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[経世済民130] ソフトバンク、売出価格割れの船出 収益懸念で 初日は15%安 勝者は孫社長 ソフトバンク上場が導く、IPO市場の前途多難
ビジネス2018年12月19日 / 12:02 / 7時間前更新
アングル:
ソフトバンク、売出価格割れの船出 収益懸念で
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[東京 19日 ロイター] - ソフトバンク(9434.T)の東証1部上場は、多難な前途を予感させるスタートとなった。売出価格割れの初値は、通信料金の値下げ圧力や中国製装置の入れ替え費用など、目先の収益圧迫要因への投資家の不安の表れともいえる。先日は大規模障害も発生、通信網に対する信頼回復も急務だ。株主還元にこだわれば、長い目で見た利益を失いかねないリスクもある。

<通信障害で重い処分も>

6日午後に発生した全国規模での大規模障害。通話やメールだけでなく、物流や電子チケットにも影響が及び、通信インフラ企業の責任が一段と重くなっていることをあらためて印象付けた。

ソフトバンクは、障害の原因がスウェーデンの通信機器大手エリクソン(ERICb.ST)製の交換機のソフトウエアに異常が発生したためと説明したが、業界では「あまりにもお粗末だ」との声が少なくない。

関係者によると、ソフトバンクは今後、フィンランドの通信機器大手ノキア(NOKIA.HE)製機器の導入し、エリクソンとのデュアル体制にすることで大規模障害が起こらないシステムを構築する。

ソフトバンクは収益向上を目指し、通信事業に関わっている従業員の4割を2─3年かけて人工知能(AI)関連など成長事業に振り向ける計画を公表した。

だが、今回の大規模障害で通信網の信頼性に傷が付いたことから、戦略の見直しを迫られる可能性もある。

総務省は今回の通信障害が電気通信事業法上の「重大事故」に該当すると判断。原因究明や再発防止先などの報告を求めている。報告を受けたうえで処分を検討する方針だが、同省のある幹部は「根本的な原因はメーカー側にあったとは言え、何も知らなかったでは済まされない。かなり重い処分になるだろう」との認識を示した。

<ファーウェイ切り替え>

日本政府が中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]製品の排除を事実上決めたことも、同社にとっては逆風となる。

政府関係者の1人は「対象は政府調達で、民間に排除要請はしない」と強調するが、ソフトバンクは政府の方針を受け、ファーウェイ製機器を欧州メーカー製に切り替える方針を固めた。

米携帯電話子会社スプリント(S.N)とTモバイルUS(TMUS.O)の合併計画をめぐる米規制当局による安全保障審査も、ファーウェイ排除の背中を押した。

ソフトバンクは今後、ノキア製機器の導入と併せ、ファーウェイ製機器の切り替えを進めていく方針だが、市場では追加費用の発生に不安も広がっている。

<売出価格を2.5%下回る>

この日の初値は1463円と売出価格1500円を2.5%下回った。相場全体の地合いの悪さに加え、上場直前に相次いだトラブルも投資家の心理を冷え込ませた。

しんきんアセットマネジメント投信・運用部長の藤原直樹氏は「市場の地合いの悪化や通信障害の問題などがネガティブに作用した。IPO(新規株式公開)の環境、タイミングが悪かった」と指摘する。

ソフトバンクが上場にあたり公表した2019年3月期の業績予想は、売上高が前年比3.3%増の3兆7000億円、営業利益は同9.7%増の7000億円、最終利益は同4.8%増の4200億円と増収増益を見込んでいる。

配当性向は85%を目安に、安定的な配当を目指す方針だ。

しんきんアセットの藤原氏は「配当利回りが高いうえ、TOPIX銘柄への組み入れによるパッシブ系ファンドの買い需要もある。株価はある程度は底堅く推移する」とみているが、「1500円を上回ったところでは一定の売り圧力が見込まれる」としている。

これまでソフトバンクは、派手な投資で話題を振りまいているソフトバンクグループ(9984.T)の影で、利益創出については比較的柔軟に対応してきた。しかし、今後は投資家の目も意識しなければならない。

通信網の信頼回復や通信機器の切り替え、政府による値下げ圧力など、対応すべき課題は山積みだ。人工知能(AI)関連など「非通信」事業を育てながら、直面する課題にも対応する困難な道のりが待っている。

*写真を差し替えました。

志田義寧 取材協力:長田善行 編集:田巻一彦 石田仁志
https://jp.reuters.com/article/column-softbank-ipo-idJPKBN1OI0PO


ソフトバンク株、初日は15%安−勝者は孫社長との声も
日向貴彦、古川有希、Pavel Alpeyev
2018年12月19日 15:04 JST 更新日時 2018年12月19日 17:12 JST
初値は1463円、公開価格を2.5%下回る
孫氏は「高い値段で売り超過利益を得た」とDZH田中氏
上場したソフトバンクの株価は19日、公開価格比15%安の1282円と安値引けとなった。投資家にとっては約4000億円の損失となった一方、過去最大の資金調達を成し遂げたソフトバンクグループの孫正義会長兼社長の「大勝利」との見方もある。

  初値は1463円となり、公開価格(1500円)を2.5%下回った。売買代金は東証1部で1位。親会社のソフトバンクGの終値は前日比0.9%安だった。

  記者会見した宮内謙社長は「残念ながら株価は少し下がった」と述べたほか、「マーケットがどう反応されたのか真摯(しんし)に受け止めて、ここをスタート地点として企業価値向上に努めて参りたい」と話した。孫氏からも「非常に素晴らしいアドバイスを頂いている」という。


  需要に応じて追加するオーバーアロットメントを含む売り出し株数で算出した調達額は2兆6500億円と1987年のNTTを抜き、過去最大だった。DZHフィナンシャルリサーチによれば、今年の日本のREIT(不動産投資信託)を含む上場は86社で初値が公開価格を下回ったのはソフトバンクで12社目。

  同社の田中一実IPOアナリストは、株価下落はソフトバンクGの孫社長の「大勝利を意味する」と指摘。「実際の価値よりも高い値段で売り、超過利益を得ることができたのは、孫氏の高い交渉力であり、引き受け証券の販売力だろう」とした上で、負けたのは個人投資家を中心にした「買い手」だと話した。

  ソフトバンクGは、2006年におよそ2兆円を投じ英ボーダフォン・グループから日本法人を買収、国内の携帯電話事業に参入した。上場により、10年余りを経て、資金回収した格好だ。上場は世界規模で投資を進める親会社と通信事業の役割や価値を明確に分けるという狙いもある。


Ken Miyauchi, president and chief executive officer of SoftBank Corp., hits the bell at TSE.Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  ソフトバンクの上場を巡っては、市場関係者から厳しい声も上がっていた。政府主導で国内通信料金の値下げ圧力が高まっており、携帯電話会社の収益悪化懸念が根強いためだ。楽天の新規参入もソフトバンクには逆風だ。

  6日には全国規模の通信障害が発生。ソフトバンクが通信機器として使用する中国の華為技術(ファーウェイ)排除の動きが世界的に広がったことも市場に疑念を生んだ。

  ミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊池真代表取締役は、公開価格が割高だったとの見方を示した。先行きについても携帯電話料金に「政府の値下げ圧力もかかっているので、大きく成長するというよりも現状が維持できれば御の字」とした上で、「1300円台は仕方ない」と分析した。

  1000株を新規上場(IPO)で購入した東京都内でIT関連企業を経営する酒井英行氏は「残念だ」と述べた。一方で「手放すつもりはない。高配当を期待して、中長期的に持ち続けたい」と語った。

ソフトバンクの2019年3月期業績計画
前期比増減率(%)
売上高 3兆7000億円 3.3
営業利益 7000億円 9.7
純利益 4200億円 4.8
1株利益 87.73円
 

(宮内社長の会見内容を追加しました.)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-19/PJYUOU6JIJUQ01


 

コラム2018年12月19日 / 18:03 / 9分前更新
コラム:ソフトバンク上場が導くIPO市場の前途多難
Alec Macfarlane
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[香港 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 東証1部に上場したソフトバンクの初値が公開価格を下回ったことは、日本のすでに不安定な新規株式公開(IPO)市場を奈落の底に突き落とした。

ソフトバンクグループの通信子会社であるソフトバンク(9434.T)株の初値は急落した。売り出し規模は日本のIPO史上最大の約2.6兆円。ある程度の初値がつけば、今年不調だった同国のIPO市場は再び活況を取り戻したかもしれない。

だが、同グループの孫正義社長は強く出過ぎた。後に続くIPOを難しくさせてしまった。

今年上場した日本企業の上場後のパフォーマンスは芳しくない。米調査会社ディールロジックによると、全体的に約10%下落している。それに比べ、米ナスダック市場と英ロンドン証券取引所に上場した企業はそれぞれ2%、6%の上昇だ。この日本の数字には、成長企業が集まる東証マザーズ市場に6月上場し、約6800億円調達したフリーマーケットアプリを運営するメルカリ(4385.T)は含まれていない。上場以降、同社の時価総額は30%減少している。

孫社長のアグレッシブな戦略にも責任があるだろう。そもそも売出価格の仮条件をレンジで公表せずに一本値とし、他社に大きなプレミアムを要求した。

幹部が逮捕され苦境に立たされている中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)との関係や、電子商取引大手、楽天(4755.T)の通信事業参入といった懸念材料にもかかわらず、厚い配当に引き寄せられている日本の個人投資家はソフトバンク株をこぞって買いに走った。だが彼らは今、身ぐるみをはがされつつある。ソフトバンクの初値は1463円で公開価格の1500円を割り込み、公開価格から14.5%下回る水準で初日の取引を終えた。

日本にはこれまで上場を好感するそれなりの理由があった。ディールロジックのデータによると、過去3年間にIPOを実施した新興企業の株価は平均で2桁上昇、2017年に上場した企業は現在までに20%超上昇している。それに比べ、東証株価指数は5%の上昇にとどまっている。

しかし今回のソフトバンクによる大失態は孫氏を信じていた株主にとって痛手となるだけでなく、仮想通貨の取引所を運営するビットフライヤーや米アップル(AAPL.O)にカメラレンズを提供するカンタツなど今後IPOを行う可能性のある他社も巻き添えを食らうことになるだろう。

世界各国の株式市場が下落し、貿易摩擦がエスカレートする中、ミセス・ワタナベをIPO市場に呼び戻すことはそう簡単ではないだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-softbank-ipo-idJPKBN1OI0PO

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/185.html

[経世済民130] 日本の労働生産性、1時間当たり47.5ドル 先進7カ国で最下位続く 長期金利0%接近 先物主導 日米通商交渉焦点は米要求
日本の労働生産性、1時間当たり47.5ドル 先進7カ国で最下位続く
経済
2018/12/19 18:30 
日本生産性本部は19日、労働生産性の国際比較を発表した。2017年のデータから算出した日本の1時間あたりの労働生産性は47.5ドル。働き方改革による労働時間短縮の効果で16年に比べると1.4%上昇したものの、先進7カ国(G7)のなかでは1970年以降、最下位の状況が続いた。72.0ドルだった米国の7割弱の水準だ。

日本生産性本部は「機械化や人工知能(AI)の活用などを日本の企業が進めていくことが生産性の向上につながる」と指摘している。

同調査では製造業の労働生産性が過去最低になったことも分かった。16年のデータをもとに製造業の就業者1人あたりがどれだけ効率的に働いたかを算出した数値で、日本は9万9215ドルとなり10年比で6.0%減った。「円相場が10年からの6年間で2割超円安に振れているため、ドル換算の生産性向上の重荷になっている」とみている。
 

10月の日経BI、前月比1.9ポイント上昇
2018/11/30 18:00
労働生産性の上昇足踏み 17年度は0.3%どまり
2018/11/12 20:00

8月の日経BI、前月比0.5ポイント低下
2018/10/5 18:00
日米欧覆う賃金低迷を打開するには
2018/9/3 23:03
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39142430Z11C18A2EE8000/

長期金利0%に一時接近、1年3カ月ぶり、先物主導で
2018/12/19 18:30
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19日の国内債券市場で長期金利が0%に接近した。指標となる新発10年物国債の利回りが一時0.010%まで低下(債券価格は上昇)し、約1年3カ月ぶりの低い水準を付けた。米国の金利低下を受けて、先物主導で日本の長期金利にも低下圧力がかかっている。

米国の利上げが早期に打ち止めされるとの観測から、18日に米長期金利が4カ月ぶりの水準に低下した。海外勢を中心に日本の長期国債先物を買う動きが勢いを増した。

19日の債券市場で長期国債先物は中心限月の2019年3月物が一時152円84銭と16年8月以来、約2年4カ月ぶりの高値を付けた。現物の国債にも金利低下圧力がかかった。

先物相場の急激な価格上昇を受けて、日本証券クリアリング機構が同日午後に取引参加者に追加の証拠金の差し入れを求めた。投機的な動きが一服し、長期金利は上昇に転じた。ただ、長期金利にはなお低下圧力がかかっており、市場では「0%を下回る可能性がある」(野村証券の中島武信氏)との声が出ている。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39143970Z11C18A2EE8000/

 

ワールド2018年12月19日 / 18:13 / 1時間前更新
アングル:
日米通商交渉、2月開始説が浮上 焦点は米要求項目
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[東京 19日 ロイター] - 来年1月中旬にもスタートするとみられていた日米通商交渉の開始時期が決まらない状態となっている。米通商代表部(USTR)が交渉を開始する30日前に開示する予定の対日要求項目を未だに公表していないためだ。日本側では交渉開始は2月にずれ込む可能性もあるとの見方が出ている。米側は対日貿易赤字削減のため、日本の自動車輸出に関税や数量規制を掲げるとの見方もあり、交渉の先行きは予断を許さない。

日米首脳は9月に、通商交渉(物品貿易協定交渉)を開始することで合意。米政府が議会に交渉を通告して90日を経過する1月中旬にも交渉がスタートするとみられていた。

12月10日には米通商代表部(USTR)が公聴会を開き、各種業界団体から要望を聴取した。この後の段取りとしては、米USTRが対日要求項目をホームページ上で開示、30日経過後に交渉が開始する予定。要求項目は19日現在、公表されていない。米国は来週、クリスマス休暇シーズンに入るため日本側の交渉関係者は気をもんでいる。

米国は通商交渉が米経済に与える影響の分析も進めており、「分析結果が公表される1月25日より前に交渉は始まらない」(日米交渉筋)との観測もある。

一方、日本の通常国会は1月28日にも召集される見通しで、開会後数日間は、交渉担当の茂木敏充経済再生担当相が国会を離れることはできず、ライトハイザーUSTR代表が来日しない限り、交渉は2月でないと難しいとの見方もある。

もっとも日本側には交渉を急ぎたいインセンティブは少ない。自動車や農産品で大きな譲歩を迫られる場合、春の統一地方選や夏の参院選に逆風となるためだ。逆に米国側は先の中間選挙で下院で敗退したトランプ政権が2020年の「大統領選再選を目指し交渉成果を急ぐのではないか」(与党関係者や経済官庁幹部)との懸念が聞かれる。

スタートがいつになろうとも、焦点は年間7兆円の貿易赤字を削減したい米側の要求項目となる。うち4兆円を自動車輸出が占めており、「年間174万台の日本から米国への自動車輸出に対して厳しい数量規制を検討する公算が大きい」(日米交渉筋)との指摘もある。

10日の公聴会では、全米自動車労組(UAW)が、日本が安全性や環境基準の厳格化などを通じて「非関税障壁」を設け、市場開放を妨げていると指摘。日本からの自動車・自動車部品輸入に厳しい数量規制を設けるよう要請し、輸入を増やす場合は米国から日本への自動車輸出の伸びに基づいて行うべきとした。米自動車政策評議会(AAPC)は、対日交渉では「米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」よりも強力な為替条項が必要と主張している。

USTRの要求項目にこれらの主張がどのように反映されるか注目される。

竹本能文 編集:石田仁志
https://jp.reuters.com/article/japan-us-trade-idJPKBN1OI0Q3?il=0
 

外国為替2018年12月19日 / 18:38 / 32分前更新
BRIEF-11月の英生産者物価産出指数、前年比+3.1%=統計局(予想:+2.9%)
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[ロンドン 19日 ロイター] -

* 11月の英生産者物価産出指数、前月比+0.2%=統計局(予想:-0.1%)

* 11月の英生産者物価コア産出指数、前年比+2.4%=統計局(予想:+2.3%)

* 11月の英生産者物価コア産出指数、前月比+0.1%=統計局(予想:+0.2%)

* 11月の英生産者物価産出指数、前年比+3.1%=統計局(予想:+2.9%)

* 11月の英生産者物価投入指数、前年比+5.6%=統計局(予想:+4.6%)

* 11月の英生産者物価投入指数、前月比-2.3%=統計局(予想:-3.0%)



http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/186.html

[政治・選挙・NHK255] 大嘗宮、敷地面積8割に 宮内庁、経費削減、一部プレハブ化も  「天皇退位特例法」を巡る政府とゴー宣道場の攻防を振り返る 
大嘗宮、敷地面積8割に 宮内庁、経費削減、一部プレハブ化も
天皇退位 社会
2018/12/19 18:09

宮内庁は19日、2019年11月の代替わりの皇室行事「大嘗祭(だいじょうさい)」の会場の規模を前回の8割程度に縮小すると発表した。「大嘗宮」の一部の建物をプレハブ化するほか、屋根や柱も安価で調達しやすい素材に切り替える。

平成の代替わりで皇居・東御苑に設営された大嘗宮(1990年11月)=共同
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平成の代替わりで皇居・東御苑に設営された大嘗宮(1990年11月)=共同

同庁は「人件費や資材価格の上昇など社会情勢の変化に応じて見直した」と説明している。ただ経費節減分では人件費、資材価格の上昇を吸収しきれず、建設にかかる費用は前回の14億円を超える見通しだ。

19日に開いた代替わりに関する諸行事を議論する「大礼委員会」の第3回会合で、19年11月14〜15日に執り行われる大嘗祭の準備方針を取りまとめた。

1990年に営まれた前回の大嘗祭では、皇居・東御苑内の約100メートル四方の敷地(約8500平方メートル)の内外に、大小40棟の木造の建物(延べ床面積は約3200平方メートル)を造営。費用は建設費約14億円を含め、総額約25億円にのぼった。

宮内庁は神前に供える食事をつくる「膳屋(かしわや)」と呼ばれる建物などを景観に配慮しながら木造からプレハブに変更し、工期を短縮。新天皇が新穀を供え国民の安寧を祈る「悠紀殿(ゆきでん)」や「主基殿(すきでん)」の屋根材を萱(かや)ぶきから板ぶきに改める。外周を囲む垣根の高さも2.5メートルから1.1メートルに抑える。

招待者数を前回の約930人から700人に減らしたことに伴い、参列者が着席する「幄舎(あくしゃ)」も25%縮小する。

会場全体の規模は約6500平方メートルと2割小さくなり、延べ床面積も約2600平方メートルに縮小。整地や原状回復にかかる費用、完成後に地面に敷き詰める白砂利代などの節約につなげるという。儀式で使う装束も修繕して再利用する。前回は、大嘗宮が3カ月で破却、資材が廃棄処分されたことに批判も出た。今回は「可能な限り再利用したい」(西村泰彦次長)として、今後、活用法の検討を進める。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39142850Z11C18A2CR8000/

 

平成最後の年末。「天皇退位特例法」を巡る政府とゴー宣道場の攻防を振り返る
2018/12/13 08:30日刊SPA!0
用語リンク(β)大百科用語リンク
「ええっ、トランプが最初に新しい陛下に拝謁するんですか? もうちょっと品のいい人がいいなぁ(笑)」

 来年5月1日の天皇退位について取材をしている最中、取材者がふと投げかけたニュースをまだ知らなかった皇室研究者の高森明勅氏は、相好を崩した。日米両政府は、来年6月末に大阪で開催されるG20の前に、アメリカのトランプ大統領を国賓待遇として日本に招く方向で調整に入ったという。そのため、トランプ氏が新天皇に初めて会見する外国首脳になる見通しだ。

 新天皇を巡るニュースでは、秋篠宮殿下が来年予定されている皇室行事「大嘗祭」について、「宗教色が強いものを国費で賄うことが適当かどうか」と疑問を呈して波紋を呼んだことが記憶に新しい。秋篠宮殿下は、「大嘗祭」は公費の「宮廷費」から支出するのではなく、宮内庁の経理に属する公金とされない「内廷費」で対応すべきだと発言された。

 この発言に高森氏は、「秋篠宮殿下のお考えの基礎にあるのは、税金の使い方は厳格にという、国民への深い思いやりがあってのことでしょう」と前置きしたうえで、「しかし残念ながら、秋篠宮殿下はいくつか勘違いされているようです」と指摘した。

「大嘗祭は、神道最大の祭儀と言い得るもの。宗教的な性格を否定できない一方で、古代以来の皇位継承に伴う伝統的儀式であり続けてきたという事実があります。政府は、大嘗祭の宗教的意義とは関係なく、憲法それ自体が皇位の世襲継承を要請している限り、その継承に伴うべき伝統儀式の執行には、公的責任を負うとの判断から公費(宮廷費)の支出を前回も行ったし、今回も行おうとしています。また、大嘗祭は天皇の一代に一度の重大な祭儀であって、皇族といえども、天皇以外の方がそのあり方にあれこれ言及されるのは、僭越な振る舞いとも見られかねません」

 また、宮廷費の代わりに内廷費で賄うというのも現実的ではない。そもそも内廷費は、国庫から毎年、定額が支出されており、その使い道は恒例の祭祀やそれに奉仕する掌典職の人件費などがほぼ決まっている。内廷費の全額を充てても、到底足りないのが実態だ。

「しかも内廷費は、『天皇のお手元金』とされるもの。いくらご近親であっても、その使途について『内廷外』の方が口を挟むのも、筋が違うのではないかと考えます」

◆クリスマスイブに集会。小林氏の「ダメ出し」に感心

 高森氏は皇室研究者として精力的に活動するかたわら、『ゴーマニズム宣言 2nd Season』の単行本1巻を12月12日に上梓する漫画家・小林よしのり氏が主催する、「ゴー宣道場」という公開討論の場に参加している。現在、この「ゴー宣道場」には「師範」と呼ばれるいわば「レギュラー講師」が4名いる。高森氏は、2010年の立ち上げ当初から参加している師範の1人だが、小林氏との出会いは「ゴー宣道場」よりも前にさかのぼる。

「小林先生とは、『新しい歴史教科書をつくる会』で初めてお会いしました。小林先生と言えば、過激な人というイメージがあるかもしれませんが、実際にお会いしてみると、じつに細やかな配慮をされる方で。ある年、私が12月24日に緊急集会を開催した後、小林先生に言われたことは今でも覚えています。『高森さん、今日はクリスマスイブだよ。活動家や運動家だけ集まれるような日に集会を行うのはダメだよ』って(笑)。ああ、この人は物事を客観的な視点で見る力も優れているんだなと、感服しましたね」

 その後、小林氏は同会を抜けることになるが、2人の交流は続き、小林氏が立ち上げた「ゴー宣道場」で再び手を取り合うことになる。だが、高森氏によると、「当初、小林氏は『ゴー宣道場』という名前にするのを渋っていた」と言う。

「小林先生は、『ゴー宣道場』という名前だと自分の宣伝のようになりかねないと、ほかの師範たちに気を使われていました。しかし、より多くの方に知ってもらうためには、インパクトのある名前のほうがいい。すでに『ゴー宣』という著名なコンテンツがあるので、それを利用しましょうと我々が押し切りました」

 こうして2010年4月にスタートした「ゴー宣道場」は、すでに78回(12月9日現在)もの討議を重ねており、高森氏が得意とする皇室に関してさまざまな問題も取り上げてきた。特に2016年7月の天皇の生前退位の報道からは討議が集中。同年8月7日の第57回「おそるべき天皇 生前退位の真相」から、翌年6月11日の第64回「公の為に〜生前退位と共謀罪〜」まで、全8回に渡って議論が行われた。

 当時の議論の大筋はこうだ。「天皇の生前退位のご意向を叶えるには、どうすべきか。憲法は皇位継承のあり方は『皇室典範』の規定によることを求めているが、現行の『典範』は天皇の譲位を認めていないため、生前退位を行うには『典範改正』が必須だ。さらに、天皇陛下が皇太子殿下に譲位したとしても、現状では20年後の皇室には70歳以下の皇族は悠仁親王お1方しかおられないという事態になってしまう。もし典範改正となると、女性宮家や女性天皇を認めようという議論は避けられない」。

「そもそも女性天皇が禁止されたのは、明治の皇室典範からのこと。長い皇室の歴史から見れば、わずかな期間に過ぎませんし、元明天皇、元正天皇のように母娘二代続けて女帝となった例もあります。また、女性天皇を禁止したのも、女帝が結婚した場合、夫が天皇よりも上の存在と見られて不都合だという男尊女卑の古い考えと、子は父親の血筋だけを受け継ぐという中国から伝わった『姓』(現代における名字とは別)の考えによるもの。どちらもすでに旧時代の遺物になっています。

 そこで側室がなくなった現代の条件のもとでは、皇室の存続を図るためには、どうしても皇室典範の改正を行う必要があるのです。ただ、国民の多くは女性宮家や女性天皇を受け入れていますが、狭い保守業界の内部には女性天皇や女性宮家を認めるべきではないと考える方は少なからずいるので、ずいぶん叩かれました。以前、小林先生が『天皇論』で『女系の天皇が誕生しても失望しない』と書かれたとき、私はカットしたほうがいいですよと逆に進言したこともあります(苦笑)」

 高森氏は、2016年10月9日に行われた第59回「高森明勅 皇室典範改正案 公表!」で、タイトルの通り、皇室典範改正案を発表。「ゴー宣道場」で山尾志桜里議員や倉持麟太郎弁護士と出会った高森氏は、一昨年、民進党の皇位検討委員会に出席する。同委員会は、「皇位継承等に関する論点整理」を、有識者会議のレポートに先んじて提出。質、量ともに有識者会議のレポートよりも重厚なものになっており、「皇室典範特例法」に大きな影響を与えるなど、「ゴー宣道場」の活動が政治を動かす結果となったのだった。

取材・文/週刊SPA!編集部


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https://news.nicovideo.jp/watch/nw4347197

 

「天皇退位カウントダウン」で宮内庁が本気で心配していること
皇室予算、公務、施設…
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/53911


 
天皇陛下 来年4月30日に退位
平成30年1月1日更新
天皇陛下が来年4月30日に退位され、皇太子さまが翌5月1日に即位されることが正式に決まりました。この日程で平成が終わり、新しい時代が始まります。

目次 ※クリックすると各見出しに移動します
天皇陛下退位・皇太子さま即位の日程 正式決定(平成29年12月8日)
東京オリンピックは新しい時代で
平成はどんな時代だったか?
新たな元号検討へ
天皇と上皇 明治以降では初めて同時に存在
新たな皇室の活動
退位や即位に伴う儀式
https://www3.nhk.or.jp/news/special/japans-emperor5/



http://www.asyura2.com/18/senkyo255/msg/226.html

[国際24] ウェブスター辞典、今年の単語は「正義」トランプ米大統領絡み フリン被告、実刑回避できない恐れ「国を売ったに等しい」と判事

トップニュース2018年12月19日 / 09:28 / 22分前更新
ウェブスター辞典、今年の単語は「正義」 トランプ米大統領絡み
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[17日 ロイター] - 「米国で最も信頼性の高い辞典」を名乗るメリアム・ウェブスター辞典は17日、2018年に最も検索された単語として「justice(正義)」を選んだ。

同辞典を出版するメリアム・ウェブスター社の広報担当者によると、同社サイトにおけるこの単語の検索回数は前年比で74%増加した。

米国では8月、2016年米大統領選へのロシア介入疑惑絡みでトランプ大統領が、モラー連邦特別検察官による捜査をセッションズ司法長官(当時)はやめさせるべきだとツイート。これに対し、「obstruction of justice」(司法妨害)という特定用途の単語が用いられ、検索回数の増加につながったとみられるという。

同辞典の共同編集者、エミリー・ブルースター氏は「聞き慣れた単語が抽象概念を表している場合に、最も検索数の多い単語となることが多い」と説明。「『justice』のような普通の言葉が、非常に具体的で専門分野もしくは法律に関する文脈で使われている場合、詳細と定義におけるニュアンスを調べるために辞典が引かれる」と述べた。

ほかの候補としては「nationalism(国家主義)」「pansexual(汎性欲主義的な)」「lodestar(北極星)」「epiphany(突然のひらめき)」「feckless(無益な)」「laurel(栄誉を与える)」などが挙がった。

*カテゴリーを追加します。
https://jp.reuters.com/article/france-idJPKBN1OI022?il=0


ワールド2018年12月19日 / 18:23 / 18分前更新
中国でカナダ人拘束される、3人目=カナダ紙
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[北京 19日 ロイター] - カナダ紙ナショナル・ポストは19日、同国外務省の情報として、中国でカナダ人が拘束されたと報じた。確認された中国でのカナダ人の拘束は3人目となる。

中国外務省の華春瑩報道官は定例会見で、報道について知らないと述べた。

中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]の孟晩舟・最高財務責任者(CFO)が米国の要請でカナダで逮捕された後、中国でカナダの元外交官マイケル・コブリグ氏とビジネスマンのマイケル・スパバ氏が身柄を拘束された。

*写真を付け、カテゴリーを追加します。
https://jp.reuters.com/article/china-icg-idJPKBN1OI0S4?il=0

 

 
フリン被告、実刑回避できない恐れ−「国を売ったに等しい」と判事
David Kocieniewski、Andrew Harris、Greg Farrell、Tom Schoenberg
2018年12月19日 13:26 JST
連邦地裁判事は実刑の恐れがあると告げ、量刑言い渡しを延期
「私はこの刑事犯罪に対し、嫌悪感を隠すつもりはない」と判事
元米大統領補佐官(国家安全保障担当)のマイケル・フリン被告は18日、刑の酌量減軽と捜査協力が前向きに評価されることを期待し、ワシントンの連邦地裁に出廷した。

  だが、フリン被告が実際に連邦地裁判事から告げられたのは、実刑の恐れがあることや量刑言い渡しの延期、「国を売ったに等しい」という厳しい非難の言葉だった。

  エメット・サリバン判事は検察に対し、フリン被告の違法行為についてさらに詳細な説明を求めたほか、同被告の罪の重大さについて「私はこの刑事犯罪に対し、嫌悪感を隠すつもりはない」と述べた。


ワシントンDCの連邦地裁を去るフリン被告(12月18日)写真家:Aaron P. Bernstein / Bloomberg
  フリン被告は駐米ロシア大使とのやりとりを巡り連邦捜査局(FBI)に偽証した罪を昨年12月に認めた。モラー特別検察官は裁判所への提出文書で、同被告が有益な協力を行ったとして、実刑なしの酌量減軽がふさわしいとの見解を示した。フリン被告の弁護団も同意し、量刑言い渡し後も協力を続けると表明した。

原題:Flynn’s Risk of Prison Resurfaces as Judge Flags ‘Serious’ Crime(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-19/PJYPBM6S972801?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/816.html

[国際24] ベルギー首相が辞意、移民政策巡り連立崩壊で イタリア国債と株値上がり、EU合意の見込 債券先物上げ幅縮小ー緊急証拠金発動

ベルギー首相が辞意、移民政策巡り連立崩壊で
ヨーロッパ
2018/12/19 19:08
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【ブリュッセル=森本学】ベルギーのミシェル首相は18日、国会で辞意を表明した。連邦議会第1党が移民政策を巡ってミシェル首相と対立して連立政権を離脱し、少数与党による不安定な政権運営に陥っていた。ミシェル氏から辞表を受け取ったフィリップ国王は判断を保留。週内にも、ミシェル氏に暫定的に首相にとどまるよう求めるか、他の政党に新たに組閣を要請するかなどを決める見通しだ。

首相辞任のきっかけとなったのが、国連が12月上旬に採択した移民保護のための国連移民協定を巡る閣内の足並みの乱れだ。移民に強硬姿勢をとる第1党の地域主義政党「新フランドル同盟」が採択に反発するなか、リベラル系の「改革運動」を率いるミシェル首相は採択を強行。連立与党から新フランドル同盟が離脱し、同党の閣僚5人が一斉に辞任するなど内政混乱に陥っていた。

ベルギーでは10月の統一地方選で「反移民」を訴える極右「フラームス・ベラング」が勢いを回復。16日には首都ブリュッセルのEU本部周辺で、国連移民協定の採択への抗議デモに参加した一部の極右支持者が暴徒化して警察と衝突する事態となった。

新フランドル同盟が与党離脱を選んだ背景には、こうした反移民感情の高まりがある。移民協定の採択に応じれば、より強硬なフラームス・ベラングに支持者を奪われるとの危機感が働いた。ベルギーでは5月に連邦議会選挙を控えており、選挙を意識した駆け引きが表明化した格好だ。

ミシェル首相は左派系野党との連携を模索したが、逆に野党から不信任決議を突きつけられ、辞意表明に踏み切った。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39145730Z11C18A2FF1000/


 

イタリア:国債と株が値上がり、予算でEUと合意の見込み
John Ainger
2018年12月19日 18:59 JST
10年債利回りは13bp低下、9月26日以来の低水準
イタリア株の指標のFTSE・MIB指数は一時1.5%高
19日の市場でイタリア資産が値上がり。予算を巡り欧州連合(EU)と事務レベルの合意に達したとの観測が背景。

  イタリア10年債利回りは約3カ月ぶりの水準に低下した。同国財務省の報道担当者は匿名で、EUの欧州委員会が非公式の合意を承認する見込みで、制裁は回避されると発言。正式な合意は19日中に発表される見通しだと述べた。イタリア株も4営業日ぶりに上昇した。

  ロンドン時間午前9時8分現在、10年債利回りは13ベーシスポイント(bp)低下の2.81%と9月26日以来の低水準。ドイツ債とのスプレッドは11bp縮小し258bp。イタリア株の指標のFTSE・MIB指数は一時1.5%高。


原題:Italian Markets Rally as Budget Agreement Seen Reached With EU(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-19/PJZ9DJ6JIJUO01?srnd=cojp-v2


 


債券先物、高値更新後に上げ幅縮小ー緊急証拠金発動受けて売り優勢
三浦和美
2018年12月19日 7:56 JST 更新日時 2018年12月19日 16:11 JST
長期金利は一時0.04%、昨年9月以来の低水準0.01%から上昇
先物上昇や長期金利低下のスピードが速過ぎた−SBI証
債券先物相場は2年半ぶりの高値を更新した後、急速に失速した。米長期金利の低下や日本銀行が長期ゾーンの国債買い入れオペを据え置いたことを好感して買いが膨らんだものの、日本証券クリアリング機構が午後に入って緊急取引証拠金を発動したことをきっかけに急速に伸び悩んだ。

長期国債先物2019年3月物の終値は前日比7銭高の152円39銭。一時は152円84銭と中心限月の日中取引ベースで16年7月以来の高値更新
新発10年物352回債利回りは一時、日本相互証券の前日午後3時の参照値より1.5ベーシスポイント(bp)高い0.04%に上昇。昨年9月以来の低水準0.01%から急上昇
市場関係者の見方
SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジスト
日銀のオペ据え置きをきっかけに10年金利のゼロ%割れが意識されて、先物ショートの買い戻しにつながった
その後は、先物上昇や長期金利低下のスピードが速すぎたので、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表も控えて売り優勢に転じた
緊急取引証拠金の発動を受けて、急速に積み上がった買い持ち高を軽くする動きが促された可能性も
日銀オペ

対象は残存期間1年以下と5年超10年以下、物価連動国債
5−10年の買い入れ額4300億円に据え置き
SBI証の道家氏
米長期金利に追随して円金利が低下する中で、5−10年の連続減額はもともと見込まれていなかった
10年金利がゼロ%に近づいたところで減額がなかったことで、日銀が金利低下を止めようとしていないとの見方も
過去の日銀オペの結果一覧
背景
日本証券クリアリング機構はこの日、債券先物取引で緊急取引証拠金の発動基準に該当したため、緊急取引証拠金を発動したと発表
野村証券の中島武信シニア金利ストラテジスト
証拠金が増えると、取れるポジションが減り、特に海外勢は調達が必要なため、いったんポジションを縮小せざるを得なくなり、債券先物に売りが入った可能性
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.160% -0.145% 0.035% 0.545% 0.755% 0.895%
前日比 横ばい +0.5bp +1.0bp +1.0bp 横ばい -0.5bp

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-18/PJXACN6JTSE901?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/817.html

[経世済民130] 世界の自動車業界が「リセッション」入りの公算、09年以降初 クレジット市場の売り、遂にCLOにも波及−スプレッド拡大 
世界の自動車業界が「リセッション」入りの公算、09年以降初
Craig Trudell
2018年12月20日 4:20 JST

Photographer: Daniel Acker / Bloomberg
世界の自動車業界は金融危機以降で初めての継続的な生産減に向かっていると、RBCキャピタル・マーケッツが指摘した。

  同社のアナリスト、ジョセフ・スパック氏は19日付のリポートで、世界のライトビークル生産台数は7−9月(第3四半期)に2.9%減少したと指摘。10−12月(第4四半期)には約4%の減少を見込むとした。2四半期連続の減少は2009年以降で初めてになるという。

  IHSオートモーティブとRBCの推計によれば、今年の生産台数は約9460万台と、前年比で0.6%減少する見通し。生産台数は19年にも減少し(0.4%減)、20年に小幅な増加が戻ると予想している。

Out of Gas
Global automotive production may slip this year and next, RBC says


Source: IHS Automotive, RBC Capital Markets estimates

Note: Figures from 2018 onward are projections

原題:The Global Auto Industry Is Likely in First Recession Since 2009(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-19/PJZX6Z6JTSED01?srnd=cojp-v2

 
クレジット市場の売り、遂にCLOにも波及−スプレッド拡大
Adam Tempkin
2018年12月20日 13:38 JST
原資産であるレバレッジドローンで見られた弱さが追いついた
レバレッジドローンの価格、今週はここ2年余りの安値水準
企業向け融資をパッケージしたローン担保証券(CLO)は今年最もホットな商品の一つだったが、ここへ来て冷め始めた。

  ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)に対するCLOのスプレッド(上乗せ利回り)は流通市場で拡大。シティグループによると、トリプルBクラスのCLOのスプレッドは月初から最大60ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)拡大した。

  ここ数カ月にクレジット市場全般、特にCLOの原資産であるレバレッジドローンで見られた弱さが、CLOにも追いついた形だ。


 
  バンク・オブ・アメリカ(BofA)は14日の調査リポートで、投資家が適時に売却できないリスクや米利上げ回数が想定よりも少なくなる可能性がCLO市場の突然の弱さの原因だと分析。

  クリス・フラナガン氏らアナリストは「年末に向けて流動性が引き続き問題だ。多くの投資家が様子見をしている」と指摘し、「CLOは今四半期前半には他の商品に比べスプレッド拡大が小さかったので、今後に追いつく余地がまだ幾分あるだろう」と記した。

  レバレッジドローンの価格は10月から下落し、今週はここ2年余りの安値水準となった。米利上げ回数の予想後退に伴い、変動金利商品の魅力が薄れた。

原題:CLOs Are Finally Taking a Beating Like Rest of Credit Market (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-20/PK0NL96S972C01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/201.html

[経世済民130] 最悪のタイミングで貿易減速、世界経済と市場の脅威に 日本株年初来安値 米景気懸念 日銀金融政策は現状維持−片岡、原田反対
外為フォーラムコラム2018年12月20日 / 13:49 / 2時間前更新

最悪のタイミングで貿易減速、世界経済と市場の脅威に
Jamie McGeever
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[ロンドン 19日 ロイター] - 世界中で貿易の減速を示す兆候が増えており、来年の世界経済と金融市場にとって脅威となりそうだ。貿易は10年前の世界金融危機以来で最も低調で、一部の指標は数十年来の最悪水準に落ち込んでいる。

過去1週間だけでも、中国を含むアジアの経済大国から、貿易の息切れを示す指標が相次いだ。

世界中で株価が下落しており、貿易の減速は最悪のタイミングで訪れている。

シティによると、向こう半年間で世界の輸出量は縮小し、そのペースは2008─09年以来で最速となる見通し。輸出量が先行指標であり、世界貿易の伸びと極めて強く相関していることは警戒を要する。

オックスフォード・エコノミクスのエコノミスト陣は先に、2019年の世界貿易の伸び率見通しを1.5%強引き下げて4%とした。米中貿易摩擦により、世界の総生産(GDP)が来年0.7%、2020年は1.0%、失われる可能性もあるという。

同社の報告書は「経済成長と貿易には相関がある。GDP伸び率の高い国は、GDPに占める貿易の割合の伸び率が高い傾向もある」と指摘している。

世界銀行のデータによると、世界のGDPに占める貿易の割合は4年連続で低下。過去には08─09年のように、もっと急激に低下した時期もあるが、現在は少なくとも1960年以降で最も長い低下期間となっている。

<「関税マン」>

韓国政府は今週、2019年の成長率見通しを2.6─2.7%と、12年以来の最低水準に下方修正した。インドネシアでは11月の輸出が急減。中国の11月の輸出は前年同月比5.4%増と、エコノミスト予想の半分にとどまり、10月の15.6%から大きく鈍化した。

世界貿易戦争の火種はいたる所にある。筆頭は米中貿易摩擦で、両国は90日間の「休戦」で合意したが、この間に歩み寄れなければ米国の中国からの輸入への関税率は10%から25%に引き上げられる。

来年何が起こるのか、歴史は手掛かを与えてくれるだろうか。

オックスフォード・エコノミクスの分析によると、1930年代を除き、通商上の小競り合いは世界の経済成長と資産価格に限定的な影響しか及ぼしていない。しかし貿易戦争が火を噴くと、急速な下落が起こり得る。

同社が挙げる近年の主要な貿易紛争は農業(1982─86年)、鉄鋼(1983─84年と2002─03年の2回)、タイヤ(2009─12年)を巡る4回で、このうち株価が下落したのは02─03年の1回だけだった。とはいえ、当時の株価調整は19%と激しいものだ。

GDP伸び率は株価以上にまちまちだが、全般には伸びている。貿易の伸びにはもっと厳しい影響が及んだ。

突出した例は1930年代の大恐慌。当時は保護主義の台頭に伴い、金融危機、株価暴落、厳しい景気後退が訪れた。ひとたび貿易紛争が始まるとエスカレートし、長期化しかねないことを証明したと言える。

保護主義的な政策により、世界貿易は1929年から32年にかけて30%落ち込んだ。世界のGDPに占める世界貿易の比率は29年の19%から32年には10%に縮小。60年代末になっても、この比率は29年をわずかに上回るところまでしか回復しなかった。

オックスフォード・エコノミクスは「関税率引き上げによって生まれた大きな利害関係により、企業は保護主義を望むようになった。つまり関税引き上げには拍車がかかり得るということだ」と警鐘を鳴らしている。

トランプ米大統領が自身を「関税マン」と呼んだのは、つい最近のこと。投資家は波乱万丈の新年に備えるべきだ。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
ビジネス2018年12月20日 / 15:29 / 1時間前更新
ドル112円付近、株安と米長期金利低下を嫌気
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[東京 20日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べドル安/円高の112円付近だった。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果に対して早朝のドルは反応薄だったが、午後に入り日経平均が下げ幅を拡大し米長期金利が7カ月ぶりの低水準に落ち込むと、ジリジリと下値を切り下げた。

午前の取引でドルは、五・十日の実需のフローや米長期金利の一時的な反発を受け112.60円まで上昇。正午前に明らかとなった日銀決定会合には目立った反応を示さなかった。

午後に入り、日経平均が下げ幅を拡大し、米長期金利が前日つけた7カ月ぶりの低水準2.750%を割り込むとドルはじり安の展開となり、112.01円と2カ月ぶり安値をつけた。

FOMCの結果について市場では「FRBと市場の間に不協和音が出てきている。FOMCは玉虫色の内容だったが、より明確なハト派色を期待していた向きは、完全にはしごを外された」(国内金融機関)との意見が聞かれた。

FOMC声明文の冒頭では「11月のFOMC以降に入手された情報は、米国の労働市場が引き続き強まり、経済が強いペースで成長していることを示している」とされ、9月、11月のFOMC声明文同様に経済の強さが強調された。

また、政策金利の誘導レンジの「いくらかのさらなる緩やかな引き上げ」が適切と記され「いくらか」が付け加えられたが、11月の議事要旨では利上げの継続を示唆する同文全体の削除が検討されていたこともあり、この部分が残ったことが市場の失望感につながった。

米10年国債利回りは前日7カ月ぶりの低水準まで下げた後、午前の取引で2.79%台まで反発したが、午後に入って再び低下し一時2.7476%(ビッドサイド)を付けた。

「FOMCの結果については、市場は消化不良なところがある」(外為アナリスト)とされ、海外市場ではドルが112円を割り込むリスクが残っているという。

ドル/円JPY=  ユーロ/ドルEUR=  ユーロ/円EURJPY=

午後3時現在 112.06/08 1.1387/91 127.65/69

午前9時現在 112.39/41 1.1383/87 128.00/04

NY午後5時 112.47/49 1.1375/79 127.95/99

為替マーケットチーム
https://jp.reuters.com/article/trade-slowdown-worst-market-idJPKCN1OJ0BW

 

日本株は大幅安、米FOMC利上げで景気懸念−指数は年初来安値
河元伸吾
2018年12月20日 7:46 JST 更新日時 2018年12月20日 15:13 JST
FOMCは今年4回目の利上げを決定、来年は3回から2回に減少
日銀は金融政策の現状維持、海外勢が午後に売りを出す−松井証
20日の東京株式相場は大幅に3日続落し、主要株価指数は年初来安値を更新した。米連邦公開市場委員会(FOMC)の追加利上げなどで景気減速が警戒された。日本銀行は金融政策の現状維持を決定し、午後に下げ足を速めた。電機や機械、情報・通信株中心に売られほぼ全面安。

TOPIXの終値は前日比38.99ポイント(2.5%)安の1517.16
日経平均株価は同595円34銭(2.8%)安の2万0392円58銭−下落率はともに10月25日以来の大きさ
  FOMCは19日、今年4回目の利上げを決めた。2019年の利上げ見通しは前回の3回から2回に減少したが、20年にはなお1回の利上げを見込む。米S&P500種株価指数は1.5%下落。日本銀行はきょうの決定会合で金融政策の現状維持を決めた。
FOMCの記事はこちらをご覧ください

  三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは、FOMCの利上げ見通しが2回になったものの、「株式市場は1回を織り込んでいた。景気減速が懸念され、下落した米国株に連れて日本株も下げている」との見方を示した。声明で金利を「漸進的にさらに幾分か引き上げる」とされたことに同氏は注目、「前回からは’幾分か’が加わっただけでハト派的にならなかった点がマーケットにとって期待外れだった」と話した。

  正午近くに日銀が金融政策の維持を決定。午後に下げ幅を拡大し、TOPIXは17年4月以来の安値で終了。1月に付けた直近高値から2割以上下落して「弱気相場」入りした。日経平均は17年9月以来の安値に沈んだ。


  松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは、日銀が金融政策の現状維持を決定し、「ETFの買い入れ増額など追加の緩和策がないことを確認して外国人投資家が売り、午後に一段安となっている」とみていた。また、東海東京調査センターの仙石誠マーケットアナリストは「先行き警戒による金融機関のヘッジポジション構築や個人の信用取引での追証発生が下げを拡大させた」と話した。  

東証1部33業種は海運、証券・商品先物取引、機械、電機が下落率上位
電気・ガスは上昇
東証1部値上がり銘柄数は74、値下がりは2047
売買代金は3兆44億円
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-19/PK08YE6KLVR401?srnd=cojp-v2

 


日銀の金融政策は現状維持−片岡、原田両委員が反対
日高正裕
2018年12月20日 11:54 JST 更新日時 2018年12月20日 14:15 JST
長期金利0%程度、短期金利マイナス0.1%の長短金利操作を維持
長短金利の水準を当分の間維持するフォワードガイダンスも据え置き

日銀の黒田総裁 Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
日本銀行は20日の金融政策決定会合で、長短金利操作付き量的・質的緩和の枠組みによる政策運営方針の維持を7対2の賛成多数で決定した。片岡剛士、原田泰両審議委員が反対した。世界経済の先行き不透明感が強まっていることを受けて、日銀は海外発のリスク要因を注視している。

  長期金利の誘導目標は「0%程度」としてある程度の変動を認める方針で、国債買い入れ(保有残高の年間増加額)のめど「約80兆円」も維持。短期金利は「マイナス0.1%」に据え置いた。指数連動型上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(J−REIT)の買い入れ方針も従来通り。「当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」とのフォワードガイダンス(政策金利の指針)にも変更はなかった。

当面の金融政策運営のポイント
長短金利操作(賛成7反対2)
短期金利:日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%適用
長期金利:10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう国債買い入れ
金利は経済・物価情勢などに応じて上下にある程度変動し得る
保有残高の増加額年間約80兆円をめどにしつつ弾力的に買い入れ
資産買い入れ方針(全員一致)
ETFとJ−REIT:保有残高がそれぞれ年間約6兆円、約900億円相当で増加するよう購入。市場の状況に応じて上下に変動し得る
フォワードガイダンス
2019年10月予定の消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在の極めて低い長短金利水準の維持を想定
 
  ブルームバーグがエコノミスト49人に行った事前調査では全員が現状維持を予想していた。午後3時半に黒田東彦総裁が定例記者会見を行う。決定会合の「主な意見」は12月28日、「議事要旨」は来年1月28日に公表する。

ブルームバーグの事前調査の結果はこちら

エコノミストの見方
みずほ証券の末広徹シニアマーケットエコノミスト:

当面はオペで金利を調整しながら現状維持を続ける状態が続くだろう。金利はマイナスまでついてくるかが注目だが、日銀にとってマイナスは許容しにくいだろう
オペに関しては落ち着いてきたら減額をするだろう
明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミスト:

当面は現状維持を続けながらオペレーション上の調整を行うのではないか。今は株式市場が下落しており様子見状況だろうが、長期金利もだいぶ下がっており、株が戻ってくればすぐ減額はするだろう
最大の注目は世界経済の行方。今のところ米国は堅調だが、日銀は出口に向かえないまま追加緩和に逆戻りすることを余儀なくされる可能性もあり、ここから引き締め方向か緩和方向なのか微妙になりつつある
(エコノミストの見方を追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-20/PJYHZM6K50XS01?srnd=cojp-v2


 

FOMC声明は予想よりハト派色薄い−市場関係者の見方
守護清恵、城塚愛也
2018年12月20日 6:45 JST 更新日時 2018年12月20日 8:11 JST

Jerome Powell, chairman of the U.S. Federal Reserve, carries his notes while exiting after a news conference. Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
米連邦公開市場委員会(FOMC)は18−19日に開いた定例会合で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25−2.50%のレンジへ引き上げた。2019年の利上げ見通しは前回予測の3回から2回に減少した。

  利上げは今年に入ってから4度目。最近の株価急落を無視し、トランプ大統領からの圧力に逆らう格好となった。金融当局は来年の利上げ回数予想を減らすことで引き締め休止が近づいている可能性を示唆したが、予想中央値では2020年にはなお1回の利上げを見込んでいる。

  これについての市場関係者の見方は以下の通り。

◎新興国資産は上昇か、米金融当局のハト派傾斜やプラス成長で−BBVA
  米金融当局が利上げのペースを抑制し、世界経済が拡大するのに伴い新興市場資産は勢いを増すだろうとバンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア(BBVA)のニューヨーク在勤ストラテジスト、ダニー・ファン氏が予想した。

ファン氏は最初の市場の反応は「恐らく、それほどハト派寄りでない当局を説明する動きだろう」と述べた上で、「時間の経過とともに、さほどタカ派寄りでない当局と世界的に依然としてプラスの経済成長が重なり、新興国資産を支えるはずだ」と予想
「景気減速は既にかなり考慮されている。中国と米国、欧州などの景気減速を大方の人々が予想している。市場は当局が現在よりもハト派寄りになると考えていたのだろう」
◎米利回り曲線は一層フラット化も、当局の「タカ派」姿勢で−TD
  パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がハト派寄りの発言で市場を安心させない限り、5年債と30年債の利回り曲線はフラット化し、スプレッドは25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に向かう可能性がある。TDのグローバル金利戦略責任者、プリヤ・ミスラ氏が指摘した。

FOMCの決定は「市場の予想に比べてタカ派的」だが、S&P500種株価指数がこれを嫌い米10年物国債相場は上昇する可能性も
10年債のフェアバリューは2.75%だが、S&P500種が「実際に崩れれば」債券高になる可能性も
◎米利上げの大部分は終了、新興国市場の魅力増す可能性−シーポート
  米金融当局が利上げの大部分を終了し、よりハト派的な見通しを持っていると考えられる今の状況では、新興国市場の魅力が増す可能性があるとシーポート・グローバル・ホールディングスの債券ストラテジスト、マイケル・ローチ氏(ニューヨーク在勤)が指摘した。

「予想されたフェデラルファンド(FF)金利誘導目標引き上げの大部分が今や終わったと考えられ、将来の利上げに伴う新興国市場へのマイナスの影響は徐々に小さくなることが予想される」とローチ氏
「引き締めサイクルが終了しつつあるように見える中で、ますます多くの資金が新興国市場に引き付けられるだろう」
 
◎FOMC金利予測、来年3回の利上げ予想する幹部の存在示唆−DWS
  FOMCの金利予測の下方修正でもタカ派の傾向はある。DWSの米債券共同責任者、グレッグ・ステープルズ氏がFOMCの声明と予測の発表後に電話インタビューでこう指摘した。

同氏はドット・プロット(金利予測分布図)の中央値が2019年に2回の利上げを示唆する水準に低下したものの、「3回の利上げはまだあり得ると考えるFOMC幹部らはまだいる」とコメント
「当局は市場に耳を傾けており、市場を尊重しているが、市場に支配されることはないことを示している」
この決定は米国の金利に対するステープルズ氏の中立的ポジションを変えるものではないが、短期債利回りの低下でイールドカープが若干スティープ化する可能性があると同氏は予想
◎FOMC後のドル上昇、「超ハト派的」でない利上げが一因−BNP
  米FOMCが利上げを決定した後にドルが上昇した一因は、利上げが「超ハト派的」ではなかったことだとの見方を、BNPパリバの外為戦略北米責任者ダニエル・カッツァイブ氏が示した。

「超ハト派的なシナリオを避け、市場が見込んでいるものが得られた」とカッツァイブ氏は電話インタビューで発言
1Qの経済指標はもう一度利上げを行うのに十分なほど良いと予想。これはドルがかなりよく持ちこたえることを意味する
◎FOMC後のドル高、「多少」逆戻りする可能性も−ウェルズF
  FOMCの利上げ決定後のドル高の動きは、ハト派寄りのFOMC声明を理由に抑制され「多少」逆戻りする可能性がある。ウェルズ・ファーゴの通貨ストラテジスト、エリック・ネルソン氏がこう予想した。

「世界各国の中央銀行からさらなる動きが出てくるまで」向こう2カ月は全般的にドルの下落余地は限定的だとネルソン氏は電話インタビューでコメント
さらに漸進的な利上げの検討継続がドルの強さとユーロの弱さの要因だろう
◎FOMC声明は予想よりハト派色薄い−ソシエテのラジャッパ氏
  FOMC声明は予想されたほどハト派寄りではないと、ソシエテ・ジェネラルの米金利戦略責任者、スバドラ・ラジャッパ氏はFOMCの決定と新たな経済予測の発表を受けてコメントした。

インフレ期待に関する文言に変更がない点にラジャッパ氏は言及
声明は「幾分かの」追加利上げに言及しており、「データ依存への明確なシフトはない」とラジャッパ氏
「FOMCは基本的に金融引き締めスタンスを維持している」と同氏
◎イールドカーブは一段とフラット化、米追加利上げ示唆で−BMO
  米金融状況の引き締まりとインフレ抑制傾向を認めるパウエルFRB議長のコメントは、「今後の金融政策の道筋がより低くなるための下地を作っており」、米10年債利回りを押し下げると、BMOキャピタル・マーケッツの金利ストラテジスト、ジョン・ヒル氏が電子メールで指摘した。

金融当局が中立金利に向け利上げを続けて期間が短めの金利を押し上げる中、米イールドカーブは一段とフラット化する
2年債と10年債の利回り格差(スプレッド)が次に試されるのは9.2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)で、その次は5bpになり、最終的に「長短逆転に向けた協調した試みがあるだろう」
市場が織り込んでいる2019年3月と6月の利上げは「低過ぎると見受けられる」
  

(1−4人目を追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-19/PK06P76JIJUQ01?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/202.html

[経世済民130] パウエルFRB議長、追加利上げに慎重姿勢示唆−経済成長に逆風で 米上院、政府閉鎖回避に向け暫定予算案を可決 
パウエルFRB議長、追加利上げに慎重姿勢示唆−経済成長に逆風で
Rich Miller、Steve Matthews、Craig Torres
2018年12月20日 11:47 JST
FOMCは今年4回目の利上げ決定−トランプ大統領の批判よそに
政策当局者の19年利上げ回数見通し、3回から2回に減少
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、トランプ大統領による度重なる金融引き締め批判に気後れすることなく、今年4回目の利上げを決めた一方、2019年の追加利上げには一段と慎重な姿勢を示唆した。

  連邦公開市場委員会(FOMC)が19日、政策金利の誘導目標レンジを0.25ポイント引き上げて2.25−2.5%とする決定を下した後、パウエル議長は記者会見で、「追加利上げには最終的な到達地点と道筋の双方についてかなりの程度の不確実性がある」と述べた。


パウエルFRB議長写真家:Andrew Harrer / Bloomberg
  投資家はパウエル議長と連邦準備制度にだめ出しのサインを送った。株式相場は下落し、債券利回りは低下した。株価急落について一部アナリストは、FOMCが利上げ終了のシグナルを発しなかったとの失望感が要因だと指摘する。


  元FRBエコノミストで現在はコーナーストーン・マクロのパートナーであるロベルト・ペルリ氏は「FOMCは9月よりもかなりハト派寄りだが、市場が望むほどハト派的ではないかもしれない。しかし米国のデータは米金融当局による利上げ打ち止めを支持していない」と分析した。

  FOMC参加者の予想中央値によると、来年の利上げ回数見通しは9月時点の3回から2回に減少した。それでも投資家の予想より多い回数で、金利先物市場のトレーダーが織り込む19年の利上げ幅は0.25ポイントの半分にも満たない。

  パウエル議長はまた、4兆1000億ドル(約461兆円)に上る保有債券の縮小計画を継続する方針も再確認した。一部アナリストは、最近の株式相場の波乱を受けて当局が信用引き締めにつながる同プログラムを停止すると期待していた。

  パウエル議長は来年の見通しは「前向き」との認識を繰り返し示したが、政策当局者らは19年の成長率予想を9月時点の2.5%から2.3%に若干下方修正した。今年の成長率は3%の見通しで、10年前の金融危機以降で最高となるペース。

  ただ、パウエル議長も明るい見通しに多少の下振れリスクを認識しており、9月のFOMC以来、「幾つかの逆流が顕在化している」と指摘。依然堅調ながらも減速している世界の成長や金融市場の最近の軟調に言及し、「将来の成長に関する不安感がある」と付け加えた。

  19日の0.25ポイントの利上げに先立ち、トランプ大統領は2日連続のツイートで、政策金利据え置きを求めてFOMCによる利上げをけん制していた。ホワイトハウスの圧力について記者団から質問されたパウエル議長は、政治的考慮は金融政策の議論で何の役割も果たしていないと述べ、当局は独自の分析を行う方針であり「それから逸脱させるものはない」と言明した。

原題:Powell Enters Era of Rate-Hike Caution as Growth Headwinds Mount(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-20/PK0HPU6JTSE801?srnd=cojp-v2


 

米上院、政府閉鎖回避に向け暫定予算案を可決−下院に送付
Laura Litvan、Erik Wasson
2018年12月20日 12:33 JST
下院の共和・民主指導部は共に暫定予算案支持を示唆
トランプ大統領は署名するかどうか明らかにせず

Photographer: Al Drago/Bloomberg
米上院は19日、一部政府機関閉鎖の回避に向け、政府機関の資金を来年2月8日まで手当てする暫定予算案を可決した。

  暫定予算案が下院でも可決され、大統領の署名を経て成立すれば、トランプ大統領が求めるメキシコ国境の壁建設予算を巡る対立は2月まで先送りとなる。下院では共和、民主両党指導部が暫定予算案の支持を示唆している。

  暫定予算案に壁建設予算を盛り込むよう要求していたトランプ大統領は、同案に署名するかどうか明らかにしていない。不成立に終われば、9つの政府機関の資金が21日夜に底を突くことになる。

原題:Senate Votes to Avert Shutdown by Delaying Trump’s Wall Fight(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-20/PK0MKD6S972801?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/203.html

[経世済民130] 日経平均が年初来安値一時700円安 冷たい日米中銀に消沈 景気や市場の逆風に曝されるFRB 英金融機関EUアクセスできず
トップニュース2018年12月20日 / 16:19 / 6分前更新
日経平均が年初来安値一時700円安 冷たい日米中銀に消沈
3 分で読む

[東京 20日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は一時700円を超える大幅続落。3月に付けた年初来安値を下回り、約1年3カ月ぶりの安値を付けた。グローバル景気の減速懸念が払拭されない中で、日米中銀会合への失望が広がった。過剰流動性相場の終焉が意識され全面安商状。ただ、短期的には売られ過ぎであり、リバウンドが近いとの見方もあった。

<流動性相場の終焉意識>

19日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)では、事前の予想通り、今年4回目の利上げが決定されたが、2019年の利上げ回数の見通しが2回に減少するなど「ハト派的利上げ」と言える内容だった。

しかし、マーケットは、パウエル議長が会見で、FRBのバランスシートを毎月500億ドルのぺースで今後も縮小し続ける方針を表明したことに失望。米株が大幅安となり、日本株も軟調ムードを引き継いだ。

さらに日銀決定会合でも政策据え置き。日米ともに事前の期待が高かったわけではないが、「金融市場がリスクオフの様相を強めているなかだけに、日米中銀がともに市場に対して冷たい態度をとった受け止められた。相場の地合いが強ければ、どうと言うことはないのだが、弱っているところであり、ダメージが大きくなったようだ」(国内銀行)という。

日経平均の2万1000円割れは今年何度も反発したレベルであり、押し目買いの好機とみていた向きも、下げ幅の拡大を眺めて手出しができなくなったようだ。個人投資家から手じまい売りや追証発生懸念に伴う売りが出て、下げの勢いを加速させた。

<短期リバウンド近しとの見方も>

一方、株価下落のスピードの速さに、短期的なリバウンドは近いとの見方も出てきた。

JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト、重見吉徳氏は「過去を見ても、一方向に株価が下落するということはあまりない。ポジティブなニュースに反応したリバウンドを途中に挟むものだ。米連邦準備理事会(FRB)やトランプ米大統領が株価の底割れを防ごうとすれば、そこでいったん株価は反発する」と話す。

日経平均は年初来安値を下回り、テクニカル的にも弱い形となったが、「ボリンジャーバンドはマイナス3シグマに近づいており、早晩、短期的なリバウンドが起きる可能性もある」(証券ジャパンの調査情報部次長、野坂晃一氏)との見方も出ていた。

セクター別では東証33業種中、32業種が値下がりしたが、電気・ガスはプラスで引けた。四国電力(9507.T)、中部電力(9502.T)、北陸電力(9505.T)など電力株は堅調で、外部環境に左右されにくいディフェンシブ株として物色された。

前日上昇して安値引けとなったソフトバンク(9434.T)は寄り付き後に一時8.2%の下落となったが、その後反発し、前日終値を上回ってきょうの取引を終えた。

東証1部の騰落数は、値上がり74銘柄に対し、値下がりが2047銘柄、変わらずが9銘柄。

日経平均.N225

終値      20392.58 -595.34

寄り付き    20779.93

安値/高値   20282.93─20841.34

TOPIX.TOPX

終値       1517.16 -38.99

寄り付き     1544.42

安値/高値    1512.11─1550.93

東証出来高(万株) 182122

東証売買代金(億円) 30043.92
 
ビジネス2018年12月20日 / 11:59 / 2時間前更新
日経平均が急落、15カ月ぶり安値 日米金利差による円高警戒
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[東京 20日 ロイター] - 東京株式市場では20日、日経平均が後場に入り急落。今年3月につけた年初来安値の2万0347円49銭を割り込んだ。1年3カ月ぶりの安値水準をつけ、現在は2万0300円付近で推移している。

日銀が同日正午前に金融政策の現状維持を決定。後場が開くまでの時間帯に先物が売られ、現物指数も下げ幅を拡大した。市場関係者からは「日米金利差縮小を背景として円高圧力が強まるとの思惑が株価を圧迫した」(国内証券)との指摘が出ていた。

一方「12月に入って海外の年金勢など長期投資家がエクイティのポジションを外している。外人持ち株比率が高い銘柄ほど下げ率が厳しい。買い手不在の中、売り圧力が強まっている」(同)との声も聞かれた。

ただ、「個人投資家の投げ売りが止まらないが、テクニカル的には売られ過ぎのサインが点灯している。売りの最終局面も近いのではないか」(中堅証券)との声も出ている。

日経平均は朝方から売りが先行。前場は前営業日比356円49銭安の2万0631円43銭で引けた。米連邦準備理事会(FRB)が利上げ決めたことを受け、前日の米国株が大幅に下落した流れを引き継いだ。

*情報を更新しました。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-rate-idJPKCN1OI2HD?il=0


 


 
コラム2018年12月20日 / 10:19 / 6時間前更新

追加利上げ断行、景気や市場の逆風にさらされるFRB
Gina Chon
2 分で読む

[ワシントン 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米連邦準備理事会(FRB)が追加利上げに踏み切った結果、パウエル議長はさまざまな面で厳しい立場に置かれることになる。

今回の利上げは、トランプ米大統領の批判を押し切る形で実施された。景気減速や弱気ムードの市場は、この先の金融政策のかじ取りを困難にする要素でしかない。

トランプ氏は数カ月にわたり、自ら起用したパウエル議長に利上げを思いとどまるよう促し続け、18日には「市場(の声)を感じろ」と発言。それでもFRBは19日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の誘導目標を25ベーシスポイント(bp)引き上げて2.25─2.5%とすることを決めた。2015年に事実上のゼロ金利を解除して以降、9回目の利上げだった。

FRBが来年進む道のりは険しさが増している。世界経済は輸入関税の応酬による悪影響を受けて、成長鈍化の兆しがより多くなっている。米物流サービスのフェデックス(FDX.N)は18日、世界貿易縮小を理由に来年度の業績見通しを下方修正した。10月には国際通貨基金(IMF)が世界経済の見通しを引き下げている。経済の先行き懸念を背景に、最近は米主要株価指数が急速に下がってきた。

こうした逆風をFRBも認めている。パウエル氏は19日の会見で、経済成長を巡る「不安ムード」が存在し、適正な金利水準について議論が高まる中で、FRBは「幅広い意見」に基づいて将来の決定を行うと語った。またFOMCメンバーが想定する来年の利上げ回数は、9月時点の3回から2回に減った。もっとも短期金利先物が来年の利上げをまったく織り込んでいない状況を踏まえると、依然としてFRBは利上げに前のめりだ。

それでもFRBが今回示した姿勢は、投資家の心配を和らげることはできなかった。FOMC終了後1時間でS&P総合500種は3%近く下落し、米国債利回りは急低下した。

パウエル氏にとってさらなる試練は、来年から毎回のFOMC後に会見を開かなければならないことだ。経済の潮目が変わりつつあって、正確なガイダンスを提示するのがより難しくなっているので、発言すればするほど、誤解が生まれるリスクが増大する。

10月にパウエル氏は、中立金利までの距離が「非常に遠い」と述べて市場を動揺させた。11月になって不安を鎮めようとして政策金利は中立金利を「わずかに下回る」水準にあると訂正。そして19日の会見では、政策金利は中立金利の「予想レンジの下限」と説明している。

2019年はパウエル氏と市場にとって、平坦な道のりになりそうもない。

●背景となるニュース

*FRBは19日までのFOMCで、政策金利を25bp引き上げて2.25─2.5%とすることを決めた。2015年12月以降で利上げは9回目。[nL3N1YO4O1]

*FOMCメンバーの来年末の政策金利予想の中央値は、9月時点の3.1%から2.9%に切り下がった。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
https://jp.reuters.com/article/fed-breakingviews-idJPKCN1OJ037


ビジネス2018年12月20日 / 15:09 / 1時間前更新
大半の英金融機関、合意なき離脱ならEUにアクセスできず=欧州委
1 分で読む

[ロンドン 19日 ロイター] - 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は19日、英国の欧州連合(EU)離脱が合意なき離脱となった場合、銀行や保険会社など、英国の大半の金融機関がEUでサービスを提供できなくなるとの見通しを示した。

金融サービスは英国の最も重要な税収減。EUが最大の顧客となっている。

欧州委は、英国が離脱協定を結べないまま、移行期間を経ずに来年3月にEUから離脱した場合の対応策を発表。[nL3N1YO4B2]

「離脱協定が批准されない場合、英国で設立された金融機関は、単一パスポート制度の下でEU27カ国でサービスを提供する権利を離脱日に失う」としている。

唯一予防的措置が取られるのは清算機関と中央証券預託機関。EUの顧客は、来年3月以降も1年間、デリバティブ取引の清算でLCH(LSE.L)など英清算機関を利用することを認められる。EUの顧客は英国の中央証券預託機関も2年間利用できる。

欧州委はこれについて「EU27カ国の企業には、英国機関に代わる完全に存続可能な選択肢を確保するため、このような期間が必要になると判断した」と説明。またEUの市場参加者に対し、証拠金の問題にとらわれずに、デリバティブ契約を英国からEUに移すための時間的余裕を与えることもできるとしている。

欧州委は「英国企業と取引をしているEUの顧客は、取引先にEU法が適用されなくなるケースに備える必要がある」としている。

今回の対応策は、英政府の決定とは対照的。英政府は、合意なき離脱となった場合、EU企業に対し、銀行・保険などの金融サービスの提供を幅広く認めることを決定している。

英中銀は、欧州委が清算業務の継続を容認したことを歓迎する一方、業務継続のための実務上の取り決めが必要だとの認識を示した。

英国の多くの金融機関は、EU離脱後もEUでサービスを提供できるよう、EU域内への新たな拠点の設置を進めている。
https://jp.reuters.com/article/britain-eu-clearing-idJPKCN1OJ0HZ
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/204.html

[経世済民130] 「検察に衝撃」、ゴーン日産前会長らの勾留延長請求を地裁が却下 東京地裁、ゴーン容疑者らの勾留延長を認めず 保釈の可能性 
「検察に衝撃」、ゴーン日産前会長らの勾留延長請求を地裁が却下
鈴木偉知郎
2018年12月20日 13:21 JST 更新日時 2018年12月20日 15:05 JST
東京拘置所での勾留から保釈の可能性も−報酬過少記載で起訴
ケリー前代表取締役への延長請求も却下、日産・ルノー間の緊張高まる

カルロス・ゴーン容疑者 Photographer: Junko Kimura-Matsumoto/Bloomberg
有価証券報告書に報酬を過少に記載したとして起訴、再逮捕されていた日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者らに関する勾留期間の延長請求について東京地裁が20日、却下した。

  ゴーン前会長と同時に再逮捕されていた同社前代表取締役のグレゴリー・ケリー容疑者に対する延長請求も却下された。一方、延長を請求した東京地検は金融商品取引法違反の罪で既に2人を起訴しており、2カ月を期限とする起訴後勾留もあるが、NHKは同日、両容疑者らがきょうかあすにも保釈される可能性があると報じた。ゴーン前会長の弁護人は早ければあすにも保釈される可能性があると述べた。

  東京地検の久木元伸次席検事は「適切に対処する」とのコメントを出した。日産の広報担当者は司法の判断だとしてコメントを控えた。

  元検事の郷原信郎弁護士は「実質1つの犯罪を2つに分けて、倍の勾留期間にしようとすること自体が不当だった」として「極めて適切な判断」との見方を示した。一方、東京地検特捜部による勾留延長請求が認められなかったケースについては「ほとんど聞いたことがない。検察にとっては衝撃だろう」と指摘。「長期勾留するような事件ではなく、早期保釈の可能性は高い」と述べた。

  ゴーン容疑者は11月19日に金融商品取引法違反の疑いで逮捕された後、日産の取締役会で同社の会長職を解任されたが、取締役にはとどまっていた。12月10日に起訴、再逮捕されたがルノーでは引き続き会長と最高経営責任者(CEO)の地位を保持している。

主導権争いに影響も
  日産は17日の取締役会で後任会長候補を提案するに至らず、決定を先送りした。一方、ルノーのティエリ−・ボロレ副CEOは日産の西川広人社長兼CEOに早期の臨時株主総会実施を要請する書簡を送り、日産側もこれを拒否する内容の書簡を返信するなど、両社の緊張は高まっている。

  ルノーは現在、日産株の43.4%を保有して議決権を持っている。一方、日産が保有する15%のルノー株には議決権がないものの25%以上まで買い増せば日本の会社法の規定によりルノーの日産株に議決権がなくなる。今後のゴーン前会長をめぐる動き次第でアライアンスの主導権争いに影響を与える可能性がある。

(地検や専門家のコメント、背景情報を追加します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-20/PK0PGC6JTSEG01?srnd=cojp-v2


 

ビジネス2018年12月20日 / 13:29 / 2時間前更新
東京地裁、ゴーン容疑者らの勾留延長を認めず 保釈の可能性
1 分で読む

[東京 20日 ロイター] - 東京地裁は20日、日産自動車(7201.T)の前会長、カルロス・ゴーン容疑者と元代表取締役、グレッグ・ケリー容疑者について、21日以降の勾留延長を認めない決定を行った。

NHKは、両容疑者が20日か21日にも保釈される可能性があると伝えた。

日産の広報担当者はコメントを控えた。

両容疑者は11月19日、金融商品取引法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕され、今月10日に同法違反の罪で起訴された。

また、東京地検特捜部は今月10日、同法違反の容疑で両容疑者を再逮捕。きょう20日が勾留期限だった。

東京地検は両容疑者について、日産自動車(7201.T)の有価証券報告書にゴーン容疑者の報酬を約50億円少なく記載した罪で起訴。別の期間に約40億円の報酬を記載していなかったとして再逮捕していた。

*内容を追加しました。
https://jp.reuters.com/article/nissan-ghosn-media-idJPKCN1OJ0D2
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/205.html

[経世済民130] 「命が発展の代償」、中国成長支えた出稼ぎ労働者の慟哭(貧富の格差)中国経済を支える「出稼ぎ農民労働者」たち 過酷な生活を
トップニュース2018年12月20日 / 10:54 / 4時間前更新
焦点:
「命が発展の代償」、中国成長支えた出稼ぎ労働者の慟哭
Sue-Lin Wong
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[深セン(中国) 14日 ロイター] - 2000年前後の4年間、中国深センで解体作業員として働いていたWang Zhaohongさんは、かつて国境沿いの寒村だったこの街を、活気あふれる大都市に変貌させる手助けをした。

現在、寝たきりでやせ細った50歳のWangさんは、苦しい息の下から、結局あの仕事が自分の命を奪うことになる、と語る。

湖南省にある辺境の県からやってきたWangさんや仲間の作業員たちは、深センの開発ブームの中で、適切な安全装備もないまま、大量の粉じんを吸い込んだせいで、「珪肺(けいはい)」と呼ばれる肺疾患を発症した。

Wangさんの症状は重い。彼は、次の旧正月は迎えられないのではないかと予感している。

中国は今月、世界第2位の経済大国への発展をもたらした経済政策「改革開放」の開始から40周年を迎える。

数億もの国民が貧困から脱出する一方で、Wangさんのような人々は中国の発展がもたらした大きな人的被害を思い起こさせるが、当局は情報を統制し抗議行動を押さえ込もうとしている。

じん肺、つまり珪肺など粉じんに由来する肺疾患に苦しむ労働者を支援する北京の非政府団体「大愛清塵」の推定によれば、この症状に苦しむ患者とすでに死亡した人の合計は約600万人に達している。

Wangさんなど、湖南省3県からの出稼ぎ労働者数百人は、深セン市に対して補償を求めて抗議している。

「同じマスクを10日間使ってからでなければ、新しいものが支給されなかった」と、桑植県にある生まれ故郷の貧しい村でWangさんは語った。「当時の上司は私たちに、『毎日新しいマスクを使っていたら、どうやって稼ぐんだ』とよく言っていた」

解体作業員の当時の報酬は月5000─6000元(約8万2000─9万8000円)で、他の出稼ぎ労働者が稼ぐ2倍から3倍に達していた。

署名された契約書などはほとんど存在しないため、十分な補償を受けることはほぼ不可能だ。深セン市政府は一部の労働者に対し、症状の重さに応じて、最大22万元の支払いを提示しているが、到底十分とは言えない、と労働者側を代表するGu Fuxiangさんは語る。

すでに10年近くに及ぶ闘争の先行きは暗い。11月初旬には深セン市役所で座り込みが行われたが、治安部隊による暴行を受けたと、参加した5人の労働者は語った。

「ここの地方自治体にとっても深セン市政府にとっても、治安維持が絶対の最優先課題になっている」と自分も軽度の珪肺に苦しむGuさんは語る。「発展の代償はわれわれの命だった。われわれが病気になっても、死んだとしても、政府は気にかけない」

深セン市政府に取材を申し入れると、広報担当者からは警察・社会保障・保健・経済改革の各部門を紹介された。保健部門にコメントを求めたところ、電話を切られてしまい、経済改革部門もコメントを拒んだ。警察・社会保障部門には何度も電話をかけたが応答がなかった。

<深センの成長>

労働者の健康被害は中国に限った話ではない。米国の支援団体も、こうした「粉じん由来の疾病」で亡くなる労働者に対する補償を求めて、数十年にわたる闘いを繰り広げている。

とはいえ、中国の建設ブームはあまりにもペースが速く、わずか40年間で、前例ないほど多数の犠牲者を生み出してきた。

深センほど急速に成長した都市は過去にない。同市の経済生産は昨年初めて、近隣の香港を追い越した。

深センでは、32路線で構成される世界最大の地下鉄網が2030年までに整備される予定だと国営英字紙チャイナ・デイリーは報じている。

深センを北京や香港と結ぶ北部の鉄道駅から世界第4位の高さを誇る高層ビル「平安国際金融中心」に至る、市内にある多くの有名建築の大半は、他省から流入した出稼ぎ労働者によって整備された。

巨大都市の成功の裏で、労働者たちは、医療費や子どもの教育費などを支払うために、もっぱら高利の銀行融資や親族・友人からの借金に頼らざるを得ない状況だ。

Wangさんは通院費を払うために地方の金融協同組合から5万元借りた。融資契約によれば、金利は4半期ごとに11.27%だ。

「子どもたちが連帯保証人なので、銀行もまだ金を貸してくれる。息子は、私が死んだら銀行への返済を肩代わりすることに同意した」。ベッド脇の炭火で自家製のサツマイモを炙りながら、Wangさんはそう語った。

珪肺と診断された2009年に、深セン市当局は13万元を支給したが、それでは十分ではなかったと彼は言う。

「中国では、問題は金が足りないことではない」と香港大学で社会学を研究するPun Ngai教授は言う。「深セン市には巨額の社会保険基金がある。問題はイデオロギーだ」

「深セン市政府は、こうした労働者は深セン市の住民ではなく、従って自分たちの責任ではないと考えている」と同教授は指摘。「市政府は、もしこの労働者たちの要求を受け入れれば、他省から他の人々が補償を求めてやってくると懸念している」

深セン市の公式人口は1250万人で、社会保障基金の総額は2017年末時点で5400億元以上に達している。

<安定の維持>

Slideshow (5 Images)
労働者たちは、中央政府から厳しい非難を浴びており、彼らが何か言うと脅しをかけてくる、とロイターに語った。

中国当局は11月中旬、すべてのウェブサイトを対象に、珪肺に苦しむ湖南省の労働者に関する報道や公表を禁じた、と同国の検閲を調査しているチャイナ・デジタル・タイムスは指摘する。

著名な国営新聞社やテレビ局は2009年に彼らの苦境を報じたが、今年はこの問題について沈黙を守っている。

こうした検閲は、中国で過去5年間強化されてきた政治的な締め付けと整合するものであり、その背景には、中国南部に始まり全国に広がった学生・労働者による抗議行動に対する弾圧がある。

今年8月には約50人の学生や活動家が全国から深センに終結して、 溶接機器メーカー深セン佳士科技公司(JASIC)の工場における劣悪な条件に対して、工場労働者とともに抗議を行った。

「珪肺に苦しむ労働者の問題は、今年きわめてセンシティブなものになった。政府がJASICの事件と結び付けられることを恐れているからだ」とPun教授は語る。

労働者たちは今年11回、深センを訪れたが、まだ十分な補償は得られていないという。前出のGuさんによれば、労働者らはその症状に応じて、50万元─110万元の補償を求めている。

ロイターの記者が桑植県に到着して12時間も経たないうちに、地元警察は労働者に電話をかけ始め、地元の警察署に報告して、誰に会ったか確認するよう命じた。桑植県の警察はコメントを拒否している。

「当局は私たちを脅す方法を知り尽くしている。今のところ、恐がって外国のメディアとはいっさい関わろうとしない労働者は大勢いる」。Guさんはそう語り、市政府の当局者から、彼の電話とソーシャルメディアアカウントは監視されていると言われた、と付け加えた。

しかし、それより心配していることは、家族に残してしまいそうな巨額の借金だと彼は言い、自身の身の上を語ることに意味があるだろうかという疑問を繰り返し口にした。

「わが国は過去40年間で非常に急速に前進した。農家が必ずしも農家を続けなくても済むようになった。それは本当に素晴らしいことだ」。Wangさんは鼻腔に挿入したチューブで呼吸しつつ、物憂げに語った。隣家に面した小さな窓には、彼の肺のX線画像が掲げられていた。

「ベッドから起き上がれればと思う。出かけて、外の様子を知りたい」と彼は言う。「でも、私の命はそう長くないだろう」

(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/china-anniversary-reform-workers-idJPKBN1OI0LZ


 

【貧富の格差】中国経済を支える「出稼ぎ農民労働者」たち
過酷な生活を強いられている中国の農民工が、改革開放30年来のGDPの21%を作り出し、GDP急成長の6割は彼らの手によって作り出されている 更新日: 2018年07月30日
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toctoctocさん
搾取される労働者たち

■世界2位を争うGDP その裏に出稼ぎ労働者の過酷な生活=中国 - (大紀元)

http://www.epochtimes.jp/jp/2010/05/html/d14296.html

「給料を払ってくれ。家に帰りたい」

出典
www.epochtimes.jp
「給料を払ってくれ。家に帰りたい」

過酷な生活を強いられている中国の農民工(農村からの出稼ぎ労働者)が、改革開放30年来のGDPの21%を作り出し、農民も合わせて、中国が世界に誇るGDP急成長の6割は彼らの手によって作り出されている
中国の最低賃金額は、貧困問題を抱えるアフリカの32カ国よりも低い。

中国の公務員の給料は国の最低賃金の6倍であり、世界平均の2倍を大きく引き離す。

■KEY_NUMBER_39:都市と農村の貧富の格差

http://www.21ccs.jp/china_watching/KeyNumber_NAKAMURA/Key_number_39.html

過酷な労働の一場面

■中国貴州市タイヤ工場、農民工の過酷な労働 - (大紀元)

http://www.epochtimes.jp/jp/2007/09/html/d90379.html

カーボン・ブラックを運搬する際、農民工達はほとんど服を着ずに作業を行うため、目と歯以外全身真っ黒になっている。

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出典
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農村からの出稼ぎ労働者
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ほとんどの人は防塵マスクを着用していない
一日の作業で相当の粉末を吸い込んでいるはずである。

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出典
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■心痛、中国農民の生活=写真= - (大紀元)

http://www.epochtimes.jp/jp/2005/12/html/d12678.html

http://www.epochtimes.jp/jp/2005/12/img/m68587.jpg
リンク先に沢山の写真があります
■全く経験ナシ 出稼ぎ農民が鉄道建設 大規模な手抜き工事=吉林省 - (大紀元)

http://www.epochtimes.jp/jp/2011/10/html/d74072.html

全く経験ナシ 出稼ぎ農民が鉄道建設 大規模な手抜き工事

出典
www.epochtimes.jp
全く経験ナシ 出稼ぎ農民が鉄道建設 大規模な手抜き工事

建築の知識・経験がまったくない出稼ぎ農民が鉄道工事に係わる(ネット写真)
メンバーは、建築に関する知識も経験も全くないという。

橋脚土台の建設には、コンクリートの代わりに砕石や土砂を使用。「開通しても乗りたくない」と施工した農民の1人は話した。

残れない都市、帰れない農村

彼らは中国の戸籍制度に阻まれ、長く都市に住んでいても、都市の住民になることはできない。

出典
http://www.epochtimes.jp/jp/2010/05/html/d14296.html

■中国の戸籍制度と農民移住制限

http://www.seki-hei.com/column/koseki_nouminijuu.html

中国の戸籍(戸口)制度の最大の特徴は住民の管理と、都市と農村の人口移動、とくに農村から都市への流入を厳しく制限することにある。

「農村戸口」を持つ農民が都市に移転することは基本的に禁止されているのである。

出典
cn.yimg.com
マフィア化する自治体当局の関係者

■中国の過酷な労働実態、当局も加担、と人権団体が批判 国際ニュース : AFPBB News

http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2242286/1710110

「労働者の酷使は中国では広くみられ、問題は深刻化している。法を守るべき自治体当局の関係者たちまでもが『マフィア化』している、と中国の研究者たちは警告している。当局がギャング団や人身売買業者と(劣悪な労働条件を維持するために)結託している」
中国の劣悪な労働実態が急成長する経済の「暗部」として浮き彫りにされた

こうした実情を取り締まるどころか、経営者らと結託し、支援さえしている政府当局関係者らもいる

出典
img1.cbi360.com
差別


■出稼ぎ農民、入園禁止 身なりが問題=陜西省西安市 - (大紀元)

http://www.epochtimes.jp/jp/2011/09/html/d77392.html

公園で休憩をしようとした数人の出稼ぎ農民は、身なりやマナーがよくないとの理由で保安関係者に追い出された。

■北京五輪期間中に流動人口制限、出稼ぎ労働者100万人を強制排除 - (大紀元)

http://www.epochtimes.jp/jp/2006/09/html/d17194.html

不満が爆発

■頻発する暴動、激しさ増す抗争手段 中国、社会対立が一層激化 - (大紀元)

http://www.epochtimes.jp/jp/2011/06/html/d32317.html

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「殴ったのはお前らが出稼ぎの田舎もんだから!」

日頃から現地住民に見下されて溜まっていた屈辱感がマグマのように噴き出した。

命の値段

都市と農村「命の値段」の格差3倍—交通事故で判決 [サーチナ]

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=0314&f=national_0314_004.shtml

都市と農村「命の値段」の格差3倍

出典
news.searchina.ne.jp
都市と農村「命の値段」の格差3倍

オートバイを運転中、路線バスと衝突して死亡した男性の遺族が、バス会社などに損賠賠償を求めていた訴訟の控訴審で、「男性は農民でない」として1審が示した賠償額の3倍の56万元の支払いを命じる判決を言い渡した。
「男性は農民でない」として示した賠償額の3倍の56万元の支払いを命じる判決

中国の所得格差を浮き彫りにした判決として話題になっている。

農村に残された家族は

■レコードチャイナ:農村に残された「留守女性」は4700万人、心も体も寂しい毎日—...

http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=48120

http://img.recordchina.co.jp/imgout.php?m=5&img=CFP412239215.jpg&s=271016&u=
■出稼ぎ両親と離れて暮らす農村の「留守番児童」は5800万人—中国

http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=45997

http://img.recordchina.co.jp/imgout.php?m=5&img=cfp409575666.jpg&s=263031&u=
■中国農村部の留守児童、約8割が心理的な問題あり - (大紀元)

http://www.epochtimes.jp/jp/2011/01/html/d92364.html

http://www.epochtimes.jp/jp/2011/01/img/m10753.jpg
だんだんと神経質になり、攻撃的で親を敵視するようになった。また、嗅覚の幻想まで現れ、普通の人が嗅ぐことのできない異臭に悩まされるようになった。

■「父母の愛情少ない」 留守児童3人、服毒自殺=広東省 - (大紀元)

http://www.epochtimes.jp/jp/2011/10/html/d13638.html

http://www.epochtimes.jp/jp/2011/10/img/m52293.jpg
■農村の出稼ぎ家庭、老人の8割が自分で生計―中国(レコードチャイナ) - エキサイトニュース

http://www.excite.co.jp/News/china/20090201/Recordchina_20090201015.html

2009年1月30日、中国農業大学の調査によると、中国農村部の出稼ぎ家庭では、留守を預かる老人の80.9%が自分で働いて生計を立てていることがわかった。新華社が伝えた。中国農業大学人文・発展学院の葉敬...

新世代の出稼ぎ労働者たち

■中国の新しい出稼ぎ労働者(1)体力でなく技能で稼ぐ   [サーチナ]

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0223&f=national_0223_004.shtml

主に1980年代から1990年代に生まれた労働者

出典
dg.bendibao.com
前世代の出稼ぎ労働者に比べると、彼らが受けた教育のレベルは高く、思考力が活発で、都市生活に溶け込むことを熱望している。

新世代は技能トレーニングに対する消費意欲が非常に高い。トレーニングを通じて技能を取得し、技術を活かせる高収入の仕事につくことを望んでいる。

■中国の新しい出稼ぎ労働者(2)見聞を広めることが狙い   [サーチナ]

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0224&f=national_0224_009.shtml

出典
dg.bendibao.com
出稼ぎを「視野を広げチャンスを見つける手段」と考える人が多い

■新世代の出稼ぎ労働者に変化!「都会生活も楽しみたい」—中国...

http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=41185

出典
acftu.people.com.cn
■物的・文化的満足求める「90後」出稼ぎ労働者のジレンマ―中国(サーチナ) - エキサイトニュース

http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20111201/Searchina_20111201034.html

■中国新世代出稼ぎ農民に明らかな変化

http://www.long-net.com/topics/article.php?uri=25103416

現在農村労働者は課題とチャンスに直面している。

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http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/206.html

[経世済民130] 日本人と韓国人はどっちが幸せ?「人生すごろく」で大胆比較! 「下流」在日中国人の実像、同胞に食い物にされ生活保護・売春へ
2018年12月21日 週刊ダイヤモンド編集部

日本人と韓国人はどっちが幸せ?「人生すごろく」で大胆比較!

日本と韓国はお隣同士。経済や社会、文化など似ている点も多い。そこで、「日本人と韓国人のどちらが幸せか」を大胆比較すべく、本誌編集部は”韓国人目線”の「人生すごろく」を考案。果たして、どっちが幸せか?(本記事は週刊ダイヤモンド2015年10月31日号第一特集「日韓本当の大問題」からの抜粋です)
 就職難や老後の貧困など、さまざまな社会問題が噴出している韓国。とはいえ、日本人と韓国人の生活には共通項も多い。果たしてどちらが幸せなのか、韓国人目線の「人生すごろく」で比べてみた。

https://diamond.jp/mwimgs/c/6/-/img_c6677df2c5a11a942b8b1eb22c0d6ea2981892.jpg

 まずは日本でも問題視される少子化だが、実は韓国が「世界最速」。直近の出生率は日本の1.42人をさらに下回る1.205人だ。原因は、女性の高学歴化と社会進出、価値観の多様化などなど、日本と似ているようだ。
 また、金銭的要因も大きい。韓国は教育熱心なことで知られるが、「結婚して子供を生んでも教育費が捻出できない」と結婚・出産に踏み切れない若者が多いのだ。
 実際に数字で見てみると、韓国では家庭における支出のうち、教育費は11.4%を占め、日本のそれの2倍! しかも塾や習い事など学校教育以外の負担が重い。小学生に高校生の勉強を教える「先取り学習塾」が繁盛しているなど、日本よりはるかに過熱している。
 こうした教育熱のゴールが大学合格だ。「S・K・Y(ソウル、高麗、延世大学の頭文字)に入れなければ、人にあらず」という偏った一流校志向があり、朝から晩まで勉強漬けとなって受験戦争にまい進する。大学進学率は、日本が6割弱なのに対して、韓国は7割に達している。
 受験戦争の次に待ち受けるのが、兵役だ。一般的に男子は学生の間に約2年間、入隊する。学業が中断され、恋人とも別れ、厳しい訓練をこなさなければならない。除隊後も定期的に訓練を受けるなど、約20年間の服務義務がある。
 ただ、一般人と金持ちで“優遇格差”がある。病気などを理由に兵役を免除された人の割合が、一般人が6%程度なのに対して、「財閥の子息は30%以上、サムスン一家に関しては70%に上った」と韓国メディアが報じたのだ。それ以降、兵役免除問題が国民の大きな関心事項になっている。
 一方で「男は軍隊に行って一人前」という意識は根強い。しかも「どの部隊で、どんなポジションだったか」は学歴と同じくらい重要だ。例えば「陸軍の特殊部隊である海兵隊員はステータスだが、基地の食堂スタッフは一生ばかにされる」(韓国の会社員)という。
 続く関門が就職だ。韓国では若者の就職難が日本以上に深刻化している。背景には「雇用のミスマッチがある」と日本貿易振興機構の百本和弘氏は指摘する。学生は給与の高い大企業志向が強く、一部の大手企業に応募が殺到する一方で、中小企業は慢性的な人手不足に陥っている。しかも、中小に就職すると大手への転職は難しい。
 そのため就職浪人する若者も少なくない。結果的に若者の失業率は他の世代より高くなっている。
 苦労して入社した後も、熾烈な出世競争が続く。韓国では男性が3人集まれば「年齢」「学歴」「出身地」「兵役」を話題にし、互いを見定める文化があるほど「肩書主義」だ。職級によって明確に給与は分けられているし、何よりもプライドのために昇進を目指す。
 そうした中で、大企業のホワイトカラーほど定年が早い傾向にある。財閥系会社員の“辞め時”を表す「38線・45定・56盗」という言葉は、「38歳で早期退職、45歳で定年、56歳で職場に残っているのは盗賊」という意味で、日本よりずっとシビアだ。韓国の自殺率が諸外国に比べて非常に高い理由として、リストラによる生活苦がしばしば挙げられる。
 そのため韓国では早期退職後に自営業を始める人が非常に多い。中でも手軽に始められるチキン専門店が人気。ただ、競合が多過ぎて、3年で5割が店を畳むという。自営業率は3割弱もあるのに、本誌アンケートでも自営業に対する幸福度は非常に低い。

https://diamond.jp/mwimgs/c/d/-/img_cd5c32a2300ac02fe69b6e4079d8f56a779203.jpg

 こうした度重なる生活苦が、老後の貧困問題を引き起こしている。高齢者の相対的貧困人口率は、OECD(経済協力開発機構)加盟諸国平均が12.8%なのに対し、韓国は47.2%と最も高い。年金制度が確立されないまま、子が親の面倒を見る伝統が崩れたことも理由だ。
 日本と韓国の最大の違いは、社会保障の脆弱さだろう。もっとも、日本の手厚い社会保障も、国の借金が膨大過ぎて、いつまで続くか不透明ではあるが。
https://diamond.jp/articles/-/189226



2018年12月21日 週刊ダイヤモンド編集部
「下流」在日中国人の実像、同胞に食い物にされ生活保護・売春へ
飲み屋街で呼び込みをする在日中国人と、不法投棄されたゴミのイラスト
Photo by Yuuki Nara
在日中国人の中には、数億円のタワーマンションに暮らす者が増える一方で、生活保護を受けながら、月額家賃1万円程度の“限界団地”で暮らす者もいます。日本語が不得手なことや能力の差によってもたらされるその格差は、“黒いビジネス“が横行するには十分。今、在日中国人の間に広がる“闇“を解剖します。(ライター 根本直樹、本記事は週刊ダイヤモンド2018年7月7日号からの抜粋です)

 荒川を挟んで埼玉県川口市と近接する赤羽(東京都北区)の区営団地。その一室に“事務所”を構える、中国残留孤児3世で指定暴力団組員のタカヤマ(仮名、中国籍)は、建設会社などに作業員を送り出すことで、月に120万〜150万円もの収入を得る。タカヤマは言う。

「団地に住む貧乏な中国人を送り込んでいる。建設会社から1人当たり1万5000円くらいの日当が入るが、俺は手数料として8000円から1万円を抜く。彼らのおかげでそれなりの暮らしをさせてもらっているよ」

福岡県の除染現場
福島県の除染現場の一つ。数多くの下流在日中国人たちが送り込まれ、同胞であるはずの「黒社会」の食い物にされている Photo by N.N.
 建設会社に送り出された中国人は、そこから全国の工事現場や福島県の除染現場に派遣されていく。こうした“貧困ビジネス”の食い物になっている“下流”在日中国人とは、どんな人々なのか。

「留学生? 違う。今どきの留学生は大陸の親からたっぷり仕送りをもらっているから、下手な日本人の学生よりもよほどいい暮らしをしている。俺が使っている中国人は定住者ビザで長年日本に滞在している人間か、オーバーステイの人間、親族訪問のビザを使って日本と中国を半年ごとに行き来してるような人間だね」(タカヤマ)

 定住者ビザは就労制限のない在留資格だが、日本人配偶者や永住権保持者と違い、1年あるいは3年ごとの更新が必要なため、在日中国人の間では「不安定なビザ」と見なされている。入国管理局の判断次第では、突然取り消しになることもあり、そうなれば日本に生活基盤がありながら、帰国を余儀なくされるからだ。

 さらに、こうした下流中国人の間にも格差がある。貧しいが故に違法もしくはグレーな仕事に手を染め、それなりの収入を得ている者もいれば、日本語が不自由だったり、能力の問題があったりでまともな職に就けず、最底辺の暮らしに甘んじるしかない層もいる。

 タカヤマは、前者には違法風俗などの危うい仕事を紹介し、後者には生活保護受給のあっせんを行って、共に高額な手数料を取っている。胸に高級ブランドのロゴがデカデカと入ったTシャツを着たタカヤマは、いかにもうれしそうに「それが人間社会ってものでしょ」と言って笑った。

偽装結婚、離婚、博打
本番エステ嬢に落ちた孤独な“50”中国女
 下流在日中国人はもちろん繁華街にもいる。1990年代から2000年代にかけて来日し、日本人男性と偽装結婚をして在留資格を得て、クラブやエステ勤めなどの水商売をしながら生計を立ててきた女性たちのうち、道を誤り、転落していった者たちだ。

エステの待合室
都内のある中国エステの待合室。回春マッサージをうたいつつその実、売春行為が行われている Photo by N.N.
 違法エステが多く集まる東京・池袋の雑居ビル内に、ひそかに“本番サービス”を行っている一室がある。集客は街頭キャッチのみ。完全に非合法な秘密の“売春ルーム”だが、いわゆる「店」ではない。

 街頭の女性キャッチが客を釣ると、喫茶店やマージャン店などで待機している“本番嬢”に連絡が入る。彼女たちは売春ルームのオーナーから部屋の“使用権”を毎月3万円程度で借りており、1回使用するたびにさらに3000円ほどのベッド、シャワー使用料とキャッチへの報酬を払うことで、個人的に商売をすることが許されている。そのバックにいるのは中国東北部出身者で構成される「黒社会」である。

 本番嬢の一人に話を聞くことができた。リンと名乗るその女性は、中国東北部ハルビン市郊外の農村部出身の54歳で、日本在住歴は25年になるという。全体に小太りで、まるでフェルトペンで描いたような黒々とした細い眉が印象的だ。

 たばこをくゆらせながら、リンは気だるそうに語る。

「(眉を触りながら)これ? 怖い? 中国のおばさん、眉に入れ墨してる人、多いね。昔のファッションよ(笑)」

 最初から出稼ぎ目的で、ブローカーに高額な手数料を支払い、留学生として来日。すぐに東京・歌舞伎町のデートクラブで働き始め、月収100万円を超えることもあった。来日2年目には日本人男性と偽装結婚。その後、永住権取得と同時に離婚した。そこから徐々に転落が始まったという。

「45歳を過ぎたころから、店舗型のデートクラブやエステには雇ってもらえなくなった。おばちゃんだからね。でも、ぜいたくな生活はなかなか変えられないね」

 闇カジノにはまって、デートクラブ時代にためた2000万円はあっという間に底を突いた。リンは不良集団のボスに頼み込み、フリーの売春婦になった。50歳のときである。

「(料金は)1回たったの1万円よ。それでも客がゼロの日が多いから、とても生活大変よ。1週間、納豆ご飯だけなんてことも多い。納豆、栄養あっておいしいよ。最高ね(笑)」

 こんな厳しい境遇に陥ってもなお、日本に齧り付いているのはなぜなのか。

「実家、田舎だから、親戚いっぱいいるよ。今更帰れない。一生、日本で生きていくよ。本当に困ったら、生活保護もあるしね」

 中国系の非合法風俗には、こんな水商売崩れの高齢で孤独な女性たちが大勢存在し、同胞の不良中国人たちから搾取され続けているのだ。

 こうした下流中国人の増加もまた、在日中国人社会の“闇”の一つだ。
https://diamond.jp/articles/-/189188


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/218.html

[経世済民130] 2019年の経済3つの「想定外シナリオ」最悪は米中完全決裂も 米国との「距離感」で国際秩序が決まる、新たな時代が始まった
2018年12月21日 唐鎌大輔 :みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト
2019年の経済3つの「想定外シナリオ」最悪は米中完全決裂も

完全決裂も電撃和解もあり得るトランプ大統領と習近平主席 Photo:AP/AFLO
日米欧三極のテールリスク
 毎年末、金融機関やシンクタンクから実現可能性の低そうなシナリオ(いわゆる「ブラックスワン」)に関する様々な予想が公表され耳目を集める。しかし、「可能性が低い」という一点だけにこだわると何でも言えてしまい、何より「面白ければいい」という方向に流れがちでもある。

 本稿では、地域を日米欧に絞り、筆者が最も注目するものを1つずつ(計3つ)列挙してみたい。想定される発生確率は予想主体によって異なるものだから、これをブラックスワンと呼ぶかどうかは受け止める者次第だろう。

 その意味で「ブラックスワンというには実現可能性が高そうだが、サブシナリオとしてメインシナリオの脇に置くには実現可能性が低い」という微妙な位置づけのリスク(いわゆる「グレースワン」)も存在する。「可能性が低そうなリスク」という意味では、包括的に「テールリスク」とまとめてしまった方が、誤解が少なそうだ。いずれにせよ、「〇〇ショック」と呼ばれるようなものは想定外の事象から勃発するのだから、師走に行う頭の体操としては有意義な試みと思われる。

 結論から言えば、米国は「米中貿易戦争の完全停戦とその真逆のシナリオである完全決裂」、欧州は「欧州中央銀行(ECB)の量的緩和再開」、日本は「日銀の利上げ」に思索を巡らせてみたい。

米中貿易戦争、停戦と決裂の両極シナリオ
 まず米国については、「米中貿易戦争の完全停戦とその真逆のシナリオである完全決裂」だ。恐らく2019年の世界経済も米中貿易戦争のすう勢に振り回される場面が多々あるだろう。

 米中貿易戦争の先行きに関しては「緩やかな緊張状態が漫然と継続する」という予想が最も多そうであり、何事も自己都合のためのディール(取引)と割り切っていそうなトランプ大統領の腹づもりを踏まえれば、恐らくその見立ては正しい。「互いに生かさず殺さず」という状況を続けたいのだろう。そうした動きをメインシナリオとすれば、その停戦や決裂といった両極端なシナリオは金融市場にとっての想定外となる。

 本稿執筆時点では12月1日の米中首脳会談で示された「米国から中国への90日猶予」が検討されている段階であり、事態は停戦に向かっているようにはみえるが、本当に解決に至ると思っている識者は決して多数派ではあるまい。そもそも保護主義を先鋭化させることで大統領の座を射止めたトランプ大統領が2020年の大統領選を前にその旗を降ろす理由はない。まして対中強硬姿勢はその象徴なのだからなおのこと、簡単に退かないだろう。

 こうした認識に基づけば、「米中貿易戦争が完全停戦に至る」という蓋然(がいぜん)性は低いと考えられ、だからこそ、本当にそうなった場合(例えば追加関税の全撤回など)に至った場合の影響は小さくないと思われる。その際は事態の進展とともに下落基調を強めてきた人民元相場も反転に至る可能性があり、為替市場を主軸に金融市場の潮流が変化する契機となるかもしれない。

 また、多くの国際機関や中央銀行の見通しも米中貿易戦争の悪影響ありきで成長率が下方修正されている現実があるので、完全停戦は2019年の世界経済の想定自体を大きく変え得る話でもある。その場合、米金利もドル相場も堅調を維持する可能性が高いだろう。

 仮にトランプ大統領が米中貿易戦争を手打ちにするとすれば、そうせざるを得ないほど株価や実体経済が動揺している状況が考えられるが、この可能性は現時点でないとはいえまい。もっとも、その場合でもトランプ大統領は極力、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策(利上げ)に責任を転嫁し、保護主義の温存を図る可能性はある。

中国を「為替操作国」認定なら米中完全決裂か
 反対に、米中貿易戦争の緊迫化がエスカレートし、完全決裂に至る可能性も当然ある。この場合、起こり得る事態は多岐にわたる。関税対象品目の拡大、関税率の引き上げはその基本動作であるし、各種許認可を通じたアクションも考えられる。

 12月には米国の要請を受けてカナダ当局が中国通信機器大手企業の幹部を拘束し、この報復に中国当局がカナダ人を拘束し返すという「事件」があったくらいだ。現実は想定を軽く超えてくる可能性がある。

 しかし、米中貿易戦争が金融市場にとって最もシンボリックな形で緊張を極めるとしたら、やはり米財務省が半期に1度公表する「為替政策報告書」において中国が為替操作国認定を受ける展開と考える。為替操作国に認定された国は国際通貨基金(IMF)を通じて2国間協議を行い、以降、制裁関税が課される事態などに至る。この際、協議期間や制裁内容が詳細に規定されているわけではなく、現状でこれだけ追加関税を課していれば「大差ない」という見方もある。

 とはいえ、やはり公式に相手国の通貨政策を批判する立場に軸足が移ることの意味は小さくないはずだ。為替操作国認定を経て米中貿易戦争の長期化・深刻化を予想する向きは増えるだろうし、ヘッドラインの持つインパクトを踏まえれば、企業や家計といった民間部門の消費・投資意欲が激しく損なわれる事態になりかねない。

 ちなみに、IMFは米中貿易戦争の影響試算において、「米国が対中輸入全額および自動車・同部品に追加関税を課したことで、企業心理が悪化して投資が減少、金融市場にも負の影響が及ぶシナリオ(confidence shock シナリオ)」を「最悪のシナリオ」としているが、まさにそれが心配される話になる。為替政策報告書のような分かりやすいアクションは引き金になりやすい。

 いずれにせよ、2019年も米中貿易戦争が世界経済および金融市場の帰すうを握っている面は否めず、これが両極端に振幅するシナリオは真っ先に警戒すべきである。

ECBの量的緩和再開シナリオ
 次に欧州については何を挙げるべきか。英国のEU離脱(Brexit)方針の撤回、離脱合意なし(ノーディール)でのBrexit決行、イタリアのユーロ離脱(Italeave)をかけた国民投票実施、メルケル独首相とマクロン仏大統領の同時退陣など、相変わらず経済というよりも政治関連で想起されるシナリオが多そうだが、これらはそれなりに市場でささやかれているものだ。本欄であえて言及することはしない。

 これら以外で注目度は高くないものの、完全に否定できない論点があるとすれば、やはりECBの政策運営の行方が金融市場の想定外の振幅につながる可能性だろう。より具体的には「ECBの量的緩和再開」という展開は可能性こそ低いものの、考える価値はあると考えている。

 周知の通り、ECBは12月の政策理事会で2015年3月から続いてきた拡大資産購入プログラム(APP、いわゆるQE)を終了させた。だが、ドラギECB総裁自身もそう述べているように、APPというツール自体が消滅したわけではなく、有事に備えツールボックスの中に納められ、いつでも使用可能というステータスにある。だからといって舌の根も乾かぬ1年未満でAPPを再開することなどあり得ないと考える向きがほとんどだろう。だが、過去の経緯を見れば、ないとはいえない。

 例えばAPPの変遷を振り返ると、2015年3月に月600億ユーロでスタートして以降、約1年後の2016年4月に800億ユーロに増額されたが、そこから1年後の2017年4月には600億ユーロに減額、その9か月後の2018年1月からは300億ユーロに、10月からは150億ユーロに再減額という増減をたどった経緯がある。事に及べば機動的に資産購入額の増減に踏み切る決断力は侮れないというのが、筆者がECBに対し抱く印象である。

 現実問題としてユーロ圏を取り巻く政治・経済情勢は非常に悪く、ECBの強気の政策運営が「浮いている」という印象は否めない。いまだにリスクバランスを「均衡(balanced)」と評価している事実に関し、疑義を唱える向きは多い。

 2017年から2018年にかけて、ECBは淡々とタカ派姿勢を貫いたものの、2018年最後の政策理事会における声明文では地政学や保護主義、新興国の脆弱性や市場のボラティリティーなどを理由に「リスクバランスは(今は均衡しているが)下方に向かっている(the balance of risks is moving to the downside)」との表現を加えた。この修正は2019年に待ち受ける厳しい未来への布石ではないだろうか。

 仮に現在予想が増え始めているように、2019年中にFRBが正常化プロセスの手を止めることになった場合、ECBの関心事は「利上げ着手や再投資停止のタイミング」ではなく、「APPを再稼働させるべきタイミング」になるだろう。少なくとも長期金利の騰勢に悩まされ続けているイタリア政府は現時点でもそれを望んでいるはずだ。政治・経済にまつわる基礎的条件の悪さを踏まえれば、APP再復活とともにECBの「あまりにも儚(はかな)い正常化プロセス」がクローズアップされるリスクは頭の片隅に置く必要があるだろう。

日銀は「空気を読める」か
 最後に日本に関する「想定外」を検討して締めたい。当然、消費増税先送りや安倍政権の退陣(これに伴う黒田日銀総裁の退任)などに思索を巡らせる向きは多そうだが、やはり金融市場という目線からは日銀の政策運営を注視したい。具体的には、欧米の金融政策の強気姿勢がピークアウトするという声が多い中、日銀がワンテンポ遅れて明示的な正常化(端的には利上げ)に踏み切るリスクには目を向けておきたい。

 本稿執筆時点の現状を整理すれば、ECBが資産購入を停止させることで、日米欧三極の中央銀行のバランスシート合計規模は2019年1月以降、前月比で減少する局面に足を踏み込むことが予想される(下図)。

日米欧中銀の総資産比較
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 2019年はリーマンショック以降で欧米の金融政策が最もタカ派に振れている状態で迎える年と言って差し支えないだろう。だからこそ、米金利は上がり、ユーロ圏の金利も連れ高になりやすく、これに日銀も乗せられやすい(言い方を変えれば正常化に踏み切りやすい)市場環境が存在すると考えられる。

 もちろん、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、コアCPI)が依然として前年比プラス1.0%程度での推移に収まっている以上、明示的な引き締めの大義は立ちにくいし、何より2019年10月に消費増税が控えている以上、それまでは慎重な政策運営しかできないというのがもっぱらのコンセンサスである(実際、日銀はそうしたフォワードガイダンスを提示済みだ)。

 だが、マイナス金利が副作用を伴う「リバーサルレート」(過度の金利低下で金融仲介機能が阻害され、緩和効果が減退)であることはもはや市場参加者にとっては周知の事実であり、これを撤回すること自体、むしろ景気にポジティブな決断だと主張する道は残されている。日銀も同様の胸中である雰囲気は節々から感じる。

 とはいえ、「理屈は正しくても、言い方やタイミングを間違えると強烈な不興を買う」というのは白川総裁時代を通じて日銀が痛烈に学んだことだろう。少なくとも「日銀が利上げを始めるタイミング」が「FRBが利上げを止めるタイミング」と重なる(もしくは近くなる)のは、先進国の中でもとりわけ為替相場に固執する日本経済(ひいては社会)において勇気が相当要る政策運営であり、可能性は非常に低いと考えるのが自然だ。

 だが、中央銀行は時に市場の思惑を超えて正常化への拘泥を見せることがある。それがマイナス金利の撤回やイールドカーブ・コントロールにおける操作対象金利の短期化(10年から5年へ)といった分かりやすい形で現れる可能性は否めない。世界経済がピークを過ぎ、欧米中銀の政策運営が曲がり角を迎えそうという空気を読んだ上で慎重な政策運営を貫けるのか。そうとも限らない、というリスクが日銀については小さいながらもありそうだ。

*本稿は唐鎌大輔氏の個人的見解であり、同氏の所属機関とは無関係です。
https://diamond.jp/articles/-/189147


 

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2018年12月21日 上久保誠人 :立命館大学政策科学部教授
米国との「距離感」で国際秩序が決まる、新たな時代が始まった
北朝鮮もロシアも中国も中東も、米国との「距離感」が国際関係を決めている
北朝鮮もロシアも中国も中東も、米国との「距離感」が国際関係を決めている 写真:ユニフォトプレス
 今回は、ドナルド・トランプ大統領の「米国第一主義(アメリカファースト)」を振り返る。2018年は、トランプ大統領の一挙手一投足に世界が振り回され続けた1年だった。そして、そこから見えてくるのは、米国が、従来の地政学的な枠組みでは説明できない、「新しい国際秩序」を着々と築いてきたということだ。

新しい国際秩序を考えるには
従来の地政学を超えた新たな理論が必要だ
 この連載では、従来の地政学を超えた「4D地政学」という新しい概念を打ち出してきた(本連載第155回)。


ニコラス・スパイクマン『Macedonian Academy of Sciences and Arts』より
 従来の地政学では、米国は「New World(以下、新世界)」と呼ばれ、ヨーロッパからもアジアからも直接攻撃されない離れた位置にあることで、政治的・軍事的に圧倒的な優位性を持ってきた。だが、現在の国際社会は、これでは説明できなくなっている。なぜなら、ミサイル攻撃やサイバー攻撃の技術が飛躍的に向上し、米国を直接攻めようとする国家などが登場しているからだ。米国が「新世界」ではないことを説明する新しい枠組が必要となる。

 端的な事例が、「北朝鮮のミサイル実験」だ(第186回)。北朝鮮がミサイル実験を着々と成功させて、本来どこからも攻撃されない「新世界」であるはずの米本土に届くICBMを完成させた。その結果、トランプ政権は、北朝鮮のミサイルを現実的な危機と認識し、初めてこの問題の解決に重い腰を上げざるを得なくなった。


©ダイヤモンド社 2018
 そこで、「4D(四次元)地政学」を考えた。これまで地図という「平面」の上で「固定」された国家の位置関係から国際関係を考察してきた地政学に、「空間」という新たな分析の枠組を付け加える。そして、空間における国家間の位置関係は不変で固定的なものではなく、国家の持つ技術力の進歩によってグニャリと曲がって変化する「動的」なものだと考える。


「ワープ」を可能にする「ワームホール」のイメージ
 北朝鮮に当てはめれば、米本土に届くICBMを完成させることによって、「平面」の上で「固定」された地図上では絶対に届くはずのない米国との距離を、「空間」をグニャリと曲げるイメージで、縮めることに成功したのだといえる。

 それは、いわば曲がった「空間」をぶち抜いた「ワームホール(虫食い穴)」を通って距離を瞬時に縮める「ワープ」のイメージだ。だから、「4D(四次元)」の地政学なのだ。本稿はこの枠組みを使い、米国と北朝鮮、EU、中東、ロシア、中国との新たな関係を分析する。

「アメリカファースト」とは
何かを振り返る
 この連載では、「アメリカファースト」とは何かを何度も説明してきた(第191回)。アメリカファーストの根底には、「シェール革命」という、主に米国で生産されるシェール石油・ガスによって、米国が2011年にロシアを上回り世界最大の産ガス国になり、2013年にはサウジアラビアを上回り、世界最大の産油国となったことによって起きた、米国内と国際社会の劇的な変化がある(第170回・P.4)。

 エネルギー自給が可能になった米国は、「世界の警察官」を続けることに関心がなくなった。だから、世界から少しずつ撤退を始めているのである。そして、アメリカファーストは、実はトランプ大統領の登場以前に始まっていたことが重要だ。

 対シリア内戦への軍事不介入声明発表以降、中東からの米軍撤退、将来の韓国からの米軍撤退(公表)、2020年から2026年の間に沖縄から海兵隊を含む全米軍撤退(非公式)、NATO(北大西洋条約機構)の閉鎖又は欧州中央軍への統合、中南米、アフリカ地域からの米軍撤退等は、バラク・オバマ大統領の時代に決められたものだからだ。「世界の警察官」を辞める「アメリカファースト」は、トランプ大統領の個人的な思い付きではなく米国内で党派を超えたコンセンサスなのだ(第145回)。

アメリカファーストと
北朝鮮の関係を読み解く
 アメリカファーストと世界の関係を読み解いてみよう。まずは北朝鮮である(第184回)。

 前述の通り、米国が動き出したのは、北朝鮮が米本土に届くICBMを完成させて、現実の危機と認識された時点だった。それまでは、どんなに同盟国である日本や韓国が北朝鮮のミサイルの脅威に晒されようとも、米国は動かなかった。

 つまり、米国が動いたのは「世界の警察官」の役割を果たそうとしたのではなく、同盟国を守るためでもなかった。米国に対する脅威を除去するアメリカファーストのためだけだった。トランプ大統領の「ディール」は、実際には北朝鮮がICBMの発射台を破壊した時点で終わっていた。だから、その後の大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の米朝首脳会談で合意した「北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向けた作業を行うと約束」には、「いつまでに、どのように実現するか」の具体策はなかったのだ。

 今後は、「米国には決して届かない短距離・中距離の核ミサイルが日本に向けてズラリと並んだ状態でとりあえずの問題解決とする」(第166回)という状況が出現し、韓国、中国、ロシアがなし崩しに北朝鮮への経済協力を始めるという、日本にとっては最悪なものとなる可能性が高い。

アメリカファーストと
ロシアの関係を読み解く
 次に、ロシアについて考える。元々、トランプ大統領は米大統領選で「ロシアとの関係改善の必要性」を訴えていた。しかし、当選後には大統領の親ロシア姿勢の背景には、ロシアとの「不適切な関係」があると指摘されるようになった。

 米大統領選でトランプ候補(当時)を勝利させるために、ロシアがサイバー攻撃やSNSを使った世論工作、選挙干渉を行ったとささやかれるようになった。また、トランプ候補がロシアに対して「対ロ制裁緩和の密約」「FBIに対する捜査妨害」それに「テロ関連情報の機密漏洩」を行ったとの疑惑が浮上した。

 政権発足直後の2017年2月に、いきなりマイケル・フリン大統領補佐官がこの問題に関連して辞任せざるを得なくなった。ジェフ・セッションズ司法長官、トランプの娘婿のジャレッド・クシュナー大統領上級顧問、大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏、トランプの選挙対策本部長だったポール・マナフォート氏などが次々と、「不適切なロシアとの接触」で追及された。「ロシアゲート事件」は、トランプ政権において最も深刻な「爆弾」の一つとなってきた。

 トランプ大統領は、次第にロシアとの関係に慎重にならざるを得なくなった。今年7月にようやく行われた米露首脳会談で、プーチン露大統領がロシアゲート事件への関与を明確に否定し、トランプ大統領も受け入れる場面はあったが、米国内で激しい批判が起きたことで、トランプ大統領はそれを撤回せざるを得なくなった。8月、トランプ大統領は米議会が成立させた「対ロ制裁強化法」に署名をさせられた。

 米露関係も「4D地政学」で読み解ける。トランプ大統領のロシアに対する「本音」は別としても、サイバー攻撃やSNSによる選挙干渉など、ロシアが米国内を直接攻撃してきたことが、アメリカファーストの米国にとって、絶対に容認できないこととなっているのだ。ロシアは、隙の多い御しやすそうな人物を米国大統領に当選させることに成功し、うまく操ろうとして、調子に乗りすぎたのだ。米国内に手を突っ込もうとして距離を縮めすぎたことで、ロシアは米国の逆鱗に触れたといえる。米露関係は極めて厳しい状況にあり、まさに「史上最悪」であるといえる。

アメリカファーストと
中国の関係を読み解く
 同様に、アメリカファーストの米国内に手を出したために、米国の逆鱗に触れたのが中国である。トランプ大統領は、中国に対して、ほとんど言いがかりでしかない「貿易戦争」を仕掛けた(第191回・P.2)。6月に、米国が中国製品に25%の追加関税を課す方針を発表したのを皮切りに、米国と中国が互いの製品に追加関税をかける「報復合戦」となった。

 だが、米中貿易戦争は、次第にハイテク分野で追い上げる中国に対する米国の対抗策ではないかという視点が浮上してきた。11月には中国から、中国が米中の貿易不均衡を是正するための142項目の行動計画リストが米国に提示され、トランプ大統領が「完成度が高い」と評価した。貿易戦争自体については、米中ともに激化を回避するために、お互いに歩み寄ったのである。

 しかし、その直後に新たな「事件」が起こった。中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟(モンワンチョウ)・副会長兼最高財務責任者が、米国の依頼を受けたカナダ当局に逮捕されたのだ。カナダ・米国は孟氏の逮捕理由を明らかにせず、中国が強く反発した。米中の歩み寄りのムードは一変してしまった。

 米国と中国は、12月1日より90日間を期限に通商協議を始めている。焦点は、中国による知的財産侵害である。米国は、中国がサイバー攻撃などで奪ってきた知財を基に、米国の経済・軍事面の覇権を奪おうとしているという疑念を持ってきた。

 そして、ファーウェイはその疑惑のど真ん中にいる企業なのである。米国は、中国共産党や中国軍とファーウェイの深い関係を疑い、ファーウェイが米国の通信ネットワークへの侵入などを通じて安保を脅かす可能性があるとの見方を強めてきたのだ。

 米中の激しい対立も、突き詰めると「4D地政学」で読み解ける。中国が、ハイテク企業を使って米国との距離を縮めることで、米国内に直接危害を加えられる能力を持っていると疑われたことで、米国から厳しい攻撃を挑まれることになってしまったといえる。

アメリカファーストで
米国との距離が遠くなった国々(1):韓国
 逆に、アメリカファーストによって、米国との距離が広がり、米国から関心を持たれなくなった国々もある。まず、韓国である。トランプ大統領は、米朝首脳会談後に在韓米軍について、「コスト削減になる」と将来的な撤退を示唆した。前述のように、北朝鮮が米国を直接攻撃できる能力を持つことがないならば、北朝鮮と直接対峙する同盟国・韓国の防衛には関心がないということだ。

「在韓米軍」の撤退は、韓国が中国の影響下に入ることを意味し、北朝鮮主導の南北統一の始まりの可能性がある。北朝鮮よりも圧倒的に優位な経済力を持ち、自由民主主義が確立した先進国である韓国が、最貧国で独裁国家の北朝鮮の支配下に入ることはありえないと人は言うかもしれない。

 しかし、明らかに「左翼」で「北朝鮮寄り」の文大統領にとっては、それは何の抵抗もないどころか、大歓迎かもしれない。そして、米国は在韓米軍の撤退と共に、それを容認する可能性がある(第186回・P.3)。

アメリカファーストで
米国との距離が遠くなった国々(2):中東諸国
 次に中東諸国である。トランプ大統領は、エルサレムをイスラエルの首都として正式に承認すると宣言した(第173回)。これに対して、イスラム圏から欧州まで、国際社会から「中東和平を遠のかせる暴挙」であると一斉に批判が起こったが、大統領はどこ吹く風であった。

 また、トランプ大統領は「イラン核合意」から一方的に離脱を宣言し、8月7日、自動車や貴金属の取引停止という対イラン経済制裁を再発動した。欧州やロシア、中国は、現行の「核合意」の枠組みを維持しようとしているが、トランプ大統領の強硬姿勢で困難な情勢だ。

 イランは、オバマ米政権によって進められた2015年の「核合意」後に、2ケタの経済成長を実現していた。だが、トランプ政権による制裁の再発動で通貨安に拍車がかかり、経済が急激に悪化している。イラン国内では、「強硬派」が勢力を増している。また、イランと、イスラエル、サウジアラビアなどの対立が激化している。

「シェール革命」で中東の石油が必要なくなりつつある米国は、アラブに気を遣う必要がなくなった。トランプ大統領の「宣言」で「中東和平が遠のいた」と世界中から批判されているが、そもそも米国は中東和平に関心がなくなったということだ。

米国が取り組む、さまざまな国との
「適切な距離感」の再構築

本連載の著者、上久保誠人氏の単著本が発売されます。『逆説の地政学:「常識」と「非常識」が逆転した国際政治を英国が真ん中の世界地図で読み解く』(晃洋書房)
 繰り返すが、トランプ大統領のアメリカファーストによって、国際社会で起こっていることは、米国がどこからも攻撃されることがない「新世界」であることを前提とした、従来の地政学では解けないものである。

 ミサイル攻撃やサイバー攻撃などの技術力の進歩によって、空間をグニャリと曲げて米国との距離を縮めて、直接攻撃することが可能になる時代となった。そして、米国とそれぞれの国との「距離感」で国際関係が決まる、新たな世界が始まったのではないだろうか。

 アメリカファーストを掲げる米国が、さまざまな国に揺さぶりをかけているのは、端的に言えば、米国がさまざまな国々との間の「適切な距離感」を再構築する取り組みである。そして、その取り組みの中で、日米関係は優先順位が低かった。

 しかし、米国が中国、ロシアなどとの「適切な距離感」を確立した後には、日本の順番がやってくる。その時、米国と日本との距離が縮まるのか、遠のくのかは、来年の大きな課題となるのかもしれない。

(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)

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[経世済民130] 日産・ルノー連合、最良の道は「完全合併」か ソフトバンクGが大型IPOを後悔  高すぎる価格でミセス・ワタナベやけどさせ
コラム2018年12月21日 / 13:06 / 41分前更新

日産・ルノー連合、最良の道は「完全合併」か
Liam Proud
3 分で読む

[ロンドン 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - カルロス・ゴーン前会長の不正疑惑に揺れる日産自動車(7201.T)とルノー(RENA.PA)は、完全合併が金融市場から理解が得られる唯一の道だが、今のところ実現が難しいようだ。

ゴーン容疑者の逮捕は日産とルノーの20年におよぶ提携が機能不全に陥っていた様を浮き彫りにした。ゴーン容疑者は日産の内部調査で、報酬を少なく記載したり、会社の経費を私的に支出した事実が発覚。日産は即座にゴーン容疑者を解任し、ルノーは暫定CEOを置くにとどめた。

日産の経営陣が不満を抱くのはもっともだ。日産が保有するのはルノーの非議決権株のたった15%だが、ルノーは日産の43%株を保有する。これは1990年代にルノーが日産を救済した際に日産の財務内容が悪かったためだ。しかし日産はその後、財務面でルノーを凌駕。2013─17年のグループ全体のR&D(研究開発)費の約6割を日産が負担し、その額は売上高の3分の2に相当する。

解決策の1つは提携における力関係を見直すことだ。提携解消は、2022年までに年間100億ユーロを目標に掲げる相乗効果を無にすることになり、双方にとって無益だ。他の提携先との間で同規模の経営効果を上げようとすれば何年もかかる。フランス側は、日産による一部株式の買い戻しや日産によるルノー株買い増し容認によって事を収めることができる。日産は発言権が強まり、取締役もフランス政府の指図を受けるという苛立ちが少しは収まるだろう。

しかし金融市場の観点からすると、この解決策は今の提携とたいして変わらない。大型の株式持ち合いを行う企業は通常、株価がかなり低く評価される。これは特にルノーに当てはまることだ。ルノーの時価総額は160億ユーロだが、日産株の評価額130億ユーロを除くと、主力の自動車事業と自動車ローン事業の価値はわずかだ。

投資家はルノーが保有する日産株の評価額を大幅に割り引いている。日産とルノーは2015年に日産の経営の自主性を維持することで合意しており、ルノーは相場の大きな変動や提携解消のリスクなしに日産株を市場に放出するのが不可能だ。

これは日産にとっても同じなのだが、保有するルノー株の比率が小さい分、ルノーに比べて影響が小さい。

より良い道は事業統合によってこうした株価の割り引きを消すことで、株主にとってうまみが大きい。両社の利益を切り分け、企業価値を別々に推計し、計算してみよう。

プジョーやダイムラーなど他の欧州自動車メーカーの業績見通しに基づく平均株価収益率(PER)と、ドイツ銀行の推計したルノーの2019年利益見通し(日産分を除く)を基に算出したルノー株の評価は126億ユーロ。

日産の会計年度はルノーとずれるが、リフィニティブのデータによると、2019年の4四半期分の利益は約45億ユーロ。保有するルノー株からの収益分3億6000万ユーロを除くくと、中核事業の利益は42億ユーロ弱だ。トヨタやゼネラル・モーターズ(GM)など他の日米自動車メーカーの業績見通しに基づく平均PERを当てはめると日産株の評価額は290億ユーロとなる。

つまりルノーと日産の株式の価値をそれぞれ個別に推計して合わせると、経営統合によるコスト削減効果を除いても約420億ユーロとなる計算だ。一方、株式持ち合いによる重複分を除くルノーと日産の現在の株式評価額は290億ユーロにすぎない。両社が完全合併に踏み切れば株主は130億ユーロ近い利益が手に入る可能性があるということだ。

しかし株主にこうした「棚ぼた」の機会が訪れることはなさそうだ。日産側はルノーの筆頭株主であるフランス政府が残留する取り決めに反対するだろう。単純な合併ではフランス政府の持ち分が7%に達するからだ。ゴーン容疑者は両社の合併を進めていただけに、会長解任は合併阻止が狙いだったかもしれない。一方、フランスは最近国内で抗議デモが頻発し、マクロン大統領は政府の影響力低下には後ろ向きで、特に雇用喪失につながりかねない取り決めには抵抗するだろう。

ルノーと日産の提携は向かうべき目的地がはっきりしているにもかかわらず、間違った方向に進んでいる。

●背景となるニュース

・日産の西川廣人社長兼最高経営責任者(CEO)は17日、カルロス・ゴーン前会長の不正行為を巡る社内調査の結果について説明すると提携先の仏ルノーに提案したが、ルノー側から弁護士を通してほしいと要請を受けた、と明らかにした。

・ロイターの報道によると、ルノーの幹部はまだ日産の調査結果を目にしておらず、資料はルノーの弁護士の元にある。

 12月19日、カルロス・ゴーン前会長(写真)の不正疑惑に揺れる日産自動車と仏ルノーは、完全合併が金融市場から理解が得られる唯一の道だが、今のところ実現が難しいようだ。2016年、リオデジャネイロで撮影(2018年 ロイター/Ricardo Moraes)
・西川社長は新会長の選出時期について、「いつまでに決めてほしいと急かすつもりはない」と述べた。またコーポレート・ガバナンス(企業統治)体制などの見直しに向けて設置する「ガバナンス改善特別委員会」にCEOと会長が兼任されるべきかどうか検討するよう求めたことも明らかにした。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/nissan-renault-breakingviews-idJPKCN1OJ1BM


 

2018年12月21日 Jacky Wong
ソフトバンクGが大型IPOを後悔する日 高すぎる価格での上場で「ミセス・ワタナベ」をやけどさせた

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 投資家たちが今年最大の新規株式公開(IPO)にいら立っている。

 ソフトバンクグループ(SBG)の国内通信子会社ソフトバンクは上場初日の19日、公開価格を14.5%下回って引けた。SBGは保有株式の37%を売り出し、2兆6000億円(236億ドル)を調達。2014年に250億ドルを調達したアリババグループのIPOに次いで史上2番目の規模となった。

 IPOでソフトバンク株を購入した投資家は、既に34億ドルを失った。だが、売り出し価格が強気だったことから、最初から予想はついていたはずだ。公開価格で計算した企業価値はEBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)の8.5倍。これに対し、ライバルのNTTドコモとKDDIは平均5.2倍となっている。株価が下げた後でさえ約7.7倍と、過大評価に映る。

 SBGは資金力のある国内個人投資家を対象とした大々的な宣伝――異例のテレビコマーシャルを含む――により、この高いバリュエーションでの大型IPOを実現させた。純利益の85%を配当に回すと約束し、5%を超える配当利回りが注目された。競合他社の配当性向は40〜50%だ。

 国債利回りがほとんど無いに等しいこの国の個人投資家「ミセス・ワタナベ」は、リスクよりも、高い配当や一見安易なリターンに注目することで知られている。例えばビットコインやトルコリラ建て債券といった資産を大量に購入してきた。

 ソフトバンクの魅力的な配当は維持するのが難しいかもしれない。競合のドコモが他国に比べてかなり高い料金の引き下げを発表したことで、値下げ圧力に直面している。また、米国が同盟国にボイコットを求めている華為技術(ファーウェイ)製品の調達削減に追い込まれれば、技術コストが膨らむ恐れがある。ソフトバンクは第5世代(5G)移動通信システム展開でファーウェイと提携していたが、現在は他のサプライヤーを検討中だ。

 SBGは今のところ、このIPOの勝者として際立っている。大幅なプレミアムで株式を売却したため、調達資金で債務を返済したりウィーワークなどの新興企業に惜しみなく投資したりできる。だがSGBは将来的に上場を目指すユニコーン(企業価値が10億ドルを超える未上場企業)も幾つか抱える。そしてミセス・ワタナベは、やけどしたことを忘れないだろう。

 SBGは、ソフトバンクでショートゲームに臨んだことを後悔するようになるかもしれない。
https://diamond.jp/articles/-/189239
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/224.html

[経世済民130] 黒田日銀は来年試練の1年に、消費増税や海外リスクへの対応迫られる 日本株大幅続落、全業種安 政策停滞懸念や円高 債券下落
黒田日銀は来年試練の1年に、消費増税や海外リスクへの対応迫られる
日高正裕、藤岡徹
2018年12月21日 6:00 JST

フォワードガイダンス強化くらいしか手段ない-東海東京調査・武藤氏
1月以降、副作用と景気後退時の対応を議論-JPモルガン証・鵜飼氏

2019年は黒田東彦総裁率いる日本銀行にとって試練の1年となる可能性がある。消費税率の引き上げ、海外リスクの増大、物価の低迷、長引く緩和の副作用の累積など多くの課題への対応を迫られるからだ。

  日銀は20日の金融政策決定会合で、金融調節方針の現状維持を決定した。黒田総裁は会合後の定例会見で、景気は先行き「緩やかな拡大を続ける」と言明。「リスク、特に海外からのさまざまなリスクには十分注意していく必要はあるが、現時点で何か中心的な見通しが変わったとか、日本経済の先行きの見通しが変わったということではない」と述べた。

  しかし、世界の金融市場は不安定な動きを続けており、同日の東京市場ではTOPIXが1月に付けた直近高値からの下落率が20%を超えて「弱気相場」入りした。長期金利も欧米金利につれて低下し、19、20両日に一時0.01%と昨年9月以来の低水準を付けた。

  政府・与党は19年10月の消費増税に向けて、キャッシュレス決済に対する5%のポイント還元や住宅ローン減税の延長など、各種の消費増税対策を打ち出している。黒田総裁は6日の国会答弁で、14年4月の増税に比べ「影響は小幅のものにとどまる」としながらも、「不確実性は残るので、よく注視して適切な対応を取っていきたい」と述べた。


黒田東彦日銀総裁Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  ブルームバーグが10−13日に実施したエコノミスト調査によると、日銀の次の政策変更は金融引き締め方向との回答が86%と圧倒的多数を占めた。しかし、米中間の貿易戦争の激化など先行き不透明感の高まりから、景気後退を意識する声も徐々に増えつつある。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の嶋中雄二所長は同調査で、「19年9月の消費増税前月を山とする景気後退が10月から発生する」と想定している。東京オリンピック・パラリンピックが開催されるため20年8月まで景気水準は高いものの、そこから急落する蓋然(がいぜん)性が高いため、「後で振り替えれば19年10月から景気後退に入っていた」ということも十分あり得ると指摘する。

  世界的に株価が不安定な動きを続けており、世界経済の先行き不透明感も強まっている。ブルームバーグ・インテリジェンスの増島雄樹主席エコノミストは同調査で、「19年度末までに景気後退に陥る可能性は現状では低い」としながらも、貿易戦争の拡大を通じて、「米中景気が共に失速する可能性など、下振れリスクは大きい」とみる。

  景気後退に陥っても、日銀には有効な手段は乏しいとの声が強い。黒田総裁は20日の定例会見で追加緩和の手段について「短期政策金利の引き下げ、長期金利目標の引き下げ、資産買い入れの拡大、マネタリーベースの拡大ペースの加速など、さまざまな対応が考えられる」と従来の見解を繰り返すにとどまった。

  東海東京調査センターの武藤弘明チーフエコノミストは同調査で、「日銀は既に追加緩和手段を使い果たしており、これ以上金融政策での対応は無理と思われる。フォワードガイダンス(政策金利の指針)を無限に強化していくらいしか手段はない」とみる。

  たとえ景気後退に陥らなくても、物価は低迷が続く可能性が高い。WTI原油先物は10月初めの1バレル=75ドル超から足元で40ドル台後半まで下落。政府は携帯通話料金の4割値下げを各社に要請しており、実現すれば物価をさらに押し下げる。明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは17日付のリポートで、通話料値下げだけで生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価の前年比は0%に近づくと指摘する。

  超低金利政策の一層の長期化は必至だが、長期化すればするほど金融機関収益への影響など副作用も大きくなる。JPモルガン証券の鵜飼博史チーフエコノミストは17日付のリポートで、蓄積する副作用への対応や、下方リスクが顕在化して景気後退リスクが高まった時の政策対応について「1 月に経済・物価情勢の展望(展望リポート)を更新する時期以降に議論を始めなければならないだろう」との見方を示した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-20/PJX1QD6JIJUQ01?srnd=cojp-v2


 

2018年12月21日 ロイター
日銀、市場変動による心理面注視 総裁「経済に変化ない」

12月20日、日米株価の大幅下落が進んだ、金融政策決定会合後の会見で黒田東彦日銀総裁は、世界・日本経済に大きな変化はないと強調した。写真は10月撮影(2018年 ロイター/Issei Kato)
[東京 20日 ロイター] - 日米株価の大幅下落が進んだ20日、金融政策決定会合後の会見で黒田東彦日銀総裁は、世界・日本経済に大きな変化はないと強調した。それでも金融市場では世界経済の減速を先取りする形で株安・金利低下が進んでおり、市場変動を通じた企業・家計のマインドや、インフレ期待への影響が懸念される状況になりつつある。大規模緩和の長期化による副作用への懸念も強まる中、日銀の金融政策運営は一段と厳しさを増している。

市場は過度に悲観的
「日米欧で株価のベースとなる企業収益見通しは総じてしっかりしており、ファンダメンタルズにも大きな変化は見られていない」――。20日の会見で黒田総裁は、不安定化する市場をなだめるようにこう指摘した。

 日銀内では「今の市場は悲観的になり過ぎている」(幹部)との見方も少なくないが、世界経済の先行きに対する懸念は消えない。最も警戒されている米中貿易摩擦は長期化するとの見方も多く、市場の動揺がすぐに収まる兆しはみえない。

 変動が激しい株式市場は、かねて過熱感が指摘されていた米国株発だが、20日の東京市場で日経平均株価は一時700円を超える下落となり、終値で2万0392円と年初来安値を更新。今年10月に2万4000円台に上昇していたが、2ヵ月余りで4000円近い大幅安となっている。

 この間の日本経済は、夏場に相次いだ自然災害による落ち込みを乗り越え、回復基調を取り戻しつつあるものの、最近の急速な株安は「企業のマインドや個人消費に悪影響を与える可能性がある。当然、インフレ期待にもマイナスだろう」(国内金融機関)とされる。

 12月日銀短観では、米中貿易摩擦への懸念が広がる中でも、2018年度の設備投資計画は強めの内容となった。

 だが、投資マインドが悪化すれば、日銀が見込む需給ギャップの改善持続による物価押し上げにも、不透明感が強まることになる。

長期金利低下、副作用拡大の可能性
 19日に一時0.01%まで低下した長期金利の動向にも注意が必要だ。黒田総裁は会見で、日本の長期金利の低下は欧米金利の低下に伴うものとの認識を示し「これ自体は、別に何ら問題視することではない」と断言。

 7月に拡大を決めた変動容認幅(ゼロ%中心に上下0.2%程度)の範囲内で、経済・物価情勢や内外市場の動向を反映しているのであれば「マイナスになること自体は、問題ない」とも語った。

 もっとも、日銀では2016年9月の総括的な検証で、イールドカーブの過度なフラット化は金融機関収益にマイナスに作用するとともに、保険や年金の運用利回りを低下させ「広い意味での金融機能の持続性に対する不安感をもたらし、マインド面などを通じて経済活動に悪影響を及ぼす可能性がある」と分析している。

 さらにイールドカーブがフラット化した場合、金融機関収益への影響など副作用への懸念が一段と強まる可能性がある。

 黒田総裁は会見で、世界経済を中心としたリスク要因の増加を踏まえた金融政策運営について「将来、物価安定目標に向けたモメンタムを維持するために必要と判断されれば、もちろん適宜適切に追加緩和を検討していく」と言及。従来よりも強いトーンで語り、市場をけん制した格好だ。

 大規模緩和が想定よりも長期化する中で、市場では日銀の手詰まりを指摘する声が多い。海外発のリスクが顕在化した場合、日銀に打つ手はあるのか。

 物価2%目標の実現に向けた金融政策運営は、正念場を迎えつつある。

(伊藤純夫 編集:田巻一彦)
https://diamond.jp/articles/-/189400


 


 

日本株は大幅続落、米国の政策停滞懸念や円高−金融など全業種安い
河元伸吾、氏兼敬子
2018年12月21日 8:00 JST 更新日時 2018年12月21日 15:15 JST
米政府機関の閉鎖が現実味、下院が暫定予算案可決し上院は反対確実
ドル・円相場は一時1ドル=111円09銭まで円が上昇
21日の東京株式相場は大幅に4日続落。米国の政府機関閉鎖の可能性が高まり政策停滞が警戒される中、為替相場が円高に振れて業績に対する楽観的な見方が後退した。保険や銀行など金融、輸送用機器、不動産を中心に東証1部33業種は全て下落。

TOPIXの終値は前日比28.97ポイント(1.9%)安の1488.19
日経平均株価は同226円39銭(1.1%)安の2万0166円19銭
   米下院は20日、メキシコ国境の壁建設費用50億ドル(約5560億円)を盛り込んだ暫定予算案を可決した。上院が反対するのは確実とみられ、21日深夜の政府機関閉鎖の可能性が高まった。きょうのドル・円相場はおおむね1ドル=111円10−40銭台と、前日の日本株終値時点の112円08銭から円高で推移した。
米下院の暫定予算案に関する記事はこちらをご覧ください

  ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは、米政府機関の閉鎖リスクや為替相場の円高進行など悪材料が重なっているとした上で、「日経平均は年初来安値を割り込んで急速に下落し、下値が見えない。節目の2万円を切るかもしれないという恐怖感から、個人もファンドも損失を出しても今のうちに売っておきたいと動いているようだ」と話した。

  日経平均は午前終了間際に前日比385円安の2万0006円まで下落したが、午後に入ると下げ渋り、2万円の大台割れは免れた。17日終値からきょうの安値まで約1500円下落、25日移動平均線からの下方乖離(かいり)も売られ過ぎを示す5%を超え、自律反発を狙った買いも入りやすくなっていた。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の三浦誠一投資ストラテジストは「3連休を前にこれまで売った投資家が買い戻しやすい」と指摘していた。


  年内の営業日はあと4日。「悪化してきたセンチメントが急回復するようなイベントや材料がなく、株価が回復するとしても年明け以降になるだろう」と損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントの上野賢司シニア・インベストメントマネジャーはみている。

東証1部33業種はその他金融、不動産、海運、電気・ガス、保険、輸送用機器が下落率上位
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-20/PK241S6JIJV201


 


債券下落、米政府閉鎖の懸念受けた米債安が波及−相場急上昇の反動
野沢茂樹
2018年12月21日 15:53 JST
超長期ゾーン中心の上昇で利回り曲線はベアスティープ化
最近の相場上昇で割高感、国債発行計画は予想通り−SMBC日興
債券相場は下落。米政府機関の一部が閉鎖される可能性が高まったことが売り材料視されて長期金利が上昇した米国市場の流れを引き継いだことに加え、最近の相場の大幅上昇で高値警戒感が広がっていた超長期ゾーンを中心に売り圧力が掛かった。

長期国債先物3月物は前日比21銭安の152円30銭で引け
新発10年物352回債利回りは、日本相互証券の前日午後3時の参照値より1.5ベーシスポイント(bp)高い0.04%。一時0.045%と1週間ぶり高水準
新発20年、30年、40年債の利回りが大幅上昇。前日はいずれも5カ月ぶり低水準を更新
市場関係者の見方
SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジスト

このところの相場上昇で全体的に割高感があった
クリスマス休暇前とあって、海外勢が先物のロングポジションをいったん解消する動きも出ているのかもしれない
来年度の国債発行計画は予想通りの内容だった
来年度国債発行計画
来年度予算100兆円超え−消費増税対策へ大盤振る舞い、財政再建遠く
来年度の国債市中発行額、129.4兆円と6年連続減−20年債以下を減額
カレンダーベース発行額は前年度当初比4.8兆円減−2年債、5年債、10年債、20年債を年1.2兆円ずつ減らす
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジスト
歳出カットに向けた切り込みの甘さが例年以上に厳しく批判されそうだ
ただ、カレンダーベースの発行減額などにより、この日の日本国債市場がそれを表立って嫌気する場面はないだろう
流動性供給入札
残存期間5年超15.5年以下の銘柄が対象で、発行予定額は6000億円程度
応札倍率3.12倍、同年限の前回入札は2.59倍
最大利回り格差は0.019%、平均利回り格差0.015%
過去の流動性供給入札の結果一覧
背景
日経平均株価は1.1%安の2万166円19銭で終了
20日の米10年国債利回りは2.81%程度と5bp上昇。この日の時間外取引では2.80%前後
20日のS&P500種株価指数は1.6%安の2467.42と、約1年3カ月ぶり安値で終了
米下院:壁建設費含む暫定予算案可決−上院反対で政府閉鎖の恐れ
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.150% -0.130% 0.040% 0.540% 0.745% 0.875%
前日比 横ばい +1.0bp +1.5bp +2.5bp +2.5bp +2.5bp

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-21/PK2IPZ6JIJUO01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/226.html

[経世済民130] 原油急落はいつ円高を招くのか ドルが売られる理由 ナスダック弱気相場寸前FAANG落日 イタリア債、外国人売が債務危機来
外為フォーラムコラム2018年12月21日 / 13:31 / 4時間前更新

原油急落はいつ円高を招くのか

高島修 シティグループ証券 チーフFXストラテジスト
4 分で読む

[東京 21日] - 米株の下落と並んで原油安が進んでいる。ニューヨーク市場のWTI原油先物は、10月初めに1バレル=75ドル以上に上昇したものの、その後は急落に転じ、12月3週目に50ドルを割り込んだ。

原油安は日本の輸入額を減少させ、貿易収支など国際収支の改善を通じてドル円相場に円高圧力を加える。ただ、そのメカニズムは複雑で、短期と長期の影響はそれぞれ異なる波及経路で表面化してくる。

短期的に警戒すべきは、投資家のリスク回避志向を一段と強めて円高圧力を生む展開である。一方、より重要な日本の国際収支を通じた中長期的な影響は、早くても2019年終盤まで顕在化することはないと考える。

<謎の原油急落>

原油相場は10月上旬、突如として崩れ始めた米株とともに下落に転じた。そのタイミングは、地政学的に重要な2つの出来事と重なった。1つは10月4日のペンス米副大統領によるハドソン研究所での演説で、中国を徹底して批判し、対決姿勢をあらわにする内容だった。

原油相場にとってそれ以上に重要だったのは、10月2日に発生したサウジアラビア人ジャーナリストの殺害事件だろう。折しも11月の米中間選挙前、支持率浮揚を狙ったトランプ大統領が、サウジに対して執拗な原油の増産要求をしている最中だった。

サウジは米国などから制裁を科されかねない苦しい立場に立たされた。原油相場の下落には、サウジがトランプ大統領からの要求をのみ、増産に動かざるを得なくなるとの思惑が誘発した側面もあった。

国際通貨基金(IMF)によると、サウジの財政収支が均衡する原油価格は数年前には100ドルを超えていたが、足元は80ドル前後まで低下している。それでも今のようにWTIで50ドル、より国際的な市況を反映する北海ブレントで60ドルを下回る事態に陥れば、致命傷になりかねない。サウジは史上最大の新規株式公開(IPO)として注目された国営石油会社サウジアラムコの上場も見送っている。

サウジのファリハ・エネルギー産業資源鉱物相は石油輸出国機構(OPEC)加盟国やロシアなどと再減産の方向に舵を切り、7日の産油国会合で日量120万バレルの減産を決定した。原油の需給は次第に改善に向かっていくと考えられるが、価格底入れの兆しはまだ見えない。

こうした状況が長引けば、産油国は財政赤字補てんのため国外資産の売却に動く可能性がある。すでにぜい弱な、米株を始めとした世界の金融市場を一段と不安定にしかねない。

<シェール企業の信用不安リスク>

米国のシェール企業などに信用リスク不安が広がる可能性にも警戒が必要だ。2015年に原油安が進み、米シェール産業の採算ラインとみられていた1バレル=50─60ドル(WTI)を割り込んだ際には、世界は米中株安など信用収縮相場を経験した。

投機的な格付けが多い米国のハイイールド社債市場は、シェール企業などエネルギー産業の占める割合が大きく、採算ラインを割り込む原油安で生じる経営リスクに対して警戒感が高まったためだ。シェール各社の企業努力もあり、現在の採算ラインは40─50ドルまで下がったと言われているが、足元の原油安は再びそれを脅かしかねない状況にある。

2015年と同様、米社債市場では現在も上乗せ金利が膨らむクレジットスプレッドのワイド化が進んでおり、米株安と並んで市場のリスク回避志向の高まりを象徴する事態になっている。為替市場では円高圧力が強まりやすくなる。

原油相場が現在の水準で底入れし、北海ブレント1バレル=70ドル前後、WTI60ドル前後で安定するのであれば、市場は数カ月前に警戒された80ドル台を超えるような原油高リスクが後退したことを好感するはずだ。米株の底入れなど市場環境は好転し、ドル円相場は円安に傾くだろう。

逆に北海ブレント60ドル、WTI50ドルを割り込む現在の状況が長期化するようだと、サウジなどによる資産売却やシェール企業の経営不安などへの警戒感が高まり、強まる市場のリスク回避志向がドル円相場を押し下げる。

もちろん、すべての原油安が世界のリスク資産にとってネガティブ材料という訳ではない。産油国への不必要な所得移転を減らし、米国や日本、中国などエネルギー輸入国における消費者の購買力を改善し、景気にポジティブに作用する効果もある。また、今回のようにインフレ懸念の後退が米金利上昇を抑制することになれば、トルコやインドなど資源輸入国を中心に、新興国経済には追い風になる。

<長期的な影響は2020年か>

一方、日本の国際収支を通じて表面化してくる油価変動の長期的な影響は、ここまで複雑なものではない。原油安は日本の輸入減、しいては貿易収支の改善につながり、ドル円相場には上昇圧力となる。原油高であれば逆の方向に作用する。いずれも1年ほどのタイムラグを置いて表面化する傾向にある。

日本のエネルギー輸入額は、年間17兆円規模に膨らんでいる。10月以降原油価格が2割ほど下落したため、その額は約3兆円減る見込みだ。貿易収支、国際収支全体を改善する可能性がある。

ただし、2019年10月に予定されている消費増税が貿易収支に与える影響には注意が必要だ。過去の増税時には駆け込み需要が輸入を増加させ、貿易収支が悪化した。逆に増税後は反動で輸入が減少し、貿易収支が改善した。

安倍晋三政権がさまざまな増税対策を講じることを考えると、これまでほど輸入が大きく増えることはないとみている。それでも事前の景気対策が内需を押し上げ、最近の原油安による輸入減を相殺する可能性がある。

しかも、日本企業による大型の海外投資案件がこのところ相次いでいる。経常黒字をほぼ帳消しにする年間14兆円規模の直接投資は、さらに5割以上増えてもおかしくない。これも原油安に伴う日本の国際収支改善を阻む。それどころか、一段と悪化させる要因になるだろう。

原油安による国際収支改善に伴い、長期的な円高圧力が表面化してくるのは、早くても2019年10月の消費増税後になると筆者はみている。場合によっては、2020年までずれ込んでもおかしくない。

(本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

(編集:久保信博)

高島修 シティグループ証券 チーフFXストラテジスト(写真は筆者提供)
*高島修氏は、シティグループ証券のチーフFXストラテジスト。1992年に三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行し、2004年以降はチーフアナリスト。2010年シティバンク銀行入行、チーフFXストラテジストに。2013年5月より現職。
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-osamu-takashima-idJPKCN1OK0BE

 

 


外為フォーラムコラム2018年12月21日 / 11:00 / 2時間前更新

米利上げや安全資産需要、それでもドルが売られる理由
Jamie McGeever
3 分で読む

[ロンドン 20日 ロイター] - 世界経済の雲行きが急速に怪しくなり、米国の景気後退(リセッション)がちらつき始め、株価と長期金利が下がり、米国債の長短イールドカーブが今にも逆転しそうな状況では、ドルは堅調と考えるところだろう。

なぜなら投資家は安全な場所に避難しようとして、米国に資金が戻り、世界的にも安全資産と流動性の需要が一気に高まる。これらは全てドルの上昇につながる。

とりわけ米連邦準備理事会(FRB)が先進国で唯一、引き締め政策を実行している今の局面なら、なおさらだ。米国の長短金利が、どの先進国をも大幅に上回っているからであるのは言うまでもない。

だが現実は異なる。FRBが19日に今年4回目の利上げに動き、来年も金利正常化を続ける意向を示したにもかかわらず、ドルは下がった。しかも急激に。

20日のドルの下落率は今年を通じても屈指の大きさで、週間ベースでは今年2月の米国株急落直後以来の値下がりとなりそうだ。

どうしてそうなったのか明確な理由は見出せないが、いくつかのもっともらしい説明要素はある。

まずは、市場のポジション動向だ。投資家とトレーダーは膨大なドル買い持ちを積み上げてきたので、年末を迎えて持ち高を圧縮しようと考えるのは自然と言える。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが今週公表した12月の調査によると、ファンドマネジャーの間で「ドル買い持ち」は最も集中的に行われた取引だった。

ヘッジファンドなどの投機筋は6月以降ドル買い持ちを続け、今月に入って一時、買い持ち規模は310億ドル強と約2年ぶりの高水準を記録。その後やや減ったものの、なお285億ドルと相当残っており、当面さらに縮小する余地がある。

これは来年のドルはやや値を消すだろうという、為替市場におけるより幅広いコンセンサスとも一致する。為替アナリスト60人余りを対象とした最新のロイター調査では、ドルは来年5%前後下げるとの見方が示された。

もちろん為替レートは相対的なので、米国の金融政策だけではドルを動かす要素の半分にしかならない。他の条件が全て等しい場合、FRBの利上げペースが想定よりも緩やかになってもドルが底堅さを維持できるのは、他の主要中央銀行も同じ程度ハト派的になるケースしかない。

しかしユーロ圏、英国、日本の金融政策は既にとてつもなく緩和的で、ユーロ圏と日本では政策金利はマイナスとなっており、さらなる緩和余地は限られる。

主要国の政策運営を比較して、FRBがよりハト派的になって、欧州中央銀行(ECB)と日銀、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)がいずれも現状維持であるなら、ドルは足を引っ張られる。

さらにFRBは来年2回、2020年に1回の追加利上げを想定しているとはいえ、金利先物市場は2020年の利下げを織り込み始めた。

米国の金融政策サイクルが今どの位置にあるかに留意することも大きな意味を持つ。

スタンダード・バンクのスティーブ・バロー氏が指摘するように、引き締めサイクルの初期、あるいはそのサイクルが始まる前でさえも、サイクル終盤よりもずっと大きくドルを押し上げる傾向がある。

バロー氏は「市場がオーバーキル(過度の利上げによる景気失速)を心配するようなら、利上げがドルの弱気材料になり、現在はそういったケースだ」と語り、FRBがトランプ政権から利上げをやめるようかつてないほどの政治圧力を受けている点にも言及した。

そして最後に、ドルを圧迫してユーロを支える長期的、構造的な要因が存在する。これは日々の為替取引では考慮されていないかもしれないが、足元で再び脚光を浴びる形になった。

19日に発表された米国の第3・四半期経常赤字は1248億ドルと10年ぶりの高水準だった。前期を236億ドルも上回り、拡大幅は過去2番目の記録に並んだ。

一方20日に発表されたユーロ圏の10月の季節調整済み経常収支は230億ユーロの黒字で、1─10月では黒字額が2840億ユーロ。今年1年間でも、最高だった昨年の3534億ユーロ並みになると見込まれる。

これらの要素を総合して考えれば、いくら米金利上昇や世界経済と市場環境の悪化といったドルに追い風とみられる材料があっても、ドルの苦境はそれほど不思議でないかもしれない。
https://jp.reuters.com/article/dollar-reason-column-idJPKCN1OK06L


 


 
トップニュース2018年12月21日 / 15:21 / 1時間前更新
焦点:
ナスダック弱気相場寸前、FAANG株の「落日」鮮明に
2 分で読む

[ニューヨーク 20日 ロイター] - いわゆるモメンタム投資は全てがバラ色に包まれているわけではない──。これは20日のニューヨーク株式市場でナスダック総合が弱気相場に片足を突っ込んだ中で、投資家が味わった苦い教訓だ。

長期にわたる米国株の強気相場が終盤に差し掛かってもなお、今まで投資家はさらに値上がりしそうだとみなされた一連の銘柄に買いを入れ、多大な利益を手にしてきた。だが足元で潮目が変わり、投資家は十分素早く逃げ出すことができないように見える。

モメンタム投資の代表格は、フェイスブック(FB.O)、アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)、アップル(AAPL.O)、ネットフリックス(NFLX.O)、アルファベット(GOOGL.O)子会社グーグルの頭文字を合わせた「FAANG」銘柄の買い。

こうした取引についてロバート・W・ベアードの機関投資家セールス取引担当マネジングディレクター、マイケル・アントネッリ氏は「幕が下りた。もはや箸にも棒にもかからない。『FAANGトレード2009─18』という墓碑銘が刻まれている」と述べ、5社の成長率とバリュエーションの高騰は最終的にストップしたと付け加えた。

20日のナスダック総合終値は、8月29日に付けた最高値から19.5%下がり、2割安という弱気相場入りの正式認定が目前になった。8月終盤以降のFAANGの下落率は19─30%程度だった。

ナスダック総合構成銘柄のいくつかはもっと大きく下げているとはいえ、時価総額や投資家層の幅広さから言ってもFAANGの指数全体に対する影響力は抜きんでている。

アップルを除くFAANGの予想利益に基づく株価収益率(PER)は、依然としてS&P総合500種の15.3倍を相当上回っている。それでも株価急落に伴ってPERは下がっており、アマゾンとネットフリックスの下振れ幅が最も大きい。

チェリー・レーン・インベストメンツのパートナー、リック・メクラー氏は「FAANGのバリュエーションをきっちり把握するのは非常に難しい。多くの部分が将来の話だからだ。投資家は彼らが描く未来図に喜んで対価を支払う場合もあるし、そうでない場合もある。今は対価を払うのを渋っているようだ」と話した。

ただしハイテク株は経済全体の減速が予想される局面で堅調さを保つ可能性があり、積極的には資金を引き揚げない投資家もいる。

インベスコのチーフ・グローバル市場ストラテジスト、クリスティナ・フーパー氏は、FAANGに関して投資家の側に選別化・差別化の姿勢が強まっていて、この傾向は続くと予想。「FAANGの一部にとって買い場が提供されるのは間違いないが、全ての買い場になるわけではない」と説明した。

(Chuck Mikolajczak、Caroline Valetkevitch記者)
https://jp.reuters.com/article/faang-investment-idJPKCN1OK0F4


 

イタリア債、外国人の売りが債務危機来の高水準−機関投資家は敬遠
James Hirai
2018年12月21日 16:05 JST
海外勢は1−10月の累計では500億ユーロを売り越し
予算問題は今週決着したが一部の大手機関投資家はまだ敬遠
外国人投資家のイタリア債売り越しが今年、欧州債務危機のさなかだった2012年以降で最大になっている。

  欧州中央銀行(ECB)が20日公表したデータによると、海外勢は10月にイタリア国債と短期証券38億6000万ユーロ(約4900億円)相当を売り越し。1−10月の累計では500億ユーロに達した。これは2012年の550億ユーロ以来の高水準。

  ポピュリスト政権の誕生と予算を巡る欧州連合(EU)との対立の中でイタリア債は売られてきた。今月は回復しつつあり予算問題は今週決着したが、一部の大手機関投資家はまだ敬遠している。

  合計で2兆ドル(約223兆円)を運用するアライアンスバーンスタイン、アバディーン・スタンダード・インベストメンツ、アクサ・インベストメント・マネジャーズの3社は、ユーロ圏でトップクラスの利回りでも、リセッション(景気後退)や選挙、銀行危機の可能性を含むリスクに照らして十分ではないと考えている。

Love Lost
Foreigners sold the most Italian bonds and bills for six years in 2018


Source: ECB

原題:Foreigners Sell Most Italian Bonds Since 2012 Euro-Zone Crisis(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-21/PK2CX66S972801
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/227.html

[経世済民130] 米利上げ早期停止か、それでも円高になりにくい訳 苦境のパウエル議長、市場の痛み続けば経済全体に感染 FRB自動操縦と決別
外為フォーラムコラム2018年12月21日 / 10:50 / 8時間前更新

米利上げ早期停止か、それでも円高になりにくい訳

熊野英生 第一生命経済研究所 首席エコノミスト
3 分で読む

[東京 21日] - 米連邦準備理事会(FRB)が、2019年中の利上げ停止に動く構えをみせている。12月18─19日の連邦公開市場委員会(FOMC)で公表されたドットチャートは、2019年の利上げ見通しを従来予想の3回から2回に減らした。中立金利に相当する中長期の金利見通しも、3.0%から2.75%へ下方修正した。

一方、フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標は、2.00─2.25%から2.25─2.50%へ引き上げられた。中立金利まであと1─2回の利上げで到達する水準であり、2019年のどこかで緩和的ではない状態に移行する。

<円高に振れてもおかしくない>

FRBの姿勢が変化したのは、経済減速に備えてのことだ。足元の景気は絶好調でも、2019年に入るとトランプ大統領による法人減税の効果は一巡し、米経済の成長率は減速してくるだろう。

インフレ率が加速しないという前提で、利上げペースも緩やかにするのが自然である。今回のFOMCを受けて、2019年の利上げは1回、またはゼロ回と予想する市場参加者が増えたため、直後の10年債利回りは2.7%まで低下した。

米長期金利の低下は、為替相場を大きく動かしてもおかしくない。長短金利差が縮小し、米国の景気減速が間近にあるというシグナルになるためだ。金利差縮小は以前から認識されていたことだが、ここまで長期金利が低下すると、景気減速はより意識される。

しかし、ドル/円だけに注目すると、長期金利が低下している割に円高に振れていない。円も買われるがドルも買われ、日米長期金利差がドル/円レートを決める図式にはなっていない。とりわけドルのほうが強く、流れは円安傾向にある。

筆者はこの背景に、東アジアの緊張を一時期高めた地政学リスクの後退があると考えている。米朝首脳会談が行われた今年6月以降、北朝鮮問題は落ち着きを取りした。それからというもの、ドル/円は110円を上回る円安水準が定着している。

この安定した構図が崩れるとすれば、米国経済が実際に減速するときだろう。ドル高は是正され、円高がやって来る。

<原油急落という支援材料>

では米経済が減速するとすれば、いつごろ、何がきっかけになるのか。1つの可能性は、米中貿易戦争だ。両国は2019年3月1日まで協議し、解決策を見出せなければ米国が制裁関税を引き上げる。ほかにも欧州連合(EU)離脱を巡る英国内の混乱など、リスクイベントは来年前半に集中する。

この間に、今年10月以降の米株価下落が個人消費に響いてくる可能性もある。トランプ減税の効果はいずれ剥落するが、そのタイミングがここに重なるかもしれない。

一方で、原油急落という支援材料が出てきたことは注目すべきだ。ニューヨーク市場のWTI(ウェスト・テキサス・インターミーディエート)原油先物は1バレル50ドルを割りこんだ。家計にとって減税と同じインパクトがある。

利上げの早期打ち止め観測が強まってきたことも、米経済にとってプラスと言える。利上げ停止が円高を招くという見方より、米経済を下支えしてドル高が維持されるという側面に目を向けても良いのではないだろうか。長期金利の低下も、停滞する住宅投資の下支えとなる。

米国の景気減速は一気に起きるのではなく、徐々に進む可能性が高いと筆者はみている。その中でドル安/円高が急進するとすれば、ゆっくり変化する米経済に合わせてではなく、大きなイベントの先行きが不透明になったときと考える。

大きなリスクイベントが目白押しの2019年前半は、その点で注意を要する。

(本コラムは、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

(編集:久保信博)

熊野英生 第一生命経済研究所 首席エコノミスト (写真は筆者提供)
*熊野英生氏は、第一生命経済研究所の首席エコノミスト。1990年日本銀行入行。調査統計局、情報サービス局を経て、2000年7月退職。同年8月に第一生命経済研究所に入社。2011年4月より現職。
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-hideo-kumano-idJPKCN1OK05Y

 


 
苦境のパウエル議長、市場の痛み続けばやがて経済全体に感染も
Christopher Condon、Sarah Ponczek
2018年12月21日 15:29 JST
• 連日の株安、「わずかなボラティリティー」とパウエル議長は認識
• 消費者心理や企業の景気信頼感への打撃、景気鈍化引き起こす恐れ

Pedestrians wear ponchos while walking past the New York Stock Exchange (NYSE) in the rain in New York, U.S., on Wednesday, Feb. 24, 2016. Photographer: Michael Nagle
「わずかなボラティリティー」の高まりでは経済にダメージはない。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長はこうした見解を明らかにした。だが今後も株安が続き、傷口がさらに広がった場合はどうなのか、疑問の声は大きくなるだろう。
  パウエル議長は19日、金融政策の策定に当たって市場の動揺を重大視しない姿勢を示した。これを嫌気して株価は20日も続落し、米市場では今週に入り約1兆ドル(約111兆円)相当が失われ、ボラティリティーは10カ月ぶりの水準に上昇した。
  こうしたサイクルからは1つのリスクが浮かび上がる。市場に隔離されているとばかりパウエル議長が考えていたウイルスが、いつか誰もが感染する深刻な大流行につながるというものだ。
  バンク・オブ・モントリオールのシニアエコノミスト、ジェニファー・リー氏は「ダウ工業株30種平均の3桁の下げをメディアで連日のように目にすれば、消費者心理にある時点で打撃となり、人々の間に自制ムードが広がり始めるだろう」と語った。
  マーケットは景気のシグナルであるにとどまらず、それ自体が経済的な力学として作用する。損失が膨らみ続ければ、消費者のセンチメントは損なわれ、借り入れコストの上昇や企業の景気信頼感の圧迫も招く。米金融当局が利上げとバランスシート縮小を続ける中で、資産価格を巡る悪循環の影響から経済がいつまで無傷でいられるか、議論は白熱するだろう。
  ドイチェ・バンク・セキュリティーズのチーフエコノミストを務めるピーター・フーパー氏は、「こうしたトレンドが続いて20−25%の株価下落という深刻な弱気相場になれば、必ずしもリセッション(景気後退)に直行というわけではないが、金融状況の引き締まりをもたらすのは明らかだ」と語った。


Stock Market is Not the Economy...
Analysis shows nearly half the percent of changes in sentiment are explained by swings in stocks
Source: Bloomberg
R-squared = 0.45

原題:The Powell Predicament: When Market Ills Make the Economy Sick(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-21/PK2OED6TTDS001?srnd=cojp-v2


 


外為フォーラムコラム2018年12月21日 / 16:56 / 2時間前更新

「自動操縦」と決別したFRBに必要な対話見直し

井上哲也 野村総合研究所 金融イノベーション研究部主席研究員
5 分で読む

[東京 21日] - 米連邦準備理事会(FRB)は、19日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で2018年4回目の利上げを決定した。そのこと自体は広く予想されていた通りであったが、一方で来年の政策運営に関する不透明性は顕著に高まっている。

つまり、慎重ながらも利上げ継続を標榜するパウエルFRB議長に対し、トランプ大統領をはじめとする政権幹部が批判を強めているため、金融政策が政治問題化しつつある。それに加え、こうした批判が特定の利害に基づく主張ばかりでなく、一定の真実を含んでいる点も、金融市場から見た政策運営の不透明性を高めている。

パウエル議長も記者会見で認めたように、企業活動を中心に減速感が生じているほか、経営者のマインドが慎重になっていることは事実である。金融環境も、ドル高や株価の大幅な調整、クレジットスプレッド拡大などによって、タイトな方向へ変化している。もちろん、これらの背後には、欧州や中国をはじめとする海外経済の減速に対する警戒が存在する。

<副作用を深刻化する2つの要素>

パウエル議長もこうした外部環境を意識し、だからこそ今後の政策運営が「経済指標の内容次第(data dependent)」である点を記者会見で強調した。それは、これまでのような「特段の問題が生じなければ緩やかな利上げを継続する」という「自動操縦」との決別を意味する。

ただし、こうしたシフトは必ずしも円滑に進まない恐れがある。頻繁に発表される多様な経済指標に金融市場が振り回され、その都度FRBの政策運営の先行き予想が大きく変化すれば、金融市場のボラティリティが必要以上に高まるリスクがあるからだ。

「経済指標次第」な政策運営がこうした副作用を伴うこと自体は、特に今回の米国に固有の問題ではない。しかし、現在の米国には問題を深刻化させかねない2つの要素が存在する。

第1の要素は、FRBが雇用の最大化と物価安定という2つの目標を既に実質的に達成していることである。

FRBの金融政策が「経済指標次第」で運営される場合、雇用と物価に関連する指標に特に注目すべきことは言うまでもない。しかし、雇用については、足元の失業率が極めて低位であるだけに、今後は多少上昇して「長期」の水準に収れんすることが考えられる。物価についても、総合インフレ率も生鮮食品を除いたコアインフレ率もおおむね2%に達したが、そこから上昇が加速する蓋然性も低い。

実は、FOMCメンバーも今回改訂した経済見通しで、失業率やインフレ率が通常の景気循環とはやや異なる動きを示す可能性を示唆している。FRBが既に政策目標を達成しているだけに、前述した2つの目標に関する経済指標の動きだけから政策運営を推測することは難しく、金融市場が多様な指標に振り回されるリスクが一層高まる。

第2の要素は、FRBが世界金融危機以来、金融市場を特定の方向に導くタイプの政策を長期にわたって多用してきたことである。

つまり、世界金融危機以降の金融緩和と「正常化」の双方の局面を通じて、FRBはフォワードガイダンスを始めとした今後の政策運営に関するさまざまな「予告」を行ってきており、金融市場もそれに追随することに慣れている。

それだけに、金融市場が経済指標の発するメッセージを適切に読み取り、それを基にFRBの政策運営を適切に予測できるようになるには、相応の時間とコストを要する可能性がある。

<コミュニケーションの見直し>

そうした点から、FRBが金融政策に関するコミュニケーションの見直しについての議論を今年秋に開始し、2019年半ばをめどにその成果を実現すると表明していることは注目に値する。

利上げ継続がさまざまなコスト負担を伴うだけに、当初この取り組みには、金融市場だけでなく企業や家計も含めた幅広い理解を得る狙いがあったようだ。しかし、今後の追加利上げの幅や期間が従来に比べて縮小しただけに、そうした趣旨の重要性は低下した。

それでも、「経済指標次第」な政策運営の難しさや、2019年に利上げの減速や停止が必要となる可能性があることを考えれば、金融市場に対するコミュニケーションを再検討することはむしろ重要になっている。

その際に注意すべきことは、「経済指標次第」で政策を行う以上、FRB自身にはゼロ金利政策をひたすら維持したり、政策金利を中立水準にまで徐々に戻したりする際のような固定的な目標やめどが存在しないことである。存在しない以上、コミュニケーションの方法をどう工夫しても、金融市場に示すことはできない。

FRBが伝えることができるのは、金融経済情勢の判断とそれに基づく政策運営の考え方である。このうち前者については、経験則の上でも実証分析からも明らかになっているように、常にFRBが正しいとは限らず、金融市場や企業の方が正確である場合も少なくない。この点は、政策当局が情報優位に立ちやすい金融危機ではない、平時には尚更そうだろう。

従ってFRBには、金融経済情勢の判断を一方的に示すだけでなく、それに対する反応を読み取ることも含めた双方向のコミュニケーションが重要になる。FRBは、国債のプライマリー・ディーラーのような金融市場の伝統的プレーヤーや、地区連銀を通じて地域の有力企業との間で、さまざまな情報交換の枠組みを有している。今の局面では、これらに加えて金融市場と産業界の新興勢力も取り込むことが重要であるように感じている。

一方、政策運営の考え方については、FRBにとって発信方向のウエイトが高くなる。ただし、「経済指標次第」である以上、例えば、「来年末の政策金利は3%」といった固定的かつ具体的な情報として示すことは相容れない。金融経済の先行きについて、一定の蓋然性を有する見通しの幅を示した上で、政策対応をそれらに条件付ける形で示すことが求められる。

金融経済の先行きに関する無数のシナリオを提示し、それらの一つ一つに発生確率とその場合の政策対応を紐付けることができれば合理的だろうが、実用的ではない。代わりに、例えば政策金利の先行きについて、リスクの程度やその方向性を示すことが現実的だろう。

それができるだけでも、FRBメンバーによる金利予想(ドット・チャート)の課題としてパウエル議長が今回の記者会見で指摘した、「平均値」に対する金融市場の過度な着目の是正につながり、FRBと金融市場がともに金融経済の基調に対する理解を共有することを助けるであろう。

FRBにとっては、「経済指標次第」とする政策運営に限らず、また金融市場だけでなく企業や家計も含め、金融政策そのものについて全般的に理解を深めてもらうことも、引続き重要だと付言しておきたい。

具体的な手段として、まずは、世界金融危機後にバーナンキ元FRB議長が行ったような企業経営者や学生などとのタウンミーティングの定期化や、イングランド銀行(英中央銀行)が試行しているような一般向けの情報発信の充実などが想定される。

それにより、利上げであれ金融緩和であれ、金融政策効果のより効率的な波及につながるだけでなく、有権者が適切な見識を有することで、現在起きているような政策運営に対する政治介入を抑制する効果も期待できる。こうした点から、長期的な意味でもFRBにとって意味のある取り組みとなろう。

井上哲也氏
*井上哲也氏は、野村総合研究所の金融イノベーション研究部主席研究員。1985年東京大学経済学部卒業後、日本銀行に入行。米イエール大学大学院留学(経済学修士)、福井俊彦副総裁(当時)秘書、植田和男審議委員(当時)スタッフなどを経て、2004年に金融市場局外国為替平衡操作担当総括、2006年に金融市場局参事役(国際金融為替市場)に就任。2008年に日銀を退職し、野村総合研究所に入社。主な著書に「異次元緩和―黒田日銀の戦略を読み解く」(日本経済新聞出版社、2013年)など。  

*本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。

(編集:山口香子)
https://jp.reuters.com/article/column-tetusya-inoue-idJPKCN1OK0NY

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/228.html

[経世済民130] アジア中銀、2019年は「利上げする理由」見当たらず リスク資産は投資家驚かす値上がりへ−強気のヘッジファンド 
トップニュース2018年12月21日 / 18:01 / 36分前更新
焦点:

アジア中銀、2019年は「利上げする理由」見当たらず
2 分で読む

[香港 20日 ロイター] - アジアでは経済成長の鈍化や物価上昇圧力の弱さから、各国の中央銀行が来年利上げに動く理由は乏しい。まして米国の利上げペースが緩みそうなので、別の要因で新たな通貨安が起きない限りは、引き締めはなおさら現実味が薄い。

米連邦準備理事会(FRB)は19日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で今年4回目の利上げを決めたが、来年の利上げ想定回数は以前よりも減らした。

アジア新興国の通貨にとって米金融政策見通しは主要な材料であり、FRBの利上げが少なくなれば、インドネシアやフィリピン、インドなどの通貨は下げ圧力が和らぐ。これらの国の中銀は今年、資金流出や物価抑制のために繰り返し、利上げを強いられたのだ。

20日には日本、インドネシア、台湾の中銀が政策の現状維持を決定。中国も、19日に市中銀行向け貸出金利の引き下げは発表したが、政策金利は変更していない。

ANZのアジアストラテジスト、アイリーン・チャン氏は「来年のアジアに関するわれわれの予想は、FRBがよりハト派化するということを前提としており、金融引き締め圧力はずっと小さくなる」と述べた。

アジアの中銀がしばらく金融引き締めを休めば、地域の債券への資金流入加速を促し、規模が小さく利益率の低い域内企業が資金調達面である程度安心感を持てるだろう。

為替リスクの落ち着きを別にしても、アジアの中銀は利上げすべきだという根拠はほぼ見出せない。

国際通貨基金(IMF)は、アジアの来年の成長率は今年見込みの5.6%から5.4%に減速すると予想しているものの、18日にIMFのアジア太平洋局長はロイターに対して、来年1月時点でさらに下方修正する可能性があると語った。

エコノミストの見立てでは、米中摩擦が再び激化して来年から輸入関税が引き上げられた場合、中国の来年の成長率は1%ポイント下振れしかねない。他のアジア諸国も、中国向け貿易・投資への依存度の高さからすると、同じような打撃を受けてもおかしくない。

成長見通しの悪化は物価を下押すことになり、やはり利上げの妥当性を低下させている。

元来、今年のアジア地域の消費者物価指数(CPI)は、6─7月に通貨が急落し、年初から10月までに原油が約4割上がった中でも、驚くほど安定していた。アジア主要国で今年CPIが加速したのはフィリピンしかない。11月の同国のCPIは前年比6%だった。ただ来年にかけては上昇が鈍化するとの見方が大勢だ。

HSBCのアジア経済調査共同責任者フレデリック・ノイマン氏は「今年はアジアのほとんどで、物価の落ち着きが目立ち、通貨安や一時的な原油高騰にほとんど反応しなかった」と指摘した。

その上で「各中銀は一段の引き締めには慎重になる必要がある。どちらかと言えば、一部では金融緩和が求められるのではないか。中国がその一例だが、来年中に為替レートが過度に変動するリスクが後退すれば、候補はもっと増えるだろう」とみている。

(Marius Zaharia記者)
https://jp.reuters.com/article/asia-centralbank-analysis-idJPKCN1OK0TI


 

リスク資産は投資家驚かす値上がりへ−強気のヘッジファンド運用者
Nishant Kumar、Suzy Waite
2018年12月21日 15:23 JST
カーコスワルド・キャピタルのグレッグ・コフィー氏が投資家に書簡
1−3月に急落、米金融当局が方向転換し4−6月に上昇へ
ヘッジファンドのカーコスワルド・キャピタル・パートナーズを率いるグレッグ・コフィー氏は、来年はリスク資産の値上がりが投資家を驚かすと予想している。同氏が強気の見方を示すのは8カ月前に同ファンドを開始してから初めて。

  コフィー氏は投資家宛ての書簡で、マネーサプライの縮小と米利上げによって来年1−3月(第1四半期)には資産価格が急落するかもしれないが、これが米金融当局に方向転換を迫り、4−6月(第2四半期)の値上がりにつながる可能性があるとの見方を示した。

  「4−6月期は量的引き締め終了と中国の大規模財政パッケージ、貿易摩擦の緩和とともに始まる可能性がある。そこに米国のインフラパッケージが加われば、2019年のリスク資産上昇は現時点でのあらゆる予想を上回るだろう」と同氏は記述した。

原題:Hedge Fund Chief Coffey Predicts Rally in First Bullish Call (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-21/PK2NSG6JIJUP01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/229.html

[経世済民130] 「生活保護を受けるとやる気がなくなる」は本当か  財政健全化へ社保改革継続「着実な経済成長も必要」市場は神経質=財務次官
2018年12月21日 みわよしこ :フリーランス・ライター
「生活保護を受けるとやる気がなくなる」は本当か

「生活保護はやる気を失わせる制度」という見方は非常に根強い。一度生活保護を受給すると、多くの人がなかなか労働復帰できないのは、なぜなのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA
「生活保護でやる気がなくなる」
を検証する3つのポイント
「生活保護は、やる気を失わせる制度」という見方は、非常に根強い。笑顔とエネルギーに満ち溢れた楽しそうな人が生活保護で暮らしていることは、事実として少ない。何が原因なのかはともかく、生活保護で暮らしていることと、体力や気力や尊厳が失われがちであることは、強く結びつきがちだ。

 今回は、この問題の解決策の1つとして挙げられることの多い、次の3点のアイデアを考えてみたい。

(1)働いても収入が増えない「収入認定」の仕組みが、生活保護からの脱却を妨げているのではないか。

(2)生活保護から脱却すると、社会保険料や医療費の自費負担によって、かえって生活が苦しくなる。この問題を解決する必要があるのではないか。

(3)世間、特に「頑張っているのに生活保護より苦しい」と感じる低所得層の視線をもう少し温かくするために、生活保護を受給していない低所得層を、もっと支援する必要があるのではないか。

 現在、厚労省は「生活保護受給者に対する就労支援のあり方に関する研究会」を開催しているが、非公開なので内容は不明だ。例えば10月19日に開催された第4回会合ではパソナからのヒアリングが行われたが、資料は公開されていない。しかし、公開されている議事要旨からは、本人の就労意欲を重視していることが読み取れる。いずれにしても、生活保護と就労については、「都市伝説」が多すぎる。

 最初に、大切なことを1つ確認しておく必要がある。働いて生活保護から脱却できる可能性がある人、言い換えれば単身者で年収200万円程度の収入を得られそうな人は、何人いるのだろうか。

 細かく集計された年次・年度次の最新データが揃っているのは、2016年の生活保護統計だ。とはいえ、生活保護統計から「自分の働きによって、生活保護以上の生活ができそうな人」の人数を見積もるのは、実はかなり困難なのだ。

 たとえば「母子世帯」には、母子世帯も父子世帯も、両親以外の大人が子どもを育てている世帯も含まれる。いずれにしても、子どもと同居している大人の健康状態や年齢は顧られない。生活保護で言う「母子世帯」であるということが意味するのは、「子どもがいて、両親の片方または両方がいない」ということだけなのだ。

 生活保護で暮らす母子世帯の世帯主は、病気や障害を抱えているかもしれない。また、子どもが障害や病気を抱えており、大人が容易に働けない状況にあるのかもしれない。公式統計では、「母子世帯」が「死別」「離別」「その他」に分類されているが、その世帯の大人が働けるかどうかを示す指標ではない。

 まず単純に、年齢に注目しよう。生活保護で「働ける」とされるのは64歳以下だ。しかし、生活保護で暮らす人々の平均年齢は56.8歳なのだ。「働ける」残り時間は、約8年ということになる。

生活保護受給者で「働ける人」は
実際にどれくらいいるのか
 もっとも「平均=典型」と言えるかどうかは、一般的に疑わしい。せめて、平均ではなく中央値に注目すべきだろう。ところが、公開されている統計データから中央値を推測すると、60〜64歳の範囲にある。62歳なら「働ける」残り時間は3年だ。

 2016年は約211万人が生活保護で暮らしていたが、「働ける」とされる20〜64歳の人々は約85万人だった。このうち約46万人は50〜64歳だった。「働けるはずなのに」と叱咤激励しても、あまり意味がなさそうだ。

「努力すれば、就職はそれほど難しくないはずだ」と言えるのは、20代・30代であろう。同年、生活保護で暮らしていた人々の中に含まれていた20代は約6万人、30代は約11万人であった。合わせて17万人。20代・30代で「若いから働けるはずだ」と考えられる人々は、生活保護で暮らす人々の8%に過ぎなかったことになる。

 さらに年代別に見てみると、40代が23万人、50代が34万人である。この世代に関しては、「失われた20年」「ロスジェネ」「バブル崩壊」「リーマンショック」といった時代の波を考えざるを得ない。

 そこに、一度失敗すると再起が困難な日本の就労状況の影響も重なる。60代は、60〜64歳だけで20万人だ。50代で失職して生活保護を必要とする状況になったら、就労努力を重ねても安定した雇用は得られず、アルバイト収入を得て保護費を少なく受け取るのが精一杯のまま60代を迎え、やがて65歳の高齢者となるのは、自然の成り行きかもしれない。

「働けるはず」と言える人が
実はほとんどいない生活保護の世界
 次に「単身者かどうか」に注目しよう。単身の人々と、育児や介護を担っている人々では、同じ「男性でやや不健康な55歳」であっても、就労を開始したり転職したりするにあたっての制約が全く異なるはずだ。

 2016年、生活保護世帯は約160万世帯であった。単身世帯は約127万世帯で、約80%を占めていた。高齢化と単身化が同時に進行しているのは、日本全体に見られる傾向だが、特に生活保護世帯が時代を「先取り」していると言えるかもしれない。

 127万人の単身者たちのうち、20〜64歳は約51万人、20代と30代に限定すると約6万人だった。20代・30代の単身者は、生活保護で暮らす210万人の約3%に過ぎなかったことになる。

 就労には、多様な意義がある。自分の生み出した仕事の価値が認められて報酬を得ることは、社会とつながる重要な回路の1つだ。就労により生活保護から脱却することの価値は、「保護費を減らし、国と地方の財政に貢献する」ということにとどまらない。しかし、年齢別に見ていくと、生活保護で暮らす若い人々が就労によって生活保護を必要としなくなったとしても、保護費の削減はあまり期待できなさそうだ。

 その上に、障害・病気・負傷が重なっているかもしれない。本人の状態を考慮すると、生活保護で暮らす人々の3%にあたる20代・30代の単身者6万人のうち、実際に「働ける」状態にある人々はいったい何人いるのだろうか。

 生活保護で暮らす人々の中に含まれている「働ける」人々は、もともと非常に少ない。したがって、就労指導を強化しても生活保護を必要とする人々は減らず、保護費削減にもつながらない。これが実態だ。

単身者で最大3万円程度の労働収入
生活保護から抜け出す気になるか
 ここで、冒頭の3つの問いに答えよう。

 1番目の問いは「働いても収入が増えない「収入認定」の仕組みが、生活保護からの脱却を妨げているのではないか」というものだ。

 生活保護はあくまでも「健康で文化的」な最低限度を保障する制度なので、生活保護の下では、「最低限度」以上の生活はできない。このため、生活保護費以外の収入がある場合には、「収入認定」され、同額が生活保護費から差し引かれる。

 働いて得た賃金の場合は、「働き損」にならないように、まず働くことに対する必要経費がカバーされる。さらに、本人の可処分所得が若干は増える。とはいえ、単身者の場合の最大で、増加分は3万円程度だ。それでも、「モチベーション下がりまくり」と嘆息しながら正直に収入を申告しなければ、不正受給となる。ちなみに、不正受給のうち最多のパターンは、就労申告を隠したり少なく申告したりするものだ。

 2番目の問いは、「生活保護から脱却すると、社会保険料や医療費の自費負担によって、かえって生活が苦しくなる。この問題を解決する必要があるのではないか」というものだった。

 この問題への回答は、2013年に「就労自立給付金」として制度化されている。生活保護の下で就労している場合、就労収入の多くは前述のとおり「収入認定」されるのだが、その分を仮想的に積み立てておき、保護脱却時に一時金として給付するというものだ。

 ところが、そもそも対象者がいない。背景は、「そもそも、働いて生活保護を脱却できそうな人がいない」ということだけではない。この制度が前提としているのは、安定した収入が得られる状況が継続、言い換えれば一定の金額を「収入認定」できる期間が継続するということなのだが、その前提は成り立たないことが多いのだ。

 たとえば、「生活保護で暮らし始めて、すぐ就職に成功して脱却した」という場合、積立期間がないため給付金の対象にならない。それでも2016年、約1万人が生活保護から脱却して「就労自立給付金」を受け取ったが、厚労省によれば、その1万人は就労によって生活保護から脱却した人々の40%に過ぎなかった。

 生活保護基準を引き上げれば、就労した場合に手元に残せる金額も増える。収入申告した場合に手元に残る金額を同時に引き上げれば、「働いたら生活が豊かになった」という手応えが大きくなるだろう。すると、預貯金が容易になる。効果が疑わしい給付金よりも、より効果的に就労意欲を高められるのではないだろうか。

頑張る低所得層を助ける仕組みも
やはり生活保護基準の引き上げから
 そして最後の問いは、「世間、特に『頑張っているのに生活保護より苦しい』と感じる低所得層の視線をもう少し温かくするために、生活保護を受給していない低所得層をもっと支援する必要があるのではないか」というものだ。

 確かに、その通りだ。しかし、この問題に対する解決策も、まずは「生活保護基準を引き上げる」ということになる。生活保護基準を引き上げれば、連動して最低賃金が引き上げられるからだ。


本連載の著者・みわよしこさんの書籍『生活保護リアル』(日本評論社)好評発売中
 さらに、低所得層に対する社会保険料や医療費の自己負担を減らす必要がある。税の減免対象であるはずの低所得層から、実質的に税である社会保険料を徴収するから、「働いて納税しているのに、生活保護より苦しい生活」という倒錯が生まれてしまうのだ。

 社会保険料や医療費の自己負担を減額・免除する制度は、一応は全国的に存在する。しかし、必要とする人々が誰でも使えるようにわかりやすく説明している自治体や、申請を容易にしている自治体は、現在のところは「日本のふつう」ではない。

 2018年は、生活保護に関して明るいニュースがほとんどないまま終わろうとしている。日本の残念すぎる実情を変えていかなくては、課題問題が濃縮されがちな生活保護の世界は明るくなりようがないだろう。

 それでも、「自分が少しだけラクになりたい」という思いを、「ついでに生活保護の人々も」と広げていくことはできるだろう。そして、厚労省が非公開で続けている生活保護と就労支援の研究会に関心を向けよう。もしかすると、それは自分を救う近道になるかもしれない。

(フリーランス・ライター みわよしこ)
https://diamond.jp/articles/-/189205

 

ビジネス2018年12月21日 / 17:46 / 1時間前更新
財政健全化へ社保改革継続、岡本財務次官「着実な経済成長も必要」
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[東京 21日 ロイター] - 財務省の岡本薫明次官は21日、ロイターニュースメーカーで講演し、社会保障改革を継続することが財政健全化で最も重要との認識を示した。着実な経済成長を図る中で健全化を進める必要があるとの認識も示した。

政府がこの日閣議決定した2019年度当初予算案は、消費増税対策2兆円と合わせて101兆4564億円と、初めて100兆円を超えた。岡本次官は「消費増税に対して十分な対応を行って、経済への影響を抑える」と、当初予算案の編成の狙いを語った。

19年度予算案では新規国債発行額を9年連続で減額しており、財政健全化も進める内容との認識も示した。

19年10月に予定されている消費税率10%への引き上げに関しては「消費税は安定的な税収で、日本の歳入構造の安定化に資する」と語った。さらなる増税については「今後の社会保障改革をしっかり進めていく中で検討すべき」と述べた。

また、物価安定目標2%の実現に向け、「デフレ状態からは抜け出しているが、物価2%目標に(達するには)はさらなる努力が必要」との見方を示した。

その上で、政府・日銀の共同声明に関し「財政健全化を進めていかないと、金融政策との整合性がとれなくなる」と語った。
https://jp.reuters.com/article/okamoto-idJPKCN1OK0SX

 

ビジネス2018年12月21日 / 16:06 / 1時間前更新
インタビュー:

市場は神経質な反応、経済の足元しっかり=財務次官
2 分で読む

[東京 21日 ロイター] - 財務省の岡本薫明次官は21日、ロイターのテレビインタビューに応じ、長期金利低下や株安など直近の市場の動きについて、米中貿易摩擦や米利上げを受け、非常に神経質な反応となっているとの認識を示した。

ただ、日米は足元で経済指標がしっかりしており「これからの経済政策で流れをしっかりと作っていくことが大事」と述べた。

長期金利の低下については「金融政策の流れの中で、長期金利が非常に低い水準になっていることは確か」とした上で「これが、金融機関の収益が厳しい状況の要因になっていることはその通り」と語った。

デフレ脱却の時期については「どの時点か言うことは非常に難しい」としながらも、「いろいろな良い動きが出てきている中で、これを好循環につなげてしっかりとした状況を作っていく」と述べた。

岡本次官は「すでにデフレと言う状況ではなくなっている」と指摘。日本経済は、アベノミクスの政策効果で企業収益や雇用情勢が改善するなど「良い流れになっている」とし、来年度予算を含む政策をしっかりと進めることで、デフレ脱却につなげたい考えを示した。

政府は、デフレ脱却を判断する4つの指標として、消費者物価指数(CPI)、GDPデフレータ、需給ギャップ、単位労働コストを挙げている。

税収で国債費を除く政策経費をどれだけ賄えるかを示す国の基礎的財政収支(プライマリーバランス)は、2025年に黒字化する目標を掲げている。

岡本次官は、経済回復に伴って税収が上向きとなる中で、高齢化に伴う社会保障費の伸びを抑制する努力をすることで、プライマリーバランスは着実に改善してきていると指摘。「税収増加がプライマリーバランスの改善、公債発行の抑制につながっており、来年もつなげて行きたい」と述べた。

また、来年の消費税率引き上げや3年間で行う社会保障改革をしっかり行うことで「2025年のプライマリーバランスの黒字化をしっかりと目指したい」とした。

2019年10月には消費税率を現行の8%から10%に引き上げる予定。現状、消費税率を引き上げられる経済環境にあるかどうかを問われ「足元はしっかりとした動き。緩やかな回復基調にあるとみている」と述べた。安倍晋三首相は、消費増税は「リーマン・ショック級の出来事がない限り、予定通り行う」としている。

さらなる消費税率引き上げの必要性について岡本次官は「3年間の社会保障改革をしっかりと行うことで、給付と負担のバランス、保険料をどう考えるかで、今後の議論になってくる」と述べた。

日本企業のコーポレートガバナンスについては「近年、格段に進んできている。グローバルに評価される流れに沿ったものになってきている」と指摘した。

*見出しを修正しました。

清水律子
https://jp.reuters.com/article/market-trend-interview-idJPKCN1OK0IS
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/230.html

[経世済民130] 賃金の引き上げだけでは、仕事の質はよくならない 深刻な視野の狭さと思考劣化が目立 消えゆく地元の「人情すし屋」谷間で淘汰
賃金の引き上げだけでは、仕事の質はよくならない

ケイティ・バック,サラ・カロック,ゼイネップ・トン:企業がよい職場を提供することで繁栄できるよう支援する非営利団体、グッド・ジョブズ・インスティテュートのマネージング・ディレクター。
2018年12月21日
アマゾンは先頃、全スタッフの最低賃金を時給11ドルから15ドルに上げると発表した。この大幅な賃金引き上げは話題を呼び、労働者たちには喜ばしいことであろう。だが、小売業やサービス業を取り巻く劣悪な労働環境に目を向けたとき、賃金の向上は数ある要改善点の一つにすぎないと筆者らは言う。

 買い物客が増えるホリデーシーズンが近づくにつれて、人手不足に直面している小売企業の多くは、アマゾンの先例にならうことを間違いなく検討することだろう。同社は最近、米国の全従業員に対し(傘下のホールフーズ・マーケットの店舗で働く人も含む)、最低時間給を15ドルに上げると宣言した。国の最低賃金を7.75ドル上回る額だ。
 昇給は、小売業やその他の低賃金のサービス業で働く労働者にとって、喜ばしいことだ。このため我々は、アマゾンの決定を称賛し、他社もこれに続くことを望んでいる。昇給はまた、劣悪な仕事、劣悪なオペレーション、質の低い顧客サービス、低い生産性、高コストという、悪循環にはまっている多くの企業にとって必要である。
 だが、この悪循環を断ち切るには、昇給だけでは十分ではない。他の改革を合わせて実施しない限り、昇給は企業の利益を減少させる可能性が高く、劣悪な職場をよい職場へと転じさせることはないだろう。
 経済学者の中には、「効率賃金」の概念を引き合いに出して、昇給すればおのずと業績が向上しうると主張する人たちもいる。賃金が高ければ、企業はより優秀な働き手を惹きつけて留められ、従業員はいっそう仕事に精を出す意欲を高めるから、というのがその根拠だ。
 だが我々は、他の部分も変えなければ、これらのメリットは小さいと予測する。本稿筆者の一人が大手小売企業で働きながら直接目にしたように、高いスキルと意欲のある従業員であっても、期待されたほど生産性を上げることができない場合がある。なぜなら、企業のオペレーション上のシステムが妨げとなり、従業員のスキルと熱意が最大限に活かされるどころか、無駄にされているからだ。
 このような障壁を、我々は常に目にしている。店舗で何らかの買い物をする人なら、誰でも同様のはずだ。以下にその例を示す。
・陳列物を始終変更する。飾り付けと取り外しに何時間もかかる。その時間を使って、顧客の手伝いをしたりプロセス向上を試したりといった、もっと高価値の仕事ができるはずだ。
・土壇場で販売促進や納品の内容を変更する。これにより、マネジャーは直前のスケジュール変更に時間を割く必要が生じる。それが従業員の生活を乱し、常習的欠勤、離職、人員不足を招く。これらはどれも、ミスの可能性を高める。
・従業員に、自分の仕事を改善したり顧客の問題を解決したりする権限が与えられていない。返品の受け取りや価格の変更などの、些細な事項にも管理職の承認が必要とされている。従業員に改善のアイデアがあっても、緊急対応ですでに手いっぱいの上司に却下されてしまう。
・備品およびテクノロジー(バーコード・リーダー、冷蔵庫、研修やスケジューリング用のソフトウェアなど)が、ひんぱんに故障する。このため従業員は、ヘルプデスクへの電話に何時間も費やしたり、重要な備品なしで何日も何週間も過ごすはめになったりする。
・店舗が、本社からの日々の大量の指令や、目を通すべき多数の売上報告書、利用すべき100以上ものマネジメント・ツールなどで押しつぶされそうになっている。
 最低賃金を上げても、これらの障壁のいずれも、けっしてなくならない。企業は従業員の時間を無駄にして、支出だけを増やしているにすぎない。さらに、これらの障壁は、従業員の達成感、誇り、意義を低下させることで、労働意欲を削ぎ離職を増やす可能性が高い。
 企業は昇給しても、生活できる手取り額、予測できるスケジュール、明確なキャリアパスを提供しない限り、従業員の基本的ニーズに応えることすらできないと思われる。

 ●手取り額
 働き手にとって気がかりなのは、時給よりも手取り額だ。米国労働統計局によれば、2017年における小売販売員の年間賃金の中央値は2万3210ドルとされているが、これは週40時間勤務を想定したものである。
 小売業やファストカジュアル・ダイニングのようなサービス業では、そのようなケースはまれである。半数以上の従業員がパートタイム勤務であるというのは珍しいことではなく、名目上フルタイム勤務の人でも、週40時間労働を保証されていないのが通常だ。
 パートタイム勤務は、高校生や大学生の小遣い稼ぎならよいが、2017年には、小売業の販売員の年齢中央値は36歳、レジ係は26歳であった。これらの年齢層は、自分自身と家族を支えるための生活費が必要な人たちだ。
 企業は、自社の従業員の労働時間が非常に短いことを、必ずしも認識していない。ある組織の幹部は我々に、自社の時間給労働者のほとんどが週15時間未満しか働いておらず、年間収入は1万ドルを下回ると知って驚いたと語った。したがって、昇給を検討している企業は、実際の手取り額に焦点を定め、改善を追跡することで、従業員に生活できるだけの賃金を稼いでもらうよう図るとよい。
 ●予測できるスケジュール
 収入が週ごとに異なる不安定さもさることながら、自分のスケジュールを知らされるのがほんの2、3日前であれば、育児や通勤や、その他の生活事項について、計画を立てるのが困難だ。サービス業で働く多くの人が、こうした状況に置かれている。また、企業にとってコストにもなる。
 よい職場を提供しているという定評がある企業は、スケジュールを3〜4週間前に提示している。また、カリフォルニアやシアトルをはじめとする地域の新たな法律では、他の組織も後に続くよう促している。
 この慣行を採用する企業は、単に雇用主として優れているだけではない。複数の研究で、小売業従事者のスケジュールの安定が、売上高と労働生産性も高めることが示されている。

 ●キャリアパス
 現在の手取りは働き手にとって重要だが、将来の稼ぎも重要である。最良の雇用主は従業員に対し、新たなスキル習得の機会、その能力を実証する機会、昇進のチャンスを提供することで、当人と家族の経済状態が将来向上するよう保証している。
 たとえば、よい職場の提供者とされるコストコや米コンビニチェーンのクイックトリップなどでは、現場の職はほぼ内部昇進のみであり、社員には昇給と責任拡大につながる明確なキャリアパスを提供している。よりよい働き手を惹きつけ、留めたい企業は、そのようなキャリアパスを設けることが、従業員にとって非常に大事であると気づくだろう。
 企業が自社のシステムを正さないかぎり、昇給しても、自社の業績アップや働き手にとってのよい職場にはつながらない。従業員の生産性、貢献、モチベーションを高めるシステムを構築したならば、昇給は業績アップとよい職場をもたらす諸要因の1つとなるだろう。幸い我々は、そのようなシステムの構成要素について多くを知っている。

HBR.ORG原文:Higher Wages Aren’t Enough to Turn Mediocre Jobs into Good Ones, October 29, 2018.
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ケイティ・バック(Katie Bach)
企業がよい職場を提供することで繁栄できるよう支援する非営利団体、グッド・ジョブズ・インスティテュートのマネージング・ディレクター。過去に、スターバックスでグローバル戦略のディレクター、マッキンゼー・アンド・カンパニーで経営コンサルタント、世界銀行で西アフリカにおける紛争後の雇用プログラムのマネジャーを務めた経験もある。

サラ・カロック(Sarah Kalloch)
企業がよい職場を提供することで繁栄できるよう支援する非営利団体、グッド・ジョブズ・インスティテュートのエグゼクティブ・ディレクター。ツイッターは、@sarahkalloch。


ゼイネップ・トン(Zeynep Ton)
マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院オペレーションズ・マネジメント・グループの非常勤准教授。グッド・ジョブズ・インスティテュートの共同設立者。トロント大学マーティン・プロスペリティ・インスティテュートのフェローでもある。著書に、The Good Jobs Strategy(未訳)がある。ツイッターは、@zeynepton。

http://www.dhbr.net/articles/-/5664

 

2018年12月21日 岸 博幸 :慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授
深刻な視野の狭さと思考劣化が目立った「平成最後の年」に学ぶこと

今年を総括すると、政策の変化よりも重要な論点がある。それは、野党、メディア、さらには一部の一般人に至るまで、日本人の視野の狭さと思考劣化が目立ったことだ(写真はイメージです) Photo:PIXTA
政治では3大改革が実現も
野党の政策批判に見る視野の狭さ
 2018年は政策の面でも多くの変化がありました。しかし今年を総括すると、もしかしたら政策の変化以上に留意すべき大事な論点があるような気がします。それは、政策を判断・評価・批判すべき立場にある野党、メディア、さらには一部の一般人にも共通する「視野の狭さ」です。

 まず、政策の面から今年を総括すると、今年は前半こそ“働き方改革”というキャッチフレーズが踊るだけであまり改革が進みませんでしたが、後半になって一気に改革が進んだと評価できるのではないかと思います。

 実際、秋の臨時国会では、48日という短い会期であるにもかかわらず、外国人単純労働者の受け入れ(入管法改正)のみならず、インフラ事業への民間参入(水道法改正)、漁業権の民間開放(漁業法改正)という強固な岩盤規制の改革も実現しました。

 もちろん、これだけの短期間で3つもの大きな改革を実行したのですから、外国人単純労働者受け入れを巡る国会での政府の説明からも明らかなように、どれも制度が円滑に機能するか、国民の不安を払拭できるかといった点で問題が多かったことも事実です。

 その意味で、これらの政策には批判すべき部分が非常に多いのは事実ですが、法案の審議を巡る報道を見ていて同時に強く感じたのは、野党の批判のダメさ加減です。

 たとえば、外国人単純労働者の受け入れを巡っては、技能実習生受け入れ制度の問題点や法務省の調査の不備などを批判し、最低賃金以下で働かされる外国人労働者の悲惨さを訴えるくらいで、政策論として外国人単純労働者受け入れの是非を論じたり、制度の具体的な問題点を指摘するようなケースは、非常に少ないまま終わりました。

 また、漁業権の民間開放を巡っては、企業に漁業権を付与したら個人で頑張っている漁師の生活が脅かされるといった類の主張ばかりで、世界的に見れば漁業は成長産業であるにもかかわらず、日本では衰退産業となっている現実にどう対応すべきかといった、具体的な政策提言はほとんどありませんでした。

 要は、野党の主張は、「搾取される外国人技能実習生や弱い立場の漁師を守れ」といった、非常にステレオタイプで視野の狭い弱者保護の議論と、それに基づく政権批判ばかりで、弱者のみならず全体を踏まえた具体的な対案の提示はありませんでした。

 私が政権にいた頃、郵政民営化のときの国会論戦を思い起こすと、野党はあれから12年以上も経っているのに何も進化していなかいどころか、さらに劣化しているように感じました。

外国人労働者に水道法改正
メディア報道の視野の狭さ
 もちろん、野党だけではありません。メディアの報道もだいぶ視野が狭くなっているように思えます。

 たとえば、外国人単純労働者受け入れを巡る報道を見ていると、その多くは野党と同じように外国人技能実習生の悲惨な実態ばかりでした。もちろん、そうした可哀想な外国人が多いのは否定しませんが、どの程度の数の外国人を受け入れるのが日本にとって適切かといった論点について、視聴者や読者に考えるきっかけを与えるような報道は、非常に少なかったように思えます。

 また、水道法改正を巡る報道はさらに酷かったと言わざるを得ません。水道法の改正は、地元自治体が全面的に担ってきた水道インフラの所有と運営を分離して、民間企業が水道事業を運営できるようにするものですが、多くのメディアがそれに関して報道したのは、岩手県雫村で民間事業者が提供してきた水道供給が途絶したリスクについてです。

 しかし、この岩手県の例は、もともと地元自治体の水道供給エリアから外れた山間部の話です。そこに建てられたペンション・別荘エリアに水道サービスを提供していた民間企業の撤退という問題です。もちろん、当該エリアの住民の皆さんは本当にお気の毒ですが、今回の水道法改正とは無関係の話です。

 それを水道法改正のタイミングでたくさん報道したら、インフラの民間開放が本当に必要であり有益なのかを市民の側が客観的に考えるのが、難しくなってしまうのではないでしょうか。

 以上の例からも明らかなように、どうもメディアの報道も郵政民営化の頃以上に弱者保護の観点ばかりが強調されている気がします。そこに、ネットとの競争ゆえにセンセーショナルさやわかりやすい構図ばかりが優先的に反映される結果として、報道内容がすごく視野の狭いものとなってしまっているように感じられます。

 もちろん、それらの観点もすごく大事です。しかし、そもそもメディアの役割は、国民が世の中の問題について客観的に考えるきっかけや判断材料を提供することだと考えると、それだけに終始してしまうのはいかがなものでしょうか。

南青山の児童相談所設置を巡る疑問
一般人の「言い分」は適切か
 そして、南青山の児童相談所を巡る騒ぎを見ていると、野党やメディアのみならず、もしかしたら一般人の視野も狭くなってきているのかもしれないと感じざるを得ません。

 報道によれば、港区の説明会に参加した住民の一部は、同じ南青山に住んでいる(と言っても賃貸マンションですが)私から見ても、違和感を覚えるような発言をしています。

 たとえば、児童相談所が青山に設置されたら「青山のブランド価値が毀損される」「青山の土地の価値が下がる」という発言があったようですが、児童相談所が置かれたことでそのエリアの土地の価値が下がったという相関関係は、証明されていません。

 また、「ランチが1600円もしてネギを買うのも紀伊国屋という地域では、児童相談所に来る子どもが可哀想」といった趣旨の発言もあったようですが、私の妻は自転車で青山や周辺エリアの庶民向けの安いスーパーを活用しているし、ランチだって1000円以下で食べられるところはたくさんあります。

 ちなみに、私は多くの識者のように、これらの発言の中身が非常識だと非難する気はありません。残念ながら、児童相談所の新設が地域で歓迎されないというのは、日本のみならず世界のどこでも起き得ることだからです。これらの発言をした人たちも「総論賛成、各論反対」、つまり施設の必要性はわかるけど自分の住む地域に置くのは勘弁してほしい、という感じなのでしょう。

 それよりも考えるべきは、これらの発言をするに至った背景ではないかと思います。これらの発言をする人たちは、自分の限られた経験だけからの価値判断が正しいと思い込んでしまったのではないでしょうか。

 個人的に、これはちょっと危険な兆候ではないかと思っています。グローバル化が進む中で生きていくには、多様性を受け入れる寛容さを身につけることが不可欠です。そのベースとなるのは、自分とは違う人たちや自分の常識にないことを理解しようとする想像力です。特に日本では、これから外国人単純労働者の受け入れが始まるのですから、なおさらです。

 そう考えると、もしかしたら意外と多くの人が、自分の限られた経験だけに依存し、無意識のうちにそれらの寛容さや想像力を失いつつあるのかもしれません。その原因としては、格差の拡大、ネットやソーシャルメディアの悪影響(自分に近い考えや同質の仲間ばかりの環境が、当たり前になってしまう)といった、いくつかの理由が考えられます。

 いずれにしても、おそらく南青山に住む人たちは、競争力のある優秀な人が多いと思われますが、もしそうした層の人たちの視野が狭くなりつつあるのだとしたら、それは非常に憂うべき問題ではないでしょうか。

2019年は自らの視野の狭さを
意識して修正していくべき
 以上のように考えると、どうも今の日本では野党やメディアのみならず、一般人も物事を考えるときの視野が非常に狭くなっているように感じます。

 野党やメディアがダメだからそれが国民に伝染したのか、国民がダメだから野党やメディアもそのレベルに合わせてしまっているのか、因果関係はともかくとして、こうした問題もかなり深刻ではないでしょうか。これでは、政治の側が間違った政策決定を行なっても、その本質的な部分に対する批判を回避するのは簡単だからです。

 ただ逆に言えば、これだけ野党やメディア、そして一般人の現状が露呈されたことは、それを修正するよいきっかけにすることも十分可能なはずです。東京オリンピック後のしんどい状況に日本が直面するまでには、まだ時間があります。これを奇貨として、2019年は一人ひとりが「自分の視野は狭くなっていないか」と、常に自問自答するようにすべきではないでしょうか。

(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)
https://diamond.jp/articles/-/189206

 

ビジネス2018年12月21日 / 19:31 / 7分前更新
消えゆく地元の「人情すし屋」 高級店やチェーン店の谷間で淘汰
3 分で読む

[東京 21日 ロイター] - 「大将、生ちょうだい」。常連客の藤沼靖雄さん(76)が、カウンターに座り昼間から生ビールを注文した。「病院から来たんだ。姉ちゃんが亡くなった」。たばこを取り出し、吸い口でカウンターをトントンとたたいた。

「お姉さんのこと、よく看病したねえ」。包丁を持つ手を止めた店主がいたわる。藤沼さんの姉は銭湯帰りによく顔を出した。ビールを飲みすしをつまみ、つえをついて近くの自宅まで帰っていった。店主と客はカウンターを挟んで、故人が元気だった数年前の思い出を語り始めた。

庶民の足として親しまれる都電荒川線・面影橋駅に近い下町の一角。福綱正敏さん(63)と妻みつ江さん(61)が営むすし屋「永楽」は今年で営業35年目になる。

10人ほどしか入れない小さな店だが、永楽には家族経営の温かさに引かれた普段着の客が集まる。店を訪れ、問わず語りにつらい話やうれしかった話を始める人もいる。近所の常連たちにとって、永楽はすしをさかなに人生を語り、人の情けに触れ、様々なつながりを楽しむ特別な居場所でもある。

<相次ぐ廃業、さびれる下町>

観光マップやグルメ本には縁がなくても、地元に根付き、人々の暮らしに溶け込んでいる「人情すし屋」。永楽のような、家族や個人で経営するすし屋は、小規模ながら地域のコミュニティーの核として、庶民の味であるすしを育て、その文化を広げる重要な役割を果たしてきた。

和食がユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の無形文化遺産に認定され、その代表格であるすしも海外各地で空前のブームを呼んでいる。しかし皮肉にも、日本のすし食の担い手となってきた国内の小規模なすし屋には淘汰の時代が続き、多くの店が次々と廃業に追い込まれている。

中小の店が参加する東京鮨商衛生同業組合によると、2008年に全国で約1500店あった加盟数は今は750と、10年でおよそ半分に減少した。雑誌を飾るような高額な店と回転ずしのような安価なフランチャイズにすしの需要が二分され、その狭間で、個人や家族で切り盛りするすし屋の経営が圧迫されているためだという。

「みんな行くのは、一皿100円の回転ずしか、テレビで紹介されるような銀座の高級店だね」と正敏さんは言う。「その中間にあるうちみたいな店は、やっていけないんだろうね」。

永楽の近所では、ここ10年の間に家族経営のすし屋が3軒廃業した。大型店の攻勢や通信販売の普及により、個人経営の店が競争力を失ってしまったという現実もある。「たぶん10年前に閉めた電気屋が最初だな。いや向かいの魚屋だったかな」。「その後、確か肉屋がなくなり、次が中華料理の店だった」。通りを歩く人たちから、消えた店の名前が次々と飛び出した。

<「婦唱夫随」で店を切り盛り>

永楽はチェーン店に対抗し、昼も夜も料理の価格を10年間据え置いている。昼のにぎりセットは800円から。夜は飲み物代を入れて1組あたり5000円前後。コストを抑えようと、正敏さんは毎朝、ホンダの二輪で豊洲市場に仕入れに出かける。

美味いすしを握るため、じっくりネタ選びをし、その日売れる量だけを仕入れる。長男は都内の大型すしチェーンのマネージャーを務めているが、自ら豊洲に足を運ぶことはなく、業者に大量注文しているという。

「電話とかファックスとかネットで注文したら、(価格が)3割増しだよ」。

しかし、懸命な努力にもかかわらず永楽には、昼間の常連客だったサラリーマンや町工場の従業員がずいぶん前から姿をみせなくなった。彼らの仕事が海外などに移管されたためだ。その1人だった医療関連メーカーの重役は今でも毎年、部下を通して会社のカレンダーを店に届けてくれる。しかし、そのカレンダーがかかる店内には、かつてのにぎわいはうかがえない。

午後5時、看板の明かりがつき夜の営業が始まると、みつ江さんはホワイトボードに書かれた「本日のネタ」からイワシを消した。価格が高騰しているからだ。温暖化の影響か、たまたま水揚げがないのか、不漁の年なのか、業者から返ってくる答えはいつも違うという。いずれにしても、今夜の客にイワシは握れない。

「すし屋を続けられる唯一の理由はね」と正敏さんが話し始める。「ええと、何を言おうとしたんだっけ」と傍らにいるみつ江さんに話しかける。みつ江さんはコンロにかけたみそ汁をかき混ぜながら答えた。「子どもたちはもう大きくなったし、自分の店を持ってるし、夫婦なんとか食べていけるからよ」。息の合った「婦唱夫随」が店を守り、支える原動力でもある。

いつ引退するかわからないが、2人とも長男に店を継がせるつもりはない。「息子には自分の道を歩んで、自分の家族のためにがんばってほしい」と正敏さんは語る。

2年前に子どもや孫たちと出かけたグアム旅行もたった4日間だった。福綱夫妻が何日も休むことはない。「店を閉じたと思われたくないのよ」とみつ江さんは言う。

店をたたむ作業は、人目を避け夜中に行われることが多い。近所の人々は翌朝、封鎖された入り口にはられた「長年のご愛顧に感謝します」といった走り書きをみて、現実を知る。やがてその入り口はツルに覆われ、葉が茶色く色あせ落ちる。それとともに人々の記憶からも消えていく。長年かけて育て上げた永楽を、そんな店にはしたくない。

<「ぜいたくはできない」>

壁の時計が8時を回った。カウンターにいた坂野隆一さん(63)が、ボトルキープしているシーバスリーガルをグラスに注ぐ。坂野さんが店に通ってもう何十年も経つ。都内のあちこちの建設現場でクレーン運転の仕事をしている坂野さんにとって、永楽は人生の伴走者のような存在だ。

「まーくん(店主の正敏さん)とは50年来の付き合い。好き嫌いが激しい私のことも知っている」。そして、坂野さんは付け加えた。「(正敏さんの)息子さんがね、『親父のすしは日本一』って言うのよ」。

この先もらえる年金は少なすぎておぼつかない。一体、いつまで働けるのだろうか。2人の会話は、いつもこの辺りの話題が中心だ。「ここら辺の人はみな年金暮らしだからね。ぜいたくはできない」と言う坂野さんに、「俺たちもすぐにそうなるよ」と正敏さんが笑いながら応じた。坂野さんは、毎朝、安全ベルトをつけてクレーンに乗り込む仕事がきついと感じるようになった。

「表通りのレストランのこと聞いた?。銀行が買い取ったんだってさ。ローンが返せなかったらしい」と坂野さんが言うと、「あの場所、どうなるのかしらね」とみつ江さんが割り込んだ。「ギョーザ屋とか、ファミレスになるんじゃないかな」と坂野さんが続けた。

師走の夜が更けすっかり暗くなった下町の一角に、永楽の温かな明かりが広がる。

「きょうは娘の誕生日なんだよ」。一人暮らしの坂野さんが家族のことを口にした。みつ江さんが黙ってうなずく。話はそこで途切れ、彼らはテレビ画面に目を向けた。

斎藤真理 編集:北松克朗
https://jp.reuters.com/article/insight-idJPKCN1OK10S
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/231.html

[経世済民130] 中国人の高年収イケメン男性は狙い目!?変わる日中国際結婚事情 米、中国人ハッカー2人を起訴 企業や軍の情報窃取 中国反発
2018年12月21日 週刊ダイヤモンド編集部
中国人の高年収イケメン男性は狙い目!?変わる日中国際結婚事情
日本人と中国人の夫婦の形は多様になり、ステレオタイプの「中国人妻」は減少の一途をたどる
Photo:iStock/gettyimages
日本人と中国人の国際結婚と聞いて、「小金持ちの中年日本人男性と若い中国人女性」という格差婚が浮かぶとしたら、それはもう時代遅れに。中国が経済発展を遂げた今では、それが“逆転”し、「中国人男性と日本人女性」のカップリングが増加しているのです。(本記事は週刊ダイヤモンド2018年7月7日号からの抜粋です)
 東京・銀座で夜ごと催される、エグゼクティブ男性だけが参加を許される婚活パーティー。
 その場で、並み居る日本人男性参加者を尻目に、年収1000万円超の高収入とセンスの良いスーツ、さらには女性を立てるトークで、女性人気を一身に集める東アジア系の男性がいたとしたら──。「そんな非の打ちどころがない参加者が、今のエリート中国人男性の典型」と言うのは、婚活パーティー大手、シャン・クレールの住田龍童・営業推進本部本部長だ。
「この2年で30代の中国人男性参加者がほぼ倍増した」と話す住田氏。かつての婚活パーティー市場では人気がなかったという中国人男性。しかし、近年は、経済力がありながら男女同権の意識が日本人男性よりも高く、家事・育児力にも優れるといった評判が高まり、婚活市場でエリート中国人男性を積極的に狙う日本人女性が徐々に増えているというのだ。
 実際、数字の上でも2009年を境に、日本人夫/中国人妻の婚姻の比率は減少傾向。逆に、中国人夫/日本人妻のカップリングはジワリと増加している。
 背景にあるのは、やはり中国の経済発展だ。「中国人女性がお金のために日本人男性と結婚するケースは減っている」と三菱総合研究所の劉瀟瀟研究員は指摘する。現在、日中間の国際結婚といえば、大学や就職先などで出会った適齢期の異性のうち、「好きになった人がたまたま中国人/日本人だった」という普通の“恋愛結婚”が主流だという。
https://diamond.jp/mwimgs/6/6/-/img_66c4416029cb25c2fd507ba14cc054ba119927.jpg
 一方で、“恋愛結婚”が主流になったことにより、かつてはあまり見られなかった結婚後のトラブルも多発しているようだ。

 恋愛結婚の場合、昔のような金銭目的での結婚とは異なり、夫婦の力関係は対等になりがちである。そうすると、日中の生活習慣や文化の違いによる意見の対立が起きやすくなるという。
 よくあるのがマイホームへの考え方をめぐる両家の対立だ。
「中国では、結婚後すぐにマンションを買うのが常識です。現在の結婚適齢期の中国人は一人っ子政策により、親と祖父母からの支援を独占できます。そのため、夫と妻の双方の実家から多額の援助を受けてマイホームを購入できるのです」と劉氏。
 現在33歳で4人の子どもを持つ雪蘭さん(仮名)は中国・上海で働いていたが、上海に駐在していた日本人男性と出会い結婚、半年後に来日した。
 当然のことと思い、「家を買いたい」と雪蘭さんが言うと、「援助はできないから賃貸にして」と義父母が反対。雪蘭さんが「家は資産だから買うべきだ」と主張し続けると、「顔を合わせれば家の話ばかり」と嫌われたという。
 中国には祖父母が孫を育てる文化がある上、家政婦も月額3万円ほどで雇える。今や中国の友人たちから「かわいそう」と慰められる始末だ。
 国際結婚に文化の摩擦は付き物。ある意味で、日中間の国際結婚が本来の姿になったというべきか。

https://diamond.jp/articles/-/189189


 


米、中国人ハッカー2人を起訴 企業や軍の情報窃取
2018.12.21 Fri posted at 11:55 JST

米国が中国人ハッカー2人を起訴/Shutterstock 

(CNN Business) 米司法省は20日、世界規模のハッキングで企業や軍の情報を盗んだとして、中国人2人を起訴した。ハッキングは情報収集活動の一環で、中国政府の指示で行われていたとされる。

ローゼンスタイン司法副長官によれば、ハッカーは「APT10」という集団に所属。中国の国家安全当局と連携して、米企業45社以上の情報を盗んだという。

また、米軍関係者も標的とし「氏名や社会保障番号、生年月日、給与情報、メールドレス」など、海軍要員10万人以上の機微情報を盗んだとされる。

米国による今回の措置では、ブラジルやカナダ、フィンランド、フランス、ドイツ、インド、日本など11カ国と連携した。

ローゼンスタイン氏は記者会見で「これは紛れもない不正・窃盗行為であり、中国に不当な優位性を与え、国際ルールに従って世界経済システムに参画する企業や国を犠牲にするものだ」と述べた。

そのうえで、中国政府が今後も企業秘密窃取の動きを把握していないと装うことはできないとし、一連のハッキングを「経済攻撃」と呼んでいる。

国土安全保障省も同日、被害を受けた可能性のある米企業をサポートするため、新たなウェブサイトを開設すると発表した。

米中間では関税の応酬が続き、通商をめぐる緊張が高まっている。トランプ大統領は、中国政府との通商協議がうまくいっていると再三示唆してきたが、政府当局者はこの数週間、中国のスパイ活動が及ぼすリスクに注意を促していた。


中国

米国

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https://www.cnn.co.jp/tech/35130483.html
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/232.html

[戦争b22] 自衛隊機が韓国軍からレーダー照射 防衛相が抗議 韓国の艦船がレーダー照射 「友好国としてあり得ない」と外務省幹部 
自衛隊機が韓国軍からレーダー照射 防衛相が抗議
2018年12月21日 18時30分

防衛省によりますと、20日に日本海で警戒監視のために飛行していた海上自衛隊のP1哨戒機が韓国軍の艦艇から、射撃管制用のレーダー照射を受けていたことが明らかになりました。岩屋防衛大臣は記者団に対して「不測の事態を招きかねない極めて危険な行為だ」と述べ、韓国側に抗議したことを明らかにしました。

防衛省によりますと、20日午後3時ごろ、日本海の能登半島沖を警戒監視のために飛行していた海上自衛隊のP1哨戒機が、韓国軍の駆逐艦から、射撃管制用のレーダー照射を受けたということです。

これについて、岩屋防衛大臣は、21日午後7時すぎから防衛省で記者団に対し「韓国側の意図ははっきりわからないが、レーダーの照射は、基本的に火器の使用に先立って実施する行為だ。これを相手に照射することは不測の事態を招きかねない極めて危険な行為だと」と述べ、韓国側に同日、外交ルートを通じて抗議するとともに、再発防止を求めたことを明らかにしました。

そのうえで、岩屋大臣は「照射を受けた場所は竹島からはかなり距離があった。どのような意図で行ったか照会したものの、応答はなかった。日韓防衛当局の連携は、北朝鮮問題をはじめ、海洋における安全保障、あるいは大規模自然災害への対応などさまざまな課題に対処し、インド太平洋地域に平和と安定をもたらす上でますます重要であるにもかかわらず、今回の事案が発生したことは極めて遺憾であり、韓国側に再発防止を強く求めていく」と述べました。

外務省電話で抗議
外務省の金杉アジア大洋州局長は21日、東京にある韓国大使館の次席公使に電話し「日韓防衛当局の連携が重要な中、今回の事案は遺憾であり、再発防止を強く求める」と抗議しました。また、韓国外務省にもソウルの日本大使館を通じて同様の抗議を行いました。
過去のレーダー照射
周辺国の軍隊との間では、2013年に尖閣諸島から北に100キロ以上離れた東シナ海の公海上で、海上自衛隊の護衛艦が中国海軍の艦艇から射撃管制レーダーを照射される問題が発生し、日本政府が、危険な行為だとして中国側に抗議しています。

一方、防衛省の複数の幹部は、「韓国軍との間ではこうした問題が起きたことは聞いたことがない」と話していて、極めて異例の事態です。

韓国軍と自衛隊をめぐっては、ことし10月、韓国で国際観艦式が行われた際、韓国側が「旭日旗」と呼ばれる自衛艦旗の掲揚を認めなかったため、防衛省は艦艇の派遣を見送りました。

この観艦式では、韓国側が駆逐艦に豊臣秀吉の朝鮮侵略と戦った将軍を象徴する旗を掲げ、日本側は「矛盾した対応だ」と抗議しています。

ただ、複数の自衛隊幹部は「政府間の問題とは別に、韓国軍との間では良好な関係が続いていると思っているので、今回の問題には驚いている。韓国軍側の意図を詳しく調べる必要がある」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181221/k10011756321000.html

 

 
韓国の艦船がレーダー照射 日本海で自衛隊機に[2018/12/21 18:57]

https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000143690.html

 防衛省によりますと、韓国軍の艦艇が20日午後3時ごろ、海上自衛隊の航空機に射撃管制用のレーダーを照射したことが分かりました。海上自衛隊のP1哨戒機は日本海で警戒監視のため、飛行していました。岩屋防衛大臣が21日午後7時から会見を行います。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000143690.html

 
「友好国としてあり得ない」と外務省幹部
1
40
2018年12月21日 19時2分 共同通信
 日本外務省幹部は21日、自衛隊機が韓国軍の艦艇からレーダー照射を受けたことに関し「友好国としてあり得ない。驚いている」と記者団に述べた。

共同通信

「海上自衛隊」をもっと詳しく


照射受けた場所は日本の排他的経済水域内
0

2018年12月21日 20時10分 共同通信
 防衛省によると、海上自衛隊の哨戒機が韓国側から火器管制レーダーの照射を受けたのは、日本の排他的経済水域(EEZ)内だった。領海内ではなかった。


 

韓国駆逐艦が海自機にレーダー照射 日本政府が抗議
 

2018年12月21日 19時28分 朝日新聞デジタル
韓国からレーダー照射されたP1哨戒機の同型機=海上自衛隊厚木基地
写真拡大

 岩屋毅防衛相は21日夜、能登半島沖の海上で、20日午後3時ごろ、海上自衛隊のP1哨戒機が、韓国海軍の駆逐艦から射撃用の火器管制レーダーを照射されたことを明らかにした。

 岩屋防衛相は「不測の事態を招きかねない危険な行為」だとして、「極めて遺憾。韓国側に再発防止を求める」と述べた。日本政府は21日、韓国政府に強く抗議した。(古城博隆)
http://news.livedoor.com/article/detail/15775463/

自衛隊機が韓国軍からレーダー照射 岩屋防衛相が会見で説明へ
11
550
2018年12月21日 18時30分 ライブドアニュース速報
防衛省によると、20日に日本海で警戒監視のために飛行していた海上自衛隊のP1哨戒機が、韓国軍の艦艇から、射撃管制用のレーダー照射を受けていたことが明らかになった。岩屋毅防衛大臣が午後7時ごろから記者会見し、当時の状況を明らかにする方針とのこと。NHKニュースが報じた。http://news.livedoor.com/article/detail/15775250/

 


http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/466.html

[環境・自然・天文板6] 太陽系の最果ての天体「ファーアウト」発見、すばる望遠鏡で観測 
太陽系の最果ての天体「ファーアウト」発見、すばる望遠鏡で観測
2018.12.18 Tue posted at 10:40 JST




天体「ファーアウト」のイラスト。ピンク色は氷の存在を示している/Roberto Molar Candanosa/Carnegie Institution
(CNN) 国際天文学連合の小惑星センターは17日、太陽から最も遠く離れた太陽系の天体が初めて見つかったと発表した。太陽からの距離は、地球と太陽の距離の100倍以上。「2018 VG18」と命名されたが、研究者は「ファーアウト(Farout)」の愛称で呼んでいる。
見つかった天体は準惑星と推測され、直径は約500キロ、色はピンクがかって見える。この色は、太陽から遠く離れていて氷が多いことに起因する。太陽の周りを1000年以上かけて公転していると思われる。
地球から太陽までの距離を表す天文単位(AU、約1億5000万キロ)で換算すると、太陽からファーアウトまでの距離は120AU。2番目に遠い天体「エリス」までの距離は96AU、冥王星までの距離は34AUに相当する。
この天体は、太陽系の果てにある地球型の惑星探しを行っている米カーネギー研究所などの研究チームが発見した。
ハワイのマウナケアにある日本のすばる望遠鏡を使ってファーアウトが発見されたのは今年11月。その後、チリにあるカーネギー研究所のラスカンパナス天文台で観測を続け、軌道や明るさ、色彩などを調べていた。

すばる望遠鏡から見たファーアウト/Scott S. Sheppard/David Tholen
https://www.cnn.co.jp/storage/2018/12/18/5ec420cb5c6e04cf744854b58e7f9d41/wonders-of-the-universe-middle.jpg

ファーアウトの軌道はまだ分かっていない。カーネギー研究所の研究者は、「2018 VG18はこれまでに観測された太陽系のどの天体よりも遠くにあって、動きが遅い。軌道を完全に特定するまでにはまだ何年もかかるだろう」と解説している。



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https://www.cnn.co.jp/fringe/35130281.html


http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/684.html

[国際24] マティス米国防長官、2月末で退任 大統領と政策で溝  政権内部のタカ派 やはり悪貨が良貨を駆逐
ワールド2018年12月21日 / 08:30 / 33分前更新
マティス米国防長官、2月末で退任 大統領と政策で溝
1 分で読む

[ワシントン 20日 ロイター] - マティス米国防長官が20日、退任を表明した。前日にはトランプ大統領が側近の反対を押し切ってシリアからの米軍撤退を表明しており、外交政策を巡る大統領との見解の相違が背景にあるとみられる。

ホワイトハウス当局者によると、マティス氏は大統領と直接面会した後に辞意を表明した。面会では双方が異なる意見を主張し合ったという。

国防総省が公表した辞表の中でマティス氏は、トランプ大統領に対し「これらや他の問題に関し、あなたは自身の考えにより合致した国防長官を選ぶ権利がある。私は職を辞するのが正しいと考える」と伝えた。

米国は19日、シリアからの米軍撤退を表明。20日にはトランプ大統領がアフガニスタン駐留米軍の大幅削減を検討していると当局者が明らかにした。

当局者によると、マティス氏はシリアを巡る決定に反対していた。

同氏は辞表で、強固な同盟関係を維持し、同盟国に敬意を示すことが米国にとって重要だとの考えを示し、孤立主義的な政策をとるトランプ大統領に賛同しない立場を示唆した。

トランプ大統領はツイッターでマティス氏の退任を発表し、「過去2年間、国防長官として政権に貢献したマティス氏が2月末で退任する」と投稿。近く後任を指名する意向を示した。

ホワイトハウス当局者によると、両氏は20日午後に大統領執務室で会い、その際にマティス氏が辞意を伝えた。この当局者は「マティス氏と大統領は一部の問題で意見がぶつかっていた。シリア問題だったかどうかは分からない」と話した。

マティス氏を巡っては、トランプ大統領が10月にCBSのインタビューで「(同氏には)民主党員のようなところがある」と述べ、政権を去る可能性があるとの見方を示したことを受け、退任観測が出ていた。

アフガニスタン問題を巡っても、マティス氏は駐留米軍の維持を主張していた。

国防総省はアフガニスタンについてコメントを控えた。

国家安全保障会議(NSC)の報道官は「将来の戦略展開」についてはコメントしないと述べた。

当局者が20日明らかにしたところによると、トランプ大統領は、アフガニスタンに駐留する1万4000人の米兵のうち少なくとも5000人を撤退させることを計画している。

 12月20日、マティス米国防長官(左)が、退任を表明した。ホワイトハウスで10月撮影(2018年 ロイター/Leah Millis)
マティス氏の後任を巡っては、トム・コットン上院議員(共和党)などの名前が挙がっている。

*内容を追加します。
https://jp.reuters.com/article/mattis-resignation-idJPKCN1OJ300



マティス国防長官が2月末に退任−トランプ大統領が発表
Joshua Gallu
2018年12月21日 7:28 JST 更新日時 2018年12月21日 9:46 JST
戦略的同盟での米リーダーシップの価値を書簡で大統領に伝える
大統領の見解とより合致する国防長官を選ぶ権利あるとマティス氏

マティス国防長官 Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
マティス米国防長官は20日、トランプ大統領との政策を巡る見解の相違を理由に辞意を表明した。前日にはトランプ大統領がシリア駐留米軍の撤退を突如発表していた。

  ホワイトハウス当局者によると、マティス長官は20日午後の会談で大統領に辞任の決断を伝えた。この会談で両者はシリア駐留米軍の撤退を含む政策を巡る見解の相違について議論したという。

  マティス長官は大統領に宛てた2枚の書簡で、北大西洋条約機構(NATO)や、過激派組織「イスラム国」(IS)打倒を目指す74カ国による連合など戦略的同盟における米国のリーダーシップの価値に関する信念を伝えた。

  国防総省が公表した同書簡によると、マティス長官は「この問題や他の問題について大統領自身の見解とより良く合致する国防長官を選ぶ権利が大統領にある以上、私は辞任することが正しいと考える」と記した。

  トランプ大統領は同書簡が公表される少し前にツイッターへの投稿でマティス長官の辞任を発表。「この2年間、私の政権で国防長官を務めた後、殊勲を残して2月末で辞任する」と述べていた。大統領は後任を「近く」発表するとした。

「重大な政策ミス続く恐れ」
  マルコ・ルビオ上院議員(共和)はツイートでマティス長官の書簡について、「米国を危機に陥らせ、米国の同盟に打撃を与え、敵の力を増す重大な政策ミスが続く状態に向かっていることを、極めて明白にした」と述べた。

  上院情報特別委員会の民主党筆頭理事、マーク・ワーナー議員もツイートで、「これは恐ろしい。マティス長官は混乱の極みのトランプ政権で安定の要だった」と指摘した。

  マティス長官はトランプ大統領が2016年大統領選で勝利後、真っ先に選んだ閣僚の1人。予測不可能な行動を取ることを誇りに思う大統領の下で北朝鮮やシリアなどを巡る危機的状況を乗り切らざるを得なかった米政権内で、マティス長官は外交政策の安定の要とみられてきた。しかし、他の米国家安全保障に関わる上級顧問らと同様、マティス長官は今週、シリア駐留米軍の撤退を決めたトランプ大統領の判断に異を唱えたと考えられている。

  「戦う修道士」や「狂犬」の異名を持つマティス長官は、軍と外交政策に安定をもたらす発言をすると評価されていたほか、国防費の大幅拡大を実現させた。

  ブルームバーグ・ガバメントの防衛アナリスト、ロブ・レビンソン氏はマティス氏について、「国防総省予算の大幅引き上げを実現させつつ、アフガニスタンやイラク、シリアから米軍を撤退させないよう大統領を説得するばかりか、これらの国での作戦強化を促した」と指摘。「マティス氏は国防総省の『殺傷力』を高める一方で、肥大化する官僚制度や関連コストの縮小・削減に努めた。しかし、こうした取り組みが変化をもたらしたかどうかについては後の評価を待たねばならない」と述べた。

原題:Mattis Resigns as Defense Chief, Citing Differences With Trump(抜粋)

(米議員やアナリストのコメントなどを追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-20/PK23QR6TTDS201?srnd=cojp-v2


 
トランプ氏「国防長官が政権去るかも」 以前から不仲説:朝日新聞デジタル
14コメント 登録日時:2018-10-15 07:13 | 朝日新聞デジタル | キャッシュ
 トランプ米大統領は14日放送の米CBSのインタビューで、マティス米国防長官の交代について「可能性はある」と明らかにしたうえで、「彼(マティス氏)は民主党員みたいだ」という不満も述べた。トランプ氏がマ…...

14件のコメント 本文を読む
Twitterのコメント(14)

時間の問題かも→
1010Radio(@1010Radio) - 10/15

北朝鮮の核保有が事実上決まったようなものだろう.日米同盟もどう変わるかな. /
TamaBros.(@bros_tama) - 10/15

:国務長官、国防長官がコロコロ変わるようじゃ政権は安定しない。トランプくん、アンタも去るのだ。
怪老医@doctor0621(@doctor0621) - 10/15

悪貨が良貨を駆逐していってるのか?
堀江 眞理子(@M2000mariko) - 10/15

前政権下ではタカ派すぎると見られていたマティス氏、現政権ではまともな方に見える…→
鵜飼 啓(@s_ukai) - 10/15

以前から不仲説:朝日新聞
就任前は『狂犬』と揶揄されたが、蓋を開ければ政権内の良心として機能していた。
あれほど讃えていた人物を切る。
トランプ大統領は「何を」信じて動いているのか?
時事野次馬(@yajiuma_jiji) - 10/15

曇り 18℃ 北東の風  肌寒い
なかなかスカッと晴れません☁️☁️☁️

それにしてもよく変わる政権。過去を学べばどうなるか分かります。
ハルちゃん(@halljupi) - 10/15

理知的でストイックな「戦う修道士」が史上希に見るほど不道徳で知性とは無縁な大統領と相性が良いわけがない。マティス氏は忍耐した方ではないか。#立憲ボイス>
kurakukento(@kurakukento1) - 10/15

「狂犬マティス」なんて言われてたのに・・・。
トランプのそばにいると、いつの間にか理性的になるのかな?
daisuke(@DaiDaimark1) - 10/15

狂犬と言われた人まで逃げる・・・> 以前から不仲説
はっぴ〜まん(@happymanjp) - 10/15

気に入らなければ次々と交代させられ、政権内で任期を過ごせる閣僚が一人もいない可能性。耄碌社長が経営の指揮を執る場末の零細工務店みたいな人事、下で政権を支える人々も苦労させられそう…。
ふうちゃんまるちゃん(@fuuchanmaruchan) - 10/15

Bloombergに続いて朝日も報じましたね。
トランプ大統領に苦言を呈すると「 民主党員みたいだ 」と言われる。日本のネトウヨやオンライン排外主義者と同じ幼稚さが透けて見えます。

 以前から不仲説:
ジャック・ザ・多摩セン(@jack_tamacenter) - 10/15

マジで……>
flurry(@flurry) - 10/15

「ただ米メディアは、理論派で同盟重視派であるマティス氏と、感情的・即興的に物事を判断するトランプ氏の不仲説を以前から繰り返し報じていた。」
ホント怖い。何事もなく2021年初の任期切れが迎えられれば良いが。
秋房(@akifusa0927) - 10/15
以上


https://ceron.jp/url/www.asahi.com/articles/ASLBH1BMFLBGUHBI03H.html

http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/831.html

[国際24] プーチン露大統領、米シリア撤退に懐疑的 米国が自国部隊の撤退を決めたのであれば、それは正しいこと
プーチン露大統領、米シリア撤退に懐疑的
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、アメリカがシリアから撤退したことに関する兆候は今のところ見られないと発言した。
21.12.2018 ~ 21.12.2018
プーチン露大統領、米シリア撤退に懐疑的

プーチン大統領は、モスクワで開いた年次記者会見で時事問題に関して見解を述べた。

プーチン大統領は、アメリカのシリア撤退決定に関し、

「アメリカの撤退決定が完全に何を意味するのか今のところ分からない。撤退したことに関して今のところ兆候は見られない」と述べた。

プーチン大統領は、

「アメリカは何度もアフガニスタンから撤退すると発表しているが、なおもあの国に留まっている」と述べた。

プーチン大統領は、アメリカ軍のシリア駐留は違法であるとも明かした。

プーチン大統領はまた、

「テロ組織DEASH(ISIL)に対して勝利したとするアメリカのドナルド・トランプ大統領の解釈にはおおむね同意する」と述べた。

シリアの政治的解決に向けたプロセスは継続中であると明かしたプーチン大統領は、

「ロシアとして、10月にイスタンブールで開催された首脳会議でトルコ、ドイツ、フランスと共に下した決定に鑑みて、シリア憲法委員会の設立に向けてできる限りのことを行っている」と見解を述べた。

アメリカのメディアは、アメリカがシリアに駐留する2000人あまりの兵士を完全に撤退させる計画であると伝えている。

トランプ大統領は、ツイッター(Twitter)上で発言し、

「私の大統領時代にアメリカがシリアにいる唯一の理由であったテロ組織DEASHを打倒した」と述べている。

ホワイトハウスのサラ・サンダース報道官も、

「テロ組織DEASH対策で新たな段階に突入したと同時に、アメリカは兵士の帰国を開始させた」と述べている。
http://www.trt.net.tr/japanese/shi-jie/2018/12/21/putinlu-da-tong-ling-mi-siriache-tui-nihuai-yi-de-1110885

(2018年12月20日)


 


シリアからの米軍撤退に関する質問に答える:私にはそれが何であるのかわからない=プーチン大統領 © Sputnik / Alexey Kudenko
政治
2018年12月20日 22:54(アップデート 2018年12月20日 22:58) 短縮 URL
1161
プーチン大統領は20日、恒例の年次記者会見で、トランプ米大統領が発表したシリアからの米軍撤退に関する質問に答えた。

スプートニク日本

大統領は「撤退についてだが、それが何であるのか私にはわからない。米国はアフガニスタンに(駐留してから)もう何年になる?17年?そしてほぼ毎年、自国の軍隊をそこから撤退させると言っている」と述べた。

米上院議員ら、トランプ大統領にシリアからの米軍撤退を見直すよう求める
© AP PHOTO / HUSSEIN MALLA
米上院議員ら、トランプ大統領にシリアからの米軍撤退を見直すよう求める
またプーチン大統領は、今のところロシアは撤退の兆候をとらえていないが、その可能性を認めるとした。同時に大統領は、米軍はシリアに違法に駐留していると指摘、どこかの国に外国の軍隊が合法的に駐留するための選択肢は2つのみであり、それは国連安全保障理事会の決定、あるいはその国の合法政府からの要請だが、「米国にはそのどちらもない。したがって米国が自国部隊の撤退を決めたのであれば、それは正しいことだ」と述べた。
なおロシアは、シリア政府の要請を受けてシリアに軍を派遣した。

通信社スプートニクの、ウラジーミル・プーチン大統領の年末恒例の大型記者会見のライブ中継は、こちらからご覧いただけます。

関連ニュース

トランプ大統領、シリアからの米軍完全撤退を命令 ブルームバーグ報道
https://jp.sputniknews.com/politics/201812205733820/

 
トランプ大統領、シリアからの米軍完全撤退を命令 ブルームバーグ報道 © AP Photo / Arab 24 network
政治
2018年12月20日 01:01短縮 URL
1180
シリアからの米軍の完全撤退に近く着手するよう命じる命令をトランプ米大統領が出したと、ブルームバーグが19日、米政府関係者の話として伝えた。

スプートニク日本

これに先立ち、トランプ大統領は同日、米国が既に、シリアにおける「ダーイシュ(IS、イスラム国)」の勢力を粉砕し、米軍がシリア国内に存在するのはこの目的のためだけだと述べていた。

ブルームバーグによると、大統領はツイッターに、「我々はシリアにおいてISに勝利した。私の大統領としての任期中、そこに(米軍が)存在する唯一の理由(がIS)だ」と書き込んでいる。


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NYの女性 ビットコインによるテロ組織への資金調達で有罪判決
https://jp.sputniknews.com/politics/201812205727301/


 

プーチン氏
シリアの露軍訪問、撤退命令 作戦終了を宣言
会員限定有料記事 毎日新聞2017年12月11日 21時49分(最終更新 12月11日 21時49分)

ロシア
シリア
中東
速報
欧州
国際
 【モスクワ杉尾直哉】ロシアのプーチン大統領は11日、ロシア軍が駐留するシリア西部のヘメイミーム空軍基地を予告なしに訪問した。軍部隊を前にした演説で、シリア空爆作戦の終了を宣言し、軍の撤退を命令した。ロシアが2015年9月末に開始したシリア空爆は「終了」という大きな節目を迎えた。

 AP通信によると、プーチン氏のシリア訪問は初めて。露国営テレビによると、プーチン氏は露政府専用機でヘメイミーム空軍基地に到着。タラップの下で待つアサド大統領に抱擁で迎えられた。

 演説でプーチン氏は同基地を拠点に2年余り続いたロシア部隊の派遣について「シリア軍と共に国際テロ組織…
https://mainichi.jp/articles/20171212/k00/00m/030/082000c


http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/832.html

[国際24] ロシア疑惑、2月にも結論か ロシア疑惑の黒塗り資料に浮かび上がるトランプの影(パックン) 
ロシア疑惑、2月にも結論か 米メディア
トランプ政権 北米
2018/12/21 18:28
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2016年の米大統領選でのトランプ米大統領とロシアの不透明な関係を巡る疑惑「ロシアゲート」で、モラー特別検察官が2019年2月中旬にも捜査を終結し、最終報告書をまとめることが分かった。米NBCニュースが複数の関係者の話として伝えた。トランプ氏や周囲の関係者が選挙戦を有利にするためロシアと共謀したなどと結論づけるかは明らかでないという。

モラー氏は司法長官に報告書を提出し、長官は議会に結果を報告する。米憲法には議会による大統領の弾劾手続きがあり、有罪になれば罷免されるため、モラー氏の結論は重大な意味を持つ。

モラー氏は17年5月に特別検察官に任命され、選挙への介入疑惑のほか、トランプ氏陣営による捜査妨害の疑惑を捜査してきた。これまでフリン元大統領補佐官やマナフォート元選対本部長ら幹部を起訴し、司法取引で捜査への協力を得ている。

ただ、モラー氏はトランプ氏の直接聴取にはこぎつけておらず、大陪審に召還して証言を求める案を検討しているとも報じられていた。大統領を召還できるかどうかは司法の判断に委ねられるとみられ、その場合は捜査終結までにさらに時間を要する可能性がある。

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ロシア疑惑の黒塗り資料に浮かび上がるトランプの影(パックン)
2018年12月21日(金)17時40分
ロブ・ロジャース(風刺漫画家)/パックン(コラムニスト、タレント)

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ロシア疑惑の黒塗り資料に浮かび上がるトランプの影(パックン)
Many Redactions, One Deduction (c) 2018 ROGERS─ANDREWS McMEEL SYNDICATION

<事件の背景や詳細を描く資料からは、事件の中心人物としてのトランプの姿が見えてくる>

クリスマス前にプレゼント交換が始まった! マイケル・フリン元大統領補佐官は、2016年の米大統領選挙へのロシア介入などを捜査するロバート・ムラー特別検察官に、19回にもわたる聴取で有力な情報をあげた。代わりにムラーは、FBIへの偽証の罪を認めていたフリンに「実刑を求刑しない」というプレゼントをくれた。もともと悪い子でも、いい子になると報われる! 子供の夢が崩れそうなクリスマス・ストーリーだけど。

同時期に、ドナルド・トランプ大統領の元顧問弁護士で、連邦議会への偽証を認めていたマイケル・コーエンもムラーの捜査に協力し、代わりに求刑を軽減してもらった。ただしコーエンは別途捜査中のニューヨークの連邦検察には協力しなかったので、こちらの検察官は厳しい量刑を求めた。プレゼント交換、不成立!

さらに同時期に、もっと悪い子が出た。銀行詐欺などで有罪評決を受けていたトランプの元選対本部長ポール・マナフォートは終身刑を回避するため、トランプに関する情報をムラーに全て話すと約束し、司法取引に合意。しかしその後、虚偽供述を繰り返し、さらにトランプの側近と連絡を取り続けていたという。当然、ムラーは怒り、合意を破ったとして取引を取り消すことにした。プレゼント回収!

この3件の動きはどれも最近、ムラーが裁判所に提出した資料から明らかになったもの。どれも複雑で幅広い捜査の核心に迫る有力な情報源だが、残念ながら、どれもひどいほど黒塗りされている。現職大統領に関する情報をなるべく出さないようにしている趣旨はもちろん分かる。例えば、そこでは実名ではなくIndividual 1(個人1)が使われることが多い。しかし、その定義として「後に大統領になった候補」などとなっているため、誰もがトランプだと分かる。黒塗りされてこそ、黒く見えるのだ。

風刺画が指摘するとおり、一部しか読めなくても、事件の背景や詳細を描く資料から、事件の中心人物としてのトランプの姿がはっきり見えてくる。ただ、違う見方をする人がいるのも事実だ。資料公表を受けて、「これで完全に大統領の無罪確定だ!」と......大統領本人がツイートしている。サンタを信じても、この見方は信じないほうがいいと思う。

【ポイント】
REDACTED
編集済みの

DEFENDANT
被告

SENTENCING
判決言い渡し

<本誌2018年12月25日号掲載>

※12月25日号(12月18日発売)は「中国発グローバルアプリ TikTokの衝撃」特集。あなたの知らない急成長動画SNS「TikTok(ティックトック)」の仕組み・経済圏・危険性。なぜ中国から世界に広がったのか。なぜ10代・20代はハマるのか。中国、日本、タイ、アメリカでの取材から、その「衝撃」を解き明かす――。

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プロフィール

ロブ・ロジャース(風刺漫画家)/パックン(コラムニスト、タレント)
<パックン(パトリック・ハーラン)>
1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『大統領の演説』(角川新書)。

パックン所属事務所公式サイト

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https://www.newsweekjapan.jp/satire_usa/2018/12/post-5.php
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/833.html

[国際24] トランプ氏元側近はアメリカを「売った」 米連邦地裁判事が批判 米判事がフリン元大統領補佐官を「売国奴」と批判、判決延期 
トランプ氏元側近はアメリカを「売った」 米連邦地裁判事が批判
2018年12月19日
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Image copyrightREUTERS
Image caption
連邦地裁に入るマイケル・フリン氏(18日)
ドナルド・トランプ米大統領の元補佐官(国家安全保障問題担当)で、ロシアの米大統領選介入疑惑をめぐり米連邦捜査局(FBI)に虚偽の供述をした罪を認めたマイケル・フリン被告の公判が18日、コロンビア特別区(ワシントン)連邦地裁で開かれた。連邦地裁のエメット・サリヴァン判事は、FBIに偽証したフリン被告は国を売ったと非難した一方、予定されていた判決の言い渡しを延期した。

フリン被告はこの日、判決を言い渡される予定だったが、サリヴァン判事の手厳しい発言の後、弁護士が延期を要請した。

被告は2016年12月に当時の駐米ロシア大使と接触したことについてFBIに偽証したと、昨年12月に有罪を認めた。

ロシア政府による米大統領選介入疑惑の捜査をめぐり、疑惑に直接関連して判決言い渡しを受けるのは、トランプ政権でフリン被告が初めてとなる見込み。

連邦地裁にフリン被告が出廷する数時間前、トランプ大統領は「今日の法廷で、マイケル・フリン将軍の幸運を祈る。彼にはとてつもないプレッシャーがかかっているだろうが、僕たちの政治運動でのロシア共謀について何を言うのか楽しみだ。我々の運動は偉大で、そしてもちろん、大成功した。共謀などなかった!」とツイートした。

Image Copyright @realDonaldTrump@REALDONALDTRUMP
2016年米大統領選でトランプ氏を有利にするため、トランプ氏もしくはトランプ氏側近がロシアと共謀したとの疑惑について、米司法当局は捜査を進めている。トランプ大統領はたびたび、この捜査を厳しく批判している。

<関連記事>

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トランプ氏元側近のフリン前補佐官、FBIへの虚偽供述で有罪認める惑
法廷で起きたこと
フリン被告は判決を18日に言い渡される予定だったが、サリヴァン判事の厳しい発言を受け、被告側弁護団は判決言い渡しの延期を緊急で要請した。

サリヴァン判事は、判決言い渡しを来年3月13日に延期すると合意した。

公判に先立ち、ロシア疑惑の捜査を主導するロバート・ムラー特別検察官は、捜査への度重なる協力を理由に、フリン被告に実刑を求刑しない方針を明らかにしている。

この方針についてムラー特別検察官の事務所は、フリン被告による捜査への「相当な」協力と、軍での実績を理由に挙げた。

Image copyrightGETTY IMAGES
Image caption
フリン氏が到着すると、裁判所の外に集まった支持者は掛け声を上げた
しかし、サリヴァン判事はフリン被告に対し、「これは非常に重大な罪だ」と指摘した。

「政府高官が、ホワイトハウス敷地内でFBIに虚偽の供述をしたのだ」

特別検察官事務所はフリン被告を国家反逆罪で訴追しようと考えたことがあるかと、サリヴァン判事が検察側に尋ねる場面もあった。

判事はフリン被告に対し、「あなたは自分の国を売ったのだと言える」と指摘し、フリン被告の罪に「嫌悪感と軽蔑の念を隠せない」と語った。

Image copyrightGETTY IMAGES
Image caption
2017年、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とドナルド・トランプ米大統領の電話会談にホワイトハウスでの大統領執務室で同席するフリン氏(右端)
フリン被告は法廷で罪を再び認め、FBIの取り調べ当時、うそをつくのは犯罪と「認識していた」と述べた。

弁護団は先週、取り調べでの偽証は犯罪だとFBIの捜査員が明言したことは一度もなかったと主張した。また、弁護士の立会いを妨げたとも訴えた。

しかし法廷に提出した文書で検察側は、「FBIへの虚偽供述が犯罪だとことさら警告されなくても、取り調べで真実を語るのがいかに重要か分かっているはずだ」と反論した。

ホワイトハウスのサラ・サンダース報道官は18日、米フォックス・ニュースのインタビューで、「あらゆる標準的手続きの決まりごとを破った」FBの捜査員により、フリン被告が「わなにはめられた」と語った。

連邦地裁の外には、フリン被告に抗議する小規模団体が、大きなねずみの風船を持って集まった。ねずみは密告者の隠語として使われるアメリカのマフィア用語。一方、フリン被告を支持する集団もいた。

フリン元補佐官の罪状

米陸軍で中将に上り詰めた後に退役したフリン被告は、2016年12月当時のセルゲイ・キスリャク駐米大使との接触について、FBI捜査員に虚偽の供述をした。

司法取引の合意書面によると、フリン被告は2017年1月にFBIの取り調べで偽証した。ロシア政府に対するアメリカの制裁について、トランプ氏の大統領就任前にキスリャク氏と議論していたが、その内容についてうそをついたという。

イスラエル入植地に関する国連安保理決議の採決について、ロシアが採決を延期または決議案に反対するようキスリャク氏に要請したことについても、フリン被告は偽証した。

またフリン被告は、米大統領選の期間中、トルコ政府を擁護するロビー活動を展開し、報酬を違法に受け取った罪でも告発された。

ただし、トルコ政府の代理で違法なロビー活動をしたとしてフリン被告のビジネスパートナー2人が17日に起訴されたが、フリン被告自身はこの起訴対象から除外された。

検察は18日、この件でフリン被告も訴追される可能性があったが、捜査に「相当な協力」をしたため免れたと述べた。

ムラー特別検察官の捜査との関係

ロシアとの共謀疑惑に関する一連の捜査に加え、ムラー特別検察官は、トランプ氏自身もしくは側近が、フリン被告への捜査を妨げ司法妨害を狙ったのではないかとの疑惑も調べているとみられる。

ジェイムズ・コーミー前FBI長官は、「(捜査を)やめる、フリンを自由にするための道筋がはっきり見えるといい」とトランプ氏が求めてきたと、上院情報委員会に証言している。

トランプ大統領はフリン被告の外国政府との違法な接触に対する捜査を終了させようとしたと思うと、コーミー氏は主張してきた。

一方で、そのような会話は一切コーミー氏と交わしていないと、トランプ氏は否定している。

コーミー氏は2017年5月、トランプ氏により電撃解任された。これを受け、ムラー氏が米司法省から特別検察官に任命された。

<解説>順風満帆とはいかず――アンソニー・ザーカー BBC北米担当記者

18日は、比較的順調にことが進むはずだった。マイケル・フリン被告が法廷に姿を見せ、ほとんど確実に、FBIへの偽証で実刑のない量刑言い渡しを受けるとみられていた。

特別検察官の事務所が裁判所に、実刑なしを勧めていた。ロシアの米大統領選介入疑惑をめぐる捜査に、フリン被告が大きな役割を果たしたためだ。そしてもちろん、フリン被告の弁護士も実刑なしを望んでいた。

ところが、エメット・サリヴァン判事の方針は違うことが分かった。法廷での厳しい裁判長発言からすると、フリン被告が多少の禁錮刑を受ける可能性は十分あるようだ。

フリン被告と弁護団が慌てるのも無理もなかった。フリン被告がさらにほかの形でも捜査協力できるかどうか検討したかもしれない。たとえば、トルコ政府の未登録代理人を務めたとして起訴された被告のビジネスパートナー2人について、これから始まる裁判に協力するなど。

これから数カ月、フリン被告と、被告が何をして何をしなかったか、何を知っていて何を知らないかをめぐり、さらなる推測や陰謀説が飛び交うのは間違いない。

少なくとも判事は、特別検察官の勧めに全面的に従うことにはこだわらないと、今回の決定で示された。この決定は、ロバート・ムラー特別検察官の捜査チームにとっても厄介な意味合いを持つ可能性がある。せっかく検察官と司法取引をしても判決がその通りにならないのでは、今後他の被告を説得しにくくなるかもしれない。

(英語記事 Michael Flynn: Judge suggests ex-Trump aide 'sold out' US)
https://www.bbc.com/japanese/46615481


 
ワールド2018年12月19日 / 03:27 / 3日前
米判事がフリン元大統領補佐官を「売国奴」と批判、判決延期
1 分で読む

[ワシントン 18日 ロイター] - 米連邦地裁の判事は18日、ロシア疑惑に絡み連邦捜査局(FBI)に虚偽証言した罪を認めたマイケル・フリン元大統領補佐官に対する判決言い渡しを先送りした。

判事はフリン氏に対し「国を売ったも同然だ」と厳しく批判。「こうした犯罪に対する嫌悪や軽蔑の念を隠すつもりはない」とし、同氏に対し捜査に完全に協力するよう申し渡した。

検察側は、フリン氏からすでに大半の協力を得ているが、同氏がさらに協力することは可能と述べた。

新たな判決期日は未定。

*内容をカテゴリーを追加します。
https://jp.reuters.com/article/usa-trump-russia-delay-idJPKBN1OH23T
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/834.html

[国際24] 仏景況感、抗議デモで悪化 景気減速へ 2年ぶり低水準

https://blogos.com/article/346821/

https://www.newsweekjapan.jp/headlines/2018/12/228857.php


ビジネス2018年12月21日 / 19:36 / 1時間前更新
仏景況感、抗議デモで悪化 景気減速へ
1 分で読む

[パリ 21日 ロイター] - フランスの反政府デモを受けて、同国の企業心理が悪化している。

国立統計経済研究所(INSEE)が21日発表した12月の総合景況感指数は102と前月の105から低下し、2016年11月以来の低水準となった。[nL3N1YQ34Q]

特に小売りセクターの景況感が悪化。同セクターの景況感指数は前月の107から100に低下し、2015年1月以降で最低となった。

クリスマス商戦を控えた重要な時期に、パリで反政府運動「黄色いベスト」の大規模デモが行われたことが響いた。

パリの百貨店プランタンのピエール・ペラレイ最高経営責任者(CEO)は、ラジオ局フランスアンフォに対し、旗艦店の12月の売り上げが10%前後落ち込んでいると発言。

ホテル産業も打撃を受けており、パリだけで予約のキャンセルにより1800万ユーロ(2060万ドル)の損失が発生した。

INSEEは今週、第4・四半期のGDPが反政府デモなどの影響で0.2%増に減速するとの見通しを示している。

この日発表となった第3・四半期の国内総生産(GDP)確報値は前期比0.3%増と、速報値の0.4%増から下方改定された。[nL3N1YQ32D]

今年は、上半期も増税や交通機関のストにより、経済成長が低迷。INSEEは、今年の経済成長率を1.5%と予測している。

第3・四半期の統計では、増税で購買力が低下したとのデモ参加者の主張も一部裏付けられた。

第3・四半期の家計の実質可処分所得は0.4%増と、第2・四半期の0.8%増から伸びが鈍化。賃金の低迷や税負担の増加が響いた。

ただ第3・四半期の個人支出は0.4%増加。貯蓄率が14.5%から14.4%に低下した。

企業投資は1.5%増。企業の利益率は31.9%と、第2・四半期の31.7%から改善した。生産性の向上が背景という。
https://jp.reuters.com/article/france-economy-demo-idJPKCN1OK11E


 
東京外為市場ニュース2018年12月21日 / 18:01 / 3時間前更新
UPDATE 1-仏製造業景況感指数、12月は104に小幅低下 総合は2年ぶり低水準
1 分で読む

* 12月の仏製造業景況感指数は104=INSEE(予想:103) (内容を追加しました)

[パリ 21日 ロイター] - フランス国立統計経済研究所(INSEE)が発表した12月の製造業景況感指数104と、前月の105から小幅低下した。市場予想は103だった。

総合指数も102と前月の105から低下し、2016年11月以来の低水準。

反政府デモの影響で小売りセクターの指数が特に悪化し、前月の107から100に低下。2015年1月以来の低水準となった。

サービス業の指数は104で、前月と変わらず。
https://jp.reuters.com/article/toshiba-kurumatani-interview-idJPKCN1OK0ZS
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/835.html

[政治・選挙・NHK255] 自衛隊機が韓国軍からレーダー照射 防衛相が抗議 韓国の艦船がレーダー照射「友好国としてあり得ない」外務省 :戦争板リンク
自衛隊機が韓国軍からレーダー照射 防衛相が抗議 韓国の艦船がレーダー照射 「友好国としてあり得ない」と外務省幹部
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/466.html
http://www.asyura2.com/18/senkyo255/msg/315.html
[経世済民130] 健康保険が危ない 崩壊前夜 日本の医療 少子高齢化による人口構成の歪みで国民皆保険は危機的状況

健康保険が危ない 崩壊前夜!日本の医療
https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NBO/17/kenpo/

誰もがすぐに、安価に最高水準の医療を受けられた日本の医療保険制度が今、”危急存亡の秋”を迎えている。日本の医療を崩壊から救う手だてはあるのか──。日経BPビジョナリー経営研究所が総力取材で検証する。

https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NBO/17/kenpo/column/vol1_1/

コラム Vol.1 データで見るニッポンの医療費@
少子高齢化による人口構成の歪みで国民皆保険は危機的状況

 出口が見えない少子高齢化問題。現状は65歳以上1人を現役世代2.4人で支えている格好だが、このまま高齢化が進むと、2050年には65歳以上1人を現役世代1.2人で支えなければならなくなる。現役世代の負担が膨らむ中で、長らく日本国民の健康と安心を支えてきた「国民皆保険制度」の存続そのものも危ぶまれている。

総人口は2008年から約80万人減少し、
生産年齢人口の割合も低下
 わが国の税収は依然厳しい状況にある(図1)。所得税と法人税はバブル期をピークに、景気のあおりで上下動しながらも減少傾向にあり、揮発油税や相続税などの税収は軒並み横ばい。唯一の頼みは消費税という状況だ。危機的に社会保障の財源が不足している大きな要因は、少子高齢化にある。
 https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NBO/17/kenpo/column/vol1_1/img1.jpg

2013年10月1日現在、わが国の総人口は1億2729万8000人。2008年のピークから約80万人の減少だが、国立社会保障・人口問題研究所によれば、今後も人口は減少し続け、2030年には1億1662万人、2048年には9913万人、2060年には8674万人になるとの推計値を発表している。
 人口の減少は社会の活力を削ぎ、加速度的に経済活動が縮小する危険性を秘めている。急激な人口減少に対応するため、政府は「50年後も人口1億人を維持」との数値目標を掲げる方針を示した。そのために出産・子育ての支援を拡充するなど、出生率を高めるための環境を整えるという。政府が人口の具体的な数値目標を提示するのは初めてのことだ。
 さらに悩ましいのは、年齢構成比に大きな歪みが生じていることである。現在、わが国の人口の内訳は、年少人口(0〜14歳)1639万人(2012年に比べて15万7000人減)、生産年齢人口(15〜64歳)7901万人(同116万5000人減)に対し、65歳以上の人口は3189万8000人(同110万5000人増)となっている。図2に示す通り、年少人口の割合は過去最低の水準を更新し、生産年齢人口の割合低下も歯止めがかからない状況にある。

https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NBO/17/kenpo/column/vol1_1/img2.jpg 

一方、65歳以上の人口は1950年以降一貫して増加し、国民の4人に1人を占めるまでになった。現状は65歳以上1人を、20〜64歳の現役世代が2.4人で支えている状況だが、このまま高齢化が進むと、2050年には65歳以上1人を現役世代1.2人で支えなければならなくなる。こうした人口構成比の歪みは年金、医療保険、介護保険、雇用保険、生活保護などの社会保障費に、直接的かつ大きな影響を及ぼす。
>> 現役世代の医療費は年間約13万円、
80〜89歳は年間約100万円
現役世代の医療費は年間約13万円、
80〜89歳は年間約100万円
 バブルの崩壊以降、国民所得も伸びなくなった。2011年度の医療費の総額(国民医療費)は38兆5850億円、前年度の37兆4202億円に比べ1兆1648億円、3.1%の増加。国民所得に対する比率は、2009年度に初めて10%を超え、2010年度は10.62%、2011年度は11.13%に上昇した。
 「年齢階級別1人当たり医療費(2011年度)」(図3)で、現役世代のボリュームゾーンである団塊ジュニア世代(40〜44歳)に着目すると、彼ら自身の医療費は年間13.2万円程度であるのに対して、その親である団塊世代(65〜69歳)は年間45.4万円が必要。さらに、団塊ジュニアの祖父母世代(80〜89歳)は年間100万円近くを必要とする。社会コストは階級別単価に階級別人口をかけた総和なので、多額の医療費を必要とする高齢者の比率が増えるほど、社会コストは雪だるま式に膨らみ、現役世代に雪崩のごとくのしかかってくる。

https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NBO/17/kenpo/column/vol1_1/img3.jpg

わが国の平均寿命は世界トップクラスであり、社会コストもそれに応じて大規模となる。世界に誇る長寿社会を支えてきたのが「国民皆保険制度」だが、今後も安心して良質な医療を受けられるようにするには、この制度を維持できる安定した財源確保と、「皆保険」の名にふさわしい透明性を備えた財源運用が必要不可欠である。
 財源確保の手段の一つとして挙げられるのが、本人負担率の引き上げである。これまで政府は、たびたび医療保険制度を見直してきた。かつて「若人」の負担率は国民健康保険(国保)以外の被用者保険(被用者本人)では1割だったが、2003年4月からは国保も被用者保険も全て3割に統一されている(図4)。「老人」も2001年1月に定額制から定率に変わったが、70〜74歳の窓口負担の割合についても、今年3月まで特例措置で1割とされるなど、老人への優遇が目立っていた。今後は、誰がどこまで負担するのか、公平性や持続可能性の観点から本人負担を考える必要があるだろう。

https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NBO/17/kenpo/column/vol1_1/img4.jpg

医療給付費も20年前の約2倍
2025年度には約53兆円まで増えると推計
 医療給付費(公的医療保険から医療機関や保険薬局などに支払う医療費)の増加も著しい。図5は年金、医療、福祉などの社会保障給付費の推移を表したものだが、20年前と比べると年金も医療も給付費は2倍近く増大している。1人当たりの医療給付費もこれに呼応して増えているが、1人当たりの医療費は年代による格差が極めて大きく、全世代が等しく恩恵を受けているわけではない。しかも、政府は2011年度に約34兆円だった医療給付費が、2025年度には約53兆円まで増えると推計している。

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こうした状況を踏まえ、政府は社会保障の安定財源確保に向けた「社会保障・税一体改革」をスタートさせたが、改革の内容次第では現役世代の更なる負担増を招く可能性がある。既に、企業や業界単位で加盟する健康保険組合(健保組合)の負担は大きく膨らんでいる。前期高齢者納付金や後期高齢者支援金という形で、高齢者の医療費を拠出しているからだ。
 どのように高齢者世代・現役世代を通じた公平なルールで保険料・税を集めるか——。持続可能な「国民皆保険制度」にするための新たな仕組み作りが、今求められている。


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/238.html

[経世済民130] 企業における医療コストの急激な上昇が生産活動を蝕む要因に 企業や健保組合の努力が及ばないところで高齢者医療負担が増え続け

誰もがすぐに、安価に最高水準の医療を受けられた日本の医療保険制度が今、”危急存亡の秋”を迎えている。日本の医療を崩壊から救う手だてはあるのか──。日経BPビジョナリー経営研究所が総力取材で検証する。


スペシャルレポート Vol.7
企業における医療コストの急激な上昇が生産活動を蝕む要因に

企業や健保組合の努力が及ばないところで
高齢者医療負担が増え続けている

医療保険制度改革が議論されている厚生労働省社会保障審議会医療保険部会
 現在、厚生労働省社会保障審議会医療保険部会で医療保険制度改革が議論されている。論点の一つが、高齢者医療への新たな負担方法だ。企業の従業員が加入する健康保険組合(健保組合)や公務員が加入する共済組合などに一層の負担を求める案が厚労省から示されている。
 高齢者医療負担に伴う保険料率の値上げは、現役世代一人ひとりの負担が増すだけでなく、その半分を支払う企業にとっても大きなコスト増大につながる。この"見えない人件費"といえる医療コストは、日増しに企業経営の圧迫要因となっており、今後もさらに脅威となることが予想されている。
 今回のレポートでは、社会保障審議会医療保険部会での医療保険制度をめぐる動きや、企業における医療コストの上昇が生産活動に与える影響について探った。
 2014年10月6日、医療保険制度改革に向けて議論が続いている厚生労働省社会保障審議会医療保険部会(部会長:学習院大学経済学部教授の遠藤久夫氏)では、論点の一つとなっている高齢者医療への負担の仕組みについて、厚労省から新たな案が提示された。その案は、現役世代の加入者が多い健保組合などに、更なる負担を求めるものだった。
健保組合などに更なる負担を求める
社会保障審議会での厚労省案
 この日まで議論されてきたのは、後期高齢者(75歳以上)に対する現役世代の支援金の新たな負担方法と、それによって浮いた公費の使い道だった。後期高齢者の医療給付費は高齢者の保険料(約1割)、現役世代の保険料による支援金(約4割)、公費(約5割)で支える仕組みとなっている。このうち支援金については、健保組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)などの各被用者保険の加入者数(0〜74歳)で頭割りする加入者割で3分の2を、加入者の平均所得に応じて分担する総報酬割で3分の1を負担する方法が採用されている。これは、被用者保険間で財政力にバラツキがあるための措置だ。これを全て総報酬割にする案を厚労省は提示しており、この案自体には負担増が見込まれる健保組合も反対の態度はとっていない。ただし、全面総報酬割導入によって協会けんぽの負担が減り、現在、協会けんぽに投入されている公費(国庫負担)を、市町村が運営する国民健康保険(国保)の赤字部分に充当しようとする厚労省案に対しては、健康保険組合連合会(健保連)、協会けんぽ、日本経済団体連合会(経団連)、日本商工会議所、日本労働組合総連合会の被用者保険関係5団体が「国の財政責任を被用者保険に転嫁するものであり、断固反対である」との要望書を厚生労働大臣に提出していた。
 10月6日の医療保険部会で新たに示された厚労省案は、「前期高齢者(65〜74歳)が負担する後期高齢者支援金部分」については、全面総報酬割ではなく、総報酬割をベースに前期高齢者の加入率による調整を行うというものだ(図1)。前期高齢者を多く抱える保険者の負担を調整する狙いがあるが、この案では報酬が高く前期高齢者加入率が低い健保組合や公務員が加入する共済組合の負担がさらに増えることになる。厚労省の試算によると、前期高齢者が負担する後期高齢者支援金部分を含めて全て総報酬割とした場合、協会けんぽは2100億円の負担減、健保組合は1300億円の負担増、共済組合は800億円の負担増(表1の案@)。一方、前期高齢者が負担する後期高齢者支援金部分に前期高齢者の加入率を加味した場合、協会けんぽは2400億円の負担減、健保組合はさらに200億円増えて1500億円の負担増、共済組合も200億円増えて1000億円の負担増となる(表1の案A)。協会けんぽに投入される公費2400億円が丸々不要となる計算だ。


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これに対し、被用者保険関係団体から、「全面総報酬割導入で削減される公費の使い道もセットで議論する必要がある。今でさえ高齢者に対する拠出金負担で被用者保険は財政的に苦しい状態になっており、制度そのものを見直すべきだ」「全面総報酬割導入で削減される公費の使い道については、被用者保険の負担軽減に用いられることが筋である」などの意見が出された。
社会保障負担増は"見えない人件費"として、
企業の競争力に影響を及ぼしている
 また、「前期高齢者医療にも制度的に公費を投入し、納付金の負担を軽減する方向で考えてほしい」との要望もあった。2015年度から団塊の世代が全て前期高齢者になり、被用者保険が負っている納付金が急激に増加していくことが想定されるからだ。健保連が発表した2014年度の予算早期集計結果によると、健保組合の保険料収入に対する高齢者医療負担の割合は45.4%に達し、被保険者1人当たり額は46万6616円(前年度比1万773円、2.36%の増加)で、2007年度に比べて8万3004円も増えている。このように、少子高齢化の影響は現役世代一人ひとりの負担の増大をもたらすが、問題はそれだけにとどまらない。厚生年金や健康保険などの社会保険料は、企業と従業員が折半して支払うことになっているため、企業の負担も増大し、経営圧迫の要因の一つとして捉えられようになった。

大和総研コンサルティング・ソリューション第一部
副部長の佐井吾光氏

みずほ総合研究所調査本部政策調査部
上席主任研究員の堀江奈保子氏
 「企業が支払った社会保険料は経理上、法定福利費として計上する。この法定福利費は広い意味での人件費であり、社会保障負担増は"見えない人件費(コスト)"として、企業の競争力に少なからぬ影響を及ぼしている」と、大和総研コンサルティング・ソリューション第一部副部長の佐井吾光氏は指摘する。
 みずほ総合研究所調査本部政策調査部上席主任研究員の堀江奈保子氏も「協会けんぽの保険料率が10%なので、今後健保組合の保険料率がそれを超えるなら、健保組合が上乗せする付加給付のメリットを相殺することになる。全面総報酬割が導入されれば、これまで以上に負担が大きくなり、経営者としても健保組合の解散などを考える可能性が出てくる」との見方を示す。
 また、パートなどの短時間労働者は、現行では週30時間以上の勤務が被用者保険の適用要件となっているが、週20時間以上、賃金が月額8.8万円(年収106万円)以上、勤務期間が1年以上見込まれることなどを要件として適用拡大される方針が決定しており、2016年10月から施行予定だ。規模501人以上の企業は強制適用対象となる。堀江氏は「短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大は、小売業、サービス業などで負担増となる可能性があり、特にパート率が50%を超える企業は影響が大きいだろう。今後、働き方の見直しが迫られることになる」と話す。
>> 企業や健保組合の努力が及ばないところで
高齢者医療負担が増え続けている

龍角散社長の藤井隆太氏
 こうした現状を企業の経営者はどのように見ているのだろうか。製薬メーカーである龍角散社長の藤井隆太氏は「高齢者医療に対する拠出金は企業や従業員の努力の及ばないところで、負担がどんどん増えている。現役世代や企業が高齢者医療を支える必要はあるが、厳しい経済状況下で経営を余儀なくされている企業にとって、無条件で負担が増大するのは問題がある」と話す。同社が加入している東京薬業健康保険組合は、医薬品・化学薬品・医療器具機械などの製造・卸販売・小売の事業所で働く人達を対象とした総合健康保険組合で、2014年9月現在、事業所数は1526、被保険者数は約23万人(特例退職被保険者を含む)。「東京薬業健保組合の被保険者は若い人たちが多いため、保険料の伸びはある程度抑えられているが、同じ薬業健保組合でも地域によって保険料率の格差が見られ、財政的に苦しいところもある。実際、"うちの健保組合が財政的に危なくなっている。どうしたらいいだろうか"と相談を受けたこともある」と藤井氏。
 また、日本商工会議所社会保障専門委員会の委員であり、厚労省の医療保険部会委員でもある立場から、藤井氏は「財政的に苦しくても必死になって保健事業に取り組んでいる健保組合がたくさんあり、そうした一つひとつの努力の積み重ねが医療費全体の削減に寄与している。従って、財政的に苦しければ健保組合を解散して協会けんぽに入ればいいという単純な話ではなく、保険者の努力にきちんと報いる仕組みにならないと、制度が続いていかないと思う」と強調する。しかし、現状は健保組合の保険者機能が削がれつつある、と藤井氏は続ける。「経費削減のため、保養所やトレーニングジムを閉鎖したり、人間ドックの補助を打ち切ったり、健康啓発のための冊子作成を止める健保組合が目立つようになった。医療費削減の観点からも、企業が進める健康経営の観点からも、よくない状況だ」

"健康経営"と"高齢者医療負担"に対する意識が
企業経営にとってさらに重みを増す
 高齢者医療負担に喘ぐ現役世代と企業——。藤井氏は「構造的な問題に何も手を入れずに、保険者間で負担を調整しても問題の解決にならない。現役世代の負担が限界に達していることを鑑みれば、高齢者医療制度そのもののあり方を抜本的に見直すとともに、例えば高所得の高齢者にも応能の負担をしてもらわなければ、国民皆保険を維持していくのはますます困難になるだろう」とした上で、こうした状況に陥った遠因に、日本人の健康保険制度に対する意識の低さがあると指摘する。「国民皆保険制度があるのが当たり前と思っていて、医療費削減のための努力が不足している。それは、必要以上に医師に薬の処方を要求したり、救急車をタクシー代わりに使うことなどに表れており、医療費のムダにつながっている。セルフメディケーションをベースにし、必要なときに医師の判断を仰ぐのが基本的なあり方だと思う。こうした考え方に立つと、経営者としては少子高齢化の時代に即した健康保険制度の仕組みを求めると同時に、企業は健康経営を推進し、健保組合には保健事業の強化を図ってもらうことが、国民皆保険制度の維持のために必要だ」と話す。
 大和総研の佐井氏も「企業にできるのは、できるだけ社員の健康度を上げること」という。同社では大和総研モデルとして"健康経営度チェックリスト"を作成。2014年6月から7月にかけて東証1部・2部上場企業2353社にアンケート調査を行った(回収率約11%)。その結果、全体の68.5%の企業が社員の健康増進のための組織を設置し、94.8%の企業が社員の健康状況を把握していたが、医療費の傾向分析を行い、課題が明確になっている企業は15.9%にとどまっていた(図2)※。
※大和総研ホームページ:http://www.dir.co.jp/release/2014/20140925_008971.html

https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NBO/17/kenpo/special/vol7_1/img2.jpg

「企業の健康経営に対する意識の高まりが見られた一方、まだ施策が不十分な企業も多い。生活習慣病や重篤な病気になる予備軍を見極め、早めに対処する必要がある」と佐井氏。同調査レポートでは、健康増進に対する意識の高さは役職・年齢・部署によってバラツキが大きい傾向が見られ、改善の余地があることが分かった。経営トップと従業員がともに、健康経営と高齢者医療負担という"見えない人件費"に対する意識を一層高めていかなければいけない時代が、眼前に迫っている。

https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NBO/17/kenpo/special/vol7_1/


https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NBO/17/kenpo/special/vol7_1/
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/239.html

[経世済民130] 少子高齢化が進む北京市 70年弱で5倍以上の人口増にピリオド 持続可能な財源確保と経済成長を考慮した健康保険制度の再構築
少子高齢化が進む北京市 
北京駐在員事務所から
長野 雅彦 長野 雅彦 2018/12/21

70年弱で5倍以上の人口増にピリオド

経済発展に伴い人口の増加が続き、現在2,000万人を越える北京市では、住宅価格の高騰、大気汚染や深刻な交通渋滞など、大都市ならではの問題が頻発し、市政府は対策に頭を悩ませています。

市政府下の研究機関が発表した人口動態データによると、オリンピックが開催された2008年の人口は1,771万人でしたが、2016年には2,173万人となり、8年間で22%増加しました。その多くが社会増(他地域からの人口流入)です。

ところが、昨年2017年は2,171万人となり、前年から2.2万人減少しました。

その理由としては、大気汚染対策の一環で、重厚長大産業などの労働集約型の工場が市外に移転したことにより、多くの労働者が市を離れたことが指摘されています。

1949年の中華人民共和国建国時には420万人でしたので、70年弱の間に5倍以上に膨らんだのですが、どうやら人口増にピリオドが打たれたようです。

人口増には歯止めがかかりましたが、こちらも大都市に共通する問題である高齢化の進行は止まっていません。

2010年には、65歳以上の高齢者人口は171万人で、全人口に占める割合は8.7%でしたが、2017年には238万人、10.5%へとそれぞれ増加、上昇しています。少子化の進行と、寿命が延びていることの2つが背景にあります。

北京市の出生率(総人口に占める年間の新生児数の割合)は、1991年に1%を切り、その後も一貫して下がり続けています。

単純計算で、また社会増を考慮しない想定ですと、市民の平均寿命が100歳まで延びても、人口を維持できないということになります。

人口構成の歪みが中国社会の不安定化要因となる可能性
一方で、死亡率(総人口に占める年間に亡くなる人の数の割合)は、過去20年間、0.5%程度で安定的に推移しており、結果、年々高齢化が進行することとなっています。

死亡率の低下には、市民の高学歴化も寄与していると指摘されています。北京市民の学歴は、特に2010年以降高まっており、現在全人口の40%程度が、大学卒業以上の学歴を有しています。

学歴の向上が、健康への意識の高まりや生活の改善につながっています。

研究機関の教授は、高学歴の女性が出産を遅らせる傾向があると述べ、学歴の向上が少子化にもつながっていると指摘しています。

加えて、妊娠した女性に対する職場環境の改善や、休暇制度の充実、さらには妊婦に対する種々のサービスの質の向上を求めています。

中国の法制度は、例えば妊娠、出産、育児休暇中に、国の社会保障制度である「生育基金」からの給付金が支給され、実質的に有給となっている等、日本よりも充実している面もあるのですが、「マタハラ」等の問題は日本と同様に存在するようで、女性の妊娠出産をためらわせる環境要因が様々あります。

政府による政策対応や予算措置では対応できない、人々の意識、心理に係る問題も多々ありますので、状況の改善は容易でないように思われますが、社会の持続可能性という観点からも、対策が求められるところです。

中国に共通の問題ですが、一人っ子政策という他国にない特殊な要因があるため、高齢化が極めて速いペースで進行しています。

北京で生活しておりますと、様々な点で、「中国が昔の日本を追いかけている」ことを実感するのですが、こと少子高齢化に関しては、遠からず日本を追い抜くことが予想されています。

年金制度など、社会保障制度が未整備で、「老親の面倒は子がみるもの」との考えも強く、若年、中年層にかかるプレッシャーは強いものがあります。

人口構成の歪みは、貧富の差の問題とともに、将来中国社会の不安定化要因となる可能性も考えられ、政府には広く国民を巻き込んでの対策を打ち出すことが期待されます。

中国あるいは北京市の動向から、将来日本にも参考となる点が出てくるのではないかと思います。


https://media.monex.co.jp/articles/-/10695


 


コラム Vol7
日本総研・西沢和彦氏が語る 「社会保障・税の一体改革」の深層C
持続可能な財源確保と経済成長を考慮した健康保険制度の再構築 

わが国の高齢者医療は、公費(税)に加え、現役世代の負担で支える構造になっており、急速な少子高齢化の進行を背景として、高齢者医療制度ひいては国民皆保険制度そのものも存続が危うくなっている。
 シリーズ最終回となる今回は、一層の増大が見込まれる高齢者医療費を支えていくために、どのような制度設計が望ましいのか、公費投入のあり方は公平かつ効率的か、財源確保はどうすればよいのか——。健康保険制度の再構築に向けた提言を、日本総合研究所調査部上席主任研究員の西沢和彦氏に語ってもらった。
民主主義的な意思決定が可能な
健康保険制度のシステム基盤づくりが必要

日本総合研究所調査部上席主任研究員
西沢和彦氏
 わが国の健康保険制度は、主に現役世代の保険料を原資とする支援金等を通じて高齢者医療費を支える構造になっている。前期高齢者(65〜74歳)の加入者数の多い国民健康保険(国保)には現役世代が加入する健保組合や協会けんぽ等からの財政支援が行われ、75歳以上の後期高齢者医療制度には現役世代からの支援金に加え、公費も投入されている。こうした仕組みのため、各保険者の収支の流れは非常に複雑だ。本来、社会保険料は「負担」と「受益」が対応していることによって租税と大きく差別化されるのだが、現状では健康保険料によって「負担」と「受益」の対応関係を把握することは困難であり、その結果、国民一人ひとりが健康保険制度の問題点を認識できなかったり、保険料の使い道の検証が疎かになったりすることに結び付いている。
 私たちは、自分の受けた社会保障サービスと支払った金額とを比較することでサービスの価値を実感できる。例えば、マンションで大規模修繕が行われる際、理事会は工事費と工事の質とを勘案して総会に諮り、入居者の意向に沿って修繕案が決定される。こうした民主主義的な意思決定の基盤が、健康保険制度にも求められる。健康保険料の負担水準が適切かどうか自分で判断し、負担が重すぎると感じれば、医療給付の効率化を促すという関係を再構築しなければ、社会保障サービスの価値は実感できず、国民が負担に対し納得感を得ることはできないだろう。
 厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会の議論を見ても、結局、後期高齢者支援金への「全面総報酬割」導入といった話題が中心で、一般の国民が議論に参加することは困難になっている。本来は、わが町・わが村に病院と診療所がいくつあり、かくかくしかじかの医療費がかかるから保険料はこうなる、というのが「負担」と「受益」の議論のはずだ。
再考されるべき公費投入のあり方
 国民一人ひとりが「負担」と「受益」の対応関係を実感できるようにするには、社会保障制度に対する公費の投入方法を抜本的に見直し、健康保険料を含めた社会保険料のあり方を本来的な姿に改めることが重要となる。例えば、現行の公費投入方法では、一般会計から特別会計や地方自治体を通じて各家計に給付されるため、高所得者層も低所得者層も等しく恩恵が受けられる。しかし、これは効率的ではないし、本当に公費が投入されているかどうかもよく分からない。
 これに対する改革案として、一般会計から所得の低い家計にダイレクトに公費を給付する方法が考えられる(図1)。これは社会保障に対する公費の役割を「高齢化・低成長経済モデル」に切り替えることであり、このような国民自らが判断できるような民主主義的な制度設計が不可欠である。

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>> 税を負担する能力(担税力)に応じた負担構造への転換
 財源確保や負担の公平性という観点からは、年齢ではなく、税を負担する能力(担税力)に応じた負担構造へと転換することが重要である。まず、保険者が分かれている限り、現役世代から高齢者に対する支援金という財政調整は発生する。ただ、その場合、現役世代の納得が得られる仕組みにする必要がある。しかし、現在、健保組合などは「いわれるがまま支援金や負担金を出すしかない」という構造になっている。そうではなく、保険者にインセンティブが働くような仕組みが求められる。例えば、各保険者の年齢構成と所得水準には差があり、このような保険者の責任に帰すことのできないものについては財政調整を行う。一方、保険者の責任による医療コスト増、あるいは保険者の努力による医療コスト減などについては調整をせずに保険料に反映させる——。このような納得感のある財政調整にしていくことが望まれる。
 また、高齢者医療費は現役世代の保険料が主な原資となっているが、その保険料は賃金だけにかかるので、支援金や納付金のような再分配の原資として公平とはいいがたい。本来であれば、賃金だけでなく、例えば不動産所得、預貯金の利子、株式譲渡所得、事業所得など、あらゆる所得を包括的に把握してかけるべきである。また、賃金のみにかけることは「労働需要」を減らすことにつながり、効率的でもない。従って、包括的な所得をベースとした保険料にしていく、という方向性が議論されてもよいと思う。その保険料率に医療給付の水準を反映させれば、賃金だけにかけたときに生じるような不公平さ、非効率性を抑えることが期待できる。高齢者に対しても所得に応じた負担を求めていくべきであり、そうしなければ少子高齢化による原資不足は解消されないだろう。
医療サービスのあり方は
高齢者医療に対する支援とセットで考えるべき
 医療費を抑えていくことも欠かせない。昨年8月にまとめられた社会保障制度改革国民会議報告書では、医療提供体制の改革が大きな柱の一つになっている。そこでは、地域の診療所の医師が予防や在宅医療を含む1次医療を担い、必要に応じて2次医療を担う地域の中核的病院、3次医療を担う特定機能病院や大規模病院を紹介し、紹介後も診療所医師が継続的にケアに関わるといった体制が目指すべき方向として示されている。こうした改革は、財政健全化、病院と診療所の機能分化、高齢社会における医療ニーズの変化への対応という観点から評価できる。しかし、報告書は「病院改革」は示しているが、「診療所や診療所医師の改革」を具体的に描いていない。家庭医の育成計画、地域における配置計画、診療報酬体系の根本的な見直しなど、「制度改革」に踏み込むべきではないだろうか。これを医療提供側の自主性にほぼ任せており、はたして報告書が目指す改革が実現できるのかどうかは不透明である。仮に、多すぎるわが国の病床数を削減できたとしても、診療所を核とする地域医療が受け皿として機能しなければ、患者は行き場を失ってしまうだろう。
 医療サービスの重点化・効率化は喫緊の課題であり、高齢者医療に対する支援とセットで考えなければならない。しかし、こうした論点が国民一人ひとりの問題として認識されないのは、健康保険制度の仕組みの複雑さが根底にあると思われる。
経済成長を促すための
現役世代に向けた社会保障制度へ
 社会保障の重点化・効率化という点でも課題がある。ともすれば高齢者に対する社会保障のみがクローズアップされがちだが、「経済成長を促すための社会保障」という観点も必要だ。わが国では、少子化により生産年齢人口が減っていくことが予想されている。しかも、わが国特有の現象として、女性の労働力率は出産・育児期になると一旦落ち込み、育児終了後に再び高まる傾向が認められることから、現在、政府は女性の労働力確保のためテコ入れを図ろうとしている。こうした「労働供給」を促すためには家庭内労働(育児、介護など)をアウトソース(外部委託)できることが重要であり、そのための社会保障が必要になってくる。
 また、経済を成長させるためには、労働供給と同時に、労働力を成長分野に移動していかなければならない。この「労働移動」を促すには、失業保険や職業訓練といった支援が重要になってくる。しかし、わが国は諸外国に比べ現役世代に向けた社会保障が少ないことが示されており(図2)、課題の一つになっている。単に社会保障費を上げればよいという話ではなく、「経済成長を促すための社会保障」という発想が重要であり、健康保険もこうした大きな社会保障の枠組みの中で捉える視点が必要だ。

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高齢者医療費に関しては、現役世代の負担がますます重くなろうとしている。そうした現役世代の負担だけで、国民皆保険制度が維持できるのかという根本的な疑問に立ち返り、公費投入のあり方、医療サービスのあり方、経済成長の促し方など、さまざまな観点から議論されることが重要だと考える。
(談)
西沢 和彦氏
1989年一橋大社会学部卒、三井銀行(現三井住友銀行)入行。98年さくら総合研究所出向、2001年日本総合研究所調査部主任研究員。02年法政大学修士課程(経済学)修了。著書に第51回日経・経済図書文化賞を受賞した『年金制度は誰のものか』(日本経済新聞出版社, 2008)、第40回日本公認会計士協会学術賞を受賞した『税と社会保障の抜本改革』(日本経済新聞出版社, 2011)などがある。

https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NBO/17/kenpo/column/vol7_1/


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/240.html

[経世済民130] 団塊の世代が65歳に到達し、現役のあなたを襲う高齢者医療負担 健保組合の解散は国庫負担増と医療費の削減・適正化手段喪失に
悲鳴を上げる現役世代:前編

団塊の世代が65歳に到達し、現役のあなたを襲う高齢者医療負担

 日本の医療保険制度が崩壊の危機にあると聞いて、どれほどの人が自分事として認識できるのだろうか。

 将来、年金はいつから、いくらぐらいもらえるのか──。これが今の多くの人の関心事になっているようだ。しかし、同じ国の社会保障である医療保険制度について、気にかけている人は極めて少ない。実は、年金と同様に国民皆保険制度も窮地に陥っており、この持続可能性が問われている。超高齢社会に突入した日本では、国民医療費は増加の一途をたどり、それをまかなうために企業や個人の健康保険料の負担も増えるばかりだ。とりわけ2008年の高齢者医療制度の創設以降、高齢者医療費の負担増による財政の悪化で解散する健康保険組合が増えている。

 今回のスペシャルレポートでは、健康保険制度の中でも特に財源の確保が急務である高齢者医療制度とその課題を解説するとともに、持続可能な医療保険制度構築のために何ができるかを探った。

 あなたは、自分が支払っている健康保険料の額を知っているだろうか。会社員の場合、給与明細の「健康保険」欄に記載されているが、その額がここ数年どう推移しているかを意識している人は少ないだろう。実は会社員の多く、特に企業の健康保険組合の被保険者が支払う健康保険料の負担が年々急増している。

 こうした流れが始まったのは、2008年に高齢者医療制度が施行されてからのことだ。後述するように、企業の健康保険組合(健保組合)の被用者保険の保険者の多くは、“支援金”や“納付金”といった形で、高齢者医療費のための多額の拠出金を支払わなければならなくなった。健康保険組合連合会(健保連)によれば、2014年度(予算ベース)の経常支出のうち、高齢者医療費への拠出金総額は、約3兆3000億円にも上る。また、企業の会社員や家族が入る健保組合の経常収支は2008年度以降赤字に転落、赤字の組合の割合は全体の8割を占めるという。毎年の赤字は各健保組合が蓄えてきた積立金を取り崩しているものの、それも数年のうちに枯渇すると考えられ、冒頭で紹介したように独自の健保組合を解散し、主に中小企業従業員が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)へ移る企業も後を断たない。

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 健保組合の財政悪化に伴い、2014年度の平均保険料率は8.8%に達し、高齢者医療制度開始前の2007年度から1.5ポイントも増加した。月収に保険料率をかけた、個人が支払う健康保険料は、1人当たり年間平均約8万3000円も上がったことになる(図1)。

 この7年間で、こんなにも負担が増えたにもかかわらず、その負担を実感しづらいのは、会社員では保険料が給与からの天引きであることと、保険料の支払いが労使折半で実際の保険料の半額の支払いになるためだ。その結果、個人に対して直接全額の支払いを求められる国民健康保険(国保)の加入者に比べ、健康保険料の負担に対する意識が低くなるのだろう。しかし、これからはそうも言っていられない時代がやってくる。

団塊の世代の前期高齢者化で
あなたの支払う保険料は更なる負担増へ
 このように毎年保険料率を上げなければ健保組合の財政が立ち行かなくなる大きな要因となった高齢者医療制度とは、どのようなものだろうか。

 高齢者医療制度は2つの仕組みからなる。一つは65〜74歳の高齢者(前期高齢者)を対象とした「前期高齢者医療」で、もう一つは75歳以上の高齢者(後期高齢者)などを対象とした「後期高齢者医療制度」だ。

 まずは「前期高齢者医療」について解説しよう。これは、高齢者医療制度の前身である老人保健制度における老人保健拠出金が引き継がれたもの。「高齢者の偏在による保険者間の負担の不均衡を調整するため」との考えで導入された。つまり、退職者などが多いために前期高齢者の加入数が多い国保の財政を、若年者の加入が多い健保組合などの保険者が“支援”する仕組みである。各保険者の0歳〜74歳の総加入者に占める前期高齢者の割合を「前期高齢者の加入率」として、健保組合や協会けんぽなどがそれに応じて「前期高齢者納付金」として拠出するのである。

 2014年度の予算案ベースで見たときの調整結果が図2だ。調整前に比べ、協会けんぽが1兆3000億円、健保組合が1兆2000億円、共済組合が4000億円の負担増となり、これが現役世代の負担を過重なものにしている。

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前期高齢者医療がはらむ問題はこればかりではない。その一つが納付金額の算定方法だ。納付金額は、各健保組合の前期高齢者の医療給付費や加入者数などをもとに計算することになっている。そのために、一人でもがん治療などで突発的に高額な医療費が発生した場合には、納付金の額が実際にかかった額の十数倍に跳ね上がる可能性がある。また、加入者数の変動で納付金額が増減するため、単年度での収支均衡をとりにくく、保険者は安定的な組合運営をしにくいのである。

 さらに、影を落としているのが、「団塊の世代」の問題だ。2015年には、全ての団塊の世代の人たちが前期高齢者になり、10年後に後期高齢者になるまでの間、大幅に前期高齢者の医療費が増大することが見込まれる。現在の制度では、前期高齢者の医療費には公費が投入されておらず、この増大分の医療費は全て納付金の増大として健保組合をはじめとする被用者保険の保険者、ひいてはその加入者に重くのしかかる。


目白大学生涯福祉研究科・客員教授の宮武剛氏

 目白大学生涯福祉研究科・客員教授の宮武剛氏は、「被用者保険の成り立ちからいっても、地域保険である国保が現行の医療保険制度の基盤であることは間違いない。その屋台骨が揺らがぬように各保険者が能力に応じて負担するのはある意味仕方がないことだ。しかし、既に大きな負担を負っている被用者保険、とりわけ健保組合に今後10年間膨らみ続ける納付金の負担を強いることは、財政的にも難しいだろう。また、自分たちが支払った保険料の半分以上が、自分たち以外の人たちの医療費に使われるというのは、加入者の心情面での納得も得られない。団塊の世代が前期高齢者となるときには、時限措置の形であっても、公費を投入する必要がある」と話す。

>> 総報酬割拡大で健保組合、共済組合の負担は急増

一方、後期高齢者医療制度にも大きな課題がある。後期高齢者医療制度は前期高齢者医療の仕組みと異なり、全ての市区町村が加入する広域連合が運営する独立した医療保険制度だ。厚労省によれば、「高齢世代と若年世代の負担の明確化などを図る観点」で作られた。

 そのため、後期高齢者医療給付費には公費が投入されている。その割合は、給付費の約5割。残りの約1割が高齢者の保険料で、約4割が現役世代の保険料からの“仕送り金”である「後期高齢者支援金(支援金)」だ。2014年度予算ベースの医療費の負担の内訳は図3の通り。約14兆4000億円のうちの6兆円を、支援金として国保と健保組合、協会けんぽ、共済組合の加入者である現役世代が分担して支えている。

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しかし、この支援金の分担に関わる算定方式を大幅に見直す案が、厚労相の諮問機関である社会保障審議会の医療保険部会で浮上している。

 現在、支援金は、その3分の2を各保険者の「加入者数」に応じて決める加入者割、3分の1を加入者の「平均所得」に応じて決める総報酬割で分担している。これを2015年度から全て総報酬割によって分担する方向に改める方針が出てきたのだ。これにより、平均所得が高い企業の健保組合や共済組合では拠出金が大幅に増えることになる。健保連によれば、これにより健保組合の約6割の組合が負担増となるという。

 総報酬割の導入で負担が増えるのは、健保組合と共済組合だ。その一方、平均所得が低い協会けんぽの負担は約2300億円減る。実は、これまで、加入者割による収入などの格差の是正などの観点から、協会けんぽには国庫補助が行われていたが、総報酬割によって補助していた約2300億円の国費が浮くことになる(図4)。その使い道に議論がわき上がっているのだ。

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国は、これを国保の赤字の穴埋めに使う方針だが、健保連などは、「高齢者医療費を社会全体で支えるという観点では総報酬割の導入はやむを得ないが、国民皆保険制度の礎を担う被用者保険が揺るがぬよう、浮いた分は現役世代の負担軽減に使うべき」と訴える。

 宮武氏も、「被用者保険からの負担で浮いた国費を国保の財政再建に使うのは納得がいかない、という健保連の主張は理解できる」と言う。

企業への負担増が産業空洞化を招く

名古屋市立大学大学院経済学研究科准教授の
澤野孝一朗氏

 老人保健制度と医療費自己負担率などに詳しい名古屋市立大学大学院経済学研究科准教授の澤野孝一朗氏も企業の活力を憂う。「そもそも、1990年代には、少子高齢化による医療保険制度の崩壊が予見されており、何らかの手を打つべきだった。しかし、今となっては、財政も逼迫し、高齢者医療費に充当できる“金の卵を産む鶏”は健保組合などからの前期高齢者納付金や後期高齢者支援金だけなのだろう。日本では、社会保障については企業から取って当たり前、取っても黙って支払うと考えているようだ。これでは、企業を成長させようとする意欲を削いでしまう」と澤野氏。

 その上で、「このまま現役世代の負担が増え続け、企業や労働者の努力の及ばないところで高齢者医療費を負担させられるようであれば、事業の拠点を海外に移す企業が出てこないとも限らない。企業にとって健康保険料は人件費コストの増加につながることから、産業の空洞化による国内雇用の減少、国際競争力の低下などを引き起こす可能性があり、日本経済へ与える影響も少なくない」と指摘する。

 では、国民皆保険制度を持続可能にするためにはどうすればよいのだろうか。「教科書的には、医療給付を抑えてバランスのよい資金調達を図るということになるが、これも難しい面がある。例えば、高齢者の受診を抑制して医療給付を抑えようとしても、それができるのか、できたとしてやってよいのかという問題があるからだ」と澤野氏。

 一方、宮武氏は「まずは、誰がどのように負担していくのか、また適正な医療費となるような医療システムの構築についても国民が議論をすることが重要だ。医療費の負担については、支払い能力のある高齢者は応分の支払いをしてもらう必要もある」と話す。現在、所得にもよるが、高齢者の医療費の自己負担は、69歳までが3割、70〜74歳までが2割、75歳以上が1割と定められている。これをどうしていくかも今後の課題だろう。

 高齢者医療費の負担構造を見直し、現役世代の労働意欲を削ぐことのない負担の仕組みを作っていくためには、まず我々現役世代が制度について十分に理解し、声を出していくことが重要になるだろう。
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スペシャルレポート Vol.2
悲鳴を上げる現役世代:後編

 健保組合の解散は「国庫負担増」と「医療費の削減・適正化手段の喪失」に直結

健康保険組合(健保組合)はこれまで特定健康診査(特定健診)やさまざまな独自の保健事業に積極的に取り組むことで加入者の疾病予防や健康増進を図り、医療費の削減や適正化に寄与してきた。しかし現行制度では、そうした"企業努力"が正当に評価されているとは言い難く、健保組合は多額の高齢者医療費の拠出を強いられ、健保組合の財政は急速に悪化。高齢者医療制度が創設された2008年以降、その累計赤字額は7年間で2兆7000億円を超える見通しだ。
 体力の衰えた健保組合が一度解散すれば、健保組合の拠出は減り、国庫の負担増につながる。さらに、医療費の削減や適正化を図る担い手としての重要な役割も喪失することになる。健保組合の存続の可否は、単に加入者の利害にとどまらず、社会全体の問題として捉える必要がある。
 今回は、健保組合の現状を紹介するとともに、国民皆保険制度における健保組合の存在意義をレポートする。
 三菱電機健康保険組合は今年、長年7.8%で維持してきた保険料率を8.3%へ0.5ポイント引き上げることに踏み切った。「加速度的に悪化する財政に対応するための苦渋の決断だった」と同組合事務局長の大森義文氏は肩を落とす。
 三菱電機健保組合は、三菱電機をはじめ130の事業所が加入し、被保険者約11万6800人、被扶養者約11万6600人と全国でも有数の規模を誇る(2014年3月末現在)。また後述するように、2002年より社員の健康づくりに関する積極的な取り組みを行うなど、独自の保健事業によって医療費の削減や適正化にも注力してきた。
 それにもかかわらず、同組合の経常収支は、悪化の一途をたどった。2003〜2010年度まで黒字だった経常収支は、2008年に施行された高齢者医療制度により高齢者医療への拠出金が膨らんだことで2011年度には約7億円の赤字に転落。さらに2012年度には約30億円、2013年度には約60億円と、赤字額が激増した。
 こうした状況を踏まえ、同組合は2012年には保険料率の引き上げを検討し始めたという。「当初は1年後の引き上げを目指していたが、本社、労働組合(労組)、関係会社など、関係各所に丁寧に説明を重ねる必要があり、実行までには2年を要した。保険料率を引き上げたからといって黒字に転換するわけではなく、今後も別途積立金を取り崩しながら運営することになる。計画では、別途積立金の額を支出のリスクと収入のリスクを勘案した適正な"基準額"になるまで5年をかけて減らしていくが、前年度の決算に応じてさらに保険料率を引き上げる可能性もある。このままの状態なら、来年度も保険料率を上げざるを得ないだろう」と大森氏は説明する。
 健康保険組合連合会(健保連)によれば、2014年度に保険料率を引き上げた健保組合は全組合の約3割(図1)。平均保険料率は約8.8%で前年度より0.2ポイント増える見込みだ(2014年度予算早期集計)。保険料率が10%以上の健保組合も、2014年度には251組合へと急増している(図2)。高齢者医療費の拠出金が急増する一方で、景気低迷により従業員の給与や賞与は伸び悩み、保険料収入が減る健保組合がほとんどだ(図3)。その結果、経常収支は高齢者医療制度が創設された2008年以降は赤字が続き、その累計額は約2兆7300億円に膨らんだ。

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三菱電機健保組合の財政悪化の主な原因も高齢者医療に関わる拠出金の増大だ。同組合の2013年度の保険料収入に占める保険給付費の割合は約70%。一方、「前期高齢者納付金」と「後期高齢者支援金」を合わせた高齢者医療への拠出金は34.5%だった。拠出金の額は増え続けており、前期高齢者納付金は前年度比十数%、後期高齢者支援金は数%アップしているという。「現在、前期高齢者納付金には公費が投入されていないが、今後ますます健保組合のその負担は大きくなる。今後はここに公費を投入もしてもらえればよいのだが」と大森氏は切望する。
(注)健保組合の拠出金の全国平均は約42%で、三菱電機健保組合の拠出金の比率は低いように見えるが、これは同組合が「特例退職被保険者制度」を取っているからだ。特例退職被保険者制度では、61歳以上75歳未満の要件を満たす人を被保険者とする。このため被保険者全体に占める前期高齢者(65〜74歳の高齢者)の割合が高くなり、その結果拠出する前期高齢者納付金が少なくなる。もちろん、組合員として抱える前期高齢者の医療費は、保険給付費として支出している。
今の健保組合にできるのは"企業努力"による医療費の削減
 財政悪化の中、三菱電機健保組合が取り組んでいるのが、組合員の医療費削減と医療費の適正化に関わる事業だ。
 なかでも、健保組合が会社や労組と一体となって取り組んでいるのが、2002年に始めた社員の生活習慣改善を促し健康寿命を伸ばすための「三菱電機グループヘルスプラン21(MHP21)」である。これは、社員にできるだけ早い時期から食生活や嗜好などの生活習慣を見直し、QOL(生活の質)の向上を図ってもらうことで、従業員への安全配慮、労働生産性の向上、医療費の削減を達成しようというものだ。MHP21では、保険給付費の20%を占めていた歯科関連の医療費削減のために「歯の手入れ」を、生活習慣病予防のために「適正体重の維持」や「運動の習慣化」を、疾病予防のために「禁煙」を、メンタルヘルス予防のために「ストレス対処能力の向上」を重点項目として定め、それぞれに定量的な目標を設定し成果を確認している。
 実際、MHP21の取り組みにより、2001年度には40%だった喫煙者率は、2011年度には27.5%に減少。運動習慣者の割合は11.7%から16.2%へ、歯の手入れをする人の割合は13.3%から20.5%へと改善したという。こうした社員の行動変容は保険給付費の削減にもつながった。「2001年度から2010年度までの累計で約70億4000万円の医療費の削減ができた計算になる。今後も、国が推し進める特定健康診査(特定健診)・特定保健指導の積極的な推進はもちろんのこと、MHP21の取り組みもさらに強化する考えだ」と大森氏。

 また、医療費の適正化に関わる事業として、診療報酬明細書の点検強化、ジェネリック医薬品の利用促進(写真)、正しい受診指導による柔道整復師療養費の削減などを行っていくという。加えて、昨年度からは糖尿病の重症化防止策にも力を入れている。
 さらに、「今後は医療費、健診の結果、MHP21による生活習慣の改善結果の3つのデータを突き合わせて重点項目を絞り込み、費用対効果の高い取り組みを進めたい」と大森氏は展望する。
>> 医療費の適正化やモラルハザードの防止など
健保組合のメリットは大きい

三菱電機健保組合の事例で見てきたように、健保組合はさまざまな工夫を凝らし、多岐にわたる保健事業により、医療費の削減に寄与してきた。特定健診(いわゆるメタボ健診)一つとってみても、健保組合の実施率の高さは目を見張る。厚生労働省の統計によれば、2011年の特定健診の健保組合の実施率は69.2%で、共済組合(72.4%)とともに、国民健康保険(国保)(32.7%)や全国健康保険協会(協会けんぽ)(36.9%)の約2倍の実施率になっている。

関西大学名誉教授の一圓光彌氏
 健保組合のメリットはこればかりでない。医療保険制度に詳しい関西大学名誉教授の一圓光彌氏は、「健康保険の大きな利点は、給付費の増加が組合員の保険料に影響するため、モラルハザードを防ぎやすいことだ」と話す。さらに、企業への帰属意識から「保険料を払っているから、使えるだけの医療費を使わなければ損」といった考えを持つ人が少なくなるという。
 また、「運営を企業が行うことで、"企業努力"として効率的な運営を考えることができるのも大きい。自治的な保険者であるからこそ、無駄を省くとともに、独自の保健事業による医療費の削減や適正化を図ることもできる。安全配慮のため被用者本人と企業が一丸となって健康維持や病気・事故の予防に努める効果がある。健保組合の活動が円満な労使関係を築く一助となり、労働生産性の向上が図れることもメリットといえるだろう」と一圓氏は説明する。
 実際、こうした健保組合のメリットは医療費の適正化にもつながっている。「1人当たりの医療費を保険者ごとに計算したところ、健保組合を1とすると、2010年には協会けんぽが1.06、国保が1.24だった。時代とともに高齢者の医療費の割合が高まり、医療費の適正化が重要な課題となるが、健保組合はどの年代でも医療費の適正化の成果が大きい。健保組合が多くの予算を保健事業に割いて疾病予防に努めてきたことが大きく寄与している」と一圓氏(表)。

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保険者の"企業努力"が報われる
リスク構造調整型の医療保険制度を
 では、現行の医療保険は、こうした健保組合の利点を生かせるものになっているのだろうか。
 歴史を遡って制度の特徴を見ると、1983年に発足した老人保健制度では、それまで国庫から出ていた国保や各被用者保険の制度間の財政調整を被用者保険の保険料でまかなうことになり、健保組合はこの財政調整のために多額の拠出金を支払って、皆保険制度を支えてきた。「老人保健制度における高齢者医療費の拠出では、各保険者は、実際に加入する高齢者の割合を問わずに、全体平均と同じ割合の高齢者が加入しているとみなして算定された拠出金を支出する仕組みだった。高齢者の加入割合が全体平均よりも低い被用者保険の拠出金の規模は大きくなるが、保険者が行う保健事業などで老人医療費の適正化を図ることができれば、その成果が老人医療費の拠出金の引き下げに反映されるため、各保険者の"企業努力"が生かされる仕組みでもあった」と一圓氏は一定の評価をする。
 しかし、1990年代に入ると少子高齢化が進み、被用者保険が国庫を支えるというモデルは崩れていった。「このモデルの維持は、被用者数や賃金の増大で健保組合を大きくし続け、他の保険者を支えることが必須条件だったからだ。しかし、このモデルが崩壊した現在でも国からは健保組合による下支えへの要求は続いている」(一圓氏)。
 さらに、2008年に施行された後期高齢者医療制度では、75歳以上の高齢者の医療保険を独立させた。そのため、健保組合などの保険者は後期高齢者の医療に対して直接適正化を図るすべはない。「最大の問題点は、医療費が最も大きいところを、健康づくりの担い手と切り離してしまったところだ。それでは、健保組合ばかりでなく、保健事業などに力を入れている市町村(国保の保険者)も、やる気をそがれ、被保険者のモラルハザードの問題も浮上する」と一圓氏は指摘する。
 一圓氏は、過重な負担を負った健保組合の行く末を憂慮する。2008年に高齢者医療費の負担増に耐えかね、西濃運輸健保組合が解散した。これによりに西濃運輸の被保険者は協会けんぽに移ることになったが、そのことで新たに協会けんぽに支払われることになった国庫負担は年間約16億円と推計されている。「このように、健保組合や共済組合に支援金や納付金を負担させて国庫負担を抑えるやり方は、健保組合の解散を招くことにもつながり、ひいては国庫負担増として跳ね返る。しかも、それは、医療の適正化を進めるための要ともなる健康増進や予防事業などを行う経営主体を失うことにもなる」と一圓氏。
 では、社会資源としての健保組合のメリットを生かすためには、どのような制度が考えられるのだろうか。一圓氏は、「保険者の経営努力が自らの保険料負担の軽減に結び付く形がいい。それにはリスク構造調整の考え方が必要だ」という。リスク構造調整とは、標準的な所得に応じた保険料を全ての被保険者から徴収し、その財源で年齢構成などの医療費リスクに応じて各保険者に医療給付費を支払うものだ。この制度の場合、医療費がその予算を超えた場合にはその被保険者が保険料を追加して支払い、逆に医療費が少なくて済めば保険料率を下げてその成果を被保険者に還元することができる。
 「自分たちの努力が保険料率につながる仕組みをつくることが、皆保険制度を維持するための鍵となる」と一圓氏は話す。

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http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/242.html

[経世済民130] 「アダルトVR」で不倫願望が鳴りを潜めた38歳男の“どハマり” マイクロソフトが米陸軍とARヘッドセット納入契約を締結
【第24回】 2018年12月22日 武藤弘樹 :フリーライター
「アダルトVR」で不倫願望が鳴りを潜めた38歳男の“どハマり”(上)
VRのパワーは不倫願望も消し去る?
写真はイメージです Photo:PIXTA
「VR元年」と言われた2016年から、はや2年。VRは着々と浸透しつつある。今回は、VRで女性と戯れることで、不倫願望から解放された男性の話を紹介する。2018年現在、あなたはどう思うだろうか。(取材・文/フリーライター 武藤弘樹)

消えた不倫願望
VRゴーグルのパワーとは
 不倫願望が強いAさん(38歳)という知り合いがいる。

 願望が強いものの、良心のかしゃくやリスクへの尻込みから結局不倫をしたことはなく、これからもしないであろうと思わせる男性である。しかし会えば「先日知り合いになった誰それがかわいかった」と口を開き、ふた言目には「抱きたい」と身をよじるので、私がひたすら「本当にそうですね」「その通りだ」と相槌を打つ。概ねAさんと会うとこうしてカウンセリングのような時間を過ごすのが常であった。

 ある日のこと。そのAさんが、彼にとってほぼ挨拶と同義である不倫願望を口にしない日があった。開口一番「VRゴーグルがすごい」と興奮した様子で報告してきたのである。

 その日から約半年が経ったが、経過を観察するにAさんの不倫願望はすっかり鳴りをひそめたようで、代わって「VRゴーグルがすごい」という興奮をぶつけられ、私がひたすら「それはすごい」「大したものだ」と相槌を打つのが“新機軸”となった。

 過ぎし2016年は「VR元年」だったそうだ。

 当時の記事を振り返ると「これからVR(仮想現実)がじゃんじゃん流行りますよ」という業界的な意気込みと見通しが伝わってくる。この年は東京ゲームショウでVR関係の作品が席捲し、また『PlayStation VR』(※以下『PS VR』)が発売となって話題を呼んだ。複数のアミューズメント施設でVRを利用したアトラクションがオープンし、戦うガンダムの手にしがみつく体験ができるものなどがあった。

 2年経ち、はたしてどれくらいの勢いでVRが広がってきているのかわからないが、少なくともVR元年からブームが下火になっていることはなさそうである。AさんのようにVRの魅力に衝撃を受けて布教活動をする人も増えてくるであろう。「VRはじわじわ浸透してきているのではないか」というのが個人的な印象である。

 しかしAさんの核と呼んでも差し支えなかったあの不倫願望を雲散霧消させてしまうとは、VRの秘めたる力はそこまですごいものなのであろうか?

 VRのすごさについてAさん本人の口から大いに語ってもらいたいと思う。

人生を変えたVRゴーグル
当初はゲーム目的で入手

 そもそもVRの歴史は浅くないようであるが、一般に浸透するであろう気配が濃厚になったのがVR元年の2016年であるらしい。PSVRに代表されるように、それまで高価であったVRゴーグル(VRグラスやVRヘッドセットなどとも呼ばれる)が一般ユーザーにも求めやすい価格となって市場に参入してきたのは大きかった。

 昔から各時代でVHS、DVD、インターネットなどの目新しいガジェットの普及をけん引してきたのはエロのパワーであった。エロを求める男性の勢いは強大で、「新しくてよくわからないものが出てきたがとりあえずエロそうだから」と飛びついてみるのである。

 今回VRに関する記事を書くにあたって筆者も知識を少し深めておこうとネットサーフィンしてみたところ、「アダルトな動画のためにVRゴーグルを購入する人も多いのではないでしょうか」といったフレーズを伴ったVRゴーグル紹介記事が散見された。蛇足だが、「○○な人も多いのではないでしょうか」はネット記事の慣用句であり、筆者も無記名の記事を書く際によく利用する、頭を使わないで使用できてとりあえずそう言っておけば収まりがいい便利なフレーズである。

 さて、「アダルトな動画のためにVRゴーグルを──」とは、“いかにも”なことを言われてしゃらくさい気もするが、まさしく「いかにもその通り」であり、的を射ているからぐうの音も出ない。世の中はそのように運営されてきて、おそらく今回も例に漏れずエロがVRをけん引するのである。

 しかし、Aさんはといえば入口がエロ目的ではなかった。彼は常々ゲームを愛好しているので、では話題のVRゲームを1回体験しておこうかとPSVRの購入に至ったのであった。

 あわせて買ったソフトが海で泳ぐものと車でドライブするものの2つで、Aさんは早速ヘッドセットを装着してゲームの世界へと赴いた。「これはすごい」とAさんは思った。想像以上にリアルであり、ヘッドセットの中にもうひとつの現実が存在しているかのようであった。

 ドライブが好きなAさんは主にそちらの方のゲームをいじって遊んでいたが、段々気分が悪くなってきた。俗にいうVR酔いである。VR体験に慣れることで耐性がついていくことも珍しくないようなので、Aさんは悲観せず目を閉じてベッドに横になっていた。気分がよくなったら再開するつもりであった。

「なかなか面白い」とAさんはひとりごちた。「これからのVRゲームがますます楽しみだ」とも思い、胸が高鳴った。VR酔いが克服できたら他の欲しいソフトも買っていこうと考えた。

 その時Aさんの頭をあるひとつの思いがかすめたのである。「そういえばVRのエロ系はどんな感じなんだろう?」と。ただの好奇心で覗いてみた世界がのちにAさんを虜にするであろうとは、彼はこの時知る由もなかった。

偶然たどりついた桃源郷
女子高生に囲まれるVR体験

 男性諸氏にはお馴染みとなっている総合アダルトサイト「FANZA」(旧DMM.R18)にログインしたAさんは、VR動画の無料お試し作品を観てみることにした。その仮想現実世界の中で学校の教室の一席に座ったAさんは、周りをぐるりと囲んだ女子高生姿の女性たちに下着を見せつけられるという壮絶な体験を果たす。

「これはすごすぎる…!」とAさんは思った。その衝撃は先ほどVRゲームを初プレイした時の比ではなかった。この時の感想はAさん本人の言葉で語ってもらおう。

「本当に『そこにいる』感が半端なくて…。手を伸ばせば触れるんじゃないかと本気で思った。みんな滅茶苦茶かわいいし、すごい目が合って。『俺のこと好きなの?俺も好きだよ!』という気分になり、高揚感で頭が真っ白になった」(Aさん)

 検討するいとまもなく、Aさんの指は自動操縦で巧みにマウスを操って月額3980円の動画見放題プランへと入会していた。それから、奥さんがしばらく出かけているのをいいことに1人で何度もアダルトVRを楽しんだ。とにかく大変盛り上がったらしい。何しろ“負傷した”ほどだったからだ。

>>(下)に続く
「アダルトVR」で不倫願望が鳴りを潜めた38歳男の“どハマり”(下)
>>(上)より続く

「アダルト動画は今までテレビやパソコン画面で観てきたけど、PSVRのようなヘッドマウントディスプレイ型で観てみて、画面の外の物が目に入るという状態は好ましくないのだと感じた。

 テレビ画面に集中しているつもりでも画面の外にあるリモコンやコップ、壁などが必然的に目に入ってくる。

 そこをいくとVRゴーグルは集中するまでもなく、その世界の中の物しか目に入ってこない。これがVR体験を語る際によく言われる『没入感』かと。VRは没入感がすごい。外の世界の情報を遮断することで、自分がその世界の主人公になることができる」

 VRゴーグルに特有の視点移動も、没入感を高めるのに一役買っているそうである。

「VRゴーグルをかけて右を向けば視点が右に移り、左を向けば視点が左に向く。当たり前のようなことだけど、この操作感が没入感をさらに高めている。

 最初に見たサンプル動画を例にとって説明すると、あれは360度を女の子が囲んで自分が見たい方向を向いて鑑賞する。当たり前だけど人間の視界は360度ではない(※筆者註:人間の視野角は200度弱と言われている)。PSVRの視野角は100度だから、残りの260度で起こっていることはそちらに目を向けない限り見ることができない。

 この『視野角の外で何かが起こっている』感覚は非常に重要で、自分が見ていない何かが視野の外に現在進行形であるからこそ『見たいものを主体的に選んで見ている』という感じが高められる。これによって自分が主人公であること、つまり没入感が強くなるのだと思った」

 筆者にはVR体験がないのでAさんの主張がどれだけ妥当か検討のしようがないのだが、彼はこんなことも言っていた。

「アダルト系のVR作品は女の子がこちらに向かってキスをしてくるシーンが多い。制作側の意図通りこれが効果的で、サラウンドの音もあいまって実際にキスをしているのではないかという感覚に陥る。自分も舌を出そうかと何度思ったかわからない」

 これはVR体験者にとって“あるある”なのだろうか。VRゴーグル使用者が1人中空に向かって舌を差し出す様はなかなかの光景だが、誰にも迷惑をかけていないのだから本人がより楽しめるのであれば、その方向を追求するべきである。筆者だっていざVRを体験してみれば、舌が虚空へといざなわれる可能性は大いにあるのである。

VRと不倫願望の関係
アダルトVR作品に共通する特徴とは
 VRがAさんに深い衝撃を与えたことは理解できた。しかし不倫願望が完全になくなってしまうとはどういう原理か。性欲が満たされたということであろうか。

「厳密にはそうじゃない。もちろんVR鑑賞の機会が増えて、性欲が落ち着いたというのもあるかもしれない。でもポイントは、VRを通して色々な女の子、それもとびっきりのかわいい女の子に出会うことができるようになったところ。

『不倫がしてみたい』というのは、未知の女性との触れ合いを欲していた部分が大きい。妻に飽きたわけではないが…。この欲がVRですっかり満たされてしまった。VRを通せば実在感のある女の子と触れ合い体験ができる。相手は自分好みの容姿の子を選り取り見取りで、気を使わなくてもよくて、何しろ安い。今だからこそ断言するが、自分は風俗に行くよりはVRの方がいい。現実の女の子相手に駆け引きするのも楽しいかもしれないが、その過程をすっ飛ばして触れ合い体験するのも相当楽しい」

 AさんはVR作品の持つ特色にも、魅了されているようである。

「VRのアダルト作品は視点が一人称で、これが最大に活かされるべく女の子がリードしたり話しかけてくる作りのものが圧倒的に多い。女優さんたちはみんな本当にがんばっていて、こちらに話しかけてくる様子がうれしくもあり、一歩引いたところで評価しても好感が持てる。

 だから『作品を一方的に鑑賞するだけなのだからコミュニケーションは発生せず、寂しいのではないか』と思われそうだが、自分はそうは感じていなくて、『女優さんがカメラ越しに本当に自分に話しかけてきている』と思っていて、それを最大限楽しむのが視聴者であるこちらの礼儀だとも思っている。ある時ギャルふうの女優さんの作品を選んだら、その女優さんが『今日はギャルって気分なの〜?』と尋ねてきて、驚き、『そうなんです。今日は全力で愛します!』と思った。

 あとこれは個人的な趣味だが、女の子がリードしてくれるシチュエーションは燃える。リアルの女性からは聞くことのできない卑猥な言葉が発せられるのもいい。『女の子ががんばっている。応援したい!』という気持ちが、性欲にリンクしてレベルの高い高揚感を得ることができる」

 Aさんがこれだけ猛プッシュするVRゴーグルであるから筆者も当然気にならざるを得ない。最近では2000〜3000円の、スマホをセットするタイプのVRゴーグルもあるのでそちらでVR体験してみようかと思い、それをAさんに伝えると彼は激怒した。

「やめた方がいい。神聖なるVR体験は然るべきデバイスで迎えるべき。ああいうのはおもちゃだから入門編にもならない。ぜひPSVRでいいから買いなさい。

 そのPSVRですら本格的なVRゴーグルに比べれば画質がいいわけではないので、自分はさらに高級な一品の購入を検討している」

「パートナーがアダルト作品を鑑賞することについて」は賛否あるが、許容する人も一定数いる。はたしてAさんと妻の間でどのような話がついているのかわからないが、要らぬ不実を重ねることなく今のところVRに落ち着いたのは幸いであったかもしれない。VRの進歩がますます楽しみな昨今である。
https://diamond.jp/articles/-/189312


 


 
2018年12月21日 Mogura VR
マイクロソフトが米陸軍とARヘッドセット納入契約を締結
 マイクロソフトが、アメリカ合衆国陸軍とARヘッドセット納入契約を締結したことが明らかになった。契約は、10万台のARヘッドセット「HoloLens」を納入するというもの。契約金は4億8千万ドル(約540億円)。米陸軍は本格的にHoloLensを実戦と訓練両方に大型投入する狙いである。

ホロレンズ1221
 契約書によると、契約が結ばれた新システムは「Integrated Visual Augmentation System (IVAS)」と呼称されている。先進機材を使用した致死性の攻撃に対する防御力の向上と、攻撃能力の向上が目的。2018年現在、アメリカ軍ではHoloLensが訓練用デバイスとして採用されており、今回の契約はアメリカ合衆国陸軍による、ARヘッドセットの実戦投入計画の第一歩目とされる。

 なお、今回の契約で現行HoloLensが納入されるのか、それとも新たに開発された改良型が納入されるのかは判明していない。契約では、まず2年以内に2500台のARヘッドセットを納入し、本格的な採用に至るかどうか性能を披露する必要があるとしている。

■関連サイト

HoloLens
https://diamond.jp/articles/-/189493

 

 


2018年12月21日 Mogura VR
VR手術シミュレーションの開発に向けて230万ドルを調達
 カナダのスタートアップ「Precision OS」が、シリーズAで230万ドル(約2億6000万円)の資金調達を実施した。Precision OSに出資したのは、主にDavosとスウェーデンの投資ファンドAO Investで、そのほか複数の未公開投資家が出資している。Precision OSは、VRを使用した手術シミュレーションの開発を進めている。

カナダ
 Precision OSのVR手術シミュレーションは、VRで病院の手術室を再現するというもの。外科手術をする医師の技能トレーニングのためのツールと、実際の手術における執刀手順の確認や調整のためのツールとして開発が進められている。また、医師がより緻密な執刀計画を立案できるようにするべく、この手術シミュレーションに、患者のデータを個別に入力できる機能を追加する計画も進めているとのこと。

■関連サイト

Precision OS
https://diamond.jp/articles/print/189490


 

2018年12月21日 Mogura VR
有楽町にVR導入のプラネタリウム施設「NIGHT CRUISING」が開設
 コニカミノルタプラネタリウムは、12月19日に開業した「コニカミノルタプラネタリア TOKYO」にて、新VRアトラクション「NIGHT CRUISING」を稼働する。

有楽町
 コニカミノルタプラネタリア TOKYOは、東京・有楽町マリオンにて12月19日に開業したプラネタリウム施設。同施設には、2017年6月から体験者数の累計が10万人を突破したとうたう集団体験型VR施設「VirtuaLink」が設置される。今回、VirtuaLinkの最新コンテンツとして、NIGHT CRUISINGの体験が可能となる。

 NIGHT CRUISINGは、実在する街やエリアを散策しながら星空を楽しむVRコンテンツというもの。建築などで用いられるレーザーセンサーを使用し、デジタルスキャンした実際に存在する風景を、光と点で描く独自の幻想世界として再現しているとのこと。体験中は参加者同士がコミュニケーションを取りながら、自由に散策することが可能となっている。

施設概要
施設名称
コニカミノルタプラネタリア TOKYO

所在地
東京都千代田区有楽町2丁目5-1
有楽町マリオン 9階

■関連サイト

コニカミノルタプラネタリア TOKYO
https://diamond.jp/articles/-/189491

 


2018年12月21日 Mogura VR
「ASTRO BOT」が米・The Game AwardsでベストVR/ARゲーム賞を受賞
 12月7日に米・ロサンゼルスで開催された「The Game Awards 2018」にて、PlayStation VR(以下、PS VR)専用タイトル「ASTRO BOT:RESCUE MISSION(アストロボット レスキューミッション)」が「BEST VR/AR GAME」を受賞した。「Beat Saber」や「Moss」など、話題作を抑えての受賞となった。

モグラ1220_ASTROBOT
 ASTRO BOTはPS VRならではの機能を活かし、多彩かつゲーム内だけにはとどまらない要素が特徴のアクションゲーム。プレイヤーは主人公の「ASTRO(アストロ)」とともに、迷子になってしまった仲間の「BOT(ボット)」たちを救出するミッションを体験できる。

 米国および欧州のPlayStationストア「PS VR部門」の売上ランキング(2018年10月)では、本作は米国、欧州圏ともに売上1位となり、ベストセラーを獲得。12月7日の時点では、PSストアで420件におよぶ評価4をキープしており、さまざまなメディアからも高評価の声が上がっているという。

©2018 Sony Interactive Entertainment Inc.

■関連サイト

The Game Awards 2018
ASTRO BOT:RESCUE MISSION 公式サイト

2018年12月21日 Mogura VR
VRアクション映画「The Limit」が配信 監督はロバート・ロドリゲス
 ハードなアクションVR映画「The Limit」の配信が開始した。視聴は「Oculus Go」「Oculus Rift」「HTC VIVE」「Windows Mixed Rearity」のVRヘッドセットに対応しているほか、AndroidもしくはiOS搭載のスマートフォンでも視聴できる。音声は英語で、日本語字幕付きで視聴可能。

LIMIT
 The Limitは米総合エンタメ企業である「STX Entertainment」が製作しており、アクション映画「Sin City」などを手掛けたロバート・ロドリゲスが監督を務めている。大ヒットドラマ「Lost」やSFファンタジー映画「アバター」のミシェル・ロドリゲスと、米ドラマ「ウォーキング・デッド」のノーマン・リーダスら出演者とともに、ユーザーも映画の中の出演者の1人となって、ストーリーが進んでいくVR作品だ。

 作中でミステリアスな過去をもつ体験者は、ミシェル・ロドリゲス演じる最強の刺客「M-13」の協力のもと、自身の過去を取り返すべく凶悪な闇組織へ乗り込んでいくことになる。

■関連サイト

The Limit
https://diamond.jp/articles/-/189487
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/243.html

[経世済民130] 米国が対日通商交渉の要求項目公表、自動車の米生産拡大や為替も 米、為替操作防止を協議へ−対日通商交渉の基本方針を発表 
ワールド2018年12月22日 / 13:48 / 3時間前更新
米国が対日通商交渉の要求項目公表、自動車の米生産拡大や為替も
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[ワシントン/東京 22日 ロイター] - 米通商代表部(USTR)は21日、2019年にスタートが予定されている日米通商交渉の対日要求事項を正式に公表した。年間7兆円の対日貿易赤字を削減するため、自動車や農産品、サービスから為替に至る包括的な交渉を進めるとしている。

対日貿易赤字の過半を占める自動車について、米国での「現地生産拡大」を要求。為替操作の予防も求めており、為替は通商交渉の対象外としてきた日本が、従来方針を貫くことができるか注目される。

<対日貿易は非関税障壁などで慢性的に赤字>

USTRは今月10日に公聴会を開き、自動車や食肉など各種業界団体の要望を聴取。これを受けて21日に「交渉方針」として、対日要求事項を列挙して公表した。米国では通商交渉開始の30日前までに交渉方針の開示が必要なため、早ければ来年1月下旬にも、日米交渉は開始が可能な状態となった。

USTRは「米国の自動車・農業・サービス産業は、日本の関税・非関税障壁にさらされつづけてきたため、日米間は慢性的に貿易赤字の状態にある」と指摘し、「2017年の貿易赤字は689億ドル(約7兆円)で前年比で事実上変化がない」と問題視。交渉は「日米貿易をより均衡の取れたものにするのが目的」とし、貿易赤字の圧縮・削減に強い意欲を示した。

麻生太郎副総理兼財務相などは、繰り返しトランプ大統領自身の口から為替を課題に取り上げたことはないと指摘した。だが、今回の要求項目には為替も列挙され、「資本収支の調整を妨げたり、不公正な競争優位を得たりするために、日本が為替操作を控えるのを確実にする」と明記されている。

日本側は日銀の金融緩和はデフレ脱却が目的で、為替操作ではないとの立場を繰り返し表明してきたが、今後の日米交渉で、どのような議論が展開されるのか注目される。

自動車については、より均衡の取れた貿易を実現するため「日本の非関税障壁に対処したり、米国生産や雇用を増やしたりする条項」の導入を求めている。米国車の日本市場での参入拡大に向けた安全・環境基準の緩和と、日本メーカーの対米輸出削減および米国現地生産拡大を求めているとみられる。

<通信・金融分野も交渉対象>

農産物では、日本側の検疫姿勢を非関税障壁として問題視している。

通信や金融分野も交渉内容としており、日本側があくまで物品貿易に限定した交渉と説明するのに反し、包括的交渉を要求する姿勢を鮮明にしている。

竹本能文 編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/usa-japan-trade-idJPKCN1OL046

 

 
米、為替操作防止を協議へ−対日通商交渉の基本方針を発表
Rossella Brevetti
2018年12月22日 12:09 JST
貿易赤字の削減や米農産物の包括的な市場アクセス達成を要求
USTRは交渉入りの少なくとも30日前までに方針の公表が必要
米トランプ政権は21日、日本との2国間の通商交渉に向けた方針を公表した。

  米国側は2国間の交渉で対日貿易赤字の削減や米農産物の包括的な市場アクセスの達成などを求めている。日本による為替操作を防ぐようにすることも方針に含まれる。

  こうした方針はトランプ政権が北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉で打ち出した内容に近いが、エネルギー問題は盛り込まれていない。

  方針の概要には22項目が挙げられており、労働や環境、貿易措置、投資などが含まれる。

  法律により、米通商代表部(USTR)は交渉入りの少なくとも30日前までに方針を公表することが求められている。

原題:Negotiating Objectives Issued for U.S.-Japan Trade Talks(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-22/PK48W86KLVR401?srnd=cojp-v2

 
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/252.html

[経世済民130] トランプ氏、利上げ決定後にパウエルFRB議長解任を議論 S&P、11年以降最悪の週 ドル上昇、政府機関閉鎖懸念で安全買い

トランプ氏、利上げ決定後にパウエルFRB議長解任を議論−関係者

Jennifer Jacobs、Margaret Talev、Saleha Mohsin

2018年12月22日 14:46 JST
トランプ米大統領は、今週の利上げ決定と数カ月にわたる株価低迷を受けてパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長への不満を募らせ、解任を話し合ったと事情に詳しい4人の関係者が明らかにした。
  側近らはトランプ氏が実際に行動起こすとは確信を持てておらず、大統領のひとしきりの怒りが年末年始の休暇中に収まることを期待していると、関係者が匿名を条件に語った。側近の一部は、パウエル議長解任は多大な損害をもたらす行為だと大統領に警告した。
  ここ数日、トランプ大統領は何度も私的な場でパウエル議長解任を語っていたと関係者の2人は述べた。

パウエルFRB議長
写真家:Andrew Harrer / Bloomberg
  ホワイトハウスの広報担当官とFRBの広報担当ミシェル・スミス氏はともにコメントを控えた。
原題:Trump Said to Discuss Firing Fed’s Powell After Latest Rate Hike(抜粋)

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1. 【米国株・国債・商品】S&P、11年以降最悪の週−米首都混沌で
2. 【NY外為】ドルが上昇−対円は小幅安の111円台前半
3. 米、為替操作防止を協議へ−対日通商交渉の基本方針を発表
4. 米政府機関が一部閉鎖へ−国境の壁予算で折り合いつかず 


【米国株・国債・商品】
S&P、11年以降最悪の週−米首都混沌で
Sarah Ponczek、Vildana Hajric
2018年12月22日 7:02 JST 更新日時 2018年12月22日 7:32 JST
• ナスダック弱気相場入り、FANG銘柄やツイッターが大幅安
• 原油は週間ベースで11%安、約3年ぶりの大幅な下げ
21日の米株式相場は大幅続落。S&P500種株価指数は1年5カ月ぶり安値となり、週間ベースでは2011年8月以来の大幅下落を記録した。ハイテク売りが膨らんだことで、ナスダック総合指数は弱気相場に入った。米国債は小幅上昇。
· 米国株は大幅続落、S&P500が1年5カ月ぶり安値
· 米国債は上昇、10年債利回り2.79%に低下
· NY原油は続落−週間ベースでは11%安、約3年ぶり大幅下落
· NY金先物は反落−週間では上昇、成長懸念で需要増す
  株価指数と個別株がそれぞれ先物とオプション取引の最終日を迎える四半期ごとの「クアドルプルウィッチング」に当たったことから、この日は出来高が膨らみ、株安に拍車を掛けた。米国株は週初から、金利の上昇や世界的な景気減速への懸念に圧迫されていた。午前の取引ではハト派的な金融当局者発言を受けてS&P500種が上昇する場面もあったが、強気相場で最も上昇した銘柄の一部がその後あらためて売り圧力に押された。
  S&P500種は前日比2.1%安の2416.62。ダウ工業株30種平均は414.23ドル(1.8%)安の22445.37ドル、ナスダック総合指数は3%低下。ニューヨーク時間午後4時59分現在、米10年債利回りは2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し2.79%。

  ニューヨーク原油相場は続落。週間ベースでは11%安と、2016年1月以来の大幅な下げ。経済成長の減速や米原油供給の急増で来年の需給が供給超過になり、相場安定を目指した石油輸出国機構(OPEC)の取り組みが効果を発揮できないとの懸念がある。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物2月限は、29セント(0.6%)安の1バレル=45.59ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント2月限は53セント安の53.82ドルで終えた。
  ニューヨーク金先物は、ドルが上昇する中で反落。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は0.8%安の1オンス=1258.10ドルで終了。週間ベースでは1.3%高で、ここ3週間で2回目のプラスとなった。「世界経済の減速、原油安、米政府機関閉鎖の可能性を巡る懸念や、米金融当局が市場の現実に疎いと多くから指摘される状況が重なり、トレーダーや投資家は非常に神経質になっている」とキトコ・メタルズのシニアアナリスト、ジム・ウィコフ氏はリポートで指摘した。
  ナスダック総合指数とナスダック100指数はともに2%余り下げ、この夏に記録した最高値からの下落率が20%を超えた。「FANG」と総称されるフェイスブック、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、グーグル親会社アルファベットはいずれも3%を超える下げとなり、ツイッターは6%余り下落した。「恐怖指数」と呼ばれるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)は30を上回り、10カ月ぶり高水準となった。
  米国債は商い低調の中をレンジ相場となったが、株と原油が下げ圧力に押されたことから遅い時間にこの日の高値を付けた。
原題:Stocks Have Worst Week Since 2011 Amid D.C. Chaos: Markets Wrap(抜粋)
Treasuries Edge Higher, Curve Steepens; TY Call Options Active
Oil Suffers Worst Week in Almost 3 Years Amid Broader Malaise
PRECIOUS: Gold Posts Weekly Advance as Growth Angst Spurs Demand
(第6段落以降を追加し、更新します.)

米、為替操作防止を協議へ−対日通商交渉の基本方針を発表
Rossella Brevetti
2018年12月22日 12:09 JST
• 貿易赤字の削減や米農産物の包括的な市場アクセス達成を要求
• USTRは交渉入りの少なくとも30日前までに方針の公表が必要
米トランプ政権は21日、日本との2国間の通商交渉に向けた方針を公表した。
  米国側は2国間の交渉で対日貿易赤字の削減や米農産物の包括的な市場アクセスの達成などを求めている。日本による為替操作を防ぐようにすることも方針に含まれる。
  こうした方針はトランプ政権が北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉で打ち出した内容に近いが、エネルギー問題は盛り込まれていない。
  方針の概要には22項目が挙げられており、労働や環境、貿易措置、投資などが含まれる。
  法律により、米通商代表部(USTR)は交渉入りの少なくとも30日前までに方針を公表することが求められている。
原題:Negotiating Objectives Issued for U.S.-Japan Trade Talks(抜粋)

米政府機関が一部閉鎖へ−国境の壁予算で折り合いつかず
Daniel Flatley、Erik Wasson、Steven T. Dennis、Laura Litvan
2018年12月22日 14:07 JST 更新日時 2018年12月22日 16:14 JST
米国では一部の政府機関が22日から閉鎖されることになった。閉鎖は今年3回目。トランプ米大統領が求めているメキシコ国境の壁建設予算を巡り与野党間の折り合いがつかず、21日中に新たな暫定予算は成立しなかった。
  事態打開に向けた交渉は続くものの、一部政府機関の閉鎖が数日で済むのか、あるいは数週間継続するかは不透明だ。
  閉鎖の解除には民主党指導部とトランプ大統領との歩み寄りが必要だが、双方とも立場を硬化させており、これまでのところ視界は不良だ。上・下院は22日正午に招集される予定だが、何らかの採決が行われる場合には議員には24時間前に通告されることになっている。
原題:Shutdown Begins as Trump and Democrats Negotiate on Border Wall(抜粋)
(大統領と民主党の対立などを追加し更新します.)

NY連銀総裁:利上げの見解はあくまでガイダンス、約束ではない
Matthew Boesler、Craig Torres、Jeanna Smialek
2018年12月22日 3:03 JST
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、米金融当局は政策金利の設定にあたり金融市場のシグナルに耳を傾けるとし、投資家の不安払しょくに努めた。来年、漸進的な追加利上げをいくらかさらに行うという見通しはガイダンスであり、約束ではないとも強調した。
  ウィリアムズ総裁は21日、CNBCのテレビインタビューで「これはコミットメントでも約束でもなく、われわれが将来そうすることを確信しているという意味では決してない」と述べた。「明るく極めて楽観的な景気認識に基づいた現在の見解がこれだと、実際にわれわれは明言しており、必要に応じてそれを変更する」と話した。
  同総裁の発言を受けて、21日の米株式相場は一時上げ幅を拡大した後、下げに転じた。
  ウィリアムズ総裁は「本当に大事なメッセージは、経済が強いということだ。来年にかけて力強さがみられるのはそのためだ。2019年は健全な経済を見込んでいる。それがわれわれのベースラインの期待だ」と発言。「しかし、市場の動向には非常に注意して耳を傾けている」と続けた。

  ウィリアムズ総裁は19日に公表された連邦公開市場委員会(FOMC)の金利予測を支持するとして、来年に「2回程度の利上げ」をするのは、「実に強い経済が見込まれるという状況に照らせば理にかなう」と述べた。また、堅調な見通しを踏まえ、当局がバランスシート縮小を再考する必要はまだないと示唆する一方、状況の変化に応じて当局は柔軟に対応すると強調した。
  「今回はバランスシートの正常化について、変更を決定しなかったが、前にも述べたように、われわれは先入観を持たずに新年を迎える」と発言。「現時点では、バランスシート正常化に変更を加える必要はない」と話した。
原題:Williams Says Fed Rate-Hike View Is Guidance, Not Commitment (1)(抜粋)



トランプ氏、「とても長い閉鎖」を警告−壁費用を民主党拒否なら
Erik Wasson、Anna Edgerton、Laura Litvan
2018年12月21日 23:17 JST
トランプ米大統領は21日朝、メキシコ国境の壁建設費用を含む暫定予算案を民主党が支持しなければ、一部の政府機関が長期にわたり閉鎖されることになると警告した。政府機関閉鎖の回避には上院の暫定予算案承認が必要だが、その期限まで数時間しか残っていない。
  トランプ氏はツイッターに、「われわれは上院で民主党の票を必要としているが、民主党は国境の安全保障と壁が是が非でも必要だと知りながらも、恐らく反対票を投じるだろう」と投稿。「民主党が反対票を投じるなら、政府機関の閉鎖はとても長く続く。国民は開かれた国境や犯罪を望んでいない!」と続けた。
  トランプ氏はこれまで、誇りを持って政府機関を閉鎖するなどと述べてきたが、今回の発言は予算案が否決された場合の責任をあらかじめ民主党に転嫁させておく意図があるとみられる。同氏は20日になって突然、共和・民主両党が合意した予算案に署名しないと言いだした。
  ホワイトハウスのサンダース報道官は21日、トランプ氏は重要法案の成立に必要な上院の賛成票を現在の60から引き下げ、過半数とする案を支持していると記者団に話した。上院で共和党は過半数の51議席を占めているため、この案が通れば民主党が予算案を阻止することができなくなる。
原題:Trump Warns of ‘Very Long Shutdown’ Over Wall Funding Dispute(抜粋)

東京地検は日産ゴーン前会長を特別背任容疑で再逮捕、勾留継続へ
鈴木偉知郎
2018年12月21日 10:46 JST 更新日時 2018年12月21日 19:09 JST
• 投資で生じた18億5000万円の損失負担義務を日産側に負わせた疑い
• 日産側からデリバティブ契約移転の仲介者に金を振り込ませた疑い
東京地検特捜部は21日、金融商品取引法違反で逮捕、起訴していた日産自動車のカルロス・ゴーン前会長を特別背任容疑で再逮捕した。

カルロス・ゴーン前会長
Photographer: Junko Kimura-Matsumoto/Bloomberg
  地検の発表資料によると、ゴーン容疑者は自身の資産管理会社と銀行との間のデリバティブ取引の契約で多額の評価損が生じたため、自己の利益を図るために2008年10月に契約者を日産に移転させ、約18億5000万円の評価損を日産に負担する義務を負わせた疑いがある。
  さらに、この契約を仲介者の助けを借りて資産管理会社に再移転する際に、自身や仲介者の利益を図る目的で09年6月から12年3月まで4回にわたり、日産の子会社の預金口座から仲介者が経営する会社の口座に計1470万ドル(現在のレートで約16億円)を振り込ませるなど、日産の経営トップとしての任務に背き同社に財産上の損害を与えた疑い。
  日産関係者は匿名を条件に、特別背任容疑の一部については取締役会やルノー側に提示された社内調査には含まれておらず、再逮捕は同社内で驚きをもって受け止められたと話した。その上で、今後の取り調べの進展にあわせてさらにあらたな事実が発覚する可能性があるとの見方を示した。
  日産広報担当のニコラス・マックスフィールド氏は東京地検の決定であり、日産としてはコメントする立場にないとした上で、社内調査は継続中で調査対象の範囲を拡大させていると述べた。ゴーン前会長の弁護人を務める大鶴基成弁護士は特別背任容疑での再逮捕についてコメントを控えた。一方、テレビ朝日は特捜部はゴーン容疑者の自宅を家宅捜索したと報じた。
海外滞在で時効不成立か
  元検事の高井康行弁護士は今回の案件について、本来は時効となるがゴーン容疑者は海外滞在が長いために時効にはならないと指摘。「証拠がはっきりしており、筋としても相対的にはいい筋だということで、この事案を選んだのだろう」と述べた。今後の捜査については「会社に損害が発生しているかに加えて、ゴーン容疑者が自分のために行ったのか、会社のために行ったのかの2点が焦点になる」という。
  有価証券報告書に報酬を過少に記載したとしてゴーン前会長と同時に逮捕、起訴されていたグレゴリー・ケリー前代表取締役をめぐっては、東京地裁が20日に東京地検から出された勾留延長請求を却下したことで保釈される可能性が高まっていた。ゴーン容疑者は再逮捕により勾留期間が延びることになる。
  東京地裁の発表によると、ケリー容疑者の弁護人からは保釈請求があった。ロイター通信はケリー容疑者の弁護士の発言として、21日の保釈はないとし次の保釈の可能性は早くても25日になる見込みだと伝えた。
  東京地検の久木元伸次席検事は記者会見で、特別背任の犯罪に当たると判断したと述べたが、容疑の詳細や日産が被ったとされる損害額の合計などについてはコメントを控えた。
3回目の逮捕
  これまでゴーン被告は、11年3月期からの5年間、役員報酬の合計を実際よりも約49億円過少に記載した有価証券報告書を提出したとし金融商品取引法違反で東京地検に逮捕、起訴されていた。12月10日には18年3月期までの直近3年間についても約43億円過少に記載したとして同容疑で再逮捕されており、今回の逮捕で3回目となる。東京地検は2回目の逮捕の件ではゴーン、ケリー両容疑者を起訴しておらず、処分保留の状態という。
  11月27日付の朝日新聞はゴーン容疑者が08年に私的なデリバティブ取引で受けた約17億円の損失を日産に付け替えていた疑いがあることがわかったなどと報じていた。大鶴弁護士は同容疑者が私的な投資損失を日産に付け替えた疑いがあるとの報道についてそのような事実はないと否定していた。
  高井弁護士は「特別背任の容疑で立件しようという意気込みで、特捜部が当初から捜査をしていたことは間違いない」と指摘する。検察としては勾留延長請求が認められていれば、さらに10日間特別背任の捜査について内偵ができたはずだったが、延長請求の却下によって「捜査スケジュールはかなりタイトになった」との見方を示す。 



中国:19年は「大規模な」減税実施へ、金融緩和も示唆−経済工作会議
Bloomberg News
2018年12月21日 20:03 JST
中国の政策当局最高幹部らは19−21日に開いた中央経済工作会議で、2019年に「大規模な」減税と手数料削減を実施する方針を表明した。景気減速に政府が歯止めをかけようと努める中で、金融政策姿勢の緩和も示唆した。
• 金融政策は「慎重」であるべきで、引き締めと緩和の「適切な」バランスを取るべきだ−中央経済工作会議で決定
o 金融政策の表現で声明に使われた文言は2014年と同じ。この翌15年に人民銀行は指標金利と預金準備率を引き下げた
• 中央経済工作会議の終了後に新華社が配信した声明からは、金融政策について「中立」の文言が削除された
o 「中立」の文言削除は「マクロ政策の軸足が長期的なリスクの削減から短期的な需要喚起へと移ったことを示唆」−マッコーリー・セキュリティーズの胡偉俊エコノミスト
• 2019年の財政政策は「積極的」となり、より強力で効率的なものとなるだろう;政府は「より大規模な」減税と手数料削減を実施するべきだ
• 流動性を合理的で十分な水準に維持する政策をとるべきだ;金融政策の効果伝達を改善し、企業の資金調達の困難に対処するため直接金融の比率を引き上げる必要がある
• 中央経済工作会議には習近平国家主席らが出席
原題:China to Boost Tax Cuts, Signals Easier Monetary Policy (1)(抜粋)


ジャンク債の売り加速、大規模ETFから約2時間に1000億円超が流出
Carolina Wilson
2018年12月21日 13:51 JST
• ブラックロックのHYG、2件の大口取引で6億7000万ドル強流出
• ステート・ストリートのJNKにも2億6700万ドルの売り
ジャンク(投機的格付け)債の上場投資信託(ETF)から手を引こうとしている投資家が、少なくとも1人いる。
  ニューヨーク時間20日午前11時21分、1人のトレーダーがiシェアーズiBoxx高利回り社債ETF(HYG)3億2200万ドル(約360億円)相当を売った。その約5分後に、今度はSPDRブルームバーグ・バークレイズ高利回り債ETF(JNK)2億6700万ドル相当が売られた。さらに、午後1時39分にはHYG3億5000万ドル相当が売られた。
  クレジット市場での圧力が高まり続ける中、ジャンク債は資金を置いておきたい場所ではないと、クレディ・スイス・グループのETFマーケットメーク米州責任者のジョッシュ・ルークマン氏は述べた。
  同氏は「今は高利回り債ETFに対する『ビッド・ウォンテッド』の状態だ」と指摘。「HYGのオプションも非常に活発に取引されている。取引高は1日当たり平均の4倍で、プットとコールの割合は15対1だ」と語った。HYGは5営業日続落で、20日は1.3%下落し2016年2月以来の安値を付けた。
  「ビッド・ウォンテッド」は売り手ができるだけ早くポジションを解消することを適正価格よりも優先する状況だと、ルークマン氏が説明した。

Throwing Out Junk
Investors bail on junk bond ETFs in first year of outflows on record
Source: Bloomberg data through Dec. 19
原題:Investor Dumps Biggest Junk Bond ETFs as Market Sell-Off Deepens(抜粋)


トランプ氏の「米国第一主義」、マティス氏辞任で防波堤決壊
Nick Wadhams
2018年12月21日 23:15 JST
• マティス氏の辞意表明、ホワイトハウスは混乱の極みに
• マコネル上院院内総務も大統領の考えに疑問唱える
トランプ大統領の「米国第一主義」に厳然として反論できるマティス国防長官のような指導者を、世界はこの2年間、頼りにしてきた。その最後の防波堤がなくなる。
  トランプ大統領が矢継ぎ早に国外での米軍の役割を変える中に、マティス氏が突然の辞意を表明したことで、トランプ氏の好戦的で孤立主義的な衝動に歯止めをかけられる人が、政権内にいなくなるという不安が高まっている。

辞意を表明したマティス国防長官とトランプ大統領
写真家:Al Drago / Bloomberg
  すでに決壊は始まっている。トランプ氏は過激派組織「イスラム国(IS)」に対する勝利を一方的に宣言して米軍のシリア撤退を発表し、マティス氏辞任の引き金を引いた。アフガニスタンは和平交渉が行き詰まっているにもかかわらず、駐留部隊を半減させる。いずれも主要同盟国の部隊を戦場に取り残しても構わないというトランプ氏の意向を示唆している。
  米政界はホワイトハウスの混乱に慣れつつあったが、今週の展開にはトランプ氏から信頼されている政権幹部からも疑問の声が聞かれる。普段は大統領批判を控えている共和党のマコネル上院院内総務は、マティス氏の辞任について「心痛の思いだ」と発言。マティス氏は「誰が味方で誰が敵か、明確に理解する能力」があったと称え、「大統領が新たな国防長官を選ばなければならなくなったのは残念だ」と語った。
  トランプ政権は来年初め、ロシアと結んでいる中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄、一部諸国に対するイラン産原油禁輸免除の継続、ベネズエラをテロ支援国家のリストに加えるかなど、外交政策の重要決定が相次ぐ。これらの決定に、マティス氏辞任の影響が表れる可能性がある。
  オーストラリア国立大学で戦略研究を専門とするヒュー・ホワイト教授は、「米国の戦略的な役割について、マティス氏は米国の伝統的な価値観を代表する政権最後の人だった」と話す。「つまり、常軌を逸した政策決定が増えるということだ」と述べた。
原題:Mattis’s Exit Takes Leash Off Trump’s ‘America First’ Doctrine(抜粋)

EU、知財権巡り中国との対決姿勢強める−WTOへの提訴で
Jonathan Stearns、Lyubov Pronina、Viktoria Dendrinou
2018年12月21日 18:22 JST
• 欧州企業に対する技術移転強制に関する法律で訴えの範囲を拡大
• 合弁パートナーに技術移転を強いる法規制はないと中国は主張
欧州連合(EU)が知的財産権を巡り世界貿易機関(WTO)を舞台に中国との対決姿勢を強めている。
  EUは20日、中国で事業をしている欧州企業に対する技術移転強制について、WTOで6月に起こした訴えの範囲を拡大し、電気自動車や作物種子の分野や合弁企業の投資承認に関する中国の法律に異議を申し立てた。
  中国政府がEUに置く代表部は、EUの主張には「根拠がない」とし、中国は「知的財産権保護を非常に重視している」との声明を出した。「外国企業に中国側のパートナーに技術移転を強いる中国の法律や規制は一切ない」とも主張した。
原題:EU Targets China’s Alleged Tech Looting, Steps Up WTO Fight (1)(抜粋)

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6.
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-21/PK2VGU6TTDS401


 


ワールド2018年12月22日 / 14:33 / 1時間前更新
米つなぎ予算失効し政府が一部閉鎖、週末も与野党協議続く
1 分で読む

[ワシントン 22日 ロイター] - 米上院は、メキシコの壁建設予算50億ドルを盛り込んだつなぎ予算案を21日に可決できず、与野党の協議が決裂、米政府は22日に部分的に閉鎖された。

22日午前0時のつなぎ予算失効を数時間後に控え、議会側とペンス副大統領らホワイトハウス幹部が協議したが、民主・共和両党とトランプ大統領が受け入れ可能な妥協点は見出せず、議会は散会となった。

ホワイトハウスと与野党幹部の協議は週末も続けられる予定。上院は22日正午に開会する予定だが、見通しは不透明だ。

トランプ大統領は期限切れを2時間後に控え、「閉鎖となる。民主党が投票しない以上、ほかに方法はない。閉鎖が長く続かないよう望む」とツイートした。

*写真を加えました。
https://jp.reuters.com/article/usa-congress-budget-idJPKCN1OL04E
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/253.html

[経世済民130] 対中交渉でトランプ氏が勝つための「3つの方法」米国株は大幅安、ナスダック弱気相場入10年ぶり下落率  金融政策や米中摩擦
コラム2018年12月22日 / 08:17 / 9時間前更新

対中交渉でトランプ氏が勝つための「3つの方法」
Robert Boxwell
3 分で読む

[19日 ロイター] - ドナルド・トランプ氏が大統領選への出馬を正式に表明した15年6月、まず最初に言及したのは、中国問題だった。通商面で「彼らは私たちを殺している」と述べ、その解決を約束した。

就任2年目のトランプ大統領は、米中通商関係の「修復」に力を入れている。あまりにも長く無視されてきたこの問題に米国や西側諸国を目覚めさせた大統領の手腕は評価できる。だがトランプ氏自身の発言や行動によって、問題解決に向けた取り組みが阻害された面もある。

今年に入り、実りなき通商協議が報復関税合戦へと変貌する中で、米中両国は1日、90日間の「一時休戦」を宣言。数十年にわたる「中国の悪しき貿易慣行」と米国が主張する問題を解決する包括的合意に向けて協議すると両国は発表した。

せいぜい幸運を祈ろう。最も交渉経験の豊富なライトハイザー米通商代表部(USTR)代表ですら、期限までに合意に達することには楽観的ではないように見える。

一番重要なのは、中国政府が主導する米国テクノロジーの知財窃盗の問題だ。米政府は現在、この問題を国家安全保障に対する脅威と位置づけている。これにより、米中の貿易関係が90日以内はもちろん、その後も早期に通常の状態に戻る可能性は消滅した。

中国政府に対するこうした見方は、オバマ前政権時代に生まれ、現在では米国の超党派のエスタブリッシュメントの間でも広く共有されている。これは、90日以内にトランプ大統領と中国の習近平・国家主席がなんらかの合意に至ったとしても、それが面目を保つための茶番でしかないことを意味する。

本当の合意は、この問題について協議を続ける、という内容になる可能性が高い。完全な通商断絶や、またそれについて議論することは、双方にとって実現可能性も利益もない。だが中国が習主席の下で始まった現在の強硬かつ対決的な姿勢を続ける限り、トランプ氏も強硬な対応に出ざるを得ないだろう。

米大統領の立場を強化する方法は3つある。

1つは、トランプ大統領が同盟国や友好国との関係を修復することだ。いくつかの同盟国や友好国に対する大統領の言動は嘆かわしいものだった。過去1世紀にわたり、何世代もの米国人がこうしたパートナーの多くと肩を並べて戦ってきた。トランプ氏は、その絆を壊すために当選したのではない。

発言と行動の両面において、外交とリーダーシップが不可欠だ。もしトランプ氏が、多国間関係はコストが高くつくと考えているなら、それを避ければよい。中国の貿易慣行に挑むため、米国には得られる支援がすべて必要になるだろう。

次に、トランプ大統領は中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)を巡る捜査を、米司法省に任せなければならない。この問題は、ロイターとのインタビューで言及したような「取引材料」ではない。

米国の忠実な同盟国であるカナダは、米国の法の支配を支持するために全力を挙げている。この件を巡るトルドー首相の発言は、まさに完璧だった。そして中国政府は、事実上の報復としてカナダ人を拘束した。

トランプ大統領が交渉できることは何もない。トランプ氏は、米国がカナダを支持することを、曖昧さのない表現で明言しなければならない。通商交渉は、通商にについてのみ交渉するものだ。

3つ目に、トランプ大統領は今後の展望について、率直に米国民に伝えるべきだ。貿易戦争が長期化したり世界的な貿易の流れが変化した場合に、米国が何の経済的混乱や痛みも感じないとは考えにくい。

国民に対し、当面は困難な時期が続く可能性があるが、経済は力強く、米国の産業界は世界で最も革新的で競争力があるということを伝えなければならない。米国は、新たな状況に適応して乗り越えるだろう。だが国民には心構えが必要だ。

自らの強硬姿勢に支持を集めるためには、トランプ氏は米国人に、中国に対して、今何もしなければ10年後や20年後にはもっと悪い結果を招くと訴えなければならない。そして通商問題は、そのほんの1分野でしかないのだ。

トランプ氏は、米国の世論を、「戦争」に巻き込まなければならない。中国との通商問題に今、対処しなければ、今後数十年、より暗く自由のない世界が続くことになるだろう。

*筆者は経営コンサルタント会社オペラ・アドバイザーズ(クアラルンプール)取締役。
https://jp.reuters.com/article/boxwell-china-idJPKCN1OK077?il=0

 


ビジネス2018年12月22日 / 08:07 / 8時間前更新
米国株は大幅安、ナスダックが弱気相場入り
4 分で読む

[ニューヨーク 21日 ロイター] - 米国株式市場は大幅安。ナスダック総合指数が弱気相場入りした。経済成長鈍化への懸念が株式市場への投資回避につながり、情報技術や通信サービスなど割高なセクターが売られた。

主要株価指数は引けにかけて下げを加速。米ホワイトハウスのナバロ通商製造政策局長は中国が抜本的に経済政策を刷新することに合意しなければ、米中が先に合意した90日間の対話継続期間内に通商問題で合意に至ることは難しいとの見解を示した。[nL3N1YQ5RR]

21日終値時点で、ナスダック.IXICは8月20日の高値から約22%下落。2017年8月以来の安値水準となった。

S&P総合500種は2017年7月以来の安値水準。9月20日の終値ベースの高値から17.5%安となっている。ダウ工業株30種は2017年10月以来の安値水準となり、10月3日の終値ベースの高値から16.3%下落した。

S&P中型株400種指数.IDXも弱気相場入りが確認された。

ボストン・プライベートの最高投資責任者(CIO)、シャノン・サコシア氏は、ナバロ通商製造政策局長の発言について、「間違いなく市場の重しになった」と指摘。投資家にとって小さな懸念材料がたくさんあるとの見方を示した。

米政府機関閉鎖の可能性が高まったことも米国株の弱気材料となった。トランプ米大統領は21日、メキシコ国境の壁建設費用50億ドルを盛り込んだつなぎ予算案が上院で承認される可能性は低く、連邦政府機関が閉鎖に追い込まれる公算が大きいとの見通しを示した。[nL3N1YQ5Y9]

米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、連邦準備理事会(FRB)は見解や政策スタンスを再考する用意があり、市場が示すシグナルを注視していくとの見解を示したものの、ナバロ通商製造政策局長の発言や米政府機関閉鎖への懸念に打ち消された。[nL3N1YQ4R9]

情報技術.SPLRCTや通信サービス.SPLRCLに売りが集中し、それぞれ3.0%安、3.1%安となった。

米ハイテク大手5社「FAANG」も軟調。フェイスブック(FB.O)は6.3%安。アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)は5.7%安。ネットフリックス(NFLX.O)は5.4%安。アップル(AAPL.O)とアルファベット(GOOGL.O)は3%超の下げとなった。

主要株価指数の週間の下落率はS&P500が7.05%、ダウが6.87%、ナスダックが8.36%だった。

個別銘柄では、ナイキ(NKE.N)が7.2%高となった。20日発表した第2・四半期(9─11月)決算は、売上高が市場予想を上回った。[nL3N1YQ3QT]

ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を3.57対1の比率で上回った。ナスダックでも3.77対1で値下がり銘柄数が多かった。

終値 前日比 % 始値 高値 安値 コード

ダウ工業株30種 22445.37 -414.23 -1.81 22871.74 23254.5 22396.3 .DJI

9 4

前営業日終値 22859.60

ナスダック総合 6333.00 -195.41 -2.99 6573.49 6586.68 6304.63 .IXIC

前営業日終値 6528.41

S&P総合500種 2416.62 -50.80 -2.06 2465.38 2504.41 2408.55 .SPX

前営業日終値 2467.42

ダウ輸送株20種 8874.79 -155.15 -1.72 .DJT

ダウ公共株15種 722.38 -7.04 -0.97 .DJU

フィラデルフィア半導体 1101.29 -16.45 -1.47 .SOX

VIX指数 30.11 +1.73 +6.10 .VIX

NYSE出来高 33.55億株 .AD.N

シカゴ日経先物3月限 ドル建て 19835 - 215 大阪比 <0#NK:>

シカゴ日経先物3月限 円建て 19795 - 255 大阪比 <0#NIY:>
https://jp.reuters.com/article/usa-japan-trade-idJPKCN1OL046


NY株、週間で6.9%安 10年ぶりの下落率に
金融政策や米中摩擦に懸念
2018/12/22 7:49日本経済新聞 電子版
 【ニューヨーク=宮本岳則】21日の米国株式市場ではダウ工業株30種平均が3日続落し、週間の下落率が6.9%安に達した。下落率はリーマン・ショック直後の2008年10月以来、約10年ぶりの大きさだ。米金融政策への懸念が強まり、投資家が株式などリスク資産の保有を一斉に減らした。「国境の壁」をめぐるトランプ大統領と民主党の対立や、米中貿易交渉の先行き不透明感も株価の重荷になった。

 ダウ平均の21日終値は前日比414ドル23セント(1.8%)安の2万2445ドル37セントとなった。朝方は短期筋の買い戻しで米国株は高く始まった。ところが買いは長続きせず、午後はマイナス圏で推移した。

 日本経済新聞(電子版)がナバロ米大統領補佐官へのインタビュー記事で関税引き上げ猶予期間中の米中合意は「険しい」とする同氏の発言を伝えると、下げが加速した。「壁予算」をめぐる対立で米政府機関の閉鎖が現実味を帯びてきたことも嫌気された。

 投資家が今週、リスク回避姿勢を強めたのは米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の発言がきっかけだった。19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で量的緩和で買い入れた金融資産の残高を圧縮する方針に「変更はない」と説明。19年の想定利上げ回数も市場予想より多かった。米インバーネス・カウンセルのティム・グリスキー氏は「もはやFRBが相場を支えることはないと市場が理解した」と指摘した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39298200S8A221C1MM0000/



http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/254.html

[国際24] 焦点:ウーバーもエアビーもNG、韓国財閥が阻む新興ビジネス
トップニュース2018年12月22日 / 08:17 / 9時間前更新
焦点:ウーバーもエアビーもNG、韓国財閥が阻む新興ビジネス
Ju-min Park and Hyunjoo Jin
5 分で読む

[ソウル 18日 ロイター] - チェ・パダさんが自分のカーシェアリング会社「Luxi」を現代(ヒュンダイ)自動車(005380.KS)に売り込んだとき、最新テクノロジーを取り入れることに失敗すれば、韓国最大手の自動車メーカーである現代自に未来はないと訴えた。

チェさんの売り込みは功を奏した。現代自は、Luxiの株式12%を500万ドル(約5億6000万円)で取得することに合意。同社に取ってカーシェアリング企業への初の投資であり、新時代の輸送競争に足を踏み入れることとなった。

しかしそれから約半年後、現代自はLuxi株を売却した。失業を恐れた何千人ものタクシー運転手が同社の車をボイコットすると脅したからだ、とチェさんは指摘する。また、カーシェアリングを規制する韓国の法律に対する懸念もあったと、現代自の社員らは語る。

現代自とLuxiの破局は、アジア4位の経済大国である韓国で、厳格な規制や強力な労働組合、そして「チェボル」として知られる強大な家族経営の財閥にまん延するリスクを敬遠する文化が、いかにスタートアップ企業の成長を妨げているかを浮き彫りにしている。

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は、現代やサムスンといった一握りの大輸出企業が数十年にわたりけん引してきた同国の成長モデルが、中国との競争や労働コスト上昇によって、限界に達していると考えている。

自動車や船舶、半導体分野などの成長減速を補うため、韓国政府は昨年、新興企業を管轄する中小ベンチャー企業省を新たに設置し、新たなテクノロジー育成に向けた予算を増やしている。

だがその一方で、経済秩序をひっくり返したり、強力な労働組合を怒らせたりすることを政府が恐れるあまり、スタートアップ企業のために厄介な規制を撤廃する動きは遅々として進んでいない、とロイターが取材した10人以上の起業家や投資家、経営者は語った。

そのため、技術に精通しているという韓国のイメージとは裏腹に、革命的なテクノロジーに対して驚くほど抵抗感がある、と彼らは口をそろえる。

現代自はロイターに対し、Luxi株売却の理由について、「自社が追い求めるビジネスモデルに合わなかった」と書面で回答した。

また、同社の最高イノベーション責任者を務めるヨンチョウ・チ氏は、「通勤時間」が不特定のライドシェアリングに対する韓国の規制が理由の1つであり、Luxiがうまくいかないとの結論に至ったと説明した。

その代わり、現代自は今年、シンガポールの配車サービス大手グラブに2億7500万ドル投資している。

<規制の壁>

現代自とサムスンは、国内外の新興企業に投資している。

現代自は、自社の本社に近い国内スタートアップ企業はコミュニケーションがとりやすいとしている。一方、サムスンはロイターに対し、国内の起業家育成のため、5年間のスタートアップ支援プログラムを行っていると明らかにした。

それでも、チェボルの動きは遅すぎると言う人もいる。

「韓国の成功は、素早く模倣する戦略の上に成り立っているが、中国のライバル企業は急速に追い上げている」と、人工知能(AI)を手掛ける新興企業「Fluenty」の共同創業者、ファン・ソンジェ氏は話す。同社は昨年、サムスン電子(005930.KS)に買収された。

「企業にはもう、改革してスタートアップ企業と手を組むしか選択の余地はない。それでも、投資のスピードは十分ではない」と同氏は語った。「韓国企業は取り残される重大な危機に直面している」

規制ももう1つの問題だ。

投資規模で世界のトップ100に入る新興企業の約7割が、韓国の法律によって完全または部分的にサービス参入を阻まれていることが、グーグルキャンパス・ソウルと社会福祉財団「峨山(アサン)ナヌム財団」による共同調査で判明した。

そうした企業には、米民泊仲介サイトのエアビーアンドビー(Airbnb)、米配車サービス大手ウーバー、中国のオンライン決済大手アント・フィナンシャルなどが含まれる。

韓国で利用者数最大のメッセージアプリを運営するカカオ(035720.KS)は2月、Luxiを2500万ドルで買収した。だが、相乗り規制の壁に阻まれ、タクシー運転手の激しい抗議が起きる中、いまだにサービス開始には至っていない。

あるタクシー運転手は先週、焼身自殺で抗議した。労働組合に加入する運転手たちは、今週に大規模デモを計画していると言う。

焼身自殺による抗議を受け、カカオはカーシェアサービスの開始スケジュールを延期したとしている。

韓国の国土交通省はコメントするのを差し控えた。

また韓国では、規制により、ベンチャーキャピタルファンドが金融、不動産、宿泊施設、飲食店といった分野に投資することを禁じられている。

韓国政府はこうした規制を撤廃する新たな法律を提案しているが、中小ベンチャー企業省の高官は、それは簡単にはいかず、すぐには実現しないことを認めた。

「要するに、われわれはイノベーションに向かわねばならないが、それには多くの時間がかかり、既得権益の仲立ちをするには困難なプロセスを要する」と、同高官は語った。「現実問題として、われわれは既得権益を無視できない。明確な答えなどない」

<「夢でも見ているのか」>

多くの韓国ベンチャー企業は国内でしか使えないアプリに特化しており、グローバル企業に受け入れられるのを困難にしていると、サムスン電子のある幹部はロイターに語った。

調査会社CEOスコアによると、サムスンは2016年以降、スタートアップ企業9社の少数株を取得しているが、そのうち韓国に拠点を置く企業はわずか1社のみだという。

現代自の場合、過去3年で外国のスタートアップ企業15社の計850億ウォン(約85億円)相当の少数株を取得した一方、同時期に投資した国内企業の数はわずか5社で、その額も280億ウォンと少ない。

早期の段階でグラブに投資していたサンフランシスコに拠点を置くベンチャーキャピタル「500 Startups」は、投資先として韓国のライドシェア企業を検討したが、法規制により断念したとしている。

「われわれのような投資家には好ましくない規制環境だ」と、500 Startupsの韓国オフィス責任者、ジェフリー・リム氏はロイターに語った。

その一方で、ポップミュージックやオンラインゲーム、化粧品など、興味深い機会を提供する韓国の産業もあると同氏は付け加えた。

Slideshow (2 Images)
500 Startupsは2015年以降、韓国企業30社に計65億ウォン投資している。その中にはラジオアプリ「SPOON」も含まれるが、同アプリは現在、東南アジアと日本でも利用可能だ。

困難にもかかわらず、韓国のスタートアップ企業を支援する外国の大手企業は他にもある。

調査会社CBインサイツによると、日本のソフトバンクは2012年以降、韓国のテクノロジー企業20社以上に投資している。11月には電子商取引最大手クーパンに20億ドル出資した。

また、送金アプリ「Toss」を運営する韓国のスタートアップ企業ビバ・リパブリカは先週、米クライナー・パーキンス・コーフィールド・アンド・バイヤーズ(KPCB)などから8000万ドルを調達し、評価額は12億ドルに達した。

外国企業との提携やリスクを回避する傾向にある韓国の財閥は、外国のライバル企業と比べ、急速に変化するテクノロジーに対応するのが遅いと、延世大学のRhee Moo-weon経営学教授は指摘する。同教授はサムスン、現代自、韓国政府に助言をしている。

2013年出版のフレッド・ボーゲルスタイン著「アップルvs.グーグル:どちらが世界を支配するのか」によると、サムスンは2003年、当時は小規模なスマートフォンの基本ソフト(OS)開発会社だったアンドロイド社を買収する機会を逃した。そのわずか2週間後に、同社はグーグルにインセンティブ付きの5000万ドルで買収された。

アンドロイド社の創業者の1人、アンディ・ルービン氏がサムスンに売り込みに行くと、「夢でも見ているのか。君たちがこれを作ろうというのか。6人で。ハイになっているのか」と言われたと、同著に書かれている。

サムスン電子はこの本の内容について確認できなかったとしている。

<国外へ>

資金力のある財閥は依然として新興企業の買収に消極的だ。韓国ベンチャーキャピタル協会によると、昨年は株式売却により投資資金を回収できたのは、スタートアップ企業のわずか3%だった。

投資回収の数少ない選択肢として他に新規株式公開(IPO)があるが、コンサルタント会社マッキンゼーによると、韓国のスタートアップ企業が上場するには約12年かかる。通常6─7年で可能なシリコンバレーと比べると、「永遠」だ。

韓国政府は昨年になってようやく、いわゆる「テスラ式上場規則」を導入。赤字のスタートアップ企業が、韓国証券取引所とは別の新興企業向けのコスダック市場に上場できるようにした。これは、2010年に米ナスダック市場に上場して以来、8年間ずっと赤字だが、時価総額が630億ドルの米電気自動車メーカー、テスラから名付けられた。

今のところ、このテスラ規則を使ってIPOを行ったのは電子商取引プラットフォームの「カフェ24」(042000.KQ)だけだ。2月の上場後、同社の株価は25%上昇している。

韓国の起業家たちはまだ道のりは遠いと口をそろえる。

「役人は利害関係者それぞれの要求を満たそうとしているが、そのようなやり方では解決しない」と、自身が立ち上げた自動運転車のスタートアップ企業を、昨年シリコンバレーに移転した起業家のソ・スンウー教授は言う。「韓国で起業することなど考えるな、ということだ。考えるなら韓国の外だ」

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
https://jp.reuters.com/article/south-korea-startups-idJPKCN1OJ10L?il=0
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/842.html

[経世済民130] 世界の富豪上位500人の資産、今年5110億ドル減−市場の低迷で約57兆円 大規模ETFから約2時間に1000億円超流出
世界の富豪上位500人の資産、今年5110億ドル減−市場の低迷で
Tom Metcalf
2018年12月24日 10:24 JST
年初に付けた過去最高5兆6000億ドルから4兆7000億ドルに減少
年間ベースで減少なら、2012年の指数スタートから2回目

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
世界的な貿易摩擦の激化と米経済のリセッション(景気後退)入りを巡る懸念を背景に年末の金融市場が低迷し、ブルームバーグ・ビリオネア指数がカバーする世界の富豪上位500人の資産は今年これまでに5110億ドル(約56兆8000億円)減少し、21日の取引終了時点で4兆7000億ドルとなっている。年間ベースで減少となれば、2012年の同指数スタートから2回目。年初に付けた過去最高の5兆6000億ドルからすると、状況は一変している。

  ノーザン・トラストのウェルス・マネジメント部門の最高投資責任者、ケイティ・ニクソン氏は「最近、投資家の不安が高まっている。われわれはリセッションを予想しないが、世界経済の下振れに対するリスクには留意している」と語った。


原題:World’s Richest Lost $511 Billion in a Year of Market Turmoil(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-24/PK4PRQ6JTSE801?srnd=cojp-v2

 


ジャンク債の売り加速、大規模ETFから約2時間に1000億円超が流出
Carolina Wilson
2018年12月21日 13:51 JST
ブラックロックのHYG、2件の大口取引で6億7000万ドル強流出
ステート・ストリートのJNKにも2億6700万ドルの売り

Photographer: Michael Nagle/Bloomberg
ジャンク(投機的格付け)債の上場投資信託(ETF)から手を引こうとしている投資家が、少なくとも1人いる。

  ニューヨーク時間20日午前11時21分、1人のトレーダーがiシェアーズiBoxx高利回り社債ETF(HYG)3億2200万ドル(約360億円)相当を売った。その約5分後に、今度はSPDRブルームバーグ・バークレイズ高利回り債ETF(JNK)2億6700万ドル相当が売られた。さらに、午後1時39分にはHYG3億5000万ドル相当が売られた。

  クレジット市場での圧力が高まり続ける中、ジャンク債は資金を置いておきたい場所ではないと、クレディ・スイス・グループのETFマーケットメーク米州責任者のジョッシュ・ルークマン氏は述べた。

  同氏は「今は高利回り債ETFに対する『ビッド・ウォンテッド』の状態だ」と指摘。「HYGのオプションも非常に活発に取引されている。取引高は1日当たり平均の4倍で、プットとコールの割合は15対1だ」と語った。HYGは5営業日続落で、20日は1.3%下落し2016年2月以来の安値を付けた。

  「ビッド・ウォンテッド」は売り手ができるだけ早くポジションを解消することを適正価格よりも優先する状況だと、ルークマン氏が説明した。


Throwing Out Junk
Investors bail on junk bond ETFs in first year of outflows on record


Source: Bloomberg data through Dec. 19

原題:Investor Dumps Biggest Junk Bond ETFs as Market Sell-Off Deepens(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-21/PK2J9N6TTDS001?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/266.html

[経世済民130] 中国配車サービス滴滴出行、次は自動車メーカー買収か 掃除機のダイソン、EV参入をステップに膨らむ野望 自動車メーカー凌駕
コラム2018年12月24日 / 09:18 / 2時間前更新

中国配車サービス滴滴出行、次は自動車メーカー買収か
Robyn Mak
2 分で読む

[香港 17日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国配車サービス大手、滴滴出行(DiDi)は2019年、自動車メーカーの買収に踏み出しそうだ。世界の競合他社と同じく、同社は伝統的なメーカー数社と提携している。

中国自動車企業の価値評価が下がっている時だけに、程維・最高経営責任者(CEO)はメーカーの買収に意欲を燃やすだろう。

ハイテク企業と自動車業界の境は急速にぼやけつつある。滴滴は2018年、メーカー数十社とのカーシェアリング網を発表。続いてトヨタ自動車(7203.T)を含む31社との間で、販売、資金調達での提携に加え、新型エネルギー車などを共同開発する大規模な連合を構築した。

しかし最大の狙いは、滴滴ブランドの車両をつくることだろう。程CEOは既にBAICグループなどの国内メーカーや独自動車部品大手コンチネンタル(CONG.DE)と提携した。最終目標は、滴滴の配車サービス向けに特化した車両の製造だ。関係筋は4月、ロイターに対し、程氏が密かにエンジニアと設計者の社内チームを構築していると話した。

程氏が自動車製造に関心を向けているのには、もっともな理由がある。同社は自動運転車市場での覇権を目指し、グーグルの親会社アルファベット(GOOGL.O)傘下のウェイモなど、ハイテク、自動車企業と戦っている。垂直統合を達成すれば、滴滴は優位に立てる。

非公開企業の滴滴が最後に行った資金調達は、2017年の40億ドル。米紙によると、これによって現金準備は120億ドルに増えた。以来、同社は新たな市場に進出し、安全性を強化するなど事業を拡大している。

この現金準備の半分を使うだけで、メーカー1社なら買えるはずだ。フィッチによると、中国の自動車セクターは消費減速によって打撃を被っており、2018年の販売台数は1990年代以降で初めて減少する見通しとなっている。

時代遅れの国有企業は、買収対象から除外すればよい。もっと小回りの利く企業の方が、滴滴には似合うだろう。そうなると、中国電子商取引大手アリババ傘下の電気自動車(EV)メーカーである小鵬汽車や、元大手メーカー幹部が設立したEVベンチャーのフューチャー・モビリティなどが候補に入るかもしれない。

大胆な買収によって、滴滴は確実に前進するだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/china-didi-breakingviews-idJPKCN1OJ1G8?il=0


 

2018年12月24日 CAR and DRIVER :総合自動車情報誌
掃除機のダイソン、EV参入をステップにしてさらに膨らむ野望
ダイソンのロゴ
Photo:DOL
シンガポールでEV製作
本格的な量産型のモデルを打ち出す計画
 ダイソン(英国)といえば、掃除機や扇風機などを作っているメーカー、というイメージが強い。そのダイソンが、シンガポールでEV(電気自動車)製作に乗り出すという。同社が発表した計画によると、「2020年に現地工場を完成させ、21年には最初のEVをリリースする予定」という。

 ダイソンは以前から自動車業界への進出意欲を見せており、今回の新工場建設、EV開発に26億ドル(約2966億円)を投資した。ダイソンは少なくとも3種類のEVを投入する予定だが、最初のモデルは「市場への参入の可能性を探る」ことを目的とし、生産台数は数千台に限られる。その後に「本格的な量産型のモデルを打ち出す計画」といわれている。

 ダイソンのEV市場への参入は以前から計画されていた。15年には今後のEV用バッテリーの中心になるのではないか、といわれているソリッド・ステート・バッテリー(全固体電池)のベンチャー企業だったSakti3社を買収した。ただしソリッド・ステート・バッテリーを採用するのは将来の予定で、最初のモデルには他のメーカーと同様に「リチウムイオン電池を搭載する」という。

超軽量でソリッド・ステート・バッテリー採用
EVとしては最先端の技術を導入
 価格帯については発表されていないが、テスラ・モデルSなどのプレミアムクラスに対抗する車両になると見られている。ボディは軽量化を目指し、BMWが採用しているようなカーボンファイバーに匹敵するプラスチック素材が使われる可能性が高い。

 つまり、超軽量でソリッド・ステート・バッテリー採用という、EVとしては最先端の技術を導入し、さらにボディは「従来のEVとはかなり異なる新しいデザイン」になると期待されている。シンガポールに工場を建設するのは、ターゲット市場を急速にEV化が進む中国に定めているからだ。

ダイソンのイラスト
イラスト:安田雅章
 そもそもダイソンは“天才エンジニア”と呼ばれたジェームズ・ダイソン氏が興した企業だが、掃除機で成功を収めた直後からダイソン氏はクルマに関心を持っていたという。1990年代の初めごろから「クルマのテールパイプから吐き出される排出ガスのにおいにうんざりしていた」と語り、ディーゼル車用の排気フィルターシステムを掃除機の部品から作り上げた。しかし当時は誰も関心を示さず、このフィルターはまったく売れなかったという。

 しかし、いまや時代はEVに向かっている。ダイソンのV10コードレス掃除機には12万5000rpmというモーターが搭載されており、エアブレードドライヤーには400mphのエアジェットが使われている。しかも、モーターなどのコントロールにAI技術を搭載している。これらの技術を組み合わせれば、EVを生産することは十分に可能と判断した。

EVの先に見据えているのは
EA、電気飛行機の開発
 ダイソン氏の野望はEVだけにとどまらない。その先に見据えているのはEA、電気飛行機の開発だという。EAがEVほど潮流になっていない理由はバッテリーの問題がある。リチウムイオン電池は、発火しやすいという弱点があり、航空機にとって致命的だ。しかしソリッド・ステート・バッテリーならば、この問題が解決できる。現時点では実用化に至っていないソリッド・ステートだが、トヨタは以前からこのバッテリー技術が「EV化の原動力となる」と指摘していた。まずはEVにこのバッテリーを使い、航空機の世界に進出、というのがダイソン氏の夢のようだ。

 掃除機や扇風機にこれまでにないコンセプトとデザインを導入し、世界的な企業に成長したダイソンが作るクルマは業界でも注目を集めている。2018年初めにはテスラの元コミュニケーション担当役員だったリカルド・レイズ氏がダイソンに移籍、さらにアストンマーティンから、製品開発担当だったイアン・ミナード氏、調達部門担当だったデビッド・ワイアー氏なども移籍した。

 現在、多くの自動車メーカーがEV製作に乗り出し、EVベンチャーの数も多い。ダイソンが目指すプレミアム市場は、テスラ、アウディ、メルセデス・ベンツ、BMW、ジャガーなどとの競合が予想される。その中で、どれだけユニークで魅力あるクルマが作れるのか。世界を“あっ”といわせる“ダイソン・カー”の今後に、注目が集まっている。

(報告/土方細秩子、まとめ/CAR and DRIVER編集部)
https://diamond.jp/articles/-/189297


 
2018年3月23日 鈴木貴博 :百年コンサルティング代表
ダイソンがEV開発で自動車メーカーを凌駕しそうな理由

実は、掃除機のダイソンには、EV開発において自動車メーカーにない強みがある
ダイソンはEV参入で
なぜ日本を最初の市場に選ぶのか?
 掃除機のダイソンが「なぜか」EV(電気自動車)の開発を進めている。そのことが最初に発覚したのはイギリス政府のミスだった。今から2年前の2016年3月、研究開発資金約20億円を支援するイギリス政府の助成プログラムの開示資料に、誤ってダイソンが当時秘密開発をしていた商品名が書かれていたのだ。はっきり「EV」と。

 そのときの開示資料(ちなみにイギリス政府はすぐに資料を差し替えて現在では見られない)には、「新しい電池を用いたEVの開発」と書かれていたという。つまり、ダイソンの主力製品であるコードレス掃除機の開発で磨いてきた電池性能の向上技術を、EVに適用する新たな研究を行っていて、それに対してイギリス政府が助成金を提供したことが、この段階で図らずも発覚してしまったわけだ。

 実際にダイソンがEV市場に参入することを公式発表したのは、昨年9月。ミスによる発覚からちょうど1年半が経った時期だった。発表時の創業者、ジェームズ・ダイソン氏の発表によれば、これまでに400人あまりのエンジニアが極秘に開発に関わってきたという話であった。やはりEV開発は水面下で着々と進行していたわけだ。

 ダイソンはEVの初代モデルを2020年までに市場投入する目標で、開発を進めている。そして2018年3月20日、ダイソンは「日本が最初の発売国になる可能性がある」ことを明らかにした。

 振り返れば、ジェームズ・ダイソン氏が発明したサイクロン式掃除機が最初に認められたのも日本市場だったし、ダイソンの世界初の直営店も開店した場所は東京の表参道だった。日本市場はダイソン氏にとって、有望な市場だと映っているようだ。

実は異業種企業の方が
EV開発で成功しやすい?
 しかし、掃除機メーカーという全く異業種のダイソンに自動車がつくれるものなのか。実際、自動車業界では家電メーカーが自動車に参入することに対して、以前から疑問の声が上がっている。ところが面白いことに、自動車業界の外では「家電メーカーがEVに参入する際の参入障壁は低い」と考える人の方が多い。

 参入障壁が低い理由は、ガソリン自動車のコア部品であるエンジンと変速機が電気自動車には必要がないことだ。モーターと電池を調達すれば、EVの開発はできる。その気になれば、デンソーやブリヂストンだってEV市場に参入はできるだろう。完成車メーカーの逆鱗に触れてまで参入するかどうかは別にして、の話ではあるが。

 さらに、ガソリン自動車はボンネットの中でエンジンが常に燃えている関係で、高温の熱が発生するから、ボディは金属である必要があるが、EVならモーターボートのように軽いFRP(繊維強化プラスチック)素材でも理論的には構わない。問題になるのは衝突事故時の強度だが、自動ブレーキなど人工知能によるドライブアシストが発達してくるこれから先の未来車では、もっと軽量化したこれまでの市販車になかったような車も出せるようになる。

 このように、古くからの自動車業界の常識に囚われない異業種企業の方が、自動車業界の企業よりも成功裏にEV事業に参入できる可能性はある。

 技術の流れを見れば、かつて大手メーカーしか開発できなかったコンピューターが、部品さえ購入すれば誰でも製造販売できるパソコンに変わったのと同じように、自動車メーカーの数はこれから先の10年で増えていく可能性はあるだろう。つまり、ダイソンのような全くの異業種からの参入は、EVについては「アリ」なのである。

 そして、もう1つ重要なのは、ダイソンはただ参入するだけではなく、EV業界において技術的な優位性を持つ可能性があることだ。

 ガソリン自動車のコア部品がエンジンと変速機だとすれば、EVのコア部品は電池とモーター、そして(これは未来のガソリン自動車についても同じではあるが)人工知能である。今回、ダイソンが電気自動車への参入を決めた背景には、ダイソンの持つ電池技術がある。

 実際、まだ正式参入を表明していない2016年秋の段階でも、ダイソンのCEOはEV参入の可能性を問われて「電池技術で新たな飛躍を目指したい」「驚かせたい」と答えている。そして冒頭で紹介したイギリス政府が誤って開示した資料に書かれていた「新しい電池を用いたEVの開発」という言葉だ。

 実は自動車業界が驚いたのは、ダイソンは「全固体電池を採用しようとしているらしい」ということなのだ。

 全固体電池は、現在主流のリチウムイオン電池よりも2倍以上の容量があって、充電時間も大幅に短い。自動車メーカーは全固体電池の開発を進めているが、ダイソンのように2020年には間に合わないという。だとしたら、ダイソンの発売する新型EVは、旧来のEVとはパフォーマンスが違う、新次元の商品になる可能性が高い。

 今回のダイソンの姿勢から学ぶべきことの1つが、新技術の獲得投資である。これはEVに限らず、次世代自動車が開発競争に入って以来、研究開発競争のポイントが変わると同時に、コア技術の獲得方法も変わってきているということだ。

 ダイソンの場合、2015年にアメリカの新興バッテリーベンチャー、サクティー3を買収してから、EVへの参入が現実化してきた。

 さらに、次世代自動車の頭脳にあたる人工知能については、自動車業界の外部の方が技術は進んでいる。アメリカ企業はそれぞれシリコンバレーのITベンチャーと緊密な関係を結んでいる。そしてヨーロッパの自動車メーカーは、人工知能についてはイスラエルに開発拠点を移している。イスラエルは日本からはずいぶん遠いが、欧州からは目と鼻の先。そのため欧州の自動車メーカーにとっては、研究も進めやすいのだろう。

日本企業はダイソンの
「お手並み拝見」ではいけない
 ただ、この点については日本が遅れているというわけではない。そもそもダイソンが日本を最初の電EV発売市場の候補にしている理由は、日本には家電、IT、ロボットなど先端技術がすべてそろっているからだという。

 実際、それはその通り。しかし私が強調したいのは、日本の自動車メーカーが、ダイソンの参入を「お手並み拝見」的な意識で眺めていてはいけないということだ。日本メーカーに望むべきは、ダイソン以上にずっと先を行く素晴らしい商品の開発を進めることだと私は思っている。

(百年コンサルティング 鈴木貴博)
https://diamond.jp/articles/-/164196
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/267.html

[政治・選挙・NHK255] 政府、25日にもIWC脱退決定 クジラ肉は本当に必要?老人のノスタルジー?IWC脱退し商業捕獲再開を目指す日本政府の思惑
国内政治ニュース(共同通信)2018年12月23日 / 16:10 / 15時間前更新
政府、25日にもIWC脱退決定
共同通信
1 分で読む

 政府は約30年ぶりの商業捕鯨の再開に向け、クジラ資源の管理を担う国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退を早ければ25日にも決定し、その後表明する見通しだ。日本の国際機関脱退は戦後ほとんど例がなく極めて異例。国際社会から協調軽視との批判を浴びることは必至だ。

 政府内で脱退を決めた後、来年脱退するための期限に設定されている来月1日までにIWC側に通知する方向だ。この場合、脱退する来年6月30日以降に商業捕鯨が可能になる。

 商業捕鯨は日本近海や日本の排他的経済水域(EEZ)で実施する見通し。

【共同通信】
https://jp.reuters.com/article/idJP2018122301001705


 

記事
AbemaTIMES2018年12月23日 10:44

クジラ肉は本当に必要?老人のノスタルジー?IWCを脱退して商業捕獲再開を目指す日本政府の思惑は


 クジラの捕獲を巡り、日本政府は国際捕鯨委員会(IWC)から脱退するという異例の方針を固めた。

 1948年、捕鯨産業の秩序ある発展を目的に設立されたIWCだが、1970年代に入るとクジラ漁に対する国際的な認識が変化し始め、クジラを食べる文化のある日本などの捕鯨に対し批判の声が殺到。するとIWCの考えも"捕鯨は許さない"というものに変わっていき、1982年には商業捕鯨の一時停止を決定した。以後、日本では商業捕鯨ではなく"調査捕鯨"、つまり生息数などの科学的調査やデータ収集を名目に捕獲されたクジラの肉が飲食店などで食べられているのだ。

 しかし、日本の調査捕鯨船に反捕鯨団体「シー・シェパード」の船から薬品などの瓶が投げ込まれるなど、妨害行為や厳しい批判も後を絶たない。そんな中、日本は今年9月のIWC総会で商業捕鯨の再開を提案。しかし反捕鯨国からの反応は厳しく、提案は却下。さらに決議された宣言では調査捕鯨そのものまでもが否定された。この決議に日本は「日本はIWC加盟国としての立場を根本的に見直すことを迫られ、そこではあらゆる選択肢を精査せざるを得ない」(谷合正明農水副大臣、当時)と反発。非常に稀な、国際的な枠組みからの脱退の方針を固めた。

 実際、ピークとなるクジラの漁獲量は1962年以降、年間23万トンを超えていたが、減少傾向が始まって1987年に商業捕鯨が停止されてからは3000〜6000トンで推移している。商業捕鯨が再開された場合、クジラが食べる機会が増えるかもしれないが、私たちはどれほどのクジラを食べるのだろうか。Twitter上には「40代以下だとそもそも一度も食べたことない人が多いんじゃないだろうか」「クジラを食べたことない世代なので捕鯨の必要性は正直わからない」「もはや食文化という認識は一般的にはとても低いのでは?」と、また、若い世代を中心に否定的な意見も少なくない。

 捕鯨に関する取材を長年にわたり続けてきた共同通信の井田徹治編集委員は「戦後、占領軍は日本に船を持たせて遠くに行かせることを嫌っていたが、食糧難でタンパク源がない中、仕方なくクジラを食べましょうということになった。その意味でクジラは食べ物のない時代に我々の食生活を支えた非常に重要なものだった。しかし今は牛肉や鶏など、他においしい肉がたくさん食べられるようになった。現在、日本人は一人あたり年に平均5kgの牛肉を食べているが、クジラ肉は30g〜40gと、馬肉よりもずっと少ない。正直、私はそれほどおいしいものなのかなと思うし、もはや世の中は変わってしまった。今、クジラを食べようと思っている人も少なくなってきたし、値段も高い」と話す。

 それでも捕鯨推進派は「日本は肉だけではなく油、骨、皮まで全て使ってきた」「クジラの頭数が増えてきたのなら商業捕鯨を再開していいはず」と主張。吉川農水大臣が21日、「日本は鯨類という食文化が根付いており、国として思いがある。商業捕鯨の再開を目指していきたい」と述べたほか、自民党の二階俊博幹事長も「ここで我々が脱退するということは、並々ならぬ決意であるということをご理解いただきたい」と訴えている。

 コンサルタントで元経産官僚の宇佐美典也氏は「政治家たちの発言には裏の思惑があると思う。今国会で漁業法改正が審議されているが、日本が魚を獲りすぎた結果、沿岸漁業が弱ってきていることから、自由に獲らせず、資源管理をする方向に変わってきている。そこで他の魚も獲れるようにして、漁獲量が減るのをカバーするという思惑があるのではないか」との見方を示す。

 井田氏は「長年取材してきたが、私は捕鯨推進派がここまでこだわるのかが全く理解できない。調査捕鯨をやる組織や会社が困ってしまうので、食文化を守るということを言い訳にして続けてしまっているというのが捕鯨の裏の一面だ。しかし捕鯨産業がほとんどなくなった今、大企業がやっているわけでもなく、献金があるというわけでもない。老人のノスタルジーだと思うし、理由があるとすれば役人と政治家のメンツだと思う。かつて日本の交渉団はインクをかけられるなど、ひどいことをされたこともある。だから"ここで捕鯨を諦めてなるものか"という感情的なものも大きいのではないか。穿った見方をすれば、人手不足や船が老朽化してきて調査捕鯨が難しくなってきているので、止める言い訳という可能性もある。しかし、これだけ消費が減っている中、IWCを抜けてまで商業捕鯨をするメリットはほとんどないと思うし、クジラ肉が安くなるということもない。水産庁の資料に基づけば、調査捕鯨の方が獲れて供給量が多くなる」と指摘していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


▶スタジオでの議論の模様は期間限定で無料配信中
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[国際24] グーグル検索で「愚か者」から「独裁者」になったトランプ ホワイトハウス「完全崩壊」
グーグル検索で「愚か者」から「独裁者」になったトランプ ホワイトハウス「完全崩壊」

山本大輔2018.12.24 14:21AERA#ドナルド・トランプ

11月下旬、メキシコとの国境にある壁に鉄条網を設置する米海兵隊員たち。中南米から米国に向けて大挙してきた移民キャラバンを例に挙げ、トランプ大統領は広範囲にわたる国境の壁建設の必要性を訴えている (c)朝日新聞社
11月下旬、メキシコとの国境にある壁に鉄条網を設置する米海兵隊員たち。中南米から米国に向けて大挙してきた移民キャラバンを例に挙げ、トランプ大統領は広範囲にわたる国境の壁建設の必要性を訴えている (c)朝日新聞社

 連鎖する政府高官の辞意表明や予算案をめぐる対立、政府機関の一部閉鎖。マティス国防長官が辞表を出した12月20日以降も米政権を取り巻く混乱は続き、不安定さが際立つ中での年末となった。火種は自分自身なのに、率先して火に油を注ぐ言動を繰り返すトランプ大統領。火消し役不在の米国政治は、炎上したまま新年を迎える。

 クリスマス前最後の週末だった12月22、23両日、トランプ大統領はフロリダでの休暇を延期し、ワシントンにいた。大統領が望むメキシコ国境の壁建設費をめぐる議会での与野党調整が決裂し、期限内の可決ができなかった予算案の対応を強いられたためだ。クリスマス休暇に入った上下両院で次の審議は27日までなく、その間の予算は失効。国務省など一部の政府機関が閉鎖状態に追い込まれた。

 国境の壁のデザイン図まで投稿して壁建設の重要性を連日ツイートし、予算を通すよう議会に圧力をかけていた大統領だが、22日夜になって突然、思い出したようにマティス国防長官について書き込んだ。

「オバマ大統領に不名誉にも(中央軍司令官を)クビにされたジム・マティスに、私は再びチャンスを与えた。(中略)同盟国はとても重要だが、それは彼らが米国を利用しようとしない場合の話だ」

 マティス長官は20日に提出した辞表の中で、大統領に国際連携の重要性を説き、同盟国に敬意を示すよう訴えていた。

 このツイートの20分前には、長官の辞意表明につながったとされる米軍のシリア撤退についても大統領は言及。米兵を母国に戻す決断は通常なら評価されるのに、トランプ大統領だから批判されたとして、自身を「標的とするメディアのフェイクニュース」の問題だと強調した。

 トランプ政権に関する複数の書籍や分析記事によると、報道を極度に気にするトランプ大統領は、メディア中毒になっているという。主要テレビ局で政治討論などの報道番組がある週末は、すぐにツイートできるようパソコンをそばに置いたまま、可能な限り毎週見るらしい。マティス長官へのツイートが突然復活したのも、直前の番組で議論となったからだ。トランプ大統領は23日朝、2019年1月1日付でパトリック・シャナハン国防副長官を国防長官代行とする人事を発表。AFP通信によると、長官の辞表に関する報道に気分を害したと伝えられており、19年2月末だった長官の辞任時期を2カ月前倒しさせた。


次のページシリア撤退をめぐる週末のツイートは、もう一つあった

 シリア撤退をめぐる週末のツイートは、もう一つあった。

「15年にオバマ大統領に任命され、私は知りもしないブレット・マクガークが2月の任期を待たずに辞める。身勝手? 何でもないことをフェイクニュースが一大事に仕立てている」

 マクガーク氏は、過激派組織「イスラム国」(IS)掃討で米軍が率いてきた有志連合の調整を担当する米大統領特使。ISの掃討は終わっていないと主張してきた。米メディアによると、マティス長官が辞意を表明した翌日の21日、ポンペオ国務長官に年内の辞任を伝えたという。ISを掃討したとしてシリア撤退を強行した大統領への抗議の辞任が連鎖した形だ。

 マティス長官の辞意表明をめぐっては、米国外からも懸念が示された。ロイター通信がそのいくつかを紹介している。

「マティス氏は軍人のみならず外交官としても多くの尊敬を得ている」(北大西洋条約機構=NATO=報道官)

「マティス氏はトランプ大統領の最も悪い性質を抑制し、NATOおよび多国間主義を強く支持してきた」(欧州議会議員)

 全てはトランプ政権の米国第一主義への懸念であることを理解せず、単にメディアに責任転嫁する大統領の姿勢が、国際連携や同盟を軽視する姿勢をかえって浮き彫りにしている。

 大統領選挙中から広報を担当し、ホワイトハウス広報部長も務めたホープ・ヒックス氏は再三、「自分で自分を銃撃している」などとしてツイートの自粛を求めてきた。ツイートの原案作りや校閲なども提案したが、大統領は取り合わず、書きたい時に自由に書くという悪癖は止まらなかった。いつ、どんなツイートが出るのか、政権内部で知る人はおらず、ヒックス氏が3月に政権を去った後はツイートに苦言を呈す人物もいない。

 報道は過剰に気にかけるのに、閣僚や政府高官の話には耳を傾けない。大統領は日常的に上がってくる重要課題の報告書には目を通さず、ブリーフィングにも興味を示さない。事前の周到な準備は「第六感」を鈍らせる。自身が要請した内容の最終文書にサインすることしか意義を見いださないのだという。


次のページホワイトハウスの内情を描写した暴露本にはこんな言葉が…


 そんなホワイトハウスの内情を描写した暴露本『FEAR(訳書名・恐怖の男)』で、コーン前国家経済会議議長の言葉が紹介されている。

「あまりにも異常で混乱が激しく、いつまで政権にいられるか自信がない。現実的で意味あるブリーフィングをしても、大統領が聞く耳を持つことは絶対にない。最初から結論ありきだ」

 同盟国との連帯や国際的な枠組みの尊重を訴えてきたコーン前議長やティラーソン前国務長官、マティス国防長官がたびたび直面した問題だった。それならば、と3者は時に協力し、大統領が求める文書の作成にわざと時間をかけたり、合同で企画した会議で大統領を囲い込んだりして、過剰な自国優先政策を阻止しようと躍起になってきた。

 一方で、特に保護主義路線を推進するロス商務長官やナバロ通商担当補佐官は、国際協調派を排除した形で大統領と個別に政策を練ったり、大統領執務室にアポなしで自由に行き来したりした。ムニューシン財務長官は国際協調派に近寄ったり離れたりしながら、最後はトランプ大統領の言いなりだ。家族であることを武器とする長女イバンカ夫妻は、さらに自由な振る舞いを黙認されている。

 それぞれが独断で行動することが当たり前になって、ホワイトハウスの秩序は完全に崩壊。全てを管理する権限を持ち、ホワイトハウスで最も重職であるはずの首席補佐官の存在は軽視され、プリーバス氏に代わって首席補佐官についていたケリー氏も年内で辞任する。そんな首席補佐官には誰もなろうとはせず、ケリー氏の後任には代行を置くというありさまだ。

 政権発足から2年、国際協調派は次々と辞表を出し、政権に残ったのは米国第一主義派だけになった。マティス長官の辞意表明が各国に衝撃と懸念を与えたのは、政権に残る国際協調派の最後の一人だったからだ。結果的に政権内部から異論者の追い出しに成功したトランプ政権は、19年に向け、米国第一主義の牙を一層むき出しにする環境を整えたことになる。

 18年7月、グーグルの画像検索で「idiot(愚か者)」と入力すると、トランプ大統領の写真が多く出てくることが話題になった。いま「dictator(独裁者)」と入力すると、ヒトラーなどと並びトランプ大統領の写真が複数枚出てくる。ロシアのプーチン大統領や北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長よりもはるかに多い。新年を迎えるにあたり、これが現実とならないことを祈りたい。 (アエラ編集部 山本大輔)

※AERAオンライン限定記事
https://dot.asahi.com/aera/2018122400007.html?page=3
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/858.html

[政治・選挙・NHK255] レーダー照射 防衛省幹部が韓国に「証拠あるため言い逃れやめるべき」
Large 181222 p1 02
レーダー照射 防衛省幹部が韓国に「証拠あるため言い逃れやめるべき」
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239
2018年12月24日 20時4分
ざっくり言うと
レーダー照射を巡る問題で、韓国は「一切の電波放射はなかった」と主張した
これに対し日本政府は24日、照射を受けたことを示す証拠があると否定した
防衛省幹部は「言い逃れはやめるべきだ」と述べている
レーダー照射 韓国「一切の電波放射なし」に防衛省幹部「証拠ある」
2018年12月24日 20時4分 産経新聞
 韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊のP1哨戒機に火器管制レーダーを照射した問題で、韓国軍合同参謀本部幹部は24日の記者会見で、レーダーと連動する撮影用カメラで哨戒機を監視したが、哨戒機に向けた「一切の電波放射はなかった」と主張した。

 これに対し、防衛省幹部は同日「照射を受けたことを示すデータが証拠として残っている」と真っ向から否定した。「言い逃れはやめるべきだ」とも述べた。産経新聞の取材に答えた。

 韓国国防省は、改めて遭難した北朝鮮漁船を捜索する「人道的救助のための活動だった」と説明し「日本側に脅威を感じさせるいかなる措置もなかった」と強調したが、日本政府はあくまで「明確な証拠」に基づいて対処していく方針だ。

 韓国軍によると、日本海で20日、哨戒機が駆逐艦の真上を通過する「特異な行動」を取ったため、レーダーに付随した光学カメラを回して監視したという。

 カメラを作動させると、レーダーのアンテナも動くが、レーダー照射には艦長の承認が必要で、幹部は「電子波の放射は一切なかった」と繰り返した。聯合ニュースによると、軍関係者は、哨戒機が「むしろ威嚇的だった」と反論した。

 防衛省は22日、「慎重かつ詳細な分析を行い、照射が火器管制レーダーによるものと判断した」と発表。産経新聞の取材では、照射は2回にわたり数分間に及んだ。海自幹部は「意図しなければ起こりえない」と指摘する。(石鍋圭、ソウル 桜井紀雄)

産経新聞

外部サイト
【未来志向の虚実】(3)歴史を語れない日本の若者
レーダー照射問題 日韓局長級会談で両国が「遺憾の意」
「世界的な軍事強国に」と金正日氏を称賛 北朝鮮紙 
「韓国軍が自衛隊機にレーダー照射」をもっと詳しく

レーダー照射問題 外務省幹部が韓国側に強い遺憾の意を伝える
レーダー照射問題で韓国が遺憾を表明 日本は会談で反論せず
海自哨戒機へのレーダー照射 意図的との見方を韓国が改めて否定
http://news.livedoor.com/article/detail/15786328/
http://www.asyura2.com/18/senkyo255/msg/419.html

[経世済民130] 株が大幅安、ワシントンの混乱を嫌気 ドル下落、米政府機関閉鎖の中で円やフランが上昇 2018年高まる米国リスク
株が大幅安、ワシントンの混乱を嫌気
Jeremy Herron、Vildana Hajric
2018年12月25日 5:11 JST
• S&P500種は9月の最高値からの下落率が19.8%超える
• トランプ大統領、最近の株価急落の原因はFRBにあると非難
24日の米株式相場は大きく下落し、S&P500種株価指数は2017年4月以来の安値となった。ワシントンの混乱が嫌気された。同指数は弱気相場入り目前となっている。
• 米国株は大幅安、S&P500種は弱気相場入り目前
• 米国債は上昇、10年債利回り2.74%
• NY原油は大幅安、世界経済減速やワシントンでの混乱を懸念
• NY金は上昇、米政府閉鎖や世界経済巡る懸念で逃避需要
  S&P500種は4営業日続落。9月に付けた最高値からの下落率は19.8%超で、このままいけば月間ベースでは2008年以来で最悪の下落率となる。この日の売買高は30日平均を41%上回った。クリスマスの祝日を翌日に控え、米株式市場は米東部時間午後1時までの短縮取引だった。
  市場では、議会での対立が緩和され信頼感が強まるとの期待も広がっていたが、実際には混乱が深まった。トランプ大統領はこの日、このところの株価急落の原因は米連邦準備制度理事会(FRB)にあると激しく非難。ブルームバーグは先に、トランプ氏がパウエルFRB議長の解任について議論したと報じていた。
  S&P500種株価指数は前日比2.7%安の2351.10。ダウ工業株30種平均は653.17ドル(2.9%)下落し21792.20ドル。ナスダック総合指数は2.2%安だった。ニューヨーク時間午後1時59分現在、米10年債利回りは5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.74%。米国債市場はこの日、午後2時までの短縮取引。
  ニューヨーク原油相場は急落し、1年半ぶり安値。石油輸出国機構(OPEC)が減産延長や減産幅の拡大を示唆したものの、世界経済の減速やワシントンの混乱が懸念され大きく売られた。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物2月限は3.06ドル(6.7%)下げて1バレル=42.53ドル。ロンドンICEの北海ブレント2月限は3.35ドル下落し50.47ドル。
  ニューヨーク金先物は上昇。終値ベースで半年ぶり高値となった。株価下落や一部の米政府機関閉鎖、世界経済を巡る懸念で逃避需要が強まった。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は1.1%高の1オンス=1271.80ドル。
原題:Stocks Hit 20-Month Low as D.C. Turmoil Weighs: Markets Wrap(抜粋)
Crude Spirals to 18-Month Low Amid Global Economic Concerns
PRECIOUS: Gold Hits 6-Month High as Turmoil Spurs Haven Demand
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-24/PK96MJSYF01S01

【NY外為】
ドル下落、米政府機関閉鎖の中で円やフランが上昇
Sydney Maki
2018年12月25日 3:38 JST更新日時 2018年12月25日 5:37 JST
24日のニューヨーク外国為替市場ではドルが下落。休日を控え、市場では米政府機関一部閉鎖の継続や米国株式の下落、ムニューシン財務長官が市場の流動性を巡り金融市場を安心させようとする動きを見極めようとしている。
  ドルは主要通貨の大半に対して下落し、円とスイス・フランに対して最も大きく下げた。ムニューシン長官は24日、米金融当局と電話協議を行い、金融市場に異常な動きは見られないとの報告を受けた。事情に詳しい関係者が明らかにした。週末には米銀大手6行トップに相次いで電話し、各行の流動性状況などを確認した。3日目に入った一部政府機関の閉鎖を巡っては、米行政管理予算局(OMB)のマルバニー局長が「閉鎖が28日以降も続き年明けの新議会まで持ち越しとなる可能性が高い」と発言している。
  こうした中、トランプ大統領は再び連邦準備制度理事会(FRB)を攻撃。「米国経済が抱える唯一の問題はFRBだ」などとツイートした。S&P500種株価指数は大幅安となり、2017年4月以来の安値となった。
  ドルは対円で一時、4カ月ぶりの安値となる110円27銭をつけた。200日移動平均線を下回り、7営業日続落となった。
  ニューヨーク時間午後3時18分現在、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.4%下落。ドルは対円では0.7%の下げで1ドル=110円44銭。ユーロはドルに対して0.2%高の1ユーロ=1.1398ドル。

欧州時間の取引
  ドルは薄商いの中、FRBの独立性や米政府機関一部閉鎖の継続を巡る懸念の中、大半の主要通貨に対して下落した。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は先週の下落の流れを引き継ぎ、逃避需要を受けた円が7営業日続伸となった。
原題:Dollar Falls, Havens Rise Amid Strife in Washington: Inside G-10(抜粋)
Dollar Buffeted by Government Shutdown, Fed Concern: Inside G-10
(第4、6段落を追加します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-24/PK96MJSYF01S01

2018年最終週は波乱の展開か、高まる米国リスクを警戒
Benjamin Purvis、Emily Barrett
2018年12月24日 22:53 JST
• 政府機関閉鎖にパウエル議長解任議論の報道、まずドルが下落
• 米国債、安全資産として見なされなくなるリスクが浮上
2018年最後の週は波乱の相場展開になるかもしれない。年末を前に商いが細っていることに加え、相場を圧迫する材料が増えているからだ。
  米政府機関の一部閉鎖と、トランプ米大統領がパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長解任を議論したとの報道にまず反応したのは、1日当たり5兆1000億ドル(約567兆円)が取引される為替市場だった。ドルはG10通貨の大半に対して下落し、安全資産と見なされることの多い円は7日続伸している。

  先週は安全資産が買われる中で米国10年債利回りが4月以来の2.75%割れとなり、利回り曲線は金融危機以降で初となる逆イールドにこれまでになく近づいた。だが、市場を覆う混乱の多くが米国を震源としていることを考慮すると、パウエル議長の地位が本当に危うくなる場合に米国債やドルが信頼できる安全資産として機能するかどうか明白というわけではない。
  ソシエテ・ジェネラルの米金利戦略責任者、スバドラ・ラジャッパ氏は、FRB議長交代の「公算は極めて小さい」と考えているものの、大統領がパウエル氏を説得して「辞任」させる可能性を排除してはいないと語った。
  ラジャッパ氏は電子メールで「それが実現するなら、最近の政府閉鎖も踏まえ、投資家は米国債を安全な資産として扱いたがらなくなるかもしれない」との見方を示し、「FRB議長の交代となれば、すでにぜい弱な金融市場が混乱に陥り、金融環境をさらに引き締める公算が大きい」と指摘した。
原題:Currency Traders on Front Line as Markets Stay Wary of U.S. Risk(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-24/PK8NPX6JTSEA01



http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/277.html

[経世済民130] トランプ大統領:FRBは米経済の「唯一の問題」−理解力ないと非難 株高自慢のトランプ今度は犯人捜しウォール街別の戦犯指摘


トランプ大統領:FRBは米経済の「唯一の問題」−理解力ないと非難
Mike Dorning
2018年12月25日 2:31 JST
トランプ大統領は株式相場が急落したのは米連邦準備制度理事会(FRB)が原因だとして、激しく攻撃した。先週末には大統領がパウエルFRB議長の解任を検討したとの報道も伝わった。
  トランプ氏は24日、「米国経済が抱える唯一の問題はFRBだ。相場感覚がなく、必要不可欠な貿易戦争のほか、ドル高、国境問題により民主党が政府機関を閉鎖したことすら理解していない」とツイート。「FRBは、力は強いがタッチ(アプローチやパターの感覚)がないためスコアが上がらないゴルファーのようだ。こういう人間はパットなどできない!」とコメントした。
  トランプ大統領がパウエル議長の解任を検討したと報道された後、ムニューシン財務長官は同議長の地位は安泰だとして金融市場の懸念解消に努めた。同長官は22日夜、この問題で大統領と話したとし、大統領は中央銀行トップを解任する法的権限を持っているとは思わないと語ったとツイートしていた。
原題:Trump Blasts Federal Reserve as U.S. Economy’s ‘Only Problem’(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-24/PK92666S972801


米金融監督当局トップが電話協議、市場に異常な動きないと判断
Ben Bain
2018年12月25日 3:47 JST
米金融監督当局のトップらは24日、ムニューシン財務長官が急きょ主宰した大統領作業部会(PWG)の電話協議で、最近株価が急落しているものの、市場に異常な動きは見られないとの認識を示した。事情に詳しい関係者が明らかにした。
  ムニューシン長官は米連邦準備制度理事会(FRB)や証券取引委員会(SEC)、商品先物取引委員会(CFTC)、連邦預金保険公社(FDIC)、通貨監督庁(OCC)の代表者らと協議。関係者によれば、これら代表者は、一部政府機関閉鎖中における市場監視の計画や市場の状態についてムニューシン長官に説明した。
原題:Mnuchin Said to Be Told That Markets Are Operating Normally (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-24/PK94V66TTDS001

株高自慢のトランプ氏、今度は犯人捜し−ウォール街は別の戦犯指摘
Vildana Hajric、Elena Popina
2018年12月25日 0:08 JST
• 今回の相場混乱はトランプ氏が原因−エセックス・ファイナンシャル
• ナスダック100指数、10−12月に1.5%以上の下落が17営業日
ドナルド・トランプ氏ほど株高を自分の手柄として喜んだ大統領はこれまでいなかった。トランプ大統領は株式相場が上昇するたび、自画自賛のツイートを繰り返していた。上昇相場が風前のともしびとなった今、その犯人捜しが始まっている。
  トランプ大統領にとって、犯人候補の筆頭はパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長だ。だがウォール街では、同議長に対する不満は理解するとしつつ、トランプ氏自身が度を越した攻撃で事態を悪化させるリスクを冒していると指摘する関係者が多い。

  エセックス・ファイナンシャル・サービシズのチャック・クメッロ最高経営責任者(CEO)は「相場が2008年の金融危機以降で最悪の週となったら、大統領は市場を落ち着かせるための行動を取るだろうと考えるのが普通だ」と発言。「いま目の当たりにしているのはその逆で、自らニュースをつくり、不透明性を強くしている。トランプ氏は相場上昇時にはそれを自らの成功の指標と見なしてきたが、今回の相場混乱は自身が原因だ」と指摘した。
  混乱がやむ気配は今のところ見えない。アップルやアマゾン・ドット・コムなどテクノロジー企業で構成する米ナスダック100指数は、10−12月(第4四半期)に1.5%以上下落した日が17営業日あり、09年以降で最も多い。ナスダック・バイオテクノロジー株指数は21日まで7営業日連続で1%以上の下落。この下げは同指数が始まった1993年以降で最長。
原題:Trump’s Two-Year Stock Honeymoon Ends With Hunt for Betrayer (2)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-24/PK8S4B6JTSER01


米政府機関の一部閉鎖、年明けまで続く可能性−壁予算巡りなお対立
Ben Brody、Erik Wasson、Steven T. Dennis
2018年12月24日 12:34 JST
次に暫定予算の採決の可能性があるのは27日
ペンス副大統領とシューマー氏の会談は合意に達せず
米行政管理予算局(OMB)のマルバニー局長は23日、一部政府機関の閉鎖が年明けまで続く可能性があると述べた。同氏は大統領首席補佐官代行に指名されている。共和、民主両党はトランプ大統領が要求するメキシコとの国境の壁建設費用を巡り依然として手詰まりの状態が続いており、暫定予算の不成立に伴い、一部の政府機関が22日から閉鎖されている。

  上院と下院で次の暫定予算案の採決が行われる可能性があるのは27日。議会の指導者らは首都ワシントンを離れており、トランプ大統領はクリスマスをホワイトハウスで過ごす予定。

  マルバニー局長は「FOXニュース・サンデー」に出演し、閉鎖が28日以降も続き年明けの新議会まで持ち越しとなる可能性が高い」と語った。トランプ大統領は当初、壁建設費用として50億ドル(約5550億円)を要求したが、マルバニー氏によると、共和党は民主党からの対案を待っている。民主党は先に約13億ドルの国境警備予算を提案していたが、マルバニー氏は対案は16億ドル以上と指摘した。


議会に入るペンス副大統領撮影:Zach Gibson / Bloomberg
  米下院民主党のトップ、ナンシー・ペロシ議員は22日、民主党が下院の過半数を握る1月初めまで閉鎖は解決されない可能性があるとの見通しを示した。
  
  ペンス副大統領は22日午後、議会に戻りシューマー民主党上院院内総務に提案を行ったが、シューマー氏のスポークスマンは双方が合意するには程遠いと話した。

  閉鎖によって15の連邦省庁のうち9省庁が影響を受けている。


マルバニー氏撮影:Al Drago / Bloomberg
原題:Shutdown Could Last Into January as Leaders Leave Washington (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-24/PK7ZBH6JTSE801?srnd=cojp-v2


 

トランプ大統領、パウエル議長解任目指せば困難直面は必至か
Christopher Condon
2018年12月24日 9:52 JST
過去の判例、独立機関の当局者を大統領の解任から保護
議会は任期途中での解任からFRB理事を保護

トランプ大統領 Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
米連邦準備制度理事会(FRB)議長にジェローム・パウエル氏を指名したのはトランプ大統領だ。だが、だからといって立法府の議会が設立した独立機関のトップであるパウエル議長を大統領が簡単に解任できるわけではない。

  ブルームバーグ・ニュースの先の報道では、トランプ大統領は最近、パウエル議長解任を側近と話し合った。しかし、大統領が実際に解任を目指すことになれば、厄介な法廷闘争に直面するとともに、それに敗れる可能性が高い。

  連邦準備法は「正当な理由」がある場合に限り、大統領はFRB理事を解任することができると規定している。これは理事でもあるパウエル議長にも当てはまる。また、米国憲法の下での立法府、行政府それぞれへの権限付与の仕組みや、立法と行政の分立に関する裁判所の判例によっても、パウエル議長の地位は守られている。


パウエルFRB議長撮影:Andrew Harrer / Bloomberg
  恐らく最も重要なのは、「貨幣鋳造」と「その価値の規制」という憲法で定めた議会の権限の下で、責務実行の目的のために議会によって連邦準備制度が設立された事実にある。

  さらに、連邦準備制度の指導部を指名する権限が大統領に与えられていても、議会は指導部の地位について、上院による指名承認と任期という2つのさらなる保護を講じている。裁判所はこうした点に関し、大統領自身が指名した人物を解任する権限を制限することで、独立機関に一段の独立性を付与する目的があると解釈してきた。

  過去にFRB理事を解任しようとした大統領は皆無だ。それでも、仮に法廷闘争となった場合、パウエル議長がどのような保護を見いだすことができるか、幾つかの事案が参考となる。その中でも鍵となるのは、1933年にフランクリン・ルーズベルト大統領が連邦取引委員会(FTC)メンバーだったウィリアム・ハンフリー氏を解任しようとした際のものだろう。

  連邦最高裁はFTCが立法政策を実行する「準立法」機関であると認め、ハンフリー氏勝訴の判断を全員一致で下した。このような理由を基に、FTCを行政府の一部と見なすのは適切でないとしたのだ。

  連邦最高裁はその上で、行政府の支配からのFTCの独立はその指導部の任期によっても示されていると判断。ルーズベルト大統領は行政府の一部ではない機関の当局者であるハンフリー氏を解任する権限を有しないというものだった。

  このほか、連邦準備法にある「正当な理由」の規定を巡っては一般に、独立機関の指導部を解任しようとする場合、大統領は「非効率性や職務怠慢、不正行為」の証拠を示さなければならないと、裁判所は解釈してきた。

  連邦準備制度の法律顧問だったスコット・アルバレス氏は「正当な理由がある場合を除いて大統領が議長を含めFRB理事を解任することができないのは明らかだ。そして、正当な理由とは不正行為や犯罪活動または、その他の何らかの不品行であって、政策の違いを指すものではない」と指摘した。

原題:Trump Could Face Uphill Battle in Trying to Fire Fed’s Powell(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-24/PK6J4S6TTDS001?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/278.html

[自然災害22] インドネシアで津波、死者373人 負傷者1400人に 
ワールド2018年12月24日 / 17:13 / 2時間前更新
インドネシアで津波、死者373人 負傷者1400人に
1 分で読む

[ラブアン(インドネシア) 24日 ロイター] - インドネシアのジャワ島とスマトラ島の間に位置するスンダ海峡で22日夜に発生した津波で、死者数は少なくとも373人に達した。128人が行方不明になっているとみられ、捜索作業が24日も続けられた。

1400人強が負傷したほか、700軒強の建物が損壊、住民約1万2000人が高台に避難した。高潮警報は26日まで延長された。

予兆がほとんどない状態で津波が突然発生したため、被害が広がっている。

気象当局は、スンダ海峡にある火山島のアナク・クラカタウの一部が崩壊したことが高さ2─3メートルの津波を引き起こしたと確認した。アナク・クラカタウは数カ月火山活動が続いており、南西部が0.64平方キロメートルにわたって崩壊した。

当局者は「これが海底での地滑りを引き起こし、結果的に津波の原因になった」と説明している。

https://jp.reuters.com/article/indonesia-tsunami-idJPKCN1ON0BA
http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/636.html

[経世済民130] 日本株は弱気相場入り一段安なら金融機関の資本き損リスク警戒 日米株価大幅下落、円高進行 終値1010円安 終わりの始まり
日本株は弱気相場入り

一段安なら金融機関の資本き損リスク警戒

長谷川敏郎
2018年12月25日 14:17 JST 更新日時 2018年12月25日 15:08 JST
• 政策不信でトランプバブル崩壊、日経平均は高値から2割超下落
• 来年1−3月は要注意、米中協議難航なら日経平均1万8500円も

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
東京株式市場では25日、日経平均株価が直近高値から2割超下落し、主要株価指数がいずれも弱気相場入りした。世界景気の先行き不透明感に米国政治の混乱が加わって下げが大きくなっており、株安による影響を注視すべきとの声が聞かれる。
  日経平均は前週末比1010円45銭(5.0%)安の1万9155円74銭で終了。ことし10月2日に付けたバブル経済崩壊後の高値2万4270円62銭からの下落率が21%と、20%を超えて弱気相場に入った。市場全体の値動きを示すTOPIXは先週20日、1月に付けた直近高値からの下落率が20%を超えて既に弱気相場入りしている。

  富国生命投資顧問の奥本郷司社長は「景気が過熱局面で減税を行うなど米国は今後良くない政策効果が予想される中、トランプ政権からは不確実性が高い政策が噴き出している。米国株はまだ水準が高く、いったん利益を確定しておこうとの心理になっている」と語る。米国株が大きく調整していることで日本株も「大きな意味での調整になっている」と言う。
  25日の日経平均の下げ幅は1000円を上回ったが、21日までの4日間は391円、127円、595円、226円。「パニック売りではなく、冷静な判断での落ち着いた売り方」だと奥本氏。ただ、ここから株安が一段と進むと「一部の金融機関のバランスシートに影響が出始める懸念がある。来年1−3月はイベント的なニュースフロー次第でショック安となるリスクがある」とも話した。
  岡三オンライン証券の伊藤嘉洋チーフストラテジストは「日経平均は過去の経験則から短期的に売られ過ぎの水準に達し、セリングクライマックスが接近している」と指摘。短期的には下げ止まりやすいとしながらも、「下げの背景に景気減速懸念があるため年明け以降の動きは不透明。米中貿易協議が難航すれば、日経平均は来年2月末にかけて1万8500円を試す可能性がある」とみていた。
(終値で更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-25/PK9R5U6S972801?srnd=cojp-v2

 


トップニュース2018年12月25日 / 11:30 / 1時間前更新

日米株価が大幅下落、円高も進行:識者はこうみる

3 分で読む

[東京 25日 ロイター] - 東京株式市場では25日、米国株の急落を嫌気したリスク回避が先行し、日経平均の下げ幅は一時1000円を超え、1万9100円台まで下落した。為替市場では円高が進み、ドルは一時110.05円まで下落し、4カ月ぶり安値を更新した。

市場参加者のコメントは以下の通り。

●悲観的心理が支配、米政府機関閉鎖では妥協も●

<大和証券 チーフグローバルストラテジスト 壁谷洋和氏>

米政府機関の一部閉鎖の問題は、年明け以降に持ち越しになりそうだ。支持率を失うような抵抗をみせるのは米大統領にとっても得策ではない。マーケットはすでに影響を受けている。つなぎ予算を発動する形で決着するとみられ、問題がさらに長期化するとは考えにくい。

パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長やムニューシン米財務長官の解任検討を巡る報道も出ているが、正式な話ではない。よくあるトランプ米大統領の不規則発言の範疇だ。真剣に受け止める必要はないとみている。

12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では極端にタカ派的な見方が示された訳ではない。マーケットはハト派的な意見を望んでいたが、当局は段階的な利上げが望ましいといってきていた立場だ。これを急に変更するのは難しい。来年3回の利上げ見通しが2回に減っただけでも上出来とみなすべきだろう。日経平均は1万9000円が心理的な節目となる。今後の米国株次第のところもあるが、年内は下値を見定める展開が続くだろう。十分に悲観的な心理が市場に行き渡っている。1万8000円台までの下落はスピードとしても早いが、年末のため市場参加者は限られており、買いを入れる動きが現れるのは年明け以降になる可能性がある。

●1万9000円割り込めば一段の下値模索も

<アセットマネジメントOne 運用本部ファンドマネジャー 鴨下健氏>

連休明けの東京株式市場で日経平均が一時900円を超える下げとなっている。前日の米国株市場の大幅続落を踏まえればやむを得ない部分があるものの、想定以上に下げが厳しい。

これまで過去2年ほど出来高ができている1万9000円付近でいったん下げ止まるとみていたが、そこを割り込んだ場合は向こう3カ月の下値めどを1万7000円程度まで引き下げる検討をしなければならない。

米国の景気減速懸念が拭いきれない中、来年1月も厳しい状況が続くだろうが、売りが一巡した後は戻りを試す可能性もある。引き続き米中の通商問題の動向が注目で、現段階で「融和はない」というのが市場のコンセンサスだけに、中国が米国の要求を受け入れる流れになると「休戦」ムードを好感して反発する公算が大きい。

もう一つの注目は、米国のインフラ投資政策がいつ、どのように出てくるか。一般的には米大統領選を見据えて、来年のどこかで出てくるとみられている。これをメインシナリオにはしていないが、1月末に予定されているトランプ大統領の予算教書で何かしらのコメントがあれば反発のきっかけになりそうだ。

現在100日移動平均線が2万2300円台、200日移動平均線が2万2200円台にあるが、これらが徐々に下がってくる。今のところ、向こう3カ月の上値めどは2万2000円とみている。

●米国巡る政治リスクの高まりで108円台の円高も

<FXプライムbyGMO 常務取締役 上田眞理人氏>

最近のVIX(恐怖指数)の急騰からも、米国を巡る政治リスクが金融市場で改めて意識されていることがわかる。

米連邦準備理事会(FRB)に対するトランプ大統領の攻撃やシリアからの米軍撤退に関するマティス国防長官との対立、FRBの金融政策に関するムニューシン財務長官とトランプ氏の不協和音、議会との対立がもたらした米政府機関閉鎖など挙げればきりがないが、米政権はこうした政治的混乱の危険度を十分に認識していないようだ。

一方、金融市場は政治リスクを明確に意識しており、それがVIX指数の高騰、株価の急落や債券利回りの低下につながっている。

政治リスクの高まりから景気のピークが前倒しされ、結果として、FRBが追加利上げを実施できない事態に陥るかもしれないが、それは米国にとって決して良いことではない。

さらに米国の政治の混乱は、フランスやドイツなど欧州基軸国の政治的不安定、中国の景気減速などと連動し、グローバルに政治的な悪循環をもたらしている。

ドル/円は、つい最近まで日米株安に反応が鈍く、米国先物市場では円ショートが増えていた。

しかし、足元ではドルがサポートとみられていた110.80円をあっさりと割り込むなど、やっとリスク回避の円買いが広がりつつあるという印象だ。

110円を割り込めば、投機的な円売りの撒き戻しや、売り遅れている実需の参入、直接投資や証券投資にからむロングポジションの円買いヘッジなどが流入するとみられ、早ければ年内にも108円台まで一気に円高が進む可能性があるとみている。

●CTAがショート積み上げ、2万円遠のく

<野村証券 クロスアセット・ストラテジスト 高田将成氏>

リーマン・ショック時ほどではないが、ヘッジファンドのパフォーマンスが過去最悪に近い。ファンダメンタルズやバリュエーションに関係なく、先進国株のポジションを年内に落とす動きが加速している。投機筋の逆張り的な押し目買いが著しく抑制されているほか、あえてダウンサイドを狙うトレードも一部のファンドで始まっている。トレンド追従型のCTA(商品投資顧問)が代表的なところだが、S&P500で2500、日経平均で2万1000円を下回った水準から、彼らはショート・ポジションを積み上げるモードに転換している。

ショートを積み上げた矢先であるので、今後は株安が進行すれば売りが出るリスクがある。1カ月程度は淡々とショートが積み上がってくる傾向があるため、しばらくは下攻めの圧力が掛かりそうだ。年明けに株価が下げすぎたところで、中長期の投資家やファンダメンタルズで動くプレーヤーの逆張り的な買いが入るかがポイントになるだろう。どこまで下に引っ張られるかは不透明だが、向こう1カ月は日経平均に関しては2万円が遠のいていくイメージがある。この先は心理的な節目が影響する地合いとなりそうだ。1万9000円での攻防が目先は続く可能性がある。
https://jp.reuters.com/article/japan-stocks-yen-instantviews-idJPKCN1OO043


 

日経平均急落、終値1010円安の1万9155円
2018/12/25 9:01 (2018/12/25 13:34更新)日本経済新聞 電子版
1000円超下げ、1万9100円台を付けた日経平均株価の午前終値(25日午前、東京都中央区)

 25日の東京市場で日経平均株価が急落した。終値は前週末比1010円安の1万9155円と2017年4月以来、約1年8カ月ぶりの水準となった。下げ幅は2月6日以来、今年2番目の大きさとなる。24日の米ダウ工業株30種平均の下げ幅が653ドルに達し、投資家が世界的にリスク回避の姿勢を強めた。米国発の動揺はアジア市場に広がり、上海総合指数も一時、年初来安値をつけた。

 3連休明けとなった25日の東京市場で日経平均は前週末比380円(2%)安の1万9785円で始まった。東証1部の約98%の銘柄が下落する全面安の展開となった。株売り債券買いが進み、日本の長期金利は17年9月以来のゼロ%に低下した。

 背景にあるのが米政治リスクの台頭だ。米トランプ大統領が求めるメキシコとの国境の壁建設費用を巡り、共和、民主両党の対立が解けず、暫定予算が不成立。一部の政府機関が22日から閉鎖された。「年明けまで閉鎖が長引く可能性が高まり、持ち高を越年させたくない投資家の取引解消の動きが続いている」(大和証券の壁谷洋和氏)

 市場不安に拍車をかけたのがムニューシン米財務長官と米大手銀行首脳との会談だ。株式市場の流動性や銀行システムの安定性について確認する狙いだったが、会議を開いたこと自体が「なにか隠れた問題があるのかと市場の不安をあおった」(外資系証券トレーダー)。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長解任観測もトランプ政権の市場との対話力に疑問符をつきつけた。

 円高も悪材料だ。東京外国為替市場で円相場が1ドル=110円台前半まで円高が進行。市場では「1ドル=110円割れが視野に入り、企業収益の先行きへの不安感が台頭。日本株に押し目買いを入れづらくなっている」(アバディーン・スタンダード・インベストメンツの窪田慶太氏)との声があった。

 クリスマス休暇に入り、市場参加者が世界的に減っていることも振れ幅を大きくしている。松井証券の窪田朋一郎氏は「海外勢が売り、国内勢が手を引く状況下、流動性が薄くなっており、新興市場では値がつかない銘柄が増えている」と話した。
 


 
日経平均2万円割れ 市場関係者の見方
2018/12/25 10:05日本経済新聞 電子版
 25日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に続落し、節目の2万円を下回った。取引時間中の2万円割れは2017年9月15日以来およそ1年3カ月ぶり。日本が連休中に起きた米財務長官の米金融大手との電話協議をはじめ、トランプ米大統領による米連邦準備理事会(FRB)議長の解任観測など海外発のリスク要因に警戒を強めている。株式相場の見通しを市場関係者に聞いた。

■トランプ氏の信認が低下 日本企業、来期減益の可能性

榊茂樹・野村アセットマネジメント・チーフ・ストラテジスト

 日経平均株価が2万円を下回ったのは、米国発の悪材料が立て続けに出たからだ。米政府機関の閉鎖を巡りトランプ米政権と議会の対立が鮮明になり、米政権運営への懸念が根強い。トランプ大統領によるFRB批判は止まらず、トランプ氏に対する市場の信認は低下している。米株安で米企業の設備投資意欲が落ち込む可能性がある。企業の信用力が悪化して資金調達のコストが上がれば、自社株買いの原資が目減りする。米株安に歯止めがかかりにくい状況だ。

 日本株の下げ基調は続く可能性が高い。日本では輸出や設備投資に陰りがみられるなど、米国以上に実体経済が弱いからだ。株安と円高が企業の景況感を一段と悪化させるだろう。原油など国際商品相場の下落で、商社など資源関連企業の業績下振れリスクが強まっており、2019年度の日本企業の業績は減益になるおそれがある。先行き不透明感から日本株の割安感に着目した買いは入りにくく、日経平均が2万円に再び戻したとしても長続きはしないとみている。

■来年後半の景気鈍化を意識 下値メドは1万9000円か

藤戸則弘・三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ投資ストラテジスト

 日経平均株価が心理的な節目の2万円を下回ったのは、世界的な景気の鈍化を投資家が織り込み始めたからだ。トランプ米政権の減税効果は2019年前半に剥落するとみられる。日本でも19年10月に消費増税を控え、個人消費の反動減が予想される。19年後半に景気の鈍化傾向が明確になるだろう。日経平均の当面の下値メドは1万9000円程度とみている。

 FRBがバランスシートの圧縮を進めていることやトランプ米大統領がFRBの金融政策に対して批判を強めていることも株式相場の重荷だ。

 もっとも日経平均が下落トレンドに入ったとはみていない。19年4〜6月には国内で改元などのイベントがあり、いったん10月の高値を試す場面もあるとみる。PER(株価収益率)など投資指標面でみて歴史的な割安水準にあるのも支えだ。その後は19年後半にかけて下落基調となるだろう。

〔日経QUICKニュース(NQN) 田中俊行 北原佑樹〕
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39331870V21C18A2000000/

 

終わりの始まり」と対峙する時

唐鎌大輔(みずほ銀行国際為替部 チーフマーケット・エコノミスト)

2018/12/25 06:14
この1週間でマティス辞任、政府機関閉鎖、パウエル解任報道が重なりました。元より米株が高いと言われていたことを踏まえれば、ひとたまりもないでしょう。その上で利上げの累積的な影響も重なれば・・・眼前の光景は必然の帰結と言えます。

「前年比下落で株価が越年する」。この事実こそがトランプ大統領が矛先をFRBに向け始めた最大にして唯一の理由でしょう。ちなみに米家計金融資産の30%が株ですから、こうなってくると逆資産効果を通じてしっかり実体経済に効いてくるはずです。

景気も、それに応じる資産価格も循環はするものです。とりあえず上昇相場とは暫しのお別れであり、「終わりの始まり」と直面する時が来たと考えたい所です。

NY株、大幅続落653ドル安 政治リスクに懸念広…(写真=AP)
【ニューヨーク=関根沙羅】24日の米国株式市場でダウ工業株30種平均が4営業日続落。終値は前週末比653ドル17セント(2
www.nikkei.com 

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/282.html

[経世済民130] 中国株、上海総合指数が大幅安、14年以来安値の方向 S&P500全業種が年初来マイナス 米財務長官、株安で大統領解任検討
中国株、上海総合指数が大幅安、14年以来安値の方向
Bloomberg News
2018年12月25日 13:42 JST
上海総合指数は前日比2.4%安−CSI300指数は2.3%下落
原油安で石油株が軟調−香港株式市場は祝日で休場
25日の中国株式相場は下落。上海総合指数はこのままいけば終値ベースで2014年以来の安値となる。中国政府の追加景気対策への期待よりも前日の米国株急落を巡る懸念が強い。

  上海総合指数は午前の取引終了時点で、前日比2.4%下落。原油安を受けて石油銘柄が軟調。CSI300指数は2.3%安、小型株から成る創業板(チャイネクスト)指数は2.9%値下がりしている。香港株式市場は祝日で休場。

原題:China Stocks in Line for Lowest Close Since 2014 After U.S. Rout(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-25/PK9ZKR6K50XS01?srnd=cojp-v2


 

S&P500種、全業種が年初来でマイナスに−24日の米国株下落で
Ryan Vlastelica、Brandon Kochkodin
2018年12月25日 14:52 JST
• ワシントンでの混乱が嫌気され、短縮取引で全11業種が値下がり
• S&P500種は先週、週間ベースで11年8月以来の大幅下落を記録

The New York Stock Exchange stands illuminated at night in New York. Photographer: Michael Nagle/Bloomberg
24日の米国株式相場は幅広く下落し、2018年に入り初めてS&P500種株価指数の全業種別指数が年初来でマイナス圏に入った。
  ワシントンでの混乱が嫌気され、24日の短縮取引で全11業種が値下がり。S&P500種は先週に週間ベースで2011年8月以来の大幅下落を記録していた。
  S&P500種の業種別指数で公益事業は前週末比4.3%安と、11年8月以来の大きな下げとなった。この値下がりを受け、年初来では2.1%安とマイナス圏入り。ヘルスケアも前週末比2.5%安、年初来では2.3%下落となった。
Nowhere to Hide
All 11 S&P 500 sectors turned negative for the year on Monday

Source: Bloomberg
  エネルギーは年初来で25%下落と、業種別で最大の下げ。素材は22%、資本財・サービスは20%、それぞれ値下がり。いずれも今年を通して相場の重しとなってきた通商政策を巡る不透明感に圧迫された。通信サービスは約21%安。フェイスブックなどの主要構成銘柄の下落が最近の値下がりにつながっている。
原題:What Stock Sectors Rose in 2018? After Monday, None of Them(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-25/PK9ZDG6JIJUO01?srnd=cojp-v2

 


 
米財務長官、株安の責任取らされる恐れ−大統領が解任検討と関係者
Margaret Talev、Andrew Mayeda、Ben Bain
2018年12月25日 10:48 JST
大手銀首脳や金融監督当局トップと協議も投資家の懸念解消に至らず
FRB議長解任の権限ないなら財務長官をいけにえと大統領が検討か

ムニューシン氏 Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
米株価下落に対するトランプ大統領の怒りの矛先は、政治的な混乱で投資家の間に広がった懸念を解消できずにいるムニューシン財務長官に向けられる可能性がある。ムニューシン氏は財務長官として直面した初めての危機を封じ込めるのに困難を来している。

  ブルームバーグ・ニュースは先に、匿名の関係者を引用し、数カ月にわたる株安に不満を募らせるトランプ大統領がパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の解任を話し合ったと報じた。ムニューシン長官は高まる市場の懸念に対処するため、23日に米銀大手6行トップに相次いで電話し、各行の流動性状況などを確認、24日には金融監督当局者の会合を開いたものの、懸念解消には至らなかった。

  トランプ大統領はこれまでツイッターへの投稿やインタビューで、市場動向への不満をパウエルFRB議長にぶつけてきたが、今後の矛先はムニューシン長官に向かう恐れがある。トランプ大統領の考えに通じている関係者1人によると、大統領はムニューシン長官の解任を検討しているという。また別の関係者は、ムニューシン長官の在任期間は相場がどのくらい下がり続けるのかによっても左右される可能性があると語った。

  ムニューシン長官と金融監督当局者との電話会議後、米株は下げ幅を拡大し、S&P500種株価指数は1年8カ月ぶりの安値で終了した。トランプ大統領はスケープゴート(いけにえ)を探し続けると考えられ、パウエル議長を解任する権限がないと認めた以上、それはムニューシン長官になりかねない。

  元財務省当局者で現在はビーコン・ポリシー・アドバイザーズでマネジングパートナーを務めるスティーブン・マイロー氏は、「ホワイトハウス内にはムニューシン氏のことを好ましく思わず、喜んで犠牲に差し出す人がたくさんいる」と発言。「ムニューシン氏はこれまで、トランプ大統領に好かれており、大統領に忠実ということで守られてきた」と説明した。

  財務省報道官はコメントをホワイトハウスに求めるよう語った。ホワイトハウスは返答しなかった。

原題:Mnuchin Risks Becoming Trump’s Target as Market Slide Worsens(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-25/PK9PBA6JTSE801

ワールド2018年12月25日 / 09:30 / 6時間前更新
米大統領、株価下落でムニューシン財務長官の解任検討か=ブルームバーグ
1 分で読む

[25日 ロイター] - ブルームバーグが関係者の話として伝えたところによると、株価下落に苛立ちを示すトランプ米大統領は、ムニューシン財務長官の解任を検討しているもよう。

トランプ大統領に近い人物は大統領がムニューシン財務長官の解任をすでに検討したと述べたほか、別の関係者は財務長官の任期は市場がどれほど下げ続けるか次第で決まる可能性があるとの考えを示したという。

トランプ大統領は就任以来、株価を政策運営の指標としてきた。大統領選後の株価上昇分がここ数カ月でほぼ吐き出される中、大統領は市場の動向を巡り、パウエル連邦準備理事会(FRB)議長への不満をたびたび表明している。ただブルームバーグによると、今度はその矛先がムニューシン氏に向かう可能性がある。
https://jp.reuters.com/article/trump-mnuchin-idJPKCN1OO01F


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/283.html

[経世済民130] トランプ大統領、FRBに永続的打撃か ムニューシン米財務長官はオオカミ少年 ドル円下落 長期金利ゼロ%に低下、昨年9月来
トランプ大統領、FRBに永続的打撃か

ティム・ドイ コラムニスト:Tim Duy
2018年12月25日 14:48 JST
大統領は危機を誘発するとともにその対処に必要な機関を弱体化も
事態がどれほど緊迫しているか過小評価すべきではない
トランプ米大統領はクリスマスイブのツイッターで、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長をあらためて目の敵にする考えを示した。ムニューシン財務長官はパウエル議長解任を示唆したことはないと大統領が語ったとツイートしたが、大統領は矛を収めるつもりはないと見受けられる。

  トランプ大統領がパウエル議長を解任しようとした場合、どのような事態になるかについて、われわれはシミュレーションを始める必要がある。それは端的に言って完全な混乱をもたらす公算が大きい。

  FRB議長解任の法的枠組みは引き続き議論が分かれる問題だ。連邦準備制度の歴史に詳しいペンシルベニア大学ウォートン校のピーター・コンティブラウン准教授は、大統領がパウエル議長を単なるFRB理事に降格させようと試みる可能性を指摘する。それでもまだ、パウエル氏は政策金利を決める連邦公開市場委員会(FOMC)の議長ポストにとどまる可能性がある。こうした状況に金融当局がどのように反応するかは不透明だ。

  私見では、市場参加者にとって最善のシナリオは、パウエル氏がFRB議長および理事の座を退き、クラリダ副議長がその後任になるというものだ。その場合、株価は下落し、恐らく急落する恐れもあるが、米国債相場は急上昇する。クラリダ氏率いる当局者は2019年1月29、30日に予定されているFOMCもしくは、それに先立つ緊急会合開催で利下げに踏み切ると想定される。その結果、相場は好転し新体制への移行も急速に進み、ウォール街の変動の影響が実体経済に及ぶことはないだろう。

  最悪のシナリオはFRB側が一歩も譲らず、中央銀行としての独立性を守るための方策として、法廷でトランプ大統領と争う選択をした場合だ。そうした事態になれば、いつまでも収拾に至らないまま金融市場に「リスクオフ」の流れが続き、最終的には実体経済にも害が及ぶようなダメージを経済全般に引き起こすことになるだろう。

  だが最善のシナリオの下であっても、連邦準備制度は損害を免れることはなく、既に痛手を被っているとも言える。市場や経済への打撃を和らげる何らかの行動が現段階で金融当局によって講じられれば、それはいずれもトランプ大統領の要求に屈したのにすぎないような印象を与えるリスクがある。換言すれば、大統領のばかげた行動によって金融当局の対応を必要とする不確実性が生じれば、独立性の体裁は失われる恐れがあるのだ。

  このため今後何が起きるにせよ、われわれは今や危険かつ未知の領域に入ってしまったことになる。将来の金融危機に効果的に対処する能力が政府にあるかどうか明らかでないため、連邦準備制度は前回の危機の際よりも大きい役割を果たす必要があろう。しかし、大統領がもたらしたダメージによって、当局は以前よりも効果的な政策対応ができなくなる可能性がある。

  実際、トランプ大統領は危機を引き起こすのと同時に、そうした危機に対処する機関を弱体化させているように受け止められる。事態がどれほど緊迫しているか過小評価すべきではない。大統領がツイッター投稿で怒りをぶちまけるたびに、現在の株安や他のリスク資産の弱気相場を一段と悪化させる危険性は高まるのだ。

(このコラムを書いたティム・ドイ氏は米オレゴン大学の教授で、「 ティム・ドイのフェッドウオッチ」の執筆者です。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Trump May Have Done Lasting Damage to the Fed: Tim Duy(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-25/PKA01Y6TTDS001?srnd=cojp-v2

 


 
為替フォーラム2018年12月25日 / 11:30 / 2時間前更新

「オオカミ少年」となったムニューシン米財務長官
Antony Currie and Richard Beales
3 分で読む

[ニューヨーク/ロンドン 24日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ムニューシン米財務長官は23日、米主要6銀行トップとの電話協議に関し、「金融メルトダウン」時のような文言を使った。株安や米政府機関閉鎖、トランプ米大統領による米連邦準備理事会(FRB)議長批判など、ありきたりと言ってよい問題への対処で必要以上に騒ぎ立てたことで、長官は「オオカミ少年」になってしまった。

米国の経済と市場を統べる人物が米主要6銀行のトップと電話で会談し、銀行には「十分な流動性がある」との公式な声明を出す必要があると感じたならば、投資家が警告サインを見落としていないかと心配になるのはうなずける。投資家は続いて自分の資産を守ろうと動き、誰もが避けたい流動性逼迫のような状態が発生する恐れがある。

流動性危機が起こっていないのに、こうした声明が出た真意について、大半の市場関係者の解釈は以下の3つに分かれそうだ。1つは、最近の株式相場急落を巡る批判を、通商紛争や政府機関閉鎖問題などトランプ政権の政策から遠ざけるための新たな試みだという解釈。トランプ氏はFRBの利上げを巡ってパウエル議長を攻撃し、ムニューシン長官はこの週末に火消しを図っていた。

トランプ氏や政権内の他の経済顧問らによって影が薄くなったムニューシン長官が、自らの存在感を示そうとした可能性もある。あるいは単に調整の不備と長官自身の経験不足が重なっただけかもしれない。財務省のメモは誤字を含み、米商品先物取引委員会(CFTC)のスペルも間違ったまま、突然ツイッターに投稿された。

こうした解釈により、投資家は声明への過剰反応を避けるだろうが、長い目で見れば大きな安心材料ではない。危険なのは、ムニューシン長官が次にもっと根拠のある危機に警告を発しても、市場関係者が無視してしまうことだ。もう1つの危険は、実際に危機が訪れた時、長官の対処能力が信頼されないことだろう。

●背景となるニュース

・ムニューシン米財務長官は23日、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)(BAC.N)、シティ(C.N)、ゴールドマン・サックス(GS.N)、JPモルガン・チェース(JPM.N)、モルガン・スタンレー(MS.N)、ウェルズ・ファーゴ(WFC.N)の大手米銀6行の最高経営責任者(CEO)と電話協議を行った。ムニューシン長官と財務省が同日、ツイッターへの投稿で明らかにした。

・財務省によると、6行のトップはムニューシン長官と協議で、貸し出しに充てる十分な流動性があることを確認。決済や証拠金に絡む問題は生じておらず、市場は引き続き適切に機能していると述べた。

・ムニューシン長官は24日、米連邦準備理事会(FRB)や米証券取引委員会(SEC)など米規制当局の当局者とも会談した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-mnuchin-idJPKCN1OO04S


 

 

長期金利がゼロ%に低下、昨年9月以来−株急落や需給逼迫観測で
三浦和美、山中英典
2018年12月25日 8:03 JST 更新日時 2018年12月25日 11:12 JST
• 日経平均株価は2万円の大台割れ、一時900円超の下げ幅に
• マーケットリスクを取れなくなってきているーSBI証
長期金利が1年3カ月ぶりにゼロ%まで低下した。株式相場の急落によるリスク回避の買いに加えて、現物債の需給逼迫(ひっぱく)が強まっていることが背景にある。
  債券市場で長期金利の指標とされる新発10年物国債利回りは一時ゼロ%と、2017年9月11日以来の低水準を付けた。国内株式相場が大幅に下げると水準を切り下げた。午前の日銀国債買い入れオペの通知後には超長期債が大きく買い進まれ、長期金利もつられてゼロ%まで達した。その後は0.01%にやや戻している。 
  SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジストは、長期金利がゼロ%に低下したことについて、「内外の株価下落を受けて、マーケットリスクを取れなくなってきている」と説明。日銀はこの日の国債買い入れオペを据え置き、足元は減額するような環境ではないことを確認したと指摘し、一部の資金が債券市場に流れているとしている。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-24/PK9J5Y6K50XS01?srnd=cojp-v2

 

ワールド2018年12月25日 / 04:44 / 2時間前更新
原油先物は6%超の下げ、経済鈍化懸念で
1 分で読む

[ニューヨーク 24日 ロイター] - 米国時間の原油先物は6%を超す下げとなり、1年長ぶりの安値水準となった。経済鈍化への懸念が市場を席巻している。

清算値は米WTI原油先物CLc1が3.06ドル(6.7%)安の1バレル=42.53ドル。北海ブレント先物LCOc1が3.35ドル(6.2%)安の1バレル=50.47ドル。両先物とも取引時間中に2017年以来の安値をつけた。9月末以降では約40%安となっている。

プライス・フューチャーズ・グループ(シカゴ)のアナリストは「株式市場での出来事を背景に、経済が停滞し、将来的な原油需要がなくなるとの懸念が高まった」と指摘。経済鈍化を織り込み始めたとし、今四半期の価格下落が生産抑制を引き起こす可能性があるとした。
https://jp.reuters.com/article/global-oil-idJPKCN1ON13M

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/284.html

[経世済民130] 平成時代に変貌した日本企業「株10万円」への布石=武者陵司 2019年市場揺さぶるビック3 米政治不安・株安でリスク回避

コラム2018年12月25日 / 11:20 / 3時間前更新
オピニオン:
平成時代に変貌した日本企業、「株10万円」への布石=武者陵司

武者陵司 武者リサーチ代表
4 分で読む

[東京 25日] - 日本が戦後に築き、高成長をもたらしたビジネスモデルは、平成になって機能不全に陥った。経済も社会も長い低迷期に入ったが、実はその30年間で日本企業は事業構造を転換し、史上空前の利益を生み出すことに成功したと、武者リサーチの武者陵司代表は指摘する。新たな価値創造の仕組みはまもなく始まる次の時代に実を結び、日経平均は10万円が視野に入ると予想する。

同氏の見解は以下の通り。

平成という時代は、単に昭和から元号が変わっただけではない。「大繁栄」から「大挫折」へ、経済も社会も著しく変貌した。

それを端的に表しているのは株式市場で、日経平均は東京証券取引所が再開した1949年から89年までの40年間で、約400倍上昇した。年率16%の高成長だ。一方、平成時代の30年間は、横ばい、もしくは若干のマイナスで終わろうとしている。

たしかに、平成は表面的には困難で停滞した時代だった。しかし、次代に繁栄するための土台を形作る期間でもあった。

米国で実現した様々な技術を有利に導入し、安いコストで生産して世界的なシェアを高めていく──。昭和の飛躍を支えた日本企業の価値創造メカニズムは、冷戦の崩壊とともに終わりを迎えた。

貿易摩擦で米国から厳しい要求を突きつけられると同時に、急速な円高で価格優位性が失われ、日本が世界で築き上げた地位は韓国、台湾、中国に奪われた。昭和の時代に成功したビジネスモデルは、平成に入って完全に機能しなくなり、それが経済、企業収益、株価の停滞につながった。

<価格競争からの脱却>

ところが、平成が終わる今、日本企業は史上空前の利益を生み出している。

法人企業統計によると、金融と保険を除く全産業の売上高経常利益率は4─6月期に7.7%、製造業に限れば過去最高の10.5%を記録。7─9月期は台風や地震の影響で低下したものの、日本企業はこの30年間で価格競争から脱し、技術や品質で優位に立つビジネスモデルの構築に成功した。

例えば、超高速で大容量の情報をやりとりできる次世代通信規格「5G」端末には、村田製作所 (6981.T)やTDK (6762.T)の高周波デバイスが欠かせない。ファナック (6954.T)の産業用ロボットも必須だ。

最終製品では日本企業の存在が目立たないが、それを支える企業向け「BtoB」の世界では圧倒的な地位を確立した。中国企業も韓国企業も組み立てメーカーにすぎず、日本が供給する部品や半導体製造装置、素材といった重要な技術がなければ何も作れない状態に陥っている。

自動車産業も省エネ技術はことごとく日本発で、欧米メーカーは活力を失っている。仏ルノー (RENA.PA)と日産自動車 (7201.T)を巡る騒動も、もともとは20年前に比べて日産が圧倒的に強くなってしまったという不均衡が引き起こしたものだ。

日本企業はこの新しい価値創造メカニズムを武器に、グローバル化を加速させている。経常収支に占める1次所得収支の黒字規模の大きさからも明らかなように、日本では多国籍企業による収益が大きく増加している。

<年10%の株価上昇も>

新たに築いたビジネスモデルがどういうものか、まだ誰もきちんと定式化していないが、健全で持続性がある仕組みであることは間違いない。まもなく迎える次の時代に、さらに大きく開花するだろう。

テレビやパソコン、スマホは個人向け製品であり、需要は人口に制約される。一方、これから本格的に立ち上がるIoT(モノのインターネット)は、いたるところに端末が配置される。しかも、1台1台求められる機能が異なるため、高度なすり合わせが必要になる。これは日本企業が最も得意とするところであり、優位性はさらに高まる可能性がある。

これまで世界的な存在感が薄かった製薬も、再生医療などの次世代分野では競争力を発揮する可能性がある。2014年の薬事法改正で再生医療薬の認可プロセスが速まり、日本はベンチャー企業に有利な環境を整えている。

強化された企業の稼ぐ力を背景に、日本の株価は今後、年率10%の上昇があり得る。企業利益が年4─5%のペースで増え、現在割安な株価のバリュエーションが年4─5%のペースで上昇を続ければ、日経平均は2033年から34年にかけて10万円が見えてくるだろう。

東証の株式時価総額は3000兆円近くに膨らみ、税収も増えるため、今の政府債務や年金の問題は解消されるとみている。

*本稿は、ロイター特集「平成を振り返る」に掲載されたものです。武者陵司氏にインタビューし、同氏の個人的見解に基づき書かれています。

(聞き手:久保信博)

武者陵司 武者リサーチ代表(写真は筆者提供)
*武者陵司氏は、武者リサーチ代表。1973年横浜国立大学経済学部卒業後、大和証券に入社。87年まで企業調査アナリストとして、繊維・建設・不動産・自動車・電機エレクトロニクスなどを担当。その後、大和総研アメリカのチーフアナリスト、大和総研の企業調査第二部長などを経て、97年ドイツ証券入社。調査部長兼チーフストラテジスト、副会長兼チーフ・インベストメント・アドバイザーを歴任。2009年より現職。
https://jp.reuters.com/article/opinion-ryoji-musha-idJPKCN1OO03X


 


 
外為フォーラムコラム2018年12月25日 / 14:30 / 25分前更新

2019年の市場を揺さぶる「ビック3」は誰か


尾河眞樹 ソニーフィナンシャルホールディングス 執行役員兼金融市場調査部長
5 分で読む

[東京 25日] - 今年も筆者が考える2019年の「注目人物トップ3」を紹介しながら、来年の為替相場を展望してみたい。まず、来年注目したい人物の第3位は、今年の注目度ナンバーワンと予想したドナルド・トランプ第45代米国大統領だ。

このコラムで昨年予想した通り、トランプ大統領は善かれ悪しかれ、今年最も注目を集めた人物であったと言えよう。11月に行われた米中間選挙は、今年最大の政治イベントであり、事実上、トランプ政権への「信任投票」と位置付けられ、かつてないほど注目が集まった。

トランプ大統領は、メディア叩きや中国政策はもちろんのこと、その立ち居振る舞いから自由奔放な発言、ソーシャルメディアの使い方に至るまで、異例尽くしの大統領であり、就任後2年間の成績表に対し、国民がどのような判断を下すのかが注目された。

選挙期間中はトランプ氏の一挙手一投足が注目され、それに対する国民の反応が報道されるたび、米国内で起きている「分断」が浮き彫りとなった。結果は上院で共和党、下院で民主党がそれぞれ過半数議席を獲得したが、金融市場でも「ねじれ議会」の可能性は事前に織り込まれていたため、選挙直後の為替相場への影響は限定的だった。

下院を民主党に奪われた結果、例えば選挙期間中にトランプ大統領が自ら述べた「中間層に対する10%の減税」といった減税策については、議会での法案成立が極めて困難になった。年初からはトランプ政権の政策運営が議会によって制限される可能性があり、今年よりも同大統領の政策に対する注目度は低下するかもしれない。筆者が同大統領の注目度ランキングを18年の1位から3位に引き下げたのもこのためだ。

ただ、注意しなければならないのは、今回の選挙結果が金融市場にとって「吉」と「凶」のどちらにも転ぶ可能性がある点だ。トランプ大統領は20年の次期大統領選での勝利、続投を視野に入れているはずだ。「吉」と出る場合、同大統領は景気を押し上げ、株価を回復させる政策を打つと思われる。したがって、インフラ投資などのような民主党が前向きな政策については推進できる公算が大きい。

実際、民主党のペロシ下院議長も中間選挙後、「トランプ大統領と話し合った結果、インフラと処方薬価引き下げにおいて両党の連携が可能」との見方を示した。これが実現すれば、米国株式市場やドル円相場にとって上昇要因となろう。

一方、「凶」と出る場合は、大統領権限のみで発動できる政策、例えば中国製品に対する関税引き上げなどの通商政策や、為替政策を、重点的に行うリスクが高まる。19年1月から本格的な協議が開始される日米物品貿易協定(TAG)や、90日間の「一時休戦」期限が2月末に到来する米中貿易戦争などで、トランプ政権が強硬路線を強めれば、円高ドル安が進行する公算が大きい。来年もトランプ大統領は「台風の目」になりそうだ。

19年の注目人物第2位は、ジェローム・パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長である。

FRBは12月18、19日に行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、今年4回目となる利上げを実施。その後、米株価は大幅に崩れ、為替市場では直後こそ反応は軽微だったものの、翌日の日経平均株価が大幅安となると、円高・ドル安圧力が強まった。直前に市場が抱いた利上げ期待、つまり「利上げの織り込み度」が68%まで低下していたにもかかわらず、利上げが決定されたことが嫌気された。加えて、FOMCメンバーによる政策金利見通し(ドットチャート)では、19年の利上げ予想回数が3回から2回へと引き下げられたものの、市場予想の1回未満には届かなかったため、「FRBは十分にハト派的でない」と受け取られた。

パウエル議長は会見で、金融市場の環境が厳しくなったことを認識しつつも、「経済は引き続き堅調である」と述べている。それでも利上げの軌道を9月時点から引き下げたことは、市場環境、特に最近の株価の動向に配慮した可能性が高い。

しかし、足元の良好な雇用情勢や高水準の景況感をみれば、このところの米株価の急落は心理的な面が大きく、市場参加者は米国の景気後退を先取りし過ぎている可能性が高い。今回のFOMCで19年の利上げ予想回数を1回まで引き下げて欲しいと願うのは、さすがにFRBの緩和政策に期待しすぎではないだろうか。

19年からは、毎回のFOMCでパウエル議長による記者会見が行われることになる。同議長は11月14日の講演で、「全会合が利上げの可能性に向け『ライブ』であることを意味する」と述べた。したがって、FOMC会合のたびに会見するパウエル議長の注目度は一層高まろう。

さらに今回の利上げを巡り、FOMC前に利上げをけん制していたトランプ大統領との間に早くも亀裂が生じている。報道によれば、トランプ大統領はパウエル議長解任の可能性を非公式に議論したという。実現することはないとみているものの、万一その可能性が浮上すれば、米国の中央銀行の中立性に疑問符が付き、ドルは大きく下落するリスクがある。

19年の注目人物第1位は、テリーザ・メイ第76代英国首相だ。3月末に控える英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)は、世界中の注目を集めるだろう。

12月11日に予定されていた離脱協定案に対する議会採決が延期されてからというもの、英国議会は波乱の展開となっている。保守党内でのメイ首相に対する信任投票が可決し、ほっとしたのも束の間、その後、EU側が離脱協定案の修正、譲歩はしないと分かると、議会でメイ首相降ろしの動きが活発化した。

Slideshow (2 Images)
メイ首相は離脱協定案に対する議会採決を1月14日の週に延期。これを受けて、野党労働党のコービン党首は17日、メイ首相に対する不信任決議案を下院に提出した。

EU側が譲歩できないのには理由がある。譲歩すれば「合意なきブレグジット(ハード・ブレグジット)」に突き進むリスクは低下するものの、「秩序だったブレグジット(ソフト・ブレグジット)」となれば、他の域内国にも同様の離脱を求める動きが広まるリスクが高まる。イタリアは既に反EU政権である上、財政問題を抱えるフランスでもEUに対する国民の不満は高まっている。

タイムリミットが刻々と迫る中で、欧州委員会は19日、ハード・ブレグジットに向けた準備を進めると発表。デリバティブ商品の取引や、航空便、陸運業その他複数の領域で現状を維持できるよう14項目の条例を発表した。なお、3月末のスケジュール自体を先延ばしする案も浮上している。英国議会では解散総選挙を行い、いま一度国民投票を実施すべき、あるいは離脱自体を止めるべき、との声もある。

英国民のみならず、欧州経済にも影響を及ぼす可能性がある一大イベントであるにもかかわらず、今後の見通しは極めて不透明な情勢だ。英ポンドのみならず、リスクオフとなれば一時的には大幅に円高が進行するリスクもある。19年はメイ首相のかじ取りから目が離せない。

*本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

尾河眞樹氏 ソニーフィナンシャルホールディングス 執行役員兼金融市場調査部長(写真は筆者提供)
*尾河眞樹氏は、ソニーフィナンシャルホールディングスの執行役員兼金融市場調査部長。米系金融機関の為替ディーラーを経て、ソニーの財務部にて為替ヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析、および個人投資家向け情報提供を担当。著書に「本当にわかる為替相場」「為替がわかればビジネスが変わる」「富裕層に学ぶ外貨投資術」などがある。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

(編集:下郡美紀)
https://jp.reuters.com/article/japan-stocks-yen-instantviews-idJPKCN1OO043

 

ドル・円は下落、米政治不安・株安でリスク回避−約4カ月ぶり安値
池田 祐美
2018年12月25日 11:13 JST
• 朝方の110円46銭から一時110円08銭まで下落、8月22日以来のドル安
• 米政治不安重なりドル・円下落、今週中に110円割れもー三井住友銀
東京外国為替市場のドル・円相場は、約4カ月ぶりのドル安値を付けた。米政府機関の一部閉鎖などを懸念した世界的な株安を背景に、リスク回避のドル売り・円買いが優勢となっている。
• 25日午前11時02分現在のドル・円は前日比0.2%安の1ドル=110円23銭。一時は110円08銭と8月22日以来のドル安・円高水準
• 円は主要16通貨に対して全面高
• ユーロ・ドル相場は同時刻現在、0.1%高の1ユーロ=1.1416ドル
市場関係者の見方
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジスト
• 米政府機関が閉鎖されている間は不安要因となりドル売り要因。欧米はクリスマス、日本は年末年始を控えて、株は安いからというだけでは買いが入らない時期。薄商いの中で、110円割れてストップロスを付けたらどこまで下がるか分からない
• ただ、日経平均株価が2万円割れた割には、ドル・円は110円割れていないので意外と底堅い印象。米国株売りでも米国債が買われており、極端なドル安にはなっていない
三井住友銀行の山下えつ子チーフエコノミスト(ニューヨーク在勤)
• ドル・円、米景気後退・利上げ懸念などを背景にリスクオフ基調だったところに、政治リスクが追い打ちをかけ、今週中に110円割れもありそうな状態
• 米政府機関閉鎖が長引きそうな見通し、マティス国防長官辞任前倒し、パウエル議長を解任するような協議など不穏な報道が出て、米政治に起因する不安要素が重なり、ドル・円下落。ムニューシン米財務長官が、株大幅安を受け、会議を開いたことも、市場心理にはネガティブ
• ユーロ・ドル、米国発の株下落で、ドルが売られている状況下、ユーロが買われる動き。今週は1.1500ドルまで上げてもおかしくない
背景
• 日本株は5営業日続落。日経平均株価は一時960円13銭(4.8%)安の1万9206円06銭まで下落し2017年5月1日以来の安値を付けた
• 米長期金利の前日終値は5ベーシスポイント(bp)低下の2.74%程度
• 米政府機関の一部閉鎖、3日目に突入−再開に向けた緊迫感見られず
• トランプ大統領:FRBは米経済の「唯一の問題」−理解力ないと非難
• 米財務長官、投資家の懸念解消できず−金融監督当局者と協議でも
• 米財務長官:米銀大手6行トップに相次ぎ電話−市場の安定巡り
• NY連銀総裁:利上げの見解はあくまでガイダンス、約束ではない
• マティス国防長官の退任、2カ月前倒し−見解相違との辞表原因か

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-25/PK9RXV6JIJUP01

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/285.html

[国際24] トランプに洗脳された男 ロシアはこの2年間、トランプが嘘をついて隠蔽してきた事実を把握し 弱みを握っていた
海野素央の Love Trumps Hate

トランプに洗脳された男

2018/12/25

海野素央 (明治大学教授、心理学博士)

 今回のテーマは「トランプに洗脳された男」です。マイケル・コーエン被告は2007年から、複合企業トランプ・オーガニゼーションの社員として働き、後にドナルド・トランプ米大統領の「火消し役」として顧問弁護士を務めました。コーエン被告は合計で約10年間、トランプ大統領に仕えてきたわけです。

 これまでに起訴されたポール・マナフォート元選対本部長、マイケル・フリン元大統領補佐官、ジョージ・パパドポロス元外交顧問などの側近の中で、コーエン被告はトランプ大統領に最も近い人物であったといえます。ニューヨーク連邦地裁は12月12日、そのコーエン被告に脱税、米議会での偽証及び選挙資金法違反などの罪で、禁錮3年の実刑判決を言い渡しました。

 本稿では、コーエン被告の証言並びにトランプ大統領の弁護団を率いる元ニューヨーク市長ルディ・ジュリアーニ氏の反論の分析を中心に述べます。


(Feodora Chiosea/Gettyimages)
コーエンの重要証言
 コーエン被告から数々の重要証言が飛び出しました。同被告は判決後、米ABCニュースのインタビューに応じ、その中で「トランプ大統領はロシアについて真実を語っているか」という質問に対し、「いない」と明言しました。ロバート・モラー特別検察官の捜査に協力している最中なので、同被告はロシア疑惑に関して詳細を語りませんでしたが、重要証言であることは確かです。

 加えてコーエン被告は、トランプ大統領と不倫関係にあったとされるプレイボーイ誌の元モデルカレン・マクドゥーガル氏と、元ポルノ女優ストーミー・ダニエルズ氏(本名ステファニー・クリフォード)に支払った口止め料についても語りました。同被告によれば、2人の不倫相手が告発した場合、「(大統領は)不倫関係が自分と選挙にどのような影響を与えるのかについて非常に懸念していた」というのです。これも重要証言です。

 仮にこの証言が真実であれば、口止め料はトランプ大統領が主張しているような「完全にプライベートなもの」「単なる個人的な金銭のやり取り」ではなく、大統領選挙の結果に影響を与えようと意図的に行われたものになります。

焦点は選挙資金法違反
 2人の不倫相手への口止め料について、以下で詳しくみていきましょう。

 まずコーエン被告は、タブロイド紙「ナショナル・エンクアイアー」に、トランプ大統領とマクドゥーガル氏の不倫関係の記事が掲載されるのを阻止するために、親会社のアメリカ・メディア社(AMI)を通じて15万ドル(約1670万円)で記事を買い取り、もみ消しました。時期は、第1回大統領候補テレビ討論会が開催される1カ月前の16年8月です。

 コーエン被告は、トランプ大統領の指示で行ったものであり、同大統領は口止め料の違法性を認識していたというのです。これも注目に値する証言です。

 トランプ大統領のこの隠蔽工作とみられる行動について、コーエン被告と同大統領の友人であるAMIの最高経営責任者(CEO)デービッド・パッカー氏の証言は一致しています。

 トランプ大統領は、ダニエルズ氏との不倫関係に関しても対策を講じました。同大統領とダニエルズ氏は、メラニア夫人がバロン君を生んだ2、3カ月後に不倫関係になったといわれています。コーエン被告は、ダニエルズ氏を黙らせるために取引をし、投票日直前のタイミングで、13万ドル(約1450万円)を建て替えて支払いました。

 それに関して、トランプ大統領はコーエン被告に返済したと語りました。こここがポイントです。

 トランプ大統領はコーエン氏個人に「献金」をしたとみなされました。選挙期間中における個人への献金額の上限はわずか5400ドル(約60万円)で、13万ドルはそれをはるかに上回る額です。従って、トランプ大統領も選挙資金法違反になります。

トランプの洗脳パワー
 コーエン被告は、同インタビューで「自分の弱さはドナルド・トランプへの忠誠だった」と、過去の自分を振り返りました。以前、「(トランプ)大統領の身代わりなら銃弾も受ける」と発言したほどです。

 コーエン被告は次のように述べました。

 「忠誠を尽くすに値しない人物に、忠誠を費やしてしまった」

 クライアントの悪行の隠蔽工作に追われたコーエン被告は、トランプ大統領に完全に洗脳されていたのでしょう。

 「私にはいま自由がある」

 コーエン被告はこう語りました。

スピンコントロール
 ではジュリアーニ氏は、どのような方法でトランプ大統領を弁護したのでしょうか。

 ジュリアーニ氏は、米ABCニュースの政治番組で、スピンコントロールを用いました。スピンコントロールとは、一言で言ってしまえば、情報操作です。論点や争点のすり替え及び都合のよい証拠やデータの提示などによって、状況を自分に有利な方向へ変える政治手法の一種です。

 クリケットの投手が、ボールがバウンドした後、進行方向が変わるようにスピンをかけることが由来であるといわれています。スピンコントロールに長けた人をスピンドクターと呼んでいます。正にジュリアーニ氏がそうです。

 ジュリアーニ氏はトランプ大統領の不倫相手に対する口止め料に関して、「大統領は家族と子供たちのことを心配していた」と主張して、論点をすり替え、選挙結果に影響を与える目的ではなかったと結論づけたのです。さらに、口止め料について一言こう述べました。

 「ハラスメント程度だった」

 ジュリアーニ氏は問題の過小化を図りました。

 加えて、2008年米大統領選挙においてオバマ陣営が選挙資金法違反で罰金を支払ったと指摘し、争点を変えようとしました。トランプ大統領も自身のツイッターに、オバマ陣営の選挙資金法違反について投稿しています。

 当時、オバマ陣営は政治献金に関する書類の提出が期限を過ぎてしまい、米連邦選挙委員会(FEC)に37万5000ドル(約4170万円)の罰金を支払いました。

 しかし、今回のトランプ陣営の選挙資金法違反は、罰金を支払うだけでは済まされません。もしコーエン被告及びパッカー氏の証言が真実であるならば、口止め料の支払いはトランプ大統領と協議したうえでの決定です。同大統領の口止め料の主たる目的は、選挙結果に対する影響であり、それが動機づけになっています。

 結局、トランプ大統領は共謀して罪を犯した可能性が高いということになります。この点でオバマ陣営とはまったく次元が異なるのです。

ジュリアーニの大失言
 ジュリアーニ氏は同政治番組の中で、コーエン被告の忠誠に関する議論を封じ込めようとして、同被告がトランプ大統領とのやり取りを録音した問題を取り上げました。そのうえで、コーエン被告の人格攻撃を始めたのです。

 「(コーエン被告は)トランプ大統領に忠実でははく、自分に忠実であった。自分の保身ばかりを考えている。減刑のためにあることないことを言いふらす」

 ところがモスクワにおける高層ビル建設プロジェクト、いわゆるトランプ・タワー・モスクワ建設の時期について司会者から質問をされると、ジュリアーニ氏はつい口が滑ってしまったのか、新たな情報を提供してしまったのです。

 コーエン被告はトランプ・タワー・モスクワ建設の交渉は、2016年1月に終了したと米議会に虚偽の証言をしました。その意図は、ロシアとの交渉は、米大統領選挙が本格化する前に打ち切ったので、トランプ陣営と同国との接触はなかったという誤った印象を与えることだったのでしょう。

 後に、コーエン被告は大統領選挙期間中の2016年6月までロシアとトランプ・タワー・モスクワ建設交渉を継続していたことを認めました。トランプ大統領は同年4月に外交政策に関する演説を行い、ロシアに対して融和的な政策を示しています。

 話を戻しましょう。ジュリアーニ氏は、トランプ・タワー・モスクワ建設の交渉時期に関して、次のように回答しました。

 「2016年11月まで続いていた」

 これこそが最重要証言です。

 米大統領選挙終了まで、ロシアとの交渉が継続していたのです。選挙期間中も、トランプ大統領はコーエン被告からロシアとの交渉の経過報告を受けていたとみて、まず間違いないでしょう。トランプ氏がロシアに対して融和姿勢を示してきた本当の理由が明らかになってきました。

 これは実に深刻な問題です。ロシアはこの2年間、トランプ大統領がトランプ・タワー・モスクワ建設交渉の時期について、嘘をついて隠蔽してきた事実を把握していました。トランプ氏の弱みを握っていたわけで、それがロシアに有利に働いた可能性があるからです。

 これを機に、トランプ大統領は国民を欺瞞して勝利した大統領であり、合法的ではないという声が高まるのか、そこに注目です。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14886
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/864.html

[国際24] 北朝鮮に強いシグナルを送った米国「歯がズレて」死亡の米大生、北朝鮮が拷問552億円賠償命令 北朝鮮軍兵士による襲撃多発
世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

北朝鮮に強いシグナルを送った米国

2018/12/25

岡崎研究所

 米国財務省は、12月10日、北朝鮮の高官3名に対する制裁を発表した。そのプレス・リリースの主要点を紹介する。


(Julianna Nazarevska/ANNECORDON/budazhok/iStock)
・米国財務省の外国資産管理室(OFAC)は、北朝鮮で行われている深刻な人権侵害・弾圧に対して、3名の個人を指定した。この財務省の措置は、2016年の北朝鮮に対する制裁及び政策強化法(NKSPEA)に従って、本日、国務省が議会に提出した「北朝鮮の深刻な人権侵害・弾圧に関する報告書」に基づくものである。

・ムニューチン財務長官は述べた。「財務省が制裁対象とする北朝鮮高官は、北朝鮮による人権侵害を指揮した人達である。この制裁措置は、米国が行っている表現の自由の擁護や人権侵害への反対等の立場を示した行動である。米国は、一貫して、北朝鮮の人権侵害や表現の自由への弾圧に対して非難してきた。米政権は、引き続き、世界における人権侵害に対して行動を取って行く。」

・今回の措置は、北朝鮮が自国民に対して行っている扱いとともに、18か月前に亡くなった米国民、オットー・ワームビアさんに対する酷い扱いも想起したい。彼は、この12月12日で、24歳になるはずだった。彼の両親及び遺族たちは、いまも彼を追悼している。トランプ大統領は、2018年の一般教書演説で、米国は決意をもって、オットー・ワームビアさんに哀悼の意を捧げると、約束した。今回の措置は、この米国の決意の表れでもある。

・今回の指定は、大統領命令13687に基づくもので、北朝鮮政府と朝鮮労働党(WPK)等の幹部を対象にし、NKSPEAと適合する。今日指定された個人は、既に制裁対象となっていた組織、国家保衛省(MSS)、公安省(MPS)、WPKの組織・指導部(OGD)及び宣伝扇動部(PAD)に属す。

・国務省によると、今回指定された鄭敬沢(チョン・ギョンテク)は、MSSが行った人権侵害・弾圧を指導したと言われている。崔竜海(チェ・リョンヘ)は、OGDの部長であり、党、政府、軍を統括する「ナンバー2」と言われる。OGDは、党の強力な部署で、イデオロギーの監視を行ったり、党の政治的政策を実施したりする機関である。例えば、WPKの幹部が党の方針と異なることを述べてしまった際は、すぐに自己批判をさせる。崔竜海は、党中央員会の執行部の副委員長でもある。朴光浩(パク・グァンホ)は、WPK宣伝扇動部長で、表現の自由の弾圧を行なったり、イデオロギーの統制をしたりする責任者である、と国務省の報告書では述べられている。

・米国は、深刻な人権侵害をした者に制裁を課し、その者たちが濫用をしないよう米国の金融システムを守る。2017年1月以来、米財務省は、500人以上の個人・団体を制裁対象として指定した。北朝鮮以外にも、シリア、南スーダン、コンゴ、ベネズエラ、イラン、ロシア等を対象にした。

・今回の制裁により、OFACによって指定された者の米国内の資産は凍結され、米国人と指定された者たちとの取引は禁止される。

参考:U.S. Department of the Treasury ‘Treasury Sanctions North Korean Officials and Entities in Response to the Regime’s Serious Human Rights Abuses and Censorship’ December 10, 2018

 12月10日、米国財務省は、北朝鮮の3人の高官に対しての金融制裁を発表した。

 今回の指定により、3人の在米資産は凍結され、米国人がこれらの者と取引を行うことが禁止される。実質よりも象徴的な意味合いの濃い措置であるが、北朝鮮に一層の圧力を掛けるものであり、北朝鮮に強いシグナルを送ったものと言える。

 12月10日の崔竜海等の制裁発表に続き、翌11日には、国務省が、北朝鮮では信教の自由が侵害されているとして、北朝鮮を今年も「宗教自由特別懸念国」に指定した。これは1998年に制定された「国際信教の自由法」に基づく指定であり、北朝鮮等10か国がそれに指定され、北朝鮮の指定は17年連続だという。

 北朝鮮の非核化を巡る米朝交渉が膠着し、南北関係も文在寅大統領が望むようには進展していない。文在寅が熱望する金正恩労働党書記長の年内ソウル訪問もほぼ不可能になったと青瓦台も今や観念したようだ。

 そんな最中に、米国は12月10日、11日と連続で人権侵害などを理由に対北朝鮮措置を出したことになる。

 また、米国政府は、11月末には北朝鮮に人道支援以外の支援をしないこと、国際金融機関による北朝鮮への融資に米国から出ている理事が反対するよう訓令する大統領決定を行った。これは、6月発表の今年の「人身売買報告書」で北朝鮮等を引き続き最悪国に指定したことを受けたものである。なお、昨年11月には、北朝鮮は、「テロ支援国家」に再指定された。

 北朝鮮はゆくゆく IMF、世銀、アジア銀行など国際金融機関に加盟し、融資を受けることを望んでいると言われ、韓国の文在寅政権はそれに好意的な姿勢を示している。しかし一連の米国の措置は、国際機関からの融資を難しくするものである。早速12月11日、北朝鮮労働新聞は米国による北朝鮮人権問題措置に対して、「米朝首脳会談の精神に反する極悪な敵対行為」だと反発している。

 トランプ大統領は基本的に人権には関心がないと言われている。シンガポールの米朝首脳会談でも人権問題は話されておらず、その点が批判されもした。なお、米国が今月開催しようとした北朝鮮の人権侵害を議論する国連安保理会合は、今年は断念せざるを得なくなったと報道されている。中国の他、中国の圧力でアフリカの理事国が反対したので、安保理で9か国の支持が確保できなかったと見られている。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14842


 

 
「歯がズレて」死亡の米大生、北朝鮮が拷問…552億円賠償命令
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2018年12月25日 13時40分 デイリーNKジャパン
北朝鮮に行く前のワームビアさんのエックス線写真。歯並びはきれいだ(VOAから)
写真拡大

北朝鮮に拘束され米国に帰国直後に死亡した米バージニア大学生、オットー・ワームビアさん(当時22歳)の両親が北朝鮮に賠償を求めていた訴訟で、米ワシントンDCの連邦地方裁判所は24日、北朝鮮に対し5億0100万ドル(約552億円)の支払いを命じた。

ワームビアさんは2016年1月に北朝鮮で拘束され、2017年6月に昏睡状態で米国に帰国。その直後に死亡した。同氏の両親は今年4月、北朝鮮に賠償を求める訴訟を起こしていた。

地裁のベリル・ハウェル判事は判決文で「北朝鮮はワームビア氏の拷問、人質、超法規的な殺人に責任がある」とした。両親側は、北朝鮮から帰国したワームビアさんの歯列が大きく変形していたことなどを根拠に、ワームビアさんが北朝鮮で拷問を受けたと主張していた。

(参考記事:【写真】大きく変形したワームビアさんの歯列)

実際、ワームビアさんの主治医が陳述書に添付して連邦地裁に提出したスキャン写真を見ると、下の歯列の中央の2本の歯が、不自然に口の内側に移動していることがわかる。ハウェル判事はこれについても、拷問が原因であると認定した。

北朝鮮政府はワームビアさんの死因はボツリヌス中毒症、および睡眠薬の摂取であるとし、拷問の疑いは否定している。ただ、同政府は米国での民事訴訟で、正式に抗弁する手続きを取らなかった。

デイリーNKジャパン

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http://news.livedoor.com/article/detail/15789228/


 


北朝鮮軍兵士による襲撃事件が多発…地域住民ら警戒
高英起 | デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
12/25(火) 11:04
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北朝鮮軍の特殊部隊員(朝鮮中央通信)

国際社会による制裁、度重なる自然災害による凶作で、北朝鮮の食糧事情は予断を許さない状況が続いている。1990年代の大飢饉「苦難の行軍」のころに比べればマシなようだが、食糧を協同農場からの配給に頼っている朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士たちの状況はひどい有様だ。それでなくとも軍紀は地に落ちていたが、ここへ来て農民を襲撃する事件が続発している。

(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為)

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によると、現地に駐屯する朝鮮人民軍の12軍団は、国からの配給が滞っているため、食糧事情が極めて劣悪な状態となっている。

飢えた兵士たちは集団で強盗や詐欺を働いている。抗議すれば暴力を振るわれることすらあるため、兵士を見かけたら避けるほどだという。住民からは「乞食軍隊」、「マフノ部隊」と呼ばれ、馬鹿にされつつ恐れられている。ている。マフノとは、ロシア革命時の黒軍の将、ネストル・マフノのことで、略奪の象徴だ。

(参考記事:【スクープ撮】人質を盾に抵抗する脱北兵士、逮捕の瞬間!)

食糧同様に、衣類の配給も滞っている。

冬には氷点下20度以下まで下がるこの地域の部隊に所属する兵士には、冬服や防寒靴、防寒足袋などが支給されることになっているが、12軍団の兵士には配給されず、昨冬に着ていたボロボロの冬服を直して着ている有様だという。そんな中、一部兵士が民家から中国製の靴を盗む事件が発生した。さらには住民に性的暴力を振るう場合もある。

(参考記事:ひとりで女性兵士30人を暴行した北朝鮮軍の中隊長)

彼らの栄養状態が非常に悪く、結核にかかる兵士も続出している。道内の三水(サムス)郡の鹿農場には臨時結核療養所が設置されているが、収容される人の35%が軍官(将校)だという。軍官でのこの状況なら、末端の兵士の状況はより深刻であることは想像に難くない。療養所に行ったところで、治療に必要な抗生物質を得るのは難しいだろう。

あまりの状況に脱走する兵士も多い。半年ほど復帰しなければ生活除隊(不名誉除隊)となり、今後の社会生活に様々な制限が加えられるが、それでも「死ぬよりはマシ」だと逃げる人が多いというのだ。

ただし、同じ地域にある軍隊でも、部隊によって置かれた状況は全く異なる。国境警備隊の場合は、密輸で儲けた資金を蓄えているため、食糧、衣類ともに充分に配給を受けている上に、自主的に耕した畑から取れる作物もあるため、兵士たちの栄養状態は良好だ。

そんな状況を知っている親たちは、息子を一般の部隊ではなく国境警備隊、海岸警備隊、海軍などに送り込むためにかなりの額のワイロを支払う。これはもはや一般的な現象だ。

情報筋も近隣住民も12軍団の兵士たちを恐れつつも、その惨状に心を痛めている。

「近隣住民の12軍団の兵士への視線は厳しいが、兵役に行った息子を持つ親たちは、心配している」(情報筋)

当局は今年夏から秋にかけて、中国から大量の穀物を取り寄せて軍隊に配給し、食糧事情がかなり好転したと伝えられてきたが、それも一時的なものだったようだ。

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高英起
デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)など。近著に『脱北者が明かす北朝鮮』(宝島社)。

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https://news.yahoo.co.jp/byline/kohyoungki/20181225-00108970/
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/865.html

[政治・選挙・NHK255] 消費税を政争の具にした安倍首相の罪は大きい、野田前首相がぶった斬る
2018年12月25日 ダイヤモンド・オンライン編集部
消費税を政争の具にした安倍首相の罪は大きい、野田前首相がぶった斬る
野田佳彦・前首相
Photo by Hideki Yoshikawa
2019年10月に予定されている「消費増税」に伴って、景気の落ち込みを防ぐ名目で総額2.3兆円の対策が決まった。過去2回、増税を先送りした安倍晋三首相も腹を固めたようだが、選挙を意識したかのようなポイント還元や商品券発行といった“大盤振る舞い”には「本末転倒」との声が上がる。「3党合意」をまとめ「税と社会保障の一体改革」のレールを敷いた野田佳彦・前首相に聞いた。(ダイヤモンド・オンライン特任編集委員 西井泰之)

ポイント還元などの増税対策は
選挙を意識したバラマキだ
──過去最大を更新する101兆円の来年度予算が閣議決定され、その中で消費税率10%引き上げをにらんだ対策が決まりました。

野田 カードで購入する際のポイント還元からプレミアム商品券、自動車購入や住宅ローン減税、公共事業増額など、効果を精査もしないで、あれもこれも全部、認めたという感じです。

 ポイント還元も、当初は2%という話が安倍首相の指示で原則5%になり、2020年の東京オリンピックまでやることになりました。税率が10%になる際には、食料品などは軽減税率で8%になり、さらにカードで購入するとポイント還元で実際の税率は3%になる。これはもう増税ではなく「減税政策」です。

 しかも、減税の恩恵を受けるのは誰かというと、例えば就学支援を受けている低所得家庭の子どもでも、学用品を購入する際は10%の税金を払わなければならない。一方で大間の本マグロとか、高級おせちをカードで買う人は3%の税金で済むという。全く理不尽なことになってしまいます。

 プレミアム商品券も、14年に税率を8%に引き上げる時に、地方の消費喚起などの名目で2500億円の交付金が計上されましたが、実際の消費創出効果は1000億円ほどでした。

 なぜ消費税を上げるのかをきちんと説明することが王道なのに、バラマキでごまかしながら税率を上げるという悪い前例を作ってしまったことは非常に心配です。

──軽減税率も、店の中で食べるのと持ち帰るのでは税率が違うなど、店頭での混乱が懸念されています。

 もともと軽減税率は、富裕層がより恩恵を受けるもので再考すべきです。しかも今回、軽減税率導入による1兆円余りの税収減の穴埋めを何でするかというと、その1つとして、医療や介護の負担を軽くする「総合合算制度導入」が検討されていたのですが、見送られました。

 一家の大黒柱が脳の疾患などで倒れたら、医療費もかかり障害も残ることがあります。子育ての最中となれば、医療や介護、保育などでそれぞれ自己負担が必要なので、低所得の家庭では負担できなくなります。合算制度は、そうした自己負担を合算して、一定額以上は国で対応しようというものでした。

 こうしたことは誰にでも起こり得る、まさに社会保障の制度なのに、軽減税率を導入するために、そういうサービスをつぶすわけです。聞こえのいい軽減税率を導入したり、バラマキをしたりして、結局、何のために消費増税をするのかが分からなくなっています。

 軽減税率やプレミアム商品券は、自民党内にも「天下の愚策」だと批判する声は一部でありますが、連立相手の公明党の主張もあってむげにできないのです。

 来年は統一地方選挙や参院選があり、公明党には選挙協力でお世話になりますから。まさに選挙を意識してのものだと思います。

「政争の具」にした安倍首相は
「3党合意」の精神を分かっていない
──もともと今回の消費増税は、当時の民主党・野田政権の時代、自民、公明党を含めた「3党合意」で、「税と社会保障の一体改革」の関連法が成立したからでした。

野田 社会保障の安定財源を確保していくために、消費税を上げていかざるを得ないというのは、国民も政治家も感じているのですが、政治は与野党お互いが選挙に負けるのを恐れて「増税」と言わず、やるべきことをしてきませんでした。

野田元首相
Photo by H.Y.
 そこで、社会保障やそのための増税は、与党と野党がお互い共通の責任でやろうと合意したのです。次の選挙より次の世代のことを考えて、消費税を“政争の具”にするのをやめようというのが「3党合意」の精神です。

 当時の自民党総裁の谷垣(禎一)さんとは、将来を考えて、増税の必要性をきちんと国民に訴えていかなければという共通の思いがありました。私は当時、このやり方が、例えば安全保障の分野の政策でもできるのでは、とも考えました。

 政権が代わるたびに、安保政策や財政、社会保障などの国の基本政策が180度に転換するというわけにはいきません。しかし安倍政権では、「3党合意」の精神はどこかに行ってしまった感じです。

──04年4月に税率を8%にした後、10%への引き上げを2回先送りしたことですか。

野田 2回の増税先送りは、1回目は総選挙、2回目は参院選のそれぞれ1ヵ月ほど前に安倍首相が言いだしました。

 選挙で、「景気が心配だから消費税を上げなくていいですか」と問えば、「いや、上げろ」という国民は少ないしょう。野党も、政府が景気の先行きに自信がないから(増税を)先送りしたいと言っている時に「上げろ」とは言えません。こんなひきょうな選挙はありません。

 このことを国会でもただしたことがありますが、消費税は選挙の争点にはしたけれど、政争の具にはしていないというのが首相の答弁でした。しかし選挙こそ、政党間の最大の政争です。「3党合意」の精神が分かっていないと言わざるを得ません。

 そればかりか、安倍首相は国会議員の定数削減という国民への約束も破りました。一体改革関連法案が審議されていた国会での私との党首討論(12年11月)で、国民に負担を求める以上、まず隗より始めよということで、国会が身を切る覚悟を示そうと、議員定数の削減を衆院の解散と合わせて約束しました。

 民主党はその後、総選挙で負け下野しましたが、安倍政権になって衆院の定数削減はToo Little Too Lateの形でしか進みませんでした。党首討論では「来年(13年)の通常国会でやる」と約束されたのですが、17年に「0増6減」を実現しただけです。参院に至っては、この7月、6つ増やすことになりました。全くの約束違反です。

 今回の消費増税の増収分の使途の変更も、昨年9月、総選挙前に唐突に出てきました。増税の増収分を何に使うかという骨格部分も3党で合意されたものです。それを突然、自民党内の手続きすらもなく言いだしました。

 使途変更について、国会審議の中で公党間の議論があれば、教育や子育て支援の在り方、財政改革でも、もっと建設的な議論ができたはずです。

 安倍首相の悪い癖は、真正面からきちんと説明して責任を持ってやろうとしないことです。

 憲法改正にしても、やりたいのは9条(の自衛隊明記)なのに、最初は、憲法改正の発議や国民投票の条件を緩める96条改正で、改憲のハードルを低くしようということを言いだし、次は26条改正で教育を充実させるということになり、そして最近は、また9条に戻ってきています。要するに憲法改正ができれば、中身は何でもいいのです。

 消費税でも憲法でも、国の根幹に関わる問題ですから、反対があっても、真正面からきちんと説明し説得し続けるべきでしょう。そうすれば、反対の人や反発を抱く人も議論に応じざるを得なくなります。こうして問題への理解や議論が深まるのです。

アベノミクスによる財政再建は
永遠に道半ばで終わる
──新しい財政健全化計画でも目標達成時期が先送りされました。

野田 借金の返済費以外の政策的な経費を、税収とその他の収入でまかなえるようにするプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化の目標達成時期を、20年度から25年度まで5年先送りしましたが、なぜ計画が失敗したかという総括も全くされていません。消費税収の使途変更をしたからだとの言い訳を言っただけです。

 例えば、当初予算は厳しく査定したようにして、年度途中に補正予算を組むことが毎年度のように行われていて、安倍政権になってからでもその歳出増は30兆円以上になります。歳出改革はほとんど行われていません。

野田元首相
Photo by H.Y.
 アベノミクスで景気をよくして成長戦略を進めれば、税収も増え財政も再建できると言います。実際にそうなればいいですが、「まだ道半ば」だと、政府自身が認めています。日銀が大量の国債を購入して金利をゼロにし、事実上の財政ファイナンスまでする異常な政策を約5年も続けているのに、です。財政再建は「永遠に道半ば」ではないでしょうか。

 来年度の国の当初予算はとうとう100兆円を超える規模にまで膨れてしまいました。財政規律の緩みは明らかです。ほかにも国債などの市場が機能しなくなっています。もはや日本経済への弊害が看過できなくなってきています。

──25年度の目標達成も難しいという声もあります。

野田 今回の消費増税対策は、景気の落ち込みを防ぐという名目ですが、もともと、健全化計画で前提にしている成長率は、名目で3%、実質2%と現実離れした数字を置いています。

 バブル崩壊後のこの約20年で平均すれば、日本の成長率は名目で約0.2%、実質で約0.8%しかいってないのです。役所が首相や官邸に気を使って、とうとう数値まで忖度していい加減な計画を作っています。

 しかも、安倍首相の自民党総裁の任期が来る21年度までの中間目標は“大甘”な数字が置かれています。忖度の極みです。

 しかし22年からは、団塊世代が後期高齢者(75歳以上)に入ってきます。その後からは、誰が首相になるにしても財政運営は七転八倒の苦しみになるでしょう。森友・加計問題での忖度よりも、数字の忖度は国を滅ぼします。

 財務省も、とにかく今は増税を嫌がる安倍首相を納得させて、税率を10%に上げられるのなら増税対策という“アメ”をいっぱい出してということなのでしょう。

 しかし中期的に見れば、消費増税はこれで済むとは思えません。増税のたびに、毎回、こういうことをやっているとそれこそ財政圧迫になりますし、増税はこうした対策をしないとできないということになります。まさに本末転倒です。

国際会議に出て危機感抱いた
日本だけが甘い財政健全化計画
── 一体改革や消費増税が必要だと考えたのは、いつ頃からですか。

野田 1つは09年夏に政権交代があり、財務副大臣として10年度の予算編成を担当した時です。

 リーマンショックの影響で、国の一般会計の税収が30兆円台に落ち込み、財源は税収より借金に頼るという予算編成をやらざるを得ませんでした。税収より国債発行が多いというのは1946年度以来。つまり終戦直後の混乱期以来の財政危機の事態でした。

 しかも、当時と違って少子高齢化が加速し、社会保障費の膨張が目に見えています。民主党も社会保障のさまざまな政策を主張していました。それを実現したいけれど、財源なくして政策なしです。

 当時から歳出改革を訴え、事業仕分けなどもやりましたが、それだけではとても対応できそうにありませんでした。オールジャパンでみんなが社会保障を支えるという考え方でないと、やっていけないという感じを強く持ちました。

 もう1つは、日本の財政に対する国際的な信頼が揺らぎかねなかったからです。

 その後、菅政権で財務相になり、G7などの国際会議に出ましたが、欧米なども税収が落ちる一方で、経済を支えるための財政出動で財政赤字が拡大していました。ギリシャ危機や欧州債務危機が続く中で、成長と財政再建の両立をどう図るかが、毎回の重要テーマになっていました。

 各国が、財政健全化の中期目標や計画を作ってお互いが出し合う状況でしたが、他国は国債費などを含めた財政収支を黒字化する目標を掲げているのに、日本だけは、国債費などを除いた基礎的収支の黒字化という甘い目標でした。しかも目標達成の期限なども、他国に比べて突出して遅いわけです。

 G7の共同声明に、日本の財政再建計画は「Unique」だと特記されそうになりました。日本の財政問題だけに焦点が当てられるのはまずいと、その文言を削除してもらうために水面下で懸命に折衝しました。国際会議に出ると、日本だけがノーテンキな財政運営をしていられないという思いになったのです。

──菅政権時代、10年の参院選直前になって、菅直人首相が突然、「消費税率10%」を言いだしました。

野田 菅さんは、首相になる前に財務相をしていましたが、首相になってからも国際会議で各国から日本の財政への懸念を多数聞かされ、私と同じような危機感を持っておられたと思います。

 選挙に入る直前に電話があって、消費増税について自分も語ろうと思う、信を問う時だから国民にきちんと正面から言うのが責任ある政党だよねと言われて。ただ、税率引き上げの具体的な数字まで言われるとは思っていませんでしたから、驚きました。

 ただ、その心意気はよしだと思いましたが、数字などは理詰めでいかないと大変なことになると。実際、そうなってしまいました。

 10年の参院選に向けたマニフェストでは、消費増税による財政健全化を次期総選挙後に超党派で取り組むことが、最後に書かれていました。しかし、菅首相が前のめりになり「税率10%」まで言及したため、民主党は無駄を徹底的に省くといっていたのにもう増税かと、国民の反発が強まってしまいました。

 もともと民主党が政権をとった時の09年総選挙のマニフェストに増税は掲げていませんし、その選挙で当選した議員もいましたので、党内も混乱しました。結局、参院選は惨敗に終わり、増税問題を機に党内の内部対立が激しくなって菅さんは求心力を失ってしまいました。

重い代償にはなったが
党内融和より改革を優先した
──後を引き継いだ野田政権は、12年1月には政府・与党社会保障改革本部で一体改革の素案を決定、3月には関連法を閣議決定して国会提出にこぎつけましたが、小沢一郎氏らのグループが離脱する事態になりました。

野田 消費増税は09年選挙のマニフェストには載っていませんでしたが、逆に言うと、消費税を上げないとも書いていません。政権を預かった段階で財政が苦しい状況になれば、それにきちんと対応するのが政権のあるべき姿です。

 それに衆院と参院の違いはあるにしても、菅首相時代に公党としてそれで選挙を戦うことを打ち出したのですから、私が首相になっても、そのことは重く受け止めてやるしかないと考えました。

 しかし一体改革の素案決定から、関連法案の閣議決定、国会提出後の3党合意まで、ほぼ3ヵ月ごとに修羅場がありました。

 素案決定は11年年末でしたが、インド訪問から帰国しても党内でまだ合意ができないというので、その足で党本部での議論に加わりました。5時間ぐらい計23人から質問を受けてやり取りをして、最後は拍手でもって受け入れられたのです。それで大きな山場を越えたと思っていたら、閣議決定の時に議論がぶり返した。

 自分も入って党内で議論して決めたという自負もありましたから、そこですごろくのように元に戻すわけにはいきませんでした。党から出てしまった人たちもいましたが、あの時は51対49の多数決でも決めないといけないと思っていました。

野田元首相
Photo by N.Y.
──結局、一体改革の関連法案は「3党合意」(12年6月)の下で可決・成立しましたが、法案採決では民主党の反対派が欠席や棄権をし、その後、離党しました。

野田 増税は苦しい決断だけれど、みんなについてきてほしいと思いました。党内でまとまり、各党と合意するというのがベストでしたが、改革をもう先送りはできないという気持ちでした。

 離脱者が出て党内で多少こぼれ落ちたとしても、踏み出した以上、途中でやめたら消費増税をまた10年、下手をすれば20年やれなくなると思いました。そんな無責任なことはできませんから、多少、傷を負ってでも前に進めようと、最後は党内融和よりも、あえて3党合意、一体改革を優先する決断をしたということです。

 結果的に重い代償にはなりましたが、そのこと自体は間違っていなかったと思っています。
https://diamond.jp/articles/-/189246


http://www.asyura2.com/18/senkyo255/msg/435.html

[政治・選挙・NHK255] 平成後期の政治振り返る 民主党政権の功罪、歪んだ安倍一強 「国民を失望させた」民主党の3首相

 


NEWSポストセブン2018年12月25日 07:00

平成後期の政治振り返る 民主党政権の功罪、歪んだ安倍一強

【東日本大震災時の首相は菅直人氏(時事通信フォト)】


【選挙では圧勝続き(時事通信フォト)】

 平成の政治を10年刻みで見ていくと、それぞれのディケイド(10年間)に大きな特徴がある。平成21年(2009年)〜平成30年(2018年)で存在感が際立っていた政治家の功罪を辿る。

◆「国民を失望させた」民主党の3首相
 2009年9月、鳩山内閣が発足した。民主党は前年の陸山会事件で小沢一郎氏が代表を退くものの、総選挙では“小沢ガールズ”など大量の新人を当選させて衆院308議席を獲得。政権交代が実現し、鳩山由紀夫氏が首班指名された。

 旧民主党の事務局長を務めた政治アナリスト・伊藤惇夫氏はこう評する。

「民主党政権に対する国民の期待を砕いた。本人の言動はすべて善意から出ているが、だからこそ問題。彼は“善意の暴走者”」

「首相にしてはいけなかった人であり、その幼稚さは最大の罪であった」(筆坂秀世・元共産党参院議員)

 民主党2代目首相の菅直人氏は、東日本大震災と福島第一原発事故に直面すると、自ら東京電力本社に乗り込んで現場を混乱させる愚を犯した。

「菅氏にとって権力とは自己満足の道具、自尊心を満たすオモチャだった。そうした政治力不足が、原発事故の被害拡大をもたらしたといえる」(ジャーナリスト・安積明子氏)

 原発事故では枝野幸男・官房長官が「『健康に直ちに影響はない』と繰り返して国民の命より自分の立場を守った」(政治ジャーナリスト・藤本順一氏)と連帯責任を指摘された。

 その菅氏以上に厳しい評価となったのは、民主党3代目の野田佳彦首相だ。

「公約になかった消費税増税に固執し、消費税原理主義者となって民主党を分裂させることに“成功”した。党首討論で突然の解散を表明した戦略のなさも脱帽もの」(国際ジャーナリスト・小西克哉氏)

「総理になるべきではなかった」政治家を3代続けて総理に据えてしまったのが民主党の失敗であり、国民の二大政党制への失望を招いたといえる。

◆安倍首相より高評価の菅官房長官
 民主党の自滅で政権に返り咲いた安倍晋三首相は首相在任7年を超え、憲政史上最長の長期政権が視野に入ってきた。

「憲法改正など日本政治の課題に挑戦することを通じて、国民に政治のあり方を考える契機を与えた」(岩井奉信・日本大学教授)

「日本を外交面で『世界の大国』にもっていった功績は大きい」(政治評論家・屋山太郎氏)

 そう実績を評価する声は多い一方、政治手法に対しては厳しい評価も多かった。

「政治家に不可欠なのは国会論戦を通じて国民に政策を訴える言語能力。安倍首相は野党質問にヒステリックに反応し、論理的に答える能力が決定的に欠けている。結果、国会で与野党がヤジを飛ばし合う幼稚な議会政治をもたらした」(政治ジャーナリスト・野上忠興氏)

「すぐバレるようなウソをつき、それが罷り通る今の日本をつくった。森友・加計問題がその典型」(福岡政行・白鴎大学名誉教授)

 経済ジャーナリスト・荻原博子氏は、「安倍一強」体制による忖度行政が「(役人や政治家の)国会で平気でウソをついていいという行為を恒常化させた」と、官僚のモラル低下を憂いた。

 対照的に高い評価を受けたのが、安倍首相の“女房役”、菅義偉・官房長官である。

「政権の『大黒柱』兼『火消し役』。菅氏の存在なくして安倍政権はない」(ジャーナリスト・長谷川幸洋氏)

「内閣人事局を活用して官邸主導体制を確立した」(政治アナリスト・渡瀬裕哉氏)

◆次の時代を担う政治家の「役割」とは
 平成政治の掉尾に、都知事選の小池旋風から一転、希望の党旗揚げで失速した小池百合子・都知事は「ポピュリスト」との評を多く集めた。日本新党の先輩でもある江田五月・元参院議長は「無責任な言動で野党を手玉に取り、最終的にこれを崩壊させた」と語った。

 ジャーナリストの田中良紹氏が平成の政治をこう総括する。

「日本が経済面で米国を追い抜くところまで来たのが昭和なら、冷戦が終わった平成は米国に逆襲され、日本が米国隷属化をより強めた時代だった。しかし、トランプ大統領の登場は米国の一国支配が終わりを告げ、平成の次の時代は世界のパラダイム・チェンジを予感させる」

 新しい時代には、どんな政治家が登場し、日本の政治を成熟させることができるのか。

※週刊ポスト2019年1月1・4日号

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https://blogos.com/article/347270/
http://www.asyura2.com/18/senkyo255/msg/436.html

[経世済民130] 2019年展望:資金の流れが変わり、日本は消去法で選ばれる セリング・クライマックスが近い 

 
2019年展望:資金の流れが変わり、日本は消去法で選ばれる
金融テーマ解説
大槻 奈那 大槻 奈那 2018/12/25 印刷 2019年展望:資金の流れが変わり、日本は消去法で選ばれる印刷
国内株式

マネックス

2019年相場展望
・19年は過剰流動性の巻き戻しの年になりそう。企業収益は悪くないが、資金逆流でリスクマネーが逃げ足を早め、資産価格が下落。金融以外でも、米中貿易摩擦や財政問題等長引きそうな要因が多い。
・最大の注目点は、米国がいつ利上げを停止するか。利上げ停止はリスクマネーを呼び戻す契機となりうるものの、景気後退の決定的なシグナルと受け取られる可能性もあり、市場の反応は読みにくい。
・一方日本は、各種イベントや、日銀の緩和継続、消費税引き上げに対する財政政策で、環境は悪くない。米国のリスクオフに加え、欧州ではBrexit、仏伊の財政リスクも燻り、日本は消去法で選ばれる可能性。海外には慎重スタンスで、例えば日本株と高クレジットの金融機関債等への投資を選好。

2019年は行き過ぎた金融の巻き戻しの年
2018年の金融市場は、リスク要因がありつつも拡大を続けた年だった。世界の総債務(金融を除く)は、リーマンショック後54%拡大し、史上最高の180兆ドル(約2.0京円)まで膨れ上がった(図表1)。



しかしその間、既に膨張していた金融市場では、”マグマ”がさらに肥大した。収益が挙げにくくなった金融機関は、これまで以上に深いリスクを取るようになった。

その典型が高リスク企業やプロジェクトに対する融資の条件緩和である。以前は、こうした融資にはコベナンツ(財務制限条項)を付けて、経営をモニターするのが一般的だった。ところが、2018年には、こうした条項がない「コベナンツ・ライト」案件が大幅に増加、新たに発行された高リスク債券の8割を占めるまでに膨張した。

年末に市場価格に変調
18年の第4四半期から、さまざまな資産の価格が反転し始めた。株価に加え、リーマンショック後上昇し続けてきた主要国の住宅価格も反落に転じた(図表2)。原油価格も急落(図表3)し、12月に入ってVIX指数も急上昇した(図表4)。このままいけば、VIX指数の上昇幅は、暦年ベースで過去最大となりそうだ。



2019年、資金の流れは鈍化へ
これらの資産価値下落の背景の一つに、FRBのバランスシートの縮小があるとみられる(図表5-1)。マネーの量が減少するにつれ、まずは高リスクの投資から資金が流出している模様だ。これを端的に表しているのが、高リスク社債市場である。クリスマス直前の2週間で300億円近い資金が高リスク債ファンドから流出し、利回りが急上昇している(図表5-2)。



調達金利の上昇は財務の弱い企業にとって致命傷になりかねない。BISは2018年9月に、主要国の上場企業の約12%は利払いすら苦しい「ゾンビ企業」であるとするレポートを発表した。こうした高リスク企業の倒産が増えれば、銀行が保守的になり、ますます経営が苦しくなる。19年には、米FRBのコントロール次第では、かつての金融の負のスパイラルの足音が聞こえ始める可能性がある。

米中貿易摩擦も長引くことが予想され、トランプ政権下で一層傷んだ米財政の問題も市場を冷やす。19年の米企業収益は弱くないが、こうした市場のセンチメントを反転させる材料は見つけにくいだろう。特に、この数年間、金融市場の膨張への警戒感が高まっていただけに、2019年は過剰流動性の巻き戻しの年になりそうだ。

19年の米国の利上げ停止は反転の契機となる可能性も。但し、市場の反応は読みにくい
来年の金融市場最大の注目点は、米国がいつ利上げを停止するかである。FRBメンバーの19年の利上げ回数予想は、3回から2回に引き下げられた。現時点では、中立金利と現在の政策金利の格差縮小から、概ね2回の利上げが妥当と考えられよう(図表6)。

だとすると、FRBは来年3月か6月には利上げを停止する可能性が高い。利上げ停止は資産価値にポジティブであり、リスクマネー呼び戻しの契機になる可能性もある。しかし同時に、市場には景気後退の決定的なシグナルと受け取れられる可能性もあり、反応は読みにくい。相当相場が荒れる可能性もあり、楽観視はできない。



また欧州も不透明感が増してきた。特に3月末のBrexitについては落としどころが予想しにくく、かつ、フランスの財政運営も厳しさを増している。イタリアは、財政面ではEUと折り合いをつけたが、金融正常化に向かうECBの動向次第では、不良債権問題の再燃が懸念される。ドイツでは、マネーロンダリングの捜索を受けているドイツ銀行の株価下落が止まらず(図表7)、銀行業界の台風の目になりそうだ。



日本の動向:ポジティブなイベントや金融・財政政策で、相対的に選ばれる市場に
このように、来年、世界の金融市場は転換点を迎えると予想するが、日本市場はどうか。

日本は、周知の通り大イベントが目白押しだ。5月連休の天皇の交代、6月にはG20サミットが初めて日本で開催される。2020年の東京オリンピックの準備も佳境を迎える。主要国サミットとオリンピックを連続で開催した国は、1983-84年のレーガン政権下の米国しかない。この頃は、景気刺激策として知られるレーガノミクスの影響もあり、米国のGDP成長率は7%に達した。

来年10月の消費税率引き上げはリスク要因のはずだが、2兆円規模の大盤振る舞いの景気刺激策が打たれることで、影響は前回の増税時よりは限定的となりそうだ。また、欧米が金融政策の正常化に向かう一方、日本ではインフレ率の停滞で、超緩和的な金融政策が続くとみられる。このため、日本は、他国よりはかなり良い金融環境を享受できるだろう。

もっとも、海外市場が崩れれば、日本もその影響から無縁ではいられない。また、日本でも、イベントごとに財政負担が増すことになり、人々の中長期的な不安感は払拭されないだろう。来年の特殊要因の効果は長続きしないかもしれない。

とはいえ、ひとまず日本は固有のポジティブ要因で、相対的には選ばれる市場になりそうだ。海外市場にはディフェンシブなスタンスで、例えば、日本株と高クレジットの米金融債などを選好したい。

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大槻 奈那
大槻 奈那
マネックス証券株式会社 チーフ・アナリスト 兼 マネックス・ユニバーシティ長 マネックスクリプトバンク株式会社 マネックス仮想通貨研究所所長
東京大学文学部卒、ロンドン・ビジネス・スクールでMBA取得。スタンダード&プアーズ、UBS、メリルリンチ等の金融機関でリサーチ業務に従事、各種メディアのアナリスト・ランキングで高い評価を得てきた。2016年1月より、マネックス証券のチーフ・アナリストとして国内外の金融市場や海外の株式市場等を分析する。現在、名古屋商科大学 経済学部教授を兼務。東京都公金管理運用アドバイザリーボード委員、貯金保険機構運営委員、財政制度審議会分科会委員。ロンドン証券取引所アドバイザリーグループのメンバー。 テレビ東京「ニュースモーニングサテライト」等、メディアへの出演も多数。 著書: 『本当にわかる債券と金利』(日本実業出版社)、 『1000円からできるお金のふやし方』 (ワニブックス)
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https://media.monex.co.jp/category/financial-market


 

セリング・クライマックスが近い
今週のマーケット展望
広木 隆 広木 隆 2018/12/25 印刷 セリング・クライマックスが近い印刷
国内株式

マネックス
米国株の大幅続落を受けて週明けの東京市場も急落しているが、さすがにそろそろ下げ止まる頃だろう。移動平均乖離率、騰落レシオ、RSIなどテクニカル面でも売られ過ぎを示すサインが続々点灯している。25日午前10時現在の日経平均の値、約1万9300円でバリュエーションをみると予想PERでは10倍ちょうど、PBRで1倍をわずかに下回る。上場企業のROEが10%に達している現在、日経平均のPBRが1倍割れというのは異常値である。また、予想PER10倍は過去6年平均から比べて2.9標準偏差下の水準で、同じく異常値である。

先週金曜日も東京市場は全面安となったが、そのなかでTDK(6762)、アドバンテスト(6857)、東京エレクトロン(8035)、太陽誘電(6976)などの電子部品・半導体関連や、日立建機(6305)、ダイキン工業(6367)、ファナック(6954)などの中国関連の機械株は押し目買いで上昇した。今日も、アドバンテスト、ファナックなどは比較的下げ渋っており、先行して売られた銘柄は底値に近付いていることを示している。先週末の東証の売買代金は3兆5000億円と膨らんでおり、セリング・クライマックスが近いと思われる。

今週の予想レンジは、19200円〜2万円とする。
https://media.monex.co.jp/articles/-/10702

 

 
賢明な投資家は市場の行き過ぎを利用して利益をあげる
ストラテジーレポート
広木 隆 広木 隆 2018/12/21 印刷 賢明な投資家は市場の行き過ぎを利用して利益をあげる印刷
国内株式

マネックス

2019年相場展望
先週のストラテジーレポートで「こんな相場は間違っている」と述べた。意は伝わると思って、「だから、どうだ」とは述べなかったが、念のため、書いておこう。2つある。ひとつは、「相場はしばしば間違うものであるから、こういうことも起こり得る」ということ。実際に起きているのだから言うまでもないが。もうひとつは、間違ったものはいずれ修正されるということである。

11/16付「チャイナショック〜ブレグジット(BREXIT) 2015-2016との相似形」で紹介したハワード・マークス『市場サイクルを極める』から彼の至言を引用しよう。

<カギとなるのは何か。心理の振り子と、バリュエーションのサイクルが今どの状態にあるかを知ることだ。(中略)冷え込んだ心理とバリュエーションの低下でパニックに陥った投資家が、全般的に価格が低下しているにもかかわらず売りに走り、掘り出し物を生み出しているときに、買うことだ。>

日経平均の予想PERはアベノミクス相場開始以来の平均から2標準偏差下のレベルを下回っている。統計的には異常値の領域である。

日経平均の予想PER

出所:QUICKデータよりマネックス証券作成

ハワード・マークスは言う。<市場は動くようにしか動かない。景気の動向や企業業績を反映する場合もあれば、投資家の心理とそれに伴う行動に左右されている場合もある。ランダム性や運が影響することもある。>
<理論上、起こるべきことと実際に起きることの関係については、つねに不運がつきまとう可能性があるが、ポジショニングについて正しい判断を下せば、市場の趨勢が自分に有利に働く確率を高めることができるのだ。>
<市場がサイクルの低いところに位置しているとき、利益が得られる可能性は通常より高く、損失が出る可能性は通常より低い。>

これらはすべて「当たり前のこと」である。しかし、市場が悲観心理一色に傾くと、その「当たり前のこと」が見えなくなってしまう。

当たり前のことをもう一度、確認しよう。株価はファンダメンタルズと市場心理で決まるということだ。例えば、

株価=企業業績(ファンダメンタルズ)×バリュエーション指標(PER等=市場心理)

この意味で、企業業績(ファンダメンタルズ)は必要条件だが十分条件ではない。業績は良くとも、それをきちんと冷静に評価できる市場心理がなければ株価はあがらない。株価はファンダメンタルズを中心として投資家の「楽観」と「悲観」の心理の振り子の振れで揺れ動く。そのサイクルを意識することが重要とハワード・マークスは言う。



この概念図を実際に示したのが日経平均のEPSの増加トレンドと株価の動きだ。

日経平均と日経平均のEPS

出所:QUICKデータよりマネックス証券作成
市場の趨勢とポジショニングを確認しよう。そして、ハワード・マークスの言葉を思い出そう。<市場がサイクルの低いところに位置しているとき、利益が得られる可能性は通常より高く、損失が出る可能性は通常より低い。>

ただ、見落としていた部分もある。それはファンダメンタルズとして企業業績しか見ていなかったことである(上記グラフの赤い右肩上がりのトレンド)。重要なファンダメンタルズにはマクロ景気の動向もある。世界の景況感は、2013〜2016前半でひとサイクル終了し、次の短期循環は2016半ばを底に始まり、2017年末でピークをつけていた。2018年は振り返れば短期景気循環の下降トレンドの中にあった。ファンダメンタルズも悪化しており、これを受けたセンチメントの悪化であったことを見逃していた。いま振り返ればそうだったと気づく。

米ISM(白)日銀短観(青)中国PMI(赤)独IFO(黄)

出所:Bloomberg
このサイクルはキチン・サイクル(およそ40カ月)と言われ在庫循環に一致する。ざっくり、1年半上昇、1年半下降のサイクルに当てはまれば、今回のサイクルのボトムは来年前半にくるだろう。

年明け以降も数カ月は不安定な相場が続くかもしれないが、世界景況感の底入れを背景に、市場のセンチメントも改善していくだろう。中国と日本の景気対策、米国の利上げ打ち止め感などがそれをサポートしていくだろう。
https://media.monex.co.jp/articles/-/10692

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/290.html

[経世済民130] こんな時こそPBR、日経平均の「最悪ケース」は 中国、全国版のネガティブリストを公布 市場の参入ルールを全投資家で統一
ビジネス2018年12月25日 / 17:40 / 19分前更新
焦点:
こんな時こそPBR、日経平均の「最悪ケース」は
伊賀大記
3 分で読む

[東京 25日 ロイター] - 世界的な株安が止まらず、下値めどが見えにくくなっている。市場が懸念しているのは景気や企業業績の悪化であり、1株当たり利益をベースにするPER(株価収益率)で下値めどを測るのは難しい。

こんな時に参考になるのはPBR(株価純資産倍率)だ。企業の純資産を基準にしており、リーマン・ショック時でも0.9倍程度で下げ止まった「実績」がある。

<「解散価値」割り込む>

企業の純資産は、資産総額から負債総額を差し引いた自己資本。PBRは1株当たり純資産(BPS)を現在の株価で割って算出される。PBRが1倍であれば、企業が現時点で解散して資産を売却しても、株主1人当たりの分配金は株価と名目上同じだ。理論的には株価は「解散価値」よりも同等以上になる。

ニッセイ基礎研究所・チーフ株式ストラテジスト、井出真吾氏の調べでは、リーマン・ショックや、アベノミクス前夜の「最悪期」でも、PBR(株価純資産倍率、BPSは実績ベース)で0.9倍から1.0倍の水準が日経平均の下限として機能した。

リーマン・ショック時は一時的に0.9倍レベルを割り込み、09年3月には0.81倍台まで低下した場面もあったが、滞空時間はそう長くなく、PBR0.9─1.0倍台が抵抗ラインとなっている。

日経調べで21日時点のPBRは1.04倍(四半期末基準、連結ベース)。これから算出されたBPS1万9390円をベースにすると、PBR1.0倍で1万9390円、0.9倍で約1万7450円となる。

25日の日経平均.N225は、景気減速懸念に海外の政治リスクが加わる形となり、前日比で1000円超の急落となった。終値は1万9155円74銭。PBR1.0倍水準を割り込み、0.9倍基準にはあと1700円程度まで迫っている。

<BPSが目減りするリスクも>

予想PER(株価収益率)は、バリュエーション指標として機能しにくくなっている。日経調べでは、前週末の予想PERは11.25倍。歴史的に13─15倍の平均レベルからみると、かなり低いが、市場の懸念は企業業績の悪化であり、PERの分母である1株利益に疑いがもたれているなかでは「割安」とは判断しにくい。

リーマン・ショック直後の2008年10月27日にPERは9.53倍まで低下。日経平均は7162円90銭まで下落した。足元の1株利益1792円の9.53倍は1万7082円となり、PBR0.9倍水準に近いが、先行きの1株利益が予想しにくいだけに、あてにはしにくい。

一方、PBRのベースとなるBPSも目減りのリスクがないわけではない。企業の資産総額から負債総額を差し引いた純資産を構成するのは、資本金などの株主資本や、その他有価証券評価差額金などの評価・換算差額など。業績が赤字になれば、減少するおそれがある。「その場合は、株価の下値めどが切り下がる」(井出氏)ことになる。

実際、リーマン・ショック直後の2008年9月に8800円程度あったBPSは、翌年の6月には7600円台に減少している。ただ、EPSが一時的に赤字化し指標性を失ったPERよりは、PBRは金融危機時も有効性を維持したと言えるだろう。

足元のBPSが10%低下すると仮定した場合、PBR1.0倍は1万7150円程度、0.9倍で1万5700円程度が下値めどとなる。

<0.9倍で止まらない可能性は>

リーマン・ショック級、もしくはそれを超える金融危機が訪れる可能性はあるのか──。

「米金融機関は大きすぎてつぶせないところばかりだ。いざとなれば公的資金の投入が検討されるだろう。銀行の自己資本も厚く、米銀行で破たんリスクは大きくない。現時点で得られる情報をベースにすれば、リーマン級の金融ショックが起きる可能性は大きくない」とマネックス証券のチーフ・アナリスト、大槻奈那氏は指摘する。

しかし、リーマン前に比べて世界の経済成長率は鈍化。日本総研の調べでは、2000─07年と10─17年を比較すると、先進国の実質GDP成長率は先進国で2.3%から1.7%、新興国で6.6%から4.9%にそれぞれ低下した。

一方、国際決済銀行(BIS)のデータによると、政府と民間を合わせた世界全体の債務(非金融セクター)は2017年末時点で177兆ドル(約1京9470兆円)。10年から17年の間に約50兆ドル(5500兆円)拡大している。今のグローバル経済は、金利上昇やドル高に対して脆弱であることは否めない。

リーマン・ショック後に、各国政府は大規模な財政支出と金融緩和で債務を膨らませ、なんとか経済を回復させたが、成長率は十分に戻らず、副作用も大きくなってしまった。足元の株安は米利上げ停止など政策を求める「催促相場」とされているが、政策の選択余地が乏しくなっていることを織り込んでいるようにもみえる。

編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/nikkei-pbr-idJPKCN1OO0BX


 

東京外為市場ニュース2018年12月25日 / 18:50 / 5分前更新
中国、全国版のネガティブリストを公布
1 分で読む

[北京 25日 ロイター] - 中国国家発展改革委員会は25日、国内外の投資家が投資を制限・禁止される分野を特定した全国版の「ネガティブリスト」を公布した。

市場の参入ルールをすべての投資家の間で統一することが狙い。

リストに掲載された151セクターのうち、投資が禁止されるのは4セクター。残りは政府の承認が必要になる。同委員会が83ページに及ぶ文書を会見で発表した。

リストに掲載されていないセクターは、すべての投資家が投資可能で、政府の承認を得る必要はない。

投資が禁止されるのは「不正融資」や「不正インターネット活動」など。政府の承認が必要になるのは鉱業、農業、製造業など。

リストは国内のすべての地域に適用され、国内外を問わず、すべてのタイプの投資家が対象になる。

中国政府は2016年、自由貿易区がある4省を対象としたネガティブリストの第1弾を試験的に公布。同リストは昨年、他の11省・都市にも適用された。

中国の貿易相手国は、中国政府に対し一段の市場開放に向けた具体策を講じるよう繰り返し求めている。

国家発展改革委員会の高官によると、今回のリストは、商務省が6月に発表した外資参入規制のネガティブリストとは異なる。

同高官は会見で「外資参入規制のネガティブリストに掲載されていない分野については、国内外のビジネスの平等という原則に従って監督する」と述べた。

同委員会の研究員はロイターに、中国市場への投資を検討している海外投資家は、まず外資参入規制のネガティブリストを参照する必要があると指摘。「同リストに掲載されていない場合は、全国版のネガティブリストを参照すればよい。どのような形の市場組織であれ、差別はされない」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/china-economy-investment-idJPL3N1YU1M5?il=0
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/291.html

[政治・選挙・NHK255] 廃虚や老人見殺し住宅を量産か、「省エネ基準義務化」見送りの愚策 敵は国や政治にあるのではない。民間に潜む
2018年12月25日 長嶋 修 :株式会社さくら事務所創業者・会長

廃虚や老人見殺し住宅を量産か、「省エネ基準義務化」見送りの愚策

「住宅省エネ基準の義務化」が見送られることになった。省エネ性能の高い家は、夏に涼しくて冬は暖かい。つまり、エアコンや暖房器具の使用を大きく削減できるほか、住宅価値も維持されやすいし、住民の健康維持にも大きな貢献をする。なぜこんな「いいことずくめ」の施策を見送ったのだろうか?(さくら事務所会長 長嶋修)

レベルの低いダメ業者を擁護!?
省エネ基準義務化見送りの闇

業者側の勝手な言い分によって、住宅の省エネ基準義務化が先送りされました。
「夏暑くて、冬寒い」日本の住宅事情を改善する貴重なチャンスだったのに、レベルの低い業者を擁護する声に合わせるという愚かな選択がなされてしまった (写真はイメージです)Photo:PIXTA
 2020年に義務化の方針だった「住宅省エネ基準の義務化」が見送られることとなり、多くの心ある業界人が落胆や怒りの声をソーシャルメディア等で発信している。日本の住宅には「省エネの義務基準」が存在しない。したがって、夏は熱を吸収し、冬は冷たさを溜め込むコンクリート打ちっぱなしで断熱材なしの「住めば地獄」のような住宅を建てることも可能だ。

 パリ協定で日本は、「日本の約束草案」を提出済みだ。その中身は、2030年度に2013年度比26%減(2005年度比25.4%減)の水準とするというもの。家庭部門は2030年までに27%のCO2排出減(2013年比)としたうえで、住宅・建築分野では、2030年までにエネルギー消費量をおよそ20%削減することを前提としていた。

 というのも、このところ産業・運輸の世界では消費エネルギーを減少または微増にとどめているのに比して、業務部門や家庭部門のエネルギー消費は増大し、全エネルギー消費量の30%超を占めているためだ。

 住宅省エネ基準の義務化は、家庭部門のCO2削減に大きく寄与する。にもかかわらず、なぜ義務化が見送られたのか。それは「住宅への適用に関しましては慎重に考えていただきたい」とする業界団体が反対したためだ。義務化基準の省エネ住宅を提供できるのは、いまだに住宅建設業者の6割程度でしかないから、こんなものを義務化されては困る、というわけだ。しかしこれは話としておかしい。

 今回、国が義務化しようとしていた省エネレベルは、1999年に制定された基準で、決してレベルが高いとはいえない。つまり今回の義務化見送りは、20年前に制定された省エネ基準にキャッチアップできない、つまり施工レベルが低くて努力をしない事業者を救済するためのものなのだ。

「寒い家」が高齢者を殺す
ヒートショック死の現実

 住宅の省エネ化推進は、高齢化社会対応としても必須なはずだった。家庭内事故で最も多い「溺死」は、65歳以上の高齢者が90%以上を占めるが、その多くは、冬場の浴槽内で発生しており、住まいの断熱性と大きな関係がある。

 暖かい部屋から寒い浴室に移動すると、室温の急激な変化から体温を調節するために、体を震わせるなどして熱を作ると同時に、血管を細くして血流を減らし、体の熱を外に逃がさないように調節する。すると血液が流れにくくなり血圧は急上昇。次に浴槽でお湯につかることで血管は急拡張し、血圧は一気に低下する。その後は再び寒い脱衣所に移動する。すると、血圧は再度、急上昇してしまうのだ。

 若い人ならともかく、一定程度動脈硬化が進行した高齢者の場合、急激に血圧が上昇すれば心筋梗塞、致命的な不整脈、脳梗塞や脳出血などを惹起する。逆に血圧が急低下するとめまいやふらつきが起き、または意識を失うなどして、転倒や溺死という結果にもつながってしまう。

 こうした現象を「ヒートショック」と呼ぶが、東京都健康長寿医療センターの調査によると、全国で1年あたり1万7000人が入浴中に心肺停止に陥っていると推計された。2017年の交通事故の死亡者数は3694人だから、ヒートショック死は実にその4.6倍だ。

あまりにも無策な
日本の住宅政策

 日本の住宅市場ではそもそも、世界的なトレンドである住宅省エネ性の追求はおろか、住宅総量すら管理できていないため、景気対策としての新築が毎年大量に造られる一方で、空き家も年々増えるがままだ。

 空き家が増加すれば、景観の悪化はもちろん、犯罪の増加、自治体の行政効率の悪化など悪いことずくめだが、国は一向に管理を行うつもりはないようだ。そもそも政府・与党には、住宅政策の問題点はおろか、その重要性を認識している政治家を、少なくとも私は知らない。2018年時点での空き家数は全国で1000万戸を超え、空き家率は17%程度。来年夏には、先進国中ダントツの首位に立っていることだろう。

 ことほど左様に、日本の住宅政策は「不作為だらけ」なのだ。住宅の省エネ性向上による行政効率の維持、化石燃料輸入の軽減による外交・防衛的戦略、そして何より本格的な高齢化社会を迎える中で国民の健康寿命を延ばすことによる働き手や地域の担い手の維持、介護負担の軽減といった、ほとんどメリットしかない政策をなぜ、業界の都合で先送りするのか。

 新築住宅の供給過剰は中古住宅の価値毀損や自治体税収の悪化を招く。また、無駄な公共事業と同じで、短期的な経済波及効果しか生まない。もちろん、立地に難があったり老朽化が著しかったりする住宅は取り壊すなどすればよいが、中古住宅の価値が維持されることにより所有者の資産が維持・増大することに着目することをはじめ、包括的で長期的な戦略を持つべきだろう。

 こうしたビジョンが描けない政治や国の情けない姿は、国民の無関心に加え、変化を拒む業界団体といった病巣にも大きな原因があるが、あなたがいる業界も、構図としては似たようなものではないだろうか。だから日本はいつまでたっても変わらないし変われないのである。敵は国や政治にあるのではない。民間に潜むのである。
https://diamond.jp/articles/-/189131
http://www.asyura2.com/18/senkyo255/msg/444.html

[戦争b22] 飛躍的進歩を遂げる軍事技術と日本の防衛戦略 新防衛計画の大綱・中期防衛力整備計画の光と影 
飛躍的進歩を遂げる軍事技術と日本の防衛戦略
新防衛計画の大綱・中期防衛力整備計画の光と影
2018.12.26(水) 用田 和仁
中国、海上演習で空母「遼寧」に戦闘機着艦
中国海軍の海上演習で、同国唯一の空母「遼寧」に駐機されたJ15戦闘機(2018年4月24日撮影)。(c)AFP PHOTO〔AFPBB News〕

1 先進性と後進性が混在する新大綱・新中期防
 2018年12月18日に閣議決定された防衛計画の大綱(新大綱)と平成31年度から平成35年度までを対象とする中期防衛力整備計画(新中期防)は、中国が間髪を入れず「強烈な不満と反対」を表明した。

 「中国の正常な軍事行動について脅威をあおっている」としたことは、初めて抑止力の効いた大綱・中期ができた表れだ。

 中国は、中国の軍事的活動の高まりに対して、日本に「慣れろ」と魔法をかけてくるが、今後は決然と中国の「異常な軍事的冒険」に立ち向かう日本国民の覚悟と防衛への積極投資が望まれる。

 一方、厳しい見方をすれば新大綱・新中期防はイノベーションの力とバックギアの力が混在しており、さらなる改善と修正がなければ国民を守り切り、日米が合理的に一体となった作戦を実行できるとはならないだろう。

 さらに、日本の防衛理念の根底にあるものを見落としてはならない。

 それは、中国や北朝鮮の軍事的脅威が現実のものとなっているにもかかわらず、「自らが空白となり周辺諸国の侵略を誘発しないために『基盤的防衛力』を保持する」、すなわち、ショーウインドウに装備品を並べることが基本となっている点だ。

 この考え方ではもはや日本を守り切ることはできない。人も急速に戦力化しないし、装備品も予算カットで散々買い叩かれたことから、防衛産業には急速増産できる体力は既にない。

 「脅威に対しては、脅威に対抗」できる現実の防衛力を持たねばならないということだ。

 新大綱で何度も繰り返されている「これまでに直面したことのない安全保障環境の現実の中にある」という認識ならば、国民や政治家はその危機感を感じ取るべきだろう。

 すなわち、財務省主導で、一応、装備品や弾などを並べておけば済む時代は終わったのである。

 動かすことすらままならない。そのうえ、さらに中期計画の節減をしようとしているおかで、南西諸島の切り札である対艦ミサイル数が削られ、あるいは「F35」を完成品で購入するため、日本の航空産業は大打撃を被ることになる。

 この岩盤の思考を切り崩さなければ国民を守り切ることはできない。「国破れて国家予算なし」である。

 一方、今から急速に中国に追いつこうとすると際限のない軍事費の増額になり、ソ連のように経済破綻することになるかもしれない。

 それを合理的に解決する1つが、新大綱のサイバー・電磁領域などでの優越の獲得(頭脳や神経に作用して無力化する、一般的に「非物理的打撃」という)である。

 そして、2つ目は前大綱の深化として、日米を貫く領域横断の作戦に基づいた「勝てる戦略」の明確化が必須である。

 しかし、領域横断の戦いの理解が不十分なため戦略が確立されていない。前大綱が深化されていない問題がここにある。

2 時代を切り開く首相の指示
 物理的破壊手段(精密誘導弾や砲弾などにより物理的に破壊する兵器での「物理的打撃」)は、際限のない軍事費(防衛費)の増大を招く。

 中国の数十年に及ぶ大軍拡や北朝鮮の数百発に上るミサイルなどに、すべてを物理的打撃で対抗することは、予算的にも、確実性から見ても不可能である。

 さらに、空母には空母を、飛行機には飛行機をという「対称戦力だけによる対処」では予算的にも、作戦的にも限界がある。

 そのため、中国が米軍の空母に立ち向かうのに安価なミサイルで対抗しているように、「非対称戦力による対処」の考え方を持つことが極めて重要である。

 この点において、安倍首相、国家安全保障局(NSC)の判断は時代を切り開く画期的なものであったと称賛できる。新大綱で「(非物理的打撃を)現在の戦闘様相における攻防の最前線だ」と断言したことは的確である。

 そして、この戦い方を根本的に変えるゲームチェンジャーの出現が、過去2〜3年の間に確実になった現状に対応できたことは、まさに天佑である。

 その技術の中心に日本の企業があることは救いであるが、一方、米国をはじめ外国からの積極的なアプローチに日本政府として先進的な企業を守れていないことは致命的である。この件は、また別途詳述したい。

 安倍首相の平成30年9月3日の自衛隊高級幹部会同での画期的な訓示は次の通りである。

●サイバー空間、宇宙空間さらに電磁波の領域など新たな領域で優位を保つことが「死活的に重要」

(注:大綱では早期に優位性を獲得することを強調、宇宙領域専門部隊、サイバー防衛部隊、電磁波作戦部隊などを新編)

●陸海空と言う従来の発想にとらわれた発想ではこの国を守り抜くことはできない

(注:あらゆる面で領域横断の戦い方へ変換を要求、物理的打撃については南西諸島の自衛隊の作戦は、陸海空統合で敵の艦船を沈め、潜水艦を沈め航空機を落とすことを目標としており、米国にとっても領域横断作戦として高く評価されている)

●宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域を横断的に活用した防衛体制への変換

(注:新大綱では新たな領域と従来の領域の組み合わせによる戦闘様相に適応することが死活的に重要と記述)

●新たな防衛力の完成に10年15年かけて実現するようなスピード感からの脱却

(注:明確な現在の脅威に対抗した考え方が必要で、財務省主導ではない、必要な防衛力への投資が必須)

●今までの常識は通用しない

 注意書きにも書いたが、新大綱と新中期防には、「新たな領域における能力の早期獲得が死活的に重要である」ことが繰り返し述べられており、的確な判断である。

 戦いの様相を一変させるゲームチェンジャー兵器は、米国も日本に教えることはない。その競争に遅れず、スタートラインにつけたことは極めて重要であり、この機会を逃していたら5年後には完全に世界の潮流から取り残されていたであろう。

 特に陸上総隊の下に、サイバー部隊および電磁波作戦部隊が新編されることになっていることは画期的である。

 もちろん、サイバー対処は国家として対処すべきだが、その中核となる共同の部隊としてサイバー防衛部隊を新編することも画期的である。

 以前、筆者は電磁波兵器について述べたことがある(参照=http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52275)。

 この電磁波を照射している時だけ効果が期待できる「電波妨害兵器(EW)」と相手の電子機器を破壊し、無力化することができる「マイクロ波兵器(電磁砲、HPMW)」のいずれも実現できる道筋ができたものと考えられる。

 (ロシアはいずれも装備化しており、ウクライナやシリアで実戦配備中である)「電波妨害兵器」は、衛星や早期警戒管制機(AWACS)など遠方の目標の機能を妨害することができる。

 車載で常続的に妨害できる陸自の妨害兵器(高出力の電子戦装備)とスポットで強力な妨害ができる空自の妨害器(スタンドオフ電子戦機)と併せて、領域横断の新たな戦いの好例となるであろう。

 また、「マイクロ波兵器」(高出力マイクロウエーブ装置)は、ある一定の大きさを持った塊が光速で飛んで行き、電子機器を破壊することができる。

 このことから、雲霞のごとく攻撃してくるドローンや無人機、さらに能力を向上させれば飽和攻撃してくる巡航ミサイル、弾道ミサイル、さらには、航空機、艦船、地上部隊のほとんどすべてを無力化することができるだろう。

 首相の訓示に「今までの常識は通用しない」とある通り、役人の考えで、従来のミサイルの補完という縛りを作ってその能力を矮小化してはならない。

 「電波妨害兵器」と「電磁砲」は完成してしまえば、先述した技術の中心となっている企業の新電源を使う事により、平時は民生電力事業に貢献し、有事は無尽蔵の「弾」を供給することになるだろう。

 イージスアショアなどのミサイル兵器よりも相当安価であるにもかかわらず、日本を「電磁バリアー」で覆い、国民を北朝鮮や中国からのミサイル攻撃から守り切れる態勢が出来上がることからも、戦争を一変させるという事がお分かりになるだろう。

 ただし、イージスアショアに代表されるミサイルなどの物理的打撃は最終的な破壊兵器として、ある程度の数量は必要となるだろう。

 しかし、「主」と「従」が逆転することになる。これが、ゲームチェンジャーの由来である。

 イージスアショアの優れた側面は、多数のミサイルなどに同時対処できる「総合ミサイル防空能力」を構築できる指揮・統制能力である。

 米陸軍が相模補給廠に防空砲兵旅団を配置したことと相まって、日米は共同で最適の兵器により瞬時に対処ができ、将来、AI技術が導入されると中国などのミサイルなどの飽和攻撃に的確に無駄なく対処できるようになるだろう。

 また、今まで言われていたレーザ兵器、レールガンの記述がない。

 これは、レーザ兵器は、開発は継続するとしても、大気中をレーザのパワーを減衰させないで目標に一瞬のうちに届かせるには技術的課題があり、レールガンは日本の技術では困難な課題があるからである。

 装備化には10年程度はかかるだろう。

3 継承した前大綱・中期の未解決の重要な問題
 新大綱の記述で前大綱の統合機動防衛力を深化させたとなっているが、本質的なことを深化し切れていないところに大きな問題がある。

 新大綱には次のような重要な記述があり、正しい方向を示していると評価できる。

 「宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域と陸・海・空という従来の領域による戦闘様相に適応することが死活的に重要」

 「今後の防衛力は、個別の領域における能力の質及び量を強化しつつ、全ての領域における能力を有機的に融合し、その相乗効果により全体としての能力を増幅させる領域横断(クロスドメイン)作戦により、個別の領域における能力が劣勢の場合にもこれを克服し、我が国の防衛を全うする」

 また、個々の装備などを見ると以下のように時宜を得た装備が明確化されてきている。

●スタンドオフ・ミサイルの導入

(その中の「LRASM」は空自に装備されるが、元々米軍が「F18」空母艦載機用に開発している射程が1000キロ以上の対艦ミサイルで、イージス艦や地上からも発射可能)

●射程を延伸した対艦ミサイル・防空ミサイル

●島嶼防衛用高速滑空弾、極超音速弾の開発・装備化、さらには無人水中航走体(UUV)の配備

 しかし、これらの装備はいったいどんな作戦・戦略に役に立つのか分からない。答えを出すには、米軍のエアシーバトル構想やそれを取り込んだオフセット戦略の考え方を考慮して日米一体の作戦をイメージしなければならない。

 疑問点は次の通りである。

Q:新大綱・新中期に繰り返し出てくる「主に冷戦期に想定されていた大規模な陸上戦力を動員した着上陸侵攻のような侵攻事態」は考えられないとして、排除しているが、では、中国式の侵攻様相とは何なのか?

 新中期には、ゲリラ・特殊部隊への「考慮」はあり、新大綱にはハイブリド戦の記述はあるが、肝心な南西諸島や本土に対する中国の攻撃はどんな形態なのか提示がない。

Q:米国が水中の作戦を重視し、中国艦艇を沈めるためにLRASMを開発し、トマホークや防空ミサイルを含めて、あらゆるミサイルに対艦攻撃機能をつけ、「船を沈めよ」をコンセプトにしているのに、日本は明確にしていない。

 米国と合理的に一体となって作戦する気はあるのか?

Q:海空領域の戦いは海自・空自だけの役割なのか?

 船を沈め、航空機を落とすために陸海空一体の領域横断の作戦を推進していくのではないか?

 南西諸島で実施している統合演習は無駄な演習なのか?

Q:第2次世界大戦におけるミッドウエー海戦のような海空決戦は、「日中もし戦わば」の時に生起するのだろうか?

 中国が第1列島線に仕かける短期高烈度決戦は1〜2か月続くと見積もられている一方、有事、米海空軍は当初の損害を回避するために一時グアム以遠に避退する中で海自・空自は国土防衛にどのように貢献するのか?

 果たして海自・空自は長期間、東シナ海や日本列島全域で優勢を獲得することができるのか?

Q:最終的に中国の軍事的冒険の意図をどのようにして断念に追い込むのか?

 すなわち、どうすれば中国に勝てるのか?

 これらすべての疑問は、日米作戦までを考慮に入れず、また、領域横断策を深く考えることなく「@戦いの様相の分析」と「A日米の勝ち目」の整理が不十分なために起こった問題である。

 統合幕僚監部、情報本部の責任は重い。

@戦いの様相は次の通りである(ただしこの順番で生起するとは限らない)

●中国共産党が指揮する「統一戦線工作」による洗脳(大衆操作)による無血開城
●サイバー攻撃による国家機能の麻痺、インフラの破壊

●漁船などを大量に投入した海上民兵による機雷などによる港湾封鎖、島嶼への精鋭部隊の輸送・港湾からの上陸(習主席はロシアのウクライナにおけるハイブリッド戦の研究を指示)

●国防動員法に基づく留学生・旅行者などによる国内蜂起(ゲリラ・特殊部隊)
●ドローン、巡航ミサイル、弾道弾によるレーダ、空港、港湾などに対する飽和攻撃(対処不能にさせる)

●古い軍艦、無人機を含む古い航空機による攻撃(弾を撃ち尽くさせる)
●新鋭艦、新鋭機の投入(海空決戦?)

 大綱を審議した有識者懇でも「制海、制空」から「制脳」ということが議論されたようだが、まさに新たな領域、さらにはグレーゾーンの戦いで決着してしまうこともあることは、もはや避けられない現実として法整備も含め対応を急ぐべきだ。

 また、必ずしも当初から海空決戦が生起するとは限らないのだ。

 このような戦闘様相を考えるなら、前大綱でも強調されている海上・航空優勢の獲得は重要でも、作戦・戦略を明確にしないままでの航空機、艦艇の増加だけでは、生き残り戦い続け、中国に勝つことはできない。

 海空戦力があれば日本を守れるというのは米空母がすぐに来援するとした過去の考えであるが、新大綱にもその考えが引き継がれている。

 さらに中国は、徹底して陸海空自や米海空軍が動けないようにして磨り潰しながら、あるいは弾を撃ち尽くさせて、目標とする島嶼を奪取に来ることを警戒しなければならない。

 中国式の「海洋人海戦術」だ。

 島嶼への中国の侵攻は、まさに中国版ハイブリッド戦であり、海上民兵に支援された空挺や海軍歩兵を含む精強な部隊が侵攻してくる。

 宮古島などを例に挙げれば、あらゆる港・空港を使い、一挙に5000〜6000人の迫撃砲や「RPG7」などの携帯ミサイルを持った部隊が、階級章もつけずに、宣戦布告することなく上陸して島を早期に占領しに来るだろう。

 今配置を検討している500人程度の部隊が10倍以上の「軍隊」を相手にすることになる。

 これに対抗できるのは戦車や機動戦闘車(MCV)とそのファミリーの装甲部隊である。装甲戦力なくして生き残り、国民を守りながら戦い続けることは不可能だ。

 空港のある島嶼が中国に取られれば、米軍の攻撃的な構想が破綻する。

 日米の勝ち目を整理すると次の通りである。(JBプレス「ついに軍備の世代交代始まる、日本にチャンス到来」参照=http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54330

●米国は「長期戦」「長距離打撃」へ転換

○船(水上艦、潜水艦)を沈めよ(対艦戦は中国の飽和攻撃返し、水中の支配の追求)
☆盲目化作戦での勝利(電子戦、マイクロ波兵器などの非物理的打撃)

●日本は「国土防衛」と「米軍作戦への最大限の寄与」が柱

○船(水上艦、潜水艦)を沈めよ
☆電磁領域での勝利(サイバー、電波妨害、マイクロ波兵器を5年以内に装備化)
◎生き残り、戦い続ける(ミサイル防衛、対ハイブリッド、対ゲリラ戦)

 米国には、エアシーバトルを基本としたオフセット戦略のように、積極的に前に出て同盟国と共に戦う積極戦略もあれば、オフショア戦略のように中国を大きく囲んで経済封鎖し、中国をギブアップさせる消極戦略が常に同居しており、その時々により幅のある選択がなされることを忘れてはいけない。

 米国は、国益によっては消極戦略を選択する自由があるということだ。

 積極戦略でも中国との核戦争への拡大を恐れ、中国本土への物理的打撃の限界も考慮して「長期戦」が基本となっていることが前提だ。短くとも1か月、長ければ1年と言う長さである。

 すなわち、日本は相当長い期間、自らの防衛力で戦い続けなければならないということだ。陸海空自共に、「生き残り、戦い続ける」ことが要求される。

 特に空自は、すべての民間空港が使えることが前提となるだろう。

 ☆印の米国の「盲目化作戦」は、米軍の切り札として作戦当初から実施すると明言しているものの実態は教えてくれない。恐らく宇宙、空からの電磁波攻撃などであろう。

 米陸軍も遅ばせながら陸自と同じような考え方を持つようになってきた。今回、日本が新大綱において電磁領域等の優越をはっきりさせたことから、やっと謎が解け非物理的打撃の新領域での一体化が進むと考えられる。

 ○印では「船を沈めよ」とハリス前太平洋軍司令官が言い、米海軍大学のトシ・ヨシハラ教授(現在はCSBA)やホームズ教授に陸上発射型のミサイル網は海軍の戦いを変えたと言わしめたのは、10年前から始めた自衛隊統合の対艦攻撃演習が大本である。

 今年(2018年)の海軍演習のリムパックに米陸軍とともに陸自の対艦ミサイルが参加したことはその流れが確固として続いていることを示している。

 また、「船を沈めよ」は、米海軍で発表されていた論文(War at Sea Strategy、核戦争への拡大を抑制するため中国本土を攻撃しない一方で、中国海軍を撃滅して勝利する)と整合している。

 このため、やがて米海軍も中国のA2/ADに押し込まれず、積極的に攻勢へ打って出るDistributed Lethality(分散したあらゆる場所からの攻撃)に転換し、ハリス氏の言葉になったのである。

 4年前に筆者らは米国の国防省の直接的なシンクタンクであるCSBA(戦略予算評価局)で議論したので、これは思いつきではなく歴史ある議論を重ね確立されていった日米の考えであると断言できる。

 一方、米軍は南西諸島および日本本土の防衛が、米海空軍のあらゆる艦船および航空機の安全を保証するものでなければ、船を沈める攻撃行動には出られない。

 すなわち、南西諸島が対艦、対空、対潜水艦の壁として存在しなければ米国の戦略は成り立たないということである。

 一方、米軍とは異なり、国土防衛も同時に実行する日本の場合は、陸自の対艦・対空の壁を前提として、海自・空自と一緒に艦船、航空機を統合作戦で仕留める所に意味がある。

 水中の作戦では水上の作戦と呼応しながらも、半ば独立して日本の潜水艦は米海軍と一体となり作戦を実行するであろう。水中の作戦は、機雷戦や無人艇の運用などを含め、日米の大きな切り札の1つである。

 これらを踏まえると、新中期防は、「従来の領域における能力強化」において認識の誤りがある。

 すなわち、前大綱と同じように「海空領域の能力」で、航空優勢の獲得、海上優勢の獲得として引き継いでいるが、そのような形態は正しく戦場を捉えてはいない。

 前出ハリス元司令官は「陸軍が船を沈め、人工衛星を無力化し、ミサイルを撃ち落とし、指揮・統制能力をハックし妨害せよ」と、まさに新たな領域と従来の領域を合わせた考えを表明している。

 さらに、INF条約が廃棄されれば、米陸軍は長射程の対艦・防空ミサイルを保有し、第1列島線沿いに配置して、東・南シナ海を中国の船と飛行機の墓場とすることができるようになるだろう。

 あるべき姿は、「海空領域」で領域横断的に作戦をし、「船(艦艇、潜水艦)を沈めること」「飛行機を落とすこと」が柱であることは明白である。

 従って、●「統合作戦による海空領域の能力」として、その中に

@「陸上からの打撃(対艦ミサイルの長射程化・超音速化、防空ミサイルの長射程化、島嶼の防衛能力の向上、機動・展開能力の向上)」

A「航空能力の向上(LRASMなどの導入、空対空ミサイルの長射程化)」

B「海上能力の向上」は2つに分かれ、

○「対水上戦能力」の向上としてミサイルの長射程化、護衛艦の対艦ミサイル装備の拡大

○「水中の作戦能力の向上」として潜水艦能力の向上、無人水中航走体などの充実、自律機雷などの開発・装備化となるべきだ。そして、極超音速滑空弾を統合兵器として保有すべきである。

 この際、陸自は機動展開能力の向上として、中級・小型級船舶の導入を決めたことは正しい決断だ。

 詳しくは書かないが、例えば英国と日本の共同開発の「ケイマン90」などは、岸壁からも急速に装甲部隊を揚陸できるため、このようなものを開発すれば上陸作戦の形態は全く変わるだろう。

 空自のF35はミサイルの搭載が2発と限られ、さらに国産ミサイルは搭載できないという欠点があることを踏まえ、F15の改修では多数の長射程ミサイルを搭載できるようにすることが必要となろう。

 海自は米国の戦略に合わせ、対艦攻撃機能の向上を図る必要があるだろう。さらに潜水艦から発射する弾道・巡航ミサイルの開発についても進めるべきだろう。

 マスコミは「いずも」の改修ばかりに注目しているが、本当に国土防衛をどのように全うしながら、米国と力を合わせることができるかの視点を見失ってはいけない。

 また、敵基地攻撃能力については、米国は北朝鮮への攻撃は認めても、中国に対する攻撃を日本に認める気はない。

 米国が中国本土への攻撃は核戦争へ誘発する恐れがあると同時に、効果が十分に期待できないことから踏み込んでいないのに、そのような考慮なしに敵基地攻撃だけが独り歩きするのは問題だ。

 現今では、核兵器でも保有しなければ効果はない。むしろ電磁領域の活用の方が可能性は高いだろう。

4 これまで直面したことのない安全保障環境への覚悟
 2018年10月のペンス副大統領のハドソン研究所での演説は、中国に全面的に立ち向かう米国の不退転の決意を表明したもので、歴史的な転換点だと評価されている。

 ルトワック氏は「これは、ビジネスの問題ではなく、中国が支配する世界、中国に牛耳られた経済の中で生きていくのかどうかだ」と断言している。

 言葉を変えると、中国の「抑圧」された人類運命共同体で生きることを選択するのか、少々トランプ大統領のわがままを我慢しても「自由」を選択するのかの分水嶺に世界は直面しているということだ。

 米国の強烈な決意が示されたにもかかわらず、日本は中国との関係は「競争」から「協調」へ向かうとして経済界は中国へ向かい、米中の仲介者たらんとするその姿は実に無謀で身の程知らずだ。

 米国は、既に中国は第2列島線内で米軍に対抗する能力があり、2025年までにインド太平洋全域で米軍に対抗できると考えている。そして、中国は米国が直面する中・長期的な最大の脅威であると断言している。

 自由を基本として、人間らしい生き方をしたいのならば、米国とともに歩むことは日本にとって正しい選択である。

 同時に、トランプ大統領は、シリアからの撤退に当たって「感謝されない地域を米軍が支援する必要はない」と述べている。

 日本は甘い。何時までも日米同盟は続き、米国のご機嫌を取るため、高額の装備品を購入することが日米同盟だと思っているならば、いつか見下され、国内産業は衰退し、米国の国益の考え方の変化によっては日米同盟は終わるだろう。

 しかし、賢明な読者の皆さんは今回の提言に、米国から切り離されても日本の防衛を日本自らができるように仕込まれた処方箋があることに気づかれたかもしれない。

 日本の歴史が途切れるのか、続くのかの過渡期の戦略は実に難しい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55061
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/473.html

[経世済民130] 平成最後の年末は日経平均3万円への途上 トランプ米国株買い促す「とてつもない好機」 日本株反発、反動や円高一服−内需中心
平成最後の年末は日経平均3万円への途上
ストラテジーレポート
広木 隆 2018/12/26国内株式

• マネックス
本稿を執筆しているのは年内の営業日も残すところあと2日となった2018年の年の瀬である。今年の年末相場は間違いなく最低の部類のひとつに入る。昨日のクリスマスの日に日経平均は1000円余りも急落。2万円の節目を割り込み、2017年4月25日以来1年8カ月ぶり安値を付けた。世界的な株安の震源地、米国の株価下落が止まらない。12月としては大恐慌以来、最悪のパフォーマンスとなりそうだ。今年はリーマンショックから10年目に当たり、「そろそろ危ない」との声もささやかれていたが、株式市場の反応はまさに「危機再来」といったムードになっている。
そんな最悪の相場環境のなか、平成最後の年末を迎える。思い返せば、平成初めての年末は日経平均の史上最高値で終えたのであった。今の株価は史上最高値3万8915円のちょうど半値である。平成という時代は「失われた○年」という形容詞で語られることが多かったが、30年経って、株価がやっと半値にしか達していないという事実に、改めてこの平成という時代の喪失感を思い知らされる。
オークツリー・キャピタル創業者兼会長のハワード・マークス氏は、著書「市場サイクルを極める」のなかで、投資家の心理が「強欲と恐怖の間を行き来する振り子」のように揺れ動き、市場全体の動きは、この振り子で説明がつくと述べている。日本株はまさに30年かけて、強欲から恐怖へ、超楽観から超悲観へと大きな振り子の動きをした ― この平成という時代の株式市場の動きを一言で総括すればそう言えるだろう。
平成元年の末と平成30年末、この2期間比較ではその通りだが、この間にあった30年という時間の経過と蓄積を捨象してはいけない。従来述べてきたことだが、日本株は平成の初めの20年は80年代バブルの清算に充ててきた。ずっと右肩下がりのトレンドだった。80年代バブルがあまりにすさまじかったために、その清算には20年もの年月を要したのである。しかし、平成最後の10年は米国株市場と同様の右肩上がりのトレンドに回帰した。株式という資産が本来持っている長期的な平均リターン(年率7%程度)を期待できる市場に生まれ変わった。
日経平均(赤)とNYダウ(青)

出所:Bloomberg
あまりにも異常だった80年代バブルの清算を、20年もの歳月をかけておこなった結果、バリュエーションが正常化し、企業業績の伸びがそっくりそのまま株価のリターンに反映されるようになったのである。この株式市場の大きなフレームワークの変化こそが、われわれが、日経平均が3万円に達すると考える根拠であり、この枠組み自体はなんら変わっていない。
しかし、株価というものはファンダメンタルズだけでは決まらない。それを評価する投資家心理とのかけ算だ。今年はこの投資家心理があまりにも冷え込んでしまったために、ファンダメンタルズがまったく評価されずにきた。ここまで市場心理が悪化し冷え込むと、回復には相応の時間がかかる。それが、われわれが日経平均3万円到達の時期を1年後ろ倒しに延長した背景であった。当初は今年度(2019年3月)末に達成としていたが、来年度(2020年3月)末に変更したのであった。(日経平均3万円への道アップデート2018年3月、5月)
平成元年末、日経平均が3万8915円の史上最高値をつけた時のPERはおよそ60倍だった。平成30年末は10倍台。PERの逆数である株式益利回りで見れば、平成元年末は1%台、今はおよそ10%だ。益利回りとは、その株価で投資したら企業が年にどれだけの利益を稼いでくれるかを示す指標であり、米国の長期のデータで検証すると、この益利回りはそっくりそのまま実際の株価のリターンに一致している。益利回りは投資収益率の代理指標なのである。さらに言えば、平成元年は金利も高かったから、益利回りから金利を引いた株式のリスクプレミアムはマイナスだった。そんなところで買っても利益が出るわけがない。それに比べて今の益利回りは10%、金利はゼロだから、たっぷりプレミアムが乗っている。リスクを取る見返りが大きいということだ。
もうひとつの代表的なバリュエーション尺度であるPBRは日経平均採用銘柄全体で1倍を割り込んだ。この先、企業の純資産が減少する、すなわち業績が赤字になることを織り込む水準だ。いくらなんでも悲観的な見方が行き過ぎているだろう。
この悲観に満ちあふれている今は、逆に絶好のチャンスである。来年は行きすぎた悲観の修正で大きなリターンが生まれる可能性が高いと見ている。ハワード・マークス氏の言う「強欲と恐怖の間で揺れ動く振り子」が大きなスゥイング・バックをすると考えている。
平成相場は強欲から恐怖へ、楽観から悲観へと振れた30年だったと総括した。日経平均が3万8915円の史上最高値をつけた平成元年末を別な言葉で表現すれば、「陶酔のうちに消えていった」と言えるだろう。この言葉は伝説のファンドマネージャー、ジョン・テンプルトンのものである。ご存じの通り、この言葉は、「本当の強気相場は悲観の中に生まれる」と始まる。「本当の強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観とともに成熟し、陶酔のうちに消えていく」 これが相場のサイクルである。悲観に満ちあふれた今はサイクルのどこに位置するのか。それを見極めることが重要とのハワード・マークス氏の言葉をもう一度胸に刻みたい。
平成の30年が終わろうとしている。陶酔から悲観へ。平成30年の終わりに、実は本当の強気相場が生まれ、平成の次の、新しい時代へとつながっていくのだろう。そう信じてやまない2018年の年の瀬である。

https://media.monex.co.jp/articles/-/10718

トランプ大統領、投資家に米国株の買い促す−「とてつもない好機」
Alyza Sebenius
2018年12月26日 4:05 JST

Photographer: Zach Gibson/Pool via Bloomberg/Bloomberg
トランプ大統領は、このところの米株式相場の大幅下落は投資家にとって買いの好機だとの考えを示唆した。市場関係者の多くは、トランプ氏の政策と米政治の機能不全が相場急落の原因とみている。

  トランプ大統領は25日、「米国には世界でも有数の優れた企業があり、こうした企業は非常によくやっている」とホワイトハウスで記者団に発言。「米企業は記録的とも言える数字をたたき出している。従って私は今がとてつもない買いの好機だと思う。まさに素晴らしい買いの好機だ」と語った。

  米株式相場は週間ベースでの下げが続いて、24日も大幅安となり、S&P500種株価指数は1年8カ月ぶりの安値で引けた。トランプ大統領は株式市場を自身の政権のバロメーターと見なしており、相場下落にいら立ちを示している。

原題:Trump Urges Buying the Dip After Stocks Sink on D.C. Dysfunction(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-25/PKB1JS6JTSE801?srnd=cojp-v2


 

日本株は反発、下げ過ぎ反動や円高一服−サービスなど内需中心上げ
長谷川敏郎
2018年12月26日 7:58 JST 更新日時 2018年12月26日 15:54 JST
騰落レシオや移動平均かい離、バリュエーションは売られ過ぎを示唆
ドル・円は一時1ドル=110円60銭台、指数は一時下落転換と不安定

A man looks at an electronic stock board outside a securities firm in Tokyo, Japan, on Tuesday, Dec. 25, 2018. Photographer: Shoko Takayasu/Bloomberg
26日の東京株式相場は6日ぶりに反発。前日までの下落による売られ過ぎを見直す動きから、サービスや情報・通信、医薬品など内需関連中心に上昇。為替相場の円高一服で電機など輸出関連も高い。

TOPIXの終値は前日比15.92ポイント(1.1%)高の1431.47
日経平均株価は同171円32銭(0.9%)高の1万9327円06銭
  トランプ米大統領は25日、米金融当局とパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長、ムニューシン財務長官に対して信頼を表明した。財務長官については、大統領が解任を検討していると関係者が明らかにしていた。為替市場でドル・円相場は1ドル=110円60銭台まで円安が進展、前日の東京株式市場の通常取引終了時点は110円ちょうどだった。

  アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは「きょうは投資家心理がやや落ち着いた。日本株はバリュエーションやテクニカル、ファンダメンタルズのいずれからも自律反発しやすい水準にあった」と語った。東証1部の上昇・下落銘柄数の百分比を示す騰落レシオは25日に65.6%と、経験的に「売られ過ぎ」とされる70%以下。25日移動平均線からの下方かい離率はTOPIXが12%、日経平均は11%で、短期売られ過ぎの目安とされる5%を大きく超えていた。

  トランプ大統領のFRB議長と財務長官についての発言は、「自分の怒りより信認が金融市場にとって重要だと認識している」と東海東京調査センターの平川昇二チーフグローバルストラテジストは受け止めた。国内でも財務省、金融庁、日本銀行の幹部が25日夜、国際金融資本市場の動向について意見交換した。3者が「政策面で本腰を入れれば何でも実現できる。株価がもう一段下がれば、具体的な行動を起こす可能性がある」と平川氏はみている。

  上昇して始まった日本株相場は、米S&P500種株価指数のEミニ先物がマイナスに転じた午前半ば以降に上値を切り下げ、株価指数は午後にマイナスに転換する場面もあった。日経平均は一時1万9000円を割り込んだ。CNNは午前、ムニューシン財務長官は大統領との関係で「重大な危機」に直面している恐れがあり、「切羽詰まった状態」にあると伝えた。

  三井住友アセットマネジメントの金本直樹シニアファンドマネジャーは「これだけ値幅が出た後だけに、通常なら休場明けの米国株は反発で始まると想定できる。しかし、年明けからグローバルの中央銀行のマネタリーベースがマイナスに転じることが相場波乱の根底にある上、米政治リスクも高まっている。米国株が下げ止まらない限り買いにくい」と語った。


東証33業種は精密機器、空運、ガラス・土石、サービス、繊維、建設、医薬品、電機が上昇
ゴム製品、食料品、保険は下落
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-25/PKBD4X6JTSE901


 


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/308.html

[経世済民130] 黒田総裁、先行き巡る不確実性さらに高まっている 海外下振れリスクに一層注意、金融政策は「持久力」が重要=日銀総裁    
黒田総裁、先行き巡る不確実性さらに高まっている
日高正裕
2018年12月26日 14:02 JST
最近の保護主義的な動きは慎重に点検していく必要
保護主義的な動き、長期化すれば負の影響が増幅される恐れも

日銀の黒田東彦総裁 Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
日本銀行の黒田東彦総裁は26日、都内で講演し、「先行きを巡る不確実性はさらに高まっている」との見方を示した。

  黒田総裁は「このところ海外経済の動向を中心とする不確実性が増している」と言明。特に米中間の貿易摩擦をはじめ最近の保護主義的な動きは「慎重に点検していく必要がある」と語った。

  これまでのところ、この問題がわが国経済に及ぼす影響は「限定的」としながらも、その解決に「時間がかかる可能性も否定できない」と指摘。展開次第では「企業マインドの悪化や金融市場の不安定化を伴って負の影響が増幅される恐れもある」との懸念を示した。

  英国の欧州連合(EU)からの合意なき離脱の可能性や、米国の利上げの動きが新興国からの資本流出につながる可能性、中東などの地政学的リスクなどにも「留意が必要」と指摘。中国では製造業景況感の改善ペース鈍化など一部に弱めの動きも見られ、「貿易摩擦の影響なのか」今後見極めていく必要があると語った。

  金融政策運営については、金融緩和のベネフィットだけでなくコストについてもバランスよく考慮しながら、物価目標の実現に向け、「強力な金融緩和の下で、一歩ずつ歩みを進めていく方針だ」と述べた。

  日銀は20日の金融政策決定会合で、長短金利操作付き量的・質的緩和の枠組みによる政策運営方針の維持を決めた。長期金利の誘導目標は「0%程度」としてある程度の変動を認めるとし、短期金利の「マイナス0.1%」と共に据え置いた。指数連動型上場投資信託(ETF)などの資産買い入れ方針も従来通り。「当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」とのフォワードガイダンス(政策金利の指針)も維持した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-26/PKBUMY6K50XS01?srnd=cojp-v2


 

ビジネス2018年12月26日 / 14:32 / 8時間前更新
海外下振れリスクに一層注意、金融政策は「持久力」が重要=日銀総裁
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[東京 26日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は26日、都内で開かれた日本経済団体連合会(経団連)の審議員会で講演し、海外経済の下振れリスクに一層注意が必要になってきた、と語った。金融政策運営は、効果と緩和長期化による副作用をバランスよく考慮しながら、強力な金融緩和を粘り強く続けていく「持久力」が重要になっていると語った。

総裁は「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」との日銀法に定められた理念を紹介したうえで、企業収益や雇用・賃金の増加とともに物価が緩やかに高まっていく「好循環が働く経済を目指して金融政策を運営している」と語った。

これまでの強力な金融緩和は「わが国経済を大きく改善させる効果があった」としたが、景気拡大や労働需給の引き締まりに比べれば「物価は弱めの動きを続けており、物価安定目標の実現には、なお時間を要する」と指摘。「ここにきて海外経済を中心とする下振れリスクにも、一層注意が必要になってきた」とも述べた。

こうした局面での金融政策運営は「金融緩和の効果と副作用をバランスよく考慮しながら、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていく」とし、「まさに政策の持久力が大事になっている」と強調。

金融緩和の長期化による金融仲介機能の停滞や、金融システムが不安定化するリスクは「大きくない」としながらも、「政策の持久力を維持する観点からも、先行きの動向を注視していく必要がある」と語った。

そのうえで、今後の金融政策運営について、海外経済の動向を中心としたさまざまなリスクを点検しながら「政策のベネフィットとコストを比較衡量し、その時々の状況に応じて、最適な政策を実施していく方針」と繰り返した。

<不安定な株価、世界経済のリスクに対する認識変化>

26日には一時1万9000円割れまで軟化した株式市場については「やや不安定な動きを続けている」と指摘。「世界経済を巡る様々なリスク要因に対する認識の変化が、株式市場の変動に繋がっている面がある」と分析し「今後も、国際金融市場の動向とその背景となる各種リスク要因の動きについて、注意深く点検していく」とした。

先行きの経済については「緩やかに拡大を続ける」との見通しを維持したものの「このところ、海外経済の動向を中心とする不確実性が増してきていることには留意が必要」と付け加えた。なかでも、米中貿易摩擦をはじめとする保護主義的な動きは「慎重に点検していく必要がある」とした。

保護主義的な動きは「どの国にとってもメリットはない。行き過ぎた動きには、いずれブレーキがかかるはず」との見方を示す一方で、米中貿易摩擦が「米中間の関係を将来にわたってどう構築していくのか、という大きな文脈の一部と捉えるならば、その解決に時間がかかる可能性も否定できない」と、長期化の可能性にも言及した。そうした場合「企業マインドの悪化や金融市場の不安定化を伴って負の影響が増幅される恐れがある」との懸念を示した。

一方、中国の製造業の景況感の改善ペースが鈍化していることに触れ「これが、貿易摩擦の影響なのか、それともデレバレッジなどに伴う国内需要の減速の表れなのか、といった点も、今後見極めていく必要がある」と指摘した。

戦後最長の景気回復の下で、人手不足に悩むほどの需要増加に直面しながらも、将来に対する慎重な見方を示す企業が少なくないのは「こうした海外経済を巡る不確実性の高まりが企業マインドを慎重化させている面がある」とした。

*内容を追加しました。

伊藤純夫 清水律子
https://jp.reuters.com/article/boj-kuroda-idJPKCN1OP0A7
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/309.html

[経世済民130] 強気相場に「とどめの一撃」の気配−過去10年を懐かしむクリスマスに 止まらない株安、裏にある投資家の「同質化」
強気相場に「とどめの一撃」の気配−過去10年を懐かしむクリスマスに
Sarah Ponczek、Elena Popina、Vildana Hajric
2018年12月26日 10:44 JST
信奉者も強気相場の終わりを宣告する状況となりつつある
市場は壁を着実に乗り越えたが、データの裏付けがなかったと専門家
それはトランプの札を積み上げたようにもろく、1%の階層へのギフトであり、金融政策の行き過ぎた実験ともいわれてきた。

  過去に例のない長い期間にわたり継続したことで、それを悪く言う人々を10年にわたり当惑させ、その口を封じてきた強気相場も今や瀕死(ひんし)の状態になるほど足元が揺らぎ、強気相場を嫌う人々も信奉者も終わりを宣告する状況となりつつある。

  株価の値下がりペースは速く、ほぼ途切れることのない売りに見舞われたS&P500種株価指数は3カ月で19.8%下落し、ダウ工業株30種平均は最高値から5036ドル下げ、このままいけば1931年以来で最悪の12月となりそうな流れだ。相場の騰勢が盛んな時期に株式を販売し、投資アドバイスを行った人々にとって、今回のクリスマスは過去を懐かしむ時になったかもしれない。

  アムンディ・パイオニア・アセットマネジメントのマネジングディレクター兼ポートフォリオマネジャー、ジョン・キャリー氏は電話取材に対し、「著しいロングランだった。数カ月前までは全般に極めて強気の相場が続いていた。過去10年は資金運用にとって非常に好ましい時期だった」と振り返った。

  一方、ウィーデンのチーフ・グローバルストラテジスト、マイケル・パーブス氏は「この全体的状況が示す見事な皮肉の一つは、2018年において経済が危機以前にわれわれが知っていた状況に正常化しつつあるようにようやく感じられるということだ。1年前の税制改革と支出の政策実現までは、今回は最も嫌われた強気相場の一つだった。市場は懸念の壁を一つ一つ着実に乗り越え、経済データがそれを裏付けていなかったことが問題だった」と指摘した。
  

Worst December Ever
Down 14.8%, the S&P is poised for the worst December on record


Source: Bloomberg

Note: The chart shows 10 worst Decembers for the S&P since inception

原題:Whiff of Extinction Blows in Bull Market That Outlived Them All(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-26/PKBH4G6TTDS201?srnd=cojp-v2

 

外為フォーラムコラム2018年12月26日 / 12:22 / 11時間前更新

止まらない株安、裏にある投資家の「同質化」

嶋津洋樹 MCPチーフストラテジスト
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[東京 26日] - 世界的な株安に歯止めがかからない。12月26日の日経平均は一時的に戻しているものの、震源地である米国の主要株価指数は24日まで4営業日連続で下落し、落ち込み幅は8%前後に達した。

その原因としてまず挙げられるのは、主要国の景気が減速しているにもかかわらず、中央銀行が金融政策の正常化を継続する姿勢を維持していることだろう。また、欧米の市場参加者の多くが休暇に入って取引量が減る中、残っているのは10月以降の株価下落で敗戦処理を余儀なくされているファンドや、年末年始に向けてリスクを取りにくい国内投資家などに限られるという要因もある。

そこへトランプ米政権の混乱が重なった。しかも、今回浮上したのは連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長とムニューシン財務長官という、米国の金融・財政政策に携わる高官の進退が絡む憶測だ。それと前後して、マティス国防長官の退任とその時期の前倒しも発表された。

これまでもトランプ大統領の政策運営は、市場参加者の目には場当たり的に映ってきた。それを踏まえれば、多くの投資家がしばらくリスクを避け、様子を見ようと判断するのは合理的と言えるだろう。

とはいえ、多くの市場参加者が同じ方向を見ていることには違和感も覚える。冬季休暇のタイミングでリスクに手を出しにくい、という点を勘案してもその違和感は変わらない。

<進む予測の保守化>

振り返れば、こうした投資家の「同質化」は2018年初めから顕著だった。誰もが新興国株と欧州株の上昇、米長短金利の差が開くイールドカーブのスティープ化を予想していた。しかし、アルゼンチンで金融市場の動揺が深刻化し、英国のEU(欧州連合)離脱やイタリアの2019会計年度の予算案を巡る不透明感が強まると、今度は見方が逆方向に一変した。

ほぼ同じタイミングでトルコや南アフリカの金融市場が不安定化したこともあり、新興国株を含むリスク資産への悲観論は一気に拡大した。このほかにも、ユーロ圏の景気見通しが一斉に悲観的なものに転じたり、フェイスブック(FB.O)など「FANG」銘柄に象徴される米ハイテク株への強気な見方が突然終わりを迎えたりした。

もちろん、市場参加者が同じ見通しを持つことはコンセンサスと言われ、それほど珍しい事象ではない。それでも筆者は、その形成速度、金融市場に広がる浸透スピードが日に日に増していると感じている。市場参加者の横並び意識が強まっていること、さらにはリスクに対する過剰なまでの回避姿勢が関係しているのではないだろうか。

筆者自身が常に経験していることだが、経済や金融市場の現状を調査・分析し、先行きを考える仕事は、楽観シナリオと悲観シナリオを示すときの心理負担が大きく異なる。というのも、景気回復や株価の大幅な上昇を見通せなくても批判されることは少ないが、金融危機や景気後退、株価の大幅な低下といったネガティブな見通しを予測できないと風当たりが強くなりがちだからだ。

逆に、ポジティブな見通しは当たって当然と思われがちなのに対し、ネガティブな見通しは当たらなくても、警鐘を鳴らしたと評価されることさえある。

結果として、見通しは常に保守的で慎重なものにならざるを得なくなる。そうした流れはリーマン・ショック以降、さらに強まったと感じている。株価指数に連動した運用成績を目指すパッシブ運用の流行や、アルゴリズム、人工知能(AI)を使った取引の台頭、業界内の競争の激化も、慎重な見通しを促している要因だろう。

<2019年も振れ幅大きい展開に>

筆者は、市場参加者がより積極的にリスクを取るべきだと主張しているわけではない。しかし、予測が外れることを恐れて周囲の動きに合わせ、自身で判断することを避ける傾向が強まっていることは否めない。冬季休暇で参加者が減少している今のタイミングで、それが一気に顕在化したことが、大幅な株安の一因になっていると筆者はみている。

トランプ大統領の政策が場当たり的に映るのは、ときに正論や事実を述べることがあっても、自身の正当性を主張するために事実かどうか明らかではないことを並べ、人々の感覚や印象に訴えているように見えるからだ。米国内では、民主主義の根幹を揺るがしかねない危険な戦略との批判も聞かれる。

一方、金融市場で強まるリスク回避の傾向も、市場参加者が起きている事象の事実を確認しないまま、市場参加者が周囲の動きに合わせて投資判断をしている結果と言える。見通しが外れても批判を受けにくいかもしれないが、2018年を通して金融市場で見られた通り、すべての市場参加者がリスク回避に走るならば、上昇も下落も振れ幅が急激かつ大きくなりやすい。それは金融市場の機能を揺るがしかねない。

2019年の金融市場を展望する上で、市場参加者の見通しが極端かつ一方向に振れやすいという傾向は頭に入れておくべき要素となりそうだ。つまり、急速にリスク志向が強まる局面と、それが一気に逆流する局面とが混在する、荒れた相場展開が続くことを意味する。

(本コラムは、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

(編集:久保信博)

嶋津洋樹氏(写真は筆者提供)
*嶋津洋樹氏は、1998年に三和銀行へ入行後、シンクタンク、証券会社へ出向。その後、みずほ証券、BNPパリバアセットマネジメントなどを経て2016年より現職。エコノミスト、ストラテジスト、ポートフォリオマネジャーとしての経験を活かし、経済、金融市場、政治の分析に携わる。共著に「アベノミクスは進化する」(中央経済社)
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-tax-hiroki-shimazu-idJPKCN1OP05L
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/310.html

[経世済民130] 2019年は世界経済が痛みを感じる年に−貿易戦争が成長抑制か 平成相場「超円高」次は円安 年初の円高か、日米交渉要警戒
2019年は世界経済が痛みを感じる年に−貿易戦争が成長抑制か
Enda Curran、Katia Dmitrieva
2018年12月26日 8:47 JST 更新日時 2018年12月26日 11:12 JST
関税を見越した前倒しの輸出発注が減少する中、貿易の状況悪化
貿易へのいかなる介入も経済への重荷になるとプロロジスCEO
2018年は貿易戦争が勃発した年だったが、19年は世界経済が貿易戦争の痛みを感じる年になりそうだ。

  ブルームバーグのグローバル・トレード・トラッカーが示す貿易の状況は、関税賦課を見越した前倒しの輸出発注が減少する中、悪化している。米中両国が貿易戦争の解決を目指す中でも貿易高は一段と鈍化すると予想され、企業は混乱の継続を警告している。

  既に被害者が出ている。ウエアラブルカメラメーカーの米ゴープロは、対米輸出向けのカメラ製造拠点の大半を来年夏までに中国外へと移す予定。中国から生産施設を移す有名ブランド・エレクトロニクスメーカーの先駆けの1社となった。貨物輸送会社の米フェデックスは最近、利益見通しを下方修正したほか、国際的な空輸能力を引き下げた。

  物流施設の開発・運営を手掛けるプロロジスのハミード・R・モガダム最高経営責任者(CEO)は、「貿易へのいかなる介入も経済への重荷になる」とした上で、「その結果、世界経済は恐らく鈍化するだろう」と指摘した。

Synchronized Slowdown
Global growth is set to decelerate in coming years


Source: Organization for Economic Cooperation and Development

  最近の経済指標も、貿易が来年の米経済成長を抑制するとの懸念を浮き彫りにしている。米消費者は1年後の米経済を全く楽観しておらず、中小企業の景気改善に対する楽観的見方は2年ぶりの低水準となった。企業は来年の利益の伸び鈍化を見込んでいる。

  国際通貨基金(IMF)は来年の貿易伸び率が今年の4.2%から4%に鈍化すると予想している。昨年は5.2%だった。IMFは貿易障壁が一段と顕著になっていると警告する。

欧州にも影響
  欧州も影響は免れない。ドイツ機械産業連盟(VDMA)によると、同国の主要産業である機械セクターの今年の生産高は今年、過去最高の2280億ユーロ(約28兆7000億円)となる見通しだが、貿易摩擦などのため来年は増加率が鈍化する見込み。今年の同生産高の増加率は実質ベースで今約5%と、11年以来の高い伸びとなり、来年は2%に鈍化すると予想される。

  さらに米国が欧州や日本からの自動車輸入に関税を課すリスクもある。これが実行されれば、世界最大級の経済国・地域同士の関係に打撃をもたらすことになる。また中国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)の逮捕は、予想外の出来事によって既に緊張をはらんでいる関係が急速に悪化するリスクを鮮明に示した。

  シティグループ・グローバル・マーケッツのエコノミスト、セザール・ロハス氏(ニューヨーク在勤)は最近のリポートで「2018年以降の貿易のかい離と解決が遅れて宙ぶらりん状態の関税問題が19年にかけて続くことにより不透明感の強い状態が継続し、貿易と投資計画に引き続き影響を及ぼすだろう」と記述している。

原題:World Economy Is Set to Feel the Delayed Trade War Pain in 2019(抜粋)

(欧州の見通しなどを追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-25/PKBDN76S972801


 


コラム2018年12月26日 / 11:42 / 12時間前更新
オピニオン:
平成相場を彩った「超円高」、次の時代は円安に

佐々木融 JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長
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[東京 26日] - 30年間に及ぶ平成時代の為替市場で最も鮮明に記憶している出来事は、日本銀行の為替介入もまったく歯が立たなかった1995年の「超円高」だった、とJPモルガン・チェース銀行市場調査部長の佐々木融氏は振り返る。

デフレの続く平成時代はドル安/円高が基本的な流れだったが、2013年に「アベノミクス」が本格始動して以来、相場は円安に振れている。いったんは円高方向への揺り戻しはあるだろうが、新たに迎える時代では、変動を繰り返しながらも長期的に円は下落していくのではないか、と同氏は予想する。

同氏の見解は以下の通り。

<超円高を前に感じた無力感>

平成時代の為替相場で最も大きな出来事として記憶しているのはドル/円が80円を割り込んだ1995年の円高だ。当時、日本銀行で為替介入を担当していた自分が感じたのは「無力感」だっだ。

買っても買っても、ドル/円は下がっていく。日銀はアナウンスメント効果を狙い、市場に分かる形で介入をしていたが、それでも皆がドルを売ってくる。

ドル/円が79円75銭をつけた1995年4月19日、日銀は介入をしなかった。いくら買っても下げ止まらないので、様子を見ることにしたのだ。そしてドルは80円を割り込んだ。「介入をしないから、ついに80円を割り込んでしまった」――。そう思った瞬間がボトムだった。

その後1カ月間、日銀は介入をしていない。それにもかかわらず、ドル円は反発を始めた。経験上、日銀が介入している間は、ドルは上がらない。日銀しか買い手がいない状況で、ドルを売る相手が急に消えてしまい、異変を感じて初めて市場参加者は買い戻し始めるのではないだろうか。そして、不思議と介入を止めるとドルは反発し始める。

過去30年の平成時代、日米の物価上昇率は90―100%の差がついており、それを反映してドル円は総じて円高方向に流れてきた。しかし、1995年時点の80円割れは実質ベースでみても、相当な円高だった。

当時は日米貿易摩擦が激しく、クリントン政権の高官たちは、あからさまに円高を求める発言をしていた。終盤には英女王陛下の銀行と呼ばれた名門ベアリングズ銀行の破綻によって日経平均も大きく下落した。

ドル/円は、2011年の東日本大震災の発生後に史上最安値となる75円台まで下落したが、日米のインフレ率の差を勘案した実質実効為替レートで見ると、この時の円高はそれほど極端な円高とは言えない。

<対外投資が円安を後押し>

平成時代の為替市場でもう1つ特筆すべき出来事は、2004年から2007年にかけて海外勢が盛んに行った「円キャリートレード」だろう。低い円金利と他通貨の金利差を利用し、海外の金融機関が円建て住宅ローンなど様々な商品を開発し、円売りが広がった。

その後は世界的な金融危機と東日本大震災で円高が進み、2012年12月に安倍晋三政権が発足して「アベノミクス」が始まる直前からは、円安方向に動いている。日米物価上昇率の差からすると、90円台前半がドル円相場の「均衡水準」と考えられるので、今は明らかな円安状態にある。

日本企業が対外直接投資を大きく増やし、為替ヘッジなしの対外証券投資も膨らんでいる。円キャリートレードが盛んだったころの円安の原動力は外国人投資家だったが、今回は日本企業と日本人投資家が主導している。国内に需要がないからというだけでなく、情報通信や交通など、技術の発達で対外投資が容易になっていることも要因と言えるかもしれない。

平成時代の最後に起きている事象であり、もう少し検証の時間が必要だとは思うが、次の時代に振り返ったとき、日本勢による対外投資の活発化は30年間の平成相場の中で重要な動きとして記憶される可能性がある。

<長期の流れは円安に>

新時代のドル円相場は、短期的には、もう少し円安に振れると見ている。2019年は日米金利差がもう一段拡大することが見込まれるため、これまでの日本勢の対外投資フローに、外国人投資家の円売りが加わり、年半ばに118円くらいまで上昇すると予想している。

 12月26日、JPモルガン・チェース銀行の佐々木融・市場調査本部長は、デフレの続く平成時代はドル安/円高が基本的な流れだったが、新たに迎える時代では、変動を繰り返しながらも長期的に円は下落していくのではないかと予想。写真は都内のディーリングルームのモニターに映る自民党総裁選の様子。2012年12月撮影(ロイター/Yuriko Nakao )
そこから年末までにいったん112円台へ下落すると見ているが、そのまま円高に進むかどうかは、世界経済がいつ後退するかによる。大きく後退すれば均衡レートの90円台に下落するだろう。

しかし、問題はそこからだ。次の景気後退時の円高は最後の円高となり、次の時代の円相場のトレンドは円安に傾く可能性が高いと見ている。

ドル/円は日米の物価上昇率のどちらが高くなるかで決まる。鍵を握るのは財政政策だろう。次に円高が起きたとき、金融政策には打つ手がなく、財政政策にしか頼れない。そのやり方次第では、通貨の価値が低下する。

そうなる前に財政出動をやめれば良いという意見があるかもしれないが、世界恐慌を受けて歳出拡大した1930年代の事例を考えると、ずるずると続けてしまう可能性が高い。積極財政を日銀が支える政策は、いったん始めたら、簡単にはやめられないことは歴史が証明している。

*本稿は、ロイター特集「平成を振り返る」に掲載されたものです。佐々木融氏にインタビューし、同氏の個人的見解に基づき書かれています。

(聞き手:久保信博)

佐々木融氏(写真は筆者提供)
*佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の市場調査本部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に「インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?」「弱い日本の強い円」など。
https://jp.reuters.com/article/opinion-tohru-sasaki-idJPKCN1OP03M


 


外為フォーラムコラム2018年12月26日 / 18:57 / 3時間前更新

「年初の円高」は繰り返すか、日米交渉も要警戒

内田稔 三菱UFJ銀行 チーフアナリスト
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[東京 26日] - 2018年はドル円の値幅が9円99銭にとどまり、1973年に変動相場制へ移行して以降、過去最小の年間値幅記録を更新する見込みだ。

リスク回避局面におけるドル安/円高が限定的だったこともあり、市場での円高警戒も和らいでいる。株式市場の下落基調が続く足元も、110円近辺で下げ止まるとの漠然とした期待が強いようだ。

しかし、ドル円の動きと日米金利差は全くと言っていいほど相関を失っており、金利差拡大が円安につながるという羅針盤は全く当てにならない。今年の値幅が狭いのも、ドルに一歩も譲らず円が強かったからにほかならない。円が年初来、対ドルで上昇した唯一の通貨であることはあまり報じられていない。

その中で注目すべきは、過去3年間、ドル円が第1・四半期に大幅に下落するパターンを繰り返していることだ。16年第1・四半期の安値は110円67銭で、前四半期の高値123円76銭から大きく下落し、同じく17年第1・四半期も安値が110円11銭と前四半期の高値118円66銭から落ち込み、18年の第1・四半期の安値も104円56銭と、前期の高値114円73銭から大きく値を下げている。

前年第・4四半期の高値と翌年第1・四半期の安値の落差は、平均すると10円60銭。18年第4・四半期の高値はこれまでのところ114円55銭(10月14日)であり、もし季節性が繰り返されれば、ドル円は19年3月末までに103円95銭へ続落する計算になる。

<規制強化がもたらしたドル不足>

実際にドル安/円高がそこまで進むかどうかは別として、重要なのは、こうした季節性が単なる偶然なのか、それとも何らかの因果関係があるのかどうかだ。筆者は以下の通り、因果関係はあるとみており、19年も第1・四半期のドル円続落に警戒が必要と考える。

ドル円が上昇から下落に転じる季節性の要因として考えられるのは、金融規制が相次ぎ強化されたことだ。バーゼル銀行監督委員会は、銀行経営のさらなる健全化を求める「バーゼルV」で、レバレッジ比率規制や安定調達比率規制の適用を決定した。特に大手米銀は、米金融規制改革法(ドット・フランク法)でさらに厳しいレバレッジ比率規制を課せられている。金融機関の自己勘定取引を原則禁じるボルカールールも、15年7月から適用が始まった。

米ドル資金の主な出し手である大手米銀の間では、収益性の低いレポ(現金担保付債券貸借取引)を縮小するインセンティブが強く働き、ドル供給の急減をもたらしている。

また、08年の金融危機時に解約が殺到したことを踏まえ、米証券取引委員会(SEC)がMMF(マネーマネージメントファンド)の規制強化に踏み切った。16年10月から投資家に流動性手数料を課したり、解約一時停止条項を付すようになった。規制対象外のガバメントMMFに約1兆ドルの資金がシフトして、ドルの供給源として機能するはずのプライムMMFの残高が急減、年末のドル不足を助長している。

この結果、特に9月末ごろから年末越えのドル資金の需給がひっ迫し、ドルの調達コストが上昇するようになった。為替のスポット市場でも、年末にかけてドル高が進みやすくなったと考えられる。

一方、ドルに対するこうした「特需」は11月下旬の米感謝祭前後にピークを迎え、ドル高は次第に和らいでいく。その後は日本勢が会計年度末の3月に向け、配当金などの円転需要を高めていく。年末まで上昇した反動と相まって、ドル円には一転して強い下落圧力が加わる。

<為替条項以上の脅威>

19年第1・四半期はこうした季節性に加え、米国が日本との通商協議に強硬な姿勢で臨んでくる可能性にも要注意だ。米通商代表部(USTR)は21日、日本に対する22の要求項目を発表した。中国、メキシコに次ぐ第3位の貿易赤字相手国である日本に対し、米国は物品貿易だけでなく、サービス貿易と為替も含む幅広い分野を議論しようと考えているようだ。約7兆円の対日貿易赤字(17年実績)の削減に向け、2020年の再選を狙うトランプ大統領の鼻息は荒そうだ。

このうち為替は、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる米国、メキシコ、カナダの新たな協定同様、為替操作を禁じる為替条項が協定本体に盛り込まれる可能性が高い。日本は12年以降、為替介入を行っておらず、影響は限られるが、円高局面で日本の通貨政策の機動性を縛る懸念があり、留意が必要だ。

しかし、より脅威なのは米国が日本の対米自動車輸出の抑制を狙い、関税引き上げや数量削減を交渉カードとして持ち出すことだろう。実際、その危険性は低くないと言える。

日本が米国から輸入している品目のうち、最大の食料品でさえ1.4兆円にとどまり、肉類や穀物類はそれぞれ0.4兆円に過ぎない。米国が日本に市場開放を求め、輸出倍増に成功したところで、貿易不均衡の是正は限定的だ。

一方、日本からの対米輸出は最大品目の輸送用機器が約6.1兆円に上る。ここを削減すれば、不均衡の是正に直結する規模感だ。米国での現地生産や現地雇用の拡大にも道筋をつけることができれば、大統領選における格好のアピール材料になると、トランプ大統領が踏んでいても不思議ではない。

対米輸出の減少は日本の貿易収支の悪化につながり、教科書どおりなら円高圧力の緩和を招く。しかし、日本の経常黒字はここ数年、企業の海外事業がもたらす第一次所得収支が多くを占めており、貿易収支悪化の影響は限定的とみられる。

一方、円の名目実効相場と、名目金利からインフレ期待を差し引いた日本の実質金利は、一定の相関を保っている。もし対米自動車輸出の減少が現実となれば、世界的な景気減速や消費増税後の需要減に対する懸念と相まって、日本のインフレ期待が萎縮しかねない。これが実質金利の上昇を通じ、円高圧力となる可能性が高い。米国の利上げ休止観測も強まっており、19年のドルは18年ほど強くなさそうだ。

19年の為替相場はドル安/円高が見込まれる。とりわけ、第1・四半期のドル円続落には最大限の警戒が必要だ。

*本稿は、ロイター日本語サイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。

(編集:久保信博)

*内田稔氏は、三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチのチーフアナリスト。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。一貫して外国為替業務に携わり、2012年より現職。J-money誌の東京外国為替市場調査ファンダメンタルズ分析部門では2013年から18年まで個人ランキング1位。
https://jp.reuters.com/article/forex-outlook-uchida-minori-idJPKCN1OP0IR
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/311.html

[戦争b22] 電磁波で電離圏を撹乱させる実験を中国とロシアが共同実施──GPS信号妨害との関連は不明 誰もが電離層へ介入目指 気象崩壊
電磁波で電離圏を撹乱させる実験を中国とロシアが共同実施──GPS信号妨害との関連は不明
2018年12月21日(金)19時40分
松岡由希子

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電離圏は多くの通信方式で不可欠なものだ NASA JPL.

ロシアと中国が2018年6月、ロシアのヴァシリスルスクにおいて、電離圏と呼ばれる地球大気の上層に高周波の電磁波を発し、これを撹乱させる実験を共同で行っていたことが明らかとなった。

中国の地震予測研究所(IEF)の研究チームが12月10日、中国地球物理学会(CGS)の学術雑誌「地球物理学報(EPP)」でその成果を発表している。

電離圏は多くの通信方式で不可欠なもの
電離圏は、太陽からの紫外線やX線などによって大気の分子や原子が電離し、これによって生じたイオンや電子が多量に存在する領域で、高度約60キロメートルから1000キロメートル以上に広がっている。電波を反射する性質を持つことから多くの通信方式において不可欠なものだ。

この実験では、1981年に旧ソ連によって開設された電離圏研究施設「スーラ電離圏観測施設(SURA)」から5回にわたって高周波の電磁波を発し、高度およそ500キロメートルにある中国の地震予測衛星(CSES)が電離圏の電界やプラズマ、高エネルギー粒子などを計測した。

6月7日の実験では、日本の本州の約半分に相当する12万6000平方キロメートルのエリアに物理的撹乱がもたらされ、6月12日の実験では電離圏のイオン温度が摂氏100度を超えたという。研究論文では、一連の実験結果について「満足なもの」とし、とりわけ「プラズマの撹乱を測定できたことは、両者による今後の実験に期待をもたらすものだ」と評価している。

ロシアによるGPS信号妨害が告発されているが...
高周波の電磁波を電離圏に向けて発する実験はそれほど珍しいものではない。米アラスカ州ガコナでは1994年に「スーラ電離圏観測施設」よりも強力な電磁波送信設備を有する「高周波活性オーロラ調査プログラム(HAARP)」の研究施設が建設されているほか、ノルウェー北部のランフヨルドミンにも「EISCAT」と呼ばれる同様の施設がある。

先日、北大西洋条約機構(NATO)がノルウェーで実施した演習後に、ロシア軍がGPS信号の妨害を図ったことを明らかにするなど、今年はロシアによるGPS信号妨害が告発されているが、高周波の電磁波を電離圏に向けて発する実験が、これに関与している可能性があるとはいえ、証拠はない。

米メリーランド大学のデニス・パパドプロス教授は米メディア「マザーボード」の取材に対して「我々もこのような実験を長年やってきた。ロシアと中国がこの分野に関心を持っていることを示す"メッセージ"としては刺激的だが、実験そのものには驚きはない」と述べている。

その一方で、ロシアと中国との異例ともいえる共同実験に対して懸念する声もあがっている。中国の西安電子科技大学の郭立新教授は、香港の日刊紙「南華早報」で「このような国際協力は中国では極めて珍しい。関連する技術は非常にデリケートなものだ」とコメントしている。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/12/gps-2_1.php

Chinese and Russian Scientists Teamed Up to Manipulate the Earth’s Atmosphere
The two countries were responsible for disrupting the planet’s ionosphere in a series of experiments this June.

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Image: International Space Station

China and Russia quietly conducted experiments this year aimed at manipulating the Earth’s atmosphere.

In June, scientists from the two countries jointly performed five tests that some have speculated to be military related, and detailed their results in Earth and Planetary Physics last week.

The experiments involved heating the ionosphere, which is an upper, electrically charged layer of the planet’s atmosphere. At Russia’s Sura Ionospheric Heating Facility (SURA) in Vasilsursk, a powerful transmitter was used to pump radio energy into the ionized plasma that characterizes this layer, some 310 miles above the town.

Russia's SURA facility.
Russia's SURA facility. Image: Wikimedia Commons
Once the ionosphere was stimulated, sensors aboard the China Seismo‐Electromagnetic Satellite (CSES) Zhangheng-1 recorded observations from orbit.

“There’s a lot of hype but we’ve done all of these things for years,” Dennis Papadopoulos, a professor of physics at the University of Maryland, told Motherboard.

“What was done is nothing exciting, except for sending the message that Russia and China are interested [in this space],” Papadopoulos, who has conducted similar research in the US but was not part of these experiments, added.

Most of the tests did not cause plasma disturbances, the study notes.

However, one test on June 7 reportedly created an electric spike across 49,000 square miles, “with 10 times more negatively charged subatomic particles than surrounding regions,” according to the Hong Kong newspaper South China Morning Post.

The study claims another test increased the temperature of ionized gas in a select area by 212 degrees Fahrenheit.

The ionosphere sits roughly 50 to 400 miles above the ground—where gases are stimulated by the sun’s ultraviolet radiation to form electrically charged ions. Responsible for bouncing radio waves from the Earth’s surface, the ionosphere is crucial to many modes of communication which can be hampered by things such as space weather. The ionosphere is also home to brilliant auroras, caused by charged particles interacting with the planet’s magnetic field lines.

Scientists have long been interested in novel technologies made possible by tampering with the ionosphere, specifically in the military, space, and communications industries.

It’s possible to block communications, for example, by increasing the density of plasma or by creating structures that scatter radio waves, Papadopoulos said. The Air Force even wanted to boost the range of radio signals by detonating “plasma bombs” from micro satellites.

Last year, scientists in the US semi-successfully tried to produce an artificial aurora for the purpose of studying the natural phenomenon.

And while early reports of China and Russia’s collaboration have skewed alarmist, Papadopoulos warned against giving “too much hype to the results.” Adding that in 2014, US researchers were planning a joint study with Russian and Ukrainian scientists that “fell through” due to Russia-Ukraine relations.

Antenna grid at HAARP in Alaska.
Antenna grid at Alaska's HAARP. Image: Wikimedia Commons
Several countries have built specialized facilities for modifying the ionosphere—a field of study with potential military and space applications.

Russia’s SURA was commissioned in 1981 with funding from the Soviet Defense Department. It’s currently operated by the Radiophysical Research Institute (NIRFI) based in Nizhny Novgorod.

In the US, the even more powerful High Frequency Active Auroral Research Program (HAARP) was established in 1993 by the Air Force, Navy, and the Defense Advanced Research Projects Agency (DARPA). The 33 acre facility located near Fairbanks, Alaska maintains 180 radio antennas for inundating the ionosphere with high-frequency radio waves, and was transferred to the University of Alaska Fairbanks after the program was shut down in 2015. HAARP has been the subject of numerous conspiracy theories ranging from weather and mind control—pushing its operators to hold an open house in 2016 just to dispel false rumors.

Norway is also home to an ionospheric heater called EISCAT in Ramfjordmoen near Tromsø.

“We are not playing God,” a scientist reportedly involved with the Chinese and Russian experiment told the Post anonymously on Monday. “We are not the only country teaming up with the Russians. Other countries have done similar things.”
https://motherboard.vice.com/en_us/article/mbywwb/chinese-and-russian-scientists-teamed-up-to-manipulate-the-earths-atmosphere

誰もが「電離層への介入」を目指している : 米国、中国に続きロシアまでも高層大気への介入による地球環境コントロール戦争に参入。その行く末は…
投稿日:2018年12月21日

米国科学メディア「サイエンス・アラート」記事より

・Science Alert


本日 12月21日、新しいメルマガを発行させていただきました。

タイトルは『「この方法で多分太らない」……腸内細菌の研究から理解した「肥満のメカニズム」』です。ダイエットの記事みたいで恐縮ですが、そうなんです(苦笑)。これは実は前回の記事、

・「砂糖という存在の正体」の衝撃 : 単糖は「重要な腸内微生物を腸内から《消し去る働き》」を持っていたことが米国の研究で判明
 In Deep 2018年12月19日

を書かせていただいた後に、記事を読み直しているうちに、ふと思い浮かんできたことでして、しかし科学的な確証があるわけでもないですので、強く主張できるものでなさそうで、メルマガのほうに書かせていただきました。ご興味のある方はぜひ。こちらからご登録できます。

ここから今回の本題です。

狙いは「電離層の支配権」の獲得
各国の「気象コントロール」については、たまに記事にすることがあります。というのも、そのターゲットが「電離層」などの高層大気であることが多いため、

「あまりにもやりすぎると、未知数の悪い影響が出てくるのではないだろうか」

というような懸念もあるためですが、最近では、以下の記事で、「アメリカと中国の気象コントロール戦争」というようなものをご紹介しています。

そして、つい先日、冒頭のサイエンス・アラートの記事で、「ロシアと中国が共同して、高層大気の電離層での改変実験を行っている」ということを知りました。

どのような分野であっても、中国とロシアが、このように大規模に協力して科学的実験をおこなうということは大変に珍しいことですので、科学的実験ではあっても

「軍事的な意味合いを帯びている可能性が強い」

というようなことになっているようです。

まずはその記事をご紹介します。

アメリカの HAARP などの単語も出てきますが、要するに、アメリカも中国も、そしてロシアも、みんな、「電離層をコントロールしたくて仕方ない」という様相が見てとれるのです。

電離層とは、地上 50キロメートルから 500キロメートルの高層大気にある場所で、この領域は、「電波を反射する性質を持つ」ために無線にとって非常に大事な領域です。

電波を攪乱させたいのなら、ここに介入することで何らかを成しうるわけです。

しかし、同時にこの電離層は「大地震と関係する領域」でもあります。過去記事でもこのことはふれていますが、それは後で記します。

まずはサイエンス・アラートの記事です。

China And Russia Have Run Controversial Experiments That Modified Earth's Atmosphere
sciencealert.com 2018/12/19

中国とロシアは地球の上層大気を改変する議論の余地のある実験を行っている
中国とロシアは共同して、地球の大気を高周波電波で改変するための一連の実験を行っている。

ロシアは、モスクワ東方のヴァシルスルスク近くにあるスーラ電離層加熱施設 (Sura Ionospheric Heating Facility)と呼ばれるロシアの施設から電離層に向けて高周波電波を放射した。目的は、電離層のコントロールだ。

そして、同時に、中国の「地震電磁観測試験衛星(張衡 / CSES)」が衛星の軌道からのプラズマ外乱の影響を測定した。

このような調査が行われたのは初めてではないが、中国とロシアでの共同での実験へと発展したことが、サウス・チャイナ・モーニングポストなどの各メディアで報じられ、このような科学的実験が軍事的応用へ転換され得ることへの懸念を引き起こしている。

その大きな理由は、電離圏とそこにあるイオン化ガス(プラズマ)は、無線通信に不可欠だからだ。

上層大気のこの部分を構成する荷電粒子を選択的に妨害することによって、科学者あるいは国家の政府は、理論的に長距離無線信号を、妨害あるいは遮断することが可能となる。

今年 6月に行われたこれらの予備実験でさえ極端な影響が見られた。この試験は、将来の電離層研究のためのテストケースとして表面上はおこなわれていた。

今回の実験の 1つでは、電離層障害の影響を受けた領域は、12万 6,000平方キロメートルに及ぶと報告されている。

別の試験では、大気中のイオン化したガスは、摂氏 100℃に上昇した。

実験の関係者たちは、これらの研究は純粋に科学的なものであり、大気への影響はないと主張する。

この実験に参加している研究者の中で匿名で中国紙の取材に応じた科学者は、以下のように述べている。

「私たちは神を演じているわけではない」

「中国はロシア人研究者と協力している唯一の国ではなく、他の国々も同様のことを行っている」

ロシアのスーラ電離層加熱施設は 1980年代初めにソ連によって設立された。

このロシアの施設は、アラスカに建設された「高周波活性オーロラ調査プログラム(HAARP)」と呼ばれるアメリカの大型大気加熱施設にインスピレーションを与えたと言われている。 HAARP はスーラ基地建設の 10年後に作られた。

スーラ基地よりもかなり強力な電離層刺激施設である HAARP は、当初、アメリカ軍の一部が資金を提供されていたが、現在はフェアバンクスにあるアラスカ大学によって管理されている。

しかし、アメリカ空軍は、上層大気のコントロールをあきらめたわけではない。米軍の他のプロジェクトの中では、最近、荷電粒子のプラズマ爆弾を上層大気に落下させ、それが電離層にどのような影響があるかを調査している。

さらに伝えられるところによると、中国は、南シナ海全域の電離層を操作することができる中国南部の海南島の三亜市に高度の電離層加熱装置を建設していると報じられている。

今年、ロシアは GPS 信号を妨害し続けていることや、電離層の操作実験に関与している可能性があることが様々な関係者によって告発されているが、証拠はない。

多くの研究者たちが言っているように、 HAARP を含むこの科学分野の情報は、あまりにも長い間、ゴシップ的に鼓舞された陰謀理論に悩まされてきた。

そのため真実がわかりにくくなっていたが、しかし、今年 6月からの中国とロシアによる実験は今までと違っていることを電離層操作の研究者たちは気づいている。

実験に関与していない中国西安大学の物理学者グオ・リシン(Guo Lixin)博士は、以下のように述べている。

「このような国際的協力は中国にとって非常に稀なことなのです」

ここまでです。

そこで、この「電離層への介入」というものが、電波の妨害などの他に、どのような効果を作りだし得るかということについて、これは過去記事から抜粋します。

先ほどリンクしました In Deep の過去記事からです。

In Deep 過去記事より
アメリカ軍が「 2025年までに気象を手にする」と記していた文書を出していたり、中国が建設している気象コントロールに関する装置が、

「上層大気の電離層の電子数に介入する」

ものだったりするというあたりを読みますと、「あーあ」という感じは受けます。

何が「あーあ」かというのは、たとえば、このブログでかつて取りあげていました「 2011年3月11日の日本の巨大地震の直前に高層大気で何が起きていたか」という下の記事などをご参照いただいてもおわかりかと思います。

・衝撃のデータ: 3月11日の地震の前に観測された日本上空の赤外線と電子量の急激な変化
In Deep 2011/05/20

この記事に書かれていることを簡単に書けば、

「 3月11日の巨大地震の直前に、東北上空の電離層の電子数が急増していた」

ということが起きていたのです。

これがどうして起きたか、あるいは、どうして電離層の電子数が増えることが巨大地震の発生と関係するのかなどはまったくわかっていませんが、電子数が増えたこと自体は検証的に認められていて、反証のない確定的な事項となっています。

そして、中国の新しいシステムは、「それ(電離層の電子数の増加など)を人工的に起こせるものなのかもしれない」というようなことが、今回ご紹介した香港のメディアの記事を読んでいると感じてしまうのです。

そして、ふと思ったのが、アメリカの HAARP の開発も含めて、

「地震を含めた地上での自然事象と高層大気の状態のあいだに関係があるということを、いくつかの国の一部の科学者たちは研究によって気づいていたのかもしれない」

ということも今回初めて思いました。

……と、このようなことなのです。

ここでは地震のことについて主に書いていますが、電離層など「上空の電子の状態などと関係する領域」というのは、地球のさまざまな自然現象に対し、大きく関与しているはずなのです。

あるいは、以下の記事などのように、中国では「大気の流れを変える試み」がわりと長くおこなわれています。この記事は 2016年のものです。

電離層には介入するわ、大気の流れを改変しようとするわ……と、やはり普通に考えますと、

「やりすぎじゃね?」

というようにみなさまは思われはしないでしょうか。

なお、今回の記事に出てきました「高周波活性オーロラ調査プログラム」いわゆる HAARP については、陰謀論的な概念も含めて、昔からいろいろと言われていることが多いです。

しかし私個人は、1990年代にカナダの CBC テレビがドキュメンタリーとして報道したものの中にあるようなことが実態なのかなと思っています。

それは「気象改変装置」です。

CBC テレビのレポートでは以下のように報じられていました。

CBC テレビの報道によると、アラスカ州にある HAARP 施設は、台風、地震、洪水、干ばつを誘発する能力を持っていた。

この指向エネルギーは、電離層を加熱して気象を戦争の武器として使用できる強力な技術といえる。洪水で都市を破壊し、あるいは、砂漠に近づいている軍隊を竜巻で壊滅させることが可能となる。

米軍は、戦闘環境を形作るための気象改変の開発に膨大な時間を費やしてきた。

(Global Research 2018/07/24)

まあ、電離層を刺激することで、ここにあるように、

>台風、地震、洪水、干ばつを誘発する

というようなことができるのかどうかは何ともいえないですけれど、「できない」ともいえないようには思います。

というのも、結局は、「もともと自然現象というのは、自然のなかにある粒子なり電子なり何なりの動きや変化の結果としての《現象》として起きている」のだから、

その自然の動きや変化の状態を人工的に作り出せば、自然の中に起きる結果は同じになる

というようなことが言えなくもないような気がするからです。

水を手でパシャパシャすれば、波のようなものができますけれど、同じように見える波は普通に自然の中の水場のどこでも起きているわけです。

風とか潮流とかの力で。

この考えをもっともっと壮大にしていけば、「かなりの自然の状態を人為的に作り出すことはできる」のかもしれません。

もちろん、それには強力な科学的な知識と裏付けが必要でしょうけれど。

地震については、電離層と大地震の関係性が明らかになりつつある今、あり得ないことではないとは思います。

しかし、「地震を発生する場所を特定させるのは無理なのではないかな」とも感じますが……。

それにしても、中国にしてもアメリカにしてもロシアにしても、環境や気象を改変する実験や技術は、その本当の目的が何かはともかくとしても、

「副作用のほうがずっと強くなりそう」

というような気がして仕方ない面はあります。

昨年、以下のようなタイトルの記事を書いたことがあります。

2017年の時点で、アメリカでの自然災害の発生数の増加は「信じられないほどのもの」でした。

そして、森林火災や洪水などの発生状況などから考えると、今年 2018年は、アメリカだけではなく、世界中でさらに自然災害の発生が大きく増加している可能性があります。

その原因は……まあ、もちろん最も大きな理由は地球自身の変化ということなんでしょうけれど、もしかすると、ロシアやアメリカ、そして中国がずっと行い続けている、

「高層大気への介入」

ということが、あるいは少しは関係していることもあるのかなと考えたりすることもあります。

これらの国々が気象への介入実験をやめるとも思えないですし、行くところまで行く……ということになるのでしょうか。

大体すでに「高層の大気は奇妙な状態になっている」のですよ。

それは今年 8月の以下の記事で書きましたので、ご参照いただければ幸いです。
この「中間圏」というのは、電離層の最も低い部分にあたります。

気象も自然も崩壊の兆しを見せ始めているような部分もないではないですが、本格的に高層大気の状態が混沌としてしまうと、今どころではない自然や気象の状態が現れないとも限らないかもしれません。
https://indeep.jp/target-is-ionosphere-america-china-and-russia/

http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/477.html

[経世済民130] 外国人にオープンな社会ほど、単純労働者の受け入れは必要ないという皮肉 永住者、失踪者、労働者──日本で生きる「移民」たち
外国人にオープンな社会ほど、単純労働者の受け入れは必要ないという皮肉
2018年12月26日(水)13時50分

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外国人にオープンな社会ほど、単純労働者の受け入れは必要ないという皮肉
外部に対して閉鎖的になればなるほど、外国人や移民の問題がやっかいに(写真はイメージ) lamontak590623-iStock

<国内で就業する外国人労働者はすでに128万人。単純労働者は受け入れないというタテマエは崩壊したと言ってもいい現実なのに、世論とはズレがある。鎖国的な価値観が蔓延することの本当のリスクを認識しているのだろうか?>

安倍政権が外国人労働者の本格的な受け入れという事実上の移民政策に舵を切った。日本の世論は移民受け入れを歓迎していないようだが、そうだとすると、多くの人が望まないまま、単純労働者に従事する移民を大量に受け入れる結果となる。

皮肉なことだが、外国人に対してオープンで、多様な価値観を認める社会ほど、工夫次第で、単純労働に従事する移民を受け入れなくても済む。ワーキングホリデーによって単純労働をカバーしているオーストラリアはその典型といってよいだろう。外国の話を取り上げると、すぐ「単純に比較はできない」といった話になりがちだが、日本人に本当に知恵があるのなら、多くのことをオーストラリアから学べるはずだ。

単純労働者は受け入れないという建前はすでに崩壊している
日本はこれまで外国人が単純労働に従事することを原則として禁止してきたが、小売りや飲食、建設、農業といった分野では人手不足が深刻化しており、外国人労働者に頼らなければ、業務が回らないという状況になっている。

政府は、研修という名目で事実上の外国人労働者を受け入れる「技能実習制度」を導入したが、一部の事業者が劣悪な環境で研修生を働かせるなど、事実上の奴隷労働が横行しており、国際的な批判を浴びるリスクが出ている。すでに128万人の外国人労働者が就業しているというのが現実であり、単純労働者は受け入れないというタテマエは崩壊したといってよいだろう。

今回、改正された入管法では、業種を特定した上で、一定の能力が認められる外国人労働者に対して、新しい在留資格である「特定技能1号」と「特定技能2号」を付与できるとしている。1号の場合には家族の帯同が不可で、在留期間は最長5年、2号の場合には家族帯同が可能で、期間は無制限となっている。

1号の場合には、家族と一緒に暮らすことを許さず、期間が終了した後は、強制的に帰国させるという仕組みだが、実際にはうまく機能しないだろう。日本で長期間生活すれば、結婚したり子供を生む人が出てくるし、在留期間が終了しても、仕事に慣れた従業員を企業側は簡単に手放さない可能性が高い。

日本の場合、10年間滞在していると永住権を取得できる可能性が高まってくることを考えると、今回の法改正はやはり事実上の移民政策であると理解せざるを得ない。しかし政府は頑なに移民政策ではないと主張しており、実態との乖離が激しい。

もし移民政策にシフトするのであれば、それに伴って実施しなければならない施策も多いはずだ。このままでは、発生する諸問題への対応策を一切講じることになく移民社会にシフトする結果となるだろう。

次のページ移民アレルギーが存在

オーストラリアで単純労働の移民問題が発生しない理由
政府が移民政策であることを認めないのは、日本社会に移民アレルギーが存在しているからである。しかし、移民問題の本質を考えた場合、外国人に対して拒絶反応が強く、社会が閉鎖的であればあるほど、逆に単純労働者の移民に頼らざるを得なくなるというのが現実である。

例えばオーストラリアは、外国人に対してオープンな社会として知られているが、単純労働に従事する移民の問題は発生していない。その理由は、同国が外国人にとって魅力的な場所であるため、ワーキングホリデーの制度を使って一時入国する若者が多く、単純労働の多くは彼等が担ってくれるからである。

オーストラリアは移民大国として知られており、毎年十数万人の移民を受け入れている。しかし同国が移民として主に受け入れているのは、経済に貢献する能力を持った高度人材であり、こうした「技能移民」は全体の7割に達している。残りは豪州人の配偶者や子どもいった「家族移民」になので、仕事を目的とした移民はすべて技能移民と考えてよい。

かつて同国は白豪主義を掲げ、白人優遇の移民政策を続けてきたが、1970年代以降、「多文化主義」を掲げ、白人中心の移民制度は完全に撤廃した。一般的には、あらゆる移民を受け入れる国というイメージが強いが、実際には、経済に貢献する高度人材に限定した上で、移民を受け入れている(人道上の必要性から難民を受け入れる場合には、別の枠組みでの処理となる)。

同国は、都合よく高度人材だけを移民として受け入れているわけだが、賃金が安い単純労働者が不足するという問題は起きないのだろうか。オーストラリアは豊かな国なので、日本と同じく低賃金の単純労働者の人手不足が顕著だが、ここをカバーする外国人労働者は受け入れていない。その理由は、ワーキングホリデーを使った入国者が極めて多いからである。

豪州並みにワーホリがあれば、すべて事足りる?
ワーキングホリデー(通称ワーホリ)というのは、2国間の協定に基づき、外国で休暇を楽しみながら、その間の滞在資金を捻出する目的で一定の就労を認める制度である。期間は1年から2年で、原則として利用者はひとつの国について1回しか利用できない。

就労を認める制度であるといっても、制度の目的は、あくまで双方の若者が、相手国の文化を知るための滞在なので、本格的に労働することはできない。結果として、アルバイト的な短期労働に従事することになる。

オーストラリアは、留学のインフラが整っており、諸外国の若者から人気が高い。今はかなり下火になったが、一時は日本人の若者が大挙してオーストラリアに語学留学していた時代もあった。世界各国の多くの若者が、ワーホリを使ったオーストラリア滞在を望むので、毎年20万人以上の若者がこの制度を使って同国を訪れている。

次のページ皮肉な構造

つまりオーストラリアは、知的能力や体力があり、しかも単純労働に従事する意欲のある若者が、期間限定で常に20万〜30万人存在することになる。彼等はあくまで国際交流のために訪問しているので、1年(もしくは2年)経過すれば、ほぼ100%母国に帰ることになる。

日本の人口にあてはめれば、100万〜150万人規模の労働力ということになるが、この数字は、現在の日本における外国人労働者数(100万人)に、今後、法改正によってあらたに受け入れる外国人労働者数(50万人)を加えた数字とほぼ一致する。日本でもオーストラリア並みのワーホリ入国者がいれば、数字上は、外国人労働者に頼る必要はまったくないという計算になる。 

外国人に非寛容な社会ほど、外国人の問題に直面する皮肉
だが日本にワーホリ目的で入国する若者は1万人程度しかなく、単純労働の担い手としては期待できない。オーストラリアにこれだけワーホリ目的の入国が多いのは、豪州が外国人に対して寛容で、多様な価値観を認める社会であることが大きい。

同国は、単純労働の移民を大量に受け入れたとしても何とかやっていくだけの懐の深さがあるが、皮肉なことに、そうした寛容な社会であるが故に、単純労働者の移民を受け入れる必要がない。

このような話を書くと、日本とオーストラリアは違うという意見が必ず出てくるのだが、決してそうではない。80年から90年代の前半までは、多くのアジアの若者が日本への留学や渡航を夢見ていた。だが実際に日本に滞在すると、あまりよい印象を持たずに帰国するケースが多く、日本の大学も留学生を戦略的に受け入れるという発想を持てなかった。

もし日本社会がもっと留学生を暖かく迎えていれば、豪州と同規模のワーホリ入国者を集めることなど、それほど難しいことではなかったはずである。

今でこそ年間3000万人の外国人観光客が日本を訪れるようになったが、歴史と文化を持つ豊かな先進国としては、観光客の数はこれでも異様に少ないというのが現実である。多様な価値観を認めず、外部に対して閉鎖的になればなるほど、外国人や移民の問題がやっかいになるという状況についてもっと理解した方がよいだろう。

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プロフィール

加谷珪一
評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『お金は「歴史」で儲けなさい』(朝日新聞出版)など著書多数。

http://k-kaya.com/
https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2018/12/post-62_3.php


 


永住者、失踪者、労働者──日本で生きる「移民」たちの実像
HEAR THEIR VOICES
2018年12月17日(月)16時30分
望月優大(ライター、「ニッポン複雑紀行」編集長)

3年前に技術ビザで来日し、エンジニアとして働くベトナム人のボオ・カック・ディエップ(大阪府豊中市) AKIHITO YOSHIDA FOR NEWSWEEK JAPAN
<国会で外国人労働者受け入れ拡大をめぐって議論が紛糾するなか、日本の移民問題に詳しいライターの望月優大氏が本誌12月11日号 に10ページのルポを寄稿。その全文を、ウェブに特別に公開する。神奈川、福島、大阪、日本の各地で暮らすさまざまな境遇の外国人たちから話を聞いた望月氏は言う。「彼らのリアルは、私たちのリアルでもある」――>
この国で「移民」という言葉がかつてこれほど取り沙汰されたことがあっただろうか──。
日本で暮らす外国人が年々増加し、在留外国人数は今年6月時点で263万7251人と過去最高を更新。政府はこの勢いをさらに加速させようと臨時国会に入管法改定案を提出し、来年4月に「特定技能」という在留資格を新設しようとしている。
だがそんな提案をしながらも、政府は「移民」という言葉を意図的に避けている。自分たちは日本で定住する外国人を増やしたいわけではなく、一時的な人手不足に対応するために「いつか帰る外国人労働者」を受け入れているだけ──その言い分を維持することで、日本が「日本人」だけの国であり続けてほしい人々をなだめすかしたいかのようだ。しかし、そう思いどおりにいくものだろうか。
現実を見れば、日系人のビザ取得を大幅に緩和し、後の技能実習制度につながる研修生の在留資格を創設した89年の入管法改正(90年施行)以降、日本で10年、20年と暮らす外国人はどんどん増えてきた。政府が意図しようがしまいが、今では永住権を持つ外国人が100万人を突破している。それこそが、終わりに近づく平成という時代の偽りようもない結果だ。
日本で働く外国人は大きく4種類に分けられる。@在日コリアンや日系人など「身分」に基づく在留資格(「永住者」含む)を持つ人々、A留学生アルバイトなど、本来は就労以外の目的で来日し「資格外活動」として一定の制限内で働いている人々、B途上国への国際貢献や技能移転を建前とする「技能実習生」、C就労そのものを目的とする「専門的・技術的分野」の在留資格を持つ人々、この4種類である。
だが、何十万、何百万と数値化された人間の塊ではなく、一人一人の外国人は何を考え、どんなことに悩み、どんな選択をしてきたのか。数字の裏側にある息遣いを知るために、神奈川県横須賀市、福島県郡山市、大阪府豊中市と、日本のいろいろな土地を訪ねて、そこで暮らす外国人に直接話を聞いて回ることにした。
日本で30年近く暮らしてきた日系ペルー人夫婦、実習先からの失踪を決断した技能実習生、週1日だけ許された休みに仲間たちとサッカーに興じるベトナム人労働者たち。永住者、失踪者、労働者──今ここに確かに存在する、「移民」たちのリアルを追った。
第1章:永住者たちのリアル
臨時国会で入管法についての議論が始まった11月半ばのある日、私は新宿駅のホームで日系ペルー人3世のカブレホス・セサル(39)と待ち合わせた。11歳で親に連れられて来日し、今では自らのルーツを生かして医療通訳として活躍するカブレホス。彼には、以前「移民」をテーマにしたウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」で取材をしたことがあった。
この日は私からのお願いで、横須賀市の追浜で30年近く暮らす彼の叔母夫婦に話を聞くことになっていた。外国人労働者の受け入れ拡大が議論される今だからこそ、かつて外国人労働者として呼び寄せられ、既に「移民」としてこの日本社会に定着している日系人たちの声を聞きたい、私はそう考えていた。
新宿から追浜までは、湘南新宿ラインと京急本線を乗り継いで1時間ほど。オッパマと読むその町は、日産の巨大な工場を擁し、バブル景気絶頂の約30年前から多数の日系人を労働者として吸収してきた。

日系ペルー人のカブレホス(左)による通訳を通して取材に応じるナカシマとナカハタ夫婦(横須賀市追浜) HIROKI MOCHIZUKI
駅前の焼鳥屋で落ち合った日系3世のナカシマ・ドゥラン(57)と2世のナカハタ・パトリシア(57)夫婦もそんな日系ペルー人。日本での暮らしは既に28年を数え、現在は永住権を持っている。日本生まれで日本育ちの2人の娘もあっという間に20代になった。
日本に来た当初は1年間の「出稼ぎ」のつもりだったそうだ。当時のペルーはテロとインフレに悩まされており、日系人だけが日本に行けることを「当時働いていたクリニックの同僚が羨ましがっていた」と、ナカハタは言う。ナカシマのペルー時代の月給は、わずか200米ドルだった(89年当時のレートで2万5000円ほど)。
2人はそれぞれイノウエという派遣会社に片道渡航費分の30万円を借金して来日。まずは栃木県真岡市にある寮に連れていかれたという。寮の運営はナルセという別の派遣会社で、そこには42人のペルー人がいたことをナカシマは覚えている。ナカハタは日本といえば東京の近代的なイメージしか持っておらず、真岡の風景に驚いた。12月のペルーから来たばかりでとても寒く、一緒に来た姉と「もう帰りたい」と泣いた。
その寮は派遣先が決まるまでの待機場所。1カ月ほどたって、2人とも追浜にある日産の下請け企業へと派遣された。
ナカシマに割り当てられたのは車の座席の頭の部分に手で布をかぶせる仕事。ラインの流れ作業の一部で、朝6時から夜10時までの16時間、毎日同じ作業を繰り返し、最初の1週間であっという間に腕が動かなくなった。来日する前に「月給3000ドル稼げる」と聞いていたが、当時は実際にそれぐらいの収入があったという(90年当時のレートで40万円以上)。
ナカハタは車のドアの内側にドリルで取っ手を留める仕事を担当した。来日前は事務所を掃除する内容の動画を見せられていて、自動車部品という話は全く聞いていなかった。最初は1年間の契約だったので、前の夫との間の息子はペルーに置いてきていた。1年間の出稼ぎの後にはペルーに戻るつもりだったのだ。
しかし、現実は彼女の想定どおりには進まなかった。同じ職場で出会ったナカシマとナカハタは91年に結婚。2人の娘が生まれ、時給制で働く夫婦にはさらなるプレッシャーがかかった。家族の生活を支えるための週6日に及ぶ長時間労働の日々。光の速さで時間は流れた。
2008年にはリーマン・ショックで職場の外国人が全員解雇され、コミュニティー全体がパニックに陥る。年越し派遣村の開設など日本全体が失業の波にのまれるなかで、政府は日系人の失業者対策として1人当たり30 万円の帰国支援金の支給を決定。職を失い、それまで死に物狂いで蓄えてきた貯金を使い果たすことを恐れた家族や仲間たちが、わずかな「手切れ金」をもらって航空券を買い、帰国していったという。
最初は出稼ぎ目的でやって来たナカシマとナカハタは、それでも帰らなかった。「娘がいたから」とナカシマ。ナカハタは「たぶん娘が生まれたとき」に、これから先もこの国で生きていくことを決めた。彼女は2カ月前、病気の父に会いに91年の結婚以来初めてペルーに帰国したが、27年ぶりに帰った母国は「とても違う国に見えた」という。
一方、ナカシマは老後はペルーに帰りたいと思っている。15年ほど前にはペルーに家も建てた。帰るのか、帰らないのか。今も、夫婦の間で意見は一致していない。
次のページ日本語は今も自由に話せない
2人は出稼ぎのつもりでやって来た。政府も短期の労働需要に応えるかのように日系人への門戸を開いた。しかし、結果として起きたのは永住権の取得と30年近くにも及ぶ日本での定住だった。追浜で目の当たりにした現実は、今なお政府が外国人労働者の受け入れ拡大を「移民政策ではない」と言い続けていることの非現実性を改めて浮き彫りにしていた。誰がどう見ても、2人はこの国で暮らす「移民」であるように思えた。
自分のことを「移民」だと思いますか? そう聞くとナカシマはすぐさま「そう思う」と答えた。ナカハタのほうは少し思案して、論理的にはそうだけれど「言い方の問題」だと言った。そして、「おまえは外人だ」と攻撃的な言い方で言われたら傷つく、それと一緒だと言い添えた。
2人は論理的には「移民」である。だが、多数者がその言葉を外国人を社会の一員として迎え入れるために使うのか、それとも排除するために使うのか。少数者として生きてきたナカハタはその差異に敏感に反応していると思えたし、多数者としての私がその言葉をどんなふうに使っていくのか、改めて問い掛けられているのだと思った。
ナカハタはこんな経験もしている。中学生時代の長女を怒鳴りつけた教師に抗議した際、彼女はその教師から「日本の文化に慣れてください」と言われた。だが、彼女はペルーで生徒を怒鳴る教師など見たことがない。同化を迫る社会の中で、ナカハタは自分が信じる筋を通すために戦う必要があった。「日本の文化や日本人を尊重しますけど、私は日本人ではありません」──彼女はそう言い返した。
それでも、2人は日本で長く暮らしたことを全く後悔していないという。ナカハタは、人生の半分にまで至った日本での28年間を「絶対的にポジティブな思い出」であったと言い、そして「私たちはとても親切な日本人に出会ったので」と付け加えた。最初の会社で上司だった男性は2人のことをいつも気に掛けてくれ、永住権申請の際には保証人にまでなってくれたのだと。
ただ1つだけ、ナカシマは日本語を覚えられなかったことを「ちょっと後悔している」と話した。工場にはペルー人やブラジル人が多く、生活もペルー人のコミュニティー内で完結していたので、日本人との接触が少なかった。「日本にいるにもかかわらず、やはり私の世界というのはペルー人コミュニティーですね」。来日当時は「おはよう」すら知らなかった。その後は少しだけ日本語が上達したものの、28年がたったこの日の取材でも、カブレホスによる通訳がなければ込み入った話を聞くことは難しかった。現在、2人が日常的に交流のある日本人の友人は1人もいないという。
日本語ができたら「おそらく今の私の状況は全く違っていただろう」とナカシマは言った。「もしかしたら今頃お金持ちになっていたかもしれない」と笑うナカハタに、「冗談冗談」とナカシマも笑いながら応じた。ただし、これから来る外国人は、ある程度日本語を勉強してから来たほうがいいと彼は思っている。そして、それは「自分自身の経験から」だと。
今もナカシマは日産関係の工場で働いている。時給は1400円。ナカハタは果物の選別工場で働いている。時給は980円。昔と違って、周りにはフィリピン人やベトナム人の女性たちがいる。ナカシマのすぐそばで働くネパール人の若い女性たちは、本当は日本人からの指示が理解できていないのに、日本語が理由で解雇されるのを恐れて聞き返すことすらできない状態にあるのだという。時代は変わった。そして、何も変わっていない──。
電車での帰り道。通訳を仕事にするカブレホスに言葉とコミュニティーについて聞いてみた。「コミュニティーにいると楽。でも向上心がどこかで失われてしまうと思うんです。そんな親の姿を見ている子供たちも同じ。工場の仕事に残ってしまう。みんなにもっと可能性あるぞと呼び掛けていきたいんです」
静岡県富士市で暮らしていた彼は、20代前半で自ら日系人のコミュニティーを離れ、上京を決めた。東京で働き始めると、ペルーでは「すごい企業の営業マン」だった父がなぜ工場の労働者にとどまっているのかと疑問に思うようになった。なぜ日本語を勉強してもっといい企業に行かなかったのか。父にそう聞くと、父の答えはナカシマやナカハタの答えと同じだったという。つまり、週6日仕事をして、子供ができて、周りに安心できるコミュニティーがあった。そして、時間だけが過ぎていった。
カブレホスは今、東京近郊で4人の子供を育てている。現在高校1年生の長女が小学生のころ、「警察官になりたい」と言われてぎくりとした。この国では、永住権だけでは警察官(※)にはなれない。そのとき初めて帰化のことを真剣に考えたという。「もしそれが夢だったら、パパとママ頑張って帰化するよ」
※事実関係に誤りがあったため、「公務員」を「警察官」に訂正しました(2018年12月18日11:30)。
日本で30年近く暮らし、今では永住権を持って生活している人々。最初は「出稼ぎ」のつもりでも、いつの間にかこの国に定住する「移民」になっていた。不況を理由に政府が帰国を促しても、日本で生まれ育った娘たちのために帰らなかった。2018年、いま日本に「出稼ぎ」のつもりで来ている外国人たちの暮らしはこれからどうなっていくのだろう。これからさらに30年後、彼らとこの国との関係は一体どんなふうになっているのだろうか。
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第2章:失踪者たちのリアル
翌々日、私は福島県郡山市に向かった。カトリック郡山教会で、教会や労働組合など、ベトナム人の技能実習生を支援する人々がセミナーを開催し、実習先から「失踪」した元技能実習生たちも参加するとの情報を得ていた。実習生の失踪については国会やメディアでも盛んに取り上げられており、日本における外国人労働者の問題を考える上で避けては通れないテーマだと思っていた。
私はそこで1人のベトナム人女性と出会った。まだ20代前半でハノイ出身だという彼女は、昨年北海道の実習先から逃げ出し、その後いまいる郡山のシェルターまでたどり着いたという。目の前にいる小柄で明るいこの女性は、なぜ逃げなければならなかったのか。どうやって逃げたのか。彼女の名前と顔を出さないことを条件に、本人を含め、一連の流れを知る関係者たちからその顚末を聞いた。

北海道の実習先から逃げてきたベトナム人女性 HIROKI MOCHIZUKI
彼女の実習先は、北海道東部の水産品加工工場。工場には全部で14人の実習生がいて、日本人の労働者は30人弱くらいだった。
毎日朝8時から仕事を始め、遅い日は23時半まで残業した。さばいた魚を真空パックに入れて、冷凍庫で保存する。毎週月曜から土曜まで、15年の夏から約2年半働いた。月の稼ぎを聞くと「一番高いは16万円、一番低いは6万円」。時期によって繁閑の差もあったという。
「日本に来るときはいっぱい希望を持っていたけど、実際に来たらすごいショックを受けました」。日本に渡航するためにつくった約100万円の借金は今もまだ残っている。
ある日、仕事中に同じベトナム人実習生の女性と口論になって顔をたたかれた。きっかけは相手に自分の昼食の弁当を踏まれたこと。逆上して自分も相手の顔を引っかいてしまった。
そんな2人のけんかを見て、工場側はすぐさま強制帰国を宣告。社長や部長から「帰れ」と言われ、航空券も見せられた。強制帰国までの間は監視下の部屋で「軟禁状態」に置かれた。ただし、スマートフォンは取り上げられず、トイレのためか鍵も掛かってはいなかった。この条件が、彼女に外の世界とつながる一縷(いちる) の望みを残した。
まだ帰りたくない──残り半年、実習期間が終わる3年間の区切りまで働きたいと思った彼女は、フェイスブックを通じて信頼できるベトナム人に相談をする。その結果、彼女の情報は回り回って、実習生の支援にも取り組む全統一労働組合の佐々木史朗書記長(66)のもとにまで届いた。
佐々木はすぐさま札幌を拠点とする支援者たちと連絡を取る。佐々木の頭に浮かんだ選択肢は2つ。新千歳空港に支援組織の人間を向かわせ出国間際にギリギリ保護するか、あるいは彼女自身が自力で脱出したところを保護するか。しかしその直後、「けんか相手のベトナム人が自分より先に逃げ出した」という知らせが彼女から届く。
軟禁状態とはいえ鍵が掛かっていなかったこと、たまたま軟禁場所からそれほど遠くないところにもう1人別の支援者がいたことから、佐々木は2つ目の選択肢に焦点を当てた。佐々木は彼女とその支援者をつなげ、待ち合わせの日程と場所も決めた。
当日。小さなバッグ1つで彼女は逃げ出した。真冬の北海道。辺り一面に雪が積もっていた。彼女は何とか脱出に成功し、待ち合わせ場所で支援者と落ち合う。次の目的地は札幌。佐々木が最初に連絡を取った札幌の支援者たちのもとへと、彼女は1人でたどり着く必要があった。
工場や監理団体の人間が失踪した彼女を捜しに出ることは目に見えていた。最寄りの駅から札幌駅に向かうのはリスクが高過ぎる。彼女と落ち合った支援者は、最寄り駅から離れた別の駅まで車を走らせ、彼女をその駅で札幌行きの電車に乗せた。
電車の中では、札幌までの行き方を丁寧に教えてくれた日本人がいたという。本当は追跡者から見つかるリスクを下げるために鈍行列車を使う計画だったが、その親切の結果、彼女は予定よりもかなり早く札幌に着いてしまう。自分のスマホはデータ通信のみ可能で通話ができないため、駅前にいた人に話し掛け、電話を貸してもらった。ようやく、無事に支援者たちとつながることができた。
札幌の日本人支援者はこう語る。「北海道にも技能実習生はたくさんいて農業や漁業を支えています。いつかこういうことが起きると考えて、弁護士や労働組合、研究者などによるネットワークができていました」
その後、彼女は自分と近い境遇に置かれたベトナム人たちが暮らす郡山のシェルターへと移ってきた。実習生には転職の自由がなく、実習先から逃げ出した者がほかの場所で働けば不法就労となってしまう。そのため彼女は1年近くにわたって仕事ができていない。彼女は今、未払い賃金の支払いなどを求めて裁判で争っている。

郡山のシェルターで共同生活を送るベトナム人の元技能実習生たちが日本人支援者たちに感謝を込めてベトナム料理を振る舞う HIROKI MOCHIZUKI
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シェルターを運営する平文敏(63)はかつて高校の社会科の教員だった。郡山に生まれ、退職後の現在は小学校の支援員をしている。実習生のことは前からニュースなどで見聞きしていたが、自分が関わるとは思ってもいなかった。きっかけになったのは彼が通っていたカトリック郡山教会だった。
数年前から目に見えてベトナム人が増えだした。フィリピン人もいる。そのうち同じ神を信じる者たちの間で出身を超えた関係性が生まれ始めた。17年後半のある日、今年1月にシェルターを立ち上げた人物が平に物件の相談を持ち掛ける。平は自分の親がかつて住んでいた家を提供することに決めた。夏頃からは平自身がシェルターの運営を行っている。

郡山でシェルターを運営する平文敏 HIROKI MOCHIZUKI
穏やかな口調で、ゆっくりと、平はこう話した。「彼らは二重にも三重にも裏切られています。本国の送り出し機関からも金を取られ、日本の監理団体からも間接的に金を取られる。一人一人が本当に大変な運命を背負ってきていて、気の毒だなと思います」
実習生は出身国の送り出し機関に多額の渡航前費用を支払うだけでなく、日本側でも、実習先企業から監理団体への管理費の支払いを通じて、給与を間接的に圧縮され続ける。加えて、もともと言われていたのとは違う仕事に従事させられたり、些細な理由で強制帰国を宣告されたりすることまである。でも、と平は続けた。「あれだけの体験をしてもなお、彼らは日本の良いところを口にする。こちらのほうがむしろ助けられているという思いです」
実習生たちにとってこの日本という国で過ごした時間はどう映ったのだろう。北海道の実習先から逃げた彼女はベトナム人に技能実習を「お薦めできない」と話した。ただ、いま周りにいる日本人たちにはとても良くしてもらったと感じている。「日本人にもベトナム人にもそれぞれ良い人と悪い人がいるよ」
この日出会った別の実習生は、知らないうちに福島県で、技能実習であるとは認められない「除染作業」に従事させられていた。彼に技能実習制度について聞くと、自分はたまたま運が悪かったが、ほかの企業のことは分からないと答えた。日本自体には好意的な印象を持っており、日本語も必死に勉強して上達したという。
しかし、「運の問題」で済ませてしまってよいのだろうか。全統一の佐々木は言う。「社員同士がけんかしただけで解雇をするなんて法律があるのか。見せしめのために定期的に何人か強制帰国をさせるというケースも頻発しています。実習生には日本の非正規労働者よりももっと保護がない。実習生本人は『運が悪かった』と言うかもしれないけれど、そもそも彼らは権利主張自体ができない構造の中に置かれているんです」
昨年、厚生労働省は実習生を雇用する5966の事業所への監督指導を行ったが、そのうち7割以上で法令違反が見つかった。どう考えても運の問題ではなく、この国の深部に埋め込まれた構造的な問題だ。そして、その構造の上で、今日も明日も、冷凍の魚が生産され続けていく。ひとたび皿の上にのってしまえば、その魚がどこから来たか、誰の労働の成果なのか、気に掛ける者などほとんどいない。
第3章:労働者たちのリアル
郡山での取材を終え、その足で大阪府豊中市へと向かった。ベトナム人労働者たちのグループ「在豊中市ベトナム人協会(TVA)」のメンバーに会うためだ。近年、豊中だけでなく日本全体でベトナム人の増加が著しく、外国人労働者全体の中でベトナム人は中国人に次いで2番目に大きな存在にまで伸長した。そんなベトナム人たちが豊中で2年前に自ら結成したグループがあると知り、ぜひ直接会って話を聞きたいと思ったのだ。
日曜日の朝、豊中駅前にある公益財団法人「とよなか国際交流協会」でTVAのリーダーを務めるディン・ホアン・ヴー(32)と待ち合わせた。今日は午前にサッカーの活動、午後に日本語のクラスがあるという。TVAができる以前はそれぞれの企業に勤めるベトナム人の間でしか交流がなかったが、今は勤め先を超えたつながりが生まれているのだとヴーは言う。

仕事が休みの日曜午前、豊中市内のグラウンドでサッカーを楽しむベトナム人労働者たち HIROKI MOCHIZUKI
忘年会などの集まりに実際に顔を出すのは60人程度だが、TVAのフェイスブックグループには近隣で働く数百人ものベトナム人が登録していて活発に情報交換をしている。また、サッカーや日本語以外にも料理や卓球などさまざまな活動を行っているそうだ。TVAには技能実習生もいれば、専門的・技術的な在留資格の1つである「技術・人文知識・国際業務」ビザを持って町工場で働くエンジニアも交ざっており、ヴー自身は後者の持ち主だ。
ヴーと電車に数駅乗って、TVAのメンバーがサッカーをしている線路沿いのグラウンドまでやって来た。快晴の空の下で、赤と白のユニフォームに分かれたベトナムの若者たちが7対7の練習試合をしていた。思ったよりかなりレベルが高く、みんなはつらつと走り回っている。ハーフタイムの時間を使いながら、メンバーに1人ずつ話を聞いていった。
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ゴールキーパーを務める実習生のホア HIROKI MOCHIZUKI
ゴールキーパーのチュ・ズック・ホア(28)は道路の舗装などを行う会社に勤める技能実習生。男性ばかりが35人ほどの職場のほとんどが50代以上の日本人で、なかには75歳の人もいる。毎朝6時からの厳しい肉体労働で、帰宅後は「しんどくて遊びに行きたくても無理」だとホアは言う。
彼の勤め先は繁閑の差が激しく、仕事が少ない時期は月給が7万円しかない。ベトナムに残した妻と2人の娘を養うため、給料の8割は送金していて手元にはほとんど何も残らない。生活は大丈夫ですか?と尋ねると「まあ、たまに足らんですよね」と笑顔で答えた。それでもこの2年強で、渡航のためにつくった約150万円の借金は返しきったという。
知人にはやむにやまれず失踪を選んだ実習生もいる。来日前に言われた額より低い給料しかもらえず、借金も返せない。「しゃあないですね」とホア。自分も給料は少ない。逃げることが頭をよぎったこともある。それでも監理団体の組合や社長に掛け合い、この夏から最低賃金に少しだけ上乗せしてもらった。
実習生は家族を呼べないルールだが、最近は3歳の娘が病気にかかってしまって気が気でない。現在のビザが切れる来年夏に一旦帰国する予定だが、そのとき、空港で家族に会ったら「もう、泣いてしまうと思う」。
それでもホアは日本に戻ってくるつもりだ。技能実習の期間を現在の3年から5年に延ばすことも考えている。いま国会で議論されている新しい在留資格のこともネットで調べた。将来は「奥さんと子供を連れて一緒にずーっと日本に住みたい」と言う。
「サッカー楽しいです。毎日仕事でストレスもたまっているから」──ボオ・カック・ディエップ(28)は「技術」のビザで3年前に来日したエンジニアだ。
収入は20万円を少し超えるくらいで実習生に比べてかなり高い水準。技術ビザなので家族を呼ぶこともできる。少し前までは豊中市内で妻と暮らしていたが、1人目の妊娠が分かって妻だけ里帰りした。「私、仕事したら誰もいないから、(家で)1人はしんどいと思うから」
翌日、ディエップが週6日働き、自分の「家みたい」だという上原精工を訪ねた。1980年創業で金属加工業を営む上原精工は、豊中の本社工場に加えて伊丹と奈良にも工場を保有している。
28人の社員のうちベトナム人が10人。日本人の採用難で09年からベトナム人実習生の採用を開始した。しかしその後は全て実習生から「技術」ビザのエンジニアへと切り替えたという。その意図を、本社工場長の上原大輔(36)はこう説明する。
「最初の実習生にはとても満足だったが3年しか日本にいられないのがネックでした。うちらの仕事も覚えることが多いんで、2年ぐらいたってようやくまともになってくるかなという時期で、3年で帰られるのは悲しいなあと。技術のビザであれば互いの同意があれば何度でも更新できますから」
人手不足で日本人の若者が採用できない。だからこそ外国人でも長く働いてくれることが最優先で、そのためなら実習生と技術ビザとの間に存在する10万円程度の給与水準の違いも「妥当」だと考えている。「それでもまだまだ賃金上げろって言ってくるんですけどね」と上原は苦笑しながら言った。

週7日働いているという工場長の上原大輔 AKIHITO YOSHIDA FOR NEWSWEEK JAPAN
定住や永住への道を描かない政府の姿とは対照的に、外国人労働者の受け入れ現場の多くは事業を長期的に支えられる基幹的な労働者を望んでいる。しかし、日本での滞在が長期化するということは、家族と暮らし、子供が生まれ、教育や社会保障などさまざまな社会システムの利用者となっていくことも意味する。その現実を直視することは、外国人労働者を受け入れる企業だけでなく、社会全体の覚悟を問うことにもつながっていくだろう。
労働条件をめぐって緊張が走ることもある。上原精工でも、ディエップから会社に賃上げを求めたことがあった。「一番頑張っている彼が言うのは分かる」と上原は言う。ただ「今は赤字だから黒字化が見えてくる4月まで待ってくれ」とも伝えた。
初期に採用したベトナム人たちの給与は既に30万円程度まで上げている。「彼らはあと3年ぐらいで永住ビザが取れるので、取りあえずそこまでは頑張るみたいな話はしてましたけどね」。使い捨てではなく、日本人と同じ扱いで、全ての工程を自分一人で何でもできるところまで持っていく方針だ。
これまで採用した13人のベトナム人で離職したのは1人だけ。その秘訣を上原に聞くと、ベトナム人の社員に対して自分や伊丹工場長の弟が直接指導しているのだと教えてくれた。本当は日本人のベテラン工員から指導してほしいのだが、そう簡単にはいかないのだとも。
どうしても懸念されるのは言葉のこと。「難しい仕事になってくると他社との打ち合わせもあるので、ベトナムの子らだと技術が分かっても話のほうで苦労するかなと」
さらに、外国人労働者としてはベトナム人だけを採用してきたなかで「日本語が上達するスピードが遅くなってきている」とも感じている。ベトナム人同士で仕事ができてしまうために、日本語を使わなくてもいい環境が生まれているからだ。これからはもう少し出身国を分散させることも考えているという。
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大きな企業は日本語教師を雇って日本語のレッスンを開くだけの体力がある。一方、TVAのメンバーが働くような中小企業では日本語教育がおろそかになりがちで、日本人ボランティアの好意に支えられた日本語クラスがその隙間を何とか埋め合わせているのが現状だ。人手不足を理由に中小企業での外国人労働者の導入が進んでいるが、国として、社会として、彼らが日本語を学ぶ機会すら十分に準備できていないという現実にはなかなか光が当たらない。追浜で会ったナカシマとナカハタのことがふと頭をよぎった。
帰り際、無精ひげを生やした上原に聞いた。忙しいですか? 「週7日働いていて、徹夜も多いですね」という答えが返ってきた。ギリギリの労働現場で、日本人とベトナム人が働いていた。上原の頭の中には、いつか彼らがベトナムに帰ってしまうのではないかという不安が常に付きまとっている。
2階の応接室から1階の工場へと降りると、シンナーのにおいがした。伊丹空港のすぐそばなので、ひっきりなしに飛行機の音が聞こえる。工場の奥に歩いていくと、大きな機械の前で自分に任された金属加工の仕事を黙々とこなすディエップの姿を見つけた。
前日に会ったとき、ベトナムで妊娠中の奥さんが病院に運ばれたと言っていたのでそのことを聞いてみた。奥さんは大丈夫? ──ディエップはパッと目を見開いて笑った。「生まれたんです」。予定日より15日早い出産だった。スマホの中で、生まれたての赤ちゃんがスヤスヤと眠っていた。
ディエップは来年5月に妻と子供を日本に呼び寄せようと考えている。「お父さんになったらちょっと大変だけど幸せ」。そう話す彼に将来のことを聞いてみた。これからずっと日本で生きていきたいと思っていますか?
「いつまでか、まだ決めてない。子供のため。子供が日本で慣れるか慣れないか。いま赤ちゃんだから、(これから)ずっと日本に住んで、きっと日本に住みたい(と思う)。でも友達から聞きました。外国人の子供は学校行って日本人の子供は『外人、外人』とか言う。これからどうかな。どんどん日本で外国人増えるから、みんなはもっと慣れるかな」

上原精工で働くディエップは、自分に任された金属加工の仕事を黙々とこなす AKIHITO YOSHIDA FOR NEWSWEEK JAPAN
◇ ◇ ◇


追浜、郡山、豊中。日本で暮らす外国人たちから話を聞いてきた。
一人一人の外国人はこの国で定住するかどうかを決めてから日本にやって来るわけではない。こちらがいつか帰る短期の労働者だと高をくくっていても、本人たち自身もそれとは意識しないうちに時間は刻々と過ぎ去っていく。単身の労働者は母になり、父になり、人生の渦に巻き込まれていく。その大きな渦は、社会を簡単に設計できる、人の移動を簡単にコントロールできる、そう考える人々の思い込みをいとも簡単に吹き飛ばすだろう。
移民は人間だ。言葉を話して、学んで、働く。どこに住むか、誰と暮らすか。一人一人が違っていて、一人一人が悩んでいる。いじめられれば苦しいし、できれば家族と一緒に暮らしたい。毎日毎日、目の前の問題に取りあえずの答えを出しながら、それでも一歩ずつ進んでいくしかない。そうして時間だけが1年、また1年と降り積もっていくのだ。そんな人間としての飾らない日々の現実を、何十万、何百万という数字の奥に、私たちはどれくらい感じ取ることができるだろう。
永住者が、失踪者が、労働者がいるわけではない。ただ一人一人の人間がそのときその場所に存在するだけだ。それこそが、移民たちのリアルであり、私たちのリアルでもある。
<2018年12月11日号掲載>


※12月11日号は「移民の歌」 特集。日本はさらなる外国人労働者を受け入れるべきか? 受け入れ拡大をめぐって国会が紛糾するなか、日本の移民事情について取材を続け発信してきた望月優大氏がルポを寄稿。永住者、失踪者、労働者――今ここに確かに存在する「移民」たちのリアルを追った。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/12/post-11431_6.php

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/314.html

[戦争b22] ロシアが極超音速ミサイル兵器の発射実験成功−プーチン大統領 極超音速ミサイルを来年配備 新戦略兵器確保=大統領
ロシアが極超音速ミサイル兵器の発射実験成功−プーチン大統領
Andrey Biryukov、Alexei Anishchuk
2018年12月27日 10:09 JST
「アバンガルド」は核兵器の搭載可能−当局者
「ロシアは新しい種類の戦略兵器を手にした」−大統領
ロシアのプーチン大統領は26日、極超音速ミサイル兵器の最終発射実験が成功したことを見届けたと表明した。

  極東カムチャツカにある標的に向け行われた試射をモスクワで指揮していた大統領は「実験は成功だ」と記者団に述べた上で、「ロシアは新しい種類の戦略兵器を手にした」と明言した。


 撮影:Mikhail Klimentyev \ TASS via Getty Images
  大陸間弾道ミサイル(ICBM)で打ち上げられた「アバンガルド」と呼ばれるこの兵器の配備は来年始まるとプーチン大統領は語った。ロシア当局者によれば、通常兵器もしくは核兵器の搭載が可能。

  大統領が今年の年次教書演説で米国のミサイル防衛システムに対するロシアの答えだとして触れていた新兵器群の1つがアバンガルドで、「隕石のように標的に向かう」と大統領は説明していた。

原題:Putin Says Latest Test of Hypersonic Warhead Successful(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-27/PKDCWJ6TTDS401


 


ワールド2018年12月27日 / 09:18 / 2時間前更新
ロシア、極超音速ミサイルを来年配備 新戦略兵器確保=大統領
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[モスクワ 26日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は26日、核兵器の搭載が可能な極超音速ミサイル「アバンガルド」を来年に配備する方針を示し、ロシアは新たな戦略兵器を確保したと強調した。

プーチン氏は同日、この新型ミサイルシステムの試射を見届けた後、政府の会合で「試射は完全に成功した」と述べ、「2019年からロシアの部隊は新たな大陸間戦略システムアバンガルドを保有することになる。これは軍やロシアにとって重要な局面だ」と語った。

この新型ミサイルシステムはプーチン氏が3月の演説で明らかにした複数の新型兵器の一つで、ミサイル防衛システムによる迎撃が難しいとされる。

プーチン氏は3月、これらの新型兵器は世界のほぼすべての場所を攻撃でき、米国のミサイル防衛網をかいくぐることが可能と述べていた。
https://jp.reuters.com/article/russia-putin-nuclear-idJPKCN1OQ00H
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/478.html

[経世済民130] 金融株の「ブラックスワン」、マネロン200兆円の闇 米空売り銘柄指数が過去最大の上昇率、買い戻し優勢に
外為フォーラムコラム2018年12月27日 / 10:43 / 1時間前更新

金融株の「ブラックスワン」、マネロン200兆円の闇

大槻奈那 マネックス証券 執行役員チーフ・アナリスト
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[東京 27日] - クリスマス直前の21日、ドイツ銀行(DBKGn.DE)の株価が過去最安値をつけた。同銀の株価純資産倍率は0.23倍と、清算価値を大幅に割り込んでいる。世界的な株安と連動した面もあるが、もう1つの要因は資金洗浄(マネーロンダリング)の摘発である。

11月末、ドイツ銀行に総勢170人もの警察官や検察官、税務調査官らが家宅捜索に入った。著名人や政治家の税逃れの実態を明らかにした「パナマ文書」絡みのマネロン事件への関与した疑いがあるという。次いで米投資銀ゴールドマン・サックス(GS.N)も、マレーシアの政府系投資会社1マレーシア・デベロップメント(1MDB)事件への汚職・資金洗浄疑惑捜査に関連した証券関連法違反の疑いで刑事訴追された。いずれも、株価が急落した。

今年は、こうした世界のトップ金融機関を巻き込んだマネロン疑惑が連発している。9月には、デンマーク最大手銀ダンスケ銀行のマネロン疑惑が連日報じられた。同行のエストニア支店などを通じた、過去8年間で最大2000億ユーロ(約25兆円)に上るマネロン疑惑が浮上している。

過去最大のマネロン事件は、1991年に倒産した英国のBCCI(国際商業信用銀行)で、洗浄総額は200億ドルとされていたが、この疑惑が事実だとすればこれを上回る史上最大規模となる。

国連などの試算によると、世界で洗浄されている資金は、世界国内総生産(GDP)の2─5%、つまり年間200兆円規模に上る。資金の流れを断つことができれば、多くの犯罪を防止できる。「防波堤」としての金融機関の役割は大きいはずだが、うまく機能していないのが現実だ。

<対策の遅れが目立つ邦銀、来年が試金石>

日本はどうだろうか。「疑わしい取引」の報告件数は年間40万件、実際に摘発された事例も350件と、過去10年で倍増した。しかしいずれも規模が小さく、金融機関の関与はまれだ。とはいえ、邦銀ではマネロン対策が進んでいる、と素直に受け取ることは難しい。むしろ、日本におけるマネロン対策に対する世界的な評価は極めて低い。

「マネロン天国」などという汚名を着せられこともある日本は、国際的な資金洗浄対策を目的に設立された金融活動作業部会(FATF)から不備を指摘され続けている。

08年10月に示された第3次対日審査では、取引相手の法人を誰が実質的に支配しているかを十分確認できていないなど49項目中25項目が要改善という厳しい内容となった。さらに、14年に開かれたFATFの定期会合では、異例の名指しで日本の対策不備が指摘された。

そんな折、来年にはFATF第4次審査団が来日する。これまでの法整備が、各銀行で実際どの程度有効に運用されているか審査される予定だ。邦銀もようやく本気を出して、IT化や現金による海外送金の取り止めなど、さまざまな施策を打ち始めている。

それでも、欧米に比べると日本の遅れが目立つのはなぜだろうか。1つには、どうしてもテロが遠い国の出来事に感じられることが挙げられる。テロ対策によって手続きの不便さを強いられることに、なかなか国民の納得が得にくい。

もう1つは、現金社会という点も挙げられる。実際、送金も多額の現金を経由する例が少なくない。顧客サービスを優先するあまり、1日の送金上限額なども高めだ。欧米のATMでは100万円を超える現金引き出しなどあり得ない。「振り込め詐欺」の被害金額が1回平均で300万円以上と、米国の類似詐欺「グランドペアレント・スキャム(祖父母詐欺)」より桁違いに大きいのも、こうした現金取り扱いを巡る違いのせいだ。

さらに厄介なのは、言語の違いだ。日本では、外国人も口座をカタカナ表記で作成できる。アルファベットが正式名称であれば、いわゆる「仮名」口座の作成は簡単だ。世界の「ブラックリスト」に掲載されている名前は当然アルファベット表記であるため、二重三重にチェックをしても、他国に比べて検知するための難易度が高い。

政府方針では今後、外国人労働者受け入れ促進のため、彼らの銀行口座開設を容易にするという。チェックの手間は格段に増え、その分、抜け道も増える可能性がある。

<マネロンは金融株の「ブラックスワン」>

もし日本が来年のFATF審査にパスしなければどうなるだろうか。FATFに法的制約はないが、各国のマネロン対策が厳しくなる中で、外銀が邦銀経由の送金を受けにくくなる可能性がある。受け入れを制限する外銀が出てくるリスクも否定できない。また、マネロン対策が甘い国だと改めて認定されてしまうことで、犯罪組織に狙われる可能性もある。

FATFが設立された30年前の報告書では、世界のマネロン金額は850億ドルと推定されていた。この数字が正しければ、FATFが設立されて以降、マネロンは根絶されるどころか、20倍に膨張したことになる。名誉回復のため、FATFも各国当局も一層対応を厳しくする可能性がある。

市場が予想することが難しいイベントだけに、マネロン事案での摘発は株価への影響が大きく、意外な「ブラックスワン(想定外の出来事)」となる可能性も否定できない。それでなくても株価の動揺が著しい銀行業界だが、マネロンリスクは、もう1つの懸念材料となりそうだ。

*本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

大槻奈那氏 マネックス証券 執行役員チーフ・アナリスト(写真は筆者提供)
*大槻奈那氏は、マネックス証券の執行役員チーフ・アナリスト兼マネックスユニバーシティ長。東京大学卒業。ロンドン・ビジネス・スクールで経営学修士(MBA)取得後、スタンダード&プアーズ、メリルリンチ日本証券などでアナリスト業務に従事。2016年1月より現職。名古屋商科大学大学院教授、二松学舎大学客員教授、クレディセゾン社外取締役、東京海上ホールディングス社外監査役を兼務。財政制度審議会財政制度分科会委員、東京都公金管理アドバイザリー会議委員などを務める。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

編集:下郡美紀
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-nana-otsuki-idJPKCN1OP08T


 

ビジネス2018年12月27日 / 10:43 / 1時間前更新
米空売り銘柄指数が過去最大の上昇率、買い戻し優勢に
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[ニューヨーク 26日 ロイター] - 26日の米株式市場では、空売り筋の最大の標的となっている銘柄で構成する指数.TRXUSPMSHRTが過去最大の上昇率を記録、空売りの買い戻しが全体相場の急反発をけん引したことが示された。

51銘柄から成るトムソン・ロイター米空売り上位指数は6%上昇と、6年前の算出開始以降で最大の値上がり率だった。複数の構成銘柄はこれまでに数年来の安値を付けていた。

この日のダウ工業株30種は初めて1000ドル超上昇して取引を終えた。弱気相場入り目前となっていたS&P総合500種も大幅に上昇した。

ロバート・W・ベアードのマネジングディレクター、マイケル・アントネリ氏は「これはショートカバー・ラリーだ」と指摘。「誰もが、これまで利益を出すのに最適だったために持ち続けてきた超弱気ポジションから抜け出そうとした」と分析した。

米株は今月に入ってから景気鈍化懸念やトランプ政権と米連邦準備理事会(FRB)の間の緊張を巡る不安感から売り圧力にさらされてきた。

アントネリ氏は「12月に入ってから、毎朝空売りを仕掛ければ引けで利益を出すことができた」と語った。

アナリストらによると、26日は空売り銘柄が急反発したことで、空売り筋に買い戻しへの圧力がかかったという。

ファースト・フランクリン・フィナンシャル・サービシズのチーフマーケットストラテジスト、ブレット・エウィング氏は、「空売り筋はこれ以上欲張るべきではないと気付いたのだろう」と述べた。

トムソン・ロイター米空売り上位指数の構成銘柄では、小売大手ベッド・バス・アンド・ビヨンド(BBBY.O)は24日に20年ぶりの安値を付けていたが、26日は9%上昇。前週最安値に沈んでいた写真共有アプリ「スナップチャット」のスナップ(SNAP.N)は4.6%高で終了。石油・ガス探査生産会社カリフォルニア・リソーシズ(CRC.N)は3月初旬以来の安値から22%の大幅高を演じた。

このほか、ティーン向けアパレル大手アバクロンビー・アンド・フィッチ(ANF.N)は10.5%高で引けた。
https://jp.reuters.com/article/us-stock-idJPKCN1OQ032
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/315.html

[経世済民130] クリスマス明けの米株は記録ずくめ−S&P指数構成銘柄の99.8%上昇 FRB議長100%安全 米金融株ETF資金流出最悪
クリスマス明けの米株は記録ずくめ−S&P指数構成銘柄の99.8%上昇
Brandon Kochkodin
2018年12月27日 10:57 JST
主要3指数がいずれも4%以上の上げ−11年以来
26日のS&P500種の値下がり銘柄はニューモントだけだった
米国株の今週の取引は、奇妙だったと言うだけでは、控えめな表現に感じられるほどだ。

  26日の主要3指数はいずれも4%以上値上がりしたが、これは2011年以来なかったことだ。ダウ工業株30種平均とS&P500種株価指数は5%をわずかに下回る大幅な上昇率を記録した。

  またダウ平均を見ると、24日は指数を構成する30銘柄が全て下落して取引を終えたが、クリスマス明けの26日は一転して全構成銘柄が前営業日比で上昇した。これは15年以来の現象で、2000年以降10回しかない。


  さらに26日はS&P500種の構成銘柄(現在505)のうち99.8%が上昇し、1990年までさかのぼるブルームバーグの集計データによると、500銘柄余りが終値ベースで上げたのは今回が初めてだ。500銘柄のうち498銘柄が値上がりした11年の99.6%がこれまでの記録だった。26日の値下がり銘柄は、鉱山会社のニューモント・マイニングだけだった。

原題:Here Are Three Crazy Market Statistics on a Wild Day of Trading(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-27/PKDEXY6JTSE801

 

パウエル氏のFRB議長ポストは「100%」安全−ハセットCEA委員長
Alyza Sebenius
2018年12月27日 4:44 JST

Photographer: Drew Angerer/Getty Images North America
トランプ米大統領がパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の解任に向けて動くことはないと、ハセット米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長が述べた。

  ハセット委員長は26日、パウエル氏のFRB議長ポストは安全かとの記者からの質問に対し「もちろん、100%だ」と答えた。


パウエルFRB議長Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
  ハセット氏はまた、米銀は流動性危機に直面していないとも述べた。

  ブルームバーグ・ニュースは先週、トランプ大統領がパウエル議長の解任について議論したと報道。市場に動揺が走った。23日にはムニューシン財務長官が大手行トップと協議し、銀行には十分な流動性があるとの声明を出したことで、市場では予期していなかった問題が生じるのではないかとの懸念が広がった。

  トランプ大統領は25日、米金融当局およびパウエル議長への信頼を表明しつつ、利上げのペースが速過ぎるとの不満もあらためて示した。

原題:Fed’s Powell Is ‘100 Percent’ Safe, Trump Adviser Hassett Says(抜粋)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE
トランプ大統領とパウエル議長の会談の可能性、側近が模索−CNN
松田英明
2018年12月27日 8:38 JST
直接会談すれば両者の緊張を和らげることができると側近は想定
政治的に独立しているFRB議長と大統領が会談なら極めて異例

パウエル議長 Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
米CNNは26日、トランプ大統領がパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長と来年に一対一で会談する可能性について大統領の側近が模索中だと、協議に詳しい関係者1人を引用して報じた。

  それによれば、トランプ大統領の側近の一部は、大統領がパウエル議長と直接会談すれば、両者の緊張を和らげ、基調的な経済動向について話し合うことができるのではないかと考えている。

  ムニューシン財務長官はパウエル議長と定期的に会談している。一方、大統領がFRB議長と会うのは過去に例がないわけではないが、FRB議長のポジションは政治から独立している連邦準備制度のトップであるだけに極めて異例だとCNNは伝えた。正式な予定は一切組まれていないという。

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE
Photographer: dowell/Moment Open
金融危機の引き金引いた証券、2018年には最高の避難先−リターン突出
Claire Boston
2018年12月27日 1:26 JST
前回の世界的な金融危機の引き金を引いた証券は、今では下落局面から逃れる最善の投資先に挙げられるようになった。

  ブルームバーグ・バークレイズ指数によると、自動車やクレジットカードなどのローン債権を裏付けとする証券は、年初から今月24日までにプラス1.6%のトータルリターンを計上した。リパッケージ債市場の一部はさらに好調で、政府保証のない住宅ローン担保証券のリターンは今年、プラス11%余り。S&P500種株価指数のトータルリターンが今年に入ってマイナス10%超となっている中で、こうした証券のリターンは突出している。

Few Places to Hide
Securitized debt had some of the only positive returns in credit this year


Source: Bloomberg Barclays, Markit

Note: Return figures are through Dec. 24

  住宅ローン債権を裏付けとする証券や資産担保証券(ABS)の勢いは、なお続く可能性がある。ゴールドマン・サックス・グループやウェルズ・ファーゴは、こうした証券の保有を増やし、社債投資を縮小するよう顧客にアドバイスしている。

  この種の証券に重点投資するファンドの多くは、ここ数年の運用成績が驚くほど良い。ブルームバーグの集計データによれば、コロンビア・モーゲージ・オポチュニティーズ・ファンドのリターンは年初から21日までに利払い分を含めてプラス7%前後と、米国のストラクチャード・クレジット・ミューチュアルファンドの中で最も高い。
  
  コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツのストラクチャードアセット責任者、ジェーソン・キャラン氏は、政府保証の付かない住宅ローン証券などへの投資が奏功したと発言。「低金利が長く続いているため、消費者の債務返済能力は従来のサイクル時に比べてずっと高くなっている」と述べた。景気は来年減速するが、個人の借り手はうまく乗り切るはずだとの見通しを示した。

  米連邦準備当局によれば、クレジットカードの支払いや住宅ローンなどを含む米家計の金融債務は、4−6月(第2四半期)に可処分所得の9.8倍。2012年以来の低水準となり、過去最低に近づいた。この数値は07年末をピークに総じて低下傾向にある。


原題:Scary Bonds From Last Crisis Were the Best Place to Hide in 2018(抜粋)

 

米当局は利上げ停止も、トランプ大統領が自ら招いた経済的ダメージで
Christopher Condon、Craig Torres
2018年12月27日 11:41 JST
政府機関閉鎖とFRB攻撃で政策の不確実性増大、雇用や投資を抑制
株価急落は家計資産を目減りさせ消費に打撃与える恐れ

トランプ大統領 Photographer: Zach Gibson/Bloomberg
トランプ米大統領は望み通り、米連邦準備制度に利上げを停止させる可能性がある。トランプ氏の米金融当局批判と政府機関の一時閉鎖で株式市場は混乱し、2019年経済成長率見通しが下方修正されかねないためだ。

  S&P500種株価指数は24日に2.7%下落し、米株式相場は9月の高値から20%近い値下がりとなり、弱気相場入り目前となっていた。ただ、26日には5営業日ぶりに反発した。

2019年の市場リスクについて話すアライアンスバーンスタインのガーション・ディステンフェルド債券共同責任者

夜明け:アメリカ大陸。 "(情報源:ブルームバーグ)
  最近の相場下落のきっかけは、今年4回目の利上げを連邦公開市場委員会(FOMC)が12月19日に決めたのを受け大統領がパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長解任を議論したとのブルームバーグ・ニュースの21日の報道だった。

  FOMCは利上げ決定とともに、19年に利上げペースを緩める可能性も示した。一方で、堅調な経済見通しも提示し、来年の経済成長率を2.3%(FOMC参加者の予測中央値)、来年1−3月期の失業率を平均3.5%と予想。19年に2回の追加利上げが正当化されると説明した。

  しかし、こうした見通しは市場の乱高下で修正される公算が大きい。株価下落は家計資産を目減りさせるため消費に打撃を与える上、ボラティリティー上昇に伴う資本コスト増加で企業景況感も悪化する。さらに、貿易戦争やFRB批判など政府の政策を巡る不確実性も投資を妨げかねない。

  マクロポリシー・パースペクティブズの創設者、ジュリア・コロナド氏は、株価急落で19年の成長率予想が下方修正される公算は大きく、米金融当局による追加利上げは同年後半にずれ込む可能性があると予想。「今の相場調整に反映されている信頼感の揺らぎが、投資や雇用に影響する可能性は極めて高い」と付け加えた。

  サマーズ元財務長官は26日にツイッターで、リセッション(景気後退)入りの確率は12月より前の「50%弱」から60%に跳ね上がったとコメントした。サマーズ氏は予測の根拠を説明していない。


Lawrence H. Summers

@LHSummers
Open warfare between @POTUS @realDonaldTrump and the @federalreserve seems almost calculated to add to risk premiums in the markets.

原題:Trump’s Self-Inflicted Economic Damage Could Cause Fed to Pause(抜粋)


 
米金融株ETFから投資家が資金引き揚げ−流出は過去最悪のペース
Vildana Hajric、Carolina Wilson
2018年12月27日 10:52 JST
最大級の金融株ETFの資金流出は今月35億ドルに達している
KBW銀行指数の10−12月期の下げは2011年以来最大となる見込み
米金融株に投資する最大級の上場投資信託(ETF)の資金流出が月間で過去最悪のペースとなっている。今月初めから24日までに35億ドル(約3900億円)を超える流出があった。

  このETFはファイナンシャル・セレクト・セクターSPDRファンド(XLF、運用資産210億ドル)。金融株ETF全体の今年の資金流出は過去最大の92億ドルに達している。銀行株のイコールウエートのポートフォリオに追随するSPDR・S&Pリージョナル・バンキングETF(同27億ドル)からも資金流出が相次いでいる。XLFの組み入れ比率は銀行株が49%、保険株が約32%と、投資先がより多様だ。


  予想を下回る融資の伸びや利回り曲線のフラット化、世界成長の鈍化の影響で金融株は12月に入って16%下落し、S&P500種株価指数を構成する11業種の中でも最もパフォーマンスが低い。米銀行株の指標であるKBW銀行指数も今月19%下げており、10−12月期の下落率は21%に達する方向だ。そうなれば、27%を記録した2011年7−9月期以来最大の下げとなる。

  クレディ・スイス・グループの米州担当ETFマーケットメーキング責任者、ジョシュ・ルークマン氏は「市場では最近、利回り曲線のフラット化が何よりも懸念されており、逆イールドが今後の経済にとって何を意味するかに関する不安もあることから、金融株とXLFは容赦のない売り圧力にさらされている」と指摘した。


原題:ETF Investors Hasten Financials Exodus as December Slump Deepens(抜粋)


 

脱ミューチュアルファンド、金融危機の08年以降で最大の資金流出
Charles Stein
2018年12月27日 3:26 JST
ミューチュアルファンドからの資金流出額が、金融危機時の2008年以来の大きさとなった。

  米投資信託協会(ICI)が26日発表したデータによると、ミューチュアルファンドからの流出額は12月19日終了週に562億ドル(約6兆2200億円)と、08年10月15日終了週以降で最大。株式ファンドからネットベースで270億ドル、債券ファンドは196億ドル、株・債券混合ファンドからは96億ドルがそれぞれ流出した。


資金流出が加速米投資信託協会
  世界的な景気減速や、トランプ大統領のパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長批判などへの懸念から、株式相場は今週初めにかけて急落していた。

  一方で、上場投資信託(ETF)には同じ週に252億ドルが流入した。ICIのチーフエコノミスト、ショーン・コリンズ氏は発表資料で、「一部の投資家はボラティリティーが高い時期を買いの好機と見なしている」との見方を補強する動きだと指摘した。

原題:Mutual Fund Outflows Surge to $56 Billion, Most Since 2008(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-27/PKDERX6K50XS01

 

株式相場は「今が底」、米中問題と業績確認で反発へ−大和証券G社長
谷口崇子、中道敬
2018年12月27日 0:00 JST
PERなどの株価指標は底値圏を示す、19年度は2万6000円の高値も
ソフトバンク株の配当利回り下落するほど上昇と冷静に説明の責務

Photographer: Kiyoshi Ota / Bloomberg
大和証券グループ本社の中田誠司社長は、1年3カ月ぶりに2万円の大台を割り込んだ25日の日経平均株価について、米中貿易摩擦などの懸念要因はあるものの、株価指標や企業業績からすると今が底値の可能性が高いと指摘。来年度は状況により2万6000円程度の高値も望めるとの見通しを示した。

  中田社長は26日のインタビューで、株価急落について「後世に残るほどの大きな下げ」だったと言及。個人的見解ながら「米中貿易戦争の激化で世界経済の成長トレンドが変わることを市場が読みに行っている」と分析した。米中問題の影響がある程度見通せるようになり、企業業績の堅調さが確認できれば反転に向かうと予想した。


  株価純資産倍率(PBR)や騰落レシオからすると「今が底値と言ってよく、悲観的になる必要はない」と述べた。株価収益率(PER)から見ても売られすぎとの見方を示した。ブルームバーグのデータによると、26日の日経平均株価構成銘柄のPER中央値は11.1倍となっている。

  一方、初値が公開価格(1500円)割れしたソフトバンクについて5%という高い配当利回りを勘案すると「価格決定時の1500円はそんなに間違ったプライシングではない。結果論だが、通信障害など不透明なイベントが重なってしまった」と述べた。大和証Gの引受額は野村ホールディングスに次ぎ2番目に大きかった。

  株価が下落するほど相対的に配当利回りは高くなるとし、証券会社として「そういう冷静な投資尺度の情報をきちんと顧客に提供していく責務がある」との認識を示した。ソフトバンクの新規上場(IPO)により株式市場には相当の新規資金の流入があったが、そのまま保有している個人投資家も多いとみている。

  海外戦略については、成長が続くアジアでの金融機関との資本・業務提携を強化する方針を明らかにした。同社は合併・買収(M&A)規模5億ドル(550億円)以下の「中型案件」の助言業務でトップを目指しており、昨年は米国でM&Aの独立系投資銀行2社を買収した。

  中田社長は「この2社を土台に、足りない部分を補完していく」と強調。具体的にはタイ、インドネシア、マレーシア、インドなどで提携先を探す考えを示した。11月に発表した中国企業との合弁証券設立については、19年前半に中国証券監督管理委員会に申請し、20年前半に営業を開始する見通しだとした。


 


米小売株、9年ぶり大幅高−ホリデーシーズンの力強い消費の兆し受け
Jeran Wittenstein
2018年12月27日 8:55 JST
S&P500種小売株指数は7.4%高、09年3月以来の大きな上げ
指数構成の27銘柄全てが上昇、アマゾンやコールズの上げ目立つ
26日の米株式市場で小売株が急反発。ホリデーシーズンの力強い個人消費動向が示される中、主要な小売株指標であるS&P500種小売株指数は9年余り前に株式の強気相場が始まって以来の大きな上げとなった。

  同指数は前営業日(24日)比7.4%上昇し、この日の高値で終了。上昇率は、金融危機の影響でS&P500種株価指数が底値を付けた翌日の2009年3月10日以降で最も大きい。構成27銘柄全てが値上がり。オンライン小売り最大手のアマゾン・ドット・コムの株価は9.5%高。百貨店のコールズ(10%高)やディスカウント小売りチェーンを運営するダラー・ゼネラル(7.2%高)の上げも目立った。

  アマゾンは今年のホリデーシーズンが記録破りの好調さを見せていると発表。米百貨店のオンライン販売が前年比10%余り増加したと、米年末商戦の支出を追跡するマスターカード・スペンディングパルスが明らかにした。


原題:Retail Stocks Jump Most in 9 Years on Strong Spending Signs (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-26/PKD9YP6JTSE801

 


 
日銀は長期ゾーンの買い入れ縮小か、1月の頻度を削減するとの見方
野沢茂樹
2018年12月27日 7:00 JST
需給の引き締まりを考慮すれば減額進めるべきだーBNPパリバ
月間買い入れ計画で減額する方がリスク低いとみているー野村証
日本銀行は今日発表する来月の国債買い入れ運営方針で、長短金利操作の対象となっている長期ゾーンの購入規模をさらに縮小するとの見方が出ている。買い入れ頻度を減らし、国債市場の需給逼迫(ひっぱく)を和らげる案が有力視されている。

  BNPパリバ証券と野村証券、みずほ証券の3社は、日銀が残存期間5年超10年以下のゾーンを月4回に減らすと予想。いずれも1回当たりの金額は増えるとみているが、オペ回数の減少で1月の買い入れ総額は、前月に比べて1500億−2000億円強の減額になると推測される。

1月の「5ー10年」オペ予想
頻度 1回当たり金額
BNPパリバ 4回 5000億円
野村証 4回 5000億円
みずほ証 4回 4800億円前後
(現在) (5回) (4300億円)
  
  日銀は27日午後5時、来月の買い入れ方針で、利付国債の1回当たり購入額の上限・下限と、実施予定日を残存期間別に公表する。現在は5年超10年以下だけが月5回購入と、他のゾーンより1回多い。

  BNPパリバ証の井川雄亮債券ストラテジストは、需給の引き締まりを考慮すれば、日銀は「粛々と減額を進めるべきだ」と指摘。日々の金融調節での減額に対する注目度が高いため、株安・円高リスクがある中では、市場の反応が小さい月間計画で対処せざるを得ないと説明する。

  日銀はこれまで、金利操作対象の10年債が含まれる5年超10年以下の減額には他のゾーンより慎重に対処してきた。野村証の中島武信シニア金利ストラテジストは、同ゾーンを月半ばで立て続けに減らすと「誘導目標をあまり重視していないという誤解を市場に与える恐れがある」と指摘。月間計画での減額の方がリスクが低いとみている。


  長期金利は25日、世界的な株安・円高を背景に1年3カ月ぶりとなるゼロ%まで下げた。みずほ証の丹治倫敦チーフ債券ストラテジストは、金利低下の行き過ぎは金融機関収益の悪化要因となるため避けたいのが日銀の本音だとし、「毎月のオペ運営方針で淡々と減額していけば、少し長めの視点で取り組んでいる印象を市場に与えることができる」と言う。

  一方、SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジストは、5年超10年以下のオペ減額はさらに7年ー10年のイールドカーブ(利回り曲線)を傾斜化させる方向に働くと想定され、カーブのゆがみを強める恐れがあると指摘。14日の5年超10年以下の減額はサプライズを狙った面もあるとし、今回のオペ運営方針での減額はないと予想している。

今月14日の長期ゾーン減額の記事はこちらをご覧下さい。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-27/PKDEXY6JTSE801


 



http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/316.html

[経世済民130] 就職氷河期世代を襲う「セルフ・ネグレクト」自らの健康を蝕む「緩慢な自殺」とは? ニッポンの独身者は誰と暮らしているのか
就職氷河期世代を襲う「セルフ・ネグレクト」 

自らの健康を蝕む「緩慢な自殺」とは?

2018年12月20日(木)19時23分
菅野 久美子(フリーライター) *東洋経済オンラインからの転載

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セルフ・ネグレクトから孤独死という負の連鎖は高齢者だけでなく、団塊ジュニアやゆとり世代にも起こりうる話だ

不摂生や医療の拒否、部屋のごみ屋敷化などによって、自らの健康状態を脅かす、セルフ・ネグレクト(自己放任)。孤独死とも密接な関係にあるこのセルフ・ネグレクトが、近年大きな社会問題となっている。緩慢な自殺と呼ばれるセルフ・ネグレクトの最前線を追った。

「ああ、このお部屋は、セルフ・ネグレクトですね」

全国に展開している大手特殊清掃会社の特殊清掃人の女性は、部屋に入るなり、厳重な防毒マスク越しに私にそう教えてくれた。スースーという呼吸の音だけが、家主を失った部屋に響く。

築30年は下らない老朽化したアパートの、いわゆるゴミ屋敷のような6畳一間の部屋。そこで50代の男性は、脱ぎ捨てたおむつや、段ボール箱、散乱するコンビニのお菓子の空袋に埋もれるようにして亡くなっていた。

特殊清掃現場のほとんどがセルフ・ネグレクト
私が初めて取材で入った特殊清掃の現場は、このセルフ・ネグレクトの男性の部屋だった。妻子との離婚後、男性は1人で生活していたらしい。ほこりを被った段ボール箱からは、ありし日の妻子と写った写真が出てきた。

畳の上には、ベッチャリとした繊維質の黒い塊があって、それが頭皮ごと剥がれ落ちた髪の束であることにすぐ気づいた。当然遺体本体はそこにはないが、警察が遺していった、男性の「落とし物」に、思わずぞくりとさせられた。

セルフ・ネグレクト――。一般的には聞きなれない言葉かもしれないが、特殊清掃の世界ではまるで日常用語のように使用されている。拙著『孤独死大国 予備軍1000万人時代のリアル』でも詳しく追っているが、彼らが請け負う案件の傾向をみているとその理由がよくわかる。そのぐらい、セルフ・ネグレクトと孤独死とは切っても切れないつながりがある。

関東地方に住む民生委員の徳山さん(仮名)も、セルフ・ネグレクトと言われる人に接してきている。また、セルフ・ネグレクト状態から孤独死で亡くなった人を何人も見てきたのだという。

徳山さんはおっとりとした60歳の女性で、子どもたちがお世話になった地域の役に立ちたいと思うようになり、民生委員となった。

次のページ苦悩する民生委員

「近所の人が『あそこのお家、ちょっとおかしいのよね。最近見かけないのよね』ということがあると、『行ってみてくれない?』と言われて最初に見に行くのが、民生委員なんです。それで実際に孤独死された方を見つけた民生委員もいますよ。私も、訪問するなどして関わっていた方が孤独死で亡くなられることがありました」

徳山さんはその現状について語った。

徳山さんによると、見守りといっても、基本的にほとんどの世帯は1年に1度。そのような頻度だと民生委員が訪問している家だとしても、孤独死が発生しても何らおかしくない。現に徳山さんが見守りに関わった高齢者のうち3人が孤独死している。

徳山さんが遭遇した孤独死のうち、1人は80代の単身でゴミ屋敷に暮らす、おばあさんだった。そこは前々から、近所で有名なゴミ屋敷であった。前日に、おばあさんが家で倒れているところを近所の人が見つけて救急車を呼んだ。しかし、救急車に乗ることは絶対に嫌だと拒否したのだという。

「『私はここで死んでもかまわない』『人に迷惑かけたくない』って言うんですよ。しっかりしたおばあちゃんで、普段は買い物も自分で行ってたみたいなんです。でも、夏の暑い時に熱中症か何かで倒れてて、救急車を呼んだんですけど、乗らなかった。

その数日後に、孤独死してたんです。クーラーがなくて、窓を開けて、お風呂もないおうちだったんですよ。心配して近所の方が訪ねていくとダニだらけだったみたいで。それでも最後まで、絶対人さまには頼りたくないって言ってましたね」

セルフ・ネグレクトの特徴として、ゴミ屋敷だけでなく、必要な医療やケアを拒否するケースが多い。ニッセイ基礎研究所が地域包括支援センターへ行ったアンケートによれば、「孤立死(孤独死)」事例の約5割に医療や福祉の拒否が見られた。

ニッセイ基礎研究所は、孤立死とセルフ・ネグレクトの関係について、興味深い研究を行っている。

同研究所の研究で、全国の市区町村を通じて「生活保護担当課」と「地域包括支援センター」で把握している孤立死事例を収集したところ、その中で、孤立死の8割は何らかのセルフ・ネグレクトだったという事実が明らかになった。

命をおびやかすセルフ・ネグレクト
セルフ・ネグレクトには、認知症のような病気によって正常な判断力や意欲が低下していることによる場合と、判断力などは低下していないものの、本人の意思によってなる場合の2種類がある。しかし、自分の心身の安全が脅かされるという意味では、陥っている状況は同じである。同研究所主任研究員の井上智紀さんは語る。

「私たちの研究では、孤立死の8割の事例にセルフ・ネグレクトと思われるような症状が確認できたんです。ゴミ屋敷はとてもわかりやすいセルフ・ネグレクトの例ですが、そのほかにも十分な食事を取っていないとか、何日も入浴や洗濯していないとか、排泄物の放置、あるいは医療の拒否などですね。あとは、家が猫屋敷になっていたりとか、さまざまなケースがあり、これらが複合的に絡まり合っている場合もあります」

次のページ65歳未満の孤立化が危険

この研究結果は、あくまで高齢者に絞った内容になっているが、セルフ・ネグレクトは高齢者の問題だけではないと井上さんは力説する。

「高齢者はまだいいんですよ。65歳以上だったら、介護保険制度があるので、何らかの形で地域包括の方や、民生委員の方がコンタクトを取りに行くんです。民生委員の訪問などは頻繁ではないかもしれませんが、その中で何らかの異変に気づいてもらえるきっかけにはなる。何らかの兆候が発見されて、介護サービスにつなげられる可能性がまだあるんです」

むしろ難しいのは65歳未満だという。井上さんは例を挙げる。例えば、50代でリストラされて、失業した男性がふとしたきっかけでお酒に手を出してしまう。そして、そのまま酒浸りになり、アルコール性肝障害にかかってしまう。しかし、賃貸アパートということもあり、両隣と付き合いのないまま男性は孤立。行政のサポートからはあぶれているし、仮に亡くなったとしても、まったく発見されないため、孤立死してしまう。

リストラや配偶者との離婚や死別から、セルフ・ネグレクトになって孤独死するといったケースは、確かに特殊清掃の現場でもよく見られた。

リストラは、誰にだって人生の一大事だし、離婚や死別なんていったら、落ち込むどころではない。しかし、それらはいつ訪れるかもわからない。そのぐらい私たちにとっては身近な出来事だ。セルフ・ネグレクトに陥っても、福祉の網の目にはかからないのが、より一層この問題を見えなくしている。

団塊ジュニア、ゆとり世代は要注意
孤独死の危険が高いのは、団塊ジュニア、そして、ゆとり世代だ。30〜40代の働き盛り、まさに就職氷河期世代で、非正規でずっと生きてきた人も多く、職場の人間関係も乏しい。金銭的に苦しいため、結婚もできない。まさに、この人たちは孤独死予備軍である。さらに、内閣府の調査で70万人といわれる引きこもり(予備軍は155万人)も、すでにセルフ・ネグレクトと言えるケースもあるだろうし、身の回りの世話をしてくれる両親がいなくなったときに、セルフ・ネグレクトから孤独死に陥ることも十分に考えられる。

セルフ・ネグレクトには、介入しづらい。そもそも見守りなどのシステム自体もない高齢者以外は、介入の前に存在の発見さえも難しいことがある。


『孤独死大国 予備軍1000万人時代のリアル』(双葉社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

それこそ孤独死してから、臭いが発生するまで、セルフ・ネグレクトであることを住民の誰もが知らないということも考えられる。また仮に近隣の住民が、「なんかおかしい」と思ってはいても、付き合いの浅い賃貸住宅などでは、見て見ぬふりをすることだってある。

「孤独死は、周りの人たちとのコミュニケーションが薄い状態がもたらすということ。地域でも、会社でも、趣味でもいい。人とのコミュニケーションを密にすることが大事なんです。人付き合いのわずらわしさは確かにあるんですよ。でも、そこをできるだけ面倒臭がらないことですね」

自分がセルフ・ネグレクトになったとしても、誰も助けてくれない可能性もある。そのため、「誰もがセルフ・ネグレクトに陥ってしまうかもしれないという危機意識は持っていたほうがいい」。井上さんは語った。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/12/post-11444_3.php


 

データで見る「ニッポンの独身者は誰と暮らしているのか」−「結婚のメリットがわからない」独身者の世帯(居場所)のカタチとは−
2018年11月9日(金)13時30分
天野馨南子(ニッセイ基礎研究所)

親と同居するメリットが結婚するメリットを上回る? pixelfit-iStock.
1――はじめに:急増する「交際相手がいない」男女
筆者が日本の未婚化(2015年:50歳時点において男性の4人に1人、女性の7人に1人に結婚歴がない)についてデータ分析を行うようになってから、海外のメディアの問い合わせも少なくなくなった。
海外(特に多民族国家や移民の歴史が長い国)においては宗教上・民族上等の理由から1つのパートナー制度に絞らず、法的に複数展開していることがある。ゆえに「法律上結婚していない」事に関しては、日本がどうかはさておき「結婚制度の多様性の問題」という視点から、驚かれにくい。

しかし、次のデータに関しては「ありえない」という反応が高い確率で返ってくる(図表1)。
18歳から34歳の独身でいる男女のうち、異性の交際相手をもたない男女の割合を見てみると、2000年あたりから大きく増加し続けている。直近の2015年の調査では独身男性の7割、独身女性の6割に交際相手がいない。

調査対象となった年齢ゾーンが18歳から34歳というのを知るとますます「本当か。どうしてなのか。」とひたすら首をひねるのである。

彼らがいぶかしがるのも無理はない。
経済的にみるなら、もし独身者が経済的に自立して1人世帯という場合、それは最も非効率的なコスト構造(お金がかかる)の暮らし方である。
OECDの貧困世帯の定義に使用される計算でも、2人世帯では1人世帯よりもコストが7割にまで落とせることが示されている。光熱費や家賃など固定費を含む費用は世帯人数によって逓減しやすく、また食品もまとめ買いによって少量購入するより大きくコストを下げることができる。

経済原理でいえば、製品供給者側(売り手)からすれば「単身世帯」者は単価が高くなるために「儲かる相手」ではあるが、需要者側(買い手)にとっては単身世帯の暮らしは、消費コストが高い(コストが2人世帯より1.4倍程度も多くなる)ために、貯蓄に影響しかねない暮らし方なのである。

端的にいうと「お金持ちの遊興暮らし」としてはおすすめできるとしても、少なくとも金銭的な無駄を省きたい暮らしぶりを望む男女には最も向かない暮らし方なのである。

そこで、本レポートでは統計的には未婚化と非交際化が急増しているニッポンの独身者について、暮らしのコスト構造を大きく支配する世帯構造に注目し、一体彼らがどのような世帯構造で暮らしているのか、国勢調査の結果を用いて検証してみたい。
2――国勢調査に見る年齢別・男女別 「独身者」の割合
1|2015年の20歳以上・独身者の割合は22%
最初に、本レポートでは国の統計上「未婚」と標記される結婚歴のないグループについて分析する。死別者、離別者については「独身者」に含めない。本レポートで明らかにしたいテーマが「結婚をせずに独身でいる男女の世帯構造(居場所のカタチ)とはどのようなものか」であることから、結婚経験のある死別者、離別者についてあえて含めないことを前提としたい。
次のページ50代後半では独身男性は女性の倍
まず最新の国勢調査結果から、日本における男女総数ベースの配偶状況を確認しておきたい(図表2)。

日本において、20歳以上の男女合計においては、22.2%(5人に1人以上)は結婚歴がない独身者である。男女別に見ると男性の方が女性よりも独身者割合が高く、4人に1人以上は独身者ということになる。
他に男女差がはっきりしているのは「死別」であり、約5倍ものポイントの差となっている。これは女性の方が長寿であることと、男性が年上である結婚が上の世代ほど多いために生じている。人数差としては、50代後半で同じ年齢ゾーンでの死別経験かつ配偶者のいない男女の差が10万人を超える差(女性の方が多い)となり、その差は60代後半で約50万人、70代後半で120万人を超える。
2|年齢ゾーン別の独身者割合
次に男女別に、年齢ゾーン別独身者の割合を確認したい。
男女とも20代前半ではともに約9割が独身である。割合的に(この年齢では生物学的に男女がほぼ同数であるので人数的にも)バランスしている。
しかし、20代後半では、女性の約6割、男性の約7割が独身で、男性の独身割合が女性を大きく超え始める。
30代前半になると女性独身者はすでに3人に1人にまで減少する一方で、男性は半数近く独身であることがわかる。この男女格差は年齢とともにさらに上昇し、50代後半には、同年齢ゾーンの女性の約2倍、男性独身者が存在する状況となる。

ここで、50歳以降も独身者割合が減少していることから「いつかは結婚するのでは?」と解釈するのは誤りである。
日本において男女の生涯未婚率(50歳時点婚歴なし割合)が急上昇し始めたのは1990年の国勢調査後からである。1990年に50歳であった2015年に75歳の男性は、すでに彼らが50歳の時点で5%程度しか独身者がおらず、その割合のまま持ち上がる形となっている。
高齢者の独身者率が低いのは、彼らが50歳の段階で、すでにその割合の独身者率に達していたからである。これが、50歳時点婚歴なし者割合が「生涯未婚率」とよばれる所以である。

3――年齢別・男女別 独身者は誰と住んでいるのか?
1|独身男性のケース−若いうちは親と同居、親との同居解消は50代から
独身男性が年齢ゾーン別にどのような世帯に住んでいるかをまとめたものが下の図表である(図表4)。

次のページ独身男性と「親子密着世帯」
20代〜40代の独身男性は、両親のみ、または母親のみとの同居といういわゆる「親子密着世帯」が半数を超えた。親だけでなく祖父母なども含めた親族だけで構成される身内世帯に住む独身者となると、20代から40代まで全て6割超で推移する。
20代・30代は年齢的には、親の介護等での同居が6割にのぼるとはまだ考えにくいため、何らかのメリットが双方にあり、学生時代の生活の延長のような世帯を6割の独身男性が親族と続けており、そのままの割合で40代に移行することがみてとれる。

50代以降(その両親は70代以上になると予想される)、親の介護等で同居が増加することも予想したものの、逆に親との同居率は減少し、代わりに、ひとり暮らしやきょうだいのみでの同居が増加する。親が施設に入る、他界する等で親との同居を中止・終了しているようにも見てとれるデータとなっている。

独身男性のひとり暮らしは40代までは3割にとどまるが、親を中心とする親族との同居解消にともない50代以降は急増し、60代では6割にのぼる。

データからは、50代という老年の入り口から慣れないひとり暮らしに移行する独身男性が相当数存在する、という社会的には不安な状況が示唆されているといってよいだろう。
2|独身女性のケース−50代まで極めて高い親との同居率、60代から独立?
次に、独身女性が年齢ゾーン別にどのような世帯に住んでいるかをみてみたい(図表5)。

20代から50代まで女性の方が男性に比べて親や親族との同居率高い。約7割の独身女性が40代まで親や身内だけとの同居を続けている。
一方、ひとり暮らしは約3割程度で40代まで推移する。
親子年齢差的には50代あたりから親の介護が発生すると考えられるため、親との同居比率が50代から増加するかとも考えられたが、男性同様、50代から大きく減少してゆく。
50代で両親のみと同居していた同率の独身女性が、(両親との同居がなくなる代わりに)きょうだいのみの同居に移行しているところも興味深い。
いずれにしても独身女性の大半は「なんとかして身内密着型世帯維持」で暮らしていることが男性より強く示唆されている。
4――同棲・結婚などパートナーを持つことの経済メリットを無効化する「親族密着世帯」依存の生き方
1|「長期子どもポジション・キープ」というメリット
筆者がこの分析結果から感じるのは「これでは初老になるまでパートナーを持つメリットなど感じられないのではないか」ということである。
先にも述べたが、1人世帯よりも2人世帯の方が生活にかかるコストは一般的には約7割に減少する。これがパートナーを持つ大きなメリットの1つともいえる。
しかし両親と3人世帯であれば1人当たりコストは6割にまで減少する。祖父母も住んでいるのであれば、5人世帯でコストが5割を切る。親や祖父母にも当然この同居メリットはある。

つまり身内から若い男女が離れられない根拠の1つはこの同居メリットであるともいえる。
次のページやめられない「子どもポジション」

経済的にリーズナブルな上に、例えば長年親しんだ習慣から離れなくてもよいというメリットが付加される。
特に長年子どもとして暮らしてきた立場から「加齢していても子どもポジションとしての居場所をキープ」することさえも容易であろう。これは結婚のメリットでは得がたいメリットでもあるだろう。
親との同居メリットとして、例えば

料理や掃除や洗濯は母親/近所付き合いも母親/不動産コストゼロ/父親の車がタクシー代わり

となってくると、もはや子どもポジションにある人間の思考が「親を超える大金持ちとの結婚以外、メリットなし」となっても致し方ないだろう。
2|45歳以上:「老後1人で生活することへの不安」で結婚希望再燃
かつて、農村社会が主流であった時代には大規模家族経営のメリットとして、とにかく親族同居が最適であったかもしれない。

しかし、第2次・第3次産業従事者が大半を占めるようになった中で、このような親族密着型の家族のあり方の維持は、愛する息子・娘の経済的自立や責任感の醸成、新たな家庭形成への一歩という自立心を奪いかねないことは考えておきたいところである。

明治安田生活福祉研究所の2017年の「35〜54歳の結婚意識に関する調査」では「一生独身でいることを決意・覚悟した理由」については、男性の4割、女性の3割が「結婚に向いていない」であった。
そして、45歳以上で「やっぱり結婚したいと思うようになった理由」については、男性の4割、女性の5割が「老後1人で生活することへの不安」と回答している。

本レポートの分析では、50代以降、おそらく親の病気や他界などによって「20代から続いていた独身男女とその親との同居が解消」されることによる、「中高年からの非自発的なひとり暮らし」が急増している。
その中で、45歳以降になってようやく「1人は不安だ、やっぱり結婚したい」と思い始めるという、現代の独身男女の姿が浮かび上がる。

独身男女の「結婚が向いていない」「メリットがわからない」という回答の背景の1つに、男性6割超、女性7割超の「身内だけとのリーズナブルで気楽な暮らし」があることは間違いないといえるのではないだろうか。

可愛い子には旅をさせよ。

そんな言葉が日本の未婚化を理解するキーワードの1つになりうるかもしれない。
【参考文献一覧】
国立社会保障人口問題研究所.「出生動向基本調査」
国立社会保障人口問題研究所.「出生動向基本調査(独身者調査)」第11回〜第15回
厚生省人口問題研究所(1992)「独身青年層の結婚観と子供感」
厚生労働省.「人口動態調査」
国立社会保障・人口問題研究所. 「人口統計資料集」2017年版
総務省総計局. 「平成27年 国勢調査」
明治安田生活福祉研究所. 「2017年 35〜54歳の結婚意識に関する調査 」
明治安田生活福祉研究所. 「2017年25〜34歳の結婚と男女交際(男女交際・結婚に関する意識調査より)」
明治安田生活福祉研究所. 「2017年15〜34歳の恋愛と男女交際(男女交際・結婚に関する意識調査より)」

天野 馨南子."2つの出生力推移データが示す日本の「次世代育成力」課題の誤解-少子化社会データ再考:スルーされ続けた次世代育成の3ステップ構造-" ニッセイ基礎研究所「研究員の眼」2016年12月26日号

天野 馨南子."<2015年最新国勢調査結果・都道府県別生涯未婚率データが示す「2つのリスク」−お年寄り大国世界ランキング1位・少子化社会データ再考−">2015年最新国勢調査結果・都道府県別生涯未婚率データが示す「2つのリスク」−お年寄り大国世界ランキング1位・少子化社会データ再考−" ニッセイ基礎研究所「研究員の眼」2017年5月1日号
*この記事は、ニッセイ基礎研究所レポートからの転載です。
[執筆者]
天野 馨南子 (あまの かなこ)
ニッセイ基礎研究所
生活研究部研究員

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/11/post-11264.php

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/318.html

[国際24] 立花聡の「世界ビジネス見聞録」 米軍のシリア撤退でいちばん困るのは誰か? 20兆米ドルに及ぶ習近平政権の「隠し資産」とは
立花聡の「世界ビジネス見聞録」

米軍のシリア撤退でいちばん困るのは誰か?

トランプを読み解く(3)
2018/12/26

立花 聡 (エリス・コンサルティング代表・法学博士)

シリアからの米軍撤退をトランプ大統領が決断した。大方の識者はこれを批判している。衝撃のあまり、厳しく批判し、憤慨している人も大勢いる。識者の見解だけに根拠はしっかりしているし、問題点の指摘も明快。どの記事を読んでも納得させられる。ただ1つだけ、そのほとんどは評論家の目線で諸問題を捉えている。当のトランプ氏本人の立ち位置や目線とはどんなものか、大変気になるところだ。2つの論点に分けて考えてみたいと思う。


12月19日、トランプ大統領は米軍のシリアからの撤退を発表(写真:AFP/アフロ)
公約と現実のギャップ
 シリアからの米軍撤退は、トランプ氏の公約だった。まず、1つ目の論点は、公約と現実のギャップをどう処理するかという実務問題の扱い方から入りたい。

 時間軸を遡ってトランプ氏が大統領に当選したときのことを思い出したい【参照:「ずけずけ言う男、トランプ流の選挙マーケティング」トランプを読み解く(2)】。トランプ氏の当選それ自体がまず、予想を外した多くのメディアや識者にとってある種のショックだった。当選の事実を前に、彼らは今度こう語った。「トランプの過激な言説や公約は、選挙のためのものだ。いざ大統領の座についたら豹変するかもしれない。少なくとも、言っていたことを全部やらないだろう」。

 希望的観測だった。残念ながら、またまた予想に反して、トランプ氏はその公約をほとんど果たしてきたのではないか。メディアや識者、いわゆるエリートたちは、理性的に物事を考え、非常に合理性のある結論(予想)を出す。しかし、トランプ氏はこの論理的な文脈を踏まないのである。さらに、トランプ氏の言説は内実だけでなく、その表現や言葉遣いも非常に乱暴で決して格調高きものではない。この辺もエリート層の作法を踏み外している。故に、エリートたちは本能的にトランプ氏にある種の拒絶反応を起こすのである。

 にもかかわらず、トランプ氏はしっかり公約を果たしてきた。1つだけ、中国の為替操作国認定、人民元をめぐり中国と戦う姿勢を選挙公約で示してきたが、それが果たされていなかった。その代わりにトランプ氏はより大きなスケールで中国に貿易戦争を仕掛けた。選挙中の公約をこれだけ誠実にしかも、額面通りに実行する政治家は稀有な存在である。

 公約をすべて誠実に守り、果たしていくことは正しいことだ。しかし、原初的な民意を反映した公約と現実との間にはしばしばギャップが生じる。この場合はどうするかという実務問題が横たわっている。エリートたちの考えはおそらく、理性と知性に基づき、民意に修正を加えることであろう。つまり、「大統領の座についてからの豹変」という合理性が期待されていたのである。

トランプとリー・クアンユーの違い
 しかし、トランプ氏は「豹変」しなかった。愚直に公約を果たそうとしたのだった。実はトランプ氏はひそかにこう考えていたのかもしれない――。公約はとにかく守る。やってみて失敗した場合は、「申し訳ない。国民の皆さんの意思は通らなかった。私は皆さんの望む通りの事をやったけれど、残念ながら、現実は厳しい。改めなければならない」とこの調子で通す。

 つまり、民意というのは私利私欲(個益)の総和なのだ。国民に現実の「壁」を知ってもらうために、ある種の検証が欠かせないからだ。アメリカ合衆国株式会社の株主は国民だ。株主からこうやれああやれと言われても、無茶なことはできないので、社長が勝手に株主の意思を修正していいかどうか、これは非常にシビアな問題だ。

 言ってみれば、「実体」と「手続」の関係である。有言実行という「手続」を踏んでたとえその結果が「実体」の失敗であっても、それは民主主義のコストである。民主主義の本質的な価値は、「実体」にではなく、「手続」にある。

 トランプ大統領の言行はエリート層の作法を踏み外しているだけに、理解に苦しむ人が多い。ここで、トランプ氏とシンガポールの初代首相リー・クアンユー氏(故人)を比較すると分かりやすい――。

 リー・クアンユーは「シンガポール国民の皆さん、政府のエリートたちは最善を考えてやるから、みんな黙ってついてこい」という姿勢だったのに対して、トランプ氏は「アメリカ国民の皆さん、みんなの考えや意志が最悪であっても、政府はその通りにやるから、エリートたちは黙れ」といったところではないだろうか。

なぜメディアを敵に回すのか?
 もう少し話が逸れる。トランプ氏は大統領就任後、ホワイトハウス記者会が毎年春に開催する恒例の夕食会を2回連続欠席していた。さらに「フェイクニュース」を連呼したり、記者を「出入禁止」にしたり、ずいぶん乱暴なことをしてきた。なぜメディアと対立するのか。メディアを敵に回して大統領には勝ち目があるのか。これを解明するには、2つの本質的な矛盾に着目する必要がある。

 1つ目は、メディアと民主主義の矛盾。

 メディアといえば民主主義の象徴といってよい。では、メディアと民主主義とはどこが矛盾なのか。それよりも、民主主義制度のもとで国民に選ばれた大統領であるトランプ氏は、なぜメディアから批判・攻撃を受けなければならないのか、という疑問がある。

 ある意味で国民に選ばれたトランプ氏を馬鹿にすることは、つまり国民の意思を馬鹿にすることでもある。エリート層が主宰するメディアはそもそも民意をどう捉えているのか。

 大多数の国民は決して国家単位の共同体利益を総合的に考慮できるほどの賢人ではない。よって、その国民の意思を積み上げる政治は現実的ではない。政治家は理性と知性をもって民意の修正をしなくてはならない。そうした作業を行わずに、単純なる民意の集結だけでは、国家運営がうまくいくはずがない。そういう馬鹿なことをやる大統領は馬鹿だと、エリート層のメディアは批判する。

 民主主義の産物であるメディアは、いざ知識人で構成されるエリート層に掌握されると、素朴な民衆に対して直ちに上からの目線を取るのだ。

民衆を馬鹿にする民主主義のパラドックス
 2つ目は、ポピュリズムと民主主義の矛盾。

 ポピュリズム、民意迎合というのは常に批判される対象となる。民主主義の本旨は民意の政治への反映であれば、民意迎合のどこがおかしいのか。むしろあってしかるべきだ。ポピュリズムの汚名をトランプ氏に押し付ける裏側には、民意の非理性・不合理性に対する否定が見え隠れする。

 そもそも、「ポピュリズム」とは何か。それは、エリート層の思惑通りに、あるいは筋書き通りに民衆が動かない現象に対する不満、苛立ちと批判の表れにほかならない。エリート層は自らの民衆に対する影響力の脆弱さを反省せずに、民衆を馬鹿にし、民衆を軽蔑し、あるいは民衆に責任を転嫁する。そうした意味が込められているのだ。

「誰よりも民衆を愛した君は、誰よりも民衆を軽蔑した君だ」という芥川龍之介の名言を思い出せば、納得する。

 トランプ氏は内心でどう考えているのか。「何が民意だ。そんな無茶なことはうまくいくはずがない。あっそ、それでも言うなら、この俺がやってやろうじゃないか。失敗したら民意が悪い、民衆の責任だ。成功したらオレ様の功績だからな。やってやろうじゃないか」と、それはまったく私の邪推だけれど。

 こうした錯綜する関係を整理してみると、メカニズムはなんとなく見えてくる。

選択と集中、全体最適と局所最適
 いよいよ2つ目の論点に入りたい。

 シリアからの米軍撤退。トランプ氏の長年の公約だった。多くの人、特にエリート層が驚いた。トランプ氏は「私が長年主張してきたことで、驚くことではない」とツイートした。「ISの敵はロシアやシリア、イランなどだ」と指摘した上で、「アメリカはこれらの国々のためにコストを負担してきた。米国民の生命を犠牲にし、何兆という巨額の金を払いながらも、感謝されたことはほぼない。見返りのないまま中東での警察官の役割を続けたいだろうか」と訴えた。トランプ氏の論理からすれば、この発言は紛れもなく彼の真意だった。

 メディアや識者、いわゆる理性的なエリート層は反論する。その論点は主に2つある――。1つは、「IS戦闘員は現在も一部残っているため、復活するかもしれない」。もう1つは、「米軍撤退でロシアとイランが現地で影響力を強めるかもしれない」。これらはすべて理性に基づく合理的な推論である。にもかかわらず、トランプ氏は一蹴した。

 経営者的な目線からすると、「ISは果たして物理的に完全撲滅することは可能か?」「全滅のベンチマークとは何か?」「全滅させるにはあとどのくらいの時間とコストがかかるのか?」「もしISが全滅しなかったらどうするか?」「仮にISが全滅したとしても、ロシアとイランの勢力拡張を抑止することができるのか、またそれはどのくらいの時間とコストがかかるのか?」。この一連の問いに回答することが不可能だ。すると、経営者ならば、総括して1つの質問に集約するだろう。それは、「シリア撤退によってどんな不利益があるか」である。

 そもそも論になるが、これからの中東は米国にとってどのような意味をもつのだろうか。かつての米国にとって極めて重要度の高かった中東だが、米国発のシェール革命で一挙にその戦略的意義が失われた。そこで米国が中東から手を引いた後に、中東が仮に群雄割拠の時代に突入したとしても、即座に米国に大きな危険が及ぶことはない。逆に中東に居残ったほうがコストもかかるし、リスクも高いといえる。

 米国が中東との関係を切れば、むしろISあるいは別の形でイスラム教に絡んだテロリストとの敵対関係は薄れ、少なくとも米本土がテロ襲撃を受ける確率も減少するだろうと、トランプ氏はそう読んでいたのではないか。

 それよりも、いま米国にとっての主たる敵は中国である。中東での投入を削減し、リソースを対中決戦にシフトすることは、まさに「選択と集中」の原則にも合致する。経営者としての考え方ではあるが。

 はっきり言えば、「米兵の命と莫大なコストをかけて、これから何年頑張っても確固たる勝利の目処が立たないシリアで戦う」か、それとも「1〜2年で、少々の経済的影響で巨大パワー中国を完敗させる」か、このような選択肢に直面するトランプ氏は、経営者的な決断を下したのである――。「原油の中東」、その存在意義が薄れた。正直どうでもいいのだ。それよりも主たる敵の中国潰しに資源を集中投下する。

 少々乱暴ではあるが、財務的に言えば、中東での投入は物理的な戦場があっての固定費である。これに対して、対中貿易戦争はバーチャル戦場故の変動費なのである。長期にわたる固定費負担よりも中期的な変動費がはるかに経営上の健全性を有しているからだ。さらに何よりも一番大切なことは、後者の貿易戦争は基本的に命にかかわるものではないことだ。

 エリートたちの中東地域についての分析は正しいと思われる。ただトランプ氏はこれを「局所最適」と捉えていたのかもしれない。全体最適と局所最適のバランスが大切だが、トランプ氏は最終的に躊躇なく全体最適の選択肢を取ったのではないかと、そう思えてならない。

 最後に触れておきたいのはマティス国防長官。彼は実に優秀な軍人だ。軍人は友軍や戦友を見捨てて戦場を去るわけにはいかない。使命感と仁義は「理」と「情」の結合であるのに対して、トランプ氏は徹底的な合理性という「理」と「利」に価値を置いた。軍人と政治家、そして経営者、という異なる世界の狭間で苦渋の決断を迫られた彼の姿には、宿命的なものがあった。マティス氏がトランプ政権から去ることは誠に残念だ。

 米中関係にあたってマティス氏はバランサー役、ときにはブレーキ役を引き受けてきた。彼が去ったことによって、トランプ政権の対中姿勢がより強硬になる可能性が高まった。さらに中東から引き揚げられた資源は、米中貿易戦争に集中投下されると、一番困る人は習近平氏にほかならない。

<第4回へ続く>
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チャイナ・ウォッチャーの視点

20兆米ドルに及ぶ習近平政権の「隠し資産」とは?

2018/12/27

樋泉克夫 (愛知県立大学名誉教授)


写真:新華社/アフロ
 習近平政権は、貿易・ハイテク・通信問題を主戦場とする米中覇権争いに世界各国の華僑華人社会に扶植した組織を動員し、トランプ政権に対し搦め手で揺さ振りを掛けようとしているようだ。

 12月22日、アフリカのソマリアにある中国和平統一促進会や東部アフリカ中国和平統一促進会などが全世界の華僑華人社会に向けて、「覇権・迫害・ニセ人権に反対し、カナダ政府に対し孟晩舟女士の無条件釈放を要求する共同宣言」への署名を呼びかけた。「孟晩舟女士」とは、もちろん米中貿易・ハイテク戦争に絡んで12月初めにカナダで身柄を拘束された華為(ホワウエイ)の孟晩舟CFOである。

「米中覇権争い」に対する習近平の本気度
「人権擁護を謳うカナダによる不当逮捕は、中国公民の合法で正当な権利を不当に侵す極めて卑劣な行為である。本件は通常の司法事案ではなく政治的陰謀であり、中国の企業と公民に対する政治的迫害である」と強い調子で書き出された「共同宣言」には、ソマリア、スーダン、タンザニア、ザンビア、アンゴラ、ジンバブエ、赤道ギニア、ナビビア、レソト、南スーダン、コンゴ、ケニア、ナミビア、ルアンダなどアフリカ諸国を中心に、アラブ首長国連邦、エジプト、デンマーク、スウェーデン、ブルガリア、ルーマニア、パナマ、ロシア、アメリカ、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、タイ、マレーシア、インドネシア、韓国などの中国和平統一促進会や関係者が署名している。(タイの華字紙『中華日報』電子版は、12月22日から23日にかけての24時間ほどで86を数える団体と個人が署名したと伝える)。

 日本においては耳慣れない名前の団体だが、中国和平統一促進会は1988年にケ小平の提唱によって組織され、台湾との統一促進を目指す非共産党人士を中心とした民間組織とされる。当初は台湾独立反対を目的にしていたが、現在ではチベットとウイグルの独立反対も掲げ、4952万100人(2013年9月16日現在)を数える全世界の華僑華人社会に根を張り影響を拡大している。

 これまで華僑にせよ華人にせよ、漢族をルーツとする海外在住者と看做されてきた。中国では「華僑」を国外在住の中国公民(=国籍保有者)、「華人」あるいは「外籍華人」を元中国公民の外国国籍保持者及びその後裔(=外国人)と規定してきた。だが、『華僑華人与西南辺疆社会穏定』(石維有・張堅 社会科学文献出版社 2015年9月)が示すところでは、最近では中国の領内から海外に移住した少数民族であっても――極端にいうなら「逃亡藏人(逃亡チベット人)」ですら華僑華人と看做そうとする動きが見られる。

 これを敷衍するなら、海外で反中・独立活動を展開するチベットやウイグルの出身者も華僑華人に組み込まれることになり、台湾・チベット・ウイグルの独立運動は国内問題として取り扱うことができる。そこで一連の独立運動の国際問題化を阻止するリクツが成り立つというのが、おそらく中国の狙いだろう。

 現在、中国和平統一促進会トップを占める汪洋は習近平政権中枢(党中央政治局委員=チャイナ・セブン)の一員であり、全国人民政治協商会議全国委員会主席(参議院議長に相当)を務める。ということは、中国和平統一促進会は非共産党人士による民間組織というより、やはり共産党政権傘下の統一戦線工作機関と考えて間違いはないはずだ。

 今回の署名運動は共産党伝統の統一戦線工作の一環であり、カナダ政府に対する華僑華人社会を背景にしての揺さぶりと考えられる。だが、この程度の抗議活動でカナダ政府が孟晩舟CFOの釈放に応ずるわけも、ましてやトランプ米大統領が中国の巨大先端産業への追及の手を緩めるはずもないだろう。であるなら今回のカナダ政府糾弾を求めた署名活動は米中覇権争いに対する習近平政権の“本気度”を示し、世界各国の4952万100人の糾合を狙っているようにも思える。

バンコクで行われた前代未聞の「指導工作」
 中国和平統一促進会と同じような性格を持つ組織に、「僑聯」の略称で知られる中華全国帰国華僑聯合会がある。共に華僑華人を活動対象とするが、民間組織を掲げている前者に対し、全国人民政治協商会議を構成するだけに後者は公的機関の権能を持つ。

 僑聯の前身は共産党が根拠地としていた延安で組織された延安華僑救国聯合会で、当時は1000万人を数えられていた在外華僑を抗日戦争に取り込むことを狙ったものだ。抗日戦争への参戦を目指し帰国した若者を中心に組織された華僑聯合会などを基礎に、1940年9月にはシンガポール、イギリス、フランス、アメリカ、インドネシアなどからの帰国者が合流し延安華僑救国聯合会が結成され、主として海外における抗日闘争を展開する任務を帯びていた。

 その後、1956年になって関連団体を束ねる形で僑聯が組織され、帰僑(帰国した華僑)や僑眷(海外華人社会に親族を持つ者)を介し、共産党・政府と在外在住者とを結ぶ役割を担うことになる。

「無数の帰僑・僑眷と在外同胞は中国の特色ある社会主義建設における貴重な資源」であり、「中華民族の偉大な復興を実現する重要な力」であると位置づけ、「中華民族の偉大な復興という夢を実現させるために内外の中華民族の一層の共同奮闘を必要としている」と訴える習近平政権は、国内に住む帰僑や僑眷と海外の華僑華人社会との結びつきを強化し、僑聯を「中国の夢」の実現するために活用する――いわば僑聯は多くの華僑華人を糾合し、彼らを「愛国同胞」に仕立て上げ、一帯一路に組み込む――ことを狙っているといえるだろう。

 2017年6月、日本の東北大学に留学し博士号を取得した万立駿(1957年生まれ/大連出身)が僑聯主席に就任した。僑聯党書記を兼任することから、彼は習近平政権における華僑華人社会対策の現場トップに位置することになる。

 そんな万立駿が12月6日、バンコクで活動を続ける泰国和平統一促進会総会を訪れ、会長以下の会員を前に「中華民族の核心的利益」を実現させるために奮闘するよう「指導工作」を行った。これまで30年以上に亘って華僑華人社会の動きを見続けてきたが、僑聯トップが海外に出向き、ここまで明確な形で「指導工作」を行った例は聞いたことがない。ということは今回の「指導工作」を機に、僑聯によるテコ入れが本格化するとも考えられる。

「在外華僑華人」は中国ソフトパワー戦略の柱
 習近平政権の基盤が確立される前後の2015年7月、『華僑華人在中国軟実力建設中的作用研究 RESERCH ON EFFECTS OF OVERSEAS CHINESE IN CHINESE SOFTPOWER BUILDING』(経済科学出版社)が、在外華僑華人と「中華民族の偉大な発展」の関係を国家レベルで研究した成果として出版された。

「改革開放以来30有余年、中国の経済と社会は驚天動地の変化を遂げ、貧しく遅れた国家から瞠目すべき現代的大国へと発展し、経済力は世界第2位に躍り出た。財政収入は100兆元の大台を突破し、総合国力は明らかに強化され、社会の調和は進み、国際的な影響力と発言権は飛躍的に高まった。だが、中国が発展するほどに、西側の大国でも『中国脅威論』『中国責任論』などの不協和音が愈々撒き散らされようになった。このような環境において、中国ではソフトパワーの早期確立が論議されねばならなくなった」と冒頭に記し、世界各国に根を張っている在外華僑華人を、世界覇権を目指す中国にとってのソフトパワー戦略の有力な柱として位置づけた。

 また在外華僑華人に「中華優秀文化の伝え手」、「中国発展モデルの実践者」、「中国とグローバル経済とを結ぶ要」、「中国伝統文化の創新者」という多面的な働きを求め、「中華民族への帰属意識とアイデンティティーは華僑華人を団結させる“磁石”」であると捉えた後、「中華民族への帰属意識こそが、彼らと血の繋がる大地への奉仕と祖先への感謝を促す原動力である」と説く。

 これを要するに、習近平政権は在外華人を中国と一体化させることで、同政権が目指す世界戦略を海外から積極的に支援・補完させようというのだろう。

 この本では在外居住者を華僑(中国国籍保有者)、華人(中国以外の国籍保有者)、大陸新移民(対外開放後の移住者)と分けている。たとえばアフリカ21カ国を見ると、最多の南アフリカには16万人の華僑と14万人の華人が住み、そのうち10万人が大陸新移民である。最少のトーゴでは華僑が123人、華人が7人、そのうちの大陸新移民が125人を占める。伝統的な相互扶助組織の同郷会や同業会の活動が認められるばかりでなく、南アフリカを含め各国で圧倒的多数を占める大陸新移民によって中国和平統一促進会が続々と組織化されていることが判る。

20兆米ドルに及ぶ習近平政権の「隠し資産」とは?
 冒頭に示したカナダ政府に対する抗議の署名活動がソマリアの中国和平統一促進会などアフリカを中心に進められているのも、なにやら納得ができそうだ。ここからも習近平政権の世界戦略に占めるアフリカの重要性が浮かんでくるようだ。

 中国から「中国とグローバル経済とを結ぶ要」と見做される4952万100人の経済力に関し、この本では陳雲・青華大学教授の2007年段階における分析を援用して彼らの資本総額は「既に2万億美元に達している」と試算する。「2万億美元」、つまり20兆米ドルという数字が現状を的確に反映しているか判断する術はないものの、これが中国の国家財政の統計には計上されないことはもちろんだが、習近平政権にとっては“隠し資産”といえないこともないだろう。

 日中戦争から国共内戦までの長い戦乱期を経て国庫が底を尽いていた建国当初、経済社会建設に多大な働きをしたのは「僑匯」と呼ばれる海外在住者からの送金だった。これが建国期の苦しい国家財政を救った歴史を振り返るなら、「2万億美元」は“21世紀の僑匯”ともいえる。

 カナダ政府批判の署名活動、アフリカを軸に世界各地に展開する中国和平統一促進会、それを北京から「指導工作」する僑聯、チベットやウイグル出身者を含め国外在住の少数民族までをも華僑華人に組み込んでしまおうとする動き――中国が備えた独自の“戦略資源”を、今後、習近平政権はどのように使おうとするのか。米中戦争の行方に対する判断を日本的常識で一刀両断に下すことは、やはり危険過ぎると言わざるをえない。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14913
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/873.html

[国際24] 千載一遇のチャンス逃しつつある中国 米政府代表団が1月に貿易協議のため中国訪問
千載一遇のチャンス逃しつつある中国

ハル・ブランズ
コラムニスト:Hal Brands

2018年12月26日 7:33 JST
米国の同盟国はトランプ氏の政策におののく−中国には好機
だが米国よりも中国が脅威と民主主義陣営に訴えるのに懸命

Photographer: Thomas Pool/Getty Images
千載一遇のチャンスを中国が逃しつつある。米国の同盟国である多くの民主主義国家がトランプ大統領が繰り出すレトリックと政策におののき、ワシントンに対する懸念を深めている現在ほど、こうした民主主義のネットワークを分断し、米国にとって最大の戦略的強みを不安定化させる地政学的な好機はないだろう。

  にもかかわらず中国政府は、気まぐれな米国より覇権主義的な中国からの脅威の方がずっと大きいと民主主義陣営に訴えるのに懸命だ。

  中国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)が、対イラン制裁違反を主張する米国の要請を受けてカナダで逮捕されたのが12月1日。米中貿易戦争に伴う緊張が続く中でトランプ大統領が中国の習近平国家主席とブエノスアイレスで会談していた当日だった。

  米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は孟CFO逮捕に関する中国側の公式反応は「抑制的」と報じたが、現実はそれとは正反対だ。中国政府は本土にいたカナダ人2人を国家安全を巡る捜査の一環として相次ぎ拘束した。

  米国と英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド(NZ)は「ファイブアイズ」と呼ばれる国が集めた情報を共有するための協定を結んでいるが、中国共産党系の新聞でタカ派色が強い環球時報は、他のファイブアイズ諸国の国民も同じような扱いを受けると暗に示唆。中国国民1人が逮捕されれば、あなた方の国民2人を拘束するという。

  米国ではなくカナダを標的にするとの中国側の判断は、表面上は戦略的にも見える。米国ではない同盟国を罰するという考えで、将来的に対米協力の見直しを促すものだ。だがそうしたロジックは大きな欠陥を抱えており、中国は与えられている桁外れの地政学的な好機を無駄にするリスクを冒しているのだ。

  中国政府の振る舞いは、中国が中心の世界とはいかに嫌なものかと全ての民主主義国家に再認識させるものだ。香港やミャンマー、タイなどでは中国から亡命した反体制派を超法規的に誘拐し、中国に連れ戻している。市民の自由や基本的人権を中国が抑圧していることを恐れず抗議する国々に対し経済・外交面で繰り返し圧力を加えているのが中国政府だ。

  リベラルな国際秩序を脅かすリスクをもたらしているのがトランプ大統領だと極めて多くの国際的なオブザーバーが懸念しているこの時期に、中国は自国がはるかに大きな脅威であるとの多くの証拠を示しているのだ。
 
  中国の人質戦術はショッキングかもしれないが、意外ではない。中国政府は台頭し続ける野心的な独裁国家の典型のように行動している。中国で拘束されている2人のカナダ人にとっては気の毒だが、民主主義陣営にとっては有益な警告だ。
(ハル・ブランズ)

(このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)
  
原題:China’s Blowing a Big Opportunity From Huawei Arrest: Hal Brands(抜粋)

This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-25/PKA3P86K50XS01?srnd=cojp-v2


 

米政府代表団が1月に貿易協議のため中国訪問
Jenny Leonard
2018年12月27日 6:09 JST
更新日時 2018年12月27日 8:08 JST
協議は米中首脳がアルゼンチンで「休戦」に合意して以来初めて
2000億ドル相当の中国製品に対する関税引き上げは3月まで延期

Photographer: Bloomberg/Bloomberg
米政府代表団は来年1月7日からの週に中国当局者との貿易協議のため同国を訪問する。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。

  同関係者によると、ゲリッシュ米通商代表部(USTR)次席代表が代表団のトップを務め、マルパス財務次官(国際問題担当)も参加する。USTRと財務省にコメントを求めたが、回答していない。

  1月の協議は、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が今月アルゼンチンで貿易戦争の一時休戦で一致して以来初めて米中双方が直接会って議論する場となる。ムニューシン米財務長官は先週、米中担当者らが電話で話し合いを行っていることを明らかにしていた。

  こうした動きは米中双方が通商対立の緩和に向けて前進している新たな兆候だ。中国側は今週、700品目余りで輸入関税引き下げを来年1月1日から実施すると発表していた。

  米株式市場では1月の米中貿易協議のニュースを受けて上げ幅を拡大。米東部時間26日午後4時(日本時間27日午前6時)時点で、S&P500種株価指数は4.96%高となった。

  トランプ大統領は、中国から輸入する年間2000億ドル(約22兆円)相当の製品に対する関税引き上げ計画について、協議を行う間は保留にすることに同意していた。アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)の中国専門家、デレク・シザーズ氏によると、USTRが米政府代表団を来月率いることは前向きな展開だが、双方はトランプ政権が目指すような大規模な進展を遂げる軌道にはない。同氏は休戦期間である「90日間の前半に閣僚級会談が行われなければ、中国側に基本的な変化を期待することは不可能だ」と述べた。

  大統領はアルゼンチンから帰国後、ライトハイザーUSTR代表が対中協議を統括すると述べていた。ライトハイザー代表は来月の米政府代表団による中国訪問には参加しない予定。同代表は今月9日、米中両国が90日間を超えて交渉する余裕はないとし、来年3月1日がトランプ大統領が支持する「厳格な期限」だと述べていた。

原題:U.S. Team Said to Visit China for Trade Talks Early January (1)(抜粋)

(市場の反応やアナリストのコメントを追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-26/PKD43L6K50XS01
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/874.html

[原発・フッ素50] 親日的な台湾の住民投票がなぜ、食品輸入規制の継続を可決したのか
野嶋剛が読み解くアジア最新事情

親日的な台湾の住民投票がなぜ、食品輸入規制の継続を可決したのか

2018/12/26

野嶋 剛 (ジャーナリスト)

 台湾で先ごろ行われた統一地方選にあわせて実施された住民投票において、福島県など周辺5県の食品輸入に関して禁止を継続する提案が可決した問題は、日本にも大きな衝撃を与えた。日本側は科学的な根拠をあげて安全性をアピールしており、欧米やアジアの大半の国では輸入制限がすでに解除されている。なぜ日本に友好的と思われている台湾で、しかも、対日関係重視を掲げる民進党政権下で、この問題が長く尾を引き、住民投票での拒否という事態に至ったのか。


2016年12月25日、日本食品の輸入緩和策に対する台湾での抗議デモ(写真:ZUMA Press/アフロ)
多くの台湾人が「輸入規制の継続」を支持するこれだけの理由
 まず第一に、日本人として押さえておきたいのは、この問題が、日本が起こした福島原発事故によって、海外の人々に放射能汚染の被害が及ぶ「恐れ」を生んだ、という点にある。あくまでも日本人は「迷惑をかけた側」なのだ。

 第二に、台湾の世論において、輸入規制の継続は民意の多数であるという点だ。今回の選挙から台湾では法改正で住民投票のハードルが下げられ、10項目で投票が実施されたが、「福島など5県の食品輸入を禁じる規制を継続する」というこの項目は77.7%という高率で賛成票を集めている。

 台湾は島国で海洋汚染への関心がもともと高い。中国大陸からの大気汚染の伝播にも悩まされている。日本への関心が強いので、日本情報の伝達の密度も極めて高い。そのため、福島原発事故で、台湾社会は日本並みかそれ以上に安全問題が社会不安を引き起こした。

 台湾は近年食品の不正事件が相次ぎ、食の安全に対する意識が高まっている。「安全基準を十分にクリアしている」「世界各国もほとんどが輸入を認めている」と日本や国内の賛成派がいくら説得しても、世論の大勢は動かない。これを非合理的だと批判するのは簡単だが、特定の問題において「嫌なものは嫌」という理屈を超えた固執は、しばしばどの国にも見られることだ。

 通常、そうした自国特有の論理は、「外交関係の重要性」「国際社会の常識」「国際ルールの遵守」などによって次第に国民が説得されるプロセスをたどり、「望ましくないが、受け入れもやむを得ない」という感覚が醸成される。

 ところが、台湾の場合は、1971年の国連脱退以来、長く国際社会から隔離されており、国家利益を鑑みて国民感情の妥協を強いられる機会があまり多くなく、こうした問題への対処に慣れていない。例えば、台湾では、日本側が食品問題に関し、台湾が加入を望んでいる環太平洋経済連携協定(CPTPP)の取引材料にしているとの批判があるが、いささか虚しい反応である。

 CPTPPは日本主導で実現したので、日本は確かに台湾加入をサポートする交渉力を有するだろう。しかし、中国から文句を言われるとわかっていながら、各国をひとつずつ説得するだけの信頼性を、いまの蔡英文政権に持てというのが無理筋だ。外交はギブアンドテイクでもあり、相互信頼のなかの助け合いでもある。そのあたりの相場観が、台湾の政界には今ひとつ弱い。

 加えて、若い民主主義の台湾社会は極端なまでも「民意中心」の社会である。メディアの自由な活動が保証され、政治的には民進党と国民党との間で常に激しい対立状態にある。そこでは、民意に過剰なまでに配慮する政治的判断が最優先される構造を持っている。

民進党の敗因にもなった蔡総統の「不作為」
 こうした状況のなかで、どうしても実現したい政策課題であるなら、リーダーが勇気をもって決断するしかない。もちろんそこにはリスクがあり、リターンもある。結果として、対日関係の改善というリターンに対して、蔡英文総統はあえてそのリスクを取ろうとしなかった。彼女のコンセンサス重視の個性が、逆に決断力に欠ける形で裏目に出てしまったのである。

 政権発足当時の2016年の時点では支持率も高く、規制を解除するチャンスもあった。しかし、蔡総統は住民向けの「公聴会」という民意に配慮する方法を選んだが、反対派の乱入などで大荒れになってしまい、そのまま恐れをなし、この問題に手をつけなくなった。

 この蔡英文政権の中途半端な姿勢は、今回の住民投票にも見られた。この提案が出された時点で成立は不可避と想定でき、その成立が、日本側の「ボトムライン」を超えてしまうことはわかっていたが、不作為といっていいほど対策を講じることはなかった。


11月24日、党首を辞任することを表明した民進党の蔡英文総統(写真:ロイター/アフロ)
 その結果として、河野外相によるWTO提訴の可能性とCPTPP加入困難の意思表面につながっていく。私の知る限りでは、台湾に好意的な安倍政権は日台関係の重要性に鑑みて、こうした強硬なコメントを長く抑制し、同様の問題を抱える韓国とは別扱いにしていたが、忍耐も限界に達した、というところだろう。

 蔡英文総統は、民進党のなかで対日関係に興味を示さない珍しいタイプの政治家である。対米関係と対中関係に関心が強い一方、日本への知識は多くなく、ツイッターなどで日本の災害に関心は示すものの、形式的な対応の域を超えない。彼女の内心を測ることはできないが、周囲の期待ほど日本を重視しなかったのは確かだ。日本の外務省・官邸にも失望感が広がり、台湾で日本との関係強化を熱望する独立派の不満も招いた。李登輝元総統と蔡総統の関係も冷え切った状態だ。この住民投票を提案した国民党も党全体が反日というわけではないが、日中戦争で日本と戦った経験を有する政党であるため伝統的に対日観は厳しいうえ、台湾では日本叩きがイコール民進党叩きになる構図があり、次期総統選での政権奪還に向けて、野党として世論の支持のあるこの問題をとことん利用したい構えだ。

 蔡総統は結果として、対日問題において、身内のはずの台湾の独立派や親日派から批判され、敵の国民党からも攻撃される板挟みの苦境に陥った。「どっちつかず」の姿勢はほかの内政問題でも共通しており、今回の民進党大敗の大きな要因となったと私は見ている。

日本の政治家の間で失望が広がったワケ

 日本にとって、台湾の輸入解禁がもたらす経済的メリットは大きくない。もし早い段階で諦めていたならば、日本側も別の発想ができただろう。しかし、台湾政府は過去の馬英九総統時代も含めて、公式・非公式に日本側へ解禁の考えを伝えていた。「ダメなものはダメ」と最初から日本に伝えておけば、反応もまた違ったはずだ。

 なんといっても自民党は伝統的に地方政治家の影響力が強い政党であり、東北・関東の政治家は、食品輸入の解禁に情熱を燃やしている。台湾がここまで待たせたうえに、住民投票までやって駄目押しするなら、それは友好的態度とは言えないという日本政府の反応は理解できる。

「忘れる」という選択肢しかない日本
 もちろん、話は最初に戻るのだが、これは日本側が迷惑をかけた立場から謙虚にお願いしていくべき話で、頭ごなしに台湾の態度を批判するのは好ましくない。日本政府や国会議員の間にも、台湾は親日的、民進党は日本に友好的という「想像」に甘えて、この問題に対する台湾社会の拒否反応の強さを正しく理解しなかった甘さがあり、その意味でボタンの掛け違いがあった。

 台湾は年間400万人以上の観光客を日本に送り込んでくれるインバウンドの支え手でもある。そして、東日本大震災で日本に対して他国を圧倒する200億円という民間支援を届け、日本人の心を励ましてくれた。民進党政権の誕生で、日台関係の発展が期待されていたが、この食品輸入問題が「喉に刺さったトゲ」として関係者を動けなくしているのは残念なことだ。

 住民投票の結果、台湾で何か新たな規制が発動されるわけではないが、当面は政府の行動をより強く縛ることになる。だから、これはもう当分「食品輸入問題は忘れる」という選択肢しかないだろう。いつか何年かして世の中の流れが変わったところでまた考えればいい。日台の政府間で大きな業績をあげることはしばらく難しいが、幸い日台関係の相互感情はいい。小さな成果を積み上げながら、民間を中心とする日台交流のさらなる発展につなげていくことは可能である。

特集:台湾統一地方選挙2018
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14894

http://www.asyura2.com/18/genpatu50/msg/712.html

[経世済民130] 米リッチモンド連銀の製造業景況指数、12月は過去最大の落ち込み 英経営者の景況感が約18カ月ぶり低水準、EU離脱控え 
米リッチモンド連銀の製造業景況指数、12月は過去最大の落ち込み
Jeff Kearns
2018年12月27日 3:39 JST
リッチモンド連銀が発表した12月の製造業景況指数は、過去最大の落ち込みとなった。出荷と新規受注の指数がそれぞれ低下したことが背景。12月に製造業景況指数が低下したのはこれで4連銀地区となり、トランプ大統領の貿易政策が米製造業に強い逆風になっていることが示された。


  12月のリッチモンド連銀製造業景況指数はマイナス8。ブルームバーグの調査では15への上昇が予想され、全てのエコノミスト予想値を下回った。同指数はゼロが活動の拡大と縮小の境目を示す。前月比の落ち込みは22ポイントと、四半世紀前の統計開始以降で最大。

  同景況指数は月ごとの変動が大きいが、細目では出荷がほぼ10年ぶりの低水準、新規受注は2年ぶりの水準に低下した。一方、在庫の指数は完成品と原材料の両方において上昇した。

原題:Richmond Fed Factory Gauge Falls by Record, Misses All Forecasts (1) (抜粋)


TOPIX、日経平均とも3%超上昇、米政治や景気への不安和らぐ
長谷川敏郎
2018年12月27日 7:55 JST
更新日時 2018年12月27日 9:09 JST
FRB議長ポストは100%安全−ハセット米CEA委員長が明言
年末商戦好調とアマゾン、米ダウ1000ドル超高で過去最大の上げ

Photographer: Shoko Takayasu/Bloomberg
27日の東京株式相場は大幅続伸し、TOPIX、日経平均とも上昇率が一時3%を超えた。米連邦準備制度理事会(FRB)議長ポストを巡る不透明感や米景気懸念が払しょくされ、銀行など金融中心にほぼ全面高。

TOPIXは前日比57.82ポイント(4.0%)高の1489.29−午前9時6分時点
日経平均株価は同732円86銭(3.8%)高の2万0059円92銭ー3日ぶりに2万円台を回復
TOPIX、日経平均とも日中ベースで3%超上昇したのは2月7日以来
  
  米大統領経済諮問委員会(CEA)のハセット委員長は26日、パウエル氏のFRB議長ポストは安全かと問われ「もちろん、100%だ」と答えた。ホリデーシーズンは記録破りの好調さだったとアマゾン・ドット・コムが発表し、株式相場の急落が消費者の明るい見方に影を落としていないことが示された。米国株市場ではダウ工業株30種平均が1000ドル超上げ過去最大の上げ幅、S&P500種株価指数も5%高と2009年以来最大の上昇率を記録した。

  アイザワ証券の清水三津雄日本株ストラテジストは「株式相場の下落要因だった景気鈍化とトランプ米政権運営の不安感がともに薄らいだ。パウエル議長が継続することでひとまず金融市場は安定を取り戻すだろう」とみる。年末商戦の好調で米国景気はまだ堅調なことが確認されたとし、世界景気敏感株の日本株も「景気鈍化懸念から先行して売られた反動が出そう。東証1部のPBR1.07倍は安すぎるとしか言いようがない」と話していた。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-26/PKCU4DSYF01S01?srnd=cojp-v2


 


ワールド2018年12月27日 / 10:03 / 20分前更新
英経営者の景況感が約18カ月ぶり低水準、EU離脱控え=調査
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[ロンドン 27日 ロイター] - 英国経営者協会(IoD)が27日公表した調査によると、同国の企業経営者の景況感は18カ月以上ぶりの低水準に落ち込んだ。英国の欧州連合(EU)離脱期限まで約3カ月となるなか、合意なき離脱のリスクが高まっていることが背景。

景況感は今年に入ってEU離脱の移行期間に関する合意を受けて一時プラス圏に達したものの、4月以降悪化が続き、今月最低水準を付けた。

IoDのシニアエコノミストは波乱含みの離脱プロセスが企業の見通しに悪影響を与えているのは間違いないだろうと指摘。「経営者らは経済に関する懸念を抱えながら新年を見据えている」と語った。

調査によると、経営者は経済に関しては悲観的だが、自分の企業については比較的明るい見通しを維持した。

経済全般に関する楽観度合いを示す景況感指数はマイナス38%。一方、自社に対する楽観度合いを示す指数はプラス30%と、1年前の31%からほぼ変わらずとなった。

調査は企業経営者724人を対象に実施された。
https://jp.reuters.com/article/nissan-ghosn-saudi-idJPKCN1OQ01U?il=0


ワールド2018年12月27日 / 10:58 / 1時間前更新
英議会、1月にEU離脱案承認の可能性まだある=欧州委員
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[ベルリン 27日 ロイター] - 欧州委員会のエッティンガー委員(予算・人事担当)は27日、英国議会が来年1月に同国の欧州連合(EU)離脱案を承認する可能性はまだあるとの見解を示し、無秩序な離脱や国民投票の再実施を国民は支持していないと指摘した。独フンケ・メディアグループとのインタビューで語った。

同委員は「英議会が1月に離脱案を承認する可能性はまったくないわけではない」とし、「無秩序な離脱や新たな国民投票への支持は過半数に達していない」と指摘した。

一方で、英国がEUに残留する可能性は過去数カ月にやや高まったと述べた。その上で「それでもなお、私は3月末に英国は離脱することになると考えている」と語った。
https://jp.reuters.com/article/britain-eu-oettinger-idJPKCN1OQ03F

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/319.html

[国際24] そして誰もいなくなった、マティス長官辞任の衝撃「大人の枢軸」の最後の一人、トランプ政権の分水嶺に  トランプ暴走の懸念 

そして誰もいなくなった、マティス長官辞任の衝撃


「大人の枢軸」の最後の一人、トランプ政権の分水嶺に
2018.12.27(木) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年12月21日付)

トランプ氏、マティス氏批判で同盟国に矛先 「付け込ませない」
ジェームズ・マティス米国防長官(2018年3月29日撮影、資料写真)。(c)Brendan Smialowski / AFP〔AFPBB News〕

 そして誰もいなくなった。

 米国防長官を退任するジェームズ・マティス氏はドナルド・トランプ大統領の「大人の枢軸」の最後の一人だったと言っても、多少の誇張でしかない。

 世界中で米国の同盟国と敵国が一様にマティス氏のことを、安心感を得る源泉として扱ってきた。

 米軍の最高司令官がどれほど衝動的であっても、その衝動を抑えてくれるマティス氏がいた。

 この2年間というもの、マティス氏は休むことなく世界を駆け巡り、根本的に変わったことは何一つないと言って米国のパートナー諸国を安心させてきた。

 時には、これらの国はマティス氏を信じた。そのマティス氏が政権を去る。

 政権発足時にトランプ氏を取り囲んでいた威厳のある――そして、さほど威厳のない――現役・退役大将や外交官の面々に加わる格好だ。

 最初から、マティス氏はかけがえのない側近と見なされていた。

 同氏はトランプ氏の内閣でほぼ唯一、公の場で大統領を熱烈に称賛することを拒んだ。そして、内々にトランプ氏に耳の痛いことを直言することで広く知られていた。

 大統領就任1年目には、トランプ氏は概してマティス氏の助言を聞き入れた。マティス氏がいなかったら、トランプ氏はさらに北大西洋条約機構(NATO)を蔑ろにしただろう。

 また、米韓合同軍事演習を中止し、米軍をアフガニスタンから撤収させ、もっと早くに米国のシリア撤退を発表していたはずだ。

 トランプ氏は当初、退役海兵隊大将のマティス氏の物腰が大好きだった。

 「マッド・ドッグ」の異名を持つマティス氏のことを、まさに完璧な配役と描写していた。

 問題は、マティス氏が名前負けしていたことだ。トランプ氏がそれこそ正気の沙汰でない考えを抱くたびに、国防長官がその矛先を鈍らせたからだ。

 マティス氏の退任を、ほかの閣僚の辞任と同等に見なすのは間違いだ。それよりもはるかに深刻だ。

 レックス・ティラーソン氏は国務長官を解任された。国家安全保障担当の大統領補佐官だったH・R・マクマスター氏は、どんなにひいき目に見ても、建設的に更迭された。

 大統領首席補佐官を退任するジョン・ケリー大将は就任初日から、奔放な大統領と角を突き合わせていた。

 世界がマティス氏の存在から得ていた安心感と比べると、彼らの存在から得た安心感ははるかに少なかった。

 マティス氏の辞任は、意外性がないのと同じくらい衝撃的だ。というのも、軍人たる者は辞任しないからだ。

 もしイラク戦争に向かう時期にジョージ・W・ブッシュ大統領の国務長官だったコリン・パウエル退役陸軍大将が辞任していたとしたら、それが唯一の前例になっていたろうが、パウエル氏は辞任しなかった。

 軍人は命令に従うものだ。自分の助言が退けられたら、ただ懸命に仕事に取り組む。

 マティス氏はほぼ2年にわたり、これに甘んじてきた。

 友人たちは、マティス氏は本来、トランプ氏が米軍の職員に対し、中米難民の侵略とされるものから米国とメキシコの国境を守るよう命じた10月に辞任すべきだったと話している。

 マティス氏はあの時初めて、おとなしく命令に従ったことで激しい批判を浴びた。

 中間選挙に先駆けた典型的なトランプ劇場だった国境警備策は、文民と軍の一線を越えた。だが、最後のとどめになったのは、米軍のシリア撤退に関する19日のトランプ氏のツイートだった。

 撤退はマティス氏――そして、同氏以外のほぼすべての人――の切迫した助言に反していたからだ。

 さらに、テロ組織「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」を打倒したというトランプ氏の前提は、事実によって否定されている。

 シリア、そして中東全般の一部の地域では、ISISは勢力を盛り返している。

 これから何が起きるのか。誰がマティス氏の後任になるにせよ、世界は――筆者が見ていた人気ゲームショーのように――貴重なライフラインを失った。

 世界はまだ大勢の友人に電話することができ、みんなが同情してくれるだろう。視聴者に助けを頼むこともできる(ここでも同情してもらえるだろう)。

 だが、米国の政治の世界では、軍人は辞任しないことも分かっている。

 マティス氏がもう国防長官の仕事に耐えられなかったことは、残された信頼性をも急速に失っているトランプ政権にとって分水嶺となる。

By Edward Luce

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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55076



ついにマティス辞任でトランプがますます暴走の懸念
「同盟国に敬意を」受け入れられなかったマティス国防長官の進言
2018.12.27(木) 北村 淳
トランプ氏、マティス氏批判で同盟国に矛先 「付け込ませない」
米首都ワシントンの上院前で報道陣に囲まれるジェームズ・マティス国防長官(2018年12月12日撮影)。(c)Thomas WATKINS / AFP〔AFPBB News〕

 トランプ政権発足時より国防長官としてトランプ大統領を支えてきたジェームズ・マティス国防長官が2019年2月28日をもって辞任する旨を表明した。直接的な引き金となったのは、シリアからの米軍撤退というトランプ大統領の決定だった。

 マティス国防長官に引き続き、ブレット・マクガーク対IS(いわゆる「イスラム国」)グローバル連合大統領特使も2018年12月31日付での辞任を表明した。

 アメリカはシリアにおける多国籍軍の対IS軍事作戦を主導してきた。その作戦からの米軍撤退に関しては、マティス国防長官やマクガーク大統領特使だけでなく、多くの大統領顧問たちや軍首脳たち、さらには連邦議会(共和党、民主党双方)からも強い批判が湧き上がっている。

アメリカが主導してきたシリア介入には軍事的・非軍事的な協力国が多数参加している
 また、マティス国防長官がトランプ大統領に提出した辞任に関する書簡からは、マティス元海兵隊大将と大統領の間には、シリアからの撤退という問題にとどまらず、国防政策に関する幅広い意見の相違が生じていたことが明確に読み取れる。

後任はボーイング出身のシャナハン氏
 マティス氏は2カ月間程度の移行期間が必要と考え、自身の辞任を2月28日と表明した。連邦議会での公聴会や、NATOの大臣級会合などすでに予定されている重要行事、国防長官の交代に伴う米軍内部の調整がスムーズに運ぶことなどを勘案した結果である。

 しかし、トランプ大統領は、マティス長官をはじめとするシリア撤退に批判する勢力への強固な姿勢を示すために(また、マティス長官が書簡に記した大統領に対する批判に対して我慢ならなかったためという感情も働いたと思われるが)、これまでマティス長官の下で国防副長官を務めてきたパトリック・シャナハン氏が2019年1月1日には国防長官代行に就任することをツイッターで表明した。

 シャナハン氏は軍務の経験はない。トランプ大統領によって国防副長官に任命されるまでは、政府関係機関での経験も全くない企業エグゼクティブであった。ビジネスマンとしてはボーイング社で787ドリームライナープロジェクトなどの民間航空機部門、軍用ヘリコプター部門(オスプレイも含む)、弾道ミサイル防衛部門などの要職を歴任した。

 マティス長官の下での国防副長官としては、国防総省内での非効率性の改善、とりわけ煩雑な官僚的手続きにメスを入れて兵器調達スピードの高速化を図る業務作業や、宇宙軍の創設といった組織改革などを推進していた。それらはともにトランプ大統領自身が固執しているアイデアであった。そのためシャナハン氏はホワイトハウス、とりわけトランプ大統領とペンス副大統領とは極めて親密な関係を維持している。

トランプ氏、国防長官代行の就任を発表 マティス氏の退任早める
ドナルド・トランプ大統領とパトリック・シャナハン国防副長官(右)。首都ワシントンのホワイトハウスで(2017年7月18日撮影、資料写真)。(c)Nicholas Kamm / AFP〔AFPBB News〕

同盟国への姿勢が深刻な亀裂に
 マティス長官とトランプ大統領の国防政策に関する意見の相違のうち最も根が深いのは「アメリカと同盟諸国との関係」、より具体的には「トランプ大統領の同盟諸国に対する姿勢」に関してである。

「海兵隊員の中の海兵隊員」といわれたバリバリの軍人であり、かつ戦史や戦略に関する読書量や知識量で人後に落ちることのなかった「戦う修道士」マティス長官は、同盟諸国や友好諸国との関係を安全保障・軍事戦略の視点から解釈していた(参考:本コラム2016年12月8日「もう1つのニックネームこそふさわしい米国新国防長官」)。これは、軍人としてはごく自然な姿勢である。

 しかし、軍人ではないトランプ大統領は、NATO諸国や日本それに韓国などの同盟諸国の「価値」を、軍事戦略の視点からよりは金銭的視点から評価する傾向が強い。

 たとえば、トランプ大統領にとっての日米同盟の価値は、アメリカが日米同盟に関して支出する予算額と、日本側によるアメリカに対する金銭的貢献(軍事面に限らず貿易なども含めて)を差し引きして、アメリカ側が“黒字”になるならば、日米同盟は「良い同盟」ということになる。アメリカ側が“赤字”ならば、軍関係者たちが日米同盟の軍事的価値を力説しても、トランプ大統領にとっては「悪い同盟」としか映らない。

 実際に、トランプ大統領のNATO諸国(とりわけドイツやフランスそれにカナダ)に対する姿勢が“算盤勘定”的な感覚に立脚していることは明白だ。

 このようなトランプ大統領による同盟国に対する姿勢に対する懸念を、マティス長官は辞任の書簡で強く表明している。たとえばマティス長官は、アメリカの強さはアメリカが同盟諸国や友好諸国との間に張り巡らされたネットワークと密接に関係している、と指摘している。また、同盟関係を維持するとともに同盟国に対し敬意を持って接しない限り、アメリカはアメリカの国益を確保しつつ自由世界の盟主としての地位を維持することはできない、とも述べている。

同盟国には敬意を払え
 マティス長官は特に「同盟国に敬意をもって接する」という点を繰り返し強調している。このような信念は、海兵隊指揮官として多くの同盟国や友好国とともに戦闘や訓練などの共同作戦に従事してきた経験からマティス長官が身につけた鉄則と考えられる。

 そんなマティス長官にとって、トランプ大統領の同盟諸国に対する姿勢は受け入れがたいものであり、アメリカを危うくするものに映っていた。

 そして、マティス長官が辞意を表明した直接の引き金となったシリアからの米軍撤退も、マティス元海兵隊総司令官の感覚では、シリアでともに戦ってきた多国籍軍の同志たちに対する“裏切り行為”ということになるのだ。

 これまでも、トランプ大統領はドイツ、フランス、カナダをはじめとするNATO諸国に対して暴言を吐いており、日本に対しても「真珠湾を忘れるな」といった暴言を吐いている。その都度、マティス長官は同盟諸国に敬意を持って接するよう大統領に進言してきたものと思われる。

 軍人からも政治家からもアメリカ国民からも同盟諸国からも最も尊敬されていたマティス長官が政権から去ることが、トランプ政権の安全保障政策に対して深刻な打撃を与えることは間違いない。それと同時に、これまでマティス長官が心を砕いてきた同盟諸国(とりわけドイツ・フランス・日本・韓国)との関係にも、トランプ大統領の価値観によって壊滅的悪影響が生ずる可能性が高まっているといえよう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55059
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/875.html

[国際24] 銃で日本を脅した米国より紳士的だったロシア 詳説:北方領土問題と日本・ロシアの近代史 
銃で日本を脅した米国より紳士的だったロシア
詳説:北方領土問題と日本・ロシアの近代史
2018.12.27(木) 杉浦 敏広
高齢化した元島民が語る「北方領土」、戻れないかもしれない故郷【再掲】
北海道の羅臼国後展望塔から見える国後島(2018年10月10日撮影)。(c)Kazuhiro NOGI / AFP〔AFPBB News〕

プロローグ
日露関係の精神分析
 日本人の対露観は日露戦争を境に大きく変化しました。一言で申せば、日露戦争前までは「恐露」、日露戦争後は「蔑露」、戦後は「反露」と大別できます。

 家庭の常備薬「正露丸」は、日露戦争当時は「征露丸」。「勝鬨橋」は日露戦争に勝利して名づけられました。

 現在の日本人の一般的性向が「反露」であることは間違いありません。今でも「ロシア憎し」と思っている日本人は多く、その根源は1945年8月9日の日ソ中立条約破棄に集約されるでしょう。

 日ソ中立条約を破棄し、ソ満国境を越境・侵攻したのが8月8日深夜から9日未明。サハリンでは1945年8月11日未明、ソ連軍は北緯50度線を南下・侵攻開始しました。

 筆者はこの事実を正当化するつもりは毛頭ありませんが、独ソ不可侵条約を破り、ドイツがソ連に侵攻した史上最大の陸戦「バルバロッサ作戦」を日本軍は知らなかったのでしょうか。

 ヤルタ会談の密約(ドイツ降伏3か月後に赤軍対日侵攻開始)は日本側も情報を掴んでいましたが、大本営は無視。

 赤軍がソ満国境を侵攻する前に日本の関東軍は既に転進しており(一部の関東軍は対ソ戦で徹底抗戦しました)、残されたのは満州開拓の居留民。この事実は何を意味するのでしょうか。

 付言すれば、関東軍はドイツ軍のモスクワ攻略戦に合わせ、シベリア侵攻作戦を準備しました。

 関東軍はソ満国境で対峙するソ連軍がモスクワ防衛戦に転用・投入される前提で作戦を立案しましたが、関東軍に対峙するソ満国境に展開する赤軍が(表面上)西に移動しなかったので、シベリア侵攻作戦は発動されませんでした。

 この時期、冬季戦用訓練を受けた赤軍はソ満国境に張りついていた軍隊のみで、この精鋭部隊はモスクワ防衛戦用に西方に輸送され、代りに徴兵された新兵がソ満国境に配置されました。

 しかし関東軍はこの事実を把握できず、緒戦の情報戦に負けたと言えましょう。

 本稿では、なぜ日本には反露・嫌露感情が蔓延しているのか、日露関係を精神分析したうえで、現在進行中の北方領土交渉の行方を占ってみたいと思います。

 なおこのリポートを書くにあたり、多くの文献を参考にさせていただきました。

 日露関係に関する主要参考書は『ロシア』(新潮社/原卓也監修/1994年刊)ですが、領土問題に関しては尊敬する多くの諸先輩の書物も参考にしております。

 碩学の文献に接すれば、日露領土問題とは日露関係と言うよりも、実はむしろ日米・露米関係の性格を帯びていることが分かります。

 僭越ながら文末にそのうちの何冊かの本をご紹介させていただきますが、北方領土問題に関する見解は、あくまでも筆者個人の見解であることをここに明記しておきます。

江戸時代の日露・日米関係
 まず、江戸時代の日露・日米関係を概観します。

フォン・ベニョフスキー(出所:Wikipedia)
 日本人の「対露恐露観」の根源は、「法螺吹き男爵」ハンガリー出身のポーランド人フォン・ベニョフスキー(日本名“はんぺん・ごろう”)と言われています。

 彼は1771年、収容されていたカムチャトカから露の軍艦を奪取して日本に来て、「今にもロシアが日本に攻めてくる」とデマと飛ばしました。

 驚いた当時の江戸幕府は、急遽北方警備を強化。工藤平助は『赤蝦夷風説考』(1783年)を、林子平は『三国通覧図説』(1785年)を書き、北国ロシアの脅威を説きました。

 しかし客観的に分析・評価すれば、日露の歴史は地道な交渉の歴史です。

 米の砲艦外交に対し、露は交渉外交でした。意外に思われるかもしれませんが、これは歴史的事実であり、米国の砲艦外交は現在に至るまで脈々と息づいていると言えましょう。

 帝政ロシアのロマノフ王朝エカテリーナ女帝の勅書を携え、アダム・ラクスマンが根室に入港したのが1792年。

 この時ラクスマンに同行したのが、かの有名な大黒屋光太夫です。本件は井上靖氏の名著(『おろしや国酔夢譚』)に詳述されています。

 その後ニコライ・レザノフが1804年、長崎に入港して幕府に開港を要求。その長崎にて交渉役となったのが、かの有名な“遠山の金さん”の父上、遠山金四朗影晋でした。

 当時米国は世界最大の捕鯨国であり、米M.ペリー提督は1853年、大西洋を越え、喜望峰・インド洋経由、琉球に到着。その後浦賀に来航して日本に開国を迫った理由は、米捕鯨船に対する水・食料の補給路確保と漂流した自国民保護のためでした。

 この時、ペリーが江戸幕府に献上したものは何か?

 白旗です。

 江戸幕府はこの意味が分かりませんでした。源氏の旗は白旗であり、日本人にとり紅白は目出度い色。なぜ、ペリーは白旗を幕府に献上したのか?

 この時まで、日本では白旗に降伏の意味はありませんでした。ペリーは、最初から日本に降伏を突きつけたのです。

 一方、日本に開国を求める帝政ロシアからはE.プチャーチン提督が1853年末、長崎に来港。

 しかし鎖国政策を続ける江戸幕府は会おうともせず、仕方なく長崎から下田に回航しましたが、回航途上で大地震の津波に遭い、旗艦ディアナ号は伊豆の戸田村沖で沈没してしまいます。

 この時の江戸幕府の対応が偉かった。

 当時の優秀な船大工を集め、軍艦を建造、ロシア側に贈呈。この船は「ヘダ号」と命名されました。

 その間に米国は砲艦外交を以て、1854年に神奈川条約(日米和親条約)を調印します。

 帝政ロシア側は焦りますが、プチャーチン提督は粘り強く、真摯な態度で江戸幕府代表の川路聖謨と伊豆下田にて交渉を続け、彼の努力は安政条約(下田条約)として結実。

 時に1855年2月7日(新暦)。長崎入港以来、実に約1年半の歳月が経っていました。

明治以降における日本の対露感情
 江戸幕府の末期、咸臨丸に乗り、勝海舟や福沢諭吉が訪米。大変な衝撃(今風に言えばカルチャー・ショック)を受けて、日本に帰国しました。

 その後、文明開化を求める維新政府は1871年、欧米に岩倉使節団を派遣。この岩倉使節団は帰国後『米欧回覧実記』を著し、「ロシアは西欧文明社会では異質の後進国」と述べています。

 これが後世の日本人の対露観に大きな影響を与えたと言えましょう。

 東京外国語学校の露語学科は1885年に廃止され、東京商業学校(現一橋大学)に吸収されました。

 当時露語学科の学生であった二葉亭四迷(本名:長谷川辰之助)は、抗議のため東京外国語学校を中退。「文学は男子一生の仕事にあらず」と豪語、その後10年間絶筆しました。

 換言すれば、当時「文学は男子一生の仕事」と見なされており、このアンチ・テーゼとして、四迷は断筆宣言したことになります。

 当時の帝政ロシアは、日本にとり軍事大国でした。ゆえに、陸軍参謀本部は仮想敵国露を真剣に研究。優秀な士官は露語を学び、参謀本部『ロシア課』には俊英が集められた。

 「杉野は何処!」で有名な軍神広瀬中佐も露語の達人でした。のちの太平洋戦争前夜、大本営が仮想敵国米を真剣に研究しなかったのは致命的な誤謬と言わざるを得ないでしょう。

 日露戦争以降、旧軍の戦略思想に進歩はなかったとも言えます。

 日露戦争までのロシアは、日本人にとり「魯」の国でした。

 『安政条約』の正式名称は『日本国魯西亜国通好条約』です。では「魯」の国とは何か。そう、孔子の故郷です。

 日本人はロシアを「魯」の国と見なしていました。その対魯観が決定的に変わるのが、のちの日露戦争です。

 日露戦争に勝利するや否や、日本人の対露観が変わり、「魯」の国が「露」の国になりました。なぜか?

 日が昇るとつゆは消える。そう、日が昇ると露は消える。これが日本人の対露観となり、日本人の蔑露感情の始まりとなったと言われています。

ポツダム宣言(1945年7月26日)
 ポツダム会談は、英W.チャーチルが提案、ソ連邦のヨシフ・スターリンが場所を決め、米H.トルーマンが日程を決定。米トルーマンは、自国の原爆実験日に会談日程を合わせました。

 会議初日の1945年7月17日、原爆実験成功に気をよくしたトルーマンは終始会議をリード。

 1945年5月のドイツ降伏からソ連軍対日参戦までの3か月間は、米・ソ双方にとり、死活的に重要な3か月でした。米・ソとも、日本の早期降伏を望んでいませんでした。

 日本に降伏されては困る。ゆえに、必死に時間稼ぎをしていた。なぜか?

 米は原爆完成間近。ソ連はベルリン攻略軍を極東に輸送しなければならなかった。

 何も知らない日本は、対米停戦交渉の仲介役をソ連に依頼。そこで、対ソ交渉の特使として白羽の矢がたったのが近衛文麿元首相。

 日本政府は7月13日にモスクワの佐藤尚武大使に特使派遣の極秘電が送信されたのですが、米軍は直ちに解読。その時、米・英・ソはポツダム会談の最中であり、米・ソは日本の電報を無視しました。

 ソ連は日本側を焦らせる。その間にベルリン攻略戦に参加したシベリア部隊を満州国境に片道輸送、対日参戦準備に没頭。

 当初Xデーは8月15日に設定されていましたが、その前に日本に降伏されては戦後の領土交渉に影響する。日本を降伏させてはならぬ。

 結局、7月18日にソ連は日本側に特使受け入れ拒否を通告しました。

 ドイツが降伏した後、原爆を投下できる機会は日本しかない。今、原爆投下しなければ、永久に原爆の実戦使用の機会は現れないかもしれない。

 米国は戦後の敵がソ連であることを正しく理解していたので、原爆を実戦使用すること、ソ連の勢力拡張を牽制することが喫緊の課題でした。

 米F.ルーズベルト大統領は、ヤルタ会談ではスターリン首相に対日参戦を要請。秘密協定で、独降伏3か月後にソ連の対日参戦が決定。

 しかし原爆が完成したポツダム会談の時点では、トルーマンは日本降伏前に原爆投下とソ連牽制を決めていました。

 一方、スターリンはソ連軍の対日開戦を8月15日に設定していたが、8月6日の広島原爆投下を見て、急遽対日開戦日を早めた。

 スターリンは軍隊による占領がない限り、戦後の領土交渉に支障が出ることを正しく理解していました。

 大戦中からスターリンも戦後の米ソ冷戦時代の到来を認識していたので、戦後米トルーマンに、北海道の釧路・留萌線以北をソ連に割譲することを要求しました。

 目的は唯一つ、オホーツク海の内海化。これがスターリンの地政学になります。

戦後の北方領土交渉
 ソ連軍は日ソ中立条約を破り、1945年8月8日から9日未明、満州に侵攻。これが戦後日本の反露感情の根源になります。

 択捉島と国後島はオホーツク海の内海化に必要不可欠な鎖(クリル諸島)の一環を成す。ゆえに、戦後の米ソ冷戦時代には、北方領土が返還される可能性は零でした。

 今後、もし択捉・国後返還の可能性が出てくるとしたら、それはオホーツク海の地政学的意義が失われる状況が出現した時になりましょう。

 露では2018年12月20日、プーチン大統領が恒例の年末大規模記者会見を行いました。今年で第14回目になり、参加した内外の記者は計1702人で過去最大規模。

 答えた質問数は53に上り、3時間43分にわたる長丁場をプーチン大統領は1人ですべて対応しました。

 質問は多岐にわたりましたが、日露関係の焦点はやはり領土問題でした。

 日露間の領土問題は「日ソ共同宣言」を基礎として、来年2019年から交渉を促進する予定です。

 日本側主張は「2島+α」ですが、これは歯舞・色丹の2島(正確に言えば、歯舞は群島)を指し、残り2島(択捉・国後)の“引渡し”(日本側用語“返還”)交渉は放棄することを意味します。

 一方、プーチン大統領の主張は「2島−α」です。「−α」とは何かと申せば、「島は引き渡すが主権は渡さない」「米軍が2島に駐留しないことの確約」などです。

 プーチン大統領は12月20日の記者会見で沖縄に米軍が駐留している事実に言及、露側の懸念を表明しました。

 しかし「日ソ共同宣言」には、「平和条約締結後、2島(歯舞・色丹)を日本側に引き渡す」と明記されています。すなわち「2島を引き渡して終わり」。それ以上でもそれ以下でもありません。

 プーチン大統領発言はあくまで駆け引き材料と理解すべきです。

 2島(歯舞・色丹)が日本の領土になれば、その周辺に12海里の領海と200海里の経済専管水域が設定され、北海道の漁民が安心して漁業に従事できます。これこそ日本の国益に貢献する外交成果になりましょう。

 クリル諸島は北の占守(シュムシュ)島から国後島まで弧を描いており、この2島(択捉・国後)は露にとりオホーツク海の内海化という軍事戦略上、必要不可欠な島です。

 オホーツク海にはロシアのミサイル原潜が遊弋しており、クリル諸島は米の攻撃型原潜の侵入を防いでいます。択捉と国後が他国の領土になれば、空いた海峡から他国の原潜が侵入するでしょう。

 歯舞・色丹はその外側に位置するので、露の軍事的観点からは不要な島になります。ゆえに米軍駐留問題を含む条件交渉次第で、露は日本側に引き渡す用意があると筆者は考えます。

エピローグ
“五里霧中”の北方領土交渉
 筆者は日露間の北方領土を巡る問題が平和裏に解決して、日露関係が進展・発展することを心より願っています。

 露語を学び、ソ連・ロシアに駐在し、ロシアの歴史・文化に多少なりとも関心を持ち、ロシア人とある時は肝胆相照らし語り合い、ある時は侃々諤々の議論をしてきた者にとり、北方領土を管掌する大臣が北方領土の島の名前も満足に読めない事実に、思わず戦慄を覚えます。

 日本側は日ソ中立条約破棄を北方4島返還論の根拠としますが、関東軍は対シベリア侵攻を立案。これは日ソ中立条約締結後の話であり、日本の真珠湾攻撃3か月前の話です。

 日ソ双方が当初よりこの中立条約を信用せず、双方が隙あらば侵攻作戦開始を虎視眈々と狙っていたことが分ります。

 ゆえに「中立条約破棄」「戦後の千島侵攻作戦」に対する日本側の対ソ・対露非難は、逆に日本(軍)側の失態・失政を隠蔽するサブリミナル効果を持つとも言えましょう。

 「五里霧中」という人口に膾炙した四字熟語があります。さて、どう読むのでしょうか?

 「ゴリ・ムチュウ」と読む人が多いと思われますが、「五里霧・中」です。

 後漢の張楷は道術の名人であり、その名声は後漢全土に鳴り響いていた。

 帝が使者を派遣して三顧の礼を以って朝廷に迎え入れようとしたが、「五里霧」という道術を用いてその中に隠れてしまい、どう捜しても見つからない。

 ここから「五里霧中」という熟語が生まれました。

 北方領土問題を巡る日露交渉は複雑怪奇となりました。

 シンガポールで開催された2018年11月14日の日露首脳会談で、安倍首相は「2島+α」を提案しました。これは明らかに従来の「4島一括返還」政策からの方針変更です。

 「4島一括返還」路線から「2島+α」路線に大きく政策変更したのですから、安倍内閣は路線変更を国民に対して丁寧に説明すべきです。

 「4島一括返還論」と「2島先行返還論」、「2島+α論」は皆似て非なるものですが、「2島+α」と「2島−α」の交渉ともなれば、双方の妥協点・着地点は自ずと見えてきます。

 ところが、「従来の路線から変更はない」と説明するので、話の整合性がなくなります。

 『月刊正論』(2019年1月号)で、産経新聞の論説顧問は「北方領土問題は領土紛争ではない。独裁者スターリンによる国家犯罪である」と述べていますが、本当でしょうか?

 いいえ、北方領土問題は領土紛争そのものです。戦勝国(連合軍)がクリル諸島全島はソ連の主権と認めたのです。

 北方領土問題を「スターリンによる国家犯罪」と言うのは、「北方領土は日本固有の領土であり、他国の領土になったことは一度もない」と主張するのと同次元の話になりましょう。

 日露間に横たわる北方領土問題の“本質”も、どうやら依然として「五里霧中」と言わざるを得ないようです。

北方領土問題に関する参考文献:

●石郷岡健・黒岩幸子氏の『北方領土の基礎知識』(垣内社/2016年刊)は入門書として最適。

●『証言 北方領土交渉』(中央公論新社/本田良一氏/2016年刊)は道新の本田記者が丹念に取材された集大成。

●学術書としては、『クリル諸島の文献学的研究』(村山七郎著/三一書房/1987年刊)が最適。領土問題を条約原文(蘭語・仏語・英語等)に立脚し、客観的に分析した名著。

●ヤルタ会談の内容は『ヤルタからヒロシマへ』(白水社/2013年刊)に詳述されているが、ヤルタからベルリン攻略戦までが詳しく、ヒロシマの記述はおまけ程度。

●第2次大戦と領土問題に関しては、米第31代フーバー大統領の『裏切られた自由(上・下)』(草思社/2017年刊)が良書。

●『ロシア近代史と国際関係』(ミネルヴァ書房/小田健氏/2017年刊)はロシア国家の起源から現代までの通史。

●『ロシアの対日政策(下):新生ロシアからプーチンまで』(慶應義塾大学出版会/斎藤元秀教授/2018年刊)は今日の日露関係を俯瞰する力作。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55058
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/876.html

[経世済民130] ゾンビが生き返ったのか、死にゆく強気相場の最後の輝きか 日本株は約2年ぶり大幅高 マーケットの窮状、やがて実体経済に波及
ゾンビが生き返ったのか、死にゆく強気相場の最後の輝きか
Sarah Ponczek、Vildana Hajric、Elena Popina
2018年12月27日 13:54 JST
S&P500種は5%上昇、ダウ平均は1086ドル値上がり
「買いに入りたいという積み上がった欲求がある」ーコリアー氏
何週間にもわたる株価下落で強気相場は死んだものと見なされていた。しかし最後の瞬間に、死は回避された。

  2018年12月26日に実際、死が回避されたのかどうか、誰にも分からない。しかし、そのようなシナリオは、1998年と2011年の2回にわたり起こっている。従って、米国株の26日の急騰について既に懐疑的な見方は出ているものの、必ずしも死体がけいれんしただけとは限らない。

  アドバイザーズ・アセット・マネジメントのスコット・コリアー会長兼最高経営責任者(CEO)は、「これが軟調局面を抜けたという明確なシグナルであるかどうかはわからないが、幾つかの良い機会はある」と述べた。 「多くのセンチメント指標が最低を更新している。売りを余儀なくされた市場に、買いに入りたいという積み上がった欲求がある」と分析した。

  26日のS&P500種株価指数は5%上昇。ダウ工業株30種平均は1086ドル値上がり。ナスダック100種は2009年以来の大幅上昇となった。


  インディペンデント・アドバイザー・アライアンスの最高投資責任者(CIO)クリス・ザカレリ氏は、米国株が弱気相場入りに迫ったことについて、「20%下落して不況に陥ったこともあるが、今回は今のところ、リセッションが差し迫ってはいないし20%安は理不尽だと市場が気づいた例だ」と述べた。

  一方で、ロイトホルト・ウィーデン・キャピタル・マネジメントのCIO、ダグ・ラムジー氏は、「弱気相場は常に、意地の悪い上昇局面を提供してきた」とし、 「弱気市場の中での反発は実際より良いように見えるものだ。1日に3〜4%の上昇はあるだろう。これは弱気相場の中で珍しいことではない」と話す。

  また、ロバート・W・ベアードの株式セールス・トレーダー、マイケル・アントネッリ氏は26日の動きについて「これは通常、強気相場の中で見られるような値動きではない」と指摘した。

原題:Back From Dead or Dying Gasp? Giant Rally Gets Bull Blood Racing(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-27/PKDNSG6K50XS01?srnd=cojp-v2

 

日本株は約2年ぶり大幅高、米政治や景気不安和らぐ−上昇銘柄2100超
長谷川敏郎
2018年12月27日 7:55 JST 更新日時 2018年12月27日 15:49 JST
FRB議長ポストは100%安全−ハセット米CEA委員長が明言
年末商戦好調とアマゾン、米ダウ1000ドル超高で過去最大の上げ

Photographer: Shoko Takayasu/Bloomberg
27日の東京株式相場は大幅続伸し、TOPIXと日経平均株価の上昇率は2016年11月10日以来の大きさとなった。米連邦準備制度理事会(FRB)議長ポストを巡る不透明感や米景気懸念が払しょくされ、東証1部の値上がり銘柄数が2100を超えてほぼ全面高。

TOPIXの終値は前日比70.16ポイント(4.9%)高の1501.63
日経平均株価は同750円56銭(3.9%)高の2万0077円62銭−3日ぶりに2万円回復
  米大統領経済諮問委員会(CEA)のハセット委員長は26日、パウエル氏のFRB議長ポストは安全かと問われ「もちろん、100%だ」と答えた。ホリデーシーズンは記録破りの好調さだったとアマゾン・ドット・コムが発表、株式相場の急落が消費者心理に影を落としていないことが示された。米ダウ工業株30種平均は1086ドル高と過去最大の上げ、S&P500種株価指数も5%高と09年以来最大の上昇率だった。

  アイザワ証券の清水三津雄日本株ストラテジストは「パウエル議長が継続することでひとまず金融市場は安定を取り戻しそう。年末商戦の好調で米国景気はまだ堅調なことが確認された」とし、「株式相場の下落要因だった景気鈍化とトランプ米政権運営の不安感がともに薄らいだ」と語った。

  東証1部33業種は全て2%以上上昇し、値上がり銘柄数は2112と過去最多。ドルトン・キャピタル・ジャパンの松本史雄ファンドマネジャーは「ここ数日で下げすぎた反動」と話した。東証1部のPBRは26日時点で1.07倍、25日には1.05倍まで低下していた。PBR1倍割れは「強烈な危機、リーマン・ショック級の危機に近いレベルを織り込む」ような株価水準で、実際に「そこまでのことは起こっていない」と同氏は指摘した。


  東証空売り比率が40%台後半と高止まりし、テクニカル的には依然売られ過ぎ感がある。三菱UFJ国際投信・戦略運用部の石金淳チーフストラテジストは、かなりの勢いで買い戻しが入りそうだとし、「アップダウンはあっても2−3週間で日経平均は2万1000円近くまで戻すのではないか」と予想している。
日本株の当面の見通しについてはこちらをご覧ください

業種別指数の値上がり率上位は石油・石炭製品、精密機器、卸売、化学、陸運
東証1部値上がり銘柄数は2112、値下がりは11
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-26/PKD7M96JTSES01?srnd=cojp-v2


 


マーケットの窮状、やがて実体経済に波及も−エラリアン
コラムニスト:Mohamed El-Erian
2018年12月27日 15:35 JST
欧州や日本、中国、主要産油国を巡る不確実性の中にあっても、米経済に邪魔が入らない限り、恐らく2019−20年に米国がリセッション(景気後退)入りに近づくことさえないだろう。だが現実の経済はそのような状態に置かれていない。

  米経済はこの数週間、政策ミスや市場のアクシデントの可能性に一段と脆弱(ぜいじゃく)となっている。こうした自ら招いた痛手はまだ本格的なものとなっていないが、経済や企業のファンダメンタルズにさらなる脅威をもたらし、いずれも世界的な景気減速の影響を受けやすくなっている。

  米経済には追い風となる多くの要素があり、主なものでも次の3つが挙げられる。

消費支出は堅調な労働市場によって支えられている。11月の雇用統計では、労働市場に新たに参入する労働力を十二分に吸収するだけの雇用が引き続き創出されていることが示された。失業率は3.7%と歴史的な低水準にあり、平均時給は前年比3%を上回る伸びとなった。労働参加率が比較的低水準にあり、求人数が失業者数を上回っているため、職探しを諦めていた労働力が再び労働市場に戻ってくるかもしれない
企業投資も良い環境にある。規制緩和や優遇的な課税措置を背景に、企業は自社株買いや増配ではなく、新規投資に多額の現金保有をどう活用すべきか模索している。人工知能(AI)や機械学習、ビッグデータといった技術革新における最近の進展を応用することによって、生産性を向上させようと多くの企業が熱心に取り組んでいる中で、こうした転換が生じている
民間セクターのこのような成長の展望を政府支出の増大が後押ししている
  こうして、米経済は19年に2.5−3%の成長率を持続させるとともに、次に列挙するマイナスの要因にも抵抗することができる状態にある。

欧州では、成長を支援する政策の実行や地域経済の構造強化が、主要5カ国の政治的不確実性のほか、来年5月に予定されている欧州議会選挙を巡る不透明感によって阻害されている
中国は有効性を失った政策に回帰する傾向があり、経済や金融システムのゆがみが増すリスクがある
日本のアベノミクスの進捗(しんちょく)状況を見ると、成長促進イニシアチブの3本目の矢を実施するのに当たり、社会的・制度的な根深い硬直性を克服できずにいる
産油国が対応を迫られている原油相場の急落は、各国の輸出収入の減少や輸入を含む支出の落ち込みに直ちにつながる可能性がある
  米経済が抱える問題は、他の主要国における一連の課題だけにとどまらない。

  多くの市場参加者は、連邦準備制度と財務省という米国の金融・経済政策の司令塔から発せられるシグナルが時折、混乱して不透明なものになるとして不満を表明しているが、こうした現状に連邦政府機関の一部閉鎖が拍車を掛ける形となっている。

最近のコミュニケーションを踏まえると、連邦準備制度は範囲の狭い国内経済問題に重点を置き過ぎて、一段と広範な政策手段を用いたもっと柔軟な対応の必要性を過小評価している恐れがある
ムニューシン財務長官が大手米銀トップに電話をして、銀行システムに十分な流動性があると確認する声明を発表した。信頼拡大を狙った財務省のこうした取り組みは逆に市場に動揺をもたらす結果になってしまった
  市場が既にテクニカル的に不安定な状況に直面し、一部の市場参加者の間でリセッションを憂慮するような言動が広がっている事実がなければ、上記の2つの要因はそれほど心配すべきものではないだろう。

  だが、各国・地域の中央銀行が長期にわたって予測可能な形で潤沢な流動性供給を行い、市場の特性としてボラティリティー(変動性)と脆弱性の源泉を生み出した文脈の下で現状を捉えなければならない。具体的には、それほど楽観的でないファンダメンタルズからは大きくかけ離れた資産価格、パッシブ投資の急速な台頭、過度のリスクテーク、流動性不足に見舞われがちな市場セグメントでの上場投資信託(ETF)などを通じた行き過ぎた流動性の確約などが挙げられる。これに加えて、投資家の間にこれまで見られた押し目買いの傾向が、昨年の場合にように実質的にボラティリティーがゼロのままで大幅な相場上昇を可能にしてきたが、今では機会さえあれば一貫した戻り売りに転じている点が指摘できる。

  対外的なサーキットブレーカーの作動と、低調なファンダメンタルズの対内的な自己消滅の両方か、どちらか一方の事態がない限り、下方へのオーバーシュートのリスクを否定することはできず、いずれの事態も当面想定されない。この結果、マイナス方向の資産効果や家計・企業のセンチメント悪化が組み合わさって、市場の劣悪なテクニカル要因が経済に波及するリスクが増すことになる。

  現時点では、米経済成長を巡る一連の脅威の高まりはまだ、比較的ポジティブな基本シナリオの下でリスク要因のレベルにとどまっている。現状を保つためには、もっと機敏かつグローバルで、変化しつつある基調的な市場心理への理解を深めた政策的発想が求められるだろう。

  (このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Ugly Markets Might Contaminate U.S. Economy: Mohamed A. El-Erian(抜粋)

This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-27/PKDPWN6S972D01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/328.html

[経世済民130] 米国株に割安感、トランプ大統領が言う「買いの好機」なのか 恐怖の熱病終止符ターニングポイント 世界経済は鈍化後安定ECB
米国株に割安感、トランプ大統領が言う「買いの好機」なのか
Christopher Anstey
2018年12月27日 11:57 JST
S&P500バリュエーション、PERでは13年以降で最も魅力的
低くなったバリュエーションだけで買いの理由にならないとの指摘も

Photographer: Michael Nagle/Bloomberg
米国株にとって戦後3番目に悪い月が意味するのは、株価水準が非常に割安だということだ。


  ブルームバーグの集計データによれば、S&P500種株価指数の株価収益率(PER)で測ると米国株のバリュエーションは24日時点で、2013年以降で最も魅力的だ。今後1年に見込まれる利益に基づくとPERは13倍を若干上回る程度。クリスマスの祝日で25日は休場だった米株式市場では、主要株価指数が26日に軒並み急反発した。

  

(情報源:ブルームバーグ)
  IGアジアの市場ストラテジスト、ジンイ・パン氏(シンガポール在勤)は「17年に米株価指数のバリュエーションが伸びきっていたことと比べると、現在の水準は確かにより魅力的に見える」と指摘した上で、「そうは言っても、今年のピークまで市場は高水準のバリュエーションを許容し潜在的な成長に焦点を絞ってきた。今の低くなったバリュエーションだけでは買いの理由にならない」と述べた。  


  クリスマスをホワイトハウスで過ごしたトランプ米大統領はもっと断定的だ。大統領は25日、「米国には世界でも有数の優れた企業があり、こうした企業は非常によくやっている」と記者団に述べ、「米企業は記録的とも言える数字をたたき出している。従って私は今がとてつもない買いの好機だと思う。まさに素晴らしい買いの好機だ」と主張していた。

原題:With Trump Preaching Buy the Dip, Stocks Look Cheapest in Years(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-27/PKDIEA6K50XS01?srnd=cojp-v2


 


恐怖の熱病」に終止符、急反発はターニングポイントートレーダー
Abhishek Vishnoi、Min Jeong Lee、Matthew Burgess、Livia Yap
2018年12月27日 16:31 JST
バーゲンハンターたちが勢いを持って戻ってきたーオアンダ
TOPIXと日経平均株価は27日に4%前後の上昇
米国株の急騰、それに続く日本株の力強い回復を見て、アジアの株式トレーダーの一部はこれが、デッド・キャット・バウンス(マーケットが大きく下げた後、一時的に起こる反発)ではなく本物のターニングポイントだと確信した。

  S&P500種株価指数は26日に5%近く上昇、日本のTOPIXと日経平均株価は27日、4%前後の上昇となった。トレーダーらは米経済の状況は12月の株価急落を正当化しないと指摘。米経済の健全性についての疑念は、記録的なホリデーシーズンの売上高を報告したアマゾン・ドット・コムの9.5%上昇などによって根拠が薄らいだ。

  オアンダのアジア太平洋地域トレーディング責任者、スティーブン・イネス氏は、「われわれが知っているような投資の世界が終焉(しゅうえん)を迎えようとしていると投資家に信じ込ませた恐怖の熱病に、この反発が終止符を打つだろう」と述べた。「恐怖をあおる論調や破滅の予言は、現在の米経済のファンダメンタルズに基づいていない。様子見状態の資金がたっぷりあり、バーゲンハンターたちが勢いを持って戻ってきた。米消費者の購買力を決して過小評価するなという明白な教訓だ」と語った。

ゾンビが生き返ったのか、死にゆく強気相場の最後の輝きか

  三菱UFJ国際投信・戦略運用部の石金淳チーフストラテジストも反発についてポジティブにとらえ、買いが2、3週間は続くのではないかとの見方を示した。米中貿易協議の行方が焦点だとも指摘した。また、野村ホールディングスの日本除くアジアの株式調査責任者ジム・マカファティー氏は「急反発は、短期的な株式市場の動きの大半が根拠のないものだったらしいことを示した」と述べた。

原題:Traders See End to ‘Feverish Fear-Mongering’ After Stocks Surge(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-27/PKDT9L6TTDS001?srnd=cojp-v2


 

ビジネス2018年12月27日 / 18:44 / 25分前更新
世界経済、来年は鈍化 その後安定へ=ECB経済報告
1 分で読む

[フランクフルト 27日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は27日公表した経済報告で、世界経済が来年鈍化し、その後安定するとの見通しを示した。ECBは「世界の経済活動は今後、2019年に鈍化するが、その後は安定が続く見通し」と指摘。

「世界のインフレ圧力は、余剰能力の減少により、緩やかに強まる見通し」としている。

ECBは12月の理事会で2兆6000億ユーロ(2兆9600億ドル)規模の量的緩和(QE)の終了を決定。ただ保有債券の償還資金の再投資については、最初の利上げ後も長期にわたり続ける方針を示した。

この決定は、ユーロ圏の景気が減速している局面にそぐわないと一部から批判が出た。しかし、経済報告は、コアインフレ率が今後も上昇するとの確信を再確認。

「基調インフレは、ECBの金融政策措置や景気拡大の継続、賃金の伸び拡大に支えられ、中期的に緩やかに上昇すると予想される」と指摘した。
https://jp.reuters.com/article/ecb-policy-idJPKCN1OQ0N8?il=0

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/329.html

[政治・選挙・NHK255] 株急落は来年の様々なリスクの前兆、消費増税の余裕はない
2018年12月27日 高橋洋一 :嘉悦大学教授
株急落は来年の様々なリスクの前兆、消費増税の余裕はない
 25日の株価は大荒れだった。東京株式市場では日経平均株価が1000円超下落し、2017年9月15日以来1年3ヵ月ぶりに2万円の大台を割り込んだ。
 24日の米国ダウの653ドル(2.9%)の下落を受けたものだが、日経平均は1010円(5.0%)の下落であり、米国を上回る下げだった。
 米株価急落は世界的な景気減速や米中貿易戦争への懸念が市場を覆う中で、米連邦政府の一部閉鎖やマティス国務長官の辞任など、トランプ大統領の政権運営への不安が広がったのが背景だが、日本では株価だけでなく、来年はさまざまなリスクが予想される。
日経平均株価が2万円台割れ
12月では69年ぶりの下落率
 12月に入って、米国ダウは3日の25,538.46ドルから24日の21,792.20ドルまで、3746.26ドル下がった。下落率は14.67%だ。
 月内の下落率は、大恐慌の1931年(17%)に迫る歴史的な下げ幅だ。
 日経平均株価の12月の下落幅も、3日の22,574.76円から25日の19,155.74まで3419.02円、下落率は15.14%とほぼパラレルに下落している。
 
 過去の日経平均でも、1949年5月から今年12月までの836ヵ月で、、今月1ヵ月の下落率15.14%は、21番目に悪い数字だ。12月に限ってみれば、1949年12月に19.55%下落して以来、69年ぶりに悪い数字だ。(図表1)

拡大画像表示
 836ヵ月の1月間の値動きのデータをみると、平均は0.69%、標準偏差は8.02だ。
来年はもう一回、大幅下落あれば、
「リーマン級の事態」
 株価急落を受けて、菅義偉官房長官は25日午前の記者会見で、「経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)は堅調だ」と述べ、来年10月の消費税率引き上げに向けて「経済運営に万全を期していきたい」としている。
 また、消費税増税については「リーマンショック級の事態が起きない限り、法律で定められた通り来年10月から引き上げる予定だ。引き上げる環境整備が政府の大きな課題だ」と述べた。
 たしかに、今の時点では「リーマンショック級の事態」とは言えないだろう。12月の株価の変動は、リーマンショック直後の2008年10月の36.99%、11月19.09%、2009年1月16.85%ほどではない。
 だが、来年にもう一回、大幅急落が来れば、リーマンショック級になるだろう。
 もう一回来るかどうかは、わからないが、その確率が以前に比べて高まったのは事実だ。
南海トラフと首都圏直下地震
5年以内の発生確率は2割
 また来年のリスクは、経済変動に限らない。筆者が心配しているのは、自然災害である。
 これは、確率計算が可能だ。南海トラフ地震について、今後30年間での発生確率は70〜80%というのが、政府の見解である。また、首都直下型地震についても、今後30年間が横浜市で78%となっている。
 今後30年間で8割程度の発生確率となると、今後5年に引き直せば、2割強の発生確率になる。
 そうなると、関西の南海トラフ地震か関東の首都直下型地震のいずれかが、今後5年以内に起こる確率は2割強になる。
 いずれかが起こるというのは、1から両地震が起こらない確率を引いて得られるが、両地震の起こらない確率は9割弱×9割弱で8割弱になるからだ。
 2割強というとどの程度の確率かと言えば、プロ野球で規定打席に達した選手のうち最下位レベルの打者の打率である。規定打席に達しているので、一応レギュラークラスの野手であるので、投手よりはもちろん高い。
 巨大地震が起こるリスクはかなりの“打率”と考えたほうがいい。
北朝鮮問題などで
有事のリスクも
 このほかにも、日本には有事のリスクもある。これはなかなか定量的に表せないが、極東アジアは、これまでの歴史の中で紛争が比較的多い地域である。
 筆者は、米国プリンストン大留学で国際関係論を学んだ。指導教官は、民主平和論の大家であるマイケル・ドイル教授だった。
 ドイル教授は、民主的な国同士は戦争をしないというカント流の考え方を現代に復活させたが、筆者はドイル教授の意見を統計的に示した。
 つまり、(1)民主国同士、(2)民主国と非民主国、(3)非民主国同士はそれぞれ戦争確率が増加する傾向があるのだ。
 これを極東アジアに当てはめると、(2)のケースになるので、戦争確率は決して低くはない。もちろん、この戦争確率は、外交努力などによって下げられるので、その努力は必要だ。
 今年は、シンガポールで行われた米朝首脳会談での「非核化合意」で、極東アジアでの紛争確率は一応は低くなった。
 しかし、北朝鮮は核を依然として手放していない。アメリカも慎重派のマティス米国防長官の辞任が決まっている。今回の株価急落にトランプ大統領はいらついているようだ。
 戦争の確率を考えたくはないが、不満や閉塞状況を打開する手段として、軍事オプションの可能性が、少なくとも今後は高まるようにみえる。
 このように、来年は、経済、自然現象、安全保障のすべての分野でリスクが高まる状況ではないか。
財政破綻のリスクはない
増税はやめるのが合理的
 そうした状況で消費増税をやっている余裕があるのか。
 本コラムでは、政府の財政について、負債だけではなく、資産も含めたバランスシートで考えなければいけないと、何度も書いてきた。筆者は20年以上もこのことを繰り返してきた。「統合政府論」というファイナンス論の基礎でもある。
 この考え方をもとに、大蔵省(現財務省)勤務時代に、単体のみならず連結ベース政府のバランスシートを作成した。それをみると、それほど国の財政状況は悪くないことが分かった。
 国の徴税権と日銀保有国債を政府の資産と考えれば、資産が負債を上回っていることも分かった。この財政の本質は、現在まで変わっていない。
 また資産といっても、一般に考えられている土地や建物などの有形固定資産は全資産の2割にも満たない程度だ。大半は売却容易な金融資産で、政府関係機関への出資・貸付金などだ。
 その当時、筆者は上司に対して、ファイナンス論によれば、政府のバランスシート(日本の財政)はそれほど悪くないことを伝え、もし借金を返済する必要があるのであれば、まずは資産を売却すればいいと言った。
 それに対し上司から、「それでは天下りができなくなってしまう。資産は温存し、増税で借金を返す理論武装をしろ」と言われた体験もいろいろなところで話してきた。
 ちなみに、日銀を含めた連結ベース、つまりいわゆる統合政府のバランスシートに着目するのは、その純資産額が政府の破綻確率に密接に関係するからだ
 これもファイナンス論のイロハである。IMF(国際通貨基金)も、統合政府の純資産に着目して、日本では実質的に負債はないといっている。
 純資産額の対GDP比率は、その国のクレジット・デフォルト・スワップ・レートと大いに関連する。それは破綻確率に直結するからだが、日本の破綻確率は今後5年以内で1%にも満たない。
 この確率は、多くの人には認識できないほどの低さであり、日本の財政の破綻確率は、無視しても差しつかえないほどである。
 一方で、来年は上述したような経済や自然災害、安全保障のリスクが考えられるのだ。
 消費増税は、社会保障の安定財源確保や財政再建のためだと言うが、財政破綻の可能性を考えれば、経済、自然災害、安全保障のリスクのほうがはるかに大きいので、やめるのが合理的な判断だろう。
(嘉悦大学教授 高橋洋一)

https://diamond.jp/articles/-/189726

http://www.asyura2.com/18/senkyo255/msg/499.html

[経世済民130] ゆうちょ限度額倍増、貯金集める意図はない=日本郵政社長 預入限度額引き上げでトップ辞任が不可避 
ビジネス2018年12月27日 / 17:34 / 2時間前更新
ゆうちょ限度額倍増、貯金集める意図はない=日本郵政社長
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[東京 27日 ロイター] - 日本郵政(6178.T)の長門正貢社長は27日の記者会見で、ゆうちょ銀行(7182.T)の預入限度額の引き上げについて「もっと貯金を集めたいとは一度も言ったことはない」と述べ、民間金融機関などが懸念する資金の急速な流入は起こらないとの考えを示した。

政府の郵政民営化委員会は26日、ゆうちょ銀の限度額を現在の1300万円から2600万円に倍増させる方針を盛り込んだ報告書を取りまとめた。2019年4月からの実施を目指すとしている。

民間金融機関は、ゆうちょ銀の完全民営化に向けた具体的な道筋が示されておらず、公正な競争条件が確保されていないとして、上限の引き上げには一貫して反対している。

長門社長は、限度額引き上げはあくまでも利用者の利便性向上が目的と強調。民営化委が求める社員に貯金の獲得を動機付けるような成果基準の撤廃と、ゆうちょ銀の株を3分の2未満となるまで売却をすることについて、「やるべきものはすぐにやる」と述べた。

ゆうちょ銀の貯金残高は180兆円と国内で圧倒的な大きさ。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T)の傘下2行合算の国内個人預金は76兆円。

ゆうちょ銀は2016年4月に限度額を1000万円から1300万円に引き上げたが、その後も急激な資金流入は起こっていない。長門社長は「他の銀行では(預金残高は)もっと増えている」と述べた。

ただ、民間金融機関には、経済情勢の悪化などで利用者の不安が高まった場合に、間接的に政府が大半の株式を保有するゆうちょ銀に預金が大量にシフトするのではないかという懸念が根強くある。

ある大手地銀の関係者は「限度額の問題は、はっきり言ってわれわれに直接影響はない。ただ、それにより同じ地域の小さな金融機関の経営が困難になると、そこから借りていた零細企業をどうするのかなど、われわれにも関係してくる」と話している。

さらには、超低金利下の運用難のなか、ゆうちょ銀がこれ以上資金を抱え込むことへの懸念もある。

ゆうちょ銀は通常の融資業務を禁じられているため、200兆円に上る資産のほとんどを有価証券などで運用している。ここ数年は国債の割合を減らし、外国債券などより利回りの高い投資先に振り向けるなど運用の高度化を進めているが、国債利息の減少を打ち返すまでには至っていない。

全国銀行協会などは、限度額引き上げによる資金流入の結果、ゆうちょ銀の運用規模がさらに拡大し、リスクが増幅される懸念があると指摘している。

長門社長は、低金利下で運用環境が厳しいのは民間金融機関も同じだとした上で、「運用難が心配だと言われるのはちょっと違う」と反論した。

浦中 大我
https://jp.reuters.com/article/yucho-idJPKCN1OQ0IH


2018年12月27日 週刊ダイヤモンド編集部 ,中村正毅
ゆうちょ銀、預入限度額引き上げでトップ辞任が不可避になる事情

ゆうちょ銀行と地域銀行との協調路線にヒビを入れる選択をした政府の郵政民営化委員会(岩田一政委員長) Photo by Masaki Nakamura
 ゆうちょ銀行の預入限度額引き上げ問題を巡って、池田憲人社長(71歳)の辞任が不可避の情勢になってきた。経営を監督する金融庁は、すでに後任の人選作業に入っており調整を急ぐとみられるが、意向に沿う人材を再び送り込めるかは不透明な状況にある。

 横浜銀行出身の池田氏は、2016年4月に東日本大震災事業者再生支援機構から、ゆうちょ銀の社長に就任。金融庁の後押しを受けるかたちで、それまでの地域銀行との対立路線から協調路線へとかじを切り、地銀と共同で地域活性化ファンドを設立するなど「民業補完」に心血を注いできた。

 潮目が変わったのは昨年10月。3年ごとに実施する郵政民営化の「総合的検証」が進む中で、与党・自民党が衆院選の政策集に「限度額のさらなる見直し」を検討事項として盛り込んだのだ。

 これを好機と捉えたゆうちょ銀の親会社、日本郵政は現行1300万円の預入限度額の撤廃を政府に強力に働きかけ始めた。

 2019年に統一地方選や参議院選を控える中で、有利に働くとみた議員連盟(郵活連)も同調することで撤廃論が一気に高まり、政府の郵政民営化委員会は早々に撤廃で意見をまとめようと動いた。

 これに対して、地銀をはじめ銀行業界は猛反発。政府が過半を出資する日本郵政の傘下銀行として「暗黙の保証がある中で、限度額撤廃による肥大化はまかりならん」「協調と言いながらここにきてはしごを外すのか」と憤り、ゆうちょ銀と再び火花を散らす関係に戻ってしまった。

 その後、撤廃は見送りになり、限度額の引き上げへと焦点が移っていったものの、地銀などの経営が悪化した場合は、ゆうちょ銀への資金シフトが起きかねないとして、銀行業界の反発は全く収まる気配がなかった。

池田社長と金融庁が“完敗”の深い霧
 そうした経緯の中で12月26日、政府の民営化委は預入限度額を、現状の2倍となる2600万円に引き上げる意見書をまとめ、安倍晋三首相に提出した。当初から限度額撤廃という目一杯高い要求を掲げ、最終的に限度額を大幅引き上げられれば御の字という算段だった日本郵政にとっては、満額回答に近い内容だった。

「ゆうちょ銀行の持続的成長には、地域金融機関との協働・提携関係の構築、信頼関係の醸成が不可欠だ」

 一方で、事あるごとにそう説いて回ってきた池田氏と後ろ盾となってきた金融庁にとっては、民営化委に協調路線を半ば否定され、政治家とそれに寄り添う総務省(旧郵政省)、日本郵政に“完全敗北”した格好になる。

 そもそもゆうちょ銀は、国内最大となる180兆円もの預金量を誇りながら、50兆円近い資金を日銀の当座預金にブタ積みし、マイナス金利の一部適用で損失を出している。

 そうした現状にもかかわらず、限度額の引き上げというバランスシートに拡大余地を与える施策が、本当に必要なのかどうか。ゆうちょ銀内部からも噴出するそうした素朴な疑問に、説得力のある答えを見つけられないまま、民営化委は「利用者の利便性向上のため」(民営化委の岩田一政委員長)という理由で引き上げを押し切った。

 選挙の獲得票数を最優先の“経営指標”にさせられた巨大金融機関は、ときに聞こえる政治家たちの声に導かれるようにして、今後も民営化という深い霧の中を彷徨い続けることになりそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)
https://diamond.jp/articles/-/189720
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/330.html

[経世済民130] 激変する中国農業〜デジタル化で日本を圧倒 対日輸出の縮小、米農家に大きな頭痛の種 大学もチャイナマネー仕切り直し
2018年12月27日 週刊ダイヤモンド編集部
激変する中国農業〜デジタル化で日本を圧倒〜(上)

ドローンが変える農業、中国はとっくに日本の先を行く

かつて中国の農業は、日本より規模が小さく、技術も遅れていると見られてきた。だが、現実には、ドローンや人工知能(AI)の活用で日本のはるか先を行っている。「儲かる農業」を実現するために中国から学ぶことは多い。激変する中国農業の現場を上下2回にわたってレポートする。(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)


中国各地でのドローンの飛行状況を可視化したプレゼンテーション。新疆(しんきょう)ウイグル自治区は木綿の大規模な農場が多く、ドローンの先進地域だ Photo by Hirobumi Senbongi
 中国・広東省広州市の高級ホテルの宴会場に、中国の農業を変える1000人超の若者が集まっていた。

 彼らは中国農業用ドローン最大手、XAGの社員や販売代理店の責任者たちでほとんどが20代だ。それもそのはず、イベントのホスト役であるXAGの社長が36歳、社員の平均年齢が27歳という若い会社なのだ。

 同社のドローンはボタン一つで自動飛行して農薬を散布し、農薬使用量を3割減らせる。将来的には、上空から種をまいたり、空撮した画像を解析して除草剤や肥料を最適化したりして農業を激変させる可能性を秘める。

 熱気に包まれたホテル会場で、中国各地でのドローンの飛行状況(写真上)や、バッテリーの性能を改善した新型ドローン(写真下)が発表されると参加者らの野太い歓声が上がる。

新型ドローンの出来を見る代理店関係者
新型ドローンの出来を見る代理店関係者ら。現場で活用されているからこそ課題が生まれ、性能が改善する Photo by H.S.
 彼らの勢いは数字にはっきりと表れている。

 イベントが行われた12月14日だけで6000台のドローンが予約販売された。代金の一部を前払いする保証金として1億元(1元=16・0円)がXAGに支払われたという。

 6000台という数字は、2018年に日本の「ロボット大賞」で農林水産大臣賞を受賞したある日系ドローンメーカーの19年の受注目標数の60倍に相当する。

 中国の農業用ドローンは、予約販売数だけでなく稼働数(販売済みドローンのうち、実際に稼働している数)も桁違いだ。

中国でのドローン飛行面積は
日本の農地面積の8割に相当
 18年に稼働していたXAGの農業用ドローンは1万3000台で前年からなんと3倍に増えた。年間の飛行総面積343万ヘクタールは日本の農地面積の約8割に相当する。

 日系メーカーの農業用ドローンのほとんどが実証段階の活用にとどまるのに対し、中国ではすでに万単位のドローンが飛び、集めた作物の生育データをAIが解析して農業を変えようとしている。

 AIの技術開発や自動運転の実用化などで中国企業が日系企業に先行するケースが増えているが、農業でのドローンの活用でも中国がはるか先を行っているのだ。

 もちろん、中国の農業に課題がないわけではない。日本と同様に若者は農村から都市へ流出し、農業従事者は10年で1割減った。長く「一人っ子政策」を続けてきた影響もあり農家は急速に高齢化して農村の荒廃も目立っている。

 農村を歩けば、いまだに重たいジョウロを両肩に担いで水を散布したり(写真下)、強烈な匂いのする肥(ふん尿)を運んだりする昔ながらの農家の姿が見られる。中国で農業は決して若者があこがれる職業ではない。

野菜に水を撒く広州市の農家
野菜に水を撒く広州市の農家。農薬もこのように人が背負って噴霧することが多かった Photo by H.S.
 だが、少なくとも中国にはドローンを足掛かりにして農業を変革しようとする大きな「うねり」がある。

アリババも参加した
「未来農場」づくり
 XAGのジャスティン・ゴン共同創業者兼副社長は「中国では最新のテクノロジーが次々と受け入れられている。ドローン購入費を政府が補助する追い風もあり、今後5年で中国農業は劇的に進化し、デジタル化する」と言い切る。

 ゴン氏がそう明言できる背景には歴とした根拠がある。世界的なテクノロジー企業がタッグを組んで、農業・農村を再生する取り組みが始まっているからだ。

 XAGは18年6月、中国IT大手アリババグループで農産物のネット販売を行うRural Taobao(農村淘宝)、農薬・種子の世界最大手、独バイエルと提携して「未来農場プロジェクト」を始動した(写真4)。食料の生産から販売までの持続可能なモデルを確立するのが目的だ。

未来農場プロジェクト
未来農場プロジェクトでバイエルは、ドローンからの効率的な農薬散布技術で貢献する Photo:XAG
 19年には中国などでコメやかんきつ類、リンゴ、イチゴ、木綿など10品種以上にドローンを活用する生産モデルを確立。作った農産物は、農薬の使用量や産地など素性がはっきりした商品として付加価値をつけて農村淘宝で販売する。

 まさに、農家の生産から販売までをテクノロジーが変えることになるわけだが、それで終わらないのが中国だ。

農業でも発生する
日中の「テクノロジー格差」
 中国には、アリババグループなどIT企業が手掛ける電子決済システムによる買い物や納税、ローンの返済履歴といった行動から個人の信用力を点数化するシステムがある。

 この信用スコアに基づいて手軽に融資を受けられる仕組みを農村振興にも生かそうと官民が連携しているのだ。

 例えば、信用力がある都市の若者が農業に参入する際に、アリババグループの金融機関、アントフィナンシャルが低利で融資する。

 すでにアントフィナンシャルはドローンを購入する農家らに融資を始めているが、今後、未来農場プロジェクトにも関わっていく予定だという。

 テクノロジーで競争力を高めた農家とそれをしなかった農家の間では、資本コストから農産物の販売力まで大きな差が生まれ、格差は拡大していく。

 〓小平(トウ・ショウヘイ・〓は登に?)が唱えた「先富論(先に豊かになれる者たち[沿岸部]を豊かにし、後から条件不利地の者たち[内陸部]を助けること)」には賛否があるが、その改革・開放政策の基本原則によって中国が急成長したことは事実だ。

 中国にとって都市と農村の格差是正は、社会を安定させるための最重要課題の一つだ。中国政府は農村の中でも、成長できる農家に資源を集中する「先富論」に基づく振興策を実行しようとしているように見える。

 次の記事『日本の農家より儲かっている「中国ドローン農家」の働き方』では、テクノロジーを駆使して経営を拡大しようとする24歳の若手農家の戦略をレポートする。
https://diamond.jp/articles/-/189770

 

2018年12月27日 週刊ダイヤモンド編集部

激変する中国農業〜デジタル化で日本を圧倒〜(下)


日本の農家より儲かっている「中国ドローン農家」の働き方


中国の都市住民が豊かになったことは知られているが、農村部は「いまだに貧しい」「遅れている」といったイメージが付いて回る。しかし、農業の現場を取材すると、中国の若手農家は抵抗感なくテクノロジーを受け入れ、経営を革新していることが分かった。(「週刊ダイヤモンド」編集部・千本木啓文)

>>前編『ドローンが変える農業、中国はとっくに日本の先を行く』から読む

家畜のアヒルの群れを操る男性
家畜のアヒルの群れを棒一本で操る男性。中国の農村には昔ながらの暮らしが残っている Photo by Hirobumi Senbongi
 北京市、上海市と並ぶ中国三大都市の一つ、広東省広州市の中心部から車で1時間30分ほど走ると、スーパーもコンビニもない農村の風景が広がる。


ロープに掛けられた豚肉(ベーコン)と魚(干物)。スーパーに並ぶ商品とは違う迫力がある Photo by H.S.
 車がすれ違うこともできない狭い路地を進むと昔ながらのレンガ造りの家々が並ぶ集落に入る。アヒルの群れが歩いていたり(写真上)、豚肉や川魚が干されていたり(写真右)と、あまりの牧歌的風景にタイムスリップしたかのように感じる。

 農業用ドローンを使った農業に取り組むレモン農家、郭建華さん(24歳)の農場には、伝統的な暮らしの中にソーラー発電の電灯などが混在していた。ドローンに限らず新しいもの好きな一家なようだ。

 バンズのスニーカーにナイロンパンツをはいた郭さんはクールな青年だが、経営拡大に向けて静かに闘志を燃やしていた。

20ヘクタールもの農地を
たった1人で管理
ドローンの飛行経路を設定中
ドローンを飛ばすために飛行経路のデータを呼び出す郭さん。位置情報さえ記録されていればボタン一つでドローンを飛ばせる Photo by H.S.
 郭さん一家は建華さんと両親の3人でレモンを作ってきたが、2018年8月に中国農業用ドローン最大手、XAGのドローンを導入してから20ヘクタールのレモン畑を建華さん1人で管理するようになった(収穫期のみ数人のパートを雇用)。

 レモン畑でドローンを飛ばしてもらったが、必要な作業はポリタンクに農薬を入れることと、スマホで農薬を散布するエリアを選び、タップすることのみ(写真上)。ドローンが自動飛行してレモンの木の列に沿って飛び、農薬を散布して元の位置にぴたりと着地するまで郭さんは見守っているだけだった(写真下)。

農薬を散布するドローン
1回の飛行で、12リットルの農薬を2ヘクタール弱の農地に散布できるという。RTKという技術を使うことで誤差は数センチ以内にできる Photo by H.S.
 初めにドローンで畑の形や木の位置を記録し、基地局を建てれば、それ以降は前述の作業だけで農薬を散布できる。おまけに農薬を無駄なく撒けるようになり、使用量を3割減らせた。

 かつては両親と3人で、人力で農薬を撒いていた。1ヘクタールに散布するに丸一日掛かる重労働だったが、いまでは全農地(20ヘクタール)の散布が1日で終わるという。

すでに日本の農家より
儲かっている
 20ヘクタールの農地を1人で管理する郭さんの農場は、規模と生産性で日本の農家を圧倒している。

 日本の農水省によれば、国内のかんきつ農家(レモンや温州ミカンを含む)の平均経営面積は0・5ヘクタールだ。筆者が過去に取材した2〜3ヘクタールで専業的にかんきつ類を作る農家では3〜4人がほぼ通年で作業していた。

 郭さんは年間600トンを生産するが、これに1キロ当たりの平均単価8元(1元=16・0円)を掛けると売上高は7680万円になる。これに対し日本の果樹農家の過半は売上高200万円未満となっている。

「ゆとり農業」の郭さん
ドローンは夜にも作業でき、郭さんの作業負担が軽減された。午前10時過ぎに作業を始める「ゆとり農業」を実践中だ Photo by H.S.
 目下のところ、郭さんの最大の悩みは販売価格の安さだ。足元ではレモンの単価が1キロ5元まで暴落している。郭さんは「(市況が改善し)売り上げが増えれば、農地を借りてさらに経営を拡大できるのに」と悔しさをにじませる。

 しかし、この悩みも農業のデジタル化がいずれ解決する可能性が高い。

 ドローンによって減らした農薬使用量などの生産データを記録し、消費者に開示できるようになれば、「環境に配慮して生産した、産地がはっきりしたレモン」として有利に販売できるからだ。

 中国では中国ネット販売大手のアリババグループが農産物の販売などを通じた農村振興に力を入れ始めており、XAGや農薬・種子の最大手、独バイエルと提携して農業経営のモデルづくりに着手している(激変する中国農業〜デジタル化で日本を圧倒〜(上)を参照)。

変われない日本農業界
硬直性が命取りに
 農業用ドローンは、平地の農業だけでなく、中山間地の農業にとっても大きなメリットがある。農薬散布などの作業が大変な傾斜地にあるミカン畑や棚田が耕作放棄されている日本農業の救世主になれる存在だ。

 ところが、日本は残念なことに農業用ドローン後進国だ。

 その背景には、無人のラジコンヘリや田植機といった旧世代の機械の普及率が他国に比べて高く、規制や企業の行動が既存の機械ありきの現状に固定されてしまっていることがある。

 日本政府は不要なドローン業界の慣習や規制を撤廃する方向だが、企業の行動のほうが変わるのに時間が掛かるかもしれない。

 例えば、日本の水田面積の実に4割で無人ヘリからの農薬散布が行われているが、そのメーンプレーヤーであるヤマハ発動機などが育成した無人ヘリ操縦者は1万人を超える。

 ヤマハは認めないが、同社が2019年春に売り出すドローンに完全自動飛行の技術を導入しないのは、「1万人の仕事をすぐに奪うわけにはいかないからではないか」(ドローン業界関係者)と見られている。

 また、今後問題になりそうなのが「コメは田植機で作るものだ」という固定観念だ。ドローンで上空から種をまけば、農家は苗を育てたり、田植機を移動しながら苗を植えたりする作業から解放される。

 だが、農機メーカーはドル箱である田植機が不要になるような技術の開発・普及には消極的だ。「稲が一列に育っていないとコンバインで刈り取りにくい」(大手農機メーカー)といったメーカー起点の発想では、農家の支持は得られないだろう。

農業業界に必要な
“サブスク”への転換
 最後に、農業のデジタル化を阻む最大の障壁になりそうなのが、売上高至上主義の農業業界の商習慣だ。

 これまでメーカーも農協も、農機や農薬の量を売ることに神経を注いできたが、これからはソリューションを売ることが求められる。

 農薬が典型だが、これまで全ての病気、害虫を防ぐために全方位的にリスクをカバーする農薬が使われてきた。今後は「前回枯らせなかった雑草に効く農薬」や「あの畑に必要な肥料」といった農地ごとに最適化された必要最小限の化学物質を散布するようになる。

 つまり売上を追っていてはビジネスが成り立たなくなるのだ。

 変わって隆盛するのが、季節単位で定額料金を農家からもらい、その対価として農薬や肥料の散布といったサービスを提供するサブスクリプション(定額制)のビジネスモデルになると見られる。

 農家は、農薬や農機を買いたいからではなく、効率的かつ安定的に農産物を作るために投資をしている。それを最も知っているはずの農協や上部団体のJA全農が企業に先駆けてソリューションビジネスに転換できなければ、シェアを失うだけでなく、存在意義を問われることになるだろう。

 農業業界の既存勢力がデジタル化時代の農家の支持を得るのか、新規参入者が業界地図を塗り替えるのか、いまはその転換点にあると言える。
https://diamond.jp/articles/-/189770

 


 


2018年12月27日 The Wall Street Journal
対日輸出の縮小、米農家に大きな頭痛の種

日本の農業市場開放というチャンスを米農産物生産者が逃すのは皮肉な状況だ

畑を走るトラクター
Photo:PIXTA

 【ワシントン】中国向け輸出の急減に直面する米国の農業関係者は今、アジアで中国に次ぐ2番目の市場に向けた輸出の減少も強く懸念している。その市場とは日本だ。

 日本は、環太平洋経済連携協定(TPP)参加11カ国の協定「TPP11」が発効する12月30日から、関税の引き下げや輸入割り当ての緩和を開始する。その対象国にはカナダやオーストラリア、ニュージーランド、チリなど、農業分野の対日輸出で米国の最大級の競争相手が含まれている。

 米国は元々はTPP交渉の参加国だったが、ドナルド・トランプ大統領が昨年に離脱を決めた。

 日本はTPPに続き、2月1日には欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)を発効させる。これにより、EU加盟28カ国の農産物にTPPと同様の貿易障壁緩和が実施され、フランスやスペイン、イタリア、オランダなど米国の競争相手は有利になる。

 日本は中国とは異なり、トランプ関税への報復措置としての米国産品の輸入阻止には動いていない。むしろ、それとは逆の対応だ。日本は、米国を除く世界の40近い国・地域との間で、野心的な市場開放の取り組みを加速させている。

 しかし、その効果は米国産品への輸入規制と似通っている。米農務省は5月の報告書で、日本の新たな自由貿易推進姿勢は「世界中の競争相手国に有利な市場参入条件を与えることで、米国の市場シェア縮小や米農産物輸出業者の利益減少の懸念を引き起こす」と警告していた。

 米農業団体も、最近の公聴会で同様の懸念を表明した。

 米小麦協会のトップを務めるビンス・ピーターソン氏は、「(小麦輸入の半分程度を米国産に依存している)日本はわれわれにとって、最大で最も信頼できる重要な市場」だと指摘。その上で、米国の競争相手が間もなく米国の生産者より10%近く低い実効関税率で対日輸出できるようになることに触れ、「現在われわれは、差し迫った崩壊に直面している」と警告した。

 同氏はまた、中国との貿易摩擦の影響で、米国が何カ月間にもわたり中国に「一粒の小麦も輸出していない」ことを当局者らに訴えた。

 米食肉輸出連合会(USMEF)は、日本の新たな貿易協定によって今後5年以内に牛肉および豚肉の輸出に年間10億ドル(約1100億円)を超える損失が生じると推測している。

 米政権当局者らは、こうした状況から生じる不均衡の是正を目指し、日本との自由貿易協定に向けた交渉の土台作りを進めていると語る。これらの交渉に向けて目標を検討するための公聴会は既に開かれた。トランプ政権は21日に目標を公表し、大幅な関税の引き下げを通じて「米国の農産品の幅広い市場アクセスを得る」ことなどを約束した。

 しかし、これらの交渉の開始はTPP11と日欧EPAの発効後になる公算が大きい。また交渉自体、農業とは直接関係しない問題をめぐって行き詰まる可能性もある。そこには、日本が永続的な自動車の貿易黒字を削減する方法を模索すること、為替操作を疑われる行為を規制する新たな施策を受け入れること、さらには捕鯨の縮小に至るまでのトランプ氏の要求も含まれる。

 米通商代表部(USTR)の報道官はコメントを差し控えた。

日本市場は「一層重要に」
 日米間で早期に合意が締結されれば、米国の生産者が被る損失は制限される。米国の競争相手への関税引き下げは、何年かかけて段階的に行われるからだ。しかし、米国から日本への輸出が多い2大農産品である牛肉と豚肉などは即時に関税が引き下げられる。

 EUとTPP加盟国の輸出業者は来年4月1日までに、冷蔵および冷凍牛肉の関税率が26.6%になる。米国の輸出業者が課される関税は38.5%だ。加工豚肉については、EUおよびTPP加盟国が13.3%、米国が20%の関税を課される。

 米国の一部生産者は既にビジネスを失いつつあると語る。カンザス州に本拠を置く豚肉生産会社シーボード・フーズのバイスプレジデントを務めるケビン・スミス氏は、長年の顧客が「関税引き下げの好機を生かすことに備えて新たな供給網を構築する」なかで、同社が「既に受注減に見舞われている」と話す。

 米国の農家が強い懸念を抱いているのは、これまで日本が最大かつ最も安定した輸出市場の一つであり続けていたからだ。2017年の日本の米農産品の輸入額は119億ドル。米国からすると、日本は中国、カナダ、メキシコに次ぐ4番目の輸出先だ。この4カ国のうち、トランプ政権による鉄鋼・アルミ関税への報復として米農産品に新たな制裁措置を科さなかったのは日本だけだ。

 米食肉加工大手スミスフィールド・フーズはUSTRにあてた見解で、「報復関税などによりメキシコや中国など他の主要市場で問題に直面していることを考えれば、われわれの業界にとって日本市場は一層重要なものとなっている」と指摘した。

 日本が長期にわたって保護してきた農業市場を積極的に開放するというチャンスを米国の農産物生産者が逃すというのは皮肉な状況だ。米国は数十年にわたり、日本に農産物輸入を増やすよう迫る先頭に立ってきた。また米企業も日本で欧米型食生活が広がるような取り組みを熱心に進めてきた。

 USTR代表補としてTPP交渉で米国の首席交渉官を務め、昨年退任したバーバラ・ワイゼル氏は、「米国はTPP交渉において日本の農業市場を開放する推進役だった」と指摘。「米国が交渉して獲得した市場アクセスという利益を海外の業者が刈り取っているが、米企業はそれを傍観する立場に置かれている」と述べた。

(The Wall Street Journal/Jacob M. Schlesinger)
https://diamond.jp/articles/-/189744

 

米大学もチャイナマネーの仕切り直しが必要だ−ブランズ
コラムニスト:Hal Brands
2018年12月27日 10:15 JST
改革・開放政策の中国は米国の教育機関にとって「約束の地」だった
デュークやジョンズ・ホプキンスなど中国キャンパス持つ名門校も
中国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)が対イラン制裁違反を主張する米国の要請を受けてカナダで逮捕されたことで、米中政府間の緊張が一段と強まると同時に、米国におけるチャイナマネーの暗部にも目が向けられつつある。

  ツイッターの世界で広がったのは、米政府が中国の情報機関とつながりがあると考えている華為からの資金を受け入れている米国のシンクタンクもあるとの指摘だ。

  ここにきて中国との関係について真剣に考える必要があるのは学術・研究機関だけではない。大学もまたジレンマを抱える。米国の競争力を実際に弱めてしまうような条件反射的な反中国政策に向かうことなく、真の危険を回避できるようにすることが、こうしたジレンマに対処する上での厄介な点だ。

  中華人民共和国の建国以来、巨大な中国市場は米国人を引き付けてきた。1970年代以降の米中国交正常化や中国の改革・開放政策の中で、中国は米国の教育機関にとってあたかも「約束の地」のように見なされていた。米国の大学は豊かになり始めた中国人からの資金を求め、高額の授業料を払って米国に留学する中国人も増えた。 

  移民政策研究所(MPI)によれば、米国の大学に留学している外国人の3分の1が中国からの学生。外国人留学生は毎年、米経済に370億ドル(約4兆1000億円)相当を寄与しており、恐らく中国人学生は人数の比率に応じた経済貢献をしている。デューク大学やジョンズ・ホプキンス大学など中国にキャンパスを置く米国の名門校もある。

  中国政府が文化機関「孔子学院」のスポンサーとなることで米国の大学内で中国に有利な宣伝工作を促しているとの見方が伝えられる中で、米国で学んでいる中国人学生を別の中国人学生がスパイしているとの憂慮すべき報道も出てきた。

  米国やオーストラリアなどの国々で浮上した懸念は、中国人民解放軍や中国共産党との密接な結び付きを隠していると思われる一部の中国人学生・研究者が貴重な知的財産を盗み出すために研究所や調査センターにアクセスできる権利を利用しているのではないかということだ。

  今こそ米国の大学は中国との付き合い方をより真剣に考える必要があるが、米国大学教授協会(AAUP)はこの点できちんとした仕切り直しを行っている。米国の大学に孔子学院との秘密協定を結ぶことをやめ、孔子学院を誘致する大学が学術活動に関して一方的に監督し、教授・講師陣に学問の自由を確保できないのであれば、孔子学院を閉鎖するようAAUPは求めた。

  中国にキャンパスを置く米国の大学は、表現の自由を断固として擁護していくべきだ。中国当局がそれとなく、もしくはあからさまに表現の自由を制限したり、学術的な使命に介入したりするのであれば、その時は中国キャンパスを閉鎖するなどの対応が必要になる。

  中国を地政学上の敵ではなく魅力的なパートナーだとずっと見なしていた学術界にとって、こうした調整はいずれも一定の痛みを伴うものになるだろう。だが米国の大学が賢明なやり方で自衛に着手するのが早ければ早いほど、利益以上に害をもたらす一段と極端な措置に一層うまく抵抗できることになる。
(ハル・ブランズ)

  (このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Chinese Money Has American Universities in a Bind: Hal Brands(抜粋)

This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-27/PKBYN96JIJUO01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/331.html

[経世済民130] 「日本の生産性は先進国で最下位」を素直に受け止めない人が多いのはなぜか 国内景気の真実と2030年の現実 米ITビッグ5
2018年12月27日 窪田順生 :ノンフィクションライター

「日本の生産性は先進国で最下位」を素直に受け止めない人が多いのはなぜか

2017年の日本の労働生産性は、47年連続で主要先進7ヵ国(G7)で最下位だった。これを「欧米人に都合のいい指標だから気にしなくていい」とスルーするのはあまりにも危険だ。事実、労働者の賃金は低いまま放置され、ブラック企業がはびこっているのが今の日本。指標を間違いだと決めつけるのはやめて、「日本の社会システムが狂っている」ことを素直に認めるべきだ。(ノンフィクションライター 窪田順生)

日本の生産性の低さは
数字のトリックに過ぎないのか
日本の生産性の低さは、賃金の低さやブラック企業の跋扈が示しています
欧米に都合のいい指標でも何でもなく、日本の労働生産性は正しく低い。精神論を振りかざして低賃金を是正しないブラック企業が跋扈するこの現実を、そろそろ深刻に受け止めるべきだ(写真はイメージです) Photo:PIXTA
 先週、公益財団法人・日本生産性本部が、日本の2017年の労働生産性が主要先進7ヵ国(G7)で最下位だったと発表した。

 このワースト記録は、なんと47年連続。東京オリンピックまでこんな調子が続けば、「50年間、生産性を上げることができなかった先進国」という、誇らしくない世界タイトルを獲得してしまうのだ。

 という話をすると、決まって「欧米の連中が勝手に決めた指標などまったく気にしなくていい」なんて感じで、開き直る人たちがたくさん出てくる。彼らの主張はおおむねこうだ。

「日本という国は、世界でもトップレベルの質のいい商品・サービスを、その辺の先進国の常識ではありえないほど安く提供している。この『低価格』によって、計算上ではどうしても労働生産性が低くなってしまっている」

 要は、あくまで「価格設定」がネックになっているだけなので、卑屈になる必要はまったくないというわけだ。それどころか中には、実は日本人労働者の生産性は、世界の1、2を争うくらい高くて、「G7最下位」なんてのは数字のトリックに過ぎない、と声高に主張される方もいらっしゃる。

 これには「その通り!」と激しく同意をする人も多いかもしれない。ご存じのように今、日本中が「生産性向上」に取り組んでおり、働く人たちは、こんなお説教を耳にタコができるくらいされている。

「無駄を省いて、もっと効率的に仕事すべき」
「残業や休日出勤など長時間ダラダラ働くのは生産性が低くなる」
「ITやクラウドを活用して、もっと省人化に務めるべきだ」

 日本人はマジメなので、みな言われた通りに頑張る。そんな苦労を強いられているのに、「G7最下位」などありえない。データの算出方法が間違っているのではないか――。そんな風に懐疑的に見ている方も少なくないのではないか。

 だが、残念ながらこれは大きな勘違いだと言わざるを得ない。生産性と「効率の良し悪し」は、あまり関係ないからだ。

「高品質低価格」実現の裏には
労働者の賃金の低さがある
 労働生産性というのは、労働者1人あたりが生み出した成果――つまり、生産額や付加価値を、労働者数や総労働時間で割って、「購買力平価」という国際的な値を用いて円ドルを換算したものだ。確かに、労働時間の削減は割り算の「分母」の減少につながるから、まったくの無意味ではない。

 ただ、それよりも遥かに効果があるのは、「分子」を増やす、つまり生産額や付加価値を上げることにあることは言うまでもあるまい。

 つまり、いま日本中の労働現場で叫ばれている「もっと効率良く!」「もっと労働時間を短く!」という取り組みは残念ながら、生産性向上には大きく寄与しない。厳しいことを言ってしまうと、こんなトンチンカンな方法を続けているから、47年間も生産性が低いままなのだ。

 また、問題なのは「低価格」だけであって、日本人の生産性自体は高い、みたいな考え方も誤解に基づいている。

 先ほども申し上げたように、労働者の生産性とは、つまるところ付加価値である。そこには、手先が器用だとか、マジメでキビキビ働くとか、下町ロケット的なチームワークを大切にするとかはあまり関係がない。

 では、日本人労働者は「高い付加価値」を生み出しているのかというと、大変申し上げにくいが、そうとは言い難い。

 その証こそが、「高品質・低価格」だ。

 原料などモノの値段やインフラのコストは、先進国の間そこまで大きな差はない。そんな大して変わらぬ条件の下で、なぜ日本では「高品質・低価格」を続けられたのかといえば、労働者の価値が低い、つまり「低賃金」ということに尽きる。

「低賃金労働者」というのは、経営者からすれば効率良く利益を上げられるありがたい存在だが、社会全体で見ると、労働者の付加価値を下げてしまう要因となる。つまり、どんなに効率良く働こうが、どんなに高品質なものを生み出そうが、「低賃金」で働かされている時点で、「日本の労働者は生産性が低い」ということになるのだ。

 なんてことを口走ると、「カネだけが付加価値じゃない!職人のプライドとか、おもてなしの心という生産性で測れないところを、日本の労働者は大切にしているんだ!」というような怒りの反論がビュンビュン飛んでくることだろう。

 もちろん、私も日本人なので、そういうものに価値を見出したい気持ちは痛いほどわかる。だが、一方で、こういう「ふわっとした話」によって労働者に罪悪感を植え付けていることが、パワハラやブラック企業という問題につながっている現実を忘れてはいけない。

組織やビジネスの問題を
個人の努力の問題にすり替える
 例えば、3年前のクリスマスに「過労自殺」をした電通女性社員のことを思い出していただきたい。彼女は連日のように長時間労働を強いられ、自宅に戻ってもシャワーを浴びてすぐ出社という生活を繰り返していたが、それでも上司から「君の残業時間の20時間は会社にとって無駄」「今の業務量で辛いのはキャパがなさすぎる」という罵声を浴びせられていた。

 命を削るように必死に働いても、評価されないどころか壮絶にディスられる。普通に考えれば、「ふざけんな」と辞表提出、となるところだが、彼女は限界までブラック労働を続けて、心がポキンと折れてしまった。

 真面目すぎた。頑張り屋さんだった。すぐに辞めると再就職が難しい…。この手の境遇から逃げなかった理由は人それぞれ様々だろうが、その根底にあるのが「罪悪感」だということは明らかだ。

 皆さんも身に覚えがないだろうか。「俺が若い時はこんなもんじゃなかった」「定時に帰るなんて、やる気が感じられないし、周囲の士気が下がる」などなど、会社や上司から言われる「ふわっとした話」を真に受け、「自分は甘いのでは」「自分勝手な振る舞いで会社に迷惑をかけてしまった」と自分が悪いと考えたことが。

 この“罪悪感マネジメント”ともいうべき歪んだ人材育成こそが、実は日本の生産性向上を妨げている最大の原因である。

 労働者が命を削るほど働いて結果が伴わないとなると、論理的に考えれば、そのビジネスや組織に問題があるという結論に至る。だが、日本人は「システム」や「組織」に盲従することを幼い頃からしつけられているので、論理的破綻はすべて「個人」のせいにされる。つまり、「結果が出ないのは、みんなの頑張りが足りないから」と精神論に傾倒してしまうのだ。

 ブラック企業になればなるほど、労働者という「個人」をどんどん追い込んでいくのはそのためだ。

社会システムが狂っているのか
生産性の定義が間違っているのか
 さらにやっかいなのが、この精神論が労働者にまで浸透していることだ。論理的に考えれば、すぐに逃げ出すか労基署に駆け込むべきようなブラック労働を強いられても、「結果が出ないのは頑張りが足りないから」という罪悪感を植え付けられているので、石にかじりつくような勢いでブラック労働に心身を捧げてしまう。

 こんな調子だから、いつまでたっても生産性が上がらない。仕事とはやり甲斐だ、チームワークだ、お客様の笑顔だという「ふわっとした話」ばかりがもてはやされているうちに、賃金は二の次、三の次にされ、気がつけば「低賃金」がビタッと定着してしまったのである。

 このような意味では、「G7最下位は気にする話ではない」どころか、大いに気にすべきだ。というよりも、この期に及んでまだ現実から目をそらそうとするというのは、かなり深刻な「認知障害」だと認識すべきだ。

 これほど世にブラック企業やパワハラが溢れている中で、「生産性G7最下位」と聞けば、論理的に物事を考える人ならば、このような結論になる。

「これだけ労働者が血へどを吐きながら働いているのに生産性が低いということは、問題は労働者にあるのではなく、社会システムが狂っているからではないのか」

 だが、現実には、この狂った社会システムを維持するために、「外国人労働者」を大量に入れようなんて国策を推し進めていることからもわかるように、大半の日本人はシステムを「盲信」して、以下のような方向へ流れていく。

「これだけ労働者が血へどを吐きながら働いているのに生産性が低いということは、問題は労働者にあるのではなく、生産性の定義や調査が間違っているのではないか」

 要は、常に「自分たちは間違っていない」というところからスタートするので、「耳の痛い話」は「デマ」や「日本には当てはまらない」と素直に受け取れないのだ。

 よくコントや漫才で、都合の悪い話を聞きたくない時に、両耳を塞いで「あー、あー、まったく聞こえません」なんてやるのを見るが、こういう態度を「生産性」というものに関して、47年間も貫き通してきたのが日本なのだ。

生産性の低さを無視することは
日本を危機に陥れる
「生産性が低いなんてのは、欧米がつくった指標なんだから気にしなくていい」というような主張を耳にするたびに、こんな感じの話をどこかで聞いたなと考えていたのだが、最近それがいつかを思い出した。

 今年7月の西日本豪雨災害だ。

 情報番組などでも多く取り上げられたので覚えていると思うが、この時の水害では、避難指示を受けながらも自宅に留まった結果、凄まじい水が押し寄せて、2階や屋根に上がってレスキュー隊から救出されるという方がたくさんいらっしゃった。

 もちろん、高齢者で動けない、足が悪いなどの事情のある方もいらっしゃったが、その中に多かったのは、「水がくるのは知っていたが、ここまでひどいとは思わなかった」という人である。

 例えば、岡山県倉敷市真備町で、過去に浸水の経験がありながら、今回は2階に避難して、レスキュー隊に救出された女性はこうおっしゃっている。

「隣人も避難する車に同乗するよう声をかけてくれたが、『こんなに水がくるとは思わんかった』。避難せず、二階に取り残されていたところを消防隊員にボートで救助され、『甘かった』と反省する」(日本経済新聞2018年7月11日)

 このように、さしたる根拠がないのに希望的観測から「おそらく丈夫だろう」と思ってしまう心理を、「正常性バイアス」と呼ぶ。東日本大震災の津波被害者の中に、一度は高台まで避難したものの、「もう大丈夫だろう」と自宅に貴重品などを取りに戻った方が多くいたが、それもこの「正常性バイアス」が影響している。

 危機的局面では、人間の赤裸々な本性があらわれる。命にかかわる大きな自然災害という局面で、これだけ多くの人たちに「正常性バイアス」が見られるということは、これは日本人の国民性といってもいいものなのかもしれない。

 だからというわけではないが、「生産性が低いなんてのは、欧米がつくった指標なんだから気にしなくていい」というのも、どこか似た匂いを感じてしまわないか。

 日本が他の先進国と比較して際立って低賃金――つまり、ブラック労働が蔓延していて、労働生産性という数値も最下位。素直に考えれば、危機的状況であることは明らかだ。しかし、多くの日本人はさしたる根拠もないのに希望的観測から「そんなに深刻に受け取るような話でもない」と笑い飛ばしている。

 水がくるとわかっていながら「大丈夫だろう」と逃げなかった女性と、何も変わらないのではないか。

 津波や水害の場合は、消防隊や自衛隊などのレスキューの人たちが助けてくれるかもしれない。だが、「生産性G7最下位」という、音も立てずに忍び寄る「危機」はいったい誰が助けてくれるのか。

 気がついた時にはもはや手遅れ、なんて悲惨なことにならぬよう、ああだこうだと屁理屈をこねる前に、「生産性G7最下位」という結果を、日本中がもっと重く受け止めるべきではないか。
https://diamond.jp/articles/-/189729

 

国内景気の真実と2030年の現実(大前研一)

国内好景気戦後2番目の長さの意味
 内閣府は13日、有識者らでつくる景気動向指数研究会を開き、2012年12月から続く景気拡大期間が高度成長期の「いざなぎ景気」を超え、昨年9月で戦後2番目の長さになったことを確認しました。またさらに、景気の回復が今月まで続いていることが確認されれば、戦後最長に並ぶことになり、政府や民間のエコノミストの間では、来年1月には戦後最長を更新するとの見方が強まっているということです。
 これには何の意味もありません。それほど良い景気がずっと続いているという感覚は、国民は全く持っていません。国民の感覚との間になぜこうしたズレが生じるのかと言うと、要するに景気動向と言うものを測っている数字に原因があるのです。
https://asset.ohmae.ac.jp/wp-content/uploads/2018/12/20181226_1.png

 平成30年間を振り返って、平成元年の世界の企業の時価総額ランキングを見てみます。1989年1月に天皇が崩御され平成になったわけですが、当時のトップテンのうち、エクソン・モービルとIBMを除いて全て日本の企業が占めているのです。それが、2018年9月末のランキングでは、中国の2社が入っているのを除いて、全てアメリカの会社になっているのです。平成という時代は、日本が世界で最も激しく衰退した時代なのです。
 それなのに、なぜ景気が良くなったなどと言っているのかというと、それは指標の見方が良くないからです。例えば、平成元年から見ると、株価はどんどん下がってきて、戻してきたとは言え、依然として当時の水準は回復していない状態にあるわけです。一方、FTSEは3倍近く、そしてダウはなんと9倍になっているのです。平成の間で、先進国の中で日本だけがマイナスになっているのです。
 そして、名目賃金の推移を見ると、アメリカやユーロ圏はほぼ2倍になっています。
 その一方、日本はマイナス7%です。つまり、平成元年から平成最後の年まで、上がっているものなど何もないのです。ある種の統計上では57ヶ月上がっているといっても、身近な指標では地を這うようなレベルなのです。これを上がっているなどとは到底言えません。
 この平成の中、世界で我々日本だけが、失われた30年だったという認識が必要です。日本にとっては戦後経験したことのない、最も暗い、失われた30年だったのです。戦後70年のうち、この30年は何も良いことがなかったわけです。さらに企業で言えば、国内トップのトヨタ自動車が世界では26位で、トップ10には1つも入っていないのです。日本企業も世界の舞台から姿を消した、そういう時代だったのです。このことを言わずして、「いざなぎ景気」などと言っていますが、白衣の装束を着てイザナギに戻った方が良いのではないかという感じです。
2030年都市別GDPランキング
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 日本経済研究センターは、日本、アメリカ、アジアの、13の国と地域の主要77都市を対象に、都市別のGDP予測をまとめました。それによりますと、2015年時点の上位10都市はニューヨーク、東京、ロサンゼルスなどで、中国はゼロだった一方、2030年の予測では北京や上海など4都市がランクイン。アメリカは8から5都市に、日本も2から1都市に減少し、中国の都市が今後躍進する見通しだということです。
 今、世界は国の競争のほかに、メガシティの競争になっています。メガシティに繁栄が集まるという傾向があるのです。私は「国民国家の終焉」という本の中で、このことをかなり詳しく書きました。また、UCLAで公共政策論の講義の中で教えているのもメガシティというもので、深センなどの都市に代表されるように、繁栄はメガシティということがテーマになってきているのです。
 2030年の一人当たりGDPのランキングを見ると、シンガポールがトップになっています。日本は名古屋や東京が上位に入っています。また、サイズで言うと、ニューヨークがトップで2位が東京となっており、2015年の時点では大阪も上位に入っているのですが、2035年の予測を見るともう大阪は入らず、深センなどの都市がトップテンに入ってくるのです。このように中国の都市の躍進が非常に目立っています。
 今は繁栄というのはメガシティにもたらされるということで、日本の場合には、東京を除いてはメガシティができない状況にあるのです。大阪も、IRだ、万博だなどと言っても、あのようなものは芥子粒ほどの影響しかないのです。もっと大阪そのものが、世界中から人、金、モノ、情報が集まるようにしないといけないのです。名古屋も同様です。そういう日本の地方の自由度が求められるのです。北海道であれば札幌、東北で言えば仙台、九州の場合には福岡といったところが、メガシティを目指して動くべきなのです。しかし、日本では、みんなで足を引っ張り合い、なぜ札幌だけなのか、なぜ福岡なのかなどやっているのです。やはりメガシティの競争だということになると、憲法第8章を書き換えて、そうしたところにもっと自治権を与え、世界中から人、金、モノが来るようにしないといけないのです。これが私のセオリーなのです。
 シンガポールなどは都市国家なので楽勝です。しかしやはり、世界第一のメガシティはニューヨークであり、二位は2035年の予測でも、東京なのです。東京と言えば日本であり、日本中の権限を東京に集中できるので楽なのですが、大阪や他の都市などにも、もっと権限を与えないといけないのです。日本の中の、少なくとも道州別で言えばそれぞれの首都になるようなところが、そうした視点に立った長期ビジョンを持たなくてはいけないというのが私のセオリーです。今回はたまたまそういう都市をテーマにした報告が出たというわけです。
仏伊財政収支の推移
 フランスのマクロン大統領は10日、2019年1月から、最低賃金をおよそ8%引き上げるなどの家計支援策を発表しました。フランス全土で続く黄色いベスト運動を踏まえた譲歩策ですが、これにより、マクロン政権が最優先課題とする財政立て直しは、一層困難になる見通しです。
 問題の引き金となった、燃料税を上げるという策は止めたようです。最初は半年間はやらないと言っていたのですが、1年やらないと言い出し、今ではもう言わなくなりました。そして、この最低賃金を100ユーロ上げるという策を実行した場合、計算してみると最低賃金は24万か25万円になってしまうのです。これが最低賃金とすると、日本などよりもはるかに高くなってしまいます。
 これにより黄色いベスト運動は終わって欲しいというわけですが、まだくすぶっています。以前ほどではなく、パリに攻めてきているという状況でもなくなっていますが、マクロン辞任を迫って48項目などというものを出しているので、そう簡単に収まるかどうかはわかりません。今回マクロン大統領は最低賃金の件で大枚をはたいたわけですが、財源があるのかという点は疑問です。本当に実現ができるものなのでしょうか。
 もう一つ疑問なのが、イタリアの情勢です。ヨーロッパの言うことなどは聞かないと言って、コンテ首相は予算を出し、ヨーロッパに否定され、3週間で直すように言われたわけですが直せず、今度出してきたのは、GDP比の財政赤字2.04%という案です。当初はマイナス2.4%だったわけですが、それに対して修正を加えました。ギリギリのところまで持ってきたということで、制裁を回避する態度を示したわけです。ヨーロッパ委員会としても、これをさらに否定するか、今年はこれで良いとするか微妙なところであり、そういうところにイタリア側は玉を落としたというわけです。
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 財政収支の推移を見ると、イタリアに並んでフランスも、GDP比で2.8%の赤字です。これに対して、今回マクロン大統領がとても金のかかることを約束してしまったので、財政状況はより悪化するでしょう。イタリアよりもむしろフランスの方が問題児だということになってきます。
 イタリアは、ギリシャの二の舞としてとんでもない苦しい立場に追い込まれると思いきや、今度の予算に真実性があるのなら、ギリギリセーフのところまで来たと思います。ヨーロッパはただでさえ不安定な上に、ギリシャよりもはるかに大きいイタリアに問題を起こされると困ってしまうのです。今回の予算をヨーロッパが認めてくれれば、とりあえずはほっとするということになります。


▼その他の記事を読む:
【前回の記事】米IT「ビッグ5」時価総額(大前研一)

【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座 学長
大前 研一
12月16日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
▼講座受講をご検討頂いている皆さまへ


米IT「ビッグ5」時価総額(大前研一)

IT「ビッグ5」の時価総額の動きに注目
 12月3日の株式市場で、アマゾンドットコムの株価が一時、前の週末に比べて5.2%高まで上昇し、時価総額でアップルを抜き首位となりました。年末商戦が好調と伝わり、投資家の見直し買いが入ったもので、マイクロソフトも加えた三つ巴の競争が激しくなっています。
 その数日前には、マイクロソフトが1位になったというニュースが走りました。アメリカのITビッグ5の時価総額のグラフで見てみると状況がよくわかります。去年に比べマイクロソフトの時価総額が大きく伸びているのです。
 一方、アップルは最新のiPhoneの売れ行きがそれほど良くないということで、時価総額が落ちてきています。アマゾンがアマゾンエフェクトと言われる現象で時価総額を伸ばし、ここにきて三社ともに、7900億ドルから8000億ドルとレベルでほとんど肩を並べています。これから先は、1位は日替わりメニューということになってきます。
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 その一方で、フェイスブックはかなり遅れていて、その半分程度の時価総額になっています。グーグルのアルファベットも、調子が良いと思われていましたが、ここにきて1位とのの差が見えてきています。去年と今年の差を見ても大きな伸びが見られません。大きく飛躍したマイクロソフトやアマゾンに比べると伸びが小さいわけです。今週の株式を見ていると、FAANGの中でも少し景色が変わってきたという感じがします。
COP24と環境問題についてのトランプの反応
 地球温暖化対策について話し合う国連会議COP24が2日、ポーランドで開幕しました。2020年以降の地球温暖化対策を定めるパリ協定について詳しい実施ルールを決定するのが主な目的した。温室効果ガス排出削減目標の立て方などをめぐり、先進国と新興国が対立しており、合意できるかが焦点でした。
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 途上国の方はお金を欲しがり、先進国の方は途上国に排出を減らすように求め、お金の点だけが揉めているのです。COP24の精神には全員が賛成ですが、経済負担は誰がするかというところがテーマになっています。当然予想されたことですが、今その点で難渋しているわけです。
 主要国・地域の二酸化炭素排出量の推移を見ると、もともと高いアメリカは、このグラフには2016年以降が含まれていませんが、実はトランプ政権になってからさらに高くなっているのです。多くを排出している中国とアメリカが対応すれば良いことなのです。今後はインドの排出量が増えているので、そうしたところへ資金を負担してあげることが課題になってきます。
 トランプ大統領はなぜCOP24を止めたのかという事についてですが、彼は耳がない、つまり聞く力がないということがタイム誌に書かれています。地球環境問題についてのアメリカ政府の報告では、異常気象という点でかなり深刻な被害をもたらすことが示されているのですが、それに対しトランプ大統領は、「少し読んだがそれはそれで良いのだ。だが私は信じない」などと言っているのです。ウッドワード記者が「Fear」いう本を書き、恐怖の男と表現しましたが、その中でトランプ大統領は全く理解力がなく、レポートをいくら持っていっても読まない、誰とでも、対立すれば自分が勝つと思っている人で、かなり異常な男だと書かれています。小学校5、6年レベルの頭しかないと言われていますが、今回の発言はまさにそれを示しています。あれだけ深刻に環境問題について書いているアメリカ政府自身のレポートについて、「アメリカ政府自身のレポートを読んだが、信じるかどうかというと私は信じない」などと発言するのです。ちょっとだけ読んだというのが、また彼のすごいところです。絶対、表紙を見ただけなのでしょう。
フランスのEU財政基準対策
 フランス各地で12月8日、マクロン政権に抗議する大規模デモが4週連続で行われました。参加者が黄色いベストを着て抗議するこの運動は、11月からネット上で広がってきたもので、この日はパリだけで約1万人、全国で12万5000人が参加。事態の沈静化に向け、ドルジ環境大臣は5日、燃料増税を19年中は行わない方針を示しましたが、デモの参加者からは対策が不十分との声が上がっています。
 これはマクロン倒しということで、マクロン大統領の辞任を求めています。しかも100ほどの町でローカルに盛り上がってきていて、今はついにパリの中心街まで来ています。これはかなり組織的な運動で、まだ統率されたり政党があったり、主義主張があったりはしませんが、貧乏人をここまで馬鹿にすることはやめてくれという動きです。フランスのテレビ、フランス2では、かなり細かい報告をしています。
 実は、いわゆるワーキングプア(中位所得の60%以下の所得の労働者)が問題なのです。平均の60%かそれ以下の収入の人たちがかなりいて、その人たちが車で通わなくてはいけない時に、燃料税が引き上げられると、自分が5万円ほどしか使えるお金がないのに、燃料代が1万円を超えてしまうということになり、これでは食うに食われず、耐えられないというわけなのです。マクロン政権はちょうどボトムをヒットし、1番良くないところに手を入れてしまったのです。
 その一方でマクロン大統領は、法人減税をすると言っているので、金持ち減税だと言われています。また公務員を12万人クビにするということも言っています。こうした中で、全く関係ないのですが、フランス政府はルノーの株式の15%を持っています。日産がそれを買い取ってあげれば良いのです。ルノーの株価は時価総額で3兆円から3兆5000億円ほどなので、その15%は4500億円です。
 一方、この燃料税でどのぐらいになるのか計算したところ、3000億円なのです。そうすると、少なくともほぼ1年分増税分をフランス政府がルノー株を日産に売ることによって賄えるのです。そして日産はすでに15%を持っているので、フランス政府から買い取ることで30%になるわけです。
 こうした数字を計算してみると、意外に面白い発想ができるものです。マクロン大統領もここまで追い込まれたら、日産から稼ごうとせずに、日産に、自分の株を売るから5000億円助けて欲しいとすれば良いのです。私が交渉官だったらこういう話をしてはどうかと思います。
https://asset.ohmae.ac.jp/wp-content/uploads/2018/12/20181219_3.png
 フランスは失業率がまだ10%と高いものの、財政収支の推移を見ると、対GDP比で-2.8%までまとめてきています。EUの財政基準ではGDPに対して単一年度の赤字は3%しか許してくれませんが、フランスでは現在違反している状況です。マクロン大統領の作った今回のバジェットでは2.8%に収まるので、マクロン大統領としてはどうしてもそれをやりたいということなのです。
https://asset.ohmae.ac.jp/wp-content/uploads/2018/12/20181219_4.png
 そして主要国における人口1000人あたりの公的部門の職員数の比較を見てみます。主要国の中ではフランスが1番多く、90人に上ります。そのうち41.6%は地方政府、19.2%が政府系企業で、ルノーなどもここに入ります。24.6%が中央政府で、このような数の中央政府は他にありません。イギリスの場合には政府系企業が多くあり、アメリカとドイツは地方政府が大きい状況です。そして実は日本は、1番公的職員が少なく30数人なのです。日本は政府が無駄遣いをしているという声が暴動にまでならないわけはここにあります。それに対しフランスはここを引き締めないとどうしようもないのです。マクロン大統領が公務員を12万人減らすと言ったのは正しいわけですが、それよりも先に燃料税などに手を出してしまったので、ここが大変な問題になっているのです。いわゆるワーキングプアというのは世界的に大きな問題であり、日本でも問題が広がっています

https://asset.ohmae.ac.jp/mailmagazine/backnumber/20181219_1/


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/332.html

[国際24] トランプ氏の徴兵逃れに医師協力か、米紙報道 2019年トランプを待ち受ける3つの「超難所」 信頼できないトランプの言葉 
トランプ氏の徴兵逃れに医師協力か、米紙報道
2018.12.27 Thu posted at 18:55 JST

トランプ氏がかつて、医師の協力で徴兵を逃れた可能性があるとの報道が浮上/Pool/Getty Images
トランプ氏がかつて、医師の協力で徴兵を逃れた可能性があるとの報道が浮上/Pool/Getty Images

(CNN) 米紙ニューヨーク・タイムズは26日、トランプ米大統領が22歳だった1968年、父親と関係がある医師の配慮で足の病気の診断書をもらい、ベトナム戦争への徴兵を回避していた可能性があると報じた。

2007年に死去した足の病気の専門医だったラリー・ブラウンスタインさんの娘2人の証言としている。娘の1人は医師。診断結果はトランプ氏のかかとの骨に異常があるとの内容でこれで徴兵を逃れられる可能性があるとも話していたという。

娘の1人は、父親はトランプ氏の足に病状はないことを示唆してもいたと明かした。

タイムズ紙によると、娘2人の証言を裏付けるような文書は発見出来なかった。娘はトランプ氏を嫌う民主党支持者で、父親の医師がトランプ氏を実際に診断したのかも不明としている。

医師は1960年代、トランプ氏の父親が所有していたニューヨーク・クイーンズ地区内のビル内で医院を構えていた。

娘は同紙の取材に、足の病気の診断はトランプ氏の父親への便宜だと知っていたと主張。トランプ氏の父親との関係を深めるのが狙いともし、ビル内で何か問題があった時、直ぐに電話し即座に解決出来る利点が得られると述べた。

トランプ氏は1968年、学業を理由に計4回徴兵免除を受け、その後に足の病気との診断をもらっていた。ベトナム戦争の終結は1975年だった。

トランプ氏は2016年、ニューヨーク・タイムズ紙との会見で、ある医師から徴兵担当当局に提出する足のかかとに関する非常に強い調子の書簡をもらったことに触れていた。この医師の名前には言及していなかった。


米国
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北朝鮮が見せたくなかった写真――西側唯一のジャーナリストが見た風景とは11/24
https://www.cnn.co.jp/usa/35130733.html

 

2019年トランプを待ち受ける3つの「超難所」

正念場は年明け早々にやってくる
安井 明彦 : みずほ総合研究所 欧米調査部長 2018年12月27日

アメリカ次期大統領選挙への助走期間となる2019年、トランプ大統領は再選への障害をどう攻略していくのだろうか?(写真:ロイター/共同)
2019年、アメリカには2つの大きなテーマがある。景気拡大の持続性と、2020年の大統領選挙への助走である。

アメリカ経済は、本格的に曲がり角を迎えるのかどうかが意識される年となる。すでにアメリカの景気拡大期間は9年を超えており、2019年7月まで続くと史上最長になる。景気が成熟するに従い、その先行きに不安が高まるのも無理はない。2018年末にかけて、株式市場は不安定な動きをみせており、アメリカ経済の先行きに対する懸念が広がるなかでの年越しとなる。

現職大統領が「不利」になる状況とは
政治の世界では、2020年の大統領選挙がはっきりと視野に入る。実際に各党の候補者を決める予備選挙が実施されるのは20年2月からだが、「打倒トランプ」を目指す民主党は、候補者による最初の公開討論会を19年6月に開催する予定を発表しており、いよいよ出馬を目指す候補者の動きが活発化してきた。一方のトランプ大統領も、選挙資金の収集に着手するなど、再選モードへの切り替えに抜かりがない。

2つのテーマには、強い関連がある。アメリカ経済の状況は、トランプ大統領の再選を左右する重要な要素だからである。一般にアメリカの選挙は現職に有利であり、大統領は再選されるのが基本形となる。にもかかわらず、現職大統領が不利になるのは、有権者が景気の悪さを意識しているか、党が分裂して予備選挙で強力な候補と対決しなければならない場合である。実際に、カーター大統領やブッシュ(父)大統領が再選を逃した際には、両者が同時に満たされていた。

言い換えれば、大統領選挙への助走期間である2019年においては、誰が民主党の候補になるかよりも、アメリカ経済が順調に推移するかどうかが、トランプ大統領の再選を占ううえでの注目点となる。2020年の大統領選挙に関しては、民主党の候補者不足が指摘されやすい。しかし、それ以前の問題として、その時の経済に対する有権者の判断こそが、トランプ大統領の強さを決めるからだ。

こうした2つのテーマの展開を左右するのが、2019年にトランプ大統領を待ち受ける3つの難所である。これらを無難に乗り越えることが、アメリカ経済の成長を維持する助けになると同時に、トランプ大統領が再選への道を開くカギになる。

第1の難所は、財政運営である。2018年11月の中間選挙の結果、2019年1月に始まる新しい議会では、下院で民主党が多数党となる。上院と下院で多数党が異なる「ねじれ議会」の誕生だ。

ねじれ議会の下では、財政運営が混乱しやすい。財政運営を進める際には、議会による立法が必要になるからである。実際に、政策の不透明性を測る指数を比較すると、最近では通商政策の不透明性が高い一方で、2010年の中間選挙後に生まれた前回のねじれ議会の時期には、財政政策の不透明性の高さが際立っていた(図)。


何の因縁か、2019年のトランプ大統領は、前回のねじれ議会を混乱させた3つの課題に、再び取り組む必要がある。

財務面の3つの課題とは?
1つ目は、債務上限の引き上げである。前回のねじれ議会では、2011年の夏に債務上限の引き上げが難航し、アメリカのデフォルト懸念が浮上した。現在、アメリカの債務上限は適用が停止されているが、2019年3月に適用が再開されると、同年の夏から秋にかけて、上限の引き上げが必要になるとみられている。

2つ目が、「財政の崖」の回避だ。前回のねじれ議会では、2012年末に大型減税が失効する予定があり、補填措置が講じられなければ、実質的な大増税となりかねなかった。税収増による財政赤字の急減は「崖」にたとえられ、景気への強い逆風になると懸念された。

2019年10月から始まる2020年度にも、崖が発生する可能性がある。金融危機後に財政再建を行うために設けた歳出の上限が、2019年度よりも低い水準に設定されているからだ。議会が立法によって上限を引き上げなければ、2020年度の歳出は崖のように減少する。

そしてもう1つが、政府機関閉鎖の回避である。前回のねじれ議会では、2013年に政府機関が閉鎖されている。期限までに予算の審議が間に合わなかったからだ。2019年については、そもそも一部の政府機関が閉鎖されたまま、新しい議会が開会となる可能性がある。また、今回の政府閉鎖を解消できたとしても、2020年度が始まる19年10月までに次の予算が成立しなければ、再び政府機関は閉鎖に追い込まれる。

第2の難所は、通商摩擦の決着である。トランプ大統領が2018年に本格化させた通商摩擦は、着地点を探る時間帯に入る。戦線を拡大させてきただけに、同時に複数の通商交渉が並行して進行しており、トランプ政権の交渉能力が問われそうだ。

財政運営と同様、ここでも主要な課題は3つある。

1つは、米中摩擦である。トランプ大統領は、中国に対する追加関税の引き上げを、2019年3月まで延期している。一方で、中国の華為技術(ファーウェイ)幹部の逮捕に象徴されるように、摩擦の焦点が安全保障とも結び付いたハイテク分野での争いに移ってきた気配がある。株式市場等は、3月までの交渉の進展を、固唾をのんで見守ることになる。

2つ目は、日本を含む同盟国との交渉だ。トランプ大統領は、日本やEUとの通商交渉を本格化させるべく、議会への通知等の準備を整えてきた。また、2019年2月までには、自動車・同部品に高関税を課すべきかどうかについて、商務省の報告書がトランプ大統領に提出される。トランプ大統領にとって、自動車・同部品への高関税は、日本やEUとの交渉を有利に進めるためのカードとしての意味合いが強いが、実際の発動が意識されるようになれば、市場の混乱を招くことは必至である。

いよいよ迫る捜査の手
3つ目は、USMCA(アメリカ・メキシコ・カナダ協定)の議会承認である。アメリカ、メキシコ、カナダは、2018年11月にUSMCAに署名しており、前身であるNAFTA(北米自由貿易)によって築かれた経済圏が消滅する危機は、いったんは回避されている。

しかしアメリカでは、下院の多数党となった民主党が、USMCAの承認に難色を示している。トランプ大統領は、NAFTAからの脱退をちらつかせつつ、議会にUSMCAの承認を迫っており、まかり間違えば、3カ国間の貿易協定が消滅するリスクが再び浮上する。

第3の難所は、トランプ政権に関する疑惑の捜査である。モラー特別検察官が進めてきた捜査等は、いよいよヤマ場を迎えつつあるようだ。下院の多数党となる民主党も、議会権限を駆使した捜査に注力する方針を明らかにしている。

2019年の捜査の進展は、先に挙げた2つの難所の行方を左右する。捜査に対応するだけでトランプ政権は手一杯になり、政策運営は麻痺しかねない。世論の関心をそらすために、トランプ大統領が他の論点で過激な言動に走るリスクもありそうだ。

多岐にわたる疑惑の捜査は、3つの分野に大別できる。第1は、いわゆる「ロシア疑惑」であり、2016年の大統領選挙に関し、トランプ陣営とロシア等の外国勢力との共謀が疑われている。モラー特別検察官による捜査の対象は、ロシアにとどまらず、中東の勢力との関係にも広がっている模様である。

第2は司法妨害であり、コミ―FBI(連邦捜査局)長官(当時)の解任等が論点である。第3は、選挙資金法の違反であり、トランプ大統領に不利な情報を隠すために、口止め料が払われたとされる案件が問われている。

疑惑の捜査に関しては、トランプ大統領が対峙する相手は3方に分かれる。第1は、いうまでもなくモラー特別検察官である。「ロシア疑惑」や司法妨害は、特別検察官による捜査の範疇である。第2は、連邦検察だ。選挙資金法の違反については、特別検察官ではなく、ニューヨークの連邦検察が中心となって捜査を進めている。

トランプ大統領が対峙しなければならない3つ目の難所は、アメリカ議会である。特別検察官が捜査に関する報告書を発表すれば、焦点は議会による弾劾手続きの有無に移る。確かな証拠が明らかではない現時点では、民主党の指導部は弾劾手続きには慎重だが、支持者には弾劾を求める機運が強いのも事実である。報告書の内容次第では、弾劾への流れが急加速する可能性がある。

トランプ大統領の活路
トランプ大統領にとっては険しい難所ばかりだが、活路になりそうな材料はある。

財政運営については、民主党に歩み寄らなければならない論点は、それほど深刻ではない。たとえば、2020年度に想定される緊縮財政の規模は、2012年度に懸念された大増税とは比較にならないほど小さい。

前回のねじれ議会の時期には財政再建が急務だったが、現在のアメリカでは財政赤字に対する世論の関心は低く、厳しい削減策が急がれているわけでもない。民主党との間ではメキシコ国境への壁建設費用が争点になっているが、双方が主張する予算額の差は議会が毎年決定する歳出総額の1%にも届かない。

通商政策については、中心となっている米中摩擦において、一定の成果を上げつつある。とくに主戦場となっているハイテク分野では、5Gの調達等で国際的な中国包囲網が形成されてきた。本質的な摩擦解消には遠いにしても、トランプ大統領が気にする貿易不均衡の面で歩み寄ることができれば、表面的には米中摩擦を沈静化させる糸口になりそうだ。

疑惑の捜査に関しては、トランプ大統領にできることは少ない。それでも、民主党が攻めを急ぎ、世論の批判を集める可能性はある。また、弾劾には上院での3分の2の賛成が必要であり、共和党議員が離反しない限り、トランプ大統領は職を追われはしない。

トランプ大統領にとっての勝負は、2019年前半の政策運営である。財政については、3つの課題の期限が集中する夏から秋にかけてを待たずに、2019年前半に一定の道筋をつける機会が訪れる。

当面の課題は政府閉鎖の解除だが、2月にはトランプ政権が20年度の予算教書を発表し、3月には債務上限の適用が再開される。こうした機会をとらえて、財政運営全般に関する話し合いが進む可能性が指摘できる。

正念場は2019年前半に
債務上限の適用が再開される3月は、アメリカが中国に対する追加関税を引き上げるかどうかの期限でもある。また、2月までに自動車関税の引き上げに関する商務省の報告が行われていれば、それから90日以内にトランプ大統領が引き上げの有無を決定する手筈となる。

さらに、トランプ大統領がNAFTAからの脱退を通告すると、6カ月後には脱退が認められる。言い換えれば、通告と同時に議会がUSMCAの承認を終えなければならない期日が決まるわけであり、来年前半には期限に向けたカウントダウンが始まっているかもしれない。

疑惑の捜査においては、特別検察官による報告書の発表が近いといわれる。いよいよ下院の多数党となる民主党が、どこまでトランプ政権を厳しく追及するかも、2019年前半の注目点となろう。

2019年前半のうちに、ある程度の難所を切り崩しておけば、トランプ大統領の政権運営は楽になる。一方で、出だしで躓けば、政権は乱気流に巻き込まれる。経済の減速も、現実味を増すだろう。気が抜けない年が始まろうとしている
https://toyokeizai.net/articles/-/256639

 

2018年12月27日 The Wall Street Journal
信頼できないトランプの言葉

約束というものは相手を信じていなければしないもの
 
――筆者のウィリアム・A・ガルストンはWSJの政治コラムニスト

***

 ドナルド・トランプ米大統領は2週間前、シリア問題についてトルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領と電話会談した。伝えられるところによれば、トランプ氏はエルドアン氏に対し、「ところで例の件だけど、君のものだ。私は手を引く」と言った。この発言は米政権の戦略をひっくり返すものであり、ジム・マティス国防長官の辞任へとつながった。

 こうした出来事は、私たちが当然のことと受け止めている古くからの真実を思い起こさせる。

 約束というものは、相手を信じていなければしないものだ。相手は私たちの言葉を頼りにして、その財産や名誉、命さえも危険にさらすかもしれない。もし私たちが約束を破れば、彼らはすべてを失うかもしれない。そしてもしそうなったら、私たちが責任を負うことになる。

 大統領候補だったトランプ氏は、選挙戦の中で米国のシリアへの関与に反対した。大統領となったトランプ氏は、既存の政策を直ちに変更することなく、代わりに2017年を通じて、移民問題、医療保険制度改革、減税、裁判所判事らの指名などに関心を向けた。しかしトランプ氏は、シリア政策に関する疑念を捨てることは決してなかった。今年4月の集会で行った台本なしの発言の中で同氏は「われわれは極めて近い将来、シリアのような場所から手を引く。今度は他の者たちに面倒を見させようではないか」と語った。

 マティス氏は、シリア撤退を先延ばしするよう、6カ月間にわたり大統領を説得した。ジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)は、シリア問題の戦略立案を主導する際に、3つの目的を掲げた。それは過激派組織「イスラム国(IS)」の打倒、シリアの新政権樹立、イラン勢力の撤退への誘導である。つまり、これらすべての目標を考えれば、米軍は無期限に駐留するはずだった。

 ボルトン氏などの当局者は9月にこの新たな政策を発表し、これが大統領の支持を得ているとして、全ての当事者を安心させた。彼らの誠実さを疑う理由はなかった。これが、先週のトランプ氏の宣言を一層衝撃的なものにした。

 シリアからの撤退は、ISとの戦いの中で主要な役割を担っていたシリアのクルド人を捨てて、彼らをテロリストとみているトルコ人のなすがままに任せることを意味する。イドリブなどにいるシリア人を、バッシャール・アサド大統領軍からの再度の攻撃にさらすことになる。イスラエルをシリア領内の危険なイランのプレゼンスに直面させることになる。米国の言葉を頼りにしてきた全ての人々を裏切ることになる。そしてそれは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に大きな勝利を与えることになる。同氏は中東でロシアの影響力を回復する取り組みの要になるのはシリアだとみているからだ。

 トランプ氏は米国政府と家族ビジネスとの違いを理解しておらず、そのため、自身の気まぐれな行動がいかに大きなダメージを負わせるかも理解していないとも言えるだろう。たとえ行政部門のトップだとしても、全てを自分で行うことはできない。秩序だった政策プロセスとそのプロセスの結果を生み出せる幹部が必要だ。幹部たちは、トップの支持を得て、トップの代わりに行動していると自信を持って主張できない限り、能力を発揮できない。もし国家安全保障担当補佐官がトップのお墨付きを得ていると発表すれば、世界は彼の言葉をそのまま受け取る。トップが矛盾したことを言ったり、方針を撤回したりしない限りだ。沈黙は同意を示唆する。

 秩序だった政策プロセスはまた、大統領を厄介なサプライズから守る最良の防御にもなる。このようなプロセスでは、提案された政策への賛成意見と反対意見の全てが公表され、利害を持つさまざまな団体がどのような反応を示すかが予測できる。このため、大統領は反対派が簡単には状況を覆せないような、考え抜かれた判断を下せるようになる。

 これと対照的なのが、米政権が現在行っている経験と勘に基づく政策決定である。サラ・サンダース大統領報道官は18日、政府機関の業務維持のため、トランプ大統領がメキシコ国境での壁建設に必要な予算の要求を撤回する意向であることを明らかにした。その前提で交渉するためホワイトハウスの高官らが議会に派遣され、議会は超党派の法案で合意した。しかし、保守派政治家や番組の司会者らからの批判に直面し、トランプ氏は唐突に方針を変更し、政府機関の閉鎖が不可避の状況となった。

 秩序だったプロセスを取っていれば、サンダース報道官の発表前にこれら保守派の反応を調べていただろう。そうであれば、トランプ大統領は撤回案を打ち消すか、あるいは、別の選択肢として保守派の反対にもかかわらず撤回案を押し進めるべきかどうかを判断することが可能だったと思われる。いずれの選択肢でも、政権当局者は大統領を信頼することができ、議会はホワイトハウスの行う政策説明を信頼できただろう。

 1960年代のキューバ・ミサイル危機の際、当時のジョン・F・ケネディ大統領はフランスのシャルル・ドゴール大統領にソ連のミサイル基地の写真を示すため、元国務長官のディーン・アチソン氏を派遣した。ドゴール大統領は写真を見ずに、「私にとっては米大統領の言葉だけで十分足りる」と述べた。

現在、トランプ大統領の言葉をそのまま信じる世界の指導者を1人でも思い浮かべることはできるだろうか?

(The Wall Street Journal/William A. Galston)
https://diamond.jp/articles/-/189746
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/880.html

[経世済民130] 安全資産買いで円やスイスフラン上昇、米株価が不安定 米議会、政府機関閉鎖解除できず 責任は民主党よりトランプ 上値重い
トップニュース2018年12月28日 / 07:55 / 8分前更新
安全資産買いで円やスイスフラン上昇、米株価が不安定
=NY市場
2 分で読む

[ニューヨーク 27日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では米国株が不安定な値動きとなる中、安全とみられる資産を買う動きが広がり、円やスイスフランが値上がりした。

さえない米指標や米中貿易摩擦を巡る懸念を背景に株式市場では朝方から売りが膨らみ、ダウ平均株価.DJIは一時600ドル超値下がりした。ただ引けにかけて急速に値を戻し、結局260ドル高で引けるなど、全般的に振れの大きい展開となった。

経済指標では、12月の米CB消費者信頼感指数が128.1と、前月から大幅に落ち込み、7月以来の低水準となった。こうした中、複数の関係筋は、トランプ大統領が国内企業に対し、中国の華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]と中興通訊(ZTE)(0763.HK) (000063.SZ)が製造した通信機器の利用を禁止する大統領令を来年に発令することを検討していると明らかにした。[nL3N1YW3EN][nL3N1YW1SZ]

円は対ドルJPY=で一時110円台半ばに上昇。その後は0.3%高の111円付近で推移。主要6通貨に対するドル指数.DXYは0.51%安の96.556。

シリコンバレー銀(カリフォルニア州)のシニア通貨トレーダー、ミン・トラン氏は「ドルは今年大きく値上がりしたが、連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを落としつつあることから、今後の上値余地は限られそうだ」と述べた。

中国の経済指標では、11月の中国工業部門企業利益が前年比1.8%減少し、5948億元(約863億ドル)と、2015年12月以来約3年ぶりのマイナスとなった。国内外の需要鈍化が響いており、中国経済へのリスクが高まっていることが示された。[nL3N1YW1BV]

オフショア人民元CNH=D3は0.3%高の6.8745元。豪ドルAUD=D4は0.62%安。原油価格が4%強値下がりしたことを受け資源通貨が軟調。カナダドルCAD=は0.34%安。ニュージーランドドルNZD=D4は0.52%安。

ドル/円 NY終値 110.99/111.02

始値 110.88

高値 111.10

安値 110.46

ユーロ/ドル NY終値 1.1429/1.1432

始値 1.1389

高値 1.1455

安値 1.1365
https://jp.reuters.com/article/ny-forex-27-idJPKCN1OQ1KS


 

 


ワールド2018年12月28日 / 08:00 / 5分前更新
米議会、政府機関閉鎖解除できず 与野党協議数分で終了
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[ワシントン 27日 ロイター] - 今月22日に始まった米政府機関の一部閉鎖の解除に必要なつなぎ予算案を巡り、与野党は27日遅く、数分間会談したが、打開策を見出すことなくこの日の協議を終えた。

政府閉鎖は来週まで続き、越年となる公算も大きい。

ホワイトハウスのサンダース報道官は声明で「国境安全保障の資金を十分手当てする内容が、予算案に盛り込まれる必要があると、大統領は明確に示してきた」と述べた。

協議ではすでに下院を通過しているメキシコ国境の壁建設費を盛り込んだつなぎ予算案の上院審議などについて話し合うことになっていた。上院で投票に持ち込むために必要な議席は100議席中60議席だが、共和党の議席数は51議席に限られ、民主の一部支持が必要となる。

トランプ氏は壁建設費に50億ドルを要求しているのに対し、民主側はこれまで13億ドルしか認めておらず、双方の主張に開きがある。トランプ氏は26日、50億ドルの財源を確保するまでいくらでも待ち続けると強調。複数のメディアはペンス副大統領が21億ドルを提案したと報じた。[nL3N1YV2RT]

閉鎖されている省庁は国土安全保障省、司法省、農務省、商務省などで、全連邦政府職員の約15%に当たる80万人が対象。ただ当該省庁が完全に閉鎖されることはない。[nL3N1YU0Y1]
https://jp.reuters.com/article/usa-shutdown-idJPKCN1OQ1KW


 


ワールド2018年12月28日 / 08:00 / 3分前更新
米政府機関の閉鎖、責任は民主党よりトランプ氏との指摘多数
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[ニューヨーク/ワシントン 27日 ロイター] - ロイター/イプソスが27日に公表した調査結果によると、米政府機関の一部閉鎖の責任はトランプ大統領にあると考える人が議会民主党員にあると考える人の数を上回った。

調査はオンライン上で2440人(民主党員946人、共和党員846人を含む)を対象に12月21─25日に実施された。統計の正確性を示す信頼区間は2%ポイント、民主・共和それぞれの党員については4%ポイント。

政府機関の一部閉鎖の責任がトランプ氏にあると答えた人は全体の47%、議会民主党の責任だと指摘した人は33%だった。

トランプ氏は、メキシコとの国境の壁建設費として約50億ドルを予算に盛り込むことを要求。一方、民主党や一部の共和党議員は反対している。

壁建設費を議会の歳出法案に盛り込むことを支持すると回答した人は35%。国境の壁建設費予算を巡り政府機関が閉鎖されたことに関してトランプ氏を支持すると回答した人は25%にとどまった。

政府機関の一部閉鎖は27日で6日目となった。80万人の連邦政府職員が休暇に入っていることもあり、現時点で閉鎖の影響はさほど大きくない。

ただ、各機関は27日、今後の影響に備えるよう告知を始めた。米連邦緊急事態管理局は、洪水保険の証書発行ができないとし、住宅物件の売却に影響が出る可能性があると発表している。

政府機関の一部閉鎖の解除に必要なつなぎ予算案を巡り、与野党は27日遅く数分間会談したが、打開策を見出すことなくこの日の協議を終えた。政府閉鎖は来週も続き、年明けまでとなる可能性も高い。
https://jp.reuters.com/article/usa-shutdown-idJPKCN1OQ1KW

 
カンパニーニュース2018年12月28日 / 08:00 / 4分前更新
今日の株式見通し=上値重い、投資家心理が落ち着かず売り買い交錯
1 分で読む

[東京 28日 ロイター] -
            前営業日終値 年初来高値 年初来安値
日経平均      20077.62 24448.07 18948.58
            +750.56 2018年10月2日 2018年12月26日
シカゴ日経平均先物3月限 20035(円建て)

大納会となるきょうの東京株式市場で日経平均株価は、上値の重い展開となりそうだ
。前日の米国株高が支えになるものの、連日の荒い値動きで投資家心理は落ち着かない。
海外情勢に不透明感が強い中で、新年相場への期待も高まりにくい状況だ。一方、日本株
は割安修正の余地があり、底堅さは示すと予想される。

日経平均の予想レンジは1万9800円─2万0200円。

*この記事の詳細はこの後送信します。新しい記事は見出しに「UPDATE」と表示しま
す。


(河口浩一)
https://jp.reuters.com/article/tokyo-stx-outlook-idJPL3N1YW4A6?il=0
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/336.html

[経世済民130] 「クリスマス暴落」はトランプがくれた投資機会 米国株が続伸一時大幅安も反転 資産運用会社10年で最悪 ヘッジファンド悲惨
「クリスマス暴落」はトランプがくれた投資機会
市場は「晴れ、ときどき台風」
暴落は市場のミスリード。金融危機の可能性は小さい

2018年12月28日(金)
居林 通


(※本記事中のグラフの数字は2018年12月25日、インタビューは26日朝時点のものです)

「クリスマス暴落」という言葉も出ています。12月24日のニューヨーク市場ダウ平均は653ドル安の2万1792ドルで開け、東京市場は連休明け、1年3か月ぶりに2万円台を割り込みました。

居林:言葉のわりにYさん淡々としてますね。

仕事柄、株は持っていませんし、何より居林さんの連載を3年近く担当させていただいて「日経平均には年間で3割くらいボラティリティー(この場合は価格の上下動)がある」と知りましたからね(こちら)。1000円下がっても5%じゃないか、と。そしてなにより、相場の関数である企業業績とは関係ない原因での下げですし。……と、連載を読んできた方ならお考えではないかと。

居林:クリスマスでお休みの市場関係の方が多いらしくて、連絡がついた私のところに「これはリーマンショックの再来か、金融危機が始まるのか」というメディアなどの方から、問い合わせをたくさんいただきました。

「台風」が来たのは間違いなさそうですが、金融恐慌の前触れなのか、あるいは投資のチャンスである市場のミスジャッジか、居林さんの判断は。

ここで買わないならば、いつ買うのか
居林:Yさん、よく勉強されました。ここはパニックに陥らず「インデックスレベルで買い」だと思います。ついに来た。今年の3月の安値を大きく切り下げ、来年の懸念材料の多くを前倒しで織り込みに行ったと思っています。本欄を読んでいただいている方には、胃薬をご準備のうえ、ご自分のリスク許容度に合わせた投資タイミングが来た、と見ていただきたいですね。

おおっ。大漁旗を上げろ、と。

居林:ただし注意点ももちろんありますので、最後までお付き合いいただいたうえで、ですが。

 前回(こちら)、来年1〜3月の悪材料に反応して市場が下がる中で、海外投資家によって売られすぎている銘柄を狙って「一本釣り」してはとお話ししました。それが繰り上がって年内に来た、そういう印象です。

今回の暴落も、外国人投資家によるものでしょうか。

居林:まだデータが揃っていませんが、そうではないと思います。海外も日本の投資家もそうですが、年内の損は年内に確定させておきたい、という季節的な株価変動要因がありまして、年末に損切りをして、もし今年利益を確定した投資があれば、それにぶつけて今年の税金の支払額を引き下げられるわけです。海外投資家のポジション整理は、日本株については今月前半でほぼ終わっていると推察しています。この1年間では実に11兆円、日本株を売ったようです。

 しかし25日の東京市場については、海外投資家の動きはほとんどない。なぜなら、クリスマス休暇だから。やるべきことはその前にやっているわけです。

では、東京市場の暴落は。

居林:25日に起きたことは、個人投資家のろうばい売りだと思います。米国が大幅に下げた。まだ下がるかもしれない。24日、日本の市場がお正月で休みの間に、マティス国防長官の辞任よりももっと悪いことが起こるんじゃないか。その恐怖に耐え切れない人たちが売った。信用取引の証拠金不足にともなう強制売却も入っているのではないかと推察します。

とはいえ、下げとしてはリーマンショック時と同様かそれ以上の幅なわけです。下がり方を見ていると、「もしや、また」と思うのも無理はないですよね。

居林:我々の目から見ると、悪いニュースが出て、それが市場に反映され、フェアバリューを通り越し割安になっている、という、投資には魅力あるタイミングに映ります。マーケットのシグナルは、利用するためのものであって従うためのものではない、と思います。

 「クリスマス暴落」というシグナルは 「市場は理性を失って感情に走っている」ということを意味しています。金融危機に繋がるリスクは、もちろんゼロとは言えません。しかし、非常に小さいと考えます。なぜなのか分かりますか。

今回の下げが「政治リスク」が原因だからですか。「経済危機の「3年後」を調べてみました」でお聞きした、例のアレ。

居林:そうです。金融の世界と政治の世界は互いに影響を与え合っていますが、怖いのは金融市場に起因する暴落、いわゆるバブルのほうです。政治→金融のほうはたいてい中長期では影響はありません。ギリシャ危機しかり、ブレグジットしかり。

 おさらいしておくと、金融市場の暴走の場合は、「どう考えても説明がつかない価格の上昇」が起こり、「上がるから上がる」という状況にたくさんの投資家が巻き込まれ、それがある時一転して下落に転じる。そこから、株式などを担保に融資、あるいは自ら投資していた銀行など、一般社会の金融システムにまで信用不安が広がり、経済全体に広がる、二次災害、三次災害まで行くと「金融危機」と呼ばれるものになってしまいます。リーマンショックはもちろん、古くはアジア通貨危機、あるいはITバブル、みな「なぜここまで上がるのか」と思われていて、やっぱり落ちてしまった。

そして金融危機までつながった。今回はというと。

居林:金融市場は正常で、流動性もあるし、企業収益は下に向かっていますが高い位置にあります。割安感こそあれ、バブルという印象はない。

政治主導の金融危機は起こらないものなんでしょうか。起こらないとしたらなぜなんでしょう。

居林:政治というか、政府がわざと景気を悪化させて、金融危機を引き起こそうと思うことはありませんよね。起こしたい人はいないし、理由がないから。「起きてしまう」ことはありえますが、起こしたくて起こるものではない。

誰にもメリットがない。

居林:トランプ米大統領は、独裁者ではなく、政治家です。民意を得るには、不景気ではなく好景気をもたらさねばならず、株価暴落がマイナスに効くことはさすがに理解している。となれば、対策が取られる可能性は高い。

「本気でまずい」と米国投資家がパニックに
とはいえ、判断を誤って経済に悪影響を与えることはあり得ますよね。

居林:はい。今回のダウ暴落についていえば「トランプはディールではなく、本気で『アメリカファースト』だけを考えているのでは、合理性を失いかけているのでは」という不安が投資家に走ったことがパニックのきっかけだと見ています。具体的には、シリアからの米軍撤退と、それに抗議したマティス国防長官の辞任、そして議会の与野党不合意によるガバメントシャットダウン(政府閉鎖)、ファーウェイ副会長勾引。「わかってやっている」とは思えない出来事が相次いだ。その不安に苛まれて投資家が逃げだした、というのが暴落の大きな理由だと思います。

やっぱり、政治が金融に影響を与えているように見えますが。

居林:暴落という現象、結果そのものは、金融発も政治発も同じです。しかし、原因を取り違えてはいけません。金融市場のバブルが発端ならば影響は大きく、長引き、中央銀行というヒーローの登場を仰がねばならなかったりしますが、政治発の場合はある程度の長短はあれ、時間がたてば回復します。景気後退を自ら望む政治家はいませんからね。

トランプ大統領はそれすらわかっていない、という可能性はどうでしょう。

居林:ううむ(笑)。否定できないところが辛いですね。しかし、彼が大統領になった選挙が行われたのが2016年11月ですから、次の大統領選挙への動きが実質的に始まるのは、任期3年目の19年末くらいですよね。それまでに景気がぼろぼろになっていたら、彼が理解していようがいまいが、再選の可能性は閉ざされてレームダック化します。だから、結局は同じことではないでしょうか。

中国との関係はどうでしょう。

居林:いまの状況は、1970年代から90年代の日米貿易摩擦と恐ろしいくらい符合します。たとえば貿易黒字をきっかけに炎上し、その後ココム問題で「国家保障に関わる問題」だと米国からすさまじい批判を浴びた東芝機械の苦境は、まさしく今回のファーウェイを思わせます。もちろん、安全保障同盟の国である日本とは立場が大きく違いますし、今後もいろいろあるのは確実ですが、中国は「臥薪嘗胆」だと頭を下げて逆転を期す、というのがありそうな筋ではと。いずれにせよ、企業の行動は政治に影響されざるを得ないし、そこを手を尽くして乗り越えていくものだと思います。いずれ落着すると見ます。

日本人としては、今後中国がどう動くのかますます興味深いですね。歴史の皮肉さの証人になれる、というところでしょうか。

「負のバブル」が膨らんでいる
居林:市場自体は健全だという証拠はいくらでも挙げられます。もし、中央銀行の金利の引き上げが早すぎた、というなら、米国10年国債を見てみればいいと思います。利回りは3%を割り込んでいます。FRBは来年の利上げの回数を3回から2回に減らしました。そういう指標を市場は「見ていない」。つまり「トランプがもたらす(かもしれない)様々なおそろしい事態」におびえ、感情で動いている、と我々は考えています。。実際にそれで株価が下落を始めれば、「やっぱり!」となって、さらに売りにかかる。

バブルの逆、いや、逆方向へのバブルですね。

居林:まさしく。「負のバブル」です。他人の感じている恐怖が伝染する。みんながダメだと思うと自分もダメだと感じる。以前に詳しくお話したと思いますが、この歴史は、政治発の暴落でも金融発でも何度も繰り返されています。あれこれ言いましたが、要するに「歴史は繰り返さないが、韻を踏む(The past does not repeat itself, but it rhymes.)」ですね。by マーク・トウェイン。

 直近でいうと、2016年にとても似ています。EU解体の危機、と叫ばれたギリシャ危機、イランの供給再開による原油暴落。どれも「政治的問題」ですがメディアのヘッドラインは大きい。危機の深刻さはヘッドラインの大きさによっては決まらないのに、インパクトが出てしまった。それがまた繰り返されている。

 まとめますと、今のマーケットは政治的問題の結果としての株価急落と、金融バブルの崩壊による株価急落を混同しています。下がり方が一緒なので「裏に金融危機があるのでは」という誤解が生まれていますが、暴落という現象は同じでも、リーマンショックとは違う理由で起きている。帰結も違う。ですので、そう遠からず回復すると考えます。ということは、「買い」です。

今の株価水準「だけ」を見ると、そんなに割安なのですか。

居林:「弱気派」ということになっている私にも魅力的に見える水準になってきました。まず予想PER(Price Earnings Ratio、株価が1株当たり純利益の何倍かを示す)は12倍前後と割安になりました。まあ株価が下がればPERも下がることが多いですが、PBR(Price Book value Per Share、株価が1株当たり純資産の何倍かを示す)は1倍まで行きました。

 日本企業は実は現預金をいっぱい持っている(2018年3月期で総資産の12%を占 める)し、「営業権(のれん代)」などインタンジブル(無形固定資産)が少ない。企業買収をやってこなかった結果でもありますが。

PBRが1倍で現預金が多く、換金が難しい資産が少ないということは、ブックバリュー、簿価に「値段通りの価値」が期待できるってことですよね。

居林:そう考えれば、株主にとっては税引き後の利益率、ROE(株主資本利益率、Return On Equity)がそのまま利回りになる。これは安心感があり、お買い得です。

 これが、マーケットが下げ過ぎだということを示す3つのサインの1つ目、株価が割安であるという根拠です。市場が正しいのか、指標が正しいのか、その瀬戸際を判断したいと思います。

 次に、ムービングアベレージのリターンを見てみましょうか。これは「3か月前に買ったら何パーセント儲かったか/損をしたか」という移動平均線です。


居林:これは指標でいえば市場の瞬間瞬間のモーメント、上がる、下がる、どちらの方向にどれくらいの速度で動いているのかを示す、いわば速度計です。いまは、勢いよく下に突っ込んでいる、弱気一色ぶりがうかがえます。

 そしていつもの株価と予想企業利益を比較したグラフです(日本企業の12カ月先の企業収益予想=赤線、日経平均=青線)。


3年近い連載で、収益予想のラインからこんなに下に日経平均がきたのは初めてですね。

あとは胃薬を飲んで待つ
居林:この下降の原因は政治イベントによるもの。そして、政治は自らの首を絞めていると気づけば方向転換します。しないと政治的な自殺になりますから。よってモメンタムはどこかで切り返すと考えています。

 もちろん違う可能性もあります。例えば、中国がミリタリーアクションを起こしたら「ごめんなさい」と申し上げるしかありません。ですが、この局面は1〜3年経てば「あれはいい買い場だったね」と⾔われることになるような気がします。。

なるほど……え、3年ですか?

居林:そこが大事です。少なくとも1〜3月は戻らないでしょう。ここで仕込んだら冬眠するか、あるいは胃薬を飲み続ける。そして相場が正気と勝機を取り戻すのを待つんです。

ううむ。今だと思っても不安は残るでしょうし、買ってもまた下がったら迷いも生まれそうです。難しいですね。

居林:はい。投資タイミングというのは本当に難しい。最安値や最高値をドンピシャで当てるのは難しいです。ならば、たとえば「ここから下値があっても少ない」と思える水準で徐々に買いを入れる、これも時間分散という分散投資のひとつだと思います。

 冷静にマーケットの観察を続けていただきたいと思います。これ以上のマーケットの上下は過去いくつもありましたが、今回も、投資家として経験値を上げることができ、経験知を蓄えることができる貴重な機会ではないでしょうか。

年末ですし、今日で市場もひと休みですから、連載を読み直していただくのもいいかもしれませんね。

居林:以前に、売った株が上がったらどう考えるか、という回があったかと思いますが、今回はさしずめ「買った株が下がったらどうするのか」を考えるいいチャンスになりそうですね。ともあれ、私は、買いに出てよい時期だと考えています。皆様のお考えはどうでしょうか?


このコラムについて
市場は「晴れ、ときどき台風」
いわゆる「経済評論家」ではなく、「実際に売買の現場にいる⼈」との議論に基づく市場の動きと未来予測です。語り手ははUBS証券ウェルス・マネジメント本部⽇本株リサーチヘッドの居林通さん。そのときそのときの相場の動きと、⾦融市場全体に通底する考え⽅の両⾯から、「パニックに流されず、パニックを利⽤する」⼿法を学んでいきましょう。ただし、投資家の自己責任ということを忘れずに、皆さんご自身でのご判断をお願いします。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/020500004/122600024


 

米国株が続伸、一時大幅安も終盤に反転
Vildana Hajric、Eddie van der Walt
2018年12月28日 6:37 JST 更新日時 2018年12月28日 7:05 JST
27日の米株式相場は、ボラティリティーが再び高まる中で上昇。朝方から軟調に推移し、一時大きく下げる場面も見られたが、終盤プラスに転じた。米国債は上昇し、原油は値下がりした。

米国株は続伸、一時軟調も終盤プラスに転じる
米国債は上昇−10年債利回り2.77%
NY原油は反落、米国株が一時軟調に推移
NY金は上昇、米国株の一時下落で逃避需要
  この日はS&P500種株価指数とダウ工業株30種平均ともに終値でプラス。ダウ平均は2時間足らずで800ドル余り戻した。S&P500種は前日の5%高と合わせ、この2日間の上げとしては2015年8月以来最大となった。

  ペイサーETFのショーン・オハラ社長は「きょう、きのう、そしてこの1カ月の動きを説明するのは難しい」とし、「時間的な観点で言えば現在は歴史的な強気相場であり、そのサイクルがここまで進行すれば、投資家はより神経質になる」と述べた。  

  S&P500種株価指数は前日比0.9%高の2488.83。ダウ工業株30種平均は260.37ドル(1.1%)上げて23138.82ドル。ナスダック総合指数は0.4%上昇した。米国債市場では、ニューヨーク時間午後4時45分現在、10年債利回りが4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.77%。

  ニューヨーク原油相場は反落。米国株の値下がり再開が材料視された。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物2月限は1.61ドル(3.5%)安の1バレル=44.61ドル。ロンドンICEの北海ブレント2月限は2.31ドル下げて52.16ドル。

  ニューヨーク金スポット相場は半年ぶり高値付近に上昇。米国株が下落し弱気相場入りに近づく中、安全資産としての金の需要が高まった。金スポット相場はニューヨーク時間午後1時59分時点で0.9%高の1オンス=1278.44ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は0.6%高の1281.10ドル。

  S&P500種は月間ベースでは、このままいけば今回の強気相場の中で最悪のパフォーマンスとなる。四半期では約15%の下げだ。金利上昇やワシントンでの政治混乱、世界の成長に対する懸念などが投資家心理の重しとなっている。

原題:Bear Market Kept at Bay as Stocks Rise From Lows: Markets Wrap(抜粋)
Oil Roller-Coaster Ride Hits Another Drop as U.S. Equities Slide
PRECIOUS: Gold Rises to Near Six-Month High as Equities Sink

(最終段落を追加し、更新します.)

【NY外為】ドルは下げ縮小、111円を回復−株が下落から急反転
Sydney Maki
2018年12月28日 2:54 JST 更新日時 2018年12月28日 6:38 JST
27日のニューヨーク外国為替市場でドルは下落。終盤に米株式相場がこの日の安値から大きく値を戻し、米国債の利回り曲線がスティープ化するにつれ、ドルは下げ幅を縮小した。朝方は米消費者信頼感が大きく悪化したことが影響し、株式が一時売られたほか、原油価格と米国債利回りが下げた。米政府機関の一部閉鎖は少なくとも週末までには解消されない見通しとなった。

ニューヨーク時間午後4時過ぎの時点で、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.4%下落
ドル・円は0.3%安の111円04銭。一時は0.8%下げた。前日は1%上昇していた
ドルは対スイス・フランでも下落。1月以降で最大となる1.2%安となった後、下げ幅を縮小
ユーロは上昇し、1ユーロ=1.1440ドル。一時は0.9%高の1.1454ドルを付け、21日および55日移動平均を突破
これより先、欧州中央銀行(ECB)は経済成長の継続を予想しながらも、下向きのリスクが拡大しているとの認識を示した
米連邦準備制度理事会(FRB)のリンゼー元理事はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、トランプ米大統領によるFRB批判は「後ろで聞こえる雑音」にすぎないが、利上げペースは減速させるべきだと発言
12月の米消費者信頼感指数は5カ月ぶり低水準。先週の新規失業保険申請件数と10月のFHFA住宅価格指数はいずれも予想と一致
クレディ・アグリコルのストラテジスト、ジェニファー・ハウ氏はリポートで、世界的に株価が最近軟調なことから、月末特有のポートフォリオ調整が「強力なドル買いの広がり」につながる可能性は高いだろうと分析
欧州時間の取引
  世界経済の成長見通しがあらためて懸念される中、ドルは主要10通貨の大半に対して下落した。年末を控えた薄商いの中、ドル指数は0.1%低下。前日の上昇基調が反転した。

原題:Dollar-Yen Pares Decline With UST Yields as U.S. Stocks Bounce(抜粋)
Dollar Heads for Second Weekly Loss as Stocks Drop: Inside G-10(抜粋)
Dollar Pares Two-Day Advance as Treasuries Climb: Inside G-10(抜粋)

(相場を更新し、情報を追加します.)

 


ブラックロックも例に漏れず、資産運用会社の株価は10年で最悪の下げ
Rachel Evans、Annie Massa
2018年12月28日 5:09 JST
今年は米資産運用会社の株価が過去10年で最悪の下げを記録しており、ブラックロックの株主にとっても厳しい年となっている。

  世界最大の資産運用会社であるブラックロックの株価は年初来で26%下落。同社や同社ファンドへの投資家が売却に動く、ないし様子見を続けたことが影響した。ただこのパフォーマンスも、同業他社に比べればまだ良い方だ。さらに大きな時価総額の減少に見舞われている会社は多い。

  株式市場のボラティリティーがここ3年で最大となる中、資産運用会社やカストディー(証券管理)銀行の株価変動を示す指数は今年に入り29%安と、下落率はS&P500種株価指数の3倍を超えている。構成銘柄中で下落率が最も大きいのはインベスコで、年初来55%の下げだ。

  資産運用会社やカストディー銀行の株価パフォーマンスは以下の通り。


Volatile markets have hurt fund providers in 2018
  ブラックロックやそのカウンターパート企業は、過去最長となっている強気相場の恩恵を大いに享受してきた。株式相場の幅広い上昇が投資家の買い意欲を高め、大量の資金がそれら資産運用会社の指数連動ファンドに流れ込んだ。だが今年はその戦略が裏目に出た。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のデータによれば、上場投資信託(ETF)への資金流入は34%減少し、資産運用会社の収入見通しを悪化させている。

  エドワード・ジョーンズのアナリスト、カイル・サンダース氏は、ブラックロックも「市場の影響を免れない」と指摘。「投資家が様子見に回れば、そうした商品に資金が流入しなくなり、それが脆弱(ぜいじゃく)さをもたらす。市場全体がそういうムードだ」と述べた。

  ブラックロックの広報担当はコメントの要請に対し、ゲーリー・シェドリン最高財務責任者(CFO)が今年行ったプレゼンテーションに言及。シェドリンCFOは、同社が販売するさまざまな投資商品や技術が他社との違いを際立たせていると述べていた。

  当時のプレゼンテーションでCFOは「当社のスケールと多様性が、あらゆる市場サイクルでのより一貫した財務成績、そして将来への投資実行力につながっている」と語っていた。

原題:Bear Market for BlackRock Depicts Worst Fund-Firm Rout Since ’08(抜粋)


リンゼー元FRB理事:米利上げ減速を−トランプ氏の批判は「騒音」
Brendan Murray、Jason Kelly
2018年12月28日 6:56 JST
米金融当局は現実に注目すべきだ、インフレは目標下回る水準
利上げをこれ以上急速に進めることは得策と言えず
リンゼー元米連邦準備制度理事会(FRB)理事は金融当局が利上げペースを減速させる必要があり、金融引き締めに対するトランプ大統領からの批判については「後方の騒音」とみなすべきだと指摘した。

  リンゼー氏はブルームバーグ・テレビジョンとのインタビューで、「大統領については後方の騒音と考えるのが最善だ。米金融当局はそのように受け止めるべきであり、現実に注目すべきだ」とコメント。「実際にはインフレが目標を下回る水準にあり、金融市場はここだけでなく世界中でいくらかストレスを受けているため、これ以上急速に進めることはあまり得策とは言えない」と述べた。

米利上げペース減速の必要があると話すリンゼー元FRB理事。

(出典:ブルームバーグ)
  パウエルFRB議長はここ数カ月間、景気過熱の予防を目指した一連の利上げについてトランプ大統領から相次いで批判を受けてきた。失業率が3.7%と1969年以来最低である一方、インフレ率はFRBの2%目標を下回っている。

  1991年から97年にかけてFRB理事を務め、現在はコンサルタント会社リンゼー・グループの社長兼最高経営責任者(CEO)を務めるリンゼー氏は金融政策について、「利上げするのはインフレの場合だけだ。現時点ではインフレは見当たらない」と指摘した。


原題:Ex-Fed Governor Urges Slower Rate Hikes, Views Trump as ‘Noise’(抜粋)


 
アプライドなど半導体製造装置メーカーが上昇、SOXをけん引
Jeran Wittenstein
2018年12月28日 7:27 JST
メモリー最大手のマイクロン・テクノロジーも3.4%高
SOXは一時2.7%下げる場面も終盤には回復
27日の米株式市場では、テクノロジーセクターで今年のパフォーマンスが最も悪い分野の一つである半導体製造装置メーカーが半導体株の上げをけん引した。

  フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の構成銘柄ではアプライド・マテリアルズ、MKSインスツルメンツ、エンテグリスが値上がり率上位に入った。この日のSOXは一時2.7%下げる場面があったが、最後の2時間で回復し、0.7%高で終了した。

  SOX構成銘柄で今年のパフォーマンス最下位のアプライドは3%高、MKSとエンテグリスはいずれも2.7%高となった。


  半導体需要の鈍化や米中貿易摩擦の激化を受け、半導体製造装置メーカーの株価は低迷。半導体メーカーが設備投資の削減や先送りに動く中で、メモリーの供給量増加も重しになっている。

  米半導体メモリー最大手のマイクロン・テクノロジーはこの日、3.4%高で終了。5月に付けた約1年半ぶりの高値からは49%下落していた。同社は今月、2019年8月期の設備投資予算を90億−95億ドル(約9990億−1兆540億円)に削減することを明らかにした。レンジ中央値に基づくと、従来計画から12億5000万ドルの減額修正となった。

原題:Beaten-Down Chip Equipment Stocks Lead Semiconductor Rebound(抜粋)


 

 


米企業の記録的な自社株買い、弱気心理に太刀打ちできず−29兆円規模
Lu Wang
2018年12月28日 1:13 JST
発表済みの自社株買い、記録上2位の規模−トップは今年4−6月
この間にS&P500種は15%下落、2008年の金融危機以降で最悪
株式相場の下支え役が板に付いているコーポレート・アメリカも、強気相場の延命には限界があると気づいたかもしれない。

  10−12月(第4四半期)に米企業が発表した自社株買いはこれまでのところ、記録上の過去最大に近い規模となっているが、この間にS&P500種株価指数は15%下げ、2008年の金融危機以降で最悪となっている。同指数は今週24日には、弱気相場入りまで2ポイントに迫った。

  自社株買いが資金の無駄遣いだという批判もあれば、そもそも自社株買いは株価にさほど影響しないとの分析もある。しかし市場に強い下向きの力が流れていることを物語っている。10月以降に米企業が発表した自社株買いは、2600億ドル(約28兆8000億円)の大台に乗せた。ビリニー・アソシエーツが1984年に集計を始めたデータによれば、この額を上回ったのは過去に一度だけで、今年4−6月(第2四半期)だった。

  ペン・ミューチュアル・アセット・マネジメントの最高投資責任者(CIO)、マーク・ヘッペンストール氏は「自社株買いはぎりぎり明るい材料だが、現時点では来年の企業利益と経済成長の見通しに対する投資家センチメントの変化に圧倒されている」と解説。「長期的にはバリュエーションを助けるが、短期的には市場を救ってくれると期待するのは難しい」と述べた。

  ビリニーのデータは自社株買いの発表額であり、実行額ではない。ガイダンスとしては完璧ではないが、実行額は発表額を追いかけ、同じ道を進む。


自社株買い、もはや救世主にあらず出所:ビリニー・アソシエーツ、ブルームバーグ
  企業の自社株買いはここ数年で規模が膨らみ、米国株の最大の買い手となっている。相場が荒れた今年2月、ゴールドマン・サックスのコーポレート・トレーディング・デスクに過去最大規模の自社株買いの注文が出された後、相場は底を打った。

  今回も自社株買いが活発になっているが、株式市場で雪だるま式に膨らむ損失に歯止めをかけられていない。株式市場では9月のピーク以降、時価総額にして7兆ドル以上が消失した。

原題:Billions in Buybacks No Match for Bears With Stocks Cratering(抜粋)


 

 

オメガやジャブレ、悲惨な2018年に犠牲となったヘッジファンド
Saijel Kishan、Shelly Hagan
2018年12月28日 4:48 JST
ファンド業界、11年以来で最悪のパフォーマンスへ
ファンドの閉鎖数は金融危機時を大きく下回る、07年以来の低ペース
ヘッジファンドの世界では今年も忘れたい1年だった。

  マネジャーが若手かベテランかに関わらず、規模や知名度もさまざまなファンドが店じまいした。変動の激しい株式や原油相場の大幅安に見舞われた市場を乗り切れなかったマネジャーが多く出た一方、高リスクや長期投資に切り替える決断をした者、もう十分だとして去る者もいた。3兆2000億ドル(約354兆円)の業界全体は今年、2011年以来となる低パフォーマンスを記録することになりそうだ。

  ただ、T・ブーン・ピケンズ氏やレオン・クーパーマン氏を始めとする著名マネジャーのファンド閉鎖があったが、ヘッジファンドリサーチの調べによると、563のファンドが店じまいした2007年以来、今年は最も低ペースで、9月末までに約444のファンドが閉鎖となったに過ぎない。金融危機が起きた08年は1471だった。以下に今年の主な閉鎖を列挙する。

1月
BPキャピタル、ヴェラザーノ、イバルディなど
戦略:商品、株式ロング・ショート

BPキャピタルを閉鎖したピケンズ氏写真家:David Paul Morris /ブルームバーグ
3月
ペナント・キャピタルなど
戦略:株式ロング・ショート
6月
ペロリュス・ジャック、ブロックハウスなど
戦略:株式ロング・ショート
7月
オメガ・アドバイザーズ、ビルク・コモディティーなど
戦略:株式ロング・ショート、商品

オメガ・アドバイザーズをファミリーオフィスに転換するクーパーマン氏写真家:Christopher Goodney / Bloomberg
10月
トゥールビヨン、SPOパートナーズ、ハイフィールズなど
戦略:株式ロング・ショート、バリュー投資
11月
ブレナム、グラス・キャピタルなど
戦略:商品、イベントドリブン
12月
アバートン、ジャブレ、リバー・バーチ、BBLコモディティーズ、 トリカディアなど
戦略:株式ロング・ショート、マルチ戦略、商品、クレジット
原題:Omega, Jabre Capital Among Hedge Fund Casualties in Dismal 2018(抜粋)
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iFYRWaEBIE6A/v1/593x-1.png

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-27/-110


 
米消費者信頼感指数:12月は低下−労働市場の見通しが大きく悪化
Jeff Kearns、Shobhana Chandra
2018年12月28日 0:15 JST 更新日時 2018年12月28日 2:23 JST
12月の米消費者信頼感指数は大幅に低下し、7月以来の低水準となった。特に労働市場に関する見通しが過去41年で最大の悪化となり、株式相場の変動や景気減速で消費者の楽観が後退しつつあることが示唆された。

  米民間調査機関コンファレンスボードが27日発表した12月の消費者信頼感指数は128.1と、前月の136.4から低下。ブルームバーグが実施したエコノミスト調査での予想全てを下回った。市場予想の中央値は133.5。期待指数は大幅に下げて2年ぶり低水準となった。今後6カ月に雇用が増えると回答した比率は16.6%と、前月の22.7%から大きく低下。低下幅は1977年以来の大きさとなった。


  コンファレンス・ボードの景気指数担当シニアディレクター、リン・フランコ氏は発表文で、「期待指数の2カ月連続低下は、経済成長ペースが2019年上期に減速し始めるとの懸念が強まっていることを反映している」と指摘した。 

  12月は高額商品の購入予定に関する見方も後退。向こう6カ月に自動車や住宅、大型家電を購入する計画があると回答した比率は全て低下した。

原題:U.S. Consumer Confidence Falls as Job Expectations Plunge (1)(抜粋)

(統計の詳細を追加し、更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-27/PKEZGH6KLVR701


 


【今朝の5本】仕事始めに読んでおきたい厳選ニュース
宮沢祐介
2018年12月28日 6:18 JST
米政府機関閉鎖続く、消費者信頼感が悪化、FRB議長も会談前向き
都区部CPI、米企業最高の自社株買いも株安助けず
米株相場はダウ工業株30種平均が一時600ドル超の下げとなりましたが、取引終了にかけてプラス圏に浮上、不安定な値動きが続いています。「今朝の5本」の年内配信は今日が最後で、新年の再開は1月4日(金)となります。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

手詰まり続く
米下院は28日も採決する計画はない。下院指導部の関係者が明らかにした。これは少なくとも今週末も一部の政府機関が閉鎖されたままとなることを意味する。イラク訪問から帰国したトランプ氏は閉鎖の影響で給与を支給されない連邦政府職員の大半は民主党員だとツイート。つい数日前には、そうした職員は国境の壁と政府機関の閉鎖を支持していると語っていた。

米消費者の楽観後退
12月の米消費者信頼感指数は128.1と、前月の136.4から大幅に低下し、7月以来の低水準。特に労働市場に関する見通しが過去41年で最大の悪化となり、株式相場の変動や景気減速で消費者の楽観が後退しつつあることが示唆された。これによりドルが売られた。

直接会談
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、トランプ大統領との会談が提案されれば恐らく断らないだろうとホワイトハウス関係者に述べ、会合の可能性を閉ざしていない姿勢を示したと、米紙ウォールストリート・ジャーナルが伝えた。トランプ氏は会談に前向きだと側近に話したという。

都区部CPI、鉱工業生産
全国の物価の先行指標となる12月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比0.9%上昇と、11月の1.0%からの減速が見込まれている。総合CPIは0.5%上昇(前月は0.8%上昇)の予想。11月の鉱工業生産は前月比1.5%減少(前月は2.9%上昇)の見込み。

それでも弱気
米企業が10−12月に発表した自社株買いは2600億ドル(約29兆円)台と、過去最高水準。ただ、この間にS&P500種株価指数は大幅に下げ、週初には弱気相場入りまで2ポイントに迫った。ペン・ミューチュアルは自社株買い増加は明るい材料としながらも、「現時点では来年の企業利益と経済成長見通しに対する投資家心理の変化に圧倒されている」とし、短期的に市場を救う材料とはなりにくいと指摘した。

その他の注目ニュース
クレジット悲観論、すべて忘れて深呼吸を
貿易の保護主義、来年の世界成長を抑制へ−ECB
中国人民銀、穏健な金融政策を維持
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-27/PKEH52SYF01S01

ECB:貿易の保護主義、来年の世界成長を抑制へー経済報告
Piotr Skolimowski
2018年12月28日 1:35 JST
欧州中央銀行(ECB)は保護主義の高まりが貿易の伸びを抑制し、世界経済は来年に減速するとの予測を示した。

  ECBは27日発表した最新の経済報告で、経済活動は引き続き世界的に底堅さを維持しているが、不均等さが増し、勢いが緩やかになっている兆候が一段と明白になりつつあると指摘。さらに貿易の伸びが世界的に弱まっており、今後の通商関係を巡る不透明感が高まったと分析した。

  同報告でECBは、「今後について見ると、世界的な経済活動は2019年に減速が見込まれるが、その後安定して推移するだろう。余剰能力の縮小に伴い、世界のインフレ圧力は緩やかに上昇すると予測する」としている。

原題:ECB Says Trade Protectionism Will Crimp Global Growth Next Year(抜粋)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-27/PKEIYH6JIJUR01

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/337.html

[経世済民130] 人間はおカネのために働くのか 働き方の未来 選択できることこそ重要 大学生のリアルな指摘にドッキリ? 中小企業採用最前線
人間はおカネのために働くのか

働き方の未来

選択できることこそ重要

2018年12月28日(金)
磯山 友幸


カルロス・ゴーン容疑者による特別背任事件の決着はまだ長引きそうだ(写真:竹井 俊晴)

日本の報酬体系はグローバル水準から逸脱


 人は何のために働くのだろうか。生きていくためにはおカネが必要なので、「労働の対価」としてそれを受け取る。だからと言って、人は「おカネのため」だけに働くものなのだろうか。

 2018年は「報酬」を巡る話題が花盛りの年だった。11月に突然逮捕された日産自動車会長(当時)のカルロス・ゴーン容疑者による特別背任事件は、報酬の過少記載が突破口だった。政府の資金を運用する官民ファンド、産業革新投資機構(JIC)を舞台にした経済産業省と経営陣の衝突も、報酬が高すぎるという首相官邸の横やりで経産省が態度を一変させたことが民間人取締役を激怒させ、9人がそろって辞表を叩きつける事態に発展した。

 AI(人工知能)やバイオテクノロジーなど先進分野で、一級の学者が日本の大学にやって来ないのは、報酬水準が低すぎるからだとの声も上がった。もはや日本の管理職の報酬は、中国企業の管理職よりも安いといった報道もあった。

 要は、日本の報酬体系がグローバルな仕組みから大きく劣後していることが様々な問題を引き起こしたわけだ。このままでは、優秀な人材はみな海外に逃げてしまう。日本は沈没してしまう、という識者の危機感は十分に理解できる。

 だが、おカネを出しさえすれば優秀な人材が集まるのか、高い報酬さえ保証すれば、人は全力で働くのかと、ふと考えてしまう。逆に言えば、安月給にもかかわらず、全力で働く人は否定されるのか。

 報酬はその人の評価のひとつのモノサシであることは間違いない。日産自動車を破綻の危機から救ったゴーン容疑者は、10億円を超す年間報酬をもらっても飽き足らなかった。自分の働きには、もっと価値があると信じていたに違いない。

 かつてゴーン氏が絶頂の頃、会社を立て直した大手製造業の経営者に「いったい〇〇さんは会社の株価を何倍にしたのか」と聞いたと言う。これに日本人社長が「X倍だね」と答えると、ゴーン氏はこう言い放ったそうだ。「それなら報酬を今の10倍もらうべきだ」。

 日本人社長は苦笑交じりに「あんたのような顔をしていたら、もらえるんだが」と答えたそうだ。つまり、外国人だったら高い報酬を得られても、日本人経営者はそこまで貪欲になることは許されないというわけだ。

 何事にも中庸を求める日本人は、巨額の報酬をもらって当然だとはなかなか言えない。自分だけ多額の報酬を得れば、世間の目が許さない。そんな意識が日本の経営者には根付いている。

 それでもここ10年で、日本の経営者の報酬は大幅に上昇した。1億円以上の報酬開示が始まった2010年に、1億円以上の報酬を得る役員がいた会社は166社で、289人だった。それが、2018年には240社538人へと大きく増えた。かつては1億円以上もらうのは創業社長と相場が決まっていたが、最近では総合商社や大手電機メーカー、金融機関まで幅広い業種で1億円プレーヤーが誕生している。

おカネよりも社会貢献が重要だという風潮も
 では、こうした経営者のキャリアパスや働き方も欧米型に変わったのか、というとそうではない。欧米のCEOは業績が悪ければすぐにクビになる。取締役も成果を上げられなければ席はなくなる。高い報酬はそうしたリスクへの対価とみることもできる。

 ところが、日本の経営者は報酬が低い代わり、よほどのことがない限り、途中でクビになることはない。終身雇用が前提のサラリーマンとして会社に入り、役員となることで定年後も会社に残ることができた人がほとんどだ。身分保障があって突然失業するリスクがないのだから、報酬が低くても仕方がないとも言える。

 そういう意味では、最近のサラリーマン社長が数億円の年俸を得るようになったのは「いいとこ取り」とも言える。しかも、デフレに苦しんだ日本企業を立て直して、高額報酬をもらっている経営者たちの多くは、リストラによって人員削減をした結果、業績を回復させた。高額報酬を得る代償に、多くの人たちの涙があったとみることもできる。それでも業績を回復させたのだから、高額報酬を得るのは当然だと言い切れるのかどうか。

 もちろん、高い報酬をもらわずに働くのが日本人の美徳だなどと情緒的なことを言うつもりはない。今後、日本企業の報酬体系や雇用の仕組みは、どんどん欧米型になっていくだろう。国境を越えて人が動き回り、企業も世界中から優秀な人材を集めるようになると、人事制度や報酬がグローバル水準にサヤ寄せされていくのは当然のことだ。とくにグローバルな競争にさらされる分野の企業や組織では、グローバル水準の報酬を支払うのが当然になるだろう。

 それに伴って終身雇用や年功序列賃金という「日本型」と言われてきた仕組みは大きく崩れていくに違いない。実際、今年の国会で成立した「働き方改革関連法」では、時間によらない報酬体系を認める「高度プロフェッショナル制度」が導入された。これは日本型雇用制度に風穴を開けることになるに違いない。

 日本型の雇用制度は、悪いところばかりではなかった。だが、経済成長が止まり、デフレが企業を襲った中で、年功序列の人事制度が、企業の成長を阻害する要素になってしまった。日本企業が成長の壁にぶつかり、それを突き破るにはグローバル水準の仕組みに変わらざるを得なくなった、ということだろう。

 それでも、日本の会社や組織のすべてがグローバルな仕組みに変わる必要があるのかといえば、そうではないのではないだろうか。企業によっては終身雇用を続け、定年もなく、生涯働ける仕組みを取り続けてもよいのではないか。世界をみても欧州では生涯1つの会社で働くという人たちもたくさんいる。

 多額の報酬を払わなければ優秀な人材が来ない、というのは、グローバルに競争する企業や組織には当てはまるが、そうした日々競争を求められる働き方は嫌だ、という人たちもいる。安月給でも自分のやりたいことをしたいという人はいるのだ。

 学生や社会に出たての若者と話していると、最近は「やりがい」や「社会のため」に働きたいという声を多く聞く。おカネよりも社会貢献が重要だと言うのは最近の風潮で、世の中全体が「食うに困る」ことがなくなったことが要因のひとつのように思う。まさに、衣食足りて礼節を知る、ということだろう。

 雇用制度や報酬体系がひとつである必要はない。労働基準法という単独の法律でグローバル企業から町の商店までを縛ろうとするから無理がくる。労働基準法Aと労働基準法Bがあって、どちらを採用するか企業が決め、それを働く側が選択する。ガリガリのグローバル基準で働き高い報酬を得るのか、報酬は低くてもやりがいのある仕事をするのか。それこそまさに多様な働き方ではないだろうか。


このコラムについて
働き方の未来
人口減少社会の中で、新しい働き方の模索が続いている。政官民の識者やジャーナリストが、2035年を見据えた「働き方改革」を提言する。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/021900010/122700083/


 

大学生のリアルな指摘にドッキリ?
欲しい人はこう採れ! 中小企業の採用最前線
プレゼンは定型の繰り返しにしない

2018年12月28日(金)
日経BP総研 中堅・中小企業ラボ

 2019年も、多くの企業が積極的な採用活動を展開すると見られ、中小企業が採用に苦労することに変わりはなさそうだ。厳しい採用環境が続く中、ブランド戦略のコンサルタント・村尾隆介氏は独自のブランディング手法を用いることで、中小企業の採用をバックアップしてきた。

 村尾氏は特に、求職者のための合同企業説明会などでのプレゼン力を付けるための指導に力を入れている。今回、同氏のプレゼン特訓に臨んだのは、高知県土佐市の廣瀬製紙。特別に大学生3人にも参加してもらい、リアルな質疑応答が繰り広げられた。廣瀬製紙のリクルートチームはこれにうまく対応できただろうか。

 廣瀬製紙は高知県土佐市の自然に囲まれた環境の中にある。創業は1958年で従業員はおよそ140人。同社は不織布製造の分野で、高い技術を持っており、我々に身近な製品も数多く製造している。

 例えばカステラの上にぴったりかぶせてあるシート。剥がしてもカステラがくっ付かない仕様には独特の製造ノウハウがある。また、花粉を99%カットする三次元マスクなどにも同社が開発した技術が使われている。

 現在、特に売り上げが伸びているのは、海水を淡水化し、生活に使用できる水に変えるフィルターだ。日本には豊富に水があるが、海外では深刻な水不足に悩んでいる国も多い。そのような国で廣瀬製紙の技術が役に立っているという。現在、取引先の7割を海外が占めている隠れたグローバル企業なのだ。

 ところが、優れた技術や製品を持っている同社も、そのことをうまくPRできず人材不足に苦しんでいるという。


村尾隆介(むらお・りゅうすけ)氏
中小企業のブランド戦略を手掛けるコンサルタント。スターブランド社の共同経営者・フロントマン。14歳で単身渡米し、米ネバダ州立大学教養学部政治学科を卒業後、本田技研工業に入社。退社後、食品の輸入販売ビジネスで起業。事業売却を経て現職。日本に中小企業のブランディングブームを起こした第一人者。『今より高く売る!小さな会社のブランドづくり』(日経BP社)など著書多数。日経BP総研 中堅・中小企業ラボの客員研究員として、すごサイ(すごい採用プロジェクト)を監修する(写真:鈴木達文)
 今回、同社の5人のリクルートチームメンバーがプレゼン特訓に臨んだ。プレゼン発表会に参加したのは、リーダーを務める専務取締役の馬醫(ばい)光明さんをはじめ3人。残りの2人は業務の都合により、録画映像での参加となった。

 村尾氏は練習会に当たり「今日は実際に学生が参加してくれています。緊張していると思いますが、何より楽しんで話すことが大事。それが学生にも響き、ファンをつくることにつながります」とアドバイスした。

 まずはトップバッターである専務の馬醫さんが会社の全体を紹介した後に、営業・製造・品質・経営管理グループの各メンバーが部門の業務内容を説明する流れだ。

 馬醫さんがアピールしたのは大きく3点。「業界初、世界初にこだわったものづくり」、海外の取引先が7割の「グローバル企業である」こと。そして、UターンやIターン、大企業出身者など「豊富な人材が集まっている」ことだ。

 そんな廣瀬製紙が求める人材は、「自然が大好きな人」「ロダン顔負けなくらい考える人」「(坂本)龍馬みたいに行動する人」だと伝えた。


まず専務の馬醫さんが登場し会社全体を説明した。「業界初、世界初にこだわったものづくり」、海外の取引先が7割の「グローバル企業である」こと。そして、UターンやIターン、大企業出身者など「豊富な人材が集まっている」ことをアピール
業務内容とやりがいを語る
 2番目は、中途入社2年目の杉本圭央さんが営業の業務について紹介。営業は会社の司令塔で、お客様の声を開発の現場に伝えることが役割だと説明した。

 また、海外のお客様と接することができるのが魅力で、引き合いもどんどん増え、やりがいがあると熱弁を振るった。営業を繰り返して製品化が実現すれば、お客様が長期間ファンになってくれる、また製品を購入してくれるという流れにもやりがいを感じると披露。

 3番目は映像でのプレゼン参加となった製造チーム。まず、紙の製造工程を詳細に説明。そのうえで、製造チームは休みの日も一緒に出掛けるほど仲がいいと雰囲気の良さをアピールした。

 製造現場にあるやりがいとしては、技術を習得できたときに成長を感じる点を挙げた。そして、自分たちが製造した製品が店頭に並んでいるのを見ると、自分の仕事が社会の役に立っていることを実感できることも充実感につながっている。

 4番目は、同じく映像での参加となった品質向上グループ。製品の品質をチェックし、改善を提案する役割を担う。やりがいは、チームで仕事を成し遂げたときの達成感だと話した。

 最後は、リクルートチーム唯一の女性である経営管理グループの小松知栄さんだ。

 経営管理グループは、原価管理やコストダウン計画などの財務管理から人事、外国人インターンシップの受け入れ、社員教育と幅広い業務を4人の社員でこなしている。自分たちは経営の羅針盤であると話した。

 やりがいは、自己成長を感じられたときだという。経理や特許、法務など、専門的な知識が求められるので勉強が欠かせないが、難しいからこそ日々成長できると語った。

 プレゼン終了後は、本番の企業説明会と同様に質疑応答が設けられ、実際に大学生からさまざまな質問が出た。

 まずはRさんから「入社したら、いろいろなグループで仕事をするというよりは、一つの仕事を極めるというイメージなのか」という質問があった。入社後の仕事内容やその後のキャリアパスは学生にとってやはり気になるポイントのようだ。

 これに対し、馬醫さんは「事務職の経理や営業、生産管理、購買など多様な業務があるが、面接で適性を判断して配属を決める。最初の部署で3〜5年働き、その後本人の希望を聞きながらローテーションしていくことが多い」と返答した。

 Kさんからは「今、最も力を入れている製品は何ですか?」という具体的な質問が出た。

 これに対しては、「海水の淡水化フィルターは世界中でマーケットが広がっている。また、今後は再生医療分野にも挑戦していく」と馬醫さんが返答した。

 グローバル展開について興味を示したのはAさん。「具体的に、どの地域の国と関わりが深いのか、また出張や会議など交流の仕方はどのようなものがあるのか教えてほしい」と、現場の様子を知りたがった。

 馬醫さんは「取引先はいろいろな地域に及ぶが、アジアでは中国や韓国が多い。英語圏は現地の代理店を通しており、将来的には自社の拠点を設立したいと考えている。今後注目しているのはベトナム。ベトナムからの採用も強化したい」と話した。

 経営や業務内容に関する質問が続いた中で、Rさんから根本的な質問が飛び出した。「皆さんは、なぜ廣瀬製紙に入社されたのでしょうか?」というものだ。メンバーそれぞれが入社当時を思い出して回答していった。

 営業の杉本さんは「もともと海運代理店で仕事をしていた。そのときに得た貿易書類の作成といった自分が持っている知識を、取引先の7割が海外である廣瀬製紙で生かしたいと思った」と話した。

 経営管理の小松さんは「父親が廣瀬製紙で働いていたという縁はあったが、初めはまったく興味がなかった。しかし、ナノファイバーの事業が立ち上がった際に、人材を募集しており、今までにないものを作るという挑戦に、自分も協力したいと思った」と言う。

 馬醫さんは「もともと大手メーカーに勤めていたが、海外の事業を畳むことになり、メンバーのリストラをしなければならなかった。精神的に疲れて、妻の実家である高知で新たな生活を始めた。地方なのに、最先端の技術を持つ廣瀬製紙の存在を知り、興味を持った」と振り返った。


プレゼン終了後、学生はプレゼンターに対し彼らの入社理由を聞いた。馬醫さん(左)、小松さん(中)、杉本さん(右)は照れながらも当時のことを正直に語った
村尾氏講評「フォーマット化を崩す工夫を」
 質疑応答を終わった時点で、大学生たちの感想をもとに、村尾氏が講評した。

 大学生のAさんが、廣瀬製紙の事業や仕事はまったく知らない分野の話で、専門用語が多かったと戸惑い気味だったことに対し、村尾氏が次のように対策をアドバイスした。

 「社会人になって時間がたつと、当たり前だと思って使ってしまう言葉も、大学生には意味が分からないことが多い。専門用語は使わず、丁寧な説明を心掛けるべき。例えば、単に海水から淡水化すると言っても、ピンと来ないので、世界情勢やニュースの内容から入ると親しみがわく」

 また、同じAさんからは「プレゼンターの全員が、仕事のやりがいを紹介します、と言っていたのが”言わされている感”があり、本当のやりがいには聞こえなかった。もう少し自然な形で導入できると良かったのでは」という鋭い指摘もあった。

 関連してRさんも、「仕事のやりがいとして、達成感や自己成長を挙げるのはやや当たり前に感じた。もう少し、こういう仕事で何を達成できてうれしかった、など、具体例があると気持ちが伝わったと思う」と感想を伝えた。

 これらに対して村尾氏は、「良くも悪くも、学生たちはプレゼンターを見透かしていて、フォーマット通りに言わされているというのは敏感に感じるもの。そこを崩していくのも工夫のしどころ」と話した。

 全員が同じタイミングでやりがいに触れるので、言わされている感が出た。そこで、5人中2人はプレゼン中ではなく、終了後に「ここで学生からよく聞かれるのがやりがいは何だという話ですが……」とつなげていくことを村尾氏が提案。プレゼンのパターンを崩すことで、フォーマット感が薄まるのだ。

「どうキャリアアップできるか」の説明も
 このほか、村尾氏からは、唯一の女性である小松さんには、学生が気になる女性としての働き方、キャリアアップについてぜひ語るべきというアドバイスがあった。

 女性の働き方について説明する際も、プレゼンがすべて終わったあとに質疑応答のような形でプレゼンターのほうから「ここでよく聞かれるのは女性の働き方についてなのですが〜」と話していくと自然な形になる。このように一つ目の質問を自分たちで導入すれば、学生たちからも質問が出やすくなる効果もあるという。

 また、グローバル企業についてのアピールについては、「取引先の7割が海外」と聞いても、そのすごさは学生には伝わりづらい。「ホンダやキッコーマンと同じ割合だ」と比較して説明すると、中小企業でも興味を引きやすくなると村尾氏は指摘した。

 ただし、あまりグローバル企業であることを強調しすぎると、今度は英語が苦手な学生は不安に思ってしまう。そのため、入社後に語学のフォロー研修があることなどを一言伝えることで不安が払拭される。

 製造技術や財務の専門技術についても同様で「好きであることは大事だけれど、今技術が習得できていなくても大丈夫。入社後に習得できる」ということを伝えるとよいと村尾氏はアドバイスした。

 特訓後、すぐにも本格的に採用活動に取り組んでいくという廣瀬製紙。大学生の意見を参考に、一層プレゼン内容をさらに磨き、どのような人材を獲得していくのか、注目したい。


廣瀬製紙は、2018年12月1・2日に大阪と東京で開催された「高知就職・転職フェア2018冬」に出展。プレゼン力を高めただけでなく、ブースを飾る椅子カバーや写真入りタペストリーなども用意して臨んだ。東京会場(写真)では、馬醫さんの説明にじっくり聞き入る参加者の姿があった
(構成:尾越まり恵、編集:日経BP総研 中堅・中小企業ラボ)

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欲しい人はこう採れ! 中小企業の採用最前線
 採用活動は売り手市場が続き、人材が集まらないと悩む中小企業は多い。その中で、自社のブランド価値を磨いて情報発信力を高め、欲しい人材の獲得に成功している企業が出てきている。欲しい・辞めない社員を獲得するために、今、何をすべきなのか。採用難に勝つための最新奮闘事例を日経BP総研 中堅・中小企業ラボが紹介する。


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http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/338.html

[政治・選挙・NHK255] 変わる防衛政策、日本は 「矛」を持つべきなのか 田原総一朗の政財界「ここだけの話」日本に厳しい条件を突きつける米トランプ
変わる防衛政策、日本は 「矛」を持つべきなのか
田原総一朗の政財界「ここだけの話」
日本に厳しい条件を突きつける米トランプ政権

2018年12月28日(金)
田原 総一朗


安倍政権は第2次内閣発足から6年となった(写真=つのだよしお/アフロ)
 12月18日に防衛計画の大綱が発表され、大きな反響が出ている。

 今回の中期防衛力整備計画に盛り込まれたうち、最も注目されるのは、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」型護衛艦を空母化し、米国製ステルス戦闘機F-35BライトニングIIを離発着させることだ。

 これまで日本は、憲法上「専守防衛」を安全保障の基本方針としてきた。つまり、敵に攻撃された時、日本は「盾」となって守り、米国が「矛」となって反撃するということだ。

 そのため日本は、攻撃用の船を持たないとしてきた。また、船にヘリコプターを搭載しても、戦闘機は乗せなかったのである。

 ところが今回の中期防では、F-35Bという戦闘機を投入することになった。これは明らかに攻撃を意識している。従来の専守防衛を大きく逸脱する可能性があるということだ。一部のメディアは、日本はついに専守防衛をすでに超え、大変な事態となった、と指摘している。

 僕はこの問題について、自民党の中堅以上の議員ら7〜8人に意見を求めた。すると、「問題あり」だという答えは一つも出なかったのである。防衛問題に関心を持つ文化人らにも話を聞いたが、はっきりと「問題がある」と答える人はごく少数だった。

 「専守防衛はいいけれど、日本も米国に協力しながらも自国で国防の役割をするのは当然ではないか」という意見が勝っている。個々の防衛手段がとれるからこそ、他国からの攻撃の抑止力にもなり得るのではないか、という意見が増えているのである。

戦えない軍隊だったからこそ、日本は平和だった
 少し前はまったく状況は違っていた。

 例えば、竹下登氏が首相になった時のことだ。僕は竹下氏に、「日本には自衛隊というものがあるけれど、戦えない軍隊じゃないか。それでいいのか」と尋ねたことがある。すると竹下氏は、「だからいいんだ。戦えない軍隊だから、日本は平和なんだ」と答えた。

 軍隊というものは、戦えるならば戦ってしまう。太平洋戦争が始まったきっかけも同じである。

 戦争を知る世代の総理大臣は、「軍隊というものは、仮に勝てなくても、戦えるなら戦ってしまう」ことをよく分かっていた。戦えない軍隊だからいいんだ、と考えていたのである。これは竹下氏のみならず、歴代総理大臣である宮沢喜一氏、田中角栄氏、小泉純一郎氏も同様の意見を持っていた。

 日本は対米従属だが、その代わりに憲法9条を盾にして、70年以上戦争に巻き込まれるのを回避してきた。だからこそ、戦後のほとんどが自民党政権だったが、歴代首相は誰も改憲を掲げなかった。

 ところが冷戦が終結し、徐々に日本国内で「自立論」が広がり始めた。冷戦時では、日本の敵はソ連だった。日本が戦って勝てるわけがないから、米国に守ってもらう必要があり「対米従属論」の姿勢が支持されていた。

 冷戦後、特にリベラル派は「もうその必要はなくなり、自立すべきではないか」といった意見を主張し始めたが、一方で正反対の見方も強まった。日本はこれまで米国の防衛力に依存してきたが、米軍は日本から撤退する可能性もある、という見方だ。この立場からは、日本は対米関係を今まで以上に密にしなければならないのではないか、となる。こうして「米国からまともに相手にされる国になるべきだ」との意見が出始めたのである。

 こういった意見を強く主張したのは保守系の学者たちであった。さらには保守系のメディア、自民党も同様である。

トランプ政権から、米国の日本に対する要求が変わった
 保守系の学者や自民党の目標は、集団的自衛権の行使を容認することだった。安倍晋三首相は2015年5月にこれを実現した。さらにその後、16年の参議院総選挙で、改憲勢力は3分の2議席を獲得した。

 僕はこの年の9月、安倍首相と直接会って話をした。「そろそろ憲法改正か」と話すと、こんなことを言われた。「大きな声では言えないが、実は、憲法改正をする必要がなくなった」。

 なぜかと聞くと、「集団的自衛権の行使ができない時は、米国から相当な圧力があり、日米関係が危なくなるリスクがあった。ところが安全保障関連法が施行されて集団的自衛権を行使できるようになると、米国は何も言ってこなくなった。米国は、これで満足したから、憲法改正をする必要はなくなった」と話した。

 オバマ政権までは、確かに安倍首相の言うように、米国は集団的自衛権の行使容認だけで納得していたようだ。

 しかし、トランプ氏が大統領に就任すると、流れが大きく変わる。次から次へと高い兵器の購入を迫った。さらにトランプ氏は、「日本の防衛費はGDP比1%となっているが、2%に引き上げるべきだ」と主張してきた。

 特に最近は、マティス国防長官の辞任を発表した。彼はトランプ氏の唯一の「抑止力」だった。米政権は12月19日、シリアからの米軍の完全撤退を宣言。さらには今後、アフガンからも撤退する可能性もあるという。とんでもない話である。下手をすれば、韓国からも撤退する可能性すらある。

 日本に対しては、貿易や軍事に対し、強いプレッシャーをかけている。ここで日本はどうすべきか。非常に大きな問題である。

日米貿易交渉は、極めて厳しいものになるだろう
 もう一つ、大きな問題がある。

 19年1月以降に行われる日米貿易交渉において、米政府が対日要求事項22項目を正式に公表した。日本政府はこれに対し、「これは物品貿易協定(TAG)である。サービスなどを含む自由貿易協定(FTA)ではない」と強調している。

 TAGとは、モノの貿易に限るという意味であるが、米国が公表した項目を見る限り、情報通信、知的財産、金融サービスも含まれている。これは明らかにTAGではなくFTAである。

 交渉は日本にとって相当厳しいものになるのではないかと思われる。19年には大きな問題になるだろう。


このコラムについて
田原総一朗の政財界「ここだけの話」
ジャーナリストの田原総一朗が、首相、政府高官、官僚、財界トップから取材した政財界の情報、裏話をお届けする。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/122000032/122600101/
http://www.asyura2.com/18/senkyo255/msg/512.html

[戦争b22] イスラエル軍の元「サイバー戦士」が日本に警鐘 展望2019年 確実に来る未来 取引先を狙うハッカーに備えよ 
イスラエル軍の元「サイバー戦士」が日本に警鐘
展望2019年 確実に来る未来
取引先を狙うハッカーに備えよ

2018年12月28日(金)
吉野 次郎

アミ・ハユン氏、アサフ・ダハン氏
米サイバーリーズン日本法人
日本を狙うサイバー攻撃は2019年も増加傾向が続きそうだ。国家の「サイバー戦士」としてイスラエル軍8200部隊でハッキングを手掛け、現在は米情報セキュリティー会社、サイバーリーズンの日本法人に勤めるアサフ・ダハン氏とアミ・ハユン氏に、19年に注意が必要な手口を聞いた。


米サイバーリーズン日本法人のアミ・ハユン・シニアディレクター(左)とアサフ・ダハン脅威情報責任者(右)
日本企業は19年にどのようなサイバー攻撃に身構えるべきでしょうか。

アミ・ダハン氏(以下、ダハン):ビットコインなど仮想通貨を窃取するサイバー犯罪は下火になり、代わりに通常の資金を狙うサイバー攻撃が増えるでしょう。仮想通貨は匿名性が高く、これまでサイバー犯罪に多用されてきました。例えばパソコン内のデータを勝手に使えなくして、元に戻す見返りに仮想通貨の支払い要求する「ランサムウエア」と呼ばれるコンピューターウイルスが流行しました。

 ところが18年に相場が下落したことを受けて、仮想通貨を窃取する旨みは薄れました。このため19年は通常の資金を狙うサイバー攻撃が増えるでしょう。金融機関や一般企業が資金をやり取りするシステムなどが狙われます。

企業はどのような点に注意して自社のシステムを守ればよいでしょうか。

ダハン:ハッカーはサイバー攻撃対策が甘い部分を狙ってきます。それは社内ではなく、取引先など社外のシステムかもしれません。取引先を狙うサイバー攻撃を「サプライチェーン攻撃」と呼びます。例えば社外のソフト会社が提供する会計ソフトを利用しているとしましょう。ソフト会社のシステムにハッカーが埋め込んだウイルスが潜んでいれば、会計ソフトを利用している企業はアップデート時に感染してしまいます。

 取引先を経由するサイバー攻撃は現実に発生しています。残念ながらサプライチェーン攻撃の増加傾向は19年も続くでしょう。サプライチェーン全体での対策が求められます。

従来のパスワードに代わって、指紋や虹彩、顔などの情報を使ってログインする生体認証技術の普及が19年に加速しそうです。

アミ・ハユン氏(以下、ハユン):生体情報を保管するデータベースがハッキングされれば一大事です。パスワードの場合、流出しても変更すれば被害を防ぐことができます。しかし生体情報は一生変えることができません。第三者になりすまされる被害がずっと続く恐れがあります。生体情報を保有する企業は細心の注意が必要です。

ハッカーに寛容な文化が必要
日本政府は先ごろ、自衛隊によるサイバー反撃能力の保有を明記した「中期防衛力整備計画」を閣議決定しました。サイバー攻撃の分野では「先輩」に当たるイスラエル軍8200部隊の出身者として、自衛隊への助言はありますか。

ハユン:サイバー攻撃能力は短期間で高められるものではありません。まずハッカーに寛容な文化を育む必要があります。よほど悪いことをしたのなら仕方ありませんが、それ以外であれば大目に見て、彼らの才能を部隊に取り込む度量の大きさが求められます。サイバー攻撃ソフトを自前で作れる能力も必要です。攻撃ソフトは外部から簡単に調達できますが、本当に必要な威力は保障されません。さらに攻撃元を特定する分析力も不可欠です。攻撃してきた相手を特定できなければ、日本から反撃しようがありません。相手は攻撃元が分からないように、第三者になりすますことも多く、極めて高い分析力が求められます。

 ともあれ日本が攻撃能力を持つことは喜ばしいことです。攻撃者の心理が深く理解できるようになり、より効果的に防御することが可能になるはずです。8200部隊も攻撃部門と防御部門に分かれており、訓練で攻防戦を繰り広げることで攻撃と防御の両方の能力を高めています。


このコラムについて
展望2019年 確実に来る未来
 消費増税、人手不足、新天皇即位、国際情勢の流動化……。

 2019年に深刻化する社会問題や、経済のイベントはおおよそ分かっている。「荒れる」といわれることの多い亥年でも、「確実に来る未来」を分析することは決して難しくない。

 猪のごとく突進してくる試練をしのぎ、目の前の商機を嗅ぎ分けるため、賢人たちに2019年の予測を聞いてみよう。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/16/122100032/122600004
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/481.html

[政治・選挙・NHK255] 「冷戦1.0」時代と決定的に異なる「冷戦2.0」米中の構造的・長期的対立の中で重要性を増す「新防衛大綱」 
「冷戦1.0」時代と決定的に異なる「冷戦2.0」米中の構造的・長期的対立の中で重要性を増す「新防衛大綱」
2018.12.28(金) 樋口 譲次
「貿易戦争」、今後3か月は両国にとって重要な時期
「貿易戦争」、今後3か月は両国にとって重要な時期〔AFPBB News〕

ペンス演説の本気度を疑った中国
 マイク・ペンス米副大統領が2018年10月に行った中国との対決を宣言した演説(「対中対決宣言」)は、ドナルド・トランプ政権の公式見解であるにもかかわらず、中国は同演説の本気度を疑ったようである。

 ボブ・デヴィスとリングリン・ウェイが共同執筆した『米中の打算と誤算、貿易戦争の瀬戸際へ 』と題するウォールストリート・ジャーナル日本版の記事(2018年11月30日)は、米中貿易戦争に至った経緯を克明にフォローしている。

 その中で中国は、ペンス副大統領の対中対決宣言を、「中国の台頭を抑えようとする米国の包括的な戦略を示すものなのか、中国への圧力を強めるための交渉戦術なのかを議論した」と書いている。

 東西冷戦がそうであったように、冷戦がいつ始まったかは、後になってから分かるものだ。それが歴史である。

 英国のウィンストン・チャーチル首相が、米国ミズーリ州フルトンで「バルト海のステッテンからアドリア海のトリエステまで、ヨーロッパ大陸に鉄のカーテンが降ろされた」と演説したのは、1946年3月であった。

 しかし、世界の人々が東西冷戦の幕開けを実感したのは、チャーチルの指摘から遅れること約3年後、1949年のドイツの分離独立からであった。

 もうすでに、米国と中国との間には、はっきり見えないが、新たな冷戦の始まりが告げられているのかもしれない。

 ペンス副大統領は、11月13日に3度目となるアジア歴訪の最初の訪問国である日本に立ち寄り、安倍晋三総理、麻生太郎副総理兼財務相、日本政府高官らと首相官邸で会談した。

 11月27日のロイター(東京)の報道によると、麻生財務相は11月27日の閣議後の会見で、「ペンス副大統領は来日して同演説の内容について説明した」ことを明らかにした。

 その説明を踏まえての発言と見られるが、麻生財務相は、ペンス演説に見られる対中強硬論は「米国の中国に対する態度をトランプ大統領の思いつきと捉える人がいるが、違う」と言い切った。

 そして、「トランプ大統領だけでなく、米国の東部エスタブリッシュメントの意見と捉える必要がある」と指摘した。

 また、ペンス副大統領による対中対決宣言を重視する必要があると強調し、米中対立は安易に解消せず、長期化が必至との見解を示して警鐘を鳴らした。

 2018年11月17日および18日、パプアニューギニアで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は、米中の対立で、同会議として初めて首脳宣言で合意できないまま閉幕した。

 11月30日から2日間、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)は12月1日午後(日本時間2日未明)、首脳宣言を採択して閉幕した。

 かろうじて決裂は免れたが、2008年秋の世界金融危機に対処する目的でG20首脳会議が発足して以来、合意文書で保護主義に対抗する姿勢を示せなかったのは初めてで、これも米中対立が原因である。

 その直後の、米中首脳会談の結果を踏まえ、米政府は、2019年1月から25%に引き上げるとしていた対中追加関税を猶予し、10%のまま据え置いた。

 ただし、技術移転や知的財産、サイバー窃盗なども含めた2国間の通商問題について中国と協議し、90日以内に合意できなければ25%へ引き上げると発表した。

 実は、この一時休戦のシナリオは、米側で当初から計画されていた模様であり、米中双方が、それぞれの国内事情を踏まえ、貿易戦争の激化による国内景気の悪化を避けることで折り合い、対立の先鋭化を一時的に先延ばしした格好である。

 「冷戦」懸念は後退したとの見方もあるようだが、果たしてそうであろうか。

 中国の国家(共産党)主導の経済モデルという根底の問題は一筋縄では解決できず、両国の覇権争いが和解に向かう期待はかけにくい。

 例えば、休戦直後の華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)の逮捕は、5Gネットワークを通じた「国家支援型スパイ」との疑いを持つ米国が、中国政府に国際貿易規範に反する行為をやめさせるための、きわめて象徴的なシグナルと見ることができよう。

 むしろ問題の核心は、米中両国の対立が構造的で、かつ広範な分野に及んでいることにある。

 実際、ペンス副大統領は「中国政府が、政治、経済、軍事的手段とプロパガンダを用いて、米国に対する影響力を高め、米国国内での利益を得るために政府全体にアプローチをかけている」と述べている。

 すなわち、米国は、中国が「(米国の)地政学的な優位性に異議を唱え、国際秩序を(中国)有利に変えようと」しており、そのため、米中は「大きな権力競争」の新たな時代に入ったと認識している。

 そのうえで、トランプ米大統領は、2017年12月に公表された「国家安全保障戦略」(NSS2017)で、米国が中国に対して新たな対外姿勢を取ることを明らかにした、とペンス副大統領は述べたのである。

 「中国に対する新たな対外姿勢」こそ、米国の中国に対する本気度を表すものであり、かつての東西対立を冷戦「1.0」とするなら、今次の米中対立は冷戦「2.0」と表すべき関係にあると言えよう。

米国の「中国に対する新たな対外姿勢」
 トランプ大統領は、ビジネスマンとして成功した取引(deal)の手法を、大統領としても多用していることもあり、「予測不能」な政治家と見られ、また、混乱を引き起こすトランプ大統領の交渉術は超大国の王道から外れているとして同盟国からも好まれていない。

 しかし、米国の「国家安全保障戦略」は、大統領の名で発出される米国で最上位に位置する包括的な安全保障政策文書であり、トランプ政権の行方を占ううえで、「予測可能」性を保証し、好嫌の感情を超えた最も確実かつ重要な指針である。

 実は、2015年2月に、バラク・オバマ政権下で最後に発出された「国家安全保障戦略」(NSS2015)までは、中国はあくまで「協力と注視」の対象とされ、米国の脅威とは見なされていなかった。

 しかし、トランプ政権下のNSS2017では、歴代政権の中国に対する見方を大きく転換したのである。

 そこで、NSS2017において、米国は何を目指しているのかを、改めて確認してみたい。

 NSS2017は、中国(とロシア)を力による「現状変更勢力」、すなわち「米国の価値や利益とは正反対の世界への転換を図る勢力」として名指しで非難し、米国に挑戦し、安全や繁栄を脅かそうとしている「ライバル強国」であると位置づけている。

 そして、中国はインド太平洋地域で米国に取って代わり、国家主導の経済モデルの範囲を拡大し、地域の秩序を好きなように再編成しようとしていると指摘している。

 そのうえで、「我々は新たな対立の時代に入っている」と述べ、米国は中国に対抗して世界各地の係争地域において、米軍の増強や近代化そして同盟国との連携などによってこうした脅威に立ち向かい、「このゲームで米国は勝利する」と宣言している。

 また、NSS2017は、安全保障の見地から経済についても述べ、「強い経済は、米国民を守り、米国の生活様式を支え、米国の影響力を維持する」として米国経済を活性化し、米国の国力と優位を回復する必要性を強調している。

 特に中国を睨んで、巨額で慢性的な貿易赤字は許容しないとし、自由で公正、互恵的な経済関係を追求するとしている。

 また、研究、技術および革新の分野で先頭に立たなければならないとして、米国は知的財産を盗用し自由な社会の技術を不当に利用する者から、自国の安全保障の基盤技術を守ると述べるなど、いわゆる経済安全保障の見地から、中国との貿易戦争を予見させる内容になっている。

 2018年7月に始まった米中貿易戦争は、関税措置での制裁と報復の応酬が激しく繰り返されるなか、出口戦略を見出せない状況が続いている。

 しかし、この問題は、中国が「将来的には地球規模での優位を確立し、米国に取って代わろうとしている」との米国の対中認識が示すように、国際社会の首座を巡る米中の覇権争い、すなわち地球規模での地政戦略的支配権争いが基底をなしている。

 米中相互に遠大な戦略の一部であるがゆえに、その構造的、長期的問題の解決が容易でないことだけは明白である。

 そして、貿易戦争は、トランプ大統領が言う「中国に対する新たな対外姿勢」の方針に沿って、通商的・経済的対立にとどまらず、政治、安全保障・軍事、情報、サイバー空間など広範な分野へと拡大する「長く、厳しい対立の時代」、すなわち冷戦「2.0」の始まりにすぎないと見るのが的を射ていよう。

冷戦「2.0」の誘因となった米中の構造的対立点
 そこで、東西対立の冷戦「1.0」と米中対立の冷戦「2.0」の2つの冷戦には幾つかの相違点があるので、冷戦「1.0」と比較しつつ、冷戦「2.0」の誘因となった米中の構造的対立点を明らかにし、その根深さと問題解決の迂遠さについて再確認してみたい。

イデオロギー・価値観:「自由、民主主義などの普遍的価値」対「社会主義および中華思想を背景とした人類運命共同体」

 冷戦「1.0」は、自由主義を標榜する米国を中心とした西側諸国と社会主義を標榜するソ連を中心とした東側諸国が世界を二分し、イデオロギー対立を先鋭化させた戦いであった。

 冷戦「2.0」では、米国を中心とした同盟国・友好国が、自由、民主主義、人権および法の支配という普遍的価値を強調しているのは、それを否定する中国との違いを際立たせ、中国に対する優位性を強調する狙いがある。

 それに対し、中国は、憲法第1条で「人民民主主義独裁の社会主義国家」と規定している通り、実態は別にして、社会主義を標榜している共産党一党独裁の国である。

 現在、世界の国数は195か国(日本が国家承認している国194か国と未承認の北朝鮮)であり、この中で、共産党が政権を担っている国は数か国(モルドバ、キプロス、サンマリノなど)が存在する。

 しかし、社会主義国家、すなわち憲法などで社会主義を国家理念・国家政策として掲げ、社会主義的諸政策を推進している国家は、ソ連崩壊後の現在では中国、北朝鮮、ベトナム、ラオス、キューバの5か国であり、国際社会においては2.5%に過ぎない<絶滅危機種>にまで落ち込んでいる。

 つまり、フランシス・フクヤマが自由民主主義の優位性と普遍性を提起した『歴史の終わり』は、上記の国際社会の現実が実証するところであり、大方の国は中国的政治理念を否定する側に立っている。

 そのためか中国は、冷戦「1.0」型のイデオロギーを前面に押し出した工作を、表立っては行っていないが、「統一戦線工作」の手法を使って巧妙かつ執拗に勢力・影響力の拡大を図っている。

 また、中国は、自由、民主主義などの普遍的価値の対立軸として、中華思想―不平等な上下関係の華夷秩序―を背景とした「人類運命共同体」という理念をグローバルなコンセンサスに変えようと主張している。

 世界各国あるいは諸民族が、各々の主体性などを主張して対等の立場を求めるとともに、国際社会が多極化して行く趨勢の中で、中華思想を隠す手段としての人類運命共同体という理念には、恐怖こそ覚えさえすれ、中国と運命を共にすることなど御免蒙りたいというのが世界各国の本音ではないだろうか。

経済:「資本主義市場経済」対「社会主義市場経済」

 冷戦「1.0」は、資本主義市場経済と社会主義計画経済との対立であった。

 1947年7月、米国が発表したヨーロッパ経済復興援助計画としてのマーシャル・プランを西側諸国は受け入れた。

 一方、これを拒否した東欧諸国は、ソ連を中心に、コメコン(COMECON、経済相互援助会議)を結成して対抗した。

 この結果、ヨーロッパ諸国の経済体制は大きく2分され、お互いに経済圏(ブロック)を作ったため、経済の依存関係は希薄であった。

 冷戦「2.0」では、経済の相互依存が深化した中での、資本主義市場経済と社会主義市場経済との対立になっている。

 米中両国は、双方にとって最大の貿易相手国である。米国の貿易総額に占める対中貿易総額の割合は年々高まっており、近年の米中経済関係における関心の一つは、米国の対中貿易赤字であり、2017年の米国の貿易赤字の46.3%を占めている。

 また、米国は第4位の対中直接投資国である一方、中国は米国債の海外引受分に占める割合が第1位であり、両国の経済依存関係の深さは疑う余地もない。

 米国の対中貿易赤字はひとまず差し置くとして、それでもなお、米中貿易戦争に発展した理由として米国が指摘しているのが、主に次の4点である。

@技術移転の強制
Aサイバー空間での知的財産の窃盗
B外国企業に対する規制の強化・乱用
C利益を度外視した(中国)国営企業に対する補助金の供与

 また、「一帯一路」構想と表裏一体をなすアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設など、米国が主導した国際秩序に対する挑戦が顕著になっており、経済面における「ライバル強国」として警戒心を強めている。

 これらは、いずれも社会主義が許容する限度での市場経済、言い換えれば、共産党指導型の市場経済という矛盾したあり方に問題の本質がある。

 それこそが、米国からの非難の的となった中国の不公正な商・貿易慣行が貿易戦争へと悪化した真の理由である。

 この点に関しては、米国のみならず、日豪印、そしてEU諸国の共通認識となっており、中国との経済の相互依存の中で、特にインド太平洋地域においては、日米豪印4か国がパートナーシップを強化する地経学的対立という構造に発展している。

政治外交:「米国主導の国際秩序」対「中華的新秩序」

 冷戦「1.0」は、自由主義と社会主義との間の体制の優越競争であった。

 米国は、世界の共産主義化を標榜するソ連の勢力拡大を恐れ、それを防止するために、ソ連を中心とした共産圏諸国に対して政治、経済、軍事などあらゆる面で封じ込めるべきであるとした、「封じ込め政策」を外交政策の基本とした。

 冷戦「2.0」では、いずれの国も、中国との経済面での協調・関与関係を維持したいという側面と、中国の覇権的拡大の動きに対して安全保障上、警戒・ヘッジすべきだという側面の両面を持っている。

 このように、協調要因と対立要因との間で揺れ動く葛藤ないしはジレンマが共通の課題となっていることから、冷戦「1.0」と同じ「封じ込め政策」への誘惑は、注意深く排除されている。

 第2次大戦以降、米国は、多国間の安全保障システムや国際通貨システム、自由貿易システムなど、世界の秩序を維持し国際社会を円滑に機能するために不可欠な、いわゆる国際公共財(グローバル・コモンズ)を創造するコストを負担し、維持する役割を果たしてきた。

 いま中国は、「公正かつ合理的な国際政治経済新秩序」、すなわち<中華的新秩序>を構築することを外交政策の目標とし、米国主導で作られた既存の世界秩序に挑戦している。

 また、中国は、<中国の夢>としての「中華民族の偉大な復興」を国家目標に掲げているが、これに対して、トランプ米大統領は「偉大なアメリカの復活」で受けて立っており、「大国の興亡」としての覇権闘争リスクの長期化が懸念される。

 他方、トランプ大統領は「アメリカ第一主義」を掲げているが、あくまで国際主義を基調としている。

 一方、中国は東シナ海や南シナ海を「中国の海」に変え、排他的に独占しようとしている。

 また、「一帯一路」の沿線国で展開している「債務の罠」外交が示すように、帝国主義的あるいは植民地主義的行動が顕になっており、両国の外交的アプローチにおいては、国際主義と帝国主義・植民地主義との対立軸が表面化している。

安全保障・軍事:「力による平和」対「力による現状変更」

 冷戦「1.0」は、欧州が主戦場であり、西側の北大西洋条約機構(NATO)と東側のワルシャワ条約機構(WTO)による2大軍事同盟間の対立という基本構図を呈した。

 キューバ危機があったものの、米ソの戦略核戦力による「恐怖の均衡」が、世界大戦の発生を抑止する一方で、朝鮮戦争やベトナム戦争など米ソ(中)の代理戦争としての局地的戦争が発生した。

 冷戦「2.0」において、トランプ大統領は、「力による平和」(peace through strength)を標榜し、一方、中国は、東シナ海や南シナ海でみられるように「力による現状変更」勢力と見なされている。

 このため、インド太平洋地域を焦点とした中国の海洋侵出への備えが、今世紀最大の安全保障上の課題であるとの認識が広がっている。

 中国は、米中太平洋分割管理構想(G2論)のもと、対米「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」戦略によって米国の軍事的プレゼンスを西太平洋から排除して、同地域に中国の地域覇権を確立しようとしている。

 また、「真珠の首飾り(String of Pearls)」戦略でインド包囲網を形成し、海洋を重視しつつ、陸路、海路の両方向から経済圏・勢力圏をヨーロッパへ向けて伸長する「一帯一路」構想を強力に推進し、グローバルな覇権拡大を目指していると見られている。

 これに対して米国は、いわゆるエアーシ−バトル(ASB)構想と、これを裏づける「第3次相殺戦略(OS)」をもって、中国の軍事的野望を抑止する構えである。

 また、日米豪印によってコンセンサスが得られ、インド洋と太平洋の連結性を強めた「自由で開かれたインド太平洋戦略」によって、中国周辺海域(領域)を取り巻く広域安全保障ネットワークを強化しようとしている。

 一方、中距離核戦力(INF)全廃条約の締約国である米国は、条約の定めに従って、射程が500キロ(300マイル)から5500キロ(3400マイル)までの範囲の核弾頭および通常弾頭を搭載した地上発射型の弾道ミサイルと巡航ミサイルを廃棄した。

 さらに、オバマ大統領の「核兵器のない世界」の方針を受けて、各種トマホークのうち、核搭載海上発射型巡航ミサイル「トマホーク」を退役させた。

 中国は、INF全廃条約に縛られないため、平成30年版「防衛白書」によると、148基の中距離弾道ミサイル(IRBM)/準中距離弾道ミサイル(MRBM)を保有している。

 その結果、米中間の中距離核戦力には大きな格差が生じていることから、米国の日本などに対する核の地域抑止(「核の傘」)が無効化しているとの危機感が高まり、そのため、地域紛争発生の可能性が懸念されている。

 このように、日本の核抑止体制は<破れ傘>の状態であることから、わが国の弾道ミサイル防衛(MBD)能力の強化と米国の核による地域抑止の早急な回復は大きなテーマである。

 また、「自由で開かれたインド太平洋戦略」に基づく対中共同抑止戦略を具体化し、実効性ある戦略に育て上げることも喫緊の課題として突きつけられている。

社会・文化・言語などのソフト・パワー
「革新的創造力」対「孔子学院」

 冷戦「1.0」は、ブロック経済の影響などもあり、東西両陣営では、それぞれの文化圏、言語圏が形成された。

 その間、ソ連は、東欧衛星国や中央アジア諸国などに対して移民政策を採ったこともあり、ロシアの政治社会制度や文化、ロシア語などが東側陣営内で拡大した。

 冷戦「2.0」では、米国と中国のソフト・パワーが、国際社会でどのように受け入れられるかが、関心の的であり、対立点でもある。

 これまで国際秩序維持のための国際公共財の創造者・提供者であった米国に対抗して、中国が掲げる「中華的新秩序」によって何がもたらされるのかは、今日まで明らかになっていない。

 中国は、経済力と軍事力は紛れもない世界強国になっている。

 しかし、華夷秩序の中華思想、自由、民主主義などの普遍的価値に対する否定的な政治社会体制、新たな国際公共財のための具体的提案の乏しさなどの面から見て、今後、中国が、新グローバル・ガバナンスの創造者となって国際社会におけるリーダシップを発揮できるかどうかについては、極めて悲観的な見方が多い。

 他方、米国について、ヘンリー・キッシンジャーほか著『中国は21世紀の覇者となれるか?』(早川書房、2011年、84頁)には、以下の記述がある。

 米国は、史上初のユニバーサル国家になったのです。世界中あらゆる場所から、あらゆる肌の色、信条、宗教の人々を引きつけ、彼らの才能を解き放ち、ユニバーサルな夢を築き上げたのです。・・・確かに、私たちは経済を立て直さなければなりません。・・・(しかし)自由で開放的な社会に対する信頼を失ってはならない、・・・ということです。

 このように、米国は、自由で開放的な社会を作り、「アメリカン・ドリーム」への憧れで世界中から人々を引き寄せ、また、革新的・創造的可能性という膨大な資産を持つ国家としてイノベーションの最先端で世界をリードしている。

 一方、中国は、オリジナリティーに真の価値を見出さず、コピーに終始する後追いを続けている。

 これからの中国の課題は、社会や経済にイノベーションを起こし、ユニークな思想、独創的な新製品・新技術、新しいシステムを作り出す力を身につけなければならない。

 しかし、それを妨げている収奪的な政治制度、国有企業を中心とする産業構造、思想や表現の自由を認めない市民社会、土地の公有制などに対して、「創造的破壊」を促す動きは全く見当たらない。

 むしろ中国は、「習近平思想」によって社会統制を強化する方向に向かっている。

 中国が、根本的な政治改革を回避し、現行の政治社会制度が続くならば、中国には革新的・創造的可能性は芽生えず、いつまで経っても国際社会に影響を与えるイノベーションは起こらない。

 そして、経済の永続的な発展も、世界をけん引する魅力的な構想力を持つことも不可能に近いと言えるのではないだろうか。

 中国は、中華文化の象徴として「孔子学院」を世界中に輸出している。

 現在、世界500か所以上に開設されている「孔子学院」は、中国語教育を行うとともに、中華文化の宣伝と中国との友好関係の醸成を目的とした活動を行っている。

 その一方で、親中派(中国シンパ)を育成する「統一戦線工作」の一環としてのソフト・パワー戦略と見られ、その約40%が米国に集中し、学問の自由を阻害しているとして、ここ数年批判の声が高まっている。

 言語は文化の基本を形成するが、中国語の言語構造(漢字システム)は欧米諸国をはじめ、その他の国の人々にとっては極めて難解である。

 英語は、産業革命やIT革命をそれぞれ主導した英国と米国の数世紀に及ぶ覇権を通じて世界言語となったが、中国語が英語に取って代わるには幾つもの高いハードルが待ち構えている。

 英「エコノミスト」編集部による『2050年の世界』(文芸春秋、2012年)は、その第5章「言語と文化の未来」で、「英語の一極支配は続き、中国語は世界言語とはならない」と予測している。

 他方、文化の面においても、グローバル化の波に乗って、世界的に広がった米国の文化的影響力を排除できる魅力ある文化が中国に存在するのか、そもそも中華文化とは何か、という基本的問いかけに対して明快な答えが返ってくるかは疑問である。

 つまり、中国は、中国発の技術的革新、文化的影響力あるいは中国語などによって、世界的に膨大なソフト・パワーを提供する米国を凌駕するという目標の達成には、非常に険しい挑戦を強いられることは、間違いないところである。

日本のとるべき途は?
新防衛大綱が左右する冷戦「2.0」の行方
 以上、日米などの西側諸国と比較した中国の異質性と、中国が経済、外交、安全保障などあらゆる分野で戦略的攻勢、すなわち覇権的拡大に出ている実態を明らかにした。

 また、米国と中国の対立は、構造的であることから、冷戦「2.0」が長期化の様相を呈することを指摘した。

 その中で、日本がとるべき途は、まず日本の立ち位置を再確認し、中国の異質性と覇権的拡大の実態を深刻に認識して、米中の構造的・長期的対立に備えることである。

 日本は、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値を理念として掲げている国(「国家安全保障戦略」)であり、それらを否定する中国とは対極に位置している。

 その立ち位置を明確にして、日本は、普遍的価値や戦略的利益を共有する米国との同盟関係を深化させるとともに、オーストラリア、インドなどの友好国やASEAN(東南アジア諸国連合)各国との協力関係を強化し、わが国の安全およびインド太平洋地域の平和と安定を実現する覚悟を持ち、揺るぎない決意を示さなければならない。

 経済問題は、複雑である。なぜなら、冷戦「2.0」は、冷戦「1.0」とは違って、経済の相互依存が深化した中での対立だからである。

 前述の通り、米国のみならず、日本もまた、中国との経済面での協調・関与関係を維持したいという側面と、中国の覇権的拡大の動きに対して安全保障上、警戒・ヘッジすべきという側面の両面をもち、協調要因と対立要因との間で揺れ動く葛藤ないしはジレンマが課題であるからで、「政冷経熱」と言われるゆえんである。

 中国経済は、すでに峠を越え、経済成長の減速と国内消費の落ち込み、生産年齢人口の減少と賃金の上昇(人口オーナス)、外国企業に対する支配・規制及び課税の強化、環境問題(汚染)への対応など、中国進出のデメリットが増大している。

 今後、冷戦「2.0」が強まれば、米中間の確執は、経済から、政治外交、そして安全保障・防衛へと問題の重点が移ることになろう。

 そうなると、日中関係も「政冷経熱」から「政冷経温」、「政凍経冷」へと事態悪化の傾向が強まるだろうから、それを想定したシミュレーションを行い、中国からの脱出・移転を含めた周到な準備が必要になろう。

 また、その間、例えば、「一帯一路」構想に参入する民間企業に対して港湾整備など軍事利用の恐れがある案件に関しては、しっかりと歯止めをかけるなど、経済も安全保障を考慮した対応を迫られることになる。

 外交では、長期的視点から日本の国益を追求するため、国際協調主義に基づく積極的平和主義の下、国際社会の平和と安定および繁栄の実現に日本が一層積極的な役割を果たし、日本にとって望ましい国際秩序や安全保障環境を実現することが課題である。

 なかでも重要なのが、エドワード・ルトワックが『戦争にチャンスを与えよ』(文春新書、2017年)で強調している「同盟がすべてを制す」を強力に推進することである。

 ルトワックは、ある国(中国)が戦略的なアクションを起こせば、近隣国家は敵対的であれ、友好的、中立的であれ、必ず何らかのリアクションを起こし、他者の介入が意図せざる結果を生む。

 この「戦略のパラドクシカル・ロジック」の中で、すべてを軍事的方法で解決するのは不可能であり、大戦略レベルにおいては、「同盟」によって敵対的な他者を減らし、消滅させることが、軍事面での活動以上に決定的な要因となる、と説いている。

 日米同盟は、国家安全保障の基軸である。

 日本は、普遍的価値や戦略的利益を共有する米国との同盟を一段と深化させ、また、インド太平洋地域で重要な役割を果たすオーストラリア、インドをはじめ、ASEANや中国の「一帯一路」構想の沿線国、さらには、本地域で戦略的利害を共有する英国やフランスなどのNATO/EU加盟国などへウイングを広げる必要がある。

 そして、インド太平洋地域を中心に、グローバルに広がる同盟・友好国のネットワークを構築することが重要である。

 冷戦「2.0」の最大のテーマは、安全保障・防衛であり、冷戦を熱戦化させない抑止が最大の課題である。

 12月18日に閣議決定された新防衛大綱( 「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱」)で述べている通り、抑止を主眼とした日本の防衛目標を達成する手段は次の3点に集約される。

@我が国自身の防衛体制
A日米同盟の強化
B安全保障協力

 まず、わが国自身が自主防衛力を強化することが第一である。しかしながら、中国の強大な軍事的脅威に直面するわが国の平和と安全は、核ミサイルの脅威までを考慮に入れた場合、わが国一国では確保できない。

 そのため、日米同盟の強化、特に米国の核による地域抑止の回復、域内外のパートナーとの信頼・協力関係の強化、実際的な安全保障協力の推進により、アジア太平洋地域の安全保障環境を改善し、わが国に対する直接的な脅威の発生を予防し、削減しなければならない。

 そこで、安倍晋三総理のイニシアティブで構想されたのが、「自由で開かれたインド太平洋戦略」である。

 本戦略の目的は、「自由で開かれたインド太平洋を介してアジアとアフリカの「連結性」を向上させ、地域全体の安定と繁栄を促進する」とされ、米、豪、印との間でコンセンサスが得られている。

 これまでの「自由で開かれたインド太平洋戦略」に関する議論では、日米豪印を4本柱として、基本的価値や戦略的目標・利害を共有する努めて多くの国・地域を有機的に連結した多国間主義による安全保障ネットワークを構築することが考えられてきた。

 オーストラリアの独立系シンクタンク・ローウィー研究所が発表した「アジア国力指数2018」(Lowy Institute Asia Power Index, 2018)によると、2030年頃の日米豪印(総合)と中国(一国)の国力指数を比較すると、「2.7対1」となる。

 国力の面からも「自由で開かれたインド太平洋戦略」の有効性あるいは抑止可能性が裏づけられている。

 さらに、前にも述べたが、日米などと基本的価値観を共有し、インド太平洋地域に強い戦略的な利害関係をもつ英国とフランスを本構想に加え、「4本柱」を、さらに英仏が提供する「2本の支柱」によって補強できれば、安全保障のアーキテクチャーが一段と強化される。

 そして、日米印豪と英仏によって構築される「4+2」の安全保障協力体制を基盤とし、台湾やフィリピン、マレーシア、ベトナム、シンガポールなどの力を結集すれば、中国の海洋侵出の野望を抑え込む、国際的な多国間枠組みを一段と強化・発展させることができる。

 つまり「4+2」構想は、インド太平洋地域における対中安全保障戦略に強靭性と優越性を与え、その目的達成に大きく寄与するのは間違いないのである。

 筆者が所属する日本安全保障戦略研究所は、すでに『中国の海洋侵出を抑え込む―日本の対中防衛戦略』(国書刊行会、2017年)を上梓し世に問うている。

 今後、「自由で開かれたインド太平洋戦略」が、新大綱によって防衛・軍事戦略の立場から裏づけされ、肉づけされ、強化されることが大いに期待される。

 そこではまず、領域警備の態勢強化が喫緊の課題である。

 とういうのも、ロシアのクリミア半島併合に見られるように、サイバー攻撃やプロパガンダ、特殊作戦などを巧妙に組み合わせた「ハイブリッド戦」によって、軍事機能や国家機能が混乱・低下した隙を衝いて、戦う前に、領土を掠め取られてしまう恐れがあるからだ。

 中国が尖閣諸島を焦点として東シナ海で仕かけている「グレーゾーンの戦い」は、まさに「ハイブリッド戦」に類似した事態である。

 その延長線上で、中国は、対日侵攻シナリオをエスカレートさせる恐れが十分にあり、早急に警備態勢を強化しなければならない。

 そのうえで、中国の本格的な侵攻に備えるため、ゲーム・チェンジャーとして、宇宙・サイバー・電磁波領域でわが国の優位性を追求することが重要である。

 同時に、領土保全能力と機動・展開能力、海空領域における対処能力、総合ミサイル防衛(MD)能力、スタンド・オフ防衛能力など従来の領域における能力強化を図りつつ、それらを含めた全領域を横断的に連携させるシステム化・ネットワーク化に予算を振り向け、破壊的イノベーションによって大胆な方向転換を図ることが切に望まれる。

 その取り組み如何が、冷戦「2.0」の行方を左右することになると言っても過言ではない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55051
http://www.asyura2.com/18/senkyo255/msg/515.html

[政治・選挙・NHK255] 2%の消費増税に5%の「ポイント還元」する倒錯 いつまでも「景気対策」を続ける安倍政権は末期症状 
2%の消費増税に5%の「ポイント還元」する倒錯
いつまでも「景気対策」を続ける安倍政権は末期症状
2018.12.28(金) 池田 信夫
日本銀行の「異次元緩和」は失敗に終わったが、安倍政権は景気対策をやめようとしない
 世界の株価が変調だ。ニューヨーク証券取引所のダウ平均株価は、今年(2018年)10月の最高値から20%近く下がり、日経平均株価も一時は2万円を割った。「リーマン・ショック」から10年たち、新たなバブル崩壊に世界のマーケットが身構えているように見える。

 そんな中で、政府の2019年度一般会計予算案が閣議決定された。総額は101兆4564億円と初めて100兆円を超え、その中身も消費税の増税対策など、バラマキ色の強いものになったが、マーケットは反応しない。日本経済の問題は、そういう短期的な景気対策では解決できないからだ。

「ポイント還元」は大混乱をもたらす
 今回の予算の最大のポイントは、来年10月に予定されている消費税率の8%から10%への引き上げをどう乗り切るかということだろう。この増税対策の中で最も注目されているのは、キャッシュレス決済の「ポイント還元」だ。

 これはクレジットカードや電子マネーで買い物をしたとき、小売店などが5%のポイントをつけ、それを政府が補助するものだ。この対象となる事業者は資本金5000万円以下の中小企業に限られ、大手チェーンの直営店では還元しない。個人商店が大手チェーンに加盟するフランチャイズ店では2%還元するというが、消費者には直営店かフランチャイズかなんてわからない。

 もともと食品には軽減税率が適用されるので、中小企業でクレジットカードで食品を買うと、ポイント還元5%を含めて7%も軽減される。つまり軽減税率とポイント還元を含めて3%、5%、6%、8%、10%という5種類の消費税率が併存することになる。

 さらに問題なのは、このポイント還元の財源が2789億円しかないことだ。これは東京オリンピックまでの時限措置ということになっているが、財源は9カ月も持たないだろう。

 たとえば本体価格10万円の冷蔵庫をいま買うと税込み10万8000円だが、来年10月1日に中小の電気店でクレジットカードを使って買うと、ポイント還元で10万5000円に値下がりするので、10月1日に駆け込み需要が集中するだろう。商品券を大量に買って横流しすることも考えられる。

 12月4日から始まったスマホ決済アプリ「ペイペイ」の20%ポイント還元サービスの財源は100億円だったが、わずか10日間で終わった。高額の買い物が殺到して財源を使い切ったからだ。日本全国ですべてのクレジットカード利用者を対象に行われるポイント還元が、これよりはるかに大きな混乱をもたらすことは容易に予想できる。

1980年代後半の日本に似てきた世界経済
 今回の予算では、ポイント還元以外にも「プレミアム付き商品券」や「国土強靱化」と称して2兆円以上の増税対策が入っており、1.3兆円の税収増を上回る。さすがの安倍政権も消費増税を三度延期することはできないので、実質的に減税したわけだ。

 もちろんこれは単年度の収支なので、2020年度以降はネットで増税になるが、増税を嫌い拡張的な財政・金融政策を続けるのは安倍政権の一貫した方針だ。その根本的な錯覚は、日本経済の最大の問題が「デフレ」にあるという思い込みである。

「デフレを脱却しないと日本経済は回復しない」という発想で始まった日本銀行の「異次元緩和」も失敗に終わった。日銀の供給するマネタリーベース(現金)の残高がGDPを超えても、2%のインフレ目標が達成される見通しは立たない。それでも雇用は回復し、人手不足が深刻な問題になっている。

 こういう状況は、1980年代後半のバブル期に似ている。当時も資産価格が上昇したが、世の中はそれほど浮かれていたわけではない。株価は1984年から5年間で4倍になったが、物価上昇率は1%以下だった。

 製造業は「円高不況」に苦しんでいたので、日銀は公定歩合を上げることができなかったため、金余りで投機資金が不動産や株式に流れ込んだ。このように資産価格は上がるが物価は上がらないというのが、最近のバブルの共通点だ。2000年代のアメリカの住宅バブルでも、物価は上がらなかった。

 ケインズ以来のマクロ経済政策では、不況のときは失業が増え、好況になると物価が上がるという前提で、政府が経済を調節することになっているが、こういうフローの指標では完全雇用を超えて人手不足になってもインフレにならない日本経済は理解できない。

 かつてこれは日本経済だけの特異な現象だと思われていたが、世界金融危機後の2010年代に欧米で起こったのも、同じ現象だった。ゼロ金利に近い状況になって世界中で金余りだといわれてもインフレは起こらないが、ストックの株式や不動産は上がっている。

財政と金融が一体で危機管理するシステムが必要だ
 こういう状況は、政治的には好都合だ。いくら財政・金融政策で政府が景気を刺激してもインフレにならないのなら、増税は延期し、ポイント還元などのバラマキをやっても害がないはずだ。景気がよくても悪くても景気を刺激する安倍政権は、政治的には合理的なのだ。

 しかし低成長・低インフレの時代には、裁量的な景気対策の効果は限られている。失業率やインフレ率が10%を超えて経済がボロボロになった1970年代は、特異な時代だったのだ。その後起こった経済危機は失業やインフレではなく、1990年代の日本や2010年代のアメリカで起こったような資産価格の崩壊による金融危機だった。

 経済の不均衡は資産バブルという形で蓄積され、その崩壊による金融危機として表面化する。その効果は長く続き、経済に大きな爪痕を残す、というのがここ30年の先進国の経験だ。したがって中央銀行の最も重要な役割は景気対策ではなく、金融危機のとき流動性を供給する最後の貸し手である。

 今回のアメリカの株安のきっかけも、トランプ大統領がFRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長を解任するとも解釈できる発言をしたことだった。多くの人がバブルを意識しているときは、ちょっとしたきっかけで資産価格が崩壊する。

 日本の株式市場は日銀に支えられているが、それは株価が暴落したとき売り逃げしやすいことを意味する。バブルが崩壊しても、日銀はすでに目いっぱい緩和しているので「糊代」がない。資産価格が崩壊すると日銀も債務超過になるので、最後の貸し手としての機能を果たせない。

 金融危機で「究極の貸し手」になるのは中央銀行ではなく、政府(一般会計)である。こういう時代には、中央銀行の独立性には意味がない。むしろ財務省と日銀が一体で危機管理する制度設計を考えるべきだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55096


 

株急落は来年の様々なリスクの前兆、消費増税の余裕はない
http://www.asyura2.com/18/senkyo255/msg/499.html
http://www.asyura2.com/18/senkyo255/msg/516.html

[経世済民130] 「報酬」と「給与」の違い、知っていますか? 今さら聞けない「税金」と「節税」の話 
「報酬」と「給与」の違い、知っていますか?
今さら聞けない「税金」と「節税」の話
2018.12.28(金) 河西 泰

 正しい方法で、少しでも安くしたい――節税に対する経営者の思いだろう。しかし、田中卓也税理士事務所代表の田中氏(オールアバウト「税金」ガイド)は、中小企業経営者らが「節税」について正しい知識を得ず、会社の価値を高められていないケースが多い、と指摘する。中小企業が知っておくべき良い節税、悪い節税について考えてみた。(JBpress)

【→前回:その節税対策、むしろ損していませんか?】

役員報酬を増やす
「節税というと利益を圧縮するために、経費を増やそうという話になるのですが、経費を増やすには支出も伴うということも考えるべきでしょう」

 前回のコラムでそう指摘した田中氏は、会社の価値を高められない節税が多いと言う。

 では具体的に「節税」には、どんな考え方が必要で、その方法とはどのようなものだろうか。

 田中さんは具体例を教えてくれた。

「税金を減らす方法として、役員報酬はなるべく高くすることをアドバイスしています」(田中氏)

 「役員報酬」は損金として計上できるというのがポイントで、中小企業の節税対策ではもっともシンプルな方法である。

 損金として計上できる役員報酬を高く設定すると、個人の所得税と住民税は上がるが、それ以上に法人税での優遇が上回り、一定の金額までは節税になることが知られている。

 ただし、役員報酬については、「定期同額給与」というルールがある。要は毎月、一定の給与でないと損金にはならず、そのときの状況により増減させてはならない。

「いくつか注意点があるものの、ぜひとも活用したい節税対策」と田中さんは強調する。

 この方法についてはもう一点、メリットがある。

「将来、会社に何かあった時に、自分で持ち出しをしてでも会社を立て直さなくてはならないことがあるかもしれない。その時のためにも、役員報酬は高くもらっておいてくださいと言っています」

所得を分散する方法
 日本の税制の特長を利用した節税方法として、自分の妻に所得を分散するという方法もある。

 中小企業の場合、妻が会社の仕事を手伝っているケースは少なくない。その場合には、社長に支払っていた給与の一部を妻に分けて支払うことで節税ができる。

 この場合は、会社の経費という点では同じ世帯に入ってくるお金なので法人税の節税にはならないが、逆に個人で支払う所得税と住民税を減らすことができる。

 日本の所得税が累進課税となっているため、一人で多くの給与をもらうよりも、二人で分けてもらった方が税の負担が小さくなる。同時に、給与からは「給与所得控除」を差し引くことができる。給与所得控除は、給与の額が大きくなるにつれてその割合が小さくなるから、分散させて二人で給与をもらうことで節税になるというわけだ。

 先に挙げた「役員報酬」による節税との組み合わせで、「夫婦同額の役員報酬」という方法もある。

小規模企業共済の利用
 田中氏は、別の方法も提案してくれた。

「これらとは違った方法の節税として、小規模企業共済をお勧めすることも多いです」

 小規模企業共済とは、中小企業の役員などが退職や廃業した後の生活資金を準備する制度だ。

 この制度は、小規模事業者の老後の資金の準備を促進するという主旨のもと、国により取り扱われている。

 最大の特長は、掛け金が全額控除となり、最大で年間84万円控除できることだ。

 また、この共済金を受け取るときは、一時金で受け取ると退職所得扱いとなり税金が軽減され、分割で受け取ると公的年金控除の適用があり、やはり税金が軽減されるというメリットもある。

「節税対策で民間の生命保険に入る中小企業の経営者も多いですが、それに比べて保証金額が小さいというデメリットはあるものの、受取金額、支払金額に対する必要経費算入額も大きいので、この小規模企業共済は相当に節税効果が大きいと言えます」

 この小規模企業共済に加入したうえで、保証については足りない分を民間の生命保険で補う方法を田中さんは勧める。

働き方改革の落とし穴「報酬」と「給与」の違い
 働き方の変化による「税金」についての知識も経営者には欠かせないだろう。

 昨今の雇用体系として正社員ではなく、契約社員や業務委託というような働き方も増えてきた。

 このとき、企業にとって重要なのは、報酬か給与かという点だ。報酬は源泉徴収しなくてもいいものがあるが、給与は源泉徴収しなくてはならない。そこで、税務調査で問われるのは次のような点だと田中さんは指摘する。

「たとえば報酬として、30万円を支払っていたとします。その場合、交通費や経費の負担も報酬の中からしなくてはならないのです。ところが、会社には席がある、パソコンも支給されている。交通費の請求を受けているということになれば、そもそもが、それは報酬なのか? 給与ではないのか? という追及を受けることがあります」

 月30万円、年収360万円の報酬を支払っていた人が10人いたとして、それは給与ですと指摘されると、源泉徴収していなかった会社が悪いということになる。「その額は決して小さくないことを覚えておいてほしい」と言う。

相続の問題は5年先のことも考える
 また、税金の問題を考えるときには相続の話には触れておかなくてならない。一番問題になりやすいのは、被相続人の納税義務は、相続人が承継する、という点だ。

「こんなことがありました。個人事業主であるお父さんが亡くなった。ところが亡くなる前の3年間、かなりいい加減な申告をしていたことがわかった。家族の誰も知りませんでしたが、税の徴収時効は5年もあるので、お亡くなりになったからといって、税務調査の対象を外れるということはありません」(田中氏)

 当然のことながら、相続人は配偶者と子どもだ。いきなりの納税義務を言い渡されて遺された家族があたふたする姿は想像に難くない。

 ちなみにこの場合、相続放棄をするという手段も考えられただろうが、それでも亡くなった3か月以内にしなくてはならないというルールがあることを知っている人は多くはないであろう。

 こうした悲劇を生まないためにも、先々を考えた税金対策というのが、経営の鉄則であると言えそうだ。

 そして何よりも、最初に節税ありきという姿勢を改め、キャッシュを残すことで得られるメリットについて考えることも経営上、重要な観点であることを覚えておきたい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55074


 
その節税対策、むしろ損していませんか?
中小企業が陥りやすい税金の落とし穴
2018.12.27 河西 泰


 企業経営者にとって欠かせない節税対策。正しい方法で、少しでも安くしたい、というのは切実な願いだが、簡単ではない。そのパターンは、不動産の有無や業態によって大きく異なるし、加えて関連法律もさまざまに変わるからだ。来年には消費増税が決定し、ますます税金が気になってくる。中小企業が知っておくべき良い節税、悪い節税について考えてみた。(JBpress)

法人税を納めているのはたった3割?
 平成31年度の税制改正大綱が12月14日に発表された。消費税率10パーセントを平成31年10月に確実に実施する、と明記された点にも大きな注目が集まった。

 4年前の2014年に消費税率を5パーセントから8パーセントに引き上げた際は、駆け込み需要が大きくなり、その反動により個人消費がマイナス3パーセントまで冷え込んだ苦い経験もある。この教訓をいかに活かすことができるかが、今後の課題になる。

 また、年の瀬の風物詩になっているのが「年末調整」。企業の経理担当者や中小企業の経営者にとっても一大イベントである。

 こうして考えると「税金」は、毎日の生活から切っても切れない、でもできる限り払いたくないというモノ、というのが本音だろう。

 そこで個人や中小企業の税務問題に詳しい、税理士でオールアバウト「税金」ガイドでもある田中卓也氏(田中卓也税理士事務所代表。 ”正しい決算、正しい申告だけで満足ですか”という理念をかかげ、事業計画の作成・サポートを中心に据えた革新的な事務所経営を行う)に中小企業の、特に経営者が節税するために必要な視点について聞きに行ったのだが――。

「節税対策ということがよく言われますが、国税庁から発表されている会社標本調査によれば、そもそも儲かっている会社というのは35パーセントちょっとしかありません。つまり、おおよそ65パーセントが法人税を納めていないという実態があります」

 田中さんはそう指摘した。

 会社の場合、お金を貸してくれる場所、つまり「対銀行」という側面が見逃せない。有利な融資を受けるために、毎月毎月の収支を黒字にしたいという会社がある一方で、利益が少なくてもいいと考える会社もある。

 前者の「黒字にしたい」のは起業歴が浅く、これから信用を得なくてはならない会社だ。

 後者の「収支が少なくてもいい、赤字でもいい」と考えるのは、すでにある程度の信用ができている会社に多い。

「納税というのは信用力の担保でもあるのです。ある程度の税金を納める、黒字に決算する、納税証明書を取らないとそもそも銀行の融資審査が通りにくいという実情がありますからね」

何のための節税か? キャッシュを残すことも大切
 こうした現状の中で、そもそも利益にかかる「法人税等」について、実際にどれくらいが課税されるか把握していない経営者が多いと田中さんは指摘する。
 簡単に説明しておくと、資本金1億円以下のいわゆる中小企業に対する税率は以下の通りになる。読者の皆さんは、どのくらい理解していただろうか。
国税庁資料より。詳しい注釈は以下より。 http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5759.htm
拡大画像表示
 資本金1億円以下の中小企業の税率は、年間所得800万円以下の金額が15%、年間所得800万円超の金額は23.4%(平成30年4月1日以後開始事業年度は23.2%)。
 中小法人以外の法人の税率は23.4%(平成30年4月1日以後開始事業年度は23.2%)。
 要は年間所得が800万円を超えると、税率が10パーセント近く上がるという点がポイントになるようだ。
「節税というと利益を圧縮するために、経費を増やそうという話になるのですが、経費を増やすには支出も伴うということも考えるべきでしょう」
 田中さんはそう警笛を鳴らす。
「100万円のお金を使って、経費にしたところで減らせた税金は約24万円です。逆に使わないで76万円残しておいたほうが効果的なことも多くあることを考えてほしいのです。どちらが会社に利益をもたらすのかをきちんと見極めるべきだと思います」
 節税に目がいくばかりに、本来の目的である会社の成長が疎かになる。単純なことだが、見落としがちなのだそうだ。
 田中さんは、そうした風潮に対して、もう一度、税金にまつわる正しい理解が必要だろうと言う。
 では、具体的にどうしていくべきか。次回はいくつかのポイントを紹介する。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55044

 

 
夫の突然死、2年後に起こった悲劇「娘の就職も…」
中小企業の経営者が直面する未来の話
2018.10.25 河西 泰


事業承継はこれからもますます大きな問題になっていく(写真イメージ)。
 事業承継はこれからの大きな課題となるだろう。
 なかでも後継者不在は特筆すべき問題となっており、帝国データバンクが2017年に発表した『2017年 後継者問題に関する企業の実態調査』によると、国内企業の3分の2にあたる66.5%が該当するという。にもかかわらず、「この問題に向き合っている経営者は少ない」と指摘するのは司法書士で事業承継デザイナーを務める奥村聡さんだ。

事件は事業を引き継いで2年目に起こった・・・
 50歳で印刷企業を経営する女社長であった佐藤さん(仮名)。
 急死した50代の夫の事業を引き継ぎいだ。幸い、夫が残した遺産もあり、それを一人娘と分割して相続。その娘も大学を卒業し、大手上場企業に就職が決まる。あとは道半ばで倒れた夫のために事業を軌道に乗せよう――佐藤さんは、そう奮闘していた。
 しかし現実は甘くない。
 ネットやコンビニで気軽に印刷ができる昨今。経営は日に日に苦しくなっていった。
 夫が経営していた当時からの数名の従業員には、「申し訳ない」と思いながら、徐々に辞めてもらうしかなかった。
 それでも資金繰りに困ると、サラ金にまで手を出した。
 いつかは負債を返せる――その思いもむなしく、事業を引き継いで2年、佐藤さんは事業を閉じるという選択をした。

※  ※  ※

「佐藤さんが私のところに相談にきたのは、このタイミングでした」

 事業承継デザイナーとして全国を飛び回る司法書士の奥村聡さんは悔しそうに言った。「事業を閉じる」――それ以上の悲劇が佐藤さん一家には待ち受けていたのだ。

「このときのケースでは、社長が亡くなった時点で奥さんと娘さんで遺産相続をしていて、不動産を持ち合ったりもしていました。私のところに来た時点では、これ以上債権者に迷惑がかけられない、会社をやめたいというのが相談内容でした。そして、その時に初めて娘さんも連帯保証している事実がわかったのです」

 「残念ながら・・・」奥村さんは続ける。

「佐藤さんも、有名な上場企業に入社したばかりの娘さんも、結局は自己破産するしかありませんでした」

 実はこうしたケースは多いという。

「中小企業の社長の場合、公私の両面で経営にかかわっている場合がほとんどだということを忘れてはいけません。そして事業承継したあと、何年かして経営状況が悪化したときに、いろいろな相続問題が起きることが少なくないのです」

事前に措置を施しておけば残せるケースがほとんど
「事業承継において、相続の問題が絡むことは非常に多い。そして相続は、いいモノだけではなく、悪いモノ、つまり負債も引き継がれる。そのことに留意していないケースがとても多いのです。佐藤さんのケースでは、社長が亡くなった時点で、まず相続するかしないかを熟慮するべきでした。場合によっては相続放棄という方法も念頭に置くべきです。プラスとマイナスをよく考えて、マイナスのほうが多いのであれば家庭裁判所に申し出るのも一案です」

 奥村さんは10年以上にわたり「事業承継」を扱ってきたスペシャリストだ。数百件に上る事例を目の当たりにし、つとに感じるのが、経営者たちの備えの甘さだ。

「佐藤さん一家の場合も、旦那さんがご存命の時点で”仕込み”を入れておければ、このような最悪のケースは防げたと思います。もちろん理想論ですが・・・、たとえば、あらかじめ会社を、良い部分と悪い部分で二つに分けていたら、負担が少ない良い部分だけを佐藤さんが経営することができたかもしれません。経営者の死亡時に、株式が相続以外の方法で他者に承継されるような”仕込み”も考えられます。そうすれば家族が相続放棄をすることになっても、議決権は行使できるので、迷惑をかけないかたちで会社を畳むこともできたでしょう。場合によっては売ることも可能だったかもしれません」

 理想的な流れで言えば「経営者が50代後半になったら事業承継について動き始めてほしい」と奥村さんは指摘する。70歳を超えて急にこの問題に直面し、動き出すと多くの場合で「何らかの事情で進まな」くなることが多いからだ。

「早い段階で動き出した社長ほど、しっかり次の形まで持っていけるケースが多いのは間違いありません。きっちりとした事業承継後の形でなくても、自分に何かがあったらこうしてほしいという備えはしておくべきです」

経営者は万が一のときのケアを
「特に昨今強く感じているのが、佐藤さんのケースのような経営者である社長が急死する、もしくは不測の事態で動けなくなくなったときの準備の必要性です。事業承継というと後継者不在問題がよく挙げられ、急死問題はあまり指摘されませんが多発している印象があります。社長が突然亡くなったときのケアができていない。ほとんどの中小企業がそうだろうと思いますが、そのことが悲劇の上にさらに悲劇を生むケースが少なくないのです」

 この準備を怠ると、本来なら事業自体を残せたかもしれないのに、もはや倒産という選択肢しか持ち得なくなり、無関係だった家族が破産せざるを得ない、そんな最悪のケースに直面する可能性が大きくなっていく。

「小さい会社の場合、従業員も家族も何も言われていないケースがほとんどです。従業員からは給料が払われないがどうすればいいか、という相談を受けたこともありますし、わけも分からず奥さんが駆り出されて、挙句に借金を背負わされて破産せざるを得ないケースなどもありました」

事業承継は経営者のマインドがすべて
 ただし、現実にはその「備え」こそが難しい。

「そうは言っても、元気なうちに事業承継の決断をすぐに下せる経営者はなかなかいません。一昔前は息子に絶対継がせたいという経営者が多かったと思うのですが、今は価値観的にも自分の好きなことをさせてあげたいと考える社長(親)も多いようです。中小企業の場合、経営者の一存で物事を決めてきたことも多いでしょう。事業承継の問題も、答えは社長の心のなかにだけあるいうのが結論です。最終的には、社長がどうしたいのかというマインドの問題が大きいわけですね。周りにはいろいろ言う人がいるかもしれませんが、なかなか決断できない理由はそこではありません。分析していくと結局は自分の中にある考えがまとまらない、整理できていないから決定できないというケースがほとんどです」

 事業承継で一番重要なのは経営者のマインドの問題になる。奥村さんは「そこが一番軽視されていて、見落としがちだ」と指摘する。なかなか前に進まない、一度進んだのにもとに戻るようなケースの場合、結局は、社長のなかでしっくりいっていないという理由がほとんどなのだ。

 次回はそうしたマインドを乗り越えた事例(増える廃業、「社長の終わり方」が問われる時代)を紹介する。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54460
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/344.html

[経世済民130] 「ゴミ屋敷」から子どもを救えないセーフティネットの手薄さ なぜ子どもの誘拐殺人事件は繰り返されるのか
2018年12月28日 みわよしこ :フリーランス・ライター

「ゴミ屋敷」から子どもを救えないセーフティネットの手薄さ


弱者救済の切り札、セーフティネット住宅と簡易個室に見る明暗

貧困の子どもを救うためのセーフティネットは、今の日本であまりにも手薄だ。地域や大人は劣悪な環境から子どもを救うために、何ができるのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

子ども食堂や無料学習教室で
「清潔になって」と望む残酷さ
 地域に「子ども食堂」があり、低所得層の子どもたちを対象にした無料学習教室が開設されていることは、現在の日本の常識に近くなった。しかし、近隣に「子ども食堂」や無料学習教室があってもつながれず、必要とするものを社会からも学校からも家庭からも受け取れない子どもたちが、少なからず存在する。人数は明らかになっていない。実態や人数を把握すること自体に困難があるからだ。

 その子どもたちの一部は、児童相談所に把握されるかもしれない。さらに幸運な一部は、児童相談所などの介入を受けて、その後は必要なモノやカネや人間関係がある環境で、困難を抱えながらも育つことができるかもしれない。しかし、あらゆる「セーフティネット」から不運にもこぼれてしまう子どもたちを、向こう10年や20年でなくすことは難しそうだ。

 大人の多くは、一時的にでも「探し出したい」「何かしてあげたい」という気持ちを持つかもしれない。しかし、接触してもらうことも、関係を築くことも、関係を維持することも難しいのが現実だ。そのうちに時間が経過し、子どもは「子ども」でなくなり、何もかもが不足したまま社会に押し出される。

 特に厳しい状況にある子どもたちは、どのように「セーフティネット」からこぼれ落ちるのだろうか。まず、「子ども自身の衛生状態」という、わかりやすく極めて切実だが、語られにくい問題に注目しよう。

 様々な人々が訪れて楽しく飲食する「子ども食堂」に、身体や衣服や持ち物にノミ・シラミ・ダニが棲みついていて悪臭を放っている子どもがやってきたら、心から暖かく受け入れられるだろうか。

 食事の前に手洗いやうがいをしてもらっても、衛生面では「焼け石に水」だ。とは言え、空腹を抱えて訪れてきた子どもを追い返すわけにはいかない。互いにガマンし合う居心地の悪い状況が2回か3回繰り返され、子どもは来なくなる。「できれば歓迎したいのだけど」という“大人の事情“を、子どもは鋭敏に感じ取る。

「入浴してもらう」「衣服を洗濯する」「持ち物を消毒する」といったことを、他の子どもたちがいる場で個別に提案するのは難しい。自分がどのような“特別扱い“を受けているのか、子どもが気づかないわけはない。

 では、特別な困難を抱えた子どもを“特別扱い”しないために、たとえば「子ども食堂」に来ている子どもたちと一緒に全員での合宿を企画し、入浴や洗濯を行えばよいのだろうか。実は、これも解決にならない。普段の学校生活や地域生活の中での「臭い」「汚い」といったイジメや排除は、そのまま合宿に持ち込まれる。

 害虫がいなくなり、悪臭がなければ、周囲の人々にできることはもっと多いはずだ。もちろん、子ども自身の幸福感も増すだろう。そして、子どもの身体にまとわりついている害虫や悪臭は、多くの場合、家庭で生み出される。

「ゴミ屋敷」から子どもを救えない
世間や近隣の目は無力すぎる
 生活保護世帯の暮らしの様子がテレビに映し出され、「掃除や片付けができていない」「だらしない」という非難の対象になることがある。多くの場合、非難の対象になる暮らしぶりは、不運が重なる育ちや病気やDV後遺症の結果である。不足しているのは本人の意欲ではなく、適切な援助や治療だ。いずれにしても、テレビカメラを受け入れられる「汚部屋」なら、大きな問題はないだろう。

 近隣から悪臭に対するクレームが絶えない「ゴミ屋敷」レベルの場合、クレームを受けた家族は、「窓を締め切って暮らす」という、最も安価で手っ取り早い対策を採ることが多い。窓の内側には悪臭を放っている腐敗物があり、害虫がいる。窓を閉め切れば、屋内の環境がさらに悪化する。

 当然、そこで暮らしている家族全員の身体に、好ましからぬ影響があるだろう。しかし、窓の外に悪臭が漏れることはなくなる。身体に害虫と悪臭をまとっている子どもたちが帰っていくのは、そういう住まいだ。

 子どもたちは、痒さのために熟睡できない可能性もある。全身に広がる不快感を紛らわせるために、ゲームに依存している可能性もある。私たちの目の前から消えた子どもたちは、世の中から消えるわけではなく、どこかで痒みや痛みや不快感に耐えながら暮らしているはずだ。

 その子どもたちは、「ネグレクト」(育児放棄)という種類の虐待を受けている。しかし、子どもたちが目立った暴力を受けておらず、欠食がちで痩せているけれども生きており、イジメを受けたり学習困難を抱えたりしながらも学校に通っている場合、公的機関は踏み込みにくい。生活保護ならケースワーカーの訪問調査という機会があるけれども、玄関先より奥へ上がり込むことを強く拒まれたら、それまでだ。

 権限も財源もない近隣の大人たちや地域社会は、見かねて通報することができるけれども、通報を受けた公的機関に何かできることがあるわけではない。親に説教することもできるが、さらに傷つけられることを恐れる親は、家族ごと孤立を深めるだろう。

誰も見当がつかない
「何をどうしたらいいか」
 親が精神障害や知的障害、その他の障害を抱えているのなら、障害者福祉によるヘルパー派遣などの利用が、解決への1つの糸口になるかもしれない。しかし、そのためには、「障害者手帳を未取得だったら取得する」「障害者福祉の利用を申請して審査を受ける」「介護事業所を探して契約する」「ヘルパーさんがやってくるので、コミュニケートする」といった、数多くのハードルを超えなくてはならない。

 対人関係に困難を抱えている人々は、「ヘルパーさんがやってくる」という段階まで辿り着くことが困難だろう。軽度障害が重複している場合には、障害者福祉制度の利用もできないことがある。そもそもヘルパー派遣による家事援助は、あくまでも日常的な家事の援助で、「ゴミ屋敷の片付け」は想定していない。

 親が、親の役割を果たせていないことは事実だ。そこに社会的排除があることは、間違いない。公的制度の貧弱さを含め、社会的包摂が極めて困難であることも間違いない。しかし、何をどうすれば解決に近づくのだろうか。「解決した」といえる社会のイメージは、どのようなものなのだろうか。私自身、見当がつかない。

貧困の解消は難事業
簡単な解決法はない
 2018年12月4日、毎日新聞に「子ども食堂 苦悩 ボランティアに乱暴な言動も」という記事が掲載された。記事には、「子ども食堂」の中や周辺で迷惑行為や暴言・暴力を繰り返す子どもたちの存在と、その子どもたちを出入り禁止にしたり食事を持ち帰ったりしてもらう運営者の判断や苦悩が描かれている。

 自分の快適さを願い、好まないものごとや人々と遠ざかることを望むのは、誰にとっても自然なことだ。無料学習教室で静かに和やかに学習したい子どもの願いを尊重すれば、大声を出して暴れる子どもは排除されるかもしれない。「子ども食堂」のように飲食物を扱う場や医療の場には、より高い衛生レベルが求められる。「清潔」からほど遠い人々の立ち入りが好ましくない場面もある。


本連載の著者・みわよしこさんの書籍『生活保護リアル』(日本評論社)好評発売中
 結局のところ、正解はない。最初から「困っている人限定」にすると、より深刻に困っている人々を、さらなる傷つきへの恐れによって遠ざける。すべての人に門戸を開くと、困っている人が半端に包摂されながら排除されることになりかねない。「限定」と「開かれた場」は、いずれかが悪いというわけではなく、成功例は両方に存在する。

 しかし、成功を長期に維持することは容易ではない。貧困の解消は、最初から難事業なのだ。厳しい状況にある青少年の支援にあたる人々は、数年前から異口同音に「無料の食事くらいでは来てもらえない」と私に語っていた。

 早めに「私たちには無理」という判断を下し、行政や学校や専門家、力と歴史を持っている団体などと連携することは、大人の責任の在り方の1つかもしれない。ところが、そもそも制度が予算・人員とも貧弱すぎる。民間団体は、気合と根性で辛うじて持ちこたえていることが多い。今後、地方を中心に大学の弱体化が進めば、専門家も頼りにくくなるだろう。八方塞がりだ。

 まずは、力も可能性も失ってきた大人社会の現在を認めるしかない。私たち大人が持っているはずの力と可能性は、奪われているのなら取り戻すべきだろう。大人たちが自分の力と可能性を手にすれば、私たちの社会を子どもたちごと救うために、できることがあるはずだ。

(フリーランスライター みわよしこ)
https://diamond.jp/articles/-/189867 

 
「犯罪機会論」で読み解くあの事件

「宮崎勤事件」で起きた「ボタンの掛け違い」、

なぜ子どもの誘拐殺人事件は繰り返されるのか

知っているつもりが、実際は間違いだらけの防犯対策
2018/02/23

小宮信夫 (立正大学文学部教授)

 今から30年前、世間を震撼させる事件が発生した。4人の子どもを次々と殺害した「宮崎勤事件」だ。その宮崎勤も、ちょうど10年前に死刑が執行され、すでにこの世を去っている。はるか昔の事件のようにも思えるが、その後も、子どもが誘拐され殺害される事件は全国で相次いでいる。昨年3月に起きた千葉県松戸市のベトナム国籍の女児が殺害された事件は記憶に新しい。

 なぜ事件が繰り返されるのか――それは、宮崎勤事件のときに、「ボタンの掛け違い」が起きてしまったからだ。


(iStock/udra)
犯行動機は外からは見えない
 当時、マスコミはこぞって、宮崎勤の「性格の異常性」に注目した。このように、「なぜあの人が」というアプローチを取る立場を、犯罪学では「犯罪原因論」と呼んでいる。この立場は、性格の矯正や境遇の改善においては有効である。だからといって、犯罪をしそうな人をあらかじめ発見できるわけではない。犯行動機は外からは見えないからだ。

 ところが、宮崎勤事件以降、まるで「動機は犯行前に見える」と言わんばかりに、「不審者」という言葉が多用されている。前述した松戸市の女児殺害事件の後は、「知らない人」だけでなく、「知っている人」も「不審者」と見なされるようになってしまった。


いわゆる宮崎勤事件において、最初の事件の連れ去り現場となった歩道橋
 しかし、「不審者に気をつけて」では、30年経った今でも宮崎勤事件は防げない。例えば、最初の誘拐事件(埼玉県入間市)の手口を振り返ってみよう。宮崎勤は女児を歩道橋の上からマンションの駐車場に止めておいた車まで連れ去ったが、その方法は実に巧妙だった。

 まず、歩道橋の階段を上り始めた女児の姿を目にした宮崎は、同じ階段ではなく反対側の階段から上っていった。そして歩道橋の上で女児に近づくと、目の前に腰をかがめ、笑顔で「涼しいところに行かないか」と声をかけた。しかし無理強いせず、「今来た方でいいんだよ」と言ってから、一人で先に歩道橋を下りていった。

 何と巧みな戦略だろうか。歩道橋を反対側から上ることで偶然の出会いを装い、腰をかがめて目線を同じ高さにすることで親近感を抱かせ、先を歩くことで警戒心を解きながら追従心を呼び起こしたのだ。

 仮に二人の姿がマンションの住民や通行人に見られても、後ろからついて来た女児が自ら進んで車に乗り込むという状況の下では、女児が連れ去られているとは思われなかっただろう。

 実際、宮崎自身も、「先に立って階段を下り、ときどき後ろを振り向きながら、〇〇ちゃんの歩く速度に合わせて、5メートルくらいの間隔をおいて歩いて行った。間隔をおいたのは、人に見られたとき、自分が〇〇ちゃんを連れているという感じを与えないようにとの考えからである」と供述している。

神戸連続児童殺傷事件では
「ついてこさせる」状況を作り出している

いわゆる宮崎勤事件において、4番目の事件の連れ去り現場となった保育園の玄関前
 4番目の誘拐事件(東京都江東区)では、高層アパートの1階にある保育園の玄関前から女児が連れ去られたが、この事件でも、宮崎は、「〇〇ちゃんの歩く速さに合わせるようにして、7メートルくらい先を、間隔を取りながら歩いて、4号棟の東側道路に下りる階段を、歩道へと下りて行った」と供述している。

 こうしたケースでは、「知らない人にはついていかない」と教えても、ついていくことを防げない。なぜなら、警戒心が解かれ、親密感が増しているので、連れ去り犯は、すでに「知っている人」になっているからだ。

 神戸連続児童殺傷事件(酒鬼薔薇聖斗事件)では、「ついていかない」どころか、逆に「ついてこさせる」状況が自然に作り出されている。

 「ここら辺に手を洗う場所はありませんか」と丁寧に尋ねた少年A(酒鬼薔薇聖斗)に対し、「学校にならありますよ」と答えた女児を連れ出し、殺害したわけだが、少年Aは、「女の子が先に歩き、僕はその女の子の後ろから歩いて行きました」と供述している。

 子どもが誘拐された事件のほとんどは、だまされて連れ去られたケースである。ほとんどの犯罪者は、強引に子どもの手を引いて連れ去るような愚かなことはしないのだ。宮崎勤事件も、神戸連続児童殺傷事件も、そうしたケースだったことを忘れてはならない。そうしたケースでは、「不審者に気をつけて」と連呼しても、防犯ブザーを持たせても、大声で助けを呼ぶ練習をさせていても、事件は防げない。

 にもかかわらず、こうした事実を知らない人の方が圧倒的多数である。そのため、子どもの安全対策や防犯教育は、現実とはかけ離れたものになっている。

「景色」に注目すれば、犯罪を回避できる
 アメリカの作家マーク・トウェインは、「人がトラブルに巻き込まれるのは知らないからではない。知っていると思い込んでいるからである」と語ったが、防犯対策について、まさにそうしたことが起きている。人々は、犯罪について「知っている」と思い込んでいるのだ。しかし実際は、宮崎勤事件が起きた30年前から、対策は一向に進んでいない。

 日本とは対照的に、海外では「不審者」という言葉は使われない。使っても、役に立たないからだ。海外で行われていることは、「犯罪をあきらめさせる」環境づくり――犯行のコストやリスクを高くしたり、犯行のリターンを低くしたりして、犯罪をあきらめざるを得ない状況を作り出すことだ。このように、「なぜここで」というアプローチを取る立場を、犯罪学では「犯罪機会論」と呼んでいる。

 犯行動機を発見できなくても、犯行動機をなくせなくても、犯罪の機会(チャンス)さえ与えなければ、犯罪を行わせないことができる。重要なことは、犯行動機があるかないかは見ただけでは分からないが、犯罪の機会があるかないかは見ただけで分かる、ということだ。つまり、その場の「景色」に注目すれば、犯罪が行われる前に、犯罪を回避できるのである。

 宮崎勤事件や神戸連続児童殺傷事件のように、子どもがだまされて連れ去られる事件を防ぐには、子ども自身が、だまされそうになっていることに気づくしかない。しかし、人はウソをつくから、人を見ていてはだまされてしまう。だまされないためには、絶対にだまさないものにすがるしかない。それが「景色」である。人はウソをつくが、景色はウソをつかない。景色の中で安全と危険を識別する能力のことを「景色解読力」と呼んでいるが、それを高める方法については次回に。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/12035
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/349.html

[経世済民130] 日産ゴーン事件で蘇る「塩路天皇」問題という負の歴史 日産は昔からの「膿」を出し切っていないのか
2018年12月28日 佃 義夫 :佃モビリティ総研代表

日産ゴーン事件で蘇る「塩路天皇」問題という負の歴史

日産は昔からの「膿」を出し切っていないのか


ゴーン元会長の逮捕と
4度にわたる完成車不正検査問題

 年末になってもずっと世間を騒がせているのが、カルロス・ゴーン元日産自動車会長の逮捕劇である。有価証券報告書への高額報酬虚偽記載の金商法違反の起訴に加え、「日産の私物化」による不正行為の特別背任罪による再逮捕もあり、結局、ゴーン元会長は越年勾留となった。司法の判断は長引きそうであり、決着は長期化の様相だ。

 日産は直ちに会長解任で「ゴーン失権」を明確にした。だが、日産の親会社がルノーであり、そのルノーの大株主が仏政府であることでルノーは会長兼CEOを当面、留任させており、これが「ややこしい事態」を招いている。

 ここで、日産が直面する問題は2つ。

 1つは、日産にとってゴーン元会長が束ねてきた「ルノー・日産・三菱自動車連合」という国際3社連合を、「ポスト・ゴーン」でどのような道を探るのか。

 もう1つは、そもそも日産がこのゴーン元会長の不正を社内で解決できずに、結果的に司法に委ねざるを得なかったということ自体がコーポレートガバナンス(企業統治)上、非常に問題であるということだ。

 それは、完成車検査で4度にもわたる不正発覚という工場生産現場でのコンプライアンス(法令遵守)の徹底不足にも結びついており、日産という企業の本質を突く問題である。

 詳しくは後述するが、日産は“昔”からの「膿」が出し切れておらず、企業としての「土壌」に問題があるのではないか、と思うのだ。

権勢を振るった
「塩路天皇」と呼ばれた人物
 日産という企業の体質――。

 これについて、日産自動車を70年代から長くウオッチしてきた筆者としては、ゴーン政権前の旧日産で思い浮かぶある人物がいる。

 それは、かつて「労働組合トップ」として異常なまでの権勢を振るった「塩路一郎日産労連会長」である。

 彼は日産社内で「塩路天皇」と言われ、畏怖されていた人物だ。

 その理由は明らかで、1960年代から1980年代の半ばまで20年以上にわたって労働組合のトップでありながら、日産の人事や重要な経営判断にまで強く関与したからだ。

 象徴的なのは、日産が英国工場進出を決めた際、当時の塩路日産労連会長が進出反対の記者会見を行って「強行したら生産ラインを止める」とまで言い切った。また、社内の人事異動では、塩路労連会長に挨拶(あいさつ)に伺うのが常となるほどだった。

 いかに彼が当時の日産において権勢を奮っていたかを示すエピソードである。

 一方、彼は「労働貴族」と呼ばれるほどの豪勢な私生活を送っていたが、誰も文句を言えない状態だった。

 品川に豪邸を構えて日産の高級車を乗り回し、自家用ヨットを所有し、銀座のクラブで豪遊する派手な私生活は、「金の出どころはどこにあるのか」といわれるほどであった。だが「労働貴族」と言われても本人は気にせず、むしろ自負するほどだった。

 時の中曽根政権にも深く関わるほどの勢いだった。

 塩路一郎氏は、1961年に日産労組組合長となり、時の川又克二社長と労使協調路線で蜜月関係となり重用された。62年に、日産グループ全体の日産労連会長、72年には自動車産業全体を仕切る自動車総連を結成して会長となった。

 当時、日本興業銀行出身の川又克二氏は「日産の中興の祖」と呼ばれ、非常に大きな権力を持っていた。塩路氏は、その権力をバックに日本の労働組合のトップにのし上がったと言われている。

日産にとって
最大の「負の遺産」
 こんな状態では、経営はうまくいくはずがない。

 日産の90年代後半の没落は、日産の経営者が内向きのこの労組トップに大きな労力を費やしたことが大きな要因だった。

 日産にとって「塩路天皇」は、最大の「負の遺産」である。

 前述した日産英国工場進出は、当時の石原俊社長が「グローバル10計画」としてグローバルで日産が10%シェアを奪還するための戦略だったが、塩路労連会長は83年に川又会長と組んでこれに反対する会見を行ったのだ。

 当時、経団連記者クラブにいた筆者は、俳優の森繁久彌氏と日産が共同所有していた佐島マリーナで、石原社長ら日産首脳との記者懇談会に参加したところ、塩路労連会長もわざわざ労働省記者クラブの記者を同じ日程と場所に招き、自分の権力を誇示する光景を目にしたこともある。

 結局、「塩路天皇」の存在という社内権力の「二重構造」で、日産の生産性は低下し、ライバルのトヨタとの力の差は開く一方となっていった。

 繰り返しになるが、20年以上に及んだ労組のトップが牛耳るという異常な企業風土は、90年代後半の日産業績不振から経営破綻寸前に至る大きな要因となったといえよう。

 かつて労組のトップが権勢をほしいままにして、人事権や管理権まで握って日産の経営全体を厳しい状態に陥らせたことは、当時もコーポレートガバナンス(企業統治)が欠如していた証左にほかならない。

 最近、『日産自動車極秘ファイル2300枚』を著している経営コンサルタントの川勝宣昭氏(当時の日産広報課長)と、久しぶりに会って懇談する機会があった。

 長い間、日産で権力を持ち過ぎた塩路天皇による弊害に対して、立ち上がった一人がこの川勝氏である。

 結局、塩路天皇は「金と女性」のスキャンダルがきっかけとなり、86年に労働組合から引退した。

 だが90年代以降、トヨタとともに日本の自動車産業のリーダーだった日産から輝きは失われた。

現場との
乖離が広がってきた
 石原社長の後を受けた久米社長時代に、バブル景気による高級車ブーム「シーマ現象」で一時的に盛り返したものの、辻社長となってから日産の国内工場の象徴的存在だった座間工場を閉鎖に踏み切った。続く塙社長は、仏ルノーとの資本提携を行い、ルノー傘下となった。

 辻・塙体制は、いわば「敗戦処理」だった。

 ちなみに、現在の西川日産社長は、座間工場閉鎖という苦渋の決断をした当時の辻社長の秘書を務めており、厳しい経営を強いられていた社長を身近に見る経験をしている。

 ルノー傘下に入った日産がカルロス・ゴーン体制によってV字回復を果たしたことは誰しも認めるところである。「ルノーのためでなく、日産のために来た」と言い切って生産や販売現場を精力的に回っていたころのゴーン氏は、プロの経営者としての姿であった。

 ゴーン氏も当初は、生産現場や販売現場に頻繁に足を向けていたが、政権が長期化するほど生産・販売現場と経営の距離が広がった。

 しかも、日産の社長とルノー会長兼CEOになってからは、世界を飛び回る国際アライアンス連合の経営者としての姿に変わり、日本に訪れるのは月に1週間ほど。さらに三菱自動車の会長も兼ねるようになって日産にいるのは、月に2〜3日ほどになったという。

 これでは、ますます現場との乖離が大きくなる。

皮肉に聞こえる
日産のガバナンス
 今年6月の株主総会でも「ゴーンさんは、やはり“日産の顔”なんだから完成車検査不正問題の会見に出てきてほしい」との株主からの声にも、「西川さんが社長なのだから出ない」とそっけなかった。

 その西川社長による完成車検査不正会見も、昨秋来4度目となったが、9月、12月の会見は西川社長でなく、担当役員による謝罪会見だった。

 昨年秋にこの完成車検査不正が露呈したのも内部告発からとされており、コンプライアンスの不徹底、ガバナンスが機能していないのは、“塩路天皇”以来の「根強い社内政治」が日産の土壌となっているからだろうか。

 あるいはゴーン体制が長く続き「コスト」を前面に打ち出しすぎる弊害が現場で鬱積しているのか、ということになる。

 日産のHPには、同社のガバナンスについてこう記している。

「コーポレートガバナンスを充実させることは、日産の経営に関する最重要課題の一つです。そのために最も重要なのは、経営陣の責任を明確にすることであり、日産では経営の透明性や機動性を向上し責任体制を明確にすることです。経営陣は『持続可能な企業であるためには、高い透明性と失敗に学ぶプロセスこそが何より重要である』というトップのメッセージを共有して、すべてのステークホルダーに対して明確な経営目標や経営方針を公表し、その達成状況を速やかに高い透明性を持って開示しています」と。

 やや皮肉に聞こえるのは筆者だけではなかろう。

(佃モビリティ総研代表 佃 義夫)
https://diamond.jp/articles/-/189866
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/350.html

[経世済民130] いかなる政府や機関からも技術へのアクセスを要求されたことない「日本人に感謝」の裏に潜む副会長本音「論理破綻」ロシア排除も
いかなる政府や機関からも技術へのアクセスを要求されたことない

ファーウェイ・ジャパンが声明を発表

2018年12月28日 14時00分 公開
[井上翔,ITmedia]
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 ファーウェイ・ジャパン(華為技術日本)は12月27日、日本のユーザーに向けた声明を発表した。昨今報道される機会が多い、中国メーカー製の情報通信機器に対する懸念に対し、同社の見解と姿勢を示している。

声明文
ファーウェイ・ジャパンが発表した声明文「ファーウェイ・ジャパンより日本の皆様へ」
 声明文は同社の王剣峰(ジェフ・ワン)社長名義で出されたもの。

 サイバーセキュリティの重要性や各国政府やお客様のセキュリティに関する懸念を認識・理解しているとした上で、Huawei(華為技術)が事業を展開するすべての国や地域の法規制や国際電気通信規格を順守していること、全領域においてセキュリティとプライバシー保護を会社としての重要方針として注力していることを改めて強調。いかなる政府や機関からも技術へのアクセスを要求されたことはないとした。

 一部報道で「ハードウェアに余計なものが見つかった」「マルウェアが見つかった」「仕様書にないポートが見つかった」と報じられていることについても改めて否定。日本において導入されている機器はHuaweiのみならずユーザーの厳格な納入試験を経て導入されていることをアピールしている。

→ファーウェイが声明 「製品に余計なものが見つかった」報道は「事実無根」と否定
→ファーウェイが再度声明 「スパイウェア」報道は事実無根、法的手続きへ
 Huaweiの日本法人であるファーウェイ・ジャパンについても、声明発表時点で約1000人の雇用を抱え、その75%が現地(日本)での採用であること、2011年に日本経済団体連合会(経団連)に加盟したこと、多くの日本企業と協業してきたことなどを挙げ、日本に根ざして活動してきたことを訴えた。

 ファーウェイ・ジャパンは「今後も安全性・安定性の高いネットワークの実現を企業使命とし、日本の通信事業者やパートナーの皆様とともに情報通信技術について研鑽を重ね、日本社会に貢献できるよう努めてまいります」としている。

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http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1812/28/news096.html

 

立花聡の「世界ビジネス見聞録」

「日本人に感謝」の裏に潜むファーウェイ副会長の本音

公開された日記に見る「論理破綻」
2018/12/28

立花 聡 (エリス・コンサルティング代表・法学博士)

 ファーウェイは12月21日、カナダで逮捕された孟晩舟副会長(現在保釈中)の日記の一部を公開した。日記は、ある日本人から孟氏に宛てられた手紙に触れ、「世にも本当の人情が存在する」と讃え、情に訴えるものだった。私はネットでその日記の原文を探し当てたので、一部を抄訳する――。(原文参照:2018年12月21日付け「中財網」)


ファーウェイ副会長・孟晩舟氏(写真:Press Association/アフロ)
ある日本人が孟氏に宛てた手紙
「昨晩、ある日本人から私に宛てられた手紙で心が温まりました。繰り返しているように、世にも人情は存在します。危難に遭遇したときにも、面識の無かった多くの人が情を示してくれたことを知りました。

 保釈の日、法廷で手続を待っている間に、弁護士が教えてくれました。弁護士事務所に知り合いでもない多くの人から、保釈金のために自分の財産を提供したいとの電話がありました。個人的な知り合いでなくても、彼たちはファーウェイを知っています。ファーウェイを認めています。だから、彼たちは私を信用してくれたのです。弁護士曰く彼の40数年の弁護士人生の中でもこんなことは初めてだそうです。知り合いでもない他人のために担保を差し出すなんて考えられなかったからです。弁護士の話を聞いていると、私は涙があふれてくるのを止められなかった。自分のためではなく、こんな多くの人たちが私を信じてくれたことで泣きました。日本福島地震の時、私はちょうどアメリカのIBM本社にいました。1週間のワークショップの最中でした。(中略)アメリカをすぐ離れることができないため、孫総経理を日本に送り込みました。

(中略)一通り仕事を片付けたところで、私はすぐに東京行きの航空券を取りました。日本の支店に行くと、震災後の復旧作業、顧客のネットワークの修復とわれわれ自社の日常運営についてスタッフ全員と打ち合わせを行いました。私の日本出張に先立って、会社の緊急処理班はすでに機能していました。孫総経理も日本から帰国したばかりで、私には現地での実務作業がほとんど残されていませんでした。私は日本へ行き、震災後の業務対応を総括し、業務プロセスの確認を行いました。私自身もたくさんのメモを取りました。

(中略)このたびの経験は、私は後日もほとんど言及したことがありません。何も特に自慢できるものがなく、すべてが私の仕事だったからです。しかし、善は報われる。8年後のいま、ある普通の日本人からの手紙で私は報われたのです。無比な誇りと慰めで胸がいっぱいです。誇りは、あの時あれだけのリスクに直面しながらも、私は日本行きの飛行機に乗り込んだことから来ています。勇気とは恐れないことではなく、心の中に確固たる信念をもつことです。慰めとは、われわれの努力を神が見つめ続けていたことで、われわれが払ってきた努力は決して無駄にならなかったことです。

日本人が抱える「永遠の宿命」とは
 体裁的には「日記」よりも、対外的なブログ投稿に近い。前半の情に訴える部分には心に響くものが若干あったものの、後半ないし締めくくりの部分に至ってはナルシスト的な表現に一転し、どうも盛り下げる蛇足になったような気がする。まあ作文の巧拙は別として、それよりも、最終的に世間一般、あるいは日本人の目にこの胸中の告白はどう映ったのか。これに興味をもった。

 この日記を取り上げて報じた日本のメディアは、私が調べたところでは、日本経済新聞と時事通信の2社であった(ほかにあるかもしれないが)。

 日本経済新聞電子版は12月21日付けで「ファーウェイ、孟副会長の日記公開 日本からの激励に謝意」と題して報じた。果たして真実を反映した見出しであろうか。日記の前半を額面通りに受け取り、しかも、日本人の性善説的な視線からすれば、見出しに書かれた通りかもしれないが、原文の後半ないし結尾へ読み進めると、ニュアンスの変化に気付くはずだ。

 孟氏は自分がいかに「危険を冒して」、被災直後の日本へ旅立ったことを誇りに思っているかを、情緒的に表現した。業務遂行の作業場が被災地近辺かどうかは知らないが、本当のネットワークの修復作業に当たったのはファーウェイの従業員、あるいは請負業者だったのではないか。彼女は部下が一通り仕事を片付けた後に日本に「駆けつけた」のだった。もし、顧客が感謝を述べるのなら、ファーウェイ社に対してであって、彼女という一個人ではないはずだ。

「彼たちはファーウェイを知っています。ファーウェイを認めています。だから、彼たちは私を信用してくれたのです」と、孟氏の日記に記されているが、論理的な文脈にはなっていない。ファーウェイを認めているから、副会長の孟氏を信用する。このようなロジックは成立するのだろうか。立派な会社であっても、その経営者や幹部が犯罪に及ぶ事例は世の中枚挙にいとまがない。

 同日12月21日付けの時事通信の報道、「日本人の激励手紙に感動=ファーウェイ孟氏の日記公開」も基本的に日経記事と同じ基調であった。私はこれらのメディアを批判しているわけではない。むしろ日本人的な性善説からすれば、このような文脈は当たり前だと思っているからだ。しかし、日本から一歩出れば、外の世界は基本的に性悪説でできている。思考回路と現実のかい離は容易に消滅するものではない。むしろ日本人が抱える永遠の宿命なのだ。

「法」より「情」が優先される中国社会
 日本人の宿命といったらそこまでだが、何としてでもこれからの世界でサバイバルしていかなければならない。そんな日本人には何が必要なのか。「日本の常識」や「世界の非常識」が語られるなかで、ときには親和感のない思考回路や目線をもつことも大切ではないかと私は考える。

 今回はファーウェイに関連して、私はふとある古い報道記事を思い出した。中国の大手経済紙「第一財経日報」に掲載された1本の論説、「『情・理・法』と『法・理・情』」。その一節を訳出する――。

「中国大陸で20年以上も事業を経営してきたある香港人企業家が中国と香港の比較をする際にこう語った。中国大陸と香港は、どちらも法律、人情と道理を重視するが、ただしその順序と比重がまったく異なる。

 香港の順序は、『法・理・情』。まず法律を重視する。企業は法律の保障を得ながらも、これらをすべて使い切ることはしない。法律を見渡して(契約の)合理性があるかないか、さらに人情があるかないかを検討し、相手方がより納得して受け入れられるように工夫するのである。

 しかし、中国大陸の順序は、『情・理・法』。まずは情。親戚や知人、元上司がいるかどうかを見る。いると、理を語る番になる。理に適っていればいいのだが、理がない場合はどうするかというと、情さえあれば、無理して理を作り出し、理を積み上げ、『無理』を『有理』に変えていくのである。情があって、理があって、そこでやっと法の順番が回ってくる。法は重要だ。適法なら問題なし、みんながハッピー。違法の場合はどうするか。それでも大丈夫、法律ギリギリすれすれのグレーゾーンで何とかする。それでも難しいようであれば、みんなでリスクを冒して一緒に違法する。法は衆を責めず、法律は、みんなで破れば怖くない。

(中国大陸には)数え切れない『情』があって、説明し切れない『理』がある。これらが法の均一的な実施を妨害し、法体系を弱体化させ、規則の整合性を破壊する。法の実施は人治に依存し、人の主観によって規則も変わる。法治の躯体に人治の魂が吹き込まれ、法の形骸化に至らしめる。中国の社会や経済の矛盾は、法の意志を無視し、法治を基本ルートや最終的解決法としないところから生まれる。いわゆる人情や調和に価値を追求すればするほど、適正な目的に背馳し、縦横無尽な悪果を嘗め尽くすことになる」(以上引用・抄訳)

 孟氏の日記は、「日本でこんなに良いことをやったのだから、私は犯罪に及ぶ悪人ではない。人情のある善人だ。信用されてもいいはずだ」と言わんばかりのニュアンスである。しかし、既述した通り、文脈における主体である会社と個人、その所為の無関連性が明らかであって、論理がすでに破たんしていた。

 つまり、「情」に訴えようとしたところで、「理」が破たんしたのである。裏返せば、理がそもそも破たんしていたのだから、情に訴えざるを得なかった。そういう状況だったかもしれない。

 気がつけば、孟氏のカナダでの逮捕は法律案件であって、「法」次元の話ではないか。さらに言ってしまえば、量刑にあたっての情状酌量の段階でもないのに、「情」や「理」を差し挟む余地はないだろう。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14926


ファーウェイ、孟副会長の日記公開 日本からの激励に謝意
米中衝突 ファーウェイ ネット・IT 中国・台湾
2018/12/21 15:22
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【広州=川上尚志】中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)は21日、米国の要請でカナダで逮捕された孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)の日記の一部を公開した。日本人からファーウェイに激励の手紙が届いたことに言及し「心が温まった」と謝意を示した。米国やカナダに対する批判などの言及は無かった。

華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)=同社ウェブサイトより
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華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)=同社ウェブサイトより

ファーウェイは主に社員に向けた情報サイトで孟氏の19日の日記を公表した。日記は「世の中には本当の人情が存在する」というタイトルで、ファーウェイ日本法人に日本人から激励の手紙が届き、「誇りと慰めで満たされた」と表現した。カナダ当局に逮捕された後「面識の無かった多くの人から、(孟氏の保釈金のために)自分の財産を提供したいという連絡が弁護士事務所にあった」とし、「涙があふれてくるのを止められなかった」と書いている。

孟氏はイラン制裁違反の取引に関係した疑いで、カナダで1日に逮捕され、11日に保釈された。孟氏の逮捕が明らかになって以降、日本政府は政府調達でファーウェイなどの中国製通信機器を事実上排除する指針を発表している。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3924199021122018FF8000/



日本人の激励手紙に感動=ファーウェイ孟氏の日記公開
2018年12月21日16時25分


孟晩舟 中国・華為技術(ファーウェイ)の副会長兼最高財務責任者(AFP時事)

 【北京時事】中国メディアは21日、カナダで逮捕後保釈された中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長を激励するために日本人が書いたという手紙と、手紙への感動をつづった孟氏の日記を一斉に伝えた。

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 手紙は、東京在住の「小さな会社の社長」が孟氏とファーウェイの従業員宛てに日本語で書いたもので、17日に日本法人に届いた。この中で「他の企業が逃げるように撤退する中、被災地に入り、被害を受けた通信設備の復旧作業に当たった」と、東日本大震災直後の同社の献身的な仕事を評価。「孟氏は恩人だ」と謝意を伝えている。
 これを読んだ孟氏は19日の日記に「8年後にこんなお返しがあるなんて思いも寄らなかった。誇りと慰められる気持ちでいっぱいだ」と記した。孟氏も当時、日本を訪れ緊急対応に当たったという。(2018/12/21-16:25)

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カナダ、米中の板挟み=ファーウェイ副会長引き渡し問題
【特集】ファーウェイ〜副会長逮捕も保釈、米・カナダと中国が神経戦〜
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米政府「内部文書」から読み解く「ファーウェイ」逮捕劇の「深層」
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山田 敏弘
華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)=2014年10月2日、モスクワ【EPA時事】

 カナダ司法省が、中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」の創業者である任正非CEO(最高経営責任者)の実娘で、CFO(最高財務責任者)兼副会長の孟晩舟を逮捕したニュースは、世界を震撼させた。

 ファーウェイと言えば、2017年に世界で6036億元(約10兆円)の売上高を記録した大手企業で、スマートフォンの売り上げでは今年の第2四半期に「アップル社」を超えて世界第2位に躍進し、1位の「サムスン電子」に迫る形となっていた。またインターネットなどの通信インフラとなる通信基地局のシェアでは、世界1位だ。日本では中国企業として初めて、2011年に日本経済団体連合会(経団連)に加盟している。

 そんな企業の副会長が、カナダで飛行機を乗り換える際に突如逮捕されたのだから、大きな驚きをもって受け止められたのは当然だろう。

取ってつけたような容疑

 ただ、政府やサイバーセキュリティの関係者などにとって、このニュースは何ら意外ではなかった。なぜなら、ファーウェイや同様の中国通信機器大手「中興通訊」(ZTE)などについては、米国政府が中心となって以前よりあの手この手で排除を目論んできたからだ。その20年前にまで遡る歴史を知っていれば、今回の「対イラン制裁違反」という容疑が取ってつけたようなものだとわかる。

 さらに言うと、カナダ政府は2016年にファーウェイの職員に対するビザの発給を、スパイ疑惑を理由に拒否したことがあった。その点からも今回の逮捕に驚きはない。

 もちろん、逮捕の背後に米政府の存在があるのは言うまでもない。

華為技術(ファーウェイ)のロゴ=2018年12月6日、北京【AFP時事】

 長く小競り合いを繰り広げてきた米政府とファーウェイだが、ある米政府関係筋に言わせれば、「5G」(第5世代移動通信システム)をめぐる米政府の焦りが争いを加速させている。この関係筋が、「両者の争いは5Gをめぐって『戦争』に変わった」と語るほどだ。

 筆者は最近、この関係筋から、米政府が5Gの現状についてまとめた内部文書を入手した。そこからは、5G時代に「劣勢」にある米国の焦りが垣間見え、日本を含め世界の同盟国にファーウェイ排除に向けた圧力をかけてきたワケも感じ取れる。文書をじっくり読むと、いまやサイバー空間をめぐる「グレートゲーム」が激化していることがわかるのである。

米政府には目の上のたんこぶ【次ページ】

米政府には目の上のたんこぶ
華為技術(ファーウェイ)の創業者である任正非・最高経営責任者(CEO)=2015年1月22日、スイス・ダボス【AFP時事】

 本題に行く前に、まずファーウェイと米国のこれまでの動きを簡単に振り返りたい。

 中国人民解放軍出身の任CEOは、1987年に広東省深圳でファーウェイを立ち上げた。同社の公式サイトにある任のプロフィール・ページ(英語版)によれば、彼は1974年に人民解放軍に入隊し、エンジニア部門で幹部を務め、1982年には中国共産党全国代表大会に参加したという。1983年には除隊しているが、「軍の階級は得ていない」とわざわざ記す同プロフィールは、任の元軍人というイメージを薄めようとしていると思われる。

 そんなファーウェイは、2000年代に入ると米国などにビジネスの場を広げ、2005年には日本に進出している。

ファーウェイ・ジャパンが開催した新製品発表会で、フラッグシップモデル「HUAWEI Mate20 Pro」を持って登壇した、ファーウェイデバイス日本・韓国リージョンの呉波プレジデント=2018年11月28日、東京都港区【時事通信社】

 同社が米国で顰蹙を買うようになったのは、進出してすぐのことだった。欧米企業から知的財産を盗んでいると指摘され、訴訟沙汰になったからだ。事実、「パクリ」と認定された製品の販売を止めたこともある。そうした向かい風は、同社幹部がメディアに「もう米国市場には興味がない」と主張するほどだった。これが2000年代のことである。

 だがその後、ファーウェイは米国においてだけでなく世界的にも成長を続けた。同時に米国内でスパイ疑惑などが取り沙汰されるようになり、米政府には目の上のたんこぶとなった。

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ファーウェイ禁止の世界的な広がり
華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)[同社HPから]【時事通信社】

 NSA(米国家安全保障局)は2009年頃からファーウェイを脅威と見做し、任CEOに対するスパイ工作である作戦名「ショット・ジャイアント」を開始。内部文書や電子メールのやりとりを監視していただけでなく、同社製品のソースコードまで入手していた。

 こうした背景から、2012年に米連邦議会がファーウェイは危険だとする報告書を発表したり、2014年に米政府が正式にファーウェイを政府機関などの入札に参加できなくする措置を取ったりした。さらに2018年8月には米国防権限法により、米政府や関係機関でファーウェイとZTEの機器使用を全面的に禁じた。

 そして、オーストラリア政府やニュージーランド政府だけでなく、英国の「英国電気通信」社も相次いで両社製品を禁止にした。この背景の1つには、米国が諜報活動を共有する「ファイブ・アイズ」(米国・英国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド)などの同盟国に、情報保全のためにファーウェイを締め出すよう要請したことがある。

記者会見する菅義偉官房長官=2018年12月10日、首相官邸【時事通信社】

 また米国は最近、日本やドイツにも中国にからむインテリジェンスに限って機密情報を提供し始めたが、それがファイブ・アイズ同様のファーウェイ禁止措置を求める口実にもなっている。せっかく渡した機密情報が同盟国から流出するリスクは排除したい、というのが米国の主張だ。そのため日本も12月10日、ファーウェイを政府調達などから排除する方針を表明したが、孟・副会長の逮捕は方針を発表するには絶好のタイミングだったというわけだ。

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中国のスパイ活動につながっていく
北京にある華為技術(ファーウェイ)の店舗前を歩く人々=2018年12月10日【AFP時事】

 ただ、情報流出以上に米国にとっては重大な懸念がある。すでに述べた通り、5Gの存在だ。

 では実際に、米政府は5Gの現状と今後をどう見ているのか。筆者が今回、米政府関係筋から入手した政府の公式内部文書をもとに見ていこう。

 最近作成されたこの文書は、今後米国がいかに5G時代をリードすべきかを政府内で議論するためにつくられたものだ。文書は、米国が5Gの分野ですでに劣勢に立たされている現実を浮き彫りにしていく。

 まず5Gの可能性について、こう言及している。「5Gは、単純に現在の4Gより速い速度の通信、ということではない。この次世代の通信技術は、米国が世界中の競合から1歩抜き出ることを可能にし、米国民に安全で信頼できるインフラを提供することになる」。

 そしてこう訴えている。「5Gの時代、これはチャンスなのである。このチャンスを手にしなければ、中国が政治や経済、そして軍事でも勝利することになるのだ」と。

 その上で、ファーウェイなど中国企業を名指しする。「ファーウェイは(通信の基地局などの世界的シェアを高めていることから)インフラそのものになりつつある。シェアの拡大に成功し、特に途上国ではそれが顕著である。ただ米国のような先進国はそれを許してはいけない。ファーウェイがインフラになれば、中国のインテリジェンス活動(スパイ活動)に繋がっていくからだ」

米ホワイトハウス=2018年8月27日、ワシントン【EPA時事】

 前出の米政府関係筋は、筆者にこう解説する。「そもそもファーウェイがここまで大きくなったのは、他人のテクノロジーを盗んだりしたからだと言っていいだろう。先進国の企業などは、研究開発に多額の資金を費やして得た技術を盗まれてしまう。そしていまファーウェイは、競争相手のメーカーよりも値段を低く設定してマーケット・シェアを拡大している。中国はそれによって、世界で情報収集をする、つまりスパイ活動をするためのシステムをつくり上げていると言っていい」。

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ネットワークへの不正侵入も
中国の習近平国家主席(左)と、華為技術(ファーウェイ)の創業者である任正非・最高経営責任者(CEO)=2015年10月21日、ロンドン【AFP時事】
中国の習近平国家主席(左)と、華為技術(ファーウェイ)の創業者である任正非・最高経営責任者(CEO)=2015年10月21日、ロンドン【AFP時事】

 中国のスパイ活動については、2018年2月にも、米上院情報委員会に出席したCIA(米中央情報局)のマイク・ポンペオ長官(当時)、FBI(米連邦捜査局)のクリス・レイ長官など6つの情報機関のトップが連名で警鐘を鳴らしている。彼らは、中国政府が世界中に広がったファーウェイの製品を介して「悪意を持って情報を盗んだり、操作したりすることができ、気づかれないままスパイ活動をしている」とし、同社製品の使用をやめるべきだと警告した。スマホや通信機器などといったネットワークに使われるファーウェイ製品を介して、中国は情報搾取をしているという。

 危険性は、スパイ活動にとどまらない。情報収集するには、大抵の場合、ネットワークに不正に侵入する必要があるが、「ネットワークに侵入すれば、攻撃者は破壊行為も妨害行為もできてしまう」(前出・米政府関係筋)という。通信、鉄道、電力、水道など重要インフラが狙われれば、大惨事が起きることは想像に難くない。

記者会見するポンペオ米国務長官。中央情報局(CIA)長官を経て2018年4月に就任した=18年12月4日、ブリュッセル【AFP時事】
記者会見するポンペオ米国務長官。中央情報局(CIA)長官を経て2018年4月に就任した=18年12月4日、ブリュッセル【AFP時事】

 では、なぜここまでファーウェイが優勢になってしまっているのか。文書はこう指摘している。「中国は、ファーウェイが国外で同社製品の導入契約を推し進めることができるよう、そのための融資額の限度を1000億ドルに拡大している。積極的な価格設定、外交的なサポート、国外における贈賄の疑いなど、こうした手段を合わせて、光ファイバーやルーター、さらに無線インフラ分野であっという間に市場シェアを獲得した。それにより、5Gの市場におけるリーダーシップも手中に収めようとしている」。

 要するに、中国政府自らがファーウェイを全面的にバックアップしながら、サイバー空間における4Gや5Gなどの市場シェアを獲得すべく動いているのだ。

【前ページ】中国のスパイ活動につながっていく 劣勢を認識しているトランプ大統領【次ページ】

劣勢を認識しているトランプ大統領
トランプ米大統領=2018年12月11日、ワシントン【EPA時事】
トランプ米大統領=2018年12月11日、ワシントン【EPA時事】

 とは言え、米国は指をくわえて見ているわけにはいかない。「米国政府は官民による協力で、現在あるテクノロジーを駆使して、数年内にこの5G時代のチャンスを我がものとするために、強力で決意ある強力なリーダーシップが必要となる」と、文書は書く。

 しかし、「さもないと」と続く。「米国は今、崖っぷちにある。情報化時代の未来を率いるか、もしくは、サイバー攻撃の渦から抜け出せなくなるのである」。

 現在、ドナルド・トランプ米大統領が、米中貿易戦争のなかにありながら、長く因縁のあるファーウェイに対して厳しく対峙しているのも、こうした見解が背景にあるからだ。トランプ大統領は5Gの重要性、そして米国の劣勢をはっきりと認識していると考えていい。

 今年、ファーウェイと並ぶZTEを一旦、米国内で活動禁止にしてから、禁止解除の条件としてビジネスを監視できるような妥協案を引き出したのも、その流れだと言える。

中国・広東省の深圳市にある中興通訊(ZTE)の本社=2018年5月14日【EPA時事】
中国・広東省の深圳市にある中興通訊(ZTE)の本社=2018年5月14日【EPA時事】

 ファーウェイのスマホや通信機器、5G時代のネットワークに繋がるIoT(モノのインターネット)機器などの市場シェアを考えると、このままでは米国が5G時代のサイバー空間を支配することは容易ではない。だからこそ、ファーウェイを5G市場から今のうちに締め出したり、同社創業者の実娘である幹部を逮捕したりと、強引な手段に出始めている。おそらく、ファーウェイ、つまり中国側が5Gにも繋がる何らかの「妥協」を示さない限り、この傾向はさらに強まるのではないだろうか。

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ロシア製品の排除も
ロシアのプーチン大統領=2018年12月8日、モスクワ【AFP時事】
ロシアのプーチン大統領=2018年12月8日、モスクワ【AFP時事】

 ちなみに米国は、やはりサイバー大国であるロシアの製品の排除にも乗り出している。こちらの原因は5G絡みではないが、ロシアのサイバーセキュリティ企業「カスペルスキー」のアンチウイルスソフトが、ロシア政府のハッカーたちに利用されていることが判明。世界で4億人が使っているというカスペルスキーのソフトをインストールしているパソコンの内部が検索できるようになっていたとして、大きく報じられた。

 実際にNSAのサイバー攻撃手法などの情報が、カスペルスキーをインストールしていたNSA職員の自宅パソコンから盗まれたことが報告されている。

ロシアのセキュリティー大手カスペルスキーの創業者ユージン・カスペルスキー氏=2013年6月4日、ワシントン【AFP時事】
ロシアのセキュリティー大手カスペルスキーの創業者ユージン・カスペルスキー氏=2013年6月4日、ワシントン【AFP時事】

 米政府はこれを受けて、政府機関でカスペルスキー製ソフトウェアの使用を禁止し、米家電量販店「ベスト・バイ」なども商品の販売をやめている。ロシアとも、サイバー空間でのせめぎ合いが続いているのである。

 今回のファーウェイ逮捕劇で、5G時代のサイバー空間をめぐる主導権争いは、さらになりふり構わぬものになっていく可能性がある。中国、そしてロシアも絡めたこの「グレートゲーム」に勝利するのは誰なのか。

 結果はそう遠くない未来に明らかになるだろう。(2018年12月)

  ◇  ◇

【山田 敏弘】ジャーナリスト、ノンフィクション作家、翻訳家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版などを経て、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のフルブライト研究員として国際情勢やサイバー安全保障の研究・取材活動に従事。帰国後の2016年からフリーとして、国際情勢全般、サイバー安全保障、テロリズム、米政治・外交・カルチャーなどについて取材し、連載など多数。テレビやラジオでも解説を行う。訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文芸春秋)など多数ある。

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