた。それによって、先ほど長官からお答えがあったように北朝鮮、例のよど号ハイジャック、そういったことにまつわる人たちのご家族が出た選挙に対して、あなた自身の名を付した政治団体のお金がいっているということについてどのような認識を抱いていらっしゃるか、お答えください。

この後ヤジが飛んで委員会は騒然となるのだが、これだけの問題を抱えた黒岩宇洋が「差し障りのない範囲」であるというなら、差し障りがある候補者とはいったいどんな人達なのか。


■「一番自由なのは民主党」

「30年間革命の他に何も考えたことがない」という斎藤まさしだが、この人物は決して硬直した左翼教条主義者ではない。むしろ現代社会のなかでいかに現実に革命を起こすかを冷徹に模索するプラグマティストである。たとえば、荒岱介との対談のなかで、斎藤はこんなことを言っている。


荒 それで、選挙で人を推すときの基準は何ですか。毛沢東思想とかレーニン主義とか言うのだから、当然何かイデオロギー的な基準があるわけですよね。

斎藤 イデオロギー的な基準というより、政治的な基準ですね。(略)

僕の当面の戦略的な政治目標は自・公政権を潰すこと、つまり政権交代です。自公政権を倒すために有効な選挙なら、基本的にやる。日本帝国主義と戦うためには蒋介石とも手を組むという毛沢東の統一戦線戦術ですよ。(略)

荒 なるほど。斎藤さんとしては、今は「自・公を倒す」「政権交代」が政治的な基準なわけですね。

斎藤 それが革命の一つの結節点だから。

つまり、選挙で応援する候補者を選ぶ基準はイデオロギーではなく、プラグマティズムなのである。何のためのプラグマティズムかといえば、「自・公政権を倒す」ための、そして「(革命の結節点としての)政権交代」のためのプラグマティズムであり、そのための手段としての選挙なのだ。民主党のなかでは保守派と言われた鷲尾英一郎の選挙応援を買って出た理由もこれで説明ができる。


ようするに、表から入るか裏から入るかの違いはあるが、政権奪取のために民主党に潜り込んだ小沢一郎の手法とやり方は一緒なのだ。ただ、小沢と決定的に違うのは、斎藤には政権交代後に「共産主義革命」という明確なピジョンがあることだ。


斎藤はまたこうも言う。


「革命の一手段として選挙を最大限に使いたい」
「僕は革命のために選挙をやっている」


この対談がおこなわれた04年は、民主党と自由党が合流した、いわゆる民由合併の翌年である。政策的にはまるで水と油に見えたこの両党の野合を、斎藤は批判するどころかきわめて肯定的に評価している。

荒 今は結局、民主党に肩入れしているわけですね。

斎藤 結局というか、はたして民主党で政権交代が可能かどうか、だいぶ考えた末の戦略です。決定打になったのは、民主党と自由党が一緒になったことですね。小沢さんと菅さんが一緒になったことで、圧倒的な野党第一党が生まれた。これは大きな変化だと僕は見ています。


さらに続けて斎藤は、「党内が一番自由なのは民主党です。社民党はいわゆる『護憲論』でゴチゴチで、共産党には僕らが活動する自由なんかありません。」とも言っている。


つまり、綱領もなく「選挙互助会」と揶揄されることもある野合政党の民主党のなかには、「元過激派」で、「三度の逮捕歴」があり、「毛沢東思想とマルクス・レーニン主義で革命を起こそうと現在も思っている」斎藤まさしが好きなように活動できる自由があるということだ。だからこそ彼は民主党に狙いをつけたのである。やはり、この男は思想家ではなく政治家であり、職業的な革命家なのだ。


そして現在、市民の党は選挙協力と政治資金で民主党の手足を縛り、民主党選出議員の秘書や関連団体の事務局にメンバーを送り込んで政策決定にも影響力を及ぼしているのではないかと推察される。というのも、斎藤まさいしは鳩山前首相が「東アジア共同体構想」を言い出すずっと前から、同様の提唱をしているのだ。

荒 (略)それで斎藤さんが言うような革命をやった国は世界のどこかにあるんですかね。

斎藤 もし本当にEUが一つの国になり、大統領制を敷いて、貧富の格差を解決していくような政策をとれば、可能性はあるでしょうね。

荒 EUに対抗する「東アジア共同の家」とかではどうですか。

斎藤 僕は昔、固い言葉で、「東アジア統一社会主義革命」と言っていました。それは僕の唯一の「政治の師」である宇都宮徳馬先生の教えでもあるんだ。日本・朝鮮・中国・ベトナム(略)この4つが共同体を作れたら、世界は全然違ってくると思う。

宇都宮徳間については、「北京直結のエージェントとも、あるいは金日成直属のエージェントとも、あるいはその両方だったとも目されたこともある」(公安筋)との説もあり、70年代、80年代と、自民党で唯一アジアの共産圏と外交チャンスを待つ議員だった。その宇都宮を「唯一の師」と仰ぐ斎藤まさしの言動が、中国共産党・朝鮮労働党の意向を受けていないという保証はあるのか。

 

斎藤自身の弁によれば、86年のフィリピン革命に「割合影響力があった」という斎藤の支援も手伝ってマルコス独裁政権が倒れた。斎藤がつくった「地下組織=同盟」は「グループの総力をあげて支援していた」という。


この革命によってアジア最大の米軍基地は撤去され、その結果として現在南シナ海を我が物顔で泳ぎまわっているのが中国海軍である。


「地下組織=同盟」は現存するのか。もし現在も存在するというなら、民主党をはじめとする日本政界のなかに深く根をおろしているのではないか・・・。それを思うと、背筋が凍るような戦慄をおぼえた。(文中敬称略)

                                                       (終)

http://nippon-end.jugem.jp/?eid=2219

元俳優の山本太郎を使って革命を目指す斉藤まさしの姿が良くお分かりになったでしょう。

監督の指示に従って演技をする、山本太郎は未だに役を演じているように見えますね。

しかし、その俳優は色々問題のある人物だった。

週刊新潮に強姦魔だと書かれても、名誉棄損で訴えることが出来ない。法廷で争う事が出来ない山本太郎という男を担いでしまった。

ME TOO のプラカード持ってパフォーマンスしていた議員達は山本太郎に強姦されたと勇気をもって告発した女性にはダンマリか!

未成年の女の子を強姦しても、革命家斉藤まさしの書いたシナリオ通りを演じておけば、参議院議員にもなれるか。

もし、事実じゃなないのなら、何故週刊新潮を訴えないのか?

http://houdoumimamoru.cocolog-nifty.com/blog/2019/07/post-b6ae9e.html



7. 中川隆[-8847] koaQ7Jey 2019年7月28日 18:41:08: b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3872] 報告
▲△▽▼

「れいわ新選組」山本太郎氏の闘いを今回も見守る“あの人”の存在感(安積明子)2019/7/14
http://go2senkyo.com/articles/2019/07/14/42583.html


聴衆の中に“あの人”を見つけた

参議院選挙戦の2度目の土曜日、山本太郎氏が率いる「れいわ新選組」の街宣に行ってみた。午後3時に新宿西口に行くと、小雨が降っているにもかかわらず、すでに多くの人だかり。小田急デパート構内の中にもかなりの人が立って見ており、通行の邪魔にならないように同デパートの職員が整理していた。以前に取材した時よりも、確実に聴衆の人数は増えている。


その中で偶然に見かけたのが、山本氏の選挙ブレーンと言われる斎藤まさし氏の姿だ。山本氏の演説に魅入っている聴衆の塊の背後を黒いバッグを持った白髪の男性が通りすぎ、人混みの中に入って消えた。「れいわ新選組」のテーマカラーのピンク色のチェックのシャツを着たその人の顔は、確かに斎藤氏だった。そういえば山本氏が初出馬した2013年の参議院選でも、斎藤氏は聴衆の背後から山本氏の演説を見守るように微笑みを浮かべて眺めていたのを思い出した。

山本太郎氏の選挙ブレーン

この時、山本氏は「桃太郎」をしながら演説と寄付集めを行ったが、これは斎藤氏のアイデアだと聞いた。そして今回の参議院選挙での山本氏の比例区転出などの選挙戦略も、斎藤氏が発案したものと言われている。

もし山本氏が東京都選挙区から出馬すれば議席獲得は確実だが、目玉候補が不在の比例区はさほど伸びなくて1議席獲得がせいぜいだと言われていた。それならば思い切った賭けに出て、「山本太郎」というブランドの下で比例区で5議席獲得を目指そうとしたわけだ。

斎藤氏は2015年4月の静岡市長選で立候補者の選挙アドバイザーを務めたが、公職選挙法の利益誘導などの罪に問われ、2018年8月に最高裁で執行猶予付きの有罪判決が確定。なお斎藤氏は東京高裁が控訴を棄却した2017年5月18日に霞が関の司法記者クラブで記者会見したが、「選挙干渉チェックの会共同代表」だった山本氏もこれに同席し、「市民が選挙に関わることに関して阻止していくことの地ならしだ」と「未必の故意による黙示的共謀」を認めた判決を批判している。

いわば斎藤氏は「政治家・山本太郎」の生みの親ともいえるが、今回の「れいわ新選組」の盛り上がりをどのように見ているのか。選挙戦も折り返しを過ぎ、投開票日まであと1週間となったが、この盛り上がりをさらに拡大すべく秘策を考えているに違いない。
http://go2senkyo.com/articles/2019/07/14/42583.html


▲△▽▼

山本太郎が少女強姦!16年前に当時17歳女性を車中レイプ・計画的手口・暴力団使いもみ消し 2013/8/9
https://blogs.yahoo.co.jp/hisao3aruga/38400286.html

16年前、22歳の時に17歳の少女を強姦し、暴力団を使って事件をもみ消していたことが報じられた参議院議員の山本太郎

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130807-00010002-nkgendai-ent

山本太郎「性的暴行」反論会見の一部始終
日刊ゲンダイ 8月7日(水)16時2分配信

 66万票を獲得して当選した山本太郎・参院議員(38)が6日、会見を開いた。「離婚についての説明」で、山本は昨年8月末、わずか3カ月で18歳下のプロサーファーの女性と離婚していたことを明らかにした。衆院選に立候補した際、「母と妻の3人暮らし」と説明していたことを謝罪し、離婚理由については「月に1〜3回しか帰れなかった。妻からしんどいと言われていた」と告白。慰謝料200万円を支払ったことなどを明かした。

 しかし、この会見、途中からまったく別の展開となった。折しも、7日発売の週刊新潮が「山本太郎に私は無理矢理乱暴された!」のタイトルで山本のレイプ話を報じたからだ。

 新潮によれば、山本は16年前に当時17歳の女性をクラブでナンパし、深夜の車内で女性のパンツを強引に脱がせ、挿入したという。その後、山本がヤクザの組名を出し騒動をもみ消したというのだが……。

 会見で山本は完全否定し、「すでにネガティブキャンペーンが始まった」とこう切り出した。

「週刊新潮という雑誌の名前を変えた方がいいと思ったんですね。週刊大人のアンデルセンとか。よくできた話です」

 さらに、「自分の中にルールはあります。芸能人ですよ。暴力で迫って女性を暴行したことはない。あの記事で正しいのは、当時22歳だったことと、記事に出てきたクラブに遊びに行ったことがある2点だけ」と反論した。

 だが、新潮記者も黙ってはいない。〈性的暴行や離婚について質問したのに、なぜ答えなかったのか〉と問いただし、山本は、「週刊新潮にはこれまでもコメントしてきたが、きちんとした形で載らない」と反論すると、新潮記者は「媒体を選んでいたということですね」と突っ込んだ。

 山本は、「5ページも割いて書いているのは明らかに僕の活動を潰しにきている」とも言っていたが、山本のスキャンダルは選挙中から渦巻いていた。議員バッジをつければ、「それっ」とばかりにいろいろ書かれるのは見えていたことだ。感情的になる前に、まず議員として実績を残すことだ。


>衆院選に立候補した際、「母と妻の3人暮らし」と説明していたことを謝罪し、離婚理由については「月に1〜3回しか帰れなかった。妻からしんどいと言われていた」と告白。


山本太郎は、昨年12月の衆院選に東京8区から立候補(落選)した際に、取材に対し「母親と妻と3人暮らし」と回答していた。

政治家には「学歴詐称」が許されないのだから、同様に「婚歴詐称」も許されない。

山本太郎は、議員失格であり、辞職するべきだ。

>新潮によれば、山本は16年前に当時17歳の女性をクラブでナンパし、深夜の車内で女性のパンツを強引に脱がせ、挿入したという。その後、山本がヤクザの組名を出し騒動をもみ消したというのだが……。


8月7日発売の「週刊新潮」(8月15・22日増刊号)は、参議院議員の山本太郎(38)が16年前22歳の時に当時17歳の女性を強姦していたと報じた。

山本太郎は、東京・青山のクラブで知り合った当時17歳の女性を計画的かつ手馴れた手口で車の中で強姦し、その後暴力団の名前を出して事件をもみ消したという!

被害女性本人の証言が書かれている。
――――――――――
http://blog-imgs-59.fc2.com/d/e/l/deliciousicecoffee/201308071937069b9.jpg
<内容(一部)>
・山本太郎は16年前 僕の知り合いの17歳の子をレイプした(芸能プロダクション幹部)
・山本太郎はレイプ揉み消しの為に、暴力団の組の名前を出してきた
・レイプ被害女性は”前田敦子”似の安西百合子さん(仮名) 現在 33歳
・当時 東京 青山通りのクラブ「MUSE」で山本太郎に会った

<山本太郎にレイプされた状況>
・当時 山本太郎 22歳、レイプ被害女性 安西百合子(仮名) 17歳
・クラブ「MUSE」を友人の女性と出る際に 山本太郎らに誘われた
・飲みに行くはずがどこかの広い公園の辺りで車を停められた
・「鬼ごっこしようよ」(山本太郎)
・安西百合子の友人の女性は 山本太郎の友人に強引にどこかに連れ去られた
・安西百合子は山本太郎の車に再び乗車
・車内で突然 山本太郎は豹変、抵抗したが無理矢理 下着を脱がされ いきなり挿入してきた
・「イヤだ、止めて! 痛い! 痛い!」(安西百合子)「大丈夫 大丈夫」(山本太郎)
・山本太郎は5分程 勝手に動いた後に射精した
・いつのまにか 山本太郎はコンドームを着用していた
・後に合流した女友達も、山本太郎の友人にレイプされていた(コンドーム着用だった)
・計画的かつ手馴れた手口だった

<山本太郎 レイプ揉み消しの一部始終>
・安西百合子は レイプ被害について 某芸能プロダクション幹部に相談
・「山本太郎にケジメをつけさせる!」…某芸能プロ幹部、知人に依頼
・某芸能プロ幹部の知人、山本太郎と接触 → 山本太郎 ビビる
・山本太郎 山口組系二次団体に相談
・結局 レイプ被害者の安西百合子(当時17歳)は泣き寝入り

<山本太郎の元妻は現在キャバクラ嬢>
山本太郎の元妻・割鞘朱璃(じゅり):プロサーファー ロングボード初代グランドチャンピオン
・現在 大阪 北新地 の某キャバクラでナンバーワン・キャバ嬢(2012/10頃から勤務)
――――――――――


▼山本太郎についてのおさらい▼

山本太郎は環境テロリストでもあり、それ以上に日本の崩壊を目論む朝鮮工作員だ!

2008年、山本太郎は、読売テレビ「たかじんのそこまで言って委員会」(2008年7月20日放送)に出演し、「竹島は韓国にあげたらよい!」などと発言した。
http://blog-imgs-34.fc2.com/d/e/l/deliciousicecoffee/20110524042530467.jpg
山本太郎「竹島はあげたらよい!」

http://blog-imgs-34.fc2.com/d/e/l/deliciousicecoffee/20110527082444f02.jpg
韓国の「NAVER」内にある「ソウル新聞」が山本太郎の発言を報じた

山本太郎は、青森市の運送会社から鯨肉入りの段ボールを盗んで、建造物侵入と窃盗の罪に問われた環境テロ団体「グリーンピース・ジャパン」の関係者(テロリスト)だ。


グリーンピース・ジャパン「クジラ肉裁判」初公判 直前イベント参加記 14 Jan. 2010
(一部抜粋)

公判直前のこのイベントには全世界からグリーンピース関係者が駆けつけた。

 俳優の山本太郎氏も急遽駆けつけ、挨拶を行った。

 山本氏は過去、GPJの呼びかけによる「米国の対イラク攻撃不支持と、国連に『平和のための結集』を働きかけることを求める要請書」などにも意見を寄せている社会派俳優である。

http://blog-imgs-34.fc2.com/d/e/l/deliciousicecoffee/2011052707371409c.jpg
テロ集団のグリーンピース・ジャパン「クジラ肉裁判」初公判直前イベントで挨拶する俳優の山本太郎(2010年1月)

2011年10月、山本太郎は、「エルネギーとか韓国から買えばいい」 などと発言!

山本太郎は、朝鮮殺人テロ集団(極左暴力団)「中核派」の反核集会、デモにも頻繁に参加!

2012年12月の衆院選では、中核派が山本太郎の選挙運動を応援した。


中核派の機関紙「前進」
週刊『前進』(2566号2面2)(2013/01/01 )
 安倍・石原うちのめす大決起
 衆院選・杉並 山本太郎さん7万票獲得
 全原発廃炉・改憲反対を訴え
 全国から青年が駆けつけた
http://blog-imgs-59.fc2.com/d/e/l/deliciousicecoffee/201307100602441a9.jpg
「世界を変える時は今だ」。駆けつけた無数の青年がエネルギーを爆発させた【12月15日】

そして、平成25年7月の「2013参院選」でも、朝鮮殺人テロ集団「中核派」の総力決起支援を受けた。
http://blog-imgs-59.fc2.com/d/e/l/deliciousicecoffee/20130710072159f24.jpg
中核派のホームページ「前進」のトップにデカデカと掲載されている山本太郎の参議院選挙演説写真(2013年7月4日、新宿)

http://blog-imgs-59.fc2.com/d/e/l/deliciousicecoffee/20130710072246eb8.jpg
ココをクリックすると拡大画像
中核派のHP「前進」

2013年7月8日発売の機関紙「前進」では、
「原発再稼働とTPP、大失業攻撃と改憲に突き進む日帝・安倍への怒りを込めて、東京選挙区から立候補した山本太郎さんの必勝へ総力決起しよう」
との文面が掲載!

https://blogs.yahoo.co.jp/hisao3aruga/38400286.html


山本太郎「強姦疑惑」否定「人生で女性に無理やり、乱暴して関係を迫ったことありません」
8月7日(水)13時35分 J-CASTニュース


参議院議員の山本太郎(38)は「週刊新潮」(8月15・22日増刊号)に16年前に女性を強姦していたと報じられた問題で、「ただただ戸惑っています」と8月7日(2013年)のブログで否定した。記事では東京・青山のクラブで知り合った当時17歳の女性を連れ出し、車の中で強姦したとする被害女性本人の証言が書かれていた。

「僕の人生の中で、女性に対して無理やり、乱暴して関係を迫ったことはありません」と釈明する。一方で当時は22歳、俳優をしていたことから、「こんなことを言うのもなんですが、モテなかったわけではありません」という。


記事の内容にこれ以上触れず、「僕へのバッシング報道は、僕自身の心が折れるまで続きます。僕を自殺させれば気が済むんでしょう。僕が皆さんにお伝えしたいのは、こういったバッシングに惑わされないでほしいということです」と語った。
https://news.biglobe.ne.jp/entertainment/0807/jc_130807_3092124417.html

257. 中川隆[-8930] koaQ7Jey 2019年8月02日 08:00:17 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3798] 報告
山本太郎が強姦したという検索が多いので、当ブログの過去記事をお読みください。 2019年6月29日

山本太郎がレイプ?あれれ?お祝いムードぶち壊しじゃん!

普通事実じゃなければ週刊新潮を名誉棄損で訴えますが、未だにできないようです。


↓(記事)


「太郎さんが幾つ?と聞いてきたので、17です。って正直に答えました。彼も豹柄の上着

を着ていて、‘豹柄、お揃いだよね‘とか話していたのを覚えています。そのクラブには当

時、タレントや俳優さんはもちろん、芸能プロの社長さん達もよく来ていたので、芸能人とい

っても特に珍しいわけでもなく、彼にさほど興味もなかったので、適当にあしらっていまし

た。それで夜中の1時ごろになってお腹もすいてきたので、智美ちゃんと、‘何か食べに行

こうか‘と店を出ました。すると、彼と一緒にいた友達のうちの1人が店の外まで追いかけ

て来て、‘飲みに行こうよ‘って誘ってきたんです。」

店の前にクルマが横付けされ、2人は強引に車内へ。4ドアセダンの外車で、ステアリングは山本が握り、助手席にその友人、後部座席に彼女ら2人が座った。

山本は運転中、

「ドラマの撮影で、クルマを運転するシーンがあって、慌てて合宿に参加して運転免許を取

ったんだけど、結局、それはカットになっちゃった」

などと話していたそうだ。

およそ10分後、どこかの飲食店を目指していたはずのクルマは、広い公園の側道に停まった。

「そこで太郎さんが突然、‘鬼ごっこしようよ。ペアに別れてさ‘と言い出しました。私達は‘こ

んな時間に鬼ごっこ?‘と思ったんですけど、、、。すぐに彼の友達が智美ちゃんの腕を掴

んで、‘さ、早く逃げよう‘と強引に連れて行っちゃったんです。」

安西(女性の仮名)さんと2人きりなった山本は運転席を降り、彼女の隣に乗り込んできた。

事件が起こったのは、その後である。

「しばらくは2人で話してたんですが、会話が途切れた瞬間、彼が後ろから両腕をガッっと

掴んできて。そのまま私の体を持ち上げて、自分の膝の上に向こう向きのまま、載せたん

です。もちろん私も必死で抵抗したんですが、とにかくすごい力で、、、‘え? 何?と思って

いるうちにパンツを下ろされて、いきなり挿入してきました。キスも前戯もなしに、、、。ヤバ

イと思って、‘イヤだ、止めて!痛い!痛い!って大声出して暴れたんですが、彼は後ろか

ら。‘大丈夫、大丈夫‘と言うだけで、止めてくれませんでした。しばらく彼が勝手に動いて、

5分くらいで果てちゃいました。後で分ったことですが、いつの間にか、彼、しっかりコンドー

ムをつけていたんです。無理やり乱暴され、もう、呆然としちゃって、、、」

それから10数分後、、、、

(以下は8月7日発売の週刊新潮を買って読んで下さい)


*新潮は既にこの女性を囲って記事にしていますね〜。彼女が何かの身の危険を感じたら完全防御するでしょうね〜。

この手の記事を書く時は完全に告発者を守るんですよ。又市の時もそうだった。


さてさて、参議院議員山本太郎。週刊新潮を訴える事ができるか?見物ですね。


コメント

山本太郎 強姦 でたどり着きましたw

ブログ主さんが言うように、
仮に記事が「ウソ」なら山本太郎側はなんで
名誉毀損で新潮を提訴しないのでしょうね。

やっぱり事実だから、訴えることができないのではないか。

投稿: ソウ | 2019年6月29日 (土) 02時30分

ソウさん、コメントありがとうございます。社民党の又一がマッサージの叔母さんに小遣い渡して宿舎でHしていた事を書かれた時、一応かたち的にでも新潮社を訴えましたね。裁判になる前に取り下げて赤っ恥さらしました。認めた事と同じですからね。民進党の山岡賢次がマルチ商法を指摘された時も訴えましたが、これも直ぐに取り下げました。真実なので争えないのですよ。嘘記事だったら最後まで争います。山本太郎は新潮社を訴えても勝ち目がないので訴える事が出来なかった。直ぐに取り下げて赤っ恥をかく事が分っているからですね。

投稿: 筆者 | 2019年7月 1日 (月) 11時07分
http://houdoumimamoru.cocolog-nifty.com/blog/2018/03/post-384a.html

258. 中川隆[-8929] koaQ7Jey 2019年8月02日 08:02:21 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3799] 報告

台風の目「山本太郎」でいいのか 反原発で議論妨害、「マトモではない」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190731-00574909-shincho-pol
デイリー新潮 7/31(水) 17:00配信


「れいわ新選組」の山本太郎代表

 今回の参院選で、思わぬ躍進を見せたのが「NHKから国民を守る党」、そして山本太郎代表の「れいわ新選組」だった。きたる衆院選には山本代表が自ら出馬し、100人の候補者を立てるとしている。そこで思い出されるのが、過去の過激な振る舞いである。

 ***

〈生きててよかった。そう思える国にしたい〉

 演説などでこう訴える山本代表の“語り”は、どこを切り取っても分かりやすい。それゆえ、「れいわ」は大衆に迎合するポピュリズム政党と目されているが、

「大阪都構想が大問題であるかのように煽って、対立軸を作った大阪維新の会の煽動的ポピュリズムとは異なります。れいわが取り上げる問題は、民衆が抱えているリアルな悩み」

 と、帝塚山学院大学の薬師院仁志教授は分析する。それゆえ、今後国会の“台風の目”になる可能性を秘めているというところだろう。

 一方、山本代表は原発事故に際し、“煽動的”な物言いで、風評被害に苦しむ福島の住民を絶望に追いやってはいなかったか。それは「生きててよかったと思える国」とはかけ離れたものでもある。〈あなたの身体は被曝し続ける〉〈東日本の食材を僕は食べない〉――2013年頃には、山本代表はブログでこう主張していたのだ。

「山本さんは反原発運動を盛り上げるために、福島の野菜が毒物であるかのように喧伝しました。絶対忘れないし、絶対許しません」

 と、福島県で農業を営む40代の女性は、いまなお怒りを隠さない。彼の反原発運動をめぐっては、東工大先導原子力研究所特任教授の奈良林直氏も当時をこう回想する。

「特に印象に残っているのは、原子炉施設の安全総合評価の意見聴取会を妨害されたことです。毎回のように傍聴席に山本さんがいて、だんだんと“許さない”“反省しろ”などと怒鳴り散らすようになりました。原発反対派の委員が喋ると拍手をして、賛成派が喋ると罵倒する。議論に支障をきたすようになって、7回目からは傍聴席がなくなり、経産相だった枝野幸男さんが、傍聴席からの妨害を許したことを深々と謝る事態にまでなりました。ところが、傍聴席がなくなったことに抗議して、山本さんを先頭に反対派が乱入してきたんです。安全性についての議論を妨害するなどマトモではないと思いました」

 民主主義的な手続きを、罵声と乱入で妨害……。そんな山本代表を支持する国民の意思が、今回の参院選で「れいわの2議席獲得」という結果をもたらしたわけである。8月1日発売の週刊新潮で詳しく報じる。

「週刊新潮」2019年8月8日号 掲載


▲△▽▼

110 : パロスペシャル(西日本):2013/08/07(水) 11:47:07.65 ID:bhbmAzVJO

二十歳すぎで大阪にいた頃の山本知ってるけど三枝の息子とヤクザといつもツルンでた
地下鉄とか改札飛び越えてた
注意しにきた駅員を取り囲んでこづいたり恫喝してたな
もう時効だけど

>>131
前にウルルン滞在記かなんかで太郎出てて
山本太郎さんが必ず持って行くものとは?;みたいなクイズが出て、答えは…コンドームです!だった
現地の女の子とそういう関係になってもいいようにだと
回答者のタレント達ドン引きだったような

155 : 河津掛け(大阪府):2013/08/07(水) 12:14:21.37 ID:1U1nd/U+0
山本が通ってた箕面自由学園って
当時は不良DQNバカの集まり高校だったでしょ
少なくとも万引き、カツアゲ、暴行は絶対やってると思うw

286 :名無しさん@13周年:2013/08/07(水) 08:12:52.74 ID:yu32Ia/rO
業界じゃこいつの母親とこいつの非常識さ、異常さは有名だよ。

66 :名無しさん@13周年:2013/08/07(水) 16:55:49.71 ID:6Paq2XHlO
こいつ只のチンピラだろ
拳にケンカダコが有るって つまらない事を自慢げに話していたのを 思い出すわ

https://girlschannel.net/topics/1489651/

259. 中川隆[-8928] koaQ7Jey 2019年8月02日 08:16:32 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3800] 報告
山本 太郎(やまもと たろう、1974年(昭和49年)11月24日[1] - )は、日本の政治家、元タレント、元俳優。

院内会派「国民民主党・新緑風会」所属の参議院議員(1期)、政治団体「れいわ新選組」代表。自由党共同代表兼政策審議会長を務めた。兵庫県宝塚市出身[1]。


来歴

俳優として

1990年、箕面自由学園高等学校1年生の時に『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』の「ダンス甲子園」に出場し、芸能界入り[1][5]。

出演時のグループ名は「アジャコング&戸塚ヨットスクールズ」。戸塚ヨットスクールズを入れた理由を、本人が小さい頃、いたずらをすると必ず母に「戸塚ヨットスクールに入れるぞ!!」と言われていて、「なんとなくつけた!」と語っている。オイルを塗った逞しい身体に、その時々の「Q(メロリンQやダブリQなど)」を油性ペンで胸に書き、際どい競泳パンツ、黄色の競泳帽姿にステッキというアイテムで、ボディビルの様なポーズでヘヴィメタルバンドジューダス・プリーストの代表曲『ペインキラー』をバックに迫り来るような奇妙なダンスを踊り、締めに「Q!」と叫ぶ。強烈なパフォーマンスや、当時再ブレイクし始めていたポール牧の指パッチン等で注目を浴びる。

山本自身は遊び感覚で出演していたが、一方、「あんな裸踊りをさせるような学校には通わせられない!」と保護者から学校に苦情が寄せられたことで、親や学校との関係が悪くなりながらも出演するなど苦労も多く、いじめ被害者になった事もあったという。本人も当時ネタにしている通り、高校を留年し、そこから「ダブリQ!」を編み出した。実際は学校側から「番組出演しない」か「自主退学」かの選択を迫られ、どちらを選んでもダンス甲子園には出場できなくなった。

芸能界入り当初は、デビューの経緯もありバラエティ番組向けのタレントであったが、トーク下手であったことなどから一発屋で終わるかと思われた。しかし1991年、映画代打教師 秋葉、真剣です!の準主役で役者デビュー。それ以来、「田舎の気の良いあんちゃん」など、肉体派でありながらどこか素朴さを持つ優しく真面目な面と、ヤクザの若頭などの強面も出来る面が定着。ドラマなどで俳優としての起用が増える。50本以上の映画、ドラマ等にて俳優として多方面に出演。演じる役のほとんどが関西出身の設定であるため(本人も関西出身である)、関西弁で演じている。所属事務所はネスト(1991年 - 1998年)。フリーランスの俳優となってから主演した  2012年公開の映画『EDEN』では、新宿二丁目のショーパブの店長であるミロという役で初めてのゲイ役に臨んだ。反原発の行動を起こして以来久々の本業復帰となったが、プロデューサーの李鳳宇から打診があったときには「この時期にボクの主演映画ですか…。李さんは勇気ありますね」と答えたという[6]。

テレビドラマ出演デビューは1992年の『しあわせの決断』で、1996年にはNHK連続テレビ小説『ふたりっ子』にヒロインの相手役である海東壮平役で出演。2000年の映画『バトル・ロワイアル』では重要な役柄を演じた。特に『難波金融伝 ミナミの帝王』シリーズの出演は20本。2004年にはNHKの大河ドラマ『新選組!』に登場するなど時代劇役者としても活躍している。また、NHK教育のトーク番組『トップランナー』では2005年から2008年まで司会を務めたり、世界ウルルン滞在記での体当たりのレポートでも人気を博す。

また2003年12月に開催された「サントリー1万人の第九」第21回公演に、一般参加者に混ざってテノール・パートにて合唱出演。当時「第九」はおろかクラシック音楽を歌うこと自体初めてだったという自身の公演本番に至る奮闘ぶりは、後日に放映された「1万人の第九」ドキュメンタリー『1万人の第九 山本太郎「第九」を歌う』にて紹介された[7]。

政治家として

2011年4月、反原発運動を開始。同年5月末にはシス・カンパニー (1998年 - 2011年5月27日)を退社し6月には退社前に決まっていたミュージカルに出演したが、その後フリーランスとなり「EDEN」など映画・舞台等小規模作品にコンスタントに出演していた。

2012年4月、太陽光発電設備の販売や施工を手掛ける「ソーラーリフォーム社」(横浜市)に正社員として就職。営業を担当。反原発運動のため俳優の収入が十分の一になったと コメント。

2012年5月、プロサーファー割鞘朱璃と結婚。しかし新婚生活が始まっても山本太郎は月に1〜3度しか家に帰らず新婚生活が破綻、3ヶ月で離婚。その後一般人の女性と交際をはじめ、2012年11月に妊娠が発覚、太郎の衆院選立候補前には太郎に妊娠の事実を知らせる。

2012年12月1日、第46回衆議院議員総選挙への出馬と政治団体「新党 今はひとり」の立ち上げを表明し[8]、同年12月5日に総務省へ届け出た[9]。最終的には、東京8区から無所属(日本未来の党・社会民主党支持)で出馬[10][11]。主に反原発、反TPP等を訴え、71,028票を獲得するも次点で落選した[12]。山本は自民党が圧勝したことに憤慨し、報道陣の前で「このままでは極右化が進んでしまう。日本から脱出した方がいい」「はい、終わり。日本は終わりです。みなさん脱出したほうがいいんじゃないすか」と述べた[13]。

2013年7月21日の第23回参議院議員通常選挙では東京都選挙区から無所属で出馬、666,684票を獲得し4位で初当選した[14][15]。選挙に際しては、生活の党、社会民主党、緑の党[16]、新社会党[2][17] の各党の支援を受けた。

2014年2月に行われた第19回東京都知事選挙では、脱原発を公約した[18] 共産党・社民党・新社会党・緑の党推薦の宇都宮健児、民主党・結いの党・生活の党支援の細川護熙いずれへも表立っては支援せず[19]、脱原発候補への投票を呼びかけるに留めた[20]。

結果は自民党都連・公明党都本部推薦、新党改革支援の舛添要一に大敗し、山本は「効果的な動きが出来なかった自分自身の不甲斐なさを感じる」と述べた[21]。また、細川について「細川さんはワイドショー選挙をできると思って、メディアを信じていたようだが、それは大きな間違いだ」と指摘しつつ、「反旗を翻したファイティングスピリットは感動した」と脱原発を公約したことを評価した[22]。

同年12月14日投開票の第47回衆議院議員総選挙では、東京8区から立候補した民主党の円より子への支援を表明したが結果は落選した(石原伸晃が当選)。選挙後、山本は政党要件を失っていた生活の党に入党し、政党要件を回復させるとともに、党名を「生活の党と山本太郎となかまたち」に改めさせた[23][24]。また、山本は「無所属の会」を提案したが、小沢は「生活」の名を残すことは譲れなかったので、この名前になったともいう[25]。

2016年の第24回参議院議員通常選挙では東京都選挙区から立候補していた三宅洋平を支援(結果は落選)[26]。同年10月12日、「生活の党と山本太郎となかまたち」が「自由党」に党名変更を決定したことにともない、党籍を自由党に置いたまま、自身の政治団体「山本太郎となかまたち」から次期衆議院選挙で東京ブロックで候補者擁立をめざすことを表明した[27] が、最終的には擁立を見送った。

2018年10月、フランスの「人民共和連合」党首と国際情勢に纏わる意見交換が行われた[28]。

2019年4月10日、夏の第25回参議院議員通常選挙に向けて同月下旬に自由党を離党する一方、新たに政治団体「れいわ新選組」を設立したと表明した[29][30]。

政治団体

2012年(平成24年)12月5日に政治団体「新党 今はひとり」の設置を総務省へ届け出[9]、2014年(平成26年)3月19日に「新党ひとりひとり」への名称変更を総務省へ届け出た[34]。目標は脱原発勢力を結集させる国政政党を作ること。今後は各地の国政選挙、地方選挙に候補者を擁立していくことを目指すとしている[35]。

2014年4月に衆議院鹿児島2区で行われた補欠選挙に介護福祉士で脱原発活動家の有川美子を党として公認した。結果は日本共産党の候補者を上回る票を得たが[36]、6人中3位で落選。

政治公約

山本太郎の政治公約は以下の通りである[32]。

被曝させない原発の即時撤退・ガスコンバインドシステムと小規模水力の推進・国民が情報を得て避難できる権利の確立などTPP入らないTPP(環太平洋パートナーシップ協定)は交渉内容が不透明であって、アメリカでは国内法が条約より優先されているのに対して、日本では条約が国内法に優先されるのは不利、日本には交渉する余地がないと判断して反対。飢えさせない生活保護の不正受給は正されるべきだが、受給条件の厳格化は反対。「教育」「医療」「介護」の無償化を推進。

その他の政策

消費税はゼロにするべきだ。必要あらば大資本家から増税する。
金融緩和と財政出動でデフレ脱却、財政健全化へ。
憲法9条改正と集団的自衛権の行使に反対。
日本の核武装について、将来にわたって検討すべきでない。
総理は靖国神社に参拝すべきでなく、村山談話・河野談話を引き継ぐべきとしている[37]。

選択的夫婦別姓制度導入に賛成[38]。


政治家としての活動

山本は第184回臨時国会に福島瑞穂(社会民主党)の質問主意書と一言一句同じである項目を含み、全体としても言葉を置き換えるなどで酷似した質問主意書を政府に提出した[39]。これについて山本事務所は同じ専門家から文案を提供してもらいそのまま提出したためとし、今後はこのようなことはないようにすると表明した[39]。

2013年8月10日、志位和夫(日本共産党委員長)の講演を聞くために共産党創立91周年記念講演を訪れ、記者団に対し日本維新の会やみんなの党は自民党の補完勢力でしかなく、共産党が本当の意味での野党の最大勢力であって大きな力を持つだろうと述べ、反対勢力が一つになることが必要である旨の見解を表明した[40]。

2013年11月14日、特定秘密保護法案の危険性をみんなが共有すれば通らないと述べ、社民党前党首の福島瑞穂ら4名の野党議員と結束して、同法案の今国会での成立を阻止することを強調した[41]。


園遊会における書簡の手渡し

2013年10月31日、園遊会において、明仁天皇に書簡を直接手交した[42][43][44]。宮内庁次長・山本信一郎は同年11月5日の定例記者会見で「園遊会の招待者には、陛下のお近くで写真撮影をしないなどの注意事項を示していた。園遊会は各界で活躍された方を招いて、ご苦労をねぎらう場所。常識的に判断されるべき問題。(山本太郎が天皇に渡した手紙は)こういう状況で渡されたものなので、事務方で預かり、陛下には上げていない」と述べ、この手紙を天皇に届けておらず、今後も届けることはないことを明かした。またもしも手紙を返却して欲しいという希望があれば、返却すると述べた[45][46][47]。同年11月8日、参議院議長の山崎正昭から厳重注意と皇室行事への参加を任期中の間は認めない処分が言い渡された[48]。


山本太郎の説明

記者会見や取材などに対し、山本側が以下の説明を行ったことが報じられている。

(天皇に渡したとされる手紙の内容)子供たちの被ばくや健康被害が福島だけではなく、この先、他にもたくさん出てくることや食品の安全基準が低い問題、原発の高線量エリアで働いている作業員たちの健康や放射線管理があまりにずさんな話など。秘密保護法も通ってしまえば、権力者にとって(福島第一)原発事故も含め、都合の悪いことは隠されてしまい、戦前に逆行している。手紙を書いたのは(手紙を渡す)前日である[49]。(以下「特定秘密保護法案反対運動」も参照)

(天皇に手紙を片手で渡すことは、)非常に緊張していた。左手に招待状と手紙をくるんだ物を持っていて、片手でお渡しする形になってしまった。人を守らない国は国じゃない。僕の(政治における)ポジションがどうこう言われれば“保守ど真ん中”[50]。
陛下に福島第一原発事故をめぐる健康被害および事故の収束で働く原発作業員の労働環境の劣悪さについて知ってもらいたかった。議員が陛下に手紙を渡すことが禁止とは聞いていないし、自分の行動は議員による皇室の政治利用にはあたらない[51][52]。
今回の自分の行動が政治利用にあたるならば、五輪招致で皇室の方々に出席していただくことも政治利用なのではないか[53]。

田中正造が天皇に直訴したという事実は知っていたが、あの手紙を手渡す際には、そんなことは意識もしなかった。皆さん(マスコミ)が騒ぐことによって政治利用にされてしまう[54]。

(同行為によって陛下を困らせたについては、)軽率であったと猛省しているが、有権者との約束が果たせていないので、自ら辞職はしない[55]。

メディア

アメリカのハフィントン・ポストは2013年11月1日付の記事において、山本太郎の同行為の請願法第三条「請願書は、請願の事項を所管する官公署にこれを提出しなければならない。天皇に対する請願書は、内閣にこれを提出しなければならない」への抵触可能性について報じた[56]。

産経新聞は2013年11月2日付社説で「天皇に対する請願書は請願法で「内閣にこれを提出しなければならない(3条)と定められている。山本氏が天皇に申し上げたいことがあるのなら、きちんと法的手続きを踏むべきだ。」と、法令遵守に基づかない行為であったと報じた[57]。

朝日新聞は社説で、第2次安倍内閣において、IOC総会に皇室関係者が参加したり、「主権回復の日」式典に天皇が参加するなどしても国会は「処分」の検討をしなかった。この出来事をきっかけに、政治と天皇のかかわり方が改めて議論される機会になるだろうと報じた[58]。同社説において、北海道大学教授の山口二郎と明治学院大学教授の原武史も、朝日新聞の見解を支持した[58]。

東京新聞は社説で「儀礼を欠き、脱原発に水を差しかねない軽挙」としたうえで、「批判する側に処分する資格があるのか」と、山本の処分に疑問を投げかけた[59]。
沖縄タイムスは社説で「思慮を欠いた軽率な行為だが辞任はする必要はなく、辞職要求はやり過ぎ」と政府を批判し、「民主主義への絶望が天皇直訴という手段を(市民派の議員に)選ばせたとすれば、戦後憲法は根付いていない」「この問題は憲法に基づいて議論すべきで、戦前の不敬罪感覚で議論すべきではない。」とコメントしている[60]。


その他の見解

高崎経済大学教授の八木秀次は「明らかな政治利用だ。天皇陛下の政治的中立ということをまったく理解していない。国会議員としての資質が問われる」と述べた[61]。
宮内庁次長の山本信一郎は、本件について「あのような場所ではふさわしくない」と批判した。また手紙を天皇に見せていないことを明らかにし[45]、宮内庁幹部が「一般論として、ああいう場所で物をお渡しするのはエチケットに反し、あってはならないことだ。陛下としてもお困りになるだろう」と述べた事が報じられた[62]

政治家からの批判は相次ぎ、世耕弘成[63]、谷垣禎一[64]、下村博文[65]、石破茂[66]、石井啓一[67][68]、大畠章宏[69]、橋下徹[70]、渡辺喜美[71]、志位和夫[72][73]、仁比聡平[74][75]、猪瀬直樹[76] らにより、懸念の意が続々と表明された。一方、吉田忠智のように、同行為を批判しつつ、「議員を辞職するほどではない」とする者もいた[77][78]。


影響・余波

静岡県焼津市の市民団体「くろしおネットはまおか」が11月10日静岡福祉大学で行われる講演会に山本を招待していたが、大学側から来場者の安全を責任を持って確保できないと警備上の理由を指摘され、会場が使用できなくなった。「くろしおネットはまおか」は講演会の中止を決め、活動の停止を検討するまでに至った[79]。

11月14日の記者会見で風岡典之・宮内庁長官は、この騒動に乗じて右翼団体を自称する者から山本に折り畳みナイフが送りつけられる脅迫事件が発生したことを新聞で知った天皇が心配していると述べた[80]。21日には、山本宛てに投函された散弾銃の実包1発入り封書が銀座郵便局で見つかっている[81]。後者の事件で警視庁公安部は2014年3月24日、脅迫文と銃弾を入れた封筒を千葉県内から郵送した疑いで名古屋市の金属加工会社元社長(別の脅迫事件で起訴)を再逮捕した[82]。


野宿者支援

2016年1月、新国立競技場建設にともなう明治公園の野宿者強制排除に際し、その支援者からの通報を受けた山本太郎事務所がスポーツ庁に問い合わせ、結果的に当日は中止に持ち込んだ。本件で山本は、国会で質問する予定だったという[83][84]。


反原発活動

2011年4月9日、自身のTwitter上にて「黙ってテロ国家日本の片棒担げぬ」と発言し、翌日の4月10日には福島第一原子力発電所事故(東日本大震災)に関連した原子力撤廃デモへ参加した[85]。同5月25日、Twitter上で「原発関連の発言が原因で同7、8月に予定されていたドラマの仕事を降板することになった」と、発言した[86]。ただし、所属事務所はドラマの仕事があったことを否定している[87]。同年5月27日、所属事務所のシス・カンパニーを退社。会社から慰留されたが、最終的には「事務所に迷惑をかけるわけにはいかない」という自身の意思による。「オペレーション・コドモタチ」公式サイト上で「東北で生活するのはあり得ない。がんになるのを待っているだけ」「このまま放射能汚染が続くなら、俳優業引退・疎開も考えている」と述べている[88]。

7月11日、佐賀県庁で行われた反原発デモに参加。玄海原子力発電所廃止を訴え、「知事は出てこい」など訴えながら、県知事の古川康に玄海原発再稼働中止の請願書を渡そうと、約150人のデモ隊の一人として佐賀県庁に進入。1時間ほど県職員や守衛警備員らともみ合ったが、知事に嘆願書を手渡すことはできず職員への手渡しにとどまった。今後も反原発デモがあれば参加する意向ということである[89]。この顛末について8月、京都市在住で京都党党員の行政書士が建造物侵入の容疑で佐賀地検に告発し、9月20日に受理されたことが告発者当人を名乗るブログにて事の次第を掲載され、一部マスメディアでも報道された[90][91]。告発状の内容の一部は報道によれば「憲法が保障する表現の自由から著しく逸脱している。法治国家として是認できない。被告発人のような過激なものを野放しにせず、厳重な処罰が行われるよう、速やかに捜査に着手することを求める」などとされている。


同月13日、自身のツイッターにて「遂に菅さんが脱原発宣言した。震災から4ヶ月、険しい道のりだったけど、やっとここまで来た。そして、こっからが更に険しい。でも、頑張らなきゃね。子ども達の未来のために。」[92] とつぶやき、同日行われた当時の首相である菅直人の記者会見を評価している[93]。

同月18日、環境NGO「欧州放射線リスク委員会」委員の物理化学博士クリストファー・バズビーの講演会に参加。合間にツイッターで講演を実況した。フリーになってからツイッターのフォロワーが11万人を超過。「欧州では(内部被ばくの危険性を示す)データで出ている。食べられないものが出てきて、病気の人も増えて労働力が下がっていくことを食い止めたい」「将来の日本の、そして子どもたちのために、僕が動くことでリスクを訴え続けていかなければならないんです」「今は、ツイッターに興味がないもっと年齢が上の層にも、僕の声を広げていきたい。だから、取材はこれからも受けます」と今後も反原発活動を続けることを改めて明かした[94]。

7月20日のトークショーにて、反原発活動を行うきっかけは、2011年4月にソフトバンク社会長孫正義のツイッターにて「原発に賛成?反対?アンケートとってみよう」というつぶやきに、原発反対とつぶやいたが「抑えていたものがあふれたのか、涙が止まらなくなり、1人で嗚咽していた。それで、俺は原発反対を訴えていこうと決めた」と語った。山本自身は8年ほど前から母親の薦めで環境保護団体「グリーンピース」の支援をしていたが、原発に対し「未来に負の過去を残すようなもの」という不安を行動に起こすことなく過ごしており、今回の原発事故が起こったことから「放置してきた自分に怒り、悶々としていた」とのことである[95]。

7月23日に龍谷大学で行われた講演会を聴講していたが、サプライズゲストとして「日本政府がやっていることは、日本の将来をあきらめたとしか思えない。このままだと日本は核廃棄物の処理場になってしまう」「この状況を変えるには世論が変わるしかない。そのための底上げの活動を、草の根でやっていけたら」などと5分ほど演説をした[96]。
自身の右側頭部に発症した円形脱毛症について被曝の影響だと主張している[13] が、同時に「枝野さんが直ちに影響無いって言ってたから違うと思いますけど」と発言しているため、正確には被爆の影響だとは考えていない[97]。

自身がTwitCastingにて2013年10月24日に配信したライブ映像の中で「ベクレてる(放射能汚染されている)んやろなぁ、国会議員に出すお弁当は」と述べた[98]。山本太郎はジェイ・キャストの取材に対し、「ベクレてる、というのは放射能汚染されているという意味で使っています」と述べた[99]。


特定秘密保護法案反対運動

「秘密保護法」大集会実行委員会 主催[100][101] などの特定秘密保護法案反対運動に参加している[102]。

2013年12月3日夜、山本太郎は国会議事堂前で『(特定秘密保護法案の採決阻止のために)採決の日に、議員を国会に入れなきゃいいんですよ。』、『議員会館、国会に議員が入れないくらい、人があふれるくらいに集まれば、これは阻止できる可能性がありますよね? 1000人と言わず、1万人と言わず、10万人と言わず、100万人ぐらいの人が国会周辺に集まりましょうよ!』とデモ隊に対してスピーチした[103][104]。


安全保障関連法の採決

2015年9月、参議院本会議の安全保障関連法の採決で、数珠を持ち喪服を着用した上で投票を行い、安倍晋三総理らに焼香するしぐさを行った。このことに関して、9月25日、山崎正昭参院議長から上記の『今上天皇に対する書簡手渡し』の件も含めて、「次は容赦しない。議員バッジを外すことになるかもしれない」と、山本に対して『国会法による除名』の可能性も含ませた厳しい警告が行われた[105]。


人物・エピソード

政治家になる前から政治的発言が目立っていたが、その後政治家に転身した。上述のように反原発や反TPPを主張しており、参議院議員に当選する前からそのような政治的活動に積極的に参加していた。支持者には反原発派が多く、自身の姉も脱原発運動をしていた[106]。


趣味はサーフィン。仕事の合間を縫い、よく仲間と海へ行っている。

メロリンQというフレーズは、小学生時代に短期ホームステイ先のフィリピンで食べた「バナナQ」というデザートが由来だという。ただ語呂が悪いと言うことでメロンQ→メロリンQへと変化したとのこと[107]。山本自身はダンス甲子園からの引退以来メロリンQの芸を行っていないが、議員となって以降も「営業案件になるため、相応のギャラを頂ければ、今でもやる。」「封印している訳ではなく、人類最後の日に再びやろうと思う。」という意向をゲイレポーターの酒井佑人のインタビューで語っている[108]。なお、メロリンQの芸自体は1993年に岐阜経済大学、次いで2003年より滋賀県立大学の学園祭にて男子学生の余興として演じられるようになり、2018年現在も両大学の学園祭名物として受け継がれている[109]。

伊集院光とは芸能界でも互いが認め合う無二の親友である[110]。1992年に伊集院が司会を務める生放送の帯番組『素敵な気分De!』を盛り上げるために独断で、覆面を被り模造刀を手に持った不審者として生中継コーナーに乱入しゲストであった渡辺典子に襲いかかったりカメラを壊そうとしたりと大暴れし、警察が出動する放送事故になった。伊集院が自身のラジオ番組で語ったところによると、この放送事故の影響で、半年ほど芸能活動を謹慎する羽目になっていた。放送中には山本であると明かしておらず、警察の取り調べでも伊集院とは無関係と主張した。

大河ドラマの『新選組!』では平山五郎を殺害する原田左之助を演じたが『輪違屋糸里』では平山五郎を演じた。『幕末高校生』では、タイムスリップした幕末で新撰組隊士を演じている。

参議院議員就任後の2013年に次々とプライバシーの報道や身に覚えのない犯罪疑惑を報道されたことについて[111]、山本のオフィシャルブログで、大きな力が働いているとし弁護士チームも普通では考えられない事だと述べている、と主張している[112]。


芸能界デビュー前

父が1歳の時に亡くなり、母子家庭で育つ。(岩切徹「現代の肖像 俳優 山本太郎 ”脱原発”役者の軌跡」「アエラ」2012年12月3日より)[113]
山本曰く、母親は「パワフルで正義感が強」い人で、「日常的にも自分より弱い立場の人には、手を差し伸べろっていうことはすごく言われ」た。山本は、母の存在から大きな影響を受けて育ったという(著書「山本太郎 闘いの原点」より)[113]。
母はフィリピンの貧しい子供たちを支援するボランティア団体のメンバーで、山本も子供の時から何度もフィリピンに行って、仕事を手伝わされていたという[113]。

発言

竹島発言とその真意

2008年7月20日、読売テレビの『たかじんのそこまで言って委員会』で「竹島は韓国にあげたらよい」と発言し、ネット右翼の批判が集中した[要出典]。2012年3月16日、オーディトリウム渋谷にて山本は批判に対して、番組の編集で発言の前後がカットされ、この部分だけが放送されたものであり、韓国の実力行使に対して、竹島は日本の領土であるというだけで何もしない日本政府にハッパをかけようという趣旨の発言であったと説明した[114]。また2012年7月15日に『たかじんのそこまで言って委員会』に再出演した際には、竹島発言に関して「竹島をあげてしまえばいいというのは、本当にそのままあげてしまえばいいというわけではなくて(中略)尖閣みたいに中国と日本の間で暗黙の諒解みたいなものがあるんであればなんかその均衡は保てるでしょうけど、竹島に関してはそうじゃなかった、もっと早くに手を打ってるべきだろう、お尻を叩く意味での発言であった」と釈明している。

東日本女子駅伝を中止に

2011年11月5日の、BSジャパン『デキビジ』(ニコニコ生放送でも中継)にて「東日本女子駅伝を中止に追い込みたい」「『復興しましたよ』ってアピールのためだけの行事」などと発言した。これに対して、主催者である東北陸上競技協会理事長の安田信昭は「放射線量も毎週計測して、大丈夫だという判断になっています。駅伝なので走る時間も限られている。復興の象徴として盛り上げようとしているのに、この発言は風評被害になりますよ。福島県民に対して失礼なんじゃないか」と発言した[115]。


森友学園問題における発言

2017年3月2日の参議院予算委員会で、森友学園問題について、安倍晋三に対し妻の安倍昭恵をロッキード事件と掛けてアッキード事件と皮肉る発言をした。この発言に対し安倍は「その言い方は限度を超えている。人の名誉を傷つけるために委員会を活用することは、極めて不愉快だ」と抗議している[116]。また、予算委員会委員長の山本一太は、この発言を問題視し措置を取る可能性にも触れている[117]。

NHK受信料ボイコット発言

公共放送であるNHKに対し偏向報道が行われていると主張し、「NHKが加計問題に対して政権への忖度報道を続けるなら、『受信料の支払いをボイコット』する。公共放送とは言えぬ偏向報道だ」「視聴者がスポンサー、ということをNHK首脳陣とNHK報道は思い出す必要がある」と発言している[118]。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E6%9C%AC%E5%A4%AA%E9%83%8E

260. 中川隆[-8927] koaQ7Jey 2019年8月02日 08:17:36 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3801] 報告

山本太郎「寄付金集まったら候補者10人発表する」→現在蓮池1人 これって詐欺だろ!
http://awabi.2ch.sc/test/read.cgi/giin/1560994532/l50

1 :無党派さん :2019/06/20(木) 10:35:32.13 .net

寄付額3億円くらいの場合

参院選で10人擁立(選挙区5人、比例5人)
供託金だけで4千500万円。
※1選挙区300万円・比例1人あたり600万円

https://www.reiwa-shinsengumi.com/donation/

3 :無党派さん:2019/06/20(木) 23:09:19.96 .net


https://i.imgur.com/bUGLNvO.jpg

酒井剛(偽名:斎藤まさし)、極左過激派。山本太郎議員選挙参謀。

父:過激派よど号ハイジャック犯、母:北朝鮮による日本人拉致の実行犯
の息子に目をつけ市議選に擁立。

次なるコマとして、山本太郎を当選させた。


4 :無党派さん:2019/06/20(木) 23:09:42.72 .net

山本太郎氏の「選挙参謀/ブレーン」斎藤まさし=極左過激派

菅総理・民主党と献金先団体、北朝鮮拉致問題の構図

https://i.imgur.com/qeW43FT.jpg

織田陽介 全学連 前委員長(山本太郎の秘書)

https://i.imgur.com/IqvGo4L.jpg


5 :無党派さん:2019/06/21(金) 20:55:56.90 .net

アルルこと中田安彦が、副島隆彦のコネ(裏口)で山本太郎の秘書をやっている。
副島隆彦のコネとは、副島隆彦の小沢一郎経由のコネらしい。
副島道場関係者の小沢言論は、全部偏向してると判断してよい。
ほかのフリージャーナリストとかも、小沢の「援助」を受けてるのがいそう。

https://twitter.com/JUlbDHOfgimcsGc/status/1089204772790448130


中田安彦が、副島隆彦のコネで山本太郎の秘書をやってるという話は、ツイッターで拡散させるべき。
中田安彦の関係者が、政治家秘書の年収が何千万といって、自慢してたことあっただろ。
裏では、こんなこと言って庶民を小馬鹿にしてますと暴き立てるべき。 副島隆彦も一緒に終わる。

https://twitter.com/JUlbDHOfgimcsGc/status/1085197266472775681
(deleted an unsolicited ad)


http://awabi.2ch.sc/test/read.cgi/giin/1560994532/l50

261. 中川隆[-8926] koaQ7Jey 2019年8月02日 08:18:38 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3802] 報告
5. MO[142] gmyCbg 2019年7月28日 08:10:15: TBJAkqgY82 : ckZTMGdRMXFTLk0=[2]

正直言って、山本太郎やら、取り巻きの菅野やアルルの男・ヒロシ(中田安彦秘書)が、立憲攻撃を目的として「消費税廃止」、「もしくは5%までの引き下げ」といって難癖つけて譲らないのであれば、立憲と共産でこいつらと戦ってもいいと思うよ。俺和それで選挙にまけても文句は言わない。

はっきり言って、れいわ新選組が野党の主導権を握るようなら、自民が政権を握ってた方がまだましだと思う。非現実的な話ばかりして、ききわけのない連中と一緒にやっても、将来的に瓦解するのは明らか。

れいわの連中がやりたいのは、消費税廃止ではなくて、自分たちが権力を握ること。
いきなりの消費税廃止は現実的な政策でない。やるなら漸進的なものでしかできない。

ちなみに、れいわ幹部が主張する消費税廃止は、現職議員の船後さんの障碍者支援政策と明らかに矛盾している。税収が減る、もしくは横ばいであれば、障碍者向け支出も減るか現状維持のまま。
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/696.html#c5


▲△▽▼

政治のエンタメ化

「政治を面白く」というキャッチフレーズを掲げる「れいわ新選組」代表の山本太郎氏は、実際に街頭演説やインタビューなどで有権者の関心を引くための仕掛けづくり≠意識していることを「ネタばらし」している。「政治のエンタメ化」を、「あえて」実行するというわけだ。

「れいわ新選組」候補者の街頭演説を「れいわ祭」と銘打ち、「参加型のエンタメ」感を打ち出したことは、まさにその実例と言える。

山本氏は、「エンタメ要素」を盛り込んだ宣伝戦略が、費用対効果から言っても、最も効率的に党勢を伸ばす方法であることを理解している。

沖縄県出身で創価学会員の野原善正氏を擁立し、誰もが矛盾を感じている「公明党」とその支持母体である「創価学会」のズレを、参院選という大舞台で公明党代表・山口那津男氏との「ガチンコ勝負」として具現化する――これはほとんどプロレス的発想だ。

いみじくも「NHKから国民を守る党」代表の立花孝志氏が言ったように、「真面目なことを不真面目」にやらないと誰も注目しないのである。NHKの政見放送で、候補者たちがNHK局員の不祥事を暴露しまくり、口々に「NHKをぶっ壊す」と叫ぶ姿を痛快に感じた有権者も多かっただろう。


スマートフォンの中では、政治家の街頭演説よりも、猫が床をゴロゴロする動画のほうが、果物が山ほど載ったパフェの画像のほうが、多くの人を惹きつける。政治に無関心な層を掘り起こそうとすればするほど、「エンタメ要素」は必須とならざるを得ないだろう。

参院選の翌日に行われた吉本興業の岡本昭彦社長の約5時間にわたる謝罪会見で、選挙結果を吟味するための「時間」そのものがかっさらわれ、世間がそれ一色に塗り変わったことが典型的だ。政治も「面白く」なければスルーされるというわけだ。

「シングル・イシュー」が効果的な理由

その点、「れいわ新選組」の選挙戦は「エンタメ性」が徹底されていた。

例えば、難病であるALS(筋萎縮性側索硬化症)患者を国会に送り込むというのは前代未聞の試みであるだけでなく、彼らが主張する価値観(中卒、高卒、非正規や無職、障害や難病を抱えていても、将来に不安を抱えることなく暮らせる社会を作る)をリアルタイムで世に問う「社会実験」でもあったわけだ。

「れいわ」に票を投ずるか否かを逡巡することは、「難病患者を国会議員にすることに賛成か反対か」というイシューに関して、自らの態度を決めることと同義になった。そのため、有権者に明確な参加意識が生じやすかった。

つまり「れいわ」は、今回の選挙自体を「既存の社会に対する挑戦状」にするというストーリーを構築し、有権者たちも事実としてそれに乗ったのである。

「エンタメ化」は、「シングル・イシュー・ポリティックス」と親和性が高い。

「シングル・イシュー・ポリティックス」とは、一つの争点のみについて賛否を問う政治運動のことだ。実際に「NHKから国民を守る党」は、「NHK」(の現在のような受信料制度にノーを突き付けること)の賛否だけを問うた。

「れいわ新選組」の場合は、今回の参院選から新たに導入された「特定枠」にALS患者の舩後靖彦氏と重度障害を持つ木村英子氏を指定することで、「障害者」(も生きてて良かったと思える社会を実現すること)に対する賛否を、実質的に「一つの争点」として機能させることに成功したと推測できる。


「わたしたちが抱えている恐怖や不安」に対する目処が付かない限り、巷でいう「ポピュリズムと称されるもの」が決して収束することはなく、「政治のエンタメ化」も有効な手段であり続ける。これは必然である。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66127

262. 中川隆[-8925] koaQ7Jey 2019年8月02日 08:20:29 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3803] 報告

2013年07月26日
〔山本太郎〕の選挙参謀が〔斉藤まさし〕だったとは?!
http://olii-yuusaku.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/post-352d.html

http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/bn-20130724-2948/1.htm

・おいおい、「市民の党の斎藤まさし(本名・酒井剛)」と言えば、菅直人が追求を逃れるため、突然辞職しなければならなくなった、「北朝鮮献金・疑惑団体」の頭目ではないか?引用例が多いので、早速ニフティのhttpから記事を以下。

・「参院選に東京選挙区から無所属で立候補し、4位当選を果たした山本太郎氏(38)の選挙を取り仕切っていた人物が、市民の党の斎藤まさし(本名・酒井剛)代表だったことがわかった」

・「斎藤氏は『市民派選挙の神様』とも呼ばれる選挙プロ。斎藤氏は菅直人元首相と以前から親交があり、1980年の衆院選では菅氏を斎藤氏が応援している。この時、菅氏は4度目の国政挑戦で初当選を果たした」

・「斎藤氏が代表を務める市民の党は、よど号ハイジャック犯の息子と関係が深く、その派生団体は2年前に菅元首相の資金管理団体から2009年までの3年間で合計6250万円の献金を受け取っていたことが、国会で問題となったことがある」

・「今回の参院選では、斎藤氏は山本陣営のボランティアを統括し、裏選対の最高責任者として選挙を取り仕切ったという。山本陣営の関係者によれば、都内に1万4000カ所以上ある掲示板に選挙ポスターを貼る作業を斎藤代表が指揮。公示の日に朝から1000人以上のボランティアをバスやレンタカーに分乗させて他のどの陣営よりも早く山本氏のポスターを貼り終えた」

・「斎藤氏は『菅さんとは消費税の増税をめぐって喧嘩別れして以来、口もきいていませんから、僕が菅さんの意を汲んで動くことはあり得ない』としている」・・・

・うぅん、蛇の道はヘビ、「山本太郎を勝たせるために、菅直人が民主党の共倒れを狙って仕掛けた選挙運動ではなかったのか?という見方を、ブログ先輩の【憲坊法師】さまは書かれている。以下記事のコピペを。

---------------------------------------------------------------------------

7月23日[産経抄]

・長年の研究開発の苦労が実り、新製品が大ヒット、わが世の春を謳歌(おうか)する企業があった。ところが、その製品に重大な欠陥が見つかってしまう。消費者にそっぽを向かれ、業績は悪化するばかりだ。

 ▼その企業には、もうひとつの悩みがある。3人のかつての経営者の存在だ。直属の部下を連れて飛び出したAさんは、別の会社を立ち上げた。といってもかつての「剛腕」のイメージは失われ、経営は苦しそうだ。社長時代から常識はずれの言動が多かったBさんは、今もマスコミの格好の標的となって、会社の信用低下に一役買っている。今も会社に籍を置くCさんは、現経営陣の方針に逆らって、やりたい放題だ。
 
▼民主党をモデルに、こんな筋書きの経済小説が書けるかもしれない。A、B、Cが、小沢一郎、鳩山由紀夫、菅直人の3氏であることはいうまでもない。とりわけ参院選で喫した大敗について、菅元首相の責任は重いといえるのではないか。
 
▼東京選挙区で党から公認をはずされた現職候補は、元首相と同じく「脱原発」を主張してきた。だからといって公然と支援するのは、まさしく「反党行為」だ。公認候補と共倒れという、悪夢のような結果を招いてしまった。
 
▼「不可欠意識」という言葉を、加藤秀俊さんの『隠居学』(講談社)から教わった。自分が組織にとって「不可欠」である、と思う気持ちは誰にもある。ただ社長や会長というエラい人たちに、その意識が強すぎると始末に負えない、と加藤さんはいう。
 
▼まして、首相や大政党の党首を務めた人たちの妄想は、「おれがいなきゃ、日本はダメになる」などとどこまでも大きくなる。そろそろ「可欠のひと」として、「隠居学」の勉強を始めてはいかがか。

・「瀬戸さんのところに大変面白い記事があります」
http://blog.livedoor.jp/the_radical_right/archives/52979178.html

その中でこういう一節があります:

・当初自民党の二人は盤石と言われていました。公明党も共産党も組織力で上回る。しかし、民主党が一本化されれば当選してしまいます。何が言いたいかと言えば、山本太郎の当選がなくなる。
 
・菅直人は実は大河原氏の立候補に拘ったのは、民主の票がまとまることを邪魔して、結果的には山本太郎の当選を側面から応援したかった。当初山本太郎は当選ラインギリギリだと言われていたのです。

・反原発バカの一つ覚えの山本太郎を当選させるために民主の二人の落選を狙ったというわけです。十分考えられるシナリオですが、問題はそういう企みを考えるほど菅直人は頭が良いかと言うことです。

---------------------------------------------------------------------------

・さて2年前の記事であるが、〔櫻井よしこ〕さんが鋭く〔斉藤まさし・菅直人〕の危なすぎる関係を糾弾している記事を私が投稿しているので再読戴きたい。以下。

http://olii-yuusaku.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-be78.html

2011年7月17日
(MSN産経ニュース・櫻井よしこさんが的確に糾弾する!)

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110714/plc11071403040006-n1.htm

・NHKを筆頭に、どのテレビ局もこれまで報道しない菅直人ってか民主党の疑惑。産経新聞だけが頑張って報道していると先輩〔憲坊法師〕がそのブログで善戦健闘しておられるが、わが〔櫻井よしこ〕さんが舌鋒鋭く纏めて下さっている。

・冒頭の、「菅直人首相には深い闇のような疑惑がつきまとう。7月2日以来の〔産経新聞〕の報道がその闇を暴きつつある」・・・に全てが集約されているように感じる。

・死んでしまったが、菅直人の師匠筋だった〔田英夫〕(バリバリの反日・嫌日だった!)の義理の息子=〔酒井剛(ペンネーム・斉藤まさし〕が騒動の中心のようだ。この酒井は〔市民の党〕の代表で、別に〔政権交代をめざす市民の会=めざす会〕も作っている。

・この〔めざす会〕に、菅首相の資金管理団体=〔草志会〕が、2007年から09年にかけて6250万円を献金していて(貰ったのではない!)、同時期に民主党から草志会に、1億2300万円が献金されていた(穴埋めか?)という。何のことはない、我々の税金から掠め取られている『政党助成金』が、チャッカリとサヨク団体へ回っていたことになる。

・この〔市民の党〕は、@よど号ハイジャック犯の故・田宮高麿と妻の森順子容疑者の長男である森大志を三鷹市議選に候補者として擁立したり、A国旗を引き摺り降ろしたり燃やしたり、市議会を選挙したりした横浜市議会議員・井上さくら(キ◯ガイ)を出したりしている極左・反日党である。

・菅からの6250万円だけでなく、前首相の鳩山からも1000万円が流れているというから、産経新聞の孤軍奮闘の報道を応援したいし、NHKほか他局の「何故報道しないか?」も甚だ疑問である。(私には答が分かっている。大手新聞社及びテレビ局は、『極左・反日』だからである!)


・〔櫻井よしこ〕さんは、以前『拉致実行犯の辛光洙(シンガンス=北朝鮮に戻り英雄になっている)の釈放嘆願に菅直人が署名していたことにも触れ、

「@拉致実行犯・辛光洙釈放嘆願の事実、

A〔市民の党〕の勢力が民主党に浸透している事実、

B〔市民の党〕代表が菅首相の30年にわたる友人で、その関連組織・〔めざす会〕に首相個人の資金管理団体から6250万円が寄付されていた事実

首相には民主党から1億2300万円が寄付され、菅執行部の民主党が事実上市民の党などを支えていた事実」


・「いずれも法律の範囲内でなされているが、その巧みさゆえに尚、菅氏を包み込む闇の暗さと狡猾(こうかつ)さが痛感される。この首相の下で民主党はあらぬ方向に暴走しつつある。暴走の先には日本の最大不幸が待ち受けている。一刻も早い全容の解明と菅首相退陣が必要だ」・・・と厳しく糾弾している。

・@日本の原発を全部止める、A慢性電力不足の日本から企業群が逃げ出す、Bその殆どがチャイナに入り、やがて奪われる・・・こうして単純に考えれば、菅直人ってか民主党の思考回路が見えて来る。民主党とは、反日・嫌日で、更に亡国・売国を企む仮面を被った党だったのだ!おいおい!若手議員じゃないが、「1分1秒でも早く総理を辞職し、チャイナか南北朝鮮に亡命した方が身の為だぜ!

---------------------------------------------------------------------------

・〔斉藤まさし〕の言う、「菅さんとは消費税の増税をめぐって喧嘩別れして以来、口もきいていませんから、僕が菅さんの意を汲んで動くことはあり得ない」を単純に信じてしまえば平和だが、政界に「平和」なんざ有り得ないことを考えれば、〔山本太郎⇔斉藤まさし⇔菅直人〕の関係が垣間見られて、ひたすら汚い!
http://olii-yuusaku.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/post-352d.html


▲△▽▼

斎藤 まさし(さいとう まさし、1951年 - )は、日本の政治活動家、市民運動家。MPD・平和と民主運動(市民の党)代表。本名は酒井 剛(さかい・たける)。


島根県邇摩郡五十猛村生まれ。
島根県立大田高等学校卒業。1970年、上智大学外国語学部ロシア語学科に進学し、在学中から学生運動に参加。1971年の学生訪中団にも加わる。

1972年に上智大から除籍処分を受けた。

1974年に新左翼系の学生運動団体「日本学生戦線」を、1979年には同じく新左翼系の「立志社」を設立した。

1983年、参議院議員の田英夫元社会民主連合代表や八代英太、宇都宮徳馬らと政治団体「MPD・平和と民主運動」を立ち上げ、1996年には市民の党を結成。市民の党は関東圏を中心に、地方議会に議員を送り込んでいる。

また斎藤の呼びかけにより、主に民主党から国政選挙に立候補した候補者の選挙支援が目的の、市民の党から派生した政治団体「政権交代をめざす市民の会」も立ち上げられている[1][2]。

かつてはわしお会代表や、『わしお英一郎東京応援団』会計責任者を務めていた。なお「市民の党」「わしお会」「わしお英一郎東京応援団」は所在地が同一で、会計責任者も同一人物が務めている[3]。2015年5月26日、同年4月12日に行われた、静岡市長選挙を巡る公職選挙法違反で、旧高田薬局創業者の妹の立候補のサポート役に徹したが、その創業者らとともに静岡県警に逮捕された[4]。


人物

田英夫の娘婿という週刊誌の記述をもとにした誤った情報が流通しているが、親族から否定され、斉藤を田の娘婿と名指しした参議院予算委員会での、自民党の礒崎陽輔、山谷えり子議員の質問箇所は議事録から削除された。

「斎藤まさし」の名前で各地の選挙運動を手がけて候補者を当選に導き、「無党派選挙のプロ」等の評もある[5]。

市民の党が勝手連的に応援し、当選した候補者には

山本太郎(参議院議員)、

中村敦夫(元参議院議員)、秋葉忠利(前広島市長)、堂本暁子(前千葉県知事)、嘉田由紀子(前滋賀県知事)、川田悦子(元衆議院議員)、大河原雅子(衆議院議員)、黒岩宇洋(衆議院議員、ただし市民の党が応援したのは参院選出馬時)、宮崎岳志(前衆議院議員)、篠田昭(新潟市長)、喜納昌吉(元参議院議員)らがいる。


また元社会民主党所属で、参議院議員を辞職して神奈川県知事選挙に立候補した田嶋陽子のサポートも行った[6]が、田嶋は松沢成文に敗れた。菅直人が初当選した際の選挙も手伝っており、民主党議員約100人の選挙応援を行っている[7]。


2004年、季刊誌「理戦」の対談記事で、「僕は、革命のために選挙をやっている」「目的は革命なんだから、最終的には中央権力を変えなければならない。だけど革命派が強い拠点地域を作っていくことは重要です」と述べるなど、社会主義・共産主義的な革命思想を掲げている。


「菅直人とは30年ぐらい前からの付き合い」と発言している[8]。
日本人拉致事件については「解決する一番いい方法は日朝国交正常化だ」と述べている[9]。


共産主義者同盟赤軍派に共感を示しており、平成15年の雑誌の対談記事では「革命一筋。この30年間他に何も考えたことはない」と述べ、自らを「レーニン主義者」と紹介した[9]。


2011年4月に行われた第17回統一地方選挙の三鷹市議会議員選挙に、代表を務める市民の党からよど号ハイジャック事件を起こしたよど号グループの元リーダー田宮高麿と、石岡亨・松木薫を欧州から北朝鮮に拉致した結婚目的誘拐容疑で国際手配を受けている森順子の長男、森大志が立候補しているが斎藤は市議選に擁立した背景について取材で「10年ほど前に北朝鮮に行き、よど号の人間や娘たちと会った」「その中には(三鷹市議選に出馬した)長男の姉もいた」「そうした縁もあって、長男が帰国してきてからつながりがあった」と述べている[9]。 北朝鮮や田宮との関係について「救う会」会長の西岡力は「酒井(斎藤まさし)代表がよど号犯やその子供らと会えたことは、北朝鮮が酒井代表を同志と考えたか、対日工作に利用できると判断して許可を出したことになる。酒井や市民の党が北と密接な関係にあったのは明白だ」と批判している[9]。


また枝野幸男内閣官房長官(当時)は、斎藤がよど号ハイジャック事件の犯人との接触を認めたことについて「そうした方を存じ上げないのでコメントしようがない。私のところに情報は来ていない」と述べ、斎藤を対象とした調査についても「内閣官房としては直接の担当部局だと思っていない」として官邸サイドが直接調査する考えがないという見解を表明しており、枝野が斎藤と面識があるかを問われた際は「100人、1千人のパーティーで会っている可能性は否定しないが、私自身、面識があるという認識はない」と答えている[10]。

参考文献

AERA 2003年10月27日号 現代の肖像『斎藤まさし・市民の党代表―市民派選挙の神様』
週刊新潮 2010年6月24日号 『「菅直人」新総理が政治団体に渡した奇妙な5000万円』
週刊文春 2011年7月21日号 『菅首相が6250万円渡した前科1犯「市民活動家」の正体
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%8E%E8%97%A4%E3%81%BE%E3%81%95%E3%81%97

263. 中川隆[-8924] koaQ7Jey 2019年8月02日 08:29:55 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3804] 報告

2011/04/01
「市民の党」と森大志を糾弾せよ!


東京都の三鷹市議選に「市民の党」から立候補している森大志(28)は、なんとあの田宮高麿の長男だそうです。

読者の通報(カキコ)で知りました。
ネタ元は週刊新潮の「出自を秘めて三鷹市議に立候補する「よど号ハイジャック犯」長男」のようです。

森を擁立した「市民の党」のルーツは「MPD・平和と民主運動」にあります。
MPDは、元ブント(共産同)系の活動家たちが結成した日本学生戦線から発展した組織です。

その流れは、「MPD・平和と民主運動」→護憲リベラル→平和・市民→「市民の党」となります。
つまり、「市民の党」はブントの血を引く過激派の末裔ということです。

私は、ハイジャック犯の長男が「市議選の候補」ということ以上に、その所属する「市民の党」の存在そのものが問題だ、という気がします。
まさに「市民」の仮面をかぶった「過激派」。

市民団体とかNPOにも、こういう素性のものが多い。
ほんとうに要注意です。

------------------------------------------------------------------

私の「韓国に配慮した歴史を教えよ!というカルト左翼」というエントリに、次のようなカキコがありました。


坂氏は今の大多数のサヨクを買いかぶっておられるのではないでしょうか。反国家=国家破壊運動ほどの意識をもっているサヨクは少数派と思いますが。小林よしのりの言うところの「うすら甘いサヨク」、すなわち、自分が全く責任を問われない事項について謝罪していい人になりたいってだけの馬鹿が大多数では。

この認識はまったく甘い!と言わざるを得ません。
そもそも小林よしのり氏は政治を解っていません。
左翼やイデオロギーの本質については無知と言ってもよいでしょう。
左翼の本質は左翼であった者しか解らない、
政治を実践した者の方が政治をよりリアルに理解できる、
私はそう思います。

社会の至るところに極左がしぶとく根を張っています。

それは、「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書が、市民団体の反対と妨害活動によって、ほとんど採択されなかったという事実を見れば分かります。
重信房子が日本に密入国し、9年間も潜伏して極秘活動ができたことも、極左のネットワークが健在であることを示しています。

そして何より、社民党が国政選挙で300万票を獲得できる、という現実、それだけカルト左翼とその支持者がいる、ということです。
社民党は「元」極左の巣窟ですからね。

------------------------------------------------------------------

ここで田宮高麿について書いておきます。


田宮は1943年、岩手県生まれ。
父親は農林省(現・農水相)の役人。
1970年3月に起きた「全日空日航機よど号ハイジャック事件」のリーダーです。

大阪市立大学時代に学生運動をはじめました。
私にとっては、ブント(共産同)の大先輩に当たります。
が、私がブントに参加した時は、彼は既に共産同赤軍派として分派していましたから直接の面識はありません。

組織の先輩から聞いた話ですが、田宮は活動家としては異色の存在だったようです。

ロン毛で理屈っぽい者たちが多い中で、彼はどちらかと言えば体育会系。
その度胸と行動力、そして統率力は群を抜いていたそうです。
だから赤軍派の軍事委員長(司令官)に就いた。

ハイジャックの被害に遭った乗客の一人は

「犯人たちは、学生だけあって、どこかウブなところが残る顔立ちだった。その中で、田宮だけは暴力団に入っても立派にやっていけそうな、凶々しい目つき」

と語っています。

大阪市大の教授が当時

「田宮君がいるから乗客の身の安全は絶対に大丈夫」

と、語っていたのが忘れられません。

まあ、思想ややった事の是非を別に置けば、田宮はそれなりの人物だった、
先輩たちの話から、私は、そう強く感じました。

ただ理論はからきしダメで、吉本隆明の本は1ページも読めなかった。
当時、ブントのかなりの部分が吉本隆明の影響を強く受けていたことを考えれば、田宮が塩見孝也に付いてブントを出て行った理由がよく解ります。

ところで、連合赤軍(連赤)の最高幹部で、12人の同志を虐殺した森恒夫は、田宮と同じ大阪市大の活動家です。

謂わば田宮の子分みたいな存在でしたが、田宮からは「ゲバ棒一本持てんやつに戦争ができるか」と完全にバカにされていました。

森が連赤に逃げ込み、史上稀に見る凶悪事件を引き起こしたのは、田宮に対するコンプレックスが一因だったと私は思っています。

この、当時はそれなりに英雄視された田宮も、結局は北朝鮮に屈服、その奴隷になってしまいました。

そして、1995年に平壌で突然死します。

田宮の突然死は未だ謎ですが、ハイジャック犯たちが北朝鮮の工作員として活動するようになったことと無縁ではないような気がします。
つまりハイジャック犯たちの内部で路線対立が起こり、田宮は粛清された、のではないかと思うのです

下の写真は、今でも鮮明に覚えています。
短髪(角刈りに近い)で、右手に日本刀を持った田宮の精悍な顔つきは、まるで右翼のようでした。


右手に日本刀を持ち、解放される人質を見つめる田宮高麿

------------------------------------------------------------------

私は、田宮の長男が、「市民の党」というカルト左翼から市議選に出馬するのは、父親より母親の影響が大きいと思っています。

田宮が死んだ時、森大志はまだ12歳です。
父親の思想など理解できないでしょう。
では、森の母親とは何者なのか?

森大志の母親は森順子(よりこ)と言います。

つまり大志は、母親の姓を継いでいるのです。
順子は、在日朝鮮人の父と日本人の母の間に生まれました。

パスポートを取得していることから、日本国籍であると思われます。

が、北朝鮮では“在日2世”として迎えられており、自分は「日本人」だと言う一方、平壌では「ここは私にとって祖国でもありますからね」と語っています。

ところで、この森順子、欧州における日本人拉致事件に関与しているとして、警察庁により国際指名手配されています。

つまり、有本恵子さんや松本薫さん、石岡亨さんを拉致した実行犯である可能性が極めて高いのです。

下の写真は、順子と石岡亨さんが欧州で一緒だったことを示すものです。


森順子・中央と石岡亨さん・右

確かに森大志はハイジャック事件のリーダーの長男です。
が、田宮は既に16年前に死んでいます。

一方、母親の森順子は、日本人拉致の実行犯(の可能性が極めて高い)であり、未だに逃亡中です。

おそらく北朝鮮にいるのでしょう。
そして、赤軍派のハイジャック犯たちと連携して北朝鮮の工作活動を展開している、と思われます。

------------------------------------------------------------------

「高敬美ちゃん剛くん拉致事件」を捜査していた兵庫県警は、1988年5月6日早朝、新宿区三栄町のアパート前で北朝鮮の秘密工作員と見られる男の身柄を確保しました。

男は「中尾晃」と名乗っていました。

が、調べてみると、この「中尾晃」の正体は、ハイジャック犯の一人である柴田泰弘だったのです。

1996年3月、カンボジアのベトナム国境近くで北朝鮮大使館員らとともに逮捕された日本人も、ハイジャック犯の一人である田中義三でした。

田中たちは、タイのリゾート地パタヤで大量の偽ドル札を偽造していたのです。
つまり、世界革命を目指して、北朝鮮を革命の根拠地にするためにハイジャックを実行した戦士たちは、北朝鮮の手先となり、日本人拉致や偽ドル偽造に手を染めていたということです。

そのハイジャック犯のリーダーを父に持ち、日本人拉致の実行犯(とみなされている)を母に持つ男が森大志です。

選挙に立候補する権利はありますが、この男が当選するようなことがあってはなりません。

「市民の党」の候補は、前回選挙では次点でしたが、それ以前は2議席を有していました。

つまり、それなりの基礎票は有しており、森大志は、やり方によっては当選の可能性があるということです。
が、こんな人物を当選させるなんて絶対に許されません。

「市民の党」と森大志を糾弾せよ!
http://banmakoto.air-nifty.com/blues/2011/04/post-160d.html

264. 中川隆[-8923] koaQ7Jey 2019年8月02日 08:31:04 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3805] 報告
森大志【もりたいし】

 1983年に北朝鮮のピョンヤンで生まれる。父親はよど号ハイジャック事件のリーダーで連合赤軍の田宮高麿。

北朝鮮による日本人拉致問題で警察庁により国際指名手配されている森順子(北朝鮮に潜伏中)は母親。

2004年1月13日に来日。2歳上の姉、6歳下の弟も既に日本にいる。

 本籍は川崎市。ガソリンスタンドや介護用品整備、鉄工所、物流センター などで働く。2005年8月高等学校卒業程度認定試験(旧大検)合格。2008年専修大学商学部マーケティング学科入学。(中略)税理士を目指し、働きながら勉強中。

 極左過激派の政党、「市民の党」のメンバーで、2011年4月に東京都三鷹市の市議選挙に立候補したが落選した。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BF%B9%C2%E7%BB%D6

265. 中川隆[-8924] koaQ7Jey 2019年8月04日 06:33:55 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3806] 報告
■参議院議員・山本太郎氏の黒い背後関係 2013.8.6
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion13.htm#_■参議院議員・山本太郎氏の黒い背後関係


●参議院議員・山本太郎氏の背後にあるもの

参議院選挙で、リベラル、左翼、市民派の系統の政党の多くは、惨敗した。民主党は、結党以来最低の17議席という大惨敗だった。小沢一郎氏率いる生活の党は選挙区、比例代表とも議席を得られなかった。社民党は結党以来最低となる比例代表の1議席にとどまり、福島瑞穂氏は党首辞任を表明した。みどりの風は、改選の参院4議席全てを失った。落選した谷岡郁子氏は代表の辞任とともに政界からの引退を表明した。こうしたなか、「原発ゼロ」を唱えた無所属候補・山本太郎氏が東京選挙区で当選したのは、目を引く出来事だった。山本氏は、俳優で知名度は高いが、支持基盤はなく、当選の可能性は低いと見られていた。しかし、66万票以上を獲得し、4位で当選した。

山本氏が、内ゲバ殺人事件で知られる中核派の応援を受けていることは、ネット上では知られていた。中核派は機関紙「前進」で山本氏への支援を呼びかけ、選挙運動員を出して活動した。山本氏は、左翼過激派が擁立する市民運動家として注目された。山本氏は中核派の支援に対して「拒否しない」と述べたが、中核派が一方的に山本氏を支援したのではない。山本氏は中核派の反原発組織「NAZEN」の呼びかけ人に名を連ねているからである。「NANZEN」の事務局長は、中核派全学連の前委員長・織田陽介氏である。山本氏と中核派の関係には、浅からぬものがある。

だが、知名度と脱原発と中核派だけで、国政選挙で当選することは、不可能である。選挙に勝つには、さらに強力な支援者が必要である。実は、山本氏には、市民運動の選挙のプロ、「市民の党」の斎藤まさし(本名・酒井剛 さかい・たける)代表がついていた。酒井氏は山本陣営の裏選対の最高責任者だった、と「週刊文春」は8月1日号に書いた。酒井氏が街頭でマイクを握り、山本氏の選挙演説の前座をやっている映像が、ネットに掲載されている。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm21394732

「週刊文春web」は、次のように掲載した。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

山本太郎氏の選挙参謀と菅直人元首相の“深い仲”

http://shukan.bunshun.jp/articles/-/2948

2013.07.23 18:00

参院選に東京選挙区から無所属で立候補し、4位当選を果たした山本太郎氏(38)の選挙を取り仕切っていた人物が、市民の党の斎藤まさし(本名・酒井剛)代表だったことがわかった。

斎藤氏は「市民派選挙の神様」とも呼ばれる選挙プロ。斎藤氏は菅直人元首相と以前から親交があり、1980年の衆院選では菅氏を斎藤氏が応援している。この時、菅氏は4度目の国政挑戦で初当選を果たした。

斎藤氏が代表を務める市民の党は、よど号ハイジャック犯の息子と関係が深く、その派生団体は2年前に菅元首相の資金管理団体から2009年までの3年間で合計6250万円の献金を受け取っていたことが、国会で問題となったことがある。

今回の参院選では、斎藤氏は山本陣営のボランティアを統括し、裏選対の最高責任者として選挙を取り仕切ったという。

山本陣営の関係者によれば、都内に1万4000カ所以上ある掲示板に選挙ポスターを貼る作業を斎藤代表が指揮。公示の日に朝から1000人以上のボランティアをバスやレンタカーに分乗させて他のどの陣営よりも早く山本氏のポスターを貼り終えた。

斎藤氏は「菅さんとは消費税の増税をめぐって喧嘩別れして以来、口もきいていませんから、僕が菅さんの意を汲んで動くことはあり得ない」としている。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

この記事が書いた斎藤まさしこと酒井剛氏については、菅直人元首相との関係や菅氏の政治献金問題を、以前拙稿に書いた。その酒井氏が山本太郎氏の選挙を仕切っていたという。酒井氏は、北朝鮮と深い関係がある。一方、山本氏は、たかじんのテレビ番組で「竹島は韓国にあげてしまえ!」と発言したことが問題になったことがあり、極めて韓国寄りの考えを持っている。私が以前見た戦後大阪の在日朝鮮人を主人公にした映画「夜を賭けて」で、主役をやっていた。Wikipediaに2年ほど前には「兵庫県宝塚市出身。在日韓国人として宝塚市で生まれた。」と書いてあったという情報がある。

山本氏には、今回の選挙で事前選挙運動を行うなど、公職選挙法違反の疑いが出ている。だがもし本人が罪に問われることがなければ、これから6年間日本の国会議員として活動し、韓国・北朝鮮とも議員外交を行うだろうから、背後関係を押さえておく必要がある。

本稿は、参議院議員・山本太郎氏の背後関係について、過去の拙稿をもとに菅直人氏、酒井剛氏を中心に書くものである。

●菅元首相の政治献金問題

平成8年(1996)9月28日、鳩山由紀夫氏が旧民主党を旗揚げしたとき、菅直人氏もこれに参加した。菅氏は党の初代代表となった。菅氏は、市民運動上がりの政治家だが、菅氏は酒井剛氏の協力を得たことで、国政選挙に出て4回目にして初当選を果たした。菅氏は酒井氏とその後、ずっと付き合いを続けている。民主党結党の時点で、菅氏と酒井氏との付き合いは約15年になっていた。

菅氏は酒井氏を通じて、北朝鮮・よど号犯・新左翼系グループとつながりを持っている。このルートが民主党に北朝鮮の勢力が入り込む経路の一つとなっている。菅氏の資金管理団体は、平成19年から21年までの3年間に、酒井氏が代表を務める「市民の党」という地域政党に、多額の献金をしていたことが、国会で追及された。

菅氏をはじめとする民主党議員等は、「市民の党」ないしその派生団体に、巨額の献金をしていた。菅氏の資金管理団体「草志会」は、「市民の党」から派生した政治団体「政権交代をめざす市民の会」(以下、めざす会)に、平成19〜21年(2007〜2009)にかけて、計6250万円の政治献金をしていた。

「めざす会」は、酒井氏の呼びかけで、平成18年民主党衆院議員候補を選挙支援するため結成された。代表の奈良握(にぎる)氏は「市民の党」出身で、同党に毎年約150万円を個人献金したなど密接な関係を持っている。奈良氏は神奈川県厚木市議を7期務めている。

菅氏の資金管理団体「草志会」は、この「めざす会」に、平成19年には、5千万円をも多額の資金を提供した。この年、民主党から「草志会」に、計1億2300万円の献金があった。菅氏は当時、党の代表代行だった。菅氏は、献金について「自分が判断した」と言っている。民主党側からの献金で最も多い額だった。菅氏がいればこそ、民主党側から「市民の党」等に、巨額の献金がされたのである。

菅氏と「市民の党」側とのつながりは、菅氏だけものではない。「めざす会」には、鳩山元首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」も1千万円を献金していた。「市民の党」、及び「めざす会」を含む関係2団体に対して、平成20年(2008)当時菅氏が会長を務めていた民主党東京都連も献金していた。民主党の国会議員や地方議員による個人献金を含めると、民主党側からの献金は総額約2億500万円にも上る。

「市民の党」及びその派生団体への献金は、民主党の党ぐるみによる支援と見られる。献金は、民主党からの直接献金を隠すための迂回献金だった疑いが強い。民主党は、公党として、政党交付金を受ける。国民の税金がもとになっている政党交付金が、巨額献金の原資になっていた。民主党は国民の税金を怪しげな政治団体に回していたである。

この問題は、単なる政治献金の問題ではない。「市民の党」等の背後には、北朝鮮が存在するからである。この問題が国会で追及された時、当時の野田首相は、党の代表としてこの問題を明らかにし、民主党のあり方を正す意思がまったく見えなかった。むしろこの問題を国民から隠すために、菅氏が首相を辞任し、民主党の代表が替わったようにも見えた。

●「市民の党」と北朝鮮の深い関係

「市民の党」は、北朝鮮との関係が深い。同党には、日本人拉致事件容疑者の長男で、平成23年4月東京都三鷹市議選に立候補した森大志氏が所属している。

森氏の父親は、よど号ハイジャック事件のリーダー、故田宮高麿である。この事件は、昭和45年(1970)、赤軍派が日航機を乗っ取り、「日本革命」のために北朝鮮へ渡った事件である。田宮は平成7年(1995)11月30日に北朝鮮で死亡したとされる。森氏の母親は、昭和55年(1980)に石岡亨氏と松木薫氏を欧州から北朝鮮に拉致したとして、結婚目的誘拐容疑で国際手配されている森順子容疑者である。彼ら北朝鮮に奉仕する極左カップルの長男が森大志氏であり、森氏を選挙に擁立したのが、「市民の党」である。

この「市民の党」の代表が、山本太郎氏の選挙参謀をした酒井剛氏である。酒井氏は、2年前産経新聞の取材を受け、「10年ほど前に北朝鮮に行き、よど号の人間たちと会った」「その中には長男(註 森氏)の姉もいた。そうした縁もあり、長男が(日本に)帰国してからつながりがあった」と市議選擁立の背景を語っている。

森大志氏は、北朝鮮生まれで、金正日専制体制のもと、「日本革命」の戦士として育てられた。「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」会長の西岡力氏は、平成23年(2011)7月20日の産経新聞に書いた記事の中で、森氏は、今も「金日成主義による日本革命を目指す北朝鮮の工作員」との見方があり、選挙に担いだ「市民の党」も、「北朝鮮の対日政治工作を担う政治勢力ではないかという疑いがある」と述べている。その「市民の党」の代表である酒井氏が、今回の参議院選挙では、山本太郎氏の選挙を取り仕切った。山本氏は、極左カップルの子として北朝鮮で生まれ、「日本革命」の戦士として育てられた森大志氏のように、酒井氏が推すべき理由を持っているのだろう。

山本氏を支援した酒井氏率いる「市民の党」の機関紙には、以前田宮高麿やポル・ポト派元幹部が寄稿していた。菅直人氏はその機関紙に約30年前から投稿したり、インタビューに応じたりしてきた。酒井氏は、菅氏について、「国会議員になる前から知っている。田英夫(でん・ひでお)さんからの紹介だ。30年ぐらい前、菅氏が4度目でやっと初当選した選挙も応援していた。ずっとケンカしながら一緒にやってきている」と述べている。

菅氏は、市民運動から国政を目指したが、3回選挙に落ち、4回目で初当選した。菅氏は、故田英夫から酒井氏を紹介され、選挙に協力してもらって、当選できた。以後、30年に及ぶ付き合いだということだろう。菅氏もまた酒井氏が推すべき理由を持っていたのだろう。菅直人ー森大志ー山本太郎の三人には、共通項があるはずである。その共通項が、参議院議員・山本太郎氏の黒い背後関係の核心部分に存在するものだろう。

●田英夫と酒井剛氏の関係

田英夫(でん・ひでお)は、社会党・社民連系の参議院議員だった。ジャーナリストでニュースキャスターの草分けだった。田は、昭和43年(1968)、韓国の朴大統領暗殺未遂銃撃事件が起こったとき、韓国による「ヤラセ」だと言った。実際は、北の工作員である在日朝鮮人・文世光による犯行だった。大統領夫人は銃撃を受けて死亡した。これを「ヤラセ」と言い切った田は、北朝鮮のシンパ、あるいはそれ以上の存在だったことは間違いない。

田英夫は国会議員でありながら、「MPD・平和と民主運動」という政治団体の中心人物でもあった。彼とともに活動し、その活動を継承しているのが、酒井氏である。酒井氏は、一時田の娘婿だった。

「MPD・平和と民主運動」は、平成8年(1996)に「市民の党」に改称した。この年、鳩山由紀夫氏、菅直人氏らが民主党を結成した。菅氏はその初代代表になった。菅氏と酒井氏の関係は、その後も、ずっと続いている。

「市民の党」は、「MPD・平和と民主運動」の時代から、東京都千代田区平河町1−3−6龍伸ビルに所在する。「市民の党」が入っている龍伸ビルの窓には、故人だというのに「田英夫事務所」というポスターが貼ってある。

龍伸ビルの建物の一部の権利は、具本憲という人物が所有している。在日朝鮮人の実業家であり、在日本朝鮮青年商工会中央常任幹事を務めた人物である。具本憲氏の父・具次龍は、「朝銀の陰の理事長」「北朝鮮への送金王」として知られた在日朝鮮人の大物だった。

このことは、「市民の党」が北朝鮮と強いつながりがあることを示す。こうした政党に、菅氏をはじめとして民主党側は巨額の献金をしていたのである。それゆえ、民主党側からの献金は、政治団体を窓口とした北朝鮮への支援だったのではないかと疑われる。北朝鮮による対日工作活動への資金援助となっていた可能性がある。その手引きをしていたのが、菅直人氏だとすれば、わが国は、とんでもない政治家を首相にまでしていたものである。

●酒井剛氏の巧妙かつ悪質な手法

「市民の党」の代表である酒井剛氏は、斉藤まさしという名前も使っている。上智大学の学生時代には、ML派(毛沢東主義)だった。その後、日本学生戦線・立志社・「MPD・平和と民主運動」等を経て、市民派の選挙運動を行ってきた。堂本暁子氏(元千葉県知事)や田嶋陽子氏(法政大学教授)の選挙参謀として名を馳せ、「市民派選挙の神様」といわれる。平成16年の季刊誌「理戦」の対談記事で、酒井氏はこう語っている。「僕は、革命のために選挙をやっている」「目的は革命なんだから、最終的には中央権力を変えなければならない。だけど革命派が強い拠点地域を作っていくことは重要です」と。市民派というのは表向きで、日本の権力を握るのが目的である。今回の参院選で山本太郎氏の選挙参謀をしたのも、同じ考えでやっているものだろう。

酒井氏は、初対面の人を前にして、菅氏や小沢一郎氏に直接電話をかけ、民主党への影響力を誇示していたという。また、市民の党関係者によると、「ブラックカードをいつも財布に入れて持ち歩いていた。政治団体の代表という職でなぜ持てるのか疑問だった」という。ブラックカードは、限度額無制限のクレジットカードである。資金面には謎の多い人物だったらしい。

酒井氏は巧みな選挙戦術で議員候補を次々当選させ、選挙協力の見返りに民主党内に秘書を送り込んでいた。議員秘書や地方議員となって固定収入を得るようになった「市民の党」のメンバーは、給与や報酬を個人献金などの形で、党に納付。酒井氏は、こうした資金等を用いて政治活動を行うとともに、人件費として、各メンバーに給与を再配分していた。酒井氏は彼らに月15万〜20万円の給与を再配分し、メンバーはその給与で生活をしていたとみられる。それゆえ、民主党議員の秘書採用は「市民の党」への実質的な資金援助になっていた可能性がある。

政治資金規正法では、個人献金の上限額は1団体に対して150万円までと定められているが、民主党国会議員の関係政治団体など複数団体を迂回させる方法で、1人あたり年数百万円の献金をさせていた。政治資金収支報告書によると、「市民の党」や派生団体に対する所属議員16人からの個人献金額は、3年で1億3000万円を超す。立川市の市会議員は、年収約672万のうち、1年間に410万円も献金していた。常識ではありえない話である。

「市民の党」がこうして入ってくる資金を、人件費として支出した場合、政治資金規正法では、人件費は誰にいくら払ったのかを開示する義務はない。酒井氏の方法は、法の穴を突く脱法的なやり方と見られる。また、献金に際して、秘書や地方議員らメンバーは、総務省から「寄付金控除」の申請に必要な書類の発行を受けており、税制上の優遇措置を受けていた可能性がある。

極めて巧妙かつ悪質なやり方である。政治家・山本太郎氏の参謀となった酒井氏は、これから熟練のプロとして脱法的な手口を駆使してくるだろう。「原発ゼロ」という大衆をひきつける美しく、理想的なスローガンのもとで。

●菅氏の政治献金問題はウヤムヤに

 

菅氏の資金管理団体「草志会」から「めざす会」に渡った献金額は、6250万円。平成19年(2007)には、限度額上限の5000万円が献金された。この年は、参院選と統一地方選が重なった年である。献金は、選挙の支援と協力だった可能性がある。この年の「市民の党」の人件費は、際立って多く、公職選挙法で禁止されている選挙運動者への金銭供与の疑いがある。

菅氏は、23年8月8日の参院予算委員会の答弁で、献金の目的を訊かれ、「ローカルパーティー(地域政党)との連携・支援のため」と明確な説明を拒んだ。酒井氏との関係についても、首相は「会って話したことがある」と述べるにとどめ、具体的な説明を避けた。

自民党の古屋圭司参院議員は、酒井氏の証人喚問を求めた。真相解明のために、国会は早急に喚問を実現し、酒井氏から菅氏との関係や献金目的、使途、参院選の選挙運動などを詳しく聴取する必要があった。

草志会は平成19年に「めざす会」に対し、計5千万円を計8回に分けて献金した。自民党の西田昌司参院議員は税理士でもあり、この点を徹底的に追及した。23年8月11日参院予算委員会で質問に立った西田氏は、「めざす会」の帳簿上が平成19年5月8日の時点で資金残高が「マイナス」となっていたことを指摘した。5月25日に民主党本部からの3千万円の寄付を受領するまでは現金が足りず、5月8日に行った「めざす会」への500万円の寄付は、不可能だったはずである。帳簿上の不足金額は、その日の時点で357万1033円。14日には最大の658万5593円にのぼった。しかし、草志会の報告書には借入金等の記載はなく、西田氏は「存在しないカネをどこから持ってきたのか、明らかにすべきだ」と切り込んだ。

西田氏は、「残高がマイナスになることはありえず、収支報告書の記載はでたらめだ」として、政治資金規正法の虚偽記載にあたる可能性を指摘した。菅氏は、寄付について「私が判断をした」と答弁しており、収支報告書の記載の責任は、事務担当者ではなく菅氏にある。

菅氏は、23年3月11日に起こった東日本大震災の対応の悪さで国民の支持を失い、同年6月2日に辞意を表明したが、その後も権力の座に執着し続けた。その菅氏が政治献金問題で追及されると、さっと身を引いた。私は、この問題が解明されるのを避けるために、逃げたのだと思う。

菅氏は首相を辞任する直前に、突然、朝鮮学校の授業料無償化の適用審査の再開を指示した。辞める最後の最後に、北朝鮮の学校の利益を慮る。ここまで金正日専制国家に肩入れするのは、尋常ではない。

国会議員は、菅氏の政治献金問題の真相解明に努め、菅氏の政治的・道義的責任を追及すべきだった。当時神奈川県の住民らが政治資金規正法違反罪で、菅前首相に対する告発状を東京地検特捜部に提出し、受理された。私は一国民として、司法の場で事実関係と法的責任を明らかにしてもらいたいと願ったが、国会では政治献金問題はウヤムヤに終わり、菅氏の巨額政治献金問題は不起訴に終わった。菅氏を巧みに利用していた酒井氏も、国会に喚問されることなく、法廷で裁かれることなく終わった。その結果、堂々と山本太郎氏の街頭演説の仕切りもできているのである。

●青山繁晴氏は「北朝鮮の日本侵食」と分析

政治・経済・国際関係等に高い見識を示す青山繁晴氏(独立総合研究所社長)は、関西テレビの番組「スーパーニュース・アンカー」23年7月13日放送の「青山繁晴のニュースDEズバリ」で、民主党の政治献金問題を鋭く追及した。

青山氏は、この問題のキーワードは、「北朝鮮による日本侵食」だと述べた。捜査当局は、かなり前から綿密な捜査をしており、捜査線上に6人の民主党議員の名前が上がった。そのうち突出しているのが、当時衆議院議員だった鷲尾英一郎氏と黒岩宇洋氏だと青山氏は指摘した。

鷲尾氏は、民主党の中では保守系の若手議員として知られる。民主党内の「慰安婦問題と南京事件の真実を検証する会」の事務局長を務め、映画「南京の真実」の賛同者に名を連ねた。永住外国人の地方参政権には慎重は姿勢であり、日本会議国会議員懇談会に加盟するなどしている。現在も衆議院議員である。

新潟出身の鷲尾議員は、北朝鮮による日本人拉致問題に取り組んできた。万景峰号の入港反対デモにも参加した。当時も現在も、「衆議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会」の理事をしている。そういう政治家が、実は拉致容疑者親族周辺団体に深く関わっていたのである。

鷲尾氏の関係する団体に、「わしお英一郎東京応援団」(以下、わしお応援団)という団体があり、22年夏に解散していた。「わしお応援団」は「市民の党」と所在地が同じだった。東京都千代田区平河町1−3−6龍伸ビル。ビルのオーナーは在日朝鮮人の大物実業家である。しかも、「市民の党」の代表が「わしお応援団」の会計責任者を務め、「市民の党」の事務担当者が「わしお応援団」の事務担当者を兼ねていた。そして、「わしお応援団」は、「市民の党」に約337万円の献金をしていた。

また、「わしお応援団」は、「市民の党」から派生した「めざす会」にも、約350万円の献金をしていた。鷲尾氏の関係団体には、「わしお会」という団体もあり、昨22年夏、解散している。「わしお会」も「市民の党」と所在地が同じであり、「市民の党」の代表が「わしお会」の代表をし、「市民の党」の事務担当者が「わしお会」の事務担当者を兼ねていた。「わしお会」も「めざす会」に、約96万円の献金をしていた。一方、「市民の党」から「わしお会」には約280万円、「わしお応援団」には、約330万円が献金されている。 これらは、すべて政治資金収支報告書から明らかになった。

「市民の党」「めざす会」と「わしお応援団」「わしお会」の間で、同じ人間が仕事をし、政治献金をぐるぐる回していた。一体、なぜこんなことをしていたのだろうか。

鷲尾氏は、当時も現在も「北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会」の理事をしている。表では、北朝鮮による拉致問題を糾弾し、解決をめざす政治活動をしていながら、裏では、拉致容疑者親族周辺団体と、人間も会計もつながっていた。民主党から「めざす会」への巨額の献金を流す経路に、鷲尾氏とその関係団体が存在した。

さらに驚くべきことに、鷲尾氏は平成21年(2009)2月までの4年間、「市民の党」の代表である酒井剛氏を公設第1秘書にしていた。本稿で書いてきたように、酒井氏は極めて問題の多い人物である。鷲尾氏は、衆議院議員として、酒井氏を含む「市民の党」のメンバー2人を秘書に採用していた。公設秘書には国費から給与が支払われる。酒井氏は、自ら鷲尾議員の秘書になることで、国民の税金から資金を得ていたのである。国会議員は強力な国政調査権を持っている。その補佐を行う公設秘書を、酒井氏のような人物がしていたということは、恐るべきことである。国家の機密情報が北朝鮮や左翼団体に流出した可能性がある。今後、酒井氏は、自ら参議院議員・山本太郎氏の秘書になるか、「市民の党」のメンバーを秘書に送り込むことが考えられる。憂慮すべきことである。

当時民主党の衆議院議員だった黒岩宇洋氏の関係政治団体も、「めざす会」に献金を行い、選挙応援を行っていた。黒岩氏も「市民の党」「めざす会」と献金の流れで関わっている。黒岩氏の政治団体「越後の暴れん坊」から「めざす会」へ約392万円、「市民の党」から「暴れん坊」へ約328万円の献金がされている。黒岩氏も鷲尾氏と同じく、新潟が地盤だった。黒岩氏は問題が発覚した当時、法務政務官だった。本職は北朝鮮拉致問題等について、公安調査庁等から直接情報を得ることができる立場である。特別委員会の理事をしている鷲尾氏もそうだが、国家機密の情報に触れ、それを外国に流すスパイ行為に関わっていなかったかが疑われよう。

民主党と北朝鮮の関係の闇は、深い。表の下に裏があり、裏の奥に、またその裏がある。民主党と北朝鮮の関係の闇を、明るみに出さねばならない。国家の背骨・脳髄に巣くう病を除去しなければ、日本の再建はできない。国会議員は、国政調査権を行使して、再度この問題を徹底的に解明してほしい。それをしっかりやらないと、表で動く政党や政治家は、そのたびに替わっても、北朝鮮による「日本浸食」を根絶できない。

●山本太郎氏のさらなる背後関係

山本太郎氏は、無所属の参議院議員だが、酒井剛氏を通じて、菅直人氏をはじめとする「市民の党」支援の民主党の政治家たちとつながっている。民主党は、片方で韓国と異常に深い関係を持ち、もう片方で北朝鮮との間に闇を抱えている。朝鮮半島の南と北の両方から、侵食されているのである。民主党は、外国人の党員、サポーターになれる政党であり、純然たる日本の政党ではない。韓国・北朝鮮の両方から党の中枢まで食い込まれ、半ばコリア化している。そういう政党が、一時わが国の政治を担った。今も昨年末の衆院選で政権から転落し、今夏の参院選でも大幅に議席を減らしたとはいえ、今なお57人の衆議院議員と、61名の参議院議員を擁している。民主党内の良識派が党の改革をすることができなければ、日本の国民がこの状況を刷新するしかない。

山本氏は、左翼系の市民団体や中核派ともつながっている。社民党の福島瑞穂氏は、社民党と山本氏の連携を志向していると報じられる。またこうした様々なつながりの先に、在日韓国人団体及び朝鮮人団体が存在するという見方もある。

山本氏の背後関係の核心部分には、何があるか。私は、二つの可能性があると推測する。一つは、北朝鮮という国家である。北朝鮮は、金正恩を最高指導者とする国家の中枢部が、日本への工作活動を指揮している。山本氏の背後で、様々な政治家、市民運動家、市民団体、政治団体等を通じて、日本の政治に深く食い込み、日本を利用して、北朝鮮の主導によって朝鮮半島の統一を図とろうとしていると考えられる。もう一つは、韓国に本拠を持つ組織である。在日韓国人・朝鮮人や市民団体等に働きかけ、日本を弱体化させ、韓国の主導によって朝鮮半島の統一を図ろうとしていると考えられる。

「原発ゼロ」という山本氏のスローガンは、どちらの可能性にとっても日本での政治的工作において、選挙で票を集められる有効な手段である。脱原発の強調は、国論を二分させ、国民の統一を妨げる効果がある。脱原発は、長期的にはわが国の目指すべき目標ではあるが、しっかりした計画と総合的なエネルギー政策を欠いたまま、急激に進めると、わが国の経済に大きなマイナスをもたらし、日本を弱体化させる。それが、左翼や外国勢力が脱原発を強調する理由だろう。山本氏は「原発ゼロ」をスローガンとする親コリアの国会議員として、彼らは大いに利用するだろう。

山本氏は、「竹島は韓国にあげてしまえ!」と発言し、極めて韓国寄りの考えを持っている。韓国が竹島を領有すれば、仮に北朝鮮が半島が統一した時には、統一者の領土となる。どちらにしても、日本ではなく、朝鮮半島国家のものとできる。山本氏にとっては、竹島を韓国に、原発をゼロに、という二つは、別のことではない。一つの政治目的のもとに発信されていると見る必要がある。

わが国では、現行憲法に、国民の憲法尊重義務が明記されておらず、国家忠誠の義務が規定されていない。刑法の第84〜87条はGHQに削除されたままであり、通牒利敵行為に対処する条項が欠落している。スパイ防止法も制定されていない。そういう国であるから、外国勢力が日本の政党の中枢に忍び入ったり、有力な国家議員に接近して利用したり、国家の外交・法務・防衛等の重要機関に協力者を作って工作することは、容易だろう。日本は「スパイ天国」といわれるほど、ほとんど無防備な状態にある。まして国会議員自身が、もともと通牒利敵の意図を以て国政に参画している場合は、厚く身分を保障されているので、本人が自由に活動できる。

こうした現状では、反日勢力はやりたい放題である。最低限の措置として、在日外国人の通名使用を禁止し、国政選挙の立候補者には三代前までの国籍・帰化履歴をプロフィールに公開するようにすべきである。米国は、三世代にわたり家系や血縁関係・宗教を公表している。人権侵害でもなんでもない。逆に国民の「知る権利」を強化すべきである。

山本氏の場合、Wikipediaに2年ほど前には「兵庫県宝塚市出身。在日韓国人として宝塚市で生まれた。」と書いてあったという情報がある。山本氏は「竹島は韓国にあげてしまえ!」という発言をしており、極めて韓国寄りの考えを持っている。東京選挙区では66万人以上の有権者が山本氏に投票した。国政選挙に当たり、もし国籍・帰化履歴を候補者のプロフィールに掲載していたら、有権者は重要な情報として参考にしただろう。山本氏についてよく知らずに投票し、彼を国会議員にした人々には、その選択を悔いている人たちがいるだろう。本稿が参考になれば幸いである。また日本の現状を憂える人々は、日本の正常化をともに進めよう。

http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion13.htm#_■参議院議員・山本太郎氏の黒い背後関係

266. 中川隆[-8923] koaQ7Jey 2019年8月04日 06:35:21 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3807] 報告
ソフトバンク、利益1兆円でも「法人税ゼロ円」発覚…孫正義氏の年間配当100億円
https://biz-journal.jp/2019/08/post_112573.html
2019.08.03 文=深笛義也/ライター Business Journal


フォックスコンが工場起工式 トランプ氏も出席(写真:ロイター/アフロ)


 ソフトバンクグループが、日本国内で法人税を支払っていなかった。2018年3月期のことだが、最近になってわかったことである。脱税か? と思うが、これが合法なのだ。1兆円を超える純利益を上げている巨大企業が、税務申告では赤字になっているのだという。

 天才、孫正義ならではのマジックなのか? 一般人にはなかなかわかりづらいこのカラクリを、経済ジャーナリストの森岡英樹氏から聞いた。

「公認会計士がやる企業の経営成績や財務状況を明らかにする会計と、納税するための税務申告は目的も違って、内容も異なります。それをうまく使い分けて節税する会社は少なくないですが、ソフトバンクというのはそういうところにすごく長けた企業体であるのは事実です」

 具体的には、どのようなことが行われたのだろうか。

「16年にソフトバンクグループは、イギリスの半導体設計大手のアーム・ホールディングスを約3兆3000億円で買収しました。このアーム社の株の一部を18年3月期に、ソフトバンクグループはグループ内のソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)に現物出資のかたちで譲渡しました。アーム株が所得価格よりも時価評価額が低くなったということで、税務上は1兆4000億円に上る欠損金が発生したとされたわけです。

 ひらたく言えば、プレミアムで高めに買って、それをグループ内に移管した時に安くなったということで、欠損金が生じたということにしているわけです。あくまでも会計上の欠損で、実際に欠損は出ていません。外部に売ったのであれば損になりますけど、グループ内の移管で、子会社だから連結になってますから。

 東京国税局は、欠損金のうち4000億円は18年3月期に計上できないと指摘し、ソフトバンクグループも修正に応じました。だけど巨額の欠損金が残るので、追徴課税は発生しませんでした。欠損金は10年間繰り延べられます。海外では繰り延べは無期なので、日本のほうが税制としては厳しいわけですけど」

 国税局は、欠損金は税法に則った処理だと認めた。税務会計はオープンになっていないのでわからないが、今年もまた法人税を支払っていない可能性もあるわけだ。

「国税のOBも言っていましたが、税務会計上は赤字だけど、財務会計上は過去最高益で、役員の報酬はべらぼうに高くなるわけですよ。孫さん本人の報酬は2億2900万円で、あれだけの規模の企業体の会長としては少ないけど、ソフトバンク株を2億株以上持っているから、年間約102億円もの配当を受けています。所得税は最高税率45%ですが、配当でもらうとキャピタルゲイン課税で20%ですんでしまう。

 ソフトバンクグループ、ソフトバンク、ヤフーは親、子、孫みたいな関係になっています。親子上場でもあまりよくないと言われているのに、3つとも上場している。だけどこれで、自社株のTOB(株式公開買付け)をかけることによって節税ができるんです。親子間の配当は非課税ということもあります」

■IAファンドの不安要因

 アーム社株の譲渡を受けた、SVFの登記上の本社はイギリス・ジャージー代官管轄区にある。イギリス海峡のジャージー島をはじめとする数島にある同地区は、イギリス王室属領でありイギリスの法律や税制、欧州連合の共通政策は適用されず、独自の議会と政府を持ち高度の自治権を有している。島内には50の銀行があり、GDPの約60%が金融業によるものであり、タックス・ヘイヴン(租税回避地)として知られている。実際の本社機能はロンドンにある。

 2017年に発足したSVFは、「人工知能(AI)の発達によりあらゆる産業が再定義される」をコンセプトとして、配車アプリや微生物加工技術、DNA解析技術、IoTソリューション、VR開発ツール、自動運転技術、ロボット技術などに投資している。

 孫氏が手を組んだのは、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子。サウジ政府系の公共投資ファンド、パブリック・インベストメント・ファンドが最大の出資者となった。

「年率29%で回っているということです。でも、約12兆円を出資してビジョン・ファンド2号をつくるというけど、お金が集まらないかもしれない。サウジの政府系公共投資ファンド以外に出資していたのは、アブダビ首長国の政府系ファンドのムバダラ開発公社や、アップル、クアルコムなどですが、そういうところが出資しない可能性があります。

 1つ目の理由は、SVFが孫さんのポケットになっているということ。投資先を決めるのも組織的にやっているわけじゃなくて、孫さんの天才的な勘でやっている。それで運営が恣意的で不透明なんですね。2つ目の理由は、ムハンマド皇太子にはカショギ氏の問題があるからです」

 昨年10月2日、サウジアラビアの有力ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏はトルコ・イスタンブールにあるサウジアラビア総領事館で殺害された。ワシントンポストなどの米メディアは11月16日、「CIA(アメリカ中央情報局)はサウジ政府の実質的最高権力者のムハンマド皇太子が殺害を指示したと結論付けた」と報じたが、国務省の報道官は「不正確である」と否定した。ムハンマド皇太子の指示については、今年6月の国連人権理事会でも報告がされたが、いまだ曖昧なままだ。

「欧米は日本よりも人権意識が高いので、そんな金の投資を受けたくないという企業も多いと考えられます。そのほかにも米中経済摩擦の影響も出てくるだろうし、ほとんどがベンチャー企業なので、とても危ない橋を渡っている気がします。

 SVFは表面上は29%で回っていますが、ファンドというのは損を抱えたまま益出しすることもできるので、29%という数字はつくろうと思えばつくれます。投資している約80社が、今までのような調子で株価を維持できるかどうかわかりませんね。有利子負債も18兆円くらいあります。資産のほうが大きいからいいんだという話ですが、仮の含み益なので、そんなのいつなくなるかわからない。ヒヤヒヤするような世界を行っているわけです。どんどん事業を広げていって、キャッシュフローを産んでいくように走り続けていないと死んじゃうんですよ」

 こうした危うさが、さまざまなテクニックを駆使して節税する姿勢を生み出しているのかもしれない。欧米には、富裕層は社会の模範となるように振る舞うべきだというノブレス・オブリージュの考えがあり、古代ローマでは貴族がインフラ整備の費用を負担するなどしていた。今ではCSR(企業の社会的責任)の言葉が一般的だが、同様の考えは日本でも古来からあった。自社の利益の拡大に躍起になって、税の支払いを逃れることを孫氏は、“恥”と感じないのだろうか。

267. 中川隆[-8896] koaQ7Jey 2019年8月05日 16:32:53 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3836] 報告
山本太郎氏と細川護熙氏…内田樹さんが考える2人の違い
https://digital.asahi.com/articles/ASM7Z4CF9M7ZPIHB00R.html


2019年8月5日09時05分 朝日新聞

内田樹さん=2018年5月

 「勝者なき選挙」ともいわれた7月の参院選。注目を集めたのが宝塚市出身の山本太郎氏(44)率いる「れいわ新選組」(れいわ)だ。「消費税廃止」や「奨学金チャラ」を政策に掲げ、結党3カ月余りで2議席を獲得した。多くの新党がブームとともに現れては消えていった平成時代の日本政治。「れいわ現象」は本物なのか。神戸市在住の思想家・内田樹(たつる)さん(68)に聞いた。


内田樹さん=2018年5月

 ――選挙前、「れいわ」の事務所に足を運んだとか

 代表の山本さんとは以前から知り合いですので、彼が新たな政治運動を旗揚げすると聞いて駆けつけました。寄付もしました。私が行った時点ではまだ寄付も1億円を少し超えたくらいで、候補予定者も蓮池透さん(北朝鮮による拉致被害者家族連絡会元事務局長)と2人だけでした。これほど短期間で10人擁立するのは無理だろうと思っていましたので、驚きました。


街頭で訴える「れいわ新選組」代表の山本太郎氏=2019年5月20日、東京・北千住駅

 ――平成以降に旋風を巻き起こした新党というと、1992年に旗揚げした日本新党が思い浮かびます。でも、今はありません

 出現の仕方は少し似ているかもしれません。既成の政治プロセスの不調にうんざりしていた国民が、政治的に「すれていない」政治家に魅了されたという点では通じるものがある。ただ、代表の細川護熙さんは理想主義的に過ぎて、批判を受けるとあっさり政権を投げ出した。たしかに出処進退は潔いけれども、私としては、もう少し踏み止まって泥をかぶってほしかった。

 その点、俳優の道を捨てて政界に飛び込んだ山本さんは背水の陣です。逃げるところがない。その切迫が彼の最大の強みだと思います。

 ――日本新党は結成後最初の参院選で4議席、れいわは2議席でした。政治を変える力になりえますか

 その2人は、特定枠で立候補した、難病患者と重度の身体障害者です。今の日本には、政治家を含めて障害のある人に対して差別意識を持つ人が少なくありません。制度の不備で苦しんでいる当事者が国会議事堂に入ることで、政治家たち官僚たちのこの問題についての見識があぶり出される。公費負担のある重度訪問介護が、仕事場では公費負担の適用外になるといった問題も、私は全く知りませんでしたけれど、2人が当選したことで前景化された。それだけでも見事な功績だと思います。他にもれいわの候補者には、落選したものの、働き方問題に取り組む元コンビニ店主やシングルマザーで元派遣社員といった、現代日本の社会の矛盾が集約されたような現場を代表する人たちがいました。社会問題の当事者たちが、生々しい現場の声で証言をした選挙運動。まことに画期的なものだったと思います。


舩後靖彦氏の当選が確実となり、支援者を盛り上げるれいわ新選組の山本太郎代表=2019年7月21日午後8時7分、東京都千代田区

 ――山本さんは街頭演説で「生きづらさ」や「人間の尊厳」といったテーマを投げかけ、聴衆から広く質問を受け付けていました

 彼は反対者と対話する能力が高いと思います。人の話を遮って、頭ごなしに全否定するというのが当今の「切れ味のいい政治家」の標準的なマナーである中で、山本さんはとりあえず相手の言い分を最後まで聞いて、敬意を示してから反論するというマナーをなんとか保持している。これは例外的なことだと思います。その対話的、宥和(ゆうわ)的な姿勢が、彼の政策のすべてに賛成できない有権者にも信頼感を抱かせているのだと思います。

 何より彼の言葉には経験の裏付けがある。頭でこねくり回したことではない。彼は「脱原発」運動のせいで俳優の仕事を失いました。一見自由で平和な日本ですが、彼ほどのキャリアがあっても、政権に異を唱えれば仕事を失う。そうした理不尽に対する生々しい感情が底にあると思います。

 ――「生々しい感情」を原動力とする政治家は他にも多くいますが……

 感情をむき出しにすることで人気を集めた政治家たちはたくさんいます。「利己的で、狭量で、感情的」であることを「等身大」として肯定し、議員や首長として自分たちを適切に代表してくれるはずだという考え方がこの10年広まった。「維新の政治」がそうです。でも、それはデモクラシーの理解としてはきわめて一面的なものだと思います。

 デモクラシーが生き延びるためには、「私的な感情」を「公的な気配り」が制御することが必要だからです。おのれの私的な利害や好悪の感情をいったん「かっこに入れる」ことができない人間を公職に就けるべきではありません。公人は自分に反対する者を含めて集団の利益を代表する仕事だからです。


内田樹さん=2018年5月

 ――平成は新たな政党が次々に生まれた時代でもありました。「れいわ」の進出も、社会の閉塞感の裏返しでしょうか

 「息苦しさ」「生きづらさ」を多くの人が口にしますが、それは人々の前に提示される選択肢が限られていて、どれを選んでもあまり愉快な未来が待っていそうもないように思えるからです。そういうときには「こういう意外な選択肢もある」と知るだけでほっとする。深く呼吸ができる。「なるほど、こういう考え方をしてもいいのか」とふっと緊張を解くことができる政治的選択肢は、それが「正しい」かどうかということとは別のレベルで人々をひきつけるということです。


東京・新宿駅前での「れいわ新選組」候補者の「最後の訴え」には、大勢の人たちが集まった=2019年7月20日

 ――確かに街頭演説には世代を超えて多くの人が集まっていました。ただ、これまでの多くの新党は一過性のブームで終わっています

 選挙前も選挙期間中も、れいわの動向はメディアでほとんど報じられていませんでした。にもかかわらず、山本さんが街頭で訴える動画をネット上で見て心を動かされた人が拡散し、現場にも足を運び、日に日に人垣が増した。一般からの寄付も結成3カ月余りで4億円を超えた。既存メディアの力に頼らず、人と資金を集め、議会に2人を送り込んだ事実は、新たな政治運動の登場という点で画期的なものでした。これは間違いなく「ニュース」です。選挙の公平性を守るというような外形的ルールにこだわって、「ニュース」を追うことを止めたのなら、それは「ジャーナリズム」の責務を放棄したに等しい。メディアの社会的使命は何かをもう一度考え直してほしいと思います。(聞き手・中塚久美子)

     ◇

 平成時代の新党 1992(平成4)年の参院選では結党まもない日本新党が進出。翌93年衆院選では日本新党に加え、自民党離党組の新党がブームを呼んだ。その後も新進党(94年)、民主党(96年)、国民新党(2005年)、みんなの党(09年)、維新の党(14年)、希望の党(17年)などが次々に誕生したが、多くは分裂や合併の道をたどり、数年以内に解党したケースも少なくない。




▲△▽▼

次期衆院選に向け動き出す れいわ新選組山本太郎・参院選後初の街頭記者会見 2019年8月2日
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/12617

全国を回りながらネットワークを広げる


街頭記者会見に駆けつけた聴衆に埋め尽くされた新宿駅西口(1日)

 れいわ新選組の山本太郎代表は8月1日、新宿駅西口小田急百貨店前で参院選後初めての街頭記者会見をおこなった。開始時間の午後7時、新宿駅前は選挙前にも勝る人数の人々が詰めかけた。選挙戦をふり返るダイジェスト動画を上映した後、山本代表が登場すると大きな拍手が鳴り響いた。街頭記者会見では、参院選で得た力を確信に変え、来る衆議院選に向けて全力で邁進していくこと、有権者との対話をくり返しながら日本全国を回って勢力をさらに拡大していく決意が語られた。以下、街頭演説の概要を紹介する。


 山本太郎 4月10日に山本太郎が一人で旗揚げした、れいわ新選組。小沢一郎さんと一緒にやってきたが、一人で旗揚げしたその理由は政権を取りに行くためだ。先の参議院選では、10名の候補者と一緒に立候補したが、ふたを開けてみたら議員になったのは特定枠の2人。難病ALS患者の舩後靖彦さん、重度障害者の木村英子さんだ。実は山本太郎も完全に受かる気でいて、山本太郎は大丈夫だがその他の候補者をどうやって当選させるかと考えていた。だが、受かったのは2人。それでも、舩後さんと木村さんを国会に送ることができたうえに、政党要件を獲得することができた。みなさんのお陰だ。ありがとうございます。

 政党要件を獲得すれば何ができるか。例えば、テレビの政治番組があれば山本太郎はしつこく出演することができる。生放送で嫌なことが一杯いえる。党首会談、幹事長会談、政調会長会談……全部私が出るというように。かつてこんな嫌がらせが、永田町内にあっただろうか?

 旗揚げした4月10日から、お一人お一人に「ご寄付をください」とお願いをして回った。選挙にはお金がかかる。東京選挙区からは野原善正さん。公明党の党首が出ている東京から、沖縄の創価学会員の方が立候補してくれた。この1人を立てるために、東京選挙区の入場料(供託金)だけで300万円。そして、私を含むれいわ新選組の9人のメンバーが比例代表にエントリーするための入場料は1人につき600万円。入場料だけでこれだけかかるのに、これだけ途方もないことをどうやって私一人で、またメンバーだけで実現できただろうか? 4月10日から選挙が終わるまでに、みなさんの本当に大切なお金、4億円をいただいた。本当にありがとうございました。

 この4億円のうち3億円以上はすでに使っている。「気持ちいいくらい使うね、君たち」といわれるほどだ。新聞広告、街角ビジョン、新聞折り込みをするだけで1億2000万円が飛んでいく。たいへんな金額だ。残っているのは約9000万円。これは次期衆院選に向けて、れいわ新選組の党としての体制をしっかり作っていくために使いたい。衆院選は、1議席を争う小選挙区が289カ所ある。比例もある。そこに私たちは100人を立てたい。そして衆議院でしっかりと数を確保していきたい。その先に政権交代を目指して行きたいということをすでにみなさんに宣言させてもらっている。

 総選挙はいつやってくるかわからない。与党の考え一つで決まる。野党側をさっさと潰すためには、おそらく秋に選挙をやった方がいいと考えるだろう。選挙でお金を使ってしまって残っていないとか、候補者を擁立しなければいけないなどの条件を加味して、自民党が早めに手を打って野党側を潰すなら秋の選挙だ。もしくは冬の選挙。もしくは年明けの選挙だ。このあたりが現実的なラインではないかと考える。10月の消費税増税による悪い影響が数字として出てこないうちに選挙をやってしまいたいのではないかと予測できる。一方で、東京五輪が終わった後ではないかという話もある。どこに来るかはわからないが、やると決められるのは向こう側だ。だからもう衆院選の準備ははじまっている。ぜひ力を貸してもらいたい。

 4月から旗揚げして7月に参院選挙。この間、テレビはほとんど私たちを扱わなかった。ネットと草の根のたたかいのなかで、あなたが横に広げてくれた。それで200万票を超える得票を得て、政党になったというのはすごいことだ。本当に感謝したい。

 これでやっとスタートラインに立てた。いつ来るかわからないが、もうすぐ来るといわれる衆議院選挙。次にも大きく打って出なければならない。その選挙にもお金がかかる。100人立てるなら入場料だけで6億円。すごい額だ。といっても、私が全国を回って景気がよさそうな臭いすら嗅いだことがない。だから、どうかみなさん無理はなさらず、力を蓄えていただきたい。力を蓄えて、横に広げていくことを始めていただきたい。次は、私たちだけの力だけでひっくり返すのは一発では難しい。だから野党で横に手を繋ぎ、仕留めに行きたい。政権交代する気もなくて、どうして政治などやっているのか。当たり前だ。野党のお尻を叩こう。政権交代をするために全力で行くのが次の選挙だ。

 山本太郎は落選したが、議員をしていたときよりも忙しくなった。不思議な現象だが、考えてみれば当然だ。落選の4日後には参議院会館にある山本太郎事務所を撤収しなければならず、6年間住まわせてもらった宿舎からも1週間以内に撤収しなければならない。引っ越し日は決まっていても、引っ越し先は決まっていない。現在も新しい住まいは決まっていない。荷物だけ8月一杯で出なければいけない事務所に放り込んである状態だ。


 だが今日から始まった国会が5日に閉じれば、その先は比較的時間ができる予定だ。暑さが落ち着いてくる9月に入ってからは、全国各地をしつこく回り、みなさんとコミュニケーションをしながら緩やかなネットワークを作っていきたい。ひっくり返すためにしつこくやるつもりだ。


【ここからは参加者からの質問を受ける形で街頭記者会見は進んだ。メディアに対しても会見後の囲み取材は受け付けないことを告げ、一般参加者と区別なく質問を受け付けた。今後、全国での街頭演説もこの形で進めていくことを告知した】

深刻度増す貧困解決のためにすべきこと

 質問 国会議員から市議会議員までの報酬を、国民の平均所得まで落とすことはできないのか。その余ったお金を、いま食べれない7人に1人の子どもたちに与えることは不可能なのか? また投票の仕方も知らない若い世代が多い。もっと投票しやすい方法を提言してほしい。

 山本 この国が最悪な現状を迎えていることをよくご存じの方だと思う。この現状を変えるために議員の給料を削減して、貧困問題の解決に回すのはどうか…という話だが、これは自分が国会議員をやっていたからいうわけではないが、そこを削っても知れている。なぜ議員の給料が高めに設定されているのかといえば、議員が買収されないようにするためだ。給料が安ければ、札束で顔を叩かれてなびいてしまう可能性がある。それを防止するというのが一つの理由だ。

 もう一つは、選挙、政治活動にお金がかかりすぎるということだ。なぜ私たちが10人立てるだけで最低で3億円も必要なのか。なぜみなさんからお金をもらわなければいけないのか。選挙や政治にかかわるためにはお金持ちでなければ無理だという建て付けになっているのだ。議員報酬を安くするためには、政治にかかる費用を安くする以外ない。選挙区の入場料だけで300万円。比例代表にはさらに9人仲間を集めなければならず、1人あたり600万円が必要だ。あくまで入場料だけだ。そのほかにかかるお金はたくさんある。これで普通の人が立候補できるか? 無理だ。議員報酬を下げるには、政治にかかる費用を安くしなければ成り立たない。しかも、議員たちが身を削ってもそれほど大きな予算にはならない。そうではなく、実際に7人に1人の子どもの貧困、5人に1人の高齢者が貧困、単身世帯の3人に1人の女性が貧困……という深刻な状況があるのなら、普通に予算を付けなければいけない。お金がないわけではない。あるところから取っていないだけだ。どうして取らないのかは、忖度以外にない。お金の取り方を変え、分配の仕方を変えればいいのだ。

 持っているところから取らず、持っていないところから搾り取って、みなさんを踏みつけて、それを横流ししているのが現状だ。それが消費税だ。これを私がくり返し話す理由は、その話をあなたの言葉にして周りに広げていってほしいからだ。私の話を直接聞ける人数は限られているが、一人一人がスポークスマンになって現状を伝えて行くことが必要だ。


 私の公約したのは、消費税をやめるということだ。消費税を10%に上げたら、1年間で1カ月分の給料が吹っ飛ぶのと同じだ。逆に消費税をやめれば、1カ月分の給料をみなさんに返すことになる。そうしたら、みんなこれまで必要だけど買えなかったものを買う。消費が活発になる。モノが売れる。そうすれば内部留保を貯め続けていた企業たちも投資をしようかという話になる。消費と投資が盛り上がらなければ国の景気がよくなる訳がない。当然の話なのに、なぜそれをやらないのか。

 この国がみなさんにやっている行為はDVだ。暴力行為だ。殴られていても気がつかない。そこに愛があるから? 残念ながら、みなさんがこの国を愛しているほど、この国はみなさんのことをを愛してはいないという残念な状況だ。これは変えるしかない。この国に足りない愛。これを取り戻すという作業だ。

 例えば消費税を8%からゼロにして一番元気になるのは誰か? 消費税で首が絞まっている中小零細企業だ。みんないつ首くくってもおかしくない状況のなかで10%に上げるなど、イカれているとしか言葉が見つからない。大企業から中小零細までのすべての従業員数は4800万人。そのうち70%が中小零細だ。このを首を締めるというのは、この国で働く多くの人たちの首を締めるということだ。それに気付いているにもかかわらず、持っているところから取りたくないから、その穴埋めとしてみなさんから搾り取る。もうこんな政治をやめようという話だ。シンプルな話だ。これができるのは誰か? みなさんだ。「いやぁ、自民党は安定している」という声もある。安定しているのは自民党だけだ。そこにヒモ付いている大企業だけだ。ヒモ付いている中小企業さえも踏みつけられている。もう意味が分からない状態だ。これをダイナミックに変えられるのが選挙であり、政治であるはずだ。


 11年間におよぶ日本の家計消費の推移を見てほしい。消費税を3%増税したときの個人消費の下落幅は8兆円だ。一方、リーマンショックの時は6・3兆円だった。100年に一度の大恐慌と並び称されたリーマン・ショックを大きく超える消費が失われている。誰かの消費は、回り回って誰かの所得だ。8兆円分の所得も失われたのだ。大失敗以外の何物でもない。いま確かに景気がいい人もいるが、本当に一握りだ。どんどん格差は開いていく。「資本主義社会だから格差があるのは当然」という人もいる。確かに弱肉強食の社会だ。だが、この格差を縮める役割を果たすのが政治ではないのか。

 景気がよくなるためには当然、経済規模が大きくなければならない。その指標とされているGDP(国内総生産)は、個人消費+民間投資+政府支出+純輸出で構成されている。このうち景気をよくする最重要なエンジンは個人消費だ。これがGDPの55〜60%を占めている。消費税増税で8兆円の個人消費が落ち込んだ。景気回復といいながらやっていることが真逆だ。その逆をやらなければ景気はよくならない。将来に不安があって買うことをやめたり、お金を出せない人がいて消費が冷え込む。売れないのなら民間も投資しない。世の中にお金が回らない。こんなときに、モノを買う度に引き抜かれる消費税を増税したら消費はますます冷え込むに決まっている。残されているのは政府支出だ。それを怠ってきたからこそ20年以上デフレが続いてきた。

 私たちが政権を握ったときにやることはシンプルだ。消費をより喚起するために消費税をやめる。消費税を廃止した初年度には5%ほど物価が下がる。これは参議院の試算だ。これまで選挙戦の演説では、消費税をやめるための財源20兆円を補うために、所得税の累進制を強めて最高税率を上げる、金融資産の分離課税を総合課税にする、法人税にも累進制を導入する。これはアメリカでもトランプ政権以前にやっていた。80以上もの特例措置がもうけられている大企業優遇をやめることによって財源29兆円ができると説明してきた。もう一つは、新規国債の発行だ。デフレが続いて消費が弱り、投資が弱り、国が衰退していった理由は国が投資を怠ってきたからだ。その結果、多くの人たちが生活にあえぐようになった。だからこそデフレ時には国が大胆に投資をして景気を底上げしなければならない。デフレからの脱却は民間にできず、国が積極的に投資していくことでしかなしえない。

 「そうはいっても日本は借金だらけじゃないか」という意見もある。だが、実は消費税増税にともなって借金を増やしている。消費税が上がるたびに法人税や所得税が下がるからだ。当然、収入が落ちて消費が落ち込み、全体的な税収が下がっていく。それを借金で補てんする。生活保護や失業給付などに投入しなければならなくなった。1997年に消費税が5%になった。それ以前の10年は毎年3兆円ずつしか借金していなかったものが、97年以降は毎年20兆円ずつに増えている。借金を問題にするのなら、消費税増税の誤りを指摘しなければならないのに、誰もそれを言わない。

 成長を続けるためには国による投資を続けなければならない。これはどこの国も政府の借金で投資をしている。融資を受けて投資をし、事業規模を拡大する。日本の場合は、借金は投資のためではなく、尻ぬぐいのための借金だった。


 IMF(国際通貨基金)に加盟する140カ国以上で戦争や紛争をしていない国の20年間の政府総支出の伸び率をみると、日本は最下位だ。つまり投資が一番薄い、世界一のドケチ国家だということだ。


 同じくIMFの名目GDPの伸び率、どれだけ成長したかをみると、日本はグラフにも載らない。この国で20年以上デフレが続き、消費も投資も弱り、需要を奪われ続けた理由は、適切な投資がされてこなかったことにあるのは明らかだ。間違った経済政策によってみんなが貧しくなったということだ。このことについて謝った政治家はいるのか。

 最新の国民生活基礎調査で生活が「大変苦しい」と感じている世帯の割合は全世帯の57・7%、シングルマザーでは82・7%だ。この状態になったのは、本人たちの努力が足りなかったからだと思う人はどれだけいるだろうか? これだけの人たちが地盤沈下するのは構造の間違いがあるからだ。政治の選択を間違え続けたからだ。このままではこの数は増し続けるが、そのときに国が手を差し延べない。国にとってみなさんはコストだからだ。こんな血も涙もない政治のためにどうして税金を払わなければならないのか? 自己責任だとか、「苦しいのはあなたのせい」という政治に対してどうして税金でその人たちを食べさせなければいけない? 税金で食べているのなら全員を救う気概で政治をやれ! これが基本だ。20年以上もデフレが続き、成長していないような国などない。この国は病気だ。瀕死の状態だ。そのための治療法はこれまで怠ってきた投資を国が大胆にやるしかない。そのための財源は、ないところから取るのではなく、あるところから取る。当たり前だ。


近隣国との友好によって守られる国益

 質問 選挙の過程でいろんな人に心配されていたのは、取れるところから本当に取れるのか? ということだ。40年ほど前に累進課税が73%くらい。その時の状態に戻すべきだと私も思うが、竹中平蔵のように富を海外に逃がしたり、どこかの企業のようにどこかの島(タックスヘイブン)に本社を移して課税逃れをする可能性がある。であるなら、日本はブロック経済か国家資本主義にでもしない限り、富が外に逃げていくのではないか? という疑問がある。

 山本 確かにケイマン諸島に富を逃がすということもあるが、残念ながらいまは日本国内がケイマン諸島と同じになっている。1990年代には50%近かった法人税はどんどん下がり、いまは20%台だ。これをさらに安くしたいという。私たちは、儲かれば儲かるほど税率が上がり、儲からなければ下がるという累進制を導入したいと思っている。企業が海外に逃げる一番の理由は、税ではなく、国内に需要がないからだ。


 デフレになると物が売れないし、安い物しか売れない。物を売るのが商売の企業にとっては、需要のないところに企業活動は成り立たない。


 経産省が2014年に海外事業活動基本調査で、海外進出した企業にその理由を尋ねている。最も多かった答えは「現地での製品需要が旺盛または今後の需要が見込まれる」だ。少子化が加速するしかないこの国では、投資する先がない。リターンをもらえないからだ。だから途上国などの海外に需要を望んで出て行くという答えだ。

 第2は「納入先を含む、他の日系企業の進出実績がある」、第3は「進出先近隣三国で製品需要が旺盛または今後の拡大が見込まれる」だ。「税制、融資等の優遇措置がある」からという答えはわずか8%(8位)だ。日本は内需国でありながら、内需が弱る状況を作っているから商いたちは海外に需要を求めて出て行く。であるなら、消費税をやめてもっと国内で物が売れるようにしなければならない。

 消費税をやめ、儲かれば税率を上げ、儲からなければ下げるというフェアな税制を導入すれば、中小企業も元気になる。そこで雇われている人たちも力がつき、より需要が高まる。「税金が安くないと海外に逃げる」というのは私は真実とは思わない。経産省のデータもそれを示している。消費税を廃止することは、内需を活発にすることに繋がるし、生活を安定させることに繋がる。

 質問 現在起きている日韓問題について聞きたい。戦時中の徴用工問題をめぐって、日本が韓国に輸出規制をしているが、アジアのリーダーになるのならそんなやり方は間違っていると思う。輸出規制をしてるのは日本が世界の94%のシェアをもつ製品であり、韓国が物を作れないようにして交渉を有利に進めるというのは弱い者イジメであり、恨みしか買わないと思うがどう思うか?

 山本 日韓関係が悪化して喜ぶのは誰か? を考えてほしい。近隣諸国に対していい印象を持っていない人たちがいるのは知っている。いろんな理由があるだろう。だが、国の場所は動かせない。同じ町内に自分に気にくわない人がいて我慢できなければ引っ越すことは可能だが、国の位置は動かせない。それならうまくやっていくしかない。「舐められてたまるか。ぶっ潰してやれ」というような小学校高学年くらいの考え方はやめようということだ。誰も得しない。それで戦争や紛争がはじまっても、死ぬのは一般市民であったり、自衛隊員だ。自衛隊員を傷つけるようなことをするなよ、ということだ。

 日本から韓国への輸出総額は約6兆円だ。この6兆円という利益がなくなってもいいというのなら好きなことをいえばいいが、私はそのような感情よりも国益を大事にしたい。世界的にもナショナリズムを煽りながら、自分たちのやっている内政の行き詰まりにベールをかけるという政治が横行している。自分たちの政治のまずさを、ナショナリズムを煽って隠そうとする。まさに今がそれではないか。近所づきあいはうまくやるしかない。中国への輸出総額も14兆8897億円もある。中国からも入ってくるが、これだけ多くの利益が行き交う関係は切っても切れない関係だ。対立が高まったときに、うまく調整するつもりがないのなら政治など必要ない。外交の失敗が戦争だ。相手に言いたいことがあるのはお互い様だろう。それを乗り越えるのが大人であり、政治ではないか。大人になろうぜ、ということだ。弱い犬ほどよく吠えるみたいな対応ではなく、もっとどっしり構えないでどうするのか。もし相手国から不当な扱いを受けたのなら、国際機関に言い続けるしかない。これが大人の対応だ。一時的な感情で拳を振り上げるようなことをして大きな損失だけに止まらず、命までも奪われるようなことはやめましょうよ、という単純な話だ。

 「韓国は死んでしまえ」という声があるが、韓国は死なない。日本が死なないのと同じだ。安易なはけ口を求めても、決して生活は楽になるわけではない。私は16歳から芸能界にいて、韓国で撮影した映画もあるし、日韓合作のものにも出たことがあり、韓国のスタッフとも交流がある。韓国の映画界の人たちは日本映画に影響を受けており、いまでこそ日本に先がけてハリウッドシステムを採り入れているが、本来、日本の映画を非常にリスペクトしている。そういう交流があれば、そういう気持ちも変わってくるのかもしれない。文化的な交流も必要になってくるだろう。冷静になろうということだ。一番は国益のためだ。そのためにも不用意な発言で二国間に亀裂が入るようなことをすべきではなく、例え相手側に非があったとしても紳士的に対応するのが国際的なルールだ。日本が成熟した国であるのならそういう対応が必要だろう。

 質問 国会の前でのデモで子連れの母親が「こんなに政治が無茶苦茶だったら子どもに教育ができない」といっていた。同じように大きな影響力を持つ芸能界の問題もある。現在問題になっている吉本興業のブラック企業体質や黒い繋がりについてどう思うか?

 山本 テレビからみなさんに重要な情報は渡されない。なぜなら商売だ。民放は垂れ流しメディアだ。もちろんディレクターやプロデューサーで頑張っている人たちもいる。だが、テレビは誰のものかといえば、私は視聴者のためのものではなく、企業を宣伝するための箱というのがメインだと思う。それを考えると、テレビの情報をそのまま受けとることが間違っている。少なくともNHKについては「ぶっ壊す!」とかいっている場合ではなく、逆にお金を払わなければいけないほどのいい番組を作ってみてほしいと思う。いろいろといい番組はあっても、肝心のニュース報道が最低だ。一日中、予算委員会でグダグダの答弁をし続けた総理が、ニュースではまともに喋っているように見えるのだから。ある意味ですごい編集力だ。もっと価値のあるニュース報道をしてほしいし、事実を伝えていただきたい。私が原発後にものを言い始めて最初に降ろされたのがNHKだった。NHKのスポンサーはみなさんだ。これは民放とは違う。多チャンネル時代でもあり、国会を一日中流すコンテンツがあってもいいのではないか。政治を監視していくためにもむしろ国営放送化して、政治を可視化していくチャンネルをも設けることも必要なのかも知れない。そういう健全な放送局になってほしい。

あまりにもおかしい現在の生活保障制度


 質問 精神障害者2級に認定され、障害年金と、実家で親に頼って生活している。はっきりいって情けない。でも私は10代から30代前半までフリーターから生産員として必死で働いてきたが、ある日、うつ病を発症して適用障害になった。精神障害は見た目ではわからない。きっかけは仕事が暇になり、それで自分は会社に必要とされていないと思い込んでしまった。その後、何社か応募したが、3週間目から会社に行けなくなるという適応障害になった。このまま障害者が切り捨てられていいと思うか?

 山本 受け止め方は人それぞれだが、仕事が暇になったことで、それが自分が努力してないからではないかと思い込んで精神障害を患った。責任を背負いすぎている。国から面倒みてもらうとか、親から面倒見てもらうことは申し訳ないと思うということだが、そんなことは思う必要もない。このなかで誰にも迷惑かけずに大人になった人はいるだろうか? そんな人はいない。親子関係のなかでは迷惑かけたくないという感情が湧くのはわかるが、自分が困っている、この先困りそうだと思ったときに手を差し延べるのが国や行政でないならば、そんな国や行政は存在している意味はない。だから胸を張って国に面倒を見てもらってほしい。国に面倒見てもらっても、毎晩遊び明かすようなお金が貰えるわけではないのだから。

 よく「生活保護受給者は朝から晩までパチンコで遊んでいる」などといわれるが、実際にはそんな余裕はない。生活保護でさえ生活するのはギリギリだ。生活保護という制度自体これから変えていかなければいけない。生活保護の補足率、つまり受けられるべき人が受けている割合は、2割から3割くらいだ。本来はセイフティーネットだから、100%でなければいけないはずだ。水際で止めているからだ。ギリギリの状態で行政の窓口に駆け込んでも「もっと働けるだろ」と門前払いにされ、「もう無理だ」と諦めてそのまま死んだ人もいる。缶入りのパンを2缶渡されて、餓死した姉妹もいる。水際で止めてはいけない。受けるべき人は全員受けるべきだ。

 「生活保護を恥と思え」という空気を作り出したのは自民党だ。片山さつき(内閣府特命担当大臣)であり、世耕(経済産業大臣)さんだ。はっきり言って、ろくでもない。そのセイフティーネットがなければ死ぬしかない人たちが存在している。そこになぜ「恥」の概念が持ち出されるのか? ある芸人さんのお母さんが生活保護を受給されていたところ、「息子が稼いでいるのになぜ親を食わさないのか?」とバッシングを浴びせた。だが、これは不正受給ではない。親と子は別人格だ。個別具体的なのだ。自民党がいう「家族が面倒見ろ」「家族を大切にしろ」とは、ただ単にコストカットのための文句でしかない。「家族を大切に」という自民党が政権を握っていながら、どうして若い人が子どもを産み育てられるような社会になっていないのか? 「家族を大事にしろ」というのなら、まずロスジェネを救えよという話だ。あまりにも寂しい。

 憲法13条には「すべて国民は、個人として尊重される」とある。憲法は国でトップのルールだ。この憲法から逸れるような法律の運用は絶対に許されるべきではないのだ。個人として尊重される憲法がありながら、どうして息子が親よりもカネを持っているから、親の面倒をみなければいけないと押しつけるのか。個別具体的に国が手を差しのばさなければいけないのだ。

 例えば、親の介護が必要になる。その介護を子どもなり、家族の中で見なければいけないという風潮がある。どうしても自分で面倒みたいならみればいいが、それをすることによって自分が続けてきた仕事を辞めなければならず、キャリアも途絶える。親が死ぬまで介護をし続けて、貯めていたお金はなくなり、最後に残された自分が社会に出ようにもお金もなく、安定した仕事にもつけない。自分の人生を諦めて、親の介護に専念した結果、その後の自分の人生を続けられなくなるようなことがたくさん溢れている。「介護離職ゼロ」といいながら実態は真逆だ。そして結局、介護は嫁に見させる。もういい加減、その昭和のおっさんメンタリティをやめろ、ということだ。


 一番正しいのは、介護には行政が手を差し延べて、その子どもや家族が自分の人生を途中で諦めたりすることがないように必要な手立てを講じることだ。当たり前だ。

 みなさんが、「国の面倒になるのは申し訳ない」とか、「生活保護は恥だ」と思うのは、恥の概念をしっかり刷り込まれているからだ。なにをか言わんやだ。この国にはセイフティーネットは生活保護しかないのだ。これから漏れたら刑務所で生きるしかないというほど、この国には行き場がない。生活保護制度、この国の生活保障の制度を変えるべきだと思う。

 「生活保護を絞っていくべきだ」という新自由主義的な、「小さい政府」を主張する人たちは「生活保護は不正受給だらけだ」という。しっかり数字見ろ。不正受給はたった2%だ。98%は適正なのに、そのほとんどが不正受給と捉えられるような印象操作を国会やマスコミがおこなったからこそ生活保護が受けづらくなった。人間の尊厳を守るためのセイフティーネットを踏みつけて何をするつもりなのか。つまりはコストカットだ。


 唯一のセイフティーネットである生活保護制度は、その人が完全に沈没し、何もかも失ってからでないと使えないという建前だ。そこまで落ち込まなければ使えない制度ならば、そこから立ち上がるのにどれだけ時間がかかるのか。だから、つまずく手前、何もかも失うずっと手前に、バラで受けられるような制度にすべきだと思う。バラとは、生活扶助、住宅扶助、医療扶助などいろんな助けられるものがある。せめて家賃を何ヶ月かでも助けてもらえたら生活が立て直せるとか、生活扶助で毎月少しでも入ってくれば子どもに三食食べさせられるとか、そういう部分的な援助があればどれだけの人を救うことができるか。なにもかも失って全部受けさせるという制度自体が間違っている。そのずっと手前で救えばもっとちゃんと歩けるようになるし、もっと早く脱出できると思わないだろうか。そういう制度にしていきたい。本当のみなさんの生活安全保障制度を作りたい。


水道民営化の先にある社会とは

 質問 生活保護費を削る一方で、吉本興業にクールジャパンで100億円もの血税が注がれていることをどう思うか?


 山本 実は生活保護を削ってスリム化するというのは自民党の公約なのだ。命の掛かる社会保障を削りながら、一方で自分たちのお仲間にはどんどんお金を流していくというというのはこれに限ったことではない。自分に見返りがあるから投資をする彼らにとって、生活保護者に注いでも自分たちにメリットにならない。お金なのか、票なのかわからないが、もっと直接的に利害関係があるところにお金を回した方が得だと考えるからだ。その見返りがないのなら、命につながる話であっても無視する。


 いい例が水道民営化だ。水道が老朽化しているが、管路を交換するには60兆円かかる。これを公共がやったらとんでもない額だから、民間に任せれば安く済む知恵があるだろうということでやっているのがPFI(公共施設の民営化)だ。これはイギリスでもう終わった話だ。公的機関では高いからといって民間のノウハウで安くやろうとしたが、フタを開けたら公共よりもべらぼうに高くなった。要は公共を使って民間を食べさせるという竹中平蔵的な考え方だ。結果、イギリスではPFIはやめることになった。


 イギリスの報道ガーディアンによると、英国会計検査院は「納税者はPFI契約のために2000億ポンド(約30兆円)余計に支払うことになる」と報告している。もう無茶苦茶だ。民間を太らせるために公共の財産を横流ししていくことがおこなわれた。


 またフィナンシャルタイムスは2018年1月、「英国会計検査院の報告ではPFIを利用して建設した学校は、公的機関がやった場合よりも4割も高く、病院では6割もの費用が余計にかかる」と報じている。こんなことを続けて無茶苦茶になり、イギリスはやめる方向にあるのに、日本は何周も遅れていまこれを導入している。だが、これをテレビ、新聞はやらない。PFI法の問題点などテレビでは見たことがない。私は担当として、PFIの審議を内閣委員会でやっていたが、これほどとんでもないことを日本に持ち込むという話なのにテレビはまったく取り上げない。企業側の利益に繋がることをテレビが邪魔したら広告を抑えられる。テレビに期待したらダメなのだ。なぜならテレビはみんなのものではなく、企業のものだからだ。


 PFI法が適用される公共施設が同法第2条にある。@道路、鉄道、港湾、空港、河川、公園、水道、下水道、工業用水道等の施設、A庁舎、宿舎等の公用施設、B賃貸住宅及び教育文化施設、廃棄物処理施設、医療施設、社会福祉施設、更生保護施設、駐車場、地下街等の公益的施設、C情報通信施設、熱供給施設、新エネルギー施設、リサイクル施設(廃棄物処理施設を除く)、観光施設及び研究施設、D船舶、航空機等の輸送施設及び人工衛星(これらの施設の運行に必要な施設を含む)……全部だ。この国を丸ごと売り払う奴らだ。政府という皮をかぶっているが、実はみなさんの利益を食い潰す強盗団に乗っ取られているのと一緒なのだ。こんなものは泥棒だ。これを止めようという話だ。


 税金の使い方も同じだ。みんなから搾り取ったものを横流ししつづけている。みんなの税金で作ったいろんなインフラ施設さえもこのように横流ししていくという話だ。


 これを止められるのは誰か。もう政治にその勢力はない。ブレーキになり得ない。だからそのブレーキをなんとかして作らせてほしいということだ。
 (竹中平蔵の写真を指し)こういう人間をつまみ出さなければ日本はよくならない。都合のいいときだけ大学教授、実体は「政商納言」だ。みなさんの利益を食い潰して、自分たちが太ったり、自分のお仲間たちだけを太らせるようなことを実際にやっていくような人間。議員でもないのに民間議員という立場で好きなことをやり放題。不思議なことにすごく息が長い。どこにでも出てくる。いつまでありがたがっているのかという話だ。


 どうやって追い出すか。選挙でひっくり返すしかない。このままでは国は潰される。やられる前に仕留めに行くしかない。一回の政権交代で満足行く社会になるかはわからない。でも、丁寧に丁寧に政権交代をしながら何度もしていけばいい。いい方向に向かっていくように。少なくともブレーキは掛けなければならない。でなければオリンピックの後、地獄が来る。


 質問 30歳ではじめて国政選挙に行ったのが小泉劇場のときの総選挙だった。テレビで郵政問題をおもしろいと思ってしまい自民党に投票してしまった。そのことをいまはすごく後悔している。当時、山本さんはどのような行動をされていたのか?


 山本 小泉政権時代を前後する時期は、正直、選挙にいったかどうかも記憶がないくらいだ。本当に申し訳ないが。選挙にいかなければという気持ちがあっても、前の日に飲み過ぎたりとか、めんどくさくなって行かなかったこともあると思う。ちょうど自分が20代。まったく政治など目に入っていなかった。恥ずかしながら私自身が気がつき、これはやばいなと思ったのは、大震災だった。2011年。それまでは投票に行ったり、行かなかったり。政治のことはあまり考えない人生だった。だから、こんな世の中、こんな地獄みたいな世の中を作り出した一人の大人として責任を感じている。自分がつくったようなものだ。だから、端から見たら、あまりにもちょっと極端に見えるような行動に出ているのかもしれない。


 なぜなら、震災や原発事故があって、自分の職業を一旦やめて政治の世界に行くというのはあまりない。当時は、山本太郎は宗教に入ったんじゃないか?といわれたほどだ。もう我慢できなくてアクションに出た。これまで政治に対して興味持たず、おかしいとも思わず、自分の人生だけを生きてきた結果、震災から世の中から少し見えるようになって、こんなひどい状況になっていたとは気がつかなかったということだ。そんな自分にがっかりしたし、怒りを覚えた。もちろん政治に怒りを覚えたが、まず自分自身に一番怒りを覚えたという部分だった。遅駆けながら、これを取り戻したいと思っている。変えていくことで責任を取りたいと思っている。

すでに始まっている衆院選のたたたかい


 質問 精神障害をもっているが、次の衆院選に立候補して一緒にたたかいたい場合、どのように入党を申し込めばいいのか?


 山本 基本的にれいわ新選組は、国会議員と国会議員の候補者で構成されるグループになっている。だから、地方議員がれいわ新選組を名乗れないシステムにしている。無所属の方に推薦を出すことはあっても地方にれいわ新選組の直接の議員を作り出すということはしない。でなければ、地方議会にも分断を持ち込むことになる可能性があるからだ。衆院選を一緒にやる100人の候補者は公募する。ぜひここに応募をする形でチャレンジしてもらいたい。全国に障害者は936・6万人いる。そのうち436万人の身体障害者を代表するお2人が国会に入った。知的障害者は約108万人、精神障害者は392万人いるのだから、それ以外のカテゴリーの代表の方も国会にいっていいと思う。


 なぜなら今日が初登院だったのに、その前に国会を動かしている。その存在だけで仕事をしている。それが、れいわ新選組の2人だ。初登庁で一番問題になったのは、お2人は重度訪問介護(24時間)のためのヘルパー、介助者が必要という状況だが、現在の制度では、通学して学校で学んだり、通勤して仕事に就くという時間は公的サービスから除外される。働きたい、学びたいと思ってもそのときには公的サービスが使えないのだから、実質、「重度障害者は働くな、社会に出るな」というメッセージだ。誰にでも障害者になる可能性がある。明日かもしれないし、10年後かもしれない。そのときに誰もが公的サービスを受けながら、生き甲斐を得るために働いたり、学べる環境を作った方がいいとは思わないだろうか。


 今回、舩後さん、木村さんがやろうとしたことは、この重度訪問介護、公的サービスから除外されている通勤通学、勤務時間内も、介助者がつくという公的サービスに含めるという制度変更をしてから私たちを迎えていただきたいということだった。そこで出てきた言葉は「お前らは国会議員でたんまりカネ貰っているんだから自腹でやれや」というものだ。でもそれを自腹でやったとしたら、それ以外の重度障害者の人たちも自分たちで払わなければ働けなくなる。学べなくなる。そんな悪い前例を作ってどうするのか。ここはパラリンピックのホスト国ではないのか?


 それだけでなく、日本は国際社会において「障害者権利条約」を結んでいる。世界との約束であり、法律よりも上位にある条約だ。ここにはちゃんと、障害者であっても健常者と同じように働ける環境をつくらなければいけないと書いてある。健常者が働くときにお金を払って人を雇うようなことは必要ない。でも重度障害者は手足となる人がサポーターとしていなければならない。同じ条件のもとで働けるようにしなければならないというのが障害者権利条約だ。今回、2人重度の障害者が国会に行ったのなら、変わらなければいけないし、変えなければいけない。当然の話だ。今回、スロープをつけたり、代理人の配置などは合理的配慮としておこなわれたが、24時間の介護サービスの仕事を公的サービスでできるところまでは勝ち取れなかった。だからこれから2人は中に入ってこれから議論を進めて、その道を拓いていく。それはきっと、あなたが明日、重度障害を負ったとしても、公的サービスに支えられて、生き甲斐を得られる仕事ができるようになることに繋がる。どんな状況に陥っても、あなたが生き甲斐を失わず、人間の尊厳を失わず生きていける世の中にするのなら、これはやらなければいけないことだ。


 「寝たきりの人間に無駄なカネを使うな」という人もいるが、あなたが同じ状況になったとき同じ言葉があなたに降りかかるだろう。そんな世界で生きていきたいと思うだろうか? どんな状況でも手をさしのべるのが国であり、行政であってほしい。そういう国をつくろうよ、というお誘いだ。「そんな綺麗ごとが通用するのか」と思われるかもしれないが、私はそういうビジョンをもって政治を作っていきたいし、それが多数派になればそういう社会が必ずできる。


 選挙における多数派は、企業のための利益を第一に考えている。だから、あなたが絞られて企業側に利益が渡っていく。消費税が上がるが、社会保障には一部しか使われない。金持ちや大企業を大減税する穴埋めのために消費税を使われており、あなたのためではなない。その裏でやられていることは、この7年間で4兆円以上の社会保障費カットだ。踏んだり蹴ったりだ。変えていける、すべて政治で。あなたが変えたいと思うかどうか、それだけだ。その先頭に立たせてもらいたい。「どうせ政治なんて裏切るだけだ」と思っている人も賭けてみてほしい。一緒にやりたい。みんなのための政治を。


 今回、れいわ新選組で受かったのは2人だけだったが、政党要件を得たわけだから次のたたかい方はずいぶん楽になる。当事者が行くだけで大きく変わるというケースを、今回当選した2人で見ていただけると思う。もっと当事者の声を国会の中に届けるためには、まず当選が叶わなかった私を含めてみんなで国会に行く。それ以外のメンバーもみんなで一緒に行く。もう始まっている。横に繋がっていこう。丁寧にその道をみんなで舗装していこう。


 いやらしい話をすることが許されるなら、政治団体のときは一人ができる寄付の上限は年間150万円だった。それが政党になったら、一人2000万円まで可能になった。お金持ちはいませんか? また、いままでは寄付1円でも名前や住所、職業など個人情報を書かなければならなかった。それが政党になったら1000円以下には個人情報の記入はいらない。1円から受け付けて、10億円以上集めたい。お金だけではなく、実際にあなたの力をお借りして広げられることはポスターを貼ることだ。これをぜひ広げてもらいたい。いまならまだテレビに映っているから貼りやすいかもしれない。秋には新しいポスターができあがる。ぜひお力を貸してもらいたい。あなたのための政治をやろう。そのためにみんなで力を合わせよう。生産性で図られるような社会ではなく、生きているだけで価値があるという社会を一緒に作ろう。この国にとってはじめての試みだ。


 これからしっかり全国を回ってみなさんと繋がっていきたい。もし私たちが行く地方にお知り合いがいらっしゃったら、直接会いに来て、質問をしていただくよう声をかけていただきたい。そこで、もし納得がいく答えが得られたら力を貸してほしいと、そのように横に広げていってもらいたい。秋からしつこく冬が来るまでねっとり全国を回っていく。もう始まっている。みんなで広げよう。変えていこう。
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/12617

268. 中川隆[-8851] koaQ7Jey 2019年8月07日 07:34:47 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3881] 報告

2019年08月07日
自由化が成功するとは限らない 電力や水道自由化は悪夢


自由化で赤字だからと、駅も郵便局も電気も水道もなくしたら、その町は人口ゼロになります

こうした事が日本中の田舎で実際に起きています


画像引用:http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/a9/32a2bd922d2004896ddcaa8c9ef289e8.jpg


自由化の始まりは国鉄民営化

1980年代後半からの日本では自由化、民営化、規制緩和、行政改革など規制をなくして自由化しようという流れでした。

その始まりはおそらく1985年のプラザ合意で、一夜にして(実際は2年かかったが)円の価値が2倍になり円高不況になった。

今米中は貿易不均衡で対立しているが、1985年のレーガンはトランプのように激怒して、円の価値を2倍にしてしまいました。



2倍円高になると例えばアメリカに輸出する車も2倍高くなってしまい、輸出大国日本は経済崩壊します。

そこで中曽根首相がはじめたのが「民間活力の導入」で早く言えば規制を撤廃して自由化する政策でした。

最初の民営化は国鉄民営化で、中曽根はあらゆる反対を押し切って1987年(昭和62年)4月1日にJRを発足させました。


日本国有鉄道は1949年(昭和24年)発足だが、1920年(大正9年)の鉄道省を形式上別組織にしたものでした。

それまで日本の鉄道は民営だったが、1906年(明治39年)国有化で国の所有物になった。

国家予算を投入し軍が建設や運営に関与するようになり、日本中に鉄道網が敷かれたが後に赤字の原因になった。


1980年代の国鉄は赤字製造機になっていて、国鉄債務10兆円をどうするかが政治問題になっていた。

中曽根は国鉄を民営化し赤字解消を図るとともに、自由化で経済を活性化させようと考えました。

中曽根の狙いは的中し、不動産や金融の自由化なども行われたので、空前の好景気になったがバブルを引き起こした。

安倍政権でもデフレなのは自由化しているから

1991年にバブルが崩壊し、自由化によってバブルが発生したのだから、本来はこの時「規制強化」するべきでした。

だが規制緩和や自由化で景気が良くなった成功体験を忘れられず、日本はその後20年以上も規制緩和と自由化を進めました。

規制緩和や自由化は今まで不自由だった制度を自由にするので、物の値段を下げる効果があります。


日本はバブル崩壊でデフレだったのに、自社政権や連立政権は次々に「規制緩和」をしてハイパーデフレを招いてしまいました。

自由化によってデフレが悪化したのに、政府はそれに気づかず、「自由化すれば景気が良くなる」と考えてもっと自由化したのです。

今の安倍政権も同様で、「規制緩和を強力に進める」と言いながら「物価上昇率2%を達成する」とも言っています。


これは「ブレーキとアクセルを同時に踏んで速度を上げる」ような事で、実現するはずがありません。

安倍政権は一方で物価を上げようとしながら、もう一方で物価を下げているからずっとデフレのままです。

自由化は必ず良い事で、悪いことなど一つもないと思われているが、実際には自由化して失敗した例は成功例と同じくらいあります。


まず元祖自由化の国鉄民営化ですが、民営化したら国鉄債務はどこかに消えてなくなり、黒字経営でとても良い事に思えます。

その代わり赤字路線は次々に廃線になり、全国の町が「鉄道がない地域」になり過疎や廃村になっています。


北海道と四国はほぼすべての路線が赤字なので、企業経営だけでいえば全路線が廃線になります。

物価が上がらないのは安倍首相が規制緩和と自由化で物価を下げているから。

黒田総裁が何をやっても無駄です


20150330194629sdopfip
画像引用:http://blog-imgs-73.fc2.com/j/y/o/jyouhouwosagasu/20150330194629sdopfip.jpg


間違った自由化の失敗例

ここで考えなくてはならないのは、北海道と四国の全鉄道を廃止したら、おそらく北海道と四国は急速に過疎化が進み、人口が急減することです。

その結果北海道と四国の生産と消費は半減してしまい、結局日本は前より貧しい国になります。

合理主義のアメリカでは全鉄道路線のほとんどが赤字だが、国や州や軍がお金を出して路線を存続しています。


赤字だから廃線にしていたら鉄道がなくなってしまい、かえって経済力が低下してしまうからです。

北海道と四国の鉄道を廃線にするのと、再国営化して地域経済を発展させるのと、どちらが良いかは難しい問題です。

次に小泉改革の目玉だった郵政民営化ですが、結局10年経っても国が株式を保有する国有企業のままです。


どうして完全民営化しないかというと、鉄道と同じく赤字郵便局を廃止すると地域が崩壊し、日本全体として貧しくなるからです。

郵便局すらない村に誰も住みたくないと思いますが、日本の半分でそうなったら日本経済は崩壊します。

既に明らかなようにクロネコヤマトや佐川急便は郵便局の公的な役割を果たせないし、銀行は支店やATMを廃止しています。

「自由化したら必ず良くなる」は間違い

次の失敗はバス路線で、路線バスの旅という人気番組では、分断された路線を乗り継いで目的地に向かっていました。

日本の路線バスがズタズタに分断されている理由は、間違った民営化や自由化の結果です。

日本以外の国では路線バスで国中のどこにでも、鉄道の半額ほどで行けるが、世界で日本だけ鉄道の2倍の料金で分断されています。


原因は地域ごとに小さなバス会社が運航しているからで、バスこそJRのような広域組織や国鉄が必要です。


もし全国のバス会社を統一して「日本国有バス」やJRバスにしたら、乗り継がずに本州縦断できるようになり番組が成立しなくなります。

最近政府は電力自由化を推進していますが、本当に東電などを解体して自由化したら、日本人は酷い目に遭います。


まず東電がなくなったら福島原発の解体費用や保証金は誰も払わなくなり、「自己責任」で処理する事になります。

電力自由化したあらゆる国で電気料金が2倍以上になっているので、自由化後の電力料金は2倍になります。

しかも自由化した国では停電が頻発し、もうからない家には送電せず、電気がない地域も出てきます。


水道ももし完全自由化したら、利益が出る地域だけ送水し、儲からなければ水道を廃止します。

実際アメリカではこうなっているので、日本だけ例外ということはありません。


自由化して成功するのは大体人口が多い都会で、田舎でやったらサービス低下で住民が逃げ出します。
http://www.thutmosev.com/archives/80605084.html

269. 中川隆[-8849] koaQ7Jey 2019年8月07日 07:52:42 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3883] 報告
元国税が暴露。日本の会社員だけ給料が20年で10%も減った理由
https://www.mag2.com/p/news/408545

2019.08.05  大村大次郎『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』 まぐまぐニュース


以前掲載の「先進国で日本のサラリーマンの給料だけが下がり続ける2つの理由」などで、日本の会社員の賃金だけが下がっている事実を取り上げてきた、元国税調査官で作家の大村大次郎さん。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では、日本の大企業が欧米人だけに賃上げを実施しているという衝撃の事実を暴露するとともに、巷間語られている「デフレが給料を下げる」という意見に対しデータをもって反論しています。

プロフィール:大村大次郎(おおむら・おおじろう)
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

日本のサラリーマンは国や会社になめられている」

このメルマガでは、この20年の間、先進国の中で日本の賃金だけが下がっているということを何度がご紹介しました。日本経済新聞2019年3月19日の「ニッポンの賃金(上)」によると、1997年を100とした場合、2017年の先進諸国の賃金は以下のようになっています。

アメリカ:176        
イギリス:187
フランス:166
ドイツ :155
日本  :91

このように先進諸国は軒並み50%以上上昇しています。アメリカ、イギリスなどは倍近い金額になっています。その中で、日本だけが下がっているのです。しかも約1割も減っているのです。イギリスの187%と比較すれば、日本は半分しかないのです。つまりこの20年間で、日本人の生活のゆとりは、イギリス人の半分以下になったといえます。

この20年間、先進国の中で日本の企業だけ業績が悪かったわけではありません。むしろ、日本企業は他の先進国企業に比べて安定していました。企業利益は確実に上昇しており、利益準備金も実質的に世界一となっています。

なぜ日本の賃金だけが下がったのか、というといろいろ理由はありますが、最大の理由は「日本のサラリーマンは国や企業からなめられている」ということだと思われます。というのも、着目していただきたいのは、トヨタなど国際企業の賃金動向です。

トヨタは60年前から北米に進出し、現在は、約13万6,000人を雇用しています。このトヨタのアメリカ従業員たちは、日本のトヨタの従業員と同様に賃金が据え置かれたのかというと決してそうではありません。アメリカのトヨタの従業員たちは、他のアメリカ国内企業の従業員たちと同様かそれ以上に賃金は上昇しているのです。またトヨタはイギリスにも工場をつくっていますが、イギリスでも同様に従業員の賃金は上昇しているはずです。

欧米では政府の定めた最低賃金が年々、段階的に上昇しており、また他の大企業も賃金を上昇させているので、トヨタだけが賃金を上昇させないわけにはいかないのです。欧米の労働者は日本の労働者よりも20〜30%賃金が高いですが、トヨタは欧米ではその高い賃金は支払っているのです。

もちろんトヨタだけではありません。欧米に工場やオフィスを構え、現地で従業員を雇っている日本の企業は、欧米の従業員に対しては、ちゃんと賃金を上昇させているのです。賃金が据え置かれ下げられてきたのは、日本のサラリーマンだけなのです。

バブル崩壊後、人件費をけちったのがデフレの要因

バブル崩壊後の日本企業は、非常に極端な方向に傾いてきました。株主ばかりを極端に厚遇し、社員の給料はあげずリストラなどを敢行するなどしてきたのです。そして人件費を削って配当に回したり、内部留保を貯めるというような愚かな事を普通にやってきました。それが結局、日本の閉塞感を招いたのです。

デフレに関するニュース解説などでは、「デフレになると経済が収縮するので給料が下がる」というようなことをよく言われます。サラリーマンの給料が下がるのも、そのせいだと言われています。しかし、ちゃんとデータを見れば、それはまったく間違っていることがわかります。

サラリーマンの平均給料は平成9年をピークに下がりはじめています。しかし物価が下がり始めたのは平成10年です。これはちょっと調べれば誰でも確認できます。つまり給料の方が早く下がり始めたのです。これをみると、デフレになったから給料が下がったという解釈は、明らかに無理があります。現在の日本のデフレの最大の要因は、賃金の低下と捉えるのが自然でしょう。給料が下がったので消費が冷え、その結果物価がさがったというのが、ごく当然の解釈になるはずです。

バブル崩壊以降、財界は「国際競争力のため」という御旗を掲げ、賃金の切り下げやリストラを続けてきました。また正規雇用を減らし、収入の不安定な非正規雇用を激増させました。その結果、消費の低下を招き、デフレを引き起こしたのです。

史上最長の好景気でもデフレは解消されなかった!

「企業の業績がよくなれば、デフレが解消され、給料も上がる」。昨今の経済評論家や政治家はみなそういうことを言います。が、近年の経済データをそれは明白に誤りだったことがわかります。

今年1月、好景気の長さが戦後最長の74ヶ月になったと発表されました。また2002年2月から2008年2月までの73カ月間にも、史上最長の景気拡大期間(好景気)を記録しています。しかし、その結果、我々の暮らしはどうなったでしょうか?好景気であるのに、国民の生活はまったくよくならなかったのです。しかも、この好景気の間も、物価は下がり続けました。

これを見た時、「企業の業績が上がり好景気になればデフレは解消される」というのは、まったくの誤りだということがわかります。好景気になったところで国民の収入が上がらなければ、デフレは解消されないのです。我々は「好景気になれば給料が上がるから」と言われ、ひたすら賃金カットやリストラに耐えてきました。しかし、史上最長の好景気を迎えたにも関わらず、デフレは解消されずに、給料も下がりっぱなしだったのです。それは、単に企業が賃上げをしなかったことが、最大の要因なのです。

日本の大企業は近年、非常に儲かっていたにもかかわらず、利益を株主への配当か、内部留保に貯めこんだことはこのメルマガで何度もご紹介してきました。日本企業の利益剰余金(利益から税金を引いた残額)は、2002年には190兆円でしたが、現在は400兆円を超えています。しかもこの利益剰余金は、その多くが投資に回されずに、企業に現金・預金として貯め込まれているのです。

企業は儲かったお金を取りこむばかりなので、当然のことながら、社会にお金が回りません。社会にお金が回らなければ、消費は冷え込みます。消費が冷え込めば、モノの値段は下がり、デフレになります。当たり前と言えば、当たり前の話です。つまり、どう考えてもデフレの要因は、「サラリーマンの賃金」だとしかいえないはずです。

また企業が、社員の賃金を上げないという事は、自らの首を絞めていることでもあります。企業にとって社員というのは、顧客でもあるわけです。彼らの消費力が減れば、国全体で見れば企業は顧客を失っていくに等しいのです。財界は果実を取るだけ取って、種を植えたり、木に水を与えたりしていないということなのです。だから企業にとって、社員の賃下げというのは、遠回しに自分に打撃を与えているのです。

先進国でデフレで苦しんでいるのは日本だけ

デフレの要因が賃金であることのわかりやすい証拠をもう一つ挙げたいと思います。近年、先進国の中でデフレで苦しんでいるのは、日本だけなのです。そして先進国の中で、賃金が上がっていないのも主要先進国では日本だけなのです。これを見ても、日本のデフレの原因は、賃金であることは、明白であるはずです。

バブル崩壊後、日本経済というのは、「経済成長」「国際競争力」という旗印のもとで、企業業績ばかりを優先されてきました。しかし、それは一時的な経済成長はもたらしますが、日本経済にとってしっかりとした地力をつけることには結びつかなかったのです。それは、よく考えれば当然の話です。

経済というのは、企業ばかりを優先していれば、やがて行き詰ります。当たり前のことですが、経済というのは企業の力だけがいくら強くても成り立ちません。企業の作ったもの(サービス)を買ってくれる「豊かな市場」があって、はじめて企業は存在できるのです。企業が人件費を切り詰めれば、一時的に収益が上がります。だから、それで経済成長したように見えます。

しかし、企業が人件費を切り詰めれば、国民の収入は下がり、購買力も低下します。国民の購買力が低下するということは、企業にとっては、「市場が小さくなる」ということです。市場が小さくなっていけば、企業は存続できなくなります。それは、当たり前といえば当たり前のことです。このまま賃金を抑制し続けたら、日本人の購買力がどんどん落ちるのは自明の理です。そして、日本全体がどんどん貧困化していく。そうなれば、現在、栄華を謳歌している大企業たちも危うくなるのです。

そうなる前に、ため込んだ金を吐き出すべきだと思われます。経済界全体で申し合わせ、賃金を上げるべきでしょう。バブル崩壊後の名目GDPの上昇分くらいは、人件費を上げないと、日本経済が本当に復活することはないと言えます。消費税が増税されるとなると、なおさらのことです。賃金というのは、日本経済の活力源なのです。これを増やさなければ、日本経済はどんどん元気がなくなっていきます。それは、バブル崩壊以降、我々は嫌というほど経験したはずではないでしょうか?

270. 中川隆[-13684] koaQ7Jey 2020年2月20日 11:03:10 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-216] 報告
2020年02月20日
働かない人の収入が働く人より多い世界 マネー経済が実体経済を圧倒


上位数人が下位半分の資産を所有している
働くより金転がしが儲かるのでこうなる

画像引用:https://fashionmarketingjournal.com/wp/wp-content/uploads/2017/02/thejick01-1.png

マネー経済が実体経済を圧倒

1%の超富裕層が富の半分を所有している、というような説明を聞いたことがあると思います。

アメリカでは上位3人(ゲイツ、バフェット、ベゾス)の合計資産約30兆円が下位半分の資産を上回っている。

アメリカ人の5人に1人が資産ゼロで、3割程度が10万円ほどの預金額しか持っていない。


さらに世界の上位62人は世界の個人資産の半分を持っていて、彼らの大半は世襲や相続で資産を引き継いだ。

この状況は19世紀以前に王や皇帝や貴族が支配していた頃と同じで、封建時代より格差が酷いという。

江戸時代の殿様は意外に貧乏で、食事や生活は質素だったので、現在より格差が小さかったかも知れない。


現代の格差拡大はマネー経済の拡大と実体経済の縮小が原因と言われています。

実体経済は生産や移動やサービスなど物理的な行動を伴う経済で、GDPという数字で表されます。

対して「ビットコインが値上がりした」ように物理的な行為が伴わないものを、マネー経済などと呼んでいます。


現金と預金などの通貨流通量は100兆ドルで世界のGDP合計は約80兆ドル(2018年頃)とマネーの方が大きい。

GDPは物理的行為をお金に換算した合計なので、働くよりお金を転がした方が儲かるのを意味している。

例えば苦労して東大に入り一流企業に入り経営者に上り詰めた人より、親から相続したお金を転がして遊んでいるほうが儲かる。


これが格差を拡大していて、まじめに働くより寝ていた方が儲かるから、どんどん差が開いています。

働いたら負けの社会

マネー経済の拡大によって2030年には上位1%の資産家が全世界の富の3分の2を所有する、とオックスフォード大教授などが言っています。

超格差を予言したピケティ教授の『21世紀の資本』がベストセラーになったが、当時は空想と思えたことが現実になっている。

ビケティによると格差が拡大する理由は労働によって得られる賃金より、不労所得である財産の伸び率が高いからです。


その結果が全世界GDP合計80兆ドルに対して通貨流通量は100兆ドルになったので、今後さらに差が開きます。

こうした社会では一生寝ずに働いたとしても、寝転んで資産運用する人よりずっと少ない資産しか作れません。

10年ほど前にネットで「働いたら負け」という言葉が流行したが、今の世界は正に働いたら負けで、働かない人が巨万の富を持っている。


千年以上前から「労働は美徳」としてきた日本人はこういう生き方が苦手であり、労働によって尊敬や称賛を得るのが当然だと考えて来た。

欧米では労働は刑罰であり、偉い人は働かず命令したり遊んだり、非生産的な事ばかりしてきた。

例えば10億円を持っている人が年2%で運用したら2000万円を得られるが、労働で2000万円得られるのは芸能人など限られた職業です。


非正規や派遣労働者の多くは年収200万円程度ですが、これは1億円を2%で運用するのと同じ金額です。

年2%なら投資の才能がゼロでもこつこつ積み立てるだけで良いので、ほぼノーリスクで得られるリターンです。

日本では実質賃金が増えていないが先進国共通の現象で、全世界「働いたら負け」になっています。


こうした世界がいつまで続くかですが、マネー経済は何も生み出していないので、実体経済が作ったものを浪費しているだけです。

実体経済が生み出したお金をマネーゲームの勝者が総取りする不合理な経済が、永遠に続くとは思えない。

王や貴族の支配が終わったように、マネー貴族の世界もいつかは終わるでしょう。

http://www.thutmosev.com/archives/82236298.html

271. 中川隆[-8393] koaQ7Jey 2021年1月11日 09:04:25 : 3NBb5fpKfI : Y0tGbi83VmpNM2s=[13] 報告
世界では富裕層と貧困層の「分離」は見て分かるほど明確。日本もそうなるか?
2021.01.11
https://blackasia.net/?p=22045


今の日本は確かに経済格差は広がっているが、まだ経済格差による「分離」は極端ではない。だから、たとえば金持ちが住む地域の住民がそうでない地区に行かないということはない。その逆もまた然りだ。しかし問題はこれからだ。日本は、今のような混成社会を維持できるのだろうか。(鈴木傾城)


コロナは、経済格差をブーストする社会現象だった

コロナ禍は人々の健康を破壊するだけでなく、経済面でも人々を脅かす存在となる。コロナ禍で真っ先に解雇されるのは非正規雇用者で、何とか守られるのは正社員である。そのため、非正規雇用者の立場はコロナ禍で修羅場と化す。

正社員は「何とか」会社にしがみついていられれば、賃金の落ち込みやボーナスの削減はあったとしても、会社が何とか経営できていればコロナ禍でもほどほどに生き残ることができるだろう。

一方で、コロナ禍でも大きく資産を増やすのが株式等の金融資産を保有する富裕層である。政府はコロナで悪化する経済を下支えするために、大がかりな金融緩和や財政出動をしたので、これらの金がすべて金融市場に回って株価を押し上げた。だから、株式市場はどこもコロナ前よりも高値を保っているのである。

つまりコロナは、経済格差をブーストする社会現象だったのである。

コロナ禍以前から、経済格差はどんどん広がっていた。最初は少しの差であった格差は、やがては1000倍も2000倍も、いや1万倍も2万倍も開いて、もはや貧困層がどうあがこうが克服できない。

この極度なまでの経済格差が定着すると、その後に何が来るのか。それは、「経済による社会の分離」である。

世界の多くの国では、ひとつの国家が見えない層(レイヤー)で「分離」されている。そのレイヤーとは経済格差のレイヤーである。この経済格差の上と下とでは生活も文化も考え方も違う。場合によっては話す言葉までもが違ってくる。

メキシコでも、ブラジルでも、アメリカでも、イギリスでも、安全な地域と危険な地域は明確に「分離」して存在している。

分かりやすく言えば、金持ちたちが集う地域は安全だ。そして貧困層が集う地域は治安が悪い。だから金持ちは貧困層がいる地区には決して足を踏み入れないし、逆に貧困層が金持ち地区に行っても警備員や警察に追い出される。

それが定着すると、世界中どこでも貧困層と富裕層は自然に、明確に、完全に「分離」し、長い年月を経て同じ民族でも違う文化や生活になってしまうのだ。

世界では富裕層と貧困層の「分離」は見て分かるほど明確

一億総中流の意識がまだ多少でも残っている日本人から見ると、これは階級・身分・差別があるという認識になる。その通りだ。凄まじい経済格差が定着すると、自然に階級が生まれて上と下で「分離」するのだ。

世界では富裕層と貧困層の「分離」は見て分かるほど明確だ。

今の日本は確かに経済格差は広がっているが、まだ経済格差による「分離」は極端ではない。だから、たとえば金持ちが住む地域の住民がそうでない地区に行かないということはない。その逆もまた然りだ。

しかし問題はこれからだ。日本は、今のような混成社会を維持できるのだろうか。経済格差が広がるだけ広がって、それが社会に定着してしまった場合、日本もまた地域の「分離」になってもおかしくない。

経済格差の広がりは確実に、経済レイヤーによる「地域の分離」を作り出す。それは間違いない。時間の問題なのだ。だから、このまま経済格差が広がると、将来の日本は今までと違う世界になる可能性がある。

日本人も富裕層と貧困層で、世界が「分離」する。

富裕層と貧困層で分離するというのは、住むところも、通う学校も、付き合う人間も、行きつけの店も、持ち物も、食べる物も、やがては話し方も、すべてが違っていくということだ。

何もかもが「分離」し、お互いに接点が極端になくなっていく。

教育で言うと、貧困層は親の資金面から安い学校にしか通えなくなり、ここで富裕層と貧困層の子供たちが「分離」される。富裕層の子供たちは質の良い教育を行う私学に通い、教育に理解のある親と熟練した教師に守られて学力を伸ばす。

一方で貧困層の子供たちは親の理解もなく、給料が安くてやる気のない教師の教育を受けて、教育の質が落ちて学力も低下していくことになる。塾にも通う経済的余裕もない。

公立校ではどんなにやる気のない生徒、問題生徒、非行生徒がいても学校から放逐できないので、しばしば学級崩壊も起きて授業がストップしたりする。

だから、富裕層の子供たちが学力を上げる環境の中で貧困層の子供たちは学力を落とし、名門校にはなかなか入れない構造的な問題が発生する。気が付けば、学歴で大きなハンディが生まれていく。

それは、容易に越えられない「見えない壁」となっていく

さらに地域で見ると、ある地域に貧困層が多くなっていくと、地価が下がってますます貧困層が流れ込んでいく。そうすると、不動産価格の下落や環境の悪化を嫌って、富裕層が少しずつ、しかし確実に抜けていく。

そうすると、ますます貧困層がその地区を埋め尽くすようになっていく。一方で、富裕層が集まるところは地価が上がって貧困層が住めなくなる。これで人々が経済レイヤーによって「完全分離」される。

職業でも同様の「分離」が起こる。富裕層の子弟が卒業する大学卒の勤める職種と、貧困層の勤める職種も違っていく。入れる企業も違い、同じ企業でもエリートクラスと労働者クラスに分かれてこのふたつは交差しなくなる。

この「分離」は、容易に越えられない「見えない壁」となっていく。

今のままであるならば、日本も遅かれ早かれそのような「見えない壁」で区分けされる社会になる。これについては、多くの社会学者、経済学者、政治家たちが警鐘を鳴らし、危険を訴えている。

誰のせいでこんなことになったのか。全世界がこのようになっているのだとすれば、誰のせいでもなく、現在の社会構造が生み出しているというのが分かるはずだ。

弱肉強食の資本主義が、このような社会現象をどんどん増長させて止まらないのである。強いて言えば、グローバル化を無批判に取り入れた政治家や大企業が悪いということになる。

しかし、日本はもうとっくの前にグローバル化を完全に受け入れた。これからも、どんどん受け入れていくことになる。それがさらなる経済格差と「分離」を生み出すことになるのは、目に見えている。

もはや、格差が日本国民を「分離」してしまうのは避けられない事態だ。私たちはどちらかに分けられてしまうのだ。そして、同じ日本人でも、まったく交わらない文化断絶ができあがる。

同じ民族なのに、別々に違う世界で「分離」して生きることになる。

国家はない袖を振れない。企業も終身雇用を捨てた

問題は貧困層に落ちた人は、もはやその子供もまた貧困層になってしまうことだ。個人の努力云々の話ではない。子供たちはスタート時点から極端な差を付けられて貧困から抜け出せない。

日本がそんな社会になることは、高齢層よりも若年層の方が切実に感じ取れるかもしれない。

日本は若者の自殺が多い国だが、それは就職活動を行っている段階から、多くの企業に断られ続け、自分たちが社会から必要とされていないことを悟ってしまうこともひとつの要因として挙げられている。

就職できても、生活していくことができないほどの薄給だったり、非正規雇用や契約社員のような、不安定な身分だったりすることも多い。正社員と「分離」されているのである。そんな中で必死で働いても、身体を壊して使い捨てされる。

彼らの多くは、自分たちが貧困に生きるしかない現実を突きつけられている。当然、無理して結婚して子供を作っても、子供が貧困で暮らすことになることくらいは容易に想像がつく。

だから、結婚して子供を作るということすらも逡巡する社会と化している。日本は超少子高齢化となっており、減り続ける子供と増え続ける高齢者のアンバランスが社会のゆがみとして現れるようになっている。

これから日本は、過酷な増税、削られる医療費、延長される年金受給年齢などがすべて同時並行で起きて、国民が痩せ細っていく。

国家はない袖を振れない。企業も終身雇用を捨てた。そのため、ごく普通の人が、年々転がり落ちるように貧困化する。

周辺国との軋轢、憎悪の連鎖、グローバル化の加速、格差の定着、若者の貧困化、超少子高齢化……。すべては、弱肉強食の資本主義が生み出したものであり根は一緒なのだ。

これらの問題が最後まで暴走していく中で、日本でも経済格差が「分離」を生み出して、それぞれがまったく違う文化の中で生きることになる。

格差で騒いでいる段階は終わった。格差社会の次は分離社会だ。日本社会は資産で分離していくのだ。

同じ日本人なのに交わることのない共同体で明確に「分離」し、互いに相手に「違う世界の人だから」と関心を失うようになっていく。それが日本の未来だと思うと悲しくないだろうか?

野良犬の女たち
『野良犬の女たち ジャパン・ディープナイト(鈴木 傾城)』
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B08B4358CC/ref=as_li_qf_asin_il_tl?ie=UTF8&tag=asyuracom-22&creative=1211&linkCode=as2&creativeASIN=B08B4358CC&linkId=bdf8967e8f2c80c8901a34333c3ad219


https://blackasia.net/?p=22045

272. 2023年8月27日 04:38:58 : cwqiuPThrI : Q2pac1FRWDBJQWs=[1] 報告
大恐慌は共産革命で一発逆転‼

渡邉哲也【教えて!ワタナベさん】中国不動産バブル崩壊−どのように解決するのか?[R5/8/26]
https://www.youtube.com/watch?v=cBx4C3OuJyU

半端ない どうなる負債の王国中国 / 未完成の住宅は資産に含まれず そんな廃墟であふれる中国‼ 【渡邉哲也show・ML】475 Vol.2 / 20230818
https://www.youtube.com/watch?v=PNb4K3-2UQM&t=901s

想定不可能な中国のバブル崩壊 共産革命で一発逆転‼ / 中国は昔から無かった事にするのがお得意 債権者も居なかった事に出来るかも… 【渡邉哲也show・ML】475 Vol.3 / 20230818
https://www.youtube.com/watch?v=mftHntqTRO4

273. 2023年8月27日 04:41:21 : cwqiuPThrI : Q2pac1FRWDBJQWs=[2] 報告
1929年世界大恐慌の原因は高累進所得課税を止めた事
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14144412
274. 2023年8月27日 05:33:45 : jPqjvzMYOM : QXlHTEdqaVNjWWM=[1] 報告
<■159行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
大恐慌は共産革命で一発逆転‼

資本主義はすぐに階級社会になって行き詰まる。
資本主義は自国だけでは階級ができた段階で内需が壊滅し恐慌になって行き詰る。
それで需要を求めて植民地を作り、植民地人から搾取して生き延びるしかなくなる。

シュワブは資本主義のリセットをすると言っているのだが、資本主義はすでに行き詰まっている。一国ではすぐに行き詰まり、早い段階で国外での略奪に活路を求めた。これが帝国主義だが、侵略を「グローバル化」しても早晩行き詰まる。1970年代から金融操作で誤魔化してきたが、21世紀へ入った頃には限界。新たなシステムを築かなければならないくなっている。そこでのリセットだ。


▲△▽▼


日本は人手不足ではない、他企業より安い労働力を使って生産しなければ売れないから低賃金の労働者が欲しいだけ
まともな給料を払えない中小企業はすべて倒産させるしかない。

日本の潜在GDPは需要の何倍も有るよ、作ろうとすれば必要量の5倍、10倍でもすぐに作れる
日本人は働かなくても食べて行けるが、金の大半を資本家や中小企業の経営者に取られているので貧困者が生まれてしまう。
貧困層は援助しなければいけないが、中小企業や店舗の援助はしてはいけない _ 援助しなければやっていけない中小企業はどんどん潰すのが正しい
政府が公共事業で需要を増やしたところで日本人の 半分がやっている、やってもやらなくても何も変わらないどうでもいい仕事の量が増える事はありません。その金は不動産や株式市場に流れてバブルを起こすだけです。起業するより不動産や多国籍の株を買った方がリスクが低いし儲かりますからね。

日本に人手不足の時代は永遠に来ない _ 日本人の半数は付加価値マイナスの仕事をしている。
日本の実質失業率は50%、人材を安月給で拘束しているだけの企業は破綻させた方がいい:
デフレの原因は技術の進歩で供給力が需要の4倍、5倍に増えた為です、未来永劫絶対にデフレ脱却はできません。
MMT論者は需要・供給、潜在供給量やGDP・経済成長率について基本的に誤解をしているのです:
そもそも需要や供給で意味が有るのは農業・食品や日用品、自動車・家電製品、輸送・電力・ガス・水道、土木・建設、介護・病院・学校関係くらいです。 それ以外の需要や供給は有っても無くても大して変わらないので、需要・供給の数値には意味は有りません

今、ネットで話題になっているのが「政府支出が増えると経済成長する」というもの。本当にそうなのでしょうか? 

経済成長ってなに?【政府支出が増えると経済成長する?】
https://www.youtube.com/watch?v=C12Mllv1nbQ&feature=emb_title

今は技術の進歩で、日本人の1/3が8時間労働すれば日本人全員が生活に必要な物をすべて作れる時代です。
警察・防衛、司法・行政・政治を含めても、まともな意味の有る仕事をしているのは日本人の半分だけでしょう。

そもそも輸出品の供給力に対応する需要は海外の購買力なので、日本の内需を拡大しても輸出や日本への観光客が増える訳ではないのです。 言い換えると、日本人の 半分はやる仕事が無いんですね。少子化は意図的に進めるのが正しいのです。
政府が公共事業で需要を増やしたところで日本人の 半分がやっている、やってもやらなくても何も変わらないどうでもいい仕事の量が増える事はありません。その金は不動産や株式市場に流れてバブルを起こすだけです。起業するより不動産や多国籍の株を買った方がリスクが低いし儲かりますからね。

日本人の 半分 は、風俗、水商売、パチンコ、ヤクザとか、(スキー場・温泉宿・タクシー・ガソリンスタンド・コンビニ・回転寿司・ファミリーレストラン・ラーメン屋・飲み屋・調剤薬局・歯医者・弁護士・地方銀行・保険会社・証券会社みたいに既に適正数の何倍も店舗がある、やってもやらなくても何も変わらない労働生産性がゼロに近いサービス業をやって何とか食べているのです。
公共事業をやっても日本人の 半分がやる仕事ができるという訳ではないですね。
現在の日本がデフレだというのは言い換えると、技術の進歩で労働者が1日2,3時間も働けば生活に必要な食べ物や工業製品をすべて作れる時代になってしまった、それ以上の仕事はやってもやらなくても同じだという事です。
だから今は農業人口も200万人以下で日本全体の食糧消費の大半を簡単に作れるのです。
今は高齢者186万人が農業に従事しているだけです:

(農業就業人口は引き続き減少・高齢化)
農業就業人口のうち基幹的農業従事者(*2)数は、186万2千人となり、前年に比べて18万9千人(9.2%)減少し、200万人を下回りました。 また、65歳以上の割合は59.1%と前年に比べて2ポイント低下したものの6割を占めており、平均年齢も66歳と高齢化が進んでいます。


MMT論者は緊縮財政を続けると日本の供給力が壊滅して開発途上国になると騒いでいますが、元々日本は供給力が増えすぎて困っているのです。 食料も電気製品も住居も土地も日本では有り余っています。 ただ、労働者の賃金が安くて世の中に有り余っているものを消費できないというだけです。デフレギャップを減らすには、終戦直後にGHQがやった様に、意図的にインフレを起こして資本家の資産を目減りさせて労働者に再分配するしかありません。国債発行や公共事業をいくらやっても、増えた金はすべて資本家に持って行かれるだけで、労働者の実質賃金はどんどん下がっていきます。

日本の仕事の殆どはサービス産業なので、食べていく為にやってもやらなくても良い無駄な仕事をしている事になります。
人口が減ればそういう無意味な仕事をする必要も無くなるので、デービッド・アトキンソンの最低賃金を上げて、それに耐えられない中小企業は潰せ、というのは正しいです。存在価値が無い中小企業を淘汰するのは合理的です。

安物・粗悪品の製造会社、アマゾンに対抗できない小売店、国債の利息でなんとか生きながらえている地方銀行、海外からの技術研修生を使わないとやっていけない会社、コンビニより多い歯科医院、外人留学生が居ないとやっていけない大学・専門学校、インバウンドで食べている旅館・観光会社、風俗等のヤクザのしのぎになっている仕事、パチンコ・IR

すべて日本の生産性を下げているだけの無意味・無駄な仕事です。
____

起業家の半数が1年で廃業し収入はバイト以下
起業しても10%以下しか継続できない
起業家の厳しい実態

10数年前から日本政府は起業を奨励していて、起業すれば必ず成功するかのようなキャンペーンをやっていました。

ブームに乗って実際に起業した人たちがどうなったか検証してみると、政府が振りまいた夢とは正反対の現実があった。

中小企業白書によると個人事業主として開業した人の約3割が、1年以内に廃業し、2年で約半数、10年後には88%が廃業しています。


個人ではなく会社を設立した場合、1年以内で6割が廃業(倒産)し、5年後には85%が廃業、10年後に残っているのは6%でした。
「起業に成功する人、失敗する人」のような本は多く出ていますが、そもそも会社の数は足りているのです。

現在存在している会社だけで世の中は足りているのに、そこに割って入って仕事を奪うのが「起業」だと言えます。
既存の会社には目の敵にされるし、会社員として実績があっても、おそらく助けては貰えないでしょう。
それでも起業して数ヶ月の間は、会社員だった頃のツテやコネから仕事を得られる場合があるが、それも無くなります。


起業する人には何かアイディアがあり「これが世の中に必要とされる筈だ」というような構想があると思います。
ところが革新的なアイディアの99%は、短期間で社会から不要になる事が多いです。

インターネット関係の新しいアイディアは1年もたずに陳腐化してしまい、事業として続かない事が多いです。
日本政策金融公庫の調査で起業家の4割がが月商30万円未満だと発表されました。
月商はもちろん売上げであって、そこから様々な経費を差し引いたのが収入になります。

仮に月商の50%が利益になるとしても月収15万円未満な訳で、起業した人の家計が非常に苦しくなるのが分かります。
良く不動産ビジネスで「年商1億円」のように言う人が居ますが、不動産の利益は良くて年10%以下と言われています。
起業家の8割は1人で自宅で仕事をし、最近はネットで仕事をするネット企業家が増えています。
起業した人の多くは会社員時代より収入が減り、しかも労働時間が延びる傾向があります。

働いた分だけ収入になるのは、働かなければ収入がない事なので、特に時給に換算した収入が減少します。
会社では10人分の仕事を10人でやり、起業すると1人分の仕事を1人でやり、一見同じ事に思えるが効率が大幅に悪化します。
時代の波を乗り越えて10年後に事業を続けていられる人は、10%前後というわけです。


▲△▽▼


これからは共産革命の時代

ケインズ政策もソ連型社会主義もニュー・ディール政策もすべて失敗してハイエクの新自由主義・小さな政府論だけが残った。しかし、ハイエクの新自由主義・小さな政府論では人口の0.3%の富裕層のところに金がすべて集まってしまうので、富裕層から資産を取り上げて貧困者に再分配しないと革命が起きる。従って必然的に共産主義社会になる:
今はAIやロボットの発達で、生活に必要な工業製品も食料もサービスも廉価で大量供給できる様になりました。

これは共産主義の前提になっていた

未来社会では生産性が向上して、人間は働く必要がなくなる。
生産活動に必要な仕事は1日2,3時間程度で終わって、残った後の時間には娯楽や学問や芸術をやればいい様になる。

という社会にもうすぐ到達するという事です。

現在の人間が貧しいのは、世界中の金を全人口の0.3%の資本家が独占するシステムだからです。資本家が持っている資産をすべて取り上げて、労働者に分配すれば、全員が働かなくても食べていけるのです。

既に破綻した資本主義をリセットすると共産主義以外の経済体制は不可能になるのですね。


【ゆっくり解説】ハイエクvsケインズ〜経済学を変えた世紀の対決
https://www.youtube.com/watch?v=K3uZHzdi9Jk
https://www.youtube.com/watch?v=cOaxStGHQD8

【ゆっくり解説】ハイエクvsケインズ・完結編〜経済学を変えた世紀の対決〜ケインズの遺したスタグフレーション
https://www.youtube.com/watch?v=lEe7KCshrec

ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
2023年4月7日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35564

ハイエク: コストプッシュ型インフレは政府の責任回避の言い訳に過ぎない
2022年11月29日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/31363

275. 中川隆[-12175] koaQ7Jey 2023年11月16日 19:19:45 : y4lua1fIb6 : eWN6d0h4ckdmMzY=[5] 報告
今日、アメリカその他の国で出現しつつあるのは、新しいかたちの貴族制
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16825650
276. 中川隆[-11651] koaQ7Jey 2024年2月11日 10:03:19 : n4p04CquLw : bG9tSjdBTFhRTk0=[1] 報告
習近平のグレートリセット 共産主義計画経済の手本 / 中国経済はもはや不動産も株式市場もがたがた それでも習近平は革命の手を止めない 【メンバーライブ】525 Vol.2 / 20240209
渡邉哲也show
2024/02/10
https://www.youtube.com/watch?v=MzXxCXCO5Os

  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > リバイバル3掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
リバイバル3掲示板  
次へ