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[政治・選挙・NHK297] 日本が財政危機という大ウソ(植草一秀の『知られざる真実』) 赤かぶ
21. 秘密のアッコちゃん[1778] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月02日 08:37:38 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1216]
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欧州から見た「日本人ファースト」 参政党躍進を「ポピュリズム」と侮るなかれ
2025/8/1 18:00
https://www.sankei.com/article/20250801-MV3AG4XTGVOZRGYSGXCAABKWVE/
参院選での参政党の躍進は、欧州でも注目を集めた。
「礼儀正しく物静かな人たち」
とみられていた日本人が、突然
「日本人ファースト」
に沸き、自民党支配を揺るがしたので驚きが走った。
折しも欧州は、移民削減を掲げる右派旋風が吹き荒れている。
ドイツ紙フランクフルター・アルゲマイネは
「日本もようやく潮流に乗った」
と論じた。
フランス紙のフィガロは
「追い風に乗るポピュリスト政党」
である参政党が、日本政治に激変をもたらすかもしれないと予想した。
欧州では2015年、難民危機で約100万人が流入し、反移民を掲げる右派政党が台頭した。
もはや彼らは
「ポピュリズム勢力」
で片づけられない存在だ。
オランダやイタリア、オーストリアでは国会で第一党になった。
老舗というべきフランスの極右「国民連合」は昨年2024年、欧州議会選で3割以上の票を獲得。
2年後の大統領選での政権奪取も視野に入る。
各国の中道政権は、煽られるように移民規制を強化する。
「このままでは食われる」
という焦りが滲む。
ドイツのメルツ首相は
「もっと管理を強め、帰還させる」
と連邦議会で宣言した。
10年間、なし崩し的に移民を入れ過ぎたと述べ、ドイツ伝統の
「寛容な受け入れ」
を転換した。
現実には近年、欧州に渡る不法移民は減っている。
それでも、各国が強硬策に傾くのには別の理由もある。
移民への不安に便乗して極右のヘイト(憎悪)犯罪が急増し、社会の緊張を高めているからだ。
猛暑最中の2025年7月、スペイン南部ムルシア州では物騒な事件が起きた。
覆面姿の男の集団が4夜連続で、移民居住区を棍棒や鉄パイプで襲った。
60代の高齢者が殴られた事件を機に、
「北アフリカ移民の犯行」
「やつらを追い出せ」
という文言がSNSで流布され、暴動に火をつけた。
続いて英ロンドン北郊では、難民収容施設前の抗議デモが暴走。
警察と衝突し、約10人が負傷する騒ぎとなった。
スペインと英国は旧植民地から移民を受け入れてきた歴史があり、欧州で長く統合のお手本だった。
ヘイト犯罪は許されないが、炎上の背景には
「政府は移民流入に対応できなくなった」
という不満があることも忘れるべきではない。
先進国は、どこも高齢化と低成長の時代に入った。
先行きが不透明になり、国民は
「外部からの脅威」
に身構えている。
政府が移民受け入れで規律を定め、厳しい姿勢を示すことは、国民の信頼回復に不可欠だ。
合法的に滞在する外国人を守ることにもなる。
「差別はダメ」
「多文化共存を」
という正論だけで、不安を封じるべきではない。
一方で、移民規制を掲げて支持を伸ばす右派政党には課題がある。
政権入りとなれば、
「人手不足にどう対応するのか」
への答えを求められる。
技能を持つ外国人材の獲得が必要なのは議論の余地がない。
欧州の反移民政党は今、過渡期にある。
時に露骨な差別発言が飛び出す一方、実務経験を積んだ弁護士や元官僚、更に中道政党からの鞍替え組の参入も相次ぐ。
古い政党は保革を問わずベテラン議員が牛耳っており、国政を目指す若者は勢いのある新党に集まる。
政治に風穴を開けたいと思う有権者の支持を集めるのは当然だろう。
激変する世界で
「どうやって国を守るか」
は日欧を問わず、共通の課題だ。
「国民ファースト」
の論議が、各国の保守再編に繋がるに注目したい。

「外国人犯罪は増えていない」と「困っている人が1人でもいれば」は矛盾しないか
メディアウォッチ 皆川豪志
2025/7/27 13:00
https://www.sankei.com/article/20250727-WQWXJDB725CCVBKKZNY53E4AEE/
先の参院選で
「日本人ファースト」
を掲げ、外国人問題を争点にした参政党が躍進したことで、テレビ各局の選挙特番のキャスターやコメンテーターたちは、何となく居心地が悪そうというか、出来ることならあまり取り上げたくないという感じがありありだった。
それでも触れざるを得ない場面が来ると、被せるように紹介していたのが法務省の
「犯罪白書」
による
「外国人犯罪は増えていない」
というデータだ。
これは今、新聞など他のメディアでも
「ファクトチェック」
などと称して盛んに使われている。
外国人が増えたからと言って犯罪が増えているわけではなく、
「参政党が主張するような外国人問題などない」
というメッセージなのだろう。
■「差別主義者」が突然増えたのか
簡単に紹介すると、日本にいる外国人の数は2004年の197万人から2023年の377万人と2倍近くに増えているが、同時期に刑法犯で検挙された外国人数は1万4766人から9726人と30%以上減っているというものだ。
確かにその通りなのだろう。
では何故、実際に外国人問題が選挙の争点になり、参政党などが票を伸ばし、与党自民党も
「違法外国人ゼロ」
などと言って、この問題に本腰を入れるようになったのだろうか。
外国人問題などないのに、日本国民の中に突然
「差別主義者」

「排外主義者」
が大量に増えたとでも言うのだろうか。
例えば、一部クルド人との軋轢やトラブルに悩んでいる埼玉県の川口市民にこのデータを見せたとして
「そんなに少ないのですか」
「じゃあ私の勘違いでした」
とは思わないはずだ。
直接困っている人だけではない。
身の回りに増えている外国人に対して不安な気持ちを抱いている人がこのデータを見ても
「犯罪が減っているなら安心だ」
「不安に思ってすみません」
とはならないだろう。
もちろん客観的なデータを示すのは大事である。
ただ、人間の自然な感情に対してデータで頭ごなしに押さえつけても、納得するどころか、自身の経験や肌感覚が否定されたと思うだけで何の解決にも繋がらないと思う。
外国人を差別したい人が増えているのではなく、実際にトラブルを抱えていたり、ルールを守らない外国人をきちんと取り締まってほしいと思っていたりする人が増えていることが、何故メディアから煙たがられなければならないのだろうか。
そもそもこのデータは外国人の
「検挙数」
であり、何かのトラブルがあって警察が出動して逮捕するなど、実際に何らかの事件になった数である。
近隣の騒音やゴミ出しの苦情、暴走行為などで110番通報する人は余りいない。
あったとしても余程のケースでなければ事件化されることもない。
むしろ近隣の騒音などは、日本人同士でも警察沙汰にして逆恨みされるぐらいなら呼ばないほうがいいと普通は考えるものである。
敢えて強調はしないが、身近なトラブルは無視されている数字に等しい。
そうしたデータに表れない問題について、実際に住民の声を聞いてニュースや記事に生かすのがメディアの役割だと思うが、残念ながらこの件に関しては法務省発表だけを一方的に流している。
■「困っている外国人」は探す
データ重視というなら、産経ニュースが報じているように川口市民の半数が
「治安が悪い」
と感じ、その割合が年々上昇しているという市の意識調査もあるが、そちらは決して報じない。
いわゆる
「体感治安」
の悪化が見て取れる数字である。
ただ、このデータにしても逆に市民の半数は
「治安が良い」
と感じているとも取れるし、 先の法務省のデータにしても、同時期の殺人などの凶悪犯は逆に約1.5倍に増えている。
つまり、複雑な問題について1つのデータだけを根拠に一刀両断にしてしまうのはそもそも無理があるのだ。
よく、一部メディアは、日本国民の中でもかなりレアなケースを探し出して来て、
「こんなに困っている人がいる」
と主張している。
隠れた問題を取材して明らかにするのが報道の役割でもあるので、その心意気はよいと思う。
ただ、外国人問題に関しては
「困っている外国人」
は探してきても、
「困っている日本人」
は何故か探さないのだ。
テーマは全く異なるが、国会で選択的夫婦別姓法案が議論になっていた時、立憲民主などの野党や一部メディアは
「別姓で困っている女性が大勢いる」
との論陣を張っていた。
ところが、アンケートなどで別姓賛成派が3割程度だったことや旧姓使用の拡大が進んでいることなどが指摘されると
「困っている人が1人でもいるなら」
「少数意見にも寄り添うべき」
などと言い出した。
「1人も置き去りにしない社会」
は彼らの常套句でもある。
仮に外国人問題で困っている人が本当に少数だったとしても、是非真剣に寄り添ってほしいと思う。

外国人規制「強めるべき」65% 「緩めるべき」4% 出入国管理や不動産取得 共同調査
世論調査
2025/7/22 21:01
https://www.sankei.com/article/20250722-4I2FEEOTVJKQJPYZZT3IEG6LBM/?outputType=theme_election2025
共同通信社は2025年7月21、22両日、全国緊急電話世論調査を実施した。
出入国管理や不動産取得などの外国人への規制は「強めるべきだ」が65・6%で最も多かった。
続いて「現行通りでいい」26・7%、「緩めるべきだ」4・4%となった。
SNSや動画サイトを通じて参院選に関する真偽不明の情報や誹謗中傷が広がったと「感じた」との回答は「ある程度」と合わせて56・7%だった。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/769.html#c21

[政治・選挙・NHK297] 「高市早苗首相」誕生睨み復権狙い…旧安倍派幹部“オレがオレが”の露出増で主導権争いの醜悪(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
24. 秘密のアッコちゃん[1779] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月02日 08:54:09 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1217]
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欧州から見た「日本人ファースト」 参政党躍進を「ポピュリズム」と侮るなかれ
2025/8/1 18:00
https://www.sankei.com/article/20250801-MV3AG4XTGVOZRGYSGXCAABKWVE/
参院選での参政党の躍進は、欧州でも注目を集めた。
「礼儀正しく物静かな人たち」
とみられていた日本人が、突然
「日本人ファースト」
に沸き、自民党支配を揺るがしたので驚きが走った。
折しも欧州は、移民削減を掲げる右派旋風が吹き荒れている。
ドイツ紙フランクフルター・アルゲマイネは
「日本もようやく潮流に乗った」
と論じた。
フランス紙のフィガロは
「追い風に乗るポピュリスト政党」
である参政党が、日本政治に激変をもたらすかもしれないと予想した。
欧州では2015年、難民危機で約100万人が流入し、反移民を掲げる右派政党が台頭した。
もはや彼らは
「ポピュリズム勢力」
で片づけられない存在だ。
オランダやイタリア、オーストリアでは国会で第一党になった。
老舗というべきフランスの極右「国民連合」は昨年2024年、欧州議会選で3割以上の票を獲得。
2年後の大統領選での政権奪取も視野に入る。
各国の中道政権は、煽られるように移民規制を強化する。
「このままでは食われる」
という焦りが滲む。
ドイツのメルツ首相は
「もっと管理を強め、帰還させる」
と連邦議会で宣言した。
10年間、なし崩し的に移民を入れ過ぎたと述べ、ドイツ伝統の
「寛容な受け入れ」
を転換した。
現実には近年、欧州に渡る不法移民は減っている。
それでも、各国が強硬策に傾くのには別の理由もある。
移民への不安に便乗して極右のヘイト(憎悪)犯罪が急増し、社会の緊張を高めているからだ。
猛暑最中の2025年7月、スペイン南部ムルシア州では物騒な事件が起きた。
覆面姿の男の集団が4夜連続で、移民居住区を棍棒や鉄パイプで襲った。
60代の高齢者が殴られた事件を機に、
「北アフリカ移民の犯行」
「やつらを追い出せ」
という文言がSNSで流布され、暴動に火をつけた。
続いて英ロンドン北郊では、難民収容施設前の抗議デモが暴走。
警察と衝突し、約10人が負傷する騒ぎとなった。
スペインと英国は旧植民地から移民を受け入れてきた歴史があり、欧州で長く統合のお手本だった。
ヘイト犯罪は許されないが、炎上の背景には
「政府は移民流入に対応できなくなった」
という不満があることも忘れるべきではない。
先進国は、どこも高齢化と低成長の時代に入った。
先行きが不透明になり、国民は
「外部からの脅威」
に身構えている。
政府が移民受け入れで規律を定め、厳しい姿勢を示すことは、国民の信頼回復に不可欠だ。
合法的に滞在する外国人を守ることにもなる。
「差別はダメ」
「多文化共存を」
という正論だけで、不安を封じるべきではない。
一方で、移民規制を掲げて支持を伸ばす右派政党には課題がある。
政権入りとなれば、
「人手不足にどう対応するのか」
への答えを求められる。
技能を持つ外国人材の獲得が必要なのは議論の余地がない。
欧州の反移民政党は今、過渡期にある。
時に露骨な差別発言が飛び出す一方、実務経験を積んだ弁護士や元官僚、更に中道政党からの鞍替え組の参入も相次ぐ。
古い政党は保革を問わずベテラン議員が牛耳っており、国政を目指す若者は勢いのある新党に集まる。
政治に風穴を開けたいと思う有権者の支持を集めるのは当然だろう。
激変する世界で
「どうやって国を守るか」
は日欧を問わず、共通の課題だ。
「国民ファースト」
の論議が、各国の保守再編に繋がるに注目したい。

参政党の熱量と解散恐怖症 自民と立民の「なれ合い政治」にさせてはならぬ
一筆多論
2025/7/29 15:00
https://www.sankei.com/article/20250729-45MDEPAGQNK5PDZTIG76PN5EFI/?outputType=theme_election2025
参院選投開票日の前日の2025年7月19日、東京・芝公園。
「日本人ファースト」を掲げて支持を集め、台風の目となった参政党の神谷宗幣代表は、この場所で「マイク納め」を行った。
参政は今の自民党に失望している岩盤保守層の受け皿となり、躍進した。
芝公園の隣に位置するのは、安倍晋三元首相の葬儀が執り行われた増上寺。
因縁めいたものを感じずにはいられなかった。
安倍氏が岩盤保守層から支持を得ていたのは周知の事実だ。
この日の東京の最高気温は33・1度。
うだるような暑さの中、背後に東京タワーがそびえ立つその会場には約2万人が集まった。
「ヘイト集団」「差別政党」などと書かれたプラカードを掲げたアンチ参政党の人々も目立った。
日の丸にバツ印をつけてはためかせる異常な光景もあった。
参政支持者とアンチとの間で一触即発の事態になりかねない危険な空気が漂っていた。
神谷氏が登壇し、
「日本人のプライドと国の未来にかけて、皆でグローバリズムと闘いましょう」
などと絶叫すると、会場のボルテージは最高潮に。
その熱量は党の勢いをそのまま反映していた。
参政は改選1議席から14議席に増やした。
国民民主党は改選4議席の4倍以上の17議席を獲得した。
これに対し立憲民主党は改選数と同じ22議席にとどまった。
比例代表の得票数では、野党で最多は国民民主、次いで参政となり、立民は野党3位に終わった。
野田佳彦代表が選挙戦最終日に入った選挙区のうち、福島(改選数1)、栃木(同)では議席を得られず、東京(改選数6、補欠1)では擁立した2人のうち当選した現職の塩村文夏氏は7番手だった。
大敗した自民のみならず立民も含め既成政党の多くは、早期に衆院解散・総選挙が行われた場合、票をごっそり参政や国民民主に持っていかれるだろう。
石破茂首相(自民総裁)が参院でも与党過半数割れとなった責任をとって辞任し、新総裁が国会での首相指名選挙を経て首相に就任できたとしても、新首相は怖くて解散できないのではないか。
自民の多くの歴代総裁は「解散カード」を求心力を高めるために有効に使い、党内を統治してきた。
だが、自民が抜本的に立て直しを図り、他党を凌駕するほどの力を取り戻さない限り、その芸当はできまい。
立民も早期の衆院解散は避けたいのが本音と言える。
議席を減らす可能性があるだけでなく、野党間の候補者調整など闘う態勢を整えるのに時間がかかることが予想されるからだ。
野田氏は石破首相について
「だらだらと民意を無視して居座り続けるのか」
と批判する。
ならば、2025年8月1日召集予定の臨時国会で内閣不信任決議案を提出し、野党で連携して可決させ、総辞職か解散に追い込めばよいものを、不信任案提出については言葉を濁している。
腰砕けと言う他ない。
最大政党の自民も野党第一党の立民も解散を恐れていては、緊張感は生まれず、馴れ合いの政治に陥りかねない。
日本の政治は劣化の一途を辿ることになろう。
石破首相は一刻も早く退陣すべきであり、自民は「国民政党」を自任するのなら、早急に党を再建する責務がある。(論説副委員長)

「外国人犯罪は増えていない」と「困っている人が1人でもいれば」は矛盾しないか
メディアウォッチ 皆川豪志
2025/7/27 13:00
https://www.sankei.com/article/20250727-WQWXJDB725CCVBKKZNY53E4AEE/
先の参院選で
「日本人ファースト」
を掲げ、外国人問題を争点にした参政党が躍進したことで、テレビ各局の選挙特番のキャスターやコメンテーターたちは、何となく居心地が悪そうというか、出来ることならあまり取り上げたくないという感じがありありだった。
それでも触れざるを得ない場面が来ると、被せるように紹介していたのが法務省の
「犯罪白書」
による
「外国人犯罪は増えていない」
というデータだ。
これは今、新聞など他のメディアでも
「ファクトチェック」
などと称して盛んに使われている。
外国人が増えたからと言って犯罪が増えているわけではなく、
「参政党が主張するような外国人問題などない」
というメッセージなのだろう。
■「差別主義者」が突然増えたのか
簡単に紹介すると、日本にいる外国人の数は2004年の197万人から2023年の377万人と2倍近くに増えているが、同時期に刑法犯で検挙された外国人数は1万4766人から9726人と30%以上減っているというものだ。
確かにその通りなのだろう。
では何故、実際に外国人問題が選挙の争点になり、参政党などが票を伸ばし、与党自民党も
「違法外国人ゼロ」
などと言って、この問題に本腰を入れるようになったのだろうか。
外国人問題などないのに、日本国民の中に突然
「差別主義者」

「排外主義者」
が大量に増えたとでも言うのだろうか。
例えば、一部クルド人との軋轢やトラブルに悩んでいる埼玉県の川口市民にこのデータを見せたとして
「そんなに少ないのですか」
「じゃあ私の勘違いでした」
とは思わないはずだ。
直接困っている人だけではない。
身の回りに増えている外国人に対して不安な気持ちを抱いている人がこのデータを見ても
「犯罪が減っているなら安心だ」
「不安に思ってすみません」
とはならないだろう。
もちろん客観的なデータを示すのは大事である。
ただ、人間の自然な感情に対してデータで頭ごなしに押さえつけても、納得するどころか、自身の経験や肌感覚が否定されたと思うだけで何の解決にも繋がらないと思う。
外国人を差別したい人が増えているのではなく、実際にトラブルを抱えていたり、ルールを守らない外国人をきちんと取り締まってほしいと思っていたりする人が増えていることが、何故メディアから煙たがられなければならないのだろうか。
そもそもこのデータは外国人の
「検挙数」
であり、何かのトラブルがあって警察が出動して逮捕するなど、実際に何らかの事件になった数である。
近隣の騒音やゴミ出しの苦情、暴走行為などで110番通報する人は余りいない。
あったとしても余程のケースでなければ事件化されることもない。
むしろ近隣の騒音などは、日本人同士でも警察沙汰にして逆恨みされるぐらいなら呼ばないほうがいいと普通は考えるものである。
敢えて強調はしないが、身近なトラブルは無視されている数字に等しい。
そうしたデータに表れない問題について、実際に住民の声を聞いてニュースや記事に生かすのがメディアの役割だと思うが、残念ながらこの件に関しては法務省発表だけを一方的に流している。
■「困っている外国人」は探す
データ重視というなら、産経ニュースが報じているように川口市民の半数が
「治安が悪い」
と感じ、その割合が年々上昇しているという市の意識調査もあるが、そちらは決して報じない。
いわゆる
「体感治安」
の悪化が見て取れる数字である。
ただ、このデータにしても逆に市民の半数は
「治安が良い」
と感じているとも取れるし、 先の法務省のデータにしても、同時期の殺人などの凶悪犯は逆に約1.5倍に増えている。
つまり、複雑な問題について1つのデータだけを根拠に一刀両断にしてしまうのはそもそも無理があるのだ。
よく、一部メディアは、日本国民の中でもかなりレアなケースを探し出して来て、
「こんなに困っている人がいる」
と主張している。
隠れた問題を取材して明らかにするのが報道の役割でもあるので、その心意気はよいと思う。
ただ、外国人問題に関しては
「困っている外国人」
は探してきても、
「困っている日本人」
は何故か探さないのだ。
テーマは全く異なるが、国会で選択的夫婦別姓法案が議論になっていた時、立憲民主などの野党や一部メディアは
「別姓で困っている女性が大勢いる」
との論陣を張っていた。
ところが、アンケートなどで別姓賛成派が3割程度だったことや旧姓使用の拡大が進んでいることなどが指摘されると
「困っている人が1人でもいるなら」
「少数意見にも寄り添うべき」
などと言い出した。
「1人も置き去りにしない社会」
は彼らの常套句でもある。
仮に外国人問題で困っている人が本当に少数だったとしても、是非真剣に寄り添ってほしいと思う。

<正論>参政党躍進の背景にある歴史観 
新しい歴史教科書をつくる会顧問・藤岡信勝
2025/7/25 8:00
https://www.sankei.com/article/20250725-GBP4IOLPKVNE7KHO2YROFMMT6I/?outputType=theme_election2025
2025年7月20日投開票された参院選で、新興勢力の参政党は14議席と大躍進した。
自民・公明の政権与党は合わせて50議席に達することができず、昨年2024年の衆院選に続いて、参院でも与党が過半数を割り込むことになった。
この過半数割れを引き起こした主役も、実は45の全選挙区に立候補者を立てた参政党であった。
この躍進の背景にあった1つの要因について述べてみたい。
■歴史学習運動の蓄積
躍進の背景には参政党候補者が共有する歴史観がある、とするのが私の基本的な見立てである。
党首の神谷宗幣氏は高校時代までは左派寄りの思想を持っていたが、大学3年生のとき1年間休学しバックパックで18カ国を8カ月間旅行する経験を通して視野を広げ帰国後、小林よしのり氏の『戦争論』などに触れて、祖父や父が学んでいた教えに理解を深めるようになったという。
本来、保守的な家族関係の中で育ちながら、学校の影響で左翼思想を抱き、海外経験を通してそこから脱却し、日本の歴史を学び直す典型的な保守系活動家の遍歴を神谷氏も辿ってたのである。
神谷氏の始めたCGS(チャンネル・グランド・ストラテジー)というユーチューブ・チャンネルでは、倉山満氏や斎藤武夫氏の歴史講座で通史を学ぶなど、この種の番組としてはかなり本格的なプログラムを用意して歴史の学習を呼びかけてきた。
こうした歴史学習運動の蓄積の上に立って、令和2年に結成された参政党は当然ながら日本の歴史に誇りを持つことを大切にするという姿勢が明瞭に打ち出されていた。
他の政党にないことである。
■「日本人ファースト」の衝撃
参政党は
「日本人ファースト」
をスローガンとした。
これが選挙戦における成功の要因であったことは間違いない。
外国人対策がにわかに選挙戦の争点となった。
日本で住民税を払わない中国人が東京で起業して1500万円の融資を無担保で手に入れたり、来日3日で生活保護受給決定が出たりする。
健康保険料を僅かな期間支払い、日本で高額医療を受ける中国人がいる。
奨学金でも外国人留学生の方が日本人学生よりも優遇されている。
外国人の土地の購入、クルド人問題、オーバーツーリズム(観光被害)等々。
これらの問題の解決に既存政党は手を付けようとせず、やり場のない鬱屈した感情が広く日本人の中に溜まっていた。
参政党の
「日本人ファースト」
という標語は、日本人の誰もが持っているモヤモヤ感を払拭してくれるインパクトがあった。
有権者の心に見事に突き刺さった。
選挙戦が始まる前は、参政党の候補者の選挙区内の支持率はたかだか数パーセントに過ぎなかった。
当選する見込みは薄いと思われた。
ところが、選挙戦が始まると支持率は鰻上りとなり、選挙区によっては当落を争うまでになる。
この現象が日本の各地で起こった。
これは明らかに候補者の口頭による訴えが大きな効果をもたらしたことの表れである。
なぜ参政党の候補者の話には説得力があるのか。
タブーとなっていた話題に果敢に切り込む勇気に聴衆は感動し、初めて自分たちの心を代弁してくれる政党に出合ったという思いを持つ。
候補者は全体として若く、子育て現役世代の悩みを共有し、その生活実感と結びつけて政策を語る。
こうしたことが聴衆の心を捉えた。
しかし、私はそれだけではないと思う。
参政党は草の根の地域組織を持ち、他党とは比較にならないほど党員向けの勉強会が充実している。
自国の歴史に誇りを持つ歴史観をバックボーンとしているからこそ、候補者の演説には単なる話術ではない真実さと深さが伴っているのではないか。
■歴史教科書と参政党
参政党は教育を重点政策とし、歴史教科書問題にも地道に取り組んできた。
私が関わった範囲でその活動を紹介したい。
昨年2024年、令和6年度は4年に1度の中学校教科書採択の年であった。
この年、東京都内の参政党の地方議員は目覚ましい活動をされた。
各議員が責任を持つ地区ごとに、歴史教科書問題や教科書採択問題をテーマとする大小の学習会を開いた。
私が直接関わった集会だけでも10カ所近くになる。
更に、参政党の地方議員の方々は教科書採択に取り組む決意を記者会見を開いて宣言されたのである。
他党には個々に協力して下さる議員はおられるが、このように組織的に取り組んで下さる政党は参政党以外にはない。
つくる会は、公立学校の教育委員会で、全国で唯一、自由社を採択してくださった茨城県常陸大宮市に研修ツアーを企画した。
40人収容のバスに乗った参加者の半数は議員で、参政党の地方議員が多数参加した。
教科書採択は首長の決断なくして実現しない。
私は参政党の若い地方議員が地元で信頼を得て5年後、10年後に首長となり、教科書を採択して下さる未来図を想像の中で描いていた。

参院選X投稿分析「外国人」はなんと886万件、参政党躍進に影響か 鶴保発言にも関心
2025/7/24 19:40
https://www.sankei.com/article/20250724-BPGCKSIX35IG3HIC2RQHC7VXPQ/?outputType=theme_election2025
自民党の大敗に終わった今回の参院選。
関連するSNSへの投稿では、
「外国人」

「減税」
といった言葉が多くみられ、選挙戦の情勢が反映される格好となった。
東京大の鳥海不二夫教授(計算社会科学)は告示直前の2025年7月1日〜投開票日である2025年7月20日までのX(旧ツイッター)の投稿を分析。
「外国人」
を含む投稿件数は、オリジナルを拡散させたリポストを含め886万9817件に上った。
日別では2025年7月1日が約25万件、2025年7月8日が約40万件と次第に増え、ピークの2025年7月14日は約76万件となった。
有権者の関心の高まりが現れたのか、
「日本人ファースト」
を掲げた参政党が大きく躍進する結果となった。
一方、当初からの大きな争点とされた
「減税」
は、総投稿数が211万9292件。
「消費税」
は220万2108件で、合わせても
「外国人」
の半分以下だった。
減税や消費税は選挙戦序盤が投稿数の最盛期で終盤にかけて減る形となった。
自民党の鶴保庸介参院議員が選挙の応援演説の中で、
「運のいいことに能登で地震があった」
と発言した2025年7月8日には、
「鶴保」
の投稿は4万3343件に急増。
それまでは概ね1桁台だったが2025年7月9日には約13万7千件、2025年7月10日は9万7千件、2025年7月11日は4万9千件と、しばらく高い関心が続いたことが分かった。

比例代表の得票、立民は参政を下回る 政治思想史家「左の大結集、戦後政治の夢ついえる」
2025/7/21 18:29
https://www.sankei.com/article/20250721-PKHHMVJPYBCL3EHX5JSUNLB65M/?outputType=theme_election2025
参院選(2025年7月20日投開票)比例代表を巡っては、
「日本人ファースト」
を掲げた参政党の得票数が立憲民主党を僅かながら上回り、自民、国民民主両党に次ぐ3位に躍進した。
政治思想史家の河野有理(ゆうり)法政大教授は2025年7月21日、X(旧ツイッター)で、
「『自民党より左』の大結集で政治を変えるという戦後政治の<夢>が遂に最終的に潰えた」
との見方を示し、
「極めて大きな地殻変動の現れ」
を指摘した。
■参政支持のうねりの過小評価指摘
参政は、比例代表で742万5053票(得票率12・6%)を得て、立民の739万7456票(同12・5%)を、2万7597票差で上回った。
国民民主は762万492票(12・9%)。
野党3党が得票率13%弱でほぼ並ぶ結果となった。
河野氏はXで、参政党に対する評価を巡って、
「『参政党支持している人は周りにはいない、いたら縁を切る』みたいな選挙前によくいた人たち、よほど世界が狭いか、相手が大人で話を合わせてもらっているのだろうなという感じ」
と書き込んだ。
改選22議席の立民は、選挙区15議席、比例代表7議席の計22議席と横ばいの結果にとどまった。
■山口二郎氏も「これ、ほんと」
河野氏は、立民について、
「今回で伸びないならいつ伸びるのかという話であり、相当に厳しい結果なのではないだろうか」
との見方を示し、
「執行部がこれを厳しい結果と思えていないなら本当に将来がなさそうである」
と指摘した。
この投稿については、野党共闘の強化に尽力し続けた政治学者の山口二郎法政大教授も
「これ、ほんと」
「私の政治学者人生も終わったということ」
とXで賛意を表した。
山口氏は立民のベテラン勢はもはや後進の育成に注力すべきとの考えを示し、立民の現状について、
「実質的な敗北と、厳しく総括すべき」
「私自身も、かつて民主党政権を担った政治家が最後にもう一花咲かせてほしいと思って応援したが、民意との乖離が極めて大きいことを痛感する」
と訴えた。

「自民党政治は左傾化している」 参政党などの「第三極」、参院選で保守層を切り崩し
2025/7/19 17:02
https://www.sankei.com/article/20250719-SFU4RQJNKJMZNGKF7XIE4BFN2M/?outputType=theme_election2025
2025年7月20日投開票の参院選で、政権与党でも主要野党でもない
「第三極」
が支持を広げている。
物価高対策や外国人政策などが争点となる中、経済や外交を巡る閉塞感を解消できず、
「自民党政治は左傾化している」
と反発する保守系支持層を切り崩し、受け皿になっている。
石破茂首相(自民総裁)は2025年7月16日、大阪選挙区(改選数4)の新人候補の応援に入った。
首相演説に先立ち、比例代表に立候補した自民新人で元衆院議員の長尾敬氏がマイクを握り、訴えた。
「中国は日本を獲りに来ている」
「石破総裁は中国共産党にもっと厳しい姿勢で臨み、日米同盟を基軸とした価値観外交を続けて頂きたい」
党の公認候補が選挙戦でトップに注文を付けるのは異例。
中国軍機の自衛隊機への異常接近をはじめ、中国は日本周辺で挑発行為を繰り返しており、毅然と対応しない首相に憤慨する自民支持層は少なくない。
前政権下で成立したLGBT理解増進法への反発も根強い。
保守系として知られる長尾氏の訴えは強い危機感の裏返し言える。
衆院で少数与党の自民、公明両党は参院選で非改選議席を含む過半数(125議席)の維持を目指すが、達成は困難な情勢だ。
選挙結果は政権枠組みにも影響する。
今回の台風の目≠ェ
「日本人ファースト」
を掲げて外国人対応と消費税の段階的廃止を政策の柱とする参政党だ。
神谷宗幣代表は首相来阪の翌2025年7月17日、首相と同じ大阪市の南海難波駅前に立ち、欧米で台頭する移民受け入れ規制を念頭に
「日本人ファーストは排外主義ではない」
「反グローバリズム」
「これが新しい潮流だ」
と訴えた。
外国人総合政策庁の設置などは保守層の支持を得る一方、
「差別主義」
といった激しい反発も生む。
もっとも陣営関係者は
「ここまで支持されるのは初めて」
「活動が浸透してきた」
と手応えを示す。
参政は獲得議席目標を当初の6議席から20議席に引き上げた。
元自民支持者で京都市に住む男性(60)は参政支持に転じた理由を
「大企業や大株主、外国資本を優遇し、消費税の使い道を説明しない政権与党に嫌気が差した」
と説明し、続けた。
「安倍(晋三)元首相が亡くなってから自民は保守政党でなくなった」
「自民が頑張っていたら、参政はここまで支持されなかったと思う」
昨年2024年の衆院選で
「手取りを増やす」
と訴えて躍進した国民民主党は所得税が生じる
「年収の壁」
の178万円への引き上げなど現役世代を重視した政策の他、外国人土地取得規制法の制定などを公約に掲げる。
交流サイト(SNS)での発信も強化し、無党派層への浸透を図る。
2025年7月18日に大阪入りした玉木雄一郎代表は
「対決より解決」
をアピールし、声をからした。
「日本を変えたい」
「今のまま同じことを繰り返したって、この国は良くならない」
「もっと日本人の力を発揮でき、皆さんが働くことで報われる社会を一緒に作りたい」
日本保守党は入管難民法改正やエネルギー分野への外国資本の参入禁止を中心に訴える。
比例候補の百田尚樹代表は出身地の大阪で都市部を重点的に巡回。
陣営関係者は
「(大阪が本拠地の)日本維新の会や自民は本当の保守層の受け皿になれていない」
「維新の牙城を崩したい」
と意気込む。

参政党を勢いづかせたTBS 7月20日は激動の始まり
大手町の片隅から 乾正人
2025/7/18 11:00
https://www.sankei.com/article/20250718-NB66T4Y7AVKKPBDUPUTLLJRABU/?outputType=theme_election2025
いよいよ運命の
「2025年7月20日」
がやってくる。
今回の参院選で、有権者の耳目を最も集めたのが、参政党だったのは、どんなアンチでも認めざるを得ないだろう。
「売れるネタ」
に敏感な週刊文春と週刊新潮が揃って同党を大特集し、テレビもTBSの
「報道特集」
が参政党を批判的に取り上げたのだが、ネットは大炎上した。
■大炎上した「報道特集」
問題となったのは、2025年7月12日に放送された
「争点に急浮上外国人政策≠ノ不安の声」
と題されたコーナー。
参政党が選挙戦で掲げているスローガン
「日本人ファースト」

「排外主義」
と強く批判したのである。
女性のメインキャスターが、
「日本人ファーストという言葉が独り歩きしている」
「ヘイトスピーチとは違うのか」
と、大阪公立大学の准教授に聞き、彼にこう言わせている。
「ヘイトスピーチで一番重要なのは、差別の扇動」
「差別用語を一切使わずに差別を煽るということ」
「『出てけ』と言ってませんよと言い訳ができてしまう」
「『日本人ファースト』が支持層に対して排外主義、ヘイトスピーチを煽る」
「当然言っている側も分かっていないわけがない」
要は、
「日本人ファースト」
の主張が、ヘイトスピーチに当たるというわけである。
テレビ局は、放送法第4条によって放送番組の編集にあたって
「政治的に公平」
であることが求められており、何か主張したい時には
「識者」
の口を借りて言わせるのが、伝統的手法である。
つまり、TBSは参政党の主張を
「ヘイトスピーチ」
視しているといっても過言ではない。
更に火に油を注いだのが、キャスターのコメントだった。
「外国籍の人たちと全く関わらずに生活をする人は、ほとんどいないと思うんです」
「自分の一票が、ひょっとしたらそういった身近な人たちの暮らしを脅かすものになるかもしれない」
「これまで以上に想像力をもって投票しなければいけないなと感じています」
■やっぱり「偏向報道」?
番組の流れから
「参政党に投票すると、在日外国人の生活を脅かす」
と主張し、同党に投票しないよう呼び掛けているように受け取れる。
少なくとも私はそう受け取った。
これは、いただけない。
案の定、参政党はTBSに
「不当な偏向報道だ」
と強く抗議、放送倫理・番組向上機構(BPO)放送人権委員会に申し立てる方針を明らかにした。
TBSと近い関係にある毎日新聞は
「識者は『報道への圧力』と指摘」
と擁護したが、ネットでは、X(旧ツイッター)でトレンド入りするほどの盛り上がりをみせ、支持者を結束させた。
私は選挙期間中であっても、新聞やテレビが特定政党や政治家の政策を批判的に取り上げるのは、有権者に投票の判断材料を提供するという観点からアリだと思う。
しかし、批判対象に反論の機会を与えなければ、フェアではない。
今回の
「報道特集」
は、放送法を持ち出すまでもなく、作り手の
「参政党嫌い」
が、露骨に出て、感情的になり過ぎ相手の土俵に乗ってしまった。
結果的にTBSは、意図とは逆に参政党を勢いづかせたのである。
いずれにせよ2025年7月20日は、日本政治の激動の始まりとなろう。

登山家・野口健氏「自国民ファースト当たり前」 参院選念頭、ネパール入山対応を例に私見
2025/7/17 12:58
https://www.sankei.com/article/20250717-6SKWN2XICFDVTJZGRV6NINPRDY/?outputType=theme_election2025
登山家の野口健氏(51)は2025年7月16日夜、自身のX(旧ツイッター)を更新し、エベレスト入山に関するネパール政府の対応などのエピソードを引き合いに、
「自国民ファーストは当たり前」
と投稿した。
参院選(2025年7月20日投開票)を巡って
「日本人ファースト」
が議論の的になっていることを念頭に置いた発言とみられる。
野口氏は投稿で
「ネパールの話ですが」
と前置きした上で、エベレストの入山料について
「外国人は1人当たり15000ドル(来年2026年から25000ドル)」
「ネパール人登山家はほぼ無料」
と紹介。
自国民と外国人登山者で高額な差が設けられていることを指摘した。
その上で
「我々外国人は入山料を払っていますが、ネパール政府に差別されていると感じたことはない」
「ネパール政府が『ネパールファースト』は結構じゃないですか」
と私見を述べた。
現地山岳会関係者の
「ネパールの国立公園はネパール人のためにあるから無料(としている)」
との発言も伝えた。
また、関連する話として
「ネパールでは外国人は土地を買えません」
とも言及。
「インドと中国という大国に挟まれており、外国人が自由に土地を買えてしまえたら事実上、ネパールは奪われてしまうからと(考えられている)」
と解説した。
日本国内では、北海道のスキーリゾート地などで、中国など外国資本による開発や用地取得が進んでいる。
野口氏は投稿で、ネパール政府の対応を例に挙げ、
「自国民ファーストの内容は国々によって様々でしょうが、いずれにせよ
『自国民ファースト』
は当たり前ではないでしょうか」
とまとめている。

「ファースト」参政に8割賛意「騙す」自民は4割で最下位 各党ユーチューブコメント分析
2025/7/16 18:22
https://www.sankei.com/article/20250716-7XORDIPSEFKTFKQZ7FZJD3RRRY/?outputType=theme_election2025
2025年7月20日投開票の参院選で、各党のユーチューブ動画で最も視聴された動画に寄せられたコメント内容などを分析した。
コメント数は参政党と自民党がトップ2。
賛同(ポジティブ)と批判(ネガティブ)の割合では、参政動画はコメントの8割がポジティブだった一方、自民は4割に満たず、調査対象とした14党中、最低だった。
分析は動画配信支援などを手掛けるエビリー(東京・渋谷)のユーチューブ分析ツール「カムイトラッカー」を使用。
公示日の2025年7月3日から2025年7月11日までに各政党のユーチューブ公式チャンネルに投稿された動画のうち、視聴回数が最多だった1本に対し書き込まれたコメントの賛否比率を調べた。
コメント数トップは参政動画で、神谷宗幣代表が
「日本を諦めないで」
などと演説する内容で1775コメント。
次点は、石破茂首相(自民総裁)の写真を使い
「スピーディーな物価高対策」
などと政策を伝える自民の動画で、1660コメントを集めた。
賛否別では参政動画の81・6%がポジティブだったが、自民動画は36・4%にとどまった。
コメント内の語句を、出現頻度が高いほど大きな文字で表示される
「ワードクラウド」
化すると、両党とも自党の党名が最大。
参政はキャッチコピーである日本人ファーストの
「ファースト」、
自民は
「騙す」
なども目立った。
また、参政で「自民(党)」、自民で「参政」が、互いに頻出ワード入りした。
保守勢力である参政は自民から離れた保守層の受け皿になっているとの見方があり、ユーチューブの視聴動向にも反映された可能性がある。

参政・神谷氏「選挙後も日本人ファーストは変えずに活動」 「選挙の間だけ」発言を説明
2025/7/16 9:59
https://www.sankei.com/article/20250716-HI5LXRUDKZDYNE7Z7IRCOFH4EY/?outputType=theme_election2025
参政党の神谷宗幣代表は2025年7月16日、X(旧ツイッター)を更新し、参院選で掲げる
「日本人ファースト」
について
「選挙のキャッチコピーだから、選挙の間だけ」
とする自身の発言を説明した。
参院選後も日本人ファーストの方針や公約は変えずに活動すると明言した。
神谷氏は2025年7月14日、高知市で日本人ファーストという言葉が
「差別」

「排外主義」
を煽るのではないかと問われ、
「そうは思っていない」
「それはないようにしたい」
と述べた。
その上で
「選挙のキャッチコピーだから、選挙の間だけなので」
「終わったらそんなことで差別を助長するようなことはしない」
と述べた。
メディアに対し
「なぜ一般国民が日本人ファーストに反応するのか考えてほしい」
「差別ではなく、もっと自分たちの暮らしや国益を守ってくれという政治家への『喝』なので、それを差別と置き換えるのは違う」
と苦言を呈していた。
SNSでは
「選挙に勝つためだけ」
「選挙終わっても外国人問題は続くのに?」
といった失望する意見も散見された。
神谷氏は2025年7月16日、Xで
「公約を包括するキャッチコピーとして使うのはとりあえず今回の選挙期間中だけという趣旨で発言している」
と説明。
「もちろん選挙が終わった後も『日本人ファースト』の方針や公約は変えずに活動する」
と言い切った。

外国人問題討論 参政・神谷氏「日本人ファースト」に社民・大椿氏「敵を見誤らないで」 
2025/7/14 11:18
https://www.sankei.com/article/20250714-MYJKC6QMQJH7TPWLUBKU3F6XN4/
与野党幹部は2025年7月13日のNHK番組で、参院選を巡り討論を行った。
外国人の受け入れを厳しく規制する立場の参政党と日本保守党に対し、社民党などが
「排外主義に繋がりかねない」
と反発する一幕があった。
参政党の神谷宗幣代表は司会者から参院選の終盤で訴えたいことを問われ、
「日本人ファーストの政治を実現したい」
と改めて述べた。
減税と積極財政による経済成長に続き、外国人問題を挙げた。
「過度な外国資本や移民の受け入れは国民に混乱を生む」
「ルールを設定しないといけない」
と述べた。
選択的夫婦別姓制度については
「反対は保守党とうちしかないので、頑張って声を挙げたい」
と語った。
日本保守党の有本香事務総長は、消費税の税率を酒類も含めゼロにすることや、太陽光や風力発電など再生可能エネルギー普及のため電気料金に上乗せされる
「再エネ賦課金」
の廃止を訴えた他、
「野放図な移民政策を止める」
と強調した。
「これらは全て経済政策であると同時に、安全保障でもある」
「日本を日本として守っていく」
「そして、日本を確かな成長軌道にもう1度戻す」
と訴えた。
これに対し、社民党の大椿裕子副党首は
「日本人ファーストや税金は日本のために使うなど、外国人規制に関する政策を訴える声が非常に大きくなっている」
「結果として排外主義に繋がると危機感を持っている」
と述べた。
その上で、
「私たちの生活の苦しさは自民党政治が大きな原因だ」
「有権者には『敵を見誤らないでほしい』『戦うべき相手と戦ってほしい』と強く思っている」
と語った。
共産党の小池晃書記局長も
「民族差別を煽るような排外主義には反対だ」
と述べた。

「寛容のドイツ」一転、移民規制を強化 シリア難民90万人 統合の難しさ浮き彫りに
難民危機10年 欧州の変貌
2025/7/12 21:27
https://www.sankei.com/article/20250712-IZX6L2N7PRNJ3GTECQOJ53O6AM/
2015年の欧州難民危機で
「寛容な受け入れ」
を主導したドイツが、移民対策で欧州の最強硬派に変わりつつある。
少子化時代の労働力の担い手として大量移民に期待したが、相次ぐ犯罪で不安が広がり、規制強化に動いた。
異なる文化や価値観を持つ外国人を社会に統合する難しさも浮き彫りになっている。
「わが国の統合能力には限界がある」
「施設も支援も手いっぱいなのだ」
独内相のドブリントは2025年6月末に連邦議会で、政府の移民規制を正当化した。
国境検問の再開や難民家族の呼び寄せ停止といった厳しい姿勢を矢継ぎ早に打ち出してきた。
国境検問で難民申請者の入国を拒み、違法判決を受けたが、続行の構えを崩さない。
「移民流入への抑制効果がある」
と強調した。
ドイツには2015年以降、内戦下のシリアから約90万人が流入した。
当時、国民は国境で難民を温かく迎え、首相のメルケルは
「私たちにはできる」
と鼓舞した。
だが、そんな熱狂は過去のものになった。
2025年2月の世論調査で
「移民が多すぎる」
と答えた人は81%。対象となった西欧7カ国で最多だった。
■町長になった難民
シリア難民のリヤン・アルシェブル(31)は、
「治安悪化への不安は、よく分かる」
「どうしてもドイツに溶け込めない人がいる」
と話す。
2015年に地中海をボートで渡り、ドイツでゼロから言葉を学んだ。
今は独西部オステルスハイムの町長を務める。
2023年の選挙で当選し、
「統合モデル」
として一躍注目の人となった。
「どうやって住民の信頼を得たのか?」
と聞くと、
「ここは保守的なキリスト教徒が多く、人口2500人の田舎町」
「それがよかった」
「私は1人暮らしで、みんなに支えられ、親しくなれた」
と答えた。
町長になる前は、職業訓練で近隣の役所の手伝いをしていた。
実直な仕事ぶりが認められ、週末に住民たちとビールを飲む仲になった。
独市民権を取得後、
「選挙に出たら?」
と擁立された。
「シリアに帰れ」
という罵声を浴びたこともあるが、新風を求める有権者の支持を得た。
■「西欧の価値観」と距離
アルシェブルは自身の経験を踏まえ、
「シリア人だけで都会に集まり、ドイツ社会との断絶が生まれる」
ことを懸念する。
彼の脳裏にあるのは、ベルリンにできた
「シリア人街」
だ。
難民たちが集まるようになった一角で、アラビア語の看板やパレスチナ旗が溢れ、ベール姿のイスラム女性が行き交う。
白人はほとんどいない。
西欧の首都に別世界が広がる。
難民のサアド・カイヤリ(62)はシリア人街の常連の1人。
2015年、妻子を連れてシリアから欧州に渡った。
支援施設でドイツ語を習得したが、ずっと定職に就けなかった。
「受け入れてくれたドイツには感謝する」
「だが、友人はできず、寂しい」
と疎外感に悩む。
カイヤリは、西欧流の男女平等に馴染めない。
素足や胸元を晒すドイツ人女性が通りかかると、
「なんだ、あの格好は」
「孫娘には絶対に真似させない」
と憤る。
馴染みの水たばこ店は男性客ばかり。
女性が入れない空間がある。
■「1割は統合できない」
ドイツ西部カルフ郡の首長、ヘルムート・リーガー(62)は
「どんなに努力しても、難民の1割は統合できない」
「暴力や麻薬取引に走る人がいる」
と指摘する。
リーガーは首相、メルツの保守系与党、キリスト教民主同盟(CDU)に所属し、カルフで難民受け入れ体制の指揮をとってきた。
10年間の経験から育った環境や文化の違いを軽く見るべきではないと実感している。
「ドイツでは女性も働く」
「同性結婚ができる」
と教えても、受け入れられない人がいるからだ。
郡役場の難民支援窓口では約2カ月に1度、暴れる人が出るという。
「職員を守るため、窓口に緊急ブザーを設置した」
と話す。
■相次ぐ犯罪で偏見深まる
今年2025年2月、ベルリンではシリア難民がホロコースト(ユダヤ人大虐殺)追悼施設にいた観光客を刃物で刺した。
2025年6月には公共プールで、若い男の集団が少女8人にわいせつ行為をする事件が発生。
報道によると、逮捕された4人はシリア人だった。
騒ぎの度に
「移民が平和だったドイツを変えた」
という反発が広がり、偏見も深まる。
リーガーは、かつてメルケルの寛容な移民政策に共鳴した。
今は考えを変えた。
「あの時、国境管理がなし崩しになった」
「『誰を迎え入れるのか』は、国が決めねばならない」
ドイツ経済研究所は2025年1月、経済成長を保つため
「2029年までに150万人の移民が必要」
と試算した。
2015年以降、シリアやウクライナから計650万人の外国人が来たのに、人手不足を移民で補うシナリオは計算通りに進んでいない。
敬称略

クルド人問題を見ると「日本人ファースト」は当然だと思う。
外国人との共生などという綺麗事よりも、実際に外国人から日本人が受けている迷惑の方が重要な問題だ。

外国人問題「報道しない自由」が新たな分断と対立を生んでいる 参院選の争点に突如浮上
メディアウォッチ 皆川豪志 
2025/7/13 13:00
https://www.sankei.com/article/20250713-L4UHUKWKDRDXVGSWJEDXOHSZRA/?outputType=theme_election2025
自民党の参院選公約に
「違法外国人ゼロ」
が盛り込まれたこともあって、一部外国人による住民トラブルや不法滞在者などの外国人問題が突如、参院選の争点に浮上した。
ANN(テレビ朝日系) が公示日の今月2025年7月3日から7日まで参院選に関するX(旧ツイッター)投稿について調べたところ、
「消費税」(98万)

「減税」(91万)
を上回って
「外国人問題」に関する投稿が163万
でトップだったそうだ。
その割には、新聞やテレビなどの「オールドメディア」は、この問題にからんで実際に起きている事例や解決策などの具体的な報道が少ない気がする。
■「アベマTV」炎上
先の調査も投稿の中身にまでは触れていないが、少なくともインターネット上で好意的に捉えられている事案とは言い難い。
Xを含むSNS(交流サイト)では、言葉は悪いが、国民のうっぷんが相当たまっていることが見て取れるのだ。
いくら声をあげても何も改善しない。
むしろ悪い方向に進んでいる。
大手メディアもこの問題をほとんど報じないのだから、SNSで自ら発信するしかない――。
そんなもどかしい状況が繰り返されているのではないか。
例えば、先のテレビ朝日が事実上制作するインターネット番組「ABEMA(アベマ)TV」は先月2025年6月と今月2025年7月の2度に渡って埼玉県川口市のクルド人問題について特集したが、その内容を巡ってSNS上は2度とも
「炎上」
した。
2025年4月に放送されたNHK・ETV特集
「フェイクとリアル〜川口 クルド人 真相〜」

「偏向報道」
との批判が殺到し、再放送が一時延期された。
これらはむしろ
「報道している」
ケースだが、
「可哀相なクルド人」VS「ヘイトを繰り返す日本人」
という一面的な取り上げ方は否めず、実際にクルド人との軋轢に悩む地域住民にとっては
「まずは公平に自分たちの話も聞いてほしい」
と思ったことだろう。
一方で
「報道しない自由」
は益々顕著だ。
今月2025年7月1日、埼玉県議らが、川口市内の警察署でクルド人らに車を取り囲まれて怒声を浴びせられた騒ぎを告訴した件を巡って記者会見したが、報道したのは産経ニュースのみだった。
会見には、ほぼ全ての全国紙などが出席し、90分以上もの質疑応答が続いたにもかかわらずだ。
同様のケースに、川口市内の女子中学生が執行猶予中のクルド人男に性的暴行を受けた裁判もある。
各メディアとも毎回のように傍聴に訪れ、今月2025年7月4日には懲役10年が求刑されたが、こちらも記事にしたのは産経だけだった。
他はこの事件があったことすら報じていない。
■外国人のせいではない
実際、SNS上では
「外国人問題」
「クルド人問題」
そのものよりも、
「メディアがなぜ報道しないのか」
という不信感を持った投稿が目につく。
大手メディアはよく
「SNS情報は玉石混交」
「正しい取捨選択が必要」
などと、さもSNSの信用が置けないようなことを主張するが、大手メディアが取材したことすら発信せず、都合のよい情報しか出さないのであれば、受け取る側は、そもそも
「取捨選択」
すらできないではないか。
これが今、我が国で起きている
「外国人問題」
の本質である。
例えば、ある対立した問題で、客観的な立場にある人が一方の言い分だけを取り上げ続けたり、問題そのものを無かったことのように扱ったりしたらと考えてみてほしい。
もう一方側が不公平さを感じて何らかの声を上げたくなるのは当然だし、その声が次第に大きくなっていくのは想像できることだろう。
メディアは、そうした声も全て
「差別」
「ヘイト」
とレッテルを張り、外国人との
「共生」
だけを訴える。
このような言論空間が続けば逆に、抑えつけられた声が外国人に対する憎悪のようなものに発展する恐れすらある。
その不満がいつか爆発し、より一層社会の分断を増幅させるような事態になったとしたら、それはもう、決して外国人のせいではない。
メディアは何故そんな簡単なことに気づかないのだろうか。

参政党急伸させた「外国人問題」、失言連発の石破自民党は国民感情くみ取れず 岩田明子
さくらリポート
2025/7/13 12:00
https://www.sankei.com/article/20250713-EL2F6RGN4RMI5K5CR7U5HTDTCM/?outputType=theme_weekly-fuji
中盤戦に入った参院選(2025年7月20日投開票)で、神谷宗幣代表率いる参政党の支持が急伸している。
共同通信社が2025年7月5、6両日に行った全国電話世論調査(第2回トレンド調査)で、比例代表の投票先を聞いたところ、参政党は8・1%と、国民民主党(6・8%)や立憲民主党(6・6%)を上回って2位となった。
参政党を際立たせているのは
「日本人ファースト」
というキャッチフレーズだ。
外国人政策の抜本的な見直しを提案し、外国人による土地・不動産購入に厳格な制限を設けることなどを掲げている。
「外国人問題」
は以前から指摘され、現在では社会問題として認識されている。
参院選では、長引く物価高対策としての
「消費税減税」
の是非などに加え、外国人問題も重要争点となってきている。
この問題に対する国民不安の高まりをうまく汲み取ったことが、参政党の躍進に繋がっているのだろう。
■後手に回る自民党
これに対し、石破茂首相(党総裁)の自民党は後手後手に回っている。
石破首相が外国人関連施策の新組織を設置する考えを示したのは、参院選が公示された5日後の2025年7月8日だった。
2025年7月10日のBSフジの番組では、
「日本人が普通に働いて(東京)23区で部屋を持てないとすればおかしい」
と述べ、外国人を含めた投機目的の不動産保有の実態把握を早急に行う考えを示した。
ただ、2025年7月2日に行われた日本記者クラブ主催の党首討論会では、石破首相は外国人問題に関して、
「七面倒くさい日本語や日本の習慣」
などと発言して批判を浴びている。
今回の新組織設置は
「選挙を睨んだパフォーマンス」
と勘ぐられてもおかしくない。
今の自民党は、国民感情をすくい取れなくなってきているのではないか。
第2次安倍晋三政権時代には、こんな事態はあり得なかった。
当時の安倍自民党では毎日、
「有権者はどんな政策に反応するのか」
「どんな言葉が響くのか」
について、SNSも含めて分析を行って選挙運動に反映させていた。
現在では難しくなったが、各地の商店街での練り歩きを重視し、有権者と触れ合うことで生の国民感情を知ることに腐心していた。
■甘すぎる鶴保氏への対応
石破自民党が国民感情と乖離しているのは、鶴保庸介参院予算委員長の
「運のいいことに能登で地震があった」
との発言に対する対応からも伺える。
自民党内から鶴保氏の離党を求める声が上がったが、自民党の森山裕幹事長は鶴保氏に電話で厳重注意し、重い処分を科すことはなかった。
第2次安倍政権時代の2017年4月25日、今村雅弘復興相(当時)が派閥のパーティーで、東日本大震災について
「まだ東北で、あっちの方だったから良かった」
「首都圏に近かったりすると、莫大な、甚大な被害になった」
と述べると、パーティーに出席していた安倍氏は直後、
「東北の方々を傷つける極めて不適切な発言だ」
と不快感を示し、僅か1時間以内に更迭を決めた。
その前例からすると、今回の鶴保氏に対する対応は
「甘すぎる」
と言わざるを得ない。
■首相発言にも批判
トップの石破首相も自身の問題発言で批判を浴びている。
2025年7月9日の千葉県船橋市での街頭演説では、トランプ米政権との関税交渉について
「国益をかけた戦いだ」
「なめられてたまるか」
「たとえ同盟国であっても正々堂々言わなければならない」
「守るべきものは守る」
と述べた。
これに対し、国民民主党の玉木雄一郎代表は
「選挙対策として、相手のいない所で厳しい言葉を発するのは交渉を円滑に進める上でマイナスだ」
「国益に反する」
と批判した。
玉木氏の指摘はもっともで、日本国内でいくら強気をアピールしたところで意味はない。
EU(欧州連合)と連携するなど、トランプ政権に対抗する態勢を構築していない中での、石破首相の発言は
「戦略性を欠いている」
としか言いようがない。
■与党過半数も怪しい雲行き
石破首相は今回の参院選で、非改選を含めた自公与党の過半数維持を
「必達目標」
と位置づけているが、その実現すら雲行きが怪しくなってきたとされる。
衆院に続いて参院も少数与党となれば、選挙後の政治は更に不安定さを増す。
自民党の苦境は
「国民感情を汲み取れない」
という戦略ミスから、
「参政党に支持層を浸食された」
のが原因ではないか。
国民のニーズに寄り添った劇的な変化を遂げない限り、自民党は今後も厳しい状態が続くだろう。

参政党にも妨害行為相次ぐ「ヘイトだ」「デマだ」 党候補は「外国人含め、消費税廃止を」
2025/7/13 11:48
https://www.sankei.com/article/20250713-K6H7SJEOTVHDTIGTT27YFRTFSI/?outputType=theme_election2025
参院選(2025年7月20日投開票)を巡って、
「日本人ファースト」
を掲げる参政党への妨害行為が各地で相次いでいる。
2025年7月12日に同党がJR亀有駅前(東京都葛飾区)で街頭活動を行った際、
「ヘイト集団」
「参政党 ナチス」
のビラを掲げるアンチの人々が集結し、
「排外主義反対」
などと絶叫し続けた。
それに対し、党スタッフや支援者らは言い返すことはせず、抑制的な対応に努めていた。
■マスク姿でビラ掲げる
午後2時過ぎ、駅前の広場にマスクや帽子、サングラスを付けた約10人のアンチが集まっていた。
比例代表に擁立した新人、重松貴美氏(36)が選挙カーで、自己紹介を始めると、男性2人が最前列で野太い声を張り上げる。
「デマ宣伝やめろ!」
「人間にファーストもセカンドもないだろ!」
既に50人近い支援者が話を聞こうとしており、やや困り顔のスタッフは2人に対し
「選挙妨害になりますよ」
と伝えている。
一方、重松氏は
「政治とカネ」
が焦点になった昨年2024年10月の衆院選を振り返り、
「自民党、立憲民主党の公約の一丁目一番地が『国民生活を豊かにする』と全く関係なかった」
と指摘し、参政が消費税減税と積極財政を掲げ続けていることを挙げ
「唯一の国民目線だ」
と述べ、参院選での支持を訴えた。
「差別」
らしき言葉はないが、
「差別を煽るな」
などと罵声が飛ぶ。
■穏やかに語り合いたい
続いて、東京選挙区(改選数6、補欠1)に出馬した新人さや氏(43)は
「妨害する人に説明しようとすると、声が荒くなってしまう」
と述べ、
「本当は声なんか荒らげたくない」
「穏やかな気持ちで語り合いたい」
と苦言を呈した。
アンチが良く飛ばす文句が
「人間にファーストもセカンドもない」
だった。
さや氏は
「日本人ファースト」
について、
「訴えている政策は日本人だけのことではない」
「消費税廃止も全ての人にとって大事だ」
「日本に住んでいる外国の方も含めて生活が厳しい」
と反論した。
それでも、アンチは約30メートル後方の一角から集団で罵声を浴びせているが、スタッフらが
「妨害行為に冷静な対応をお願いします」
と書かれたビラを示したためか、罵声に反応する支援者は確認されない。
■外国人実習生の苦境訴え
一方、さや氏に先立って、登壇した経済評論家の三橋貴明氏は
「アンチの皆さん、お疲れさまでーす」
などと反応し、平成5年導入の外国人技能実習制度を巡る実習生の苦境を説明し出した。
「デフレが続き、企業は賃金を引き下げ、それでも人が足らず、外国の方々を日本に入れた」
「彼ら彼女らは日本人の7割の給料で奴隷的な労働を強いられた」
「転職もできない」
と述べ、アンチの方角に向かい、こう強調した。
「この政策を経済界の要望で推進した自民党」
「差別、差別言うなら、自民党に言え。お前ら」
「日本人として恥ずかしい」
「外国人の方々を安く働かせて」
「その恩恵を我々が受けた」
その上で、
「もうやめよう」
「日本で、きちんと日本人の所得が上がって、生産性が上がって、外国の方々に優しくできる、ちゃんとした日本を取り戻そう」
「これが参政党の言っている日本人ファーストだ」
と述べ、経済政策全般を見直すことで外国人の就労環境の実態を改善する必要性を訴えた。
参政党が矛先を向けたのはアンチの妨害行為よりも、石破茂政権だった。
■守るべきは消費税でなく国民
さや氏は、小泉進次郎農林水産相について
「水田の所に行って写真を撮ったりする」
「何の意味があるのか」
「データを見れば農業予算が足りないことは分かるはずだ」
と述べ、事実上の減反政策の継続を疑問視した。
小泉氏は2025年6月、水田の脇でパイプ椅子に座り、農業関係者と語り合う動画でX(旧ツイッター)に投稿している。
三橋氏は、自民党の森山裕幹事長が2025年6月の講演で
「消費税を守り抜く」
と発言したことを挙げ、
「守らなければいけないのは消費税ではなく、国民ではないか」
「国民を守らないなら、政治家を辞めろ」
と声を張った。
参院選を巡っては、東京選挙区に立候補している国民民主党新人、牛田茉友氏(40)が車で長時間追跡されたり、比例代表に社民党が擁立した現職、大椿裕子副党首(51)が街頭活動中に侮蔑的な対応を受けたりするなど、妨害行為が相次いでいる。

東京選挙区には、吉良佳子(共産)、山本譲司(れいわ)、吉永藍(無所属)、土居賢真(無所属)、藤川広明(諸派)、西美友加(社民)、小坂英二(保守)、さや(参政)、峰島侑也(諸派)、武見敬三(自民)、奥村政佳(立民)、牛田茉友(国民)、酒井智浩(みんな)、福村康広(諸派)、桑島康文(諸派)、渋谷莉孔(諸派)、奥村祥大(国民)、吉田綾(諸派)、鈴木大地(自民)、塩村文夏(立民)、吉沢恵理(無所属)、市川たけしま(諸派)、川村雄大(公明)、音喜多駿(維新)、平野雨龍(無所属)、山尾志桜里(無所属)、千葉均(諸派)、増田昇(無所属)、辻健太郎(諸派)、早川幹夫(諸派)、石丸幸人(諸派)、高橋健司(無所属)の32氏が立候補している。

<政治部取材メモ>ライバルは「身内」 参院比例で自民保守系が競合 参政躍進も不安要素
2025/7/14 10:00
https://www.sankei.com/article/20250714-YQLPM533CJPLRG7W6RKCTEA3GI/?outputType=theme_election2025
2025年7月20日投開票の参院選の比例代表で当選を目指す自民党の一部候補が、石破茂政権や党の方針とは一線を画した主張を展開している。
岩盤保守層を睨んだ政策が参政党など新興勢力にお株を奪われつつある中、従来の支持層の離反を食い止める狙いがある。
ただ、比例には主張が重なる自民保守系が多く参戦しているだけに、個人票がモノを言う戦いを勝ち抜くのは容易ではない。
■元安倍派の焦り
保守政治家の象徴とされた安倍晋三元首相の命日の2025年7月8日、参院選比例代表に立候補した自民の長尾敬元衆院議員が炎天下の東京・渋谷でマイクを握った。
旧安倍派に所属した長尾氏は
「本来であれば心穏やかに安倍元首相の御心に思いを馳せる、そんな1日にしたいところだが、そうも言っていられない」
と切り出し、スパイ防止法の制定や外国人による土地買収規制など保守層を意識した主張を展開した。
自民が公約の柱に掲げる
「2040(令和22)年に名目国内総生産(GDP)1千兆円」
の目標に関しては、
「減税と公共投資を中心とした強力な財政出動によって成し遂げる」
と訴えた。
具体的な減税策としては首相が否定する消費税減税を提案。
「我が国の経済停滞の最大の原因は消費税だ」
「経済成長なくして財政再建なし」
と、安倍氏がよく口にしたフレーズを引用し、声を張り上げた。
足を止めて演説に耳を傾ける人はほとんどいなかった一方で、長尾氏の訴えに
「そうだ」
と呼応し、日の丸の小旗を振る熱心な支持者の姿も見られた。
海外からの就労者や観光客の増加に伴う外国人問題への対応強化は、反対派にとってセンシティブな訴えだけに街頭演説を荒らされる候補もいる。
長尾氏と同じ自民の比例代表候補で、旧安倍派に所属した杉田水脈元衆院議員は2025年7月4日、トルコの少数民族クルド人の一部と地元住民との摩擦が表面化している埼玉県川口市でマイクを握った際、怒声で演説を妨害されたとして警察に被害届を提出した。
杉田氏の公式ユーチューブチャンネルには、聴衆の一部が外国人問題について
「お前らの妄想だ」
と声を荒らげたり、杉田氏に対し
「ヘイトスピーカーが」
などと罵る様子を収めた動画が投稿されている。
■自民に来るべき票が…
一部の比例候補が保守色を強める背景には、安倍氏を失い
「左傾化」
する自民への危機感がある。
令和5年に成立したLGBTなど性的少数者への
「理解増進法」

「選択的夫婦別姓」
を巡る対応などに嫌気がさした結果、岩盤保守層は自民離れを加速させている。
2025年7月6月の東京都議選でも複数の報道機関の出口調査で自民が旧来の支持層を固めきれなかった実態が浮き彫りになった。
これに、保守的な政策を前面に打ち出す参政党など新興勢力の台頭で
「埋没しかねない」
という不安が追い打ちをかける。
特に参政党は
「日本人ファースト」
を旗頭に外国人による不動産取得の規制強化などを唱えており、自民の保守系候補と訴えが重なる部分が多い。
参政党は都議選で初めて議席を獲得するなど一部の自民支持層を取り込んでいるとみられる。
自民関係者は
「ここ数年、LGBTや選択的夫婦別姓の問題を巡って党内で収拾がついていない」
「参政党や日本保守党の得票は本来、自民に来るべき票だ」
と危機感を露わにする。
前回令和4年の参院選で自民は比例代表で18議席を獲得した。
今回は厳しい逆風に晒されており、現状では議席を減らすとの見方が大勢だ。
自民は比例に長尾氏や杉田氏ら31人を擁立した。
ある比例候補は
「14議席も取れるか分からない」
「本当に厳しい戦いだ」
と漏らす。
自民内では党内の比例当選ラインは個人票18万とも囁かれる。
身内同士の生き残りをかけた戦いは残り1週間を切った。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/771.html#c24

[政治・選挙・NHK297] 「高市早苗総理」誕生の最悪シナリオ 古谷経衡 猫と保守と憂国(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
43. 秘密のアッコちゃん[1780] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月02日 15:04:29 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1218]
<■87行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
本邦初公開の実射訓練
正論 2025年9月号 宮嶋茂樹
今迄新聞紙上やテレビ画面で、北朝鮮の弾道ミサイル発射実験や、それを見上げてちびりまくる、あの3代目のにやけたツラばかり見せられてきた読者の皆様、お待たせ致しました。
これが国内初の地対艦ミサイルの実弾射撃である。
前回本連載で登場した01式軽対戦車誘導弾(ミサイル)と違い長射程のため国内の演習場では射撃できんかったのである。
その射程距離やが、詳細は明らかにされていないものの、本グラビアページで登場した88式地対艦誘導弾ですら100〜150kmと言われており、3〜4kmの射程と言われる01式対戦車ミサイルとも大違いである。
更に先日ご紹介した「総火演」で射撃こそせんかったが、ランチャー(発射機)が初公開された12(ヒトニー)式地対艦誘導弾の能力向上型は1000km程、最終的には「トマホーク巡航ミサイル」並みに1500kmに伸びるんちゃうかとまで言われている。
更に同じく総火演で紹介された島嶼防衛用高速滑空弾に至っては2000kmはあるっちゅう下馬評である。
更に更にそのミサイル本体も高速ながらステルス性を帯び、迎撃されにくい、つまり命中率も高いっちゅう話や。
そんな超長射程の新型ミサイルが、護衛艦や戦闘機にも搭載可能というのである。
そうなったら、戦後日本は遂にケンポーの呪縛から解放され、いわゆるスタンドオフミサイル・・・モスクワは無理やが朝鮮半島や中国大陸の敵基地まで、更に敵の射程外からも攻撃でけるようになるのである。
そのうちの88式地対艦誘導弾がこの度、北海道は静内対空射撃場での実弾射撃に至ったのである。
しかし自衛隊による地対艦ミサイルの実弾射撃はこの時が初めてやない。
不肖・宮嶋も2018年7月、RIMPAC(環太平洋合同演習)での、アメリカ・ハワイ州カウアイ島のミサイル射撃施設で、陸上自衛隊の12式地対艦ミサイルの実際の退役老朽艦を目標にした射撃をしっかり取材した。
また伊豆諸島の新島でも発射実験を行っている。
ほれで何で今迄、国内の演習場で射撃できんかったかっちゅうと、そりゃあ射程が長過ぎるからもあるが、せっまい日本で40kmも50kmも先の標的撃ってたら演習場の外飛び出て、途中民家の屋根なんかに破片落とそうもんなら、また左巻きの何でもハンタイ派が大騒ぎや。
しかしや、最早中国人民解放軍による台湾有事が秒読み段階、沖縄県尖閣諸島周辺海域は沖縄県知事が見て見ぬフリをいいことに中国の公船が堂々と日本の領海を侵すようになり、更にロシア軍、北朝鮮軍の悪の枢軸国によるウクライナ侵攻を、まともな日本人が目の当たりにし、かようなミサイル射撃訓練が周辺国を不安にさせるなんぞ左巻きの政治家や自称市民団体がコク戯言と耳を貸さんようになったからである。
それにしてもけったいやないか。
北朝鮮はまるで日本海をゴミ捨て場にするが如く、日本列島に向けてバコバコ弾道ミサイルぶっ放し鼻高々なのである。
現に2017年には、北朝鮮から撃ち上げられた弾道ミサイルが北海道上空を通過後、東方約1100km沖の太平洋に落下しとるのである。
中国なんぞ、つい3年前の2002年に日本の波照間島南方EEZ(排他的経済水域)に弾道ミサイル5発撃ち込んどるのである。
もう札幌の繁華街に落ちようが日本人漁師が犠牲になろうが、お構いなし、敵である日本人には情けも容赦も無用とばかりに。
■現れた何でもハンタイ派
ええやん、別に朝鮮半島や中国大陸に向けて、我が国が地対艦ミサイルをぶっ放しても。
それでも自衛隊は弾頭は通常ではなく炸裂を抜いた訓練弾を使用し、ロケット燃料も減らし、更に着弾海域に魚船やプレジャーボートが入らんよう監視のための船も加わり安全を図っていたのである。
せやのに、やっぱり何でもハンタイ派は北海道静内にも表れ
「中国を刺激するなあ・・・」
「訓練をやめろ」
などと奇声を上げていた。
何でこのカタガタは北海道民を、日本人を危険に晒す北朝鮮や中国のミサイルや核弾頭には何ーも言わず、日本人を守るべき自衛隊の訓練やミサイルの配備にはハンタイされるんやろ。
自衛隊が強力な武器を保有し、それを使用した訓練を続け練度を維持し、精強になる事を恐れるのは、日本へ近く侵略を企む敵国やろ。
いやハッキリ言うたろ。
中朝韓露の4つや。
せやから日本の国会や社会に潜ませた配下の工作員共を総動員してハンタイさせよるんやろ・・・としか考えられんやん。
つまりや、この地に現れた市民団体と称するハンタイ派の皆サマは中国共産党の習近平総書記サマや北朝鮮の3代目独裁者金正恩将軍サマが大喜びされる利敵行為、いやスパイ工作やっとるのに等しいのである。
そりゃ、同じカタガタが日本のスパイ防止法にハンタイされる訳や。
日本を戦禍に巻き込ませぬ唯一の方法、それは日本が保有する強力な武器やそれを適切に操作し、最大限の効果を上げる自衛隊の練度と優秀さを誇示し、敵に侵略を躊躇わせるしかないのである。
ロシア軍によるウクライナ侵略や中東での新たな戦争を見て、まだそないな事を分かろうとしない敵国の走狗と成り果てて恥じない日本人が少なからずおるのも悲しい事実である。
本誌が店頭に並ぶ頃には参議院選の投開票も終わり大勢が判明していることであろう。
そしてそんな工作員議員が国会から一掃されていると信じたい。
今回の射撃訓練成功と、そんな新型ミサイルの今年度2025年度中の島嶼部への配備という報を受けても、とても一安心とはいかぬ。
南西諸島だけで約200の島々があるのである。
そこまでミサイルを運ぶ輸送力が、第一、充分数があるのか、そもそも我らがヘタレ政府はミサイルどころか人間1人尖閣諸島に常駐させることすらできんのである。
それどころかその南西諸島の島民含む沖縄県民の安全と安心、財産を守るべき沖縄県知事がミサイル配備にハンタイする始末なのである。
新設された陸上自衛隊が主体となる海上輸送群の艦艇乗員の訓練は充分しているのか。
航空自衛隊Cー2輸送機にミサイルやランチャー(発射機)は搭載できるのか。
我が国に敵の侵略に備える充分な装備や訓練が行き届くまで、敵が待ってくれればエエんやけが、それこそ夢物語と断ずべきであろう。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/773.html#c43
[政治・選挙・NHK291] 麻生・茂木両氏も激怒!松川るい参院議員“天才的”な嫌われっぷり、地元大阪は異例の「差し替え」要求(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
27. 秘密のアッコちゃん[1781] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月03日 07:39:45 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1219]
<▽35行くらい>
<主張>観閲式「中止」 文民統制の意義忘れるな   
社説
2025/8/3 5:00
https://www.sankei.com/article/20250803-XRKVQNGIHJPNTHUPILBWDLS2FA/
防衛省が、陸海空3自衛隊が毎年持ち回りで行ってきた観閲式、観艦式、航空観閲式の中止を発表した。
日本が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中で、隙のない防衛態勢を維持するためだという。
安保環境が大きく変化しない限り再開はしない方針だ。
観閲式などの全面的な中止の決定は残念だ。
毎年持ち回りで実施するペースを緩めた上で、内容を簡素合理化し、実施することを検討したらどうか。
日本周辺では中国やロシアの艦隊や軍用機の動きが活発化している。
北朝鮮は核・ミサイル戦力の強化に余念がない。
自衛隊の活動範囲は日本周辺からインド太平洋、宇宙、サイバー空間へと広がった。
自衛隊が国家国民を守るためフル稼働の状態にあるのは確かだ。
警戒監視は怠れず、抑止力と対処力を担保する練度向上へ激しい訓練、演習も不可欠だ。
防衛力の抜本的強化の最中でもある。
入念な準備を要する観閲式などを実施する余裕がなくなってきたのは理解できる。
そうだとしても全面的な中止に首肯することは難しい。
観閲式などの意義は、自衛官の士気向上や、自衛隊の活動や国防への国民の理解を深めるためだけではないからだ。
自衛隊の前身である保安隊が発足した昭和27年10月、当時の吉田茂首相は、東京・明治神宮外苑での観閲式で観閲官を務めた。
今も観閲式などでは、自衛隊の最高指揮官である首相が観閲官を務めている。
シビリアンコントロール(文民統制)の実効性や、最高指揮官のもとで自衛隊が団結している姿を内外に明示する重要な役割も帯びているのだ。
これらの点を忘れてはなるまい。
防衛省に高級指揮官を集め首相が訓示する高級幹部会同もあるが、それでは足りない。
また、日本の観艦式は、首相や一般国民の招待客を乗せた観閲部隊と、練度を披露する受閲部隊が、相模湾で航走しながらすれ違う式典だ。
各国の駐在武官に海上自衛隊の高い操艦技術を示すことで、抑止力の向上にも役立っている。
これは陸上自衛隊の観閲式、航空自衛隊の航空観閲式にも通じる意義である。
石破茂首相と中谷元・防衛相は、観閲式などの在り方について再考してほしい。

http://www.asyura2.com/23/senkyo291/msg/422.html#c27
[政治・選挙・NHK297] 参政党議員「初登院」に漂った異様な雰囲気…さや氏「核武装」に対しゼロ回答で現場は大混乱(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
28. 秘密のアッコちゃん[1782] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月03日 07:41:45 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1220]
<■76行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
参政党「さや」氏が黒スーツで初登院、「核武装は安上がり」発言は「党と擦り合わせる」
2025/8/1 13:53
https://www.sankei.com/article/20250801-6QRAFHVNVZL5TO5JFLBGIJVFPU/
参院選で14議席を獲得し、台風の目となった参政党。
臨時国会が開会した2025年8月1日、神谷宗幣代表を先頭に議員がまとまって国会議事堂の門をくぐった。
選挙期間中は「さや」の名前で活動した塩入清香氏=東京選挙区=は、政党カラーであるオレンジを封印し、黒いスーツ姿で登場。
「より気持ちを引き締めようと(思った)」
と理由を明かした。
全国最多の32人が立候補した同選挙区で、約66万票を得て2位当選。
「何もかも無知で大変緊張しているが、参政党の素晴らしい先輩方から学び、良いパフォーマンスができるように頑張る」
「公約をどうすれば実現できるか勉強したい」
と意気込みを語った。
報道陣から注力したい政策を問われると、
「消費税の廃止」
「与野党との協力体制を築いて段階的廃止を実現させ、皆さんの負担を軽減したい」
とした上で、
「しかしそれ以上に大事なのは、物価高を恐れずに済むような国としての経済成長だ」
「経済成長こそが最大の物価高対策だ」
と強調した。
また、選挙期間中に
「核武装が最も安上がり」
と発言したことについて質問が飛ぶと、
「参政党の方針に従う」
「細かい部分は後日ご報告できたら」
と言葉を濁した。
別の記者から、
「発言を撤回する意向はないのか」
「被爆者にも同じ事を言えるのか」
などと更に詰め寄られるも、
「党との擦り合わせが終わったら報告する」
と述べるにとどめた。

天命は下った…石破茂総理は速やかに退陣せよ 自民は「保守回帰」以外に再生への途なし
【疾風勁草】(24) 弁護士・高井康行
2025/7/27 7:00
https://www.sankei.com/article/20250727-RZZQ7GHBEROJDCBTLNRVQ2YHHY/
■変化をつかみ躍進した参政党
参政党が躍進した理由には色々なことがあるだろうが、その大きな理由の1つとして、故安倍元総理がまとめていた岩盤保守層が自民党を保守政党と見做さなくなったことがあるだろうことは間違いない。
そして、今回、参政党に投票した保守層の中に、参政党を大きくすることにより、自民党の保守政党回帰を促そうとしている層があることも間違いない。
自民党が、参政党が躍進した理由をどう総括するか。
もし、SNSの使い方など選挙戦略、戦術が巧みだったとか、代表の演説がうまかったとかというような表層的な見方に終始するとしたら、大きな間違いを犯すだろう。
参政党は、社会の深層における変化を掴んだから躍進できたのだ。
それは左から右への大きな流れだ。
これまで自分たちより右の政党がなく、常に自分より左側の野党からの引力に晒されていたため、日本の社会が左へ左へと流れているように受け止め、その左の票を取り込むため、自分も左へ左へと移動した。
その結果、今や、自民党は本来の保守政党ではなくなった。
しかし、2022年のロシアのウクライナ侵略以来、日本社会の深層では左から右への流れが強くなってきていた。
故安倍総理亡き後、自民党はその流れに気づかず、逆の方向に動いていたことになる。
そして、その流れは参政党という噴出口を得て表に吹き出した。
安倍自民党時代であれば、自民党から出馬したであろうと思われる保守の論客が日本保守党や国民民主党などから出馬したという事実、昔であれば反自民の受け皿として勝ち組になったであろう立憲民主党が辛うじて改選議席数は維持したものの得票は大きく減らしたこと、共産党も議席数を減らしていることなどを見れば、左から右への流れは明らかだ。
昔であれば、そんな発言をすれば世間から袋叩きにあって当選することなどあり得なかった
「国防のためには核武装が安上がりだ」
という趣旨の発言をした候補者が、東京選挙区で堂々2位で当選したことが、そのことを象徴的に表している。

【参院選】参政候補さや氏 核武装論主張「最も安上がり」安全保障政策を巡り
[2025年7月18日17時47分]
https://www.nikkansports.com/general/news/202507180000897.html
参政党公認で東京選挙区に立候補しているさや氏が、安全保障政策を巡り
「核武装が最も安上がり」
と発言したことが分かった。
立憲民主党の野田佳彦代表は2025年7月18日、広島市で記者団に
「特に広島、長崎では絶対に受け入れられない発言ではないか」
「党として許容する空気があるのか、有権者はよく見定めてほしい」
と批判した。
さや氏が発言したのは、日本テレビが2025年7月3日に配信したインターネット番組で
「核武装が最も安上がりであり、最も安全を強化する策の1つだ」
と述べた。
その上で
「あの北朝鮮ですら核兵器を保有すると、トランプ米大統領と話ができる」
とも指摘した。(共同)

東京 選挙区
https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/sangiin/13/

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/774.html#c28

[政治・選挙・NHK297] 参政党という「出来の悪い軍隊」と石破談話(田中龍作ジャーナル) 赤かぶ
36. 秘密のアッコちゃん[1783] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月03日 07:43:26 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1221]
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「参政党は排外主義も、外国人差別も許さない」神谷代表 選挙妨害放置のメディアには苦言
2025/8/2 12:29
https://www.sankei.com/article/20250802-BZ2QK6MSAFBELPFT732SCBAAOU/?outputType=theme_election2025
参政党の神谷宗幣代表は2025年8月1日の記者会見で、2025年7月の参院選で同党への妨害行為が相次いだ現状をメディアが問題視しなかったことについて苦言を呈した。
「我々は排外主義はダメだと言っている政党だ」
「外国人差別も許したくない」
「そういう行動をする政党があれば、我々も戦いたい」
と述べ、
「戦争も反対だ」
「絶対に戦争を起こしてはいけないとの思いで、抑止力を高めて回避すると言っている」
と強調した。
■「知る権利」を妨害する自由はない
キャッチコピーに掲げた
「日本人ファースト」
を巡っては
「外国人差別」
と指摘する向きがある。
神谷氏は、
「何度も『外国人差別はいけない』と街頭で言っても、『差別だ、差別だ』と何十人の方が、プラカードを出して、ワーワー騒いで、ボランティアで活動する党員が、怖い思いや嫌な思いをしたり、ぶつかられたり、警察に守ってもらったり、本当に大変だった」
と振り返った。
さらに、政治団体「つばさの党」による令和6年4月の衆院東京15区補選を巡る選挙妨害事件を挙げて
「かなり似たようなことを、我々は受けた」
とも語った。
その上で、
「聴衆の皆さんが選挙で我々のスピーチを聞きに来ることは、やはり知る権利だ」
「それを妨害する自由はない」
と強調した。
選挙妨害を巡る報道については
「しっかり報道してくれるところがなかった」
「『参政党が悪い』という風なイメージを印象操作するような報道もあった」
「放置どころか、正しい抗議なんだという風な報道は間違っている」
と指摘し、
「あれは半分暴力だ」
「マスコミの皆さんは看過しないでほしい」
「フェアではない」
と訴えた。

欧州から見た「日本人ファースト」 参政党躍進を「ポピュリズム」と侮るなかれ
2025/8/1 18:00
https://www.sankei.com/article/20250801-MV3AG4XTGVOZRGYSGXCAABKWVE/
参院選での参政党の躍進は、欧州でも注目を集めた。
「礼儀正しく物静かな人たち」
とみられていた日本人が、突然
「日本人ファースト」
に沸き、自民党支配を揺るがしたので驚きが走った。
折しも欧州は、移民削減を掲げる右派旋風が吹き荒れている。
ドイツ紙フランクフルター・アルゲマイネは
「日本もようやく潮流に乗った」
と論じた。
フランス紙のフィガロは
「追い風に乗るポピュリスト政党」
である参政党が、日本政治に激変をもたらすかもしれないと予想した。
欧州では2015年、難民危機で約100万人が流入し、反移民を掲げる右派政党が台頭した。
もはや彼らは
「ポピュリズム勢力」
で片づけられない存在だ。
オランダやイタリア、オーストリアでは国会で第一党になった。
老舗というべきフランスの極右「国民連合」は昨年2024年、欧州議会選で3割以上の票を獲得。
2年後の大統領選での政権奪取も視野に入る。
各国の中道政権は、煽られるように移民規制を強化する。
「このままでは食われる」
という焦りが滲む。
ドイツのメルツ首相は
「もっと管理を強め、帰還させる」
と連邦議会で宣言した。
10年間、なし崩し的に移民を入れ過ぎたと述べ、ドイツ伝統の
「寛容な受け入れ」
を転換した。
現実には近年、欧州に渡る不法移民は減っている。
それでも、各国が強硬策に傾くのには別の理由もある。
移民への不安に便乗して極右のヘイト(憎悪)犯罪が急増し、社会の緊張を高めているからだ。
猛暑最中の2025年7月、スペイン南部ムルシア州では物騒な事件が起きた。
覆面姿の男の集団が4夜連続で、移民居住区を棍棒や鉄パイプで襲った。
60代の高齢者が殴られた事件を機に、
「北アフリカ移民の犯行」
「やつらを追い出せ」
という文言がSNSで流布され、暴動に火をつけた。
続いて英ロンドン北郊では、難民収容施設前の抗議デモが暴走。
警察と衝突し、約10人が負傷する騒ぎとなった。
スペインと英国は旧植民地から移民を受け入れてきた歴史があり、欧州で長く統合のお手本だった。
ヘイト犯罪は許されないが、炎上の背景には
「政府は移民流入に対応できなくなった」
という不満があることも忘れるべきではない。
先進国は、どこも高齢化と低成長の時代に入った。
先行きが不透明になり、国民は
「外部からの脅威」
に身構えている。
政府が移民受け入れで規律を定め、厳しい姿勢を示すことは、国民の信頼回復に不可欠だ。
合法的に滞在する外国人を守ることにもなる。
「差別はダメ」
「多文化共存を」
という正論だけで、不安を封じるべきではない。
一方で、移民規制を掲げて支持を伸ばす右派政党には課題がある。
政権入りとなれば、
「人手不足にどう対応するのか」
への答えを求められる。
技能を持つ外国人材の獲得が必要なのは議論の余地がない。
欧州の反移民政党は今、過渡期にある。
時に露骨な差別発言が飛び出す一方、実務経験を積んだ弁護士や元官僚、更に中道政党からの鞍替え組の参入も相次ぐ。
古い政党は保革を問わずベテラン議員が牛耳っており、国政を目指す若者は勢いのある新党に集まる。
政治に風穴を開けたいと思う有権者の支持を集めるのは当然だろう。
激変する世界で
「どうやって国を守るか」
は日欧を問わず、共通の課題だ。
「国民ファースト」
の論議が、各国の保守再編に繋がるに注目したい。

参政党の熱量と解散恐怖症 自民と立民の「なれ合い政治」にさせてはならぬ
一筆多論
2025/7/29 15:00
https://www.sankei.com/article/20250729-45MDEPAGQNK5PDZTIG76PN5EFI/?outputType=theme_election2025
参院選投開票日の前日の2025年7月19日、東京・芝公園。
「日本人ファースト」を掲げて支持を集め、台風の目となった参政党の神谷宗幣代表は、この場所で「マイク納め」を行った。
参政は今の自民党に失望している岩盤保守層の受け皿となり、躍進した。
芝公園の隣に位置するのは、安倍晋三元首相の葬儀が執り行われた増上寺。
因縁めいたものを感じずにはいられなかった。
安倍氏が岩盤保守層から支持を得ていたのは周知の事実だ。
この日の東京の最高気温は33・1度。
うだるような暑さの中、背後に東京タワーがそびえ立つその会場には約2万人が集まった。
「ヘイト集団」「差別政党」などと書かれたプラカードを掲げたアンチ参政党の人々も目立った。
日の丸にバツ印をつけてはためかせる異常な光景もあった。
参政支持者とアンチとの間で一触即発の事態になりかねない危険な空気が漂っていた。
神谷氏が登壇し、
「日本人のプライドと国の未来にかけて、皆でグローバリズムと闘いましょう」
などと絶叫すると、会場のボルテージは最高潮に。
その熱量は党の勢いをそのまま反映していた。
参政は改選1議席から14議席に増やした。
国民民主党は改選4議席の4倍以上の17議席を獲得した。
これに対し立憲民主党は改選数と同じ22議席にとどまった。
比例代表の得票数では、野党で最多は国民民主、次いで参政となり、立民は野党3位に終わった。
野田佳彦代表が選挙戦最終日に入った選挙区のうち、福島(改選数1)、栃木(同)では議席を得られず、東京(改選数6、補欠1)では擁立した2人のうち当選した現職の塩村文夏氏は7番手だった。
大敗した自民のみならず立民も含め既成政党の多くは、早期に衆院解散・総選挙が行われた場合、票をごっそり参政や国民民主に持っていかれるだろう。
石破茂首相(自民総裁)が参院でも与党過半数割れとなった責任をとって辞任し、新総裁が国会での首相指名選挙を経て首相に就任できたとしても、新首相は怖くて解散できないのではないか。
自民の多くの歴代総裁は「解散カード」を求心力を高めるために有効に使い、党内を統治してきた。
だが、自民が抜本的に立て直しを図り、他党を凌駕するほどの力を取り戻さない限り、その芸当はできまい。
立民も早期の衆院解散は避けたいのが本音と言える。
議席を減らす可能性があるだけでなく、野党間の候補者調整など闘う態勢を整えるのに時間がかかることが予想されるからだ。
野田氏は石破首相について
「だらだらと民意を無視して居座り続けるのか」
と批判する。
ならば、2025年8月1日召集予定の臨時国会で内閣不信任決議案を提出し、野党で連携して可決させ、総辞職か解散に追い込めばよいものを、不信任案提出については言葉を濁している。
腰砕けと言う他ない。
最大政党の自民も野党第一党の立民も解散を恐れていては、緊張感は生まれず、馴れ合いの政治に陥りかねない。
日本の政治は劣化の一途を辿ることになろう。
石破首相は一刻も早く退陣すべきであり、自民は「国民政党」を自任するのなら、早急に党を再建する責務がある。(論説副委員長)

「外国人犯罪は増えていない」と「困っている人が1人でもいれば」は矛盾しないか
メディアウォッチ 皆川豪志
2025/7/27 13:00
https://www.sankei.com/article/20250727-WQWXJDB725CCVBKKZNY53E4AEE/
先の参院選で
「日本人ファースト」
を掲げ、外国人問題を争点にした参政党が躍進したことで、テレビ各局の選挙特番のキャスターやコメンテーターたちは、何となく居心地が悪そうというか、出来ることならあまり取り上げたくないという感じがありありだった。
それでも触れざるを得ない場面が来ると、被せるように紹介していたのが法務省の
「犯罪白書」
による
「外国人犯罪は増えていない」
というデータだ。
これは今、新聞など他のメディアでも
「ファクトチェック」
などと称して盛んに使われている。
外国人が増えたからと言って犯罪が増えているわけではなく、
「参政党が主張するような外国人問題などない」
というメッセージなのだろう。
■「差別主義者」が突然増えたのか
簡単に紹介すると、日本にいる外国人の数は2004年の197万人から2023年の377万人と2倍近くに増えているが、同時期に刑法犯で検挙された外国人数は1万4766人から9726人と30%以上減っているというものだ。
確かにその通りなのだろう。
では何故、実際に外国人問題が選挙の争点になり、参政党などが票を伸ばし、与党自民党も
「違法外国人ゼロ」
などと言って、この問題に本腰を入れるようになったのだろうか。
外国人問題などないのに、日本国民の中に突然
「差別主義者」

「排外主義者」
が大量に増えたとでも言うのだろうか。
例えば、一部クルド人との軋轢やトラブルに悩んでいる埼玉県の川口市民にこのデータを見せたとして
「そんなに少ないのですか」
「じゃあ私の勘違いでした」
とは思わないはずだ。
直接困っている人だけではない。
身の回りに増えている外国人に対して不安な気持ちを抱いている人がこのデータを見ても
「犯罪が減っているなら安心だ」
「不安に思ってすみません」
とはならないだろう。
もちろん客観的なデータを示すのは大事である。
ただ、人間の自然な感情に対してデータで頭ごなしに押さえつけても、納得するどころか、自身の経験や肌感覚が否定されたと思うだけで何の解決にも繋がらないと思う。
外国人を差別したい人が増えているのではなく、実際にトラブルを抱えていたり、ルールを守らない外国人をきちんと取り締まってほしいと思っていたりする人が増えていることが、何故メディアから煙たがられなければならないのだろうか。
そもそもこのデータは外国人の
「検挙数」
であり、何かのトラブルがあって警察が出動して逮捕するなど、実際に何らかの事件になった数である。
近隣の騒音やゴミ出しの苦情、暴走行為などで110番通報する人は余りいない。
あったとしても余程のケースでなければ事件化されることもない。
むしろ近隣の騒音などは、日本人同士でも警察沙汰にして逆恨みされるぐらいなら呼ばないほうがいいと普通は考えるものである。
敢えて強調はしないが、身近なトラブルは無視されている数字に等しい。
そうしたデータに表れない問題について、実際に住民の声を聞いてニュースや記事に生かすのがメディアの役割だと思うが、残念ながらこの件に関しては法務省発表だけを一方的に流している。
■「困っている外国人」は探す
データ重視というなら、産経ニュースが報じているように川口市民の半数が
「治安が悪い」
と感じ、その割合が年々上昇しているという市の意識調査もあるが、そちらは決して報じない。
いわゆる
「体感治安」
の悪化が見て取れる数字である。
ただ、このデータにしても逆に市民の半数は
「治安が良い」
と感じているとも取れるし、 先の法務省のデータにしても、同時期の殺人などの凶悪犯は逆に約1.5倍に増えている。
つまり、複雑な問題について1つのデータだけを根拠に一刀両断にしてしまうのはそもそも無理があるのだ。
よく、一部メディアは、日本国民の中でもかなりレアなケースを探し出して来て、
「こんなに困っている人がいる」
と主張している。
隠れた問題を取材して明らかにするのが報道の役割でもあるので、その心意気はよいと思う。
ただ、外国人問題に関しては
「困っている外国人」
は探してきても、
「困っている日本人」
は何故か探さないのだ。
テーマは全く異なるが、国会で選択的夫婦別姓法案が議論になっていた時、立憲民主などの野党や一部メディアは
「別姓で困っている女性が大勢いる」
との論陣を張っていた。
ところが、アンケートなどで別姓賛成派が3割程度だったことや旧姓使用の拡大が進んでいることなどが指摘されると
「困っている人が1人でもいるなら」
「少数意見にも寄り添うべき」
などと言い出した。
「1人も置き去りにしない社会」
は彼らの常套句でもある。
仮に外国人問題で困っている人が本当に少数だったとしても、是非真剣に寄り添ってほしいと思う。

<正論>参政党躍進の背景にある歴史観 
新しい歴史教科書をつくる会顧問・藤岡信勝
2025/7/25 8:00
https://www.sankei.com/article/20250725-GBP4IOLPKVNE7KHO2YROFMMT6I/?outputType=theme_election2025
2025年7月20日投開票された参院選で、新興勢力の参政党は14議席と大躍進した。
自民・公明の政権与党は合わせて50議席に達することができず、昨年2024年の衆院選に続いて、参院でも与党が過半数を割り込むことになった。
この過半数割れを引き起こした主役も、実は45の全選挙区に立候補者を立てた参政党であった。
この躍進の背景にあった1つの要因について述べてみたい。
■歴史学習運動の蓄積
躍進の背景には参政党候補者が共有する歴史観がある、とするのが私の基本的な見立てである。
党首の神谷宗幣氏は高校時代までは左派寄りの思想を持っていたが、大学3年生のとき1年間休学しバックパックで18カ国を8カ月間旅行する経験を通して視野を広げ帰国後、小林よしのり氏の『戦争論』などに触れて、祖父や父が学んでいた教えに理解を深めるようになったという。
本来、保守的な家族関係の中で育ちながら、学校の影響で左翼思想を抱き、海外経験を通してそこから脱却し、日本の歴史を学び直す典型的な保守系活動家の遍歴を神谷氏も辿ってたのである。
神谷氏の始めたCGS(チャンネル・グランド・ストラテジー)というユーチューブ・チャンネルでは、倉山満氏や斎藤武夫氏の歴史講座で通史を学ぶなど、この種の番組としてはかなり本格的なプログラムを用意して歴史の学習を呼びかけてきた。
こうした歴史学習運動の蓄積の上に立って、令和2年に結成された参政党は当然ながら日本の歴史に誇りを持つことを大切にするという姿勢が明瞭に打ち出されていた。
他の政党にないことである。
■「日本人ファースト」の衝撃
参政党は
「日本人ファースト」
をスローガンとした。
これが選挙戦における成功の要因であったことは間違いない。
外国人対策がにわかに選挙戦の争点となった。
日本で住民税を払わない中国人が東京で起業して1500万円の融資を無担保で手に入れたり、来日3日で生活保護受給決定が出たりする。
健康保険料を僅かな期間支払い、日本で高額医療を受ける中国人がいる。
奨学金でも外国人留学生の方が日本人学生よりも優遇されている。
外国人の土地の購入、クルド人問題、オーバーツーリズム(観光被害)等々。
これらの問題の解決に既存政党は手を付けようとせず、やり場のない鬱屈した感情が広く日本人の中に溜まっていた。
参政党の
「日本人ファースト」
という標語は、日本人の誰もが持っているモヤモヤ感を払拭してくれるインパクトがあった。
有権者の心に見事に突き刺さった。
選挙戦が始まる前は、参政党の候補者の選挙区内の支持率はたかだか数パーセントに過ぎなかった。
当選する見込みは薄いと思われた。
ところが、選挙戦が始まると支持率は鰻上りとなり、選挙区によっては当落を争うまでになる。
この現象が日本の各地で起こった。
これは明らかに候補者の口頭による訴えが大きな効果をもたらしたことの表れである。
なぜ参政党の候補者の話には説得力があるのか。
タブーとなっていた話題に果敢に切り込む勇気に聴衆は感動し、初めて自分たちの心を代弁してくれる政党に出合ったという思いを持つ。
候補者は全体として若く、子育て現役世代の悩みを共有し、その生活実感と結びつけて政策を語る。
こうしたことが聴衆の心を捉えた。
しかし、私はそれだけではないと思う。
参政党は草の根の地域組織を持ち、他党とは比較にならないほど党員向けの勉強会が充実している。
自国の歴史に誇りを持つ歴史観をバックボーンとしているからこそ、候補者の演説には単なる話術ではない真実さと深さが伴っているのではないか。
■歴史教科書と参政党
参政党は教育を重点政策とし、歴史教科書問題にも地道に取り組んできた。
私が関わった範囲でその活動を紹介したい。
昨年2024年、令和6年度は4年に1度の中学校教科書採択の年であった。
この年、東京都内の参政党の地方議員は目覚ましい活動をされた。
各議員が責任を持つ地区ごとに、歴史教科書問題や教科書採択問題をテーマとする大小の学習会を開いた。
私が直接関わった集会だけでも10カ所近くになる。
更に、参政党の地方議員の方々は教科書採択に取り組む決意を記者会見を開いて宣言されたのである。
他党には個々に協力して下さる議員はおられるが、このように組織的に取り組んで下さる政党は参政党以外にはない。
つくる会は、公立学校の教育委員会で、全国で唯一、自由社を採択してくださった茨城県常陸大宮市に研修ツアーを企画した。
40人収容のバスに乗った参加者の半数は議員で、参政党の地方議員が多数参加した。
教科書採択は首長の決断なくして実現しない。
私は参政党の若い地方議員が地元で信頼を得て5年後、10年後に首長となり、教科書を採択して下さる未来図を想像の中で描いていた。

参院選X投稿分析「外国人」はなんと886万件、参政党躍進に影響か 鶴保発言にも関心
2025/7/24 19:40
https://www.sankei.com/article/20250724-BPGCKSIX35IG3HIC2RQHC7VXPQ/?outputType=theme_election2025
自民党の大敗に終わった今回の参院選。
関連するSNSへの投稿では、
「外国人」

「減税」
といった言葉が多くみられ、選挙戦の情勢が反映される格好となった。
東京大の鳥海不二夫教授(計算社会科学)は告示直前の2025年7月1日〜投開票日である2025年7月20日までのX(旧ツイッター)の投稿を分析。
「外国人」
を含む投稿件数は、オリジナルを拡散させたリポストを含め886万9817件に上った。
日別では2025年7月1日が約25万件、2025年7月8日が約40万件と次第に増え、ピークの2025年7月14日は約76万件となった。
有権者の関心の高まりが現れたのか、
「日本人ファースト」
を掲げた参政党が大きく躍進する結果となった。
一方、当初からの大きな争点とされた
「減税」
は、総投稿数が211万9292件。
「消費税」
は220万2108件で、合わせても
「外国人」
の半分以下だった。
減税や消費税は選挙戦序盤が投稿数の最盛期で終盤にかけて減る形となった。
自民党の鶴保庸介参院議員が選挙の応援演説の中で、
「運のいいことに能登で地震があった」
と発言した2025年7月8日には、
「鶴保」
の投稿は4万3343件に急増。
それまでは概ね1桁台だったが2025年7月9日には約13万7千件、2025年7月10日は9万7千件、2025年7月11日は4万9千件と、しばらく高い関心が続いたことが分かった。

比例代表の得票、立民は参政を下回る 政治思想史家「左の大結集、戦後政治の夢ついえる」
2025/7/21 18:29
https://www.sankei.com/article/20250721-PKHHMVJPYBCL3EHX5JSUNLB65M/?outputType=theme_election2025
参院選(2025年7月20日投開票)比例代表を巡っては、
「日本人ファースト」
を掲げた参政党の得票数が立憲民主党を僅かながら上回り、自民、国民民主両党に次ぐ3位に躍進した。
政治思想史家の河野有理(ゆうり)法政大教授は2025年7月21日、X(旧ツイッター)で、
「『自民党より左』の大結集で政治を変えるという戦後政治の<夢>が遂に最終的に潰えた」
との見方を示し、
「極めて大きな地殻変動の現れ」
を指摘した。
■参政支持のうねりの過小評価指摘
参政は、比例代表で742万5053票(得票率12・6%)を得て、立民の739万7456票(同12・5%)を、2万7597票差で上回った。
国民民主は762万492票(12・9%)。
野党3党が得票率13%弱でほぼ並ぶ結果となった。
河野氏はXで、参政党に対する評価を巡って、
「『参政党支持している人は周りにはいない、いたら縁を切る』みたいな選挙前によくいた人たち、よほど世界が狭いか、相手が大人で話を合わせてもらっているのだろうなという感じ」
と書き込んだ。
改選22議席の立民は、選挙区15議席、比例代表7議席の計22議席と横ばいの結果にとどまった。
■山口二郎氏も「これ、ほんと」
河野氏は、立民について、
「今回で伸びないならいつ伸びるのかという話であり、相当に厳しい結果なのではないだろうか」
との見方を示し、
「執行部がこれを厳しい結果と思えていないなら本当に将来がなさそうである」
と指摘した。
この投稿については、野党共闘の強化に尽力し続けた政治学者の山口二郎法政大教授も
「これ、ほんと」
「私の政治学者人生も終わったということ」
とXで賛意を表した。
山口氏は立民のベテラン勢はもはや後進の育成に注力すべきとの考えを示し、立民の現状について、
「実質的な敗北と、厳しく総括すべき」
「私自身も、かつて民主党政権を担った政治家が最後にもう一花咲かせてほしいと思って応援したが、民意との乖離が極めて大きいことを痛感する」
と訴えた。

「自民党政治は左傾化している」 参政党などの「第三極」、参院選で保守層を切り崩し
2025/7/19 17:02
https://www.sankei.com/article/20250719-SFU4RQJNKJMZNGKF7XIE4BFN2M/?outputType=theme_election2025
2025年7月20日投開票の参院選で、政権与党でも主要野党でもない
「第三極」
が支持を広げている。
物価高対策や外国人政策などが争点となる中、経済や外交を巡る閉塞感を解消できず、
「自民党政治は左傾化している」
と反発する保守系支持層を切り崩し、受け皿になっている。
石破茂首相(自民総裁)は2025年7月16日、大阪選挙区(改選数4)の新人候補の応援に入った。
首相演説に先立ち、比例代表に立候補した自民新人で元衆院議員の長尾敬氏がマイクを握り、訴えた。
「中国は日本を獲りに来ている」
「石破総裁は中国共産党にもっと厳しい姿勢で臨み、日米同盟を基軸とした価値観外交を続けて頂きたい」
党の公認候補が選挙戦でトップに注文を付けるのは異例。
中国軍機の自衛隊機への異常接近をはじめ、中国は日本周辺で挑発行為を繰り返しており、毅然と対応しない首相に憤慨する自民支持層は少なくない。
前政権下で成立したLGBT理解増進法への反発も根強い。
保守系として知られる長尾氏の訴えは強い危機感の裏返し言える。
衆院で少数与党の自民、公明両党は参院選で非改選議席を含む過半数(125議席)の維持を目指すが、達成は困難な情勢だ。
選挙結果は政権枠組みにも影響する。
今回の台風の目≠ェ
「日本人ファースト」
を掲げて外国人対応と消費税の段階的廃止を政策の柱とする参政党だ。
神谷宗幣代表は首相来阪の翌2025年7月17日、首相と同じ大阪市の南海難波駅前に立ち、欧米で台頭する移民受け入れ規制を念頭に
「日本人ファーストは排外主義ではない」
「反グローバリズム」
「これが新しい潮流だ」
と訴えた。
外国人総合政策庁の設置などは保守層の支持を得る一方、
「差別主義」
といった激しい反発も生む。
もっとも陣営関係者は
「ここまで支持されるのは初めて」
「活動が浸透してきた」
と手応えを示す。
参政は獲得議席目標を当初の6議席から20議席に引き上げた。
元自民支持者で京都市に住む男性(60)は参政支持に転じた理由を
「大企業や大株主、外国資本を優遇し、消費税の使い道を説明しない政権与党に嫌気が差した」
と説明し、続けた。
「安倍(晋三)元首相が亡くなってから自民は保守政党でなくなった」
「自民が頑張っていたら、参政はここまで支持されなかったと思う」
昨年2024年の衆院選で
「手取りを増やす」
と訴えて躍進した国民民主党は所得税が生じる
「年収の壁」
の178万円への引き上げなど現役世代を重視した政策の他、外国人土地取得規制法の制定などを公約に掲げる。
交流サイト(SNS)での発信も強化し、無党派層への浸透を図る。
2025年7月18日に大阪入りした玉木雄一郎代表は
「対決より解決」
をアピールし、声をからした。
「日本を変えたい」
「今のまま同じことを繰り返したって、この国は良くならない」
「もっと日本人の力を発揮でき、皆さんが働くことで報われる社会を一緒に作りたい」
日本保守党は入管難民法改正やエネルギー分野への外国資本の参入禁止を中心に訴える。
比例候補の百田尚樹代表は出身地の大阪で都市部を重点的に巡回。
陣営関係者は
「(大阪が本拠地の)日本維新の会や自民は本当の保守層の受け皿になれていない」
「維新の牙城を崩したい」
と意気込む。

参政党を勢いづかせたTBS 7月20日は激動の始まり
大手町の片隅から 乾正人
2025/7/18 11:00
https://www.sankei.com/article/20250718-NB66T4Y7AVKKPBDUPUTLLJRABU/?outputType=theme_election2025
いよいよ運命の
「2025年7月20日」
がやってくる。
今回の参院選で、有権者の耳目を最も集めたのが、参政党だったのは、どんなアンチでも認めざるを得ないだろう。
「売れるネタ」
に敏感な週刊文春と週刊新潮が揃って同党を大特集し、テレビもTBSの
「報道特集」
が参政党を批判的に取り上げたのだが、ネットは大炎上した。
■大炎上した「報道特集」
問題となったのは、2025年7月12日に放送された
「争点に急浮上外国人政策≠ノ不安の声」
と題されたコーナー。
参政党が選挙戦で掲げているスローガン
「日本人ファースト」

「排外主義」
と強く批判したのである。
女性のメインキャスターが、
「日本人ファーストという言葉が独り歩きしている」
「ヘイトスピーチとは違うのか」
と、大阪公立大学の准教授に聞き、彼にこう言わせている。
「ヘイトスピーチで一番重要なのは、差別の扇動」
「差別用語を一切使わずに差別を煽るということ」
「『出てけ』と言ってませんよと言い訳ができてしまう」
「『日本人ファースト』が支持層に対して排外主義、ヘイトスピーチを煽る」
「当然言っている側も分かっていないわけがない」
要は、
「日本人ファースト」
の主張が、ヘイトスピーチに当たるというわけである。
テレビ局は、放送法第4条によって放送番組の編集にあたって
「政治的に公平」
であることが求められており、何か主張したい時には
「識者」
の口を借りて言わせるのが、伝統的手法である。
つまり、TBSは参政党の主張を
「ヘイトスピーチ」
視しているといっても過言ではない。
更に火に油を注いだのが、キャスターのコメントだった。
「外国籍の人たちと全く関わらずに生活をする人は、ほとんどいないと思うんです」
「自分の一票が、ひょっとしたらそういった身近な人たちの暮らしを脅かすものになるかもしれない」
「これまで以上に想像力をもって投票しなければいけないなと感じています」
■やっぱり「偏向報道」?
番組の流れから
「参政党に投票すると、在日外国人の生活を脅かす」
と主張し、同党に投票しないよう呼び掛けているように受け取れる。
少なくとも私はそう受け取った。
これは、いただけない。
案の定、参政党はTBSに
「不当な偏向報道だ」
と強く抗議、放送倫理・番組向上機構(BPO)放送人権委員会に申し立てる方針を明らかにした。
TBSと近い関係にある毎日新聞は
「識者は『報道への圧力』と指摘」
と擁護したが、ネットでは、X(旧ツイッター)でトレンド入りするほどの盛り上がりをみせ、支持者を結束させた。
私は選挙期間中であっても、新聞やテレビが特定政党や政治家の政策を批判的に取り上げるのは、有権者に投票の判断材料を提供するという観点からアリだと思う。
しかし、批判対象に反論の機会を与えなければ、フェアではない。
今回の
「報道特集」
は、放送法を持ち出すまでもなく、作り手の
「参政党嫌い」
が、露骨に出て、感情的になり過ぎ相手の土俵に乗ってしまった。
結果的にTBSは、意図とは逆に参政党を勢いづかせたのである。
いずれにせよ2025年7月20日は、日本政治の激動の始まりとなろう。

登山家・野口健氏「自国民ファースト当たり前」 参院選念頭、ネパール入山対応を例に私見
2025/7/17 12:58
https://www.sankei.com/article/20250717-6SKWN2XICFDVTJZGRV6NINPRDY/?outputType=theme_election2025
登山家の野口健氏(51)は2025年7月16日夜、自身のX(旧ツイッター)を更新し、エベレスト入山に関するネパール政府の対応などのエピソードを引き合いに、
「自国民ファーストは当たり前」
と投稿した。
参院選(2025年7月20日投開票)を巡って
「日本人ファースト」
が議論の的になっていることを念頭に置いた発言とみられる。
野口氏は投稿で
「ネパールの話ですが」
と前置きした上で、エベレストの入山料について
「外国人は1人当たり15000ドル(来年2026年から25000ドル)」
「ネパール人登山家はほぼ無料」
と紹介。
自国民と外国人登山者で高額な差が設けられていることを指摘した。
その上で
「我々外国人は入山料を払っていますが、ネパール政府に差別されていると感じたことはない」
「ネパール政府が『ネパールファースト』は結構じゃないですか」
と私見を述べた。
現地山岳会関係者の
「ネパールの国立公園はネパール人のためにあるから無料(としている)」
との発言も伝えた。
また、関連する話として
「ネパールでは外国人は土地を買えません」
とも言及。
「インドと中国という大国に挟まれており、外国人が自由に土地を買えてしまえたら事実上、ネパールは奪われてしまうからと(考えられている)」
と解説した。
日本国内では、北海道のスキーリゾート地などで、中国など外国資本による開発や用地取得が進んでいる。
野口氏は投稿で、ネパール政府の対応を例に挙げ、
「自国民ファーストの内容は国々によって様々でしょうが、いずれにせよ
『自国民ファースト』
は当たり前ではないでしょうか」
とまとめている。

「ファースト」参政に8割賛意「騙す」自民は4割で最下位 各党ユーチューブコメント分析
2025/7/16 18:22
https://www.sankei.com/article/20250716-7XORDIPSEFKTFKQZ7FZJD3RRRY/?outputType=theme_election2025
2025年7月20日投開票の参院選で、各党のユーチューブ動画で最も視聴された動画に寄せられたコメント内容などを分析した。
コメント数は参政党と自民党がトップ2。
賛同(ポジティブ)と批判(ネガティブ)の割合では、参政動画はコメントの8割がポジティブだった一方、自民は4割に満たず、調査対象とした14党中、最低だった。
分析は動画配信支援などを手掛けるエビリー(東京・渋谷)のユーチューブ分析ツール「カムイトラッカー」を使用。
公示日の2025年7月3日から2025年7月11日までに各政党のユーチューブ公式チャンネルに投稿された動画のうち、視聴回数が最多だった1本に対し書き込まれたコメントの賛否比率を調べた。
コメント数トップは参政動画で、神谷宗幣代表が
「日本を諦めないで」
などと演説する内容で1775コメント。
次点は、石破茂首相(自民総裁)の写真を使い
「スピーディーな物価高対策」
などと政策を伝える自民の動画で、1660コメントを集めた。
賛否別では参政動画の81・6%がポジティブだったが、自民動画は36・4%にとどまった。
コメント内の語句を、出現頻度が高いほど大きな文字で表示される
「ワードクラウド」
化すると、両党とも自党の党名が最大。
参政はキャッチコピーである日本人ファーストの
「ファースト」、
自民は
「騙す」
なども目立った。
また、参政で「自民(党)」、自民で「参政」が、互いに頻出ワード入りした。
保守勢力である参政は自民から離れた保守層の受け皿になっているとの見方があり、ユーチューブの視聴動向にも反映された可能性がある。

参政・神谷氏「選挙後も日本人ファーストは変えずに活動」 「選挙の間だけ」発言を説明
2025/7/16 9:59
https://www.sankei.com/article/20250716-HI5LXRUDKZDYNE7Z7IRCOFH4EY/?outputType=theme_election2025
参政党の神谷宗幣代表は2025年7月16日、X(旧ツイッター)を更新し、参院選で掲げる
「日本人ファースト」
について
「選挙のキャッチコピーだから、選挙の間だけ」
とする自身の発言を説明した。
参院選後も日本人ファーストの方針や公約は変えずに活動すると明言した。
神谷氏は2025年7月14日、高知市で日本人ファーストという言葉が
「差別」

「排外主義」
を煽るのではないかと問われ、
「そうは思っていない」
「それはないようにしたい」
と述べた。
その上で
「選挙のキャッチコピーだから、選挙の間だけなので」
「終わったらそんなことで差別を助長するようなことはしない」
と述べた。
メディアに対し
「なぜ一般国民が日本人ファーストに反応するのか考えてほしい」
「差別ではなく、もっと自分たちの暮らしや国益を守ってくれという政治家への『喝』なので、それを差別と置き換えるのは違う」
と苦言を呈していた。
SNSでは
「選挙に勝つためだけ」
「選挙終わっても外国人問題は続くのに?」
といった失望する意見も散見された。
神谷氏は2025年7月16日、Xで
「公約を包括するキャッチコピーとして使うのはとりあえず今回の選挙期間中だけという趣旨で発言している」
と説明。
「もちろん選挙が終わった後も『日本人ファースト』の方針や公約は変えずに活動する」
と言い切った。

外国人問題討論 参政・神谷氏「日本人ファースト」に社民・大椿氏「敵を見誤らないで」 
2025/7/14 11:18
https://www.sankei.com/article/20250714-MYJKC6QMQJH7TPWLUBKU3F6XN4/
与野党幹部は2025年7月13日のNHK番組で、参院選を巡り討論を行った。
外国人の受け入れを厳しく規制する立場の参政党と日本保守党に対し、社民党などが
「排外主義に繋がりかねない」
と反発する一幕があった。
参政党の神谷宗幣代表は司会者から参院選の終盤で訴えたいことを問われ、
「日本人ファーストの政治を実現したい」
と改めて述べた。
減税と積極財政による経済成長に続き、外国人問題を挙げた。
「過度な外国資本や移民の受け入れは国民に混乱を生む」
「ルールを設定しないといけない」
と述べた。
選択的夫婦別姓制度については
「反対は保守党とうちしかないので、頑張って声を挙げたい」
と語った。
日本保守党の有本香事務総長は、消費税の税率を酒類も含めゼロにすることや、太陽光や風力発電など再生可能エネルギー普及のため電気料金に上乗せされる
「再エネ賦課金」
の廃止を訴えた他、
「野放図な移民政策を止める」
と強調した。
「これらは全て経済政策であると同時に、安全保障でもある」
「日本を日本として守っていく」
「そして、日本を確かな成長軌道にもう1度戻す」
と訴えた。
これに対し、社民党の大椿裕子副党首は
「日本人ファーストや税金は日本のために使うなど、外国人規制に関する政策を訴える声が非常に大きくなっている」
「結果として排外主義に繋がると危機感を持っている」
と述べた。
その上で、
「私たちの生活の苦しさは自民党政治が大きな原因だ」
「有権者には『敵を見誤らないでほしい』『戦うべき相手と戦ってほしい』と強く思っている」
と語った。
共産党の小池晃書記局長も
「民族差別を煽るような排外主義には反対だ」
と述べた。

「寛容のドイツ」一転、移民規制を強化 シリア難民90万人 統合の難しさ浮き彫りに
難民危機10年 欧州の変貌
2025/7/12 21:27
https://www.sankei.com/article/20250712-IZX6L2N7PRNJ3GTECQOJ53O6AM/
2015年の欧州難民危機で
「寛容な受け入れ」
を主導したドイツが、移民対策で欧州の最強硬派に変わりつつある。
少子化時代の労働力の担い手として大量移民に期待したが、相次ぐ犯罪で不安が広がり、規制強化に動いた。
異なる文化や価値観を持つ外国人を社会に統合する難しさも浮き彫りになっている。
「わが国の統合能力には限界がある」
「施設も支援も手いっぱいなのだ」
独内相のドブリントは2025年6月末に連邦議会で、政府の移民規制を正当化した。
国境検問の再開や難民家族の呼び寄せ停止といった厳しい姿勢を矢継ぎ早に打ち出してきた。
国境検問で難民申請者の入国を拒み、違法判決を受けたが、続行の構えを崩さない。
「移民流入への抑制効果がある」
と強調した。
ドイツには2015年以降、内戦下のシリアから約90万人が流入した。
当時、国民は国境で難民を温かく迎え、首相のメルケルは
「私たちにはできる」
と鼓舞した。
だが、そんな熱狂は過去のものになった。
2025年2月の世論調査で
「移民が多すぎる」
と答えた人は81%。対象となった西欧7カ国で最多だった。
■町長になった難民
シリア難民のリヤン・アルシェブル(31)は、
「治安悪化への不安は、よく分かる」
「どうしてもドイツに溶け込めない人がいる」
と話す。
2015年に地中海をボートで渡り、ドイツでゼロから言葉を学んだ。
今は独西部オステルスハイムの町長を務める。
2023年の選挙で当選し、
「統合モデル」
として一躍注目の人となった。
「どうやって住民の信頼を得たのか?」
と聞くと、
「ここは保守的なキリスト教徒が多く、人口2500人の田舎町」
「それがよかった」
「私は1人暮らしで、みんなに支えられ、親しくなれた」
と答えた。
町長になる前は、職業訓練で近隣の役所の手伝いをしていた。
実直な仕事ぶりが認められ、週末に住民たちとビールを飲む仲になった。
独市民権を取得後、
「選挙に出たら?」
と擁立された。
「シリアに帰れ」
という罵声を浴びたこともあるが、新風を求める有権者の支持を得た。
■「西欧の価値観」と距離
アルシェブルは自身の経験を踏まえ、
「シリア人だけで都会に集まり、ドイツ社会との断絶が生まれる」
ことを懸念する。
彼の脳裏にあるのは、ベルリンにできた
「シリア人街」
だ。
難民たちが集まるようになった一角で、アラビア語の看板やパレスチナ旗が溢れ、ベール姿のイスラム女性が行き交う。
白人はほとんどいない。
西欧の首都に別世界が広がる。
難民のサアド・カイヤリ(62)はシリア人街の常連の1人。
2015年、妻子を連れてシリアから欧州に渡った。
支援施設でドイツ語を習得したが、ずっと定職に就けなかった。
「受け入れてくれたドイツには感謝する」
「だが、友人はできず、寂しい」
と疎外感に悩む。
カイヤリは、西欧流の男女平等に馴染めない。
素足や胸元を晒すドイツ人女性が通りかかると、
「なんだ、あの格好は」
「孫娘には絶対に真似させない」
と憤る。
馴染みの水たばこ店は男性客ばかり。
女性が入れない空間がある。
■「1割は統合できない」
ドイツ西部カルフ郡の首長、ヘルムート・リーガー(62)は
「どんなに努力しても、難民の1割は統合できない」
「暴力や麻薬取引に走る人がいる」
と指摘する。
リーガーは首相、メルツの保守系与党、キリスト教民主同盟(CDU)に所属し、カルフで難民受け入れ体制の指揮をとってきた。
10年間の経験から育った環境や文化の違いを軽く見るべきではないと実感している。
「ドイツでは女性も働く」
「同性結婚ができる」
と教えても、受け入れられない人がいるからだ。
郡役場の難民支援窓口では約2カ月に1度、暴れる人が出るという。
「職員を守るため、窓口に緊急ブザーを設置した」
と話す。
■相次ぐ犯罪で偏見深まる
今年2025年2月、ベルリンではシリア難民がホロコースト(ユダヤ人大虐殺)追悼施設にいた観光客を刃物で刺した。
2025年6月には公共プールで、若い男の集団が少女8人にわいせつ行為をする事件が発生。
報道によると、逮捕された4人はシリア人だった。
騒ぎの度に
「移民が平和だったドイツを変えた」
という反発が広がり、偏見も深まる。
リーガーは、かつてメルケルの寛容な移民政策に共鳴した。
今は考えを変えた。
「あの時、国境管理がなし崩しになった」
「『誰を迎え入れるのか』は、国が決めねばならない」
ドイツ経済研究所は2025年1月、経済成長を保つため
「2029年までに150万人の移民が必要」
と試算した。
2015年以降、シリアやウクライナから計650万人の外国人が来たのに、人手不足を移民で補うシナリオは計算通りに進んでいない。
敬称略

クルド人問題を見ると「日本人ファースト」は当然だと思う。
外国人との共生などという綺麗事よりも、実際に外国人から日本人が受けている迷惑の方が重要な問題だ。

外国人問題「報道しない自由」が新たな分断と対立を生んでいる 参院選の争点に突如浮上
メディアウォッチ 皆川豪志 
2025/7/13 13:00
https://www.sankei.com/article/20250713-L4UHUKWKDRDXVGSWJEDXOHSZRA/?outputType=theme_election2025
自民党の参院選公約に
「違法外国人ゼロ」
が盛り込まれたこともあって、一部外国人による住民トラブルや不法滞在者などの外国人問題が突如、参院選の争点に浮上した。
ANN(テレビ朝日系) が公示日の今月2025年7月3日から7日まで参院選に関するX(旧ツイッター)投稿について調べたところ、
「消費税」(98万)

「減税」(91万)
を上回って
「外国人問題」に関する投稿が163万
でトップだったそうだ。
その割には、新聞やテレビなどの「オールドメディア」は、この問題にからんで実際に起きている事例や解決策などの具体的な報道が少ない気がする。
■「アベマTV」炎上
先の調査も投稿の中身にまでは触れていないが、少なくともインターネット上で好意的に捉えられている事案とは言い難い。
Xを含むSNS(交流サイト)では、言葉は悪いが、国民のうっぷんが相当たまっていることが見て取れるのだ。
いくら声をあげても何も改善しない。
むしろ悪い方向に進んでいる。
大手メディアもこの問題をほとんど報じないのだから、SNSで自ら発信するしかない――。
そんなもどかしい状況が繰り返されているのではないか。
例えば、先のテレビ朝日が事実上制作するインターネット番組「ABEMA(アベマ)TV」は先月2025年6月と今月2025年7月の2度に渡って埼玉県川口市のクルド人問題について特集したが、その内容を巡ってSNS上は2度とも
「炎上」
した。
2025年4月に放送されたNHK・ETV特集
「フェイクとリアル〜川口 クルド人 真相〜」

「偏向報道」
との批判が殺到し、再放送が一時延期された。
これらはむしろ
「報道している」
ケースだが、
「可哀相なクルド人」VS「ヘイトを繰り返す日本人」
という一面的な取り上げ方は否めず、実際にクルド人との軋轢に悩む地域住民にとっては
「まずは公平に自分たちの話も聞いてほしい」
と思ったことだろう。
一方で
「報道しない自由」
は益々顕著だ。
今月2025年7月1日、埼玉県議らが、川口市内の警察署でクルド人らに車を取り囲まれて怒声を浴びせられた騒ぎを告訴した件を巡って記者会見したが、報道したのは産経ニュースのみだった。
会見には、ほぼ全ての全国紙などが出席し、90分以上もの質疑応答が続いたにもかかわらずだ。
同様のケースに、川口市内の女子中学生が執行猶予中のクルド人男に性的暴行を受けた裁判もある。
各メディアとも毎回のように傍聴に訪れ、今月2025年7月4日には懲役10年が求刑されたが、こちらも記事にしたのは産経だけだった。
他はこの事件があったことすら報じていない。
■外国人のせいではない
実際、SNS上では
「外国人問題」
「クルド人問題」
そのものよりも、
「メディアがなぜ報道しないのか」
という不信感を持った投稿が目につく。
大手メディアはよく
「SNS情報は玉石混交」
「正しい取捨選択が必要」
などと、さもSNSの信用が置けないようなことを主張するが、大手メディアが取材したことすら発信せず、都合のよい情報しか出さないのであれば、受け取る側は、そもそも
「取捨選択」
すらできないではないか。
これが今、我が国で起きている
「外国人問題」
の本質である。
例えば、ある対立した問題で、客観的な立場にある人が一方の言い分だけを取り上げ続けたり、問題そのものを無かったことのように扱ったりしたらと考えてみてほしい。
もう一方側が不公平さを感じて何らかの声を上げたくなるのは当然だし、その声が次第に大きくなっていくのは想像できることだろう。
メディアは、そうした声も全て
「差別」
「ヘイト」
とレッテルを張り、外国人との
「共生」
だけを訴える。
このような言論空間が続けば逆に、抑えつけられた声が外国人に対する憎悪のようなものに発展する恐れすらある。
その不満がいつか爆発し、より一層社会の分断を増幅させるような事態になったとしたら、それはもう、決して外国人のせいではない。
メディアは何故そんな簡単なことに気づかないのだろうか。

参政党急伸させた「外国人問題」、失言連発の石破自民党は国民感情くみ取れず 岩田明子
さくらリポート
2025/7/13 12:00
https://www.sankei.com/article/20250713-EL2F6RGN4RMI5K5CR7U5HTDTCM/?outputType=theme_weekly-fuji
中盤戦に入った参院選(2025年7月20日投開票)で、神谷宗幣代表率いる参政党の支持が急伸している。
共同通信社が2025年7月5、6両日に行った全国電話世論調査(第2回トレンド調査)で、比例代表の投票先を聞いたところ、参政党は8・1%と、国民民主党(6・8%)や立憲民主党(6・6%)を上回って2位となった。
参政党を際立たせているのは
「日本人ファースト」
というキャッチフレーズだ。
外国人政策の抜本的な見直しを提案し、外国人による土地・不動産購入に厳格な制限を設けることなどを掲げている。
「外国人問題」
は以前から指摘され、現在では社会問題として認識されている。
参院選では、長引く物価高対策としての
「消費税減税」
の是非などに加え、外国人問題も重要争点となってきている。
この問題に対する国民不安の高まりをうまく汲み取ったことが、参政党の躍進に繋がっているのだろう。
■後手に回る自民党
これに対し、石破茂首相(党総裁)の自民党は後手後手に回っている。
石破首相が外国人関連施策の新組織を設置する考えを示したのは、参院選が公示された5日後の2025年7月8日だった。
2025年7月10日のBSフジの番組では、
「日本人が普通に働いて(東京)23区で部屋を持てないとすればおかしい」
と述べ、外国人を含めた投機目的の不動産保有の実態把握を早急に行う考えを示した。
ただ、2025年7月2日に行われた日本記者クラブ主催の党首討論会では、石破首相は外国人問題に関して、
「七面倒くさい日本語や日本の習慣」
などと発言して批判を浴びている。
今回の新組織設置は
「選挙を睨んだパフォーマンス」
と勘ぐられてもおかしくない。
今の自民党は、国民感情をすくい取れなくなってきているのではないか。
第2次安倍晋三政権時代には、こんな事態はあり得なかった。
当時の安倍自民党では毎日、
「有権者はどんな政策に反応するのか」
「どんな言葉が響くのか」
について、SNSも含めて分析を行って選挙運動に反映させていた。
現在では難しくなったが、各地の商店街での練り歩きを重視し、有権者と触れ合うことで生の国民感情を知ることに腐心していた。
■甘すぎる鶴保氏への対応
石破自民党が国民感情と乖離しているのは、鶴保庸介参院予算委員長の
「運のいいことに能登で地震があった」
との発言に対する対応からも伺える。
自民党内から鶴保氏の離党を求める声が上がったが、自民党の森山裕幹事長は鶴保氏に電話で厳重注意し、重い処分を科すことはなかった。
第2次安倍政権時代の2017年4月25日、今村雅弘復興相(当時)が派閥のパーティーで、東日本大震災について
「まだ東北で、あっちの方だったから良かった」
「首都圏に近かったりすると、莫大な、甚大な被害になった」
と述べると、パーティーに出席していた安倍氏は直後、
「東北の方々を傷つける極めて不適切な発言だ」
と不快感を示し、僅か1時間以内に更迭を決めた。
その前例からすると、今回の鶴保氏に対する対応は
「甘すぎる」
と言わざるを得ない。
■首相発言にも批判
トップの石破首相も自身の問題発言で批判を浴びている。
2025年7月9日の千葉県船橋市での街頭演説では、トランプ米政権との関税交渉について
「国益をかけた戦いだ」
「なめられてたまるか」
「たとえ同盟国であっても正々堂々言わなければならない」
「守るべきものは守る」
と述べた。
これに対し、国民民主党の玉木雄一郎代表は
「選挙対策として、相手のいない所で厳しい言葉を発するのは交渉を円滑に進める上でマイナスだ」
「国益に反する」
と批判した。
玉木氏の指摘はもっともで、日本国内でいくら強気をアピールしたところで意味はない。
EU(欧州連合)と連携するなど、トランプ政権に対抗する態勢を構築していない中での、石破首相の発言は
「戦略性を欠いている」
としか言いようがない。
■与党過半数も怪しい雲行き
石破首相は今回の参院選で、非改選を含めた自公与党の過半数維持を
「必達目標」
と位置づけているが、その実現すら雲行きが怪しくなってきたとされる。
衆院に続いて参院も少数与党となれば、選挙後の政治は更に不安定さを増す。
自民党の苦境は
「国民感情を汲み取れない」
という戦略ミスから、
「参政党に支持層を浸食された」
のが原因ではないか。
国民のニーズに寄り添った劇的な変化を遂げない限り、自民党は今後も厳しい状態が続くだろう。

参政党にも妨害行為相次ぐ「ヘイトだ」「デマだ」 党候補は「外国人含め、消費税廃止を」
2025/7/13 11:48
https://www.sankei.com/article/20250713-K6H7SJEOTVHDTIGTT27YFRTFSI/?outputType=theme_election2025
参院選(2025年7月20日投開票)を巡って、
「日本人ファースト」
を掲げる参政党への妨害行為が各地で相次いでいる。
2025年7月12日に同党がJR亀有駅前(東京都葛飾区)で街頭活動を行った際、
「ヘイト集団」
「参政党 ナチス」
のビラを掲げるアンチの人々が集結し、
「排外主義反対」
などと絶叫し続けた。
それに対し、党スタッフや支援者らは言い返すことはせず、抑制的な対応に努めていた。
■マスク姿でビラ掲げる
午後2時過ぎ、駅前の広場にマスクや帽子、サングラスを付けた約10人のアンチが集まっていた。
比例代表に擁立した新人、重松貴美氏(36)が選挙カーで、自己紹介を始めると、男性2人が最前列で野太い声を張り上げる。
「デマ宣伝やめろ!」
「人間にファーストもセカンドもないだろ!」
既に50人近い支援者が話を聞こうとしており、やや困り顔のスタッフは2人に対し
「選挙妨害になりますよ」
と伝えている。
一方、重松氏は
「政治とカネ」
が焦点になった昨年2024年10月の衆院選を振り返り、
「自民党、立憲民主党の公約の一丁目一番地が『国民生活を豊かにする』と全く関係なかった」
と指摘し、参政が消費税減税と積極財政を掲げ続けていることを挙げ
「唯一の国民目線だ」
と述べ、参院選での支持を訴えた。
「差別」
らしき言葉はないが、
「差別を煽るな」
などと罵声が飛ぶ。
■穏やかに語り合いたい
続いて、東京選挙区(改選数6、補欠1)に出馬した新人さや氏(43)は
「妨害する人に説明しようとすると、声が荒くなってしまう」
と述べ、
「本当は声なんか荒らげたくない」
「穏やかな気持ちで語り合いたい」
と苦言を呈した。
アンチが良く飛ばす文句が
「人間にファーストもセカンドもない」
だった。
さや氏は
「日本人ファースト」
について、
「訴えている政策は日本人だけのことではない」
「消費税廃止も全ての人にとって大事だ」
「日本に住んでいる外国の方も含めて生活が厳しい」
と反論した。
それでも、アンチは約30メートル後方の一角から集団で罵声を浴びせているが、スタッフらが
「妨害行為に冷静な対応をお願いします」
と書かれたビラを示したためか、罵声に反応する支援者は確認されない。
■外国人実習生の苦境訴え
一方、さや氏に先立って、登壇した経済評論家の三橋貴明氏は
「アンチの皆さん、お疲れさまでーす」
などと反応し、平成5年導入の外国人技能実習制度を巡る実習生の苦境を説明し出した。
「デフレが続き、企業は賃金を引き下げ、それでも人が足らず、外国の方々を日本に入れた」
「彼ら彼女らは日本人の7割の給料で奴隷的な労働を強いられた」
「転職もできない」
と述べ、アンチの方角に向かい、こう強調した。
「この政策を経済界の要望で推進した自民党」
「差別、差別言うなら、自民党に言え。お前ら」
「日本人として恥ずかしい」
「外国人の方々を安く働かせて」
「その恩恵を我々が受けた」
その上で、
「もうやめよう」
「日本で、きちんと日本人の所得が上がって、生産性が上がって、外国の方々に優しくできる、ちゃんとした日本を取り戻そう」
「これが参政党の言っている日本人ファーストだ」
と述べ、経済政策全般を見直すことで外国人の就労環境の実態を改善する必要性を訴えた。
参政党が矛先を向けたのはアンチの妨害行為よりも、石破茂政権だった。
■守るべきは消費税でなく国民
さや氏は、小泉進次郎農林水産相について
「水田の所に行って写真を撮ったりする」
「何の意味があるのか」
「データを見れば農業予算が足りないことは分かるはずだ」
と述べ、事実上の減反政策の継続を疑問視した。
小泉氏は2025年6月、水田の脇でパイプ椅子に座り、農業関係者と語り合う動画でX(旧ツイッター)に投稿している。
三橋氏は、自民党の森山裕幹事長が2025年6月の講演で
「消費税を守り抜く」
と発言したことを挙げ、
「守らなければいけないのは消費税ではなく、国民ではないか」
「国民を守らないなら、政治家を辞めろ」
と声を張った。
参院選を巡っては、東京選挙区に立候補している国民民主党新人、牛田茉友氏(40)が車で長時間追跡されたり、比例代表に社民党が擁立した現職、大椿裕子副党首(51)が街頭活動中に侮蔑的な対応を受けたりするなど、妨害行為が相次いでいる。

東京選挙区には、吉良佳子(共産)、山本譲司(れいわ)、吉永藍(無所属)、土居賢真(無所属)、藤川広明(諸派)、西美友加(社民)、小坂英二(保守)、さや(参政)、峰島侑也(諸派)、武見敬三(自民)、奥村政佳(立民)、牛田茉友(国民)、酒井智浩(みんな)、福村康広(諸派)、桑島康文(諸派)、渋谷莉孔(諸派)、奥村祥大(国民)、吉田綾(諸派)、鈴木大地(自民)、塩村文夏(立民)、吉沢恵理(無所属)、市川たけしま(諸派)、川村雄大(公明)、音喜多駿(維新)、平野雨龍(無所属)、山尾志桜里(無所属)、千葉均(諸派)、増田昇(無所属)、辻健太郎(諸派)、早川幹夫(諸派)、石丸幸人(諸派)、高橋健司(無所属)の32氏が立候補している。

<政治部取材メモ>ライバルは「身内」 参院比例で自民保守系が競合 参政躍進も不安要素
2025/7/14 10:00
https://www.sankei.com/article/20250714-YQLPM533CJPLRG7W6RKCTEA3GI/?outputType=theme_election2025
2025年7月20日投開票の参院選の比例代表で当選を目指す自民党の一部候補が、石破茂政権や党の方針とは一線を画した主張を展開している。
岩盤保守層を睨んだ政策が参政党など新興勢力にお株を奪われつつある中、従来の支持層の離反を食い止める狙いがある。
ただ、比例には主張が重なる自民保守系が多く参戦しているだけに、個人票がモノを言う戦いを勝ち抜くのは容易ではない。
■元安倍派の焦り
保守政治家の象徴とされた安倍晋三元首相の命日の2025年7月8日、参院選比例代表に立候補した自民の長尾敬元衆院議員が炎天下の東京・渋谷でマイクを握った。
旧安倍派に所属した長尾氏は
「本来であれば心穏やかに安倍元首相の御心に思いを馳せる、そんな1日にしたいところだが、そうも言っていられない」
と切り出し、スパイ防止法の制定や外国人による土地買収規制など保守層を意識した主張を展開した。
自民が公約の柱に掲げる
「2040(令和22)年に名目国内総生産(GDP)1千兆円」
の目標に関しては、
「減税と公共投資を中心とした強力な財政出動によって成し遂げる」
と訴えた。
具体的な減税策としては首相が否定する消費税減税を提案。
「我が国の経済停滞の最大の原因は消費税だ」
「経済成長なくして財政再建なし」
と、安倍氏がよく口にしたフレーズを引用し、声を張り上げた。
足を止めて演説に耳を傾ける人はほとんどいなかった一方で、長尾氏の訴えに
「そうだ」
と呼応し、日の丸の小旗を振る熱心な支持者の姿も見られた。
海外からの就労者や観光客の増加に伴う外国人問題への対応強化は、反対派にとってセンシティブな訴えだけに街頭演説を荒らされる候補もいる。
長尾氏と同じ自民の比例代表候補で、旧安倍派に所属した杉田水脈元衆院議員は2025年7月4日、トルコの少数民族クルド人の一部と地元住民との摩擦が表面化している埼玉県川口市でマイクを握った際、怒声で演説を妨害されたとして警察に被害届を提出した。
杉田氏の公式ユーチューブチャンネルには、聴衆の一部が外国人問題について
「お前らの妄想だ」
と声を荒らげたり、杉田氏に対し
「ヘイトスピーカーが」
などと罵る様子を収めた動画が投稿されている。
■自民に来るべき票が…
一部の比例候補が保守色を強める背景には、安倍氏を失い
「左傾化」
する自民への危機感がある。
令和5年に成立したLGBTなど性的少数者への
「理解増進法」

「選択的夫婦別姓」
を巡る対応などに嫌気がさした結果、岩盤保守層は自民離れを加速させている。
2025年7月6月の東京都議選でも複数の報道機関の出口調査で自民が旧来の支持層を固めきれなかった実態が浮き彫りになった。
これに、保守的な政策を前面に打ち出す参政党など新興勢力の台頭で
「埋没しかねない」
という不安が追い打ちをかける。
特に参政党は
「日本人ファースト」
を旗頭に外国人による不動産取得の規制強化などを唱えており、自民の保守系候補と訴えが重なる部分が多い。
参政党は都議選で初めて議席を獲得するなど一部の自民支持層を取り込んでいるとみられる。
自民関係者は
「ここ数年、LGBTや選択的夫婦別姓の問題を巡って党内で収拾がついていない」
「参政党や日本保守党の得票は本来、自民に来るべき票だ」
と危機感を露わにする。
前回令和4年の参院選で自民は比例代表で18議席を獲得した。
今回は厳しい逆風に晒されており、現状では議席を減らすとの見方が大勢だ。
自民は比例に長尾氏や杉田氏ら31人を擁立した。
ある比例候補は
「14議席も取れるか分からない」
「本当に厳しい戦いだ」
と漏らす。
自民内では党内の比例当選ラインは個人票18万とも囁かれる。
身内同士の生き残りをかけた戦いは残り1週間を切った。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/776.html#c36

[政治・選挙・NHK297] 「高市早苗総理」誕生の最悪シナリオ 古谷経衡 猫と保守と憂国(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
69. 秘密のアッコちゃん[1784] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月03日 10:07:24 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1222]
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中国は尖閣に上陸する気だ
正論 2025年9月号 元陸上幕僚長 岩田清文
2025年5月3日に尖閣諸島上空において中国海警局のヘリコプターによる領空侵犯事案が発生しました。
日本の主権と安全保障に対する新たな挑戦を提示したと言える重大な問題です。
本稿は、この事案に対する日本政府や与党の初期対応を検証します。
更に中国の行動からその戦略的意図を分析します。
加えて、中国が展開する「認知戦」の脅威を指摘し、これら複合的な課題に対処するための具体的な政策提言を行います。
政府の対応を検証してみましょう。
2025年5月3日に事案が発生した当日、外務省は通常の外交ルートを通じて抗議しました。
具体的には船越健裕外務事務次官が呉江浩中国大使に日本の主権を侵害する行為への抗議の意を表明、こうした行為が再発しないよう求めました。
ですが、こうした姿勢は「淡々とした」ものと言えます。
これまでの中国海警の行動は、主に尖閣諸島周辺の接続水域での執拗な航行や領海侵入が中心でした。
ところが今回の領空侵犯はヘリコプターによって日本の領空に直接侵入した点で決定的に意味が異なり、一段と深刻な主権侵害行為と見做されます。
一段ラダーが上がったのです。
その事態の深刻さを政府は十分に認識しているのでしょうか。
一方、自由民主党内はどうか。
自民党内ではより強い危機感が共有された、と言えるでしょう。
2025年5月9日の党部会では、中曽根弘文外交調査会長が
「いずれドローン(無人機)やヘリが尖閣諸島に着陸しないとは限らない」
と懸念を表明、中国政府への「遺憾」や「厳重抗議」だけでは不十分であると指摘しました。
また、木原稔安全保障調査会長は、航空自衛隊(空自)F-15の那覇基地からの対応時間や、高度・速度の制約に言及し、現状の対応体制の限界と、無人機増加への対応策の必要性を提起しました。
尖閣諸島は那覇基地から約400km離れ、F-15戦闘機がスクランブル(緊急発進)して現場に到達するには一定の時間が掛かります。
今回の事案では、中国海警のヘリコプターが領空侵犯を終え、着艦したところ、F-15は現場に向かう途上にありました。
また有人機とは異なる特性を持つ無人機に対し、F-15によるスクランブル体制だけで即対応できるか、といった具体的な問題も指摘されました。
事案発生から10日後の2025年5月13日、岩谷毅外務大臣は記者会見で
「今般の事案は、近接した時刻に、我が国の民間小型機が、尖閣諸島周辺を遊覧飛行していたことを確認しおております」
と「遊覧」という表現を使いました。
ですが一部報道によれば、この民間機は
「奮闘する海上保安庁にエールを送りたい」
という80歳代の日本人男性が機長として計画したものでした。
政府が対応を協議し、男性に自粛を要請要請しましたが、聞き入れられずに飛行に至ったものでした。
「遊覧飛行」という表現は一般的に観光やレジャーを目的とした、比較的無害で偶発的な飛行という印象を与えます。
ですが、一部報道によれば、これは尖閣諸島周辺の日本の主権維持活動の支援またはその状況の視察という「激励」の意味だったそうです。
これが事実なら岩屋外相の「遊覧飛行」という認識は不正解です。
「遊覧飛行」という表現によって、中国の動きの深刻さを矮小化してしまう恐れも見逃せません。
岩屋外相はまた
「航行の安全を図る目的で」
「尖閣の領有権を主張する中国を過度に刺激しないよう飛行の自粛を求めていた」
とも述べました。
この発言も批判を招きました。
「尖閣の領空は我が国の主権が有効に支配され、安全に飛行できる地域ではないのか」
という疑問を提起してしまいます。
もし民間機が安全に飛行することができない危険空域ならば、それは日本の施政権が及んでいないのではないか、という根本的な疑念に繋がるでしょう。
今後の対応にも岩屋外相は「遺憾」を表明するに留まり、具体的な対策は示しませんでした。
こうした発言を見ると、政府の対応は極めて不十分であると言わざるを得ません。
■「日本に非がある」に対抗せよ
今回の中国海警ヘリによる領空侵犯は、単なる偶発的な事案ではなく、中国の明確な意図と計画性に基づいた行動だったと認識すべきです。
中国は、日本の民間機の航跡を事前に把握していました。
領空侵犯も民間機の尖閣沖到達に合わせたかのようなタイミングで行動を開始しました。
これは、中国が周到な準備を行い、事態を意図的にエスカレートさせたものだと言えます。
中国の行動は、これまでの小規模な既成事実を積み重ねながら、現状を徐々に変更していく所謂「サラミスライス」戦術が終焉し、次の段階として尖閣諸島への「上陸」を視野に入れている。
その可能性が高いのです。
中国はこれから一層領海侵入や領空侵犯を繰り返して常態化させ、最終的な占拠・上陸に向けて能力向上を着実に進めている。
そのことは明らかです。
2021年から2024年までアメリカ太平洋艦隊の司令官を務め、現在は米インド太平洋軍司令官であるサミュエル・ジョン・パパロ大将が
「中国の演習というのは
『2027年までに人民解放軍及び海警の侵攻態勢を完了させる』
という習近平主席の
『奮闘目標』
に向けた
『リハーサル』
である」
と指摘している通り、今の中国の動きはそうした長期的な戦略的意図を踏まえたものと言えます。
日本は「認知戦」の脅威に晒されていることをしっかり認識しなければなりません。
中国は2025年5月3日に尖閣を領空侵犯した直後から、国防部や外交部を通じて自分たちの行動は「正当な法執行」だったと繰り返し強調し、自らの行動を正当化する情報発信を活発に行っています。
これに対する日本政府の対応は、前述した外務次官による中国への抗議に留まり、連休中はほとんど動きがなく、岩屋外相の会見は事案が発生してから10日後でした。
これは、日本が認知戦に臨んだ対応をほとんど行っておらず、メディアへの情報提供も不十分だったことを物語るものです。
ある元海上保安庁の高官の方が先般、あるメディアに出られて海上保安庁の認識を説明していました。
2012年に初めて尖閣に中国海洋局の航空機が入って来た時も、それは日本政府によって尖閣諸島の国有化を図ったことが理由だった、と述べていました。
今回の領空侵犯も日本の民間航空機が尖閣に入ってきたから中国の領空侵犯があった、だから日本が領空侵犯のきっかけを作ったのだ、という考えでした。
私は正直、椅子から落ちそうになるほど驚きました。
中国が領空侵犯をしたのです。
日本の民間航空機が飛行したことは適法な行為です。
にもかかわらず、日本側がその切っ掛けを作ったのだ、というまるで日本に非があるかのような発言で、しかも海上保安庁にいた元高官による発言です。
非があるのは日本で、中国の行動は正当だった、という中国の認知戦がここまで浸透しているのか、と考えさせられる深刻な出来事でした。
■4つの提言
では日本がやらなければならない今後の対応を提言します。
ここまでの課題認識に基づいてここでは以下の4つを政策提言します。
まず国家の意思を明確に示すことですが、国家のトップが、中国に対し日本の意思を見誤らないようにと明確に表明すべきです。
国家の意思を明確に示す理由はそれが抑止力の根幹を成すからです。
抑止力とは単に軍事的な「能力」(ハードパワー)を示すことだけではありません。
その能力を相手に明確に伝えることで初めて機能します。
そしてそれは現場の部隊が効果的に任務を遂行する法的な意味でも政治的な意味でも基盤となります。
権威主義的な国家というのは相手国の意思の曖昧さや弱みを見抜くと強硬な行動に出る傾向があります。
中国の「グレーゾーン」戦略は正にその典型で
「戦争ではないが平和でもない」
領域において全面的な戦争に至らないような圧力や威嚇、挑発を繰り返し、徐々にレベルを上げながら相手の主権や権益を奪っていくというものです。
ですから、国家のトップが明確な意思を示さなければ
「この国は本気ではない」
という誤ったメッセージを与えてしまいますし、それでは更なる挑発を招いてしまいます。
安倍晋三元首相が在任中、中国の習近平主席と会談の際、尖閣諸島について
「日本の意思を見誤らないように」
と強調していたのはまさにそうした誤りに陥らないようにするためで、正しい対応です。
これが重要なのです。
また、尖閣諸島の実効支配を確実なものとしなければなりません。
日米地位協定で、米軍射爆撃訓練場として指定されながら1979年以降、未使用となっている大正島や久場島を、日米共同訓練施設、特に空自戦闘機の射爆撃訓練場として活用することを検討すべきです。
これによって日米同盟の抑止力を強化しつつ、この地域における日本の実効支配を事実として確立することが可能となります。
更に航空自衛隊の即応体制を強化すべきです。
前述したように今回の領空侵犯事案ではF-15の到着が、中国ヘリの領空侵犯に間に合いませんでした。
距離的な不利が露呈しました。
対応時間の短縮を図るため、宮古島の下地島空港に空自基地を開設し、領空侵犯対応のみならず、有事における制空権を確保できる能力を高めなければならない。
そのことを提言します。
下地島空港を軍事利用するには沖縄返還以前の「屋良覚書」や「西銘確認書」という歴史的経緯に根差したハードルが存在します。
「屋良覚書」と「西銘確認書」は沖縄返還以前の1971年、琉球政府と日本政府の間で交わされた文書です。
これらの文書では趣旨として空港を航空訓練と民間航空以外の目的では使用しないという約束が交わされました。
今も沖縄県が軍事利用に反対する際に根拠として示すものです。
また沖縄が抱える米軍基地負担の歴史的背景、あるいは南西諸島の更なる軍事化への懸念もあって、県だけでなく地元住民による抵抗も強いのです。
ですが、現在の安全保障環境は当時とは大きく異なっています。
県の管理である下地島空港を国の管理へと改めることを追求すべきです。
■海保法25条という問題
次に海上保安庁の領空侵犯に対応する能力を向上させるべきです。
尖閣諸島周辺における日常的な対応を担う海上保安庁の能力向上が喫緊の課題となるからです。
海上保安庁に対し、尖閣諸島周辺に限定した対領空侵犯対応任務(民間機や治安機関に対する警察権行使)を付与することを提言します。
日本の領空侵犯への対応は、原則として航空自衛隊(空自)の任務となっており、海上保安庁には許されていません。
海上保安庁法には、海上保安庁が軍隊になることを防ぐ規定(第25条)もあります。
ですが、他国の治安機関や民間機の領空侵犯に対して海上保安庁が警察として対応することは、この規定が想定する軍事行動には当たりません。
むしろ、同じ治安機関同士が対応することで、現場での迅速な対処が可能となり、事態が不必要に悪化するのを防げます。
従って、尖閣諸島周辺での領空侵犯に備え、海上保安庁に民間機や他国の治安機関機に対する警察権の行使を認め、必要な能力と権限を与えるべきです。
最後に、前述した中国が活発に展開する認知戦に日本政府は抜本的な対応を行うことが欠かせません。
今回の事案における政府の対応の遅れと情報発信不足は、日本が認知戦対応を怠っている証左でもあります。
2022年12月に策定された「国家安全保障戦略」を含む安保3文書では、偽情報を含む認知戦・情報戦への対応能力を強化することと、そのために政府内の体制を整備するよう明記されています。
しかし、策定から2年半が経過しても、その具体的な進展は見られません。
政府は、この戦略的文書に明記された方針に基づき、認知戦に対応するための組織と体制を早急に整備し、中国のプロパガンダに対抗する情報発信を強化すべきです。
■浮き彫りの課題を放置するな
尖閣諸島における今回の領空侵犯事案は、中国の戦略的意図と能力向上、そして日本が直面する認知戦の脅威を明確に示しました。
日本は、この複合的な課題に対し、国家意思の明確化、防衛能力の強化、海上保安庁の役割拡大、そして認知戦への積極的な対抗という多角的なアプローチを統合的に実行することで、我が国の主権維持を揺るぎないものにしていく必要があります。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/773.html#c69
[政治・選挙・NHK297] 米価高騰「流通悪玉論」は真っ赤なウソだった! コメ不足を招いた農水省“見込み違い”の大罪(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
22. 秘密のアッコちゃん[1785] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月03日 16:36:02 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1223]
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国民民主と参政、外国人の不動産取得規制に前向き 法案への態度は「リトマス紙」
2025/8/3 14:37
https://www.sankei.com/article/20250803-XPES357HHVIUDM4ABJXJGZT5QU/?outputType=theme_election2025
参院選では外国人の不動産取得規制を訴えた国民民主、参政両党が大きく躍進した。
国民民主は早ければ秋の臨時国会で、外国人や外国企業による不動産購入への規制強化に向けた法案を提出する方針だ。
一方、参政は党内に組織を立ち上げて準備を進める。
従来は安全保障の観点から規制の必要性が語られてきたが、新たに住宅政策の視点も加わってきた。
「自国民に一定のリーズナブルな値段で住宅を提供していくことは国家の責務だ」
「普通に頑張って働いて、税金も払っているサラリーマンが東京でまともに家を買えないのはどうなのか」
国民民主の玉木雄一郎代表は2025年8月1日、国会内で記者団に外国人や外国資本による不動産規制の必要性を改めて訴えた。
国民民主は参院選公約に、居住目的ではない外国人の住宅購入に追加の税負担を求める
「空室税」
の導入などを打ち出した。
玉木氏は外国人による投機目的の不動産購入が首都圏の住宅価格の高騰を誘引し、結果的に日本人が購入を諦める事例が増えたとみる。
外国人による不動産取得規制について国民民主は安全保障の観点だけでなく、
「手取りを増やす政策」
の延長線上に位置づけた。
実際、首都圏を中心に住宅価格は高騰している。
不動産経済研究所が2025年7月17日に発表した今年2025年の上半期(1〜6月)の新築マンション1戸あたりの平均価格は前年同期比16・7%高い8958万円で、一般家庭には手が届きにくい価格になっているのが実情だ。
玉木氏によると、海外でもカナダに不動産登記による住居費の上昇などを抑えるため空き家に課税する
「投機・空室税」
という税制があるという。
外国人排斥を助長するとの指摘もあるが、玉木氏は
「外国人を排斥するとかではなく、自国民に適切な値段で住居に住むアクセスを可能とするのは大事な国家戦略だ」
と強調した。
参政も選挙戦で
「日本人ファースト」
を掲げ、安全保障の観点から外国人による不動産取得規制の必要性を訴えた。
神谷宗幣代表は今月2025年8月1日の記者会見で、党内で法案提出の準備と表明し、
「土地規制は重要であるかどうかに関わりなく、一般の投資でも外国人が買う場合は一定の税を課すなどの制限をかけていきたい」
と述べた。
参政は令和4年に施行された安全保障上の重要な土地の利用を調査・規制する土地利用規制法の改正を念頭に置く。
神谷氏は今年2025年1月、政府に提出した質問主意書で、土地利用規制法の施行後も中国を中心に自衛隊関連施設に近い土地取得が続いていることを指摘した。
その上で、土地取得そのものや使用目的の規制、税制上の措置などを盛り込み、実効性の高い制度に変えるべきだと主張した。
衆参両院で与党過半数割れとなる中、法案が提出された場合、与野党それぞれの立場が問われることになる。
いわば外国人の土地取得規制に関する「リトマス紙」となるのだ。
参政は法案提出の時期は明言していないが、国民民主は秋の臨時国会で外国人による日本の土地取得を制限する
「外国人土地取得規制法案」
の提出も視野に入れる。
玉木氏は中国人が一部を取得した笠佐島(山口県周防大島町)の現状について、
「現行の法体系では外国人の土地取得は防ぎようがない」
「何らかの規制が必要だ」
と話す。
神谷氏も
「昨今も島が丸々買われてしまう問題もあった」
「国民の関心事でもあり、地域住民の方の不安もしっかりとヒアリングしたい」
と語り、法案作成に向けた作業を加速させる構えだ。
参院選では外国人への規制を
「排外主義」
などとして非難する事態も起こったが、法案が提出されれば、外国人政策に対する各党の姿勢が一層、鮮明になりそうだ。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/775.html#c22
[政治・選挙・NHK297] 参政党は言行一致の政党だった!「多夫多妻」の提唱通り、党内は不倫やら略奪婚が花盛り 週刊誌からみた「ニッポンの後退」(… 赤かぶ
38. 秘密のアッコちゃん[1786] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月04日 11:29:40 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1224]
<▽35行くらい>
<主張>参院の憲法審会長 自民は党是を捨てたのか
社説
https://www.sankei.com/article/20250804-DQUUY5VKANLDXHLADRZMASMJIQ/
自民党が、自党で占めてきた参院憲法審査会の会長職を立憲民主党に明け渡した。
これで衆参双方の憲法審会長を、憲法改正に慎重な立民の議員が務めることになった。
極めて残念だ。
憲法改正は自民の党是である。
党総裁の石破茂首相は、これでいいと思っているのか。
居座りは認められないが、石破首相は続投の理由として
「比較第一党としての責任を果たしていかねばならない」
と語っている。
憲法改正という重要事をリードすることは、比較第一党の責任であるはずで、首相は言行が一致していない。
国会の審査会長や常任委員長などは、与野党に目配りしながら運営する立場である。
そうであっても実際は、どの政党の議員が務めるかで議論の在り方は変わってくる。
参院選で自民、公明党、日本維新の会、国民民主党などいわゆる改憲勢力の政党は、非改選と合わせて国会発議に必要な定数の3分の2を維持した。
その上、国民民主と参政党の躍進でその数を増やした。
衆院では3分の2を下回っている。
参院で憲法改正の機運を高め、議論を進める時であるにもかかわらず、改憲に後ろ向きの立民に参院憲法審会長の座を譲ったのは理解できない。
日本の守りを確かなものにするため、憲法第9条を巡る改正は必要だ。
自民や維新は第9条への自衛隊明記を主張している。
巨大地震や有事などへの懸念が高まる中、緊急事態条項の創設も急務だ。
衆院では自民、公明、維新、国民民主などは、国会議員の任期延長が必要との認識で一致している。
一方、立民は参院選公約に
「自民党の9条改正案は、平和主義を空文化させる」
と記した。
自衛隊明記に賛成していない。
議員任期延長を含む緊急事態条項の創設についても、憲法で参院の緊急集会が規定されていることや、緊急事態に応じた個別法の存在を理由に
「定める必要はない」
と否定している。
改憲の議論をするとしながら実質的には護憲政党だ。
その立民に参院憲法審の会長職を渡したのが石破首相、自民の松山政司参院議員会長、石井準一参院国対委員長、森山裕幹事長らである。
保守政治家の風上にも置けない。
猛省しなければならない。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/778.html#c38
[政治・選挙・NHK297] 伊東市長「続投表明」で大炎上!そして学歴詐称疑惑は「カイロ大卒」の小池都知事にも“飛び火”(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
42. 秘密のアッコちゃん[1787] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月04日 18:33:07 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1225]
<■119行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
石破首相よ、戦後80年「個人の見解」で中国の反日宣伝に手を貸すな 櫻井よしこ
美しき勁き国へ
2025/8/4 1:00
https://www.sankei.com/article/20250804-CBJSJPFKFFNBZNNKWI6RGYKDSM/
石破茂首相は閣議決定を経た上での戦後80年談話の発出は諦めたものの、首相個人としてのメッセージを
「秋以降」
にも出す意向だと、2025年8月3日付の朝日新聞が報じた。
首相補佐官の長島昭久氏は取材に対し、首相として戦後80年に巡り合ったことをもって、石破氏は文書発出が歴史に対する自身の責務と考えていると語った。
石破氏の自己陶酔が見てとれる。
後述のように文書発出は中国の反日宣伝に手を貸すことになるだろう。
自民は結党以来初めて衆参両院で少数与党に陥った。
選挙結果は石破氏に対する国民の断固たる拒絶である。
国民の願いは石破氏退陣にあり、戦後80年の見解発出などではない。
石破氏が首相の座に酔いしれている間に、中国は苛烈な反日歴史戦の火蓋を切った。
「南京大虐殺」
を扱った『南京写真館』、731部隊を扱った『731』、『東極島』の映画3作品の制作だ。
いずれも
「日本軍の残虐性」
を誇張した内容とされる。
『南京写真館』は公開後4日間で、5億元(約105億円)の興行収入を得た(「中国経済新聞」7月29日)。
同紙は
「中国人観客に『血脈の覚醒』とも言うべき共感」
をもたらした作品だと評価した。
反日感情はいや応なく過熱する。
そうした中、2025年7月31日に江蘇省蘇州で子供連れの日本人の母親が石で殴られる事件が起きた。
詳細は不明だが、早くも反日宣伝映画の影響が懸念されており、展望は暗い。
「南京大虐殺」
はわが国の研究者らによってなかったことが証明済みだ。
にもかかわらず中国は事実を曲げ日本への憎しみをかき立てる。
怒りの渦の中で2025年9月3日には
「抗日戦争勝利」
の大軍事パレードを迎え、日本の受難は終わらない。
石破氏は一連の反日歴史戦に何ら対抗策を講じていない。
その上、過去の戦争に関して反省の意を込めた文書を出すのであれば、中国にとって飛んで火に入る夏の虫である。
江沢民政権は
「愛国教育」
で日本を邪悪な国として教え、中国人民の憎悪の対象とすることで、中国共産党への人民の不満を回避した。
当時の中国共産党は緩みかけていた統制を強化し、求心力を高めようとしたのだ。
2012年に政権を継いだ習近平氏の政策はそれ以前とは一味も二味も異なる。真の意味で中国人民に共産党への忠誠心を植えつけ、党の絶対的権威を確立すべく、反日教育を深化させた。
習氏は、日本軍から中国を守ったのも、戦後の世界秩序の構築も共産党の貢献だったという偽りの歴史を創造し始めたのだ。
中国の習近平国家主席はブラジルでの中国やロシアなど主要新興国で作る
「BRICS」
の首脳会議を欠席し、2025年7月7日に百団大戦と呼ばれる大規模戦の戦跡を訪れたと、前中国大使の垂秀夫氏が指摘する。
新興国取り込みに熱心な習氏が抗日戦争勝利80周年のキャンペーンをより重視したからであり、敵対対象のわが国はとりわけ留意すべきだと強調した。
北京西南の山西省、百団大戦の戦跡は日本軍と中国共産党の八路軍が正面から戦った場所だ。
八路軍は100個連隊以上の兵力を結集した。
日中戦争の期間中、日本軍が八路軍から初めて甚大な損害を受けた戦闘である。
毛沢東の時代から今日まで、中国共産党の正統性の拠り所は
「抗日戦争勝利」
である。
だが、日中戦争で日本軍と戦ったのはおよそいつも国民党軍で、共産党軍は日本軍を見掛けると逃走するのが常だった。
日中戦争の主役は共産党でなければならないのにこれでは具合が悪い。
そこで習氏は共産党軍が攻勢をかけた戦いを歴史の主軸に据えるために、戦跡巡りをしたのだ。
共産党の正統性確立の第1の噓がここから始まる。
共産党神話の第2の噓は、戦後の国際秩序を形成した主力は中国共産党だった、国際連合設立も中国共産党の尽力故だというものだ。
国連創設に関わったのは国民党の蔣介石であり、毛沢東ではない。
しかし、共産党にとって史実の書き換えなど序の口だ。
共産党独裁政権の思考は私たちのそれとは異次元のレベルだ。
このような中国が対日歴史戦を仕掛け、反日感情を煽った背景には朝日新聞を筆頭とするわが国のリベラルメディアがある。
リベラル派の学者や研究者、言論人、政治家なども同類だ。
彼らは中国に都合の良い情報を提供し、中国の邪な野望に油を注いできた。
とりわけ朝日新聞は
「慰安婦強制連行」

「南京大虐殺」
などで虚偽の情報を煽った。
中国に注進し、彼らに果実をもたらした。
石破氏は今、首相個人として戦後80年の節目にわが国が戦争に突入した経緯を省みて見解を発表する構えだとされる。
石破見解が一旦発信されれば、閣議決定の有無にかかわらず、日本国首相の言葉として、必ず習氏の反日歴史戦を補強することになるだろう。
朝日新聞が果たしたわが国に対する歴史断罪の推進役を、石破氏も踏襲しようとするのか。
わが国を不条理に貶める中国共産党の反日歴史戦に一言も物申さずして、戦後80年の見解を発信することに何の意味があるのか。
「誠実」「謙虚」「真摯」などは石破氏の好む言葉だが、そうしたよき資質を尊ぶのなら、石破氏はまず、過去の自身の言動と現在のそれが著しく乖離していることを国民に詫びることだ。
残り僅かな在任期間の隙を狙って、中国共産党の不条理な反日歴史戦の一翼を担うような言葉は、日本国の政治家として発してはならない。
石破氏が真摯であることを大切にするのなら、速やかに退陣するのが筋である。

石破首相の「政治空白生まず責任果たす」に自民・長尾敬氏「続けることが空白」即辞任訴え
2025/8/4 17:38
https://www.sankei.com/article/20250804-WIV4ODYMWRAUJOFPTBRP2EN77M/
2025年7月の参院選比例代表で落選した自民党の長尾敬元衆院議員は2025年8月4日、党本部で開かれた参院選総括委員会に出席し、石破茂首相(党総裁)の引責辞任を改めて求めた。
「総裁は即辞任していただきたい」
と木原誠二選対委員長ら党執行部に伝えた。
長尾氏によれば、
「あなたのことは支持するが、投票すれば石破政権を延命させてしまう」
といった声が連日寄せられたという。
長尾氏は記者団に、落選の結果を
「自身の不徳の致す所」
と釈明した上で、石破政権下で自民が国政選挙や都議選で敗北を重ねていることについて、
「3アウトだ。責任問題がなければ、国民の声や投票行動の結果を聞かない政党とみられてしまう」
と危惧した。
首相は2025年7月28日の両院議員懇談会で続投の意思を表明し
「政治空白を生むことがないように責任を果たす」
と強調している。
長尾氏は
「このまま続けられることが空白ではないか」
と疑問視した。

自民が参院選敗因分析 落選者から石破首相の責任問う声「けじめを」「政策届かず」
2025/8/4 17:30
https://www.sankei.com/article/20250804-74FA2CA6F5JXFOB5STC3ISF5SQ/?outputType=theme_election2025
自民党は2025年8月4日、参院選の敗因を分析する総括委員会の会合を開き、選挙区と比例代表の落選者計23人から活動事情や要望を聞き取った。
有権者に響く政策発信を強化するよう求める声や、石破茂首相(党総裁)の責任を問う意見が複数上がった。
比例代表で3期目を目指した和田政宗氏は
「政策が国民に届いていなかった」
と指摘した。
経済評論家の岸博幸氏は
「自民党から出馬しているから駄目、と言う人が圧倒的に多かった」
と振り返った。
宮城選挙区の石川光次郎氏は
「けじめをつけなければ再出発はできない」
と訴えた。
保守系の長尾敬元衆院議員は、首相の即時辞任を要求した。
総括委は2025年8月5日、全国幹事長・政調会長会議をオンライン形式で開き、首相と森山裕幹事長が出席する。
これとは別に当選者にもヒアリングを行う。
2025年8月月内をめどに報告書を取りまとめる方針だ。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/777.html#c42

[政治・選挙・NHK297] 煮え切らない野田立憲には“踏み絵”に…国民民主党と参政党が「首相問責決議案」提出で共闘か? 永田町番外地(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
18. 秘密のアッコちゃん[1788] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月05日 08:12:09 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1226]
<▽36行くらい>
<主張>野田立民代表 内閣不信任案なぜ出さぬ
社説
2025/8/5 5:00
https://www.sankei.com/article/20250805-QZJW4HM2E5MZTGLCOJGSNECWVI/
立憲民主党の野田佳彦代表が参院選で民意を失った石破茂首相(自民党総裁)を支えている構図が、改めて浮き彫りになった。
2025年8月1日に召集された臨時国会で、内閣不信任決議案を出そうとしていないことである。
衆参2つの国政選挙で与党過半数割れを招いた石破首相は、民意を失っている。
居座り続けるのは、議会制民主主義に反している。
それを是正する手段が内閣不信任案の可決だ。
立民は野党第一党として他党にも呼び掛け、提出すべきである。
なぜこれほど簡単なことをしないのか。
野田氏が2025年8月1日の会見で内閣不信任案を出す動きをしていない理由を問われ、
「今は選挙の総括を行っている最中だ」
「途中で放り投げて不信任案を出すのがいいのか」
「決姿勢は秋でもいい」
と語ったのはおかしい。
2025年8月4日の衆院予算委員会でも、質問に立った野田氏は
「国民は石破政権にノーという意思表示をした」
としながらも、首相退陣を明確に求めなかった。
それだけでなく、企業団体献金の規制強化に向け
「膝を突き合わせて協議し合意していく気はないか」
と石破首相に呼び掛けた。
首相延命の手助けをしているとしか思えない。
物価高対策については
「民意で示されたことは減税だった」
として、自民が参院選で掲げた現金給付以外についても検討するよう求めた。
民意を失った石破首相に民意の履行を求めても無駄で、次期首相と話し合うのが筋である。
立民の小沢一郎衆院議員が今国会での内閣不信任案の提出を唱え、
「黙って見過ごすことは信任と同じだ」
と述べたのはもっともだ。
野田氏は参院選前の通常国会でも提出を見送っている。
民意の実現や政権の打倒に汗をかかない野田氏が率いる立民が、参院選で政権批判票の受け皿にならなかったのは当然である。
比例代表の得票数で、国民民主党と参政党の後塵を拝し、野党の中で3番手だった。
内閣不信任案提出を受けて衆院が解散されるのが怖いのかもしれない。
だが、民意よりも党利党略を優先するなら、党勢の衰えに拍車がかかろう。
臨時国会は2025年8月5日に参院予算委を開き、閉幕する予定だ。
今日1日残っている。
内閣不信任案を提出してはどうか。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/779.html#c18
[政治・選挙・NHK190] 山本太郎議員、永田町最大のタブーを追及 シラを切る政府(田中龍作ジャーナル) 赤かぶ
117. 秘密のアッコちゃん[1789] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月05日 15:46:27 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1227]
夫婦別姓法案、継続審査決定も 参政・吉川氏「賛成できない」保守・島田氏「潔く撤回を」
2025/8/5 14:05
https://www.sankei.com/article/20250805-NXSAI3RZ6NH5PDEMXZBTM5FTCI/
衆院は2025年8月5日の本会議で、選択的夫婦別姓制度を巡り立憲民主党、日本維新の会、国民民主党がそれぞれ先の国会に提出した法案を継続審査することを賛成多数で決めた。
2025年秋の臨時国会で3法案を再び審議する。
一方、これに先立つ衆院法務委で継続審査の是非を審議した際、参政党と日本保守党は反対に回った。
同委に所属する参政党の吉川里奈衆院議員はX(旧ツイッター)で、
「別姓三法案を2025年秋の国会で審議する『継続審査』には賛成できません」
と書き込んだ。
その上で
「皆さんは、法務委員会で何を優先すべきだと思いますか?私は、移民問題や治安悪化、出入国管理など、生活に直結する課題が最優先だと考えます」
と疑問視した。
日本保守党の島田洋一衆院議員もXで
「潔く撤回すべき」
「外国人の出入国在留管理など、より重要な課題が多々ある」
「優先順位を誤り続けるようでは、法務委員会に対する、心ある国民からの批判が高まるだろう」
と指摘した。

http://www.asyura2.com/15/senkyo190/msg/915.html#c117
[政治・選挙・NHK190] 山本太郎議員、永田町最大のタブーを追及 シラを切る政府(田中龍作ジャーナル) 赤かぶ
118. 秘密のアッコちゃん[1790] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月05日 17:48:33 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1228]
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日本からの強制退去”請求書”は誰に送るの?
正論2025年9月号 フィフィ
2025年7月8日、あるクルド人男性が強制送還されました。
この人物は難民認定の申請を6回も繰り返し、日本に20年間滞在していました。
日本のクルド人社会でリーダー的な存在だとされ、埼玉県川口市内で解体工事会社を経営し、メディアにも度々登場していました。
一部では、高級外車などを乗り回す様子を自身のSNSに投稿していたことなどから、
「本当に難民なの?」
と疑問を呈されていた人物です。
今回の強制送還は、令和5年に改正された入管難民法の規定によって実現しました。
従来のように難民申請中に強制送還を一律で停止するのではなく、3回目以降の申請者について、難民と認定すべき
「相当の理由」
を示す資料を提出しなければ、送還できるようになったのです。
今回のクルド人男性には、この新たな規定が適用された形です。
ただ報道によると重大犯罪者などと同様に、護送官が同行する
「国費送還」
でトルコに戻っていったそうです。
なぜ日本政府が負担しなければいけないのか、という疑問を抱くのは私だけではないでしょう。
自費で航空券などが用意できる場合にはそれを促しているようですが、本人が出国を拒否するケースでは
「国費送還」
になるそうです。
産経新聞によると令和5年までの10年間で日本から強制退去を命じられた外国人のうち9割程度は自費出国をしたそうです。
ただ、残りは今回のように公金を投入し出国させています。
場合によってはチャーター機を用意するケースもあるといい、これも平成25年からの8年で計8回、約2億円の費用がかかったそうです。
今後、不法滞在の取り締まりを強化していけば国の負担も大きくなりかねません。
何せ、日本は今、外国人労働者をどんどん受け入れようとしています。
強制退去させなければならないような人の割合は変わらなくとも、外国人の母数が増えれば、強制送還者の絶対数も増えるでしょう。
こうした問題は、環境や制度を十分に整備する前に、どんどん外国人を受け入れてしまうから起きるわけです。
そして、日本人は勿論、真面目に日本で生きている外国人も迷惑します。
この種の議論になると、決まって外国人を一括りにし、
「排外主義的だ」
などと批判する方々がいますが、それこそが
「外国人との共生」
の大きな障害でしょう。
川口市内では、外国人コミュニティによるゴミ出しのルール違反などの問題行動によって、地元住民らは治安悪化への懸念を募らせているとされています。
産経新聞は令和6年8月、令和6年4月に市内の解体資材置き場に、今回強制送還された男性を含むクルド人100人以上が集まり、大音量で音楽を流すなどの迷惑行為に及び、警察沙汰になったと報じました。
更にこの男性は、現場に駆け付けたある市議に対して
「今は日本人の理解が足りないけど、10年後は、我々を理解する日が来る」
などと言い放ったといいます。
こうした報道が全てではないにせよ、ここ最近はクルド人によるものが目立っていることは否めません。
しかし現に起きていることから目を逸らし、クルド人を殊更擁護するようなメディアもあります。
あるいは、不法滞在者を犯罪者ではないと擁護する団体まで存在しています。
先の男性について、私は
「何故かいつも強気に振る舞っているな」
などといった印象を抱いていましたが、何かあっても力強い”仲間”が後押ししてくれると思っていたのでしょうか・・・。
入管施設への収容後にも、
「入管に爆弾を投げてほしい」
「入管の前で車のクラクションを鳴らしてほしい」
などと呼び掛けていたとされます。
SNS上では
「送還費用を日本が負担するのは納得できない」
「トルコに請求すべき」
といった意見もあります。
もっともだと思います。
更には不法滞在者と知りながら雇用し、あるいは取引をした、つまり不法就労を助長したと言える企業にも送還費用を請求したくもなりますが、法制度上、それを実現することは容易ではありません。
ただ、個人的には、不法滞在者からの寄付に感謝状を贈呈するといった、彼らを公然と擁護しているとしか見えない振る舞いをした政治家などには、”請求書”をお送りしたくなりますね。

<独自>難民申請6回の川口クルド男性、トルコ強制送還 メディア出演、大野知事が感謝状
「移民」と日本人
2025/7/8 16:30
https://www.sankei.com/article/20250708-BJXOQUUMMZDCLHU3NFTIZ74ACM/
不法滞在外国人の居座りを防ぐ出入国在留管理庁の新たな計画
「不法滞在者ゼロプラン」
が本格化する中、埼玉県川口市で難民認定申請を繰り返していたトルコ国籍のクルド人男性(34)が2025年7月8日午前、成田空港から民間機で強制送還された。
現在、トルコへ向け飛行中という。
男性はメディアにも度々登場、日本に在留するクルド人の現状などを訴えていた。
入管関係者によると、男性は昨年2024年末、5回目の難民申請が不認定となり、6回目の難民申請中だった。
昨年2024年6月の改正入管難民法施行により、難民申請が3回目以降の人を強制送還できるようになったことから、強制送還された。
ゼロ計画の柱である
「護送官つき国費送還」
の一環という。
男性は川口市に2004年に来日し20年以上滞在。
難民申請が認められず、難民認定を求めて最高裁まで争ったが、敗訴が確定している。
その間、不法滞在状態で入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免の状態が続いていた。
妻や兄の名義で解体工事会社を実質経営し、昨年2024年1月には同社が埼玉県の基金へ100万円を寄付したとして、大野元裕知事から感謝状を手渡された。
メディアにもクルド人の現状を訴える男性として、度々登場していた。
一方で、今年2025年3月には同居女性を殴って怪我させたとして傷害容疑で埼玉県警に逮捕され、その後釈放された。
ゼロ計画は2025年5月に公表。
約7万人に上る不法滞在者の中でも、強制送還を拒否する
「送還忌避者」
約3千人を今後5年半で半減させるとの目標を掲げている。
特に難民申請3回目以降の人や重大犯罪者を中心に、護送官つきの国費送還を進めている。

「入管を爆破せよ」送還のクルド男性、搭乗時に大声上げるも最後は涙「アベマに出すぎた」
「移民」と日本人
2025/7/8 16:50
https://www.sankei.com/article/20250708-MGLAL4TAONCZDLSIZC3PWZ6LBU/
わが国に約20年に渡り不法滞在し、難民認定申請を6回繰り返した末、トルコへ強制送還された埼玉県川口市のクルド人男性(34)は2025年7月8日、成田空港発の民間機で日本を離れた。
入管関係者によると、男性は
「旅券を取り直し、近隣国を経由して日本に戻ってくる」
と話していたという。
男性は川口市内で解体工事会社を実質経営。
高級外国車のフェラーリやクルーザーを運転するなどしてSNS上でも知られ、在留クルド人社会でもリーダー的な存在だった。
昨年2024年4月には、解体資材置き場にクルド人100人以上が集まり、大音量で音楽を流すなどの迷惑行為で警察が出動。
注意した市議に対し
「今は日本人の理解が足りないけど、10年後は我々を理解する日がくる」
と言い放った。
インターネットの「ABEMA(アベマ)TV」にも複数回出演。
発言が物議を醸したこともあった。
男性は
「今回収容されたのは、アベマに出演し過ぎたせいかもしれない」
などと話していたという。
入管施設への収容後は、仲間に対し
「入管に爆弾を投げてほしい」
「入管の前で車のクラクションを鳴らしてほしい」
などと抗議を呼びかけ。
「入管施設から出たらアベマに出演してやる」
と話していたというが、呼応する動きはなかったという。
2025年7月8日の送還時は護送官に伴われ、民間機で帰国。
搭乗する際には大声を出して抵抗したものの、最後は諦めて泣いていたという。
男性はトルコ南部ガジアンテプ郊外の村出身。
実家は集落でも一際目立つ2階建ての豪邸で、昨年2024年、産経新聞記者が現地取材した際は日本から携帯電話をかけ、
「今オレが軍隊を呼んだ」
「軍も警察もお前を探している」
と話していた。

「アバレルヨー」絶叫、放尿、脱糞も 不法滞在者、強制送還の実態 チャーター機代2億円超
2023/9/16 14:03
https://www.sankei.com/article/20230916-PR4AF3L73RJ5JNWQ52KCTW5QLQ/?721851
不法滞在の外国人を集団で強制送還するチャーター機代が8年間で2億円以上かかっていることが2023年9月16日、出入国在留管理庁への取材で分かった。
本来は自己負担が原則だが、送還を拒否している場合は国が負担せざるを得ず、暴れるなどした場合にはチャーター機を用意するという。
不法滞在者は素早く祖国に帰すべきという意見は多いが、諸外国と海を隔てた島国日本では容易ではない。
入管庁によると、不法滞在や犯罪などで法務省が
「退去強制令書」
を発付した外国人は過去10年間で約6万9千人。
9割ほどは自ら帰国するが、拒否した場合は
「送還忌避者」
として強制的に帰国させるケースがある。
ただ、島国である日本は移動手段として高額な航空機代が発生する。
本人が拒否している場合は国費を使わざるを得ず、付き添いの入国警備官らの旅費も必要になる。
また、一般客も乗る民間機の場合、送還忌避者があえて暴れたり、暴言を吐くなどして機長判断で搭乗を拒否されるケースも多発。
法務省は平成25年度から同じ国同士の送還忌避者をチャーター機に乗せる集団送還を8年間で計8回実施した。
これまでにフィリピン、タイ、ベトナムなど6カ国の計339人が対象となったが、埼玉県川口市などで住民との軋轢が表面化したクルド人が多く住むトルコやイランは含まれていない。
費用は8年間の累計で2億2500万円にのぼり、個別に送還したケースも含めると10億円を超える。
令和3年以降はコロナ禍などもあり集団送還は行われていないが、同年は送還された約4100人のうち約1300人が国費でその割合は高くなっている。
送還忌避者をめぐっては、深刻な事例が後を絶たない。
入管庁関係者によると、トルコ国籍の男の場合、搭乗時に突然、
「アー、アー」
と叫んで暴れ、放尿して抵抗、機長が搭乗を拒否した。
1週間後に再度試みたが、男は
「アバレルヨー」
と大声で宣言して再び暴れ、警備官らが両手足を押さえてようやく帰国便に乗せたという。
モロッコ国籍の男は搭乗前に警備官を殴り、別の警備官らが頭を押さえるなどして送還した。
こうした様子はすべてビデオに収められている。
搭乗後に放尿や脱糞したり騒ぎ続けるケースでも、警備官は隣の座席で帰国先まで付き添うという。
入管庁幹部は
「一般機では暴れてもチャーター機ではあきらめる場合が多い」
「個別送還よりコストが抑えられる面もある」
と話す。
令和4年末に送還忌避者として国内に残っている人は前年より約1千人増え、累計で4233人。
最多はトルコ国籍の約600人で、多くはクルド人とみられる。
全体の9割以上は入管施設への収容を一時的に解かれた
「仮放免」
の立場で、半数程度は難民認定申請中という。
2023年6月成立の改正入管難民法では、難民申請中に送還が停止される回数を2回に制限、機内で暴れるなどした場合、1年以下の懲役などの罰則を設けた。
ただ、仮放免者の中には、行方が分からなくなっている者も約1400人おり、強制送還そのものが困難な状態が続いている。

http://www.asyura2.com/15/senkyo190/msg/915.html#c118

[政治・選挙・NHK297] どこへ消えた? 消費税減税と物価対策…政治空白で犠牲は庶民に(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
26. 秘密のアッコちゃん[1791] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月06日 09:21:14 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1229]
<■1866行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>原爆の日 犠牲者を心から追悼する 惨禍防ぐには核抑止が必要だ
社説
2025/8/6 5:00
https://www.sankei.com/article/20250806-4XSEKVGZENMSFK3LZMDI46TJ64/
80年前の昭和20年8月6日に広島へ、9日には長崎へ、米軍が原子爆弾を投下した。
人類史上初めての原爆による攻撃で、夥しい数の人々が命を奪われた。
辛うじて生き残っても原爆症で苦しみ、亡くなった人は多い。
そのほとんどは、高齢者や女性、子供を含む非戦闘員だった。
東京大空襲と並ぶ大量殺戮であり、許される話では決してない。
戦後80年の原爆の日に、犠牲者に改めて心から哀悼の誠を捧げたい。
■核兵器廃絶は悲願だが
広島の原爆ドームや原爆資料館へ足を運び、悲惨な被害の実相の一端に触れれば涙が込み上げてくる。
原爆死没者慰霊碑の前で頭を垂れれば、平和記念公園の一帯が厳かな
「聖地」
だと感じられるはずだ。
これは長崎でも同じである。
このような兵器が2度と使用されないことを願っている。
核兵器のない世界の実現は、日本人の悲願だろう。
昨年2024年12月に、核兵器廃絶を訴えてきた日本原水爆被害者団体協議会(被団協)がノーベル平和賞を受賞したのは喜ばしいことだった。
被団協が被爆体験を語り継ぎ、核兵器のない世界を目指してきたことが評価された。
ノーベル賞委員会は、
「被団協と被爆者の並々ならぬ努力は(核兵器を使用してはいけないという)『タブー』の確立に大きく貢献した」
と称えた。
悲劇的な被爆の実相を日本のみならず世界の人々へ伝え、核兵器の使用を躊躇わせる空気を広めていく努力は大切だ。
ただし、指摘しなければならないことがある。
それは、核兵器禁止条約への加盟など
「核抑止」
を全否定するような行動を、日本政府の外交安全保障政策に適用してはならないということだ。
日本人は、通常戦力の分野では抑止力の意義を認めているが、核抑止の大切さには気づいていない。
実に危うい話だ。
再び核兵器が日本国民の頭上で爆発することを絶対に阻止しなければならない。
核兵器の即時廃絶を求める取り組みだけでは、広島、長崎のような惨禍を防げない厳しい現実がある。
日本は中国、北朝鮮、ロシアという、核武装した反日的な専制国家に囲まれている。
日本は今この瞬間も核の脅威に晒されている。
ウクライナを侵略中のロシアは核恫喝を重ねている。
北朝鮮は核・弾道ミサイル戦力の強化に走り、日本列島越えのミサイル発射や、対日核攻撃の脅しをしたことがある。
経済大国となった中国は米国が脅威を覚えるほどの核戦力強化を進めている。
核廃絶を願う人々の声は、これら専制国家の独裁者には届かない。
■国民を守る義務がある
核保有国のインドとパキスタンの武力衝突があった。
イラン核武装を懸念するイスラエルと米国は、イラン核施設へ攻撃を加えた。
米国、ロシア、中国という核大国が三すくみとなりつつある今、核拡散防止条約(NPT)が課す軍縮は益々難しくなっている。
核兵器禁止条約に署名した核保有国はない。
仮定の話だが米国や英国、フランスが核兵器を一方的に放棄すれば、日本を含む世界は専制国家の思うがままにされてしまう。
全核保有国が放棄しても、密かに核兵器を持つ国や勢力が現れれば万事休すとなる。
現代の科学技術では、核攻撃を防ぎきる術はない。
核兵器による攻撃や脅しから国民を守るには、自国または同盟国の核兵器を核抑止力として用意するしかない。
そこで1億2千万の国民を守る義務を負う日本政府は、自民党政権であれ民主党政権であれ、米国の
「核の傘」
を利用する防衛政策をとってきた。
広島、長崎への原爆投下に対する日米の見方は異なっても、日本の独立と繁栄、国民の自由を保つために同盟国米国の
「核の傘」
は必要なのだ。
佐藤栄作内閣以降、日本が非核三原則(核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず)を掲げられたのも、米国の
「核の傘」
がセットで存在したからだ。
中国や北朝鮮の核戦力増強や米国の内向き志向で、この
「核の傘」
が破れ傘になっていく恐れが出てきた。
それに対処する
「核の傘」
の強化や核共有の議論は急務だ。
核抑止から目を背けないことが、日本と国民を核の惨禍から守る道である。

<産経抄>80回目の原爆忌、タブーなき「核抑止」議論を
2025/8/6 5:00
https://www.sankei.com/article/20250806-KC7E752IXRIOZFWSH7MSAKXR6Q/
原爆投下を題材にした文学作品の多くは、その一瞬を端的な表現で描いている。
「突然、私の頭上に一撃が加えられ、眼の前に暗闇がすべり墜ちた」。
作家の原民喜は広島での被爆体験を下地にした『夏の花』に、そう綴った。
▼熱線に腕を焼かれた女性に、その熱さと痛みを語らせたのは林京子『祭りの場』である。
「この火傷は知らんまに石油ばかぶったとでしょうね」。
何を使えば、一瞬でこれほどの被害が出るのか。
主人公の「私」は、考えながらただ震えるのだ。
史上最も残酷な光の一閃だった。
▼6日は広島、9日は長崎の、80回目の原爆忌である。
犠牲になった多くの人々を静かに悼む日としたい。
被爆地の痛みを後世に語り継ぐ、その思いを新たにする日でもある。
今年2025年3月末の時点で被爆者手帳を持つ人の数は初めて10万人を下回った。
▼平均年齢は86歳を超え、「節目」の言葉が重く響く。
他方、世界情勢は険しさを増している。
核保有国のインドとパキスタンが衝突し、核を恫喝の道具にしたロシアのウクライナ侵略はもうすぐ3年半になる。
中国、北朝鮮という核武装した専制国家と日本は向き合ってもいる。
▼いざという時「核の傘」は頼れるか。
自国第一に傾く米国を見るにつけ不安は募る。
昨年2024年ノーベル平和賞に選ばれた日本原水爆被害者団体協議会の
「核兵器の廃絶」
の思いに頷きつつ、国民を脅威から守る核抑止の議論を深める必要がある。
▼<原爆忌二つある月また巡る>高橋睦郎。
世界は
「原爆忌」
の数を増やすことなく、何とかここまで来た。
しかし、苦労に苦労を重ねてきた80年の歩みを全て無にしてしまうのも一瞬だ。
核抑止を巡るあらゆる可能性を、議論しなければならない理由である。

<正論>克服すべき最後のアレルギー 
麗澤大学特別教授、元空将・織田邦男
2025/5/15 8:00
https://www.sankei.com/article/20250515-ZI63ZILCDVPB7OX4M4RKZMJFNU/
かつて国際社会には3大アレルギーがあると言われていた。
@ドイツの「インフレ」A韓国の「共産主義」B日本の「核」―である。
■ドイツと韓国は克服
ドイツはワイマール共和国時代のハイパーインフレの悪夢がアレルギーに繫がった。
ベルサイユ条約による巨額な賠償金支払いで大量に紙幣を発行した。
その結果、第一次大戦前、1ドルが約4・2マルクだったのが、1923年には1ドルが約4兆2000億マルクと約1兆倍に下落。
トイレットペーパーより紙幣の方が安くなったという。
韓国の「共産主義」アレルギーは北朝鮮との国家分断によって生じた。
韓国は朝鮮戦争直後から徹底した反共国家となり、共産主義には極端に神経質になった。
小中学校では反共教育が徹底され、北への同情は「スパイ」とみなされた。「国家保安法」により、共産主義的な言動だけでなく資料を所持していることすら違法だった。
日本の「核」アレルギーは広島、長崎の被爆体験からくる。
「核兵器」だけでなく、「原発」についても強い反発がある。
福島第1原発事故以降、「原子力」全体へのアレルギーがさらに重症化し、「核シェルター」の議論にさえ拒否反応がある。
3つのアレルギーの内、ドイツと韓国はこれを克服したようだ。
ドイツは今年2025年3月、防衛費増額を可能にするため、基本法(憲法)を改正し、長年堅持してきた「債務ブレーキ」(構造的財政赤字をGDPの0・35%未満に抑える規定)を緩和した。
財政規律重視から経済成長や安全保障強化を目的とした柔軟な財政運営へ舵を切るという歴史的転換を成し遂げた。
■日本の「核」アレルギー
韓国は既に「共産主義」アレルギーを克服している。
1980年代後半の民主化以降、言論・思想の自由が広がり、「反共一色」だった空気は一変した。
1989年の冷戦終結、1991年の北朝鮮との国連同時加盟により、共産主義の北朝鮮を「国家」として受け入れる現実的アプローチへ転換した。
金大中、盧武鉉政権の時代には南北首脳会談が実現し、市民レベルでも北朝鮮への関心が高まり「共産主義」アレルギーは徐々に相対化された。
「国家保安法」は今も有効であり、北朝鮮寄りの発言は政治的リスクがあるものの「共産主義」アレルギーによって国民全体が過敏に反応する時代は終わった。
残るは日本の「核」アレルギーである。
昨年2024年12月、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)がノーベル平和賞を受賞した。
長年にわたる核廃絶に向けた発信の努力が報われたもので、心から敬意を表したい。
核廃絶は人類共通の目標であり、廃絶に努力することは、被爆国日本の使命でもある。
他方、核兵器が現実に存在し、日本が核の脅威に直面しているのも事実である。
核から日本国民をどう守るかは喫緊の課題であり、核抑止議論は避けて通れない。
被団協の受賞理由に被爆体験の証言活動が核のタブー形成に大きく貢献したことがある。
核兵器は二度と使用してはならないという「核のタブー」は必要である。
だが「核アレルギー」はあってはならない。
「核アレルギー」は直面する核の脅威に目を背けさせ、思考停止に陥らせる。
現実に向き合わず、思考停止の上に成り立つ虚妄の平和に安住しても、国民を核から守ることはできない。
脅威は能力と意図の掛け算である。
北朝鮮は核・ミサイルを保有する。
加えて
「日本列島は核爆弾により海に沈められなければならない」
(2017年9月14日、朝鮮中央通信)
と意図も明確にしている。
北朝鮮の核は
「従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威」
(令和5年版防衛白書)
なのである。
■幻想捨て抑止議論を
トランプ米大統領は就任式後の記者会見で金正恩総書記との良好な関係をアピールし、北朝鮮を初めて
「核保有国」
と述べた。
一方、北朝鮮は昨年2024年10月31日、「火星19」の発射を成功させ、「ICBM最終版」と発表した。
ワシントンに届く大陸間弾道弾の完成を意味する。
さらに金総書記は同年2024年12月の朝鮮労働党中央委員会拡大総会で厳しく米国を非難し、「最強硬対米対応戦略」を示した。
これまで日本は米国の「核の傘」を柱とした拡大抑止戦略によって守られてきた。
だがトランプ政権が誕生し、安保環境は一変した。
トランプ氏は同盟国に自助努力を強く迫り、同盟国や国際社会のために金を使うこと、血を流すことを極端に嫌う。
かつてキッシンジャー氏は
「ワシントンを犠牲にして東京を守ることはあり得ない」
と語った。
ワシントンに届くICBMが完成した今、これまで通り「核の傘」が有効なのか検証する必要がある。
被爆国だから核の攻撃を受けないという根拠のない幻想は直ちに捨てるべきだ。
核の脅威を直視し、二度と日本に核攻撃させない抑止はいかにあるべきか。
真剣な国民的議論が必要である。
戦後80年、日本は最後に残った「核」のアレルギーを克服すべき時なのである。

米国の「核の傘」は永遠ならず 揺らぐ対露拡大抑止 欧州、独自の核戦略を模索 黒瀬悦成
グローバルレビュー
2025/3/17 14:00
https://www.sankei.com/article/20250317-GKV2GHPGWBL35HWJUC66TBNVBQ/
先月2025年2月末、米英首脳会談と米ウクライナ首脳会談を取材するため、約7カ月ぶりにワシントンを訪れた。
昔から知る外交・安全保障の関係者らと意見を交わして実感したのは、第二次世界大戦後の自由主義に基づく国際秩序や経済システム、民主主義や法の支配の擁護者として世界を主導してきた米国が、発足間もない第2次トランプ政権の下で本質的に変わりつつあるという現実だった。
欧州や日韓などの自由主義陣営の国々は、米国との共通の価値と信頼に基づく同盟関係を結ぶことで中国やロシアといった専制主義体制に対する抑止力を確保し、世界秩序の安定と平和の維持に努めてきた。
ところがトランプ氏は
「米国第一主義」
と称する大衆迎合的な国内回帰に加え、外交・安全保障や貿易政策で同盟諸国に浅薄な
「取引主義」
を振りかざす一方、ウクライナを侵略したロシアには融和的な態度をとるなど、自由主義的な価値観に基づいて国際社会を主導する役割を実質的に放棄しようとしている。
英国やフランスを筆頭に欧州諸国が米国に過度に依存しない独自の対露防衛態勢の主体的強化に着手したのは、ウクライナを含む欧州を見捨てるような態度を示す米国とは、従来のような信頼に基づく安保連携の維持が困難になったと判断したからに他ならない。
だが、欧州にとって決定的に苦しい点は、ウクライナの恒久平和にせよ、対露防衛を軸とする長期的な欧州の安全保障にせよ、米国の力を全く借りることなしに実現させる能力を持ち合わせていないことだ。
軍事分野に限って論じても、欧州防衛のカギを握るのは、通常戦力もさることながら、ロシアに対する核抑止力をどう確保していくかだ。
欧州では核保有国である英仏に期待がかかる。
マクロン仏大統領は今月2025年3月5日、フランスの核抑止力を欧州の同盟国などに拡大させることについて戦略的議論を始めると表明した。
マクロン氏の発言は、これまで米国が欧州に提供してきた
「核の傘」(拡大抑止)
がトランプ政権の意向で機能しなくなる事態を想定したものだ。
米国はドイツ、イタリア、ベルギー、オランダの4カ国に戦術核を配備する
「核共有」
政策などを通じて対露核抑止力を確保する
「最大限の保証」
を欧州に与えてきたが、米政権の交代で米国の核に対する信頼は低下しつつある。
しかし、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、フランスが保有する核弾頭は290発とされ、ロシアの5580発には遠く及ばない。
英国は225発を保有し、これまでも欧州に拡大抑止を提供してきたものの、その核戦力は国産の原子力潜水艦4隻に米国製のトライデント潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を積んでいるのみで、米国の核戦略の補完的な役割にとどまるのが実情だ。
英国も、トライデントをめぐる米国との提携関係が解消される事態を視野に対策を急ぐが、英仏の核で米国と同等の核抑止力を確保できるかどうかについて懐疑的な見方は強い。
欧州と同様に米国から核の傘を提供されている日本も他人事ではない。
伝統的な同盟の価値を信じないトランプ氏にどう向き合い、先進7カ国(G7)の結束とインド太平洋地域の平和と安定を確保していくのか、日本は国際社会に迅速かつ明確に態度表明していく必要がある。

<主張>核禁条約の会議 「不参加」の判断は妥当だ
社説
2025/2/21 5:00
https://www.sankei.com/article/20250221-ZBR7DTJHN5N2FLAPSHKEB4A3NI/
岩屋毅外相が、核兵器禁止条約第3回締約国会議へのオブザーバー参加見送りを表明した。
国民を守る責務を担う政府として妥当な判断で評価できる。
岩屋氏は、日本周辺で
「質的、量的な核軍拡が進む厳しい現実」
を直視すべきだとし、
「核兵器の使用を仄めかす相手を通常戦力だけでは抑止できない」
「核による拡大抑止が不可欠だ」
と語った。
更に、核兵器を包括的に禁じる核禁条約は核抑止と相容れず、
「オブザーバー参加は、我が国の核抑止政策について誤ったメッセージを与え、自らの平和と安全の確保に支障を来す恐れがある」
と説いた。
日本の周囲には中国、北朝鮮、ロシアという核武装した専制国家がある。
北朝鮮は声明で
「日本列島の4つの島を核爆弾で海中に沈めるべきだ」
と恫喝してきたことがある。
外国からの核攻撃を防ぐ確実な術は見つかっていない。
核兵器による反撃力を自国または同盟国が持つことで、相手国の核攻撃や恫喝を抑止しなければ国民を守れない。
日本が非核三原則を維持できているのは、日本防衛に必要な核抑止力(核の傘)に同盟国米国の核兵器を充ててきたからでもある。
日本が核兵器廃絶の理想を追求するのは当然だが、核抑止を確かなものにしておく努力は欠かせない。
核禁条約に核兵器保有国は加わっていない。
日本は核拡散防止条約(NPT)上、核武装が認められた
「核兵器国」
とそうではない
「非核兵器国」
双方が加わるNPTの枠組みで現実的な核軍縮に取り組むべきだ。
核禁条約の会議へ、北大西洋条約機構(NATO)加盟国として米核抑止力に依存するドイツなどがオブザーバー参加したことはある。
だが、ドイツなどは会議で、核禁条約は自国の安保政策と相容れず締約しないと発言した。
同時に、有事に米軍の核兵器を自国の戦闘機に積んで核報復に従事する
「核共有」(ニュークリア・シェアリング)
の態勢も維持している。
日本のオブザーバー参加は米国の不信を生み、周囲の専制国家に日米同盟の核抑止態勢が動揺していると誤った判断をさせかねない危うい行動だ。
オブザーバー参加を唱える公明党や立憲民主党は翻意し国民を真に守る立場を取ってもらいたい。

国民は核の議論を求めている
河野克俊 元統合幕僚長
兼原信克 元国家安全保障局次長 同志社大学教授
■核シェアリングの事例
★兼原
日本は中国・北朝鮮・ロシアという3つの核保有国に囲まれています。
これは世界で最も厳しい環境であり、核に関する議論が急務であることを意味している。
★河野
その第一歩として、アメリカとの
「核シェアリング」
の議論を進めるべきです。
また、有事の際には、中国が日本に対して
「アメリカに基地を貸せば、核を使う」
「自衛隊が参戦すれば、核を使う」
などと恫喝してくる可能性があります。
★兼原
アメリカのCIA(中央情報局)は中国の核弾頭数は2035年、1500発となると分析しています。
それだけでなく、低出力の戦術核の開発も行うでしょう。
だからこそ、日本は台湾有事の具体的なシナリオに応じて、どこでどのような核の恫喝があるかということを考えなければならない。
★河野
核シェアリングの代表的な事例として、冷戦中の西ドイツにおける例があります。
冷戦ではソ連を中心とする
「ワルシャワ条約機構」
とアメリカを中心とする
「NATO軍」
がヨーロッパで対立しており、西ドイツが西側陣営の最前線に立っていました。
当時は、ワルシャワ条約機構側が通常戦力において圧倒的に優位な立場にあったことから、西側陣営の戦力を強化し、アメリカも巻き込んでソ連と対峙するためにNATOにおける核シェアリング構想が考えられました。
また、地上発射型の中距離ミサイルに関しても1975年、ソ連が配備を開始した中距離弾道ミサイル
「SS-20」
はヨーロッパが射程圏内であり、アメリカ本土には届かなかった。
つまり、ソ連は米欧のデカップリングを狙ったわけです。
それに対して、イギリスのサッチャー首相(当時)や西ドイツのシュミット首相(当時)がアメリカに要請して、ヨーロッパには中距離ミサイル
「パーシングU」(MGM-31)
などのソ連を射程圏内に収めるミサイルが配備されました。
それによって、中距離弾道ミサイルの均衡状態が生まれ、米ソ間で
「中距離核戦力(INF)全廃条約」
が締結されました。
これこそが核抑止です。
しかし、この条約ではアメリカとロシアにしか制約をかけていなかったことから、その陰で中国が核戦力を増強する結果となった。
トランプ氏は第1次政権時代の2018年にINF全廃条約を破棄しましたが、中国の核戦力の増強もその一因です。
■共有すべきは戦術核
★兼原
日本が核シェアリングを行う場合、現実的なのは潜水艦に配備する海洋戦術核ではないでしょうか。
陸上配備だと、万が一、核抑止力が崩れた際に真っ先に潰されかねないことからも、潜水艦に配備するべきです。
★河野
潜水艦に搭載される核ミサイルは、基本的には先制攻撃を抑止するための第2撃用ですので、核シェアリングに馴染むかという問題があります。
核シェアリングの大前提として、モスクワや北京を狙うことができるアメリカの戦略核はあくまでも均衡と抑止を目的とする
「使えない核」
であり、もし使うことになったら世界が終わることから、アメリカが共有することは現実的には考えられない。
そのため、共有すべきなのは使用可能な戦術核です。
★兼原
核シェアリングでベストは、オーストラリアがやろうとしているAUKUS(アメリカ・イギリス・オーストラリアの3国間軍事同盟)の枠組みに加わり、アメリカが保有している原子力潜水艦を土台に共同開発を行い、原子力潜水艦隊を作り、ローテーション運用も見据えて4隻配備することです。
そこにアメリカの戦術核を日本の潜水艦に積めば、日本の安全は絶対的なものとなる。
そのためには、海上自衛隊が現在保有している潜水艦ではキャパシティなど様々な課題があることから、原子力潜水艦を日本が保有する必要も生じます。
★河野
核シェアリングを行う場合は、撃つ場合の意思決定に日本が関与することができるメカニズムをアメリカと共に構築すべきです。
そうすればアメリカの核戦略におけるプレーヤーが2人となり、中国が日本の行動と思考を読み解く必要も生じ、中国にとって計算がより複雑になることで抑止力を更に高めることに繋がります。
★兼原
陸上配備の米中距離弾道ミサイルを持ち込めば、日米で実践的な核の使用のための協議が始まります。
しかし、どこに持ち込むかが難しい。
南鳥島でしょうか。
日本がここまで切迫した安全保障環境に置かれているにもかかわらず、核に関する議論は全く進んでいません。
2024年7月、木原稔防衛相(当時)と上川陽子外相(当時)がアメリカとの
「2プラス2」
の場で、史上初めて核問題に関する協議を開催したものの、それ以外はさっぱりです。
なぜ、このような状態なのか。
これは政府が戦後一貫して、核について論じないことこそが安全を確保できるかのような幻想を振りまいていたことに大きな理由があります。
★河野
日本における大きな問題として、
「非核三原則」
があります。
日本で唯一取られている核政策は、日本に核の脅威や威嚇が及んだ際にアメリカの核の傘に全面依存することであり、何かあった際にはアメリカに
「核の傘をよろしくお願いします」
と言うことです。
アメリカがウクライナ戦争で核戦争へのエスカレーションを考慮して動かなかったことを見れば、不安は払拭できない。
そういう意味でも非核三原則に関する議論も進めるべきです。
★兼原
非核三原則は1967年、佐藤栄作総理(当時)が
「持たず、作らず、持ち込ませず」
という内容のものを述べましたが、安全保障上有害なものであり、自民党政権最大の失策と言っても過言ではない。
今こそ、
「持たず、作らず、撃ち込ませず」
という現実的なシン・非核三原則に切り替えるべきです。
それから、核の傘などという僅か3文字の言葉に日本の命運をかけること自体が、余りにも無責任な話です。
今まで核の傘は米軍のどの核ミサイルを指すのか、どこにどれだけ配備されているのか、中国のどこを狙い、核使用を阻止できるのか、撃たれたらすぐに撃ち返せるのか、日本が核攻撃された時点で停戦せずに、必ず反撃する保証はあるのか、ということが日本では全く議論されませんでした。
今こそそのような議論を日米の首脳で行い、石破茂総理自身が国民に対し、日本の核抑止政策の中身について説明しなければなりません。
★河野
ウクライナ戦争に関して言えば、アメリカが核戦争を恐れてバイデン大統領(当時)が
「軍事介入はしない」
と宣言して、軍事的に動かなかった事例です。
他方で1990年、イラクがクウェートへ侵攻した際には30数か国を集めて多国籍軍を編成し、1カ月でイラクを撃退しました。
なぜ、アメリカはイラクで動いて、ウクライナでは動かなかったのか。
ロシアの核戦力がアメリカを抑止したとも言えます。
★兼原
ロシアはアメリカが軍事介入してこないと分かった瞬間に、
「それでは好きにやらせてもらおう」
などと思い、ウクライナへ侵攻したのは明らかです。
■核の議論を求める国民
★河野
ウクライナ戦争が始まった2022年2月、安倍晋三元総理が核シェアリングも含めて、タブー無しで核議論をするべきだと主張しました。
その後、行われた毎日新聞の世論調査でも、核共有を
「議論すべきだ」
と答えた人が約6割に上るまでになった。
★兼原
私は2022年8月、広島テレビの核と平和を扱う番組へ出演した際、大変衝撃を受けた出来事がありました。
番組内で女性の被爆者の方が
「核保有が無いと領土を守れない」
「侵略されることがどれほど恐ろしいか」
と述べたのです。
しかも同番組の世論調査では、安倍晋三元総理が提唱した核シェアリングに広島県民の4分の1が賛成した。
国民は現実的な核の議論を求めているのです。
★河野
そういう意味でも、政治の現場で議論を進めていかなければなりません。
2022年12月に策定された安保3文書では、核の問題について一切触れられておらず、
「非核三原則の継承」
とだけ書かれていましたが、これは今後の課題と考えるべきでしょう。
★兼原
一方のアメリカは、連邦議会が国防権限法で攻撃型原子力潜水艦への戦術核ミサイル搭載を認めました。
トランプ氏はこれを推進する可能性が高く、横須賀や佐世保の米軍基地にも核搭載原潜が入港してくることになるでしょう。
これこそが中国の核攻撃から日本を守るための戦術核であり、台湾有事の前線国家である日本が寄港を拒否することは許されません。
最重要課題は中国に日本への核ミサイルを撃ち込ませないことであり、日本国民を非核の理想の殉教者(自ら信仰する宗教のために命を落とした者。信仰のために死んだ信者)にすることは決してあってはならないのです。
そもそも、核廃絶という理想自体が中国や北朝鮮が大規模な核軍拡を進めている現状においては、理想自体がほど遠いと言わざるを得ません。
広島と長崎の悲劇を繰り返さないためにも、核の議論と憲法改正を早急に進めなければなりません。

<正論>日本は核抑止戦略の構築を急げ 
麗澤大学特別教授、元空将・織田邦男
2024/5/7 8:00
https://www.sankei.com/article/20240507-FSLKWJRLEJJ3PA3BJCT5ZQUM5M/?578363
■対北「専門家パネル」廃止で
対北朝鮮制裁の履行状況を監視する国連安全保障理事会の専門家パネルの任期が2024年4月末で切れた。
任期を2024年5月以降も延長する決議案に対し、北朝鮮と友好関係を結ぶロシアが拒否権を行使し、専門家パネルは廃止に追い込まれた。
これまで北朝鮮は、安保理決議を無視する形で弾道ミサイルを発射し、軍事挑発を続けてきた。
2022年には約60発、2023年は25発以上の弾道ミサイル等を発射した。
2024年に入ってから既に約10発の弾道ミサイル、巡航ミサイルを発射している(2024年4月22日時点)。
2024年4月2日に発射したミサイルは極超音速滑空体搭載の新型中距離弾道ミサイル
「火星16B」
と発表された。
日本の弾道ミサイル防衛システムでは迎撃が難しいミサイルである。
北朝鮮は6回の核実験を実施し、既に小型化、弾頭化を実現している(防衛白書)。
2023年3月には
「戦術核弾頭」
を初公開し、2023年9月には初の
「戦術核攻撃潜水艦」
を進水させた。
2023年9月の最高人民会議では憲法に核戦力強化の明記を決め、核弾頭の大量生産を示唆した。
2027年までに最大242発の核弾頭を保有するとの見積もりもある(米国ランド研究所と韓国峨山政策研究院の共同研究)。
脅威は
「意図」

「能力」
の掛け算である。
北朝鮮は両者を有し脅威は明白だ。
2017年8月、金正恩総書記は
「日本列島如きは、一瞬で焦土化できる能力を備えて久しい」
と述べた。
2017年9月には
「朝鮮アジア太平洋平和委員会」

「日本列島は核爆弾により海に沈められなければならない」

「意図」
を明らかにしている(2017年9月14日、朝鮮中央通信)。
日本の国家安全保障戦略には
「北朝鮮は、核戦力を質的・量的に最大限のスピードで強化する方針であり、ミサイル関連技術等の急速な発展と合わせて考えれば、北朝鮮の軍事動向は、我が国の安全保障にとって、従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威となっている」
とある。
専門家パネルがなくなれば、対北朝鮮制裁は更に無効化される。
■脅威に政府の動き鈍い
ロシアに弾薬提供した見返りの先端軍事技術支援もあり、北朝鮮の核・ミサイル整備はますます加速するだろう。
日本にとって北朝鮮の非核化は譲れない。
だが、
「重大かつ差し迫った脅威」
の割には、日本政府の動きは鈍い。
バイデン政権の北朝鮮に対する危機意識は希薄である。
米国家安全保障戦略には、
「拡大抑止を強化しつつ、朝鮮半島の完全な非核化に向けて具体的な進展に向けた外交を模索する」
とある。
これは事実上、何もしない宣言に等しい。
トランプ政権が目指した
CVID「完全で検証可能かつ不可逆的廃棄」
の目標は消滅した。
2017年8月、オバマ政権で大統領補佐官を務めたスーザン・ライス氏が
「核なき世界」
という論考を発表した。
「北朝鮮が核を放棄する見込みはない(略)必要であれば、我々は北朝鮮の核兵器を容認できる」
という核容認論である。
バイデン政権はこの延長上にあるように見える。
2024年4月10日の日米首脳共同声明
「未来のためのグローバル・パートナー」
では、
「国連安保理決議に従った北朝鮮の完全な非核化に対するコミットメントを改めて確認する」
とある。
だが
「次回の日米『2+2』の機会に、拡大抑止に関する突っ込んだ議論を行うよう、日米それぞれの外務・防衛担当閣僚に求める」
とあり、非核化への当事者意識も意欲も感じられない。
日本は米国の脅威認識に引きずられてはならない。
■怯えるだけでは御し易し
北朝鮮のICBMが、米国本土に届くようになれば、米国の
「核の傘」

「破れ傘」
と化す。
2023年12月、米国本土に届く固体燃料の
「火星18号」(射程1万3000キロ)
が初発射された。
米国の拡大抑止が機能不全に陥れば、日本は北朝鮮の核の前に為す術を持たなくなる。
脅威に怯え、右往左往して妥協を繰り返すだけでは、主権国家とは言えない。
「独裁国家が強力な破壊力を持つ軍事技術を有した場合、それを使わなかった歴史的事実を見つけることができない」
と歴史家は語る。
北朝鮮を決して侮ってはならない。
ウクライナ戦争で、核大国ロシアは非核保有国ウクライナを核で威嚇、恫喝した。
その結果、核不拡散体制は瓦解寸前にある。
北朝鮮が核放棄しないだけでなく、核保有を目指す覇権主義国家が続々と現れるだろう。
専門家パネルの消滅は、
「核拡散」
の引き金となるかもしれない。
破れつつある
「核の傘」
に執着し、脅威から目を背け、
「非核3原則」
を壊れたレコードのように繰り返すだけでは平和と安定は保てない。
紙幅の関係上、中国の核については触れなかったが、問題は同じである。
核の脅威にただ怯えているだけでは、それを保有している国から見れば、最も御し易い国に違いない。
降りかかる
「核の脅威」
をどう撥ねのけるか。
核抑止戦略の構築は待ったなしだ。
タブーなき議論を直ちに開始し、早急に核抑止戦略を構築しなければならない。

終戦の日に
首相は核抑止の重要性語れ 悲劇を繰り返さぬために 論説委員長・榊原智
2023/8/15 5:00
https://www.sankei.com/article/20230815-M6JD2NW5IVKCJBNJ3E3NVGW5Q4/
78回目の終戦の日を迎えた。
日本は先の大戦で、軍人、民間人合わせて310万人の同胞を喪った。
すべての御霊安らかなれと鎮魂の祈りを捧げたい。
岸田文雄首相や閣僚には靖国神社を参拝してもらいたい。
英霊を追悼、顕彰し、もし日本が侵略されれば今の世代も立ち上がると誓うことが大切だ。
あの悲劇を繰り返してはならないと日本人は願っている。
だが、今の日本が悲劇を防ぐために抜かりなく取り組んでいるかと言えば疑問である。
それを痛感させられたのが、広島と長崎の原爆忌だった。
■原爆忌の2つの宣言
広島平和宣言は、
「核による威嚇を行う為政者がいる」
として、
「世界中の指導者は核抑止論は破綻」
している点を直視するよう訴えた。
「為政者に核抑止論から脱却を促すことがますます重要」
と唱えた。
ウクライナを侵略するロシアのプーチン大統領による核威嚇が背景にある。
長崎平和宣言は
「核保有国と核の傘の下にいる国のリーダー」

「核抑止への依存からの脱却を勇気を持って決断」
するよう促した。
核抑止に依存すれば
「核兵器のない世界」
は実現出来ないからという。
このような考えは根強いが、はっきり言って、国民の命と安全を脅かしかねない危うい主張である。
日本のメディアの多くは両宣言の核抑止破綻論、核抑止からの脱却論を肯定的に扱った。
例えば毎日新聞は2023年8月7日付朝刊1面トップで
「核抑止論は破綻した」
との大見出しをつけた。
NHK(NEWS WEB)は2023年8月6日配信で
「広島 平和記念式典に約5万人が参列核抑止論から脱却を=v
という見出しで報じた。
米国による原爆投下で日本は唯一の戦争被爆国になった。
東京大空襲、ソ連軍の満州などへの侵攻と並び大戦末期の決して忘れてはならない出来事である。
日本と被爆地が核の惨禍を伝え、廃絶や軍縮の願いを発信するのは当然だ。
ただしそれは、日本と国民の安全を確かなものにする努力とセットでなければならない。
核兵器の威力が極めて大きいため、核抑止とシェルターなど国民保護の態勢を整えなければ万一の際、大変なことになる。
日本を取り囲むように位置する中国とロシア、北朝鮮は核戦力の強化に走っている。
これら専制国家の指導者が核廃絶の呼び掛けに耳を傾けるだろうか。
極めて考えにくいことだが、全核保有国が同時に核廃絶に踏み切っても、その後、どこかの国や勢力が核武装すれば万事休すだ。
日本を含む各国の独立と主権、国民の自由、繁栄は消え失せる。
また、現代の科学技術では、核攻撃をほぼ確実に止める手立ては見つかっていない。
本来であればすぐにも廃絶したい核兵器を、自国または同盟国が戦力化しておかなければ、相手からの核攻撃を抑止できないというのが世界の厳しい構図と言える。
核抑止という概念自体は破綻していない。
そこで日本や韓国は同盟国米国の
「核の傘」
に頼っている。
北大西洋条約機構(NATO)加盟国は、米英仏の核兵器を抑止力にしている。
「核抑止の破綻」
を信じて核抑止の手立てを放棄すれば、日本の安全と国民の命はすぐさま、今以上に覚束なくなる。
その危うさに政治家やメディアはもっと敏感になったほうがいい。
■核威嚇されたら
中国、北朝鮮の脅威の高まりやロシアのウクライナ侵略を見て、日本人の安保意識は東西冷戦期や平成の時代と比べ、格段に向上した。
岸田政権は2022年12月、安保3文書を閣議決定した。
反撃能力の保有や5年間で防衛費を43兆円にする方針が決まり、大方の国民はこれを是とした。
平和を守るには抑止力が欠かせないという世界の常識が国民の間に浸透し、戦後、日本の防衛努力を妨げてきた多くのメディアも抑止力構築の大切さまでは否定できなくなった。
ところが、核を巡る分野だけは抑止力を保つ必要性が浸透せず、否定する主張が今も目立っている。
核抑止が非核の分野の防衛を支えている点への理解も広がっていない。
もし尖閣諸島(沖縄県石垣市)が侵略されたり、台湾有事に関連して日本が攻撃されたりする際に、中国が核威嚇してきたらどうするのか。
通常兵力の自衛隊が日本と国民を守ろうとしても、核抑止が効いていなければ動けない。
核と非核の両分野で態勢を整えてはじめて抑止力になる。
このような話は防衛、外務両省も国家安全保障局も分かっている。
岸田首相も知識は有しているだろう。
問題は、首相や政府が国民にこれらをきちんと語っていないことだ。
核抑止には不断の検証、改善が必要な点や、地下シェルター整備など国民保護が急がれる点は浸透していない。
戦争の悲劇を繰り返さないため、真剣な努力が必要である。

主張
米韓の核協議 岸田首相は動かないのか
2023/7/23 5:00
https://www.sankei.com/article/20230723-6TCCVGHGIFMCBKYVHU5OQ6HXL4/
核兵器の脅威から自国民を実際に守り抜く取り組みで、岸田文雄首相は韓国の尹錫悦大統領に後れを取っている。
極めて残念と言う他ない。
米韓両政府がソウルで2023年7月18日、米核戦力の運用に関する
「核協議グループ」(NCG)
の初会合を開いた。
これに合わせ、米海軍の戦略原子力潜水艦「ケンタッキー」が韓国・釜山に寄港した。
ケンタッキーは、射程1万2000キロで核装備可能な潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)20基を搭載できる。
NCG後の米韓共同文書は、韓国を核攻撃すれば北朝鮮の政権に終末をもたらすと警告した。
尹氏は
「(原潜寄港は)拡大抑止の実行力を強化する韓米両国の意志をよく示している」
と語った。
戦術核兵器の戦力化を進める北朝鮮に対し、米国の
「核の傘」
の実効性を示す狙いがある。
北朝鮮は2023年7月19日未明、日本海へ短距離弾道ミサイルを発射した。
その飛距離は平壌・釜山間と同じ約550kmだった。
北朝鮮の強純男国防相はケンタッキー寄港について
「核兵器の使用条件に該当し得る」
などと述べ、非難した。
北朝鮮の核戦力保有や弾道ミサイル発射は国連の安全保障理事会決議違反だ。
北朝鮮は常軌を逸しており、尹政権が核抑止(拡大抑止)強化を図るのは当然だ。
米韓は年4回程度NCGを開き、米核戦力の運用を含む韓国防衛の計画を深化させる方針だ。
一方、岸田政権の取り組みは十分とは言えない。
核軍縮を呼び掛けたり、核使用と核恫喝を非難したりするに止まっている。
「核兵器なき世界」
の理想を語るのはよいとしても、それだけでは国民を守りきれない現実がある。
廃絶したい核兵器を自国または同盟国が戦力化しておかなければ、相手国からの核攻撃を抑止しきれない―という厳しい、逆説の世界に日本も生きている現実を岸田政権は踏まえる必要がある。
日本は広島、長崎への原爆投下を経験した唯一の戦争被爆国だ。
日韓両国は北朝鮮や中国、ロシアという核武装した専制国家に囲まれている。
韓国の国民と同様に、日本国民も核の脅威から守られなければならない。
国民を守る責務がある岸田首相は核抑止の問題に正面から向き合ってもらいたい。
核抑止の重要性を国民に説き、米国と協力して態勢強化に乗り出すべきである。

米韓、韓国内「核武装論」沈静化図る 米韓高官協議「NCG」初会合
2023/7/18 20:53
https://www.sankei.com/article/20230718-KMLIJA5NEZO2TEORAGUAPZFG7M/
弾道ミサイルの搭載が可能な米戦略原子力潜水艦が2023年7月18日、42年ぶりとなる韓国入港を果たし、米韓は
「核の傘」
に象徴される拡大抑止の強化をアピールした。
同日、米国の核戦略計画に関する情報を共有する米韓の
「核協議グループ(NCG)」
初会合に臨んだ米韓高官は、北朝鮮の核・ミサイル開発に一致して対応する姿勢を強調。
韓国国内でくすぶる
「独自核武装」
論の沈静化を図った。
韓国の李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防相は2023年7月18日、米海軍の戦略原潜ケンタッキーの韓国入港を受け
「米国の韓国に対する拡大抑止が確実に履行されることを行動で示す事例」
だと意義を強調。
北朝鮮に対し
「韓米同盟の圧倒的な能力」
を示すと訴えた。
戦略原潜入港と合わせ、米韓は2023年7月18日、朝鮮半島有事を念頭に置いたNCGの次官級会合をソウルで初開催した。
2023年4月に創設が発表されたNCGは、冷戦期にソ連の核脅威に対応し、米国の核兵器をドイツ、イタリアなど5カ国に配備したとされる北大西洋条約機構(NATO)の
「核計画グループ(NPG)」
がモデルとなった。
NPGとは異なり、NCGの枠組みでは韓国への核配備は行わず、NATO同様の
「核共有」
は想定されていないが、米韓は北朝鮮の核兵器が高度化する中で高まる拡大抑止への不安の払拭に期待を寄せる。
会場には尹錫悦大統領も短時間立ち寄り、
「北朝鮮が核兵器を使う意欲を失うよう、韓米同盟で拡大抑止の実行力を強化しなければならない」
と挨拶。
米韓は会合後、
「韓国に対する如何なる核攻撃も、即刻、圧倒的、決定的な対応に直面する」
と北朝鮮を警告する共同文書を発表した。
会合後の記者会見で、 韓国国家安保室の金泰孝(キム・テヒョ)第1次長は
「如何なる核危機においても、韓米首脳間の合意がなされる体系を用意することで一致した」
と述べ、緊密な協力体制を強調。
「別途の核武装を考慮する必要がないほど、十分で確実な拡大抑止が可能だと確信した」
と述べ、韓国国内の対米不信の払拭を図った。
米国家安全保障会議(NCG)のキャンベル・インド太平洋調整官は会見で、NCGが日本を含む3カ国の協議体に発展する可能性について問われ
「(米韓)2者間の努力に完全に集中している」
と述べた上で、
「将来的には他の分野まで拡大していくことが可能だ」
と含みを残した。

米韓、拡大抑止の強化協議 核協議グループ初会合
2023/7/18 11:47
https://www.sankei.com/article/20230718-CHMALF3JTBKIJH7TBS6V3KZPUM/
米韓両政府は2023年7月18日、核戦略を定期的に話し合う核協議グループ(NCG)の初会合をソウルで開いた。
核戦力開発を進める北朝鮮に対抗し、米国の
「核の傘」
提供を軸とした拡大抑止を強化するため、情報共有や協議体系の構築などを協議する。
韓国大統領府によると、尹錫悦大統領が会場に短時間立ち寄り
「北朝鮮が核兵器を使う意欲を失うよう、拡大抑止の実行力を強化しなければならない」
と述べた。
大統領府の金泰孝(キム・テヒョ)国家安保室第1次長と米国家安全保障会議(NSC)のキャンベル・インド太平洋調整官らが共同で主宰し、両国の国防・外交当局者らが出席した。
NCGの創設は、2023年4月に国賓訪米した尹氏とバイデン大統領の会談で発表した共同文書
「ワシントン宣言」
で合意した。(共同)

米韓、18日にNCG初会合 ソウルで拡大抑止強化協議
2023/7/8 9:16
https://www.sankei.com/article/20230708-RAYLG6FBJ5IAFPLBVXJ5FERNKE/
韓国大統領室は2023年7月8日、米韓首脳が2023年4月に創設で合意した核協議グループ(NCG)の初会合を2023年7月18日にソウルで開くと発表した。
核・ミサイル開発を進める北朝鮮の脅威に対抗するため、米国の
「核の傘」
提供を軸とする拡大抑止力を強化するための具体策を協議する。
韓国大統領府の金泰孝(キム・テヒョ)国家安保室第1次長や米国家安全保障会議(NSC)のキャンベル・インド太平洋調整官らが参加する。
米韓の国防、外交当局者も出席する。
韓国大統領府は
「拡大抑止強化のための情報共有や協議体系、実効策などを話し合う」
と説明した。
今後、定期的にNCGの会合を開くことで
「核を含む米国の力が総動員され、韓国の戦力と結び付くことでより実効性のある拡大抑止力が構築されることを期待する」
と強調した。(共同)

「核なき世界」首相に高い障壁 歴史に刻んだ広島 阻む中露
2023/5/21 21:14
https://www.sankei.com/article/20230521-NHZZUJK57ZKA3LGTW467KSJ5SM/
岸田文雄首相が先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)で最も強く訴えたのは、自身がライフワークとする
「核兵器のない世界」
への決意だ。
首相は厳しい安全保障環境の現実を理解しつつ、核軍縮・不拡散に向けた歩みを進める必要性を説いた。
ただ、
中国は
「不透明な核戦力の増強」
が指摘され、
ロシアは
「核の威嚇」
を繰り返している現実がある。
首相が掲げる究極の理想に近づくには依然と高いハードルが立ちはだかる。
(中略)
G7首脳が足並みを揃えたとしても、現在の国際情勢を見れば、核軍縮の機運は寧ろ遠のいている。
ロシアはウクライナに核兵器の使用をちらつかせ、米露間の核軍縮協定、
「新戦略兵器削減条約(新START)」
は履行停止となったままだ。
中国に関しては、米国防総省は2022年11月に発表した報告書で、現在推定される核弾頭400発超から2035年までに約1500発を保有する可能性があると分析している。
世界的な核軍縮に向けて、首相は米国の
「核の傘」
を含む拡大抑止を強化しつつ、中露を核軍縮の議論に巻き込むという難しい対応を迫られる。
現実を理想に近付けるため、これからは決意より実効性のある行動が求められる。

広島サミットと核 「核なき世界」へ核抑止の強化を
2023/5/21 17:38
https://www.sankei.com/article/20230521-UWVRRXKD4NJYNF45DL77CWWSFE/
(前略)
レーガン元米大統領は
「核戦争に勝者はいない」
とも喝破した。
だが中露は、同氏の言葉を空念仏と見なすかのような振る舞いを続ける。
ロシアが2023年2月に米露の新戦略兵器削減条約(新START)の履行を停止し、世界は
「核の無法時代」
に突入した。
米国防総省は、中国が核弾頭の保有数を2023年現在の約400発から2035年までに1500まで増やすと分析する。
ロシアは大量の高濃縮ウランを中国に提供し、核戦力の増強を支援しようとしている疑いが強い。
自由世界はこうした状況に照らし、核戦争を防ぐのは核兵器であるという逆説的現実を率直に見据え、中露の核に対する抑止力を強化していく必要がある。
米国の核兵器研究の最大権威であるローレンス・リバモア国立研究所は2023年3月に発表した報告書で、中露の核に同時に対処するには、米国が核戦力を強化すべきであると提言した。
米国は既に、ICBMの近代化や新型ステルス戦略爆撃機B21の開発を進めている。
加えて、攻撃型潜水艦に搭載可能な海上発射型核巡航ミサイル(SLCM-N)や移動式車両搭載ICBMの開発も急務だ。
米国に
「核の傘」
を提供される日本も、中露や北朝鮮の核の脅威を睨み、反撃能力の確保などを通じた抑止力強化に主体的に取り組まなくてはならない。
それこそが、私たちが原爆の悲劇を2度と繰り返さないという
「広島への誓い」
となるからだ。

主張
サミットの開幕 国民守る核抑止も論じよ
2023/5/20 5:00
https://www.sankei.com/article/20230520-GVNQ2HN2XNKQVM5ON2QY76TANY/
先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の初日、G7首脳が広島市・平和記念公園内の原爆資料館を視察し、被爆者と面会した。
揃って原爆慰霊碑に献花した。
先の大戦末期、米国が広島と長崎に原爆を投下した。
多くの人が死傷した。
被爆で今も苦しむ人々がいる。
岸田文雄首相の働き掛けにより、核保有国の米英仏を含むG7首脳が、悲惨な被害の実相を伝える展示を視察し、犠牲者を悼んだことは意味がある。
岸田首相はサミット開幕に先立ち、
「『核兵器のない世界』という理想を目指す機運が後退している」
「(サミットを)再び盛り上げる転機にしたい」
と語った。
サミットは、この理想に向けた特別文書
「広島宣言」
を準備しているという。
岸田首相主導の今回の訪問や
「広島宣言」
は内外で歓迎されるだろう。
ただし、それだけでは足りない。
核の惨禍を避ける上で核抑止態勢の整備が必要な現実から目を逸らしているからだ。
広島サミットだからこそ、核抑止の重要性もきちんと論じるべきだ。
岸田首相は国民に、理想の追求と同時に核抑止も必要だと正直に説く必要がある。
それなしには核の現実的な脅威に対処する緊急性への理解が国民の間で広まらない。
周辺国の核の脅威が高まっている今、米国の核の傘など日本と国民を守る核戦力の充実が課題になっているのである。
ウクライナのゼレンスキー大統領のサミット対面出席が決まったが、侵略者のプーチン露大統領は核使用の恫喝を重ねてきた。
北朝鮮も同様だ。
核武装した専制国家の指導者はG7が核廃絶の理想を語っても聞く耳を持たない。
人類の科学技術は、核ミサイル攻撃を確実に迎撃できる水準には程遠い。
もし全核保有国が核を廃絶しても密かに核兵器を作る国や勢力が現れれば万事休すだ。
これらから、核兵器の脅威には自国または同盟国の核兵器で備える核抑止の態勢が欠かせない。
そこで日米同盟や米韓同盟、北大西洋条約機構(NATO)が存在している。
大量破壊兵器の生物・化学兵器の抑止にも核兵器が役割を果たしている。
中露や北朝鮮は核戦力増強に余念がない。
岸田首相には、厳しい安全保障環境を直視し、核の脅威から国民を守る手立てを講じてもらいたい。

「今こそ核抑止力の拡大を」 被爆3世の女性が訴え
2022/8/4 19:25
https://www.sankei.com/article/20220804-XPB5MO4YQBNRNOHH4YTNTUPURY/
77年前と同じ過ちを繰り返させないように−。
ウクライナに侵攻したロシアの
「核の脅威」
に晒され、中国や北朝鮮の核戦力増強が日本の安全保障を脅かす中、広島出身で被爆3世の女性が現実認識を欠く観念論的な平和主義からの脱却を訴えている。
核抑止力の拡大こそ戦争被爆国の責務だという。
女性は、都内在住の橋本琴絵さん(33)。
会社員として勤務する傍ら、月刊誌などで著述活動をしており、2022年夏に
「被爆三世だから言う 日本は核武装せよ!」(ワック社)
を上梓した。
昭和20年8月6日、祖母が広島で入市被爆。
生前、日本が原爆を投下されたのは
「新型爆弾を持っていなかったから」
と話していたのを覚えている。
原爆の日が近づくと
「平和教育」
として、熱線を浴びて人間の眼球が溶けるシーンが挿入された戦争アニメを見せられた。
「『戦争は怖い』と植え付けられる」
「でもどうすれば戦争を回避できるのか、先生は教えてくれなかった」
中には、共産主義国家だったソ連の核実験は平和利用で、米国の核は戦争目的だと主張する教員もおり、子供心にも違和感が拭えなかった。
今となっては、特定のイデオロギーを受け入れさせるための
「思想統制だったのでは」
とすら思えてしまう。
実際、広島でも反核や非核一辺倒ではないという。
ただ、幼少時の刷り込みにも似た教育が、核抑止に関する議論すら封じる一種の圧力的な空気の醸成に寄与したと、橋本さんはみる。
橋本さんは、非核三原則とともに戦後77年間は日本に原爆を投下されなかったことに縋り付く余り、
「反核だけが是」
とされ、核抑止の議論が封殺されてきたと主張。
その上で
「迫る対外的な危機に目を背け、観念的に核廃絶を唱えても、我が国の平和と安全は得られない」
と話す。
日本の究極の安全保障手段は米国が提供する核抑止力(核の傘)だ。
北大西洋条約機構(NATO)加盟のドイツなども米国と戦術核を共有している。
橋本さんは
「核使用の悲惨さを知る唯一の戦争被爆国として同盟に基づく核共有の権利を保有している」
と指摘する。
ウクライナ侵攻に際し、ロシアのプーチン大統領は核兵器の使用を辞さない強硬姿勢を示した。
冷徹な国際政治の現実を前に
「平和で安全な国を次代に繋ぐ責任がある」
と、3児の母親としても声を上げずにはいられなかったという。
核を持たないウクライナの悲劇を目の当たりにして日本の冷静な国民世論も、核共有の議論を求めているとも考えている。
「非核を唱えるだけで国を守れるはずがない」
「妄信は捨て去るべきだ」

台湾有事における核恫喝にどう備えるA
正論2023年6月号
同志社大学特別客員教授・元国家安全保障局次長 兼原信克
■前線国家の核の心理
核抑止を巡る核兵器国と非核兵器国の間には、独特の心理的なダイナミズムが働く。
2021年にグローバル・アフェアーズ・シカゴ評議会が、ヘーゲル元米国防長官を中心に取りまとめた
「核拡散防止と核の保証」
報告書作成に筆者も参画したが、そこで中心的な課題の1つはとなったのは、核の保証(reassurance)の問題であった。
同報告書が指摘するように、核兵器国は
「自らの核兵力で敵勢力を十分に抑止できる」
と考えるが、前線に立つ非核兵器国の同盟国は更なる核の絶対的保証を求める。
自らが捨て駒となることを恐れるからである。
この切羽詰まった捨て駒心理が、敵の平和攻勢や微笑外交の対象となる。
フランスが核兵器保有に踏み切った時、ドゴール将軍は、
「パリが核攻撃された時、ワシントンは自らを犠牲にしてモスクワを攻撃するのか」
と嘯いたと言われる。
その発言は正鵠を得ている。
米国は、第二次世界大戦後、それまでの孤立主義的な平和主義を捨て、米軍を大西洋及び太平洋を越えて前方展開し、同盟国に核の傘を被せて、ロシアの膨張を阻止した。
それは裏を返せば、北米大陸からできるだけ遠方で戦うことである。
9・11米国同時多発テロの後、米軍がNATO軍を率いてタリバンが本拠地を構えるアフガニスタンになだれ込んだ時、第43代ブッシュ大統領は
「戦場は敵地だ(bring the war to the enemy)」
と言い放った。
国民、国土を守る指導者の当然の判断であろう。
しかし、欧州や極東で前線となる国家は異なる考え方をする。
冷戦中、西ドイツ人は、自らが核の戦場となるかもしれないと感じていた。
眼前の敵は同族の東ドイツ人である。
西ドイツは地上国境を挟んで強大な赤軍の戦車師団と向かい合っていた。
核兵器は、通常兵力で弱い方が先に持ち出す。
NATOは核の先行不使用を拒否し続けた。
しかし一旦、NATO側が核を使えば、ロシア側も容赦はしないであろう。
東西ドイツは核の戦場になる。
だが、そのまま米露の超大国が核の応酬に向かうはずがない。
どこかで停戦協定が結ばれる。
捨て駒にされ、核の廃墟となったドイツのいない欧州の平和が回復される。
そんなことは認められない。
だから、戦争は絶対に始めさせてはならない。
それがドイツの結論である。
ドイツが、自国領内に大量に持ち込まれた米国の核兵器の運用に執念を見せたのは当然である。
ドイツ国会は、早くも1956年には核兵器運搬手段の保有決議を採択している。
それがやがてNATO核という核共有の仕組みに発展していく。
また、ロシアが、1980年代に、SS20と呼ばれる中距離核ミサイルを東欧に配備しょうとした時、時の西ドイツ首相ヘルムート・シュミット氏は、米国のパーシングU核ミサイルの配備に拘った。
ロシアがSS20を西ドイツに使った時、米国は戦略核で反応しないだろうと恐れたのである。
シュミット首相は、ロシアがSS20を撤収すれば、パーシングUは配備しないという条文を突き付けて、ブレジネフ書記長と直談判に及んだ。
結論は、中曾根康弘首相の介入も奏功して、米露間の中距離核戦力(INF)全廃条約となった。
米国から見れば、北極海を挟んで米露の大量の戦略核が相互に照準を合わせており、核の相互抑止は十分に効いていると言いたいところであろう。
ドイツも米本土と同様に米戦略核によって守れらていると言いたいところであろう。
そのような狭隘で合理的な軍事的論理は、政治指導者であるシュミット首相の耳には入らなかった。
ドイツ国民を指導せねばならないシュミット首相は、一分の隙も無い東西対称な万全の抑制体制構築を望んだのである。
■核抑止力の信頼性を高める
それでは日本はどうすれば良いのか。
日本の独自核武装の道は、核不拡散条約の下で封じられている。
被爆者の方々は、生涯を懸けて広島、長崎の悲劇を訴えてきた。
日本が核武装の道を選ぶことはできない。
しかし、中国の恫喝を跳ね返す核抑止力は必要である。
そもそも日本が核不拡散条約を締結する際に、その代償として米国の核の傘が提供された。
日本政府は、核の傘が真に機能するように米国に常に求め続ける権利があり、また、国民に対してその義務を負う。
平和主義は尊いが、自らの命を犠牲にしてまで貫くガンジーやキング牧師のような聖者の平和主義は、国民の生命財産に責任を持つ政府の取り得るところではない。
日本が取り得る方法は3つある。
第1に、反核団体を支持者に持つバイデン政権が頑なに拒否している海洋核(潜水艦搭載中距離巡航ミサイル)の復活である。
元々空母とその艦隊を守るための兵器であるが、日本に対する戦術核攻撃への反撃にも用いると米国に公言させれば良い。
日本は非核三原則を改め、核搭載潜水艦の日本寄港を認めることになる。
そもそも寄港は本当の持ち込みではない。
ただの給油である。
核ミサイルは沖合から米国が自らの意思で発射する。
日本がその運用に介入することはできない。
第2は、トランプ政権によるINF全廃条約破棄後に米国が再生産に乗り出した地上配備の核ミサイルの日本持ち込みである。
核兵器を陸に持ち込むのであるから、その配備、更には運用に関してまで、日米間で緊密な協議が必要になる。
現在やっているような中堅官僚の拡大抑止協議のレベルでは役不足である。
首脳、「2+2(日米外務防衛大臣会合」を巻き込んだ最高レベルの意思決定が必要になる。
敵は、日本に持ち込まれた核ミサイル基地を狙うであろうが、当方もまた、敵のミサイル基地を狙うことになる。
そうして相互抑止が可能になる。
国会やメディアで、未だに
「一方的に丸裸になれば安全だ」
というような議論が開かれるが無責任な話である。
ただし、核兵器を持ち込む地方公共団体の理解を得るのは至難の業であろう。
お隣の韓国では、北朝鮮の核武装の進展に悩んで核武装論が出ている。
独自核は無理としても、韓国は割と早期に米国の地上核の再配備に同意するのではないか。
そうなれば米韓同盟だけが核化し、日本は核の真空地帯になる。
中国は、脆弱な日本が一番核で恫喝しやすいと考えるであろう。
第3に核の共有である。
米国の海洋核が復活すれば、日本の主力潜水艦に米国海軍人クルーを搭乗させ、同時に米国の核ミサイルを搭載する。
日米の
「ダブル・キー」
で核ミサイルを発射する。
本来であれば、潜航能力の高い原子力潜水艦が望ましいが、ディーゼル潜水艦でも不可能ではない。
実際、イスラエルの核兵器はドイツ製のドルフィン型ディーゼル潜水艦に搭載されていると言われている。
日本が共有する海洋核は、先行使用のためのものではない。
日本に核攻撃があれば、索敵の難しい海中から確実に報復するための第2撃用の核ミサイルになる。
ただし、冷戦初期からドイツなどの言い分を取り入れて独自の核戦略に取り組んできたNATOと異なり、非核三原則の下で、3四半世紀の間、核抑止について米国に一方的に依存してきた日本である。
今更、核共有と言い始めても米国は嫌がるであろう。
そもそも米海軍は取り扱いの難しい核兵器の再搭載に消極的と言われている。
中国と北朝鮮の増大する核の脅威に対抗するために、
「日本は自らの核武装さえ考えている」
と嘯いて、本気で米国にしがみつかない限り、米国が日本との核共有を検討することはないであろう。
■曖昧政策排せ
これから米中の核競争はどこへ向かうのか。
中国の核軍拡は凄まじく、2035年には核弾頭数が1500発を数えると言われている。
それは米国が新戦略兵器削減条約(新START)下で許容されている常備配備弾頭数に匹敵する。
中国は、英仏のように一撃必殺のカウンターバリュー(大都市攻撃)の第2撃核能力を保持するだけではなく、米露のようにカウンターフォースで敵の報復攻撃能力を第1撃で叩き潰す超大国製の核戦力を持とうとしている。
そうなれば、誤謬による核戦争勃発阻止のために、米中間では徹底した透明性の確保と相互信頼の醸成が必要となる。
米露間では、ウクライナ戦争開始までは、そのような核軍縮・軍備管理の仕組みが存在した。
中国も、米国やロシアと、核軍縮・軍備管理の枠組みに入る必要がある。
そうなれば、一切の曖昧さは許されない。
敵の誤算を招けばそれは大規模な核の応酬に繋がるからである。
台湾を巡る米国の曖昧政策は放棄されねばならない。
そうなれば、台湾海峡を巡る冷たい平和が実現する。
それは、中国が遠い将来民主化するまで続くことになるであろう。

被爆国にこそ必要な「核抑止戦略」
麗澤大学特別教授・元空将 織田邦男
正論2023年4月号
日本は戦後最悪の安全保障環境に直面している。
ロシアは2022年、ウクライナ侵略戦争を始め、未だ出口が見えない。
中国は
「偉大なる中華民族の復興の夢」
を掲げ、台湾武力併合を否定しない。
北朝鮮は2022年、37回、約70発の弾道ミサイルを日本海などに発射した。
核弾頭の推定保有数は40〜50発とされ、7回目の核実験も準備中と言われる。
こんな中、2022年12月、安全保障関連3文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)が閣議決定された。
2022年12月16日の米紙ウォールストリート・ジャーナルは、
「The Sleeping Japanese Giant Awakes(「眠れる巨人」日本が目覚める)」
と題する社説を掲載し、日本の歴史的な変化であるとして、政治的リスクを取った岸田文雄首相を高く評価した。
国家安全保障戦略(以下、安保戦略)では、パワーバランスの歴史的変化と地政学的競争の激化に伴い、国際秩序は重大な挑戦に晒されており、その認識の下、国際協調を旨とする積極的平和主義を維持しつつ、我が国を守る第一義的な責任は我が国にあるとして、安全保障上の能力と役割を強化するとした。
国益実現のため、防衛力のみならず、外交、経済、技術、情報といった諸力を総合的に用いた戦略的アプローチを重視し、サイバー、海洋、宇宙、技術、経済など全方位で安全保障に取り組むこととしている。
現実的でバランスの取れた優れた戦略である。
我が国にとって最大の懸念は、中国の動向である。
2023年3月から習近平国家主席による3期目の政権が始める。
習近平政権は側近をイエスマンで固め、独裁色を更に強めた。
透明性を欠いた軍拡を背景に、力による一方的な現状変更の試みは、その権威主義的、拡張主義的傾向と相まって、我が国のみならず国際社会の懸念材料となっている。
安保戦略ではこれを
「最大の戦略的な挑戦」
とし、
「脅威」
とは表現していない。
米国と日本では地政学的にも脅威認識は違って当然であるが、米国の安保戦略と歩調を合わせたようだ。
国家防衛戦略は、従来の防衛計画の大綱に代わるものとして新たに策定された。
従来のような防衛計画の方向性を示すだけでなく、安保戦略を達成するための目標を設定し、具体的なアプローチと手段を明示している点は理解しやすい。
今回の3文書の目玉は、我が国への武力攻撃に対する抑止力向上の鍵として
「反撃能力」
の整備を明記すると共に、今後5年間で関連経費を含む防衛費を国内総生産(GDP)比2%まで引き上げる方針を明示したことである。
安倍政権でも成し遂げられなかったことであり、積極的に評価したい。
■安保戦略の欠陥
他方、安保戦略の最大の欠陥は
「核抑止戦略」
が欠如していることだ。
中国、ロシア、北朝鮮という核、ミサイルを保有する独裁国家に囲まれる環境下にあって、
「核抑止力戦略」
の欠如は画竜点睛を欠く。
安保戦略は31ページの労作にもかかわらず、核抑止関連の記述はほんの数行に過ぎない。
それらしきは
「核を含むあらゆる能力によって裏打ちされた米国による拡大抑止の提供を含む日米同盟の抑止力と対処力を一層強化する」
の1文である。
「具体的に」
とはあるものの、
「日米の役割・任務・能力に関する不断の検討を踏まえ、日米の抑止力・対処力を強化するため、同盟調整メカニズム等の調整機能を更に発展させつつ、領域横断的作戦や我が国の反撃能力の行使を含む日米間の運用の調整、相互運用性の向上、サイバー・宇宙分野での協力深化・・・」
と続く。
核抑止の具体策とは、とても言えない。
安保戦略の冒頭、安全保障の基本原則に
「非核三原則を堅持」
と明記したことにより、核の脅威から日本を守るオプションを自ら縛り、思考停止してしまっている。
折角の安保戦略だけに極めて残念である。
今回の3文書策定の目的が
「反撃能力」
「GDP比2%」
の実現であったため、政争の具になりかねない
「非核三原則」
には、出来る限り触れたくないとの思惑が働いたのだろう。
今後、核に係る戦略環境は益々悪化することが予想される。
安保戦略は
「おおむね10年間の期間を念頭に置く」
とある。
今後10年間、
「非核三原則」
を金科玉条として神聖不可侵化し、自縄自縛に陥るのは柔軟性に欠け、甚だ危険である。
「米国による拡大抑止の提供」
を念仏のように唱え続けることは早晩できなくなる可能性がある。
せめて
「核の傘」
の信頼性、実効性向上の方向性、そして情勢急変の際の対処方針くらいは盛り込むべきであった。
ジョー・バイデン米国大統領は2023年1月13日(日本時間14日)の日米首脳会談で、反撃能力の保有を含む日本政府の抜本的な防衛力強化を高く評価した。
だが核抑止については、
「核を含むあらゆる能力を用いた、日米安全保障条約第5条の下での、日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントを改めて表明したい」
(日米共同声明)
とそっけない。
日本が米国に対し、新たに何も要求しないので当然こういう状況になる。
■感情論に流されるな
安保戦略に
「非核三原則を堅持」
とあるのは、
「核兵器のない世界」
の実現をライフワークとする岸田首相に忖度したこともあるのだろう。
岸田首相は
「私は被爆地・広島の出身であり非核三原則を厳守する」
としばしば語っている。
2023年5月のG7サミットを広島で開催し、核軍縮の機運を高める取り組みとして、全首脳で広島平和記念資料館を訪れるという。
結構なことだ。
だが、
「被爆地・広島出身」
だから
「非核三原則を守る」
という発言は、日本の防衛に責任を有する総理大臣の発言としては甚だ不適切である。
岸田首相は2023年1月25日、
「国民の命を守り抜けるかという観点から防衛力の抜本的強化を具体化した」
と答弁した。
同様に、非核三原則が
「国民の命を守り抜くという観点から」
最良の政策だからこれを厳守するというならいい。
だが、現実はそうなっていない。
核が出現して以来、核保有国同士の戦争は起きていない。
また北大西洋条約機構(NATO)のように、ロシアに対する核抑止として、米軍の核を国内に備蓄し、共有している国もある。
他方、ウクライナは現在、ロシアの核の威嚇、恫喝に翻弄されている。
ウクライナはソ連崩壊時、世界第3位の核保有国であった。
だが、米、英、露とブダペスト覚書(1994年12月5日)を、そして、中、仏とは個別の取り決めを結び、国連安全保障理事国が領土の一体性と安全を保障したことによりウクライナは核を放棄した。
核拡散防止条約(NPT)にも加盟し
「ウクライナ版非核三原則」
を順守していた。
だが2014年、ロシアによってクリミア半島を奪われ、そして今、本土への侵略を許している。
核を少数でも保有し続けていればロシアの侵略はなかったとも言われる。
「ウクライナ版非核三原則」
は侵略の抑止に役に立たなかったことは明確だ。
非核三原則については、
「被爆国だから」
といった感情論に流されるのではなく、今一度、効能を冷静に検証してみる必要がある。
少なくとも
「唯一の被爆国」
というのは
「特権」
でもなければ、敵が攻撃を躊躇するような
「抑止力」
にもなり得ない。
かつて清水幾太郎が著書
『日本よ国家たれ 核の選択』
で述べた通りである。
「被爆国だから非核三原則」
という論理は通用しないのだ。
為政者として、
「核兵器のない世界」
の実現を目指すというのであれば、やらなければならないことが2つある。
1つは
「どのようにして」
というロードマップを示すことであり、
2つ目は、それが実現するまでの間、
「どうやって国民の命を守るか」
という戦略を示し、国民を納得させることだ。
バラク・オバマ元米大統領は
「核なき世界の実現」
を掲げてノーベル平和賞を受賞した。
だが現実には、新戦略兵器削減条約(新START)で戦略核の配備数を1550発に削減しただけである。
備蓄数量の制限はなく、核廃絶に対して実質的な貢献はなかった。
オバマ元大統領本人も
「核抑止の意義を否定しない」
と語っている。
「核なき世界」
「核使用を断固拒否」
と叫ぶだけでは、為政者の責任を果たすことにはならないのだ。
被爆国だからこそ、2度と核の惨禍を受けることがないよう、現実に立脚した核抑止戦略を構築しなければならない。
■「核」の脅威を直視せよ
ウクライナ戦争では、国連安保理の常任理事国が核をちらつかせながら侵略戦争を実施した場合、誰もこれを止められないという現実を突き付けられた。
国連も全く無力である。
頼みの米国もロシアの侵略を抑止できなかった。
そればかりか、ロシアによる核の脅威によって、米国の軍事行動が逆に抑止されてしまった。
核兵器は破壊力が大き過ぎ、最早使えない兵器と言われて久しい。
だが、ウクライナ戦争は
「核は使われない限り有効である」
という
「ルトワックのパラドクス」
を証明してしまった。
また核による威嚇、恫喝が、通常戦力では無力化できないという現実も明らかになった。
核による威嚇、恫喝は大きな政治力を持つ。
「その国のリーダーが正気でないと認識された場合、更に有効性が増す」
という現実もある。
北朝鮮の金正恩総書記、ロシアのウラジミール・プーチン大統領、中国の習近平主席に共通していることは、いざとなれば何をしでかすか分からない独裁者と見られていることだ。
NPT体制も崩壊寸前にある。
5つの常任理事国以外に核保有を認めないこの条約には、核保有国が核軍縮を行うと共に、非核国に対し核の使用(威嚇、恫喝を含む)をしないという前提があった。
だが完全に崩れ去った。
この現実を目の当たりにした金正恩総書記は、今後、核の廃絶には決して応じないだろう。
北朝鮮は深刻な経済的困難に直面しながらも、軍事面に資源を重点的に配備し続けている。
特に弾道ミサイルについては、国連安保理決議に違反して開発し続けている。
北朝鮮に核、ミサイルを放棄させる原則、
「完全かつ検証可能で不可逆的な解体」
(CVID:Complete, Verifiable, and Irreversible Dismantlement)
は最早死文化した。
■「核の傘」が「破れ傘」になる日
北朝鮮は2022年11月、
「火星17号」
を発射した。
米国全土を射程に収める可能性があるミサイルだ。
報道によると、かなりの技術的進歩があったとされる。
実戦配備されるのは時間の問題であろう。
その時点で、米国の拡大抑止、つまり、
「核の傘」

「破れ傘」
になる可能性がある。
「拡大抑止の提供」
とはいえ、ワシントンを犠牲にしてまで米国が日本を防衛するとは考えられないからだ。
同様なことが1970年代後半、欧州で起こった。
ソ連は中距離核ミサイル(SS20)を配備し、欧州との間で中距離核戦力(INF)に不均衡が生じた。
SS20で欧州を攻撃された場合、米国は果たして本土を犠牲にしてまで戦略核で報復してくれるのか。
米国の
「核の傘」
に疑念を抱いた欧州は、SS20と同等のINF(パーシングUミサイル、地上発射型巡航ミサイル)の欧州配備を米国に迫った。
INFの欧州配備で均衡が実現するや、米ソ軍縮交渉が始まった。
1987年、INF全廃条約として結実し、INFは全廃された。
軍拡によって軍縮を実現させた成功例である。
だが、皮肉にもこの成功が、現在の米中の著しいミサイル・ギャップを招いた。
INF全廃条約の制約を受けない中国は、日本、グアムを射程に収める短・中距離ミサイルを着々と整備し、今や1900基が配備されているという(ブラッド・ロバーツ元米国防次官補代理、2020年3月)。
片や米国の保有はゼロである。
「力の不均衡」
は戦争の可能性を高める。
憂慮したトランプ政権はINF全廃条約から脱退した。
米国は今、INFを急ピッチで開発中である。
中国は通常兵器のみならず、核戦力でも米国を凌駕しようとしている。
2021年夏、地上発射型弾道ミサイルのサイロが約300基建設中であることが明らかになった。
2021年12月、ロイド・オースティン米国防長官は、中国は2030年までに核弾頭を約1000発に増勢し、核戦力の3本柱(地上配備、潜水艦発射、戦略爆撃機搭載)強化を目指していると述べた。
2022年11月、米国防総省は報告書を公表し、中国が現在の増強ペースを維持すれば、2035年には核弾頭が1500発まで増強される可能性が高いと上方修正した。
米国の実戦配備の戦略核とほとんど同レベルになる。
戦略核で均衡すれば、INFの不均衡が決定的意味を持つことになる。
日本、韓国、台湾などへの米国の
「拡大抑止」
は無効化され、
「核の傘」

「破れ傘」
になる公算大である。
1970年代後半の欧州事情の再現である。
■米中のミサイル・ギャップ
2021年4月、米戦略軍司令官チャールズ・リチャード大将は議会証言で、潜水艦発射の戦術核ミサイルの配備を進めなければならない、拡大抑止の保証が十分ではなくなっていると述べた。
だが、バイデン大統領は、トランプ前大統領が決定した潜水艦発射戦術核ミサイルの開発を白紙に戻した。
2022年11月、リチャード大将は、
「我々が体験しているウクライナ危機は、ウォーミングアップに過ぎない」
「もっと大きなものが待ち構えている」
「間もなく我々は試練を迎えるだろう」
と警鐘を鳴らした。
日本は、この潜水艦発射戦術核ミサイル白紙化の再考をバイデン大統領に強く求めなければならない。
岸田首相がバイデン大統領に対し、日本の立場を主張して白紙化の再考を促したかどうか、筆者は寡聞にして知らない。
「力の信奉者」
である中国への抑止が崩れれば、台湾海峡の平和と安定は危うい。
日本に向けられたINFを抑止し、威嚇、恫喝をどう無効化するか。
日本が
「核抑止戦略」
の構築を急がねばならない理由がここにある。
核に対する抑止は核であり、通常兵器では成り立たない。
欧州で核戦力をもって核戦力を全廃したように、米中のINFの均衡を取り戻し、米中の核軍縮交渉を開始させなければならない。
2021年3月、米インド太平洋軍司令官は議会に要望書を提出した。
中国への抑止は崩れつつあり、今後完成する中距離弾道ミサイルは第1列島線(九州、沖縄、台湾、フィリピン、南シナ海へのライン)に配備すべしとの要望である。
最近、米政府は日本の世論の理解得るのが難しいとの理由で日本配備を見送るという報道がある一方、米政府は日本配備を打診中であり、日本は配備受け入れの方向で協議を本格させるという報道もある。
真偽は不明であるが、事は日本の安全保障に直接関わる。
政府は日本国民を説得し、日本配備を実現させるべきである。
1970年代後半、マーガレット・サッチャー英首相やヘルムート・シュミット独首相(いずれも当時)が、反対世論を押し切って米国にINFを持ち込ませたのを想起すべきだ。
「力の均衡」
を取り戻し、米中の核軍縮交渉開始に向け、日本が主導的役割を果たすべきである。
■非核三原則の見直し
米国の核政策は
「NCND(Neither Confirm, Nor Deny)」
つまり否定も肯定もしない政策を採っている。
中距離弾道ミサイルについても、核弾頭が搭載されているかどうかは明らかにしないだろう。
ミサイルを日本に配備する場合、非核三原則が足枷になることは確かだ。
だが、事は日本の安全保障なのである。
必要があれば、非核三原則も見直すべきだ。
国民の安全確保が目的であり、非核三原則自体が目的であってはならない。
安倍晋三元首相は生前、米国の拡大抑止強化の議論を進めるため、
「核共有の議論をすべし」
という高めのボールを投げた。
直後の世論調査では国民の約8割が
「議論すべき」
に賛成だった。
自民党はそれを受け、安全保障調査会で核抑止に関する勉強会を開いた。
だが、
「唯一の戦争被爆国として、世界平和に貢献する我が国の立場は絶対に崩すべきではない」
と情緒的で浅薄な議論に終始した。
宮澤博行国防部会長(当時)が
「議論しない」
と打ち切りを決め、検討会はこの1回をもって
「アリバイ作り」
に終わった。
せっかくの機会を自民党自らが潰し、国民に思考停止を強要した。
核兵器を自前で保有するのは、国民感情、国際世論、実験場、そして核拡散防止条約や原子力基本法などの問題もあり、現実的ではない。
だが
「持ち込ませず」
の原則は、時の内閣の責任で変更できる。
2010年3月、鳩山由紀夫内閣の岡田克也外相は以下のように答弁した。
「核搭載米戦艦の一時寄港を認めないと日本の安全が守れないならば、その時の政権が命運を賭けてぎりぎりの決断をし、国民に説明すべきだ」。
安全保障上、必要が生じれば、
「持ち込ませず」
の原則を撤回し、米軍が核兵器を日本へ
「持ち込む」
ことを認める可能性に言及したのだ。
また、
「国民の安全が危機的状況になった時、原理原則をあくまで守るのか、例外を作るのかは、その時の政権が判断すべきことであり、今、将来に渡って縛るわけにはいかない」
とも述べた。
政権交代後、安倍晋三内閣において岸田首相は
「現政権もこの(岡田)答弁を引き継いでいる」
と答弁している。
平素は非核三原則を堅持するものの、緊急時には
「持ち込ませず」
は変更できる。
これだけでも核抑止力政策の選択肢は増える。
中国の台湾武力侵攻が取り沙汰されている今、まさに
「緊急時」
である。
台湾有事が起こってからでは遅い。
ドイツなどNATOの5カ国は、国内に米軍の核弾頭(B61)を平時から備蓄し、米軍との核共有を図っている。
だが、縦深性の乏しい島国日本にあって、同様な核共有が合理的とは筆者は思わない。
他方で、これから完成してくる地上配備の移動式中距離ミサイルは、弾頭が核、非核にかかわらず日本配備を要求すべきである。
米中のミサイル・ギャップは深刻であり戦争の誘因となり得る。
「時の政権が命運を賭けて決断し、国民に説明すべき」
時なのである。
また、今後の情勢によっては、ここぞという絶妙の瞬間に、戦略原潜を日本に寄港させる。
将来的には戦略原潜の日米共同運用など、拡大抑止強化策について日米協議を実施し、核抑止戦略を検討しておくべきである。
■核抑止への当事者意識持て
核を持ち込むメリットは、核抑止だけではない。
核に係る米軍の作戦計画策定への参画、訓練への参加、有事における作戦発動や意思決定への関与などを米国に要求できる。
これらに関与するだけで拡大抑止の信頼性は増す。
NATOの核共有も核計画グループ(NPG)への参画が目的とも言われる。
2022年3月、自民党の茂木敏充幹事長が述べたように、
「物理的な共有ではなく、核抑止力や意思決定を共有する仕組み」
に参画する意味は大きい。
2023年1月、ワシントンで実施された日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同発表に
「日米拡大抑止協議及び様々なハイレベルでの協議を通じ、実質的な議論を深めていく意図を有している」
とある。
「米国の拡大抑止が信頼でき、強靭なものであり続けることを確保することの決定的な重要性を再確認した」
とも述べる。
ならば日米拡大抑止協議を通じ、
「核の傘」
の信頼性向上への具体策にまで踏み込む必要性がある。
冷戦時はこの協議は課長クラスがやっていたが、ようやく審議官クラスになったという。
韓国は昔から次官クラスがやっているようだが、如何に日本が核抑止への当事者意識が低いかが分かる。
ウクライナ戦争は、我々にいつでも20世紀型戦争が起こり得ることを突き付けた。
また核の威嚇、恫喝が、戦争遂行と同等の政治力を持ち、平時から行使され得ることも。
これまでのように戦争を絵空事として惰眠を貪ることは最早できない。
核抑止についても当事者意識を持ち、自らにかかる火の粉は自らが払わねばならない。
日本には安全保障に関し、感情的で不条理な障害が未だ多く立ち塞がっている。
核に対するタブーがその典型である。
現実を直視しつつ、タブーなき議論により、核抑止を図っていかねば、今後の厳しい安全保障環境を日本は生き抜いていけない。
安保戦略に関し、
「核抑止戦略の欠如」
を指摘した。
だが、これ以外は、極めて現実的で優れた安保戦略である。
日米首脳会談の共同声明にもあるように、
「言葉だけでなく、行動」
が求められている。
今は早急に3文書を実行に移すことが何より求められている。
同時に
「緊急時」
との認識の下、安保戦略を超える決断を余儀なくされる可能性も予期しておかねばならない。

主張
北のICBM発射 「核の傘」破壊狙う悪計だ
2023/2/20 5:00
https://www.sankei.com/article/20230220-DR3GALZHGRIP7JKLU6QOLJ4ZWU/
北朝鮮が、大陸間弾道ミサイル(ICBM)1発を日本海に向けて発射し、北海道渡島大島の西約200キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾した。
米国が日本にさしかける
「核の傘」
を壊そうという狙いを含んでいる。
岸田文雄首相は反撃能力整備に加え、核抑止態勢の再点検、強化を急がなければならない。
北朝鮮のICBMが日本のEEZ内に着弾したのは2022年11月の
「火星17」
以来だ。
北朝鮮メディアは、新設の
「ミサイル総局」
傘下部隊によるICBM
「火星15」
の即応発射訓練だと報じた。
実戦配備を宣伝したいのだろう。
通常より高い角度で発射するロフテッド軌道だった。
防衛省は、通常軌道であれば射程は1万4000キロ超で、米国全土が攻撃対象になり得るとの見方を示した。
北朝鮮の弾道ミサイル発射は国連安全保障理事会決議違反で日本や世界の安全を脅かす暴挙だ。
日米韓などが非難したのは当然だ。
北朝鮮は直ちに核・弾道ミサイル戦力を放棄すべきである。
韓国大統領府は国家安全保障会議(NSC)で、深刻な食糧難にある北朝鮮では餓死者が続出していると明かした。
国民の生命、生活を無視して核・ミサイル戦力強化に走るのは金正恩朝鮮労働党総書記の独裁体制を守りたいからだろう。
「民主主義」
「人民」
を国名に冠する資格があるのか。
このような危険で非道な隣国が存在する。
岸田政権が抑止力向上のため、反撃能力保有を閣議決定したことは正しかった。
できるだけ早く反撃能力の運用を可能にしてもらいたい。
ただし、それで十分とはいえない。
火星15は液体燃料式ミサイルだが、移動式発射車両(TEL)から発射されるため発見は難しい。
更に北朝鮮は、迅速に発射可能な固体燃料式のICBMを開発中だ。
北朝鮮が核によって米国の大都市を
「人質」
にとったと考えれば、米国の
「核の傘」
に依存する日韓への軍事攻撃をためらう理由が大きく減る。
岸田首相は核抑止態勢を強化しなければ国民を守れないと気づくべきだ。「核共有」
の議論も排除すべきではない。
岸田首相がICBM飛翔中に耳鼻咽喉科のクリニックに通ったのは甚だ疑問だ。
船舶などに被害が出ていたら申し開きできまい。
もっと緊張感を持つべきである。

核共有議論に賛成が76%  プーチンはパーキンソン病?
2022/3/6 19:27
https://ameblo.jp/sudachi815/entry-12730477353.html
今朝の『日曜報道 THE PRIME』で、番組視聴者に、
「(安倍元総理が提起した)核共有についての議論をするべき」
かどうかについて、番組内でアンケート調査を行いました。
見ていた私は賛成が半分行けばいいのかなと思ったのですが、何と76%で、反対は19%でした。
4人に3人が賛成なのです。
勿論議論をしろということですし、核保有しない国での核抑止力のあり方を議論しろということなのですけどね。
この番組は、地上波の中ではまともな番組だと思っていますが、視聴者の意識も高いんだと思いましたね。
新聞社や昼のワイドショーでは、とてもここまで高い数値にはならないでしょう。
日本人の意識に少し安心しました。
そして、高市早苗政調会長もこの番組で、政府の
「非核三原則」
に関して
「有事の時の『持ち込ませず』については党内で議論したい」
との考えを示しました。
「非核三原則を守るのか、国民の命を守るのか」
「厳しい状況になった時、判断は時の政権がし、議論は縛ってはいけないというのが政府のスタンスだ」
と説明しています。
高市氏はまた、
「非核三原則を守るべしという人の中には、有事になっても、核兵器を搭載した米艦船が日本の領海内を通過してもダメ、領空を飛んでもダメという議論まである」
「大方の皆さんは(日本は)米国の核の傘の下で守られていると言うが、いざとなったら核抑止力が全く機能しないと言っているのと同じことになる」
と語りました。
岸田首相とは全く違っていますね。
やはり時期総理候補だけのことはありますね。
ある専門家は、核軍縮を進めるためには、領国が同規模の核兵器を保有したところからスタートすると言っていました。
核を持たない国が、持っている国に対して放棄しろと言っても聞くわけが無く、お互いに同じように減らしていって、最終的には廃棄するストーリーでなければ核廃棄などできないと。
日本が米中ロのように多くの核兵器を持つことは無いので、日本主導で核廃棄は不可能ということですね。

激動する世界と日本の進路
大坂「正論」懇話会講演詳報(2022年6月9日開催)
月刊誌『正論』2022年8月号 ジャーナリスト 櫻井よしこ
■核をアメリカ任せにするな
我々の前には中国が立ちはだかります。
このように状況が混沌としている時には、とにかく目の前のことに注意しながらも、中長期的に物事を考えることが必要です。
中長期的に考えると中国が力を付けることが明らかであります。
中国が力を付けるということはどういうことか。
中国には経済力があり、軍事力があります。
一目瞭然ですが、台湾、沖縄をめぐる海、このように限定された地域を
「戦域」
と呼びます。
この狭い戦域における軍事力の比較では中国が圧倒的に強いんです。
日本とアメリカと台湾を足してもかなわない。
ここだけの範囲で言うと、もし今、台湾争奪戦が起きたら、我々は敗北すると思わなくてはならない。
今何故そのような戦いが勃発していないかと言うと、地球規模の戦略域ではアメリカが圧倒的に強いからです。
軍事力を比較する時に、どの要素が一番大事になるかと言うと、最終的には核兵器です。
通常戦力と核兵器の戦いにおいては核が勝ちます。
これは軍事上の真理です。
中国は核兵器の数において、2021年までは大体350発保有していると言われていました。
2022年の現段階で395発に増やしています。
数カ月間で45発も増やした。
5年後の2027年には700発、2030年には1000発まで増えると言われています。
2030年にはほとんど均衡、これを軍事的にparity(パリティ)と呼びますが、パリティの状況になる。
アメリカは我が国の同盟国です。
アメリカの核の傘で我々は守られている。
そのアメリカは戦略核1550発を配備して中国には対峙できるかもしれませんが、ロシアもいる。
ロシアは貧乏な国になると思いますが、強みである軍事を諦めることはないでしょう。
彼らは国際社会で最大数の核を持ったまま貧乏になるんです。
そうするとロシアが実戦配備する核1550発、中国の1000発の両方にアメリカは対峙しなくてはいけない。
それに加えて北朝鮮も核を持っています。
アメリカは中国、ロシア、北朝鮮に事実上1国で対峙しなくてはいけないのです。
日本はアメリカと手を組んで、これら3カ国の脅威に対処するでしょう。
でも我が国は非核三原則の国です。
先日、週刊新潮の連載のため岸田文雄首相にインタビューしました。
1時間の予定が1時間半に延びました。
それでも全然嫌な顔をなさらない。
優しいのです。
私がいくら意地悪な質問をしても、全然嫌な顔をなさらない。
それでも
「防衛費をGDP(国内総生産)比2%となぜ明言しないのですか」
と聞くと
「積み上げます」
と。
私が何回も
「国家の意思として2%と言わないのですか」
と聞くと、それでも
「いや、皆さんのご意見を聞いて積み上げで行きます」
と答える。
しかも嫌な顔を全然なさらないものだから、暖簾に腕押しとはこういうことですね。
岸田さんは
「非核三原則の『作らず、持たず、持ち込ませず』は日本の『国是』である」
という本当に夢物語、お花畑のようなことを考えておられます。
日本国民も核のことはほとんど考えたことがないために、核と言うとアメリカに任せていけばいいんだということで、現実論に即して考えることがない。
恐らく日本はこういう状態が今しばらく続くと思いますが、このままでは絶対にいけないと、私は思います。
■中距離ミサイル配備せよ
日本でもアメリカでもシンクタンクなどで、どうやって中国は台湾を取りに来るだろうかという議論がなされています。
台湾は高い山脈の直下に基地を作っている。
中国大陸のある西側からは攻撃が難しい。
山があって邪魔になりますから、東側から攻撃するのが一番いいわけです。
今までは東側から攻撃するのは難しかったけれども、この頃はミサイルがありますから、ミサイルを飛ばせば攻撃できる。
米中の軍事関係がほとんどパリティになったら、台湾攻略が始まるかもしれない。
始まっても全然おかしくないという状況に私たちは直面しています。
このことを念頭に、日本はどうしたらいいかを考えましょう。
台湾と与那国島は110kmしか離れていません。
台湾問題、沖縄問題で中国が脅しをかけた時にアメリカは我が国や台湾を守ってくれるか。
これはなかなか難しいだろうと思わざるを得ない。
私たちの国はどうしたらいいのか。
ここで思案投げ首なんかしちゃいけない。
うじうじして、決めることができなければ、中国の思う壺になってしまう。
だから私たちは賢くなって、あらゆる選択肢を考えなくてはいけないんです。
我々はアメリカに頼まなきゃいけない。
中距離ミサイルを作って下さい、日本に配備して下さい、そして中国と同じように核を載せて下さいーと。
中国が日本を狙っているのが現実である以上、我々も中国と同等の中距離ミサイルを持たなければ交渉もできない。
では中距離ミサイルをアメリカに頼るだけでいいのか。
「ノー」です。
我が国の技術で国産ミサイルを作るのです。
いつまでも外国に依存していては駄目なんです。
ウクライナは地続きでしたから、周辺諸国から武器装備がどんどん入ってきます。
これに対して我が国は海に囲まれており、船や飛行機で運ばなくてはいけない。
封鎖されて入ってこなくなるかもしれない。
だからこそ我が国には我が国を守る武器装備がなければならない。
我が国の優れた技術を守り、防衛産業をきちんと育てておかないとならないのです。
ウクライナは日本と同じような国です。
平和を信じていました。
冷戦が終わったので、核兵器も含めて持っていた武器装備をロシアに渡したり、中国に売ったりして、ほとんど裸になりました。
これからは経済だということで一生懸命経済をやっていたらロシアに踏み込まれた。
国土が滅茶苦茶になっています。
我が国はウクライナの悲劇から学ばなくてはならないのです。
核と言うだけで忌み嫌うのは良くないと思います。
我が国を守るために非核三原則の3つ目、
「持ち込ませず」
をなくして、アメリカに核を持ってきてもらって、我が国の中距離ミサイルを配備すれば、形勢が逆転します。
これを実施するかどうかは私たち自身の考え方によります。
私たちがどうしても我が国を被爆国だから、その被爆国の思いというものを大事にしなくてはならない。
これからも非核三原則で行かなくてはいけないという所に留まれば、この議論は進まず日本は存亡の危機に直面します。

「言論テレビ」10年、500回記念特別対談C
「歴史戦」は真っ向から闘え!
月刊誌『Hanada』2022年8月号
安倍晋三 元内閣総理大臣
櫻井よしこ ジャーナリスト、国家基本問題研究所理事長
(本対談はインターネット番組「言論テレビ」2022年5月20日放送分を整理再録しました)
■核使用の責任
★櫻井
安倍総理はおっしゃれないでしょうから、私から申し上げると、岸田総理が安全保障を分かっていないと思ったもう1つの理由は、核についての考え方です。
『週刊新潮』の対談で、岸田総理はこう言いました。
「ウクライナ情勢における核の問題を巡っては、既に様々な議論が起こっています」
「私が申し上げているのは、岸田内閣においては『非核三原則』はしっかり堅持させていただくということ」
ウクライナ戦争では、核が使用されるのではないか、という懸念がされていますね。
事ここに至っているのに、
「非核三原則」

「アメリカの拡大抑止政策」
この2つの
「お守り」
を身に着けていれば、危機が向こうから逃げて行ってくれるとでも、岸田総理は思っておられるのでしょうか。
これは小野寺五典さんに聞いた話ですが、小野寺さんが2022年のゴールデンウィークにアメリカへ行った際、アメリカ側とこんなやり取りがあったそうです。
「プーチンが、戦術核を使う可能性がある」
「その時、アメリカはどう対応するんですか」
「アメリカだけで判断はしません」
「ヨーロッパの当事国、NATOと相談します」
岸田総理は核共有(ニュークリア・シェアリング)についてでさえ
「政府として議論することは考えていない」
と明言していますが、アメリカに核使用の相談を持ちかけられたらどうするのか。
★安倍
アメリカは核による報復をNATOや日本に相談する。
これが一体何を意味するか。
戦術核を使えば数千、場合によっては、万を超える人を一瞬で殺害することになります。
米国は
「その責任を分かち合え」
と言っているのです。
なぜ、アメリカ側が小野寺さんに
「核使用は相談して決める」
と伝えたのかと言えば、
「アメリカの核の傘を貸しているということはそういうことなんだぞ」
つまり、
「現実から目を逸らすな」
ということなんだろうと思います。
★櫻井
これは長崎大学の資料ですが、戦術核の数はロシアが圧倒的で1860発、アメリカはNATOに200発配備していますが、国内には25発しかない。
もし、ロシアがウクライナ戦争で核を使用するとして、アメリカが核での報復を躊躇するようなことがあれば、
「核を先に使った国が勝つ」
という世界になりかねない。
戦術核を使えば一瞬にして何千、何万という犠牲者が出る。
今我々が、そういう恐ろしい世界にいる以上、どのようにして核を使わせないようにするかを具体的に考えないといけません。
★安倍
米国の立場から非核三原則を考えると、核の傘を提供しているにもかかわらず、日本から
「核を持ち込んでくるな」
と言われているわけです。
「日本のためにも核を持っているのではないか」
という不満の気持ちは、当然出てきます。
■中露から防空識別圏の侵害
★櫻井
世界地図を広げてみると、日本は核保有国に囲まれています。
このウクライナ戦争で、ロシアの国力は間違いなく落ちてきますから、中国との連携は否応なしに強まってくるでしょう。
「中露連合軍」
に加えて北朝鮮もおり、日本は世界で最も危険な所に立っている。
★安倍
日本は、中国、ロシアから防空識別圏の侵害を受けています。
中国とロシアにスクランブル(侵入機に対する軍用機の緊急発進)をかけているのは、世界で日本だけだと思いますよ。
それだけ自衛隊の負荷も大きい。
★櫻井
燃料費もかかりますしね。
★安倍
燃料もそうですし、機体の整備などもしなくてはいけませんから、かなりの負荷がかかります。
ある意味、世界は日本に注目しているんです。
インド太平洋地域の安全保障環境は厳しいですね。
インド太平洋地域の平和と安定があって初めて世界の繁栄があるという考え方を基に、私は自由で開かれたインド太平洋構想に賛同する国々に、この海域、地域への軍事的なコミットメントを増やしてもらいたいと要請してきました。
それに応じて、2021年、イギリスは空母クイーン・エリザベスを、フランスはジャンヌ・ダルクを派遣し、ドイツやオランダ、オーストラリアなども艦艇や航空機を派遣し、自衛隊と合同演習をしてくれた。
そうすることでプレゼンスを示し、この地域の平和と安定を一緒に守っていくという意思を示してくれたわけです。
しかし、我々が作ってきた国際秩序を打ち破ろうとする動きが今出てきている。
それに対して、各国が責任を果たしていこうとしている中で、旗振り役の日本が
「防衛費は増やしません」
などと言っていたら、世界から信用されなくなっていたでしょう。
■見直される戦勝国史観
★櫻井
一応、骨太方針で5年以内の2%を目指す方針は示されましたが、アメリカ側には
「2%にしてくれたのは嬉しいけれど、5年後には中国に台湾が取られているかもしれない」
という不安もあると言います。
★安倍
今回のウクライナ戦争で、ロシアは国力を落とし、中国のジュニアパートナー(立場の低いパートナー)のような関係になっていくでしょう。
それに伴って、中国は勢いを増してくる。
当面、アメリカはヨーロッパ方面に注視せざるを得ないですから、アジアについては日本がもっと責任を持って防衛努力をしてくれ、と要請してくる可能性は高い。
★櫻井
日本は中国と並ぶアジアの雄ですけれども、世界だけでなく、アジアの国々が如何に日本に期待しているか、安倍総理は外交などを通して肌身で感じているのではないですか。
★安倍
よく防衛費を増額することに対して、
「アジアの国々が反対するのではないか」
と言う人がいますね。
アジアの国々ってどこのことを言っているんですか、と聞き返すんです。
中国や韓国、北朝鮮は反対するでしょうが、それ以外の国は、日本に安全保障上の役割を果たしてもらいたいと思っているんです。
彼らは、中国が圧倒的なプレゼンスを示していることに恐怖を感じています。
日本には中国に対抗してもらいたい、と。
★櫻井
中国に圧政を敷かれている南モンゴル出身で、静岡大学教授の楊海英さんも、日本にはもっとアジアにコミットしてほしいと言っていました。
「日本がかつて占領していた国には、日本の素晴らしさを学んだ大勢の人がいる」
「そういった人々が今、中国の圧政に苦しめられているのに、沈黙をしてほしくない」
我々は学校で、日本は戦争中、悪いことばかりしたと教えられています。
しかし、今一度、歴史を見直すべきなのではないか。
■どこの国の外務省か
★安倍
日本も主張すべきことは、しっかり主張していくべきです。
特に歴史問題について、日本はずっと沈黙してきました。
そうやって耐えていればそのうち解決するだろう、と。
しかしそれは間違いで、事実を知らない世代が増えてくると、相手のプロパガンダが真実のように扱われてしまう。
安倍政権時代もそうでしたが、今、様々な
「歴史戦」
を挑まれています。
私は、大使が赴任する際にはこう伝えていました。
「各国の大使は日本を代表しているわけですから、歴史問題には責任を持って反論してほしい」
かつて、外務省はスルーしていました。
2001年、小泉政権時代、私は官房副長官でしたが、新しい歴史教科書をつくる会によって執筆された
「新しい歴史教科書」
の内容について、中国、韓国が修正を要求する事案がありました。
2001年10月に予定されていた金大中大統領との日韓首脳会談の想定問答集の中で、外務省は次のような発言を盛り込もうとしていたのです。
「新しい歴史教科書をつくる会の教科書の採択率が低かったことは日本人の良心の表れで、肯定的に評価する」
これでは、
「新しい歴史教科書」
の採択は良くないことだと日本政府が認めているようなものでしょう。
すぐに外務省アジア太平洋州局局長を呼び抗議、小泉さんにも
「絶対に発言しないでください」
と伝えました。
小泉さんも、
「俺はこんなこと言わないよ」
と言っていましたが。
私は、外務省のそういう体制と真っ向から闘ってきたつもりです。
★櫻井
外務省のメンタリティには、本当に信じ難いものがあります。
どこの国の外務省かと思うことは、現在もあります。
日本がきちんと歴史認識に基づいて発信していけば、
「日本のことが本当は大好きだった」
と言ってくれる国はたくさんありますのに。
安倍総理は月刊『Hanada』の加藤康子さんとの対談(2022年6月号)で、故・渡部昇一さん(上智大学名誉教授)らが中心となって、朝日新聞社を相手取り、1人1万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めた裁判で渡部さんらが敗訴したことについて、
「もう1度、国民が立ち上がって訴えるべきだ」
とおっしゃっていましたね。
そういう風に闘う気持ちを持って議論を尽くしていけば、日本は必ず世界に受け入れられると思います。

米ミサイル配備で中国の野望を挫け
世界の安全保障の最前線に立つ日本 もう危機から目を背けるな!
月刊誌『WiLL』2022年8月号 前統合幕僚長 河野克俊
■日本は西側の最前線
2022年2月、安倍元総理が核シェアリングについて
「(議論を)タブー視してはならない」
と主張しました。
この世に核がある以上、当然、日本国民を核の脅威から守ることを考えなければなりません。
安倍元総理の発言で、その機運は一時、盛り上がりを見せたものの、現在は急速に萎んでいます。
しかし、議論すら許されない状況があってはなりません。
国民を守るため、一刻の猶予も許されない話ですから。
「核シェアリング」の議論になると、冷戦中における西ドイツの例がよく持ち出されます。
ソ連を中心とする「ワルシャワ条約機構」と米国を中心とする「NATO軍」の対立軸はヨーロッパでした。
要するに、当時、西ドイツは西側陣営の最前線に立っていたわけです。
当時、通常戦力ではワルシャワ条約機構軍が圧倒的な強さを誇っていたので、戦端が開かれたらワルシャワ条約機構軍の大戦車軍団が怒濤の如く西ヨーロッパに侵攻してくるというのが典型的なシナリオでした。
そのため、通常戦力では押し戻せないーそこで西側陣営の戦力を補完し、米国を巻き込んでソ連の侵略を防ぐため、NATOでの核シェアリング構想が始まったのです。
即ち、戦術核の使用に関し、”NATOの意思も介入できる”ようにしたわけです。
地上発射型の中距離ミサイルについても、米国とヨーロッパの結束が示されました。
当時(1975年)、ソ連が配備を開始した中距離弾道ミサイル「SS-20」は、ヨーロッパを射程に収めていたものの、米国本土には届きませんでした。
それに対し、サッチャー英首相やシュミット西ドイツ首相らの要請により、米国がヨーロッパに配備した中距離ミサイル「パーシングUミサイル」(MGM-31)や巡航ミサイルはソ連を射程に収めていました。
これによって、ソ連はお手上げ状態になり、米ソ間で
「中距離核戦力(INF)全廃条約」
が締結された。
こうした核抑止の成功例がありますから、日本への米国の地上発射型の中距離ミサイル配備は抑止力となるだけでなく、中国を軍縮の方向へ導く可能性もあります。
戦後、日本はずっと
「非核三原則」
を堅持してきましたが、日本をめぐる世界の戦略地図は日本が意識するか否かにかかわらず、大きく書き換えられてしまったのです。
対立軸が米ソから米中になり、世界の安全保障の最前線に日本は立ってしまったのです。
同時に日本は米国の同盟国ですから、冷戦中の西ドイツと同じく西側陣営の最前線というポジションにもいる。
「世界の安全保障」の最前線に立たされている日本は、どうすればいいのか。
■日本配備のメリット
ここまでの話を含めて、日本人が認識しておくべき”日本を取り巻く戦略環境の変化”が3つあります。
@NPT体制の実質的な崩壊で核拡散が進む可能性があり、少なくと北朝鮮の核廃棄は望めなくなったこと
A(ロシアの核恫喝を前に)核戦争を考慮して、軍事的に動かない米国を(見たくはなかったが)見てしまったこと
B日本が世界の安全保障の最前線に立ったこと

だからこそ、日本としてはバイデン大統領から
「(核の傘=拡大抑止は)任せてくれ」
という言質を取るだけではなく、西ドイツのように米国から
「有事における核使用」
の確証を取らなければなりません。
どのように確証を得るのかー。
これは、あくまで私が個人的に考えている核シェアリングですが、まず、大前提としてモスクワや北京を狙う米国の核戦略は、あくまで均衡と抑止を目的とする
「使えない核」
ですから、米国が共有することは考えられません。
使えば世界が終わるような兵器なので、米国が
「モスクワを壊滅させるために日本と相談する」
などという事態にはなり得ません。
となると、共有すべきはヨーロッパと同じく、使用可能な戦術核です。
現在、中国は核弾頭の搭載が可能な地上発射型の中距離ミサイルを1258発から2000発ほど保有していると言われています。
一方、先述の通り、米国は1987年、ソ連とINF全廃条約を締結したので、このタイプ(地上発射型)の戦術核を1発も保有していません。
ただ、2019年、ロシアが地上発射型の巡航ミサイル「9M729」を配備し、INF全廃条約を破ったことで、トランプ政権も2019年にINF全廃条約を破棄しました。
それ以降、米国も研究開発を早急に進めています。
いずれにせよ対中戦略上、米国はアンバランスを埋めなければなりません。
中距離ミサイルの場合、米国本土に配備しても中国本土まで届きません。
そうなると、米中対立の最前線である日本への配備案は今後の政治課題として必ず浮上するはずです。
先述の通り、地理的に見ても米中対立は日本の問題でもあります。
だからこそ、中国を抑止するために米国の中距離ミサイルを日本に配備させなければなりません。
それと同時に、かつてのNATOのように核弾頭を搭載して使用する場合には、日本が意思決定に関わることができるメカニズムを米国と構築すべきだと考えます。
その意味での日本型核シェアリングです。
米国の核戦略に日本が一枚噛むことでプレーヤーが2人になれば、中国は日本の行動と思考も読まなければならず、計算が複雑になるので抑止力は必ず高まります。
加えて、
「日本配備」
はオセロの白と黒がひっくり返るような「日米vs.中」逆転の決定打にもなります。
先ほど、中国が最大で約2000発の地上発射型の中距離ミサイルを持っていると言いましたが、肝心な射程距離は500〜5,000kmです。
せいぜいグアムを射程に収められる程度で、冷戦中のロシアのように米国本土は狙えません。
ところが、日本への配備が実現すれば米国は中国本土を狙うことができます。
中距離ミサイルの保有数では圧倒的に負けていますが、日本へ配備するだけでも、断然、日米に有利な状況に一気に形勢を逆転させることができるわけです。
冷戦中、米国がヨーロッパとの核シェアリングを呑んだのは、当時フランスが独自で核を持っていたの、断れば西ドイツも独自に保有しかねないと焦ったからです。
もし米国が核シェアリングを断ってきたら、日本も
「それなら核保有を考えるしか・・・」
と仄めかすくらいの気概があってもいいのではないでしょうか。
そうした議論を遠慮することなく米国にぶつけてほしいところです。
防衛論や国防論は、ミサイルの種類や各ミサイルの射程距離を暗記することではありません。
そんなものは調べれば、すぐに分かることです。
防衛論の本質とは、母親が考える”どのように子供を守るか”という母性本能こそが原点ーつまり、誰にでも理解できる常識論なのです。
冒頭で示した通り、国民の多くが防衛費の増額を求めています。
来たる参議院選挙では、しっかり国民と向き合って防衛政策を議論してほしいと願うばかりです。

日米首脳会談
岸田リアリズム外交に試練 相反する核なき世界と抑止力
2022/5/23 22:21
https://www.sankei.com/article/20220523-QLOV7NOQ7RPPDKJTZZT6D24OUI/
岸田文雄首相は2022年5月23日、2023年の先進7カ国首脳会議(G7サミット)を被爆地の広島で開催すると表明した。
ウクライナに侵攻したロシアは核兵器を使って欧米を恫喝している他、日本は中国や北朝鮮の核の脅威にも直面する。
広島選出の首相は
「核兵器のない世界」
を追求するが、同時に米国の
「核の傘」
の信頼性を如何に強化するかという、一見相反する目標に向き合うことになる。
「武力侵略も核兵器による脅しも断固として拒否するG7の意思を示したい」
首相はバイデン大統領との共同記者会見で、ロシアのウクライナ侵攻に触れ、広島でのサミット開催の意義を強調した。
各国の指導者が被爆の実相に触れることで、ロシアの核使用を許さない国際世論を形成したい考えだ。
ただ、米国が同盟国を核兵器で守る
「核の傘」
に依存する日本にとって核の使用を完全に否定することはできない。
政府内にも首相が
「核なき世界」
に前のめりになることで米国の拡大核抑止力を損なう事態を懸念する声もあるが、首相周辺は
「首相は空想で『核なき世界』を言っているのではない」
「日米同盟による拡大抑止を前提に考えている」
と語る。
象徴的なのが、岸田政権でも、米国が核の使用目的を制限することには反対したことだ。
バイデン氏はかねて核保有を
「核攻撃の抑止と報復」
という
「唯一の目的」
に限定すべきだと主張していた。
だが、日本などの反対で核戦略の指針
「核態勢見直し(NPR)」
への明記を見送った。
日本にとって、ロシア以上に深刻なのが中国の核・ミサイル戦力だ。
中国は核搭載可能で日本全域を射程とする中距離ミサイルを大量に保有している。
今回の首脳会談で中国に核軍縮を呼び掛けると共に、拡大核抑止の重要性を確認したのはこのためだ。
一方、ウクライナ危機ではロシアの核の脅しが米欧の直接介入を思い留まらせ、核の有効性を浮き彫りにした。
北朝鮮のような国は核兵器の必要性を確信する恐れがある。
米国の
「核の傘」
の強化を図りつつ、北朝鮮の核放棄を目指すー。
首相の掲げる
「新時代リアリズム外交」
が試される。

日本外交は危険な水域に入った。
ドイツの変身を見習え
月刊誌『正論』2022年6月号 杏林大学名誉教授 田久保忠衛
★阿比留
岸田流のやり方は、政界の近くで見ている我々は苛立ったり腹が立ったりするけれど、一般国民のウケは比較的良い。
★山
確かに中身とは別に支持率だけは高い。
★阿比留
日本国民というか一般大衆には、一見ジェントルに見えてやっている感だけ醸し出して、波風を立てようとしないという政治が一番好まれます。
(徳間書店『リベラル全体主義が日本を破壊する』より)
辛口をもって鳴る山正之、阿比留瑠比氏の対談で全く同感だが、国際情勢の奔流を無視して自己流に嵌っている間に、日本は置き去りにされないか。
信念があっての自己流ならばまだ理解はできるが、顔色一つ変えないで、
「波風を立てない」
所に目標を置いている政治は薄気味悪い。
喜劇の次に登場するのは悲劇でなければ良いのだが。
日本とドイツは同じ敗戦国で軍事忌避の傾向が強い。
ところが、ロシア軍がウクライナに侵攻したのを知って3日目の連邦会議でショルツ首相は戦後の防衛政策を180度転換する姿勢を明示した。
GDP(国内総生産)の1.5%だった国防費を一挙に2%強に引き上げ、防衛力強化の基金として1000億ユーロ(約13兆円)を設ける。
バルト海の海底を通してロシアから天然ガスを運ぶ
「ノルドストリーム2」
の運用を停止する。
欧州一のGDPを誇るドイツが、その2%強を毎年防衛に充てるとなったらどうなるか。
経済大国から政治大国へと躍り出たと言っていいだろう。
ロシア軍の侵攻がある前までドイツは何をしていたか。
NATO(北大西洋条約機構)諸国が次々とウクライナに武器を提供している時に、ドイツは殺傷能力を持った兵器は一切送らないと述べ、防衛用のヘルメット5000個を申し出て物笑いの種になった。
それだけならまだしも、
「NATOの裏切り者」
「ロシアの事実上の同盟国」
と蔑まれたのにはショルツ首相もこたえたに違いない。
それだけにドイツの変身は鮮やかだった。
ところが、日本はどうしたか。
侵攻から8日経った2022年3月4日に国家安全保障会議(NSC)の4大臣会合を開いて防弾チョッキと防寒服を輸送することを決め、2022年3月8日の深夜に自衛隊機が飛び立ったという。
関係者はドイツの
「防衛用のヘルメット5000個」
が西側のまともな国々の軽蔑の対象になったことを百も承知だったろう。
憲法の平和主義を持ち出せば防弾チョッキも防寒服も武器になってしまう。
防衛装備移転三原則が存在する。
そこで、岸田首相は、ロシアの侵略を西側の一員として阻止する大義名分を少しでも考慮に入れたのか。
殺傷用武器と疑われる物を送って国内で大きな問題になるのを避けるのが一番だとの次元の低い判断があったのではないか。
ジョンソン英首相は2022年4月9日、事前予告なしでウクライナの首都キーウを訪れ、ゼレンスキー大統領と会談し、財政・軍事両面での追加支援を約束した。
「ウクライナ国民はライオンのような勇気を示した」
とジョンソン首相は会談後の記者会見で力説した。
ゼレンスキー大統領はどれだけ心強く感じたか。
岸田首相も現地に飛んで
「一国平和主義の日本は当面何もできないが、大統領を少しでも勇気付けに来た」
と、肩を叩いたらどうか。
西側諸国は喝采したろう。
■危険水域に入った日本外交
岸田首相はことのほか核兵器の廃絶に熱心だ。
既に首相就任前に
『核兵器のない世界へ』
との著書を出版したし、2022年1月の施政方針演説の中でも
「外務大臣時代に設置した『賢人会議』の議論を更に発展させるため、各国の現・元政治リーダーの関与も得ながら
『核兵器のない世界に向けた国際賢人会議』
を立ち上げます」
「本年中を目標に、第1回会合を開催します」
と約束した。
岸田首相は国会を初めとする公の席で同じような発言を繰り返している。
「広島・原爆」
を政治に利用しようなどという邪な考えがあるとは誰も思わないが、米国の核の傘にひたすら依存しているはずの日本で、現役の首相が声高に反核を口にするのは米関係者の耳に心地好く響くだろうか。
ウクライナ戦争が我々に与えた教訓はいくつもあるが、重要なのは武器を以て不法な攻撃を仕掛けてくる敵に対して、同じ武器で対抗しなければ他の国は援助の手を差し伸べてはくれないとの単純な教えだろう。
既に前例がある。
1977年から1983年にかけてソ連は国内の欧州部に中距離ミサイルSS20を着々と展開した。
当時のシュミット西ドイツ首相は発射後5分で自国に到着するSS20に対抗するには
「一方で危険な軍拡競争と他方で立派な軍縮の間に『近似性』がある」
と喝破し、欧州全域に米国の巡航ミサイルとパーシングUの配備をすると同時に核軍縮を進める2路線方式を構想した。
これが実施されてSS20は全廃された。
プーチン大統領は戦いの最中に核兵力による恫喝と思しき発言をした。
それに対抗するのに憲法第9条をかざしても、反核を断固叫んでみても効果はない。
同じ核兵器で抑止する以外にどのような手段があるか。
質の良くない核武装国家にぐるりと囲まれ、米国の信頼性に疑問が生じている現在、日本はどうしたら良いか。
日本の最高指導者に見解を窺いたい。
気になっているのは、岸田首相が2022年3月19日にデリーでインドのモディ首相と会談した際にも、
「広島出身の総理大臣」
として、核による威嚇、使用は断じて受け入れられないと述べたことだ。
当然ながらプーチン発言を念頭に置いての言葉だろうが、インドとロシアの関係は日印関係よりも長くて深くはないか。
インドは生存を賭けて核武装をしているのであって、簡単にプーチン大統領と一緒にされては困る、とモディ首相は不快ではなかったか。
岸田首相は善意で、真摯なだけに、残酷な感じもする。

ウクライナ侵攻は対岸の火事ではない
「日本は現実に目覚め米国と核シェアリングを実現せよ」
門田隆将氏が特別寄稿
2022.5/5 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20220505-QEE32NUNLZNNRMY7CO4PPDDG6Q/
ウラジーミル・プーチン大統領率いるロシアが、ウクライナへの苛烈な軍事侵攻を続けている。
この侵略から日本は何を学び、ロシア、中国、北朝鮮といった核保有国とどう対峙していけばいいのか。
人気作家でジャーナリストの門田隆将氏が、日本の主権を断固、守り抜くため、独自に
「抑止力」
を高める必要性を鋭く説いた。

ロシアのウクライナ侵略がもたらした余りに多くの教訓に国民も戸惑っている。
第2次世界大戦の6000万人以上の犠牲の下に築かれた戦後秩序が、いとも簡単に崩壊。
日米安保条約で太平の眠りを貪ってきた日本にとってもあり得ない℃桝ヤだった。
「軍事力に著しい差が生じた場合に戦争が起こる」
のは世界の常識だ。
しかし、日本の左翼勢力と、いわゆる
「お花畑」
と称される空想的平和主義者たちには全く通じない。
「平和憲法が日本を守ってくれる」
「話し合いで戦争は回避できる」
そんな信仰≠ェ左翼勢力のみならずマスコミや政界にまで浸透。
その現実逃避型平和主義者の幻想が、ロシアによって打ち砕かれたのだ。
2022年2月27日、安倍晋三元首相は非核三原則の議論をタブーにしてはいけないという現実論を提起したが、岸田文雄首相は2022年3月7日、参院予算委員会で
「非核三原則は国是]
「核共有は政府としては考えない」
と否定した。
「核を持たず、作らず、持ち込ませず」
という非核三原則は半世紀以上前に、沖縄返還で
「核抜き本土並み」
を実現するために導き出されたものだ。
しかし、1981年にエドウィン・ライシャワー元駐日大使が
「核兵器を積んだ艦船の寄港は核持ち込みに当たらない」
「日米間の口頭了解がある」
と発言したように、核持ち込みは暗黙の了解事項だった。
それでも、日本はこの有名無実化している原則を長く維持してきたのだ。
かつての世界3位の核保有国ウクライナは核を放棄し、非核三原則と専守防衛を宣言し、米国・英国・ロシアの国連安全保障理事会常任理事国から主権と領土を保障されながら、それでも核恫喝と侵略を受けた。
中国・ロシア・北朝鮮という核保有の独裁国に囲まれた日本に、国民の命を守るための核抑止力が不可欠になっているのは言うまでもない。
同じ敗戦国であるドイツとイタリアは、米国との核シェアリングでNATO(北大西洋条約機構)の核抑止政策を実行している。
ドイツはルクセンブルクとの国境に近いビューヒェル空軍基地に20発のB61核爆弾を共有し、
「管理は米軍、運搬はドイツ軍」
と役割を分担した。
これは核武装とは見なされない。
そのため核不拡散条約(NPT)を脱退する必要もない。
国民の命を守るためにぎりぎりの現実的政策を両国は実施しているのである。
ならば、日本ではどうか。
同じように米国の核兵器を国土に置き、運搬は自衛隊が行う、ということに国民のコンセンサスを得るのは難しい。
だが、
「米国の原子力潜水艦の『核抑止力を共有』する」
という方法はどうだろうか。
核を国土に置かず、自衛隊が運搬することもなく、米原潜の核ミサイルという抑止力だけを共有するのである。
首相との協議の上で米大統領が
「日本への核攻撃は米本土への攻撃と同じとみなす」
と宣言し、世界に認識させるのだ。
中国の核戦力がまだ米国を凌駕していない今なら、合意の可能性はある。
日本が核武装するより、その方が米国にとっても有り難いからだ。
実は、定期的に行われている日米拡大抑止協議によって、現在も日本が米国の
「核の傘」
の下にいることは確認されている。
しかし、その協議の中身は国民も知らされていないし、隣国の独裁国家も知らない。
つまり、核抑止力に
「なり得ていない」
のである。
原因はどこにあるのか。
それこそ日本人の核アレルギーと非核三原則の存在、更には中国による世論工作の成果である。
未だに、憲法改正や敵基地攻撃能力の保有さえ、左翼勢力や中国の代弁者たちの反対によって阻止されている。
哀しいことに日本人の命を蔑ろにする勢力によって、
「核攻撃に無防備」
な状態が今も続いているのだ。
現実に目覚め、米国との核シェアリングを実現し、安全保障のレベルを上げることが日本には急務だ。
そのためには、憲法だけでなく自衛隊法などの改正も必要になる。
だが、国家観もなく現実逃避型平和主義の岸田首相に期待はできない。
今こそ、国民が自らの命と平和を守るために意思を示さなければならない。

櫻井よしこ 美しき勁き国へ
大激変に目醒めぬ日本
2022年5月2日 産経新聞
ウクライナ侵略戦争の結果、世界情勢も安全保障環境も激変した。
欧米諸国が完全に適応しつつある中で、我が国の認識は緩く鈍い。
変化の大きさは核の問題においても際立つ。
米国が初めてロシアの核の脅しに屈し、軍事侵攻を許した。
結果、これからの世界は中露両国の核に対する戦闘的な考え方に直面することになる。
プーチン露大統領が大東亜戦争末期の日本降伏の経緯に強い関心を抱いているとの指摘がロシア問題専門家の中にある。
核攻撃でウクライナを降伏に追い込むプーチン氏の意図を示唆する情報ではないか。
他方、ロシアを擁護する中国の習近平国家主席は凄まじい勢いで核戦力強大化を続行する。
米政策研究機関
「ハドソン研究所」
のクレピネビッチ上席研究員が米外交専門誌フォーリン・アフェアーズ2022年5・6月号で、中国の核戦力の急速な増強で世界は米露2極体制から米中露3極体制に入った結果、各国が問題解決の手段を核使用に求める危険性が増す、3国間の核戦力競争が激化し、世界はより危険になると予測した。
その上でクレピネビッチ氏は、最も危険なのが中国の抑止の考え方だとする。
西側諸国は核をまず抑止力と位置付け、相手の攻撃を思い留まらせるためにこちらにも強くて速い核があることを示す。
しかし、習近平氏は、核は抑止だけでなく、目的達成に使える強い圧力手段と捉えているという。
核攻撃の回避という、言わば受け身の抑止に留まらず、積極的に核で脅して相手を中国に従わせることを意図しているというのだ。
また先述のようにプーチン氏は核を勝利をもたらすための武器だと捉えている。
中露の核に対処するには米国は核戦力の倍増が必要だが、クレピネビッチ氏はそれは困難だと見る。
自国の核の使用が第3次世界大戦に繋がると恐れる米国が、米国の核戦力が相対的に弱まるとみられる3極体制の下で、日本を拡大抑止の核の傘で守ってくれると安心して良いのか。
否であろう。
我が国は欧米諸国よりも尚真剣に核や安全保障問題に向き合わなければならないが、それが出来ていない。
日本の最大の脅威は中国だ。
彼らはウクライナ侵略戦争の後、大国の地位を確立し米国に取って代わる夢を描く。
日米関係を引き裂いて日本を中国圏内に引き入れ、影響下に組み込むのが中国の戦略だ。
習近平氏はウクライナ戦争の混乱の中でも着々と戦略を進める。
2022年4月21日、中国海南省で開かれた
「博鰲(ボアオ)アジアフォーラム」
で、
「世界安全保障構想」
を提起した。
習近平氏の世界戦略、
「人類運命共同体」
の安全保障版である。
直近の事例が2022年4月の中国とガダルカナル島を含むソロモン諸島との安全保障協定であろう。
太平洋上での米豪間の連携を断ち切る楔ともなる島に中国が手を掛けたのだ。
これに先立ち、中国は2022年2月、南米大陸のアルゼンチンを一帯一路に取り込む覚書を交わした。
2022年1月にはアジア5カ国と
「中国・中央アジア運命共同体」
の構築を表明した。
2021年11月にはアラブ首長国連邦(UAE)での軍事施設の建設も明らかになった。
中国は2021年9月、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に参加申請したが、2カ月後にはデジタル貿易に関する新たな枠組み
「デジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)」
にも加盟を申請し、
「デジタル人類運命共同体」
の構築を提言した。
デジタルによる情報管理は中国共産党の最も切望するところだ。
彼らは2014年以降、世界インターネット大会を主催し、2021年9月には、デジタル分野での運命共同体の構築を打ち上げた。
中国共産党は軍事、情報、経済の全分野で人類運命共同体のスローガンを打ち出し、国際社会のリーダーたらんとする。
その上で大国の地位を強い核で担保し、台湾問題など解決困難な課題も必ず中国の考えに沿って解決する固い決意を隠さない。
この中国の脅威を我が国は直視出来ているか。
核戦力についてどこまで現実を見て取っているか。
中国の脅威にどんな戦略で立ち向かうのかと問うと、多くの日本人は日米同盟の強化、と答える。
だが、中国の戦略目標は米国を凌駕する強い帝国の樹立だ。
彼らの核は米国が予想する
「2030年に1000発」
の水準では止まらないだろう。
米国が中露両国の核戦力に対峙しなければならない時、日本の国防戦略が
「日米同盟堅持」
で十分なずはない。
日本は日米同盟の重視と共に、自立を目指す必要がある。
まず、憲法改正である。
その中の1つであり、当面の焦点の1つでもある核に関しては明確な政策を打ち出すことが必要だ。
その意味で自民党安全保障調査会が2022年4月に政府に提出した提言は弥縫策である。
「反撃能力」
の保有を認め、今後5年で国防費を国内総生産(GDP)比2%以上を目途に引き上げるとしたことの意義は認めるが、根底にある国防思想も、国家像についての考えも変わっていない。
危機に直面して自国を守ることは自明の理である。
危機に際して、命や財産よりも大切なものがあるという価値観、国家は守るべきもので守らなければ滅びてしまう、それで良いはずはないという考え方、国家観が、自民党から伝わってこない。
何故未だに憲法9条の精神とされる
「専守防衛」
を引きずるのか。
何故世界大激変を目撃しながら岸田文雄首相は非核三原則を国是と言うのか、納得し難い。
今、首相の最重要の責務は日本国の危機に正対できる国民意識を醸成することであろう。
空想的平和主義を捨て、国家防衛の大切さについて、首相自ら語る時だ。
中国の脅威に立ち向かうには、日本国が独立国としての気概を持つことが大事でその第一歩が憲法改正である。
政治家がまずそのことを認識し、全力を傾けて日本の目醒めを実現すべく国民に説く時である。

緯度経度
米国での日本核武装研究 古森義久
2022/3/1 00:00 産経新聞
ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻で核戦力の準備を言明した。
国際紛争での核兵器の現実の威力ということか。
日本の国家安全保障でも核の脅威は現実である。
中国当局は台湾有事での日本への核攻撃動画の頒布を許した。
北朝鮮は
「日本を核で海底に沈める」
と公言する。
日本側で自国の核抑止論議が始まるのも自然だろう。
日本は核の面では米国の拡大核抑止に依存している。
だが日本が独自の核抑止力を求めた場合はどうか。
日本の核武装に米国はどう対応するのか。
この点で既に1980年代に米軍の専門家が日本の核武装について精緻な論文を発表したことを認識するのも意味があろう。
内容は日本では知られておらず、今の日本の核論議への指針となる。
論文は米空軍のジョン・エンディコット大佐が書いた
「日本の核オプション(選択肢)」。
同大佐は在日米空軍勤務後、国防総省の国際関係の要職を経て、当時は国防大学副学長だった。
同論文は米国の日本への
「核の傘」
がなくなった場合を想定していた。
そしてソ連が当時の中曽根康弘首相の不沈空母発言に対して
「日本は報復的核攻撃の標的となるだけだ」
などと核の脅しをかけた場合、日本は全面降伏する以外には独自の核抑止力を持つしかないだろう、とも想定していた。
その上で日本にとってソ連の核攻撃や脅迫を抑止できる方策について以下のように述べていた。
▽ソ連が日本を核攻撃し、日本からの核の傘の報復で枢要部の人口の25%ほどが破壊される見通しが確実となれば、実際の核攻撃はできなくなる。
▽日本がソ連にそれだけの損害を与える核戦力の保持として、
@大陸間弾道ミサイル
A戦略爆撃機
Bミサイル搭載潜水艦
の3方法があるが、実効を持つのは潜水艦となる。
1980年と言えば、ソ連のアフガニスタン侵攻で米ソ対立が危険の極みにあった。
日本へのソ連の脅威も現実だった。
この論文はソ連が日本への先制核攻撃をかけることも想定していた。
日本の核抑止力とはその攻撃に耐え、ソ連に許容できない破壊をもたらす核報復能力を指していた。
同論文の最重要な骨子は以下だった。
▽日本は米海軍のポラリス型に似た核ミサイル搭載原子力潜水艦10隻を保有する。
1隻に射程4600km以上の核弾頭ミサイル各16発を装備して、そのうち4隻から6隻を常時、アラビア海に配備する。
▽アラビア海に展開した日本潜水艦はソ連のモスクワなど25の主要都市に核ミサイル最大96発(16発×6隻)を発射できる。
ソ連側の迎撃ミサイルの機能を考慮しても、その結果、ソ連側に許容できない被害を与え得る。
だからこの論文はソ連の核戦力を抑止できる、日本独自の核武装は可能だと総括していた。
ただしエンディコット大佐自身はその時点での日本核武装には反対だと付記していた。
しかし40年後の今この想定を中国や北朝鮮への核抑止に適用すると、十分に実効性はあるようだ。
同盟国の米国はこんなに早くから日本の核武装について、ここまで研究していたということでもある。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/784.html#c26

[政治・選挙・NHK297] 萩生田光一氏「石破おろし」がトーンダウン…自民裏金事件めぐり、特捜部が政策秘書を略式起訴へ(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
24. 秘密のアッコちゃん[1792] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月06日 14:45:01 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1230]
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石破首相「居座り」は何がダメか 国民の信頼を壊し、トランプ氏との直接交渉から逃げた
榊原智の眼
2025/8/5 14:00
https://www.sankei.com/article/20250805-DPLVUXCY5JJ45HQ35E7SCTQISU/?
政治には粘り腰の対応が求められる時もあるが、衆院選、都議選、参院選の3重要選挙で大敗した後でとるべき態度ではあるまい。
石破茂首相(自民党総裁)が続投表明する度に、潔い出処進退をよしとする日本人の美意識を共有していないのかと思ってしまう。
ただし、問題はそれに止まらない。
東洋の先賢である孔子は政治の要諦を問われ、
「(民)、信なくば立たず」
と語った。
軍事や食料よりも、国民の信頼が何よりも大切だ、という教えである。
石破首相や森山裕自民幹事長は今、その信を壊し続けている。
憲政史にまれな異常事態で、居座りが叶えば、党勢への打撃よりも深刻な影響を日本政治にもたらすだろう。
参院選で
「必達目標」
とした与党改選50議席を割り込むと、石破首相は
「比較第一党」
を続投理由とした。
韓国外交のようにゴールポストを動かして平然としている。
国民政党の自民は、比較第一党ではなく、安定した政権運営が可能な勢力を得られなければ時の首相(自民総裁)は潔く退陣し、新しいリーダーに国政を託してきた。
石破首相や森山氏が比較第一党を勝敗ラインにするなら、参院選前に公言して理解を得ておくべきだった。
自民の両院議員懇談会で石破首相は
「大変厳しい結果」

「虚心坦懐に反省」
するとしながら、
「政治空白を生むことがないよう(続投で)責任を果たしていく」
と開き直った。
だが、空白を生むのは自身の居座りである。
参院選翌日の総裁会見で南海トラフの巨大地震などの恐れを続投理由に挙げたことは常軌を逸していたが、両院懇で、関税をめぐる日米合意の実行も理由にした点も同じくらい理に反している。
トランプ米大統領との直接交渉から逃げていたのが石破首相だ。
日米合意後も電話首脳会談さえしていない首相がいなくても困らない。
交渉の継続性は赤沢亮正経済再生担当相の起用で済む。
国際的引きこもりの首相が退陣し、外国首脳とコミュニケーションをとる意思のある新首相が登板した方が国益に資する。
国会は言論の府で、議会制民主主義は言葉を介して機能する。
それなのに、石破首相や森山氏は結果に責任をとらず、日本の政治リーダーの言葉が信じるに足らないという悪しき前例になっている。
「赤心報国」
を含め、首相の言葉は国民の心に届くまい。
内外情勢は厳しい。
日本の政治リーダーは、言葉で国民を説得し、協力を求め、難局を乗り切らねばならないこともあろう。
その任に最も相応しくないのが、石破首相であるのは明らかだ。
一連の醜態を見せつけられた国民の間で、石破首相だけでなく日本の政治家一般を軽蔑したり、侮ったりする感情が強まる恐れもある。
自民は正念場だ。
石破首相を退場させられなければ、次期衆院選の大敗も免れまい。
逃げ散った保守層は戻ってこないからだ。
石破首相は
「国民世論とわが党の考え方が一致することが大事だ」
と語った。
報道各社の世論調査で、退陣論と続投論がほぼ二分した点にすがるつもりなら心得違いも甚だしい。
自民に選挙で負け続けてほしい野党支持者には首相続投が望ましいからだ。
首相官邸前で石破首相擁護のデモがあったが、参加者の多くは左派の人々だった。
国政選挙で示された民意を尊重したり、憲政すなわち議会制民主主義を擁護したりするよりも、自民の保守回帰や党勢回復を防ぎたい一心だとしたら、日本の左派も意気地のない存在になったものだ。
(論説委員長)

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/785.html#c24
[政治・選挙・NHK297] 9.2談話発出で石破首相辞任(植草一秀の『知られざる真実』) 赤かぶ
19. 秘密のアッコちゃん[1793] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月07日 08:46:56 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1231]
<■267行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>戦後80年と首相 「見解」よりも靖国神社へ
社説
2025/8/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20250807-IDFIAVPAJRMHNAGFZJNJAYKKXU/
戦後80年の夏、石破茂首相に求められているのは、中国などの反日宣伝を助長しかねない首相見解の表明ではない。
日本を守ろうと命を捧げた戦没者(英霊)を慰霊、顕彰するために靖国神社へ参拝することだ。
そして、参院選挙で示された民意を尊重して辞任を表明することである。
石破首相は2025年8月4日の衆院予算委員会で、
「形式はともかくとして風化を避けるために発出がどうしても必要だ」
と述べ、先の大戦を巡る首相見解の提示に意欲を示した。
2025年8月6日の会見では、安倍晋三首相(当時)の戦後70年談話などに言及し、
「どうすれば2度と戦争を起こさないかという仕組みについて、談話を踏まえ考えてみたい」
と語った。
共産党独裁の中国では反日ムードが高まっている。
今年2025年9月には北京で、抗日戦争勝利80年を記念する軍事パレードが催される。
石破首相は先の大戦を侵略だったと両断する自虐的な史観の持ち主だ。
どのような時期、形式であれ、首相が見解を表明すれば、中国や韓国、北朝鮮、内外の左派勢力による反日宣伝を勢いづかせかねない。
戦後70年談話には、人種差別撤廃が先の大戦の目的の1つだったことに言及しないなど不十分な点はあった。
そうであっても、積極的平和主義の道を進んでいくことや、
「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」
という強い問題意識があった。
石破首相が
「見解」
を示せば70年談話の苦心を踏みにじることになる。
それは日本の名誉と国益を大きく損なう。
そもそも、戦後の歴代首相は長く、10年毎に政治的意味を持たせた談話を発出してこなかった。
戦後半世紀も経って社会党の村山富市首相(当時)が50年談話を出してから政治問題化するようになったのである。
2度の国政選挙で民意を得られなかったのに辞意を表明しない首相は無責任の誹りを免れない。
そのような首相の言葉に何の重みがあるのだろう。
見解に拘るなら辞職してから大いに示せばよい。
何の制約もなく自虐的な史観を披露できよう。
それが国民に受け入れられるかはまた別の話だが。

石破首相による戦後80年談話は「不要」「無用な混乱を招く」 自民・西村康稔氏
2025/7/30 10:48
https://www.sankei.com/article/20250730-BJ54NFPNKRDITE2FERSKU32TDA/?outputType=theme_election2025
自民党の西村康稔元経済産業相は2025年7月29日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、石破茂首相による戦後80年の「談話」について
「不要と考えている。無用な混乱を招く」
として、発出しないよう主張した。
西村氏は、安倍晋三元首相による戦後70年談話について
「戦後に終止符を打つために、有識者による懇談会など様々な意見を踏まえながら丁寧に時間をかけてまとめられたものだ」
と説明。
「当時、そして今も、多くの国民によって支持されている」
と評価した上で、
「70年談話には結びにおいて、戦後80年、90年、100年に向けて日本の国づくりの理想を語っており、そうした意味でもこれ以上のいわゆる戦後談話は不要と考えている」
「無用な混乱を招く恐れれもある」
と指摘した。
西村氏は旧安倍派幹部で、2025年7月23日には同じく旧安倍派幹部の萩生田光一元政調会長、松野博一前官房長官、世耕弘成前参院幹事長と会談し、首相の交代が必要だとの認識で一致した。
西村氏の投稿を巡っては、SNSでは
「確実な阻止を」
「行動を求めている」
などの意見が目立った一方、派閥パーティー収入不記載事件に関する旧安倍派に対する批判もみられた。

「それは野心。国益に反する」自民・青山繁晴氏 石破首相が戦後80年「談話」発出なら
2025/7/29 10:00
https://www.sankei.com/article/20250729-HYEA3JJNHJFL7IL3ERTV5IZKSU/
自民党の青山繁晴参院議員は28日の両院議員懇談会で、石破茂首相に戦後80年の談話を発出しないよう求めた。
青山氏は、安倍晋三元首相による戦後70年談話について
「日本国にとっては1つの財産なので、それを上書きするのはやめて頂きたい」
と述べ、
「それ(戦後80年の談話)は総理の野心であって、国益に反する」
と強調した。党本部で記者団に語った。
首相は閣議決定を伴う首相談話は見送り、戦後80年の節目となる8月15日前後に
「見解」
の発出を検討している。
両院議員懇談会に出席後、記者団に
「80年は1つの区切りだ」
「今までの(首相)談話の積み重ねも踏まえながら、適切に判断することが大切だ」
と述べた。
発出に重ねて意欲を示したとみられる。

「石破首相が『80年談話』出せば自民党終わる」安倍元首相のブレーン、本田悦朗氏断じる
2025/7/28 18:10
https://www.sankei.com/article/20250728-HHZXETZT7ZFZXEND5LMKXZ5K6I/?outputType=theme_election2025
第2次安倍晋三内閣で安倍元首相の経済ブレーンとして経済政策「アベノミクス」を推進した一人、本田悦朗元内閣官房参与が、自らのX(旧ツイッター)で、石破茂首相(自民党総裁)は参院選大敗の責任を取り辞任すべきだ、と繰り返し投稿している。
日米関税交渉の「合意」についても厳しい言葉を投げかけている。
■「石破総理の存在自体が、深刻な政治空白」
「石破総理の存在自体が、日本にとって深刻な政治空白」
「一体、何回負けたら国民の期待に少しでも近い人を総理にして、解散総選挙を打つ気になるのか」
「自民党の大敗は、安倍総理を支えた保守岩盤層が、見限ったから」
「国民の審判が下った以上、理念と政策を正し、国民に説明するか、自ら辞任する責任がある」
本田氏は参院選から一夜明けた2025年7月21日、こう発信した。
2025年7月25日には
「石破総理には直ちに辞任する以外の選択肢はない」
「国民は、3度の国選で石破氏を信任しなかった」
「自らの保身のために判断が揺れ続ける人に、この悠久の国のトップが務まるはずがない」
「終戦の日に『80年談話』を出して謝罪するようなことがあれば、自民党政治は終わる」
と牽制した。
■「トランプ氏は居座りの口実与えないため関税合意」
トランプ米政権と合意したとされる日米関税交渉についても、厳しくこう石破氏を評した。
「石破氏は地位にしがみつく為に、あらゆる屁理屈を並べる」
「日米関税交渉もその例」
「トランプ氏は居座りの口実を与えないために選挙後、間髪入れず合意」
「合意文書もなく、米側のファクトシートのみ」
「愛国者なら米国に従属国扱いされて直ちに辞任」
(2025年7月26日)
翌2025年7月27日には
「日米関税協議での『合意』なるものは、その体を成していない」
「米側でファクトシートを作っているとのことだが、日本側は同意していない」
「日本側には、ファクトシートさえ存在しない」
「これでは、合意の基礎となる立法事実が分からないし、何を合意したのかさえ分からない」
と、石破政権への怒りをぶつけた。

自民・青山氏、石破首相の戦後80年談話警戒「どうせ辞めなきゃいけない」「意思感じる」
2025/7/25 9:53
https://www.sankei.com/article/20250725-LG5BZPQYBZHZPPAKBI3QLZDC4A/?outputType=theme_election2025
自民党の青山繁晴参院議員は2025年7月24日、自身のユーチューブチャンネルに動画を投稿し、参院選大敗を受けて石破茂首相(党総裁)の退陣は不可避とした一方、その前に戦後80年談話を発出することへの
「意思を感じる」
と述べた。
「これはリスクだ」
と強い警戒感を示した。
首相は2025年8月末までに進退について最終判断する方針だ。
動画で青山氏は首相について
「どうあがいても辞めざるを得ない」
と語った一方、2025年8月15日の終戦記念日の翌日または2025年8月末まで続投したい考えがあるとの見方を示した。
理由の1つめとして青山氏は
「かつて安倍晋三元首相が電話で首相を『器』も含め酷評していた」
「『意外と権力が好きなんだよ』と」
「権力の見えざる味というのがあると思う」
と語った。
■「首相は安倍談話定着許せない」
理由の2つめに
「2025年8月15日」
を挙げ、
「首相が辞めたくない、今だけは凌ぎたい理由というのはこれだと思う」
「談話を出したいということだ」
と述べた。
青山氏が代表を務める自民の保守系グループ
「日本の尊厳と国益を護る会」
は80年談話を発出しないよう首相官邸側に申し入れており、回答はない。
青山氏は
「首相自身がどう考えているのか、なかなか伝わらない」
「こちらに伝わらないように凄くガードされている」
「(情報を)せき止めているのは分かった」
「談話を出したいという意思は感じる」
「積み上げた実際の感触から言っている」
と説明した。
青山氏は安倍氏が首相について
「ネチネチいつまでも小さいことを言ってくる」
と話していたことを紹介し、
「ここから先は推測だ」
とした上で、
「安倍さんの談話が歴史的に定着していくということは、たぶん許せないのだと思う」
と述べた。
「首相がどうせ辞めなければいけないというのは、本人も分からないはずはない」
「80年の機会は他の人に巡ってこない」
「それが(当面続投の)大きな理由になっていて、これはリスクだ」
「妙なものを出して、『潔く身を処することに決しました』と言うだろう」
「全然潔くない」
と危機感を示した。

戦後70年談話
首相談話全文
2015/8/14 18:03
https://www.sankei.com/article/20150814-UCRDTJRIYNOSFLUV64XWEAWCQE/
戦後70年の安倍首相談話の全文は以下のとおり。

終戦七十年を迎えるにあたり、先の大戦への道のり、戦後の歩み、20世紀という時代を、私たちは、心静かに振り返り、その歴史の教訓の中から、未来への知恵を学ばなければならないと考えます。
100年以上前の世界には、西洋諸国を中心とした国々の広大な植民地が、広がっていました。
圧倒的な技術優位を背景に、植民地支配の波は、19世紀、アジアにも押し寄せました。
その危機感が、日本にとって、近代化の原動力となったことは、間違いありません。
アジアで最初に立憲政治を打ち立て、独立を守り抜きました。
日露戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました。
世界を巻き込んだ第一次世界大戦を経て、民族自決の動きが広がり、それまでの植民地化にブレーキがかかりました。
この戦争は、1000万人もの戦死者を出す、悲惨な戦争でありました。
人々は「平和」を強く願い、国際連盟を創設し、不戦条約を生み出しました。
戦争自体を違法化する、新たな国際社会の潮流が生まれました。
当初は、日本も足並みを揃えました。
しかし、世界恐慌が発生し、欧米諸国が、植民地経済を巻き込んだ、経済のブロック化を進めると、日本経済は大きな打撃を受けました。
その中で日本は、孤立感を深め、外交的、経済的な行き詰まりを、力の行使によって解決しようと試みました。
国内の政治システムは、その歯止めたり得なかった。
こうして、日本は、世界の大勢を見失っていきました。
満州事変、そして国際連盟からの脱退。
日本は、次第に、国際社会が壮絶な犠牲の上に築こうとした
「新しい国際秩序」
への
「挑戦者」
となっていった。
進むべき針路を誤り、戦争への道を進んで行きました。
そして70年前。
日本は、敗戦しました。
戦後70年に当たり、国内外に斃れた全ての人々の命の前に、深く頭を垂れ、痛惜の念を表すと共に、永劫の、哀悼の誠を捧げます。
先の大戦では、300万余の同胞の命が失われました。
祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながら、戦陣に散った方々。
終戦後、酷寒の、あるいは灼熱の、遠い異郷の地にあって、飢えや病に苦しみ、亡くなられた方々。
広島や長崎での原爆投下、東京をはじめ各都市での爆撃、沖縄における地上戦などによって、たくさんの市井の人々が、無残にも犠牲となりました。
戦火を交えた国々でも、将来ある若者たちの命が、数知れず失われました。
中国、東南アジア、太平洋の島々など、戦場となった地域では、戦闘のみならず、食糧難などにより、多くの無辜の民が苦しみ、犠牲となりました。
戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも、忘れてはなりません。
何の罪もない人々に、計り知れない損害と苦痛を、我が国が与えた事実。
歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なものです。
一人ひとりに、それぞれの人生があり、夢があり、愛する家族があった。
この当然の事実を嚙み締める時、今尚、言葉を失い、ただただ、断腸の念を禁じ得ません。
これほどまでの尊い犠牲の上に、現在の平和がある。
これが、戦後日本の原点であります。
2度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。
事変、侵略、戦争。
如何なる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう2度と用いてはならない。
植民地支配から永遠に訣別し、全ての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない。
先の大戦への深い悔悟の念と共に、我が国は、そう誓いました。
自由で民主的な国を創り上げ、法の支配を重んじ、ひたすら不戦の誓いを堅持してまいりました。
70年間に及ぶ平和国家としての歩みに、私たちは、静かな誇りを抱きながら、この不動の方針を、これからも貫いてまいります。
我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました。
その思いを実際の行動で示すため、インドネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が歩んできた苦難の歴史を胸に刻み、戦後一貫して、その平和と繁栄のために力を尽くしてきました。
こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものであります。
ただ、私たちがいかなる努力を尽くそうとも、家族を失った方々の悲しみ、戦禍によって塗炭の苦しみを味わった人々の辛い記憶は、これからも、決して癒えることはないでしょう。
ですから、私たちは、心に留めなければなりません。
戦後、六百万人を超える引揚者が、アジア太平洋の各地から無事帰還でき、日本再建の原動力となった事実を。
中国に置き去りにされた三千人近い日本人の子どもたちが、無事成長し、再び祖国の土を踏むことができた事実を。
米国や英国、オランダ、豪州などの元捕虜の皆さんが、長年に渡り、日本を訪れ、互いの戦死者のために慰霊を続けてくれている事実を。
戦争の苦痛を嘗め尽くした中国人の皆さんや、日本軍によって耐え難い苦痛を受けた元捕虜の皆さんが、それほど寛容であるためには、どれほどの心の葛藤があり、如何ほどの努力が必要であったか。
そのことに、私たちは、思いを致さなければなりません。
寛容の心によって、日本は、戦後、国際社会に復帰することができました。
戦後70年のこの機に当たり、我が国は、和解のために力を尽くして下さった、全ての国々、全て方々に、心からの感謝の気持ちを表したいと思います。
日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。
あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。
しかし、それでも尚、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。
謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります。
私たちの親、そのまた親の世代が、戦後の焼け野原、貧しさのどん底の中で、命を繋ぐことができた。
そして、現在の私たちの世代、更に次の世代へと、未来を繋いでいくことができる。
それは、先人たちのたゆまぬ努力と共に、敵として熾烈に戦った、米国、豪州、欧州諸国をはじめ、本当にたくさんの国々から、恩讐を越えて、善意と支援の手が差しのべられたおかげであります。
そのことを、私たちは、未来へと語り継いでいかなければならない。
歴史の教訓を深く胸に刻み、より良い未来を切り拓いていく、アジア、そして世界の平和と繁栄に力を尽くす。
その大きな責任があります。
私たちは、自らの行き詰まりを力によって打開しようとした過去を、この胸に刻み続けます。
だからこそ、我が国は、如何なる紛争も、法の支配を尊重し、力の行使ではなく、平和的・外交的に解決すべきである。
この原則を、これからも堅く守り、世界の国々にも働きかけてまいります。
唯一の戦争被爆国として、核兵器の不拡散と究極の廃絶を目指し、国際社会でその責任を果たしてまいります。
私たちは、20世紀において、戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を、この胸に刻み続けます。
だからこそ、我が国は、そうした女性たちの心に、常に寄り添う国でありたい。
21世紀こそ、女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、世界をリードしてまいります。
私たちは、経済のブロック化が紛争の芽を育てた過去を、この胸に刻み続けます。
だからこそ、我が国は、如何なる国の恣意にも左右されない、自由で、公正で、開かれた国際経済システムを発展させ、途上国支援を強化し、世界の更なる繁栄を牽引してまいります。
繁栄こそ、平和の礎です。
暴力の温床ともなる貧困に立ち向かい、世界のあらゆる人々に、医療と教育、自立の機会を提供するため、一層、力を尽くしてまいります。
私たちは、国際秩序への挑戦者となってしまった過去を、この胸に刻み続けます。
だからこそ、我が国は、自由、民主主義、人権といった基本的価値を揺るぎないものとして堅持し、その価値を共有する国々と手を携えて、
「積極的平和主義」
の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献してまいります。
終戦80年、90年、更には100年に向けて、そのような日本を、国民の皆様と共に創り上げていく。その決意であります。
平成27年8月14日
内閣総理大臣 安倍晋三

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/792.html#c19

[政治・選挙・NHK297] 日米関税合意“ご破算”の予兆…赤沢大臣は言い訳連発「法的拘束力ないが…」フワフワ答弁の情けなさ(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
33. 秘密のアッコちゃん[1794] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月07日 09:17:00 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1232]
<▽37行くらい>
<主張>中国の日本人襲撃 安全確保へ危機感足りぬ
社説
2025/8/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20250807-UMIVG5IGJBILBFEMPMNTWBOIVI/
中国江蘇省蘇州市で2025年7月31日、現地の日本人女性が襲われて負傷した。
地下鉄駅構内で子供を連れて歩いていたところを、石のようなもので殴られた。
中国当局は容疑者を拘束したが、動機などを明らかにしていない。
日本人社会の不安と恐怖はいかばかりだろう。
蘇州では昨年2024年6月にも日本人学校のスクールバスを待っていた日本人母子が中国人の男に切りつけられて負傷した。
昨年2024年9月には広東省深圳市で、日本人学校に通う男子児童が母親と登校中、男に刺され死亡した。
もうたくさんである。
日本人の、しかも弱い立場の母子ばかりをなぜ狙うのか。
繰り返される襲撃事件に、適切な安全対策を取ろうとしない中国政府に対しても、憤りを禁じ得ない。
林芳正官房長官は記者会見で、
「中国政府に容疑者の厳正な処罰、類似事件の再発防止、邦人の安全確保を強く申し入れていく」
と述べたが、
「申し入れ」
で済ませる事態ではない。
石破茂政権の危機意識の乏しさを露呈している。
林長官によると、容疑者については中国側から
「法律に沿って処罰する」
との知らせがあったという。
日本政府はなぜ、動機や背景など容疑者に関する情報公開を迫らないのか。
再発防止には不可欠である。
中国外務省は、昨年2024年9月の児童刺殺事件後も、
「(事件は)中日間の往来や協力に影響を与えない」
と平静を装った。
習近平政権は経済の不調や米国との貿易戦争に苦しんでおり、日本との経済交流は保ちたいはずだ。
だが、駐在員もその家族も安心して暮らせない状況では、日本人が中国でビジネスを行う土台が崩れていると言う他ない。
中国は今年2025年を
「抗日戦争勝利80年」
と位置付け、2025年9月3日には北京で軍事パレードを行う。
「南京事件」
を題材にした映画
「南京写真館」
が公開されヒットしているという。
中国共産党の宣伝工作によって大衆の反日感情が煽られて、日本人に対する嫌がらせや襲撃事件が続発する危険性がある。
石破首相は、自らが中国に弱腰の態度を取り続ければ、現地の日本人を危険に晒すと肝に銘じてもらいたい。
首相自身が中国政府に対して、
「日本人を守れ」
と安全確保を要求しなければならない。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/789.html#c33
[政治・選挙・NHK297] 日米関税合意“ご破算”の予兆…赤沢大臣は言い訳連発「法的拘束力ないが…」フワフワ答弁の情けなさ(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
38. 秘密のアッコちゃん[1795] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月07日 13:44:57 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1233]
<■773行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<独自>日航機墜落事故40年 米ボーイング、修理ミスの理由説明「設置困難で部品切断」
2025/8/6 22:00
https://www.sankei.com/article/20250806-N5T7PWWI3JNLNMARNOECQE4U3Q/
2025年8月12日で発生から40年になる日航機墜落事故を巡り、米ボーイング社は産経新聞の取材に応じ、事故原因とされる接合板(スプライス・プレート)を2枚使用した機体の修理ミスが起きた理由について
「設置することが構造上困難だったため」
と明らかにした。
当時の旧運輸省航空事故調査委員会の調査や、警察の捜査では担当者への聞き取りができず、2枚のプレートを使用した修理ミスが起きた理由は判明していなかった。
1985年8月に発生し、乗客乗員520人が犠牲になった単独機として世界最悪の航空機事故は、原因の更なる究明に向け一歩踏み出した。
墜落した機体はボーイング747型機。墜落事故の7年前1978年、別の事故で機体後部を損傷し、ボーイングが修理した。
機内の気圧を保つドーム状の部品
「後部圧力隔壁」
について、修理チームは下半分を新品に取り換え上半分と接合した。
このとき、接合部にあてるプレートが指示書では1枚だったのに対し、2枚に切断されたものが使用された。
隔壁はプレートを挟む形で鋲留めされたが、本来の仕様より強度が7割に落ち込み、最終的に墜落事故に繋がったと事故調の報告書で結論付けている。
だが、2枚のプレートを使用した理由は長く判明していなかった。
ボーイングは取材に
「プレートを所定の位置に設置するのが難しく、2つに切り分けて設置しやすくした」
と説明した。
ボーイングは昨年2024年9月、日航機墜落事故に関するページを公開し、この内容を示していた。
米連邦航空局(FAA)も、公式サイトで
「隣接する構造物との複合的な湾曲のため設置が困難だった」
と記載している。
当時、事故調の調査官として圧力隔壁を調べた斉藤孝一さん(80)は
「事故後の40年間で初めて出てきた情報で、大変驚いている」
「整備員たちが安全のために知るべき非常に重要な情報だ」
と述べた。
ボーイングは取材に際し、
「ご遺族の皆様に心よりの哀悼の意とお詫びを申し上げます」
と改めて謝罪した。
遺族らで作る「8・12連絡会」は
「修理ミスについて、1つ1つ事実が分かっていくことによって、その背景を明らかにしていくことができるはずなので、更に詳しく情報をオープンにしていってほしい」
とコメントした。

日航機墜落は自衛隊の陰謀!? デマはなぜ消えぬ
正論2025年7月号 ジャーナリスト 葛城奈海
乗客乗員520名という単独飛行機事故としては世界最多の死者を出した日本航空123便墜落事故から、2025年8月12日で40年となる。
当時を知らない世代も増える一方、僅か4名だった生存者の1人、当時12歳の川上慶子さんが自衛官に抱えられながらヘリに引き上げられていく映像をご記憶の方も少なくないだろう。
昭和60(1985)年8月12日午後6時12分、羽田空港を離陸した日航ジャンボ機123便は、大阪伊丹空港へ向かう途上、異常事態が発生、午後6時56分、群馬県上野村の
「御巣鷹山の尾根」
に墜落した。
事故原因について、運輸省の航空事故調査委員会(当時)は、昭和53年に起こした
「尻もち事故」
後の不適切な修理で機体後部の圧力壁が壊れ、垂直尾翼や操縦系統が破壊されたと推定。
メーカーのボーイング社は、修理ミスがあったことを認めている。
事故機の生存者捜索・救助、ご遺体の搬送には警察や消防、地元猟友会らと共に、自衛隊が力を尽くした。
にもかかわらず、あろうことかその自衛隊が日航機を墜落させ、その証拠隠滅のために現場を火炎放射器で焼いたという
「陰謀説」
がいつしか流布されるようになった。
事故当時、第1空挺団の小隊長としてヘリからのリベリング(懸垂降下)でいち早く現場に入り、事故対処に当たった元陸上幕僚長の岡部俊哉氏の話を聞いていた私は、凄惨な現場で黙々と任務に邁進した自衛官たちの尊厳が踏みにじられていることへの憤りと、予備自衛官としての他、様々な形で自身も関わって来た自衛隊が事実に反して貶められることを食い止めたいという思いにかられた。
「御巣鷹の尾根」
登山道に、陰謀説を真に受けたと思われる慰霊碑が遺族によって建立されたと知るに及び、同説を放置したら既成事実化しかねないとの危機感が募った。
■自衛隊OBらの反論
「自衛隊犯人説」
など余りに荒唐無稽で国民が信じるわけがないと当初は意に介していなかったOBたちも、危機感を抱き、反論を始めた。
産経新聞2025年4月1日付の「正論」欄で元空将の織田邦男氏が、事故当時、航空幕僚監部運用課員として事故発生から収束までの一部始終を、指揮中枢である空幕作戦室で目撃した立場から
「全くのデマだと断言できる」
とした。
元戦闘機パイロットである織田氏は、疑惑の発端となった自衛隊の
「現場到着の遅れ」
について、こう述べている。

【地上レーダーは低高度が見えないので墜落地点は特定できない。
最初に炎を発見した米軍C130輸送機、空自F4戦闘機からの位置情報は、TACAN(戦術航法装置)の情報である(GPSは未装備)。
TACANには、固有の誤差がある。
更に当該機と現場の距離が誤差となって加わる。
横田TACAN局から割り出せば位置情報に4km前後の誤差が生じることはやむを得ない。
航空では僅かな誤差だが、陸上行動では大きな障害となる。
特に山岳地帯では、4km違えば隣の尾根になってしまう。
山岳の道なき道の移動は4kmでも数時間かかる。
夜間で、暗視装置のない(当時)ヘリの山岳投入は危険なので中止した。
地上部隊の投入場所の決定が遅れ、結果的に現場到着が遅れた。
この遅れが
「何かがあるはず」
と臆測を呼び、連鎖して物語の創作に繫がったのだろう。】

私も狩猟その他で道なき道を進む困難さを度々味わってきた経験から、織田氏の特に山岳の道なき道の移動についての指摘は実体験として深く頷かざるを得ない。
2025年4月16日には、参議院議員会館1階講堂で
「JAL123便事故究明の会」
によるシンポジウムが開催された。
平日の16時からという時間帯にもかかわらず250名もの参加があり、壁沿いにずらりと補助席を並べてぎりぎり収容がかなうほどの盛況ぶりであった。
シンポジウムでは、まず基調講演として同会会長で元陸上幕僚長の岡部俊哉氏が、事故当時、第1空挺団の小隊長として現場で生存者捜索・救助、ヘリポート造成、遺体後送などの指揮を執った実体験を述べた。
岡部氏ら空挺団員は事故翌朝、現場にリベリング(ホバリングするヘリコプターから縄を垂らして降りる)で降着、生存者の捜索、救助に当たった。
生存者4名が消防団によって発見されたことを受け、ホイスト(縄を巻き上げること)によるヘリ収容を行った。
生存者は全員女性で、うち2人は母子であった。
収容はまず8歳の女児から毛布にくるんで行ったが、2番目に12歳の川上慶子さんを同様に包んでいた毛布をメディアの人間が剥いだという。
皮肉にも、その映像が世界を駆け巡ったが、一部メディアの倫理観の無さを表していると言えよう。
生存者のヘリ収容が完了すると、次に空挺団はヘリポートの造成に取り掛かった。
山の斜面に造成するため、作業は困難なものであった。
山側を切り崩した土を谷川に盛るという作業を夜を徹して行い、翌昭和60(1985)年8月14日にヘリポートが完成。
遺体の後送が開始された。
中にはシートベルトによって上下に分断されたご遺体をはじめ部分遺体が多数あったが、毛布でくるみ重ならないようにしてヘリの床に足の踏み場もないほど詰めて収容することを繰り返したという。
空挺団が撮影した5分ほどの映像も上映された。
まだ一部で煙の立ち上る現場にヘリからリぺリングで地上に降り立つ空挺団員たちの他、散乱する瓦礫、なぎ倒され、あるいは焼け焦げた木々や岩がちな急斜面、ボサ、消防団員などが映り込んでおり、現場の空気が鮮明に伝わってきた。
岡部氏はまた、任務終了から約1カ月、不眠、肉食不可、手にご遺体の感触が蘇る、窓の外にご遺体が並ぶ幻想を見るなど急性ストレス障害(ASD)に悩まされたことを告白している。
シンポジウム後段は、岡部氏を含めた関係者による以下の5つの陰謀説への反論であった。
@海上自衛隊護衛艦のミサイルが123便に衝突
A航空自衛隊のF4戦闘機が123便を追尾
B墜落現場の特定を遅延させた
C証拠隠滅のため火炎放射器で現場を焼却
D海自出身の機長の遺体・制服を自衛隊が隠滅
これに対し、登壇者がそれぞれ以下のように回答した。
@海上自衛隊護衛艦のミサイルが123便に衝突
「陰謀説」
では当時ミサイルの実験中だった護衛艦「まつゆき」が相模湾で短SAMシースパロー(艦対空ミサイル)の垂直発射試験を行っており、123便の垂直尾翼周辺に異変を生じさせたとするが、当時「まつゆき」はまだ自衛隊のものではなかった。
当時は、石川島播磨重工(現IHI)が所有し、船長もスタッフも同社員で「公試」(船舶の海上試運転)を行っていた。
元海上自衛隊海将補の林祐氏によると、海上自衛官も「艤装員」として乗り込んではいたが、自衛隊が主導できる状況ではなかった。
また、当日相模湾で行っていたのは運動能力試験であり、そもそも武器は未積載であった。
A航空自衛隊のF4戦闘機2機が123便を追尾
墜落直前の123便を空自F4戦闘機2機が追尾し、最終的にミサイルで撃墜したという
「陰謀説」
に対し、実際に事故当日F4戦闘機の後席に搭乗して現場上空を飛んだ渡辺修三氏は
「そもそも自衛隊の武器・装備品の管理は徹底している」
「ミサイルで撃墜はあり得ない」
また、当時の出動について
「ダイレクトスクランブル(事前情報なし)で上がった」
「西側に指向されたのでなぜだろうと思っていたら、123便がレーダーから消えた所へ行くと判明した」
「現場には当日薄い雲がかかっていたが、その中に橙色の場所があった」
「確認のために雲を突き抜けていくと、炎の帯が1.5km〜2kmに渡って続いていた」
と証言した。
B墜落現場の特定を遅延させた
前述の織田氏同様、渡辺氏もTACAN(戦術航法装置)の機械的誤差および人的誤差に触れた。
帯状に燃えていた中で、最も燃えている所に合わせようと努力し、百里、横田、入間の3カ所から位置を割り出すべく通報したが、結果的にずれていた。
夜間だったことが、定点の割り出しを一層困難にした。
また、第1空挺団に対し、
「事故当日の夕刻、災害派遣待機命令が出ており、ヘリもエンジンをかけて待機していたにもかかわらず、それが解除された」
に対し、岡部氏は、そもそもそんな命令は出ていなかった、当直の陸曹に対し、命令が出ていないことを確認して就寝した。
C証拠隠滅のため火炎放射器で現場を焼却
「ガソリンとタールの混ざった臭いが漂っていた」
「ご遺体が2度焼きしたように激しく炭化していた」
という証言を基に
「証拠隠滅のために自衛隊員が火炎放射器(自衛隊では「携帯放射器」と呼称)で現場を焼却した」
という説に対し、岡部氏は、
「携帯放射器はそもそも高圧洗浄機の噴射と同様に広い面積を対象とするのには不適であり、燃料のゲル化油を作るなど準備に長時間要する」
「そもそもタールは使わない」
と反論した。
また、
「昨年2024年の羽田空港での事故を思い起こせば分かる通り、航空燃料の火力は非常に強く飛行機でさえ焼き尽くしてしまう」
というファシリテーターの元日興職員、空花正人氏の言葉には、なるほどと思わされた。
更に、事故当時陸自第13普通科連隊(長野県松本市)の一員として最初に地上から現場入りした小川清史元西部方面総監は、
「道の無い山を地図判読し笹や木を手で掴みながら登って行った」
「そんな状況で、もしそこに携帯放射器があったらノズルが邪魔で(笹や木に引っかかって)とても進めなかったはず」
「武器庫内にある携帯放射器を取り出す手続きは非常に厳密」
「燃料は業務隊が持っているため指揮系統が違い、一層手続きが複雑になる」
とし、何重もの意味であり得ないことを語った。
D海自出身の機長の遺体・制服を自衛隊が隠滅
事故機の機長が海自出身だったことから、
「陰謀説」
では
「ミサイルを誤射した」
海自の訓練との関係が仄めかされている。
自衛官が現場で真っ先に機長を発見し、目印のために棒で突き刺し、ヘリ内で搬送中の遺体から制服を剝ぎ取ったとする説に対し、岡部氏は
「現場検証で警察によって番号が付けられ、自衛隊は勝手にできない」
「自分たちがヘリポートを運用していたから、後送したご遺体は全て見ている」
「マスコミもいる中で、あり得ない」
と反論した。
■「御巣鷹の尾根」の今
事故当時、捜索・救助等に当たった地元猟友会、消防団、警察、そして自衛隊などが道なき道を切り開きながら進んだ
「御巣鷹の尾根」
へは、現在ではすぐ近くまで車道が整備されている。
2025年4月末の冬季閉鎖解除を待って、2025年5月6日現場を訪ねた。
五月晴れの下、新緑から青葉へと変わりつつある若葉が輝く中、設置されていた
「熊よけの鐘」
を鳴らして入山。
スゲノ沢の水音を感じながら
「御巣鷹の尾根」
へと向かう。
参拝道を数十メートル進むごとに「水場」や小さな「山守地蔵」が目に入る。
斜面の急峻さを目の当たりにしながら、事故当時、道の無いこの場所に分け入った関係者らの苦労を想う。
しばらく進むといくつかのベンチが置かれた休憩スペースがあり、その先から斜面のあちこちにご遺族らが建てた墓標や石碑が点在する慰霊のエリアとなる。
それぞれを結ぶように小道や金属の階段が付けられているが、一筆書きで全てを回れるような道筋ではなく、いくつもの枝道に分かれており、全てを回るには相当な時間を要する。
その最も手前、つまり慰霊に訪れた人のほぼ全員が目にする位置に、件の慰霊碑はあった。
台座中央に置かれた石碑(写真1)には
「日航機墜落事故 真実の仮説」
として
「加害者 N総理・自衛隊幕僚長」
「事故原因(墜落) 自衛隊曳行標的機・衝突、N総理 撃墜殺害 指示、自衛隊 ミサイル撃墜・墜落」
などと記され(写真2)て、事故当日、搭乗前に撮影された高校生と中学生の兄妹の写真が並べられた下には
「*N総理・自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
との文言がある。
その左右には、事故機で共に旅していた2家族の犠牲者の名前が彫り込まれた石碑が並ぶ。
名前が彫られた石碑の裏を見ると建立は平成19年とあったが、中央の石碑がこの場所に確認されたのは昨年2024年だという。
よりによって、こんな
「最も目に付く位置」

「陰謀説」
が真実であるかのような石碑が、
「ご遺族によって」
建立されているという現実を目の当たりにし、私自身の衝撃が更に深まった。
先へと進み、いくつもの墓標や石碑の前を通りながら、尾根上に開けた
「昇魂之碑」
に到着。
壮絶な最期を迎えた520名の御霊の安からんことを祈った。
周囲一帯はとても美しく整備されており、水仙、馬酔木、標高の高さ故にまだ残っていた山桜、これからまさに咲かんとする石楠花など百花繚乱の様相を呈していたが、その中で白いヘルメット姿の若者5〜6名が手に箕などを持って活動していた。
聞けば、日航職員が休暇を使ってボランティアに来ているのだという。
「昇魂之碑」
の少し奥には、
「遭難者遺品埋没の場所」
や観音像などがあったが、特に印象的だった場所が3カ所ある。
まず、「祭壇」だ。
入口にたくさんの千羽鶴が下げられた木造の小屋のような建物内に置かれている。
祭壇や壁面には写真や千羽鶴が所狭しと並べられ、掲げられている。
犠牲者の1人、坂本九さんの
「上を向いて歩こう」
のレコードジャケットもあった。
線香を手向けお参りをさせて頂いた後に1つ1つ見ていくと、祭壇中央に目を引く額があった。
というのも、その額内に収められている布が赤いのだ。
そこに筆書きと思しき書体で
「故川上英治、川上和子同志へ」
「闘いのなかばで倒れた同志の遺志を受け継ぐことを誓って、霊にささぐ」
と日本共産党群馬県委員会委員長をはじめとする党員と思しき署名が寄せられていた(写真3)。
同志として名を連ねている故人は、救助された慶子さんのご両親だ。
「祭壇」
の中で、そこだけ異質な空気を醸し出していた。
2つ目は、
「沈黙の木」
と札が下げられていた場所だ。
当初、随分昔に大木が倒れた跡のように見え、だいぶ風化しているので何の事だろうと思いながらよく見ていくと、一部の断面や、しゃがんで覗いた下の方に炭化した部分が明確に残っていた。
40年の時を超え、事故による火災の残滓がそのまま存在している。
まさにここが
「現場」
であったことを実感した瞬間だった。
「沈黙の木」
を覗き込んでいると、
「御巣鷹の尾根管理人」
の黒沢完一氏が声を掛けて下さった。
同氏が指を指しながら説明してくれたところによると日航機は隣の尾根に接触(その部分の樹木が抉られたことからU字溝と呼ばれており、現在でもV字型に樹木の空際線が抉れている)、高天原山に上下が逆さになった状態で墜落した。
機体後部はスゲノ沢に滑落、そこから4名の生存者が救出されている。
3つ目は、更にその奥にあった
「X岩」
だ。
岩には実際に白く
「X」
と大書されている。
傍らに立つ石碑には
「日航機墜落事故対策の記録」
と題し、延べ5万5117人が135日間に渡って活動した群馬県警が
「第4現場」
と呼んでいたこのエリアで救援・捜査活動を行う際、基準とした場所であることなどが刻まれていた。
下山して次に17km離れた
「慰霊の園」
に向かった。
「御巣鷹の尾根」
に向かって合掌した姿の慰霊塔の奥には納骨堂があった。
最後まで身元確認が叶わなかった120以上のご遺骨が納められているという。
事故処理の支援を通じて事故の凄まじさ、ご遺族の悲しみを目の当たりにした上野村村民が、2度とこのような事故が起こらないように願い、永遠に霊を祀り慰めることが村民の責務だと考え、有志が土地を提供して建設されたという。
資料館で上映されていた事故当時の映像によって、事故現場の特定および生存者の捜索・救助に向かった地元猟友会が8名、消防団員が160名だったこと、身元不明遺体を役場の2階に仮安置したこと、事故の翌年1986年7月には慰霊のための登山道を整備し、1986年8月の1周忌には納骨が行われたことなどを知った。
いずれにも当時の黒澤丈夫村長の強いリーダーシップを感じた。
余談だが、黒澤村長は、元海軍の戦闘機乗りであった。
■自衛隊犯人説を既成事実化させるな
自衛隊犯人説が広がった背景に、元日航職員のノンフィクション作家、青山透子氏による著書の存在がある。
彼女の著書のうちの3冊(いずれも河出書房新社)が公益社団法人全国学校図書館協議会による
「選定図書」
に指定されていた。
「選定図書」
とは、図書館などに相応しいお勧めの本として複数の選定委員の推薦を受けた図書のことで、年間約7000点が選ばれている。
加えて、本年2025年1月に亡くなった経済アナリストの森永卓郎氏が著書やYouTube番組などで自衛隊の関与を指摘したことで、ここ1年ほどで同説が一気に広がった印象だ。
こうした本が図書館や書店に並べば、国を守る自衛隊という組織に対する印象が著しく貶められ、結果として、ただでさえ募集難に喘ぐ自衛隊へ追い打ちをかけることにもなりかねない。
何より看過できないのは、遺体や燃料などの臭気漂う凄惨な事故現場で、黙々と任務に邁進した自衛官たちの尊厳を踏みにじっていることだ。
陸上自衛隊OBでもある佐藤正久議員は2025年4月10日の参院外交防衛委員会で
「自衛隊員の名誉に関わる問題だ」
「多くの人命救助に当たった隊員に対する侮辱だ」
と問題視した。
これに対し、中谷元・防衛大臣は
「自衛隊が墜落に関与したことは断じてない」
「しっかり対応したい」
と語った。
周知の通り、中谷元・防衛大臣も陸自OBだ。
かつての同僚の名誉を守るためにも、また今まさに日々の任務や訓練に勤しむ現在の自衛隊員の士気を落とさないためにも、そして未来の自衛隊の誇りのためにも、この問題を軽視せず、防衛省を挙げて真摯に対応することを心から願う。
御巣鷹の尾根で、件の慰霊碑以外にも1つ気にかかる石碑があった。
登山口から歩き始めてほどなく
「すげの沢のささやき」
と標識の立つ場所があった。
事故当時、米国・国家運輸安全委員会(NTSB)の委員長だったジム・バーネット氏が講演会で述べた言葉が石碑に刻まれているのだが、その内容はここでは置く。
引っ掛かったのは、説明板の文章の中の以下の文言だ。
「日本の、運輸省・航空事故調査委員会の調査報告書は、原案がNTSBに送られ、同氏の承諾を得た後に初めて、発行された」
NTSBが報告書作成に
「協力」
したのではなく、その
「承認」
を得て発行されたという辺りに、何かしら情報操作や隠蔽があるのではないかと疑念が沸くのは私ばかりではないであろう。
これに象徴されるように事故後の情報公開の在り方に、
「陰謀説」
を生み出しかねない隙があったことは否定できない。
ことは防衛省だけに収まる話ではない。
政府の責任において、自衛隊を貶める様々な疑念を晴らすべく情報公開の在り方も見直すべきだ。
現状では、自衛隊は
「無実の罪」
着せられ名誉を毀損されている被害者と言えよう。
「自衛隊犯人説」
が増幅されれば、自衛隊の弱体化、ひいては日本国の国防力の低下に繋がる。
これによって利するのは誰か。
そもそもこの問題も、日本を弱体化するという大目的をもって行われている世論戦であるかもしれない。
その可能性も念頭に、甘く見ることなく対処する必要があろう。
具体的には、政府が著者を名誉棄損で訴え、証拠を出させるなどの法執行が必要なのではないか。
法廷という公の場で白黒はっきりつけさせる。
傍観するのではなく、
「国としての意思を示す」
と政府が腹を決めるべき事態であると私は思う。
「陰謀説」
を決して既成事実化させてはならない。

「選挙時のSNS規制」に走るメディアの危うさ
正論2025年7月号 政策シンクタンク 原英史
■「自衛隊関与説」と反論
政府は、言論市場の
「統制役」
になるべきではない。
一方で、言論市場に
「プレーヤー」
としては参加できる。
政府に対して不当な批判がなされた時は、反論できる。
むしろ積極的に反論すべきだ。
実際には政府は、反論に及び腰になりがちだ。
これは、反論すると野党やメディアから
「言論弾圧だ」
といった反発を受けることを過度に恐れるためだ。
このため、例えば原発処理水を巡る経過のように、不当な報道や情報発信の一方的な拡散が起きてしまう。
この関連で最近気になったのは、昭和60年の日航機墜落事故に関して、今年2025年4月に国会でなされた質疑だ。
日航機墜落に関しては以前から、自衛隊が関与したとの説があった。
最近もノンフィクション作家の青山透子氏らが著書で唱え、亡くなられたタレントで経済アナリストの森永卓郎氏が日本経済低迷の要因と指摘した。
青山氏の著書につき、佐藤正久参議院議員が2025年4月10日の参議院外交防衛委員会で取り上げ、
「多くの人命救助に当たった隊員に対する侮辱だ」
と問題視した。
これに対し青山氏は翌日、ウェブサイトで抗議文を公開し、
「権限濫用による表現の自由、言論への弾圧」
だと批判した。
まず、私は
「自衛隊関与説」
には余り興味はない。
一方で、通説に抗して異説を唱えることは、社会にとって貴重だと考えている。
かつて地動説が異説だったことを思い出すまでもなく、真実が封印されている可能性があるのだから、異説は大事にしないといけない。
その前提で、国会質疑を見て、青山氏の著書にも目を通した。
佐藤議員の質疑は真っ当な内容だ。
「自衛隊関与説」
について、
「政府が間違いと認識しているなら、しっかり反論せよ」
という指摘だ。
防衛省が適切に反論し、また、全国学校図書館協議会の選定図書への指定について文科省から問題指摘すべきと求めている。
一方で、本を発禁処分にせよといった内容ではない。
これに対し、青山氏が
「言論弾圧」
だと批判しているのはおかしい。
政府への批判に対する反論、あるいは国会議員が政府に
「反論せよ」
と求めることは、
「言論弾圧」
ではない。
言論市場において、プレーヤーに
「反論を受けない権利」
はなく、政府を批判した時でも同じだ。
どちらが説得的かは、
「言論の自由市場」
において判断されたらよいことだ。

日航機事故 「御巣鷹の尾根」への登山道に「自衛隊撃墜説」を伝える慰霊碑は本当にあった
記者の「暴論」 矢野将史
2025/5/4 14:00
https://www.sankei.com/article/20250504-U5K7OD4BNNP2DE7DTSUDDQUIVY/
乗員・乗客520人が亡くなった日航ジャンボ機墜落事故から、今年2025年8月で40年を迎える。
国会審議で先日、自衛隊が加害者であるかのような言説が流布されていると知り、驚いた。
墜落現場となった群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
への登山道には、自衛隊撃墜説を
「仮説」
として伝える慰霊碑もあるという。
登山道が冬の閉鎖期間を終えたGW前半、慰霊登山をしてきた。
その慰霊碑については、自民党の佐藤正久参院議員が2025年4月10日の参院外交防衛委員会で、日航機墜落事故について
「加害者はN総理と自衛隊幕僚長と書かれている」
「(御巣鷹山を)登る人はみんな見ている」
「(政府や自衛隊が)慰霊碑を作った人にアプローチして『事実誤認だ』と言わないと」
「国民の信頼がないと自衛隊は動けない」
などと訴えた。
■「登る人はみんな見ている」
これに対し、中谷元防衛相は
「実際に碑があり、もし記載があるとすれば、全く事実無根だ」
「大変遺憾に思う」
「私や自衛官が正確な情報を発信していく」
「このような情報は偽情報である」
と答弁した。
本当にそのような碑があるのか。
記者は慰霊登山のため、上野村の中心部から車で林道のような山道を30分ほど進み、午前中に登山道入り口に辿り着いた。
そこから約20分登った山小屋近くに、
「日航機墜落事故 真実の仮説」
と記された慰霊碑はあった。
一部に、次のように書かれていた。

慰霊碑の「仮説」と記された部分
「※加害者 N総理・自衛隊幕僚長」

「※事故原因(墜落) 自衛隊 曳航標的機・衝突 N総理 撃墜殺害 指示 自衛隊:横田基地・着陸禁止 自衛隊 ミサイル撃墜・墜落」
「仮説」
とはあるが、ギョッとする内容だ。
慰霊碑は、事故の犠牲者5人の名前と哀傷歌が刻まれた2つの碑に挟まれていた。
亡くなったのは10代が4人、30代が1人と記されている。
上野村役場総務課は
「その碑があるのは知っているが、役場では、個々の墓標や碑について、誰が、いつ建てたかについては把握していない」
「ご遺族の方が設置したのではないか」
「昨年にはあった」
と語る。
■中谷防衛相「事実無根」
単独機として世界最大の航空機事故の調査は、旧運輸省の事故調査委員会が行った。
中野洋昌国交相は、佐藤氏の国会質問があった翌日(2025年4月11日)の記者会見で、事故調査委員会が昭和62年6月に公表した航空事故調査報告書を引用して、事故原因は米ボーイング社による
「後部圧力隔壁」
の不適切な修理に起因するとし、
「様々な角度から調査解析を行い、専門家による審議の上、ほぼ間違いないという結論に至ったため、強い推定を示す『推定される』という表現を使用している」
と説明した。
記者は前述の慰霊碑を確認した後、
「御巣鷹の尾根」
を目指した。
急な登山道を息を切らし、熊除けの鐘を鳴らしながら、30分ほど登ると、墜落現場に立つ
「昇魂之碑」
があり、遺族が設置した
「空の安全を祈って」
という鐘、犠牲者520人の名前が記された
「慰霊碑」
などがあった。
静かに手を合わせた。
そこに至る登山道脇の斜面やスゲノ沢には、木や石でできた墓碑がいくつも立ち並んでいた。
遺体が発見された場所付近だという。
墓碑には犠牲者の名前が記され、遺族らによる花や千羽鶴、人形、風車、個人的な手紙などが供えられていた。
■犠牲者や遺族の無念
遺族有志のメッセージにはこうあった。
「あなたやってきましたよ きこえますか 見えますか あなたと話したい あなた言いたいことは…」
「さよならも言えずに旅だったあなたたち やすらかに永遠の祈りをささげます」
この御巣鷹の尾根で520人の人生が突然断ち切られ、遺族らの人生も大きく変わったことが実感として伝わってきた。
事故から40年経っても、その無念さ、理不尽さ、事故への疑問を抱え続けている遺族は多いことだろう。
同時に、事故直後、標高1500メートル以上の尾根と谷が連なる墜落現場に向けて、道なき道を進んで必死の捜索・救出活動を続けた消防団員や警察官、自衛官の苦難も理解できた気がした。
恥ずかしながら、記者は整備された登山道を登るだけでも膝がガクガクになった。
航空事故調査委員会は現在、運輸安全委員会という組織に再編された。
同委員会は平成23年7月、
「日本航空123便の御巣鷹山墜落事故に係る航空事故調査報告書についての解説」
を発表している。
遺族などから様々な疑問が寄せられる中、
「できるだけ分かりやすく説明するため」
に作成したという。
この解説には後半で、
「ミサイル又は自衛隊の標的機が衝突したという説もありますが、根拠になった尾翼の残骸付近の赤い物体は、主翼の一部であることが確認されており、機体残骸に火薬や爆発物等の成分は検出されず、ミサイルを疑う根拠は何もありません」
とも記されている。
■事実に基づかない言説は修正を
犠牲者と遺族の無念に心を寄せながら、事故への疑問には真摯に向き合い、事実に基づかない言説は修正していく努力が必要だと感じた。

日航機墜落事故に「自衛隊関与」という陰謀説拡大の記事が読まれています、政府の対応は
2025/5/1 11:11
https://www.sankei.com/article/20250501-3B3JOK7GFZGVBJ333KKOVLED7E/
昭和60年8月12日に起きた日本航空機墜落事故を巡り、自衛隊の関与を唱える陰謀説が書籍やインターネットで流布されていることを紹介した記事が産経ニュースで読まれています。
政府は強く否定し、正確な情報発信を行う方針を明らかにしている。
陰謀説を唱える書籍の中にはベストセラーになったものも。
今年2025年4月16日には事故現場で生存者捜索に当たった自衛隊OBらがシンポジウムに参加し、書籍などで指摘される陰謀説のうち5つの点に反論した。
この問題は2025年4月10日の参院外交防衛委員会でも取り上げられた。
自衛隊OBの佐藤正久参院議員(自民党)が、自衛隊の関与を唱える書籍が全国学校図書館協議会による選定図書に指定されているとして、是正を訴えた。
佐藤氏の指摘に対し、中谷元防衛相は
「自衛隊が墜落に関与したことは断じてない」
と陰謀説を強く否定し、対応を約束した。
中野洋昌国土交通相は2025年4月11日の閣議後記者会見で、旧運輸省の事故調査委員会の航空事故調査報告書を引用する形で、事故原因は機内の気圧を保つ役割がある
「後部圧力隔壁」
の不適切な修理に起因するものだと説明し、
「正確な情報を発信していきたい」
と述べた。
民間でも陰謀説は問題視されている。
防人と歩む会の葛城奈海会長は、
「これを放置しては、慰安婦問題における吉田清治証言同様、嘘が真になりかねない」
と警鐘を鳴らした。
事故当時、航空幕僚監部の運用課員として、発生から収束まで一部始終を指揮中枢である空爆作戦室で目撃していたという元空将の織田邦男氏(麗澤大学特別教授)は、
「全くのデマだ」
と断言。
陰謀説を
「情報戦」
とみなし、その対応は
「国民一人一人が高い情報リテラシーを持つことが何より重要である」
と訴えた。
2025年4月29日、墜落事故の現場となった
「御巣鷹の尾根」
に向かう登山道が冬の閉鎖期間を終え、開通。
遺族や関係者は慰霊のため尾根を訪れ、墓標の前で静かに手を合わせた。

日航機墜落の陰謀説唱える書籍は「図書館協議会選定図書」 自民の佐藤正久氏が是正訴え
2025/5/1 9:55
https://www.sankei.com/article/20250501-H5D7UDNLZVNKZAERNHNE2ZS3WA/
昭和60年の日本航空機墜落事故に自衛隊が関与したという
「陰謀説」
を巡っては国会でも取り上げられた。
2025年4月10日の参院外交防衛委員会で、自衛隊OBの佐藤正久氏(自民党)は自衛隊の関与を指摘する書籍が全国学校図書館協議会による選定図書に指定されているとして、
「何も知らない子供たちが推薦図書として図書館で触れることで国土交通省や防衛省が否定する事実を本当のことのように受けてしまう」
と述べ、是正を訴えた。
選定図書に選ばれているのは作家、青山透子氏の著書3冊(いずれも河出書房新社)。
選定図書は小中学校などの図書館が蔵書構成する上で参考になり、同団体は
「正しい知識や研究成果」
「科学的に正確」
などの選定基準を設けている。
野中厚文部科学副大臣は、佐藤氏の訴えに対し
「図書自体が児童生徒の健全な教養の育成に資する必要がある」
「懸念について防衛省の動向も踏まえ、団体に伝えていく」
と答弁した。
自衛隊の関与を指摘する書籍は、経済アナリストの森永卓郎氏(今年2025年1月死去)らも出版している。

産経新聞は青山氏に対し、中谷元・防衛相が自衛隊の関与は
「断じてない」
と発言したことへの見解を書面で求めた。
これに対し青山氏は河出書房新社を通じて後日取材に応じる意向を示した。

日航機墜落に5つの陰謀説 「自衛隊と隊員への冒瀆だ」当時捜索のOBが反論
2025/5/1 8:36
https://www.sankei.com/article/20250501-EWVJEC535BOPPNUXV2G4MZCO2M/
昭和60年の日本航空機墜落事故に自衛隊が関与したという
「陰謀説」
が流布されていることに、当時事故現場で生存者捜索にあたった自衛隊OBらは
「自衛隊と隊員への冒瀆だ」
と憤っている。
2025年4月16日には参院議員会館で開かれた
「JAL123便事故究明の会」
によるシンポジウムで、書籍などで指摘される陰謀説のうち5つの点に反論した。
同会は昨年2024年8月に設立。
会長を務める岡部俊哉元陸上幕僚長は事故当時、陸上自衛隊第1空挺団の小隊長として生存者の救助、ヘリポートの造成などの指揮を執った。
陰謀説@「海上自衛隊護衛艦の訓練中のミサイルが123便に衝突」
自衛隊の関与を指摘する書籍は墜落原因について、当時巡航ミサイルの実験中だった護衛艦「まつゆき」が相模湾(神奈川県沖)で123便の垂直尾翼周辺に異変を生じさせたとする。
だが、まつゆきの就役は事故翌年の昭和61年3月。当時は石川島播磨重工業(現IHI)が所有する船舶だった。
元海上自衛隊海将補の林祐氏は
「(海自の)乗組員も『艤装員』として乗り込んでいたが、石川島播磨の船長が指揮を執り、スタッフが運航していた」
と述べ、自衛隊が主導できる状況ではなかったと説明した。
123便は事故発生当時高度7・3キロに達した。
林氏は当時の対空ミサイルなどが
「そう飛翔するものでない」
と述べ、まつゆきに搭載された発射ランチャーについて
「発射することはできない」
「コントロールシステムが異なる」
と指摘した。
陰謀説A「航空自衛隊のF4戦闘機2機が123便を追尾」
墜落直前の123便を空自F4戦闘機2機が追尾していたとの目撃証言を基に、最終的にF4がミサイルで墜落させた─とするものだ。
追尾などの動きは公式記録にない。
また、F4パイロットとして当時現場に出動した渡辺修三氏はミサイルなど装備品管理は徹底されているとし、
「帰投してミサイル1本なかったら一大事だ」
と述べた。
陰謀説B「墜落現場の特定を遅らせた」
渡辺氏は、地上で上空の戦闘機パイロットと連携する要撃管制官からの誘導で日航機がレーダーから消えた午後6時56分過ぎに墜落現場とみられる場所にF4で向かい、1・5〜2キロに渡る帯状の炎を確認したと証言する。
ただ、正確な墜落地点は把握できなかった。
渡辺氏は操縦士に対し、最も炎が強い所を中心に旋回してもらったが正確な位置をつかむのは難しかったという。
陰謀説C「証拠隠滅のため火炎放射器で現場を焼却」
墜落現場では消防団員らが
「ガソリンとタールの混ざったような臭い」
と感じたという証言がある。
これを基に
「証拠隠滅」
のために自衛隊員が火炎放射器(携帯放射器)で遺体やミサイルの痕跡を焼却したと流布されている。
当時陸自第13普通科連隊(長野県松本市)に所属し救出作戦に参加した小川清史元西部方面総監は
「火炎放射器を取り出す手続きは幾重で容易ではない」
「注入する燃料を保管するのは業務隊で、指揮系統が異なり、より一層手続きに時間と書類が必要となる」
と反論する。
また、携帯放射器の燃料であるゲル化剤を大量のドラム缶で入手して、一晩で搬入、焼却、撤収するのは不可能だと指摘する。
そもそも燃料にタールは使われないという。
陰謀説D「海自出身の機長の遺体・制服を自衛隊が隠蔽」
書籍では、事故を巡って123便の機長が海自出身であることから、
「ミサイルを誤射した」
とされる海自の訓練との関係が示唆されている。
自衛隊員が事故現場で機長の遺体を真っ先に発見、目印のため棒で突き刺し、ヘリコプターの移動中、不都合なものを取り除くため制服などを外した─というものだ。
これに対し、岡部氏は
「現地は多くの数の人が作業していた」
「機長の制服を身に着けた遺体が発見されれば(現地にいた)マスコミの写真に写っている」
「空想で言われた話としかいいようがない」
と語った。

日航機墜落事故40年、拡散される陰謀説 「自衛隊の関与は断じてない」政府が強く否定
2025/5/1 7:00
https://www.sankei.com/article/20250501-IBAEULDM6ZNXPFOXSJL26PTXKE/
「自衛隊がミサイルを誤射した」
「撃墜の証拠隠滅を図るため乗客らの遺体を焼却した」−。
昭和60年8月の発生から今年で40年となる日本航空機墜落事故を巡り、自衛隊の関与を指摘する
「陰謀説」
が書籍やインターネット上などで流布されている。
ベストセラーになる書籍もある中、政府は自衛隊の関与を強く否定するなど対応を進めている。
「陰謀説」
を唱える主な著者は、複数の目撃証言を繋ぎ合わせて描写。
例えば、自衛隊は墜落現場に先駆けて到達し証拠隠滅を優先したため生存者を見殺しにしたと主張している。
昨年には事故現場への登山道に犠牲者の名前と
「自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
などと記された
「慰霊碑」
の設置が確認された。
123便の墜落原因に関して運輸省の航空事故調査委員会(当時)は、過去の不適切な修理で機体後部の圧力隔壁が壊れ、垂直尾翼や操縦系統が破壊されたと
「推定される」
とした。
メーカーのボーイング社は修理ミスがあったと認めた。
中谷元・防衛相は2025年4月10日の参院外交防衛委員会で
「自衛隊の関与は断じてない」
と明言し、対応する考えを示した。
中野洋昌国土交通相は2025年4月11日の記者会見で
「様々な角度から調査解析を行い、(事故原因が圧力隔壁であることは)ほぼ間違いないという結論に至ったため、強い推定を示す『推定される』という表現を使用している」
と説明した。
事故は昭和60年8月12日夕に発生した。
羽田発大阪行き日航123便ジャンボ機が群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
に墜落。
乗員・乗客524人のうち女性4人を除く520人が死亡した。

日航機墜落40年を前に慰霊 御巣鷹への登山道開通
2025/4/29 23:07
https://www.sankei.com/article/20250429-AZVN2ULQANICPPDG5E5BH23IR4/
1985年に520人が犠牲となった日航ジャンボ機墜落事故の現場、群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
に向かう登山道が2025年4月29日、冬の閉鎖期間を終え、開通した。
今年2025年8月で事故から40年となるのを前に、遺族や関係者が慰霊のため尾根を訪れ、墓標の前で静かに手を合わせた。
遺族らで作る
「8・12連絡会」
事務局長の美谷島邦子さん(78)は次男、健君=当時(9)=を亡くした。
墓標にこいのぼりや花を供え
「亡くなった人のその後を私たちは生きてきた」
「もうすぐ40年となるが、安全や命を守ることを目指して活動したい」
と力を込めた。
墜落地点の尾根に立つ
「昇魂之碑」
は事故翌年の1986年に建てられた。
尾根の管理人、黒沢完一さん(82)によると、昇魂之碑が傾いているのが確認され、補強工事が今月2025年4月17〜25日の日程で行われた。
黒沢さんは
「開山の前に工事が完了して良かった」
と話した。
事故は1985年8月12日、羽田発大阪行き日航123便ボーイング747が墜落し、乗客乗員524人のうち520人が死亡した。

日航機墜落事故をめぐる陰謀論に危機感
直球&曲球 葛城奈海
2025/4/17 13:00
https://www.sankei.com/article/20250417-QVEEP7E63ROW7BYUYFLZ6MWMSQ/
乗員乗客520人死亡という単独飛行機事故としては世界最多の死者を出した日本航空123便墜落事故から、2025年8月12日で40年になる。
群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
に墜落した事故機の生存者捜索・救助、遺体の搬送には警察や消防、地元猟友会らと共に、自衛隊が力を尽くした。
僅か4人だった生存者の1人、当時12歳の少女が自衛官に抱えられながらヘリに引き上げられていく映像をご記憶の方も多いだろう。
ところが、驚いたことに、2025年4月1日付の本紙『正論』欄で元空将の織田邦男氏が言及し、2025年4月10日の参院外交防衛委員会で佐藤正久議員が問題視した通り、あたかも自衛隊が墜落事故の加害者であるかのような言説が流布されているのだ。
佐藤議員によれば、陰謀論の元ネタとなった書籍が、
「全国学校図書館協議会選定図書」
に選ばれていたばかりか、事故現場の登山道に
「自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
と書かれた慰霊碑が建立されているとのことで、私も大いに危機感を抱いた。
これを放置しては、慰安婦問題における吉田清治証言同様、噓が真(まこと)になりかねない。
ましてやその本が学校の図書館に並ぶとなれば、募集難に喘ぐ自衛隊へ追い打ちをかけることにもなろう。
何より看過できないのは、遺体や燃料などの臭気漂う凄惨な事故現場で黙々と任務に邁進した自衛官たちの尊厳を踏みにじっていることだ。
陸上自衛隊第1空挺団の小隊長として現場で生存者捜索・救助、ヘリポート造成、遺体後送などの指揮を執った岡部俊哉元陸上幕僚長は、自衛隊が証拠隠滅のために火炎放射器で現場を焼却したかのような
「陰謀説」
に物理的にも時間的にも
「あり得ない」
と断言する。
同氏は、任務終了後、約1カ月、急性ストレス障害(ASD)に悩まされたことを告白している。
地獄絵図のような真夏の山中で、身を粉にして任務に邁進した自衛官たちへの冒瀆は、断じて許されるべきではない。
虚実入り交じった情報があふれる現代にあって容易なことではないが、真実を見極められる高い情報リテラシーを身に付けたいものである。

葛城奈海
かつらぎ・なみ
防人と歩む会会長、皇統を守る会会長、ジャーナリスト、俳優。
昭和45年、東京都出身。
東京大農学部卒。
自然環境問題・安全保障問題に取り組む。
予備役ブルーリボンの会幹事長。
近著に『戦うことは「悪」ですか』(扶桑社新書)。

御巣鷹の日航機墜落事故 「自衛隊が撃墜説」に国交相「正確な情報発信する」
2025/4/11 12:53
https://www.sankei.com/article/20250411-7Z4Z3ZGMEZPRRC53VQIG3TPBK4/
1985年に発生した日本航空機の御巣鷹墜落事故について、原因を
「自衛隊による撃墜」
などとする言説が書籍やインターネットで流布している問題に対し、中野洋昌国土交通相は2025年4月11日の閣議後記者会見で、
「しっかりと正確な情報を発信してきたい」
と述べた。
問題を巡っては2025年4月10日の参院外交防衛委員会で、自民党の佐藤正久参院議員が指摘。
中谷元防衛相が
「自衛隊が墜落に関与したことは断じてない」
と否定し、
「しっかり対応したい」
と回答している。
2025年4月11日の会見で中野氏は、旧運輸省の事故調査委員会の航空事故調査報告書を引用する形で、事故原因に言及。
機内の気圧を保つ役割がある
「後部圧力隔壁」
の不適切な修理に起因するものだとし
「様々な角度から調査解析を行い、専門家による審議の上、ほぼ間違いないという結論に至ったため、強い推定を示す『推定される』という表現を使用している」
と説明した。
その上で
「国会や会見を通じ、政府として責任ある立場にあるものが正確な発信をしていくことは重要だ」
と述べた。
事故は1985年8月12日夕に発生。
羽田発大阪行きの日航機123便が離陸後に機体トラブルに見舞われ、群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
に墜落。
乗客乗員524人のうち520人が死亡し、単独機としては世界最悪の被害となった。
報告書によると、当該機は78年に別の事故により、後部圧力隔壁が損傷し、米ボーイング社が修理した。
しかしその過程で不適切な措置が取られ、求められる仕様よりも強度が低下していた。
1985年8月12日午後6時24分、当該機は離陸から約12分後、疲労が重なっていた後部圧力隔壁が破損し、機内の空気が機体後部に噴出。
垂直尾翼や翼を動かす油圧系統が破壊され、操縦不能に陥った。
パイロットらは左右のエンジンの出力差を駆使するなどして機体の制御、立て直しを図ったが機体は迷走。
トラブルから約30分後の同6時56分、墜落した。
事故調査委は1987年6月、後部圧力隔壁の修理ミスを原因と推定する報告書を提出した。
ただ内容が専門的で難解との批判もあり、後の国交省の運輸安全委員会は、事故犠牲者の遺族と連携をとりながら2011年7月、報告書の
「解説書」
を作成。
報告書とともにホームページで公開し、
「自衛隊の関与説」
についても否定している。

御巣鷹事故「自衛隊が撃墜」、偽情報を自民佐藤正久氏が問題視 中谷元防衛相「対応する」
2025/4/10 16:09
https://www.sankei.com/article/20250410-YVB6ML6KJVAG7K6M6GPSYM47DM/
自民党の佐藤正久参院議員は2025年4月10日の参院外交防衛委員会で、日本航空機の御巣鷹山墜落事故を巡り
「自衛隊が撃墜した」
との言説が書籍などで流布されているとして
「自衛隊員の名誉に関わる問題だ」
「多くの人命救助に当たった隊員に対する侮辱だ」
と問題視した。
中谷元防衛相は
「自衛隊が墜落に関与したことは断じてない」
「しっかり対応したい」
と語った。
■「火炎放射器で証拠隠滅」
事故は昭和60年8月12日夜に発生。
群馬県・御巣鷹山に日航123便が墜落し520人が死亡した。事故原因について航空事故調査委員会は昭和62年6月、報告書を公表し、後部圧力隔壁の不適切な修理に起因するとしている。
佐藤氏によれば、問題の書籍は駿河湾で対空ミサイル訓練を行っていた護衛艦が日航123便を誤射し、撃墜の痕跡を隠すため、墜落地点の特定を遅らせた上、墜落現場で自衛隊が火炎放射器で証拠を隠滅したと指摘しているという。
佐藤氏は書籍について
「ベストセラーになり、ユーチューブで拡散されている」
と述べ、
「墜落の後、徹夜で尾根を踏破して危険を顧みず現場で多くの人命救助に当たった隊員に対する侮辱である」
と対応を訴えた。
■推薦図書に…場内ざわめく
この書籍が全国学校図書館協議会の推薦図書に選ばれていると指摘されると、委員会室がどよめく場面もあった。
佐藤氏は文部科学省にも対応を求め、野中厚文科副大臣は
「懸念を当該団体にしっかり伝えていく」
と応じた。
更に、御巣鷹山の登山道に建立された慰霊碑には
「自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
と記されているという。
佐藤氏は碑の写真を示して
「放置したままでいいのか」
「慰霊碑を作った人にアプローチして事実誤認だと言わないと(いけない)」
と訴え、中谷氏も
「しっかりと対応していきたい」
と語った。

<正論>「御巣鷹」に見る情報戦への脆弱さ 
麗澤大学特別教授 元空将・織田邦男
2025/4/1 8:00
https://www.sankei.com/article/20250401-766VLI7YBZOPRPRZLLAXQK5VBU/
■現代ハイブリッド戦争
ウクライナ戦争の停戦交渉が行われている。
この戦争の特徴として、開戦前から今なお続く熾烈な情報戦がある。
2014年3月、ロシアはクリミア半島を
「ハイブリッド戦争」
によって無血併合した。
ハイブリッド戦争とは
「高度に統合された設計の下で用いられる公然、非公然の軍事・非軍事・民間の手段を使った戦争」
である。
情報戦はハイブリッド戦争の主要手段であり、インターネットが発達した現代では国家をも動かす力がある。
2016年1月、ドイツで
「アラブ系難民が13歳少女をレイプした」
というニュースがロシア系メディアで報道され、SNSで拡散していった。
偽情報であることが判明するが、難民排斥運動は過熱し極右政党が大躍進する結果を生んだ。
情報戦に加え威嚇・恫喝の軍事行動を組み合わせることで、相手の思考・感情・記憶に直接働きかける
「認知戦」
も現代戦の1つである。
台湾併合を目指す中国は、台湾周辺で海上封鎖やミサイル発射訓練などを繰り返し、台湾住民に対して敗北感を植え付け、抵抗断念を図る。
2022年に岸田文雄政権で策定された国家安全保障戦略では
「情報戦への体制の強化」
を掲げ、偽情報を収集分析し、正しい情報を発信するとしているが緒に就いたばかりだ。
次の事例からも分かるように日本人は情報戦に対しては脆弱と言わざるを得ない。
■日航機墜落事故を巡る噓
40年前の1985年8月12日、日航123便が御巣鷹山に墜落した。
後にこの事故に関し
「自衛隊が撃墜したかのような本が出ている」
という噂を聞き、読んでみた。
要約するとこうだ。
123便は自衛隊のミサイル誤射によって正常な飛行が困難になり、誤射の証拠隠滅を図るため、空自戦闘機が出動して撃墜し、更にその証拠も消すため、墜落現場で陸上自衛隊が火炎放射器で証拠を焼き払ったというものである。
荒唐無稽と笑ってはいられない。
ノンフィクションとして書かれベストセラーになっているという。
またこれを真実と信じている人が多くいるというから驚いた。
筆者は事故当時、航空幕僚監部の運用課員で、事故発生から収束まで一部始終を指揮中枢である空幕作戦室で目撃していたので、全くのデマだと断言できる。
死臭漂う地獄絵図のような現場で懸命に生存者の捜索に携わった多くの自衛官を知っている。
彼らの多くがPTSDに苛まれた。
このようなデマは、黙々と災害派遣にあたった自衛官に対する冒瀆である。
この怒りはひとまずおく。
これは情報戦に対する日本人の脆弱性を示す。
「誰があの520人を殺したのか」
と感情に訴え、結論ありきで読者を引き込む。
そして5種の断片、つまり
@事実
A誤解
B推測、臆測
C曖昧な伝聞情報、目撃情報
D捏造
を都合よく組み合わせ、
「自衛隊による撃墜、証拠隠滅」
へと誘導する。
噓を並べても、所々に事実が入っていれば容易に全体を信じ込ませることができる。
これが情報戦の肝である。
著者の意図はともかく、結果的にロシアの情報戦の相似形となっている。
常識的に考えれば、
「自衛隊による撃墜、証拠隠滅」
などあり得ない。
自衛隊の行動には、自衛官を含む多くの関係者が関わる。
こんな犯罪行為があれば隠し通せるわけがない。
だが、自衛隊を知らない人は、創作されたナラティブ(物語)を容易に信じてしまう。
情報戦の恐ろしさである。
■情報戦に敗北しないため
筆者は元戦闘機操縦者でもあり、文中の誤りを全て指摘できる。
ここでは紙幅の関係上、疑惑の発端となった
「現場到着の遅れ」
についてだけ述べる。
地上レーダーは低高度が見えないので墜落地点は特定できない。
最初に炎を発見した米軍C130輸送機、空自F4戦闘機からの位置情報は、TACAN(戦術航法装置)の情報である(GPSは未装備)。
TACANには、固有の誤差がある。
更に当該機と現場の距離が誤差となって加わる。
横田TACAN局から割り出せば位置情報に4km前後の誤差が生じることはやむを得ない。
航空では僅かな誤差だが、陸上行動では大きな障害となる。
特に山岳地帯では、4km違えば隣の尾根になってしまう。
山岳の道なき道の移動は4kmでも数時間かかる。
夜間で、暗視装置のない(当時)ヘリの山岳投入は危険なので中止した。
地上部隊の投入場所の決定が遅れ、結果的に現場到着が遅れた。
この遅れが
「何かがあるはず」
と臆測を呼び、連鎖して物語の創作に繫がったのだろう。
我が国に情報戦が仕かけられた場合、同様なパターンで容易に敵の罠に嵌まってしまう可能性がある。
情報戦に敗北しないためには思い込みに符合する情報に飛びつくのではなく、情報を疑う姿勢、そして些事に拘泥せず、全局を俯瞰して判断できる能力が必要である。
情報戦への対応は、政府主導の
「正しい情報発信」
に頼るのではなく、国民1人1人が高い情報リテラシーを持つことが何より重要である。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/789.html#c38

[政治・選挙・NHK297] 9.2談話発出で石破首相辞任(植草一秀の『知られざる真実』) 赤かぶ
35. 秘密のアッコちゃん[1796] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月07日 18:46:07 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1234]
<■118行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
私が戦闘機乗りになると決めたとき
正論2025年9月号 元空将 麗澤大学特別教授 織田邦夫
■誰が靖国問題に火を付けたか?
国に殉じた英霊に対し、国民が尊崇の念を表し、感謝し、平和を誓うのは世界の常識である。
米国ではアーリントン国立墓地に、韓国ではソウル国立墓地(国立顕忠院)に、フランスでは凱旋門の無名戦士の墓に、国家のリーダーが国民を代表して参拝する。
外国の要人来訪時も、先ず参拝し献花する。
これが国際常識だが日本だけ違う。
平成25年12月26日、当時の安倍晋三首相が靖国参拝して以来、現職首相は参拝していない。
日本は何故、国際常識に沿ったことができないのか。
昭和60年までは、首相が毎年、靖国神社に参拝していたが、この事実を知る人も少なくなった。
現在の石破茂首相は戦後36人目の首相であるが、「戦後80年」で15人の首相が計68回参拝している。
昭和26年10月、秋季例大祭には吉田茂首相以下、閣僚、衆参両院議長が揃って、戦後初めて公式参拝し、サンフランシスコ講和条約調印によって日本が再び独立できた旨を英霊に報告している。
中国が突然、靖国参拝を言い始めたのは昭和60年のことである。
中国は、極東国際軍事裁判でのA級戦犯が合祀されていることを理由に、首相の公式参拝への激しい非難を繰り返すようになった。
だが明らかに不自然である。
A級戦犯14人が「昭和殉職者」として靖国神社に合祀されたのは昭和53年10月17日である。
翌年昭和54年春の例大祭前(4月19日)にそれが報じられたが、中国は全く反応していない。
A級戦犯合祀報道の2日後、キリスト教信者を自認する大平正芳首相が例大祭に参拝したが、中国は何の反応も示さなかった。
翌昭和54年5月、時事通信の取材に応じた中国の最高指導者であるケ小平氏は、靖国参拝にも、A級戦犯にも触れていない。
しかも大平正芳首相は同年昭和54年12月、中国を訪問し熱烈に歓迎された。
2年後の昭和55年、終戦記念日に鈴木善幸首相と共に閣僚が大挙して参拝したが、抗議も何もなかった。
問題にしたのは、実は日本メディアである。
朝日新聞を筆頭に左翼メディアが、靖国神社への公式参拝を政教分離や歴史認識などから問題視した。
そして卑劣にも中国に「御注進」し、中国は「靖国」が外交カードとして使えることを知った。
それに韓国が悪乗りした。
昭和60年8月14日、中曽根内閣は、公式参拝は政教分離に反しないとの政府統一見解を出した。
翌日昭和60年8月15日、中曾根康弘首相は閣僚を引き連れ、首相公式参拝に踏み切った。
メディアはこれをヒステリックに非難し、中国に再び「御注進」した。
中韓両国は騒ぎに呼応する形で、靖国参拝を強烈に非難し始めた。
中曾根康弘首相は、これを最後に首相在任中の参拝を止めた。
彼は
「靖国参拝により中国共産党内の政争で胡耀邦総書記の進退に影響が出てはまずいと考えた」
と述べている。
だが中国、韓国の圧力に屈し、両国に外交カードを提供した罪は重い。
中国研究専門家のペンシルベニア大学名誉教授のアーサー・ウォルドロン氏はこの動きを鋭く見抜いていた。
彼は語っている。
「中国共産党にとっては真の狙いは、日本の指導者に靖国参拝を止めさせることよりも、日本の指導層全体を叱責し、調教することなのだ」
「自国の要求を日本に受け入れさせることが長期の戦略目標なのだ」
日本政府は愚かにも、靖国参拝さえ止めれば中国、韓国の難癖は終わると判断した。
中韓両国にとって靖国はこの上ない外交カードだから、終わるはずもない。
ウォルドロン氏は述べる。
「靖国は大きな将棋の駒の1つに過ぎず、日本がそこで譲歩すれば、後に別の対日要求が出てくる」
「最終目標は中国が日本に対し覇権的な地歩を固めることなのだ」
と。
残念ながら氏の予言は見事に的中した。
南カリフォルニア大学のダニエル・リンチ教授も述べている。
「中国は近代の新アジア朝貢システムで日本の象徴的な土下座を求めている」
「アジアでの覇権を争い得る唯一のライバル日本を永遠に不道徳な国としてレッテルを貼っておこうとしている」。
中曾根の譲歩は、中国の思う壺だった。
昭和20年、日本を占領したGHQは、靖国神社を焼き払いドッグレース場を建設しようとした。
この時、靖国神社を護ったのは、ローマ教皇庁代表であり上智大学学長(当時)であったブルーノ・ビッター神父であった。
彼はマッカーサーに対し次のように語ったという。
「如何なる国家も、国家のために死んだ戦士に対して、敬意を払う権利と義務がある」
「それは戦勝国か、敗戦国かを問わず、平等の真理でなければならない」
「我々は、侵攻の自由が完全に認められ、如何なる宗教を信仰する者であろうと、国家のために死んだ者は、全て靖国神社にその霊が祀られるよう、進言するものである」
彼の進言により靖国神社は焼き払いを免れた。
父が人生最後の参拝で漏らした一言、
「何で靖国参拝に反対するんじゃろうのお」
ほど重い言葉はない。
靖国参拝反対はメディアが作り上げた茶番である。
このまま茶番が続けば、確実に日本人のモラルは低下し、国家意識は溶解していく。
「国のために命を捧げた英霊を慰霊、顕彰するのは当たり前の事」
「外国が口を差し挟むべきことではない」
と言えない日本は衰退の一途を歩みつつある。
祖国と家族を護るため、命を懸けた英霊に感謝の誠を捧げ、追悼、顕彰するのは国民の責務である。
靖国神社を去る時、父が言った一言が胸に突き刺さる。
「国を護るために戦死した人たちを決して忘れちゃいけんよ」
■中国軍大佐の言葉
約30年前のことである。
筆者が航空幕僚監部で勤務していた時、日中防衛交流で北京を訪問した。
陸海空の3人の自衛官(1佐)と1人の若手官僚、そして外務省、防衛庁(当時)の2人の局長という陣容であった。
昼間の行事が終わり、夜の宴会になった時、そこに参加していた中国人民解放軍の陸海空の大佐が約10名程度のうち、空軍の大佐が筆者に近付いて来て、航空自衛隊の領空侵犯措置について語り始めた。
筆者は、彼が日本の法律、特に自衛隊法について知悉していることに驚いた。
筆者が戦闘機パイロットだというのもちゃんと調査済みだったようだ。
彼はグラス片手に
「我々(中国空軍機)が尖閣を領空侵犯しても、空自は我々を撃てないだろう」
と挑戦的に切り出し、その根拠や、自衛隊の弱点について滔々と語った。
筆者が相槌も打たず、返事もせず、彼の眼をじっと睨んでいると、筆者の無反応に根負けしてか、
「でも空自は撃つだろうね」
と言う。
筆者が
「貴官は何故、そう思うのかね」
と聞き返すと、大佐は一言、
「日本は特攻隊の国だからな」
と述べた。
筆者がイエスともノートも言わず、ニヤリと笑うと、大佐は話を変えた。
その時、ハッと気が付いた。
「そうか、尖閣は特攻隊員が護っているのだ」
「日本国は今尚英霊が護っているのだ」
と。
未だに英霊がこの国を護っている現実を思い知らされ、我々が独自で自国を護れない不甲斐なさ、英霊への申し訳なさを覚えたことを鮮やかに覚えている。
それから約10年が経ち、筆者はイラク派遣航空部隊指揮官を命ぜられた(本務は航空支援集団司令官)。
その関係で何度も中東に赴く機会があった。
中東各国で軍の最高指揮官を表敬した際、異口同音に出る話題が、日露戦争であり特攻隊であった。
他の軍高官との話題も、事前に申し合わせたかのように日露戦争勝利であり、特攻隊の犠牲的精神だった。
日本を大変リスペクトしており、彼らは自衛隊をその末裔として見ている。
イラク派遣の約5年間、お陰で自衛隊に対しては非常に敬意をもって接してくれ、良い思いをさせてもらった。
「戦後80年」は日本のために尊い命を捧げられてきた80年であった。
英霊のお陰で平和を享受し、奇跡と言われる戦後復興を成し遂げ、先進国の仲間入りをすることができた。
自衛隊も英霊のお陰で一目置かれる存在になり、抑止力を担っている。
我々は靖国神社に足を向けて眠れない。
英霊たちに感謝し、亡き父が言ったように
「一時たりとも忘れちゃあいけんよ」
なのである。
もうそろそろ我々も独り立ちし、英霊にはゆっくりとお休み頂かねば申し訳ない。
不甲斐なさに溜息が漏れる「戦後80年」なのである。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/792.html#c35
[政治・選挙・NHK297] 参政党・神谷代表が予算委デビューでダサダサ提案 ムキ出しの「トランプファースト」に石破首相もNO(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
42. 秘密のアッコちゃん[1797] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月08日 08:34:03 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1235]
<■235行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
石破茂首相を辞めさせられない自民党も立憲民主党もだらしない。

<政治部取材メモ>「石破降ろし」が逆効果に 自民の倒閣運動に首相が反発、続投決め込む
2025/8/8 7:00
https://www.sankei.com/article/20250808-3SBPQH776VKPJH34KNTPLAAQJQ/
石破茂首相(自民党総裁)は、退陣圧力に反して当面の続投に意欲を燃やしている。
ルール上、続投を決め込んだ総理・総裁を辞めさせるのは簡単ではない。
8日午後に両院議員総会が開かれるが、総会において総裁を辞任させる強制力を持つ規定は党則にはない。
倒閣運動が却って続投への追い風になっている側面さえある。
参院選直後は首相に対する不満と批判で満ち溢れていた自民党内には最近、戸惑いと混乱も目立っている。
「本気で続けるつもりか? 何を考えているんだろうね」(自民党4役経験者)
「辞めるんじゃなかったの? 党内はどうなっているんだ」(現職閣僚)
記者もたびたび自民関係者から電話を受けるが、正直言って本人以外に真意は分からない。
参院選直後の首相は、内心では、終戦の日やアフリカ開発会議出席を終えた後の8月下旬の進退判断を考えていた。
退陣が不可避な情勢であると承知していたのだろう。
しかし退陣論が強まるほど態度を硬化させた。
節目は先月2025年7月23日だった。
一部メディアに
「退陣へ」
と報じられた首相は、記者団に
「報道されているような事実は全くない」
と強い表現で否定し、続投を宣言した。
関係者によれば、首相は同日会談した麻生太郎最高顧問から
「石破自民党では選挙に勝てないことが明らかとなった」
と迫られた。
首相の退陣を求める自民議員が両院議員総会開催を求める署名集めを水面下で進めていた頃でもある。
自民幹部の1人
は「足の引っ張り合いをする古い自民党だ、と国民に思われている」
と指摘し、首相は却って
「続投しなければ」
という使命感≠感じていると見ている。
■居座る首相は最強
居座りを決め込んだ首相は強い。
第1次政権時の安倍晋三首相(当時)も平成19年7月の参院選で大敗し、過半数割れしたが、8月に内閣改造・党役員人事に踏み切った上で続投する道を選んだ。
安倍氏は体調悪化により9月に退陣したものの、気力も体力も十分なら総理・総裁の職を当面続けることは可能だ。
今は麻生派以外の派閥が解消され、派閥のボスが結託して
「数の力」
で首相を引きずり降ろす展開も難しい。
とはいえ方法はある。
それが党則6条4項の通称
「リコール(解任請求)規定」
である。
総裁本人が自発的に辞めない場合、党所属国会議員と都道府県連代表の過半数の要求があれば、任期途中で総裁選を前倒し実施させられる。
現在で言うと約170程度の署名が必要となる。
この規定は、森喜朗元首相が歴代最低水準の支持率のまま首相・総裁に留まり続けた教訓を踏まえ、平成14年に党則に盛り込まれた。
しかし過去1度も適用例はない。
両院議員総会開催要求の署名集めは、要求の要件となる党所属国会議員の3分の1を超えたものの、署名集めの中心人物の1人はリコールについては
「厳しい」
と語る。
■悔やむ旧安倍派
「石破批判をやり過ぎた」
「逆効果で辞める気配がなくなってしまった」。
旧安倍派若手は悔やむ。
署名集めは旧茂木派や麻生派などの単位で行われ、旧安倍派議員も参加した。
旧安倍派で離党した世耕弘成衆院議員は先月23日、西村康稔元経済産業相、萩生田光一元政調会長ら旧安倍派幹部3人と会食。
世耕氏は29日のテレビ朝日番組で、首相交代が必要だとの認識で一致したと明かした。
首相は、旧安倍派などの
「政治とカネ」
の問題や派閥政治の弊害が自民の苦境の元凶だと考えている。
先月28日の党両院議員懇談会でも出席議員から
「首相と執行部だけの責任ではない」
「旧安倍派の責任が大きい」
という意見が出た。
SNSでも党内の石破降ろしに対し
「どの口が言っているのか」
といった否定的な声が少なくない。
これが首相への同情論を生んでいるのか、7月最後の週末に複数の報道機関が実施した世論調査では、首相の退陣について賛否が拮抗した。
党内世論よりも世間一般の世論に望みを繋ぎたい首相は、勇気付けられたに違いない。
日米関税交渉の合意も首相の続投意欲を高めたようで、首相は4318に上る対米輸出品目について影響が最小限になるよう対策に
「万全を尽くす」
と強調している。
退陣を望む自民議員らは倒閣運動をせずに
「首相の適切な判断を待つ」
という姿勢を取ったほうが、退陣が早かっただろう。

石破首相延命をアシストする立民・野田代表 不信任案出さず政権継続を容認、すり寄る
2025/8/7 21:51
立憲民主党の野田佳彦代表が石破茂首相(自民党総裁)の延命をアシストしている。
野田氏は参院選でも与党過半数割れとなった結果を国民の
「ノー」
という意思表示だったと評しつつ、選挙後の臨時国会でも内閣不信任決議案を出さなかった。
国会質疑では政策実現に向けて首相に秋波を送り、大連立を彷彿させた。
与党へのなし崩し的なすり寄りは伸び悩む党勢に痛打を与えそうだ。
■追及から政策実現に転換
「きちんと合意文書が固まっていないから、こんなことになっているのではないか」
「日本にとって決定的なマイナスだ」
野田氏は7日、国会内で開いた党会合で、米関税を巡る日米間での見解相違について政権を批判し、国会で閉会中審査を求める考えを示した。
改選前と同数の22議席にとどまり、比例代表の得票数も伸び悩んだ参院選の総括は8月末までに行う考えを改めて示した。
参院選では、物価高などで政府・与党への批判が強まっていたこともあり、政権批判の受け皿として立民の議席増は確実視されていた。
だが、蓋を開けてみれば、立民は現状維持にとどまった。
一方、国民民主党が躍進し、日本維新の会も微増した。
立民は野党第一党の矜持として政府・与党との安易な妥協を戒めていたが、同党幹部は
「政策実現を求める民意が参院選で結果に表れた」
と反省し、政権の追及よりも政策実現を目指す方向に舵を切った。
■戦後80年見解も後押し
それが如実に表れたのが、4日の衆院予算委員会だった。
質疑に立った野田氏は与野党間で懸案だった企業・団体献金を取り上げ、首相に膝詰め談判を提案すると、首相は
「第一党、第二党が党首同士で真摯な議論をすることに大きな意味はある」
と応じた。
首相が意欲を示す戦後80年の節目に当たり先の大戦に関する
「見解」
を発出することについても、野田氏は
「何らかのコメントは出すべきだ」
と後押しした。
所得税の控除と給付を組み合わせた
「給付付き税額控除」
の協議も呼び掛け、6日には自民、立民間で行われた。
事実上の大連立にも見える姿勢には党内外から批判が相次ぐ。
特に通常国会に続けて臨時国会でも不信任案を提出しなかったことは
「政権交代」
への本気度を問う声も上がる。
ただ、それでも野田氏は
「政策実現をするための政党だ」
と開き直っており、政権追及よりも政権延命による政策実現を優先させる構えを見せている。

「裏金議員」呼ばわりはレッテル貼りの「報道冤罪」
正論2024年12月号 政策シンクタンク 原英史
(前略)
今回2024年10月の衆院選では
「裏金議員」
という一部報道機関によるレッテル貼りが、深刻な影響をもたらしたのではないか。
派閥の指示で記載しなかったに過ぎない議員たちが、あたかも私的流用や不正蓄財など不正を働いたかのようなレッテルを貼られ、非公認や比例名簿不掲載などの扱いを受け、不利な状況で選挙を戦うことになった。
中には出馬を断念した人もいた。
何故こんな報道がなされたのか。
どう間違っているのかを説明していこう。
■「裏金議員」か「不記載議員」か
新聞報道には
「裏金議員」
という用語を用いるものと、
「不記載議員」
を用いるものがある。
朝日新聞は、1面トップで
「裏金議員」
を繰り返し見出しに掲げ、
「裏金議員」
と題する一覧表を掲載するなど
「裏金議員」
表記で徹底している。
毎日新聞も同様で、社説の見出しなどにも用いる。
一方、日本経済新聞は
「不記載議員」
と表記する。
読売新聞や産経新聞も一部混在があるが、基本的に
「不記載議員」
を用いているうようだ。
読者の中には、福島第1原発の処理水放出を巡る報道を思い起こす人もいるのではないか。
日経・読売・産経各紙が
「処理水」
を用いる一方、
朝日・毎日・東京各紙は
「汚染水」
「処理汚染水」
などを用い、あたかも汚染しているような印象を広げた。
本誌にしばしば寄稿する林智裕氏はこれを
「報道加害」
と呼んでいる(著書『「正しさ」の商人』など)。
今回の
「裏金議員」
も似通った図式だった。
「裏金」

「不記載」
かについて、2024年10月の党首討論でも議論があった。
野田佳彦・立憲民主党代表が政治資金問題を追及した際、石破茂首相はこう切り返した。
「『裏金』は決め付けだ」
「不記載だ」
「誰からいくら貰い、出入りがきちんと示されることが重要で、その記載をしなかったということだ」
ここまで明快な答弁だが、その後が分かりづらい。
野田氏は更に旧石破派(水月会)の政治資金問題を追及した。
キックバックとは関係ないが同じく
「不記載」
の事案だ。
石破首相はこう答弁、旧安倍派(清和政策研究会)などと異なり、これは単なる
「事務ミス」
だと強調した。
「構造的に不正が為されたものではない」
「裏金化し、誰かが利益を得たことは一切ない」
同じ
「不記載」
でも、旧安倍派と旧二階派(志帥会)の不記載は
「悪い不記載」、
旧石破派や旧岸田派(宏池政策研究会)の不記載は
「単なる事務ミス」
ということらしいが、前者でも私的流用などが判明したわけではない。
これでは、朝日新聞などは
「ともかく『悪い不記載』だと首相も言うのだから、『裏金議員』と呼んでも差し支えないはず」
と受け止めたのではないか。
更に、立憲民主党などの野党は、所属議員の不記載は
「単なる事務ミス」、
自民党旧安倍派などは
「裏金議員」、
と堂々と区別出来ることになった。
■「裏金」とは何か
何故こんなおかしな事になったのか。
出発点に遡るとそもそも
「裏金」
という言葉は、広辞苑によれば
「公式の帳簿に記載しない、自由に使えるように不正に蓄えた金銭」
を意味する。
この問題を最初にスクープして新聞協会賞を受賞した(しんぶん赤旗から異議があるが)2023年12月1日の朝日新聞では、こう書かれていた。
「最大派閥の清和政策研究会(安倍派)が、所属議員が販売ノルマを超えて集めた分の収入を裏金として議員側にキックバックする運用を組織的に続けてきた疑いがある」
確かに、帳簿に記載されていない可能性があり、私的流用や不正蓄財など勝手気ままに使われていた可能性もあった。
この時点で
「裏金の疑い」
があるのはその通りだった。
しかし、その後どうなったかと言えば、東京地検特捜部の捜査が2024年1月に終結した。
自民党の内部調査(外部弁護士も参加)の報告書が2024年2月に提出された。
判明したのは、結局
「不記載」
だけだ。
私的流用などは見つかっていない。
多くの議員は、派閥から
「収支報告書に記載しないように」
と言われ従っていただけだと説明した。
記載や返金を申し入れたが派閥側から拒まれ、やむなく不記載にしたケースもあった。
「不明朗な金銭だったから」
などの理由で、使用せずにいた人も相当数いた(旧安倍派・旧二階派の不記載85人中31人)。
別の収入名目(自身からの寄附など)にして、収入・支出を記載していた人もいた(85人中10人強)。
ここから分かるのは、少なくとも相当数の人たちは、広辞苑の言う
「自由に使えるように」

「公式の帳簿に記載しない」
といった定義から明白に外れ、
「裏金」
とは無縁だったことだ。
その一方、自民党の調査は、実に不十分な内容だった。
こうした還流システム、つまり
「裏金を作る目的」
と受け取られても仕方のない仕組みを、誰が何のために作ったのか。
これは全く明らかにならず、
「古くからの慣習だった」
と言うに留まった。
また、本当に不正支出や不正蓄財などがなかったのかも疑わしい調査だった。
現にその後、堀井学・前議員による不正支出(違法な香典などの支出)が判明した。
肝心な真相究明は出来ていなかったのだ。
■自民党執行部が招いた報道冤罪
事態を決定的におかしくしたのは、真相究明が出来ていないまま、2024年4月に関係議員への処分を下したことだ。
自民党党紀委員会で、離党勧告、党員資格停止、役職停止、戒告などの処分を決定した。
旧安倍派・旧二階派で不記載のあった議員につき(引退表明した二階俊博氏を除き84名)、不記載額500万円以上だった39人は正式な処分の対象とし、500万円未満の45人は幹事長による注意の対象とした。
39人の軽重は、不記載額1000万円・2000万円などの基準で線引きした。
根拠が不明だ。
まず、旧安倍派・旧二階派の不記載はなぜ一律に処分(注意を含め)の対象になるのか。
これまでの調査で、
「裏金」
とは無縁で、派閥に言われてやむなく
「不記載」
にした議員が相当数いることは明らかだった。
もちろん政治資金規正法違反は重大な問題だが、これは他の派閥での
「不記載」
も同じだ。
「500万円」
などの金額による線引きも意味不明だ。
派閥では当選回数や役職に応じたノルマが設定されていたという。
コロナの時期にパーティーが中止されたため、ノルマを達成すべくパーティー券を売っていた議員らにたまたま多額の還付金等が払われるケースが生じた。
「金額が多いから悪質」
というわけではなく、そんな事は自民党の議員たちは百も承知だったはずだ。
それにもかかわらず、こうした決着に至ったのは、本当に責任を負うべき人たちの特定を自民党執行部が放棄したためだ。
本来ならば、
@「裏金」の温床となる仕組みを創設・維持した責任者と、
A「裏金」として利用した議員を特定して処分対象とし、他は不問にすべきだった。
あるいは逆に、
「不記載」
を処分対象にするなら、旧岸田派なども同様に扱うべきだった。
ところが実際には、
「裏金の疑い」
が騒がれていた不記載は全て
「悪い不記載」
ということにし、無意味な金額基準で線引きした。
例えて言えば、教室で盗みを働いていた子供を特定できない時に、指導能力を欠く小学校の先生が
「クラス全員の連帯責任」
と称して全員に居残りを命じ、更に前列の生徒たちは特段の理由なく体罰を科したようなものだった。
2024年10月に誕生した石破政権は、仕切り直しの好機だった。
石破首相は総裁選で、公認するかどうかは
「1人1人と向き合い」
「徹底的に議論する」
と言っていた。
一定の時間をかけて改めて真相究明し、本当に責任を負うべき人を特定し、それ以外の人は堂々と公認する(比例重複も認める)として十分に説明すれば
「国民の納得と共感」
は得られたのではないか。
ところが、党内の議論に引きずられて早期解散に踏み切り、従来の
「全員の連帯責任」
路線を踏襲せざるを得なくなった。
旧安倍派などの不記載は引き続き全て
「悪い不記載」
と整理され、
「それなら全員を非公認にすべきだ」
との批判を招いた。
一方、朝日新聞など一部報道機関や野党は、安心して
「裏金議員」
とのレッテル貼りを続けることになった。
以上が、多くの議員たちがいわれなく
「裏金議員」
と呼ばれ続けた経緯だ。
実際は、多くの人たちは
「裏金」
と無縁だった。
強いて言えば、
「裏金の温床となる還流システムを不正に運用していた派閥に所属していた議員」
ではあろうが、それを
「裏金議員」
と呼ぶのは無茶苦茶だ。
これは、
「報道冤罪」
に他ならない。
そして、
「報道冤罪」
を招いた根源は、岸田政権と石破政権の対応だ。
自民党執行部が何故、わざわざこんな拙い対応をし、選挙で議席を減らす要因を作ったのか、私には理解不能だ。
このままでは、来年2025年の参議院選挙でも再び同じ事が繰り返され、
「裏金議員」
という
「報道冤罪」
が続くのではないか。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/793.html#c42

[政治・選挙・NHK297] 石破首相「伊勢崎さんのことはいつまでも先生だと思っている」(田中龍作ジャーナル) 赤かぶ
39. 秘密のアッコちゃん[1798] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月08日 14:49:57 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1236]
<■830行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
国交省、日航機墜落事故でボーイングに隔壁修理ミスの背景を確認 米側の「新情報」判明で
2025/8/8 13:31
https://www.sankei.com/article/20250808-MFILGTX4YZK4RL3YOZAL2XBJXI/
1985年8月に発生した日航機墜落事故を巡り、中野洋昌国土交通相は2025年8月8日の閣議後会見で、原因となった後部圧力隔壁の修理ミスについて、米ボーイング社や米連邦航空局(FAA)に対し、背景を明らかにするよう確認を進めていることを明らかにした。
日本側にない情報を米側が把握していることが産経新聞の報道で判明したためで、長年の遺族の疑問の追究に国が動くことになった。
■事故調終了後は国交省が調査
中野氏は会見で
「航空局でボーイング社などの関係者に対し、事実関係の確認を行っている」
と述べた。
当時の旧運輸省航空事故調査委員会の調査とは別に、国交省が米側に事故原因を聞き取るのは初めて。
事故の原因調査は通常、事故調を前身とする国の運輸安全委員会の所管だが、調査が終了した事故については、航空安全を推進する立場で国交省が参考情報として調べる事例はあり、今回はこれに該当する。
墜落事故の原因を巡っては、圧力隔壁の修理に使うスプライス・プレート(接合板)と呼ばれる部品を本来1枚で使うところ、2枚にして使ったことで隔壁の強度が低下し、当日のフライトで破断、墜落に至ったことは分かっていた。
しかし、なぜ2枚にしたのかまでは判明していなかった。
■米国と日本、法制度の違いが障壁に
当時の事故調などの調査では、作業ミスをしたボーイングの担当者らに聴取できなかったためだ。
過失による航空事故では刑事責任を問わない米国と、日本との法制度の違いが障壁になったとされる。
1987年6月発表の事故調の報告書には、修理ミスの理由の記載はなく、当時の武田峻委員長は報告書を「70点」と自己評価していた。
しかしボーイングは昨年2024年9月、公式サイト内に航空安全関連のコーナーを設け、この中で日航機墜落事故に言及。
ミスの背景について
「構造上取り付けるのが難しかったため、2枚に切断した」
などと記載していた。
このコーナーは元々社員教育で使用されていたものだが、
「更なる航空安全の強化のため」
一般公開したという。
■「教訓風化させず、更なる安全を」
また、ボーイングは事故当時社内調査を行っており、結果は米連邦航空局(FAA)にも報告。
同様の記述はFAAのサイトでも公表されていた。
いずれも日本側の事故調査報告書にはない内容で、報道で判明した。
今後国交省ではボーイングやFAAに対し、これらの記述が何に基づいたものか、出典を含め、記述以上の背景を深堀りする考えだ。
中野氏は事故から40年が経過することを踏まえ、
「教訓の1つ1つを決して風化させることなく、更なる安全を築き上げるため、引き続き航空に携わる全ての関係者と一丸となって、安全確保に取り組んで参りたい」
と述べた。

日航機墜落事故
1985年8月12日夕、羽田発大阪行きの日航機123便(ボーイング747)は離陸12分後に、後部圧力隔壁が破断。客室の高圧空気が機体後部に噴出し、垂直尾翼や油圧系統を損傷、操縦不能になった。
機体は羽田への帰還を目指したが32分に渡り迷走し、群馬県上野村「御巣鷹の尾根」に墜落。
乗客乗員524人のうち520人が死亡した。
機体は7年前の1978年6月、後部を損傷する別の事故を起こし、ボーイングが修理。
ドーム状の圧力隔壁(アルミ合金製、直径4・56メートル、深さ1・39メートル)の壊れた下半分を新品に取り換えた。
この際、上下の繋ぎ目に当てるスプライス・プレートが、仕様通りの1枚でなく2枚に切断されたものが使われ、強度が本来の仕様より30%低下した。
このミスが見逃されたまま、機体はその後1万2000回以上フライトを重ね、隔壁は与圧による金属疲労が進行。
当日の破断に至ったと結論付けられている。

<独自>日航機墜落事故40年 米ボーイング、修理ミスの理由説明「設置困難で部品切断」
2025/8/6 22:00
https://www.sankei.com/article/20250806-N5T7PWWI3JNLNMARNOECQE4U3Q/
2025年8月12日で発生から40年になる日航機墜落事故を巡り、米ボーイング社は産経新聞の取材に応じ、事故原因とされる接合板(スプライス・プレート)を2枚使用した機体の修理ミスが起きた理由について
「設置することが構造上困難だったため」
と明らかにした。
当時の旧運輸省航空事故調査委員会の調査や、警察の捜査では担当者への聞き取りができず、2枚のプレートを使用した修理ミスが起きた理由は判明していなかった。
1985年8月に発生し、乗客乗員520人が犠牲になった単独機として世界最悪の航空機事故は、原因の更なる究明に向け一歩踏み出した。
墜落した機体はボーイング747型機。墜落事故の7年前1978年、別の事故で機体後部を損傷し、ボーイングが修理した。
機内の気圧を保つドーム状の部品
「後部圧力隔壁」
について、修理チームは下半分を新品に取り換え上半分と接合した。
このとき、接合部にあてるプレートが指示書では1枚だったのに対し、2枚に切断されたものが使用された。
隔壁はプレートを挟む形で鋲留めされたが、本来の仕様より強度が7割に落ち込み、最終的に墜落事故に繋がったと事故調の報告書で結論付けている。
だが、2枚のプレートを使用した理由は長く判明していなかった。
ボーイングは取材に
「プレートを所定の位置に設置するのが難しく、2つに切り分けて設置しやすくした」
と説明した。
ボーイングは昨年2024年9月、日航機墜落事故に関するページを公開し、この内容を示していた。
米連邦航空局(FAA)も、公式サイトで
「隣接する構造物との複合的な湾曲のため設置が困難だった」
と記載している。
当時、事故調の調査官として圧力隔壁を調べた斉藤孝一さん(80)は
「事故後の40年間で初めて出てきた情報で、大変驚いている」
「整備員たちが安全のために知るべき非常に重要な情報だ」
と述べた。
ボーイングは取材に際し、
「ご遺族の皆様に心よりの哀悼の意とお詫びを申し上げます」
と改めて謝罪した。
遺族らで作る「8・12連絡会」は
「修理ミスについて、1つ1つ事実が分かっていくことによって、その背景を明らかにしていくことができるはずなので、更に詳しく情報をオープンにしていってほしい」
とコメントした。

日航機墜落は自衛隊の陰謀!? デマはなぜ消えぬ
正論2025年7月号 ジャーナリスト 葛城奈海
乗客乗員520名という単独飛行機事故としては世界最多の死者を出した日本航空123便墜落事故から、2025年8月12日で40年となる。
当時を知らない世代も増える一方、僅か4名だった生存者の1人、当時12歳の川上慶子さんが自衛官に抱えられながらヘリに引き上げられていく映像をご記憶の方も少なくないだろう。
昭和60(1985)年8月12日午後6時12分、羽田空港を離陸した日航ジャンボ機123便は、大阪伊丹空港へ向かう途上、異常事態が発生、午後6時56分、群馬県上野村の
「御巣鷹山の尾根」
に墜落した。
事故原因について、運輸省の航空事故調査委員会(当時)は、昭和53年に起こした
「尻もち事故」
後の不適切な修理で機体後部の圧力壁が壊れ、垂直尾翼や操縦系統が破壊されたと推定。
メーカーのボーイング社は、修理ミスがあったことを認めている。
事故機の生存者捜索・救助、ご遺体の搬送には警察や消防、地元猟友会らと共に、自衛隊が力を尽くした。
にもかかわらず、あろうことかその自衛隊が日航機を墜落させ、その証拠隠滅のために現場を火炎放射器で焼いたという
「陰謀説」
がいつしか流布されるようになった。
事故当時、第1空挺団の小隊長としてヘリからのリベリング(懸垂降下)でいち早く現場に入り、事故対処に当たった元陸上幕僚長の岡部俊哉氏の話を聞いていた私は、凄惨な現場で黙々と任務に邁進した自衛官たちの尊厳が踏みにじられていることへの憤りと、予備自衛官としての他、様々な形で自身も関わって来た自衛隊が事実に反して貶められることを食い止めたいという思いにかられた。
「御巣鷹の尾根」
登山道に、陰謀説を真に受けたと思われる慰霊碑が遺族によって建立されたと知るに及び、同説を放置したら既成事実化しかねないとの危機感が募った。
■自衛隊OBらの反論
「自衛隊犯人説」
など余りに荒唐無稽で国民が信じるわけがないと当初は意に介していなかったOBたちも、危機感を抱き、反論を始めた。
産経新聞2025年4月1日付の「正論」欄で元空将の織田邦男氏が、事故当時、航空幕僚監部運用課員として事故発生から収束までの一部始終を、指揮中枢である空幕作戦室で目撃した立場から
「全くのデマだと断言できる」
とした。
元戦闘機パイロットである織田氏は、疑惑の発端となった自衛隊の
「現場到着の遅れ」
について、こう述べている。

【地上レーダーは低高度が見えないので墜落地点は特定できない。
最初に炎を発見した米軍C130輸送機、空自F4戦闘機からの位置情報は、TACAN(戦術航法装置)の情報である(GPSは未装備)。
TACANには、固有の誤差がある。
更に当該機と現場の距離が誤差となって加わる。
横田TACAN局から割り出せば位置情報に4km前後の誤差が生じることはやむを得ない。
航空では僅かな誤差だが、陸上行動では大きな障害となる。
特に山岳地帯では、4km違えば隣の尾根になってしまう。
山岳の道なき道の移動は4kmでも数時間かかる。
夜間で、暗視装置のない(当時)ヘリの山岳投入は危険なので中止した。
地上部隊の投入場所の決定が遅れ、結果的に現場到着が遅れた。
この遅れが
「何かがあるはず」
と臆測を呼び、連鎖して物語の創作に繫がったのだろう。】

私も狩猟その他で道なき道を進む困難さを度々味わってきた経験から、織田氏の特に山岳の道なき道の移動についての指摘は実体験として深く頷かざるを得ない。
2025年4月16日には、参議院議員会館1階講堂で
「JAL123便事故究明の会」
によるシンポジウムが開催された。
平日の16時からという時間帯にもかかわらず250名もの参加があり、壁沿いにずらりと補助席を並べてぎりぎり収容がかなうほどの盛況ぶりであった。
シンポジウムでは、まず基調講演として同会会長で元陸上幕僚長の岡部俊哉氏が、事故当時、第1空挺団の小隊長として現場で生存者捜索・救助、ヘリポート造成、遺体後送などの指揮を執った実体験を述べた。
岡部氏ら空挺団員は事故翌朝、現場にリベリング(ホバリングするヘリコプターから縄を垂らして降りる)で降着、生存者の捜索、救助に当たった。
生存者4名が消防団によって発見されたことを受け、ホイスト(縄を巻き上げること)によるヘリ収容を行った。
生存者は全員女性で、うち2人は母子であった。
収容はまず8歳の女児から毛布にくるんで行ったが、2番目に12歳の川上慶子さんを同様に包んでいた毛布をメディアの人間が剥いだという。
皮肉にも、その映像が世界を駆け巡ったが、一部メディアの倫理観の無さを表していると言えよう。
生存者のヘリ収容が完了すると、次に空挺団はヘリポートの造成に取り掛かった。
山の斜面に造成するため、作業は困難なものであった。
山側を切り崩した土を谷川に盛るという作業を夜を徹して行い、翌昭和60(1985)年8月14日にヘリポートが完成。
遺体の後送が開始された。
中にはシートベルトによって上下に分断されたご遺体をはじめ部分遺体が多数あったが、毛布でくるみ重ならないようにしてヘリの床に足の踏み場もないほど詰めて収容することを繰り返したという。
空挺団が撮影した5分ほどの映像も上映された。
まだ一部で煙の立ち上る現場にヘリからリぺリングで地上に降り立つ空挺団員たちの他、散乱する瓦礫、なぎ倒され、あるいは焼け焦げた木々や岩がちな急斜面、ボサ、消防団員などが映り込んでおり、現場の空気が鮮明に伝わってきた。
岡部氏はまた、任務終了から約1カ月、不眠、肉食不可、手にご遺体の感触が蘇る、窓の外にご遺体が並ぶ幻想を見るなど急性ストレス障害(ASD)に悩まされたことを告白している。
シンポジウム後段は、岡部氏を含めた関係者による以下の5つの陰謀説への反論であった。
@海上自衛隊護衛艦のミサイルが123便に衝突
A航空自衛隊のF4戦闘機が123便を追尾
B墜落現場の特定を遅延させた
C証拠隠滅のため火炎放射器で現場を焼却
D海自出身の機長の遺体・制服を自衛隊が隠滅
これに対し、登壇者がそれぞれ以下のように回答した。
@海上自衛隊護衛艦のミサイルが123便に衝突
「陰謀説」
では当時ミサイルの実験中だった護衛艦「まつゆき」が相模湾で短SAMシースパロー(艦対空ミサイル)の垂直発射試験を行っており、123便の垂直尾翼周辺に異変を生じさせたとするが、当時「まつゆき」はまだ自衛隊のものではなかった。
当時は、石川島播磨重工(現IHI)が所有し、船長もスタッフも同社員で「公試」(船舶の海上試運転)を行っていた。
元海上自衛隊海将補の林祐氏によると、海上自衛官も「艤装員」として乗り込んではいたが、自衛隊が主導できる状況ではなかった。
また、当日相模湾で行っていたのは運動能力試験であり、そもそも武器は未積載であった。
A航空自衛隊のF4戦闘機2機が123便を追尾
墜落直前の123便を空自F4戦闘機2機が追尾し、最終的にミサイルで撃墜したという
「陰謀説」
に対し、実際に事故当日F4戦闘機の後席に搭乗して現場上空を飛んだ渡辺修三氏は
「そもそも自衛隊の武器・装備品の管理は徹底している」
「ミサイルで撃墜はあり得ない」
また、当時の出動について
「ダイレクトスクランブル(事前情報なし)で上がった」
「西側に指向されたのでなぜだろうと思っていたら、123便がレーダーから消えた所へ行くと判明した」
「現場には当日薄い雲がかかっていたが、その中に橙色の場所があった」
「確認のために雲を突き抜けていくと、炎の帯が1.5km〜2kmに渡って続いていた」
と証言した。
B墜落現場の特定を遅延させた
前述の織田氏同様、渡辺氏もTACAN(戦術航法装置)の機械的誤差および人的誤差に触れた。
帯状に燃えていた中で、最も燃えている所に合わせようと努力し、百里、横田、入間の3カ所から位置を割り出すべく通報したが、結果的にずれていた。
夜間だったことが、定点の割り出しを一層困難にした。
また、第1空挺団に対し、
「事故当日の夕刻、災害派遣待機命令が出ており、ヘリもエンジンをかけて待機していたにもかかわらず、それが解除された」
に対し、岡部氏は、そもそもそんな命令は出ていなかった、当直の陸曹に対し、命令が出ていないことを確認して就寝した。
C証拠隠滅のため火炎放射器で現場を焼却
「ガソリンとタールの混ざった臭いが漂っていた」
「ご遺体が2度焼きしたように激しく炭化していた」
という証言を基に
「証拠隠滅のために自衛隊員が火炎放射器(自衛隊では「携帯放射器」と呼称)で現場を焼却した」
という説に対し、岡部氏は、
「携帯放射器はそもそも高圧洗浄機の噴射と同様に広い面積を対象とするのには不適であり、燃料のゲル化油を作るなど準備に長時間要する」
「そもそもタールは使わない」
と反論した。
また、
「昨年2024年の羽田空港での事故を思い起こせば分かる通り、航空燃料の火力は非常に強く飛行機でさえ焼き尽くしてしまう」
というファシリテーターの元日興職員、空花正人氏の言葉には、なるほどと思わされた。
更に、事故当時陸自第13普通科連隊(長野県松本市)の一員として最初に地上から現場入りした小川清史元西部方面総監は、
「道の無い山を地図判読し笹や木を手で掴みながら登って行った」
「そんな状況で、もしそこに携帯放射器があったらノズルが邪魔で(笹や木に引っかかって)とても進めなかったはず」
「武器庫内にある携帯放射器を取り出す手続きは非常に厳密」
「燃料は業務隊が持っているため指揮系統が違い、一層手続きが複雑になる」
とし、何重もの意味であり得ないことを語った。
D海自出身の機長の遺体・制服を自衛隊が隠滅
事故機の機長が海自出身だったことから、
「陰謀説」
では
「ミサイルを誤射した」
海自の訓練との関係が仄めかされている。
自衛官が現場で真っ先に機長を発見し、目印のために棒で突き刺し、ヘリ内で搬送中の遺体から制服を剝ぎ取ったとする説に対し、岡部氏は
「現場検証で警察によって番号が付けられ、自衛隊は勝手にできない」
「自分たちがヘリポートを運用していたから、後送したご遺体は全て見ている」
「マスコミもいる中で、あり得ない」
と反論した。
■「御巣鷹の尾根」の今
事故当時、捜索・救助等に当たった地元猟友会、消防団、警察、そして自衛隊などが道なき道を切り開きながら進んだ
「御巣鷹の尾根」
へは、現在ではすぐ近くまで車道が整備されている。
2025年4月末の冬季閉鎖解除を待って、2025年5月6日現場を訪ねた。
五月晴れの下、新緑から青葉へと変わりつつある若葉が輝く中、設置されていた
「熊よけの鐘」
を鳴らして入山。
スゲノ沢の水音を感じながら
「御巣鷹の尾根」
へと向かう。
参拝道を数十メートル進むごとに「水場」や小さな「山守地蔵」が目に入る。
斜面の急峻さを目の当たりにしながら、事故当時、道の無いこの場所に分け入った関係者らの苦労を想う。
しばらく進むといくつかのベンチが置かれた休憩スペースがあり、その先から斜面のあちこちにご遺族らが建てた墓標や石碑が点在する慰霊のエリアとなる。
それぞれを結ぶように小道や金属の階段が付けられているが、一筆書きで全てを回れるような道筋ではなく、いくつもの枝道に分かれており、全てを回るには相当な時間を要する。
その最も手前、つまり慰霊に訪れた人のほぼ全員が目にする位置に、件の慰霊碑はあった。
台座中央に置かれた石碑(写真1)には
「日航機墜落事故 真実の仮説」
として
「加害者 N総理・自衛隊幕僚長」
「事故原因(墜落) 自衛隊曳行標的機・衝突、N総理 撃墜殺害 指示、自衛隊 ミサイル撃墜・墜落」
などと記され(写真2)て、事故当日、搭乗前に撮影された高校生と中学生の兄妹の写真が並べられた下には
「*N総理・自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
との文言がある。
その左右には、事故機で共に旅していた2家族の犠牲者の名前が彫り込まれた石碑が並ぶ。
名前が彫られた石碑の裏を見ると建立は平成19年とあったが、中央の石碑がこの場所に確認されたのは昨年2024年だという。
よりによって、こんな
「最も目に付く位置」

「陰謀説」
が真実であるかのような石碑が、
「ご遺族によって」
建立されているという現実を目の当たりにし、私自身の衝撃が更に深まった。
先へと進み、いくつもの墓標や石碑の前を通りながら、尾根上に開けた
「昇魂之碑」
に到着。
壮絶な最期を迎えた520名の御霊の安からんことを祈った。
周囲一帯はとても美しく整備されており、水仙、馬酔木、標高の高さ故にまだ残っていた山桜、これからまさに咲かんとする石楠花など百花繚乱の様相を呈していたが、その中で白いヘルメット姿の若者5〜6名が手に箕などを持って活動していた。
聞けば、日航職員が休暇を使ってボランティアに来ているのだという。
「昇魂之碑」
の少し奥には、
「遭難者遺品埋没の場所」
や観音像などがあったが、特に印象的だった場所が3カ所ある。
まず、「祭壇」だ。
入口にたくさんの千羽鶴が下げられた木造の小屋のような建物内に置かれている。
祭壇や壁面には写真や千羽鶴が所狭しと並べられ、掲げられている。
犠牲者の1人、坂本九さんの
「上を向いて歩こう」
のレコードジャケットもあった。
線香を手向けお参りをさせて頂いた後に1つ1つ見ていくと、祭壇中央に目を引く額があった。
というのも、その額内に収められている布が赤いのだ。
そこに筆書きと思しき書体で
「故川上英治、川上和子同志へ」
「闘いのなかばで倒れた同志の遺志を受け継ぐことを誓って、霊にささぐ」
と日本共産党群馬県委員会委員長をはじめとする党員と思しき署名が寄せられていた(写真3)。
同志として名を連ねている故人は、救助された慶子さんのご両親だ。
「祭壇」
の中で、そこだけ異質な空気を醸し出していた。
2つ目は、
「沈黙の木」
と札が下げられていた場所だ。
当初、随分昔に大木が倒れた跡のように見え、だいぶ風化しているので何の事だろうと思いながらよく見ていくと、一部の断面や、しゃがんで覗いた下の方に炭化した部分が明確に残っていた。
40年の時を超え、事故による火災の残滓がそのまま存在している。
まさにここが
「現場」
であったことを実感した瞬間だった。
「沈黙の木」
を覗き込んでいると、
「御巣鷹の尾根管理人」
の黒沢完一氏が声を掛けて下さった。
同氏が指を指しながら説明してくれたところによると日航機は隣の尾根に接触(その部分の樹木が抉られたことからU字溝と呼ばれており、現在でもV字型に樹木の空際線が抉れている)、高天原山に上下が逆さになった状態で墜落した。
機体後部はスゲノ沢に滑落、そこから4名の生存者が救出されている。
3つ目は、更にその奥にあった
「X岩」
だ。
岩には実際に白く
「X」
と大書されている。
傍らに立つ石碑には
「日航機墜落事故対策の記録」
と題し、延べ5万5117人が135日間に渡って活動した群馬県警が
「第4現場」
と呼んでいたこのエリアで救援・捜査活動を行う際、基準とした場所であることなどが刻まれていた。
下山して次に17km離れた
「慰霊の園」
に向かった。
「御巣鷹の尾根」
に向かって合掌した姿の慰霊塔の奥には納骨堂があった。
最後まで身元確認が叶わなかった120以上のご遺骨が納められているという。
事故処理の支援を通じて事故の凄まじさ、ご遺族の悲しみを目の当たりにした上野村村民が、2度とこのような事故が起こらないように願い、永遠に霊を祀り慰めることが村民の責務だと考え、有志が土地を提供して建設されたという。
資料館で上映されていた事故当時の映像によって、事故現場の特定および生存者の捜索・救助に向かった地元猟友会が8名、消防団員が160名だったこと、身元不明遺体を役場の2階に仮安置したこと、事故の翌年1986年7月には慰霊のための登山道を整備し、1986年8月の1周忌には納骨が行われたことなどを知った。
いずれにも当時の黒澤丈夫村長の強いリーダーシップを感じた。
余談だが、黒澤村長は、元海軍の戦闘機乗りであった。
■自衛隊犯人説を既成事実化させるな
自衛隊犯人説が広がった背景に、元日航職員のノンフィクション作家、青山透子氏による著書の存在がある。
彼女の著書のうちの3冊(いずれも河出書房新社)が公益社団法人全国学校図書館協議会による
「選定図書」
に指定されていた。
「選定図書」
とは、図書館などに相応しいお勧めの本として複数の選定委員の推薦を受けた図書のことで、年間約7000点が選ばれている。
加えて、本年2025年1月に亡くなった経済アナリストの森永卓郎氏が著書やYouTube番組などで自衛隊の関与を指摘したことで、ここ1年ほどで同説が一気に広がった印象だ。
こうした本が図書館や書店に並べば、国を守る自衛隊という組織に対する印象が著しく貶められ、結果として、ただでさえ募集難に喘ぐ自衛隊へ追い打ちをかけることにもなりかねない。
何より看過できないのは、遺体や燃料などの臭気漂う凄惨な事故現場で、黙々と任務に邁進した自衛官たちの尊厳を踏みにじっていることだ。
陸上自衛隊OBでもある佐藤正久議員は2025年4月10日の参院外交防衛委員会で
「自衛隊員の名誉に関わる問題だ」
「多くの人命救助に当たった隊員に対する侮辱だ」
と問題視した。
これに対し、中谷元・防衛大臣は
「自衛隊が墜落に関与したことは断じてない」
「しっかり対応したい」
と語った。
周知の通り、中谷元・防衛大臣も陸自OBだ。
かつての同僚の名誉を守るためにも、また今まさに日々の任務や訓練に勤しむ現在の自衛隊員の士気を落とさないためにも、そして未来の自衛隊の誇りのためにも、この問題を軽視せず、防衛省を挙げて真摯に対応することを心から願う。
御巣鷹の尾根で、件の慰霊碑以外にも1つ気にかかる石碑があった。
登山口から歩き始めてほどなく
「すげの沢のささやき」
と標識の立つ場所があった。
事故当時、米国・国家運輸安全委員会(NTSB)の委員長だったジム・バーネット氏が講演会で述べた言葉が石碑に刻まれているのだが、その内容はここでは置く。
引っ掛かったのは、説明板の文章の中の以下の文言だ。
「日本の、運輸省・航空事故調査委員会の調査報告書は、原案がNTSBに送られ、同氏の承諾を得た後に初めて、発行された」
NTSBが報告書作成に
「協力」
したのではなく、その
「承認」
を得て発行されたという辺りに、何かしら情報操作や隠蔽があるのではないかと疑念が沸くのは私ばかりではないであろう。
これに象徴されるように事故後の情報公開の在り方に、
「陰謀説」
を生み出しかねない隙があったことは否定できない。
ことは防衛省だけに収まる話ではない。
政府の責任において、自衛隊を貶める様々な疑念を晴らすべく情報公開の在り方も見直すべきだ。
現状では、自衛隊は
「無実の罪」
着せられ名誉を毀損されている被害者と言えよう。
「自衛隊犯人説」
が増幅されれば、自衛隊の弱体化、ひいては日本国の国防力の低下に繋がる。
これによって利するのは誰か。
そもそもこの問題も、日本を弱体化するという大目的をもって行われている世論戦であるかもしれない。
その可能性も念頭に、甘く見ることなく対処する必要があろう。
具体的には、政府が著者を名誉棄損で訴え、証拠を出させるなどの法執行が必要なのではないか。
法廷という公の場で白黒はっきりつけさせる。
傍観するのではなく、
「国としての意思を示す」
と政府が腹を決めるべき事態であると私は思う。
「陰謀説」
を決して既成事実化させてはならない。

「選挙時のSNS規制」に走るメディアの危うさ
正論2025年7月号 政策シンクタンク 原英史
■「自衛隊関与説」と反論
政府は、言論市場の
「統制役」
になるべきではない。
一方で、言論市場に
「プレーヤー」
としては参加できる。
政府に対して不当な批判がなされた時は、反論できる。
むしろ積極的に反論すべきだ。
実際には政府は、反論に及び腰になりがちだ。
これは、反論すると野党やメディアから
「言論弾圧だ」
といった反発を受けることを過度に恐れるためだ。
このため、例えば原発処理水を巡る経過のように、不当な報道や情報発信の一方的な拡散が起きてしまう。
この関連で最近気になったのは、昭和60年の日航機墜落事故に関して、今年2025年4月に国会でなされた質疑だ。
日航機墜落に関しては以前から、自衛隊が関与したとの説があった。
最近もノンフィクション作家の青山透子氏らが著書で唱え、亡くなられたタレントで経済アナリストの森永卓郎氏が日本経済低迷の要因と指摘した。
青山氏の著書につき、佐藤正久参議院議員が2025年4月10日の参議院外交防衛委員会で取り上げ、
「多くの人命救助に当たった隊員に対する侮辱だ」
と問題視した。
これに対し青山氏は翌日、ウェブサイトで抗議文を公開し、
「権限濫用による表現の自由、言論への弾圧」
だと批判した。
まず、私は
「自衛隊関与説」
には余り興味はない。
一方で、通説に抗して異説を唱えることは、社会にとって貴重だと考えている。
かつて地動説が異説だったことを思い出すまでもなく、真実が封印されている可能性があるのだから、異説は大事にしないといけない。
その前提で、国会質疑を見て、青山氏の著書にも目を通した。
佐藤議員の質疑は真っ当な内容だ。
「自衛隊関与説」
について、
「政府が間違いと認識しているなら、しっかり反論せよ」
という指摘だ。
防衛省が適切に反論し、また、全国学校図書館協議会の選定図書への指定について文科省から問題指摘すべきと求めている。
一方で、本を発禁処分にせよといった内容ではない。
これに対し、青山氏が
「言論弾圧」
だと批判しているのはおかしい。
政府への批判に対する反論、あるいは国会議員が政府に
「反論せよ」
と求めることは、
「言論弾圧」
ではない。
言論市場において、プレーヤーに
「反論を受けない権利」
はなく、政府を批判した時でも同じだ。
どちらが説得的かは、
「言論の自由市場」
において判断されたらよいことだ。

日航機事故 「御巣鷹の尾根」への登山道に「自衛隊撃墜説」を伝える慰霊碑は本当にあった
記者の「暴論」 矢野将史
2025/5/4 14:00
https://www.sankei.com/article/20250504-U5K7OD4BNNP2DE7DTSUDDQUIVY/
乗員・乗客520人が亡くなった日航ジャンボ機墜落事故から、今年2025年8月で40年を迎える。
国会審議で先日、自衛隊が加害者であるかのような言説が流布されていると知り、驚いた。
墜落現場となった群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
への登山道には、自衛隊撃墜説を
「仮説」
として伝える慰霊碑もあるという。
登山道が冬の閉鎖期間を終えたGW前半、慰霊登山をしてきた。
その慰霊碑については、自民党の佐藤正久参院議員が2025年4月10日の参院外交防衛委員会で、日航機墜落事故について
「加害者はN総理と自衛隊幕僚長と書かれている」
「(御巣鷹山を)登る人はみんな見ている」
「(政府や自衛隊が)慰霊碑を作った人にアプローチして『事実誤認だ』と言わないと」
「国民の信頼がないと自衛隊は動けない」
などと訴えた。
■「登る人はみんな見ている」
これに対し、中谷元防衛相は
「実際に碑があり、もし記載があるとすれば、全く事実無根だ」
「大変遺憾に思う」
「私や自衛官が正確な情報を発信していく」
「このような情報は偽情報である」
と答弁した。
本当にそのような碑があるのか。
記者は慰霊登山のため、上野村の中心部から車で林道のような山道を30分ほど進み、午前中に登山道入り口に辿り着いた。
そこから約20分登った山小屋近くに、
「日航機墜落事故 真実の仮説」
と記された慰霊碑はあった。
一部に、次のように書かれていた。

慰霊碑の「仮説」と記された部分
「※加害者 N総理・自衛隊幕僚長」

「※事故原因(墜落) 自衛隊 曳航標的機・衝突 N総理 撃墜殺害 指示 自衛隊:横田基地・着陸禁止 自衛隊 ミサイル撃墜・墜落」
「仮説」
とはあるが、ギョッとする内容だ。
慰霊碑は、事故の犠牲者5人の名前と哀傷歌が刻まれた2つの碑に挟まれていた。
亡くなったのは10代が4人、30代が1人と記されている。
上野村役場総務課は
「その碑があるのは知っているが、役場では、個々の墓標や碑について、誰が、いつ建てたかについては把握していない」
「ご遺族の方が設置したのではないか」
「昨年にはあった」
と語る。
■中谷防衛相「事実無根」
単独機として世界最大の航空機事故の調査は、旧運輸省の事故調査委員会が行った。
中野洋昌国交相は、佐藤氏の国会質問があった翌日(2025年4月11日)の記者会見で、事故調査委員会が昭和62年6月に公表した航空事故調査報告書を引用して、事故原因は米ボーイング社による
「後部圧力隔壁」
の不適切な修理に起因するとし、
「様々な角度から調査解析を行い、専門家による審議の上、ほぼ間違いないという結論に至ったため、強い推定を示す『推定される』という表現を使用している」
と説明した。
記者は前述の慰霊碑を確認した後、
「御巣鷹の尾根」
を目指した。
急な登山道を息を切らし、熊除けの鐘を鳴らしながら、30分ほど登ると、墜落現場に立つ
「昇魂之碑」
があり、遺族が設置した
「空の安全を祈って」
という鐘、犠牲者520人の名前が記された
「慰霊碑」
などがあった。
静かに手を合わせた。
そこに至る登山道脇の斜面やスゲノ沢には、木や石でできた墓碑がいくつも立ち並んでいた。
遺体が発見された場所付近だという。
墓碑には犠牲者の名前が記され、遺族らによる花や千羽鶴、人形、風車、個人的な手紙などが供えられていた。
■犠牲者や遺族の無念
遺族有志のメッセージにはこうあった。
「あなたやってきましたよ きこえますか 見えますか あなたと話したい あなた言いたいことは…」
「さよならも言えずに旅だったあなたたち やすらかに永遠の祈りをささげます」
この御巣鷹の尾根で520人の人生が突然断ち切られ、遺族らの人生も大きく変わったことが実感として伝わってきた。
事故から40年経っても、その無念さ、理不尽さ、事故への疑問を抱え続けている遺族は多いことだろう。
同時に、事故直後、標高1500メートル以上の尾根と谷が連なる墜落現場に向けて、道なき道を進んで必死の捜索・救出活動を続けた消防団員や警察官、自衛官の苦難も理解できた気がした。
恥ずかしながら、記者は整備された登山道を登るだけでも膝がガクガクになった。
航空事故調査委員会は現在、運輸安全委員会という組織に再編された。
同委員会は平成23年7月、
「日本航空123便の御巣鷹山墜落事故に係る航空事故調査報告書についての解説」
を発表している。
遺族などから様々な疑問が寄せられる中、
「できるだけ分かりやすく説明するため」
に作成したという。
この解説には後半で、
「ミサイル又は自衛隊の標的機が衝突したという説もありますが、根拠になった尾翼の残骸付近の赤い物体は、主翼の一部であることが確認されており、機体残骸に火薬や爆発物等の成分は検出されず、ミサイルを疑う根拠は何もありません」
とも記されている。
■事実に基づかない言説は修正を
犠牲者と遺族の無念に心を寄せながら、事故への疑問には真摯に向き合い、事実に基づかない言説は修正していく努力が必要だと感じた。

日航機墜落事故に「自衛隊関与」という陰謀説拡大の記事が読まれています、政府の対応は
2025/5/1 11:11
https://www.sankei.com/article/20250501-3B3JOK7GFZGVBJ333KKOVLED7E/
昭和60年8月12日に起きた日本航空機墜落事故を巡り、自衛隊の関与を唱える陰謀説が書籍やインターネットで流布されていることを紹介した記事が産経ニュースで読まれています。
政府は強く否定し、正確な情報発信を行う方針を明らかにしている。
陰謀説を唱える書籍の中にはベストセラーになったものも。
今年2025年4月16日には事故現場で生存者捜索に当たった自衛隊OBらがシンポジウムに参加し、書籍などで指摘される陰謀説のうち5つの点に反論した。
この問題は2025年4月10日の参院外交防衛委員会でも取り上げられた。
自衛隊OBの佐藤正久参院議員(自民党)が、自衛隊の関与を唱える書籍が全国学校図書館協議会による選定図書に指定されているとして、是正を訴えた。
佐藤氏の指摘に対し、中谷元防衛相は
「自衛隊が墜落に関与したことは断じてない」
と陰謀説を強く否定し、対応を約束した。
中野洋昌国土交通相は2025年4月11日の閣議後記者会見で、旧運輸省の事故調査委員会の航空事故調査報告書を引用する形で、事故原因は機内の気圧を保つ役割がある
「後部圧力隔壁」
の不適切な修理に起因するものだと説明し、
「正確な情報を発信していきたい」
と述べた。
民間でも陰謀説は問題視されている。
防人と歩む会の葛城奈海会長は、
「これを放置しては、慰安婦問題における吉田清治証言同様、嘘が真になりかねない」
と警鐘を鳴らした。
事故当時、航空幕僚監部の運用課員として、発生から収束まで一部始終を指揮中枢である空爆作戦室で目撃していたという元空将の織田邦男氏(麗澤大学特別教授)は、
「全くのデマだ」
と断言。
陰謀説を
「情報戦」
とみなし、その対応は
「国民一人一人が高い情報リテラシーを持つことが何より重要である」
と訴えた。
2025年4月29日、墜落事故の現場となった
「御巣鷹の尾根」
に向かう登山道が冬の閉鎖期間を終え、開通。
遺族や関係者は慰霊のため尾根を訪れ、墓標の前で静かに手を合わせた。

日航機墜落の陰謀説唱える書籍は「図書館協議会選定図書」 自民の佐藤正久氏が是正訴え
2025/5/1 9:55
https://www.sankei.com/article/20250501-H5D7UDNLZVNKZAERNHNE2ZS3WA/
昭和60年の日本航空機墜落事故に自衛隊が関与したという
「陰謀説」
を巡っては国会でも取り上げられた。
2025年4月10日の参院外交防衛委員会で、自衛隊OBの佐藤正久氏(自民党)は自衛隊の関与を指摘する書籍が全国学校図書館協議会による選定図書に指定されているとして、
「何も知らない子供たちが推薦図書として図書館で触れることで国土交通省や防衛省が否定する事実を本当のことのように受けてしまう」
と述べ、是正を訴えた。
選定図書に選ばれているのは作家、青山透子氏の著書3冊(いずれも河出書房新社)。
選定図書は小中学校などの図書館が蔵書構成する上で参考になり、同団体は
「正しい知識や研究成果」
「科学的に正確」
などの選定基準を設けている。
野中厚文部科学副大臣は、佐藤氏の訴えに対し
「図書自体が児童生徒の健全な教養の育成に資する必要がある」
「懸念について防衛省の動向も踏まえ、団体に伝えていく」
と答弁した。
自衛隊の関与を指摘する書籍は、経済アナリストの森永卓郎氏(今年2025年1月死去)らも出版している。

産経新聞は青山氏に対し、中谷元・防衛相が自衛隊の関与は
「断じてない」
と発言したことへの見解を書面で求めた。
これに対し青山氏は河出書房新社を通じて後日取材に応じる意向を示した。

日航機墜落に5つの陰謀説 「自衛隊と隊員への冒瀆だ」当時捜索のOBが反論
2025/5/1 8:36
https://www.sankei.com/article/20250501-EWVJEC535BOPPNUXV2G4MZCO2M/
昭和60年の日本航空機墜落事故に自衛隊が関与したという
「陰謀説」
が流布されていることに、当時事故現場で生存者捜索にあたった自衛隊OBらは
「自衛隊と隊員への冒瀆だ」
と憤っている。
2025年4月16日には参院議員会館で開かれた
「JAL123便事故究明の会」
によるシンポジウムで、書籍などで指摘される陰謀説のうち5つの点に反論した。
同会は昨年2024年8月に設立。
会長を務める岡部俊哉元陸上幕僚長は事故当時、陸上自衛隊第1空挺団の小隊長として生存者の救助、ヘリポートの造成などの指揮を執った。
陰謀説@「海上自衛隊護衛艦の訓練中のミサイルが123便に衝突」
自衛隊の関与を指摘する書籍は墜落原因について、当時巡航ミサイルの実験中だった護衛艦「まつゆき」が相模湾(神奈川県沖)で123便の垂直尾翼周辺に異変を生じさせたとする。
だが、まつゆきの就役は事故翌年の昭和61年3月。当時は石川島播磨重工業(現IHI)が所有する船舶だった。
元海上自衛隊海将補の林祐氏は
「(海自の)乗組員も『艤装員』として乗り込んでいたが、石川島播磨の船長が指揮を執り、スタッフが運航していた」
と述べ、自衛隊が主導できる状況ではなかったと説明した。
123便は事故発生当時高度7・3キロに達した。
林氏は当時の対空ミサイルなどが
「そう飛翔するものでない」
と述べ、まつゆきに搭載された発射ランチャーについて
「発射することはできない」
「コントロールシステムが異なる」
と指摘した。
陰謀説A「航空自衛隊のF4戦闘機2機が123便を追尾」
墜落直前の123便を空自F4戦闘機2機が追尾していたとの目撃証言を基に、最終的にF4がミサイルで墜落させた─とするものだ。
追尾などの動きは公式記録にない。
また、F4パイロットとして当時現場に出動した渡辺修三氏はミサイルなど装備品管理は徹底されているとし、
「帰投してミサイル1本なかったら一大事だ」
と述べた。
陰謀説B「墜落現場の特定を遅らせた」
渡辺氏は、地上で上空の戦闘機パイロットと連携する要撃管制官からの誘導で日航機がレーダーから消えた午後6時56分過ぎに墜落現場とみられる場所にF4で向かい、1・5〜2キロに渡る帯状の炎を確認したと証言する。
ただ、正確な墜落地点は把握できなかった。
渡辺氏は操縦士に対し、最も炎が強い所を中心に旋回してもらったが正確な位置をつかむのは難しかったという。
陰謀説C「証拠隠滅のため火炎放射器で現場を焼却」
墜落現場では消防団員らが
「ガソリンとタールの混ざったような臭い」
と感じたという証言がある。
これを基に
「証拠隠滅」
のために自衛隊員が火炎放射器(携帯放射器)で遺体やミサイルの痕跡を焼却したと流布されている。
当時陸自第13普通科連隊(長野県松本市)に所属し救出作戦に参加した小川清史元西部方面総監は
「火炎放射器を取り出す手続きは幾重で容易ではない」
「注入する燃料を保管するのは業務隊で、指揮系統が異なり、より一層手続きに時間と書類が必要となる」
と反論する。
また、携帯放射器の燃料であるゲル化剤を大量のドラム缶で入手して、一晩で搬入、焼却、撤収するのは不可能だと指摘する。
そもそも燃料にタールは使われないという。
陰謀説D「海自出身の機長の遺体・制服を自衛隊が隠蔽」
書籍では、事故を巡って123便の機長が海自出身であることから、
「ミサイルを誤射した」
とされる海自の訓練との関係が示唆されている。
自衛隊員が事故現場で機長の遺体を真っ先に発見、目印のため棒で突き刺し、ヘリコプターの移動中、不都合なものを取り除くため制服などを外した─というものだ。
これに対し、岡部氏は
「現地は多くの数の人が作業していた」
「機長の制服を身に着けた遺体が発見されれば(現地にいた)マスコミの写真に写っている」
「空想で言われた話としかいいようがない」
と語った。

日航機墜落事故40年、拡散される陰謀説 「自衛隊の関与は断じてない」政府が強く否定
2025/5/1 7:00
https://www.sankei.com/article/20250501-IBAEULDM6ZNXPFOXSJL26PTXKE/
「自衛隊がミサイルを誤射した」
「撃墜の証拠隠滅を図るため乗客らの遺体を焼却した」−。
昭和60年8月の発生から今年で40年となる日本航空機墜落事故を巡り、自衛隊の関与を指摘する
「陰謀説」
が書籍やインターネット上などで流布されている。
ベストセラーになる書籍もある中、政府は自衛隊の関与を強く否定するなど対応を進めている。
「陰謀説」
を唱える主な著者は、複数の目撃証言を繋ぎ合わせて描写。
例えば、自衛隊は墜落現場に先駆けて到達し証拠隠滅を優先したため生存者を見殺しにしたと主張している。
昨年には事故現場への登山道に犠牲者の名前と
「自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
などと記された
「慰霊碑」
の設置が確認された。
123便の墜落原因に関して運輸省の航空事故調査委員会(当時)は、過去の不適切な修理で機体後部の圧力隔壁が壊れ、垂直尾翼や操縦系統が破壊されたと
「推定される」
とした。
メーカーのボーイング社は修理ミスがあったと認めた。
中谷元・防衛相は2025年4月10日の参院外交防衛委員会で
「自衛隊の関与は断じてない」
と明言し、対応する考えを示した。
中野洋昌国土交通相は2025年4月11日の記者会見で
「様々な角度から調査解析を行い、(事故原因が圧力隔壁であることは)ほぼ間違いないという結論に至ったため、強い推定を示す『推定される』という表現を使用している」
と説明した。
事故は昭和60年8月12日夕に発生した。
羽田発大阪行き日航123便ジャンボ機が群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
に墜落。
乗員・乗客524人のうち女性4人を除く520人が死亡した。

日航機墜落40年を前に慰霊 御巣鷹への登山道開通
2025/4/29 23:07
https://www.sankei.com/article/20250429-AZVN2ULQANICPPDG5E5BH23IR4/
1985年に520人が犠牲となった日航ジャンボ機墜落事故の現場、群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
に向かう登山道が2025年4月29日、冬の閉鎖期間を終え、開通した。
今年2025年8月で事故から40年となるのを前に、遺族や関係者が慰霊のため尾根を訪れ、墓標の前で静かに手を合わせた。
遺族らで作る
「8・12連絡会」
事務局長の美谷島邦子さん(78)は次男、健君=当時(9)=を亡くした。
墓標にこいのぼりや花を供え
「亡くなった人のその後を私たちは生きてきた」
「もうすぐ40年となるが、安全や命を守ることを目指して活動したい」
と力を込めた。
墜落地点の尾根に立つ
「昇魂之碑」
は事故翌年の1986年に建てられた。
尾根の管理人、黒沢完一さん(82)によると、昇魂之碑が傾いているのが確認され、補強工事が今月2025年4月17〜25日の日程で行われた。
黒沢さんは
「開山の前に工事が完了して良かった」
と話した。
事故は1985年8月12日、羽田発大阪行き日航123便ボーイング747が墜落し、乗客乗員524人のうち520人が死亡した。

日航機墜落事故をめぐる陰謀論に危機感
直球&曲球 葛城奈海
2025/4/17 13:00
https://www.sankei.com/article/20250417-QVEEP7E63ROW7BYUYFLZ6MWMSQ/
乗員乗客520人死亡という単独飛行機事故としては世界最多の死者を出した日本航空123便墜落事故から、2025年8月12日で40年になる。
群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
に墜落した事故機の生存者捜索・救助、遺体の搬送には警察や消防、地元猟友会らと共に、自衛隊が力を尽くした。
僅か4人だった生存者の1人、当時12歳の少女が自衛官に抱えられながらヘリに引き上げられていく映像をご記憶の方も多いだろう。
ところが、驚いたことに、2025年4月1日付の本紙『正論』欄で元空将の織田邦男氏が言及し、2025年4月10日の参院外交防衛委員会で佐藤正久議員が問題視した通り、あたかも自衛隊が墜落事故の加害者であるかのような言説が流布されているのだ。
佐藤議員によれば、陰謀論の元ネタとなった書籍が、
「全国学校図書館協議会選定図書」
に選ばれていたばかりか、事故現場の登山道に
「自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
と書かれた慰霊碑が建立されているとのことで、私も大いに危機感を抱いた。
これを放置しては、慰安婦問題における吉田清治証言同様、噓が真(まこと)になりかねない。
ましてやその本が学校の図書館に並ぶとなれば、募集難に喘ぐ自衛隊へ追い打ちをかけることにもなろう。
何より看過できないのは、遺体や燃料などの臭気漂う凄惨な事故現場で黙々と任務に邁進した自衛官たちの尊厳を踏みにじっていることだ。
陸上自衛隊第1空挺団の小隊長として現場で生存者捜索・救助、ヘリポート造成、遺体後送などの指揮を執った岡部俊哉元陸上幕僚長は、自衛隊が証拠隠滅のために火炎放射器で現場を焼却したかのような
「陰謀説」
に物理的にも時間的にも
「あり得ない」
と断言する。
同氏は、任務終了後、約1カ月、急性ストレス障害(ASD)に悩まされたことを告白している。
地獄絵図のような真夏の山中で、身を粉にして任務に邁進した自衛官たちへの冒瀆は、断じて許されるべきではない。
虚実入り交じった情報があふれる現代にあって容易なことではないが、真実を見極められる高い情報リテラシーを身に付けたいものである。

葛城奈海
かつらぎ・なみ
防人と歩む会会長、皇統を守る会会長、ジャーナリスト、俳優。
昭和45年、東京都出身。
東京大農学部卒。
自然環境問題・安全保障問題に取り組む。
予備役ブルーリボンの会幹事長。
近著に『戦うことは「悪」ですか』(扶桑社新書)。

御巣鷹の日航機墜落事故 「自衛隊が撃墜説」に国交相「正確な情報発信する」
2025/4/11 12:53
https://www.sankei.com/article/20250411-7Z4Z3ZGMEZPRRC53VQIG3TPBK4/
1985年に発生した日本航空機の御巣鷹墜落事故について、原因を
「自衛隊による撃墜」
などとする言説が書籍やインターネットで流布している問題に対し、中野洋昌国土交通相は2025年4月11日の閣議後記者会見で、
「しっかりと正確な情報を発信してきたい」
と述べた。
問題を巡っては2025年4月10日の参院外交防衛委員会で、自民党の佐藤正久参院議員が指摘。
中谷元防衛相が
「自衛隊が墜落に関与したことは断じてない」
と否定し、
「しっかり対応したい」
と回答している。
2025年4月11日の会見で中野氏は、旧運輸省の事故調査委員会の航空事故調査報告書を引用する形で、事故原因に言及。
機内の気圧を保つ役割がある
「後部圧力隔壁」
の不適切な修理に起因するものだとし
「様々な角度から調査解析を行い、専門家による審議の上、ほぼ間違いないという結論に至ったため、強い推定を示す『推定される』という表現を使用している」
と説明した。
その上で
「国会や会見を通じ、政府として責任ある立場にあるものが正確な発信をしていくことは重要だ」
と述べた。
事故は1985年8月12日夕に発生。
羽田発大阪行きの日航機123便が離陸後に機体トラブルに見舞われ、群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
に墜落。
乗客乗員524人のうち520人が死亡し、単独機としては世界最悪の被害となった。
報告書によると、当該機は78年に別の事故により、後部圧力隔壁が損傷し、米ボーイング社が修理した。
しかしその過程で不適切な措置が取られ、求められる仕様よりも強度が低下していた。
1985年8月12日午後6時24分、当該機は離陸から約12分後、疲労が重なっていた後部圧力隔壁が破損し、機内の空気が機体後部に噴出。
垂直尾翼や翼を動かす油圧系統が破壊され、操縦不能に陥った。
パイロットらは左右のエンジンの出力差を駆使するなどして機体の制御、立て直しを図ったが機体は迷走。
トラブルから約30分後の同6時56分、墜落した。
事故調査委は1987年6月、後部圧力隔壁の修理ミスを原因と推定する報告書を提出した。
ただ内容が専門的で難解との批判もあり、後の国交省の運輸安全委員会は、事故犠牲者の遺族と連携をとりながら2011年7月、報告書の
「解説書」
を作成。
報告書とともにホームページで公開し、
「自衛隊の関与説」
についても否定している。

御巣鷹事故「自衛隊が撃墜」、偽情報を自民佐藤正久氏が問題視 中谷元防衛相「対応する」
2025/4/10 16:09
https://www.sankei.com/article/20250410-YVB6ML6KJVAG7K6M6GPSYM47DM/
自民党の佐藤正久参院議員は2025年4月10日の参院外交防衛委員会で、日本航空機の御巣鷹山墜落事故を巡り
「自衛隊が撃墜した」
との言説が書籍などで流布されているとして
「自衛隊員の名誉に関わる問題だ」
「多くの人命救助に当たった隊員に対する侮辱だ」
と問題視した。
中谷元防衛相は
「自衛隊が墜落に関与したことは断じてない」
「しっかり対応したい」
と語った。
■「火炎放射器で証拠隠滅」
事故は昭和60年8月12日夜に発生。
群馬県・御巣鷹山に日航123便が墜落し520人が死亡した。事故原因について航空事故調査委員会は昭和62年6月、報告書を公表し、後部圧力隔壁の不適切な修理に起因するとしている。
佐藤氏によれば、問題の書籍は駿河湾で対空ミサイル訓練を行っていた護衛艦が日航123便を誤射し、撃墜の痕跡を隠すため、墜落地点の特定を遅らせた上、墜落現場で自衛隊が火炎放射器で証拠を隠滅したと指摘しているという。
佐藤氏は書籍について
「ベストセラーになり、ユーチューブで拡散されている」
と述べ、
「墜落の後、徹夜で尾根を踏破して危険を顧みず現場で多くの人命救助に当たった隊員に対する侮辱である」
と対応を訴えた。
■推薦図書に…場内ざわめく
この書籍が全国学校図書館協議会の推薦図書に選ばれていると指摘されると、委員会室がどよめく場面もあった。
佐藤氏は文部科学省にも対応を求め、野中厚文科副大臣は
「懸念を当該団体にしっかり伝えていく」
と応じた。
更に、御巣鷹山の登山道に建立された慰霊碑には
「自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
と記されているという。
佐藤氏は碑の写真を示して
「放置したままでいいのか」
「慰霊碑を作った人にアプローチして事実誤認だと言わないと(いけない)」
と訴え、中谷氏も
「しっかりと対応していきたい」
と語った。

<正論>「御巣鷹」に見る情報戦への脆弱さ 
麗澤大学特別教授 元空将・織田邦男
2025/4/1 8:00
https://www.sankei.com/article/20250401-766VLI7YBZOPRPRZLLAXQK5VBU/
■現代ハイブリッド戦争
ウクライナ戦争の停戦交渉が行われている。
この戦争の特徴として、開戦前から今なお続く熾烈な情報戦がある。
2014年3月、ロシアはクリミア半島を
「ハイブリッド戦争」
によって無血併合した。
ハイブリッド戦争とは
「高度に統合された設計の下で用いられる公然、非公然の軍事・非軍事・民間の手段を使った戦争」
である。
情報戦はハイブリッド戦争の主要手段であり、インターネットが発達した現代では国家をも動かす力がある。
2016年1月、ドイツで
「アラブ系難民が13歳少女をレイプした」
というニュースがロシア系メディアで報道され、SNSで拡散していった。
偽情報であることが判明するが、難民排斥運動は過熱し極右政党が大躍進する結果を生んだ。
情報戦に加え威嚇・恫喝の軍事行動を組み合わせることで、相手の思考・感情・記憶に直接働きかける
「認知戦」
も現代戦の1つである。
台湾併合を目指す中国は、台湾周辺で海上封鎖やミサイル発射訓練などを繰り返し、台湾住民に対して敗北感を植え付け、抵抗断念を図る。
2022年に岸田文雄政権で策定された国家安全保障戦略では
「情報戦への体制の強化」
を掲げ、偽情報を収集分析し、正しい情報を発信するとしているが緒に就いたばかりだ。
次の事例からも分かるように日本人は情報戦に対しては脆弱と言わざるを得ない。
■日航機墜落事故を巡る噓
40年前の1985年8月12日、日航123便が御巣鷹山に墜落した。
後にこの事故に関し
「自衛隊が撃墜したかのような本が出ている」
という噂を聞き、読んでみた。
要約するとこうだ。
123便は自衛隊のミサイル誤射によって正常な飛行が困難になり、誤射の証拠隠滅を図るため、空自戦闘機が出動して撃墜し、更にその証拠も消すため、墜落現場で陸上自衛隊が火炎放射器で証拠を焼き払ったというものである。
荒唐無稽と笑ってはいられない。
ノンフィクションとして書かれベストセラーになっているという。
またこれを真実と信じている人が多くいるというから驚いた。
筆者は事故当時、航空幕僚監部の運用課員で、事故発生から収束まで一部始終を指揮中枢である空幕作戦室で目撃していたので、全くのデマだと断言できる。
死臭漂う地獄絵図のような現場で懸命に生存者の捜索に携わった多くの自衛官を知っている。
彼らの多くがPTSDに苛まれた。
このようなデマは、黙々と災害派遣にあたった自衛官に対する冒瀆である。
この怒りはひとまずおく。
これは情報戦に対する日本人の脆弱性を示す。
「誰があの520人を殺したのか」
と感情に訴え、結論ありきで読者を引き込む。
そして5種の断片、つまり
@事実
A誤解
B推測、臆測
C曖昧な伝聞情報、目撃情報
D捏造
を都合よく組み合わせ、
「自衛隊による撃墜、証拠隠滅」
へと誘導する。
噓を並べても、所々に事実が入っていれば容易に全体を信じ込ませることができる。
これが情報戦の肝である。
著者の意図はともかく、結果的にロシアの情報戦の相似形となっている。
常識的に考えれば、
「自衛隊による撃墜、証拠隠滅」
などあり得ない。
自衛隊の行動には、自衛官を含む多くの関係者が関わる。
こんな犯罪行為があれば隠し通せるわけがない。
だが、自衛隊を知らない人は、創作されたナラティブ(物語)を容易に信じてしまう。
情報戦の恐ろしさである。
■情報戦に敗北しないため
筆者は元戦闘機操縦者でもあり、文中の誤りを全て指摘できる。
ここでは紙幅の関係上、疑惑の発端となった
「現場到着の遅れ」
についてだけ述べる。
地上レーダーは低高度が見えないので墜落地点は特定できない。
最初に炎を発見した米軍C130輸送機、空自F4戦闘機からの位置情報は、TACAN(戦術航法装置)の情報である(GPSは未装備)。
TACANには、固有の誤差がある。
更に当該機と現場の距離が誤差となって加わる。
横田TACAN局から割り出せば位置情報に4km前後の誤差が生じることはやむを得ない。
航空では僅かな誤差だが、陸上行動では大きな障害となる。
特に山岳地帯では、4km違えば隣の尾根になってしまう。
山岳の道なき道の移動は4kmでも数時間かかる。
夜間で、暗視装置のない(当時)ヘリの山岳投入は危険なので中止した。
地上部隊の投入場所の決定が遅れ、結果的に現場到着が遅れた。
この遅れが
「何かがあるはず」
と臆測を呼び、連鎖して物語の創作に繫がったのだろう。
我が国に情報戦が仕かけられた場合、同様なパターンで容易に敵の罠に嵌まってしまう可能性がある。
情報戦に敗北しないためには思い込みに符合する情報に飛びつくのではなく、情報を疑う姿勢、そして些事に拘泥せず、全局を俯瞰して判断できる能力が必要である。
情報戦への対応は、政府主導の
「正しい情報発信」
に頼るのではなく、国民1人1人が高い情報リテラシーを持つことが何より重要である。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/796.html#c39

[政治・選挙・NHK297] 石破首相「伊勢崎さんのことはいつまでも先生だと思っている」(田中龍作ジャーナル) 赤かぶ
41. 秘密のアッコちゃん[1799] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月08日 20:57:55 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1237]
<■1215行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
辺野古ダンプ事故、抗議女性を沖縄県警が重過失致死容疑で聴取 弁護人「筋が違う」と批判
2025/8/8 16:08
https://www.sankei.com/article/20250808-OFEPNRLZYRNI5H5PPJ2KMNNZHE/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に
「牛歩」
で抗議していた70代の女性を制止した男性警備員が昨年2024年6月、ダンプカーに巻き込まれ死亡した事故で、沖縄県警が重過失致死容疑で女性から任意で事情聴取していたことが2025年8月8日、分かった。
女性の弁護人が同日明らかにした。
徐行しているダンプカーの前に出ることで、女性が警備員を巻き添えにする危険性を十分に予測できたかなど裏付け捜査を慎重に進めているとみられる。
弁護人によると、女性は今月2025年8月6日と8日の計2回、県警豊見城署で取り調べを受けたという。
弁護人は産経新聞などの取材に対し、
「女性に責任を問うのは筋が違う」
と話した。
事故は昨年2024年6月28日、土砂搬出港の桟橋前の路上(名護市安和)で発生した。
男性警備員=当時(47)=と抗議活動中の女性に土砂を搬出しようとしていたダンプカーが衝突。
2人は巻き込まれ、警備員が死亡し、女性も重傷を負った。
その後の調べで、現場付近の防犯カメラに状況が写っていたことが判明した。
産経新聞が入手した映像には、警備員が女性を制止しようとダンプカーと女性の間に割って入り、そのままダンプカーの左前面に衝突する様子が残されていた。
県警は
「誰がどのような刑事責任を負うのかも含め、あらゆる観点から事故原因などの究明に努めている」
(幹部)
としており、抗議活動をしていた被害者の女性の他に、ダンプカーの運転手や発車の合図を送ったとされる交通誘導担当の警備員についても捜査を進める。
重過失致死罪は重大な過失によって人を死傷させた場合に成立する。
捜査では、危険性を具体的に予見できたか(予見可能性)、必要な措置を講じれば結果は避けられたか(結果回避可能性)―が焦点になるとみられる。

名護市辺野古移設に抗議していた70代の女性の聴取はまだ行われていないのは何故ですか?
直ちに聴取すべきだ。

辺野古ダンプ事故1年、過失責任は 沖縄県警「誰がどのような刑事責任負うのか」捜査
動画
2025/6/28 19:51
https://www.sankei.com/article/20250628-X2QK7N2A5BOE7HN2XWPZ6G4AZI/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた70代の女性を制止した男性警備員が、ダンプカーに巻き込まれ死亡した事故から2025年6月28日で1年となった。
沖縄県警は事故に至る原因を捜査しているが、女性の聴取はまだ行われていない。
事故は複合的な要因で発生したとみられており、過失責任の所在が焦点になりそうだ。
■警備員、抗議女性を制止しようとして犠牲に
県警幹部によると、事故から1年が経つが、捜査すべき項目が多く、慎重に捜査を進めているという。
「誰がどのような刑事責任を負うのかも含め、あらゆる観点から事故原因の究明に努めている」
と語る。
事故は昨年2024年6月28日、土砂搬出港の桟橋前の路上で発生した。
男性警備員=当時(47)=と抗議活動中の女性に土砂を搬出しようとしていたダンプカーが衝突。
2人は巻き込まれ、警備員が死亡し、女性も重傷を負った。
その後の調べで、現場付近の防犯カメラに状況が写っていたことが判明した。
産経新聞が入手した映像には、警備員が女性を制止しようとダンプカーと女性の間に割って入り、そのままダンプカーの左前面に衝突する様子が残されていた。
■一般論では3者に刑事責任の可能性
事故原因の究明はまだ先となりそうだが、誰がどのような刑事責任を負う可能性があるのか。
業務上過失致死傷事件に詳しい元検事の高井康行弁護士は
「一般論」
と前置きした上で、
@ダンプカーの運転手
Aダンプカーに発車の合図を送ったとされる交通誘導の警備員
B抗議活動中だった女性
の3者が刑事責任を負う可能性があると指摘する。
防犯カメラの映像。ダンプの前に飛び出した女性を警備員が必死に止めようとする姿が見える
@の運転手は運転上必要な注意を怠っていた場合、自動車運転処罰法違反(過失致死)罪に問われる。
Aの交通誘導の警備員は
「そのタイミングでダンプカーを進行させたら、抗議者の女性が飛び出してきて危なくなるということが予見できたのであれば過失が問われる」
(高井弁護士)
といい、業務上過失致死傷罪が適用される可能性がある。
Bの抗議者の女性は歩行者だが、高井弁護士は
「そのタイミングで横断を始めれば警備員が止めに入り、それによってダンプカーと接触して重大事故になることについて予見が可能であれば、重過失致死罪や過失致死罪に問われる可能性がある」
との見方を示す。
それぞれ危険性を具体的に予見できたか(予見可能性)、必要な措置を講じれば結果は避けられたか(結果回避可能性)−が、捜査の焦点になるとみられる。

辺野古ダンプ事故から1年、「現場付近で再び警備員負傷」産経報道を沖縄県警本部長認める
2025/6/27 13:22
https://www.sankei.com/article/20250627-NQHCWLCE3FJLLEDTTFBHQNYPAY/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が昨年2024年6月、ダンプカーに巻き込まれ死亡した事故を巡り、沖縄県警の小堀龍一郎本部長は2025年6月27日、事故現場付近で今年2025年3月、抗議活動中の高齢男性が安全ネットを乗り越えた際に50代の男性警備員が転倒し、負傷していたとする産経新聞の報道を認めた。
■辺野古死亡事故現場で再び警備員が負傷
同日の県議会本会議で、自民党の島袋大議員の一般質問に答えた。
県土木建築部の砂川勇二部長も
「報道があったことは承知している」
と述べた。
■ガードレール設置、県は依然認めず
死亡事故は昨年2024年6月28日、辺野古移設工事に使う土砂を搬出する名護市安和の桟橋前の路上で発生し、同市の男性警備員=当時(47)=と抗議活動中の70代の女性に衝突。
警備員は死亡し、抗議者の女性は重傷を負った。
事故現場付近では今年2025年3月17日にも、抗議者の男性が安全ネットをまたいで乗り越えようとした際、足に絡まり、ネットを持っていた警備員が地面に転倒。
警備員は約1週間のけがを負っており、産経新聞が関係者の話として報じていた。
事業者側は道路管理者の県に、抗議者の事故を防ぐガードレール設置を求めているが、県は未だに
「歩行者の横断を制限することになる」
として、依然設置を認めていない。
■県警本部長「捜査すべき事項多い」
結果的に、事故現場付近で再び警備員が負傷する事案が発生したことになり、島袋県議はこの日の一般質問で、
「必ず同じような事故が起こると、県議会で警告していた」
と県の安全対策を厳しく質した。
産経新聞が入手した事故当時の映像や関係者によると、死亡した警備員は当初、重傷を負った女性とは別の抗議者に対し、路上で対応。
警備員はこの抗議者を歩道に誘導したが、歩道後方から足早に近づいてきた70代の女性が警備員と抗議者の間をすり抜け、徐行していたダンプカーの前に出たとみられている。
警備員が死亡し、抗議活動中の女性が重傷を負った痛ましい事故の原因究明は今も続いており、小堀本部長は
「重大な事故であると認識している」
「関係者も多く、捜査すべき事項も多いことから慎重に捜査をしている」
と述べた。
■移設反対の市民団体、今も「牛歩戦術」展開
事故から1年が経つ今も現場周辺では、移設に反対する市民団体のメンバーら抗議者がダンプカーの前をゆっくりと横断して抗議する
「牛歩戦術」
が続けられている。
「歩行者を通してください。歩行者優先ですよ」
「違法な規制ですよ!」
今月2025年6月25日、記者が事故現場を訪れると、プラカードを持った10人前後の抗議者がダンプカーの前をゆっくりと横断していた。
現場に配置された警備員は
「速やかに横断してください」
と声を張り上げ、抗議者の横断が終わるとオレンジ色のネットを広げ、抗議者がダンプカーの前に出ないようにしていた。
抗議活動をする市民団体は、牛歩で抗議者が道路を横断し終わると、警備員がダンプカーに合図を送って1台出す
「暗黙のルール」
があったのに、2台続けてダンプカーを出すこともあったなどとして、
「事故の原因は誘導係の警備員の強引な指示(2台出し)と、運転手の前方不注意だ」
と主張。
辺野古移設を進める防衛省側を批判している。
市民団体は2025年6月28日午前10半から、事故現場付近で
「追悼・抗議集会」
を開くという。

<独自>辺野古の警備員死亡事故現場、再び警備員が負傷の事案 抗議者「警備がおかしい」
2025/4/16 21:03
https://www.sankei.com/article/20250416-HAHJACDSW5LZ5KJKELR5KNUD4Q/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員=当時(47)=がダンプカーに巻き込まれ死亡した事故現場付近で今年2025年3月、抗議活動中の70代男性が安全ネットを乗り越えた際に、50代の男性警備員が転倒し、負傷していたことが2025年4月16日、関係者への取材で分かった。
県警も把握し、事実確認を進めている。
「歩行者の横断を制限することになる」
として、ガードレールの設置を拒み続けてきた県の管理責任を問う声も上がりそうだ。
関係者によると、2025年3月17日午前11時35分頃、辺野古移設工事に使う土砂を搬出する名護市安和の桟橋入り口で、抗議者の男性が安全ネットをまたいで乗り越えようとした際、足に絡まり、ネットを持っていた警備員が地面に転倒したという。
警備員が負傷したのは、昨年2024年6月の事故現場から約120メートル離れた場所で、安全ネットは抗議者らがダンプカーの前に出ないようにするためのものだった。
腰などを打って負傷した警備員は病院に搬送され、全治1週間のけがと診断された。
産経新聞の取材に、抗議者の男性は
「私も転んだ。お互いさまだ。ネットを持って通行を妨害する警備のやり方がおかしい」
などと話した。
桟橋を利用する事業者や防衛省沖縄防衛局は道路管理者の県に対し、抗議者の事故を防ぐガードレール設置を求めているが、県は設置を認めていない。
県は今年2025年1月、軟らかい素材のラバーポールを設置したものの、防衛局は
「ラバーポールでは妨害行為を防止できず、事故の状況や背景を無視したもの」
と反発している。
県の安全管理に対する姿勢を県議会で追及してきた自民党会派の島袋大県議は
「9カ月前の死亡事故を思い出させる状況だ。県は全く反省していない」
と批判し、
「ガードレールの設置は玉城デニー知事の判断で済むことだ」
と訴えた。

オール沖縄崩壊の真実 八重山日報論説主幹 仲新城誠 産経新聞出版
■無法地帯と化す反対運動の現場
「オール沖縄」
県政下で、辺野古移設反対運動の現場が無法地帯化している現状も2024年6月、浮き彫りになった。
名護市安和桟橋近くの国道で、辺野古移設に使う土砂搬出に抗議している女性(72)と警備員の男性(47)がダンプカーに轢かれ、男性が死亡、女性が足の骨を折る重傷を負った。
沖縄県紙の報道によると、男性はダンプの前に出た女性を止めようとして事故に巻き込まれた可能性があるという。
私はキャンプ・シュワブ前で行われている辺野古移設反対派の抗議活動を何度か見たことがあるが、工事車両の前に飛び出したり、牛歩戦術で車両の往来を妨害するなどの危険行為は日常茶飯事だった。
抗議活動のため長い渋滞の列ができているのも見た。
警備員たちもうんざりしているのが表情から読み取れた。
地域住民からも苦情の声が出ているが、翁長、玉城の2知事は辺野古を訪れ、集会に参加したり、反対派を激励したりしている。
地元メディアは抗議活動に対する批判的な報道を一切しないため、危険な抗議活動に対する抑止力が働かない。
死亡事故は
「起こるべくして起きた」
感が強い。
同年2024年7月の県議会でも事故に関する質疑が相次いだ。
産経新聞によると、島袋大県議(自民党)の一般質問で、港湾を利用する事業者が沖縄県に対し
「抗議者が事故に巻き込まれないようガードレールを設置してほしい」
と何度も要請していたが、沖縄県が認めていなかったことが明らかになった。
事業者は自ら費用を負担するとも申し出たが、沖縄県は
「歩行者の横断を制限することになる」
と応じてこなかった。
この事故を巡っては、沖縄県紙が事故原因は沖縄防衛局や事業者側にあるような主張を展開し、負傷した女性を英雄視するような報道もあった。
同年2024年10月の沖縄県議会では、常任委員会が沖縄防衛局から提供された事故の監視カメラ映像を閲覧したが、与党の
「オール沖縄」
は負傷した女性のプライバシー侵害などを理由に閲覧を拒否した。
映像の内容を報道した産経新聞に対し、玉城は記者会見で
「捜査中の証拠になり得るものは、報道を差し控えるべきではないか」
と批判。
自らは映像を見ていないと強調した。
事故原因の調査に欠かせない監視カメラ映像の確認を拒むのは
「映像を見られると何か都合が悪いことがあるのか」
との疑いを抱かせる。
本来、科学的であるべき事故原因の追及に政治が介入した悪例だと思う。
隣接する本部町の本部港塩川地区でも土砂の搬出が行われており、反対派が同様の抗議活動を展開している。
沖縄県は2023年2月、ダンプカーなどの往来を妨害する行為について沖縄県港湾管理条例の禁止行為に該当し、過料に処することがあると警告する看板を設置したが、反対派の抗議を受け、同2023年5月に撤去した。
基地反対の言動なら何でも許されるという沖縄の雰囲気は、最高裁判決の無視と共に
「オール沖縄」
県政下における法治、モラルの崩壊を示しているのではないか。

事故現場の「証拠」映像、沖縄県議会で玉城知事支持派が閲覧拒否 辺野古抗議事故
動画
2024/10/17 18:00
https://www.sankei.com/article/20241017-HVMQQ74AJRLYFOPVQKDO356KQU/
※産経新聞が入手した事故現場の映像。プライバシー保護のため一部加工しています
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故を巡り、現場の安全対策を検討している沖縄県議会の土木環境委員会で、玉城デニー知事を支持する県政与党会派が事故当時の状況を捉えたカメラ映像の閲覧を拒否したことが明らかになった。
保守系の県議からは
「県民の不信を招きかねない」
との声が上がっている。
事故は2024年6月28日、辺野古移設工事に使う土砂を搬出する名護市安和(あわ)の桟橋前の路上で発生。
桟橋から左折して国道に出ようとしたダンプカーが、同市の男性警備員=当時(47)=と抗議活動中の70代の女性に衝突。
警備員は死亡し、女性は重傷を負った。
産経新聞が政府関係者から入手した映像には、別の抗議者に対応していた警備員の後方から足早に近づいてきた女性が、国道に向かって徐行するダンプカーの前に出る様子が映っていた。
ダンプカーの前に出た女性を後ろから抱えるようにして庇い、守る警備員。
この後、2人はダンプに巻き込まれる
議会事務局によると、カメラ映像は2024年10月11日午後、土木環境委員会で非公開で閲覧された。
閲覧した委員によると、産経新聞が入手した映像と同様とみられる。
ただ12人の委員のうち玉城知事を支持する県政与党会派の委員が閲覧を拒否して退席。
残る7人で閲覧した。
閲覧した県議は2024年10月17日、産経新聞の取材に応じ
「誰がどう見ても動いているダンプカーの前に女性が行っており、危険な行為に感じた」
「今後はこうした抗議の在り方も見直すべきだ」
と話し、
「事実関係を調査するための映像をなぜ見ないのか」
などと疑問視した。

「島耕作」は大騒ぎ、警備員死亡は…何かおかしい沖縄反基地運動 産経新聞・大竹直樹
「正論」1月号
2024/12/14 12:00
https://www.sankei.com/article/20241214-W7UHONVFTBECFBSQKGFTDMYESI/?outputType=theme_monthly-seiron
「ないちゃー」(本土出身者)

「うちなー」(沖縄)
を語るのは難しい。
千言万語を費やしたとしても誤解や反発を招く恐れは否定できないからだ。
2024年10月、講談社の漫画誌「モーニング」の2024年46号(2024年10月17日発売)に掲載された
「社外取締役 島耕作」
が沖縄の地元2紙の紙面を連日賑わせた。
辺野古移設の抗議活動をしている人が
「日当」
で雇われているかのような描写があったためだ。
同誌編集部によると、作者の弘兼憲史氏と担当編集者が沖縄へ赴き、
「『新基地』建設反対派のアルバイトがある」
という話を複数の県民から聞いたが、
「当事者からは確認の取れていない伝聞だった」
という。
沖縄タイムス(2024年10月22日付)によれば、市民約80人が講談社(東京都文京区)の前に集まり、
「デマを撤回しろ」
「沖縄の人たちに謝罪して」
などと声を上げたという。
弘兼氏は編集部と連名で
「ご心痛を与えた皆さまにおわび申し上げる」
と謝罪。
これは共同通信と時事通信が全国に配信し、全国紙やテレビ各局も報じた。
この件については、玉城デニー知事を支持する
「オール沖縄会議」
の幹部は
「労働組合の専従職員が交通費の実費は受け取り、辺野古に応援に行くことはあるだろうが、日当を受けている人はいない」
「なぜ根も葉もない話が出てきたのか」
と疑問視。
沖縄平和運動センターの関係者も
「フェイクだ」
と憤っていた。
米軍基地に関わる問題で
「うちなーんちゅ」(沖縄の人)
の反応は、沖縄が歩んできた歴史と密接に関係しており、
「ないちゃー」
である筆者としては軽々な論評は避けたい。
だが、この
「日当」
に関する1件ではなく、移設工事に関連して発生した交通死亡事故を巡る問題については、
「明らかにおかしい」
と指摘しなければなるまい。
具体的には米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の辺野古移設反対を訴え、抗議活動をしていた女性を制止した男性警備員が、ダンプカーに巻き込まれ死亡した事故を巡る一連の出来事である。
事故後も抗議活動を続ける
「市民団体」(呼称について異論があるのは承知している)
の主張や玉城デニー県政の対応、そして革新寄りの論調が目立つ地元メディアの報道姿勢には率直に言って憤りを覚える。
それは恐らく筆者のみではない。
SNSの発達などでこれまでは県外には伝わりづらかったことも全国に広まり、
「不都合な真実」
も白日の下に晒され、批判を受けやすくなった。
産経新聞は先の事故を巡って、事故直前の防犯カメラ映像を入手し、2024年10月10日に特報した。
報道の反響は大きく、記事を紹介するX(旧ツイッター)のインプレッション(閲覧数)は1000万を優に超え、
「辺野古抗議活動制止警備員死亡」
というワードがトレンド入りした。
「市民団体」
や玉城氏、そしてメディアなどに、様々な意見、感想が投稿されている。
その多くは否定的なものだ。
この1件は、退潮傾向の続く
「オール沖縄」
勢力にとって、歴史的なターニングポイント(転換点)になり、終焉に向かう序章となるのではないか、と思っている。
■「報道しない自由」
「報道しない自由」
というネットスラングがある。
「報道の自由」
を掲げるマスコミが、報道内容を恣意的に選別し、国民に知らせないことも自由になってしまうことの危険性を示していると解されている。
ネットメディアやユーザーにとっては人口に膾炙している言葉だ。新聞やテレビが
「マスゴミ」
と揶揄され、批判や嘲笑の対象になるようになった一因には、この
「報道しない自由」
が存在しているという印象の流通、定着があるだろう。
そして、SNS上などでは、この
「自由」
が、辺野古移設工事を巡るダンプ事故でも行使≠ウれていたと語られている。
改めて経緯を振り返りたい。
事故は2024年6月月28日、辺野古移設工事に使う土砂を搬出する名護市安和の桟橋前の路上で発生した。
辺野古「新基地」反対運動に参加していた70代の女性が、抗議活動中に警備員と共にダンプカーに巻き込まれ、警備員は死亡、女性も重傷を負った。
事故後、
「牛歩戦術」
による抗議活動をしてきた市民団体側は、女性は道路に飛び出したわけではないとの姿勢を崩さなかった。
「オール沖縄会議」
も、事故原因は防衛省沖縄防衛局が辺野古
「新基地」
建設工事を急がせるために業者に無理を強いたことにある、と断じた。
地元メディアのカメラの前で、伊藤晋哉・沖縄防衛局長に向かって
「あなたは沖縄県民を1人殺してしまった責任者だ」
となじる幹部までいた。
もちろん、事故発生の一報は全メディアが報じている。
しかし、事故原因を沖縄県警が捜査する中、2報以降の展開は異なる。
産経新聞は断続的に
「牛歩による妨害≠ヘなぜ取り締まれないのか」
「『市民』側の抗議手法に問題はなかったのか」
などと報じた。
一方で、真逆の立場の報道もある。
例えば地元2紙は、抗議者が出入口の片道で牛歩をしたら、ダンプカーが一台出入りするという
「暗黙のルール」
があったが、2台続けての危険な
「2台出し」
が行われていたと指摘。
危険な誘導が頻発し、ダンプカーの運転手からも
「いつかは事故が起きる」
と懸念の声が上がっているなどと報じた。
琉球新報には、重傷を負った女性が
「フェニックス(不死鳥)さん」
と呼ばれていると紹介した上で、
「女性が手術前に残した『骨は折れても心は折れない』の言葉に奮い立った市民が目立つ」
との記事も掲載された。
関係者によると、亡くなった警備員には高校生の娘がいたという。
記事には警備員を悼む言葉はなく、遺族の気持ちは察するに余りある。
実際、警備員の妻は
「今迄で一番憤りを感じる記事だった」
とし、
「(女性の)妨害行為が問題ないことにされ、家族の死がなかったことのように扱われた」
「本当に本当に許せないし、とても辛い」
と心を痛めたとされる。
産経新聞の報道は他のメディアと一線を画するわけだが、あくまで、例えば政府関係者から入手した
「映像」
をはじめ、ファクトに基づいている。
映像には、別の抗議者に対応していた警備員の後方から足早に近付いて来た女性が、国道に向かって徐行するダンプカーの前に出る様子が映っていた。
警備員は女性を制止しようと、ダンプカーと女性の間に割って入る形となり、そのままダンプカーの左前面に衝突した。
関係者は
「明らかに女性は警備員の制止を無視して飛び出している」
と証言した。
産経新聞が報じた内容と同様のものとみられる映像は2024年10月11日、現場の安全対策を検討している沖縄県議会の土木環境委員会でも視聴された。
しかし、12人の委員のうち玉城知事を支持するオール沖縄勢力の県政与党会派の委員5人は閲覧を拒否して退席した。
重傷を負った女性の代理人からあった閲覧中止を求める申し入れについて十分協議しておらず、
「委員会で確認する妥当性や人権感覚、倫理観、責任問題にも関わる」
というのが主な理由であった。
「事実関係を調査するための映像をなぜ見ないのか」(保守系県議)
との声もあったが、まさか映像という動かぬ証拠に背を向けるとは思わなかった。
事故現場で牛歩による抗議活動をしてきた市民団体のメンバーによると、重傷を負った女性は
「敢えて飛び出したわけではない」
と説明。
この市民団体と連携する
「オール沖縄会議」
は2024年7月、2人がダンプカーに巻き込まれたのは
「車両乗入部」
と呼ばれる歩道部分で、
「あくまでも歩行者の通行が優先される場所」
だったと主張する資料を公表していた。
閲覧を拒否した5人は、委員長への不信任動議まで提出。
議会事務局によると、県議会で常任委員長に対する不信任案が提出された記録は過去になく、県政史上でも異例の出来事だった。
オール沖縄側の
「主張」
が揺らぎかねない
「不都合な真実」
が露見することを恐れているかのようでもある。
「沖縄における報道の潮目を変える記事だ」
ある地元メディアの記者からはメールでこんな感想もいただいたが、その後も事故映像の内容を詳しく報じるメディアはない。
「背景まで探る報道姿勢」
産経新聞の報道によって多くの人が目にしたであろう映像を、
「私は見ていない」
と言って憚らない人がいる。
玉城知事だ。
それだけではない。
2024年10月31日の定例記者会見では産経新聞を念頭に
「捜査中の証拠になり得るものは、報道を差し控えるべきではないか」
と述べたのだ。
テレビのニュースなどでよく見かける交通事故のドライブレコーダー映像や、防犯カメラ映像も
「捜査中の証拠になり得るもの」
なのだが、玉城氏によれば
「報道を差し控えるべき」
らしい。
加えて、
「映像が(報道機関に)提供されたことは由々しき問題だ」
という看過し難い発言もあった。
この発言は、映像提供者にとっては
「圧力」
以外の何ものでもなく、民主主義の根幹を成す
「報道の自由」
をも侵害しかねない。
ウェブサイト
「産経ニュース」
で知事の発言を速報したところ、SNSでは
「報道の自由に対する権力側からの圧力」
「言論統制」
といった反応が相次いだ。
だが、玉城知事の
「由々しき」
発言を報じたメディアは結局、産経以外にはなかった。
一方で、2024年11月になって強制わいせつ容疑で書類送検された沖縄県南城市の古謝景春市長が記者会見で琉球新報記者の質問に
「あの人には答えない」
と回答を拒否し、6分で会見を打ち切った際には、沖縄県マスコミ労働組合協議会や新聞労連沖縄地連、民放労連沖縄地連などが連名で市長に抗議文を出している。
もとより、報道各社のニュースバリュー(報道価値)判断基準はまちまちであると理解しているものの、彼此の対応の差を前に、さすがに
「報道しない自由」
という言葉が頭をよぎった。
とはいえ、必ずしも黙殺≠ウれているわけではない。
沖縄タイムスのコラム
「記者の眼」(2024年11月11日付5面)
では産経新聞が報じた映像についての言及があった。
「全国紙1紙が2024年10月、事故直前を捉えた防犯カメラ映像をウェブ記事で配信した」
とした上で、こう続く。
「(筆者注・産経の)記事が、攻撃や誹謗中傷の材料に使われている」
「僅か6秒の映像だけでは、分からない」
「県民は30年近く、国の強権に晒されてきた」
「権力監視の視点こそ、ジャーナリズムが決して失ってはならないもののはずだ」
ちなみに、記事は産経新聞の紙面にも掲載されているが、それはひとまず置いておこう。
このコラムを執筆した記者に言わせれば筆者は
「権力監視の視点に欠ける」
のかもしれないが、沖縄県政や、その長である玉城氏という
「権力」
にも、厳しい視点を持っていると自負している。
実際、今回の事故では、明らかな行政の不作為があったと考えざるを得ないし、筆者はその追及を続けている。
事故現場の国道では以前から牛歩による抗議活動が行われてきた。
港湾を利用する事業者側は令和4年12月以降、県に対して
「抗議者が事故に巻き込まれないようガードレールを設置してほしい」
と何度も要請。
ガードパイプの費用負担まで申し出たが、県はいずれも
「歩行者の横断を制限することになる」
として認めてこなかった。
ガードレールなりパイプなりが設置されていれば、事故は防げた可能性もある。
しかし、現実に2人が死傷する事故が発生しても尚、対策は手つかずだ。
一方、事故現場からほど近い本部港塩川地区に設置されていた工事車両の往来を妨害する行為への警告を記した看板は、抗議活動を行う数十人が県庁に押しかけて要請し、設置から約2カ月半で撤去されており、本来優先すべき安全を蔑ろにした沖縄県の責任は問われなければなるまい。
先に引いた琉球新報のコラムは
「表面だけではなく背景まで探る報道姿勢で、この問題に向き合っていきたい」
と結んでいる。
けだしその通りだと思う。
地元紙として盤石な態勢を築かれている琉球新報から見れば、那覇支局の所属記者が筆者1人しかいない産経新聞は
「表面だけ」
の取材に映るかもしれない。
しかし、1次情報を発信する報道機関の末席に名を連ねる身として
「背景まで探る報道姿勢」
は持ち続けていることを、ご理解頂きたいものだ。
また、今回の事故に関する取材を重ねる中で、辺野古移設反対を唱える
「市民団体」
が世論喚起を目的に自己の活動を正当化する余り沖縄の抱える問題に共感する人の心を離れさせはしないか、という筆者の懸念も共有させて頂きたい。
実際、
「市民団体」
の振る舞いには疑問を感じることが多々ある。
■どちらが「でっち上げ」?
「産経新聞はでっち上げ!」
2024年7月22日、筆者が事故現場を訪れると、サングラスをした女性が拡声器でこう叫んでいた。
何がでっち上げなのかと問うと
「産経新聞は『車道に飛び出した市民』(と書いた)」
「ここが間違い」
「でたらめ」
という。
だが、この時点で産経新聞は女性が
「飛び出した」
とは書いていない。
この時点でそこまで踏み込めるファクトは持ち合わせていないからだ。
過去記事を検索し、検証して頂いても構わない。
産経新聞が
「抗議者の女性がダンプカーの前に飛び出した可能性が高まった」
と報じたのは、カメラ映像の内容が明らかになった2024年10月10日からである。
「産経新聞は『飛び出した』と書いていましたか」
と尋ねた筆者に、この女性は
「と、思います」
と答えた。
思わず、
「『思う』で、でっち上げといわれたら困ります」
と色を作してしまった。
「でっち上げ」
と言えば、事故現場では2024年10月22日朝、特定の防衛省沖縄防衛局職員のイニシャルと顔写真を載せ
「罪をねつ造、でっち上げた防衛局職員」
などと批判する横断幕も掲げられていた。
この場所では2024年9月26日、沖縄防衛局職員が抗議活動中の70代男性=暴行容疑で現行犯逮捕後、処分保留で釈放=から胸を両手で押され転倒させられる事件が起きていた。
顔写真とイニシャルを横断幕で晒された防衛局職員は事件の被害者だった。
この職員の顔写真には矢印が付けられ、
「この男、行く末が見えている」
と批判。
「許されない!」
といった文言も記載されていた。
県警は横断幕を設置した県内の男性から任意提出を受け、名誉毀損容疑で捜査しているが、この1件も、産経新聞以外はどこも報じていない。
たとえ仮に冤罪だとしても、顔写真を載せて批判するのは単なる個人攻撃だろう。
2024年11月14日には市民団体
「沖縄平和市民連絡会」
のメンバーが県庁を訪れ、
「特定の事業者・警備員が公道を封鎖し、歩行者の通行を阻止することなど許されるはずはない」
として土木建築部長と面談し、事故現場にガードレールや車止めポールを設置しないよう求めた。
繰り返し指摘するが、現場では人命が失われているのだ。
こうした
「市民団体」

「命どぅ宝(命こそ宝)」
をスローガンに活動しているが、空虚に響く。
これを報じた産経ニュース記事を転載したヤフーニュースには約770件のコメントが寄せられた。
「他人の命よりも自分の主張が優先されるのか」
「再発防止のための設備の設置を要求するのが『市民団体』のあるべき姿だと思う」
といった声だ。
今回の事故に関して言えば、少なくとも、オール沖縄に理解を示す革新寄りの既存メディアの論調と
「ネット世論」
は乖離がある。
ネットユーザーの多くが
「市民団体」
の主張や左派メディアの報道に否定的と言える。
事故映像を見ようとしない玉城知事や県政与党会派議員も含め、その底意は見透かされていると言わざるを得ない。
事故後の一連の出来事が、退潮傾向の続く
「オール沖縄」
勢力にとって、大きなターニングポイントになると考えるのは、こうした事情からだ。
■世間との乖離を自覚せよ
「イデオロギーよりアイデンティティー」
をスローガンに辺野古移設を訴え、今に続く
「オール沖縄」
勢力の土台を築いたのは保守派の重鎮だった翁長雄志氏だった。
10年前の平成26年の県知事選に出馬する際、辺野古問題以外は
「腹八分、腹六分」
(で折り合う)と提唱し、保革を超えて結集させた。
しかし近年は共産主導の革新色が強まっている。
有力メンバーだった保守系議員や財界人が離脱するなど求心力が低下したオール沖縄勢力は今年2024年6月の県議選で大敗し、県議会過半数を失った。
2024年9月の宜野湾市長選でも、米軍普天間飛行場(同市)の辺野古移設に反対したオール沖縄勢力側の候補が落選した。
昭和47年の本土復帰後、沖縄では革新勢力が教育界や言論界で強い影響力を及ぼしてきた。
本土復帰の象徴だった日の丸すら、戦争のエンブレムであるが如くタブー視され、自衛隊にも
「戦場にするな」
「軍拡やめろ」
との批判が渦巻く。
繰り返すが、沖縄の歴史と結び付くそうした声について、
「うちなー」
でない筆者は軽々には論評しない。
しかし、今回の事故に関しては別だ。
亡くなった警備員を悼み、死角の多いダンプカーの真ん前を横断する危険な抗議手法は改めるべきだ。
衷心からこう提言したい。
世間との乖離を自覚して頂きたい、と。
さもなくば、オール沖縄勢力は歴史的な役割を終え、それこそ単なる
「選挙互助会」(れいわ新選組、山本太郎代表)
に落ちぶれてしまうだろう。
沖縄では
「ほどほどに、いい加減に」
といった意味で、
「大概」
と言う。
物事を突き詰めて考えない大らかな県民性は
「てーげー気質」
とも形容されるが、いよいよこのままでは足下から
「大概にしろ」
との声が上がってこよう。
(産経新聞那覇支局長)

沖縄の「報道しない自由」 悲惨な事故はなぜ起きたか
風を読む 論説副委員長・川瀬弘至
2024/12/7 10:00
https://www.sankei.com/article/20241207-SAFOMN4Z2ZMO5PRBXA7IXGL7XU/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事で、悲惨な死傷事故により半年近くも中断していた同県本部港からの土砂搬出作業が、2024年12月2日にようやく再開した。
同港近くの路上では数年前から、反対派の活動家らが土砂運搬のダンプカーの前をゆっくり歩いて妨害する抗議活動が行われていた。
しかし2024年6月28日、抗議活動の女性と警備員がダンプカーに巻き込まれ、警備員が死亡、女性も重傷を負った。
この事故については、一般の沖縄県民よりも本紙読者の方がよく知っているのではないか。
事故原因に繋がる肝心な情報を、沖縄のメディアがほとんど報じないからだ。
一連の問題を巡る地元紙などの報道姿勢と、玉城デニー知事や「オール沖縄」勢力の奇妙な対応については、現在発売中の月刊『正論』2025年1月号で産経新聞の大竹直樹那覇支局長が詳細にリポートしているのでぜひ読んでほしい。
リポートによると、地元紙も事故については報じたが、女性が道路に飛び出したわけではないと主張する反基地団体や、防衛省が工事を急がせたからだと批判するオール沖縄勢力に寄った論調が多く、女性を英雄視するかのような報道もあった。
こうした中、本紙が2024年10月10日に報じた防犯カメラ映像が、大きな反響を呼んだ。
そこには、警備員の後方から足早に近付いて来た女性がダンプカーの前に出て、制止しようとした警備員が女性とダンプカーの間に割って入る形となり、そのままひかれてしまう様子が映っていた。
事故を防衛省の責任にしたい勢力には、
「不都合な映像」
と言えよう。
映像は、安全対策などを審議する県議会土木環境委員会でも視聴されたが、オール沖縄勢力の委員は閲覧を拒否した。
玉城氏も見ようとしなかった。
それどころか会見で
「映像が(報道機関に)提供されたことは由々しき問題だ」
と批判した。
事故原因に関わる映像を調べずに、どうやって安全対策を講じるつもりなのか。
だが、本紙以外のメディアが報じないため、多くの県民は映像も、玉城氏の
「由々しき」
発言も知らない。
土砂搬出作業が再開した本部港の現場近くでは、牛歩による危険な抗議活動が続いている。
沖縄の
「報道しない自由」
が、再び悲惨な事故を招かぬことを、祈るしかない。

「無謀な『2台出し』やめるべき」 辺野古警備員死亡で沖縄・玉城知事が防衛局に不快感
2024/11/28 14:07
https://www.sankei.com/article/20241128-67XTBT2YQNIMHDTANYOCJE3GO4/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故で、玉城デニー知事は2024年11月28日の定例記者会見で
「現場で(ダンプカーが連続して出る)『2台出し』のような無謀なことはやめるべきだ」
と述べた。
玉城知事を支持する
「オール沖縄会議」
は2024年7月、事故の背景について、
「2台出し」
や抗議者が渡り終えていないうちに見切り発車でダンプカーを出す危険な状態があったと指摘していた。
事故を巡っては、防衛省沖縄防衛局が県に対する要請文で
「事故は民間事業者の作業を妨害する者による行動に起因したもの」
と断じ、事故から約5カ月経過した今も、県は何ら安全対策が講じられていないとして
「不誠実な対応に終始している」
と批判していた。
防衛局によると、2024年9月以降、現場の安全対策について県の担当者と打ち合わせをしてきたが、県側から具体的な提案は全くなく、
「形式的に場を設けているだけで、安全対策のための実質的な協議になっていない」(防衛局)
という。
これに対し、玉城知事は協議中に防衛局が要請文を出したことに、
「防衛局(の方)が協議にしっかりと対応していないのではないか」
「そう言わざるを得ない」
と不快感を露わにした。
事故現場では、事業者側が以前からガードレールの設置を何度も要請していたが、県は
「歩行者の横断を制限することになる」
と認めなかった。
一方、市民団体は
「特定の事業者・警備員が公道を封鎖し、歩行者の通行を阻止することなど許されるはずはない」
として、ガードレールや車止めポールなどの設置を認めないよう求めていた。
玉城知事は会見で
「歩行者の通行を妨げるガードパイプの設置ではなく、車止め(ポールなど)の設置は検討可能」
との認識を示し、調整を進めているとした。
事故現場では現在、警備員がオレンジ色のネットを広げて抗議者がダンプカーの前に出ないようにしているが、ガードレール設置などの安全対策は講じられていない。
悲劇を繰り返さないために、少なくとも、死角の多いダンプカーの真ん前を横断する危険な抗議手法は改める必要がある。

「私たちは正当な抗議」座り込みでダンプの進路阻む 沖縄・宮城島、土砂搬出開始1週間
2024/11/27 17:15
https://www.sankei.com/article/20241127-YN5HBZIUZ5J37JPMOQE3J33WJM/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設工事で使う土砂を搬出する宮城島(同県うるま市)で2024年11月27日、反対派がダンプカーの前で座り込み、進路を阻んで抗議活動を行った。
県警の機動隊員らが座り込みを続ける人を持ち上げ、歩道の安全な場所まで移動させる一幕もあった。
宮城島では2024年11月20日から土砂の搬出が始まり、2024年11月27日で1週間が経過。
土砂を運ぶダンプカーが出入りするゲート前には
「宮城島の土で基地、造らせない!」
と書かれた横断幕が掲げられ、拡声器で
「ダンプによって宮城島の農道、生活道路が破壊される」
などと訴える声が繰り返し響いていた。
警戒に当たる機動隊員らは
「座り込んだり、立ち塞がったりする行為は道路交通法違反となる」
「低速での歩行や繰り返しの横断については業務妨害(罪)に該当することがある」
と再三に渡り警告。
これに対し、土砂搬出に抗議する人らは
「私たちは正当な抗議です」
と反論し、
「土砂搬入反対」
とシュプレヒコールを上げた。
この日は、牛歩による抗議をしていた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した名護市安和の事故現場で普段抗議活動をしている人の姿も見られた。
辺野古移設工事で使う土砂搬出を巡り、宮城島でも抗議活動が本格化していることが窺える。

ガードレールは抗議者が事故に巻き込まれないよう安全のために設置するものだ。
市民団体と称する反日左翼活動家が事故が起きやすい無茶で危険な抗議活動を行うから事故が起きるのだ。
車道を歩いていけないのは常識中の常識だ。
市民団体と称する反日左翼活動家がいくら屁理屈を言っても心ある人には通じない。
市民団体と称する反日左翼活動家が100%悪い。

警備員死亡の事故現場に「ガードレール設置しないで」 市民団体が沖縄・玉城知事に要請
2024/11/14 17:28
https://www.sankei.com/article/20241114-TVQKJASA5BLJRK73BQYNABNA7U/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故を巡り、市民団体
「沖縄平和市民連絡会」
のメンバー9人が2024年11月14日、県庁で県の幹部職員と面談した。
市民団体が玉城デニー知事宛てに提出した要請書は
「ガードレールを設置して抗議する市民を排除しても、ダンプトラックの走行が増えれば、交通事故は更に増加する」
と指摘。
「特定の事業者・警備員が公道を封鎖し、歩行者の通行を阻止することなど許されるはずはない」
として、ガードレールや車止めポールなどの設置を認めないよう県に求めている。
事故現場となった名護市安和桟橋付近の国道では以前から牛歩による抗議活動が行われてきた。
港湾を利用する事業者側は令和4年12月以降、県に対して
「抗議者が事故に巻き込まれないようガードレールを設置してほしい」
と何度も要請。
費用を負担するのでガードパイプを設置させてほしいと訴えたが、県はいずれも
「歩行者の横断を制限することになる」
として認めてこなかった。
この日、県庁で応対した県土木建築部の前川智宏部長はガードレールについて
「道路管理者として設置は適切ではないと考えている」
と述べた。
事故現場では現在、警備員がオレンジ色のネットを広げて抗議者がダンプカーの前に出ないようにしている。
市民団体のメンバーからは
「車道を歩くしかない」
「警察官には『車道を歩くな』と言われる」
「おかしいではないか」
「独裁国家だ」
「歩道を完全に止めて封鎖するようなことが許されるのか」
などといった声が上がった。
安和桟橋付近で平成30年以降に発生した交通事故の件数を尋ねられた前川部長が答えに窮していると、市民団体のメンバーから
「何でそんな大事なこと、答えられないの」
と詰め寄られる場面もあった。
市民団体によると、交通事故は30件以上発生しているという。
面談は約45分にも及んだ。

玉城知事の「由々しき」発言でよみがえる尖閣中国漁船衝突事件 辺野古抗議制止警備員死亡
【沖縄考】(50) 那覇支局長・大竹直樹
2024/11/13 9:00
https://www.sankei.com/article/20241113-5TZS3QJ6YJORRGKKEFJSMCVR54/
誤解を恐れずに言えば、沖縄県知事を務める玉城デニーさんは誠実な人だと思っている。
記者会見では質問の論点をはぐらかし、回答になっていないことも多々あるが、批判的な質問をぶつける筆者にも丁寧に答える。
インタビュー取材で撮影した知事の写真をプリントして差し上げたら、わざわざ駆け寄ってきて笑顔でお礼を伝えてくるような人だ。
これはあくまで、玉城デニーさんの人柄の話である。
知事として誠実かといえば、どうであろう。
とりわけ、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設工事現場前で今年2024年6月、工事車両を誘導していた男性警備員が、移設の抗議活動を行っていた女性を制止して現場から出てきたダンプカーに巻き込まれて死亡、女性も骨を折る重傷を負った事故。
この件の対応では誠実さが感じられないのだ。
産経新聞は2024年10月10日、事故当時の状況を伝えるカメラ映像を入手し、徐行するダンプカーに足早に近づく女性と、女性をかばうように制止しようとする警備員の姿が映っていたと報じた。
記事を紹介するX(旧ツイッター)の閲覧数(インプレッション)は1000万を超え、交流サイト(SNS)でも話題になった。
だが、玉城知事は2024年10月31日の定例記者会見で
「捜査中の証拠になり得るものは、報道を差し控えるべきではないか」
と批判。
「映像が(報道機関に)提供されたことは由々しき問題だ」
と発言した。
この報道に問題があるなら、テレビのニュースでよく流れる事故当時のドライブレコーダー映像や犯行をとらえた防犯カメラ映像も報じることができなくなるのだが、はて…。
発言の真意は測りかねるが、ともすれば報道の自由を侵害しかねず、正直言って驚いた。
■客観的証拠に背を向ける知事派県議
玉城知事の
「由々しき問題」
発言で、忌々しい記憶が蘇った。
尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖で平成22年9月に発生した中国漁船衝突事件である。
検察担当だった筆者は当時、日夜、取材に明け暮れた。
当時の民主党政権は刑事訴訟法上の証拠に当たることを理由に海上保安庁が撮影した衝突映像の公開を拒み、映像をひた隠しにした。
義憤に駆られた海上保安官(当時)が匿名で映像を動画サイトに流出させたが、この時、当時の仙谷由人官房長官はこれを
「由々しき事案」
と指弾した。
流出した映像によって中国漁船の無法ぶりが世間の知るところとなり、日本側に全く非がないことが証明された。
この事件は中国側が強硬姿勢を示し、邦人4人がスパイ容疑で拘束されたことで民主党政権(当時)は狼狽えた。
「あらゆる外交ルートも遮断」(検察首脳)
され、検察当局は、一旦は逮捕した船長を公務執行妨害罪で起訴する方針を固めながら、
「日中関係を考慮」(那覇地検)
して釈放した。
検察が法以外の判断で処分を変えた。
これこそ
「由々しき事案」
と思うが、為政者にとっては映像の流出の方が問題だったらしい。
閑話休題。
玉城知事が
「由々しき問題」
と指摘した事故当時の映像は2024年10月11日、現場の安全対策を検討する沖縄県議会の土木環境委員会でも閲覧された。
しかし、玉城知事を支持する県政与党会派の議員は閲覧を拒否して退席した。
映像を見た県の前川智宏土木建築部長も
「事故の状況を客観的に捉えたもの」
と評価しているのに、客観的証拠に背を向けたのだ。
玉城知事も同様だ。
産経の報道で多くが目にした映像を、
「私は見ていない」
と言って憚らない。
■安全対策にイデオロギーは関係ない
見ていないのではない。
見ようとしていないのだ。
それは、玉城知事を支持する
「オール沖縄」
などの主張と異なる
「事実」
がそこにあるからなのか。
敢えて言えば、
「不都合な真実」
と置き換えてもいい。
そう勘繰りたくもなる誠意を欠く対応ではないか。
亡くなった警備員の妻は
「妨害行為が問題ないことにされ、家族の死がなかったことのように扱われた」
と心を痛めている。
「妨害行為」
とは、抗議活動中にダンプカーに巻き込まれ、重傷を負った女性の行動を指したものとみられる。
映像では、動き出したダンプカーの前にこの女性が飛び出しているように見える。
事故現場では
「産経新聞はでっち上げ!」
などと拡声器で訴える人もいたが、是非映像という動かぬ証拠を直視してほしい。
事故現場では以前から抗議活動の危険性が指摘されていた。
港湾を利用する事業者側は、現場の国道を管理する沖縄県に
「抗議者が事故に巻き込まれないようガードレールを設置してほしい」
と何度も要請。
自ら費用を負担するとも申し出ていたが、県は
「歩行者の横断を制限することになる」
として認めなかった。
一方で、本部港塩川地区(本部町)に設置されていた工事車両の往来を妨害する行為への警告を記した看板は、抗議活動を行う数十人が県庁に押しかけて要請し、設置から約2カ月半で撤去された。
本来優先すべき安全を蔑ろにした行政の不作為は明らかだ。
地元メディアは、抗議者が道路を横断し終わると、警備員が1台ずつ安全を確認しながらダンプカーを誘導して工事現場から出していく
「暗黙のルール」
が破られ、2台続けての危険な
「2台出し」
が行われたと指摘しているが、事故原因は捜査中だ。
原因究明や現場の安全対策にイデオロギーは関係ない。
誠実な人柄が窺える玉城知事には、人命が失われた、この事故についても誠実な対応を望む。

<独自>「でっち上げ」辺野古抗議活動制止警備員死亡 事故現場で防衛局職員批判の横断幕
2024/11/11 12:24
https://www.sankei.com/article/20241111-QRF7XRECDFIBBCHHQPVKLLNFR4/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故現場で、特定の防衛省沖縄防衛局職員のイニシャルと顔写真を載せ
「罪をねつ造、でっち上げた」
などと批判する横断幕が掲げられていたことが2024年11月11日、捜査関係者への取材で分かった。
沖縄県警は名誉棄損容疑に当たる可能性もあるとみて捜査している。
捜査関係者らによると、横断幕は2024年10月22日午前7時頃に張り出された。
現場にいた警察官が横断幕に特定の個人の顔写真が載っていることを現認。
間もなく横断幕を設置した県内の男性から任意提出を受けた。
事故現場では2024年9月26日、沖縄防衛局の職員が抗議活動中の70代の男性=暴行容疑で逮捕後、処分保留で釈放=から胸を両手で押され転倒させられる事件が起きており、横断幕に顔写真とイニシャルが載っていた防衛局職員は、この暴行事件の被害者だったという。
横断幕には防衛局職員の顔写真に矢印が付けられ、
「罪をねつ造、でっち上げた防衛局職員」
「この男、行く末が見えている」
と批判。
「許されない!」
といった文言も記載されていた。
沖縄防衛局は産経新聞の取材に
「他人を誹謗中傷したり、職務遂行を妨害したりするような行為は、許されないものと考えている」
「そのような行為が職員に対して確認された場合には適切に対応していく」
としている。

<独自>辺野古抗議活動制止の警備員死亡 沖縄県警、事故現場で実況見分
2024/11/4 10:55
https://www.sankei.com/article/20241104-BOZB62JUIJKADMSH25GRFZ4EXI/
抗議活動中の女性を制止した警備員が死亡した事故現場で実況見分を行う捜査員=4日午前9時45分、沖縄県名護市(大竹直樹撮影)
https://www.sankei.com/article/20241104-BOZB62JUIJKADMSH25GRFZ4EXI/photo/VP4S5DQM3VOAJM5PRVO2PFNJHI/
事故現場で実況見分を行う捜査員=4日午前9時39分、沖縄県名護市(大竹直樹撮影)
https://www.sankei.com/article/20241104-BOZB62JUIJKADMSH25GRFZ4EXI/photo/GNZRGTZ6C5NMVE62BXTXK3WA7U/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故で、沖縄県警は2024年11月4日、事故現場の名護市安和(あわ)の桟橋前の路上で実況見分を行った。
午前9時半頃から始まり、捜査員らがダンプカーの位置や桟橋と国道を繋ぐ
「車両乗り入れ部」
の長さなどを入念に確認した。
事故は2024年6月28日、移設工事に使う土砂を搬出する桟橋前の路上で発生。
桟橋から左折して国道に出ようとしたダンプカーが、同市の男性警備員=当時(47)=と抗議活動中の70代の女性に衝突。
警備員は死亡し、女性は重傷を負った。
その後の調べで、現場付近に設置されたカメラに事故に至る状況が写っていたことが判明。
産経新聞は政府関係者からこの映像を入手した。
映像や関係者らによると、死亡した警備員は当初、重傷を負った女性とは別の抗議者に路上で対応。
警備員はこの抗議者を歩道に誘導したが、歩道後方から足早に近づいてきた女性が警備員と抗議者の間をすり抜け、徐行しながら国道に向かうダンプカーの前に出た。
警備員は女性を制止しようと、ダンプカーと女性の間に割って入る形となり、そのままダンプカーの左前面に衝突する様子が映像に残されていた。
沖縄県警はカメラ映像の解析を進め、事故に至る原因を調べている。

沖縄県が見解「現場は歩道とも車道とも言い切れない」辺野古抗議活動制止の警備員死亡事故
2024/11/1 18:02
https://www.sankei.com/article/20241101-J7MHVNVV3VMXJBUBPSBYSN3IXI/
警備員の足元に見える白線が国道の車道外側線にほぼつながっている=9月、沖縄県名護市(大竹直樹撮影)
https://www.sankei.com/article/20241101-J7MHVNVV3VMXJBUBPSBYSN3IXI/photo/HHSICWXH3BKJ3P7J3DJCEFTFDI/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故で、沖縄県は2024年11月1日、産経新聞の取材に対し、名護市安和の事故現場は
「歩道とも車道とも言い切れない」
との見解を明らかにした。
路側帯と車道を区画する
「車道外側線」
のように見える白線が6年前、事故現場付近に引かれていたことも新たに分かった。
現場は辺野古移設工事に使う土砂を搬出する安和港近くの桟橋と国道を繋ぐ車両乗り入れ部。
地元では
「乗り入れ部は歩行者を優先する『歩道』というのが県の認識だ」
との報道もあったが、県は
「道路管理者として、歩道とも車道とも言い切れない」
とした。
車両乗り入れ部は、縁石の一部を下げて段差を小さくした
「切り下げ」
と、車道の路面が連続している
「切り開き」
の2種類があり、現場は後者に該当するという。
男性警備員=当時(47)=と抗議活動中の70代の女性がダンプカーに巻き込まれた場所は、国道の車道外側線にほぼ繋がるように引かれた白線の内側だった。
県北部土木事務所によると、車道外側線は元々国道に沿って直線に引かれていたが、平成30年に車両乗り入れ部に向かって引き直された。
白線は国道の車道外側線とほぼ繋がっており、2人がダンプカーに巻き込まれた場所は一見すると車道のようにも見える。
ただ、車両乗り入れ部に引かれた白線が車道外側線を示すものかどうかは分かっていない。
県北部土木事務所は
「車両乗り入れ部を分かりやすくするため、平成30年に外側線を変更したものと考えている」
と説明した。
白線が引き直された経緯を調べているという。

沖縄県幹部「映像は事故状況を客観的にとらえたもの」 辺野古抗議活動での警備員死亡事故
2024/10/31 18:49
https://www.sankei.com/article/20241031-325WRUALFBMBDDWNBMSWBFBWBY/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故で、発生時の状況が映ったカメラ映像を視聴した沖縄県の前川智宏土木建築部長が2024年10月31日、
「映像は事故の状況を客観的に捉えたもの」
との認識を示した。
地元の名護市議会からガードレール設置などを求める意見書を受け取った際、市議らに明らかにした。
事故現場の名護市安和(あわ)の土砂搬出港付近では、市民団体のメンバーらがプラカードを持ってダンプカーの前をゆっくりと横断し、牛歩戦術で土砂の搬入を遅らせようとする抗議活動を展開。
港湾を利用する事業者側が
「抗議者が事故に巻き込まれないようガードレールを設置してほしい」
と何度も要請していたのに、県は
「歩行者の横断を制限することになる」
として認めなかった。
この日は名護市議会の金城(きんじょう)隆議長らが県庁を訪れ、玉城デニー沖縄県知事宛ての意見書を提出した。
意見書では
「度重なる要請を受けているのにもかかわらず、沖縄県は何の対策もしていない」
として
「県の対応は不十分」
と批判。
ガードレールの設置や、車両通行を妨げる行為をやめるように指導することなどを求めている。
これに対し、前川土木建築部長は
「歩行者の自由な通行を妨げるような構造物の設置は芳しくない」
との考えを強調。
「ちょっと言い訳がましくなるが、道路法ではゆっくり歩く人を規制する根拠がない」
と指摘し、
「道路は車いすの方など不特定多数の人が利用する」
「歩き方が遅いからといって規制や取り締まりはできない」
とした。
ガードレールの設置には否定的な見解を示す一方、ポールについては
「設置する可能性の余地はある」
と述べた。

沖縄・玉城知事「報道差し控えるべきだ」辺野古抗議活動で警備員死亡事故の映像報道を批判
2024/10/31 16:34
https://www.sankei.com/article/20241031-NXOQSGKJMVOYHB6UDCJ3HSJRZY/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故を巡り、沖縄県の玉城デニー知事は2024年10月31日、事故当時の状況を伝えるカメラ映像を伝えた産経新聞の報道に対し、
「捜査中の証拠になり得るものは、報道を差し控えるべきではないか」
と批判した。
産経新聞が今月2024年10月10日までに政府関係者から入手したカメラ映像には、徐行するダンプカーに足早に近づく抗議活動中の女性と、女性を庇うように制止しようとする警備員の姿が映っていた。
玉城氏は
「映像が(報道機関に)提供されたことは由々しき問題だ」
との認識を示し、報道で判明した事故当時の映像について
「私は見ていない」
と強調した。
記者から見ない理由を尋ねられた玉城氏は
「事故の詳細については現在、警察で捜査中であり、事故映像の報道に係る内容について見解を述べることは今の段階では差し控える」
と述べた。
事故当時の映像を巡っては、現場の安全対策を検討している沖縄県議会の土木環境委員会で、玉城氏を支持する県政与党会派の議員が
「映像の出所や内容も曖昧だ」
などと猛反発し、閲覧を拒否したことも明らかになっている。

「安和事故」映像は不都合な真実か 元朝日記者が沖縄で書いた記事を読んでみた
大手町の片隅から 乾正人
2024/10/18 10:00
https://www.sankei.com/article/20241018-AYHXQT6EEZJOBKYTFOHNJ4JMZQ/
事故のカメラ映像。走行するダンプカーの前に飛び出した女性を警備員が止めようとする姿が見える
大抵の作家は、初期作品に佳品が多い。
昭和の文豪・松本清張もそうで、彼が昭和32年に発表した
「地方紙を買う女」
は、繰り返しテレビや映画で映像化されてきた。
都内に住む心中を装った殺人事件の犯人が、地方紙を短期間購読したのを不審に思った作家が謎を解明していくという筋立てだ。
■「地方紙を買う男」の目
私も犯人ではないが、
「地方紙を買う男」
の1人である。
仕事柄、各地を旅することが多いが、駅に降り立つと必ず地方紙を買う。
小学校の運動会やコメの出来具合などご当地新聞しか報じない情報満載で重宝する。
最近は、有料のデジタル版で読める地方紙も増えており、いくつかは期間を決めて購読している。
沖縄の琉球新報もそのうちの1つだ。
視点が弊紙とは180度違うので、勉強になる。
2024年9月25日付の1面を飾った
「『心は折れない』言葉から勇気 新基地抗議の市民思い新た 安和事故 被害女性に寄せ書き」
という記事もそうだ。
琉球新報と沖縄タイムスの地元2紙が
「安和事故」
と名付けた事故は、2024年6月28日に米軍普天間飛行場の移設予定地である名護市辺野古に近い同市の安和桟橋前の道路で起きた。
辺野古
「新基地」
反対運動に参加していた72歳の女性が、抗議活動中に警備員と共にダンプカーに巻き込まれ、警備員は死亡、女性も重傷を負った。
同記事は、彼女が
「フェニックス(不死鳥)さん」
と呼ばれていると紹介。
「女性が手術前に残した『骨は折れても心は折れない』の言葉に奮い立った市民が目立つ」
と断定し、
「新基地断念まで小さな力を結集させたい」
「再び戦場にさせない」
といった彼女への寄せ書きをいくつも書き連ねている。
明治の昔、自由民権運動の先頭に立っていた板垣退助が暴漢に刺され、
「板垣死すとも自由は死せず」
と語った逸話を思い起こす。
何よりビックリしたのは、1面の記事の中に亡くなった警備員を悼む言葉が一言もなかったことだ。
記事を書いた南彰記者は、新聞労連委員長を務めた元朝日新聞の記者で、琉球新報に移籍した有名人である。
■映像の中身報じぬ沖縄2紙
思い切った記事だと感心していたら、小紙の記者が、現場付近に設置されていたカメラ映像を入手し、2024年10月10日に報じた。
映像では、制止を無視して飛び出した女性を警備員が庇ってダンプカーに巻き込まれたように見える。
この映像は、翌日開かれた県議会土木環境委員会で閲覧されたが、玉城デニー知事を支える
「オール沖縄」
系議員は、
「映像の出所や内容も曖昧だ」
などと猛反発。
閲覧を拒否した上に委員長への不信任動議まで提出した(結果は否決)。
議会事務局によると、県議会で常任委員長に対する不信任案が提出された記録は過去にないというから、与党のお怒りは相当なものだ。
しかも沖縄2紙やNHKは揃って映像の中身を詳しく報じていない。
これでは、なぜ県議会が大騒ぎしているのか読者にはさっぱり分からない。
やはり映像は、基地反対派にとって
「不都合な真実」
だったのか。
沖縄2紙もNHKも知る権利や人権擁護に熱心なはずだが、はて。
警備員には人権はないのだろうか。(コラムニスト)

辺野古抗議事故 動かぬ「証拠」露見懸念か 与党会派、異例の委員長不信任案動議
2024/10/17 21:13
https://www.sankei.com/article/20241017-BFW2WGBYWBPJVDO7WH7M2APSWY/
※産経新聞が入手した事故現場の映像。プライバシー保護のため一部加工しています
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故を巡り、沖縄県議会の土木環境委員会で、玉城デニー知事を支持する県政与党会派が事故当時の状況を捉えたカメラ映像の閲覧を拒否していることが明らかになった。
映像は、真相究明と現場の安全対策を講じる上で重要な資料となるはずで、閲覧を拒否したことは、極めて疑問だと言わざるを得ない。
■「証拠」映像、玉城知事支持派が閲覧拒否
与党会派は2024年10月11日の沖縄県議会土木環境委員会で閲覧を拒否したが、その理由について、重傷を負った女性の代理人からあった閲覧中止を求める申し立てについて十分協議していない点を挙げた。
更に
「出所や内容も曖昧」
「委員会で確認する妥当性や人権感覚、倫理観、責任問題にも関わる」
などとし、閲覧は多数決で強行されたとも訴え、常任委員会では過去に例のない委員長への不信任案動議まで提出した。
事故を巡っては、抗議活動をする市民団体が、牛歩で抗議者が道路を横断し終わると、警備員がダンプカーに合図を送って1台出す
「暗黙のルール」
があったのに、2台続けてダンプカーを出すこともあったと主張。
辺野古移設を進める防衛省側を批判した。
市民団体と連携するオール沖縄会議の幹部が2024年8月、同省沖縄防衛局長に
「あなたは沖縄県民を1人殺してしまった責任者だ」
と罵る場面も見られた。
しかし、事故前の映像を見る限り、制止を無視して飛び出した女性を警備員がかばってダンプカーに巻き込まれたと見られる様子が確認できる。
あるいは、映像という動かぬ
「証拠」
によって、オール沖縄側の
「主張」
が揺らぎかねない不都合な事実が露見することを懸念したのか。
県政与党の閲覧拒否は、そう疑いたくもなる異例の対応だ。

<独自>辺野古抗議活動制止警備員死亡 事故映像を入手 11日に県議会で映像確認へ
2024/10/10 18:56
https://www.sankei.com/article/20241010-OGYWEUDQPZOIXPYAULZWOOPFDY/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故で、現場付近に設置されたカメラに事故に至る状況が映っていることが10日、明らかになった。
産経新聞が関係者からカメラ映像を入手し、確認した。
県議会は11日、土木環境委員会で委員がこの映像を閲覧する方針。
事故は6月28日、辺野古移設工事に使う土砂を搬出する名護市安和(あわ)の桟橋前の路上で起きた。
桟橋から左折して国道に出ようとしたダンプカーが、同市の男性警備員=当時(47)=と抗議活動中の70代の女性に衝突。
警備員は死亡し、女性は重傷を負った。
映像や関係者らによると、死亡した警備員は当初、重傷を負った女性とは別の抗議者に対し、路上で対応していた。
警備員は、この抗議者を歩道に誘導したが、歩道後方から足早に近づいてきた女性が警備員と抗議者の間をすり抜け、徐行しながら国道に向かうダンプカーの前に出る様子が映像に残されていた。
警備員は女性を制止しようと、ダンプカーと女性の間に割って入る形となり、そのままダンプカーの左前面に衝突。
10秒ほどの出来事だった。
関係者は
「明らかに女性は警備員の制止を無視して飛び出している」
「警備員は女性を庇うような形でダンプカーに巻き込まれた」
と証言した。
県警はカメラ映像の解析を進め、詳しい事故原因を調べている。
一方、事故現場で牛歩による抗議活動をしてきた市民団体のメンバーによると、重傷を負った女性は
「敢えて飛び出したわけではない」
と説明。
この市民団体と連携する「オール沖縄会議」は7月、2人がダンプカーに巻き込まれたのは
「車両乗入部」
と呼ばれる歩道部分で、
「あくまでも歩行者の通行が優先される場所」
だったと主張する資料を公表していた。

■遺族「精神的に辛い」
事故現場となった辺野古移設工事に使う土砂の搬出港周辺では、移設に反対する市民団体のメンバーらがダンプカーの前をゆっくりと横断して抗議する
「牛歩戦術」
が続けられてきた。
今回明らかになった映像によって、抗議者の女性がダンプカーの前に飛び出した可能性が高まった。
これまで抗議者側は、女性は飛び出したわけではないとの姿勢を崩さず、
「安全に配慮した抗議運動」
を尊重すべきだとも主張していた。
また、骨を折る重傷を負った女性が
「骨は折れても心は折れない」
との言葉を残し、
「市民」
らが勇気づけられたとする地元報道もある。
こうした状況に、警備員の遺族は
「今までで一番憤りを感じる記事だった」
「本当に本当に許せないし、とても辛い」
と心を痛めていたとされる。
今月4日の県議会の一般質問で、遺族の
「思い」
を読み上げた自民党の島袋大県議によると、警備員の妻は
「報道や交流サイト(SNS)では被害者(の女性)に非はなく、非があるのは強引な警備などではないかとの誹謗中傷がほとんど」
と振り返り、
「妨害行為が問題ないことにされ、家族の死がなかったことのように扱われた」
「精神的に辛く、心を痛めていた」
と伝えてきたという。
映像には、徐行するダンプカーに近づく女性と、女性を庇うように制止しようとする警備員の姿が映っており、抗議者側の
「主張」
は崩れつつある。

辺野古ダンプ事故現場の路上で防衛局職員に暴行、抗議活動の76歳男を逮捕 沖縄県警
2024/9/27 17:22
https://www.sankei.com/article/20240927-2MAP7Z24HRODTKPGQUDQCDMDSE/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が死亡する事故のあった現場付近で26日、防衛省沖縄防衛局の職員が抗議活動中の男から暴行を受ける事件があったことが分かった。
県警名護署は同日、暴行容疑で抗議活動をしていた無職の男(76)=同県北中城(きたなかぐすく)村=を現行犯逮捕した。
男の逮捕容疑は26日正午ごろ、名護市安和(あわ)の土砂搬出港「安和桟橋」の出口ゲート付近の路上で、沖縄防衛局の男性職員(54)の胸を両手で押して転倒させたとしている。
現場にいた警察官が暴行を現認し、約1時間後に逮捕した。
捜査関係者によると、逮捕された男は当時、辺野古移設に向けた土砂の搬出に抗議していたという。
現場付近では今年6月28日、抗議活動をしていた女性を制止した名護市の男性警備員=当時(47)=が左折したダンプカーに巻き込まれ、死亡する事故が起きていた。

辺野古ダンプ事故「原因が市民活動にあるかのような印象与えた」 オール沖縄が県警に指摘
2024/9/19 15:52
https://www.sankei.com/article/20240919-PFAF6YA4MJKJXHWIO7JO3CVPZU/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が死亡し、女性が重傷を負った事故を巡り、玉城デニー知事を支持する「オール沖縄会議」と県選出の国政野党国会議員でつくる「うりずんの会」は19日、県公安委員会に対し、苦情申立書を提出したと明らかにした。申し立ては5日付。
苦情申立書によると、県警本部で8月30日、抗議活動の排除や妨害を行わないよう求める要請書を提出しようとした際、椅子やテーブルのない
「倉庫内」
で受け取ると指示され、提出を断念せざるを得なかったという。
県警の対応について、
「県民を愚弄する行為だ」
と抗議している。
要請書では
「県警は『違法行為がなかったかも含め慎重に調べを進める方針』などといった一方的な情報を報道機関に流布した」
と指摘しており、
「事故の原因が(重傷を負った)女性ら市民活動にあるかのような印象を与え、SNSその他のウェブサイトで威圧的な発信が繰り返されている」
と訴えていた。
名護市の安和(あわ)桟橋では8月22日から土砂の運搬作業が再開された。
事故現場には多数の警備員が配置され、オレンジ色のネットを広げて抗議者がダンプカーの前に出ないようにしている。

辺野古ダンプ事故で中止の土砂運搬作業が再開 「対策講じた」と防衛局
2024/8/22 9:58
https://www.sankei.com/article/20240822-TH5U33E4VRMH5IZV6ZNJ5P5BKE/
沖縄県名護市安和(あわ)の国道で6月、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に対する抗議活動をしていた女性が怪我をし、警備中の男性が死亡した事故を受け、政府が中止した埋め立て用土砂の運搬作業が22日、名護市で再開された。
県によると、防衛省沖縄防衛局から21日に
「対策を講じた上で再開する」
と連絡があった。
県側は、事故の原因究明や再発防止が済むまで作業を再開しないよう求めており、玉城デニー知事は21日午後、
「作業再開は誠に遺憾」
と批判していた。
事故は6月28日に名護市安和の国道で発生。
土砂の搬出に抗議するため車道に出た女性と、制止しようとした男性警備員がダンプに巻き込まれた。
警備員が死亡し、女性は重傷を負った。

辺野古ダンプ事故 沖縄・玉城知事宛に防衛局が異例の要請「妨害行為で警備員にも危険」
2024/8/15 17:42
https://www.sankei.com/article/20240815-J6JMDGWK6ZN4NAHKM2YC6OVI5M/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が死亡した事故で、防衛省沖縄防衛局は15日、ガードレール設置などの安全対策や
「妨害者」
への注意・警告の実施を求める玉城デニー知事宛の要請文書を提出した。
防衛局によるこうした要請は極めて異例とみられる。
土砂の搬出港付近では市民団体のメンバーがプラカードを持ってダンプカーの前をゆっくりと横断し、牛歩戦術で土砂の搬入を遅らせようとする抗議活動を続けてきた。
事故について要請文書は
「警備員の制止を聞かず、左折して出ようとする進行中のトラックの前方車道上に(抗議者が)出たことから、制止し続けた警備員がお亡くなりになる事態になった」
とし、
「妨害行為により警備員にも危険が及ぶ事態は重大だ」
と指摘した。
港湾を利用する事業者側が県に
「抗議者が事故に巻き込まれないようガードレールを設置してほしい」
と何度も要請し、玉城知事も把握していたが、県が
「歩行者の横断を制限することになる」
として認めてこなかったことも判明している。
要請文書は
「県の対応が不十分であることは妨害行為が継続していることからも明らかだ」
と強調し、道路や港湾施設の管理者として県が可能な措置を速やかに講じるよう求めている。

辺野古ダンプ事故 「産経新聞はでっち上げ!」への反駁
【沖縄考】(47) 那覇支局長・大竹直樹
2024/8/14 9:00
https://www.sankei.com/article/20240814-MVQJ6M5JPJJ2LOMMJEZ6TZX6SI/
《即、工事断念! もうこれ以上、犠牲者を出すな!》。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が死亡する事故が起きた同市安和(あわ)の現場。
供花の前には7月22日、こう大書きされた横断幕が揺れ、プラカードを持った人が集まっていた。
「産経新聞はでっち上げ!」。
サングラスをした女性が拡声器で叫んだ。
女性が事故に関する本紙報道を批判していることは容易に見当がついた。
とすれば、記事を書いたのは筆者だが、事実と異なることを書いた覚えはない。
女性に近づき、何がでっち上げなのか問うと
「産経新聞は『車道に飛び出した市民』(と書いた)。ここが間違え。でたらめ」
という。
「産経新聞は『飛び出した』と書いていましたか」
「と、思います」
「『思う』で、でっち上げといわれたら困ります」
女性の一言に、思わず色をなしてしまった。
念のため所属を尋ねると、
「普通の市民」
と名乗った。
普通の市民の方といえど、誤ったことをこのまま喧伝されてはかなわない。
1つずつ反駁させていただいた。
■さすがにアンフェアでは
この場を借りて、読者の皆さんにも説明させて頂きたい。
まず本紙は
「土砂搬入のダンプカーに抗議するため車道に出た女性を警備員(記事では実名)が止めに入り、その際、左折したダンプカーに2人とも巻き込まれたとみられている」
と報じた。
一方、地元メディアでは
「死亡した警備員が重傷を負った女性とは別の抗議者を制止したところ、重傷を負った女性がすり抜け、ダンプカーの前に飛び出そうとしたため急いで制止に入り巻き込まれた」
との報道もあった。
だが、少なくとも産経新聞は
「飛び出した」
とも
「すり抜けた」
とも報じていない。
そう指摘すると、女性は
「車道」
の記述も違うと、畳み掛けてきた。
「車道ではない」
とする主張の根拠は、玉城デニー知事を支持する
「オール沖縄会議」
が7月18日に公表した資料に詳しい。
弁護士立ち会いによる現地調査や被害者、目撃者らへの聞き取りの結果、重傷を負った女性と死亡した警備員が倒れていた場所は国道449号の車道部分だったが、2人がダンプカーに巻き込まれたのは、7.3メートル手前の
「車両乗入部」
と呼ばれる歩道部分だった、というのが
「オール沖縄」
側の主張だ。
2人が巻き込まれたのは
「あくまでも歩行者の通行が優先される場所」
で、
「警備員らはまずダンプを止めるべきだったのであり、市民らの歩行を制止したことは法的にも許されない」
と訴えている。
ただ、これまでの沖縄県警への取材で、2人が
「車両乗入部」
で巻き込まれたとの情報は得られていない。
「車両乗入部」
との説明を曲げて
「車道」
と表記したわけではない。
まして、本紙以外の複数の主要メディアも
「車道」
と報じている。
にもかかわらず、産経だけがやり玉に挙げられ、でっち上げとの誹りを受けるのは、さすがにアンフェアではないか。
■「あなたは沖縄県民を殺してしまった責任者」
事故の続報が産経以外のメディアで取り上げられる機会は少ないが、沖縄県議会では俎上に載っている。
自民党会派は、港湾を利用する事業者側が道路を管理する県に
「抗議者が事故に巻き込まれないようガードレールを設置してほしい」
と何度も要請していた事実を問題視。
玉城知事もこうした要請を把握していたとして議会で追及した。
事業者側は自ら費用負担するので設置させてほしいと申し出ていたのに、県は
「歩行者の横断を制限することになる」
と、頑として認めなかったというのだから、玉城県政の不作為と言われても仕方ないだろう。
「オール沖縄会議」
は今月2日、防衛省沖縄防衛局に対し、原因究明と安全対策が整うまで全工事の中止を求める要請書を提出し、
「抗議運動に参加している市民には非難されるべき事情は全くない」
と訴えた。
オール沖縄の幹部は防衛局長に
「あなたは沖縄県民を1人殺してしまった責任者だ」
と罵った。
この様子を報じた産経ニュース転載のヤフーニュース記事には500件以上のコメントが寄せられたが、事故を招いた抗議活動に対する批判が多かった。
捏造は慣用読みで、本来は
「でつぞう」
と読む。
でっち上げは漢字で書けば
「捏ち上げ」。
捏(こ)ねるという意味の
「捏(で)つ」
に由来するという。
死角の多い大きなダンプカーの前をわざとゆっくり歩く。
その抗議手法を省みることなく理屈を捏ね、自らの活動の正当性を主張しているように感じた。
抗議運動に携わる方は是非、世間がどのように受け止めているのか。
ヤフーニュースのコメントやSNSなどの反応を見てほしい。

辺野古移設反対派の理不尽な抗議に屈するな。
辺野古移設反対派の理不尽な抗議に屈しているようでは、屈している側も信用できない。
そんなことでは保守派から見限られる。

<主張>辺野古ダンプ事故 危険な抗議活動をやめよ
社説
2024/7/11 5:00
https://www.sankei.com/article/20240711-VUIXRIOQYVOAHN4XDGTBXO6Y4U/
沖縄県や県警が適切に対応していたら、防げた事故だったのではないか。
同県名護市安和(あわ)の国道で2024年6月、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議する女性と警備員の男性がダンプカーにひかれ、男性が死亡する事故が起きた。
女性は足を骨折した。
現場では数年前から、辺野古移設工事に使う土砂を運搬するダンプカーの前を反対派がゆっくりと歩いて妨害する抗議活動が行われていた。
車道に出た女性を警備員の男性が制止しようとして、左折中のダンプカーに巻き込まれたとみられる。
何に抗議するのも自由だが、危険な行為は許されない。
事故を招くような抗議活動は即刻やめるべきだ。
玉城デニー知事は事故について、
「県民の安全に責任を持つ者として極めて遺憾だ」
と述べた。
その上で沖縄防衛局に対し、安全対策が十分講じられるまで土砂の運搬作業を中止すべきとの考えを示した。
作業は2024年7月10日現在、中断している。
これはおかしい。
ダンプカーの前をわざとゆっくり歩くという、極めて危険な行為を道路上で繰り返しているのは反対派の方だ。
抗議はほぼ連日行われ、ダンプカーの渋滞も起きていた。
危険な行為を放置せず、交通の安全と秩序を取り戻すのは行政と警察の責任だろう。
県は2023年2月、同様の抗議活動が行われている辺野古移設の土砂搬入の港湾施設に、注意喚起の看板を設置した。
大型車両の往来を妨害する行為は県港湾管理条例の禁止行為に当たるとし、
「警告」
する内容だ。
ところが、反対派の猛烈な反発を受けて2023年5月に撤去してしまった。
理不尽な抗議に屈し、危険を黙認したことに他ならない。
県警も、十分な取り締まりを行ってこなかった。
県内では、自衛隊駐屯地に武器などを搬入する際に一部の活動家らが道路にしゃがんだり寝転んだりして妨害する行為が繰り返されてきた。
県警が道路交通法の禁止行為に当たるとして排除することもあるが、県内の一部メディアは
「強制排除」
と批判的に報じていた。
今回の事故で警備員は、反対派の危険な行為を制止しようとして犠牲になった。
悲劇を繰り返してはならない。

事故現場、再三のガードレール設置要請も沖縄県認めず 玉城知事も把握 辺野古ダンプ事故
2024/7/10 16:25
https://www.sankei.com/article/20240710-KE7OGDNCAJJDVJLVRFMFKJJZWI/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が死亡した事故で、港湾を利用する事業者側が県に対し、
「抗議者が事故に巻き込まれないようガードレールを設置してほしい」
と何度も要請していたことが2024年7月10日、分かった。
玉城デニー知事もこうした要請を把握していた。
事業者側は自ら費用を負担するので設置させてほしいとも申し出たが、県は
「歩行者の横断を制限することになる」
として認めなかった。
一方、牛歩による抗議活動が行われてきた本部港塩川地区(本部町)に設置されていた
「大型車両の往来を妨害する行為」
が県条例の禁止行為に該当すると明記した警告看板は市民の要請を受け、設置から約2カ月半後に撤去していたことも明らかになった。
いずれも同日の県議会本会議で、自民党の島袋大議員の代表質問に、県土木建築部の前川智宏部長が答えた。
県北部土木事務所などによると、牛歩による抗議活動が行われてきた名護市安和(あわ)の国道では令和4年12月以降、事業者側から何度もガードレールの設置を求める要請があった。
事業者側からは費用を負担するのでガードパイプを設置させてほしいという要請もあった。
だが、県は
「歩道であることからガードレールを設置する予定はない」
「事業者によるガードパイプの設置は歩行者の横断を制限することになる」
として認めなかった。
県は2023年2月17日、隣接する本部町の本部港塩川地区に
「大型車両の往来を妨害する行為」
などについて、県港湾管理条例で定める禁止行為に該当する旨を明記した警告看板を2枚設置。
禁止行為を行った場合は
「条例に基づき過料を処することがある」
と警告した。
しかし、市民から
「なんで過料を科すのか」
などと
「厳しい意見」
が寄せられたといい、県は現場を確認した上で
「状況は危なくない」
と判断。
2023年5月2日に撤去したという。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/796.html#c41

[政治・選挙・NHK297] 自民・森山幹事長にまさかの「続投説」…秋の臨時国会に向け精力的に動き、にわかに現実味(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
16. 秘密のアッコちゃん[1800] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月09日 06:51:53 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1238]
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自民両院総会、首相続投の理解広がらず 前倒しの意見が相次ぐ総裁選は「フルスペック」で
2025/8/8 20:17
https://www.sankei.com/article/20250808-QNTDCYNEJJPRJAY4TJOJWYUMME/
自民党が2025年8月8日に開いた両院議員総会で、石破茂首相(党総裁)は当面の続投への意欲を重ねて示したものの、出席議員からは総裁選の前倒し実施を求める声が相次いだ。
首相支持は一部にとどまり、続投への理解は広がらなかった。
■皆さま方の意見に耳を傾け
総会は先月2025年7月の両院議員懇談会と同様に冒頭以外は非公開で行われた。
首相は冒頭、参院選での大敗を詫びた上で
「謙虚に真摯に皆さま方の意見に耳を傾け、拝聴させて頂きたい」
と語った。
総会では、出席者から総裁選の前倒し実施を求める声が多数出たことを受け、総裁選挙管理委員会(委員長・逢沢一郎氏)に対応が一任された。
この結果について、柴山昌彦元文部科学相は記者団に
「参院選を総括し、どのように方針を進めていくのか」
「党員の前で正々堂々と論戦を戦わせることが党の一体性、結束力を増すために必要だ」
と評価した。
西田昌司参院議員は、党員・党友投票を含めた
「フルスペック」
の総裁選を実施すべきだとの考えを記者団に示した。
「広く意見を聞き、これから誰が総裁に相応しいいのか」
「党を挙げてやらなければならない」
と強調した。
渡海紀三朗前政調会長も記者団に
「次のステージに移った」
「意見聴取は終わった」
と語った。
「ポスト石破」
に意欲を示す高市早苗前経済安全保障担当相や、小林鷹之元経済安保担当相、茂木敏充前幹事長らも総会に出席した。
小林氏は2025年8月7日夜に東京都内で自身と近い議員と会合を開いた。
今後を見据えて党内情勢などについて意見を交わしたとみられる。
■次のステージに向かうべき
一方、一部からは首相を擁護する声も上がった。
鈴木宗男参院議員は記者団に対し
「選挙に負けた総括を踏まえ、次のステージに向かうべきだ」
と語ったことを明らかにした。
鈴木氏は、参院選で派閥パーティー収入不記載事件に関して有権者から
「けじめがなっていない」
との指摘を受けたと説明し、
「きちっと(関与した議員の)処分をしなければ前に進めない」
「自民は信頼を得られない」
と語気を強めた。
森山裕幹事長は総会後、記者団から今後の総裁選管委の対応について問われると
「私が所管することではない」
「それは総裁選管委で判断することだ」
と述べるにとどめた。

勢い増す総裁選前倒し論 石破首相、野党にすり寄り求心力低下も 実現には高いハードル
2025/8/8 20:08
https://www.sankei.com/article/20250808-2R5BPVRVVFI57GGQJPM36ZTKYU/
参院選大敗を受けた2025年8月8日の自民党両院議員総会では、党総裁選の前倒しを求める声が勢いを増した。
政権維持を目的に物価高対策や企業・団体献金などを巡って野党にすり寄るような石破茂首相(党総裁)の姿勢に党内の反発が強まり、求心力の低下は著しい。
首相は当面続投の構えを崩しておらず、今後は総裁選前倒しの条件をクリアできるかが
「石破降ろし」
の焦点となる。
■首相への逆風収まる気配なく
「米国との関税交渉にきちんと道筋をつけ、色々な業種の方々に安心して頂くことがわが党の責任だ」。
首相は総会後、官邸で記者団にこう強調した。
総会では先月2025年7月28日の両院議員懇談会に続き、首相の続投を批判し、総裁選の前倒しを求める意見が相次いだ。
これに対しては
「党則に則ってきちんと運営することに尽きる」
と述べるにとどめた。
首相は
「政治空白を生まない」
ことを理由の1つにして続投に拘るが、柴山昌彦元文部科学相は総会後、記者団に
「国政を停滞させることなく総裁選は実施できる」
と前倒しを主張した。
首相への逆風は収まる気配がなく、2025年8月5日に閉会した臨時国会での答弁も退陣論の火に油を注ぐ結果となった。
2025年8月4日の衆院予算委員会では、立憲民主党の野田佳彦代表が物価高対策を巡り
「与党として真剣に協議をする可能性はあるか」
と迫ったのに対し、首相は
「(立民が主張する)給付つき税額控除は1つの解だ」
と述べ、協議に応じる意向を示した。
■総裁選後の展望「誰も描けていない」の声
企業・団体献金の見直しについても、首相の独断で従来の党方針とは相いれない形で立民との協議入りを受け入れた。
事前に党幹部らと答弁のすり合わせはなく、自民中堅は
「首相は国民ではなく野党の方ばかり見ている」
と漏らす。
総会でも出席議員から
「党内の意見を聞いて進めてほしい」
という苦言も呈された。
総会を受け、総裁選前倒しに向けた動きが加速するとみられるが、実現のハードルは高い。
党則によると、前倒しには所属国会議員と都道府県連代表者の過半数の要求が必要となる。
前倒しに向けて署名集めを準備していた議員からも
「過半数を集めるのはなかなか難しい」
との声が漏れる。
仮に総裁選前倒しが決まっても、衆目が一致する
「ポスト石破」
候補が見当たらないことも首相が強気の姿勢を貫く要因だ。
自民ベテランは
「首相が辞めたとしても、その後の展望を誰も描けていない」
とこぼす。

自民、総裁選前倒し検討へ 両院総会で石破首相の早期退陣要求相次ぐ 8月末以降に決定
動画
2025/8/8 19:30
https://www.sankei.com/article/20250808-AFBNND5E4FOQLCVPSAXDGZSI3M/?outputType=theme_election2025
自民党は2025年8月8日、参院選大敗の総括と今後の党運営を議題とした両院議員総会を党本部で開き、出席議員から石破茂首相(党総裁)の早期退陣や総裁選の前倒し実施を求める意見が相次いだ。
これを受け、総裁選挙管理委員会(委員長・逢沢一郎氏)に対応を一任し、党則に従い総裁選を前倒しで実施するかどうかを検討することを決めた。
党則6条4項では、党所属の国会議員と、都道府県連の代表各1人の総数の過半数の要求がある場合は、総裁選を行うと規定している。
逢沢氏は記者団に対し、選管として
「議員や都道府県連の考え方を確認する」
と語った。
その上で、逢沢氏は、条件を満たしていることが確認できれば
「手続きとしては臨時の総裁選を行うことになる」
と述べた。
党内手続きの開始時期については、2025年8月末を目途とする参院選総括の日程を考慮する意向を示した。
両院総会には253人が出席し、そのうち35人が発言した。
石破首相は冒頭、参院選大敗について重ねて陳謝しつつ、日米関税交渉や農業政策、防災などの課題を挙げ
「引き続き日本国に責任を持っていきたい」
と述べ、続投への理解を求めた。
続投期限には言及しなかった。
複数の出席者によると、非公開で行われた意見交換では、首相の早期退陣や総裁選の前倒しを求める意見が相次いだが、予定通り約2時間で終了した。
首相は総会後、総裁選の前倒しについて
「党則に則って、きちんと運営するということに尽きる」
と官邸で記者団に述べた。
森山裕幹事長は総裁選管の対応は
「議決ではない」
と記者団に説明した。
両院総会は党大会に次ぐ重要な意思決定機関。
2025年7月28日の両院議員懇談会で
「反石破」
勢力が総会の開催を求めたことを踏まえ、執行部が同2025年7月29日の役員会で開催を決めた。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/797.html#c16

[政治・選挙・NHK297] 日米関税合意“ご破算”の予兆…赤沢大臣は言い訳連発「法的拘束力ないが…」フワフワ答弁の情けなさ(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
50. 秘密のアッコちゃん[1801] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月09日 07:00:00 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1239]
<▽36行くらい>
<主張>米の対日関税修正 合意の履行へ火種は残る
社説
2025/8/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20250809-XVUL4KN4ARO47ID5U7I3HLT24I/
トランプ米政権が7日に発動した相互関税の税率を巡り、日米政府間でみられた見解の相違は、解消できたといえるのか。
米国は対日相互関税の発動に際し、関税負担を軽減する特例措置を適用しなかった。
特例の適用で日米が合意したとする日本政府の説明とは明確に異なる動きである。
訪米した赤沢亮正経済再生担当相が米側の閣僚と協議したところ、日米間の認識に齟齬がないことを確認できたという。
米側は大統領令の発出時の事務処理にミスがあったとの認識を示し、日本の特例を認めなかった大統領令を
「適時に修正する」
と説明した。
米国には確実に履行する責務がある。
もとより、日本の対米輸出品の中には、特例がないと合意時の想定よりも一段と高い税率が課される品目がある。
米国が修正しなければ合意の妥当性が失われることを銘記すべきだ。
修正までの間、特例を受けられず過払いとなった分を米側が返還するのも当然である。
懸念するのは米側が修正時期を明示していないことだ。
自動車関税の引き下げと併せて、相互関税を修正することを米側に確認したのみである。
日米は関税協議の妥結時に自動車関税を15%に引き下げることでも合意したが、いつ実現するかは見通せていない。
米国の関税措置はトランプ大統領の判断次第だ。
閣僚間で話し合われた相互関税の修正が確実に果たされるかは予断できない。
併せて指摘すべきは石破茂政権の詰めの甘さだ。
米政府は既に、欧州連合(EU)に限って関税負担を軽減する特例措置を設けている。
EUは日本の後に対米協議を妥結させたのに、米政府による特例措置の扱いで違いが出たことを石破首相や赤沢氏は猛省してもらいたい。
日米合意を巡っては、対米投資やコメの対日輸出などでも認識の差異が目立つ。
石破政権が早期合意を優先し、合意文書の作成を後回しにした交渉戦略は完全に裏目に出た。
トランプ氏の独自解釈で、日本側の譲歩を強要しかねない火種が残る。
本来ならば石破首相がトランプ氏と直接対話して日米間の認識の差異を埋め、合意の履行を確認すべきところだが、首相は赤沢氏に委ねるばかりだ。
それが国益を毀損していることを首相は自覚すべきである。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/789.html#c50
[政治・選挙・NHK297] <竹内英明氏の妻が刑事告訴>立花孝志、今度こそ終わり(チダイズム) 赤かぶ
36. 秘密のアッコちゃん[1802] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月09日 07:43:32 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1240]
<■65行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>ソ連の対日参戦 露の不法行為を忘れるな
社説
2025/8/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20250809-2LM3GTBRYFISBHGI77H4ZRYSKQ/
80年前の1945年8月9日、ソ連が日ソ中立条約を破って対日参戦した。
満州に続き南樺太や朝鮮半島、千島列島に一方的に侵攻し、将兵だけでなく無辜の民間人も殺害し凌辱した。
北方領土の不法占拠や戦後のシベリア抑留に連なる無法の極みである。
ソ連の蛮行により、終戦期から戦後にかけて日本人が味わった辛苦は計り知れない。
日ソ中立条約は1941年4月に締結され、有効期間は5年だった。
相互の不可侵や、一方が第三国から攻撃を受けた場合に他方が中立を守ることを定めた。
モンゴルと満州国の領土保全も互いに尊重するとした。
日本が条約を守ったからこそ、ソ連はナチス・ドイツとの激突に集中し、勝利できた。
それにもかかわらずソ連は中立条約を一方的に破棄し、広島に原爆を投下されていた日本に不意打ちを喰らわせた。
今日のロシアは中立条約に違反した事実を隠して
「対日戦勝」
を喧伝している。
言語道断だ。
日本が1945年8月14日にポツダム宣言を受諾してもソ連は攻撃を続けた。
昭和天皇は1945年8月15日に終戦を告げる玉音放送を行った。
だが、ソ連軍は1945年8月18日、千島列島に侵攻し、日本が降伏文書に署名した後の1945年8月9月5日になって北方領土の占拠を終えた。
火事場泥棒である。
この間、満州での葛根廟(かっこんびょう)事件や北海道留萌沖での樺太からの引き揚げ船の撃沈をはじめ、ソ連軍は民間人も標的にした。
日本人引き揚げの過程では中国残留孤児も生まれた。
満州や朝鮮などから約60万人とされる日本軍将兵や民間人がシベリアなどソ連各地やモンゴルに連行され、強制労働や飢えで約6万人が死亡した。
この抑留は、武装解除後の日本軍将兵らを祖国に帰還させるとしたポツダム宣言にも国際法にも違反する行為だった。
ソ連・ロシアにとって、国際合意や国際法は破るために存在しているかのようだ。
これは今日のウクライナ侵略にも通底する。
ウクライナは1994年のブダペスト合意(覚書)で核兵器放棄と引き換えに米英露から
「安全の保証」
を得たが、ロシアは2014年にクリミア半島を併合し、2022年にはウクライナに全面侵攻した。
ロシアの不法行為に目を瞑るべきではなく、約束破りを続けるこの国の本質を忘れてはならない。

<産経抄>本性の変わらぬ国、ソ連の対日参戦80年
2025/8/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20250809-U6UO74BX2BOBJAB4GSDIYNMCQQ/
作家の五木寛之さんは昭和20年の8月を、両親と暮らす朝鮮の平壌で迎えた。
12歳だった。
街は満州から逃れてきた日本人で溢れ、やがて占拠したソ連軍の暴行や略奪が始まる。
五木さんの住まいでも、ソ連兵は狼藉を働いた。
▼病床に伏した母を軍靴で踏みつけにする。
庭へ放り出す。
銃口を向けられた少年と父は、吐血する母をじっと見ているしかなかった。
事件を境に母は一切の食事を受け付けなくなり、失意のうちに亡くなったという。
五木さんが書き留めた悲痛な記憶である(『運命の足音』)。
▼ソ連は80年前の1945年8月9日、日ソ中立条約を破って対日参戦した。
侵攻した満州や朝鮮半島、南樺太では、無辜の民間人にまで容赦ない銃火を浴びせた。
昭和天皇の玉音放送が流れた後も停戦に応じず、南樺太や千島列島、北方領土を奪ってもいる。
▼戦地では辱めを受けるのを恐れ、捕らわれる前に自ら命を絶った日本人女性も少なくない。
五木さんのなめた辛酸もまたソ連(ロシア)の本性を物語る。
シベリア抑留、中国残留孤児、北方領土の不法占拠。
長い月日を経ても癒えることのない痛みを残した、かの国の罪である。
▼五木さんはこうも書いていた。
「私と父親とは、母の死以後、ずっと共犯者としてうしろめたい思いを抱きながら生きてきた」。
作家1人の思いではあるまい。
かの国に大事なものを奪われた多くの人々の中で、未だ消えぬ情念の火ではないか。
▼間もなく3年半となるウクライナ侵略も、戦地での暴力や凌辱、領土の略奪という構図は変わらない。
国と国の約束事は
「破るためにある」
というソ連の地金を、ロシアのプーチン大統領は忠実に引き継いでいる。
国際社会にとって80年前の教訓は尚重い。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/800.html#c36

[政治・選挙・NHK297] <竹内英明氏の妻が刑事告訴>立花孝志、今度こそ終わり(チダイズム) 赤かぶ
72. 秘密のアッコちゃん[1803] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月10日 09:09:46 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1241]
<▽36行くらい>
<主張>自民党 総裁選前倒しの決定急げ
社説
2025/8/10 5:00
https://www.sankei.com/article/20250810-Y5IZ3F7NH5PSFEIMBTIT663F44/
自民党が参院選大敗を受け両院議員総会を開いた。
石破茂首相(自民総裁)は
「引き続き日本国に責任を持ちたい」
と述べ、またもや続投表明した。
だが、出席者からは続投容認よりも総裁選前倒し論が多く出た。
両院総会は総裁選管理委員会に対応を一任し、党則に基づき前倒しで実施するかどうか検討することを決めた。
総裁選管の逢沢一郎委員長は、党所属国会議員や都道府県連の意向を確認し、実施の是非を決めると表明した。
参院選の投開票があったのは2025年7月20日だ。
昨年2024年の衆院選に続いて参院選でも与党過半数割れの大敗を重ねた石破首相の責任問題が未だに解決していないのは呆れ返るばかりだ。
本来であれば、投開票当日の晩か翌日に石破首相が退陣を表明して政治を前へ進めるべきだった。
国政選挙で示された民意は2度も首相の居座りで踏みにじられている。
これを見過ごせば、政治責任を取る政治家がどんどん減っていくだろう。
選挙で民意を示す意義も失せてしまう。
問われているのは自民の党勢への影響よりも、権力の座にしがみつく首相から日本の憲政、議会制民主主義を守れるか、である。
森山裕幹事長は両院総会で
「わが党は国民政党だ」
「その伝統と責任を胸に党一丸となって取り組むことが重要だ」
と語った。
国民政党であるならなぜ民意を尊重しないのか。
党一丸となるには、総裁選管が総裁選の是非を決定する前に首相も森山氏も辞任表明すべきである。
自民の党則は、党所属国会議員と都道府県連代表各1人の総数の過半数の要求があれば、総裁の任期前でも総裁選を行うと規定している。
逢沢氏は意向確認の
「きちんとした仕組みを作り上げることが必要だ」
と述べた。
悠長な話だが自民議員や都道府県連は前倒しに明確に賛成すべきだ。
自民は憲政史上も稀な今回の異常事態への危機感が乏しい。
国民への責任感も足りない。
居座りが長引けば有権者の信頼は完全に失墜しよう。
首相や森山氏ら執行部に最大の責任があるが、両院総会や両院議員懇談会でだんまりを決め込んだり、首相を庇ったりしている自民議員も問題だ。
議会制民主主義を守ろうと奔走する同僚を見習ったらどうか。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/800.html#c72
[政治・選挙・NHK297] <竹内英明氏の妻が刑事告訴>立花孝志、今度こそ終わり(チダイズム) 赤かぶ
73. 秘密のアッコちゃん[1804] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月10日 09:18:29 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1242]
<▽30行くらい>
<産経抄>信なき石破首相は国民の軽蔑を買う
2025/8/10 5:00
https://www.sankei.com/article/20250810-EKOPQ5OZ3ZLC3MX6M62RJQ6BIM/
「首相が国民の軽蔑を買った。軽蔑が一番、怖いんだよ」。
石原慎太郎元東京都知事はかつて、ある首相を指してこう述べた。
政治思想家、マキャベリは君主が避けなければならないことの1つとして
「軽蔑されること」
を挙げている。
地位に恋々としてしがみつく石破茂首相は、その轍を踏んでいないか。
▼《信なければ立たず》。
政治家が好んで引用するこの論語の言葉の通り、
「信」
がなければ社会は成り立たず、政権も運営できない。
2025年8月8日の自民党両院議員総会で参院選大敗の責任を問われ、総裁選前倒し実施を求める声が相次いだ首相に、信があるとは最早思えはしない。
▼「引き続き日本国に責任を持っていく」。
首相は両院議員総会でこう続投に意欲を示したが、衆院選、東京都議選、参院選と3連敗しても責任を取らない人物が責任を語ってもしらける。
《信なれば則(すなわ)ち民(たみ)任ず》。
民は言行が一致している人に安心して政治を任せるものである。
▼有村治子両院議員総会長が議題を総裁選前倒しの是非に絞った瞬間、首相の顔が青ざめたと出席者からは聞く。
《顔色を正して、ここに信に近づく》。
心は顔に表れる。
顔色を正してこそ、信義の人も近づいてくる。
暗い顔をして
「楽しい日本」
と言われても説得力を感じない。
▼《信を信ずるは信なり。疑を疑うもまた信なり》。
信じるべきものは信じ、疑うべきものは疑う。
それが人間のまことだと荀子は説く。
「石破降ろし」
は次のステージに進んだ。
これから各議員間で脅かしや甘言、流言飛語が飛び交い、多数派工作が行われる。
誰に信を置くか。
▼首相の周囲には
「名誉ある撤退」
を勧めた者もいる。
選挙で信を問うて信任されなかった事実を、もう認めてはどうか。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/800.html#c73
[戦争b26] ウクライナで露国に敗北した米国はコーカサスを第2のウクライナにする動き(櫻井ジャーナル) 赤かぶ
12. 秘密のアッコちゃん[1805] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月10日 09:30:48 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1243]
<▽35行くらい>
<主張>米露首脳会談へ 侵略者への譲歩許されぬ
社説
2025/8/10 5:00
https://www.sankei.com/article/20250810-YDH4XYOX3BI6TK7VDPHWZBJHKY/
トランプ米大統領とプーチン露大統領が2025年8月15日に米アラスカ州で会談する。
米露首脳の対面での会談は2022年2月にロシアがウクライナに侵攻して以降初めてである。
首脳会談はプーチン氏に制裁強化を突き付け、停戦を受け入れさせる重大な機会となり得る。
だが、トランプ氏の外交には不安もある。
味方である筈のウクライナのゼレンスキー大統領に
「あなたには(取引)カードがない」
となじり、軍事支援を一時停止したような乱暴な決定を下したことがある。
トランプ氏は対露交渉長期化の可能性に言及した。
ウクライナや欧州主要国との擦り合わせのもと交渉を進めてほしい。
中国やインドなど露産石油を輸入して侵略を支える国々に
「2次関税」
を課すといった制裁強化を材料に、まずは停戦を迫るべきだ。
トランプ氏は
「ある地域の返還と一部領土の交換を検討している」
と語った。
一部のウクライナ領土から露軍が撤収する代わりに、クリミア半島や東部の占領地を露の領土として引き渡すような譲歩を、ウクライナの頭越しで決めてはならない。
バルト三国など欧州へのロシアの侵略へ門戸を開きかねない。
プーチン氏は、自らの侵略を棚に上げ、
「紛争の根本原因の除去」
が停戦条件と唱えてきた。
ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟や軍事力強化を否定し、南部クリミア半島併合の承認やウクライナ東・南部4州割譲を迫っている。
理不尽な降伏要求そのものだ。
ロシアは長年の戦争で経済的にも疲弊している。
プーチン氏の虚勢に惑わされてはなるまい。
停戦ラインを引くならまだしも、領土という国家主権の根幹をなす問題で侵略者を利するような取引は、ウクライナにはとても吞めまい。
中国など他の専制主義国に侵略行為を促すことにもなる。
トランプ氏は第三次世界大戦の阻止を訴えている。
1939年のドイツとソ連によるポーランド侵攻で始まった第二次大戦の発端は、その前年に英仏がドイツへのチェコスロバキアの一部割譲を認めたミュンヘン会議にある。
侵略者への宥和的姿勢が新たな戦火の引き金になるという歴史の教訓を踏まえ、首脳会談に臨んでもらいたい。

http://www.asyura2.com/25/warb26/msg/255.html#c12
[戦争b26] 広島と長崎に米軍が原爆を投下してから80年(櫻井ジャーナル) 赤かぶ
37. 秘密のアッコちゃん[1806] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月10日 14:07:58 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1244]
<■303行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
ソ連の対日参戦「正当化、全く受け入れられぬ」 政府、平和条約締結目指すも進展兆しなく
2025/8/9 20:58
https://www.sankei.com/article/20250809-TEJ6YANB4VJONJFWFY25GBOZ3M/
第二次大戦末期の昭和20年8月に旧ソ連が日ソ中立条約を破って対日参戦して2025年8月9日で80年を迎えた。
日本政府は、対日参戦とその後の北方領土不法占拠を一貫して非難してきた。
ソ連の流れをくむロシアに対しては
「北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する」
(令和7年版外交青書)
との方針を掲げる。
ただ、ロシアによるウクライナ侵略の影響で日露関係は冷え込み、交渉進展の兆しは見えていないのが現状だ。
岩屋毅外相は2025年8月8日の記者会見で、ソ連の対日参戦について
「当時まだ有効であった日ソ中立条約に明白に違反する」
と改めて強調した。
「ロシア政府による、対日参戦を正当化する主張は全く受け入れられるものではない」
とも訴えた。
日本が昭和31年の日ソ共同宣言でソ連と国交を回復した後も、対日参戦に端を発した北方領土問題は未解決のまま推移してきた。
平成30年11月には、安倍晋三首相(当時)とロシアのプーチン大統領が平和条約締結交渉の加速化で合意し、融和ムードが高まったかにも見えたが、安倍氏の首相在任中の決着は叶わなかった。
輪をかけて、ロシアによるウクライナ侵略が日露関係に影を落とした。
侵略開始後、日本はプーチン氏の資産凍結などの制裁を発動し、ロシアは平和条約交渉の中断を発表した。
こうした状況を背景に、日本は令和4年版外交青書に、北方領土に関して
「日本固有の領土であるが、現在ロシアに不法占拠されている」
との立場を明記した。
「不法占拠」
は平成15年版以来、
「日本固有の領土」
は同23年版以来の表現で、最新の令和7年版にも引き継がれている。
自民党ベテランは
「ウクライナ侵略を続けるプーチン政権と平和条約交渉に臨むことは難しい」
「ロシアの体制の変化を待つしかない」
と語る。
岩屋氏は会見で、平和条約締結を目指す方針を
「堅持していく」
とした上で
「日露関係は厳しい状況にあるが、必要な意思疎通は続けていく」
と説明した。

ウクライナ侵略と重なるソ連の対日侵攻 国際ルールを平然と踏みにじる…参戦から80年
2025/8/9 20:20
https://www.sankei.com/article/20250809-IN3D3GVVWJLE3PPB5PFTMSOWG4/
第二次大戦末期に旧ソ連が日ソ中立条約を破って対日参戦して2025年8月9日で80年を迎えた。
日本がポツダム宣言の受諾をはじめとして降伏の意思を何度も示す中、ソ連は一切を無視して北方領土まで侵略し、居座った。
国際ルールを平然と踏みにじるその姿勢は、ウクライナ侵略を続ける後継国家ロシアの姿と重なる。
1945年8月9日未明、日本軍の
「最後の戦争」
の戦端は、ソ連軍が満州(中国東北部)に侵攻して開かれた。
日本が米英との和平仲介をソ連に頼んだ最中だ。
日ソは1941年4月、中立条約に調印。
ソ連は1945年4月に条約不延長を通告したが、中立規定は1946年春まで有効なはずだった。
ソ連がフィンランドに対してと同様、条約を破ったのは明らかだ。
満州侵攻翌日の1945年8月10日、日本はソ連を含む各国にポツダム宣言を受諾する意向を通知している。
1945年15日には昭和天皇の
「終戦の詔書」(玉音放送)
が流れ、1945年9月2日には戦艦「ミズーリ号」で降伏文書に調印した。
尚もソ連は北海道占領も視野に侵略を続けた。
日本側は民間人だけで約24万5千人が亡くなったとの統計もある。
ソ連は1991年に崩壊したものの、ロシアは北方領土を不法占拠し続け、ウクライナへの攻撃を止めない。
平和条約を結んでいない軍事大国は、今も日本の隣国だ。

ソ連対日参戦から80年、ロシアのウクライナ侵略が犠牲者調査にブレーキ 実態解明は停滞
2025/8/8 20:45
https://www.sankei.com/article/20250808-QRSAMBMOXRJLPIR2V7QHCZ4Q3E/
旧ソ連が終戦直前に日本へ宣戦布告してから2025年8月8日で80年。
旧ソ連は60万人近くの日本の軍人や民間人を強制抑留し、約1割が犠牲になったとみられる。
日本政府は遺族の願う犠牲者の遺骨収容や特定を進めてきたが、再び≠フロシアによる戦争が活動を阻む。
■推計で57万5000人抑留
旧ソ連は1945(昭和20)年8月8日、日ソ中立条約を一方的に破り、日本へ宣戦布告した。
ソ連軍は満州をはじめとした土地で民間人に対して虐殺や性的暴行、略奪などを重ね、共産党体制崩壊後の現在も北方領土の不法占拠は続く。
当時のソ連最高指導者、スターリンは1945(昭和20)年8月23日に日本軍将兵の抑留を決定。
その後、1956(同昭和31)年に公式の帰還が完了するまでに国の推計では民間人も含む約57万5千人が抑留された。
抑留者は開発などの過酷な労働に従事させられた。
飢えや寒さ、感染症などによる犠牲者は少なくとも約6万人に上る。
即決裁判によって処刑された抑留者がいた記録も残されている。
厚生労働省は現在も犠牲者の特定などの事業を実施するが、ロシア国内での遺骨収容は同国による2022年のウクライナ侵攻を受けて中断。
調査も進んでいない。
厚労省援護・業務課の担当者は
「再び活動できる状況になった時に対応できるよう、怠らず準備したい」
としている。
■抑留者の氏名は「ア― ― 」?
終戦後に旧ソ連によって抑留された日本人を巡っては、ロシア政府の対応や時間の経過などが遺骨収容や全貌解明を難しくしている。
一方で、これまであまり注目されてこなかったモンゴル抑留に動きもみられる。
厚生労働省によると、抑留された約60万人のうち約1万4千人がモンゴルに送られ、約2千人が亡くなったとされる。
モンゴルからは令和4〜6年にかけて相次いで資料提供を受けており、犠牲者の特定が進む。
今年2025年7月にモンゴルを訪れた天皇、皇后両陛下は、首都ウランバートル郊外にある抑留者の慰霊碑に供花された。
また、ジャーナリストの井手裕彦さんは今年2025年、同国を調査。
埋葬地の可能性のある2カ所の情報を得たと2025年6月に明らかにした。
一部で明るい兆しもあるが、抑留者の実態解明は停滞気味だ。
ロシアのエリツィン大統領(当時)は平成5年の来日時、
「非人間的な行為」
と謝罪したが、厚労省は推定される犠牲者のうち約1万3千人について、ロシア政府をはじめとして名簿などの資料提供を受けていないとする。
現在までに身元が特定された犠牲者は約4万1千人。
残る犠牲者については名簿上の氏名の表記が
「ア― ― 」
と記されているのみなど、資料の不備が特定を阻む。
厚労省の担当者は
「容易にできる特定は既に終わり、難しいものばかりが残されている」
「1日でも早く戦没者を救い出すという気持ちで作業を進めている」
と話した。
■全国強制抑留者協会・吉田一則事務局長
抑留された日本人は決して国際法上の
「捕虜」
などではない。
旧ソ連国内の犯罪者と同じ環境で扱われ、奴隷労働を強いられた。
背景には戦争拡大によって不足した労働力を補う狙いがあった。
旧ソ連は官僚国家であり、文書管理は徹底されていたはずだが、蓄積された情報は隠蔽されてきた。
そうした情報開示への不誠実さはロシア政府になっても変わらない。
多数の抑留者のカルテがあるとみられる公文書館から
「修理中」
を理由に訪問さえ断られた例まであった。
抑留の全体像について明らかになっていない点はあまりにも多い。
旧ソ連の侵攻から80年が経ったが、ウクライナでは現在もロシアによる侵略戦争が続いている。
体験者の証言などで抑留のつらさを語り継ぐことに加え、現在世界で起きている問題についても目を向けながら抑留問題を問い直すべきだ。
先人たちが経験したことと照らし合わせ、再び侵略されないために何が必要かを考える契機とするべきだ。

ユダヤ難民と北海道を救った樋口中将の孫、隆一氏「祖父は平和ボケやめよ、と言うのでは」
2025/8/9 13:00
https://www.sankei.com/article/20250809-MPGE4YTBNJOGLOGK7443X2PE2I/
2025年8月15日、わが国は終戦から80年を迎える。
戦争の惨禍や平和の尊さを考えると共に、戦後、GHQ(連合国軍総司令部)による占領政策などで封印された歴史と記憶にも目を向けるべきだ。
こうした中、戦時中、ナチス・ドイツの迫害からユダヤ人を救済し、終戦直前、日ソ中立条約を破って対日参戦してきたソ連の北海道侵略を阻止した樋口季一郎陸軍中将が改めて注目されている。
樋口中将の孫で、バッハ研究で知られる明治学院大学名誉教授の樋口隆一氏にインタビューした。
「祖父は戦後、海外に展開していた軍人らを帰還させる北部復員監を退いた後は、如何なる職業にも就くことなく、静かに『慰霊の日々』を送っていた」
「亡くなった多くの部下らを悼みながら」
「宮崎県小林町(現小林市)で祖母方の田畑を耕していた時は、毎朝、畑から東西南北に向かって手を合わせていたそうです」
「博学多識で何でも知っていた」
「話も面白く、いつも引き込まれた」
「ただ、私にはほとんど戦争については話さなかった」
隆一氏は、年齢が58歳離れた祖父について、こう振り返った。
5年前、祖父が密かに書きためていた軍人時代の記録や戦後の遺稿を編著者としてまとめ、『陸軍中将 樋口季一郎の遺訓』(勉誠出版)を出版した。
■戦後は静かに「慰霊の日々」
樋口中将は明治21(1888)年、兵庫県阿万村(現南あわじ市)生まれ。
陸軍幼年学校、陸軍士官学校を経て、超難関の将校養成機関である陸軍大学校を合格・卒業した。
情報将校としてロシアや欧州、満州などで活動した後、ハルビン特務機関長、参謀本部第二部長(情報担当)、第九師団長(満州・牡丹江警備)、北部軍司令官、第五方面軍司令官を歴任した。
「人道の将」
と樋口中将が評されるのは、ハルビン特務機関長時代の昭和13(38)年、ナチス・ドイツの迫害から逃れて満ソ国境オトポール駅に殺到したユダヤ人難民にビザを発給して、輸送列車などで大連・上海へと向かわせた
「オトポール事件」
が大きい。
■ユダヤ難民にビザ発給
隆一氏は
「祖父が昭和45(1970)年に亡くなった時、朝日新聞が祖父の死とユダヤ難民救出について報じ、親戚中が大騒ぎになった」
「私が小学生の時、日本で事業を始めたユダヤ人が訪ねてきて、祖父に感謝を伝えて『ぜひ、顧問になってほしい』と言ってきたことがあった」
「お土産の果物が豪華だったことを覚えている」
「祖父は訪問を歓迎しながらも、顧問については『それとこれは話が違うので遠慮します』と断った」
と言い、続けた。
「朝日新聞は救出されたユダヤ難民を『2万人』と報じたが、祖父は自筆原稿に『何千人』と書いていた」
「祖父はオトポール事件前年の第一回極東ユダヤ人大会でも、来賓として
『ユダヤ民族は研究心に富み勤勉であり』
『共に手を携えて、世界平和と人類の幸福に貢献したい』
などと祝辞を述べて問題になっていた」
「ドイツは同盟国だが
『日本はユダヤ人迫害をやってはならない』
という確固たる信念を持っていたようだ」
もう1つ、樋口中将の
「功績」
として伝えられるのが、北海道と南樺太、千島列島の防衛を担当していた第五方面軍司令官だった昭和20(1945)年8月、
「自衛戦闘」
を展開して、最高指導者・スターリン率いるソ連軍の
「北海道侵略を阻止」
したことだ。
■ソ連の北海道侵略を阻止
ソ連は80年前の1945年8月9日、有効だった日ソ中立条約を破って対日参戦してきた。
満州や南樺太、朝鮮半島、千島列島に一方的に侵攻してきた。
将兵だけでなく、無辜の民間人も多数殺害され、凌辱された。
これに樋口中将は
「飽ク迄自衛戦闘ヲ敢行スベシ」
と命じた。
1945年8月15日に
「終戦の詔勅」
が発布された後、1945年8月18日に始まった千島列島北端の
「占守(しゅむしゅ)島の戦い」
では、上陸してきたソ連部隊に大損害を与えた。
隆一氏は
「スターリンは当時、トルーマン米大統領に『北海道北部の占領』を要求していた」
「祖父が『ソ連軍を撃滅せよ』と命じて自衛戦闘をしなかったら、北海道どころか東北までも分割占領されていた」
「私が中学生時代、ドイツが東西に分断され、ベルリンの壁が建設された(1961年〜)」
「当時、神奈川県大磯町に住んでいた祖父が『隆一、ドイツの地図を書いてみろ』と言い、ベルリンについて話をしてくれたことがある」
「私は大学院生になって、バッハ研究のため東ドイツに留学した」
「その時、『ドイツ分断の悲劇』を目の当たりにした」
「祖父には『ソ連の北海道占領を阻止した』という自負があったのではないか」
「ある米戦略研究者も
『あの時、ソ連に北海道を侵略されていたら「自由で開かれたインド太平洋」もあり得なかった』
というメッセージを私にくれた」
と語った。
■自衛のための戦闘
樋口中将は前出の『樋口季一郎の遺訓』に収められた文章で、ソ連の対日参戦について、次のように書き残している。
《(ソ連は)強盗が私人の裏木戸を破って侵入すると同様の、武力的奇襲行動を開始したのであった》
《かかる『不法行動』は許されるべきでない》
《もし、それを許せば、いたるところでこのような不法かつ無智な敵の行動が発生し、『平和的終戦』はありえないであろう》
《ソ連はこのようにエゲツナイことを平気でやるのである》
《彼らは紳士ではなく恐るべき横紙破りである》
《私はこの戦闘を『自衛行動』すなわち『自衛のための戦闘』と認めたのである》
スターリンは戦後、樋口中将を
「戦犯」
として引き渡すよう要求してきたが、GHQのマッカーサー元帥はこれを拒否したという。
背景の1つとして、ユダヤ人団体が樋口中将の引き渡しに反対して
「圧力」
を駆けたと言われている。
■マッカーサーは引き渡しを拒否
戦後80年、わが国を取り巻く安全保障環境が悪化する中、一部メディアや識者は例年のように
「平和」
を前面に掲げ、防衛力整備に疑問を投げかけるような発信をしている。
樋口中将の『遺訓』には、次のような回想もある。
《昔の祖国日本には理想があった》
《その理想には多少の行き過ぎがあったにしても、ともかくも一定の進むべき目標があり、少なくとも酔生夢死(=酒に酔い、夢を見て一生を終えること)ではなかった》
(中略)
《現在はそれが全く喪失せられ、ただ獣類の如く、はたまた鳥類の如く、その日その日を生きかつ楽しめばよいとされている》
(中略)
《そのような民族が、果たして存在の価値があるのか》
■日本人の魂に合致する憲法を
日本国憲法についても、こう記している。
《この(憲法)前文は、だいたいにおいてポツダム宣言に対し、
『悪うございました。将来は米国の言うことを聞きます』
と云う降伏宣言を成文化したものと見てよく(中略)『主権』を有する国家の憲法に挿入すべき内容ではない》
《平和主義を協調するあまり、媚態的に『不戦主義』にまで発展し、『他国の信義に信頼し、安全と生存を保持』せんとするは、あまりにも卑屈に堕し、現実に即せざる》
《我らの祖国日本が真に独立を恢復(回復)したとするならば、当然我ら日本人の魂に合致する憲法が生まれなければならぬ》
「平和」を守り、日本と日本人を守り抜くためにも、樋口中将の『遺訓』を参考にすべきではないか。
■自分の頭で考えて、独自の判断
隆一氏は
「国際情勢を見れば、世界各地で戦争が起きている」
「日本周辺では、ロシアと中国、北朝鮮がタッグを組んで、何をするか分からない」
「台湾有事も懸念される」
「とても『平和』ばかりを唱えている場合ではない」
「祖父は上意下達、がんじがらめの軍隊の中で、自分の頭で考えて、独自の判断が下せた」
「非常にユニークだったと思う
「孫から見ても、凄い人でした」
「もし祖父が生きていたら、現在の日本について
『そろそろ平和ボケはやめて、世界の中の日本の地政学的危険をよく考えろ』
と言いたいのではないでしょうか」
と語っている。

一般財団法人「樋口季一郎中将顕彰会」では、札幌市にある札幌護国神社に、樋口中将の功績をたたえる銅像を建立する活動を行っている。
詳しくは、同財団HP(https://general-higuchi.org/)で。

<主張>ソ連の対日参戦 露の不法行為を忘れるな
社説
2025/8/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20250809-2LM3GTBRYFISBHGI77H4ZRYSKQ/
80年前の1945年8月9日、ソ連が日ソ中立条約を破って対日参戦した。
満州に続き南樺太や朝鮮半島、千島列島に一方的に侵攻し、将兵だけでなく無辜の民間人も殺害し凌辱した。
北方領土の不法占拠や戦後のシベリア抑留に連なる無法の極みである。
ソ連の蛮行により、終戦期から戦後にかけて日本人が味わった辛苦は計り知れない。
日ソ中立条約は1941年4月に締結され、有効期間は5年だった。
相互の不可侵や、一方が第三国から攻撃を受けた場合に他方が中立を守ることを定めた。
モンゴルと満州国の領土保全も互いに尊重するとした。
日本が条約を守ったからこそ、ソ連はナチス・ドイツとの激突に集中し、勝利できた。
それにもかかわらずソ連は中立条約を一方的に破棄し、広島に原爆を投下されていた日本に不意打ちを喰らわせた。
今日のロシアは中立条約に違反した事実を隠して
「対日戦勝」
を喧伝している。
言語道断だ。
日本が1945年8月14日にポツダム宣言を受諾してもソ連は攻撃を続けた。
昭和天皇は1945年8月15日に終戦を告げる玉音放送を行った。
だが、ソ連軍は1945年8月18日、千島列島に侵攻し、日本が降伏文書に署名した後の1945年8月9月5日になって北方領土の占拠を終えた。
火事場泥棒である。
この間、満州での葛根廟(かっこんびょう)事件や北海道留萌沖での樺太からの引き揚げ船の撃沈をはじめ、ソ連軍は民間人も標的にした。
日本人引き揚げの過程では中国残留孤児も生まれた。
満州や朝鮮などから約60万人とされる日本軍将兵や民間人がシベリアなどソ連各地やモンゴルに連行され、強制労働や飢えで約6万人が死亡した。
この抑留は、武装解除後の日本軍将兵らを祖国に帰還させるとしたポツダム宣言にも国際法にも違反する行為だった。
ソ連・ロシアにとって、国際合意や国際法は破るために存在しているかのようだ。
これは今日のウクライナ侵略にも通底する。
ウクライナは1994年のブダペスト合意(覚書)で核兵器放棄と引き換えに米英露から
「安全の保証」
を得たが、ロシアは2014年にクリミア半島を併合し、2022年にはウクライナに全面侵攻した。
ロシアの不法行為に目を瞑るべきではなく、約束破りを続けるこの国の本質を忘れてはならない。

<産経抄>本性の変わらぬ国、ソ連の対日参戦80年
2025/8/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20250809-U6UO74BX2BOBJAB4GSDIYNMCQQ/
作家の五木寛之さんは昭和20年の8月を、両親と暮らす朝鮮の平壌で迎えた。
12歳だった。
街は満州から逃れてきた日本人で溢れ、やがて占拠したソ連軍の暴行や略奪が始まる。
五木さんの住まいでも、ソ連兵は狼藉を働いた。
▼病床に伏した母を軍靴で踏みつけにする。
庭へ放り出す。
銃口を向けられた少年と父は、吐血する母をじっと見ているしかなかった。
事件を境に母は一切の食事を受け付けなくなり、失意のうちに亡くなったという。
五木さんが書き留めた悲痛な記憶である(『運命の足音』)。
▼ソ連は80年前の1945年8月9日、日ソ中立条約を破って対日参戦した。
侵攻した満州や朝鮮半島、南樺太では、無辜の民間人にまで容赦ない銃火を浴びせた。
昭和天皇の玉音放送が流れた後も停戦に応じず、南樺太や千島列島、北方領土を奪ってもいる。
▼戦地では辱めを受けるのを恐れ、捕らわれる前に自ら命を絶った日本人女性も少なくない。
五木さんのなめた辛酸もまたソ連(ロシア)の本性を物語る。
シベリア抑留、中国残留孤児、北方領土の不法占拠。
長い月日を経ても癒えることのない痛みを残した、かの国の罪である。
▼五木さんはこうも書いていた。
「私と父親とは、母の死以後、ずっと共犯者としてうしろめたい思いを抱きながら生きてきた」。
作家1人の思いではあるまい。
かの国に大事なものを奪われた多くの人々の中で、未だ消えぬ情念の火ではないか。
▼間もなく3年半となるウクライナ侵略も、戦地での暴力や凌辱、領土の略奪という構図は変わらない。
国と国の約束事は
「破るためにある」
というソ連の地金を、ロシアのプーチン大統領は忠実に引き継いでいる。
国際社会にとって80年前の教訓は尚重い。

http://www.asyura2.com/25/warb26/msg/250.html#c37

[政治・選挙・NHK297] 竹内英明元県議の死後も続く誹謗中傷 立花孝志氏の刑事告訴に踏み切った妻の訴え<報道特集>(TBS) 赤かぶ
63. 秘密のアッコちゃん[1807] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月11日 08:08:56 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1245]
<■919行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>日航機事故40年 安全への誓いを継承せよ 悪質なフェイクを放置するな
社説
2025/8/11 5:00
https://www.sankei.com/article/20250811-D52YH7C4ONNRBGU3WBBXIITAZU/
乗客乗員520人が犠牲になった日航ジャンボ機墜落事故から、40年となる。
何年歳月を重ねても
「8月12日」
が、慰霊と空の安全、交通の安全を祈願する日であることは変わりない。
群馬・御巣鷹の尾根の墜落現場に近い
「慰霊の園」
は、2025年8月12日に営まれる追悼慰霊式を前にマリーゴールドの花で彩られた。
花々は、地元上野村の村立上野小の児童が事故の翌年1986年から、遺族を慰め、記憶を継承する目的で育て続けているものだ。
慰霊登山には日航機事故の遺族、関係者だけではなく信楽高原鉄道事故やJR福知山線脱線事故の遺族らも参加している。
広く交通機関の安全を誓い、決意を新たにするためである。
昭和60年8月12日、羽田発大阪行き日航123便ボーイング747が墜落した。
墜落現場は凄惨を極め、乗客乗員524人のうち、生存者は僅かに4人だけだった。
日航の鳥取三津子社長は事故当時、東亜国内航空(後に日航と経営統合)に入社したばかりだった。
これは、現在の社員の大多数が事故後の入社であることを意味する。
大事故の反省や安全への誓いは、しっかりと継承されているか。
事故機の残骸などは、東京・羽田の日本航空安全啓発センターに展示されており、日航グループの全社員に研修のための見学を義務づけている。
日航機は昨年2024年1月、羽田空港で海上保安庁機と衝突、炎上したが、乗務員らの冷静な誘導で乗客の死者を出さず、内外から称賛された。
一方で同年2024年5月には福岡空港で、日航機が誘導路の停止線を大幅に越えた。
同月2024年5月には羽田空港で日航機同士の主翼先端が接触する事故も起き、国土交通省が鳥取社長を厳重注意し、再発防止策の提出を求めた。
僅かなミスが大事故を誘発する反省を片時も忘れてはならない。
事故報道に実名必要だ
40年の間に、社会の在り様も変化している。
事故当時、本紙を含む新聞各紙は524人の犠牲者と生存者全員の実名を報じた。
テレビ、ラジオの各局はアナウンサーが全員の実名を読み上げ続けた。
それが最も重要な報道だった。
実名がなければ誰が事故機に搭乗していたのか分からない。全員の実名がなければ、乗っていなかったことの証明にはならない。
一人一人の実名は、彼ら彼女らが生きた証しであり、事故の悲惨、悲劇を伝え、後世に残す原点である。
その思いは今も変わらない。
だが事故、事件の被害者らについて、発表の匿名化が進んでいる。
原因の一端とされるのはメディアスクラム(集団的過熱取材)による二次被害に対する根強い批判である。
これについてはメディア側が大いに反省すべきであり、代表取材の活用などで取材される側への配慮を進めている。
何より匿名化によって共有すべき感情が希薄になることを恐れる。
虚構の妄言は許し難い
デマやフェイクニュースの横行やSNSによる拡散も新たな社会問題と言える。日航機事故を巡っては
「自衛隊が誤射した」
「証拠隠滅のため火炎放射器で証拠を焼却した」
などとする書籍が複数刊行され、全国学校図書館協議会による選定図書に指定された本まである。
これを真に受けた情報がネット空間などで広まり、事故現場の登山道には
「自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
と記された
「慰霊碑」
の設置も確認されている。
これらは、酷暑下で過酷な救出活動に従事した自衛隊員への冒瀆であり、遺族や関係者の気持ちを逆なでする、許し難い虚構である。
多くの人の目がある中であり得ない言説だが、陰謀説が広まるスピードは速い。
この問題は国会でも取り上げられ、中谷元防衛相が
「自衛隊の関与は断じてない」
と否定したが、一部の人は聞く耳を持たない。
事故機は事故の7年前1978年に尻もち事故を起こした。
この際に製造元のボーイング社が機体後部の圧力隔壁の修理をミスし、隔壁の強度不足を招いた。
それが事故原因であり、同社も修理ミスを認めた。
悪意の虚構は静かな慰霊にも、事故の再発防止にも、何の役にも立たない。
当事者である日航や自衛隊、捜索と捜査にあたった群馬県警や運輸安全委員会は、それぞれ具体的な
「ファクト」
を明示してデマを一掃してほしい。

国交省、日航機墜落事故でボーイングに隔壁修理ミスの背景を確認 米側の「新情報」判明で
2025/8/8 13:31
https://www.sankei.com/article/20250808-MFILGTX4YZK4RL3YOZAL2XBJXI/
1985年8月に発生した日航機墜落事故を巡り、中野洋昌国土交通相は2025年8月8日の閣議後会見で、原因となった後部圧力隔壁の修理ミスについて、米ボーイング社や米連邦航空局(FAA)に対し、背景を明らかにするよう確認を進めていることを明らかにした。
日本側にない情報を米側が把握していることが産経新聞の報道で判明したためで、長年の遺族の疑問の追究に国が動くことになった。
■事故調終了後は国交省が調査
中野氏は会見で
「航空局でボーイング社などの関係者に対し、事実関係の確認を行っている」
と述べた。
当時の旧運輸省航空事故調査委員会の調査とは別に、国交省が米側に事故原因を聞き取るのは初めて。
事故の原因調査は通常、事故調を前身とする国の運輸安全委員会の所管だが、調査が終了した事故については、航空安全を推進する立場で国交省が参考情報として調べる事例はあり、今回はこれに該当する。
墜落事故の原因を巡っては、圧力隔壁の修理に使うスプライス・プレート(接合板)と呼ばれる部品を本来1枚で使うところ、2枚にして使ったことで隔壁の強度が低下し、当日のフライトで破断、墜落に至ったことは分かっていた。
しかし、なぜ2枚にしたのかまでは判明していなかった。
■米国と日本、法制度の違いが障壁に
当時の事故調などの調査では、作業ミスをしたボーイングの担当者らに聴取できなかったためだ。
過失による航空事故では刑事責任を問わない米国と、日本との法制度の違いが障壁になったとされる。
1987年6月発表の事故調の報告書には、修理ミスの理由の記載はなく、当時の武田峻委員長は報告書を「70点」と自己評価していた。
しかしボーイングは昨年2024年9月、公式サイト内に航空安全関連のコーナーを設け、この中で日航機墜落事故に言及。
ミスの背景について
「構造上取り付けるのが難しかったため、2枚に切断した」
などと記載していた。
このコーナーは元々社員教育で使用されていたものだが、
「更なる航空安全の強化のため」
一般公開したという。
■「教訓風化させず、更なる安全を」
また、ボーイングは事故当時社内調査を行っており、結果は米連邦航空局(FAA)にも報告。
同様の記述はFAAのサイトでも公表されていた。
いずれも日本側の事故調査報告書にはない内容で、報道で判明した。
今後国交省ではボーイングやFAAに対し、これらの記述が何に基づいたものか、出典を含め、記述以上の背景を深堀りする考えだ。
中野氏は事故から40年が経過することを踏まえ、
「教訓の1つ1つを決して風化させることなく、更なる安全を築き上げるため、引き続き航空に携わる全ての関係者と一丸となって、安全確保に取り組んで参りたい」
と述べた。

日航機墜落事故
1985年8月12日夕、羽田発大阪行きの日航機123便(ボーイング747)は離陸12分後に、後部圧力隔壁が破断。客室の高圧空気が機体後部に噴出し、垂直尾翼や油圧系統を損傷、操縦不能になった。
機体は羽田への帰還を目指したが32分に渡り迷走し、群馬県上野村「御巣鷹の尾根」に墜落。
乗客乗員524人のうち520人が死亡した。
機体は7年前の1978年6月、後部を損傷する別の事故を起こし、ボーイングが修理。
ドーム状の圧力隔壁(アルミ合金製、直径4・56メートル、深さ1・39メートル)の壊れた下半分を新品に取り換えた。
この際、上下の繋ぎ目に当てるスプライス・プレートが、仕様通りの1枚でなく2枚に切断されたものが使われ、強度が本来の仕様より30%低下した。
このミスが見逃されたまま、機体はその後1万2000回以上フライトを重ね、隔壁は与圧による金属疲労が進行。
当日の破断に至ったと結論付けられている。

<独自>日航機墜落事故40年 米ボーイング、修理ミスの理由説明「設置困難で部品切断」
2025/8/6 22:00
https://www.sankei.com/article/20250806-N5T7PWWI3JNLNMARNOECQE4U3Q/
2025年8月12日で発生から40年になる日航機墜落事故を巡り、米ボーイング社は産経新聞の取材に応じ、事故原因とされる接合板(スプライス・プレート)を2枚使用した機体の修理ミスが起きた理由について
「設置することが構造上困難だったため」
と明らかにした。
当時の旧運輸省航空事故調査委員会の調査や、警察の捜査では担当者への聞き取りができず、2枚のプレートを使用した修理ミスが起きた理由は判明していなかった。
1985年8月に発生し、乗客乗員520人が犠牲になった単独機として世界最悪の航空機事故は、原因の更なる究明に向け一歩踏み出した。
墜落した機体はボーイング747型機。墜落事故の7年前1978年、別の事故で機体後部を損傷し、ボーイングが修理した。
機内の気圧を保つドーム状の部品
「後部圧力隔壁」
について、修理チームは下半分を新品に取り換え上半分と接合した。
このとき、接合部にあてるプレートが指示書では1枚だったのに対し、2枚に切断されたものが使用された。
隔壁はプレートを挟む形で鋲留めされたが、本来の仕様より強度が7割に落ち込み、最終的に墜落事故に繋がったと事故調の報告書で結論付けている。
だが、2枚のプレートを使用した理由は長く判明していなかった。
ボーイングは取材に
「プレートを所定の位置に設置するのが難しく、2つに切り分けて設置しやすくした」
と説明した。
ボーイングは昨年2024年9月、日航機墜落事故に関するページを公開し、この内容を示していた。
米連邦航空局(FAA)も、公式サイトで
「隣接する構造物との複合的な湾曲のため設置が困難だった」
と記載している。
当時、事故調の調査官として圧力隔壁を調べた斉藤孝一さん(80)は
「事故後の40年間で初めて出てきた情報で、大変驚いている」
「整備員たちが安全のために知るべき非常に重要な情報だ」
と述べた。
ボーイングは取材に際し、
「ご遺族の皆様に心よりの哀悼の意とお詫びを申し上げます」
と改めて謝罪した。
遺族らで作る「8・12連絡会」は
「修理ミスについて、1つ1つ事実が分かっていくことによって、その背景を明らかにしていくことができるはずなので、更に詳しく情報をオープンにしていってほしい」
とコメントした。

日航機墜落事故に「自衛隊関与」という陰謀説拡大の記事が読まれています、政府の対応は
2025/5/1 11:11
https://www.sankei.com/article/20250501-3B3JOK7GFZGVBJ333KKOVLED7E/

日航機墜落の陰謀説唱える書籍は「図書館協議会選定図書」 自民の佐藤正久氏が是正訴え
2025/5/1 9:55
https://www.sankei.com/article/20250501-H5D7UDNLZVNKZAERNHNE2ZS3WA/

日航機墜落に5つの陰謀説 「自衛隊と隊員への冒瀆だ」当時捜索のOBが反論
2025/5/1 8:36
https://www.sankei.com/article/20250501-EWVJEC535BOPPNUXV2G4MZCO2M/

日航機墜落事故40年、拡散される陰謀説 「自衛隊の関与は断じてない」政府が強く否定
2025/5/1 7:00
https://www.sankei.com/article/20250501-IBAEULDM6ZNXPFOXSJL26PTXKE/

日航機墜落事故をめぐる陰謀論に危機感
直球&曲球 葛城奈海
2025/4/17 13:00
https://www.sankei.com/article/20250417-QVEEP7E63ROW7BYUYFLZ6MWMSQ/

<正論>「御巣鷹」に見る情報戦への脆弱さ 
麗澤大学特別教授 元空将・織田邦男
2025/4/1 8:00
https://www.sankei.com/article/20250401-766VLI7YBZOPRPRZLLAXQK5VBU/

日航機墜落は自衛隊の陰謀!? デマはなぜ消えぬ
正論2025年7月号 ジャーナリスト 葛城奈海
乗客乗員520名という単独飛行機事故としては世界最多の死者を出した日本航空123便墜落事故から、2025年8月12日で40年となる。
当時を知らない世代も増える一方、僅か4名だった生存者の1人、当時12歳の川上慶子さんが自衛官に抱えられながらヘリに引き上げられていく映像をご記憶の方も少なくないだろう。
昭和60(1985)年8月12日午後6時12分、羽田空港を離陸した日航ジャンボ機123便は、大阪伊丹空港へ向かう途上、異常事態が発生、午後6時56分、群馬県上野村の
「御巣鷹山の尾根」
に墜落した。
事故原因について、運輸省の航空事故調査委員会(当時)は、昭和53年に起こした
「尻もち事故」
後の不適切な修理で機体後部の圧力壁が壊れ、垂直尾翼や操縦系統が破壊されたと推定。
メーカーのボーイング社は、修理ミスがあったことを認めている。
事故機の生存者捜索・救助、ご遺体の搬送には警察や消防、地元猟友会らと共に、自衛隊が力を尽くした。
にもかかわらず、あろうことかその自衛隊が日航機を墜落させ、その証拠隠滅のために現場を火炎放射器で焼いたという
「陰謀説」
がいつしか流布されるようになった。
事故当時、第1空挺団の小隊長としてヘリからのリベリング(懸垂降下)でいち早く現場に入り、事故対処に当たった元陸上幕僚長の岡部俊哉氏の話を聞いていた私は、凄惨な現場で黙々と任務に邁進した自衛官たちの尊厳が踏みにじられていることへの憤りと、予備自衛官としての他、様々な形で自身も関わって来た自衛隊が事実に反して貶められることを食い止めたいという思いにかられた。
「御巣鷹の尾根」
登山道に、陰謀説を真に受けたと思われる慰霊碑が遺族によって建立されたと知るに及び、同説を放置したら既成事実化しかねないとの危機感が募った。
■自衛隊OBらの反論
「自衛隊犯人説」
など余りに荒唐無稽で国民が信じるわけがないと当初は意に介していなかったOBたちも、危機感を抱き、反論を始めた。
産経新聞2025年4月1日付の「正論」欄で元空将の織田邦男氏が、事故当時、航空幕僚監部運用課員として事故発生から収束までの一部始終を、指揮中枢である空幕作戦室で目撃した立場から
「全くのデマだと断言できる」
とした。
元戦闘機パイロットである織田氏は、疑惑の発端となった自衛隊の
「現場到着の遅れ」
について、こう述べている。

【地上レーダーは低高度が見えないので墜落地点は特定できない。
最初に炎を発見した米軍C130輸送機、空自F4戦闘機からの位置情報は、TACAN(戦術航法装置)の情報である(GPSは未装備)。
TACANには、固有の誤差がある。
更に当該機と現場の距離が誤差となって加わる。
横田TACAN局から割り出せば位置情報に4km前後の誤差が生じることはやむを得ない。
航空では僅かな誤差だが、陸上行動では大きな障害となる。
特に山岳地帯では、4km違えば隣の尾根になってしまう。
山岳の道なき道の移動は4kmでも数時間かかる。
夜間で、暗視装置のない(当時)ヘリの山岳投入は危険なので中止した。
地上部隊の投入場所の決定が遅れ、結果的に現場到着が遅れた。
この遅れが
「何かがあるはず」
と臆測を呼び、連鎖して物語の創作に繫がったのだろう。】

私も狩猟その他で道なき道を進む困難さを度々味わってきた経験から、織田氏の特に山岳の道なき道の移動についての指摘は実体験として深く頷かざるを得ない。
2025年4月16日には、参議院議員会館1階講堂で
「JAL123便事故究明の会」
によるシンポジウムが開催された。
平日の16時からという時間帯にもかかわらず250名もの参加があり、壁沿いにずらりと補助席を並べてぎりぎり収容がかなうほどの盛況ぶりであった。
シンポジウムでは、まず基調講演として同会会長で元陸上幕僚長の岡部俊哉氏が、事故当時、第1空挺団の小隊長として現場で生存者捜索・救助、ヘリポート造成、遺体後送などの指揮を執った実体験を述べた。
岡部氏ら空挺団員は事故翌朝、現場にリベリング(ホバリングするヘリコプターから縄を垂らして降りる)で降着、生存者の捜索、救助に当たった。
生存者4名が消防団によって発見されたことを受け、ホイスト(縄を巻き上げること)によるヘリ収容を行った。
生存者は全員女性で、うち2人は母子であった。
収容はまず8歳の女児から毛布にくるんで行ったが、2番目に12歳の川上慶子さんを同様に包んでいた毛布をメディアの人間が剥いだという。
皮肉にも、その映像が世界を駆け巡ったが、一部メディアの倫理観の無さを表していると言えよう。
生存者のヘリ収容が完了すると、次に空挺団はヘリポートの造成に取り掛かった。
山の斜面に造成するため、作業は困難なものであった。
山側を切り崩した土を谷川に盛るという作業を夜を徹して行い、翌昭和60(1985)年8月14日にヘリポートが完成。
遺体の後送が開始された。
中にはシートベルトによって上下に分断されたご遺体をはじめ部分遺体が多数あったが、毛布でくるみ重ならないようにしてヘリの床に足の踏み場もないほど詰めて収容することを繰り返したという。
空挺団が撮影した5分ほどの映像も上映された。
まだ一部で煙の立ち上る現場にヘリからリぺリングで地上に降り立つ空挺団員たちの他、散乱する瓦礫、なぎ倒され、あるいは焼け焦げた木々や岩がちな急斜面、ボサ、消防団員などが映り込んでおり、現場の空気が鮮明に伝わってきた。
岡部氏はまた、任務終了から約1カ月、不眠、肉食不可、手にご遺体の感触が蘇る、窓の外にご遺体が並ぶ幻想を見るなど急性ストレス障害(ASD)に悩まされたことを告白している。
シンポジウム後段は、岡部氏を含めた関係者による以下の5つの陰謀説への反論であった。
@海上自衛隊護衛艦のミサイルが123便に衝突
A航空自衛隊のF4戦闘機が123便を追尾
B墜落現場の特定を遅延させた
C証拠隠滅のため火炎放射器で現場を焼却
D海自出身の機長の遺体・制服を自衛隊が隠滅
これに対し、登壇者がそれぞれ以下のように回答した。
@海上自衛隊護衛艦のミサイルが123便に衝突
「陰謀説」
では当時ミサイルの実験中だった護衛艦「まつゆき」が相模湾で短SAMシースパロー(艦対空ミサイル)の垂直発射試験を行っており、123便の垂直尾翼周辺に異変を生じさせたとするが、当時「まつゆき」はまだ自衛隊のものではなかった。
当時は、石川島播磨重工(現IHI)が所有し、船長もスタッフも同社員で「公試」(船舶の海上試運転)を行っていた。
元海上自衛隊海将補の林祐氏によると、海上自衛官も「艤装員」として乗り込んではいたが、自衛隊が主導できる状況ではなかった。
また、当日相模湾で行っていたのは運動能力試験であり、そもそも武器は未積載であった。
A航空自衛隊のF4戦闘機2機が123便を追尾
墜落直前の123便を空自F4戦闘機2機が追尾し、最終的にミサイルで撃墜したという
「陰謀説」
に対し、実際に事故当日F4戦闘機の後席に搭乗して現場上空を飛んだ渡辺修三氏は
「そもそも自衛隊の武器・装備品の管理は徹底している」
「ミサイルで撃墜はあり得ない」
また、当時の出動について
「ダイレクトスクランブル(事前情報なし)で上がった」
「西側に指向されたのでなぜだろうと思っていたら、123便がレーダーから消えた所へ行くと判明した」
「現場には当日薄い雲がかかっていたが、その中に橙色の場所があった」
「確認のために雲を突き抜けていくと、炎の帯が1.5km〜2kmに渡って続いていた」
と証言した。
B墜落現場の特定を遅延させた
前述の織田氏同様、渡辺氏もTACAN(戦術航法装置)の機械的誤差および人的誤差に触れた。
帯状に燃えていた中で、最も燃えている所に合わせようと努力し、百里、横田、入間の3カ所から位置を割り出すべく通報したが、結果的にずれていた。
夜間だったことが、定点の割り出しを一層困難にした。
また、第1空挺団に対し、
「事故当日の夕刻、災害派遣待機命令が出ており、ヘリもエンジンをかけて待機していたにもかかわらず、それが解除された」
に対し、岡部氏は、そもそもそんな命令は出ていなかった、当直の陸曹に対し、命令が出ていないことを確認して就寝した。
C証拠隠滅のため火炎放射器で現場を焼却
「ガソリンとタールの混ざった臭いが漂っていた」
「ご遺体が2度焼きしたように激しく炭化していた」
という証言を基に
「証拠隠滅のために自衛隊員が火炎放射器(自衛隊では「携帯放射器」と呼称)で現場を焼却した」
という説に対し、岡部氏は、
「携帯放射器はそもそも高圧洗浄機の噴射と同様に広い面積を対象とするのには不適であり、燃料のゲル化油を作るなど準備に長時間要する」
「そもそもタールは使わない」
と反論した。
また、
「昨年2024年の羽田空港での事故を思い起こせば分かる通り、航空燃料の火力は非常に強く飛行機でさえ焼き尽くしてしまう」
というファシリテーターの元日興職員、空花正人氏の言葉には、なるほどと思わされた。
更に、事故当時陸自第13普通科連隊(長野県松本市)の一員として最初に地上から現場入りした小川清史元西部方面総監は、
「道の無い山を地図判読し笹や木を手で掴みながら登って行った」
「そんな状況で、もしそこに携帯放射器があったらノズルが邪魔で(笹や木に引っかかって)とても進めなかったはず」
「武器庫内にある携帯放射器を取り出す手続きは非常に厳密」
「燃料は業務隊が持っているため指揮系統が違い、一層手続きが複雑になる」
とし、何重もの意味であり得ないことを語った。
D海自出身の機長の遺体・制服を自衛隊が隠滅
事故機の機長が海自出身だったことから、
「陰謀説」
では
「ミサイルを誤射した」
海自の訓練との関係が仄めかされている。
自衛官が現場で真っ先に機長を発見し、目印のために棒で突き刺し、ヘリ内で搬送中の遺体から制服を剝ぎ取ったとする説に対し、岡部氏は
「現場検証で警察によって番号が付けられ、自衛隊は勝手にできない」
「自分たちがヘリポートを運用していたから、後送したご遺体は全て見ている」
「マスコミもいる中で、あり得ない」
と反論した。
■「御巣鷹の尾根」の今
事故当時、捜索・救助等に当たった地元猟友会、消防団、警察、そして自衛隊などが道なき道を切り開きながら進んだ
「御巣鷹の尾根」
へは、現在ではすぐ近くまで車道が整備されている。
2025年4月末の冬季閉鎖解除を待って、2025年5月6日現場を訪ねた。
五月晴れの下、新緑から青葉へと変わりつつある若葉が輝く中、設置されていた
「熊よけの鐘」
を鳴らして入山。
スゲノ沢の水音を感じながら
「御巣鷹の尾根」
へと向かう。
参拝道を数十メートル進むごとに「水場」や小さな「山守地蔵」が目に入る。
斜面の急峻さを目の当たりにしながら、事故当時、道の無いこの場所に分け入った関係者らの苦労を想う。
しばらく進むといくつかのベンチが置かれた休憩スペースがあり、その先から斜面のあちこちにご遺族らが建てた墓標や石碑が点在する慰霊のエリアとなる。
それぞれを結ぶように小道や金属の階段が付けられているが、一筆書きで全てを回れるような道筋ではなく、いくつもの枝道に分かれており、全てを回るには相当な時間を要する。
その最も手前、つまり慰霊に訪れた人のほぼ全員が目にする位置に、件の慰霊碑はあった。
台座中央に置かれた石碑(写真1)には
「日航機墜落事故 真実の仮説」
として
「加害者 N総理・自衛隊幕僚長」
「事故原因(墜落) 自衛隊曳行標的機・衝突、N総理 撃墜殺害 指示、自衛隊 ミサイル撃墜・墜落」
などと記され(写真2)て、事故当日、搭乗前に撮影された高校生と中学生の兄妹の写真が並べられた下には
「*N総理・自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
との文言がある。
その左右には、事故機で共に旅していた2家族の犠牲者の名前が彫り込まれた石碑が並ぶ。
名前が彫られた石碑の裏を見ると建立は平成19年とあったが、中央の石碑がこの場所に確認されたのは昨年2024年だという。
よりによって、こんな
「最も目に付く位置」

「陰謀説」
が真実であるかのような石碑が、
「ご遺族によって」
建立されているという現実を目の当たりにし、私自身の衝撃が更に深まった。
先へと進み、いくつもの墓標や石碑の前を通りながら、尾根上に開けた
「昇魂之碑」
に到着。
壮絶な最期を迎えた520名の御霊の安からんことを祈った。
周囲一帯はとても美しく整備されており、水仙、馬酔木、標高の高さ故にまだ残っていた山桜、これからまさに咲かんとする石楠花など百花繚乱の様相を呈していたが、その中で白いヘルメット姿の若者5〜6名が手に箕などを持って活動していた。
聞けば、日航職員が休暇を使ってボランティアに来ているのだという。
「昇魂之碑」
の少し奥には、
「遭難者遺品埋没の場所」
や観音像などがあったが、特に印象的だった場所が3カ所ある。
まず、「祭壇」だ。
入口にたくさんの千羽鶴が下げられた木造の小屋のような建物内に置かれている。
祭壇や壁面には写真や千羽鶴が所狭しと並べられ、掲げられている。
犠牲者の1人、坂本九さんの
「上を向いて歩こう」
のレコードジャケットもあった。
線香を手向けお参りをさせて頂いた後に1つ1つ見ていくと、祭壇中央に目を引く額があった。
というのも、その額内に収められている布が赤いのだ。
そこに筆書きと思しき書体で
「故川上英治、川上和子同志へ」
「闘いのなかばで倒れた同志の遺志を受け継ぐことを誓って、霊にささぐ」
と日本共産党群馬県委員会委員長をはじめとする党員と思しき署名が寄せられていた(写真3)。
同志として名を連ねている故人は、救助された慶子さんのご両親だ。
「祭壇」
の中で、そこだけ異質な空気を醸し出していた。
2つ目は、
「沈黙の木」
と札が下げられていた場所だ。
当初、随分昔に大木が倒れた跡のように見え、だいぶ風化しているので何の事だろうと思いながらよく見ていくと、一部の断面や、しゃがんで覗いた下の方に炭化した部分が明確に残っていた。
40年の時を超え、事故による火災の残滓がそのまま存在している。
まさにここが
「現場」
であったことを実感した瞬間だった。
「沈黙の木」
を覗き込んでいると、
「御巣鷹の尾根管理人」
の黒沢完一氏が声を掛けて下さった。
同氏が指を指しながら説明してくれたところによると日航機は隣の尾根に接触(その部分の樹木が抉られたことからU字溝と呼ばれており、現在でもV字型に樹木の空際線が抉れている)、高天原山に上下が逆さになった状態で墜落した。
機体後部はスゲノ沢に滑落、そこから4名の生存者が救出されている。
3つ目は、更にその奥にあった
「X岩」
だ。
岩には実際に白く
「X」
と大書されている。
傍らに立つ石碑には
「日航機墜落事故対策の記録」
と題し、延べ5万5117人が135日間に渡って活動した群馬県警が
「第4現場」
と呼んでいたこのエリアで救援・捜査活動を行う際、基準とした場所であることなどが刻まれていた。
下山して次に17km離れた
「慰霊の園」
に向かった。
「御巣鷹の尾根」
に向かって合掌した姿の慰霊塔の奥には納骨堂があった。
最後まで身元確認が叶わなかった120以上のご遺骨が納められているという。
事故処理の支援を通じて事故の凄まじさ、ご遺族の悲しみを目の当たりにした上野村村民が、2度とこのような事故が起こらないように願い、永遠に霊を祀り慰めることが村民の責務だと考え、有志が土地を提供して建設されたという。
資料館で上映されていた事故当時の映像によって、事故現場の特定および生存者の捜索・救助に向かった地元猟友会が8名、消防団員が160名だったこと、身元不明遺体を役場の2階に仮安置したこと、事故の翌年1986年7月には慰霊のための登山道を整備し、1986年8月の1周忌には納骨が行われたことなどを知った。
いずれにも当時の黒澤丈夫村長の強いリーダーシップを感じた。
余談だが、黒澤村長は、元海軍の戦闘機乗りであった。
■自衛隊犯人説を既成事実化させるな
自衛隊犯人説が広がった背景に、元日航職員のノンフィクション作家、青山透子氏による著書の存在がある。
彼女の著書のうちの3冊(いずれも河出書房新社)が公益社団法人全国学校図書館協議会による
「選定図書」
に指定されていた。
「選定図書」
とは、図書館などに相応しいお勧めの本として複数の選定委員の推薦を受けた図書のことで、年間約7000点が選ばれている。
加えて、本年2025年1月に亡くなった経済アナリストの森永卓郎氏が著書やYouTube番組などで自衛隊の関与を指摘したことで、ここ1年ほどで同説が一気に広がった印象だ。
こうした本が図書館や書店に並べば、国を守る自衛隊という組織に対する印象が著しく貶められ、結果として、ただでさえ募集難に喘ぐ自衛隊へ追い打ちをかけることにもなりかねない。
何より看過できないのは、遺体や燃料などの臭気漂う凄惨な事故現場で、黙々と任務に邁進した自衛官たちの尊厳を踏みにじっていることだ。
陸上自衛隊OBでもある佐藤正久議員は2025年4月10日の参院外交防衛委員会で
「自衛隊員の名誉に関わる問題だ」
「多くの人命救助に当たった隊員に対する侮辱だ」
と問題視した。
これに対し、中谷元・防衛大臣は
「自衛隊が墜落に関与したことは断じてない」
「しっかり対応したい」
と語った。
周知の通り、中谷元・防衛大臣も陸自OBだ。
かつての同僚の名誉を守るためにも、また今まさに日々の任務や訓練に勤しむ現在の自衛隊員の士気を落とさないためにも、そして未来の自衛隊の誇りのためにも、この問題を軽視せず、防衛省を挙げて真摯に対応することを心から願う。
御巣鷹の尾根で、件の慰霊碑以外にも1つ気にかかる石碑があった。
登山口から歩き始めてほどなく
「すげの沢のささやき」
と標識の立つ場所があった。
事故当時、米国・国家運輸安全委員会(NTSB)の委員長だったジム・バーネット氏が講演会で述べた言葉が石碑に刻まれているのだが、その内容はここでは置く。
引っ掛かったのは、説明板の文章の中の以下の文言だ。
「日本の、運輸省・航空事故調査委員会の調査報告書は、原案がNTSBに送られ、同氏の承諾を得た後に初めて、発行された」
NTSBが報告書作成に
「協力」
したのではなく、その
「承認」
を得て発行されたという辺りに、何かしら情報操作や隠蔽があるのではないかと疑念が沸くのは私ばかりではないであろう。
これに象徴されるように事故後の情報公開の在り方に、
「陰謀説」
を生み出しかねない隙があったことは否定できない。
ことは防衛省だけに収まる話ではない。
政府の責任において、自衛隊を貶める様々な疑念を晴らすべく情報公開の在り方も見直すべきだ。
現状では、自衛隊は
「無実の罪」
着せられ名誉を毀損されている被害者と言えよう。
「自衛隊犯人説」
が増幅されれば、自衛隊の弱体化、ひいては日本国の国防力の低下に繋がる。
これによって利するのは誰か。
そもそもこの問題も、日本を弱体化するという大目的をもって行われている世論戦であるかもしれない。
その可能性も念頭に、甘く見ることなく対処する必要があろう。
具体的には、政府が著者を名誉棄損で訴え、証拠を出させるなどの法執行が必要なのではないか。
法廷という公の場で白黒はっきりつけさせる。
傍観するのではなく、
「国としての意思を示す」
と政府が腹を決めるべき事態であると私は思う。
「陰謀説」
を決して既成事実化させてはならない。

「選挙時のSNS規制」に走るメディアの危うさ
正論2025年7月号 政策シンクタンク 原英史
■「自衛隊関与説」と反論
政府は、言論市場の
「統制役」
になるべきではない。
一方で、言論市場に
「プレーヤー」
としては参加できる。
政府に対して不当な批判がなされた時は、反論できる。
むしろ積極的に反論すべきだ。
実際には政府は、反論に及び腰になりがちだ。
これは、反論すると野党やメディアから
「言論弾圧だ」
といった反発を受けることを過度に恐れるためだ。
このため、例えば原発処理水を巡る経過のように、不当な報道や情報発信の一方的な拡散が起きてしまう。
この関連で最近気になったのは、昭和60年の日航機墜落事故に関して、今年2025年4月に国会でなされた質疑だ。
日航機墜落に関しては以前から、自衛隊が関与したとの説があった。
最近もノンフィクション作家の青山透子氏らが著書で唱え、亡くなられたタレントで経済アナリストの森永卓郎氏が日本経済低迷の要因と指摘した。
青山氏の著書につき、佐藤正久参議院議員が2025年4月10日の参議院外交防衛委員会で取り上げ、
「多くの人命救助に当たった隊員に対する侮辱だ」
と問題視した。
これに対し青山氏は翌日、ウェブサイトで抗議文を公開し、
「権限濫用による表現の自由、言論への弾圧」
だと批判した。
まず、私は
「自衛隊関与説」
には余り興味はない。
一方で、通説に抗して異説を唱えることは、社会にとって貴重だと考えている。
かつて地動説が異説だったことを思い出すまでもなく、真実が封印されている可能性があるのだから、異説は大事にしないといけない。
その前提で、国会質疑を見て、青山氏の著書にも目を通した。
佐藤議員の質疑は真っ当な内容だ。
「自衛隊関与説」
について、
「政府が間違いと認識しているなら、しっかり反論せよ」
という指摘だ。
防衛省が適切に反論し、また、全国学校図書館協議会の選定図書への指定について文科省から問題指摘すべきと求めている。
一方で、本を発禁処分にせよといった内容ではない。
これに対し、青山氏が
「言論弾圧」
だと批判しているのはおかしい。
政府への批判に対する反論、あるいは国会議員が政府に
「反論せよ」
と求めることは、
「言論弾圧」
ではない。
言論市場において、プレーヤーに
「反論を受けない権利」
はなく、政府を批判した時でも同じだ。
どちらが説得的かは、
「言論の自由市場」
において判断されたらよいことだ。

日航機事故 「御巣鷹の尾根」への登山道に「自衛隊撃墜説」を伝える慰霊碑は本当にあった
記者の「暴論」 矢野将史
2025/5/4 14:00
https://www.sankei.com/article/20250504-U5K7OD4BNNP2DE7DTSUDDQUIVY/
乗員・乗客520人が亡くなった日航ジャンボ機墜落事故から、今年2025年8月で40年を迎える。
国会審議で先日、自衛隊が加害者であるかのような言説が流布されていると知り、驚いた。
墜落現場となった群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
への登山道には、自衛隊撃墜説を
「仮説」
として伝える慰霊碑もあるという。
登山道が冬の閉鎖期間を終えたGW前半、慰霊登山をしてきた。
その慰霊碑については、自民党の佐藤正久参院議員が2025年4月10日の参院外交防衛委員会で、日航機墜落事故について
「加害者はN総理と自衛隊幕僚長と書かれている」
「(御巣鷹山を)登る人はみんな見ている」
「(政府や自衛隊が)慰霊碑を作った人にアプローチして『事実誤認だ』と言わないと」
「国民の信頼がないと自衛隊は動けない」
などと訴えた。
■「登る人はみんな見ている」
これに対し、中谷元防衛相は
「実際に碑があり、もし記載があるとすれば、全く事実無根だ」
「大変遺憾に思う」
「私や自衛官が正確な情報を発信していく」
「このような情報は偽情報である」
と答弁した。
本当にそのような碑があるのか。
記者は慰霊登山のため、上野村の中心部から車で林道のような山道を30分ほど進み、午前中に登山道入り口に辿り着いた。
そこから約20分登った山小屋近くに、
「日航機墜落事故 真実の仮説」
と記された慰霊碑はあった。
一部に、次のように書かれていた。

慰霊碑の「仮説」と記された部分
「※加害者 N総理・自衛隊幕僚長」

「※事故原因(墜落) 自衛隊 曳航標的機・衝突 N総理 撃墜殺害 指示 自衛隊:横田基地・着陸禁止 自衛隊 ミサイル撃墜・墜落」
「仮説」
とはあるが、ギョッとする内容だ。
慰霊碑は、事故の犠牲者5人の名前と哀傷歌が刻まれた2つの碑に挟まれていた。
亡くなったのは10代が4人、30代が1人と記されている。
上野村役場総務課は
「その碑があるのは知っているが、役場では、個々の墓標や碑について、誰が、いつ建てたかについては把握していない」
「ご遺族の方が設置したのではないか」
「昨年にはあった」
と語る。
■中谷防衛相「事実無根」
単独機として世界最大の航空機事故の調査は、旧運輸省の事故調査委員会が行った。
中野洋昌国交相は、佐藤氏の国会質問があった翌日(2025年4月11日)の記者会見で、事故調査委員会が昭和62年6月に公表した航空事故調査報告書を引用して、事故原因は米ボーイング社による
「後部圧力隔壁」
の不適切な修理に起因するとし、
「様々な角度から調査解析を行い、専門家による審議の上、ほぼ間違いないという結論に至ったため、強い推定を示す『推定される』という表現を使用している」
と説明した。
記者は前述の慰霊碑を確認した後、
「御巣鷹の尾根」
を目指した。
急な登山道を息を切らし、熊除けの鐘を鳴らしながら、30分ほど登ると、墜落現場に立つ
「昇魂之碑」
があり、遺族が設置した
「空の安全を祈って」
という鐘、犠牲者520人の名前が記された
「慰霊碑」
などがあった。
静かに手を合わせた。
そこに至る登山道脇の斜面やスゲノ沢には、木や石でできた墓碑がいくつも立ち並んでいた。
遺体が発見された場所付近だという。
墓碑には犠牲者の名前が記され、遺族らによる花や千羽鶴、人形、風車、個人的な手紙などが供えられていた。
■犠牲者や遺族の無念
遺族有志のメッセージにはこうあった。
「あなたやってきましたよ きこえますか 見えますか あなたと話したい あなた言いたいことは…」
「さよならも言えずに旅だったあなたたち やすらかに永遠の祈りをささげます」
この御巣鷹の尾根で520人の人生が突然断ち切られ、遺族らの人生も大きく変わったことが実感として伝わってきた。
事故から40年経っても、その無念さ、理不尽さ、事故への疑問を抱え続けている遺族は多いことだろう。
同時に、事故直後、標高1500メートル以上の尾根と谷が連なる墜落現場に向けて、道なき道を進んで必死の捜索・救出活動を続けた消防団員や警察官、自衛官の苦難も理解できた気がした。
恥ずかしながら、記者は整備された登山道を登るだけでも膝がガクガクになった。
航空事故調査委員会は現在、運輸安全委員会という組織に再編された。
同委員会は平成23年7月、
「日本航空123便の御巣鷹山墜落事故に係る航空事故調査報告書についての解説」
を発表している。
遺族などから様々な疑問が寄せられる中、
「できるだけ分かりやすく説明するため」
に作成したという。
この解説には後半で、
「ミサイル又は自衛隊の標的機が衝突したという説もありますが、根拠になった尾翼の残骸付近の赤い物体は、主翼の一部であることが確認されており、機体残骸に火薬や爆発物等の成分は検出されず、ミサイルを疑う根拠は何もありません」
とも記されている。
■事実に基づかない言説は修正を
犠牲者と遺族の無念に心を寄せながら、事故への疑問には真摯に向き合い、事実に基づかない言説は修正していく努力が必要だと感じた。

日航機墜落事故に「自衛隊関与」という陰謀説拡大の記事が読まれています、政府の対応は
2025/5/1 11:11
https://www.sankei.com/article/20250501-3B3JOK7GFZGVBJ333KKOVLED7E/
昭和60年8月12日に起きた日本航空機墜落事故を巡り、自衛隊の関与を唱える陰謀説が書籍やインターネットで流布されていることを紹介した記事が産経ニュースで読まれています。
政府は強く否定し、正確な情報発信を行う方針を明らかにしている。
陰謀説を唱える書籍の中にはベストセラーになったものも。
今年2025年4月16日には事故現場で生存者捜索に当たった自衛隊OBらがシンポジウムに参加し、書籍などで指摘される陰謀説のうち5つの点に反論した。
この問題は2025年4月10日の参院外交防衛委員会でも取り上げられた。
自衛隊OBの佐藤正久参院議員(自民党)が、自衛隊の関与を唱える書籍が全国学校図書館協議会による選定図書に指定されているとして、是正を訴えた。
佐藤氏の指摘に対し、中谷元防衛相は
「自衛隊が墜落に関与したことは断じてない」
と陰謀説を強く否定し、対応を約束した。
中野洋昌国土交通相は2025年4月11日の閣議後記者会見で、旧運輸省の事故調査委員会の航空事故調査報告書を引用する形で、事故原因は機内の気圧を保つ役割がある
「後部圧力隔壁」
の不適切な修理に起因するものだと説明し、
「正確な情報を発信していきたい」
と述べた。
民間でも陰謀説は問題視されている。
防人と歩む会の葛城奈海会長は、
「これを放置しては、慰安婦問題における吉田清治証言同様、嘘が真になりかねない」
と警鐘を鳴らした。
事故当時、航空幕僚監部の運用課員として、発生から収束まで一部始終を指揮中枢である空爆作戦室で目撃していたという元空将の織田邦男氏(麗澤大学特別教授)は、
「全くのデマだ」
と断言。
陰謀説を
「情報戦」
とみなし、その対応は
「国民一人一人が高い情報リテラシーを持つことが何より重要である」
と訴えた。
2025年4月29日、墜落事故の現場となった
「御巣鷹の尾根」
に向かう登山道が冬の閉鎖期間を終え、開通。
遺族や関係者は慰霊のため尾根を訪れ、墓標の前で静かに手を合わせた。

日航機墜落の陰謀説唱える書籍は「図書館協議会選定図書」 自民の佐藤正久氏が是正訴え
2025/5/1 9:55
https://www.sankei.com/article/20250501-H5D7UDNLZVNKZAERNHNE2ZS3WA/
昭和60年の日本航空機墜落事故に自衛隊が関与したという
「陰謀説」
を巡っては国会でも取り上げられた。
2025年4月10日の参院外交防衛委員会で、自衛隊OBの佐藤正久氏(自民党)は自衛隊の関与を指摘する書籍が全国学校図書館協議会による選定図書に指定されているとして、
「何も知らない子供たちが推薦図書として図書館で触れることで国土交通省や防衛省が否定する事実を本当のことのように受けてしまう」
と述べ、是正を訴えた。
選定図書に選ばれているのは作家、青山透子氏の著書3冊(いずれも河出書房新社)。
選定図書は小中学校などの図書館が蔵書構成する上で参考になり、同団体は
「正しい知識や研究成果」
「科学的に正確」
などの選定基準を設けている。
野中厚文部科学副大臣は、佐藤氏の訴えに対し
「図書自体が児童生徒の健全な教養の育成に資する必要がある」
「懸念について防衛省の動向も踏まえ、団体に伝えていく」
と答弁した。
自衛隊の関与を指摘する書籍は、経済アナリストの森永卓郎氏(今年2025年1月死去)らも出版している。

産経新聞は青山氏に対し、中谷元・防衛相が自衛隊の関与は
「断じてない」
と発言したことへの見解を書面で求めた。
これに対し青山氏は河出書房新社を通じて後日取材に応じる意向を示した。

日航機墜落に5つの陰謀説 「自衛隊と隊員への冒瀆だ」当時捜索のOBが反論
2025/5/1 8:36
https://www.sankei.com/article/20250501-EWVJEC535BOPPNUXV2G4MZCO2M/
昭和60年の日本航空機墜落事故に自衛隊が関与したという
「陰謀説」
が流布されていることに、当時事故現場で生存者捜索にあたった自衛隊OBらは
「自衛隊と隊員への冒瀆だ」
と憤っている。
2025年4月16日には参院議員会館で開かれた
「JAL123便事故究明の会」
によるシンポジウムで、書籍などで指摘される陰謀説のうち5つの点に反論した。
同会は昨年2024年8月に設立。
会長を務める岡部俊哉元陸上幕僚長は事故当時、陸上自衛隊第1空挺団の小隊長として生存者の救助、ヘリポートの造成などの指揮を執った。
陰謀説@「海上自衛隊護衛艦の訓練中のミサイルが123便に衝突」
自衛隊の関与を指摘する書籍は墜落原因について、当時巡航ミサイルの実験中だった護衛艦「まつゆき」が相模湾(神奈川県沖)で123便の垂直尾翼周辺に異変を生じさせたとする。
だが、まつゆきの就役は事故翌年の昭和61年3月。当時は石川島播磨重工業(現IHI)が所有する船舶だった。
元海上自衛隊海将補の林祐氏は
「(海自の)乗組員も『艤装員』として乗り込んでいたが、石川島播磨の船長が指揮を執り、スタッフが運航していた」
と述べ、自衛隊が主導できる状況ではなかったと説明した。
123便は事故発生当時高度7・3キロに達した。
林氏は当時の対空ミサイルなどが
「そう飛翔するものでない」
と述べ、まつゆきに搭載された発射ランチャーについて
「発射することはできない」
「コントロールシステムが異なる」
と指摘した。
陰謀説A「航空自衛隊のF4戦闘機2機が123便を追尾」
墜落直前の123便を空自F4戦闘機2機が追尾していたとの目撃証言を基に、最終的にF4がミサイルで墜落させた─とするものだ。
追尾などの動きは公式記録にない。
また、F4パイロットとして当時現場に出動した渡辺修三氏はミサイルなど装備品管理は徹底されているとし、
「帰投してミサイル1本なかったら一大事だ」
と述べた。
陰謀説B「墜落現場の特定を遅らせた」
渡辺氏は、地上で上空の戦闘機パイロットと連携する要撃管制官からの誘導で日航機がレーダーから消えた午後6時56分過ぎに墜落現場とみられる場所にF4で向かい、1・5〜2キロに渡る帯状の炎を確認したと証言する。
ただ、正確な墜落地点は把握できなかった。
渡辺氏は操縦士に対し、最も炎が強い所を中心に旋回してもらったが正確な位置をつかむのは難しかったという。
陰謀説C「証拠隠滅のため火炎放射器で現場を焼却」
墜落現場では消防団員らが
「ガソリンとタールの混ざったような臭い」
と感じたという証言がある。
これを基に
「証拠隠滅」
のために自衛隊員が火炎放射器(携帯放射器)で遺体やミサイルの痕跡を焼却したと流布されている。
当時陸自第13普通科連隊(長野県松本市)に所属し救出作戦に参加した小川清史元西部方面総監は
「火炎放射器を取り出す手続きは幾重で容易ではない」
「注入する燃料を保管するのは業務隊で、指揮系統が異なり、より一層手続きに時間と書類が必要となる」
と反論する。
また、携帯放射器の燃料であるゲル化剤を大量のドラム缶で入手して、一晩で搬入、焼却、撤収するのは不可能だと指摘する。
そもそも燃料にタールは使われないという。
陰謀説D「海自出身の機長の遺体・制服を自衛隊が隠蔽」
書籍では、事故を巡って123便の機長が海自出身であることから、
「ミサイルを誤射した」
とされる海自の訓練との関係が示唆されている。
自衛隊員が事故現場で機長の遺体を真っ先に発見、目印のため棒で突き刺し、ヘリコプターの移動中、不都合なものを取り除くため制服などを外した─というものだ。
これに対し、岡部氏は
「現地は多くの数の人が作業していた」
「機長の制服を身に着けた遺体が発見されれば(現地にいた)マスコミの写真に写っている」
「空想で言われた話としかいいようがない」
と語った。

日航機墜落事故40年、拡散される陰謀説 「自衛隊の関与は断じてない」政府が強く否定
2025/5/1 7:00
https://www.sankei.com/article/20250501-IBAEULDM6ZNXPFOXSJL26PTXKE/
「自衛隊がミサイルを誤射した」
「撃墜の証拠隠滅を図るため乗客らの遺体を焼却した」−。
昭和60年8月の発生から今年で40年となる日本航空機墜落事故を巡り、自衛隊の関与を指摘する
「陰謀説」
が書籍やインターネット上などで流布されている。
ベストセラーになる書籍もある中、政府は自衛隊の関与を強く否定するなど対応を進めている。
「陰謀説」
を唱える主な著者は、複数の目撃証言を繋ぎ合わせて描写。
例えば、自衛隊は墜落現場に先駆けて到達し証拠隠滅を優先したため生存者を見殺しにしたと主張している。
昨年には事故現場への登山道に犠牲者の名前と
「自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
などと記された
「慰霊碑」
の設置が確認された。
123便の墜落原因に関して運輸省の航空事故調査委員会(当時)は、過去の不適切な修理で機体後部の圧力隔壁が壊れ、垂直尾翼や操縦系統が破壊されたと
「推定される」
とした。
メーカーのボーイング社は修理ミスがあったと認めた。
中谷元・防衛相は2025年4月10日の参院外交防衛委員会で
「自衛隊の関与は断じてない」
と明言し、対応する考えを示した。
中野洋昌国土交通相は2025年4月11日の記者会見で
「様々な角度から調査解析を行い、(事故原因が圧力隔壁であることは)ほぼ間違いないという結論に至ったため、強い推定を示す『推定される』という表現を使用している」
と説明した。
事故は昭和60年8月12日夕に発生した。
羽田発大阪行き日航123便ジャンボ機が群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
に墜落。
乗員・乗客524人のうち女性4人を除く520人が死亡した。

日航機墜落40年を前に慰霊 御巣鷹への登山道開通
2025/4/29 23:07
https://www.sankei.com/article/20250429-AZVN2ULQANICPPDG5E5BH23IR4/
1985年に520人が犠牲となった日航ジャンボ機墜落事故の現場、群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
に向かう登山道が2025年4月29日、冬の閉鎖期間を終え、開通した。
今年2025年8月で事故から40年となるのを前に、遺族や関係者が慰霊のため尾根を訪れ、墓標の前で静かに手を合わせた。
遺族らで作る
「8・12連絡会」
事務局長の美谷島邦子さん(78)は次男、健君=当時(9)=を亡くした。
墓標にこいのぼりや花を供え
「亡くなった人のその後を私たちは生きてきた」
「もうすぐ40年となるが、安全や命を守ることを目指して活動したい」
と力を込めた。
墜落地点の尾根に立つ
「昇魂之碑」
は事故翌年の1986年に建てられた。
尾根の管理人、黒沢完一さん(82)によると、昇魂之碑が傾いているのが確認され、補強工事が今月2025年4月17〜25日の日程で行われた。
黒沢さんは
「開山の前に工事が完了して良かった」
と話した。
事故は1985年8月12日、羽田発大阪行き日航123便ボーイング747が墜落し、乗客乗員524人のうち520人が死亡した。

日航機墜落事故をめぐる陰謀論に危機感
直球&曲球 葛城奈海
2025/4/17 13:00
https://www.sankei.com/article/20250417-QVEEP7E63ROW7BYUYFLZ6MWMSQ/
乗員乗客520人死亡という単独飛行機事故としては世界最多の死者を出した日本航空123便墜落事故から、2025年8月12日で40年になる。
群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
に墜落した事故機の生存者捜索・救助、遺体の搬送には警察や消防、地元猟友会らと共に、自衛隊が力を尽くした。
僅か4人だった生存者の1人、当時12歳の少女が自衛官に抱えられながらヘリに引き上げられていく映像をご記憶の方も多いだろう。
ところが、驚いたことに、2025年4月1日付の本紙『正論』欄で元空将の織田邦男氏が言及し、2025年4月10日の参院外交防衛委員会で佐藤正久議員が問題視した通り、あたかも自衛隊が墜落事故の加害者であるかのような言説が流布されているのだ。
佐藤議員によれば、陰謀論の元ネタとなった書籍が、
「全国学校図書館協議会選定図書」
に選ばれていたばかりか、事故現場の登山道に
「自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
と書かれた慰霊碑が建立されているとのことで、私も大いに危機感を抱いた。
これを放置しては、慰安婦問題における吉田清治証言同様、噓が真(まこと)になりかねない。
ましてやその本が学校の図書館に並ぶとなれば、募集難に喘ぐ自衛隊へ追い打ちをかけることにもなろう。
何より看過できないのは、遺体や燃料などの臭気漂う凄惨な事故現場で黙々と任務に邁進した自衛官たちの尊厳を踏みにじっていることだ。
陸上自衛隊第1空挺団の小隊長として現場で生存者捜索・救助、ヘリポート造成、遺体後送などの指揮を執った岡部俊哉元陸上幕僚長は、自衛隊が証拠隠滅のために火炎放射器で現場を焼却したかのような
「陰謀説」
に物理的にも時間的にも
「あり得ない」
と断言する。
同氏は、任務終了後、約1カ月、急性ストレス障害(ASD)に悩まされたことを告白している。
地獄絵図のような真夏の山中で、身を粉にして任務に邁進した自衛官たちへの冒瀆は、断じて許されるべきではない。
虚実入り交じった情報があふれる現代にあって容易なことではないが、真実を見極められる高い情報リテラシーを身に付けたいものである。

葛城奈海
かつらぎ・なみ
防人と歩む会会長、皇統を守る会会長、ジャーナリスト、俳優。
昭和45年、東京都出身。
東京大農学部卒。
自然環境問題・安全保障問題に取り組む。
予備役ブルーリボンの会幹事長。
近著に『戦うことは「悪」ですか』(扶桑社新書)。

御巣鷹の日航機墜落事故 「自衛隊が撃墜説」に国交相「正確な情報発信する」
2025/4/11 12:53
https://www.sankei.com/article/20250411-7Z4Z3ZGMEZPRRC53VQIG3TPBK4/
1985年に発生した日本航空機の御巣鷹墜落事故について、原因を
「自衛隊による撃墜」
などとする言説が書籍やインターネットで流布している問題に対し、中野洋昌国土交通相は2025年4月11日の閣議後記者会見で、
「しっかりと正確な情報を発信してきたい」
と述べた。
問題を巡っては2025年4月10日の参院外交防衛委員会で、自民党の佐藤正久参院議員が指摘。
中谷元防衛相が
「自衛隊が墜落に関与したことは断じてない」
と否定し、
「しっかり対応したい」
と回答している。
2025年4月11日の会見で中野氏は、旧運輸省の事故調査委員会の航空事故調査報告書を引用する形で、事故原因に言及。
機内の気圧を保つ役割がある
「後部圧力隔壁」
の不適切な修理に起因するものだとし
「様々な角度から調査解析を行い、専門家による審議の上、ほぼ間違いないという結論に至ったため、強い推定を示す『推定される』という表現を使用している」
と説明した。
その上で
「国会や会見を通じ、政府として責任ある立場にあるものが正確な発信をしていくことは重要だ」
と述べた。
事故は1985年8月12日夕に発生。
羽田発大阪行きの日航機123便が離陸後に機体トラブルに見舞われ、群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
に墜落。
乗客乗員524人のうち520人が死亡し、単独機としては世界最悪の被害となった。
報告書によると、当該機は78年に別の事故により、後部圧力隔壁が損傷し、米ボーイング社が修理した。
しかしその過程で不適切な措置が取られ、求められる仕様よりも強度が低下していた。
1985年8月12日午後6時24分、当該機は離陸から約12分後、疲労が重なっていた後部圧力隔壁が破損し、機内の空気が機体後部に噴出。
垂直尾翼や翼を動かす油圧系統が破壊され、操縦不能に陥った。
パイロットらは左右のエンジンの出力差を駆使するなどして機体の制御、立て直しを図ったが機体は迷走。
トラブルから約30分後の同6時56分、墜落した。
事故調査委は1987年6月、後部圧力隔壁の修理ミスを原因と推定する報告書を提出した。
ただ内容が専門的で難解との批判もあり、後の国交省の運輸安全委員会は、事故犠牲者の遺族と連携をとりながら2011年7月、報告書の
「解説書」
を作成。
報告書とともにホームページで公開し、
「自衛隊の関与説」
についても否定している。

御巣鷹事故「自衛隊が撃墜」、偽情報を自民佐藤正久氏が問題視 中谷元防衛相「対応する」
2025/4/10 16:09
https://www.sankei.com/article/20250410-YVB6ML6KJVAG7K6M6GPSYM47DM/
自民党の佐藤正久参院議員は2025年4月10日の参院外交防衛委員会で、日本航空機の御巣鷹山墜落事故を巡り
「自衛隊が撃墜した」
との言説が書籍などで流布されているとして
「自衛隊員の名誉に関わる問題だ」
「多くの人命救助に当たった隊員に対する侮辱だ」
と問題視した。
中谷元防衛相は
「自衛隊が墜落に関与したことは断じてない」
「しっかり対応したい」
と語った。
■「火炎放射器で証拠隠滅」
事故は昭和60年8月12日夜に発生。
群馬県・御巣鷹山に日航123便が墜落し520人が死亡した。事故原因について航空事故調査委員会は昭和62年6月、報告書を公表し、後部圧力隔壁の不適切な修理に起因するとしている。
佐藤氏によれば、問題の書籍は駿河湾で対空ミサイル訓練を行っていた護衛艦が日航123便を誤射し、撃墜の痕跡を隠すため、墜落地点の特定を遅らせた上、墜落現場で自衛隊が火炎放射器で証拠を隠滅したと指摘しているという。
佐藤氏は書籍について
「ベストセラーになり、ユーチューブで拡散されている」
と述べ、
「墜落の後、徹夜で尾根を踏破して危険を顧みず現場で多くの人命救助に当たった隊員に対する侮辱である」
と対応を訴えた。
■推薦図書に…場内ざわめく
この書籍が全国学校図書館協議会の推薦図書に選ばれていると指摘されると、委員会室がどよめく場面もあった。
佐藤氏は文部科学省にも対応を求め、野中厚文科副大臣は
「懸念を当該団体にしっかり伝えていく」
と応じた。
更に、御巣鷹山の登山道に建立された慰霊碑には
「自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
と記されているという。
佐藤氏は碑の写真を示して
「放置したままでいいのか」
「慰霊碑を作った人にアプローチして事実誤認だと言わないと(いけない)」
と訴え、中谷氏も
「しっかりと対応していきたい」
と語った。

<正論>「御巣鷹」に見る情報戦への脆弱さ 
麗澤大学特別教授 元空将・織田邦男
2025/4/1 8:00
https://www.sankei.com/article/20250401-766VLI7YBZOPRPRZLLAXQK5VBU/
■現代ハイブリッド戦争
ウクライナ戦争の停戦交渉が行われている。
この戦争の特徴として、開戦前から今なお続く熾烈な情報戦がある。
2014年3月、ロシアはクリミア半島を
「ハイブリッド戦争」
によって無血併合した。
ハイブリッド戦争とは
「高度に統合された設計の下で用いられる公然、非公然の軍事・非軍事・民間の手段を使った戦争」
である。
情報戦はハイブリッド戦争の主要手段であり、インターネットが発達した現代では国家をも動かす力がある。
2016年1月、ドイツで
「アラブ系難民が13歳少女をレイプした」
というニュースがロシア系メディアで報道され、SNSで拡散していった。
偽情報であることが判明するが、難民排斥運動は過熱し極右政党が大躍進する結果を生んだ。
情報戦に加え威嚇・恫喝の軍事行動を組み合わせることで、相手の思考・感情・記憶に直接働きかける
「認知戦」
も現代戦の1つである。
台湾併合を目指す中国は、台湾周辺で海上封鎖やミサイル発射訓練などを繰り返し、台湾住民に対して敗北感を植え付け、抵抗断念を図る。
2022年に岸田文雄政権で策定された国家安全保障戦略では
「情報戦への体制の強化」
を掲げ、偽情報を収集分析し、正しい情報を発信するとしているが緒に就いたばかりだ。
次の事例からも分かるように日本人は情報戦に対しては脆弱と言わざるを得ない。
■日航機墜落事故を巡る噓
40年前の1985年8月12日、日航123便が御巣鷹山に墜落した。
後にこの事故に関し
「自衛隊が撃墜したかのような本が出ている」
という噂を聞き、読んでみた。
要約するとこうだ。
123便は自衛隊のミサイル誤射によって正常な飛行が困難になり、誤射の証拠隠滅を図るため、空自戦闘機が出動して撃墜し、更にその証拠も消すため、墜落現場で陸上自衛隊が火炎放射器で証拠を焼き払ったというものである。
荒唐無稽と笑ってはいられない。
ノンフィクションとして書かれベストセラーになっているという。
またこれを真実と信じている人が多くいるというから驚いた。
筆者は事故当時、航空幕僚監部の運用課員で、事故発生から収束まで一部始終を指揮中枢である空幕作戦室で目撃していたので、全くのデマだと断言できる。
死臭漂う地獄絵図のような現場で懸命に生存者の捜索に携わった多くの自衛官を知っている。
彼らの多くがPTSDに苛まれた。
このようなデマは、黙々と災害派遣にあたった自衛官に対する冒瀆である。
この怒りはひとまずおく。
これは情報戦に対する日本人の脆弱性を示す。
「誰があの520人を殺したのか」
と感情に訴え、結論ありきで読者を引き込む。
そして5種の断片、つまり
@事実
A誤解
B推測、臆測
C曖昧な伝聞情報、目撃情報
D捏造
を都合よく組み合わせ、
「自衛隊による撃墜、証拠隠滅」
へと誘導する。
噓を並べても、所々に事実が入っていれば容易に全体を信じ込ませることができる。
これが情報戦の肝である。
著者の意図はともかく、結果的にロシアの情報戦の相似形となっている。
常識的に考えれば、
「自衛隊による撃墜、証拠隠滅」
などあり得ない。
自衛隊の行動には、自衛官を含む多くの関係者が関わる。
こんな犯罪行為があれば隠し通せるわけがない。
だが、自衛隊を知らない人は、創作されたナラティブ(物語)を容易に信じてしまう。
情報戦の恐ろしさである。
■情報戦に敗北しないため
筆者は元戦闘機操縦者でもあり、文中の誤りを全て指摘できる。
ここでは紙幅の関係上、疑惑の発端となった
「現場到着の遅れ」
についてだけ述べる。
地上レーダーは低高度が見えないので墜落地点は特定できない。
最初に炎を発見した米軍C130輸送機、空自F4戦闘機からの位置情報は、TACAN(戦術航法装置)の情報である(GPSは未装備)。
TACANには、固有の誤差がある。
更に当該機と現場の距離が誤差となって加わる。
横田TACAN局から割り出せば位置情報に4km前後の誤差が生じることはやむを得ない。
航空では僅かな誤差だが、陸上行動では大きな障害となる。
特に山岳地帯では、4km違えば隣の尾根になってしまう。
山岳の道なき道の移動は4kmでも数時間かかる。
夜間で、暗視装置のない(当時)ヘリの山岳投入は危険なので中止した。
地上部隊の投入場所の決定が遅れ、結果的に現場到着が遅れた。
この遅れが
「何かがあるはず」
と臆測を呼び、連鎖して物語の創作に繫がったのだろう。
我が国に情報戦が仕かけられた場合、同様なパターンで容易に敵の罠に嵌まってしまう可能性がある。
情報戦に敗北しないためには思い込みに符合する情報に飛びつくのではなく、情報を疑う姿勢、そして些事に拘泥せず、全局を俯瞰して判断できる能力が必要である。
情報戦への対応は、政府主導の
「正しい情報発信」
に頼るのではなく、国民1人1人が高い情報リテラシーを持つことが何より重要である。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/803.html#c63

[政治・選挙・NHK297] 石破降ろし封印する本尊(植草一秀の『知られざる真実』) 赤かぶ
19. 秘密のアッコちゃん[1808] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月12日 06:03:23 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1246]
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中国外務省「領海に入るには許可が必要。許可なく入れば法で対処」海自艦への警告射撃報道
2025/8/11 23:16
https://www.sankei.com/article/20250811-F6KZWI46ZZJYRFZTTVRGTYMZUU/
中国外務省の林剣副報道局長は2025年8月11日、昨年2024年7月に海上自衛隊の護衛艦「すずつき」が中国領海を一時航行した際に警告射撃をしていたとの報道を巡り
「外国軍艦が中国領海に入るには中国政府の許可が必要だ」
「許可なく入れば法に基づき対処する」
とコメントした。
警告射撃をしたかどうかには触れなかった。
すずつきの一時航行については
「中国の立場を既に以前表明している」
とした。
中国外務省は昨年2024年7月、
「領海侵入」
と非難し、日本に抗議して再発防止を求めたと説明した。(共同)

無害通航
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E5%AE%B3%E9%80%9A%E8%88%AA
無害通航(むがいつうこう、英語: Innocent passage)とは、沿岸国の平和・秩序・安全を害さない事を条件として、沿岸国に対して事前通告無しで沿岸国の領海を外国船舶が通航する事を指す。
当然の権利として国際海洋法においては、内陸国を含め全ての国の船舶は、他国の領海において無害通航権を有するものとされる。
一方で領海の沿岸国は、自国の領海内において国家主権に基づき、領海使用の条件設定や航行の規制ができるが、他国の無害通航を妨害する結果とならないように一定の国際義務が課される。
1958年に採択された領海条約第14条4項では、無害通航とは
「沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない」
航行と定義され、1982年の国連海洋法条約の第19条第1項では前記領海条約第14条第4項で定められた無害性に関する定義が踏襲され、同条第2項では無害とみなされない活動が具体的に列挙された。

中国外務省「領空侵犯の意図ない」 政治往来の一方で日本周辺の軍事活動が活発化
2024/8/27 18:28
https://www.sankei.com/article/20240827-WZ65AQEOOFNERNDB2WGNULGEZ4/
中国外務省の林剣(りん・けん)報道官は2024年8月27日の記者会見で、中国軍機が日本の領空を侵犯したことについて
「中国は如何なる国の領空にも侵入するつもりはない」
と表明した。
詳細については
「関係部門が状況について調査、確認しているところだ」
と述べるにとどめたが、領空侵犯は意図的なものではなかったとの認識を示した形だ。
林氏は、日本政府が中国側に抗議していることについて
「双方は既存のルートを通じて意思疎通を保っている」
と指摘した。
2024年8月27日から自民党の二階俊博元幹事長ら超党派の日中友好議員連盟が中国訪問を始めた。
日中間では新型コロナウイルス禍を機に停滞していた政治往来が活発化しているが、今回の領空侵犯がこうした機運に水を差す可能性もある。
中国軍機の領空侵犯について中国の交流サイト(SNS)では、今年2024年7月に海上自衛隊の護衛艦「すずつき」が浙江省沖の中国領海を一時航行したことに対する
「意趣返し」
という見方も浮上している。
近年、中国は日本周辺で軍事的な活動を活発化させている。
2022年8月に中国軍が台湾を包囲する形で実施した大規模軍事演習では、弾道ミサイルを日本の排他的経済水域(EEZ)にも着弾させた。
また、昨年2023年12月に中国のH6爆撃機2機とロシアのTU95爆撃機2機が日本海から東シナ海にかけての長距離を共同飛行するなど、ロシアと足並みを揃えた活動も日本周辺で盛んになっている。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/806.html#c19

[政治・選挙・NHK297] 米大統領の支離滅裂いよいよ拍車…相手がトランプじゃ、赤沢が何度訪米しても無駄なだけ(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
61. 秘密のアッコちゃん[1809] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月13日 08:06:45 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1247]
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台湾初「中国による侵攻」描くドラマ公開 俳優ら大市場失うリスクも「直面する脅威描く」
2025/8/10 17:57
https://www.sankei.com/article/20250810-QI6EUMQ7GRL6BP44OWEAYJS36U/
台湾で初めて中国による浸透工作と武力侵攻を正面から扱ったテレビドラマ
「零日攻撃(ゼロ・デイ)」
の放送2025年8月2日、始まった。
制作陣や出演俳優は中国の巨大市場を失うリスクを冒しながらも
「台湾人が直面する戦争の脅威を描く」
ため、政治的に最も敏感なテーマに挑んだ。
■日本からは高橋一生さんら
「我々と共に大きな危険を冒してくれた、全ての俳優たちに感謝したい」。
零日攻撃の試写会が台北で開かれた2025年7月22日、プロデューサー兼シナリオ統括の鄭心媚(てい・しんぴ)氏(49)がスクリーンの前で語った。
ドラマは全10話で、中国軍が台湾沖で消息を絶った対潜哨戒機の捜索を名目に台湾を海上封鎖して降伏を要求。
台湾はパニックに陥り、中国との内通者が内乱を起こすという内容。
台湾や香港の俳優の他、日本からは高橋一生さんと水川あさみさんも出演している。
■「出演したら今後起用しない」
鄭氏は2025年7月下旬に日本メディアと会見した際、台湾の複数の制作会社が
「ドラマに出演した俳優は今後、起用しない」
との意向を示したことを明かした。
「中国市場に進出できなくなることを恐れている」
ためで、スタッフの一部は匿名で参加したという。
こうしたリスクを冒してでも
「最も敏感な題材」
を選んだのは
「台湾は自由であり、如何なる制限も受けるべきではない」
との思いからだ。
制作に当たっては多くの政治関係者や軍事専門家らから助言を受け、現実性を追求した。
小説家で、陳水扁政権時代に総統の諮問機関「国家安全会議」の副秘書長を務めた林錦昌氏(58)も総顧問として制作陣に加わった。
林氏は
「我々は戦争を好まないが、その脅威はずっと存在している」
「どのような政治的立場であれ、ドラマを通じて台湾人に(民主的な)生活を如何に守るのか考えてほしかった」
と参加の理由を説明。
同時に
「台湾人が直面している困難な選択について、世界の友人たちにも理解してほしい」
と語った。
■最大野党は「洗脳ドラマ」と批判
台湾の最大野党、中国国民党は、当局から制作の補助金を受けていることなどを理由に
「民主進歩党政権の洗脳ドラマ」
などと批判する。
中国国防省の報道官は2025年7月30日、
「民進党当局が(作品を通じて)戦争を煽り、庶民を台湾独立の犠牲にしようとしているとして糾弾されている」
などと言及した。
一方、鄭氏は
「実際に見てもらえば分かるが、ある政党のための宣伝などではない」
と反論し、創作の独立性を堅持したと強調する。
零日攻撃は日本でも2025年8月15日からアマゾンプライムビデオで配信が始まる。

中国の浸透工作描く台湾ドラマ「零日攻撃」上映会 15日に配信開始「世論戦に軸足」
動画
2025/8/7 18:00
https://www.sankei.com/article/20250807-QCZZFDSK2VA6RIPUJK57YY5APM/
中国による浸透工作と武力侵攻を扱った台湾ドラマ
「零日攻撃(ゼロ・デイ)」
が2025年8月15日から日本で配信される。
2025年8月7日に東京都新宿区の映画館「109シネマズプレミアム新宿」で上映会が行われた。
ドラマには高橋一生さんら日本や香港の俳優が出演。
撮影は総統府や軍艦、軍用機でも行われるなど、台湾当局が協力した一方、中国メディアは
「台湾の若者を扇動している」
などと反発している。
ストーリーは中国軍が台湾沖で消息を絶った対潜哨戒機の捜索を理由に台湾を海上封鎖。
台湾側に降伏を迫り、中国との内通者がパニックに陥った台湾で内乱を起こす─という内容。
タイトルの
「零日」
は、中国軍が台湾に上陸するXデーを指す。
製作費は総額約11億円が投じられ、テロ攻撃や台湾メディアに対する中国勢力の浸透など、台湾が直面し得る危機を描き出している。
2025年8月15日からアマゾンプライムビデオで配信される。
上映会には台北駐日経済文化代表処の李逸洋代表(駐日大使に相当)や超党派議員連盟の
「日華議員懇談会」
の役員らも参加した。
日華懇の古屋圭司会長(自民)は中国発の偽情報が台湾社会に浸透している場面について、
「中国によるフェイクニュースは夥しいが、台湾の国民もそれを分かっている」
「メディアリテラシーを身に付けている」
と記者団に指摘した。
木原稔事務局長(同)はドラマについて
「中国の世論戦に軸足を置いた切り口だった」
と述べ、
「インフラの破壊やインターネット回線が途絶えることなどから現代の戦争は始まる」
「多くの日本人に見てもらいたい」
と語った。

「侵略者の脅迫を受けている」台湾・頼総統、就任1年で記者会見 中国念頭「幻想抱けぬ」
2025/5/20 16:42
https://www.sankei.com/article/20250520-SSKTS7HV3ZOQBHMURV2H7WW5QU/
台湾の頼清徳総統は就任から1年となる2025年5月20日、台北市の総統府で記者会見した。
台湾周辺で軍事演習を繰り返し統一圧力を強める中国を念頭に、台湾が
「侵略者の脅迫を受けている」
と述べ、外国からの兵器購入などを通じて防衛力を引き続き強化していく姿勢を示した。
頼氏は
「我々は揺るぎなく平和を追求していく」
「戦争に勝者はいない」
とする一方、
「(中国に)幻想を抱くことはできない」
と指摘。
世界の同志国と積極的に協力して抑止力を発揮し、
「戦争への備えによって戦いを回避する」
との考えを示した。
政治的に中国との緊張が高まる中、台中間の経済文化交流は先細りが続く。
頼氏は
「対等と尊厳」
を条件に
「喜んで交流と協力を行う」
と中国に呼びかけた。
トランプ米政権が台湾に課す方針を示した32%の相互関税などを巡る対米協議について、頼氏は
「経過は順調であり、如何なる業界も決して犠牲にしない」
と強調。
米国に不信や疑念を抱く
「疑米論」
が台湾世論の一部に広がっていることを念頭に
「意見の相違があっても、信頼を基礎に誠実に対話すれば友情はより深くなる」
と主張した。
また立法院(国会に相当)で過半数を占める野党との間で政治対立が激化していることを受け、頼氏は
「与野党間の対話を促進したい」
と表明。
野党党首に対して
「重要な国家安全情勢の報告」
を実施した上で
「率直な意見交換」
を行う意向を示した。

「防衛力を強化」台湾・頼清徳総統、就任1年に合わせ会見 中国念頭に団結訴え
2025/5/20 12:21
https://www.sankei.com/article/20250520-NATF5WZAFZO3HLSAEDPDIWDBXY/
台湾の頼清徳総統は2025年5月20日、就任1年に合わせ、台北の総統府で記者会見した。
中国の統一圧力に対し
「戦争に備えることで戦争を避け、平和の目標を達成する」
と述べ、引き続き防衛力の強化に取り組むと表明した。
頼氏はこの1年で
「全社会の防衛強靱化」

「中国の浸透工作を阻止するための方策」
を講じてきたと成果を強調した。
内政では立法院(国会)の多数派を野党に握られ、苦しい政権運営を強いられている。
頼氏は
「民主的で自由な生活を捨てていいと思っている台湾人はいない」
と強調。
中国を念頭に団結するべきだとの考えを示した。(共同)

中国の軍事演習で海上民兵の連携が深化 国基研が分析、海上封鎖はシーレーンにまで拡大
2025/4/25 15:25
https://www.sankei.com/article/20250425-MHNYYYKLSBKVNPGQKNZPKE6TJQ/
シンクタンク国家基本問題研究所(国基研、櫻井よしこ理事長)は2025年4月25日、中国人民解放軍で台湾方面を管轄する東部戦区が今月初頭に実施した軍事演習についての分析結果を公表した。
中川真紀研究員が衛星画像などを用いて演習の実態や意図を解説し、普段は漁業を営む中国の海上民兵と連携した中国軍の行動への対応準備の必要性を訴えた。
中川氏は、昨年2024年中国軍が2度に渡って実施した軍事演習
「連合利剣」
との違いとして、今回の演習は、海上民兵が参加し、海上封鎖の対象が港湾にとどまらずシーレーン(海上交通路)にまで拡大したと指摘した。
その上で海上民兵について、統合演習に参加できるまで
「軍との連携が深化した」
と分析した。
さらに、台湾の液化天然ガス(LNG)基地を模した標的に対する多連装ロケット砲での実射訓練が初めて確認されたと説明。
エネルギー施設への模擬攻撃は
「『生活の混乱を招く』と台湾市民を威嚇する」
狙いがあるとの見方を示した。
中川氏は今年2025年1月以降の台湾周辺での中国軍無人機の飛行状況も紹介し、日本としても、中国軍の無人機の飛来や多数の海上民兵の尖閣諸島(沖縄県石垣市)への上陸などを想定した準備を急ぐ必要があると強調した。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/811.html#c61

[政治・選挙・NHK297] 政治勢力三分割が最適(植草一秀の『知られざる真実』) 赤かぶ
28. 秘密のアッコちゃん[1810] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月13日 08:36:21 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1248]
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<正論>戦後80年の夏に 抹殺された「大東亜戦争」の背景
麗澤大学特任教授・江崎道朗
2025/8/13 8:00
https://www.sankei.com/article/20250813-EN5HK4IZZ5P23OE54XKAKRFN54/
戦後80年を迎えたが、未だに歴史の事実から目を背ける議論が目立つ。
その代表例が
「先の大戦」
の名称だ。
専ら
「太平洋戦争」
と呼ばれる
「先の大戦」
の正式な呼称は
「大東亜戦争」
という。
昭和16(1941)年12月12日、東條英機内閣は
「今次ノ対米英戦争及今後情勢ノ推移ニ伴ヒ生起スルコトアルヘキ戦争ハ支那事変ヲモ含メ大東亜戦争ト呼称ス」
と閣議決定し、
「大東亜戦争」
を正式な呼称とした。
ところが現在、この正式名称はほとんど使われることがない。
毎年夏になると、メディアは
「歴史を直視せよ」
と主張するが、先の大戦の正式な呼称が
「大東亜戦争」
であることには触れようとはしない。
触れたとしても
「大東亜戦争」
という呼称を使うことは日本の
「侵略戦争」
を肯定することであり、それは間違ったことだと示唆することが多い。
では、なぜ戦後
「大東亜戦争」
という正式呼称を使わなくなったのか。
なぜ
「太平洋戦争」
という呼称が使われるのか。
なぜ
「大東亜戦争」
という呼称を使うことが間違ったこととされているのか。
それは、敗戦後に実施された対日占領政策と深く関係する。
■占領下の検閲
昭和20(1945)年8月14日、日本はポツダム宣言を受諾し、連合国に対して降伏したが、それで
「戦争」
が終わったわけではなかった(米国をはじめとする連合国側と正式な講和条約を結び、正式に
「戦争」
が終わったのは昭和27年4月28日、サンフランシスコ講和条約の発効をもってである)。
日本が停戦を受け入れるや、戦勝国たる米国は直ちに占領軍を送り、我が国を占領・統治するようになった。
米軍を中心とする占領軍は、日本に対して様々な改革を強いたが、その際、徹底した検閲制度を敷いた。
言論統制を行ったのだ。
検閲は新聞・雑誌・書籍・映画・ラジオ放送など、あらゆる情報媒体に対して行われた。
しかも事前検閲と事後検閲の両方が行われ、出版物は発行前に内容を提出し、占領軍の許可がなければ発行できなかった。
占領軍が不適切と判断した部分は、墨で塗り潰されたり(実際は青鉛筆)、完全に削除されたりした。
最終的に刊行された雑誌や新聞からは痕跡が残らない形で検閲が実施されたため、敗戦後の日本に対して占領軍が徹底した検閲を実施したことも、その検閲がどのような酷い言論弾圧であったかも日本人の大半は知らない。
■歪められた近現代史研究
果たしてそれでいいのか。
そうした問題意識に基づき、米国メリーランド大学のプランゲ文庫(占領軍検閲文書)などの一次資料を用いて占領下の検閲の実態を明らかにしようとした本がこのほど復刊された。
勝岡寛次著
『抹殺された大東亜戦争―米軍占領下の検閲が歪めたもの』
(育鵬社)
だ。
本書では占領軍による検閲と宣伝工作が、我が国の近現代史研究を歪めてきた事実を指摘している。
第1に、占領軍の検閲によって
「大東亜戦争」
「八紘一宇」
「大東亜共栄圏」
など、戦前・戦中の日本の公式用語の使用は禁止された。
検閲はあらゆるメディアに及び、
「大東亜戦争」
や日本の戦争目的を擁護する内容は抹消・削除された。
これにより日本がなぜ戦争に突入せざるを得なかったのか、動機や経緯などについての多面的な議論や反証、つまり日本側の言い分がほぼ封殺された(ただし誤解しないでほしいのは、日本側の言い分が全て正しかったと主張しているわけではない)。
第2に、東京裁判(極東国際軍事裁判)において日本側に有利な証拠や連合国側に不都合な資料は悉く却下された。
裁判や戦争責任に関する日本側の反論や弁護論、占領政策への批判は、検閲により公にされなかった。
第3に、日本軍の
「残虐行為」

「南京大虐殺」
などを強調する記事は積極的に掲載が認められ、国民の戦意喪失・贖罪意識の植え付けが図られた。
しかも占領軍は
「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」
という宣伝工作を実施し
「太平洋戦争=日本の侵略戦争」
という歴史観を押し付けた。
これにより
「日本=侵略者」
という構図が固定化された。
■今尚学校教育に影響
「大東亜戦争」

「太平洋戦争」
へと書き換えさせたのは単なる用語の変更ではなく、
「侵略戦争」
としての
「太平洋戦争史観」
を日本社会に定着させるためであった。
しかも残念なことに検閲と宣伝工作の影響は戦後世代にも及び、あたかも日本だけが悪かったかのような
「太平洋戦争=侵略戦争」
という単線的な歴史観が今尚学校教育やメディアを通じて再生産されている。
だが、我が国は学問の自由と多様な歴史研究を認める独立国家だ。
検閲と政治宣伝によって歪められた
「大東亜戦争」
論を、検閲によって抹殺された
「日本側の言い分」
を踏まえて再構築したいものだ。

朝日新聞は思想警察か!
Hanada2024年6月号 山際澄夫
朝日新聞は、自らの役割を思想警察か何かと勘違いしてはいないか。
そう疑わざるを得ないような報道が相次いでいる。
とりわけ、陸上自衛隊大宮駐屯地の第32普通科連隊が行ったXへの投稿に
「大東亜戦争」
の用語が用いられていることを問題にした報道は、言葉狩りとでも言うべき酷いものだった。
Xだから当然だが、投稿はごく簡潔な内容だった。
<#32連隊の隊員が、大東亜戦争最大の激戦地硫黄島において開催された日米硫黄島戦没者合同慰霊追悼顕彰式に旗衛隊として参加しました。謹んで祖国のために尊い命を捧げた日米双方の英霊のご冥福をお祈りします>
ところが朝日新聞は、この僅か100字ほどの短い投稿に反応し、
<第32普通科連隊が、X(旧ツイッター)で同隊の活動を紹介する際に、「大東亜戦争」という言葉を使って投稿していた>
<政府は太平洋戦争を指す言葉として、この呼称を公式文書では用いていない>
<同隊は2024年4月7日、取材に公式アカウントであることを認めた上で、「本日はコメントすることができない」とした>
(2024年4月8日)
と、如何にもあってはいけないことが起こったかのように報じたのである。
これを受けて、ネットなどでは
「戦争の反省が足りない」
「侵略戦争を正当化する」
などと左翼界隈で炎上することになり、第32普通科連隊は
「大東亜戦争」
などを削除して再投稿することを強いられた。
だが、大東亜戦争という言葉を使って悪いなどという理由はない。
大東亜戦争は、日本が昭和16(1941)年12月に閣議決定した先の大戦の呼称だ。
日本国民は大東亜戦争を戦ったのである。
それを
「太平洋戦争」
と言い換えるように強制されたのは、敗戦でGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が
「八紘一宇」
(人種・民族・宗教等の差別なく、世界の皆が1つの家に平和に暮らす理想を願った意味合いがあり、日本が目指す世界秩序そのものである)
などと共に使用禁止にしたからである。
だが、占領の終了と日本の主権回復で、命令は失効している。
政府の過去答弁でも使われている。
それを使ってはいけないと言うのは検閲、言葉狩りと言うしかない。
國参拝問題、南京大虐殺が典型的だが、ありもしない歴史問題を政治問題、外交問題にでっち上げ、中国や韓国の内政干渉を誘い込んで日本を叩いてきたのが、朝日新聞である。
今回も、中国外務省の報道局長が
「中国を含むアジアの国民感情を酷く傷付けた」
「日本は侵略を反省せよ」
などと呼応している。
朝日新聞は社説(2024年4月13日)で、
大東亜戦争の言葉の使用は
<侵略戦争の肯定につながる>
との指摘もあるとしていたが、どうして日本の戦争を侵略と決め付けるのか。
このところ朝日新聞は、自衛官の國神社集団参拝など自衛隊の歴史認識攻撃に躍起だ。
元海将の大塚海夫氏の國神社宮司への就任も、
<国や軍隊が特定の宗教と結びついた印象を与えることにならないか>(2024年3月31日)
と述べている。
大東亜戦争を巡る言論弾圧も、こうした自衛隊攻撃と無縁ではあるまい。
だが、自衛官が言葉狩りにあっているのに、政府の対応はどこか及び腰だ。
林芳正官房長官は
「大東亜戦争という用語は一般に政府として公文書で使用しなくなっている」
「如何なる用語を使用するかは文脈によるもので、一概にお答えすることは困難」
と言うだけだ。
官邸の主の岸田文雄首相はこのほど国賓待遇で米国を訪問し、大歓迎された。
早速赴いたのは、アーリントン墓地である。
国内では國神社へ参拝しようともしないのに、おかしくないか。
岸田文雄首相の胸に、戦後の日米同盟の成功は
「英霊が大東亜戦争を戦ってくれたお陰だ」
という思いが一瞬でも去来することはなかっただろうか。

5分で読める、なぜ日本は戦争したの?大東亜戦争の原因を解説!【終戦記念日】
2019/8/21
https://www.tech-tech-walking.com/great-east-asia-war/
こんばんは、ちーも(@chihiro_ojima)です。
2019年8月15日、本日は終戦記念日。
74年前の今日戦争は終わった。
僕の祖父は今年で92才、終戦時は18才になったばかり。
兵庫県で通信兵として軍隊に入っていたからあと数ヶ月戦争が長引いていたら祖父は死んでいたかもしれない。
そうなると、(当たり前だけど)母は生まれず、僕もいなかったことを考えると不思議な気持ちになる。
余談だけど祖父は74年前の今日、上官にこう言われたそう。
上官「戦争は終わらせない、これから上陸してくる米兵に玉砕攻撃をしかける!お前らも参加するな?」
祖父「もう戦争は嫌です、死にたくありません!!」(半泣き)
いつも殴られてばかりだったから、死ぬほど殴られると思っていた祖父は上官がただ一言「そうか。」と行って去っていくことに驚いたそう。
・・・・と話はそれましたが、現代を生きる僕たちは意外に戦争がなぜ起きたのかの原因を知る人は少ない。
TVや教科書は戦争の悲惨さを教えてくれます。
でも”なぜ戦争に突入したのか”を教えてくれません。
強いて言われるのは軍部の暴走。
でも本当にそうなのか。
歴史、こと戦争を語るに当たってその国だけでなく当時の世界情勢を知る必要があることは間違いない。
僕も僕の祖父も、平和を願っているのだけれど、現在でも世界中で紛争や戦争は未だに発生していて、平和とは程遠い。
だからこそ大東亜戦争(太平洋戦争)がなぜ発生したのか、できるだけシンプルに簡単に説明します!
目次
当時当たり前だったアジア・アフリカへの植民地政策
ABCD包囲網で追い込まれる日本
戦争に参加したかったアメリカが出した最後通牒「ハルノート」
【まとめ】大東亜戦争はなぜ起こったのか
■当時当たり前だったアジア・アフリカへの植民地政策
ペリーが日本の浦賀にきたのは1853年、当時鎖国状態だった日本はペリーに開国を迫られます。
で、日本は鎖国状態だったので世界情勢を知らずペリーの黒船や、大砲に驚いて開国した・・・と思っている人多くないですか?
実はそれは間違いで、江戸幕府はかなり優秀だったので、1840年にイギリスと清(中国)との間で起こったアヘン戦争にて清がボコボコにやられたのを知っていた。
また、イギリスを始めとするヨーロッパの国々が産業革命後、原材料を確保するためにインドを含めほとんど全てのアジアの国への植民地支配を広めていたことも知っていた。
これは大東亜戦争前の地図だけど、これ見るとよくわかりますよね。
地図でアフリカの国境の線を見てみて下さい。
あの国境の線こそ植民地支配の跡です。
ちなみにタイは1回も植民地支配されていない。
凄い。
アメリカは世界的な植民地政策ブームに乗り遅れていたから清をどうしても獲りたかったんだよね。
■ABCD包囲網で追い込まれる日本
引用URL:http://heiwa.yomitan.jp/4/3264.html
時は流れ(はしょって)幕末、明治維新を経て明治政府が作られました。
が、要するに白人たちによる有色人種への植民地支配は継続しており、日本も狙われる側であることに変わりなかったわけですね。
とはいえ、日本は1905年の日露戦争によってロシアに勝ったことで、白人国家からは
「名誉白人」
と呼ばれ、他の有色人種よりは差別されなかったそう。
植民地支配を列強各国に狙われている清を先に獲らないと、日本的には明日は我が身なわけです。
そんなこんなで、満州事変や盧溝橋事件を起こし・・・まぁ日中戦争へと持ち込んでいく。
まぁこれらの事変や事件は、日本の関東軍が無理やり戦争の口実を作ってた的な感じだよね。
中国の人からしたらたまったもんじゃないけど、僕らの先祖も必死だったんだよね。
実は当時、各国の軍隊が中国国内に常駐されるのは普通だったんだよ。
まぁ良い悪いは置いておいて・・・。
ただし日本って戦争するにも資源がなかった。
石油とかね、、色々と。
で、そういった物資を輸入していたのがアメリカ、イギリス、中国、オランダとかでその各国が日本に対して経済封鎖してきました。
その国々の頭文字をとってABCD包囲網っていいます。
ちなみにオランダはインドネシアを植民地にしてたから、石油や天然ゴムなどが豊富にあったよ。
つまり現状植民地を持っている宗主国はいいけど、新しく植民地を作るのは許さん!ってことだよね。
・・・で、日本は困り果てて東南アジアへの南下し攻めることで、それらの資源を確保する道へと進みます。
アジアへの侵略とは言っても、その国々はほとんど白人に支配されていたので結果的には解放するような戦争になったわけです。
実際終戦後にアジア国々の独立戦争に加わった日本兵の話なんかもあるしね。
一緒に戦った国も多かったんだよ。
■戦争に参加したかったアメリカが出した最後通牒「ハルノート」
日本が南下作戦で戦うのは、他ならないその植民地支配している国たち。
そして、北から虎視眈々と南下を狙っているロシア。
1番戦争をしたくない相手はアメリカ。
なのでアメリカのルーズベルト大統領はあくまで代理戦争として蒋介石に対して資金や物資援助をすることで、日本軍と戦うしかなった。
実はアメリカとは日本の撤退時期や、方法など色々な交渉を数ヶ月もしていたんだけど、ルーズベルトは応じず。
1941年11月についにハルノートを突きつけられる。
その意味は
「無条件で中国大陸を撤退せよ!」
というもの。
※台湾、朝鮮半島は含まれていません。
何度も言うけど、白人国家は散々アジアやアフリカを植民地支配しているのに、日本にはそれを許さない・・・というより有色人種には許さないという強い意思表示がそこにはあったわけですね。
実はルーズベルトは戦争をしないという公約で大統領に選出されているんだけど、本心はしたかった。
で、国民世論を戦争に賛同させるためには”日本から先に攻撃をさせる必要”があったんです。
対米戦争、撤退かを迫られた日本は1番戦争を回避したかった真珠湾攻撃を仕掛けることとなります。
これも事前にアメリカ側は知っていたんだけど、奇襲攻撃を受け、アメリカ国民の世論を参戦一色に盛り上げてからの方がいいと判断してのこと。
しかも本当は奇襲ではなかったんだよね。
長くなるのではしょります。
【まとめ】大東亜戦争はなぜ起こったのか
パール判事
外交の手段の1つに戦争があるといいます。
国と国の交渉で、多くの一般人が殺しあう戦争は本当に恐ろしいし、本当に嫌。
2度とあってはいけないと思います。
余談だけど、祖父の弟は原爆投下時、広島にいたらしく投下の2日後くらいに祖父は弟を探すために広島へいった。
その時の滅茶苦茶に壊れた街、夥しい数の死体の山を見て泣いた。
ちなみに祖父の弟は全くの無事で生きていたそう。
僕は終戦記念日は毎年、靖国神社に参拝しているけど、今年(2019年)は台風で飛行機が飛ばなかったのでいけなかったので残念。
■大東亜戦争開始までの流れ〜まとめ〜
1当時は白人国家によるアジア/アフリカへの植民地政策が盛んだった
2鎖国している日本に対しても植民地化への圧力が遂に来た
3江戸幕府から明治政府へ、資源のない日本は戦争をせざるを得ず
4日清戦争、日露戦争を勝ち、欧米列強へと肩を並べる
5樺太、台湾、朝鮮半島などを持つことで、白人社会からやっかみを受ける
6ABCD包囲網にて日本は追い込まれる
7アメリカが無理やり参戦
8資源を求めてアジアへ南下し侵略を開始
最後に戦後、開かれた極東裁判でのインド人のパール判事の言葉を引用して終わりたいと思います。
<時が熱狂と偏見とをやわらげた暁には また理性が虚偽からその仮面を剥ぎ取った暁には
その時こそ正義の女神はその秤を平衡に保ちながら 過去の賞罰の多くに
そのところを変えることを要求するであろう>
今回はちょっと重たい内容になっちゃいましたね。
でも大事なことです。
僕の記事の時系列はちょっとずれていたりするかもしれませんが、芯は捉えていると思います←
世界が平和でありますように!
あと日本の自虐的な歴史観を持っている人がいたら、先祖を誇りに思ってほしい。
では、また!

https://www.worldwide-transition.info/syowa/taiheiyo/abcd.html
ABCD包囲網とは?  
なぜ日中戦争が長期化しているか考え、その原因が援蒋ルートにあると思った日本軍は、それを遮断するために南進政策を取り、北部仏印(ベトナム北部)まで進み、そこに留まりました。
日本に南進されると連合軍側は困るので、アメリカ、イギリス、中国、オランダの各国が手を組み、日本に対して経済封鎖を強くしていきました。
これを、各国の頭文字をとって、ABCD包囲網と呼びました。
ABCD包囲網とは?
その1番最初の動きが、アメリカが行った1939年の日米通商航海条約の廃棄通告で、日本がこのまま南進政策を取り続けて中国を侵略していくなら、日米通商航海条約を廃棄するぞ、と迫ってきたわけです。
この通告に対して、日本側は
「まさか廃棄などするはずがない」
と甘く見ていたのでしょうが、通告に応じなかったため、1940年に本当に条約は廃棄されてしまいました。
時を同じくして、他の国々もどんどん経済封鎖をしていくため、日本に海外からの物資が入って来なくなってしまいました。
特に、オランダからの物資が絶たれたのが痛かったのです。
何しろ、オランダは石油がゴム、アルミニウムの原料であるボーキサイトなど、天然物資を多く持っていた現在のインドネシア(オランダ領東インド)を支配していましたから。
アラブの国々から日本が石油を輸入するようになったのは主に戦後のことで、この頃はインドネシアやマレー半島から輸入することがほとんどでした。
アメリカは、在米日本人の資産凍結や、日本への石油の輸出禁止などの政策を推進していきます。
そこで、日本はこれらの資源を集めるため、オランダがドイツに降伏し、イギリスも危機的状況にあったところを、その隙を付くように、1940年に北部仏印進駐、1941年には南部仏印進駐と、南進政策をどんどん進めていきます。

世界はどのように大東亜戦争を評価しているか
平成20年8月11日
https://www.nipponkaigi.org/opinion/archives/844
自存自衛と大東亜の解放を掲げて戦われた日本の戦争は、アジアの諸国民や各国の識者からどのように受け止められているのだろうか−。
■イギリス
◎アーノルド・J・トインビー 歴史学者
第2次大戦において、日本人は日本のためというよりも、むしろ戦争によって利益を得た国々のために、偉大なる歴史を残したと言わねばならない。
その国々とは、日本の掲げた短命な理想であった大東亜共栄圏に含まれていた国々である。
日本人が歴史上に残した業績の意義は、西洋人以外の人類の面前において、アジアとアフリカを支配してきた西洋人が、過去200年の間に考えられていたような、不敗の半神でないことを明らかに示した点にある。
(1956年10月28日/英紙「オブザーバーL)
■アメリカ
◎ジョイス・C・レプラ コロラド大学歴史学部教授
日本の敗戦、それはもちろん東南アジア全域の独立運動には決定的な意味を持っていた。
今や真の独立が確固とした可能性となると同時に、西洋の植民地支配の復活も、許してはならないもう1つの可能性として浮び上がってきたのである。
民族主義者は、日本占領期間中に身に付けた自信、軍事訓練、政治能力を総動員して、西洋の植民地支配復帰に対抗した。
そして、日本による占領下で、民族主義、独立要求は最早引き返せない所まで進んでしまったということをイギリス、オランダは戦後になって思い知ることになるのである。(「東南アジアの解放と日本の遺産」)
◎ジョージ・S・カナヘレ 政治学博士
日本占領軍がインドネシア民族主義のために行った種々の仕事の中で、最も重要なものの1つは、正規軍及び准軍事組織を創設して、それに訓練を与えたことである。
…このような機会がなかったならば、戦後のインドネシア民族革命の経過は違ったものになっていたであろう。(「日本軍政とインドネシア独立」)
■オランダ
◎サンティン・アムステルダム市長 現内務大臣
本当に悪いのは侵略して権力を振るっていた西欧人の方です。
日本は敗戦したが、その東亜の解放は実現した。
即ち日本軍は戦勝国の全てを東亜から追放して終わった。
その結果、アジア諸民族は各々独立を達成した。
日本の功績は偉大であり、血を流して闘ったあなた方こそ最高の功労者です。
自分を蔑むことを止め、…その誇りを取り戻すべきであります。
(1985年日本傷痍軍人会代表団がオランダを訪問した時行われた市長主催の親善パーティの歓迎挨拶)
■タ イ
◎ククリット・プラモード 元首相
日本のお陰で、アジアの諸国は全て独立した。
日本というお母さんは、難産して母体をそこなったが、生まれた子供はすくすくと育っている。
今日、東南アジア諸国民が、アメリカやイギリスと対等に話ができるのは、一体誰のお陰であるのか。
それは『身を殺して仁をなした』日本というお母さんがあったためである。
(1941年)12月8日は、我々にこの重大な思想を示してくれたお母さんが、一身を賭して重大決意された日である。
更に(1945年)8月15日は、我々の大切なお母さんが、病の床に伏した日である。
我々はこの2つの日を忘れてはならない。
■マレーシア
◎ラジャー・ダト・ノンチック 元上院議員
私たちは、マレー半島を進撃してゆく日本軍に歓呼の声を上げました。
敗れて逃げてゆく英軍を見た時に、今まで感じたことのない興奮を覚えました。
しかも、マレーシアを占領した日本軍は、日本の植民地としないで、将来のそれぞれの国の独立と発展のために、それぞれの民族の国語を普及させ、青少年の教育を行ってくれたのです。
◎ガザリー・シャフィー 元外務大臣
日本はどんな悪いことをしたと言うのか。
大東亜戦争で、マレー半島を南下した時の日本軍は凄かった。
僅か3カ月でシンガポールを陥落させ、我々にはとても敵わないと思っていたイギリスを屈服させたのだ。
私はまだ若かったが、あの時は神の軍隊がやってきたと思っていた。
日本は敗れたが、英軍は再び取り返すことができず、マレーシアは独立したのだ。
◎ザイナル・アビディーン 歴史学者
日本軍政は、東南アジアの中で最も政治的意識が遅れていたマレー人に、その種を播き、成長を促進させ、マラヤにおける民族主義の台頭と発展に、大きな触媒″の役割を果たした。
■インドネシア
◎モハメッド・ナチール 元首相
アジアの希望は植民地体制の粉砕でした。
大東亜戦争は、私たちアジア人の戦争を日本が代表して敢行したものです。
◎アラムシャ 元第三副首相
我々インドネシア人はオランダの鉄鎖を断ち切って独立すべく、350年間に亘り、幾度か屍山血河の闘争を試みたが、オランダの投智なスパイ網と、強靭な武力と、苛酷な法律によって、圧倒され壊滅されてしまった。
それを日本軍が到来するや、たちまちにしてオランダの鉄鎖を断ち切ってくれた。
インドネシア人が歓喜雀躍し、感謝感激したのは当然である。
◎サンバス 元復員軍人省長官
特にインドネシアが感謝することは、戦争が終わってから日本軍人約1000人が帰国せず、インドネシア国軍と共にオランダと戦い、独立に貢献してくれたことである。
日本の戦死者は国軍墓地に祀り、功績を讃えて殊勲章を贈っているが、それだけで済むものではない。
◎プン・トモ 元情報相
日本軍が米・英・蘭・仏を我々の面前で徹底的に打ちのめしてくれた。
我々は白人の弱体と醜態振りを見て、アジア人全部が自信を持ち、独立は近いと知った。
1度持った自信は決して崩壊しない。
…そもそも大東亜戦争は我々の戦争であり、我々がやらねばならなかった。
そして実は我々の力でやりたかった。(昭和32年の来日の際の発言)
■インド
◎ラグ・クリシュナン 大統領
インドでは当時、イギリスの不沈戦艦を沈めるなどということは想像もできなかった。
それを我々と同じ東洋人である日本が見事に撃沈した。
驚きもしたが、この快挙によって東洋人でもやれるという気持ちが起きた。(昭和44年、日本経済新聞)
◎ハビプル・ラーマン 元インド国民軍大佐
ビルマ、インドネシア、フィリピンなどの東アジア諸国の植民地支配は一掃され、次々と独立し得たのは、日本が育んだ自由への炎によるものであることを特に記さなければならない。
◎グラバイ・デサイ インド弁護士会々長
インドは程なく独立する。
その独立の契機を与えたのは日本である。
インドの独立は日本のお蔭で30年早まった。
これはインドだけではない。
インドネシア、ベトナムをはじめ東南アジア諸民族全て共通である。
インド4億の国民は深くこれを銘記している。
(1946年の軍事裁判に出廷した藤原岩市氏らに)
■スリランカ
◎l・R・ジャヤワルダナ 大統領
往時、アジア諸民族の中で、日本のみが強力かつ自由であって、アジア諸民族は日本を守護者かつ友邦として、仰ぎ見た。
…当時、アジア共栄のスローガンは、従属諸民族に強く訴えるものがあり、ビルマ、インド、インドネシアの指導者たちの中には、最愛の祖国が解放されることを希望して、日本に協力した者がいたのである。(1951年、サンフランシスコ対日講和会議演説)
■ミャンマー
◎バー・モウ 元首相
歴史的に見るならば、日本ほどアジアを白人支配から離脱させることに貢献した国はない。
しかしまたその解放を助けたり、あるいは多くの事柄に対して範を示してやったりした諸国民そのものから、日本ほど誤解を受けている国はない。
もし日本が武断的独断と自惚れを退け、開戦当時の初一念を忘れず、大東亜宣言の精神を一貫し、商機関や鈴木大佐らの解放の真心が軍人の間にもっと広がっていたら、如何なる軍事的敗北も、アジアの半分、否、過半数の人々からの信頼と感謝とを日本から奪い去ることはできなかったであろう。
日本のために惜しむのである。(「ビルマの夜明け」)
■シンガポール
◎ゴー・チョクトン 首相
日本軍の占領は残虐なものであった。
しかし日本軍の緒戦の勝利により、欧米のアジア支配は粉砕され、アジア人は、自分たちも欧米人に負けないという自信を持った。
日本の敗戦後15年以内に、アジアの植民地は、全て解放された。(「諸君!」平成5年7月号)

「大東亜戦争」削除問題、「慰霊が重要」というなら英霊が戦った呼称を使うべきだ
葛城奈海
2024/4/25 10:00
https://www.sankei.com/article/20240425-EMQAARC2KVNTZAJVU7YBHRASB4/
陸上自衛隊第32普通科連隊が公式X(旧ツイッター)で用いた
「大東亜戦争」
の表現が、朝日新聞などから批判されたことを受け、防衛省・自衛隊はこれを削除した。
硫黄島での日米戦没者合同慰霊追悼顕彰式への参加報告の際に使ったものだが、木原稔防衛相は
「慰霊そのものが重要であり、大東亜戦争という表記によって、大きな問題化することは本意でないという報告を受けている」
という。
閣僚が認めたということは、自衛官をはじめ公職に就く人が使うには
「不適切な言葉」
として登録されたのと同義だ。
「慰霊が重要」
と言うのなら、戦没者の思いに沿うことこそ重要だったのではないか。
英霊は
「大東亜戦争」
を戦ったのだ。
私はここに典型的な
「戦後体制」
を見る。
つまり、
「国の尊厳」
よりも
「目先のトラブル回避」
を優先させる
「事なかれ主義」
だ。
「大東亜戦争」
は昭和16(1941)年12月の開戦直後に、当時の東条英機内閣が閣議決定した呼称だ。
「宣戦の詔書」
には、
「東亜の安定を確保し、世界平和に寄与し、万国が共に栄える喜びを共にしたいにもかかわらず、米英は、東亜の混乱を助長し、平和の美名に隠れて東洋を征服する非道な野望を逞しくしている」
「事ここに至っては、自存自衛のため、速やかに禍根を取り除いて東亜に永遠の平和を確立し、日本の保全を期す」
旨が記されている。
この詔書に接したとき、昭和天皇が
「戦う理由」
をここまで明言されていたのかと驚きを禁じ得なかった。
戦後、昭和20(1945)年12月の覚書によってGHQは
「大東亜戦争」
の使用を禁じ、
「太平洋戦争」
に置き換えた。
WGIP(日本人に戦争についての罪悪感を植え付けるための洗脳工作)を行ったGHQにとって、東亜の平和を確立するという
「日本の大義」
は不都合な真実であった。
こうした史実を知れば、
「大東亜戦争」
の削除が、如何に戦勝国史観に捉われ、独立国としての尊厳を自ら傷付ける行為であるか理解できるであろう。
勝者の
「言葉狩り」
に、いつまで縛られるのか。
ツケを先送りせず今を生きる我々の手で自ら時代の歯車を回す気概を持ちたいものである。

堂々と大東亜戦争と呼ぼう
阿比留瑠比の極言御免
2024/4/18 1:00
https://www.sankei.com/article/20240418-MBOXI32NS5P7NCL6J5AXTF2ATE/
前回の2024年4月11日付当欄では、陸上自衛隊第32普通科連隊が公式X(旧ツイッター)への投稿に
「大東亜戦争」
という表現を用いたことに対し、朝日新聞など一部メディアが問題視している件について、連合国軍総司令部(GHQ)が占領政策の1つとして禁じていただけで、現在では使っても
「何の問題もない」
と書いた。
ところが、防衛省・自衛隊が朝日などの言葉狩りを真に受けて大東亜戦争と記された部分を削除したことで、却って整合性を問われる事態に陥っている。
共産党の機関紙「しんぶん赤旗」は2024年4月14日、スクープとして以下のような記事を掲載した。
<(2024年)1月に陸上自衛隊幹部らが靖国神社を集団参拝する際に陸上幕僚監部が作成した内部文書で、靖国神社の文章をほぼ引き写して
「大東亜戦争」
という呼称を肯定的に使っていたことが(2024年4月)13日、本紙の調べで分かりました>
靖国神社を参拝する際に、靖国神社の資料を引用しただけの話を鬼の首を取ったかのように報じるのもどうかと思うが、志位和夫党中央委員会議長(前委員長)が2024年4月14日、浮かれてXにこう記したのには呆れた。
「旧日本軍との連続性を示す危険な行為だ」
とにかく敗戦前と戦後を完全に断絶させたいようだが、同じ人が暮らす同じ国なのだから無理がある。
それとも共産党は、そんなに現代日本を占領下に逆行させたいのか。
■4つの政府見解
ともあれ、この問題を巡っては2024年4月16日の参院外交防衛員会で日本維新の会の松沢成文氏が取り上げたので、その質疑を少し整理したい。
木原稔防衛相の答弁によると、
@大東亜戦争という用語の定義を定める法令はない
A一般に公文書では使用しなくなっているが、これまで使用した例はいくつもある
B使用するかどうかは文脈などによる
C禁止はしていない
というのが政府見解である。
また、木原氏は
「投稿した部隊によると、硫黄島における戦没者を日米合同で慰霊する行事を紹介するに当たり、激戦の地であった状況を表現するために当時の呼称を用いた」
とも説明している。
そうであれば、大東亜戦争で何の問題もないではないか。
にもかかわらず、削除に至った理由について木原氏は述べた。
「大東亜戦争という表記によって、大きな問題化することは本意ではないという報告を受けている」
だが、波風を嫌い、穏便に済ませようという姿勢が、歴史分野においては却って問題を複雑化・長期化させてきたことは慰安婦問題で明らかではないか。
不必要な削除で足元を見られたことで、共産党が勢いづいたのである。
2024年4月17日の本紙では、評論家で元自衛官の潮匡人氏がこう訴えていた。
「なぜ問題もないのに批判に屈したか」
「自衛隊は最近、幹部らの靖国神社参拝を公用車利用を理由にして処分していたが、これと同根」
「政治家や(官僚)幹部の事なかれ主義が自衛官を傷付けている」
小泉純一郎内閣時代、当時の福田康夫官房長官が非のない防衛庁を非難し、スケープゴート扱いすることがあった。
筆者が当時の防衛庁幹部に反論しないのかと尋ねたら、こんな悲しい答えが返って来た。
「我々さえ悪者になって頭を下げていれば、大抵丸く収まるから」
国際情勢の緊迫感が増した現在は、最早そんな時代ではない。
くだらない批判に筋を曲げず、堂々と大東亜戦争と呼ぼう。

「大東亜戦争」を削除…朝日新聞の言葉狩りに屈していいか 評論家・潮匡人氏インタビュー
2024/4/16 15:53
https://www.sankei.com/article/20240416-7I5PMVKI5NK7REYBPPA7ZLEBA4/
陸上自衛隊の第32普通科連隊の公式Xで「大東亜戦争」の言葉が使われた投稿
https://www.sankei.com/article/20240416-7I5PMVKI5NK7REYBPPA7ZLEBA4/photo/CMHGPASGVNIEXLGNWICRO45ZXE/
陸上自衛隊の部隊が戦没者追悼行事への参加を紹介するSNSへの投稿で
「大東亜戦争」
という言葉を使ったことが、朝日新聞の記事で
「政府はこの呼称を公式文書では用いていない」
などと批判され、
「大東亜戦争」
などの表現の削除に追い込まれた。
「侵略戦争の正当化」
などの批判も出ているが、
「大東亜戦争」
は使ってはいけない言葉なのか。
元自衛官で、旧防衛庁広報誌編集長も務めた評論家の潮匡人(うしおまさと)氏に話を聞いた。

ーー陸自第32普通科連隊が2024年4月5日、硫黄島(東京都)で行われた日米合同の戦没者追悼式典に参加したことを紹介する文章をX(旧ツイッター)に投稿した際、
「大東亜戦争最大の激戦地硫黄島」
といった表現を使用したために、朝日新聞に批判された
★潮匡人
『大東亜戦争』
という言葉に何の問題があるのか。
むしろ問題は防衛省・自衛隊側が批判を受けて、その言葉を削除したことだ。
朝日は
『大東亜戦争』
の言葉を問題にして炎上≠ウせようと記事にしたのだから、削除したら、朝日の狙い通りになる。

ーー削除の理由について、木原稔防衛相は朝日の批判の趣旨を認める形で、
「一般に政府として公文書で使用していないことを踏まえた」
と述べていた
★潮匡人
しかし、防衛相はこの言葉の使用自体に問題があったかについては言及しなかった。
林芳正官房長官も
『如何なる用語を使用するかは文脈にもより、一概に答えられない』
と説明するにとどめ、政府として
『大東亜戦争』
という言葉に
『問題がある』
という認識は示さなかった。
法的に何の問題もないからだ。
それなのになぜ削除したのか。
朝日の記事など放っておけば良かった。
残念ながら、今回の削除で、自衛官は
『大東亜戦争』
という言葉を使ってはいけないという暗黙のルールができるだろう。
もし防衛相ら政治家や防衛省幹部が削除させたなら、朝日に屈するのみならず、言葉狩りに手を貸したことになる。
当人たちには悪気はなく、
「政治問題化しないように」
ぐらいの意識だったのだろうが、実に罪深い。
なぜ問題もないのに批判に屈したか。
自衛隊は最近、幹部らの靖国神社参拝を公用車利用を理由にして処分していたが、これと同根。
政治家や(官僚)幹部の事なかれ主義が自衛官を傷付けている。

ーー「大東亜戦争」という「使用していない」言葉が、なぜ急に自衛隊で使われたか
★潮匡人
急ではない。
『大東亜戦争』
という言葉はこれまでも、自衛官の間でも、外部に対しても使われてきた。
私が旧防衛庁在籍時に編集長を務めた広報誌
『セキュリタリアン』
を捲ってみると、平成4年4月号も
『「大東亜戦争」時における陸海軍の統合計画』
と題した論文を堂々と掲載していた。
当時も何の問題にもなっていない。

ーーこの言葉が「侵略戦争や軍国主義を正当化する」という批判もあり、自衛隊幹部OBからもその種の指摘がある。
★潮匡人
少なくとも、私はそんなニュアンスで使っている自衛官の仲間を見たことがないし、全く見当外れの指摘だ。
冷静に考えてほしい。
『太平洋戦争』
では昭和16(1941)年に開戦した対米戦争などは表現できるが、それ以前に始まっていた中国・満州での戦争を表現することはできない。
『大』
を付け
『大東亜』
というのがダメだと思うのかもしれないが、単に
『東亜』
では東アジアの意味だ。
東南アジアでも激戦が繰り広げられているのだから、
『大東亜戦争』
の方が理に適っている。
『大東亜戦争』
という戦中からの言葉を批判する人たちは、過去を否定したいのかもしれないが、それは私たちの父母、祖父母、先祖が通ってきた苦難の道だ。
自分の事として考えるべきなのに、余りに他人事で、当事者意識がない。

防衛相「大東亜戦争」削除「慰霊重要で問題化は本意でない」 維新・松沢氏「主体性ない」
2024/4/16 13:44
https://www.sankei.com/article/20240416-HGMTRKTDJJAOTD23RHXIWU5T7M/
木原稔防衛相は2024年4月16日の参院外交防衛委員会で、陸上自衛隊第32普通科連隊が公式X(旧ツイッター)で硫黄島(東京都小笠原村)を
「大東亜戦争最大の激戦地」
と表記し、その後に撤回した理由について、
「慰霊そのものが重要であり、今回大東亜戦争という表記によって、大きな問題化することは本意ではないからだと報告を受けている」
と述べた。
日本維新の会の松沢成文参院議員の質問に答えた。
連隊は2024年4月5日、Xで
「大東亜戦争最大の激戦地硫黄島において開催された日米硫黄島戦没者合同慰霊追悼顕彰式」
への隊員の参加を報告。
その後、
「戦後、占領軍の命令で『大東亜戦争』の呼称は禁止された」(朝日新聞)
と報じられるなど
「大東亜戦争」
の表記が一部メディアに問題視された結果、同連隊は誤解を招いたとして、投稿から
「大東亜戦争」
を削除した。
木原氏は
「激戦の地であった状況を表現するため、当時の呼称を用いた」
「その他の意図は何もないと報告を受けている」
と重ねて強調した。
「大東亜戦争」
は開戦直後の昭和16(1941)年12月に閣議決定された日本側の呼称。
連合国軍総司令部(GHQ)は昭和20(1945)年12月の覚書で
「大東亜戦争」
の使用を禁じたが、それはサンフランシスコ平和条約に伴う日本の主権回復で失効した。
松沢氏は
「GHQは『太平洋戦争を使え』と言っていたが、その立場の米軍から文句が来ていないのに、日本のメディアがおかしいといい始めて、自衛隊が修正してしまう」
「主体性の無さに、ちょっとがっかりしている」
と語った。
大東亜戦争の表記について
「真珠湾攻撃の前にアジア大陸で戦火が吹いて回った」
「アジア内陸で行われた戦争、インド洋で行われた戦争を太平洋戦争と言っても、太平洋と関係ない」
「大東亜と言った方が地理的概念として相応しいとの考えもある」
と指摘した。

朝日新聞と「大東亜戦争」
阿比留瑠比の極言御免
2024/4/11 1:00
https://www.sankei.com/article/20240411-REWIQP2L3RM6LGQ2HJAPELYIDA/
陸上自衛隊第32普通科連隊が公式X(旧ツイッター)への投稿に
「大東亜戦争」
という表現を用いたところ、朝日新聞が
「戦後、占領軍の命令で『大東亜戦争』の呼称は禁止された」
などとまるで異常な出来事であるかのように報じたことで、平成26年1月の騒ぎを思い出した。
その前年末に当時の安倍晋三首相が靖国神社を参拝したところ、在日米大使館が
「失望」
を表明し、日本の多くのマスコミが米国を怒らせたのはまずいという論調を展開したのだった。
安倍氏は当時、こうした米国に媚びるようなマスコミの姿勢について、筆者に冷ややかに語っていた。
「彼らは、自分たちが卑屈で自虐的だと思わないのかね」
「笑ってしまう話だ」
■今もGHQに盲従
そもそも大東亜戦争は閣議決定された正式の呼称であり、そう表現することに何の問題もないことは2024年4月10日の本紙「主張」が詳述しているので繰り返さない。
ただ、戦後80年近く経ってもマスコミがまだ連合国軍総司令部(GHQ)の占領政策に何の疑問も抱かないことに呆れる。
大東亜戦争という言葉を徹底的に検閲し、米国の視点、史観に基づく太平洋戦争に置き換えたのはGHQであり、その命令には最早何の効力もないにもかかわらずである。
麗澤大学特別講師の勝岡寛次氏の著書『抹殺された大東亜戦争 米軍占領下の検閲が歪めたもの』はこう記している。
<占領軍は一切の容赦をしなかった>
<前後関係全くお構ひなしに「大東亜戦争」といふ用語は悉く抹殺され、「太平洋戦争」に片端から書き直しを余儀なくされた>
<占領下の日本に「太平洋戦争」といふ耳慣れぬ用語が導入されたのは、恐らく昭和20年12月8日を以て嚆矢(《昔、中国で戦いを始める時、敵陣に向かって1を射たところから》物事の始まり。最初)とする>
この日、新聞各社は一斉に連合軍司令部提供による
「太平洋戦争史」
の連載を開始した。
先の大戦は侵略戦争で日本軍は悪逆非道の限りを尽くしたと国民に贖罪意識を植え付けるための宣伝活動だった。
まさに占領政策そのものであり、むしろ日本が未だに太平洋戦争という用語を使い続けていることの方が異様だろう。
戦場となったモンゴルやミャンマー内陸部を太平洋に含めるのは無理があり過ぎる。
また、GHQの検閲対象は大東亜戦争だけでなく多岐に渡っており、極東国際軍事裁判(東京裁判)に対する一切の批判は封じられ、当時の国民が裁判に対して感じたごく当たり前の違和感や不公平感はなかったことにされた。
戦後、進歩的文化人の牙城とされてきた月刊誌「世界」も、昭和21年に
「我々の希望は、この『事後の法律』が、単なる勝者による専断に堕しないこと」
などと東京裁判に注文した評論を掲載しようとして、全文掲載禁止処分を受けた。
■西洋冒瀆で掲載禁止
また、直接戦争と関係なくとも、16世紀以来の西洋による植民地支配への批判は
「西洋冒瀆」
として掲載禁止とされた。
オランダによるインドネシア搾取の記述は
「連合国批判」
として削除された。
更に日本の封建制度に一定の評価を与えた文章は
「国家主義的」
として、アヘン戦争に関する研究論文は
「英国批判」
として削除されるなど、GHQは日本独自の物の見方、歴史観を排除したのである。
朝日新聞は、こうした他の検閲も肯定するのだろうか。
GHQの占領政策の代行者を自任し、憲法21条2項が禁じる検閲をこれからも続けていこうという姿勢は理解し難い。

<主張>大東亜戦争 言葉狩りを朝日は恥じよ
社説
2024/4/10 5:00
https://www.sankei.com/article/20240410-IGKOWNN3SJM3LMXRPDE6SYXYEM/
陸上自衛隊第32普通科連隊の2024年4月8日の投稿。
当初の投稿から
「大東亜戦争最大の激戦地」
などの表現が削除された
https://www.sankei.com/article/20240410-IGKOWNN3SJM3LMXRPDE6SYXYEM/photo/GUZ3V2CSVVOHBIRXX6PLHAH4RY/
先の大戦、大東亜戦争(太平洋戦争)の終戦から79年経つ今でも朝日新聞は
「大東亜戦争」
を言葉狩りの対象にした。
自由な表現の封じ込めで、恥ずべき振る舞いである。
陸上自衛隊第32普通科連隊(さいたま市)が2024年4月5日投稿した公式X(旧ツイッター)に
「大東亜戦争」
の表現があった。
朝日は2024年4月8日、投稿を巡り
「政府は太平洋戦争を指す言葉として、この呼称を公式文書では用いていない」
「戦後、占領軍の命令で『大東亜戦争』の呼称は禁止された」
と報じた。
同連隊は誤解を招いたとして、投稿から
「大東亜戦争」
を削除した。
自由の国日本で、言葉狩りによって表現の変更が強いられてしまったのは残念だ。
2024年4月5日の連隊の投稿は、隊員が
「大東亜戦争最大の激戦地硫黄島において開催された日米硫黄島戦没者合同慰霊追悼顕彰式」
に参加した報告だった。
激戦の実相を示そうと当時の呼称を用いたという。
何の問題もなく戦争自体の賛美でもない。
朝日が占領軍の禁止命令への言及で記事を終えたのは悪質である。
「大東亜戦争」
とは、朝日が記事でも指摘したように、開戦直後の昭和16(1941)年12月に閣議決定された日本側の呼称だ。
その使用は現在禁じられていないし、政府は太平洋戦争のみを使う決定もしていない。
連合国軍総司令部(GHQ)は昭和20(1945)年12月15日の覚書で
「大東亜戦争」
の使用を禁じたが、この不当な命令はサンフランシスコ平和条約に伴う日本の主権回復で失効した。
朝日の記事は、占領軍の命令が今も有効との誤った印象を与えかねない。
戦時中の日本人は大東亜戦争を戦っていた。
他の呼称の戦争を戦っていると思っていた者はいない。
今、太平洋戦争の使用例が多いからといって、大東亜戦争の使用を問題視するのは余りに狭量で自虐的だ。
政府は一般に公文書で使用していないとするが、公式Xから削除する理由にはならない。
防衛庁防衛研修所戦史部著の戦史叢書(そうしょ)(「大東亜戦争開戦経緯」など)で普通に用いている。
国権の最高機関の国会でも、閣僚や与野党議員が問題なく使ってきた。
例えば令和2(2020)年5月12日の参院財政金融委員会で麻生太郎副総理兼財務相(当時)は
「大東亜戦争」
に言及し、議事録にも載っているのである。

朝日新聞デジタル記事
陸上自衛隊の第32普通科連隊、公式Xで「大東亜戦争」と表現
2024年4月7日 20時08分
https://www.asahi.com/articles/ASS473FGPS47UTIL00FM.html?iref=pc_extlink
陸上自衛隊大宮駐屯地(さいたま市)の第32普通科連隊が、X(旧ツイッター)で同隊の活動を紹介する際に、
「大東亜戦争」
という言葉を使って投稿していた。
政府は太平洋戦争を指す言葉として、この呼称を公式文書では用いていない。
同隊は2024年4月7日、取材に公式アカウントであることを認めた上で、
「本日はコメントすることができない」
とした。
同隊は2024年4月5日、硫黄島(東京都)で日米合同で開催された戦没者の追悼式に参加したことをXの公式アカウントで紹介。
「大東亜戦争最大の激戦地硫黄島」
「祖国のために尊い命を捧げた日米双方の英霊のご冥福をお祈りします」
などと投稿した。
日本は1940年、欧米からアジアを解放し
「大東亜共栄圏の確立を図る」
との外交方針を掲げ、1941年12月の開戦直後に
「大東亜戦争」
と呼ぶことを閣議決定した。
戦後、占領軍の命令で
「大東亜戦争」
の呼称は禁止された。

「悪意のみの歴史解釈に限界」静岡大の楊海英氏 陸自の「大東亜戦争」表記問題視報道で
2024/4/9 20:04
https://www.sankei.com/article/20240409-MF4Q6OVKGRGJLHAE62QUBAVXR4/
中国・内モンゴル自治区出身で日本に帰化した静岡大の楊海英教授(文化人類学)が2024年4月9日、東京都内で産経新聞の取材に応じ、陸上自衛隊の部隊がX(旧ツイッター)で硫黄島(東京都小笠原村)を
「大東亜戦争最大の激戦地」
と表記し、その後に撤回した問題について
「一種の言論弾圧だ」
「国民の生命と財産を守る自衛隊に対し、過去の戦争を持ち出して批判めいて報じるのはやめてほしい」
と語った。
部隊が2024年4月5日に
「大東亜戦争」
の表現を用いると一部の報道機関などが問題視し、2024年4月8日に該当する表記を改めた経緯がある。
1問1答は次の通り。

■民族自決運動の側面も
ーー陸自第32普通科連隊が2024年4月5日、硫黄島で執り行われた日米合同慰霊式を巡り「大東亜戦争最大の激戦地硫黄島」とXに投稿すると、「大東亜戦争」表記について「政府は公式文書では用いていない」などと報じられ削除に追い込まれた
★楊海英
陸自幹部の制服姿での靖国神社参拝が問題視されたこともあるが、自衛隊の行動について、過去の歴史と結び付けて報道するのは問題だと思う。
国民の命と財産を守る存在に対して、いちいち過去の戦争を持ち出して、批判めいた報道はやめてほしい。
一種の形を変えた言論弾圧ではないか。
ーー「大東亜戦争」は先の大戦を巡り、戦前に政府が閣議決定した名称だ
★楊海英
閣議決定した以上、戦争当事国の正式な認識だ。
『侵略戦争』『不義の戦争』などは戦後の戦勝国の裁判史観によるものだ。
その米国も1952年のサンフランシスコ講和条約発効で(連合国軍総司令部=GHQが公文書に『大東亜戦争』表記を禁じた『神道指令』が失効し)軌道修正している。
戦後日本の言論界の一翼が東京裁判史観で戦争当事国の閣議決定を批判するのは不公平だ。
ーー先の大戦を巡る評価は様々だ
★楊海英
同じ戦争でも当事者が違うと当然認識は異なる。
日米でも、大東亜戦争の舞台となったフィリピン、インドネシア、モンゴル、中国でも、それぞれで違う。
モンゴルにとっては一種の世界戦争で、それを通じて中国から独立を図ったというもの。
中国は抗日戦争と言っているが、戦時中には定義していない。
西洋諸国の植民地だったインドネシアやフィリピンなどは一種の解放戦争と見る場合もある。
世界戦争の中の民族自決運動の側面がある。
■国民世論の分断に懸念
ーー大東亜戦争の響きはどう映るか
★楊海英
日本にとってジャストミートする響きではないか。
イデオロギー的に偏っているとも思わない。
『先の戦争』と言えば、どこまで先なのか分からないし、そもそも、歴史は全て悪意で作られていると見るべきではない。
台湾人も満州人もモンゴル人も概して日本時代を評価した。
侵略戦争のみでは全体像は見えない。
ーー今回の問題で懸念されることは
★楊海英
国民世論の分断だ。
本来、日本人社会は調和が取れて、お互いに配慮して、争い事を避けるものではなかったか。
にもかかわらず昨今のSNSでの表現は過激化している。
歴史を持ち出した報道はSNS上で暴走し、独り歩きし、日本国内の世論や国民の意識の分断を促している。
ーー大東亜戦争を使ったら戦争を美化していると思うか
★楊海英
思わないよ。
『モンゴル帝国は凄かった』と言って、当時の侵略を美化しているモンゴル人は1人もいない。
過去の歴史的出来事を全て悪意でもって解釈することには限界がある。

波紋を広げる「大東亜戦争」表記 禁止されていないが問題視され陸自部隊はX投稿削除
2024/4/9 14:10
https://www.sankei.com/article/20240409-UT4I6R6EN5C2ZP6G5UZ4XU57RA/
木原稔防衛相は2024年4月9日の記者会見で、陸上自衛隊の部隊が公式X(旧ツイッター)で2024年3月末に日米合同慰霊式が執り行われた硫黄島(東京都小笠原村)を
「大東亜戦争最大の激戦地」
と表記したことについて、
「硫黄島が激戦の地であった状況を表現するため、当時の呼称を用いた」
と説明した。
ただ
「大東亜戦争」
の表記は問題視される形で報じられ、同隊は削除した。
木原氏は
「現在一般に政府として公式文書で使用していないことを踏まえ、修正した」
と述べるにとどめた。
■問題視するメディア
陸自第32普通科連隊(さいたま市)は2024年4月5日、Xで2024年3月30日に執り行われた日米合同慰霊式に同隊隊員が
「旗衛隊」
として参加したことを報告。
「大東亜戦争最大の激戦地硫黄島において開催された日米硫黄島戦没者合同慰霊追悼顕彰式に参加しました」
と書き込んだ。
その後、
「大東亜戦争」
の表記は
「政府は公式文書では用いていない」
「戦後、占領軍の命令で『大東亜戦争』は禁止された」
「ネット上で『植民地統治や侵略を正当化する名称』『公機関が使ってはいけない』と波紋を呼んでいる」
と一部で報じられる。
同隊は2024年4月8日に該当するXの投稿から
「大東亜戦争」
などの表記を削除した。
林芳正官房長官は2024年4月8日の記者会見で、
「大東亜戦争」
を公文書で使用する適否を念頭に
「如何なる用語を使用するかは文脈などによる」
「一概に答えることは困難だ」
と述べるにとどめた。
■禁じたGHQ指令は失効
先の大戦を巡っては、日米開戦直後の昭和16(1941)年12月12日、
「大東亜戦争と呼称する」
と閣議決定された一方、連合国軍総司令部(GHQ)は戦後、国家神道を廃する
「神道指令」

「大東亜戦争」
について
「国家神道、軍国主義、過激な国家主義」
とし、公文書での使用を禁じた経緯がある。
ただ、神道指令は昭和27(1952)年の主権回復後、失効した。
大東亜戦争の表記を禁じる根拠を失った形となる。
先の大戦に関して閣議決定された名称は
「大東亜戦争」
以外になく、実際に政府も公文書への使用を禁じてはいない。
韓国の中央日報(電子版)も2024年4月8日、日本の報道を引用する形で、
「大東亜戦争」
について
「事実上タブー語として認識されている」
と報じた。
ハンギョレ紙(電子版)は2024年4月9日、
「大東亜戦争」
について
「日本の起こした戦争はアジアの植民地を解放するためのものという歪曲された意味を含んでいるため、日本でも使用がタブー視されている」
と解説した。
同隊の問題視されたX投稿からは
「大東亜戦争」
の表記に加えて、
「慎んで祖国のために尊い命を捧げた日米双方の英霊のご冥福をお祈りします」
と当初あった文言も削除されている。
公式Xには
「『大東亜戦争』だけでなく『慎んで祖国のために尊い命を捧げた日米双方の英霊のご冥福をお祈りします』という文言までなぜ、削除されるのですか」
といった書き込みや
「(大東亜戦争の表記を)削除せざるを得なかった担当者の悔しさが見て取れる」
といった書き込みがある。

埼玉の陸自連隊、公式Xから「大東亜戦争」表現削除「誤解招いた」 陸幕「適切な表現で」
2024/4/8 21:16
https://www.sankei.com/article/20240408-T4MOGSO6V5KTFEWYVFPBH6IWZ4/
陸上自衛隊第32普通科連隊(さいたま市)が、公式X(旧ツイッター)で
「大東亜戦争」
の表現を使っていたことが明らかになり、連隊は2024年4月8日午後、該当する投稿から
「大東亜戦争最大の激戦地」
などの表現を削除した。
当初の投稿は2024年4月5日で
「大東亜戦争最大の激戦地硫黄島において開催された日米硫黄島戦没者合同慰霊追悼顕彰式に参加しました」
などと記されていた。
防衛省陸上幕僚監部によると、連隊は激戦地だったことを表現するために当時の呼称を使用。
削除理由を
「本来伝えたい内容が伝わらず、誤解を招いた」
と説明している。
陸幕は取材に
「交流サイト(SNS)の発信は適切な表現で行うよう改めて指導していく」
とコメントした。

主権回復
第5部 日本復活への未来(5) 「大東亜戦争」今なお忌避 消される開戦の意義 自縛を解く時
2022/11/20 8:00
https://www.sankei.com/article/20221120-SSXEUD2KZZO6RM6WXSXZ2B4MUY/
77回目の終戦の日である2022年8月15日。
東京都千代田区の日本武道館で開かれた全国戦没者追悼式で、2022年も
「あの言葉」
が繰り返された。
「先の大戦では、300万余の同胞の命が失われました」
首相の岸田文雄は式辞で、1945(昭和20)年夏に終わった戦争を
「先の大戦」
と表した。
菅義偉、安倍晋三、野田佳彦ら歴代首相も追悼式で同じ言葉を使った。
一方、教育現場では学習指導要領などに基づき、
「太平洋戦争」
として教えられている。
世間一般でも太平洋戦争という呼び方が支配的だ。
だが当時の日本人は、あの戦争を
「大東亜戦争」
として戦った。
「大東亜戦争」
は1941(昭和16)年12月の日米開戦直後、日本政府が閣議決定した呼称だ。
連合国軍総司令部(GHQ)は戦後、国家神道を廃する
「神道指令」
で公文書での使用を禁じた。
あの戦争が持つ
「欧米の植民地支配からのアジアの開放」
などといった側面を日本国民に忘れさせる狙いがあったのは確実だ。
日本の主権回復後、神道指令は失効した。
閣議決定を経た呼称は、今も公文書への使用を禁じていない。
にもかかわらず
「大東亜戦争」
がこれほどまで忌避されてきたのは何故なのか。
■米の解釈から脱却
防衛研究所戦史研究センター主任研究官の庄司潤一郎によると、
「大東亜」
とは本来、日本、中国、満州を指す
「東亜」
を超えた地域を表す地理的概念だ。
それが
「大東亜戦争」
は全面的な戦争肯定論と結び付けられ
「やや日陰的なものになった」
と指摘する。
だが、敗戦から75年余を経て、一般的な言論の世界や学界では、大東亜戦争に正面から言及し、タブーを取り払う動きも広がる。
2021年夏に出版された『決定版 大東亜戦争』(新潮社)は、戦争の是非を巡る戦後の思想対立の束縛を超え、
「戦争の実相」
と向き合う必要性を説く。
共著者の防衛研究所戦史研究センター主任研究官の庄司潤一郎は
「日本人としてあの戦争を理解するのに、現時点で一番相応しいのは『大東亜戦争』ではないのか」
と問題提起した。
そもそも
「太平洋戦争」
では、中国大陸などでの戦いが対象を外れ、大戦の全容を捉えきれない。
「太平洋戦争」
が広がったのは、GHQが
「太平洋戦争史」
という連載記事を大手新聞各紙に提供し、掲載させたことが契機だ。
大阪市立大名誉教授の山下英次は
「記事は日本に罪があるとする米国の戦争解釈であり、これに基づく呼称は見直すべきだ」
と強調する。
占領期に内務官僚としてGHQと渡り合った元法相の奥野誠亮(2016年死去)は生前、産経新聞との会見でこう語っている。
「占領軍は(大東亜戦争の呼び名を)禁句にし、今も従っている人たちがいます」
「日本人は大東亜戦争を戦ったのです」
「そう呼ばなければあの戦争の意味合いは分かりません」
■注目される旧宮家
70年後も続く自縛状態。
放置し続ければ、取り返しがつかなくなりかねない課題もある。
政府の有識者会議が2021年12月にまとめた皇位継承策に関する最終報告書は、旧宮家の男系男子の皇籍復帰に道を開く案に言及した。
旧宮家が皇室を離れたのはGHQ占領下の1947(昭和22)年。
背景にはGHQの圧力があった。
日大名誉教授の百地章によると、過酷な財産課税などによって皇室は多くの皇族を抱えることが困難となり、11宮家が
「離脱を強いられた」。
GHQが
「軍国主義の背景に天皇の神格化があると考え、皇室の影響力を弱めようとした」(麗澤大教授の八木秀次)
とも指摘されている。
かつては若い男系男子の皇族が多く、政府の危機意識は薄かった。
日本の主権回復後も皇籍復帰論は高まらず、問題意識も広がらないままに時間が過ぎ、今では皇位継承資格者は3方のみとなっている。
11宮家筆頭の当主、伏見博明は近著『旧皇族の宗家・伏見宮家に生まれて』で、皇籍離脱後も行事参加などを通じて皇室を支えてきた使命感を語る。
「天皇陛下に復帰しろと言われ、国から復帰してくれと言われれば、これはもう従わなきゃいけない・・・」
最終報告書が示した皇族数確保策は安定的な皇統の男系継承に資する。
過去の政権が先送りしてきた課題の対処のため、最早停滞は許されない。
日本でジェンダー平等の意識が浸透する中、世論には
「女性天皇」
「女系天皇」
を容認する向きも見られるが、その違いが十分に理解されているとは言い難い。
時代の変化の中でも変わらずに保たれてきた男系継承という皇統の特性と重みへの理解を如何に深めていくか。
戦後の
「空白」
を埋めなくてはならない。
★戦後平和主義の超克 道半ば
ロシアや中国の人権侵害が次々と明るみに出ている。
犯罪の責任者の追及は国際社会の大きな課題となった。
米欧は国際刑事法を武器に立ち向かう。
ウクライナ北部のブチャ。
ロシア軍の撤退後、後ろ手に縛られた民間人の遺体が多数見つかった。
大学講師のリュボミル・ジャノフ(27)は知人を失った。
「ロシアの戦争犯罪は絶対許せない」
「国際司法の場に連れ出してほしい」
と怒りを露わにした。
ジャノフが期待するのは、国際刑事裁判所(ICC)と欧州諸国の合同捜査団だ。
戦災で黒焦げになった瓦礫を掻き分け、犯罪の証拠を集める。
ジュネーブでは2022年10月、国連人権理事会で攻防があった。
米大使のミシェル・テイラーは中国の少数民族ウイグル族迫害で討議を求め、
「どんな大国も論議の対象から外すべきではない」
と迫った。
「人権」
との向き合い方は民主主義体制と権威主義体制の最大の相違点だ。
そのせめぎ合いの中で日本は及び腰だ。
何故なのか。
■断罪された記憶
「日本人の多くは戦争犯罪に関し、敗戦国として『裁かれた』という以上の認識を持っていないように思える」
「海外の人権問題にもっと関心を持つべきだ」
ICC元裁判官の尾崎久仁子には日本の姿がそう映る。
日本には
「勝者の法廷」
で断罪されたという苦い記憶が残る。
戦後の極東国際軍事裁判(東京裁判)の影だ。
被告人らは事後法により裁かれ、その権利も公正に扱われなかった。
同時に東京、ニュルンベルクの国際軍事法廷は、人道犯罪の責任者を裁く国際刑事法の出発点でもある。
民間人に対する殺人や殲滅、人種的理由による迫害といった
「人道に対する罪」
は両法廷の設立規程で定められた。
1948年にはナチスのユダヤ人虐殺を教訓に、ジェノサイド(集団殺害)条約が採択され、民族抹殺を意図した迫害の防止、処罰が定められた。
1990年代には旧ユーゴスラビア、ルワンダの民族紛争を巡る臨時法廷が発足。
2003年、戦時、平時を問わず組織的な人道犯罪を裁くため、常設のICCがオランダに設立された。
日本はICC加盟に慎重で、2007年まで実現しなかった。
米国が海外の米兵の訴追を警戒し加盟しなかったことも背景にある。
東京裁判から70年余を経て、国際刑事法は大きく発展した。
「人権侵害の責任者は必ず裁かれる」
という原則が打ち立てられ、そのための制度が確立した。
■果たすべき役割
一方、日本は現在もジェノサイド条約を批准していない。
中露や北朝鮮を含めて150カ国以上が加盟するのに、政府は
「国内法と整合性が取れない」
という立場を維持する。
米国は留保付きで条約を批准している。
2021年1月には、中国のウイグル族迫害は
「民族破壊の意思があり、ジェノサイドに当たる」
という見解を示した。
4か月後の2021年5月、日本の衆議院外務委員会では、条約批准の是非が議論になった。
「批准すべきではないか」
「国内法を整備しては」
と問われた当時外相の茂木敏充は
「議論の準備をすることは悪いことではない」
と言葉を濁した。
ある日本人法学者は日本の慎重な姿勢について
「(日中戦争当時の)南京事件をジェノサイド扱いされるのを懸念しているのでは」
と話す。
ウクライナでは大統領のゼレンスキーが
「ロシアはジェノサイドを犯している」
と主張した。
インフラを爆撃して住民の生命線を断ち、強制連行するのは、民族抹殺の狙いがあると訴える。
今後、ジェノサイドの立件には何が必要かを巡って国際論争が起きるのは確実だ。
条約未加入の日本は議論をリードできない。
ICC元裁判官の尾崎久仁子は、平和構築を通じた人権促進などで日本は評価されていると指摘し、人的貢献を含め
「もっと出来る事はある」
と強調する。
日本はICC予算で最大の拠出国でもある。
ロシアや中国という大国に対する責任追及は国際刑事法の新たな挑戦となる。
日本に何が出来るのか、考える時が来ている。
■「一身独立して」
主権とは何か。
自分の国の将来を自分で決められる能力のことだ。
そして、日本と世界は2022年、主権を侵害されるとは何を意味するのかについて、血塗られた現実をウクライナ戦争で見せ付けられた。
戦争を抑止し、戦争犯罪も厭わない侵略者を撃退するには、軍事力の裏付けが必要だ。
国際政治における冷徹な事実は、戦後の日本で蔓延した、
「非武装」

「非暴力」
を唱えさえすれば戦争は防げるといった無責任な平和主義が如何に無力であるかを暴いた。
主権の回復とは、戦後平和主義の超克でもある。
その意味で、私たちはまだその途上にある。
中露による軍事的威圧や北朝鮮の一方的な核保有国宣言など、日本を取り巻く状況は予断を許さない。
経済は円安の逆風に晒された。
連合国による占領政策の残滓は今もある。
■中露の人権侵害 傍観は許されない
▼ニュルンベルク裁判(1945〜46年)
▼東京裁判(1946〜48年)
「侵略戦争」と大規模な人権侵害を巡り個人を初訴追
▼ジェノサイド条約発効(1951年)
▼旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(1993年設置)
▼ルワンダ国際戦犯法廷(1994年設置)
▼オランダに、戦時・平時を問わず組織的な人道犯罪を裁くため、常設のICCが設立された(2003年設置)
▼日本がICCに加盟(2007年)
▼北朝鮮
国連調査委員会が2014年2月、外国人拉致を含む人権侵害を
「人道に対する罪」
と非難。
ICCなどへの付託を勧告。
▼中国
国連人権高等弁務官事務所が報告書で、新疆ウイグル自治区での人権侵害を
「人道に対する罪に相当する可能性がある」
と指摘。
▼ロシア
ICCが人道に対する罪と戦争犯罪の
「信じるに足る合理的な証拠」
があるとウクライナで捜査開始。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/810.html#c28

[政治・選挙・NHK297] 陰謀論でない〈異常外力着力〉(植草一秀の『知られざる真実』) 赤かぶ
34. 秘密のアッコちゃん[1811] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月14日 07:50:00 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1249]
<■1021行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
墜落原因は「推定」ではなく「特定」されている。

<主張>日航機事故40年 安全への誓いを継承せよ 悪質なフェイクを放置するな
社説
2025/8/11 5:00
https://www.sankei.com/article/20250811-D52YH7C4ONNRBGU3WBBXIITAZU/
乗客乗員520人が犠牲になった日航ジャンボ機墜落事故から、40年となる。
何年歳月を重ねても
「8月12日」
が、慰霊と空の安全、交通の安全を祈願する日であることは変わりない。
群馬・御巣鷹の尾根の墜落現場に近い
「慰霊の園」
は、2025年8月12日に営まれる追悼慰霊式を前にマリーゴールドの花で彩られた。
花々は、地元上野村の村立上野小の児童が事故の翌年1986年から、遺族を慰め、記憶を継承する目的で育て続けているものだ。
慰霊登山には日航機事故の遺族、関係者だけではなく信楽高原鉄道事故やJR福知山線脱線事故の遺族らも参加している。
広く交通機関の安全を誓い、決意を新たにするためである。
昭和60年8月12日、羽田発大阪行き日航123便ボーイング747が墜落した。
墜落現場は凄惨を極め、乗客乗員524人のうち、生存者は僅かに4人だけだった。
日航の鳥取三津子社長は事故当時、東亜国内航空(後に日航と経営統合)に入社したばかりだった。
これは、現在の社員の大多数が事故後の入社であることを意味する。
大事故の反省や安全への誓いは、しっかりと継承されているか。
事故機の残骸などは、東京・羽田の日本航空安全啓発センターに展示されており、日航グループの全社員に研修のための見学を義務づけている。
日航機は昨年2024年1月、羽田空港で海上保安庁機と衝突、炎上したが、乗務員らの冷静な誘導で乗客の死者を出さず、内外から称賛された。
一方で同年2024年5月には福岡空港で、日航機が誘導路の停止線を大幅に越えた。
同月2024年5月には羽田空港で日航機同士の主翼先端が接触する事故も起き、国土交通省が鳥取社長を厳重注意し、再発防止策の提出を求めた。
僅かなミスが大事故を誘発する反省を片時も忘れてはならない。
事故報道に実名必要だ
40年の間に、社会の在り様も変化している。
事故当時、本紙を含む新聞各紙は524人の犠牲者と生存者全員の実名を報じた。
テレビ、ラジオの各局はアナウンサーが全員の実名を読み上げ続けた。
それが最も重要な報道だった。
実名がなければ誰が事故機に搭乗していたのか分からない。全員の実名がなければ、乗っていなかったことの証明にはならない。
一人一人の実名は、彼ら彼女らが生きた証しであり、事故の悲惨、悲劇を伝え、後世に残す原点である。
その思いは今も変わらない。
だが事故、事件の被害者らについて、発表の匿名化が進んでいる。
原因の一端とされるのはメディアスクラム(集団的過熱取材)による二次被害に対する根強い批判である。
これについてはメディア側が大いに反省すべきであり、代表取材の活用などで取材される側への配慮を進めている。
何より匿名化によって共有すべき感情が希薄になることを恐れる。
■虚構の妄言は許し難い
デマやフェイクニュースの横行やSNSによる拡散も新たな社会問題と言える。
日航機事故を巡っては
「自衛隊が誤射した」
「証拠隠滅のため火炎放射器で証拠を焼却した」
などとする書籍が複数刊行され、全国学校図書館協議会による選定図書に指定された本まである。
これを真に受けた情報がネット空間などで広まり、事故現場の登山道には
「自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
と記された
「慰霊碑」
の設置も確認されている。
これらは、酷暑下で過酷な救出活動に従事した自衛隊員への冒瀆であり、遺族や関係者の気持ちを逆なでする、許し難い虚構である。
多くの人の目がある中であり得ない言説だが、陰謀説が広まるスピードは速い。
この問題は国会でも取り上げられ、中谷元防衛相が
「自衛隊の関与は断じてない」
と否定したが、一部の人は聞く耳を持たない。
事故機は事故の7年前1978年に尻もち事故を起こした。
この際に製造元のボーイング社が機体後部の圧力隔壁の修理をミスし、隔壁の強度不足を招いた。
それが事故原因であり、同社も修理ミスを認めた。
悪意の虚構は静かな慰霊にも、事故の再発防止にも、何の役にも立たない。
当事者である日航や自衛隊、捜索と捜査にあたった群馬県警や運輸安全委員会は、それぞれ具体的な
「ファクト」
を明示してデマを一掃してほしい。

日航機墜落40年 「空の安全」は遺族の願い 取り組みに終わりなく、「三現主義」支えに
2025/8/11 11:00
https://www.sankei.com/article/20250811-VKE6LFYW7RPRHHE55BHUH5KKQI/
40年前の1985年夏、御巣鷹の尾根(群馬県上野村)に日航機が墜落し、520人が亡くなった。
日航は事故から21年目に
「安全啓発センター」
を開設。
事故当時を知らない社員がほとんどとなる中で、墜落現場の
「現地」
に行き、残存機などの
「現物」
を見て、事故に関わった人
「現人」
の話を聞くという
「三現主義」
を安全の取り組みの支えにする。
2度と惨事を繰り返さないための模索が続けられている。
■衝撃と無念語る遺品
《恐い 恐い 恐い 助けて 気もちも悪い 死にたくない》
制御を失った機体は、30秒間に1500メートルもの速度で急降下。
123便に搭乗していた客室乗務員の女性=当時(26)=は、日航機の時刻表の余白に走り書きを残していた。
羽田空港近くの日本航空安全啓発センター(東京都大田区)。
回収された遺留品、墜落時刻で止まったままの腕時計、激しく破損した座席といった展示品の数々は、事故の衝撃と無念を目に見える形で伝えている。
フロアの一角には、垂直尾翼の残骸が静かに横たわっていた。
その多くは他の事故と同様、廃棄される予定だったものだ。
遺族らは早くから残骸の保存・公開を求めたが、日航は消極姿勢を示し続けていた。
■意識の緩み契機に
だが、事故から20年が経過する頃、日航社内では安全意識の緩みがみられるようになった。
管制指示違反・誤認など安全に関わるトラブルが相次ぎ、平成17年3月遂に
「事業改善命令」
を受けた。
外部有識者による委員会
「安全アドバイザリーグループ」
が発足し、同年2005年末、安全文化醸成に向けた提言をまとめた。
この中で日航に対し、業務にあたる専門性を冷静に保ちつつ、利用者やその家族の視点を失わない
「2・5人称の視点」
を要求。
また、
「現場と実物は重要な教科書だ」
として、残存機体の展示公開を求めた。
こうして平成18年4月、センターは開設された。
企業や学校の安全教育の場として予約は絶えず、今年2025年6月末までの訪問者数は33万人以上を数える。
■安全確保「道半ば」
遺族らで作る8・12連絡会の事務局長、美谷島邦子さん(78)は
「昨年2024年初めて、
『遺族が活動してくれたおかげで、センターができた』
と日航が伝えてくれた」
と感慨深げに語る。
日航は美谷島さんを当時を知る
「現人」
として、社員研修の講演に招くようになった。
昨年2024年1月、東京・羽田空港の滑走路上で発生した海保機との衝突事故では、日航機側の乗員乗客379人は、訓練を重ねた乗員の避難誘導により死者はなかった。
日航では
「123便の乗員の思いが、受け継がれている」
と受け止める。
様々な産みの苦しみを味わった安全作りだが、終わりはない。
機長の飲酒問題、空港内での接触事故など、今尚空の安全を揺るがす事案が続く。
鳥取三津子社長(60)は昨年2024年4月の就任以来、国などへのお詫び行脚を重ねた。
今年2025年4月28日、御巣鷹の尾根の開山前日、鳥取氏は現地の上野村を訪ねた。
遺族と言葉を交わし
「遺族にとっては39年も41年も同じ」
「意識を変えることはあってはならない」
と感じたという。
それでも
「節目というものはある」
「気を引き締めて安全運航に努めたい」
と誓いを新たにした。
■人的ミス軽減へ自動化推進を
元航空事故調査委員会の調査官、NPO法人「航空・鉄道安全推進機構」事務局長の斉藤孝一さん(80)の談話は以下の通り。

墜落事故の原因となった米ボーイング社による圧力隔壁の修理ミスがなぜ起きたか、追究が今後の安全の追求には不可欠だ。
当時の航空事故調査委員会はボーイングの担当者に話が聞けず、委員長は報告書を
「70点」
と自己採点した。
ボーイングは社内調査を行っているはずで、安全のために公表すべきだ。
航空機の安全性はこの40年で向上し、コスト面でもより身近な交通手段となり、世界的に航空需要は増加した。
しかし、パイロットだけでなく、航空管制官や、グランドハンドリング(地上支援作業)といった安全を担う人材は、高齢化によるベテランの退職や若手の獲得競争で不足している。
人のミスに起因する事故や危険は近年も相次いで起きている。
現在、人工知能(AI)を含めて操縦などの作業の自動化の技術は我々の現役時代よりも、格段に進歩した。
ヒューマンエラーの軽減に向け、自動化を進められるところは進めるべきだろう。

日航機墜落現場、木に伸ばした手が遺体の一部をつかむ…自衛隊、災害派遣時の心理ケアに力
2025/8/11 9:00
https://www.sankei.com/article/20250811-USNSDF2RIBNQ5NMJOC7ZNFBN6I/
昭和60年8月12日に起きた日航機墜落事故で、陸上自衛隊などは当初の捜索救助に約1000人を投入したとされる。
搭乗者524人のうち生存者は僅か4人。
壮絶な現場で遺体収容に当たった岡部俊哉元陸将(66)は
「思わず息を呑む悲惨な状況だった」
と振り返る。
災害派遣などに対し、自衛隊は現在、専門人材を置いて隊員の心理ケアに力を入れる。
■戦場の様相、自信失う
群馬県上野村の御巣鷹の尾根に部隊が到着したのは事故から一夜明けた昭和60年8月13日午前。
降り立つと、足の踏み場がないほど散乱した機体の残骸に、ちぎれた手や足が紛れている。
急斜面を登ろうと、目の前にあった木を掴んだ手が、木にかかっていた血で真っ赤に染まった。
内臓のようなものが飛び散る岩、散らばる黒焦げの遺体、五体が揃った遺体は1つもない。
子供の大きさの手と、テーマパーク帰りなのか、綺麗に残ったぬいぐるみを見て残酷な現実に胸が引き裂かれそうになった。
当時26歳。いつか投入されるかもしれない戦場の様相と重なり、
「職業を間違えた」
と思った。
仲間や部下がボロボロになって死んでいくのを見ても冷静に指揮を取る自信が持てなかった。
毛布に遺体をくるむ作業には徐々に慣れ、遺体の匂いや焦げ臭さが漂う中で仮眠を取り、約48時間作業を続けた。
だが、異変に気付いたのは任務を終えて2、3日後。
肉を食べようとすると吐き気を催し、暗闇に異様な恐怖を感じるようになった。
自宅で電灯を全てつけても眠れず、ウイスキーをあおってまどろんでいると、窓の外に人の列が見えてくるように感じた。
ヘリコプターに載せた百数十人の犠牲者の幻だった。
■「有事対応」は整備途上
上空から落下傘で敵地へ乗り込む過酷な空挺作戦を主任務とし、
「精鋭無比」
の異名を持つ第1空挺団。
同様の症状を訴える部下もいたが、
「俺は大丈夫だ」
と虚勢を張り、我慢し続けた。
症状は1カ月ほどで消えた。
「急性ストレス障害」(ASD)
の症状と知ったのは随分後だ。
岡部元陸将は
「1人で悶々と苦しんでいた」
「相談するのはプライドが許さなかった」
と振り返る。
自衛隊は平成13年頃から隊員の精神ケア態勢を整備し、司令部ごとに専門隊員を配置。
平成23年の東日本大震災などの災害派遣で捜索部隊は日々の任務終了後、互いに辛さを吐露し、心的負荷を緩和する
「解除ミーティング」
を開いて対応した。
陸自は
「災害派遣の整備は進んだが、戦闘時のストレス緩和など有事対応は未経験のため整備途上にある」
としている。

日航機墜落から12日で40年 遺族ら「御巣鷹の尾根」に慰霊登山 史上最悪の航空機事故
2025/8/11 7:00
https://www.sankei.com/article/20250811-W2QBUL74ZJOADGKA5IQZSL46AY/
単独の航空機事故としては史上最悪の520人が亡くなった日航ジャンボ機墜落事故から2025年8月12日で40年を迎える。
遺族らは墜落現場となった群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
に慰霊登山するほか、村内の慰霊施設で執り行われる追悼慰霊式に参列する。また、2025年8月11日夕には麓を流れる神流(かんな)川で灯籠流しが行われる。
2025年8月12日は慰霊登山に遺族の他、多くの関係者らが訪れるため、混乱を避けて別の日に事故現場を訪れる遺族も多いとみられる。
事故は昭和60年8月12日に発生。
乗客乗員524人が乗った羽田発大阪行きの日本航空123便ボーイング747が約32分間の上下蛇行の末、午後6時56分に墜落した。
歌手の坂本九さん=当時(43)=をはじめ520人が犠牲となった一方、機体後方にいた8〜34歳(当時)の女性4人が救助された。
運輸省航空事故調査委員会(当時)は、機体後部の圧力隔壁が破壊され、漏れ出した客室内の大量の空気が垂直尾翼や油圧系統を破壊し、操縦不能となったことが事故原因とした。

国交省、日航機墜落事故でボーイングに隔壁修理ミスの背景を確認 米側の「新情報」判明で
2025/8/8 13:31
https://www.sankei.com/article/20250808-MFILGTX4YZK4RL3YOZAL2XBJXI/
1985年8月に発生した日航機墜落事故を巡り、中野洋昌国土交通相は2025年8月8日の閣議後会見で、原因となった後部圧力隔壁の修理ミスについて、米ボーイング社や米連邦航空局(FAA)に対し、背景を明らかにするよう確認を進めていることを明らかにした。
日本側にない情報を米側が把握していることが産経新聞の報道で判明したためで、長年の遺族の疑問の追究に国が動くことになった。
■事故調終了後は国交省が調査
中野氏は会見で
「航空局でボーイング社などの関係者に対し、事実関係の確認を行っている」
と述べた。
当時の旧運輸省航空事故調査委員会の調査とは別に、国交省が米側に事故原因を聞き取るのは初めて。
事故の原因調査は通常、事故調を前身とする国の運輸安全委員会の所管だが、調査が終了した事故については、航空安全を推進する立場で国交省が参考情報として調べる事例はあり、今回はこれに該当する。
墜落事故の原因を巡っては、圧力隔壁の修理に使うスプライス・プレート(接合板)と呼ばれる部品を本来1枚で使うところ、2枚にして使ったことで隔壁の強度が低下し、当日のフライトで破断、墜落に至ったことは分かっていた。
しかし、なぜ2枚にしたのかまでは判明していなかった。
■米国と日本、法制度の違いが障壁に
当時の事故調などの調査では、作業ミスをしたボーイングの担当者らに聴取できなかったためだ。
過失による航空事故では刑事責任を問わない米国と、日本との法制度の違いが障壁になったとされる。
1987年6月発表の事故調の報告書には、修理ミスの理由の記載はなく、当時の武田峻委員長は報告書を「70点」と自己評価していた。
しかしボーイングは昨年2024年9月、公式サイト内に航空安全関連のコーナーを設け、この中で日航機墜落事故に言及。
ミスの背景について
「構造上取り付けるのが難しかったため、2枚に切断した」
などと記載していた。
このコーナーは元々社員教育で使用されていたものだが、
「更なる航空安全の強化のため」
一般公開したという。
■「教訓風化させず、更なる安全を」
また、ボーイングは事故当時社内調査を行っており、結果は米連邦航空局(FAA)にも報告。
同様の記述はFAAのサイトでも公表されていた。
いずれも日本側の事故調査報告書にはない内容で、報道で判明した。
今後国交省ではボーイングやFAAに対し、これらの記述が何に基づいたものか、出典を含め、記述以上の背景を深堀りする考えだ。
中野氏は事故から40年が経過することを踏まえ、
「教訓の1つ1つを決して風化させることなく、更なる安全を築き上げるため、引き続き航空に携わる全ての関係者と一丸となって、安全確保に取り組んで参りたい」
と述べた。

日航機墜落事故
1985年8月12日夕、羽田発大阪行きの日航機123便(ボーイング747)は離陸12分後に、後部圧力隔壁が破断。客室の高圧空気が機体後部に噴出し、垂直尾翼や油圧系統を損傷、操縦不能になった。
機体は羽田への帰還を目指したが32分に渡り迷走し、群馬県上野村「御巣鷹の尾根」に墜落。
乗客乗員524人のうち520人が死亡した。
機体は7年前の1978年6月、後部を損傷する別の事故を起こし、ボーイングが修理。
ドーム状の圧力隔壁(アルミ合金製、直径4・56メートル、深さ1・39メートル)の壊れた下半分を新品に取り換えた。
この際、上下の繋ぎ目に当てるスプライス・プレートが、仕様通りの1枚でなく2枚に切断されたものが使われ、強度が本来の仕様より30%低下した。
このミスが見逃されたまま、機体はその後1万2000回以上フライトを重ね、隔壁は与圧による金属疲労が進行。
当日の破断に至ったと結論付けられている。

<独自>日航機墜落事故40年 米ボーイング、修理ミスの理由説明「設置困難で部品切断」
2025/8/6 22:00
https://www.sankei.com/article/20250806-N5T7PWWI3JNLNMARNOECQE4U3Q/
2025年8月12日で発生から40年になる日航機墜落事故を巡り、米ボーイング社は産経新聞の取材に応じ、事故原因とされる接合板(スプライス・プレート)を2枚使用した機体の修理ミスが起きた理由について
「設置することが構造上困難だったため」
と明らかにした。
当時の旧運輸省航空事故調査委員会の調査や、警察の捜査では担当者への聞き取りができず、2枚のプレートを使用した修理ミスが起きた理由は判明していなかった。
1985年8月に発生し、乗客乗員520人が犠牲になった単独機として世界最悪の航空機事故は、原因の更なる究明に向け一歩踏み出した。
墜落した機体はボーイング747型機。墜落事故の7年前1978年、別の事故で機体後部を損傷し、ボーイングが修理した。
機内の気圧を保つドーム状の部品
「後部圧力隔壁」
について、修理チームは下半分を新品に取り換え上半分と接合した。
このとき、接合部にあてるプレートが指示書では1枚だったのに対し、2枚に切断されたものが使用された。
隔壁はプレートを挟む形で鋲留めされたが、本来の仕様より強度が7割に落ち込み、最終的に墜落事故に繋がったと事故調の報告書で結論付けている。
だが、2枚のプレートを使用した理由は長く判明していなかった。
ボーイングは取材に
「プレートを所定の位置に設置するのが難しく、2つに切り分けて設置しやすくした」
と説明した。
ボーイングは昨年2024年9月、日航機墜落事故に関するページを公開し、この内容を示していた。
米連邦航空局(FAA)も、公式サイトで
「隣接する構造物との複合的な湾曲のため設置が困難だった」
と記載している。
当時、事故調の調査官として圧力隔壁を調べた斉藤孝一さん(80)は
「事故後の40年間で初めて出てきた情報で、大変驚いている」
「整備員たちが安全のために知るべき非常に重要な情報だ」
と述べた。
ボーイングは取材に際し、
「ご遺族の皆様に心よりの哀悼の意とお詫びを申し上げます」
と改めて謝罪した。
遺族らで作る「8・12連絡会」は
「修理ミスについて、1つ1つ事実が分かっていくことによって、その背景を明らかにしていくことができるはずなので、更に詳しく情報をオープンにしていってほしい」
とコメントした。

日航機墜落は自衛隊の陰謀!? デマはなぜ消えぬ
正論2025年7月号 ジャーナリスト 葛城奈海
乗客乗員520名という単独飛行機事故としては世界最多の死者を出した日本航空123便墜落事故から、2025年8月12日で40年となる。
当時を知らない世代も増える一方、僅か4名だった生存者の1人、当時12歳の川上慶子さんが自衛官に抱えられながらヘリに引き上げられていく映像をご記憶の方も少なくないだろう。
昭和60(1985)年8月12日午後6時12分、羽田空港を離陸した日航ジャンボ機123便は、大阪伊丹空港へ向かう途上、異常事態が発生、午後6時56分、群馬県上野村の
「御巣鷹山の尾根」
に墜落した。
事故原因について、運輸省の航空事故調査委員会(当時)は、昭和53年に起こした
「尻もち事故」
後の不適切な修理で機体後部の圧力壁が壊れ、垂直尾翼や操縦系統が破壊されたと推定。
メーカーのボーイング社は、修理ミスがあったことを認めている。
事故機の生存者捜索・救助、ご遺体の搬送には警察や消防、地元猟友会らと共に、自衛隊が力を尽くした。
にもかかわらず、あろうことかその自衛隊が日航機を墜落させ、その証拠隠滅のために現場を火炎放射器で焼いたという
「陰謀説」
がいつしか流布されるようになった。
事故当時、第1空挺団の小隊長としてヘリからのリベリング(懸垂降下)でいち早く現場に入り、事故対処に当たった元陸上幕僚長の岡部俊哉氏の話を聞いていた私は、凄惨な現場で黙々と任務に邁進した自衛官たちの尊厳が踏みにじられていることへの憤りと、予備自衛官としての他、様々な形で自身も関わって来た自衛隊が事実に反して貶められることを食い止めたいという思いにかられた。
「御巣鷹の尾根」
登山道に、陰謀説を真に受けたと思われる慰霊碑が遺族によって建立されたと知るに及び、同説を放置したら既成事実化しかねないとの危機感が募った。
■自衛隊OBらの反論
「自衛隊犯人説」
など余りに荒唐無稽で国民が信じるわけがないと当初は意に介していなかったOBたちも、危機感を抱き、反論を始めた。
産経新聞2025年4月1日付の「正論」欄で元空将の織田邦男氏が、事故当時、航空幕僚監部運用課員として事故発生から収束までの一部始終を、指揮中枢である空幕作戦室で目撃した立場から
「全くのデマだと断言できる」
とした。
元戦闘機パイロットである織田氏は、疑惑の発端となった自衛隊の
「現場到着の遅れ」
について、こう述べている。

【地上レーダーは低高度が見えないので墜落地点は特定できない。
最初に炎を発見した米軍C130輸送機、空自F4戦闘機からの位置情報は、TACAN(戦術航法装置)の情報である(GPSは未装備)。
TACANには、固有の誤差がある。
更に当該機と現場の距離が誤差となって加わる。
横田TACAN局から割り出せば位置情報に4km前後の誤差が生じることはやむを得ない。
航空では僅かな誤差だが、陸上行動では大きな障害となる。
特に山岳地帯では、4km違えば隣の尾根になってしまう。
山岳の道なき道の移動は4kmでも数時間かかる。
夜間で、暗視装置のない(当時)ヘリの山岳投入は危険なので中止した。
地上部隊の投入場所の決定が遅れ、結果的に現場到着が遅れた。
この遅れが
「何かがあるはず」
と臆測を呼び、連鎖して物語の創作に繫がったのだろう。】

私も狩猟その他で道なき道を進む困難さを度々味わってきた経験から、織田氏の特に山岳の道なき道の移動についての指摘は実体験として深く頷かざるを得ない。
2025年4月16日には、参議院議員会館1階講堂で
「JAL123便事故究明の会」
によるシンポジウムが開催された。
平日の16時からという時間帯にもかかわらず250名もの参加があり、壁沿いにずらりと補助席を並べてぎりぎり収容がかなうほどの盛況ぶりであった。
シンポジウムでは、まず基調講演として同会会長で元陸上幕僚長の岡部俊哉氏が、事故当時、第1空挺団の小隊長として現場で生存者捜索・救助、ヘリポート造成、遺体後送などの指揮を執った実体験を述べた。
岡部氏ら空挺団員は事故翌朝、現場にリベリング(ホバリングするヘリコプターから縄を垂らして降りる)で降着、生存者の捜索、救助に当たった。
生存者4名が消防団によって発見されたことを受け、ホイスト(縄を巻き上げること)によるヘリ収容を行った。
生存者は全員女性で、うち2人は母子であった。
収容はまず8歳の女児から毛布にくるんで行ったが、2番目に12歳の川上慶子さんを同様に包んでいた毛布をメディアの人間が剥いだという。
皮肉にも、その映像が世界を駆け巡ったが、一部メディアの倫理観の無さを表していると言えよう。
生存者のヘリ収容が完了すると、次に空挺団はヘリポートの造成に取り掛かった。
山の斜面に造成するため、作業は困難なものであった。
山側を切り崩した土を谷川に盛るという作業を夜を徹して行い、翌昭和60(1985)年8月14日にヘリポートが完成。
遺体の後送が開始された。
中にはシートベルトによって上下に分断されたご遺体をはじめ部分遺体が多数あったが、毛布でくるみ重ならないようにしてヘリの床に足の踏み場もないほど詰めて収容することを繰り返したという。
空挺団が撮影した5分ほどの映像も上映された。
まだ一部で煙の立ち上る現場にヘリからリぺリングで地上に降り立つ空挺団員たちの他、散乱する瓦礫、なぎ倒され、あるいは焼け焦げた木々や岩がちな急斜面、ボサ、消防団員などが映り込んでおり、現場の空気が鮮明に伝わってきた。
岡部氏はまた、任務終了から約1カ月、不眠、肉食不可、手にご遺体の感触が蘇る、窓の外にご遺体が並ぶ幻想を見るなど急性ストレス障害(ASD)に悩まされたことを告白している。
シンポジウム後段は、岡部氏を含めた関係者による以下の5つの陰謀説への反論であった。
@海上自衛隊護衛艦のミサイルが123便に衝突
A航空自衛隊のF4戦闘機が123便を追尾
B墜落現場の特定を遅延させた
C証拠隠滅のため火炎放射器で現場を焼却
D海自出身の機長の遺体・制服を自衛隊が隠滅
これに対し、登壇者がそれぞれ以下のように回答した。
@海上自衛隊護衛艦のミサイルが123便に衝突
「陰謀説」
では当時ミサイルの実験中だった護衛艦「まつゆき」が相模湾で短SAMシースパロー(艦対空ミサイル)の垂直発射試験を行っており、123便の垂直尾翼周辺に異変を生じさせたとするが、当時「まつゆき」はまだ自衛隊のものではなかった。
当時は、石川島播磨重工(現IHI)が所有し、船長もスタッフも同社員で「公試」(船舶の海上試運転)を行っていた。
元海上自衛隊海将補の林祐氏によると、海上自衛官も「艤装員」として乗り込んではいたが、自衛隊が主導できる状況ではなかった。
また、当日相模湾で行っていたのは運動能力試験であり、そもそも武器は未積載であった。
A航空自衛隊のF4戦闘機2機が123便を追尾
墜落直前の123便を空自F4戦闘機2機が追尾し、最終的にミサイルで撃墜したという
「陰謀説」
に対し、実際に事故当日F4戦闘機の後席に搭乗して現場上空を飛んだ渡辺修三氏は
「そもそも自衛隊の武器・装備品の管理は徹底している」
「ミサイルで撃墜はあり得ない」
また、当時の出動について
「ダイレクトスクランブル(事前情報なし)で上がった」
「西側に指向されたのでなぜだろうと思っていたら、123便がレーダーから消えた所へ行くと判明した」
「現場には当日薄い雲がかかっていたが、その中に橙色の場所があった」
「確認のために雲を突き抜けていくと、炎の帯が1.5km〜2kmに渡って続いていた」
と証言した。
B墜落現場の特定を遅延させた
前述の織田氏同様、渡辺氏もTACAN(戦術航法装置)の機械的誤差および人的誤差に触れた。
帯状に燃えていた中で、最も燃えている所に合わせようと努力し、百里、横田、入間の3カ所から位置を割り出すべく通報したが、結果的にずれていた。
夜間だったことが、定点の割り出しを一層困難にした。
また、第1空挺団に対し、
「事故当日の夕刻、災害派遣待機命令が出ており、ヘリもエンジンをかけて待機していたにもかかわらず、それが解除された」
に対し、岡部氏は、そもそもそんな命令は出ていなかった、当直の陸曹に対し、命令が出ていないことを確認して就寝した。
C証拠隠滅のため火炎放射器で現場を焼却
「ガソリンとタールの混ざった臭いが漂っていた」
「ご遺体が2度焼きしたように激しく炭化していた」
という証言を基に
「証拠隠滅のために自衛隊員が火炎放射器(自衛隊では「携帯放射器」と呼称)で現場を焼却した」
という説に対し、岡部氏は、
「携帯放射器はそもそも高圧洗浄機の噴射と同様に広い面積を対象とするのには不適であり、燃料のゲル化油を作るなど準備に長時間要する」
「そもそもタールは使わない」
と反論した。
また、
「昨年2024年の羽田空港での事故を思い起こせば分かる通り、航空燃料の火力は非常に強く飛行機でさえ焼き尽くしてしまう」
というファシリテーターの元日興職員、空花正人氏の言葉には、なるほどと思わされた。
更に、事故当時陸自第13普通科連隊(長野県松本市)の一員として最初に地上から現場入りした小川清史元西部方面総監は、
「道の無い山を地図判読し笹や木を手で掴みながら登って行った」
「そんな状況で、もしそこに携帯放射器があったらノズルが邪魔で(笹や木に引っかかって)とても進めなかったはず」
「武器庫内にある携帯放射器を取り出す手続きは非常に厳密」
「燃料は業務隊が持っているため指揮系統が違い、一層手続きが複雑になる」
とし、何重もの意味であり得ないことを語った。
D海自出身の機長の遺体・制服を自衛隊が隠滅
事故機の機長が海自出身だったことから、
「陰謀説」
では
「ミサイルを誤射した」
海自の訓練との関係が仄めかされている。
自衛官が現場で真っ先に機長を発見し、目印のために棒で突き刺し、ヘリ内で搬送中の遺体から制服を剝ぎ取ったとする説に対し、岡部氏は
「現場検証で警察によって番号が付けられ、自衛隊は勝手にできない」
「自分たちがヘリポートを運用していたから、後送したご遺体は全て見ている」
「マスコミもいる中で、あり得ない」
と反論した。
■「御巣鷹の尾根」の今
事故当時、捜索・救助等に当たった地元猟友会、消防団、警察、そして自衛隊などが道なき道を切り開きながら進んだ
「御巣鷹の尾根」
へは、現在ではすぐ近くまで車道が整備されている。
2025年4月末の冬季閉鎖解除を待って、2025年5月6日現場を訪ねた。
五月晴れの下、新緑から青葉へと変わりつつある若葉が輝く中、設置されていた
「熊よけの鐘」
を鳴らして入山。
スゲノ沢の水音を感じながら
「御巣鷹の尾根」
へと向かう。
参拝道を数十メートル進むごとに「水場」や小さな「山守地蔵」が目に入る。
斜面の急峻さを目の当たりにしながら、事故当時、道の無いこの場所に分け入った関係者らの苦労を想う。
しばらく進むといくつかのベンチが置かれた休憩スペースがあり、その先から斜面のあちこちにご遺族らが建てた墓標や石碑が点在する慰霊のエリアとなる。
それぞれを結ぶように小道や金属の階段が付けられているが、一筆書きで全てを回れるような道筋ではなく、いくつもの枝道に分かれており、全てを回るには相当な時間を要する。
その最も手前、つまり慰霊に訪れた人のほぼ全員が目にする位置に、件の慰霊碑はあった。
台座中央に置かれた石碑(写真1)には
「日航機墜落事故 真実の仮説」
として
「加害者 N総理・自衛隊幕僚長」
「事故原因(墜落) 自衛隊曳行標的機・衝突、N総理 撃墜殺害 指示、自衛隊 ミサイル撃墜・墜落」
などと記され(写真2)て、事故当日、搭乗前に撮影された高校生と中学生の兄妹の写真が並べられた下には
「*N総理・自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
との文言がある。
その左右には、事故機で共に旅していた2家族の犠牲者の名前が彫り込まれた石碑が並ぶ。
名前が彫られた石碑の裏を見ると建立は平成19年とあったが、中央の石碑がこの場所に確認されたのは昨年2024年だという。
よりによって、こんな
「最も目に付く位置」

「陰謀説」
が真実であるかのような石碑が、
「ご遺族によって」
建立されているという現実を目の当たりにし、私自身の衝撃が更に深まった。
先へと進み、いくつもの墓標や石碑の前を通りながら、尾根上に開けた
「昇魂之碑」
に到着。
壮絶な最期を迎えた520名の御霊の安からんことを祈った。
周囲一帯はとても美しく整備されており、水仙、馬酔木、標高の高さ故にまだ残っていた山桜、これからまさに咲かんとする石楠花など百花繚乱の様相を呈していたが、その中で白いヘルメット姿の若者5〜6名が手に箕などを持って活動していた。
聞けば、日航職員が休暇を使ってボランティアに来ているのだという。
「昇魂之碑」
の少し奥には、
「遭難者遺品埋没の場所」
や観音像などがあったが、特に印象的だった場所が3カ所ある。
まず、「祭壇」だ。
入口にたくさんの千羽鶴が下げられた木造の小屋のような建物内に置かれている。
祭壇や壁面には写真や千羽鶴が所狭しと並べられ、掲げられている。
犠牲者の1人、坂本九さんの
「上を向いて歩こう」
のレコードジャケットもあった。
線香を手向けお参りをさせて頂いた後に1つ1つ見ていくと、祭壇中央に目を引く額があった。
というのも、その額内に収められている布が赤いのだ。
そこに筆書きと思しき書体で
「故川上英治、川上和子同志へ」
「闘いのなかばで倒れた同志の遺志を受け継ぐことを誓って、霊にささぐ」
と日本共産党群馬県委員会委員長をはじめとする党員と思しき署名が寄せられていた(写真3)。
同志として名を連ねている故人は、救助された慶子さんのご両親だ。
「祭壇」
の中で、そこだけ異質な空気を醸し出していた。
2つ目は、
「沈黙の木」
と札が下げられていた場所だ。
当初、随分昔に大木が倒れた跡のように見え、だいぶ風化しているので何の事だろうと思いながらよく見ていくと、一部の断面や、しゃがんで覗いた下の方に炭化した部分が明確に残っていた。
40年の時を超え、事故による火災の残滓がそのまま存在している。
まさにここが
「現場」
であったことを実感した瞬間だった。
「沈黙の木」
を覗き込んでいると、
「御巣鷹の尾根管理人」
の黒沢完一氏が声を掛けて下さった。
同氏が指を指しながら説明してくれたところによると日航機は隣の尾根に接触(その部分の樹木が抉られたことからU字溝と呼ばれており、現在でもV字型に樹木の空際線が抉れている)、高天原山に上下が逆さになった状態で墜落した。
機体後部はスゲノ沢に滑落、そこから4名の生存者が救出されている。
3つ目は、更にその奥にあった
「X岩」
だ。
岩には実際に白く
「X」
と大書されている。
傍らに立つ石碑には
「日航機墜落事故対策の記録」
と題し、延べ5万5117人が135日間に渡って活動した群馬県警が
「第4現場」
と呼んでいたこのエリアで救援・捜査活動を行う際、基準とした場所であることなどが刻まれていた。
下山して次に17km離れた
「慰霊の園」
に向かった。
「御巣鷹の尾根」
に向かって合掌した姿の慰霊塔の奥には納骨堂があった。
最後まで身元確認が叶わなかった120以上のご遺骨が納められているという。
事故処理の支援を通じて事故の凄まじさ、ご遺族の悲しみを目の当たりにした上野村村民が、2度とこのような事故が起こらないように願い、永遠に霊を祀り慰めることが村民の責務だと考え、有志が土地を提供して建設されたという。
資料館で上映されていた事故当時の映像によって、事故現場の特定および生存者の捜索・救助に向かった地元猟友会が8名、消防団員が160名だったこと、身元不明遺体を役場の2階に仮安置したこと、事故の翌年1986年7月には慰霊のための登山道を整備し、1986年8月の1周忌には納骨が行われたことなどを知った。
いずれにも当時の黒澤丈夫村長の強いリーダーシップを感じた。
余談だが、黒澤村長は、元海軍の戦闘機乗りであった。
■自衛隊犯人説を既成事実化させるな
自衛隊犯人説が広がった背景に、元日航職員のノンフィクション作家、青山透子氏による著書の存在がある。
彼女の著書のうちの3冊(いずれも河出書房新社)が公益社団法人全国学校図書館協議会による
「選定図書」
に指定されていた。
「選定図書」
とは、図書館などに相応しいお勧めの本として複数の選定委員の推薦を受けた図書のことで、年間約7000点が選ばれている。
加えて、本年2025年1月に亡くなった経済アナリストの森永卓郎氏が著書やYouTube番組などで自衛隊の関与を指摘したことで、ここ1年ほどで同説が一気に広がった印象だ。
こうした本が図書館や書店に並べば、国を守る自衛隊という組織に対する印象が著しく貶められ、結果として、ただでさえ募集難に喘ぐ自衛隊へ追い打ちをかけることにもなりかねない。
何より看過できないのは、遺体や燃料などの臭気漂う凄惨な事故現場で、黙々と任務に邁進した自衛官たちの尊厳を踏みにじっていることだ。
陸上自衛隊OBでもある佐藤正久議員は2025年4月10日の参院外交防衛委員会で
「自衛隊員の名誉に関わる問題だ」
「多くの人命救助に当たった隊員に対する侮辱だ」
と問題視した。
これに対し、中谷元・防衛大臣は
「自衛隊が墜落に関与したことは断じてない」
「しっかり対応したい」
と語った。
周知の通り、中谷元・防衛大臣も陸自OBだ。
かつての同僚の名誉を守るためにも、また今まさに日々の任務や訓練に勤しむ現在の自衛隊員の士気を落とさないためにも、そして未来の自衛隊の誇りのためにも、この問題を軽視せず、防衛省を挙げて真摯に対応することを心から願う。
御巣鷹の尾根で、件の慰霊碑以外にも1つ気にかかる石碑があった。
登山口から歩き始めてほどなく
「すげの沢のささやき」
と標識の立つ場所があった。
事故当時、米国・国家運輸安全委員会(NTSB)の委員長だったジム・バーネット氏が講演会で述べた言葉が石碑に刻まれているのだが、その内容はここでは置く。
引っ掛かったのは、説明板の文章の中の以下の文言だ。
「日本の、運輸省・航空事故調査委員会の調査報告書は、原案がNTSBに送られ、同氏の承諾を得た後に初めて、発行された」
NTSBが報告書作成に
「協力」
したのではなく、その
「承認」
を得て発行されたという辺りに、何かしら情報操作や隠蔽があるのではないかと疑念が沸くのは私ばかりではないであろう。
これに象徴されるように事故後の情報公開の在り方に、
「陰謀説」
を生み出しかねない隙があったことは否定できない。
ことは防衛省だけに収まる話ではない。
政府の責任において、自衛隊を貶める様々な疑念を晴らすべく情報公開の在り方も見直すべきだ。
現状では、自衛隊は
「無実の罪」
着せられ名誉を毀損されている被害者と言えよう。
「自衛隊犯人説」
が増幅されれば、自衛隊の弱体化、ひいては日本国の国防力の低下に繋がる。
これによって利するのは誰か。
そもそもこの問題も、日本を弱体化するという大目的をもって行われている世論戦であるかもしれない。
その可能性も念頭に、甘く見ることなく対処する必要があろう。
具体的には、政府が著者を名誉棄損で訴え、証拠を出させるなどの法執行が必要なのではないか。
法廷という公の場で白黒はっきりつけさせる。
傍観するのではなく、
「国としての意思を示す」
と政府が腹を決めるべき事態であると私は思う。
「陰謀説」
を決して既成事実化させてはならない。

「選挙時のSNS規制」に走るメディアの危うさ
正論2025年7月号 政策シンクタンク 原英史
■「自衛隊関与説」と反論
政府は、言論市場の
「統制役」
になるべきではない。
一方で、言論市場に
「プレーヤー」
としては参加できる。
政府に対して不当な批判がなされた時は、反論できる。
むしろ積極的に反論すべきだ。
実際には政府は、反論に及び腰になりがちだ。
これは、反論すると野党やメディアから
「言論弾圧だ」
といった反発を受けることを過度に恐れるためだ。
このため、例えば原発処理水を巡る経過のように、不当な報道や情報発信の一方的な拡散が起きてしまう。
この関連で最近気になったのは、昭和60年の日航機墜落事故に関して、今年2025年4月に国会でなされた質疑だ。
日航機墜落に関しては以前から、自衛隊が関与したとの説があった。
最近もノンフィクション作家の青山透子氏らが著書で唱え、亡くなられたタレントで経済アナリストの森永卓郎氏が日本経済低迷の要因と指摘した。
青山氏の著書につき、佐藤正久参議院議員が2025年4月10日の参議院外交防衛委員会で取り上げ、
「多くの人命救助に当たった隊員に対する侮辱だ」
と問題視した。
これに対し青山氏は翌日、ウェブサイトで抗議文を公開し、
「権限濫用による表現の自由、言論への弾圧」
だと批判した。
まず、私は
「自衛隊関与説」
には余り興味はない。
一方で、通説に抗して異説を唱えることは、社会にとって貴重だと考えている。
かつて地動説が異説だったことを思い出すまでもなく、真実が封印されている可能性があるのだから、異説は大事にしないといけない。
その前提で、国会質疑を見て、青山氏の著書にも目を通した。
佐藤議員の質疑は真っ当な内容だ。
「自衛隊関与説」
について、
「政府が間違いと認識しているなら、しっかり反論せよ」
という指摘だ。
防衛省が適切に反論し、また、全国学校図書館協議会の選定図書への指定について文科省から問題指摘すべきと求めている。
一方で、本を発禁処分にせよといった内容ではない。
これに対し、青山氏が
「言論弾圧」
だと批判しているのはおかしい。
政府への批判に対する反論、あるいは国会議員が政府に
「反論せよ」
と求めることは、
「言論弾圧」
ではない。
言論市場において、プレーヤーに
「反論を受けない権利」
はなく、政府を批判した時でも同じだ。
どちらが説得的かは、
「言論の自由市場」
において判断されたらよいことだ。

日航機事故 「御巣鷹の尾根」への登山道に「自衛隊撃墜説」を伝える慰霊碑は本当にあった
記者の「暴論」 矢野将史
2025/5/4 14:00
https://www.sankei.com/article/20250504-U5K7OD4BNNP2DE7DTSUDDQUIVY/
乗員・乗客520人が亡くなった日航ジャンボ機墜落事故から、今年2025年8月で40年を迎える。
国会審議で先日、自衛隊が加害者であるかのような言説が流布されていると知り、驚いた。
墜落現場となった群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
への登山道には、自衛隊撃墜説を
「仮説」
として伝える慰霊碑もあるという。
登山道が冬の閉鎖期間を終えたGW前半、慰霊登山をしてきた。
その慰霊碑については、自民党の佐藤正久参院議員が2025年4月10日の参院外交防衛委員会で、日航機墜落事故について
「加害者はN総理と自衛隊幕僚長と書かれている」
「(御巣鷹山を)登る人はみんな見ている」
「(政府や自衛隊が)慰霊碑を作った人にアプローチして『事実誤認だ』と言わないと」
「国民の信頼がないと自衛隊は動けない」
などと訴えた。
■「登る人はみんな見ている」
これに対し、中谷元防衛相は
「実際に碑があり、もし記載があるとすれば、全く事実無根だ」
「大変遺憾に思う」
「私や自衛官が正確な情報を発信していく」
「このような情報は偽情報である」
と答弁した。
本当にそのような碑があるのか。
記者は慰霊登山のため、上野村の中心部から車で林道のような山道を30分ほど進み、午前中に登山道入り口に辿り着いた。
そこから約20分登った山小屋近くに、
「日航機墜落事故 真実の仮説」
と記された慰霊碑はあった。
一部に、次のように書かれていた。

慰霊碑の「仮説」と記された部分
「※加害者 N総理・自衛隊幕僚長」

「※事故原因(墜落) 自衛隊 曳航標的機・衝突 N総理 撃墜殺害 指示 自衛隊:横田基地・着陸禁止 自衛隊 ミサイル撃墜・墜落」
「仮説」
とはあるが、ギョッとする内容だ。
慰霊碑は、事故の犠牲者5人の名前と哀傷歌が刻まれた2つの碑に挟まれていた。
亡くなったのは10代が4人、30代が1人と記されている。
上野村役場総務課は
「その碑があるのは知っているが、役場では、個々の墓標や碑について、誰が、いつ建てたかについては把握していない」
「ご遺族の方が設置したのではないか」
「昨年にはあった」
と語る。
■中谷防衛相「事実無根」
単独機として世界最大の航空機事故の調査は、旧運輸省の事故調査委員会が行った。
中野洋昌国交相は、佐藤氏の国会質問があった翌日(2025年4月11日)の記者会見で、事故調査委員会が昭和62年6月に公表した航空事故調査報告書を引用して、事故原因は米ボーイング社による
「後部圧力隔壁」
の不適切な修理に起因するとし、
「様々な角度から調査解析を行い、専門家による審議の上、ほぼ間違いないという結論に至ったため、強い推定を示す『推定される』という表現を使用している」
と説明した。
記者は前述の慰霊碑を確認した後、
「御巣鷹の尾根」
を目指した。
急な登山道を息を切らし、熊除けの鐘を鳴らしながら、30分ほど登ると、墜落現場に立つ
「昇魂之碑」
があり、遺族が設置した
「空の安全を祈って」
という鐘、犠牲者520人の名前が記された
「慰霊碑」
などがあった。
静かに手を合わせた。
そこに至る登山道脇の斜面やスゲノ沢には、木や石でできた墓碑がいくつも立ち並んでいた。
遺体が発見された場所付近だという。
墓碑には犠牲者の名前が記され、遺族らによる花や千羽鶴、人形、風車、個人的な手紙などが供えられていた。
■犠牲者や遺族の無念
遺族有志のメッセージにはこうあった。
「あなたやってきましたよ きこえますか 見えますか あなたと話したい あなた言いたいことは…」
「さよならも言えずに旅だったあなたたち やすらかに永遠の祈りをささげます」
この御巣鷹の尾根で520人の人生が突然断ち切られ、遺族らの人生も大きく変わったことが実感として伝わってきた。
事故から40年経っても、その無念さ、理不尽さ、事故への疑問を抱え続けている遺族は多いことだろう。
同時に、事故直後、標高1500メートル以上の尾根と谷が連なる墜落現場に向けて、道なき道を進んで必死の捜索・救出活動を続けた消防団員や警察官、自衛官の苦難も理解できた気がした。
恥ずかしながら、記者は整備された登山道を登るだけでも膝がガクガクになった。
航空事故調査委員会は現在、運輸安全委員会という組織に再編された。
同委員会は平成23年7月、
「日本航空123便の御巣鷹山墜落事故に係る航空事故調査報告書についての解説」
を発表している。
遺族などから様々な疑問が寄せられる中、
「できるだけ分かりやすく説明するため」
に作成したという。
この解説には後半で、
「ミサイル又は自衛隊の標的機が衝突したという説もありますが、根拠になった尾翼の残骸付近の赤い物体は、主翼の一部であることが確認されており、機体残骸に火薬や爆発物等の成分は検出されず、ミサイルを疑う根拠は何もありません」
とも記されている。
■事実に基づかない言説は修正を
犠牲者と遺族の無念に心を寄せながら、事故への疑問には真摯に向き合い、事実に基づかない言説は修正していく努力が必要だと感じた。

日航機墜落事故に「自衛隊関与」という陰謀説拡大の記事が読まれています、政府の対応は
2025/5/1 11:11
https://www.sankei.com/article/20250501-3B3JOK7GFZGVBJ333KKOVLED7E/
昭和60年8月12日に起きた日本航空機墜落事故を巡り、自衛隊の関与を唱える陰謀説が書籍やインターネットで流布されていることを紹介した記事が産経ニュースで読まれています。
政府は強く否定し、正確な情報発信を行う方針を明らかにしている。
陰謀説を唱える書籍の中にはベストセラーになったものも。
今年2025年4月16日には事故現場で生存者捜索に当たった自衛隊OBらがシンポジウムに参加し、書籍などで指摘される陰謀説のうち5つの点に反論した。
この問題は2025年4月10日の参院外交防衛委員会でも取り上げられた。
自衛隊OBの佐藤正久参院議員(自民党)が、自衛隊の関与を唱える書籍が全国学校図書館協議会による選定図書に指定されているとして、是正を訴えた。
佐藤氏の指摘に対し、中谷元防衛相は
「自衛隊が墜落に関与したことは断じてない」
と陰謀説を強く否定し、対応を約束した。
中野洋昌国土交通相は2025年4月11日の閣議後記者会見で、旧運輸省の事故調査委員会の航空事故調査報告書を引用する形で、事故原因は機内の気圧を保つ役割がある
「後部圧力隔壁」
の不適切な修理に起因するものだと説明し、
「正確な情報を発信していきたい」
と述べた。
民間でも陰謀説は問題視されている。
防人と歩む会の葛城奈海会長は、
「これを放置しては、慰安婦問題における吉田清治証言同様、嘘が真になりかねない」
と警鐘を鳴らした。
事故当時、航空幕僚監部の運用課員として、発生から収束まで一部始終を指揮中枢である空爆作戦室で目撃していたという元空将の織田邦男氏(麗澤大学特別教授)は、
「全くのデマだ」
と断言。
陰謀説を
「情報戦」
とみなし、その対応は
「国民一人一人が高い情報リテラシーを持つことが何より重要である」
と訴えた。
2025年4月29日、墜落事故の現場となった
「御巣鷹の尾根」
に向かう登山道が冬の閉鎖期間を終え、開通。
遺族や関係者は慰霊のため尾根を訪れ、墓標の前で静かに手を合わせた。

日航機墜落の陰謀説唱える書籍は「図書館協議会選定図書」 自民の佐藤正久氏が是正訴え
2025/5/1 9:55
https://www.sankei.com/article/20250501-H5D7UDNLZVNKZAERNHNE2ZS3WA/
昭和60年の日本航空機墜落事故に自衛隊が関与したという
「陰謀説」
を巡っては国会でも取り上げられた。
2025年4月10日の参院外交防衛委員会で、自衛隊OBの佐藤正久氏(自民党)は自衛隊の関与を指摘する書籍が全国学校図書館協議会による選定図書に指定されているとして、
「何も知らない子供たちが推薦図書として図書館で触れることで国土交通省や防衛省が否定する事実を本当のことのように受けてしまう」
と述べ、是正を訴えた。
選定図書に選ばれているのは作家、青山透子氏の著書3冊(いずれも河出書房新社)。
選定図書は小中学校などの図書館が蔵書構成する上で参考になり、同団体は
「正しい知識や研究成果」
「科学的に正確」
などの選定基準を設けている。
野中厚文部科学副大臣は、佐藤氏の訴えに対し
「図書自体が児童生徒の健全な教養の育成に資する必要がある」
「懸念について防衛省の動向も踏まえ、団体に伝えていく」
と答弁した。
自衛隊の関与を指摘する書籍は、経済アナリストの森永卓郎氏(今年2025年1月死去)らも出版している。

産経新聞は青山氏に対し、中谷元・防衛相が自衛隊の関与は
「断じてない」
と発言したことへの見解を書面で求めた。
これに対し青山氏は河出書房新社を通じて後日取材に応じる意向を示した。

日航機墜落に5つの陰謀説 「自衛隊と隊員への冒瀆だ」当時捜索のOBが反論
2025/5/1 8:36
https://www.sankei.com/article/20250501-EWVJEC535BOPPNUXV2G4MZCO2M/
昭和60年の日本航空機墜落事故に自衛隊が関与したという
「陰謀説」
が流布されていることに、当時事故現場で生存者捜索にあたった自衛隊OBらは
「自衛隊と隊員への冒瀆だ」
と憤っている。
2025年4月16日には参院議員会館で開かれた
「JAL123便事故究明の会」
によるシンポジウムで、書籍などで指摘される陰謀説のうち5つの点に反論した。
同会は昨年2024年8月に設立。
会長を務める岡部俊哉元陸上幕僚長は事故当時、陸上自衛隊第1空挺団の小隊長として生存者の救助、ヘリポートの造成などの指揮を執った。
陰謀説@「海上自衛隊護衛艦の訓練中のミサイルが123便に衝突」
自衛隊の関与を指摘する書籍は墜落原因について、当時巡航ミサイルの実験中だった護衛艦「まつゆき」が相模湾(神奈川県沖)で123便の垂直尾翼周辺に異変を生じさせたとする。
だが、まつゆきの就役は事故翌年の昭和61年3月。当時は石川島播磨重工業(現IHI)が所有する船舶だった。
元海上自衛隊海将補の林祐氏は
「(海自の)乗組員も『艤装員』として乗り込んでいたが、石川島播磨の船長が指揮を執り、スタッフが運航していた」
と述べ、自衛隊が主導できる状況ではなかったと説明した。
123便は事故発生当時高度7・3キロに達した。
林氏は当時の対空ミサイルなどが
「そう飛翔するものでない」
と述べ、まつゆきに搭載された発射ランチャーについて
「発射することはできない」
「コントロールシステムが異なる」
と指摘した。
陰謀説A「航空自衛隊のF4戦闘機2機が123便を追尾」
墜落直前の123便を空自F4戦闘機2機が追尾していたとの目撃証言を基に、最終的にF4がミサイルで墜落させた─とするものだ。
追尾などの動きは公式記録にない。
また、F4パイロットとして当時現場に出動した渡辺修三氏はミサイルなど装備品管理は徹底されているとし、
「帰投してミサイル1本なかったら一大事だ」
と述べた。
陰謀説B「墜落現場の特定を遅らせた」
渡辺氏は、地上で上空の戦闘機パイロットと連携する要撃管制官からの誘導で日航機がレーダーから消えた午後6時56分過ぎに墜落現場とみられる場所にF4で向かい、1・5〜2キロに渡る帯状の炎を確認したと証言する。
ただ、正確な墜落地点は把握できなかった。
渡辺氏は操縦士に対し、最も炎が強い所を中心に旋回してもらったが正確な位置をつかむのは難しかったという。
陰謀説C「証拠隠滅のため火炎放射器で現場を焼却」
墜落現場では消防団員らが
「ガソリンとタールの混ざったような臭い」
と感じたという証言がある。
これを基に
「証拠隠滅」
のために自衛隊員が火炎放射器(携帯放射器)で遺体やミサイルの痕跡を焼却したと流布されている。
当時陸自第13普通科連隊(長野県松本市)に所属し救出作戦に参加した小川清史元西部方面総監は
「火炎放射器を取り出す手続きは幾重で容易ではない」
「注入する燃料を保管するのは業務隊で、指揮系統が異なり、より一層手続きに時間と書類が必要となる」
と反論する。
また、携帯放射器の燃料であるゲル化剤を大量のドラム缶で入手して、一晩で搬入、焼却、撤収するのは不可能だと指摘する。
そもそも燃料にタールは使われないという。
陰謀説D「海自出身の機長の遺体・制服を自衛隊が隠蔽」
書籍では、事故を巡って123便の機長が海自出身であることから、
「ミサイルを誤射した」
とされる海自の訓練との関係が示唆されている。
自衛隊員が事故現場で機長の遺体を真っ先に発見、目印のため棒で突き刺し、ヘリコプターの移動中、不都合なものを取り除くため制服などを外した─というものだ。
これに対し、岡部氏は
「現地は多くの数の人が作業していた」
「機長の制服を身に着けた遺体が発見されれば(現地にいた)マスコミの写真に写っている」
「空想で言われた話としかいいようがない」
と語った。

日航機墜落事故40年、拡散される陰謀説 「自衛隊の関与は断じてない」政府が強く否定
2025/5/1 7:00
https://www.sankei.com/article/20250501-IBAEULDM6ZNXPFOXSJL26PTXKE/
「自衛隊がミサイルを誤射した」
「撃墜の証拠隠滅を図るため乗客らの遺体を焼却した」−。
昭和60年8月の発生から今年で40年となる日本航空機墜落事故を巡り、自衛隊の関与を指摘する
「陰謀説」
が書籍やインターネット上などで流布されている。
ベストセラーになる書籍もある中、政府は自衛隊の関与を強く否定するなど対応を進めている。
「陰謀説」
を唱える主な著者は、複数の目撃証言を繋ぎ合わせて描写。
例えば、自衛隊は墜落現場に先駆けて到達し証拠隠滅を優先したため生存者を見殺しにしたと主張している。
昨年には事故現場への登山道に犠牲者の名前と
「自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
などと記された
「慰霊碑」
の設置が確認された。
123便の墜落原因に関して運輸省の航空事故調査委員会(当時)は、過去の不適切な修理で機体後部の圧力隔壁が壊れ、垂直尾翼や操縦系統が破壊されたと
「推定される」
とした。
メーカーのボーイング社は修理ミスがあったと認めた。
中谷元・防衛相は2025年4月10日の参院外交防衛委員会で
「自衛隊の関与は断じてない」
と明言し、対応する考えを示した。
中野洋昌国土交通相は2025年4月11日の記者会見で
「様々な角度から調査解析を行い、(事故原因が圧力隔壁であることは)ほぼ間違いないという結論に至ったため、強い推定を示す『推定される』という表現を使用している」
と説明した。
事故は昭和60年8月12日夕に発生した。
羽田発大阪行き日航123便ジャンボ機が群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
に墜落。
乗員・乗客524人のうち女性4人を除く520人が死亡した。

日航機墜落40年を前に慰霊 御巣鷹への登山道開通
2025/4/29 23:07
https://www.sankei.com/article/20250429-AZVN2ULQANICPPDG5E5BH23IR4/
1985年に520人が犠牲となった日航ジャンボ機墜落事故の現場、群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
に向かう登山道が2025年4月29日、冬の閉鎖期間を終え、開通した。
今年2025年8月で事故から40年となるのを前に、遺族や関係者が慰霊のため尾根を訪れ、墓標の前で静かに手を合わせた。
遺族らで作る
「8・12連絡会」
事務局長の美谷島邦子さん(78)は次男、健君=当時(9)=を亡くした。
墓標にこいのぼりや花を供え
「亡くなった人のその後を私たちは生きてきた」
「もうすぐ40年となるが、安全や命を守ることを目指して活動したい」
と力を込めた。
墜落地点の尾根に立つ
「昇魂之碑」
は事故翌年の1986年に建てられた。
尾根の管理人、黒沢完一さん(82)によると、昇魂之碑が傾いているのが確認され、補強工事が今月2025年4月17〜25日の日程で行われた。
黒沢さんは
「開山の前に工事が完了して良かった」
と話した。
事故は1985年8月12日、羽田発大阪行き日航123便ボーイング747が墜落し、乗客乗員524人のうち520人が死亡した。

日航機墜落事故をめぐる陰謀論に危機感
直球&曲球 葛城奈海
2025/4/17 13:00
https://www.sankei.com/article/20250417-QVEEP7E63ROW7BYUYFLZ6MWMSQ/
乗員乗客520人死亡という単独飛行機事故としては世界最多の死者を出した日本航空123便墜落事故から、2025年8月12日で40年になる。
群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
に墜落した事故機の生存者捜索・救助、遺体の搬送には警察や消防、地元猟友会らと共に、自衛隊が力を尽くした。
僅か4人だった生存者の1人、当時12歳の少女が自衛官に抱えられながらヘリに引き上げられていく映像をご記憶の方も多いだろう。
ところが、驚いたことに、2025年4月1日付の本紙『正論』欄で元空将の織田邦男氏が言及し、2025年4月10日の参院外交防衛委員会で佐藤正久議員が問題視した通り、あたかも自衛隊が墜落事故の加害者であるかのような言説が流布されているのだ。
佐藤議員によれば、陰謀論の元ネタとなった書籍が、
「全国学校図書館協議会選定図書」
に選ばれていたばかりか、事故現場の登山道に
「自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
と書かれた慰霊碑が建立されているとのことで、私も大いに危機感を抱いた。
これを放置しては、慰安婦問題における吉田清治証言同様、噓が真(まこと)になりかねない。
ましてやその本が学校の図書館に並ぶとなれば、募集難に喘ぐ自衛隊へ追い打ちをかけることにもなろう。
何より看過できないのは、遺体や燃料などの臭気漂う凄惨な事故現場で黙々と任務に邁進した自衛官たちの尊厳を踏みにじっていることだ。
陸上自衛隊第1空挺団の小隊長として現場で生存者捜索・救助、ヘリポート造成、遺体後送などの指揮を執った岡部俊哉元陸上幕僚長は、自衛隊が証拠隠滅のために火炎放射器で現場を焼却したかのような
「陰謀説」
に物理的にも時間的にも
「あり得ない」
と断言する。
同氏は、任務終了後、約1カ月、急性ストレス障害(ASD)に悩まされたことを告白している。
地獄絵図のような真夏の山中で、身を粉にして任務に邁進した自衛官たちへの冒瀆は、断じて許されるべきではない。
虚実入り交じった情報があふれる現代にあって容易なことではないが、真実を見極められる高い情報リテラシーを身に付けたいものである。

葛城奈海
かつらぎ・なみ
防人と歩む会会長、皇統を守る会会長、ジャーナリスト、俳優。
昭和45年、東京都出身。
東京大農学部卒。
自然環境問題・安全保障問題に取り組む。
予備役ブルーリボンの会幹事長。
近著に『戦うことは「悪」ですか』(扶桑社新書)。

御巣鷹の日航機墜落事故 「自衛隊が撃墜説」に国交相「正確な情報発信する」
2025/4/11 12:53
https://www.sankei.com/article/20250411-7Z4Z3ZGMEZPRRC53VQIG3TPBK4/
1985年に発生した日本航空機の御巣鷹墜落事故について、原因を
「自衛隊による撃墜」
などとする言説が書籍やインターネットで流布している問題に対し、中野洋昌国土交通相は2025年4月11日の閣議後記者会見で、
「しっかりと正確な情報を発信してきたい」
と述べた。
問題を巡っては2025年4月10日の参院外交防衛委員会で、自民党の佐藤正久参院議員が指摘。
中谷元防衛相が
「自衛隊が墜落に関与したことは断じてない」
と否定し、
「しっかり対応したい」
と回答している。
2025年4月11日の会見で中野氏は、旧運輸省の事故調査委員会の航空事故調査報告書を引用する形で、事故原因に言及。
機内の気圧を保つ役割がある
「後部圧力隔壁」
の不適切な修理に起因するものだとし
「様々な角度から調査解析を行い、専門家による審議の上、ほぼ間違いないという結論に至ったため、強い推定を示す『推定される』という表現を使用している」
と説明した。
その上で
「国会や会見を通じ、政府として責任ある立場にあるものが正確な発信をしていくことは重要だ」
と述べた。
事故は1985年8月12日夕に発生。
羽田発大阪行きの日航機123便が離陸後に機体トラブルに見舞われ、群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
に墜落。
乗客乗員524人のうち520人が死亡し、単独機としては世界最悪の被害となった。
報告書によると、当該機は78年に別の事故により、後部圧力隔壁が損傷し、米ボーイング社が修理した。
しかしその過程で不適切な措置が取られ、求められる仕様よりも強度が低下していた。
1985年8月12日午後6時24分、当該機は離陸から約12分後、疲労が重なっていた後部圧力隔壁が破損し、機内の空気が機体後部に噴出。
垂直尾翼や翼を動かす油圧系統が破壊され、操縦不能に陥った。
パイロットらは左右のエンジンの出力差を駆使するなどして機体の制御、立て直しを図ったが機体は迷走。
トラブルから約30分後の同6時56分、墜落した。
事故調査委は1987年6月、後部圧力隔壁の修理ミスを原因と推定する報告書を提出した。
ただ内容が専門的で難解との批判もあり、後の国交省の運輸安全委員会は、事故犠牲者の遺族と連携をとりながら2011年7月、報告書の
「解説書」
を作成。
報告書とともにホームページで公開し、
「自衛隊の関与説」
についても否定している。

御巣鷹事故「自衛隊が撃墜」、偽情報を自民佐藤正久氏が問題視 中谷元防衛相「対応する」
2025/4/10 16:09
https://www.sankei.com/article/20250410-YVB6ML6KJVAG7K6M6GPSYM47DM/
自民党の佐藤正久参院議員は2025年4月10日の参院外交防衛委員会で、日本航空機の御巣鷹山墜落事故を巡り
「自衛隊が撃墜した」
との言説が書籍などで流布されているとして
「自衛隊員の名誉に関わる問題だ」
「多くの人命救助に当たった隊員に対する侮辱だ」
と問題視した。
中谷元防衛相は
「自衛隊が墜落に関与したことは断じてない」
「しっかり対応したい」
と語った。
■「火炎放射器で証拠隠滅」
事故は昭和60年8月12日夜に発生。
群馬県・御巣鷹山に日航123便が墜落し520人が死亡した。事故原因について航空事故調査委員会は昭和62年6月、報告書を公表し、後部圧力隔壁の不適切な修理に起因するとしている。
佐藤氏によれば、問題の書籍は駿河湾で対空ミサイル訓練を行っていた護衛艦が日航123便を誤射し、撃墜の痕跡を隠すため、墜落地点の特定を遅らせた上、墜落現場で自衛隊が火炎放射器で証拠を隠滅したと指摘しているという。
佐藤氏は書籍について
「ベストセラーになり、ユーチューブで拡散されている」
と述べ、
「墜落の後、徹夜で尾根を踏破して危険を顧みず現場で多くの人命救助に当たった隊員に対する侮辱である」
と対応を訴えた。
■推薦図書に…場内ざわめく
この書籍が全国学校図書館協議会の推薦図書に選ばれていると指摘されると、委員会室がどよめく場面もあった。
佐藤氏は文部科学省にも対応を求め、野中厚文科副大臣は
「懸念を当該団体にしっかり伝えていく」
と応じた。
更に、御巣鷹山の登山道に建立された慰霊碑には
「自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
と記されているという。
佐藤氏は碑の写真を示して
「放置したままでいいのか」
「慰霊碑を作った人にアプローチして事実誤認だと言わないと(いけない)」
と訴え、中谷氏も
「しっかりと対応していきたい」
と語った。

<正論>「御巣鷹」に見る情報戦への脆弱さ 
麗澤大学特別教授 元空将・織田邦男
2025/4/1 8:00
https://www.sankei.com/article/20250401-766VLI7YBZOPRPRZLLAXQK5VBU/
■現代ハイブリッド戦争
ウクライナ戦争の停戦交渉が行われている。
この戦争の特徴として、開戦前から今なお続く熾烈な情報戦がある。
2014年3月、ロシアはクリミア半島を
「ハイブリッド戦争」
によって無血併合した。
ハイブリッド戦争とは
「高度に統合された設計の下で用いられる公然、非公然の軍事・非軍事・民間の手段を使った戦争」
である。
情報戦はハイブリッド戦争の主要手段であり、インターネットが発達した現代では国家をも動かす力がある。
2016年1月、ドイツで
「アラブ系難民が13歳少女をレイプした」
というニュースがロシア系メディアで報道され、SNSで拡散していった。
偽情報であることが判明するが、難民排斥運動は過熱し極右政党が大躍進する結果を生んだ。
情報戦に加え威嚇・恫喝の軍事行動を組み合わせることで、相手の思考・感情・記憶に直接働きかける
「認知戦」
も現代戦の1つである。
台湾併合を目指す中国は、台湾周辺で海上封鎖やミサイル発射訓練などを繰り返し、台湾住民に対して敗北感を植え付け、抵抗断念を図る。
2022年に岸田文雄政権で策定された国家安全保障戦略では
「情報戦への体制の強化」
を掲げ、偽情報を収集分析し、正しい情報を発信するとしているが緒に就いたばかりだ。
次の事例からも分かるように日本人は情報戦に対しては脆弱と言わざるを得ない。
■日航機墜落事故を巡る噓
40年前の1985年8月12日、日航123便が御巣鷹山に墜落した。
後にこの事故に関し
「自衛隊が撃墜したかのような本が出ている」
という噂を聞き、読んでみた。
要約するとこうだ。
123便は自衛隊のミサイル誤射によって正常な飛行が困難になり、誤射の証拠隠滅を図るため、空自戦闘機が出動して撃墜し、更にその証拠も消すため、墜落現場で陸上自衛隊が火炎放射器で証拠を焼き払ったというものである。
荒唐無稽と笑ってはいられない。
ノンフィクションとして書かれベストセラーになっているという。
またこれを真実と信じている人が多くいるというから驚いた。
筆者は事故当時、航空幕僚監部の運用課員で、事故発生から収束まで一部始終を指揮中枢である空幕作戦室で目撃していたので、全くのデマだと断言できる。
死臭漂う地獄絵図のような現場で懸命に生存者の捜索に携わった多くの自衛官を知っている。
彼らの多くがPTSDに苛まれた。
このようなデマは、黙々と災害派遣にあたった自衛官に対する冒瀆である。
この怒りはひとまずおく。
これは情報戦に対する日本人の脆弱性を示す。
「誰があの520人を殺したのか」
と感情に訴え、結論ありきで読者を引き込む。
そして5種の断片、つまり
@事実
A誤解
B推測、臆測
C曖昧な伝聞情報、目撃情報
D捏造
を都合よく組み合わせ、
「自衛隊による撃墜、証拠隠滅」
へと誘導する。
噓を並べても、所々に事実が入っていれば容易に全体を信じ込ませることができる。
これが情報戦の肝である。
著者の意図はともかく、結果的にロシアの情報戦の相似形となっている。
常識的に考えれば、
「自衛隊による撃墜、証拠隠滅」
などあり得ない。
自衛隊の行動には、自衛官を含む多くの関係者が関わる。
こんな犯罪行為があれば隠し通せるわけがない。
だが、自衛隊を知らない人は、創作されたナラティブ(物語)を容易に信じてしまう。
情報戦の恐ろしさである。
■情報戦に敗北しないため
筆者は元戦闘機操縦者でもあり、文中の誤りを全て指摘できる。
ここでは紙幅の関係上、疑惑の発端となった
「現場到着の遅れ」
についてだけ述べる。
地上レーダーは低高度が見えないので墜落地点は特定できない。
最初に炎を発見した米軍C130輸送機、空自F4戦闘機からの位置情報は、TACAN(戦術航法装置)の情報である(GPSは未装備)。
TACANには、固有の誤差がある。
更に当該機と現場の距離が誤差となって加わる。
横田TACAN局から割り出せば位置情報に4km前後の誤差が生じることはやむを得ない。
航空では僅かな誤差だが、陸上行動では大きな障害となる。
特に山岳地帯では、4km違えば隣の尾根になってしまう。
山岳の道なき道の移動は4kmでも数時間かかる。
夜間で、暗視装置のない(当時)ヘリの山岳投入は危険なので中止した。
地上部隊の投入場所の決定が遅れ、結果的に現場到着が遅れた。
この遅れが
「何かがあるはず」
と臆測を呼び、連鎖して物語の創作に繫がったのだろう。
我が国に情報戦が仕かけられた場合、同様なパターンで容易に敵の罠に嵌まってしまう可能性がある。
情報戦に敗北しないためには思い込みに符合する情報に飛びつくのではなく、情報を疑う姿勢、そして些事に拘泥せず、全局を俯瞰して判断できる能力が必要である。
情報戦への対応は、政府主導の
「正しい情報発信」
に頼るのではなく、国民1人1人が高い情報リテラシーを持つことが何より重要である。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/814.html#c34

[政治・選挙・NHK297] 自死した元兵庫県議の妻がN党・立花孝志党首を「名誉毀損」の疑いで刑事告訴…今後予想される厳しい捜査の行方(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
52. 秘密のアッコちゃん[1812] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月14日 07:52:02 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1250]
<■190行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>泊原発3号機合格 北海道の電源強化を急げ
社説
2025/8/14 5:00
https://www.sankei.com/article/20250814-VVL3IRFKMNOAXP7MRG6ZLKCQDU/
北海道電力泊原子力発電所3号機(北海道泊村)が原子力規制委員会の安全審査に合格した。
再稼働に向けた大きな一歩として歓迎したい。
道内では、次世代半導体工場や人工知能(AI)を支えるデータセンターなど多電力需要施設の急増が見込まれているだけに心強い展開である。
北海道電は令和9年春頃までに防潮堤などを完成させ、再稼働を目指す方針だが、実現には地元同意が必要だ。
鈴木直道知事には早期に理性ある賛意の発言を期待したい。
現在の北海道では原発が稼働していないことに起因する各種のリスクが、稼働によるリスクを圧倒的な差で上回る状況だ。
そのことを、道民の暮らしに責任を持つ知事が理解できないようでは資質を問われよう。
平成30年9月の北海道胆振東部地震では火力発電所が被災し、道内のほぼ全域が停電に陥るブラックアウトが起きている。
冬であったら、どれだけの道民が命を落としていたことか。
泊原発が稼働していれば全域停電は避けられた。
泊原発は強固な岩盤に建っていて地震に強い。
大津波を伴った平成5年の北海道南西沖地震(マグニチュード7・8)の震源に近かったが、運転中の1、2号機に影響はなく発電を続けている。
鈴木知事には、この事実を再認識してもらいたい。
看過してはならないのは、原子力規制委員会の安全審査に12年を要した点だ。
泊3号機の審査期間は、全合格原発中で最も長い。
敷地内の活断層の有無などを巡って審査が長期化したが、結局は北海道電の見解が正しかったわけである。
行政手続法で定める安全審査の期間は2年であることに照らすと著しい逸脱だ。
規制委の泊原発への対応には首をかしげざるを得ないものもある。
北海道電が自主的に建造した防潮堤の件だ。
平成26年の完成後、工法などに難があると指摘された北海道電は全てを取り壊して現在、再構築中だ。
規制委は最初の防潮堤の工事中に指摘できなかったのか。
日本の原子力規制行政は米国に比して効率性で劣後する。
その一因は電力会社との対等性を尊重する組織文化が未成熟である点に求められよう。
エネルギー安全保障上からも規制委の自己改革が強く待たれる。

泊原発合格で再稼働是非明言せず 鈴木直道・北海道知事「議会での議論も踏まえて対応」
2025/7/31 20:02
https://www.sankei.com/article/20250731-HNRVI2TLFZODXPT57D456LKAMA/
原子力規制委員会の審査に合格した北海道電力泊原発3号機(北海道泊村)の再稼働を巡り、北海道の鈴木直道知事は2025年7月31日の記者会見で
「まだ国から何の要請もなく、北海道電力からの説明も受けていない」
と述べ、再稼働の是非や判断時期について明言を避けた。
北海道電は知事や地元自治体の同意を得て、2027年の早期に再稼働したい考え。
鈴木知事は
「(既に再稼働した)他の県では住民への説明会や意見聴取を経て知事が是非を判断している」
「こうした事例も参考にしながら、道議会での議論も踏まえて対応する」
と話した。
合格が正式決定した2025年7月30日にはロシア・カムチャツカ半島付近での巨大地震で、道内でも津波警報が発出。
鈴木知事が災害対応に当たるため、同日予定されていた、再稼働へ理解を求める武藤容治経済産業相からの電話での要請や、北海道電の斎藤晋社長との会談は中止された。

パブリックコメント出典は架空文献か AI使用の疑い、泊原発審査結果で原子力規制委宛て
2025/7/30 19:43
https://www.sankei.com/article/20250730-M4QCXD6CDBIMBN6AXUYKN3KAIA/
原子力規制委員会は2025年7月30日、北海道電力泊原発3号機(北海道泊村)の審査結果に対するパブリックコメント(意見公募)で、架空の文献を出典にしたとみられる意見が寄せられたと明らかにした。
規制委では初めてのケースで、生成人工知能(AI)による誤った情報が使われた可能性が否定できないという。
規制委によると、寄せられた意見143件中2件で見つかった。
いずれも地震評価に関して規制委の判断に批判的な意見で、取り上げられた文献6点のうち、4点は存在が確認できず、2点は存在はするが意見の根拠となるような内容を含んでいなかった。
規制委の山岡耕春委員が執筆したとする文献もあった。
同日の定例会合で山岡氏は
「こんな論文を書いた記憶はない」
と述べた上で
「生成AIで論文を検索すると起きることがあるようだ」
「事実確認をきちんとする必要がある」
と指摘した。

泊原発3号機が審査合格 原子力規制委「安全対策」を了承 2027年早期の再稼働目指す
2025/7/30 19:31
https://www.sankei.com/article/20250730-GFDAI5RVW5JYTGTWR7TQKMORAE/
原子力規制委員会は2025年7月30日、北海道電力が再稼働を目指している泊原発3号機(北海道泊村)の審査合格を正式決定した。
安全対策が新規制基準に適合していると判断した。
審査期間は過去最長の12年に及んだ。
北海道電は防潮堤の建設などを急ぎ、2027年早期の再稼働を目指す。
合格は11原発18基目で、21年9月の中国電力島根原発2号機(松江市)以来。
再稼働には規制委による工事計画の認可や、地元同意も必要となる。
北海道電の斎藤晋社長は
「大きな節目だ」
「不断の努力を重ねて世界最高水準の安全性を目指す」
とコメントした。
審査結果をまとめた審査書の案に対するパブリックコメント(意見公募)では、敷地内断層の評価結果や北海道電の技術的能力への懸念など143件が寄せられたが、審査書の決定に際して大きな変更はなかった。
山中伸介委員長は記者会見で
「地震や津波に関する審査に時間がかかったが、最後はかなり正確な判断ができた」
と述べた。

<主張>泊原発3号機 再稼働は国益に直結する
社説
2025/5/2 5:00
https://www.sankei.com/article/20250502-7ZY5HOG7BBPZ3IUV47DASIQCAI/
北海道電力泊原子力発電所3号機の安全対策方針が、原子力規制委員会によって新規制基準に適合していると認められた。
今後の手続きは残っているが、事実上の安全審査合格である。
再稼働への確かな道筋が見えてきたことを歓迎したい。
だが、この段階に到達するまでに、審査申請から12年近くの歳月が費やされている。
行政手続法での原発の安全審査期間は2年であることに照らすと異様な長さである。
泊3号機は平成21年に運転を開始した国内で最も新しい原子力発電施設であることを考えると尚更だ。
活断層の可能性や津波対策を巡る議論が審査で繰り返されたことが原因だ。
再稼働の遅れは、道民の暮らしと産業界に深刻な不利益とリスクを及ぼしてきた。
泊原発の稼働停止後、北海道電力は輸入燃料を使う火力発電の比率を高めざるを得なくなり、家庭向け電気料金が全国で最も高くなる事態となった。
家計の負担は重く、製造業はコスト増大に苦しんでいる。
また平成30年9月に起きた最大震度7の地震で、北海道は日本で初めての全域停電に陥ったが、泊原発が稼働していれば回避できた事態だった。
このブラックアウトが厳寒期に起きていれば、更に多くの人命が脅かされていたはずだ。
規制委が安全性を重視するのは当然だが、効率性を備えた審査体制への自己改革が必要だ。
米国の原子力規制委員会(NRC)は、安全性の確保と審査の迅速化を両立させているではないか。
世界はエネルギー安全保障と脱炭素の観点から原子力発電の利用拡大に向かっている。
それに対し、日本の原発は東日本大震災前の54基から33基に減少し、稼働中は14基だ。
泊3号機と併せ、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の6、7号機の再稼働も急ぎたい。
北海道では、政府が国家戦略として後押しする先端半導体企業ラピダスの大規模工場の本格稼働が2年後に迫る。
半導体製造には大電力を要するだけでなく、出力や周波数に乱れのない良質の電気が求められる。
供給される電力に不安があれば、企業誘致どころか、製造そのものに支障を来す。
泊3号機の再稼働は日本の将来を左右する超重要案件だ。

「産業立国」復活の武器、泊原発再稼働に前進 ブラックアウト危機の回避も
2025/4/30 20:52
https://www.sankei.com/article/20250430-R5E5JNUSERPLZOAIKFVOLHAJ4Y/
北海道電力泊原発3号機が2025年4月30日、再稼働に向けて原子力規制委員会の安全審査に事実上合格した。
次世代半導体の国産化を目指すラピダスやデータセンターの進出が相次ぐ北海道は今後、電力需要の増加が見込まれている。
一方で、7年前2018年の大地震では日本初のブラックアウト(全域停電)も経験した。
脱炭素を実現する安定電源の確保は
「産業立国」
復活への狼煙となる。
「日本の世界的競争力を上げる企業が北海道に進出するのは有益」
「しっかり下支えするのは我々の役目だ」。
北海道電力の斎藤晋社長は2025年4月30日の決算会見で、泊原発が再稼働する意義をこう強調し、電気料金の値下げについて早期に説明する考えを示した。
ラピダスは米IBMと連携し、世界でも商用例がない回路線幅2ナノメートル(ナノは10億分の1)相当の半導体生産技術の開発に取り組んでいる。
令和9年の量産開始を目標に、2025年4月1日には北海道千歳市の工場で試作ラインを稼働させた。
ただ、量産化には5兆円規模の投資が必要とされる。
このため政府はラピダスに総額約1兆7千億円の助成を決めた。
経済産業省が所管する独立行政法人を通じて、政府が支援対象企業に出資する仕組みを定めた改正情報処理促進法、いわゆる
「ラピダス支援法」
も2025年4月に成立した。
ソフトバンクも同月2025年4月15日、苫小牧市で国内最大級となるデータセンターの建設に着手した。
首都圏や関西圏と並ぶ中核拠点と位置づけ、高性能コンピューターを配備する予定で、令和8年度中の本格運用を目指す。
■周辺に産業集積進める政府
政府は安価な電力の安定供給が見込める原発周辺への産業集積を進めている。
だが、平成30年9月に北海道南西部で発生した最大震度7の地震で道内のほぼ全域295万戸が最長2日間停電した。
地震発生直後、道内の主力電源だった火力発電所が緊急停止し、発生から17分間で206万キロワットを喪失した。
電力の需給バランスが崩れ、北海道電は一部地域への送電を遮断する強制停電に踏み切った。
この時、泊原発は停止中だった。
全域停電の遠因として石炭火力への過度な依存も指摘されている。
燃料費高騰も重なり、同電力管内の家庭向け電気料金は大手電力10社の中で沖縄電力に次いで高い。
発電コストの安定性は一般家庭だけでなく、膨大な電力を消費する地域の産業振興にも寄与する。
北海道電は2030年代前半に保有する全3基のフル稼働を目標に掲げる。
フル稼働すれば、発電量の7割近くを原子力が占める見通しだが、斎藤社長は再稼働後の料金値下げを明言した。
規制委の安全審査には国内でこれまで10原発17基が合格し、8原発14基が再稼働している。
日本の電力需要は今後、人工知能(AI)の普及に伴って増大することが予想されており、安定電源は不可欠となる。

■断層評価が難航、議論に11年10カ月要す
北海道電力泊原発3号機の安全対策を巡る原子力規制委員会の議論は11年10カ月に及んだ。
泊原発は半径160キロ圏に将来に活動し得る13の火山があり、原子炉建屋近くを走る断層が活断層かどうかが最大の論点となった。
東京電力福島第1原発事故後に国が定めた新規制基準は、活断層の真上に原子炉などの安全上重要な施設の設置を認めていない。
北海道電は新規制基準施行日の平成25年7月に泊原発1〜3号機の安全審査を申請した。
同じタイミングで申請があった他の原発は審査が既に終わり、泊3号機は敷地内断層の活動性を否定する立証に難航した。
最大の理由は、専門知識のある社内人材が不足し、規制委側を納得させる説明ができなかったことにある。
このため、審査が先行する他の電力会社などの支援を受け、断層評価だけで約8年もの時間を要した。
審査の結果、耐震設計の目安となる基準地震動は、申請当初の最大550ガル(ガルは加速度の単位)から最大693ガルとなった。
津波想定も海抜7・3メートルから17・8メートルに引き上げたが、規制委が指摘した液状化現象で防潮堤が沈下する可能性を考慮し、高さ19メートルに造り直した。
また、周辺の火山の噴火で厚さ40センチの火山灰が降り積もる事態も想定する。
北海道電によると、泊3号機の安全対策工事の総額は想定を大きく上回る約5150億円。
今後、テロ対策設備などで費用は更に膨らむ見通し。
規制委の山中伸介委員長は定例会合後の会見で
「特に自然ハザードについて慎重に審査を行った」
「ただ、審査のやり方は改善が可能かなと思う」
と述べた。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/812.html#c52

[政治・選挙・NHK297] 自民党の体質は「永久に不潔」…両院議員総会は非公開、石破おろしまで密室談合という異常の極み(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
22. 秘密のアッコちゃん[1813] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月14日 08:43:35 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1251]
<■143行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
「部下を守らず指揮官として信頼できぬ」自衛官を後ろから討った石破首相
阿比留瑠比の極言御免
2025/8/14 1:00
https://www.sankei.com/article/20250814-4UTWEWOVRJMK7DOK7CTG4JEVLQ/
2025年8月13日付の産経新聞総合面に、石破茂首相が千葉県勝浦市の漁港を訪れ、平成20年に海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船による衝突事故で亡くなった漁船の親子2人を追悼したとの記事が掲載されていた。
首相は事故当時の防衛相で、退任後もお盆に合わせ、毎年のように遺族の元を訪問しているのだという。
それだけであれば美談だとも受け取れるエピソードだが、さぞや自衛官や自衛隊OBの神経を逆撫でしたことだろう。
この件は、少なくない自衛隊員らが
「首相は部下を守らず、自分1人だけいい子になる」
と首相を忌避する理由と直結しているからである。
実際、元陸上自衛隊中部方面総監で作家の山下裕貴氏は同日のX(旧ツイッター)で、こう綴っていた。
《(首相には)当時の「あたご」乗員にも面会し、防衛相として詰問し海自を犯人扱いした対応を説明してもらいたい》
この衝突事故では、まだ事故の原因が「あたご」にあるのか漁船にあるのかも分からない時点で首相は自衛隊側を一切庇わず、謝罪に走った。
元最高幹部は振り返る。
「首相は漁船が所属していた漁協に行きっ放しだった」
「海上幕僚長以下、幹部自衛官を引き連れて謝罪に行かせ、当時の福田康夫首相まで引っ張り出して相手の家族に謝罪させた」
更に首相は国会で
「あってはならない事故で、心から申し訳なく思う」
と答弁し、当時の海幕長らを更迭するなど自衛隊側に一方的に厳しい処分を行った。
だが、結果はどうだったか。
裁判の結果、業務上過失致死罪で起訴されたイージス艦の当直の水雷長と航海長は無罪判決が確定し、漁船側が回避義務を怠ったと認定されたのである。
指揮官が前線の部下を後ろから討つような首相のやり方に、前掲の元最高幹部は憤りを隠さない。
「事故から5年後、蓋を開けてみれば漁船側に問題があったと分かった」
「小野寺五典防衛相(現自民党政調会長)に処分の見直しをお願いし、それは叶ったが、処分を受けた者たちの金銭的損失は取り返しがつかない」
身に覚えのないことで咎められ、それによって金銭的不利益を被った挙げ句、首相からは謝罪の1つもない。
それでいて、現在も漁船側の遺族とは交流を続けているのだから、元自衛官らが自衛隊の最高指揮官である首相に強い不信感を抱くのも当然だろう。
元最高幹部はこうも証言する。
「首相にお仕えして感じたのは、きつくなったら逃げるということだ」
「前面に立って部下を守ろうというところがなく、指揮官として信頼できない」
「平成5年に自民が下野して苦しくなった時は、新生党に逃げた」
「麻生太郎内閣の農林水産相当時、(東京都議選敗北などで)麻生氏の形勢が悪くなったら『首相を辞めろ』と言いに行ったでしょう」
「それを言うんだったら、まず閣僚を辞めてから言わないといけない」
また、ある陸自元幹部からは首相が防衛庁長官時代、イラク派遣部隊の現地視察が何度計画されても、その度に
「今は危ないから」
「私が死んだら困るだろう」
などと理屈をつけて視察をドタキャンした経緯を聞いた。
これでは自衛隊の士気は上がるどころか下がる一方ではないか。
それにしても、党総裁選前倒しが現実味を帯びる中で、自ら事件を蒸し返すような行動を取る首相の心中が分からない。

海自イージス艦と漁船の衝突事故で追悼 石破首相、妻の佳子さんと千葉訪問
2025/8/12 17:01
https://www.sankei.com/article/20250812-PXGVE2VMCFODHN3KTLAEAV7QDM/
石破茂首相は2025年8月12日、妻の佳子さんと共に千葉県勝浦市の漁港を訪れ、2008年に海上自衛隊のイージス艦と漁船による衝突事故で犠牲となった漁船の親子2人を追悼した。海に向かってお清めの塩と酒を撒き、手を合わせた。
首相は事故当時の防衛相で、防衛相退任後も毎年お盆に合わせ、遺族の元を訪問している。
事故は08年2月に発生。
海自イージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」が衝突し、漁船の2人が死亡した。
この日、首相は遺族宅で線香をあげた。
その後、近所のすし店に移動し、遺族と約1時間半過ごした。


イージス艦衝突事故
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/17 14:18 UTC 版)
https://www.weblio.jp/content/%e3%82%a4%e3%83%bc%e3%82%b8%e3%82%b9%e8%89%a6%e8%a1%9d%e7%aa%81%e4%ba%8b%e6%95%85
刑事裁判
事故時とその直前に見張りについていた当直士官については、業務上過失致死と業務上往来危険の疑いで横浜地検に書類送検され、起訴も視野に捜査が進められていた。
事故直前の当直士官(航海長B)については海難審判で事故発生への直接の責任はないとされ起訴されるかが注目されていたが、結局2009年(平成21年)4月21日、横浜地方検察庁は監視に立っていた事故当時の当直士官(水雷長A)と事故直前の当直士官の両名を業務上過失致死罪などで横浜地方裁判所に起訴した。
直前の当直士官については
「誤った引継ぎをしたことが事故の大きな要因の一つ」
とした[50]。
2名とも起訴休職扱いになる。
これら事故発生時に操船していない者を起訴するのは極めて異例という[62]。
防衛省は2009年5月22日、Aの不適切な見張り・艦橋とCICの連携不足を直接的要因、Bの引き継ぎ・艦長の指導不足を間接的要因と断定した上で、前艦長を含む事故関係者の懲戒処分を行ったことを公表した。
2010年(平成22年)8月23日に開かれた初公判で、AとBはそれぞれ死亡した漁船乗員に哀悼の意を示したが、刑事責任については否定し、一貫して無罪を主張した。
被害者2名は死亡、清徳丸の航跡記録は沈没と共に失われている状態であった。
裁判においては、両名の過失の有無および航跡が争点となった。
検察側は
「Bの誤った申し送りを信じ、Aも適切な回避動作をとらなかった」
と主張する一方、弁護側は、起訴以来終始一貫して清徳丸の航跡について争い、清徳丸に回避義務があったとして無罪を主張した。
裁判中、検察側の航跡図は根拠となったはずの証言を得た調書より2か月早く作られていたこと、漁船員の曖昧な証言に検事が文案として示した内容を書き加えていたこと、清徳丸の居た方角について漁船員の大まかな証言を検察官が勝手に7度の位置と細かく書いていたことが明らかとなっていった。
しかし、この聴取の際の実際の具体的な状況や回答については漁船員も時日が経過し記憶が曖昧になっているとした。
また、第3管区海上保安本部が書類送検した際、取調べの際のメモや図面を保安官が書類送検後に廃棄していた。
これは海保の規範に本来反する行為であるが常態化していたらしく、担当官は証拠になるという認識が甘かったと釈明したものの、第3管区同本部の大江刑事課長は必要な証言・証拠は調書及び付帯書類として保存しているので問題ないと主張している。
2011年(平成23年)1月24日の論告期日において、検察官は、被告人に対し、禁固2年を求刑した。
同年5月11日、横浜地裁(秋山敬裁判長)は、水雷長Aおよび航海長Bのミスがあったことは認めたが、航跡図については、検察側の供述調書は先に決めた航跡に合うよう船員の供述を恣意的に用いたとして信用性を否定し、また、弁護側の独自に主張した航跡も一部を除き信用できないとした。
証人となるべき犠牲者2名が亡くなっている状態で他の漁船員の証言も考慮したとしながらも裁判では時日も経過し船員証言は曖昧になってきていて、主に当の容疑者である自衛隊監視員の証言を重視、独自に航跡を推定し、それによれば清徳丸は直進すれば衝突することはなかったはずとし、清徳丸が事故直前に2回右転し危険を生じさせたと指摘した。
地裁は
「回避義務は清徳丸側にあり、あたご側に回避義務はなかった以上、Aの注意義務は認められず、それを前提としていたBの注意義務も生じない」
としてAとB両名に無罪判決を下した。
この清徳丸の右転の原因については、あたご側の当直員が清徳丸が想像もできないことに突っ込んで来たと主張するような状態で、判決では理由を
「不明と言う他ない」
とした。
控訴期限の5月25日、横浜地検は東京高等裁判所に控訴した。
同日、防衛省は検察側が控訴したものの地裁判決を受けたとして、A・B両名を復職させることを発表した。
控訴審では、検察側は一審が認定した衝突角度や清徳丸の速度は船の性能と矛盾しているとし、弁護側は誤差の範囲内とした。
2013年(平成25年)6月11日、東京高裁(井上弘通裁判長)は、無罪とする判決主文を維持しつつ、その理由となる事実認定においては、地裁が独自に航跡を推定して
「回避義務は清徳丸側にあり、あたご側に回避義務はなかった以上、Aの注意義務は認められず、それを前提としていたBの注意義務も生じない」
と認定したことを不当とし、改めて高裁として判断した結果、1審が認定した航跡・検察が主張する航跡ともに根拠が不十分で合理性に疑問があり、一定の幅で認定するしかないとした上で、
「疑わしきは罰せず・疑わしきは被告人の利益に」
に則って被告人側に最も有利な航路・位置を推定せざるを得ないとし、被告人証言の航路・位置に基づけば被告人の刑事責任を認定できないとして、結論として無罪を導き出し、検察の控訴を棄却した。
被告人証言によれば清徳丸がわざわざぶつかるように右転してきたことになるが、
「あたごの灯火を見誤り、衝突せずに通過できると勘違いしたと考えられる」
とした。
2審での無罪判決を受けて東京高検は上告を断念する方針を固めたことを明らかにし、上告期限の2013年6月26日午前0時をもって無罪が確定した。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/813.html#c22

[政治・選挙・NHK297] どうなる自民党総裁選前倒し? 小泉進次郎氏「農相に専念」発言も“キングメーカー詣で”の思惑と計算(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
14. 秘密のアッコちゃん[1814] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月14日 13:33:37 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1252]
<■172行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
靖国の英霊に合わせる顔がないで
直球&曲球 宮嶋茂樹 
2025/8/14 13:00
https://www.sankei.com/article/20250814-FSEEZQAQPBKOPGDC3PNRMN2234/
今年2025年も8月15日を迎える。
今年2025年は戦後80年の節目というのにイライラが募るのは、地球温暖化いや熱帯化のせいだけではあるまい。
いくら被爆者団体の皆さまがノーベル賞を受賞しようが、我らが石破茂首相が式典中、目瞑られようが、血に飢えた独裁者は聞く耳持たん。
核保有国も増える一方や。
今も密かに核開発を続け、地球を何度も焼き尽くせるほどの大量破壊兵器を弄び、悦に入る国もいる始末である。
我ら同盟国アメリカとて同様である。
今もって我が国への原爆投下を
「戦争を早期に終結させた」
などと正当化するどころか、それを開発した科学者や関わった元軍人やB29のクルーらを
「優秀」
やの
「勇敢」
やの、と称賛しとるのである。
今年2025年、天皇、皇后両陛下と愛子さまが沖縄を訪問された。
この際、学童疎開船
「対馬丸」
の慰霊碑を訪れられた。
ハワイの真珠湾ではこの対馬丸を魚雷攻撃で沈めた米海軍の潜水艦の実物が展示され
「戦果」

「名誉」
を讃えられとるのである。
武装もしていない対馬丸に容赦ない攻撃を仕掛け、学童約780人を含む日本人約1500人を深海に沈めた潜水艦が、やで。
せやのにや、日本の首相はもう20年近くも8月15日に靖国参拝をようせんのである。
腐れケンポー≠ノは信仰の自由は謳ってあっても、どっこにも8月15日に首相が靖国を参拝したらアカンとは書いてないんや。
勝者が敗者を裁く茶番≠ノ過ぎない東京裁判が勝手に名付けたA級戦犯≠フ合祀問題など、言い訳に過ぎぬ。
現にA級戦犯≠ェ昭和53年に合祀された後も、昭和60年までは中国・韓国も何も言うて来んかったのである。
これら今も日本の国益を損なう諸問題を中韓にご注進≠オ、煽りに煽ったんは日本の大新聞や大テレビ局などお馴染みの反日メディア≠竄チたのである。
靖国の英霊は、こんな子(・)孫(・)のために命を賭して戦ったのか?
こんな情けない現代や未来を守るために大事な身を投げ打ったのか?
このままやと英霊に合わせる顔がないで。

宮嶋茂樹
みやじま・しげき
カメラマン。
昭和36年、兵庫県出身。
日大芸術学部卒。
写真週刊誌を経てフリーに。
東京拘置所収監中の麻原彰晃被告や、北朝鮮の金正日総書記(いずれも当時)を捉えたスクープ写真を連発。
著書に『ウクライナ戦記』など。

私が戦闘機乗りになると決めたとき
正論2025年9月号 元空将 麗澤大学特別教授 織田邦夫
■誰が靖国問題に火を付けたか?
国に殉じた英霊に対し、国民が尊崇の念を表し、感謝し、平和を誓うのは世界の常識である。
米国ではアーリントン国立墓地に、韓国ではソウル国立墓地(国立顕忠院)に、フランスでは凱旋門の無名戦士の墓に、国家のリーダーが国民を代表して参拝する。
外国の要人来訪時も、先ず参拝し献花する。
これが国際常識だが日本だけ違う。
平成25年12月26日、当時の安倍晋三首相が靖国参拝して以来、現職首相は参拝していない。
日本は何故、国際常識に沿ったことができないのか。
昭和60年までは、首相が毎年、靖国神社に参拝していたが、この事実を知る人も少なくなった。
現在の石破茂首相は戦後36人目の首相であるが、「戦後80年」で15人の首相が計68回参拝している。
昭和26年10月、秋季例大祭には吉田茂首相以下、閣僚、衆参両院議長が揃って、戦後初めて公式参拝し、サンフランシスコ講和条約調印によって日本が再び独立できた旨を英霊に報告している。
中国が突然、靖国参拝を言い始めたのは昭和60年のことである。
中国は、極東国際軍事裁判でのA級戦犯が合祀されていることを理由に、首相の公式参拝への激しい非難を繰り返すようになった。
だが明らかに不自然である。
A級戦犯14人が「昭和殉職者」として靖国神社に合祀されたのは昭和53年10月17日である。
翌年昭和54年春の例大祭前(4月19日)にそれが報じられたが、中国は全く反応していない。
A級戦犯合祀報道の2日後、キリスト教信者を自認する大平正芳首相が例大祭に参拝したが、中国は何の反応も示さなかった。
翌昭和54年5月、時事通信の取材に応じた中国の最高指導者であるケ小平氏は、靖国参拝にも、A級戦犯にも触れていない。
しかも大平正芳首相は同年昭和54年12月、中国を訪問し熱烈に歓迎された。
2年後の昭和55年、終戦記念日に鈴木善幸首相と共に閣僚が大挙して参拝したが、抗議も何もなかった。
問題にしたのは、実は日本メディアである。
朝日新聞を筆頭に左翼メディアが、靖国神社への公式参拝を政教分離や歴史認識などから問題視した。
そして卑劣にも中国に「御注進」し、中国は「靖国」が外交カードとして使えることを知った。
それに韓国が悪乗りした。
昭和60年8月14日、中曽根内閣は、公式参拝は政教分離に反しないとの政府統一見解を出した。
翌日昭和60年8月15日、中曾根康弘首相は閣僚を引き連れ、首相公式参拝に踏み切った。
メディアはこれをヒステリックに非難し、中国に再び「御注進」した。
中韓両国は騒ぎに呼応する形で、靖国参拝を強烈に非難し始めた。
中曾根康弘首相は、これを最後に首相在任中の参拝を止めた。
彼は
「靖国参拝により中国共産党内の政争で胡耀邦総書記の進退に影響が出てはまずいと考えた」
と述べている。
だが中国、韓国の圧力に屈し、両国に外交カードを提供した罪は重い。
中国研究専門家のペンシルベニア大学名誉教授のアーサー・ウォルドロン氏はこの動きを鋭く見抜いていた。
彼は語っている。
「中国共産党にとっては真の狙いは、日本の指導者に靖国参拝を止めさせることよりも、日本の指導層全体を叱責し、調教することなのだ」
「自国の要求を日本に受け入れさせることが長期の戦略目標なのだ」
日本政府は愚かにも、靖国参拝さえ止めれば中国、韓国の難癖は終わると判断した。
中韓両国にとって靖国はこの上ない外交カードだから、終わるはずもない。
ウォルドロン氏は述べる。
「靖国は大きな将棋の駒の1つに過ぎず、日本がそこで譲歩すれば、後に別の対日要求が出てくる」
「最終目標は中国が日本に対し覇権的な地歩を固めることなのだ」
と。
残念ながら氏の予言は見事に的中した。
南カリフォルニア大学のダニエル・リンチ教授も述べている。
「中国は近代の新アジア朝貢システムで日本の象徴的な土下座を求めている」
「アジアでの覇権を争い得る唯一のライバル日本を永遠に不道徳な国としてレッテルを貼っておこうとしている」。
中曾根の譲歩は、中国の思う壺だった。
昭和20年、日本を占領したGHQは、靖国神社を焼き払いドッグレース場を建設しようとした。
この時、靖国神社を護ったのは、ローマ教皇庁代表であり上智大学学長(当時)であったブルーノ・ビッター神父であった。
彼はマッカーサーに対し次のように語ったという。
「如何なる国家も、国家のために死んだ戦士に対して、敬意を払う権利と義務がある」
「それは戦勝国か、敗戦国かを問わず、平等の真理でなければならない」
「我々は、侵攻の自由が完全に認められ、如何なる宗教を信仰する者であろうと、国家のために死んだ者は、全て靖国神社にその霊が祀られるよう、進言するものである」
彼の進言により靖国神社は焼き払いを免れた。
父が人生最後の参拝で漏らした一言、
「何で靖国参拝に反対するんじゃろうのお」
ほど重い言葉はない。
靖国参拝反対はメディアが作り上げた茶番である。
このまま茶番が続けば、確実に日本人のモラルは低下し、国家意識は溶解していく。
「国のために命を捧げた英霊を慰霊、顕彰するのは当たり前の事」
「外国が口を差し挟むべきことではない」
と言えない日本は衰退の一途を歩みつつある。
祖国と家族を護るため、命を懸けた英霊に感謝の誠を捧げ、追悼、顕彰するのは国民の責務である。
靖国神社を去る時、父が言った一言が胸に突き刺さる。
「国を護るために戦死した人たちを決して忘れちゃいけんよ」
■中国軍大佐の言葉
約30年前のことである。
筆者が航空幕僚監部で勤務していた時、日中防衛交流で北京を訪問した。
陸海空の3人の自衛官(1佐)と1人の若手官僚、そして外務省、防衛庁(当時)の2人の局長という陣容であった。
昼間の行事が終わり、夜の宴会になった時、そこに参加していた中国人民解放軍の陸海空の大佐が約10名程度のうち、空軍の大佐が筆者に近付いて来て、航空自衛隊の領空侵犯措置について語り始めた。
筆者は、彼が日本の法律、特に自衛隊法について知悉していることに驚いた。
筆者が戦闘機パイロットだというのもちゃんと調査済みだったようだ。
彼はグラス片手に
「我々(中国空軍機)が尖閣を領空侵犯しても、空自は我々を撃てないだろう」
と挑戦的に切り出し、その根拠や、自衛隊の弱点について滔々と語った。
筆者が相槌も打たず、返事もせず、彼の眼をじっと睨んでいると、筆者の無反応に根負けしてか、
「でも空自は撃つだろうね」
と言う。
筆者が
「貴官は何故、そう思うのかね」
と聞き返すと、大佐は一言、
「日本は特攻隊の国だからな」
と述べた。
筆者がイエスともノートも言わず、ニヤリと笑うと、大佐は話を変えた。
その時、ハッと気が付いた。
「そうか、尖閣は特攻隊員が護っているのだ」
「日本国は今尚英霊が護っているのだ」
と。
未だに英霊がこの国を護っている現実を思い知らされ、我々が独自で自国を護れない不甲斐なさ、英霊への申し訳なさを覚えたことを鮮やかに覚えている。
それから約10年が経ち、筆者はイラク派遣航空部隊指揮官を命ぜられた(本務は航空支援集団司令官)。
その関係で何度も中東に赴く機会があった。
中東各国で軍の最高指揮官を表敬した際、異口同音に出る話題が、日露戦争であり特攻隊であった。
他の軍高官との話題も、事前に申し合わせたかのように日露戦争勝利であり、特攻隊の犠牲的精神だった。
日本を大変リスペクトしており、彼らは自衛隊をその末裔として見ている。
イラク派遣の約5年間、お陰で自衛隊に対しては非常に敬意をもって接してくれ、良い思いをさせてもらった。
「戦後80年」は日本のために尊い命を捧げられてきた80年であった。
英霊のお陰で平和を享受し、奇跡と言われる戦後復興を成し遂げ、先進国の仲間入りをすることができた。
自衛隊も英霊のお陰で一目置かれる存在になり、抑止力を担っている。
我々は靖国神社に足を向けて眠れない。
英霊たちに感謝し、亡き父が言ったように
「一時たりとも忘れちゃあいけんよ」
なのである。
もうそろそろ我々も独り立ちし、英霊にはゆっくりとお休み頂かねば申し訳ない。
不甲斐なさに溜息が漏れる「戦後80年」なのである。

日本国紀新版 下 百田尚樹
「國神社参拝」
については、政治家の参拝を非難する左翼系の学者や文化人の中に、
「中国が抗議したのは、A級戦犯を合祀したからだ」
と言う人がいますが、これは稚拙であり罪作りな嘘です。
國神社が
「A級戦犯」
とされた人々を合祀したのは昭和53年(1978)10月でした。
それから昭和60年(1985)まで3人の首相(大平正芳、鈴木善幸、中曾根康弘)が延べ22回参拝していますが、昭和60年まで、中国は1度も抗議していません(A級戦犯合祀は翌年に朝日新聞によって報道されている)。
また
「天皇陛下でさえ、A級戦犯合祀以来、参拝されていない」
と言う人もいますが、天皇陛下の國神社への行幸がなくなったのは、昭和51年(1976)からです。
実はその前年(昭和50年【1975】)、三木武夫首相の参拝について
「私人としてのものか、公人としてのものか」
とマスコミが大騒ぎをしたことがありました。
昭和天皇が終戦記念日に國神社を親拝しなくなった理由は分かりませんが、もしかしたら
「自分が行けば、私人としてか公人としてかという騒ぎが大きくなる」
と案じたのかもしれません。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/815.html#c14

[政治・選挙・NHK297] 「石破おろし」と「三木おろし」はココが違う 自民党内ゲバの長期化と国民の辟易(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
17. 秘密のアッコちゃん[1815] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月14日 18:45:33 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1253]
<■320行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
自民・青山繁晴氏「石破ー野田連合、隠れ大連立、敗者連合、反対だ」「一番あくどい」
2025/8/14 10:04
https://www.sankei.com/article/20250814-BNWBZ5RZUVH37P6AQJRJM5OLWA/
自民党の青山繁晴参院議員は2025年8月13日、自身のユーチューブチャンネルに動画を投稿し、石破茂首相(党総裁)と立憲民主党の野田佳彦代表の連携を
「隠れ大連立」
と名付け、反対した。
参院選を経て自民党と公明党が衆参両院で少数与党となる中で、連立政権を組むことなく政策ごとに協力していく形を指し、
「一番あくどい」
と断じた。
「石破ー野田連合、隠れ大連立、敗者連合、全部反対だ」
動画で青山氏はこう強調した。
■「互いに利用」
2025年7月の参院選での獲得議席は自民は39議席と過去3番目に少なく、立民は改選22議席の維持にとどまり政権批判の受け皿になりきれなかった。
青山氏は首相と野田氏を
「敗者」
と位置付けた。
当面の続投に固執している首相を念頭に
「日本政治がモラル崩壊まで起こしている」
としつつ、気脈を通じる首相と野田氏の連携について
「一番あくどい話だ」
「お互いに利用している」
と述べた。
「党利党略ではない」
とも話し、首相と野田氏の個人的な考えだとの認識を滲ませた。
立民内では、重鎮の小沢一郎衆院議員が
「執行部に大きな責任がある」
と述べるなど、執行部体制の刷新を求める意見がある。
青山氏は野田氏に関し
「党内で完全に追い詰められた状況にある」
との見方を示した。
その上で、
「野田氏は責任を取らずに行こうとしていて、頼みの綱として石破さんと『隠れ大連立』」
「つまり、本当の大連立にしたら反発が凄いし石破さんもいつこけるか分からないから、隠れ大連立にして、立憲民主党の左(革新)の彼らに言わせると、リベルな主張を、石破さんをつついて実現できるのではないか、と(いう考えがある)」
と述べた。
「本当の大連立」
とは、立民が閣僚を輩出する形の政権の枠組みだ。
また、参院選で首相に批判的な自民保守系候補の落選が相次いだことを受け、青山氏は
「(保守系を)抑えらえる、もっと言うと追放できるのではないか、と」
「それで徹底的に利用しようというのが隠れ大連立だ」
と語った。
■「ふざけるな」
実際、先の臨時国会では、野田氏は内閣不信任決議案の提出を見送った。
首相に対しては、自民の派閥パーティー収入不記載事件を受けた政治改革を巡り党首間協議を呼び掛けた他、戦後80年に合わせた
「見解」
を発出するよう促した。
一方、首相について青山氏は
「国会答弁で口から出るのは比較第1党と第2党の党首同士で連携しようということだ」
「石破さんはもうバレバレだ」
と述べた。
「見解」
に絡み、
「比較第1党と第2党が組んだら大きな固まりになるから組みましょう、と」
「組むためには、歴史戦で中国や韓国に勝ってもらって、(戦後70年の)安倍談話を上書きしたら立民が乗っかれますよね、と」
「それが石破さんの真意だ」
「ふざけるな」
と反発した。
青山氏は、首相と野田氏の動きを踏まえ、
「敗者連合だ」
「民意に逆らっている」
「民意から『ノー』を突き付けられた側だけで野合をして、民意が否定していることをやろうとしているのが隠れ大連立だ」
「断固反対だ」
と語気を強めた。

勢い増す総裁選前倒し論 石破首相、野党にすり寄り求心力低下も 実現には高いハードル
2025/8/8 20:08
https://www.sankei.com/article/20250808-2R5BPVRVVFI57GGQJPM36ZTKYU/
参院選大敗を受けた2025年8月8日の自民党両院議員総会では、党総裁選の前倒しを求める声が勢いを増した。
政権維持を目的に物価高対策や企業・団体献金などを巡って野党にすり寄るような石破茂首相(党総裁)の姿勢に党内の反発が強まり、求心力の低下は著しい。
首相は当面続投の構えを崩しておらず、今後は総裁選前倒しの条件をクリアできるかが
「石破降ろし」
の焦点となる。
■首相への逆風収まる気配なく
「米国との関税交渉にきちんと道筋を付け、色々な業種の方々に安心して頂くことが我が党の責任だ」。
首相は総会後、官邸で記者団にこう強調した。
総会では先月2025年7月28日の両院議員懇談会に続き、首相の続投を批判し、総裁選の前倒しを求める意見が相次いだ。
これに対しては
「党則に則ってきちんと運営することに尽きる」
と述べるにとどめた。
首相は
「政治空白を生まない」
ことを理由の1つにして続投に拘るが、柴山昌彦元文部科学相は総会後、記者団に
「国政を停滞させることなく総裁選は実施できる」
と前倒しを主張した。
首相への逆風は収まる気配がなく、2025年8月5日に閉会した臨時国会での答弁も退陣論の火に油を注ぐ結果となった。
2025年8月4日の衆院予算委員会では、立憲民主党の野田佳彦代表が物価高対策を巡り
「与党として真剣に協議をする可能性はあるか」
と迫ったのに対し、首相は
「(立民が主張する)給付つき税額控除は1つの解だ」
と述べ、協議に応じる意向を示した。
■総裁選後の展望「誰も描けていない」の声
企業・団体献金の見直しについても、首相の独断で従来の党方針とは相容れない形で立民との協議入りを受け入れた。
事前に党幹部らと答弁の擦り合わせはなく、自民中堅は
「首相は国民ではなく野党の方ばかり見ている」
と漏らす。
総会でも出席議員から
「党内の意見を聞いて進めてほしい」
という苦言も呈された。
総会を受け、総裁選前倒しに向けた動きが加速するとみられるが、実現のハードルは高い。
党則によると、前倒しには所属国会議員と都道府県連代表者の過半数の要求が必要となる。
前倒しに向けて署名集めを準備していた議員からも
「過半数を集めるのはなかなか難しい」
との声が漏れる。
仮に総裁選前倒しが決まっても、衆目が一致する
「ポスト石破」
候補が見当たらないことも首相が強気の姿勢を貫く要因だ。
自民ベテランは
「首相が辞めたとしても、その後の展望を誰も描けていない」
とこぼす。

自民、総裁選前倒し検討へ 両院総会で石破首相の早期退陣要求相次ぐ 8月末以降に決定
動画
2025/8/8 19:30
https://www.sankei.com/article/20250808-AFBNND5E4FOQLCVPSAXDGZSI3M/?outputType=theme_election2025
自民党は2025年8月8日、参院選大敗の総括と今後の党運営を議題とした両院議員総会を党本部で開き、出席議員から石破茂首相(党総裁)の早期退陣や総裁選の前倒し実施を求める意見が相次いだ。
これを受け、総裁選挙管理委員会(委員長・逢沢一郎氏)に対応を一任し、党則に従い総裁選を前倒しで実施するかどうかを検討することを決めた。
党則6条4項では、党所属の国会議員と、都道府県連の代表各1人の総数の過半数の要求がある場合は、総裁選を行うと規定している。
逢沢氏は記者団に対し、選管として
「議員や都道府県連の考え方を確認する」
と語った。
その上で、逢沢氏は、条件を満たしていることが確認できれば
「手続きとしては臨時の総裁選を行うことになる」
と述べた。
党内手続きの開始時期については、2025年8月末を目途とする参院選総括の日程を考慮する意向を示した。
両院総会には253人が出席し、そのうち35人が発言した。
石破首相は冒頭、参院選大敗について重ねて陳謝しつつ、日米関税交渉や農業政策、防災などの課題を挙げ
「引き続き日本国に責任を持っていきたい」
と述べ、続投への理解を求めた。続投期限には言及しなかった。
複数の出席者によると、非公開で行われた意見交換では、首相の早期退陣や総裁選の前倒しを求める意見が相次いだが、予定通り約2時間で終了した。
首相は総会後、総裁選の前倒しについて
「党則に則って、きちんと運営するということに尽きる」
と官邸で記者団に述べた。
森山裕幹事長は総裁選管の対応は
「議決ではない」
と記者団に説明した。
両院総会は党大会に次ぐ重要な意思決定機関。
2025年7月28日の両院議員懇談会で
「反石破」
勢力が総会の開催を求めたことを踏まえ、執行部が同2025年7月29日の役員会で開催を決めた。

「部下を守らず指揮官として信頼できぬ」自衛官を後ろから討った石破首相
阿比留瑠比の極言御免
2025/8/14 1:00
https://www.sankei.com/article/20250814-4UTWEWOVRJMK7DOK7CTG4JEVLQ/
2025年8月13日付の産経新聞総合面に、石破茂首相が千葉県勝浦市の漁港を訪れ、平成20年に海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船による衝突事故で亡くなった漁船の親子2人を追悼したとの記事が掲載されていた。
首相は事故当時の防衛相で、退任後もお盆に合わせ、毎年のように遺族の元を訪問しているのだという。
それだけであれば美談だとも受け取れるエピソードだが、さぞや自衛官や自衛隊OBの神経を逆撫でしたことだろう。
この件は、少なくない自衛隊員らが
「首相は部下を守らず、自分1人だけいい子になる」
と首相を忌避する理由と直結しているからである。
実際、元陸上自衛隊中部方面総監で作家の山下裕貴氏は同日のX(旧ツイッター)で、こう綴っていた。
《(首相には)当時の「あたご」乗員にも面会し、防衛相として詰問し海自を犯人扱いした対応を説明してもらいたい》
この衝突事故では、まだ事故の原因が「あたご」にあるのか漁船にあるのかも分からない時点で首相は自衛隊側を一切庇わず、謝罪に走った。
元最高幹部は振り返る。
「首相は漁船が所属していた漁協に行きっ放しだった」
「海上幕僚長以下、幹部自衛官を引き連れて謝罪に行かせ、当時の福田康夫首相まで引っ張り出して相手の家族に謝罪させた」
更に首相は国会で
「あってはならない事故で、心から申し訳なく思う」
と答弁し、当時の海幕長らを更迭するなど自衛隊側に一方的に厳しい処分を行った。
だが、結果はどうだったか。
裁判の結果、業務上過失致死罪で起訴されたイージス艦の当直の水雷長と航海長は無罪判決が確定し、漁船側が回避義務を怠ったと認定されたのである。
指揮官が前線の部下を後ろから討つような首相のやり方に、前掲の元最高幹部は憤りを隠さない。
「事故から5年後、蓋を開けてみれば漁船側に問題があったと分かった」
「小野寺五典防衛相(現自民党政調会長)に処分の見直しをお願いし、それは叶ったが、処分を受けた者たちの金銭的損失は取り返しがつかない」
身に覚えのないことで咎められ、それによって金銭的不利益を被った挙げ句、首相からは謝罪の1つもない。
それでいて、現在も漁船側の遺族とは交流を続けているのだから、元自衛官らが自衛隊の最高指揮官である首相に強い不信感を抱くのも当然だろう。
元最高幹部はこうも証言する。
「首相にお仕えして感じたのは、きつくなったら逃げるということだ」
「前面に立って部下を守ろうというところがなく、指揮官として信頼できない」
「平成5年に自民が下野して苦しくなった時は、新生党に逃げた」
「麻生太郎内閣の農林水産相当時、(東京都議選敗北などで)麻生氏の形勢が悪くなったら『首相を辞めろ』と言いに行ったでしょう」
「それを言うんだったら、まず閣僚を辞めてから言わないといけない」
また、ある陸自元幹部からは首相が防衛庁長官時代、イラク派遣部隊の現地視察が何度計画されても、その度に
「今は危ないから」
「私が死んだら困るだろう」
などと理屈をつけて視察をドタキャンした経緯を聞いた。
これでは自衛隊の士気は上がるどころか下がる一方ではないか。
それにしても、党総裁選前倒しが現実味を帯びる中で、自ら事件を蒸し返すような行動を取る首相の心中が分からない。

海自イージス艦と漁船の衝突事故で追悼 石破首相、妻の佳子さんと千葉訪問
2025/8/12 17:01
https://www.sankei.com/article/20250812-PXGVE2VMCFODHN3KTLAEAV7QDM/

イージス艦衝突事故
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/17 14:18 UTC 版)
https://www.weblio.jp/content/%e3%82%a4%e3%83%bc%e3%82%b8%e3%82%b9%e8%89%a6%e8%a1%9d%e7%aa%81%e4%ba%8b%e6%95%85
刑事裁判
事故時とその直前に見張りについていた当直士官については、業務上過失致死と業務上往来危険の疑いで横浜地検に書類送検され、起訴も視野に捜査が進められていた。
事故直前の当直士官(航海長B)については海難審判で事故発生への直接の責任はないとされ起訴されるかが注目されていたが、結局2009年(平成21年)4月21日、横浜地方検察庁は監視に立っていた事故当時の当直士官(水雷長A)と事故直前の当直士官の両名を業務上過失致死罪などで横浜地方裁判所に起訴した。
直前の当直士官については
「誤った引継ぎをしたことが事故の大きな要因の一つ」
とした[50]。
2名とも起訴休職扱いになる。
これら事故発生時に操船していない者を起訴するのは極めて異例という[62]。
防衛省は2009年5月22日、Aの不適切な見張り・艦橋とCICの連携不足を直接的要因、Bの引き継ぎ・艦長の指導不足を間接的要因と断定した上で、前艦長を含む事故関係者の懲戒処分を行ったことを公表した。
2010年(平成22年)8月23日に開かれた初公判で、AとBはそれぞれ死亡した漁船乗員に哀悼の意を示したが、刑事責任については否定し、一貫して無罪を主張した。
被害者2名は死亡、清徳丸の航跡記録は沈没と共に失われている状態であった。
裁判においては、両名の過失の有無および航跡が争点となった。
検察側は
「Bの誤った申し送りを信じ、Aも適切な回避動作をとらなかった」
と主張する一方、弁護側は、起訴以来終始一貫して清徳丸の航跡について争い、清徳丸に回避義務があったとして無罪を主張した。
裁判中、検察側の航跡図は根拠となったはずの証言を得た調書より2か月早く作られていたこと、漁船員の曖昧な証言に検事が文案として示した内容を書き加えていたこと、清徳丸の居た方角について漁船員の大まかな証言を検察官が勝手に7度の位置と細かく書いていたことが明らかとなっていった。
しかし、この聴取の際の実際の具体的な状況や回答については漁船員も時日が経過し記憶が曖昧になっているとした。
また、第3管区海上保安本部が書類送検した際、取調べの際のメモや図面を保安官が書類送検後に廃棄していた。
これは海保の規範に本来反する行為であるが常態化していたらしく、担当官は証拠になるという認識が甘かったと釈明したものの、第3管区同本部の大江刑事課長は必要な証言・証拠は調書及び付帯書類として保存しているので問題ないと主張している。
2011年(平成23年)1月24日の論告期日において、検察官は、被告人に対し、禁固2年を求刑した。
同年5月11日、横浜地裁(秋山敬裁判長)は、水雷長Aおよび航海長Bのミスがあったことは認めたが、航跡図については、検察側の供述調書は先に決めた航跡に合うよう船員の供述を恣意的に用いたとして信用性を否定し、また、弁護側の独自に主張した航跡も一部を除き信用できないとした。
証人となるべき犠牲者2名が亡くなっている状態で他の漁船員の証言も考慮したとしながらも裁判では時日も経過し船員証言は曖昧になってきていて、主に当の容疑者である自衛隊監視員の証言を重視、独自に航跡を推定し、それによれば清徳丸は直進すれば衝突することはなかったはずとし、清徳丸が事故直前に2回右転し危険を生じさせたと指摘した。
地裁は
「回避義務は清徳丸側にあり、あたご側に回避義務はなかった以上、Aの注意義務は認められず、それを前提としていたBの注意義務も生じない」
としてAとB両名に無罪判決を下した。
この清徳丸の右転の原因については、あたご側の当直員が清徳丸が想像もできないことに突っ込んで来たと主張するような状態で、判決では理由を
「不明と言う他ない」
とした。
控訴期限の5月25日、横浜地検は東京高等裁判所に控訴した。
同日、防衛省は検察側が控訴したものの地裁判決を受けたとして、A・B両名を復職させることを発表した。
控訴審では、検察側は一審が認定した衝突角度や清徳丸の速度は船の性能と矛盾しているとし、弁護側は誤差の範囲内とした。
2013年(平成25年)6月11日、東京高裁(井上弘通裁判長)は、無罪とする判決主文を維持しつつ、その理由となる事実認定においては、地裁が独自に航跡を推定して
「回避義務は清徳丸側にあり、あたご側に回避義務はなかった以上、Aの注意義務は認められず、それを前提としていたBの注意義務も生じない」
と認定したことを不当とし、改めて高裁として判断した結果、1審が認定した航跡・検察が主張する航跡ともに根拠が不十分で合理性に疑問があり、一定の幅で認定するしかないとした上で、
「疑わしきは罰せず・疑わしきは被告人の利益に」
に則って被告人側に最も有利な航路・位置を推定せざるを得ないとし、被告人証言の航路・位置に基づけば被告人の刑事責任を認定できないとして、結論として無罪を導き出し、検察の控訴を棄却した。
被告人証言によれば清徳丸がわざわざぶつかるように右転してきたことになるが、
「あたごの灯火を見誤り、衝突せずに通過できると勘違いしたと考えられる」
とした。
2審での無罪判決を受けて東京高検は上告を断念する方針を固めたことを明らかにし、上告期限の2013年6月26日午前0時をもって無罪が確定した。

<主張>自民党 総裁選前倒しの決定急げ
社説
2025/8/10 5:00
https://www.sankei.com/article/20250810-Y5IZ3F7NH5PSFEIMBTIT663F44/
自民党が参院選大敗を受け両院議員総会を開いた。
石破茂首相(自民総裁)は
「引き続き日本国に責任を持ちたい」
と述べ、またもや続投表明した。
だが、出席者からは続投容認よりも総裁選前倒し論が多く出た。
両院総会は総裁選管理委員会に対応を一任し、党則に基づき前倒しで実施するかどうか検討することを決めた。
総裁選管の逢沢一郎委員長は、党所属国会議員や都道府県連の意向を確認し、実施の是非を決めると表明した。
参院選の投開票があったのは2025年7月20日だ。
昨年2024年の衆院選に続いて参院選でも与党過半数割れの大敗を重ねた石破首相の責任問題が未だに解決していないのは呆れ返るばかりだ。
本来であれば、投開票当日の晩か翌日に石破首相が退陣を表明して政治を前へ進めるべきだった。
国政選挙で示された民意は2度も首相の居座りで踏みにじられている。
これを見過ごせば、政治責任を取る政治家がどんどん減っていくだろう。
選挙で民意を示す意義も失せてしまう。
問われているのは自民の党勢への影響よりも、権力の座にしがみつく首相から日本の憲政、議会制民主主義を守れるか、である。
森山裕幹事長は両院総会で
「わが党は国民政党だ」
「その伝統と責任を胸に党一丸となって取り組むことが重要だ」
と語った。
国民政党であるならなぜ民意を尊重しないのか。
党一丸となるには、総裁選管が総裁選の是非を決定する前に首相も森山氏も辞任表明すべきである。
自民の党則は、党所属国会議員と都道府県連代表各1人の総数の過半数の要求があれば、総裁の任期前でも総裁選を行うと規定している。
逢沢氏は意向確認の
「きちんとした仕組みを作り上げることが必要だ」
と述べた。
悠長な話だが自民議員や都道府県連は前倒しに明確に賛成すべきだ。
自民は憲政史上も稀な今回の異常事態への危機感が乏しい。
国民への責任感も足りない。
居座りが長引けば有権者の信頼は完全に失墜しよう。
首相や森山氏ら執行部に最大の責任があるが、両院総会や両院議員懇談会でだんまりを決め込んだり、首相を庇ったりしている自民議員も問題だ。
議会制民主主義を守ろうと奔走する同僚を見習ったらどうか。

<産経抄>信なき石破首相は国民の軽蔑を買う
2025/8/10 5:00
https://www.sankei.com/article/20250810-EKOPQ5OZ3ZLC3MX6M62RJQ6BIM/
「首相が国民の軽蔑を買った。軽蔑が一番、怖いんだよ」。
石原慎太郎元東京都知事はかつて、ある首相を指してこう述べた。
政治思想家、マキャベリは君主が避けなければならないことの1つとして
「軽蔑されること」
を挙げている。
地位に恋々としてしがみつく石破茂首相は、その轍を踏んでいないか。
▼《信なければ立たず》。
政治家が好んで引用するこの論語の言葉の通り、
「信」
がなければ社会は成り立たず、政権も運営できない。
2025年8月8日の自民党両院議員総会で参院選大敗の責任を問われ、総裁選前倒し実施を求める声が相次いだ首相に、信があるとは最早思えはしない。
▼「引き続き日本国に責任を持っていく」。
首相は両院議員総会でこう続投に意欲を示したが、衆院選、東京都議選、参院選と3連敗しても責任を取らない人物が責任を語ってもしらける。
《信なれば則(すなわ)ち民(たみ)任ず》。
民は言行が一致している人に安心して政治を任せるものである。
▼有村治子両院議員総会長が議題を総裁選前倒しの是非に絞った瞬間、首相の顔が青ざめたと出席者からは聞く。
《顔色を正して、ここに信に近づく》。
心は顔に表れる。
顔色を正してこそ、信義の人も近づいてくる。
暗い顔をして
「楽しい日本」
と言われても説得力を感じない。
▼《信を信ずるは信なり。疑を疑うもまた信なり》。
信じるべきものは信じ、疑うべきものは疑う。
それが人間のまことだと荀子は説く。
「石破降ろし」
は次のステージに進んだ。
これから各議員間で脅かしや甘言、流言飛語が飛び交い、多数派工作が行われる。
誰に信を置くか。
▼首相の周囲には
「名誉ある撤退」
を勧めた者もいる。
選挙で信を問うて信任されなかった事実を、もう認めてはどうか。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/818.html#c17

[政治・選挙・NHK297] 売れ残る備蓄米、迫る販売期限8.31…流通現場は大混乱で「販売期限を延長せよ」の大合唱(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
15. 秘密のアッコちゃん[1816] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月15日 09:07:38 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1254]
<■1451行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
靖国参拝するのにとやかく文句を言われる筋合いは全くない。

小泉進次郎農水相が靖国参拝 小林鷹之氏、萩生田光一氏も 石破首相は玉串料奉納へ
2025/8/15 8:52
https://www.sankei.com/article/20250815-CBOCTJO6PJLWFAG2U2OK2LF2KA/
小泉進次郎農水相は終戦の日の2025年8月15日、東京・九段北の靖国神社を参拝した。
昨年2024年10月の石破内閣発足後、閣僚の参拝が確認されたのは初めて。
終戦の日の閣僚参拝は6年連続となった。
石破茂首相は参拝せず、自民党総裁として玉串料を私費で奉納する見通し。
都内の千鳥ケ淵戦没者墓苑を訪れて献花する。
小泉氏は、環境相を務めていた2020年と2021年の終戦の日に参拝していた。
今月2025年8月8日の記者会見で、今年2025年の対応を問われ
「閣僚としてのコメントは差し控える」
「個人としては適切に判断していきたい」
と述べた。
昨年2024年秋と今年2025年春の例大祭では、閣僚の参拝は確認されていなかった。
自民党の小林鷹之元経済安全保障担当相、萩生田光一元政調会長も2025年8月15日、参拝した。
超党派の議員連盟
「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」
のメンバーも一斉参拝する。

靖国の英霊に合わせる顔がないで
直球&曲球 宮嶋茂樹 
2025/8/14 13:00
https://www.sankei.com/article/20250814-FSEEZQAQPBKOPGDC3PNRMN2234/
今年2025年も8月15日を迎える。
今年2025年は戦後80年の節目というのにイライラが募るのは、地球温暖化いや熱帯化のせいだけではあるまい。
いくら被爆者団体の皆さまがノーベル賞を受賞しようが、我らが石破茂首相が式典中、目瞑られようが、血に飢えた独裁者は聞く耳持たん。
核保有国も増える一方や。
今も密かに核開発を続け、地球を何度も焼き尽くせるほどの大量破壊兵器を弄び、悦に入る国もいる始末である。
我ら同盟国アメリカとて同様である。
今もって我が国への原爆投下を
「戦争を早期に終結させた」
などと正当化するどころか、それを開発した科学者や関わった元軍人やB29のクルーらを
「優秀」
やの
「勇敢」
やの、と称賛しとるのである。
今年2025年、天皇、皇后両陛下と愛子さまが沖縄を訪問された。
この際、学童疎開船
「対馬丸」
の慰霊碑を訪れられた。
ハワイの真珠湾ではこの対馬丸を魚雷攻撃で沈めた米海軍の潜水艦の実物が展示され
「戦果」

「名誉」
を讃えられとるのである。
武装もしていない対馬丸に容赦ない攻撃を仕掛け、学童約780人を含む日本人約1500人を深海に沈めた潜水艦が、やで。
せやのにや、日本の首相はもう20年近くも8月15日に靖国参拝をようせんのである。
腐れケンポー≠ノは信仰の自由は謳ってあっても、どっこにも8月15日に首相が靖国を参拝したらアカンとは書いてないんや。
勝者が敗者を裁く茶番≠ノ過ぎない東京裁判が勝手に名付けたA級戦犯≠フ合祀問題など、言い訳に過ぎぬ。
現にA級戦犯≠ェ昭和53年に合祀された後も、昭和60年までは中国・韓国も何も言うて来んかったのである。
これら今も日本の国益を損なう諸問題を中韓にご注進≠オ、煽りに煽ったんは日本の大新聞や大テレビ局などお馴染みの反日メディア≠竄チたのである。
靖国の英霊は、こんな子(・)孫(・)のために命を賭して戦ったのか?
こんな情けない現代や未来を守るために大事な身を投げ打ったのか?
このままやと英霊に合わせる顔がないで。

宮嶋茂樹
みやじま・しげき
カメラマン。
昭和36年、兵庫県出身。
日大芸術学部卒。
写真週刊誌を経てフリーに。
東京拘置所収監中の麻原彰晃被告や、北朝鮮の金正日総書記(いずれも当時)を捉えたスクープ写真を連発。
著書に『ウクライナ戦記』など。

私が戦闘機乗りになると決めたとき
正論2025年9月号 元空将 麗澤大学特別教授 織田邦夫
■誰が靖国問題に火を付けたか?
国に殉じた英霊に対し、国民が尊崇の念を表し、感謝し、平和を誓うのは世界の常識である。
米国ではアーリントン国立墓地に、韓国ではソウル国立墓地(国立顕忠院)に、フランスでは凱旋門の無名戦士の墓に、国家のリーダーが国民を代表して参拝する。
外国の要人来訪時も、先ず参拝し献花する。
これが国際常識だが日本だけ違う。
平成25年12月26日、当時の安倍晋三首相が靖国参拝して以来、現職首相は参拝していない。
日本は何故、国際常識に沿ったことができないのか。
昭和60年までは、首相が毎年、靖国神社に参拝していたが、この事実を知る人も少なくなった。
現在の石破茂首相は戦後36人目の首相であるが、「戦後80年」で15人の首相が計68回参拝している。
昭和26年10月、秋季例大祭には吉田茂首相以下、閣僚、衆参両院議長が揃って、戦後初めて公式参拝し、サンフランシスコ講和条約調印によって日本が再び独立できた旨を英霊に報告している。
中国が突然、靖国参拝を言い始めたのは昭和60年のことである。
中国は、極東国際軍事裁判でのA級戦犯が合祀されていることを理由に、首相の公式参拝への激しい非難を繰り返すようになった。
だが明らかに不自然である。
A級戦犯14人が「昭和殉職者」として靖国神社に合祀されたのは昭和53年10月17日である。
翌年昭和54年春の例大祭前(4月19日)にそれが報じられたが、中国は全く反応していない。
A級戦犯合祀報道の2日後、キリスト教信者を自認する大平正芳首相が例大祭に参拝したが、中国は何の反応も示さなかった。
翌昭和54年5月、時事通信の取材に応じた中国の最高指導者であるケ小平氏は、靖国参拝にも、A級戦犯にも触れていない。
しかも大平正芳首相は同年昭和54年12月、中国を訪問し熱烈に歓迎された。
2年後の昭和55年、終戦記念日に鈴木善幸首相と共に閣僚が大挙して参拝したが、抗議も何もなかった。
問題にしたのは、実は日本メディアである。
朝日新聞を筆頭に左翼メディアが、靖国神社への公式参拝を政教分離や歴史認識などから問題視した。
そして卑劣にも中国に「御注進」し、中国は「靖国」が外交カードとして使えることを知った。
それに韓国が悪乗りした。
昭和60年8月14日、中曽根内閣は、公式参拝は政教分離に反しないとの政府統一見解を出した。
翌日昭和60年8月15日、中曾根康弘首相は閣僚を引き連れ、首相公式参拝に踏み切った。
メディアはこれをヒステリックに非難し、中国に再び「御注進」した。
中韓両国は騒ぎに呼応する形で、靖国参拝を強烈に非難し始めた。
中曾根康弘首相は、これを最後に首相在任中の参拝を止めた。
彼は
「靖国参拝により中国共産党内の政争で胡耀邦総書記の進退に影響が出てはまずいと考えた」
と述べている。
だが中国、韓国の圧力に屈し、両国に外交カードを提供した罪は重い。
中国研究専門家のペンシルベニア大学名誉教授のアーサー・ウォルドロン氏はこの動きを鋭く見抜いていた。
彼は語っている。
「中国共産党にとっては真の狙いは、日本の指導者に靖国参拝を止めさせることよりも、日本の指導層全体を叱責し、調教することなのだ」
「自国の要求を日本に受け入れさせることが長期の戦略目標なのだ」
日本政府は愚かにも、靖国参拝さえ止めれば中国、韓国の難癖は終わると判断した。
中韓両国にとって靖国はこの上ない外交カードだから、終わるはずもない。
ウォルドロン氏は述べる。
「靖国は大きな将棋の駒の1つに過ぎず、日本がそこで譲歩すれば、後に別の対日要求が出てくる」
「最終目標は中国が日本に対し覇権的な地歩を固めることなのだ」
と。
残念ながら氏の予言は見事に的中した。
南カリフォルニア大学のダニエル・リンチ教授も述べている。
「中国は近代の新アジア朝貢システムで日本の象徴的な土下座を求めている」
「アジアでの覇権を争い得る唯一のライバル日本を永遠に不道徳な国としてレッテルを貼っておこうとしている」。
中曾根の譲歩は、中国の思う壺だった。
昭和20年、日本を占領したGHQは、靖国神社を焼き払いドッグレース場を建設しようとした。
この時、靖国神社を護ったのは、ローマ教皇庁代表であり上智大学学長(当時)であったブルーノ・ビッター神父であった。
彼はマッカーサーに対し次のように語ったという。
「如何なる国家も、国家のために死んだ戦士に対して、敬意を払う権利と義務がある」
「それは戦勝国か、敗戦国かを問わず、平等の真理でなければならない」
「我々は、侵攻の自由が完全に認められ、如何なる宗教を信仰する者であろうと、国家のために死んだ者は、全て靖国神社にその霊が祀られるよう、進言するものである」
彼の進言により靖国神社は焼き払いを免れた。
父が人生最後の参拝で漏らした一言、
「何で靖国参拝に反対するんじゃろうのお」
ほど重い言葉はない。
靖国参拝反対はメディアが作り上げた茶番である。
このまま茶番が続けば、確実に日本人のモラルは低下し、国家意識は溶解していく。
「国のために命を捧げた英霊を慰霊、顕彰するのは当たり前の事」
「外国が口を差し挟むべきことではない」
と言えない日本は衰退の一途を歩みつつある。
祖国と家族を護るため、命を懸けた英霊に感謝の誠を捧げ、追悼、顕彰するのは国民の責務である。
靖国神社を去る時、父が言った一言が胸に突き刺さる。
「国を護るために戦死した人たちを決して忘れちゃいけんよ」
■中国軍大佐の言葉
約30年前のことである。
筆者が航空幕僚監部で勤務していた時、日中防衛交流で北京を訪問した。
陸海空の3人の自衛官(1佐)と1人の若手官僚、そして外務省、防衛庁(当時)の2人の局長という陣容であった。
昼間の行事が終わり、夜の宴会になった時、そこに参加していた中国人民解放軍の陸海空の大佐が約10名程度のうち、空軍の大佐が筆者に近付いて来て、航空自衛隊の領空侵犯措置について語り始めた。
筆者は、彼が日本の法律、特に自衛隊法について知悉していることに驚いた。
筆者が戦闘機パイロットだというのもちゃんと調査済みだったようだ。
彼はグラス片手に
「我々(中国空軍機)が尖閣を領空侵犯しても、空自は我々を撃てないだろう」
と挑戦的に切り出し、その根拠や、自衛隊の弱点について滔々と語った。
筆者が相槌も打たず、返事もせず、彼の眼をじっと睨んでいると、筆者の無反応に根負けしてか、
「でも空自は撃つだろうね」
と言う。
筆者が
「貴官は何故、そう思うのかね」
と聞き返すと、大佐は一言、
「日本は特攻隊の国だからな」
と述べた。
筆者がイエスともノートも言わず、ニヤリと笑うと、大佐は話を変えた。
その時、ハッと気が付いた。
「そうか、尖閣は特攻隊員が護っているのだ」
「日本国は今尚英霊が護っているのだ」
と。
未だに英霊がこの国を護っている現実を思い知らされ、我々が独自で自国を護れない不甲斐なさ、英霊への申し訳なさを覚えたことを鮮やかに覚えている。
それから約10年が経ち、筆者はイラク派遣航空部隊指揮官を命ぜられた(本務は航空支援集団司令官)。
その関係で何度も中東に赴く機会があった。
中東各国で軍の最高指揮官を表敬した際、異口同音に出る話題が、日露戦争であり特攻隊であった。
他の軍高官との話題も、事前に申し合わせたかのように日露戦争勝利であり、特攻隊の犠牲的精神だった。
日本を大変リスペクトしており、彼らは自衛隊をその末裔として見ている。
イラク派遣の約5年間、お陰で自衛隊に対しては非常に敬意をもって接してくれ、良い思いをさせてもらった。
「戦後80年」は日本のために尊い命を捧げられてきた80年であった。
英霊のお陰で平和を享受し、奇跡と言われる戦後復興を成し遂げ、先進国の仲間入りをすることができた。
自衛隊も英霊のお陰で一目置かれる存在になり、抑止力を担っている。
我々は靖国神社に足を向けて眠れない。
英霊たちに感謝し、亡き父が言ったように
「一時たりとも忘れちゃあいけんよ」
なのである。
もうそろそろ我々も独り立ちし、英霊にはゆっくりとお休み頂かねば申し訳ない。
不甲斐なさに溜息が漏れる「戦後80年」なのである。

日本国紀新版 下 百田尚樹
「國神社参拝」
については、政治家の参拝を非難する左翼系の学者や文化人の中に、
「中国が抗議したのは、A級戦犯を合祀したからだ」
と言う人がいますが、これは稚拙であり罪作りな嘘です。
國神社が
「A級戦犯」
とされた人々を合祀したのは昭和53年(1978)10月でした。
それから昭和60年(1985)まで3人の首相(大平正芳、鈴木善幸、中曾根康弘)が延べ22回参拝していますが、昭和60年まで、中国は1度も抗議していません(A級戦犯合祀は翌年に朝日新聞によって報道されている)。
また
「天皇陛下でさえ、A級戦犯合祀以来、参拝されていない」
と言う人もいますが、天皇陛下の國神社への行幸がなくなったのは、昭和51年(1976)からです。
実はその前年(昭和50年【1975】)、三木武夫首相の参拝について
「私人としてのものか、公人としてのものか」
とマスコミが大騒ぎをしたことがありました。
昭和天皇が終戦記念日に國神社を親拝しなくなった理由は分かりませんが、もしかしたら
「自分が行けば、私人としてか公人としてかという騒ぎが大きくなる」
と案じたのかもしれません。

<主張>戦後80年と首相 「見解」よりも靖国神社へ
社説
2025/8/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20250807-IDFIAVPAJRMHNAGFZJNJAYKKXU/
戦後80年の2025年夏、石破茂首相に求められているのは、中国などの反日宣伝を助長しかねない首相見解の表明ではない。
日本を守ろうと命を捧げた戦没者(英霊)を慰霊、顕彰するために靖国神社へ参拝することだ。
そして、参院選挙で示された民意を尊重して辞任を表明することである。
石破首相は2025年8月4日の衆院予算委員会で、
「形式はともかくとして風化を避けるために発出がどうしても必要だ」
と述べ、先の大戦を巡る首相見解の提示に意欲を示した。
2025年8月6日の会見では、安倍晋三首相(当時)の戦後70年談話などに言及し、
「どうすれば2度と戦争を起こさないかという仕組みについて、談話を踏まえ考えてみたい」
と語った。
共産党独裁の中国では反日ムードが高まっている。
今年2025年9月には北京で、抗日戦争勝利80年を記念する軍事パレードが催される。
石破首相は先の大戦を侵略だったと両断する自虐的な史観の持ち主だ。
どのような時期、形式であれ、首相が見解を表明すれば、中国や韓国、北朝鮮、内外の左派勢力による反日宣伝を勢いづかせかねない。
戦後70年談話には、人種差別撤廃が先の大戦の目的の1つだったことに言及しないなど不十分な点はあった。
そうであっても、積極的平和主義の道を進んでいくことや、
「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」
という強い問題意識があった。
石破首相が
「見解」
を示せば70年談話の苦心を踏みにじることになる。
それは日本の名誉と国益を大きく損なう。
そもそも、戦後の歴代首相は長く、10年毎に政治的意味を持たせた談話を発出してこなかった。
戦後半世紀も経って社会党の村山富市首相(当時)が50年談話を出してから政治問題化するようになったのである。
2度の国政選挙で民意を得られなかったのに辞意を表明しない首相は無責任の誹りを免れない。
そのような首相の言葉に何の重みがあるのだろう。
見解に拘るなら辞職してから大いに示せばよい。
何の制約もなく自虐的な史観を披露できよう。
それが国民に受け入れられるかはまた別の話だが。

<産経抄>石破首相はトランプ米大統領と靖国参拝するといい
2025/6/21 5:00
https://www.sankei.com/article/20250621-JOBYJ4WTDJODHFK6J5PBOAA5XA/
「日米首脳による靖国参拝は今こそ実現させるべきです」。
山上信吾前駐オーストラリア大使が月刊誌『WiLL(ウイル)』7月号で訴えている。
日本の首相と米大統領が揃って靖国神社に参拝すれば、日米同盟の強固さと、台湾海峡でともに血を流す覚悟を内外に示すことができ、何よりの抑止力となると。
▼それだけではない。
日米は既に安倍晋三内閣時代に当時のオバマ米大統領が被爆地である広島を、安倍氏が日米開戦の端緒となったハワイ・真珠湾を訪れ和解の力を世界に発信している。
その上で靖国も一緒に参拝すれば、中国や韓国もそうそう文句は言えまい。
▼首相がごく当たり前に靖国に参拝できるようになれば、昭和50年を最後に途絶えている天皇陛下のご親拝にも道は開ける。
上皇陛下は天皇在位中、宮内庁職員に、そろそろ靖国に行けないかとご下問になったと別の元宮内庁職員から聞いた。
陛下のご親拝がかなえば、祀られた246万柱の英霊もさぞ喜ぶことだろう。
▼日米両首脳による靖国参拝については、抄子も首相時代の安倍氏に2度提案したが、ハードルは高そうだった。
安倍氏は言った。
「そうなれば一番いい。だけどスタッフがいるからなかなか難しい」
(平成29年2月)
「これは至難の業なんだよ、みんなが思っている以上にね」
(令和元年5月)
▼石破茂首相は言えば、元々靖国参拝に否定的な立場である。
平成29年5月には韓国紙のインタビューに対し、
「若い頃は何も知らずに参拝した」
と述べた上で
「靖国神社の本当の意味を知っているので、今は行けない」
と答えている。
▼ただ、首相が仮にトランプ米大統領を靖国に連れていければ、安倍氏もできなかったことを実現したと誇れよう。

<主張>首相と戦後80年 靖国神社参拝を最優先に
社説
2025/4/14 5:00
https://www.sankei.com/article/20250414-XNG5AIBCWNILJKPBOMIVB2JYWA/
戦後80年の今年2025年、石破茂首相は先の大戦(大東亜戦争)を検証したい考えだ。
近く有識者会議を設置し、その報告を踏まえて、歴史観や戦争への見解を首相自身が会見で表明したいのだという。
一方で、自民党内の懸念の声を受け、戦後80年の首相談話を終戦の日に出すことは見送る。
石破首相に強く求めたい行動がある。
それは、春秋の例大祭や終戦の日などの機会に、靖国神社を参拝することだ。
談話よりも、有識者会議よりも、記者会見で私見を披露するよりも、礼を尽くして戦没者(英霊)を追悼、慰霊する方が、遥かに大切である。
日本は大東亜戦争で、陸海軍人、民間人など合わせて310万人の同胞を喪(うしな)った。
日本史上最大の悲劇といってよい。
戦争に思いを致すなら、靖国神社参拝こそが最もふさわしい振る舞いである。
靖国神社は近現代日本における戦没者追悼の中心施設だ。
戊辰戦争や日清・日露の戦役なども含め、日本を守るため斃(たお)れた246万余柱の英霊をお祀(まつ)りしている。
境内の鎮霊社では、空襲などで亡くなった一般国民を祀っている。
どの国も、伝統的様式に沿って戦没者を追悼している。
それが、国に殉じた人々への礼節ある態度である。
国を守るため尊い命を捧げた日本の英霊にとって、靖国神社に祀られることは自明だった。
政治リーダーの参拝は日本国と英霊の約束に含まれる。
もちろん最も大切なのは天皇陛下の御親拝である。
ところが、昭和後期以降、中韓両国の内政干渉などで首相の参拝が政治問題化し、多くの首相が参拝しなくなった。
勅使の参向はあるものの御親拝は途絶えた。
首相就任前の昨年2024年9月、石破首相は、天皇陛下の御親拝の環境が整わなければ自身は参拝しない考えを示した。
倒錯した発想で理解し難い。
首相が参拝を重ね、御親拝の環境を整えていくのが務めではないか。
自民党(石破総裁)の今年2025年の運動方針には
「靖国神社参拝を受け継ぎ」
とある。
首相は昨年2024年、靖国神社秋季例大祭に合わせ真榊(まさかき)を奉納した。
尊崇の姿勢が真実であるのなら、戦後80年の今、中韓両国や心ない左派勢力に阿(おもね)ることはない。
参拝して英霊に頭(こうべ)を垂れてほしい。

<正論>年頭にあたり 日本国復活再生の標識は何か 
東京大学名誉教授・小堀桂一郎
2025/1/7 8:00
https://www.sankei.com/article/20250107-P6Q54ZGVRZLRXBLQD75W6ULRIU/
■萎縮からの脱却できたか
本年2025年は昭和100年にして且つ戦後80年なる節目の年だとの認識が昨年から広く人々の口の端に上つてゐた。
前者については歳月の歩みの迅速に対する感慨を又新たにするといふだけの事であるが、後者は国民に向けての或る重大な問ひかけを含んだ数字である。
それは改めて言ふ迄もなく、敗戦とそれに続く6年8箇月の米軍占領下に受けた屈辱と萎縮からの脱却といふ国民的目標は達成できたのか、との厳しい設問である。
この問ひに対し、文明の繁栄の眼に見える現象のみに着目する人々は昂然と答へるであらう。
東京オリンピック開催と新幹線の営業開始を一の劃期として経済大国への成長が開始された。
やがて自然科学分野でのノーベル賞受賞者の続出、藝術の世界では国際コンクールでの優勝といふ形で世界的成功を収める若い才能の輩出、是亦(これまた)国際映画祭での大賞を以て日本映画の水準の高さも定評となる。
スポーツの世界に於いても戦後早い時期に水泳での世界新記録更新、山岳界での世界の諸高峰への登頂成功、探検家達の孤独な実績の幾つかそしてつい最近では米国の野球界を制覇した若い日本人選手の活躍と人気は正しく世界的な話題であり国民の自慢の種でもある。
米軍の国土占領に伴ふ旧皇軍の完全な武装解除の結果、軍備も兵員も零(ゼロ)の状態に迄武力を毟り取られてゐた我が国は、現在は通常兵器の性能とその運営能力の熟達が恐らく世界最高水準に達してゐると見られ、日本の科学技術の最先端部からの寄与により自衛隊は戦前の陸海軍に比べて遙かに精強な武備である事は確かである。
この様に見てくると日本国民の才能と精力は今や国際社会の頂点に立つてゐる。
産業経済界の繁栄も端的に国民の能力と士気の反映であり、80年前の頽落は全く面目を一新し、日本は戦前の姿を取り戻した形で蘇生したのだ、との満足を秘かに覚えそれを口にしたい人も少なくないと思はれる。
■靖国神社への冷淡な視線
ここでその自己満足に対する疑問提出の順序がめぐつて来る。
分かり易い例を挙げる。
日本の国政に携はる人が諸外国を訪問すればその人には慣例として軍人墓地乃至その象徴としての無名戦士の墓碑への表敬訪問が日程に組み込まれ彼は慣例に従つて素直にその墓碑等への儀礼的参拝を果す事になるであらう。
我が国での護国の戦士達の霊廟に相当する宗教的施設は靖国神社である。
何らかの公的使命を帯びて日本を訪問する賓客は国際的相互儀礼の型に基いて靖国神社を表敬訪問し参拝する義理を有する。
訪問を受け入れる日本側にも賓客を靖国神社に案内し参拝してもらふ状況を作るのが礼儀といふものである。
従来諸外国の海軍艦艇が日本に寄港する度に乗組の兵員達が公的に参拝団を組んで靖国神社に表敬訪問し参拝を果す例は多かつた。
在日米空軍の一部隊が礼儀正しく参拝に来た具体例も1つ筆者の記憶の中にある。
近年靖国神社を見る
「公」
の視線が内外ともに冷淡になつた1つの契機は平成25年12月26日の故安倍晋三首相の神社公式参拝ではなかつたかと思ふ。
あの時、中韓両国は予想通り不快感を表明するの挙に出た。
日本と唯一軍事同盟を結んでゐた米国政府までが<失望>を表明した。
この表明は日本と中韓両国の間には不穏な波風が立つて欲しくない、と見る米国政府の士気の低下、外交姿勢懦弱(だじゃく)の反映に過ぎないと見る我が国の方こそ失望したものである。
曽(かつ)ては世界の警察官を自負してゐた米国が三流国並みの弱音を吐いたのは甚だ気色の悪い事だつた。
■不思議な国から普通の国へ
ところがかう考へた時にふと我が国の政府自身の靖国神社に対する不敬不遜の姿勢に気がついて我々は愕然とする。
靖国神社の春秋の例大祭当日に首相の参拝はない。
天皇の御親拝も昭和50年11月21日の行幸を最後として50年間途絶えたままになつてゐる。
上皇上皇后両陛下は平成の御代30年間に1度も御親拝の機会を持たれなかつた。
首相の参拝が定例普通の行事として扱はれて定着すれば、それが畏(かしこ)き辺(あた)りの御親拝に径(みち)を開く確かな機縁となる、との我々の何十年反復しての立論も顧みられる事なく終つた。
斯くして我が日本は欧米の文明国では当然自明の行事である、国家元首による護国の英霊への鎮魂の参拝が行はれない不思議な国となつてしまつてゐる。
戦後80年を期して日本が現世界の自由主義諸国と同様の普通の国に立ち戻る事業を成し遂げるか否か。
その成否を判定する標識は幾つかあるが自主憲法の制定、交戦権を有する国軍の保持といふ緊急の要請と並んで重要な標識が1つある。
即ち靖国神社への天皇及び首相をはじめとする国政の担当者達の折にふれての参拝と報道機関がそれを当然の事として肯定する事態の実現である。

室谷克実「深層韓国」
「靖国参拝してどこが悪い」林官房長官は言えないのか 生稲晃子氏めぐる共同通信の大誤報 韓国の「靖国神社=悪」に嵌った日本政府
2024.11/29 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241129-AG6AJXYGIFPPVMDUW5EMNARTWQ/
どれほど話し合ったところで徒労でしかない。
基礎認識と目的が違う2者の論争とは、そういうものだ。
新潟県佐渡市で開かれた世界文化遺産
「佐渡島(さど)の金山」
の追悼式を巡る、日韓の(外交チャンネルに限らない総体的)論争。
ようやく、日韓双方が別個に執り行った追悼式が終わったが、残ったのは
「靖国神社参拝は悪いこと」
とするような印象操作ではないのか。
■佐渡島金山・追悼式が残す「印象操作」
佐渡島金山で働いていた朝鮮人労働者は、半島から妻を呼び寄せ、佐渡で2人の子供を儲けた。
日本企業で働いていた朝鮮人労働者は日本人労働者と同等の給与を貰い、国民年金にも加入していた。
日本本土にいた朝鮮人慰安婦は、陸軍大将を上回る収入があり、それをせっせと郵便貯金していた…。
「強制連行された朝鮮人労働者が、まさか」
「強制連行された性奴隷が、あり得ないことだ」
と日教組教育の優等生≠ヘ叫ぶだろう。
だが、これらは日本側に物証が残っている。
韓国紙がお涙頂だい£イの記事の中で、自己矛盾とも気が付かずに報じた事例もある。
それなのに、韓国の一般世論は
「強制連行された労働者」
という虚論で凝り固まっている(慰安婦は『性奴隷』との見方がかなり揺らいできた)。
佐渡の追悼式について、韓国側は
「凝り固まった虚論」
に基づき、日本側に対応を求めた。
日本側が読み上げる
「追悼の辞」
の内容にまで介入するのが国際常識なのか。
基礎認識が違うから、決して一致することはないのだ。
更に、追悼式に政府代表として参列した生稲晃子外務政務官が
「靖国神社に参拝していた」
とする共同通信社の大誤報があった。
韓国マスコミは、それに飛び付いた。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は
「金建希(キム・ゴンヒ=夫人)大事」
が祟って保守系紙にも見放され、支持率20%のレームダックだ。
「ハイ、そんな政務官が出る追悼式には参加しません」
と決断する他なかった。
韓国が自ら開催を求めた追悼式に出ようが出まいが、どちらでもいい。
問題は、林芳正官房長官が
「生稲氏は靖国に参拝していない」
とばかり強調したことだ。
これは、韓国の
「靖国神社=悪」
の決め付けに嵌った釈明でしかない。
「日本の政治家が靖国神社に参拝して、どこが悪い!」
と、何故言えないのか。
追悼式騒動は、
「靖国参拝は悪いこと」
という日韓政府共同の
「印象操作」
を残したのだ。 (ジャーナリスト 室谷克実)

靖国神社に落書きの実行役か、中国で男を拘束と現地報道 別の恐喝事件関与で
2024/8/28 1:07
https://www.sankei.com/article/20240828-YIQVLUZXEBMHHIQL4WREPCCQYA/
東京都千代田区の靖国神社の石柱に落書きが見つかった事件を巡って、中国メディアは27日、中国当局が実行役とみられる男を別の恐喝事件に関わった疑いで拘束したと報じた。
男は董光明容疑者で、警視庁公安部が逮捕状を取り、指名手配している。
5月31日夜、別の中国籍の男2人と共謀し、靖国神社の入り口近くの石柱に赤いスプレーを使って「Toilet」と書き、不敬な行為をした疑いが持たれている。董容疑者は6月1日未明、中国に向け出国していた。
中国メディアによると、浙江省杭州市の警察当局が拘束した。
「鉄頭」という名のインフルエンサーで、落書き事件の直後、インターネット上に「鉄頭」名の動画が出回り、落書きする様子が映っていた。(共同)

靖国神社落書きは中国籍の10代男性か 単独で実行、発覚日にホテルに戻り出国
2024/8/23 13:15
https://www.sankei.com/article/20240823-ZAENFCMM7VKK7B2A3KZGGMBU2Y/
靖国神社(東京都千代田区)の神社名が刻まれた
「社号標」
と呼ばれる石柱への落書きが見つかった事件で、関与した人物は中国籍の10代男性とみられることが23日、捜査関係者への取材で分かった。
警視庁が器物損壊容疑で捜査を続けている。
捜査関係者によると、男性は事件の数日前に複数人で日本に入国。
18日夜に一人でホテルを出て、靖国神社に向かった。
現場の防犯カメラからは同日夜、社号標に上がっているこの男性とみられる人物の姿が映っていた。
男性は一度ホテルに戻った後、19日に出国したという。
落書きは19日未明、神社関係に発見された。
社号標には
「厠所(トイレ)」

「軍国主義」
「狗(犬)」
などと、中国で使われている簡体字を用いて書かれていた。

靖国神社落書き、関与の人物が中国へ出国か 警視庁
2024/8/22 21:52
https://www.sankei.com/article/20240822-JKEW3EKKUFIETNHWPN6O6M6JGA/
東京都千代田区の靖国神社で19日に石柱への落書きが見つかった事件で、関与したとみられる人物が同日に中国へ出国していたことが22日、捜査関係者への取材で分かった。
数日前から日本に滞在していたといい、警視庁が器物損壊の疑いで詳しい経緯を調べる。
捜査関係者によると、18日夜に不審な人物が石柱の台座に上がる様子が防犯カメラに残っており、同一とみられる人物が19日に中国へ出国したことが確認された。
この人物は、落書きの画像を中国の交流サイト(SNS)に投稿したとみられる。
落書きは19日午前3時50分ごろに神社職員が見つけ、石柱に中国語で
「トイレ」
などを意味する文字が書かれていた。

<主張>また卑劣な落書き 靖国神社の静謐守り抜け
社説
2024/8/22 5:00
https://www.sankei.com/article/20240822-PQDXXX7SJBMJTO455UEHCIGINQ/
東京・九段の靖国神社への卑劣な犯罪が再び起きた。
神社名を記す社号標という大きな石柱への落書きが19日未明に見つかった。
中国語でトイレを指す「厠所」や簡体字で「狗(いぬ)」「軍国主義」と読める落書きだ。
中国のSNSに中国人とみられる男が落書きの画像をアップし関与をほのめかす投稿があった。
今年5月にも中国人3人組が社号標に落書きする犯罪があったばかりだ。
靖国神社に祀(まつ)られている戦没者(英霊)を侮辱し、平安な眠りを妨げようというのか。
極めて下品な犯行が再び起きたことに強い憤りを覚える。
許される話ではない。
警視庁は全力で捜査を進めてもらいたい。
靖国神社にどのような見方を持つとしても、神聖さを冒瀆(ぼうとく)し、ほくそ笑むような犯罪をしていいわけがない。
自らの品性を貶(おとし)め、自国のイメージを損なうことさえわからないのか。
5月の事件は犯行の様子が中国のSNSに投稿された。中国人容疑者のうち2人は中国へ逃亡し、日本に残っていた1人が礼拝所不敬などの容疑で警視庁公安部に逮捕された。
今回の事件も中国人の関与が疑われている。
岸田文雄首相や上川陽子外相、警察当局は中国政府に捜査への協力を求め、容疑が固まれば5月の事件と合わせ引き渡しを求めるべきだ。
今回の事件が中国人によるものなら、5月の事件の容疑者を中国国内で野放しにしている中国政府の対応が影響したと言わざるを得ない。
中国外務省報道官は
「外国にいる中国公民は現地の法律を順守」
するよう促していた。
ならば一罰百戒で臨み犯行を抑止すべきだった。
長年の中国政府による反日教育が日本や靖国神社への憎悪を社会に広げ、没義道(もぎどう)な犯行を厭(いと)わない恥知らずの容疑者を生んだ可能性もある。
5月の事件後の警備体制が十分でなく、落書きを許してしまったことを全ての関係者は反省すべきだ。
靖国神社では過去にも中国人、韓国人らによる放火や落書きなどの事件があった。
摘発と警戒を怠れば犯行がエスカレートする恐れがある。
英霊の静かな眠りを守るのは日本の国の義務である。
政府与党や警察当局は、日本の心を守る国家的問題ととらえ、警備を急ぎ厳重にしてもらいたい。

靖国神社、落書きは18日夕方以降か 警視庁 防犯カメラに不審な人物
2024/8/20 14:09
https://www.sankei.com/article/20240820-ZMNMNYLOTNLKTIUC4PH3DHGSLQ/
東京都千代田区の靖国神社の石柱に19日に落書きが見つかった事件で、防犯カメラの映像などから18日夕方以降に書かれた疑いがあることが20日、捜査関係者への取材で分かった。
神社職員が見つけ110番通報した時間よりも前に撮影されたとみられる画像が中国の交流サイト(SNS)に投稿されているといい、警視庁が関連を調べる。
捜査関係者によると、18日夕方以降に不審な人物が石柱の台座に上がる様子が防犯カメラに残っていた。
110番通報は19日午前3時50分ごろ。
石柱に中国語で「トイレ」などを意味する文字が書かれていた。
麴町署が器物損壊などの疑いで調べている。

靖国神社の落書き、中国人が関与か 警視庁が捜査 「厠所」「軍国主義」など
2024/8/20 12:01
https://www.sankei.com/article/20240820-EC45W7RXJ5INRIBOC4LYUZYSNU/
東京都千代田区の靖国神社で19日、入口の石柱に中国語とみられる落書きがされているのが見つかった事件で、落書きは18日の夕刻以降にされた疑いがあることが20日、捜査関係者への取材で分かった。
中国のSNS上には犯行をほのめかす投稿もあり、関連を調べる。
捜査関係者によると、事件後に中国国内のSNSに中国籍とみられる男が落書きの画像を挙げて関与をほのめかす投稿をしていたことが判明。
現場周辺の防犯カメラ画像でも、18日夕以降に投稿者と同一人物の疑いがある男性の姿が確認されたという。
落書きには黒いマジックペンが使われたとみられる。
事件は19日未明に発覚。
神社の職員が神社名を示す「社号標」に中国語でトイレを意味する「厠所」や簡体字で「軍国主義」などと読み取れる落書きがあるのを発見。
警視庁は器物損壊容疑で捜査を進めている。
現場では5月にも中国籍の男3人による落書きの被害があった。

靖国神社にまた落書き 5月と同じ場所「厠所」や「屎」 警視庁が器物損壊容疑で捜査
2024/8/19 9:25
https://www.sankei.com/article/20240819-5ONTTKHVIVIWHB4OHXR4KPRCNU/
19日午前3時50分ごろ、東京都千代田区九段北の靖国神社で
「石柱に落書きされた」
と男性職員から110番通報があった。
警視庁麴町署員が駆けつけたところ、神社入り口の神社名を示す「社号標」に中国語とみられる落書きが6個あった。
警視庁は器物損壊容疑で落書きした者の行方を追っている。
麴町署によると落書きは社号標とその台座に各3個ずつあった。
中国語でトイレの意味の「厠所」や、「屎」「狗」「軍国主義」とも読み取れる簡体字とみられる落書きもあった。
現場の社号標では5月にも中国人の男3人が落書きし、うち1人が器物損壊容疑などで逮捕。
もう2人についても警視庁が逮捕状を取っている。

<産経抄>靖国参拝 ご注進報道はここらで終わりにしよう 
2024/8/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20240824-OCATCWVOYBKEHKBMD6UU2HRENI/
17日の小欄は、木原稔防衛相の靖国神社参拝に関する朝日新聞の
「日韓関係に冷や水も」
との記事に疑問を示し、
「(参拝に)何の問題があろうか」
と書いた。
すると朝日はさらに、米国務省報道担当者のコメントを取り
「防衛相の靖国参拝『後ろ向き』」
との記事を掲載していた。
よほど日韓関係に影響を及ぼしたいらしい。
▼記事は当局者が
「参拝は後ろ向きに見える」
と指摘したと記すが、その認識は正しいのか。
米国人は国務省高官といえども
「日本と韓国が、戦争をしていないことを知らない」(外務省事務次官経験者)
者が多い。
日韓併合は戦争の結果ではなく本来、参拝は韓国とかかわりはない。
▼安倍晋三元首相もオバマ米大統領当時、バイデン副大統領は、韓国にとり慰安婦問題よりも靖国参拝問題が重要だと勘違いしていると指摘していた。
そんな米側の誤解を正すのではなく、そそのかしてどうするのか。
日米韓のどの国の利益にもならない。
▼朝日もずっと靖国神社に否定的だったわけではない。
例えば昭和26年10月7日の朝刊紙面では、東京裁判の国際検事団付として来日した米青年、リード氏が帰国後も絶えず日本の友人に身代わりで靖国参拝をしてもらい、奉納金も送っていることを大きく取り上げている。
▼「靖国神社にねむるみたま≠スちの大きな犠牲が忘れられるなら、それは日本の悲劇だ」
「日本の皆さん、どうかみたま≠ヨ祈りを」。
朝日が紹介したリード氏の言葉である。
匿名の国務省報道担当者の曖昧なセリフより、よほど真情が伝わる。
▼靖国参拝問題も慰安婦問題も、日本側が批判してくれとばかりに外国に
「ご注進」
したことで騒動となった。
このパターンはここらで終わりにしたい。

全ての御霊安らかなれ 靖国神社参拝は戦没者との約束だ 論説委員長 榊原智 
終戦の日に
2024/8/15 5:00
https://www.sankei.com/article/20240815-VSTWEVBTLBPBJEK457UC4LR4W4/
79回目の終戦の日を迎えた。
日本は、大東亜戦争と呼称した先の大戦で、陸海軍人、民間人合わせて310万人の同胞を喪った。
全ての御霊安らかなれと心からの祈りを捧げたい。
昭和天皇の玉音放送を拝聴し終戦を知った国民は齢を重ね、ごく少数になっている。
そうであっても、日本史上、最大の悲劇だ。
あの戦争を語り継ぎ、鎮魂と平和の祈りを重ねたい。
戦没者(英霊)は日本や故郷、愛する人たちを守ろうと出征した。
子を儲けずに逝った若者も多かった。
■頭を垂れた安倍元首相
尊い命を捧げた英霊にとって靖国神社に永く祀られることは自明で、いわば日本の国との約束だった。
これは極めて大切な話だ。
だからこそ靖国神社が戦没者追悼の中心であり続けるべきなのである。
後世の人間が賢(さか)しらぶって
「新しい国立追悼施設」
など造っていいはずもない。
日本の独立を守った120年前の日露戦争など幾多の戦いの戦没者も靖国神社に祀られている。
今から11年ほど前の話になる。
平成25年4月、安倍晋三首相(当時)が硫黄島を視察した。
昭和20年3月に2万余の日本軍守備隊が玉砕した激戦地だ。
自衛隊の航空基地などの視察を終え父島へ向かう飛行機に搭乗する際、安倍氏は予想外の行動をとった。
滑走路にひざまずき、手を合わせ頭を垂れた。
そして滑走路を撫でたのである。
その下にも英霊の遺骨が眠っていると知っていたのだろう。
滑走路地区を含め遺骨収集は今も続いている。
記者団は父島へ先乗りしており、報道を意識したパフォーマンスではなかった。
当時、海上幕僚長として案内役を務めていた河野克俊元統合幕僚長は
「心底、戦没者に対する哀悼の意が深い方だった」
と振り返っている。
政治のリーダーが英霊への感謝の念を持つことは大切だ。
ただ、安倍氏でさえ、首相在任中に靖国神社を参拝したのは平成25年12月の1度きりだった。
以来、首相の靖国神社参拝は途絶えている。
勅使参向はあるが、天皇陛下ご親拝の環境はいつまでたっても整わない。
政治家が、中韓両国の干渉、メディアを含む左派勢力の反発を懸念しているからだろう。
英霊との約束を守らない日本であっていいわけがない。
自民党総裁選不出馬を表明した岸田文雄首相や閣僚、総裁選への立候補を志す政治家らは終戦の日や春季、秋季の例大祭などの機会に参拝してもらいたい。
国会は主権回復後の昭和28年8月、
「戦争犯罪による受刑者の赦免に関する決議」
を全会一致で採択した。
政府は関係国政府の同意をとりつけ、死刑を免れたA級を含む全ての
「戦犯」
の釈放を実現した。
刑死・獄死した受刑者の遺族にも年金を支給した。
その後、連合国によって刑死した人々も靖国神社に合祀されるようになった。
■自衛隊は勇戦の顕彰を
「A級戦犯」
として禁錮7年の判決を受けて服役した重光葵(まもる)は東条英機内閣の外相当時、人種平等を掲げた世界初の有色人種諸国のサミット、大東亜会議を実現した人物だ。
恩赦後に衆院議員に当選し、昭和29年から31年まで鳩山一郎内閣の副総理兼外相だった。
国連総会で日本の加盟受諾を演説し、各国代表から盛大な拍手を浴びている。
このようないきさつを顧みず、刑死した
「A級戦犯」
合祀などを理由に靖国神社参拝を難ずる勢力があるのはとても残念だ。
日本は平和を希求する民主主義国だ。
政治家は日本を敵視する国への配慮よりも、英霊や遺族へのおもんぱかりを優先してほしい。
靖国神社を忌避する勢力は自衛隊との切り離しにも拘っている。
だが、自衛隊も陸海軍も日本の軍事組織である点は同じだ。
自衛隊と自衛隊員は、英霊が祖国を守ろうと必死に戦った勇戦奮闘の史実を学び、語り継ぎ、顕彰してほしい。
それは自衛隊を一層精強に育て、平和を守る抑止力を高める。
戦後最も厳しい安全保障環境にある今、台湾有事や朝鮮半島有事が日本有事に容易に転化することは世界の安保関係者の常識となっている。
ロシアのウクライナ侵略や中東情勢、米大統領選の行方も、日本の針路に深く関わる。
首相選びとなる自民党総裁選に名乗りを上げる政治家は英霊への追悼、顕彰の思いを示すとともに具体的な外交安保政策、抑止力向上策を語るべきだ。
いずれも平和を守っていくために大切なことである。

<主張>靖国神社を冒瀆 中国は容疑者引き渡しを
社説
2024/6/5 5:00
https://www.sankei.com/article/20240605-PADVPPR7VBKI3IP3M5GJCPS6XE/
靖国神社の石柱に落書きされた部分はブルーシートで隠されていた=2024年6月1日午後、東京都千代田区
https://www.sankei.com/article/20240605-PADVPPR7VBKI3IP3M5GJCPS6XE/photo/E3Y6GOB53ROWTDLSIAS3G5PI3Y/
東京・九段の靖国神社の
「社号標」
という石柱に、英語で
「トイレ」
と落書きされる事件が起きた。
中国の動画投稿アプリで、男が石柱に向かって放尿するような仕草をし、赤いスプレーで落書きする犯行の様子が投稿されていた。
警視庁公安部が器物損壊容疑で捜査している。
容疑者は上海在住とみられる中国籍の男で、撮影役と一緒に中国に向けて出国したという。
靖国神社は246万余柱の英霊が眠る近現代日本の戦没者追悼の中心施設である。
極めて下品な犯行で冒瀆したことは絶対に容認できない。
警視庁は容疑者を急ぎ特定してもらいたい。
岸田文雄首相と上川陽子外相は最大限の憤りを表明し、中国側に容疑者の引き渡しを求めるべきだ。
落書きは2024年6月1日早朝、通行人が発見して警察に通報した。
犯行の動画が投稿されたことからも計画的な仕業とみられる。
中国のSNSでは
「とても美しい」
「よくやった」
と称賛する声が上がったというから呆れる。
靖国神社を批判的に捉えるとしても、今回のような犯行が許されるはずもない。
日本には多くの中国人がいるが、その大多数は今回のような愚かな行為をしていない。
下品な犯行やそれを礼賛する投稿が中国人のイメージ悪化を招くことがなぜ分からないのか。
中国外務省の報道官は記者会見で今回の事件を巡り、
「外国にいる中国公民は現地の法律を順守し、理性的に訴えを表現するよう注意を促したい」
と述べた。
良くない事だったと考えてはいるようだが、注意喚起だけで済む話ではない。
日本と中国は犯罪人引き渡し条約を結んではいないが事は重大である。
中国政府は日本側の捜査に協力し、容疑者を拘束して引き渡してもらいたい。
報道官は同じ会見で靖国神社を
「日本軍国主義が発動した精神的な道具であり象徴だ」
と批判した。
だが参拝者は静謐(せいひつ)な環境で英霊を悼み、平和への誓いを新たにしている。
中国側の長年の反日教育が事件の容疑者の靖国神社への憎悪を掻き立てたのではないかと恐れる。
靖国神社では過去にも中国人、韓国人らによる放火や落書きなどの事件があった。
英霊の静かな眠りを守るため警察が警備を厳重にすべき時である。

靖国神社落書き事件で日本政府が外交ルート通じ中国に懸念表明、注意喚起を要請 
2024/6/4 17:39
https://www.sankei.com/article/20240604-UYXFQGBU2NPCFN6HOMZSXWLKE4/
上川陽子外相は2024年6月4日の記者会見で、靖国神社(東京都千代田区)の石柱に中国籍とみられる男が落書きする映像が中国の動画投稿アプリ
「小紅書(レッド)」
に投稿されたことに関し、
「我が国の関係法令に反すると思われる行為を是認、助長するような動画が作成され、拡散されるようなことは受け入れられるものではない」
と述べた。
その上で
「外交ルートを通じ、中国政府に事案の発生に対する懸念を表明すると共に、中国国民に現地法令の順守、冷静な行動を取るよう注意喚起することを要請した」
と明らかにした。

靖国神社で石柱に落書き疑い中国籍の男、撮影役と約5時間後には出国 計画的か
2024/6/3 21:09
https://www.sankei.com/article/20240603-QW3O22CA4FO7FME3ZSTUUHOJ5U/
東京都千代田区の靖国神社で石柱に落書きが見つかった器物損壊事件で、落書きをした疑いのある中国籍の男が犯行の約5時間後には出国していたことが2024年6月3日、捜査関係者への取材で分かった。
男は出国直前に落書きをしており、警視庁公安部は計画的な犯行とみて捜査している。
捜査関係者によると、男は2024年5月31日午後9時55分から同10時までの間に落書きをしたとみられ、その直後の2024年6月1日未明の便で出国した。
男は中国・上海在住とみられている。
男が落書きする様子は、中国の動画投稿アプリ
「小紅書(レッド)」
に投稿されており、撮影役も一緒に出国したことが確認された。
落書きは2024年6月1日午前5時50分頃、通行人が発見し、周囲にいた警察官に申し出た。
神社入り口の
「社号標」
という石柱に赤いスプレーを使い、英語で
「トイレ」
と書かれていた。
また、同日午後7時頃には同神社のこま犬に中国語で書かれた張り紙があるのを通行人が発見し、110番通報した。
中国語で
「世界人民は団結しよう」
「ただしおまえらは含まない」
という趣旨が記されていた。
公安部が関連を調べている。
動画によると、男は、辺りが薄暗い中、石柱の台に登り、石柱に向かって放尿しているような仕草をした。
その後、赤いスプレーで英語で
「ToiLet」
と書いて立ち去った。
男は英語で
「アイアンヘッド」
と名乗っていた。

靖国神社落書きは「日本人の魂を汚す行為」在日中国人も冷ややか「馬鹿野郎といいたい」
2024/6/3 18:59
https://www.sankei.com/article/20240603-6O3XHXQ5K5HZNMJYR2KCN6VAMU/
靖国神社(東京都千代田区)の石柱が
「トイレ」
と英語で落書きされた。
中国のSNSに投稿された動画では、中国籍とみられる男が石柱に赤いスプレーで落書きし、放尿するような仕草が映っている。
警視庁公安部は器物損壊容疑で男の行方を追っているが、慰霊の場を汚した男に対し、静かな怒りが広がる。
日本で暮らす中国出身者も、日本人の感情を踏みにじる行為に冷ややかな目を向けている。
「どの国も国のために命を落とした人への畏敬の念がある」
「戦争で亡くなった人を祀る、日本人にとって神聖な場所が汚されたのは不愉快で残念だ」
「日本人の魂を汚す行為だ」
民主党の衆院議員だった牧野聖修氏は2024年6月3日、産経新聞の取材にこう語った。
牧野氏は中国共産党政権下で迫害されるチベット仏教徒を支援していることで知られる。
牧野氏は
「僕たちが靖国神社を汚されることが嫌なように、どこの国も国のために命を落とした人に対しては感謝の念と崇敬の思いを持っているはずだ」
「こういうことをすれば歴史問題を巡り、両国関係を友好なものにしようとしても乗り越えられない状況になってしまう」
と指摘した。
中国政府が弾圧している民族や香港人への支援活動を続ける古川郁絵氏も
「私にとっては大切な英霊が祀られている神域だ」
「英霊は日本を守るために命懸けで戦った方々で、今の私たちが存在する先祖そのもの」
「その魂を汚された気がする」
と語った。
在日中国人で中国の民主化を求める
「民主中国陣線」
の盧家熙(ろ・かき)氏は産経新聞の取材に答え、男について
「旧日本軍の侵略への反対などの考えがあったのだろうが、それはデモや集会で表現すればいいことだ」
「日本の法律に違反するような行為を行うべきではない」
と述べた。
■「目の前にいれば首根っこをつかまえる」
日本ウイグル協会理事で、2023年10月に日本国籍を取得した田中サウト氏は
「英語でトイレと書き、放尿するとは一線を越えた行動で、とても驚いた」
「SNSにアップして自身を愛国主義者だと中国人にアピールしたいのだろうが、凄く嫌な感じだ」
「狭い視野で愛国心を煽ることはおかしい」
と不快感を示す。
ベストセラー「歌舞伎町案内人」(角川文庫)の著者で、日本に帰化したジャーナリスト、李小牧氏も産経新聞の取材に、男の行為について
「中国人のイメージが悪くなる」
「中国人の観光客も日本に来ているのに、あの男が全ての中国人の印象になりかねない」
「目の前にいれば首根っこをつかんで110番する」
「元中国人として馬鹿野郎と言いたい」
と語った。

自衛官國参拝と愛する人への言葉
Hanada2024年4月号 元陸上幕僚長 岩田清文
■疑念が残る新聞の大騒ぎ
國神社を私的に参拝する際、公用車を利用したとして、去る2024年1月26日、陸上自衛隊の幹部が処分された。
22名が参拝したのは、2024年1月9日(火)の午後3時過ぎ、皆、時間休を取って私的な立場で参拝している。
報道からは、休暇中の私的な行動において公用車を利用したことが処分の理由とされ、処分のレベル的には軽いものとされている。
しかし、この程度の事でなぜ一部の新聞は大騒ぎするのか。
本件を最初に報道した毎日新聞(2024年1月13日)は、
「第二次大戦のA級戦犯が合祀されている靖国神社を自衛官が組織的に参拝していたとすれば、不適切だと言わざるを得ない」
と指摘し、宗教活動に関する隊員への指揮事項を記した1974年の防衛事務次官通達への抵触にも言及している。
A級戦犯が合祀されている神社に、自衛官が参拝してはいけないということなのか。
A級戦犯や特定の戦没者のみを崇めるために参拝する自衛官はまずいないだろう。
後ほど述べるが、彼らは国を守る務めにおいて純粋に祈願するために参拝しているはずだ。
今回は休暇中の私的な参拝であり、自らの意志に基づくものと思う。
更に、毎日新聞は参拝当日、國神社で待ち構えるようにして取材していたという。
その取材を基に、50年前の古い通達を探し出してきて、通達違反ではないかと厳正な対処を迫った。
これらからは意図的、計画的にこの参拝を大袈裟に取り上げ、自衛隊と國神社との関連性を問題にしたかったと思わざるを得ない。
そもそも、自衛隊内部の行動予定をどのようにして事前に知り得たのか、疑念も残る。
一方で、産経新聞は2024年1月16日の誌面において、
「陸上自衛隊の参拝は当然だ」
と主張している。
参拝の目的が、2023年4月に陸自ヘリコプターが沖縄県・宮古島沖で墜落した事故の調査委員会メンバーが安全祈願をすることにあったとした上で、能登半島地震対応中の緊急性を要する状況におては、公用車を使用することも当たり前だとしている。
更に、A級戦犯に関しては、国会が1953(昭和28)年、
「戦犯」
赦免を全会一致で決議、政府はA級を含め刑死した受刑者の遺族にも遺族年金を支給してきたことを例示し、他国の干渉に迎合せず、日本自身の立場を尊重すべきとの主張だ。
加えて、50年前の防衛省の次官通達を改めるべきとの指摘もある。
このように賛否両論の主張が報道される中、自衛官が國神社を参拝する意味や思いについては、ほとんど報道されない。
もちろん、現役自衛官がそのようなことを公にすることは憚れるのだろう。
そこで、1自衛官OBとしての思いではあるが、紹介させて頂きたいと思う。
現役当時から、個人的には、もしいざという時が訪れ、最後の時が来たならば、國神社に祀ってほしいとの願いを持っていた。
國神社には、日清戦争や日露戦争、そして大東亜戦争に至るまで、
「祖国日本を護る」
との一念の下、尊い生命を捧げられた246万6000余柱が祀られている。
我々自衛官と同じ
「国のために命を懸ける」
との志を持たれていた先人が祀られる國神社に、自分の死後もありたいと思っていたからである。
台湾有事・日本有事の危機感が高まる中、自己の死生観に磨きをかけている自衛官諸氏も多いことであろう。
その中には、いざという時は國神社に祀ってもらいたいという、私と同様の気持ちを持つ自衛官もいるものと思う。
自衛隊員は皆、入隊に当たり、自衛隊法の規定に基づき服務の宣誓を行う。
その宣誓には、
「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います」
との1文がある。
これは、
「命を賭してでも国を守る」
ことを国家・国民に対して誓うものであり、命のやり取りを意味するものである。
私自身も、その覚悟で37年間勤務してきた。
自らの立場が曖昧な憲法を順守しつつ、自己の命を懸けてでも国を守ろうとする。
この耐え難い矛盾に苦悩しつつも、私は現役時代、自分自身に、そして部下たちに、こう言い聞かせてきた。
「我々は、自己犠牲による利他の精神、他を利する精神を実践する崇高な価値観、生き様を職業としている」
「自らの道が正しいことを信じ、迷うことなく、悩むことなく、ただひたすら誇りと矜持を持って国防の任に邁進すべきである」
■慰霊碑は「誓い」の場
「士は、己を知る者のために死す」
との言葉がある。
国家として、自衛隊員に
「命を懸けろ」
と言うなら、その隊員の気持ちを理解し、あるべき姿に改革していくのが政治の責任だろう。
その改革の1つが、いざという時に、国の命令により究極の任務を遂行し、戦死という最大の犠牲を払った隊員に対する慰霊の在り方である。
最高指揮官である内閣総理大臣の命を受け、国土防衛の任を遂行中に命を賭した場合、その隊員の国家への忠誠と献身を称え、霊を慰めることは不可欠であり、国家としてのその姿勢が、他の隊員をして国を守ろうとする強い気概を育むのである。
その際、隊員の死後、どこに葬るかは士気にも関わる極めて重く重要な問題である。
2022年12月に閣議決定した安全保障関連3文書においては、有事に関する強い危機感が示され、戦争を抑止するための具体化が進んでいる。
その中において、仮に自衛官が戦死した場合の様々な処遇等を検討すると共に、死後における慰霊の在り方についても、静かに議論を進めていくべきだろう。
現状のままであれば、防衛省・自衛隊全体としては市谷駐屯地での慰霊、および各地域としては司令部が所在する一部の駐屯地等において慰霊されるであろう。
しかし一般隊員の視点から見れば、死後、そこに戻るという意識を持つ者は少ないだろう。
それら慰霊碑の前では年に1度、追悼式が執行されているが、一般隊員にとっては、その慰霊碑が共に国のために散った戦友、皆の魂が戻る場所と思っている者は少ない。
どちらかと言えば、2度と事故等で仲間を失ってはならないとの
「誓い」
の場であり、ご遺族にとっては故人に再び
「手を合わせる」
場なのである。
明治以来、日本国は国のため国民のために命を捧げた英霊を、國神社において永遠に慰霊し崇敬することとした。
敗戦の結果として、国家として崇め敬い続けることはできなくなったが、宗教法人としての國神社が国に代わり継承している。
当時、
「死んで國で会おう」
と国の命令で戦地に赴いた方々には、明確に魂が戻る場所、精神的な拠り所があったと認識する。
もちろん、現状、国として1宗教法人を指定して英霊を祀ることはできないことは理解するものの、この点は、今後議論をしていく必要があるのではないか。
■戦後日本の原点
例えば、過去には2001(平成13)年、諮問機関である
「追悼・平和祈念のための記念碑施設の在り方を考える懇談会」
を発足させ、翌2002(平成14)年12月24日に提出された報告書では、国立の無宗教の追悼・平和祈念施設が必要と指摘されていた。
報告はされたものの、その後の動きはない。
当時の報告書には、施設の性格を國神社と区別化するため、次のように説明している。
國神社は、
「國事に殉ぜられたたる人人を奉斎し、永くその祭祀を斎行して、その『みたま』を奉慰し、その御名を万代に顕彰するため」
「創立せられた神社」
とされている。
これに対し、新たな国立の施設は
「死没者全体を範疇とし、この追悼と戦争の惨禍への思いを基礎として日本や世界の平和を祈るものであり、個々の死没者を奉慰(慰霊)・顕彰するための施設ではなく、両者の趣旨、目的は全く異なる」
と述べられており、前述したような戦死した自衛官の魂が戻る場所とは思えない。
追悼施設のみならず、そもそも自衛官の戦死に関わる具体的な検討が疎かになっていること自体が、我が国が未だに戦後レジーム(体制・政治体制)からの脱却が図られていないことの証左かもしれない。
安倍総理は、その戦後レジームから脱却する具体的取り組みの1つとして、終戦から70年経った2015(平成27)年8月15日の前日、2015(平成27)年8月14日に戦後70年談話を閣議決定した。
そこには、
「尊い犠牲の上に、現在の平和がある。これが、戦後日本の原点であります」
「2度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。(中略)先の大戦への深い悔悟の念と共に、我が国は、そう誓いました」
「自由で民主的な国を創り上げ、法の支配を重んじ、ひたすら不戦の誓いを堅持してきた」
「あの戦争には何ら関りのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子供たちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」
「しかし、それでも尚、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません」
と強調している。
特に、
「70年間に及ぶ平和国家としての歩みに、私たちは、静かな誇りを抱きながら、この不動の方針を、これからも貫いてまいります」
と述べたことは重要だ。
■主権国家として堂々と
我々日本人は、いつまで國神社での慰霊を他国に配慮し続けるのか。
戦後70有余年、これまでの平和を大事にする日本の歩み、そして日本の生き様に自信と誇りを持ち、主権国家として堂々と生きていくべきではないのか。
主権とは、対外的には国家の独立性を保持し、外国からの干渉を排除する権利と理解する。
であるならば、神社への参拝という日本人としてごく自然の風習を守り続ける独立性、そしてその行為に対する外国からの干渉を排除して初めて、我が国は主権国家と言えよう。
國神社は
「祖国を守るという亡くなられた方々の神霊」
を祀る場であり、そこには日本人として戦い、亡くなった台湾や朝鮮半島出身者、そして大東亜戦争終結時に、いわゆる戦争犯罪人として処刑された方々なども含まれている。
身分や勲功の区別もなく、国のために戦ったという1点において共通していれば一律平等に祀られることこそ、死後、その魂は永遠にこの世に留まり、国や地域などの場所で守り神となるという、悠久の歴史の中で伝わる日本人の伝統的信仰に則するものと私は理解している。
この國神社に赴き、戦没者を追悼して日本の安寧を祈祷することは、日本が長年に渡り培ってきた社会的儀礼であり、習俗的行為である。
私は、陸上幕僚長に就任するその日の早朝、個人的に國神社に参拝し、國神社の神霊に、陸上防衛の責任者としての決意と同時に、願わくばご加護を賜ることを祈祷した。
その3年後、離任当日の早朝、改めて参拝し、陸上幕僚長の職を解かれたことと、併せて37年間の防人としての任を終えることを報告し、感謝の意をお伝えした。
日本人としてごく自然のことであり、参拝後は純粋に清々しい気持ちを持つことができた。
■人的基盤の抜本的検討を
清々しい気持ちで退官はしたが、今になっても尚、現役の後輩たちのことを思うと、彼らが真に命を懸けられる、普通の国としてのあるべき軍事組織に進化すべきであると強く願っている。
現状、防衛省においては、人に関する強化施策の検討が進んでいるようである。
2024(令和6)年1月に防衛省が発表した
「人的基盤の強化に係る各種施策の進捗状況について」
によれば、部外人材も含めた多様な人材の確保や、隊員のライフサイクル全般における活躍を推進することなどが報告されている。
それぞれ重要な施策であり、是非具現化されることを願っているが、そこには、これまで述べてきたような有事に真正面から向き合い、国を守るため熾烈な環境で戦い、状況によっては国土防衛の現場で最期を迎える自衛官の栄典、慰霊・顕彰、遺族に対する手厚い補償、そして負傷した自衛官の一生の処遇など、本質的な検討が見当たらない。
物事の重さから公にはせず、静かに検討がなされていることを願っているが、それこそが人的基盤の抜本的検討ではないか。
冒頭の報道に戻るが、参拝した自衛官たちは、2023年4月6日に宮古島海域において殉職した同僚たちを思いながら、航空安全を誓うと共に祈願するとの純粋な気持ちで参拝したものと信じる。
國神社に参拝する自衛官の思いには、個人ごとに様々な意味があると思う。
しかし共通するものは、いざという時は身をもつて国防の責任を果たすとの強い思いが根拠にあることは言うまでもない。
その殉職した第8師団長坂本雄一陸将はじめ殉職隊員追悼式が、2023年10月21日、岸田首相、木原防衛大臣らが参列して挙行された。
式典の終わりに、遺族代表として坂本陸将の夫人が参列をされた。
私も参列した席で拝聴したが、涙が止まらなかった。
読者の方々にも共有して頂きたく、その挨拶全文を紹介したい。
彼らを含む自衛官、そしてその家族がどういう気持ちで国のために貢献しようとしているのかをご理解頂く一助となれば幸いである。
少し長くなるが、是非最後まで読んで頂きたい。
■自衛官の家族としての覚悟
令和5年度自衛隊殉職隊員追悼式に当たり、殉職隊員遺族を代表致しまして、ご挨拶申し上げます。
この度は自衛隊の皆様をはじめ多くの方々に、救助活動など様々なご支援ご尽力を賜り、深く感謝申し上げます。
そして本日は、自衛隊最高指揮官・岸田内閣総理大臣ご臨席の下、木原防衛大臣主催による殉職隊員追悼式を執り行って頂き、私ども遺族一同、厚く御礼申し上げます。
今から25年前に夫から言われ、ずっと心に在った言葉があります。
「自衛官の家族として、覚悟を持っていて下さい」
”自衛官の家族としての覚悟”、そして夫の言葉の根本にある彼自身の大きな覚悟、今回改めてこの言葉を夫の遺志として理解しました。
命を捧げた自衛官たちは皆一様に、国の守りに覚悟を持って臨み、職務に真摯に懸命に取り組み、身をもつて責務の完遂に務め、最後の瞬間まで誇りを持った自衛隊員であったのだと確信致します。
家族として、1国民として、亡き自衛官たちに深く敬意と感謝の念を捧げたいと思います。
自衛隊の皆様より、心のこもったお言葉をたくさん頂戴致しました。
「仲間を失った悲しみを忘れることなく、その思いを継承し、引き続き日本の平和のために任務に邁進して参ります」
このお言葉は亡き自衛官たちの強い遺志であり、家族としまして大きな支え、励みとなります。
自衛隊の皆様の強い絆に触れる中で、我らが自衛官たちは素晴らしいお仲間に恵まれ、同じ志を持って国防を担い、充実した豊かな人生を送ったのだと実感できました。
この素晴らしいご縁に感謝申し上げます。
ここに集う家族は皆、大切な人を突然なくしました。
その大切な人は誇り高き自衛隊員であると共に、良き家庭人でまおります。
家族をとても大事にし、家族それぞれにとっても彼らは大切な存在です。
大事な息子であり、娘であり、頼れる兄弟、姉妹、愛する夫、尊敬する父、そして、心通う友人であります。
■「ありがとう」を贈りたい
突然の別れにより、今私たちは、それぞれが色々な思いと向き合っています。
悲しみや憤り、混乱、不安な気持ち
この挨拶を考えている時、思いました。
「このまま失ったことを悲しみ続けるのではなく、彼らが残してくれているものを大事に見つめていきたい・・・」
「そして、過去に一緒に出来なかったことを悔やんだり、これから出来ないことを嘆いたりするのではなく、今まで一緒にいられたこと、出来たことを喜びたい・・・」
彼らの強さや優しさ、誠実な言葉や行動、考え方・・・彼らとの関りは私たちに大きな幸せや喜び、良い影響を与えてくれています。
それらはこれからも失われることはなく、私たちの心に残り、大きな力となって支え続けてくれる。
生きていくための道標となっていく・・・。
夫たちも私たちがこのように前向きに考え、笑顔で生きていくことを望み、
「頑張れよ」
「頼んだよ」
と、傍で応援してくれているように感じます。
国のために命を賭し、平和の礎となった自衛官たちを家族として、これまでも、これからもずっと誇りに思い、彼らの今までの足跡や今回の出来事が、今後に活かされ繋がることを願い、そして私たち自身も国の守りについて真剣に向き合い考えることを明言し、先に逝ってしまった愛する人に言葉を贈りたいと思います。
「ありがとう」
「お疲れ様でした」
「これからも見守って下さいね」
最後に、日本の平和を守るために、隙のない備えに万全を期し、覚悟と責任感を持って厳しい訓練や任務に臨まれている自衛隊の皆様に、衷心より敬意と感謝の意を申し上げますと共に、今後、崇高な職務を無事に遂行され、益々ご活躍されますことを祈念申し上げます。
そして本日ご参列の全ての皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げ、日本そして世界の平和を強く願い、遺族代表の挨拶とさせて頂きます。
有難うございました。
令和5年10月21日
自衛隊殉職隊員 遺族代表
坂元雄一 妻(陽子)

<産経抄>靖国神社に参拝してなぜ悪い    
2024/2/26 5:00
https://www.sankei.com/article/20240226-XQ6ZYGBZABLUDJKCQJ2X6HM7XQ/
2024年1月下旬に行われた日教組の教研集会で、日本軍の特攻隊員の遺書を題材にした授業が報告されていた。
日教組も変わったのかと思い、本紙社会部記者が報じた記事を恐る恐る読んだ覚えがある。
▼改めて紹介すると、長崎県の中学教員は修学旅行の事前学習として特攻隊員の遺書を題材にした。
家族や友人への思いなど項目に分け感想を書かせ、歴史的背景を考えさせた。
▼兵庫県の小学校教員は、当時の検閲について触れ、遺書に本音を書けたのかなどの観点で指導した経緯を報告していた。
本紙記者の取材に、近代史の専門家は
「検閲は作戦に支障が出る地名などが対象」
とし、
「検閲されたから一律に本音を書けなかったわけではない」
などと指摘していた。
▼月替わりで靖国神社の社頭に掲示されている遺書に胸を打たれたことを思い出した。
今月は
「兄上に遺(のこ)す」
と題した遺書で、23歳で戦死した特攻隊の海軍少尉は、両親や教師先輩への感謝を綴り、出撃への思いを記している。
▼後半では長男でない自分は家の事に
「何も云(い)う事なし」
とし
「兄上を中心に一家団(だん)欒(らん)して国家の為(ため)に」
と託した。
出撃が迫る中、
「甚だ簡単ですが兄上に遺す」
と結んでいる。
こうした遺書には共通して家族らを思う心情が溢れている。
▼命をかけ国に尽くした英霊を祀る靖国神社に、相変わらず冷淡な論調がある。
朝日新聞は2024年2月25日付の社説で
「陸上自衛隊に続き海上自衛隊でも」
などと批判している。
2023年5月に海自練習艦隊司令部(広島県呉市)の司令官と海自幹部候補生学校の卒業生らが研修の休憩時間に参拝したというのだが、どこが問題なのか。
弊紙は首相をはじめ、靖国神社に参拝しないほうがおかしいと主張しているのだが。

誤解招く行動避けるべきだ 海自靖国参拝で木原防衛相
2024/2/22 11:50
https://www.sankei.com/article/20240222-HDRUCED3YRLZZFILJPZ4ERG4RE/
木原稔防衛相は2024年2月22日の閣議後記者会見で、海上自衛隊の幹部らが2023年5月に東京都千代田区の靖国神社を集団で参拝していたことについて
「誤解を招く行動は避けなければならない」
「私的参拝だったと聞いており、詳細は確認中だ」
と述べた。
木原氏は、海自練習艦隊司令部(広島県呉市)の司令官と海自幹部候補生学校の卒業生らが2023年5月17日に東京・九段下周辺の史跡で研修し、休憩時間に参拝したと説明。
「隊員個々の自由意思により、玉串料は私費で支払った」
と説明した。

海自隊員ら靖国集団参拝 幕僚長「私的」問題視せず
2024/2/20 18:53
https://www.sankei.com/article/20240220-OLDZRETIXJJ7RFS2VZC2TAV5LE/
海上自衛隊練習艦隊司令部(広島県呉市)の司令官らが遠洋練習航海を前にした研修期間中の2023年5月、制服を着用し東京都千代田区の靖国神社を集団で参拝していたことが2024年2月20日、防衛省への取材で分かった。
海自トップの酒井良海上幕僚長は2024年2月20日の記者会見で
「研修の合間の時間に、個人の自由意思で私的に参拝した」
「問題視しておらず、調査する方針はない」
と述べた。
防衛省によると、海自の研修は2023年5月17日、165人が参加し、東京・九段下周辺で実施した。
酒井氏の説明では、司令官の今野泰樹海将補を含む多くが参拝した。
玉串料はまとめて納めたとしている。
2024年1月9日には陸上幕僚副長らが靖国神社に集団参拝し、公用車の使用が不適切だったとして計9人が処分された経緯がある。

防衛省、弊害通達廃止の前例
阿比留瑠比の極言御免
2024/2/1 1:00
https://www.sankei.com/article/20240201-5Q5WLJGVF5OJFDUZJGLD3ZXBEM/
陸上自衛隊幹部らが集団で靖国神社に参拝したことが、部隊としての宗教施設参拝などを禁じた1974(昭和49)年の事務次官通達に抵触するかどうかを調べていた防衛省は、通達違反ではなかったとの結論を出した。
そもそも内閣法制局でもない防衛省が、
「信教の自由」
を定める憲法20条の解釈に踏み込むような通達を出す方が異例だろう。
木原稔防衛相が2024年1月30日の記者会見で、通達改正に言及したのも当然だと言える。
「およそ50年前に策定された非常に古いもので、それ以降、信教の自由や政教分離についての判例もいくつか出ている」
「そういった積み重ねも踏まえ、必要に応じて改正を行うべきだ」
この件に関しては、小沢慶太記者が2024年1月27日の本紙政治面で
「自由意思による参拝をも萎縮させるような通達はむしろ廃止すべきではないか」
と書いていた。
また、2024年1月31日の正論では岩田清文元陸上幕僚長が靖国に参拝する自衛官の思いについて、
「共通して、いざという時は身をもって国防の責任を果たすとの強い思いが根底にある」
と指摘する他、こんな自身の心情も吐露していた。
「我々自衛官と同じ
『国のために命を懸ける』
との志を持たれていた先人が祀られる靖国に、自分の死後もありたいと思っていた」
こうした
「思想・良心の自由」(憲法19条)
に基づく慣習的行為すら、安易に制限を加えようとする発想の方がよほど危険である。
それでも朝日新聞は2024年1月30日の社説
「陸自靖国参拝 組織性は否定できない」
で、こう書いていた。
「旧軍との『断絶』をどう考えているのか。疑問を持たざるをえない」
「航空安全祈願がなぜ靖国神社でなければいけないのかも、よくわからない」
「戦後、平和憲法の下で再出発した自衛隊に、歴史への反省を疑わせるような振る舞いがあってはならない」
朝日新聞の理屈で言えば、戦後に連合国軍総司令部(GHQ)に新憲法を貰って再出発した日本は、戦前の日本とは
「断絶」
しているのだから、朝日新聞が好んで追及する戦争責任も問えないことにはならないか。
なぜ靖国かが本当に分からないなら、岩田氏に取材してみたら如何か。
■猛反発の「言論統制」
ともあれ、小沢記者の通達廃止の提言に付言すれば、防衛省の事務次官通達の中には11年前の2013年に廃止になったものもある。
2010(平成22)年11月の民主党の菅直人政権時、防衛省が出した自衛隊行事での民間人による民主党政権批判を封じる通達がそれである。
航空自衛隊の航空祭で、自衛隊を支援する民間団体の会長が
「まだ自民党の内閣の方がまともだった」
「一刻も早く菅直人政権をぶっ潰して、自民党政権に戻しましょう」
と挨拶したことが
「極めて不適切だ」
として、参加を控えさせることも含めた政治的発言制限の通達を出したのだった。
これには当然、自衛隊やOB組織、そして自民党など野党から
「言論統制だ」
と猛反発が起きた。
翌2011(平成23)年2月に6野党が通達撤回要求で一致したのを受けて、菅直人政権側は翌2011(平成23)年3月に各部隊に行事での民間人挨拶の内容を提出させるよう求めていた文書課長連絡を廃止した。
そして政権交代して安倍晋三内閣となっていた2013(平成25)年2月、通達は廃止された。
前例はあるのだから、木原氏には自衛隊を差別するかのような古びた通達については、改正であれ廃止であれ速やかに実行に移してもらいたい。

<正論>自衛官の靖国参拝の意味と思い 元陸上幕僚長・岩田清文
2024/1/31 8:00
https://www.sankei.com/article/20240131-FHPQHDOPFFJLVIBZ2ABXACDT4U/?809072
■国のため命懸けた先人の志
現役当時から、個人的には、もしいざという時が訪れ最後の時が来たならば、靖国神社に祀ってほしいとの願いを持っていた。
靖国神社には、戊辰戦争に始まり日清・日露戦争、そして大東亜戦争に至るまで、
「祖国日本を護る」
との一念の下、尊い生命を捧げられた246万6000余の柱が祀られている。
我々自衛官と同じ
「国のために命を懸ける」
との志を持たれていた先人が祀られる靖国に、自分の死後もありたいと思っていたからである。
台湾有事・日本有事の危機感が高まる中、自己の死生観に磨きをかけている自衛官諸氏も多いことであろう。
その中には、いざという時は靖国に祀ってもらいたいという、私と同様の気持ちを持つ自衛官もいるものと思う。
2022年12月に閣議決定した安全保障関連3文書でも有事に関する強い危機感が示され、戦争を抑止するための具体化が進んでいる。
その中で自衛官が戦死した場合の様々な処遇等を検討すると共に、慰霊の在り方についても静かに議論を深めていくべきだろう。
現状、防衛省では人的基盤強化の抜本的な検討が進んでいるようであるが、報道のような
「丸刈りの廃止」
という小手先の処置だけでは抜本的改革とは言えない。
特別職の国家公務員という位置付けではなく、いざという時は国のため命を懸けることを誓った存在であることを念頭に置いた、真に
「抜本的」
な検討が必要である。
そもそも自衛官の戦死に関わる具体的な検討が疎かになっていること自体が、我が国が未だに戦後レジームからの脱却が図られていないことの証左かもしれない。
安倍晋三首相(当時)はその戦後レジームから脱却する具体的取り組みの1つとして、2015(平成27)年8月15日の前日、14日に戦後70年の談話を閣議決定した。
そこには
「尊い犠牲の上に、現在の平和がある」
「これが、戦後日本の原点」
「2度と戦争の惨禍を繰り返してはならない」
「先の大戦への深い悔悟の念と共に、我が国は、そう誓いました」
「自由で民主的な国を創り上げ、法の支配を重んじ、ひたすら不戦の誓いを堅持」
と述べた上で、
「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子供たちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」
「しかし、それでも尚、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません」
と強調している。
特に
「70年間に及ぶ平和国家としての歩みに、私たちは、静かな誇りを抱きながら、この不動の方針を、これからも貫いてまいります」
と述べたことは重要だ。
■慰霊まで他国に配慮する呪縛
我々日本人は、いつまで靖国での慰霊を他国に配慮し続けるのか。
戦後80年を目前に、これまでの平和を大事にする日本の歩み、そして日本の生き様に自信と誇りを持ち、主権国家として堂々と生きていくべきではないのか。
主権とは、対外的には国家の独立性を保持し、外国からの干渉を排除する権利と理解する。
であるならば、神社への参拝という日本人としてごく自然の風習を守り続ける独立性、そしてその行為に対する外国からの干渉を排除して初めて我が国は主権国家と言えよう。
■日本人としてごく自然のこと
靖国神社は
「祖国を守るという公務に起因して亡くなられた方々の神霊」
を祀る場であり、そこには、日本人として戦い、亡くなった台湾や朝鮮半島出身者、そして大東亜戦争終結時に、東京裁判でいわゆる戦争犯罪人として処刑された方々なども含まれている。
身分や勲功の区別なく、国のために戦った1点において共通していれば、一律平等に祀られる点こそ、死後、その魂は永遠にこの世に留まり、国や地域などの場所で守り神となるという、悠久の昔から伝わる日本人の伝統的信仰に基づくものと私は理解している。
この靖国神社に赴き、戦没者を追悼して日本の安寧を祈禱することは、日本人が長年に渡り培ってきた社会的儀礼であり習俗的行為である。
私は、陸上幕僚長に就任するその日の早朝、個人的に靖国神社に参拝し、靖国の神霊に、陸上防衛の責任者としての決意と同時に、願わくばご加護を賜ることを祈願した。
その3年後、離任当日の早朝、改めて参拝し、陸上幕僚長の職を解かれたことと、併せて37年間の防人としての任を終えることを報告し、感謝の意をお伝えした。
日本人としてごく自然のことであり、参拝後は、純粋に清々しい気持ちを持つことができた。
今、現役自衛官の靖国参拝に関する報道があるが、参拝した自衛官たちは、2023年4月に宮古島海域において殉職した同僚たちを思いながら航空安全を祈願するとの、純粋な気持ちで参拝したものと信じる。
靖国に参拝する自衛官の思いには、個人ごとに様々な意味があると思う。
しかし共通して、いざという時は身をもって国防の責任を果たすとの強い思いが根底にあることは言うまでもない。

木原稔防衛相「必要に応じて改正すべき」 部隊参拝禁じた通達見直しに言及
2024/1/30 11:59
https://www.sankei.com/article/20240130-4K2XNROE5ROQNL6AHWG57MVVZ4/
木原稔防衛相は2024年1月30日の記者会見で、陸上自衛隊幹部らが公用車を使って集団で靖国神社を参拝したことを巡り、宗教施設の部隊参拝などを禁じた1974(昭和49)年の事務次官通達について
「内容を不断に検討し、必要に応じて改正を行うべきだと考えている」
との認識を示した。
木原氏は通達について
「50年前のものであり、それ以降、信教の自由や政教分離原則に関する最高裁の判例もいくつか出ている」
と改正の必要性に言及した。
陸自幹部らの靖国参拝について、防衛省は通達違反の可能性があるとして調査したが、憲法で認められる私的参拝と結論付けた。
一方、幹部ら3人が公用車を利用したことは適切ではないとして計9人を処分した。

(社説)陸自靖国参拝 組織性は否定できない
2024年1月30日 5時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S15851129.html?iref=pc_rensai_long_16_article
同じ部署に所属する幹部らが、示しあわせて集団で参拝した。
しかも、確認されただけで、過去5年の恒例行事だったとみられる。
各人の自由意思に基づく
「私的参拝」
だというが、組織性は否定できない。
旧軍との
「断絶」
をどう考えているのか。
疑問を持たざるをえない。
陸上自衛隊の小林弘樹陸上幕僚副長(陸将)らの今月(2024年1月)初旬の靖国神社参拝を、宗教的活動に関する事務次官通達に抵触する疑いがあるとして調べていた防衛省が、違反はなかったと発表した。
憲法は
「信教の自由」
を保障する一方、宗教上の行為を強制されないことや、国による宗教的活動の禁止を定めている。
これを受け、防衛省は事務次官通達などで、部隊としての参拝や隊員への参加の強制を禁じているが、今回の事例はいずれにも当たらないと結論づけた。
調査によれば、小林氏を委員長とする陸自の航空事故調査委員会の関係者41人に、航空安全祈願のための靖国参拝の案内があり、うち22人が参加した。
全員が自由意思で応じ、私的参拝との認識から、休暇をとり、玉串料も私費で払ったという。
参拝が自発的で、私的参拝の外形を整えていたとしても、
「実施計画」
をつくったうえ、トップを含む大勢のメンバーが一斉に行動している。
これを部隊としての活動ではないというのは、苦しい説明ではないか。
そもそも、航空安全祈願がなぜ靖国神社でなければいけないのかも、よくわからない。
防衛省は通達違反を否定したうえで、小林副長ら3人が移動に公用車を使ったことについては、その必要はなく
「不適切」
だったと認め、訓戒とした。
公用車の使用自体、公務の延長上と受け止められても仕方ないというのに、正面からの検討を避けたと言うほかない。
もちろん、自衛隊員が一国民として、神社仏閣に参拝することに、何ら問題はない。
しかし、自衛隊の幹部が集団を率いて靖国神社に参拝するとなると話は別だ。
靖国神社は戦前、旧陸海軍が共同で管理した。
戦没者を
「英霊」
としてまつり、国家主義や軍国主義の精神的支柱となった。
東京裁判で戦争責任を問われたA級戦犯14人が合祀されてもいる。
それゆえ、政治指導者など公的な立場にある者の参拝は、過去を正当化するものと受け止めざるをえない。
戦後、平和憲法の下で再出発した自衛隊に、歴史への反省を疑わせるような振る舞いがあってはならない。

靖国参拝に公用車利用の陸自幹部処分、信教の自由萎縮させる通達廃止を
2024/1/26 20:27
https://www.sankei.com/article/20240126-D3QMV5DP5RISHC6N2N47ESDVRA/
靖国神社を参拝する際に公用車を利用したとして陸上自衛隊の幹部が処分された。
防衛省の内部調査によって同省が定める公用車の利用基準に照らし、適切ではないと見做されたためだ。
一方で、参拝は
「私的な行為」
で、同省事務次官通達が禁止する部隊参拝には当たらないと判断した。
より規律が重んじられる自衛隊にあって、違反が認められた場合に厳正な処分を下すことは当然だ。
ただ、今回の処分はあくまで公用車利用に関する違反が認められたものであって、自衛隊員による靖国神社参拝の是非とは別の議論である。
今回の参拝を巡っては、極東国際軍事裁判(東京裁判)のいわゆるA級戦犯が合祀されている靖国神社である点を殊更に強調し、批判する向きがある。
憲法20条は、信教の自由を保障している。
自衛隊員といえども一国民として神社仏閣などを自由に参拝する権利がある。
個人であろうが集団であろうが、私的に靖国神社を参拝することに何ら問題はない。
むしろ国を守る自衛隊員が、過去に国を守るため尊い命を捧げた戦没者の追悼施設を訪れることは自然な行為ではないか。
1974(昭和49)年に出された事務次官通達は、隊員個人の信教の自由を尊重すると共に、自衛隊が組織として宗教的活動に関わっていると疑念を抱かれないよう、宗教施設への部隊参拝や隊員への参加の強制を厳に慎むよう定めている。
ただ、2024年と同様の靖国参拝は過去にも行われていたとみられ、全国の部隊が靖国以外の宗教施設を集団で参拝している例もあるという。
通達は半世紀前に出されたものであり、既に形骸化しているとの指摘がある。
防衛省は、参拝に際して公用車の利用や玉串料の公費支出の禁止を通達に追記することを検討するが、今回の事案で明らかなように、私的か公的かの線引きは難しい。
もちろん隊員への参拝の強制はあってはならないが、自由意思による参拝をも萎縮させるような通達はむしろ廃止すべきではないか。

靖国私的参拝に公用車利用で陸幕副長ら9人処分 防衛省
2024/1/26 20:03
https://www.sankei.com/article/20240126-4RUWJQT6KZK7ZOPDLNGUTAOJLY/
防衛省は2024年1月26日、東京都千代田区の靖国神社を私的に参拝した際に公用車を利用したとして陸上自衛隊の小林弘樹陸上幕僚副長(陸将)ら9人を処分したと発表した。
小林氏ら3人を訓戒、監督不十分で森下泰臣陸幕長(同)ら4人を注意、公用車利用などの報告を受けた2人を口頭注意とした。
同省によると、小林氏ら陸自航空事故調査委員会の関係者22人は2024年1月9日午後、全員が時間休を取得して靖国神社を参拝した。
参拝は新年の安全祈願が目的で、実施計画を事前に作成して行われた。
小林氏ら3人が公用車を利用していた。
陸自は、能登半島地震の災害派遣対応に備えるため公用車を利用したと説明。
同省は参拝時に小林氏が緊急に参集しなければならない蓋然性は低かったなどとして
「適切でなかった」
と指摘した。
一方、実施計画に基づく参拝であることなどを踏まえ、宗教施設の部隊参拝などを禁じた事務次官通達に違反する可能性があるとして調査したが、私的参拝と結論付け、通達違反は認めなかった。

主張
靖国神社 陸自幹部の参拝は当然だ
2024/1/16 5:00
https://www.sankei.com/article/20240116-3R3N5OQ3KNJYVACCSLHO4MGNUQ/
陸上自衛隊の幹部が靖国神社を参拝したことを、在京の中国大使館や一部のメディアなどが批判している。
防衛省は宗教の礼拝所を部隊で参拝することなどを禁じた昭和49年の事務次官通達に反していないか調査中だ。
いずれも日本の戦没者(英霊)追悼を蔑ろにするもので容認できない。
陸自幹部の靖国神社参拝は公的、私的を問わず何の問題もなく、むしろ推奨されるべき話である。
処分を強行するなら言語道断で、歴代防衛相を含め防衛省自衛隊の幹部が定期的に参拝していない現状の方がおかしい。
小林弘樹陸上幕僚副長(陸将)ら数十人が2024年1月9日、靖国神社を参拝した。
小林副長は時間休を取得していた。
2023年4月に陸自ヘリコプターが沖縄県・宮古島周辺で墜落した事故の調査委員会メンバーが安全祈願をするのが主な目的だった。
公用車を利用したり、参拝が行政文書に記載されたりした点を難じ、次官通達にも反したという指摘がある。
敗戦で解体された陸軍と、陸自が別組織である点や、極東国際軍事裁判(東京裁判)のいわゆるA級戦犯が合祀されている点を理由にした批判もある。
だが、能登半島地震で陸自は動員中で、事態に応じて直ちに陸幕に戻れるよう公用車を使用するのは当たり前だ。
そもそも安倍晋三、小泉純一郎両元首相ら歴代首相の靖国神社参拝は公用車を利用したではないか。
国会は昭和28年、「戦犯」赦免を全会一致で決議し、政府はA級を含め刑死した受刑者の遺族にも年金を支給してきた。
靖国神社の問題は日本の立場を取るべきで、中国などの内政干渉に迎合してはならない。
靖国神社や護国神社は近代日本の戦没者追悼の中心施設で、他の宗教の礼拝所と同一視する次官通達は異常だ。
戦没者追悼や顕彰を妨げる50年も前の時代遅れの通達は改めるべきだ。
日本を守るため尊い命を捧げた戦没者にとって靖国神社に祀られることは自明だった。
だからこそ、占領期も含め戦後長く、昭和天皇のご親拝や首相、閣僚の参拝が続いた。
国内左派の批判や外国の内政干渉に怯え、首相や閣僚の参拝が近年減ったのは残念だ。
日本の礼節を取り戻すためにも、岸田文雄首相、木原稔防衛相は率先して参拝してもらいたい。

陸自幹部らの靖国参拝巡り「時代遅れの通達こそ見直すべき」自民・山田宏氏
2024/1/12 17:24
https://www.sankei.com/article/20240112-476JJVJLXRFNFGPNIY4UQ6AJUU/
陸上自衛隊幹部や隊員ら数十人が2024年1月9日に東京・九段北の靖国神社を参拝したことを巡り、防衛省が調査に乗り出すなど波紋が広がっている。
宗教施設の部隊参拝や隊員への参拝の強制を禁じた事務次官通達に違反する可能性があるためだ。
幹部らは時間休を取得し、私費で玉串料を収めたが、参拝の実施計画が作成され、一部の公用車使用から部隊参拝に該当するなどと指摘されている。
こうした指摘に対し、自民党の山田宏参院議員は半世紀前の昭和49年に出された通達の見直しを訴える。

国のために尊い命を捧げられた英霊を、自衛官が参拝するのは当たり前だ。
50年前の時代遅れの通達を見直さず、放っておいたことが問題だ。
もちろん参拝の強制はあってはならない。
ただ、隊員が自由意思に基づいて皆で参拝することは、現通達からも問題ないと考える。
世界の常識だ。
2023年4月には陸自ヘリコプターが沖縄県の宮古島周辺で墜落し、隊員10人が死亡した事故が起きた。
今回、靖国で安全を祈願した陸自幹部や隊員は事故を調べた航空事故調査委員会のメンバーだ。
痛ましい事故を2度と起こさせまいと皆で祈願して何が悪いのか。
国のために尽くした英霊に安全を祈願するのは、英霊への慰霊でもある。
陸自幹部の集団参拝は日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」や毎日新聞がスクープとして報じたが、自衛官の靖国参拝を問題視する国民は少ないのではないか。
防衛省は釈明に追われているようだが、萎縮しないかを危惧する。
こんなことで有事の際に自衛隊は戦えるのか。
50年前に比べ、日本の周りは軍事的な脅威ばかりだ。
現在の日本の安全保障環境に合わせて、自衛官の靖国参拝のあり方も他国の軍隊の在り方と同様に国際標準にすべきだろう。

陸幕副長ら集団で靖国参拝 規律違反の可能性、防衛省が調査
2024/1/11 20:49
https://www.sankei.com/article/20240111-FWG5A6IQU5LY7M52SN7CJRRMZQ/
防衛省は2024年1月11日、陸上自衛隊の小林弘樹陸上幕僚副長(陸将)が2024年1月9日に公用車を使い、東京都千代田区の靖国神社を参拝していたと明らかにした。
小林氏が委員長を務める陸自航空事故調査委員会の関係者数十人と集団で参拝した。
同省は宗教施設の部隊参拝などを禁じた事務次官通達に違反する可能性があるとして、調査を始めた。
同省によると、小林氏らは2024年1月9日午後に時間休を取得して靖国神社を参拝した。
参拝は新年の安全祈願が目的で、同委員会としての実施計画に基づき行われた。
小林氏以外の一部参加者も公用車を利用していた。
同省は、公用車の利用や実施計画による参拝であることを踏まえ
「外形的には事務次官通達に違反する可能性がある」
「規律違反が認められる場合は厳正に対処する」
としている。
陸自は、参拝は
「私的な行為」
で、公用車の使用に関しては
「能登半島地震の災害派遣中であり、速やかに職務に戻るための備えだった」
と説明している。
事務次官通達は昭和49年に出され、宗教上の礼拝所への部隊参拝や隊員に参加を強制することは厳に慎むべきと定めている。
平成27年6月に陸自化学学校が精神教育として隊員に靖国神社を参拝させたことが通達違反に当たるとして関係者が処分された例がある。

陸幕副長、公用車で靖国 「災害派遣に備え」と説明
2024/1/11 11:32
https://www.sankei.com/article/20240111-MGX4N4BB4FMDLGJUX7BHJD757I/
陸上自衛隊の小林弘樹陸上幕僚副長(陸将)が2024年1月9日午後に公用車を使い、東京都千代田区の靖国神社を参拝していたことが2024年1月11日、陸自への取材で分かった。
小林氏は時間休を取得し、新宿区の市谷にある防衛省との間を公用車で往復。
現地で合流した複数の陸自幹部と共に参拝した。
陸自は、小林氏が参拝したのは勤務時間外で
「私的な行為」
と説明。
公用車の使用に関しては
「能登半島地震の災害派遣中であり、速やかに職務に戻るための備えだった」
と説明している。
小林氏は2024年1月9日午前、防衛省に出勤。
午後に時間休を取った間に公用車で靖国神社を訪れた。
参拝は新年の安全祈願が目的だった。
他の陸自幹部らも勤務時間中ではなかったという。

中国大使館、陸自幹部の靖国参拝に「歴史冒とく」と反発
2024/1/15 19:43
https://www.sankei.com/article/20240115-QT3446AZYRKSPCS7SYP7M5ODEI/
在日中国大使館は2024年1月15日までに、陸上自衛隊幹部による靖国神社参拝について
「歴史の正義を公然と冒瀆し、被害国の民衆の感情を深く傷つけた」
として
「断固反対する」
との報道官の談話をサイトに掲載した。
談話は、日本に対し
「侵略の歴史を直視し、軍国主義と徹底的に決別」
することを求めた。
2024年1月13日に中国語で掲載され、日本語版はない。

<正論>名誉回復を求めた日本の戦後史 
麗澤大学特任教授・江崎道朗
2025/7/1 8:00
https://www.sankei.com/article/20250701-O5DPH6MMK5NCNNHTHJTXA6VWSE/
「戦後日本は侵略戦争への反省から始まった」
という通説は果たして妥当だろうか。
昭和27(1952)年4月28日、サンフランシスコ講和条約の発効により日本は独立国家としての地位を回復した。
しかし、同条約第11条により極東国際軍事裁判(東京裁判)などで
「戦争犯罪人」
とされた者たちの釈放には連合国側の同意が必要とされた。
そのため
「戦犯」
受刑者として日本国内外の刑務所に1224名もの日本人及び戦時中は日本国籍を有していた朝鮮人・台湾人は引き続き拘禁されたままであった。
■「戦犯」釈放を求める決議
この現実を知った日本国民は強く反発した。
独立を果たしたにもかかわらず、なぜ同胞たちは釈放されないのか。
こうした疑問が昭和27年7月から全国規模で展開された
「戦争受刑者の助命、減刑、内地送還嘆願」
署名運動へと繋がった。
署名数は4000万人に及ぶとも伝えられている。
こうした世論を受けて吉田茂自由党政権は同昭和27年11月10日、明仁親王(現上皇陛下)の立太子礼を機に国内外に抑留される全戦犯の赦免・減刑を関係各国に要請した。
さらに衆議院では自由党、改進党(重光葵総裁)、左右両派社会党、無所属俱楽部の共同提案による
「戦争犯罪による受刑者の釈放等に関する決議」
が、同昭和27年12月9日に圧倒的多数で可決された(労農党のみ反対)。
この国会決議が、いわゆる東京裁判史観に対する明確な異議申し立てであったことは、田子一民議員(自由党)の趣旨説明によって明らかである。
「およそ戦争犯罪の処罰につきましては、極東国際軍事裁判所インド代表パール判事によりまして有力な反対がなされ、また東京裁判の弁護人全員の名におきましてマッカーサー元帥に対し提出いたしました覚書を見ますれば、裁判は不公正である、その裁判は証拠に基かない、有罪は容疑の余地があるという以上には立証されなかったとあります」
■戦没者遺族をめぐり
また、日本社会党の古屋貞雄議員も次のように述べた。
「戦勝国におきましても戦争に対する犯罪責任があるはずであります」
「しかるに、敗戦国にのみ戦争犯罪の責任を追及するということは、正義の立場から考えましても、基本人権尊重の立場から考えましても、公平な観点から考えましても、私は断じて承服できないところであります」
しかし連合国側は
「戦犯」
釈放に直ちに同意せず、釈放の見通しも立たないまま昭和28年に入ると、困窮を極める
「戦犯」
遺族への援助問題が浮上した。
戦没者遺族は国から弔慰金を受給できたが、
「戦犯」
は犯罪者扱いを受けていたため、その遺族は弔慰金の支給対象とならなかった。
この状況を憂慮し、
「戦犯」
受刑者遺族に対しても他の戦没者遺族と同等の弔慰金等を支給すべきではないか、そのためにも
「戦犯」
として処刑された者を
「公務死(公務上の事由によって死亡)」
と認定すべきではないかとの議論が起こった。
■社会党議員も「戦犯」合祀主張
同昭和28年7月21日、衆議院厚生委員会において改進党の山下春江議員が
「戦犯で処刑されました方々を公務死にいたしたいというのは、大体国会における全部の意見のように考えるのでありますが(中略)外務省はどういうお考えをお持ちになりますか」
と質問した。
これに対して翌昭和28年7月22日、広瀬節男外務省参事官は次のように答弁した。
「被処刑者の遺族の援護は、社会保障的見地から見ましてももっともなことだと思いますし、国際関係上から見ましても支障ないものと認めまして、外務省としては何らこれに異議はございません」
「こういうことを省議決定いたしましたことを御報告申し上げます」
このように当時の日本政府・外務省は
「戦犯」
として処刑された方々を戦死者と同じ
「公務で亡くなった人」
と認定し、その遺族を援護することは国際関係上も問題ないと省議決定した。
社会党もこの決定に賛成した。堤ツルヨ議員は同昭和28年7月9日の衆議院厚生委員会で次のように訴えた。
「処刑されないで判決を受けて服役中の留守家族は、留守家族の対象になって保護されておるのに、早く殺されたがために、獄死をされたがために、国家の補償を留守家族が受けられない」
「しかもその英霊は靖国神社の中にさえも入れてもらえないというようなことを今日遺族は非常に嘆いておられます」
このように社会党議員でさえも
「戦犯」
として処刑された者を公務死と認定し、靖国神社に合祀すべきであると主張したのである。
国際社会に復帰した日本が最初に行ったのは、与野党一致による
「戦犯」
釈放要求と
「戦犯」
受刑者遺族への弔慰金支給という形での東京裁判への異議申し立てであった。
終戦80年を迎える今、この厳然たる歴史的事実を改めて直視したいものである。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/820.html#c15

[政治・選挙・NHK297] 憲法や安全保障と並んで、「格差社会」という政治的テーマがあるのに 二極化・格差社会の真相(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
13. 秘密のアッコちゃん[1817] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年8月15日 12:43:46 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[1255]
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<主張>日航機事故40年 安全への誓いを継承せよ 悪質なフェイクを放置するな
社説
2025/8/11 5:00
https://www.sankei.com/article/20250811-D52YH7C4ONNRBGU3WBBXIITAZU/
■虚構の妄言は許し難い
デマやフェイクニュースの横行やSNSによる拡散も新たな社会問題と言える。
日航機事故を巡っては
「自衛隊が誤射した」
「証拠隠滅のため火炎放射器で証拠を焼却した」
などとする書籍が複数刊行され、全国学校図書館協議会による選定図書に指定された本まである。
これを真に受けた情報がネット空間などで広まり、事故現場の登山道には
「自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
と記された
「慰霊碑」
の設置も確認されている。
これらは、酷暑下で過酷な救出活動に従事した自衛隊員への冒瀆であり、遺族や関係者の気持ちを逆なでする、許し難い虚構である。
多くの人の目がある中であり得ない言説だが、陰謀説が広まるスピードは速い。
この問題は国会でも取り上げられ、中谷元防衛相が
「自衛隊の関与は断じてない」
と否定したが、一部の人は聞く耳を持たない。
事故機は事故の7年前1978年に尻もち事故を起こした。
この際に製造元のボーイング社が機体後部の圧力隔壁の修理をミスし、隔壁の強度不足を招いた。
それが事故原因であり、同社も修理ミスを認めた。
悪意の虚構は静かな慰霊にも、事故の再発防止にも、何の役にも立たない。
当事者である日航や自衛隊、捜索と捜査にあたった群馬県警や運輸安全委員会は、それぞれ具体的な
「ファクト」
を明示してデマを一掃してほしい。

<独自>日航機墜落事故40年 米ボーイング、修理ミスの理由説明「設置困難で部品切断」
2025/8/6 22:00
https://www.sankei.com/article/20250806-N5T7PWWI3JNLNMARNOECQE4U3Q/
2025年8月12日で発生から40年になる日航機墜落事故を巡り、米ボーイング社は産経新聞の取材に応じ、事故原因とされる接合板(スプライス・プレート)を2枚使用した機体の修理ミスが起きた理由について
「設置することが構造上困難だったため」
と明らかにした。
当時の旧運輸省航空事故調査委員会の調査や、警察の捜査では担当者への聞き取りができず、2枚のプレートを使用した修理ミスが起きた理由は判明していなかった。
1985年8月に発生し、乗客乗員520人が犠牲になった単独機として世界最悪の航空機事故は、原因の更なる究明に向け一歩踏み出した。
墜落した機体はボーイング747型機。墜落事故の7年前1978年、別の事故で機体後部を損傷し、ボーイングが修理した。
機内の気圧を保つドーム状の部品
「後部圧力隔壁」
について、修理チームは下半分を新品に取り換え上半分と接合した。
このとき、接合部にあてるプレートが指示書では1枚だったのに対し、2枚に切断されたものが使用された。
隔壁はプレートを挟む形で鋲留めされたが、本来の仕様より強度が7割に落ち込み、最終的に墜落事故に繋がったと事故調の報告書で結論付けている。
だが、2枚のプレートを使用した理由は長く判明していなかった。
ボーイングは取材に
「プレートを所定の位置に設置するのが難しく、2つに切り分けて設置しやすくした」
と説明した。
ボーイングは昨年2024年9月、日航機墜落事故に関するページを公開し、この内容を示していた。
米連邦航空局(FAA)も、公式サイトで
「隣接する構造物との複合的な湾曲のため設置が困難だった」
と記載している。
当時、事故調の調査官として圧力隔壁を調べた斉藤孝一さん(80)は
「事故後の40年間で初めて出てきた情報で、大変驚いている」
「整備員たちが安全のために知るべき非常に重要な情報だ」
と述べた。
ボーイングは取材に際し、
「ご遺族の皆様に心よりの哀悼の意とお詫びを申し上げます」
と改めて謝罪した。
遺族らで作る「8・12連絡会」は
「修理ミスについて、1つ1つ事実が分かっていくことによって、その背景を明らかにしていくことができるはずなので、更に詳しく情報をオープンにしていってほしい」
とコメントした。

日航機墜落に5つの陰謀説 「自衛隊と隊員への冒瀆だ」当時捜索のOBが反論
2025/5/1 8:36
https://www.sankei.com/article/20250501-EWVJEC535BOPPNUXV2G4MZCO2M/
昭和60年の日本航空機墜落事故に自衛隊が関与したという
「陰謀説」
が流布されていることに、当時事故現場で生存者捜索にあたった自衛隊OBらは
「自衛隊と隊員への冒瀆だ」
と憤っている。
2025年4月16日には参院議員会館で開かれた
「JAL123便事故究明の会」
によるシンポジウムで、書籍などで指摘される陰謀説のうち5つの点に反論した。
同会は昨年2024年8月に設立。
会長を務める岡部俊哉元陸上幕僚長は事故当時、陸上自衛隊第1空挺団の小隊長として生存者の救助、ヘリポートの造成などの指揮を執った。
陰謀説@「海上自衛隊護衛艦の訓練中のミサイルが123便に衝突」
自衛隊の関与を指摘する書籍は墜落原因について、当時巡航ミサイルの実験中だった護衛艦「まつゆき」が相模湾(神奈川県沖)で123便の垂直尾翼周辺に異変を生じさせたとする。
だが、まつゆきの就役は事故翌年の昭和61年3月。当時は石川島播磨重工業(現IHI)が所有する船舶だった。
元海上自衛隊海将補の林祐氏は
「(海自の)乗組員も『艤装員』として乗り込んでいたが、石川島播磨の船長が指揮を執り、スタッフが運航していた」
と述べ、自衛隊が主導できる状況ではなかったと説明した。
123便は事故発生当時高度7・3キロに達した。
林氏は当時の対空ミサイルなどが
「そう飛翔するものでない」
と述べ、まつゆきに搭載された発射ランチャーについて
「発射することはできない」
「コントロールシステムが異なる」
と指摘した。
陰謀説A「航空自衛隊のF4戦闘機2機が123便を追尾」
墜落直前の123便を空自F4戦闘機2機が追尾していたとの目撃証言を基に、最終的にF4がミサイルで墜落させた─とするものだ。
追尾などの動きは公式記録にない。
また、F4パイロットとして当時現場に出動した渡辺修三氏はミサイルなど装備品管理は徹底されているとし、
「帰投してミサイル1本なかったら一大事だ」
と述べた。
陰謀説B「墜落現場の特定を遅らせた」
渡辺氏は、地上で上空の戦闘機パイロットと連携する要撃管制官からの誘導で日航機がレーダーから消えた午後6時56分過ぎに墜落現場とみられる場所にF4で向かい、1・5〜2キロに渡る帯状の炎を確認したと証言する。
ただ、正確な墜落地点は把握できなかった。
渡辺氏は操縦士に対し最も炎が強い所を中心に旋回してもらったが正確な位置をつかむのは難しかったという。
陰謀説C「証拠隠滅のため火炎放射器で現場を焼却」
墜落現場では消防団員らが
「ガソリンとタールの混ざったような臭い」
と感じたという証言がある。
これを基に
「証拠隠滅」
のために自衛隊員が火炎放射器(携帯放射器)で遺体やミサイルの痕跡を焼却したと流布されている。
当時陸自第13普通科連隊(長野県松本市)に所属し救出作戦に参加した小川清史元西部方面総監は
「火炎放射器を取り出す手続きは幾重で容易ではない」
「注入する燃料を保管するのは業務隊で指揮系統が異なりより一層手続きに時間と書類が必要となる」
と反論する。
また携帯放射器の燃料であるゲル化剤を大量のドラム缶で入手して一晩で搬入、焼却、撤収するのは不可能だと指摘する。
そもそも燃料にタールは使われないという。
陰謀説D「海自出身の機長の遺体・制服を自衛隊が隠蔽」
書籍では事故を巡って123便の機長が海自出身であることから
「ミサイルを誤射した」
とされる海自の訓練との関係が示唆されている。
自衛隊員が事故現場で機長の遺体を真っ先に発見、目印のため棒で突き刺しヘリコプターの移動中不都合なものを取り除くため制服などを外した─というものだ。
これに対し岡部氏は
「現地は多くの数の人が作業していた」
「機長の制服を身に着けた遺体が発見されれば(現地にいた)マスコミの写真に写っている」
「空想で言われた話としかいいようがない」
と語った。

<正論>「御巣鷹」に見る情報戦への脆弱さ 
麗澤大学特別教授 元空将・織田邦男
2025/4/1 8:00
https://www.sankei.com/article/20250401-766VLI7YBZOPRPRZLLAXQK5VBU/
地上レーダーは低高度が見えないので墜落地点は特定できない。
最初に炎を発見した米軍C130輸送機、空自F4戦闘機からの位置情報はTACAN(戦術航法装置)の情報である(GPSは未装備)。
TACANには固有の誤差がある。
更に当該機と現場の距離が誤差となって加わる。
横田TACAN局から割り出せば位置情報に4km前後の誤差が生じることはやむを得ない。
航空では僅かな誤差だが陸上行動では大きな障害となる。
特に山岳地帯では4km違えば隣の尾根になってしまう。
山岳の道なき道の移動は4kmでも数時間かかる。
夜間で暗視装置のない(当時)ヘリの山岳投入は危険なので中止した。
地上部隊の投入場所の決定が遅れ結果的に現場到着が遅れた。
この遅れが
「何かがあるはず」
と臆測を呼び連鎖して物語の創作に繫がったのだろう。

<主張>日航機事故40年 安全への誓いを継承せよ 悪質なフェイクを放置するな
社説
2025/8/11 5:00
https://www.sankei.com/article/20250811-D52YH7C4ONNRBGU3WBBXIITAZU/
乗客乗員520人が犠牲になった日航ジャンボ機墜落事故から、40年となる。
何年歳月を重ねても
「8月12日」
が、慰霊と空の安全、交通の安全を祈願する日であることは変わりない。
群馬・御巣鷹の尾根の墜落現場に近い
「慰霊の園」
は、2025年8月12日に営まれる追悼慰霊式を前にマリーゴールドの花で彩られた。
花々は、地元上野村の村立上野小の児童が事故の翌年1986年から、遺族を慰め、記憶を継承する目的で育て続けているものだ。
慰霊登山には日航機事故の遺族、関係者だけではなく信楽高原鉄道事故やJR福知山線脱線事故の遺族らも参加している。
広く交通機関の安全を誓い、決意を新たにするためである。
昭和60年8月12日、羽田発大阪行き日航123便ボーイング747が墜落した。
墜落現場は凄惨を極め、乗客乗員524人のうち、生存者は僅かに4人だけだった。
日航の鳥取三津子社長は事故当時、東亜国内航空(後に日航と経営統合)に入社したばかりだった。
これは、現在の社員の大多数が事故後の入社であることを意味する。
大事故の反省や安全への誓いは、しっかりと継承されているか。
事故機の残骸などは、東京・羽田の日本航空安全啓発センターに展示されており、日航グループの全社員に研修のための見学を義務づけている。
日航機は昨年2024年1月、羽田空港で海上保安庁機と衝突、炎上したが、乗務員らの冷静な誘導で乗客の死者を出さず、内外から称賛された。
一方で同年2024年5月には福岡空港で、日航機が誘導路の停止線を大幅に越えた。
同月2024年5月には羽田空港で日航機同士の主翼先端が接触する事故も起き、国土交通省が鳥取社長を厳重注意し、再発防止策の提出を求めた。
僅かなミスが大事故を誘発する反省を片時も忘れてはならない。
事故報道に実名必要だ
40年の間に、社会の在り様も変化している。
事故当時、本紙を含む新聞各紙は524人の犠牲者と生存者全員の実名を報じた。
テレビ、ラジオの各局はアナウンサーが全員の実名を読み上げ続けた。
それが最も重要な報道だった。
実名がなければ誰が事故機に搭乗していたのか分からない。全員の実名がなければ、乗っていなかったことの証明にはならない。
一人一人の実名は、彼ら彼女らが生きた証しであり、事故の悲惨、悲劇を伝え、後世に残す原点である。
その思いは今も変わらない。
だが事故、事件の被害者らについて、発表の匿名化が進んでいる。
原因の一端とされるのはメディアスクラム(集団的過熱取材)による二次被害に対する根強い批判である。
これについてはメディア側が大いに反省すべきであり、代表取材の活用などで取材される側への配慮を進めている。
何より匿名化によって共有すべき感情が希薄になることを恐れる。
■虚構の妄言は許し難い
デマやフェイクニュースの横行やSNSによる拡散も新たな社会問題と言える。
日航機事故を巡っては
「自衛隊が誤射した」
「証拠隠滅のため火炎放射器で証拠を焼却した」
などとする書籍が複数刊行され、全国学校図書館協議会による選定図書に指定された本まである。
これを真に受けた情報がネット空間などで広まり、事故現場の登山道には
「自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
と記された
「慰霊碑」
の設置も確認されている。
これらは、酷暑下で過酷な救出活動に従事した自衛隊員への冒瀆であり、遺族や関係者の気持ちを逆なでする、許し難い虚構である。
多くの人の目がある中であり得ない言説だが、陰謀説が広まるスピードは速い。
この問題は国会でも取り上げられ、中谷元防衛相が
「自衛隊の関与は断じてない」
と否定したが、一部の人は聞く耳を持たない。
事故機は事故の7年前1978年に尻もち事故を起こした。
この際に製造元のボーイング社が機体後部の圧力隔壁の修理をミスし、隔壁の強度不足を招いた。
それが事故原因であり、同社も修理ミスを認めた。
悪意の虚構は静かな慰霊にも、事故の再発防止にも、何の役にも立たない。
当事者である日航や自衛隊、捜索と捜査にあたった群馬県警や運輸安全委員会は、それぞれ具体的な
「ファクト」
を明示してデマを一掃してほしい。

日航機墜落40年 「空の安全」は遺族の願い 取り組みに終わりなく、「三現主義」支えに
2025/8/11 11:00
https://www.sankei.com/article/20250811-VKE6LFYW7RPRHHE55BHUH5KKQI/
40年前の1985年夏、御巣鷹の尾根(群馬県上野村)に日航機が墜落し、520人が亡くなった。
日航は事故から21年目に
「安全啓発センター」
を開設。
事故当時を知らない社員がほとんどとなる中で、墜落現場の
「現地」
に行き、残存機などの
「現物」
を見て、事故に関わった人
「現人」
の話を聞くという
「三現主義」
を安全の取り組みの支えにする。
2度と惨事を繰り返さないための模索が続けられている。
■衝撃と無念語る遺品
《恐い 恐い 恐い 助けて 気もちも悪い 死にたくない》
制御を失った機体は、30秒間に1500メートルもの速度で急降下。
123便に搭乗していた客室乗務員の女性=当時(26)=は、日航機の時刻表の余白に走り書きを残していた。
羽田空港近くの日本航空安全啓発センター(東京都大田区)。
回収された遺留品、墜落時刻で止まったままの腕時計、激しく破損した座席といった展示品の数々は、事故の衝撃と無念を目に見える形で伝えている。
フロアの一角には、垂直尾翼の残骸が静かに横たわっていた。
その多くは他の事故と同様、廃棄される予定だったものだ。
遺族らは早くから残骸の保存・公開を求めたが、日航は消極姿勢を示し続けていた。
■意識の緩み契機に
だが、事故から20年が経過する頃、日航社内では安全意識の緩みがみられるようになった。
管制指示違反・誤認など安全に関わるトラブルが相次ぎ、平成17年3月遂に
「事業改善命令」
を受けた。
外部有識者による委員会
「安全アドバイザリーグループ」
が発足し、同年2005年末、安全文化醸成に向けた提言をまとめた。
この中で日航に対し、業務にあたる専門性を冷静に保ちつつ、利用者やその家族の視点を失わない
「2・5人称の視点」
を要求。
また、
「現場と実物は重要な教科書だ」
として、残存機体の展示公開を求めた。
こうして平成18年4月、センターは開設された。
企業や学校の安全教育の場として予約は絶えず、今年2025年6月末までの訪問者数は33万人以上を数える。
■安全確保「道半ば」
遺族らで作る8・12連絡会の事務局長、美谷島邦子さん(78)は
「昨年2024年初めて、
『遺族が活動してくれたおかげで、センターができた』
と日航が伝えてくれた」
と感慨深げに語る。
日航は美谷島さんを当時を知る
「現人」
として、社員研修の講演に招くようになった。
昨年2024年1月、東京・羽田空港の滑走路上で発生した海保機との衝突事故では、日航機側の乗員乗客379人は、訓練を重ねた乗員の避難誘導により死者はなかった。
日航では
「123便の乗員の思いが、受け継がれている」
と受け止める。
様々な産みの苦しみを味わった安全作りだが、終わりはない。
機長の飲酒問題、空港内での接触事故など、今尚空の安全を揺るがす事案が続く。
鳥取三津子社長(60)は昨年2024年4月の就任以来、国などへのお詫び行脚を重ねた。
今年2025年4月28日、御巣鷹の尾根の開山前日、鳥取氏は現地の上野村を訪ねた。
遺族と言葉を交わし
「遺族にとっては39年も41年も同じ」
「意識を変えることはあってはならない」
と感じたという。
それでも
「節目というものはある」
「気を引き締めて安全運航に努めたい」
と誓いを新たにした。
■人的ミス軽減へ自動化推進を
元航空事故調査委員会の調査官、NPO法人「航空・鉄道安全推進機構」事務局長の斉藤孝一さん(80)の談話は以下の通り。

墜落事故の原因となった米ボーイング社による圧力隔壁の修理ミスがなぜ起きたか、追究が今後の安全の追求には不可欠だ。
当時の航空事故調査委員会はボーイングの担当者に話が聞けず、委員長は報告書を
「70点」
と自己採点した。
ボーイングは社内調査を行っているはずで、安全のために公表すべきだ。
航空機の安全性はこの40年で向上し、コスト面でもより身近な交通手段となり、世界的に航空需要は増加した。
しかし、パイロットだけでなく、航空管制官や、グランドハンドリング(地上支援作業)といった安全を担う人材は、高齢化によるベテランの退職や若手の獲得競争で不足している。
人のミスに起因する事故や危険は近年も相次いで起きている。
現在、人工知能(AI)を含めて操縦などの作業の自動化の技術は我々の現役時代よりも、格段に進歩した。
ヒューマンエラーの軽減に向け、自動化を進められるところは進めるべきだろう。

日航機墜落現場、木に伸ばした手が遺体の一部をつかむ…自衛隊、災害派遣時の心理ケアに力
2025/8/11 9:00
https://www.sankei.com/article/20250811-USNSDF2RIBNQ5NMJOC7ZNFBN6I/
昭和60年8月12日に起きた日航機墜落事故で、陸上自衛隊などは当初の捜索救助に約1000人を投入したとされる。
搭乗者524人のうち生存者は僅か4人。
壮絶な現場で遺体収容に当たった岡部俊哉元陸将(66)は
「思わず息を呑む悲惨な状況だった」
と振り返る。
災害派遣などに対し、自衛隊は現在、専門人材を置いて隊員の心理ケアに力を入れる。
■戦場の様相、自信失う
群馬県上野村の御巣鷹の尾根に部隊が到着したのは事故から一夜明けた昭和60年8月13日午前。
降り立つと、足の踏み場がないほど散乱した機体の残骸に、ちぎれた手や足が紛れている。
急斜面を登ろうと、目の前にあった木を掴んだ手が、木にかかっていた血で真っ赤に染まった。
内臓のようなものが飛び散る岩、散らばる黒焦げの遺体、五体が揃った遺体は1つもない。
子供の大きさの手と、テーマパーク帰りなのか、綺麗に残ったぬいぐるみを見て残酷な現実に胸が引き裂かれそうになった。
当時26歳。いつか投入されるかもしれない戦場の様相と重なり、
「職業を間違えた」
と思った。
仲間や部下がボロボロになって死んでいくのを見ても冷静に指揮を取る自信が持てなかった。
毛布に遺体をくるむ作業には徐々に慣れ、遺体の匂いや焦げ臭さが漂う中で仮眠を取り、約48時間作業を続けた。
だが、異変に気付いたのは任務を終えて2、3日後。
肉を食べようとすると吐き気を催し、暗闇に異様な恐怖を感じるようになった。
自宅で電灯を全てつけても眠れず、ウイスキーをあおってまどろんでいると、窓の外に人の列が見えてくるように感じた。
ヘリコプターに載せた百数十人の犠牲者の幻だった。
■「有事対応」は整備途上
上空から落下傘で敵地へ乗り込む過酷な空挺作戦を主任務とし、
「精鋭無比」
の異名を持つ第1空挺団。
同様の症状を訴える部下もいたが、
「俺は大丈夫だ」
と虚勢を張り、我慢し続けた。
症状は1カ月ほどで消えた。
「急性ストレス障害」(ASD)
の症状と知ったのは随分後だ。
岡部元陸将は
「1人で悶々と苦しんでいた」
「相談するのはプライドが許さなかった」
と振り返る。
自衛隊は平成13年頃から隊員の精神ケア態勢を整備し、司令部ごとに専門隊員を配置。
平成23年の東日本大震災などの災害派遣で捜索部隊は日々の任務終了後、互いに辛さを吐露し、心的負荷を緩和する
「解除ミーティング」
を開いて対応した。
陸自は
「災害派遣の整備は進んだが、戦闘時のストレス緩和など有事対応は未経験のため整備途上にある」
としている。

日航機墜落から12日で40年 遺族ら「御巣鷹の尾根」に慰霊登山 史上最悪の航空機事故
2025/8/11 7:00
https://www.sankei.com/article/20250811-W2QBUL74ZJOADGKA5IQZSL46AY/
単独の航空機事故としては史上最悪の520人が亡くなった日航ジャンボ機墜落事故から2025年8月12日で40年を迎える。
遺族らは墜落現場となった群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
に慰霊登山するほか、村内の慰霊施設で執り行われる追悼慰霊式に参列する。また、2025年8月11日夕には麓を流れる神流(かんな)川で灯籠流しが行われる。
2025年8月12日は慰霊登山に遺族の他、多くの関係者らが訪れるため、混乱を避けて別の日に事故現場を訪れる遺族も多いとみられる。
事故は昭和60年8月12日に発生。
乗客乗員524人が乗った羽田発大阪行きの日本航空123便ボーイング747が約32分間の上下蛇行の末、午後6時56分に墜落した。
歌手の坂本九さん=当時(43)=をはじめ520人が犠牲となった一方、機体後方にいた8〜34歳(当時)の女性4人が救助された。
運輸省航空事故調査委員会(当時)は、機体後部の圧力隔壁が破壊され、漏れ出した客室内の大量の空気が垂直尾翼や油圧系統を破壊し、操縦不能となったことが事故原因とした。

当時20代30代の自衛官「我ら危険を顧みず、事に臨んだ」生存者救出期した日航墜落事故
2025/8/10 11:00
https://www.sankei.com/article/20250810-NYESTVT3WVBXRGMDO453MP3MV4/
昭和60年の日航123便墜落事故の発生から2025年8月12日で40年となる。
生存者捜索に当たった自衛隊OBらで作る
「JAL123便事故究明の会」
が2025年7月28日に開いた院内シンポジウム。
事故を巡っては、相模湾(神奈川県沖)で試運転中の海上自衛隊護衛艦「まつゆき」が誤射したという言説が流布される中、まつゆきは当時東京湾で係留中だったと証言され、
「陰謀説」
の根幹が崩れつつある。
520人が犠牲になった事故に対し、当時20、30代の自衛官らは危険を顧みず、任務遂行に務めた実態が改めて浮かび上がった。
■「職業、間違えたな」
「凄惨かつ大量のご遺体に接触した」
「シートベルトで、上半身と下半身が別々になっている遺体が非常に多い」
「下半身だけの真っ赤なペディキュアの足の爪が見えたが、上半身がない」
「モミジのような子供の手がビニール袋に入って…」
「辛かった」
岡部俊哉元陸上幕僚長は時折顔を歪め、遺体収容時を振り返った。
当時26歳。陸上自衛隊第1空挺団の小隊長として、事故翌日から3日間、生存者の救助、ヘリポート造成などの指揮に当たった。
損壊した遺体に比べ、ディズニーランドのお土産とみられる人形などは傷も汚れもない状態で地面に転がっていた。
岡部氏は
「職業、間違えたな」
「自衛官、務まらないな」
「戦場は、こういう様相だろうな」
と心境を振り返ったが、不思議と凄惨な現場に慣れていったともいう。
現場上空にはマスコミなど数多くのヘリコプターが飛んでいた。
陸自のヘリポートは岩場に設営しており、岡部氏は
「当たるとクラッシュする状況の中、見事、プロとしてやってくれた」
と無事故で活動を終えた陸自ヘリの操縦士をねぎらった。
■雷雲の下にオレンジの炎
陰謀説を巡っては、墜落する直前の123便をF4戦闘機が追尾し、搭載したバルカン砲で123便のエンジンを撃った可能性が言及されている。
実際、航空自衛隊が123便の墜落位置を確認するため、F4戦闘機2機を派遣したのは墜落直後だ。
F4は複座型の2人乗り。それぞれ後席に乗り込んだ元空自操縦士の渡辺修三、南尚志両氏も登壇し、
「バルカン砲は撃っていない」
と否定した。
当時、日は没し、雷雲の中を飛行したというが、現場は確認できない。
尾根と接触する危険もある中、徐々に降下していくとオレンジ色の明かりを確認。
暗闇の中、辺り一面、炎が上がっていた。
現場の位置を測定し、2機は帰投した。
南氏が乗った機体には異変が生じていた。
窓ガラスに雷雲が近づくと生じやすい
「セントエルモの火」
と呼ばれる放電現象が発生。
南氏は
「ガラスが放電で白く飛んでいる」
「前席は非常に気持ちが悪い、と。『南さん、操縦してくれ』と」
「私が操縦して帰った」
と振り返った。
空自機の墜落事故の原因に多い、機体の姿勢を錯覚し
「空間識失調」
に陥りかねない状況だった。
■獣道なき山中を切り開く
事故直後、事故派遣隊員だった小川清史元西部方面総監は陸路で墜落現場に向かった。
獣道もない山中、40度ほどの急斜面を手で草を持ちながらよじ登るなどして、現場までの経路を開拓した。
岩場ではケガした者も複数いたという。
陰謀説では自衛隊員が隠密行動し、墜落現場に先回りし証拠隠滅のため火炎放射器で機体の残骸などを焼き払ったとする。
小川氏は
「火炎放射器を持てと言われたら(到着は)翌日になると思う」
「そういう命令をもらっても『なぜ現場に必要なのか。バカ言うな』と跳ね付けたと思う」
と語った。
■自衛隊犯人、耐えられない仕打ち
事故現場への登山道には現在、犠牲者の名前と共に
「自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
と記された
「慰霊碑」
が設置されている。
関係者によれば、遺族によって令和5年8月に建立されたものだという。
岡部氏は昨年2024年、事故現場に入った報道カメラマンと現地を訪れ、慰霊碑を前に2人で立ち尽くしたという。
岡部氏は
「これがいわゆる陰謀説の浸透している姿だ」
「慰霊の思いで登っている人に対し、自衛隊が犯人だよ、と刷り込む」
「遺族が出したと思うが…自衛隊で活動した人間として耐えられない仕打ちだ」
と語った。

日航機墜落事故・自衛隊関与説の著者「科学的証拠で論証している」
2025/8/9 13:00
https://www.sankei.com/article/20250809-SJHD7QCJPZOKDOMRAYSRFFM3IQ/
2025年8月12日に発生から40年となる日本航空機123便墜落事故の原因について、自衛隊の関与の可能性を主張している元日航客室乗務員でノンフィクション作家、青山透子氏が産経新聞の取材に応じた。
青山氏には事故を題材にした著書が複数ある。
産経ニュースが2025年5月1日に青山氏の主張に反論する自衛隊OBらによるシンポジウムなどを報じた際、青山氏は後日取材に応じる意向を示していた。
《青山氏の著書は、123便が相模湾(神奈川県沖)上空中、垂直尾翼がミサイルによって誤射された可能性を指摘する》
《当時、同湾で護衛艦「まつゆき」がミサイルの実験中だったとして関与を示唆する》
ーーまつゆきが墜落に関与したのか
分からない。
あくまでも仮説の1つだ。
乗客が機内から外を撮影した風景写真に丸い点のようなものが写り込んでいた。
分析すれば、オレンジ色の飛翔体であることが判明した。
ミサイルか標的機か、糸の切れたタコみたいにぶつかったのではないか。
墜落直前に子供たちが『赤い飛行物体』を見たと証言している。
ーーまつゆきは事故当時、石川島播磨重工業(現IHI)の所有船舶で、民間人も乗り込んでいたが
(民間人も含めて)口封じは生半可なものではなかったようだ。

《著書は123便が異変を生じた直後、F4戦闘機2機が即座に追尾し、午後6時56分の墜落を確認したとする》
《自衛隊の公式発表では、2機のF4が茨城県の航空自衛隊百里基地から飛び立った時間は123便の墜落直後だ》
ーー墜落直前にF4が追尾したという公式記録はない
記録と目撃証言は別だ。
私が発掘した昭和60年10月号の『上毛警友』(群馬県警本部発行)には、陸上自衛隊第12偵察隊(群馬県榛東村・相馬原)の一等陸曹、M・K氏の手記として
『午後6時40分頃、実家(吾妻郡東村₌現・東吾妻町)の上空を航空自衛隊のファントム(₌F4)2機が低空飛行していった』
と記されている。
遺族の情報開示裁判でも証拠採用された。
子供の証言も過去の飛行機事故をめぐる裁判で採用されている。
昭和60年9月30日発行の同県上野村立上野小学校の事故に関する文集には
『大きい飛行機と小さいジェット飛行機2機』
を目撃したと書いている。
こういう子は中学校にも何人もいた。
当時の校長に平成26年6月にインタビューしたが、F4と思われるものが飛行する音を聞いていた。
追尾の記録が存在しないから『ない』ということにはならない。
ーー著書は墜落直前に123便の機長が、追尾する2機のF4と連絡を取り合った可能性を指摘している
空自が開示しないと分からないと、著書に書いている。
ーーシンポジウムではF4と民間機が直接交信できないと主張されている
ウソだ。
ならば、民間航空機に領空侵犯された場合、自衛隊機はどう呼びかけるのか。
昭和58年の大韓航空機撃墜事件でソ連軍が民間機と交信した記録もある。
それを傍受したのは自衛隊だ。
シンポに参加した自衛隊OBに知識がなく、不都合な所がカットされて主張されている。

《著書は、墜落現場で「ガソリンとタールの混ざったような臭い」と感じたという消防団員の証言を紹介》
《「証拠隠滅」のために自衛隊員が火炎放射器で乗客の遺体やミサイルの痕跡を焼却した可能性を主張する》
機体の残骸も大学で調べた。
ベンゼンや硫黄、クロロフォルムまで入っていた。
これらは火炎放射器の燃料に含まれる。
科学的思考からすれば、湿度70%超の夏の山に放り出された遺体が完全に炭化するわけがない。
カバンやぬいぐるみはそのままの形で残ったが遺体には2度焼きした痕跡も確認された。
他の航空機事故の遺体も調べたが、空に面した方は焦げていても、地面に面した方は生焼きだった。
ーー自衛隊OBは、火炎放射器を取り出す手続きは簡単ではないと話している
一方的な意見だ。
それをチェックする人はいない。
群馬県警察医も『ジェット燃料であんなにも炭化するのかね』と言っている。
当時、燃料を作る作業は最低1時間で使用可能だという論文もあった。

《著書は、自衛隊員は事故現場で機長の遺体を真っ先に発見し、目印のため棒で突き刺し、ヘリコプターの移動中、不都合なものを取り除くため制服などを外したと示唆する》
ーー事故当時、現場指揮に当たった岡部俊哉元陸上幕僚長は
「現地は多くの数の人が作業していた」
「機長の制服を身に着けた遺体が発見されれば、マスコミの写真に写っている」
と話す
真っ赤なウソだ。
遺体収容を巡っては、陸自ヘリコプターによる輸送中、機長の制服を剥ぎ取った可能性は否定できないと書いている。
マスコミや警察がいたという『現地』とは別だ。
ーー機長の遺体は事故から半月後の昭和60年8月29日に発見された
当局の発表で新聞はそう書く。
ただ、独自に入手した群馬県の検視資料には機長の遺体は昭和60年8月14日に収容されたと記されていた。
更に、看護師は追悼文集に『14日に機長の遺体を検視した』と書いていた。看護師本人にも話を聞いたが、看護師は当時から報道内容に疑問を持っていたが緘口令が敷かれていた。
新聞報道は誰かに何かを配慮したとしか思えない。

《著書では事故直後、自衛隊のヘリが山頂でサーチライトを照らしながら、何かを上げたり下げたり、作業していたという上野村の子供たちの目撃証言を挙げて、事故直後に事故現場に入った自衛隊員について「人命よりも優先させた何かがあったのならば」と推測している》
ーー大型のサーチライトは配備されていなかったようだ
それは彼らの言い分でしょう。
昭和60年12月に自衛隊内で公式発表された事故原因を疑問視する人たちがグループを結成し、私もインタビューしている。
事故当日の午後6時40分に出動が発令されたが、エンジンを切らされ、結局、朝まで待たされていた。
彼らは出動ができなかったことに憤りを感じている。
ーーシンポを主催した「JAL123便事故究明の会」と対話する考えは
応じない。
知識に差がある。
教授に対して小学生が対等に話せるわけがない。
自衛隊内部の人はトップクラスも含めて私にメールをくれる。
岡部氏のような意見は恣意的なので聞く必要はない。
ーー自民党の佐藤正久参院議員(当時)は青山氏の著書が「全国学校図書館協議会選定図書」に選ばれていたことを国会で問題視した
私がこれだけのものを書いているのは科学的証拠に基づいてきちんと論証しているからだ。
選定図書に相応しくないと言われたことで、本当だったら佐藤氏を訴えたいところだ。
ーー乗客の遺族が日航に事故機のボイスレコーダー(操縦室音声記録装置)などのデータの開示を求めた訴訟で最高裁は上告を棄却した。
和解したから聞かせる必要ないという不当判決だった。
しかし、文字で公表されているボイスレコーダーには、機長の発言も含め事故発生直後の3分12秒の空白がある。
更に遺族は、平成25年になって事故調が公表した相模湾上空で垂直尾翼に外から11トンの力が加わり破壊されたことや、機体残骸が海底に沈められたまま放置されていることへの再調査の必要性も訴えた」
「いずれにしろ全てボイスレコーダーを出せば、岡部氏の主張も佐藤氏の主張も私たちの主張もクリアになる」
■自衛隊関与説は「全くのデマ」 「JAL123便事故究明の会」会長の岡部俊哉元陸幕長
事故当時、現場で生存者捜索に当たった自衛隊OBらで作る
「JAL123便事故究明の会」
会長の岡部俊哉元陸上幕僚長は、陸自第1空挺団の小隊長として生存者の救助、ヘリポートの造成などの指揮を執った。
岡部氏が2025年7月28日に国会内で開かれた同会シンポジウムで語った内容は以下の通り。

ーー123便の墜落直後、自衛隊が秘密裏に現場に駆け付け、火炎放射器で遺体を含めて証拠隠滅したと指摘されることについて
放射器は全体で31キロの重さ。
棒状に火炎を放射するもので、面を焼き払うには大量の燃料を要する。
証拠隠滅するための面積は『3・3ヘクタール』と書かれているが、燃料はドラム缶にして16、17缶必要だ。
資器材を秘密裏に準備し、搬入、焼却、撤収は不可能だ。
ーー機長の遺体発見は昭和60年8月29日ではなく「14日」との説や、自衛隊員が目印のため棒で突き刺した上、ヘリコプターの移動中に制服などを外したという指摘がある
全くのデマ。
遺体は警察の検証が終わった後に我々に上がってくる。
制服を着た機長がいれば分かる。
自衛隊の部隊、マスコミ、消防、物凄い数の人がいた。
密室でやることはあり得ない。ヘリの中も(遺体が)びっちりで足の踏み場もない状態だった。
ーー会を立ち上げたのは
子供たちが読む図書館の選定図書に、デタラメな本がノンフィクションとして選定されていると知ったからだ。
自衛隊を取り巻く安全保障環境が厳しい中にあって、これでいいのか。
(放置したら)子供たちが誤った認識を持ってしまいかねないと危惧している」
■日本航空機墜落事故
昭和60年8月12日、羽田発伊丹行き日航機123便(ボーイング747型機)が群馬県上野村の「御巣鷹の尾根」と呼ばれる山に墜落し乗客乗員520人が犠牲になった単独機として世界最悪の航空機事故。
運輸省事故調査委員会は後部圧力隔壁の不適切な修理によって隔壁が破裂し、それが操縦系統の損壊を招いたと結論付けた。

国交省、日航機墜落事故でボーイングに隔壁修理ミスの背景を確認 米側の「新情報」判明で
2025/8/8 13:31
https://www.sankei.com/article/20250808-MFILGTX4YZK4RL3YOZAL2XBJXI/
1985年8月に発生した日航機墜落事故を巡り、中野洋昌国土交通相は2025年8月8日の閣議後会見で、原因となった後部圧力隔壁の修理ミスについて、米ボーイング社や米連邦航空局(FAA)に対し、背景を明らかにするよう確認を進めていることを明らかにした。
日本側にない情報を米側が把握していることが産経新聞の報道で判明したためで、長年の遺族の疑問の追究に国が動くことになった。
■事故調終了後は国交省が調査
中野氏は会見で
「航空局でボーイング社などの関係者に対し、事実関係の確認を行っている」
と述べた。
当時の旧運輸省航空事故調査委員会の調査とは別に、国交省が米側に事故原因を聞き取るのは初めて。
事故の原因調査は通常、事故調を前身とする国の運輸安全委員会の所管だが、調査が終了した事故については、航空安全を推進する立場で国交省が参考情報として調べる事例はあり、今回はこれに該当する。
墜落事故の原因を巡っては、圧力隔壁の修理に使うスプライス・プレート(接合板)と呼ばれる部品を本来1枚で使うところ、2枚にして使ったことで隔壁の強度が低下し、当日のフライトで破断、墜落に至ったことは分かっていた。
しかし、なぜ2枚にしたのかまでは判明していなかった。
■米国と日本、法制度の違いが障壁に
当時の事故調などの調査では、作業ミスをしたボーイングの担当者らに聴取できなかったためだ。
過失による航空事故では刑事責任を問わない米国と、日本との法制度の違いが障壁になったとされる。
1987年6月発表の事故調の報告書には、修理ミスの理由の記載はなく、当時の武田峻委員長は報告書を「70点」と自己評価していた。
しかしボーイングは昨年2024年9月、公式サイト内に航空安全関連のコーナーを設け、この中で日航機墜落事故に言及。
ミスの背景について
「構造上取り付けるのが難しかったため、2枚に切断した」
などと記載していた。
このコーナーは元々社員教育で使用されていたものだが、
「更なる航空安全の強化のため」
一般公開したという。
■「教訓風化させず、更なる安全を」
また、ボーイングは事故当時社内調査を行っており、結果は米連邦航空局(FAA)にも報告。
同様の記述はFAAのサイトでも公表されていた。
いずれも日本側の事故調査報告書にはない内容で、報道で判明した。
今後国交省ではボーイングやFAAに対し、これらの記述が何に基づいたものか、出典を含め、記述以上の背景を深堀りする考えだ。
中野氏は事故から40年が経過することを踏まえ、
「教訓の1つ1つを決して風化させることなく、更なる安全を築き上げるため、引き続き航空に携わる全ての関係者と一丸となって、安全確保に取り組んで参りたい」
と述べた。

日航機墜落事故
1985年8月12日夕、羽田発大阪行きの日航機123便(ボーイング747)は離陸12分後に、後部圧力隔壁が破断。客室の高圧空気が機体後部に噴出し、垂直尾翼や油圧系統を損傷、操縦不能になった。
機体は羽田への帰還を目指したが32分に渡り迷走し、群馬県上野村「御巣鷹の尾根」に墜落。
乗客乗員524人のうち520人が死亡した。
機体は7年前の1978年6月、後部を損傷する別の事故を起こし、ボーイングが修理。
ドーム状の圧力隔壁(アルミ合金製、直径4・56メートル、深さ1・39メートル)の壊れた下半分を新品に取り換えた。
この際、上下の繋ぎ目に当てるスプライス・プレートが、仕様通りの1枚でなく2枚に切断されたものが使われ、強度が本来の仕様より30%低下した。
このミスが見逃されたまま、機体はその後1万2000回以上フライトを重ね、隔壁は与圧による金属疲労が進行。
当日の破断に至ったと結論付けられている。

<独自>日航機墜落事故40年 米ボーイング、修理ミスの理由説明「設置困難で部品切断」
2025/8/6 22:00
https://www.sankei.com/article/20250806-N5T7PWWI3JNLNMARNOECQE4U3Q/
2025年8月12日で発生から40年になる日航機墜落事故を巡り、米ボーイング社は産経新聞の取材に応じ、事故原因とされる接合板(スプライス・プレート)を2枚使用した機体の修理ミスが起きた理由について
「設置することが構造上困難だったため」
と明らかにした。
当時の旧運輸省航空事故調査委員会の調査や、警察の捜査では担当者への聞き取りができず、2枚のプレートを使用した修理ミスが起きた理由は判明していなかった。
1985年8月に発生し、乗客乗員520人が犠牲になった単独機として世界最悪の航空機事故は、原因の更なる究明に向け一歩踏み出した。
墜落した機体はボーイング747型機。墜落事故の7年前1978年、別の事故で機体後部を損傷し、ボーイングが修理した。
機内の気圧を保つドーム状の部品
「後部圧力隔壁」
について、修理チームは下半分を新品に取り換え上半分と接合した。
このとき、接合部にあてるプレートが指示書では1枚だったのに対し、2枚に切断されたものが使用された。
隔壁はプレートを挟む形で鋲留めされたが、本来の仕様より強度が7割に落ち込み、最終的に墜落事故に繋がったと事故調の報告書で結論付けている。
だが、2枚のプレートを使用した理由は長く判明していなかった。
ボーイングは取材に
「プレートを所定の位置に設置するのが難しく、2つに切り分けて設置しやすくした」
と説明した。
ボーイングは昨年2024年9月、日航機墜落事故に関するページを公開し、この内容を示していた。
米連邦航空局(FAA)も、公式サイトで
「隣接する構造物との複合的な湾曲のため設置が困難だった」
と記載している。
当時、事故調の調査官として圧力隔壁を調べた斉藤孝一さん(80)は
「事故後の40年間で初めて出てきた情報で、大変驚いている」
「整備員たちが安全のために知るべき非常に重要な情報だ」
と述べた。
ボーイングは取材に際し、
「ご遺族の皆様に心よりの哀悼の意とお詫びを申し上げます」
と改めて謝罪した。
遺族らで作る「8・12連絡会」は
「修理ミスについて、1つ1つ事実が分かっていくことによって、その背景を明らかにしていくことができるはずなので、更に詳しく情報をオープンにしていってほしい」
とコメントした。

日航機墜落は自衛隊の陰謀!? デマはなぜ消えぬ
正論2025年7月号 ジャーナリスト 葛城奈海
乗客乗員520名という単独飛行機事故としては世界最多の死者を出した日本航空123便墜落事故から、2025年8月12日で40年となる。
当時を知らない世代も増える一方、僅か4名だった生存者の1人、当時12歳の川上慶子さんが自衛官に抱えられながらヘリに引き上げられていく映像をご記憶の方も少なくないだろう。
昭和60(1985)年8月12日午後6時12分、羽田空港を離陸した日航ジャンボ機123便は、大阪伊丹空港へ向かう途上、異常事態が発生、午後6時56分、群馬県上野村の
「御巣鷹山の尾根」
に墜落した。
事故原因について、運輸省の航空事故調査委員会(当時)は、昭和53年に起こした
「尻もち事故」
後の不適切な修理で機体後部の圧力壁が壊れ、垂直尾翼や操縦系統が破壊されたと推定。
メーカーのボーイング社は、修理ミスがあったことを認めている。
事故機の生存者捜索・救助、ご遺体の搬送には警察や消防、地元猟友会らと共に、自衛隊が力を尽くした。
にもかかわらず、あろうことかその自衛隊が日航機を墜落させ、その証拠隠滅のために現場を火炎放射器で焼いたという
「陰謀説」
がいつしか流布されるようになった。
事故当時、第1空挺団の小隊長としてヘリからのリベリング(懸垂降下)でいち早く現場に入り、事故対処に当たった元陸上幕僚長の岡部俊哉氏の話を聞いていた私は、凄惨な現場で黙々と任務に邁進した自衛官たちの尊厳が踏みにじられていることへの憤りと、予備自衛官としての他、様々な形で自身も関わって来た自衛隊が事実に反して貶められることを食い止めたいという思いにかられた。
「御巣鷹の尾根」
登山道に、陰謀説を真に受けたと思われる慰霊碑が遺族によって建立されたと知るに及び、同説を放置したら既成事実化しかねないとの危機感が募った。
■自衛隊OBらの反論
「自衛隊犯人説」
など余りに荒唐無稽で国民が信じるわけがないと当初は意に介していなかったOBたちも、危機感を抱き、反論を始めた。
産経新聞2025年4月1日付の「正論」欄で元空将の織田邦男氏が、事故当時、航空幕僚監部運用課員として事故発生から収束までの一部始終を、指揮中枢である空幕作戦室で目撃した立場から
「全くのデマだと断言できる」
とした。
元戦闘機パイロットである織田氏は、疑惑の発端となった自衛隊の
「現場到着の遅れ」
について、こう述べている。

【地上レーダーは低高度が見えないので墜落地点は特定できない。
最初に炎を発見した米軍C130輸送機、空自F4戦闘機からの位置情報は、TACAN(戦術航法装置)の情報である(GPSは未装備)。
TACANには、固有の誤差がある。
更に当該機と現場の距離が誤差となって加わる。
横田TACAN局から割り出せば位置情報に4km前後の誤差が生じることはやむを得ない。
航空では僅かな誤差だが、陸上行動では大きな障害となる。
特に山岳地帯では、4km違えば隣の尾根になってしまう。
山岳の道なき道の移動は4kmでも数時間かかる。
夜間で、暗視装置のない(当時)ヘリの山岳投入は危険なので中止した。
地上部隊の投入場所の決定が遅れ、結果的に現場到着が遅れた。
この遅れが
「何かがあるはず」
と臆測を呼び、連鎖して物語の創作に繫がったのだろう。】

私も狩猟その他で道なき道を進む困難さを度々味わってきた経験から、織田氏の特に山岳の道なき道の移動についての指摘は実体験として深く頷かざるを得ない。
2025年4月16日には、参議院議員会館1階講堂で
「JAL123便事故究明の会」
によるシンポジウムが開催された。
平日の16時からという時間帯にもかかわらず250名もの参加があり、壁沿いにずらりと補助席を並べてぎりぎり収容がかなうほどの盛況ぶりであった。
シンポジウムでは、まず基調講演として同会会長で元陸上幕僚長の岡部俊哉氏が、事故当時、第1空挺団の小隊長として現場で生存者捜索・救助、ヘリポート造成、遺体後送などの指揮を執った実体験を述べた。
岡部氏ら空挺団員は事故翌朝、現場にリベリング(ホバリングするヘリコプターから縄を垂らして降りる)で降着、生存者の捜索、救助に当たった。
生存者4名が消防団によって発見されたことを受け、ホイスト(縄を巻き上げること)によるヘリ収容を行った。
生存者は全員女性で、うち2人は母子であった。
収容はまず8歳の女児から毛布にくるんで行ったが、2番目に12歳の川上慶子さんを同様に包んでいた毛布をメディアの人間が剥いだという。
皮肉にも、その映像が世界を駆け巡ったが、一部メディアの倫理観の無さを表していると言えよう。
生存者のヘリ収容が完了すると、次に空挺団はヘリポートの造成に取り掛かった。
山の斜面に造成するため、作業は困難なものであった。
山側を切り崩した土を谷川に盛るという作業を夜を徹して行い、翌昭和60(1985)年8月14日にヘリポートが完成。
遺体の後送が開始された。
中にはシートベルトによって上下に分断されたご遺体をはじめ部分遺体が多数あったが、毛布でくるみ重ならないようにしてヘリの床に足の踏み場もないほど詰めて収容することを繰り返したという。
空挺団が撮影した5分ほどの映像も上映された。
まだ一部で煙の立ち上る現場にヘリからリぺリングで地上に降り立つ空挺団員たちの他、散乱する瓦礫、なぎ倒され、あるいは焼け焦げた木々や岩がちな急斜面、ボサ、消防団員などが映り込んでおり、現場の空気が鮮明に伝わってきた。
岡部氏はまた、任務終了から約1カ月、不眠、肉食不可、手にご遺体の感触が蘇る、窓の外にご遺体が並ぶ幻想を見るなど急性ストレス障害(ASD)に悩まされたことを告白している。
シンポジウム後段は、岡部氏を含めた関係者による以下の5つの陰謀説への反論であった。
@海上自衛隊護衛艦のミサイルが123便に衝突
A航空自衛隊のF4戦闘機が123便を追尾
B墜落現場の特定を遅延させた
C証拠隠滅のため火炎放射器で現場を焼却
D海自出身の機長の遺体・制服を自衛隊が隠滅
これに対し、登壇者がそれぞれ以下のように回答した。
@海上自衛隊護衛艦のミサイルが123便に衝突
「陰謀説」
では当時ミサイルの実験中だった護衛艦「まつゆき」が相模湾で短SAMシースパロー(艦対空ミサイル)の垂直発射試験を行っており、123便の垂直尾翼周辺に異変を生じさせたとするが、当時「まつゆき」はまだ自衛隊のものではなかった。
当時は、石川島播磨重工(現IHI)が所有し、船長もスタッフも同社員で「公試」(船舶の海上試運転)を行っていた。
元海上自衛隊海将補の林祐氏によると、海上自衛官も「艤装員」として乗り込んではいたが、自衛隊が主導できる状況ではなかった。
また、当日相模湾で行っていたのは運動能力試験であり、そもそも武器は未積載であった。
A航空自衛隊のF4戦闘機2機が123便を追尾
墜落直前の123便を空自F4戦闘機2機が追尾し、最終的にミサイルで撃墜したという
「陰謀説」
に対し、実際に事故当日F4戦闘機の後席に搭乗して現場上空を飛んだ渡辺修三氏は
「そもそも自衛隊の武器・装備品の管理は徹底している」
「ミサイルで撃墜はあり得ない」
また、当時の出動について
「ダイレクトスクランブル(事前情報なし)で上がった」
「西側に指向されたのでなぜだろうと思っていたら、123便がレーダーから消えた所へ行くと判明した」
「現場には当日薄い雲がかかっていたが、その中に橙色の場所があった」
「確認のために雲を突き抜けていくと、炎の帯が1.5km〜2kmに渡って続いていた」
と証言した。
B墜落現場の特定を遅延させた
前述の織田氏同様、渡辺氏もTACAN(戦術航法装置)の機械的誤差および人的誤差に触れた。
帯状に燃えていた中で、最も燃えている所に合わせようと努力し、百里、横田、入間の3カ所から位置を割り出すべく通報したが、結果的にずれていた。
夜間だったことが、定点の割り出しを一層困難にした。
また、第1空挺団に対し、
「事故当日の夕刻、災害派遣待機命令が出ており、ヘリもエンジンをかけて待機していたにもかかわらず、それが解除された」
に対し、岡部氏は、そもそもそんな命令は出ていなかった、当直の陸曹に対し、命令が出ていないことを確認して就寝した。
C証拠隠滅のため火炎放射器で現場を焼却
「ガソリンとタールの混ざった臭いが漂っていた」
「ご遺体が2度焼きしたように激しく炭化していた」
という証言を基に
「証拠隠滅のために自衛隊員が火炎放射器(自衛隊では「携帯放射器」と呼称)で現場を焼却した」
という説に対し、岡部氏は、
「携帯放射器はそもそも高圧洗浄機の噴射と同様に広い面積を対象とするのには不適であり、燃料のゲル化油を作るなど準備に長時間要する」
「そもそもタールは使わない」
と反論した。
また、
「昨年2024年の羽田空港での事故を思い起こせば分かる通り、航空燃料の火力は非常に強く飛行機でさえ焼き尽くしてしまう」
というファシリテーターの元日興職員、空花正人氏の言葉には、なるほどと思わされた。
更に、事故当時陸自第13普通科連隊(長野県松本市)の一員として最初に地上から現場入りした小川清史元西部方面総監は、
「道の無い山を地図判読し笹や木を手で掴みながら登って行った」
「そんな状況で、もしそこに携帯放射器があったらノズルが邪魔で(笹や木に引っかかって)とても進めなかったはず」
「武器庫内にある携帯放射器を取り出す手続きは非常に厳密」
「燃料は業務隊が持っているため指揮系統が違い、一層手続きが複雑になる」
とし、何重もの意味であり得ないことを語った。
D海自出身の機長の遺体・制服を自衛隊が隠滅
事故機の機長が海自出身だったことから、
「陰謀説」
では
「ミサイルを誤射した」
海自の訓練との関係が仄めかされている。
自衛官が現場で真っ先に機長を発見し、目印のために棒で突き刺し、ヘリ内で搬送中の遺体から制服を剝ぎ取ったとする説に対し、岡部氏は
「現場検証で警察によって番号が付けられ、自衛隊は勝手にできない」
「自分たちがヘリポートを運用していたから、後送したご遺体は全て見ている」
「マスコミもいる中で、あり得ない」
と反論した。
■「御巣鷹の尾根」の今
事故当時、捜索・救助等に当たった地元猟友会、消防団、警察、そして自衛隊などが道なき道を切り開きながら進んだ
「御巣鷹の尾根」
へは、現在ではすぐ近くまで車道が整備されている。
2025年4月末の冬季閉鎖解除を待って、2025年5月6日現場を訪ねた。
五月晴れの下、新緑から青葉へと変わりつつある若葉が輝く中、設置されていた
「熊よけの鐘」
を鳴らして入山。
スゲノ沢の水音を感じながら
「御巣鷹の尾根」
へと向かう。
参拝道を数十メートル進むごとに「水場」や小さな「山守地蔵」が目に入る。
斜面の急峻さを目の当たりにしながら、事故当時、道の無いこの場所に分け入った関係者らの苦労を想う。
しばらく進むといくつかのベンチが置かれた休憩スペースがあり、その先から斜面のあちこちにご遺族らが建てた墓標や石碑が点在する慰霊のエリアとなる。
それぞれを結ぶように小道や金属の階段が付けられているが、一筆書きで全てを回れるような道筋ではなく、いくつもの枝道に分かれており、全てを回るには相当な時間を要する。
その最も手前、つまり慰霊に訪れた人のほぼ全員が目にする位置に、件の慰霊碑はあった。
台座中央に置かれた石碑(写真1)には
「日航機墜落事故 真実の仮説」
として
「加害者 N総理・自衛隊幕僚長」
「事故原因(墜落) 自衛隊曳行標的機・衝突、N総理 撃墜殺害 指示、自衛隊 ミサイル撃墜・墜落」
などと記され(写真2)て、事故当日、搭乗前に撮影された高校生と中学生の兄妹の写真が並べられた下には
「*N総理・自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
との文言がある。
その左右には、事故機で共に旅していた2家族の犠牲者の名前が彫り込まれた石碑が並ぶ。
名前が彫られた石碑の裏を見ると建立は平成19年とあったが、中央の石碑がこの場所に確認されたのは昨年2024年だという。
よりによって、こんな
「最も目に付く位置」

「陰謀説」
が真実であるかのような石碑が、
「ご遺族によって」
建立されているという現実を目の当たりにし、私自身の衝撃が更に深まった。
先へと進み、いくつもの墓標や石碑の前を通りながら、尾根上に開けた
「昇魂之碑」
に到着。
壮絶な最期を迎えた520名の御霊の安からんことを祈った。
周囲一帯はとても美しく整備されており、水仙、馬酔木、標高の高さ故にまだ残っていた山桜、これからまさに咲かんとする石楠花など百花繚乱の様相を呈していたが、その中で白いヘルメット姿の若者5〜6名が手に箕などを持って活動していた。
聞けば、日航職員が休暇を使ってボランティアに来ているのだという。
「昇魂之碑」
の少し奥には、
「遭難者遺品埋没の場所」
や観音像などがあったが、特に印象的だった場所が3カ所ある。
まず、「祭壇」だ。
入口にたくさんの千羽鶴が下げられた木造の小屋のような建物内に置かれている。
祭壇や壁面には写真や千羽鶴が所狭しと並べられ、掲げられている。
犠牲者の1人、坂本九さんの
「上を向いて歩こう」
のレコードジャケットもあった。
線香を手向けお参りをさせて頂いた後に1つ1つ見ていくと、祭壇中央に目を引く額があった。
というのも、その額内に収められている布が赤いのだ。
そこに筆書きと思しき書体で
「故川上英治、川上和子同志へ」
「闘いのなかばで倒れた同志の遺志を受け継ぐことを誓って、霊にささぐ」
と日本共産党群馬県委員会委員長をはじめとする党員と思しき署名が寄せられていた(写真3)。
同志として名を連ねている故人は、救助された慶子さんのご両親だ。
「祭壇」
の中で、そこだけ異質な空気を醸し出していた。
2つ目は、
「沈黙の木」
と札が下げられていた場所だ。
当初、随分昔に大木が倒れた跡のように見え、だいぶ風化しているので何の事だろうと思いながらよく見ていくと、一部の断面や、しゃがんで覗いた下の方に炭化した部分が明確に残っていた。
40年の時を超え、事故による火災の残滓がそのまま存在している。
まさにここが
「現場」
であったことを実感した瞬間だった。
「沈黙の木」
を覗き込んでいると、
「御巣鷹の尾根管理人」
の黒沢完一氏が声を掛けて下さった。
同氏が指を指しながら説明してくれたところによると日航機は隣の尾根に接触(その部分の樹木が抉られたことからU字溝と呼ばれており、現在でもV字型に樹木の空際線が抉れている)、高天原山に上下が逆さになった状態で墜落した。
機体後部はスゲノ沢に滑落、そこから4名の生存者が救出されている。
3つ目は、更にその奥にあった
「X岩」
だ。
岩には実際に白く
「X」
と大書されている。
傍らに立つ石碑には
「日航機墜落事故対策の記録」
と題し、延べ5万5117人が135日間に渡って活動した群馬県警が
「第4現場」
と呼んでいたこのエリアで救援・捜査活動を行う際、基準とした場所であることなどが刻まれていた。
下山して次に17km離れた
「慰霊の園」
に向かった。
「御巣鷹の尾根」
に向かって合掌した姿の慰霊塔の奥には納骨堂があった。
最後まで身元確認が叶わなかった120以上のご遺骨が納められているという。
事故処理の支援を通じて事故の凄まじさ、ご遺族の悲しみを目の当たりにした上野村村民が、2度とこのような事故が起こらないように願い、永遠に霊を祀り慰めることが村民の責務だと考え、有志が土地を提供して建設されたという。
資料館で上映されていた事故当時の映像によって、事故現場の特定および生存者の捜索・救助に向かった地元猟友会が8名、消防団員が160名だったこと、身元不明遺体を役場の2階に仮安置したこと、事故の翌年1986年7月には慰霊のための登山道を整備し、1986年8月の1周忌には納骨が行われたことなどを知った。
いずれにも当時の黒澤丈夫村長の強いリーダーシップを感じた。
余談だが、黒澤村長は、元海軍の戦闘機乗りであった。
■自衛隊犯人説を既成事実化させるな
自衛隊犯人説が広がった背景に、元日航職員のノンフィクション作家、青山透子氏による著書の存在がある。
彼女の著書のうちの3冊(いずれも河出書房新社)が公益社団法人全国学校図書館協議会による
「選定図書」
に指定されていた。
「選定図書」
とは、図書館などに相応しいお勧めの本として複数の選定委員の推薦を受けた図書のことで、年間約7000点が選ばれている。
加えて、本年2025年1月に亡くなった経済アナリストの森永卓郎氏が著書やYouTube番組などで自衛隊の関与を指摘したことで、ここ1年ほどで同説が一気に広がった印象だ。
こうした本が図書館や書店に並べば、国を守る自衛隊という組織に対する印象が著しく貶められ、結果として、ただでさえ募集難に喘ぐ自衛隊へ追い打ちをかけることにもなりかねない。
何より看過できないのは、遺体や燃料などの臭気漂う凄惨な事故現場で、黙々と任務に邁進した自衛官たちの尊厳を踏みにじっていることだ。
陸上自衛隊OBでもある佐藤正久議員は2025年4月10日の参院外交防衛委員会で
「自衛隊員の名誉に関わる問題だ」
「多くの人命救助に当たった隊員に対する侮辱だ」
と問題視した。
これに対し、中谷元・防衛大臣は
「自衛隊が墜落に関与したことは断じてない」
「しっかり対応したい」
と語った。
周知の通り、中谷元・防衛大臣も陸自OBだ。
かつての同僚の名誉を守るためにも、また今まさに日々の任務や訓練に勤しむ現在の自衛隊員の士気を落とさないためにも、そして未来の自衛隊の誇りのためにも、この問題を軽視せず、防衛省を挙げて真摯に対応することを心から願う。
御巣鷹の尾根で、件の慰霊碑以外にも1つ気にかかる石碑があった。
登山口から歩き始めてほどなく
「すげの沢のささやき」
と標識の立つ場所があった。
事故当時、米国・国家運輸安全委員会(NTSB)の委員長だったジム・バーネット氏が講演会で述べた言葉が石碑に刻まれているのだが、その内容はここでは置く。
引っ掛かったのは、説明板の文章の中の以下の文言だ。
「日本の、運輸省・航空事故調査委員会の調査報告書は、原案がNTSBに送られ、同氏の承諾を得た後に初めて、発行された」
NTSBが報告書作成に
「協力」
したのではなく、その
「承認」
を得て発行されたという辺りに、何かしら情報操作や隠蔽があるのではないかと疑念が沸くのは私ばかりではないであろう。
これに象徴されるように事故後の情報公開の在り方に、
「陰謀説」
を生み出しかねない隙があったことは否定できない。
ことは防衛省だけに収まる話ではない。
政府の責任において、自衛隊を貶める様々な疑念を晴らすべく情報公開の在り方も見直すべきだ。
現状では、自衛隊は
「無実の罪」
着せられ名誉を毀損されている被害者と言えよう。
「自衛隊犯人説」
が増幅されれば、自衛隊の弱体化、ひいては日本国の国防力の低下に繋がる。
これによって利するのは誰か。
そもそもこの問題も、日本を弱体化するという大目的をもって行われている世論戦であるかもしれない。
その可能性も念頭に、甘く見ることなく対処する必要があろう。
具体的には、政府が著者を名誉棄損で訴え、証拠を出させるなどの法執行が必要なのではないか。
法廷という公の場で白黒はっきりつけさせる。
傍観するのではなく、
「国としての意思を示す」
と政府が腹を決めるべき事態であると私は思う。
「陰謀説」
を決して既成事実化させてはならない。

「選挙時のSNS規制」に走るメディアの危うさ
正論2025年7月号 政策シンクタンク 原英史
■「自衛隊関与説」と反論
政府は、言論市場の
「統制役」
になるべきではない。
一方で、言論市場に
「プレーヤー」
としては参加できる。
政府に対して不当な批判がなされた時は、反論できる。
むしろ積極的に反論すべきだ。
実際には政府は、反論に及び腰になりがちだ。
これは、反論すると野党やメディアから
「言論弾圧だ」
といった反発を受けることを過度に恐れるためだ。
このため、例えば原発処理水を巡る経過のように、不当な報道や情報発信の一方的な拡散が起きてしまう。
この関連で最近気になったのは、昭和60年の日航機墜落事故に関して、今年2025年4月に国会でなされた質疑だ。
日航機墜落に関しては以前から、自衛隊が関与したとの説があった。
最近もノンフィクション作家の青山透子氏らが著書で唱え、亡くなられたタレントで経済アナリストの森永卓郎氏が日本経済低迷の要因と指摘した。
青山氏の著書につき、佐藤正久参議院議員が2025年4月10日の参議院外交防衛委員会で取り上げ、
「多くの人命救助に当たった隊員に対する侮辱だ」
と問題視した。
これに対し青山氏は翌日、ウェブサイトで抗議文を公開し、
「権限濫用による表現の自由、言論への弾圧」
だと批判した。
まず、私は
「自衛隊関与説」
には余り興味はない。
一方で、通説に抗して異説を唱えることは、社会にとって貴重だと考えている。
かつて地動説が異説だったことを思い出すまでもなく、真実が封印されている可能性があるのだから、異説は大事にしないといけない。
その前提で、国会質疑を見て、青山氏の著書にも目を通した。
佐藤議員の質疑は真っ当な内容だ。
「自衛隊関与説」
について、
「政府が間違いと認識しているなら、しっかり反論せよ」
という指摘だ。
防衛省が適切に反論し、また、全国学校図書館協議会の選定図書への指定について文科省から問題指摘すべきと求めている。
一方で、本を発禁処分にせよといった内容ではない。
これに対し、青山氏が
「言論弾圧」
だと批判しているのはおかしい。
政府への批判に対する反論、あるいは国会議員が政府に
「反論せよ」
と求めることは、
「言論弾圧」
ではない。
言論市場において、プレーヤーに
「反論を受けない権利」
はなく、政府を批判した時でも同じだ。
どちらが説得的かは、
「言論の自由市場」
において判断されたらよいことだ。

日航機事故 「御巣鷹の尾根」への登山道に「自衛隊撃墜説」を伝える慰霊碑は本当にあった
記者の「暴論」 矢野将史
2025/5/4 14:00
https://www.sankei.com/article/20250504-U5K7OD4BNNP2DE7DTSUDDQUIVY/
乗員・乗客520人が亡くなった日航ジャンボ機墜落事故から、今年2025年8月で40年を迎える。
国会審議で先日、自衛隊が加害者であるかのような言説が流布されていると知り、驚いた。
墜落現場となった群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
への登山道には、自衛隊撃墜説を
「仮説」
として伝える慰霊碑もあるという。
登山道が冬の閉鎖期間を終えたGW前半、慰霊登山をしてきた。
その慰霊碑については、自民党の佐藤正久参院議員が2025年4月10日の参院外交防衛委員会で、日航機墜落事故について
「加害者はN総理と自衛隊幕僚長と書かれている」
「(御巣鷹山を)登る人はみんな見ている」
「(政府や自衛隊が)慰霊碑を作った人にアプローチして『事実誤認だ』と言わないと」
「国民の信頼がないと自衛隊は動けない」
などと訴えた。
■「登る人はみんな見ている」
これに対し、中谷元防衛相は
「実際に碑があり、もし記載があるとすれば、全く事実無根だ」
「大変遺憾に思う」
「私や自衛官が正確な情報を発信していく」
「このような情報は偽情報である」
と答弁した。
本当にそのような碑があるのか。
記者は慰霊登山のため、上野村の中心部から車で林道のような山道を30分ほど進み、午前中に登山道入り口に辿り着いた。
そこから約20分登った山小屋近くに、
「日航機墜落事故 真実の仮説」
と記された慰霊碑はあった。
一部に、次のように書かれていた。

慰霊碑の「仮説」と記された部分
「※加害者 N総理・自衛隊幕僚長」

「※事故原因(墜落) 自衛隊 曳航標的機・衝突 N総理 撃墜殺害 指示 自衛隊:横田基地・着陸禁止 自衛隊 ミサイル撃墜・墜落」
「仮説」
とはあるが、ギョッとする内容だ。
慰霊碑は、事故の犠牲者5人の名前と哀傷歌が刻まれた2つの碑に挟まれていた。
亡くなったのは10代が4人、30代が1人と記されている。
上野村役場総務課は
「その碑があるのは知っているが、役場では、個々の墓標や碑について、誰が、いつ建てたかについては把握していない」
「ご遺族の方が設置したのではないか」
「昨年にはあった」
と語る。
■中谷防衛相「事実無根」
単独機として世界最大の航空機事故の調査は、旧運輸省の事故調査委員会が行った。
中野洋昌国交相は、佐藤氏の国会質問があった翌日(2025年4月11日)の記者会見で、事故調査委員会が昭和62年6月に公表した航空事故調査報告書を引用して、事故原因は米ボーイング社による
「後部圧力隔壁」
の不適切な修理に起因するとし、
「様々な角度から調査解析を行い、専門家による審議の上、ほぼ間違いないという結論に至ったため、強い推定を示す『推定される』という表現を使用している」
と説明した。
記者は前述の慰霊碑を確認した後、
「御巣鷹の尾根」
を目指した。
急な登山道を息を切らし、熊除けの鐘を鳴らしながら、30分ほど登ると、墜落現場に立つ
「昇魂之碑」
があり、遺族が設置した
「空の安全を祈って」
という鐘、犠牲者520人の名前が記された
「慰霊碑」
などがあった。
静かに手を合わせた。
そこに至る登山道脇の斜面やスゲノ沢には、木や石でできた墓碑がいくつも立ち並んでいた。
遺体が発見された場所付近だという。
墓碑には犠牲者の名前が記され、遺族らによる花や千羽鶴、人形、風車、個人的な手紙などが供えられていた。
■犠牲者や遺族の無念
遺族有志のメッセージにはこうあった。
「あなたやってきましたよ きこえますか 見えますか あなたと話したい あなた言いたいことは…」
「さよならも言えずに旅だったあなたたち やすらかに永遠の祈りをささげます」
この御巣鷹の尾根で520人の人生が突然断ち切られ、遺族らの人生も大きく変わったことが実感として伝わってきた。
事故から40年経っても、その無念さ、理不尽さ、事故への疑問を抱え続けている遺族は多いことだろう。
同時に、事故直後、標高1500メートル以上の尾根と谷が連なる墜落現場に向けて、道なき道を進んで必死の捜索・救出活動を続けた消防団員や警察官、自衛官の苦難も理解できた気がした。
恥ずかしながら、記者は整備された登山道を登るだけでも膝がガクガクになった。
航空事故調査委員会は現在、運輸安全委員会という組織に再編された。
同委員会は平成23年7月、
「日本航空123便の御巣鷹山墜落事故に係る航空事故調査報告書についての解説」
を発表している。
遺族などから様々な疑問が寄せられる中、
「できるだけ分かりやすく説明するため」
に作成したという。
この解説には後半で、
「ミサイル又は自衛隊の標的機が衝突したという説もありますが、根拠になった尾翼の残骸付近の赤い物体は、主翼の一部であることが確認されており、機体残骸に火薬や爆発物等の成分は検出されず、ミサイルを疑う根拠は何もありません」
とも記されている。
■事実に基づかない言説は修正を
犠牲者と遺族の無念に心を寄せながら、事故への疑問には真摯に向き合い、事実に基づかない言説は修正していく努力が必要だと感じた。

日航機墜落事故に「自衛隊関与」という陰謀説拡大の記事が読まれています、政府の対応は
2025/5/1 11:11
https://www.sankei.com/article/20250501-3B3JOK7GFZGVBJ333KKOVLED7E/
昭和60年8月12日に起きた日本航空機墜落事故を巡り、自衛隊の関与を唱える陰謀説が書籍やインターネットで流布されていることを紹介した記事が産経ニュースで読まれています。
政府は強く否定し、正確な情報発信を行う方針を明らかにしている。
陰謀説を唱える書籍の中にはベストセラーになったものも。
今年2025年4月16日には事故現場で生存者捜索に当たった自衛隊OBらがシンポジウムに参加し、書籍などで指摘される陰謀説のうち5つの点に反論した。
この問題は2025年4月10日の参院外交防衛委員会でも取り上げられた。
自衛隊OBの佐藤正久参院議員(自民党)が、自衛隊の関与を唱える書籍が全国学校図書館協議会による選定図書に指定されているとして、是正を訴えた。
佐藤氏の指摘に対し、中谷元防衛相は
「自衛隊が墜落に関与したことは断じてない」
と陰謀説を強く否定し、対応を約束した。
中野洋昌国土交通相は2025年4月11日の閣議後記者会見で、旧運輸省の事故調査委員会の航空事故調査報告書を引用する形で、事故原因は機内の気圧を保つ役割がある
「後部圧力隔壁」
の不適切な修理に起因するものだと説明し、
「正確な情報を発信していきたい」
と述べた。
民間でも陰謀説は問題視されている。
防人と歩む会の葛城奈海会長は、
「これを放置しては、慰安婦問題における吉田清治証言同様、嘘が真になりかねない」
と警鐘を鳴らした。
事故当時、航空幕僚監部の運用課員として、発生から収束まで一部始終を指揮中枢である空爆作戦室で目撃していたという元空将の織田邦男氏(麗澤大学特別教授)は、
「全くのデマだ」
と断言。
陰謀説を
「情報戦」
とみなし、その対応は
「国民一人一人が高い情報リテラシーを持つことが何より重要である」
と訴えた。
2025年4月29日、墜落事故の現場となった
「御巣鷹の尾根」
に向かう登山道が冬の閉鎖期間を終え、開通。
遺族や関係者は慰霊のため尾根を訪れ、墓標の前で静かに手を合わせた。

日航機墜落の陰謀説唱える書籍は「図書館協議会選定図書」 自民の佐藤正久氏が是正訴え
2025/5/1 9:55
https://www.sankei.com/article/20250501-H5D7UDNLZVNKZAERNHNE2ZS3WA/
昭和60年の日本航空機墜落事故に自衛隊が関与したという
「陰謀説」
を巡っては国会でも取り上げられた。
2025年4月10日の参院外交防衛委員会で、自衛隊OBの佐藤正久氏(自民党)は自衛隊の関与を指摘する書籍が全国学校図書館協議会による選定図書に指定されているとして、
「何も知らない子供たちが推薦図書として図書館で触れることで国土交通省や防衛省が否定する事実を本当のことのように受けてしまう」
と述べ、是正を訴えた。
選定図書に選ばれているのは作家、青山透子氏の著書3冊(いずれも河出書房新社)。
選定図書は小中学校などの図書館が蔵書構成する上で参考になり、同団体は
「正しい知識や研究成果」
「科学的に正確」
などの選定基準を設けている。
野中厚文部科学副大臣は、佐藤氏の訴えに対し
「図書自体が児童生徒の健全な教養の育成に資する必要がある」
「懸念について防衛省の動向も踏まえ、団体に伝えていく」
と答弁した。
自衛隊の関与を指摘する書籍は、経済アナリストの森永卓郎氏(今年2025年1月死去)らも出版している。

産経新聞は青山氏に対し、中谷元・防衛相が自衛隊の関与は
「断じてない」
と発言したことへの見解を書面で求めた。
これに対し青山氏は河出書房新社を通じて後日取材に応じる意向を示した。

日航機墜落に5つの陰謀説 「自衛隊と隊員への冒瀆だ」当時捜索のOBが反論
2025/5/1 8:36
https://www.sankei.com/article/20250501-EWVJEC535BOPPNUXV2G4MZCO2M/
昭和60年の日本航空機墜落事故に自衛隊が関与したという
「陰謀説」
が流布されていることに、当時事故現場で生存者捜索にあたった自衛隊OBらは
「自衛隊と隊員への冒瀆だ」
と憤っている。
2025年4月16日には参院議員会館で開かれた
「JAL123便事故究明の会」
によるシンポジウムで、書籍などで指摘される陰謀説のうち5つの点に反論した。
同会は昨年2024年8月に設立。
会長を務める岡部俊哉元陸上幕僚長は事故当時、陸上自衛隊第1空挺団の小隊長として生存者の救助、ヘリポートの造成などの指揮を執った。
陰謀説@「海上自衛隊護衛艦の訓練中のミサイルが123便に衝突」
自衛隊の関与を指摘する書籍は墜落原因について、当時巡航ミサイルの実験中だった護衛艦「まつゆき」が相模湾(神奈川県沖)で123便の垂直尾翼周辺に異変を生じさせたとする。
だが、まつゆきの就役は事故翌年の昭和61年3月。当時は石川島播磨重工業(現IHI)が所有する船舶だった。
元海上自衛隊海将補の林祐氏は
「(海自の)乗組員も『艤装員』として乗り込んでいたが、石川島播磨の船長が指揮を執り、スタッフが運航していた」
と述べ、自衛隊が主導できる状況ではなかったと説明した。
123便は事故発生当時高度7・3キロに達した。
林氏は当時の対空ミサイルなどが
「そう飛翔するものでない」
と述べ、まつゆきに搭載された発射ランチャーについて
「発射することはできない」
「コントロールシステムが異なる」
と指摘した。
陰謀説A「航空自衛隊のF4戦闘機2機が123便を追尾」
墜落直前の123便を空自F4戦闘機2機が追尾していたとの目撃証言を基に、最終的にF4がミサイルで墜落させた─とするものだ。
追尾などの動きは公式記録にない。
また、F4パイロットとして当時現場に出動した渡辺修三氏はミサイルなど装備品管理は徹底されているとし、
「帰投してミサイル1本なかったら一大事だ」
と述べた。
陰謀説B「墜落現場の特定を遅らせた」
渡辺氏は、地上で上空の戦闘機パイロットと連携する要撃管制官からの誘導で日航機がレーダーから消えた午後6時56分過ぎに墜落現場とみられる場所にF4で向かい、1・5〜2キロに渡る帯状の炎を確認したと証言する。
ただ、正確な墜落地点は把握できなかった。
渡辺氏は操縦士に対し、最も炎が強い所を中心に旋回してもらったが正確な位置をつかむのは難しかったという。
陰謀説C「証拠隠滅のため火炎放射器で現場を焼却」
墜落現場では消防団員らが
「ガソリンとタールの混ざったような臭い」
と感じたという証言がある。
これを基に
「証拠隠滅」
のために自衛隊員が火炎放射器(携帯放射器)で遺体やミサイルの痕跡を焼却したと流布されている。
当時陸自第13普通科連隊(長野県松本市)に所属し救出作戦に参加した小川清史元西部方面総監は
「火炎放射器を取り出す手続きは幾重で容易ではない」
「注入する燃料を保管するのは業務隊で、指揮系統が異なり、より一層手続きに時間と書類が必要となる」
と反論する。
また、携帯放射器の燃料であるゲル化剤を大量のドラム缶で入手して、一晩で搬入、焼却、撤収するのは不可能だと指摘する。
そもそも燃料にタールは使われないという。
陰謀説D「海自出身の機長の遺体・制服を自衛隊が隠蔽」
書籍では、事故を巡って123便の機長が海自出身であることから、
「ミサイルを誤射した」
とされる海自の訓練との関係が示唆されている。
自衛隊員が事故現場で機長の遺体を真っ先に発見、目印のため棒で突き刺し、ヘリコプターの移動中、不都合なものを取り除くため制服などを外した─というものだ。
これに対し、岡部氏は
「現地は多くの数の人が作業していた」
「機長の制服を身に着けた遺体が発見されれば(現地にいた)マスコミの写真に写っている」
「空想で言われた話としかいいようがない」
と語った。

日航機墜落事故40年、拡散される陰謀説 「自衛隊の関与は断じてない」政府が強く否定
2025/5/1 7:00
https://www.sankei.com/article/20250501-IBAEULDM6ZNXPFOXSJL26PTXKE/
「自衛隊がミサイルを誤射した」
「撃墜の証拠隠滅を図るため乗客らの遺体を焼却した」−。
昭和60年8月の発生から今年で40年となる日本航空機墜落事故を巡り、自衛隊の関与を指摘する
「陰謀説」
が書籍やインターネット上などで流布されている。
ベストセラーになる書籍もある中、政府は自衛隊の関与を強く否定するなど対応を進めている。
「陰謀説」
を唱える主な著者は、複数の目撃証言を繋ぎ合わせて描写。
例えば、自衛隊は墜落現場に先駆けて到達し証拠隠滅を優先したため生存者を見殺しにしたと主張している。
昨年には事故現場への登山道に犠牲者の名前と
「自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
などと記された
「慰霊碑」
の設置が確認された。
123便の墜落原因に関して運輸省の航空事故調査委員会(当時)は、過去の不適切な修理で機体後部の圧力隔壁が壊れ、垂直尾翼や操縦系統が破壊されたと
「推定される」
とした。
メーカーのボーイング社は修理ミスがあったと認めた。
中谷元・防衛相は2025年4月10日の参院外交防衛委員会で
「自衛隊の関与は断じてない」
と明言し、対応する考えを示した。
中野洋昌国土交通相は2025年4月11日の記者会見で
「様々な角度から調査解析を行い、(事故原因が圧力隔壁であることは)ほぼ間違いないという結論に至ったため、強い推定を示す『推定される』という表現を使用している」
と説明した。
事故は昭和60年8月12日夕に発生した。
羽田発大阪行き日航123便ジャンボ機が群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
に墜落。
乗員・乗客524人のうち女性4人を除く520人が死亡した。

日航機墜落40年を前に慰霊 御巣鷹への登山道開通
2025/4/29 23:07
https://www.sankei.com/article/20250429-AZVN2ULQANICPPDG5E5BH23IR4/
1985年に520人が犠牲となった日航ジャンボ機墜落事故の現場、群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
に向かう登山道が2025年4月29日、冬の閉鎖期間を終え、開通した。
今年2025年8月で事故から40年となるのを前に、遺族や関係者が慰霊のため尾根を訪れ、墓標の前で静かに手を合わせた。
遺族らで作る
「8・12連絡会」
事務局長の美谷島邦子さん(78)は次男、健君=当時(9)=を亡くした。
墓標にこいのぼりや花を供え
「亡くなった人のその後を私たちは生きてきた」
「もうすぐ40年となるが、安全や命を守ることを目指して活動したい」
と力を込めた。
墜落地点の尾根に立つ
「昇魂之碑」
は事故翌年の1986年に建てられた。
尾根の管理人、黒沢完一さん(82)によると、昇魂之碑が傾いているのが確認され、補強工事が今月2025年4月17〜25日の日程で行われた。
黒沢さんは
「開山の前に工事が完了して良かった」
と話した。
事故は1985年8月12日、羽田発大阪行き日航123便ボーイング747が墜落し、乗客乗員524人のうち520人が死亡した。

日航機墜落事故をめぐる陰謀論に危機感
直球&曲球 葛城奈海
2025/4/17 13:00
https://www.sankei.com/article/20250417-QVEEP7E63ROW7BYUYFLZ6MWMSQ/
乗員乗客520人死亡という単独飛行機事故としては世界最多の死者を出した日本航空123便墜落事故から、2025年8月12日で40年になる。
群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
に墜落した事故機の生存者捜索・救助、遺体の搬送には警察や消防、地元猟友会らと共に、自衛隊が力を尽くした。
僅か4人だった生存者の1人、当時12歳の少女が自衛官に抱えられながらヘリに引き上げられていく映像をご記憶の方も多いだろう。
ところが、驚いたことに、2025年4月1日付の本紙『正論』欄で元空将の織田邦男氏が言及し、2025年4月10日の参院外交防衛委員会で佐藤正久議員が問題視した通り、あたかも自衛隊が墜落事故の加害者であるかのような言説が流布されているのだ。
佐藤議員によれば、陰謀論の元ネタとなった書籍が、
「全国学校図書館協議会選定図書」
に選ばれていたばかりか、事故現場の登山道に
「自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
と書かれた慰霊碑が建立されているとのことで、私も大いに危機感を抱いた。
これを放置しては、慰安婦問題における吉田清治証言同様、噓が真(まこと)になりかねない。
ましてやその本が学校の図書館に並ぶとなれば、募集難に喘ぐ自衛隊へ追い打ちをかけることにもなろう。
何より看過できないのは、遺体や燃料などの臭気漂う凄惨な事故現場で黙々と任務に邁進した自衛官たちの尊厳を踏みにじっていることだ。
陸上自衛隊第1空挺団の小隊長として現場で生存者捜索・救助、ヘリポート造成、遺体後送などの指揮を執った岡部俊哉元陸上幕僚長は、自衛隊が証拠隠滅のために火炎放射器で現場を焼却したかのような
「陰謀説」
に物理的にも時間的にも
「あり得ない」
と断言する。
同氏は、任務終了後、約1カ月、急性ストレス障害(ASD)に悩まされたことを告白している。
地獄絵図のような真夏の山中で、身を粉にして任務に邁進した自衛官たちへの冒瀆は、断じて許されるべきではない。
虚実入り交じった情報があふれる現代にあって容易なことではないが、真実を見極められる高い情報リテラシーを身に付けたいものである。

葛城奈海
かつらぎ・なみ
防人と歩む会会長、皇統を守る会会長、ジャーナリスト、俳優。
昭和45年、東京都出身。
東京大農学部卒。
自然環境問題・安全保障問題に取り組む。
予備役ブルーリボンの会幹事長。
近著に『戦うことは「悪」ですか』(扶桑社新書)。

御巣鷹の日航機墜落事故 「自衛隊が撃墜説」に国交相「正確な情報発信する」
2025/4/11 12:53
https://www.sankei.com/article/20250411-7Z4Z3ZGMEZPRRC53VQIG3TPBK4/
1985年に発生した日本航空機の御巣鷹墜落事故について、原因を
「自衛隊による撃墜」
などとする言説が書籍やインターネットで流布している問題に対し、中野洋昌国土交通相は2025年4月11日の閣議後記者会見で、
「しっかりと正確な情報を発信してきたい」
と述べた。
問題を巡っては2025年4月10日の参院外交防衛委員会で、自民党の佐藤正久参院議員が指摘。
中谷元防衛相が
「自衛隊が墜落に関与したことは断じてない」
と否定し、
「しっかり対応したい」
と回答している。
2025年4月11日の会見で中野氏は、旧運輸省の事故調査委員会の航空事故調査報告書を引用する形で、事故原因に言及。
機内の気圧を保つ役割がある
「後部圧力隔壁」
の不適切な修理に起因するものだとし
「様々な角度から調査解析を行い、専門家による審議の上、ほぼ間違いないという結論に至ったため、強い推定を示す『推定される』という表現を使用している」
と説明した。
その上で
「国会や会見を通じ、政府として責任ある立場にあるものが正確な発信をしていくことは重要だ」
と述べた。
事故は1985年8月12日夕に発生。
羽田発大阪行きの日航機123便が離陸後に機体トラブルに見舞われ、群馬県上野村の
「御巣鷹の尾根」
に墜落。
乗客乗員524人のうち520人が死亡し、単独機としては世界最悪の被害となった。
報告書によると、当該機は78年に別の事故により、後部圧力隔壁が損傷し、米ボーイング社が修理した。
しかしその過程で不適切な措置が取られ、求められる仕様よりも強度が低下していた。
1985年8月12日午後6時24分、当該機は離陸から約12分後、疲労が重なっていた後部圧力隔壁が破損し、機内の空気が機体後部に噴出。
垂直尾翼や翼を動かす油圧系統が破壊され、操縦不能に陥った。
パイロットらは左右のエンジンの出力差を駆使するなどして機体の制御、立て直しを図ったが機体は迷走。
トラブルから約30分後の同6時56分、墜落した。
事故調査委は1987年6月、後部圧力隔壁の修理ミスを原因と推定する報告書を提出した。
ただ内容が専門的で難解との批判もあり、後の国交省の運輸安全委員会は、事故犠牲者の遺族と連携をとりながら2011年7月、報告書の
「解説書」
を作成。
報告書とともにホームページで公開し、
「自衛隊の関与説」
についても否定している。

御巣鷹事故「自衛隊が撃墜」、偽情報を自民佐藤正久氏が問題視 中谷元防衛相「対応する」
2025/4/10 16:09
https://www.sankei.com/article/20250410-YVB6ML6KJVAG7K6M6GPSYM47DM/
自民党の佐藤正久参院議員は2025年4月10日の参院外交防衛委員会で、日本航空機の御巣鷹山墜落事故を巡り
「自衛隊が撃墜した」
との言説が書籍などで流布されているとして
「自衛隊員の名誉に関わる問題だ」
「多くの人命救助に当たった隊員に対する侮辱だ」
と問題視した。
中谷元防衛相は
「自衛隊が墜落に関与したことは断じてない」
「しっかり対応したい」
と語った。
■「火炎放射器で証拠隠滅」
事故は昭和60年8月12日夜に発生。
群馬県・御巣鷹山に日航123便が墜落し520人が死亡した。事故原因について航空事故調査委員会は昭和62年6月、報告書を公表し、後部圧力隔壁の不適切な修理に起因するとしている。
佐藤氏によれば、問題の書籍は駿河湾で対空ミサイル訓練を行っていた護衛艦が日航123便を誤射し、撃墜の痕跡を隠すため、墜落地点の特定を遅らせた上、墜落現場で自衛隊が火炎放射器で証拠を隠滅したと指摘しているという。
佐藤氏は書籍について
「ベストセラーになり、ユーチューブで拡散されている」
と述べ、
「墜落の後、徹夜で尾根を踏破して危険を顧みず現場で多くの人命救助に当たった隊員に対する侮辱である」
と対応を訴えた。
■推薦図書に…場内ざわめく
この書籍が全国学校図書館協議会の推薦図書に選ばれていると指摘されると、委員会室がどよめく場面もあった。
佐藤氏は文部科学省にも対応を求め、野中厚文科副大臣は
「懸念を当該団体にしっかり伝えていく」
と応じた。
更に、御巣鷹山の登山道に建立された慰霊碑には
「自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」
と記されているという。
佐藤氏は碑の写真を示して
「放置したままでいいのか」
「慰霊碑を作った人にアプローチして事実誤認だと言わないと(いけない)」
と訴え、中谷氏も
「しっかりと対応していきたい」
と語った。

<正論>「御巣鷹」に見る情報戦への脆弱さ 
麗澤大学特別教授 元空将・織田邦男
2025/4/1 8:00
https://www.sankei.com/article/20250401-766VLI7YBZOPRPRZLLAXQK5VBU/
■現代ハイブリッド戦争
ウクライナ戦争の停戦交渉が行われている。
この戦争の特徴として、開戦前から今なお続く熾烈な情報戦がある。
2014年3月、ロシアはクリミア半島を
「ハイブリッド戦争」
によって無血併合した。
ハイブリッド戦争とは
「高度に統合された設計の下で用いられる公然、非公然の軍事・非軍事・民間の手段を使った戦争」
である。
情報戦はハイブリッド戦争の主要手段であり、インターネットが発達した現代では国家をも動かす力がある。
2016年1月、ドイツで
「アラブ系難民が13歳少女をレイプした」
というニュースがロシア系メディアで報道され、SNSで拡散していった。
偽情報であることが判明するが、難民排斥運動は過熱し極右政党が大躍進する結果を生んだ。
情報戦に加え威嚇・恫喝の軍事行動を組み合わせることで、相手の思考・感情・記憶に直接働きかける
「認知戦」
も現代戦の1つである。
台湾併合を目指す中国は、台湾周辺で海上封鎖やミサイル発射訓練などを繰り返し、台湾住民に対して敗北感を植え付け、抵抗断念を図る。
2022年に岸田文雄政権で策定された国家安全保障戦略では
「情報戦への体制の強化」
を掲げ、偽情報を収集分析し、正しい情報を発信するとしているが緒に就いたばかりだ。
次の事例からも分かるように日本人は情報戦に対しては脆弱と言わざるを得ない。
■日航機墜落事故を巡る噓
40年前の1985年8月12日、日航123便が御巣鷹山に墜落した。
後にこの事故に関し
「自衛隊が撃墜したかのような本が出ている」
という噂を聞き、読んでみた。
要約するとこうだ。
123便は自衛隊のミサイル誤射によって正常な飛行が困難になり、誤射の証拠隠滅を図るため、空自戦闘機が出動して撃墜し、更にその証拠も消すため、墜落現場で陸上自衛隊が火炎放射器で証拠を焼き払ったというものである。
荒唐無稽と笑ってはいられない。
ノンフィクションとして書かれベストセラーになっているという。
またこれを真実と信じている人が多くいるというから驚いた。
筆者は事故当時、航空幕僚監部の運用課員で、事故発生から収束まで一部始終を指揮中枢である空幕作戦室で目撃していたので、全くのデマだと断言できる。
死臭漂う地獄絵図のような現場で懸命に生存者の捜索に携わった多くの自衛官を知っている。
彼らの多くがPTSDに苛まれた。
このようなデマは、黙々と災害派遣にあたった自衛官に対する冒瀆である。
この怒りはひとまずおく。
これは情報戦に対する日本人の脆弱性を示す。
「誰があの520人を殺したのか」
と感情に訴え、結論ありきで読者を引き込む。
そして5種の断片、つまり
@事実
A誤解
B推測、臆測
C曖昧な伝聞情報、目撃情報
D捏造
を都合よく組み合わせ、
「自衛隊による撃墜、証拠隠滅」
へと誘導する。
噓を並べても、所々に事実が入っていれば容易に全体を信じ込ませることができる。
これが情報戦の肝である。
著者の意図はともかく、結果的にロシアの情報戦の相似形となっている。
常識的に考えれば、
「自衛隊による撃墜、証拠隠滅」
などあり得ない。
自衛隊の行動には、自衛官を含む多くの関係者が関わる。
こんな犯罪行為があれば隠し通せるわけがない。
だが、自衛隊を知らない人は、創作されたナラティブ(物語)を容易に信じてしまう。
情報戦の恐ろしさである。
■情報戦に敗北しないため
筆者は元戦闘機操縦者でもあり、文中の誤りを全て指摘できる。
ここでは紙幅の関係上、疑惑の発端となった
「現場到着の遅れ」
についてだけ述べる。
地上レーダーは低高度が見えないので墜落地点は特定できない。
最初に炎を発見した米軍C130輸送機、空自F4戦闘機からの位置情報は、TACAN(戦術航法装置)の情報である(GPSは未装備)。
TACANには、固有の誤差がある。
更に当該機と現場の距離が誤差となって加わる。
横田TACAN局から割り出せば位置情報に4km前後の誤差が生じることはやむを得ない。
航空では僅かな誤差だが、陸上行動では大きな障害となる。
特に山岳地帯では、4km違えば隣の尾根になってしまう。
山岳の道なき道の移動は4kmでも数時間かかる。
夜間で、暗視装置のない(当時)ヘリの山岳投入は危険なので中止した。
地上部隊の投入場所の決定が遅れ、結果的に現場到着が遅れた。
この遅れが
「何かがあるはず」
と臆測を呼び、連鎖して物語の創作に繫がったのだろう。
我が国に情報戦が仕かけられた場合、同様なパターンで容易に敵の罠に嵌まってしまう可能性がある。
情報戦に敗北しないためには思い込みに符合する情報に飛びつくのではなく、情報を疑う姿勢、そして些事に拘泥せず、全局を俯瞰して判断できる能力が必要である。
情報戦への対応は、政府主導の
「正しい情報発信」
に頼るのではなく、国民1人1人が高い情報リテラシーを持つことが何より重要である。

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