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[国際24] ファーウェイとZTEが米国市場から排除される理由「毛沢東思想の商業化」が行動原理 華為幹部逮捕で本格化、米国の対中防諜戦

ファーウェイとZTEが米国市場から排除される理由

中国の電気通信企業が国家の手先となりあの手この手のサイバー攻撃
2018.12.7(金) 横山 恭三

NZ、5G通信網に中国の華為技術製品を使う計画を却下
中国の通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)のロゴ(2018年7月8日撮影)。(c)WANG ZHAO / AFP〔AFPBB News〕

 米政府は、2018年5月13日に成立した2019会計年度国防授権法(National Defense Authorization Act for Fiscal Year 2019)により、全政府機関に対して、中国共産党の情報機関と関係しているファーウェイ(華為技術)およびZTE(中興通訊)が製造した通信機器の使用を禁止した。

 米国に続いて、豪、印およびニュージーランドの各政府は、それぞれ5月、9月および11月に、自国の高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムへのファーウェイの参入を正式に禁止した。

カナダ・バンクーバーで逮捕されたファーウェイの創業者の長女、孟晩舟(マン・ワンジョウ)最高財務責任者(CFO)(ファーウェイのHPより)
 また、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、11月22日に米政府が日本やドイツ、イタリアなどの同盟国に対し、ファーウェイの製品を使わないように求める説得工作を始めたと報じた。

 以上のように、各国で、中国の2大電気通信企業であるファーウェイとZTEを電気通信インフラ市場から排除する動きが広まっている。

 その背景には、中国の電気通信企業がもたらす安全保障上の脅威がある。

 その脅威とはサイバー攻撃であり、なかんずくICT(情報通信技術)サプライチェーン攻撃である。

 重要インフラに対するICTサプライチェーン攻撃は、その重要インフラが提供するサービスを中断・停止させ、社会に大混乱をもたらす。

 以下、初めに米下院・情報常設特別委員会がかつて作成・公表した調査報告書について、次に、ICTサプライチェーン攻撃ついて解説する。

1.米下院・情報常設特別委員会の調査報告書
 今回、注目を集めている事象の起源は、米下院・情報常設特別委員会が2012年10月に公表した「中国の通信機器会社であるファーウェイとZTEによりもたらされる米国の国家安全保障問題に関する調査報告書*1」にある。

 若干長くなるが本調査報告書の経緯について述べる。

 2010年1月、米下院・情報常設特別委員会のマイケル・ロジャーズ委員長は、「ファーウェイやZTEを含む中国企業により米国のセキュリティと通信インフラが脅威にさらされている」として予備調査を命じた。

*1=米下院・情報常設特別委員会「中国の通信機器会社であるファーウェイとZTEによりもたらされる米国の国家安全保障問題に関する調査報告書」https://intelligence.house.gov/sites/intelligence.house.gov/files/documents/huawei-zte%20investigative%20report%20(final).pdf

 米国の情報機関や民間企業との一連の会合、聴取、調査を行った結果、この脅威が、米国にとって最優先となる国家安全保障上の懸念につながると判断し、2011年11月に本格的調査を開始した。

 委員会の調査は、米国の電子通信インフラ市場に機器を売り込もうとしている中国の電気通信装置メーカーの上位2社であるファーウェイとZTEに集中した。

 両会社の現または元従業員に対する何時間ものインタビュー、大規模かつ度重なる文書要請、公開情報の調査などが行われ、約1年に及ぶ調査の結果を受けて、本報告書が作成・公表された。

 本報告書は、両社がもたらす安全保障上の脅威について次のように述べている。

 「中国には、悪意のある目的のために、電気通信会社を通じて、米国で販売される中国製の電気通信の構成品およびシステムに、悪意のあるハードウエアまたはソフトウエアを埋め込む可能性がある」

 「電気通信の構成要素とシステムを改竄する機会は、製品の開発・製造の期間を通して存在する」

 「そして、ファーウェイやZTEのような垂直的に統合された巨大産業は、中国の情報機関に、悪意のあるハードウエアまたはソフトウエアを、重要な電気通信の構成品およびシステムに埋め込む多くの機会を提供することができる」

 「中国は、このために、ファーウェイまたはZTEのような会社の指導部に対して、協力を求めるかもしれない」

 「たとえ会社の指導部がそのような要請を拒否したとしても、中国の情報機関は、これらの会社の中の現場レベルの技術者または管理者を雇いさえすれば十分である」

 「さらに、中国の法律の下では、ZTEとファーウェイは、中国政府によるどんな要請にでも、例えば、国家のセキュリティという名目の下に、悪意のある目的のために彼らのシステムを使用またはアクセスするという要請にも協力する義務がある」

 「悪意のあるハードウエアまたはソフトウエアを米国の顧客向けの中国製の電気通信の構成品とシステムに埋め込むことによって、北京は、危機または戦争の時に、重要な国家安全保障上のシステムを停止または機能低下することができる」

 「送電網または金融ネットワークなどの重要インフラに埋め込まれた悪意のあるウイルスは、中国の軍事力の中でも驚異的な兵器となるであろう」

 「中国製の悪意のあるハードウエアまたはソフトウエアは、センシティブな米国の国家安全保障システムに侵入するための強力なスパイ活動の道具でもある」

 「同時に、センシティブな企業秘密、先進の研究開発データおよび中国との交渉もしくは訴訟に関する情報が蔵置されている外部と接続されていない米国企業のネットワークへのアクセスを提供する」

 上記の調査結果に基づき、本報告書は次のような提言を行っている(機器の排除に関する部分のみを抜粋)。

@米国政府のシステム、特にセンシティブなシステムには、ファーウェイまたはZTEの機器(部品を含む)を使用してはいけない。

 同様に、政府契約者、特にセンシティブな米国プログラムの契約に関係する契約者は、彼らのシステムからZTEまたはファーウェイの機器を排除しなければならない。

A米国のネットワーク・プロバイダとシステム開発者には、彼らのプロジェクトのために、ZTEやファーウェイ以外のベンダーを探すことが強く求められている。

 以上の報告書に基づき、2012年から実質的に米国政府のシステムからファーウェイとZTEの機器は排除されているようである。

 上記の報告書のいう「電気通信企業がもたらす安全保障上の脅威」とは、危機の際に、重要ネットワークと通信へのアクセスを獲得するまたは重要なシステムを制御する、もしくは機能低下させる能力を得るためにICTサプライチェーンを危殆化しようとする国家の企ての可能性であると言える。

2.ICTサプライチェーン攻撃
 本項では、実例、定義および攻撃の態様を紹介する。

(1)実例

 初めにサプライチェーン攻撃の実例を紹介する。

(この実例は、拙稿『北朝鮮のミサイル発射を失敗させた米国7つの手口』(JBpress2017.4.27)の中で紹介したものであるが、ICTサプライチェーン攻撃の脅威の大きさやインテリジェンス活動を理解するのに重要であるので、再録した)

 「1980年代初頭、長大なパイプラインの運営に欠かせないポンプとバルブの自動制御技術をソ連は持っていなかった」

 「彼らは米国の企業から技術を買おうとして拒絶されると、カナダの企業からの窃盗に照準を合わせた」

 「CIA(米中央情報局)はカナダ当局と共謀し、カナダ企業のソフトウエアに不正コードを埋め込んだ」

 「KGB(ソ連国家保安委員会)はこのソフトウエアを盗み、自国のパイプラインの運営に利用した」

 「当初、制御ソフトは正常に機能したものの、しばらくすると不具合が出始めた。そしてある日、パイプの一方の端でバルブが閉じられ、もう一方の端でポンプがフル稼働させられた結果、核爆発を除く史上最大の爆発が引き起こされた」

 この事例は、米国の元サイバーセキュリティ担当大統領特別補佐官リチャード・クラーク氏の著書『世界サイバー戦争』(徳間書店)の中で紹介されていることから極めて信憑性が高いと見ている。

(2)定義

(米・国立標準技術研究所(NIST)の定義などを参考に筆者が作成した定義である)

 「情報システムのハードウエア、ソフトウエア、オペレーティング・システム、周辺機器またはサービスに対して、それらの据えつけ前に、論理爆弾(サイバー攻撃などに用いられるウイルスの一種で、対象のシステムの内部に潜伏し、あらかじめ設定された条件が満たされると起動して破壊活動などを行うもの)やバックドア型トロイの木馬」

 「またはマルウエアが埋め込まれた偽物とすり替えるなどの不正工作をし、ライフサイクルの間のいかなる時点かで、事前に埋め込んだマルウエアを始動させ、重要データの窃盗もしくは改竄したり、あるいはシステム/インフラを破壊するなどして任務遂行を不能とする」

(3)攻撃の態様*2

 ICTサプライチェーン攻撃は、一般的には商業的な結びつきを通してアクセス権を有する個人または組織によって実行または促進される。

 ICTサプライチェーンへの攻撃機会には、上流、すなわち製造過程と、下流、すなわち流通過程がある。以下、それぞれの攻撃の態様を述べる。

ア.上流への攻撃の態様

 ネットワーク・ルータおよびその構成要素である半導体集積回路(IC)の製造プロセスは、電気通信およびマイクロエレクトロニクスのハードウエアがもたらす潜在的な脆弱性の代表例である。

  半導体産業の複雑さと融通性によって、多くの会社で働いている何百人もの人々によって世界中で設計されたICを、1つのチップに組み込むことが可能となる。

 チップ設計と製造のこの世界的な分業は、生産ペースを速めて、新しい製品開発のコストを下げている。

 しかし、チップがより大きなICに統合されるために次の場所に出荷される前に、何億ものトランジスタの中に隠された危険な回路を探知することは困難である。

 熟練した人員とエンジニアリング資源を自由に使える洗練された敵対者は、プログラム可能なチップのソフトウエアを改竄することによって、チップが他の製品への統合のために出荷される前に、メーカーに対して上流攻撃をしかけることができる。

 このように、ルータ、スイッチ、または他の電気通信ハードウエアのメーカーは、数えきれない改竄の機会にさらされている。

 とはいえ、米国のICTサプライチェーンに対してチップ・レベルの不正工作を実行しようとする攻撃者は、作戦上の複雑な課題に直面する。

 すなわち、政府機関、ネットワーク、または民間団体の一つを標的として、上流の製造過程で不正工作しようとする攻撃者は、不正工作したコンポーネントがどこに配送されるのかを予想できなければならない。

 さもなければ、攻撃に成功できないばかりか、不正工作したハードウエアを世界中の顧客に出荷させることにもなる。

*2=米下院・情報常設特別委員会「中国の通信機器会社であるファーウェイとZTEによりもたらされる米国の国家安全保障問題に関する調査報告書」https://intelligence.house.gov/sites/intelligence.house.gov/files/documents/huawei-zte%20investigative%20report%20(final).pdf

イ.下流への攻撃の態様

 標的とする組織に製品を供給している下流の流通経路を攻撃することは、上流の半導体製造サプライチェーンそのものに侵入しようとする複雑さに比べれば、あまり複雑でない。

 多数のシナリオが可能であるが、最も成功しそうなシナリオは、トンネル会社を作り、卸業者への特定のブランド機器の再販業者として利用することである。

 それにより、敵対者は、アセンブリ(組み立て)の時にファームウエアまたはソフトウエアの中に読み込まれた「トロイの木馬」を含んだ偽物のハードウエアを埋め込むことができる。

 あるいは、敵対者は、非常に関心のある標的を顧客としている再販業者と卸売業者を目的地とするブランド機器の積荷の中に完成した偽のハードウエアを混入することができる。

 プロの情報機関であれば、市場で顧客リストを入手するのに時間あるいは資源などの大きな投資を必要としないであろう。

 しかし、このような方法は、偽造品が発送または据え付けプロセスのいかなる点かで発見されるリスクがないわけでない。

おわりに
 我が国ではサプライチェーンは、物流やモノづくりに関わる問題としてとらえられることが多い。

 そのため、オープン化、グローバル化が進むICTサプライチェーンを情報セキュリティ問題と結びつけて考えることは、最近に至るまでほとんど行われてこなかった。

 現在もこの状況はあまり変わっていない。このため、我が国では、政府機関や企業の中国製IT機器に対する警戒心が皆無と言っても過言でない。

 我が国の政府機関などの公共機関は、製品や役務(サービス)を調達する際には最低価格落札方式を原則としている。

 しかし、政府機関や重要インフラ事業者の使用するシステム・機器には高い信頼性が要求されることは言うまでもない。

 従って、これらの電気通信機器の整備に際しては最低価格落札方式でなく、ICTサプライチェーン脅威を考慮した新しい調達方式が必要となっている。

 また、重要インフラシステムのICTサプライチェーン・リスクへの対応は, 企業だけではできるものではなく、国と企業が一体となって進めなければならない。

 まずは、ICTサプライチェーン・リスクに係る包括的な調査研究を、官民で協力して実施し、同調査研究成果を公表して、官民のICTサプライチェーン・リスクに対する認識を向上させることから始めなければならないであろう。

 そして、最終的にはICTサプライチェーン・リスクマネージメント(SCRM)のべストプラクティスを策定しなければならない。

 さて、我が国は、公的調達からファーウェイを排除しろという米国の働きかけにどのように対応するのであろうか。

 我が国は、自ら件の中国企業の脅威を調査していないので、米国の調査結果をうのみにすることもできない。さりとて、同盟国の誘いをむげに断るわけにもいかない。そのうえ、国益と民間企業の利益は必ずしも一致しない。

 都合のいいことに、WTO(世界貿易機関)政府調達協定第3条(旧協定第23条)は、加入国が「国家安全保障」のために必要な措置をとることを妨げないとしており、各国が「国家安全保障」を理由として他国企業の応札を拒絶することを許容している。

 従って、我が国も、「国家安全保障」を理由としてファーウェイの製品を入札から排除することも可能である。

 報道によると、米当局者の一人は今回の説得工作について米紙WSJに「米国および同盟諸国と中国のどちらがデジタル網でつながった世界の支配権を握るかをかけた『技術冷戦』の一環だ」と指摘したとされる(産経11月23日)。

 米中の覇権争いの渦中にあって、我が国としては同盟国米国を選ぶしか選択肢がないであろう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54857


 

 
「毛沢東思想の商業化」がファーウェイの行動原理だ
中国人の行動原理はこうなっている(その3)
2018.12.7(金) 近藤 大介
ファーウェイは、逮捕された「王女」の父で、人民解放軍の技師だった任正非氏が創立(AP/アフロ)
(近藤大介・ジャーナリスト) 

 昨今、「米中新冷戦時代」の到来とも言われる。実際には、もう少し両大国の角逐の経過を見てみないと分からないが、一つ言えるのは、トランプ政権が中国の歴史をよく学んでいるということだ。

「人質」に取られたファーウェイの「王女」
 中国の戦国時代(紀元前5世紀〜紀元前221年)は、「人質外交」の全盛だった。どんなに冷徹無比な王であっても、我が子は目に入れても痛くないものだ。そのため、敵国の王子を人質に取ることで、敵国からの攻撃を避けようとしたのだ。戦国時代を終焉させて初めて全土を統一した秦の始皇帝(紀元前259年〜紀元前210年)も、父・子楚が人質に取られていた趙の国で生まれている。

 今年(2018年)12月6日、中国最大の通信機器メーカー、華為(ファーウェイ)技術の「王女」こと、孟晩舟副会長(46歳)が「人質」に取られたというニュースが、世界中を駆け巡った。トランジットで立ち寄ったカナダの空港で、「アメリカの要請によって」逮捕されたというのだ。

逮捕された孟晩舟副会長(同社サイトより)
 華為は、人民解放軍の技師だった任正非(74歳)が、1987年に深圳で創業し、軍や国有企業の通信システムなどを担って急成長した。任正非はこれまで3回、結婚しているが、今回逮捕された孟晩舟は、最初の妻・孟軍と間の長女である。

 華為の社名の由来は「中華有為」で、中国が意義のあることを為すという意味だ。この社名からも分かるように、民営企業ではあるが、決して上場せず、国策企業的要素を持った組織である。中国中央テレビ(CCTV)が今年春から宣伝番組を放映している「中国ブランド18社」にも選ばれている。

 任正非は、習近平主席の「朋友」としても知られる。それはひとえに、2人の「宗教」が同じだからだ。すなわち両者とも、建国の父・毛沢東元主席の崇拝者なのである。毛沢東思想を政治的に実践しているのが習近平主席で、「毛沢東思想を商業化する」としてビジネス界に乗り込んだのが任正非だった。

 任正非氏は1997年に、全6章103条からなる「華為基本法」を定めた。「中学為体、西学為用」(中国の教えを身体とし、西洋の教えを道具とする)を旨とし、「軍人規律」と「狼性文化」(狼のように激しく市場を取りにいくカルチャー)が社風である。

イランとの友好関係は唐の時代から
 華為は今世紀に入って、積極的に海外進出に乗り出した。その際、モットーにしたのも、「農村から都市を包囲する」(農村包囲城市)という毛沢東語録だった。すなわち、まずはアジア、アフリカ、中東、南米など、発展途上国の通信システムを制覇し、その余勢でもって先進国に乗り込む戦略を取ったのだ。

 中東に関しては、2007年にサウジアラビアと包括的提携を行い、UAE、カタール・・・と触手を伸ばしていった。アフガニスタン戦争、イラク戦争というアメリカが主導した2つの戦争で荒廃した中東の復興を、華為が担ったのである。

 イランに関しては、中国はシルクロードが全面開通した漢の時代からの貿易相手である。特に、中国はガラス製品が作れなかったため、イランからガラス製品を高値で買った。ササン朝ペルシャが崩壊した時(西暦651年)には、王族がごっそり唐の都・長安に亡命している。そうした2000年以上にわたるイランとの友好関係を、アメリカにつべこべ言われる筋合いはないというのが、中国の言い分だ。

 今回、カナダで逮捕された孟晩舟副会長について、今年初めに深圳に行った時、現地のIT企業幹部に聞いたら、「人当たりこそソフトだが、任正非の生き写しのような後継者」と評していた。

 1972年生まれで、「大学は理系に進むように」との父親の命を受けて、湖北省の省都・武漢にある華中理工大学(現在の華中科学技術大学)を卒業後、1993年に華為に入社した。入社後数年は、機械工やタイピストなどの下積みを行い、1998年に財務部門に移った。その後、財務のIT化戦略の推進役となり、2003年には全世界統一の財務システムを構築。「父・任正非の後継者」として頭角を現していった。

 孟晩舟は、2011年に常務董事(CFO)となり、今年3月23日に、副董事長(副会長)に就任した。2017年には、『フォーブス』誌の「中国女傑経営者ランキング」で8位に選ばれている。

2014年10月、ロシアのプーチン大統領と対談する孟晩舟副会長(右)。(写真:ロイター/アフロ)
 前出の深圳のIT企業幹部は、次のようにも述べていた。

「華為は、任正非の意向で、絶対に株式を上場せず、任が経営の第一線を退いた後も、経営者は5年の輪番制としている。これは、長女の孟晩舟に滞りなく経営権を移行させるための措置と思える。彼女の他にも、任正非の弟の任樹録、妹の鄭黎、息子の任平も華為の幹部を務めており、華為は現在でも、任正非とその一族の会社だ」

マスコミ嫌いの任正非と孟晩舟
 任正非と孟晩舟は、大のマスコミ嫌いとして知られるが、孟は過去に一度だけ、中国メディアのインタビューに応じ、自分のことを次のように語っている。

「任正非は、仕事上ではCEOであり、自宅では父親です。経営幹部会で、父や他の幹部たちと、挑戦的なビジネスに取り組むことを決める時は快感です。しかし自宅では、父とはあまり仕事の話はしません。彼は慈父であり、母が厳母でした。

 父は華為を創業して以来、厳しい企業経営を強いられたことで、厳父に変わっていったのでしょう。その分、母が慈母になりました。いまでもある時には、母親にまず話して、母から父に説得してもらうようにしています。

 最近は、父と会う時間も減りました。父は、毎月の最後の一週は、会社の定例会議のため、深圳にいますが、残りは出張ばかりだからです。

 私の夫は、まったく業界外の人で、10歳の息子と4歳の娘がいます。

『二〇二五年、日中経済格差』(近藤大介著・PHP新書)
 華為が上場しないのは、個人的見解ですが、上場した方が華為が開放的になり、経営が透明になることは確かです。しかし上場には壁があります。中国の上場規定によれば、上場前の最大株主数は200ですが、華為ではすでに6万人以上の社員が株式を保有しているのです。そのため、株式上場の話は、経営会議の議題には上ってきていません」

 ともあれ、今春のZTE(中興通訊)に続き、華為も米中対立の渦の中に巻き込まれた格好だ。11月30日には、アルゼンチンG20でトランプ大統領と習近平主席の米中首脳会談が開かれたばかりだが、「米中手打ち」とはいかないかもしれない。

(ファーウェイに関しては、新著『二〇二五年、日中企業格差――日本は中国の下請けになるか?』(PHP新書)で詳述しています)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54896


 


ファーウェイ幹部逮捕で本格化、米国の対中防諜戦
米国と諜報活動協定を結ぶ国が足並みそろえる中、日本はどうする
2018.12.7(金) 山田 敏弘
逮捕された華為(ファーウェイ)の孟晩舟CFO(写真:AP/アフロ)
(山田敏弘・国際ジャーナリスト)

 米国の中国企業に対する攻勢が強まっているようだ。

 12月5日、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の最高財務責任者(CFO)で副会長でもある孟晩舟(Meng Wanzhou)を逮捕したとカナダ司法省が発表した。孟晩舟CFOへの容疑は、米国のイランに対する経済制裁に違反したというもので、彼女は米国への身柄が引き渡される可能性が高い。

 孟晩舟CFOは、1日にカナダ国内の空港で拘束されていたが、カナダのグローブ&メール紙が最初にスクープとして報じた。

 このニュースはタイミング的に驚きだったとする向きもある。というのも、逮捕の数日前には、アルゼンチンで開催されていたG20で、ドナルド・トランプ大統領と習近平国家主席が会談し、激化する貿易戦争で米政府の対中制裁関税の引き上げを延期すると合意したばかりだったからだ。

 だが一方で、この事件は、起こるべくして起きたと言わざるを得ない。というのも、ファーウェイがイランなどに米国製品を輸出しているという制裁違反容疑は、遅くとも2016年には捜査対象になっており、複数の米メディアは今年4月にその捜査について言及していた。

ファーウェイCEOは人民解放軍のエンジニア部門出身
 そもそも、このファーウェイをはじめとする中国企業と米政府の争いは、制裁違反が取りざたされるよりも以前から続けられてきた。

 1987年に孟晩舟CFOの父親である任正非(Ren Zhengfei)によって創業されたファーウェイは、2000年以降、米国市場にも進出している。ただ任正非が人民解放軍のエンジニア部門で副局長を務めた経歴があり、身内に共産党幹部がいたこともあって、米国政府からはずっと警戒されていた。米企業から知的財産を盗んだとして訴訟問題になったこともあり、米NSA(国家安全保障局)は当時から任正非を監視下に置いていたことが判明している。

人民解放軍出身でファーウェイ創立者の任正非CEO。孟晩舟CFOの父親でもある。(写真:AP/アフロ)
 そんな経緯から、2012年には米連邦議会が、ファーウェイと別の中国通信機器メーカーである「ZTE」は、中国政府との関係が深く、米国政府の安全保障への脅威だと指摘した。

 その数年後、米国の政府系サイバーセキュリティ関係者はこんな話を筆者にしたことがある。「中国政府と人民解放軍、そして中国の民間企業はつながっている。政府の政策に沿って他国の政府や企業を人民解放軍のサイバー部隊などがハッキングし、盗んだ知的財産などの情報は中国の民間企業に渡される」

 複数の関係者らの話を総合すると、「グーグルの検索エンジンはソースコード(プログラムの設計図)が盗まれ、中国の大手検索エンジンサービスはそれを元にして作られた」という話もあるくらいだ。

 この話は、意外でもなんでもない。中国では、政府に命じられれば企業であっても治安当局に協力する義務があると法律で定められている。ファーウェイが政府に協力するのは当たり前なのである。そんなことから、米政府は2014年に政府機関でのファーウェイの使用禁止措置を決めた。

 とにかく、米国とファーウェイにはそんな因縁があった。そして最近、第5世代移動通信システムである「5G」が取りざたされるようになり、さらに米国を煩わせることになった。5Gとは現在の4Gの100倍とも言われる超高速のシステムだ。5Gの時代になると、世の中のありとあらゆるものがネットワークで接続され、まさにSF映画のような世界が到来することになる。

豪、NZ、英もファーウェイ締め出しへ
 実は現在、世界的に5Gに向けたインフラ機器の多くは、安価な中国製品が支配しつつある。政府とつながっているとされる中国企業が、これから世界の主流になる5Gのインフラ機器を支配すれば、何が起きるのかは想像に難くない。

 米国はそれを阻止すべく、ファーウェイ禁止運動を強化しているのだ。今年8月に米国防権限法によりあらためて米政府機関などでファーウェイの使用を禁じたのもその一環だ。

 今回の逮捕は、米国から強まっていたファーウェイを排除すべきだとの強い圧力に、カナダ当局が沿った形になる。米国は5Gの時代が到来する前に、同盟国からファーウェイを締め出す――。イランの経済制裁ももちろん問題視しているだろうが、それ以上の思惑が米国にはあるのだ。

 米政府は、各地に現役や元政府関係者などを送り込んで、いかにファーウェイなど中国通信機器メーカーが安全保障の脅威であるかを広く伝えようともしてきた。そんな集まりに筆者も参加したこともあるが、5G時代に向けた米国の懸念はかなり深刻だと感じた。

 ここ最近では、オーストラリアやニュージーランドがファーウェイの電子機器を5Gのインフラから締め出す措置を決定している。英国の通信分野も締め出しの方向で調整が行われている。JBpressの読者の方々ならもうお気づきだろうが、これらの国々は、米国と諜報活動を共有する協定を結んでいる「ファイブ・アイズ(米国・英国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド)」のメンバーである。

日本が問われる「ファーウェイ排除か否か」
 米国と情報を共有するなら、米国が重要視するセキュリティの方針には従わなければならない。米国としてみれば、これら同盟国とはインテリジェンスなど情報を共有するし、軍事部門などを含む協力関係もある。ネットワーク化が進んだ世界で、同盟国がインフラ機器などを通して敵国に「侵入」されれば、米国にも被害が及ぶ可能性は高い。そうした懸念などを根拠に、同盟国に排除の圧力を強めてきた。

 そして今、米国の圧力はファイブ・アイズ以外の同盟国にも向けられている。今年に入って、米国は日本やドイツなどとも中国に絡む情報を共有することになった。ということは、米国はドイツや日本には相応のデータ保全を求めることになる。つまり、ファーウェイなどの排除である。

 例えばドイツは、すでにファーウェイを排除するかどうか検討されているという話が漏れ伝わっている。そこで問題になるのは、こうした流れに日本がどう対応するのかということだ。

 すでに日本でもスマホなどファーウェイ製品は人気が高く、消費者の支持を得ている。そんなファーウェイを突き放すことはできないだろう。

 日本では2019年から5G時代が始まることになっており、日本の今後の経済成長を牽引すると期待されている。そんな期待と、米国の圧力の間で、日本政府はどう対応していくのか。

(アップデート:12月7日付の読売新聞によれば、「日本政府もファーウェイと中興通訊(ZTE)の製品を事実上、排除する方針」で、「中国を過度に刺激しないよう2社を名指ししない方向」と報じられている)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54888
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/696.html

[国際24] (テロか)英でも大規模通信障害、エリクソン設備に不具合 ソフトバンク携帯障害を謝罪 ファーウェイ副社長の逮捕と基地局利用
【テロか】英でも大規模通信障害、エリクソン設備に不具合 ※ソフトバンク、ファーウェイ、エリクソンと5G実証実験
2018年12月07日04:48 / カテゴリ:中国
1: 名無しさん@涙目です。(catv?) [SK] 2018/12/06(木) 22:59:36.01 ID:reOOOvL1
【速報】イギリスでも大規模通信障害発生中

英携帯電話でもデータ通信障害

英携帯電話大手「O2(オーツー)」は6日、データ通信が使えなくなる大規模な障害が発生していると明らかにした。英BBC放送によると、O2の携帯電話ネットワークの利用者は約2500万人。スマートフォンでネットにつながらなくなるなどの影響が出ている。

O2は、同社のネットワークが使用している他社製のソフトウエアの問題で、他国の携帯会社でも同様の障害が出ているとしている。英メディアによると、ソフトはエリクソン社製という。

ロンドン交通局もO2のネットワークを利用しており、ロンドン市内の各バス停では次のバスが到着する時間を示す電光表示が停止した

[共同 2018.12.6]
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181206-00000206-kyodonews-bus_all


※関連スレ
【通信】ソフトバンク、通信障害の原因はエリクソンであると発表★2
https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1544115852/

2: 名無しさん@涙目です。(東京都) [US] 2018/12/06(木) 23:00:17.61 ID:h6D1CbcJ0
サイバーテロかな

287: 名無しさん@涙目です。(新疆ウイグル自治区) [US] 2018/12/07(金) 00:31:14.11 ID:h2ILox420
>>2
サーバーテロや
http://www.moeruasia.net/archives/49619147.html


 

ソフトバンクの通信障害 海外企業製の設備に異常
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2018年12月7日 5時50分 テレ朝news
ソフトバンクの通信障害 海外企業製の設備に異常
写真拡大

 全国各地で混乱を招いた通信障害についてソフトバンクは、スウェーデン企業の設備に異常が起きたことが原因と発表しました。

 ソフトバンクによりますと、通信障害はスウェーデンの通信機器大手「エリクソン社」製の交換機の異常が原因で、海外の通信事業者でもほぼ同時刻で障害が起きたということです。6日のソフトバンクの通信障害は全国規模で4時間以上にわたり、別ブランドのワイモバイルなどにも影響が出ました。

 ソフトバンク利用者:「何も言わない。困る困る。ポケットベルの方が良かった」「いくらやってもつながらないんで、出先からしょうがないから事務所のパソコンを見るために戻ってきた」

 また、東京や大阪など各地で消防が「ソフトバンク以外の携帯で119番通報をするように」と注意を呼び掛けるなど、影響は広がりました。ソフトバンクは「エリクソン社と共同で再発防止に取り組む」としています。
テレ朝news

「エリクソン」をもっと詳しく

エリクソンがソフトバンクの通信障害を謝罪 問題の機器は廃棄
ソフトバンク通信障害の原因はエリクソン製機器 海外でも問題発生
ソフトバンクの通信障害 エリクソン機器の証明書切れが原因
http://news.livedoor.com/article/detail/15703613/


 

エリクソン、ソフトバンク携帯障害を謝罪=原因特定、英でも接続不調
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2018年12月7日 11時9分 時事通信社
スウェーデン通信機器大手エリクソンのエクホルム最高経営責任者(CEO)(AFP時事)
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 【ウィーン時事】スウェーデン通信機器大手エリクソンは6日、日本のソフトバンクで起きた大規模な通信障害の原因が、自社のソフトウエアにあると発表した。

 同様の障害は英国など世界の複数の国でも発生。エクホルム最高経営責任者(CEO)は声明で「われわれの顧客の通信会社だけでなく、通信会社の利用者にもおわびする」と述べた。

 エリクソンによると、原因は通信会社が導入していた二つのソフトウエアの認証期限切れとみられるという。さらに詳しい原因を調べているが、問題のあったソフトウエアを特定し、既に対応を進めている。ロイター通信によると、11カ国の通信会社で障害が発生した。

 エクホルム氏は「顧客の影響の最小化と通信サービスの早期復旧に全力を挙げる」と強調している。ただ、ソフトバンクは19日に株式の上場を控えており、今回の障害の影響が懸念される。

 ソフトバンクで通信障害が発生した6日、英国の大手通信会社「O2」でも通話やネットワーク接続ができなくなった。O2のエバンズCEOはツイッターに「復旧のためにできることを全てやっている。影響を受けた人たちに謝罪する」と投稿した。 

時事通信社

「ソフトバンクの通信障害」をもっと詳しく

ソフトバンクの通信障害の原因が判明 エリクソン社製の交換機の異常
ソフトバンク通信障害の原因はエリクソン製機器 海外でも問題発生
ソフトバンクの通信障害 エリクソン機器の証明書切れが原因
http://news.livedoor.com/article/detail/15703428/


 

ソフトバンク通信障害はファーウェイ副社長の逮捕と基地局利用が関係か!スパイ認定の陰謀論についても
この記事は3分で読めます

 

ソフトバンクの携帯電話が通信障害の影響で、使用出来なくなっており、多くのユーザに影響が出ております。

今回は、このソフトバンクの通信障害がファーウェイ副社長逮捕と関係しているという陰謀論などについて迫ってみたいと思います。


ソフトバンクで通信障害 復旧のめど立たず
FNNほか、メディア各局が以下のようなニュースを報じ、話題となっています。

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ソフトバンクの携帯電話サービスで、東京都心など、広範囲で通信障害が発生。

ソフトバンクによると、ソフトバンクとワイモバイルの携帯電話サービスで、6日午後1時39分ごろから、東京都心など、広範囲で通信障害が発生している。

北海道や大阪、兵庫などにも影響が広がっていて、利用者から、「つながりにくい」などと問い合わせが相次いでいる。

利用客は「今までなかったので、携帯の故障かなと思った。修理に持ってきたんですけど」、「インターネットで検索できないので、道とか調べられなくて困っている」などと話した。

今のところ、復旧のめどは立っていないということで、ソフトバンクは、原因の調査と復旧を急いでいる。

出典:FNN

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復旧のめどは?
では、復旧のメドは一体何時頃になるのでしょうか?

ソフトバンクでは、2018年12月6日午後18時現在で以下のようなコメントを発表しております。

いつもソフトバンクをご利用いただき、誠にありがとうございます。
本日午後1時39分頃より、一部の地域で携帯電話サービスがご利用しづらい状況が発生しており、詳細を確認しております。
ご利用のお客さまには、ご迷惑をお掛けしておりますことをお詫び申し上げます。

出典:ソフトバンク

また、「ソフトバンク」のほか、ソフトバンク回線を使用している格安ブランドの「ワイモバイル」や「LINEモバイル」、「マイネオ」でも、ソフトバンクの回線を使うプランで全国的につながりにくい状況となっているのだそうです。

現在のところ復旧のメドは立っておりませんが、ソフトバンクの現在の契約者数は全国に37,046,600人ほどいるとされており、これにソフトバンク回線を有する格安SIMを使用するユーザーを合わせると4千万人前後になるのではないかと考えられますので、大きな影響が出ることは間違いありません。

こちら、復旧のメドに関して、詳しい情報がわかり次第、随時お伝えしていこうと思います。

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ファーウェイ副社長逮捕との関係ある?
華為技術の孟晩舟最高財務責任者=会社ホームページから

出典:HUAWEI

通信障害が発生したとされる2018年12月6日という日付は、中国企業のスマホ通信機器大手である「ー華為技術ーHUAWEI(ファーウェイ)」の副社長が逮捕されたとしても大きな話題となっておりました。

カナダ司法省は5日、米当局の要請を受けて中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)幹部を逮捕したと発表した。背景にあるのは米国政府・議会が急ぐ中国の通信・監視カメラなどハイテク企業を排除する動きだ。中国が通信機器を経由して米国の軍事技術情報を盗み取っていると見るためだが、対米関係を優先すれば、製造・部品調達の見直しにもつながるだけに企業には困惑も広がる。

出典:日本経済新聞

この逮捕がどのように関係しているのかと言えば、ファーウェイはアメリカでスパイ認定されており、それを使用してはいけないと通達があったと言います。

米国の政府や議会はファーウェイやZTEが中国政府のスパイ活動に使われていると警戒を強め、両社製品の政府調達を禁じた。米連邦通信委員会(FCC)も政府補助金を受ける通信会社に対し、2社の製品を使わないよう求めている。

ファーウェイは中国人民解放軍出身の任正非・最高経営責任者(CEO)が1987年創業した中国の通信機器大手。17年12月期の売上高は6036億元(約9兆9千億円)。売上高の5割を基地局など通信会社向け、4割をスマートフォン(スマホ)など一般消費者向けが占める。基地局の世界シェアは1位、スマホでは韓国サムスン電子に次ぎ2位。

出典:日本経済新聞

そして、このアメリカから使用してはいけないと言われており、スパイ認定されているファーウェイの企業の通信機器を基地局で使用しているのがソフトバンクなのです。

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通信障害との関係性は?
では、通信障害との関係は一体どのようになっているのでしょうか?

TOCANAによれば、以下のような陰謀論があるのだそうです。

米中貿易戦争が長引く中、アメリカは自国の情報が中国に流れることを防ぐため、サイバーセキュリティのリスクを考え、政府機関や通信業者にファーウェイの使用中止を求めていました。こうした一連の騒動と今回の障害が関係していると疑う声が上がってしまうのも当然です。今後、これ以上に物騒な事件が出てこないかが心配ですが……

出典:TOCANA

つまり、ファーウェイの副社長が逮捕されたタイミングで、ファーウェイの通信機器を基地局で使用しているSOFT BANKが、ファーウェイはアメリカからスパイ認定がされているために、サイバー攻撃を受け通信障害へと発展したのではないかとのことです。

アメリカの会議では、2012年頃からHUAWEIの機器が中国政府のスパイ行為に利用されるおそれがあると指摘されておりましたので、ここへ来た逮捕されたタイミング合致したのでしょう。

また、ソフトバンクは上場を間近にしておりましたので、それも関係しているのではないかとのことです。
https://brandnew-s.com/2018/12/06/softbankhuawei/

http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/697.html

[不安と不健康18] 埋め込み医療機器で容体悪化、安全確認に不備 国際調査報道 
埋め込み医療機器で容体悪化、安全確認に不備 国際調査報道
2018/11/26
BBC News

安全性も試験も不十分な医療機器が、患者の体内に移植されていることが、国際的な調査で明らかになった。
問題のある機器には、心臓のペースメーカー、脊柱矯正に使う棒、ひざや股関節用の人工関節などが含まれる。
国際的な調査報道の結果、実験動物のヒヒを用いた試験が成功しなかった、あるいはブタや人間の遺体での試験しかされなかった移植用医療機器が市場に出回っていることが判明した。
しかし、医療機器業界は、何百万人もの人生を好転させたと主張している。
BBCのドキュメンタリー番組「パノラマ」は、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)、そして英紙ガーディアンや医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルを含む世界58のメディア組織と共同で調査を進めた。
自社製品を認可してくれる安全認定機関を見つけるまで、医療機器企業が複数機関を「探して回る」のを、欧州の緩やかな規制制度が許している実態を調査は明らかにした。
また調査では、医師が患者に勧める治療の真の危険性について、医師が情報を知らされないままになっている可能性があることも、明らかになった。
「行儀の良い実験動物」だったのか
英東部エセックス出身のモーリーン・マクリーヴさん(82)は、ペースメーカー「ナノスティム」の移植手術を英国で初めて受けた。不整脈が理由だった。
ペースメーカーは、心臓に電気信号を送って心拍を一定に保つ、生命維持に使われる移植用医療機器。
旧式ペースメーカーは、電気信号を送るため、電池から心臓へリード(導線)と呼ばれる電線が走っていた。しかしこのリードが破損する可能性があった。
ナノスティムは、心臓内に植え込む、リードのない初めてのペースメーカーだった。
モーリーンさんは、最初は「大喜び」で、ロンドンの聖バーソロミュー病院で機器の移植を受けた際には「お行儀の良い実験動物」の気分だったという。
「選ばれて本当にありがたかった。あまりに素晴らしい話で」
しかし植え込みから3年後、モーリーンさんのナノスティム内にある電池が切れた。手術でも取り出せなかった。
モーリーンさんは今、旧式ペースメーカーで命を保っている。ナノスティムはいまだに心臓内にある。
「何の効果もない、ただそこにあるだけの金属片や何かが、心臓内に入れられたなんて、考えるのも嫌だ」とモーリーンさんは言う。
被害に遭ったのはモーリーンさんだけではない。ほかにも複数の患者の体内で、ナノスティムの電池が切れた。体内で部品が外れるケースもあった。
ナノスティムは安全上の理由で回収された。少なくとも2人が死亡し、深刻な健康被害も少なくとも90件記録された。
ドイツの認証機関は、証拠不足を理由にナノスティムの認可申請を却下した。しかし、英認証機関の英国規格協会は、ナノスティムを認可した。
どのぐらい大問題なのか
全ての医療機器が危険なわけではない。機器の多くは命を救ったり、あるいは生活の質を劇的に向上させたりする。
しかし調査から、いくつかの機器が患者の体調改善につながっていないことが分かった。主な事例は以下の通り――。
• 患者の背中で機器が割れた。この機器は、ヒヒを使った試験で失敗していた
• 避妊用の機器が、体内を傷つけ、出血を引き起こした
• 植え込み型除細動器が起動しなかった
• 失禁対策に植え込んだ網目状シートが、腹部の痛みを引き起こした
またBBCの取材で、重度の脊柱側弯症の子供に使われる治療法が、ブタや人間の遺体を使った治験を行っただけで認可されていたことが分かった。
ただ、透明性とデータ収集が不十分なため、医療機器業界全体での問題の規模がどの程度なのか、患者も医師も分からないままだ。
移植を受けた人はどうすべきか
心配な人には、ICIJが共同設立した専門家委員会が助言を提供している。
専門家委員会は、「まずは、あなたの手術を行った医療チームに相談」するようにと勧める。
「もし何らかの理由で当初の医療チームに連絡がとれない場合は、かかりつけ医に相談するべきだ。かかりつけ医は、医療機器やあなたの受けた手術に詳しい専門医を紹介できるはずだ」
ICIJが提供する質問と回答集はこちら(英語)。
英国内の患者は、規制当局に問題を報告することもできる。
なぜこんなことに
欧州には、商品化前の医療機器を検査する行政体がない。
一連の医療機器企業は、認証機関にCEマークと呼ばれる基準適合マークの発行を求めたが、このマークはトースターややかんのような機器にも与えられるものだ。
認証機関は欧州に58機関あり、1つの機関が認可すれば、その製品は、欧州連合(EU)各国にアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーを含めた欧州経済圏ならどこでも利用できる。
しかし、もしある機関が認可しなくても、企業は他の機関を回り、認証を求めることができる。
認可には証拠が必要では
患者はそう思うだろうが、実際にはそれほどでもない。
そして、非常に強固な秘密主義もある。医療機器を患者に植え込む執刀医でさえ、機器の安全性や効能について証拠を常に参照して手術するわけではない。
英国規格協会は、「守秘義務上の要求」から、ナノスティムに関する証拠については話せないと述べた。
英国の規制当局、英医薬品・医療製品規制庁さえも、「個別機器の対策については守秘義務がある」と述べる。
しかし調査報道の結果、ナノスティムの一般使用が認められる以前に、臨床試験は1度しか実施されなかったことが判明した。このたった1度の試験は、わずか33人の患者を90日間追跡しただけだった。
心臓専門医の世界的権威、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校のリタ・レッドバーグ教授は、「一生植え込むペースメーカーにしては、この臨床試験は非常に少ないと思う」と話した。
「ペースメーカーは10年、20年と使い続けるためのものだ。90日間の追跡調査で得られる情報は限られている」
医療業界の反応は
欧州医療業界を代表する業界団体メドテック・ユーロップは、「何百万人もの人が、医療機器から安全に利益を出ている。より健康に、より生産的に、より自立した人生を、いま生きることができている」と述べた。
「今日、病院や家にある数十万もの医療機器なしでは、生活は想像できなくなっている」
また同団体は、「従業員が持つ専門性、公平性、透明性、独立性により選ばれた」認証機関が認可を与えているとして、現行制度を擁護した。
ナノスティムを製造したアボット社は、多くの患者が同社製のリードなしペースメーカーに助けられており、今後もさらに大勢がこの技術の恩恵を受けるはずだと話している。
アボット社は、「リードなしで心拍を保つナノスティムの仕組みは、強い実績と安全データを基に、欧州のCEマークの認証過程を経て認可された」と述べた。
「加えて、CEマークによる認証だけでなく、欧州での市場展開後の臨床追跡調査でも、ナノスティムは追加評価を受けている」
解決策は
英国の王立外科医師会は、「抜本的な規制改革」を求めている。
同医師会会長のデレク・アルダーソン教授は、「移植可能な機器は全て、有効性と患者の安全を長期にわたり監視するため、登録され、追跡されるべきだ」と述べた。
しかしEUが規制強化を示唆すると、医療業界は「Don't lose the 3(3を失うな)」という運動を開始した。
この運動名は、医療機器の製造企業が、米国よりも3年早く、欧州で患者に新製品を届けられているという事実を基にしている。
新たな医療危機規制は欧州で2020年に発効するが、規制の推進者は、新規制は十分なものではないと話す。
ドイツ出身の欧州議会議員ダグマー・ロス・ベーレント氏はBBC番組「パノラマ」に対し、医療業界による集中的なロビー活動が、提案された改革を骨抜きにしたと語った。
「紛れもなくこれは医療業界にとっての成功で、欧州議会と欧州の患者にとっての失敗だ」
「欧州の患者のため、欧州の患者の安全のためにもっとできなかったのは辛い。私にとって生傷のようなものだ」
(英語記事 Patients given unsafe medical implants)
提供元:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-46340749

http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14618

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/672.html

[国際24] 中国中銀の馬駿委員:銀行の資本増強計画など必要−国内危機に備え 華為CFO逮捕の米政権、対中リスク認識も断行「最重要幹部

 
中国中銀の馬駿委員:銀行の資本増強計画など必要−国内危機に備え
Bloomberg News
2018年12月7日 15:04 JST
中国では不動産バブルや地方政府債務、影の銀行が危機引き金の恐れ
予防措置も重要−小規模銀行に注意、フォワードガイダンス提示も
中国人民銀行(中央銀行)貨幣政策委員会の馬駿委員は、金融混乱の引き金となり得る国内要因を分析した上で、危機発生時の企業の直接救済や銀行の資本増強策などを提案した。

  馬委員は人民銀系の雑誌「中国金融」の微信(ウィーチャット)に掲載した論文で、中国では不動産バブルや地方政府の偶発債務、資金調達を目的とした土地売却への高い依存、シャドーバンキング(影の銀行)が主な危機の原因となる可能性があると指摘した。

  馬氏はリスクの顕在化を防ぐため、予防措置を講じるべきだとも指摘。予防策は次の通り。

システミックリスクの発生において規模が小さめの銀行が果たす役割が「予想を超える可能性が非常に高く」、株式制商業銀行や都市商業銀行、農村商業銀行などに「細心の注意」
人民銀がより独立した判断ができるように中銀法を改正。フォワードガイダンスを提示
商業銀行以外の金融機関にも債券取引を認め、市場の流動性を改善する
  同論文によると、企業の直接救済や小規模銀行への資本注入、市場取引に関するルール変更などの案が活用される可能性がある。

原題:China Needs Bailout, Capital Plans for Crisis Event: PBOC’s Ma(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-07/PJCPL56KLVR601?srnd=cojp-v2

 

華為CFO逮捕を手配の米政権、対中貿易協議へのリスク認識も断行
Jennifer Epstein
2018年12月7日 15:16 JST
米中首脳の夕食会は孟CFO逮捕とほぼ同じタイミングだった
ホワイトハウスは大統領が逮捕を事前に把握していなかったと説明
トランプ米政権はカナダ政府に要請する形で、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の最高財務責任者(CFO)逮捕を手配した。中国との貿易協議に打撃を及ぼす可能性を認識していたが、米国の法律に違反した疑いのある中国企業に厳しく対処する姿勢を示そうとした。

  華為CFO逮捕のタイミングは、米中貿易摩擦を協議するためのブエノスアイレスでのトランプ大統領と中国の習近平国家主席の夕食会とほぼ重なった。


中国の習近平国家主席(左)、トランプ大統領と米代表団のメンバー(ブエノスアイレス、12月1日)フォトグラファー:Saul Loeb / AFP via Getty Images
  ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は華為の孟晩舟CFOを逮捕する計画を、習主席との夕食会にトランプ大統領と同席する前の時点で知っていたと、ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)に明らかにした。ボルトン氏のインタビュー後、ホワイトハウス当局者はトランプ大統領が逮捕を事前に把握していなかったと説明し、今回の動きから大統領の切り離しを図った。

  しかし、孟CFOを逮捕する計画は、トランプ大統領が習主席との夕食会に備えていた時には十分進行していた。中国当局が孟CFO逮捕と米国への引き渡しの可能性を知った今、両首脳の合意は崩壊する危険も考えられる。


孟晩舟CFO写真家:Maxim Shipenkov / EPA
  孟CFOに対する今回の動きのタイミングは偶然であり、1日にカナダに入国した同CFOの旅程に左右されたと、事情に詳しい関係者1人が明らかにした。ただ、ホワイトハウスは行動を延期したり阻止したりはしなかった。

原題:Huawei CFO Arrest Pursued by U.S. Despite Risk to Xi Trade Talks(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-06/PJBUOR6JIJUP01?srnd=cojp-v2

 
逮捕された華為の孟CFO、将来のトップと目される「最重要幹部」
Bloomberg News
2018年12月7日 8:36 JST
「常に自信家」で極めて有能とカウンターポイントのヤン氏
父親の地位を将来的に継ぐことになるかは定かではないとされる
中国のスマートフォンメーカー、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)は、単なる企業幹部とは訳が違う。華為創業者の任正非最高経営責任者(CEO)の娘であり、将来は同社のトップに就く可能性もある。その逮捕は、すでに複雑になっている米中の対立をますますやっかいにする。

  孟CFOは人民解放軍のエンジニアだった任氏と、四川省政府高官の娘である孟軍氏の間に誕生した。任氏は1987年に華為を設立し、その後30年間で同社をスマートフォンと通信機器で国内最大手の企業に成長させた。


華為の孟晩舟CFO撮影:Maxim Shipenkov / EPA
  孟CFOは約20年前に華為に入社。販売展示会の手伝いなどから始まり、次第に経営陣の中でも中心的な存在となった。ただ、将来的に父親の地位を継ぐことになるのかは依然定かではないという。一族の富と人脈がありながらも、ハーバード大学で学んだバレリーナの妹とは違い、社交界の付き合いは控えている。


  テクノロジー市場を分析するカウンターポイント・リサーチの調査ディレクター、ジェームズ・ヤン氏は公開イベントで孟CFOと知り合った。「常に自信家」で極めて有能だと同CFOを評し、逮捕と制裁の恐れが華為にとって大きなリスクだが、それは孟CFOが極めて重要な幹部だからでもあると指摘した。

  任氏は2013年に社内向けの電子メールで、親族がCEOを継ぐ可能性を強く否定。中国オンラインニュースの新浪科技によると、任氏は後継者として必要な資質を挙げた後で、「親族の誰もこれらの資質を持ち合わせていない。後継者の序列には決して入らない」と記した。

  任氏は11年12月、がんの手術を過去8年間に2回受けたことを社員に明らかにした上で、上級幹部に同社を率いる準備をさせるローテーション制度を発表。CEOのローテーション制度を採用するなどしていた。

原題:Huawei’s Arrested CFO Rose Through Ranks Despite Father’s Rebuke(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-07/PJCMQA6JIJUP01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/701.html

[国際24] ロシア疑惑捜査 有罪認めた元トランプ氏補佐官に実刑求刑せず ロシア疑惑なければ支持率75%?大統領ハラスメントと捜査非難
ロシア疑惑捜査 有罪認めた元トランプ氏補佐官に実刑求刑せず
2018/12/05
BBC News

2016年米大統領選へのロシア介入疑惑、ならびにロシア当局とトランプ陣営の結託疑惑を捜査しているロバート・ムラー特別検察官の事務所は4日、すでに連邦捜査局(FBI)への偽証罪で有罪を認めているマイク・フリン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)について、実刑を求刑しない方針を明らかにした。
ムラー特別検察官事務所は、量刑を言い渡すコロンビア特別区(ワシントン)連邦地裁判事への書面を公開。内容のほとんどが黒塗りされていたが、フリン被告に実刑を求刑しないことが明らかになった。量刑言い渡しは18日に予定されている。
ドナルド・トランプ大統領はロシア疑惑について、一貫して「結託はなかった」と主張し、捜査を「魔女狩り」だと非難してきた。
一方でフリン被告は、トランプ政権発足前に当時のロシア大使と対ロ制裁解除を話し合ったと認めた。米国では政府関係者以外が勝手に外国政府と交渉することは違法。被告はさらに、ロシア大使との接触についてマイク・ペンス副大統領にうそをついたと認めている。さらにFBIの取り調べに対しても、うその供述をしたと認めている。
ムラー特別検察官の書面では、フリン被告が捜査に繰り返し協力し、ロシア当局とトランプ陣営の連携関係について、その場にいた当事者として詳細情報を捜査陣に提供したと説明。
「そのため、量刑基準において最低レベルのもの(一定期間の収監を科さない量刑を含め)が相当で適切」だと文書は結論している。さらに情状酌量すべき内容として、フリン被告が軍人や公職者として「非常に優れた」働きを重ねてきたことや、「速やかに責任を受け入れ政府を相当に支援した」ことが考慮されるべきだと、減刑を促している。
ロシア疑惑捜査の詳細については、「捜査進行中の事案」について公表に適さない情報を含むという理由で、明らかにしていない。
求刑に関する書面に添えられた補足文書は、かなりの部分が黒塗りされている。しかし、フリン被告が「政権移行チームとロシア政府当局者との関わりの内容と程度について直接的な情報」を提供したと書いている。
「被告人は刑事捜査に相当の協力を提供した」という部分以外はすべて黒塗りされた箇所もある。
________________________________________
マイク・フリン被告とは
米陸軍中将まで上り詰め、国防情報局(DIA)長官も務めたフリン被告は、2016年大統領選でトランプ氏の熱心な支持者となり、トランプ政権の初代国家安全保障問題担当補佐官に選ばれた。
ただし、バラク・オバマ前大統領は自らDIA長官に指名したフリン被告を解任していたこともあり(イスラム過激主義に関する失言が表向きの理由だったが、組織刷新が不評だったからという説もある)、大統領補佐官指名をトランプ氏に反対していた。
フリン氏は政権発足前のロシア大使との接触が問題となり、ペンス副大統領へのうそが発覚したことをきっかけに、トランプ政権が2017年1月21日に発足してからわずか23日で解任された。さらに、ロシア政府やトルコ政府へのロビイストから受け取った講演料やコンサルティング料を申告していなかったことも、後から判明した。
トランプ大統領が同年5月に当時のジェイムズ・コーミーFBI長官を電撃解任したが、FBIによるフリン被告捜査をやめさせようとしたかどうかも、特別検察官の捜査対象になっている。
コーミー長官解任を受けて、ムラー特別検察官が任命され、フリン被告の訴追に至った。
ほかに有罪を認めた関係者は
ムラー特別検察官に起訴されたトランプ陣営関係者は、ほかにも有罪を認めているが、ロシア疑惑関連で有罪を認めているのはフリン被告のみ。
選対副本部長だったリック・ゲイツ被告は、選挙とは別件の詐欺罪や偽証罪などで有罪を認めている。
ポール・マナフォート元選対本部長は、選挙とは別件の詐欺罪や銀行詐欺罪、脱税などで有罪評決を受けた。司法取引に応じたが、FBIに虚偽の供述をしたため取引条件に違反したと言われている。
トランプ氏の顧問弁護士だったマイケル・コーエン弁護士は、2016年大統領選中にトランプ氏の会社がモスクワで検討していた不動産開発計画について連邦議会に偽証したと法廷で認めた。コーエン弁護士はこのほか、選挙法に違反して投票日前にトランプ氏の不倫相手に、トランプ氏の指示で口止め料を払ったと罪状を認めている。
(英語記事 Mueller investigation: No jail time sought for Trump ex-adviser Michael Flynn)
提供元:https://www.bbc.com/japanese/46451312
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14704


 

ロシア疑惑なければ支持率75%?=「大統領ハラスメント」と捜査非難−トランプ氏
2018年12月07日09時04分

 【ワシントン時事】トランプ米大統領は6日のツイッターで、保守系調査機関ラスムセンが5日発表した世論調査で大統領支持率が50%だったことを紹介し、「過去2年間の実績を踏まえると、ロシア(疑惑捜査)のいんちきな魔女狩りがなければ、支持率は75%だった」と書き込んだ。その上で、疑惑捜査を「大統領ハラスメント(嫌がらせ)」と非難した。

【地球コラム】トランプ時代「ファシズムの再来」〜2020年「再選」後も続く可能性〜

 ラスムセンが原則として毎日発表する大統領支持率調査結果によると、5日発表の支持率は前日比2ポイント上昇。51%だった11月21日以来の水準に達し、不支持率の48%を上回った。ただ、6日の発表では支持率が49%に下がった。(2018/12/07-09:04)

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https://www.jiji.com/jc/article?k=2018120700151&g=int

 

ロシア疑惑捜査なければ「支持率75%」 トランプ氏が主張
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2018年12月7日 10時43分 AFPBB News
アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開かれた20か国・地域(G20)首脳会議で、親指を立てるドナルド・トランプ米大統領(2018年11月30日撮影)。(c)SAUL LOEB / AFP
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【AFP=時事】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は6日、世論調査の結果は大きな誤りで、自身の支持率は「75%」だと主張した。

 トランプ氏の支持率を50%とする新たな世論調査を受けて、同氏は6日未明、「一生懸命頑張るよ。ありがとう!」とツイッター(Twitter)に投稿。ツイートには、選挙集会の会場で拍手する自らの写真に大きく「支持率50%」という文字が入った画像が添付されていた。

 問題は50%という数字を出した世論調査会社がラスムセン(Rasmussen)のみで、飛び抜けた値だったということだ。

 米政治系ウェブサイト「RealClearPolitics.com」によると、ギャラップ(Gallup)など他の世論調査会社が発表した支持率は全てそれよりもかなり低く、平均は43%にすぎなかった。

 さらに50%という数字も、ラスムセンの前回調査の49%から微増したとはいえ、決して好結果とはいえない。

 そこでトランプ氏は6日朝に再びツイート。低い支持率の原因は、2016年大統領選でのロシア共謀疑惑に対する捜査だと訴えた。

 トランプ氏は「いんちきなロシア疑惑の魔女狩りさえなければ、私の支持率は、ラスムセンが先ほど報じた50%ではなく、75%だったはずだ。(ロシア疑惑に対する捜査は)プレジデンシャル・ハラスメント(大統領に対する嫌がらせ)だ!」と主張した。

 支持率が75%ならば、トランプ氏は世界でもトップクラスの人気を誇る指導者の一人となるだろう。
【翻訳編集】AFPBB News
AFPBB News

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http://news.livedoor.com/article/detail/15704711/


http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/702.html

[経世済民129] 日銀総裁、個別株への影響は市場関係者のセールストーク−ETF購入 1億円超ビットコインオプション無価値に 
日銀総裁、個別株への影響は市場関係者のセールストーク−ETF購入
日高正裕
2018年12月7日 13:22 JST
具体的に個別銘柄に大きな影響を与えることにはなっていない
株式市場の価格形成や機能度に大きな歪みもたらしていることはない

日本銀行の黒田総裁 Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
日本銀行の黒田東彦総裁は6日の衆院財務金融委員会で、日銀による指数連動型上場投資信託(ETF)の購入が個別銘柄に大きな影響を与えているとの見方を否定した上で、そうした指摘は株式市場関係者の「セールストーク」であるとの認識を示した。

  黒田総裁は「株式市場の関係者はいろいろと(影響を)与えているとか、それをセールスポイントにしていろいろなことを言っている人がいるが、私どもの見るところではセールストークであって、具体的に個別銘柄に大きな影響を与えることになっているとは思ってない」と述べた。

  丸山穂高氏(日本維新の会)が、日銀のETF購入により間接的に「ファーストリテイリングは2017年時点で15.8%、浮動株だけで見れば63%保有している。個別銘柄への影響は非常に大きいものがある」と質問したことに答弁した。

  日銀は保有残高が年間約6兆円に相当するペースで増加するようETFを買い入れている。10月末の金融政策決定会合では「市場の状況に応じて、買い入れ額は上下に変動しうるものとする」ことを決定した。

  黒田総裁は「ETFの銘柄についての情報は市場に不測の影響を及ぼしえるため公表しない」とした上で、「TOPIXのシェアを高める等を通じて、個別銘柄への影響を極力排除する形で行っている」と言明。買い入れを委託している信託銀行が「適切な株主権を行使しており、コーポレートガバナンス(企業統治)に大きな影響が出ると思ってない」とも語った。

  ETF購入の効果については「特定の株価水準を目的にやっているわけではないが、株式投資リスクに対する懸念が低下し、リスクプレミアムへの働き掛けを通じて株価への影響も出ている」と述べた。一方で、「日銀の保有額は株式市場の時価総額の4%程度にとどまっている」として、株式市場の価格形成や機能度に「大きな歪みをもたらしていることはない」との見方を示した。

  ETF購入の出口については「2%の物価目標の実現になお時間がかかることを踏まえると、ETFの買い入れを含む金融緩和からの出口のタイミングやその際の対応を検討する局面にはまだ至っていない」と述べた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-07/PJCLUO6TTDSF01

 

 


1億円超で購入したビットコインのオプション、もうすぐ無価値に
Gregor Stuart Hunter
2018年12月7日 0:24 JST
コールオプションの行使価格は5万ドル、期限は2018年12月28日
利益が出るためにはビットコインが1200%超値上がりする必要
100万ドル(約1億1300万円)近くで購入された仮想通貨ビットコインのコールオプションが、近く期限を迎える。

  1年前にビットコインがピークを付けた数日後に、取引プラットフォームのレッジャーXで購入されたコールオプションは、行使価格5万ドル、2018年12月28日が期限だ。このオプションで損失を被らないためには、ビットコインが1200%を超えて値上がりしなければならない。


  このオプションの価値がゼロになることはほぼ確実だが、損をした人ばかりではないようだ。

  ブロックタワー・キャピタルの仮想通貨ファンドマネージャー、アリ・ポール氏はこのオプションを購入すると同時に、保有していたビットコインの一部を売ったもよう。同氏は2017年12月にCNBCとのインタビューで、この取引で利益の一部を確定するとともに価格下落による損失リスクを減らした上、もしビットコインが5万ドルを超えて値上がりすれば大きな利益が得られると語っていた。

  このオプションが購入された時、ビットコインの価格は1万6200ドル前後だった。ポール氏は後にツイッターへの投稿で、保有するビットコインを売ってオプションを購入する取引で利益が出たとしていた。

  同氏は自身のファンド全体のパフォーマンスを開示していない。ブロックタワーはコメントを控えた。

原題:Bitcoin Derivatives That Cost $1 Million Will Soon Be Worthless(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-06/PJBBJQ6TTDS201?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/788.html

[経世済民129] 米労働市場は「非常に強い」、全般的に経済良好−パウエルFRB議長 香港のファンド1020億円でパイオニアを買収、非公開化
米労働市場は「非常に強い」、全般的に経済良好−パウエルFRB議長
Rich Miller
2018年12月7日 9:07 JST 更新日時 2018年12月7日 9:57 JST
雇用統計の発表を翌日に控え、経済と労働市場に強気の評価
雇用創出は力強く、賃金は徐々に上昇している

FRBのパウエル議長 Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は7日の雇用統計発表を前に、米経済と労働市場に関して強気の評価を下した。

  パウエル議長は6日のワシントンでの講演テキストで、「米経済が現在全般的に非常に良好に推移しており、雇用創出は力強く、賃金が徐々に上昇している」と指摘。「実際に多くの全米レベルの指標でみて、米労働市場は非常に力強い」と述べた。

  エコノミストらは米労働省が東部時間7日午前8時半(日本時間同午後10時半)に公表する11月の雇用統計について、緩やかながらも依然として強い雇用ペースを予想。非農業部門雇用者数は前月比19万8000人増の見通しで、なお健全と見なされる水準だが、10月の25万人増を下回る伸びとなる見込み。失業率は前月と同じ1969年以来最低の3.7%と予測されており、平均時給は前年同月比3.1%増と、2009年以来の大幅な伸びが続いたとみられている。

  パウエル議長のこの日の講演は、12月18、19両日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)を控えたブラックアウト期間の前に予定された最後の公式発言。今月のFOMCでは今年4回目となる0.25ポイントの利上げが予想されている。

  同議長は、全ての米国民に景気拡大の恩恵が十分に行き渡っているわけではないとも述べ、「全米のデータの前向きなトレンドにもかかわらず、進行中の景気拡大の恩恵は一部地域に依然届いていない」との見解を示した。


原題:Powell Says U.S. Labor Market ‘Very Strong’ by Many Measures(抜粋)

(雇用統計やFOMCの見通しについて追加します.
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-07/PJC9C06K50YN01

 

債券下落、高値警戒感で売り優勢−米雇用統計控え悲観論の修正観測も
三浦和美
2018年12月7日 8:06 JST 更新日時 2018年12月7日 16:08 JST
長期金利は一時0.065%、前日の約4カ月ぶり低水準から上昇
なかなかここから買い進みにくいというところ−メリル日本証
債券相場は下落。長期金利が日本銀行が金融緩和策の修正を決めた7月末以前の低水準を付けるなど、急速な金利低下に対する警戒感から売り圧力が掛かった。この日の海外時間には米雇用統計の発表を控えて、行き過ぎた悲観論が修正される可能性もあるとの指摘も聞かれた。

長期国債先物12月物の終値は前日比4銭安の151円61銭。一時は151円50銭まで下落
新発10年物352回債利回りは、日本相互証券の前日午後3時の参照値より1.5ベーシスポイント(bp)高い0.065%まで上昇する場面があった
市場関係者の見方
メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジスト
高値警戒感でなかなかここから買い進みにくいというところ
11月の米雇用統計を控えて、米景気に対する行き過ぎた悲観論が修正される可能性もゼロではない
一方、悪い数字が出た場合は米利上げが止まってしまうという懸念が高まるリスクも
背景
前日の取引では長期金利は0.04%と、7月20日以来の水準まで低下。先物は151円82銭と、中心限月ベースで2016年11月以来の高値を更新
11月の米雇用統計は米東部時間7日午前8時半(日本時間同午後10時半)に公表
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.145% -0.130% 0.055% 0.580% 0.805% 0.960%
前日比 +1.0bp 横ばい +0.5bp +1.5bp +2.0bp +2.0bp


ドル・円は112円後半、リスク回避の円高一服−米雇用統計見極めへ
小宮弘子
2018年12月7日 12:36 JST 更新日時 2018年12月7日 15:19 JST
不透明要因残り、下方向に反応しやすい地合い−三井住友銀
FRB慎重化によるドル安、FOMCまで変わらず−バークレイズ
東京外国為替市場のドル・円相場は1ドル=112円後半で強含み。米中対立激化や米景気の先行きを懸念したリスク回避が一服し、円買い圧力が和らぐ中、週末の米雇用統計を前に値を戻した。

ドル・円は午後3時13分現在、前日比0.2%高の112円90銭。112円65銭を安値に112円93銭までじり高
クロス円(ドル以外の通貨の対円相場)も強含み
ユーロ・ドルは1ユーロ=1.13ドル後半で弱含み、米雇用統計を前にドル買い戻し
市場関係者の見方
三井住友銀行の山下えつ子チーフエコノミスト(ニューヨーク在勤)

市場は米国のリセッション(景気後退)や米中の先々の不安などをあまりにも先取りしすぎた感がある。米雇用統計が比較的しっかりならリスクオフがやや持ち直し、ドル・円は113円へ戻す可能性
とはいえ、来週の英国の欧州連合(EU)離脱の議会採決など不透明な話が残っているのが現状。少し戻しても不安材料が出るとダウンサイドの方に反応しやすい地合い
バークレイズ証券の門田真一郎シニア為替・債券ストラテジスト

ドル・円は今回も5月からサポートラインとなっている100日移動平均線で止まる形になっており、いったん新たな材料待ち
最終的に今月の一番の焦点は米連邦公開市場委員会(FOMC)。最近の米金融当局のスタンス慎重化でドル安になっている部分もあるので、来年の利上げやコミュニケーションがどうなるかを見るまではなかなか流れが大きく変わることはない
三菱UFJ銀行金融市場部為替グループの野本尚宏調査役

ドル・円のダウンサイドはいったんは終わりだと思う
東京はそれほどフローがない。実需は短観の採算レートが107円後半なので余裕をもって淡々とオーダーで売っている。慌てて売りに行くフローがないなら、下に突っ込んでも跳ね返される

背景
6日の米株式相場はいったん大幅安となったが、終盤に下げ幅を大きく縮小。7日の東京株式相場は反発
米長期金利の急低下も一服。10年債利回りは6日に一時2.82%まで下げた後持ち直し、7日のアジア時間は2.89%前後
ブルームバーグが集計したエコノミスト予想の中央値では、11月の米雇用統計での非農業部門雇用者数は前月比19万8000人増が見込まれている。10月は25万人増。平均時給は前月比3.1%増と10月に続き2009年以来の大幅な伸びの見込み
トランプ大統領は、米中合意が90日間に達成可能との中国の声明に同意するとツイート
メイ英首相は離脱合意案への承認を得るための11日の下院採決で敗北を喫することがほぼ確実な情勢。EUは13、14日に開く首脳会議を「英国危機」への対応を協議する場に変える構え
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-07/PJCJM76TTDS201


 

香港のファンドが1020億円でパイオニアを買収、非公開化へ
天野高志
2018年12月7日 15:50 JST 更新日時 2018年12月7日 16:45 JST
DES含む770億円を出資、現株主から約250億円で株式買い取り
臨時株主総会は来年1月、3月中の完全子会社化を見込む
香港のファンド「ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア(BPEA)」が総額約1020億円でパイオニアを買収する。パイオニアは完全子会社化され、上場廃止になる見通しだ。

  ベアリングとパイオニアが7日に発表した。ベアリングは、既に提供済みの250億円のデット・エクイティ・スワップ(DES)を含め770億円を出資した上で、現株主から約250億円で株式を買い取る。

  臨時株主総会は2019年1月25日の予定。第三者割当増資は、最も早い場合、3月1日に完了し、同月中の完全子会社化完了を見込む。パイオニアの財務アドバイザーは野村証券、ベアリングはメリルリンチ日本証券が務める。


  運転資金を確保し、安定的な事業継続に対する不安を払拭(ふっしょく)した上で、事業運営の安定を実現するのが狙い。パイオニアは複数のスポンサー候補と協議し、ベアリングの提案が最善策と結論付けた。両社は9月、500億ー600億円の出資で基本合意していた。

  パイオニアは世界で初めてレーザーディスクプレーヤーやプラズマテレビを商品化するなど日本を代表する電機メーカーの一つだったが、業績不振でテレビや家庭用音響機器から相次いで撤退。最近では車載機器事業に経営資源を集中したものの、スマートフォンの進化もあり業績不振に陥っていた。

  ベアリングは1997年に創業。アジアで成長を狙う世界企業やアジアに本拠地を置く企業への投資に力を入れている。日本でも産業財や消費財といった分野で総額2750億円の投資を完了した。

(パイオニアとベアリングの詳細を追加しました.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-07/PJCTOX6JIJW301


http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/789.html

[経世済民129] 健康保険が狙われる…外国人受け入れで懸念される“穴だらけ”の実態 国保保険料上限3万増 韓国、ただ乗り外国人健保
健康保険が狙われる…外国人受け入れで懸念される“穴だらけ”の実態

報道プライムサンデー
カテゴリ:国内
2018年11月12日 月曜 午後6:30
外国人の、他人の保険証による“なりすまし受診” は既に行われている
高額療養費制度や出産一時金も標的に
すでに日本に移民はいると認定して、議論をしていかないといけない
東京・新大久保。ここは多くの外国人が働き、暮らす街だ。そこでこんなことを聞いてみた。

「保険証を持っていますか?」


現在の法律では、日本に3か月以上滞在することで、外国人も健康保険に加入の義務が生じる。

パキスタン人・ネパール人…など、報道プライムサンデーの取材班が聞いたところ、ほとんどの外国人が自身の持つ健康保険証を見せてくれた。しかし先週、この外国人の健康保険の問題に焦点が当たった。

政府が来年4月から導入しようという「出入国管理法改正案」で、外国人労働者が多く日本に入って来た場合、健康保険制度を悪用されるのではないかという懸念があるのだ。


他人の保険証を不正利用して“なりすまし受診”

上の画像は、中国人観光客がSNSで日本に住む中国人に送ったメッセージだ。

「友達が日本に来ていて、子供が病気になりました。誰か保険証を貸してくれる人は、いませんか?」

保険証の不正利用をしようとしたのだ。


20年以上日本に住む中国人男性は、こうした“なりすまし受診”はよくあるとした上で、「保険証を人に貸すというのは、相当昔からあることなんです。中国では、なにか病気があっても見つけてくれないのではないかという、医療に対する不信感がある。不正使用だという事を分かったうえで、“なりすまし受診”している」とその実情を語った。

医療の現場で、そのような“なりすまし受診”は見抜けないものなのだろうか?

埼玉県川口市にある芝園団地。住民総数およそ4900人の内、2600人余が外国人。大半は中国人で、リトルチャイナとしても知られている。この団地で、地域医療を担うのが芝園団地診療所だ。この日も、この診療所をかかりつけにする中国人患者が多く訪れていた。

診療所の担当者に話を聞くと“なりすまし受診“を現場で見抜くのは、やはり難しいという。
「我々のところでは分からない。なにしろ見た時に、書面上、カード上に出ているものしか分からないので、受付せざるを得ない」と悩んでいた。


とはいえ、日本に滞在する外国人が携帯を義務付けられる在留カードと見比べて、防止できないのだろうか?

「それを言うのだったら、『健康保険証の記載法』と『在留証明書の記載法』をまず統一してほしい。名前が漢字表記だったりローマ字表記だったりするんですよ、お一人でも」と、現実的にチェックすることは難しいという。


「無料で治療を!」日本の保険制度を狙ったツアーまで!?
日本の健康保険制度では、高額な医療を受けても、一定以上の負担については税金から支払われる“高額療養費制度”もあり、この制度を利用すれば、ノーベル賞で脚光を浴びた高額なオプジーボによる治療も、格安で受けられることになる。この制度を使って、中国人が日本で医療を受けるツアーまであるという。


旅行代理店のホームページの書き込みを見ると、

中国人が、日本で無料の治療を受ける方法があります

とあり、ここではさらにクイズ形式で、日本の健康保険を使い治療費を浮かす方法を指南していた。

Q.日本の医療制度を利用して、自己負担は3割に抑え、さらに高額療養費制度を利用し、毎月の医療費が9万円を超えたら、その分は日本政府に払ってもらう方法はないのでしょうか?

A.実はあります。教えてあげましょう。日本の健康保険制度を利用するのです。

取材班は、この旅行代理店とは連絡はついたものの、ツアー担当者には取り次いでもらえなかった。


出産育児一時金も標的に?
外国人による健康保険の不適切とも思える利用は、これだけではない。

東京荒川区で区議を務める小坂英二氏がある資料を見せてくれた。それは荒川区が1年間に支払った出産育児一時金の件数。出産育児一時金とは、出産時に支払われる補助金の事。国民健康保険では子供一人につき42万円が支払われ、保険証を持つ在日外国人も対象だ。


2016年の荒川区での出産育児一時金の支払いは304件、1億2700万円が支払われた。しかし、304件のうち168人が日本人で、残りの5割近くが外国人と高い数字となっている。

ここに大きな問題が潜んでいた。
小坂区議が問題視しているのが、外国人が海外で出産した場合の出産育児一時金の受け取りだ。国民健康保険制度では、海外で出産しても一時金は受給できる。荒川区では2016年は49件が海外で出産し、一時金を受け取った。国別で見ると、アメリカで1件。タイで1件、オーストラリアは2件、ベトナムは少し多く7件。


その中、突出している国が…“中国”だ。
実に63%を占めている。一体これの何が問題なのだろうか?小坂区議はこう語る。

「それはまさにブラックボックスで、本当に生んだのかということを、役所の窓口では全く調べようがない。ウソの証明書を出されたら、それを信じて42万円出すしかない」

別の自治体では、実際に出産一時金の不正受給が明るみに出て、逮捕されたケースもある。

日本の社会保障制度の穴。

実は、この他にもある。


顔写真が必要無い「健康保険証」と「けんぽ保険証」
国民健康保険証と協会けんぽの保険証を見ると、どちらも写真がない。これが不正の温床となる理由の一つとなっているという指摘がある。

鎌田實(諏訪中央病院名誉院長):
私の病院は地方の病院なのでこのようなことはあまりないです。しかし、緊急に外国人の方が運ばれて治療を受けるケースがあるのだが、そこで未収、お金を払ってもらえないというのは、日本全体の病院の3分の1で起きているということで、経営的に非常に困っているという実態があります。
私は外国人労働者の導入についてはかなり積極的に賛成なんですけれども、日本の「国民皆保険制度」というのは世界でも類を見ない素晴らしい制度なんです。
しかし、この制度も現在かなり土俵際に来ていて、外国人労働者受け入れ拡大を目指す出入国管理法改正案が、国会できちんと議論されずに通ってしまうとますます大きな問題になって、国民皆保険制度が崩壊してしまうきっかけになりかねない。きちっと議論しないと、悪用しようとする穴がありすぎます。


年金制度にも存在する“穴”

荻原博子氏(経済ジャーナリスト)
荻原博子(経済ジャーナリスト):
年金は、10年日本にいれば外国人でも受給権が発生することになるんです。今は5年ですけど、来年4月から10年にしようとしています。何度か日本に来て10年満たせば、一生日本から年金を送り続けられることになるんです。
例えば奥さんと子供を国に残して、海外から日本にやってきた方が、入国してすぐであったとしてもその方が亡くなると、子供が18歳になるまでずっと日本から遺族年金を仕送りしなければならない。そういったところを議論しないといけない。

パトリック・ハーラン:
以前から移民を受け入れているアメリカでは、財政負担をあまり気にしていません。健康体で働きに来ている外国人の労働者は、公的サービスで一番お金がかかる“教育”を、自分の国で受けて来ているから、自らの国が教育費を負担した後で来て、それから働きに来て税金を納めてくれる。
収めた税金から公的サービスの受給額を引くと、差額が“収めた税金”の方が多い。例えばイギリスのロンドン大学(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)が行った研究では、2001年から2011年の間で移民が納めた税金の額から、公的サービスの額を引くと、10年ほどで3兆円以上の財政貢献があったんです。


大前提の“日本に移民はいません”というのがおかしい
荻原博子:
日本は実は海外から働きに来ている人が128万人と、世界第4位の移民大国と言われています。ところがこの人たちを移民と認めていない。移民をどうするかという議論が全くされていないんです。
「移民を受け入れるんだ」ということを大前提として、認定しないといけない。今は移民はいませんということになっていますからね。


鎌田實氏(諏訪中央病院名誉院長)
佐々木恭子:
移民を受け入れるという大前提をきちんと認めないで、付け焼き刃で穴だけ塞いでも立ち行かなくなるのではないですか?

鎌田實:
立ち行かないですね。
今の国会では政府がなんでも通せるから、法案成立後に省令で物事を解決していくというのは、あまりにも問題が大きすぎるからきちんともっと議論をしないといけません。


制度に穴があるのを対処療法で塞いでいるだけでは根本的な問題の解決にはならない。
外国人労働者を受け入れるのであれば、社会保障制度を根本から見直し、外国人が入ってくることを前提とした制度にしていく必要がある。さらに、日本が外国人にとって魅力のある「働きたくなる国」となるようにしていく必要もある。
そのために何をなすべきか、国会ではこうした議論が望まれる。


(報道プライムサンデー 11月11日放送より)
https://www.fnn.jp/posts/00387110HDK

 


 

[ニュース分析]健康保険揺るがす医療営利化の信号弾…否定的影響への懸念も
12/6(木) 18:30配信 ハンギョレ新聞
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[ニュース分析]健康保険揺るがす医療営利化の信号弾…否定的影響への懸念も
ウォン・ヒリョン済州道知事
内国人の利用を厳しく禁止するというが 運営難の時は内国人の診療要求する可能性も 実際、2016年の済州道広報資料には 「内国人も診療を受けることができる」  商業的な診療態度、一般病院にも拡散 医療費の上昇もたらし健康保険体系を揺さぶりかねない 医療の公共性の悪化・二極化の懸念も
 「国内第1号営利病院」となる緑地国際病院をめぐり、賛否両論が分かれている。5日、「条件付き開設許可」が発表されたことを受け、大韓医師協会や保健医療団体などは「医療営利化の信号弾になる」として、強く反発した。営利病院とは株式会社のように投資家を集め、利益を配当する医療法人を指す。現在、韓国の民間病院はいずれも非営利医療法人で、病院の利益は研究費や人件費など病院に再投資しなければならない。

 賛否の論理は鋭く対立している。営利病院に賛成する側は、質の高い医療サービスや外国人患者の誘致による医療産業の強化などを利点に掲げている。反対する側は公共医療体系の崩壊や診療費の上昇による医療の両極化などを懸念している。これを意識し、ウォン・ヒリョン済州道知事は「内国人の利用を厳しく禁止する条件付き開設許可であり、これに違反すれば許可を取り消す」と強調した。

 問題は、健康保険が適用されない外国人医療観光客のみを診療するという“条件”だけで、営利病院の拡大を防げるかにある。ソウル大学保健大学院のキム・チャンヨプ教授は「済州道が結局守れない約束をした」としたうえで、「病院の運営が難しくなれば、健康保険が適用される内国人の診療も認めてほしいと要求するだろうし、他の医療資本が営利病院の設立に必要な法制度の変化を求めるだろう」と指摘した。営利病院が拡大するきっかけとなり、韓国医療体系全般が崩壊する可能性が高まるということだ。

 実際、済州島は2016年に発行した資料で、「緑地国際病院は海外の医療観光客を主な対象にするが、内国人も診療を受けることができる」と広報した。営利病院の開設許可の根拠となる済州特別自治道特別法にも、外国人だけを対象にしているという条項はない。医療法には「医療機関は正当な理由なく、診療を拒否できない」と定められており、事実上、内国人の診療を認めたも同然だと、保健医療団体は主張する。

 このような不安感の背景には、文在寅(ムン・ジェイン)政権に対する不信感がある。保健福祉部は、朴槿恵(パク・クネ)政権時代の2015年、緑地国際病院事業計画を承認した。文在寅大統領は候補時代に「病院の営利法人の設立禁止」を公約に掲げた。済州道における営利病院の設立に反対する意思も明らかにした。人道主義実践医師協議会のウ・ソクギュン共同代表は「政権が変わったにもかかわらず、事業計画の承認を取り消すなど、積極的に乗り出さなかった保健福祉部の態度が、事実上、ウォン・ヒリョン知事を黙認した」と指摘した。これについて福祉部の関係者は「すでに建設された緑地国際病院を地域内で買収する案などを提案したが、(済州道側がそれに)応じなかった」とし、「医療営利化を推進しないというのが一貫した立場だ」と明らかにした。

 営利病院の高い診療費など“望ましくない経営態度”が他の病院にも広がる“バンパイア効果”を懸念する声も高まっている。仁荷大学医学部のチェ・ギュジン教授は「営利病院の商業的な診療形態を一般病院が追従すれば、消耗的な医療費がさらにかさみ、健康保険体系までも揺さぶりかねない」と話した。営利病院は診療費を独自で決めることができる。米国では営利病院の診療費が非営利病院より約19%高い。営利病院は医療陣も数も少ない。緑地国際病院は計134人を採用したが、このうち医師や看護士など医療陣は58人に過ぎない。

 医療の二極化が進むという不安も高まっている。営利病院が認められている国の公共医療機関の割合は大体70%以上だが、韓国(5.4%)は経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち最下位レベルだ。ソウル大学医学部のキム・ユン教授は「国内の民間病院の商業性が高いため、営利病院の許可で医療の公共性が損なわれるのではないかという不安感がさらに高まらざるを得ない」と指摘した。

ファン・イェラン、パク・ヒョンジョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

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最終更新:12/6(木) 18:30
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181206-00032286-hankyoreh-kr

 


韓国、ただ乗りする外国人健康保険の地域加入者、その現状と見直し

2018/12/07

朴承a (在韓ジャーナリスト)


(holwichaikawee/gettyimages)
 高齢社会に入った韓国は、医療費支出の増加と給付の拡大で健康保険財政の悪化が懸念される中、外国人地域加入者の健康保険制度が問題を抱えていることが明らかになった。外国人健康保険の財政収支の赤字が過去5年間で2倍以上急増したのだ。これを受け、保健福祉部(省)が外国人が韓国に入って健康保険に加入した後、高価な診療を受けて帰ってしまう問題を改善することにした。

 国民健康保険公団の“2013年〜2018年6月までの外国人の健康保険収支の現況”と題する資料によると、13年に941億ウォン、14年に1138億ウォン、15年に1310億ウォン、16年に1716億ウォン、17年に1987億ウォンと、外国人の健康保険の財政収支の赤字が着実に増加した。外国人の地域加入者が健康保険料として納めた金額に比べ、過度な恩恵を受けていることがわかる。

1万5000倍の恩恵
 ある外国人加入者は5年間300万ウォン(約30万円)の健康保険料を納め、6億ウォン(約6000万円)、また別の加入者は30万ウォン(約3万円)を納付し、2億5000万ウォン(約2500万円)の恩恵を受けるなど、健康保険料と納めた金額に比べて800倍以上の恵みを受けた。結核診療患者の中には40万ウォン(約4万円)を納めて9000万ウォン(約900万円)の優遇を受けたり、ある患者は2990ウォン(約290円)の健康保険料を納めて4500万ウォン(約450万円)を超える恵みを受け、"1万5227倍"の多大な恩恵を受けたケースもあることが分かった。

 中国人C氏(15歳)は難病の血友病と診断された。彼の両親は15年に韓国に入って来て地域加入者として健康保険に加入した。C氏は韓国で病院治療を受けることになった。3年間の病院費として4億7500万ウォン(約4700万円)が請求されたが、健康保険で4億2700万ウォンを負担した。健康保険公団はC氏の両親が支払った病院費4800万ウォン(約480万円)のうち、1800万ウォン(約180万円)を本人負担の超過額として払い戻すことまでした。この期間、C氏の両親が納めた健康保険料は260万ウォン(約26万円)に過ぎない。

 最近5年間、C氏のような外国人患者100人の治療にかかった健康保険の負担金が224億8000万ウォン(約22億円)だった。彼らが納めた健康保険料の総額は4億ウォン(約4000万円)で、彼らがもたらした健康保険の財政赤字が220億ウォン(約22億円)を超えるという分析が出た。

増加する外国人加入者
 正しい未来党の崔道子議員は9月30日、国民健康保険公団から治療費を沢山支出した外国人患者の上位100人の資料を公開した。同資料によると、高額治療を受けた外国人患者のうち、中国人(68人)が最も多く、米国人(15人)、台湾人(5人)が後に続いた。日本、ロシア、ベトナム国籍者もそれぞれ2人だった。この3年間、3万2000人余りの外国人が治療だけ受けて出国した。彼らが健康保険料から受けた保険の恵みも3年間で228億(約22億円)に達する。

 外国人健康保険の地域加入者数の増加傾向も続いている。13年に16万2265人、14年に18万4805人、15年に20万8184人、16年に24万8479人、17年に27万416人に増加し、今年6月現在に29万876人で、外国人健康保険の財政赤字の幅はさらに大きくなる見通しだ。

 現行の国民健康保険法により、外国人の場合、職場加入者でなくても3カ月以上国内に居住すれば、地域加入者として健康保険に加入できる。人道主義的次元で外国人に差別しないのだ。ところが、これは任意規定であるため、外国人などは健康保険加入申請を行わず、高額の治療が必要な時に加入できる。このような弱点を利用し、高い治療を受けさせてもらうため、韓国を訪れる外国人が少なくないという指摘が絶えなかった。

(注・地域加入者とは、非専門の就業(就労)訪問就労、結婚移民、留学生、在外同胞など28種類のビザを受けた外国人らがこれに属する)

 保険料負担と給与特典の有利・不利によって選択的に加入の資格を取得できるため、韓国人との公平性問題が生まれる。英国は6カ月以上、ドイツは協約を締結した国の国民だけが健康保険の加入が許可されている。韓国も加入許容の期間を増やすなど、基準を強化すべきだという声が出ている。

 外国人は高額の治療を受け、保険料を納めなくても所得や財産などを把握し難く、滞納保険料の賦課や不当な利益金の回収が容易でない。このような制度の弱点を悪用し、治療目的で韓国入りし、高価な治療を受け、健康保険料を納めず、出国する事件が起きている。

「虫がいい外国人患者を防止できるよう法改正を推進する」
 崔議員は9月30日、外国人が地域加入者として健康保険に加入できる最小の滞在期間を6カ月以上に変える内容の"国民健康保険法一部改正法律案"を代表発議した。「健康保険は国民の健康を守る経費であるだけに財政健全性が重要だ」とし、「虫がいい外国人患者を防止できるよう法改正を推進する」(同議員)

 このような問題を補完するため、保健福祉省が外国人健康保険の加入と資格管理体系を改善する案を盛り込んだ“国民健康保険法の施行令及び施行規則”改正案を10月8日までに立法予告した。診療目的で韓国に入国した後、健康保険に加入して少ない保険料だけを納め、高価な保険の恩恵を受ける外国人が相次いで発生する問題を解決するためだ。

 改正案を見ると、現在は韓国内に3カ月以上滞在している外国人及び在外国民は、個人の必要によって健康保険に地域加入者として加入することができるが、今後は6カ月以上滞在すれば地域加入者として義務的に加入しなければならない。また、これまでは外国人の国内所得や財産の把握が容易でなく、健康保険料を相対的に少なく納めていたが、このような問題も改善される見通しだ。外国人地域加入者の世帯に対しては、前年度の健康保険加入者の平均保険料以上を納めるようにした。

 外国人が健康保険料を滞納した場合、効果的な徴収手段がなかったという指摘を受け入れ、今後は滞在期間の延長許可、再入国など各種審査で不利益を与えることにした。ただ、国民に準ずる待遇を受ける永住権者、結婚移民者の場合、現在と同様、保有する所得や財産によって保険料を課す。

就職している外国人は黒字
 冒頭で述べたように、13年から17年まで最近5年間、外国人健康保険の地域加入者財政収支は7092億ウォン(約700億円)の損失を出した。だが、これまでの内容と数字は、いわゆる就職している外国人ではなく、‘地域加入者’だけの集計である。ところが、外国人の職場加入者を含めた全体外国人健康保険の財政は黒字である。外国人健康保険加入者の70%を占める外国人職場加入者は、支払った保険料より給付の恩恵が少ないからだ。

 全体の外国人健康保険加入者の財政収支は17年に2490億ウォン(約250億円)など、この5年間で1兆1000億ウォン(約1000億円)の黒字となった。国内企業に就職した外国人健康保険職場加入者は韓国人と同様に健康保険に、当然、加入しなければならない。内国人と同じ給料で保険料率6.24%を適用した健康保険料を支払わなければならない。ところが、大半の外国人職場加入者は、若くて健康で病院を沢山利用しないため、外国人健康保険の財政が黒字になる。

 国民健康保険公団と健康保険審査評価院が、17年の診療費を分析した健康保険の主要統計を見ると、国民1人当たりの月平均健康保険診療費は11万3612ウォン(約1万円)で、16年より6.9%増えた。昨年、外国人を含め韓国全体の健康保険で支出された診療費は69兆6271億ウォン(約7兆円)だったのに対し、健康保険で納められた金額は50兆4、168億ウォン(約5兆円)だった。これまで累積積立金があるとはいえ、収入より支出がほぼ20兆ウォン(2兆円)多い。(健康保険の保障性強化政策の)“文在寅ケア”で追加財源の投入が予想され、健康保険の財政健全性に対する懸念はさらに強まる見通しだ。

 保健福祉省は、改正案に対する立法予告の期間が終わった後、法制処(庁)の審査を経て、国務会議(閣議)で可決されれば、国務会議(閣議)を通過すれば、(閣議で可決されれば?)公布後に施行する計画だ。保健福祉省はすべての手続きを終えれば、早ければ12月初めか遅くても12月末には改正案を施行できると見ている。

【※参考】

非専門就労の外国人労働者は特別な技術を必要としないと。韓国語や、指を自由に動けるか、などの簡単なテストを受けて選抜する。これは国同士でMOUを締結している。現在に韓国とMOUを締結している国は16カ国で、非専門人力は23〜24万人くらいである。この人たちに対する健康保険は雇用主が義務的に入るようになっている。しかし、雇用主が非専門就労の外国人労働者の分の健康保険に入ったかどうかについては一々確認できない。また、最初、韓国に入ってきたときは、職場加入者になっていたが、その職場をやめたりして、健康保険が入ってない場合に、地域加入者として、個人的に健康保険に入ることもある。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14685

 


国保の保険料上限、3万円増の年80万円に 厚労省方針
西村圭史2018年12月6日06時28分
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 厚生労働省は、自営業者や非正規社員らが加入する国民健康保険(国保)で、高所得層が払う保険料の上限を現在の年77万円から年80万円に引き上げることを決めた。加入者全体の1・99%が対象になる見込みで、来年度からの実施を目指す。高所得層の保険料上限の引き上げは2年連続。国保の財政改善が狙いだ。

 国保の保険料は所得が高い世帯ほど高くなるが、上限が設定されている。全国平均の状況として、現在は年間所得840万円以上だと保険料は年77万円に固定される。来年度からは年間所得880万円以上の場合、年80万円を払うことになる。880万円未満は、個々の所得に応じて80万円未満の保険料を払う。

 厚労省は、40〜64歳の加入者が国保保険料と一緒に納める介護保険料についても上限の引き上げを検討したが、据え置くことにした。(西村圭史)

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危うい「関係者によると」 池上彰さんが読むゴーン報道
父にすごむ男、「やめて下さい」叫ぶ母 東名あおり事故
https://www.asahi.com/articles/ASLD54QJRLD5UTFK00P.html
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/790.html

[国際24] 米国で進化を続ける「テック・ジャーナリズム」の正体 NY在住のジャーナリスト津山氏が講演 
米国で進化を続ける「テック・ジャーナリズム」の正体

NY在住のジャーナリスト津山氏が講演
2018/12/07

中西 享 (経済ジャーナリスト)


(AdrianHancu/Gettyimages)
 ニューヨーク在住のジャーナリスト、津山恵子氏が12月3日、日本記者クラブで「ジャーナリズムとAI 米国メディアの戦い」と題して講演した。その中で「トランプ氏が2015年に米国の大統領選挙に出馬表明してからメディアと政治をめぐる状況が一変、(メディアは)AI(人工知能に)に注目する動きが出ている。新聞やケーブルテレビのニュース番組の視聴率が上昇する一方で、トランプ大統領のメディア攻撃が繰り広げられ、メディアに対する『ダーティーウォー(汚い戦争)』が起きている」と指摘した。

 また、本物かどうか見分けがつかないAIを使ったディ−プフェイク(Deep Fake)が増えていることに対しては「常に批判的に考えて、疑ってかかることが重要だ」と強調、伝えるメディア側がテクノロジーを駆使した対策を練るべきだと述べた。


 津山 恵子(つやま・けいこ)氏 1988年に共同通信社に入社、2003年から06年までニューヨーク特派員、06年に退社、その後、米国の政治、メディア、教育事情などをフリージャーナリストとしてリポートしている(写真・日本記者クラブ提供)
 津山氏の主な講演内容は以下の通り。

テレビは「トランプ景気」
 いま米国にはテレビ業界で「トランプ景気」が起きている。ケーブルテレビのニュース番組の視聴率が上昇、新聞社の有料デジタル購読者数が急増している。ニューヨークタイムズで見ると、2011年にデジタル版を有料化してから15年に100万人を超え、その後も順調に伸びて、18年の第3四半期現在、254万人に増えている。デジタル版の購読料金は1カ月16ドル(約1800円)で、私も購読している。

 トランプ大統領が「メディアを一方的に攻撃し、ジャーナリストは『国民の敵』だ」と何回も言うようになり、最高裁判事の候補のカバノー氏の学生時代の女性暴行問題の公聴会(9月27日)は、2000万人がテレビで見た。このほかFBI長官が「Fired」(首)になるなど、視聴者にとって「役者揃い」となったため、テレビの視聴率が上昇した。視聴者数が最も多いのがトランプ大統領寄りの報道をしているフォックスニュースで、プライムタイムの視聴者数が720万人、次に多いのがリベラル派のMSNBCの320万人、3番目が日本で馴染みのあるCNNで190万人。

圧倒的なフォロワー数
 トランプ大統領のメディア攻撃に対して、ボストンにある老舗新聞社ボストン・グローブが8月16日に全米の報道機関に対して、社説を一斉に書くという呼び掛けをした。「大統領のやり方は報道の仕事を弱体化、非合法化し、危険にさらしさえする。計算され、一貫した方針を持つように見える初めての大統領だ」と指摘、トランプ政権のやり方がいかに危険かを1面トップの社説で訴えた。これに対して、ニューヨ−ク・タイムズをはじめ全米の450社の報道機関が同調したが、わずか1日だけにとどまった。

 一方、トランプ大統領のフォロワー数は約5600万人といわれ、その半数がロボットによるものだとも言われているが、そうだとしても2800万人が大統領のツイッターを見ていることになる。ツイート数は09年3月から3万9800件で、1日当たりのツイート数が11〜12件ある。これまでの米国大統領でフォロワー数が最大だったオバマ前大統領でさえ800万人だったこと、ボストン・グローブによる1日の反論と比較して、トランプ大統領のツイート発信による国民への影響力の大きさは比べ物にならない。

AIの活用が進む
 米メディアは、広告収入の減少、デジタルコストの上昇といった問題を抱えて、デジタル化の先にあるAIを進めざるを得なくなった。米国の通信社APでは、15年に「AP2020」という20年までの中期経営計画を立ててAIによる仕事の自動化を進展させた。18年の目標は、異なるタイプのニュースを効率的に、情報の信ぴょう性を速く確認して記事の信頼性を上げる。機械学習により、記者がビッグデータを使い、分析と速報の両面を強化し、ビデオを拡充するーなどで、1年ごとに課題を解決しようとしている。

 具体的には、14年からAIを活用して株式、4半期ごとの決算発表、スポーツ記事などの自動化を進めた。それまでは4半期の決算原稿を300本出していたのが、3700本も出せるようになり、記事のエラー率は4%まで下がったという。

 私もニューヨーク特派員時代に決算原稿を処理したが、確認などに時間が掛かり手間と労力を取られていたので、自動的に記事が出来上がるこのソフトができたことは画期的なことだと思った。

ツイッターからネタを見つける
 通信社のロイターはツイッターなどのSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)を活用している。1日7億本にもなると言われるツィートの中から記事になりそうなネタを見つけてくれるロボット「TRACER(トレイサー)」を導入、ニュースのランク付けから、事実かどうかの確認までしてくれる。

 これを使ってロイターはどのような成果が出たかと言うと、50以上のニュースで世界の通信社の速報に8〜60分の差をつけることができたという。具体例では、16年4月14日の午後9時26分(日本時間)に発生した熊本地震では、発生から10分後に速報を打つことができた。このほかスペースXの打ち上げた「ファルコン9」ロケットの爆発や、英国で起きたマンチェスター・アリーナの自爆テロでもロイターの速報は世界の通信社の中でも最も速かったのではないか。このようにツイッターの中から記事を拾えるようになれば、事件事故の現場に記者がいなくても、事件、事故の記事を作ることができる。こうすることで、APやロイターはいままでよりも速く正確な記事を送信し、記者は情報の分析、取材の時間を取れるようになる。

 ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)では、95年からオンラインでの記事購読を有料化した。契約した人を購読者とは呼ばずにオンラインメンバーと呼ぶようになり、編集方針は「デジタルファースト」になった。「WSJ Plus」という富裕層を対象としたメンバーになると、大手企業のトップと食事ができ、ワインのテイスティングなどのイベントに参加できるなど、差別化をすることで契約を増やそうとしている。

ハッキングに危機感
 今後はAIを使ったフェイクニュースが増えていくのは確実だ。怒りや不安をあおるような偽記事・偽広告は感情に訴えるせいか、普通の記事よりも多くリツイートされる傾向がある。顔のすり替えや音声を変えるなどすることが行われており、メディアの側にも強い危機感が生まれている。

 WSJではフェイクニュースが増加していることに対して「この1年半が勝負」だとして社内にフェイクニュースを出さないようにタスクフォースを立ち上げ大学などとも連携して記者教育を行っている。また米国議会の中にも超党派でディープフェイクを排除しようという動きもある。

 顔のすり替えや音声の変換などができるソフトは、アドビやIBMなどのソフト会社が販売しているので簡単に手に入る。だましてやろうというハッカーたちに使われる恐れがあり、こうしたハッキングは民主主義の危機になるとみている。

 では本物かどうか見分けがつきにくいディープフェイクと呼ばれる偽ニュースにどう対処すればよいのか。常に批判的に考える、疑ってかかる、取材源に当たる、質問するといった伝統的な手法で確認することが大事だ。さらに、グーグル検索をフルに活用する、ビデオはスローダウンして写っている人間の瞬き、光の具合、ぼやけなどを点検することなども必要だ。災害や飛行機事故の現場写真の場合は、偽の写真が使われた事例が多くあるので、特に疑ってみることが肝心だ。写真などで細工されたフェイクニュースを見破るAI技術も確立されていくので、そうしたものも使っていく必要があるのではないか。

新しいテクノロジーを取り入れる
 メディア業界で、デジタルの時代になって、フェイスブックが保有する個人情報の大量流出など、社会全体に大きな影響を与えるような、民主主義の在り方を問うようなスクープが増えている。これまでは1年に1、2本しか出てないような影響の大きい記事が出てきており、複数のメディアがチームを組んで調査報道をするスタイルも始まっている。

 AIが導入されると、仕事が奪われるという危機感には同感できるが、そういう捉え方ではなく、トランプ政権によりメディアが侵略される前に何か手を打つ必要があるのではないか。そのためには、AIなど新しい技術を使っていくのが良いのではないかと思う。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14708
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/704.html

[経世済民129] 米国株の調整は完了 パイオニア、上場廃止へ アジア系ファンドが買収 15%人員削減も 東証大引け 反発、米株下げ渋りで
米国株の調整は完了
ストラテジーレポート
広木 隆 2018/12/07




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最近よく使うフレーズに「蝉が鳴いたから夏が来るわけではない」というのがある。夏になれば蝉が鳴く。蝉が鳴くことで季節が巡り夏になるわけではない。相関はあるが因果関係はないことの例えだ。
米国債のイールドカーブの一部の年限で逆転現象(逆イールド)が発生した。それをもって景気後退が起きると危惧されているが、逆イールドになったから景気後退になるというわけではない。逆イールドは景気後退を呼び起こす原因ではない。景気後退の終盤でしばしば見られる現象のひとつに過ぎない。夏になれば蝉が鳴き、景気拡大が終盤になれば逆イールドが起こる。それだけのことである。そして逆イールドが初めて起きてから実際に景気後退が始まるまでにはかなりのタイムラグがある。(詳しくは昨日の大槻さんのレポートご参照)
景気後退との関連性で言えば株価のほうがはるかに近い。平均すると米国株が天井を打つのは景気後退開始の6ヶ月前である。換言すれば株価が崩れて景気後退に陥るのである。
米国株のピークアウトはまだ先である。この秋の調整を経て、米国株式市場は株価評価の基本をもう一度、頭にたたき込んだはずである。すなわち金利対比のバリュエーションが重要だということである。10月から始まった下落の第一局面は金利上昇に対する調整だった。第二局面ではリスクパリティなどのポジション調整、第三局面では原油安と次々と下げの要因を変えながら、ここまで調整が長引くと、マーケットの心理が悲観に傾きすぎて、まともな判断が効きにくくなる。それが先日の逆イールド発生で大幅安となった理由だろう。長期金利は下がっているのだから本来であれば株価にはプラス材料である。
S&P500の益利回りと10年債利回りの差をとったイールドスプレッドが3%を割り込んで、株価の割高感が意識されたのが、急落の原因だった。これは2月も10月も同じである。現在は株価が調整し金利が下がったため、イールドスプレッドは3.6%近くに達し、これは年初来で最高水準だ。株価の割高感は薄れている。調整完了とみてよい。
S&P500(青)とイールドスプレッド(赤)

出所:Bloombergデータよりマネックス証券作成
それにしても米国株市場は投資家の裾野が広く、懐が広い。昨日のように大幅に下げても逆張りが入って下げ幅を縮める。一本調子で下げ幅を拡大していく日本株市場と大違いだ。
HUAWEI(ファーウェイ)の副会長逮捕というニュースのインパクトが強かったので市場は過敏に反応したが、米国がHUAWEIとZTEを標的として中国通信を排除することは今、唐突に出てきた話ではない。日経新聞にも書かれている通り、8月に国防権限法が可決され大統領が署名した時点で決まっていたことである。サプライズでもなんでもない。これをとりまとめたのは可決直後に亡くなったジョン・マケイン議員である。帰還兵で米国の英雄で、かつトランプ大統領のいわば政敵である。だからというわけではないのだろうが、超党派でまとめた国防関連法は最終段階でトランプ政権によってトーンダウンされ成立した。トランプ氏と犬猿の中にあった相手の名前がついている法案にすんなり署名したくなかったのだろう。
対中国への強硬姿勢はトランプ政権よりも議会で強い。ただ、その議員連中を超党派でまとめたマケイン氏は今はもうない。米中のハイテク産業は密接に結びついており、そう簡単にそのエコシステムを断ち切ることはできないだろう。前回のZTEの制裁の時も、米国の半導体メーカーから強烈なロビー活動が行われている。今回も米国の産業界は大々的にロビー活動を行うだろう。そうした諸々の事情を考慮すれば、メディアで喧伝される「中国ハイテク排除」というのが一足飛びに進まないシナリオも用意しておくべきだと言える。
https://media.monex.co.jp/articles/-/10600


 


パイオニア、上場廃止へ アジア系ファンドが買収
15%人員削減も
エレクトロニクス
2018/12/7 16:30 
経営再建中のパイオニアは7日、アジア系投資ファンド、ベアリング・プライベート・エクイティ・アジアの傘下に入ると発表した。ベアリングが総額1020億円を投じて買収する。パイオニアはベアリングの完全子会社となり、上場廃止になる。外資ファンドの傘下で再生を目指す。

記者会見するパイオニアの森谷浩一社長(左)とベアリング・プライベート・エクイティ・アジアのジォーン・エリック・サラタCEO(7日午後、東京都中央区)
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記者会見するパイオニアの森谷浩一社長(左)とベアリング・プライベート・エクイティ・アジアのジォーン・エリック・サラタCEO(7日午後、東京都中央区)

パイオニアが2019年1月25日に開く臨時株主総会で正式に決める。ベアリングは第三者割当増資と債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ、DES)で770億円を出資。既存株主からも約250億円で株式を買い取る。買い取り額は1株あたり66.1円と7日終値(88円)よりも25%安い。

18年3月末時点で連結で約1万7000人いる従業員のうち約15%の人員を削減する。経営陣も刷新する。森谷浩一社長と社外取締役2名を除く現在の取締役は辞任し、ベアリングから取締役を招く。パイオニアは9月にベアリングの支援を仰ぐことで基本合意していたが、出資には至っていなかった。

パイオニアが手がけるカーナビゲーションシステムなど車載機器の事業環境は厳しい。スマートフォン(スマホ)の普及でパイオニアにとっての稼ぎ頭である「市販品」は需要が縮小し、単価の下落にも直面している。

自動車メーカー向けのカーナビの開発費の負担も増え、18年4〜9月期連結決算は99億円の最終赤字だった。前年同期に比べ赤字幅が72億円拡大した。

主力事業のカーエレ事業は19年3月期に55億円の営業赤字となると見込む。連結全体でも50億円の営業赤字の見通しとなるなど経営危機を招いていた。

自動車・部品各社は「CASE(つながる、自動運転、シェアリング、電動化)」と呼ばれる次世代技術への対応を迫られ、競争を生き抜くための再編が相次ぐ。アルパインは親会社のアルプス電気と経営統合し、クラリオンは日立製作所グループを離れて仏自動車部品大手のフォルシアの傘下に入ることが決まっている。

 
 
パイオニア、香港ファンドが600億円 筆頭株主に (2018/9/11 18:00) [有料会員限定]
パイオニア株、日経平均に当面維持 (2018/12/7 17:40)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38673110X01C18A2000000/


 

東証大引け 反発、米株下げ渋りで見直し買い、小売りなど内需高い
2018/12/7 15:25日本経済新聞 電子版
 7日の東京株式市場で日経平均株価は4日ぶりに反発し、前日比177円06銭(0.82%)高の2万1678円68銭で終えた。6日の米株式相場の急速な下げ渋りで投資家心理の悪化に歯止めがかかり、現物株への見直し買いや株価指数先物の売り方による買い戻しが相場全体を押し上げた。日経平均は前日までの3日間でおよそ1000円下落していたため、値ごろ感を手掛かりとした買いも入りやすかった。小売りなど内需関連株の一角が買いを集めた。

 6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は一時前営業日比785ドル安まで下落したが、79ドル安まで下げ渋って終え、日本株にも相場の底入れ機運が広がった。午後は日銀の上場投資信託(ETF)買い観測や円相場の伸び悩みを手掛かりに、やや買いの勢いが増した。

 午前は朝高後、米中関係の先行き不透明感などから戻り待ちの売りが優勢になり、日経平均は前日終値(2万1501円)近辺まで上げ幅を縮小する場面もあった。11月の米雇用統計の発表を控え、積極的に持ち高を傾ける動きは限られた。原油安などを背景に石油や鉱業など資源株の一角が軟調だった。

 JPX日経インデックス400は4日ぶりに反発。終値は前日比102.95ポイント(0.72%)高の1万4336.16だった。東証株価指数(TOPIX)も反発し、9.85ポイント(0.61%)高の1620.45で終えた。

 東証1部の売買代金は概算で2兆5406億円。売買高は13億7189万株だった。東証1部の値上がり銘柄数は1016、値下がりは1028とほぼ同数だった。変わらずは78銘柄だった。

 日経平均への影響度が高いファストリやユニファミマが上昇。11月の取扱数が好調だったヤマトHDも上げた。一方、6日に通信障害が発生したソフトバンクは下落した。武田は年初来安値を更新した。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕
https://www.nikkei.com/article/DGXLASS0ISS16_X01C18A2000000/
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/792.html

[原発・フッ素50] バングラ首相、原発建設「来年日本の提案も期待」 23〜24年稼働の2基に続き 
バングラ首相、原発建設「来年日本の提案も期待」
23〜24年稼働の2基に続き
2018/12/6 14:00
日本経済新聞 電子版
 【ダッカ=黒沼勇史】バングラデシュのシェイク・ハシナ首相は日本経済新聞の単独インタビューに応じ、2017年に建設に着手した同国初の原子力発電所の2基が24年までに稼働するとしたうえで、19年にも2カ所目の建設に関し提案を国際的に募ると明らかにした。「日本が良い提案をしてくれればそれを採用したい」とも述べた。足元で8%近い経済成長率が今後10%に加速するとみて、電力供給の底上げを図る。

インタビューに答えるバングラデシュのシェイク・ハシナ首相(5日午前、ダッカ)=小高顕撮影
 首都ダッカの首相公邸で5日、取材に応じた。バングラの導入済み発電能力は1万7340メガワットで、天然ガスが58%を占める。ただこれまで依存してきた国産ガスの産出量が減り、液化天然ガス(LNG)の輸入を増やすほか、原発の導入や再生可能エネルギーの活用などで年率10%増とされる需要増を賄う方針だ。
 同国初の原発はロシアとインドが協力し、バングラ西部ループールで建設が進む。ハシナ首相はインタビューで、この原発の原子炉2基(計2400メガワット)が「24年までに稼働する」と述べた。
 2カ所目については「用地の選定中だが(同国)南部に設けたい。(各国の)提案は選挙後に募る」と述べた。バングラは議会選投票日を30日に控えている。
 一部現地メディアは中国企業が建設に名乗りを上げたと報じたが、ハシナ首相は「我が国に最適な提案かがより重要だ」と述べるにとどめた。一方、日本からの提案にも関心を示し、各国を競わせる思惑をのぞかせた。
 バングラの実質経済成長率は昨年度(17年7月〜18年6月)、7.86%だった。ハシナ首相は18年度予想を8.25%としたうえで「徐々に9%、10%と加速する」と述べた。また自身が再選したら「一連の経済政策を確実に進め、21年までに10%、2桁成長を達成する」とも言及。実現すればアジアで最速になる見込み。政策の一例として、国内100カ所に設ける経済特別区(SEZ)が外資系企業の進出を促すと強調した。
 同国南東部コックスバザールには17年8月以降、隣国ミャンマーで迫害を受けたイスラム系少数民族ロヒンギャ約70万人が難民となって逃れている。両国はロヒンギャを11月にミャンマー側へ帰還させる方向で準備を進めたが、難民自身が帰還を望まず頓挫した。
 ハシナ首相はインタビューで、食糧・住居の提供など「我々のやるべきことはやった」と強調。「今度は国際社会の出番だ。ミャンマーが自国民(ロヒンギャ)をどうやって自国に連れ戻すか(を示す時だ)」と語り、ロヒンギャ問題を2国間でなく、他国や国際機関を巻き込んで解決したい考えを示した。
 一方、バングラ議会選を巡っては、14年の前回選挙は最大野党バングラデシュ民族主義党(BNP)がボイコットし、与党アワミ連盟(AL)率いるハシナ首相が続投。今回はBNPも参加するが「ALが優勢」(地元紙記者)との見方が多い。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3860828006122018FF2000/

http://www.asyura2.com/18/genpatu50/msg/633.html
[経世済民129] 「女性の社会進出」「共稼ぎ急増」の哀しい実態をデータで読み解く ビジネスマンが充実した定年後を過ごすために知っておくべき

2018年12月9日 森永康平 :株式会社マネネ代表取締役社長CEO

「女性の社会進出」「共稼ぎ急増」の哀しい実態をデータで読み解く


失われた「30年」。日本経済のバブル崩壊後の停滞。1990年から計算すると2018年で28年となり、バブル崩壊のタイミングで生まれた世代が、まもなく30歳に差し掛かる。30歳を超えてくると、周りの友人や知人から結婚や子どもの誕生の知らせを聞く機会が増えてくる。飲みの席での話題も「家庭」や「働き方」をメインに人生設計についてなど、少しシリアスなテーマが増える。筆者は仕事柄、自分よりも30歳ほど年上の方々(60代半ば)と話をさせていただくことも多いのだが、やはり昔と今で大きく違うと感じるのは「家庭」と「働き方」の部分だ。今回は統計情報を基に、激変した家庭のカタチを確認すると同時に、改善された働き方や道半ばの改革における問題点についても見ていく。
(株式会社マネネ 代表取締役社長CEO 森永康平)

実態にそぐわない制度が少子化を加速させる
 30代も半ばになると、生活の中で「仕事」という要素に加え「家庭」や「育児」という要素が入り込む人も増えてくるため、悩みの質が変わってくる。生活拠点が東京都内にある筆者は、金融を専門に事業を展開し、子育て世代でもある。そのなかで頻繁に相談を受ける内容の1つに待機児童問題がある。第一子を保育園に入れる際はこの問題に直面し、違和感を覚えた記憶がある。

 筆者の住んでいる東京都練馬区の場合、確実に子どもを保育園に入れようとすると、最低限の前提条件として、「両親ともに居宅外で月20日以上、1日8時間以上の就労が常態化している」ことが挙げられる。しかし、まだ保育園に子どもを預けていない状態で、両親ともに居宅外でフルタイムで働くというのは現実的ではなく、どうしても親族の協力が必要になってしまうケースが出てくるが、親族の協力は必ずしも全ての人が得られるわけではない。

 少子化対策が必要だという声を聞く一方で、実態にそぐわないこのような制度が残っているようでは、仕事にある程度優先順位を置く夫婦にとっては、子どもを産むことはリスクになってしまうだろう。これだけが原因とは思わないが、厚生労働省の『人口動態統計』によれば、日本の出生数は減少傾向が続いている。30年前は毎年130万人前後の出生数であったが、直近では遂に年間出生数は100万人を下回ってしまった。リスクやリターンだけで考えることではないが、子どもを持つことによって現在抱えている職に悪影響が出る可能性がある以上、それを控える世帯が増えていくのは至極真っ当なことである。

出生数の推移
(出所):厚生労働省『平成28年 人口動態統計(確定数)』を基に株式会社マネネ作成 拡大画像表示
生きていく為の共働きという選択
 この30年間で大きく変わったことの1つに、共働き世帯の増加も挙げられるだろう。筆者の母は専業主婦であったが、自身の感覚としても物心がついて以降も周りの友人の家庭は父親だけが働いている家庭がほとんどだった記憶がある。

 しかし、直近では共働き世帯の数は専業主婦世帯の数の2倍弱まで膨れ上がっており、いまどきの子どもからすると、両親が共に働いている家庭の方が普通という印象を持っているのではないだろうか。筆者も子どもが3人いるが共働き世帯のうちの1つである。

専業主婦世帯と共働き世帯の推移
(出所):労働政策研究・研修機構の公表データを基に株式会社マネネ作成 拡大画像表示
 このように、共働き世帯が増えていく中で、女性の社会進出が一般的になった結果だと前向きに捉える意見はよく目にする。雇用形態別に見ても、もともと非正規での女性雇用者数は増加傾向を続けていたが、2014年からは女性の正規雇用数はこれまでにない加速度で増加している。

女性の雇用形態別の雇用者数の推移
(出所):総務省統計局『労働力調査』を基に株式会社マネネ作成 拡大画像表示
 しかし、総務省統計局が発表している『家計調査』を基に、物価上昇の影響を除いた実質ベースでの世帯給与月収を見ていくと、必ずしも前向きな理由だけで共働き世帯が増えている訳ではないということが分かるだろう。

 1997年以降、共働き世帯が専業主婦世帯の数を上回り続けているが、実質世帯給与月収は1997年をピークに頭打ちし、2005年以降は50万円を下回り続けている。つまり、女性の社会進出が一般的になったという前向きな理由は表面的な美辞麗句に過ぎず、実態は共働きでないと生活が厳しい、片働きという選択肢が取りにくいということが言えるだろう。

実質世帯給与月収
(出所):総務省統計局『家計調査』、総務省統計局『2015年基準消費者物価指数』を基に株式会社 拡大画像表示
そもそも結婚しないという選択
 総務省統計局が発表している『国勢調査』で世帯類型別の世帯数の推移を1980年から5年おきに見てみると、筆者の生まれた1985年時点では「夫婦と子ども」の世帯が最多であったが、データのある最新年の2015年時点では「単独」世帯が最多となっている。

世帯類型別の世帯数の推移
(出所):総務省統計局『国勢調査』を基に株式会社マネネ作成 拡大画像表示
 下図は厚生労働省が発表している『人口動態統計』のデータを基に作成したグラフだが、いずれは結婚するとしても、平均初婚年齢は毎年上昇しており、俗に言う晩婚化が進んでいる。あわせて、50歳時点での未婚率も男女ともに上昇している。

平均初婚年齢
(出所)厚生労働省『平成28年人口動態統計』、総務省統計局『国勢調査』を基に株式会社マネネ作成 拡大画像表示
 近年では、子どもを持たない、または家庭を持つタイミングを遅らせるという選択をするひとが増えているが、さらにはそもそも結婚をしないという人も増えてきているのが各種統計から明確に分かる。

 時代の流れの変化として、少子化や共働き世帯の増加を挙げたが、それに加えて晩婚化や生涯未婚を選択する人が増加していることも「家庭」「働き方」の多様化を如実に現している。

改善した企業風土と道半ばの改革
 30年前には一般的とされていた「男性は名門大学を卒業して、大企業に入り定年まで勤めあげ、女性は早々に家庭に入り育児と家事に専念する」というステレオタイプは崩壊した。そして、これまで見てきたように、家庭のカタチは変化し多様化してきた。

 それにあわせて、昨今では「働き方改革」や「副業(複業)」という言葉も一般化。9時17時で全員がオフィスに出社し、深夜まで何時間も残業するような状態は改善され、リモートワークやフレックスタイム制度もかなり浸透してきた。大企業の一部では残業時間や有給休暇の取得の管理を徹底したため、皮肉にも、もっと働きたいという若手社員の悩みまで出るほどだ。

 しかし、まだまだ制度改革は道半ばであると感じている。この10年間は依然として待機児童は毎年2万人近く存在し、多くの女性が正社員の職を失っている。女性が第一子出産時に正社員の職を失うことによる生涯賃金損失は2億円との推計もあり、これは各家庭の問題というわけではなく、国家レベルの問題である。男性の育児参加も叫ばれるが、厚生労働省の『雇用均等基本調査』によれば、男性の育児休業取得率は2017年度で5.14%と依然として低いままである。

日本株式市場の将来性に疑念
 最近は日本国内における労働力不足を背景として、外国人労働者の受け入れ拡大が議論の的になっているが、筆者はただ外国から労働力を呼び込んで解決しようとするのではなく、AIやロボットをもっと活用して生産性を高めていくべきと考える。そのうえで、さらなる制度改革で、そもそも日本の出生数を増加させていくべきではないか。

 筆者は金融教育の普及の為に起業しているのだが、それまで証券会社や運用会社で勤務していたため、今でも海外の投資家と話す機会は多い。彼らに最近の活動を話すと、日本人の金融のリテラシーを高めるのは重要だが「リテラシーが向上した後に資産運用として日本の株式市場に投資させるのはどうだろうかと思う」と言われる。その理由としては、少子高齢化が進み、人口が減り続けていくと予測されている日本の株式市場が今後もずっと上昇していくとは考えられないからだという。

 この30年間は会社や家庭という「集まり」を重視する社会から「個」を重視するパラダイムシフトと共に、実際に家庭のカタチや働き方が変化してきた。これからは日本という国がどうなるべきか、どうなってほしいかという部分を明確にしながら、テクノロジーの活用や制度改革を進めていくべきだろう。

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2018年12月8日 佐々木常夫 :株式会社佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表取締役
ビジネスマンが充実した定年後を過ごすために知っておくべきたった1つのこと
最近「定年後」に関する記事や書籍が数多く出されているが、元・東レ経営研究所社長で、定年後の現在も著書の執筆や講演講師など、幅広く活躍する佐々木常夫氏は、「ビジネスマン時代の習慣や行動が定年後を決める」と断言する。
『人生の教養』(ポプラ社)も上梓した佐々木氏が提唱する、「ビジネスマンが身につけたい人生における教養」とは果たして何か。(佐々木常夫)


「得る」よりも「手放す」ことに基軸を置く
坐禅の呼吸は「吐く」ことから始めるといいます。呼吸のリズムも、「吐くを長く、吸うを短く」が原則だそうです。

呼吸とは空気の体内への出し入れのことですから、これは「入れる」以上に「出す」ことを優先する思想、いいかえれば、「得る」よりも「捨てる」ことを重視する禅の思想のあらわれといえます。

このように、禅の考えには「捨てる思想」が脈打っていて、禅語にもそうした言葉がたくさんあります。「放下著」はそのひとつで、「放下」は放り出すこと、「著」は命令や強調をあらわします。

ある修行僧が師匠に、「私はもうすべてを捨てました。さらにどんな修行をすればいいでしょう」とたずねたとき、師匠はすかさず「放下著!」と答えた。

すなわち、なるほどお前はみんな手放して、何ひとつもっていないかもしれない。しかし、「すべてを捨てた、何もない」という意識のあるうちはまだ執着が残っている証しである。その「捨てた」という心さえ捨てなさい―そういういましめの言葉です。

いっさいを捨て去るとすべてが生き返る、手放すと豊かになる、だから「何もない」ところから始めなさい。禅はそんな所有や執着を離れて裸の自分に返ること、無一物の存在になることの大切さをくり返し説いています。

もっとも、私たちが修行僧のようにすべてを捨て去ることは現実的には無理でしょう。しかし、捨て去ることは無理でも、「省く」ことなら可能ではないでしょうか。

生きているうちにいろいろな荷物をいつのまにか背負い込んでいるのが人間です。年をとるほど、その荷物は増えていき、背中は重くなっていく。

でも、その中には不要なもの、余分なもの、ムダなものもたくさん含まれているはずです。それらを「放下」して、裸に近い身軽な自分に戻ってみる。「素」の自分を見つめ直してみる。それなら煩悩まみれの私たちにも何とかできそうです。会社を辞めて地位や肩書きが外れる定年などは、その格好の機会かもしれません。

この世で手にしたものをあの世へもっていくことはできません。死が平等なのはその点で、どんなお金持ちも、どんな偉い人も、この世で所有したものはすべてこの世に残して、体ひとつで三途の川を渡っていかなくてはならない。

生きているあいだに物欲、所有欲にかられて、あれやこれや手に入れたこだわりの品もぜいたく品も、何ひとつあの世へもち込むことはできないのです。

そうであるなら、求めるよりも手放すことに軸を置いて、本来不要なさまざまなものを整理し、省略し、身軽になっていくのが賢明な生き方であるといえます。

整理が必要なのは何もモノやお金だけにかぎったことではありません。人間関係だって同じです。たとえば私が五十代のころから心がけてきたことに、夜遊びはしない、二次会にはつきあわないという原則があります。

仕事がらみの飲み会で、二次会のカラオケに繰り出すときも、いの一番に歌ってしまって、つきあいの義理を果たし、あとは適当な時間を見はからって席を抜け出す―そんなやり方をしていました。つまり、ムダなつきあいの断捨離です。

人間関係も私的な部分まで入り込んで深くつきあうようなことはできるだけ避けてきました。冷たい関係というのではありません。「君子の交わりは淡きこと水の如し」で、水のように澄んでこだわりのない、「さらり」とした関係が結局長続きするからです。

だから、親しい間柄の人ほど、互いの私的な領域までは踏み込まない。仲よくつきあいながらもプライベートな問題には立ち入らない。適度な距離を保ったうえで、よい関係を継続させる。こんなルールを自分に課してきたのです。

余計なものを整理すれば、手元に残るものはおのずと少なくなります。しかし、その少ないもので満足する。私たちに必要なのは、その「知足(足るを知る)」の考え方ではないでしょうか。

知足もまた禅思想のひとつです。人間の心は木のようなもので、枝葉を自由に伸ばし放題に育った木が丈夫かといえば、そんなことはない。枝葉を適当に整理する、つまり剪定することが木を強くしなやかに育てて、大きな実をつけることにもつながるのです。

人間の心も欲をときおり(しばしば)剪定して、知足の精神に返ることが必要です。求めるよりも少しだけ多く、手放すことを考える。足るを知って、あまりがっつかない。こんな控えめな生活態度も教養をつくる重要な条件のひとつとはいえないでしょうか。

「無位の真人」を自覚せよ
定年は会社というタテ社会から、地域や家庭というヨコ社会への移行の時期でもありますが、その時期を迎えるにあたって、組織人は大きく二つのタイプに分かれるようです。

ひとつは、会社という「牢獄」から解放されて、やっと自分の好きなことができる。これからが本当の人生だ。そんな希望と再生の感覚とともに定年後の人生への再スタートを切る「定年バンザイ型」。

もうひとつは、定年を会社という働く場、生きがいの場を失う「社会的な死」のように悲観的にとらえるタイプ。これでおれの人生も終わりかという無力感、喪失感のうちに定年を迎える「定年葬儀型」。

前者には「おめでとう」の言葉しかありませんが、問題は後者のタイプです。こういう人はタテ社会からヨコ社会への切り替えがうまくいかず、家庭や地域にも居場所を見つけられず、第二の人生という新しい風景の中で生きがいを見出せないでいます。

定年とともに、かつての肩書きや地位、会社員というアイデンティティを返上して、「何者でもない自分」に返った。その事実にうまくなじめないことが多いのです。

この何者でもない人のことを、禅では「無位の真人」といいます。地位や肩書きなど、すべての属性を取り払って、何ものにもとらわれない裸の姿が真実の人間性であるという意味です。

つまり、「真人」は人間の本来あるべき姿であり、定年はそこへ返るチャンスでもあるのに、その何者でもない状態がなかなか受け入れられず、返す刀で現役時代の職業や肩書きや地位にこだわる人がけっこう多いのです。

マンションの自治会で現役時代の肩書きを振り回して、周囲の人から敬遠されている例を前述しましたが、私の知っているケースで、定年後も最終キャリアを名刺に刷り込んでいる人がいます。

名前の横に「元○○会社取締役社長」とうやうやしく印刷されている。「元」の肩書きがついている名刺を私ははじめて見ました。

名刺に刷り込まないまでも、かつて一流企業に勤めていた事実をプライベートの場で吹聴したり、何かというと匂わせたりする人なら、世間にはおそらく山のようにいることでしょう。定年後のちょっとした趣味の集まりでも、こういう人がすぐに始めるのは、

「お仕事は何をされていたのですか?」
「どちらにお勤めで?」
「ほお、あの会社で部長まで―」

などという過去の値踏みです。そこから始まって、相手のキャリアが自分より上なら劣等感を覚え、下なら優越感をくすぐられるのに加えて、その過去のキャリアの差がその後の関係の下敷きにもなっていく―。

要するに、無位の真人をなかなか受け入れられない、あるいは、それを自分の中になかなか見出せないでいる人たちです。無位の、素っ裸の自分が心細くて「昔の名前」で心理的武装をするわけです。

一人の人間の中にはいろいろな自分がいます。周囲との関係性によって、私たちはいろいろな顔をもっている。子どもにとっては親であり、親から見れば子であり、妻にとっては夫であり、友人から見れば友であり、部下にとっては上司であり……その総合体が自分です。

そのすべてが自分だし、どれも本当の自分ではないともいえます。また、それらはすべて属性や立場であって、自分の本質ではないともいえる。したがって、その属性や立場をみんな取り払ったところに「無位の自分」があらわれます。そして、そこが自分という人間の終点であり始点でもあるのです。

もともとは何もない、その「何もない」のが本来の自分なのだということを私たちはよく自覚すべきです。地位や肩書き、属性や立場などは遅かれ早かれ、いずれはみんな消えてゆく蜃気楼のようなものだからです。

佐々木常夫(ささき・つねお)
株式会社佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表取締役
1944年、秋田市生まれ。69年、東京大学経済学部卒業後、東レ株式会社に入社。01年、同期トップ(事務系)で東レの取締役に就任。03年に東レ経営研究所社長になる。内閣府の男女共同参画会議議員、大阪大学客員教授などの公職も歴任。「ワーク・ライフ・バランス」のシンボル的存在である。
https://diamond.jp/articles/-/187368
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/806.html

[経世済民129] 日銀の前総裁が在り方を問う 民主主義の下での“中央銀行”
2018年12月9日 河野龍太郎 :BNPパリバ証券経済調査本部長
日銀の前総裁が在り方を問う 民主主義の下での“中央銀行”
『中央銀行 セントラルバンカーの経験した39年』

白川方明著(東洋経済新報社/4500円)
 評者の近年の関心事の一つは、政府と中央銀行との関係である。1990年代以降、私たちは“決める政治”を目指し、選挙制度や執政制度を大きく変えてきた。

 その結果、官邸主導に移行したが、自立性や専門性の発揮が期待される金融政策にも強い政治圧力が加わるようになった。民意からの乖離は許されないが、財政ファイナンスを避けるべく、政治から遮断するための歴史の知恵が独立した中央銀行制度だったはずだ。

 成功の可能性が低く、失敗した場合に大きな弊害のリスクがある金融政策の実験に懸けてみようと選挙を通じて決まった場合、中央銀行はどう対応すべきなのか。

 本書は、長く日本銀行の中枢で政策に関わり、2013年3月までの5年間、総裁を務めた白川方明氏が語る中央銀行論だ。国際金融危機が続く中で、2度の政権交代と東日本大震災にも遭遇した。

 白川氏は、日銀きっての理論家として知られたが、主流派経済学の限界も常に意識していた。金利がゼロになっても、量を増やせばインフレが醸成されるというリフレ派の主張には強く反論した。厄介だったのは、中央銀行が約束すればインフレ予想の醸成が可能という「期待派」が主流派経済学に位置したことだったと振り返る。

 読みどころは、13年1月の政府との共同声明の作成だ。安倍晋三政権の要求通り、2%物価目標の設置を受け入れたが、早期達成を約束すると、大規模な金融緩和を余儀なくされる。効果は乏しいが、大量の国債購入を続けると財政支配に陥りかねない。目標が達成できず、政策が長期化すれば、利鞘の縮小する金融機関を苦しめ、金融システムの安定も損なわれる。

 ギリギリの攻防が続くが、金融政策の有効性を回復させるには政府の成長戦略で潜在成長率を回復させる必要性があることや、財政健全化の推進が不可欠であることを何とか声明に盛り込む──。

 退任後の政策には、一切触れていない。後任の黒田東彦総裁の下、2年で2%のインフレを目指して大規模緩和が開始されたが、未(いま)だ目標には遠く、緩和の長期化で金融機関経営への悪影響も強く懸念され始めた。財政膨張は続き、成長戦略は進まず、潜在成長率も低迷したままだ。せめて、共同声明の精神に回帰すべきではないか。

 官邸主導の政治は重要だが、望ましい成果を国民が享受するには、日銀など独立機関の専門性や自立性を重用する必要があるだろう。

 ますます近視眼的になる社会において、委員会制による熟議を可能とする中央銀行制度を、私たちはもっと大切にすべきである。

(選・評/BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎)
https://diamond.jp/articles/-/187198
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/807.html

[経世済民129] 日銀特集 ETF買入は出口検討の局面にない、リスクプレミアムは明確に低下 追加緩和は不要 消費増税平準化、景気改善持続に
日銀特集

関連トピックス: 世界経済展望高まる貿易戦争リスク米FRB特集アベノミクス特集


ETF買入は出口検討の局面にない、リスクプレミアムは明確に低下=日銀総裁 2018年 12月 7日
[東京 7日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は7日の衆議院財務金融委員会で、上場投資信託(ETF)の買い入れについて、株式市場のリスクプレミアムは明確に低下したとして効果を強調した。もっとも、物価2%目標の実現が遠い中で、他の手段を含めて金融緩和からの出口戦略を具体的に検討する局面ではないと語った。宮本徹委員(共産)、丸山穂高委員(維新)の質問に答えた。

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追加緩和は現時点で不要、手段は予断持たず効果と副作用を考慮=日銀総裁 2018年 12月 7日
[東京 7日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は7日、衆議院財務金融委員会で経済・物価情勢が悪化した場合の追加緩和について、具体的な手段は予断を持たすに効果と副作用を考慮して対応すると語った。もっとも、現時点で追加緩和が必要になるとは考えていないと述べた。前原誠司委員(国民)の質問に答えた。

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消費増税の平準化措置、景気改善基調の持続に資する=日銀総裁 2018年 12月 7日
[東京 7日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は7日、衆議院財務金融委員会で、2019年10月に予定されている消費増税の影響を平準化するための措置について「経済の改善基調を持続することに資する」と評価した。竹内譲委員(公明)の質問に答えた。

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高齢化で中立金利が低下、金融緩和効果の発揮が難しく=日銀総裁 2018年 12月 6日
[東京 6日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は6日の参議院財政金融委員会で、高齢化の進展が潜在成長率低下とともに中立金利低下を招くとし、中立金利低下により、金融緩和効果を発揮することが難しくなると述べた。中山恭子委員(希党)の質問に答えた。

来週の日本株は戻り鈍い、ブレグジット・米中関係の不透明感で慎重姿勢
2018年 12月 7日
[東京 7日 ロイター] - 来週の東京株式市場は戻りの鈍い展開になると想定される。英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)や米中通商協議を巡る先行き不透明感が相場の重しとなる見通し。国内は12月限株価指数先物のSQ(特別清算指数)算出を控え、ボラタイルな動きとなることへの警戒感がくすぶる。日銀短観をはじめ国内経済指標が弱い内容となった場合は、株価に下押し圧力がかかりそうだ。記事の全文
10月31日
日銀は金融政策の現状維持を決定。長期金利を経済・物価情勢等に応じて上下に変動し得る方針を維持。また、18年度成長率見通しを前年比+1.5%から +1.4%に下方修正した。日銀は長短金利操作の現状維持を決めた賛成
7反対
2 Photo
https://jp.reuters.com/news/bank-of-japan

 

2018年12月7日 / 14:20 / 2日前
ETF買入は出口検討の局面にない、リスクプレミアムは明確に低下=日銀総裁
1 分で読む

[東京 7日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は7日の衆議院財務金融委員会で、上場投資信託(ETF)の買い入れについて、株式市場のリスクプレミアムは明確に低下したとして効果を強調した。もっとも、物価2%目標の実現が遠い中で、他の手段を含めて金融緩和からの出口戦略を具体的に検討する局面ではないと語った。宮本徹委員(共産)、丸山穂高委員(維新)の質問に答えた。

黒田総裁はETF買い入れについて、現行の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みの一つの要素であり、株式市場のリスクプレミアムに働きかけることが目的で、「特定の株価水準を念頭に置いているわけではない」と説明した。

その上で、効果について「リスクプレミアムは明確に低下した」と評価。「市場の株式投資のリスクに対する懸念が低下。リスクプレミアムへの働きかけを通じて、株価に対する影響も出ている」と述べた。

一方で、個別銘柄を含めて株式市場の価格形成をゆがめているとの指摘に対しては「株式市場の機能や価格形成にゆがみをもたらしていることはない」、「具体的に個別銘柄に大きな影響を与えることにはなっていない」と否定。

コーポレートガバナンス上の影響についても「信託銀行などが適切な株主権を行使している。コーポレートガバナンスに大きな影響が出るとは思っていない」とした。

日銀が保有しているETFの売却などの出口戦略については「2%の物価安定目標の実現になお時間がかかることを考えると、ETFの買い入れを含む金融緩和からの出口のタイミングや対応を検討する局面には至っていない。現時点でETFの出口戦略について具体的に言える段階ではない」と述べた。

将来的な保有ETFの取り扱いは「その時の情勢を踏まえて判断する」とし、仮に処分する場合は日銀が定めている基本要領を踏まえて「新たに方針を定める」と語った。

また、丸山委員が提案した銀行等保有株式取得機構のような勘定の切り離し策については「個人的にはそういう可能性はあまりないと思う」と述べた。

清水律子 伊藤純夫
https://jp.reuters.com/article/boj-kuroda-etf-idJPKBN1O60D0

追加緩和は現時点で不要、手段は予断持たず効果と副作用を考慮=日銀総裁
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[東京 7日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は7日、衆議院財務金融委員会で経済・物価情勢が悪化した場合の追加緩和について、具体的な手段は予断を持たすに効果と副作用を考慮して対応すると語った。もっとも、現時点で追加緩和が必要になるとは考えていないと述べた。前原誠司委員(国民)の質問に答えた。

景気が悪化した場合の追加緩和策を問われた総裁は、長短金利の引き下げ、資産買い入れの拡大、マネタリーベースの拡大加速などを挙げ、「具体的な手段については予断を持たず、コストとベネフィットを考えながら決めていく」と語った。もっとも、現時点では追加緩和が「必要になるとは考えていない」ことも強調した。

現行の長短金利操作付き量的・質的金融緩和によって市場操作目標が「量」から「金利」に移行したことに伴い、日銀による国債買い入れ額が減少傾向にある。市場ではステルス・テーパリングとも指摘されているが、総裁はあくまで長期金利を目標の「ゼロ%程度」に維持するために国債を買い入れているとし、「ステルス・テーパリングとは、まったく考えていない」との認識を示した。

2013年4月に大規模な量的・質的金融緩和(QQE)を導入して以降、5年半を経過しても物価2%目標が実現していない。

総裁は「私自身も残念」と語ったが、目標の早期実現を明記した政府との共同声明は「変更する必要があるとは考えていない」とし、「日銀自身が決定した2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するために、必要な金融政策を引き続きとっていきたい」との見解を示した。

世界経済の不透明感の強まりや、米連邦準備理事会(FRB)の幹部らの発言を受けて、市場には米利上げ打ち止め観測も広がっている。

総裁は「米経済は順調で物価安定目標も達成されているということであり、それ自体が日本にとってマイナスではない」とし、米金融政策が日本に与える影響に関しても「日本の金融政策で対応しなくてはならないということにはならない」と語った。

また、米中貿易摩擦に関しては「始まりが2国間の貿易不均衡であり、対策を中国が提示し、米国が受け入れることになれば、沈静化する可能性はあるのではないか」と期待感を表明した。

もっとも、安全保障面などが重視される場合には「貿易問題を超えた非常に大きな問題であり、なかなか簡単には解消されないという感じを持っている」と語った。

伊藤純夫
https://jp.reuters.com/article/boj-kuroda-easy-money-idJPKBN1O60AX


 


 
消費増税の平準化措置、景気改善基調の持続に資する=日銀総裁
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[東京 7日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は7日、衆議院財務金融委員会で、2019年10月に予定されている消費増税の影響を平準化するための措置について「経済の改善基調を持続することに資する」と評価した。竹内譲委員(公明)の質問に答えた。

消費増税の影響については「時々の消費者マインド、雇用、所得環境などに左右され得るが、家計のネット負担額は前回に比べて小幅なものにとどまる」とした。

先行きの海外経済について、黒田総裁は「リスクは高まっている」としながらも「総じてみれば着実な成長を続ける」との見通しを示した。その上で「今後とも、海外経済を巡るリスクは注意深く点検する」と述べた。

海外経済の大きなリスク要因の一つである米中貿易摩擦については「一部の産業で中国への輸出の受注がやや低下している話はあるが、ハードデータに摩擦の影響が明らかに出ていることはない」と指摘。サプライチェーンが複雑化している中で、影響が見極めにくいとの声があるほか「長期化すると企業や家計のマインド、金融市場の不安定化を通じて影響が広がる可能性があることは懸念している」と述べた。

英国の欧州連合(EU)離脱が「合意なき離脱」となった場合については「金融サービスは、金融当局間で話し合いが行われており、現在の仕組みや取引は継続してよいと言う方向で話が進んでいる」とする一方で、航空機の発着や税関などに大きな影響が出る可能性があると指摘した。

地域金融機関の経営統合は「それぞれが考えることだが、選択肢の一つ」との考えを示し、日銀としては、分析や対話を通じて「必要に応じて適切なアドバイスをしたい」と述べた。武井俊輔委員(自民)の質問に答えた。

また「デフレマインドは根強く残っているが、少しずつ和らいできている」との見方を示した。

外国人人材の受け入れが日本の労働者の賃金抑制につながるのではないかとの指摘に対しては「労働需給が極めてタイトな中で、同一労働・同一賃金の原則の下で外国人材の受け入れが拡大するとしても、必ずしも賃金抑制につながるわけではない」と述べた。高木錬太郎委員(立憲)の質問に答えた。

清水律子
https://jp.reuters.com/article/boj-kuroda-tax-idJPKBN1O606P


 


 
トップニュース2018年12月7日 / 16:51 / 2日前
来週の日本株は戻り鈍い、ブレグジット・米中関係の不透明感で慎重姿勢
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[東京 7日 ロイター] - 来週の東京株式市場は戻りの鈍い展開になると想定される。英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)や米中通商協議を巡る先行き不透明感が相場の重しとなる見通し。国内は12月限株価指数先物のSQ(特別清算指数)算出を控え、ボラタイルな動きとなることへの警戒感がくすぶる。日銀短観をはじめ国内経済指標が弱い内容となった場合は、株価に下押し圧力がかかりそうだ。

日経平均の予想レンジは2万1300円─2万2200円。

日本時間の7日夜には米雇用統計が公表される予定。「賃金が強い伸びとなり、米金利が上昇した場合に米国株がネガティブな反応を示すのか、米国景気の強さを評価するのか、まだ見えにくい」(外資系投信)との声が聞かれる。

米中間の通商協議を巡っては、華為技術(ファーウェイ)幹部の逮捕を受け、90日の猶予期間中に合意に至るのは困難との見方が広がっている。「ファーウェイに関連した話の出方次第で相場は動きそう。基本的にポジションは圧縮方向だが、先物主導で上下に振れやすい」(内藤証券・投資調査部長の田部井美彦氏)との声も聞かれる。

メジャーSQ週に差し掛かり、仕掛け的な売買による波乱も見込まれている。また週内には英国議会でのEU離脱合意案の採決が控えているほか、12月日銀短観、中国の11月鉱工業生産などの公表も予定されている。

アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパン取締役の寺尾和之氏は「ブレグジットに関しては『結論が出ない』ことを市場は織り込んでいる。だが、その後のシナリオはまだ見えない。株価が上昇したとしても、上値は限られそうだ」と話す。

9月日銀短観では大企業・製造業の景況感は3四半期連続、同非製造業は8四半期ぶりの悪化となった。貿易戦争への懸念が続く中、今回の短観でも悪化が続く結果となれば、投資家心理を一層冷やしかねない。

一方で「相場の不透明感が高まれば高まるほど、イベントを無難に通過した際の反動は大きくなる」(国内証券)との声もある。直近の日経平均は2万1500円を下回った後に切り返す動きを続けている。「PER(株価収益率)を切り下げる形で一段と株安が進行するには、米中の協議決裂などの新たな悪材料が必要」(国内投信)との見方もあり、下値の堅い展開となることも予想されている。

*見出しを修正しました。

株式マーケットチーム
https://jp.reuters.com/article/tokyo-stx-wklyoutlook-idJPKBN1O60NW

 


 


 


 

 
日本銀行
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 G20サミットが30日、アルゼンチンのブエノスアイレスで開幕した。▼国際面=米中が火花 これに先立つ29日夜のG20財務相会議では、金融緩和による低金利の下で各国の債務が積み上がっていることや、貿易…
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ゴーン前会長逮捕の余波 損失転嫁問題、新生銀関与報道 「答え控える」日銀審議委員(2018/11/30)有料記事
 役員報酬過少記載の疑いで逮捕された日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)が私的な投資の損失を日産に付け替えようとした問題で、この取引に新生銀行が関わっていたことがわかった。問題があった20…
写真・図版ゴーン前会長問題に関与の報道、日銀委員「答え控える」(2018/11/29)
 役員報酬過少記載の疑いで逮捕された日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)が私的な投資の損失を日産に付け替えようとした問題で、この取引に新生銀行が関わっていたことがわかった。
https://www.asahi.com/topics/word/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E9%8A%80%E8%A1%8C.html
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/808.html

[経世済民129] 株式市場を明るくした平成の総理 1位「小泉純一郎」平成最後の“日本株式市場を表す今年の漢字”は「乱」、昨年の「昇」は圏外
スパークス・アセット・マネジメント調べ 

株式市場を明るくした平成の総理 1位「小泉純一郎」

配信元:@Press
2018年12月7日
(@Press) - スパークス・アセット・マネジメント株式会社(http://www.sparx.co.jp/)(東京都港区。代表取締役社長 阿部修平)は、今年1年の日本株式市場を総括し、また、来年以降の見通しについて探るため、2018年11月21日〜11月26日の6日間、全国の20〜79歳の投資経験者(日本株式、外国株式、公社債、投資信託、REIT、金・プラチナなどの金融資産への投資経験がある人)を対象に、「日本株式市場の振り返りと展望に関する意識調査2018」をインターネットリサーチにより実施し、1,000名の有効サンプルを集計しました。なお本レポートは、サンプル調査という性質上、実態を全て反映したものではありません。また、特定の投資商品や個別銘柄の取引を勧誘する目的で作成したものではありません。(調査協力会社:ネットエイジア株式会社)

[調査結果]
▼2018年、投資経験者・投資家の実態
◆今年投資を始めた“投資デビュー組” 20代女性投資家では44%
◆投資家の半数近くが「投資信託」を活用、昨年より6.1ポイント上昇

はじめに、全国の20〜79歳の投資経験者1,000名(全回答者)に、現在の投資状況について聞きました。
「現在、投資をしている」と回答した“現役投資家”は79.1%、「過去に投資をしていたが、現在はしていない」と回答した“投資離脱者”は20.9%でした。

次に、投資の経験年数について聞いたところ、現役投資家(791名)では「1年未満(今年、投資を始めた)」が15.2%、「1〜3年程度」が19.8%、「4〜6年程度」が13.7%、「7〜9年程度」が9.0%、「10年以上」が42.4%となりました。
性年代別にみると、20代女性では、投資経験「1年未満」が44.0%と、投資デビュー組が多いようです。
投資離脱者(209名)について、投資の経験年数をみると、「1年未満」が22.5%、「1〜3年程度」が26.3%、「4〜6年程度」が12.9%、「7〜9年程度」が6.2%、「10年以上」が32.1%となりました。投資経験3年程度まで(「1年未満」と「1〜3年程度」の合計)が48.8%となり、比較的短期間で離脱した人が多いようです。

現役投資家(791名)に、現在投資している金融資産を聞いたところ、「日本株式」が69.0%で最も多く、次いで、「投資信託(「REIT」以外)」が47.5%、「外貨 ※FX(外国為替証拠金取引)を含む」が20.2%、「外国株式」が14.2%、「日本公社債(国債/地方債・社債など)」が13.4%となりました。
性年代別にみると、60代・70代女性では、「投資信託(「REIT」以外)」が65.8%で、他の性年代と比べて高くなりました。また、20代男性では「仮想通貨」が22.2%と、5人に1人以上の割合となりました。

2017年の調査結果と比較すると、「投資信託」(2017年41.4%→2018年47.5%)は6.1ポイント上昇しており、投資信託を活用している人が増えているようです。

投資離脱者(209名)に、過去に投資していた金融資産について聞いたところ、「日本株式」が56.5%で最も多く、次いで、「投資信託(「REIT」以外)」が29.7%、「日本公社債(国債/地方債・社債など)」が15.8%、「外貨 ※FX(外国為替証拠金取引)を含む」が14.8%、「外国株式」「金(ゴールド)・プラチナ」がどちらも7.2%となりました。

◆20代投資経験者の43%が“毎月コツコツ投資する”「積立投資」を利用
◆20代投資経験者の利用率 「ポイント投資」は34%、「スマホ投資」は28%

続いて、各種の投資方法について、利用状況や利用意向を聞きました。

全回答者(1,000名)に、積立投資(毎月決まった額をコツコツ投資)をしているか聞いたところ、「している」は27.8%、「していないが、したいと思う」は30.8%となりました。
年代別にみると、20代では「している」が42.5%、「していないが、したいと思う」は42.5%と、いずれも他の年代より高くなりました。“コツコツ投資”が魅力的だと考える人は、20代に多いようです。

また、最長20年間という長期にわたり、投資信託で得られた利益が非課税となる“つみたてNISA”が2018年1月に開始されましたが、このつみたてNISAを利用しているか聞いたところ、「している」は16.3%、「していないが、したいと思う」は33.1%となりました。
年代別にみると、「している」が最も高くなったのは20代(29.0%)でした。「していないが、したいと思う」も20代で41.5%と高く、今後ますます、つみたてNISAを始める20代が増えることも予想されます。

近年、共通ポイントサービスなどで、買い物をしたときなどに貯まるポイントを投資に回すことができる“ポイント投資”が相次いで開始されましたが、このポイント投資を利用しているか聞いたところ、「している」は16.2%、「していないが、したいと思う」は33.4%となりました。
年代別にみると、20代では「している」が33.5%と、他の年代より高くなりました。

また、スマホだけで手軽に投資を行える“スマホ投資”について、利用しているか聞いたところ、「している」は10.3%、「していないが、したいと思う」は28.1%となりました。
年代別にみると、20代では「している」が28.0%、「していないが、したいと思う」が42.5%と、いずれも他の年代より高くなりました。20代では、スマホ投資にも積極的な人が多いことが明らかになりました。

◆“ESG投資”における人気テーマとは? 1位「再生可能エネルギーの利用」

環境(environment)、社会(social)、ガバナンス(governance)への取り組みを行う企業を重視・選定して投資する“ESG投資”が注目されていますが、このESG投資に関して、現役投資家(791名)に、投資意欲が高まるのは、どのようなことに取り組んでいる企業かを聞いたところ、「再生可能エネルギーの利用」が27.2%で最も多く、次いで、「環境問題の解決」が25.5%、「コンプライアンス(法令遵守)体制の整備」が22.5%、「ワークライフバランスの推進」が21.0%、「持続可能な開発目標(SDGs)」が20.0%となりました。再生可能エネルギーが注目されているほか、“コンプライアンス”や“SDGs”、“ワークライフバランス”など、近年報道等で頻繁に耳にするようになった言葉も、投資のキーワードとなっているようです。
年代別にみると、30代では「ワークライフバランスの推進」(28.7%)が最も高くなりました。従業員の働き方に配慮している企業に投資したいと考える人は30代投資家に多いようです。また、60代・70代では「健康経営の推進」(27.7%)が他の年代と比べて高い割合でした。従業員の健康管理を経営的な視点から考える“健康経営”を重視する人は60代・70代投資家に多いようです。

▼2018年の振り返り
◆平成最後の“日本株式市場を表す今年の漢字”は「乱」、昨年の「昇」は圏外に去る

投資家にとって、2018年の1年間はどのような年だったのでしょうか。株式投資家(569名)に、2018年の日本の株式市場を表す漢字1文字を、自由回答形式で聞きました。
その結果、1位は圧倒的多数で「乱」(84名)となり、以降、2位は「変」(21名)、3位は「迷」(18名)、4位は「落」(16名)、5位は「下」「上」(いずれも14名)となりました。
それぞれの漢字を選んだ理由をみると、『(乱)株式市場の乱高下が激しかったから』、『(変)変化の大きい1年間だったから』、『(迷)株価の上昇が激しく先が読めないから』などが挙げられました。
昨年の調査結果では1位は「昇」、2位は「上」、3位は「高」でした。日経平均株価の上昇傾向が継続した2017年とは打って変わり、2018年は不安定な相場展開が続いたと感じている人が多いようです。

◆今年の投資損益着地予想 「プラス着地」は34%

現役投資家(791名)に、2018年の投資の損益着地予想を聞いたところ、「大幅にプラス着地」は3.7%、「ややプラス着地」は30.3%で、合計した『プラス着地』は34.0%となりました。一方、「ややマイナス着地」は20.9%、「大幅にマイナス着地」は14.2%で、合計した『マイナス着地』は35.0%となり、プラス着地を予想する人とマイナス着地を予想する人が拮抗する結果となりました。『プラス着地』の割合は2015年49.7%→2016年27.4%→2017年62.0%→2018年34.0%と、飛び抜けて高かった昨年から大幅に下降しました。

年代別にみると、『プラス着地』の割合が最も高かったのは20代で42.5%でした。新しい投資サービスに対する積極的な姿勢などが功を奏したのかもしれません。
また、投資対象別にみると、株式投資家では『プラス着地』が37.1%、株式には投資していない“その他の投資家”では26.1%となり、株式投資家のほうがプラス着地の割合が高くなりました。

◆経済分野における今年の“流行語” 「AI(人工知能)」が2年連続の1位

では、今年(2018年)、投資家が注目したのは、どのようなニュースだったのでしょうか。
現役投資家(791名)に、今年(2018年)の経済分野の流行語(トレンドワードや新興の分野、技術、産業など)を聞いたところ、1位「AI(人工知能)」(95名)、2位「仮想通貨」(63名)、3位「ゴーン・ショック」(55名)、4位「米中貿易摩擦」(24名)、5位「消費税増税」「働き方改革」(いずれも19名)となりました。昨年に続き、今年も「AI(人工知能)」が1位となり、関心の高さがうかがえる結果となりました。また、2位には、今年、色々と世間を騒がせた「仮想通貨」がランクインしました。

次に、今年(2018年)、積極的に投資を進めようと思うきっかけになったニュースを聞いたところ、1位は「株価上昇・株高」(58名)、2位は「2020年東京オリンピック関連」(44名)、3位は「トランプ大統領関連」(39名)、4位は「消費税増税」(37名)、5位は「アメリカの好景気」(32名)となりました。2018年10月に日経平均株価がバブル後の最高値に到達したことが印象に残っている人が多いほか、2020年の東京オリンピック開催に期待感を持っている人も多いようです。
また、今年(2018年)、投資に対して消極的になるきっかけになったニュースを聞いたところ、1位は「米中関係関連」(105名)、2位は「トランプ大統領関連」(95名)、3位は「日産自動車関連」(82名)、4位は「仮想通貨関連」(48名)、5位は「株価下落・株安」(47名)となり、米中間の貿易等に関する交渉の行方に不安感を持った人が多いことがわかりました。

▼平成時代の振り返り
◆“平成株式市場を表す漢字”は「乱」「変」「低」「波」

平成時代(30年間)を振り返ると、どのような株式市場だったといえるでしょうか。
全回答者(1,000名)に、「平成時代(30年間)」の日本の株式市場を表す漢字1文字を、自由回答形式で聞いたところ、1位は「乱」(132名)となり、以降、2位は「変」(47名)、3位は「低」(38名)、4位は「波」(37名)、5位は「平」(33名)となりました。
それぞれの漢字を選んだ理由をみると、『(乱)バブル崩壊、リーマン・ショックと乱高下したから』、『(変)価格の変動が激しくついていくのに大変だったから』、『(低)バブル崩壊の後遺症で失われた期間が長く、低迷した時期が長かった印象が強いから』などが挙げられました。消費税導入や消費税増税、バブル崩壊、リーマン・ショック、ITバブル、アベノミクス、トランプ・ショックなどに翻弄された、平成時代の日本経済を象徴する結果となりました。

◆“30年後の株式市場を表す漢字”は「平」「不」「低」「上」

続いて、全回答者(1,000名)に、「30年後」の日本の株式市場を表す漢字1文字を、自由回答形式で聞いたところ、1位は「平」(46名)となり、以降、2位は「不」(43名)、3位は「低」(27名)、4位は「上」(22名)、5位は「安」「変」「落」(いずれも21名)となりました。
それぞれの漢字を選んだ理由をみると、「(平)安定した平均的な進歩があると思うから」、「(不)消費税10%で経済が不安定になると思うから」、「(低)低位安定している気がするから」、「(上)技術が進歩して経済が良くなっていそうだから」など、期待感や不安感を反映したコメントがみられました。

◆株式市場がより発展しそうな元号は? TOP2は「上昇」「飛翔」

来年2019年5月には改元が予定されていますが、全回答者(1,000名)に、日本の株式市場がより発展しそうな元号を、自由回答形式で聞いたところ、1位は「上昇」「飛翔」(いずれも19名)、3位は「発展」(14名)、4位は「平和」(12名)、5位は「安寧」「未来」(いずれも11名)となりました。
それぞれについて理由をみると、『(上昇)景気が上向きになるように願っているから』、『(飛翔)飛び立って伸びていくイメージがあるから』など、文字通り経済が上向きに伸びていくことを願ったコメントが目立ちました。また、『(平和)平和あっての経済だと思うから』や『(安寧)平和であれば発展もあると思うから』など、平和で穏やかな世の中をイメージした回答も多くみられました。

◆株式市場を明るくした平成の総理 1位「小泉純一郎」
◆この人が総理なら株式市場が明るくなる! お笑いBIG3や「池上彰さん」がランクイン

続いて、全回答者(1,000名)に、平成時代の総理大臣のうち、日本株式市場を明るくしたと思う人を聞いたところ、1位「小泉純一郎」(31.1%)、2位「安倍晋三」(30.6%)、3位「竹下登」(8.2%)、4位「小渕恵三」(6.1%)、5位「麻生太郎」(6.0%)となりました。2001年4月から2006年9月まで、3期にわたり総理大臣を務めた小泉氏の“聖域なき構造改革”や、現総理大臣である安倍氏の“アベノミクス”といった政策が印象に残っている人が多いのではないでしょうか。

また、この人が総理大臣になったら、平成の次の時代の日本株式市場を明るくしてくれそうだと思う“芸能人”を聞いたところ、1位は「ビートたけしさん」(84名)、2位は「明石家さんまさん」(59名)、3位は「タモリさん」(37名)となり、日本を代表するベテランお笑い芸人の3人が上位に並びました。そのほか、4位にはジャーナリストの「池上彰さん」(33名)、7位には元プロテニスプレイヤーの「松岡修造さん」(17名)、9位にはタレントの「マツコ・デラックスさん」(14名)がランクインしました。

◆平成の“ブラックスワン” 「山一證券破綻」が3位にランクイン

続いて、全回答者(1,000名)に、平成時代の出来事の中で、日本経済に悪影響を与えた“想定外の出来事”だと思うことを聞いたところ、1位「リーマン・ショック(2008年)」(70.5%)、2位「サブプライム・ショック(2007年〜2009年)」(31.2%)、3位「山一證券破綻(1997年)」(30.0%)、4位「トランプ・ショック(2016年)」(22.5%)、5位「ライブドア・ショック(2006年)」(18.2%)となりました。アメリカのリーマン・ブラザーズ・ホールディングスの経営破綻に始まり、世界的な金融危機となった「リーマン・ショック」を挙げる人が圧倒的多数となりました。6位には、日産自動車元会長カルロス・ゴーン氏が逮捕された衝撃的な出来事「ゴーン・ショック(2018年)」(18.1%)がランクインしました。

▼2019年以降の展望
◆投資経験者の74%が「消費増税による景気後退」を予測

では、来年2019年以降の社会情勢や、政治・経済の先行きについては、どのような展望を持っている人が多いのでしょうか。
全回答者(1,000名)に、2019年、「消費税10%」への増税により日本の景気は後退すると思うか聞いたところ、『そう思う』(「非常にそう思う」「ややそう思う」の合計、以下同じ)は74.2%、『そう思わない』(「全くそう思わない」「あまりそう思わない」の合計、以下同じ)は25.8%となりました。食料品を対象にした軽減税率適用やキャッシュレスで買い物をした場合のポイント還元といった消費税増税対策が議論されていますが、投資経験者の大半が消費税増税による景気悪化を予想しているようです。

次に、2018年に始まった米中間の貿易摩擦や保護主義の台頭は、日本に悪影響をおよぼすと思うか聞いたところ、『そう思う』は78.5%、『そう思わない』は21.5%となりました。年代別にみると、『そう思う』は60代・70代では91.0%と際立って高い割合となりました。シニア層ほど米中貿易摩擦や保護主義の台頭が、景気後退の引き金になってしまうと考えているようです。

また、2019年のイギリスのEU離脱は日本に悪影響をおよぼすと思うか聞いたところ、『そう思う』は55.1%、『そう思わない』は44.9%となり、悪影響をおよぼすと考える人が多数派となりました。

◆賛否を問う!「金融緩和を継続すべき」は60%、「首相公選制を導入すべき」は65%が賛同
◆「カジノ設置を進めるべき」男性は肯定派、女性は否定派が多数

続いて、金融緩和の継続や首相公選制の導入、カジノ設置について、賛否を聞きました。

全回答者(1,000名)に、日本は、2019年も金融緩和を継続するべきだと思うか聞いたところ、『そう思う』は59.7%、『そう思わない』は40.3%となりました。デフレ脱却のために2013年より行われている金融緩和政策ですが、2019年も引き続き行うべきだと考えている人が多いようです。

次に、日本は、首相公選制を導入するべきだと思うか聞いたところ、『そう思う』は65.2%、『そう思わない』は34.8%となりました。首相を国民の直接選挙によって選ぶ制度である首相公選制を導入すべきとの意見が多数派となりました。

また、日本は、カジノ設置を進めるべきだと思うか聞いたところ、『そう思う』は40.9%、『そう思わない』は59.1%となり、カジノ反対派がやや多くなりました。
男女別にみると、男性では『そう思う』が51.2%で半数を超え、女性では『そう思わない』が69.4%で優勢となりました。カジノへの意識には男女差があるようです。年代別にみると『そう思う』の割合が最も高かったのは20代(56.0%)、最も低かったのは60・70代(26.5%)でした。若い世代では、カジノ設置歓迎派が多いようです。

◆2020年12月末の日経平均株価 株式投資家による予想の平均は「23,054円」

来年以降の日経平均株価はどのように変動するか、株式投資家の予想を聞きました。
まず、株式投資家(569名)に、約1年後の2019年12月末の日経平均株価の予想を聞いたところ、「15,000円〜20,000円未満」(17.9%)や「20,000円〜21,000円未満」(17.4%)、「22,000円台」(13.9%)に回答が集まり、平均(「わからない」と回答した人を除いて算出、以下同じ)は21,832円となりました。昨年(2017年)の調査結果(22,919円)と比べて1,087円ダウンしました。2019年の消費税増税や米中貿易摩擦の影響を懸念する株式投資家が多いのではないでしょうか。

次に、日本企業が本来の実力を発揮し、株式市場で正当に評価された場合、という条件を加えて同じ質問をしたところ、「25,000円〜30,000円未満」(24.8%)が最も高く、平均は25,431円と、条件なしの場合と比べて3,599円高くなりました。

(参考:調査期間中の日経平均株価 最安値21,243円38銭〜最高値21,838円10銭)

※「日本株式市場の振り返りと展望に関する意識調査2017」
https://www.sparx.co.jp/news/uploads/pdf/PressJ171208.pdf

続いて、約2年後、2020年(東京五輪開催年)12月末の日経平均株価の予想を聞いたところ、「25,000円〜30,000円未満」(18.3%)が最も高く、平均は23,054円となりました。2019年12月末の予想(21,832円)より1,222円高く、五輪景気に対する株式投資家の期待が感じられる結果となっています。

また、日本企業が本来の実力を発揮し、株式市場で正当に評価された場合、という条件で同じ質問をしたところ、「25,000円〜30,000円未満」(21.6%)が最も高く、平均は24,089円でした。

(参考:調査期間中の日経平均株価 最安値21,243円38銭〜最高値21,838円10銭)

@Pressリリース詳細ページ


 
平成最後の“日本株式市場を表す今年の漢字”は「乱」、昨年の「昇」は圏外に去る
配信元:PR TIMES
2018年12月7日
(PR TIMES) - リリース発行企業:スパークス・アセット・マネジメント株式会社

日本株式市場の振り返りと展望に関する意識調査2018


スパークス・アセット・マネジメント株式会社(http://www.sparx.co.jp/)(東京都港区。代表取締役社長 阿部修平)は、今年1年の日本株式市場を総括し、また、来年以降の見通しについて探るため、2018年11月21日〜11月26日の6日間、全国の20〜79歳の投資経験者(日本株式、外国株式、公社債、投資信託、REIT、金・プラチナなどの金融資産への投資経験がある人)を対象に、「日本株式市場の振り返りと展望に関する意識調査2018」をインターネットリサーチにより実施し、1,000名の有効サンプルを集計しました。なお本レポートは、サンプル調査という性質上、実態を全て反映したものではありません。また、特定の投資商品や個別銘柄の取引を勧誘する目的で作成したものではありません。(調査協力会社:ネットエイジア株式会社)

[画像: https://prtimes.jp/i/39243/2/resize/d39243-2-531041-6.jpg ]


[調査結果]
▼2018年、投資経験者・投資家の実態
◆今年投資を始めた“投資デビュー組” 20代女性投資家では44%
◆投資家の半数近くが「投資信託」を活用、昨年より6.1ポイント上昇

はじめに、全国の20〜79歳の投資経験者1,000名(全回答者)に、現在の投資状況について聞きました。

「現在、投資をしている」と回答した“現役投資家”は79.1%、「過去に投資をしていたが、現在はしていない」と回答した“投資離脱者”は20.9%でした。

次に、投資の経験年数について聞いたところ、現役投資家(791名)では「1年未満(今年、投資を始めた)」が15.2%、「1〜3年程度」が19.8%、「4〜6年程度」が13.7%、「7〜9年程度」が9.0%、「10年以上」が42.4%となりました。
性年代別にみると、20代女性では、投資経験「1年未満」が44.0%と、投資デビュー組が多いようです。
投資離脱者(209名)について、投資の経験年数をみると、「1年未満」が22.5%、「1〜3年程度」が26.3%、「4〜6年程度」が12.9%、「7〜9年程度」が6.2%、「10年以上」が32.1%となりました。投資経験3年程度まで(「1年未満」と「1〜3年程度」の合計)が48.8%となり、比較的短期間で離脱した人が多いようです。

現役投資家(791名)に、現在投資している金融資産を聞いたところ、「日本株式」が69.0%で最も多く、次いで、「投資信託(「REIT」以外)」が47.5%、「外貨 ※FX(外国為替証拠金取引)を含む」が20.2%、「外国株式」が14.2%、「日本公社債(国債/地方債・社債など)」が13.4%となりました。
性年代別にみると、60代・70代女性では、「投資信託(「REIT」以外)」が65.8%で、他の性年代と比べて高くなりました。また、20代男性では「仮想通貨」が22.2%と、5人に1人以上の割合となりました。

2017年の調査結果と比較すると、「投資信託」(2017年41.4%→2018年47.5%)は6.1ポイント上昇しており、投資信託を活用している人が増えているようです。

投資離脱者(209名)に、過去に投資していた金融資産について聞いたところ、「日本株式」が56.5%で最も多く、次いで、「投資信託(「REIT」以外)」が29.7%、「日本公社債(国債/地方債・社債など)」が15.8%、「外貨 ※FX(外国為替証拠金取引)を含む」が14.8%、「外国株式」「金(ゴールド)・プラチナ」がどちらも7.2%となりました。

◆20代投資経験者の43%が“毎月コツコツ投資する”「積立投資」を利用
◆20代投資経験者の利用率 「ポイント投資」は34%、「スマホ投資」は28%

続いて、各種の投資方法について、利用状況や利用意向を聞きました。

全回答者(1,000名)に、積立投資(毎月決まった額をコツコツ投資)をしているか聞いたところ、「している」は27.8%、「していないが、したいと思う」は30.8%となりました。
年代別にみると、20代では「している」が42.5%、「していないが、したいと思う」は42.5%と、いずれも他の年代より高くなりました。

また、最長20年間という長期にわたり、投資信託で得られた利益が非課税となる“つみたてNISA”が2018年1月に開始されましたが、このつみたてNISAを利用しているか聞いたところ、「している」は16.3%、「していないが、したいと思う」は33.1%となりました。
年代別にみると、「している」が最も高くなったのは20代(29.0%)でした。「していないが、したいと思う」も20代で41.5%と高く、今後ますます、つみたてNISAを始める20代が増えることも予想されます。

近年、共通ポイントサービスなどで、買い物をしたときなどに貯まるポイントを投資に回すことができる“ポイント投資”が相次いで開始されましたが、このポイント投資を利用しているか聞いたところ、「している」は16.2%、「していないが、したいと思う」は33.4%となりました。
年代別にみると、20代では「している」が33.5%と、他の年代より高くなりました。

また、スマホだけで手軽に投資を行える“スマホ投資”について、利用しているか聞いたところ、「している」は10.3%、「していないが、したいと思う」は28.1%となりました。
年代別にみると、20代では「している」が28.0%、「していないが、したいと思う」が42.5%と、いずれも他の年代より高くなりました。

◆“ESG投資”における人気テーマとは? 1位「再生可能エネルギーの利用」

環境(environment)、社会(social)、ガバナンス(governance)への取り組みを行う企業を重視・選定して投資する“ESG投資”が注目されていますが、このESG投資に関して、現役投資家(791名)に、投資意欲が高まるのは、どのようなことに取り組んでいる企業かを聞いたところ、「再生可能エネルギーの利用」が27.2%で最も多く、次いで、「環境問題の解決」が25.5%、「コンプライアンス(法令遵守)体制の整備」が22.5%、「ワークライフバランスの推進」が21.0%、「持続可能な開発目標(SDGs)」が20.0%となりました。
年代別にみると、30代では「ワークライフバランスの推進」(28.7%)が最も高くなりました。従業員の働き方に配慮している企業に投資したいと考える人は30代投資家に多いようです。また、60代・70代では「健康経営の推進」(27.7%)が他の年代と比べて高い割合でした。従業員の健康管理を経営的な視点から考える“健康経営”を重視する人は60代・70代投資家に多いようです。

▼2018年の振り返り
◆平成最後の“日本株式市場を表す今年の漢字”は「乱」、昨年の「昇」は圏外に去る

投資家にとって、2018年の1年間はどのような年だったのでしょうか。株式投資家(569名)に、2018年の日本の株式市場を表す漢字1文字を、自由回答形式で聞きました。
その結果、1位は圧倒的多数で「乱」(84名)となり、以降、2位は「変」(21名)、3位は「迷」(18名)、4位は「落」(16名)、5位は「下」「上」(いずれも14名)となりました。
それぞれの漢字を選んだ理由をみると、『(乱)株式市場の乱高下が激しかったから』、『(変)変化の大きい1年間だったから』、『(迷)株価の上昇が激しく先が読めないから』などが挙げられました。
昨年の調査結果では1位は「昇」、2位は「上」、3位は「高」でした。日経平均株価の上昇傾向が継続した2017年とは打って変わり、2018年は不安定な相場展開が続いたと感じている人が多いようです。

◆今年の投資損益着地予想 「プラス着地」は34%

現役投資家(791名)に、2018年の投資の損益着地予想を聞いたところ、「大幅にプラス着地」は3.7%、「ややプラス着地」は30.3%で、合計した『プラス着地』は34.0%となりました。一方、「ややマイナス着地」は20.9%、「大幅にマイナス着地」は14.2%で、合計した『マイナス着地』は35.0%となり、プラス着地を予想する人とマイナス着地を予想する人が拮抗する結果となりました。『プラス着地』の割合は2015年49.7%→2016年27.4%→2017年62.0%→2018年34.0%と、飛び抜けて高かった昨年から大幅に下降しました。
年代別にみると、『プラス着地』の割合が最も高かったのは20代で42.5%でした。
また、投資対象別にみると、株式投資家では『プラス着地』が37.1%、株式には投資していない“その他の投資家”では26.1%となり、株式投資家のほうがプラス着地の割合が高くなりました。

◆経済分野における今年の“流行語” 「AI(人工知能)」が2年連続の1位

では、今年(2018年)、投資家が注目したのは、どのようなニュースだったのでしょうか。
現役投資家(791名)に、今年(2018年)の経済分野の流行語(トレンドワードや新興の分野、技術、産業など)を聞いたところ、1位「AI(人工知能)」(95名)、2位「仮想通貨」(63名)、3位「ゴーン・ショック」(55名)、4位「米中貿易摩擦」(24名)、5位「消費税増税」「働き方改革」(いずれも19名)となりました。昨年に続き、今年も「AI(人工知能)」が1位となり、関心の高さがうかがえる結果となりました。また、2位には、今年、色々と世間を騒がせた「仮想通貨」がランクインしました。

次に、今年(2018年)、積極的に投資を進めようと思うきっかけになったニュースを聞いたところ、1位は「株価上昇・株高」(58名)、2位は「2020年東京オリンピック関連」(44名)、3位は「トランプ大統領関連」(39名)、4位は「消費税増税」(37名)、5位は「アメリカの好景気」(32名)となりました。
また、今年(2018年)、投資に対して消極的になるきっかけになったニュースを聞いたところ、1位は「米中関係関連」(105名)、2位は「トランプ大統領関連」(95名)、3位は「日産自動車関連」(82名)、4位は「仮想通貨関連」(48名)、5位は「株価下落・株安」(47名)となり、米中間の貿易等に関する交渉の行方に不安感を持った人が多いことがわかりました。

▼平成時代の振り返り
◆“平成株式市場を表す漢字”は「乱」「変」「低」「波」

平成時代(30年間)を振り返ると、どのような株式市場だったといえるでしょうか。
全回答者(1,000名)に、「平成時代(30年間)」の日本の株式市場を表す漢字1文字を、自由回答形式で聞いたところ、1位は「乱」(132名)となり、以降、2位は「変」(47名)、3位は「低」(38名)、4位は「波」(37名)、5位は「平」(33名)となりました。
それぞれの漢字を選んだ理由をみると、『(乱)バブル崩壊、リーマン・ショックと乱高下したから』、『(変)価格の変動が激しくついていくのに大変だったから』、『(低)バブル崩壊の後遺症で失われた期間が長く、低迷した時期が長かった印象が強いから』などが挙げられました。

◆“30年後の株式市場を表す漢字”は「平」「不」「低」「上」

続いて、全回答者(1,000名)に、「30年後」の日本の株式市場を表す漢字1文字を、自由回答形式で聞いたところ、1位は「平」(46名)となり、以降、2位は「不」(43名)、3位は「低」(27名)、4位は「上」(22名)、5位は「安」「変」「落」(いずれも21名)となりました。
それぞれの漢字を選んだ理由をみると、「(平)安定した平均的な進歩があると思うから」、「(不)消費税10%で経済が不安定になると思うから」、「(低)低位安定している気がするから」、「(上)技術が進歩して経済が良くなっていそうだから」など、期待感や不安感を反映したコメントがみられました。

◆株式市場がより発展しそうな元号は? TOP2は「上昇」「飛翔」

来年2019年5月には改元が予定されていますが、全回答者(1,000名)に、日本の株式市場がより発展しそうな元号を、自由回答形式で聞いたところ、1位は「上昇」「飛翔」(いずれも19名)、3位は「発展」(14名)、4位は「平和」(12名)、5位は「安寧」「未来」(いずれも11名)となりました。
それぞれについて理由をみると、『(上昇)景気が上向きになるように願っているから』、『(飛翔)飛び立って伸びていくイメージがあるから』など、文字通り経済が上向きに伸びていくことを願ったコメントが目立ちました。また、『(平和)平和あっての経済だと思うから』や『(安寧)平和であれば発展もあると思うから』など、平和で穏やかな世の中をイメージした回答も多くみられました。

◆株式市場を明るくした平成の総理 1位「小泉純一郎」
◆この人が総理なら株式市場が明るくなる! お笑いBIG3や「池上彰さん」がランクイン

続いて、全回答者(1,000名)に、平成時代の総理大臣のうち、日本株式市場を明るくしたと思う人を聞いたところ、1位「小泉純一郎」(31.1%)、2位「安倍晋三」(30.6%)、3位「竹下登」(8.2%)、4位「小渕恵三」(6.1%)、5位「麻生太郎」(6.0%)となりました。2001年4月から2006年9月まで、3期にわたり総理大臣を務めた小泉氏の“聖域なき構造改革”や、現総理大臣である安倍氏の“アベノミクス”といった政策が印象に残っている人が多いのではないでしょうか。

また、この人が総理大臣になったら、平成の次の時代の日本株式市場を明るくしてくれそうだと思う“芸能人”を聞いたところ、1位は「ビートたけしさん」(84名)、2位は「明石家さんまさん」(59名)、3位は「タモリさん」(37名)となり、日本を代表するベテランお笑い芸人の3人が上位に並びました。そのほか、4位にはジャーナリストの「池上彰さん」(33名)、7位には元プロテニスプレイヤーの「松岡修造さん」(17名)、9位にはタレントの「マツコ・デラックスさん」(14名)がランクインしました。

◆平成の“ブラックスワン” 「山一證券破綻」が3位にランクイン

続いて、全回答者(1,000名)に、平成時代の出来事の中で、日本経済に悪影響を与えた“想定外の出来事”だと思うことを聞いたところ、1位「リーマン・ショック(2008年)」(70.5%)、2位「サブプライム・ショック(2007年〜2009年)」(31.2%)、3位「山一證券破綻(1997年)」(30.0%)、4位「トランプ・ショック(2016年)」(22.5%)、5位「ライブドア・ショック(2006年)」(18.2%)となりました。アメリカのリーマン・ブラザーズ・ホールディングスの経営破綻に始まり、世界的な金融危機となった「リーマン・ショック」を挙げる人が圧倒的多数となりました。6位には、日産自動車元会長カルロス・ゴーン氏が逮捕された衝撃的な出来事「ゴーン・ショック(2018年)」(18.1%)がランクインしました。

▼2019年以降の展望
◆投資経験者の74%が「消費増税による景気後退」を予測

では、来年2019年以降の社会情勢や、政治・経済の先行きについては、どのような展望を持っている人が多いのでしょうか。
全回答者(1,000名)に、2019年、「消費税10%」への増税により日本の景気は後退すると思うか聞いたところ、『そう思う』(「非常にそう思う」「ややそう思う」の合計、以下同じ)は74.2%、『そう思わない』(「全くそう思わない」「あまりそう思わない」の合計、以下同じ)は25.8%となりました。食料品を対象にした軽減税率適用やキャッシュレスで買い物をした場合のポイント還元といった消費税増税対策が議論されていますが、投資経験者の大半が消費税増税による景気悪化を予想しているようです。

次に、2018年に始まった米中間の貿易摩擦や保護主義の台頭は、日本に悪影響をおよぼすと思うか聞いたところ、『そう思う』は78.5%、『そう思わない』は21.5%となりました。年代別にみると、『そう思う』は60代・70代では91.0%と際立って高い割合となりました。シニア層ほど米中貿易摩擦や保護主義の台頭が、景気後退の引き金になってしまうと考えているようです。

また、2019年のイギリスのEU離脱は日本に悪影響をおよぼすと思うか聞いたところ、『そう思う』は55.1%、『そう思わない』は44.9%となり、悪影響をおよぼすと考える人が多数派となりました。

◆賛否を問う!「金融緩和を継続すべき」は60%、「首相公選制を導入すべき」は65%が賛同
◆「カジノ設置を進めるべき」男性は肯定派、女性は否定派が多数

続いて、金融緩和の継続や首相公選制の導入、カジノ設置について、賛否を聞きました。

全回答者(1,000名)に、日本は、2019年も金融緩和を継続するべきだと思うか聞いたところ、『そう思う』は59.7%、『そう思わない』は40.3%となりました。デフレ脱却のために2013年より行われている金融緩和政策ですが、2019年も引き続き行うべきだと考えている人が多いようです。

次に、日本は、首相公選制を導入するべきだと思うか聞いたところ、『そう思う』は65.2%、『そう思わない』は34.8%となりました。首相を国民の直接選挙によって選ぶ制度である首相公選制を導入すべきとの意見が多数派となりました。

また、日本は、カジノ設置を進めるべきだと思うか聞いたところ、『そう思う』は40.9%、『そう思わない』は59.1%となり、カジノ反対派がやや多くなりました。
男女別にみると、男性では『そう思う』が51.2%で半数を超え、女性では『そう思わない』が69.4%で優勢となりました。カジノへの意識には男女差があるようです。年代別にみると『そう思う』の割合が最も高かったのは20代(56.0%)、最も低かったのは60・70代(26.5%)でした。若い世代では、カジノ設置歓迎派が多いようです。

◆2020年12月末の日経平均株価 株式投資家による予想の平均は「23,054円」

来年以降の日経平均株価はどのように変動するか、株式投資家の予想を聞きました。
まず、株式投資家(569名)に、約1年後の2019年12月末の日経平均株価の予想を聞いたところ、「15,000円〜20,000円未満」(17.9%)や「20,000円〜21,000円未満」(17.4%)、「22,000円台」(13.9%)に回答が集まり、平均(「わからない」と回答した人を除いて算出、以下同じ)は21,832円となりました。昨年(2017年)の調査結果(22,919円)と比べて1,087円ダウンしました。

次に、日本企業が本来の実力を発揮し、株式市場で正当に評価された場合、という条件を加えて同じ質問をしたところ、「25,000円〜30,000円未満」(24.8%)が最も高く、平均は25,431円と、条件なしの場合と比べて3,599円高くなりました。

続いて、約2年後、2020年(東京五輪開催年)12月末の日経平均株価の予想を聞いたところ、「25,000円〜30,000円未満」(18.3%)が最も高く、平均は23,054円となりました。2019年12月末の予想(21,832円)より1,222円高く、五輪景気に対する株式投資家の期待が感じられる結果となっています。

また、日本企業が本来の実力を発揮し、株式市場で正当に評価された場合、という条件で同じ質問をしたところ、「25,000円〜30,000円未満」(21.6%)が最も高く、平均は24,089円でした。

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https://www.asahi.com/and_M/information/pressrelease/CPRT2018108791.html
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/809.html

[経世済民129] ロイター企業調査:来年の日本経済、7割が一段の成長見込む 10月景気動向指数は前月比で29年7カ月ぶり上昇率、挽回生産寄
ビジネス
2018年12月7日 / 10:30 / 2日前
ロイター企業調査:来年の日本経済、7割が一段の成長見込む
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[東京 7日 ロイター] - 12月ロイター企業調査によると、来年の景気は海外での減速懸念が広がっているの比べて、国内景気はそれほど減速懸念は広がっておらず、今年と同程度かそれ以上の成長率になるとの見通しを示す企業が7割を占めた。政府が大規模な景気対策を打ち出していることも影響している可能性がある。
景気への最大のリスク要因は、製造業が米中貿易戦争で4割を占めた一方、非製造業では消費増税がトップだった。
調査は11月20日から12月3日にかけて実施、資本金10億円以上の中堅・大企業480社に調査票を送付し、230社程度が回答した。
調査によると、来年の世界経済成長率が今年を下回るとの見方が全体の51%を占めた。国際通貨基金(IMF)は今年秋、18年の見通しを3.7%に引き下げている。
一方で、来年度の国内の成長率は今年度の民間見通し平均1.0%程度と「同程度」とみている企業が55%を占め、「上回る」の14%を合わせて7割程度の企業が景気が落ち込まないとみている。
今年度より成長率が「下回る」との回答は31%にとどまっている。消費税率引き上げやオリンピックに向けたインフラ需要の剥落、世界的保護主義といった懸念材料が並ぶわりには、悪化見通しが少なかった。
来年の経済にとって最大のリスクを聞いたところ、米中貿易戦争を挙げる回答が43%で最も多かった。「中国鋼材のアジア圏でのだぶつきが脅威」(鉄鋼)、「半導体産業に影響が出てくる」(電機)、「世界経済に大きな影響が出る」(卸売)などの懸念がある。
次いで消費増税が33%と続いた。「増税分の価格転嫁ができない」(金属製品)、「増税が心理的に作用し、支出に歯止めがかかる恐れがある」(サービス)などの回答があった。
日米貿易協議を挙げたのは10%だった。輸送用機器業界からは「為替や数量規制など厳しい要求を突き付けてくると思われる」との懸念が大きく、「主要顧客の生産体制の見直しにつながる可能性がある」、「米国の対日関税引き上げがグループ経営に大きな負担となる」との声が寄せられた。
他産業からも「自動車でコスト削減などに動くと、影響が大きい」(情報サービス)、「国内経済に与える影響が大きい」(小売)といった懸念がある。

https://graphics.reuters.com/JAPAN-COMPANIES-LJA/010081JT2TE/economy.png
中川泉 編集:青山敦子
https://jp.reuters.com/article/survey-jp-economy-idJPKBN1O52NI

 

ビジネス2018年12月7日 / 15:30 / 2日前
10月景気動向指数は前月比で29年7カ月ぶり上昇率、挽回生産寄与
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[東京 7日 ロイター] - 内閣府が7日公表した10月の景気動向指数(2015年=100)は、指標となる一致指数が104.5と、前月比で2.9ポイント上昇し、2カ月ぶりに改善した。台風による関西空港閉鎖や北海道地震など災害の影響で落ち込んでいた鉄鋼や自動車、電子部品の生産が急回復したことが大きく寄与し、上昇率は1989年3月以来の大きさとなった。

一致指数に基づいて機械的に決める基調判断は「足踏みを示している」との文言を据え置いた。

指数の7指標のうち6指標が指数の押し上げに寄与した。電子部品や鉄鋼など鉱工業用生産財出荷指数や、建設用機械などの投資財出荷指数などが大きく伸びたほか、ボイラーやコンベヤーなど汎用機械の生産や、商業販売額(卸売り、小売り)もプラスに寄与した。

先行指数の9指標のうち6指標が悪化し、改善は3指標にとどまったものの、指数は100.5と前月比0.9ポイント改善した。鉄鋼などの在庫減少や、新設住宅着工床面積の拡大などが寄与した。

内閣府は13日景気動向指数に関する有識者による研究会を開催し、1)現在の景気回復局面についての判断、2)新たに採用する経済指標━などについて議論する。
https://jp.reuters.com/article/oct-japan-economy-idJPKBN1O60H4
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/810.html

[経世済民129] 新エネルギーの星「バナジウム」供給不足が悩みの種 住宅購入、増税分2%還元 自民議員実収入平均6千万円超 安倍内閣支持率

コラム2018年12月8日 / 18:28 / 13時間前更新

新エネルギーの星「バナジウム」供給不足が悩みの種
Andy Home
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[ロンドン 5日 ロイター] - 一昨年のリチウム、昨年のコバルトに続き、今年は新エネルギーに関連する素材としてバナジウムが脚光を浴びた。しかしバナジウムはかねて構造的な供給不足状態にあり、活用拡大の障害となりそうだ。

中国のバナジウム価格は今年3倍以上に高騰。数少ないバナジウム生産企業のひとつ、南アフリカのブッシュベルト・ミネラルズ(BMNB.L)の株価は年初の4倍以上に跳ね上がった。

バナジウム・レドックス・フロー電池(VRFB)はエネルギー貯蔵の画期的な技術だ。しかし供給の少なさと、それゆえの価格の不安定さが、バナジウムの輝ける将来を見通す上で2大障害となっている。

<鉄鋼に利用>

バナジウムは鉄鋼を強化する性質があり、SPエンジェルのアナリストによると世界の使用量の90%強を鉄鋼業界が占めている。このため、世界の鉄鋼生産で支配的な地位を占める中国が、世界1のバナジウム消費国となっている。

中国はこのほど、耐震性強化のために建設用の鉄筋の強度基準を変更。これによって影響を受けるバナジウムの量は少ないが、SPエンジェルによると、積み重なれば年間1万トン前後の消費増につながる見通し。これは2016年の世界バナジウム生産量の12%前後に当たる。

<供給減少>

折しも中国は、環境政策のためにバナジウムの供給能力を減らそうとしている。

バナジウムは磁鉄鉱の精製過程で生産されるものが大半で、約73%は、鉄鋼を生産する際に生まれる鉄スラグの形をとる。

バナジウムを生産する製鉄所は、バナジウムを利用して鉄を製造する製鉄所とは異なり、伝統的に高コスト、低品質の磁鉄鉱を扱う業者が多い。

中国の製鉄会社は効率化や環境への配慮から、より高品質の磁鉄鉱を好み、こうした低品質磁鉄鉱への需要は減っている。この結果、バナジウムの原料である鉄スラグの生産も減る結果となっている。

SPエンジェルによると、中国がロシアから4種類の鉄スラグの輸入を禁止したことも、供給不足に拍車をかけた。

もうひとつのバナジウム原料である無煙炭の供給も、中国のスモッグ対策によって制限されている。

こうした中国の需要増と供給制約が、小規模なバナジウム市場を直撃し、価格が高騰した。

SPエンジェルによると、バナジウム市場は昨年既に8000トンの供給不足に陥っており、2020年まで需要が供給を上回る状態が続きそうだ。

無煙炭もしくは鉄スラグの精製技術が急発展しない限り、ブッシュベルトやカナダのラーゴ・リソーシズ(LGO.TO)のようなバナジウム生産企業が供給不足を埋めるしかない。

<電池用需要>

バナジウムは発展途上国を中心に、今後のエネルギーインフラ構築の鍵を握り得る金属で、こうした状況は問題だ。

ブッシュベルトによると、昨年の世界需要に占めたエネルギー貯蔵用利用の割合はわずか2%前後だが、将来的な増加余地は非常に大きい。

ブッシュベルトはウェブサイトに「現在の推計では、2030年までにVRFBはバナジウム消費の20%となる見通しだが、今後10年間に(バナジウムが)エネルギー貯蔵市場の25%を占めるとすれば、5万トンまで上振れる余地がある」と記している。

5万トンとなれば、現在の世界生産量の約半分だ。

ブッシュベルトは「VRFB用バナジウムの供給を確保できるかどうかが、このシステムの成功の鍵を握っている」と指摘した。
https://jp.reuters.com/article/vanadium-column-idJPKBN1O60UF


 
主要ニュース(共同通信)2018年12月8日 / 19:21 / 11時間前更新
住宅購入、増税分2%還元

 政府、与党が議論してきた2019年度税制改正案の主要項目が8日、ほぼ固まった。19年10月の消費税率10%への引き上げに伴う住まいの購入支援として、住宅ローン減税の控除期間を3年延ばし、20年末までの入居者には増税の2%分を実質的に還元する。中小企業向けの減税は適用期限を2年延長。自営業者が後継ぎに建物などを渡す際の納税については全額猶予し、若返りを促す。

 増税前に統一地方選や参院選が続く情勢を映し、財政再建よりも景気対策を優先する内容だ。自民、公明両党は未婚のひとり親に対する税優遇の是非など残る課題を詰め、13日にも税制改正大綱をまとめる。

【共同通信】
https://jp.reuters.com/article/idJP2018120801002020

 
主要ニュース(共同通信)2018年12月7日 / 17:00 / 2日前
自民議員、実収入平均6千万円超
共同通信
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 議員別の収入2位は、希望の党の中山恭子参院議員で2億2062万円。

 安倍晋三首相は1億7596万円で6位だった。

【共同通信】

安倍内閣の支持率
安倍首相は相次ぐスキャンダルや支持率の低下を受けて2017年8月上旬に内閣改造を行ったが、支持率には期待していたほどの上昇が見られなかった。下のグラフは歴代内閣と安倍内閣の支持率をあらわしている。

https://jp.reuters.com/news/politics

http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/811.html

[経世済民129] 中国の技術窃取に悩まされ続ける米国の対抗措置 日本が見落としがちな米中貿易戦争の文脈 休戦あり得ぬ トランプ最終的戦勝は
世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

中国の技術窃取に悩まされ続ける米国の対抗措置

2018/12/10

岡崎研究所

 米国マイクロン社が、中国の企業に知的財産を盗まれたと非難したことを受けて、米国商務省は、10月29日、中国の福建晋華への米国技術の輸出を規制することを発表した。国有企業の福建晋華は、米国技術と類似の技術を使用し製造を行っているが、司法省によれば、それらは米国の軍事システムでも使用される機微な技術への脅威となる。


(annydesign/TopVectors/iStock)
 今回の中国企業による米国技術の窃取は、台湾を舞台に2年前の2016年に端を発する。その年、台湾にあるマイクロン社の子会社UMCが福建晋華と技術協定を結び、DRAM(記憶保持メモリ)へのアクセスを許した。そのDRAMの技術を窃取した2人のマイクロン社のエンジニアは、UMCに雇用されたが、2017年8月、台湾当局によって起訴されている。

 本年11月1日、米国司法省は、UMC、晋華、2人のエンジニア及び追加1人の下マイクロン社社員を、貿易秘密を窃取した疑いで起訴した。ジェフ・セッションズ司法長官は、被害額を、87億5千万ドルと推定する。

参考:Wall Street Journal ‘A Better China Trade Strategy’ November 1, 2018

 技術後発国は多かれ少なかれ技術先進国から技術を窃取しようとするものである。しかし中国による技術窃取のスケールはけた違いに大きい。中国は技術で米国に追いつくことを国策として推進しており、その手段の一つとして不法な窃取も国家主導で行っている。

 中国の近年の技術水準は著しく向上しているが、その少なからざる部分が窃取によるものと推定される。最大の被害者は技術で優位に立つ米国である。米国は以前から中国による技術の窃取に懸念を表明してきたが、最近危機感を強めている。中国の技術水準が急速に高まり、米国を急迫しているからである。

 米国は以前から中国に対し、知的財産権の窃取などに警告を発してきたが、ここにきて具体的な対策を取るようになった。その一つが報復関税で、 6月15日、中国による知的財産権に対する報復として、中国の対米輸出品500億ドルに関税を付加すると発表し、その後2段階に分け、実施した。しかし関税が知的財産権の窃取に対する有効な手段とは思われない。むしろ知的財産権の窃取を口実に関税を付与した感すらある。

 このような状況の中で、告訴がなされた。これは、米国の情報機関と司法省が協力して、米国の先端技術を窃取しようとする中国のスパイやハッカーを逮捕するものである。スパイ行為を法律で取り締まることになると、機微な情報が公にされるおそれがあるが、機密保持もさることながら、窃取を厳しく罰し、少しでもそれを減らすことを優先させるということであろう。そのうえ告訴は、単に違法行為を追及するのにとどまらず、中国のスパイ技術の詳細を明らかにするという。告訴方式は今後ますます強化されていくだろう。

 しかし、技術の窃取の防止は容易ではない。特にサイバーによる技術の窃取に有効に対処することは多くの困難が伴う。サイバー攻撃への対処が進歩すれば、それを回避するようなサイバー技術が開発され、鼬ごっことなる恐れもある。 そのうえ中国は、米国が告訴など技術窃取対策を強化しても、技術窃取は止めないだろう。今後とも長きにわたり技術窃取をめぐる米中の攻防が続くものと思われる。

 中国の技術窃取については、最大の標的である米国のみならず、欧州、日本も大いに関心がある。欧州、日本も米国と協力して、中国による技術窃取を強く非難し、その防止に協力すべきである。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14690

 

日本が見落としがちな「米中貿易戦争」の文脈

2018/12/09

樋泉克夫 (愛知県立大学名誉教授)

 12月2日にアルゼンチンで行われた米中首脳会談を、シンガポールの有力華字紙『聨合早報』(12月3日)は一面で「中米両国、新税徴収を暫時停止し、90日以内に新たなる協議を/ホワイトハウス、首脳会談は非常に成功」との見出しを掲げて伝えた。


G20首脳会議 米中首脳会談(写真:ロイター/アフロ)
 同紙によれば、G20に参加したリー・シェンロン(李顕龍)首相は国民に向って、「中米間の矛盾は米ソ冷戦時代のそれと同日には論じられない。当時のソ連は軍事超大国だったが経済力は極めて小さく、各国は基本的にソ連との経済交流はなかった。だが中米関係のみならず、両国と各国との経済関係は世界経済と切り離せない。中米関係は長期に亘る緊張と困難な時期を迎えるだろう。経済的にも不安定な時代を覚悟し、どのような状況にも立ち向かえる準備をしておくべきだ」――こう呼び掛けている。

 米中首脳会談当日の午後、アルゼンチンを遠く離れたシンガポールではシンガポール国立大学東亜研究所の鄭永年所長による「中米貿易戦争とその将来」と題する講演が行われていた。演題からして米中首脳会談に合わせて準備していたことは間違いなく、それだけシンガポールでも高い関心が払われているということだろう。

『聨合早報』の報道、リー首相の国民向け発言、鄭永年所長など専門家の見解――東南アジアの“小さな経済大国”における見方は、当然のように日本とは違う。だが、その違いこそが、米中両国の狭間における立ち位置に悩む我が国にとっては少なからざる参考になるはずだ。(なお我が国とは異なり「中米」と表記しているところがシンガポールにおける華字紙の立場を象徴していると思われるので、敢えて「中米」のままにしておく)


シンガポールの有力華字紙『聨合早報』(12月3日)の一面記事(写真:筆者提供)
シンガポールから見た「米中貿易戦争」
 鄭永年所長は、中国市場の特殊性・閉鎖性に対するウォール街のイラ立ちが米中貿易戦争の背景にあると指摘する。

 一般的に貿易における出超・入超は日常的に起こる現象であり、中米間だけに見られるものではなく、国家の指導者の意思によって操作できるものでもない。どのような国家関係であれ貿易取引が続く間は、深刻かどうかの程度の違いはあるものの、この問題が解消されることはない。だから中米両国間で国交断絶といった最悪の事態にでも立ち至らない限り、貿易戦争に終戦はない。問題は両国の「火力の差」に行き着く。

 アメリカにおける対中貿易赤字の原因は中国にはなくアメリカ、より正確にいうならアメリカ資本にある。ウォール街がホワイトハウスを動かすことはあっても、ホワイトハウスに動かされることはない。だから中米貿易戦争におけるアメリカ側の主役はトランプ大統領ではなく、ウォール街ということになる。ウォール街の最終目標は中国市場の一層の開放にある。中国が毛沢東の時代のような対外閉鎖に先祖帰りでもしない限り、ウォール街が中国市場を手放すことはない。要するに貿易戦争は、中国市場がウォール街の求めるままに開放されるまで続くだろう。

 中国の最大の強みは政治制度でも軍事力でもなく、市場の将来性である。中国における中間層の数は既にアメリカを越えた。アメリカでは減少する中間層が中国では増加が続くからこそ、ウォール街が着目するのである。確かにインド市場も巨大だが問題が多く簡単には開放されそうにない。魅力に乏しいから、ウォール街が動かない。中米両国は世界経済でトップを占める規模であり、多くの国々と関係を持つ。それだけに貿易戦争の帰趨は世界、ことに近隣のアジア経済を直撃してしまう。

 貿易戦争の将来を危惧し、中国からアジアの近隣諸国へ活動の主軸を移そうとする動きも見られる。だが短時間では移転は不可能であり、コストが掛かり過ぎる。そういった動きを中国側も望むまい。あるいは今回の首脳会談で打ち出された90日の“休戦期間”に、中国は一層の市場開放を模索するのではないか。

 昨年の北京におけるトランプ大統領と習近平国家主席による最初の首脳会談以来、貿易問題は両国間の懸案になっていたわけであり、やはり90日という限られた時間で解決できるような単純な問題ではない。だが双方ともに「回帰不能点」まで突き進むような愚かな選択を望まないだろうし、やはり双方が話し合いの継続を示している事は歓迎すべきだ。

 これからの90日以内に習近平政権が中国市場における障壁を取り除き、より開かれた市場の将来像を示せるかどうか。これが中米貿易戦争における極めて重要なカギといえる。

 以上の鄭永年所長の考えとは異なり、問題の背景には企業家であるトランプ大統領の持つ特異な性格がかかわっている。だからトランプ政権の間に中米貿易関係を“正常軌道”に乗せておくべきだ――とするのが、同じシンガポール国立大学東亜研究所の郭良平研究員である。

 郭研究員は「中米関係を救う最終チャンス」(『聨合早報』12月3日)と題する論文において、「トランプ大統領は必ずしも中国に反感を持っているわけではない。本当は中国に憧れている」「中国はトランプ大統領の虚栄心を満たすべく譲歩すべきであり、面子を潰してはならない」と指摘し、共和・民主両党を含めワシントンを軸にアメリカの反中国感情は拡大しつつあり、それ故にポスト・トランプ政権は対中関係を現在の経済問題から政治問題へと必ずやエスカレートさせるだろう。新冷戦時代の到来である。

 だから問題解決に当たってはシンガポールのリー首相が説くように両国は「技術問題として交渉すべきであり、政治問題化させるべきではない」とする。最近の数十年の中米関係を振り返れば、巨大な消費市場を始めとして資本、先進技術から高度の人材養成に至るまで中国は余りにも多くの利益をアメリカから授かってきた。

「アメリカがなかったら中国の開放はなかったし、現在の中国はありえなかった。中米関係を解決することで、中国はさらなる利益を得られるだろう。こういった現実主義の視点から中米関係を捉えるなら、中国は敢えて妥協と譲歩に踏み出すべきだ」と、郭研究員は論文を結んでいる。

 以上の2人の専門家の見解とは異なり、『聨合早報』(12月2日)の社説(「グローバル自由貿易体制においては自らの更なる進化を」)は米中貿易戦争を世界経済の枠内で捉え、「双方が設定した90日以内の妥協が失敗した場合、世界経済は貿易戦争の火の海に叩き込まれる。各貿易大国は公平・公正を原則に問題処理に当たるべきだ」と説く。

アメリカ人が抱く「中国への幻想」
 米中貿易戦争を経済問題に押し止めて処理に当たるべきか。政治問題にまで拡大して考えるべきか。我が国メディアの一部からは「トランプ政権による新世界秩序構築の一環」とか「対中100年戦争」といった議論が聞かれるようになったが、シンガポールの場合には、リー首相の発言に象徴されるように飽くまでも米中関係のなかの「技術問題」として捉える見方が一般的といえるようだ。

 では米中関係という視点から米中貿易戦争をどう捉えているのか。たしかに郭研究員が説くように「アメリカがなかったら中国の開放はなかったし、現在の中国はありえなかった」。だが果してそうなのか。じつは鄭所長は講演の最後を「我われはアメリカが中国を変えることができるといった幻想を持ってはいない。中国だけが自らを変えることができる」と結んでいる。

 ここで改めて米中関係を簡単に振り返ると、日中戦争から朝鮮戦争にかけてホワイトハウスの住人であったルーズベルトとトルーマンの両大統領による対中政策の誤りが、蒋介石政権を台湾に追いやり、中華人民共和国を成立させたことを押さえておく必要があろう。

 中国経済発展の起点を今から40年前の1978年末に置くことに異論はないが、対外開放の遠因を辿るなら1972年のニクソン大統領の電撃的訪中に行き着くだろう。ニクソンと毛沢東によってもたらされた米中雪解けが、それまで「竹のカーテン」の内側で逼塞していた中国を西側世界に引きずり出した。この事実がケ小平の対外開放への決断を促したであろうし、であればこそGDP世界第2位に巨大化した現在の中国の産婆役を果たしたのは、やはりアメリカであったと見做すべきだ。

 そしてなによりもアメリカは、社会経済が発展し、民度が向上すれば、人々は民主主義を求めるようになり、やがて独裁政権は崩壊すると思い込み、中国への経済支援を惜しまなかった。だが中国は経済発展するほどに、独裁体制を強化させ、アメリカに歯向かうのである。アメリカがケ小平以後の中国に結ぼうとした夢は破れた。その象徴的事例が1989年の天安門事件だろう。

 ここで考えてみたいのが、アメリカ人が抱く中国イメージである。

「アメリカが生んだ最も優れたジャーナリスト」と評価されるD・ハルバースタムは、「多くのアメリカ人の心のなかに存在した中国は、アメリカとアメリカ人を愛し、何よりもアメリカ人のようでありたいと願う礼儀正しい従順な農民たちが満ちあふれる、幻想のなかの国だった」(『ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争』文春文庫 2012年)と、近代中国におけるアメリカ人の中国観を振り返る。

 だが中国とアメリカの第2次大戦以降の関係を振り返っただけでも、「多くのアメリカ人の心のなかに存在した中国」は幻想にすぎず、現実の中国は「アメリカとアメリカ人を愛し、何よりもアメリカ人のようでありたいと願う礼儀正しい従順な農民たちが満ちあふれる」国ではなかった。

中国人の恐るべき「粘り強さ」とは
 ここで少し視点を変えてみたい。

 諸橋轍次(1883年〜1982年)は、1925年から2000年に補巻が刊行されるまで75年の歳月をかけて『大漢和辞典』を完成させた漢学者である。彼は大正時代に訪れた中国における見聞録を『遊支雜筆』(目K書店 昭和13年)として発表しているが、その中で中国人の性格を「極めて呑気」と指摘した。だが、たんに「呑気な生活をして居る」わけではない。その間に、何かを学んでいるというのだ。(なお引用文中の旧漢字のみ、現行漢字に改めておいた)

 たとえば小鳥を飼っている人を見ていると、「一時間二時間、長きは半日近くも一つ場所に立つて同じことを反覆して居る。如何にも其の呑気さには驚かざるを得ない」のだが、「斯かる呑気な生活をしている間に一つの要領を得て居る」。つまり呑気に過ごしている間に「何時か知らん小鳥の習性を能く洞察し」、遂には小鳥に同化してしまうというのである。

 この小鳥飼いの“学習ぶり”を、諸橋は「長江の開拓」に援用して解説した。

「揚子江沿岸は今から九十年、百年以前に欧米の人々に依って多く開かれた」。先鞭を切ったのがイギリスで、ドイツ、アメリカ、フランスと続き「どしどし外人の経営が伸び」、これらの国々の力によって揚子江に沿った港には次々と外国との交易のための施設が設けられ、経済建設が進む。だが、「其の間支那の人々は黙つて居る、自分の土地が外人の手に依つて開かれるといふことに就て何等の故障も申し出でず、只じつと静観して居」る。

 静観するままに時が過ぎた。ところが「今から約十年前、即ち揚子江沿岸が開かれ始めてから八十年、九十年を経過した」頃になると、「恰も地に湧いて居る虫がうぢうぢと動き出すやうな姿」で「支那民族が動き出しました」。

 そうなると「流石に粘り気の強い英米人でも、そこに居辛く感ずるやうにな」り、10年ほど前から「到頭英米独仏の各列強が、段々揚子江の上流から追い下げられ」、やがて居留地は上海とその周辺のみに限られてしまうようになる。こうして彼らが得たものは「英米人が五十年、百年に亙って経営した其の設備」であり、そこで「之に注いだ資金と、而してそれに伴う知識文化といふものを唯取りにしたのであります」。

「要するに、行動が直に結果を伴わなくとも、暫くは我慢する、長きに亙つて終局の結果を収めようといふ、意識的か無意識的かの粘り強さが、支那民族の一つの恐るべき力」である。「呑気な中に要領を得、長きに亙つて或る目的に就いて実現性を有する。支那の民族の力強さは実に其の点にあるのではありますまいか」と。

 この諸橋の指摘は、先に挙げた鄭所長の「我われはアメリカが中国を変えることができるといった幻想を持ってはいない。中国だけが自らを変えることができる」に通ずるようにも思える。

「中国だけが自らを変えることができる」とはいうが、現状では中国は変わりそうにない。中国が変わるのを待つほどに、恐らくウォール街は「呑気な生活をして居る」わけにはいかないだろう。ならば「火力の差」に頼って問題解決を一気に逼るのか。

日本が見落としがちな視点
――こう見てくると、どうやらシンガポールでは、米中貿易戦争をかつての日米貿易摩擦に重ね合わせて見ているようにも思える。つまりアメリカがアメリカの敵として急浮上してきた“新たな経済大国”に対して示す過剰なまでの市場開放要求を巡っての争い、である。だが、それとは別に近現代において米中の間で繰り広げられてきた特殊な2国間関係の文脈で捉えているようでもある。アメリカが長年に亘って中国に対して抱いてきた幻想から、覚めることができるかどうか、である。

 それにしても「極めて呑気」ではあるが無為に「呑気な生活をして居る」わけではないという諸橋の視点は中国が見せる一面の真実を微妙に抉り出すと同時に、現在のわが国で見られる短兵急な結論を求めたがる中国論議に対する頂門の一針とはいえないだろうか。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14732


 


立花聡の「世界ビジネス見聞録」

休戦あり得ぬ米中貿易戦争

トランプが目指す最終的戦勝とは

2018/12/09

立花 聡 (エリス・コンサルティング代表兼首席コンサルタント)

 世界中の注目を集める中、G20での米中首脳会談が終わった。とりあえず合意された対中関税の第2段階引き上げの90日猶予、これをどう見るべきか。大方は「休戦」「停戦」と評しているなか、北朝鮮の朝鮮労働党機関紙、労働新聞だけが12月4日付けの報道で、米中貿易戦争が「激化」していると伝えた。


米中首脳会談(写真:ロイター/アフ)
休戦ではなく、激戦の先送りに過ぎない
 一部の報道では、北朝鮮の「誤報」と指摘しているが、私はそう思わない。「中米(米中)貿易戦争が年末に差し掛かった今の時点でも緩和の兆しが見えず引き続き熾烈に繰り広げられている」という同紙の解説は仮説よりも、現状の反映ではないだろうか。

「休戦」も「停戦」も交戦当事者の合意により戦闘行為を停止することだ。主に全面的な戦争の終結(終戦)を目的とした場合に使われる用語である。しかし、冒頭で強調しているように、このたびの制裁関税の90日の猶予措置は、第1段階(現状)の10%から第2段階の25%への引き上げ分が対象であり、かろうじて戦闘状態の現状維持であり、休戦でも停戦でもなく、激戦を90日先送りしたに過ぎないのである。

 大胆な仮説になるが、そもそもトランプ大統領は「終戦」を当面の目標としていないのではないかとさえ思う。トランプ氏が目指しているのは、最終的な「戦勝」であって、当面の平和といった短期的利益を前提とする「休戦」や「終戦」ではないからだ。最終的な戦勝を手に入れるために、長期戦や激戦をも辞さないという腹積もりだったのかもしれない。

 ついにG20では「保護主義と戦う」という文言の首脳宣言への盛り込みを断念したのも、2週間前のAPECであった史上初の首脳宣言発出断念のような事態を避けるための妥協措置だったのではないか。一連の首脳会議は米中の対立がいかに深いかを浮き彫りにした。この溝は一時休戦や交渉で埋まる溝ではない。そもそも米中貿易戦争の根源を突き詰めると、その本質は通商問題でもなければ、経済問題でもない。政治問題だからだ。毛沢東いわく、政治とは流血を伴わぬ戦争である。故に「冷戦がすでに始まった」とある意味で理解しても差支えない。

 その辺の論点と文脈をもう一度整理してみたい。

政治とは流血を伴わぬ戦争である
 サプライチェーンの再編。

――結論からいおう。トランプ米大統領主導の対中貿易戦争、その最終的な意図はこれに尽きる。中国に整備されたサプライチェーンによって、安くて良質な「メイド・イン・チャイナ」が生産され、アメリカ国内の消費者もその受益者になった。市場経済メカニズムの産物である以上、資本主義市場経済体制の元祖、アメリカこそこれを尊重すべきだろう。

 しかし、事実は違う。いまトランプ氏はこの市場原理を横目にきわめて政治的な手段、大国の持ち得るすべてのパワーを動員し市場に介入し、政治で経済を制御しようとしているのである。アメリカの国家理念に反しているようにも思えるが、このパラドックス的な現象を解釈するのは実はそう難しくない。

 11月のAPECに出席した安倍首相は、自由貿易の重要性を訴えた。これは1つの正論、経済的な正論である。一方で、トランプ氏には他の正論がある。政治的な正論だ。どちらも正論だが、政治的正論が経済的正論に優先するのは政治家や支配者にとって当然のことだ。

「分断」がキーワードになる
 中国を見ればわかる。中国はまさにこのサプライチェーン、つまり市場経済の産物を都合の良いように利用し、そこから形成された資本の本源的蓄積を生かし、政治的勢力や軍事的勢力の拡張に乗り出したのだった。膨張する経済力を使って途上国との関係づくりに主導権を発揮し、新たな世界秩序を着々と作り上げようとしている。

 国家資本主義という意味において、シンガポールのような自己抑制力による内包的な自己拡張ではなく、外延への拡張がすでに明白な事実となった以上、しかもこれがすでに臨界点に達しつつあるが故に、外力による抑制が必要になったと、トランプ氏はこう認識、判断したのではないだろうか。

 つまりここまでくると、経済を政治によって制御せざるをえなくなったのだ。中国が作り上げようとする新秩序、その息の根を止めるには、サプライチェーンの無効化という手法がもっとも合理的だ。もちろん、コストや苦痛を伴うだろうが、それ以外には方法が皆無だ。米国内経済界からの歎願や不満を無視し、トランプ氏が対中貿易戦争を決断した根本的な理由はここにあったのではないだろうか。

 中国を遮断し、中国外で新たなサプライチェーンを作り上げ、産業集積によってノン・チャイナ経済秩序を構築する。これがトランプ氏が描いたマスタープランではないだろうか。ある意味では紛れもなく一種の戦争である。

 分かりやすく言えば、アメリカは、米中が互いを不要とする新秩序、いわゆる「分断」を作り上げようとしている。昨今の世界では、「融和」が善であり、その対極にある「分断」は悪であるという価値観が主流になっている。しかしながら、自由貿易という「融和」を中国が利用し、経済的利益と政治的利益の二鳥を得ながらも、アメリカは政治的不利益を蒙ってきたという事実は無視できない。したがって、アメリカはいよいよ「分断」という悪を動員し、政治的利益を奪還しようと動き出したのである。

中国によるサプライチェーンの完全掌握を阻止せよ
 こうして、米国は能動的に戦略的意図を込めて新秩序づくりに着手しているのに対して、中国はむしろ受動的にこれを受け入れざるを得ない前提があって、つねに米国に「やめてくれないか」というシグナルを送りながら、新秩序づくりの中止にあらゆる可能性を模索し続けているのである。

 故に、中国は米国以上の苦痛を味わうことになろう。新秩序の構築には時間や労力、様々なコストがかかる。試行錯誤も繰り返さなければならない。そうした意味で、米中ともに同じ状況に直面せざるを得ない。だが、なぜ中国がより大きな苦痛を味わわなければならないのか。

 中国にははたしてこの米国発の「分断」要請に応えて、脱米国を前提とする、かつ米国陣営の新秩序に対抗し得る中国の新秩序を作り上げることができるのか、という課題が横たわっている。サプライチェーンを上流から下流まで整合するには、ハイテク系の中核技術をはじめ中国に欠落しているキー・セクターが数多く含まれている。

 現状ではまさに、中国はこれらを入手しようとサプライチェーンの本質的な完全獲得を目指して工作し取り組んできたところで、米国はこれを最終段階と読み、息の根を止める作戦に乗り出したのだった。そこで最終的成功の一歩手前で前進を止められた中国は、独自のサプライチェーンを整備することはできるのか。頑張って一部できるにしてもその大部分には相当な無理があるだろう。

 ハイテクが無理なら、ローテクでどうだろう。実は直近の中国国内の世論では一部、原点回帰を唱える論調や言説も出始めている。そもそもこの辺が中国経済の成長の原点でもあった。しかし、残念ながらすでに手遅れだ。中国は労働力人件費の高騰によって、ローテク分野の優位性をすでにベトナムや東南アジア勢に奪われているからだ。

中国の弱み、資本流出と外資撤退が止まらない
 さらに、政治的要素だ。このように中国は貿易戦争よりも、独自のサプライチェーンの再編・再構築において本質的な困難に直面している。そこで挙国の一致団結をもってこの山を越えられるだろうか。少なくとも現状ではあまり期待できないと言わざるを得ない。

 資本流出も大きな問題になっている。2年前の元安による資本流出に比べると、米中貿易戦争による今回の流出は様子が違う。まず、元安からくる資本流出がさほど見られない。今年4月の1ドル=6.3元の為替相場だが、12月現在6.8元‐6.9元へと元安が進んだ。中国外貨管理局のデータを額面通りに読めば、今回の元安は資本流出を加速化させたような形跡が薄いものの、資本は流出し続けている。

 この流出は実際に公表データにならず、闇通路を使っている。たとえば香港経由の見せかけの貿易取引が1つの手段である。海外M&Aや海外での保険購入なども元を直接使用できるために、外貨管理局の為替決済を経由せず、データとしてモニタリングができない。無論当局はこれらの闇通路に気付かないはずがない。そこでいたちごっこの攻防戦が繰り広げられる。最近、香港や海外でのIPOを巧妙に使いこなす中国企業も続出し、まさに「上に政策あれば下に対策あり」の様相だ。

 資本流出は国民レベルの対国家コンフィデンスが非常に弱い(自立心が強いともいえる)ことを意味する。いまさら、四面楚歌の境地に陥って求心力を語っても何の意味もない。パニックが加速するのみだ。

 企業も然り。米国中国総商会と上海米国商会が9月13日に公表したデータによると、米中貿易戦争の激化を受け、約3分の1の在中米国企業は生産拠点を中国から転出する意向を示している。外資撤退は問題だが、中国系企業の海外投資もどんどん加速化している。つまり、中国企業も「中国外のサプライチェーン」の構築に進んで参加しようとしているのだ。

 貿易戦争への対策として中国には元安誘導という手もある。ただ、元安は諸刃の剣、株式との連鎖安やさらなる資金流出を招きかねず、悪循環に陥る。1ドル7元あたりからいよいよ危険水域に達し、赤信号が灯る。外資撤退や資金流出の先には、中国経済の失速が懸念される。それに連鎖的に最後の砦となる不動産相場も低迷した場合、国民の資産が目減りすることになり、政治に対する不満がさらに募る。

そして何よりもリストラと雇用問題
 さらに、泣き面に蜂。外資撤退などに伴うリストラの問題が表面化する。労働法によってガチガチに守られている労働者たちはより高額な補償金を手に入れようと企業との戦いを本格化・尖鋭化させる。たとえば、今年1月9日に発生した日東電工の蘇州工場一部閉鎖に伴う従業員デモ騒動事件もその好例。外資撤退に際しての騒動はストライキだったり、デモだったり、過去にも見られたような従業員による企業経営者幹部の監禁だったり、なんでもあり。撤退は進出より何倍も何十倍も難しいというだけに、外資にパニックが起きる可能性もなくはない。

 最終的に、数十万人や数百万人単位の失業者は深刻な社会問題になる。失業した者は家のローンを払えなくなる。再就職の目途も立たないなか、政府はどこまで保障してくれるのだろうか。政府にできることは、企業に圧力をかけてリストラをさせないことくらいではないか。その延長線上では、外資の撤退にある種の「嫌がらせ」を加えてもおかしくない。

分断の時代、米中を選択する時代の到来
 外交面にも影響が及ぶ。バラマキ外交で取り込まれてきた途上国や、経済的利益で付き合ってきた先進国も「金の切れ目が縁の切れ目」で散っていけば、中国の孤立化に拍車がかかる。

 すでに中国の融資や援助を受けてきた国々も離反の姿勢を見せている。今年5月、マレーシアで政権交代が実現し、マハティール氏が92歳の高齢で首相への返り咲きを果たすや、高速鉄道などインフラ建設案件の中止を決断し、借金漬けにさせられた中国投資の追い出しに取り掛かった。

 インド洋の島国モルディブでは11月17日、野党の統一候補として出馬し、大統領選で勝利したソリ氏の就任式が行われた。ソリ氏は親中派ヤミーン前大統領の外交政策を厳しく批判し、対中関係の見直しやインドとの関係強化政策を明確に打ち出した。

「脱中国」という言葉が使われて久しい。その裏には、中国への過度依存という背景があった。いよいよ本格的な分断と棲み分けの時代がやってくる。サプライチェーンに関していえば、「中国外サプライチェーン」は今後数年かけて着々と造り上げられるだろう。

 日本も含めて米中以外のアジア諸国にはまさに、難しい選択を迫られる時がやってきた。それはもはやサプライチェーンの次元を超えて、基本的立場や政策というレベルで考えなければならなくなる。


iStock / Getty Images Plus / ANNECORDON
 シンガポールのリー・シェンロン首相は11月14日、同国で開催されたASEAN首脳会議後の会見で、「もし2つの敵対国と同時に友好関係をもつなら、両方とうまくやれる場合もあれば、逆に気まずくなる場合もある」と語り、米中を選択する時代の到来を示唆した。
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[国際24] 米国で急増する白人至上主義者の暴力 
米国で急増する白人至上主義者の暴力

2018/12/10

斎藤 彰 (ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長)


(iStock.com/flySnow/Purestock)
 今世紀に入りユダヤ人、黒人、イスラム教徒などに対する白人過激グループによる暴力やテロがアメリカで急増しつつある。だが、州警察やFBI(連邦捜局)による白人を対象とした摘発、捜査は後手に回り、主要メディアの厳しい批判の的になっている。

 アメリカ大都市での犯罪といえば、前世期までは「黒人」に原因が着せられることが大半だった。とくに筆者が米国留学中だった1960年代以降、ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、デトロイト、アトランタ、ボストンなどの主要都市では、連日のように黒人暴動、商店焼き討ち、白人襲撃・レイブ事件などのニュースがテレビ、新聞で大々的に報じられ、犯行に及んだ黒人たちの検挙があいついだ。全米でも最大規模の終身刑刑務所として知られるサンフランシスコ郊外の「サンクエンティン・プリズン」を見学したことがあったが、服務者の8割近くが黒人だったことに衝撃を受けた記憶がある。


11月、レイシストによる銃乱射の現場となった米ピッツバーグユダヤ教礼拝所(AP/AFLO)
 ところが、21世紀に入り、「黒人暴動」のニュースを茶の間のテレビ画面で見ることは皆無に近い状態となった。

 事実、FBI調査データ「Uniform Crime Reporting Program」によると、たとえば2008年の殺人件数は、ミネアポリスで67%、シアトルで47%、ニューヨークで31%、ロサンゼルスで17%とそれぞれ顕著な減少となり、とくに黒人街での発生件数の激減ぶりが目立った。

 その後も減少傾向が続いている。

 1960年代のピーク時には凶弾に倒れたニューヨークの犠牲者は毎年2000人以上だったが、2014年には328人となり、その後さらに減ってきている。ワシントンDC、フィラデルフィア、ピッツバーグなどの黒人人口が大半を占める他の都市でも同様だ。

 このような黒人凶悪犯罪の減少理由については(1)警察当局による取り締まり体制が強化されてきた(2)着実な経済成長により雇用機会が拡大した(3)黒人社会における自己啓発意欲・社会意識の向上―などが指摘されている。

「プアホワイト」
 これと対照的なのが、白人犯罪だ。とくに「プア・ホワイト」(白人貧困層)過激グループによるユダヤ人、黒人、ヒスパニックなどに対する憎悪をむき出しにした“ヘイト・クライム”が今世紀初頭から急増し始めている。

 毎年、世界中で発生するテロ事件の追跡調査組織として定評のある米メリーランド大学「グローバル・テロリズム・データベース」によると、昨年1年間に世界中で起きたテロ件数は1万1000件で2014年と比較して7000件程度減少した。しかし、米国では増加の一途をたどっており、10年前には6件に過ぎなかったテロが、昨年には65件にも達した。犠牲者数も増加している。

 そして65件のうち、37件が白人過激グループによるもので、残りは11件が左翼過激派、7件がイスラム過激組織、その他となっている。

白人至上主義者
 テロ以外の白人至上主義者による個別の殺害事件も急増傾向にある。

 全米ユダヤ人差別監視組織として知られる「Anti-Defamation League」(略称ADL)のデータによると、2008年から2017年にかけて発生した殺害事件の犠牲者のうち、白人至上主義者による犯行が71%を占めた。これに対し、イスラム過激グループによるものは26%だった。これら白人による犯行件数は2013年当時の3倍以上にも激増しているという。

 ここ数年の白人至上主義者の犯行で全米の話題となった事件としては、2015年6月、南部サウスカロライナ州チャールストンの教会で、聖書研究に集う敬虔な黒人キリスト教信者たちに白人至上主義者の青年がけん銃を乱射、男女9人を射殺した惨事がある。この事件では、逮捕された青年はアメリカ社会における白人以外の存在を認めず、日頃からヒトラーを崇拝するほどの思想の持ち主だった。

 同様に昨年8月には、バージニア州シャーロッツビルで白人至上主義者やネオ・ナチを唱導する極右グループが集会を開き、これらの不穏な動きを警戒する市民グループとの間で激しい衝突や小競り合いが起きる事件があった。その際、群衆の中に白人の乗った車が突入、市警察の発表によると、1人が死亡、最低35人が重軽傷を負う騒ぎとなり、同州のテリー・マコーリフ知事が「非常事態」宣言する事態に発展した。

 さらに今年に入り、10月、ペンシルバニア州ピッツバーグのユダヤ人教会で礼拝中だったユダヤ信者たちに向けて、乱入した白人至上主義者の男が「ユダヤ人ども、くたばれ!」などと叫びながら銃を乱射、中にいた信徒のうち最低11人が死亡、直後にかけつけた警官4人も銃弾を浴びるという、アメリカのユダヤ人を標的とした犯罪としては最悪のヘイト・クライムが発生した。

 警察の調べによると、逮捕された犯人ロバート・バウワーズ(46)はふだんから、白人至上主義者たちの支持するウェブサイト「Gab」(後に閉鎖)を通じて、ユダヤ人を誹謗・中傷する書き込みをしていたほか、最近では、全米でも大きな話題となったホンジュラスからアメリカをめざす「移住集団」についても敵意をむき出しにしていたという。

トランプ大統領との関係性
 問題はなぜこのように、近年とくに1昨年ごろから白人過激派グループや個人による銃撃などの犯罪が急増してきたか、にある。果たして、大統領選挙期間中からイスラム教徒やヒスパニックといったマイノリティに対し差別的発言やツイッター発信を繰り返してきたトランプ大統領の登場と何らかの因果関係があるのかどうか―。

 最近、その可能性を示唆する興味深い研究論文が目にとまった。米プリンストン大学および英ワーウィック大学の二人の学者による『アメリカを再び憎悪の国にするのか―トランプの下のツイッターとヘイト・クライム(Making America Hate Again? Twitter and Hate Crime Under Trump)』と題する論評がそれだ(2018年3月28日付け)。

 それによると、二人は2016年大統領選の前後から活発化したトランプ氏の人種差別発言の中でもとくにイスラム教徒およびラテン・アメリカ人を誹謗したツイッター発信時期、回数及びその内容と、FBIが公表してきたこれまでの「ヘイト・クライム・データ」を基に相関関係を詳細に分析した。その結果、以下のような事実が浮かび上がった:

イスラム教徒および中南米系アメリカ人を標的にしたヘイト・クライムは、トランプ氏が彼らを非難中傷するツイッター書き込みを始めた直後から目立ち始めた
ヘイト・クライムの発生場所はプア・ホワイトが多い中西部の「ラスト・ベルト(さびついた工業地帯)」といった特定地域に限定されず、むしろツイッター利用人口の割合が高い諸州に広がっている
このうちとくにイスラム教徒を狙った犯罪は、トランプ氏の選挙戦開始前まではほとんど皆無に近い状態だったが、選挙期間中の遊説やツイッタ―、当選後のイスラム諸国からの入国制限措置などが大きく報道されるに及んで急増した
トランプ以前の歴代政権時代までは、ツイッター利用人口の多い地域でヘイト・クライムが指摘されるケースはきわめてまれだったが、トランプ政権の登場とともに、これらの地域の犯罪が明らかに増えた
こうしたことから、全体としてソーシャル・メディアと政治の結びつきが鮮明となったトランプ政権の下で、ツイッターなどに刺激されたヘイト・クライムが顕在化した
 さらに問題なのは、このように過去数年の間に、テロやヘイト・クライムが激増しつつあるにもかかわらず、犯行の主役としてクローズアップされてきた白人過激派、白人至上主義組織に対する捜査当局の内偵や摘発が立ち遅れている点だ。

 民間調査機関スティムソン・センターの最近の調査報告によると、2002年から2017年にかけて米国内で発生したテロのうち、イスラム過激派の犯行による犠牲者は100人だったのに対し、白人至上主義グループによる犯行の犠牲者は387人にも達している。ところが、地元警察、FBIなどによるこれら白人過激活動家の取り締まりや犯行に至る以前の予防的情報収集はほとんど行われておらず、また、犯行があったとしても見逃されるケースも少なくないという。

 この点について、 ニューヨークタイムズ・マガジンの特集記事(2018年11月3日付け)は「これまでFBIを中心とした連邦政府レベルおよび各州レベルでの対テロ対策は、国内外のイスラム過激派および黒人グループに重点を置いた捜査が主体となってきた。白人グループによる犯罪は関心の対象外だった。この結果、白人たちのヘイト・クライムを増長させてきた」と指摘。

マイノリティになりつつある白人
 さらにこうした傾向を裏付ける証拠として、去る10月、ローゼンシュタイン司法副長官が公表した最新の「FBI犯罪レポート」によると、2016年の1年間にFBIに報告されたあらゆる犯罪に関し、白人過激グループの犯行による「ヘイト・クライム」にまったく触れなかった捜査機関が全体の88%にも上っていた事実を挙げている。このため、同副長官は各捜査機関からの報告の信ぴょう性について、洗い直しに着手しているという。 

 昨年発表された国勢調査局「National Population Projections」によると、アメリカ社会全体における白人人口は、白人以外の人種と比較して相対的に減少傾向にあり、このペースが続くと、2045年までに過半数を割る見通しという。また、これと関連して、白人至上主義の全国組織として知られる「Unite the Right」のジェイスン・ケスラー代表は「われわれ白人は、自分たちの手で作った国で早いスピードでマイノリティになりつつある」とコメントするなど、危機意識を募らせつつある。

 今後、地方警察やFBIなどの捜査機関がよほど本腰を入れて取り締まりに乗り出さない限り、こうした白人のヘイト・クライムはますますエスカレートすることになる。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14736
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/725.html

[国際24] 2年前にも反ムハンマド派の拉致未遂、根っこにサウド王家の権力闘争
中東を読み解く

2年前にも反ムハンマド派の拉致未遂、根っこにサウド王家の権力闘争

2018/12/07

佐々木伸 (星槎大学大学院教授)


(Tim E White/Gettyimages)
 サウジアラビアの反体制派ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏殺害事件は追及するトルコ側の手詰まり感が露呈される一方、疑惑の中心人物であるムハンマド皇太子は最近のG20サミットに出席するなど逃げ切りを図っている。殺害事件の背景にはサウド王家の凄まじい権力闘争があり、根は深い。

王宮内に盗聴器
 サウジ王室事情に精通するデービッド・イグナチオス氏が最近の米紙ワシントン・ポストで明らかにしたところなどによると、サウド王家の権力闘争は2つの強力な派閥の対立だ。一方はサルマン現国王と息子のムハンマド皇太子のサルマン一派であり、他方はアブドラ前国王派だ。

 対立が激化し始めたのはアブドラ前国王が死去した2015年1月。前国王は1年前から肺がんを患い、当時はリヤドのVIP病院で死の床にあった。前国王が死去した時、息子たちや侍従長らは権力を少しでも長く維持し、蓄えた一派の巨額な闇資金を隠すため、皇太子だったサルマン現国王にさえ嘘をつき、死去の事実を隠そうとした。

 この時のアブドラ一派の行動に激怒したサルマン氏は国王就任と同時にアブドラ派の排斥に着手。アブドラ前国王の息子であるツルキ、ミシャール両王子をそれぞれ、リヤド州知事、メッカ州知事の要職から更迭した。同時に息子であるムハンマド王子を国防相に抜擢、数か月後に副皇太子に据えるなど後継者のレールを敷いた。

 両派の対立は激しさを増し、アブドラ派は王宮内の灰皿など各所に無数の盗聴器を仕掛け、有力王子たちの電話も盗聴。数十メートル以内なら電話番号を特定できる中国製の装置まで購入した。サルマン派には今回の殺害事件で解任されたカハタニ元王室顧問が食い込み、抗争で疑心暗鬼になっていたムハンマド王子にクーデターが企てられているなどと陰謀論を吹き込んだ。

白昼の拉致未遂
 大金持ちの投資家としても知られるアブドラ前国王の息子、ツルキ王子の側近のビジネスマン、オバイド氏は2016年8月25日午後、中国側と投資案件を話し合うため王子の名代として私有機で北京に着いた。しかし、航空機から降りた時、40人もの中国の私服警官に囲まれ拘束された。中国で9月に開催予定だったG20を狙うテロ支援者という容疑だった。

 オバイド氏は拷問のような長時間の調べを受けた後、釈放された。中国側の説明によると、同氏の航空機が到着する5分前にサウジ本国から中国治安当局に連絡があり、テロ支援者が行くので、逮捕し、強制送還するよう要請があったのだという。送還のための航空機も用意されてあった。

 オバイド氏はそれまでサウジ情報庁の幹部から帰国するよう再三、電話連絡を受けていたが、ボスのツルキ王子に相談の上、無視していた。中国側は「あなたは権力闘争にすっかりはまっている」と警告したという。サウジ側はオバイド氏が宿泊していたホテルに工作員の一団を送り込んだ。その頃、オバイド氏はツルキ王子所有のエアバス機で避難先のスイスに向かっていた。

 この2年前のエピソードはカショギ氏のケースと驚くほど酷似している。ムハンマド皇太子に敵対する人物に帰国するよう説得を試み、上手くいかないことが分かると、力ずくで拉致しようというものだ。カショギ氏は殺害され、オバイド氏は生き残った。

 ムハンマド皇太子はこの失敗に激怒し、オバイド氏を帰国させる責任者だった情報総合庁の副長官を解任し、アハメド・アシリ将軍を新副長官に就けた。アシリ副長官はカショギ氏殺害事件のそもそもの作戦を命じた人物である。皇太子が拉致計画にいかに深く関わっていたかが分かるだろう。

 2つの派閥の権力闘争は2017年11月頂点に達する。ムハンマド皇太子がツルキ王子や王族、企業家ら有力者200人を汚職の名目で一斉に逮捕、リヤドの高級ホテル「リッツカールトン」に幽閉するという“クーデター”を決行したのだ。ツルキ王子は今も、拘束されたままだ。この“クーデター”はトランプ大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問が皇太子を訪ね、密談してからわずか1週間後のことだった。

トルコが側近2人に逮捕状
 アシリ副長官とカハタニ王室顧問はカショギ氏殺害事件後に解任されたが、起訴はされていない。カハタニ氏は米国が制裁を課した17人には含まれているが、アシリ将軍は含まれていない。

 こうした中、トルコの裁判所は12月5日、事件に関与したとして、カハタニ元王室顧問とアシリ将軍に逮捕状を出した。しかし、サウジが2人をトルコ側に引き渡す可能性は皆無だ。トルコ側はカショギ氏の殺害時の状況や、容疑者の特定など情報を小出しにしながらサウジに圧力を掛けてきたが、情報も弾切れ状態で、撃ち尽くした感がある。

 またトルコは国際的調査の必要性を主張し、これにはフランスのマクロン大統領や国連の人権担当高等弁務官らが強く支持しているが、皇太子の後ろ盾であるトランプ大統領は皇太子の関与を裏付ける「確定的な証拠」がない、と幕引きの構えを変えていない。

 しかし、カショギ氏の遺体の所在など多くの謎が残されたままで、ムハンマド皇太子に対する容疑も深まる一方だ。最近新たに明るみに出たのは、殺害事件が起こった頃、皇太子とカハタニ氏が11回に及ぶ交信をしていたことを米中央情報局は(CIA)が傍受していたというもの。

 内容までは明らかになっていないが、米議会上院の秘密会でハスペルCIA長官から事情を聴取した共和党のコーカー上院外交委員長は「皇太子が仮に陪審員の前に立てば、30分で有罪の評決となるだろう」と言明。トランプ大統領とは反対に、CIAや米議会は皇太子が殺害を命じたとの感触を強めていることが鮮明になっている。

 当の皇太子は事件が終わったことを誇示するかのように、ブエノスアイレスで開かれたG20サミットに出席し、国際舞台への復帰を図った。予定されていたトランプ大統領との会談は実現せず、各国首脳からよそよそしい対応をされたものの、ロシアのプーチン大統領とは固い握手を交わした。ウクライナ艦船拿捕事件で孤立するプーチン氏とははぐれ者同士の握手に見えた。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14717
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/726.html

[経世済民129] 深セン行って学ぶ人学ばない人 チャイノベーション インド人ガッカリ日本行かない 豪、ワーホリ若者で深刻な労働者不足カバー

そんなに凄い? チャイノベーション


深センに行って学ぶ人学ばない人

日本人にありがちな2つのポイント

2018年12月10日(月)
小平 和良

 中国広東省の深圳は「ハードウェアのシリコンバレー」と呼ばれ、中国にそれほど関心がない人にも広く知られるようになった。スマートフォンによる決済など、ここ数年で一気に社会に溶け込んだIT技術に実際に触れるため、大企業の経営者から大学生に至るまで様々な人が深圳を訪れるようになっている。


1982年、工事中の深圳港(写真:akg-images/アフロ)
 個人や企業単位で深圳に行って視察するだけでなく、20万円程度の料金で参加できる視察パッケージツアーも増えた。ツアーにせよ、個人での訪問にせよ、旅程は似ている。民生用ドローン世界最大手のDJIやIT大手の騰訊控股(テンセント)のような有名企業やコワーキングスペース、電気街を訪問するほか、スマートフォンによる決済やシェア自転車、無人コンビニなどを体験する流れだ。

 もちろん、現地を見てその実情を知ることは重要だ。一方で、日本からの視察の一部に対しては、現地の人から批判の声が上がっているのも事実だ。批判の原因を探ると、日本人にありがちな2つのポイントが浮かび上がるとともに、日本の問題点が浮かび上がる。

@ビジネスにつながらない
 日本のビジネスパーソンが視察に来ても、ただ見て帰るだけでその後のビジネスにつながらないと嘆く現地の人は多い。これは深圳に限ったことではなく、米国のシリコンバレーなどでも同様のようだ。深圳の一部の施設は、日本人による視察については料金を取るようになっている。

 問題は日本企業の意思決定の遅さにある。

 日経ビジネス12月10日号の特集「チャイノベーション」では、誰もがしがらみなく挑戦できる深圳を表す標語として「来了就是深圳人(来たらもう深圳人)」という言葉を紹介した。

 深圳にはもう一つ、改革開放の精神を表す有名な標語がある。「時間就是金銭、効率就是生命(時は金なり、効率は生命なり)」だ。改革開放によって生まれた深圳は、その誕生の経緯からしてビジネスと経済発展を宿命づけられていたとも言える。


改革開放40周年に合わせ深圳を視察した習近平国家主席。視察した展示には「時間就是金銭、効率就是生命(時は金なり、効率は生命なり)」の標語が(写真:新華社/アフロ)
 40年で40倍超の人口になったこの都市の発展スピードを生み出したのは、カネを稼ぎ出すために猛烈な速度で動く企業や個人だ。1日決断が遅れれば、他社が類似品を作り、競争に敗れてしまうかもしれない苛烈な環境が「深圳スピード」とも言われるこの都市の文化を生み出した。

「所詮は中国」では見誤る
 会議を重ねて調整する日本企業が、この深圳スピードに合わせるのは簡単ではない。日本の大企業が深圳をなかなか活用できないのも、この点に原因がある。もちろん即断即決は拙速による失敗と隣り合わせだが、深圳のスピード感と失敗を許容する精神は学ぶべき点がある。

A上から目線が抜けない
 現在は先端的な都市とのイメージがある深圳だが、改革開放以降40年の発展の歴史において重要だったのが「世界の工場」としての役割だ。2001年に中国がWTO(世界貿易機関)に加盟したことで、外国企業による中国への投資が増え、中国は家電やパソコン、携帯電話などを製造し、輸出する「世界の工場」となった。

 現在の深圳が「ハードウェアスタートアップの聖地」と呼ばれるのも、世界の工場として電子部品や素材などの大小さまざまな工場が集積したことにより、部品の調達や試作品の製作が容易になったからだ。

 多くの日本企業も深圳や隣接する東莞の「世界の工場」を「下請け」として、安価な製品を生み出した。こうした経緯もあるからか、無意識に「所詮は中国」といった見方になりがちだ。

 もちろん実際の深圳は「先端都市」としての側面とともに、中国の都市としての猥雑さも残る。ビルの一室で手工業的に電子部品を作っている工場も未だあり、品質もピンキリ。コピー品を大量に生み出す環境があるのは確かだ。

 ただこれをもって「所詮は中国」と断じるのは危険だ。@で見た「深圳スピード」と「様々な工場が集まるエコシステム」の組み合わせは、日本の特に大企業の課題とも言える「オープンイノベーション」や「アジャイル型開発」などとの相性がいい。

 中国の技術力が高まっているのは、IT(情報技術)の発達とともに浮上してきた新しい研究開発手法と中国の文化との相性が良かったという側面もありそうだ。中国の技術力向上に対する警戒感が高まっているが、学べるところからは学ぶ姿勢は持ち続けたい。


このコラムについて
そんなに凄い? チャイノベーション
激化する米中対立。その背景には勢いを増す中国の技術力への米側の警戒感がある。実際、中国では半導体やAI(人工知能)などでスタートアップが続々と誕生。スマホ決済などライフスタイルを一変させるイノベーションも出てきた。中国発の技術革新「チャイノベーション」はそんなに凄いのか?
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/120700255/120700002/?ST=editor


 


 

そんなに凄い? チャイノベーション


深センで垣間見た「チャイノベーション」の熱源

失敗を恐れぬ中国の起業家たち

2018年12月10日(月)
広岡 延隆

 トランプ米大統領も警戒感を強めているとされる中国の技術力。半導体やAI(人工知能)などのハイテク分野では中国発のスタートアップが続々と誕生し、中国の産業高度化をけん引する役割を果たしつつある。そんなスタートアップが集まる都市の一つが香港に隣接する広東省の深圳だ。中国発技術革新「チャイノベーション」を体現するという深圳に足を運び、熱源を探ってみた。
 「何をしている! ここがどこかわかっているのか!」。ガードマンの鋭い声が響き、そのまま古い雑居ビルの事務室に連行された時は流石に冷や汗が出た。

 2009年ごろ、中国広東省の深圳を訪れた時のこと。「華強北と呼ばれる秋葉原のような電気街があり、海賊版の携帯電話がたくさん売っているらしいよ」。知人にそう聞いて足を運んだら、本当に米アップルや韓国サムスン電子を真似た海賊版の携帯電話が多数陳列されている。面白がって不用意に写真を撮っていたところを見咎められてしまった。英語で「観光客だ」と説明し続け、解放された時の安堵感は今でも覚えている。


今も電気街が華強北にはある。試作などに必要な部品がそろう
 それから9年。同地域には真新しい高層ビルが林立しており、そこかしこにあった明らかな偽ブランドの携帯電話を売るショップも見当たらなくなっていた。「いかがわしさが感じられなくなって少し残念だ」と中国人の知り合いに冗談交じりに話したら、「今時、そんな偽物を買う人なんていませんから。今の深圳は北京、上海、広州と並ぶ一線都市ですよ」と憐れむような目で見られてしまった。

 今や、生産のみならず技術開発でも日本を凌ぐ実力を身につけたとも言われる中国の製造業。その原動力の中心になって急速な発展を遂げてきたのが、深圳だ。

 農村から来た若者が小さな修理工場に雇われ、技術を身につけて起業する。香港に隣接し改革開放政策の象徴として経済特区が設けられた深圳は、かつてのアメリカンドリームさながらの立身出世が可能な街として若者を引きつけてきた。偽ブランドの携帯電話を売っていた若者たちにも、そうした背景を持っていた人が少なからずいたに違いない。

 その起業ブームがさらに加速したのが2014年以降のことだ。「大衆創業・万衆創新」(大衆の起業・万民のイノベーション)。李克強首相の打ち出したスローガンのもと、中国政府は起業やイノベーションを促進する政策を相次いで打ち出した。起業ブームに乗って生まれた企業の多くは淘汰されたが一部は生き残り、技術力を高めようとしている。

 無人で農薬などを散布できる農業用ドローンのメーカー、天鷹兄弟集団(深圳市)はその一社。創業者の李才聖氏は技術者出身ではなく、全く異なる分野の上場企業の管理職をしていたが李首相の言葉を聞いて起業しようと決意。中国で「米の父」として知られる農学者、袁隆平氏との出会いもあり、2015年3月に同社を起こした。


中国農業のIT化を後押しする天鷹のドローンと創業者の李才聖氏
 今や年間の出荷量は約1000台。「同等の散布量のヤマハ製品と比べたら10分の1の価格だ」と李氏は胸を張るが、武器は価格だけではない。農業従事者が直感的に操作できるスマホを使った飛行ルート指定機能を備える。木に引っかかって墜落しても駆動部分が壊れないようにする構造など、農業用特有のニーズを踏まえて設計開発していることが受け入れられているという。

エリートが生み出すユニコーン
 最近目立つのが高学歴の「エリート」が起業したスタートアップの躍進だ。

 普段はタブレットだが、二つ折りにするとスマートフォンに。「フォルダブル」と呼ばれる次世代スマホの本命を、韓国サムスン電子などに先駆けて発売した柔宇科技(ロヨル)の創業者、劉自鴻氏は清華大学を卒業しスタンフォード大学で博士号を取得した。シリコンバレーなど米国での人脈も持ちながら、あえて物作りのインフラが整った深圳で起業する例が増えており、10億ドルを超える資金調達に成功した「ユニコーン」と呼ばれるスタートアップも多く生まれている。ロヨルもその一社だ。

 深圳の平均年齢は34歳。若者の流入は今も続いており、多様な背景を持つ若者達が失敗を恐れずに起業するサイクルが加速している。米中の対立激化で世界景気の先行きが不透明感を増しているなどの外部リスクはあるものの、現地の起業への熱気は失われていないように感じた。


このコラムについて
そんなに凄い? チャイノベーション
激化する米中対立。その背景には勢いを増す中国の技術力への米側の警戒感がある。実際、中国では半導体やAI(人工知能)などでスタートアップが続々と誕生。スマホ決済などライフスタイルを一変させるイノベーションも出てきた。中国発の技術革新「チャイノベーション」はそんなに凄いのか?
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/120700255/120700004/?


 


インド人もガッカリ「普通、日本には行かない」インドと日本の新しい臨機応変関係
世界の中心になる「デジタル・インド」


2018年12月10日(月)
繁田 奈歩


WeWorkのようなCoWorkingスペースには、インドの数多くのスタートアップがオフィスを構える
 インドは13億人の巨大市場として過去から注目を集めてきたが、もはやその視点だけでインド市場を狙うのは得策じゃないと思っている。もちろん外国人の目からすれば、13億人の未開拓市場を狙うというのは、インド進出の一つの大きなモチベーションではある。ただし、ここインドに長く在住していると、その視点だけではインド事業の突破口をなかなか開けないのではないか、と心配になってくる。

 日本でもその他諸国でも、ほぼすべての産業でデジタルトランスフォーメーションが叫ばれ、テクノロジーとの連携が必要となってきた。その中で、インドの層の厚いテクノロジーレイヤーとの連携という道筋も、インドという市場を活用するための一つの方法であると思う。

 13億の市場を狙うという意味でもテクノロジーの影響は否定できない。ほんの5〜6年前だったら、他の地域で成功したモデルをインドに横展開するというモデルでも行けたかもしれない。でも、この数年で社会は一気に変わってしまった。イノベーションは先進国のモノであり、何年かたって新興国に展開されてくるという状況ではもはやない。

 タイムマシン経営はもはや過去の遺産となりつつある。新興国のほうが一足飛びのリープフロッグイノベーションが起きやすい中では、イノベーションは新興国のほうが生まれやすいのかもしれないし、新しいテクノロジーやサービスの需要度は新興国のほうが高いともいえる。

 その熱を受けてインドでは、WeWorkのようなCoWorkingスペースに数多くのスタートアップがオフィスを構えている。毎週のようにネットワーキングイベントを行い、スタートアップのみならず大企業との連携も推進されている。

 AI(人工知能)やブロックチェーンなどの新しい技術も一気呵成に世界に広がっている。こういった中で、世界中で人材不足が叫ばれ、世界中で新しい事業モデルや新しい事業創造が言われている。過去の勝ち組がそのまま勝ち組で残り続けられない社会となっている。また、インドの企業がインド国内市場をターゲットにするだけでなく、インドのエンジニアリングパワーを活かして諸外国の課題解決を行っている例も既にいくつも出ている。

インドの大企業もスタートアップに頼りたい
 日本でもオープンイノベーションが叫ばれるが、インドでも同じだ。とあるインドのインフラ系大企業を訪問した時に、そこの取締役が「誰かいいスタートアップ経営者経験がある人が欲しい」と突如言い出した。大企業の今までのやり方では勝てない、と。そのためには新しい風を外から入れる必要があるが、自分たちではスタートアップの気持ちはわからない、と。だからこそ、そういう人を連れてきて、彼らにスタートアップ連携や育成プログラムとの連携を任せたい、というのだ。

 さらに彼が言うには、血気盛んな若手を採用してもすぐやめてしまうことを考えたらスタートアップの気持ちがわかる人たちを経由して、目的に応じたプロジェクトを複数のスタートアップと緩やかな連携をしていきたいと言う。インドの企業だからインド人が多く、そんな彼らなら新しい産業にもどんどんついていけるんじゃないか、と私は勝手に思っていたが、なかなかことは簡単ではなさそうだ。

 インドのテクノロジーチームに熱い視線を注ぐのは、日本企業やインドの企業だけではない。最近では様々な国のスタートアップ連携の話をインド国内のあちらこちらで耳にする。イスラエル、フィンランド、エストニア、ドイツ、韓国、シンガポール等々。スタートアップだからシリコンバレーとだけ考えるのはもはや時代遅れでもある。

 イスラエルやフィンランドなどは自国の人口も少なく、市場もさほど大きくはない。自国の企業価値を向上させようと思えば外の市場への展開が必要不可欠だ。人口が少ないという側面からすれば、エンジニア人口も枯渇するわけだし、インドの理系人材の豊富さは魅力的だ。さらに自国の企業がインド市場に出ることができれば市場も拡大できる。インドと連携することによるベネフィットは短期の人材確保だけに限らないわけだ。

 フィンランドは数万人規模のAIロボティクス大学をつくり、そこにインド人の学生を誘致しようとしているという。スマートシティー関連のカンファレンスに来ていたフィンランドの起業家曰く、「まずはインドでサマースクールをやってAIやロボティクスに興味のある優秀な学生を探す。そしてフィンランドに留学してもらい、卒業後はしばらく働いてもらう。その後はインドに戻るなり、フィンランドで起業してもらうなりすればよい」。フィンランドからインドは8時間程の距離でもあり、どこの国に行くにも7〜8時間で行けるフィンランドは魅力なんだと熱く語っていた。

 イスラエルもインドに向けて積極的に動いている。昨年インド―イスラエルの首脳会談が行われ、両国の共通課題である、水分野、農業分野、防衛といった側面での協力促進をすると発表し、その中にスタートアップ連携も一つの協力テーマとして盛り込まれた。その後即座にデリーとテルアビブを結ぶ直行便が就航された。驚くべきスピード感だ。


テルアビブ直行便を宣伝するエアインディア
 ドイツ勢も勢いがある。友人が、「ボッシュは危機感がないのに新しいことを次々に仕掛けているところがすごい」と言っていたが、ドイツ勢のインドに向けての動きは日本の数歩先を行っており、さらに動いている企業の数も段違いと聞く。インド政府のスタートアップ・インディアの海外連携責任者に言わせると、ムンバイ、プネーの西部からグジャラート州にかけてドイツの動きは積極的で、既に8000社近くが様々な形で動いているという。

 日本も遅ればせながら今年5月に世耕経産相が来印した際に、バンガロールでインド日本スタートアップハブを構築すると発表し、そのローンチセミナーが9月に開催された。しかし、いくら官が動けど民間が動かない限りはなかなか大きな動きに繋がっていかないのも事実だと思う。スタートアップに限らず、日本のエンジニア不足が深刻であり、IT人材不足をインドで補えるんじゃないかという話もあちらこちらから聞かれるが、動きはスローだ。

 日本とインド。もちろん、様々な相互補完の可能性はある。エンジニア議論にしても同様で、日本はエンジニア不足、インドは若いエンジニア人材も多い。インドのスタートアップや企業の力を活用して日本のハードウエアや技術と連携させることで新興国モデルを創れるんじゃないか、という話も相互補完にはぴったりだ。さらにインドの人たちは優秀だという印象ももちろんある。

日本企業の行き過ぎた?IIT信奉
 日本企業の人たちからは「インドではIIT(インド工科大学)が優秀でしょ?だからIITから人を採用したい」と散々聞かされるが、正直こういう話にも辟易している。

 もちろんIIT出身で優秀な人も多い。一方で残念ながら全員が優秀なわけではない。私の過去の経験でも、インド最高峰の大学を出た人たちと何度も仕事をしたことがあるが、口だけな人たちも多いし、メンタルが弱く、きつく言われるとすぐにへこたれてしまう人もいたりする。

 日本ですら、東大生ばかりを取りたいのか?と聞くと、「いやー、東大生はいらないですよね」と言う人たちが、インドだとIITやIIM(インド経営大学院)ばかりを視野に入れるのもなかなか不思議な状況ではある。


AIスタートアップが大学で行ったセミナー。100人以上が集まった
 インドをどう活用するのかという「可能性議論」は、もはや10年以上行われている。コンセプトはできており、それを実行するフェーズに来ているにもかかわらず、なかなか動きが取れないというのが今のジレンマでもあるだろう。

 エンジニア不足議論一つをとってもそうだ。コンセプトはぴったりである一方で、課題も明確だ。日本のエンジニア給与水準は低い。年収1500万円まで行くITエンジニアはあまり見ない。一方でインドのエンジニアで年収1500万円を超える人たちはごまんといる。安い給料を求めて国境を越えていく人たちは残念ながら少ない。

日本のブランド力は、自分たちの妄想?
 日本、アメリカで働いた経験のあるインドの友人に言わせると、よほどのきっかけやモチベーションがなければ正直日本へは行かない、とはっきりと言う。当社のクライアントからは、「インドの人にとって日本はブランドだし、品質は高いという印象があるから、日本への関心は高いはずだ」とよくいわれるが、正直なところそうではない。もちろん、そういう話をしてくれるインドの人も数多くいるが、一方で日本企業とのビジネスのしづらさ、コミュニケーションの取りづらさを指摘する人や、そもそも日本企業と働くということを考えたこともない人たちも多いというのが実際だ。

 日本の企業にはガラスの天井というのもある。外国人は出世が限られる。日本の企業で働こうと思えば日本語の壁もある。日本の企業文化やプロジェクトの進め方の違い等もある。しかしながら課題も実は結構明確になっているのだ。これらをどう解決して、お互いがハッピーに協業できる方法を模索するかというフェーズであり、「インドと日本は協力関係が作れる!」というお題目を唱える時代はもはや終わりだ。

 「3年で会社をやめてほしくない」とクライアントは言うけれど、彼らが3年以上も満足して働ける価値を日本企業はどう出していけばいいのか、それが難しければ3〜5年いてもらえば御の字で、ヒトを入れ替えていくという考え方を取るのも一つなのだ。もちろん、人事制度などを工夫して充実したキャリアパスを提供できるビジョンを提示し、より定着率を高める努力もあったほうがよい。


ニューデリー市内にも新しいオフィスやマンションが次々に建つ
 いずれにせよ、インドから見れば日本が唯一の市場ではない。世界最強の八方美人国家であり、チャンスがあればどこにでも躊躇なく飛んでいく人たち。そんな人たち、そんな企業を惹きつけるだけの魅力をどう我々が創り上げていけるのか、そこが問われているのである。

 逆に言えば、インドは今までは大企業でなければ攻められないというなんとなくの暗黙の了解のようなものがあって、大企業の進出ばかりが言われているが、実はそんなことはない。企業の規模や企業の設立年度等はあまり関係がない。できたばかりのスタートアップであろうが、企業規模が小さかろうがそんなことは関係がない。いかにして彼らが不得手なところ、彼らの不足している点を補完できる企業や人であればいくらでもチャンスがある。

「朝令暮改」も悪くはない
 日本企業は自ら定義を決めてしまい、その枠から外れられない傾向が強いように思う。大企業は大企業として、中小企業は中小企業なりに、というのもあれば、製造業は製造業として、リテールはリテールとして、など自らの活動の範囲を自ら狭めてしまっている。定義を決めるのではなく、自分たちの強みを見いだし、その強みを市場のどこにどう活かすのか、こういった発想に切り替えることが、新しく、変化が急激に起こる市場に挑むためには大事なんじゃないかと思っている。

 時としては朝令暮改も必要だし、自分が今まで正しいと信じてきたこと、常識だと思ってきたことを捨て去らなければならないことも多い。自ら状況を見極めて知恵を絞り、行動を起こし、それを修正していくことが必要なのだ。

 今、当社は「エクサウィザーズ」(東京都港区)という日本のAI開発スタートアップのインド展開のサポートをしている。スタートアップだからとか企業規模が小さいからとかインドでは知られていないからとかそんなことは障害の一つにもなっていない。着眼点、切り込む力さえつくれればインドの人たちは話を聞いてくれるし、チャレンジの場も提供してくれる。

 一方で、この市場にどのようにアダプトしていくのかが問われるわけであり、そこの課題に積極的に取り組もうとする姿勢と、それらの課題解決の場を与えてくれるステイクホルダーに対してのベネフィットが明確であれば、インド側は協力を惜しまない。

 やる気とスピード感があって、自分たちの製品、サービスに自信がある人達であれば下手に日本で、様々な障壁にぶつかって悶々としているよりも、未知かもしれないが、新しく官民挙げて国を発展させようとしているそんな市場にチャレンジしてみるのもいいんじゃないかと切に思う。


日本のAIスタートアップである「エクサウィザーズ」がインドで開催した人工知能ワークショップ

このコラムについて
世界の中心になる「デジタル・インド」
急速に「デジタル化」が進むインド。日本では「インドにビジネスチャンスあり」と言われ続けてきたが、このデジタル化の実像を知らなければ、今どきのチャンスは見つけられない。現地に長く滞在し、エコシステムの立ち上げにも携わる日本人社長が、インドの内側からインドの今を報告する。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16nv/092700018/120300007/


 



定年バックパッカー海外放浪記

オーストラリアは深刻な労働者不足を先進国若者のワーキングホリデーと途上国出身留学生でカバーしている(下)

オーストラリア自転車&キャンプ旅2000キロ走破 第13回
2018/12/09

高野凌 (定年バックパッカー)

(2017.11.4〜2018.1.10) 68日間 総費用33万9000円〈航空券含む〉)
なでしこ女子の夢は“英語で案内できるバスガイド”

ロンセストンの造船所。タスマニア島の内陸部だが大河ティマ―川の要衝に位置し、市内から渓谷観光ボートが発着している
 12月14日。メルボルンのゲストハウスで出会ったアンリは21歳。高校卒業後にバスガイドとして2年勤務。

 アンリは初めての海外体験で、当日午後日本から到着したばかり。先輩バスガイドが英語で外人観光客にガイドしているのを見て“かっこいい”と憧れて英語習得を決意。貯金と親の援助で150万円を確保してワーホリ・ビザを申請。

 翌日銀行口座を開設して、語学学校に短期コースを申し込みに行くとのこと。それから日本人向けのミニコミ誌で仕事を探すという計画であった。


中庭から見たビクトリア女王博物館&美術館
オーストラリアでも違法労働者にはブラック職場しかない
 12月20日。タスマニア島中央の小都市ランセストンのスーパーで日本人青年二人組に遭遇。彼らによるとタスマニアは気候が穏やかでブルーベリー、いちご、チェリーなどの収穫(picking)の賃金が高いのでワーホリ志願者に人気らしい。


ロンセストンのお役所が並ぶエリア。ビクトリア朝時代の建築物が現在も現役である
 他方で違法滞在しているマレーシア人やインドネシア人などは就労ビザがない。雇用者側は最低賃金保証義務がなく、税金、社会保険、健康保険を納付する義務もないので“安く使える労働力”(cheap labor)として低賃金で酷使しているという。

 賃金未払いのケースもあるが、こうした違法滞在者は当局に訴えることもできず泣き寝入りという。

 ニューサウスウェールズのマクレーン近郊の牧場主によると悪質な牧場主は違法労働者を意図的に雇用して労務コストを抑制しているとのこと。

 途上国出身者は容易に取得できる学生ビザで入国して違法就労しているケースが多いようだ。“就労目的留学生”の行き着く先は日本と同様にブラック職場しかないのだろう。


ロンセストンの地方裁判所
フランス男子は農園仕事(farm job)で荒稼ぎ
 12月20日。ストラスブルグ出身のフランス男子とロンセストンのゲストハウスで遭遇。ワイン畑(vineyard)で植樹(planting)に従事して3カ月。

 2週間後にはタスマニア南部のホバートに移動してサクランボの収穫(cherry picking)で稼ぐ計画。重労働だが収穫量に応じた出来高払いなので一日で350豪ドル(≒3万円弱)は稼げると鼻息が荒い。


タスマニア島東海岸のスオンジ―付近のワイナリーの葡萄畑
 一般にフルーツの収穫時期は短期間なので効率的に農園から農園に移動する必要があり、移動手段(transportation)を確保するために最近中古車を買ったという。

将来の不安を抱える邦人カップル
 12月21日。ゲストハウスのキッチンで夕食を準備して邦人カップルと夕食。彼らも近隣のワイナリーの葡萄畑で働いている。

 葡萄の木の手入れは専門知識が必要だ。引退したワイナリーの職人が指導員としてワーホリの若者たちに技術指導している。老人達は作業シーズンの半年は指導員として働き、残りの半年はゴルフや釣り三昧の暮らし。セミリタイヤで豊かな老後を送れるオーストラリア社会が羨ましいとカップルは慨嘆。


葡萄園が広がる地域を走っているとワイナリーの看板に誘われる
 仕事場までの往復のため彼らは中古乗用車を購入。日本語ミニコミ誌やウェブサイトには中古車の売買広告が多数あるので日本人どうしで簡単に売買可能らしい。

 男性はイタリア語を学ぶためにイタリアの地方都市に三年留学。女性は貿易会社勤務を辞めてフランス語習得のためカナダ東部(フランス語圏)で2年ワーホリ経験。オーストラリアのワーホリは金銭面では魅力的だが、自分たちのキャリア形成には何の役にも立たないと将来への不安をのぞかせた。

ニュージーランドのカメラマン志望
 12月21日。ルームメイトの髭面青年はニュージーランド出身でカメラマン志望。政治家を被写体とするニュース写真、雑誌に載せる人物写真、個人の肖像写真などで小銭を稼いでいる。
旅行資金と生活費を稼ぐためにオーストラリアで農場仕事をしている。農場仕事は休日労働や早出・残業が不可避で体力的に厳しい。「その分稼ぎも良いけど、一生続けるのは御免だぜ」と苦笑いした。


ワイナリーのオーナー氏が自らワーホリの若者たちに作業方法を指導。白人系若者たちは半袖半ズボン姿で作業。シャルドネ、ソービ二オン・ブラン、ピノなど白ワイン用葡萄を栽培。品種毎に手入れ方法が異なりデリケートな仕事のよし。手前は若者たちが運転してきた中古車
 農場の監督の指示で夜明け前に車を運転して現場に到着。午前の仕事が一段落したら持参したサンドイッチをかじって昼食。そして日没後の午後8時過ぎまで休みなしの作業。ゲストハウスに戻ってキッチンで自炊して夕食。洗濯してシャワーを浴びて10時には就寝。繁忙期にはこうした生活が続くという。 

リンゴ園の日本人グループ
 12月22日。ロンセストンからジョージタウンを目指して北上。途中、道路沿いの果樹園で作業中の男子4人、女子5人の邦人グループを発見。

 リンゴの木の枝の剪定作業をグループで請け負ったとのこと。真夏の紫外線対策として、帽子を被りタオルやマスクで顔を隠し手袋をして長袖・長ズボンという重装備。

 脚立に登って剪定、降りて脚立の位置を動かす。また脚立に登って剪定。これを独楽鼠のように敏捷に繰り返す。私が声を掛けた女子以外は私を無視して一心不乱に作業に没頭していた。

旅先で意気投合した日本大好き台湾男女
 1月4日。タスマニア最大の都市ホバートのゲストハウスで台湾人男女と同室になった。女子はタスマニアの農場で2カ月箱詰め作業(packing)をやってきた。ワーホリ期間中も毎日台湾の両親に電話する孝行娘だ。アニメで覚えたという日本語は中々の水準。

 男子は台北でファミマの店長をしていた。キャンベラで大工の手伝いを半年やってタスマニアに来た。将来は日本でワーホリすることを熱望。

ワーホリで知り合った日韓カップル
 1月5日。隣の二段ベッドで起居しているスレンダー美人は中京圏のペットショップで働いていた。彼氏はフリーターの韓国男子。二人はパースで知り合い2年間一緒にワーホリしてきた。

 ホリデーはなくてワーキングばかりしてきたようだ。韓国男子は日本語が上手く、次は日本でワーホリすることを希望していた。


ネルソン山の山頂公園からホバート市街を望む
日本もワーホリ制度で先進国若者を受入れている
 日本は現在21カ国とワーホリ協定を締結している。オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、韓国、フランス、ドイツ、英国、アイルランド、ノルウェー、デンマーク、台湾、香港、ポーランド、ポルトガル、スロバキア。さらに2017年にハンガリー、スペイン、アルゼンチン、チェコ、チリと締結。

 政府統計によると2017年度の日本への受け入れ実績は約1万5千人。国別内訳は以下の通り:
韓国:5100人、台湾:4200人、フランス:1300人、オーストラリア:1200人、英国:900人、香港:700人、ドイツ:700人、カナダ:500人、デンマーク:200人。スペイン、ポーランド、フィンランドが100人前後。その他の国は50人未満となっている。

もっと先進国若者を短期労働者として招致できないか?
 世界各国を旅行していると『日本で働きながら長期滞在(半年から2年間くらい)したい』という希望を頻繁に聞く。先進国の若者で日本にワーホリ制度があることを知らないケースも散見される。

 日本の労働賃金水準はオーストラリアに比較すれば低いが、逆に文化・歴史・サブカルチャー・自然美・食べ物など総合力では日本の魅力はオーストラリアを凌駕している。もっとワーホリ受入れを日本は相手国にアピールすべきではないか。

 知人の若いカップルが経営している有機農法農園には常に数人の先進国の若者が住み込んで農作業を手伝っている。盆栽や植木職人見習いとして来日している外国人も多い。旅館、レストランなどの接客業でも応募者はいるのではないだろうか。

 先進国の若者が日本で働きたいというニーズと日本の人手不足をマッチングするような制度的仕組み(例えばワーホリ外国人専門の求人サイト)を拡充するとか、様々な工夫を凝らしてワーホリの来日人数を昨年実績の1万5000人から10万人程度に増やすことは日本社会にとりプラスになると思うがいかがであろうか。

⇒次回に続く

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[経世済民129] 革新投資機構、社長ら辞任、経産省と溝埋まらず 「社内会議」で消耗しているマネジャーに未来はない
革新投資機構、社長ら辞任、経産省と溝埋まらず


ニュースを斬る
「1円でもこの仕事をやった」と田中社長は高額報酬批判に反論

2018年12月10日(月)
武田 安恵、庄司 容子

 産業革新投資機構(JIC)は10日、田中正明社長ら民間出身の取締役9人が辞任するとを発表した。同機構は官民ファンドの1つで、役員の高額報酬問題を巡って経済産業省と対立を深めていた。田中社長は9月にJIC社長として就任したばかり。わずか2か月余りでトップを含む大量の役員が辞任する異例の事態となった。


産業革新投資機構の社長辞任を発表する田中正明氏(10日、東京都千代田区、写真:北山宏一)
 JICは前身である産業革新機構を改組し、今年9月に発足した。経産省は当初、田中社長に対し1人当たり最大1億円超の役員報酬案を機構側に提示、田中氏は体制強化に向けてそれを基に人選を進めた。ところが報酬が高すぎると政府内外から異論が出たために経産省は撤回。田中社長らは反発していたが、経産省との溝はこれ以上修復できないと判断した。

 辞任したのは田中社長のほか、取締役会議長を務めるコマツ相談役の坂根正弘氏ら民間出身の9人。「このチームなら間違いなく素晴らしい結果を出せたはずなので、誠に残念だ」。田中社長は10日午後の会見でこう述べた。

「お金が欲しくて来たわけではない」と主張
 1億円超という報酬案が一人歩きしたことに対して田中社長は「まったく事実に反している」と主張。会見では自身を例に挙げながら実際の報酬水準を説明した。基本給、短期業績報酬、成果報酬の合計からなる役員報酬のうち、1年目から4年目くらいまでは投資案件に対する成果報酬が出るとは考えにくいため、どんなに多くても基本給1500万円、短期業績報酬最大4000万円を合わせた総額5500万円であるとした。

 「私含む取締役の誰一人として、お金が欲しくてここに来たわけではない。これまで身に付けた知見、経験を差し出しこの国の将来がプラスになるのであれば、報酬がどんなに下がっても構わないという気持ちで来ている。私自身、仮に当初提示されたお金が1円だったとしてもこの仕事をやった」。田中社長は高額報酬批判に対して強く反論した。

 世耕弘成経済産業相は「未確定の報酬を紙で示したという事務的失態に尽きる。非を認め、ご迷惑と混乱を招いたことをお詫びしたい」と全面的に謝罪したうえで、10日付で「JIC連絡室」を設置し、2019年春までに新経営陣を招聘するための条件整備を検討するとした。一方で官民ファンドについては「リスクマネーの供給に役割がある」と述べ、続行する方針を示した。

 だが、取締役の総退陣を受けて、産業投資革新機構の活動は、事実上の休止状態となる。今回の騒動のきっかけに総額2兆円という最大の官民ファンドのあり方についても議論になりそうだ。


このコラムについて
ニュースを斬る
日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/121000911


 


 
【第35回】 2018年12月8日 前田 鎌利
「社内会議」で消耗しているマネジャーに未来はない
課長クラス以上のマネジャーにとって「会議術」は、チームの生産性を上げるために必須のスキルです。ところが、私たちには「会議術」を体系的に学ぶ機会がほとんどありませんから、悩んでいるマネジャーも多いのではないでしょうか? そこで、ソフトバンク在籍時に「会議術」を磨き上げ、マネジャーとして大きな実績を残した前田鎌利さんに『最高品質の会議術』(ダイヤモンド社)をまとめていただきました。本連載では、その内容を抜粋して掲載してまいります。


「タスクブロック」で自分の時間を確保する
 課長クラスのマネジャーにとって、会議のマネジメントは非常に重要なスキルです。チーム内の1on1ミーティング、少人数ミーティング、定例会議、部の定例会議、経営会議など、社内に存在する数多くの会議に対して適切な対応を取ることが、マネジャーとしての成果に大きく影響するのです。

 重要なのは、これらの会議を自らコントロールすることです。間違っても、朝からひらすら会議をハシゴして時間を費やす“会議ジプシー”に陥ってはなりません。辛口な言い方になってしまいますが、「社内会議」で消耗しているマネジャーに未来はないと言っても過言ではないのです。

 プレイングマネジャーであれば、なおさらです。会議に忙殺されて、夕方になってようやく自分の仕事にとりかかろうとしたら、部下から矢継ぎ早に相談を持ちかけられる。あるいは、突発的なトラブルへの対応に追い回される。そして、結局、仕事を家に持ち帰る……。これでは、ただただ消耗するだけです。そこで、ここでは“会議ジプシー”にならない方法をお伝えしたいと思います。

 まず第一に、「タスクブロック」です。
 近年は、Googleカレンダーで各自のスケジュールを共有している職場が増えていますが、この管理を適切に行う必要があります。なぜなら、「空いている」と思われれば、部下が好き放題にミーティングのアポイントを入れてきますし、他部署の会議に呼ばれる機会も増えるでしょう。

 もちろん、これらのミーティング・会議にフットワーク軽く参加することは大切なのですが、主導権を相手に握られてしまえば振り回されるばかりになってしまいます。ですから、あらかじめGoogleカレンダーに「自分のタスクのための時間」をブロックしてしまうのです。

 1on1ミーティングや少人数ミーティングを活性化するために、自席にいる時間はできるだけ多くするようにしますが、絶対に誰にも邪魔されたくない「ブロックタイム」は、社内の会議室や社外のスペースで集中して仕事をすることもありました。

 こうして、「タスクブロック」をしておくことで副次的なメリットも生まれます。というのは、突発的な案件が発生したときに、その時間を活用することができるからです。自分のスケジュールのなかに「余白」を埋め込んでおく、と言ってもいいでしょう。これは、非常に効果的ですので、強くおすすめします。

「会議時間の主導権」を握る
会議 ソフトバンク 社内プレゼン
前田鎌利(まえだ・かまり) 1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業。ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)などで17年にわたり移動体通信事業に従事。2010年に孫正義社長(現会長)の後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され第1位を獲得。孫社長に直接プレゼンして事業提案を承認されたほか、孫社長のプレゼン資料づくりにも携わった。その卓越したプレゼン力を部下に伝授するとともに、チーム内の会議も改革。超高速PDCAを回しながら、チームの生産性を倍加させて、次々とプロジェクトを成功させた。マネジャーとしての実績を評価され、ソフトバンク子会社の社外取締役をはじめ数多くのプロジェクトを任された。2013年12月にソフトバンクを退社、独立。ソフトバンク、ヤフー株式会社、大手鉄道会社などのプレゼンテーション講師を歴任するほか、UQコミュニケーションズなどで会議術の研修も実施。著書に『社内プレゼンの資料作成術』(ダイヤモンド社)などがある。
 また、会議時間の設定もできる限り主導権を握る工夫をしてください。もちろん、上司や上層部が主催する会議では不可能ですが、他部署との緊急ミーティングが必要になったような局面では重要なポイントです。

 方法は簡単です。先手を打って、時間を指定してしまうのです。こちらから他部署に依頼する場合には、自分にとって都合のよい日時候補を2〜3伝えて選んでもらうようにする。先方から依頼があった場合には、こちらは「依頼される側」でもあるので、先方が提示した日時が望ましくなければ、逆提示をするのです。

 常にこちらの都合を優先することはできませんが、「会議時間の主導権」を握る意識は強くもっておいたほうがいいでしょう。自分にとって重要度の低いミーティングであれば、場合によってはスキップしても構いません。事後の結論を伝えてもらうようにして、万一問題があれば、そのときにしかるべきアクションを起こせばいいのです。

「出ない会議」を見極める
 次に、「出る会議」と「出ない会議」を見極めるのも非常に有効です。招集されるすべての会議に出ていれば、“会議ジプシー”と化すのは当然ですから、重要度の低い会議は「出ない」と決めてしまうのです。

 見極めのポイントはシンプルです。

【出る会議】自分の存在によって意思決定に影響のある会議
【出ない会議】報告を聞くだけなど、重要な意見を求められない会議

 こうして、「出ない会議」を決めてしまえば、それだけでかなり身軽になります。社内的に参加が義務づけられている会議に「出ない」という判断をするのは難しいと考える人もいるでしょうが、そのような会議には部下に代理出席してもらえばいいのです。

 これが、部下にとっても大きなメリットをもたらします。まず、他部署のメンバーも参加する会議に顔を出すことで、社内ネットワークを広げることもできますし、そこで生まれるコミュニケーションから多くの学びを得ることができます。

 また、その会議の内容をマネジャーに報告する必要がありますから、そこで「報連相スキル」の向上も期待できるでしょう。さらに、その部下に代理出席させるということは、マネジャーが「信頼できる部下である」と社内にPRすることにもつながります。つまり、彼のプロモーションにもなるわけです。

 それでも、本人の出席が求められる場合もありますが、その場合には、「時短出席」をおすすめします。最初から、「会議には冒頭の30分しか出られないのですが、それでもよいですか?」と打診するのです。そのように申し出れば、会議の前半に自分にかかわりのある案件をもってきてくれるなど配慮を示してくれるはずです。

 もちろん、毎回「時短出席」していると人間関係に波風が立ちますが、適度に用いる分には非難されることはありません。「ここぞ」というときには、「時短出席」という切り札を使えばいいでしょう。

 また、重要性の低い会議については、「時間を削る」「回数を削る」「人数を削る」「資料を削る」ことを主催者と相談して、できる限り会議のコスト・パフォーマンスを高める提案をしてもいいでしょう。その会議を行う目的を最小の投資で果たせるのであれば、主催者も耳を傾けてくれる可能性はあると思います。それが、組織に貢献するということだと私は思います。

 とにかく、人生においても仕事においても、最も貴重なリソースは「時間」であることを絶対に忘れてはなりません。すべての人間に平等に与えられた「24時間」を、何に投資するのかを厳しく管理しなければ、疲弊するばかりで生産性は上がりません。

 特に、それ自体は「1円」も生み出さない会議には、最も厳しいタイム・マネジメントを課すべきです。私たちの人生に、ムダな会議で消耗するような余裕はありません。“会議ジプシー”には絶対になってはならないのです。読者の皆様にも、仕事を通して自分が実現したい「価値」を生み出すために、強い意志をもって会議をマネジメントするようにしていただきたいと願っております。
https://diamond.jp/articles/-/184587


 


【第15回】 2018年12月8日 小室 淑恵 :株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長
経営から「働き方改革」を求められたマネジャーが、絶対にやってはならないこと
2019年4月に罰則つき残業規制がスタートすることもあり、「働き方改革」は喫緊の課題となっている。そんななか、プレッシャーが増しているのがプレイングマネジャー。個人目標とチーム目標を課せられるうえに、上層部からは「残業削減」を求められ、現場からは「仕事は増えてるのに…」と反発を受ける。そこで、1000社を超える企業で「残業削減」「残業ゼロ」を実現してきた小室淑恵さんに『プレイングマネジャー「残業ゼロ」の仕事術』をまとめていただいた。本連載では、本書のなかから、プレイングマネジャーが、自分もチームも疲弊せずに成果をあげるノウハウをお伝えしていく。


時間をかけて「味方」を増やす
 いま、多くの会社で、経営層から現場のマネジャーに「働き方改革を進めるように」「残業削減に取り組むように」という通達が届いているのではないでしょうか?

 しかし、メンバーはただでさえ忙しくしているわけですから、マネジャーが不用意に「経営からの要請だから、やるしかないんだ」などと訴えても、余計な仕事を押しつけられるのではないかと不安に思ってしまうかもしれません。少なくとも、心理的な反発は避けられないでしょう。「働き方改革」は、現場の主体的な参画がなければ絶対に成功しませんから、メンバーにどのように働きかけるかは、非常に悩ましい問題です。

 そのために大事なのは、これまでの連載で再三お伝えしてきたように、じっくりと時間をかけて、チーム内の「関係の質」を高めておくことです。そのうえで、日ごろからメンバーの悩みや不満に耳を傾けることを心がけるといいでしょう。

 経営層に言われるまでもなく、誰だって、「もっと効率的に仕事を進めたい」「仕事に追われるのはイヤだ」などという思いをもっているものです。そんな思いに耳を傾けながら、「チーム全体で仕事の進め方を見直してみたほうがいいかもしれないね?」などと問いかけることによって、「働き方改革」への賛同者を増やしていくのです。

 特に、重要なのがムードメイカー。チームには必ず、ひとりかふたり、他のメンバーに影響力をもつ人がいます。彼らを味方につけることができれば、「やってみよう」というチームの空気をつくり出してくれるはずです。

 そのような条件が整ったら、定例会議などで「みんなで働き方改革をしたいと思っています。力を貸してくれませんか?」などと呼びかけるといいでしょう。「経営からの要請」があることは、あまり強調しないほうが無難です。あくまで、「現場発の働き方改革をしよう」と呼びかけるほうが、前向きな反応を引き出しやすいはずです。

 これから「働き方改革」が本格化すると思われますが、ここで失敗するマネジャーと成功するマネジャーを分ける最大のポイントは、「メンバーの主体性」を尊重して、引き出すことができるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。経営層に押し付けられたとメンバーに思われると、「働き方改革」はうまくいきません。ここは非常に重要なポイントなので、ぜひ、心にとめておいていただきたいと思います。

チーム全体で「働き方改革」のサイクルを回す

小室淑恵(こむろ・よしえ)
株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長
2006年に起業し、働き方改革コンサルティングを約1000社に提供してきたほか、年間約200回の講演を依頼されている。クライアント企業では、業績を向上させつつ、労働時間の削減や有給休暇取得率、社員満足度、企業内出生率の改善といった成果が出ており、長時間労働体質の企業を生産性の高い組織に改革する手腕に定評がある。主催するワーク・ライフバランスコンサルタント養成講座は全国で約1600人の卒業生を育成し、認定上級コンサルタントが各地域で中小企業の支援も行っている。政府の産業競争力会議民間議員、経済産業省産業構造審議会委員、文部科学省中央教育審議会委員、厚生労働省社会保障審議会年金部会委員、内閣府仕事と生活の調和に関する専門調査会委員などを歴任。著書に『働き方改革』『労働時間革命』(ともに毎日新聞出版)、『6時に帰るチーム術』(日本能率協会マネジメントセンター)など多数。

 メンバーの賛同が得られたら、最初に提案してほしいことがあります。
「働き方改革」についてメンバーでディスカッションをする「会議」の定期開催です。私たちはこの会議を、働き方を「カエル」・早く「カエル」・人生を「カエル」という3つの意味を込めて、「カエル会議」と名づけています。

 チームの「働き方改革」は、マネジャーがコントロールしようとしてもうまくいきません。全員で「何が問題か?」「その原因は何か?」「解決策は何か?」についてディスカッションをし、全員で実行して振り返る。このサイクルを全員で回すことによってはじめて、少しずつ「働き方」を変えていくことができるのです。

 そのためには、定期的にメンバー全員でディスカッションする「カエル会議」が不可欠。これが、「働き方改革」のエンジンとなるのです。チームの定例会議とは別に「カエル会議」を行うことに負担を覚えるメンバーもいるかもしれませんが、将来的に業務負担を軽くするための「投資」です。「必ず楽になるから、一緒に頑張ろう」と力強く背中を押していただきたいと思います。

「カエル会議」は、基本的には、1〜2週間に一度、30分〜1時間程度で開催することをおすすめしています。「働き方」を変える具体策を実行して、その効果を検証するためには、1〜2週間ほどの間隔を空けるのが望ましいからです。もちろん、繁忙期に入ったときなどには、ムリして開催する必要はありません。1ヵ月程度間隔を空けて、仕事が落ち着いてから再開しましょう。

 また、1回の会議が長時間におよぶと負担が増しますから、できれば1回30分、長くても1時間で終わるようにします。ただし、議論が十分に煮詰まらなかった場合には、ムリに結論を出す必要はありません。重要なのは、全員が腹落ちすること。次回に持ち越すことがあってもいいでしょう。

 また、人数は7〜10人がベストです。これ以上多いと、議論の焦点が定まらず収拾がつかなくなります。ですから、メンバーがこれより多い場合には、複数のチームに分けて進めていくのがいいでしょう。

最初にグランドルールを決める
「カエル会議」の開催が決まったら、まず最初にグランドルールを設定します。
建設的な「カエル会議」にするために、メンバーに守ってほしいことを明示するのです。私たちは、次のようなルールを設定することをおすすめしています。

(1)年齢・役職にかかわらず発言していい
(2)相手の意見やアイデアを否定しない
(3)テーマや議題は、毎回自分たちで考える

 お気づきのとおり、(1)と(2)は「心理的安全性」に関するルールです。「働き方改革」はチームの協働作業ですから、グランドルールで「心理的安全性」を保証しておくことは非常に重要なポイントです。

 メンバーの主体性を保証する(3)のルールも大切です。メンバーたちが問題意識をもっていることについて議論して、解決策を導き出すというプロセスを踏まなければ、誰も本気で実行しないからです。逆に言えば、あまりマネジャーがテーマや議論を主導しすぎないほうがいいということでもあります。

 もちろん、「カエル会議」をスタートさせるタイミングでは、マネジャーがある程度会議の方向性をリードする必要がありますし、議論が膠着状態に陥ったときなども、マネジャーが打開策を打ち出す必要があるでしょう。ただし、その場合でも、マネジャーはあくまでも議論の方向性を示すだけ。議論の行方をコントロールしようとしたり、結論を押しつけようとせず、メンバーの主体性を尊重するようにしてください。

 また、チームで話し合って、先ほどの3つのルール以外のルールを設定してもいいでしょう。たとえば、「議論が脱線しているときは、みんなで声をかけ合って修正する」「ほかの人が発言しているのを遮らない」などのルールをつけ加えると有意義だと思います。

 そして、「カエル会議」は楽しみながら行うのがコツです。
「よりよいチームの未来」をつくりだすための会議ですから、ふだんの会議とは違う雰囲気で行うほうがいいでしょう。業務上不可欠な会議ではなく、あくまで自主的な会議なので、メンバーが楽しめなければ長続きしません。

 場所は、景色のよい社外のミーティングスペースなど、ふだんとは違う場所で行うのもひとつの方法です。BGMをかけたり、アロマを用意してリラックスした雰囲気を演出するのも効果的。またコーヒーやお菓子を用意して話すようにすると、自然と「カエル会議」は盛り上がっていくでしょう。

 大切なのは、あまり真面目になりすぎないこと。楽しみながら、明るい未来をみんなで共有できるように努めてください。それが、「カエル会議」を成功させる最大の秘訣なのです。
https://diamond.jp/articles/-/184505
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/840.html

[経世済民129] 産業革新投資機構vs.経産省 取締役9人辞任の裏側 経産省が狙う「ゾンビ救済ファンド化」に歴戦のプロたちが反旗 上層部か
産業革新投資機構vs.経産省 取締役9人辞任の裏側
経産省が狙う「ゾンビ救済ファンド化」に歴戦のプロたちが反旗
2018.12.10(月) 大西 康之

(大西康之・ジャーナリスト)

「官民ファンド」産業革新投資機構(JIC)の田中正明社長ら、民間出身の取締役9人全員が10日、辞任を表明した。経産省からの「高額報酬批判」に端を発した経産省とJIC経営陣の喧嘩だが、この日、記者会見した田中氏は「民のベストプラクティスでやれると思ったが、(実態は)国の意思を反映する官ファンドだった」と語り、争点は「報酬ではなく方針」と主張した。安倍内閣による長期政権が続く中、「官と政の奢り」が民のプライドをないがしろにした結果である。

日経電子版が辞任の第一報
 12月9日、午後11時過ぎ、日経電子版が「JIC経営陣 辞任へ」と第一報を流した。すぐさま情報筋にアクセスすると「明日の午後、記者会見する予定だ」と返事があった。

 10日朝、JICの広報に電話して「午後記者会見があると聞いている。フリーのジャーナリストは会場に入れるか」と尋ねると「担当者が席を外しており、わかりかねます」と素気無い返事。

「会見があるかないかが分からないのか、フリーが入れるかどうかが分からないのか」と聞いても「担当者が席を外しており」とおうむ返し。「それだけ言っとけ」と命じられている広報さんをいじめても仕方ないので電話を切る。

 その後、情報筋から「記者会見は午後1時から丸の内永楽ビルのJIC本社で」と知らされる。確認のため正午にJICに電話すると「まだ何も分かりません。分かり次第、こちらからご連絡します」とさっきよりはまともな対応。それにしても予定の時間まですでに1時間を切っている。

 電話がないので永楽ビルに押しかけると、すでに受付が始まっており、会場は満員で後ろにはテレビカメラの三脚が林立している。大手メディアには何時間も前から知らせていたようだ。

どうやら大手メディアには早々に案内が回っていた模様
 午後1時、田中社長が登場し、カメラのフラッシュが焚かれる。

自らを含む取締役9人の辞任を発表する産業革新投資機構(JIC)の田中正明社長
 三菱UFJ銀行で副社長を務めた田中氏は米国勤務が長く、海外の投資家とも太い人脈を持つ。田中氏以外の8人を確認しておくと

金子恭規 代表取締役副社長

佃秀昭 代表取締役専務COO

戸矢博明 代表取締役CIO

坂根正弘 社外取締役 取締役会議長 

冨山和彦 社外取締役 報酬委員会委員長

星岳雄 社外取締役

保田彩子 社外取締役

和仁亮裕 社外取締役

辞任を決めた「その道のプロフェッショナル」たち
 金子氏は、元内科医で投資銀行のパリバ・キャピタル・マーケッツの法人事業部長を務め、自ら米国でバイオ専門のベンチャーキャピタルを経営している「海外投資のプロ」。

 佃氏は三和銀行から、企業のガバナンスに強いコンサルタント会社エゴンゼンダーに転じ日本法人の社長を務める「ガバナンスのプロ」。

 戸矢氏は大蔵省(現財務省)を飛び出し、投資銀行のゴールドマン・サックスを経てアクティブ(物言う)投資家になった「投資のプロ」。

 そこに、産業界の「ご意見番」で、安倍首相の知恵袋でもある小松製作所相談役特別顧問の坂根氏と、初代産業再生機構のメンバーで、日本の再生ファンドに黎明期から関わってきた経営共創基盤CEOの冨山氏、日本の金融システムに詳しく(競争力を失った大企業を国が支える)ゾンビ企業の研究などで知られるスタンフォード大学教授の星岳雄氏らが社外取締役として加わる。

「日本でソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)を立ち上げるなら、ベストに近いメンバー」(金融業界関係者)というメンツが、全員辞任するのだから、ただ事ではない。

 記者会見では辞任する9人のコメントをまとめた資料も配られた。

「今回の混乱の経緯はともかく、官側の提案に基づいて取締役会で正式決議したことを根底から覆されたことと、両者間の信頼関係が修復困難な中で、今後取締役会議長としてガバナンスを遂行することに確信がもてなくなった」(坂根氏)

「まことに残念なことですが、これでは内外のトッププロフェッショナルを集め(中略)、グローバルな一流どころと組んで仕事をすることは今後、極めて難しいと見るべきでしょう」(冨山氏)

「産業革新投資機構が、ゾンビの救済機関になろうとしているときに、私が社外取締役に留まる理由はありません」(星氏)

 その道のプロたちが「本格的なSWFを立ち上げよう」意気込みで集結したのに、経産省(や官邸)に翻弄された悔しさが滲み出ている。

 田中氏の発言で一番、印象に残ったのは、

「(JICでは)民のベストプラクティスを生かすのだと思っていたが、(実態は)国の意向を反映する官ファンドだった」

 の一言だった。

「実態は国の意向を反映する官ファンドだった」と悔しさをにじませる田中氏
 JICはすでに、金子氏らの活躍により、米国西海岸で最大2000億円の投資枠を持つバイオベンチャー向けの投資ファンドを立ち上げる手続きに入っていたが、経産省と財務省の待ったで白紙になった。

 田中氏は「せっかく集めた優秀な人材が雲散霧消してしまった」と悔やんで見せた。

政府がやらせたかったのは「ゾンビ企業の救済」
 田中氏らがやりたがっていたベンチャー投資を止めてまで、国はJICに何をやらせたかったのか。それは紛れもなく、星氏が指摘している「ゾンビ企業の救済」だろう。

 JICの前身で現在も活動している産業革新機構(INCJ、志賀俊之代表取締役会長)は、総合電機の負け組液晶事業の寄せ集めであるジャパン・ディスプレイ(JDI)に2750億円、ルネサスエレクトロニクスに1383億円を出資している。国際競争力を失った日本の総合電機の延命に巨額の税金を投じているのだ。

経産省の狙いはJICを「ゾンビ救済」のための機関にすること
 JICは「ゾンビを救済しない」と決めていたはずだが、そこに民と官の思惑の違いがあった。官はやはり、税金を使ってゾンビ企業を救済したいのだ。例えば債務超過を免れるための東芝メモリ売却にはINCJが一枚噛んでいるが、メモリ事業を手放した東芝はゾンビ予備軍である。トルコの原発輸出が厳しくなった三菱重工業も陸海空で失策が続く。経団連会長を輩出している日立製作所とて、盤石ではない。ゴーン前会長逮捕で揺れる日産自動車もゾンビになる恐れがある。

 官は公的資金の注入をチラつかせながら、こうした企業の再編を主導することで存在感を増したいのだろうが、それは「健全な金融機能の強化による日本の産業競争力強化」を掲げたJICと真逆の道である。今回は官に三行半を叩きつけた9人に拍手を送りたい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54916

 

上層部からの無茶振りをチームで乗り越える方法
小室淑恵氏が語るプレイングマネジャーの働き方改革(後編/全2回)
2018.12.10(月) 前田 浩弥
小室 淑恵(こむろ・よしえ)氏
ワーク・ライフバランス代表取締役社長
900社以上の企業へのコンサルティング実績を持ち、残業を減らして業績を上げるコンサルティング手法に定評があり、残業削減した企業では業績と出生率が向上している。 「産業競争力会議」民間議員など複数の公務を歴任。2児の母
 2019年4月から「働き方改革関連法」が順次施行され、「罰則付き残業時間規制」が導入される。だが、現場では「残業ゼロなんて夢物語だよ」との声も少なくない。特に人材不足に苦しむ中小企業では、マネジャーがプレイヤーを兼任したり、1人の社員が複数の業務をこなさなければビジネスが回らないというケースが少なくない。そんな状況で本当に「残業ゼロ」を実現できるのだろうか。

 小室淑恵氏が代表取締役を務める株式会社ワーク・ライフバランス(東京都・芝浦)は、これまで約1000社に働き方改革コンサルティングを提供し、「残業時間の大幅削減」と「業績向上」を実現させてきた。2018年9月に新著『プレイングマネジャー「残業ゼロ」の仕事術』(ダイヤモンド社)を上梓した小室氏に、プレイングマネジャーの仕事に焦点を当てて働き方改革を起こすためのポイントを語ってもらった。前編(「生産性向上のカギはマネジャーが頑張り過ぎないこと」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54853)に引き続き、後編ではプレイングマネジャーが上層部を納得させながら「働き方」を変えていくための方策を明らかにする。(取材・構成/前田 浩弥)

「がんじがらめ」の中でどう手を打つか
 働き方改革は、整理整頓やスケジュールの共有など、自分たちで完結できる「小さなこと」から着手し、着実に成果を挙げていくことが重要です。そうすることでメンバーのモチベーションを高めることができ、より大きな改革にも進みやすくなります。

 ただ、これだけではどうしても限界があります。自分たちのチームの「働き方」を変えるには、上層部の協力が必要不可欠になってきます。

残業ゼロを実現する「手法」を体系的にまとめた小室氏の著書『プレイングマネジャー「残業ゼロ」の仕事術』(ダイヤモンド社)
 とはいえ、組織に生きる会社員としては、上層部に「モノを申す」のはどうしてもはばかられるものです。そのため、現場に非効率性を生み出している業務フローが長く延命してしまっていることもあるでしょう。また残念なことに、「働き方改革」の必要性を十分に認識していないトップがまだ多いのも現実です。

「上層部の協力を仰ぐ」と言うのは簡単ですが、いざ実行しようとするといくつもの障害が立ちはだかっていることに気づきます。

 中には、プレイングマネジャーが「働き方改革」を起こすべくマネジメントに力を入れようとしても、そもそも会社からのノルマ自体がプレイングマネジャーに重く課せられている場合もあります。このような会社では、「マネジメントに時間を回したいから、自身のノルマを減らしてほしい」と訴えても、上層部は「自分がラクをしようとしているだけではないのか? 第一、今までこのノルマ設定で会社はうまく回っていたではないか」と理解されない場合がほとんどでしょう。

「働き方改革」を起こすにはどうにも困難な状況に思えますが、それでも「打てる手」は存在します。

まずは上層部の「不安」を解消する
 以前、小さな出版社の社員から相談を受けたことがあります。その事例をもとに考えてみましょう。

 その会社のある部署は、プレイングマネジャー1人にメンバー4人の5人構成でした。メンバーには「1人あたり年間8冊の本をつくる」、プレイングマネジャーには「年間9冊の本をつくる」というノルマが課せられています。先ほどお話ししたように「プレイングマネジャーに、ノルマがより重く課せられている」事例ですね。

 この部署は1年間で、メンバーが8冊×5人=40冊、プレイングマネジャーが9冊、合計49冊の本をつくることが求められています。

 このノルマを設定する上層部の心理を考えてみると、「会社の利益を確保するためには49冊分の売り上げが必要だ。何としてもこの部署で49冊の本をつくってくれ」というメッセージが伝わってきます。つまり上層部としては、「この部署が49冊の本をつくる」ということがとにかく大事なのです。

 そこへ、プレイングマネジャーが「マネジメントに力を入れたいから、年間のノルマを6冊にしてくれ」と訴えたとします。

 上層部はどう反応するでしょうか。「部署として1年間につくる冊数は46冊になってしまうではないか。減った3冊分の売り上げと利益はどう補填してくれるんだ」という議論になってしまうのは、目に見えています。いくら「46冊で49冊分の売り上げを達成して見せます!」と宣言したところで「どこにそんな保証があるんだ。そんな話で納得できるか」と突き返されてしまうでしょう。

 上層部が絶対に譲れない目標はトータルで「49冊」というボリュームの達成です。そもそも人口が減少していく時代の中、ボリュームで売り上げや利益を管理するのは時代遅れという説もありますが、いきなり「理詰め」で変えようとしてもうまくはいきません。まずは上層部の不安材料である「49冊」というボリュームを、部署内の工夫で達成する要があります。

大きな働き方改革は「2ステップ」で
 具体的には、どこから手をつけたらよいのでしょうか。

 ノルマからは「部署として1年間で49冊をつくりなさい」という強いメッセージを感じますが、一方で49冊の「つくり方」にはそこまでこだわっていないと想像できます。だからこそ、「つくり方」を工夫するのです。

 たとえば、「1冊の本を1人でつくり切る」という働き方を捨てる。プレイングマネジャーは年間6冊を自分の力でつくり、残りの3冊はメンバーに手伝ってもらいながらつくる。メンバーがつくる1冊1冊も、チーム間で協力し合いながらつくる。このように「メンバーが年間8冊、プレイングマネジャーが年間9冊をつくる」のと同じだけのボリュームを確保しつつ、部署内の一人ひとりのノルマを設定し直すのです。これだけで、プレイングマネジャーの負担もメンバーの負担も大きく減らすことができるはずです。

「1人1担当制」は、職人としての属人的な技を発揮しやすい働き方である半面、もしも体調を崩して長期休養を余儀なくされると、仕事が回らなくなってしまいます。1人の目しか通していないことで思わぬミスも起こり得るし、リスクの大きい働き方でもあります。

「複数担当制」でチームを回して、当面は「49冊」というボリュームを保つという方法は、単に「負担が軽くなる」という以上のメリットを部署にもたらしてくれることでしょう。

 このように、まずは上層部に求められているノルマを守りつつ、部署内のやり方を変えてみる。そしてうまく回り出したところで、次のステップとしてノルマの立て方の提案をする。こんな「2ステップ構え」で進めると、会社としての大きな「働き方改革」も起こしやすくなります。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54854
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/841.html

[経世済民129] 彼らがヤクザになった理由 過酷な環境にいた少年たちを、社会は本気で救おうとしたのか 
彼らがヤクザになった理由
過酷な環境にいた少年たちを、社会は本気で救おうとしたのか
2018.12.10(月) 廣末 登
大阪・道頓堀の繁華街
 筆者は、2003年から今日まで、ヤクザについて犯罪社会学というツールを用いて研究を続けてきた。その中で、過去100人以上のヤクザ(元ヤクザ、親分や元親分)、姐さん(組長や若中の妻)などに話に耳を傾けてきた。そして、彼らの声を、書籍として紹介するという形で、世に出してきたわけである。

 ページ上に活字で残されたヤクザたちの声というものは、よく書店で見掛ける「大組織を束ねる名が知れた大物」ではない。彼らの多くは、市井、すなわち、我々の生活空間で生き、子育てをしつつも、ヤクザとして何らかのシノギをして、細々と生きている人々である。2018年9月3日、AbemaTV(アベマTV)が企画したヤクザの日スペシャルで、「ヤクザの年収はどの程度か」と、スピードワゴンの井戸田潤氏から質問された。筆者が回答した年収額は、スタジオの出演者には衝撃的だったようである。

 ヤクザのイメージは、良かれ悪しかれマスコミによって作られている。その中で取り上げられる彼らは、ビッグショットであり、金回りが良さそうに見えるかもしれない。しかし、我々一般人でも、給与はピンキリである。自営業者でも、蔵が立つような者も居れば、春の確定申告に備えて、領収書をかき集める者もいる。表の社会も裏の社会も人間の営みであり、得てして同じようなものである。しかし、彼らの生い立ちは、我々には想像もできないほど悲惨な例が多い。今回は、ヤクザになる以外に、生きる道がなかった人たちの人生行路につき、読者の皆様にお伝えしたい。

生まれながらに背負っているもの
 人は誰しも生まれながらに背負っているものがある。それは両親から受け継ぐものが多い。

 しかし、それは、子どもの時分には、さほど重たいものではないかもしれない。だから、平均的な家庭で育った人は、昼は学校に行き、放課後は友人と遊び、帰宅して風呂に入った後、家族と食事をしてテレビを観るというありふれた日常を経験している筈である。クリスマスには、枕元にプレゼントが置かれていた記憶もあるだろうし、正月には両親や祖父母からお年玉をもらって、好きなものを買いに行った思い出もあるのではないだろうか。これが、一般的な少年時代であろう。

 では、ヤクザの人たちはどうであったか。

 一言でいえば、規格外である。クリスマスも、盆も正月もなく、常に腹を空かせ、生きることに必死であった。総じて厳しすぎる少年時代を経験している。

 筆者が取材した元ヤクザの中でも記憶に刻まれている人がいる。それは、彼らが経験した少年時代の過酷さゆえである。以下、どん底の代表格2名を紹介したい。

小学校4年生でゴミ箱を漁って飢えをしのぐ
 一人は拙著『ヤクザの幹部やめて、うどん店はじめました』(新潮社)の主人公、中本氏である。彼は小学校の4年生の時に両親が失踪し、市場のゴミ箱を漁って飢えをしのいだという。近所の人が両親の失踪に気づいて、親戚筋を探し出して預かってもらったものの、そこでの生活は野坂昭如の作品『火垂るの墓』の清太と節子を彷彿とさせる。親戚の家に住んでいながら、トイレですら屋外でさせられている。寝室も当てがわれず、廊下で寝た。たらい回しにさせられた親戚の家で、モノが無くなったら本人が疑われた。あげくの果てには、親戚の叔母ちゃんの目が悪くなったら「お前のせいだ」とまで言われ、いわれのない非難を受けている。

『ヤクザの幹部をやめて、うどん店はじめました。ーー 極道歴30年中本サンのカタギ修行奮闘記』(廣末登著、新潮社)
 当時「腕白でもいい、逞しく育ってほしい」という丸大ハムの宣伝が流れていたが、彼の場合は腕白などという上品なレベルではない。まさにサバイバルな少年時代であった。学校には行っていたのだから、本来であれば学校の先生が気付かないといけない訳だが(毎日、同じ服を着て登校しているから、彼の置かれている窮状に気づかないはずは無い)、中本氏は「何も言われなかった」と回想している。

 最初に就職した先は床屋。ここでは坊主の駆け出しで、月の給料は3万円であったという。筆者と、中本氏は、少し年齢が違うが同じ世代を生きている。筆者が中卒で世に出た頃の時給は450円だったと記憶するから、朝から晩までこき使われて月給3万円は、修行中とはいえ、割に合わない。

 そんな時、銭湯に行った時、溝下親分と出会い、彼の中でヤクザへの憧れが花開いていった。彼が理想とする男というロールモデルに出会ったからである。以降、彼はひたすら男道に生きようと研鑽努力を重ね、指定暴力団の専務理事にまで登り詰める。一体、ヤクザのサブカルチャー以外で、彼の能力を磨く場所があったであろうか。現在、繁盛うどん店を切り盛りする中本氏の人格を磨き上げたものは、決して清い水だけではない。水質の清濁を問わず、日夜磨かれ続けた結果の現在である。

小学生の妹を妊娠させた義父
 筆者が主に取材をするのは関西方面である。理由はいろいろあるが、地元で取材をすると、狭い街なので何かと面倒であるということと、九州ヤクザは口が重たいというのが主たるものである。

 2014年、西成の一角で取材した一人のヤクザの人生は、鮮烈に筆者の記憶に刻まれている。なぜなら、彼は筆者と同級生であるが、彼の少年時代は、壮絶という言葉では表現できないものであったからである。拙著『ヤクザになる理由』(新潮新書)に収録されている中から抜粋して「生の声」紹介する。

「おれの家は、オヤジが指名手配犯やったんですわ。せやから、あちこち逃げ回る生活でしたんや。おれが小学校に上がる前の年に関東で死にまして、オカンはおれを連れて、郷里(の西成)に帰ってきたんです。そんとき、オカンの腹には妹がいてましたんや。

 帰郷して直ぐに、オヤジの友人いうんがなんや世話焼く言うて、家に出入りし、そんうちにオカンと内縁関係になりよりました(義父になった)。おれとしてはどうということは無かったんですが、おれが小学一年の時に起きたある事件――言うてもしょうもないことですわ――をきっかけに、虐待が始まったとですわ(ある事件とは、アイスクリームばかり食べる彼を窘めた義父にヤマを返したこと)。

 まあ、殴る、蹴るの虐待の毎日ですわ。こっちは子どもですやん、手向かいできんかったですわ。それからですよ、路上出たんは。

 まあ、小学校低学年ですやろ、公園のオッちゃんらのタンタン(焚き火)当たりたいですが、怖いやないですか。で、あるとき、気づいたんですわ。こん人らが飲みよる酒(ワンカップ)持っていったら仲間に入れてもらえんちゃうかとね。子どもの手は、自販機に入りますから、相当抜いて持っていきましたわ。案の定、オッちゃんら喜びはって『若! 大将!』とか呼ばれて仲間になってましたわ」

『ヤクザになる理由』(廣末登著、新潮新書)
 彼は小学生の頃からスリの常習犯でもあった。小学校四年生の時には、同じような境遇の仲間を組織して電車専門スリ団を結成して新聞にも載ったほどである。子供の頃は野宿か児童相談所、教会の養護施設のどこかに居たという(この養護施設は、現在でも西成の三角公園前に存在する)。

「そないな生活のなか、初めて遊園地や動物園に連れて行ってくれたんは、近所のアニキでした。この人は、筋金入りの不良やってましたんやが、おれら子どもには優しかったんですわ。アニキに連れて行ってもらった動物園、生まれて初めて見るトラやキリン……今でも鮮明に覚えてますわ。いい時間やった。

 おれもこのアニキのようになっちゃる思うて、不良続けよったある日、まあ、いつものように年少(少年院)から出て、妹の通う小学校に行ったんですわ。すると、担任が「おまえの妹はここに居らんで」言うて、児相(児童相談所)に行け言うとですわ」

 妹は小学校5年生なのに妊娠していた。相手は彼に虐待を繰り返していた、オッちゃんだった。

「もう、アタマの中、真っ白ですわ。出刃持って家に帰りましたら、ケツまくって逃げた後やったです。あの時、もし、そのオッちゃんが家に居ったら、間違いなく殺人がおれの前歴に刻まれとった思います。

 ヤクザになったんは、それから数年してからです。動物園とかに連れて行ってくれたアニキと、久々に街で会いまして、『おまえ、どないしてんのや』言うんで、『まあ、不良やっとります』言うたんです。そしたら『そうか、ブラブラしとんのやったら、おれんとこ来い』と言うてくれました。

 それからですわ、ヤクザなったの。『よし、おれはアニキだけ見て生きてゆこう。アニキ立てるんがおれの仕事や』と、決心しましてん。アニキと看護婦の嫁さん、それとおれの3人での生活がはじまったんです」

 筆者が出会った時、彼はアニキの死を転機としてヤクザから足を洗っていた。しかし、世間の暴排の風は余りに強く、日雇いですら居場所を見いだせなかった彼は、アウトローに身を落としていた時期であった。以後、紆余曲折を経て、現在は元の組織に戻ったと聞いている。筆者は、その方がいいと思う。彼らのような経験をしてきた人でも受入れてくれる、居場所を与えてくれる社会は、まだ現在の日本には少ない。そうであれば、細々とでもヤクザとして仲間と寝食を共にする日々の方が幸せであろう。そのような観点から、三代目山口組二代目柳川組組長・谷川康太朗氏の言葉を、社会学的に捩ると「ヤクザは哀愁の共同体」であるといえるのかもしれない。

安心、安全、そして「健全な」社会へ
 暴排の嵐が吹き荒れる現在、ヤクザは反社会的集団と烙印を押され、辞めても「元暴5年条項」に基づき、5年間は銀行口座すら作れないことは前回の記事(「辞めるも残酷、残るも地獄──平成ヤクザの現在(いま)」https://post.jbpress.ismedia.jp/articles/-/54645)で紹介した。もっとも、東京都や福岡県の社会復帰協議会では、暴力団離脱者の「元暴5年条項」解除に向け、改善の方向を模索しているが、自治体ごとの温度差は否定できない。

 そうした中、世間のヤクザ観は、暴排条例制定というターニングポイントを経て、大きく変わった。ヤクザであることは自己責任であると断罪され、排除された結果、社会的孤立を招く時代である。 

 しかし、それでいいのかと、筆者は社会に問いたい。暴力団構成員、暴力団離脱者が、生まれた時から「おんどりゃあ、はんどりゃあ」と泣いて、暴力をふるっていただろうか。彼らが十数年かけて発達する中で、家族社会、近隣社会、交友と、様々な社会的諸力を受けて、暴力団加入に至っているはずである。例えるなら、人生とは様々な要因によって縒り合されたロープのようなものである。そして、その始点は、家庭である。先に紹介した事例のように、家庭に問題があって、ヤクザに進むしか選択肢がなかった人たちもいる。彼らは人生のスタート時点から放置され、過酷な人生を歩まざるを得なかった社会的被害者とみることもできよう。

「いやいや、そうした家庭に生まれても真っ当に生きている人もいる」というむきもあるかもしれない。それは、家庭に問題があったけれども、その後、発達の中で、近隣、交友、学校社会などの何れかの時点で「いい出会い」という幸運があったからではなかろうか。

 一般化するつもりはないが、筆者が取材してきたヤクザの人たちは、生まれた時から「重すぎる何か」を背負って生きていかなくてはならない境遇にあった。彼らの過酷な生い立ちを一顧だにせず、非難し、排除することは簡単である。しかし、国が再犯防止推進計画を策定し、オリンピックに向けて、安心、安全な社会を世界にアピールするのであれば、元ヤクザの人たちも社会の仲間として受入れ、やり直すチャンスを与える度量と理解を日本社会に期待する。世界に安心、安全そして健全な日本をアピールするために。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54882
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/842.html

[経世済民129] 原油価格のさらなる下落が招く金融危機の懸念 深刻化する米中貿易戦争、英国のEU離脱が新たな火種 ブレグジットの命綱をつか
原油価格のさらなる下落が招く金融危機の懸念
深刻化する米中貿易戦争、英国のEU離脱が新たな火種に
2018.12.10(月) 藤 和彦
英議会、メイ政権非難の動議可決 EU離脱案、審議初日に痛手
英国のメイ首相は、英国が明確な貿易協定を結ばないまま来年3月にEUから離脱することを阻止しようと努めている。英ロンドンの議会前に掲げられた欧州旗(2017年12月8日撮影、資料写真)。(c)Daniel LEAL-OLIVAS / AFP〔AFPBB News〕

 米WTI原油先物価格は12月6日のOPEC総会の結果を受けて前日比2.6%安の1バレル=51.49ドルに下落した。

 サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相はOPEC総会の冒頭に「相場均衡を図るため日量100万バレルの減産で十分だ」と述べた。この発言を受け、「少なくとも130万バレル以上減らさないと需給は改善しない」との見方が優勢だったことから、中東産原油の影響を受けやすい北海ブレント原油先物価格は、一時前日比5.2%安となった。

 事前予想よりも減産規模の提案が小幅だったことについて、ファリハ氏は「市場にショックを与えたくない」と述べた。だが、前日のトランプ大統領のツイートに配慮したことは間違いない。トランプ大統領は「世界は原油高を必要と考えていない。OPECは原油供給を絞るのではなく現状のままにすることが望ましい」とツイートしていた。サウジアラビア人ジャーナリスト・カショギ氏殺害に対するムハンマド皇太子の関与が米国内で取り沙汰される中でもサウジアラビアを擁護する姿勢を崩さないトランプ大統領の要請を無碍にすることはできなかったというわけだ。

増産の勢いを止めないOPEC、ロシア、米国
 小幅な減産提案であったにもかかわらず、サウジアラビアを凌ぐ原油生産国のロシアは提案に難色を示した。ロシアの反応はサウジアラビアにとって誤算だっただろう。

 事前の交渉段階で、OPEC側はロシアに対して日量25〜30万バレル規模の減産を要求したのに対し、ロシアは「その半分程度しか受け容れられない」と回答していたとの情報がある。ロシア側は「冬場の減産は技術的に難しい」としているが、「減産をして原油価格を上げてもその恩恵に浴するのはシュール企業だ」との思いもあったはずだ。

 翌7日のOPEC加盟国とロシアを中心とした非加盟国との会合で合計日量120万バレルの減産が合意された。今年10月の水準を基準として、OPECが日量80万バレル、非加盟国が同40万バレルの減産を実施する。ロシアの減産分は同22.8万バレルだが、削減は数カ月かけて段階的に行う。期間は来年1月から6月までであり、4月に会合を開いて見直しを行うこととしている。

 昨年(2017年)1月から日量180万バレルの協調減産を実施してきたOPECとロシアだったが、今年5月以降、米国のイランへの制裁が再開し世界の原油供給量が減少する事態に備え増産に舵を切った。

 10月までにイランの生産量は日量約50万バレル減少したが、ロシアの生産量は同約40万バレル、OPECの生産量は同約100万バレル、米国の生産量は同約100万バレル増加した。

 11月には、ロシアの生産量は日量1137万バレルと4万バレル減少したが、米国の生産量は同1170万バレルと過去最高を更新し、サウジアラビアの生産量は前月比65万バレル増の同1130万バレルとなった。3大産油国全体の増勢は止まらない状況である。

 これにより世界の原油市場は日量約200万バレルの供給過剰になり、11月のWTI原油価格の下落率(22%超)は10年ぶりの大きさとなった。

 減産幅が6日の提案を上回ったことからWTI原油価格は一時1バレル=54ドルまで上昇したが、その後「減産が今年半年に生じた産油量の拡大分を相殺できない」との懸念から52ドル近辺まで下落した。

米中貿易戦争の深刻な影響
 需要面に目を転じると、米国との貿易戦争が沈静化しないことから中国経済の不振がますます深刻化している。

 11月末のG20サミットの際に開催された米中首脳会談では「貿易戦争の一時停戦」が成立したかに見えた。しかし、会談当日(12月1日)に中国の大手通信事業会社である華為技術のCFOが米国のイラン制裁に違反した疑いによりカナダで逮捕されたことが明らかになると、「米中対立の深刻化への恐れ」が一段と強まった。

 中国の景況感を示す11月の製造業購買担当者指数(PMI)は50.0に下落し、景況判断の節目となるラインにまで落ち込んだ。

 市場アナリストの市岡繁男氏によれば、家計部門への貸出が鈍化したことにより住宅や自動車の販売が低調になっていることから、企業向けの貸出が増加している。

 企業向けの大口の貸出先は不動産開発会社だが、高い利回りでの社債発行が常態化し、調達コストの膨張が顕著になっている(11月20日付ロイター)。例えば、中国最大の中国恒大集団は利回り13.75%で18億ドルの社債を発行する事態に追い込まれているが、利回り急上昇の背景には中国不動産市場の冷え込みと米国の金利上昇がある。

 市岡氏は「日本のバブル崩壊は日本銀行の利上げと当時の大蔵省の総量規制がきっかけだったが、中国の場合は米国の利上げとトランプ大統領が仕掛けた貿易戦争がその役割を担うのではないか」と分析している。

 中国の金融環境が引き締まった影響は、他のアジア諸国から資金が流出する事態も招いている(11月26日付ロイター)。

 米国の金融市場も変調をきたし始めている。

 12月3日、米国の3年物国債利回りが5年物国債利回りを11年半ぶりに上回った。短期金利は政策金利の動向に影響される一方、長期金利は実体経済のファンダメンタルズを反映すると考えられていることから、短期金利が長期金利を上回ること(逆イールド化)は「ファンダメンタルズの改善を上回る利上げが行われたことにより景気後退が生じる」という解釈が成り立つ。このため「逆イールド」現象を市場関係者は「バブル崩壊のサインではないか」と受け止めたのである。

 リスク回避姿勢が強まったことで、株式などのリスク資産からの資金引き上げのムードが高まっている。その中で、原油価格が急落したことでジャンク債市場も動揺し始めている。

 米国の好調な株式市場を支える要因として、信用スプレッド(10年物国債とジャンク債の利回り差)が拡大していないことが挙げられていた。だが、ここに来てその信用スプレッドが徐々に拡大しつつある。原油市場に比べて堅調に推移している株式市場だが、原油価格の50ドル割れが続けば、株式市場にも悪影響が出る可能性が高いだろう。市場関係者の間では、2008年9月のリーマン・ショックの2カ月前に原油価格が急落した事実が囁かれ始めている。

 原油先物市場におけるヘッジファンドの買越額は、原油価格が1バレル=30ドル割れした2016年初頭の水準にまで縮小している。昨年後半からの米FRBによる量的引き締めの効果が、イラン要因が剥落したことで如実に表れてきており、今後市場では「強気材料」よりも「弱気材料」に反応する傾向が高まることが予想される。

英国のEU離脱が引き起こす金融危機
 筆者は現在の原油市場は2016年初頭と同様、金融要因に大きく影響を受ける状況になっていると考えている。特に、目先で最も心配なのは、12月11日に実施される英国のEU離脱案の議会採決である。

 メイ首相がEUと合意した案は与党でも評判が芳しくないことから、否決される可能性が高い。それによりEUと何の取り決めもないまま来年3月にEUを離脱した場合、中央銀行に当たるイングランド銀行は、「10年前に発生した世界的な金融危機よりも大きな打撃を受けるリスクがあり、来年の経済成長は最大で8%落ち込む」との見方を示している。

 もしこのような事態が発生すれば、世界の金融市場はパニックに陥るのは必至である。
 その際、最も深刻なダメージを受けるのは、10年にわたり続いた超金融緩和の恩恵を受けた「ゾンビ企業」だろう。国際決済銀行(BIS)の9月報告によれば、日本を含む世界12カ国の上場企業4万5000社の財務を分析したところ、インタレストカバレッジレシオ(営業利益割る支払利息)が1未満の企業が全体の12%あり、米国ではジャンク級の企業が過半数を占めているという。

 米FRBは11月28日に初の金融安定報告を公表し、企業債務リスクに懸念を表明しているが、国際金融市場の不調もあいまって原油価格の50ドル割れが続けばシェール企業の大量倒産が再び生じ、ジャンク債市場とリスク性の高いローン(レバレッジド・ローン)の分野が大混乱する事態が生じかねない。

 このような状況下で、リーマン・ショックの際に問題視された債務担保証券(CDO、サブプライムローンの証券化商品などを多数合成した金融商品)が生まれ変わって復活したようだ(11月22日付ブルームバーグ)。今回はジャンク債とレベレッジドローンを裏付けとしたCDOである。前回のCDOは米国の住宅価格が下落に転じると流動性が枯渇し金融危機の引き金となったが、今回も高い利回りを当てにして投資家が新種のCDOを多数保有することになれば、次の金融危機の火種になる可能性がある。

崖っぷちのサウジアラビア経済
 最後にサウジアラビア情勢である。

 カショギ氏事件以降、ムハンマド皇太子から世界の政治家たちは急速に距離を置き始めたが、民間資本はとうの昔に皇太子の元を離れている(11月27日付ブルームバーグ)。

 JPモルガン・チェースによれば、今年のサウジアラビアからの資金流出額は前年比13%増の900億ドルと同国のGDPの10%に達する見込みである。また、11月末に大手建設会社が200億ドル規模のデフォルトを起こす(11月29日付ブルームバーグ)など、雇用環境はますます悪化している。

 ムハンマド皇太子のG20出席に合わせてサウジアラビアは米国の新型迎撃ミサイルTHAAD購入(総額150億ドル)に合意したが、台所は火の車のままである。同国の外貨準備は、原油価格が上昇したにもかかわらず一向に増加していない(直近のデータでは5040億ドルであり、ピーク時より2400億ドル以上減少しているままである)。

 イエメンへの軍事介入費に加え、ドルペッグ制を採用している通貨リヤル防衛がその要因である考えられるが、このような状況で原油価格が急落したらサウジアラビア経済は「一巻の終わり」になってしまうのではないだろうか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/54897


 

メイ英首相はブレグジットの命綱をつかみ取れ
議会制民主主義が「民意」に責任転嫁する時に起きる迷走
2018.12.10(月) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年12月7日付)

英EU離脱案、12月11日に議会採決 議員ら猛反発
英議会で発言するテリーザ・メイ首相(2018年11月26日撮影)。(c)AFP PHOTO / Jessica Taylor /UK Parliament 〔AFPBB News〕

 彼らの言う「支配権を取り戻す」とは、こういうことだったのか。

 テリーザ・メイ首相の政府は、英ドーバー港に到着する欧州のフェリーに一定のスペースを割り当てる計画を策定した。

 医薬品を積んだトラックは、仏カレーから海峡を渡る許可を与えられる。重要な企業サプライチェーン向けの部品を積んだトラックも恐らく許可を得られる。

 英国の消費者は警告を受けた。新鮮な果物や野菜といった贅沢品を積み込む余地はない。

 来年3月に合意なしで欧州連合(EU)を離脱することになれば、英国の国家主権を一夜にして取り戻せる。これは間違いなく最も純粋な形のブレグジットになる。

 大陸との完全な決裂を求めている与党・保守党内の面々にとっては天恵だ。

 港と国境の開閉に関する決定は、英国政府だけが決める問題になる。EU離脱派のどぎつい言葉を使うなら、英国は束縛の鎖を振り払うということだ。

 これが流布されている理論の流れだ。ところが今、現実が姿を見せ始めている。

 カレー・ドーバー間の航路は、英国にとって最も需要な交易路だ。この航路はフランスの同意と協力を得て運営されている。

 英政府の官僚は、ブレグジット後に必然的にカレーに敷かれるEUの検査体制により、交通量――英国への輸入と英国からの輸出の双方――が8割以上減ると試算している。

 そうなれば、大多数の英国企業への物資供給が断たれ、英国のスーパーの棚に向かう多くの農産物がフランス側で足止めを食らう。主権も、もはやこれまでだ。

 首相にとっては、こうしたホラーストーリーが、EU27カ国と交渉した悲惨な離脱協定案を売り込む唯一の議論だ。

 これでは不十分だ。ブレグジットが迫ってくるにつれ、国の繁栄と安全に対するダメージが明白になっていく。

 メイ氏がまとめた合意は、一部の悪影響を遅らせ、一部の悪影響を覆い隠すが、総合すると茶番だ。

 抽象的な主権の概念と本物の国力の間の大きなギャップを、ただ願うことで解消しようとする不毛な試みだ。

 離脱協定に関する英議会の議論を注目している人たちは、唯一の大きな問題は、北アイルランドとアイルランド共和国の間の検問所のない国境を保証する「バックストップ」協定だと思ったとしても許されるだろう。

 実際には、バックストップは主権をめぐる争いの代理論争だ。

 数十年続いてきた英国と欧州の関与の貴重な本質が、主権なるものに関する難解な議論にすり替えられている。

 EU離脱派が求めている英国は、無力で孤立した英国だ。言い換えるなら、自己を傷つける無限の権利を持った国家である。

 いずれにせよ、英国の下院議員らは首相の協定案を捨て去る構えのようだ。

 保守党のカミカゼ離脱派は、「グローバル・ブリテン」を夢見るエリザベス朝風の空想にしがみついている。

 労働党のジェレミー・コービン党首は、欧州に対する見方にかけては誰にも負けないほど復古的だ。

 イングランドのナショナリストが民主主義を買収しようとするEUの試みを見て取るところに、コービン氏は労働者階級に対する悪徳資本主義者の陰謀をかぎ取る。

 大半の労働党議員は党首の陰謀論を軽蔑しているが、いざ採決となると、ただ肩をすくめ、党の方針に沿って投票する。

 様々な兆候を見る限り、英国が合意なしでEUから離脱する無秩序なブレグジットに反対する人が過半数に上っている。だが、何の目的にかなうのか。

 紆余曲折したメイ氏の妥協により、何とか切り抜けるブレグジットという考えは恐らく潰えた。

 EUとの間で、ノルウェーの協定にほぼ匹敵する取り決めをまとめる案への支持票はぎりぎり集まるかもしれない。

 だが、そうした過半数をまとめ上げる政治的リーダーシップはどこに存在するのか。

 ブレグジットはすでに、英国の国際的な地位に計り知れないほどのダメージを与えた。事態は今後、さらに悪化しかねない。

 議会で今繰り広げられている見世物を、友好国や同盟国はどう判断したらいいのか。英国の離脱の条件について政治家が互いに合意できない事態以上に屈辱的なことはないはずだ。

 これは、議会制民主主義が責任をかわそうとした時に起きることだ。国民投票は政治的な多元主義を弱める。

 マーガレット・サッチャー元首相が言っていたように、国民投票は扇動家と独裁者のお気に入りの手段だ。いわゆる民意は、自由民主主義をただの多数決主義に変えてしまう。

 今回の場合、英議会は今、大半の議員が国を貧しく、弱くすると確信しているEUとの離別を承認するよう求められているのだ。

 皮肉にも、欧州司法裁判所の法務官が命綱を投げてくれた可能性がある。

 法務官は、英国政府はEU条約によって、EU離脱を要請する第50条発動を一方的に撤回することを許されると述べた。

 裁判所として最終判断を下すのはまだ先だが、過去の前例は、判事らがこれに同意することを示唆している。ここに首相が支配権を取り戻すチャンスがある。

 ダウニング街でのメイ氏の最後の仕事――英下院の採決で敗北した後、首相の座に長くとどまれるとは考えにくい――は、ブレグジットを取り消す準備になるかもしれない。

 暫定首相として、英国が2016年に与えられなかった国民投票を実施する間、時計の針を止めてくれるようEU27カ国に要請できるだろう。

 主権国としての孤立か、それともEU加盟に伴う時に居心地の悪い権力拡大かという明確で透明性の高い選択肢を提示する国民投票だ。

 メイ氏は、保守党内の激しい分裂を避けながら英国によるEU離脱の舵取りをした指導者としてのレガシーを残したいと思っていた。

 この大義はもう失われた。いずれにせよ、英国に考え直すチャンスを与えたら、歴史はメイ氏にかなり親切になるだろう。

By Philip Stephens

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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54903
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/843.html

[経世済民129] 「ブレグジット・プレミアム」英企業襲う金利上乗せ 来週米利上げ確実も議論白熱 債券上昇リスク回避 大量のヘッジで武装せよ
2018年12月10日 ロイター
「ブレグジット・プレミアム」、英企業襲う金利上乗せ
ブレグジット・プレミアム、英企業襲う金利上乗せ
12月5日、英企業は、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)がどのような形で進もうとも業績悪化が見込まれるとして、金融市場からの資金調達で欧州の同業他社よりも高い金利、つまり「ブレグジット・プレミアム」を求められる傾向が強まっている。ロンドンの金融街で2018年9月撮影(2018年 ロイター/Henry Nicholls)
[ロンドン 5日 ロイター] - 英企業は、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)がどのような形で進もうとも業績悪化が見込まれるとして、金融市場からの資金調達で欧州の同業他社よりも高い金利、つまり「ブレグジット・プレミアム」を求められる傾向が強まっている。

 ブレグジットは期限まで4ヵ月を切ったが、英国が合意なしに離脱するリスクがくすぶり、メイ英首相がまとめた離脱協定案は11日の英下院採決で否決されるとの見方が広がっている。

 なお何らかの合意が検討される公算が最も大きく、最終的に英国がEUに残留する可能性も高まっている。しかし英企業が資金調達のために発行する社債の利回りは欧州の同業他社に比べて高く、その差はこの数年で最大に開いた。

 BNPパリバ・アセット・マネジメントのグローバル・コーポレート・クレジット部門の責任者、クリストファー・オービティー氏は「ブレグジットを巡る先行き不透明感から英企業の社債はこのところ利回りスプレッドが拡大している。英企業の社債は平均して、イタリアを除く欧州企業の社債に対してアンダーパフォームしている」と述べた。

 オービティー氏によると、10月初旬以降の社債の利回りスプレッドの拡大幅は英銀行では70ベーシスポイント(bp)程度だが、欧州企業では25bpにとどまった。通信セクターの利回りスプレッド拡大幅は英企業が同35bp、欧州企業が15bpだ。

 英通信大手ボーダフォンは先月の25億ユーロの新発債発行に当たり、投資家を集めるために利回りを30─40bp上乗せせざるを得なかった。インターナショナル・ファイナンシング・レビューによると、同業の英BTも7億5000万ポンドの長期債発行で投資家からの引き合いが弱かった。

 こうした動きから投資家の間では幅広いセクターで、ブレグジットにより英国とEU諸国の結び付きが緩むことへの警戒感がはびこっていることが読み取れる。

 また、こうした不安感は英国の内需に依存する企業の株価も圧迫しており、内需依存型企業は輸出依存型企業を大幅にアンダーパフォームしている。

 シンクタンクのNIESRによると、英国は来年3月に合意なしにEUを離脱した場合、2030年までにEU残留の場合と比べて経済が5.5%小さくなる。イングランド銀行(英中銀)はブレグジットの経済への影響について、最悪のケースでは2008─09年の世界金融危機を上回るとまで試算している。

 ブレグジット・プレミアムは幅広いセクターで見られるが、経済成長と連動する景気循環型企業と銀行の両セクターで最も顕著となっている。社債の種類ではユーロ建て債、債券市場の種類では既発債が取引される流通市場で目立っている。

 BTの2023年3月償還のユーロ建て債とドイツテレコムの2023年4月償還債の利回り差は先月、50.9bpと2年強ぶりの水準に拡大。英ロイヤル・メールのユーロ建て債もドイツやフランスの同業他社の社債との利回り差がこの1ヵ月で過去最大となった。

 英企業はこのほかセキュリティー会社のG4SやバークレイズやHSBCも社債の利回りが欧州の同業他社を上回っている。

 英国は、たとえメイ首相の離脱協定案が下院で承認されても、EU離脱で経済が悪化すると受け止められており、協定案が成立しても英企業は資金調達で欧州企業よりも高い金利を求められるとみられる。

 NIESRの試算によると、メイ首相の提案が承認されても、英国は2030年までにEU残留の場合と比べて経済が3.9%縮小する。

 ブルーベイ・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、カスパー・ヘンセ氏は「(合意のある)ソフトブレグジットであっても、英企業の欧州向け輸出の条件は不透明だ」と述べた。

(Abhinav Ramnarayan記者、Tommy Wilkes記者)
https://diamond.jp/articles/-/188034

 
メイ英首相、EU離脱協定の11日議会採決を中止−関係者
Alex Morales
2018年12月10日 20:49 JST
メイ英首相は11日に予定していた欧州連合(EU)離脱を巡るEUとの合意案の議会採決を中止したと、事情に詳しい関係者が述べた。採決を強行すれば大敗を喫するとの警告を受けたという。

  合意案の採決は11日夜に予定されていたが、日程は再設定されることになったと関係者が述べた。

  首相府は10日午前11時20分までは採決決行の姿勢を崩していなかったが、議会での圧倒的な不利が判明し、首相は再考を余儀なくされたという。

原題:May Said to Pull Parliament Vote on Her Deal: Brexit Update(抜粋)
May Said to Delay Key Vote on Brexit Deal to Avoid Huge Defeat
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-10/PJIR4W6S972G01?srnd=cojp-v2


 

来週の米利上げほぼ確実も、雇用統計受け来年に向けて議論白熱か
Jeanna Smialek、Craig Torres、Christopher Condon
2018年12月10日 15:22 JST
• 11月の雇用統計では雇用者数と賃金の伸びが予想下回る
• 現行路線の維持、ハト派的利上げ、予想外の据え置きの3シナリオ

Photographer: Andrew Harrer / Bloomberg
7日に発表された11月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数の増加幅が予想を若干下回った。米金融当局が今年4回目の利上げを決める見通しに変化はないが、同統計を受けて18、19両日の連邦公開市場委員会(FOMC)は一段と興味深いものとなる。
  金利先物の相場動向を踏まえると、投資家が織り込む来週のFOMCでの利上げ確率は70%を上回っている。このため利上げが見送られた場合、金融当局者が公に認めているよりもずっと景気に懸念を抱いているのではないかとの警戒感が金融市場に台頭しかねない。
  さらに、金融当局が市場の予想に反して金利据え置きを決めた場合、利上げを繰り返し批判しているトランプ大統領の政治的圧力に屈したとして、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が非難を浴びる事態も想定される。

  11月の雇用統計は引き続き健全な労働市場を裏付ける内容ではあったが、雇用者数に加え賃金の伸びも予想を下回っており、当局者はこれらの点について何らかの考察を加える可能性がある。FOMCで討議される可能性のある3つのシナリオを次に列挙する。
現行路線の維持
  7日発表の統計によっても、金融当局の見通しにほとんど変化はない。11月の非農業部門雇用者数の伸びは15万5000人と、今年に入ってからの平均である20万6000人よりは少なめだったものの、失業率を持続可能な水準に安定的に保つのに必要と大半のエコノミストが考える数値は大きく上回った。
  金融当局者は19日の会合終了後に最新の経済予測を公表する予定で、見通しに変化がないのであれば、来年について想定している金利の道筋を著しく変更する理由はほとんどないだろう。

パウエルFRB議長
写真家:Andrew Harrer / Bloomberg
  雇用統計を見る限り、インフレ高進を示唆する要素は皆無であり、金融当局も2%の目標前後での安定的な物価上昇を見込んでいる。同様に、失業率も3.7%と前回のFOMCの際と変わりがなく、短期的な失業率推計も据え置くことができそうだ。
  パウエル議長は6日夜の講演で、米労働市場は「極めて力強い」との認識を表明。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は4日、米経済を軌道に保つため、政策金利の「さらなる漸進的な引き上げ」が必要になると予想すると話していた。
ハト派的利上げ
  金融当局者は19日に利上げを推し進めると同時に、その後、どの程度積極的に利上げを継続するかについて、市場の予想を抑えることもあり得る。
  ノーザン・トラストのチーフエコノミスト、カール・タネンボーム氏は「われわれが『ハト派的利上げ』と呼ぶような利上げを当局が行うかどうかが焦点だ」と指摘。「先行きの見通しに多少の戸惑いを示したり、次回の利上げを検討するまでにもう少し待ちたい姿勢を見せたり」することで「ハト派的利上げ」ができるという。
  具体的にはまず、FOMC声明で金利の「さらなる漸進的な引き上げ」への言及を削除することが考えられる。このほか、経済はまだ力強いが雇用の伸びは鈍化し始めた点を強調するため、景気分析に関する文言を調整することも可能だろう。
  金融当局者の間に実際にハト派的なムードが広がっているのであれば、このところの声明で「おおよそ均衡」しているとしてきた経済見通しへのリスク判断を、下方に傾いたと明言することもできる。中道派を中心に、数人の当局者が19、20両年の利上げ回数見通しを下方修正すれば、力強いシグナルをもう1つ発することになる。
  最後に、パウエル議長はFOMC後の記者会見で自身が望むどのような方向にも市場の期待を誘導することが可能だ。パウエル議長は最近まで、「類いまれ」で「著しく前向きな」経済について語ってきた。こうした前言から後退し、金融当局が政策面で不確実な局面に入りつつあると強調することもでき、究極的には、利上げを実施したのと同じ日に金融状況の緩和をもたらすことも可能なのだ。
想定外の据え置き
  投資家はこれを想定してしないし、金融当局者もそのようなシグナルを送ってはいない。ただし、金融当局者が据え置きを決めた場合、その決定を擁護するのは容易だろう。
  インフレ加速の脅威は見られず、ちょうど当局目標の2%の水準にある。さらに、過去数十年ぶりの低失業率にもかかわらず、なぜ物価上昇の勢いに乏しいのか金融当局者にも理由が分からないように見受けられる。
  FRBのクラリダ副議長は3日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「この数十年にわたり、ディスインフレの方に力が傾いている。連邦準備制度を含め、世界各国・地域の中央銀行はディスインフレを遠ざけることに注力している」と話した。
  基調的なトレンドを捉えるダラス連銀算定のインフレ指標を見ると、3カ月連続で小幅鈍化している。
  据え置きを決めれば、金融当局者には米中通商対立や欧州の景気減速の推移に加え、金融状況引き締まりの経済へのインパクトと、その雇用への影響を検証するための一層の余裕が生じる。
  一方で、金利据え置きの場合、多くの課題が伴う。投資家は既に経済見通しに懸念を抱いており、据え置きなら一段と動揺が強まる恐れがある。パウエル議長がトランプ大統領に屈したように見えるのも問題だ。当局が公表する経済予測で来年の追加利上げ予想が引き続き示されれば、パウエル議長は記者会見で、何が引き締め再開の引き金となるのか説明しなければならないだろう。
原題:Fed Still on Track for Hike as Jobs Data Deepen 2019 Rate Debate(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-10/PJI9YM6S972901?srnd=cojp-v2

 
FOMC、3月の追加利上げの確率は50%未満−ゴールドマン
Enda Curran
2018年12月10日 14:11 JST
貿易戦争休戦が3月初めに期限切れーボラティリティー高い時期に
3月据え置き予想はFOMCの19年利上げ見通し下方修正が前提

The Marriner S. Eccles Federal Reserve building stands in Washington, D.C., U.S. Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
米ゴールドマン・サックス・グループは、連邦公開市場委員会(FOMC)が今月利上げをするものの、来年3月の追加利上げの確率が50%を若干下回る水準に低下したとの見方を示した。

  チーフエコノミストのジャン・ハッチウス氏は9日のリポートで、米中の貿易戦争休戦が3月初めに期限切れとなるため、3月のFOMCは市場のボラティリティーが高まる時期に重なるだろうと分析した。

  一方、財政政策のプラス効果とフェデラルファンド(FF)金利が中立の領域内にあることを理由に、3月利上げの可能性も十分にあるとみている。

  ハッチウス氏は据え置きと利上げの「確率が拮抗(きっこう)していることを強調したい。また、3月に利上げがないという予想はFOMCメンバーの2019年利上げ見通しが12月に3回から2回に下方修正されることを前提としており、3回にとどまれば3月利上げ確率は再び上昇する」と説明した。

  ゴールドマンは全体として、米経済が19年の大半を通じてトレンドを上回る成長率となるとともに失業率はさらに下がり、賃金と物価が緩やかに上昇すると見込んでいる。これは当局が利上げを続けられることを意味する。

  「従って、嵐は一過性で当局が正常化の道を歩み続けられるだろう。ただ、これまでより複雑な経路になるだろう」とハッチウス氏は指摘した。

原題:Goldman Says Chance of Fed Rate-Hike in March Is Now Below 50%(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-10/PJI73M6S972901?srnd=cojp-v2


 
米国債、値上がり継続で越えなければならない8.8兆円のハードル
Liz Capo McCormick
2018年12月10日 14:40 JST
12日に消費者物価指数、14日に小売売上高発表へ
11−13日に3・10・30年債入札−合計780億ドル
4月以降で最長の値上がり局面にある米国債だが、これを続けるには幾つかのハードルを越えなければならないとトレーダーらは考えている。計780億ドル(約8兆8000億円)の入札と消費者物価指数(CPI)などの重要指標だ。

  5週間の相場上昇トレンドで10年債利回りは過去6カ月での最低水準に近い。2年債と10年債の利回り格差はこの11年で最小だ。今週発表のCPIと小売売上高のデータが、7日発表された雇用統計に続き、深まる景気懸念を裏付けるかどうかに注目が集まる。

  株式相場下落をきっかけに、来年の米利上げ予想は大幅に後退。米国債利回りも低下してきた。クレディ・アグリコルの米国債トレーディング責任者、ダン・マルホランド氏は「米国債相場は相当大きく上昇してきたので、多少の反落は驚きではない。今後の供給を考えればなおさらだ」と述べた。「利上げ予想に大きなシフトがあったほか、大規模な米国債ショートポジションも今ではカバーされた」と解説した。

  10年物米国債利回りは2.85%で先週を終えた。6日には8月以来の低水準となる2.82%を付けていた。

  財務省は11日に3年債380億ドル、12日に10年債240億ドル、13日に30年債160億ドルの入札を予定している。


パウエルFRB議長フォトグラファー:Mark Kauzlarich / Bloomberg

原題:Treasuries Rally Must Clear $78 Billion Hurdle, Inflation Report(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-10/PJI8EJ6KLVR401


 

債券上昇、リスク回避で幅広い年限に買い−長期金利0.035%に低下
野沢茂樹
2018年12月10日 8:04 JST 更新日時 2018年12月10日 16:24 JST
長期金利は日銀が金融緩和策の修正を決めた7月末より前の水準
日銀のオペ減額見送りは限界に近い−SMBC日興
債券相場は上昇。長期金利は0.035%と4カ月半ぶりの低水準を付けた。世界的なリスク回避を背景とする日本株式相場の急落や円高進行に加えて、日本銀行による国債買い入れオペの結果を受けて幅広いゾーンの金利に低下圧力が掛かった。

長期国債先物12月物は前週末比19銭高の151円80銭で終了
10年物352回債利回りは、日本相互証券の前週末午後3時の参照値より2ベーシスポイント(bp)低い0.035%と、新発債としては7月20日以来の低水準
新発20年債利回りは0.56%と2bp低下
  先物は午後に一段高となり、一時151円82銭と6日に付けた中心限月ベースで2016年11月以来の高値に並んだ。その後の夜間取引では151円84銭まで上昇。

市場関係者の見方
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジスト

米利上げの早期休止観測や米中通商交渉の先行き不透明感、英議会による欧州連合(EU)離脱合意案の否決の可能性など債券買い材料は依然多い
  
SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジスト

きょうのオペ減額見送りには違和感がある。先物がこれ以上強くなれば、残存2年から7年までの利回りが完全にフラットになりかねない
日銀のオペ減額見送りは限界に近い
あすの30年債入札は、まだ買える数少ない資産の一つなので、消去法的な買いが入るのではないか
国債買い入れオペ
残存期間1年超3年以下と3年超5年以下、5年超10年以下が対象
オファー額は前回と同じ3500億円、4000億円、4500億円
SMBC日興証の竹山氏
残存1年超3年以下は応札倍率は低かったが、落札利回りをみるとやや甘めの結果
3年超5年以下と5年超10年以下の結果はしっかりだった
過去の日銀国債買い入れオペの結果一覧
背景
日経平均株価は前週末比2.1%安の2万1219円50銭で引け。一時は10月30日以来の安値
円相場は一時1ドル=112円24銭と、6日に付けた10月29日以来の円高・ドル安水準に並ぶ
7日の米10年国債利回りは5bp低い2.85%程度。この日の時間外取引は2.82%台まで低下
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.150% -0.135% 0.040% 0.560% 0.790% 不成立
前週末比 -0.5bp -0.5bp -1.5bp -2.0bp -1.5bp ー
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-09/PJB2BF6TTDSJ01?srnd=cojp-v2


 

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-09/PJB2BF6TTDSJ01?srnd=cojp-v2
「大量のヘッジで武装せよ」−変動期の2019年をJPモルガンが予想
Joanna Ossinger
2018年12月10日 16:08 JST
引き続き債券よりも株を有望視ー利益が予想上回る傾向続くと予想
ボラティリティーの逆風からポートフォリオを守るためのヘッジ推奨
  米JPモルガン・チェースはS&P500種株価指数が2019年末までに18%上昇すると見込んでいる。だからといって順調な相場上昇を予想しているわけではなく、その過程での高いボラティリティーに備える追加のヘッジを勧めている。

  7日に公表した今月の資産配分リポートで、ニコラオス・パニギリツオグル氏らストラテジストは株式のオーバーウエートを7%と9%から減らすことを推奨。商品は3%から0に下げ、現金はマイナス5%から0に引き上げた。国債は1%、社債はマイナス8%で据え置き。

  「2019年に入っても企業利益は予想を上回る傾向が続くという基本シナリオに基づき、引き続き債券よりも株を有望視している」とした上で、「市場は現在、変動期にあり、流動性の低さが相場の動きを増幅している」と分析。「ボラティリティーの逆風からポートフォリオを守るため、ボラティリティー上昇で利益が出るような、さまざまな資産クラスでの幅広いオプション構造を推奨する」としている。


原題:JPMorgan Recommends ‘Hefty Arsenal of Hedges’ for In-Flux 2019(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-10/PJICZP6KLVR401?srnd=cojp-v2

 
日本株は大幅反落、米中通商問題の深刻化や米雇用軟調−景気敏感安い
長谷川敏郎
2018年12月10日 7:54 JST 更新日時 2018年12月10日 15:11 JST
中国は華為CFO逮捕で米に抗議、米国は今後も刑事責任問う公算
11月の米雇用統計は雇用者数や平均時給が市場予想を下回る
10日の東京株式相場は大幅反落。米国と中国との通商問題の深刻化や市場予想を下回った米国の雇用統計から景気の先行き懸念が強まり、電機や機械など輸出関連、化学など景気敏感株が下落。

TOPIXの終値は前週末比30.64ポイント(1.9%)安の1589.81
日経平均株価は同459円18銭(2.1%)安の2万1219円50銭
  中国外務省の楽玉成次官は9日、米国の駐中国大使を呼び出し、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の最高財務責任者(CFO)逮捕について抗議した。ライトハイザ−米通商代表部(USTR)代表は中国企業一般について刑事責任を問うケースが今後生じる公算は大きいと警告。日本政府が華為技術と中興通訊(ZTE)の製品を政府調達から排除する方針を決めたことについて、在日中国大使館は「強烈な反対」を表明したと共同通信が伝えた。

  軟調な経済指標も相次いだ。7日に発表された11月の米非農業部門雇用者数は前月比15万5000人増、平均時給は0.2%増と、いずれも市場予想を下回った。中国の11月の輸出額は前年同月比5.4%増と市場予想の9.4%増を下回り、生産者物価指数は前年同月比2.7%上昇と、この2年余りで最も低い伸びだった。

  ニッセイアセットマネジメントの久保功株式ストラテジストは「中国はファーウェイCFO逮捕を個別企業の問題とはみておらず、通商問題解決に向けて米製品輸入や市場開放などを打ち出しにくい」と述べた。米雇用統計は「極端に悪くなかったものの、米中通商問題が悪化・長引きそうな中で景気減速への警戒感がある」と指摘する。

  アジア時間10日の米S&P500種Eミニ先物や中国上海総合指数が下落し、グローバルでの株安連鎖が警戒された。為替市場ではドル・円相場が1ドル=112円20銭台まで円高が進行、前週末の日本株終値時点は112円92銭だった。


東証33業種では電機やサービス、空運、化学、機械、食料品、ガラス・土石製品が下落率上位
鉱業と石油・石炭製品は上昇−OPECプラスは予想を上回る減産で合意
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-09/PJHQKW6KLVR501


ドル下落、米中関係悪化懸念や米利上げ鈍化観測で一時112円前半
小宮弘子
2018年12月10日 11:55 JST 更新日時 2018年12月10日 15:32 JST
ドル・円、100日移動平均線は抜けきれず
ユーロ・ドルは約3週間ぶりの水準までドル安が進行
東京外国為替市場ではドルが下落。米中関係悪化懸念や米利上げペース鈍化観測を背景に全般的なドル売り優勢の展開となり、ドル・円相場は一時1ドル=112円前半へ下落した。ユーロ・ドル相場は約3週間ぶりの水準までドル安が進んだ。

ドル・円は10日午後3時22分現在、前週末比0.2%安の112円42銭。早朝に付けた112円71銭から下落し、一時は112円24銭と6日の安値に並んだ
米株先物の下落を受けて朝方からドル売りが先行。112円20銭台の100日移動平均線を抜けきれず、午後にかけて下げ渋る
ユーロ・ドルは0.5%高の1.1437ドル。一時1.1443ドルと11月20日以来のユーロ高・ドル安水準

市場関係者の見方
ソニーフィナンシャルホールディングスの石川久美子為替アナリスト

米中関係であったり、欧州連合(EU)離脱案の英下院採決など、あまりにも不透明でネガティブな要素がありすぎる
先週末の米雇用統計もそこまで悲観する必要はないが、弱めだったので、12月の米利上げの織り込みも6割程度に後退してしまっており、その分ドルには下押し圧力
悪い材料が重なれば112円割れはありそう、今週は10月安値111円38銭ぐらいまで下を見ておいてもいい
SBI証券投信・債券部の相馬勉部長

ドル・円は112円台前半まで落ちて、あとは明日の英議会採決に向けて様子見か
英議会採決で否決となった場合、マーケットが萎縮してしまう可能性。円やスイスフランなど伝統的なところに回帰せざるをえない
外為どっとコム総研の神田卓也調査部長

ドル・円の100日移動平均線は過去半年間サポートしてきている重要な下値支持線。米雇用統計で割り込まなかったものが、ここで割り込むとも考えにくい
背景
中国外務省は9日、米国の駐中国大使を呼び出し、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)逮捕について抗議した上で、必要なら「さらなる行動」を取ると警告
米セントルイス連銀のブラード総裁は7日、米連邦公開市場委員会(FOMC)が今月動けば米国債利回り曲線の長短逆転を招く恐れがあるため、予想される12月利上げを来年1月に先送りすることを検討すべきだと発言
S&P500種ミニ先物は10日のアジア時間の取引で一時1%安。日経平均株価は一時508円安、アジア株も全面安。米10年債利回りはアジア時間に2.82%台へ低下
メイ英首相は11日の英下院での採決延期を10日に発表する可能性があると英紙サンデー・タイムズが報道。一方、英紙テレグラフは、メイ首相が採決で敗北し、EUからより良い条件を確保できない場合、退陣せざるを得ないと閣僚らが警告したと報じた
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-10/PJI1TX6S972E01?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/844.html

[経世済民129] 米株に現れた「デッドクロス」一段安を示唆か 世界的な「ファーウェイ排除」の高い代償 英国民投票やり直し愚策 リスク回避 
トップニュース2018年12月10日 / 13:55 / 2時間前更新 アングル:
米株に現れた「デッドクロス」一段安を示唆か
2 分で読む

[ニューヨーク 7日 ロイター] - 米株式市場で、株価がさらに下がる予兆とされる「デッドクロス」現象が起こった。デッドクロスとは、短期と長期の移動平均が共に下がる中で、短期が長期を下回る現象。一般的に、50日と200日の移動平均線が物差しとして使われる。

小型株の指数であるラッセル2000は11月14日にデッドクロスになっていたが、7日にはS&P総合500種株価指数.SPXもこれに加わった。

Reuters Graphic
S&P500が前回デッドクロスとなったのは2016年1月。ビスポーク・インベストメント・グループの共同創業者ポール・ヒッキー氏の調査では、1928年以来で12回しか起こっていない。

このうち10回は、デッドクロスになった1カ月後に株価がさらに下がっていた。この間の下落率は平均1.9%。

もっとも半年後には株価が上がっていることが多く、平均上昇率は7.5%となっている。

他のテクニカル指標と同様、デッドクロスにも限界がある。大規模な下落を予見できないというのがそれで、例えば2007年から09年にかけての1年5カ月間でS&P500は半分以下に下がったが、その前にはデッドクロスが起こっていなかった。

S&P500種
2633.08
.SPXCHICAGO BOARD OPTIONS EXCHANGE
+0.00(+0.00%)
.SPX
また、デッドクロスは先行指標ではなく遅行指標に過ぎないとの見方もある。ブッチャージョゼフ・アセット・マネジメントのケン・ポルカリ氏は「相場が腰折れしてからでないとデッドクロスは起こらない。今回、相場は既に下落している」と語り、今後の市場は不安定になるが、暴落はしないとの見方を示した。

S&P500は9月20日の過去最高値から10.16%下がっている。

Reuters Graphic
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
https://jp.reuters.com/article/us-stock-death-cross-idJPKBN1O90BF

 

コラム2018年12月10日 / 12:55 / 4時間前更新

世界的な「ファーウェイ排除」の高い代償
Liam Proud
2 分で読む

[ロンドン 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]を世界的に排除する動きは、すでに集中度の高い市場の競争力を削ぐ恐れがある。

こうした「反ファーウェイ」の動きは、安全性の観点から正当化できるだろうが、同時に、モバイル通信料を押し上げ、投資が減り、スウェーデンの通信機器大手エリクソンのソフト不具合が原因で6日起きたような大規模通信障害がさらに発生するリスクを生じる。

英国の携帯電話会社O2とソフトバンク(9984.T)は6日、第4世代(4G)ネットワークで通信障害が生じ、合わせて7000万人超に上る両社の携帯顧客の多くが影響を受けた。両社はエリクソン製の機器が原因と発表。エリクソンは謝罪し、障害の原因は認証期限の切れたソフトウエアであったことを明らかにした。

そのような大規模な失敗があった後は、通常株価は大幅下落するものだが、エリクソン株は5日の終値から5%上昇している。同様にフィンランドの通信機器大手ノキア(NOKIA.HE)株もほぼ同程度値上がりしている。

これは、ライバル企業ファーウェイに対する世界的な反発のおかげかもしれない。同社の孟晩舟(メン・ワンツォウ)最高財務責任者(CFO)は今月、米国の対イラン制裁違反容疑でカナダで逮捕された。

日本政府は、中央省庁などが使用する製品・サービスなどから、ファーウェイ製品を事実上排除する見通しだと、ロイターは関係筋の話として7日伝えた。英通信大手BT(BT.L)も5日、ファーウェイ製品を既存の3Gと4Gの基幹ネットワーク部分から排除し、5Gのネットワークの主要部品としても使用しないと表明。オーストラリアとニュージーランドも、自国の5Gネットワーク構築からファーウェイを締め出している。

だが、すでに市場集中度の高いセクターにおいて、低価格企業を排除することには経済的代償を伴うだろう。金融データ会社IHSマークイットによると、ファーウェイは昨年、モバイルインフラ市場の28%を占めていた。次いでエリクソンが27%、ノキアが23%だった。同市場4位で13%を占めた中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)(0763.HK) は、ファーウェイ同様の圧力にさらされており、同社の穴を埋める位置には届かない。

カナダの通信事業大手テラス(T.TO)の最高技術責任者(CTO)は、ファーウェイの低価格製品により、世界の機器価格が少なくとも15%下がったと試算している。

市場シェアをエリクソンとノキアに明け渡すことは、そうした傾向を逆行させる恐れがあり、事業者によるネットワーク投資の削減や、そのコストを顧客に転嫁する可能性があることを意味している。

また、市場集中度が一段と高まれば、今回エリクソンが引き起こしたような1社による通信ネットワーク障害が市場全体に及ぼす影響も拡大することを意味する。

SoftBank Group Corp
8616.0
9984.TTOKYO STOCK EXCHANGE
-313.00(-3.51%)
9984.TNOKIA.HEBT.L0763.HKT.TO
したがって、世界的な反ファーウェイの動きは高くつくだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-anti-huawei-price-idJPKBN1O909N

 

為替フォーラム2018年12月10日 / 17:28 / 4時間前更新
ブレグジット英国民投票のやり直し、なぜ愚策か
John Lloyd
4 分で読む

[7日 ロイター] - 英国のEU離脱(ブレグジット)が決まった2016年6月の国民投票のやり直しを願って、再度の国民投票を求める「残留派」の訴えほど、「願い事をするときは慎重に」という警句があてはまる事柄はないだろう。

もし国民投票が再び実施されれば、右派、そしてもしかしたら左派の両極で怒れる巨大なポピュリスト政党誕生という、英国がこれまで回避できていた現象への近道となりかねない。

そうなれば、英国や英国政治、欧州、そして民主主義の大義全般にとって、非常に悪いニュースになる。「彼ら」が「われわれ人民」による民主的な投票をつぶした、と受け止められるだろうし、それには一定の正当性がある。

再度の国民投票を正当化する理屈は、メイ英政権の閣僚が先月どうにか承認して議会採決が11日行われるEU離脱案か、ブレグジットの全面的撤回か、どちらかを選択する権利は国民にある、というものだ。

単なる「EUに対する不満の表明」だった2016年の国民投票と異なり、有権者が今回は十分な情報を得た上で選択するだろう、とEU残留派は主張している。

だがむろん、再投票の推進派は、ブレグジットに向けた流れが逆転することを願っている。彼らは有権者が、「合意なき離脱」が与える成長鈍化や経済ショックの可能性におびえていると考えている。こうしたリスクは、イングランド銀行(英中銀)のカーニー総裁が11月末に警告したもので、政府の公式分析もそれを裏付けている。

英国のような島国であっても、本当に「島」である国は存在しない。一時は高い支持率を誇った中道のマクロン大統領とその政党「共和国前進」に対し、左派と右派が結託してフランスで発生している、時に暴力的な衝突の盛り上がりは、「われわれ」と「彼ら」の対立のもっとも鮮明で恐ろしい例だ。

欧州全域でも不満は深く広がっており、ベルギーのルテルム元首相が6月に指摘したように、ポピュリストが「既存政治のルール拒否」で団結している。

フランスでは、燃料税引き上げに反対して主に地方で始まった通常の抗議デモが、今では革命のようなものに変化している。フィリップ仏首相は4日に引き上げを6カ月延期すると発表したが、さらなる反発を招いた。仏政府は5日夜、2019年予算案から燃料税増税を削除し、再度の導入について言及しないことで、完全降伏した。

欧州で最も強力で自信があるようにみえた政権が、そしてほんの数週間前に抗議デモに屈した前任者の轍を踏まないという賢明な判断を示した大統領が、このような対応を示したことは、欧州政府にとって、さらには世界の民主国家にとって、最悪の警告となる。

フランスは、ある年に民主的に行われた政権選択が、翌年には暴力的な抗議活動の怒りによって脅かされる、ということを示したようにみえる。こうした傾向が顕著になれば、民主主義の弔いの鐘が鳴ることになるだろう。

このような傾向が顕在化する可能性は、どの程度だろうか。政治の風向計は、さまざまな方角を示している。

極右の台頭が20世紀の負の記憶を呼び覚ますドイツでは、極右政党「ドイツのための選択肢」の支持率が夏の世論調査で17%まで増えたが、その後行われたバイエルン州やヘッセン州の議会選では左派の緑の党が躍進し、「選択肢」の得票率は約12%にとどまった。

イタリアではポピュリスト連立政権の支持率が依然として高い。国内で最も有名な政治家で反移民の立場を明確にしているサルビーニ副首相が、銃所持を自由化する法案を提案し、米国のような銃擁護のロビイストの台頭を懸念する声が出ている。中道左派の前政権がEUと合意した予算案の順守を現政権は拒否しており、EUと難しい折衝が続いている。両者とも後退できないが、妥協によって一時的な面目は保てるかもしれない。

右派ポピュリズムに免疫があると考えられていたスペインでは、新たな勢力が拡大している。新興の極右政党ボックスが、今月行われたアンダルシア自治州議会選で突如12議席を獲得し、州政府入りする可能性が出ている。同党は、移民の流入管理や、中央政府の権限強化、スペインによる文明貢献の啓蒙など、州よりも国レベルの政策を訴えている。

アンダルシアの有権者が、地方から中央への権限再委譲を訴える政党を熱心に支持したことは、分離独立を主張するカタルーニャ自治州とマドリードの中央政府の対立を生んだ、同国の先進的な地方自治制度に対する不満が高まっていることを示している。カタルーニャのような騒動は、「スペイン全体を不安定化させる極めて高い可能性をはらんでいる」と、地元コメンテーターJuan Jose Lopez Burniol氏は指摘する。

同氏の指摘は、欧州全体にあてはまる。

2019年5月の欧州議会選挙で勢力拡大を狙うポピュリスト勢力は、これまでの選挙では勝利していないが、それでも極めて大きな不安定要因になっている。

スウェーデン議会では、過半数を制した政党不在の中で、主要政党が極右スウェーデン民主党との連立を拒み、政権が樹立できずにいる。オーストリアでは、移民抑制を政策の柱とする右派連立政権に極右の自由党(FPO)が参加。国営放送や、極右支持者の人種差別的行動に対する捜査に圧力をかけようとした疑惑、さらに飲食店での喫煙禁止法案を政府が撤回したことなどで、リベラル派の怒りを買っている。

主要政党の政策運営に反発する多数の市民の存在を否定できる国はどこにもない。

米国と同様に、移民政策から環境、ジェンダー、メディア、家族や福祉に至る、あらゆるリベラルな政策に反発するポピュリストには、強力な支持が安定して集まる。リベラルや中道派が数十年にわたって権力を独占し、民衆を裏切ったとの巨大で深い感情が、そうした支持を強固なものにしている。

政治学者マーク・リラ氏がニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス誌で指摘したように、「(欧州の右派勢力の間で)思想が生まれ、国境を越えてそれを広めるネットワークが成立しつつある」。

ポピュリズムは、ただの暴力行為以上のものなのだ。

英国のリベラル派は、下院が政府のEU離脱協提案を否決すれば、国民投票をやり直し、離脱の撤回につながると期待しているのかもしれない。だが、そうなれば階級闘争が起きる。火のついたマッチを待つばかりの一触即発の状態だ。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/lloyd-brexit-idJPKBN1O90R7


 

 

トップニュース2018年12月10日 / 14:48 / 7時間前更新
日本株は一時500円超安

米株安でリスク回避:識者はこうみる

2 分で読む

[東京 10日 ロイター] - 東京株式市場で10日、日経平均株価が一時500円を超え、取引時間中としては10月30日以来、1カ月ぶりの安値水準を付けた。前週末の米国株が急落したことを受けリスク回避ムードが強まった。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●2万1000円が売り方のターゲット、それ以下は売り込めず

<大和証券 シニアストラテジスト 石黒英之氏>

米中貿易問題など、不安が先行して下げている面が大きい。クリスマス休暇に入った中長期の海外投資家も多いとみられ、短期筋主導の相場となっている。悲観相場一色なのでネガティブな材料に目がいきがちだが、日本株への評価はかなりディスカウントされているとみている。

世界景気に対する懸念が高まっているが、グローバルで低下が続いていたPMIは11月に入り前月比で横ばいになった。中国が経済政策を重視し、その効果がPMIなどの先行指標に表れつつあるが、この点は見落とされている。

また直近の米中首脳会談が象徴するように、中国側は米国に随分、融和姿勢を示すようになった。米国も利上げ一辺倒だったが、ブレーキから足を離すタイミングに差し掛かっている。2大経済大国が景気を支援する政策を講じていくのであれば、マクロの景況感は改善していく。

米国の金融政策がハト派になることでドル高が一服するといった見方から、日本株の来期業績に対する不安も出ている。ただ2016年度は10%円高が進行したにもかかわらず、日経平均採用企業の業績は3%の増益だった。09年度も10年度も円高で増益となっている。日本株はイメージだけで売られ、PER(株価収益率)も低くなっているが、日本企業は想定以上に外的変化への対応力を持っている。

来年2月末まで米中間の交渉を巡る情報が錯綜することになりそうだ。予断を許さない部分もある。一方、財新の11月中国製造業PMIは2カ月連続で改善している。この傾向が続けば、中国景気に対する過度な悲観が後退するだろう。

日経平均が2万1000円を割れた今年10月26日には国内年金勢の買い観測が聞かれた。下値では年金勢が日本株に買いを入れてくるといった記憶も投資家の脳裏にはある。売り方のターゲットは2万1000円ぐらいだろう。それより下は売り込みづらい。

●日経平均は年内に底打ち、上昇はしづらい

<野村アセットマネジメント シニア・ストラテジスト 阪井徹史氏>

日経平均株価は一時500円超、下落したが、先週の米国株市場が大幅安となった流れを引き継いだ形だ。米国では、これまで市場をけん引してきたFANG(フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、グーグルの親会社アルファベット)などが売られている。アップルも安値を更新中だ。

市場が懸念するような米経済全体の減速であれば、米債がもっと買われたりドルが売られたりしてもよいはずだが、安定成長企業の株価は高値で安定している。現在は「iPhone」需要のピークアウトやスマートフォン生産の波及効果の減退が意識されている局面だろう。

スマートフォン生産の波及効果が失われていくということが原因で、来年、再来年の企業業績が伸びないという見方が広がっている。2年も伸びない予想になるとバリュエーションも上がらない。割安感があっても買われにくく、安泰な銘柄もすでに高値にきていて上がりづらい。

来年末までの日経平均のレンジは2万1000─2万4000円を想定している。売りが一巡すれば上昇する展開もあり得るが、可能性はそれほど高くない。今年12月末までに来年にかけての安値をつけ、来年はその値段を下回らず、ただ、なかなか上がらない、そのようなイメージを持っている。
https://jp.reuters.com/article/japan-stock-instantviews-idJPKBN1O90E2

http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/846.html

[経世済民129] 意識は嘘を見抜けない 五感の価値を見直す時 理想のCEOを描いた“真実”の物語 日本では議論する前から結論が決まっている
意識は嘘を見抜けない
五感の価値を見直す時
養老 孟司:解剖学者
2018年12月10日
フェイクニュースやデマなど、嘘の情報が広く速く拡散し、政治を左右したり、企業の業績に影響を与えたりすることが、近年問題になっている。『バカの壁』『遺言。』などの著作で知られる養老孟司氏は、ニュースはそもそも記号にすぎず、受け手が存在して初めて「情報」へと変化すると述べ、嘘は「記号化する段階」「受け取る・発信する段階」「無意識の段階」の3つの段階で発生すると説く。嘘の情報の正体を知ることで、はたして我々はそれらにうまく向き合い、対処できるのかを伺った。
『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』2019年1月号より、1週間の期間限定で抜粋版をお届けする。
「情報」とは何か
編集部(以下色文字):フェイクニュースやデマなど、嘘の情報が広く速く拡散し、政治を左右したり、企業の業績に影響を与えたりすることが、近年問題になっています。
養老(以下略):これはけっこう、やっかいな問題なんです。まず、「情報」をどう定義するかを考えなくてはいけない。
 我々が日常的に見ているものは、ほとんど記号化されています。目の前に雑誌があっても、それは記号にすぎず、読まれなければ情報になりません。コンピュータやスマートフォンのディスプレーに表示されるニュースや写真も、すべてゼロか1というデジタルで記号化されたものです。
 記号はそれ単体では、記号でしかありえない。記号化されたものを人が受け取った時に情報化されて情報と呼ばれます。つまり、情報は必ず受け手が必要です。
 ニュースも単にネット上に存在するだけでは単なる記号であって、情報とは呼べないということですか。
 そうです。記号が情報化するのは、人が受け取った時で、さらに詳しく言えば人間の「意識」の働きによるものです。いくら記号を与えても、受け取り手が生きていて、意識を持たなければ情報にならない。
 意識を失っている人に、大きな声で呼びかけたり、体を揺すったりするなど、記号ではないものを与えると意識が戻ります。意識が戻った途端に、与えたものが情報化するんです。逆に言うと、意識が扱えるものを記号と呼ぶということです。このことに皆、案外、気づいていません。
 加えて、意識にどのような特徴があるかというと、扱えるのは時間的に変化しないものだけだということです。記号の大きな特徴は、時間が経っても変わらないという性質を持つことです。そのため、情報も一度情報化されると変わらないという性質を持っています。
嘘が発生する3つの段階
 では、フェイクニュースに見られるように、「嘘」はどのような過程で生まれるのでしょうか。
 嘘が生まれるのは3つの段階があります。まず、記号化する段階で嘘をついている場合です。たとえば、いまのデジタル写真は修整が容易で、記号化する段階で嘘が生じやすくなった。他にも、政治家の暴言や失言も、その場では問題にならず、後から記録された発言を見て問題になることが多い。言葉という記号にすると、具体的な状況が落ちてしまい、残ったもののほうが真実と見なされます。
 2つ目の段階はその記号を受け取る・発信する段階です。記号はそこで初めて情報化されますが、当然、受け取る機械である人の脳にバイアスがあります。そこで嘘が生まれる。特に政治の世界で、そのバイアスは顕著です。たとえばクリントン支持、トランプ支持で固まっている人は、自分の好きな情報しか受け取らない。だから堅固な支持者にどんな情報を与えても、それが真実であっても嘘であっても、意見を変えさせることはできません。
 また、情報の発信側の、情報そのものを流すか流さないか、自分に有利に働くか不利になるのかという判断も、受け手に影響を与えています。それがメタメッセージです。
 メタメッセージの典型的な例として、僕が生まれた日の新聞があります。僕が生まれたのは1937(昭和12)年11月11日です。その年の7月に盧溝橋事件が起こり、日本は中国本土で戦争を始めた。11月というとそれから4か月経っていますが、ペラ1枚の新聞は隅から隅まで、どこそこの中隊がこんな戦闘をしたという、中国本土での戦闘記事で埋められています。そこには、日本国内の火事も殺人も載っていない。限りある紙面を中国での戦闘記事だけにすることによって、いまこれ以上に重要な事件はありませんという意味を持たせているわけです。それがメタメッセージです。
 後世、それを軍国主義と呼びました。けれども、そもそも「マルクス主義」のように、当時「軍国主義」なんて理論があったわけではない。何かを主張したわけでもない。メタメッセージを生み出して、世論を操作していただけです。これは情報の加工ではなく、メッセージを発するかどうかと、受け手との関係の話です。だから嘘が発生する二段階目の問題になります。
 フェイクニュースやメタメッセージも、受け手がいなければ生じない。情報の真偽よりも、受け手のバイアスに委ねられる部分が大きいと。
 そもそもメタメッセージの場合は真っ赤な嘘というのは、ほとんどありません。もちろん、後でバレても知ったこっちゃないという、真っ赤な嘘が使われることもありますけどね。
 それよりも、いまの状況でこの情報を流すかどうかという判断が、一番大きいんです。流すことによって、得になるか損になるか。それを判断してメッセージを取捨選択しています。
 米国の大統領選挙でトランプは、どちらの支持者でもない浮動層を取り込むために、情報を流すタイミングを見事に使いこなしました。ただし、クリントンの熱烈な支持者には、トランプが発する情報は何であっても通じない。なぜなら、受け取り手にバイアスがあるからです。それが「壁」なんです。
 厳密に言うと、世の中にフェイクニュースという記号があるわけではありません。情報化するのは人が受け取ってからです。つまり、その受け取り方次第ということです。どちらにせよ根本は受け取り側にあります。結局、自分の脳に入ることしか理解できない「バカの壁」が存在するのです。
 嘘が生まれるのは、情報を記号化する段階、情報を受け取る・発信する段階と来ました。最後の第三段階はどのような構造なのでしょうか。
 ここから先はもっと根本的な問題になります。最初に申し上げたように、意識が扱えるものが記号化される。情報化するかどうかには、意識が深く関わっています。つまり、無意識のレベルでもう1つの「バカの壁」が生じていて、自身がそれに気がつけないのです。だからそこで嘘が生じたりもする。この段階は非常にやっかいなことがわかるでしょう。
「無意識」に初めて気がついたのが、ジークムント・フロイトです。フロイトは、人間の行動は無意識に支配されていると考えた。無意識とはふだんは意識されない「抑圧された意識」なんです。
 もっと簡単に言えば、抑圧された意識は、嫌なことを考えないようにして、なかったことにしてしまっている。当人はふだん意識していないが、無意識にそれを避けたり、影響されたりしているんです。
 そもそも意識は、外の世界を把握するためのものです。たとえば、自分の体の内側のこと、内面については何もわかりません。だから医者がいて、CTなどを使って体の内部を調べるわけです。
 意識は内面に気がつけないことを抱えていても、自分が一番偉いと思っている。このことがやっかいで、意識はそれくらいバカなんです。
情報化社会の正体
「意識できることだけが、記号化できる」ということは、記号化できずに無意識のうちに避けてしまっているものが、数多くあることに気がつけていないのですね。
 意識についてもう少し詳しくお話ししましょう。意識が扱えるものは記号と言いました。記号を人が受け取った時に、情報化される。記号の大きな特徴は、時間が経っても変わらないという性質です。
 たとえば、部屋の中の照明を考えてみてください。明るさはいつも同じです。戸外だったら夕方になれば、どんどん暗くなっていく。温度も変わってくるし、風の強さも違ってきます。
 感覚はこのように、ひたすら変わっていきますから、意識は扱うことができません。だから扱いやすいように記号化して、外の世界を同じにするわけです。そのためにエアコンがつくられ、地面は同じ固さで平らになるよう全部舗装する。それが情報化社会です。
 感覚は自分の中にあるものですが、外の世界と嫌でも結び付いています。けれども、記号化が進むと、現代人は感覚を無視することを覚えていくのです。
 情報化社会とは、要するにすべてが意識化された社会のことです。
 情報化社会へと変貌するのは、近代のことなのでしょうか。
 もっと前です。平安時代には、詠み人知らずの歌がたくさんありますよね。情報は残っているけど、それを発した人なんて知らないよということです。そこには人間はいない。情報化社会を先取りしている。
 その平安時代の情報化とまったく同じようなことが、現代で起こっている。いまであればそれをどう言うか。人間がいらないコンピュータの時代になると言っています。
 現代も詠み人知らずの時代で、情報はあふれているが、そこにはもう人間は不要だという点では、平安時代と同じです。
 情報はあるが、そこに人間が不要だという状況を、もう少し詳しく教えてください。
 それについて、僕がよく話すことがあります。数年前に近所の銀行に行って、ちょっとした手続きをしました。すると「先生、本人確認の書類はお持ちですか」と言われた。僕は運転免許証を持っていないからそう言ったところ、「健康保険証でもいいんですけどね」と返される。「ここは病院じゃないから保険証なんて持ってこないよ」と言うと、「困りましたね、養老先生であることはわかっているんですけどね」と(笑)。
 要するに、本人確認の書類は必要だけど、本人は必要ないということです。つまり、「情報としての私」しか、求められていない。僕はそうしたことがあると必ず引っ掛かって、本人とは何だろう、世間ではいったい何が起こっているんだと考えるんです。
 数年経って、そのことがまた頭に引っかかった時、会社勤めをしている人から「近頃の若い社員は、同じ部屋にいてもメールで報告してくる」と愚痴を聞いたんですよ。その時に、この問題が解けました。
 たとえば、上司の席に報告に行きます。すると、今朝の課長は2日酔いで機嫌悪いとか、余計な情報がいっぱい入ってくる。それは仕事上いらない情報、つまりノイズです。部下はそんな余計なものを頭に入れたくないからメールで報告するのです。銀行が手続きの時に必要なのは本人確認の書類であって、本人ではないというのも、同じ理屈です。
 現代人はノイズのない情報を求めるということですか。
 そうです。それに気がついた時、僕が現役だった25年前の東大病院を思い出しました。わざわざ病院に行ったのに、医者は患者の顔を見ずに検査の結果だけ見ていると、お年寄りからよく文句が出ていた。医者は検査の結果が平均からずれていたら、平均まで戻すための治療をします。患者は痛いだの苦しいだの、うるさくてしょうがないから、いないほうがいい。必要なのは検査結果という情報で本人はいらないわけです。
 これからコンピュータが人に置き換わる時代が来ると言っていますね。しかし、そんなのはいまに始まったことではない。もうとっくに置き換わっていますよ。情報化する、システム化するというのは、そういうことなんです。
 ノイズがないことを好むのは、人間本来の性質なのでしょうか。
 そうです。意識がそれを扱えないからです。逆に言うと、意識が扱えないからノイズになる。意識が扱えるものだけを残そうとするのが情報化社会であり、均質化が進む都市社会です。
 コンビニでたばこを買う時は、80歳を超えた僕も「20歳未満ではありません」のところをタッチしなければいけない。お店にとって私はノイズだからです。コンビニは、本当は人に買いに来てほしくない。通信販売のほうが、ノイズなしで効率的に売れますからね。だから通信販売が流行る。
 いまは人間なんていらないという社会がつくられつつあります。コンピュータが人間に置き換わるのではなくて、人間の意識が人間を追い出しているのです。
 意識が扱えるものだけが残っていくことに、どのような弊害があるのでしょうか。
 そんな世の中から、どんな人間が出てくるか。典型的なのが2016年に神奈川県相模原市で起きた障害者施設での事件です。障害があって働けず、人の世話になるだけの人に意味があるのかと犯人は言った。彼に一番欠けていたのは、人間としての謙虚さです。
 山や川に行けば石ころがゴロゴロしていますが、そこにどういう意味があるのか考えたことがありますか。それは意味がないのではなく、自分には意味がわからないだけです。そのことがわかっていることを謙虚といいます。そうでないと傲慢の極致になる。
 意味がないもの、つまり意識の中にないものをすべて排除してしまおうという考え方は非常に恐ろしい結果をもたらします。
◆嘘といかに対峙するかなど、養老猛司氏によるフェイクニュースへの洞察が語られた本稿全文は、『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』2019年1月号に掲載されています。
◆最新号 好評発売中◆
『フェイクニュース』
テクノロジーの発達やSNSの浸透により、虚偽のニュースが瞬く間に広がる時代になった。しかも、合成動画技術は真贋の見分けがつかないほどに進化している。それに伴うダメージは、企業にも急激に広がっている。専門家や学者たちも腰を上げ、いかに対応していくべきかを考え始めた。本特集では“フェイクニュース”を多面的に分析する。

【特集】フェイクニュース
◇“フェイクニュース”といかに戦うか(シナン・アラル)
◇理想のCEOを描いた“真実”の物語(ルードビック・フランソワほか)
◇フェイクニュースの3つの問題(デニース=マリエ・オードウェイ)
◇悪意なき誤情報に立ち向かう(クレール・ワードル)
◇ディープフェイク:恐るべき合成動画技術(サム・グレゴリーほか)
◇フェイクニュースの正体と情報社会の未来(山口真一)
◇意識は嘘を見抜けない(養老孟司)

http://www.dhbr.net/articles/-/5637


 

理想のCEOを描いた“真実”の物語
実証実験が示す伝播力の脅威
ルードビック・フランソワ,ドミニク・ラウズィズ:HEC経営大学院准教授
2018年12月10日
虚偽のニュースは、あっと言う間に広まり、個人や企業に多大な悪影響を及ぼす。その被害を助長する1つの仕組みが、検索アルゴリズムである。2人の大学教員が学生とともに10年間続けた、ある企業についての実証実験をもとに、そのメカニズムと伝播力の大きさを紹介する。
『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』2019年1月号より、1週間の期間限定で全文をお届けする。
ある創業企業の成功と苦境、
そして再興の物語
 ベルデン研究所は大成功を収めていた。1996年にエリック・ドゥモンピエールが設立してCEOを務めた同社は、肥満治療薬「ムトレックス」の商用化に成功した。ドゥモンピエールは瞬く間にスター経営者となり、企業の社会的責任に関する賞をいくつか獲得した。フルハイブリッド車(低公害車)には、これが人気化するずっと以前に投資していた。森林破壊を止めるためにパリとその周辺に植林をした。従業員に「連帯休暇」(人道的な活動をしている間は給与が完全に支払われる)を付与し、週32時間労働を始めたのも彼である。ドゥモンピエールは従業員に愛され、業界の各種会議や政治フォーラムで称賛され、メディアに取り上げられた。
 ところが2000年代の半ばになると、ドゥモンピエールに関する非の打ち所のない評判が非難を受け始める。ベルデンが一部の業務を海外に移し、フランスでレイオフをすることになるのではないかとの不安がささやかれた。次に、ドゥモンピエールの人道主義的なベンチャー企業は、アジアの工場で児童労働者を採用した組織のフロント企業だと暴露された。ムトレックスの深刻な副作用に関する噂が表面化し、役員の1人が自殺したが、その理由や背景はいまだ明らかでない。
 それでも、2009年までに、ベルデン研究所とドゥモンピエールはその台風を克服し、利益は爆発的に伸びた。
 しかし、ベルデンとドゥモンピエールに関して最も驚くべき事実は、その成功でも、彼らの評判がスキャンダルからどのように回復したかでもない。それは、この会社もCEOも、そもそも存在していないということである。2005年に始まり、その後10年にわたって生き続けた情報は、何から何まで大学生たちによるねつ造だったのである。本稿では、HEC経営大学院の教室で、筆者2人がどのようにして、誰も気づかないようにしてこの虚偽のニュースをつくり上げたか──そして虚偽のニュースを広げ、定着させるための技術について何を学んだかを紹介する。
レピュテーション(評判)・ゲーム
 ベルデン研究所物語の創作は、インターネット時代における企業の評判と危機管理という、HEC経営大学院で筆者らが教えている授業から生まれた。この講座で筆者らが学生たちに課した課題は単純なものだった。会社とCEOを創造し、オンライン上で増益を実現して、企業に関連する一般用語の検索ランキングでトップに入ることである。
 今回のケースでは、「CSR(企業の社会的責任)CEO」といった言葉が主なターゲットとなった。2005年、つまりこの試みを始めた初年度には、学生たちは「ベルデン」と「ドゥモンピエール」、そして「ジョン・ファンド・エクイティ」という投資パートナーとそのCEOである「エルビス・ブラウニー」、さらにベルデンの開発途上国での事業を支持するNGOといった関係者をつくり上げた。正式な報道機関と直接連絡を取り合ってはいけない、というのがこのゲームの唯一の制約だった。そこで学生たちは、ニュースリリースを配信するウェブサイトやソーシャルメディア・アカウントといったインターネットのエコシステムを立ち上げて大きくすることも、会社やその歴史、活動に関するその他の情報を広げることも、すべて自力でやらなければならなかった。
 迂回路、すなわち、1つのグループが、つくり話に基づいて会社とCEOを創造した一方で、別のグループはスキャンダルや不正行為に関するリポートでその評判をおとしめる課題を与えられた。もちろん同じツールを使い、同じルールに従った。
 そして、毎年、新しい学生の集団が仲間に加わることになっていた。どのクラスも新たな名声(ドゥモンピエールは一度「CEOオブ・ザ・イヤー」を勝ち取った)と、新たな悪評(別の都市には川が汚染されてベルデンの評判に傷がついた)をつくり出す課題を与えられた。ドゥモンピエールへのQ&Aやビデオインタビューが発表された。同社の投資パートナー、ジョン・ファンド・エクイティのウェブサイトは、ムトレックスをかつてないほどの画期的な治療法と持ち上げた。学生たちがでっち上げたNGOは、アジアでの児童労働のスキャンダルを暴露した。
 筆者らは、どちらの戦術のほうが検索ランキングのトップにたどり着きやすく、評判の上げ下げに影響を及ぼすかを知るために、悪材料と好材料について、虚偽のニュースによる綱引きを仕組んだ。2チームの学生たちはインターネット上での注目度を高めるべく競争した。というのも、企業社会では売上高モメンタムを維持するのは注目度だからだ。筆者らは自分たちのつくった情報を検索エンジンで検索する。そこで見つけた情報を筆者らが下す判断に組み入れる。人または企業の評判は、最初の検索結果ページに何が載るかで決まる。虚偽のニュースが持続すると、企業には深刻な結果をもたらす。
大成功を果たす
 最近は、嘘は事実よりも広がりやすいという研究結果が示されているが、ベルデン研究所とエリック・ドゥモンピエールの評判に関する筆者らの10年の経験は、それを裏付けている。
 経営資源は限られ、学生たちがつくったアカウントとウェブサイトは非常に幼稚なものだった。にもかかわらず、この虚偽のニュースは、何と初年度から急速に広がった。2005年には、「CSR CEO」といった一般的な用語を検索すると、エリック・ドゥモンピエールに関する情報を得ることができた。本物のジャーナリストがベルデン研究所とムトレックスに関する話題を取り上げた。
 2010年、「CSRマネジャー」で検索した時の最初の検索結果は、「ル・ポスト」というフランスのニュースサイトに載った記事だった(この記事は、2012年にハフィントンポストがこのサイトを買収した時に、ル・ポストの他のコンテンツとともにすべて削除された。この記事に関するリンクはオンライン上で見ることができるものの、そこを訪問すると、ハフィントンポストのフランス語版のホームページにリダイレクトされる)。ベルデン研究所とドゥモンピエールに関する話題は、ソーシャルメディアのスレッドや掲示板にも広がっている。
 学生たちの試みが成功した兆候はほかにもある。ベルデン研究所に履歴書を送った就職希望者が複数いたし、さらに、ムトレックスが無認可で販売されていることはけしからん、という抗議を、実在する医薬品会社から受けさえした。
 この講座は2014年に終了したが、その後数年経った現在でさえ、ウェブ検索をすると、ベルデン研究所やドゥモンピエール、その他架空の組織に関する2万件を超える検索結果を得ることができる。虚偽のニュースは、中国のネット検閲システム「グレートファイアウォール」さえくぐり抜けた。筆者らの同僚の1人が中国で検索したところ、ベルデン研究所関連の検索結果が4000件ほどヒットしたのだ。
なぜ成功したのか
 虚偽のニュースの拡散に関する調査を見ると、学生たちは、学会がそれ以前の数十年間にこうした現象の牽引力と見なしていた意思疎通の技術を使っていた。現在の読者は、淡々と語られた物語よりも、たとえば恐怖(汚染された河川)、嫌悪感(児童労働)、驚きまたは喜び(週32時間労働)といった情に訴える活きいきとした記事ほど、多く広めようとするだろう。さらに、「ベルデンが化学物質の流出を報告した」という言い方よりも、「ベルデンは、私たちの都市公園に接する川に非常に有害な、発がん性の化学薬品を投棄した」のほうがずっと効果的だ。学生たちはこうした理解に基づいて、自分たちのつくったニュースの拡散に努めた。
 さらに、自分たちがつくったサイトとアカウントの仕組み全体で再投稿、再リンクを繰り返し行って信憑性を高めた。その結果、しまいには、アルゴリズムがベルデン関連のニュースを検索結果リストのトップに引き上げるに至ったのだ。研究者たちは、何度も繰り返されると、虚偽のニュースが正確であるとの認識が高まると指摘している。親近感が信憑性を高めるというわけだ。
 さらに、新しい記事をつくるとともに、古い記事をリサイクルすることで、虚偽のニュースの粘着性を高めた。各講座に参加した学生たちは、単に新しい好材料と悪材料をつくっただけではなかった──過去に創作したニュースを何度も引用し、お気軽なウェブユーザーやジャーナリスト、活動家、ブロガーに取り上げられ、何度も投稿されるような、長い物語に貢献する一連の記事を仕立て上げた。この粘着性によって、1つの物語は単に記憶に残る以上の存在となった──そこで語られている情報が事実でないことがわかった後も、読者の意思決定を積極的に刺激しているのである。
現在はどうなっているか
 虚偽のニュースが注目されているのは、今日の政治に一定の影響を及ぼしているからだが、より陰湿と思われるのは、それがビジネスや経済の場で利用されているからだ。たとえば、2013年に始まった地中海クラブの買収合戦の最中、金融アナリストたちは、イタリア人実業家アンドレア・ボノミよりも中国企業「復星集団」(最終的な買い手となった)を支持する記事をいっせいに書いていた。
 スノープスやエマージャントといったファクトチェック(事実検証)サイトは、企業の評判を傷つけるような虚偽のニュースの絶え間ない流れを詳細に記録している。たとえば、次のような根も葉もない噂である。ペプシコのCEOがドナルド・トランプの支持者に「他社と取引すればいい」と言った、マクドナルドはすべてのレジ係をロボットに置き換えてビッグマックの販売を停止する、そして(あらゆる企業の中で!)フェイスブックは26人の「友達」だけからのニュースフィードしか示さないアルゴリズムを新たに始めた、などである。
 KFC(ケンタッキーフライドチキン)の一部店舗でマリファナが発売されるという、かなり流布したニュースは、当然のことながら偽であることが判明した。スターバックスの「感受性訓練デー」は、今年(2018年)初めに話題になったが、CEOのケビン・ジョンソンが「有色人種のお客様は(中略)列の前に移動することが許されます」と言ったという虚偽のニュースも、その一例だ。
 投資家とトレーダーは、短期的な急落を狙って株価を刺激しようするサイトが発する虚偽のニュースと格闘している。株を意図的に操作する試みは昔から行われているが、現在は、急速に利用頻度が高まっているアルゴリズムを使う株価操作スキームが横行している。
 筆者らの講座に参加した学生たちは大集団だったわけではなく、2ヵ月で18時間という短期間の取り組みが引き継がれていったにすぎない。にもかかわらず彼らがつくり出した完全なつくり話は、数千にも及ぶインターネット上の反応を生み出した。虚偽のニュース、コメント、分析を融合させてウェブの世界に浸透させることが成功したという事実は、この種の長期的な影響戦略の危険性を示唆している。
 十分な資金力に支えられた、専門的な「フェイク・ジャーナリスト」が、筆者らの評判ゲームよりもはるかに大きく、ずっと高度な方法で虚偽報道を仕組んでつくり上げる様子を思い浮かべるのに、想像力は大していらないだろう。欺瞞の規模が、検索アルゴリズムによって増幅されてこれほどになっているということはつまり、企業の評判が、かつてないほどそうしたものに左右されやすくなっていることを意味する。
 嘘の横行に対処するために、専門スキルとソーシャルスキルを使い、意識を高めることはどの国でも最優先事項となるべきだ。さもないと虚偽のニュースは急速に広まり、世の中に定着し、社会の基盤を侵食してしまう。個人の評判と企業の評判は価値創造と強く結び付いているため、これを維持することは、どの企業にとっても何より重視する仕事になるかもしれない。

鈴木立哉/訳
(HBR.org 2018年7月18日より、DHBR 2019年1月号より)
“The Real Story of the Fake Story of One of Europe’s Most Charismatic CEOs,” HBR.org, July 18, 2018.
(C)2018 Harvard Business School Publishing Corporation.

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『フェイクニュース』
テクノロジーの発達やSNSの浸透により、虚偽のニュースが瞬く間に広がる時代になった。しかも、合成動画技術は真贋の見分けがつかないほどに進化している。それに伴うダメージは、企業にも急激に広がっている。専門家や学者たちも腰を上げ、いかに対応していくべきかを考え始めた。本特集では“フェイクニュース”を多面的に分析する。

【特集】フェイクニュース
◇“フェイクニュース”といかに戦うか(シナン・アラル)
◇理想のCEOを描いた“真実”の物語(ルードビック・フランソワほか)
◇フェイクニュースの3つの問題(デニース=マリエ・オードウェイ)
◇悪意なき誤情報に立ち向かう(クレール・ワードル)
◇ディープフェイク:恐るべき合成動画技術(サム・グレゴリーほか)
◇フェイクニュースの正体と情報社会の未来(山口真一)
◇意識は嘘を見抜けない(養老孟司)

http://www.dhbr.net/articles/-/5638

 


【第3回】 2018年12月10日 鈴木博毅 :ビジネス戦略コンサルタント・MPS Consulting代表

日本では、なぜ議論する前から結論が決まっているのか?

 日本社会では、判断基準が状況によってコロコロ変わることがある。それは今も昔も変わらない。戦時中の戦艦大和は失敗するとわかっていながら、なぜ特攻したのか。企業のプロジェクトは、成功率が低くてもなぜ強行されるのか。日本の議論にダブルスタンダードが出現する謎を探る。15万部のベストセラー『「超」入門 失敗の本質』の著者・鈴木博毅氏が、40年読み継がれる日本人論の決定版、山本七平氏の『「空気」の研究』をわかりやすく読み解く新刊『「超」入門 空気の研究』から、内容の一部を特別公開する。

日本で理不尽な「二重基準」が頻発する理由
 ニュースや議論では、「ダブルスタンダード」という言葉が時々出てきます。二重基準などとも呼ばれ、似た状況なのに違う規範が適用されることを意味します。
 われわれは常に、論理的判断の基準と、空気的判断の基準という、一種の二重基準(ダブルスタンダード)のもとに生きているわけである(*1)。
 山本七平氏は、自身が経験した戦場でも、日本軍は同じことを繰り返したと指摘します。
「これこれは絶対にしてはならん」と言いつづけ教えつづけたその人が、いざとなると、その「ならん」と言ったことを「やる」と言い、あるいは「やれ」と命じた例を、戦場で、直接に間接に、いくつも体験している(*2)。
 山本氏が戦後に理由を問いかけたとき、返ってくる答えはいつも同じでした。
 その返事は必ず「あのときの空気では、ああせざるを得なかった」である(*3)。
 ダブルスタンダードは今も頻出して、不公平や理不尽の象徴となっています。空気が判断基準をゆがませていることに、山本氏は気付いていたのです。
なぜ、沖縄戦で戦艦大和は特攻したのか?
『「空気」の研究』では、二重基準の事例として戦艦大和の特攻が挙げられています。特攻は、サイパン島が米軍によって陥落したときと、その翌年の沖縄戦で2回検討されました。
 1回目のサイパン島への特攻は、成功確率が極端に低いことを理由に却下されました。しかし、2回目の沖縄への特攻では、作戦が成功する可能性はサイパン島より低いにもかかわらず、出撃の議論は加速し続け、結局戦艦大和は出撃したのです。
 理屈から言えば、沖縄の場合、サイパンの場合とちがって「無傷で到達できる」という判断、その判断の基礎となりうる客観情勢の変化、それを裏づけるデータがない限り、大和出撃は論理的にはありえない。だがそういう変化はあったとは思えない(*4)。
 なぜ、サイパン島への特攻は拒否できたのに、沖縄では拒否できなかったのでしょうか。
「空気」=ある種の前提
 私は、空気をこのように定義しています。集団を縛る空気は、集団内である種の前提を基に考えたり、議論したりすることを強要します。
 戦艦大和の特攻は、サイパン陥落時には合理性を基準に作戦を否定できました。しかし沖縄戦のときは、議論の前に「大和は特攻すべき」という強固な前提が、すでに軍内部ででき上がっていたと考えると辻褄が合うことになります。
日本の敗戦が「確実」になって出現した前提
 では、沖縄戦に伴って出現した前提とは一体なんだったのでしょうか。サイパン(グアム島)陥落は1944年の7月。一方の沖縄戦は、翌1945年の3月から開始されています。
 二つの戦闘の最大の違いは、沖縄戦のときは「日本の敗戦はもはや確実」だったことです。そのため最強戦艦大和の処遇について、議論が紛糾していました。
 無傷で敗戦を迎えると、当然米軍側に拿捕され、無抵抗で撃沈されてしまうからです。
● 戦艦大和の処遇に最適な案がない(しかし米軍に拿捕されるのは避けたい)
● 一億玉砕が叫ばれる時期に、最強戦艦が何もしないでいられない意識
 こうした不都合な事実を一挙に解消するための案ですから、作戦の成功可能性が計画立案の根本ではありません。この点は極めて重要なポイントです。
 敗戦が避けられない当時、大和が戦闘で錦を飾り勝利する場面をつくることはもはや不可能と結論されたはずです。このような議論を重ねていた海軍上層部は「戦艦大和による沖縄特攻」を不可避とする空気(前提)に包まれていったのです。
(注)
*1 山本七平『「空気」の研究』(文春文庫) P.22
*2 『「空気」の研究』 P.16〜17
*3 『「空気」の研究』 P.17
*4『「空気」の研究』 P.17
成功率ほぼゼロでも、「特攻せよ!」と叫ばれた理由
 では一体、戦艦大和の空気による出撃は何が最大の問題なのでしょうか? 最大の問題は、「作戦の成功確率」をいくら議論してもこの空気は消えないことです。
 なぜなら、「戦艦大和が戦って撃沈される」ことが沖縄特攻の目的だからです。
 サイパンへの特攻計画を退けることができた理由は簡単で、日本の敗戦で大和がどうなるかという議論がなかったからです。だからこそ、軍事的な成功確率を基に合理性で却下できました。しかし、不都合な事実を解消するための沖縄特攻では、作戦の勝算は決行の判断とは完全に無関係なテーマとなったのです。
 日本的組織の意思決定がダブルスタンダードに陥る秘密が、ここにあります。つまり、沖縄特攻の議論はサイパン特攻と違い、最初から「結論ありき」だったのです。
 山本氏は『ある異常体験者の偏見』で、この点に触れています。
 大和出撃の動機の一つが「国民に多大の犠牲を強いて造った戦艦を戦わずして敵の
手にわたすことは出来ない」ということだったそうである(*5)。
 では、沖縄特攻の作戦が否決されたらどうなったか。海軍上層部にとって戦艦大和を巡る不都合な事実は未解消のため、すぐに新たな(別の)特攻作戦が立案されたでしょう。
 山本氏が、「空気を打ち消しても、すぐに新たな空気が出現する(*6)」と書いたのは、このような構造があるからなのです。

表面的に掲げられた目標は、大衆をだますダミー(偽物)
 掲げた目的達成がほぼ不可能なのに、なぜプロジェクトが強行されるのか。理由は簡単で、表面に目的として掲げられたことの達成が真の動機ではないからです。この構造は、現代日本の空気が関わる企業プロジェクトや社会問題でも同じです。
 表面的に掲げられた目標の達成が、実は単にダミー(偽物)にすぎない。これが空気を巡る議論を混乱させる要因の一つです。
 目標(ダミー)の達成ができそうもないのに、高い地位で頭脳明晰なはずの人々がなぜ必死に実施の強行を叫び続けるのか。真の目標がまったく別にあるからです。
 隠しておきたい前提(空気)を達成するためならば、表面に掲げられたダミー目標の成否は一切関係ないし、もともと関心もないことです。
 戦艦大和の出撃への空気が時間の経過で消え、「なぜあのような無謀な作戦を実施したのか」、後世に合理的な説明ができない理由もわかります。沖縄特攻の議論における前提(空気)=「戦艦大和を巡る不都合な事実」がすでに消失しているからです。
 したがって、ダミーの目標である沖縄特攻の合理性や成功確率を敗戦以降に論じても、わけがわからないのは当然なのです。
(注)
*5 山本七平『ある異常体験者の偏見』(文春文庫) P.210
*6 小室直樹/山本七平『日本教の社会学』(ビジネス社) P.151
それ以外に道がないという「悪意ある誘導」で、空気をつくる
 議論の前から「隠れた結論ありき」、別の都合で特定の前提がすでに決まっている。この構造こそが、日本の議論にダブルスタンダードが出現する最大の理由です。
「意志決定はすべて空気に委ねる」が、「それが何らかのデータに基づいているように見せる」のが実情であっても不思議ではない(*7)。
 自動車の排気ガス規制である日本版マスキー法では、「国民の抵抗感が少ない税収アップの方法」として、新しい環境基準値を守れない自動車をターゲットにすることが、すでに決まった状態から議論が始まっていたのでしょう。
 タテマエとしては日本における基準の決定はあくまでも「科学的根拠」によるのであって「空気」によるのではないことになっているから、外国からその科学的根拠を問われると、だれも返答できないことになってしまう(*8)。
 山本氏が“タテマエ”と書いているのは、実際はNoxと自動車を悪とする議論が、科学とはまったく関係ない別の基準で行われたという意味でしょう。自動車を悪と設定して、増税の空気(前提)を押し切ることが目的だからです。
 科学的根拠など当時はなく、税収アップのための新たな基準値だったと仮定すれば、科学的データ以外のあらゆる奇妙な論法を持ち出して、「自動車は悪」という空気(前提)を醸成したのも頷けます。
(注)
*7 『「空気」の研究』 P.53
*8 『「空気」の研究』 P.53
(この原稿は書籍『「超」入門 空気の研究』から一部を抜粋・加筆して掲載しています)

https://diamond.jp/articles/-/186938

 
トップ・マネジメントの経営指南に人生を賭ける
ラム・チャラン
森本博行:首都大学東京 名誉教授
2018年12月10日
『Harvard Business Review』を支える豪華執筆陣の中で、特に注目すべき著者を毎月1人ずつ、首都大学東京名誉教授である森本博行氏と編集部が厳選して、ご紹介します。彼らはいかにして現在の思考にたどり着いたのか。それを体系的に学ぶ機会としてご活用ください。2018年12月の注目著者は、GEのジャック・ウェルチをはじめ、世界的大企業のトップ・マネジメントたちとともに歩んできた、経営コンサルタントのラム・チャラン氏です。

インドに生まれ、騒乱の時代を生き抜く
 ラム・チャラン(Ram Charan)は1939年生まれ、現在80歳である。グローバル企業のトップ・マネジメントを対象とする著名な経営コンサルタントであり、その専門分野は、組織文化を変革するためのリーダーシップと人的資源管理である。
 チャランはハーバード・ビジネス・スクール(HBS)でMBAとDBAを修得し、HBSで助教授を務めた経歴もある。ただし、チャランのそれまでの人生は、必ずしも順風満帆ではなかった。
 チャランは7人兄弟の6人目として、インドのニューデリー近郊にあるウッタル・プラデーシュ州ハープルで生まれた。一家は叔父の家族と一緒に、一つ屋根の下で17人が暮らしていた。父と叔父はもともと布地を販売する商店を営んでいたが、1947年、チャランが7歳のとき、インドの独立にともなうヒンドゥ教徒とイスラム教徒の争いに巻き込まれて焼かれてしまい、復興後は靴屋を営んでいた。
 子どもたちは学校に通わせてもらっていたものの、学校が始まる前の朝、そして学校を終えて帰宅してから夜まで家業を手伝った。のちに世界的大企業の経営コンサルタントとなるチャランは当時を振り返り、自分が初めてビジネスに関係したのは、10代の頃に家業の靴屋を手伝ったことである、と述べている。
 年長の兄弟や従兄弟は、14歳で義務教育を終えると家業に従事したが、チャランだけは例外であった。それは、ある日、学校の先生が店を訪ねてきて、チャランを上級の学校へ行かせるように説得したからだ。
「ラム・チャラン」として新たな人生を歩み始める
 チャランは15歳のとき、他の入学者より2歳も若く、インドで著名なバナーラス・ヒンドゥー大学の機械工学科に進学した。1959年、20歳で同大学を卒業すると、カルカッタのジェイ・エンジニアリングに就職したが、わずか5ヵ月で辞めてしまった。働きながら大学教育を受けることができる、オーストラリアのワーキング・プログラムに応募したからだ。オーストラリア・シドニーまでの旅費は、祖母が大事にしていた宝石を売って工面してくれた。
 チャランは留学先のニューサウスウェールズ大学で、経営工学を専攻した。昼間は大学の紹介で見つけた配電会社の製図工として働き、夜は大学で学ぶという生活を送っていた。
 オーストラリアに行くにあたり、チャランの人生を左右する、ある革新的な出来事があった。インドでは民族や地域によって、あるいはかつての日本のように階層に応じて、苗字を持たずに個人名だけの場合が多い。チャランの家族にも苗字はなく、チャランの個人名は「ラムチャラン」であったのだが、オーストラリアへ行く際のパスポートを取得する際に名前が2つに分けられて、現在の「ラム・チャラン」となったのである。
 チャランは、1963年に同大学を卒業すると米国に渡り、オーストラリア滞在時から志願していたHBSに入学した。当時のHBSは週に6日間講義があり、1日で3ケースについてクラス・ディスカッションがあった。学生たちはディスカッションで発言するために、前日までにケースを要約し、問題点を抽出し、解決策を検討する必要があったが、学生同士が分担してそれぞれのケースを検討し、お互いのノートをシェアするのが毎晩のように行われるのが通例であった。
 だが、チャランはそこに加わることなく、独自に発言の準備をした。HBSの夏休みには、暖かいハワイに行き、ホノルルのガス会社に勤めて生活資金を稼いだという。
 HBSでは、2年間の講義を通じてカテゴリーTの成績が7割以上、上位5%以内の成績優秀者に対してベーカー・スカラー(Baker Scholar)が授与されるが、チャランには上位3%以内の成績優秀者に贈られる“Baker Scholar with High Distinction”が授与され、1965年にMBAを修得した。2年次には博士課程への進学を薦められた。博士課程では今日の経営戦略論に相当する“Business policy”を専攻した。
インド出身者初のHBS専任教員に就任
 チャランは博士課程を2年間という短期間で修了し、1967年にDBAを授与され、同年HBSの助教授として採用された。HBSには、現在学長を務めるニティン・ノーリア、同校最年少で教授昇任を認められたパンカジュ・ゲマワットなど、インド出身者でファカルティメンバーになった者が今日多数存在するが、チャランはインド出身者の専任教員の嚆矢となった。
 チャランはHBSに助教授として5年間在籍したが、1973年にイリノイ州エバンストンに移り、ノースウエスタン大学ケロッグ・スクール・オブ・マネジメント(以下ケロッグ)の准教授となった。
 HBSでは、助教授就任から5、6年で准教授に昇任するのが通例であったが、准教授となり、さらにテニュア(終身雇用資格)を得るためには、ケースの執筆に加えて、調査研究に基づく多数の論文を執筆し、ジャーナル誌に投稿・掲載されることが必須であった。そういったことを好まなかったのが異動の動機である。
 チャランはケロッグに3年間在籍したが、やはりテニュアを認められるために研究業績を求められると、1976年にボストン大学からテニュアの教授として招聘されたのを機に、ボストンに戻った。だが、同大学でも教授としての研究業績を求められた結果、1978年、39歳でボストン大学を辞めて、経営コンサルタントとして独立することを決意した。
トップ・マネジメントの経営コンサルタントを目指して
 チャランは1981年、ボストンからはるか南方に位置し、インドの気候に似ているテキサス州ダラスに部屋を借りて、チャラン・アソシエイト(Charan Associates Inc.)を設立した。ただ、ダラスにいることはほとんどなく、オフィスでスケジュールの対応や資料をまとめるアシスタントと連絡をとりながら、全米の各都市や世界各地の顧客企業を訪ねた。主な顧客は、ゼネラル・エレクトリック(GE)、KLM、バンク・オブ・アメリカ、デュポン、ユニバーサル・スタジオ、ノバルティス、メルク、EMC、3M、ベライゾン、タタなど、世界的な大企業であった。
 経営コンサルタントといっても、著名なコンサルティング・ファームに在籍したわけではないため、グローバル大企業のトップ・マネジメントとすぐに会えるわけではなかった。彼らと交流を持つ契機となったのは、『Harvard Business Review(ハーバード・ビジネス・レビュー)』(以下HBR)誌に掲載された、ジャック・ウェルチへのインタビュー論文、“Speed, Simplicity. Self-Confidence: An Interview with Jack Welch,” with Noel M. Tichy, HBR, September-October 1989.(邦訳「ジャック・ウェルチが語る自己革新型ミドルの創造」DHBR1994年11月号)であった。
 同論文共著者のミシガン大学ビジネス・スクール教授のノール M. ティシーは、1982年からGEのコンサルタントを担当しており、1985年から1987年まで一時的に大学を離れて、GEクロトンビル経営開発研究所(Management Development Institute at Crotonville、以下クロトンビル)[注1]に在籍し、エクゼクティブ教育プログラムの開発担当マネジャーを務めた経験があった。のちに、ウェルチ経営を分析した名著といわれる、Control Your Destiny or Someone Else Will, with Stratford Sherman, 1993.(邦訳『ジャック・ウェルチのGE革命』東洋経済新報社、1994年)を著している。
 1981年、GEのCEOに就任したウェルチは、第一段階として「グローバルでナンバー・ワンかナンバーツー」「スリー・サークル・コンセプト」などを打ち出して事業の再編成を終えたのち、1985年以降、第二段階である「ディレイヤリング」と呼ばれる組織階層や本社スタッフの削減を断行するとともに、RCAの買収や金融・保険事業への参入を行った。
 ウェルチは、従来とは異なる、問題解決型のミドルマネジメントの必要性を強く感じていた。そんなウェルチの命を受け、クロトンビルでは、1986年からチームによるアクションラーニングを基本とするEDC(Executive Development Course)とBMC(Business Management Course)の2つの教育プログラムが開始された。
 チャランがクロトンビルに関わるようになったのは、GEが1987年に買収したRCAのマネジメントに対する再教育を目的とした、BMCの講師を務める機会を得たことが契機であった。BMCの目的は、GEの組織文化のコアとなる価値観を認識させ、問題解決型の経営手法を研修させることであった。なお、チャランはクロトンビルのベスト・ティーチャーとして“Bell Ringer Award”を受賞している。
 ウェルチは、時間ができるとニューヨークから1時間ほどに位置するクロトンビルを訪れ、受講生に講話を行うことを日課としており、チャランもウェルチと親しくなる機会に恵まれた。ウェルチはチャランについて、“Ram has the rare ability to distill meaningful from meaningless and transfer it in a quiet, effective way without destroying confidences.”(ラムは、信頼を壊すことなく誠実で効果的な方法で、無意味なものから意味を引き出し、それを転換する稀な能力を持っている)と評価している[注2]。
ジャック・ウェルチが語る自己革新型ミドルの創造敏捷な巨人──GEの企業変革プロセスノール・ティシー ミシガン大学ビジネススクール 教授
ラム・チャラン 経営コンサルタントこの論文を読む
 チャランが次にHBR誌に寄稿した、“Citicorp Faces the World: An Interview with John Reed,” with Noel M. Tichy, HBR, November-December 1990.(邦訳「ビジネス・モデル再構築への軌跡」DHBR1991年5月号初出、DHBR1997年11月号再掲)は、前回同様にティシーと行った、シティコープ会長兼CEOのジョン S. リードへのインタビューである。インタビューでは、1984年に同社会長に就任したリードが取り組んだ、金融機関として世界的規模の陣取り戦略を実践したシティコープと、それに対する組織改革の姿勢、会長としての役割などを引き出している。
ビジネス・モデル再構築への軌跡変革を可能にしたトップの決断と実行ジョン S. リード   シティコープ会長兼CEO
ノール・ ティシー   ミシガン大学ビジネススクール 教授
ラム・ チャラン  経営コンサルタントこの論文を読む
GEとの比較から経営を学ぶ
 GEの副会長を務め、ウェルチの片腕ともいわれたラリー・ボシディは、1991年、55歳のときにアライド・シグナルのCEOに指名された。チャランは、“The CEO as Coach: An Interview with Allied Signal’s Lawrence A. Bossidy.” with Noel M. Tichy, HBR, March-April 1995.(未訳)を通して、同社で組織文化の改革を行ったボシディの取り組みを紹介している。
 GEのように、社員がコミットメントし、戦略や業務が確実に実行される組織文化で育ったボシディにとって、アライド・シグナルの組織には驚かされたという。同社にもGEと同様、人材プロセス、戦略プロセス、予算・業務プロセスがあったが、それらのプロセスは管理されず、事業の現実からかけ離れており、確実な実行が保証されていない優柔不断な組織風土であった。
 ボシディは、CEO就任直後の60日間に全米各地で5000人の社員と対話集会を実施し、現状把握を行ったうえで、決断・実行する組織への変革を推進した。アライド・シグナルは、1999年にハネウェルを買収し、ハネウェル・インターナショナルとして発展するが、ボシディの退任前年の2001年には、同社の営業利益率は3倍の15%を実現し、ボシディは名経営者という評価を得た。
 チャランはさらに、“Conquering a Culture of Indecision,” HBR, April 2001.(邦訳「対話が組織の実行力を高める」DHBR2002年1月号)をHBR誌に寄稿した。同論文のタイトルを直訳すれば「優柔不断の組織文化を打破する」であり、これはまさしくボシディの示唆から生まれた論文であった。組織において、対話は業務の基本要素である。チャランは、優柔不断な組織風土には信頼関係が必要であり、そのためには対話を通して、経営プロセスに適切なフォローとフィードバックを与えることで、実行ある組織を可能にすると主張した。
 その後、チャランはボシディと共著で、実行する組織への変革をテーマに、Execution, 2002.(邦訳『経営は「実行」』日本経済新聞社、2003年)や、Confronting Reality, 2004.(邦訳『いま、現実をつかまえろ!』日本経済新聞社、2005年)を上梓している。
対話が組織の実行力を高める意思決定をアクションにつなげるメカニズムラム・チャラン 経営コンサルタントこの論文を読む
 GE副社長として電力部門を率いたロバート・ナデリーは、2000年、ホーム・デポのCEOに就任した。ホーム・デポは、自由奔放で仲間意識を重んじる組織文化を持ち、成長によって生じた在庫回転率などの財務や業務オペレーションには、問題が放置されたままであった。チャランは、“Home Depot’s Blueprint for Culture,” HBR, April 2004.(邦訳「ホーム・デポ:自由奔放な組織文化の改革」DHBR2006年10月号)において、ナデリーが取り組んだ組織文化の変革を事例に挙げ、いわばGEのように、問題解決型の実行する組織文化へ変革するためのツールやプロセスを紹介している。
ホーム・デポ:自由奔放な組織文化の改革「売上高10兆円の小売業」にGEの流儀を持ち込むラム・チャラン   経営コンサルタントこの論文を読む
 チャランは、ジャック・ウェルチ、ジョン・リード、ラリー・ボシディ、ロバート・ナデリーによる組織文化の変革の取り組みについて、独自の分析を交えてHBR誌で紹介してきた。
“You Can’t Be a Wimp―Make the Tough Calls.” HBR, November 2013.(邦訳「意思決定は実行である」DHBR2014年3月号)では、不確実性の高い事業環境にあって、CEOは数限りない意思決定に直面するが、プロクター・アンド・ギャンブルのアラン G. ラフリー、GEのジェフリー・イメルト、ベライゾンのイワン・サイデンバーグなど、当時の優れたCEOに共通する適切な情報の確保や意思決定、さらに実行を導くプロセスについて、HBR編集部のインタビューに答える形で論じている。CEOの資質としては、第一に大きな賭けに臨む勇気と不測の事態に対処する不屈の精神、第二に鋭い洞察を導く察知能力、第三に信頼を醸成する能力を挙げている。
意思決定は実行である【インタビュー】大いなる決断に必要な3つの資質ラム・チャラン   経営コンサルタントこの論文を読む
人事改革こそ企業の最優先課題である
 全米267社の大企業を対象にした調査によれば、トップ・マネジメントの指名プロセスに満足している人事担当役員は20%にすぎず、CEOの在任期間を見ると、5社のうち2社は就任後1年で退任しているという。
 企業にとってCEOの選任は最優先課題である。チャランは、“Ending the CEO Succession Crisis,” HBR, February 2005.(邦訳「CEOの『発掘・育成・選抜』のプロセス」DHBR2005年11月号)で、リーダー候補者の資質をアクティブラーニングで見極めるGEの「セッションC」を紹介しながら、後継者育成プログラムの問題点を指摘し、また生え抜きと外様CEOの問題点を比較検討した。
CEOの「発掘・育成・選抜」のプロセス企業目標と候補者の能力をフィットさせるラム・チャラン   経営コンサルタントこの論文を読む
 また、“People Before Strategy: A New Role for the CHRO,” HBR, July-August 2015.(邦訳「CHROは経営者たれ」DHBR2015年12月号)では、人事担当役員であるCHRO(最高人事責任者)の役割を再認識すべきだと主張した。
 CHROは、社員の満足度、仕事への熱意、福利厚生と報酬制度、組織の多様性の管理といった通常の人事関連業務のほか、人事制度の結果の予測、組織の問題の原因究明、企業価値の向上につながる施策の検討なども本来果たすべき責務である。だが現実には、それほど実践されていない。CFO(最高財務責任者)が、資金を調達し、結果を予測して適切に配分し、経営を効率的に管理するように、CHROは、人材を採用・育成し、組織の活力を引き出す人的資源を管理することによって、CEOを補佐すべきだと主張した。
CHROは経営者たれ戦略は人に始まるラム・チャラン 経営コンサルタント
ドミニク・バートン マッキンゼー・アンド・カンパニー グローバル・マネージング・ディレクター
デニス・ケアリー コーン・フェリー 副会長この論文を読む
 チャランは最近、人事の役割に留まらず、社会の変化に対応して組織が変化すべき点にも言及している。たとえば、個人向け金融サービスでは、顧客はアプリを介して、いつでもどこでも利用できるサービスを期待している。企業には、そうした顧客の要求に迅速に応える、アジャイル組織に変わる必要があり、そのための組織運営が求められる。
“One Bank’s Agile Team Experiment,” with Dominic Barton and Dennis Carey, HBR, March-April 2018.(邦訳「世界的金融グループはアジャイル手法で組織を変えた」DHBR2018年6月号)では、金融サービスのINGが、IT企業から人材配置と業績管理のためのアジャイル手法を学び、従来型組織を変革した事例を紹介している。
世界的金融グループはアジャイル手法で組織を変えたフィンテック時代のING全社戦略ドミニク・バートン マッキンゼー・アンド・カンパニー グローバル・マネージング・パートナー
デニス・ケアリー   コーンフェリー 副会長
ラム・チャラン   経営コンサルタントこの論文を読む
 チャランには多数の著作がある。その特徴は、学究的な理論研究や、コンサルタントによるフレームワークの提示することではなく、著名な経営者が取り組んだ事例の研究から導き出した鉄則や経営指南が多いことが挙げられる。
 チャランは、20歳のときにインドを離れてから、結婚して家庭を持つこともなく、67歳でダラスにマンションを購入して落ち着くまで、世界各地のホテルを転々としてきた。名門大学のテニュアの地位に甘んじずに独立し、ウェルチなど世界のトップ・マネジメントを顧客に持つ経営コンサルタントであることを誇りに、激動の人生とたえず格闘してきた人物である。
 そんなラム・チャランの信念の裏側には、インドの兄弟や従兄弟たちの家族と異なり、自由な人生を歩んだ責任への重い意識がある。チャランの最近の著作であるTalent Wins, 2018.(未訳)の巻頭に、こんな一文が載っている。
“Dedicated to the hearts and souls of the joint family of twelve siblings and cousins living under one roof for fifty years, whose personal sacrifices made my formal education possible.”(50年間、ひとつ屋根の下でともに暮らす12人の兄弟と従兄弟たちの家族に心と魂を捧げる。兄弟と従兄弟たち一人ひとりの犠牲のおかげで、私は人並みの教育を受けることできたのだから)
[注1]クロトンビル経営開発研究所は、1956年に当時のCEOであるラルフ・コーディナーの指示により、クロトンビルにリーダーシップ研究所として設立された。現在は「ジョン F. ウェルチ・リーダーシップ開発研究所」と改名されている。
[注2]Fortune, April 30, 2007.より引用。

http://www.dhbr.net/articles/-/5631

2018年12月10日 flier
AI時代「100人に1人の人材」になるために必要な7つの条件
『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』
グローバルビジネス・エリートになるには?
写真はイメージです Photo:PIXTA
レビュー

『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』 藤原和博著 東洋経済新報社刊 1512円(税込)
 AIが高度に発達すれば、レアな人材にならなければ食べていけない時代がやってくる。しかし価値観が多様化するなか、誰も彼も同じ条件をクリアすればいいわけではない。いったい私たちはどうすればいいのか――この問いに明快な答えをくれるのが、本書『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』である。

 本書ではまず、ビジネスパーソンを「価値観」と「志向」の2軸で4つのタイプに分類する。「価値観」では、経済的価値と経済以外の価値、どちらを重視するか。「志向」では、「権力(サラリーマン)志向」か「プロ(独立)志向」かである。それぞれどちらを選ぶかによって「社長」「自営業」「公務員」「研究者」の4つのタイプに分けられ、タイプごとに満たすべき7つの条件と、それらをクリアするためのヒントが提示されるというわけだ。

 本書で提示される条件は、著者・藤原氏の実体験や知見に基づいており、強い納得感がある。一つひとつ条件をクリアしていくことでステップアップしている実感を得られ、モチベーションを保てることも、このメソッドのメリットだろう。特に若い人にとっては、藤原氏という「採用する側」に立っている人の視点から「一緒に働きたい人の人物像」「高く評価する人の人物像」を知ることができるだけでも、大きな価値があるはずだ。激動の時代を生き抜く力を蓄えるために必読の一冊だといえるだろう。

本書の要点
(1)ビジネスパーソンとしてこれからの時代を生き抜くためには、100人に1人(=1%)のレアな人になる必要がある。
(2)本書では、ビジネスパーソンをその人の「価値観×志向」によって4つの領域に分類したうえで、100人に1人になるために必要な7つの条件を紹介している。
(3)どの領域に属している人であっても最低限満たすべき条件は3つで、「パチンコをしないこと」「ケータイゲームを電車の中で日常的にしないこと」「本を月1冊以上読むこと」である。

要約本文
【必読ポイント!】
◆3条件をクリアして「8分の1」の人になれ!
◇二極化するビジネスパーソン

 ビジネスパーソンは今後、ほんのひと握りのグローバル・スーパーエリートとそれ以外の大多数の人々へと二極化していく。グローバル・スーパーエリート以外の人たちが生き抜くためには、1%の人、つまり100人に1人のレアな人にならなければならない。1%の人になるには、本書で紹介される7つの条件さえクリアできればよい。

 旧来の日本社会においても、成功の条件は7つあった。「男性であること」「都市に住んでいること」「正社員であること」「若いこと」「容姿がいいこと」「英語ができること」「年収が数百万円以上あること」だ。ところがバブル崩壊後においては、人々の生き方や価値観が多様化し、成功の定義が一人ひとり異なるようになっている。だからみんなが同じ7条件をクリアすればよいという状況ではない。

 本書では、この時代に人々がめざす領域を2軸で総括している。横軸が「経済的価値(給料、年収、お金)を重視する」か「経済以外の価値(家族、友達、個人的な活動、社会貢献)を重視する」か。縦軸が「権力(サラリーマン)志向」か「プロ(独立)志向」かだ。このマトリックスで4つのタイプに分類し、タイプごとに7つの条件を紹介する。自分の価値観と志向に合った領域で必要な条件をクリアし、1%の人をめざそう。

◇3つの条件

 4つの領域で1%の人をめざすわけだが、最初の3つの条件はどの領域にも共通する、最低限の条件である。まずはこの3つをクリアしよう。そうすれば、2×2×2で8分の1の人になることができる。

 1つ目が、パチンコをしないことだ。ギャンブルといっても競馬や麻雀なら頭を使うが、パチンコには知的な側面がない。パチンコのような非生産的な時間を過ごすことはやめ、時間を主体的にマネジメントする感覚を身につけよう。

 2つ目が、ケータイゲームを電車の中で日常的にしないことだ。ケータイゲーム依存症の人は、現実逃避のために仕事や睡眠の時間を削るという、危険な時間の使い方をしている。携帯会社やゲーム会社の術中にはまるのはやめ、メディアを主体的に使いこなすことを覚えよう。

 3つ目が、本を月1冊以上読むことだ。パチンコとケータイゲームをやめて得た時間を読書に投資しよう。成熟社会においては、教養の差が競争の差別化要因になる。さらに読書によって得た情報を編集する力がつけば、豊かな教養が身につき、多様な価値観をもつ相手と深い人間関係を築くことができる。これはいい仕事をするうえで強力な武器になりえるものだ。

◆「力」を求める社長タイプ
◇「作業」でなく「仕事」をする人になれ

 ここからは、2つの軸で分けられる4つのタイプを紹介していく。まずは、「経済的価値」を重視し「権力志向」の「社長タイプ」だ。このタイプは、組織における役割としての仕事が人生の中心になっており、会社組織で出世することをめざしている。「力」を求める人たちだといえよう。この領域で1%の人になる条件のうち、要約では「会社で作業をする人でなく、仕事をする人になること」を紹介する。

 社長タイプを極めるには、会社選びが重要である。とくに重要なのは、会社の規模だ。会社の規模によってどういう仕事をどの程度まかせられるかが異なり、仕事のまかせられ方によって成長スピードが大きく異なる。つまり大きな仕事やある得意先の仕事を丸ごとひとりに任せるような会社に入社すれば、ビジネスパーソンとして飛躍的に成長することができるというわけだ。

 そのためには、中小企業の段階を少し抜けた程度の、システムが完成しようとしている会社を選ぶとよい。大企業では、仕事の分業化が進み、業務が固定化してしまう。若いうちから大きな仕事をまかされることは難しいといえよう。

 この領域でレアな人材になるためには、仕事に取り組むマインドを根本から変える必要がある。つまり人から与えられる「作業」をする人ではなく、自ら主体的に取り組む「仕事」をする人になるというマインドが必要だ。人から与えられてばかりでは、能力も希少性も高まらない。あなたに与えられた「作業」をプロジェクトの全体像から捉え、自分なりに「仕事」に変えていこう。

◆「技」を求める自営業タイプ
◇1万時間で技術を身につけろ

「自営業タイプ」は、「経済的価値」を重視し「プロ志向」のタイプだ。組織に属していてもいなくても、自分の能力を磨いて独立することをめざしている、「技」を求める人たちだ。ここでは、この領域で1%の人になる条件を1つ紹介する。

 その条件とは、自分がプロになる分野をひとつ決め、その分野に1万時間を投じてスキルや技術を磨くことだ。1万時間あれば、好き・嫌いも得意・不得意も関係なく、必ずプロレベルに達することができる。

 1万時間を捻出するには、「何をやるか」だけでなく「何をやらないか」も重要になってくる。だが会社で偉くなればなるほど、自分の仕事が非生産的な仕事に侵食されていってしまう。この非生産的な仕事を著者はSSK(接待・査定・会議)と呼ぶ。SSKは会社にいることの“税金”として、管理職であれば会社にいる時間の6〜7割、多い人では9割もの時間を奪われてしまうものだ。だがプロをめざすなら、SSKを減らして自分が本来やるべき仕事に時間を投じることが必要だといえよう。会社がらみの飲み会を減らしたり、会議の時間を短縮したりする工夫をすることだ。

 その他、著者が時間確保のために行っているのは、時間にルーズな人とは付き合わないこと、ゴルフを一切やらないこと、飲み会は夜10時には退席すること、結婚式に出ないこと、葬式は本人を知らなければ出ないこと、テレビはニュースとドキュメンタリーしか見ないこと、スケジュールとダイアリーはすべて手帳1冊で管理することだ。

◆「つながり」を求める公務員タイプ
◇他者からのクレジットを蓄積せよ

「経済以外の価値」を重視し「権力志向」なのは「公務員タイプ」だ。組織でも仕事をしているが、それ以外のコミュニティーで人と関わって自分を活かしていくことをめざす、「つながり」を求める人たちだといえよう。この領域で紹介する条件は、「他者からのクレジット(信任)を蓄積すること」だ。

 公務員タイプの生命線になるのが、今いる組織の内外における人とのつながりである。その極意は、自分を安売りすることだ。計算高く動くのではなく、自分が「やりたい!」「学びたい!」「人を助けたい!」と思ったら、たとえそれが無報酬であってもどんどん引き受けるようにしよう。それがコミュニティーの裾野を広げるチャンスになり、そのコミュニティーに受け入れてもらうための切り札にもなる。小欲にこだわることはやめよう。

 この領域の人は、本業で十分食べていくことができるはずだ。加えて、夫婦共働きであれば、生活に余裕がある。そうしてできた余裕を地方自治体、NPO、NGOなどのコミュニティーに投資するというわけだ。本業での稼ぎと「やりたい仕事」「やるべき仕事」を分けて考えるのがポイントであるといえよう。

 自分の時間を投じてタダ働きすることができる人は、信頼と共感を集めることができる。この信頼と共感の総量を、著者は「クレジット(信任)」と呼ぶ。このクレジットが人間関係を築く礎となり、クレジットをどれだけ多く蓄積していけるかがこの領域の鍵となるのだ。

 クレジットを積み上げていくと、人はあなたのために知恵や技術を貸したいと思うようになるだろう。コミュニティーで活躍できるようになるし、自由度が増すだけでなく、みんなに応援されて上に立つこともできる。要するに、この領域の人が求める「経済以外の価値」と「権力」を手にすることができるというわけだ。

◆「好き」を求める研究者タイプ
◇好きなものをとことん極めろ

「研究者タイプ」は、「経済以外の価値」を重視する「プロ志向」のタイプだ。組織に属していてもいなくても、自分の趣味や興味を追求することをめざしている、「好き」を求めるタイプだといえよう。この領域で紹介する条件は「好きなものをとことん極めること」である。

 この領域を突き詰めるための大前提として、自分がオタクになれるほど好きなものがなければならない。夢中になれるほど好きなものには、知らず知らずのうちに1万時間以上を費やしているので、ほかの人を圧倒するほどの知識や技術が自然と身につく。そしてそれがいつかビジネスに発展する可能性もあるだろう。自分が好きな分野を極めて、その分野でレアな人になることをめざそう。小さなことでも構わない。むしろ小さくて狭い分野を極めたほうが、レア度が高い人になれる。

 好きなことで食べていけるのかと不安に思うだろう。しかし著者は思いきってチャレンジすることをすすめている。なぜならこれからの時代、自分で職業をつくりだすことができるからだ。たとえば「アロマセラピスト」や「ドッグセラピスト」は20年前までは存在しなかった、「アロマのオタク」「犬のオタク」が就いている職業だ。多様化する成熟社会では、今後、さらに多くの「○○セラピスト」が生まれることだろう。

 同様に増えていくことが予想される職業として、「○○カウンセラー」「○○アーティスト」「○○コンサルタント」「○○アドバイザー」などが挙げられる。この「○○」に自分の好きなものをつけ、名乗ってしまおう。それだけで食べていけるか不安であれば、複数の分野を掛け合わせればよい。「水セラピスト」兼「つけまアーティスト」、「水セラピスト」兼「終活カウンセラー」などと掛け合わせれば、究極のレアな人になることができるはずだ。

一読のすすめ
 本書は4つのタイプ別に、1%の人材になるための7つの条件を指南したものだ。要約で紹介できた条件は、その中の4つにすぎない。1%の人材になってこれからの時代を生き抜くため、自分に必要な残り3つの条件とそれを満たす方法を本書から学んでいただければと思う。

評点(5点満点)
総合4.0点(革新性4.0点、明瞭性4.0点、応用性4.0点)


*評点基準について
著者情報
 藤原和博(ふじはら かずひろ)

 教育改革実践家。杉並区立和田中学校・元校長。元リクルート社フェロー。
 1955年東京生まれ。1978年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任後、1993年よりヨーロッパ駐在、1996年同社フェローとなる。
 2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。2008〜11年、橋下大阪府知事特別顧問に。
 著書に、ベストセラーになった『人生の教科書〔よのなかのルール〕』『人生の教科書〔人間関係〕』(以上、ちくま文庫)など「人生の教科書」シリーズのほか、ビジネス系では『リクルートという奇跡』(文春文庫)、教育系では『校長先生になろう!』(ちくま文庫)、共著では40万部を超えるベストセラーとなった『16歳の教科書』(ドラゴン桜公式副読本/講談社)などがある。
 人生後半戦の生き方の教科書『坂の上の坂 55歳までにやっておきたい55のこと』(ポプラ社)は12万部を超えるベストセラーに。近著は『今、話したい「学校」のこと 15歳からの複眼思考(クリティカル・シンキング)』(ポプラ社)。
 詳しくは「よのなかnet」に。
 ツイッターは@kazu_fujihara

(1冊10分で読める要約サービス?flier)
https://diamond.jp/articles/-/187781
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/847.html

[経世済民129] 入管法改正案は問題が多い 誰も指摘しないのが不可解すぎる「シンプルな大問題」 「外国人労働者が増えれば賃金は上がらない」
入管法改正案は問題が多い

高橋洋一氏
2018-12-03 10:51:52 | 時事
 入管法の改正案は、参院での成立の可能性は高いです。しかし、この改正案は、拙速・杜撰の極みです。自民党内でも、当初反対論、慎重論が少なくありませんでした。野党の多くは問題点を指摘するものの立法者としての実力不足のため、議論の質が上がらないまま進んでしまっています。こうしたなか、元財務官僚で嘉悦大学教授の高橋洋一氏は、今回の改正案は賃金上昇しはじめているアベノミクスの成果を台無しにする可能性があると指摘しています。

 改正案の問題点の一つとして、高橋氏は、本年2月内閣府が出した資料が、少子化で生産年齢人口が減少していることを「人手不足」として、それゆえに外国人労働者を受け入れなければならない、としているのは、誤りだと述べています。「安倍政権になってから進められた異次元金融緩和によって雇用が生まれ、それ故に人手不足になったのであり、決して「少子化だから人手不足」ではないのだ」と言うのです。
 入管法改正の動きは、人手不足を理由とする産業界からの要請によるものですが、高橋氏は「人手不足はマクロ経済にはいいことであり、この際企業がため込んだ内部留保を吐き出して、給与や待遇を改善するのが先である」と述べています。「基本的には外国人労働者を新たに受け入れずに、今まで受け入れてきた留学生アルバイトと技能実習生にきちんとした在留資格を与えて、その後はきっちりと彼らの在留資格などについて管理するというスタンスが望ましい」というわけです。

 安倍政権になってから、「外国人労働者」の数は70万人から130万人へと60万人増加しました。130万人のうち雇用環境に影響を与えるのは、留学生アルバイト30万人と技能実習生25万人。政府がまとめた「たたき台」では、2019年度から5年間で130万〜135万人の労働者が不足するため、最大で34万人を受け入れるとしています。高橋氏は、「今回の入管法改正案が、これらの留学生アルバイトや技能実習生に新たな在留資格を与え、法的にきちんと認める……というものであれば、今の外国人労働者の総数は変化しないために雇用環境に影響ない。しかし、外国人労働者の総数が増えるのであれば、結果として日本人労働者の賃金を下げることにつながるだろう」と分析しています。
 日本経済の現状は、企業がため込んだ内部留保を吐き出して、労働者の給与や待遇を改善するのが先であるのに、逆に外国人労働者の総数が増えることで、日本人労働者の賃金が下がることになれば、アベノミクスの成果が失われることになります。

 高橋氏は、それ以外の課題として、「在留者やその家族の国民健康保険などの適用においても、これまで不適切な使用が何度も指摘されてきたので、しっかりと管理する必要性を論じるべきだ」と主張しています。「世界に誇れる日本の皆保険制度に、3カ月以上の滞在で加入できるというのは、外国人への義務付けというよりは「特権」であろう」とし、実際、この仕組みを悪用する例が後を絶ちません。「この問題については今からでも遅くないので、是非、今国会で取り上げるべきだ。せめて、改正前の「1年の在留資格」に戻すべきである。これは省令改正でもいいが、今後のために法改正で行うほうがいいだろう」と高橋氏は提案しています。
 そして「今のままでの入管法改正はあまりに杜撰すぎるので、受け入れ上限や既存制度のスクラップなど、相当な修正が必要である」と指摘しています。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58527

 わが国は、ヨーロッパ諸国のような移民政策の大失敗を侵してはなりません。外国人の労働力に頼る国は、一時的には経済成長を維持できても、やがて国民の分断と社会の混乱を生じます。そうなってしまってからやり直すことは、もはや不可能です。私は、拙速・杜撰な入管法改正に強く反対します。

――――――――――――――――――――――――――――――――――
2018.11.19
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58527
誰も指摘しないのが不可解すぎる、入管法改正の「シンプルな大問題」
拙速な動きにため息連発

橋 洋一
経済学者
嘉悦大学教授

拙速、あまりに拙速
 前回の本コラム(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58424)で、現在国会で審議されている入管法改正の問題点として、賃金上昇しはじめているアベノミクスの成果を台無しにする可能性について指摘した。今週は、その議論をさらに深めたい。その上で、日本の入国管理の問題点を指摘したい。
 なにしろ、今回の改正案は拙速な政府内検討を経て出されたシロモノだ。今年2月20日、経済財政諮問会議で検討されはじめたばかり。この種の法改正を行う場合、通常は1〜2年を掛けて検討されるが、今回の入管法は、検討されてからわずか4カ月後の6月15日に、「2018骨太方針」としてその全体像が発表された「超スピード改正案」なのである。
 しかも、外国人受け入れの対策や問題点について、専門家が十分に検討した形跡がない。実務を行った外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会のメンバーは官僚ばかり(http://www.moj.go.jp/content/001268548.pdf)。これでは現実に即した議論などなされるはずがなく、相当不味い。
 その拙速さは、今国会審議で法務省の出したデータに誤りが見つかったことにも表れている(https://www.asahi.com/articles/ASLCJ55GRLCJUTFK00Z.html)。こういうケアレスミスが出て来ると、国会審議に大きく響いてくるので、政府としては痛いところだ。
 また、今年2月にキックオフしたときに出された内閣府のペーパーは、お粗末なものだった。少子化で生産年齢人口が減少していることを「人手不足」として、それゆえに外国人労働者を受け入れなければならない、としている(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/0220/shiryo_04.pdf)。
 前回の本コラムでは、少子化は民主党政権下でも同じ状況だったので、少子化で人手不足は誤りだ、と指摘した。つまり、安倍政権になってから進められた異次元金融緩和によって雇用が生まれ、それ故に人手不足になったのであり、決して「少子化だから人手不足」ではないのだ。
(なお、筆者は人口減少・少子化は、日本にそれほど負の影響を与える問題ではないと考えている。興味のある人は、筆者の近著『未来年表 人口減少危機論のウソ』を参考してもらいたい。)

「人手不足」の解釈の誤り
 さて、筆者の指摘をよりよく理解してもらうために、今の雇用環境を確認しておこう。安倍政権下で進められた異次元金融緩和によって、実質金利が相当程度低下し、為替安、株高をもたらし、同時に実質金利低下が継続して、人やモノへの投資も徐々に増加していることは周知のとおり。
特に雇用環境の改善は顕著だ。民主党政権下では減少傾向であった就業者数は、安倍政権以降は反転・増加傾向に転じ、6300万人から6600万人へと300万人程度も増加している。失業率もほぼ下限近辺ともいえる2.5%程度まで低下している。
 このため、名目賃金は上昇傾向にある。実質賃金についても、当初は名目賃金の上昇が物価上昇より遅れるために低下したが、最近では底を打ち反転・上昇傾向に転じている。
さて、今回の入管法改正案がその良好な雇用環境へどのように影響をもたらすのか。それを論じることが今回の主題であり、一番の問題だ。
 現在の日本にも一定数の「外国人労働者」がいる。安倍政権になってから、「外国人労働者」の数は70万人から130万人へと60万人も増加した。130万人の内訳で、雇用環境に影響を与えるといわれるのは、留学生アルバイト30万人と技能実習生25万人であるが、これらは安倍政権でそれぞれ20万人、10万人程度増加した。
 政府がまとめた「たたき台」では、2019年度から5年間で130万〜135万人の労働者が不足するため、約26万〜34万人の外国人労働者の受け入れを見込み、来年度は約60万人の人手不足に対して、最大約4.7万人の受け入れを想定するという。
 ここまでが前提だ。

まずはお金を吐き出すのが
 さて、これまでの外国人労働力の受け入れ数は、上に述べたとおり130万人であるが、それが賃金に対してどのように影響してきたのかを調べてみよう。
 下図は、外国人労働者の浸透度と賃金変化を示したものだ。はじめのものは、アベノミクスが実施された当初のものであり、2枚目は、アベノミクスの全期間である。
各産業で、アベノミクス当初と全期間でどのような変化が起こっているかについて、上の2図を合わせてみよう。

 多くの産業では、今のところ、変化を示す線は横ばいで、大きな賃金低下にはなっていない。しかし、いくつかの業種(複合サービス、不動産・賃貸業、サービス業など)では、右下がりになっており、外国人労働者の浸透と賃金低下が見られる。総じて、右下がり気味なので、今後の動向が気がかりである。
 今回の入管法改正は、人手不足を理由とする産業界からの要請で動いている。筆者は、人手不足はマクロ経済にはいいことであり、この際企業がため込んだ内部留保を吐き出して、給与や待遇を改善するのが先であると考えている。最近では、企業収益が好調であるにもかかわらず、労働分配率は低い。ここ5年間で労働分配率は5%程度低下しているので、今度は労働者が取り戻す番なのだ。
 この観点からみれば、基本的には外国人労働者を新たに受け入れずに、今まで受け入れてきた留学生アルバイトと技能実習生にきちんとした在留資格を与えて、その後はきっちりと彼らの在留資格などについて管理するというスタンスが望ましい。
 例えば、先進国の就学ビザでは原則労働禁止であるが、日本では1週間で28時間以内は可能とか、抜け穴の度が過ぎる。先進国のビザは、就労条件について厳格に定められており、その点日本のビザでは曖昧であることが問題だ。この際、入管法改正によって、先進国並みの在留資格を定めたうえで就労条件を明記することが必要であろう。また、労働者でありながら事実上労働基準法を適用しない「技能実習生」の概念は、そもそも理解しにくいので、これについても議論した方がいい。
 今回の入管法改正で、来2019年度から5年間で最大で34万人を受け入れるというが、そうなると、留学生アルバイトや技能実習生はどうなるのか。
 今回の入管法改正案が、これらの留学生アルバイトや技能実習生に新たな在留資格を与え、法的にきちんと認める……というものであれば、今の外国人労働者の総数は変化しないために雇用環境に影響ない。しかし、外国人労働者の総数が増えるのであれば、結果として日本人労働者の賃金を下げることにつながるだろう。

他の「先進国」と比べても…
 さて、そのことと同時に、在留者やその家族の国民健康保険などの適用においても、これまで不適切な使用が何度も指摘されてきたので、しっかりと管理する必要性を論じるべきだ。
 まず、日本の仕組みを簡単に述べておきたい。民主党政権下の2012年7月、外国人登録制度が廃止された。それに伴い、3カ月を超えて在留する外国人は、国民健康保険に加入することとなった(それまでは在留資格1年未満では国民健康保険に加入できなかった)。
 外国人登録制度を廃止し、在留カードをもとに住民基本台帳で管理するのは理解できるとしても、3ヵ月在留資格により国民健康保険に加入できるのがよいかどうかについては、議論があるだろう。
 この点について、海外ではどうなっているのか。日本と同様、国民皆保険制度を敷いているイギリスでは、6ヵ月以上の長期滞在者へのビザ発行の際、一定の医療保険料を支払うことでカバーされるシステムになっている。
 同じく皆保険のオーストラリアは、オーストラリアへの相互健康保険国(英国、オランダ、スウェーデン、ノルウェー、イタリア、ベルギー、アイルランドなど)からの訪問者のほか、永住権を保持している人がメディケアの対象となり、「在留資格」では保険対象外となるらしい。
 しばしば社会保障の優等生といわれるスウェーデンも皆保険であるが、滞在が1年以上で、住民登録すれば医療保険制度への加入が可能となるが、1年未満ではできない。
 アメリカは皆保険でないが、留学生などでは事実上民間保険に加入することがビザの要件になっている。留学生の場合、他の国でも民間保険の加入を事実上義務付けている国は多い。お隣の中国でも、アメリカと同様な事情である。

直すべきところがたくさん
 こうしてみると、世界に誇れる日本の皆保険制度に、3カ月以上の滞在で加入できるというのは、外国人への義務付けというよりは「特権」であろう(議論を進めるために、少し説明を簡略化している。細かい点については各自で調べてほしい)。
 実際、この仕組みを悪用する例が後を絶たない。その悪用例は、2012年の民主党時代からさっそく目立ち始めたが、2014年7月、芸能人のローラの父親が国民健康保険の海外療養費請求詐欺で逮捕されたのには驚いた。在日外国人ではよくある話だというが、これを現場レベルで取り締まるのは困難である。
 しかも、2012年にわずか3ヵ月での在留資格によって国民健康保険に加入できるようにされたのは、法改正によってではなく、民主党の小宮山洋子・厚労大臣(当時)下の厚労省省令改正によってである。
 この省令改正措置に対して、パブリックコメントとして、「外国人の国保加入資格を、現行のまま在留期間1年とすべき」という意見もでた。それに対する厚生労働省担当課の見解は、住民基本台帳法の改正により、3ヵ月を超えて在留する外国人は住民となる……という形式面だけで「国民健康保険の対象になる」と判断している。これは政策的に稚拙であると言わざるをえない。
 この問題については今からでも遅くないので、是非、今国会で取り上げるべきだ。せめて、改正前の「1年の在留資格」に戻すべきである。これは省令改正でもいいが、今後のために法改正で行うほうがいいだろう。さらに、法改正であれば、オーストラリアのように「相互主義」に基づくものにするのも一案である。
 たとえば日本人が中国に留学する時には、中国の保険に加入させるよう政府からの通達が出ているという。これは、アメリカと同じ方法であるので、日本でも中国からの留学生については同じように、日本の保険に加入させることを条件としてもいい。
 なお、中国への日本人の留学生は、中国で医療を受け医療費を支払った後に、国民健康保険の海外療養費請求を行い、日本の役所からその一定割合を還付するという方法もある。
 これについて相互主義に基づいて、中国人の日本への留学生については、日本で医療を受けた場合、まず日本の医療機関に医療費を支払った後で、中国政府が中国人に還付するという方法でもいい。
 いずれにしても、適切な外国人労働者の管理のために入管法改正を行うというのであれば、それはいい方向への改正であるが、今のままでの入管法改正はあまりに杜撰すぎるので、受け入れ上限や既存制度のスクラップなど、相当な修正が必要であることは繰り返し指摘しておきたい。
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/0d3a59ce85cd47e7207c1f2b9f1f164b


 


誰も指摘しないのが不可解すぎる、入管法改正の「シンプルな大問題」
拙速な動きにため息連発…

橋 洋一
経済学者
嘉悦大学教授
プロフィール
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拙速、あまりに拙速
前回の本コラム(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58424)で、現在国会で審議されている入管法改正の問題点として、賃金上昇しはじめているアベノミクスの成果を台無しにする可能性について指摘した。今週は、その議論をさらに深めたい。その上で、日本の入国管理の問題点を指摘したい。
なにしろ、今回の改正案は拙速な政府内検討を経て出されたシロモノだ。今年2月20日、経済財政諮問会議で検討されはじめたばかり。この種の法改正を行う場合、通常は1〜2年を掛けて検討されるが、今回の入管法は、検討されてからわずか4カ月後の6月15日に、「2018骨太方針」としてその全体像が発表された「超スピード改正案」なのである。
しかも、外国人受け入れの対策や問題点について、専門家が十分に検討した形跡がない。実務を行った外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会のメンバーは官僚ばかり(http://www.moj.go.jp/content/001268548.pdf)。これでは現実に即した議論などなされるはずがなく、相当不味い。
その拙速さは、今国会審議で法務省の出したデータに誤りが見つかったことにも表れている(https://www.asahi.com/articles/ASLCJ55GRLCJUTFK00Z.html)。こういうケアレスミスが出て来ると、国会審議に大きく響いてくるので、政府としては痛いところだ。
また、今年2月にキックオフしたときに出された内閣府のペーパーは、お粗末なものだった。少子化で生産年齢人口が減少していることを「人手不足」として、それゆえに外国人労働者を受け入れなければならない、としている(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/0220/shiryo_04.pdf)。
前回の本コラムでは、少子化は民主党政権下でも同じ状況だったので、少子化で人手不足は誤りだ、と指摘した。つまり、安倍政権になってから進められた異次元金融緩和によって雇用が生まれ、それ故に人手不足になったのであり、決して「少子化だから人手不足」ではないのだ。
(なお、筆者は人口減少・少子化は、日本にそれほど負の影響を与える問題ではないと考えている。興味のある人は、筆者の近著『未来年表 人口減少危機論のウソ』を参考してもらいたい。)
「人手不足」の解釈の誤り
さて、筆者の指摘をよりよく理解してもらうために、今の雇用環境を確認しておこう。安倍政権下で進められた異次元金融緩和によって、実質金利が相当程度低下し、為替安、株高をもたらし、同時に実質金利低下が継続して、人やモノへの投資も徐々に増加していることは周知のとおり。
特に雇用環境の改善は顕著だ。民主党政権下では減少傾向であった就業者数は、安倍政権以降は反転・増加傾向に転じ、6300万人から6600万人へと300万人程度も増加している。失業率もほぼ下限近辺ともいえる2.5%程度まで低下している。

このため、名目賃金は上昇傾向にある。実質賃金についても、当初は名目賃金の上昇が物価上昇より遅れるために低下したが、最近では底を打ち反転・上昇傾向に転じている。

さて、今回の入管法改正案がその良好な雇用環境へどのように影響をもたらすのか。それを論じることが今回の主題であり、一番の問題だ。
現在の日本にも一定数の「外国人労働者」がいる。安倍政権になってから、「外国人労働者」の数は70万人から130万人へと60万人も増加した。130万人の内訳で、雇用環境に影響を与えるといわれるのは、留学生アルバイト30万人と技能実習生25万人であるが、これらは安倍政権でそれぞれ20万人、10万人程度増加した。
政府がまとめた「たたき台」では、2019年度から5年間で130万〜135万人の労働者が不足するため、約26万〜34万人の外国人労働者の受け入れを見込み、来年度は約60万人の人手不足に対して、最大約4.7万人の受け入れを想定するという。
ここまでが前提だ。
まずはお金を吐き出すのが
さて、これまでの外国人労働力の受け入れ数は、上に述べたとおり130万人であるが、それが賃金に対してどのように影響してきたのかを調べてみよう。
下図は、外国人労働者の浸透度と賃金変化を示したものだ。はじめのものは、アベノミクスが実施された当初のものであり、2枚目は、アベノミクスの全期間である。

https://gendai.ismedia.jp/mwimgs/e/c/-/img_ec374f3c79f2eabfbff2b8953b5f4b5b107804.jpg

https://gendai.ismedia.jp/mwimgs/2/3/-/img_23867aa748716741ba333284a20afa8a106463.jpg
各産業で、アベノミクス当初と全期間でどのような変化が起こっているかについて、上の2図を合わせてみよう。

https://gendai.ismedia.jp/mwimgs/f/4/-/img_f4ca8f373032306ddffa07f2ddc9ba19125955.jpg
多くの産業では、今のところ、変化を示す線は横ばいで、大きな賃金低下にはなっていない。しかし、いくつかの業種(複合サービス、不動産・賃貸業、サービス業など)では、右下がりになっており、外国人労働者の浸透と賃金低下が見られる。総じて、右下がり気味なので、今後の動向が気がかりである。
今回の入管法改正は、人手不足を理由とする産業界からの要請で動いている。筆者は、人手不足はマクロ経済にはいいことであり、この際企業がため込んだ内部留保を吐き出して、給与や待遇を改善するのが先であると考えている。最近では、企業収益が好調であるにもかかわらず、労働分配率は低い。ここ5年間で労働分配率は5%程度低下しているので、今度は労働者が取り戻す番なのだ。
この観点からみれば、基本的には外国人労働者を新たに受け入れずに、今まで受け入れてきた留学生アルバイトと技能実習生にきちんとした在留資格を与えて、その後はきっちりと彼らの在留資格などについて管理するというスタンスが望ましい。
例えば、先進国の就学ビザでは原則労働禁止であるが、日本では1週間で28時間以内は可能とか、抜け穴の度が過ぎる。先進国のビザは、就労条件について厳格に定められており、その点日本のビザでは曖昧であることが問題だ。この際、入管法改正によって、先進国並みの在留資格を定めたうえで就労条件を明記することが必要であろう。また、労働者でありながら事実上労働基準法を適用しない「技能実習生」の概念は、そもそも理解しにくいので、これについても議論した方がいい。

今回の入管法改正で、来2019年度から5年間で最大で34万人を受け入れるというが、そうなると、留学生アルバイトや技能実習生はどうなるのか。
今回の入管法改正案が、これらの留学生アルバイトや技能実習生に新たな在留資格を与え、法的にきちんと認める……というものであれば、今の外国人労働者の総数は変化しないために雇用環境に影響ない。しかし、外国人労働者の総数が増えるのであれば、結果として日本人労働者の賃金を下げることにつながるだろう。
他の「先進国」と比べても…
さて、そのことと同時に、在留者やその家族の国民健康保険などの適用においても、これまで不適切な使用が何度も指摘されてきたので、しっかりと管理する必要性を論じるべきだ。
まず、日本の仕組みを簡単に述べておきたい。民主党政権下の2012年7月、外国人登録制度が廃止された。それに伴い、3カ月を超えて在留する外国人は、国民健康保険に加入することとなった(それまでは在留資格1年未満では国民健康保険に加入できなかった)。
外国人登録制度を廃止し、在留カードをもとに住民基本台帳で管理するのは理解できるとしても、3ヵ月在留資格により国民健康保険に加入できるのがよいかどうかについては、議論があるだろう。
この点について、海外ではどうなっているのか。日本と同様、国民皆保険制度を敷いているイギリスでは、6ヵ月以上の長期滞在者へのビザ発行の際、一定の医療保険料を支払うことでカバーされるシステムになっている。
同じく皆保険のオーストラリアは、オーストラリアへの相互健康保険国(英国、オランダ、スウェーデン、ノルウェー、イタリア、ベルギー、アイルランドなど)からの訪問者のほか、永住権を保持している人がメディケアの対象となり、「在留資格」では保険対象外となるらしい。
しばしば社会保障の優等生といわれるスウェーデンも皆保険であるが、滞在が1年以上で、住民登録すれば医療保険制度への加入が可能となるが、1年未満ではできない。
アメリカは皆保険でないが、留学生などでは事実上民間保険に加入することがビザの要件になっている。留学生の場合、他の国でも民間保険の加入を事実上義務付けている国は多い。お隣の中国でも、アメリカと同様な事情である。
直すべきところがたくさん
こうしてみると、世界に誇れる日本の皆保険制度に、3カ月以上の滞在で加入できるというのは、外国人への義務付けというよりは「特権」であろう(議論を進めるために、少し説明を簡略化している。細かい点については各自で調べてほしい)。
実際、この仕組みを悪用する例が後を絶たない。その悪用例は、2012年の民主党時代からさっそく目立ち始めたが、2014年7月、芸能人のローラの父親が国民健康保険の海外療養費請求詐欺で逮捕されたのには驚いた。在日外国人ではよくある話だというが、これを現場レベルで取り締まるのは困難である。
しかも、2012年にわずか3ヵ月での在留資格によって国民健康保険に加入できるようにされたのは、法改正によってではなく、民主党の小宮山洋子・厚労大臣(当時)下の厚労省省令改正によってである。
この省令改正措置に対して、パブリックコメントとして、「外国人の国保加入資格を、現行のまま在留期間1年とすべき」という意見もでた。それに対する厚生労働省担当課の見解は、住民基本台帳法の改正により、3ヵ月を超えて在留する外国人は住民となる……という形式面だけで「国民健康保険の対象になる」と判断している。これは政策的に稚拙であると言わざるをえない。
この問題については今からでも遅くないので、是非、今国会で取り上げるべきだ。せめて、改正前の「1年の在留資格」に戻すべきである。これは省令改正でもいいが、今後のために法改正で行うほうがいいだろう。さらに、法改正であれば、オーストラリアのように「相互主義」に基づくものにするのも一案である。
たとえば日本人が中国に留学する時には、中国の保険に加入させるよう政府からの通達が出ているという。これは、アメリカと同じ方法であるので、日本でも中国からの留学生については同じように、日本の保険に加入させることを条件としてもいい。
なお、中国への日本人の留学生は、中国で医療を受け医療費を支払った後に、国民健康保険の海外療養費請求を行い、日本の役所からその一定割合を還付するという方法もある。
これについて相互主義に基づいて、中国人の日本への留学生については、日本で医療を受けた場合、まず日本の医療機関に医療費を支払った後で、中国政府が中国人に還付するという方法でもいい。
いずれにしても、適切な外国人労働者の管理のために入管法改正を行うというのであれば、それはいい方向への改正であるが、今のままでの入管法改正はあまりに杜撰すぎるので、受け入れ上限や既存制度のスクラップなど、相当な修正が必要であることは繰り返し指摘しておきたい。

www.amazon.co.jp/未来年表-人口減少危機論のウソ-扶桑社新書-高橋-洋一



ぺぺ

ベスト50レビュアー
5つ星のうち5.0【新刊・重要】「人口減少≒労働力減少が起こっても、外国人労働者は要らない」等、「人口減少=日本の危機問題」に、著者が論理的に反証してくれる有益な1冊です
2018年11月4日
形式: 新書Amazonで購入
ベストセラーになった「未来の年表」を中心に、「少子高齢化で人口減少時代に突入すると、日本が危機を迎える」という論評に、著者が、論理的に半焼した一冊です
まず、「人口減少=危機」を煽っているのは、地方自治体の合併でポストが減る地方公務員だと看破した上で、今、注目の「外国人労働力≒移民」等に触れています
ここでは、皆さんが、とりわけ関心のある3テーマについてレビューしたいと思います

〇人口が減少すると、国力≒経済が崩壊する
・国力を「GDP」で捉えると、「GDP=みんなの平均給与×総人口」と計算できるので、確かに、GDPは減少する
・但し、世界に目を向けると、人口が増える国は、インドをはじめ、多くあり、海外市場に進出すればよい
・また、人口減少の局面では、「人口オーナス」といって、一人あたりGDPは押し下げられるが、これらは、「女性や高齢者の積極的登用」、「AIによる生産性向上」で回避ができる

〇人口減少に伴う労働力不足を補うために、外国人労働者を受け入れよう
・今、空前の人手不足が起こっているのは確かであるが、ブルーカラーも、そのうちAI化されてくるはずであり、労働力という観点では、最終的に外国人は不要になってくる
・逆に、外国人の雇用を増やすと、
ー日本人の雇用を圧迫するし、安い賃金で働くから、日本人の賃金水準も下がる
ー外国人の生活保護受給世帯が増えるという懸念がある
ー外国人が留学生として日本に入国し、日本の高額医療を受けて、母国に帰るという問題がある
ー文化摩擦や治安悪化(最悪はテロ)への懸念も強い
ー何より、外国人参政権により、外国人を日本の政治に組み込もうという意図がある
・要は、安価な労働力を手にしたい経済界とその走狗のマスコミが、外国人労働者受け入れを画策しているだけである

〇現役世代が減れば、年金制度は破綻する
・年金不安の根拠として、必ず持ち出されるのが、「65歳以上の高齢者1人を、15〜64歳の現役世代X人で支える」という理屈である
・内閣府の「高齢社会白書」によれば、2020年には2人、2040年には1.5人で1人で高齢者を支えることになる
・しかし、たとえ現役世代の人口がいくら増えたとしても、所得が増えなければ危機であることに変わりはない
・逆に言えば、所得さえ上がれば、十分に高齢者を支えることができる
・つまり、「人口×所得」の金額こそが大事なのだ
・それには、何よりも経済成長が重要になる
・確かに、昔は6〜7人で1人の高齢者を支えていたが、その頃の給料は今よりもずっと安かった
・そして、国力≒経済が大丈夫なのは、最初に見た通りである

いかがでしょうか
皆さんの不安の払拭に役立ったでしょうか

現在は、メディアの偏向報道で、国民が煽られ、政治的に間違った判断をする可能性もある時代です
そういうフェイクニュースに惑わされ、日本を間違った方向に進ませないためにも有益な1冊だと思います
しかし、フェイクニュースの根源の多くの場合、「既得権益を失いたくない公務員」であるのは困ったものです
そのためにも、元財務官僚で、「ねんきん定期便」等、様々な施策を実行された著者の本は有益だと思います
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waka

殿堂入りベスト50レビュアー
5つ星のうち5.0人口減少は日本社会に危機をもたらさない
2018年11月4日
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私が中学生だった1973年頃、「これ以上、人口が増えたら、将来必ず、食糧難になる。子供はできるだけ産むな」と盛んに言われていた。「子供は2人まで。3人以上産むのは犯罪行為だ」とさえ言われた。しかし、この掛け声は1〜2年で終わってしまい、10年たたないうちに、今度は少子化が問題になったのである。
著者の高橋氏も「これまでの人類の歴史では、人口減少より人口増加の方が大問題だった。有名なものはマルサスの人口論で、人口は幾何級数的に増加するが、生活資源は算術級数的にしか増加しないので、人口増加は貧困をもたらすというものだ。最近の経済成長理論でも、人口増加は1人当たりの資本を減少させるので、貧困の原因とされている」と述べている。
人口減少が危機だと叫ぶ人たちは、主に地方公共団体の関係者だと、高橋氏は見ている。その地域の人口が減れば、行政規模の適正化のため、市町村の合併が進み、自治体の数が減る。そうなると、課長や係長といったポストも減り、将来的にリストラで職場そのものを失うかもしれない。そこで、地方役人は「地域に人口を増やそう」と主張する。これが人口危機論を主張する”世間”の正体だ」と高橋氏は言う。

人口減少によって起こる問題として挙げられることに「国力が低下する」というのがある。この国力を「国内総生産」(GDP)のことだとする。人口が減少すれば、GDP値は当然減るが、実生活面にはほとんど影響ない。人口の増減は経済活動に影響はないと、高橋氏は様々なデータを挙げて述べている。むしろ、世界全体で見ると、人口減少は1人当たりの実質GDPを増加させる傾向があるという。
また以前の政府の出生率推計は当たらなかったが、最新の2002年の推計は外れていない。人口減少は「想定内」であり、政府は人が減ることに危機感を抱いていないと述べている。

現役世代の人口が減れば年金制度は破綻すると主張する人がいるが、高橋氏はこれも否定する。年金は、数学や統計学を用いてリスクを評価する数理計算で破綻しないように、保険料と保険給付が同じになるように設計されている。国民年金、厚生年金、民間の個人年金は、いずれも「保険」であり、すべての国民に最低限の生活と社会的援助を提供する「福祉」とは本質的に違う。
年金は掛け捨ての部分が大きくなれば保障額が多くなり、小さければ少なくなる。つまり、現役世代の人口が減って保険料収入が少なくなろうが、平均寿命が延びて給付額が増えようが、社会環境に合わせて保険料と給付額を上下させれば破綻しない制度なのである。
また年金は「保険」であり、「社会福祉」ではないので、消費増税は必要ない。にも拘わらず、年金不安を煽ってミスリードする人々がいる。まず財務省であり、経済界であり、厚生労働省であり、マスコミなどである。
消費増税に関しては、民主党政権時代に財務省に支配された野田佳彦元首相が決めたことである。安倍首相は消費増税が景気に悪影響を与えることを理解していたが、安倍首相といえど、一度法律で決めたことをひっくり返すのは難しいのである。
現役世代の人口が減っても所得さえ上がれば、十分に高齢者を支えることができる。つまり「人口×所得」の金額こそが大事で、それには何よりも経済成長が重要になる。年金は人口政策ではなく、経済政策の問題なのである。
なお、「ねんきん定期便」を発案したのは、高橋氏だという。これは国からのレシートである。

労働力不足はAIで補えばよく、外国人労働力を受け入れる必要はない。政府は移民受け入れを拡大する方向に動いているように見えるが、本質は逆で、水際ではじくことを考えているはずだと、高橋氏は言う。移民を受け入れれば、必ず社会問題が起こるからである。マイナスの方が大きく、そんなリスクを冒す必要は全くない。出入国管理法を再整備し、移民法を制定する流れになっていくだろうと述べている。

人口減少は問題ではなく、財政危機の不安を煽ってミスリードする勢力の方が問題だとよく分かった。
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ベスト500レビュアー
5つ星のうち5.0ニュースには、必ず「まやかし」が混じっている。
2018年11月7日
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年金等については、既に、著者出版のものもあるので、「移民問題」、「人口問題」に絞る。
移民問題は、ECを始め豊かな国で重要問題となっている。
例によってリベラルの責任を取らない「綺麗ごと」が発端であるので、各国で混乱が進行中である。
経団連は、国家的見地は頭になく単純な導入論である。瀕すれば鈍するである。
経済人の劣化は、高度成長期に較べれば別人種のようである。
メディアは、いつもその走狗となる。

世界の受入国は、北欧が多いが今、一番困っている。日本は、27位である。
スウェーデンは、その比率24%と高い。
受け入れ結果は、綺麗ごとでは済まないので、各国で受け入れ可否の議論が浮上してきている。そして、移民政策は、厳しくなってきている。
日本では、一周遅れの未だ、綺麗ごとの議論がなされているが、その前提に誤りが多い。
先ず、人工増減率と経済成長率は、無相関であることが解っている。
GDP減少は、生活及び経済活動に殆んど関係ない。
「デフレ人口原因論」ではなくて「デフレ金融政策原因論」である。
日本に於ける「人手不足」業種は、今後急速にAI化が進み補われていく。AIは、社会問題を引き起こさず管理も圧倒的に楽である。

移民を受け入れようと叫んでいる言論人は、無責任なええ恰好しや外国人を日本の政治に組み込もうとしている。そういう政党がある。
移民政策は、人口増加、経済成長、財源増加にあまり寄与しない。
方向として、出入国管理法を再整備し、移民法の制定の流れとなろう。
政府は、西欧諸国の混乱を知悉しているし、コントロールが必要であることも承知している。
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SMD

5つ星のうち5.0良作
2018年11月13日
形式: 新書Amazonで購入
なかなか新書としては良い一冊でした
(・∀・)
『未来年表 人口減少危機論のウソ』
○デフレに限らず、何でも人口減少のためと言っておけば、誰も傷つかないので、これはいい方便になる
○日本は人口減少が避けられないという前提で見ておけば、将来の人口動向を予想し、それに備えた様々な制度設計ができる
○子どもを育てるには、最低でも2900万円以上、場合によっては4800万円以上かかるから、経済的合理性だけで考える人は子どもを産むという選択はとらないはずだ
○子どもを産ませる政策と、生まれた後の子育て政策は全く別物
○国民の幸せ=人口の増加ではない
○世界全体でいえば、人口増加は不味いが、人口減少は不味くない
○全体の物価は個々の価格とは関係なく動いていく
○人口の増減はマクロ経済指標にはほとんど影響がない
○移民の労働場所はAIが奪っていくから、移民を無理して入れることはない
○国民年金、厚生年金、民間の個人年金は、いずれも正確に言えば「保険」であり、すべての国民に最低限の生活と社会的援助を提供する、いわゆる「福祉」とは本質的に違う
○消費税は応益税になるため、地方自治体の基礎的業務に使われるのが適している
○所得税は応能税になるため、国の業務に使われるのが適している
○国の責務は、あくまで金融緩和で完全失業率を下げて、市場全体のパイを大きくすること
○人口が減っても地方自治体以外の人間は誰も困らない
○地方が税率決定など自主課税権を持つ税財源がなければいけない
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上杉

5つ星のうち2.0この人がいるので儲けるチャンスが生まれる
2018年11月11日
形式: 新書
理路整然とアベノミクスと自民党を擁護する学者さん、元大蔵官僚。
このような人の論説が世の中を動かしている。素晴らしい。
しかし、この論理は長期的には破綻するだろう。今は良いが続かないので星2です。
欧州中銀にこの人の論理を主張したら、ギリシャ人ですかと聞かれそう。
昔、バブルに踊っていた時、高橋先生同様、まだ大丈夫という人が沢山いた。
逆に、外人は株を空売りし、破綻後に銀行や会社を安く買って大きく儲けた
今のバブル擁護論者である高橋先生の逆をやって儲けられる日が来るでしょう。
破綻が来る日まで、頑張って論陣を張ってほしい。私は逆張りして儲けたい。
反面教師として一読に値する。自分の知識が試される本。
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よーぴー

5つ星のうち1.0データ、効率、、じゃあ人間は???
2018年11月7日
形式: 新書
人口減少を危惧しているのは地方公務員である。彼らは合併が進むと職を失うからだ、と書かれていますが、それだけでしょうか。彼らにはその町や市のために働いてきた思い入れがあります。自分の町がなくなることがどれだけ大きなことか。地元であればなおさらでしょう。

自分にしたって、例えば母校がなくなることはとても大きな問題です。そこが自分が育った愛着のある母校であり、財産だからです。地元では人口減少により統廃合が進んでいます。

効率や市場原理ばかり気にする新自由主義の著者にはここらへんのことが分からないようです。
経済学は冷たい学問ですね。
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温泉大好き。

ベスト100レビュアー
5つ星のうち5.0日本人よ、情報選別能力を研ぎ澄ませ、メディアに蔓延る噓情報に振り廻されない見識を身に付けよ。
2018年11月6日
形式: 新書
 元大蔵(財務)官僚である著者が、十年一日の如く、古巣がマス・メディアと御用学者を手先に自らに都合のよい噓情報を撒き散らしている実態を、理路整然たる筆致で徹底的に暴いた一冊。『日経新聞にそう書いてあるのだから、間違っているはずがない。』という安易な思い込みが如何に危険であるかを、本書を通じ、多くの人に知っていただきたいものである。
 序章の冒頭に、「人口が減少すると日本は危機に陥る。」と不安を煽っているのは、人口が減ると地位を失う虞(おそれ)のある地方自治体関係者と、デフレの原因を人口減少に求めたがるコメンテーターだ、とあるものの、わたくしは、むしろ、「日本はこの先人口が減少するので、経済は先細りで、未来は明るくない。」という気分を人々に植え付け、「だから、消費税率を段階的に上げざるを得ないのだ。」と思い込ませようとする財務省(及びその手先)こそが張本人であると考えている。
 続く第1章では、人口の増減と経済成長との間にも、人口の増減と物価上昇率との間にも、何らの相関関係がないことが、データによって示されている。物価上昇率は、飽くまで通貨の供給量によって決まるのであり、人口が減ったところで、マクロの指標には何らの影響も生じないのである。たったこれだけのことを、一体今日どれほどの人が理解しているであろうか。
 第2章では、外国人労働者の安易な受け入れが深刻な社会問題を引き起こすことに警鐘が鳴らされている。わたくしは、昨今の新聞報道等で、安倍総理が、移民の受け入れを積極的に推進しようとしているような印象を受けており、これが安倍氏の本意ではなく、何らかのしがらみを断ち切れず、已むを得ずにそのような政策を実行しているのだろう、と推察しながらも、後で取り返しの付かない事態に陥らなければいいが、と気を揉んでいた。しかし、本書を読み、実は安倍氏は、移民を厳格に精査し、水際で排除する方向に進もうとしていることを知り、安心した。自称「リベラル」の主張に乗り、移民受け入れを拡大したヨーロッパが、今どんなことになっているかは、多くの日本人が直接間接に見聞きしているところである。日本は断じて同じ轍を踏んではならない。
 第3章では、著者が大蔵省時代から、厚生年金基金の問題点を指摘し、厚生省から睨まれた逸話が披露されている。蓋し、人々に将来への不安を煽りたい勢力は、この時の前例を念頭に、「このままでは将来年金を受け取れなくなる。」「少子高齢化で年金制度は破綻する。」と頻りに喧伝しているわけであろう。一般に、日本人は、猜疑心が乏しいために、『テレビ・新聞・雑誌で繰り返しそう言っているし、そのように書かれた本が出廻っているのだから、その通りなのだろう。』と何の疑いもなく受け入れる傾向が非常に強い。これからの日本人は、「世の中には、そんな日本人のお人よしに付け込んで悪巧みを仕掛けようと考える一派が存在するのだ。」という事実を見抜かなければならない。また、本章では、「消費税は『応益税』であり、年金保険料の穴埋めには所得税のような『応能税』が適しており、『社会保障費の増大に備え、消費税率を上げなければならない。』という財務省の主張はまやかしである。」と論破されている。
 第4章では、雇用政策におけるミクロとマクロの視点の混同がもたらす根本的な誤解が指摘されている。「デフレで物価が下がれば、出費が減って好都合だ。」という考えなどは、その典型と言えよう。人々が豊かさを実感できるためには、まず雇用を確保し、失業率を下げなければならない。そのためには、緩やかな経済成長によって緩やかな物価(価格ではない)の上昇が維持されなければならない。これによって、企業は雇用を増やし、設備投資を増やし、賃金が増え、企業業績が上向くという好循環が生まれるのである。
 第5章では、ふるさと納税を批判する総務省の筋違いが採り上げられるとともに、中央と地方の望ましい役割分担のあり方が提唱されている。
 これまでの著者の本へのレヴューにも何度か書いて来たことだが、著者は、頭脳明晰である一方で、何らかの成心から事実に反することを読者に吹き込むという狡賢いことは決してしない人である。自らの利益を図るために噓情報を垂れ流したい勢力にとっては、著者のようにそれを真正面から論駁し、正確な情報を突き付ける人ほど、邪魔で目障りな存在はないであろう。
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frederick0001

5つ星のうち2.0批判は整然としているが、、、
2018年12月8日
形式: 新書Amazonで購入
批判については理論・数値を交えながら根拠を多数並べて、なるほどなぁと思える本です。
しかし、解決・対応策については提示が少なくあまりにもざっくりしていて具体的な例示に欠けます。
「人口減少危機論のウソ」というタイトルなので「ウソ」であることを暴くことに主眼が置かれているのはそれは仕方ないことなのですが、、、。

宣伝文句である

だから、どうした?
人口が減ると、何か問題でも?

の一歩先を見た本かなと期待していただけに、
「ウソ」であることの根拠の羅列になっていて、ちょっと残念です。
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Mizurino

5つ星のうち5.0人口減少に対して必ずしも悲観的になる必要がないことを、豊富な図表から納得させてくれる一冊
2018年11月14日
形式: 新書
人口減少に関わる俗説に対して、データに基づく統計分析(クロス・セクション分析)により軽快に論破している。

例を挙げれば、
・先進国の人口増加率と1人当たりのGDP成長率に相関はない
・物価上昇率と人口増加率に相関はない。物価上昇率と相関があるのは通貨増減率。
・婚外子の割合と合計特殊出生率の間には相関あり(相関係数:0.5)

また、人口減少から派生して、将来の年金/社会保障制度、雇用、財政、地方分権にも触れている。さらに図表が合計47も掲載されており著者の主張の説得力を高めている。

感心した主張は以下のとおり。
・子供を産ませる政策と生まれた後の子育て政策は全く別物。p31
・年金は、当初は積立方式て運用されていた。しかし、インフレに弱いという理由で賦課方式が取り入れられた。賦課方式では100兆円に及ぶ巨額な積立金は不要。GPIF不要論。p.111
・日本は所得の捕捉率が他国に比べて低いため法人税率か下げられない。p.126
・民主党政権で失業率が低下した理由は、就業者数(分子)よりも労働力人口(分母)の減少の方が大きかったから。p.155
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男性・古代遺跡ファン

ベスト500レビュアー
5つ星のうち5.0人口減少を、危機と捉えるか、好機と捉えるか。
2018年11月26日
形式: 新書
日本が、人口減少し、少子高齢化社会になる事はほぼ間違いないので、後はそれをどう捉えるかだと思います。

一部メディアや、安倍政権の政策もそうかもしれませんが、日本社会全般に、これを危機と捉える悲観論の方が多い様に思います。それだけに著者の様な楽観論を主軸とした言説には価値がある様に感じました。

また、寧ろこれを好機と捉えた方が理に叶い、有効な政策が提言できるようにも思います。
確かに、人口減少は残念な事ではありますが、ことさらに危機感を煽り、外国人労働者を無理をしてでも入れ、支えさせるというのは筋違いかと思われます。

AI等も活用しながら、日本国民の利益を既存しない形での、新しい国家像を作るべきだと思います。
だからこそ、メディアも危機感ばかり煽るなと言いたい。

個人的に思うのですが、企業の労働力不足が深刻なら、本書でも触れられている様に、人口増が見込まれる第三世界に委ねればいいし、国内の、例えば接客業なんかも、もっとセルフサービスで済ませても良いと思います。

実際、ガソリンスタンドとか、そういうシステムの場所増えてますよね。
そういうやり方でも、全然補えると思います。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58527

 


入管難民法改正案〜「外国人労働者が増えれば賃金は上がらない」という事実
2018/11/28 11:40
政治・経済

ライフ
番組名
飯田浩司のOK! Cozy up!
タグ
飯田浩司
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」11月28日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。入管難民法改正案について解説した。


入管難民法改正案が衆議院を通過

外国人労働者の受け入れ拡大に向けた入管難民法改正案は昨日の夜、衆院本会議で採決が行われ、賛成多数で可決、参議院に送られた。与党側は本日28日の参院本会議で法案の審議に入りたい考えだ。

飯田)国会で焦点となっていた重要法案と言われておりますが、リスナーの方からもご意見を頂いています。こちら“タリー”さん、「国会で議論されるときに想定されている外国人労働者の姿と、実際に外国人労働者を雇いたい業者と、この制度に反対する勢力とで想定している外国人労働者像が違い過ぎるのではないでしょうか。この溝を埋めないままでは議論が進むはずは無い、拙速と言われても仕方がない」と頂きました。

高橋)拙速というのは間違い無いでしょうね。もともと諮問会議でやり始めたのが今年の2月か3月、そういうレベルでしょう。普通の感覚からしたら1年違うという感じはします。

飯田)1年早い。

高橋)普通は1年間くらい、いろいろな審議会でよく揉んでからです。諮問会議はほとんど議論できないから、もっと違うところで揉んでやるというのが普通ですけれどね。その外形的なところを見ても、役人の印象で見ても早くやっているなと、答弁もきちんとできていないという印象がありますね。中身自体も労働者を入れたら賃金が上がらなくなります。「賃金が上がらなくなってまでやるのか」という議論はありますよね。


外国人労働者が増えれば賃金は上がらない

飯田)ここに関しては賃金が上がらないのではないか、むしろ下押しになるのではないかという話は、よく答弁でも突っ込まれていましたけれども。

高橋)それはそうでしょう。

飯田)「基本的にそんなことはない、待遇は一律にするのだ」という話をしています。

高橋)一律と言ったって、業界の方は安い労働力が欲しいからという理由でやっているだけですから。

飯田)結局、表では言わないけれどそういうことですよね。

高橋)それはそうですよ。人数が増えれば必ずそうなりますし。私はいろいろな分析をしているのですけれど、業種ごとに外国人の浸透度というものがあって、賃金の上りの度合いを見ると、やっぱり浸透度の大きい方が上がらないのですよ。いままでも100万人以上受け入れて来て、賃金が上がらないというのは事実なのです。外国人が増えれば増える程上がらなくなるということは、データとして明らかに出ていますから。


長距離輸送〜自動運転が今後カギとなる

飯田)その賃金についてです。53歳トラックドライバーの“ひで爺”さん、「他の業界の人手不足というのはよく分からないですが、我々運送業界に至っては、どこの会社もドライバー不足。特に若者の様子は見込めないのが現状です。最大の原因は低賃金にあります。ドライバーの賃金を上げるには運賃の値上げなしにはあり得ません」と。30歳から大型のドライバーをされているそうですが、「3回賃金がダウンして20年間ボーナスをもらっていません。そんな業界に若者は来ませんよ」と頂きました。

高橋)そうですね。このような大変な業界は、できれば自動運転にするということです。高速でしたらいまでも自動運転できます。高速の長距離のところはみんな自動運転になって、最後ターミナルの後だけ人間となる確率は高いのではないですか。

飯田)なるほど。長距離輸送はそちらにシフトして行かざるを得ないということですね。

高橋)少なくとも高速は自動運転にできますから。

飯田)運賃の適正化ですが、一時期各社値上げというものがありましたが、最近はあまり聞かなくなってしまいましたね。

高橋)そうですね。どうしたのですかね。

飯田)市場原理で行くと、値下げ圧力みたいなものもあるのでしょうけれど、現場のコストを積み上げて行ったら、「これではとてもやれない」ということがいくらでもあるということですか?

高橋)そのときに自動化とか、そういうものがカギになるのですよね。これは業界によって対応がさまざまですが、基本はやはり総枠の外国人労働者を抑えるくらいのことをしないと、実は上手く回らないと思うのですけれどね。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00
http://www.1242.com/lf/articles/143113/?cat=politics_economy,life&pg=cozy
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/850.html

[経世済民129] ゴーン元会長らを起訴・再逮捕 地検、日産も起訴 日産、不記載の役員報酬 今期一括計上へ 
ゴーン元会長らを起訴・再逮捕 地検、日産も起訴
2018/12/10 14:28 (2018/12/10 16:22更新)日本経済新聞 電子版
 日産自動車元会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)の報酬過少記載事件で、東京地検特捜部は10日、ゴーン元会長と元代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者(62)、法人としての日産を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪で起訴した。さらに直近3年間でも過少記載があったとして、ゴーン元会長らを同法違反容疑で再逮捕した。立件額は8年間で計91億円余となった。

東京地検特捜部はゴーン元会長らを起訴した
東京地検特捜部はゴーン元会長らを起訴した

 ゴーン元会長らは起訴内容・再逮捕容疑を否認しているとみられ、公判では無罪を主張して争う見通しだ。

 役員報酬に関する虚偽記載の起訴は初めて。企業統治(コーポレートガバナンス)に対する投資家の関心の高まりなどを背景に、特捜部は役員報酬も投資家の判断に影響を与え、虚偽記載をすれば刑罰の対象となる「重要な事項」に当たると判断した。

 有価証券報告書の虚偽記載には個人だけでなく法人の刑事責任を問う両罰規定があり、長期間にわたって経営トップの虚偽記載を止められなかった法人としての日産の責任も重いと判断した。

 日産では新車の完成検査で新たな不正が発覚。企業統治の面から、西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)ら現経営陣の経営責任についても批判が強まりそうだ。

 日産の起訴を受け、東京証券取引所は同社株について上場廃止のおそれがあることを示す「特設注意市場(特注)銘柄」に指定するかどうかの検討に入る。

 特注銘柄は、有価証券報告書に重大な虚偽記載があり、会社の内部管理体制にも問題がある際に東証が指定する。指定期間中も通常どおり売買できるが、東証が内部管理体制の改善度合いを監視する。改善が認められれば指定を解除する。

 過去には12〜13年にオリンパス、15〜17年に東芝が指定された。

 関係者によると、ゴーン元会長は自ら決めた各期の自身の報酬の一部について受領を先送りし、有価証券報告書に記載していなかったとされる。

 特捜部は「先送り分の報酬も支払いが確定しており、記載する義務があった」と判断。ゴーン元会長側は「支払いは決まっておらず、記載義務はなかった」などと主張しているもようだ。

 特捜部の起訴に先立ち、証券取引等監視委員会は10日、ゴーン元会長ら2人と日産を金商法違反容疑で東京地検に告発した。監視委としてもゴーン元会長らの刑事責任を問う必要があると判断した形だ。

 起訴状によると、ゴーン元会長らは15年3月期まで5年間の有価証券報告書でゴーン元会長の報酬を計約48億6800万円過少に記載したとされる。日産は公訴時効が成立した11年3月期を除く4年分で起訴された。

 再逮捕容疑は、18年3月期まで3年間で報酬を計約42億7000万円過少に記載した疑い。

 起訴内容と再逮捕容疑を合わせると、過少記載の総額は8年間で91億円余となる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38729110Q8A211C1MM8000/?n_cid=SPTMG053

 

監視委、ゴーン元日産自会長らを告発
社会
2018/12/10 15:27
保存 共有 印刷 その他
証券取引等監視委員会は10日、日産自動車(7201)元会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)と、元代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者(62)、法人としての日産自を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで東京地検に告発したと発表した。

ゴーン元会長はケリー役員と共謀し、2011年3月期〜15年3月期の間にゴーン元会長の報酬計約50億円を記載せずに虚偽の有価証券報告書を提出した疑い。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL10HLG_Q8A211C1000000/?n_cid=SPTMG053


 


 
日産、不記載の役員報酬 今期一括計上へ
【イブニングスクープ】
自動車・機械
2018/12/10 18:00日本経済新聞 電子版
保存 共有 その他
日産自動車はカルロス・ゴーン元会長と同社が役員報酬について有価証券報告書に虚偽の記載をした罪で起訴されたことを受け、記載されていなかった役員報酬に絡む費用を2019年3月期決算で一括処理する方針だ。正しい決算を作成するための社内管理体制が整っていると上場企業が投資家に向けて宣言する文書、「内部統制報告書」の訂正も検討する。

■純利益は目減りする見通し

ゴーン元会長が記載していなかった役員報酬は総額…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38743870Q8A211C1MM8000/?n_cid=NMAIL007
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/854.html

[経世済民129] 強靱化総事業費、7兆円 いずも空母化、協議継続 幼保無償化の費用一部負担決着 共同通信
国内政治ニュース(共同通信)2018年12月10日 / 21:17 / 2時間前更新
強靱化総事業費、7兆円
共同通信
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 国土強靱化に向け2020年度までの3年間で実施する政府の重要インフラ緊急対策の総事業費が7兆円規模になることが10日、分かった。国費は3兆円台半ばとなる見通しで、政府・与党が最終調整している。

 自民党・国土強靱化推進本部の林幹雄本部長代行は政府との会合後、記者団に「政府からは当初、6兆円との説明があったが、精査の結果7兆円になった。十分に評価できる」と話した。

 インフラ対策の対象は河川の改修や空港の浸水対策など160項目。政府は今週にも関係閣僚会議を開き、箇所数などを示す。緊急度の高い箇所から予算を配分する方針で、国費のほか財政投融資の活用も検討する。

【共同通信】
https://jp.reuters.com/article/idJP2018121001002654?il=0


 
国内政治ニュース(共同通信)2018年12月10日 / 22:57 / 17分前更新
いずも空母化、協議継続
共同通信
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 自民、公明両党は10日、新たな防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」を巡るワーキングチーム(WT)の会合を国会内で開いた。海上自衛隊の護衛艦「いずも」改修による事実上の空母化構想について協議したものの、了承手続きは見送った。11日に会合を開き、与党としての方向性をまとめたい考えだ。

 公明党は7日に開いた前回会合に引き続き「攻撃型空母」は自衛のための必要最小限度の範囲を超え、保有は許されないとする従来の政府見解と、今回の空母化との整合性について、説明を求めた。来年の通常国会での野党の批判も念頭に、いずも改修の必要性や具体的な運用方針を明確にするよう要請した。

【共同通信】
https://jp.reuters.com/article/idJP2018121001002750?il=0

 
幼保無償化の費用一部負担決着
共同通信
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 政府が来年10月に予定する幼児教育・保育の無償化を巡り、反発していた全国市長会は10日、国から求められていた費用の一部負担を受け入れることを決めた。全国知事会と全国町村会も受け入れる方針を固めており、国と地方の交渉は事実上、決着した。

 市長会は同日、理事・評議員合同会議を開催。国が当初案から譲歩し、市町村の負担を年間約1千億円軽くすることなどから、費用負担を了承した。

 立谷秀清会長(福島県相馬市長)は会議後、記者団に「それなりに進展があった。100パーセントの理解を得られたわけではないが、どこかでけりをつけなければならない」と説明した。

【共同通信】
https://jp.reuters.com/article/idJP2018121001002559?il=0

http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/855.html

[経世済民129] 年明けにかけて株式市場を揺さぶる「ABCDE」もはや「人工的」な日本の債券・株式市場
年明けにかけて株式市場を揺さぶる「ABCDE」もはや「人工的」な日本の債券・株式市場

上野泰也のエコノミック・ソナー
2018年12月11日(火)
上野 泰也

柔軟なETF買い入れで株価を下支えする日銀(写真: Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
 日銀による上場投資信託(ETF)の10月の買い入れ実績が8700億円に達したことが、市場で話題になった。通常のETF買い入れが12回オファー(約定)されて計8436億円。これとは別に、設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業の株式を対象とするETF買い入れが22回オファーされて計264億円。総合計は8700億円である<図1・図2>。
図1:日銀によるETF買い入れの残高

(出所)日銀 https://cdn-business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/120600169/p2.jpg  
図2:日銀によるETFの月別買い入れ額

注:「日銀当座預金増減要因と金融調節」に掲載された実績ベースの計数で、設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業の株式を対象とするETF買い入れを含む(出所)日銀
https://cdn-business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/120600169/p3.jpg

 ただし、上記は日銀がオファーして約定した日を基準とする集計結果である。実は、決済による資金移動を伴うベース(月末発表の「日銀当座預金増減要因と金融調節」に記載されている数字で、設備・人材投資ETF買い入れを含む)の10月分は、買い入れ額(フロー)が6283億円であり、16年以降の実績の中で特に目立つ数字ではない。買い入れの約定が10月中でも、ETFを組成した上で日銀サイド(信託銀行)に引き渡して決済するタイミングは11月というケースが、月末近くに少なからずあったとみられる。ちなみに次の11月分は6162億円になった。
日銀は柔軟化したETF買い入れで株価下支え
 日銀は、7月31日の金融政策決定会合で決定した金融緩和策修正の中で、保有残高が年間約6兆円に相当するペースで増加するようにするとのETF買い入れの目標額は維持しつつも、「資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて」買い入れ額は「上下に変動しうるものとする」と、公表文に明記。株価の騰落にかかわらずカレンダーの区切りで厳密に「約6兆円」ペースを守るというような硬直的運営をはっきり排除した。
 これは、たとえば18暦年や18年度といった区切りで義務的に「約6兆円」買い入れる運営はせず、市場の状況を見ながら柔軟に買い入れするという趣旨である。極端に言えば、ある月に1兆円規模で買い入れた後、翌月には全く買い入れない運営も、前後の月を含めた1年程度の区切りで「約6兆円」ペースならば許容されるはずである。
 そこから思考を一歩進めると、上記の運営柔軟化によって、個別銘柄の相場形成やガバナンスの観点から批判が根強いETF買い入れの「約6兆円」からの一段の増額は、追加緩和の選択肢から事実上外れたと言えそうである。柔軟な運営により短期間に集中的にETFを買い入れることが可能になったからである。
 むろん、増額を決めればアナウンスメント効果が伴うわけだが、「約6兆円」を一度増額してしまうと減額するのは至難の業だという点に鑑みると、「柔軟な運営の中での増額」というETF買い入れ方法を手にしていることのメリットは、日銀にとって大きい。
 その後、11月22日の夕刻に、日本株の関連でちょっとした驚きがあった。日銀がこの日にETF(設備・人材投資企業対象以外)を703億円買い入れた事実が明らかになったのである。日銀が後場にETF買い入れを入れるかどうかを探る上で市場が注目しているのは、前場引け時点のTOPIXの騰落である。22日は1614.87(前日比▲1.02ポイント)で、下落率は0.06%にすぎなかった。この程度の下落率なら日銀は動かないだろうと思われたが、実際には後場に日銀買い入れ観測が流れた模様で、TOPIXは上昇して大引けした。
 上記の問題をいち早く取り上げたのが、同日の18時すぎに日経QUICKニュースから配信された「市場点描 『ほぼ横ばい』でもETF買った日銀、飛び交う思惑」である。
 この記事によると、日銀が7月末の金融政策決定会合で緩和策の修正を決めた翌日である8月1日以降11月21日までの26回のETF買い入れ(設備・人材投資企業対象以外)で、前場のTOPIX下落率が最も小さかったのは10月29日の0.27%。下落率が0.19%だった11月15日は買い入れがなかったので、市場では「約0.3%安」が日銀ETF買い入れのトリガー水準とみられていた。それが22日に覆ったわけである。
 10月の株安対応の大規模な買い入れで「日銀の(ETF)買い余力は乏しくなっている」との声も市場にはあったもようで(筆者に言わせればそうした見方はナンセンス)、さまざまな思惑が出ており、中には「将来の(ETF買い入れ)枠拡大への地ならしでは」「12月の日銀会合に向けて思惑が広がるのではないか」といった見方も出ていたという。
 だが、筆者は「日銀のETF買い入れ余力が尽きかけている」「将来の買い入れ枠拡大に向けた布石ではないか」といった見方には、完全に否定的である。上記ですでに説明した、日銀がETF買い入れを柔軟化した意味合いを、いまだに理解できていない向きがあるのではないか。
 「今年の日銀ETF買い入れ可能額は残り少ない」といった記事を一部業界紙が掲載するような現状に、日銀は一種のいらだちを覚えたのかもしれない。11月22日のETF買い入れは、@TOPIX前場下落率といった基準に沿って固定的・硬直的に運営されているという見方の払しょくを狙ったものであると同時に、A本来の趣旨である「リスクプレミアムへの働きかけ」という観点から市場の脆弱な地合いがこの先当面続くと判断したものだろう(19年にかけての数多いリスク要因については後述)。さらに言えば、22日の買い入れ実施がサプライズになることが株価下支えに寄与してくれればもうけもの、ということだろう。
 「米国の中間選挙が11月に終わった後、12月から2019年1〜3月期にかけてはリスクイベントが少ない」といった説明をしているアナリストがいるそうだが、筆者に言わせれば、現実は全く逆である。
 すぐに思いつくものだけでも、@12月11日の英議会におけるEU(欧州連合)離脱合意案採決、AECB(欧州中央銀行)による12月末の量的緩和終了(日米欧中央銀行のバランスシート拡大停止・縮小は「カネ余り」相場の一層の不安定化につながり得る)、B1月招集米新議会での下院民主党によるトランプ政権追及強化(弾劾訴追も選択肢となる)、といった材料がある。一時休戦となっている米中貿易戦争の行方、中国の景気悪化度合いも要注目材料である。
 12月および19年1・3月に予定される米FOMC(連邦公開市場委員会)のいずれかで利上げの休止がアナウンスされれば、株式などリスクが相対的に高い資産の価格下支えに寄与するだろう。
金融市場に盛りだくさんの「リスクオフ」要因
 ただしそれは、米景気指標の出方(景気減速度合いと市場のリスク認識の高まり具合)次第の面がある。景気指標悪化がきつい場合にリセッション懸念から株価の下げ幅が大きくなり、FRBに対する利下げ催促相場の様相を帯びるシナリオも想定できる。
 金融市場の「リスクオフ」への傾斜につながり得る要因がこの先いかに多いかをわかりやすく示す手法はないかと考えていたところ、ABC順に並べることを思いついた。
A. (America First)〜トランプ政権の保護主義。米中両国の覇権争いが絡んでいる
B. (Brexit)〜EU離脱合意を英下院が否決する場合、先行き不透明感が一層強まる
C. (China)〜金融緩和があまり効かず、財政頼み。19年は成長目標を切り下げも
D. (Developing Economies)〜通貨防衛のため南ア、インドネシアなど利上げ実施
E. (EU)〜欧州委はイタリアに対する過剰財政赤字是正手続きを勧告、制裁も視野
上記5つに続くものとして以下の2つもあるが、材料としてはかなり小粒である。
• F.(France)〜燃料課税上げに反発するデモ・支持率低下にマクロン大統領が直面
• G.(Germany)〜州議会選で敗北したメルケル首相が与党党首の座を明け渡す
 ついでと言っては何だが、最後に、債券市場や株式市場が人工的な色彩をかなり帯びている日本についてABC順に重要なワードを並べた上で、若干の解説を付しておきたい。
A. (Abe)〜自民党総裁選に勝利した安倍首相の党総裁任期は21年9月まである
B. (Bank of Japan)〜物価目標2%は高すぎ、異次元緩和は事実上「エンドレス」
C. (Consumption Tax)〜19年10月予定の消費増税対策は迷走気味。再々延期も
D. (DPJ)〜政権交代後の民主党の失政で弱小野党が乱立。19年7月ダブル選挙も
E. (Expansion)〜19年1月まで持続すれば、景気拡張局面は戦後最長記録となる


このコラムについて
上野泰也のエコノミック・ソナー
景気の流れが今後、どう変わっていくのか?先行きを占うのはなかなか難しい。だが、予兆はどこかに必ず現れてくるもの。その小さな変化を見逃さず、確かな情報をキャッチし、いかに分析して将来に備えるか?著名エコノミストの上野泰也氏が独自の視点と勘所を披露しながら、経済の行く末を読み解いていく。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/120600169

http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/856.html

[不安と不健康18] あなたも脂肪肝?「お酒では太らない」は大誤解 毎日浴びるように飲んでいると肝臓が“フォアグラ状態”に!酒好き医師が教える
あなたも脂肪肝?「お酒では太らない」は大誤解

毎日浴びるように飲んでいると肝臓が“フォアグラ状態”に!

酒好き医師が教える忘年会対策

2018年12月11日(火)
葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト
 忘年会シーズンになり、毎晩のように飲み歩いているみなさんに気をつけていただきたいのが「脂肪肝」です。中高年男性の約半数が脂肪肝と言われており、そのまま放っておくと、肝硬変や肝臓がんなど怖い病気に進んでしまう場合があります。つまみの選び方や飲み過ぎに注意しましょう!
 「忘年会シーズン」に突入し、毎晩のように楽しくお酒を飲んでいるという方もいらっしゃるでしょう。
 若いころは浴びるように飲んでもなんともなかったのに、年を取ってからは、健康診断の肝臓に関連した数値にビクビク、なんていう方も多いと思われます。
 それでも、「毎日浴びるように飲む」のをやめられない人は、「脂肪肝」を疑ってみたほうがいいかもしれません。
 脂肪肝とは、肝臓に脂肪がたくさんたまった状態のこと。いわば“フォアグラ状態”を指すのですが、飲酒が脂肪肝の直接の原因であること、また脂肪肝から肝硬変や肝臓がんへと進んでしまう場合があることが分かってきました。
中高年男性の半数は「脂肪肝」
 脂肪肝はとても身近な病気です。中高年男性なら、その半数が脂肪肝とも言われています。だからといって、健康診断で「脂肪肝の可能性が高いですね」と指摘されても何もしなくてもいいのでしょうか?
 拙著『マンガでわかる酒好き医師が教える最高の飲み方』から、脂肪肝の原因について“酒好き医師”に解説してもらいましょう。


 1日の純アルコール摂取量が「60g」を超えている人は、アルコール性脂肪肝の可能性がとても高くなります。
 純アルコールで60gの目安は、ビールなら中ジョッキ3杯、ワインなら6杯、日本酒なら3合ぐらいです。
 「えっ それぐらいの量は、毎晩のように飲んでいるよ」という方は、自分のぽっこり出たお腹に手を当てて考えてみてください。本当にこのままでいいのか、と。
「お酒は飲んでも太らない」は誤解
 脂肪肝は、糖尿病や高血圧など、さまざまな生活習慣病のリスクを高めます。そもそもアルコールは肥満の原因になるので、毎日浴びるように飲んでいる人は、メタボリックシンドロームまっしぐらなのです。
 それなのに、「お酒はエンプティカロリーだから飲んでも太らない」「糖質ゼロのハイボールを飲んでいれば問題ない」と勘違いしている人が、大勢います。
 残念ながら、お酒は飲むと太るものなのです。再び酒好き医師に登場してもらいましょう。


 1日の「適量」が、ビールなら中ジョッキ1杯、ワインなら2杯程度……。
 あまりにも少ない、と思った人とは友達になれそうです(笑)。
 これは、純アルコールに換算して「20g」程度の量に当たります。「本当にこれしか飲んじゃダメなんですか? なんとかなりませんか」とリアルな“酒好き医師”こと、肝臓専門医の浅部伸一さん(『マンガでわかる酒好き医師が教える最高の飲み方』監修者)に聞いてみたところ、「個人差はあるのですが、一般論として、1週間あたりだと、純アルコールは150g程度が適量です。休肝日を作るなどして調整すれば、1日で20gを超えても、1週間で150g以内に抑えれば大丈夫でしょう。ただし、海外ではもっと厳しくしようという流れもあります」と教えてくれました。
居酒屋で食べても太らないつまみは?
 さて、忘年会が続くという方は、一緒に食べるつまみにも、もちろん気をつけたほうがいいでしょう。居酒屋で提供される典型的なつまみはカロリーが高いものが多く、締めのラーメンまで入れれば、一晩で2000kcalを超えてしまうこともあります。
 前回、つまみを食べずに空きっ腹で飲むと悪酔いするという話をしましたが、つまみのせいで太ってしまうこともよくあるのです。
 身に覚えのある人は、以下のマンガを読んで、酒好き医師に叱ってもらってください。



 カロリーを抑えるためには、「蒸す」「煮る」「水煮」といった、油を使わない料理にするか、野菜や海藻類、さらに、湯豆腐やいかそうめんといった脂質が少なくてたんぱく質が多いものを選ぶようにしましょう。
 また、体重を毎日測定することもお勧めです。いつまでも美味しくお酒を飲み続けるためには、生活習慣病対策をきちっとする必要があります。最近はダイエットのためのアプリがあるので、体重に加え、自分が食べたもの、飲んだお酒について記録しておくと便利です。
葉石かおり著、浅部伸一監修『マンガでわかる 酒好き医師が教える最高の飲み方』

 健康診断の結果を受けて「脂肪肝かもしれませんね」と医師に指摘されたけど、その後何もしていない、という人は意外と多いかもしれません。
 実際に脂肪肝かどうか判断するためには、超音波(エコー)検査を実施します。この検査は、人間ドックで受けることが多いです。
 会社の健康診断では、肝臓の状態を調べるために、血液を採取してγ-GTPやALTなどの検査を行いますが、その結果だけでは脂肪肝かどうかはわかりません。ただ、血液検査の結果、「脂肪肝の疑いがある」のであれば、超音波検査が行えるクリニックで精密検査をしてもらうといいでしょう。
葉石かおり
エッセイスト・酒ジャーナリスト

1966年東京都練馬区生まれ。日本大学文理学部独文学科卒業。ラジオレポーター、女性週刊誌の記者を経て現職に至る。全国の日本酒蔵、本格焼酎・泡盛蔵を巡り、各メディアにコラム、コメントを寄せる。「酒と料理のペアリング」を核に、講演、セミナー活動、酒肴のレシピ提案を行う。2015年に一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーションを設立。国内外にて世界に通用する酒のプロ、サケ・エキスパートの育成に励み、各地で日本酒イベントをプロデュースする。著書に『酒好き医師が教える最高の飲み方』『マンガでわかる酒好き医師が教える最高の飲み方』など多数。


このコラムについて
酒好き医師が教える忘年会対策
 いよいよ、みなさんが待ちに待った「忘年会シーズン」が到来しました。楽しくお酒を飲む準備はできていますか? この連載コラムでは、忘年会のときに役立つお酒に関する知識を紹介したいと思います。「どうせ医者なんて、酒を飲みすぎるなとしか言わないだろう」と思う読者もいるかもしれませんが、世の中には“自分も酒好き”という医師がいます。そこで、酒ジャーナリストの葉石かおりさんが酒飲みを代表して「健康的に飲み続ける方法」を聞き、お役立ちの健康ノウハウをまとめました。

https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/120500187/120400005/

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/673.html

[国際24] パリのデモ最前線で見たマクロン政権の正念場 ニュースを斬る 怒号と催涙弾の応酬は、フランスに何をもたらすのか  
パリのデモ最前線で見たマクロン政権の正念場
ニュースを斬る
怒号と催涙弾の応酬は、フランスに何をもたらすのか

2018年12月11日(火)
大西 孝弘

 12月8日、フランス・パリは朝から不穏な空気に包まれていた。パリ在住者によると、いつもより人通りが少なく、街に不気味な静寂が流れていたという。マクロン仏大統領を批判するデモがあるとの情報から、市民たちが不要な外出を控えたためだろう。

 パリ北駅からシャンゼリゼ通りにタクシーで向かうと、確かにいつもより道路が空いている。だが、治安部隊の検問があり、中心部まで近づけない。地下鉄の駅も封鎖されている。シャンゼリゼ通りを迂回するように周辺を歩いていると、所々でデモ隊と治安部隊が衝突していた。

 今回のフランスのデモの特徴は、核になるリーダーや団体がいないことだ。SNS(交流サイト)などで相互にデモを呼びかけ、参加者が膨らんでいる。参加者はスマートフォンを通じて様々なデモの状況をチェック。警備を避けながらデモの場所を次々と変え、治安部隊といたちごっこを繰り返していた。


治安部隊と放水車の前で抗議する人々
 しばらくすると、大規模なデモ隊が大手百貨店、ギャラリー・ラファイエットの周辺に集まり始めた。「マクロン、辞めろ」と口々に叫びながら行進していく。断続的にフランス国歌の合唱が起きる。後方には鼓笛隊のような一団がおり、リズミカルな音楽を奏でながら、デモ隊の戦意をあおる。一方で治安部隊は車両を用いてシャンゼリゼ通りに向かう道を封鎖し、デモ隊とにらみ合う。

 それは狼煙(のろし)のようだった。デモ隊が発煙筒を燃やして拳を振り上げると、多くの人が集まってくる。その中の数人が抗議の横断幕を掲げながら前に進み、放水車の前に座って両手を挙げる。デモ隊の興奮が高まっていく。

 すると、様子を見ていた治安部隊が動き出した。隊員の1人が拡声器で警告を発すると、数秒の静寂の後に、治安部隊が大きな音でサイレンを鳴らしながら前進を始めた。座り込むデモ隊をひいてしまう寸前で横から警察が介入し、デモ隊を力ずくで引きはがす。両陣営の間にスペースができると、放水車と車両、歩行部隊が隊列を組みながら突き進み、放水が始まった。

 強烈な放水に身体ごと後ろに吹き飛ばされる人もいれば、あらかじめ用意した緑色のバリケードで放水を防ぐ人も。デモ隊からは発煙筒が、警察からは催涙弾が投げ込まれ、辺り一面は煙に包まれ混乱状態に陥った。

 記者は放水車の動きに合わせて、ほぼ真横からその様子を撮影していたが、放水車が突然、真横にも放水を始め、催涙弾を投げ込んできた。ずぶぬれになった上に、催涙ガスを吸ったため咳が止まらず、目に痛みが走り涙が流れる。薄眼を開け、上着の袖で口を覆いながら、横の路地を走ってその場から退散した。


治安部隊は放水と催涙弾でデモ隊に迫った
「生活が苦しい」と訴えるフランス国民
 フランスで11月17日から始まったデモは毎週土曜日に開催され、今回で4週連続となった。きっかけはマクロン大統領による燃料税の引き上げである。

 マクロン氏が大統領に就任した16年以降、原油価格の上昇でガソリンや軽油の価格も上昇しており、地方の住民など日常的にクルマで移動する人々の生活を圧迫した。それに温暖化対策のための燃料税の引き上げが追い打ちをかけ、人々の怒りに火をつけた格好だ。

 19年1月に予定していた増税に反対するフランス国民が、全国各地でデモを始めた。多くの参加者はシンボルとして蛍光の黄色いベストを着用している。12月1日の仏各地のデモでは1人が死亡し、パリでは130人以上が重軽傷を負った。

 回を重ねるにつれて、治安部隊の動員数を増やしているが、デモの勢いは衰えず、過激化している。そのためマクロン政権は5日、19年中の燃料税の引き上げ凍結を発表し、デモの収束を図った。


治安部隊の車両とエッフェル塔を背景に、フランス国旗を手に持つデモ参加者。報道陣のカメラを意識しているようだ
 それでもフランス国民の反対の声は収まらなかった。当初は燃料税の引き上げへの反対だったが、マクロン氏の政策全体に対する抗議活動の意味合いが強くなった。マクロン大統領が実施してきた、公務員削減や労働法の改正、社会保障費用の負担増などの政策に反対し、国民の不満が一気に吹き出した形だ。

 パリの郊外からデモに参加したというヴァージルさん(25歳)は、「仕事がない。燃料税だけじゃなくて、生活に必要な費用が高騰している。生活が苦しい」と訴えた。


マクロンの政策すべてに反対するヴァージルさん
 個人ごとの事情はあるだろうが、全体として見れば、確かにフランスの失業率は9%台と日米だけでなく、EUの平均値より高い。

 支持率も低下する一方だ。16年の大統領に就任時には60%以上あったマクロン氏の支持率は下がり続け、足元では20%台で低迷している。

 デモ参加者は老若男女がいるが、特に若者が多い。回を重ねるごとに過激になるため、8日にはマクロン政権は約9万人の治安部隊を送り込み、仏全土で約1700人が拘束された。負傷者も多数出たようだ。

 こうしたデモは経済にも打撃を与えている。まず観光客が減っている。8日は観光名所のエッフェル塔やルーヴル美術館が営業を中止した。クリスマス商戦に合わせて華やかに飾られた店の入り口が、ベニヤ板や段ボールで覆われていた。

 フランス料理店の従業員は、客がまばらな店内を見ながらこう言った。「毎年、この時期の土曜はランチタイムからほぼ満席になるが、ご覧の通り。デモは大きな問題だ」

 日本企業も無関係ではない。ギャラリー・ラファイエット近くのユニクロは休業し、コンコルド広場に近い虎屋は、段ボールで店を覆って休業していた。売り上げへの影響は不可避だろう。

パリでは局地的に破壊や略奪があった
 8日夜。パリの所々で店舗の襲撃があったとの情報が入る。一報があったレピュブリック広場に行くと若者たちが集結していた。そこにはもう黄色いベストを着た人は確認できない。

 9時半過ぎ、治安部隊の車両が広場を囲んで動き出す。広場の中央に催涙弾を大量に打ち込むと治安部隊の突入が始まった。数人を押さえつけたものの、それ以外の若者たちが四方八方に散り散りになる。

 そこから、記者がいる小高い階段に、細身の1人の男が治安部隊から逃走するために登ってくる。その後ろには、銃器を持った二人の治安部隊の姿が。

 男は階段を登りきったところで、治安部隊の1人に追いつかれた。揉みあいながら倒れると、屈強な隊員に押さえ込まれ、男はうめき声を数回あげた。数人の隊員に取り囲まれると、ようやく抵抗を諦めた。落ち着き始めたところで、治安部隊の車両に連行された。


12月8日夜、パリのレピュブリック広場で男が治安部隊の隊員に拘束される瞬間
 夜が明けた9日、暴徒に襲撃を受けた店舗などの様子が明らかになる。中心部にあるスターバックスは、店のガラスがほぼすべて割られ、店内も破壊され尽くしていた。近所の住民なのか、店をのぞきながら肩を抱き合う老夫婦もいた。

 パリ市内のいくつかの店でこうした破壊行為や収奪があったもようだ。もはやこれはデモでもなんでもなく、暴力による犯罪行為だ。店は保険に入っているのかもしれないが、デモのたびにこうした破壊行為を警戒するとなれば、通常の営業ができなくなる。


パリ中心地にあるスターバックスはほぼすべてのガラスが割られ、店内の設備も壊されていた。隣のカフェがほとんど破壊されていないのと対照的だった
 ただ、街を歩いていて特徴的なのは、激しい衝突がある通りから少し離れた場所は平穏なこと。レストランなどが通常営業しており、食事や買い物などの市民生活が営まれていたことだ。

 8日夜にパリ市内を歩くと、飲食店は多くの人でにぎわっていた。パリ市内でお好み焼き店を経営する田淵寛子さんは、「デモが始まってから、土曜日は少しお客さんが少なかった。今日のランチはいつもの3分の1程度しかお客さんが入らなかったけど、夜はいつも通り満席になり安心した」と語る。

 デモから一夜明けた9日は、どの店も客足を取り戻していた。特に中心地にある店舗は、前日の休業を取り戻すかのように多くの客が集まっているようだった。

世界の温暖化対策を牽引してきたフランス
 そもそもなぜ、マクロン大統領は燃料税の引き上げにこだわったのか。背景には、フランスが国際社会を牽引する地球温暖化対策がある。

 様々なニュースの間ですっかりかすんでいる感があるが、12月2日から14日まで国連の気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)がポーランドで開催されている。このCOPの動向を、欧州メディアは積極的に取り上げている。欧州各地で温暖化の影響が出ているからだ。今年夏は欧州各地が記録的な暑さとなり、北欧やギリシャで森林火災が発生。多くの死者が出た。

 様々なデータや警告がある。国連の気候変動に関する政府間パネルは10月に特別報告書を公表。産業革命前と比べ、世界の平均気温の上昇を1.5度以下に抑えるためには、50年までに二酸化炭素排出量を実質的にゼロにしなければならないと明言した。

 世界気象機関は11月、大気中の二酸化炭素の世界平均濃度が17年に過去最高を更新したと発表。濃度の上昇にブレーキが効かず、温暖化がさらに進む可能性があると警鐘を鳴らした。

 20年以降の温暖化対策の国際枠組みは、15年にパリで採択されたため、パリ協定と呼ばれる。COP24ではその細則を詰める予定である。

 だが、米国のトランプ大統領がパリ協定からの離脱を表明し、その実効性が疑問視されている。マクロン大統領はそのトランプ大統領の説得役を買って出ているのだ。「私は絶対に諦めない。それが自分の使命だと思う」とまで話している。

 皮肉なことにそのマクロン大統領のお膝元であるパリで、温暖化対策のための燃料税に反対するデモが広がり、パリ協定の存在が揺らいでしまっている。


デモ隊から「マクロン辞めろ」の合唱が起きていた
 マクロン大統領は温暖化対策だけでなく、様々な改革を進めてきた。特に力を入れてきたのが、フランスの構造改革だ。フランスは他の先進諸国に比べて公務員の比率が高く労働組合が強い。そのため雇用の流動性に乏しく、低成長の状況が続いている。

 こうしたフランスの積年の課題にメスを入れたのがマクロン大統領だった。公務員を削減し、労働者を解雇しやすくする法改正を実施する一方、法人税を減税し、社会保障費の負担を高めた。

 経済成長などの成果が出ていたら、改革に対する不満はさほど顕在化しなかったかもしれない。しかし、成果が出るまでの時間がかかっている間に、低所得者などの不満のマグマがたまり、これが今回の燃料税の引き上げで、爆発した。

 支持率は低迷するものの、フランスの構造問題への課題認識を共有するフランス人は多い。だからこそ、改革を標榜するマクロン大統領を選んだ。

 構造改革を断行して経済を活性化すると同時に、国民の不満を和らげる――。こうした難題を解決できる指導者や政策は見当たらない。デモが勢いづき、マクロン大統領が窮地に追い込まれるほど、フランスが抱える構造問題の根深さが浮き彫りになっている。


このコラムについて
ニュースを斬る
日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/121000910/?ST=editor
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/729.html

[原発・フッ素50] 中国で「禁断」の日本産りんごが出回っている不思議 輸入規制に手強いライバル、日本産食品に吹く厳しい逆風
中国で「禁断」の日本産りんごが出回っている不思議

 輸入規制に手強いライバル、日本産食品に吹く厳しい逆風

2018.12.11(火) 姫田 小夏

中国産りんごの実力が高まってきた(写真はイメージ)
(姫田 小夏:ジャーナリスト)
 上海の富裕層向けの青果売り場に「日本産のりんご」が登場したのは、2004年のことだった。一時は1個300元(約4200円)という超高級りんごが登場し、消費者の度肝を抜いた。
 財務省統計によれば2003年産の日本産りんごの対中輸出量は11トンだった。その後、日本産りんごの対中輸出は7年で405トン(2010年産)まで拡大する。


 だが2011年、日本産りんごを大きな災難が襲う。福島第一原子力発電所事故による放射能汚染が中国で問題視され、日本産食品の販売に制限がかかったのだ。
 中国政府は当初、12都県(福島、群馬、茨城、宮城、新潟、長野、埼玉、山形、山梨、千葉、栃木各県と東京都)からの食品・農産物の輸入にストップをかけた。それ以外の道府県については、「放射能物質検査証明書と産地証明書の貼付があれば、日本からの輸出は可能」とした。だが、「野菜・果物・乳・茶とそれら加工品については、日中間で『検査項目』についての合意ができていないため、2011年以降、中国に輸出できない状態が続いている」(農林水産省)。

今も売られている青森県産りんご

 だが、不思議なことに、日本産りんごの対中輸出はゼロにはなっていない。財務省貿易統計によれば、2012年は100トン、2013年は280トン、2014年は672トン、2015年に至っては1622トンと輸出量は伸びている(下のグラフ)。
国産りんごの中国(青)と台湾(橙)への輸出量の推移
(財務省貿易統計の数字をもとに筆者作成)

http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/6/5/-/img_659cc7b69b7693ba921de85b87424a8b52511.jpg

 青森県りんご輸出協会は、日本産りんごの対中輸出が続いてきたことの理由を、「民間の事業者が各県の検査機関を使って検査をし、その結果を添付して輸出をしていたためだろう」と説明する。だが、中国は国の検査証明を要求しているはずである。「中国がなぜ(国の検査証明がない)りんごを入れているのか、その理由はよく分かりません」とのことだ。
 今年(2018年)11月、上海の主要な百貨店の地下食品売り場では青森県産りんごの「とき」が売られていた。2018年1〜8月は、日本から中国に50トンが輸出されている。ルール上は輸出できないはずだが、「実際は日本産りんごが出回っている」という不思議な状況が生まれている。

対中輸出禁止なのに流通する日本産の農産物

 りんごのみならず他の日本産の野菜や果物も、中国は公式にはシャットアウトしている。
 しかし、上海で食品販売を手掛ける事業者によれば、「上海の青果物の卸売市場では、徳島県産のさつまいも(6本入り50元)や、岡山県産の種なしブドウ(一房500元)、静岡県産のトマト(13個入り450元)などが化粧箱に入って売られている」という。こうした日本産の農産物はネットでも販売されている。
 大阪中央市場に当たってみると、ある関係者が、「中国のバイヤーが買い付けに来ているという話を聞いたことがある」と教えてくれた。仮にバイヤーがこれを船積みしたところで、中国ではこれを通関させないはずである。しかし、上海ではなぜか日本産の農産物が流通しているのだ。
 一体なぜこういう事態が起きているのか。日本貿易振興機構(JETRO)によれば、「(中国の)税関によっては許可するケースがあるのかもしれない」という。だが、2017年夏以降、中国側の規制はさらに厳しくなった。それにもかかわらず、なお流通する日本産の農産物があるというのは不可解である。
 もしかしたら中国産の農産物を日本風にパッケージして売っている可能性も考えられる。あるいは、香港から中国への転送も行われているかもしれない。いったん香港に輸出したりんごを“中国の担ぎ屋”などが大陸に運び出している可能性があるということだ。
日本の農産物に吹く3つの逆風
 日本産りんごは、中国市場で流通しているとはいえ、厳しい逆風にさらされていることは確かだ。ここでは中国市場の3つの逆風を挙げよう。

 第1に、言うまでもなく、現在も続いている日本産食品の輸入規制である。

 10月の日中首脳会談の場で、安倍首相は農産物の輸入規制の解除を求めた。これが奏功してか、11月末には新潟県の米が対中輸出できるようになった。だが、日本産食品の対中輸出のハードルは相変わらず高い。上海で食品を扱う事業者の中には、「日本からの食品の輸入は本当に大変だ。通関を過ぎたときには消費期限が残り少なくなっていることのほうが多い」と、日本産の輸入に消極的な姿勢を見せるところもある。
 先に挙げたグラフで明らかなように、中国に輸出されるりんごのボリュームは台湾向けよりもはるかに小さい。原発事故以前のデータを比較しても、巨大市場であるはずの中国には“微々たる量”のりんごしか輸出されていない。

 第2に、日本産食品に対する「風評被害」がいまだ存在することだ。

 11月に訪れた上海で、筆者は中国人の友人から次のようなことを耳打ちされた。「最近、福島第一原発事故の汚染を理由に、アメリカや欧州諸国が日本産食品の輸入を一切禁止するようになったというニュースがあった。日本人のあなたは知らないの? 日本政府は汚染の事実を隠しているんじゃない?」。だが、調べてみたところ、アメリカが日本産食品の輸入をすべて禁止した事実はない。

 この手のデマは、中国のネットやアプリを介してしょっちゅう飛び交っている。何も知らない一般市民であれば、こうしたフェイクニュースを容易に鵜呑みにしてしまうだろう。
 第3に、中国産の農産物が力をつけてきたことである。
 百貨店の食品売り場によく買い物に行くという上海在住の女性はこう語る。「りんごや梨などの果物は、中国でも日本の技術を使って栽培されています。中国産でも十分においしいし、手ごろな値段で手に入ります」。
 かつて上海のデパ地下の高級果物売り場には日本産りんごが並べられていたが、最近筆者が訪れた際は、日本産りんごに取って代わるようにコルラ産やアクス産のりんごが多数並べられていた。
 コルラ、アクスは、いずれも新疆ウイグル自治区の市である。日射量の高い新疆では、糖度の高い果物がたくさん収穫できるが、沿海部の消費地に出荷するにはあまりに距離が遠すぎるため、近年までは売り先の確保が難しかった。だが、新疆産のりんごが距離を克服し、しかもブランド化された高級りんごとして百貨店に並べられるようになった。これは、ある意味快挙だといえる。
 今も続く輸入規制、日中間の事務レベルでの調整、飛び交うデマ、中国産農産物の台頭――日本産りんごの対中輸出が始まって15年余り、日本の「攻めの農業」に立ちはだかる中国の壁はあまりにも高い。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54883

http://www.asyura2.com/18/genpatu50/msg/642.html

[原発・フッ素50] 「ふくしまを食べよう」LINE無料マンガ配信 鹿沼名産「板荷茶」 今季限りの可能性 福島県産品の宣伝力競う眞鍋かをり審査
「ふくしまを食べよう」LINE無料マンガ配信
2018年12月05日
特集 福島原発
風評被害払拭に向けて女子高校生が奮闘する姿を描いた「ふくしまを食べよう」の表紙(復興庁提供) 
 東京電力福島第一原発事故による風評被害を払拭ふっしょくするため、復興庁は4日、スマートフォン向けのアプリ「LINEマンガ」で実話を基にした「ふくしまを食べよう」の無料配信を始めた。

 モデルとなったのは、2015年から福島県内の高校生が執筆している情報誌「高校生が伝えるふくしま食べる通信」。農家の野菜作りへの熱い思いや農作物の安全性を伝えようと、取材や原稿作成に奮闘する高校2年の女子生徒3人の姿を描いた。復興庁から依頼を受けたLINEのスタッフが制作した。配信期間は11日午前11時まで。

2018年12月05日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
https://www.yomiuri.co.jp/feature/TO000303/20181205-OYT1T50013.html


 

 
鹿沼名産「板荷茶」 今季限りの可能性も 原発事故風評被害で売り上げ激減
11/21 5:00
農林水産業
 
まちの駅 新・鹿沼宿で6月、板荷産新茶をPRした「鹿沼産新茶まつり」で味わう

まちの駅 新・鹿沼宿で販売されている「板荷茶」

まちの駅 新・鹿沼宿で6月、板荷産新茶をPRした「鹿沼産新茶まつり」で味わう来場者
 鹿沼市の名産品「かぬまブランド」に認定されている「板荷(いたが)茶」が来季は市場に出回らない可能性が出てきた。東日本大震災による東京電力福島第1原発事故の影響で一時出荷停止となり、解除後も風評被害で消費者に敬遠され、売り上げが急激に落ち込んだためだ。市茶振興連絡協議会(小池正昭(こいけまさあき)会長)は「品質に自信はあるが、売れない茶を作っても仕方ない」としており、来年の耕作や生産は宙に浮いたままだ。市も補助などを協議会に提案しているが、難航している。

 板荷茶は最初に収穫した一番茶葉だけで作るこだわりの茶として知られ、適度な渋みとまろやかさな味わいが特徴。無農薬・減化学肥料栽培で「とちぎの特別栽培農産物」にも認証されている。協議会によると、かつては板荷地区と周辺で10ヘクタール以上栽培されていた時期もあり、製茶工場も四つあったという。

 状況が一変したのは東京電力福島第1原発事故。放射性物質が国の基準を超えたとして2011年6月〜13年5月の2年間、出荷停止になった。解除後、市は早速安全安心キャンペーンを展開したが、風評被害の影響は著しかった。


 10年度は市内10戸の農家が茶葉13トンを生産販売していたが、一度離れた消費者は戻らず、生産農家は壊滅的な打撃を受けた。今年は協議会加盟の4戸で栽培面積は約1・4ヘクタールまで減少。唯一残った同市板荷の製茶工場も生産量が少なく、年間の電気代などで採算が合わないこともあり、稼働を停止することにした。

 市経済部は黒羽茶を扱う大田原市の工場に製茶を依頼できないかなど幾つかのケースを考え、協議会に補助や支援を提案。今月13日に行われた市と協議会との会議では協議会事務局を残し、引き続き検討することになった。市の担当者は「生産量は少ないが、一度やめると再開は難しい」と苦しい胸の内を明かす。

 「適地栽培で品質には静岡などにも負けない自信がある」と小池会長。「かつて納品に1年待ちの時もあった。しかし現在は作っても割に合わないため、後継者もつくれない。ペットボトル全盛で急須を使わなくなったことも大きい」と苦渋の表情を浮かべる。

 佐藤信(さとうしん)市長は「板荷茶は市の名品の一つ。茶畑、板荷茶を残す知恵を出したい」と話している。
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/101830


 


福島県産品の宣伝力競う 眞鍋かをりさんら審査員に
2018.12.7 17:09ライフくらし

内堀知事から審査委員の委嘱を受ける眞鍋かをりさん。右奥は小山薫堂氏=7日午後11時、福島県庁(内田優作撮影)

 モノはいいのに、なかなか売れない−。PR下手な上、東京電力福島第1原発事故後の風評被害にあえぐ福島県産品の訴求力を高めようと、県は商品のパッケージ、ネーミング、企画アイデアを事業者に競わせる「ふくしまベストデザインコンペティション」を創設し、審査委員会の初会合を県庁で7日開いた。委員長を務める放送作家の小山薫堂氏は「福島全体のデザイン力を高めたい」と意義を強調した。

 「福島の人はシャイでPRが苦手だ。いいものが知られるきっかけになればいい」。小山氏やタレントの眞鍋かをりさんら7人に審査委員の委嘱状を渡した内堀雅雄知事がこう語ったように、もともと福島県民はおいしい農産品や食品などを作っても、売り方に工夫が足りなかった。

 さらに、原発事故後の深刻な風評被害で「質は高いが売れない」(県産品振興戦略課)という状況に拍車が掛かってしまった。

 コンペでは、販売されている商品を対象に(1)パッケージデザイン(2)キャッチコピー・ネーミング(3)企画・アイデア−の3部門で金、銀、銅メダルを選び、その中から1点がグランプリに輝く。既に応募の受け付けは始まっており、同課によると「相当数集まっている」。

 今回のコンペは大逆風下の「危機バネ」といってよく、著名な審査員から「いいね」のお墨付きをもらい、県外の消費者の胸と舌により多く届く商品に育てることを目指す。

3歳児の母である眞鍋さんは「正直、福島県産品には不安があったし、ママ友たちも同様」と認めたうえで、「(福島県桑折町の)桃のグミを食べたら本当においしくて高級感もあって驚いた。みんな知らないのだと思う。(今回の企画で)広く、良さが広まればいい」と語った。

 審査委員には、資生堂の「一瞬も一生も美しく」などのキャッチコピーを生んだコピーライターの国井美果さんも名を連ねる。この日の会合では「商品価値の最大化」を軸にした審査基準をめぐって意見を交わした。小山委員長は「ちょっとしたてこ入れで商品を世界に発信できるようになる」と助言した。

 コンペの締め切りは来年1月25日で、審査結果は2月20日に発表される。「いい商品は数多くあるのだから、何とか手に取ってもらうためには、デザインなどの差別化が重要になる」(県産品振興戦略課)。県産品の訴求力アップをめぐる意識改革が定着するまで、県はコンペを続ける方針という。
https://www.sankei.com/life/news/181207/lif1812070029-n1.html



http://www.asyura2.com/18/genpatu50/msg/643.html

[原発・フッ素50] (全県)環境放射能の調査結果(原子力規制委発表) 12/10 17:30 放射線量、放射性物質に関する情報 ・空間放
【全県】環境放射能の調査結果(原子力規制委発表)
12/10 17:30
放射線量、放射性物質に関する情報

▼空間放射線量率(10日午後5時。単位はすべてマイクロシーベルト/時。地上1メートルで測定。宇都宮(下岡本町)のみ高さ20メートル)

宇都宮(下岡本町)0.039

宇都宮(西川田町)0.057

足利(本城)0.036

栃木(西方町本城)0.046

栃木(岩舟町静)0.035

佐野(堀米町)0.033

鹿沼(仲町)0.043

日光(瀬川)0.075

日光(中宮祠)0.046

小山(犬塚)0.050

真岡(田町)0.052

大田原(湯津上)0.044

矢板(本町)0.050

那須塩原(共墾社)0.084

那須塩原(関谷)0.067

さくら(松山)0.032

那須烏山(中央)0.045

下野(薬師寺)0.040

上三川(しらさぎ)0.037

益子(益子)0.040

茂木(茂木)0.042

市貝(市塙)0.038

芳賀(祖母井)0.030

壬生(壬生甲)0.041

野木(丸林)0.041

塩谷(船生)0.051

高根沢(石末)0.046

那須(寺子丙)0.067

那珂川(馬頭)0.055

【参考】国が示した基準値は空間放射線量率換算で0.23マイクロシーベルト/時
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/109491
http://www.asyura2.com/18/genpatu50/msg/644.html

[お知らせ・管理21] 2018年12月 削除依頼・投稿制限・等管理スレ。突然投稿できなくなった方も見てください。 管理人さん
25. うまき[2] gqSC3IKr 2018年12月11日 20:00:32 : raGcOjqSJc : QYG16X4aqTE[1]
>>23 関連が管理人には理解できない投稿が多数あります。これをやめていただけますでしょうか。

了解です

今後は、中央銀行関連、日産関連など、関係がかなり明らかなものだけに限定して投稿します


>もし管理人が上記に提示したスレのそれぞれの記事がうまきさんにとっては関連している、というのであればうまきさんの”関連”について管理人は理解できませんので、今後は政治板や経済板への投稿をご遠慮いただき、他の板(*1)に投稿していただけますか。

次に、同様の指摘があった場合は、そのようにいたします
http://www.asyura2.com/13/kanri21/msg/542.html#c25

[不安と不健康18] 脳トレは知力低下に効果なし? 英研究 
脳トレは知力低下に効果なし? 英研究

2018/12/11

BBC News


クロスワードや数独といったパズルを解いても知力低下は防げないかもしれないと、英国発の最新研究が示唆している。

加齢に伴う脳の働きについて「使わなければ失う」という考えは、これまで幅広く受け入れられてきた。

しかし、スコットランド・アバディーン王立病院のロジャー・スタッフ氏およびアバディーン大学の共同研究によると、パズルに知力低下を防ぐ効果はないという。

その一方で、人生を通じて日常的に知的活動を続ければ、知能が向上し、加齢などでいずれ知能が低下するにしても低下の出発点を高めに保てるかもしれないと、研究チームは提示している。

研究では1936年に生まれ、11歳で集団知能テストを受けた498人を対象にした。

対象者が64歳のころに調査を開始し、以後15年間、5回にわたって記憶力と処理能力のテストを重ねた。

その結果、パズル問題を解いていても個人の知力低下は防げないことが明らかになった。

しかし、知的刺激の高い活動を日常的に繰り返している人は、高齢者になってもある程度は知的に活発なことも分かった。

証拠は
この研究は、関連性を検討するためモデルケースを使っており、因果関係は立証できていない。また、研究に参加した多くは、参加を中止したり死亡したりなどの理由で、調査に最後まで関わっていない。

これまでいくつかの研究が、認知トレーニングが特に中高年世代の記憶力や思考力を改善すると結論してきた。

いわゆる脳トレーニング(脳トレ)によって、高齢者の日常作業が改善すると言われてきた。

しかし、脳トレが認知症を予防すると証明している研究はない。

昨年には脳の健康に関する国際会議(GCBH)で、人生の後半期に脳の機能を助けるためには脳トレよりも楽器の演奏やキルトのデザイン、庭いじりといった刺激的な活動を行うべきだとの見解を示した。

それによると、若いうちにこうした活動を始めた人ほど、歳をとっても良い脳機能を保てるという。

英慈善団体「アルツハイマーズ・リサーチUK」のデイビッド・レノルズ博士は、今回発表された調査が「現在進行形の『使わなければ失う」』議論」を過熱させたと話す。

しかし、この研究は認知症患者を考慮に入れていないため、「この結果から、特定の脳トレが認知症の危険性のある人に効くかどうかは分からない」という。

「知的活動を続けるだけでなく、肉体的に健康なこと、健康的でバランスの取れた食事をとること、喫煙せず、アルコール摂取量を基準値以内に収め、体重とコレステロール値、血圧をチェックし続けることが、歳をとっても脳を健康に保つ秘訣だ」

(英語記事 Puzzle solving 'won't stop mental decline')

提供元:https://www.bbc.com/japanese/46518653

http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14761
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/674.html

[経世済民129] 水道民営化 賛成する自治体、反対する自治体  改正水道法に欠かせない基礎的な調達スキル なぜ日本は海外失敗例を無視するか
水道民営化 賛成する自治体、反対する自治体

橋本淳司 | 水ジャーナリスト、アクアスフィア・水教育研究所代表
12/11(火) 11:30
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イメージ(著者撮影)

改正水道法の成立
 2018年12月6日、第197臨時国会の衆院本会議において、与党などの賛成多数で改正水道法が成立した。公共施設の運営権を民間企業に一定期間売却する「コンセッション方式」の導入を自治体の水道事業でも促進する。

 高度成長期から整備が広がってきた水道管。2016年度時点で全国の約15%が耐用年数の40年を過ぎ、漏水なども多発している。耐震強度が不足した施設も多い。

 そうした老朽施設の取り換えや耐震化の費用が膨らみ、自治体の事業経営を圧迫している。人口減少で水道使用量も減り続け、採算が取れる料金収入を確保できない地域も急速に増えている。

 そうした中、政府が打ち出したのが「コンセッション方式による官民連携」だった。

 コンセッション方式は、行政が公共施設などの資産を保有したまま、民間企業に運営権を売却・委託する民営化手法の1つ。すでに関西空港、大阪空港、仙台空港、浜松市の下水道事業などがこの方式で運営されている。

 その方式が水道事業にも持ち込まれ、実質的な民営化へ門戸を広げることになる。

 しかしながら、海外で民営化した都市では料金の高騰や水質悪化が相次ぎ、オランダの民間団体の調査では、2000〜16年の間に少なくとも世界33カ国の267都市で、水道事業が再び公営化されている。

 政府は「コンセッションは選択肢の1つ。海外のような失敗を防ぐため、公の関与を強めた」と強調するが、野党は「生命に直結する水道をビジネスにするべきではない」と批判。厚生労働省が海外の再公営化の動きを3件しか調べなかったことや、施設の維持管理や災害復旧時の自治体と企業の役割分担に関し、野党は「検証や検討が不十分」と問題点を指摘した。

 政府は国による事業者への立ち入り検査などで監視を強めるとするが、そもそも企業との契約交渉、条例策定などは自治体に任せることになる。

具体的に動き出す宮城県
 今後、議論の舞台は自治体へと移る。

 厚労省によると、浜松市、宮城県、同県村田町、静岡県伊豆の国市が上水道での導入に向けて調査などを実施し、大阪市や奈良市も導入を検討している。

 宮城県はコンセッション方式を基本とした「みやぎ型管理運営方式」を加速させる。「みやぎ型」とは、上水、工業用水、下水の計9事業の運営権を一括して民間企業に売却するコンセッション方式で、2019年秋の県議会に具体的な実施方針を定めた条例案を提出する。2020年秋には事業者を決め、2021年度中に事業をスタートする予定だ。

 宮城県は以前からコンセッション方式に積極的で、国に水道法改正を要望した唯一の県だ。臨時国会では村井嘉浩知事が参院厚生労働委員会に参考人として意見陳述し理解を求めた。

 宮城県では、人口減少が進んで水需要が減り、水道事業の年間収益は20年後に10億円減る。その一方で、水道管などの更新費用は計1960億円かかる。水道料金の値上げは避けられないという。

 だが、コンセッション方式なら、新技術の活用や薬剤などの資材調達費が節減でき、料金の値上げ幅を抑えられると考えている。

 遡ること2017年2月9日、宮城県庁でコンセッション方式を検討する会合が開かれた。内閣府、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、大手商社、金融機関などの担当者約90人が出席した。

 ここではコンセッション方式に前向きな声が上がった。

 コンセッション方式の伝道師と言われた内閣府福田隆之大臣補佐官(当時)は「全国の先駆けとなる」「行政では見えぬノウハウ、付加価値が民間なら見えるものがある」と強調した。

 参加企業からは「安定的収入が見込め、今後伸びる分野と考える。公共サービスを担うことは、企業の社会的価値を高めることにもつながる。チャレンジしたい」という声があった。

 なかには、さらなる民営化を求める声もあった。

「料金を官が決めるままならば効果を見い出しにくい」と企業に料金設定を求める意見や、「将来的には市町村が担う家庭への給水も民営化すべきだ。蛇口までの一体的な運営が最適」「県の関与を残さない完全民営化をすべき」という声もあった。

 しかし、現在では県内に懸念の声もある。

 知事を支える宮城県議会の自民党会派は改正水道法成立後に勉強会を開き、県に対し、「外資は経営方針が変わる危険性がある」「宮城県だけが先行している印象」「雇用は守られるのか」などと心配した。

 上水供給の約25%を県から受けている仙台市の郡和子市長は、村井知事が「水道料金の値上がりを抑えられる」と強調している点に触れ「どうしてそうなるのか詳細を教えて頂きたい」と数字の根拠を求めている。

再燃する大阪市
 大阪市の吉村洋文市長はコンセッション方式について「自治体の選択肢が広がる」と歓迎し、老朽化した水道管の管理や更新に利用したいとする意向を示した。

 市内の配水管のうち、法定耐用年数の40年を超過した約1800キロの配水管について、15年のスパンで民間事業者に管理・更新工事にあたってもらう案があるという。

 大阪市では橋下徹元市長時代に、いち早く水道民営化を計画したが、市議会の反対に遭うなどして改正条例案提出を断念した経緯がある。

 水道法改正を機会に、議論が再燃する可能性は高い。

コンセッションを行わない意思表明
 反対に、コンセッションは行わないとする自治体もある。

 国会での改正水道法審議に際し、福井県議会は「水道法改正案の慎重審議を求める意見書」、新潟県議会は「水道民営化を推し進める水道法改正案に反対する意見書」を提出している。

 後者は10月12日、自民党を含む超党派が賛成(公明党は反対)。「必ずしも老朽管の更新や耐震化対策を推進する方策とならず、水道法の目的である公共の福祉を脅かす事態となりかねない」などとしている。

 神戸市の久元喜造市長は、改正法成立後に、同方式を採用しない方針を示した。「優秀な職員が事業を支え、経験やノウハウが継承されてきた。必要な部分は民間委託をするが、基本的には現在の方式を維持することが大切」と述べた。

 青森市の小野寺晃彦市長は「コンセッション方式の導入は考えていない。市の水道は今でも検針などを民間に委託している。官民連携は大きな方向として大事なこと。当面、現状の形でより良い水道事業にするよう努力していく」と述べた。

 秋田市の穂積志市長は、民営化で料金が高騰した海外の例を挙げ、官民連携の必要性は説きながらも「水道事業の根幹に関わる部分については自前でやる」との方針を示している。

 長野県議会は12月7日の本会議で、国などに対し水道事業への民間企業参入に慎重な対応を求める議員提案の意見書を可決。「諸外国では水道事業を民営化した例が多く見られるものの、利益を優先した結果として料金の高騰や水質劣化などの問題が生じている」「コンセッション方式も、自治体の監督能力が低下すれば同じ事態に陥る懸念がある」と指摘し、「水道は国民の命や生活を守る最も重要なインフラ」とし、民間企業の参入については「地方公共団体の実情に配慮しつつ、慎重に対応するよう強く要請する」と求めている。

 自治体の水道経営が厳しいのは事実だが、水は自治の基本。

 もともとコンセッション方式推進は、第1次アベノミクスの「第3の矢」として登場した。旗振り役である竹中平蔵東洋大学教授は、「水道事業のコンセッションを実現できれば、企業の成長戦略と資産市場の活性化の双方に大きく貢献する」などと発言してきた。政府は水道事業に関して6自治体でのコンセッション導入を目指したが(14〜16年度)、事業認可を返上する必要があったこともあり、成立した自治体はゼロだった。

 そこで水道法改正案にコンセッション方式を明記し、前国会(第196回国会)で成立した改正PFI法では、地方公共団体が水道事業をコンセッション方式にした場合、「過去に借りた高金利の公的資金を、補償金なしに繰上償還できる」という特典をつけて優先的に検討することを推奨した。

 国で作った法律の枠組みはあっても、実際の運用は自治体の判断に委ねられることは沢山ある。

 今後は市民にも自治体の現状や将来ビジョンを共有し、各自治体で前向きな議論が必要になる。

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橋本淳司
水ジャーナリスト、アクアスフィア・水教育研究所代表
水ジャーナリスト、「水と人の未来を語るWEBマガジン"aqua-sphere"」編集長として水問題や解決方法を発信。アクアスフィア・水教育研究所を設立し、自治体・学校・企業・NPO・NGOと連携しながら、水リテラシーの普及活動(国や自治体への政策提言やサポート、子どもや市民を対象とする講演活動、啓発活動のプロデュース)を行う。近著に『67億人の水』(日本経済新聞出版社)、『日本の地下水が危ない』(幻冬舎新書)、『100年後の水を守る 水ジャーナリストの20年』(文研出版)、『水がなくなる日』(産業編集センター)など。

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改正水道法に欠かせない基礎的な調達スキル

目覚めよサプライチェーン
2018年12月12日(水)
牧野 直哉


 先週、改正水道法が成立した。今回の改正の目玉は「コンセッション方式」と呼ばれる、民間の持つノウハウを水道事業に活用する道を開いたことだ。政府は、民間企業の技術や経営にまつわるノウハウを生かし、地方自治体は運営を請け負った民間企業から対価を得られ財政負担が減るといったメリットを強調し新法を成立させた。コンセッション方式の是非は、既に様々な議論が行われている。今回は、コンセッション方式を軌道に乗せて、当初の想定通りに運営し、コスト削減を実現するために必要な準備について述べてみたい。

どのように水道事業に適応させるか
 注目を浴びるコンセッション方式は、地方自治体が行っている水道事業のすべてを民間企業が行うわけではない。水道供給施設は、引き続き地方自治体が所有し、施設の維持管理・運営だけを民間企業が行う。供給される水の品質は、国又は都道府県が地方自治体や民間企業を監督して維持する。値上げが危惧されている水道料金も、国又は都道府県が、地方自治体と運営を任された民間企業が作成する事業計画や料金設定を審査する。供給される水の品質は維持しつつ、民間企業が勝手に料金設定できない束をはめ、水道事業の基盤強化を図るとされる。確かに良いことばかりのように思える。

 コンセッション方式を実現するには、まず民間事業者に設備運営を請け負ってもらわなければならない。民間企業の活用は、請け負ってくれる企業が名乗りを上げ初めて実現する。果たして、手を挙げてくれる企業がいるのかどうか。複数の企業が名乗りを上げたとしても、果たしてどこの企業に発注するのが最適なのか。こういった水道設備の維持管理をベースにしつつ、自分たちの意向に沿った運営を行ってくれるかどうかは未知の領域のはずだ。

まず現状の仕組みを分かりやすく伝える
 一口に「水道設備の運営」といっても、その内容は自治体ごとにまちまちだ。地域ごとに水源が異なり、水質が異なる結果、運営方法が異なっている。したがって、地方自治体は、まず現在行っている浄水方法について、民間企業に分かりやすく伝える必要がある。

 これは、他の公共事業でも行われているし、民間企業の調達現場で行われている基本的なスキルである、要求仕様の確定作業が該当する。新たなスキームで行われる外部リソースの活用であり、仕様書の作成もかなり困難だと想定される。特に、設備の所有権が地方自治体のままで、どのように運営だけを切り離すのか。設備の破損や劣化、突発的な故障に際した責任関係を明確にしなければ、民間企業にとって魅力的なビジネスチャンスに映らないはずだ。もし、水道事業をコンセッション方式で運営を外部へ委託する場合は、まず分かりやすく要求内容を説明する資料の作成が必要である。

これまで培ったノウハウの活用が欠かせない
 そして分かりやすい資料の作成に加えて重要なポイントがある。これまでの事業経験で培った、地方自治体が持っていた技術やノウハウの活用である。施設運営を請け負う民間企業の選定には、まず自分たちが行っていた水道設備管理技術や方法論をベースにして臨むしかない。地方自治体ごとに蓄積されている独自のノウハウを元に、民間企業がもつ新たな技術の導入や、従来よりも費用削減可能な浄水方法の採否を決定していかなければならない。例えば、新たなコスト削減に取り組むにしても、コストは下がったけど水の品質も悪化したのでは、法案成立に反対の立場をとった野党の主張の正当性が証明されてしまう。

 コストダウンにまつわる意思決定は、民間企業であっても非常に難しい。しかし、これまでライフライン維持を理由にして赤字に陥っていた水道事業者は、真っ先に運営プロセスにおける費用削減に取り組まなければならない。新たな水道法の精神を実現させ、水道事業を維持させるためにも、コストダウン実現と同時に、水の品質は維持しなければならない。これまで行ってこなかった、品質の維持とコスト削減の両立をいきなり求められるのである。

 もしこれまでの運営方法を、手を挙げた民間企業に押し付け、新技術を「前例がない」とはねつけるのであれば、費用削減は難しいであろう。新技術採否の妥当性検証は、運営する企業と共同して取り組む必要があるだろう。

民間企業のノウハウを導入するには、運営プロセスの見直しが欠かせない
 そしてもう一つ、今回のスキームが機能して、法改正の目的実現を危ぶむ要因がある。国や都道府県が行う事業計画や料金設定の審査である。こういった許認可作業を、機動的かつ効率的に行わなければ、経営環境の変化に追従できず、コスト削減ができない事態が生まれるかもしれない。最終的に水道設備の維持管理を請け負ってくれる民間企業がいない事態に追い込まれてしまうだろう。

 これまで設備の維持管理を行っていた地方自治体だけではなく、水道事業に携わる上位機関として国や都道府県も含め、民間企業のスピード感に合わせた対応をしなければ、新法の精神の実現は難しい。水道供給の現場に変化を求めるのであれば、水道事業の関係者すべてがその変化に追従が必要なのである。

試される地方自治体関係者の覚悟
 今回の水道法改正は、水道管に代表される浄水・供給設備の老朽更新が待ったなしの状況にあり、かつ節水意識の向上と人口減少によって総需要が減少する三重苦の中で成立した。厳しい事業環境の中で、法律改正後の水道事業を軌道に乗せるのは、運営に手を挙げる民間企業ではない。これからも監督する地方自治体の水道事業関係者の奮闘がかかせない。そして運営開始後も、様々な問題に直面するはずである。需要が減退する中で、品質を維持しながら供給を継続するのは、非常に難しいかじ取りを迫られる。

 どんな事業でも失敗する可能性はゼロにはならない。しかし本当の失敗は、その原因を設備運営する民間企業にのみ負わせたときだ。新たな法律は、管理監督の責任を行政が担う。制度のスキームから考えて、運営方法に問題があったとしても、事前にチェックが可能なはずである。この点も、民間企業におけるサプライヤー管理の手法が役立つはずだ。地方自治体側は、厄介な事業を民間に押し付けるといった考えは捨てるべきだ。民間企業が、問題を隠匿しても、見抜く目が欠かせない。水道供給の責任からは逃れられないのである。


このコラムについて
目覚めよサプライチェーン
自動車業界では、トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車。電機メーカーでは、ソニー、パナソニック、シャープ、東芝、三菱電機、日立製作所。これら企業が「The 日系企業」であり、「The ものづくり」の代表だった。それが、現在では、アップルやサムスン、フォックスコンなどが、ネオ製造業として台頭している。また、P&G、ウォルマート、ジョンソン・エンド・ジョンソンが製造業以上にすぐれたサプライチェーンを構築したり、IBM、ヒューレット・パッカードがBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を開始したりと、これまでのパラダイムを外れた事象が次々と出てきている。海外での先端の、「ものづくり」、「サプライチェーン」、そして製造業の将来はどう報じられているのか。本コラムでは、海外のニュースを紹介する。そして、著者が主領域とする調達・購買・サプライチェーン領域の知識も織り込みながら、日本メーカーへのヒントをお渡しする。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/258308/121100168


 


ついに始まった水道民営化、なぜ日本は海外「水道代5倍」の失敗例を無視するのか?
2018年12月11日 ニュース


ついに水道事業を民営化しやすくする改正水道法が成立しました。「貧乏人は水を飲むな」ともなりかねないその問題点と、可決に至った政府の考えを解説します。(『らぽーる・マガジン』)

※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2018年12月10日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

世界は「再公営化」が主流、日本も貧乏人と地方が見捨てられる?
ついに「水道民営化」法案が可決
12月6日、水道事業を民営化しやすくする改正水道法が可決され成立しました。この改正案は今年7月に衆院を通過し、11月に参院で審議入りしていたものです。

当メルマガでは、衆院を通過した今年7月時点にもこの話題を取り上げています。

【関連】あまり報道されない「水道民営化」可決。外国では水道料金が突然5倍に

2018年7月5日、水道事業の運営権を民間に売却できる仕組みを導入することなどが盛り込まれた水道法の改正案の採決が衆院本会議で行われ、自民・公明両党と日本維新の会と希望の党(当時)などの賛成多数で可決されました。審議時間はたったの8時間でした。

2018年6月18日、大阪北部地震が発生し、21万人以上が水道の被害を受けたことでクローズザップされた「水道管の老朽化」問題がきっかけとなり、6月27日に水道法改正が審議入りし、8時間の審議を経て7月5日に衆議院本会議で可決されました。

「水道管の老朽化」と「水道法改正」と、どう関係するのでしょう。

“数の論理”で成立した水道法改正について、私たちの命にかかわる問題ですので、一度取り上げたものですが、再度その内容を検証していきましょう。

水道法改正をめぐる「3つのキーワード」
水道法改正に関して、キーワードを確認しておきましょう。

老朽化
人口減少
コンセッション方式
まずは「老朽化」についてです。

深刻な水道「老朽化」
日本の浄水設備の多くは1960年代から70年代の高度経済成長期に建設されたもので、今後も老朽施設の更新需要は年々増加していきます。

現在、耐用年数40年以上を超える水道管は約10万km、これは地球2周半に相当します。更新費用は1kmあたり1億円以上もかかるそうです。

これを早急に対処しなければならないのですが、現状ではかなり困難な状況になっているというのが政府の見解です。

老朽化した水道管の更新のための「資金・人材」が不足しているとのことです。

これまで日本の水道運営は、企業会計原則に基づく地方公営企業法上の財務規定が適用されるため、独立採算で運営されており、原則として、水道料金収入と地方自治体が発行する企業債(地方債の一種)で水道事業の運営・更新費用などが賄われてきました。

基本的には徴収した水道料金で運営や設備の補修などが賄われています。

ここで次のキーワード「人口減少」が出てきます。人口減少により、水道料金収入が減少しているのです。

Next: 人口減少で水道事業維持が困難に?水道法改正に至った経緯は…


「人口減少」で水道事業は赤字へ
人口減少により、水道料金収入が減少しています。

水道事業の大部分は固定費で、人口減少で水道需要が減っても、大きく運営コストが下がるものではありません。

人口減少による水道料金収入減少は、水道事業維持を困難にしているようです。約40年後には水需要が約4割減少すると厚生労働省は試算しているようです。

それゆえ毎年、水道料金は値上げされてきています。日本水道協会の調べによれば、この4年間ずっと水道料金は上がっています。家庭用水道料金の、立方メートルあたりの月額料金は、過去最高の3,228円となっています。

日本政策投資銀行の試算によれば、このままいけば、水道料金は30年後には6割も上がることになるそうです。

水道料金を値上げしても、水道事業者は赤字だそうです。厚生労働省によると、市町村が運営する水道事業は全国で約3割が赤字となっているそうです。

自治体の水道事業赤字は、そのまま私たちが支払う水道料金アップにつながります。老朽化した水道管を更新する費用も、私たちが支払う水道料金に跳ね返ってきます。日本中の老朽化した水道管をすべて更新するには、130年もかかるそうです。少子化が進めば、水道料金値上げもどんどん進んでいくことになりそうです。

人材に関しては、公的運営では人材の流動性が見込めず、高齢化に伴い人材が不足しているというのです。

以上のことから、従来の自治体運営に限界があるとして、民間の力をとりいれることで、老朽化した水道管更新を行っていこう、そのために民間企業を水道事業に参入できるように水道法を改正する必要があるというのが政府の主張です。

水道法改正のポイント
審議されていた「水道法改正のポイント」は以下の通りです。

水道事業者に施設の維持・修繕や台帳整備を義務付け。収支の見通しを公表
国が水道の基盤強化のために基本方針策定。都道府県、市町村の責務を規定
広域連携を進めるため、都道府県が市町村などでつくる協議会を設置可能に
自治体が水道事業の認可や施設の所有権を持ったまま、民間企業に運営権を委託できるコンセッション方式の導入
どこにも水道事業の「民営化」とは書かれてはいませんが、民間企業を選定し、自治体が管理するということは、間違いありません。

麻生大臣は「水道はすべて民営化する」と断言していた
入国法改正は「移民政策ではない」と主張するのと同じように、安部総理は、水道法改正は「水道事業の民営化ではない」と主張しています。

ただ、2013年4月にアメリカのシンクタンクCSIS(戦略国際問題研究所)で行われた麻生太郎財務大臣兼副総理の講演で「この水道は全て国営もしくは市営・町営でできていて、こういったものを全て民営化します」と述べています。

明確に麻生大臣は「水道の民営化」を目指すと断言しています。

民営化ではないとしても、老朽化がすすんだ水道管を更新するには、自治体運営には限界があるから民間企業にやってもらうということは、まちがいありません。

なぜ自治体がダメで、民間企業ならできるのか…まだよくわかりませんね。

「水道法改正のポイント」で注目点は「広域連携」と「コンセッション方式」になります。

Next: 民間に丸投げで解決する? 小さな自治体は「見捨てられる」可能性も…


 
政府の主張は「役人には無理でも、民間ならコスト削減できる」
もう一度、水道法改正の流れを整理しますと、

水道管の老朽化 → 少子化等による水道料金収入低下で自治体の水道業が赤字 → 水道業務に民間企業のノウハウを活用する

というものです。

政府は、自治体よりも民間企業のほうがコスト削減のノウハウがあると言うのです。さらに民間企業を参入させることで競争原理が働いて、さらなるコスト削減が期待できるとしています。

更新コストの削減は、水道料金アップを抑制することにも繋がると政府は期待しています。

はたして、そううまくいくのでしょうか。

小さな自治体は「見捨てられる」可能性も
民間企業は営利団体で、利益を拡大するためにコストを削減します。コスト削減は不採算部分のカットでもあります。その裁量は企業側にあり、利益を優先するあまり、住民サービスが削減されるのではないかという懸念が出てきます。

そもそも人口減少による料金収入減少が水道事業を困難にしているわけで、人口減少が目立つ自治体や、規模が小さな自治体は、民間企業が参入しても、厳しい状況は変わらないでしょう。営利を求める民間企業なら、そういった小さな自治体を相手にしないのではないかということが危惧されます。

つまり人口減少が顕著な小さな自治体は「見捨てられる」ことにならないかということです。

不採算ではありますが絶対に必要な住民サービスこそ、営利を目的としない国や自治体が行うべきではないでしょうか。

このことを前提に、人口増加が見込めない小さな自治体での水道事業を考えてみましょう。ここで「広域連携」というキーワードが登場します。

民営化しても小さな自治体には効果がない?
「広域連携」は複数の自治体を1つのグループとして住民サービスを提供しようというものです。小さい自治体を1つにすることでサービスコストの効率化をはかろうとするものです。

広域連携の意義はよく理解できます。自治体単位という垣根を越えるというものですが、それはなにも民営化する理由にはならないでしょう。

むしろ、広域連携をしても採算性が悪いとなれば、民間企業は切り捨てないかという懸念は残ります。住民サービスを削減しないかという心配は常に付きまとうのです。

厚生労働省側は、水道事業民営化が実現しても小規模自治体には効果がないことを認めています。

コスト削減のため、あえて老朽化した水道管補修を、さらに限界まで引き伸ばすことを、民間企業は考えないでしょうか。

Next: 反対派の意見は? 民営化しやすくする「コンセッション方式」導入へ

民営化しやすくする「コンセッション方式」
もう1つのキーワードが「コンセッション方式」です。

「コンセッション」とは、利用料金の徴収を行う公共施設について、施設の「所有権」は公共主体が有したまま、施設の「運営権」を民間事業者に設定する方式です。

コンセッション方式では、高速道路、空港で実施した例があります。空港の場合、空港の土地は自治体の所有のまま、レストランや駐車場等の運営を民間企業が行います。

民間企業のコスト管理から収益を得るノウハウを活用するというものです。

水道管老朽化対策促進の名目で、市町村などが経営する原則は維持しながら民間企業に運営権を売却できる仕組み(コンセッション方式)も盛り込んだのが、今回の水道法改正になります。

平たく言えば、公的機関が商売するよりも、民間企業が商売したほうが儲かるというものです。

ただそれは空港施設や高速道路といった業務には適していても、インフラ整備の中でも国民の命にかかわる水道業務に関して、営利を目的とした民間企業を活用することに、反対派は抵抗しているようです。

政府は、自治体が民間企業の運営をしっかりと管理することを強調していて、不当な水道料金値上げを抑えるために、料金に上限を設けることを決めるとしています。

民間企業を活用することで、地域の雇用を創出することにも繋がるとしています。

水道法改正反対派の意見
反対派の意見では、やはり「不採算事業の切り捨て」を心配する声が大きいようです。営利団体の宿命とも言えることで、企業は“利益の最大化のために動かず、倒産リスクの最小化のために動く”ものです。

道路事業関係者の間には「花の建設、涙の補修」というのがあるそうです。建設事業は華々しいものがありますが、補修事業は地味な作業ですからね。企業にとって見れば「補修は売上ではない」という風潮が、まだあるのではないでしょうか。

民間企業に任せるとコスト削減が期待できるという政府見解にも、反対派は疑問を投げかけています。

競争原理によるコスト削減ということが実際に起こるのでしょうか。水道事業は独占事業と言えます。そもそも競争が行われる事業なのでしょうか。

水道料金の値上げに上限が設けられれば、利益追求のためにサービスの質を落とすのは目に見えていると反対派は指摘します。

自治体は“住民”に目を向けますが、民間団体は“株主”を強く意識するものだという指摘もあります。

なにより水道事業は、民間企業にとって魅力あるものなのでしょうか。公共事業は、談合や癒着は当たり前の世界でもありますからね。

Next: なぜ海外の失敗事例を学ばない? すでに世界「水メジャー」が日本へ

仏ヴェオリア日本法人が出向
2018年11月29日の朝日新聞電子版の記事の一部抜粋です。

水道などの公共部門で民営化を推進している内閣府民間資金等活用事業推進室で、水道サービス大手仏ヴェオリア社日本法人からの出向職員が勤務していることが29日、わかった。今国会で審議中の水道法改正案では、水道事業に民営化を導入しやすくする制度変更が争点となっている。

今回の民営化の手法は、コンセッション方式と呼ばれ、自治体が公共施設の所有権を持ったまま、運営権を民間企業に売却できる。政府は、水道のほか空港や道路を重点分野として導入を推進。下水道では今年4月に浜松市が初めて取り入れ、ヴェオリア社日本法人などが参加する運営会社が、20年間の運営権を25億円で手に入れた。

出典:水道民営化、推進部署に利害関係者? 出向職員巡り議論 – 朝日新聞デジタル(2018年11月29日配信)

「この法案で最も利益を得る可能性がある水メジャーの担当者が内閣府の担当部署にいる。利害関係者がいて公平性がない」とする社民党福島瑞穂議員の質問に対して、内閣府民間資金等活用事業推進室は「浜松市なら問題だが、内閣府はヴェオリア社と利害関係はない。この職員は政策立案に関与しておらず、守秘義務なども守っている」として、問題ないとの立場だと答えたことを報じています。

ヴェオリア・ウォーター社は、フランスの多国籍総合環境サービス会社ヴェオリア・エンバイロメントの水処理事業部門会社で、ウォーター・バロン(水男爵)と呼ばれるスエズ、テムズ・ウォーターと並ぶ世界三大水処理企業の1つです。いわゆる「水メジャー」です。

再公営化される海外事例を学んでいない
海外では、水道事業を民営化した後、様々な問題が生じて公営化に戻す「再公営化」の動きが目立つそうで、2000年から2015年の15年間で、37カ国235都市で再公営化がされているそうです。

前回、このテーマでコラムを書きましたが、そのときの海外失敗例もあわせて、いくつかご紹介します。

水道の民営化の失敗例としてよく知られているのがマニラとボリビアの事例です。

マニラは1997年に水道事業を民営化しましたが、米ベクテル社などが参入すると水道料金は4〜5倍になり、低所得者は水道の使用を禁じられました。

またボリビアは1999年に水道事業を民営化したものの、やはりアメリカのベクテルが水道料金を一気に倍以上に引き上げ、耐えかねた住民たちは大規模デモを起こし、200人近い死傷者を出す紛争に発展しました。

当時のボリビア・コチャバンバ市の平均月収は100ドル程度で、ベクテル社は一気に月20ドルへと値上げしたのです。大規模デモは当時の政権側は武力で鎮圧されましたが、その後、コチャバンバ市はベクテルに契約解除を申し出ると、同社は違約金と賠償金を要求してきたそうです。

この違約金ですが、今回の改正で、日本の自治体は民間企業と「20年間」という長い機関の契約を結ぶことになります。

当然、不都合による途中解約だと違約金が発生します。

Next: 「貧乏人は水を飲むな」もありうる。私達の命を海外企業に預けていいのか?
 
「貧乏人は水を飲むな」もありうる
外資が参入してきて水道料金を引き上げ、水道料金が支払えない低所得者層は水が飲めずに、衛生上よくない水を飲んで病気になるケースがみられ、民間の水道事業者が利益ばかり追いかけたことにより、「再公営化」が世界の潮流となりつつあるという指摘もあります。

この外資企業と言われるのが「水メジャー」と呼ばれる企業で、2強と呼ばれるのがスエズ・エンバイロメント(フランスや中国、アルゼンチンに進出)とヴェオリア・エンバイロメント(中国、メキシコ、ドイツに進出)です。

フランスのパリでは、1980年代に民営化した後、30年で水道料金が5倍になったことで、2010年に再公営化したそうです。

米国アトランタでは、企業の人員削減で水処理が不十分になり、茶色の水が出るという水質低下が見られたという例があります。

他にも、老朽化放置で漏水率が上がっている都市もあれば、鉛が溶け出して水道汚染事故が起きているところもあるようです。コスト削減による補修工事延期の結果です。

私たちの命を海外企業に預けていいのか?
人間が生きていくうえで必要なのは「空気」と「水」…。

老朽化した水道管の更新を急ぐことは重要で、それは災害対策の一環としても大事なことでが、それがコンセッション方式による民間企業活用が良いのかどうか、水道料金の右肩上がりの値上げだけでなく、安全面としてでも、私たちはもっと関心を持つべき法案だと思います。

この「再公営化」の海外事例に関しては、政府は235例中3例だけ分析検討しただけで、水道法改正案を可決させました。

「ダム建設」は引き続き推進か
ちなみに、ダムを建設すると水道料金は上がります。横浜市では不必要と言われた宮ケ背ダム建設時で、水道料金は値上がりました。

厚生労働省は、人口減少で水の需要は減ると言い、国交省は水不足で治水のためにダム建設は必要と訴えています。予算は国交省に付くので、ダム建設は続き、私たちの水道料金は上がるようです。

その予算を厚生労働省の水道事業に回せば、全国の老朽化した水道管更新を、私たちが支払う水道料金値上げだけに頼らないで済むはずです。その予算は2300億円だそうです。

世界で水をめぐる戦争が起きるとしたら、水需要が膨らむ中国は負け組みとなり、ツンドラ氷河を利用できるロシアは勝ち組になるそうですよ。これは全くの雑学です。

いずれにしても水道法改正は可決されました。

(続きはご購読ください。初月無料です<残約6,200文字>)

ファーウェイ・ショック
今から6年前の2012年10月、米下院情報常設特別委員会が「中国の通信機器会社であるファーウェイとZTEによりもたらされる米国の国家安全保障問題に関する報告書」が出されています。

当時の両社従業員に聞き取り調査を行った結果「中国には、悪意のある目的のために、電気通信会社を通じて、米国で販売される中国製の電気通信の構成品およびシステムに、悪意のあるハードウエアまたはソフトウエアを埋め込む可能性がある」と報告しています

https://www.mag2.com/p/money/598498


http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/876.html

[経世済民129] どんどん先に行く「とりあえずやってみる」中国人「やった者勝ち」を批判し石橋を叩いて渡らない日本 日中の接近は失敗に終わる
どんどん先に行く「とりあえずやってみる」中国人

「やった者勝ち」を批判し、石橋を叩いて渡らない日本人
2018.12.12(水) 山田 珠世
「とりあえず」やってみると、新しい世界が開けることがある(写真はイメージ)
 中国の有機ELベンチャー「柔宇科技(Royole)」が今年(2018年)10月31日、世界初となる折りたたみスマートフォン「FlexPai」を発表した。同じく折りたたみスマホを11月7日に発表するとの観測があった韓国のサムスン電子を出し抜いた形で、メディアでも驚きをもってそのニュースが伝えられた。

 折りたたみスマホについてはこのほか、同じく韓国のLGエレクトロニクスや中国の華為技術(ファーウェイ)、聯想(レノボ)、米アップルなども実用化に向けて開発を進めているとされていた。どのメーカーが“世界初”のタイトルを勝ち取るかに注目が集まっていた矢先のできごとだ。

 報道によると、「FlexPai」は画面解像度が1920×1440の有機ELディスプレーを使用。広げた時のサイズは7.8インチで、iPad miniと同様のサイズ感となっている。真ん中から外側に折りたたむとデュアルディスプレーになり、それぞれ独立して使うことも、つなげて使うこともできる。折りたたみの耐久性については、20万回の折りたたみテストをクリアしているという。

 中国メディアがこぞって、“中国発”“世界初”の折りたたみスマホのすばらしさを称えたのは言うまでもない。

柔宇科技(Royole)が発表した世界初となる折りたたみスマートフォン「FlexPai」
実際に手に取った人の評価は?
 ところが海外メディアでは、実物を手に取った人たちが「折りたたんだ際に伸びた部分がシワになって残ってしまう」「折りたたむときに、バリバリと音がする」「OSの動きが遅い」「ソフトウエアがバグだらけで、デザインが醜い」などと酷評していることが次々に報道された。「FlexPai」は“とりあえず発表しました”感満載だったようだ。

 ただこれらの報道を見て、「いかにも中国らしい」と思ったのは筆者だけではないだろう。

 柔宇科技にしてみれば、「サムスンの先を越したかった」というのが本当のところだろうが(サムスンは実際、11月7日に折りたたみスマホを発表した)、何よりも“世界初”を勝ち取ったことに意義がある。

 柔宇科技は2012年に設立されたベンチャー企業。フレキシブルディスプレーを研究開発、生産しているメーカーだが、特に名の知れた企業ではない。名だたるスマホメーカーが“世界初”を競う中、世界的にはほぼ無名の中国メーカーに出し抜かれるなど、誰も予想していなかったはずだ。だからこそ柔宇科技は、“とりあえず”でも発表したかったに違いない。

実践しながら改善していく
 上海に住む筆者のまわりにも、“とりあえず”動き出す中国人の友人は少なくない。しっかり形になっていなくても、とりあえずやり始め、改善しながら理想の形に近づけていくのだ。

 お菓子作りや料理が大好きだった上海出身の友人は、自宅で頻繁にパーティを開き、客に手料理をふるまっていた。これをどうにか商売にできないかと考えた彼女は、まもなく友人と共にカフェを開いた。飲食業界の経験ゼロの状態で、だ。

 数年後には、別の友人と共同出資で高級中華レストランをオープン。メニューはすべて彼女がアイデアを出し、一流シェフに作らせている。独創的なコンセプトに基づいて素材を生かした料理は見事に当たり、有名人などもお忍びでやってくる隠れ家的な場所になった。今では投資家からの出資を受け、複数の店舗の経営を任されている。

 別の友人の例を挙げよう。昔から会うたびに「自分でビジネスをやりたい」と口にしていたある友人は、何ができるかを常に模索していた。筆者も何度か「一緒にビジネスをやらないか」と企画書を受け取ったことがあったほどだ。

 そして、彼女はいくつもある構想のうちの1つを実行に移した。キャラクターケーキのネット販売である。

 まず彼女は、ケーキのデコレーションについて数週間のレッスンを受けるために、1人で海外に行った。上海に戻ると、即座にキャラクターケーキのネット販売をスタート。もともと美大出身で絵をかくのはうまかったが、ケーキ屋などで修行を積むこともせずにいきなり商品として売り始めたのには驚いた。

 彼女が作るケーキは友人らを中心にクチコミで広まり、彼女は1つケーキを作るごとに腕を上げていった。そして会社を立ち上げてパティシエを雇い、当初の希望通り経営者となった。

一度授業を受けただけで先生に
 中国の友人らに共通しているのは、リスクばかりを考えすぎるのではなく、とにかく実行してみるところだ。もちろん多くのことを考えた末の決断だろう。ただ、考え始めてから実行するまでのスパンが非常に短く、「実行あるのみ」という考えの人が多い。

 ある中国人が、日本人が開いた和菓子教室に1回出席しただけで自分の教室を開いた、という話も耳にしたことがある。それは詐欺ではないか、と言いたくなるほどの教室だが、中国では“あるある”の1つだ。

 ある技術を少しでも学んだら、その技術を完全に修得したり成熟するまで待たずにやり始める。実践しながら不足している部分を補っていく。それをよしとする雰囲気が中国にはある。

 日本だったらどうだろうか?

 日本人は、限りなく完成形に近くないと商品として認めない傾向にある。自分で何かを始めるとしても、完璧に近い状態になるまでやり始めないし、完璧に近い状態になっても「まだまだ」と言って、動き出さない人も多い。まさに“石橋を叩いて渡らない”のが日本人だ。

実は自信たっぷり?
「FlexPai」は11月1日に予約販売を開始した。価格は8999〜1万2999元(約14万7700〜21万3300円)と、決して安くはない。早ければ年内には消費者の手元に届くとされており、その時が来れば様々な評価が出てくることだろう。厳しい評価の声も予想される。

 ただ、柔宇科技に関する報道を見ていて、ふと、こう思った。もしかすると同社は、「とりあえず発表した」などとは思っていないのではないか。逆に「この出来栄えなら売れる」と自信を持っているのではないか──。

 多くの日本人にとって、中国人の「とりあえずやってみる」スタイルは認められない。“やった者勝ち”に批判的な目を向けるのが日本人だ。

 ただ、やってみなければ何も始まらないのもまた事実だ。日本人は「やってみなければ分からない」と頭では分かっていても、なかなか実行に移せない人が多いのではないだろうか。

 もちろん、不足している部分は常に改善していく必要があるだろう。だが、とりあえずやってみることで、新たな世界が開けることもある。筆者は、“見る前に飛んだ”友人たちを見習いたいと考えている。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54885

 

「日中の接近は失敗に終わる」米国から新たな批判
日中が乗り越えられない3つの対立点とは
2018.12.12(水) 古森 義久
遼寧省政治協商会議・夏コ仁主席ら来日、東京で貿易協力セミナー開催
2018年10月29日、東京で開催された「遼寧省と日本経済貿易協力セミナー」。日中関係の改善に伴い、日中両国間のビジネス往来が頻繁になってきた。(c)東方新報〔AFPBB News〕

(古森 義久:ジャーナリスト、産経新聞ワシントン駐在客員特派員)

 安倍晋三政権が現在進めている和解的な対中外交は失敗する――。こんな辛辣な批判が、米国の主要研究機関の論文で表明された。

 日本と中国は互いに融和の姿勢をみせ接近を試みているようだが、日中両国間には戦略面で基本的な相違がある。そのため、和解的なアプローチは必ず失敗するだろう、という趣旨の見解だった。

日本の対中外交への否定的見解が相次ぐ
 日本の最近の対中外交に対しては、米国の別の専門家から「トランプ政権が中国と対立しているときに日本が中国との協力を進めることは、米国外交への妨害であり米国の利益に反している」という意見もすでに発表されている(当コラム「安倍政権の『中国接近』に米国で痛烈な非難の声」2018年11月14日)。

 その意見は 米国が日本の対中外交をどう受け止めているかに関する指摘だったが、今回の批判は、米国の反応よりも、日本と中国の関係そのものに言及している。すなわち、日本と中国は相互の戦略利害があまりに相反するため協調の道は進めない、と断じているのだ。

 この論文は12月6日にワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)の日本部が日本外交研究の一環として発表した。執筆者は米国の中堅学者、ジェフリー・ホーヌング氏である。論文には「日中和解は失敗する」というストレートなタイトルが付けられていた。

 ホーヌング氏は日本や東アジアの安全保障を専門の研究分野とする学者で、これまでにも活発な研究や調査の結果を発表してきた。現在は、安全保障研究では米国最大手の「ランド研究所」の研究員を務めている。ジョージ・ワシントン大学で2009年に政治学の博士号を取得し、東京大学やジョンズ・ホプキンス大学高等国際関係大学院(SAIS)にも学んだ経歴がある。ワシントンの「笹川平和財団」の研究員だったこともある日米安全保障に詳しい専門家である。

日中が歩み寄れない3点の対立
 ホーヌング氏はこの論文で、まず安倍首相の10月下旬の中国訪問を取り上げ、安倍首相が7年ぶりに中国を訪問し、「日中間の通貨交換(スワップ)協定の再開」や「第三国でのインフラ投資協力」を中国側と合意したことを紹介する。

 また、防衛面でも日中協議が催され、緊急時のホットラインの合意が確認されたことに触れ、「こうした動きをみると日中両国は相互の関係を改善したようにもみえる」と記す。

中国訪問中の安倍首相、歓迎式典で儀仗兵を閲兵
中国・北京の人民大会堂前で行われた歓迎式典で、同国の李克強首相と儀仗(ぎじょう)兵を閲兵する安倍晋三首相(2018年10月26日撮影)。(c)GREG BAKER / AFP〔AFPBB News〕

 だが、ホーヌング氏は「その印象は間違いだと言える」と続ける。その理由としては「日中両国は現実には戦略的競合の状態にある」からだ。「両国間には少なくとも3点の基本的な主張の相違がある」「だから、現在の日中両国の和解ともみえる外交は失敗する」と断じるのだ。

 ホーヌング氏は、その日中間の3点の戦略的な相違として、以下を挙げていた。

(1)尖閣諸島をめぐる対立

 日本は尖閣諸島を固有の自国領土だと宣言し、中国との交渉には応じない。一方、中国も同島を釣魚島と呼び、明朝時代からの中国領だと宣言して、尖閣諸島周辺の日本の領海に頻繁に侵入している。両国の対立は交渉を排除しており、いわば紛争状態にある。和解の方法はみえていない。

(2)脅威認識の違い

 中国は米国を自国の安全保障への最大の脅威とみなしている。米国の同盟国である日本についても、東シナ海、南シナ海の紛争への姿勢は中国への脅威だと断じている。一方、日本は中国の軍拡全般や日本の領海、領空への頻繁な侵入を脅威とみなしている。そこで日本は抑止や防衛のために防衛力を増強しようとしているが、中国側はそれを脅威とみる。

(3)国際秩序への見解の違い

 中国は、既存の国際秩序が自国にとって不利で制約が多すぎるとみなし、その変更あるいは打破を目指している。そのためには、近隣諸国に対する強引な強制措置も辞さない。一方、日本は世界の中でも珍しいほど国際秩序の維持に努める国だといえる。

いくら協力体制を築いても「限界がある」
 そのうえで、ホーヌング氏は日中関係の展望について、主に次の諸点を述べていた。

・安倍首相の訪中は、日中両国が歴史問題と領土紛争で対立して非常に険悪だった2012年頃に比べると、変化した状況を生んだ。両国は紛争案件を脇におき、経済や貿易などの分野で互恵関係を築ける方法を推進しようとしている。両国はこれまでよりは上手に当面の二国間関係を管理できるようになった。とくに中国側の対日態度の軟化が目立つ。

・しかし日中関係の基本につながる戦略的な政策や見解の対立は、現実的にはまったく解決できていない。その解決がみえない限りは、和解的な外交をいくら進めても限界がある。今回の安倍首相の訪中は、両国首脳が未解決の対立をうまく避ける管理方法を発展させただけともいえる。

・だが、日中両国による対立の管理が少しでも後退や崩壊をみせたときには、未解決のままの戦略的対立が表面に出て、二国間関係全体がすぐに険悪になることは確実だといえる。日本も対象に含む中国の対外関係は、これまでの歴史がその実態を物語っている。

 戦略国際問題研究所が発表したホーヌング氏の論文は、日中関係の現状と展望について以上のような厳しく鋭い分析を述べていた。もしも日本が本気で中国との和解外交を推進するのだとしても、その見通しは厳しく、失敗するだろう、という鋭利な診断だともいえる。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54915
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/877.html

[経世済民129] アップルの中国事業に新たな懸念 iPhoneの旧モデル、中国が販売禁止 中国スマホ販売、7〜9月も前年実績に届かず 原因
アップルの中国事業に新たな懸念
iPhoneの旧モデル、中国が販売禁止
2018.12.12(水) 小久保 重信
アップル、iPhone最新機種発表 iOS端末の出荷20億台迫る
米カリフォルニア州クパチーノでのアップルの新製品発表イベントで披露されたスマートフォン「iPhone」の最新機種「iPhone XR」シリーズ(2018年9月12日撮影)。(c)NOAH BERGER / AFP〔AFPBB News〕

 特許権を巡って、半導体大手の米クアルコムと米アップルが争っている裁判で、中国の裁判所は、クアルコムが訴える2件の特許侵害を認め、iPhoneの旧モデルの中国における販売を差し止める仮処分を下した。

 世界最大のスマートフォン市場である中国では近年、iPhoneの販売が減速している。米中の貿易摩擦で緊張が高まる中、アップルの中国事業には、新たな懸念が広がりそうだと指摘されている。

米中貿易摩擦の犠牲か?
 米ウォールストリート・ジャーナルなどの米メディアによると、販売差し止め命令が発効する時期については、今のところ明らかになっていない。

 アップルは、声明を出し、「iPhoneは、今もすべてのモデルが中国で販売されている」とし、「裁判所の決定に対し、再検討を要求した」とも述べている。

 だが、これによりアップルは、「iPhone X」「同8」「同7」「同6」といった旧モデルを同国で販売できなくなるようだ。一方で今年発売した最新モデル「同XS」「同XS Max」「同XR」は差し止め命令の対象になっていない。クアルコムが訴訟を提起した時点で、これら2018年モデルは発売されていなかったからだ。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、今回の命令は、福州市の知的財産を扱う裁判所が11月30日に下した。この日は、中国ファーウェイ(華為技術)の副会長で財務責任者の孟晩舟氏が、米国の要請により、カナダで逮捕された日の前日だ。

 これら、アップル製品の販売差し止めと、ファーウェイ幹部の逮捕には、米中貿易摩擦との関連を疑わざるを得ないものがあると、スイスの投資銀行UBSのアナリストは指摘している。いずれも、両国を代表するテクノロジー企業だからだ。

アップルにとって1.36兆円の損失?
 今回の決定は、アップルの中国事業に打撃を与えそうだ。同国はアップルの売上高のほぼ5分の1を占める市場だからだ。

 アップルはiPhoneの機種別販売台数を公表しておらず、旧モデルの占める比率がどの程度だかは分からない。

 しかし、カナダの投資銀行RBCキャピタルマーケッツのアナリストは、同国における旧モデルの販売比率は約4割に上ると見ている。これにより、アップルの損失額は、120億ドル(約1兆3600億円)に上る可能性があるという。

中国スマホ市場、上位4社はすべて中国企業
 前述したとおり、中国は世界最大のスマートフォン市場だ。しかし同国では近年、スマートフォン販売が低迷している。

 香港の市場調査会社カウンターポイント・テクノロジー・マーケットリサーチによると、今年(2018年)7〜9月期における同国のスマートフォン販売台数は1年前から8%減少し、前の四半期に続き、前年割れとなった。

 同国のスマートフォン普及率はすでに95%に達しており、初めて端末を購入する人の数が急減している。これに伴い、メーカー各社の開発競争が激化しているという。

 今年7〜9月期の同国におけるメーカー別販売台数のランキングで、アップルは前年同期と同じ5位になった。上位4社は、ファーウェイ、ビーボ(維沃移動通信)、オッポ(広東欧珀移動通信)、シャオミ(小米科技)と、いずれも中国企業が占めている。

(参考・関連記事)「中国スマホ販売、7〜9月も前年実績に届かず」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54931

中国スマホ販売、7〜9月も前年実績に届かず
原因は95%という高い普及率、買い替え鈍る
2018.11.14(水) 小久保 重信
孫文が眠る南京・中山陵、予約制により混雑緩和
南京・中山陵の遊覧客(2018年10月2日撮影)。(c)CNS/泱波〔AFPBB News〕

販売台数、前年同期比8%減
 香港の市場調査会社カウンターポイント・テクノロジー・マーケットリサーチが先ごろ公表したレポートによると、今年(2018年)7〜9月期における中国のスマートフォン販売台数は1年前から8%減少し、前の四半期に続き、前年割れとなった。

 同国のスマートフォン市場については、別の調査会社である米IDCが、今年4〜6月の出荷台数が同5.9%減少したと報告していた。またIDCは、今年1〜3月の台数が1億台を下回り、4年前の水準に戻ったとも報告していた。

(参考・関連記事)「中国スマホ市場、出荷台数の減少幅が縮小」

 今回のカウンターポイントのレポートによると、この7〜9月、中国市場は依然、回復の兆しが見られなかった。消費者の新製品買い替え周期が長期化していることがその主な理由という。

シャオミ、アップル、サムスン、いずれも2桁減
 7〜9月のメーカー別出荷台数は1位から、中国ファーウェイ(華為技術)、中国ビーボ(維沃移動通信)、中国オッポ(広東欧珀移動通信)、中国シャオミ(小米科技)、米アップル、韓国サムスン電子の順。

 このうち、1年前から台数が伸びたのは上位2社のファーウェイとビーボのみ。伸び率はそれぞれ13%と4%だった。3位のオッポは横ばいで推移し、シャオミは16%減、アップルは17%減、サムスン電子は67%減という結果だった。

上位メーカーへの集約進む
 カウンターポイントによると、中国のスマートフォン普及率はすでに95%に達しており、初めて端末を購入する人の数が急減している。

 これに伴い、メーカー各社の開発競争が激化しており、上位メーカーの製品に人気が集中する傾向にある。同国には無数のスマートフォンメーカーがある。しかし、7〜9月期における上位5社の販売台数シェアは合計86%となった。この数値は1年前は80%。急速に上位メーカーへの集約が進んでいるという。

10〜12月期には回復か
 ただ、10〜12月期は「iPhone」などの大手の旗艦モデルが、1年で最も売れる四半期であるため、回復が期待できるとカウンターポイントは指摘している。

 アップルは9月21日に、「iPhone XS」と「同XS Max」を中国で発売した。このうち画面サイズが大きくなったXS Maxは中国のiPhoneファンの間ですぐさま話題になった。このモデルはこれまでのiPhoneの中で最も価格が高い。しかし中国消費者からの評判は良いという。

(参考・関連記事)「上昇の一途をたどるiPhoneの価格」

「独身の日」、携帯電話カテゴリーでアップルが1位
 同国のeコマース大手アリババ・グループ(阿里巴巴集団)は11月11日に「独身の日」セールを行った。同社が発表したこの日の流通総額は、2135億人民元(約3兆5000億円)で、過去最高を更新した。

 米CNBCによると、この日、最も販売額が多かった携帯電話のメーカーはアップルだった。アップルに続いたのはファーウェイとシャオミ。アリババはその具体的な数値を公表していない。しかし、アップルはこの1日で販売額が1億人民元(約16億4000万円)を超えた237ブランドの1つだったと、同社は報告している。

(参考・関連記事)「米国の年末商戦、小売総売上高が初の1兆ドル突破へ」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54663
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/878.html

[不安と不健康18] 今こそ知っておきたい「ゲノム編集」の大きな可能性 「ゲノム編集ベビー」発表が私たちに突きつけた課題(前篇) 
今こそ知っておきたい「ゲノム編集」の大きな可能性
「ゲノム編集ベビー」発表が私たちに突きつけた課題(前篇)
2018.12.12(水) 島田 祥輔
ゲノム編集はどのような技術で、どのような可能性があるのか。
 世界中を驚愕させた、中国での「ゲノム編集による子どもの誕生」のニュース。今回の出来事は、技術の進歩とともに直面するさまざまな問題を、早くも社会に突きつけることになった。ゲノム編集にはどのような可能性と問題点があるのか、そして今後の議論はどこに向かうのか。サイエンスライターの島田祥輔氏が2回にわたり解説する。(JBpress)

 11月26日、「ゲノム編集」という方法で受精卵の遺伝子を人為的に変えた赤ちゃんが誕生した、というニュースが世界中を駆け巡った。

 これが事実かどうか現時点では不明だが、秘密裏に行われたこと、技術的・医学的・倫理的問題が多く含まれていることから、多くの批判が寄せられている。

 ただ、これを機に「ゲノム編集とは何か?」「ヒト受精卵へのゲノム編集は何が問題なのか?」について考えるのは、意味のあることだろう。

 そこで前篇となる本記事では、ゲノム編集とはどのような技術なのか、簡単な原理と応用研究を紹介する。後篇では、ヒトの受精卵にゲノム編集を施すことの何が問題なのか、整理する。

そもそも、このニュースは本当なのか?
 本題に入る前に断っておきたいのが、今回報道されたことが本当なのか不明であることだ。

 本来、ヒトを対象にした試験は、所属機関である大学や医療機関の倫理委員会の承認を受け、結果がある程度そろったら(よい結果だったかどうかに関係なく)学術誌に論文を投稿し、掲載されたら正式に発表するのが通常のフローだ。

 ところが今回は、『MIT Technology Review』の特ダネから噂が広がり、直後にAP通信の独占インタビューで明らかにされたという経緯になっている。研究者が所属する大学ですら事前に報告を受けておらず、独立委員会を立ち上げて調査に乗り出すと声明を出した。倫理委員会に申請すらしていなかったのだろう。

 報道の2日後には、第2回ヒトゲノム編集国際会議にHe氏が登壇し、関連するデータを示した。その様子はアーカイブ(Session 3の1:15:30あたりから)ですべて見ることができる。ただ、本稿執筆時点では論文は発表されておらず、第三者が検証するために必要な生データも公表されていない。

 つまり、壮大なフェイクの可能性も残されている。

 仮に本当だったとしても、技術的・医学的・倫理的な問題が多く指摘されている。このうち、技術的問題を理解するためには、ゲノム編集という技術について簡単に知っておく必要がある。

 筆者はこれまで、ゲノム編集に関する記事をいくつか書いてきて、トークイベントなどにも参加してきた。改めて、ゲノム編集という技術がもつ可能性を探っていこう。

どうして遺伝子が体の特徴を決めるのか?
 最初は勉強タイムになるが、イラストを見ながら読み進んでほしい。

 まず、ゲノム編集という言葉にある「ゲノム」とは、「ある生物がもつすべて遺伝子」という意味だ。ヒトなら、2万2000種類あるとされる遺伝子すべてを指す。

 遺伝子は「DNA」という物質からできている。遺伝子にある情報をもとにしてタンパク質が作られ、そのタンパク質が体内でさまざまなはたらきをする。異なる遺伝子からは、異なるタンパク質が作られる。


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 大まかな言い方をすれば、「遺伝子をもとに、体を特徴づけるタンパク質が作られる」となる。胎児の段階で心臓を作るという重要なことだけでなく、お酒に強いかどうかというちょっとした個人差の中にも、遺伝子が関係するものがある。

イラストで分かるゲノム編集
 ゲノム編集は、遺伝子の一部を書き換える技術だ。いくつかの方法があるが、2013年に開発された「CRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)」という方法は簡便かつ安価で、一気に世界中の生命科学の研究室に広まった。

 CRISPR-Cas9では、DNAを切断する「Cas9」と、切りたい場所を探す「ガイド役」が1組となって細胞内に入ると、狙ったところのみのDNAを切断する。細胞内では、切断を修復する機能が備わっているが、そこで修復ミスが起きてしまう。このミスを利用して、「遺伝子の機能をなくす」のがゲノム編集だ。


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 ゲノム編集ができるのは、機能をなくすだけではない。修復するとき、あらかじめ別のDNAの断片を入れておくことで、その断片を「組み込む」こともできる。


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 遺伝子が変われば、できあがるタンパク質も変わり、体の特徴が変わるという仕組みだ。


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 似たような方法に「遺伝子組換え」があるが、遺伝子組換えの成功率は1%以下であるのに対し、ゲノム編集の成功率は数十%ともいわれる。ゲノム編集のほうが安価かつスピーディーだ。

農業問題を解決、エイズやがんを治療できるかも
 基礎研究では、病気となるように遺伝子を変えたマウスで、病気の原因解明や治療法発見などのために使われている。

 また、農作物、水産物、畜産物など食品分野への応用も進んでいる。

【参考】「“衝撃”のゲノム編集、作物は食卓に並ぶのか?」

 医療においても、海外で臨床試験がいくつか行われている。いわゆる「遺伝子治療」と呼ばれるものだ。

 例えば、エイズを発症したHIV(ヒト免疫不全ウイルス)患者から、免疫に関わる「T細胞」を採取し、HIV感染の目印となるタンパク質を作る遺伝子を壊して患者に戻せば、HIVは感染する手立てがなくなるため、エイズを治療できる可能性がある。アメリカではすでに臨床試験が行われ、HIVの検出量が下がったと報告されている(Tebas et al., N Engl J Med, 2014)。

 同様の方法で、がん細胞に攻撃できるようにT細胞をゲノム編集する「CAR-T療法」も研究されている。

 ただし、この方法を悪用することで「遺伝子ドーピング」という問題が浮上するのは知っておいていいだろう。例えば、血液で酸素を運ぶ赤血球を多く作らせるように遺伝子を改変すれば、酸素を多く運べるようになり、持久力が勝負となる長距離競技で有利になるかもしれない。この問題に対しては、世界アンチ・ドーピング機構は先手を打ち、2018年1月に発効した禁止リストでは「遺伝子編集(ゲノム編集)物質の使用禁止」が盛り込まれた。

 話を元に戻そう。治療目的で遺伝子を変えることへの懸念はあるが、患者がメリットもリスクも受け入れて同意のもと、治療効果や副作用を丁寧に追跡するという点では、新しい医療機器や治療薬を使うのと大きく変わらない。遺伝子が変わるのは一部の細胞のみで、そこから精子や卵子が作られることはまずないため、変化した遺伝子が子孫に伝わることはない。

問題のレベルがまったく違う、受精卵へのゲノム編集
 ところが今回は、“受精卵”にゲノム編集を行ったという。これは、患者の一部の細胞でゲノム編集を行うこととは意味合いがまったく異なる。ここまで述べた例とは、完全に切り離して考える必要がある。

 受精卵からは、胎盤を含め、人体を構成するすべての細胞が作られる。受精卵の遺伝子を変えるということは、体のすべての細胞に含まれる遺伝子を変えるということだ。当然、そこには精子や卵子も含まれるため、その変化は次の世代以降にも引き継がれる。

 遺伝子を変えたことによるメリットとリスクを、まだ生まれてもいない子どもと子孫が負うことになる。当然、本人の同意はない。

 今回の場合、前述したHIV感染に関わる遺伝子の機能を失わせ、HIVに感染しにくくしたとされている。では、リスクには何があるのだろうか。

 後篇では、技術的、医学的、倫理的観点から問題をまとめ、今回の騒動の本質に迫る。

(後篇につづく)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54910
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/675.html

[経世済民129] 経産省は「ゾンビ救済ファンド」を手放さない 「官民ファンド」はソブリン・ウエルス・ファンドとは似て非なるもの 
経産省は「ゾンビ救済ファンド」を手放さない
「官民ファンド」はソブリン・ウエルス・ファンドとは似て非なるもの

2018.12.12(水) 阿部 崇
経産省はどんな後継人事案を練っているのか
 世間を驚かせた産業革新投資機構の取締役9名の辞任劇。田中正明社長らが不信感を募らせた経済産業省に対する批判もあれば、辞任する経営陣たちの行動に首をかしげる向きもある。産業革新投資機構と経産省、両者の主張が対立しているが、なぜこんな事態に陥ったのか。金融界を長く取材してきた経済ジャーナリストの町田徹氏に、問題の根源を聞いた。(JBpress)

「官民ファンド」は血税と借金でバクチを打つようなもの
――産業革新投資機構(JIC)で、田中正明社長をはじめ取締役9名が辞任しました。原因については「経産省が一度は示した高額報酬の約束を反故にしたからだ」「いや、経産省の変心により、JIC設立の理念を貫くことが難しくなったからだ」などと様々な見方が出ていますが、町田さんはどう分析されていますか。

町田徹氏(以下、町田) まず言っておかなければならないことは、JICのような「官民ファンド」は、そもそもその存在からして好ましくないということです。

 日本の官民ファンドを、中東諸国やロシアのような資源大国の政府系ファンド「ソブリン・ウエルス・ファンド(SWF)」と同列に論じる人もいますが、これは大きな間違いです。

 SWFとは、クウェートやサウジアラビアのような石油や天然ガスで稼いだ莫大な資金を原資に、国の将来に備えて大事に運用しようというものです。

 それに対して、日本の官民ファンドが運用するのは公的資金、いわば血税です。産業革新投資機構も「官民ファンド」とはいいながら、出資金3000億円のほぼ100%が政府出資。さらにおよそ1兆8000億円は政府保証付きで民間から借金することができる建て付けになっています。つまり、国民の血税に、さらに民間からの借金をつぎ込んでバクチを張るみたいなもので、そもそもその存在自体、筋が悪すぎると言うべきでしょう。

――JICの前身である産業革新機構は、経営難に陥った企業の救済に使われたことで、批判を浴びていました。

町田 もともと運用能力もないのです。だから産業革新機構は、大手電機メーカーのディスプレイ部門を結集させたジャパンディスプレイの設立に深くかかわるなど、破たん寸前の問題企業の救済にせっせと注力してきた。他の官民ファンドだって、JAL救済に利用されたりと、「国策救済」のツールになってきたわけです。能力がないうえ、筋違いのことにおカネを流用するのですから、運用の結果が良好なはずはありません。

 特に今回、9名の取締役が辞任したJICは、旧産業革新機構から分離した株式会社INCJを傘下に置き、さらに政府は、やはり官民ファンドの1つ、クールジャパン機構(海外需要開拓支援機構)をJICと統合させようとしていました。

 INCJもクールジャパン機構も、運用の中身を検証されたら、かなり悲惨な内容になっているはずです。つまり、産業革新機構を産業革新投資機構に衣替えし、そこにINCJやクールジャパン機構をひっつけるような複雑な構造にしようとしたのは、その運用実態を検証させないようにする政府の狙いがあったと私は睨んでいます。

日産取締役会、ゴーン会長の解任を決定 全会一致で
仏パリでフランスのブリュノ・ルメール経済・財務相(左)と会談した世耕弘成経済産業相(右、2018年11月22日撮影)。(c)ERIC PIERMONT / AFP〔AFPBB News〕

経産省も田中氏も「どっちもどっち」
――そのことを、社長に就任していた田中さんは知らなかった?

町田 田中さんは、自らも関わった経産省の「リスクマネー研究会」の取りまとめ――これ自体が産業革新機構を産業革新投資機構に衣替えすることを正当化するためのレポートですが――で謳われたような、経産省や財務省がSWF的ファンド作りに乗り出すという「建前」を鵜呑みにしたのかも知れません。しかし、もし田中さんが本当にそう思い込んでいたのなら大甘です。日本政府の本音や性癖を分かっていないと言うしかない。

――そもそもは、取締役の報酬額を巡って経産省と対立したわけですが、億を超える報酬はファンドの責任者として妥当でしょうか。

町田 田中さんが理想と述べているようなSWFや民間ファンドのような、ファンド運営の仕事を本当にしたいのならば、まずはお金は自分で集めてくるべきだと思います。もっと言うなら、バークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェットさんのように、自分の手金もつぎ込んで、「自分のお金もリスクに晒して命がけで運用しますから、皆さん、どうかお金を預けてください」と訴えるステップも不可欠です。

 その運用がうまくいかなければ、お金はすぐに回収されたり、ファンド運営者の首が飛んだりする。そういうリスクが必然的について回るのです。

 ところが、そういうリスクを一切取らなくていい立場の田中さんが、政府に用意してもらったお金を運用し、そのうえ日銀総裁をもはるかに上回る高額報酬がもらえると。そんな都合のよい話はないのです。

 だから今回の騒動を見ていると、経産省も田中さんたちも、どっちもどっちという感想しかありません。

――田中氏は辞任会見で、「(辞任する取締役は)誰一人としてお金のためにここに来ていない。仮に当初提示された報酬額が1円だったとしても来ていたと思う」と述べています。

町田 本心でそう思うのだったら、11月24日に嶋田隆次官から「高額報酬は認められない」と告げられた後に、JICの取締役会で「報酬は1円」と決めればよかったと思います。9月に一度文書で提示された報酬額に基づいて、JICの取締役会で決議した内容を、急に経産省が白紙撤回したから法治国家ではない、なんて言っていますが、どう考えたってそんな議論にはならないと思います。許認可なんてそんなものです。役所の方で「調べてみたら適当じゃない部分があったからやっぱりダメ」というのが許認可の世界でしょう。

後任はゾンビ救済ファンドに協力的な人物?
――JICにはまだ存在意義はあるのでしょうか。

町田 僕自身は、こんなものさっさと潰した方がいいと思っています。でも、経産省はそう思わないでしょう。

 そもそも田中さんたちが辞めることになったのも、形の上では本人たちの意思による「辞任」ですが、実態はむしろ、経産省側が「何が何でも」という形で切り捨てたというのがより正確ではないでしょうか。

 というのも、さっきも述べたように、JICは産業革新機構などの過去の失敗を海の奥底に沈めておくためのファンドだったのです。だからそこから分離したINCJをぶら下げるような二重構造まで作った。そこには乱立するファンドを集約して整理するという大義名分もあるでしょうが、実態は、これまでの失敗を糊塗するためのスキームじゃないでしょうか。

 ところが田中さんたちは、新たなに同じようなファンドを二重、三重にぶら下げて、そこに海外ファンドの金や民間の金も入れて、ガンガン運用して、ディスクロージャーにしてもこれからガラス張りでやっていきます、という方向で動いていた。そんなことをされたら、これまでの損失を隠すためのスキームが破綻しかねず、経産省も黙ってみていることはできなくなった。経産省的に言えば、完全な「人選ミス」ということになります。そこで「だったらいっそ、クビを切れ」という判断に傾いた。それが今回の真相ではないかと思っています。

 結局、高邁な理想を掲げても、役所はゾンビ企業の救済ファンドを持っていたい。だから田中さんらが辞任したいま、恐らく経産省にとっての目下の急務は、新たな経営陣として、国策ゾンビ救済ファンドに協力してくれる物わかりの良い人材を確保することだと思います。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54933
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/879.html

[経世済民129] 異常事態。産業革新投資機構の役員退陣を新聞各紙はどう伝えたか  産業革新投資機構は閉鎖せよ  JIC大混乱 辞任コメント
異常事態。産業革新投資機構の役員退陣を新聞各紙はどう伝えたか
国内2018.12.12 18 by 内田誠『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』
uttii20181211
 

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官民出資の投資ファンドである産業革新投資機構(JIC)と同機構を所管する経済産業省との間に内紛が勃発、JICの民間出身の取締役9人全員が辞任するという異常事態に陥っています。この一連の騒動を新聞各紙はどう報じたのでしょうか。ジャーナリストの内田誠さんが自身のメルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』で詳細に分析しています。

産業革新投資機構の役員総退陣を新聞各紙はどう伝えたか
ラインナップ

◆1面トップの見出しから……。

《朝日》…「経産省の変化『信頼毀損』」
《読売》…「年21億円『自分には価値』」
《毎日》…「革新機構 民間役員総退陣」
《東京》…「ゴーン容疑者ら起訴」

◆解説面の見出しから……。

《朝日》…「再逮捕 地検、詳細語らず」
《読売》…「革新機構 休止状態に」
《毎日》…「革新機構 空中分解に」
《東京》…「官民ファンド 矛盾で自壊」

ハドル
どのくらい差が出てくるか分かりませんが、官民ファンドの問題が圧倒的に多くの紙面を占めていますので、「革新機構の役員総退陣」をテーマとします。

基本的な報道内容
官民ファンドの産業革新投資機構と経産省の対立は、民間出身の取締役9人全員の辞任に発展。会見した田中正明社長は高額報酬問題で「信頼毀損行為」があったとして経産省を批判。また「投資手法」についても対立し、関係修復が不可能と判断したという。発足3ヵ月で経営陣総退陣の異常事態に。

田中氏は、9月に経産省の糟谷敏秀官房長がいったんは高額報酬を容認する文書を田中氏提示したにもかかわらず、11月に白紙撤回したことが「信頼関係の毀損行為」に当たるとして、経産省を厳しく批判。9人は「新産業創出の理念に共感して集まったが、経産省の姿勢の変化で目的達成が実務的に困難になった」とも述べた。後任人事は難航が予想されている。

官民ファンドはそもそも無理筋?
【朝日】は1面トップに4面解説記事、7面に一問一答。見出しから。

1面

経産省の変化「信頼毀損」
革新機構 社長ら9人辞任
3面

官民ファンド 対立の果て
革新機構社長ら辞任表明
経産省の調整不足に不信
事実上の休止 あり方検証を(視点)
uttiiの眼
3面記事。《朝日》は、経産省とファンド側の齟齬の要因について、「糟谷敏秀官房長ら経産省側の政府内における調整不足」としている。

経緯はなかなかに複雑だ。

官民ファンド「産業革新機構(JIC)」の構想の元になったのは昨年10月、経産省内に設けられた「リスクマネー研究会」の報告書で、田中氏はその委員であり、糟谷官房長は当時の担当局長だったという。田中氏は「仮に報酬1円でも(JICの社長に)来た」と説明、しかし9月に、年の報酬1億円超もありうる案を糟谷氏から示され、その案に従って取締役会で報酬規定を決めていた。ところが、10月3日、高額報酬案を伝える《朝日》の報道を受けて経産省は「公表しないでほしい」と要請、その後、嶋田事務次官との会談で、報酬引き下げの要請に田中氏は同意したが、さらにその後、報酬を3,150万円に減額し成功報酬は出さないという通告があり、議論は暗礁に乗り上げ、田中社長は「席を立った」という。

《朝日》は「高額報酬」問題を重点にして経緯を説明しているのだが、その経緯には不明確なところが多く、理解しづらい。取材力に疑問を感じさせる。

栗林史子記者による「視点」は、官民ファンドのあり方自体を問題にしている。現在14あるファンドのうち6つが損失を抱え、JICの前身も「経営難の企業を救済する『国策』的な投資」で批判され、その反省から「新産業の育成」や「投資リターンの最大化」を打ち出したのがJICだった。ところが、高額報酬に対する世間の批判を恐れた経産省が経営陣を押さえ込みに掛かり、事実上の休止状態に追い込んでしまったと。

記者は「巨大な『官』の資金を慎重に管理しつつ、『民』の自由な投資活動で利益追求を図る」という、木に竹を接いだような官民ファンドの設計に無理はなかったかと、根本的な問いを発している。

【読売】投資手法を巡る対立を強調


投資手法を巡る深刻な対立
【読売】は3面の解説記事「スキャナー」のみ。見出しを以下に。

3面

革新機構 休止状態に
民間9取締役 全員辞任へ
報酬・運営手法で溝
官民ファンド 政策と利益 両立難しく
uttiiの眼
《読売》は、今回の官民ファンドと経産省の対立は、「高額報酬」を巡る両者の溝だけではなく、「投資手法を巡る対立」も影響していると強調している。

発足にあたり、JICは「世界の一流の金融や投資のプロによる投資活動を行う体制が整備された」と鼻息も荒く、経産省とも蜜月の関係だった。リスクマネーが集まらず新規産業が育たない日本の現状を打破し、官民ファンド不要論を払拭する役割も期待されていたという。

ところが、報酬を巡る対立が起こり、経産省はファンドへの監視強化に走る。具体的には、JICが、民間資金を呼び込みやすくするためなどとして、認可制の「子ファンド」の下に、認可不要の「孫ファンド」を設けようとしたことに対して、経産省は「やりたい放題になる」と警戒、JIC側は「運用の手足を縛られては海外で戦えない」として決定的な対立が生じていたという。この件、《朝日》は全く触れていないが、極めて重要。

【毎日】経産省が掛けた疑念とは


孫ファンドは禁止されることに?
【毎日】は1面トップに3面の解説記事「クローズアップ」、6面は「ミニ論点」で識者2人の意見。見出しから。

1面

革新機構 民間役員総退陣
高額報酬契機 社長、国を批判
3面

革新機構 空中分解に
民間役員総退陣
「変節」経産省に不信
ベンチャー投資 頓挫
uttiiの眼
《毎日》は、「高額報酬」と「投資手法」の両方についてバランス良く書いている。「高額報酬」に関しては、年間最大1億円超の形で示された当初の報酬規定案は、「財務省から了解を得ていないことが判明」し、田中社長は「政府内で調整が済んでいないという疑念」を持ち、そして嶋田次官が総額3,150万円を提示したことで田中氏は自らの進退にも言及し、両者の対立が決定的になったとの経緯。

「孫ファンド」については、どうも、経産省側は田中氏らが孫ファンドを使って自らの収入を増やそうとしているとの“嫌疑”を掛けたらしく、記者会見で田中氏は、「我々はお金のためにここへ来たわけではない」と語り、情報開示について、孫ファンドの報酬も開示する意向を提案していたと説明しているようだ。

もう1点。今回、辞任を表面した中には、取締役会議長の坂根正弘氏が含まれている。コマツ相談役の坂根氏は「経団連の元副会長で政財界に幅広い人脈を持つ」人。新たな人材を集める求心力となるべき人で、この人まで失った影響は非常に大きいと《毎日》は指摘している。

また記者は、政府はJICへの管理を強めることになり、「孫ファンド」の設立を禁じたりすれば、機構の趣旨が変わってしまう懸念があるという。「田中氏らの辞任で経産省とJICの対立自体は収束に向かうが、産業活性化という宿題は一段と重くなった」と締めている。

【東京】意思決定メカニズムに問題


意思決定メカニズムの問題
【東京】は1面左肩と2面の解説記事「核心」。見出しから。

1面

社長「法治国家でない」
革新機構 民間9取締役辞任
経産省を批判
2面

官民ファンド 矛盾で自壊
革新機構社長ら辞任
「民間の知見を」←→政府介入
uttiiの眼
1面。《東京》は見出しに「法治国家ではない」という、田中社長が会見時に使った最も刺激的な言葉を採用しつつ、問題は「報酬水準」だけでなく、「投資手法」を巡っての対立でもあったことを示している。

ともに辞任することになった冨山和彦取締役が「報酬の問題だけでなく、広範な事項について後から覆されるリスクが高い意思決定メカニズムになっていることが露呈した」と言っていることを紹介。この発言の意味は大きい。

2面。《東京》はこの問題を「安倍政権の掲げる成長戦略の柱の1つが揺らいでいる」問題として位置づけていることがリードに示されている。

《東京》が紹介する「投資手法」の問題は、「孫ファンド」云々ではなく、具体的な案件についての説明になっている。

田中社長は会見のなかで、不信の芽生えは就任直後に遡るとして、10月に副社長が見つけてきた米国の創薬ベンチャーへの投資問題を挙げている。日本企業との協業で「国内に米国の先端技術を還元することが狙いだった」のに、経産省や財務省との協議が遅遅として進まず、田中氏は、求められているのは「民間のベストプラクティスを活用する官民ファンド」ではなく、実態は「国の意向を反映する官ファンド」であることを実感させられたとしている。

こうした官民ファンドの根本問題について、記事は、旧大蔵省出身で慶応大学大学院の小幡積准教授に語らせている。

「官民ファンドは政治や省庁が介入するからうまくいかない」。「政治や行政にファンドを運営する能力がないから民間に協力を求めているのに、介入するならすべて解散すべきだ」と。

あとがき
以上、いかがでしたでしょうか。

《朝日》記事の劣化が目立つ今回のテーマ。高額報酬の件でスクープを飛ばして経産省を慌てさせたことで、「高額報酬」問題に逆に囚われてしまったというところでしょうか。他紙が揃って、「投資手法」の問題と絡めて報じているのと比べて、ちょっと惨めすぎます。どこかで挽回してほしいものですが。

というところできょうはここまで。

image by: Twitter(@世耕弘成)

内田誠この著者の記事一覧
新聞には見えない文脈が潜んでいる……朝日、読売、毎日、東京の各紙朝刊(電子版)を徹底比較、一面を中心に隠されたラインを読み解きます。月曜から金曜まで毎朝9時をメドに【ショートバージョン】を、その後、夕方までに【フルバージョン】をお届け。読み手は「吉田照美ソコダイジナトコ」(文化放送)や「スーパーニュース・アンカー」(関西テレビ)でコメンテーターを務め、現在はネット上のテレビ局、『デモクラTV』の内田誠。
https://www.mag2.com/p/news/379308/4
 

 

取締役辞任を奇貨とし産業革新投資機構は閉鎖せよ
産業育成の官民ファンドが絶対に成功しない理由
2018.12.11(火) 高橋 洋一
官僚には産業育成は難しい
(高橋洋一:嘉悦大学教授)

 政府系ファンドである産業革新投資機構が1億円以上の役員報酬について、経済産業省と対立し、民間出身役員9人が辞任した。産業革新投資機構は国が資金を拠出し、最大2兆円を運用能力がある。

 筆者は、株式投資は官でできるはずないという意見を持っている。そこで、30年以上も前、経産省の行う「産業政策」は意味がないという内容の学術論文で書いている。当時、大蔵省から公正取引委員会事務局に出向していたときで、官僚に産業の動向等見通せるはずがないので、産業育成なんて無理であるというものだ。

産業育成のための官民ファンドが成功しない理由
 政府ができないことの典型例として株式投資がある。そもそも、政府が行うといっても、官僚は市場に関することに疎い。官僚自らが、株式投資できないのは明らかなので、民間から専門家を官に持ってきて、官の組織で株式投資をしようと思うのが、官民ファンドである。しかし、それでも、民主主義プロセスでは、失敗時の責任取り方について、国民が納得する方法はない。このため、国がかなりの程度関与せざるを得なくなる。となると、民間から来た人は不自由になって力が発揮できなくなり、結局失敗することになる。

 こうした筆者の考え方からいえば、産業育成をするために株式投資を行う産業革新投資機構は、もっとも官でやってはいけないものである。

 もともとは、2009年に産業革新投資機構の前進である産業革新機構が誕生している。リーマンショック後の企業救済としては受け入れられた。15年の設置期間で2025年までだった、昨年それが9年延長され、2034年までになった。そして、今の産業革新投資機構が9月から発足した。本来であれば、この延長はすべきでなかった。そうすれば、産業革新投資機構もなく、こうした醜態をさらすことはなかった。この際、経産省は、産業革新投資機構の後任役員人事をせずに、このまま産業革新投資機構を閉鎖すれば、今回の事件も結果オーライである。

 今回のドタバタ劇は、筆者の従来の考え方が間違っていなかったことを示しているように見える。産業革新投資機構の田中社長の記者会見(https://www.j-ic.co.jp/jp/news/pdf/JIC_CEO_20181210.pdf ;
https://www.sankei.com/politics/news/181210/plt1812100008-n1.html)と、その後の世耕経産大臣の記者会見(https://www.sankei.com/economy/news/181210/ecn1812100024-n1.html)から、官民ファンド自体が成り立ちにくいことを見てみよう。

 これを見ると、官と民の間で、まったくコミュニケーションが成立していないことがわかる。これは、技術的な話法というレベルではなく、官と民でよって立つべきルールが違うことからくる、埋めがたく本質的な違いである。

日産取締役会、ゴーン会長の解任を決定 全会一致で
仏パリでフランスのブリュノ・ルメール経済・財務相(右)と会談した世耕弘成経済産業相(左。2018年11月22日撮影)。(c)ERIC PIERMONT / AFP 〔AFPBB News〕

 問題となっている役員報酬について、田中社長は、経産省官房長から文書で示されたものを取締役会で決議したと記者会見で述べた。しかし、その後、文書で示されたものが白紙撤回されたので、政府と間の信頼関係がなくなったという。このプロセスについて、「日本は法治国家なのか」と疑問視している。

 一方、世耕経産大臣は、経産省官房長の出した文書で混乱させたことは謝罪したが、産業革新投資機構は商法に基づく株式会社であると同時に、産業競争力強化法の規制下にあるので、同機構の取締役会で決議したものを経産大臣が認可しないことはありえる、とした。

 これは、世耕大臣の説明のほうがより正確だ。田中社長の説明はあくまで商法の範囲内としては正しいが、産業競争力強化法を見落としている。もっとも、民間でこれまで生きてきた田中社長にとって、産業競争力強化法は別世界の話だろう。形式的には産業競争力強化法の下で産業革新投資機構があるのは知っていただろうが、肌感覚としては頭に考えていなかっただろう。

報酬「約束」の文書は官僚の「私的メモ」
 しかも、経産省官房長が田中社長に提示した文書について、田中社長に誤解があった。田中社長は、経産省官房長という幹部が提示した文書なので、政府内で調整済みの公文書であると勘違いしたようだ。その文書は、経産省のホームページにある(http://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181203003/20181203003-4.pdf)。

 田中社長の記者会見で、この文書について記者からの質問があった。いきなり文書に番号があるのかと聞き、それを公表できないかという質問だ。田中社長は、経産省のホームページにあると答え、記者は公表されていることを知らずに恥をかいただけだった。その記者は、「ブツ」確認という基本動作を怠ったわけで、これではマスコミが信頼されなくなるのもよくわかる光景だった。

 筆者であれば、ブツを示し、日付が9月とあるが何日か(21日)、差し出し人の名前がないこと(経産省官房長)、文書番号がないこと(公文書ではなく、官僚の私的メモ)を指摘し、田中社長は、その文書を返して政府としての公文書で再要求すべきではなかったかと追及するだろう。

 こうした発想は、おそらく民間出身の田中氏にはなかっただろう。それを民間人に求めるのは酷かもしれないが、産業革新投資機構という、国が出資した「官」の組織の社長である以上、必要だ。逆にいえば、これが無理なところが官民ファンドの限界になるのだ。

 田中社長は、民間では優秀なビジネスマンだったのだろう。ただし、官の組織の人としては疑問符がある。

 その一例は、田中社長が、昨年10月に経産省に設けられた「リスクマネー研究会」の「報告書」をバイブルと呼んでいたことだ。

 経産省のサイトをみると、「第四次産業革命に向けたリスクマネー供給に関する研究会」(http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/20180629001.html)がある。田中社長は委員である(http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/daiyoji_sangyo_risk/pdf/001_03_00.pdf)。今回辞任した取締の人も委員に入っている。

 ただし、この研究会に「報告書」はなく、「取りまとめ」しかない。他の研究会を見ると、「報告書」があるのに不思議である。役人の感覚からいえば、「報告書」にできないものが「取りまとめ」である。いずれにしても、「報告書」でも「取りまとめ」でも、その内容に役所が責任を持つ文書でない。国会答弁のために、第三者が言っているという程度のものだ。実際に執筆しているのは、担当課の課長補佐レベルだ。その文書を「バイブル」と呼び、絶対視するのはあまりに危険である。

 民間の人から見れば、役所が出した文書はどれも同じレベルに見えるかもしれないが、格の違いは形式的に明確であるので、それを見分ける能力も「官」の組織で働く上では必要だ。ここにも、官民ファンドの本質的な矛盾がでている。

 おそらく、田中社長は、民間での能力があったので、そのまま、「官」の組織の中で、生かそうとしたのだろう。記者会見でも、志を持ってやったといっており、その言葉に偽りはないだろう。

 しかし、「官」の組織の中で、民間人がまともなことをしようとすると、「官」の縛りに必ず引っかかる。民間の場合には、形式的な手続きよりもスピードと結果である。しかし、「官」の世界では、民主主義プロセスのために、形式的な手続きがより優先されるのだ。となると、民間人のよさを生かしにくいのだ。特に、株式投資では、もろに、官と民の違いがぶつかってしまう。

産業革新投資機構は政府の手下となる運命
 まともな民間人が複数の民間人を引き連れて「官」の組織にきて、まともな仕事をしようとすると問題が起きることを筆者は何度も経験している。だから、民間人が「官」の組織にくるときには「官」の組織に懐柔されるように1人で来て、まともな仕事はしなくなる。これが現実である。

 官民ファンドには、官と民の本質的な矛盾が満ちあふれている。今回の9人の民間出身者の取締役辞任は、その顛末をよくあわらしている。ちなみに、取締役のうち、今回辞任したのは民間出身者である(https://www.j-ic.co.jp/jp/about/leadership/)。役所からの派遣(天下り)は辞めない、というか、天下りなので、自分の意思で辞められないのだ。

 本来であれば、彼ら2人が政府と産業革新投資機構を調整すべきだった。経産省官房長の提示した文書が公文書でないことは彼らには明らかだ。もっとも、いくら調整しても、官と民の本質的な違いは克服できないだろう。実際、報酬では調整できても、産業革新投資機構は政府方針から自由にならず、政策目的は変更されるので、所詮政府の手下として活動せざるをえないのだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54925


JIC大混乱、取締役たちは何に失望したのか
坂根正弘氏と冨山和彦氏の辞任コメントを全文紹介
2018.12.11(火) 三田 宏

 すでに広く報じられているとおり、2018年12月10日、産業革新投資機構(JIC)の社外取締役を含む9名の取締役が同社の取締役を辞任することを表明した。

 同日、5人の取締役が辞任理由に関するコメントを発表した。コメントからはJICへの出資者である経済産業省に対する失望と怒りがにじむ。以下では、その中から坂根正弘氏(小松製作所相談役特別顧問)と、冨山和彦氏(経営共創基盤代表取締役CEO)が発表したコメント全文を紹介しよう。

「私が失望したのは、この点にあります」 坂根正弘氏のコメント
取締役辞任コメント

株式会社 産業革新投資機構
取締役会議長・社外取締役
坂根正弘

 私は下記事由により残務の整理がつき次第、辞任することと致しました。

 今回の混乱(出資者である官側とJICの経営陣との間)の経緯はともかく、官側の提案に基づいて取締役会で正式決議したことを根底から覆されたことと、両者間の信頼関係が修復困難な状況の中で、今後取締役議長としてガバナンスを遂行することに確信がもてなくなったことによります。

【補足】

 今回の任務の打診を受けた時、私としては日本における民間のリスクマネーの供給が非常に少ない中で、なんとか国の資金でこの動きを誘発することができないかと思っておりました。特に私自身、この2年間、「全国レベルでの産官学金の連携による大学振興」の政府の仕事に携わる中で大学発のベンチャーの活性化に関心が強くなっておりました。

 しかし、この国では、特に地方の金融機関がこういったリスクマネーの供給者になりえず、当面は官の資金でリードするしかない。しかし、資金以前の問題として、この国がグローバル規模の最先端の成長産業に対する知見、目利き能力、投資ノウハウに劣っていることへの取組みが第一歩と思っておりました。そこで私自身にはこういった能力がないので、JICの社外取締役としてなら何とか貢献できるのではと思い引き受けた次第です。

 JICの第一歩として前述の日本のベンチャー投資に対する能力アップのためにも、米国のベンチャー投資から始めることに私自身も関心を持ち、JIC-USの立ち上げを最優先で取り上げ、短期間で有能な人材を確保し、ベンチャーのスキームの政府認可を得ることができ、いいスタートができたことに喜んでいたところです。

 しかし、今回の混乱の根本原因が日本型の最終決定権者が不明確なボトムアップ意思決定プロセスにあったとすれば、人材確保と意思決定スピードが勝負を決める米国社会で成功を期待することは難しく、私が失望したのは、この点にあります。

 今後、JICが新たな体制でスタートする場合、私の考える上記の課題を何とか解決できる方向に強化して頂くことを切に願うものです。

以上

日産取締役会、ゴーン会長の解任を決定 全会一致で
仏パリでフランスのブリュノ・ルメール経済・財務相(右)と会談した世耕弘成経済産業相(左。2018年11月22日撮影)。(c)ERIC PIERMONT / AFP 〔AFPBB News〕

「かえすがえす残念です」 冨山和彦氏のコメント
辞意表明について

株式会社 産業革新投資機構
報酬委員会委員長・社外取締役
冨山和彦

 本日、私は以下の理由で(株)産業革新投資機構(以下JIC)の社外取締役の職責について辞意を表明いたします。

 JICは、我が国のリスクキャピタルの機能、取り分け大きなイノベーションを促し経済成長をドライブするための様々な長期的リスク投資機能が、質・量ともに世界に比べて圧倒的な差をつけられている状況を挽回すべく、海外の巨大ファンドに対抗しうるグローバルトップレベルの政府系長期リスクキャピタル投資機関を目指すという政策趣旨に賛同して、社外取締役を引き受けました。

 しかし、この数か月の経緯をみるに、官の側との丁寧な調整を積み重ね、会社法上も産業競争力強化法上も適法かつ適正な手順によって合理的に取締役会で決定した事項について、当初、論点になっていた報酬の問題だけでなく、広範な事項について後から覆されるリスクが高いガバナンス実態、意思決定メカニズムになっていることが露呈しました。世界的なリスクキャピタルの競争の舞台は、法的な適正手続きや約束事への信頼、そしてその前提で自らの能力と裁量でスピーディかつ果敢に職務遂行し、その結果に対する厳しい成果評価に規律され処遇されるプロフェッショナリズムへの信頼で成り立っています。しかし、今回の騒動の経緯、それが公知となっている状況に鑑みるに、JICと言う投資機関はそうした法的安定性や信頼度が低い、あるいはプロフェッショナルな投資スタイル、処遇スタイルの実現が難しい組織であると言う見方が、日々、世界的に強まっていく事態となっています。

 まことに残念なことですが、これでは内外のトッププロフェッショナルを集め、また世界トップレベルのエリート・リミテッドパートナー(主にリミテッドパートナー(LP)と言う立場で資金運用を行う機関の中でも長期的な実績と規模において世界的に尊敬されている機関投資家)やエリート・ジェネラルパートナー(LP投資家から資金を預かり直接の投資や運用を担うプロフェッショナルまたはプロフェッショナル組織のグローバルな一流どころ)と組んで仕事をすることは今後、極めて難しいとみるべきでしょう。すなわち当初の理念であるグローバルトップレベルの政府系長期リスクキャピタル投資機関の実現は非常に難しくなったということです。私自身も、かかる意思決定メカニズムの中でこの状況を挽回し、世界のトッププロフェッショナルコミュニティにおいてJICの信用を取り戻すことに貢献できる力を持ち合わせているとは思えません。

 まさにJICがやろうとしていることの先行ロールモデルファンドづくりについては、バイオインダストリーの世界的なレジェンドであり、現役のトップキャピタリストでもある金子恭規さんが、田中社長の尽力もあってJICの副社長に就任してくださる僥倖があり、「日本国の未来のためなら」という心意気で、その圧倒的な実績と信用、ネットワークをフルに活用した獅子奮迅の活躍のおかげで、普通ならあり得ないような豪華かつ若手で働き盛りのGPメンバーのリクルーティングに成功し、米国、西海岸にバイオベンチャーファンドが認可・設立されたところでした。この進展に社外取締役一同も、本当に大きな希望と期待を抱いていました。しかしこれとて、一連の騒動を経て、また、JIC側の執行部体制も大きく変わる可能性が高いなか、現在の様なグローバルスケールの超一級GPメンバーを維持することは極めて難しくなるのではないか、と思うと、かえすがえす残念です。千載一遇、いや一期一会とも言うべき、世界のベンチャー投資の頂上領域へ一流プレーヤーとして日本ベースの組織がアクセスするチャンス、そこで学び成長した多くの人材が将来、世界的なプレーヤーへと飛び立っていく可能性、そうした人材が日本全国のベンチャーを世界的レベルで活性化してくれる可能性を私たちは失おうとしているのかもしれないのですから。

 以上、当初、賛同した理念、組織目的の成就が極めて困難になってしまった今、私がこの職にとどまる意味はなく、また自らの能力で貢献できる役割もなくなります。本日、辞意を表明したうえで、辞任時期については、残務処理の完了後、特に米国西海岸のファンドを含め、従来の方針で進めてきたものの、この状況を受けて継続が困難になるかもしれない事項の収拾を、執行部が速やかかつ円滑に行い、訴訟などのトラブルを回避または最小限化して、この騒動による、国際的なリスクキャピタルコミュニティーにおけるJICに対する信頼棄損の拡大を可能な限り回避することを見届け次第、本職を辞任致します。今、何よりも優先すべきは、本日を境に状況を正常化させ、これ以上の信頼棄損を回避することです。

 最後に、願わくは、関係当局におかれては、この困難な状況を何とか大挽回し、本来の理念を目指せるような新体制を構築されること、そしてこの騒動を通じて、

@世界クラスの政府系リスクキャピタル投資機関を作るという高い理想を掲げた試みがなぜこうした展開になってしまったのか(同じく「国民感情」にさらされる民主主義国家であるノルウェーやカナダなどでは、なぜそれが可能なのか)

A政策的にリスクキャピタル供給を目的とした官民ファンド一般について、なぜ必ずしもうまく機能しない状況が続いているのか

Bさらには民間にも通底する問題として、リスクキャピタル投資機能について、世界有数の資本蓄積国である我が国から、なぜグローバルに一流なプレーヤーが現れず、むしろ世界との差がどんどん広がる一方なのかについて、本質的な問題点に関する真摯なレビューが行われ、後世への教訓とされることを祈るばかりであります。また、私自身も、今回の経験に加え、言わば官民ファンドの原型となっている(株)産業再生機構の中核的な創業かつ執行責任者であった立場からも、そのレビューへの協力を惜しまないつもりです。

以上

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54927
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/880.html

[経世済民129] 対立は貿易のみにあらず−超党派で結束の米国、中国の軍事的台頭警戒 華為の孟CFO保釈 中国、米国製自動車の関税引き下げへ

対立は貿易のみにあらず−超党派で結束の米国、中国の軍事的台頭警戒
David Tweed、Enda Curran
2018年12月12日 11:41 JST
中国は戦略的リスクというのがワシントンのコンセンサス
システミックシフトの始まりかもしれない−ヨーク大のチン准教授

Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg
米国のトランプ政権は中国との通商協議と華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)逮捕は何ら関係はないと主張している。だがカナダでの逮捕劇について、中国政府はグローバルパワーとしての中国の台頭を封じ込めようとする米国の新たな動きとしかみていない。

  トランプ米大統領と中国の習近平国家主席がたとえ通商面で広範な合意に至ったとしても、対イラン制裁に違反したとする米国の要請に基づく中国通信機器メーカーの幹部逮捕は、米中対立が貿易問題をはるかに超えるものであることを示している。世界の2大経済大国が今競い合っているのはグローバルな影響力だ。米国が卓越した世界の超大国にとどまるのか、それとも中国が発展し得る対抗勢力として躍進し続けるかどうかを最終的に決める戦いになる。


華為技術の孟晩舟CFO写真家:Dennis Zhe / Huawei Technologies Co.
  ラトローブ大学(オーストラリア・メルボルン)のニック・ビスレー教授(国際問題)は「ワシントンの雰囲気は今、ウィスコンシン州などどこであれ米国内に製造業を戻したいというトランプ大統領式重商主義のような単純なものではない」と指摘。「中国が戦略的なリスクを呈しているというより大きな認識があり、中国との関係を大幅に減らしそうとする試みだ」と述べる。

  党派を問わずワシントンに広がるのは、中国の世界貿易機関(WTO)加盟が米国の製造業を空洞化させ、中国を豊かにしたというコンセンサスだ。そして中国経済の台頭が今や、世界中で米国が保持している軍事的優位性を損なうリスクをはらむ地点まで達したとみている。

  ルールに従った行動をしており、米国の支配に挑んではいないと中国が言う中で、米国の戦略プラン立案当局が特に懸念しているのはテクノロジーとドル、軍事力という3つの分野だ。航空宇宙からロボットに至る最先端テクノロジーで世界のリーダーになろうとする習政権の戦略「中国製造2025」をトランプ大統領のチームは制裁関税発動の理由として挙げている。

埋め込み動画

TicToc by Bloomberg

@tictoc
Here are 5 things to know about #Huawei, the China tech giant whose CFO has been arrested

28
19:25 - 2018年12月11日
29人がこの話題について話しています
Twitter広告の情報とプライバシー
  米国による事実上のグローバル金融システム統治を可能にしているのは、基軸通貨としてのドルの地位だ。ロシアのメドベージェフ首相は先月の訪中時、両国のクレジットカードに触れ、中国の「銀聯(ユニオンペイ)」をロシアで、ロシアの「ミール」を中国でそれぞれ使えるようにし、人民元とルーブルの利用を増やす方法を検討していると明らかにし、「どんな通貨であれ市場を支配すべきではない」と述べた。

  ヨーク大学(カナダ・トロント)のグレゴリー・チン准教授は「われわれが直面しているのは、決着までに一定の時間を要するだろうシステミックシフトの始まりかもしれない」と話している。

原題:Huawei Clash Shows Deeper U.S.-China Battle for Global Influence(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-12/PJKV4X6S972801?srnd=cojp-v2


 


華為技術の孟CFOの保釈認める、8.5億円で−カナダ裁判所判事
Natalie Obiko Pearson
2018年12月12日 8:54 JST 更新日時 2018年12月12日 10:36 JST
保釈の条件が満たされれば孟容疑者は勾留を解かれる
孟容疑者にバンクーバーの一定地域内にとどまるなどの条件課す

Meng Wanzhou Photographer: MAXIM SHIPENKOV/EPA
米国の対イラン制裁に違反した容疑で華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)がカナダで逮捕された事件で、ブリティッシュコロンビア州最高裁は11日、孟容疑者の保釈を認めた。孟容疑者は今後米国に引き渡される可能性があるが、当面、バンクーバーの自宅にとどまることになる。

  同裁判所のウィリアム・エルケ判事は、1000万カナダ・ドル(約8億5000万円)の保釈金を現金と住宅資産で納付すると孟容疑者の夫、劉暁棕氏と孟容疑者の元同僚らが保証したことを受け、判断を下した。夫ら5人は引受人として、逃亡禁止など他の保釈条件の順守にも同意した。孟容疑者(46)は保釈条件に基づき、自宅にいる時は監視下に置かれるほか、中国旅券と香港旅券の押収にも応じる。

  エルケ判事は孟容疑者に対し、バンクーバーの一定地域内にとどまることに加え、衛星利用測位システム(GPS)追跡装置を身に付け、警護費用を支払い、予告なしでの警察の自宅訪問に同意するよう命じた。保釈条件が満たされた後に孟容疑者は保釈される。

  孟容疑者は今月1日、米当局の要請によりバンクーバーで逮捕された。米国は逮捕日から60日以内に、証拠をそろえて引き渡しを請求しなければならない。

  孟容疑者の逮捕後、中国政府は同容疑者は罪を犯していないと主張し、米国とカナダに抗議した。孟容疑者の父は、スマートフォンとネットワーク機器のトップ企業の1つ、華為技術の創業者、任正非氏。創業者の娘の逮捕は世界の金融市場を揺るがしたほか、米中関係を一段と緊張させた。

  米国は孟容疑者について、イランでビジネスを行ったスカイコムと華為との関係を隠ぺいし、国際的なイラン制裁に違反したと主張している。

原題:Huawei CFO Gains Bail in Canada as U.S. Seeks Extradition (1)(抜粋)

(保釈条件や背景などを追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-11/PJLIZT6KLVR401


 


中国、米国製自動車の関税引き下げへ動きー40%から15%に
Bloomberg News
2018年12月11日 22:14 JST 更新日時 2018年12月12日 7:23 JST
米自動車の税率を15%に引き下げる案、国務院が検討へ−関係者
ダイムラーやGM、テスラなど自動車株が買われる

Photographer: Qilai Shen/Bloomberg
中国が米国からの輸入自動車に課している高率関税の引き下げに動くと伝えられたことを受け、世界の株式市場で自動車株が軒並み上昇した。世界最大である中国の自動車市場に悪影響を及ぼしている緊張の緩和につながるとの期待が高まった。

  中国は今年、米国製自動車に対する税率を25%の報復関税を上乗せして40%としたが、ブルームバーグ・ニュースは事情に詳しい複数の関係者からの情報を引用し、この報復分を撤廃する案が国務院に提出されたと伝えた。同提案は数日以内に検討されるという。これを受け、11日の株式市場ではダイムラーやゼネラル・モーターズ(GM)、テスラなどの自動車メーカー株が値上がりした。

  同関係者によれば、中国が米国製自動車への報復関税を撤廃すれば、税率は40%から15%に低下し、他国の輸入自動車と同率となる。最終決定には至っておらず、変更される可能性もある。

  中国側にとって報復関税の撤廃は大きな譲歩となるが、今月初めの米中首脳会談で合意した貿易戦争「休戦」の実施に両国が照準を定めることにつながるかもしれない。

  米中は北京時間11日午前、通商問題を巡りトップレベルの電話協議を行った。中国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)逮捕に伴う外交上の対立にもかかわらず、貿易についての両国間の対話が続いていることを示唆した。

  中国財政省に業務時間外にファクスでコメントを要請したが、現時点で返答はない。

Reversing Fortunes
Car sales in China are falling on economic slowdown, trade tensions


Source: China Passenger Car Association

原題:China Move Toward Lower Duties on U.S. Imports Lifts Auto Stocks(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-11/PJKOZH6JTSEE01
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/881.html

[経世済民129] FAANG銘柄の絶頂期は終焉か−来年も逆風続く恐れ 銀行株に「冬来たる」、モルガン・スタンレーが警告−気楽な日々終了

FAANG銘柄の絶頂期は終焉か−来年も逆風続く恐れ
Ryan Vlastelica
2018年12月12日 11:18 JST
1−6月は大幅値上がりも7−12月は一転して大きく下落
先行き不透明感や金融引き締めなど、この数年で最もリスク高い環境
米フェイスブックとアップル、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、グーグル親会社アルファベットを表すいわゆる「FAANG」銘柄は、増収や他社をしのぐ成長を実現する環境、時価総額が極めて大きいテクノロジー・インターネット企業では悪いことは何も起きないとの投資家心理をてこに米株式相場を押し上げてきた。だが、今年はそうしたシナリオに狂いが生じる兆しが見え、来年にはこれが崩れる恐れもある。

  FAANG銘柄にとって今年は値動きが大きい1年だった。上期(1−6月)は大幅に値上がりしたが、下期(7−12月)は一転して大きく下落した。ネットフリックスとアマゾンの年初来上昇率はそれでも約40%に達しているが、全5銘柄は記録的水準から大きく下げており、アルファベットの17%安からネットフリックスの37%安まで幅がある。

  フェイスブックは5銘柄の中で最も下げがきつかった。年初来で19%下落し、今年7月の上場来高値からは3分の1余り値下がりした。アップル株は時価総額が1兆ドル(約113兆5000億円)を超えた歴史的水準から30%近く下げ、時価総額世界一の座を譲ることになった。


  FAANG銘柄は成長減速や貿易政策を中心としたマクロ経済の先行き不透明感の広がり、金融引き締めなどこの数年で最もリスクの高い環境に直面しており、5銘柄を取り巻く厳しい状況は恐らく終わらないと投資家らは話す。

  ナティクシス・アドバイザーズのチーフマーケットストラテジストとして資産約1兆ドルの運用に携わるデービッド・ラファティー氏は、「こうした高成長株のアウトパフォーマンスを可能としてきた状況が反転したとはいかないまでも変わってきた」と話す。

  「米金融当局による引き締めは打撃となり始める水準に達しつつある。国内総生産(GDP)は2019年に減速するとみられ、自然と利益の伸びも下がるだろう。バリュエーションや投資家心理にとってこれがどのような意味を持つかははっきりしないが、アップサイド余地はあまり大きくないと私はみている」とラファティー氏は語った。

原題:FAANG Glory Days May Be Over as Headwinds Persist Into Next Year(抜粋)

 


 

 

銀行株に「冬来たる」、モルガン・スタンレーが警告−気楽な日々終了
Felice Maranz
2018年12月12日 3:12 JST
来年は融資拡大ペースの減速や利上げ回数の減少が、中堅銀行のファンダメンタルズを損ねる見通しだと、モルガン・スタンレーが指摘した。経済情勢が改善しなければ、こうした銀行では悪いセンチメントが続く可能性があると警告している。

  同社アナリストのケン・ゼルベ氏は11日付のリポートで、「金利上昇と優れた信用の質に恵まれた不安のない日々は、終わりを迎える可能性がある」と指摘。来年、リセッション(景気後退)に先行して信用市場が弱気相場に陥るリスクや、経済成長の鈍化が信用の質を損ね、融資の伸び鈍化も招くリスクが増大していることは無視できないとした。


  市場は経済がリセッションに向かっているかのように銀行株を評価していると、ゼルベ氏は指摘。「経済成長加速のより明確な兆候がない状況で」エクスポージャーを増やしたいという投資家はほとんどいないと述べ、そうした兆候は近い将来には見込んでいないと付け加えた。KBW地方銀行株指数は年初来で12%余り下げており、S&P500種株価指数(ほぼ変わらず)と比べかなり見劣りしている。

  ゼルベ氏は「銀行株は安い。しかし市場は最悪の場合に備えており、景気減速の確率が低いとの確信を得るまで、バリュエーションの議論は意味を持たない」と指摘した。

原題:Morgan Stanley Warns ‘Winter Is Coming’ for Bank Stocks (1)(抜粋)


株「大虐殺」の割に米国債値上がり大したことない−ガンドラック氏
Katherine Greifeld、John Gittelsohn
2018年12月12日 12:24 JST
新興国市場株は長期的には米国株のパフォーマンスを上回る
米当局は19、20両年に1回も利上げをしないと債券市場が示唆
株式相場の「大虐殺」は通常、債券価格を押し上げるが、発行増が米国債の値上がりを限定的なものにしているとダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック最高投資責任者(CIO)は言う。

  世界的な株売りの中で米国株は2018年の上げを失い、10年物米国債の利回りは2.88%と8月以来の低水準に近い。

  11日のウェブキャストでガンドラックCIOは米国債について、「世界の株式市場での大虐殺を考えると、大した値上がりではない」とし、「その理由の一つは供給だ。これが引き続き影響してくるだろう」とコメント。

  また、「債券市場は米金融当局が19、20両年に1回も利上げをしないと考えている」と述べた上で、「当局は株式相場に回復が見られた場合に備え、利上げできるような柔軟性を残す表現を維持しようとするだろう」と予想した。

  新興国市場株は長期的には米国株のパフォーマンスを上回り、ドルは下落する公算が大きいなどとも発言した。


ジェフリー・ガンドラック氏写真家:Andrew Harrer / Bloomberg
原題:Gundlach Is Unimpressed by Treasury Rally Given Stock ‘Carnage’(抜粋)

ノムラが挙げる2019年の「グレースワン」リスク9項目
Samuel Potter
2018年12月12日 10:22 JST
HSBCに続いてノムラも来年の潜在的サプライズを公表
両行ともポジティブとネガティブの両方のシナリオ含める
HSBCが2019年のリスク上位10項目を公表したのに続き、ノムラも毎年恒例の「グレースワン」リストを発表した。混乱の1年の後だけに、市場に衝撃をもたらし得る事象を深く掘り下げて考えざるを得なかったようだ。ノムラが挙げたリスク9項目は以下の通り。

1:ポピュリズムの終息
2:原油価格が1バレル=20ドルに下落
3:市場の激震
4:イタリア・ルネサンス
5:新興国のデフレ
6:人民元の回復
7:世界経済成長の浮揚
8:縮小するユーロ圏
9:インフレのソニックブーム

  ビラル・ハフィーズ氏らノムラのストラテジストらはリポートで、「株安や欧州での伝染しやすいソブリン危機、中国でのデフォルト(債務不履行)は、市場激震の明白な兆候だろう」と記した。

  HSBCとノムラはいずれも、ポジティブなリスクとネガティブなリスクの両方を選んだ。これは恐らく、厳しい1年の終わりに楽観論を付け足す試みだろう。ただ、欧州についてはネガティブなシナリオが多い。フランスが「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)」運動に見舞われ、英国の欧州連合(EU)離脱がドラマから危機に向かう中、デフレのわなやユーロ圏の本格的な危機などの懸念の方が説得力があるように聞こえるかもしれない。

原題:Here Are Nomura’s 9 ‘Gray Swans’ That Could Hit Markets in 2019(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-12/PJLJFD6JTSE801?srnd=cojp-v2



日本株は大幅反発、米中交渉を楽観視−輸出中心に全業種高い
長谷川敏郎
2018年12月12日 7:50 JST 更新日時 2018年12月12日 11:29 JST
中国は米国製自動車への関税下げる方針、華為技術CFOは保釈へ
TOPIXは3日ぶりに1600ポイント回復
12日の東京株式相場は3日ぶりに反発し、TOPIXは1600ポイントを回復した。中国が米国製自動車の関税を引き下げる方針や中国・華為技術の最高財務責任者(CFO)保釈などが伝わり、米中交渉に対して楽観的な見方が広がった。電機など輸出関連、非鉄金属など素材中心に全業種が上昇。

TOPIXは前日比32.02ポイント(2%)高の1607.33−午前11時18分時点
日経平均株価は同419円99銭(2%)高の2万1568円01銭
  事情に詳しい関係者によると、中国では米国製自動車の関税率を現行の40%から15%に引き下げる案が国務院に提出されており、数日以内に検討される。カナダの裁判所は11日、中国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟CFOの保釈を認めた。トランプ米大統領は中国の米国産大豆の輸入再開を評価するとともに、貿易を巡り中国の習近平国家主席と再会談する用意があるとロイター通信とのインタビューで発言した。中国上海総合指数は一時0.6%高。

  楽天証券経済研究所の土信田雅之シニアマーケットアナリストは「米中交渉の進展が期待される良い材料がそろってきている」とし、「為替水準を考慮すれば今期の企業収益は減益にはならないだろう。前日にTOPIXが年初来安値を付けるなど、企業業績面から下げ過ぎ感が強かった」と述べた。需給面では株価指数先物・オプション12月限の特別清算値(SQ)算出が14日に接近して「買い戻しが入り、上げ幅が大きくなった」と言う。


東証33業種では精密機器、電機、機械、証券・商品先物取引、非鉄金属、電気・ガスが上昇率上位
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-11/PJKOZH6JTSEE01
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/882.html

[国際24] FRB、来週利上げするならばかげている=トランプ米大統領 FRBが今月利上げすれば「愚かなことだ」−ロイター
ワールド2018年12月12日 / 10:02 / 1時間前更新 インタビュー:

FRB、来週利上げするならばかげている=トランプ米大統領

1 分で読む

[ワシントン 11日 ロイター] - トランプ米大統領は11日、米連邦準備理事会(FRB)が来週の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げをするとしたら、ばかげていると指摘した。

ロイターとのインタビューでトランプ氏は「ばかげていると思うが、私に何が言えるだろう」と述べた。

中国などとの通商摩擦に直面する中、米経済を全般的に下支えするために金利を引き下げる柔軟性が必要だと指摘。「われわれは貿易戦争を戦っており、それに勝利しているということを理解する必要がある」と述べつつも、緩和の必要性も示唆した。

トランプ大統領は、自らが2月に指名したパウエルFRB議長を繰り返し批判している。8月にはロイターとのインタビューで、同議長が利上げを継続する方針について「気に入らない」と述べていた。

パウエル氏に対する同大統領の11日の発言は、この際より比較的融和的な内容となったが、同氏の方針については引き続き批判。「彼は良い人間だと思う。彼は、自分が最善だと考えることをやろうとしているとは思う。私とは意見が違う」と述べた上で「彼は強引過ぎ、あまりにも強引過ぎ、実際にあまりにも強引過ぎると思う」と話した。

同大統領は、2020年の大統領選時にリセッションに陥る懸念はあるかとの質問に対し、海外における他の要因が国内経済に影響を与える可能性があると指摘。英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)や、フランスの情勢不安を挙げ、「世界にはブレグジットやフランスなどの問題がある。フランスでは大きな問題が発生している。パリの状況はショッキングだ」と述べた。

その上で「われわれがリセッションに向かっているかどうか。私の意見では、わが国は非常に上手くいっている。国内企業は非常に好調だ。FRBが合理的かつ理性的に施策を行うなら、わが国は前進するだろう。われわれは、飛翔する宇宙船だと思う」と話した。

*内容を追加しました。
https://jp.reuters.com/article/trump-frb-idJPKBN1OB04E

トランプ大統領、FRBが今月利上げすれば「愚かなことだ」−ロイター
Toluse Olorunnipa、Justin Sink
2018年12月12日 10:32 JST
18−19日FOMCでの利上げの可能性は70%と投資家は予想
貿易戦争を戦う中で低金利の柔軟性が必要−トランプ氏

トランプ大統領 Photographer: Yuri Gripas/Bloomberg
トランプ米大統領は11日、米連邦準備制度は来週の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げすべきではないと述べ、政策金利のさらなる引き上げに反対する姿勢をあらためて示した。

  トランプ氏はホワイトハウスでのロイター通信とのインタビューで、金融当局が利上げすれば「それは愚かなことだと思うが、私に何が言えよう」と語った。

  大統領は、金融当局が利上げによって経済成長を損ねていると主張し、この数カ月間、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長をツイートやその他の公のコメントで批判してきた。投資家は18−19両日に開催されるFOMCで利上げが決まる可能性を約70%と見ている。

  トランプ氏はロイターに対し、中国などと貿易戦争を戦う中で、米経済を支えるため低金利による柔軟性が必要だと論じた。

原題:Trump Says Fed ‘Would Be Foolish’ to Raise Rates This Month(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-12/PJLNX06TTDS601


http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/746.html

[国際24] 米大統領、対中協議に資するなら華為幹部逮捕に介入 米、中国渡航巡る勧告を検討 ファーウェイ幹部拘束の報復警戒 CFO保釈
ワールド2018年12月12日 / 09:33 / 2時間前更新 

米大統領、対中協議に資するなら華為幹部逮捕に介入
2 分で読む

[ワシントン 11日 ロイター] - トランプ米大統領は11日、ロイターとのインタビューで、中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL] の孟晩舟(メン・ワンツォウ)最高財務責任者(CFO)がカナダで逮捕されたことについて、米国の安全保障と対中貿易協議の進展に資するなら、この問題に介入するとの考えを示した。

ホワイトハウスで行われたインタビューでトランプ大統領は、「必要と判断すれば、間違いなく介入するだろう」と語った。

孟CFOは今月1日、対イラン制裁回避に関連する不正行為に関わった疑いで、米捜査当局の要請によりバンクーバーで逮捕された。トランプ氏と中国の習近平国家主席が貿易戦争を休止して90日間協議を継続することで合意したのと同じ日だった。

トランプ大統領は、孟容疑者の逮捕に関して習主席とまだ話していないと語った。孟容疑者が釈放されるかとの質問には「交渉に含まれる可能性がある。米司法省と協議する」と述べた。

孟容疑者の引き渡しを望むかどうかについては、まず中国側の要望を確認したいと述べた。その上で、華為技術が行ったとされる慣行を問題視した。

トランプ氏はまた、今月初めの習氏との会談を受け、中国との交渉はすでに電話会談で行われているとし、米中高官による協議がさらに行われる見通しだと語った。

カナダのバンクーバーの裁判所は11日、同容疑者の保釈を認める決定を下している。

<中国は大量の米国産大豆を購入開始>

また、トランプ大統領は、中国が大量の大豆を米国から購入し始めたことを明らかにした。12月1日の米中貿易戦争休止後に中国政府は大豆を購入するため「市場に復帰」したと述べた。

「中国が膨大な量の大豆を購入していると今日聞いた。購入し始めたばかりだ」とロイターに語った。

ただシカゴのトレーダーによると、中国が7月に米国産大豆に25%の関税を課して以降、同国が購入を再開した形跡はないという。

一方、トランプ大統領は、米連邦準備理事会(FRB)が来週の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げをするとしたら、ばかげていると指摘。

トランプ氏は「ばかげていると思うが、私に何が言えるだろう」とロイターに語った。

<弾劾懸念していない>

一方、自身が弾劾される可能性について、トランプ大統領は「懸念していない」と一蹴。自身の個人弁護士だったマイケル・コーエン被告が2016年の大統領選前に元ポルノ女優らに対して行った支払いは選挙資金法違反には当たらないとの認識を示した。

トランプ大統領は「何も悪いことをしておらず、米国史上最高の経済を実現した人物を弾劾することは困難だ」と述べた。

Slideshow (9 Images)
その上で「(弾劾は)懸念していない。そのようなことになれば反発が出るだろう」と語った。

<サウジ皇太子の支持表明>

サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子について、トランプ大統領は、ジャーナリストのカショギ氏殺害を巡り批判はあるものの、依然支持していると述べた。

米中央情報局(CIA)は、皇太子がカショギ氏殺害を命じたと結論付け、米上院も大統領に皇太子批判を求めている。

大統領は皇太子が殺害に関与したかどうかについてコメントを拒否。その一方で、殺害事件以降でおそらく最も明確な支持を表明した。

「彼はサウジのリーダーであり、サウジは素晴らしい同盟国だ」と語った。サウジ支持は皇太子支持ということかとの質問には「現時点では確かにそうだ」と述べた。

サウジの王族の一部には、皇太子の王位継承を妨げようとする動きがある。状況に詳しい関係者の中には、米国とトランプ大統領が決定的な役割を果たす可能性を指摘する声がある。

これについて大統領は「聞いたことがない。全く耳にしていないのでコメントできない。彼が非常に大きな力を持っているということしか聞いていない」と語った。
https://jp.reuters.com/article/huawei-trump-idJPKBN1OB01G


 

ワールド2018年12月12日 / 05:51 / 6時間前更新
米、中国渡航巡る勧告を検討 ファーウェイ幹部拘束の報復警戒=関係筋
1 分で読む

[ワシントン 11日 ロイター] - 中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]の副会長兼最高財務責任者(CFO)が米政府の要請でカナダで拘束されたことを受け、米政府は中国への渡航を巡る新たな勧告の発令を検討している。2人の関係筋が11日、明らかにした。

関係筋の1人によると、国務省が発令する勧告は、米国民に対しファーウェイ幹部の拘束に中国が報復するリスクについて警告するものになるという。

ファーウェイの孟晩舟副会長兼CFO(46)はカナダ西部バンクーバーで1日に逮捕された。カナダの裁判所では11日も孟容疑者の保釈の可否を巡る審問が開かれており、米国への引き渡しに関する審理も今後行われる見通し。中国は米国とカナダに抗議している。

カナダ政府は11日、中国でカナダ人が拘束された事実を確認したが、ファーウェイ幹部逮捕との関連については明確なものはないと説明している。

米国務省が最後に中国への渡航について勧告を出したのは1月22日で、中国による「国内法の恣意(しい)的運用と米中との二重国籍保有者への特例的制限」を理由に米国民に対し、「一段と警戒するよう」勧告していた。

この時の勧告によると、中国当局は外国人に対して「出国禁止措置」を発動することが可能で、企業間の紛争の解決や裁判所の命令に関する和解を強要したり、政府の調査を容易にすることがその目的とされている。

国務省のパラディーノ報道官はこの日のブリーフィングで、中国によるカナダ人拘束の報道について懸念していると表明。中国には「あらゆる形態の恣意的な拘束を停止」するよう求めた。

*内容とカテゴリーを追加します。
https://jp.reuters.com/article/us-china-travel-advisory-idJPKBN1OA2E8


 

ワールド2018年12月12日 / 08:26 / 18分前更新
カナダ裁判所、ファーウェイCFOの保釈を許可
1 分で読む

[バンクーバー/北京 11日 ロイター] - カナダのバンクーバーの裁判所は11日、同国で逮捕された中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]の孟晩舟・最高財務責任者(CFO)の保釈を認める決定を下した。

孟容疑者は今月1日、対イラン制裁回避に関連する不正行為に関わった疑いで、米捜査当局の要請によりバンクーバーで逮捕された。

保釈金は1000万カナダドル(750万米ドル)。カナダ国内にとどまり、外出時には電子監視の対象となることも条件とされた。

午後11時から午前6時までの外出も禁止される。

米国への身柄引き渡しについては、カナダの裁判所が妥当と判断した場合、カナダの法相が身柄引き渡しの是非を決定する。

身柄引き渡しが決まった場合、同CFOは複数の金融機関に対する詐欺行為の共謀罪で裁かれることになる。有罪となれば、1つの罪につき最長30年の禁錮刑が言い渡される可能性がある。

トランプ米大統領は11日、同CFOがカナダで逮捕された件に関して、安全保障と米中通商協議進展に資するなら介入するとの考えを示した。

関係筋によると、米政府は、同CFOの逮捕を受け、中国への渡航を巡る新たな勧告の発令を検討している。

カナダのCTVによると、カナダ政府も同様の勧告の発令を検討している。ロイターはこの報道の内容を確認できていない。

同CFOは、今後の出廷予定を決めるため、来年2月6日の出廷を命じられた。

ファーウェイは「時宜にかなった解決」を期待していると表明。「カナダと米国の司法制度が公正な結論を出すと確信していた」とし、あらゆる法と規制に従う意向を示した。

中国政府は、カナダが孟容疑者の保釈を認めなければ厳しい結果を招くと警告していた。

11日にはカナダの元外交官であるマイケル・コブリグ氏が中国で拘束されたことを明らかになり、カナダ政府がファーウェイ問題との明確な関連性はないとの見解を示していた。

 12月11日、カナダのバンクーバーの裁判所は、同国で逮捕された中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・最高財務責任者(写真)の保釈を認める決定を下した。華為提供(2018年 ロイター)
元駐中国カナダ大使のギー・サンジャック氏は元外交官の拘束についてカナダ放送協会の取材に応じ「中国では偶然はない。何らかのメッセージを送りたければそうするだろう」と述べた。

*内容を追加しました。

https://jp.reuters.com/article/huawei-canada-court-idJPKBN1OA2OH
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/747.html

[国際24] 米大統領首席補佐官の後任人事、10─12人の候補検討=トランプ氏

ワールド2018年12月12日 / 13:27 / 1時間前更新

米大統領首席補佐官の後任人事、10─12人の候補検討=トランプ氏

1 分で読む

[ワシントン 11日 ロイター] - トランプ米大統領は11日、近く退任するジョン・ケリー大統領首席補佐官の後任について、10─12人の候補を検討していると述べた。

後任を早急に決める可能性もあるが、特に人選を急いではいないという。

ロイターとのインタビューで明らかにした。

ムニューシン財務長官など一部の候補は、首席補佐官のポストに関心を示していないが、トランプ氏は後任選びに問題はないと発言。

「少なくとも10人から12人が就任を強く望んでいる。今後、決断を下す。素晴らしい人々だ」とし、「すぐに決める可能性もあるが、急いではいない。多くの人が就任を望んでいる」と述べた。

候補の1人に挙がっているマーク・メドーズ下院議員(共和、ノースカロライナ)については「素晴らしい人物だ」と発言。先の大統領選でトランプ陣営の顧問を務めたデビッド・ボッシー氏についても「私の友人だ」と述べたが、どの候補に傾いているかは明らかにしなかった。

トランプ氏は「誰もがこのポストを望んでいる。ワシントンDCのトップ数人の1人になることを望まない人がいるだろうか」とし、「あまりにたくさんの人がいるため、全員と面談できない」述べた。

トランプ氏は「自分と非常にうまくやっていける人」を探しているとも発言。「考え方が私と似ている人。私の考えを受け入れて取り組んでくれる人だ」と述べた。

後任候補には他に、ニュージャージー州元知事のクリス・クリスティー氏やライトハイザー通商代表部(USTR)代表の名前も挙がっている。

関係筋は、ムニューシン財務長官とマルバニー行政管理予算局長が、首席補佐官のポストに関心を示していないことを明らかにしている。
https://jp.reuters.com/article/usa-trump-staff-kelly-idJPKBN1OB0CX


http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/748.html

[国際24] 英離脱合意の採決延期、今後のメインシナリオ 英保守党、メイ首相の不信任投票を12日夜にも EU首脳:離脱案の再交渉は不可
外為フォーラムコラム2018年12月11日 / 17:35 / 2時間前更新

英離脱合意の採決延期、今後のメインシナリオ

田中理 第一生命経済研究所 主席エコノミスト
4 分で読む

[東京 11日] - 英国の欧州連合(EU)からの離脱協議が混迷の様相を深めている。メイ英首相は11日予定していた離脱協定と将来関係の政治宣言合意受け入れの是非を問う下院採決の延期を決定した。11月25日の臨時首脳会議でEUと交わした合意案は、野党勢はもとより、保守党内のEU懐疑派や親EU派の双方、そして閣外協力する北アイルランドの地域政党、民主統一党(DUP)から、厳しい批判にさらされている。

このまま投票に臨むと大差で否決される可能性が高く、合意案が葬り去られ、メイ首相の進退問題に発展する恐れがあった。EU側は再協議に応じない構えを堅持しており、英国としては北アイルランド国境管理のバックストップ(安全策)が恒久的なものではないとの確約を取り付け、改めて議会の理解を求める意向とみられる。

新たな採決日程は決まっていないが、EU側との折衝とクリスマス休暇が近いことから、年明け以降にずれ込む可能性が高い。今回同様に5日の集中審議と修正動議の採決が予定され、採決は最短でも1月中旬となりそうだ。下院採決を何とか乗り切ったとしても、上下両院での離脱協定の法制化作業が待ち構えている。これには1─2カ月程度を要するとみられ、3月29日の協議期限まで残された時間は少ない。

<メイ首相の続投確率>

今後の展開をどのように考えたらよいか。バックストップの恒久化を恐れる保守党議員がEU側の形ばかりの口約束に納得し、合意受け入れに傾く可能性は低い。延期後の採決も否決されることが予想され、その際には、野党勢が内閣不信任を提出したり、政府方針に反対する保守党議員がメイ首相の党首不信任を求めたりするなど、政治リスクが一気に噴出する公算が大きい。離脱合意の受け入れを拒否するDUPも、労働党政権の誕生を望んでいるわけではなく、内閣不信任案が議会を通過し、総選挙が行われる可能性は低い。

他方、メイ首相の党首不信任を求める署名が48以上集まり、党首不信任の投票が行われる可能性は高い。メイ首相が党首(首相)を続投する確率は50%と読む。党首選出には一般に2カ月程度の時間を要する。1月中旬に議会採決が否決され、そこからメイ降ろしが始まれば、後継党首の選出だけで時間切れとなってしまう。合意なき離脱を回避するため、穏健派議員がメイ首相の続投を選択する可能性もそれなりにある。後継党首(首相)の選出に時間がかかる場合、3月末の協議期限を数カ月程度延長することが予想される。

メイ首相が続投しようと、後継党首(首相)が選出されようと、議会でいったん否決された合意案がそのまま受け入れられる可能性は低い。英国政府は改めて再協議を求めようと持ちかけるが、EU側がこれに応じることはなさそうだ。協議は再び行き詰まり、より差し迫った協議期限が近づくなか、親EU派議員を中心に、国民投票の再実施や離脱の撤回など、合意なき離脱の回避に向けた動きが高まることが予想される。

これに危機感を覚えたEU懐疑派議員の間で、まずは離脱を確定したいとの引力が働き、形ばかりの譲歩を勝ち取った上で、議会がいったん拒否した合意案とほぼ変わらぬ形の案を受け入れる展開を予想する。首相交代の有無でその時期が多少後ずれすることはあったとしても、英EU間の合意に基づき秩序立った形で英国がEUを離脱する展開をメインシナリオと考える。

<真の合意なき離脱リスク>

確かに目先の不透明感は高いが、金融市場が恐れる「真の合意なき離脱」が起きる可能性はそれほど高くない。合意なき離脱にも恐らく2つの形態があり、準備した上での合意なき離脱であれば、英EU間の貿易自由度は低下するものの、サプライチェーンの寸断やデリバティブ契約の失効といった大きな混乱は回避可能とみられる。協議期限が近づき、英国内の意見集約が難航していれば、同時に、合意なしを前提とした離脱の準備を進めると考えるのが自然だ。唯一、メイ首相が退陣し、かなり強硬な離脱派の後継首相が誕生した場合に、真の合意なき離脱のリスクが高まる。

最近、合意なき離脱の回避につながり得る2つの重要な動きがあった点にも注目したい。

1つは、協議期限が到達する以前であれば、英国がEU条約に基づく離脱通告を取り消すことができるとの欧州司法裁判所の法的見解が発表されたこと。もう1つは、議会が合意内容の受け入れを拒否する場合、その後の政府の行動について議会の関与を強める修正法案が可決されたことだ。分断が続く英議会は、どのような形の離脱を目指すかについてコンセンサスの形成は難しいが、合意なき離脱を回避したい点では多数派を形成することが可能だ。万が一の事態が近づけば、合意なき離脱の回避に向けて離脱撤回や協議期限の延長を求めることが予想される。

<国民投票の再実施はあるか>

協議が行き詰まるなか、国民投票の再実施を求める声も高まっている。投票実施となれば、関連法案の審議や投票準備で1年以上の時間を要する。その場合は、離脱撤回か協議期限延長とセットで行われることになろう。確かに最近の世論調査では、再投票の実施を求める意見が増え、残留支持者が離脱支持者を逆転している。

ただ、その差は今のところごくわずかで、投票実施により英国内の分断をさらに深める恐れがある。英国民の間では離脱協議にうんざりしているとの意見も聞かれ、さらに数年をかけて再投票を行うよりも、離脱を確定した上で将来に向けての議論を開始したいとの声も多い。国民投票を再実施するためには、与野党の親EU派議員の結束が必要となる。世論がより明確に再投票支持・残留支持に傾くか、合意なき離脱を回避するために土壇場で離脱を撤回し、国民に改めて信を問う必要が生じた場合に、2回目の国民投票というシナリオが現実化すると予想する。

田中理 第一生命経済研究所 主席エコノミスト(写真は筆者提供)
*田中理氏は第一生命経済研究所の主席エコノミスト。1997年慶應義塾大学卒。日本総合研究所、モルガン・スタンレー証券(現在はモルガン・スタンレーMUFG証券)などで日米欧のマクロ経済調査業務に従事。2009年11月より現職。欧米経済担当。

*本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。
https://jp.reuters.com/article/column-osamu-tanaka-20181211-idJPKBN1OA0NY


 


ワールド2018年12月12日 / 07:31 / 2時間前更新
英保守党、メイ首相の不信任投票を12日夜にも実施の可能性=議員
1 分で読む

[ロンドン 11日 ロイター] - 英与党保守党の議員らは、党首であるメイ首相の不信任投票を早ければ12日夜にも実施する可能性がある。首相に批判的な保守党のアンドリュー・ブリッジン議員が明らかにした。

ブリッジン議員はスカイニュースに対して「不信任決議案によって保守党議員らはできるだけ速やかに、もしかすると明日の夜にも、信任か不信任かについて無記名で投票することになる」と語った。

党首の不信任投票は、保守党議員48人が党の一般議員で構成する「1922委員会」のブレイディ委員長に書簡で要請すれば実施される。英BBCなどのメディアは関係筋の話として、不信任投票を実施するのに必要な数の書簡が集まったと報じた。

実際に提出された書簡の数を把握しているのはブレイディ委員長のみ。

BBCの政治エディター、ローラ・クエンスバーグ氏はツイッターで、ブレイディ委員長がメイ氏に12日の議会での質問時間後の面会を要請したと報じた。

投票で不信任となればメイ氏は党首を解任され、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を巡る不透明感がさらに増すことになる。

メイ氏は10日、11日に予定していたEU離脱案の議会採決を延期しており、離脱強硬派、親EU派双方から批判の声が上がっていた。

*内容を追加しました。
https://jp.reuters.com/article/may-conservatives-idJPKBN1OA2LQ


 


EU首脳:離脱案の再交渉は不可能−メイ英首相に同情示すも
Kitty Donaldson、Alex Morales、Robert Hutton
2018年12月12日 7:50 JST
EU大統領:メイ首相を助けたいと思っているが問題はその方法だ
メルケル独首相:離脱案を修正できる可能性はないと伝えた−当局者
メイ英首相は敵対的な英議会にアピールできる欧州連合(EU)離脱案の譲歩を引き出すため、欧州各国を行脚している。

  しかし、EU首脳らは離脱案の再交渉は不可能との立場を明確に示した。EUのトゥスク大統領(常任議長)は11日、メイ首相と「率直に長く」話し合ったとした上で、「EU加盟27カ国が助けたいと考えていることは明らかだ。問題はどのように助けるかだ」と述べた。同大統領は10日、「われわれは合意の再交渉は行わない」とツイートしていた。

  メイ首相はブリュッセルでスカイニューズのインタビューに応じ、自分は離脱後にアイルランドとの国境にハードボーダー(物理的壁)を設けないことを実質的に保証する「安全策」に関してEU首脳から保証を得ようとしていると発言。この問題に対処するという決意を首脳らと共有できたと語った。

  メイ首相は、英国としては「安全策」を時限的なものにする必要があると述べた。また、こうした取り決めを含まない離脱案はあり得ないとの見解をあらためて示した。


ベルリンでメルケル独首相と握手するメイ英首相(左)(11日)写真家:Krisztian Bocsi / Bloomberg
  英首相府のスラック報道官によると、メイ首相は11日、ドイツのメルケル首相との会談で、安全策は時限的でなければならないというのが英議会の総意であり、離脱案の承認のためにはEUが何かをする必要があると語った。両首脳はこの問題で連絡を密にすることで合意したという。

  ただ、独与党連合当局者によると、メルケル首相はメイ首相に対し、自分は離脱案を修正できる可能性はないと考えていると伝えたという。同当局者は、メルケル首相が独与党連合のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)議員らに非公開で説明した際の発言を匿名で記者団に明らかにした。

  スカイニューズは11日、保守党内の離脱強硬派「欧州調査グループ(ERG)」が首相不信任動議の採決に必要な数を確保したとみていると報じた。

  首相不信任動議の採決には議員48人の書簡が必要。書簡を提出した議員の数を把握しているのは保守党議員委員会(1922年委員会)のブレイディ委員長だけだが、同委員長は何も発言していない。

原題:EU Says It Wants to Help But Won’t Renegotiate: Brexit Update(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-11/PJLFHU6K50XT01

 

メイ英首相、EU離脱協定めぐる下院採決を先送り 再協議
2018年12月11日
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「本当にブレグジットを実施したいのか」 メイ英首相、議会に
テリーザ・メイ英首相は10日、11日に行われる予定だった欧州連合(EU)からの離脱協定をめぐる下院採決を先送りした。EUと内容の変更について再協議する意向を示している。

メイ首相は、ブレグジット(英国のEU離脱)協定を下院で採決しても「反対多数で承認されないだろう」と認めた。

一方で、英国・北アイルランドとアイルランドの国境をめぐる計画についてEUから「保証」はもらえるはずだと自信を示した。

11日にもオランダ・ハーグを訪れ、アンゲラ・メルケル独首相やオランダのマルク・ルッテ首相と、主にアイルランド国境の扱いについて協議する方針という。メイ首相はさらに、ブリュッセルで欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長(大統領に相当)やジャン=クロード・ユンケル欧州委員会委員長とも話し合う予定。

これに対してトゥスク議長は、EUの残り27加盟国は離脱協定を「再交渉」しないと言明している。

トゥスク氏は、EU各国首脳は13日にブリュッセルで行われる首脳会議で、「英国による離脱協定批准をどう促進するか」を喜んで協議すると述べる一方、北アイルランド国境をめぐるバックストップ(防御策)は協定に残すと示唆した。バックストップには多くの英保守党議員や、メイ首相と閣外協力している北アイルランドの民主統一党(DUP)が反対している。

ブリュッセルでは当初から13日にEU首脳会議が予定されていたが、トゥスク議長の報道官は、英国のこの状態を受けて「合意なしブレグジット」にどう備えるかを協議する会合を開くことになったと明らかにした。

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「英国はEUの合意なしでブレグジットを中止できる」 欧州司法裁
下院混乱
離脱協定に反対する議員が多いことは以前から明らかだったが、メイ政権はここ数日、11日の採決は実施すると強調していた。

採決先送りが発表されると、与野党双方から政府が議員に発言機会を与えないことへの批判があふれ、下院は怒りに包まれた。

最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、メイ首相が「状況を制御できておらず」、議員を「軽視」していると非難。11日の議会で緊急討論することになった。

ジョン・バーコウ下院議長は、政府の対応は「残念なもの」だと話した。

労働党のロイド・ラッセル=モイル議員は、女王の権威を示す職杖(メイス)を議会から持ち出そうとしたため、議長に退出を言い渡された。職杖はラッセル=モイル議員を止めた議会職員によって元の位置に戻された。

また投票先送りの一報を受け、ポンドの対ドル相場は過去18カ月で最低を記録した。


ブレグジット採決延期で揺れる英下院 野党議員が問題行動
反対派の不満は

野党の労働党、スコットランド国民党(SNP)、自由民主党、ウェールズのプライド・カムリ、DUPに加え、何十人もの保守党議員が、離脱協定を投票で却下しようと計画していた。

保守党の造反議員とDUPは、北アイルランドのバックストップを批判していた。

これは英国とEUが、アイルランドと英国・北アイルランドの国境に管理体制を敷かない将来の関係がまとまらなかった場合に発動する関税協定。バックストップが施行された場合、英国はEUの承認なしでは関税協定から離脱できないとされている。

保守党議員は、バックストップが発動すれば北アイルランドと残りの英国の間に永続的な新しい規制障壁が生まれてしまうため、受け入れられないとしている。

メイ首相の主張は
メイ首相はいずれ離脱協定を投票にかけると約束したものの、現段階では否決されてしまうため、投票にかける理由がないと話した。

首相は議員らに対し、13日のEU首脳会議の前に各国首脳と話し、バックストップに関する議員らの「明らかな懸念」について話し合うと述べた。

さらに、「バックストップの全条項が民主的に合法だと保証する権限を下院に与えるため、新しい手段を考えていく」と話した。

メイ首相は、「バックストップは恒久的に続かないと保証する」責務を、議会が政府に課せられるようにしたいと述べた。

一方で、2度目の国民投票や合意なしブレグジットとなどの対案については、全て拒否した。

メイ首相は、自分が提示した離脱協定が「国境や金銭、法の制御権を私たちに与え、雇用や安全保障、そして連合を守る」と強調した。

「これは英国にとって正しい協定だ。私はこの議会が求める保証を(EUから)確保し、この協定を成立させ、英国民のために実施する。そのために、できることはなんでもする覚悟だ」

自由民主党の党首、サー・ビンス・ケーブルは首相に、EU首脳がバックストップを破棄する用意があるかどうかと質問した。メイ首相は、バックストップはあくまで一時的なものでなくてはならないという英下院の懸念を、EU首脳は承知していると答えた。

「話し合った欧州首脳の中には、議員たちが安心できるよう協議する用意がある人たちもいる」

採決はいつ

メイ首相は新たな採決時期について、EUとの協議がどれくらいかかるかによるとして明確な時期を述べなかった。

議員からはクリスマス前に採決すべきだという意見もあったが、最終的な期限は2019年1月21日だと述べるにとどまった。

その上で、2019年3月29日の離脱日は法律で決められており、政府はこの日を順守するために「努力している」と話した。

不信任案は提出されるのか
コービン労働党党首はかねて、11月の投票でメイ首相が敗北した場合は不信任案を提出し、総選挙に持ち込みたい考えを示していた。

今回の採決中止を受けてコービン氏は、メイ政権は「混沌(こんとん)」状態にあるとして、メイ首相の辞任を求めた。

一方で労働党は、SNPや自由民主党、一部の労働党議員らが11日に提出しようとしている不信任案への参加は拒否した。

労働党報道官は、「最も成功する確率が高いと我々が判断した時に、不信任案を提出する」と話している。

また、保守党のEU離脱派ジェイコブ・リース=モグ議員は声明で、メイ首相は「実施できない」離脱協定を投票にかけるだけの「気骨」を欠いていると批判。

「これでは国を統治していることにならない。ブレグジットを達成できず、ジェレミー・コービンに政権を奪われる危険がある。このままでは駄目だ。首相はしっかり統治するか、辞任するかのどちらかを選ぶべきだ」

リース=モグ議員はメイ首相に対する不信任案を提出するため、保守党議員に不信任動議を求める書簡を提出するよう求めている。

書簡を受け取る保守党・1922年委員会(保守党党首の不信任動議を扱う委員会)のグレアム・ブレイディー委員長は、怒っている議員もいれば「そわそわしている」議員もいると述べた上で、大半の議員は「不要な敗北を避けられたこと」を喜んでいると話した。

DUPのナイジェル・ドッズ副党首は、状況は「正直に言えば混乱を極めている」と話し、首相は北アイルランドに対して「限界」を越えたことに対する代償を支払っていると述べた。

ドッズ氏はメイ首相に、「離脱協定を変更して帰ってこなければ、投票で却下される」と念を押している。

DUPのアーリーン・フォスター党首は首相に電話で「バックストップはなくさないとならない」と話したと述べた。

EUの反応は
メイ首相の離脱協定はEUでは合意に至っているが、法制化するにはブレグジット期日までに英議会の承認が必要とされている。

メイ首相はまた、すでにEU首脳と離脱協定の再協議についても話している。再協議は当初、英政府もEUも否定していた。

欧州委員会のミナ・アンドレーヴァ報道官は、EUは離脱協定の再協議はしないと協調した。

「ユンケル委員長が言ったように、これが最高で唯一可能な協定だ」


ユンケル欧州委員長、ブレグジット合意は再交渉の余地なし
(英語記事 May calls off MPs' vote on her Brexit deal)

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2018年06月21日
英EU離脱交渉、3月から「進展はわずか」 EU側のバルニエ氏
2018年05月15日
英・EU、ブレグジット後の移行期間について大筋合意
2018年03月20日
https://www.bbc.com/japanese/46516462
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/749.html

[戦争b22] INF条約破棄は米ロの思惑通り、日本は非核三原則に向き合う時 冷戦後の核秩序の再構築に乗り出した米ロ 首相「非核三原則を
INF条約破棄は米ロの思惑通り、日本は非核三原則に向き合う時

冷戦後の核秩序の再構築に乗り出した米ロ
2018/12/12

秋元千明 (英国王立防衛安全保障研究所アジア本部所長)

 米国のトランプ大統領が、冷戦時代に旧ソビエトと結んだ中距離核兵器(INF)全廃条約を破棄することを表明した。ロシアが条約を順守していないことを理由としているが、米国はかねてから地域型の核戦力の保有について関心を持っていた。一方、ロシアが新型のINFを開発しているのもほぼ間違いない。INFを再度保有したいという思惑は、実は米ロ双方にある。


プーチン大統領に米国のINF条約破棄の意思を伝えたボルトン大統領補佐官(右) (REUTERS/AFLO)
 1980年代、東側(旧ソビエト)が東欧に配備したINFに対抗するため、米国は急きょ、GLCM(地上発射巡航ミサイル)とパーシングU弾道ミサイルを開発、西欧に配備した。米国はそれまでINFを保有しておらず、もし、東側がINFを使用すれば米国本土の戦略核(大陸間弾道ミサイル)を使うことになり、地域での核攻撃がいきなり地球規模の全面核戦争に発展しかねなかった。INFの配備は、米国にとって全面核戦争を防ぐためのものだったのである。

 ところが、90年代、東西冷戦が終わると、旧ソビエトは予想しなかった問題に次々と直面した。まず、連邦の構成国だったバルト海や黒海の沿岸諸国、中央アジア諸国が独立し、国家体制が崩壊した。その機に乗じてNATOが東欧に拡大し、かつての衛星国家が次々とNATOに加盟した。また、欧州以外のユーラシア地域ではイラン、インド、パキスタン、中国、北朝鮮が核兵器の開発に取り組み、結果として、ロシアは冷戦後、核で武装した国家にぐるりと取り囲まれることになったのである。これに対抗する手段としてロシアが関心を持ったのが、ロシアの周辺部を効果的に狙うことのできる地域限定の核兵器、つまりINFであったと思われる。

 2007年10月、モスクワで開かれた米ロ会談の際、プーチン大統領はINF条約について、「米ロ以外の国々にまで拡げない限り、ロシアが条約にとどまるのは難しい」と述べ、脱退する可能性を表明した。

 そして、ロシアは14年7月、地上発射型の巡航ミサイル「SSC−8」の発射実験を行ったのである。「SSC−8」は、ロシア名で「9M729」と呼ばれる車両搭載型の移動式ミサイルだ。ロシア海軍が配備している海洋発射巡航ミサイル「カリブル」を改良して開発され、射程は2000キロ以上と推定された。ほかにロシアが保有している「イスカンデルM弾道ミサイル」や、開発中の「RS−26ルベーシュ弾道ミサイル」もINF条約に抵触する可能性があると米国などは見ている。

 西側諸国がハイテクによる通常戦力の充実とミサイル防衛の配備によって、冷戦後の不安定な地域情勢や核の拡散に対応しようとしているのに対して、ロシアは地域型の核戦力を強化してこれに対抗しようとしているのである。

高まる中国の脅威に
リバランスを図る米国
 一方、こうした冷戦後の戦略環境の激変は米国にも難問を突きつけた。米国の当面の脅威はもはやロシアではなく、中国や北朝鮮などアジアに配備された中距離核兵器であるのに、それらに対抗する手段は米国本土に配備してある戦略核兵器しかないという現実である。

 これについて、米国は今年2月、報告書「核態勢見直し」を発表し、核弾頭を装着した新型の海洋発射巡航ミサイル(SLCM)を開発して水上艦や潜水艦に配備することや、核爆発の威力を抑えた低出力の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を開発、配備する方針を初めて明らかにした。これらのミサイルは地上配備の兵器ではないためINF条約に抵触するものではないが、米国がINFの能力を代替する地域型の核兵器に関心を持っていることを報告書は示唆していた。この背景について、米国の専門家は、条約に拘束されない中国が大量のINFを配備していることを指摘している。

 また、今回のトランプ政権の決定について、ある高官は「中国が保有する2000基のミサイルのうち、95%にあたる1900基がINFであり、太平洋地域に展開する米軍部隊や同盟国にとって大きな脅威になっている」と説明した。

 また、今年3月、上院軍事委員会の公聴会で、ハリー・ハリス太平洋軍司令官(当時)は、「中国の準中距離弾道ミサイルは、中国軍のミサイルの90%以上を占めている。短距離ミサイルは台湾と米軍の空母部隊を標的とし、準中距離ミサイルは日本国内の米軍基地とグアムを標的としている。それなのに、米国はINF条約のためバランスを欠いた対応しかとれない」と述べた。

 さらに、ジョン・ボルトン大統領補佐官は11年、ウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿し、「INF条約への加盟国を増やすか、条約を破棄して米国が自前で抑止力を再構築するしかない」と述べたことがあった。

 このように、トランプ政権のINF条約破棄の決定は表面上、ロシアが条約を順守していないことを理由にしてはいるが、ロシアにとっての本当の理由は安全保障上、条約を守りにくい事態が周辺国で起きているからであり、米国にとってはこの条約のためにアジアに展開している米軍部隊や同盟国に十分な抑止力が提供できずにいるからである。冷戦時代に結ばれたINF条約は現代の戦略環境に適したものではなく、むしろ安全保障の足かせになっているというのが米ロ双方の一致した見解なのである。

 それではINF条約が破棄された場合、それは日本の安全保障にどう影響するのだろうか。冷戦時代の西欧で懸念されたのは米国本土の戦略核兵器がどれほど欧州の抑止力になるのかということであった。言い換えれば、米国はミュンヘンを守るためにシカゴを犠牲にするのかということであった。西欧諸国は安心の証しとして、中距離核の欧州配備を望んだのである。

 冷戦後の東アジアも今、似たような状況にある。北朝鮮は核とミサイルの開発を強行し、中国は日本を射程に収める核搭載可能な弾道ミサイルを多く配備している。しかし、これに対応する米国の地域配備の核戦力は陸上にも洋上の艦艇にも配備されていない。

 もし、将来、米国がINFを配備するとすれば、それは間違いなく太平洋西部を射程に収める中国のINFを意識したものになる。中国は15年、太平洋地域のほとんどの米軍基地を射程に収める射程3000〜4000キロの弾道ミサイル「東風26号」を配備した。

 しかし、米国がINFの配備で中国に対抗するのは難しいだろう。INFは地上に配備され、通常、移動式の発射台に搭載されて居場所をさとられないよう時折移動する必要がある。面積の広い欧州ではそれも可能だったが、東アジアではそうした空間を確保するのが難しい。

 例えば、グアムは狭く移動できる場所が限られるし、日本の国土に核兵器を配備するのは政治的に極めて困難だ。韓国は北朝鮮の核問題がある上に、あまりに中国に近い。また、フィリピンは現地の政治情勢から、安定した基地の運用が可能かどうか不透明だ。こうしたことから、米国が東アジアに地域型の核戦力を配備するとすれば、米国の報告書が指摘したように、INFではなく、航空機や艦艇、潜水艦に搭載する核巡航ミサイルが最も現実的な選択肢のように思われる。

 しかし、それでも米国の東アジアへの核配備は日本の国内で大きな議論を巻き起こすだろう。もし、米国の第七艦隊が、核ミサイルを搭載した艦艇や潜水艦を運用するとすれば、事実上の母港であり、アジア最大の補給能力を持つ横須賀基地の支援なくして考えにくい。その場合、日本の「核兵器をもたず、つくらず、もちこませず」といういわゆる非核三原則をどうするのか。この議論は、米国が核兵器の海洋配備を中止した1990年代前半までしばしば行われた古い議論だが、日本政府はいつも「米国からの通報がないので、核を搭載していないと解釈する」という理屈で切り抜けていた。

 しかし、今、中国や北朝鮮の核ミサイルの直接の脅威にさらされているのは日本であり、その抑止力として活動する米海軍部隊についてそのような説明をすることは無責任である。米国の核の傘に依存しながら、一方で非核三原則を維持するのは明らかに矛盾しているからだ。非核三原則のうち、「もちこませず」という部分をどのように扱うのかという具体的な議論が必要になるのではないか。

 日本は今、冷戦下のドイツと似た環境にある。米国は東京を守るためにロサンゼルスを犠牲にする覚悟があるのか。この問いかけが、INF再配備の背景に横たわっているのである。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14624


 
首相「非核三原則を堅持」 平和記念式典
2018/8/6 8:34
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安倍晋三首相は6日、広島市で開いた平和記念式典で、非核三原則を堅持しつつ粘り強く核兵器国と非核兵器国双方の橋渡しに努めたとし、「国際社会の取り組みを主導していく決意だ」とあいさつした。2017年7月に採択され、日本が参加を見送っている核兵器禁止条約には昨年に続き触れなかった。「核拡散防止条約(NPT)の発効50周年となる20年のNPT運用検討会議が意義あるものになるよう積極的に貢献する」と語った。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33835760W8A800C1MM0000/

 
INF条約破棄が非核三原則見直しを日本に迫る?
冷戦期の最前線に置かれたドイツとの相似
森 永輔森 永輔

バックナンバー
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2018年10月26日(金) 

 
ドナルド・トランプ米大統領が10月20日、INF(中距離核戦力)廃棄条約を破棄する意向を明らかにした。米国と旧ソ連が1987年に調印した、初めての核軍縮条約だ。しかし、核戦略に詳しい川上高司・拓殖大学教授は「米国の真の狙いは中国への対抗にある」と見る。その先には、日本が、非核三原則の見直しを迫られる可能性が浮上する。

(聞き手 森 永輔)


トランプ大統領は、先人が築いた平和の礎を破棄する意向を表明した。写真左はソ連トップのゴルバチョフ氏、右は米大統領のレーガン氏(写真:AP/アフロ)
トランプ大統領が、米国がロシアと交わしているINF(中距離核戦力)廃棄条約を廃棄する意向を示しました。狙いはどこにあるのでしょうか。


川上 高司(かわかみ・たかし)氏
拓殖大学教授
1955年熊本県生まれ。大阪大学博士(国際公共政策)。フレッチャースクール外交政策研究所研究員、世界平和研究所研究員、防衛庁防衛研究所主任研究官、北陸大学法学部教授などを経て現職。この間、ジョージタウン大学大学院留学。(写真:大槻純一)
川上:この条約は、米国とロシアがともに、核弾頭の搭載が可能な射程500〜5500km(中距離)の陸上配備型弾道ミサイルおよび同巡航ミサイルを開発、発射実験、生産、保有しないと約束したものです。しかし、米国の真の狙いは中国との軍事バランスを米国優位で保つことにあるとみています。

 中国は、米軍が中国沿岸に近づくのを阻止すべくA2AD*と呼ぶ戦略を推進しています。これは1996年の台湾海峡危機で得た教訓から導かれた戦略。台湾総統選挙に中国がミサイル演習で介入した際、米国は空母2隻を派遣し、これを抑え込みました。

*:Anti-Access, Area Denial(接近阻止・領域拒否)の略。中国にとって「聖域」である第2列島線内の海域に空母を中心とする米軍をアクセスさせないようにする戦略。これを実現すべく、弾道ミサイルや巡航ミサイル、潜水艦、爆撃機の能力を向上させている。第1列島線は東シナ海から台湾を経て南シナ海にかかるライン。第2列島線は、伊豆諸島からグアムを経てパプアニューギニアに至るラインを指す。
 A2ADの一環として中国は、弾道ミサイルを東シナ海や南シナ海に向けて1400〜1800発配備しています。このため、米軍の空母が東シナ海で活動しづらくなる可能性が高まっているのです。

 米国は、中国が配備するこれらのミサイル群とのバランスを保つため、中距離の核戦力を東アジアに展開したい。しかしINF廃棄条約があるため、これがかないませんでした。

「ツキディデスの罠」が現実化
なぜこのタイミングなのでしょう。

川上:中国の経済成長は著しく、そのGDP(国内総生産)は遠からず米国を追い抜くと予想されています。それが軍事費にも反映される。今を逃したら、米国の軍事的優位性が維持できなくなると考えたのだと思います。

 トランプ政権においてこの2〜3カ月の間に対中強硬派が発言力を増しています。マイク・ペンス副大統領が10月8日に講演し、「中国が(世界中で)政治・経済・軍事的な手段を総動員して影響力を拡大しようとしている」と発言したのはその象徴です。軍事に関しては「(編集注:中国は)海洋や宇宙などで米軍の優位性を揺るがすための軍事力増強を最優先している」と主張しました。

 かつて中国の専門家が「ペンスが大統領になるよりトランプの方がまし」と語っていたのを思い出します。

 国家安全保障問題担当の大統領補佐官を務めるジョン・ボルトン氏も対中強硬派の一人です。今年3月、H.R.マクマスター氏に代わって就任しました。

 オバマ政権の末期に国防総省が応用科学研究所に委託して、金融市場を舞台にした“戦争”のシミュレーションを行いました。現在進行中の対中貿易戦争はこれを実行に移したものとみられます。米国は新たな覇権国を目指す中国を、経済・金融を総動員して抑え込む考え。そして、当然、軍事力でも抑え込む意向です。INF廃棄条約の破棄はその一環だと考えられます。“ハイブリッド型”の戦争が米中間で始まったと見るべきでしょう。

「ツキディデスの罠」がまさに進行しているのですね。古代ギリシャの歴史家ツキディデスがペロポネソス戦争を描く中で、新興国が台頭し強力になると、既存の覇権国の不安が増し、戦争が起こる、と記しました。

川上:おっしゃるとおりです。

 タイミングについては、中間選挙が近づき、トランプ大統領がロシアに対して強硬な姿勢を示したかったという事情もあるでしょう。ロシアゲート疑惑の捜査が依然として続いています。

次ページ「ロシアの方がINF廃棄条約の順守に消極的だった」

https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/230078/102500167/
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/457.html

[経世済民129] FRB資産に665億ドルの含み損、トランプ氏が攻撃材料にする恐れ 米コア消費者物価指数、前年比で加速12月米利上予想強め
FRB資産に665億ドルの含み損、トランプ氏が攻撃材料にする恐れ
Rich Miller
2018年12月13日 1:24 JST
未実現の損失、9月30日の時価基準で純資産を大きく上回る
信頼性というFRB最強の資産を脅かす−ウォーシュ元理事
米連邦準備制度理事会(FRB)が抱える4兆1000億ドル(約465兆円)規模の債券ポートフォリオで、未実現の損失が積み上がっている。独立した中央銀行にとって政治的に穏やかではない空気が漂う中、その財政の健全性が問われるリスクがある。

  最新の四半期報告によれば、FRB保有証券の含み損は9月30日の時価基準で665億ドルだった。純資産の391億ドルを大きく上回る事実上の債務超過であり、普通の企業であれば財務の脆弱(ぜいじゃく)性として受け止められるのは間違いない。

  当然ながら、FRBは普通の銀行とは異なり、保有資産を時価会計で処理しない。従って当局者らは理論上の損失が持つ意味を重視せず、「特異な非営利機関」として金融政策を運営、もしくは財務省に利益を納付する能力に影響はないと主張する。実際にFRBは今年1−9月、516億ドル以上を財務省に納付した。

  それでもトランプ大統領が、中国という貿易戦争の敵よりFRBの方が大きな問題だと批判する現状において、FRBの財政悪化という認識が広がるのであれば、議会や国民に対する立場を悪くするリスクがある。

  ケビン・ウォーシュ元FRB理事は「中央銀行が債務超過になっても、理論上は問題にならない」と指摘する。「しかし実際には、信頼性というFRB最強の資産が目減りするリスクを冒す」と電子メールでコメントした。

  FRBはバランスシートの将来を議論し始めたばかりであり、含み損は量的緩和やそれを支える枠組みを批判する向きに、攻撃材料を与えることにもなり得る。表面上とは言っても赤字になっていることは、将来に景気が悪化した際に当局が量的緩和を再開するのを、政治的に一層困難にする恐れがある。


時価基準でみたFRBの保有債券出所:FRB
原題:Fed Piles Up $66 Billion in Paper Losses as It Faces Trump Wrath(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-12/PJMMBW6TTDS201?srnd=cojp-v2


 
米コア消費者物価指数、前年比で加速−12月の米利上げ予想強める
Shobhana Chandra
2018年12月12日 22:34 JST 更新日時 2018年12月13日 1:21 JST
11月の米消費者物価指数(CPI)は、変動の大きい食品・エネルギーを除くコア指数が前年同月比で加速した。住宅や医療、中古車のコストが前月比の伸びに寄与し、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ見通しが強まった。

  米労働省の12日発表によると、11月のコアCPIは前月比0.2%上昇、前年同月比2.2%上昇。いずれもブルームバーグがまとめたエコノミスト予想中央値と一致した。11月の総合CPIは前月比横ばいで、こちらも市場予想通りだった。エネルギー価格の下落が反映された。


米コアCPI、総合CPI米労働省
  今回の統計は、米国の基調的インフレが急激に上昇することなく、金融当局の目標である2%近辺で安定しつつあることを示した。中国との貿易摩擦で関税率が引き上げられている中で原材料コストが高くなっていることや、最近の賃金上昇が物価を下支えしている。18−19日のFOMCでは利上げが広く見込まれているが、その後の政策金利の経路について投資家やエコノミストの間で見解は分かれている。

  ムーディーズ・アナリティクスの金融政策調査責任者、ライアン・スイート氏は11月CPIについて、「来週の利上げを確実なものにした」とした上で、当局は2019年1−6月(上期)に利上げをいったん休止する余地を設けることになるとの見方を示した。

  11月のコアCPIの前年同月比の伸び(2.2%)は、10月の2.1%から加速した。中古車が前月比2.4%上昇と、前月に続く大幅な上昇率となった。データ算出方法の変更などで変動が大きくなっている。ただ、携帯電話サービスが2.2%低下と、17年3月以来の大幅低下となった。居住費は前月比0.3%、医療費は0.4%それぞれ上昇した。

  一方、総合CPIは前年同月比では2.2%上昇と、10月の2.5%上昇から鈍化。ガソリン価格が前月比4.2%低下するなど、エネルギー価格が同2.2%低下したことが響いた。

  労働省が同時に発表した11月のインフレ調整後の実質平均時給は前年同月比0.8%上昇と、この1年余りで最大の伸び。雇用市場の需給が逼迫(ひっぱく)する中、賃金の上昇ペースが徐々に高まっている。

  統計の詳細は表をご覧ください。

原題:Underlying U.S. Inflation Picks Up to Keep Fed Hike on Track (2)(抜粋)

(詳細や市場の見方を追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-12/PJMLNK6S972R01

http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/896.html

[経世済民129] 中国輸出の「ミステリー」、トランプ関税でも拡大継続 中国、米国産大豆50万トン購入 「中国製造2025」を政府修正、一部
コラム2018年12月12日 / 15:07 / 14時間前更新

中国輸出の「ミステリー」、トランプ関税でも拡大継続
Christopher Beddor
2 分で読む

[香港 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国輸出を巡る「ミステリー」が、経済の一時的な救済となるかもしれない。米国による関税措置にもかかわらず、輸出量は増加し続けている。

これは関税引き上げを控えた「駆け込み発注」だと考えている人が多いが、そうではないことを示す材料もある。本当に外需が輸出のこれまでのけん引役だったとすれば、来年予測される経済減速に対して、中国政府はずっと容易に対応できるだろう。

8日公表された統計によると、11月の中国輸出は前年比5.4%増加した。ロイターがまとめたエコノミスト予測は下回ったものの、成長が続いていること自体謎だ。トランプ米政権は、中国から輸入する製品の約半数に関税を課したが、米国企業はこれまで通り、中国からの調達を続けているようだ。対米輸出は先月10%近く増加した。

この傾向は、米国企業が関税実施前に在庫を積み増そうとしたことによるものではないかと、多くのエコノミストは指摘する。トランプ大統領は、2000億ドル(約22.7兆円)相当の中国製品に対する関税を10%から25%に引き上げる計画を延期した。だがそれでも脅威は残っており、輸入事業者が買い入れを加速させた可能性がある。貿易成長全体が先月減速したことで、駆け込み需要が一段落した、と分析する関係者も多かった。

だがクレディ・スイスのアナリストは、駆け込み発注の必要がない欧州輸入事業者からの発注と、米輸入業者のそれに大きな差はないと指摘する。米国では、関税影響を受ける製品と受けない製品の需要に大きな違いは見られない。

実際のところ、米国の好景気により、関税措置にもかかわらず消費者の中国製品に対する購買意欲が維持された可能性も十分にある。中国人民元がドルに対して過去6カ月で6%下落したことにより、米国における価格が抑えられたという事情もある。

もし「駆け込み需要説」が正しければ、中国輸出は今後急激に縮小して成長の重しとなり、経済が予想より急速に冷え込んでいるとの印象を与えるだろう。それは、金融政策や為替にマイナスの影響を与える。

だがもし外需が本物だとすれば、伸びは鈍化しつつも輸出は拡大を続け、急な崖から落ちる危険も低下するだろう。北京の政治家は、間違いなく後者であることを願っている。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/china-usa-breakingviews-idJPKBN1OB0FE


 
ワールド2018年12月13日 / 05:13 / 2時間前更新
中国、米国産大豆50万トン購入 首脳会談以降初の大量調達=業者
1 分で読む

[シカゴ 12日 ロイター] - 中国が12日に少なくとも50万トンの米国産大豆を購入したことが取引業者の話で明らかになった。米中首脳が今月1日に通商戦争の「休戦」で合意してから初めての大規模な購入となる。

トランプ米大統領は前日、中国は「膨大な量」の米国産大豆を購入していると述べていた。

米国の複数の取引業者によると、中国の国有企業は少なくとも1億8000万ドル相当の米国産大豆を購入。欧州の取引業者は、買い手は中国儲備糧管理集団有限公司(シノグレイン)などで、売り手には仏穀物メジャーのルイ・ドレフュス[AKIRAU.UL]やCHS(CHSCP.O)などが含またとしている。

中国は米関税措置に対する報復措置として7月6日に米国産大豆に対し25%の輸入関税を導入。同関税は現在も適用されている。

中国は米国産大豆の最大の輸入国で、昨年の輸入は米国の総輸出の約60%に相当し、金額ベースで120億ドルを超えた。ただ今年に入ってからはアルゼンチンとブラジルへの依存度を高めている。
https://jp.reuters.com/article/china-import-us-soybean-idJPKBN1OB2N2

 
「中国製造2025」を政府修正、一部の目標達成延期を検討
Andrew Mayeda
2018年12月13日 3:48 JST
10年先延ばしで2035年とする計画、代わって業界標準の形成に注力
中国がトランプ政権に変更を伝えていたかは不明

Workers assemble a vehicle at a prototype center in Guangzhou, China. Photographer: Giulia Marchi/Bloomberg
中国は最先端テクノロジーの分野で世界首位を目指す戦略「中国製造2025」について、一部の達成目標時期を先送りし、代わりに業界標準の形成に力を注ぐことを検討している。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。

  匿名を条件に語った関係者によると、この戦略の一部について達成を10年延期し、2035年をめどとする可能性がある。トランプ政権は「中国製造2025」を対中貿易戦争で主な標的の1つとしている。

  今回の戦略修正で中国と米国とで意思疎通があったのか、あったとすればどの程度の情報が共有されたのかは不明。中国政府は最終的な決定を下していないと、関係者は述べた。

  匿名で語ったホワイトハウス関係者によると、トランプ政権は中国との貿易交渉に関して新たな情報を得ていない。トランプ大統領は中国の習近平国家主席との会談で、中国市場へのアクセスを米企業に妨げている不公平な政策と慣行をやり玉に挙げ、自由な競争の実現に向け具体的な措置を取るよう求めた。

  ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は12日、中国の戦略修正を他社に先駆けて報じ、同国が外国企業への市場開放も計画していると伝えた。

原題:China Said to Weigh Delaying Tech-Titan Plans Amid Trade War (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-12/PJMVCP6JIJUQ01?srnd=cojp-v2


 


拘束のカナダ元外交官、安全保障損なう活動に関与した疑い=中国紙
1 分で読む

[12日 ロイター] - 中国で身柄を拘束されているカナダの元外交官マイケル・コブリグ氏について、国営紙の新京報(Beijing News)は12日、同氏が安全保障を損なう活動に関与した疑いで取り調べを受けていると報じた。

それによると「同氏は安全保障を損なう活動に関与した疑いで、北京市公安局により12月10日に取り調べを受けた」という。取り調べは現在も継続しているとしたが、詳細は明らかにしなかった。

中国外務省は12日、同氏が所属するシンクタンク「国際危機グループ(ICG)」が中国で登録を行わずに同氏が「関連活動」を行っていた場合、海外の非政府組織に関する中国の法律に違反した可能性があるとの見解を示した。[nL3N1YH2OW]

中国の外交筋らは、公安局が動いていることから同氏にスパイ容疑がかけられている可能性があると指摘。ただICGの代表は団体がスパイ活動に関与した事実はないとした上で「活動はすべて透明にしており、ウェブサイトに載せている」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/china-icg-canadian-idJPKBN1OB2CV
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/897.html

[経世済民129] イタリア、来年予算案の赤字目標引き下げGDP比約2% 欧州議会、日EU経済連携協定を承認 ゴーン被告の支援、仏政府動かず

#欧州も戻り


ビジネス2018年12月13日 / 04:08 / 2時間前更新

イタリア、来年予算案の赤字目標引き下げGDP比約2%
1 分で読む

[ブリュッセル/ローマ 12日 ロイター] - イタリアのコンテ首相は12日、2019年予算案を巡る財政赤字の対国内総生産(GDP)比率目標について、当初案の2.4%から2.04%に引き下げたと明らかにした。欧州連合(EU)の欧州委員会も評価する見解を示した。

コンテ首相はこの日、ブリュッセルを訪れ、修正予算案について欧州委のユンケル委員長と会談した。

首相は会談後、修正案について「欧州委側がまずは大きな意味があると判断した」とし、「前向きな」反応を期待していると述べた。

一方、欧州委の報道官は「良好な進展が図られた」と指摘。「欧州委は受け取った提案を審査する。作業は数日間続くだろう」と述べた。制裁手続きが回避できるかどうかについてはコメントを控えた。

また、トリア財務相が13日も欧州委との協議を続けるという。

コンテ首相は財政赤字の削減策について詳細を明らかにしなかったが、従来計画より国の資産売却を進めるとした。また、イタリア経済が予想を上回って成長すると自信を示した。一方、年金や社会保障給付金への支出拡大は変更しないと繰り返した。

*内容を追加しました。
https://jp.reuters.com/article/italy-budget-offer-idJPKBN1OB2KK


 

 
ワールド2018年12月13日 / 00:38 / 6時間前更新
欧州議会、日EU経済連携協定を承認 19年2月発効へ
1 分で読む

[ストラスブール 12日 ロイター] - 欧州議会は12日、欧州連合(EU)と日本の経済連携協定(EPA)を賛成474、反対156の賛成多数で承認した。日本は8日に国会で承認。世界の国内総生産(GDP)の約3割を占める日欧の巨大自由貿易圏構想は最後のハードルを超え、来年2月1日に発効する見通しとなった。

EPAによって、欧州は日本から輸入する自動車および自動車部品への関税を撤廃。日本は欧州産のワインやチーズの輸入関税を撤廃するほか、日本の公共事業入札に参加できるようにする。

また、金融サービス、通信、電子商取引、運輸などサービス分野も開放する。

日欧はともに貿易分野で米国との間で火種を抱える。

欧州委員会のマルムストローム委員(貿易担当)は声明で日EUのEPAについて「企業、農家、サービス業などに明確な恩恵をもたらす」とし「最大規模となる日本との経済パートナーシップは今、実現に非常に近づいている」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/eu-japan-trade-idJPKBN1OB20D


 

 


ゴーン被告の支援、仏政府動かず−エリート主義の印象払拭に躍起
Ania Nussbaum
2018年12月13日 3:59 JST
黄色いベスト運動盛り上がるフランス、ゴーン被告への同情見られず
フランス政府はルノー筆頭株主、実業界幹部や業界団体も口つぐむ
日産自動車に会長職を解任されたカルロス・ゴーン被告に対し、レバノンでは連帯を呼び掛ける街頭看板が並ぶ。同被告のもう1つの母国フランスでは、当初からわずかしかなかった支援の声が今や急速に消えつつある。

  「黄色いベスト運動」のデモが吹き荒れるフランスで、ゴーン被告の窮状という問題は脇へ追いやられている。デモ参加者が訴えているのは富の不平等に対する憤りであり、エリート主義に対する強烈な嫌悪だ。


「われわれはみなカルロス・ゴーン」と書かれた街頭広告(ベイルート、6日)Bloomberg
  ノッティンガム・トレント大学でフランス研究を専門とするクリス・レイノルズ教授は、「ある意味、カルロス・ゴーン氏は黄色いベストの参加者が嫌悪する全てを体現している」と指摘。「所得上位1%に入るゴーン氏は、経済改革に必要との名目で政府が強いるあらゆる犠牲から完全に保護されている」と述べた。

  ゴーン被告の支援に動かないのはフランスの政治家だけではなく、幅広い層からも同情が見られない。ハッシュタグ「#FreeCarlos(ゴーン氏を自由に)」のツイッターは全く広がらず、著名な実業界幹部や業界団体もほぼ口をつぐんだままだ。

  ルノーの筆頭株主として、ゴーン被告の苦境に最大の経済的利害を持つのはフランス政府だ。だがマクロン大統領は、同被告について直接コメントすることを控えている。ルメール財務相はゴーン被告が推定無罪であり不正の証拠を要求するなどと主張してはいるものの、言及は最小限にとどめている。

原題:France Gives Ghosn Short Shrift as Macron Battles Elitist Image(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-12/PJMXZR6JIJUS01?srnd=cojp-v2


 

ドイツ政府、ドイツ銀行再建を合併で後押しする具体策を検討−関係者
Eyk Henning、Birgit Jennen、Steven Arons、Dinesh Nair
2018年12月13日 0:42 JST
ショルツ財務相やゼービングCEO含む当事者が議論
合併費用を引き下げる法改正などが具体策に挙がる−関係者
ドイツ政府はドイツ銀行の再建を後押しする取り組みを強化し、コメルツ銀行との合併を容易にする方法を検討している。事情に詳しい関係者が明らかにした。

  複数の匿名関係者によると、ショルツ財務相やドイツ銀のクリスティアン・ゼービング最高経営責任者(CEO)など高いレベルの当事者間で、ドイツ2大銀行の合併を政府が支援する具体的な方法が検討されている。合併に必要な手続きにかかる費用を引き下げるための法改正などが、具体策として挙がっているという。

  関係者の1人は、それでも合併協議はまだ予備的な段階で、既存株主や新たな株主から投資を募るなど別の可能性も引き続き検討されていると述べた。ドイツ財務省とコメルツ銀はいずれもコメントを控えた。ドイツ銀は向こう1年半の間に大規模な戦略的動きを取ることはないとした、ゼービングCEOの過去の発言を指摘した。

原題:Germany Said to Intensify Plans to Fix Deutsche Bank With Merger(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-12/PJMQ8T6JIJUR01
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/898.html

[経世済民129] 英ポンド反発、メイ首相信任の見通しで ユーロも上昇=NY市場 英国8−10月賃金は約10年ぶり大幅上昇、労働市場がひっ迫
ビジネス2018年12月13日 / 06:28 / 28分前更新
英ポンド反発、メイ首相信任の見通しで ユーロも上昇=NY市場
2 分で読む

[ニューヨーク 12日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では英ポンドが反発した。ポンドは当初1年8カ月ぶりの安値を付けていたが、英国のメイ首相が自らが率いる保守党の党首信任投票で信任されるとの見通しから大きく上昇した。

メイ首相に対する信任投票は日本時間13日午前3時に開始した。

ロイターの調査によると、投票開始時点で約200人の党員が信任を表明。エバーコアISI(ニューヨーク)のストラテジスト、スタン・シップリー氏は「メイ氏は信任される見通しで、信任票が不信任票をどの程度上回るか注目している」と述べた。

ただメイ氏が党首として信任されても、欧州連合(EU)と合意した離脱案に対する十分な支持が得られるかは不明。シップリー氏は「信任後も、離脱合意を受け入れるか、合意なき離脱に進むか、難しい決断を迫られることになる」としている。

終盤の取引でポンドは対ドルGBP=D3で1.23%高の1.2638ドル。一時は1年8カ月ぶりの安値となる1.2477ドルを付けていた。ユーロ/ポンドEURGBP=D3で0.71%安の90ペンス。

この日はイタリアのコンテ首相が2019年予算案を巡る財政赤字の対国内総生産(GDP)比率目標について、当初案の2.4%から2.04%に引き下げたと表明。これを受けユーロは対ドルで上昇し、ユーロ/ドルEUR=EBSは0.42%高の1.1365ドルとなっている。

主要6通貨に対するドル指数.DXYは0.34%安の97.06。ただ、米国債利回り上昇のほか、11月の消費者物価統計で基調的な物価圧力の底堅さが示されたことなどで、ドルの下落は限定された。

労働省発表の11月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)統計では、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数の上昇率が前年比2.2%となり、10月の2.1%から加速。連邦準備理事会(FRB)が18─19日の連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を2.25─2.50%に25ベーシスポイント(bp)引き上げるとの見通しを裏付ける結果となった。

ドル/円 NY午後4時 113.17/113.20

始値 113.40

高値 113.44

安値 113.15

ユーロ/ドル NY午後4時 1.1369/1.1373

始値 1.1333

高値 1.1388

安値 1.1325
https://jp.reuters.com/article/ny-forex-us-idJPKBN1OB2RX


 

ワールド2018年12月13日 / 06:18 / 38分前更新
メイ英首相、与党保守党の信任獲得 議員過半数が支持
1 分で読む

[ロンドン 12日 ロイター] - 英国の与党・保守党は12日、メイ首相に対する党首信任投票を行い、信任200票、不信任117票の過半数でメイ氏が信任を得た。
https://jp.reuters.com/article/may-win-confident-vote-idJPKBN1OB2R3

 


英国:8−10月の賃金は約10年ぶり大幅上昇、労働市場がひっ迫
Brian Swint
2018年12月11日 19:02 JST
英国では雇用が記録的な高水準となる中で、経済がフル稼働かそれに近い水準となっていることが明らかになった。

  英政府統計局(ONS)が11日発表した8−10月の賞与を除く平均賃金は前年同期比で3.3%上昇し、2008年終盤以来の高い伸び。失業率は4.1%と、1975年以来の低水準に迫った。労働者不足を背景に雇用主が新規採用や離職回避のため賃金を引き上げざるを得ず、賃金上昇はいっそう加速するだろうとエコノミストらはみている。

  平時であれば、イングランド銀行(英中央銀行)はインフレの恐れに対して利上げで対応すると考えられる。だが、英国が合意なく欧州連合(EU)を離脱する不安が高まっていることもあり、市場は2019年末までに1回の利上げがある確率を60%弱しか織り込んでいない。

原題:U.K. Wages Rise at Fastest Pace Since 2008 in Tight Labor Market(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-11/PJKGMJ6JIJUV01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/899.html

[経世済民129] 景気回復「いざなぎ」超え、正式認定 戦後2番目の長さ 1月まで景気回復が続けば、戦後最長 実感ある?成長率1%台
景気回復「いざなぎ」超え、正式認定 戦後2番目の長さ
2018/12/13 11:38日本経済新聞 電子版
 内閣府は13日、2012年12月を起点とする景気回復の長さが17年9月時点で高度経済成長期の「いざなぎ景気」を超えたと正式に判定した。景気回復の長さは戦後2番目になる。今回の景気回復は現在も続いており、戦後最長をうかがっている。日銀を含めた世界的な金融緩和や米国を中心とした海外経済の好転が息の長い景気回復を支えている。

 内閣府は13日、景気の「山」や「谷」を検証する景気動向指数研究会(座長・吉川洋立正大教授)を開き、生産や消費などのデータを踏まえて判断した。これまでは茂木敏充経済財政・再生相が17年9月に「いざなぎ景気を超えた可能性が高い」との見解を示していたが、正式な認定は研究会による検証が必要だった。

 いざなぎ景気は57カ月間。これを超える58カ月の景気回復の起点は第2次安倍政権が発足し、日銀が異次元緩和を始めた頃と重なる。日銀は国債を大量に買い入れてマネーを供給し、マイナス金利を含めた超低金利政策を強力に推し進め、景気の浮揚を図った。

 マネーは金利の低い国から高い国に流れやすい面があり、13年はじめに1ドル=80円台だった円の対ドル相場は一時125円台まで円安・ドル高が進行。輸出企業の業績が大きく改善し、国内経済の回復につながった。

 同時に世界でも中央銀行による大量のマネー供給と低金利政策などを背景に景気が回復した。日本は輸出産業が潤い、景気回復をもたらした。

 この景気回復は現在も続いているとみられる。19年1月まで景気回復が続けば、戦後最長の74カ月となる。米中の貿易戦争やスマートフォン需要の一服など世界景気は先行きに不透明感が強まっているが、人手不足に伴う省力化投資などが景気の支えになっている。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38869150T11C18A2MM0000


 


景気「いざなぎ」超えと内閣府が正式認定 19年1月まで続けば戦後最長に
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2018年12月13日 14時25分
ざっくり言うと
内閣府は13日、2012年12月から始まる現在の景気回復について見解を示した
17年9月時点で「いざなぎ景気」を超え戦後2番目の長さになったと正式に判断
19年1月まで景気回復が続けば、戦後最長の「74カ月」を記録する
景気「いざなぎ」超えと内閣府正式認定、14年増税後も回復継続と判断
2018年12月13日 14時25分 ロイター
景気「いざなぎ」超えと内閣府正式認定、14年増税後も回復継続と判断
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[東京 13日 ロイター] - 内閣府は13日、景気動向指数のあり方を検証する景気動向指数研究会(座長:吉川洋立正大学教授)を開催し、2012年12月から始まる現在の景気回復が2017年9月時点で、高度成長期に57カ月続いた「いざなぎ景気」を超え戦後2番目の長さとなったと正式に判断した。来年1月まで景気回復が続けば、戦後最長の74カ月となる。

現在の景気回復は安倍晋三政権が始まる直前にスタートしたが、消費税率を引き上げた14年4月以降は景気動向指数が大幅に悪化、景気は悪化局面入りした可能性などが取り沙汰されていた。

今回は景気動向指数を構成する各種指数の動きなどを分析し、同時期に多くの指数が悪化したもののそれらの景気全体への影響が限定的であったことなどから、2012年11月を谷として、2017年8月以前に景気が悪化に転じることはなかったと判断した。

すでに2017年9月に茂木敏充経済再生相が「いざなぎ景気を超えた可能性が高い」との見解を示していたが、正式な認定には景気動向指数を構成する各種経済指標の年間平均などの様々な分析が必要なため、今回が初めての判断となる。

(竹本能文)
http://news.livedoor.com/article/detail/15734419/


 

景気拡大長さ「いざなぎ」超え 実感ある?成長率1%台
森田岳穂2018年12月13日11時49分
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いざなぎ景気の終盤に大阪万博が開かれた=1970年3月

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いざなぎ景気のころ、カラーテレビの普及が進んだ。クーラー、自家用車とともに「3C」と呼ばれた=1967年

写真・図版
バブル景気のころ、東証の売店でドリンク剤を飲み鋭気を養う証券マン=1988年10月

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 景気拡大の長さが、高度成長時代に4年9カ月続いた「いざなぎ景気」を上回り、戦後2番目になった。内閣府の景気動向指数研究会(座長=吉川洋・立正大教授)が13日に認定した。

 2012年12月に始まった景気の拡大は、足元も続いているとみられる。年明けの19年1月まで続けば、08年2月までの6年1カ月だった戦後最長景気(いざなみ景気)も超える。

 景気の山と谷は、生産や雇用など9指標をもとに研究会で有識者らが議論し、内閣府が判定する。月ごとに見るとぶれが大きいため1年ほど後まで含めて分析する。その結果、景気の拡大が、少なくとも昨年9月まで4年10カ月間続いたと今回認定した。

 ただ、戦後2番目になったのはあくまで景気拡大の長さで、成長の大きさではない。

 東京五輪の後の1965年に始まり、大阪万博があった70年まで続いた「いざなぎ景気」は、年間の成長率が平均10%を超えた。「3C」とも呼ばれるカラーテレビやクーラーといった品が急速に普及し、多くの人が豊かさを実感できた。対して、今の景気拡大の平均の成長率は1%台にとどまり、当時のような好景気は実感しにくい。14年の消費税率8%への増税後は消費が大きく落ち込み、「景気拡大はすでに途切れている」との指摘も出ていた。

 今も緩やかな景気の回復は持続しているとみられ、戦後最長を更新する可能性は高いとみられている。ただ。年明け以降も視野に入れると、景気の先行きは不透明だ。米中対立や英国の欧州連合(EU)離脱問題など、海外発の景気変調のリスクは増しており、国内への影響が心配されている。来年10月には10%への消費増税も控えており、日本経済は正念場を迎える。(森田岳穂)

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ライザップ赤字、AIは予言した 財務諸表のウソ発見器
https://www.asahi.com/articles/ASLDD63M2LDDULFA041.html
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/906.html

[経世済民129] 中国のカナダ人拘束、貿易戦争で不利に働く可能性 華為の設備投資「いったん凍結」安川電社長 日産、中国から1240億日本に

華為の設備投資、「いったん凍結」と安川電社長−CFO逮捕で
古川有希、Pavel Alpeyev
2018年12月13日 12:40 JST 更新日時 2018年12月13日 13:20 JST
設備案件をいったん全て止めて、中を整備している状態
長期的に見ると間違いなく中国が伸びる、5G導入に期待
華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)がカナダで逮捕された事件で、同社と取引がある安川電機は、ファーウェイ内の設備投資が一時的に凍結されているとみている。

  12日に取材に応じた安川電の小笠原浩社長が、同社の中国駐在担当からの情報として明らかにした。小笠原社長は「ファーウェイの設備投資がいったん凍結されている」とした上で、「中がひっくり返したようになっていて、いろいろな設備案件をいったん全て止めて、中を整備している状態」と聞いていると説明した。


安川電機のスマートファクトリーPhotographer: Shiho Fukada/Bloomberg
  ファーウェイの広報担当者は回答を控えるとしている。

  一方、中国が国家戦略として進める次世代通信規格の第5世代(5G)導入の方針は変わらず、内需も旺盛なことから、小笠原社長は「長期的に見ると間違いなく中国が伸びる」と強調。現状は中国のスマホ−メーカー各社が5Gの導入を見据えて設備投資を控えているが、整備が本格化すれば「各社は設備を一新してくると思う」と述べた。

  安川電は売上高の4分の1を占める中国での事業を強化するため、同国での工場を増設して生産増強に備える。今年半ばにスマホ関連需要に一服感が出たことや米中貿易摩擦の影響による設備投資マインドの低下が響き、10月には2019年2月期の営業利益予想を655億円から590億円に下方修正していた。

  安川電は産業用ロボットなどを生産しており、ファナックやスイスのABB、中国の美的集団傘下の独クーカを含む世界4大ロボットメーカーの一角。スマホ関連や半導体・電子部品向けの受注が急増し、今年1月には上場来高値の6120円を付けたが、今月に入ってからは3000円台で推移している。

  この報道を受け、前日比で上昇していた安川電の13日の株価は一時4%安の2995円まで下落したほか、中国と関連の深いFA関連銘柄のファナックやTHK、ナブテスコも急速に上げ幅を縮め、一時マイナス圏となった。

(最終段落に株価動向を追加しました.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-13/PJNLLT6JIJUP01


 
コラム2018年12月13日 / 16:55 / 1時間前更新

中国のカナダ人拘束、貿易戦争で不利に働く可能性
Christopher Beddor
2 分で読む

[香港 13日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 対米貿易戦争において中国が新たに下した決断は、トランプ米大統領にさらなる「実弾」を与えている可能性がある。

中国当局によるカナダ元外交官の拘束に続いて、カナダ当局は別の自国市民も消息不明となっていることを明らかにした。持続的な経済平和が復活する見通しは、これでまた遠のいてしまった。

カナダ元外交官で、現在はブリュッセルに拠点を置くシンクタンクに所属するマイケル・コブリグ氏が中国で拘束されていることをカナダ政府は確認。また、別のカナダ人も中国当局から尋問を受けたと自宅から知らせてきた後、行方不明になっているという。

詳細は不明だが、中国政府はコブリグ氏が海外の非営利団体を規制する同国の法律に違反した可能性があるとしている。また国営紙の新京報は12日、同氏が安全保障を損なう活動に関与した疑いで取り調べを受けていると報じた。

こうした問題は明らかに、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟(メン・ワンツォウ)最高財務責任者(CFO)がカナダで逮捕されたことと関連している、と有力な観測筋はみている。孟容疑者は米国の対イラン制裁違反の疑いで逮捕されたが、トランプ大統領はこの問題を通商協議と結び付けて、交渉に資するなら介入するとの考えを示した。

一方、中国はカナダに対し、米国の身柄引き渡し要請に応じないよう強く求めており、同容疑者が釈放されなければ重大な結果を招くと警告した。

このような不透明な対応は、中国とコブリグ氏のような同国を担当する外交官や学者、シンクタンク職員との関係に緊張をもたらすだろう。彼らはこの数カ月、中国に対して明らかに強硬姿勢を強めている。

驚くべきことに、著名な米国人学者の間で、ジャーナリスト査証(ビザ)などによる報復措置を求める声さえ出ている。米中間の調整に度々携わってきたポールソン米元財務長官が、中国を最もよく知る多くの人々がなぜ今、対立を求めているのかと問いかけるほどだ。

こうした緊張は、他の多くの問題で中国が従順と見られる態度を取っている中で発生している。米国産大豆の輸入を再開し、米国製自動車への関税削減を検討し、またウォールストリート・ジャーナル紙によれば、製造業振興策「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」を、外国企業に対してより多くのアクセスを提供する新たなプログラムに置き換えることを計画している。

しかし長期的には、西側諸国の政策立案にしばしば関与したり、企業経営者に助言したりする人たちを一段と排除することはダメージとなる。また謎に包まれた拘束は対中強硬派を勢いづかせることになる。彼らは中国が、表向きは民間企業のファーウェイなどに対してさえ強力な支援を行っていると主張する。貿易戦争における最近のこうした戦いにおいて、中国はまんまと彼らの策略にはまっている。
https://jp.reuters.com/article/column-china-murky-moves-idJPKBN1OC0PL


 


日産、中国から資金約1240億円を日本に戻す計画
Bloomberg News
2018年12月13日 11:52 JST 更新日時 2018年12月13日 12:38 JST
仏ルノーとの緊張が続く中、日産に財務強化の兆し
ルノー株購入を目的に本国送金を使う意図は全くない−日産

Photographer: Akio Kon/Bloomberg
日産自動車は中国部門から75億元(約1240億円)の資金を日本に戻す計画だ。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。パートナーであるフランスのルノーと緊張が続く中で、日産が財務を強化していることを示す兆しとなる。

  情報が公になっていないとして匿名を条件に話した関係者の1人によると、同社は中国部門の資金75億元を来年1月末までに移し終える可能性がある。

  中国で2003年から東風汽車と自動車を生産する日産は通常、税負担を考慮して資金を再投資していると関係者の1人は明かした。財務を強化すれば、ルノーと三菱自動車との3社アライアンスが冷却化した場合に備えて財務上の柔軟性が生まれる。

  日産は資料で、「業務で通常行われる以外では、いかなる移転に関して計画も実行もしていない」と説明。中国から資金を戻しているかどうかについては詳しいコメントを控えた。「この移転が普段とは違うとの見方には根拠がない」とも記した。

  関係者の1人によれば、中国部門は日産が利益配分の一環として資金を移す計画だと6月に伝えられたが、その時にはスケジュールは示されなかった。また、この資金移転で約1億ドル(約113億4000万円)の税金がかかるとの見通しを関係者は示した。

  日産は「ルノー株の購入を目的に本国送金を使う意図は全くない」と説明した。

原題:Nissan Said to Be Garnering Cash as Tensions With Renault Simmer(抜粋)

(第5段落以降を追加し更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-13/PJNM2C6JIJUP01


 


http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/908.html

[経世済民129] 2019年の世界株「割安の罠」に要注 亥固まるドル円 年間値幅、初の10円未満か 個人逆張奏功 新興国通貨大幅下落も期待
外為フォーラムコラム2018年12月13日 / 14:19 / 3時間前更新

2019年の世界株「割安の罠」に要注意
George Hay
2 分で読む

[ロンドン 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 世界の株価は既に割安になったのだろうか。株価の急落を受けて投資家は株価バリュエーションを注視しそうだが、「バリュートラップ(割安の罠)」に陥らぬよう用心が必要だ。

経済学者ロバート・シラー氏が編み出した景気循環調整後の株価収益率(PER)、すなわちCAPEで見ると、米国株はまだ恐ろしく高い。CAPEは過去10年間の平均利益に対する現在の株価の倍率で、S&P総合500種株価指数の場合、11月時点で30倍を超えている。これは米国株が暴落を始めた90年前の水準に並び、1999─2000年のドットコム・バブル期に記録した40倍強に次いで過去2番目に高い。

もっとも、これは一面でしかない。FTSEラッセルが12月初めに公表したデータによると、米国株のラッセル1000指数は来年の予想利益の15.4倍となっており、過去10年間の平均並みだ。CAPE自体、第二次世界大戦以来の右肩上がりのトレンド線を当てはめると、もっと落ち着いた姿になる。FTSEラッセルによると、このトレンド線に回帰すると想定した場合、S&P500企業の1株当たり利益が来年10%増えるだけで、現在のバリュエーションが正当化される。

リフィニティブのデータによると、米国企業の利益は今年24%増える見通し。減税の追い風はあるにせよ、必要なのはこの半分以下の伸びだ。アナリストは今月初め、S&P500企業の来年の増益率を8.4%と予想している。

ただ注意すべきは、アナリストが景気サイクルのこの局面で、常に楽観的過ぎる見通しを示してきたことだ。利益の元となる売上高は通常、名目成長率に遅行する。そして来年の成長率は減速する可能性がある。米供給管理協会(ISM)の製造業景気指数など、景気先行指数にも頭打ちの兆しがうかがえる。

米国以外はどうだろうか。欧州と新興国市場の予想利益に基づくPERも過去10年の平均並みである上、米国より低い水準が維持されている。ただ、新興国市場は銀行や大手ハイテク企業への依存度が高く、米国株がよろめくと過剰反応する傾向がある。

実際のところ、予想PERで見て比較的割安に見えるのは英国と日本の株だけだが、それも通常以上の不透明要因に覆われている。2019年にはナイフが何本も落ちてくる恐れがあり、安全な投資先は見当たらない。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-2019-stocks-value-trap-idJPKBN1OB0HY


 


外為フォーラムコラム2018年12月13日 / 15:59 / 2時間前更新

「亥(い)固まる」2019年のドル円相場予想

植野大作 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト
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[東京 13日] - 今年も残すところ約半月。「大晦日の着地点」が意識される中、最近のドル円相場は上値の重さと下値の堅さが共存しており、レンジ取引の呪縛に陥っている。

11月上旬の米中間選挙が終わりイベント通過による解放感が広がると、ドル/円は一時114円台前半まで上昇したが、10月高値の114円55銭を抜けずに反落。その後は米中貿易摩擦や欧州の政治混迷、原油価格の崩落などを受けて国内外の株価が乱高下する中でも、かつて猛威を振るった「リスク回避の円高」は加速せず、112円台では底堅く推移している。

この間、欧州、資源国、新興国などの通貨は、それぞれ個別の事情を反映して比較的派手に動いているが、ドル円相場だけはなぜか蚊帳の外に置かれ、米中間選挙後は2円に満たない狭い値幅で推移している。

年の瀬を目前に、市場の関心は来年の展望に移りつつある。来年のドル円相場について、筆者はおおむね横ばい基調で推移すると予想している。極端なドル高にも円高にも加速せず、110円台を中心に一進一退を繰り返す地味な1年になるのではないだろうか。

以下、そのように考えている理由を2つ挙げておく。

<日銀緩和の円高抑止力>

第1は日銀の金融政策だ。金融緩和の出口戦略は事実上稼働し始めているが、来年10月に予定されている消費増税後の不透明感が晴れるまで、異例の低金利は維持される可能性が高い。

まず「量」の側面に注目すると、7月会合で「資産購入の柔軟化」を表明して以来、日銀による国債購入ペースは明らかに落ちている。

黒田東彦日銀総裁の最近の語録をみても、長引く低金利政策が金融機関経営に与える悪影響に配慮したコメントがかなり増えており、この先、「黒田バズーカ第3弾」で強烈な円安が加速するような事態は想像しにくい。

一方、一部で根強くささやかれている時期尚早な早期利上げ観測は不発に終わるだろう。現在、日本の消費者物価上昇率はコアインフレで前年比1.0%と、政策目標の2%まで相当な距離がある。

今秋起きた原油価格の急落は、これから物価の下押しに効いてくるほか、政府が進める教育無償化、携帯電話料金の引き下げなども来年の物価押し下げに寄与しそうだ。日銀が物価目標を現在の2%からアベノミクス前の「1%程度」や「ゼロ%以上のプラスの領域」などに戻さない限り、今すぐ利上げを実施するのは理屈に合わない。

2012年の衆院選で大勝した後、「日銀法改正の可能性」までちらつかせて当時の白川方明日銀総裁に物価目標を2%に引き上げさせた安倍晋三首相は、来年秋の消費増税に備えて「政策総動員」で景気悪化を阻止する方針だ。経済財政諮問会議の議員も務める黒田日銀総裁が、その前に利上げに踏み切る可能性は政治的に見ても低い。

日銀が現在の超低金利政策を緩めない限り、極端な円高を抑止するバックストップ力は、来年中も漸増しそうだ。現在、日本の10年物国債利回りは0.05%前後で低迷しており、約10年前に発行された10年債の10分の1以下の水準で推移している。

この先、かつて購入した10年債の満期償還金を単純に再投資した場合、金利収入は一気に9割以上激減する。このような状態が来年も続くならば、単純な国内債への再投資だけでは十分な期間収益はおろか、必要経費すら稼ぐのが難しくなる国内金融機関や各種法人などの苦悩は「ただ時が過ぎていく」だけで深まっていく。

日銀緩和の累積効果が国内投資家のポートフォリオに染み込んでいく中、ドル相場がある程度まで下がった場合には、本邦勢の押し目買い興味が湧出し、円高抑止力を発揮しそうだ。ちなみに、ドル円相場が今年8月、一時109円台まで差し込んだ時、「110円割れのドル」は約3時間43分で売り切れた。来年の状況も、大同小異だろう。

<米利上げは一時停止モードに>

第2の理由は、米国の利上げが来年どこかで「一時停止モード」に移行しそうなことだ。ただ、既に先進国で最も高くなっている米政策金利の相対的地位は、年間を通じて変化しないだろう。

現在、大方の市場関係者は年内あと1回の追加利上げをほぼ確実視しているが、11月下旬にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が現在の政策金利に関し、中立金利を「若干下回る」水準にある、との見解を示したため、利上げ停止時期が接近しているとの観測が強まっている。

来年、米政策金利の先高感が後退すれば、ドルの上値が軽いと見て追いかけ続けるプレーヤーは減りそうだ。来年は極端なドル高が進みにくくなると考えるゆえんである。

ただ、来年中に米国の利上げが一時停止状態になっても、早期利下げ観測が台頭しない限り、極端なドル安は進まないだろう。「米国で利上げにブレーキがかかると大幅な円高が加速する」との見方もあるが、筆者はそう思わない。

これまで本コラムで繰り返し指摘してきたが、現在、米国の政策金利が先進国で最も高くなったことを反映し、「世界一の安全資産」だとみなされている米国債利回りが、イールドカーブのほぼ全域にわたって他の主要国の水準を凌駕する状態が定着している。

このため、最近は、米中貿易摩擦への懸念や需給悪化観測などで米国株や原油価格が下落しても、株式や商品市場からの逃避資金の疎開先は米国債市場になりやすく、いったん米国に流入した資金が国外へ流出しにくくなっている。

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今年に入って米国株や原油が値崩れしても、ドル建て金融資産からの資金逃避を抑制するような金利秩序の変化が起きたことが、春先からほぼ一本調子でドル実効為替指数の上昇が続く一因になったと推測される。

過去、ドル円とドル指数の地合いが正反対に動く局面は非常にまれだった。来年、米国株に調整売りが入ったとしてもドル/円は比較的底堅さを維持し、株価が安定感を取り戻してくると円安が進みやすい状況が続くのではなかろうか。

日本の投資家が円金利だけで生計を立てていくのが困難な環境が続き、米短期国債金利が日本10年債利回りの数十倍の水準で高止まっている間は、ドルがどれだけ下がっても、日本からの買い手は消えにくい。結果として、ドル/円相場は横ばいの高原状態になる可能性が高そうだ。

<米経済悪化観測は杞憂(きゆう)>

以上が、2019年のドル円相場に関する筆者の見方の骨格だ。これまで同様、すう勢判断の軸足を日米両国の金融政策に置いた上、来年は日米政策金利差が拡大も縮小もしなくなることを前提に、おおむね横這いのレンジ取引に移行する確率が高いと考えている。

最近、米長短金利差の縮小を見込んだ「米国経済失速ストーリー」が市場の一部で盛り上がっているのは若干気になるが、過去数十年間、米国の実質政策金利がゼロ%程度の水準で景気後退が引き起こされた例はない。来年、米国経済は減速しても失速はせず、時期尚早な景気悪化観測は杞憂に終わるのではないだろうか。

筆者が想定するドル円相場の横ばい予想が正鵠(せいこく)を得ていた場合、2019年は極端な為替変動による「ノイズ」が日本の株式市場に混入しにくい1年になりそうだ。「亥(い)固まる」年のドル円相場は、動意低迷の予感とともに始まることになるだろう。

植野大作氏 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト(写真は筆者提供)
*植野大作氏は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ為替ストラテジスト。1988年、野村総合研究所入社。2000年に国際金融研究室長を経て、04年に野村証券に転籍、国際金融調査課長として為替調査を統括、09年に投資調査部長。同年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画、12月より主席研究員兼代表取締役社長。12年4月に三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社、13年4月より現職。05年以降、日本経済新聞社主催のアナリスト・ランキングで5年連続為替部門1位を獲得。

*本稿は、ロイター「外国為替フォーラム」に掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-daisaku-ueno-idJPKBN1OC0JK


 

ビジネス2018年12月13日 / 16:34 / 1時間前更新
焦点:ドル円の年間値幅、初の10円未満か 個人は過去最大の逆張り奏功
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[東京 13日 ロイター] - ドル/円JPY=の年間値幅が、過去最小の10円未満となる可能性が高まってきた。狭いレンジ相場の中で目立ったのが、過去最大級の逆張りをみせた個人投資家の相場巧者ぶり。上値で売り、下値で買うレベルが相場の流れを読み切ったタイミングとなった。ただ、来年は相場を急変させるリスク「灰色のサイ」の存在も警戒されており、逆張り戦略が引き続き有効かは不透明だ。

<2強のドルと円>

2018年のドル/円(EBSベース)は、13日時点で年初来の値幅が104.56─114.55円の上下9.99円と、過去最小だった2015年の10.01円を下回っている。年末まで約2週間を残しているが、1970年代に変動相場制が始まって以来、最小値幅更新となる可能性が大きい。

その最大の理由は、ドルと円が今年最強の2通貨だったことだ。ドル買いと円買いがぶつかり合う形となり、ドル/円という通貨ペアでは動きが小さくなった。

ドルは、米国の強い経済と利上げによる金利高で、米株や米債などドル資産を求める動きが増加。ドルインデックス.DXYは昨年末比で5.3%の上昇と、主要通貨で最も上昇した通貨となった。

また、貿易を含む米中摩擦懸念で資金の逃避先となりやすかったことも、ドル高の要因だ。

次いで強かったのは円だ。ドル/円が注目を集めがちだが、実は、ドル以外の通貨に対しては今年、軒並み円高になっている。対ユーロで約4%強、対ポンドで約6%強の円高が年初来で進行。リスク回避の際の「逃避買い」は以前ほどは目立たなくなったものの、対ドル以外ではしっかり需要を集めている。

<流れをつかんだ個人投資家>

プロが苦戦を強いられる狭いレンジ相場の中で、目立ったのは絶妙な個人の逆張りだ。

ドル/円が104.56円の年初来安値をつけた3月にかけて、個人は年始からドル買いを活発化。金融先物取引業協会の集計によると、店頭FX(外国為替証拠金取引)53社を通じた買い建て額は、2月に円換算で過去最大級の3兆円超へ膨らみ、差し引きでも遡及可能な2008年11月以降で4番目の買い越し幅を記録した。

4月以降、ドル/円は上昇に転じ、10月に年初来高値114.55円をつけた。下値での個人のドル買い戦略が成功した相場展開となった。

しかし、9月に入ると、個人投資家はドル売りに転じる。

利上げを始めた米国のドルと、大規模緩和中の円の取引は、金利差からドル買い/円売りに傾くのが定石。しかし9月の持ち高は、差し引きで約2年ぶりにドル売り/円買いへ転じ、その規模も過去最大に膨らんだ。

ドル/円は10月4日に年初来高値114.55円をつけた後、月後半にかけて111円台まで3円下落。個人は小幅ながら再び買い越しへ転じ、利益を確定した。

あるFX会社の幹部は「9月の大規模な個人の売りは、各社で幅広く見られた。逆張りスタンスは相変わらずと言ってしまえばそれまでだが、勘だけではなく、うまく流れをつかめるようになってきた」と話す。

<「灰色のサイ」、来年は暴れ出すのか>

だが、来年も逆張りが効果的な戦略となるとは限らない。大きなリスクが顕在化すれば、大底を読み切る以外の逆張りは「大けが」となりかねないためだ。

その来年、キーワードとなりそうなのが「灰色のサイ(グレーライノー)」だ。

これまでの経験や知識から予想できない事象の発生を意味する、極めて珍しい「ブラックスワン(黒い白鳥)」のリスクに対し、「灰色のサイ」はよく知られており軽視されがちだが、いったん暴れだすと止められないような大きなリスクを指す。

欧州では、イタリア政治や英国の欧州連合(EU)離脱問題が極めて不透明。日本を含むアジアは米中貿易摩擦問題が直接、間接的に大きな影響を及ぼしかねない。「唯一確実なのは、不確実だということ」(バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ)という。

ソシエテ・ジェネラルのグローバルストラテジスト、アルバート・エドワーズ氏は以前、南アフリカの動物保護区を訪れた際、ライオンやヒョウ、サイ、ゾウなどより、野牛のほうが危険だと忠告を受けたことがあるという。

「明らかに危険な他の動物に比べて(人が野牛には)油断することが原因。死に至らしめるのは油断であり、同じことが投資家の間でも発生している。緩和マネーを主因とするマクロ不均衡は誰もが知っているが、投資家はそれを無視し続けている」とエドワーズ氏は話している。

基太村真司 編集:伊賀大記
https://jp.reuters.com/article/dollar-yen-idJPKBN1OC0OK


 
トップニュース2018年12月13日 / 15:39 / 2時間前更新
焦点:新興国通貨、今年は大幅下落もファンド勢の期待は消えず
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[ロンドン 12日 ロイター] - 今年の主要新興国通貨は年間で大幅に下落し、過去10年間で最悪に近い年となった。しかし痛い目にあったファンド勢は割安感が強まったと懲りない様子で、新興国通貨安の元凶であるドル高は今後終息し、世界経済が景気後退に向かうことはないと期待を寄せている。

MSCI新興国通貨指数.MIEM00000CUSは、年央には持ち直すとの期待をよそに年間で4.5%下落。3月のピークからの下落率は7.5%に達した。通貨ごとの年初来の下落率はトルコリラTRY=が30%、アルゼンチンペソARS=が50%で、ロシアルーブルRUB=、ブラジルレアルBRL=、南アフリカランドZAR=は13─15%下落した。

MSCI新興国株指数.MSCIEFの年間下落率は16%近い。

しかしファンド勢は新興国通貨に対して楽観姿勢を強めている。

国際金融協会(IIF)のデータによると、新興国の通貨・株式市場の11月の資金流入は340億ドルと1月以来の高水準で、12月も前月ほどではないにしろ堅調だった。

これは米連邦準備理事会(FRB)の金融政策予想の見直しが進んだのが主因だ。来年の米利上げ回数の予想は以前の3回から1回に修正された。この結果ドルが下落し、外貨建て債務を抱える新興国への圧力が緩んだ。

投資家からは8、9月の市場の混乱は行き過ぎだったとの声も出ている。これ以降、市場が激しく動揺した国の中央銀行は対応策を講じ、ある程度信認が回復した。

M&Gインベストメンツのポートフォリオマネジャー、トニー・ファインディング氏は「新興国通貨の多くはあまりにも多くの悪材料を織り込んでいる」と話す。

1997年のような過去の危機との違いは、新興国の外貨建て債務の規模が小さいこと。外貨建て債務の対国内総生産(GDP)比は1999年には17%だったが今は14%に下がり、新興国は米金利上昇やドル高の影響を、以前に比べてわずかながら受けにくくなっている。

また、ほとんどの新興国は為替を変動相場制に移行。相場が柔軟になり、景気減速や対外的なショックによる痛みを素早く吸収し、回復を支えることができるようになった。

またトルコやインドネシア、メキシコの中央銀行が何度も利上げしたことで、中銀の独立性を巡る懸念が和らいだ。

利上げの結果、新興国債の実質利回りは大幅に上昇した。JPモルガン・アセット・マネジメントの債券担当最高投資責任者(CIO)、ボブ・マイケル氏は、10年債の平均実質利回りは先進国のゼロ%に対して新興国では4─5%前後で、「実質利回りの差は非常に大きい」と指摘した。

M&Gは、トルコ経済は最悪期を脱したとみてトルコ債を買っている。実際にトルコの10月経常収支は3カ月連続の黒字だった。

新興国通貨は9月に1年4カ月ぶりの安値を付けた後持ち直しており、アジア以外は実質実効為替レート(REER)でみて割安だ。過去10年平均の相場水準に対する割安の度合いはトルコリラが22%、ブラジルレアルが約19%で、メキシコペソとロシアルーブルは15%程度。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのストラテジスト、ベン・ジョーンズ氏は、新興国通貨は割安なため今後1年で5─8%上昇すると見込んでいる。

(Tommy Wilkes記者、Karin Strohecker記者)
https://jp.reuters.com/article/emg-currencies-idJPKBN1OC0DS

http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/910.html

[経世済民129] ECBは債券購入終了へ、視界不良の中ー償還金再投資について情報も 再び離脱最前線メイ英首相−命綱はEUの譲歩、見通し険し
ECBは債券購入終了へ、視界不良の中ー償還金再投資について情報も
Alessandro Speciale、Xiaoqing Pi
2018年12月13日 14:48 JST
• 利上げ開始時期についての新たな手掛かりを示すとは考えにくい
• 利上げ予想がさらに後へずれるのを防ぐため自信ある論調維持の公算

A sightseeing boat travels on the River Main past the European Central Bank (ECB) skyscraper headquarters.
Photographer: Alex Kraus/Bloomberg
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は13日に、債券購入の時代を終わらせようとしている。しかし景気見通しは控えめに言っても視界不良だ。
  ECBはユーロ圏経済のファンダメンタルズは依然、インフレ上昇を支えるのに十分なほど底堅いと論じ、6カ月前に打ち出した債券購入終了方針を堅持する見込み。
  しかし同時に公表される最新の経済予測は、貿易を巡る緊張の高まりや英国の欧州連合(EU)離脱、イタリアの予算問題を背景に景気の勢い鈍化を示すとみられる。
  こうした中でドラギ総裁が利上げ開始時期についての新たな手掛かりを示すとは考えにくい。ただ、保有債券の満期償還金の再投資について、新たな情報が聞けるかもしれない。
  ブルームバーグ・エコノミクスのジェイミー・マレ―、デービッド・パウエル、メーバ・カズンの3氏は、ECBは13日に成長見通しを下方修正するが、自信のある論調は崩さないだろうとして、「利上げ時期の予想がさらに後へとずれ込むことを防ごうとするだろう」と指摘した。


Ongoing Reinvestment
ECB will remain active in bond markets even after net purchases end
Source: ECB
Note: Actual data through November 2018, estimates thereafter
Long-Term Loans
ECB's latest TLTROs will start to expire in June 2020
Source: ECB
Note: Chart shows ECB loans to banks with maturity of three months and above, the bulk of which are TLTRO funds
Rate Path
Economists see ECB raising borrowing costs gradually through 2020
Source: Bloomberg survey conducted Nov. 30 to Dec. 5
原題:ECB Reaches End of Road for Bond-Buying Era: Decision Day Guide(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-13/PJNTBN6TTDS101

 

再び離脱の最前線に立つメイ英首相−命綱はEUの譲歩、見通し険しく
Alex Morales、Tim Ross、Kitty Donaldson、Robert Hutton
2018年12月13日 12:25 JST
「バックストップ」条項についてEUから譲歩を取り付ける必要
「議員らの懸念を和らげる法的・政治的保証を求めていく」とメイ氏

メイ英首相 Photographer: Chris J. Ratcliffe/Bloomberg
メイ英首相は、欧州連合(EU)との離脱合意案への与党保守党内の反発が招いた信任投票を何とか乗り切り、命綱と頼む譲歩を求めて、EUが13日からブリュッセルで開く首脳会議に出席する。

  メイ首相は保守党の下院議員による12日の信任投票で勝利したものの、3分の1を上回る議員の不信任表明でその権威は著しく傷付き、反対派と妥協するため、2022年までに予定される次期総選挙を党首として戦うことはないだろうと認めた。

  EU離脱まであと3カ月余りとなる状況で、首相がEUと取り決めた離脱条件が議会の承認を得られる兆しはほとんどなく、「合意なき離脱」とそれに伴う政治的・経済的混乱のリスクが高まりつつある。

  こうした状況を変えるには、英・EUが通商協定を締結できなくてもアイルランド国境へのハードボーダー(物理的壁)設置を回避することを保証する「バックストップ」条項について、メイ首相がEUから譲歩を取り付ける必要がある。首相への造反に加わった議員の多くはバックストップへの反対が動機となっており、英国の他の地域から英領北アイルランドを分離するような合意は支持できないと主張している。

  メイ首相は信任投票後に首相官邸の前でテレビカメラに向かって発言した際、バックストップに言及し、「あすEU首脳会議に赴くに当たり、下院議員らの懸念を和らげる法的・政治的保証を求めていくつもりだ」と述べた。

  EUに譲歩を促すメイ氏の働き掛けは、これまでのところ成功していない。11日にはオランダのルッテ首相、ドイツのメルケル首相、トゥスクEU大統領(常任議長)、EUの行政執行機関である欧州委員会のユンケル委員長と相次いで会談したが、彼らのメッセージは似通ったものだ。すなわち、EUには保証を与える余地はあるが、離脱案の内容について再交渉に応じるつもりはなく、英国が求めるようにバックストップを暫定的とするつもりもないというものだ。

What Now in Brexit?
Here are some options


原題:May Returns to Brexit Front Line After Surviving Ambush at Home(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-13/PJNLEJ6TTDS001
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/911.html

[経世済民129] 目立ってきた物価下押し材料、日銀に「長期戦」強いる展開も ETF購入6兆円超で記録更新−日銀頼み日本株 しぼむ日銀政策修
ビジネス2018年12月13日 / 14:44 / 3時間前更新
焦点:
目立ってきた物価下押し材料、日銀に「長期戦」強いる展開も
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[東京 13日 ロイター] - 物価2%目標の早期実現を目指す日銀にとって、内外情勢に暗雲が立ち込めてきた。原油価格の下落や、2019年に予想される携帯電話料金の値下げ、幼児教育無償化など物価押し下げ要因が、相次いで出てくるからだ。民間エコノミストの中には、2019年後半にも消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)が再びマイナスに転落するとの予想も浮上している。

さらに外国人労働者の流入増加を図る改正出入国管理法が成立し、受け入れ予定の14分野を中心に賃金上昇の圧力が低下し、物価押し上げの力が弱められるとの分析もエコノミストから出ており、日銀に「長期戦」を強いるような経済情勢になりつつある。

<再現される原油安>

今年10月の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)は、前年比1.0%上昇となった。17年1月の同0.1%上昇から比べると、物価の動きは脱デフレ色を強めてきたが、ここから先は、日銀にとって「難路」が控えている。

1つ目の物価下押し要因は、原油下落だ。米国産標準油種WTIの先物CLc1は、今年5月から10月中旬まで1バレル70ドル台を維持してきたが、10月下旬から急落。12日は前日比でやや上昇したものの51.41ドルで取引を終えた。

複数の専門家によると、10%の原油安はCPIを0.2ポイント程度押し下げる。

第一生命経済研究所経済調査部・主席エコノミストの新家義貴氏は「足元でコアCPIはエネルギーが押し上げており、これが原油価格下落で縮小する。エネルギー以外が拡大するが、エネルギーの鈍化ペースのほうが速い」と話す。

12日に日銀が発表した11月企業物価指数は、前月比で0.3%下落と8カ月ぶりにマイナスに転じるなど、すでに原油安の影響がはっきりと現れている。

日銀は原油価格の先行きについて、先物価格を参考にそれぞれの委員が独自に判断しているが、低迷が続けば相応の物価下押し要因になることは避けられない。

<携帯・幼児教育無償も物価下押し>

多くのエコノミストが織り込めていないものの、携帯電話料金の引き下げや幼児教育の無償化などの制度的な要因も、物価押し下げに働く可能性がある。

携帯電話料金引き下げの議論を主導してきた菅義偉官房長官は、4割の値下げ余地に言及。携帯電話通信料の一律4割の値下げが行われたと仮定した場合、コアCPIを1%ポイント程度押し下げる計算だ。

19年10月の消費税率引き上げに合わせて実施される幼児教育の無償化も、内閣府の試算によると、19年度の物価を0.3%ポイント押し下げる要因になる。

ただ、こうした制度変更に伴う価格引き下げは、物価に対する下押し効果が1回限りという面もある。

<改正入管法、問われるマクロ政策の整合性>

今月8日に成立した改正入管法(19年4月施行)に伴う外国人労働者の受け入れ拡大も、一部のエコノミストは賃金・物価の抑制要因と見ている。

政府は法改正によって、34万5000人程度の外国人労働者受け入れを想定しており、エコノミストの中には労働市場全体を考えると、マクロ的なインパクトは限定的との声がある。

だが、ある国内金融機関の関係者は「外国人労働者の流入で、業種によっては賃金が上がりづらくなる」と指摘。労働需給の緩和を通じて物価上昇圧力を和らげる方向に作用する可能性を懸念している。

一方、投入労働量の拡大によって、日本の潜在成長率押し上げの可能性に着目するべきだとの見方が、政府関係者から浮上している。

原油価格の下落や幼児教育の無償化、携帯電話通信料の値下げも、交易条件の改善や個人消費の活性化につながり、最終的には内需拡大につながるプラス要因との指摘もある。

BNPパリバ証券・チーフエコノミストの河野龍太郎氏は、政府・日銀はデフレ脱却のため、超金融緩和と拡張的財政政策を継続してきたが、その影響で深刻な人手不足がもたらされていると指摘。同法が目先の人手不足の解消を目的としているなら「マクロ安定化政策との整合性は、十分に取れているのだろうか」とリポートで述べている。

<19年秋に物価マイナスの声>

このような要因の結果、物価の先行きはどうなるのか。大和証券・チーフマーケットエコノミストの岩下真理氏は「コアCPIが、来秋にも再び前年比マイナスに陥る可能性が高い」と予想する。

岩下氏は「国策的に物価が下がるという面もある」とし、「日銀は機動的に金融政策を運営するために、物価の基調判断をどう考えていくかを整理すべきだ。物価2%を中長期的な目標に掲げながら、柔軟に解釈していくことが必要」と主張する。

日銀内には、米中貿易摩擦などのリスクが顕在化しない限り、「しばらくは景気はいいが、物価は弱いという状況が続く」(幹部)との声もある。

今後、物価上昇率の鈍化が鮮明になった場合、2%目標をどのように位置づけて政策運営を行っていくかという点について、議論が深まることも予想される。

伊藤純夫 清水律子 編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/economic-boj-cpi-idJPKBN1OC0EY


 

日銀ETF購入、今年6兆円超で記録を更新−「日銀頼み」日本株
長谷川敏郎、氏兼敬子
2018年12月11日 0:01 JST 更新日時 2018年12月11日 17:34 JST
秋以降の株価調整で買い入れ積極化、7日は0.03%安でも実施
今年は12月11日までに6兆678億円購入、突出した買い主体

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
日本銀行の上場投資信託(ETF)年間買い入れ額が今年、初めて6兆円を上回って過去最高に膨らんだ。日本株は企業業績が堅調ながらも外国人を中心に大幅売り越しとなったためで、相場下支えで再び「日銀頼み」の1年となった状況が浮き彫りとなった。

  日銀は11日、通常のETFと「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」のETFを買い入れ、年初からの買い入れ額は計6兆678億円に達した。これまでの年間買い入れ額最高は2017年の5兆9033億円だった。


日本銀行本店Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  それでもTOPIXは年初来で13%下落、11日には1年半ぶり安値となり日銀以外の買い手不足を物語っている。東京証券取引所の投資部門別売買動向(東証、名証2市場の合計)によると、ことし11月までに外国人は4兆5989億円と年間売越額がブラックマンデーの1987年以来の大きさとなっており、個人も3364億円売り越した。買い越しは事業法人の2兆3014億円、信託銀行9089億円、投資信託8959億円にとどまり、日銀の購入額は突出している。

  ニッセイアセットマネジメントの久保功株式ストラテジストは「日銀はリスクが高まっているときやセンチメントが悪化している際に買い入れを行っている。企業の自社株買いと同様に株価が下がったところで買うのが基本」と指摘。「日銀が買っているのに株価収益率(PER)が割安な日本株が上がっていないということは、それだけ地合いが悪いということだ」と述べた。

  日銀は金融緩和拡大でETF購入額を16年7月にほぼ倍増。それ以降、保有残高が年6兆円に相当するペースで増加するよう買い入れてきたが、今年7月は「資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買い入れ額は上下に変動しうる」と方針を微調整した。その翌月の購入額が1682億円と17年10月以来の少なさとなったことから、緩和縮小に向けたステルステーパリングではないかとの見方も浮上した。

  だが、株価下落基調が強まった10月には8700億円と一転して月間最高額に転換。さらに市場に意外感を与えたのはETFを買う際のTOPIXの下落率だった。11月22日は午前のTOPIX終値が前日比0.06%安、12月7日は同0.03%安と17年4月17日の0.01%以来の小ささで購入するなど、積極的な買い入れ姿勢が目立った。

年6兆円ペースに到達へ

出所: 日銀

注: 12月10日時点

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長は7月の方針の微調整は「6兆円の枠の話ではなくて、買いのタイミングをフレキシブルにするということ」だとした上で、1000億−4000億円程度なら約6兆円という文言の範囲内で超えることも可能だと分析。「誤解があるのは、勝手にあの金額自体を増やしたり減らしたりできると考えていること。夏ごろに出たステルステーパリング論は都市伝説」だと付け加えた。

ステルステーパリング議論に関する記事はこちらをご覧ください

  日本企業の業績に照らすと、日本株は割安なままだ。大和証券の試算では18年度の主要企業(金融除く大和200ベース)経常利益は前期比9.8%増と、3年連続で過去最高益を更新する見込みだが、日本時間11日夕方時点でTOPIXのPERは12.5倍と、米S&P500種株価指数の16.1倍、欧州ストックス600指数の13.1倍を下回る。

  日銀の黒田東彦総裁は先週、衆院財務金融委員会で「2%の物価目標の実現になお時間がかかることを踏まえると、ETFの買い入れを含む金融緩和からの出口のタイミングやその際の対応を検討する局面にはまだ至っていない」と述べた。  

(ETFの買い入れ額や市況を11日時点に更新します.)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3875431010122018EN2000/
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/912.html

[国際24] 英国「合意なき」EU離脱なら世界経済は地獄の縁に 国家をブレグジットに走らせたポピュリズムの怖さ
英国「合意なき」EU離脱なら世界経済は地獄の縁に
国家をブレグジットに走らせたポピュリズムの怖さ
2018.12.15(土) 舛添 要一
保守党の党首信任投票で勝利し、続投を決めたメイ首相(写真:AFP/アフロ)
(舛添要一:国際政治学者)

 イギリスでは、12月12日の夜、与党・保守党がメイ党首に対する信任投票を行った。これは、離脱強硬派が仕掛けたものであるが、200対117票でメイ首相は信任された。

 もし、不信任になっていれば、党首、そして首相退任となっていた。そのような事態は避けられたが、これで問題が解決したわけではない。117票、つまり、全体の37%もの保守党議員が信任に反対したことは重く、この票数だけでも辞任に値すると論評する者もいるくらいだ。

メイ首相の対抗馬は見当たらず・・・
 保守党のルールでは、あと1年間は同様な信任投票はできないが、問題は全く解決しておらず、今後の展望も開かれていない。しかも、不評とは言え、メイ首相の対抗馬は見当たらないのである。支持率世論調査によれば、@メイ首相が30%、Aコービン労働党党首が24%、Bジョンソン前外相が22%となっている。

 下院は、メイ首相がまとめた離脱案の審議を4日に開始し、当初は11日には採決される予定であった。しかし、離脱の責任者であるラーブ担当大臣自らがメイ案に反対して11月15日に辞任するような状況であり、与党内にも反対派がいるため過半数(下院定数650)には100票程度及ばず、否決される公算が大きかったのである。

 そこで、メイ首相は採決延期に踏み切ったのであるが、保守党内の離脱強硬派はこれに猛反発し、党首信任投票という手に出たのである。離脱派の急先鋒はジョンソン前外相であるが、私が都知事のときには下院議員とロンドン市長を兼任しており、東京・ロンドンの友好都市関係の仕事を一緒にした友人である。彼は誇り高いイギリス人で、EU によってイギリスの主権が損なわれているので脱退すべきだという見解であった。

 イギリスとヨーロッパ大陸は違う、イギリスは一歩高いところからヨーロッパ大陸諸国の利害を調整するというのがイギリス外交の立場であり、19世紀、20世紀のパックス・ブリタニカ(イギリスが主導する世界)時代からの伝統である。しかし、今やパックス・アメリカーナの時代であり、かつてのイギリスの栄光はもはやなく、EUとして固まって初めて国際社会で重みを持つのであるが、離脱派の議員にはその理屈が通らない。

EU加盟でおいしくなったイギリスの食事
 しかも、EUが加盟国に課している規制が何万もあり、そのような規制に縛られることは、主権国家として耐えがたいというのである。超国家的存在を認めれば主権の一部が制限されるのは当然であり、フランスはその制限を認めさせるための憲法改正を行っている。イギリスは成文憲法がないので、そのような手続きはとっていないだけに、EU離脱を国民投票で問えば、通ってしまうということなのかもしれない。

EU、英の「合意なき離脱」の準備を加速
ベルギーのブリュッセルで開かれ英国の欧州連合(EU)離脱問題が協議されたEU首脳会議で、英国のテリーザ・メイ首相(右)に話をする欧州委員会のジャンクロード・ユンケル委員長(左、2018年12月13日撮影)。(c) EMMANUEL DUNAND / AFP〔AFPBB News〕

 EUから離脱するとどのような影響があるか、それはアイルランドの国境管理という問題に如実に表れている。

 イギリスは、1973年にデンマーク、アイルランドとともにEUに加盟したが、それから45年が経つ。EU統一市場に統合されたために、関税がなくなり他のEU諸国と産品を自由に輸出入できるようになった。人の行き来も自由である。

 私の欧州での生活体験からしても、食事がまずいことで悪名高かったイギリスで、フランス料理、ワインなど美味しい食事ができるようになった。そして、国境管理がなくなったので物流も人的交流も格段に進んだ。ユーロトンネルのおかげで大陸との間で大量のトラックが行き来し、パリからユーロスターに乗ってロンドンに行くのは、フランス国内旅行と全く変わらない感覚となった。 

 自動車など多くの日本企業がイギリスに進出しているが、たとえば自動車の部品はEU各地の工場で分散して生産されており、それを集めて組み立てている。しかし、イギリスがEUとの合意なしで無秩序に離脱すれば、関税の問題や国境での検査時間などで円滑かつ迅速な部品調達が不可能になる。

 これを避けるためにアイルランドを活用しようというのである。2019年3月末から2020年末までを移行期間とし、その間に北アイルランド(英領)とアイルランド(EU加盟国)との間で国境管理が必要ないような措置を考える、そしてそれが不可能なら移行期間を最大2年延長する、又はイギリスをEU関税同盟に残す、北アイルランドのみをEU扱いするというのが、EUと調整したメイ案である。これを安全策(バックストップ)と呼ぶが、これには反対も多い。

 離脱派に言わせれば、これではEUから飛び出した意味がないということになるし、いつまで煩雑なEUルールに縛られるのだと反発するのである。また、EU側は、もうこれ以上の譲歩は無理で、再交渉の余地はない、分担金も払わずに「いいとこ取り」ができるとなれば、他の加盟国もイギリスの例に倣ってしまい、EUが解体すると危機感をあらわにしている。

「合意なき離脱」なら世界経済が大混乱に
 メイ首相は政治生命を賭けて、議会工作に奮戦してきたが、1月21日が合意決定の期限である。保守党の信任の前に、メイ首相は、2022年の次期総選挙の前に退任する、議会の解散はしないと明言したと言われている。

 野党の労働党は、首相不信任案を提出して解散・総選挙に持ち込もうとしているが、見通しも不透明である。さらに、EU最高裁は、他の加盟国の同意がなくても一方的に離脱を撤回できるとして、再度の国民投票でEU残留にしようとする勢力を勢いづかせている。

 今後の展開次第で、メイ首相の辞任もありうるし、総選挙や国民投票の可能性もある。3月29日がEUからの離脱の日である。それまでに解決策が見いだせず、「合意なき離脱」ということになれば、イギリスに進出している日本企業をはじめ、世界中が大混乱に陥る。

 そうなった場合、GDPは15年間で9.3%縮小するし、仮にメイ案が承認されても、2.5%の縮小という。世界の金融センターであるシティーも甚大な影響を被ることになり、イギリスの存在感が失われる。EUの遠心力も増し、戦争のない世界を作るというEU創立の父祖たちの願いも潰え去ってしまう。

 メイ首相としては、離脱時期の延期を求めるしかないが、その後の展望は開けていない。イギリスと欧州大陸との伝統的・歴史的対立が21世紀になっても続くとは困ったことである。BREXITをもたらしたポピュリズムの怖さを再認識せざるをえない状況である。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54971
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/781.html

[経世済民130] 地球温暖化を止める費用は効果に見合わない  確実に止める技術はあるが・・・
地球温暖化を止める費用は効果に見合わない
確実に止める技術はあるが・・・
2018.12.14(金) 池田 信夫
COP24開幕、気候変動の「差し迫った脅威」への対応を模索
ポーランド・カトウィツェで開幕した国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)の様子(2018年12月2日撮影)。(c)Janek SKARZYNSKI / AFP〔AFPBB News〕

 国連のCOP24(気候変動枠組み条約の第24回締約国会議)が、ポーランドで始まった。今回の会議は、10月にIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の出した特別報告書を受けて、その対策を話し合うものだ。

 この報告書でIPCCは、2030年から2052年までに地球の平均気温が産業革命前に比べて1.5℃上昇するおそれが強いと警告した。これを受けてCOP24ではパリ協定の実施ルールが決まる予定だが、先進国と途上国が対立して合意は困難だ。そもそも1.5℃上昇という目標は実現できるのだろうか。

地球の気温の1.5℃上昇は避けられない
 今回NGOなどが標的にしたのは、石炭火力発電所である。街頭ではデモ隊が「石炭火力を閉鎖しろ」というプラカードを掲げ、アメリカが最新の石炭火力技術を説明する会場には、環境団体が詰めかけて怒号を浴びせた。

 石炭火力が大量の二酸化炭素(CO2)を出すことは彼らの言う通りだが、それをなくすことはできない。石炭は圧倒的にコストの低いエネルギー源であり、埋蔵量は200年以上あるからだ。それに代わるエネルギー源は、今のところ天然ガスである。

「化石燃料を減らして再生可能エネルギーにしろ」というのは錯覚である。太陽光発電所の設備利用率は13%なので、その運転していない時間を補完する電源として化石燃料が必要になる。「脱原発」で再エネ比率を高めたドイツでは石炭火力が増え、EU(ヨーロッパ連合)の2020年のCO2排出目標を放棄した。

「石油があと50年でなくなる」という説は50年前からあるが、石油の埋蔵量は2000年以降に59%増え、天然ガスは94%も増えた。その最大の原因は、シェールオイルやシェールガスのような非在来型資源を採掘する技術が開発されたからだ。

 他方、一時は化石燃料に代わるエネルギー源として期待された原子力は、各国で安全基準が強化されたため、建設コストが高くなって化石燃料とは競争できなくなった。今の状況が続くと、化石燃料の時代は、あと数十年は終わらないだろう。

 現在の気温はすでに産業革命前から1℃上がっているので、1.5℃以下に抑えるには、2030年までに0.5℃上昇に抑えなければならない。そのためには温室効果ガス排出量を2010年比で45%削減する必要があるとIPCCは警告しているが、パリ協定を完全実施しても、それは不可能である。

1.5℃上昇で何が起こるのか
 では地球の気温が1.5℃上昇すると、何が起こるのだろうか。それは日本人にとっては未知の体験ではない。東京の気温は過去100年で3℃上がった。これはIPCCの警告する1.5℃上昇を上回るが、そのうち2℃は都市化で建物や道路が熱を反射するようになった「ヒートアイランド現象」である。

 しかし「東京が3℃暑くなって困る」という人はいない。100年前の気温と比べることができないからだ。このようにゆるやかな気温変化には人間の体が順応するので、あと0.5℃程度は気がつかないだろう。

「温暖化で異常気象が増える」という話がよくあるが、統計的には熱帯低気圧のような異常気象は増えていない。雨量は増えたが、その被害は減っている。防災のインフラが整備されたからだ。

 温暖化で確実に起こるのは海面上昇である。その最大の原因は氷山が溶けることではなく海水が膨張することなので、これを人間が止めることはできない。IPCCによれば、1.5℃上昇で2100年までに海面が2005年の水準と比べて26〜77cm上昇するという。

 これは先進国では大した問題ではない。あと80年で50cmぐらい堤防を高くする防災対策は容易で、地球温暖化を防ぐコストよりはるかに安い。温暖化が原因で異常気象が頻発しているという証拠はなく、たとえ頻発したとしても、異常気象そのものを防ぐことはできない。これもインフラの強化しか対策はなく、先進国では対応できる。

 IPCCの警告でもわかるように、温暖化の最大の被害が発生するのは、太平洋の島国や乾燥地帯、熱帯や北極圏など、発展途上国である。そしてこれから温室効果ガスを最も増やすのも途上国である。つまり地球温暖化とは、途上国の環境問題なのだ。

地球温暖化を確実に止める「気候工学」
 地球温暖化は経済問題だから、大事なのは費用対効果だが、パリ協定の費用はその効果をはるかに上回る。ロンボルグの論文によると、パリ協定のすべての当事国が約束草案(INDC)を2030年まで完全実施した場合、地球の平均気温は何もしなかった場合に比べて0.05℃下がるが、そのコストは毎年1兆ドルを超える。

 実は地球温暖化を止めるだけなら、技術的には不可能ではない。それはIPCCの特別報告書も検討している気候工学(ジオエンジニアリング)である。その中で最も安価で効果的なのはSAI(成層圏エアロゾル注入)だ。

 これは飛行機などで成層圏にエアロゾル(硫酸塩などの粒子)を散布し、雲をつくって太陽光を遮断するものだ。これによって地表の気温が下がる効果は、火山の噴火で実証されている。1991年のピナツボ山の噴火では成層圏エアロゾルが一時的に増え、地球の平均気温が約 0.5℃下がった。

 散布するエアロゾルは硫酸塩や石灰でよいので、SAIのコストは安い。最近の研究によると全世界で毎年22.5億ドル(2500億円)以下で、パリ協定の0.2%程度だ。技術的にも、飛行機を使えば実用化は容易だ。

 IPCCもSAIで1.5℃上昇に抑制できると認めているが、その実施を推奨していない。SAIはあまりにも効果的だから危険なのだ。それは地球規模でずっと続けなければならない。未知の副作用があるかもしれないが、散布を止めると気温が急上昇する。コスト的には一国でも実施できるが、全世界の合意が必要で政治的には困難だろう。

 今のところ1.5℃上昇でそれほど大きな被害が出るとは思えないが、予想以上に大きな被害が出た場合には、気候工学のような非常手段も選択肢だろう。費用対効果だけを考えれば、パリ協定よりSAIのほうが有望なので、それを技術的に検討することは必要だ。それがいやなら、人類は温暖化と共存していくしかない。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54966
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/128.html

[経世済民130] 増加する認知症と資金トラブル、対応迫られる金融機関
ビジネス2018年12月17日 / 16:59 / 2時間前更新
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増加する認知症と資金トラブル、対応迫られる金融機関
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[東京 17日 ロイター] - 「電子レンジって何─」。東京都内に住む大久保英一さん(71)が、妻の由美子さん(68)に、食べ物を電子レンジで温めるように頼んだ時の返事だ。

由美子さんが認知症と診断されてまもないころだった。適切な言葉が思い出せなくなり、25年間続けた着付け教室の講師を続けることも難しくなっていた。

それ以来、介護する英一さんにとっても、由美子さんにとっても、日々の生活はさまざまな苦労がある。金銭をどう管理していくのか、ということも社会的に大きな問題の1つだ。

京都市の社会福祉士、上林里佳さんは、これまで認知症の患者が、明確な理解のないまま、自分の銀行口座から大金を引きおろす場面に何回も遭遇してきた。

例えば、ある90代の女性は、孫のひとりに、相続のために資金が必要だと思い込ませられ、合計2000万円以上の資金を複数の金融機関から引き出し、その孫に渡していた。

「9引きおろした、などと言うので、いったい何のことかと思ったが、実は札束の数のことだった」という。

明らかな経済的虐待の事例と見られたため、行政や弁護士などと相談し、歩くのもおぼつかない女性を連れて、金融機関を一軒一軒回ったという。

「一部の金融機関は、それ以上の被害を防止するための協力を惜しまず、要請後の出金は止められた。ただ、非協力的な金融機関もあり、必要な書類さえ形式的に整っていれば、出金は止められない、という姿勢だった」と上林さんは当時を振り返る。

<増える認知症患者の保有金融資産>

厚生労働省の推計では、認知症患者の数は、2012年時点で462万人。2030年には744−830万人と予想されている。全人口の6−7%に匹敵する規模だ。

経済協力開発機構(OECD)は、日本での認知症患者数が2037年に全人口の3.8%と推計。OECD加盟国の中で一番高く、加盟国平均の2.3%を大きく上回る。

第一生命経済研究所によると、2030年まで、認知症患者の保有する金融資産が215兆円に上ると予想している。

企業や金融機関も、認知症患者の保有する金融資産への対応を迫られている。

典型的な例として、取引後に認知症を理由に家族や介護者などから契約の解消を求めらるケースがある。京都府立医科大学大学院の成本迅教授は、このような事例が今後、増えると予想する。

成本教授などの調査では、既に認知症患者を抱える家族の3割程度が、無駄な金品の購入など、経済的な損失を被ったことがあると回答している。

金融機関の窓口でも、ATMの使い方がわからない顧客、同じ質問を何回も繰り返す顧客など、認知症と思われる顧客への対応を迫られることは、日常茶飯事になりつつある、と複数の金融関係者は明かす。

認知症は、脳の疾患に起因する記憶や認知能力障害の結果、日常生活が営めなくなる状態だ。アルツハイマー病が全体の3分の2ほどを占めるが、それ以外に多くの種類があり、症状も一様ではない。

多くの場合、計算や時間の認識などに障害が出ることから始まり、さらに病気の進行が進むと、場所や人の認識もできなくなるということが多い。

<対応に動き出した金融機関>

生活に不可欠な「お金」を取扱う金融機関は、認知症の患者と接する機会も多く、野村証券や三井住友信託銀行など、一部の金融機関では、社員に対する認知症対応のための研修を始めた。

「今までは、証券会社などの窓口の人が、独自に判断していた場合がほとんどだったと思う。金融機関の人と、医療的な立場の人が場を持って、知識を共有するということが重要になってくる」と慶應義塾大学医学部の三村將教授は言う。

また、城南信用金庫など都内の5信金では、認知症支援のためのNPO団体「しんきん成年後見サポート」を設立した。認知症の患者を家族に抱える預金者などの相談に応じる一方、品川区と協力しながら、成年後見人を請け負うサービスを実施している。

成年後見人制度は、介護保険と同じく2000年に導入されたものの、使い勝手が悪いとの声が多く、利用率は低い。

さらに後見人の監督に目が行き届いておらず、後見人が被後見人の資産を盗む、などの事例も後を絶たず、改善が要望されている。

内閣府の資料によると、2015年までの5年間で、3000件以上の不正が報告され、被害総額は210億円に及ぶ。

しんきんサポートでは、担当者を必ず複数にし、抜き打ち検査を行うなど、金融機関と同水準の厳格な内部管理をして不正を防止するようにしているという。

「人員を複数配置することで、コストも2倍になるが、私たちは必要なコストだと考えている」と、しんきんサポートの平森均事務局長は語る。

ただ、このサービスを営利事業として行うのは難しいという。

テクノロジーを使って、認知症の早期発見に取り組もうとしているのは、家計簿支援アプリなどを手掛けるフィンテック企業のマネーフォワードだ。

例えば、ある利用客が突然ATMから頻繁に現金を引き出すようになった場合、認知症の可能性もある。そうした場合に、それを親族などに伝える、という仕組みを開発中だ。

認知症を治す治療法は、まだ見つかっていないが、早期発見で進行を遅らせることは可能になりつつある。こうしたサービスがあれば、認知症とともに生きる人達の助けになりうる。

「認知症といっても、常にすべて何もできないわけではない。財布は使わなくなっても、一緒に旅行にも行ったし、写真も撮ったり、ということはできていた」と大久保さんは語る。実際2012年から合計3年かけて、大久保さん夫婦は東海道を歩いて制覇したという。

「今の生活は、昔思い描いていた退職後の生活とは確かに違う。でも、いま私がつきあっているのは、妻が認知症になってから、それを通じて知り合った人たちばかり。だから、今の私があるのは彼女のおかげだと感じる」──。

佐野日出之 編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/dementia-money-trouble-idJPKBN1OG0OF

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/143.html

[経世済民130] 日本の消費増税、痛み緩和の支出は一時的に=IMF高官 財投総額13.1兆円、財政融資追加も2年連続減=19年度計画で政府
トップニュース2018年12月17日 / 18:29 / 13分前更新
インタビュー:
日本の消費増税、痛み緩和の支出は一時的に=IMF高官
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[東京 17日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)で対日審査を担当するポール・カシン氏は17日、来年予定されている日本の消費税率引き上げについて、増税に伴う痛みを緩和するための支出措置は低所得層を対象とし、一時的なものとすべきとの考えを示した。ロイターとのインタビューで述べた。

同氏は、日本政府が自動車や住宅購入者向けの減税など、さまざまな支出を計画していることについて、消費税率引き上げ後の経済の動揺緩和につながるため歓迎すると述べた。ただ、対象は低所得層に限り、消費税率引き上げの増収分をより多く債務返済に回せるよう、対策の期限を設定して一時的なものにとどめる必要があると強調した。

同氏はまた、銀行の利益が圧迫されるなどの問題があっても、日銀は金融緩和を維持すべきと主張。「現時点では、副作用よりも利点のほうが大きいとみている」と述べた。

2%の物価上昇率目標については、日銀は引き続き達成を目指すべきとの考えを示した。同氏は「達成が唯一の選択肢。今引き締めることは、目標達成の助けにならない。日銀は達成に極めて強くコミットしており、われわれもそれが正しいことだと考えている」とした。

同氏は、日本の高齢化・人口減少を巡って、銀行の利益が圧迫され金融緩和の効果がそがれるなどの問題が生じるため、政策当局者にとって問題と指摘。高齢化で日本の潜在成長率が低下すると、成長押し上げのためにより強力な金融支援が必要になることから、日銀はより難しい対応に迫られることになると指摘した。
https://jp.reuters.com/article/imf-tax-japan-idJPKBN1OG0X3


 

トップニュース2018年12月17日 / 18:44 / 7分前更新
財投総額13.1兆円、財政融資追加も2年連続減=19年度計画で政府筋
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[東京 17日 ロイター] - 政府は2019年度財政投融資計画の全容を固めた。財投計画額は前年度比9.3%減の13兆1194億円で、2年連続の減額となる。高速道整備や関西空港の防災機能強化に向けた財政融資を追加し、今年8月の財投要求額は上回った。政府筋が明らかにした。

企業の成長力強化やインフラ整備など重点投資に7兆0586億円を計上。日本企業の海外展開支援には1兆8705億円を充てる。医療・福祉向けの1兆1376億円も併せて盛り込む。財投計画のうち、出資などを行う産業投資の計画額は3849億円で、規模としては過去最大となる。

今年8月時点の19年度要求額は12兆5973億円で、財投改革後の01年度以降で最低だった。新名神高速道路の6車線化や暫定2車線区間の4車線化など、物流網の整備や基幹インフラの防災機能強化に向け、改要求で、財政融資を1兆1500億円追加していた。

山口貴也
https://jp.reuters.com/article/zaitou-mof-idJPKBN1OG0XN?il=0
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/144.html

[経世済民130] 日銀、金融政策維持へ 高まる海外リスク点検・市場動向も注視 貿易摩擦、既にアジアに影響IMF
トップニュース2018年12月17日 / 18:49 / 4分前更新
焦点:
日銀、金融政策維持へ 高まる海外リスク点検・市場動向も注視
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[東京 17日 ロイター] - 日銀は19、20日の金融政策決定会合で、現行の金融緩和政策の維持を決める見通し。米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱問題など世界経済の先行きは不透明感が強まっており、会合では高まるリスク要因を重点的に分析・点検する。こうしたリスクを背景に不安定化している株式市場や低下を続ける長期金利など金融市場の動向も、議論になる可能性がある。

日銀の黒田東彦総裁は7日の国会答弁で、先行きの海外経済について「リスクは高まっている」と述べた。

14日に公表された12月全国企業短期経済観測調査(短観)でも、足元は市場予測を上回る強めの結果となったものの、先行きについては、米中貿易摩擦や外需鈍化への懸念から悪化見込みとなった。

海外リスクのなかで最も注目されている貿易摩擦では、米中首脳が90日間の追加関税猶予で合意し、一時休戦状態となっている。日銀は、足元で「明らかな影響は出ていない」(黒田総裁)とみているが、サプライチェーンが複雑化していることで影響の把握が難しいことに加え、問題が長期化すると「企業や家計のマインド、金融市場の不安定化を通じて影響が広がる可能性がある」(黒田総裁)と懸念しており、協議の動向を注視している。

米中貿易摩擦の他にも、ブレグジットや米景気動向と利上げの行方、中国の景気減速など、海外のリスク要因が並ぶ。

ただ、日銀では「現時点ではリスクの段階」(複数の幹部)と判断しており、世界経済は堅調との見方を維持している。会合では、こうしたリスクの強まり度合いや顕在化の可能性、それによる経済への影響などを議論する見通し。

政策委員はこうした先行きリスクの強まりを意識しながらも、現状は日銀の「見通しに沿って経済・物価情勢が推移している」と判断しており、会合では現行の金融政策を粘り強く続けていく方針が確認される見通しだ。

<長期金利のマイナス化、日銀内に「あっても一時的」の声>

軟調な株式市場や長期金利低下など、金融市場の動向も注意が必要だ。不透明な世界経済を背景に、市場ではリスクオフの動きが広がっており、株価下落や金利低下につながっている。

日本の10年物国債は17日、一時0.025%まで低下した。月初にはゼロ%台後半だった長期金利は、徐々に水準を切り下げてきた。

こうした推移について日銀は、米国長期金利の低下を受けた動きが中心と判断しているもよう。経済・物価情勢に応じた金利変動を促した7月会合の決定に沿うもので、市場機能の改善を反映していると評価する声もある。

7月会合では、それまでゼロ%を中心にプラス・マイナス0.1%程度となっていた長期金利の変動幅について「倍程度を念頭」(黒田総裁)とし、上下0.2%程度の変動を容認することを決めた。

日銀では、経済・物価情勢に応じた長期金利「ゼロ%程度」の範囲内の変動であれば、基本的にマイナスも容認する姿勢だ。

また、仮に長期金利がマイナスに沈んでも、投資家にとって長期国債をマイナス金利で保有するインセンティブは乏しいため、長期化する可能性は低いとみている。

こうした見方に反して、需給要因や市場の思惑によって行き過ぎた動きが出る場合は、国債買い入れのさらなる弾力化などオペ運営で対応する方針。

また、世界的な株安や、さらなる長期金利低下を受けたイールドカーブのフラット化が、銀行収益や年金・保険などの運用利回りの低下を招き、マインド面に悪影響を与える可能性もある。世界的な株安の動向を含め、会合では金融・資本市場の動向を慎重に点検していく考えだ。

野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミスト、木内登英・元日銀審議委員は、世界的な景況感の悪化を受けた米金利の動向次第では、日本の長期金利がマイナスになる可能性があるとみる。

そのうえで、米金利低下局面で日銀が長期金利低下抑制のために国債買い入れの減額を進めれば、円高・株安を誘発する可能性があると指摘。

現行のイールドカーブ・コントロール(YCC)政策という仕組み自体が、矛盾を抱えており、「長期金利が下限のマイナス0.2%程度まで低下した場合、日銀はYCC政策を放棄するしかない」と述べている。

日本の長期金利はどこまで低下し、日銀はどのような発信を行うのか。20日に会見する黒田東彦総裁の発言内容に注目が集まりそうだ。

伊藤純夫 清水律子 編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/boj-policymeeting-idJPKBN1OG0YV


 

ビジネス2018年12月17日 / 18:34 / 17分前更新
インタビュー:貿易摩擦、既にアジアに影響=IMF局長
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[東京 17日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のイ・チャンヨン・アジア太平洋局長は17日、ロイターとのインタビューに応じ、米中貿易摩擦は既にアジアの景況感と投資に悪影響を及ぼしており、来年1月にIMFが世界の経済成長率予想をさらに下方修正する可能性もあると述べた。

中国への輸出依存度が高い日本と韓国が、アジアでは特に打撃を受ける可能性があるという。

局長は「投資は予想よりもはるかに弱い。私の解釈では、信頼感を通じてすでに世界経済、特にアジア経済に悪影響を及ぼしている」と発言。「世界の成長は10月時点の予想よりやや鈍いとみている」と述べた。

IMFは10月、米中貿易戦争の影響を踏まえ、今年と来年の世界経済の成長率予想をともに3.7%に下方修正した。7月時点の予想は3.9%だった。

アジアの経済成長率については、来年5.4%となり、今年の推定5.6%から減速すると予想している。

局長は、IMFが来年1月の予測見直しで、経済成長率予想をさらに引き下げる可能性があると発言。アジアだけでなく欧米でも景気減速の兆しが見られるという。

局長は「不透明感は非常に強い。不透明感というのは、上振れの可能性も下振れのリスクもあるということだ。現時点では、下振れリスクのほうがやや高い」と述べた。

中国については、過剰債務の削減など長期的な課題に対応する必要があり、対外的な逆風にもかかわらず、大規模な刺激策に頼っていないと指摘した。

局長は「(中国は景気刺激を)加速していない」とした上で「ただ貿易面の緊張がエスカレートしたり、成長率が低下すれば、刺激策を活用する用意があるという可能性は排除できない」と発言。

「我々が懸念し、我々が助言しているのは、デレバレッジといった中期的な目標が、依然として金融の安定にとって重要だという点だ」とし、「実際に刺激策の活用を試みる際は、信用の拡大よりも、財政政策を活用することを期待する」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/changyong-rhee-imf-idJPKBN1OG0XL?il=0
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/145.html

[経世済民130] 2019年経済展望、何でもありの「ブラックスワン」原油と株の急落、市場は何を叫んで 中国、米中貿易戦争で変革促す声高まる
外為フォーラムコラム2018年12月17日 / 08:02 / 23分前更新
コラム:
2019年経済展望、何でもありの「ブラックスワン」
Jamie McGeever
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[ロンドン 13日] - 投資家が今後12カ月の政策や政治リスクを点検し、自分の戦略や投資計画を狂わせかねない、実のところ予測不能なイベントを見通そうとする時期が再びやってきた。

そして2019年は、可能性は低いが影響大な「ブラックスワン(想定外の出来事)」から、多少は予測可能でも影響も大きい「グレースワン」まで、いかなる可能性も排除することはできない年になりそうだ。

トランプ米大統領の弾劾。英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)取りやめと残留。トランプ大統領による、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長解任。ドイツのリセッション(景気後退)入り。米中貿易戦争の解決と市場急騰。原油価格1バレル=20ドルへの暴落。

これらはすべて可能性は低いが、もし実際に起きれば世界市場に甚大な影響を与えるだろう。だが現在、世界各国の政治が過熱状況にあることや、経済や市場のサイクルの成熟度を考えれば、実は「何でもあり」なのだ。

ブレグジットを例にとろう。もし英国のEU離脱が遅れたり、延期されたり、ずるずると何年も先延ばしになったり、または完全に撤回されたりするとしたら、英ポンドはどうなるだろうか。大幅に上昇する可能性が高い。

ブレグジットの是非を問う国民投票が行われた2016年6月23日の夜、ポンドは1.50ドルの手前で推移していた。その年は、10月に1度「フラッシュ・クラッシュ」が起きたのを除くと、1.20ドルまで下落した。今週再び、1.25ドル以下まで下げている。

ブレグジットは、依然としてポンドの重石となっている。そして、離脱が遅れたり、どうにかして英国がEUに残留したりすることになった場合、ポンドは簡単に1.40ドルを上回ってしまうだろう。そして、両ケース、または国民投票のやり直しが行われる可能性は、高まっている。

ブレグジット撤回や「ソフト」なブレグジットは、イングランド銀行(英中銀)に利上げを検討させる可能性がある。そうなれば、投機筋の間で積み上がっている相当規模のショートポジションが跳ね返るだろう。

その他の国の金融政策はどうなるだろうか。

トランプ大統領は、FRBを「狂っている」だの「ばかげている」だのと呼び、パウエル議長を笑いものにしている。もしパウエル氏のFRBが来年も金融政策の引き締めを続けた場合、トランプ氏が最終的に同氏を解任することはあり得るのだろうか。

それも、まったく奇想天外な話ではない。FRBの利上げがひとたび過多になれば、長短金利のイールドカーブの逆転が起き、経済がリセッション入りして株式市場が暴落する。激怒したトランプ氏は行動に出るだろう。

そうなれば、投資家は不安になり、市場全体で不確実性とボラティリティーが高まって、「安全資産」としての米国債に需要が押し寄せ、利回りは一層下がってイールドカーブの逆転幅はより大きくなるだろう。

米国債の2年物と10年物の利回り格差は先週、逆転までわずか10ベーシスポイント以下に迫った。過去50年の間、逆イールドは景気後退の前兆となっている。今回は、そうならない可能性が十分にあるが、そのこと自体が投資家にとって「グレースワン」だろう。

米国の景気後退局面入りは、来年は想定されていない。来るとすれば、2020年になるだろう。だが来年の景気減速はあり得る。そしてそれは、特にドイツやユーロ圏も減速した場合には、原油価格を1バレル=20ドルまで引き下げるのに十分だろう。

欧州中央銀行(ECB)は3年に及ぶ2兆6000億ユーロ(約335兆円)規模の量的緩和(QE)政策を終了し、金利は少なくとも来夏にかけて現在の記録的な低水準を維持するが、利上げの軌道は堅持している。だが、もし深刻な減速が起きれば、それは難しい。

その場合は、フランクフルトの印刷局が再びフル回転することになる。だが、出資比率の調整やQEのルールがあるため、ECBが買い増すことができる国債はなくなりつつある。それでも、ドラギ総裁の指揮の下、ECBはほとんど前例のない柔軟性と意志をもって未知の領域に踏み出してきた。

米国と欧州の経済減速は、原油にとって良くない。今年初め、原油価格が1バレル=100ドルに迫るのではないかとの説が出たことを覚えているだろうか。2カ月もたたないうちに30%も急落し、この説にはまったく信頼するに足りないということが明らかになった。現在、北海ブレント原油は1バレル=60ドル程度で、100ドルと20ドルの中間の位置にある。米国産標準油種(WTI)は現在、1バレル=50ドルの水準にある。

厳密にいうと、原油は極めてもろく、20ドルになる確率の方が急なリバウンドの確率よりも高い。根本的に、現在世界では原油供給は飽和状態にあると、野村のアナリストは指摘している。そしてわずか3年前には、原油は13年で最低レベルの1バレル=20ドルで取引されていた。

銀行やブローカー、トレーダーや投資家が、来年についてあまたの予測を出している。深刻なものもあれば、それほどでもないものもある。以下に、サクソ・バンクと野村、HSBCがそれぞれまとめた「ブラックスワン、グレースワン」予測を要約した。ポジティブなものもネガティブなものもあり、統一見解には程遠いが、いずれも2019年の市場に大きなパンチを見舞う可能性がある事柄だ。

●野村

ショック1:ポピュリズムの終焉

ショック2:原油価格が1バレル=20ドルに下落

ショック3:市場の激震

ショック4:イタリアの再生

ショック5:新興国市場のデフレーション

ショック6:中国人民元の回復

ショック7:世界が成長軌道に乗る

ショック8:ユーロ圏のデフレーション

ショック9:インフレーションの衝撃波

●HSBC

<リスクイベント>

ユーロ圏の新たな危機

貿易摩擦の終息

気候変動の影響

<バリュエーションへのリスク>

米企業の収益率低下

新興国市場の改革サプライズ

ECBが型破りな新政策開始

<流動性とボラティリティーのリスク>

レバレッジのリスクと会計術

FRBの利上げ継続

債券の売り出しに買い手がつかない

確定利付債のボラティリティーが再燃

●サクソ・バンク

1. EUが「デット・ジュビリー(債務帳消し)」を宣言

2. アップルが、1株520ドルで電気自動車大手テスラを買収する「原資確保」

3. トランプ大統領がパウエル議長に「クビだ」と告げる

4. (英野党・労働党の)コービン氏が英首相になり、英ポンドと米ドルが等価になる

5. 企業への貸し渋りにより、米動画配信大手ネットフリックスが米ゼネラル・エレクトリック(GE)と同じ道を歩む

6. オーストラリアの住宅バブルが崩壊し、豪中銀が量的緩和策に乗り出す

7. ドイツがリセッション入り

8. 大規模な太陽フレアで混乱が生じ、2兆ドル規模の損害が出る

9. 気候変動を巡るパニックが広がり、世界的な交通税が導入される

10. 国際通貨基金(IMF)と世銀が、国内総生産(GDP)の計算をやめ、代わって生産性に注目する方針表明

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/global-markets-2019outlook-idJPKBN1OD0JH


 

外為フォーラムコラム2018年12月15日 / 09:25 / 2時間前更新
コラム:原油と株の急落、市場は何を叫んでいるのか
Edward Hadas
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[ロンドン 12日 ロイター] - 騒々しい電車の中では、声を張り上げなければ相手に届かない。こうした事実は、最近の原油価格の急落と、株式市場で1日のうちに生じる大きな変動を理解する助けとなる。

少なくとも2014年ごろには石油市場は驚くほど安定していた。

2010年12月23日の米国産標準油種(WTI)原油先物は、2008年の金融危機以来となる1バレル=90ドルを上回り、その水準を維持した。WTI価格がこの水準を再び下回ったのは、2014年10月7日である。その間の954営業日にわたり、原油価格は終値で平均1バレル=96ドルだった。この平均から20%以上の変動を見せたのは1日だけである。

価格をこれだけ安定させるには、供給側に規律が求められる。価格上昇が始まったら蛇口を開き、在庫が増え始めたら蛇口を絞る。2010年代の初め、サウジアラビアとその同盟国にはこうした規律を維持するだけの影響力があり、市場が小声でささやくだけでバランスが保たれていた。

だが昨今では、石油市場はメガフォンを使って叫んでいるようだ。わずか2カ月の間で31%も急落したのは、その最も極端な例にすぎない。先ほどと同じく直近の954営業日という期間で、最近のWTI価格を見ると平均1バレル=52ドルであり、これはほぼ現在の水準と同じだ。だが、その間の価格は大きく変動した。この平均から20%以上の乖離(かいり)を示した日数はほぼ3分の1に及んでいる。

何が起きているのかを理解するための第一歩は、コモディティー価格に関する従来の経済理論を忘れることだ。ボラティリティーの増大も、最近の価格急落も、供給コストの変化への反応ではない。そうした変化はあまりにも緩慢なので、日次の、それどころか月次の大きな価格変動を生み出すにさえ、とうてい至らないのである。

また価格の乱高下は、供給・需要の量的な変動に対する合理的な反応とはとうてい言いがたい。どちらも相対的にゆっくり変化している。過去5年間、供給・需要のいずれを見ても、年間の変化は平均2%以下である。さらに、石油の在庫には十分な柔軟性があり、何か想定外の要素があっても吸収できる。

同じ過去5年間に年間の平均価格が22%も変動したとすれば、何か別の理由があるはずだ。投機や金融コストといったテクニカルな要因も作用している。

だが、最も頼りになるのは地政学的な説明だ。世界全体、そして主要産油諸国であまりにも多くの混乱が生じているせいで、わずかな減産を促すためにも大幅な価格下落が必要になっている。

混乱のすべてを数え上げることは難しい。イランとベネズエラの生産量が政治的混乱と制裁によって抑制されているとはいえ、サウジ、ロシア、イラクといった原油輸出への依存度の高い産油国の大半では、国内からのプレッシャーに直面する独裁的な国家指導者が、減産よりも増産の誘惑に駆られている。彼らは市場からのメッセージを聞きたがらない。

主要産油国の中で最も市場への反応が鈍いのが米国だ。キャッシュフローがプラスになっている限り、市場が悲鳴を上げ始めても、米国の生産者は基本的に耳をふさいだままだ。したがって、2018年1─8月の米生産量は前年同期比で16%増だった。今や世界全体の生産量の14%を占める十分に大規模な産油国である米国が、それなりに大きなプレッシャーを加えたことで、他国は減産を強いられた。

最近の価格急落は、3歳児が注意をひくために泣き叫ぶのと同じである。ウンザリした親たちが思い知らされているように、こうした幼児の戦略はたいていの場合うまくいく。ロシアのプーチン大統領とサウジのムハンマド皇太子は小幅の減産に合意した。

実質的に、原油価格のボラティリティーは、実際の価格とは違う形で原油市場に規律を与えている。原油価格が現在の1バレル=53ドルより大幅に低い水準に落ち着いてからも、キャッシュフローがマイナスになることでグローバルな生産量が大きく削減されるまでには、非常に長い時間を要することになるだろう。方向は逆ではあるが、金融危機以前にも事情は同じだった。原油価格が1バレル=140ドルだったころ、価格を下落させるほど需要が落ち込むには時間がかかったのである。

その後、金融危機により原油市場の力学は変わった。価格が急落した後、生産量は若干減少した。そして今、価格変動そのものが需給の調整を司るようになった。産油国の財政に与えるショックの急激さが、諸国の関心を集中させている。

価格水準よりも価格変動の方が重要になっているのは原油市場だけではない。

たとえば株式市場においても、実際の株価はほとんど経済的な影響を及ぼさない。上場企業が新株発行によって調達する資金の額は、資本投資のうちわずかな部分しか占めないからだ。だが株価の変動は、それも急速で大幅な場合は特に、投資家心理の揺れを示すかなり正確な指標となっている。

産油量を維持しようと懸命になる石油生産者と同様に、中央銀行、金融機関、政治家たちが市場からのメッセージを聞きたがるとは限らない。非常に多くの国の現状に見るように、政治が特に不透明である場合、指導者らは騒音に負けないように号令をかけようとする傾向を強める。

ここ数週間の株価急落から推測すると、金融システムがひどく大きな叫び声を上げようとしているのかもしれない。
https://jp.reuters.com/article/column-oil-price-idJPKBN1OD11Q

 

 


トップニュース2018年12月17日 / 16:19 / 1時間前更新
焦点:改革開放40年の中国、米中貿易戦争で変革促す声高まる
Kevin Yao
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[北京 14日 ロイター] - 米中貿易戦争により、中国の起業家や政府顧問、シンクタンクから、世界2位の経済大国である自国の改革を加速させ、国から抑制されている民間セクターの開放を求める声が強まっている。

こうした変化を求める声は、中国の重要な記念日を控えて、一段と高まっているが、政府が主な政策を変更する兆しは見られない。

当時の指導者だった故トウ小平氏が「改革開放」を開始してから18日で40年を迎える。一連の画期的な資本主義的実験によって、同政策は中国の大半を貧困から脱却させ、経済大国へと変貌させた。

中国は以前から、自国のペースで広大な市場をさらに開放する意向だと明らかにしてきた。

だが、今がその時だと考える政府顧問の数はますます増えており、改革が米国との貿易摩擦を沈静化させるだけでなく、中国経済の長期的向上を確実なものにさせる、と彼らは主張している。

米国は中国に対し、産業助成金をやめて国が主導する経済モデルから転換し、自国市場を米国製品に開放し、知財窃盗や強制的な技術移転を取り締まるよう求めている。

「米国からの圧力が改革の原動力となるかもしれず、これは中国にとってチャンスとなり得る」と、中国政府のアドバイザーを務める人物はロイターに語った。「中国に対する圧力はとても大きく、われわれは長期的な準備をすべきだ」

トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は、米国が2000億ドル(約22.7兆円)相当の中国製品に対する輸入関税を、来年1月1日から現行の10%から25%に引き上げる計画を延期して、通商交渉を行う「休戦」に合意した。

今後の交渉で合意に至るには、中国は一段の市場開放や助成金の削減、知財保護の改善を含むいくつかの譲歩を迫られるだろうと政府関係者らは言う。だが、中国は自国の競争力に不可欠な産業発展計画を棒に振るつもりはない、と付け加えた。

「米国は中国に改革ペースを速めるように求めているが、それはわれわれの利益と一致する」と別の政府顧問は話す。「われわれは市場志向の改革を推進するが、急ぎすぎず、西側モデルを完全にまねるわけではない」

中国国務院(内閣に相当)はコメント要請に応じなかった。

中国は6月、以前から期待されていた金融、農業、自動車、重工業などへの外資の出資規制緩和を発表し、一段と市場開放する方針を示した。

習主席は18日、改革開放40周年を記念して演説を行う予定だと、外交筋は語った。

<国の介入>

中国共産党は2013年、第18期中央委員会第三回全体会議(三中全会)で、今後10年間の改革案の1つとして資源配分で市場が「決定的な」役割を果たすと表明。だがその後、改革のペースを巡り、中国の経済学者の間で失望が広がった。

この数カ月、あらゆるタイプの事業において共産党が存在力を強めていることへの不満が高まっている。

「依然として政府は介入しすぎる。差し当たり、緩和されていると感じたことはないし、政府が今後、緩和するとも思わない」と、江蘇省常州の産業機器メーカー「孟騰智能装備」のゼネラルマネジャー、サム・ユウ氏は言う。

「中国国内の改革を促進するには外的要因が必要だと思う」と、同氏は貿易戦争についてこう付け加えた。

著名な経済学者で中国の政策策定に携わってきた呉敬l氏は、自国の発展と転換に不可欠な改革を実行するという約束を実現するため、「より大きな政治的勇気と英知」を示すよう中国指導部に求めている。

Slideshow (2 Images)
肥大化した国有部門に対して1990年代に痛みを伴う改革を指揮した朱鎔基・元首相の息子である朱雲来氏も、北京で最近開かれた金融フォーラムで「改革・開放がなければ、社会が組織的な成長を維持することは非常に困難だろう」と同様の主張を行った。

また、中国人民銀行(中央銀行)金融政策委員会の劉世錦委員も同フォーラムで、中国の「不完全な」市場経済の向上と一段の開放に向けた改革は、対米貿易摩擦に対処する上で役に立つと語った。

<苦境に立つ民間企業>

持続的な経済成長の鍵とみられている中国民間企業の不自由さは、2008年の世界金融危機時に政府の大規模な刺激策により復活を遂げた国有企業が勢いづいているのとは対照的だ。

国有企業が民間企業を犠牲にする形で力強く成長する、いわゆる「国進民退」の傾向を強調するかのように、国有企業は今年、少なくとも民間上場企業31社の経営権をすでに取得、あるいは今後取得する計画であることがロイターの調べで明らかとなった。

そのような買収は昨年はごくわずかで、今年はその数を上回っている。

習主席は、中国経済の急激な減速を回避する対策の一環として、金融機関に対して資金提供や税制支援を約束しているが、民間企業は国有企業と対等の立場を求めている。

しかし、習主席が国有企業の活動を抑制する大胆な行動に出る兆しはほとんど見られない。

中国人民銀行の易綱総裁は10月、中国が国有企業と民間企業を対等にする「競争中立性」の原則を採用する計画だと語った。

だが、中国政府と国有企業の緊密な関係を考えると、こうした約束は単なる象徴的なものにすぎないと専門家はみている。

「改革が唯一の方法だ。過去の改革は政治に触れなかったが、もう余地は残されていない。政治変革なき経済改革では袋小路に入るだけだ」と、3人目の政府顧問は語った。

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
https://jp.reuters.com/article/china-market-reforms-idJPKBN1OG0LF
 

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/146.html

[経世済民130] 日立、スイスのABBから送配電事業を約7140億円で買収−過去最大 武田薬は格付3段階引下げ J&Jベビーパウダー危機
#買収で暗転

日立、スイスのABBから送配電事業を約7140億円で買収−過去最大
松田潔社
2018年12月17日 15:07 JST 更新日時 2018年12月17日 17:41 JST
2020年前半に株式80.1%を取得、4年目以降に完全子会社化目指す
世界トップ目指し「まだやりたいことは頭の中にある」と社長

Photographer: Bloomberg/Bloomberg
日立製作所は17日、スイスの産業機械メーカーのABBから送配電事業を買収することで合意したと発表した。総額約7140億円を投じて同事業に80.1%出資する計画で、実現すれば同社にとって過去最大の買収となる。

  2020年前半に株式を取得して連結子会社化し、新会社発足から4年目以降に完全子会社化を目指す。買収は手元資金や借入金でまかなう。取引ではファイナンシャル・アドバイザーとしてUBSとゴールドマン・サックス証券を起用しており、取得総額には約100億円のアドバイザリー費用などが含まれている。今期(2019年3月期)の業績には影響を与えないとしている。


Toshiaki Higashihara on Dec. 17Photographer: Junko Kimura-Matsumoto/Bloomberg
  東原敏昭社長は同日の記者会見で、「グローバルナンバーワンのパワーグリッド企業を獲得できてうれしい」と発言。日立としては過去最大の企業買収となるが、「値段はリーズナブル」と強調し、大事なのは日立を世界のトップリーダーにすることだと述べた。また、「まだまだやりたいことは頭の中にある」として、さらなる企業買収を模索する考えも示した。

  発電所などから工場や家庭などに電気を届ける送配電事業はABBが取り組む4事業のうちの一つ。同事業では送電網の運営や関連機器の製造なども手掛けており、約100カ所の製造拠点と200カ所の営業拠点を保有し従業員数は約3万6000人となっている。17年12月期の売上高は約100億ドル(約1兆1000億円)だった。

  日立は再生可能エネルギーや電気自動車の普及拡大に対応し、国内外で次世代エネルギー分野の収益拡大を目指す。また同社長は14年4月に就任以来IoTを駆使したデジタル・IT技術を中核とする会社に再編するため積極的な買収方針を打ち出しており、18年度までの3年間で総額1兆円規模の買収を実施する意向を表明していた。

  日立は15年6月、ABBと日本国内での高圧直流送電事業に関する合弁会社の設立を発表していた。03年に米IBMのハードディスク事業を約2300億円、15年にはイタリアの製造会社フィンメカニカの鉄道関連事業を約2600億円で取得しているが、今回の買収額はこれらを上回る。 

(会見内容を追加して記事を更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-17/PJV7Y76K50YD01


 

ムーディーズ:武田薬の格付け3段階引き下げ、シャイアー買収が影響
岡田雄至
2018年12月17日 17:45 JST
従来のA2からリスクが中程度のBaa2に
有利子負債/EBITDA倍率が他の製薬会社を大きく上回る水準に
ムーディーズ・ジャパンは17日、武田薬品工業の格付けを信用リスクが低い「A2」からリスクが中程度の「Baa2」に3段階引き下げたと発表した。総額約7兆円でシャイアーを買収で有利子負債が増加することが影響した。

  ムーディーズは5月に武田の格付けをA2に引き下げ、さらなる格下げ方向での見直し対象としていた。17日の変更を踏まえ、格付け見通しは安定的に変更した。

  同社の浅沼有紀子アナリストは同日の発表文書で、買収により武田薬の有利子負債は6倍近くに増加し、レバレッジはムーディーズが投資適格級としている製薬会社の中で「最も高い水準になる」と指摘。約3兆円有利子負債が増えることで、武田薬の総有利子負債/EBITDA倍率は5倍超と、格付けBaa以上のグローバル製薬会社の一般的な水準である2−3倍を大きく上回るとの見解を示した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-17/PJVH9R6JIJUQ01?srnd=cojp-v2

 

コラム2018年12月17日 / 13:18 / 5時間前更新
コラム:J&Jのベビーパウダー危機、長期化する可能性
Robert Cyran
2 分で読む

[ニューヨーク 14日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米医薬品・日用品大手、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J(JNJ.N)のベビーパウダーを巡る滑石(タルク)危機は、何年も長引くことだろう。

同社が1970年代から原料滑石(タルク)の試験でベビーパウダーにアスベストが含まれていたことを数十年間把握していたとのロイター報道を受けて、同社株は14日急落し、時価総額から400億ドル(約4兆5000億円)が消えた。

J&Jは、今回の記事を「ばかげた陰謀論だ」と一蹴。「J&Jや規制当局、独立専門家は、アスベストの含有を調べるあらゆる手法を使っており、これらの手法によって判明した結果のすべてが、われわれのタルクにアスベストが含まれていないとの結論だった」と主張する。

もし歴史が道しるべになるのなら、市場の反応は過剰だったかもしれない。だが訴訟や傷ついたブランドは、そう簡単には解消しない。

同社のベビーパウダーを巡っては、タルクが健康障害を引き起こしたとして1万件以上の訴訟が起きている。今年7月には、原料に含まれるアスベストが原因で卵巣がんを発症したとして女性22人が訴えた訴訟で、ミズーリ州セントルイス巡回裁判所の陪審が同社に46億9000万ドル(約5320億円)の損害賠償支払いを命じる評決を下している。

だが市場はこの判決をほぼ無視した。同社の株価は、1月から今月13日までに5%近く上昇し、時価総額は4000億ドルに達していた。今回、その1割が吹き飛んだことは、過剰反応だったかもしれない。

投資家は、巨額和解の可能性が高まるとパニックに陥る傾向がある。米製薬大手メルク(MRK.N)が2004年、心臓発作との関連が指摘された鎮痛剤バイオックスを販売停止した際には、時価総額の27%に相当する270億ドルを失った。同社は最終的に、総額50億ドル以下を支払うことで和解した。

同様に、ドイツの製薬・化学大手バイエル(BAYGn.DE)の株価も、今年買収した米種子・農薬大手モンサントの除草剤ががんの原因になったとして訴えられていることから、150億ドルの債務を織り込んだ水準で取引されている、と米バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは推定している。

こうした訴訟費用の負担が、早期に終わることはない。メルクは、販売停止から10年以上がたった今も、バイオックス関連の訴訟を抱えている。

だが最も修復が難しいのは、傷ついたJ&Jの評判だろう。

12月14日、米医薬品・日用品大手、ジョンソン・エンド・ジョンソンのベビーパウダーを巡る滑石(タルク)危機は、何年も長引くことだろう。J&Jのベビーパウダー。ニューヨークで2016年2月撮影(2018年 ロイター/Mike Segar/Illustration)
1980年代に、シカゴ近郊で何者かによってシアン化合物が混入された同社の鎮痛剤タイレノールを飲んだ7人が死亡する事件が発生した。これを受けて、3100万瓶を回収し、消費者に注意を促す広告を出し、異物混入を困難にするパッケージを導入したJ&Jの当時の対応は、現在でも信頼回復のための対応策の好例として米国のビジネススクールの授業でよく取り上げられている。

J&Jがもし本当に、世界中の赤ちゃんに使われている製品に関わるやっかいなデータを黙殺し続けていたとすれば、いずれ反対の例として取り上げられることになるかもしれない。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/johnson-johnson-cancer-breakingviews-idJPKBN1OG0BD



http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/147.html

[経世済民130] 勤続5年で1ヵ月休暇、米企業が「表彰前倒し」に走る訳 1兆ドル規模の米レバレッジドローン市場の運命 狭まるトランプ包囲網
コラム2018年12月16日 / 09:28 / 27分前更新

勤続5年で1ヵ月休暇、米企業が「表彰前倒し」に走る訳
Chris Taylor
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[ニューヨーク 10日 ロイター] - かつて米国では、勤続30年を迎えた社員には金時計を贈って表彰したものだった。だが、ハダス・ストレイト氏の場合は違う。

グローバル・コミュニケーション企業アリソン・アンド・パートナーズの上級副社長である同氏は、勤続わずか5年の社員に贈られる1カ月の有給休暇から戻ったばかりだ。数週間、ケープコッドで家を借りて過ごしたという。

ニューヨークに拠点を置くストレイト氏はその間、一度も仕事のメールをチェックしなかったと断言する。

「働かなかったのは子どものとき以来」と同氏は言う。「少し不安だったけど、仕事に戻ったときはリフレッシュしている。心機一転、また仕事をする気になる」

勤続表彰を「前倒し」で受けているのはストレイト氏だけではない。米人材マネジメント協会の今年の調査によると、63%の企業が勤続を表彰して報酬を与えていることが分かった。また、報酬は年間9%増加していた。

勤続5年での表彰は、シリコンバレーのような、過酷なライフスタイルや終わりのないプロジェクトの締め切りに追われて社員が燃え尽きやすい職場文化で特に広がっている。

米ソーシャルメディア大手のフェイスブック(FB.O)は2015年から「リチャージ」プログラムを提供している。勤続5年を経過した社員は「リフレッシュしてリラックスするための連続休暇」として30日を取得することができると、同社の福利厚生担当副社長のTudor Havriliuc氏は説明した。

いったい何が起きているのだろうか。

米国の雇用状況にそのヒントは隠されている。米労働省労働統計局(BLS)によると、失業率は3.7%で歴史的低水準に近づいている。また、全米自営業者連盟(NFIB)が小規模事業主を対象に最近行った調査では、37%が求人を出しても埋まらなかったと回答している。この数字は同調査史上、最も高いという。

同時に、企業は収益を上げ続けるために賃上げには消極的だ。したがって、大規模な賃上げを行うことなく社員を表彰して在籍率を向上させる1つの方法として、勤続報酬があるのだ。

最近では勤続30年、40年の社員はほとんどいないため、働き盛りで、ライバル企業や管理職のヘッドハンターにスカウトされる可能性が最も高い勤続わずか数年の社員を表彰する企業が増えている。

<勤続記念日>

「昨今の労働市場では、求職者よりも仕事の方が多い状況であり、最高の人材を獲得しようとする競争はかつてないほど激しくなっている」と、米人材マネジメント協会の広報担当者、バネッサ・ヒル氏は指摘。「企業は、社員を入社させて働き続けてもらうためにはどのような報酬手当が最も効果的か探しており、勤続報酬を提供する企業が増えている」

勤続5年の社員が享受しているのは長期有給休暇だけではない。

企業が毎月の固定費を節約するのを助ける会社「SIB Fixed Cost Reduction」は、勤続5年の社員に5万ドル(約565万円)という高額の小切手を提供している。

「長期間、同じ仕事を続ける人はもはや少なく、多くの場合は多少の給料アップを求めて転職する。したがってこうした報酬により、転職しなくても今の会社でまだ成長できるし、もっと稼ぐことができると示せる」と、サウスカロライナ州チャールストンに拠点を置く同社のダン・シュナイダー最高経営責任者(CEO)は話す。

ほとんどの企業の場合、社員の在籍期間は2年程度だとシュナイダー氏は言う。法外な額の小切手で社員のやる気を出させることで、同社社員の平均在籍年数は現在4年に上がったという。

もちろん大金を手にした人間は使い道を誤ることもあるため、社員が勤続報酬の現金を不必要なものに使ってしまう可能性もある。

したがって、報酬で得た現金を散財するかわりに、長期的に生活状況を改善させるようなことに使った方がいいだろう。例えば、学生ローンを完済したり、住宅や結婚式の頭金に充てるべきだと、シュナイダー氏はアドバイスする。

また、もし報酬が長期有給休暇の形で贈られる場合、それをきちんと活用すべきだと、前出のハダス・ストレイト氏も助言する。

長期有給休暇の目的は要するに、楽しんで充電し、リフレッシュすることだ。休暇中、5分ごとに仕事のメールをチェックするなら、そうした目的は台無しになり、自身や雇用主を欺くことになるとストレイト氏は言う。

「勤続5年で1カ月の有給休暇をもらったと人に話すと、皆びっくりする。そのようなことは聞いたことがなかったから。休みをもらって、とても長い昼寝をしたような感じがした」

*筆者はロイターのコントリビューターで、個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-us-labor-idJPKBN1OD0QI


 


1兆ドル規模の米レバレッジドローン、市場の運命握る日本の銀行
Cecile Gutscher、Tracy Alloway
2018年12月17日 0:27 JST 更新日時 2018年12月17日 10:45 JST
• 人気を集めたローン市場、最近では資金引き揚げが目立つ
• 日本の銀行はトリプルAのCLOの4分の3を購入している可能性
日本の銀行は高債務の米企業向けローン債権の3分の1相当を購入し、同市場の規模が1兆ドル(約113兆4000億円)を超えるのを後押しした可能性がある。UBSグループの新たな推計が示唆した。
  バランスシートの弱い企業向けの融資であるレバレジッドローン。長引く低利回りの影響で、こうしたローンの市場へと、投資資金は流れた。こうした融資の債権は、金利上昇を懸念する投資家に逃避先として購入が持ちかけられ、多くの場合、投資家を保護する目的で信用を補強し、ローン担保証券(CLO)に組成された。
  ウォール街で最もホットな商品として注目されていたローンの市場にも、ひび割れが見え始めている。12日終了週には過去最大の25億3000万ドルが、レバレッジドローン・ファンドから引き揚げられた。またウェルズ・ファーゴとバークレイズは最近、4億1500万ドル規模の案件を取り下げた。シティグループが調査対象とする米レバレッジドローンのうち、額面を上回って取引されているのはわずか0.9%。つい数カ月前には70%を超えていた。
  UBSによると、日本の銀行は最上級のトリプルA格付けのCLOを購入している。同等格付けの国債より利回りが高いからだ。過去数年にこのアセットクラスに流入した資金のうち、日本の銀行が約33%を占めていたという。この需要が弱まる可能性はあるものの、日本勢からの投資は最近売りを浴びている市場に安定を与えるかもしれないと、UBSは指摘する。
  スティーブン・カプリオ氏らアナリストはリポートで、「日本勢による米ローン買いはそう簡単には崩れないだろう」と指摘する。「大半の日本の銀行は満期まで保有する。信用損失の見通しが鮮明になり、リセッションのリスクが今より大きく上昇する状況にならない限り、アウトライトの売りはかなり限られるだろう」と分析した。
  UBSのデータと分析によると、日本の銀行は格付けがトリプルA級のCLOトランシュの半分から4分の3程度を購入する可能性がある。日本勢の買いがなければ、トリプルA級CLOのスプレッドは少なくとも2014年の水準に戻る、つまり50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)拡大するだろうと、UBSが見積もった。

原題:Fate of $1 Trillion in Risky U.S. Loans May Be in Japan’s Hands(抜粋)
(最終段落に加筆し更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-16/PJQ6BQ6JTSED01?srnd=cojp-v2

 
コラム2018年12月15日 / 13:36 / 34分前更新
コラム:狭まる「トランプ包囲網」、訴追の可能性は
Tim Weiner
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[10日 ロイター] - 米国大統領は在任中に刑事責任を問われることはない。だが、トランプ大統領については、退任して民間人になった時点で起訴される可能性が浮上してきた。

ニューヨーク州の連邦検察官は7日、2016年の大統領選を有利に進めることを意図した口止め料の支払いが選挙資金法に違反していた、という重罪の容疑でトランプ大統領を告発した。

検察側は特に、トランプ氏の元個人弁護士で自称「黒幕」だったマイケル・コーエン被告が、トランプ氏と性的関係にあったと主張する2人の女性に口止め料を払った経緯についての詳細を明らかにして、この目的はトランプ氏を大統領選に勝たせるためであり、トランプ氏自身もこれを完全に了解していた、と主張している。

モラー特別検察官がすでに提示している文書によれば、トランプ氏が「選挙運動の開始からかなりたつ頃」、共和党の候補指名を得る直前に、モスクワで数億ドル規模に上る可能性のある不動産取引に関与していた、とコーエン被告が語ったという。

コーエン被告は、この件でトランプ氏と協議したことについて議会に偽証した容疑で有罪を宣告されている。

米国民は、今やコーエン被告が「個人1と調整しつつ、その指示を受けて(これらの違法な支払い)を行った」ことを知った。「個人1」とは米国大統領のことだ。またコーエン被告は、モスクワ不動産プロジェクトについて議会で虚偽の宣誓供述を行った時点で、ホワイトハウスや大統領の弁護士らと「緊密、かつ定期的な連絡」をとっていた。

モラー氏が率いる検察側は、モスクワ不動産プロジェクトは「ロシア政府からの支援を求め、かつそれを必要とする可能性の高い、利益の大きいビジネスチャンスだった」と記している。

その交渉は、「ロシア政府が米国大統領選挙に干渉しようと努力を続けていた時期に行われた」という。2016年6月、米民主党の全国委員会などのコンピューターネットワークに対するロシアのハッキング行為が初めて明らかになった数時間後、モスクワ不動産プロジェクトを巡る協議は中止された。

米連邦捜査局(FBI)はこの年の夏、ロシアによる選挙介入疑惑の捜査を開始した。秋に入ると捜査担当者は、ロシア攻撃に対して米国民の支援や扇動があったかどうかを注目し始めた。

そして今、私たちは、諜報戦の悪夢に直面している。お気に入りの候補者を米国大統領の座に就けようと動いたロシアの画策、そしてその副産物として当該人物が、アメリカの民主主義を傷つけ、北大西洋の同盟を攻撃しているのだ。

就任18カ月のモラー特別検察官による捜査は、トランプ大統領の就任時にまで及んでいる。モラー氏を中心とする検察当局は、トランプ氏を大統領の座に押し上げたのは、政治面だけでなく犯罪に当たる「嘘」の力だ、という明白で説得力のある論拠を構築した。

いずれ民間人に戻るトランプ氏は、いつの日か、こうした論拠や大統領による司法妨害についてモラー特別検察官が現在も継続している捜査によって、国を欺いた広汎な共謀容疑で訴追される危険がある。この法令は、はるか昔の連邦最高裁による判断によれば、「政府省庁の合法的機能をき損、妨害又は無効化することを目的とした、あらゆる共謀」を対象としている。つまり、選挙関連法や税法に対する違反、そしてあらゆる形の詐欺が対象となるのだ。

モラー特別検察官とその指揮下にあるFBI捜査官らの仕事は、この先何カ月も続くだろう。彼らはいずれ、「米国対ドナルド・J・トランプ」と銘打った、封印された起訴状を埋めるに足る事実を集めているのではないだろうか。

その起訴状は、トランプ氏が大統領の職を離れたとき、連邦裁判官によって封印を解かれる可能性がある。トランプ大統領はモラー特別検察官を妨害しようと試みるかもしれない。だが、以前も書いたように、FBI自体をクビにすることはできない。

モラー特別検察官はすでに、コーエン被告やトランプ陣営の選対本部長を務めたポール・マナフォート被告、そしてトランプ政権の大統領補佐官(国家安全保障担当)だったマイケル・フリン被告が、ロシア当局者やロシア情報機関の関係者と接触していたことについて、FBIと連邦議会に虚偽の供述をしたことを立証している。

もし、彼らがトランプ大統領の指示で虚偽の供述をしたのであれば、そのこともモラー氏の目を逃れられないだろう。

こうした嘘や、モラー特別検察官の捜査線上にある、さらに多くの嘘には、1つの共通点がある。そのいずれにも、ロシアのプーチン大統領とそのスパイ組織の影が見え隠れすることだ。

2016年、ロシアはトランプ氏の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏と娘婿ジャレド・クシュナー上級顧問に接近し、それぞれに「魅力的な餌」を提示したと見られている。トランプ・ジュニア氏には違法に入手した対立陣営の不祥事、クシュナー氏にはロシア政府との情報機関を通じたこれまた違法な連絡ルートだ。

これらは、獲物が食いつくかどうかを試すための情報機関の古典的な手法だ。そして、彼らは食いついた。彼らはFBIに電話で通報しただろうか。いや、していない。

その後、彼らはこの接触について連邦議会に虚偽の説明を行った容疑で偽証罪に問われている。つまり、大統領の家族が司法の手にかかる可能性がある、ということになる。

トランプ大統領はすべて否定している。新たな告発が明らかになったとき、彼は「大統領は完全に無罪放免だ、ありがとう!」とツイートした。国家指導者から、またもや虚偽の声明だ。ワシントンポスト紙のファクトチェック(事実確認)チームによれば、トランプ氏は大統領就任後6400回以上も国民を欺いており、モラー特別検察官、FBI、司法省をたえず激しく攻撃している。

こうした攻撃が示すように、米国における法の支配にとって、大統領は「今そこにある危機」だ。

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ここで問われているのは、連邦議会、裁判所、刑事司法制度といった米国制度にトランプ大統領を制止する力があるのか、またその場合、米国の政治や司法制度に対する攻撃を理由に彼を告訴することができるのか、という点だ。

1月に入れば、新たに選ばれた下院の民主党議員は、歴代大統領が誰も体験しなかったような厳しさで、トランプ大統領の調査に取りかかるべきだろう。

大統領弾劾という問題については、ひとまず棚上げする方が得策という結論になるかもしれない。圧倒的な事実によって少なくとも20人の共和党上院議員が造反して民主党の上院議員47人に加わらない限り、重大犯罪を理由とする大統領弾劾に必要な上院3分の2の議決を確保できないからだ。

1974年にはその1歩手前まで行った。当時のニクソン大統領は、ウォーターゲート事件の司法妨害における未起訴の共謀者として名指しされた。下院では弾劾の発議が行われた。上院における主なニクソン擁護派は、ギリギリになるまで態度を変えなかった。

「動かぬ証拠」の録音テープ公開によって、ようやく、米政界で最も強硬な保守派のバリー・ゴールドウォーター上院議員がホワイトハウスに足を運び、ニクソン大統領に対して、議会にはもう彼を支持する人間はいない、と告げた。辞任するしかない、と。

当時のゴールドウォーター上院議員に相当する人物は、どこにいるのだろうか。

現在、トランプ大統領に抗う共和党議員が1人でも存在することを示す証拠は、どこにも見当たらない。彼らが沈黙を続けるならば、米国の法と制度に対する継続的な攻撃に加担していることになる。彼らも共謀者であると言うべきかもしれない。

*筆者はピュリツァー賞を受賞した著述家。著書に「CIA秘録─その誕生から今日まで」(原題:Legacy of Ashes: The History of the CIA)など。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/weiner-mueller-idJPKBN1OD1G5
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/148.html

[国際24] デモと暴動の国、露わになったフランスの本質 国を動かすのは「一握りのエリート」 仏暴動「なぜ黄色いベストなのか?」辻仁成
デモと暴動の国、露わになったフランスの本質
国を動かすのは「一握りのエリート」
2018.12.18(火) 佐藤 けんいち
【写真特集】フランス全土に広がるデモ、「黄色いベスト」運動
フランス・パリで行われた政府の燃料税引き上げに抗議する「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)」運動で、道路を走る装甲車(2018年12月8日撮影)。(c)AFP/Zakaria ABDELKAFI 〔AFPBB News〕

(佐藤 けんいち:著述家・経営コンサルタント、ケン・マネジメント代表)

 今年2018年は「明治150年」であると同時に「日仏交流160周年」の記念すべき年である。だが、日本におけるフランスのイメージは急速に悪化している。それは、立て続けに発生し、今なお着地点が見えない2つの事件が、日仏両国で交差しながら進行中だからだ。

 2018年も押し詰まってきた11月19日、日本の日産自動車と三菱自動車、フランスのルノー3者の会長を兼任していたカルロス・ゴーン氏が逮捕され、フランス政府が出資しているルノーによる日産支配の構造が一般人の目に明るみになった。それだけではない。フランス側の当事者であるマクロン大統領が、12月1日から始まり現在もなお継続中の「黄色いベスト」運動のデモと暴動で窮状に立たされている。

 この2つのニュースが連日メディアで流されているので、フランスのイメージが悪化するのは避けられない状況にある。

 だが、もともと日本人はあまりにもフランスを知らなさすぎたのである。日本人はフランスの芸術・文化には慣れ親しんでいるが、フランスの政治体制についてはほとんど関心がない。実はフランスという国は中央集権の官僚国家であり、警察国家である。もう記憶が薄れているかもしれないが、南太平洋で核実験を強行した国だ。こういった側面だけを見たら、およそ一般の日本人が憧れたりうらやましいと思ったりする存在ではないはずだ。おそらく例外は官僚だけではないか。日本の官僚にとってフランスの官僚は羨望の対象である。その理由については、おいおい見ていきたい。

 とはいえ、せっかくの機会である。この機会にフランスというものをしっかりと見つめてみよう。よく知ったうえで、友好関係を深めていけばいいのだ。

 もはや、かつてのように日本人が一方的にフランスに憧れるという時代ではない。日本のアニメやマンガを愛する若者は多く、彼らは日本に熱いまなざしを注いでいる。マンガを読みたいから日本語を学ぶというフランス人も少なくない。

 逆に日本では、日本の大学の選択外国語からフランス語が転落して久しい。大学時代に第二外国語としてフランス語を選択した私としては寂しい限りだが、フランスの国際的な相対的地位の衰退を如実に反映しているといえよう。いつの時代でも、若者は先物買いをするものだ。

 今回は「明治150年」「日仏交流160年」という意味について文化・芸術面以外の側面から振り返りながら、現在のフランスという国の特質について考えてみたい。

フランスに警察制度を学んだ『翔ぶが如く』の裏主人公
 さて、「明治150年」といえば、NHK大河ドラマ『西郷(せご)どん』であろう。一昨日の日曜日(12月16日)に最終回を迎えたが、展開があまりにも早く、西南戦争もたった1話で片付けられたとネット上で賛否両論もあったようだ。だが、私自身はこの大河ドラマは夏前に見るのをやめてしまったので、確かなことは言いようがない。ドラマとはいえ、あまりにも脚色の多い描写に、見る気がなくなってしまったからだ。

 その代わりというわけではないが、同じく西郷隆盛を主人公にした18年前の大河ドラマ『翔ぶが如く』の原作を読むことにした。言うまでもなく、司馬遼太郎による歴史小説である。『翔ぶが如く』は、放送当時は日本にいなかったためドラマを見ておらず、原作も読んだことがなかったのだ。今年になってから、書店の店頭に文庫版が平積みになっていたので、思い切って読むことにした次第だ。

 文庫本で10冊もある大河小説ともいうべき『翔ぶが如く』の主人公は、実は西郷隆盛(=西郷吉之助)だけでない。倒幕プロジェクトにおいては、同じ薩摩藩出身で無二の盟友でありながら、明治維新後は「近代化」の方向をめぐって対立することになる大久保利通(=大久保一蔵)の物語でもある。「情理」という点からいえば、「情の西郷」に対して「理の大久保」といっていいだろう。むしろ作者の司馬遼太郎は、大久保利通のほうに多く共感を寄せているように思われた。

川路利良の肖像(出所:Wikipedia)
 そして裏主人公ともいうべきなのが、日本の「警察制度の父」となった川路利良(かわじ・としよし)だ。いきなり小説の冒頭でフランスを舞台に登場する川路利良も、また薩摩藩出身であった。もともと西郷にかわいがられた人だが、のちに大久保に心酔し、大久保の「近代化」構想の一翼を担うことになる。西欧先進国にキャッチアップするため、近代的な官僚制の確立を急いだ大久保が根幹に据えたのが内務省であったが、その内務省において大きな役割を果たすことになったのが、治安を守る警察制度であった。

 では、どの国をモデルに警察制度を設計すべきなのか? それを検討する責任者として任されたのが川路利良であった。1871年(明治3年)には、司法省が派遣した西欧視察団の一員として欧州各国の警察を視察し、なかでもフランスの警察制度に大きな感銘を受けている。日本に帰国後には、フランスの警察制度をモデルに日本の警察制度の確立に邁進することになった。

 西郷隆盛が西南戦争(1877年)で敗北し、鹿児島の城山で壮絶な最期を遂げたことは周知の通りだが、西郷軍の鎮圧には川路利良率いる警察が政府軍として動員されていることは意外と知られていないようだ。陸軍だけではマンパワー不足であったからだ。

 大警視(現在の警視総監)の川路は陸軍少将を兼任し、その傘下にあった警視隊で組織された別働第三旅団を率いて参加、分水嶺となった田原坂(たばるざか)の激戦では大きな功績をあげている。ちなみに、主力となっていたのは、「薩摩憎し」の感情に煮えたぎる旧会津藩士たちであった。

 日本の警察制度が確立するのは、西南戦争以後のことである。川路利良と警察制度の確立、そして出発点がフランスであったことは、東京の京橋にあるポリスミュージアム「警察博物館」の常設展示で知ることができる。機会があれば、ぜひ訪れてみてほしい。

帝国陸軍もフランスがモデルだった
 面白いことに明治政府は、警察だけでなく、発足当時の陸軍もまたフランスをモデルとしていた。日清・日露戦争から第1次世界大戦にかけての陸軍上層部は、フランス式のエリート教育を受けた軍人たちであった。

 陸軍がドイツ式にモデルチェンジしたのは、1885年(明治18年)に陸軍大学校教授としてプロイセン陸軍のメッケル参謀少佐が招かれ、その翌年から陸軍改革が開始されて以降のことである。1870年の普仏戦争で、フランス陸軍に勝利したプロイセン陸軍の評価が陸軍内部で高まっていたからだ。

 司馬遼太郎の代表作の1つには、おなじくNHKでドラマ化された『坂の上の雲』がある。その主人公で、日露戦争でロシアのコサック部隊を破った「日本騎兵の父」秋山好古もまた、数学中心のフランス式の教育を受けて、フランスに留学して騎兵のなんたるかを学んだ人であった。松山藩出身の秋山は、最後は陸軍大将まで昇進している。帝国陸軍で元帥まで昇進した軍人は、西郷隆盛を除けば歴代で17人しかいないが、そのなかでも薩摩藩出身の上原勇作は「日本工兵の父」であり、秋山好古の同期であった。しかも、同じくフランスに留学したフランス派であった。賊軍となった会津藩出身だが、義和団事件で活躍し国際的に絶賛された柴五郎は砲兵科出身であり、秋山や上原とは同期であった。最終的に陸軍大将まで昇進しているが、子孫のためにのこした遺書によれば、すべてをフランス語で学んだと回想している。

 近代日本はまた、教育制度もフランスをモデルに制度設計したことにも、触れておかなくてはならないだろう。陸軍に警察に教育制度。近代日本が中央集権制のフランスから学んだ社会制度は少なくない。その功罪については、いろいろと考えなくてはならない。

フランスを牛耳る「一握りのエリート」
 現在の日本の官僚や官僚出身者には、フランスを礼賛する者が少なくない。それはフランスの文化や芸術を礼賛するというよりも、フランスの官僚制を礼賛しているのだ。

 すでに見てきたように、フランスは警察国家であるだけでなく、首都パリを中心にした中央集権制で強固な官僚国家である。日本の官僚が羨望のまなざしでフランスの官僚制度を見ているのは、当然といえば当然であろう。とはいえ、官が強すぎるのは考えものだ。経済とビジネスに関しては、同じ大陸欧州の連邦国家ドイツと比べるパッとしないのは、そのためではないか?

 米国社会には、「リボルビングドア」(回転ドア)があるといわれる。トップクラスのビジネスパーソンが政治任命でホワイトハウス入りしたり、政治家が落選後や退任後には再びビジネス界やシンクタンクに転職というケースが多いことを指している。だが、フランスはその比ではない。「一握りのエリート」によって、高級官僚から大企業の経営職にいたるまで、要職がたらいまわしされているといっても言い過ぎではない。

 冒頭でも触れたが、いま日本とフランスで焦点となっているゴーン氏と、暴動に翻弄されるマクロン大統領という因縁の2人もまた、それぞれ一握りのエリートの1人であり、似たもの同士である。カルロス・ゴーン氏は官僚出身ではないが、ルノー前会長は高級官僚出身者であった。エマニュエル・マクロン氏も、投資銀行出身であることが強調されているが、キャリアの第一歩は高級官僚である。エリート中のエリートである財務総監(日本でいえば財務省)の上級公務員であった。

 こういったフランスのエリート官僚制度を人材面で支えているのが、「グランゼコール」と呼ばれる高等教育機関の卒業生たちだ。グランゼコール(Grandes Ecoles)とは、日本で表現すれば「大学校」となるが、フランスでのプレステージは「大学」よりもはるかに高い。日本人はフランス最高峰の大学というとソルボンヌ、すなわちパリ大学を想起する人が多いかもしれないが、実はそうではないのだ。

 そのなかでもとくに、「エコール・ポリテクニーク」(日本語の通称は「理工科学校」)、「エコール・ノルマル・シュペリュール」(日本語の通称は「高等師範学校」)、「エコール・ナシオナール・ダドミニストラシオン」(略称はENA、日本語の通称は「国立行政学院」)の3つが最難関かつ最高峰とされている。自分の頭脳と成績に自信をもつ者が目指す、憧れの存在だ。

 ゴーン氏はエコール・ポリテクニークを卒業した上で、さらにエコール・デ・ミーヌ(パリ鉱業学校)を卒業している。エコール・デ・ミーヌは1学年100人程度しか学生がおらず、フランス最高のエリート校という評価もある。かつては鉱山技術者養成の学校であったが、現在では理工系のビジネススクールのような存在に変化している。いかに超優秀な超エリートであるかがわかるだろう。

 一方、大統領のマクロン氏は、パリ第十大学(通称「ナンテール」)でヘーゲル哲学を学んだあと、アンスティチュート・デチュード・ポリティーク・ドゥ・パリ(日本語の通称は「パリ政治学院」)で公共問題を専攻したあと、エコール・ナシオナール・ダドミニストラシオン(ENA)を卒業している。

 このように、ゴーン氏が理系の超エリートなら、マクロン氏は社会科学系の超エリートである。しかも、ともに哲学も修めているのである。グランゼコールや大学の入学資格である「バカロレア」の試験には哲学が課されるからだ。これはフランスの際だった特色である。

 余談めいた話になるが、私は日本の大学を卒業後に米国に留学して、米国最古の工科大学である「レンセラー・ポリテクニーク・インスティチュート」(略称RPI、通称レンセラー工科大学)でMBA(経営学修士号)を取得している。日本に帰国後に、とある飲み会の席でそのことを話したところ、えらく驚かれたことがある。会話相手の日本女性はフランス留学経験があり、「ポリテクニーク」に過剰反応したようだった。うるわしき誤解(笑)は、その場でただちに修正しておいたが、それほどゴーン氏の母校の1つであるエコール・ポリテクニークはフランスで評価が高いのだ。

ナポレオンが創設したエコール・ポリテクニーク
 グランゼコールのすべてを解説している余裕はないので、ここではエコール・ポリテクニークを中心に取り上げることにしよう。

 エコール・ポリテクニークは、フランス革命中の1794年に創設されたが、実質的な創設者は1804年に皇帝となったナポレオンである。拙著『ビジネスパーソンのための近現代史』でも、同時代と後世に多大な影響をあたえたナポレオンの業績について詳しく取り上げているが、ナポレオンは、もともと土木技術者養成のために設立されたエコール・ポリテクニークを、軍事技術者養成のための学校として改組し再建した。

 そういった経緯があるので、エコール・ポリテクニークは現在でも国防省管轄の大学校であり、初年度は新入生全員が兵役につくことになっている。7月14日の革命記念日のパレードで先頭に立つのは、制服に身を包んだ学生たちなのだ。

 ただし現在では、この学校を卒業して職業軍人の道を進む者はきわめて少数だ。圧倒的多数はゴーン氏の場合のように、その他のグランゼコールに進学する者が圧倒的に多いようだ。

 エコール・ポリテクニークは、学業成績による入学者選抜を行っているが、それだけでなく体力テストも合格基準をクリアしないと入学できない。軍の学校である以上、当然といえば当然だが、フランス型エリートがフィジカルエリートでもあることは強調しておくべきポイントだろう。確かにフランスでも英米でもエリートは一般人とは体格が違うことが多い。この点は、異なる教育システムではあるとはいえ、英米とも共通している。

 エコール・ポリテクニークは、エコール・ノルマルやENAといったトップクラスのグランゼコールと同様、学費が無料であるだけでなく、公務員扱いとして給与が支給されるのも特色だ。日本で同様の存在といえば防衛大学校が該当するが、国内でのプレステージにおいてはフランスとは比較にはならないだろう。

卒業順位ですべてが決まるENA
 グランゼコールは、基本的に入学者の選抜を学力によって行っているが、第2次大戦後に創設されたENA(国立行政学院)は、国家上級官僚を養成する実学コースであり、卒業順位ですべてが決まる仕組みになっている。

 一番から順番に、自分が希望する官庁に配属されることになっているが、一番人気は国務院と財務総監(日本でいえば財務省)であり、会計検査院である。職業キャリアの第一歩を財務総監の上級公務員から始めたマクロン氏が、いかにエリート中のエリートであるかがわかるだろう。成績が一生つきまとうという点において、日本の陸軍大学校はENAと同じ仕組みであった。だが、その結末がいかなるものであったかは、ここであえて指摘はしない。

 官僚人気が衰えた現在の日本では、試験の成績だけで入学者を選抜し、卒業順位ですべてが決まるフランス型のシステムには違和感を抱く人も少なくないだろう。だが、実はこの選抜システムは、フランス革命の申し子なのだ。身分や財産ではなく、学力のみで選別するのは、まさに「機会均等」を全面に打ち出した啓蒙思想の成果であり、「近代」を体現しているフランス革命の申し子であった。

デモと暴動でしか社会変革ができない国
 今回フランス全土に拡大した暴動は、格差社会における「一握りのエリート」への反乱といっていい。燃料費値上げから始まった「黄色いベスト」運動のデモが、異議申し立ての段階から暴動にまで発展しているのは、食糧暴動から始まって民主化運動に発展した2011年の「アラブの春」とよく似ている。SNSでの呼びかけで始まり、明確なリーダーが不在なまま急速に拡大していった姿も共通している。

【写真特集】フランス全土に広がるデモ、「黄色いベスト」運動
フランス・パリで行われた政府の燃料税引き上げに抗議する「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)」運動で、機動隊の前にひざまずいて両手を頭に乗せるデモ参加者(2018年12月8日撮影)。(c)AFP/Sameer Al-Doumy〔AFPBB News〕

 先進国フランスを支える一握りのエリートと、グローバルな理念やタテマエばかりを語る上から目線の大統領。これに「ノン」をつきつけたのが、中産階級から転落した勤め人たちだ。かつてのような大学生や労働者階級を中心としたイデオロギー主導のデモではない。移民や難民が中心の暴動でもない。仕事と生活に不可欠なクルマの燃料費が普通の勤め人たちの家計を直撃しているのである。それだけ切実なものが背景にある。

 民主主義の先進国でありながら、デモと暴動でしか社会変革ができないフランスは、変革を一歩一歩確実に実行していく本来の意味の「保守主義」とは、ほど遠い場所に位置している。妥協を余儀なくされたマクロン大統領のもと、今後なんらかの改革は行われるだろうが、正直いってフランスに対する評価はネガティブにならざるをえない。ドイツのメルケル首相の指導力が失速しつつあるいま、フランスのマクロン大統領がEUの盟主になるかと思われたが、その可能性は遠のいた。いや、はたしてそういう日が来るのかどうかさえ不明であり、EU崩壊の可能性も絵空事ではなくなるかもしれない。

「ノーブレス・オブリージュ」という表現がある。人の上に立つエリートは、自らを犠牲にしてでも、率先垂範して義務を果たさなくはならないという思想の表明である。そもそも「ノーブレス・オブリージュ」(noblesse
oblige)というフレーズはフランス語だ。英語でもそのまま使用されるが、日本語に直訳すれば、「高貴さは義務を負わせる」となる。

 フランスの「一握りのエリート」たちに、はたしていまでも「ノーブレス・オブリージュ」が存在するのかどうか。ゴーン氏の行状やマクロン氏の惨状を見ていると、疑問をもたざるをえないのだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54962

辻仁成が見る仏暴動「なぜ黄色いベストなのか?」
過去の暴動とは違う。国民の声から「ジレ・ジョーヌ運動」の特異性が聞こえる
2018.12.18(火) 辻 仁成
フランス「黄色いベスト」デモ、4週連続 機動隊と衝突 略奪も
フランス「黄色いベスト」デモ、4週連続 機動隊と衝突 略奪も。「親愛なるブルジョワの皆様 お邪魔して申し訳ありません 私たちは皆、尊厳を持って生きさせて頂いてもよろしいでしょうか?」と書かれたプラカードを掲げる人〔AFPBB News〕

  (作家、辻仁成)
※編集部注:一部デバイスでは辻のしんにょうの点がひとつになりますが、正しくはふたつです

 なぜ、彼らはジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)を着るのか。世界中の人々はこのデモ衣装の統一を不思議に思ったのではないか。

 実は数年前、ここフランスでは、自動車内に黄色いベストの携帯が義務付けられた。だから、私の車にもこの黄色いベストが常備されている。事故が起こった時、運転手は車外に出て危険から自らの身を守るためにこれを着る。

 ガソリン税の増税が決まった時、これに反発する人々が皮肉を込めてこれを羽織り、危険から身を守るためにデモ行進をはじめた。この皮肉こそが政府の増税政策に不満を持つ人々の心を掴んだ。つまり、私もしようと思えば自分のジレ・ジョーヌを羽織って簡単にデモに参加することが出来るのだ。この黄色いベストは空港でも、工事現場でも、工場でも、路上でも、ありとあらゆる人々が危険から身を守るために日常羽織っているものだから。同時にそれは労働者のシンボルでもある。どこかの団体を意味するマークではなく、まさに市民運動の象徴ということになる。

「ガソリン代を払えないなら電気自動車を買えばいい」
 パリはクリスマスを前に規模は縮小したもののまだ予断を許さない状態が続いている。

 マクロン大統領をマリー・アントワネットに譬える批評もある。「パンがないならブリオッシュを食べればいい」と言ったアントワネットの言葉が「ガソリン代を払えないなら電気自動車を買えばいい」に変換され皮肉られている。

 個人的な話だが、私はマクロン大統領誕生時に強い期待を持った一人だった。マクロン一人を悪者にしていいのか、という記事も確かにあるし、彼がこの30年の政治的なツケを背負わされた格好であることも事実であろう。

 しかし、フランスの国民に同情する気持ちはなく、その怒りは想像を超えて拡大した。なぜか?

 黄色いベストを着た人たちがパリでデモを始めた5週間前、マクロン大統領はこの運動を重要視していなかった。現場に駆けつけることもせず静観した。これは初動対応のミスであり、大統領という立場上責められても仕方がない。マクロン大統領は代議士の経験も自治体を代表したこともないので市民に耳を傾けることや市民との駆け引きに長けていないのではないか。事態が深刻化してやっと12月10日テレビで謝罪した。初動対応の悪さやその最中の態度の冷たさによって、予想をはるかに超える状態となった。立ち上がったフランス庶民の声も「マクロン、辞任!」へと傾きつつある。

フランス人は今の状況をどう思っているのか?
 そこで今のフランスの空気を読みほどきたく、様々なフランス人にインタビューを試みた。「あなたは今この状況を、そしてマクロン大統領をどう思うのか」

テレビ局勤務50代「これはこの30年あまり、政府が庶民のことを無視し続けた結果です。物価や税金はうなぎ上り。その一方、SMIC(最低賃金)が1200ユーロ弱(15万円程度)でどうやって庶民は暮らしていけますか? 華やかな印象の『パリ』とは対照的にフランスの貧困層は明らかに膨張している。今回のデモの発端となったガソリン税増税は郊外に暮らし、車が必要不可欠な人たちにとっては大打撃となる。President des riches(金持ちのための大統領)と言われるマクロン大統領に対する不満は爆発しました。この怒りは理解できるし、その怒りを主張する行為こそフランスの伝統なのです」

ホテル従業員40代「クリスマス前なのに、毎週末、買い物することができない状況が続いています。その結果、購買力低下が大きな社会経済問題になっています。観光面からいうと過去3年はテロの問題で旅行客が激減した。2018年、やっと取り直しつつあったのに、この問題が起き、またパリから旅行客の足が遠のいている。ホテルの予約もデモ5週目に入り、キャンセルが相次ぎ、今日現在(12/15)では客室稼働率が50%ですよ。信じられますか? クリスマス前、パリ中心部での出来事です」

カフェ勤務ギャルソン20代「政府が国民の声を一切聞かないから、ジレ・ジョーヌが出てきたんだよ。政府は俺たちの生きる気力を奪うほどに高い税金を市民に果たしてるからね、こうなったのも当たり前だと俺は思う。いいか、俺の仲間たちの中には、この8年間バカンスも取れずに働き続けている奴もいれば、ばかげたことに税金を、ローン組んで払ってる奴さえいるんだ。日本じゃ考えられないことだろ?」

工場勤務30代「マクロンはテクノクラート(技術官僚)であり、冷たく傲慢な男だ。国民や市民に全く寄り添っていない。僕が求めるのはお金じゃない。彼が大統領の座から去ることです」

銀行勤務30代「政府への反感を表明することには賛成しますが、自分個人の意見としては、今回の騒動、特に暴力で解決を促す流れには一切共感を見出せない。黄色いベストを纏った人たちの暴力行為は100パーセント無意味だし、やっちゃいけない。恐らく多くのフランス人もそう思っているはず。中流階級と呼ばれる所得税、住民税、等をきちんと納めている人達は、今回の騒動の最中は暴動行進に参加しないと思いますよ」

労働者、最低限の人たちだけの問題ではなくなっている
12月10日にマクロン大統領はデモの沈静化狙い演説。それを聞く「ジレ・ジョーヌ運動」の参加者たち。(写真:Abaca/アフロ)
 企業に勤める中産階級の中にはデモを否定的にみる人たちがいる一方で、やはり大多数の庶民、労働者たちは政府への不満を募らせている。他方、ブルジョア階級や知識人の中にもデモに理解を示す意見があった。マクロン大統領を支持する人たちは都市部のどちらかというと富裕層かもしれない。その富裕層も一枚岩ではない点が今回の特徴と言える。

 フランスのデモと言えばそれに便乗し破壊活動や略奪をするカッサー(破壊者)が有名だが、彼らは郊外に暮らす鬱憤を持った若者たち、仕事を持つことのできない行き場のない移民を中心とする低所得者の子供たちだが、そこに一部、政治的意図を持ったプロや単なる窃盗グループが混じっていることも注意しなければならない。

 ともかく今回の大きな特徴は怒りが頂点に達しているジレ・ジョーヌにカッサーが合流し大きな暴動へと発展した。カッサーの行動は常に批判の対象となってきたが、そういう子たちを産んだ社会と政府の責任を問う声も大きい。物価が高くなり税金が高騰するフランスで富裕層を優遇しているととらえられた政府の長にその矛先が向かうのも当然かもしれない。

 パリはすでに5週間にもわたって暴動が続き、その間にテロまで起こり、世界中が不安視している。これがフランス革命のようなものにまで発展するとは考えにくいが、けれども1968年の五月危機とは異なった流れを生みつつある現実は無視できない。五月危機では学生を中心に暴動が起きたが、その時は政府側がデモ隊側の条件改善要求を大部分受け入れ事態を収拾させている。ところが今回のデモ隊は五月危機の時の組織ある集団ではなく、あらゆる層を巻き込んだ市民であることに着目しなければならない。

 大統領はSMIC(最低賃金)の人たちに毎月100ユーロの支援、残業代を課税対象から外すなど幾つかの妥協案を提示したが、お金で解決しようとする姿勢が裏目に出ている。すでに最低賃金の人たちだけの問題ではなくなりつつある。

 なぜデモ隊は黄色いベストを着ているのか、この根底にある問題をマクロン大統領が直視する時、このフランスの政治的綱渡りの糸口が見えるのかもしれない。黄色いベストが赤いベストにならないことをパリで生きる一人として私は祈る。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54983
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/796.html

[国際24] 芸術より韓国系住民、押し切られたロサンゼルス  次のターゲットはアリゾナ州と息巻く「新移民」に米国人の反応は 
芸術より韓国系住民、押し切られたロサンゼルス
次のターゲットはアリゾナ州と息巻く「新移民」に米国人の反応は
2018.12.18(火) 高濱 賛

http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/8/c/600/img_8c7131a43350d62b7ddb717cc5f69b87115538.jpg

「この壁画はアジア人民を弾圧し隷従させた人類に対する犯罪を象徴する『旭日旗』を連想させる。公立教育施設の建物の壁画には不適切だ。直ちに撤去せよ」
韓国系に抹殺された「太陽とエバ・ガードナー」
 米西海岸最大の日刊紙「ロサンゼルス・タイムズ」は12月14日付け2面でこう報じた。

"Mural to come down after talks fail"(壁画、話し合い決裂で撤去へ)

 「壁画」とは、12月13日付で報じたロサンゼルス市内のロバート・F・ケネディ公立高校のジムの外装に描かれた「太陽と美女とココナツツリー」の壁画だ。

 これにいちゃもんを付けたのは地元の在米韓国系有志団体「Wilshire Community Coailtion」(WCC=ウェルシェア・コミュニティ連合会)だ。

 「ロサンゼルス・タイムズ」によれば、その後の経緯はこうだ。書いたのは同紙で小中高教育を担当するハワード・ブルーム記者だ。

 「画家のバウ・スタントン氏が13日、自分の描いた絵を批判する人たちと会った時、会話は友好的だった。だが彼の描いたコリアタウンの作品をどうするかについての(ロサンゼルス統一学区当局の)結論は覆されなかった」

 「彼がロバート・F・ケネディ公立学校の建物の壁に描いた女優(実はモデルはエバ・ガードナー)とココナツツリーの背後にあった太陽の図柄に異議を申し立てたのは地元のコリアン活動家たちだった」

 壁画が(他の30の壁画と同時に)お目見えしたのは2016年5月。それ以後、彼らは、その太陽の図柄は日本帝国の戦闘旗であり、ちょうどナチスのハーケンクロイツと同じような存在だと主張し続けてきた」

 「そして2018年12月6日、同統一学区長が夏休み中に撤去すると述べ、今回それを再確認したことでコリアンたちはその決定に満足に意を表した」

 ロサンゼルス統一学区のロバート・マルティネス区長が12月6日、撤去声明を出すや、「教育・言論の自由」の守護神とも言われてきた2つの団体がこれに抗議する声明を出した。

American Civil Liberties Union(ACLU=アメリカ市民自由連合)
American Association of School Administrators(AASA=アメリカ学校教育責任者協会)

2018年11月15日、壁画の前でデモをする韓国系活動家たち
 「この壁画を撤去することは、学校で学ぶ生徒たちが多様な考え方や見解に接するアクセスを一方的に査定し、許可不許可を決める公共の圧力に屈する危険な前例を作りかねない」

 「撤去正式決定」について14日現在両団体は沈黙を守っている。

 筆者の問い合わせにも無回答だ。ロサンゼルス統一学区は米国の識者の声を完全に無視した格好だ。

ロサンゼルスの教育長も教育委員会も「ノーコメント」
 12月13日の記者会見には「全面謝罪」した同統一学区の最高責任者、マルティネス氏は姿を見せずじまい。

 「撤去」の意向を再確認したのは、同学区の部長級のユージン・ヘルナンデス業務担当責任者だった。

 同氏は「決定は統一学区職員全員の総意だ」と述べたが、「ロサンゼルス・タイムズ」のブルーム記者は「この点について教育委員会委員(複数)や教育長に質問したが回答はなかった」と書いている。

 今回の決定をめぐってはロサンゼルス統一学区関係者だけでなく、ロサンゼルス教育委員会にも異論があったことをうかがわせる、

 前述の団体からの抗議に真正面から答えるのを避けているのがありありだ。

 壁画についての経緯にさかのぼれば、スタントン氏に依頼した時点からの責任問題を蒸し返すことになるからだ。

 それに韓国系の背後にいる韓国政府との外交問題にまで発展しかねない。

 「地元コリアンとの衝突を避ける一方で、撤去はあくまでも事務的に穏便に目立たぬように済ませようとした小童(こわっぱ)役人の浅知恵」(事情をよく知る地元非韓国系弁護士)というわけだ。

スタントン氏「市は私の絵を守ってくれなかった」
 「渦中の人」になってしまった画家のスタントン氏は、12月13日の韓国系活動団体の代表で弁護士のチャン・ヤング・ジェン氏との初めての会談でこう述べている。

 「私が今日皆さんに会いに来たのは、この壁画を描いた意図について説明し、批判される方たちのお考えも聞くためだ」

 「描かれた絵画について検閲すること、特に教育的な環境で検閲することは適切ではない、という私の考え方を一歩も譲ることはできない」

 これに対して、韓国系活動団体は撤去する代わりにスタントン氏にこう提案した。

 「撤去した後、同じ壁に新たに別の壁画を描いてはどうか」

 画家のとしてのメンツを傷つけられたのだろうか。同氏は即座に回答した。

 「もう二度とこの場所に壁画を描くつもりはない。もう二度とロサンゼルス統一学区のために絵を描きたくない。彼らは私の絵画を批判する人たちから私の絵画を守ろうとしなかったからだ」

 「(私の絵に対する韓国系の人たちの)一義的不満は朝鮮の歴史におけるある特定の時期について米国ではよく知られていない点にあるように思う」

 「今回の論議の中でポジティブなことは、私を含めすべての関係者が韓国系の一部の人たちが『旭日旗』を見ると理屈抜きで本能的に反応することについて学んだことだ」

 「彼らの気持ちは分かった。しかし私がこの壁画を撤去することに反発していることに変わりはない」

画家のバウ・スタントン氏。現在仕事場にしているニューヨーク・ブルックリンのアトリエで。
 スタントン氏は名門ラグナ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインを卒業、現在一般絵画、壁画、ステンドグラス、モザイク、マルチメディア・アニメーションなどの分野で活躍している。

 「上る太陽」にこだわる腹の座った芸術家だ。

韓国系団体「今後太陽を描くなら説明文をつけよ」
 これに対してジェン氏は韓国系活動団体を代表してこう「最後通告」を突きつけた。

 「我々は決してあなたを標的にしているわけではない。(太陽の図柄をテーマにしてきた)あなたがこれからもその図柄を描き続けることに反対するわけではない」

 「ただ太陽の図柄を描いた絵にはこの図柄は『旭日旗』ではないといった説明文をつけてほしい。そうすれば決してあなたの作画活動を妨害などしない」

 「あなたは素晴らしい画家であり、偉大な芸術家であり、我々は尊敬している。と同時に我々は言論・表現の自由を遵守したい。我々の誠実さに偽りはない」

 ジェン氏は名門ロヨラ法科大学院を出て弁護士資格を取った「韓国系社会の星」(ロサンゼルス在住の日系弁護士)。

 商法、企業法、民事訴訟を扱う法律事務所の共同経営者だ。どうやら米国憲法で謳われている社会正義や言論・表現の自由を守る分野では素人のようだ。

 6日の記者会見で同氏はこうも述べた。

 「我々は(スタントン氏の壁画のような)旭日旗を連想される他の図柄のものについても見つけたら抗議していく」

 「例えばアリゾナ州旗などはスタントン氏の壁画などよりも旭日旗に似通っている。アリゾナ州旗のカギ十字はどうか? 実に不愉快だとは思わないか?」

 ロサンゼルスの次はアリゾナ攻撃なのだろうか。

問われる在米韓国系、「米国市民としての見識」
 12月13日付の記事で引用した米元外交官に「撤去決定」についてのコメントを求めると以下のようなメールを送ってきた。

 「次はアリゾナだって? いったい自分たちを何様だと思っているんだろう。

 今回の『勝利』は(コリアンの多い)カリフォルニア、しかも(コリアン人口密集地の)ロサンゼルス・コリアタウンでのもの。それがアリゾナはおろか、全米で通用すると思っているんだろうか」

「芸術を抹殺する権利などない」と読者の声
 「ロサンゼルス・タイムズ」の読者からはさっそく反応が出ている。

 投書欄には5通の投書が掲載された。すべてロサンゼルス統一学区の「撤去決定」に反論している。そのうち「知的な」2通を紹介しておこう。

 「一グループが芸術を抹殺することなどできない。そのようなことをすれば我々の対話は止まり、芸術家たちは沈黙するだけだ」

 「確かにアートは見て心を乱すことはしばしばある。だがそれをかき消そうとするだけでジレンマを解消することなどできない」

 「この画家は何も分裂や苦痛を意図して伝えようとしたわけではない。彼は描いた人物(エバ・ガードナー)とその時代を讃えようとしてこの絵を描いたのだ」(フィルモア在住カレン・S・ブロウディ)

 「撤去を決めたロサンゼルス統一学区長は、この壁画を撤去する理由として『芸術はヒューマン・スピリットを祝うものであって、コミュニティの感情を害するものであってはならない』と述べている」

 「だが感情を害しているのはこの壁画自体ではなく、コミュニティに住む住民たちだ」

 「一部の住民はこの壁画で傷ついていると言うが、民族的・文化的経験によって異なり、絶え間なく変化するアートの定義づけを同じコミュニティに住む住む隣人同士でもっと考えるべきではないだろうか」(ロサンゼルス在住ミッチ・パラダイス)

 こうした反響を呼んだコリアンの活動家たちは何と答えるだろう。

 移民歴がまだ短く、「祖国とのへそ脳がまだ切れずにいる多くのコリアン」にとって先輩格の非韓国系米市民から学ぶことは多々ありそうだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54982
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/797.html

[社会問題9] 赤の他人に「お父さん!」と呼ばれる不快感 テレビにあふれている「非常識」と「ステレオタイプ」 
赤の他人に「お父さん!」と呼ばれる不快感
テレビにあふれている「非常識」と「ステレオタイプ」
2018.12.18(火) 筆坂 秀世
テレビタレントはコシのあるうどんをいつも絶賛するが・・・(写真はイメージ)
(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

 テレビの旅番組や食べ歩き番組などを見ていると、タレントが見ず知らずの人に対して「お父さん」とか「お母さん」、時には「おじいちゃん」「おばあちゃん」などと声をかけるシーンがしょっちゅう出てくる。

 何というデリカシーのない言葉遣いなのだ、と呆れてしまう。いきなり知らない人から「お父さん」「お母さん」などと声をかけられて愉快な気分になる人などいないだろう。以前、私の知り合いが見ず知らずの老婦人に「おばあちゃん」と声をかけた際、「私はあんたのおばあちゃんじゃないよ」と怒られた話を聞いたことがある。その通りである。

 私も先日、実に不愉快な思いをした。それはS新聞の販売店の店長が、購読延長の依頼に訪れた際、私のことを「お父さん」と呼んだからだ。こんな呼ばれ方をしたのは初めてだった。購読延長の依頼を断ろうかと思ったほどだ。

 テレビに出るタレントの意図は分かっている。親しみを込めているつもりなのだ。だがそれは大きな錯覚であり、思い上がりである。「私はタレントで有名人だから、『お父さん、お母さん』と呼ばれれば、みんな喜ぶはずだ」とでも思っているのだろう。上から目線なのである。

 見ず知らずの大会社の社長や大学教授に、いきなり「お父さん」と呼ぶ人間はいないだろう。この呼び方がいかに非常識なものか、分かるだろう。こんなことも分からないとすれば、テレビというのは、実にデリカシーのない媒体だということになる。

 私は兵庫県生まれだが、関西の方では、あまりこういう呼び方はしなかったように思う。最近のことは知らないが。「こんにちは」とか、「すみません」とか、普通に声をかければ良いだけのことだ。新聞販売店の店長であれば、「筆坂さん」と呼べば良いのだ。そうすれば、私の背中に虫唾(むしず)が走ることはない。

麺類はコシがあれば良いのか
 若いタレントの食レポもまったくいただけない。そば、うどん、ラーメンなどの麺類を食べた際、漏らす感想がほとんど同じなのだ。「コシがありますね」「コシがすごいですね」、これだけだ。麺類はコシがあれば良いと思っているのだ。

 私はコシのあるうどんが美味しいと思ったことはない。大坂のきつねうどんで育った私にとって、うどんの命は喉ごしだと思っている。もちろん美味いつゆが必要だが。噛まなければ食べられないようなうどんは、私にとっては最悪である。

 新大阪駅に新幹線の改札を出て、在来線の方に移動すると左手に立ち食いうどん屋さんがあった。入り口で「きつねうどん」と頼むと即座に「きつねうどん一丁!」と調理場に声がかけられ、おつりを受け取ってカウンターに行くと同時に、きつねうどんが出てくるという素早さだった。柔らかいうどんだから、二、三度熱湯にくぐらせれば出来上がりなのである。

 博多のうどんも柔らかく、喉ごしが良い。今、讃岐うどんが流行っているが、私が香川県で食べた本場の讃岐うどんは、東京などで食べるうどんよりも柔らかかった。関東の人は固いうどんが好きなのかも知れないが、コシがあれば良いというものでもないのだ。

 そばやラーメンだって基本は同じだ。ぼそぼそは駄目だが、コシが強いというわけでもない。すすーっと入ってくる喉ごしは、やはり麺類には不可欠なのだ。“麺類はコシ”などというのは、テレビが作った誤解でしかない。

 そもそも二十歳、三十歳くらいの若いタレントが、それほど美味いものを食ってきたわけがない。食レポができるほどの舌には、まだ育っていないはずなのだ。

人の好みは千差万別
 サバの有名ブランドに「関サバ」(せきさば)というのがある。豊予海峡で漁獲され、大分市の佐賀関で水揚げされることから「関サバ」と呼ばれている。「関アジ」も有名である。私も以前、大分や博多で食したことがある。昔から「サバの生き腐れ」と言われてきたように、食あたりが発生しやすいので、酢じめにするか、煮るか、焼くかで食べられてきた。だがこの関サバは、生のまま刺身食べることができる。まさに絶品である。

 私の田舎は京都に近いので、京都の食文化の影響を強く受けていた。母は、毎年、蕪(かぶら)の千枚漬けを作っていた。秋祭りの時期になるとサバの棒寿司を数十本作っていた。まだ冷蔵庫もない時代からそうだった。だからサバが大好きだった。ところが30年位前、高田馬場の寿司屋でサバの握りがあまりにも美味しかったので6貫ばかり食べて帰宅した後、激しい腹痛に見舞われた。蕁麻疹(じんましん)が出るどころではなかった。夜中、タクシーを呼んで病院に行ったところ、腸閉塞だった。

 2年程して、「もう大丈夫だろう」と思って、またサバの握りを食べた。またも腸閉塞になって入院した。以来、煮サバ、焼きサバは食べるが、サバ寿司の類いは我慢している。

 そんな時に、博多に行った時、友人が食事に誘ってくれ、新鮮な魚で美味い酒を飲んだ。その刺身の一つが関サバだった。この高級なサバに、箸を付けないわけにはいかなった。思い切って一切れだけ食した。幸い腸閉塞にならず、蕁麻疹も出なかった。

 話が横道に逸れてしまったが、それほど関サバは美味なサバなのである。確かNHKだったと記憶しているが、夏場に大分で関サバの刺身を食べる場面が映し出され、若い女性タレントが「脂が凄くのっていますね」と感想を述べた。すると、大分の漁業関係者だったと思うが、「いえ、今の時期は、脂はあまりのっていません」と返答したのだ。これには笑ってしまった。

 肉でも、魚でも、若いタレントが言うのは、「脂が凄くのっていますね」ばっかりなのだ。脂が少ないが美味い食材はいくらでもある。一方、脂がのっていて気持ちの悪い食材もいっぱいある。

 要するに、本当に美味いのか、美味くないのか、正直に語らないから、こういう恥をかくことになる。麺類でも、魚でもそうだが、人の好みは千差万別である。それを無理矢理一方向に持って行ってしまうのが、テレビの悪いところなのだ。

テレビが取り上げる行列店は本当に美味いのか?
 今年(2018年)の6月に、妻と広島に旅行した。原爆ドームに行き、妻が宮島に行ったことがないというので宮島にも行った。せっかくの広島だったので、お好み焼き屋さんに行くことにした。テレビで紹介された店や行列ができる店もたくさんある。

 混んでいる店も嫌なのでうろうろしながら、結局、広島駅の中にある店の一軒に入った。だが、がっかりだった。焼き上がりも乱雑だし、味も良くなかった。東京で食べた広島お好み焼きの方がはるかに美味かった。

 翌日タクシーに乗ってその話しを運転手さんにすると、「テレビで紹介され、行列ができている店で美味しいところなんかありませんよ。路地を入っていったようなところでひっそりおばあさんがやっているような店の方が美味しいですよ」と言ったのに続いて運転手さんが言った言葉が実に名言だった。

「お客さん、そもそもお好み焼きなんて大したご馳走じゃないんですから。そんなもんですよ」。妙に納得してしまった。この一言で“まずいモノを食わされた”という恨み辛みは吹き飛んでしまった。

 1945年8月6日の原爆投下から73年、破壊し尽くされた広島だったが、見事に大都市に変貌した。今や中国地方随一の街である。私が入った店は失敗だったが、本当はもっと美味しいお好み焼きがあるはずだ。広島は、ふらりと訪れただけでは分からない奥深い魅力に満ちているのだ。この日はマツダスタジアムで広島東洋カープの試合があり、駅周辺は赤い色で埋められていた。広島の人たちが、熱狂的な広島カープファンであることが分かるような気がした。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54989
http://www.asyura2.com/12/social9/msg/897.html

[国際24] EU「管理された合意なき離脱」目指さず−ミニ合意も否定と当局者 秩序だったブレグジットへの最後の道 首相信任でも変わらな

 
EU「管理された合意なき離脱」目指さず−ミニ合意も否定と当局者
Ian Wishart
2018年12月18日 13:53 JST
EUは金融サービス、航空など8分野で緊急対応策を準備
英国側が互恵的な対応を行うことが緊急措置の条件になる
欧州連合(EU)は「合意なき離脱」で生じる混乱を和らげるため、英国とミニ合意を締結する可能性を否定し、利益を守るために一方的な措置を講じる方針だ。事情に詳しいEU当局者の1人が明らかにした。

  英国がEU離脱を予定する来年3月29日までに英議会が離脱協定案を承認しない場合でも、EUは「管理された合意なき離脱」を目指さないと同当局者は語った。EUの行政執行機関である欧州委員会が今週発表する計画によれば、英国が互恵的な対応を行うことを条件に最低限の一方的な緊急対応策を導入する。

  1年半に及ぶ交渉の末にメイ首相がEUと取り決めた離脱合意案への議会承認獲得が困難な状況で、離脱推進派の一部閣僚は、管理された合意なき離脱が有力な選択肢になり得るとの見解を示していた。

  EUは金融サービスや航空、関税など8分野で合意なき離脱に備えており、19日に指令案(法案)の詳細を公表するに当たり、一連の緊急対応策が2019年末より先まで続くことはおおむねないと説明する見通しだ。

金融サービス分野
EUは合意なき離脱の場合、いわゆる「同等性取り決め」に基づき、英国のデリバティブ(金融派生商品)クリアリングハウス(清算・決済機関)にEU域内の銀行へのサービス継続を離脱後1年間認める
航空分野
EUは英国を出発した旅客機によるEU域内上空の飛行と域内への着陸、英国への帰還、燃料補給のための途中着陸を認める
関税分野
EUは英国からの物品に関税と税金を課し、英国からの入り口で税関検査実施の手配を強化する
原題:EU to Rule Out ‘Managed No-Deal’ as Bloc Boosts Brexit Planning(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-18/PJWYVI6JIJUP01?srnd=cojp-v2


 


秩序だったブレグジットへの最後の道
首相信任でも変わらない政治、メイ氏が英国のためにできること
2018.12.18(火) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年12月14日付)

EU残留派のブレア元首相、再国民投票を要求 メイ首相と火花
欧州連合(EU)首脳会議に出席するため、ベルギー・ブリュッセルを訪れた英国のテリーザ・メイ首相(2018年12月14日撮影)。(c)Alastair Grant / POOL / AFP〔AFPBB News〕

 テリーザ・メイ氏は英国首相の座にとどまっている。

 保守党に籍を置くイングランドのナショナリストたちはブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)の主導権を奪い取ろうとして失敗した。

 それ以外に変わったことは何もない。EUとの取引にまつわる厄介な事実にも、下院議員の意見が割れて議論が袋小路に入り込んでいることにも変化はない。

 ブレグジットはこの国の政治に猛毒をそそぎ込んだ。EUから秩序だった離脱を行う道はまだ残っている。メイ氏がこの道を選ぶ兆しはまだ見えない。

 信任投票でのメイ氏の勝利は、破局が回避されたのではなく先送りされたと見るべきだ。今こうしている間にも、時間は刻一刻と過ぎていく。

 他の欧州諸国の政府は、メイ氏が関税同盟への残留と労働力の自由な移動に対するレッドライン(譲れない一線)を引き直さなければ、離脱協定案の再交渉には応じられないとの主張を続けている。

 では、これからどうなるのか。メイ氏に近い情報筋によれば、首相は委細構わず突き進むつもりだという。

 1月になれば反抗的な議員も含めて、誰もが神経質になってくる。有権者は必需品の備蓄を始める。金融市場では英ポンドが売られる。

 首相は、北アイルランドとアイルランド共和国との国境をめぐる「バックストップ(安全策)」の取り決めについて、EUから法的に拘束力のある保証を得る。

 そうすれば、それこの通り、鉛が黄金に早変わり――というわけだ。政治の世界では時折、信念が妄想と化してしまうことがある。

 中道派の国会議員は保守党と労働党の別を問わず、この土壇場においても、ノルウェーと同様な立場が確保でき、両党から支持を得られる取引を何とかひねり出せないかなどと言っている。

 一体どうやってひねり出せるのだろうか。リスボン条約第50条の時計を止めることは役に立つだろうか。

 確かに、離脱の期限延長は不可避に見え始めている。あるいは、いっそのこと総選挙をやればこの難問にけりをつけることができるのだろうか。

 筆者個人としては、可能性のある選択肢は2つに絞られてきたと考えている。

 第1の選択肢は、カミカゼ離脱派が主張している、高い絶壁から混沌の海に飛び込むやり方だ。欧州という牢獄からとにかく逃げ出す、というものだ。

 この選択肢では、経済が混乱すると言おうものなら、ボリス・ジョンソン前外相のような人々は、ただ耳をふさいで国歌をハミングする。前外相の好きな言葉を借りるなら、「ファ*ク・ビジネス」だ。

 第2の選択肢は、有権者に2度目の国民投票の機会を与えること。メイ氏が提唱するのであれば、ブレグジット実施についてのメイ氏の案と、現状維持のどちらかを有権者に選んでもらう投票になる。

 先日の保守党内の抗争から引き出せる小さな慰めは、ジョンソン氏がダウニング街10番地(首相公邸)の敷居をまたぐ様子を見届ける恥辱を免れたことだ。

 だが、同氏が首相になる野望に取り憑かれていることは明々白々だ。

 また、保守党内の活動家たちの考え方から察するに、凡庸さと不正直さにかけて汚点のない経歴は首相候補に値しないという時代は終わってしまったようだ。

 基本的に言えるのは、いろいろな議論や主張がかまびすしいにもかかわらず、ブレグジットに関わる政治は2016年6月の国民投票以降、ほとんど何も変わっていないということだ。

 有権者はEUからの離脱を僅差で決断した。その判断は、ほとんどの議員の考えと一致しないものだった。そしてこれ以降、英国ではこの結果をめぐって政治の堂々巡りが延々と続いている。

 かつての残留派――メイ氏はその代表格だ――は、失敗に終わる可能性がある事業だと知りつつ、ブレグジットを「成功させる」と約束してきた。

 イングランドのナショナリストたち――フィリップ・ハモンド財務相は、今ではジョンソン氏とその仲間たちを「過激派」と呼んでいる――は、英国は今でも世界を支配できるという偽りの夢物語に固執してきた。

 ブレグジットは保守党の私物になった。国民投票で残留支持が圧倒的に多かったスコットランドは、無視されている。

 北アイルランドの残留支持票は、この地方の政党で時代遅れの民主統一党が下院でメイ氏と協力関係を結んでいることにより、脇に追いやられてしまっている。

 そもそもメイ首相のレッドラインは、一貫性のある交渉戦略の枠組みとしてではなく、EU離脱派からの信任を補強する政治的な目的をもって引かれたものだった。

 メイ氏がEU加盟27か国と交わした取引が、英国に持ち帰られるや否や拒絶されてしまったのは、EU離脱派のうそ偽りを必然的に吹き飛ばしてしまったからだ。

 協定案には、すべてはっきり書かれていた。

 英国が主権を完全に取り戻すのであれば、かなりの額の経済的な対価を支払わなければならない。そして、そのコスト負担を緩和するためには、一部の主権の共有を継続しなければならないのだ。

 それなりに真っ当な野党だったら、とっくの昔に保守党に責任を取らせていただろう。そうすることで世論調査の支持率を引き上げ、保守党を20〜30ポイントは引き離していたはずだ。

 しかし労働党は不運なことに、ジョンソン氏と同じくらい露骨なポピュリストであるジェレミー・コービン氏を党首にいただいていた。

 極左のコービン氏は常々、EUに敵対的な態度を取ってきた。

 労働党の議員たちの間では親欧州派が圧倒的に多い。だが、所属組織に対する昔風の忠誠心、臆病心、そしてそれぞれの選挙区の小さな利害ゆえに党首に同調してしまっている。

 侮辱や屈辱に苦しみながらもそれに耐えようとするメイ氏の意思についての解説のうち、筆者が耳にした中で最も納得できたのは、メイ氏はあと1回、それなりのレガシーを残すチャンスがあると考えているから、というものだ。

 メイ氏としては、秩序あるブレグジットを取り仕切った首相として記憶されたい。首相がまだ理解していないのは、保守党だけではその称号をメイ氏に与えられないことだ。

 エドワード・ヒース氏が英国を欧州経済共同体(EEC)に加盟させた時、保守党出身の首相だった同氏は、党内のイングランドのナショナリストからの強烈な抵抗を受けた。

 この時は、党首と袂を分かつ心づもりができていた労働党議員数十人の票を手に入れて勝利した。

 半ば賢明な離脱協定案を議会で通すためには、メイ氏もこのトリックを使う必要がある。

 現在の協定案では難しいだろう。EU関税同盟に残留すると明記すれば、何とかうまくいくかもしれない。

 しかし、袋小路から抜け出す最も確実な方法は、メイ氏が党ではなく国の代表として行動することだろう。首相は自身のレガシーを国民の手に委ねるべきだ。

By Philip Stephens

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54986

http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/798.html

[経世済民130] 来年度予算は総額101兆4600億円、初の大台乗せ−景気対策と社会保障 
来年度予算は総額101兆4600億円、初の大台乗せ−景気対策と社会保障
占部絵美
2018年12月18日 17:00 JST
新規国債発行額は32兆6600億円、1兆円減−9年連続で減少
社会保障34兆600億円、公共事業6兆9100億円と各1兆円増
政府は総額101兆4600億円程度となる2019年度一般会計予算案の概要を固めた。高齢化に伴う社会保障費の伸びに消費増税に向けた景気対策も加わり、初めて100兆円台に乗せた。税収増を見込み、新規国債発行額は9年連続の減少となる。21日の閣議決定を目指す。

  ブルームバーグが入手した資料によると、来年10月の消費税引き上げに伴う景気対策として2兆300億円程度を計上する。社会保障関係費は前年度当初予算に比べ約1兆700億円程度増の34兆600億円程度、公共事業費は同9300億円程度増の6兆9100億円程度、防衛費は同700億円程度増の5兆2600億円程度となった。


財務省Photographer: KAZUHIRO NOGI/AFP/Getty Images
  歳出面では、政策的経費を含む一般歳出は同3兆700億円程度増の61兆9600億円程度。国債の利払いや償還に充てる国債費は、同2100億円程度増の23兆5100億円程度。地方交付税交付金は同4700億円程度増の15兆9900億円程度。

  歳入面では、税収が同3兆4200億円程度増の62兆5000億円程度、税外収入も1兆3600億円程度増の6兆3000億円程度。収入増に伴い、新規国債発行額は同1兆300億円程度減の32兆6600億円程度と9年連続で減少する。うち建設国債は6兆9500億円程度、赤字国債は25兆7100億円程度。国債依存度は32.2%程度と前年度当初(34.5%)を下回った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-18/PJX9EJ6S972E01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/156.html

[経世済民130] 400兆円供給した日銀の異次元金融緩和、笛吹けど庶民は踊らず FOMC、米国株売り込まれた状況で利上げ断行なら極めて異例
400兆円供給した日銀の異次元金融緩和、笛吹けど庶民は踊らず
Henry Hoenig、竹生悠子、藤岡徹、日高正裕
2018年12月18日 8:00 JST
• 大規模緩和はいまだ庶民の「デフレマインド」払しょくできず
• 低金利の恩恵幾分受けたが、生活ぶり依然厳しいとの声
それは歴史上最も過激な資金供給だ。日本経済をデフレから救い、成長を支援するため、日本銀行は量的・質的金融緩和策の下でこの5年半余りに400兆円近くを市場に供給した。ただ、一般庶民にはその恩恵がほとんど行き渡っていないようだ。
  北は秋田県から南は沖縄県までの全国各地で、若い夫婦や町工場の経営者、タクシー運転手らを対象に行った20件余りのインタビューを通じて、厳しい現実が浮かび上がった。安倍晋三首相の経済再生計画であるアベノミクスの中核を成す異次元金融緩和策は、日銀の黒田東彦総裁が実現を任された、流れを変え得るゲームチェンジャーにはなっていない。

日銀本店
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
  
  日銀が異次元緩和策を導入して以後、確かに日本の経済成長率は年率でプラス約1.2%と潜在成長率を上回る伸びを示している。為替市場では円相場が対ドルで大きく下落し、円安を追い風にトヨタ自動車の利益は過去最高水準に達した。日経平均も約27年ぶり高値を回復した。ただ、インフレ調整後の所得は年間0.7%減少。人口の高齢化や減少による経済の先行き不透明感を一因とする日本人の「デフレマインド」を克服するのは極めて難しい。市場の関心は金融緩和の出口策に向かっているが、日銀が目指す物価安定目標2%の達成はまだ道半ばだ。      
それほど悪くなければいい?
暮らし向きが悪くなるとみる人は減ったが、良くなると思う人は多くない

出所:内閣府(2018年6月調査)
                      
  東大阪で溶接業を営む永井知明さん(68)は、日銀の緩和策は会社存続の助けに全くならないと語った。毎年、周辺の工場が閉鎖されていくという。戦後の工業復活に乗ろうと50年前に大阪へ移ってきた永井さんだが、大手企業が安価な部品を求めるため何年にもわたり利益が削られており、「アベノミクスから得たものは何もない」と話す。

永井知明さん
Source: Tomoaki Nagai
  永井さんが頼りにするのは5人のパート従業員。金利が記録的な低水準にあってもリスクが高過ぎて事業投資はできないと言う。世界的な金融危機の影響を乗り越えるために貯金をほぼ使い果たした永井さんは、「以前は老人ホームで老後なんて絶対に嫌だと思っていたが、今は入れる人がうらやましい」と語った。金銭的余裕がないため、できるだけ長く働こうと考えている。
小さな歩み
1年前より収入が増加した家計は20%未満

出所:日本銀行(2018年9月調査)
  景気回復を期待した林宏至、真智子夫妻は昨年、宇都宮駅近くに新居を購入するため35年ローンを組んだ。0.7%の金利は助かったが、林夫妻にとって最も大きな安心材料は真智子さんが公立高校の教師であること。労働人口の3分の1余りが低賃金・非正規労働者という二極化した国内市場で、真智子さんの職は守られている。

林宏至、真智子夫妻
Photographer: Kentaro Takahashi/Bloomberg
  ただ、心配事もある。夫の宏至さんは結婚式カメラマンで、真智子さんとは対照的に仕事が不安定なためだ。宏至さんによると、気前よくお金を使う人もいれば、披露宴を挙げる余裕が全くない人もいて、結婚式での写真撮影に経済格差の拡大が表れているという。宏至さんの給料は昨年上がったものの、宏至さんのような「非正規」労働者が追い付くには道のりはまだ長い。
リタイアするつもりない
  全国で最も高齢化が進んでいる秋田県でタクシー運転手をしている吉川健さんは、高齢者に共通の問題に直面している。低リスク投資商品の金利がほぼゼロという環境で、家計をどうやり繰りするかということだ。月曜日と火曜日、吉川さんがタクシーに乗せる客の5人のうちほぼ4人は病院を行き来する高齢者。現在73歳の吉川さんは、政府が財政赤字削減に取り組む中、年金給付が減るのではないかと不安を感じながら生活を送っている。

吉川健さん
Photographer: Takaaki Iwabu/Bloomberg
  住宅ローンの借り換えで月に約3万円節約できるようになった吉川さんは、金融緩和の恩恵を受けた。タクシー運転手としての給料の約3分の1相当する額で、「住宅ローンの支払いが下がったのは本当に大きかった」と言う。ただ、貯蓄がないためできるだけ長く働くつもりという吉川さんは、「リタイアすることは考えていない」と語った。
金利に対しネガティブ
日本人の過半数は金利は低すぎるとみている

出所:日本銀行(2018年9月調査)
            
  沖縄に住む金城厚子さんも日銀の金融緩和策の直接の恩恵を受けた1人だ。円安進行で日本を訪れる外国人観光客が急増したからだ。
  金城夫妻は、東京の大学に通う娘の生活費をまかなうため、3年前に自宅の2階部分をゲスト部屋に改修。「私たちからすれば、観光客が来たおかげでここも伸びたので、生活も豊かになりました」と語った。そして、退職金の多くが学費に回ったため、現在は年金の足しになればと期待している。米軍基地でそれぞれ働いていた金城夫妻だが、年金だけで暮らしていくのは厳しいと感じている。

沖縄の首里城
Photographer: Carl Court/Getty Images
  
  長年にわたる日銀の超緩和策で金融面では大きな不均衡が生じており、金利が正常化に向かえば波乱を招く恐れがある。長期化する米中貿易戦争や中国経済の減速は輸出主導型経済の日本にとってリスクであり、原油価格の下落は物価目標を脅かす。
  黒田総裁が任期を終え、日銀による実験がようやく終わっても、後を引き継ぐ金融政策担当者らは、人口減少の中で成長と生活水準向上という課題に依然向き合わなければならない。日銀が大規模金融緩和を継続しても、こうした課題が解消されるのかどうかという疑問がくすぶる。
      
原題:BOJ’s $3.5 Trillion of Cash Changes Little for Ordinary Japanese(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-17/PJNSMC6JTSEA01?srnd=cojp-v2


 

FOMC、米国株売り込まれた状況で利上げ断行なら極めて異例の展開
Lu Wang
2018年12月18日 11:35 JST
株価低迷時の金融引き締めは、1980年以降76回の利上げで2回のみ
金融や市場の安定に関してどのような判断示されるか投資家は注目

The Marriner S. Eccles Federal Reserve building. Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
トランプ米大統領によるけん制はさておき、株式相場がこれほど悪化している状況で連邦準備制度が利上げに踏み切れば極めて異例だ。

  実際、連邦公開市場委員会(FOMC)が19日に大方の予想通り利上げに動けば、現状のように厳しい市場環境での金融引き締めは1994年以来初めてとなる。現時点でS&P500種株価指数は過去3カ月と半年、1年の期間でみて下落しているが、こうした状況での利上げは80年以降の76回中2回しかなかった。

  S&P500種株価指数の構成銘柄の半数は弱気相場入りし、銀行や運輸などの業種が連日大幅下落している一方で、一部の主要経済データはタカ派の主張を支えている。このため、最近の市場の波乱が米金融当局者の注意を引いている兆候がないか、金融や市場の安定に関してどのような判断が示されるか投資家は注目している。


  グラスキン・シェフ・アンド・アソシエーツのチーフエコノミスト兼ストラテジスト、デービッド・ローゼンバーグ氏は「これは連邦準備制度にとって興味深いジレンマだ」と述べ、「金融市場はこれ以上は不要だと告げているが、経済データは追加引き締めが依然として適切であることを示唆している」と分析した。

  米金融政策の策定における市場の役割は絶え間なく議論されているが、1980年以降、利上げはほぼ全て株式相場が浮揚している中で実施されてきたというのが事実だ。平均すると、S&P500種株価指数は引き締め直前3カ月で4.1%、同半年で6.9%、同1年で11%それぞれ上昇していた。例外は70年代で、米金融当局は年率7%上っていたインフレ対策のため市場の混乱を顧みず金利を引き上げた。

  もちろん、足元の経済情勢はそのような状況ではない。消費者物価は過去6年間にわたり3%を下回る水準にとどまっており、経済成長率は3.5%と、景気過熱の定義には入れにくい。逆に、リセッション(景気後退)への言及が専門家のコメントに増えつつある。

  連邦準備制度理事会(FRB)は今月の報告書で、金融安定面の懸念はあまり大きくないとの認識を示したものの、米株式市場の時価総額を3兆ドル(約338兆円)減少させた相場急落を踏まえ、利上げ停止を求める声は多い。

  ストラテジストの間には、まだデータに反映されていないメッセージを株式市場が送っている可能性があるという意見も一部にある。米中通商対立や英国の欧州連合(EU)離脱問題、世界的な景気減速などが米経済を脅かす中、過去3年間で8回の利上げで十分とするものだ。

  FOMCは19日に2日間の会合を終えて政策決定を発表する。ブルームバーグが調査したエコノミスト89人中2人以外は利上げを予想している。


出典:Bianco Research
原題:Fed Rate Hikes Are Extremely Rare When Stocks Are This Beaten Up(抜粋)
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/157.html

[経世済民130] 41兆円ファンドが米国債買い、利回りはピーク付近との見方 債券先物が2年2カ月ぶり高値、リスク回避の買いや20年入札順調

41兆円ファンドが米国債買い、利回りはピーク付近との見方
Ruth Carson、Patricia Lui
2018年12月18日 19:10 JST
• ポートフォリオ内の米国債比率、1年前のゼロから12%に
• 米国債は「適正価格に近い」−M&Gシャルトル氏
M&Gインベストメンツは米国債を積み増している。現在の米国債利回りはピーク付近にあるとみているためだ。
  投資ディレクターのピエール・シャルトル氏によると、同社は260億ドル(約3兆円)規模のオプティマル・インカム・ストラテジーのポートフォリオの12%を米国債にしている。1年前はゼロだった。主に3−10年債を保有しているという。
  「以前に比べてはるかに妙味が増しており、適正価格に近い」と同氏は述べた。M&Gの運用資産は3610億ドル(約41兆円)。「相場が下落すれば、米国債は社債やポートフォリオ内のよりリスクの高い資産の良いヘッジになる」とも同氏は語った。
  今月の値上がりで10年物米国債の利回りは2.85%付近に低下している。10月には一時3.26%まで上昇していた。

原題:A $361 Billion Fund Is Buying Treasuries on Bets Yields Peaking(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-18/PJXCZ16S972F01


債券先物が2年2カ月ぶり高値、リスク回避の買いや20年入札順調で
船曳三郎
2018年12月18日 7:55 JST 更新日時 2018年12月18日 15:59 JST
• 長期金利は一時0.02%と5カ月半ぶりの低水準
• 金利の目線を下げ、しぶしぶ買う流れになっている可能性ー岡三証
債券相場は上昇。先物中心限月は2年2カ月ぶりの高値を付けた。前日の米国市場でリスク回避の買いを背景に米長期金利が低下した流れを引き継いだことに加えて、この日に実施された20年国債入札が順調な結果となり、先物や現物債全般に買いが入った。
• 長期国債先物3月物は前日比23銭高の152円32銭と、中心限月の終値としては2016年9月30日以来の高値
• 10年物352回債利回りは、日本相互証券の前日午後3時の参照値より1ベーシスポイント(bp)低い0.02%と、新発債としては7月2日以来の水準まで低下
• 20年物166回債利回りは一時0.535%と、新発債として7月31日以来の低水準
市場関係者の見方
岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
• 20年入札がそこそこ順調で、今の水準でも需要が確認されたことで現物に買い。利回りが残る超長期がフラット(平たん)化するしかない
• 米国株が下げ止まらず、市場が米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ停止を催促している感もあるが、いずれにしろ世界経済減速は当面変わらない
• 金利が大きく上がる環境ではなく、利回り水準の目線を下げて、しぶしぶ買うという流れになっている可能性
  
パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長
• 年末は世界的に株高・金利上昇の季節性があり、これほど株が売られて債券が買われる年は珍しく、世界経済が大幅に悪化する前兆かもしれない
• 米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げの見送りやペース鈍化が示唆されればドル安となり、日銀のテーパリングも当面難しくなる
20年債入札
• 最低落札価格は102円75銭と、市場の予想中央値を5銭上回る
• テールは前回と同じ5銭、応札倍率は3.44倍と2年ぶり低水準
• 過去の20年債入札の結果一覧   
背景
• 日経平均株価は1.8%安の2万1115円45銭で終了
• 東京市場のドル・円相場は一時1ドル=112円47銭と、10日以来の円高・ドル安水準
• 17日の米10年国債利回りは3bp低下の2.86%程度。この日の時間外取引は2.84%程度に低下
• 17日の米ダウ工業株30種平均は2.1%安の23592.98ドル 
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.160% -0.150% 0.025% 0.540% 0.755% 0.905%
前日比 -0.5bp -1.0bp -0.5bp -0.5bp -1.5bp -1.0bp
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-17/PJVEJ86JTSED01?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/158.html

[経世済民130] 日本株は大幅反落、米景気指標悪化と円高−医薬品など全業種安い 好材料に反応しない米株市場 また米国株の強気派が白旗バーン
日本株は大幅反落、米景気指標悪化と円高−医薬品など全業種安い
河元伸吾
2018年12月18日 7:55 JST 更新日時 2018年12月18日 15:13 JST
12月のNY連銀製造業景況指数は10.9、17年5月以来の低水準
米住宅指数は3年ぶり低水準、ドル・円は一時1ドル=112円40銭台
18日の東京株式相場は大幅に反落し、TOPIXは年初来安値を更新した。米国の製造業や住宅指標の悪化を受けて景気減速懸念が強まったほか、中国株安で投資家心理が悪化した。為替相場の円高も業績圧迫要因と警戒される中、医薬品やサービス、情報・通信、電機中心に全業種が下落した。

TOPIXの終値は前日比31.69ポイント(2.0%)安の1562.51−17年5月以来の安値
日経平均株価は同391円43銭(1.8%)安の2万1115円45銭
  17日に発表された12月のニューヨーク連銀製造業景況指数は10.9と、市場予想を下回り2017年5月以来の低水準となった。全米ホームビルダー協会(NAHB)とウェルズ・ファーゴが発表した12月の住宅市場指数は56と、3年ぶりの低水準。きょうのドル・円相場は一時1ドル=112円47銭と、前日の日本株終値時点の113円48銭から約1円円高に振れた。

  丸三証券の服部誠常務執行役員は、18日から始まる米連邦公開市場委員会(FOMC)で来年以降の利上げ回数見通しが下方修正されることがコンセンサスだとした上で、「米景気の減速で利上げペースが鈍化することがネガティブに捉えられている」と話した。米国の経済指標の悪化が景気減速懸念を高めるきっかけになったとし、「米金融政策を見極めたいところで買いが入らない」と指摘した。FOMCは19日に2日間の会合を終えて結果を発表する。

  中国株の下落や為替相場の円高進行で午後に下げ幅を拡大し、TOPIXはこの日の安値で取引を終えた。中国の習近平国家主席は改革開放40周年大会で演説、今後の政策について継続性を強調する以外ほとんど手掛かりを示さなかった。岡三証券の山本信一シニアストラテジストは「足元の中国経済は弱く、習氏の演説を受けた中国株安が日本株にも影響した」とみていた。


東証1部33業種は格付け会社が格下げした武田薬品工業を含む医薬品が下落率トップ、サービスや精密機器、情報・通信も上位
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-17/PJWJHP6TTDS301


 


 
好材料に反応しない米株市場、2月来の心理的支えも一時割り込む
Vildana Hajric、Sarah Ponczek
2018年12月18日 14:25 JST 更新日時 2018年12月18日 16:19 JST
2月9日に付けた日中安値、17日に一時割り込む
市場はファンダメンタルズが将来悪化するのではないかと懸念
バリュエーションの低さやパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長のハト派論調、関税合戦のモラトリアム。どれも株式相場を下支えできず、S&P500種株価指数は17日、ここ10カ月の心理的下支えだった水準(2月9日に付けた日中安値)を一時割り込んだ。

  10月の売り以降に相場が下げ止まったと強気派が考えた局面が3回あったが、今月はS&P500種にとって、12月として過去2番目に悪い月となりそうだ。

  クリエイティブ・プランニングの共同最高投資責任者(CIO)、ピーター・マルーク氏は「今の株式市場は良い兆候に反応しない。市場はファンダメンタルズが将来悪化するのではないかと考えている」とし、「おじけづいている人が大勢いて、こういう人々は様子見をしている」と話した。

  様子見が今では唯一の戦略のように見える。コンピューターとソフトウエア株のバリュエーションは来年の予想1株利益の15倍と、公益株などより安いが、売りは激しくなるばかりだ。

  S&P500種は17日に54ポイント安。今四半期で6回目の2%以上の下落となった。

  貿易やトランプ大統領の法的問題、中国の指標、原油下落、住宅市場の低調など、株価下落の理由の候補は数多いが、エドワード・ジョーンズの投資ストラテジスト、ケイト・ウォーン氏は「投資家は心配し過ぎていて、それが最近の株下落の大きな要因だ。全体として米国と世界の成長について懸念している」と話した。

原題:Nothing Is Working as Bulls Run Low on Saviors in Stock Sell-Off(抜粋)
Nothing Works as Bulls Run Low on Saviors in Stock Sell-Off (1)

(最終段落を追加します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-18/PJWYVN6TTDS101?srnd=cojp-v2

 


また米国株の強気派が白旗、バーンスタインがS&P500予想引き下げ
Lu Wang
2018年12月18日 3:44 JST

Photographer: Michael Nagle/Bloomberg
ウォール街の株式強気派がまた一人、ここ最近の株安に屈した。米サンフォード・C・バーンスタインのストラテジスト、ノア・ワイスバーガー氏は約1年前に2019年のS&P500種株価指数の目標値を3150で始めたが、今は予想を2950へ引き下げた。

  下方修正後の同氏の見通しは、今年の予想値である3000を下回る。現在のS&P500種が2600付近で推移していることから、今年の見通しの達成は難しそうだ。


  今年初め、専門家らはS&P500種が12月までに8%上昇すると予想していた。年初からこれまでに同株価指数は3%下落。ブルームバーグがまとめたデータによると、予想との乖離(かいり)は2008年の世界金融危機以降で最大となるもよう。

  依然として強気な見方を崩していない市場関係者もいる。クレディ・スイスのジョナサン・ゴラブ氏は2019年のS&P500種見通しを3350で据え置く。同氏の予想はブルームバーグがまとめたストラテジスト予想の中で最も高い。

  ワイスバーガー氏は顧客向けリポートで、「米国はスピードを落とす段階に入りつつある。短期的な見通しはここ最近と比べそれほど穏やかではないが、恐れていたほどは悪くない」と指摘した。

原題:Bernstein Cuts S&P 500 Target as Strategists Dial Down Optimism(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-17/PJW7TF6S972B01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/159.html

[国際24] 米中貿易戦争で歩み寄る中国、本丸の構造改革は進展なし 習主席:中国、改革を指図される筋合いない
トップニュース2018年12月18日 / 15:31 / 2時間前更新
焦点:
米中貿易戦争で歩み寄る中国、本丸の構造改革は進展なし
David Lawder
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[ワシントン 17日 ロイター] - 米中貿易摩擦では、中国が今月に入って米国車への追加関税の一時停止や米国産大豆の購入再開に動くなど譲歩の姿勢を示し、米国もこうした動きを歓迎している。しかし、米国が最も重視しているのは中国の長期的な産業政策の軌道修正であり、中国政府が米国の要求に応えるのは容易ではない。

トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は1日のブエノスアイレスでの首脳会談で関税合戦に歯止めを掛けることで合意。その後、中国は米国産大豆の購入を再開し、米国車に対して課している25%の追加関税を来年1月から3カ月間停止すると発表した。

また中国は、製造業を育成する「中国製造2025」の見直しを検討しているほか、国営製油所に米国産原油の購入を増やすよう指示した。

こうした中国側の対応について、トランプ大統領は「中国は大規模で包括的な取引を望んでいる」と指摘した。

ただ専門家によると、米中間の関係はやっと貿易摩擦勃発以前の状態に戻り始めただけで、中国に構造的な変化を求め、国有企業への政府補助金や米国の技術の実質的な中国への移転を止めさせたい米国の真の思惑という点ではほとんど進展がない。

ピーターソン国際経済研究所のシニアフェロ―、ゲーリー・ハフバウアー氏は「(中国の動きは)歩み寄りの姿勢を示しているが、トランプ氏が貿易戦争を仕掛ける前に俎上に上っていた提案を上回るものではない」と述べた。「来年3月に暫定合意に達するには、中国からもっと多くの提案が示される必要がある」と指摘。構造的変化は合意がはるかに難しく、3月までに達成できることはほとんどないとみている。

トランプ氏と習氏は今月1日に新たな協議を始めることで合意。米国は来年1月1日から予定していた中国からの輸入品に対する追加関税について3月2日まで導入を延期した。

その後、米中当局者による直接交渉の予定は公表されていない。ただ、事情に詳しい筋によると、1月初旬には協議が行われる見通しで、両者は頻繁にやり取りしている。

中国は先週、7月に中止した米国産大豆の購入を再開すると発表した。ただ、購入量は150万トンで、通常なら年間3000万─3500万トンという米国産の輸入量に比べればかなり少ない。

トランプ氏にとって達成感が強いのは米国車への追加関税の一時停止だろう。これにより米国車に課される関税は15%に戻る。

しかしアメリカン・エンタープライズ研究所のデレク・シザーズ氏は、追加関税の一時停止は「通商的に意味のある一歩」ではあるものの遅すぎたと指摘。中国は国内の市場減速や生産能力の余剰から米国車の輸入が増える見通しは小さく、トランプ氏は1年後には中国の輸入が増えないと怒りを爆発させるとみている。

中国は「中国製造2025」についても地方政府に言及を控えるよう通達し、航空機やロボット、半導体、新エネルギー車、人口知能などの分野で米国と競合するための政策の見直しを模索していると報じられている。ただ、中国は習政権下で国家に経済統制が強まっており、政府が将来性のある分野で国を代表する企業を育成するという目標を断念することはないと専門家はみている。

習氏は18日に行われる改革・開放政策転換の40年を祝う祝典でスピーチする予定で、さらに踏み込んだ対応を示す可能性がある。

戦略国際問題研究所のディレクター、スコット・ケネディー氏は、習氏が「自由化拡大という大きな方向性を明確に示す」ことが重要だと指摘。次のステップとして中国が自ら実のある一連の改革を打ち出せば、来年早々の新たな交渉の土台になるとした。
https://jp.reuters.com/article/usa-trade-china-analysis-idJPKBN1OH0FJ


 


習主席:中国、改革を指図される筋合いない−改革開放40周年で演説
Bloomberg News
2018年12月18日 13:58 JST 更新日時 2018年12月18日 20:32 JST
現在の政策課題を堅持すると言明、米国などの圧力にあらがう
新たな景気支援策、米国の懸念への対応策は打ち出さず
中国共産党の習近平総書記(国家主席)は18日、改革開放40周年大会で演説した。中国経済内の競争拡大容認と国有企業への支援削減を米国など他国が求める圧力に抗し、現在の政策課題を堅持すると言明した。

  習氏は党幹部や軍指導部、企業家らが居並ぶ中で、「何をすべきで何をすべきでないか、中国人民は誰からも指図を受ける筋合はない」と発言。演説は1時間20分にわたり、経済や台湾・南シナ海を巡る情勢などに及んだ。


北京の人民大会堂で演説する習近平総書記(12月18日)写真家:Wang Zhao / AFP via Getty Images
  習氏はまた、同氏の指導の下で中国が「新たな時代」に入ったとあらためて強調。国際社会でより大きな役割を担っていく姿勢を示した。新たな景気支援策や米国の懸念を落ち着かせる動きを打ち出すことはなく、共産党が指導力を発揮し中国の発展のあらゆる面を管理していくことが必要だと重ねて論じた。

  「何を、どのように改革するのかは、中国の特性に合った社会主義体制を改善・発展させるという包括的な目標に基づかなければならない」と述べた上で、「改革が必要または可能な部分は決意を持って変えていくが、変えてはならない部分を変えることは決してない」と続けた。
  
  このほか主な発言は以下の通り。

「共産党中央委員会の権威ある集中的なリーダーシップをわれわれは断固として支持し、党の指導を確実に実施するとともに、改革と発展、安定、内政および外政、国防、党、国家、軍などの分野に反映させる」
「中国は世界という舞台の中心に近づいており、国際社会により世界平和を築き上げる国、世界の発展に貢献する国、国際秩序を守る国として認識されている」
「中国は貿易の利便性を促進するとともに、責任ある主要国としての役割を担い続ける」
「中核技術の自主開発を追求する」
習総書記は演説で、今後の政策について継続性を強調する以外はほとんど手掛かりを示さなかった
米国との貿易戦争についても直接的な言及はなかった
中国に驚異的な成長をもたらした改革開放政策は、1978年12月の党中央委員会総会で正式に始まった
原題:Xi Says China’s Transformation Is Due to Rule of Communist Party(抜粋)
Xi Says China to Continue With ‘Three Battles’ on Economic Risks (抜粋)
Defiant Xi Jinping Says No One Can Dictate Reforms to China(抜粋)

(情報を更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-18/PJWYVN6TTDS101?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/799.html

[国際24] 中国の「ブラックリスト」導入、経営者には頭痛の種 
コラム2018年12月18日 / 13:01 / 2時間前更新

中国の「ブラックリスト」導入、経営者には頭痛の種
Christopher Beddor
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[香港 14日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]の孟晩舟・最高財務責任者(CFO)の逮捕を巡り緊張が高まっているが、企業の経営幹部には他にも頭痛の種がある。中国政府が導入を予定している「社会信用システム」だ。

不正行為に手を染めた個人や企業をブラックリストに載せるというこのシステムについては誤解がまん延している。ただ、ビジネスの観点からすれば眉をひそめざるを得ない。企業不祥事の責任を経営者に負わせれば、ただでさえ曖昧な中国における企業と個人的な利害の境界は一段ぼやける。

一部の地方政府は信用ポイントを伴うスコア制度の導入を模索しているが、中央政府にはスコア制度を取り入れる計画はなく、この点は金融サービスにおける信用状況報告と異なる。また、本質的にこのシステムは反体制的な人物を標的にもしていない。種々の取り組みの緩やかな寄せ集めと理解するのがより適切で、既存の法律の実行性を高めることが目的だとも言える。しかし罰則規定、特にブラックリスト制度は懸念の元だ。

ブラックリスト制度はほとんどの適用対象が特定の業種に限られる。例えば、航空機の非常ドアを開けようとすれば搭乗を拒否されるだろう。ただ、裁判所の支払い命令を無視するといったケースでは罰則の適用対象が広がり、違反者の子息が私立学校への通学を禁じられる可能性もある。

一方、企業が規則違反を犯した場合に、経営者や企業の法的代表者が個人的にブラックリストに載ってしまうこともあり得る。実際に新興企業の楽視の創業者である賈躍亭氏は米国からの帰国命令を無視した後、航空機の搭乗が禁止された。

社会信用システムは外国企業にとってもリスクが増える要因となる。米国の航空会社と中国の航空当局は航空券予約システムにおける台湾の表記を巡って対立しているが、裁判所が航空会社に罰金を科せば、当該航空会社の中国の経営幹部は航空機の搭乗拒否リストに名前が載ったり、子息が私立学校から退学させられるかもしれない。

新システムが適切に運用されればコンプライアンス(法令順守)が進むだろうし、これは良いことだ。しかし経営幹部の個人的な責任と企業の責任の間の関連が強くなり過ぎれば、経営幹部は事業リスクを引き受け、企業を背負うことに消極的になるだろう。長期的にみれば良いことではない。

●背景となるニュース

・中国の社会信用システムは、金融サービスの信用スコア制度や一部の業種で導入済みの規則や規制を強化し、社会信用の改善を図ることを目的とするさまざまな取り組みの総体で、政府が2014年に打ち出した。

・国営メディアは11月20日、北京市が2020年までに市民や域内企業を対象に「信用ポイント」制度を導入すると報じた。制度の詳細は不明。
https://jp.reuters.com/article/column-china-social-credit-idJPKBN1OG0MQ
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/801.html

[国際24] ロシアのSNS使った米大統領選介入、より深刻な状況が判明
ワールド2018年12月18日 / 08:50 / 12時間前更新
ロシアのSNS使った米大統領選介入、より深刻な状況が判明
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[ワシントン 17日 ロイター] - 2016年の米大統領選に対するロシアのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を利用した介入は、これまで考えられていたよりも範囲が広く、人種や過激思想によって米国民の分断化も狙っていた──。超党派の上院議員が17日公表した2つの民間専門機関の報告書で、こうした実態が判明した。

報告書はそれぞれ、ソーシャルメディア分析会社ニュー・ナレッジと、オックスフォード大学および調査会社グラフィカの研究チームがまとめた。サンクトペテルブルクを拠点にしてロシア政府の情報工作を担当しているとみられる企業インターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)が、米国政治を都合よく操作しようとしていたという。

今回の報告書はおおむね、米国の諜報機関が既に把握してたことを確認する内容だったが、何年も前にさかのぼって活動のより詳しい部分を記している。

ニュー・ナレッジの報告書は、ロシア側のある情報工作組織(トロールファーム)がカリフォルニア州とテキサス州で、分断主義をあおろうとしていたと指摘した。

上院情報特別委員会のリチャード・バー委員長(共和党)は「新たに公表されたデータで、ロシアがいかに積極的に人種や宗教、思想で米国民を分断しようとしたかが証明された」と述べ、ロシアの機関は米国の民主的な組織に不信感を植え付ける活動をしており、それは今も続いていると付け加えた。

同委員会の民主党トップ、マーク・ワーナー議員は「これらの報告書はロシアが米国を分断化するために社会にある断層を巧みに利用し、われわれの民主主義を破壊し、操ろうとした範囲を示している。こうした企ては、従来明らかにされていたよりもずっと包括的で計算し尽され、広範だった」と語った。
https://jp.reuters.com/article/russia-us-election-idJPKBN1OG2I3
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/802.html

[経世済民130] 予算膨張「臨特」除き99兆円 赤字財政脱却、先送り懸念も PB赤字は9.2兆円に改善 GDPギャップ7四半期ぶりマイナス
ビジネス2018年12月18日 / 19:06 / 2時間前更新
焦点:
予算膨張「臨特」除き99兆円 赤字財政脱却、先送り懸念も
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[東京 18日 ロイター] - 政府は、一般会計の歳出総額を101兆4600億円程度とする2019年度予算案を固めた。次年度以降の予算編成に向けた「発射台」としては、消費増税対策を除く99兆4300億円程度だが、増税対策と合わせて積み上げた公共事業を今後、臨時・特別措置から切り離せるかは見通せない。赤字財政からの脱却は、さらに遠退きかねない情勢だ。

19年度政府案は、当初予算で初めて100兆円を超える。19年10月の消費税率10%への引き上げを前に、臨時・特別の措置として増税対策2兆0300億円程度を計上するためだ。

消費増税対策は、キャッシュレス決済時のポイント還元や住宅購入支援、公共事業の増額が柱となる。増税後の9カ月間、最大5%分のポイントを還元するのに必要な予算額は2798億円で、決済機器の導入費用も国が3分の2を補助する。

一方、住宅購入支援策では、創設する「次世代住宅ポイント制度」などに2085億円を計上。プレミアム商品券の発行にも1723億円を充てる。

増税対策の6割超は事業規模7兆円の強靭化対策への歳出となる。堤防や空港設備など重要インフラの緊急点検を踏まえ、19年度予算案では1兆3475億円を計上。18年度2次補正予算案と併せた国費は2.4兆円に上る。

政府は、これらの財源に、預金保険機構の利益剰余金8000億円など税外収入1兆2500億円を充て、足りない分は建設国債を7800億円発行して補う方針で、増税対策分を含めても、一般会計の基礎的財政収支(プライマリーバランス)が9.2兆円の赤字(18年度は10.4兆円の赤字)に改善する姿を示す。

ただ、「臨時・特例の措置」を含めた予算総額は、次年度以降の政治的な目安になりかねず、積み上がった公共事業費を今後縮減できるかも不透明感が漂う。

官庁別では、国土交通省の予算額の伸びがもっとも大きく、19年度は前年当初比1兆0800億円増の7兆0200億円程度。要求官庁と査定官庁の間で、わずかながらも増額を容認してきた過去の慣例を絶ち切れるかも焦点となる。

*見出しの文言を一部変更しました。

山口貴也 編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/budget-japan-mof-idJPKBN1OH0UY

 


ビジネス2018年12月18日 / 18:01 / 3時間前更新
7─9月期GDPギャップは−0.2%、7四半期ぶりにマイナス=内閣府
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[東京 18日 ロイター] - 内閣府が18日に発表した2018年7─9月期の国内総生産(GDP)ギャップ(2次速報値ベース)はマイナス0.2%となり、16年10―12月期以来、7四半期ぶりのマイナスとなった。

これは10日に発表されたGDP2次速報をもとに算出された数値で、1次速報を踏まえた0.0%から下方修正された。

前期(同4─6月期)はプラス0.7%だった。
https://jp.reuters.com/article/japan-gdp-gap-idJPKBN1OH0QO


 


 
ビジネス2018年12月18日 / 18:41 / 2時間前更新
公債依存度32.2%に、PB赤字は9.2兆円に改善=19年度予算で政府筋
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[東京 18日 ロイター] - 2019年度予算案の全容が判明した。一般会計の歳出総額を101兆4600億円とする一方、税収や税外収入で財源を積み上げ、新規国債の発行額を32兆6600億円と、18年度当初から1兆0300億円減額する。公債依存度は32.2%と18年度の34.5%から低下し、基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)も前年度の10.4兆円から9.2兆円の赤字に改善する。

複数の政府筋が18日、明らかにした。歳出の内訳は、国債費23兆5100億円、地方交付税交付金15兆9900億円。消費税率10%への引き上げに伴う増税対策2兆0300億円を盛り込み、一般歳出は61兆9600億円に膨らむ。

臨時・特別の措置として計上する増税対策を除いた予算額は、総額で99兆4300億円、一般歳出で59兆9400億円となる。

財源には税収62兆5000億円に加え、預金保険機構の純剰余金8000億円など税外収入6兆3000億円を充て、国債発行額を9年連続で減額する。増税対策を除けば新規国債の発行額は31兆8800億円となり、一般会計PBも、8.4兆円の赤字まで改善する。

山口貴也 編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/budget-japan-2019-pb-idJPKBN1OH0UF
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/161.html

[経世済民130] 米銀が「景気後退シフト」高リスク融資をこっそり縮小 株の弱気相場は行き過ぎか、市場対エ FRB利上げ反対トランプ正しいか
トップニュース2018年12月18日 / 15:36 / 2時間前更新
焦点:
米銀が「景気後退シフト」高リスク融資をこっそり縮小
Imani Moise
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[17日 ロイター] - 米国の銀行株は今月に入ってから、景気後退(リセッション)への懸念を背景に急落している半面、業界幹部は米経済は非常に良い状態だと不安を一蹴し、表面的な融資関連のデータも堅調に見える。

しかしホームエクイティローン(持ち家の評価額からローン残高を差し引いた分を担保とする融資)や、商業不動産融資、クレジットカード融資といった分野では異変が起きていることが、ロイターが政府統計を分析して明らかになった。各銀行は、リスクが高いとみなされる顧客との取引も縮小している。

これらは全て、米銀が近くリセッションがもたらす痛みを受けることを覚悟している証拠と言える。

「銀行業界は今、ある程度の適温状態(ゴルディロックス)を享受している時期にある」とロイターに語るのは、フラッグシップ・バンク・ミネソタのアンディ・ショーナック最高経営責任者(CEO)だ。

ショーナック氏は「金利は相応の利益を稼げるほど高く、クレジットの質はよほどのことがないと損失を被らないほど良好だ」と説明する。

複数の業界幹部は、米経済が恐らく2007─09年の世界金融危機後の長期にわたる景気拡大の最終段階に入ったとは認めながらも、与信関係の数値が大きく悪化し始めるまでは、引当金を増額したり、顧客との取引を減らす理由は見当たらないと主張している。

シティグループ(C.N)のジョン・ガースパッチ最高財務責任者(CFO)は先週のイベントで、市場の動きと「現場の風景」には現時点で大幅なかい離が存在しており、ファンダメンタルズはなお非常にしっかりしているようだと強調した。

このイベントに出席したバンク・オブ・アメリカ(BAC.N)のブライアン・モイニハンCEO、ウェルズ・ファーゴ(WFC)N>のティム・スローンCEO、JPモルガン(JPM.N)のジェイミー・ダイモンCEOらも同意見だった。

実際、デフォルト率や引当金の水準などは過去最低に近い。ところが銀行は一部の分野からは手を引き始めているのだ。

例えばニューヨーク連銀が公表した調査に基づくと、10月までの4カ月で信用履歴の低い顧客からのローン申請は約半分が却下された。前年同期の却下比率は43%だった。

また銀行は、特にサブプライム層の借り手を中心に既存口座の7%を閉鎖。この割合はNY連銀が調査を開始した2013年以降で最も高くなっている。

業界全体でホームエクイティローンは8%減り、クレジットカード融資や商工業ローンなども伸びが鈍りつつある。

カード融資では最大手クラスのキャピタル・ワン・ファイナンシャル(COF.N)は、新規顧客を積極的に勧誘しながらも、それぞれの顧客への融資限度を抑えている、とリチャード・フェアバンクCEOは先週のイベントで明らかにした。

何人かの地銀幹部も、最近になって慎重姿勢を強めたと話す。具体的には建設が始まったばかりの工事プロジェクトや、事前のリース合意がない不動産などへの融資を回避している。

ニュージャージー州のオーシャンファースト・バンクのクリス・マーCEOはロイターに、借り換えサービスから撤退し、工業ローンの残高を圧縮し始めたと述べた。「景気悪化時には工業不動産は極端に流動性が低下してしまう。欲しがられず、必要とされなければ、ほぼ価値はゼロになりかねない」という。
https://jp.reuters.com/article/us-banks-recession-idJPKBN1OH0GG


 

ビジネス2018年12月18日 / 18:26 / 3時間前更新
焦点:
株の弱気相場は行き過ぎか、市場対エコノミストの軍配は
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[東京 18日 ロイター] - 2019年の世界経済は減速するものの、底堅さは維持する──。エコノミストの予想はほぼ一致するにもかかわらず、世界的な株安が止まらない。

一部の市場は弱気相場入りさえしているが、投資家は悲観し過ぎであり、いずれ株価は反発するのか。正しいのは株式市場とエコノミストのどちらなのか注目を集めている。

<投資家は安全資産に逃避>

弱気相場入りの一般的な基準は、高値からの20%下落とされる。「20%という水準に理論的根拠はないが、このレベルを下回ると、さらに下げるという経験則がある」(みずほ証券・シニアテクニカルアナリスト、三浦豊氏)という。市場がそう考え行動すれば、実現するのがマーケットだ。

17日の米株市場では、ラッセル2000指数が8月31日に付けた終値ベースの高値から20%超下落し、弱気相場入りした。

ラッセル2000は、小型株を中心に構成されており、大型株よりも景気動向に対して敏感とされる。弱気相場入りまでダウ.DJIで4322ドル(17日時点)、日経平均.N225で1557円(18日時点)の「余裕」があるが、市場では大型株市場もいずれ弱気相場入りするかもしれないとの警戒感が強まっている。

原油相場CLc1や上海総合指数.SSEC、MSCI新興国株指数.dMIEF00000PUSなども、すでに高値から20%超下げており、弱気相場入りしている。市場では「海外投資家は完全に弱気に傾いており、キャッシュや米国債など安全資産に資金を逃避させている」(外資系証券・営業担当者)との指摘が多い。

<経済データは依然堅調>

エコノミストによる2019年の経済予想は、ほぼ共通だ。ピークアウトはするものの、米経済は減税効果が残り個人消費を中心に底堅さが続くほか、中国経済も金融緩和や財政支出などの政策効果によって、底割れは防がれるというものだ。

実際、経済指標は悪くない。12月NY州製造業業況指数など弱めな指標も出ているが、米ISM景気指数など全体的にみれば、経済指標は依然として高いレベルにある。米利上げの停止など政策対応余地も残されている。

経済協力開発機構(OECD)の2019年世界成長率見通しは3.5%。11月に従来予測の3.7%から下方修正され、18年の3.7%から減速する予想となったが、過去の水準からみれば比較的高い伸びだ。20年の予測は3.5%となっている。

今のところ明らかになっている経済指標で、景気後退(リセッション)を示唆するものはほとんどない。「景気腰折れをリスクシナリオとしては描けても、メインシナリオとしては出せない」(外資系証券エコノミスト)という。

シティグループ証券・チーフエコノミスト、村嶋帰一氏も、米経済を中心に来年の世界経済は底堅いとしたうえで「足元のマーケットは、やや悲観に傾き過ぎではないか」との見方を示す。

<設備投資減速への懸念>

では、何をマーケットは懸念しているのか。

BNPパリバ香港・アジア地域機関投資家営業統括責任者の岡澤恭弥氏は、来年にかけての設備投資減速に対し、海外投資家の懸念が強まっていると指摘する。

「米中の貿易交渉が決まらないと、企業は何をどこに投資していいかわからず、設備投資計画も決められない。投資家は設備投資減速によるグローバル景気の下押しを強く懸念しており、それが今年10月以降の株安の大きな背景だ」と話す。

ブラックロックの分析によると、足元の米国株の下落要因をマクロ要因の推定影響度でみると、経済成長率の鈍化よりも、不確実性の高まりが大きい。具体的には貿易摩擦の激化を巡る懸念が、堅調なファンダメンタルズを相殺しているという。

マクロデータには、まだ表れない経済の動きをマーケットは感じ取っているのか──。

株価は実際の経済に半年程度先行すると言われるが、常に正しいわけではない。長期的には正しいとしても、その間は上下を繰り返しながら動くのが常だ。

市場が正しいのか、エコノミストが正しいのか。投資家もエコノミストも大きな関心をもって、今後の設備投資データをみることになりそうだ。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)
https://jp.reuters.com/article/market-stock-economist-crossmarketeye-idJPKBN1OH0R2


 


外為フォーラムコラム2018年12月18日 / 13:11 / 8時間前更新
コラム:
FRB利上げに反対、トランプ氏の「勘」は正しいのか=上野泰也氏
上野泰也 みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
4 分で読む

[東京 18日] - 12月18─19日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では今年4度目の利上げが実施される可能性が高まっており、フェデラルファンド(FF)レート先物はそれを8割弱織り込んでいる。

トランプ政権側もそれを覚悟しているようであり、カドロー国家経済会議(NEC)委員長は7日のテレビ出演で、米連邦準備理事会(FRB)は12月に何らかの行動を起こすかもしれないが、その後はおそらくかなりの期間にわたって何もしないだろうとみていることを明らかにした。その上で、トランプ大統領の考えも大体一致していると述べた。

そうであれば12月のFOMCが近づく中で、トランプ大統領は利上げ路線に対する批判を手控えそうなものだが、実際には全く逆だ。FOMC開始まで1週間を切っても、さらには開始前日になっても、12月は利上げすべきでないという主張を大統領は発信し続けた。

<繰り返される執拗なFRB批判>

ロイターが11日配信したインタビューで、トランプ大統領は、12月に利上げをするとしたら「ばかげていると思うが、私に何が言えるだろう」と発言。「彼(パウエルFRB議長)は良い人間だと思う。彼は、自分が最善だと考えることをやろうとしているとは思う。私とは意見が違う」としつつも、「彼は強引過ぎ、あまりにも強引過ぎ、実際にあまりにも強引過ぎると思う」と批判した。

2020年の大統領選時に米国がリセッションに陥る懸念はあるかという質問に対しては、海外要因が国内の経済に悪影響を与える可能性に言及しつつ、「私の意見では、わが国は非常に上手くいっている。国内企業は非常に好調だ。FRBが合理的かつ理性的に施策を行うなら、わが国は前進するだろう。われわれは、飛翔する宇宙船だと思う」と返答した。

要するに、米国の経済・企業は非常にうまく運営されているものの、海外にリスク要因が数多い中でもFRBがこのまま利上げを続けるようなら景気拡大の持続は危うくなる、という見方である。

13日にはFOXテレビのインタビューで、トランプ大統領は、米政策金利が現在ほぼ正常な水準にあると強調した上で、インフレ率が非常に低いので追加利上げは不要であり、FRBはこれ以上金利を上げないで欲しいと発言。12月の利上げへの反対を、あらためて明確にした。

FOMC開始直前の17日には、FOMCがいまだに利上げを検討していることが信じられないとツイート。ドル相場が強いこと、インフレ率が落ち着いていること、フランスや中国の景況悪化を、そう考える理由として挙げた。

2020年の大統領選を展開しているタイミングで米国経済が後退局面入りしてしまい、失業率が上昇するようだと、トランプ大統領の再選は危うくなる。そうした焦りがFRB批判に結び付いているとみるのが普通である。

また、ここでFRBの利上げを何度も批判して、利上げに反対していたことを人々に強く印象づけておけば、米国経済がリセッション入りしてしまった際にはその責任をFRBに転嫁できるという、いかにも政治家らしい計算も働いていると考えることができる。

<パウエル議長の真意は>

だが、本当にそれだけだろうか。筆者が気になっているのは、もう少し前、11月27日付の米紙ワシントンポストとのインタビューでの発言だ。

大統領はそこで、「これまでのところ、(FRB議長に)パウエル氏を選んだことを少しも喜んでいない。少しもだ。誰かを責めているわけではない。ただFRBがひどく間違っていると言っているだけだ」と述べた。この部分は多くのメディアが転載して伝えたのだが、オリジナルの記事を見ると、実はその直前、大統領は次のように発言していた。

「私がディールをしているのに、私はFRBに助けられていない」。そしてこう続けた。「彼ら(FRB)は間違いを犯している。そう考えるのは、私には勘(a gut)があり、私の勘はときどき、他の誰の頭脳よりも多くのことを私に告げてくれるからだ」

普通の人には理解し難いほど執拗な利上げ批判の根底には、ビジネス界での経験が長いトランプ氏が抱いている「このままではまずい」というような、一種の直観があるのだろう。

Slideshow (2 Images)
12月の利上げによって政策金利をもう少し中立水準とみられるところに近づけてから、来年1月及び3月のFOMCでは利上げを休止して様子を見たい、というのがパウエル議長らFRB中枢の意向だと推測できる。

<「勘」は本物か>

筆者は、3月のFOMCで利上げを休止した後、景気腰折れがなさそうだと判断されれば6月に利上げを再開する可能性があるものの、そこで今回の米利上げ局面は終了するというシナリオを描いている。

だが、12月の「あと1回」が「ラクダの背を折る最後の1本の藁(わら)」になることを、トランプ大統領は直観的に、強く警戒しているのだろう。

金融政策というのはもともと、「運転」が非常に難しい政策である。利上げや利下げの効果が実体経済に表れるまでに1年─1年半の時間差(ラグ)があるため、そのかじ取りは足元の経済指標の良し悪しを見ているだけでは駄目だ。ずっと先にある、まだ見えてこない道路の状況を推測しながら走り続ける必要があるため、パウエル議長としても利上げをどこまで重ねればよいのか、十分な自信は持てていないはずである。

17日に発表されたアンケート調査に基づく経済指標の悪化ぶりや、景気の先行指標である株価のぜい弱さに鑑みると、トランプ大統領の勘が実は正しく、12月の利上げは土壇場で見送った方がいいのではないかとも思えてくる。

いずれにせよ、2019年の米国の利上げ実施はあったとしても1回にとどまり、ドルは潜在的に対円で100円近くまで下落する余地があると、筆者は考えている。

上野泰也氏 みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト(写真は筆者提供)
*上野泰也氏は、みずほ証券のチーフマーケットエコノミスト。会計検査院を経て、1988年富士銀行に入行。為替ディーラーとして勤務した後、為替、資金、債券各セクションにてマーケットエコノミストを歴任。2000年から現職。

*本コラムは、ロイターの外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-yasunari-ueno-idJPKBN1OH0BL
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/162.html

[経世済民130] 改革開放40年の中国、米中貿易戦争で変革促す声高まる 日米摩擦は教訓になるか 日本人が抱く「在日中国人像」は10年古い 
2018年12月18日 ロイター
改革開放40年の中国、米中貿易戦争で変革促す声高まる
故トウ小平氏の肖像画の前で踊る市民
12月14日、米中貿易戦争により、中国の起業家や政府顧問、シンクタンクから、世界2位の経済大国である自国の改革を加速させ、国から抑制されている民間セクターの開放を求める声が強まっている。写真は、改革開放40周年を控え、故トウ小平氏の肖像画の前で踊る市民。広東省深セン市で4日撮影(2018年 ロイター/Thomas Suen)
[北京 14日 ロイター] - 米中貿易戦争により、中国の起業家や政府顧問、シンクタンクから、世界2位の経済大国である自国の改革を加速させ、国から抑制されている民間セクターの開放を求める声が強まっている。

 こうした変化を求める声は、中国の重要な記念日を控えて、一段と高まっているが、政府が主な政策を変更する兆しは見られない。

 当時の指導者だった故トウ小平氏が「改革開放」を開始してから18日で40年を迎える。一連の画期的な資本主義的実験によって、同政策は中国の大半を貧困から脱却させ、経済大国へと変貌させた。

 中国は以前から、自国のペースで広大な市場をさらに開放する意向だと明らかにしてきた。

 だが、今がその時だと考える政府顧問の数はますます増えており、改革が米国との貿易摩擦を沈静化させるだけでなく、中国経済の長期的向上を確実なものにさせる、と彼らは主張している。

改革開放40周年を控え、ライトアップされた広東省深セン市の金融街
改革開放40周年を控え、ライトアップされた広東省深セン市の金融街。4日撮影(2018年 ロイター/Thomas Suen)
 米国は中国に対し、産業助成金をやめて国が主導する経済モデルから転換し、自国市場を米国製品に開放し、知財窃盗や強制的な技術移転を取り締まるよう求めている。

「米国からの圧力が改革の原動力となるかもしれず、これは中国にとってチャンスとなり得る」と、中国政府のアドバイザーを務める人物はロイターに語った。「中国に対する圧力はとても大きく、われわれは長期的な準備をすべきだ」

 トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は、米国が2000億ドル(約22.7兆円)相当の中国製品に対する輸入関税を、来年1月1日から現行の10%から25%に引き上げる計画を延期して、通商交渉を行う「休戦」に合意した。

 今後の交渉で合意に至るには、中国は一段の市場開放や助成金の削減、知財保護の改善を含むいくつかの譲歩を迫られるだろうと政府関係者らは言う。だが、中国は自国の競争力に不可欠な産業発展計画を棒に振るつもりはない、と付け加えた。

「米国は中国に改革ペースを速めるように求めているが、それはわれわれの利益と一致する」と別の政府顧問は話す。「われわれは市場志向の改革を推進するが、急ぎすぎず、西側モデルを完全にまねるわけではない」

 中国国務院(内閣に相当)はコメント要請に応じなかった。

 中国は6月、以前から期待されていた金融、農業、自動車、重工業などへの外資の出資規制緩和を発表し、一段と市場開放する方針を示した。

 習主席は18日、改革開放40周年を記念して演説を行う予定だと、外交筋は語った。

国の介入
 中国共産党は2013年、第18期中央委員会第三回全体会議(三中全会)で、今後10年間の改革案の1つとして資源配分で市場が「決定的な」役割を果たすと表明。だがその後、改革のペースを巡り、中国の経済学者の間で失望が広がった。

 この数ヵ月、あらゆるタイプの事業において共産党が存在力を強めていることへの不満が高まっている。

「依然として政府は介入しすぎる。差し当たり、緩和されていると感じたことはないし、政府が今後、緩和するとも思わない」と、江蘇省常州の産業機器メーカー「孟騰智能装備」のゼネラルマネジャー、サム・ユウ氏は言う。

「中国国内の改革を促進するには外的要因が必要だと思う」と、同氏は貿易戦争についてこう付け加えた。


広東省深セン市の改革開放40周年を記念する展示会で4日撮影(2018年 ロイター/Thomas Suen)

 著名な経済学者で中国の政策策定に携わってきた呉敬l氏は、自国の発展と転換に不可欠な改革を実行するという約束を実現するため、「より大きな政治的勇気と英知」を示すよう中国指導部に求めている。

 肥大化した国有部門に対して1990年代に痛みを伴う改革を指揮した朱鎔基・元首相の息子である朱雲来氏も、北京で最近開かれた金融フォーラムで「改革・開放がなければ、社会が組織的な成長を維持することは非常に困難だろう」と同様の主張を行った。

 また、中国人民銀行(中央銀行)金融政策委員会の劉世錦委員も同フォーラムで、中国の「不完全な」市場経済の向上と一段の開放に向けた改革は、対米貿易摩擦に対処する上で役に立つと語った。

苦境に立つ民間企業
 持続的な経済成長の鍵とみられている中国民間企業の不自由さは、2008年の世界金融危機時に政府の大規模な刺激策により復活を遂げた国有企業が勢いづいているのとは対照的だ。

 国有企業が民間企業を犠牲にする形で力強く成長する、いわゆる「国進民退」の傾向を強調するかのように、国有企業は今年、少なくとも民間上場企業31社の経営権をすでに取得、あるいは今後取得する計画であることがロイターの調べで明らかとなった。

 そのような買収は昨年はごくわずかで、今年はその数を上回っている。

 習主席は、中国経済の急激な減速を回避する対策の一環として、金融機関に対して資金提供や税制支援を約束しているが、民間企業は国有企業と対等の立場を求めている。

 しかし、習主席が国有企業の活動を抑制する大胆な行動に出る兆しはほとんど見られない。

 中国人民銀行の易綱総裁は10月、中国が国有企業と民間企業を対等にする「競争中立性」の原則を採用する計画だと語った。

 だが、中国政府と国有企業の緊密な関係を考えると、こうした約束は単なる象徴的なものにすぎないと専門家はみている。

「改革が唯一の方法だ。過去の改革は政治に触れなかったが、もう余地は残されていない。政治変革なき経済改革では袋小路に入るだけだ」と、3人目の政府顧問は語った。

(Kevin Yao/翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
https://diamond.jp/articles/-/188930


 

2018年12月18日 Peter Landers
米中衝突、よみがえる日米貿易摩擦の記憶 1980年代の日米摩擦は中国との貿易紛争の教訓になるのか

――筆者のピーター・ランダースはWSJ東京支局長

***

 台頭著しいアジアの国が多額の対米貿易黒字を築き、米国経済の優位を脅かしている。米政府はその新しい大国が米国の技術を取得する手口(窃盗が多いと米当局者は警告)や自国企業を世界で優位な位置に押し上げるべく強権を振るう様子に憤慨している。中西部でブルーカラーの男性から予想以上の支持を集めて選挙を制した共和党大統領は、経済的ライバルであるその国が米国と取引(ディール)をした方が身のためだ、さもないと大変なことになると話す。

 これはもちろん1980年代半ばの日本の話だ。日本の台頭は当時のロナルド・レーガン大統領にとって最大級の課題であり、米国は常に期限を設け、関税をちらつかせていた。そして米国は現在、同様の課題に直面している。当時と違うのは相手が中国であることだけだ。中国は日本に代わって世界第2位の経済大国となり、米国に対する最大の挑戦者となった。

 ドナルド・トランプ大統領は、1日にブエノスアイレスで中国の習近平国家主席と夕食を共にした後、一時的な「休戦」を発表した。米中は協議を再開し、中国は速やかに自動車関税の引き下げを提案した。だが米国は期限を設けている。90日間で新たに全般的な合意が形成されなければ、米政府は中国からの輸入品2000億ドル相当に25%の関税を発動する。夕食会の数日前、トランプ氏はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)にこう語っていた。「米国に対して中国を開放しなければならない。さもないとディールは成立しない」

 30年前に似たような状況に置かれていた日本政府は、米国に対する大幅な譲歩という運命的な選択をした。このうち1985年のプラザ合意はドルに対する円高につながった。その後に起きたことは、貿易紛争がいかに予想外の形で終わり得るかを示す、米国にとっての貴重な教訓だ。

 想像できるよりもはるかに急速に、日本は米経済の優位を脅かす存在でなくなった。米国の圧力の下、輸入需要を喚起するために金利を引き下げた。それが引き起こした歴史的なバブルは90年代初頭に崩壊し、日本は停滞期に入った。程なく、世界経済を日本が支配するという懸念は消えうせた。

 その結果を見れば、米国は勝者として貿易戦争を脱した。トランプ氏に対中強硬姿勢を訴える人の多くは、今回も同様の結果になれば大満足だろう。中国政府の力が弱まれば、太平洋で米海軍を脅かしたり、世界のモバイル通信規格の今後を左右したりすることは難しくなる。

 だが日本のケースを見れば分かるように、第2位の経済大国をつぶしても、貿易不均衡の根底にある問題――例えば懐にないカネを使おうとする米国の傾向――が解決するとは限らない。日本との不均衡は実質的に中国に移った。レーガンやその後の大統領らが守ろうとした中西部製造業界の雇用は消え続けており、米国の消費者は依然として米国製のテレビや電子レンジを買いそうにはない。

 中国は日本の経験を徹底的に研究しており、米国の求める譲歩に対して日本以上に抵抗する公算が大きい。だが米政府の要求に屈するにせよ、抵抗して多額の関税を支払うことになるにせよ、中国経済には激震が走りそうだ。日本と同じように、中国も米国が想定も準備もしていなかった弱点を露呈するかもしれない。

 30年の歳月で記憶は風化しているが、80年代には日本が突き付ける課題は非常に大きいと考えられていた。84年には米国の貿易赤字が初めて1000億ドルを超えた。民主党は多額の対米貿易黒字を計上している国に懲罰的な関税で報復する法案を推進した。日本は対象国リストのトップにあった。

 当時の大蔵省で財務官などを務めた行天豊雄氏(87)はインタビューで、「米国側は常に日本を脅していた」と振り返った。米国の怒りを静めなければ米市場から締め出されかねないというのが日本側の認識だったという。当時の竹下登・大蔵相は85年9月のある日、報道陣を巻くためにゴルフシューズで家を抜け出し、9ホールを回った。だが残りの9ホールを終える代わりに空港に向かい、ニューヨーク行きの飛行機に搭乗した。行天氏が92年に出版した米連邦準備制度理事会(FRB)元議長のポール・ボルカー氏との共著に記したエピソードだ。

 85年9月22日の日曜日、米国、日本、英独仏がニューヨークのプラザホテルで、後に「プラザ合意」と呼ばれるドル高是正の取り決めを発表した。目的は米国の輸出品の魅力を高め、同国の貿易赤字を削減することだった。でなければ、「相互破壊的な報復」合戦に陥りかねないと蔵相らは警告した。

 ある参加者は「サプライズの要素は完全だった」と述べた。ドル安は、行天氏が「止められない」と言うほど猛烈な勢いで進行した。プラザ合意前には1ドル=約240円だったが、1年で154円まで下落した。

 当時大統領だったレーガンは一段の措置を求めた。プラザ合意の翌日には経済団体に、日本を念頭にこう述べた。「諸政府が米製品の偽造やコピーを認める時、それはわれわれの未来を盗んでおり、もはや自由貿易ではない」。日本の競合他社が世界市場でシェアを拡大していることに遅ればせながら気づいた米企業が、だまされていると声を上げたこともあった。IBMは富士通がIBM製メインフレームの基本ソフト(OS)をコピーしたと主張した。米複合企業ハネウェルはミノルタが85年に発売して人気となったカメラで特許技術を盗んだと訴えた。いずれの紛争でも後に和解が成立したが、米政府は日本がリードすることを恐れ、86年に開催した超電導に関する会議に外国の科学者が出席することを禁じ、日本に基礎的な研究を増やすよう迫った。そうすれば、日本の科学者が米国の発明にただ乗りするのを防げるとの考えだった。

 一方、米当局者に促された日本は早急に輸入拡大に向けた刺激策に乗り出した。日本銀行は1年半足らずで公定歩合を半分に引き下げた。米国は好景気となり、日本の貿易黒字はやや縮小した。

 それでも米国の懸念は深まった。通商当局者や専門家は80年代の終わりごろから90年代初頭にかけて、日本の官僚が世界の支配を画策していると盛んに警告した。米国の通商当局者らは89年、日本で生まれたOS「トロン」がコンピューターにおける米国の優位を崩しかねないと警告した。

 91年の共著「The Coming War With Japan(邦題:『第二次太平洋戦争』は不可避だ)」の中でジョージ・フリードマン氏とメレディス・ルバード氏は、貿易を巡る米国の要求に腹を立てた日本が「西太平洋と東アジアを支配する帝国を再び目指す」と予想した。書評家らは憂慮すべき内容を含んだ示唆に富む作品だと評した。ジェームズ・ファローズ氏はニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス誌で、「ますます激しくなる(日米)競争」という著者らの予想が「かなり予見性に富んでいるように思える」と記している。

 既に起きていたのにほとんど誰も予想していなかったのは、日本の経済システムの崩壊だ。ほとんど気付かれていなかった経済運営の欠陥がプラザ合意と利下げで露呈した。利益相反を抱える当局は、銀行が価格のつり上がっていた不動産を担保に多額の融資をするのを止めなかった。独立性に欠けた日銀は、世紀の宴のたけなわで片づけを始めることをためらった。「安易なマネーは消費や輸入を拡大する代わりに資産バブルを喚起した。日本人はみな完全に催眠術にかかっていた」と、行天氏は話す。

 必至だったバフルの崩壊がやって来た時には、大蔵省の官僚と銀行幹部はまさに不意打ちを食らった形となった。ノーパンしゃぶしゃぶを楽しんでいたことも発覚したのだ。

 日本は20年にわたる停滞期に入った。不良債権を抱えた銀行が幾つか破綻し、物価は低下し始めた。世界標準になったのは、トロン技術を基にしたパソコンソフトや半導体ではなく、マイクロソフトのウィンドウズやインテルのプロセッサーだった。トロンを推進していた日本の官僚がなすすべもなくそれを目撃していた頃、米西海岸ではグーグルやアマゾン・ドット・コムといった後の巨大企業が生まれていた。

 米政府は遠方にある他国の経済を細かく管理して米国からの輸入を拡大するのには限界があることを学んだが、米国のイノベーションの力は日本を巡る悲観論者が予想したどの筋書きをも上回った。世紀の変わり目には、日本は米国にとって最大の通商問題でなくなっていた。もはや論じる価値はなかった。

 一方、日米間の激しい攻防を忘れなかった国がある。それは中国だ。

 「われわれは日本の経験に細心の注意を払ってきた」。中国社会科学院の著名エコノミスト余永定氏はこう話す。バブル期やバブル崩壊後を乗り越えた行天氏ら日本のトップ官僚のもとには中国の当局者がたびたび訪れたという。

 当初、中国側の多くが関心を向けたのは、プラザ合意から得た最もシンプルな教訓、すなわち自国通貨を自ら管理すべきという点だ。中国は今も人民元の対ドル相場を、毎日公表する基準値から一定の範囲内に制限している。

 「中国にもプラザ合意のような取り決めを課すことができるという幻想は捨てよと人々に助言したい」。崔天凱・駐米中国大使は8月にこう語った。「中国が脅しや威嚇、いわれなき非難に屈するという幻想は捨てるべきだ」

 為替操作は米国にとって、数年前まで中国に対する最大の不満の1つだった。トランプ政権ではこの議論が、中国の経済運営そのものに対する批判へと拡大した。

 本来無視されたはずの中国政府の官僚的経済計画だが、2015年に導入されたハイテク産業育成策「中国製造2025」は特に、今や世界の貿易紛争の焦点に浮上している。それはかつて日本の「トロン」計画がそうであったように。関係筋によると、米国の圧力を受けた中国は「中国製造2025」の見直しを検討し始めたという。「これほど大騒ぎになったことは驚きだ」。エコノミストの余氏はそう話す。「新技術を理解できる賢明な政府などないと思う」

 軍事的な緊張に関しては、当時の日本と現在の中国に共通点は少ない。1980年代には日本が再び軍拡路線に戻り、米国の戦略上のライバルになる可能性を懸念する声もあったが、その役割は既に中国が演じている。領有権を主張する南シナ海に軍事拠点を築き、米海軍を挑発しているからだ。日本の10倍以上の人口を抱え、核兵器保有国でもある中国は、かつての日本に比べてはるかに強力に米国と対峙(たいじ)できる立場にいる。

 だが超大国の衝突をめぐる議論の中で、人々が見落としがちなのは中国が逆の方向に進むリスクだと元日銀政策委員会審議委員の木内登英氏は指摘する。現在は野村総合研究所に在籍する木内氏は中国の金融システムは世界の安定性にとって最大の脅威だとし、「ちょうど悪いタイミングで米中貿易問題が起きた」と語った。

 現在の中国経済と1980年代の日本経済は同じ状況にはないが、いくつかの構造的欠陥は似ている。中国の規制当局は金融システムのリスク、特に預金に似た理財商品に数兆ドルが投じられているリスクについて十分把握できていない。中国主要都市の不動産価格は平均的市民の収入をはるかに超えた水準に上昇している。これは1980年代末に東京都内の小さな物件を買うのに100年ローンを組む人がいたことを思い出させる。さらに出生率低下に伴い、中国の生産年齢人口は縮小し始めている。これは日本の長い経済停滞の根底にある「人口時限爆弾」問題と似ている。

 木内氏らエコノミストによると、米国との貿易摩擦が長引く中、中国指導部は既に国有企業を市場の競争にさらすといった改革を後退させている。中国政府は公共事業のような短期的な景気刺激策に頼ることになりそうだが、それは日本がプラザ合意の後に試し、後年になって悔やんだのと同じやり方だ。

 もし中国経済に急ブレーキがかかれば、米国は多くの理由で安堵のため息をつくはずだ。中国は軍事拠点の建設を抑えざるを得なくなるだろう。そして中間層の不満が高まり、習近平国家主席が抑えてきた政治の自由化が一気に進む可能性もある。

 その場合のリスクは、中国の不安定さが世界中に波及する可能性だ。その影響は、中国が輸入するアイオワ産大豆やサウスカロライナ州で製造したBMW車だけにはとどまらない。世界貿易は30年前よりはるかに複雑に絡み合っている。もし中国が日本製ロボットやドイツ製ガスタービンの輸入量を減らせば、両国が受ける打撃は米国にも波及する。世界経済の6分の1を占める中国のような国で景気後退の懸念が持ち上がっただけで各国の市場は打撃を受ける可能性があり、自己実現予言となるかもしれないのだ。

 もし中国の失墜を米国が望んでいると受け止められれば、別の意味で自己実現的といえるかもしれない。米国と利害関係をある程度共有していた国(あえて言うなら「フレネミー」)をあからさまな敵に変える可能性があるからだ。トランプ氏自身、そのリスクに気づいているようだ。11月7日の記者会見では質問に答え、いつものように得意げに政策の成果を強調しながらこう言った。「中国はとんでもなく落ち目だ。中国は経済大国として2年後に米国を超えてもおかしくなかった。だが足元にすら近づいていない」

 だが突然こう気づいたのだ。「私は彼らが落ち目になるのを望まない。われわれに何ができるか考えてみよう」
https://diamond.jp/articles/-/188784


 

2018年12月18日 週刊ダイヤモンド編集部
在日中国人社会の知られざる全貌、日本人が抱く「中国人像」は10年古い
在日中国人“100万人”時代は間近──。2000年時点で32万人だった在日中国人は、今やその3倍近くにまで膨れ上がりました。変わったのは人口だけではありません。その中身もまた、多くの日本人のイメージを打ち壊すほどに変貌しています。富裕層から裏社会まで、中国という国家の“縮図”ともいえる、在日中国人社会の今に迫ります。(本記事は週刊ダイヤモンド2018年7月7日号からの抜粋です)
「日本人の在日中国人に対するイメージは、10年前のもの」──。
 そう指摘するのは、『中国人エリートは日本をめざす』(中央公論新社)などの著書を持つフリージャーナリスト、中島恵氏だ。
「在日中国人の実態は、年々分かりづらくなっています。なぜなら人数の増加だけでなく、さまざまな職種に進出し、質が高まっているからです。つまり『高度化、細分化、多様化した』ことで、在日中国人の社会で起きるあらゆる問題が彼らだけで解決できるようになりました。そのため、その外側にいる日本人の目に見えにくくなっているのです」(中島氏)
 中島氏のこの指摘は、統計データからも垣間見える(下図参照)。

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 在日中国人は、近い将来100万人突破が確実視されている。ここで特筆すべきは、単純労働者の増加ではなく、高度人材や留学生の日本での就職者の数が急激に伸びているという点だ。
 国籍別の人口増加数で中国は現在、ベトナムに次ぐ2番手。だが、都道府県別に見ると、ベトナムは地方を含めて満遍なく数を伸ばしているのに対し、中国は大学や企業が集中する大都市で1番手になっていることが、その証左だろう。
 また、外国人犯罪の国籍別検挙数でも、総数が右肩下がりの中、中国も減少トレンドであるのに対し、数の上では中国の4分の1にとどまるベトナム人の検挙数は、中国に迫る勢いで伸びている。
 統計データを俯瞰しても、在日中国人の実像は一昔前と大きく変貌していることがうかがえるのだ(下図参照)。

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中国人の日本移住は
日本人におけるIターンに相当
「現在、日本に移住する中国人の動機を例えれば、都会出身の日本人が田舎暮らしを求めて移住する“Iターン”に似ている」

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 上海出身のある在日中国人は、そんなショッキングな例え方をする。「今どき、それなりの中国人ならば、お金を稼ぐために日本には行かない。中国にいた方が稼げるからね。もちろん、中国の田舎から日本に移住してくる貧しい層は違うと思うけど」(同)。

 中には、日本への留学後、帰国したものの母国に嫌気が差して日本に舞い戻ってくる“Oターン”ともいうべきケースもあるという。
 そんな現在の在日中国人の典型が、家族を連れて昨年移住してきた上海出身の男性会社員、黄さん(仮名)だ。
 現在30代半ばの黄さんは、かつて留学生として来日し、都内の私立大学を卒業後、帰国して地元で就職したが、日本移住のために会社を辞め、日本企業に再就職。今の年収は500万円ほどだという。
 黄さん一家は、都心でも「超」が付くほどの一等地に立つファミリー向け賃貸マンション暮らし。家賃は月額30万円近いという。一体、どうやって生活費を捻出しているのか? 実は黄さんは、日本に複数の物件を所有する不動産オーナーで、その賃料収入で日本での暮らしが成り立っているのだ。
 だが、黄さんは中国でもごく普通の中流家庭育ちで、富裕層ではない。一人っ子政策の後に生まれた中国語でいう「80後(1980年代生まれ)」世代で、両親と祖父母からの支援を全て自分のものにできるのだ。祖父が持っていたマンションを売却したところ、上海の不動産価格の暴騰で大金が転がり込んだという。
「上海のそれなりのエリアでマンションを買おうとしたら、1億円ではとても足りません。ですが、日本なら複数の物件を買える。日本は義務教育や社会保障がしっかりしているし、自然も豊か。だから移住を決めました」(黄さん)

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 もはや中国人の爆買いは、富裕層だけのものではない。
 日本人が気付かぬ間に、大きく変貌を遂げた在日中国人の実態。背景には、中国経済の急成長があることは間違いない。その発展をいち早く取り入れるべく、日本企業の“中国シフト”も加速しつつある。
 中国語を事実上、“第三の社内公用語”に位置付けたのが、大手総合商社の伊藤忠商事だ。2015年に開始した「中国語人材1000人育成プロジェクト」は、総合職社員の3分の1を中国語検定に合格させるという野心的なもので、すでに今年2月に目標を達成したという。
 母国の成長が在日中国人にもたらした影響は大きい。

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https://diamond.jp/articles/-/188726

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/165.html

[経世済民130] FRBゼロ金利導入10年、実態と復活の可能性を検証 米政府機関の閉鎖はあるか、影響と今後のシナリオ
2018年12月18日 ロイター
FRBゼロ金利導入10年、実態と復活の可能性を検証
ワシントンのFRB本部
12月16日、米連邦準備理事会(FRB)が2008年12月16日、深刻な経済危機に対応するために事実上の「ゼロ金利政策(ZIRP)」を開始すると、当時のバーナンキ議長は「旧来の政策の枠組みの終えん」と呼んだ。ワシントンのFRB本部で2015年9月撮影(2018年 ロイター/Kevin Lamarque)
[ワシントン 16日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が2008年12月16日、深刻な経済危機に対応するために事実上の「ゼロ金利政策(ZIRP)」を開始すると、当時のバーナンキ議長は「旧来の政策の枠組みの終えん」と呼んだ。

 それから10年が経過してもなお、こうした政策が与えた影響の全体像は完全には解明されていない。ただFRBはそれ以前とは全く違う姿になった。政策金利をゼロにする決定により、バランスシートの大規模な拡大や2%の物価目標導入、連邦公開市場委員会(FOMC)後の定例会見実施といった大きな変化を迫られたからだ。

 改めて政策の実態を検証するとともに、ゼロ金利復活が当たり前の状況になる可能性があるのかどうかを探っていく。

ZIRPとは
「Zero Interest Rate Policy」の略称で、政策金利が0─0.25%に据え置かれた7年間を説明する上で最も一般的に使用されている。政策担当者は「ゼロ金利制約(Zero Lower Bound)」ないし名目金利の「実質的下限制約(Effective Lower Bound)」とも呼ぶ。

 こうしたアグレッシブな政策を採用したのはFRBが初めてではなく、日銀は1990年代、不動産バブル崩壊に伴って経済が10年にわたって停滞した事態を受け、ゼロ金利政策を導入した。

なぜZIRPを採用したのか
 ほかに選択肢がなかったからだ。07年7月から08年秋にかけて、FRBは政策金利を5.25%から1%まで引き下げた。

 ただ経済が非常に弱くなり、多くのモデルでは適切な金利水準はマイナスだと示唆。マイナス金利はその後他国では打ち出されたとはいえ、米国では議会が受け入れる見込みはなく、急速に危機が進む中で国民の説得に努めるのも時間的に難しかった。

 その代わりFRBは政策金利を0─0.25%に下げた。事実上のゼロ金利だが、それよりもFRBが極端な政策に自ら動いたとアピールした点に大きな意味があった。

機能したか
 ほとんど効果はなかった。そしてFRBは、進行中の危機に対処するには単なる標準的な金利政策以上の何かが必要だと分かっていた。

 当時のサンフランシスコ地区連銀総裁でその後FRB議長になったジャネット・イエレン氏は08年12月のFOMCで「漸進主義にはメリットが乏しいと思う」と発言。このFOMCの声明は、FRBが経済の持続可能な成長軌道への復帰を促すために利用可能なあらゆる政策手段を用いると記していた。

 これをきっかけとして、住宅市場にとって重要な長期金利を低水準に維持する目的の大規模な資産買い入れなどの非伝統的政策が実行された。FRBはゼロ以下に政策金利を下げることはできなかったが、非伝統的政策の方は今もまだ金融市場の構造を形成する1つの要素となっている。

弊害はあったか
 失業率は約50年ぶりの低さで、物価上昇率はFRBの目標近辺で推移。10年近くにわたる景気拡大期間は、来年で過去最長になろうとしている。

 では好ましくない点はないのだろうか。

 FRBは事実上のゼロ金利脱却に7年もかかり、現在でも政策金利の水準は異例なほど低い。ある意味で消費者と企業は低コストの資金調達環境なしではいられなくなっているかもしれず、金利動向に非常に敏感なので利上げに際して住宅購入や投資の意欲が以前よりも急速に減退してもおかしくはない。

 一方で企業は低金利環境下で負債を大きく積み上げてきた。これにより次の金融危機の素地が形成されている可能性がある。

ZIRPは再び出現するか
 ほぼ間違いない。

 FRBは過去3年間利上げを続けてきたものの、政策金利は3%を大きく上回る地点まで到達しないとみている。以前なら政策金利が5%かそれ以上という局面は珍しくなかったとはいえ、FRB内でそうした状況に戻ると考える向きはほとんどない。

 今有効なのは、世界的に金利水準は過去に比べて低いままで推移し、政策担当者は将来景気後退(リセッション)が起きるたびに政策金利をゼロにするという想定だ。

 その結果として、資産買い入れなどの非伝統的政策をいつでも行使できる態勢を整えるとともに、物価目標引き上げをはじめとする別の新たな手段を検討していく政策担当者の姿が想像される。これらの政策は、あらゆる金利を従来の水準に近づける可能性がある。
https://diamond.jp/articles/-/188908


 

2018年12月18日 ロイター
米政府機関の閉鎖はあるか、影響と今後のシナリオ

12月17日、米国ではトランプ大統領と議会が21日までに予算案で合意できなければ、連邦政府の業務の約25%が予算不足となり、一部の政府機関が閉鎖される見通しだ。ホワイトハウスでシューマー上院民主党院内総務(右)とペロシ下院民主党院内総務(左端)と会談する同大統領(中央右)とペンス副大統領(中央左)。11日にワシントンで撮影(2018年 ロイター/KEVIN LAMARQUE)
[17日 ロイター] - 米国ではトランプ大統領と議会が21日までに予算案で合意できなければ、連邦政府の業務の約25%が予算不足となり、一部の政府機関が閉鎖される見通しだ。

 過去の政府機関閉鎖と比べると、影響はかなり軽微だが、国立公園などが閉鎖される可能性がある。

 トランプ大統領は、メキシコ国境の壁の建設費として50億ドルを要求しているが、民主党や一部の共和党議員はこれに反対。高い費用を払って壁を建設しても移民の流入は防げないと主張している。

 トランプ氏は当初、メキシコに壁の建設費を負担させる考えを示していたが、現在は米国の納税者の負担で壁を建設することを求めている。

予算
 議会は、国土安全保障省、司法省、農務省、商務省、内部省などの予算や、自然災害に見舞われた州・地方自治体向けの支援金として、約4500億ドルの歳出を承認する必要がある。

 軍事、教育、医療、エネルギー、退役軍人、労働関連プログラムについては、すでに年度末の来年9月30日までの予算1兆ドル近くが議会で承認されている。これは、政府業務全体の約75%に相当する。

政府機関閉鎖で何が起きるか
 たとえ予算審議が行き詰まっても、連邦政府が完全に閉鎖されることはない。連邦政府の業務に「必要不可欠」と判断される職員は、職務を続ける義務がある。

 例えば、トランプ大統領と議会が何もできず、国土安全保障省の予算が21日に切れた場合も、国境警備や国内の治安業務は継続される。

 運輸保安庁による空港警備や、連邦捜査局(FBI)の業務も続けられる。国際宇宙ステーションに関する航空宇宙局(NASA)の業務も継続される。

 国立公園は、トランプ政権が必要不可欠な業務と宣言できない限り、閉鎖される。

 予算が切れた政府機関で公共の安全に不可欠と判断されない職員は、自宅待機となる。自宅待機となった職員も、必要不可欠と判断された職員も、予算問題が解決するまで給与は支払われない。

考えられるシナリオ
・トランプ氏が壁の建設予算を強硬に主張し、審議が行き詰まる。この場合、連邦政府機関の約25%の予算が切れ、合意が成立するまで予算が支給されない。

・壁の建設予算の計上が見送られ、連邦政府機関の約25%について、前年と同水準の暫定予算もしくは本予算が成立する。

・新たな2019年度予算が成立する。壁の建設予算が計上される可能性も、計上されない可能性もある。

・民主党が下院を奪還する1月初めまで2週間程度、政府機関が閉鎖される。下院が壁の建設予算を計上しない予算案を可決し、上院に送付。共和党が支配する上院での可決に期待を寄せる。

過去の事例
 1月には、壁の建設費を巡る対立や、幼少期に親と米国に不法入国した若者「ドリーマー」の扱いを巡る対立で、週末に一部の政府機関が閉鎖した。

 2月にも、夜間の数時間のみ予算が切れる事態が発生した。いずれのケースも、政府業務への影響は軽微だった。

 2013年10月には、予算審議の難航で、2週間以上にわたって政府機関が閉鎖された。医療保険改革法(オバマケア)の廃止を目指す共和党保守派が、予算案を駆け引きの材料に使ったことが背景だが、結局、オバマケアの廃止は見送られた。
https://diamond.jp/articles/-/188955
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/167.html

[国際24] 米国の見方は「ファーウェイは中国共産党の手足」警察国家・中国の国民監視システムを世界に拡散 ファーウェイ事件の本質と今後
米国の見方は「ファーウェイは中国共産党の手足」
警察国家・中国の国民監視システムを世界に拡散
2018.12.19(水) 古森 義久
中国・上海のファーウェイショップ
 米国政府が追及する中国企業、ファーウェイ(華為技術)は中国共産党の手足として、中国を警察国家として強化し全世界にハイテク面での独裁態勢を広める機能を担う──。

 米国政府の国防総省中国部長だった専門家が、米中関係を揺さぶるファーウェイ事件の詳しい背景を説明する論文を公表した。

 同論文は、ファーウェイが米国政府の決めたイラン制裁の法律に違反したという容疑を指摘して、米国の捜査当局がこの巨大中国企業の違反行為の刑事訴追に自信を持っていることも強調していた。

保釈のファーウェイ幹部、バンクーバーの自宅に 中国政府関係者?が訪問
カナダ・バンクーバーの裁判所で開かれた保釈聴聞会後、裁判所を後にする華為技術の孟晩舟・最高財務責任者。カナダのテレビ局CTV提供の画像より(2018年12月11日撮影、資料写真)。(c)CTV / AFP〔AFPBB News〕

ファーウェイと中国共産党政権、人民解放軍は一体
 2代目ブッシュ政権の国防総省・中国部長を務めたダン・ブルーメンソール氏は、米国の政治雑誌「ナショナル・インタレスト」の最新号(12月12日発行)に、「ファーウェイは中国的警察国家への入口」という題の論文を発表した。論文は「自由世界は、ファーウェイの技術の傘の下で進められる警察国家の構築を懸念すべきだ」という副題が付けられ、ファーウェイが米国および国際社会全体にとってなぜ危険なのかを詳しく解説する内容となっている。

 ブルーメンソール氏は中国の軍事政策や高度技術についての専門家で、現在はワシントンの民間大手研究機関「AEI(アメリカン・エンタープライズ・インスティテュート)の中国研究部長を務めている。トランプ政権にも近く、最近では同政権の国務次官補(東アジア太平洋問題担当)の候補にも目された。

 ファーウェイをめぐっては、同社の副会長兼財務最高責任者の孟晩舟(もう・ばんしゅう)容疑者が米国捜査当局の意向を受けたカナダ当局に逮捕され、中国が報復として中国在住のカナダ人2人を逮捕したことなどで、国際的事件として波紋を広げている。

 ブルーメンソール氏は論文で、ファーウェイが単なる巨大ハイテク企業ではなく、中国の共産党政権や人民解放軍と一体となって中国国民の情報支配を徹底させてきた経緯があり、そのハイテク独裁管理方式を世界の他の国にまで適用しようとしていると警告する。

 まず、孟容疑者の逮捕については、以下のように述べていた。

・ファーウェイは米国政府のイラン制裁法に違反してイランとの取引を続けてきた。米国司法当局は、孟氏を同社の財務責任者としてその違法行為の刑事訴追を目的にカナダ政府への逮捕と米国への身柄送還を要請した。

・米国司法当局はこれまで何年もイランの核開発防止のための対イラン制裁法の違反行為について中国の別の大手企業「中興通訊(ZTE)」を捜査してきた。その捜査を通してファーウェイの違法活動をつかみ、証拠固めと刑事訴追に自信を抱くにいたった。

 以上のように、ブルーメンソール氏は孟容疑者の逮捕の理由を説明し、トランプ政権下の米国政府がファーウェイの違法行為を徹底して追及する構えでいることを強調していた。

中国の国民監視システムが全世界に
 また、ブルーメンソール氏によると、ファーウェイは単にイラン制裁違反にとどまらず、米国や国際社会全体にとって非常に深刻な脅威を提起しているという。ブルーメンソール氏は次のように説明する。

・中国政府は自国民に対して、「社会信用体系」というシステムの下に各個人の政治傾向、経済生活、消費傾向などを調べ、共産党への忠誠度を測定している。その情報取得に技術面でファーウェイが大きく貢献してきた。このシステムは全国民を共産党独裁に従属させる警察国家的制度に等しい。

・ファーウェイは5G(第5世代移動通信システム)やAI(人工知能)の開発に関して世界の中で先頭に立っている。この競争に勝てば、世界各国でのスマホに基づく情報を独占的に取得することも可能になる。その結果、ファーウェイは世界各国で中国の警察国家的な国民管理ができる立場となる。

・ファーウェイは習近平氏が進めるハイテク警察国家の構想に、長年にわたって協力を続けてきた。今後、中国共産党政権はファーウェイを通じて他の諸国の国民の個人情報を取得し、それぞれの国家に中国流の国民監視システムを構築させられる立場となる。

 ブルーメンソール氏は、ファーウェイが習近平氏の構想に従ってジョージ・オーウェルの「1984年」的なハイテク警察国家の創設に寄与してきた実態を指摘する。そして、このままだと、中国が全世界を監視する警察国家になることを後押ししていくことになると警告するのだ。

 いまの孟晩舟容疑者の身柄をめぐる米国、中国、カナダの駆け引きの背景を知るには、きわめて有益な米側の解説だといえよう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55008



ファーウェイ事件の本質と、この先起きること
米中2か国の対立が深まるなか、日本に求められる外交姿勢
2018.12.19(水) 瀬口 清之
ファーウェイ「米国側の公平な判断に期待」 孟CFOの保釈受け
ファーウェイのロゴ(2018年12月11日撮影、資料写真)。(c)CNS/王子端〔AFPBB News〕

1.ファーウェイ事件の背景は米国が感じる中国の脅威
 ファーウェイのCFO(最高財務責任者)逮捕という衝撃的なニュースは米中両国の底知れぬ対立の根深さを改めて深く認識させた。

 足許の米中関係は貿易摩擦が目立つ形で進行中のため、米中摩擦という言い方で表現することが多いが、現在の米中摩擦とかつての日米貿易摩擦とは質が違うものであることが今回の逮捕劇でより一層明らかになった。

 米国が国家として最も重視しているのは経済問題ではなく安全保障問題である。

 それは米国の主要な経済権益が一極覇権主義体制に依存しており、その体制が圧倒的な軍事力によって支えられているからである。

 冷戦終結直後の1990年代初頭、日本のGDP(国内総生産)の規模が米国の60〜70%にまで近づき、日米間で貿易摩擦が激化し、日本が米国の同盟国であるにもかかわらず仮想敵国扱いされたことがあった。

 しかし、この時は政府間交渉が厳しかっただけで、関係者が逮捕されるようなことはなかった。

 日米間関係においてファーウェイ事件と若干似たような出来事を思い起こすとすれば、ロッキード事件で田中元首相が逮捕されたことであろう。

 この事件の裏にはやはり安全保障問題が関わっていたと考えられる。

 つまり、米国との間で安全保障に関わる問題が生じた場合、米国政府は経済問題への対応に比べて厳しい反応を示すということである。

 そうした観点から言えば、米中関係は安全保障上の問題と切り離すことができない。

 中国は米国の同盟国ではなく、政治体制まで異なる、安全保障面で完全に独立した存在である。

 そのうえ、中国の経済力は年々米国に近づいてきており、このまま10年程度中国経済が緩やかで安定的な減速局面を続ければ、2030年頃には中国のGDPが米国とほぼ肩を並べる可能性が極めて高い。

 2040年頃には中国経済の規模は米国を逆転し、世界一の経済大国の地位を固めている可能性も十分ある。

 経済力が高まればそれに比例して軍事力も高まることは自然な結果である。

 中国の軍隊は戦争における実戦経験が乏しいため、たとえ経済規模が米国に追いついたとしても、実質的な戦闘能力の差はそう簡単には縮まらず、米国の軍事力がその後も長期にわたって優位を保ち続ける可能性が高い。

 それでも、米国にとって中国の経済力・軍事力の拡大は確実に脅威となる。

 これが米中関係のベースの部分を規定するため、米中関係は今後長期的に緊張関係が続くことを覚悟せざるを得ない。

 今回のファーウェイの事件はそうした緊張関係が生み出したものであり、今後も長期的に続く緊張関係の中で類似の事件が繰り返される可能性が高いと考えるべきである。

2.中国は国内改革最優先
 このように米国にとって中国の脅威が今後長期的に高まり続けるのは不可避であり、その脅威を少しでも抑制するために今後も中国に対して様々な圧力をかけ続けていくものと考えられる。

 一方の中国は米国が考えているほど米国の一極覇権主義体制に挑戦しようとしているわけではないように思われる。

 というのは、中国自身は目下深刻な問題を国内に抱えており、米国に対抗してグローバルな安全保障戦略を展開するどころではないからである。

 中国は従来から地方政府が脆弱な税収基盤を補うため不動産開発によって収入を得て、それをインフラ建設などの財政支出の財源に充当してきた。

 しかし、この地方財政の構造は行き過ぎた不動産開発を招き、それがバブル崩壊や不良債権問題の温床となるリスクが高い。これらのリスクが表面化すれば長期経済停滞に陥ることは不可避である。

 この構造欠陥を修正するために、現在中国政府は地方財政改革と金融改革に取り組んでいる。

 本来この改革は10年以上前から着手すべきだったが、改革の副作用がもたらす景気後退リスクが大きいため、ずっと先送りされてきた。

 習近平政権はその難題克服を目指して今年から本格的に改革推進に取り組み始めた。

 それにより今年の夏場以降、予想通り経済が減速し始めたが、それでもなお改革最優先の方針を変えずに決然とした姿勢で改革に取り組み続けている。

(詳しい内容については11月の筆者記事参照=http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54687

 どうしてそこまで無理をして改革に取り組まざるを得ないのだろうか。

 中国は共産党一党独裁体制であるため、国民全体による共産党に対する安定的な支持確保が政権安定の基盤となる。

 共産党員は1億人に満たず、その十数倍が非党員の一般国民である。

 現在国民の大多数が共産党による統治体制を受け入れている実質的な主因は共産主義のイデオロギーに対する支持ではなく、共産党政権が的確な経済政策運営により中国経済の長期持続的発展を実現してきたことにある。

 もし中国経済が長期にわたって深刻な停滞に陥れば、共産党に対する信認が揺らぐことは言うまでもない。

 もし信認を維持できなくなる場合には、共産党指導層が得ている様々な特権が剥奪される可能性が高い。これは指導層の本人のみならず、その家族、親戚すべてにかかわる切実な問題となる。

 このリスクの深刻さを考慮すれば、こうした将来リスクを回避するために現在取り組み中の改革推進を最重視せざるを得ない。

 中国の軍事力が長期的に米国に追いつかなくても共産党の存立基盤にはほとんど影響しないが、国内経済が不安定化すれば深刻な内政問題を引き起こす。

 中国の共産党・政府指導層がどちらを重視するかは明らかである。

3.米国の長期的低下傾向と多極化の到来
 しかし、中国がそれを重視しようがしまいが、中国が改革の推進に成功し、長期安定的な経済運営に成功すれば中国経済は着実に成長を持続し、それに比例して軍事力も強まっていく。

 こうした事実は米中2国間の問題にとどまらず、世界全体の秩序形成の長期的な変化と深く関係する。すなわち、米国の一極覇権主義体制は終焉に近づき、世界は多極化体制へと移行していく。

 こうした将来の世界秩序の変化は米国内において、すでに1970年代には認識されていた。

 それが21世紀入り後、一段と明確に認識されるようになり、ドナルド・トランプ政権はそれを加速している可能性が高い。

 元々米国経済は第2次大戦直後の時点では世界経済全体の半分以上を占めていた。

 IMF(国際通貨基金)世界経済見通しのデータベース(2018年10月)によれば、平成元年=1989年当時、米国GDPが世界経済に占めるウェイトは28.2%だった。

 同年、EUは30.2%、日本は15.3%、中国は2.2%だった。

 それが今年(同上IMF見通し)は、米国24.2%、EU22.1%、日本6.0%、中国15.9%と中国以外の国・地域は大幅に低下している(図表参照)。

世界経済全体に占める国・地域のGDPウェイトの推移

資料 IMF世界経済見通しデータベース(2018年10月)
 これが平成30年間の世界秩序の大きな変化を示している。

 為替レートの変動によりGDPの数値が上下するが、長期的に見て米国のウェイトが低下し続けていることは間違いない。

 先行き為替レート次第では、2030年頃に米国のウェイトが20%前後にまで低下する一方、中国のウェイトが若干上昇し、やはり20%前後に達する可能性がある。

 その後、両国の経済成長率が低下し世界経済全体のそれを下回れば、ウェイトは長期的に低下し続ける。

 かつて米国1か国で50%を上回っていたが、米中両国を合わせても40%に達しない時代が近づいている。これが多極化の到来である。

4.日本の針路
 米国の圧倒的な経済力・軍事力に支えられた一極覇権主義体制が変質すれば、米国も余裕がなくなってくる。

 他国の経済力・軍事力に対して脅威を感じやすくなり、日本も再びそうしたリスクにさらされる可能性が高まる。

 その延長線上で考えられることは日米同盟の相対的な弱体化と日本に対する負担増加要求の強まりである。

 長期的な米国の相対的地位低下は、日米同盟を堅持するとしても米国側に日本の面倒を見る余裕がなくなっていくことを意味する。

 日本は、米国にとって最大の脅威となる中国の隣に位置しており、米国の西太平洋地域の安全保障政策上極めて重要な同盟国であるが、中国の軍事力増強とともに米国は安全保障体制維持に必要なコスト負担に耐えられなくなってくることが予想される。

 その結果、日本は米国への依存度を徐々に低下させざるを得なくなり、自立的な防衛力の確保が重要課題となっていくことが予想される。

 そうした状況下で、もし日中関係が緊張していれば、日本の防衛力維持のための自助努力が日中関係に悪影響を及ぼしやすくなる。

 逆に日中両国が経済文化交流を通じて緊密な関係を保持することができれば、そうした変化にも動じにくい関係を構築することができる。

 つまり、将来の日米同盟の緩やかな変化に備えて、日中関係をより安定的なものとしていくことが必要である。

 ファーウェイ事件のような問題がこれからも繰り返され、米国の日本への圧力も強まる可能性が予想されるなか、日本として安全保障上のリスクを回避するには、中国との関係強化は非常に重要である。

 米中両国の間にあって、両国との良好な関係を安定的に保持し続けていく工夫が必要となっている。

 そのためには場当たり的な対症療法で日米中3国間のバランスを取るやり方では長期的な安定確保は難しい。

 日本として世界に向けて発信する堂々たる国家理念とそれに基づく基本戦略を明確にし、軸がぶれない体制の下で、米国とも中国とも一定の距離を取りながら世界中の国々から信頼される国として独自路線を歩んでいく方向を目指すべきである。

 ファーウェイ事件を契機として、日本の針路の確立を真剣に考え直す局面に入ったことを強く認識し、政官財学の垣根を越えて有識者の間でそうした議論を繰り返し、国家としてのあるべき方向を早期に示すべきである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54985

http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/807.html

[国際24]   総括・中国バブルはなぜ崩壊しなかったのか? 101回目の中国崩壊論とチャイナリスクを再検証 


 


総括・中国バブルはなぜ崩壊しなかったのか?
101回目の中国崩壊論とチャイナリスクを再検証
2018.12.19(水) 花園 祐
中国・上海の高層住宅
(花園 佑:中国在住ジャーナリスト)

 日本の書店で中国関連書籍を探すと相変わらず「中国バブル崩壊寸前」「20xx年、中国はクラッシュする」といった類の本が並んでいるのを目にします。ネットで検索すると、こういった中国崩壊論書籍は10年以上前から存在し、大体いつも同じような筆者によって毎年何冊も発行され続けているようです。

 しかし少なくとも現在、中国で住宅バブルが崩壊したり経済や社会が大混乱に陥りそうな状況は見られません。中国崩壊論の書籍で予測されたとおりにはなっていないということです。

 では、どうして中国崩壊論は実現しなかったのか? 2018年最後となる今回の記事では、これまで日本で指摘され続けてきたチャイナリスクについて分析、再検証してみたいと思います。

住宅バブルは沈静化している
 チャイナリスクとして日本人が最も注目するのは、なんといっても住宅価格の高騰、つまり住宅バブルでしょう。日本人にとって不動産価格の暴落、不良債権化はバブル崩壊を象徴する出来事でした。それだけに、当該リスクに対する関心は、他国の事情といえども一際強いものが感じられます。

 ただし筆者の印象では、ここ2〜3年くらい、中国の住宅バブルが日本のメディアに取り上げられることはめっきり少なくなっている気がします。実はそれもそのはずで、中国の住宅価格は現在も上昇が続いているものの、そのペースはこのところ落ち着いており、はっきり言えば沈静化しつつあります。

 下のグラフは不動産情報サービスサイト「安居宅」がまとめた、2009年と2018年における上海市の平米当たり平均住宅価格の前月比変動率データです(2009年1月はデータなし)。


 2009年は毎月ハイペースで平均価格が上昇し、12月に至っては5.03%上昇という急騰ぶりを示していました。ところが、今年2018年は春節(旧正月)を挟んだ1〜4月に乱高下が見られますが、それ以降は全体として堅調であり、7月以降は緩やかな下落が続いています。

 中国国家統計局が発表した全国70都市商品住宅販売価格変動状況を見ても、直近の10月データでは海南省海口市(前月比0.6%上昇、前年同月比22.4%上昇)、陝西省西安市(前月比1.3%上昇、前年同月比20.7%上昇)のように急騰している地方都市も一部見られるものの、北京や上海といった主要都市は全体として堅調で、深セン(前月比0.5%下落、前年同月比0.4%下落)のように下落した都市も出ています。

効果を発揮した価格抑制策
 伸び幅が縮小しているとはいえ、価格上昇は今でも続いているのだから「バブルが続いている」という反論もあるかもしれません。しかし、住宅に限らず中国の物価はどれも上昇しており、賃金も同様に上昇しています。

 また過去のデータを見ると、価格上昇幅は時期によって上下するなど、一貫して上昇ペースにあるわけではありません。住宅バブルリスク自体は消失してはいませんが、その危険性は以前と比べ確実に低下してきていると言えるでしょう。

 では、なぜ中国で住宅バブルは落ち着いてきたのか。

 その最大の理由は、中国政府の価格抑制策が効果を発揮しているからです。

 これまで中国政府は住宅バブルへの対策として、2軒以上の住宅購入を規制したり、低所得者向け公営住宅を整備するなどして対策に務めてきました。一方で住宅価格が下落に転じるや環境対策住宅への購入補助を出すなど、不動産市場のバランスを取り、価格の安定化に取り組んできました。

 筆者が見ている限り、リーマンショック後の2010年前後が、不動産バブル崩壊の危険性が最も高かったように思えます。しかし危険性はその後、徐々に縮小していきます。最近の政府の政策には以前と比べて余裕すらも感じられ、不動産バブルの深刻さは大きく低下していると言ってよいでしょう。

少子高齢化で中国崩壊?
 中国が抱えると言われる次の大きなリスクは少子高齢化です。

 世界最大の人口を抱える中国では長年、人口抑制を目的に、夫婦が出産する子供の数を一人までとする「一人っ子政策」が続けられてきました。少子高齢化への懸念からこの政策は2016年に廃止されましたが、これまでの政策による影響で、中国はこれから急激な少子高齢化を迎えるという観測が出ています。

 人民網の報道によると、2017年末に上海市の60歳以上人口は上海戸籍総人口の33.2%に達しています。日系メディアの報道を見ていると、チャイナリスクとしてどうもこの数字が独り歩きしているようです。「上海では3人に1人が老人」→「少子高齢化が急速に進んでいる」→「だから中国は崩壊する」というストーリーもよく見られます。

 しかし、そうした主張には欠陥があります。上記の人口割合は上海戸籍保持者の中の話であり、他地域の戸籍を持つ外部流入人口を含めた割合ではありません。

 そして何より、上記のストーリーの通りなら、中国より先に日本が崩壊します。というのも、2017年10月現在における全国日本人人口に占める60歳以上の割合は34.3%を占め(政府人口推計平成28年版より計算)、上海市の水準を現時点で上回っています。日本人は中国の少子高齢化を心配する前に、もっと自国のリスクにこそ目を向けるべきでしょう。

 なお、中国全土の60歳以上の割合は2017年末時点で17.3%です。少子高齢化の影響が出るとしても、早くて20年くらいは先の話になります。また、中国としてはこの間に少子化対策を実行する時間的猶予もあります。

(余談ですが、日本政府が高齢者の仕切りを「65歳以上」としたり、無駄にスペースが多くて編集しにくいExcelデータしか出さないのは、国際比較をさせづらくさせるための陰謀ではないかと勘繰っています。)

リスクとチャンスは紙一重
 このほかの主なチャイナリスクとしては、GDP成長率がかつての2桁から1桁に落ち込むなど経済成長が鈍化しているという点が挙げられます。

 とはいえ、現在の6%台という成長率は、世界第2位の経済規模としては高い成長率と言えるでしょう。逆に、現在の経済規模で2桁成長が続いている方が、バブル懸念としてはリスクが高いのではないでしょうか。

 次に人件費高騰によって中国企業はコスト上の優位を失うという指摘があります。

 確かに人件費は高騰していますが、現在、中国の製造業はスマートフォンをはじめとする高付加価値製品への転換を果たしています。以前は、輸出において人件費の影響が強い低付加価値製品に依存していましたが、今は状況が異なっています。中国のアパレル企業などが人件費の安い東南アジアへ製造拠点を移すケースも増えています。

 それ以上に、賃金の上昇により中国国内の消費市場は拡大を続けており、以前ほど輸出や国外投資に頼る必要がなくなってきている点も見逃すべきではありません。

 以上、いくつかのチャイナリスクについて筆者の見解をまとめました。人民元の為替問題をはじめ、現在の中国にリスクが全く存在しないわけではありません。しかし日本では、一部の「分かりやすい」チャイナリスクがすぐ崩壊論と結び付けられ、過大に取り上げられ過ぎている気がしてなりません。

 リスクとチャンスは紙一重です。中国市場でのチャンスを逃さないためにも、過大にも過少にも評価すべきではないというのが筆者の見方です。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54937
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/808.html

[国際24] 旭日旗想起の米学校壁画、消去に「待った」ケネディ家も反対表明ロサンゼルスのコリア・タウンの公立校  ぬか喜びの韓国系住民
記事入力 : 2018/12/18 22:27

旭日旗想起の米学校壁画、消去に「待った」

ケネディ家も反対表明

ロサンゼルスのコリア・タウンの公立校

「壁画消去は表現の自由を侵害」

 米ロサンゼルス市のコリア・タウンにある公立学校の外壁に描かれた壁画が「旭日旗」を連想させるとして地元の韓国系コミュニティーが消去を求めていたことに関連し、冬休み中に実施される予定だった壁画の消去作業が当面の間保留されることになった。

 壁画をめぐっては、当初はロサンゼルス統一学区が韓国系コミュニティーの抗議を受けて冬休み中に壁画を消すことを表明したが、これに対し「表現の自由を侵害している」との反発の声が上がっていた。

 17日付(現地時間)の米紙ロサンゼルス・タイムズによると、ロサンゼルス統一学区は同日「多くの反響があり、さらなる論議が必要だ」として壁画の消去を当分の間保留すると発表した。

 問題の壁画はロサンゼルス市内のコリア・タウンにある公立学校「ロバート・F・ケネディ・コミュニティー・スクール」の体育館の外壁に描かれており、2016年に行われた学校行事で画家のボー・スタントン氏(32)が制作した。

 壁画は、赤い放射状の光が人とヤシの木の周りに広がるデザインで、旭日旗を連想させる。スタントン氏は、壁画に描かれているのは米国の有名女優、故エバ・ガードナーで、光の部分は旭日旗を意味するものではないと否定している。

 しかしロサンゼルス市の韓国系コミュニティーは先月、ロサンゼルス統一学区に「作家の意図は分かるが、壁画は旭日旗を連想させる」と文書で抗議。これに対し統一学区側は、学校の冬休み期間に壁画を塗りつぶして別の壁画を描くと表明した。

 この決定に対し、壁画の作家だけでなく検閲に反対する複数の団体から「表現の自由を侵害している」と批判の声が上がった。

 さらに、米国のジョン・F・ケネディ元大統領の弟で司法長官を務めた故ロバート・ケネディ元上院議員の子どもたちからも、壁画の消去に反対する意見が上がった。学校はケネディ元上院議員が暗殺されたホテルの跡地に建設されている。

 ケネディ元上院議員の息子の1人は16日、ロサンゼルス統一学区および学校側に壁画消去に反対する文書を送付し、自身の意見が父だけでなく伯父のケネディ元大統領をも代表していると主張した。

 文書は「父は文化的にデリケートな事案に好意的だが、米国の民主主義の基盤は表現と言論の自由」だとして「米国人は寛容と多様性を強く支持してきたため、父と伯父(ケネディ元大統領)は検閲を嫌悪した」と訴えた。

 さらに「父と伯父は政治的アジェンダ(重要課題)のために芸術作品を破壊した人々を最悪の悪党だと考える」として「今回の壁画除去計画には非理性的で非難されて当然という部分があまりに多く、ばかげた欠点を列挙する論文がかけるほどだ」と批判した。

 グラフィティ・アーティストのシェパード・フェアリー氏も壁画の消去に反対の立場を示した。フェアリー氏は、問題の壁画を消去するなら自身が学校内に描いたケネディ氏の肖像画の消去も要請すると述べた。学校の一部教諭と生徒も反対の意思を示している。

 壁画を描いたスタントン氏は17日、弁護士を通じ、壁画が消去された場合はロサンゼルス統一学区を訴える方針を示した。

キム・ヘギョン記者
NEWSIS/朝鮮日報日本語版
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/12/18/2018121880128.html


 

ぬか喜びの韓国系住民、壁画撤去が今度は撤回
二転三転を繰り返したロサンゼルス市の壁画騒動、続編
2018.12.19(水) 高濱 賛
旭日旗に類似、韓国系米国人団体の抗議で壁画消去 米LA
米カリフォルニア州ロサンゼルスのロバート・F・ケネディ・コミュニティー・スクールの外壁に壁画家のボー・スタントンさんが描いた米女優エヴァ・ガードナーさんの壁画(2018年12月13日撮影)。(c)Mark RALSTON / AFP〔AFPBB News〕

 ロサンゼルス市にあるロバート・F・ケネディ公立高校のジムの外装に描かれた「太陽と美女とココナツツリー」の壁画が韓国系住民との間で大きな騒動になっている。

 画家のバウ・スタントン氏が描いたハリウッド女優とココナツツリー、そして太陽の光の絵に対し、日本に侵略された民族として、旭日旗に見える図柄が許せないと言うのだ。

画家のバウ・スタントン氏。現在仕事場にしているニューヨーク・ブルックリンのアトリエで。
 ロサンゼルス市は、在米韓国系有志団体「Wilshire Community Coailtion」(WCC=ウェルシェア・コミュニティ連合会)の強い抗議を受けて壁画の撤去を決めた。

 その経緯について前回ご紹介した。今回はその続報。大きな進展があったのでご報告しておきたい。

 ロサンゼルス統一学区の壁画撤去の決定が急展開した。

 12月16日、ロバート・F・ケネディ公立学校の別の建物の壁ににケネディ氏の肖像画を描いていた世界的にも著名なシェパード・フェアリー氏がロサンゼルス統一学区のモニカ・ガルシア教育委員会委員長に対し、以下のような電子メールを送りつけたからだ。

https://screenshots.firefox.com/wXr7UtoiDC22FI69/screenshotscdn.firefoxusercontent.com

 「私はスタントン氏の立場を全面的に支持する。私はこの学校の生徒たちや教師がスタントン氏の壁画を残したいということを知った」

 「もしスタントン氏の壁画を撤去するというのであれば、私の壁画も撤去してもらいたい」

 「自分の作品を誇りに思っている、しかし芸術を守り、一人の同僚を守るためには自分の絵を一緒に撤去してもらうことしかない」

https://screenshotscdn.firefoxusercontent.com/images/5b4e10b6-1943-44d0-a1fd-5037dbbc4ceb.png

 フェアリー氏の「ケネディ壁画」は言ってみれば、ケネディ氏の社会正義のために戦った精神を象徴するもの。

 ケネディ氏の名前を取った「ロバート・F・ケネディ公共学校」の根幹である。

 このメールを受けて、ロサンゼルス市のガルシア教育委員会委員長はスタントン氏の壁画撤去決定を翻した。

 言いがかりともいえるコリアタウンの韓国系団体の撤去要求は、ロサンゼルス統一学区幹部の弱腰対応の結果、いったんは成功したかに見えた。

 しかし、ひとたびコリアタウンの外の米国の識者、メディア、芸術家の良識にさらされると挫折した格好だ。

 果たして韓国系が「撤去取りやめ」の決定にどう反応するのか。運動を続ければ続けるほど赤っ恥をかくことだけは間違いない。

 それにしてもガルシア教育委員会委員長や同校の校長ら同統一学区の教育関係者たちはとんだ醜態を世界にさらしたものだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55009


 


http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/812.html

[国際24] 韓国経済は何だかんだで日系企業に依存、切っても切れない事情
2018年12月19日 週刊ダイヤモンド編集部
韓国経済は何だかんだで日系企業に依存、切っても切れない事情
サムスン
Photo:DW
韓国経済が構造不況に陥っています。サムスン電子や現代自動車の輸出競争力が削がれ、重厚長大企業がジリ貧になっているのです。八方ふさがりの韓国経済がトンネルから抜け出すための打開策を握っているのは、実は日本なのかもしれません。(本記事は週刊ダイヤモンド2015年10月31日号からの抜粋です)

 2015年夏に、ある日系自動車メーカーのエンジニアが、ソウル近郊にあるサムスン電子の研究所を訪れていた。セキュリティチェックの厳しさで知られるこの研究所では、たとえ重要なビジネスパートナーであっても、パソコンやスマートフォンを一時的に没収されるのが常だ。

 だが、この日はほぼノーチェックで関門を通過できた。VIP待遇で手厚くもてなされたようだ。

 訪問の名目は、将来のエコカーに関する意見交換である。サムスン電子では、液晶テレビやスマートフォンといった家電市場に次ぐ柱として、車載市場を据えている。そのため、日系自動車メーカーの開発情報を喉から手が出るほど欲しいのだ。それだけではない。先方の様子からは、エコカー領域の技術者を探しているらしいことも見て取れたという。

 サムスン電子と並び韓国産業界の双璧を成す現代自動車。ある社員は、「独フォルクスワーゲン(VW)のディーゼル不正問題が発覚するずっと前から、ベンチマーキングしているのはトヨタ自動車のエコカー戦略。日産自動車でもホンダでも駄目なんだ」と言い切る。「ナンバーワンはトヨタ。われわれは2番でもいい──」(同)。

 これまで、サムスン電子や現代自動車に代表される韓国企業は、日系企業の商品をコピーし、大胆な設備投資と潤沢なマーケティング投資で市場を席巻、シェアを獲得する戦法で成長してきた。

 究極の“2番手商法”で成功を収めた彼らにとって、社内に足りない技術があれば技術者ごと引き抜いてくるのは常とう手段。いまだ、日系企業を模倣し尽くす手段をやめたわけではないが、「キャッチアップ商法が天井まで到達してしまった」(安倍誠・アジア経済研究所主任調査研究員)。

 ウォン高で輸出競争力を失うと、追撃してきた中国・台湾メーカーにコストでかなわなくなった。日系企業を技術やシェアで追い抜いても、“目標”を失うとたちまち行き詰まった。もはや、2番手商法は限界を迎えてしまったのだ。

 目下のところ、韓国経済は構造不況に陥っている。2015年4〜6月期における主要企業の決算は散々だった。

 韓国スタイルが行き詰まったサムスン電子、LG電子、現代自動車らは、そろって大幅減益となった。半導体が復調したサムスン電子は7〜9月期の速報値では増益となったが、懸案のスマートフォン事業のてこ入れは進んでいない。

 造船、鉄鋼、海運、石油精製といった重厚長大企業はジリ貧の状態だ。造船に至っては、新規受注の激減と海洋プラントというダブルパンチに見舞われており、現代重工業、大宇造船海洋、サムスン重工業の大手3社の営業赤字は4兆5000億ウォン(約5000億円)を超えて、四半期としては過去最悪となった。

 成長をけん引してきたエレクトロニクス・自動車産業の失速、重厚長大企業の長期低迷、財閥の御家騒動、放漫経営──。ウォン高に転じたタイミングで、韓国企業が抱える問題が一気に吹き出している。破綻懸念のある財閥が続出する中、前政権時代から財閥“一極集中”を進めた韓国政府の経済運営は手詰まりになっている。

韓国投資は一服も
腰を据えるエレキ・化学メーカー
 韓国企業の失速に、日系企業の対応は、真っ二つに割れている。全体の傾向としては、日韓の経済関係は希薄化しているが、一度韓国への積極投資を決めた日系企業に関しては、腰を据えてビジネスを展開している。

存在感がなくなる日本
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 韓国の対内直接投資総額に占める日本の割合は、1985年の70%から近年は10%程度まで落ち込んでいる。同様に、日本の対韓直接投資においても、12年の45億ドルをピークにして14年は16億ドルまで激減し投資は一服、韓国経済における日本のプレゼンスが低下している。

韓国企業の失速
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 その一方で、韓国企業との関係をより深化させている日系企業も少なくない。例えば、10年ごろからの3回目の韓国投資ブーム(上図)に進出した素材系企業がそうだ。

下表は、韓国依存度の高い日系企業をランキングしたものだ。

韓国依存度の高い日系企業ランキング(1位から10位)
1位から10位まで 拡大画像表示
韓国依存度の高い日系企業ランキング(11位から53位)
11位から53位まで 拡大画像表示
 ざっと見て、電気機器、精密機器、機械といったエレクトロニクス系メーカーと化学メーカーが目立つ。韓国地域の売上高を開示している上場企業53社のうち、実に6割弱がこれらの業種で占められている。そのほとんどが、スマートフォンや薄型テレビ、自動車など完成品向けの基幹デバイス・部材のメーカーだ。

 彼らが、サムスン電子、LG電子、現代自動車の「縁の下の力持ち」となっていることが分かる。

ジリ貧韓国経済の頼みの綱は
財閥と日系企業
 詰まるところ、韓国経済が再起するためには、財閥の再建、そして日系企業の支援が不可欠になっていくだろう。

 もっとも、一般の韓国民は、富を牛耳っている財閥や日系企業に対して嫌悪感を抱いている。

 かといって、財閥の経営不振を放置することは、韓国経済全体の信用力をおとしめることにもなりかねない。また、素材・生産設備メーカーを中心に、想像以上に日系企業は深く財閥の人的ネットワークに食い込んでいる。そこには、切っても切れない日韓関係がすでにある。

 従来のエレクトロニクスや自動車といった製造業分野における関係強化に加えて、今後、日系企業に商機が生まれそうな領域が、「第三国」と「新規産業」である。

「エネルギー」「インフラ」分野で協業
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 すでに、日本の総合商社主導で、第三国における日韓企業の連携は加速している(上表)。そもそも、成熟している韓国内需には限界があり、第三国に食いぶちを求めるのはごく自然なことだ。

 韓国企業のコスト競争力と日系企業の信用力を持ち寄り、火力発電所やLNGの案件など、エネルギー、インフラ分野での協業が進んでいる。

 後者の新規産業での連携は、まだ緒に就いたばかりだ。ITやロボット、ヘルスケアといった成長分野を想定している。

「実は、韓国の中小企業やベンチャーには、韓国財閥ではなく、日系の大手企業と組みたいと思っている経営者が多い」(大場有博・大韓貿易投資振興公社副館長)のだという。

 これには、「韓国の財閥と違って、日本の大企業は技術を根こそぎ盗むなどという心配をしなくていい」(安倍主任調査研究員)という理由がありそうだ。

 かつて、こんなことがあった。サムスンやロッテなどの財閥企業が、韓国で一斉に「ベーカリーチェーン」に参入した際に、零細パン屋の経営を苦しめるとして、韓国中から総スカンを食らったのだ。

 あるサムスン関係者は、「サムスンでは1000億ウォン(約110億円)がビジネスの最小単位。なかなか新規産業が見つからない」と言う。現政権は、財閥企業にベンチャー育成の役割を課してはいるが、彼らにはその素地がない。

 韓国の中小企業の組み手として、日系企業の存在がクローズアップされるのはそのためだ。

 実は、日系企業側にも、韓国企業と連携を深めたい事情もある。

「年間200億〜300億ドルの対韓貿易黒字による押し上げがなければ、日本の年平均経済成長率0.69%(04年からの10年間)は確保できなかった。外貨獲得源としての韓国の存在が軽視され過ぎている」(奥田聡・亜細亜大学アジア研究所教授)という見方もあることを忘れてはならない。

 八方ふさがりの韓国経済が長いトンネルから抜け出すためには、韓国財閥と日系企業に依存せざるを得ない。これが、韓国の生きる道なのだ。
https://diamond.jp/articles/-/188960


http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/813.html

[国際24] 日本から見えない、仏「黄色いベスト」デモの正しい見方

2018年12月19日 永田公彦 :Nagata Global Partners代表パートナー、パリ第9大学非常勤講師
日本から見えない、仏「黄色いベスト」デモの正しい見方
フランス全土で「黄色いジャケット」または「黄色いベスト」と呼ばれるデモが吹き荒れている
写真:ユニフォトプレス
フランス全土で燃料税引き上げへの反発から11月17日に始まったデモが今もなお続き、一部は暴徒化の様相まで呈している。「市民革命発祥の国」で起きた、日本人にはもうひとつ実感が湧きづらいこのデモの背景や意味を、Nagata Global Partners代表パートナーでパリ第9大学非常勤講師の永田公彦氏が解説する。

 フランスは、火山立国のようなものです。今回の一連のデモも、230年前から続く噴火活動の一環です。しかも、戦後に頻発した数々の大きなデモに比べ、比較的に小規模ということもあり、この1ヵ月間、社会全体も大きく混乱せず平穏を保っています。

 一方、今回の動きは、単なる階級闘争やマクロン政権叩きではなく、深い意味をもちます。これは、長年にわたる複数のプレート間にできた歪みが崩れて起きたものだからです。

 今後は、一部の市民によるデモから、多くの国民を巻き込んだ政治的議論に舞台を移してゆくでしょう。その最大の論点は、18世紀にジャン=ジャック・ルソーが民主主義の理想とした直接民主制の新バージョンも含めて、市民の力を取り戻そうとする機運が高まる可能性が大きいと筆者は見ています。

デモは社会変革の原動力
 市民による政治参加手法の1つであるデモや集会は、日本を含め、多くの民主主義国家で国民に与えられる権利であり公器です。そして、社会を変えるための原動力です。

 特にフランスでは、こうした考えが、大統領から子どもまで絶対的な価値観として共有されています。

 その背景には、歴史的な要因があります。今から230年前、それまで800年以上も続いた王政に、市民が反旗を翻し、街に繰り出し闘いました。フランス革命です。その結果、市民は、国王を処刑するとともに、自由・平等・博愛・人権・国民主権を勝ちとりました。それ以降、この国では、歴史の要所要所で、市民の声の大きなうねりが社会の変革に影響を与えてきたのです。

 また文化的な要因もあります。「カフェのカウンターは、庶民の国会」とバルザックの言葉が象徴するカフェ文化です。これは、国民誰もが、社会的立場(職業、階層、親子、人種…)を越えて、街角、レストラン、家庭などで政治を語る、そして主張を交わすことで社会が進化するという文化的価値観です。

 こうした歴史と文化が根づくフランスの人々は、デモへの参加に罪悪感をもちません。また、社会のルールに従い公的秩序を守る限りにおいて、デモ参加者を、特別視したり、蔑視したりすることはありません。逆に多くの場合、デモ行動そのものに寛容で理解を示します。

デモは日常茶飯事
 こうした歴史と文化から、フランスでは特定の主義主張をもつ人々がデモや集会をする光景は、年がら年中、また全国津々浦々で見られます。参加者は、大統領を含め政治家、警察、弁護士、農民、LGBT、医者、パイロット、バス運転手、鉄道員、教員、中高生、大学生などの社会的立場、階層、職業、年齢もさまざまな人々です。

 また、その目的もさまざまです。政府の政策や政治手続き等に対する反政府系デモ、社会的脅威に対し、問題提起や反発をする反社会系デモ(反テロ、反差別、反パワハラ等)、ある思想や価値観への理解や賛同を促す宣伝系デモ(LGBT、パックス〈同性または異性の成人2名の共同生活のための契約〉、喫煙権等)、特定の喜びや悲しみを共有しようとする共感型デモ(サッカーワールドカップ優勝、国民的英雄の死など)などです。

 これに加え、趣旨の異なる複数のデモが、同時期に並行してあることも見慣れた光景です。今回も、黄色のベストとは別に、高校生による教育改革反対デモ、市民による気象変動対策推進のためのデモ等が同時に行われています。

国民の98%が普段と変わらぬ生活
 日本では、今回の黄色いベスト運動により、フランスは大変なことになっていると感じる人も多いと思います。メディア映えする暴動シーンをはじめ、現場の状況や政府の対応を断片的に伝える報道が多いので、無理もありません。

 しかし、実態は大きく異なります。さまざまな情報を組み合わせて推定できる範囲ですが、国民の98%は、特に変わらぬ日常生活を送っていると思われます。残りの2%(110万人程度)は、デモ参加者、デモの影響で、一時閉鎖や事業悪化を招いた商業施設、飲食店、宿泊施設等の経営者と時短や勤務場所の変更を余儀なくされた従業員等です。

 また、社会全体も平穏で人々も冷静です。その理由は、前述したデモ慣れということ以外に、次の4つの理由があげられます。

 1つ目は、デモの時間と場所が限定的だからです。デモが集中するのは、11月17日から12月15日までの土曜日(5回)。場所も、警察が許可する一部の地域です(パリ及び一部地方都市の中心部と近郊)。

 2つ目には、交通マヒも限定的です。今回のデモには、交通機関のストライキが加わっていないため、ごく一部の地域で、多少の交通渋滞がある程度といわれます。

 3つ目は、デモに潜伏し活動する暴徒(破壊屋、非行集団)に対する社会的な監視と制裁です。毎週土曜日のデモも回を重ねるごとに警察の取り締まりも強化されています。また、デモ参加者も含め国民全体が、彼らの行動への批判と抗議を強めています。

 最後に、次に示すように、今回のデモが、比較的小さいものにとどまっているからです。

わりと小さい今回のデモ
 政治に対して国民が街頭で気軽に声をあげる国の政府は、楽ではありません。18世紀から歴代の政権は、さまざまなデモを通じ国民の怒りを受けてきました。こうしたデモの中には大規模なものも多くあります。次の図1は、先の大戦後に起きた参加者100万人以上の大規模デモの一覧です。


 これを見ると、2つのことがわかります。1つは、大規模な反政府デモは、現マクロン政権以前の各大統領時代にも、繰り返し起きている。2つ目は、今回の黄色いベスト関連デモ参加者は、約78万人です(11月17日〜12月15日の土曜日計)。このように、経済的な打撃は比較的大きいとされるものの、参加人数と社会生活への影響面では、わりと小粒ということです。

劣等生と優等生が逆転して10年が経過
 下の図2にあるとおり、ドイツ(黄線)は、95年から05年まで経済成長率でフランス(青線)の後塵を拝しました。低成長に加え、高失業率、経常収支赤字のトリプルパンチを受け、欧州の劣等生又は病人とまで言われていました。しかし、2003年、大胆な構造改革を断行しました(シュレーダー改革――労働市場の柔軟化、産業の新陳代謝を高め、法人税等の軽減などを通じ、企業が高い収益をあげられる環境を整え、雇用の増加を目指す)。これが主な要因となり、経済が浮揚し、劣等生から優等生となりました。

 一方、これとは逆にフランスは、88年に4.73%あった実質経済成長率が、その後下降し続け、93年には遂にマイナス成長になります。こうした背景の下、95年に年金等の社会保障費改革を皮切りに、歴代の政権が、経済浮揚とその財源確保のために国民にとって痛みとなる改革を繰り返します。

 しかし、その度に大規模なデモが発生し、政府側も改革案の撤回や変更を余儀なくされてきました(図1)。これが浮上のためのブレーキ要因となり、この10年、経済や財政面でドイツに離され続けています。そこで、リテラシーの高い人々を中心に多くの国民が、改革は待ったなしと認識するなか、抜本的な改革の必要性を訴え誕生したのがマクロン政権です。しかし今回も、黄色いベストという、小規模ながらも新しいタイプの市民運動の圧力に対し、同政権も改革案の一部譲歩を余儀なくされました。


黄色いベスト参加者の正体
 黄色いベストを着て今回の一連のデモに参加する人は、全有権者の2%未満と限定的です。

 ただし、デモには参加していないが、「黄色いベストへの所属意識を持つ人」の数は、全国で1000万人いるとの推定データもあります(ELABEによる緊急調査より)。これは、全有権者の20%にあたり、潜在的なデモ参加者数とも捉えられます。

 複数の専門家によると、暴徒は別として、デモに参加する人の多くは、貧困層(生活保護対象者や完全失業者など)よりも収入が高い低所得者層とみられています。最低賃金かそれより少し高い給与を得て、人により公的手当も受けるが、毎月の家計が苦しいという人々です。その多くは地方に住む白人系国民で、低学歴層の人たちといわれます。

 また先週末には、この黄色いベスト集団に新しい動きが見られました。それまでのデモは、リーダー(代表者)不在で組織化されていない個人の集合体でした。ところが、ここにきてフェイスブック等のSNSを通じ、大きく2つの組織が立ち上がりました。「黄色いベストの自由」と「フランスの怒り」です。

運動は新たな局面に発展
 黄色いベスト運動参加者の組織化は、フランス社会にとって4つの大きな意味があります。

 1つは、政府と参加者との直接対話の実現です。政府は、今回の一連のデモに対し、通達や交渉の窓口がありませんでした。今回の組織化により、話し合い相手(代表者)が特定でき効率的な対応ができるようになりました。

 2つ目は、デモから個別のテーブル交渉に話し合いの舞台を移せることです。これで、デモの鎮静化と同時に、秩序立った対応ができるようになります(現に、先週土曜日のパリ市内でのデモ参加者数は、それまでの4回のデモに比べて激減。その大きな理由の1つが、「黄色いベストの自由」が、パリ市内でのデモ参加を控えるように、全国の傘下メンバーに呼びかけたからといわれる)。

 3つ目は、2年前にマクロン自ら立ち上げた政党「共和国前進」が掲げた「既存の政党政治ではなく市民の力で国を変えよう」という理念と、今回できた2つの黄色いベスト運動組織の理念が一致していることです。現にマクロン氏も、彼らとのオープンな直接対話を提案しています。こうした機会を通じ、彼らを自陣営に取り込み、迫りくる極右や急進左派のポピュリズム政党への対抗軸を固める利点もあると思われます。

 代表民主制(国民が国会を通し間接的に政治参加)はもとより、直接民主制(国民が直接的に政治参加)のあるべき姿を、国民の間で広く議論できる環境が整ったことです。議論は、18世紀のジャン=ジャック・ルソーを皮切りに、これまで国内で、政治家や知識人の間で議論されてきたものに囚われるものではない。また、2015年に部分的に導入された制度や古くからスイス等が導入する制度に囚われない。そして、前述の黄色いジャケット市民団体「フランスの怒り」が提案するような、ネット技術も使い、新しい発想で議論しようというものです。

 このように、今回の黄色いベスト運動は、一連のデモをきっかけに、市民の手による将来の新しい政治と社会の体制づくりに向けたステージに移りつつあります。こうしたプロセスや議論の内容・結果は、EUや世界にも影響を及ぼす可能性もあり、今後の動きが注目されます。
https://diamond.jp/articles/-/188745
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/814.html

[経世済民130] FOMCは不吉な株安に直面、11月会合以降の下げが08年以来の激しさ FOMC2019年中の休止も念頭にハト派的利上げか
FOMCは不吉な株安に直面、11月会合以降の下げが08年以来の激しさ
Jeff Kearns
2018年12月19日 14:18 JST
S&P500の下落率は9.3%−リーマン破綻直後以来の大きさ
これほどの株価下落でも利上げすれば極めて異例の展開に

The Marriner S. Eccles Federal Reserve building stands in Washington, D.C. Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
今週利上げを議論する米連邦準備制度当局者にとって、米国株安は不吉な歴史的比較を示している。S&P500種株価指数が2回の連邦公開市場委員会(FOMC)の間にこれほど下落した直近の事例は、2008年に投資銀行リーマン・ブラザーズ・ホールディングスが経営破綻した直後だからだ。

Stocks Slide
S&P 500's 9.3% drop since FOMC is biggest intra-meeting drop since Oct. 2008


  トランプ大統領が米金融当局に利上げ中止の要請を強めているにもかかわらず、投資家の間ではFOMCが2日間の政策審議を終える19日に利上げを決めるとの見方が大勢であることが金利先物の動きに示されている。

  それでも、株式市場が政策当局者に議論の材料を与えていることは間違いない。S&P500種は前回FOMCがあった11月8日から今月17日までに9.3%下落した。この値下がりは、リーマン破綻の翌日開催だった2008年9月16日のFOMCから同年10月8日の緊急会合までの18.8%下落以来の大きさ。08年9月の会合から同年10月28、29両日開催の定例会合までには23%値下がりした。

  今年11月の会合以降の9.3%安より大幅な相場下落を演じたケースは、過去20年では5回。金融危機後に政策金利を事実上のゼロから初めて引き上げた15年12月16日の会合から16年最初の会合までに同指数は9.2%値下がりし、当時のイエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長はその後16年12月まで利上げしなかった。

  ブルームバーグ・ニュースが集計したデータによると、株式相場がこれほど悪化している状況で連邦準備制度が利上げに踏み切れば極めて異例。さらに、金融状況が10月上旬以降に引き締まっており、ブルームバーグの尺度は現在マイナス圏と、調達コストとリスク回避が米経済に向かい風となっている状況がうかがえる。

原題:Fed Hasn’t Seen This Much Intra-Meeting Equity Pain Since 2008(抜粋)


ソフトバンク株、初日は15%安−勝者は孫社長との声も
日向貴彦、古川有希、Pavel Alpeyev
2018年12月19日 15:04 JST 更新日時 2018年12月19日 17:12 JST
初値は1463円、公開価格を2.5%下回る
孫氏は「高い値段で売り超過利益を得た」とDZH田中氏
上場したソフトバンクの株価は19日、公開価格比15%安の1282円と安値引けとなった。投資家にとっては約4000億円の損失となった一方、過去最大の資金調達を成し遂げたソフトバンクグループの孫正義会長兼社長の「大勝利」との見方もある。

  初値は1463円となり、公開価格(1500円)を2.5%下回った。売買代金は東証1部で1位。親会社のソフトバンクGの終値は前日比0.9%安だった。

  記者会見した宮内謙社長は「残念ながら株価は少し下がった」と述べたほか、「マーケットがどう反応されたのか真摯(しんし)に受け止めて、ここをスタート地点として企業価値向上に努めて参りたい」と話した。孫氏からも「非常に素晴らしいアドバイスを頂いている」という。


  需要に応じて追加するオーバーアロットメントを含む売り出し株数で算出した調達額は2兆6500億円と1987年のNTTを抜き、過去最大だった。DZHフィナンシャルリサーチによれば、今年の日本のREIT(不動産投資信託)を含む上場は86社で初値が公開価格を下回ったのはソフトバンクで12社目。

  同社の田中一実IPOアナリストは、株価下落はソフトバンクGの孫社長の「大勝利を意味する」と指摘。「実際の価値よりも高い値段で売り、超過利益を得ることができたのは、孫氏の高い交渉力であり、引き受け証券の販売力だろう」とした上で、負けたのは個人投資家を中心にした「買い手」だと話した。

  ソフトバンクGは、2006年におよそ2兆円を投じ英ボーダフォン・グループから日本法人を買収、国内の携帯電話事業に参入した。上場により、10年余りを経て、資金回収した格好だ。上場は世界規模で投資を進める親会社と通信事業の役割や価値を明確に分けるという狙いもある。


Ken Miyauchi, president and chief executive officer of SoftBank Corp., hits the bell at TSE.Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  ソフトバンクの上場を巡っては、市場関係者から厳しい声も上がっていた。政府主導で国内通信料金の値下げ圧力が高まっており、携帯電話会社の収益悪化懸念が根強いためだ。楽天の新規参入もソフトバンクには逆風だ。

  6日には全国規模の通信障害が発生。ソフトバンクが通信機器として使用する中国の華為技術(ファーウェイ)排除の動きが世界的に広がったことも市場に疑念を生んだ。

  ミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊池真代表取締役は、公開価格が割高だったとの見方を示した。先行きについても携帯電話料金に「政府の値下げ圧力もかかっているので、大きく成長するというよりも現状が維持できれば御の字」とした上で、「1300円台は仕方ない」と分析した。

  1000株を新規上場(IPO)で購入した東京都内でIT関連企業を経営する酒井英行氏は「残念だ」と述べた。一方で「手放すつもりはない。高配当を期待して、中長期的に持ち続けたい」と語った。

ソフトバンクの2019年3月期業績計画
前期比増減率(%)
売上高 3兆7000億円 3.3
営業利益 7000億円 9.7
純利益 4200億円 4.8
1株利益 87.73円
 

(宮内社長の会見内容を追加しました.)


アルゴが市場のサイン消す、トレンドなき悪夢とドラッケンミラー氏
Erik Schatzker、Katherine Burton
2018年12月19日 13:47 JST
相場の動きの背後に何があるかはるかに分かりづらくなったと同氏
「相場が乱高下し、実質的なトレンドがなければ悪夢だ」と指摘
資産家スタンリー・ドラッケンミラー氏は、アルゴリズムとクオンツ取引が市場を支配する今はヘッジファンド業界に携わっていなくてうれしく思うと語った。

  ドラッケンミラー氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「私は30年間にわたり年間30%のリターンを得たが、われわれは今や同じジップコードの場所にいるのではなく、ましてや同じ状態でもない」と自分の最近のリターンを皮肉った。

  同氏は自らの投資プロセスがいわゆる市場のシグナルを探り当てることに常に関係していたと述べ、1兆ドル(約112兆円)規模の資産を運用するようになったクオンツファンドが、そのような手掛かりを弱めたり、消し去ったりすることで、相場の動きの背後に何があるかはるかに分かりづらくなったと指摘した。

  ヘッジファンド運営会社デュケーヌ・キャピタル・マネジメントを2010年に閉鎖し、ファミリーオフィス形態にファンドを転換したドラッケンミラー氏は「8、9カ月にわたるメッセージは、なお重要と考えている。昔なら何かを意味するノイズが1、2週間聞こえていると思うが、今ではそれは何の意味も持たない」と発言した。

  さらに「ボラティリティーはトレンドの一部であって、トレンドへの入り口を提供する場合に限って有用だ。相場が乱高下し、実質的なトレンドが存在しなければ、それは悪夢だ。ボラティリティーの動きがトレンドの始まりと考え、二重の打撃を被るかもしれない」と主張した。

スタンリー・ドラッケンミラー氏

出所:ブルームバーグ)
原題:Druckenmiller Says Algos Are Robbing Markets of Trade Signals(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-19/PJYUNR6TTDS301


 

 

FOMCの注目点:2019年中の休止も念頭に「ハト派的利上げ」か
Steve Matthews
2018年12月19日 14:00 JST
最新の経済予測で19年の利上げ回数見通しを2回に引き下げも
金利の「さらなる漸進的な引き上げ」を見込む声明の文言修正か
米金融当局は18、19両日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で今年4回目となる利上げを決める見通しだ。利上げ批判を繰り返すトランプ大統領からの圧力を退ける一方、2019年には漸進的な利上げのペースを落とす可能性を示唆するものと予想される。

  FOMCメンバーが市場の広範な予想通り0.25ポイントの利上げに踏み切った場合、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは2.25−2.5%と10年ぶりの高水準に達する。米東部時間19日午後2時(日本時間20日午前4時)公表のFOMC声明では、さらなる漸進的な利上げの方針に変更が加えられるか、同方針の文言が消える可能性がある。

  またFOMC参加者は同時に公表される最新の経済予測で、金融情勢の引き締まりを考慮して見通しを下方修正するかもしれない。

  FF金利先物の相場動向によれば、投資家は0.25ポイントの利上げを高い確率で織り込んでいる。この10年間のFOMC会合を振り返ると、市場にサプライズをもたらすような金利決定はなかった。だが、今回は想定外の利上げ休止という判断が下される可能性も完全には排除できない。

  パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は午後2時半から記者会見する予定で、利上げの場合はトランプ大統領と意見を異にする理由についての質問、金利据え置きの場合にはなぜ大統領の圧力に屈したのかといった質問を浴びることになりそうだ。


  マクロポリシー・パースペクティブズ創業者のジュリア・コロナド社長は、「金融当局者の発言からは極めて辛抱強い姿勢がうかがわれ、政策ミスを犯さぬよう19年の利上げペースを緩やかにするのにやぶさかでなはいと見受けられる」と指摘した。

  FOMC参加者が最新の予測で19年の利上げ回数見通しを2回とし、9月の前回予測で示した3回から減らせば、17年12月から続けられてきた四半期ごとに1回の利上げのペースを小休止する余地が確保される。

  コーナーストーン・マクロのパートナー、ロベルト・ペルリ氏は、最新のドット・プロット(金利予測分布図)で19年の利上げ回数見通し(中央値)が2回とされれば、「市場は来年3月の休止を恐らく確信するだろう」と語った。


  FOMC声明に変更が加えられる可能性もある。11月のFOMCでは、金利の「さらなる漸進的な引き上げ」を見込んだ文言を修正し、データ発表に重点を置くよう切り替えることが話し合われた。米経済の堅調を指摘する一方で、世界的な成長鈍化や金融情勢の陰りを強調することも想定される。

  インベスコのシニア・マクロ・ストラテジスト、ジェームズ・オン氏はFOMC声明について、11月8日の前回に比べ「もっとハト派的な文言が盛り込まれる公算が大きい。米国の金融情勢は多少引き締まった」との見方を示した。

Ending Guidance
Economist survey of what meeting FOMC drops `further gradual increases'


Bloomberg

Survey of 38 economists conducted Dec. 7-11

原題:Fed Seen Making Dovish Hike With 2019 Pause: Decision Day Guide(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-19/PJYUNR6TTDS301?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/182.html

[経世済民130] トランプ大統領とゴールドマンが同意−市場脅かすのは流動性の枯渇 米住宅着工件数11月は増加、集合住宅が急増 1戸建て減少
トランプ大統領とゴールドマンが同意−市場脅かすのは流動性の枯渇
Lu Wang、Felice Maranz
2018年12月19日 13:41 JST
継続した引き締めが市場の「流動性を現在よりさらに低くする」恐れ
トランプ大統領が18日午前のツイートで論じた

トランプ大統領 Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
米国のトランプ政権はかつて、ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストらは「野党民主党のようだ」などと批判したが、流動性枯渇への懸念という点でトランプ大統領がゴールドマンに同意した。

  大統領は18日午前のツイートで、米金融当局による継続した引き締めが市場の「流動性を現在よりさらに低くする」恐れがあると論じた。


Donald J. Trump

@realDonaldTrump
I hope the people over at the Fed will read today’s Wall Street Journal Editorial before they make yet another mistake. Also, don’t let the market become any more illiquid than it already is. Stop with the 50 B’s. Feel the market, don’t just go by meaningless numbers. Good luck!

61,933
21:13 - 2018年12月18日
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  ゴールドマンもリポートで、流動性低下を米株式市場に対するリスクに挙げていた。ジョン・マーシャル、ロッキー・フィッシュマン両氏らストラテジストは、今年の株式ボラティリティーと景気動向の不一致の多くは流動性不足によって説明できると指摘した。

  電子取引の増加や規制など数多くの要因が流動性に影響しているが、ゴールドマンは運用担当者らのリスク回避志向が今年の流動性低下の一因だと指摘した。ストラテジストらによると、この結果、個別銘柄に対する流動性の指標は過去1年で42%低下し金融危機以降の最低に近い。S&P500種株価指数先物についての同様の指数は70%低下し、10年ぶりの低水準だという。 


  リポートは「ボラティリティーに関するわれわれの経済モデルは13.4を示唆しているのに対し、最近の流動性状況は向こう1年のボラティリティー19.1を示唆している。最近の高ボラティリティーと低い取引高、歴史的水準を大きく下回る市場の深さが全て合わさって、平均以上の予想ボラティリティーにつながっている」と分析している。

原題:Trump and Goldman Flag Same Market Warning: A Liquidity Drain(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-19/PJYSTE6JTSE901?srnd=cojp-v2


 

米住宅着工件数:11月は増加、集合住宅が急増−一戸建ては減少
Shobhana Chandra
2018年12月18日 22:37 JST 更新日時 2018年12月19日 0:35 JST
11月の米住宅着工件数は前月から増加し、8月以来の高水準となった。着工許可件数は7カ月ぶり高水準となった。

  米商務省が18日発表した11月の住宅着工件数(季節調整済み、年率換算、以下同じ)は前月比3.2%増の126万戸。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は123万戸だった。前月は122万戸(速報値123万戸)に下方修正された。


  着工件数の先行指標となる住宅着工許可件数は5%増の133万件と、市場予想(126万件)を上回った。一戸建てと集合住宅の両方で伸びが見られた。

  着工件数は一戸建て住宅が4.6%減の82万4000戸と、2017年5月以来の低水準。変動の大きい集合住宅は22.4%増の43万2000戸だった。

  統計の詳細は表をご覧ください。

原題:U.S. Housing Starts Top Forecasts on Boost From Multifamily (1)(抜粋)

(統計の詳細を追加し、更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-18/PJXPR46S972H01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/183.html

[経世済民130] FRB利上げに反対、トランプ氏の「勘」は正しいのか 米中休戦、元下げ圧力も緩和か 株乱高下の主犯、正解できない米財務長官
外為フォーラムコラム2018年12月18日 / 13:11 / 1日前

FRB利上げに反対、トランプ氏の「勘」は正しいのか

上野泰也 みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
4 分で読む

[東京 18日] - 12月18─19日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では今年4度目の利上げが実施される可能性が高まっており、フェデラルファンド(FF)レート先物はそれを8割弱織り込んでいる。

トランプ政権側もそれを覚悟しているようであり、カドロー国家経済会議(NEC)委員長は7日のテレビ出演で、米連邦準備理事会(FRB)は12月に何らかの行動を起こすかもしれないが、その後はおそらくかなりの期間にわたって何もしないだろうとみていることを明らかにした。その上で、トランプ大統領の考えも大体一致していると述べた。

そうであれば12月のFOMCが近づく中で、トランプ大統領は利上げ路線に対する批判を手控えそうなものだが、実際には全く逆だ。FOMC開始まで1週間を切っても、さらには開始前日になっても、12月は利上げすべきでないという主張を大統領は発信し続けた。

<繰り返される執拗なFRB批判>

ロイターが11日配信したインタビューで、トランプ大統領は、12月に利上げをするとしたら「ばかげていると思うが、私に何が言えるだろう」と発言。「彼(パウエルFRB議長)は良い人間だと思う。彼は、自分が最善だと考えることをやろうとしているとは思う。私とは意見が違う」としつつも、「彼は強引過ぎ、あまりにも強引過ぎ、実際にあまりにも強引過ぎると思う」と批判した。

2020年の大統領選時に米国がリセッションに陥る懸念はあるかという質問に対しては、海外要因が国内の経済に悪影響を与える可能性に言及しつつ、「私の意見では、わが国は非常に上手くいっている。国内企業は非常に好調だ。FRBが合理的かつ理性的に施策を行うなら、わが国は前進するだろう。われわれは、飛翔する宇宙船だと思う」と返答した。

要するに、米国の経済・企業は非常にうまく運営されているものの、海外にリスク要因が数多い中でもFRBがこのまま利上げを続けるようなら景気拡大の持続は危うくなる、という見方である。

13日にはFOXテレビのインタビューで、トランプ大統領は、米政策金利が現在ほぼ正常な水準にあると強調した上で、インフレ率が非常に低いので追加利上げは不要であり、FRBはこれ以上金利を上げないで欲しいと発言。12月の利上げへの反対を、あらためて明確にした。

FOMC開始直前の17日には、FOMCがいまだに利上げを検討していることが信じられないとツイート。ドル相場が強いこと、インフレ率が落ち着いていること、フランスや中国の景況悪化を、そう考える理由として挙げた。

2020年の大統領選を展開しているタイミングで米国経済が後退局面入りしてしまい、失業率が上昇するようだと、トランプ大統領の再選は危うくなる。そうした焦りがFRB批判に結び付いているとみるのが普通である。

また、ここでFRBの利上げを何度も批判して、利上げに反対していたことを人々に強く印象づけておけば、米国経済がリセッション入りしてしまった際にはその責任をFRBに転嫁できるという、いかにも政治家らしい計算も働いていると考えることができる。

<パウエル議長の真意は>

だが、本当にそれだけだろうか。筆者が気になっているのは、もう少し前、11月27日付の米紙ワシントンポストとのインタビューでの発言だ。

大統領はそこで、「これまでのところ、(FRB議長に)パウエル氏を選んだことを少しも喜んでいない。少しもだ。誰かを責めているわけではない。ただFRBがひどく間違っていると言っているだけだ」と述べた。この部分は多くのメディアが転載して伝えたのだが、オリジナルの記事を見ると、実はその直前、大統領は次のように発言していた。

「私がディールをしているのに、私はFRBに助けられていない」。そしてこう続けた。「彼ら(FRB)は間違いを犯している。そう考えるのは、私には勘(a gut)があり、私の勘はときどき、他の誰の頭脳よりも多くのことを私に告げてくれるからだ」

普通の人には理解し難いほど執拗な利上げ批判の根底には、ビジネス界での経験が長いトランプ氏が抱いている「このままではまずい」というような、一種の直観があるのだろう。

Slideshow (2 Images)
12月の利上げによって政策金利をもう少し中立水準とみられるところに近づけてから、来年1月及び3月のFOMCでは利上げを休止して様子を見たい、というのがパウエル議長らFRB中枢の意向だと推測できる。

<「勘」は本物か>

筆者は、3月のFOMCで利上げを休止した後、景気腰折れがなさそうだと判断されれば6月に利上げを再開する可能性があるものの、そこで今回の米利上げ局面は終了するというシナリオを描いている。

だが、12月の「あと1回」が「ラクダの背を折る最後の1本の藁(わら)」になることを、トランプ大統領は直観的に、強く警戒しているのだろう。

金融政策というのはもともと、「運転」が非常に難しい政策である。利上げや利下げの効果が実体経済に表れるまでに1年─1年半の時間差(ラグ)があるため、そのかじ取りは足元の経済指標の良し悪しを見ているだけでは駄目だ。ずっと先にある、まだ見えてこない道路の状況を推測しながら走り続ける必要があるため、パウエル議長としても利上げをどこまで重ねればよいのか、十分な自信は持てていないはずである。

17日に発表されたアンケート調査に基づく経済指標の悪化ぶりや、景気の先行指標である株価のぜい弱さに鑑みると、トランプ大統領の勘が実は正しく、12月の利上げは土壇場で見送った方がいいのではないかとも思えてくる。

いずれにせよ、2019年の米国の利上げ実施はあったとしても1回にとどまり、ドルは潜在的に対円で100円近くまで下落する余地があると、筆者は考えている。

上野泰也氏 みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト(写真は筆者提供)
*上野泰也氏は、みずほ証券のチーフマーケットエコノミスト。会計検査院を経て、1988年富士銀行に入行。為替ディーラーとして勤務した後、為替、資金、債券各セクションにてマーケットエコノミストを歴任。2000年から現職。

*本コラムは、ロイターの外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-softbank-ipo-idJPKBN1OI0PO


 

トップニュース2018年12月19日 / 18:13 / 1時間前更新
アングル:
米中貿易摩擦「休戦」、人民元下げ圧力も緩和か
2 分で読む

[上海 18日 ロイター] - 米中貿易摩擦がひとまず「休戦」となったことで、人民元の下げ圧力もある程度和らいだように見える──。少なくともこれがオフショア人民元デリバティブ市場が発しているシグナルで、背景には資金流出リスクの低下やオフショア人民元調達コストの下落がある。

今年に入って米中貿易摩擦などが人民元売りを活発化させ、対ドル相場は3月終盤の高値から11月末までに10%強も下落した。

しかしスポットレートと特定期間のフォワードのスプレッドを表すフォワードポイントは、両国が関税引き上げの凍結などに合意した今月初めから、人民元売り圧力が緩和し始めたことを示している。

17日には1年物ドル/オフショア人民元(CNH)フォワードポイントは一時115ポイントと、2011年11月以降の最低水準を記録。18日の取引でも135ポイントと、7年ぶりの低さで推移した。

トレーダーは、こうしたフォワードポイント低下の原因をオフショア人民元市場で資金が調達しやすくなったためだとみている。一部の短期金利はマイナス圏にまで突入。オフショア人民元のインプライド翌日物預金金利は18日午前にマイナス1.999%まで下がる場面があった。前日引け値はプラス0.742%だった。

また米連邦準備理事会(FRB)の利上げ打ち止めが近いとの観測も影響している。

今年はFRBが利上げを続けてきたことが、人民元にとって最も大きな下げ材料となった。米中の金利差縮小で人民元建て資産の魅力が弱まり、資金流出リスクを高めたからだ。

ただ18─19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、追加利上げが決まる見通しだが、同時に世界経済成長に対するリスクの増大を受け、引き締めサイクルを休止する可能性も否定できなくなっている。

中国は景気てこ入れのために金融緩和を進めるとみられている中で、米国の利上げが打ち止めとなれば、人民元に対する売り圧力がある程度後退してもおかしくない。

OANDA(シンガポール)のアジア太平洋トレーディング責任者スティーブン・イネス氏は「来年末段階で、トレーダーはFRBの利上げ確率を完全にゼロとみている」と話した。

みずほ銀行のシニア・アジアFXストラテジスト、ケン・チャン氏は、米中貿易摩擦が和らいで人民元の地合いが安定した結果、フォワードポイントが下がったと指摘。中国人民銀行(中央銀行)は当面、人民元相場防衛のためにオフショア人民元の流動性調節を使う公算は乏しいとの見通しを示した。

人民銀はこれまで、オフショア人民元の流動性を引き締める目的で、香港における借入金利を高めに誘導し、投機筋が人民元を売り持ちにするコストを押し上げる政策を実施していた。
https://jp.reuters.com/article/column-softbank-ipo-idJPKBN1OI0PO


 


外為フォーラムコラム2018年12月19日 / 16:18 / 3時間前更新
コラム:株乱高下の「主犯」は誰か、正解できない米財務長官
Tom Buerkle
3 分で読む

[ニューヨーク 18日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ムニューシン米財務長官は18日、最近の株価が乱高下している原因の一部はオバマ前政権が導入した投資銀行の自己勘定取引を禁止する「ボルカールール」にある、との見方を示した。

しかし同ルールが採用される前の2009年と比べれば、株価の動揺は小さく、株式取引自体に同ルールが及ぼした悪影響は乏しい。値動きを荒くしているのは、ムニューシン氏が仕えるトランプ大統領の振れが大きい政策にほかならない。

トランプ氏は2016年の当選以来ずっと、株価を政権運営の評価基準としてきた。1月にはツイッターで「ダウ工業株30種が2万5000ドルに迫っている。私の政権でこんなに早く大台到達が可能になると思っていた人はほとんどいなかった」と自画自賛だ。とすれば最近数週間の大幅調整でダウが約12%も下がった事態は、ホワイトハウスにあっては決して受け入れられない。

だからこそムニューシン氏は、金融安定監督評議会(FSOC)に株式市場構造がボラティリティに与える影響を調査研究するよう要請しようとしているのだ。もっとも株価が足元でより不安定化しているとはいえ、それは異常な動きではなく、むしろ正常な状態に戻っているという側面が強い。

米連邦準備理事会(FRB)は過去10年のほとんどの期間、事実上のゼロ金利と多額の資産買い入れを通じてボラティリティを抑え込んできた。この政策の巻き戻しが今、徐々に進んできている。

そうした中でシカゴ・オプション取引所のボラティリティ・インデックス(VIX、別名恐怖指数)は夏場の10%台後半から18日に25%超まで高まってきた。ただ元FRB議長のポール・ボルカー氏が自己勘定取引禁止を提案すらしていなかった08─09年の金融危機時代には、VIXは最高40%まで跳ね上がっていた。

さらにボルカールールのインパクトは、株式よりも債券取引の方がずっと大きかった。銀行にとって、顧客のためのマーケットメーク(気配値の提示による円滑な取引成立支援)能力を確保する上で鍵になるのは、債券をバランスシート上に保有し続けることだ。ところがこうした保有を続ければ続けるほど、自己勘定取引の性格が生まれかねない。株式の場合、証券取引所が存在するので、ごく一部の最も流動性が低い銘柄や大口のブロック取引を除けば、バランスシートに長期保有する必要はない。

確かにムニューシン氏は、株価乱高下の原因として超高速取引業者の動きも挙げた。超高速取引業者には数多くの批判があり、実際彼らの前身的な存在は1987年の大暴落における「主犯」の1つだった。それでも彼らは今やマーケットメークの役割を果たしている。

株価が落ち着かない理由は、他の材料を使えばもっとうまく説明できる。

すなわちトランプ氏が中国との貿易戦争を辞さない考えを打ち出していることが、世界の経済成長を巡る不安をかき立て、投資にブレーキをかけている。トランプ氏が大盤振る舞い的に実施した減税の効果がはく落するとともに、企業収益の伸びは鈍化しつつある。おまけに米国の財政赤字は膨らみ続け、1兆ドルに達する情勢だ。

これらの要素は、ほぼ10年続く景気回復への脅威としてはボルカールールよりも大きい。

残念ながらムニューシン氏は、ボルカールールに対する言及ほどには、トランプ氏にはっきりと物申すことができない。

●背景となるニュース

・ムニューシン米財務長官は18日、自ら議長を務める金融安定監督評議会(FSOC)に株式市場の構造とボラティリティの問題を調査研究するよう要請すると語った。ブルームバーグが伝えた。

・ムニューシン氏は「個人的な意見としては、市場構造がより大きなボラティリティをもたらしている。その一因は超高速取引業者とボルカールールの組み合わせにある」と述べた。

ボルカールールは投資銀行による自己勘定取引を禁止している。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/stock-mnuchin-breakingviews-idJPKBN1OI0HM
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/184.html

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