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[経世済民131] 世界経済は既に底入れした可能性、ゴールドマンが指摘 中国経済、持ち直しの兆し ゴールドマン4Q損失計上日数、7年ぶり多さ
世界経済は既に底入れした可能性、ゴールドマンが指摘
Malcolm Scott
2019年2月27日 12:11 JST
成長が今後持ち直すことを示唆する芽生えが幾らか見え始めている
19年世界成長率予想(3.5%)に対するリスクは依然振れ方向
世界経済は既に底入れした可能性があると、ゴールドマン・サックス・グループのチーフエコノミスト、ジャン・ハッチウス氏が指摘した。

  成長は引き続き軟調であるものの、ゴールドマンの2月の現況活動指標は、下方修正された昨年12月と今年1月の数字を若干上回っている。

  「連続的な成長が今後持ち直すことを示唆する芽生えが幾らか見え始めている」と、ハッチウス氏とスベン・ジャリ・ステーン氏が26日付リポートで指摘した。ただ、ゴールドマンの2019年の世界GDP成長率予想(3.5%)に対するリスクは「恐らく依然下振れ方向」だという。

市場に関するゴールドマンのコメント:

上昇余地は恐らく小さくなっているものの、リスク資産に対して引き続きポジティブ。「市場がリセッション(景気後退)に関してより楽観的になっている」ためだ
債券利回りは上昇の見込み
ドルの弱気予想を維持。米金融当局のハト派姿勢や世界の成長回復見通しが理由
今後2−3カ月の原油相場についてはそこそこ強気だが、今年それ以降は弱気見通しが強まるとみている
  ハッチウス氏によると、成長が現在のペースから持ち直す可能性は米国が最も高い。金融環境が引き締まることからの重しが和らぐためだという。

  ゴールドマンは中国の成長にも不確かながら回復の兆しがあるとみている。これはブルームバーグがまとめた活動の先行指標と一致する。

Brightening Up
Earliest China indicators show recovery after months of deterioration


Source: Bloomberg Economics

Note: Bloomberg Economics generates the overall activity reading by aggregating the three-month weighted averages of the monthly changes of eight indicators, which are based on business surveys or market prices.

原題:Goldman Sees Signs the Global Economy Has Bottomed Out Already(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-27/PNK2RG6JIJUY01?srnd=cojp-v2


 
中国経済、持ち直しに向けた最初の兆しか−2月の先行指標示唆
Bloomberg News
2019年2月27日 9:39 JST
株高や商品価格の上昇でマインド改善−貿易休戦や金融緩和が寄与
景気に大きくプラスと判断するには時期尚早−曲天石氏
何カ月にもわたり減速していた中国経済は、持ち直しに向けた最初の兆候を見せた。株高や商品価格の上昇でマインドが改善している。

  ブルームバーグ・エコノミクスは市場センチメントや業況に関する先行指標をまとめ、独自に指標を作成している。それによると、株価指数や商品価格の上昇がけん引し、規模が小さめの企業の心理も改善した。一方で、物価や貿易、セールスマネジャーのセンチメントの動向を示す指標は中国経済が底打ちしたと判断するには時期尚早であることを示唆している。

Brightening Up
Earliest China indicators show recovery after months of deterioration


Source: Bloomberg Economics

Note: Bloomberg Economics generates the overall activity reading by aggregating the three-month weighted averages of the monthly changes of eight indicators, which are based on business surveys or market prices.

  ブルームバーグ・エコノミクスの曲天石エコノミストによれば、中国人民銀行(中央銀行)による金融緩和や対米貿易戦争の「休戦」が相場を押し上げている。トランプ米大統領が中国製品に対する関税の追加引き上げ期限を先送りすると発表し、今週に入り中国本土株は大きく値上がりし、オフショア人民元も上昇している。

  株高が「消費者信頼感を後押しする可能性はあるが、経済活動に大きくプラスに働くと言うにはまだ早い」と曲氏は指摘する。

  民間企業の資金調達改善やインフラ建設推進など刺激策による効果が表れ始めており、1月の人民元建て新規融資は過去最高を記録、輸出も伸びた。金融政策が今後も景気を支援するほか、減税や歳出増、特別債発行など今年の財政措置はさらに強化されると曲氏は予想した。

  スタンダードチャータードで中小企業の景況感指数をまとめている申嵐エコノミスト(北京在勤)は、中小企業の資金調達改善に的を絞った支援策が奏功しつつあると指摘。2月の同指数は55.1と前月の54.9から小幅ながら上昇した。

原題:China’s Economy Sees First Signs of Pickup, Earliest Gauges Show(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-27/PNKBJI6TTDS001?srnd=cojp-v2

 
ゴールドマン4Qのトレーディング損失計上日数、約7年ぶり多さ
Sridhar Natarajan、Brandon Kochkodin
2019年2月27日 2:47 JST
少なくとも計19日で損失計上、損失額1億ドル近くの日も
年終盤の荒れ相場で損失かさむ−1〜9月の損失日数は計12日
2018年終盤の相場はウォール街にとって荒れたものだった。ゴールドマン・サックス・グループはその荒れ方がどれほどひどかったかを浮き彫りにした。

  同行のトレーディング事業は18年10−12月(第4四半期)に少なくとも計19日で損失を計上し、損失額が1億ドル(約111億円)近くに上った日もあった。年1回の規制当局の開示で明らかになった。ブルームバーグが開示データを精査したところ、これは四半期として11年7−9月以降で最多だったことが分かった。

Down Days
Goldman Sachs 19 days of trading losses in Q4 was the most since Q3 2011


Source: Bloomberg

  ゴールドマンの債券トレーディングが第4四半期に上げた収入は金融危機以来の低さにとどまり、最高経営責任者(CEO)に就任したばかりのデービッド・ソロモン氏はトレーディング事業の見直しに取り組んでいる。事情に詳しい関係者によると、同行幹部は債券トレーディング事業の縮小計画をもくろんでいる。

  ただ、年終盤の荒れ相場で損失が続いた格好で、1−9月に損失を計上した日数は合計12日だけだった。1億ドル以上の収入をあげた日も通年で計12日あった。

原題:Goldman Traders Had Most Losing Days in Seven Years Last Quarter(抜粋)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE
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河元伸吾
2019年2月27日 7:58 JST 更新日時 2019年2月27日 11:18 JST
米経済は良好、将来の政策変更に辛抱強くとパウエルFRB議長
2月の米消費者信頼感指数は131.4、4カ月ぶりに上昇
Global Stocks Drift Lower as Dollar Extends Rally: Markets Wrap
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
27日の東京株式相場は小幅反発。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が利上げについて様子見の姿勢を改めて示したほか、米経済指標が改善し景気不安が後退した。医薬品や不動産など内需関連が上げを主導している。

TOPIXは前日比3.68ポイント(0.2%)高の1620.88−午前11時13分時点
日経平均株価は同99円14銭(0.5%)高の2万1548円53銭
背景

パウエルFRB議長:米経済は良好、一部に「相反」する流れも (2)
米消費者信頼感指数:2月は131.4に上昇、現況指数は18年ぶり高水準
ドル・円相場は1ドル=110円50銭台、前日の日本株終値時点は110円79銭
  みずほ証券の倉持靖彦投資情報部長は「パウエルFRB議長の議会証言で利上げを急がないことが強調されたほか、経済指標として重要な消費者信頼感指数が大きく改善し、今後も堅調な景気が続くとみてとれる」と話した。米国株は過熱感から足踏みしているとし、「景気敏感で出遅れ気味な日本市場に資金が向かいやすい」と指摘する。ただ、為替の円高推移は重しだと言う。

内需関連中心に高い
東証1部33業種では医薬品、不動産、建設、小売、陸運など内需関連が上昇率上位
アナリストが投資判断を下げたコマツや日立建機など機械は下落、電機も安い
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-26/PNJK2L6JIJUR01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/299.html

[経世済民131] 日銀は追加緩和の選択肢として量的緩和の再拡大検討もー木内元委員 ポンド上昇、離脱延期や再国民投票の観測−中銀総裁ら追い風
日銀は追加緩和の選択肢として量的緩和の再拡大検討もー木内元委員
谷口崇子、中道敬
2019年2月27日 5:00 JST
世界経済悪化すれば円高が急速に進む可能性、日銀は追加緩和を意識
量的緩和で国債市場のボラティリティー上昇も、リスク高い政策
日本銀行元審議委員の木内登英氏は、日銀が円高によって追加金融緩和策の必要に迫られた場合、国債購入などによる量的緩和の再拡大を検討する可能性があるとの認識を示した。日銀は国債の流動性に配慮し購入額を徐々に縮小してきており、木内氏は再拡大は日銀にとって好ましい選択肢ではないと分析する。

  日銀の黒田東彦総裁は19日の衆院財務金融委員会で、円高が進んで経済や物価情勢に影響を与えた場合に追加緩和を検討する考えを示した。木内氏は22日のインタビューで「世界的な景気後退があった場合、政府が財政出動に動き、日銀が協調策を求められる場面はあると考えられる」と指摘。

Former BOJ Board Member Takahide Kiuchi Interview
木内登英氏Photographer: Akio Kon/Bloomberg
  世界経済が悪化すれば円高が急速に進む可能性があり、1ドル=100円を超える円高になれば、日銀は追加緩和を意識するのではないかとみている。

  日銀は長期国債の買い入れを年間80兆円をめどに続けているが、2016年9月に金融緩和の軸足を量から金利に移したことに伴い、買い入れペースを落としてきた。年間購入額は現在、目安の約半額のペースにとどまっている。

  財務省は19年度の国債発行額を6年連続で減額すると発表したが、木内氏は、政府が景気対策の財源として国債を増発する可能性があるとし、そうであれば「日銀がもっと国債を引き受けてくれた方がいい」と指摘。こうした状況は、政府の財政支出を中央銀行が紙幣増刷で賄う「ヘリコプターマネー」政策に近く、個人的には大反対だとしながらも「予測としてはあり得る」と述べた。

懸念材料
  しかし、木内氏は量的緩和について「流動性の低下で国債市場のボラティリティーが高まる」可能性があるため、非常にリスクの高い政策だとも指摘する。日銀にとってましな政策である短期金利のマイナス幅の深掘りが追加緩和のメインシナリオだとしつつ、安倍晋三政権が有権者に不評だったマイナス金利政策に抵抗があることが懸念材料だとした。

  国債買い入れなどによるマネタリーベース(市場への資金供給量)拡大は、日銀が16年9月に示した今後の追加緩和の選択肢の中で、長短金利の引き下げに後れて最後に触れられた。

  また、日本の金融機関が主要投資家の一角を占める米ローン担保証券(CLO)について、木内氏は、裏付け資産に財務健全性などの発行条件を緩和したローンが増えてきていると指摘。

  景気の悪化で企業破綻が増えれば「格付けの良いものを買っているから大丈夫、というのが当てはまらないのは、かつての債務担保証券(CDO)と同じではないか」と懸念を示した。約10年前、米サブプライム(信用力の低い個人向け)ローン問題によって高格付けのCDOが次々に毀損(きそん)した。

  木内氏は現在、野村総合研究所の主席研究員で、12年から17年まで日銀の審議委員を務めた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-26/PNGWE26TTDS301


 

ポンド上昇、離脱延期や再国民投票の観測−中銀総裁らの発言も追い風
Charlotte Ryan
2019年2月26日 20:17 JST
ポンドはユーロに対し2017年5月以来の高値を付けた
インフレ率が中銀目標を上回り続けるとの見通しを当局者ら示唆
26日の外国為替市場でポンドはユーロに対し2017年以来の高値を付けた。欧州連合(EU)からの離脱期限延期の可能性や、野党労働党の2回目の国民投票実施支持を受けて上昇した。

  カーニー総裁をはじめイングランド銀行(英中央銀行)当局者が議会の委員会で証言し、EU離脱の結果にかかわらずインフレ率は中銀目標を上回り続けるとの見通しを示唆したこともポンド高要因となった。

  ポンドは対ユーロで0.8%高の1ユーロ=86.05ペンスと17年5月以来の高値に上昇。対ドルも0.8%高の1ポンド=1.3200ドルと1月28日以来の高値を付けた。

Sterling gains versus euro as Brexit delay and second referendum touted
原題:Pound Hits Strongest Versus Euro Since 2017 as Brexit Delay Seen(抜粋)
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/300.html

[不安と不健康18] WEDGE REPORT 日本の睡眠不足による損失は1・5兆円 
WEDGE REPORT

日本の睡眠不足による損失は1・5兆円

2019/02/27

中西 享 (経済ジャーナリスト)


(Tetiana Lazunova/Gettyimages)
 睡眠の重要性が指摘される中、「目覚め方改革プロジェクト」は3月15日の「世界睡眠デー」を前に、19日に都内で「“働き方改革”は体内リズムの改善から」と題したメディアセミナーを開催した。

 同プロジェクトのメンバーである内村直尚久留米大学医学部教授が「パフォーマンスを左右する目覚めと体内リズム」について講演、「睡眠問題を引き起こす理由として、日本が夜型社会になったことによる『体内リズムの乱れ』が原因である。日本人は5人に1人が睡眠の問題を抱えている」と指摘、睡眠不足による不眠が認知症、高血圧症、糖尿病などを引き起こす恐れがあることを明らかにした。

今年の大型連休は要注意
 また、休日の朝寝坊と体内リズムの関係について「休日の朝寝坊で日曜夜の体内リズムが遅れる。今年の4月末から5月初めにかけての10日間の大型連休は体内リズムが乱れやすいので、例年よりも5月病が増える可能性があり要注意だ」と警告した。

 体内リズムの整え方については「リズムが乱れがちな週末も起きる時間を一定にすることから始めて、朝、すっきりと目覚めることが重要だ。光を浴びる時間が早くなると朝型リズムを整えやすくなるので、朝の光を上手に利用してほしい」と述べた。

「睡眠不足は酩酊状態」
 また内村教授は「日本では睡眠についてきちんと教育されてこなかった。睡眠の重要性が指摘され出したのは10年前からで、それまでは『医者は眠るな』と教えられてきた。24時間コンビニ時代により、日本人の睡眠の質が低下した。夜はきちんと寝るべきだという教育を行う必要があり、日本はまだ睡眠の後進国だ」と教育の重要性を訴えた。

 産業医としてビジネスパーソンの睡眠を長年にわたり見てきた特定非営利活動法人健康経営研究会の岡田邦夫理事長は、取り組むべき睡眠問題に関して「睡眠不足は酩酊状態と変わらず、企業リスクである」と強調、睡眠不足は労働生産性を低下させ、経済的損失も大きいことを指摘した。岡田理事長によると、1週当たり49時間以上の長時間労働者の割合(就業者)が最も多いのが韓国の32%、続いて日本の20.1%、米国の16.4%、フランスの10.5%などとなっている。

大きい経済的損失
 一方で労働生産性はフランスや米国と比較して日本は低く、岡田理事長は「日本は長時間労働をすること低い生産性を補っている。しかも日本の社員は自分が働いている企業を信頼する数値が主要国の中で最も低い。睡眠時間に関してはOECD諸国では韓国と日本が毎年最低睡眠時間で競っている状況だ」と述べた。睡眠不足による経済的損失では「日本は1380億ドルにもなり、GDP比では2.92%になる。この比率は先進国の中では最も高い」と指摘した。

 過去には責任者の睡眠不足から世界で重大事故が起きている。1979年3月に起きた米ペンシルベニア州スリーマイル島の原発炉心融解放射能放出事故は、疲労して眠気が強い交代勤務担当者が機械の故障を見逃した人為ミスが原因だった。86年1月に起きたスペースシャトル・チャレンジャーの爆発事故は、打ち上げ責任者の長時間労働・睡眠不足による判断ミスだった。また、89年3月にアラスカ沖で起きたエクソンのバルディーズ号の原油流出事故は、船員の疲労と眠気が原因だった。

 岡田理事長は「昼寝を推奨する企業が増えている。眠気がありながら無理をして仕事をするよりも15分から20分程度の短時間の昼寝をすることで、心筋梗塞の死亡率が減ったデータも報告されている」と昼寝の効用を指摘した。内村教授は「眠たくなる前に短時間昼寝をすると認知症のリスクが減る。心臓疾患やうつ病の予防にもなるので、企業でかなり導入されてきている」と述べた。

 企業としての具体的な取り組みについて、JR東海総合技術本部技術計画チームの清水紀宏担当部長は、乗務員は運転業務中は高い覚醒度を維持する必要があることから「1999年から『睡眠自己管理プログラム』を新幹線と在来線の全乗務員職場と主要駅に導入、社員が就寝、起床時刻と勤務時間、眠気や疲労の感覚などを入力することで、睡眠の量が不足して生体リズム(24時間)の周期性などに異常が見つかった場合は、医学的根拠に基づいたアドバイスが出力される仕組みになっている」と、同社の対策事例を紹介した。このプログラムの導入により「昼間の眠気が低減し効果が実感できた」「取り扱いミスが減った」など、仕事のパフォーマンスが向上したという。

 現在は「睡眠管理の手引き」を各職場に配布、睡眠管理インストラクターを養成して職場内教育を充実させている。清水部長は「このプログラムの導入は社員の自己管理能力を高めるだけでなく、仕事の安全意識を高め、会社の安全文化を高めることにもつながる」と述べ、こうした取り組みを継続する必要性を強調した。

体内リズムを整える食材
 情報提供として、大塚製薬ニュートラシューティカルズ事業部ソーシャルヘルス・リレーション部の只野健太郎課長が「睡眠問題を起こすとされる体内リズムの乱れを整える食品素材として、アスパラ由来の成分(アスパラプロリン)がある」と発表、この成分が体内リズムの改善に役立ち、日中の仕事パフォーマンスを良くしているデータを示した。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15471
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/717.html

[国際25] メキシコ人でさえトランプが大好きだ! 
WEDGE REPORT

メキシコ人でさえトランプが大好きだ! 

2019/02/27

風樹茂 (作家、国際コンサルタント)

 昨年末、マイアミを訪れた際、ラテン系のアメリカ人何人かと話す機会があった。思いのほか彼らはトランプ好きであった。ある消息筋によると、亡命キューバ人の9割はトランプ支持だという。帰国後、ネットの世界を逍遥してみると、メキシコ人の運営する「Despierta(目覚めよ)」というユーチューブ上のインターネット番組に巡り合った。アメリカ人ではない、純粋のメキシコ人であろうに明らかにトランプ信者なのである。なぜか? それを知ることで、アメリカのトランプ支持層とトランプ現象の一端が見えてくる。


(stuartmiles99/Gettyimages)
番組「目覚めよ」の趣旨
 コンセプトは次のようなものだという。

 「この番組は、国際問題を扱う。目的は人々の意識を目覚めさすことにある。人々は眠っている。生まれたときから、誤った思想や偽りの考えに影響されている。すなわち、世界、人生、自分自身に関する理解を刷新することにある。人々は両親、隣人、友人、教師、音楽、映画、テレビ、政府などによって悪影響を受けているのだ」

 個々のレポートは「トランプとメキシコ対移民キャラバン」、「マドゥロ大統領のアメリカへのメッセージ」、「トランプとイルミナティとの戦い」、「ハリケーン・イルマ」など様々で、レポート内で独自の見解を述べている。90万弱の視聴数を記録しているものもあり、それなりに影響力のあるサイトである。

あなたが知らないトランプの6つの長所
 さて、これらのレポートの中で私の目を引いたのは、昨年の2月18日掲載の「あなたが知らないトランプ大統領の6つの長所」である。

 趣旨は、多くの人々は無知の犠牲になっている。マスコミの偏向報道でトランプを誤解し、偏見を持たされている。トランプには以下の6つの長所があることを気付いていない。それを知ればトランプへの見方が変わる、というのだ。

 さて、その長所とは――

1.無給の大統領である。金で動く人物ではない

 トランプは大統領の年収40万ドルを放棄している。法律上無償ではいけないので、1ドルのみを受け取っている。すなわち、ホワイトハウスにいるのは金のためではないことを支持者に示している。億万長者だからこそ、金で動く人物ではない。

2.酒もタバコもコカインもやらず、すこぶる健康である

 トランプはこれまでのどの大統領と比べても健康で頭脳も明晰である。記者会見でもメモを読まずに受け答えできる。

3.堕胎に反対している

 アメリカは先進国の中で、もっとも望まない妊娠が多い国である。そして堕胎産業が何100万、何千万ドルと儲けている。いままでの政権はそれらの医療関係者と結託して長年堕胎を法的に許してきた。だがトランプは堕胎を許さないとしている。むしろ堕胎を禁止することで若者も自らの性行動に責任を持つし、夫婦も家族計画をきちんと立てるようになる。

4.ラテンアメリカ諸国政府の腐敗と戦う

 ラテンアメリカの国々は不正選挙で政治家、大統領が政権につき、賄賂を受け取り、腐敗を極め、格差が広がっている。いままでのアメリカの政権は、腐敗した政府と関係を保つことで、利益を得てきた。だがトランプは、そうはしない。これらの腐敗と戦うといっている。すなわち、アメリカの予算で委員会を作り、国の金を奪う腐敗した制服組、政治家、大臣、大統領を取り除く。彼らは賄賂が効かないアメリカの刑務所に収監する。まずは中米、ドミニカ共和国から始め、最後にメキシコで実施する。アメリカに移民が押し寄せるのも、これらの政府が腐敗しているからこそである。まともな政府ができれば、自国に留まる。

5.ロシアの脅威などない。話し合いで解決する

 ロシアに関してはマスコミとともに、以前の政権が戦争の可能性があると嘘をいって大衆を欺き、緊張を高めていた。トランプはマスコミや取り巻きの影響を受けずに、話し合いで物事を解決し、戦争などの悲惨な出来事を回避し、世界の平和に貢献する。

6.イルミナティと戦う

 一体誰がこの世を支配しているのか。巨万の富を持つ者たちは、ひとつのグループを結成し、彼らの間で富を分け合う。それが現代のイルミナティである。中央銀行、IMFなどだ。彼らの決定は世界にひどい悪影響を与えている。このイルミナティは、エゴイズムの塊で貧困な精神しか持たず、世界の国々に紛争の種をばらまき、格差を拡大し、人類の苦悩を増している。トランプは、財政、経済、外交、技術などの分野でこれらのイルミナティと戦うとしている。こうしてトランプは偉大な大統領になる。

 これらの長所はマスコミによって意図的に伝えられていないか、偏向した報道がなされている。このビデオを拡散してもらいたい。

トランプの長所を否定するのは難しい
 これらはトランプが自ら公約したり、当選後に述べたり、報道されたことで成り立っている。それぞれの項目に私なりの見解を述べてみるが、1から6までを一概に否定するのは難しいと気がついた。

 (5)のロシアとの話し合いだけは明らかに破綻したが、北朝鮮と戦うことはせずに、話合いのテーブルについているし、シリアやアフガンからも撤退したがっている。

 もし私がアメリカ人であったならば、紛争地域から手を引くことに賛成するだろう。戦いに行けば、地元の人間に嫌われ、軍を引いたら引いたで、平和を維持できないなどと非難される。うんざりだ。

 (4)のラテンアメリカの腐敗政権を根こそぎにするという公約は、メキシコ人他ラテンアメリカの人間には魅力的だが、実行はかなり難しいだろう。現在まさに腐敗政権の代表のようなベネズエラを、アメリカは石油公社(PDVSA)との取引に制裁を科すことで兵糧攻めにし、反対派の国会議長フアン・グアイドを暫定大統領に担ぎあげ、人道支援の名目でおよそ22億円を提供する用意があると表明している。

 だが、どうやってその金を送るのか。すでに、彼にかかわる口座は腐敗政府により閉じられてしまった。私自身知人に支援金を送ろうとしても、為替市場が歪んでいるので、難しい。仮想通貨? まさか。ベネズエラ政府は、ペトロなどという仮想通貨をさかんに喧伝し、一部面白がった媒体が報道したが、そのようなものに実態はない。私の知人で見たものは誰もいない。

 金額相当の援助物資としてならば、可能だろう。実際実行されつつあるが、送り先はコロンビア、ブラジルなどの国境側である。ベネズエラ内は、誰が受け取り誰に配るのか? 実施には乗り越えなければならない壁が多々ある。

 さらに石油公社からの輸入に制裁を加えるのは、4月29日以降になると期限を設けており(Forbes 2月1日 Kenneth Rapoza)、実際に輸入を止めるかどうかは、不明である。アメリカもベネズエラから日量50万バレル前後の原油を輸入している。だから、これまでは輸入を停止するという発言は、すべて仄めかしに終わっている。

 このように腐敗し混乱した反米国家に手を差し伸べるのは難しい。政権交代はひとえに現政府から甘い汁を得ている軍部の動向にかかっているのだ。アメリカができることは限られている。

 (6)のイルミナティと戦うとは、ワシントンの既存勢力であるヘドロを叩きだすという意味である。トランプが国際機関と戦っている様子はないが、国内ではこれは実行している。既存勢力の代表であろうCIAやFBIと戦っているのだ。しかも、既存の匂いがする(=トランプ自身を否定する)側近は次々に解雇する。マティス国防長官でさえ解雇したのだ。日本のマスコミや日本人はそれを否定的にとらえるが、まさにそれだからこそ、トランプは支持されるのである。  

 「You're fired(お前はクビだ)!」 はトランプの真骨頂であり、大衆が胸をスカッとさせ、喝采する最強の手段、劇場政治の最高の見せ場である。政府のポストが数多く埋まっていないのも、それだけヘドロが少ないのだから、大衆はいい意味でとらえる。

 このような手法は、日本の政治家も使った手であり、遠くない過去を振り返ることで、日本人にも理解可能だろう。

 この番組でもっとも、視聴数が高いのは、90万弱の「Discurso anti-Illuminati de Donald Trump(イルミナティと戦うというトランプの演説)」であり、既存勢力との戦いこそが大衆の心を掴む手段であることを示している。一方、私が注目した「あなたが知らないトランプの6つの長所」の視聴数は30万弱となっている。

 けれども、既存勢力との戦いは気の変わりやすい浮動票を取るための手段であり、これは盤石の支持層とはなりえない。

岩盤支持層とはやはり……
 (1)の金に清廉、(2)の酒もたばこもコカインもやらない、(3)の堕胎反対。これこそが岩盤支持者、不動票を獲得する理由となる。

 私は番組名の「Despierta(目覚めよ)」、そして(1)、(2)、(3)からメキシコ人の番組制作者がどのような人物かを想像した(取材を試みたが残念ながら返信はなかった)。

 彼はカトリックではなく、エバンジェリスト(スペイン語ではエバンヘリスタ、日本語では福音派)であろう。あるいは番組名からすると、エホバの証人の信者かもしれない。エホバの証人は『ものみの塔』のほかに『目ざめよ!』いう雑誌を発行している。

 清廉、酒もたばこもコカインもやらない、堕胎に反対―それはこれら信者が信じる教義である。メキシコや中南米は本来カトリックであるが、アメリカ政府の思惑もあり、ここ何十年かで、エバンジェリスト、とりわけ音楽や踊りとともに聖霊の降臨を示すペンテコス派が浸透している。

 私の知り合いのボリビア人にも信者がいる。彼は酒もたばこももちろんコカインもやらずに、ひたすら勤勉であった。他のカトリック信者とは大違いだ。

 トランプはピューリタン(長老派)で、福音派ではない。だがまるで福音派であるかのように振舞っている。アメリカの福音派は、人口の4分の1を占めているという。

米国の今後
 私は以前、「『教祖は同じ言葉を繰り返し嘘でも本当になる』トランプに故チャべスの亡霊を見る」で、トランプ、チャべス、そしてそれぞれの支持者の共通性について書いたことがある。チャべスは社会主義者を自認していたが、確固たる思想があったとは思えない。あったのは、自己顕示欲、支配欲、大衆の感情を捕らえる絶妙な雄弁術である。トランプにも確固たる政治的思想や信念があるとは思えない。あるのは一銭の損も許せないという企業経営者の行動原理である。

 トランプの岩盤支持者は信徒であり、かつイルミナティとの戦いを期待する支持層の一部も一時の信者となっている可能性がある。むしろラストベルトで経済的理由から支持をしたものは、雇用を確保できずに裏切られればトランプからそっぽを向くだろう。それは健全だ。

 けれども信者の場合は利や理で動くわけではない。感情である。何があってもトランプを支持するのだ。利で考えれば50億ドルをかけて壁を作るのは、割にあわない。トランプが忌み嫌う麻薬カルテルなどは壁の下に長いトンネルを掘って出入りするのだ。また、中国を孤立化させるには、TPPに加盟するほうが理屈にあっている。

 感情により国が引きずられると、往々にして破滅を招くことは歴史の示すところである。近年では、国民がチャべスという稀代の詐欺師に騙され崩壊したベネズエラだけではなく、誤った経済的な計算と感情からブレグジットの混乱が収束できないイギリスにも当てはまるのではなかろうか。

 トランプを支持する理由は各階層、個人、民族集団、宗教によりさまざまだが、人種構成が大きく変わり、さらに途上国化していく先進国の社会の分断と格差が、トランプに味方をしているのは、間違いないだろう。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15476
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/528.html

[政治・選挙・NHK257] 日本巻き込む21世紀の「グレートゲーム」−スタブリディス
【コラム】日本巻き込む21世紀の「グレートゲーム」−スタブリディス
コラムニスト:James Stavridis
2019年2月27日 13:12 JST
中国がこれまで以上に深く太平洋に進出する動き
日本とシンガポールと共に列島線を押さえる大国が優位に立つ
中国の軍事力増強が「地域の内外に自国の意思を押し付けようとする」ポイントにまで達したと米国防総省の報告書は警鐘を鳴らす。アジアにおける米国の同盟国である日本とシンガポールへの最近の訪問を通じ、両国の陸(そして海)の現状がどのように見えるのかを理屈抜きで感じた。日本の高官が私に伝えてきたのは、軍事的拡大を決意した中国に直面する中で「在韓米軍をはじめ、地域における米国の長期コミットメントについての深い懸念」だ。

  同盟相手としての欧米の信頼性が低下しているというシンプルなメッセージが繰り返し語られている。米政権が最も近い関係にあるパートナーを幾度となく批判し、防衛体制にただ乗りしているとのそしりを受けることにアジアの米同盟国はがくぜんとしている。英国の欧州連合(EU)離脱に直面する欧州の弱さと混乱についても懸念があり、中国が香港で採用している「一国二制度」を台湾に受け入れるよう圧力を強め、人工島を造成し南シナ海の軍事拠点化を図る中で、状況は複雑さを増している。

  特に中国からさまざまな挑戦を受けているのが日本だ。両国間には第2次世界大戦のみならず、19世紀末の日清戦争までさかのぼる長く苦い歴史がある。さらに、中国は東シナ海の尖閣諸島などを巡る根拠のない領有権の主張を展開し、日本上空を通過する弾道ミサイルを試射した北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長を支持。日本政府の情報収集・防衛システムへのハッキング疑惑や米国をもいら立たせている知的財産の窃盗といった問題もある。そしてインド洋への入り口に位置するシンガポールは、中国の軍事的拡張と広域経済圏構想「一帯一路」にとって重要な足掛かりとなる地理的条件を持つ。

China's Strategic Vision
 
 https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iVbD2L9q9IaQ/v1/666x-1.png

  あまり注目されていないが、極めて懸念すべきなのは、中国がこれまで以上に深く太平洋に進出し、日本とインドネシアを結ぶ「第2列島線」と呼ばれる地点までその勢力を拡大しようと一層大胆になっているように見えることだ。中国は近年の海軍・ミサイル能力増強において、日本からフィリピンに南下する「第1列島線」の西側を支配することを目標としてきたが、中国の戦略家たちがそれ以上の野心を抱きつつあると米当局者は警戒している。南シナ海に進出し始めた時と同じように、中国は「科学」ミッションを理由に海洋調査船を使い、こういった海域で活動している。

  本質的に日本とシンガポールはこうした列島線の起点もしくは終点となる北と南のアンカー(いかり)であり、軍事演習や武器購入を通じて防衛力で米国と協力していく体制を取っている。太平洋とインド洋を単一の戦略区とする視点が強まっていることから、インドとの関係強化も探っている。これは同地域において米国が展開する戦略の極めて重要な要素だが、幾つかの変化が生じつつある。

  アラスカから南下しハワイを含めニュージーランドに至る「第3列島線」を中国が見据えるとの想定があり、これは長く米中における戦略的境界線の最終ラインと見なされてきた。だがここへ来て、第4あるいは第5の列島線に言及し始めたアナリストもいる。いずれも米中間の競争が極めて激しくなっているインド洋での列島線だ。

  インド洋1本目の列島線は、パキスタン南部からインド洋に浮かぶディエゴガルシアからさらに南に下る。パキスタンのグワダルでは中国が港湾を開発。英領海域にある環礁ディエゴガルシアは、米軍が中央アジアに展開するための重要な兵站(へいたん)拠点だ。インド洋2本目の列島線は、米中が共に大きな軍事基地を置く「アフリカの角」を起点とし、南アフリカ共和国の海岸線へと南下する。こうした状況を踏まえれば、米国が太平洋軍を「インド太平洋軍」に改称したことに驚きはない。

  日本とシンガポールは太平洋における列島線の地理的重要性をしっかりと認識している。より遠くに位置する別の米同盟国オーストラリアとニュージーランドもしかりだ。米海軍が同盟国やパートナーと軍をまとめ、衝突が起きた場合に備え、(例えば長距離防空や情報収集、兵站の拠点として)これらの島々を使う説得力のあるプランをいかに策定していくかが極めて重要になる。

  逆の見方をする外交専門家もいるが、こうした動きが米国を中国との不可避の戦争に導くということは全く意味しない。最も助けとなるたとえは、19世紀に南アジアの覇権を争った英国・ロシア間のいわゆる「グレートゲーム」だ。ただ当時と比べ現代において、米中両国はいずれもより大きな世界的野心と守るべき広範な貿易圏を持つ。優位に立つことができるのは、太平洋の最重要地点にある日本とシンガポールと共に列島線を押さえるどちらかの大国だろう。

  (ジェームズ・スタブリディス氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。元米海軍大将で北大西洋条約機構=NATO=で司令官を務めた経歴もあります。米タフツ大学フレッチャー法律外交大学院の名誉学部長であり、カーライル・グループのオペレーティング・エグゼクティブ・コンサルタントを務め、マクラーティー・アソシエーツの顧問委員会を率いています。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:China’s Military Seeks New Islands to Conquer: James Stavridis(抜粋)

This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.

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http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/942.html

[国際25] 2つの「コリア」統一機運高まる−課題山積でも長期的には繁栄か 
2つの「コリア」、統一機運高まる−課題山積でも長期的には繁栄か
Jungah Lee、Adrian Leung
2019年2月27日 13:00 JST
南北統一となれば人口7600万人を擁する国家が誕生
「壁」で分断されていた東西ドイツと比べ南北格差ははるかに大きい
The Korean Border as South Korea Stops Calling North Korea `Enemy' in Defense Report
Photographer: SeongJoon Cho/Bloomberg
ベトナムのハノイ入りしトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は27、28両日、昨年のシンガポールに続き史上2回目となる米朝首脳会談に臨む。

  第2次世界大戦後に南北に分断された朝鮮半島では1950年に朝鮮戦争が勃発。53年に休戦協定が結ばれた後、北朝鮮と韓国は政治的にも経済的にも全く異なる道を歩んできた。韓国が世界経済で重要な役割を果たす民主主義国家となった一方で、北朝鮮では経済的に困窮する独裁政権が続く。

  協力姿勢をちらつかせながら交渉のテーブルに着き、経済的譲歩を引き出した後で合意を反故(ほご)にしてきた歴史を持つ北朝鮮は、今もまた経済の疲弊が伝えられている。

  さまざまな課題を抱えながらも、米朝首脳会談を控え南北統一の機運は高まっている。2つの「コリア」の違いは大きいが、南北統一となれば人口7600万人を擁する国家が誕生する。そうなれば少なくとも長期的には今以上に力を持ち繁栄する可能性がある。

The South Is Aging. The North Is Young

Sources: Statistics Korea (South Korea), United Nations

  韓国が抱える最大級の経済問題は人口高齢化だ。北朝鮮の人口年齢中央値は韓国より低く、一方で出生率が高いことから、統一後は人口動態が大きく変わることになる。北朝鮮国民の多くが栄養不足で、医療体制も整っていないことを考えると、統一国家には多くの問題ももたらされるだろう。

Economic Indicators Put the South in Front

Sources: Bank of Korea (South Korea), Statistics Korea (South Korea), Korea International Trade Association (South Korea)

Note: Economically active population counts people aged 16 and over.

  「ベルリンの壁」崩壊前の東西ドイツと比べ、北朝鮮・韓国間の格差ははるかに大きい。国際社会が北朝鮮に対する制裁を継続するなら、ますますその差が大きくなる。韓国国会予算局(NABO)は2015年の報告書で、韓国政府が人道支援を提供し平和的シナリオで26年に統一を果たすと仮定した場合、北朝鮮の国内総生産(GDP)を韓国GDPの3分の2程度に押し上げるためのコストは約2兆8000億ドル(約310兆円)に上ると試算。19年韓国予算の約7倍相当だ。

The Infrastructure Gap Is Widening

Sources: South Korea Ministry of Land, Infrastructure and Transport; Korea Automobile Manufacturers Association (South Korea); South Korea Ministry of Oceans and Fisheries

  石炭やレアアース(希土類)などの天然資源に恵まれている北朝鮮は、韓国の鉱工業生産を補完しそうだ。

The North Has Resources to Fuel Industry

Sources: Korea Coal Association (South Korea), Korea Institute of Geoscience and Mineral Resources (South Korea, Korea Iron and Steel Institute (South Korea), Korea Electric Power Corporation (South Korea)

  軍事境界線がなくなることで軍事費の大幅圧縮が図られ、削減分が投資などに回される可能性がある。米国務省は17年の報告書で、05−15年において北朝鮮はGDPの13−23%を軍事費に充ていたと推計。同じ期間の韓国軍事費はGDPの2.6%相当だった。

Seoul Has the Money, Pyongyang Has the Nukes

Sources: South Korea Ministry of Defense, U.S. Department of State

  北朝鮮のインフラ整備は大きな課題だ。鉄道は古く、放置され、高速道路はほとんどないが、韓国の世界クラスの土木・建設会社に極めて大きな好機を与えることにもなる。任務を失う北朝鮮軍兵士の多くに雇用機会も提供するだろう。

原題:Worlds Apart: The Two Koreas After Seven Decades of Separation(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-27/PNKAD56K50Y301?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/529.html

[国際25] インドに続きパキスタンも空爆、緊張エスカレート−印株・通貨下落 Border Hostility
インドに続きパキスタンも空爆、緊張エスカレート−印株・通貨下落
Iain Marlow、Kamran Haider、Bibhudatta Pradhan、Faseeh Mangi
2019年2月27日 16:57 JST
パキスタンがインド機2機を撃墜−インドのANIは報復報じる
S&P・BSEセンセックス、一時上げたが下落に転じた
インド・パキスタン間で緊張が一段とエスカレートしている。パキスタン外務省は27日、インドとの係争地であるカシミールの目標に対し、パキスタンの戦闘機が空爆を同日実施したと発表した。パキスタン側の領空から攻撃したという。前日にはインドがパキスタンのテロリスト拠点を空爆していた。

  パキスタン軍の報道官は、同国空軍が「インド機2機を撃墜した」と説明。このうち1機はパキスタンが実効支配するカシミールに墜落し、もう1機は停戦ラインのインド側に落ちた。パキスタン側に脱出したパイロット1人が拘束されたという。

  インドの通信社ANIによると、同国は報復措置として領空侵犯したパキスタン空軍のF16戦闘機を国境付近で撃墜した。

Pakistan India Tensions
インドが空爆した地域を検証するパキスタン兵士(26日)写真家:Aqeel Ahmed / AP Photo
  インド・ルピーは27日の取引で、一時上げていたものの下げに転じた。インド株の代表的な指数S&P・BSEセンセックスも一時1.1%高となった後に下落している。

  インド国防省報道官に電話とテキストメッセージでコメントを求めたが、返答はない。モディ首相率いるインド政府からの声明は今のところ出されていない。

INDIA-PAKISTAN-UNREST-KASHMIR
インドの治安部隊が攻撃された車両を検証(14日)写真家:AFP via Getty Images

Border Hostility
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/idmQMgn6xss8/v0/800x-1.png

原題:Pakistan Downs Indian Jets in Worst Escalation Since 1971 War(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-26/PNK1H26JIJUT01
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/530.html

[経世済民131] 「リセッションに備えている」−JPモルガンCEOが警戒感示す パウエル微妙なメッセージ ドル下げ幅拡大、ユーロは一時3
「リセッションに備えている」−JPモルガンCEOが警戒感示す
Michelle F. Davis
2019年2月27日 14:44 JST
リセッションを予想しているのではなく、リスクを意識とダイモン氏
投資家説明会で貸し付けの伸びが鈍るとの見通し示す
ジェイミー・ダイモンCEO

JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、景気悲観論者に同意してはいない。だが、そうした悲観論が分かっていないわけではない。

  JPモルガンは過去最高益を昨年計上したが、ダイモン氏は景気を阻害しかねない要因が増えつつあると認め、26日に開かれた年次投資家説明会にもそうした警戒感が反映された。同行は利益率目標を据え置き、株主に対して貸し付けの伸びが鈍るとの見通しを示した。

  ダイモン氏は「われわれはリセッション(景気後退)に備えている。リセッションを予測しているのではない。われわれが負うリスクを強く意識していると指摘しているだけだ」と述べた。

  JPモルガンはプレゼンテーションで、質の高い貸し付けへの集中に伴い、貸付残高が昨年ほど速いペースでは拡大しないと予想した。有形自己資本利益率(ROTCE)目標は、昨年達成した水準(17%)に据え置いた。

原題:Dimon Sounds a Cautious Note as JPMorgan Prepares for Recession(抜粋)


【コラム】パウエル議長が市場に送った微妙なメッセージ
コラムニスト:Robert Burgess
2019年2月27日 13:57 JST
パウエルFRB議長
パウエルFRB議長 Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は26日、上院銀行委員会の公聴会で、米経済は良好な状態にあるが、幾つかの「逆流と相反するシグナル」に直面したと述べた。この発言に新味はなく、一見すると事前に準備した証言テキストに沿っただけにも見える。しかしそこには、市場にとって重要な意味を持ち得るメッセージが含まれている。

  「逆流」のうち、パウエル議長が最初に挙げたのは、昨年末にかけていかに「金融市場の変動性が高まり」、いかに「現在の金融環境が以前ほど成長を支えていないか」という点であり、ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)や、中国および欧州をはじめとする海外の主要経済の成長鈍化への言及はその後だった。

  経済よりも金融市場を先に取り上げたことは、金融当局が昨年12月のような株価急落の再発防止を最優先していることを、何よりも明白に示した。当局がそれまでよりもハト派的なスタンスへと今年1月に公式にシフトした理由は、昨年末の株安だと広く考えられている。

  ブリークリー・ファイナンシャル・グループのピーター・ブックバー最高投資責任者(CIO)は顧客向けリポートで、完全雇用と安定した消費者物価の実現に加えて、「資産価格を高めに維持することが正式に連邦準備制度の3番目の責務となった」と指摘した。

  こうした流れを踏まえると、パウエル議長の26日の証言は、リスク資産を下支えする連邦準備制度による「プット」という概念をさらに強固にするばかりだろう。同日の米株式市場で一時0.24%安を付けていたS&P500種株価指数がいったん0.25%高に転じたのにも不思議はない。

Fed 'Put' Confirmed?
Stocks end little changed as Powell emphasizes market volatility in congressional testimony


Source: Bloomberg

  投資家にとって非常に危険なのは、株式や社債などのリスク資産に強気になり過ぎることだ。市場はおおむね年内利上げの可能性を排除しているが、投資家の間にそうした強気ムードが強まれば、金融当局は利上げ継続を迫られる可能性がある。

  実際、これまでの相場反発を受けて米金融環境は、当局が昨年利上げしていた当時と同程度に緩和的となっている。ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのストラテジストは議長証言後の調査リポートで、「市場は米金融当局の年内の利上げ余力を過小評価している」と記した。

(このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Powell Delivers a Subtle Message to Markets: Robert Burgess(抜粋)

This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.
【コラム】パウエル議長が市場に送った微妙なメッセージ
コラムニスト:Robert Burgess
2019年2月27日 13:57 JST
パウエルFRB議長
パウエルFRB議長 Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は26日、上院銀行委員会の公聴会で、米経済は良好な状態にあるが、幾つかの「逆流と相反するシグナル」に直面したと述べた。この発言に新味はなく、一見すると事前に準備した証言テキストに沿っただけにも見える。しかしそこには、市場にとって重要な意味を持ち得るメッセージが含まれている。

  「逆流」のうち、パウエル議長が最初に挙げたのは、昨年末にかけていかに「金融市場の変動性が高まり」、いかに「現在の金融環境が以前ほど成長を支えていないか」という点であり、ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)や、中国および欧州をはじめとする海外の主要経済の成長鈍化への言及はその後だった。

  経済よりも金融市場を先に取り上げたことは、金融当局が昨年12月のような株価急落の再発防止を最優先していることを、何よりも明白に示した。当局がそれまでよりもハト派的なスタンスへと今年1月に公式にシフトした理由は、昨年末の株安だと広く考えられている。

  ブリークリー・ファイナンシャル・グループのピーター・ブックバー最高投資責任者(CIO)は顧客向けリポートで、完全雇用と安定した消費者物価の実現に加えて、「資産価格を高めに維持することが正式に連邦準備制度の3番目の責務となった」と指摘した。

  こうした流れを踏まえると、パウエル議長の26日の証言は、リスク資産を下支えする連邦準備制度による「プット」という概念をさらに強固にするばかりだろう。同日の米株式市場で一時0.24%安を付けていたS&P500種株価指数がいったん0.25%高に転じたのにも不思議はない。

Fed 'Put' Confirmed?
Stocks end little changed as Powell emphasizes market volatility in congressional testimony


Source: Bloomberg

  投資家にとって非常に危険なのは、株式や社債などのリスク資産に強気になり過ぎることだ。市場はおおむね年内利上げの可能性を排除しているが、投資家の間にそうした強気ムードが強まれば、金融当局は利上げ継続を迫られる可能性がある。

  実際、これまでの相場反発を受けて米金融環境は、当局が昨年利上げしていた当時と同程度に緩和的となっている。ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのストラテジストは議長証言後の調査リポートで、「市場は米金融当局の年内の利上げ余力を過小評価している」と記した。

(このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Powell Delivers a Subtle Message to Markets: Robert Burgess(抜粋)

This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-27/PNKG446JTSEA01

 

【NY外為】ドルが下げ幅拡大、ユーロは一時3週ぶり高値
Misyrlena Egkolfopoulou
2019年2月27日 4:52 JST 更新日時 2019年2月27日 7:22 JST
米経済指標は強弱まちまち、米住宅着工件数は低調でドルを圧迫
ポンド、対ドルで1.2%高−英EU離脱巡る最新展開で
26日のニューヨーク外国為替市場ではドルが主要10通貨の全てに対し下落。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は金融政策に関し辛抱強いアプローチを取るとあらためて述べた。同日発表の米経済指標は強弱まちまちだった。

ニューヨーク時間午後4時35分現在、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.3%安。午後に日中安値を更新し、3営業日続落となった
オーストラリア・ドルやカナダ・ドルが堅調。月末特有の資金フローと商品相場高が支えに
パウエル議長が上院銀行委員会で証言。米経済に関し、一部で「相反するシグナル」が見られ、金利変更について辛抱強くあることは正当化されると判断した、と説明。インフレ圧力が「抑制」される中、米経済は健全だとしたほか、最大のリスクは世界経済の減速だとも述べた
民間調査機関コンファレンスボードの2月の米消費者信頼感指数が市場予想を上回った一方、昨年12月の米20都市住宅価格指数は4年ぶりの小幅な伸びにとどまり、同月の米住宅着工件数は約2年ぶりの低水準となった
ユーロはドルに対し0.3%高の1ユーロ=1.1390ドル。1.14ドル台に乗せて約3週間ぶり高値を付ける場面があった
ポンドはドルに対し1.2%高の1ポンド=1.3253ドル。主要10通貨のうち対ドル上昇率が最大となった
メイ英首相は欧州連合(EU)への離脱延期要請と合意なしの離脱について採決を実施すると約束
ドルは円に対し0.4%安の1ドル=110円59銭。110円43銭で日中安値を付けた。米住宅着工件数の低調さなどが背景
トランプ大統領は2回目の米朝首脳会談を前にハノイに到着
オーストラリア・ドルは米ドルに対し0.3%高。銅相場がプラスに転じたこと、パラジウムの最高値更新、原油の上昇が背景
欧州時間の取引
  パウエルFRB議長の議会証言を控えた取引で、ドル指数は上下に細かくもみ合った。原油相場の下落が支えになったものの、その影響をポンド高が打ち消した。メイ英首相がEUからの離脱を延期する案を検討しているとの報道を受け、ドルがポンドに対し軟化した。

原題:Dollar Extends Losses, Euro Flirts With 3-Week High: Inside G-10(抜粋)
Dollar Steadies Before Powell, Pound at 4-Week High: Inside G-10

(相場を更新し、情報を追加します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-27/PNKQ8B6K50XS01
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/301.html

[経世済民131] 日銀は円高阻止できるか「次の一手」を検証 危うい日本株上昇、中国減速を過小評価 アクティブ運用の逆襲ー好成績ファンド続出
為替フォーラム2019年2月27日 / 16:40 / 2時間前更新

日銀は円高阻止できるか、「次の一手」を検証

内田稔 三菱UFJ銀行 チーフアナリスト
4 分で読む

[東京 27日] - 円高が進んだ場合、日銀は本当に追加緩和に踏み切るのだろうか。追加緩和手段は残されているのか。また、追加緩和に踏み切るとすれば、どの程度まで円高が進んだ場合か。そして、最も気になるのは、追加緩和で円高を阻止できるのか──。

19日の衆院財務金融委員会で答弁した黒田東彦日銀総裁の発言に、改めてこうした疑問を抱いた市場参加者は多数いることだろう。

円高が進んだ場合、追加緩和を行う選択肢があるかと問われた黒田総裁は、「経済、物価に影響が出て(2%の)目標達成に必要ならば、緩和を検討する」と述べた。

一部では、これが追加緩和の可能性を示唆したメッセージと解釈され、ドル/円が20─30銭ほど上昇する場面がみられた。

そこで、本稿では過去の経緯も踏まえ、これらの疑問に対する考え方をまとめておきたい。

<追加緩和に踏み切る可能性は>

まず、円高が進んだ場合、日銀は追加緩和に踏み切るのか。これは「イエス」だろう。なぜなら、日銀のみならず、2012年に復帰した安倍晋三政権が、デフレの主因を日銀の金融緩和不足と円高に求める経済政策のブレーン、浜田宏一内閣官房参与の影響を強く受けているからだ。

例えば、浜田氏は著書「アメリカは日本経済の復活を知っている」で、「20年もの間、デフレに苦しむ日本の不況は、ほぼすべてが日銀の金融政策に由来する」と主張し、日銀が「円高を招き、マネーの動きを阻害し、株安をつくり、失業や倒産を生み出している」と指摘。「年間3万人をこえる自殺者も金融政策とまったく無関係ではない」と述べている。

つまり、安倍政権のデフレ脱却策は、日銀の「異次元緩和」とそれによる「円高阻止」に強く依存してきたと言っても過言ではない。実際、政府と日銀は2013年にデフレ脱却と持続的な経済成長の実現をうたった共同声明を公表している。円高を阻止する為替介入の陣頭指揮を執った経験もある元財務官の黒田氏が、日銀総裁に就任したことも決して偶然ではなかろう。

<緩和手段はあるか>

次に、日銀に追加緩和の手段が残されているのか。これも答えは「イエス」だ。

日銀は2016年9月、追加緩和手段として、1)短期政策金利の引き下げ(マイナス金利の深堀り)、2)長期金利操作目標の引き下げ、3)資産買い入れの拡大、4)マネタリーベース拡大ペースの加速という4つのメニューを示している。また、2018年7月に改めて導入した政策金利のフォワードガイダンスも追加緩和メニューの1つと言えるだろう。

1番目の項目に関して言えば、日銀は現在のマイナス0.1%を下限とは見なしていないはずだ。2番目についても長期国債の買いオペ増額などによって長期金利の引き下げ自体は可能だろう。3番目も国債を中心に、まだ買い入れ対象資産が枯渇したわけではない。場合によっては、外債すら買い入れ対象として真剣に検討されるかもしれない。4番目も資産買い入れ額の調整によって、実現できそうだ。

フォワードガイダンスに至っては、その表現の工夫次第で、追加緩和余地は無限にある。さらに、これら5つの組み合わせ方によって、黒田総裁も指摘してきた通り、日銀の追加緩和手段はまだ豊富に残されていると言えよう。

<引き金となる円高水準>

では、日銀は、どの程度まで円高が進めば追加緩和に踏み切るのか。

無論、一口に円高と言っても、それがドル安主導なのか円高主導なのかによって意味は異なる。円高が進むペースにもよるであろうし、何よりも実質実効為替レートでみてどの程度円高が進んでいるのかによって、日本経済への影響も全く異なってくる。

ただ、日銀短観では2018年度の大企業・製造業の想定為替レートとして、109円41銭が示されている。この水準を越えてドル安/円高が進めば、少なくとも株式市場は業績の下方修正を織り込み始めると見込まれ、市場のセンチメントは徐々に悪化しよう。さらに、昨年末時点のものとして国際通貨基金(IMF)や経済協力開発機構(OECD)が示す購買力平価はおおむね99円から100円だ。この水準に迫ったり、100円を越えてドル安円高が進む場合、日銀も経済や物価への影響を無視できなくなるはずだ。

以上を踏まえると、まず110円を割り込み、105円に迫る過程で、日銀、財務省、金融庁の3者会合が繰り返され、危機感が共有されていくだろう。そして、105円を割り込むと本邦の当局者から円高けん制発言が聞かれよう。さらに、100円に接近したり、100円を割り込む場面では、実際に何らかの追加緩和策が講じられる可能性が一気に高まっていくと考えられる。

<実際の効果は>

では、こうした円高局面で講じられる追加緩和は、円高を阻止できるだろうか。答えは残念ながら「ノー」ではないか。

その理由は、政策の持続性や効果への疑念、金融緩和の副作用への警戒が高まり、かえってインフレ期待がしぼむ(予想実質金利が上がる)可能性が高いためだ。実際、2016年1月に「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入を決定した後、株安と円高が進んだことは記憶に新しい。ただでさえ、市場のインフレ期待を示す10年物ブレークイーブン・インフレ率は現在0.2%近辺と、2016年以来3年ぶりの水準まで低下しており、市場はデフレ回帰の可能性すら視界に入れているようだ。

昨年12月の日銀短観からも、依然として慎重な企業の価格設定スタンスが垣間見える。

また、昨年12月調査の「生活意識に関するアンケート」でも、77.5%の人が、現在と比べて1年後の物価は上がると回答しているが、79.7%の人が、「物価上昇はどちらかと言えば困ったこと」と回答。「商品やサービスを選ぶ際に特に重視すること」の筆頭に、「価格が安い」ことが挙げられるなど、家計のデフレ志向は根強い。春以降、人件費や物流コスト、原材料コストの上昇を踏まえ、食料品などの値上げが見込まれている。その場合、かえって需要が落ち込み、価格が下がり始める可能性が高いのではないか。

確かに、追加緩和が講じられれば、円の名目金利は低く抑え込まれるため、活発な対外証券投資が誘発されよう。一時に比べれば下がったとは言え、いまだに為替ヘッジコスト(3カ月物、年率)は3%近い水準にあり、機関投資家の為替ヘッジ比率も低下傾向をたどりそうだ。

しかし、昨年も似たような環境だったにもかかわらず、円は年間を通じて対ドルで上昇した数少ない通貨の一つだった。このことから、直接投資も含む本邦の対外投資は、円高のブレーキ役にはなっても、円安を先導するドライバーとまではなっていないようだ。さらに留意すべきは、既に米連邦準備理事会(FRB)が、利上げ休止の姿勢を強く打ち出した点だ。これが、ここ数年と比べ、日米の金融政策スタンスの違いを目立ちにくくしてしまっている。

以上を踏まえると、日銀の金融緩和は、円高を和らげることはできるかもしれないが、円高を阻止したり、円安へと反転させたりする「切り札」とはならないのではないか。

*本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。

(編集:山口香子)

内田稔氏(写真は本人提供)
*内田稔氏は、三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチのチーフアナリスト。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。一貫して外国為替業務に携わり、2012年より現職。J-money誌の東京外国為替市場調査ファンダメンタルズ分析部門では2013年から18年まで個人ランキング1位。
https://jp.reuters.com/article/column-minori-uchida-idJPKCN1QG0T4


 

為替フォーラム2019年2月27日 / 15:45 / 3時間前更新

危うい日本株上昇、中国減速を過小評価

熊野英生 第一生命経済研究所 首席エコノミスト
4 分で読む

[東京 27日] - 3月1日を期限としていた米中通商協議の延長が決まった。最終的には両国で合意が交わされ、関税率引き上げが停止されるのではないかとの期待が日米株価の上昇を支えている。

その一方で、米中の貿易取引は減速し、いよいよ悪化の度合いを強めている。日本など、第3国からの対中輸出に影響が波及する動きもある。これは2018年7月から3度にわたる米中双方による報復関税の応酬が、ボディーブローのように効いてきたせいである。いったん弾みがついた貿易取引の悪化はすぐには止まらない。

つまり通商協議が首尾よくまとまったとしても、米中の貿易減少が企業収益の下押し圧力として表れる動きは続くことになる。今の株価上昇には、期待が過剰に織り込まれているように思える。

足元の株価上昇と景気悪化懸念は、どちらが正しいのだろうか。株価は将来を先読みするから、貿易減速を乗り越えて、景気はいずれ好転する方向へと切り返していくのであろうか。

<FRB方針転換のインパクト>

米国株の回復には目を見張るものがある。2018年10月初めから始まったダウ工業株30種平均の下落は12月末に大底を迎え、最近は下落開始前の株価水準に接近しつつある。日経平均は出遅れたが、12月の下落幅の半値まで戻している。

こうしたマーケットの反転傾向は、中国株、欧州株、原油価格にも共通する変化である。トレンドとしてマネーが縮小から拡大方向へ転換したというのが素直な読み方である。

多大な影響を及ぼしているのは、米連邦準備理事会(FRB)の方針変更だ。2019年内の利上げを様子見し、バランスシート縮小も早期に終了する見通しだ。次の一手は緩和になるだろうとみる人は少なくない。

米国の実体経済はまだ体温が高めのため、2019年に2回程度としていた利上げを見直しただけで、実質金利低下の予想を強めている。実際、米長期金利はそうした変化を受けて低下している。新興国などのドル調達コスト上昇にも歯止めがかかり、流動性不安は一服する。それが原油など商品市況にも反転の流れを作る。

<貿易減速と米経済>

米経済は貿易面の悪化とは無関係なのだろうか。FRBの緩和が及ぼす好影響を重視する見方に対しては、実体面の悪化を重視する人たちから反論が出てきそうだ。

経済協力開発機構(OECD)に加盟する36カ国の中で、米国は名目国内総生産(GDP)に対する輸出額のウエイトが12.1%(2018年)と最も低い。日本は17.1%と米国に次ぐ低さだ。一方、ドイツ、中国、韓国の輸出比率は高く、世界的な貿易縮小のダメージをより受けやすい。各国の株価は、そうしたインパクトの差を反映した面もありそうだ。

また、EU(欧州連合)離脱を見越して日本の自動車メーカーが生産体制の見直しを進める英国と違い、米国が関税率を引き上げても日本企業が現地生産をやめることはないだろう。なにしろ米国の自動車市場は大きい。

一方、日欧経済連携協定(EPA)によって将来の関税率がゼロになると、英国の現地工場から自動車を欧州へ輸出するよりも、日本から直接EUに輸出する方が有利になる。日本からみれば、企業が英国の現地生産を見直すのは、同国自体の自動車市場が小さいからだ。

米国だけを考えると、貿易が経済に及ぼす影響は限定的であり、金融緩和が株価上昇を促すと、個人消費が刺激される。つまり、貿易面の悪化を金融緩和の好影響が飲み込むのである。

<日本株上昇はダウの影響>

では、日本を米国と同列に扱ってよいのだろうか。2008年のリーマン・ショック時に見たように、日本はGDPに占める輸出の比率が低くても、けん引力は相当大きい。日本は内需が弱い分、外需が内需に及ぼす好影響への依存度が高いのだ。

中国向け輸出が減少した分を、米国向けで穴埋め可能とする向きがあるかもしれないが、筆者には少し甘い見通しに思える。

今の日本株の上昇は、ダウ平均が好転した影響を多大に受けている。貿易面のインパクトを受けにくい米国だから株価が好転するのであって、日本の株価上昇は、中国減速の悪影響を過小評価していると筆者はみている。

セクター別では、電気機械と一般機械が中国経済の影響をより受けやすい。繊維、素材もダメージは小さくない。また、時間が経過すると中国の減速が東南アジア諸国連合(ASEAN)や豪州などにも色濃くなり、より広範な業種がじわじわ業績を悪化させていくだろう。日米の株価には、そうした差が表われてくると予想する。

<日米より深い日中経済>

日本には、米国との貿易交渉「日米物品貿易協定(TAG)」という課題もある。当初1月だった協議の開始予定は、4月ごろまでずれ込みそうである。米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表が、日本に輸出数量の規制を要求してくるとの見方は根強い。

また、米国は中国との交渉で人民元安を取り上げており、日米間でも為替がテーマに浮上する可能性がある。日銀が追加緩和を検討するにしても、その実施は一段と難しくなりそうだ。黒田東彦総裁の下で実施した2013年の大規模緩和は、暗に円安効果を期待したものだったが、その再現はできそうにない。

外交では日米の連携強化が強くアピールされるが、それと同じ感覚で経済の連携が強まると考えるのは間違いだろう。経済面は、日中のほうがより深く結びついている。

米経済が底堅いという見方には同意するが、それを過大評価して、逆に中国経済からの打撃を過小評価すべきでないと筆者は考える。2019年前半は、そのダメージが予想以上に強く表われるだろう。順調に反転してきた日本株にも、実体面の悪影響が早晩表われると予想する。

(本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

熊野英生氏(写真は筆者提供)
*熊野英生氏は、第一生命経済研究所の首席エコノミスト。1990年日本銀行入行。調査統計局、情報サービス局を経て、2000年7月退職。同年8月に第一生命経済研究所に入社。2011年4月より現職。

(編集:久保信博)
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-usstock-hideo-kumano-idJPKCN1QG0M8

アクティブ運用の逆襲始まる−指数上回る好成績ファンド続出
Rebecca Choong Wilkins
2019年2月27日 15:10 JST
• 好成績を支えているのは工業株とエネルギー株への先見の明ある投資
• 1月以降に米国株投信には約40億ドル流入
指数連動ファンドから突然、アクティブ運用の株式ファンドより高ペースで資金が流出し始めた。理由は明らかだ。
  2019年入りから2カ月の時点で、投資信託の半分以上がベンチマークを上回る成績を上げている。ゴールドマン・サックスのデータによると、この割合が維持されれば今年は業界にとって10年で最良の年となる。
  好成績を支えているのは工業株とエネルギー株への先見の明ある投資だ。これらのセクターは、S&P500種株価指数を構成する他のどの業種よりも急激に昨年10−12月の下げから回復した。
Good Start
More than half of mutual funds are beating their benchmarks this year

Source: Goldman Sachs
  銘柄を選択するファンドマネジャーがアウトパフォーマンスを続けられるかどうかは分からないが、少なくとも今のところ、投資家は彼らにチャンスを与えてみるつもりのようだ。
  過去10年には数兆ドルが指数連動ファンドや上場投資信託(ETF)に流れたが、反転の兆しが出始めている。米投資信託協会(ICI)とブルームバーグがまとめたデータによると、1月以降に米国株投信には約40億ドル(約4400億円)が流入した一方、ETFからは100億ドル近くが流出した。

原題:Active-Manager Revenge Gains Steam as Funds Thrash Benchmarks(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-27/PNKKIQ6TTDS001?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/302.html

[経世済民131] 米財政は「持続不可能」FRB議長が警鐘 利上げ慎重姿勢 中国経済に懸念 アンバランスの極みグリーンスパン巨額赤字に警鐘
米財政は「持続不可能」、FRB議長が警鐘
2019/2/27 5:08日本経済新聞 電子版
 【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は26日、米上院銀行委員会での議会証言で「連邦政府の債務が持続不可能な経路をたどっていることは、広く認められることだ」と述べ、議会に財政再建を急ぐよう求めた。3月2日には政府債務が法定上限に到達するが、同氏は「議会が上限の引き上げに失敗すれば、大きな不確実性が生じる」と警鐘を鳴らした。

26日、米上院の銀行委員会で証言するパウエルFRB議長(ワシントン)=AP 

 米連邦政府債務は残高が22兆ドルと過去最大で、トランプ政権の大型減税で財政赤字そのものが拡大している。パウエル氏は「経済成長率よりもかなり速いスピードで政府債務が拡大している」と指摘したうえで「歳出の削減と歳入の拡大が、ともに必要だ」と主張した。

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 連邦政府の借入限度額を定めた「債務上限」が3月2日に復活し、その後は新規国債の発行などが容易ではなくなる。ただ、議会は与野党の対立で上限引き上げの審議が停滞。今夏には政府資金が枯渇するとされ、パウエル氏は「利払いが不能になれば、経済に巨大な負の影響をもたらす」と強い懸念を表明した。

 野党・民主党には、太陽光発電など再生可能エネルギーに絞った巨額のインフラ投資計画がある。オカシオコルテス下院議員ら急進左派はFRBにインフラ資金を拠出するよう求めるが、パウエル氏は「中央銀行は雇用の最大化と物価の安定のためにあり、特定の政策を支援するものではない」と明快に否定した。

 先行きの利上げシナリオについては「中国や欧州など海外経済が減速しており、政策判断を様子見するのが適切だ」と改めて述べた。労働参加率が上向いていることを挙げて「雇用には拡大余地が残っている」とも指摘。景気や物価が過熱するリスクは小さいとして「政策判断を急ぐことはない」と強調した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41798930X20C19A2000000/


 

 
米FRB議長、利上げ慎重姿勢
中国経済に懸念、財政悪化へ警鐘

2019/2/27 08:18
©一般社団法人共同通信社

議会証言するFRBのパウエル議長=26日、ワシントン(AP=共同)
 【ワシントン共同】米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は26日、議会上院の銀行住宅都市委員会で証言した。今後の利上げは「経済指標を見て判断する」と説明。中国や欧州の景気減速に懸念を示し、経済情勢を「忍耐強く」見守るとし、利上げへの慎重姿勢を改めて示した。

 過去最大22兆ドル(約2400兆円)余りに膨張した債務残高を巡り「財政が持続不可能な道筋にあるのは広く認識されている」と述べ、財政悪化に警鐘を鳴らした。米議会が債務残高の上限引き上げなどで合意しない場合、資金繰りが行き詰まる恐れがあり「不確実性が強まる」と警戒感を示した。
https://this.kiji.is/473268117779481697

 


米財政アンバランスの極み グリーンスパン氏、巨額赤字に警鐘
2019.2.22 10:11 メッセンジャー登録
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ブルームバーグ・テレビのインタビューに臨む米連邦準備制度理事会(FRB)元議長のアラン・グリーンスパン氏(ブルームバーグ)
 

 米国の財政赤字が1兆ドル(約110兆円)に向けて拡大する状況について共和・民主両党の政治家はおおむね沈黙しているが、連邦準備制度理事会(FRB)元議長のアラン・グリーンスパン氏(92)は「無関心でいられる状況が続くことはない」と主張する。

 1987年から2006年までFRBを率いたグリーンスパン氏は、「これは極めてアンバランスな状況だ。政治的には、財政赤字はあまり重要ではないが、問題はその影響だ」と懸念する。

 グリーンスパン氏にとって、最大の懸念はインフレだ。財政赤字がこれほどまでの規模に膨らんだのは09年に終了したリセッション(景気後退)後の時期以来。景気拡大は10年目を迎え、労働市場は1960年代以降で最も逼迫(ひっぱく)している。

 インフレはコントロールされているが、米国の歳出で物価圧力に拍車が掛かると投資家が懸念し始めれば、海外勢の米国債需要が既に減退する中で、国債購入を抑制する恐れもある。

 グリーンスパン氏は「政治システムが反応するのは、いつもそうであるように、財政赤字が最終的にインフレを生じさせるときになってからだ」と指摘。「現時点ではスタグフレーションの兆候が見られるものの、まだそこには到達していない」との認識を示した。

 議会予算局(CBO)によると、連邦財政赤字は2022会計年度に1兆ドルを超過する見通し。トランプ大統領の就任後初の通年(18年度)の財政赤字は7790億ドルと、12年度以来の高水準だった。社会保障給付の増加や金利費用の上昇で、財政赤字は既に悪化の方向にある。(ブルームバーグ Liz Capo McCormick)
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/190222/mcb1902221011013-n1.htm

 

利上げサイクルが及ぼす影響を注視−パウエルFRB議長
Jeanna Smialek、Craig Torres、Rich Miller
2018年11月15日 9:43 JST
更新日時 2018年11月15日 13:09 JST
「米経済はさらに速いペースで成長することができる」とも発言
「経済の回復と拡大を延ばし、低インフレを維持する」のが目標
Treasury Secretary Mnuchin Speaks At The Financial Stability Oversight Council Meeting
Photographer: Bloomberg/Bloomberg
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は14日、米経済は現時点で力強いものの、来年には逆風に直面する可能性があるとの認識を示した。米金融当局はあとどの程度、どのようなペースで利上げすべきか検討を続けている。

  パウエル議長は、ダラス連銀のカプラン総裁が司会を務めたダラスでのイベントの質疑応答で、「あとどれくらい利上げをするかや、今後の利上げのペースについてわれわれは考えなければならない」と述べた。その上で、「経済の回復と拡大を延ばし、失業率を低水準にとどめ、低インフレを維持する」のが目標だと語った。

  米経済について総じて楽観的な見通し示したパウエル議長だが、海外経済の成長減速や米財政刺激策の効果減退、2015年12月以降で計8回に上るこれまでの米利上げの影響が経済に時間差をもって生じる可能性など、潜在的な課題も列挙した。

  パウエル議長の発言は、政策策定に当たって金融当局が直面する事態の複雑化を浮き彫りにしている。米利上げは住宅など経済の幾つかのセクターにブレーキとなり始めており、金融状況は引き締まりつつある。一方で、労働市場は活況が続き、インフレ率は当局目標の2%に達している。

  ただ、パウエル議長は「米経済は成長が可能であり、さらに速いペースで成長することができると確信する」と話した。

利上げへの反応注視
   また、トランプ大統領は米利上げを繰り返し非難しているが、パウエル議長は「われわれは党派に偏らない専門的なやり方で、われわれがやっていることやなぜそれをやっているのかをできる限り明確に伝達するようにして、国民に奉仕することに強くコミットしている」とコメントした。

  このところの株式市場の動揺を巡っては、株価は金融当局が考慮する数多くの要因の1つにすぎないとして、深刻視しない姿勢を表明。金融当局が進める漸進的な利上げに金融市場や経済、企業がどのように反応するか当局として「注視している」と語った。

  このほかパウエル議長は、連邦公開市場委員会(FOMC)開催後の記者会見の回数を来年1月から年8回として毎回実施することについて、政策の機敏性を高めることになると指摘。金融市場は現在、議長の記者会見が事前に予定されている年4回のFOMCでしか政策変更はないという考えに慣れているが、こうした市場の認識も改められるだろうとの見方を示した。

原題:Powell Says Strong Economy Faces Headwinds as Fed Weighs Policy(抜粋)

(発言の詳細を加えて更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-11-15/PI7LRM6K510O01

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/305.html

[経世済民131] 「東証プレミアム市場」の影響:地銀には一見マイナスだが、増配、再編の可能性も ユーロ圏景況感8カ月連続悪化−底打ちの兆候
「東証プレミアム市場」の影響:地銀には一見マイナスだが、増配、再編の可能性も
金融テーマ解説
大槻 奈那 2019/02/27
• 東証の課題:増え続ける上場企業数、多すぎる最高位の「東証一部銘柄」
• 上場区分見直しの可能性
• 施策と方向性:地銀の再編と株主還元を一層後押しする可能性
・3月、有識者会議が東証の改革等に関する答申を提出する。市場にも、東証は「上場・廃止基準が緩く、銘柄数が多すぎる」との批判が多く、大幅な改革が行われる可能性が高い。
・一案は「プレミアム市場」創設。仮に時価総額500億円が基準となると銀行株への影響大。現在83行中32行がこれに届かないが、採用等への影響を考え、「プレミアム」を狙う地銀は多いだろう。
・地銀の場合、対策として、他行との統合という手段が取りやすい。厳しい経営環境での生き残りの施策にもなる。過去の統合事例をみると、株価的には小規模地銀にプラス。還元強化も期待されるため、3月末にかけ、高配当狙いの地銀投資に一定の妙味がある。
東証の課題:増え続ける上場企業数、多すぎる最高位の「東証一部銘柄」
東京証券取引所が株式市場の活性化に向けた議論を進めている。昨秋に設立した「市場構造の在り方等に関する懇談会」から、3月にも答申が提出される予定である。とりわけ注目されているのが、多すぎるとされる東証一部銘柄の絞り込みなど、東証の「市場区分の見直し」である。
現在、東証に上場している日本企業の数は、3,650社となっている(2/26時点。外国企業5社を含む)。この数字を人口比で見ると、世界の主要市場に対して突出して高く(図表1)、かつ、増加傾向にある。日本の市場関係者にも、「廃止基準がゆるく、市場からの退出が進まない」という点を問題視する声が多い(19年2月QUICK月次調査)。

https://media.monex.co.jp/mwimgs/5/9/728/img_5925ff6bb2cc83150c589fd60ecbd5e325479.png

これらの東証上場企業うち、59%に当たる2,130社が最高位の「第一部」に属している(図表2)。海外の最高位の銘柄としては、米ナスダックの「グローバル・セレクト」で1,400社強、ロンドンの「プレミアム」で500社程度と、日本の東証一部よりはるかに少ない。

https://media.monex.co.jp/mwimgs/a/1/728/img_a1654209c3116fdd4f68e1ba0f4ce47020187.png

上場企業が多いことや、増加傾向にあること自体は、必ずしも問題ではない。米国ではむしろ、事務負担面から上場企業が減少していることが問題となっている。上場しない成長企業が増えると、その分の経済成長の恩恵を国民が受けらず、富の偏在が進む一因となる。
ただ、逆に、上場・廃止基準が緩いと、経営者の達成感を機に企業の成長がストップしてしまうという懸念がある。「上場ゴール」と揶揄されるように、経営者が上場で満足してしまいかねないためだ。
上場区分見直しの可能性
こうした問題点の打開策として注目されるのが、東証一部銘柄の絞り込みである。現在の一部銘柄を、1) 時価総額、2)コーポレート・ガバナンスのレベル、3) 株式の流動性等により「プレミアム市場」とそれ以外に分ける。または、区分は今のままで「プレミアム銘柄」を認定するなどの案が報じられている。
こうした基準でみた場合、セクター内が大きく二分されうるのが銀行業界である。83の銀行や銀行持株会社が東証に上場しているが、現在これらは全て「一部」に上場している。
地銀の場合、地元企業との関係もあって、上記の2) や3)は、そもそも低位に留まっている。これに加えて、1) の時価総額も小規模の銀行が多く、最も小さい島根銀行の時価総額は40億円程度と、1位のトヨタの約5,500分の1となっている。
「プレミアム銘柄(市場)」の基準ラインとして報じられているのは、時価総額500億円〜1000億円である。仮に、500億円で区切られた場合、東証一部上場銀行83行中、51行はこの基準をクリアするが、残りの32行がこの基準に届かない(図表3)。

https://media.monex.co.jp/mwimgs/d/d/1456m/img_dd7334891488cbabebc82b0d85a46f5d32352.png
施策と方向性:地銀の再編と株主還元を一層後押しする可能性
プレミアム銘柄に指定されなくても業務に支障はない。しかし、そもそも地銀がコストをかけて上場している理由は、地元でのステータスや採用面での優位性が大きい。これらを重視するならば、プレミアム認定にかけた施策が打たれる可能性が高いと思われる。
短期的な対策として想定されるのは、増配、自社株買いなどの株主還元強化がある。しかし、それで持ち上げられるレベルには限界がある。
より抜本的な対策は、統合により、持株会社レベルで基準を達成することである。地銀の場合、既に多くの統合事例もあり、銀行の数も多いことから、統合という手段は、他の業界に比べて現実的である。
今回の件がなくても、利鞘の低迷が続き、与信費用も増加し始めるなど、地銀にとって今後の経営環境への不安感は大きい。また、今後キャッシュレス決済などのフィンテック対応も必要になる。このような中、東証の改革が、地銀再編を一段と促す新たな要素になるかもしれない。
もっとも、邦銀の場合、米銀等のように、大規模なリストラや店舗の統廃合で一気に経営効率を高めることは難しい。このため、統合イコール株価上昇とはいかず、むしろ、統合比率によっては、株価にマイナスとなる可能性もある。
しかし、規模が小さく減益基調となっている地銀が、大手地銀と一緒になるケースでは、小規模地銀の株価にプラスとなりやすい。大手と組むことで、競争が軽減されることや、財務基盤が強化できるためだ。例えば、東日本銀行の株価は、2014年11月に横浜銀行との統合が報じられた後、銀行株指数を大きくアウトパフォームした(図表4)。

https://media.monex.co.jp/mwimgs/7/9/728/img_79603766ea3d062df919938e9ca507c935155.png

厳しい金利環境が続き、競争も一向に改善されない。しかし、劣悪な経営環境に置かれているからこそ、なんらかの抜本的な施策が飛び出す可能性もある。一部の銀行では還元強化も期待できる。3月末にかけて、高配当狙いの地銀投資には一定の妙味があるだろう。

大槻 奈那
マネックス証券株式会社 チーフ・アナリスト 兼 マネックス・ユニバーシティ長 マネックスクリプトバンク株式会社 マネックス仮想通貨研究所所長
東京大学文学部卒、ロンドン・ビジネス・スクールでMBA取得。スタンダード&プアーズ、UBS、メリルリンチ等の金融機関でリサーチ業務に従事、各種メディアのアナリスト・ランキングで高い評価を得てきた。2016年1月より、マネックス証券のチーフ・アナリストとして国内外の金融市場や海外の株式市場等を分析する。現在、名古屋商科大学 経済学部教授を兼務。東京都公金管理運用アドバイザリーボード委員、貯金保険機構運営委員、財政制度審議会分科会委員。ロンドン証券取引所アドバイザリーグループのメンバー。 テレビ東京「ニュースモーニングサテライト」等、メディアへの出演も多数。 著書: 『本当にわかる債券と金利』(日本実業出版社)、 『1000円からできるお金のふやし方』 (ワニブックス)
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• 2019/02/20米地銀に再度強気:過去最大級の業界再編も
• 2019/02/06銀行業界3Q決算:全くぱっとしないが、3〜5%の配当利回りは引き続き魅力
• 2019/01/23日銀、物価見通し再引き下げ:金利と成長期待の低下で、企業は株主還元強化へ
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https://media.monex.co.jp/articles/-/11070

 


ユーロ圏景況感、8カ月連続で悪化−予想よりは小幅、底打ちの兆候か
Catherine Bosley
2019年2月27日 19:29 JST
サービス業の堅調が寄与し低下はエコノミスト予想より小幅
2月の景況感指数は106.1と前月改訂値の106.3から低下
ユーロ圏の景況感は8カ月連続で悪化したものの、サービス業の堅調が寄与し低下はエコノミスト予想より小幅にとどまった。貿易戦争懸念を背景に過去1年にわたり悪化が続いた景況感に、底打ちの可能性が示唆された。

  欧州連合(EU)の欧州委員会が27日発表した2月の景況感指数は106.1と、前月改訂値の106.3から低下した。エコノミスト予想は106.0だった。

ユーロ圏 実際 前月
景況感 106.1 106.3
鉱工業 -0.4 0.6
サービス 12.1 11.0
消費者信頼感 -7.4 -7.9
業況判断 0.69 0.69
原題:Euro-Area Economic Sentiment Extends Decline for Eighth Month(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-27/PNKXT16S972B01?srnd=cojp-v2

 


 

ロンドン金融街、EU市場アクセスにさらなる障害−欧州委が審査強化
Alexander Weber
2019年2月27日 23:18 JST
欧州連合(EU)の政策担当者は、英国のEU離脱後にロンドンの金融機関が域内市場にアクセスする際の規則を厳格化することで合意した。英国側にとってはさらなる打撃になる。

  EU加盟国と欧州議会が26日遅くに成立させた合意では、域外金融機関に域内へのアクセスを認める上で、欧州委員会の決定権限を強化する。英国は離脱後もEUの規則から逃れられないことを浮き彫りにした。

  加盟各国を代表するEU閣僚理事会は発表文で「とりわけ、銀行に似たサービスを提供する企業に適用される資本要件の審査は欧州委員会が担う」と説明。「金融システム全体にとって重要とみられる」活動に対しては、最も厳しい要件を課す方針も示した。

  今回の規則変更は、企業の合併・買収(M&A)助言や顧客の増資支援など投資サービスに適用される。預金や融資など従来型の銀行サービスについてEUは域内での拠点設置を義務づけており、域外からのサービス提供に規定を設けてはいない。

原題:City of London Faces New Hurdles to EU Markets After Brexit (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-27/PNL57V6VDKHT01?srnd=cojp-v2


http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/306.html

[経世済民131] 日本人に襲いかかる「経済的不安」の正体とは? 日本よ、ありがとう!崩壊国家ベネズエラ人の肉声
日本人に襲いかかる「経済的不安」の正体とは?

迷走する日本の「働き方改革」への処方箋(5)
2019/02/28

立花 聡 (エリス・コンサルティング代表・法学博士)

 日本人が望んでいるのは、「均貧」(均しく貧しい状態)でも「格差」でもなく、「均中」(全員中流)なのだ(参照:鳩山元首相が憧れたブルネイの正体)。その「均中」状態の維持は、資源の存在や持続的成長を前提としているだけに、今の日本は残念ながらこれらの条件をほとんど持ち合わせていない。では、ブルネイはどうだろうか。


iStock / Getty Images Plus / oxinox
ナウル共和国はなぜ崩壊したのか?
 ブルネイが今日にも「均中」状態が維持できているのは、ひとえに湧き出る石油と天然ガスのお陰にほかならない。その資源が枯渇した日、あるいは代用エネルギーがほかに見つかった日、ブルネイはどうなるのか。

 ブルネイはある意味で、ラスベガスよりも産業構造・基盤が脆弱である。賭博産業はギャンブル客が消えない限りいつまでもやっていけるが、石油や天然ガス資源はいずれ枯渇する。

 ナウル共和国は好例だ。国家規模や経済総量、社会構造がブルネイと異なるものの、類似した参考事例として見てほしい。南西太平洋に浮かぶナウルは、リン鉱石の採掘によって富を成した島国だった。世界で最も高い生活水準を享受し、税金なし、医療・教育無料、年金保障をはじめとする手厚い社会福祉を国民に提供していた。これは今のブルネイに大変似ていた。

 しかし、20世紀末にナウルの鉱石資源が枯渇した。基本的なインフラ維持も困難になるほど同国の経済は崩壊し、近隣国のオーストラリアやニュージーランド、そして日本に援助を求めるほか活路はなかった。

 そこから注目に値する展開になった。中華民国(台湾)と国交を持っていたナウルは2002年7月にその国交を断絶し、中華人民共和国と国交樹立。そこで中国から1億3000万ドルの援助を引き出した。しかし僅か3年後の2005年5月に中国と国交を断絶し、台湾と復交した。翌年、台湾の援助を手に入れた。

 ナウルは中台の政治・外交駆け引きのカードに自ら成り下がった。国家崩壊に陥ったナウルの教訓に学べるものは多い。資源が枯渇する以前、ナウルでは国民のほぼ全員が労働の義務から解放され、リン鉱石の採掘も外国人労働者に任せきり、国民全員が資本家となった。リスクを取って事業を興す意味が見出せず、ガツガツ働くことも美徳とされなくなった。そうなれば、人間は勤労意欲を失う。

 ナウルはあまりにも極端なケースで、そのままブルネイと比較するには必ずしも妥当とは言えないが、共通している部分は、国民の勤労意欲の低下・喪失である。国民は勤労生活をもって自らの手によって富を創出し、それを政府の財政に貢献する一方、政府が相応分の恩恵や保護を国民に与える。国民国家の本来あるべき姿がいつの間にか消え去り、気がつけば国民が国家の被扶養者になってしまった。そうなれば、国民は食わせてもらっている以上、政府に強くものを言えなくなり、政府の家父長制化とともに支配者や特権階級への強権や富の集中が進む。

収入が途絶えたときの退路とは?
 ブルネイは資源枯渇の危機を意識していないわけではない。現に国家を支えてきた石油と天然ガス資源に対する依存からの脱却を図ろうと、産業の多様化に取り組んできた。太陽光発電やメタノール、アンモニア、さらにはハラール食品の製造流通ハブ化など様々な努力もなされてきた。だが、明らかな成果はまだ見られていない。原因は多様だが、国民のやる気のなさがその主因の1つではないだろうか。

 ブルネイと近隣諸国の関係は実に微妙なものだ。筆頭に言及すべきは、マレーシア。ブルネイの国土はマレーシアのサラワク州に囲まれる飛び地で、どこよりもマレーシアとのつながりが強いはずだ。私もこれを信じ、ブルネイの視察旅行にはマレーシアリンギットしか持っていかなかった。しかし、ブルネイを代表するいわゆる7ツ星のエンパイヤホテルでもブルネイドルへの両替を拒否された。市中心部の指定銀行店頭や両替店でしか両替できないという。

 驚いた。ブルネイから1000km以上も離れたシンガポールの通貨シンガポールドルが、ブルネイドルと等価に固定されており、ブルネイ国内でそのまま流通・使用されているのに、すぐ隣のマレーシアの通貨は両替さえ制限を受けている。

 距離のことを言ったら、もっと面白いことがある。ブルネイ本土からわずか50km足らずの沖合に浮かぶマレーシア連邦領のラブアン島(Labuan)。このラブアンは、1990年にマレーシア連邦政府がオフショア会社法を制定したことで、オフショア金融センターに指定され、国家規模の一大金融事業として発足した。現在はマレーシアのオフショア金融センターないし租税回避地として、東南アジアや中東の注目を集めている。言ってみればマレーシアのケイマン諸島のような存在である。

 将来的に資源の枯渇したブルネイが転身してオフショア金融を目指すとなれば、先発優位性をもつラブアンが強力なライバルとなるだろう。マレーシア政府の意図的な戦略か、偶然か定かではないが、結果的に先制効果を狙うものとなった。ブルネイにとっては、退路がひとつ減った。いや、マレーシアがブルネイのためにひとつの退路を作ったという見方もできる。

 第二次世界大戦終結後、ボルネオは日本軍の手から離れイギリスによる直接統治領になったが、1957年に先立って独立したマラヤ連邦の呼びかけに応じ、63年にシンガポール、サラワク、サバの英国領植民地が統合してマレーシア連邦が発足する。その当時、ブルネイだけが連邦に参加せず、英国植民地のまま残った。その主因はブルネイ沖の海底油田の利権であり、これをめぐって利害関係者たちにどのような思惑や打算があったのだろうか。

 前述の通貨協定をはじめ、今日のブルネイとシンガポールの関係は緊密である。ブルネイ国王がシンガポールにホテルを所有し、シンガポールで高度な医療を受けるブルネイ国民の定宿として機能している、という話を聞いたことがある。国王一族がシンガポールという国際金融センターを活用して資産を運用することも十分に考えられるだろう。

 その時間軸の延長線上で考えると、ブルネイの資源が枯渇した場合、シンガポールやマレーシアが何らかの形でブルネイを飲み込むことも不可能ではない。そう考えると、国王や政府から与えられた富で安定した生活を送っているブルネイ国民の運命は、すでに他者に握られていると言っても過言ではない。

怠惰なブルネイ人と勤勉な日本人
 一方、日本人は勤勉で努力家で頑張っている国民である。日本は非資源国なので自力で活路を見つけないと、直ちに餓死してしまう。だから、ブルネイとは事情が違う。しかし、果たして本当にそうだろうか?

 戦後の日本人は勤勉さで早くも復興を果たし、その後も経済成長の道を順調に歩んだ。多くの国民は頑張りさえすれば、明るい将来が待っていると信じていたし、それは事実でもあった。国民全員にほぼ平等に未来へ通じる軌道が敷かれていた。言ってみれば、ブルネイはエネルギー収入という「現金」を平等に国民に分配しているのに対し、日本は、未来に通じる軌道という「約束手形」を平等に国民に与えていたのだ。

 財貨の分配形態は異なるものの、平等分配という原則は変わらない。唯一の違いは、支給条件である。ブルネイは無条件支給、国民であれば誰もが基本的に「現金」の平等分配を受けることができる。勤勉だろうと怠惰だろうと関係ない。これに対して、日本は勤勉要件を課している。勤勉でさえあれば、将来という「約束手形」が保障されている。基本的に個人の能力とは関係ない。

 これは日本社会特有の感情的な人間平等主義と「能力差の認知回避」願望にぴったり一致するので、都合が良かった(参照:「同一労働同一賃金」が格差を生むワケ)。さらに戦後復興や朝鮮特需といった外部要因が加わったことで、日本の経済成長は加速した。そして経済成長が続く限り、国民に平等に与えられた「約束手形」の現金化・現物化も保障されている。そこで「安全」や「安心」が善とされ、日本人の普遍的価値観が形成された。

 しかし、時代は変わり、状況も変わった。「約束手形」制度を作り出した当時、当てにしていた将来の分配に供される資源はどんどん目減りしている。同時に分配を受けようとする人がどんどん増えてきた。予定通りの現金化が難しくなってくると、「約束手形」の不渡りリスクが高まる。それがいまの日本人に襲いかかった「不安」の正体なのである。

<第6回へ続く>

連載:迷走する日本の「働き方改革」への処方箋
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http://wedge.ismedia.jp/category/hatarakikatakaikaku


 

WEDGE REPORT

日本よ、ありがとう!崩壊国家ベネズエラ人の肉声を聞く

2019/02/28

風樹茂 (作家、国際コンサルタント)

 マイアミを訪れているときに、トランプ大統領がフロリダ国際大学を訪れ、ベネズエラ向けの演説をした。ベネズエラ、キューバ、ニカラグアなどのラテン系の票を確保するのが狙いだった。けれども、「社会主義の腐敗が国を崩壊させる」という内容はすべて事実であり、かつ、ベネズエラ人ではなくては知りえない、故チャべス大統領を皮肉る言葉などを入れ、彼らの琴線に触れるものだった。では当のベネズエラ人は最近の祖国の緊迫した情勢をどう思っているのだろうか? マイアミから報告する。


マイアミのベネズエラコミュニティで演説したトランプ大統領(AP/AFLO)
アメリカがクーデターを画策してほしい
 イシドロ・パテーニョ(40代前半)は、2008年〜13年にかけて筆者と同じ釜の飯を食べた同僚であり、ベネズラのカラボボ州のバレンシアの政府系企業、プエルト・カベージョ港、カラカスのマイケティア空港で、当局と難しい交渉に当たってきた。いまだベネズエラ国内に留まる僅かな友人の一人である。昨年から何度か対話を試みている。

 「インフレはどうなっている?」

 「ひどい。アリーナ・パン(主食のアレパを作るトウモロコシの粉)は、統制価格だと740ボリバレス、つまり昔の7億4000万ボリバレスのことだけど、それも手に入らないから闇で買う。すると、25万バリバレスだ。以前のお金では250億ボリバレスさ、もう気違い沙汰だよ。君が持っている1万ボリバレスは記念品の意味しかないね。ハハハハ。配給? 月に2、3回だよ。それに、知っているだろう。メキシコの件…」

 配給品の食品の一部はメキシコから輸入していたが、その中に期限切れのものが多く入っていた。すなわち政府の担当者が実際価格よりも安価に購入し、書類上では正規の価格を記入し、その鞘を抜いていたのだ。ベネズラでは、腐敗した役人の常套手段。メキシコでもスキャンダルとなった。

 「港の利権は副大統領のタレク・アイサミが継承した?」

 「ああ、この付近はすべて彼が取り仕切っているよ。アラブ系ばかりになった。薬品、食、金、銅、鉄、石炭、みな彼らが商売をして、この国の富を根こそぎにしているよ」

 プエルト・カベ―ジョ港は昔、やはりシリア系のコカインマフィアであるワリド・マクレッドが取り仕切っていたが、彼がコロンビアで収監されたあと、港は軍の管轄になり、そして別のコカインマフィアであるレバノン・シリア系のタレク・アイサミが利権を手に入れた。アイサミは諜報機関であるSEBINの長でもあり、反対派を刑務所に送ったり、殺害する命令を発している。
 
 「コカインの利権も3人で分け合っているのか?」

 「そのとおりだ。アイサミ、マドゥロ、ディサード・カベ―ジョだ。もっとも麻薬はベネズエラはただの通過点、つまり中継貿易の拠点で入って出るだけだけど。国内で麻薬を入手したい人間はもう高くて手が出ない。なにせ、ベネズエラ人が優先するのは、いかに朝飯と夕飯を食べることができるかということだから。悲しい話だ」

 ディオサ―ド・カベ―ジョは軍人上がりで、チャべス派が勝手に作り上げた制憲議会の議長。麻薬関係のカルテル・デ・ソ―レスを取り仕切っている。一方ベネズエラには選挙で選ばれた政治家たちの国民議会がある。その議長が暫定大統領を宣言したフアン・グアイドである。

 「PDVSA(石油公社)の生産はどうなっている?」

 「稼働率はせいぜい30%あるかないかじゃないかな。もはや車のガソリンもグリスも手に入れるのは難しい」

 「仮想通貨のペトロはどうなっている?」

 「そんな仮想通貨はない。誰も信じていないし、裏打ちがない。マドゥロがデノミをはじめとする経済政策の失政を隠すためにでっち上げた幻想さ。あれもこれも失政だらけだ」

 「キューバ人たちはどうなっている?」

 「もう普通のキューバ人たちはいない。残っているのはG2(キューバの情報機関)の連中で、諜報機関や軍隊に入り込んで指示を与えている。今ならクーデターは簡単だろうけど、まだ軍隊は動かない。国境の援助物資がどうなるか…。マドゥロは受け入れようとしないし、ディオサ―ドは銃弾を撃ち込んでやるといっているよ。ハハハハ」


 「コレクティーボ(チャべス派民兵組織)はどうしている?」

 「みんな軍服を着ているよ。奴らは平気で自国民を殺すし、支援物資を入れようとする人に襲いかかるだろう。彼らが寝返ることを望む」

 コレクティーボはオートバイを使うことが多く、後部座席に乗った人間が機関銃を持ち、自国民を襲う。いわゆる犯罪者の手口である。

 「ベネズエラの美人はどうしている?」

 「ほとんど国を出たよ。今コロンビアでは女の戦いがある。ベネズエラの娼婦がコロンビアの夫をとってしまう。コロンビアの妻は戦々恐々としているよ」

 「ミラフレーレス(大統領官邸)にはサンテーロ(黒魔術師)が来ているだろう?」

 「いや、ミラフローレスにマドゥロは住んでいないよ。住んでいるのはチャべスの娘たち、ローサ・ビルヒニア、マリア・ガブリエラ だよ。チャべスの時代はキューバからサンテーロが来て、ニワトリを殺して軍人たちと儀式をやっていたけど、今やっているのは豪勢な飲めや歌えやのパーティさ」

 チャべスの娘たちは官邸にプライベートの映画館やプールを設え、世界中の有名ミュージシャンを呼んで友人たちと豪勢なパーティ三昧だという。私の見るところ、チャべスの死の真相(公的にはベネズエラで死去。実際はキューバ)他、現政府の不都合な事実を多々知っており、口止め料もたんまりともらい、誰も逆らえないのである。マリア・ガブリエラは4000億円前後の資産を持つという。

 「君が防弾チョッキのようなものを扱っているのなら、マドゥロにプレゼントするのはXXXLだな。随分太ったからね。シャンゴ(アフリカのヨルバ系の戦いの神。最後は民心が離れ自殺する)の血で染まったものがいいな。ハハハ。ぼくの見るところマドゥロは今はプレッシャーで眠れないだろう。チャべスと同じ道を辿るよ」

 「アメリカには何を望む?」

 「こうなったら、アメリカがクーデターを起こすのをのぞんでいるよ。でもその前にディオサードがマドゥロを殺して、軍を統率するかもしれない。いずれにしろ、アメリカの一番の協力は、ベネズエラ政府の人権への罪、コカイン密売への罪を理由にクーデターを画策してくれることだよ。マドゥロと対話などできないことは誰もが知っている。でも、もし選挙をやるならば、その前に政治犯を釈放し、選挙委員会を解散し、新たな人員を専任することだ。それでなくてはいつもと同じインチキ選挙になるからね。でも、どれもこれも難しいな。軍次第だよ。トランプは軍人への制裁を緩めたし、彼らはコカイン他の腐敗で蓄財した金を守ろうとするだろうから、マドゥロから離れて行くはずだよ」

 「トランプのほうが追いつめられるのでは?」

 私が心配しているのは、国境で治安部隊に一般のベネズラ人が殺害されるだけで終わるという最悪のシナリオだ。トランプの「マドゥロについた軍人はすべてを失う」という言葉は、幻想に終わり、彼のほうがラテン票を失うことになる。だからといってアメリカが軍事侵攻するような真似はできないし、やるべきではないだろう。人命他のリスクが多過ぎるし、中南米諸国の支持を失ってしまう。

 「君が幻想に終わるといっても、多くのベネズエラ人はマイアミでのトランプの演説に勇気づけられているよ。22日(コロンビア国境でベネズエラ支援コンサートがある)か23日には何かが起こるとみな期待している。つまり軍がマドゥロを裏切ることを」

マイアミに移り住んで
 フロリダ州には40万人前後のベネズエラ人が住んでいる。今回たまたま仕事上出会ったのは、6年前の2013年に家族とともにマイアミに移住したスリア州、マラカイボ出身のベネズエラ人、オスカル・カスティーヨだった。もともとスリア州は社会主義や共産主義には親和感がなく、反チャべスで一貫していた。

 「ベネズエラでは何をやっていたんだい?」

 「マラカイボでは外資系の会社で石油採掘の仕事についていたよ。その後は船だよ。PDVSA(石油公社)の原油を輸出していた。ホセの港やプレルト・ラ・クルスからね。アジアは台湾の港に行ったことがあるよ」

 偶然、筆者と同じプエルト・ラ・クルスのPDVSAでも働いていたのである。彼は前日に日本政府がグアイドを支持する声明を出したことを、歓び、私に感謝した。

 そう、日本がグアイド暫定大統領を支持しているというニュースはインターネットでベネズエラほか国際社会を駆け巡り、何100万人のベネズエラ人が勇気づけられ、感謝の念を抱いている。思っているほど日本は小国ではないし、遠い南米にも影響する。

 「マイアミで住んで、働いて思うところがあるかい?」

 「これまで何度もマイアミに来ても旅行者の立場だったので、その内実を知ることはなかった。働いてみてベネズエラとは大違いだと気がついたよ。海外に出て働いているベネズエラ人がこの経験を本国に伝えることができれば、いいと思う」

 「国が崩壊したことの教訓があるということか?」

 「そのとおりだ。ベネズエラ人は国から与えられる、あるいは国から奪うことしか考えていない。とりわけ、社会主義になってから、国に与えられることに慣れてしまった。でもアメリカは違う。働いて税金を支払う。自ら行動しなければならない自立の精神がある。ところが、ベネズエラでは、たとえばひと月は働いても、鳥肉を買えるか買えないかだ。それだったら働くのではなく、国からの配給を待ったほうがよい。そんな考えになってしまった」

 今、彼や私が働いていたPDVSAでは月収10ドル前後なので、オフィスに出て来ない社員が続出している。知らぬ間に移住していたり、あるいはベネズエラに留まる社員は、闇商人になったり、ほかの私には想像もつかないことで、ドルを得ているのだろう。いまだ会社を辞めないのは、年金に期待しているからである。

 また誰かのレポートで政府関連組織で勤務する人間は、政府を支持している、という文面を見たことがある。まったくの間違いである。政府そのものといっていいPDVSAの同僚たちは、私に「あいつらは全員死刑にしてやりたい!」と明言していた。

 このような状態なのにプエルト・ラ・クルスとその隣のレチェリアでは、最近一層寿司屋が増えたという。金持ちはたくさんいるのだ。困ってもいない。政府関係者、麻薬密売者、他の犯罪者、以前からの資産家、海外からのドル送金があるものなど、むしろ自国通貨の下落で、モノが安くなり恩恵を受けることさえある。

 「結局仕事は何をやっている? 移民するベネズエラ人の多くは大卒で何かしらの専門性を持っている。でもそれを生かすのは難しいと聞いているが?」

 「そのとおり。専門を生かそうとしても、難しい。需要のある仕事をやるしかない。僕の場合は仕事を掛け持ちしている。この輸出検査官の仕事はアルバイト。船や油について知っているので、企業に登録できた。実は掃除の会社を持っているんだ。オフィスを中心に人を派遣している。ここでは、10時間、12時間と働いても、文句をいえない。もっともベネズエラのときと比べて私的な時間は全くなくなってしまった」

 「マドゥロはどうなる?」

 「話しあいのときはもう過ぎた。アメリカが2、30人規模の秘密部隊を送れば、それでマドゥロは倒れるのでは」

扶助団体「マイアミのベネズエラ人」
 ベネズエラ人を扶助する団体の管理者とのやりとりである。
 
 「ベネズエラ人にとってマイアミでの生活は?」

 「マイアミにはベネズエラと違って食べ物はいくらでもある、エアコンもある、あらゆるサービスはある。でも故郷にいないと、孤独だし、失望することも多い。とりわけ最初は厳しい」

 「最初はどんな職に就く?」

 「普通、レストランで働く。掃除をし、ボーイやウエイトレスとして皿を運び、ときにそれを洗う。根をあげる人も多い。サイトで職を紹介しても時給9ドルでは安いと文句をいう。けれども、時給18ドル、20ドルは専門性のある仕事だ。困るのは、できるといって、できないものもいることだ。もちろん、中にはゼロから初めて起業化するものもいる。たとえば私たちはベネズエラのバルキシミエントで、アレパのレストランを持っていた。3カ月後にマイアミでArepa Express USAを開くつもりだよ。資本主義の人生は希望と克服がある」

 「トランプの演説には行ったかい?」

 「テレビでも見ていないよ。あそこを訪れるのは、インチキの亡命者さ。国を思っていくのではなく、写真を撮って、ツイッターやフェースブックで見せるために行くだけだ。われわれは、仕事を得る手伝いをし、助言を与え、弁護士を紹介し、もっと実践的なことをしている」

チリに移り住んで
 シルビア・メニーノ(20代中ごろ)はバレンシア大学を卒業し、弁護士の資格を持つ。未婚の母でもある。筆者は何度か取材のコーディネートを頼んだことがある。けれどもベネズエラでは法律はあってなきがごとしで、弁護士の資格を生かす道もなく、おばさんと屋台でアレパなどを売って生活費を稼いでいた。今はチリのビーニャ・デル・マルに住む。なおチリには70万人以上のベネズエラ人が移民し、外人の中では一番大きなコミュニティを擁している。

 「なぜ、母国を離れてビーニャに住むことにしたの?」

 「国内ではアレパを作る材料の入手も難しくなったの。それに薬もなく、犯罪者だらけの場所では子供を育てられないわ。チリに来たのはほぼ2年前ね。なぜ首都じゃないかって? ビーニャ・デル・マルに来たのは、大学の友人が先にここに来ていたから。でも彼女は家族がエクアドルのほうにいったので、そっちへ行ってしまったわ。ビーニャのほうが静かだし好きね」

 ビーニャ・デル・マルはヨーロッパから観光客が集まる海辺の保養地で、この時期には世界的歌謡コンクールがある。

 「一番難しいことは?」

 「チリで一番難しいのは、アパートを探すことだわ、外人にはやっぱり高い。二部屋で18万ペソ(3万円前後)。でもサンチャゴだとその値段で一部屋しか借りられない」

 「仕事は何をしている?」

 「最初はレストランでウィトレスをしていたけど、次は骨壺を売る仕事を見つけた。でも、半年前に不当解雇されたわ。訴える予定だけど、今は暫定ビザで無理。100ドル払えば市民権が取れるけど、そのお金を溜めるのも一苦労よ。今は火災保険とか自動車保険の会社で働いている。でも給与は280万ペソ(4万8000円前後)しかない。市民権をとれば、給与も上がるし、医療もただになるわ。チリ人と同じ扱いを受ける」

 「食事とかで苦労はしない?」

 「チリの食べ物は好きじゃない。味が薄すぎる。ああ、海産物? それはおいしいけど、私の給与では高い。アレーナ・パンはスーパーで売っているから、アレパは家で作れる」

 「チリで嫌なことは?」

 「言葉が汚いというか、きちんと発音しないし、罵倒言葉が多い。それと白人の国で、ハイチ人とかを差別しているわ(ベネズエラは肌の色による差別は少ない)。でも一番嫌なのは、ドラッグね。マリファナが解禁されているから、あっちらこちらで吸っているわ。子供がサッカーの練習に行くグランドのそばでも吸っていて、いい影響がない」

 「トランプの演説は聞いた?」

 「トランプの演説は聞かなかったわ。ちょうど、オスカル・ペレスの母親が出ているところはテレビで見たけど」

 オスカル・ペレスは元警官でヘリコプターで最高裁に手投げ弾を投下した反政府組織のリーダー。カラカス郊外の密林の中の隠れ家に仲間といるところを治安警察に囲まれ、ハチの巣のように撃たれ、殺害された。

 「今後、ベネズエはどうなる?」

 「2月22日にはコンサートもあるし、23日には、援助物資が入る。結局マドゥロは亡命するしかない。じゃなければ刑務所入りか、殺されるか。その後、選挙管理委員会を新たに作って、それで選挙よ。暫定大統領になってから30日以内に選挙日を決める必要があるの。でもグアイドは法律上、候補になれない。出てくるのは、今刑務所にいるレオポルト・ロペスとか、カプリ―レスとか。チャビスタは出ても票が集まらない」

 「政権が変わったらベネズエラに戻る?」

 「むずかしいわ。戻っても住むところもない。母親たちはコロンビアのメディジンに移ったし、おばさんたちはサンチャゴよ。それにベネズエラに行ってもタクシーやバスも機能していない。部品もないし、ガソリンもないから、動く手段がないわ。それに、チャビスタのおかげで犯罪者だらけだし、国がまともになるのには何年もかかるわ。行くとしても休暇でせいぜい1カ月くらい訪れるとか。いずれにしろこの時期は商店の略奪があちらこちらで起こるようになる。危険よ。一人で住んでいる祖母が心配。前1万ペソ(1700円前後)を送ったけど、今はそれでは肉も買えない。配給に頼るしかない。ドルがないと生活できない」

チリのサンチャゴに移り住んだオタクのシステムエンジニア
 ホセ・マルティーネス(30代後半)とは5年前にカラカスでのオタクのイベントで知り合った。数カ月前にサンチャゴに移民したが、生活には満足しているという。

 「仕事は簡単に見つかったし、給与も悪くない。食事も4ドルか5ドルで安い。ベネズエラ人もたくさんいるから、ベネズエラ食に不自由はしない。困ることはないよ。貯金をしてカラカスに残っている家族に仕送りをして、日本に行くお金を溜めるよ」

 「トランプの演説は見た?」

 「ニュースで見たけど、ベネズエラにかかわることは、本当だし、見て見ぬふりをするのではなくて国際社会はできることをやってもらいたい。トランプについてはいいところと悪いところがある」

 「ベネズエラには戻る?」

 「政権が変わってもベネズエラ経済がすぐに好転するとは思えない。この政権で悪の道に染まった人間も多いし、人が変わらなければ、国は良くならない。でも、行き来するのはずっと自由になるだろうけど。今は、お金を溜めて日本に行くのが夢だよ。漢字もほら、雑誌、新聞、学生、先生、会社員、椅子とか覚えた」

ベネズエラにも日本ファンはたくさんいる。

日本は明確にグアイド支持をもう一度打ち出すべきである
 危惧していたとおり、援助物資はチャべス派の治安部隊に阻止され、あるいは焼かれ、国内にはなかなか入らない。また国境では数人がベネズラの治安部隊、いやむしろ民兵組織のコレクティーボに殺され、何百人と負傷した模様である。

 軍や政府は腐敗しているがゆえに逆に強い。誰も国家反逆罪で刑務所送りになったり、国民のリンチにあって殺害されたりしたくないのだ。

 そんな中、日本にいるベネズエラのイシカワ大使は、日本がグアイド氏を支持したことを非難し、「日本政府はグアイド氏を法的に承認するわけではなく、マドゥロ政権とは引き続き協働するとの説明を受けた」と語っている(2月21日 日経新聞)。
これではまどろっこしい。

 どのみち日本政府がマドゥロの政府と話し合いを持つようなことはありえないのだから、日本政府は、グアイド暫定大統領を法的にも承認するともう一度明言したほうがいいだろう。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15477
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/308.html

[国際25] なぜ今アメリカで「社会主義」が注目されるのか 2020年大統領選、民主党と「社会主義」(前編)
西山隆行が読み解くアメリカ社会

なぜ今アメリカで「社会主義」が注目されるのか

2020年大統領選、民主党と「社会主義」(前編)
2019/02/28

西山隆行 (成蹊大学法学部教授)

 冷戦期、アメリカは社会主義・共産主義と対峙する資本主義圏の盟主としての地位を確立していた。現在、そのアメリカで、社会主義という言葉に大きな注目が集まっている。

 ドナルド・トランプ大統領は、2月に行った一般教書演説で、アメリカを社会主義の国にしてはならない、そして、アメリカは決して社会主義の国になる事はないと強調した。冷戦期の国際情勢や社会主義国の状況を知るものからすれば、何を当然のことを言っているのだろうという気がしなくもない。だが、今日のアメリカでは、社会主義という言葉に対するとらえ方が以前とは大きく変化している。1940年代、アメリカで社会主義と言えば、様々な企業等を国家が管理する考え方だとされた。しかし、今日では、社会主義という言葉は、政府による管理や統制よりも、平等と結びつけて理解されるようになっている。


一般教書演説で「アメリカを社会主義の国にしてはならない」と強調したトランプ大統領
(写真:AP/アフロ)
「社会主義」に好意的なイメージを抱かせた
バーニー・サンダース
 アメリカで近年、社会主義と言う言葉に好意的なイメージを抱かせるきっかけを作ったのは、2016年大統領選挙で民主党候補となることを目指していたバーニー・サンダースであろう。従来型権力の象徴的存在であったヒラリー・クリントンに対抗し、革命を訴える自称民主社会主義者であるサンダースの主張は、とりわけ若者の心をとらえた。そして、2018年の中間選挙では、サンダースが連邦議会上院で三選を達成したのみならず、ニューヨーク州でアレクサンドリア・オカシオ・コルテス、ミシガン州でラシダ・タリーブら社会主義者を称する人物が当選している。

 彼らの当選を可能にした社会的背景としては、近年のアメリカにみられる大きな経済格差がある。アメリカの富の大半が上位1%の富裕層に独占されていると批判し、我々は99%だとのスローガンを掲げて富の偏在を批判したウォール街選挙運動と連続性が見いだせる。

 他方、社会主義という言葉にソフトな印象を与えたきっかけは、ひょっとするとティーパーティ運動かもしれない。ウォール街選挙運動とは対照的に、徹底的な小さな政府の実現を主張してバラク・オバマ政権期に登場したティーパーティ運動の活動家は、オバマ政権による医療保障改革を社会主義的医療として、そしてオバマをレーニン(マルクス主義的社会主義者)やヒトラー(国家社会主義者)に並ぶ社会主義者(民主主義的社会主義者)であるとして、強く批判した。

 だが、オバマが成立を目指していた国民皆医療保険は、日本やカナダでも実現しており、決して過激な制度ではない。このような主張を受けて、一部のアメリカ人、とりわけ、冷戦を経験していない若い人たちの間に、社会主義とは必ずしも過激な考え方ではないという印象を作り出した可能性があるように思われる。

 この点を考える上で興味深いのは、共和党支持者と、民主党内で社会主義を提唱する人たちの間で、社会主義と言って思い浮かべるものが大きく異なっていることである。トランプに代表される共和党の政治家が近年、社会主義を想起させるものとして取り上げるのは、ベネズエラの事例である。これに対し、サンダースが社会主義の例として出すのは、北欧のスウェーデンやノルウェーである。これらの国々は、社会主義ではなく社会民主主義の国だというべきであろう。これは民主党を支持する若者の間に他国や歴史に対する知識が欠如していることの表れであるが、彼らが提唱している社会主義の概念は世界標準でいえばかなり「穏健」なものなのである。

民主党に大きな分断をもたらす「社会主義」のイメージ
 では、アメリカ国民は社会主義という言葉をどのようにとらえているのだろうか。2018年のギャラップ社の調査によると、民主党支持者の57%が社会主義に好意的な立場をとっているのに対し、共和党支持者で社会主義に好意的な立場をとるのは16%に過ぎない。共和党支持者は、現在アメリカが社会主義的な方向に進んでいることに対して懸念を示している。同様の調査結果は、フォックス・ニュースの調査等からでも明らかである。

 選挙との関連でいえば、2015年6月にギャラップ社が行った調査によれば、社会主義者に投票するかと問われた場合、50%程度の回答者が投票したくないと回答しており、その割合は、イスラム教徒、無神論者、イスラム教徒、同性愛者に投票したくないと回答した人の割合より高い。また、2018年8月の、YouGovの調査では、民主党支持者の41%、無党派層の29%が、社会主義者を自称する人物が大統領候補になることに対し好意的な立場を示す一方で、ためらいを感じる、あるいは非常に不愉快であると回答した人の割合は、民主党支持者の59%、無党派層の71%に達しており、民主党支持者の間にも、社会主義者を自称する人に投票したくないという考えが強く残っていることを示している。このような状況を考えると、トランプ大統領が民主党候補のことを社会主義者と批判しているのは、効果的な戦略だと言えるだろう。

 実際、この状況は、民主党の政治家の間に大きな分断をもたらしている。アメリカは領土が広大なこともあり、地域によって社会的な構成が大きく異なっている。一般的には、東海岸や西海岸の大都市部では圧倒的にリベラル派が強いのに対し、農村地帯や郊外では保守的な傾向が強い。そして、社会主義者を自称する政治家は、多くの場合、圧倒的にリベラルな有権者が多く、左派的な立場をとっても民主党が負けるとは考えられないような地域から選出されていることが多い。

 他方、選挙で二大政党のいずれが勝利するかがわからない激戦の選挙区から出馬している人々は、穏健な有権者の支持を勝ち取らなければ勝利できないこともあり、民主党に社会主義のイメージがつくのを避けようとする。そして、民主党が以後の議会選挙で多数を勝ち取るためには、このような激戦区で勝利を積み重ねることが極めて重要なため、主流派やナンシー・ペロシ下院議長ら指導部は、党の政治家が左派的傾向を示すのに歯止めをかけようと努めている。それが、オカシオ・コルテスら左派的傾向の強い政治家の間で党主流派に対する不信感を生み出す原因となっている。

右でも左でもない「穏健派」の支持を集めるというシュルツ
 2020年大統領選挙をめぐって、スターバックスの元CEOであるハワード・シュルツの動向にも注目が集まっている。シュルツは、2020年の民主党の大統領候補と目されている人物たちを、過激な立場をとる者として強く批判している。例えば、富裕層に対する増税を強く提唱している、マサチューセッツ州選出の上院議員であるエリザベス・ウォーレンの主張について、ニュースの良いヘッドラインになるかもしれないが、実現可能性がなく馬鹿げていると一蹴した。なお、大統領選挙に出馬する年齢には達していないが、同様に富裕層増税を提唱しているオカシオ・コルテスについては、勉強不足であり、非アメリカ的な人物だと手厳しく批判している。

 シュルツは、カリフォルニア州選出の上院議員、カーマラ・ハリスについても手厳しい。ハリスは、「全ての人にメディケアを(メディケア・フォー・オール)」と呼ばれる立場に賛同している。アメリカでは国民皆医療保険が公的に制度化されておらず、政府が提供する医療保険は、退役軍人や公務員を対象とするものを除けば、児童向けのもの(CHIP)、貧困者向けのもの(メディケイド)、高齢者や一部の障碍者向けのもの(メディケア)しか存在しない。それ以外で医療保険を必要とする人々は民間医療保険に加入しているのであり、その比率は非常に高い。

 このような状況を踏まえて、メディケアの対象を拡大することで、政府が提供する医療保険制度を利用したいと考える人は利用できるようにしようというのが「全ての人にメディケアを」の基本的立場である。だが、ハリスは先日、比較的穏健なそのような立場を乗り越えて、いずれ民間医療保険を全て廃止し、医療保険をメディケアに一元化することも将来的な目標とするべきだと発言した。シュルツはこの発言をとりわけ強く批判している。シュルツによれば、そのような考え方はアメリカ的でなく、仮にそのようなことが認められれば、他の産業、例えばコーヒー産業等についても、国営化することになってしまうというのである。

 このような状況を受け、シュルツは、もし民主党が穏健な立場に立つ柔軟な人物を大統領候補に据えないようならば、自ら第三党候補として立候補すると宣言している。彼が想定している穏健な候補とは、オバマ政権の副大統領であるジョー・バイデンや、元ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグなどである。彼は、民主党が左派的な候補を選出すれば、その左派的な立場にも、右派的なトランプにも賛同したくない、穏健な有権者の支持を集めて勝利できると主張している。

 他方、シュルツは、自らが立候補を検討する最大の理由はトランプ大統領の再選を阻止することにあると明言している。民主党の候補が最終的に決定するのは2020年の7月から9月であることを考えると、それまでの間、第三党候補としての立場を維持するには莫大な費用がかかる。だが、たとえその費用が無駄になったとしても、民主党が穏健派候補擁立するならばトランプの再選を阻止することができるため、自らの立候補を取り下げるとしているのである。

 2010年の連邦議会選挙前後から、ティーパーティ派が共和党を右傾化させ、党の在り方を大きく変質させたと指摘された。それと同様の現象が現在、民主党の側にも起こっているのであろうか。2020年大統領選挙に向けて、民主党の動向に注目する必要があるだろう。

*後編へ続く(3月1日公開予定)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15502
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/534.html

[社会問題10] ネット炎上のかけらを拾いに 「女性脳は何より共感を求める」←この使い古された雑知識  
ネット炎上のかけらを拾いに

「女性脳は何より共感を求める」←この使い古された雑知識

2019/02/28

網尾歩 (コラムニスト)

 「男(女)はこういうもの」って決めつけ、平成で卒業しませんか。


(fizkes/iStock/Getty Images Plus)
女をディスエンパワーメントする「女性脳は共感」
 ツイッターで「女性 共感」と入れて検索すると、たちまち恋愛指南をつぶやくアカウントのツイートが複数ヒットする。それらの語っていることは、ほぼ同じ。

「男性は解決策、女性は共感を求めます」

「女性はアドバイスを求めているのではなく、共感がほしいだけなのです」

 とかいう例のアレである。

 好きな相手と初めて手をつないだばかりの中学生であるなら、こういった一見わかりやすいマニュアルにひかれる気持ちもわかる。最新の研究では「性差よりも個体差の方が大きい」と言われるようになり、いわゆる「男性脳・女性脳」の話は否定されつつある。血液型占いと同程度に楽しむならまだしも、これを根拠に実生活や恋愛の手ほどきをされるのはなかなかキツいものがある。

 知人に、いわゆる水商売のアルバイトをしていた女性がいる。彼女が店のママから最初に教えられた“接客のコツ”は「ウケるぅ〜!」「すごーい!」「それでそれで?」、そして拍手だったという。

 こんな例を出すまでもなく、男性だって共感を求める生き物である。愚痴をつぶやいて正論や解決策で返されたときに「なるほど」と受け取れる男性ばかりではないこと、むしろ逆ギレする人もいることは、ツイッターを3秒ほど眺めるだけでもわかるではないか。

 さらに筆者がこの使い古された雑知識「男は解決策、女は共感」に大きな違和感を持つのは、このメッセージを発信する人の多くから「しょせん女は問題を解決する気がない(笑)」的なディスエンパワーメントを感じるからである。男であれ女であれ、こんなディスエンパワーメントをしてくる人と仲良くなるのはそもそも無理ではないか。

「グチを打ち明けて“あげよう”」という奇天烈なアドバイス
 さて、なぜこんなことを書いているのかといえば、男性脳・女性脳の違いを知ることで夫婦間のすれ違いをなくそうと発案された江崎グリコのスマホ向けアプリが炎上し、グリコが公開を終了したからである。

 アプリは、ママの気持ちがわからないパパのために、ママのセリフをキャラクターの「こぺポン」が「翻訳」してあげるというものだった。

 たとえば、ママが「仕事と家庭どっちが大事なの?」と言うのは、「私は何より家庭を優先してるのに、あなたは仕事ばかりなのが寂しいわ……」というメッセージなのだそうだ。こぺポンは、「寂しい思いをさせてごめん、と謝って。ママに仕事のグチを打ち明けてあげよう」とアドバイスする。「グチを打ち明けて“あげよう”」である。

 ママの言う「好きにすれば?」は、「それをやったら、もう知らないから!」の意味で、こぺポンからのアドバイスは「このセリフを言われたパパは、『見放さないで』と甘えてみましょう」。「“甘えて”みましょう」である。

 この翻訳やアドバイスに怒っているのは「ママ」が多いが、実は「パパ」の方もかなりバカにされている。というか、自立した大人であるはずの夫婦のコミュニケーションを、極めて幼稚なレベルに落とし込んでいる。江崎グリコが考える日本の夫婦像は、こういったものなのだろうか。

 さらにこぺポンは、「ママ」たちに向けてこんなことも言う。

「段取り上手の女性脳と比べて、男性たちはあまりにも段取りが悪い」

「男性脳には『察する機能』がついていないと思った方がいいよ!」

 こぺポンの言う通りなら、社会において段取りや忖度が必要とされるあらゆる仕事は女性が一手に引き受けた方が良さそうだ。一方で「パパ」向けのアドバイスはこうである。

「女性脳は何より共感を求めているの。話を聞いてくれて、共感さえしてくれればOKなの」

「『言わなくても』察してもらえることで、大切にされていると実感できるのが女性脳」

 こぺポンはママに対してパパの段取りの悪さや察する機能のなさについて告げ口してディスるが、パパに対してはそれを指摘することなく、例の「共感さえしてくれれば」を言い立てる。夫婦げんかを仲裁すると見せかけてお互いの悪口を言ってくるこういう人、いますよねって感じがする。

 さらにこぺポンは、「段取り上手」のママのイライラについて、パパが段取りスキルや家事スキルを上げることではなく、「共感してあげる」ことで解決しようとしている。いやまず、段取り力を上げてくれ。

 このアプリを監修したのは『妻のトリセツ』という著書を持つ女性だという。トリセツ=取説(取扱説明書)のことである。マニュアルは面白いこともあるが、面白い読み物だから実用的であるかといえばそうではない。目の前の個人に向き合わず、「女ってこうだから」「男ってこうだから」という斜め上から目線で取り扱われることを、自立した大人は普通嫌がるものだ。これが性別ではなく、たとえば出身地や人種、体型、年齢であってもそうだし、そのような場合は差別や偏見と認識されやすい。

 夫婦げんかの際、相手から「これだから女は」「これだから男は」という空気を醸し出され、イラッとこない人がいるだろうか。アプリは夫婦間の溝を埋めるものなどではなく、断絶に拍車をかけるものに見えてしまう。別れさせたい夫婦に使用を勧めるという利用方法を思いついたが、早々に公開終了してしまって残念である。


http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15501
http://www.asyura2.com/18/social10/msg/131.html

[経世済民131] IT投資で7年後になくなる仕事、失業者は外国人と職の奪い合いに ポーランド人が遠い異国「日本」に憧れ、ビジネスにする理由
2019年2月28日 岩本晃一 :経済産業研究所/日本生産性本部 上席研究員
IT投資で7年後になくなる仕事、失業者は外国人と職の奪い合いに
「デジタル経済の嘘とホント」(3)
写真はイメージです Photo:PIXTA
 情報化投資が遅れてきた日本は、米国などに比べて経済格差はそれほどではなかった。
 しかしAIの導入がさまざまな分野で広がり、7年後の2025年には、控えめに見ても、約140万人が職を失うと予想される。
 どういう仕事がなくなるのか、を予測すると、それはルーティン業務が中心になる。
 そして失業した人の再就職も容易ではない。
日本のIT投資は合理化志向
人員削減が一気に進む
 米国やドイツの経営者は、IT投資によって、合理化よりも新しいビジネスモデルによる売り上げ増を目指すのに対し、日本の経営者は、IT投資で人員削減、コスト削減といった徹底的な合理化を志向する。
 こうした日本の情報化投資の傾向は、さまざまな調査で明確になっている。
 代表的な調査結果を2つ挙げてみよう。
 2015年5月、国際IT財団は、日本企業のIT投資に関する調査結果をまとめた。調査年次が、若干、古いかもしれないが、同種の調査はこれ以降、存在しないので、この調査結果(アンケートの有効回答数615社、回収率17.4%)を紹介する。
 ITを積極的に導入している業務分野を見ると、「コスト削減」「人員削減」をめざしている色合いが濃い(図表1)。
 一方で、IT対応がそれほど行われていない業務分野は、市場分析や開発など、「新しいビジネスモデル開発」「売り上げ増」を志向する分野だ。

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 この傾向は、電子情報技術産業協会(JEITA)が2013年に行った「ITを活用した経営に対する日米企業の相違分析」調査の結果(図表2)とも共通する。
 この調査は、同協会が日米企業の「非IT部門」を対象にIT投資の意識調査を実施したもので、日本企業216社、米国企業194社が回答した。(ほかにヒアリング調査で日本企業5社、米国企業2社が回答)
 これを見ても、米国企業が、ITによる製品・サービスの開発など、「攻めのIT投資」と呼ばれる方向を志向しているのに対して、日本企業は、業務効率化・コスト削減などの「守りのIT投資」を志向していることがわかる。

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 こうした調査が示すのは、日本では、経営者に、情報化投資によって「新しいビジネスモデル」を創出して「売り上げ増」を目指し、付加価値を生み出そうという発想は極めて少ないことだ。
 日本企業の経営者のみが、世界の経営者と違った方向を向いているのである。
 私はこれを「日本の常識は世界の非常識」と呼んでいる。
 とはいえ、技術進歩でAIなどがさまざまな分野で導入され、またグローバル競争も激しくなるばかりだ。企業にとってはIT化への対応は避けられない。
 日本の経営者が持つ独特の志向を考えると、情報化投資が加速するなかで、人員削減が一気に進むのではと予想される。
情報化投資でなくなるのは
ルーティン業務
 日本でこれから、AIなどに仕事や雇用がどの程度、代替され、経済格差がどこまで拡大するのか。
 前回(2019年2月12日付け)の本コラム「非正規雇用140万人が7年後に職を失う、日本の格差拡大はこれからだ」で、その見通しを書いた。
 まず、今後、IT化で新たな雇用機会や所得増が期待できる人と、逆に仕事を失う人が出て、格差が拡大していく「スピード」を予測してみよう。
 前回、紹介した米国MITのデイビッド・オーター教授の論文にある「米国におけるルーティン業務及び非ルーティン業務の作業の割合」(図表3)によれば、米国では、「ルーティン業務量」は1985年から2000年にかけて、15年間で12%減った。

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 日本では今後、これまで情報化投資が遅れていた分、米国よりも早いペースでRPA(Robotic process automation 人工知能を備えたソフトウェアのロボット技術を使った自動化・効率化)の導入が進むと考えられる。
 政府は、2025年をめどにした外国人労働者の受け入れ目標を掲げているので、まずは、その時点にあわせて、7年後の2025年でどうなるかを考えてみる。
 米国では、7年間で、非ルーティン業務は6%減のスピードだった。日本での減り方はもっと大きいと思われるが、それでも少し控えめに見て、「7年後にルーテイン業務量が7%減少」するとしよう。
 その場合の実際の雇用者数の減少はどれぐらいになるのか。
 仕事を失うのは、正規雇用の一般職と非正規雇用者だと思われるが、正規一般職は、企業が雇用を守ろうとして企業内の配置転換で対応すると思われるため、今回は非正規に絞って予測する。
 現在、日本では非正規雇用は2036万人いる(図表4)。「7年後に7%減」であれば、2036万人×7%=約140万人が仕事を失うことが見込まれる。

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 ただ、一般職についても、実際は新規採用減という形で、職が失われることは考えていたほうがいい。
OECD試算では1700万人が
失業の可能性が「50−70%」
 この数字を、別の角度から検証してみよう。
 2016年にOECDは、加盟各国ごとに、10〜20年後、労働者が機械に置き換えられる「機械代替リスク」の試算結果を発表した(図表5)。
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 この試算は、ITに代替される可能性が「70〜100%」と、可能性が「50〜70%」の2種類のリスクで見たものだ。
 その結果を見ると、雇用者数全体で、機械代替リスクが「70〜100%」の労働者の割合は、OECD平均で9%。各国別ではオーストリアで12%、米国で9%、ドイツで6%などとなっている。
 日本で、10〜20年後に仕事が失われる可能性が「70〜100%」ある人は、雇用者数全体の約7%、「50〜70%」の人は約31%である。
 2018年で日本の総雇用者数は5460万人なので、10〜20年後に、仕事が失われる可能性が「70〜100%」の人は約380万人、失業の可能性が「50〜70%」ある人では約1700万人になる。
 上記で算出した「7年後に約140万人減」という予測は、かなり控えめであることがわかるが、ここでは控えめな数字を出しておきたい。
どういう仕事がなくなるか
一般事務や人事経理など
 ではIT投資によって、具体的にどのような職が失われるか。
「2018年度年次経済財政報告(経済財政白書)」(2018年8月発表)では、「AIと雇用」に関する特集が行われた。
 その中で、OECD作成のデータや内閣府が日本企業に対して行ったアンケートも掲載されており、以下は、それらの分析などをもとに明らかになったことだ。
 それによると、日本でルーティン型業務が残っている主な職業を見ると、「事務補助員」「単純作業の従事者」が主であることがわかる。(図表6)

(備考) 1.OECD「Survey of Adult Skills(PIAAC)」個票データ(調査年は2012年または2015年)、OECD(2016)“Skills Matter: Further results from the survey of adult skills” により作成。定型業務集約度(RTI)についての詳細は付注2−1を参照。
2.仕事でITを使う頻度は、仕事での、「電子メールの使用」、「インターネットを利用した情報収集」、「インターネットを通じた売買や取引」、「表計算ソフトの使用」、「ワープロソフトの使用」、「プログラミング言語の使用」、「インターネットを通じたリアルタイムの議論」の頻度(1(まったくない)、2(月に1回未満)、3(月に1回以上、週に1回未満)、4(少なくとも週に1回以上。ただし、毎日ではない)、5(毎日))を各設問の回答分布を加味した上で平均したもの。(2)図では各国の値を平均0、標準偏差1となるよう標準化した値を用いた。

各業務の具体例として、内閣府(2013)は以下を挙げている。(1)非定型分析・対話型業務:研究、調査、設計、コンサルティング、経営・管理、教育、営業等。(2)定型業務:一般事務、会計事務、検査・監視、製造業等。(3)非定型肉体労働業務:輸送機械の運転、修理・修復、サービス等。なお、(1)は非定型分析・相互業務や非定型抽象業務、(3)は非定型手仕事業務とも言われる。
出典)「2018年度年次経済財政報告(経済財政白書)」(2018年8月)
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 また内閣府が2018年2月に実施した「企業意識調査」によれば、IoT、AIの導入が進行した場合に、「増える見込みの仕事」、「減る見込みの仕事」は図表7のようになりそうだ。

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「技術系専門職」は、回答企業全体の約60%の企業が増えるとしているのに対し、逆に「一般事務・受付・秘書」、「総務・人事・経理等」、「製造・生産工程・管理」「事務系専門職」などが、減る仕事の上位に並んでいる。
 また、実際に企業側が、AIに代替を考えている業務は図表8のようになっている。

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 大企業、中堅企業、中小企業を問わず、「定型的な書類作成」や「労務管理関係」「スケジュールなどの作成」「販売・電話対応などの接客」といった業務は将来、AIに代替されそうだ。
外国人受け入れ拡大で
「IT失業者」と職の奪い合いに
 職を失う人のうち、自己投資して、IT関連などの新たなスキルを習得し、アナリスト、データサイエンティスト、コンサルタントなどといった高スキル高収入の職に転身できる人は極めて一握りでしかないだろう。
 また、夫が働いていたり、家族が自営業などをしていたりして、自分を養ってもらえる人は、仕事をすること自体を諦めてしまうかもしれない。
 だが、単身暮らしで自活しなければならない人や家族を養わなければならない人は、低スキル低賃金で雇用が不安定だったとしても生活のために仕事をすることになるだろう。
 こうしたことを考えれば、控えめに見積もった「2025年に仕事を失う約140万人」のうち、約半分の約70万人程度は、生活の必要上、低スキル低賃金の労働市場に参入してくると予想される。
 だが、低スキル低賃金の労働市場での競争は厳しいものになるだろう。
 政府は、7年後の2025年までに50万人超の外国人労働者の受け入れを目指すと発表した。日本ではすでに2017年時点で128万人の外国人労働者が働いている。
 7年後には、すでにかなりの数の外国人労働者が働いている労働市場に新たにIT投資で、仕事を失った日本人が参入するわけだ。
 この時の状況について、経済学者の佐和隆光氏は次のように予想している。
「失業者の大半はハローワークで仕事探しをせざるを得まい。一念発起して何らかの職業訓練を受けない限り好景気時には忌嫌されがちだった『きつい』『きたない』『きけん』な仕事に就かざるを得なくなる」
「目下、右記14業種は深刻な人手不足に見舞われているが、10年後には様相が一変し、在留外国人と失業日本人との間で、職を奪い合う熾烈な競争の展開が予想される。」(ダイヤモンド社「経」2019年1月号)。
 筆者の見方も同じだ。
 外国人労働者を入れるべきではないとは言わないが、少し判断が早すぎたのではないか。
 今まさに企業にAIが導入され、今後、IT投資が急拡大しようとしている。その動向をもう少し見て、職を失って低スキル・低賃金の職業に落ちてくる日本人の働き手の規模を確認しながら、外国人労働者の受け入れ人数と時期を判断してもよかったのではないかと思う。
 外国人受け入れ拡大のための出入国管理法案が国会で議論されていた時、情報化投資の加速で、今の仕事を失う日本人と外国人労働者の間で、仕事の奪い合いが発生するのではないかという議論は誰もしなかった。
 これもまた、IT・デジタル分野で、社会科学研究を担う専門家が日本には少ないために、議論が深まらない象徴的出来事だった。
 日本は、米国という先例から学び、その失敗を繰り返してはならない。
(経済産業研究所/日本生産性本部 上席研究員 岩本晃一)

https://diamond.jp/articles/-/195327


 

2019年2月28日 ミハシヤ :ライター
ポーランド人が遠い異国「日本」に憧れ、ビジネスにする理由
日本関連イベントでおにぎり屋のブースを出店する形でビジネスをスタート
日本好きが高じ、ポーランドでおにぎり店を開業した人も。全くの異業種からのチャレンジだった
日本では今ひとつなじみの薄いポーランドであるが、ポーランドでは日本の人気は非常に高い。著者は2017年から拠点をポーランドに移しているが、今まで訪れたどの国よりも日本に対する好感度・評価は高いと感じる。以前、ポーランドの“日本愛”について書いたが、今回は日本に惚れこみ、それをビジネスに生かしている人たちを紹介したい。(フリーライター ミハシヤ)

太宰治の「斜陽」の
ポーランド語版を出版
 ワルシャワの繁華街の一角に昨年10月にオープンしたばかりの出版社・書店「Tajfuny」(タイフーヌィ)。運営するのは2人のポーランド人女性、オーナーのカロリーナさんと、ビジネスパートナーのアンナさんだ。

オーナーで、ジャーナリストとしても活躍中のカロリーナさん。
「Tajfuny」(タイフーヌィ)オーナーで、ジャーナリストとしても活躍中のカロリーナさん。2018年の春には日本の女性問題について言及した著作も発表している Photo by Kamila Szuba
 カロリーナさんはオックスフォード大学の日本語学科、アンナさんはアダム・ミツキェヴィチ大学(ポーランド・ポズナン)の日本学科を卒業しており、もちろん2人とも日本語ペラペラ。

 2人が初めて会ったのは2018年の2月。そこで意気投合し一緒にビジネスをすることになったという。7月には物件を借りてリノベーションを始め、10月に店舗オープン、2019年1月にはTajfuny初の出版物となる、太宰治の「斜陽」のポーランド語版をリリースしたという。

 ビジネスのスピード感がすごい。

原文のニュアンスが
伝わるような翻訳にしたかった
 しかし、なぜ「斜陽」だったのか?

「以前にも斜陽の翻訳版は出版されていましたが、太宰独特の文体を伝えきれておらず、別の本になってしまったと感じていました。だからこそ、自分たちの手で納得できるものを作りあげたかったんです」とカロリーナさん。

 ということは、太宰の文章のニュアンスがわかるくらい日本語を読みこなせるということでもある。

 しかし、ポーランドで太宰治と言ってもほとんどの人が「誰それ?」となる。

「ポーランドではまだ知名度が低いので、太宰治とはどういう作家なのか、本が書かれた背景なども合わせてしっかり伝えていきたいと思っています」

昨年10月の開店記念イベントには長蛇の列が!カロリーナさんは「W krainie tajfunw」(台風の国から)という人気ブログも運営しており、彼女の固定ファンも多い。
昨年10月の開店記念イベントには長蛇の列ができ、店内は賑わった Photo by Kamila Szuba
ポーランド人は
日本は完璧と思っている?
ヴロツワフ在住で日系企業に勤めていたアンナさんは、Tajfunyのビジネスに専念するためワルシャワに引っ越した。日本語を読むスピードの速さにはびっくり。
ヴロツワフ在住で日系企業に勤めていたアンナさんは、Tajfunyのビジネスに専念するためワルシャワに引っ越した。日本語を読むスピードの速さにはびっくり Photo by Filip Skronc
 一般的なポーランド人は日本をどのようにとらえているのか?という問いには次のように答えてくれた。

「日本は独自の伝統文化もあれば、最新のテクノロジーも発展している。ポーランドでは日本は“完璧な国”と思われているんじゃないでしょうか。Tajfunyに来る人は日本に興味があり、経済的にも余裕があり『日本だから買う』という人も多いですね」とカロリーナさん。

「日本とポーランドは距離も遠いし、ちょっと前までは簡単に行ける国ではなかったですよね。それだけにエキゾチックなイメージが膨らみ、憧れの国と思っている人も多いと思います」(アンナさん)

 店舗オープンからまだ数ヵ月だが、今後のビジネス戦略についてカロリーナさんは次のように語る。

「Tajfunyでは自分たちが実際に読んでいいと思ったものだけを扱っています。質の高い本を出版したり販売することで、ポーランド人ももっと日本について理解を深めることができると考えています。小説だけでなく、さまざまなジャンルやテーマの本を手掛け、多角的に日本を紹介していきたいですね。時間もお金もかかるし、簡単な道ではないことはわかっているけど、これがやりたいことだから頑張ります。質にこだわるのが私たちのビジネスのストラテジーです」

インターナショナルに活動する
日本大好きな若手ミュージシャン
 ワルシャワを拠点にプロのミュージシャンとして活躍しながら、デンマーク・コペンハーゲンにある音楽大学の修士コースに籍を置く学生でもあるアルベルトさん。コンサートでのドラムやピアノの演奏、自身や他のミュージシャンのアルバムのプロデュースなどを行っている。

 スウェーデン出身の女性ヴォーカリストと組んだユニットNenne(ネンネ)では日本語の曲もリリース。さらに日本のミュージシャンと一緒にライブを行ったり、CDをリリースするなどインターナショナルに活躍している。

日本には
他の国にはない“何か”を感じる
ルベルトさん。手に持っているのは「Albert Karch / Yuta Omino Quartet」としてリリースしたCD。デジタル版も発売されている。
ポーランド南部のシロンスク地方出身のアルベルトさん。手に持っているのは「Albert Karch / Yuta Omino Quartet」としてリリースしたCD。デジタル版も発売されている
 アルベルトさんが日本に興味を持ち始めたのは、約4年前、ピアニストの友人の紹介で、ポーランドに滞在していた日本人女性と知り合ったのがきっかけだった。以来、ジブリの映画を見たり、坂本龍一の音楽を聴いたりなどし、日本への興味が深まっていったという。初めて日本に行ったのは3年ほど前。東京と九州を旅行した。

「九州の田舎町もよかったし、東京は大都市ならではのエネルギーにあふれていながら過激すぎない。そのバランス感覚というか、波長が自分にはすごく心地よかったですね」

 同じ“外国”でもコペンハーゲンには感じなかった何かがあったという。その時を含め、日本にはすでに3回行っている。

「昨年は約2ヵ月間日本に滞在し、東京などでライブを行いました。現在は日本のアーティストとコラボレーションした企画も進行中です」と語る。

 一方、ちょっと辛口なコメントも。

「ポーランド人はもっと自由だけど、日本人は型にはまっている人が多い気がします。あと、お金の話をストレートにしないのは『なんで?』と思ったりも。それと敬語は親近感がわかないしちょっと苦手。でもそういうことを含めてやっぱり日本が好きなんです」と語る。

 日本語を本格的に勉強し始めてまだ1年半くらいというが、この取材の約7割は日本語で行えるほど日本語も達者だ。

ポーランドには
日本好きが多い
 ワルシャワとコペンハーゲンを頻繁に行き来するアルベルトさん。「デンマークと比べてポーランドは日本好きが多いか」という問いにはこのように語る。

ポーランド南部のシロンスク地方出身のアルベルトさん。ワルシャワには高校時代から居住。2018年には東京でポーランド広報文化センターが主催するイベントなどでライブを披露。
アルベルトさんはワルシャワには高校時代から居住。2018年には東京でポーランド広報文化センターが主催するイベントなどでライブを披露。写真は著者が撮影したワルシャワでのコンサート 。ドラムがアルベルトさん
「それはもう圧倒的にポーランドの方が日本好きが多いですね。基本的にポーランド人は『日本はCool』というイメージを持っています。例えば音楽にしても、Jポップもあれば、シンセサイザー音楽もあるし、日本古来の伝統音楽もある。ポーランドにはないものが沢山あることに魅力を感じている人は多いんじゃないでしょうか」

 今後の目標としては、まず現在、手掛けている日本人アーティストとのコラボ企画を成功させること。また大学院を修了し、仕事もちょっと落ち着いたら日本に1年以上住みたいという。さらにはこんな夢も。

「サトシ・アシカワ(芦川聡)が1982年にリリースしたアルバムが大好きなんですけど、そのトリビュート・アルバムのようなものをいつか作りたいと思っています」

日本に恋して
おにぎり店をオープン
 世界的に日本食ブームが広がっているというが、ポーランドも例外ではない。そんな中、日本好きが高じておにぎり店を出すことになったというのが「Pani Onigiri」(パニ オニギリ)のカシャさんだ。

 アニメをきっかけに日本に興味を持ち、10年以上もの間、日本は憧れの国だった。そしてついに2014年、夫のマルチンさんとともに日本への旅行を果たす。長年の夢がかなった旅は、それはそれは素晴らしかったという。

「わずか2週間の滞在でしたが、それはまさに人生を変える旅でした。なにげない日常の光景も私たちには新鮮で感動的。この旅で私たちは日本と恋に落ちたんです」という。

試行錯誤を重ねたおにぎりは
大人から子どもまで好評
Pani Onigiriとは“Ms.オニギリ”というような意味。カシャさんのおにぎりは日本愛の結晶!?
Pani Onigiriとは“Ms.オニギリ”というような意味。カシャさんのおにぎりは日本愛の結晶!?
 ポーランドに帰ってからも日本への再訪を夢見ていたカシャさんとマルチンさん。2017年に再び日本を訪れることになった。

 今度は1ヵ月という長期で、当時6歳と1歳半の子どもたちも連れていくことにした。しかし「日本では子どもたちに何を食べさせればいいのか?」という問題に直面。

 そこでカシャさんが思い出したのが、前回の旅で初めて口にしたおにぎり。ネットでレシピを検索し、おにぎりに適したコメを探すところから始め、試行錯誤で作ってみた。

「子どもたちは日本に行く前から、私の作ったおにぎりを好んで食べるようになったんです」とカシャさん。

 2017年の日本旅行では、東京で最も古いおにぎり屋を訪れたりもした。このころはまだ、おにぎり屋を開くことは計画していなかったが、「おにぎりはポーランド人にもウケる」と確信。おにぎりという食文化をどうやってポーランドに伝えるか考え始めたという。

 カシャさんもマルチンさんも飲食業界の経験は全くなかった。カシャさんの専門はコーチング。マルチンさんは現在も大手銀行に勤務しながらカシャさんのビジネスをサポートしている。

 未経験の分野に挑むのはリスクがあるが、日本とおにぎりへの熱い思いから決断。2017年に、日本関連イベントでおにぎり店のブースを出店する形でビジネスをスタート。2018年7月には店舗をオープンした。

 ベトナム産ではあるがコシヒカリを使い、水加減、炊き加減など研究を重ねたおにぎりはかなり本格派。

「日本に行ったことがあり、本当のおにぎりを知っているポーランド人は『本場の味だ』と称賛してくれますし、初めておにぎりを食べる人がおいしいと言ってくれるのもうれしいですね」

ワークショップで
おにぎりの認知度アップを図る
 とはいえ、ポーランドではおにぎりの認知度はまだまだ低いのが現実。

大きさは日本のものより大きめ。具もたっぷりで食べごたえがある。1個10ズロチ
大きさは日本のものより大きめ。具もたっぷりで食べごたえがある。1個10ズロチ。写真は取材用にいただいたものを著者が撮影
「すしと同じご飯で作って三角形にしただけのものが『おにぎり』として販売されていることもあります」とマルチンさん。

 そこで大人や子どものためのワークショップを開催。おにぎりはとは何か、日本ではどのように人々に愛され食べられているか、背景にある文化までも感じてもらえるように努めている。

 Tajfunyの取材でも感じたが、啓蒙というのは地道な活動だ。

 人々の意識を変えるには時間がかかる。すぐに利益に反映されるわけでもない。ビジネスという観点からするとあまり効率のよいことではないだろう。それでもやるというのはやはり“日本愛”があってのこと。

 2019年は日本とポーランドの国交樹立100周年にあたるが、友好関係を支えているのはこういう人たちの存在があってこそだろう。

ワルシャワに
おにぎりブームが来る日は近い?
 従来からポーランドでは日本人気が高いが、最近は日本に旅行したことのあるポーランド人も増加し、より身近になってきているという。

「数年前はワルシャワでは寿司がトレンドでした。現在はラーメンです。そして次に来るのはおにぎりだと私たちは期待しています。日本のように街のいたるところで手軽に買えるようになることを夢見ています」(カシャさん)
https://diamond.jp/articles/-/195425
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/312.html

[政治・選挙・NHK257] ムキ出しの国家エゴと止まぬ応酬…今という時代がヤバい理由
2019年2月28日 週刊ダイヤモンド編集部
ムキ出しの国家エゴと止まぬ応酬…今という時代がヤバい理由

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『週刊ダイヤモンド』3月2日号の第1特集は「今が全部ヤバい理由」です。地球規模の影響力を手に入れた超国家企業、魔力を失った市場の守り神、エゴむき出しの国家――。リーマンショックから10年が過ぎた今、これらが三位一体となり「次の危機」への扉を開きかねないリスクが、マグマのようにたまり続けています。三つの危機のうち、最後に紹介するのは、国家のむき出しのエゴです。「ああ、またトランプネタかあ」とまひしてしまうことこそが、危うさを招くのです。(本記事は特集からの抜粋です)
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 まるで子供のけんかだ――。米トランプ政権誕生から2年が経過し、もはや、トランプ大統領の国家首脳らしからぬ発言は“日常”になった。
 そんな、トランプ大統領誕生をきっかけに、世界はまひしてしまったのだろうか。今、他の国家のトップたちも、エゴむき出しの言動に出ている。
 日々のニュースは流れ去っていくから、ついつい忘れがちだが、あらためてまとめて並べてみると、トランプ政権誕生後の異様さが分かる。次ページに、各国首脳のエゴむき出しの発言を並べた。
 イタリアの副首相が移民問題は「フランスなど一部欧州諸国が植民地化をやめなかったからだ」と断じると、フランス政府はイタリア大使を呼び出した。さらに、EU(欧州連合)の高官はブレグジットでもめる英国に対して「地獄の特等席が用意されている」と脅しをかけている。
 ロシアのプーチン大統領は自国の核兵器が米国のフロリダ州を攻撃するようなアニメーションを流すとともに「無敵だ」と発言。
 韓国の文在寅大統領は慰安婦やレーダー照射の問題でひたすら日本を攻撃し、同国の国会議長は「天皇陛下が元慰安婦に謝罪すべきだ」と同調、安倍晋三首相は猛反発している。
 本家本元のトランプ大統領は、「正気の沙汰ではない」とか「屈辱的」だとか、ありとあらゆる国にけんかを売って、口汚くののしる。また、その攻撃対象は経営者や映画俳優にも及ぶ。
 米国とソビエト連邦の間で起こった冷戦の時代でも、これほどまでに国家首脳が相手国を攻撃することがあっただろうか。一国の政治を任される為政者は、もう少し威厳があり尊敬される人物であったはずだ。

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首脳の強烈発言は
国民の不満蓄積の象徴にすぎない
 なぜ、今のようなエゴむき出しで突っ走る時代になってしまったのだろうか。各国の首脳はトランプ大統領の様子を見て、「そうか俺も言っていいのか」とまねしてもいいとでも思ったのか。
 そうではない。簡単に言えば、国家首脳の振る舞いは、自国民の不満を受け止めたものだからだ。
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 例えば、米国内ではグローバリゼーションや好景気の波から取り残された大衆が、トランプ大統領の出現を後押しした。韓国の文大統領が日本を攻撃するのも、不景気への不満の矛先を日本に向けたいからだろう。
 欧州ではポピュリズムが吹き荒れ、各国首脳の中では控えめな発言をし、100万人の移民受け入れを主導してきたドイツのメルケル首相は、与党党首の退任に追い込まれた。
 そして、世界中で不満だらけの国民が増えている背景には、世界が成長停滞時代に入ったという大きなうねりがある。
『経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える』の著者、ダニエル・コーエン氏は「経済の急成長は、社会的な緊張を緩和する。というのは、誰もが他者に追いつけると、信じることができるようになるからだ。しかし、この理想の途方もない弱点は、すでに達成した富のレベルにもかかわらず、景気が減速すると、この理想は一気に崩れ去ることだ」と喝破する。
 リーマンショック後のようなひどい不景気でなくても、成長が緩やかであれば、多くの人は不満を口にする。まして、一度急成長を体験したことがある人たちなら、なおさらだ。仮に20年前よりも生活の水準が大きく改善していたとしても、急成長の熱狂がなければ不満に感じてしまうのだ。
 そして、コーエン氏はそれはいずれ新興国の国民も経験するだろうと予言。すでに中国の成長は落ち着きつつあるだけに怖い予言だ。
 折しも、英国の経済誌「エコノミスト」は世界が「スローバリゼーション」の時代に入ったとの特集を組んだばかりだ。
 さらに、低成長の経済に「移民・難民」という問題が追い打ちをかける。
 米国でも欧州でも中流層が苦しくなり下流に転落しかけているが、下流が担う単純労働は、移民・難民が奪ってしまう。我慢できなくなった各国で反移民主義が台頭しているのだ。移民の動きはやむ気配がなく、世界にはますます大衆の「エゴむき出し」の風潮が広がっていくだろう。
 さて、このパートでは、超国家企業の台頭、中央銀行の消え失せた魔力、むき出しの国家のエゴという三つの危機を紹介してきた。実は、その三つはつながっていて、相互に増幅し合うような関係にあるのだ。
 GAFAに代表される超国家企業は富の極端な集中をもたらし、格差を拡大させかねない。不満がたまった大衆の意を酌み国家はさらにエゴをむき出しにするが、超国家企業は豊富な資金を背景にロビー活動で揺さぶりをかける。
 そして、窮地に陥った国家は中央銀行をまるで自由に使える財布のように扱う誘惑に駆られ、独立を保ちたい中央銀行を苦しめる。中央銀行とGAFAも当然無縁ではなく、富が集中し庶民の賃金が上がらず物価を上げづらくする要因になるかもしれない。
 三つの危機それぞれが暴発するリスクがあることは紹介してきたが、この3者が互いに刺激し合うことで危機が増幅して暴発するリスクも高まっているのだ。
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 地政学の世界では、トゥキディデスの罠という言葉がある。覇権国家に対して、新興国が争いを仕掛ける構図を指す。『米中戦争前夜』によれば、これまでの歴史でトゥキディデスの罠にはまった16回のうち、戦争を回避できたのは4回だけ。
 一方で、『サピエンス全史』では、今の米国と中国は貿易で相互に大きく依存しているため、簡単には戦争は起きないとも述べている。確かに、「お互いに良いことがないなら、どこかで妥協するだろう」とも思える。
 しかし、雲行きは怪しい。当初、トランプ大統領の思い付きの“口撃”で幕が開いたかに見えた、米中貿易戦争のフェーズが変わってきたからだ。
 トランプ大統領はひたすら「貿易赤字=負け」と捉えている側面がある。また、貿易をめぐる米中の争いは当初は「プロレス」のようにポーズを取っているだけと思われた。
 ところが、今ではトランプ大統領のみならず、米国議会が中国への対決姿勢を強めている。ペンス米副大統領や議会はもっと大きな視点、安全保障やテクノロジー、経済覇権に至る分野で中国を本当の脅威と捉えている。
 そもそも、『サピエンス全史』が書かれたのはトランプ大統領誕生前。著者で知の巨人として知られるユヴァル・ノア・ハラリ氏も、完全なる預言者ではないのだ。
 そして、肝心なのは対中姿勢の背景にある「中国の安価な製品が流れ込んで雇用を奪われている」という米国民の意識は、簡単にはなくならないということ。
 三つの危機を米中対立というエンジンが加速させる。耳を澄ませばさらに大きな危機の足音が聞こえてくるのだ。
【今さら聞けない! ニュースの全体像】
抜けるの? 抜けないの? ブレグジット
 2016年は世界を揺るがしたニュースが二つもあった。一つは、米国のトランプ大統領を生んだ大統領選挙。もう一つは、国民投票により英国がEUから離脱することを決めた「ブレグジット」だ。EUに対して英国の主権が低下していると感じられることや、移民急増による社会負担の増加への不満が国民投票へとつながったといわれている。
 国民投票以降、ブレグジットは一筋縄ではいかない。事態は混沌としているがざっくり説明しよう。まず、国民投票の結果を受けて、英国とEUは離脱案の中身を交渉し始めた。検討事項は、英国がEUに支払う手切れ金の額や、アイルランドとの国境での国境検査を復活させるかどうかなどだ。英国のメイ首相とEUは1年半かけて離脱案をまとめたのだが、なんと19年1月に英国の議会は歴史的大差でこれを否決してしまう。特にアイルランドとの間で自由な移動ができなくなることへの拒否反応が大きかった。
 EUとの交渉の期限は3月29日。交渉期限の延期か合意のないままの離脱が考えられるが、後者なら貿易が停滞するなど大きな混乱が予想される。

https://diamond.jp/articles/-/195217?

http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/980.html

[経世済民131] 経済への下振れ方向の不確実性高まりつつある−鈴木日銀委員 日銀オペ回数削減−月間で減額 超長期債が小幅高、利回り上昇で買
経済への下振れ方向の不確実性高まりつつある−鈴木日銀委員
日高正裕
2019年2月28日 11:24 JST 更新日時 2019年2月28日 15:29 JST
金融政策運営、副作用考えながら持久力持つよう修正図っていく必要
状況に応じ各回の国債買い入れオペ額の適切な調整を図ることが重要
日本銀行の鈴木人司審議委員は28日、水戸市内で記者会見し、現時点で追加緩和の必要は全くないと述べた上で、仮に物価上昇のモメンタムが損なわれても、追加緩和は効果より副作用が大きい可能性があり、「十分慎重な議論が必要」との見方を示した。

  鈴木委員は、日銀政策委員会の「多くの委員は現状、物価目標の2%に向けたモメンタムが維持されていると言っているので、追加緩和の必要は全くない」と言明。仮に将来、モメンタムが損なわれれば「適宜適切な金融政策を検討していく」としながらも、追加緩和を行う場合は「効果より副作用が大きい可能性があるので、私としては十分慎重な議論をしていく必要があるだろうと考えている」と語った。

  鈴木委員は、地域金融機関の経営環境は利ざやの縮小などで「非常に厳しくなっている」とした上で、金融緩和長期化の「副作用がどこかの時点で顕現化すると、うまく対処するのが難しくなったり、手遅れになるリスクがある」と指摘。金融政策運営については「将来は副作用を考えながら、それに対して持久力を持つような修正を図っていく必要がある」と述べた。

   これに先立つ講演では、米中間の貿易摩擦や欧州の政治情勢を巡る不透明感、中国の弱めの経済指標などを背景に投資家はリスク回避姿勢を強めており、昨年末から年明けにかけて株式市場や為替相場が「やや不安定な動きを見せた」と指摘。市場の動揺をきっかけに世界経済が変調をきたすリスクも含め、 「経済への下振れ方向の不確実性が高まりつつある」と述べた。

  その上で金融政策運営について、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の下で「強力な金融緩和を息長く継続していくことが重要」と語った。

  一方、地域銀行や信用金庫で相対的にリスクの高い企業や不動産賃貸業向け貸し出しもみられ、仮に景気後退局面になればこうした企業の経営悪化が「信用コストとして顕現化する恐れがある」と指摘。貸出先企業のデフォルト(債務不履行)率が上昇すれば貸倒引当金の積み増しが必要となり、金融機関にとって「加速度的な収益悪化の要因となり得る点に注意が必要だ」と述べた。

  金融機関のリスクテイク姿勢や経営の動向を引き続き注視するとともに、今後も現状の金融緩和政策を息長く続けていく下で「重視すべきリスクの点検」を行い、物価目標に向けたモメンタムをしっかりと維持すべく「適切な政策運営に努めていきたい」と語った。

  鈴木委員は、日銀の買い入れで市場で流通する10年物新発国債の減少傾向が続いていることについて、金融機関には「低金利環境下でも一定量の国債を保有するニーズがある」ため、このまま減少が続けば、「金融機関によっては保有国債残高が徐々に必要最低限の水準まで近付いていくことが予想される」と指摘。「状況に応じて各回の国債買い入れオペの金額についても適切な調整を図ることが重要」と述べた。

(第1−4段落に会見での発言を追加し、見出しと全文を差し替えて更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-28/PNM5SV6JIJUP01

 
3月の日銀オペ方針、残存5−10年の回数削減−月間で減額の公算
船曳三郎
2019年2月28日 17:36 JST
前月までと比べて減額示唆が円高要因となるリスクが後退−みずほ証
先物夜間取引は一時152円63銭まで下落、日中終値比11銭安
日本銀行は28日に発表した3月の国債買い入れ方針で、長期ゾーンを対象にしたオペの実施回数を減らす一方、1回あたりの買い入れ額のレンジの上限を引き上げた。月間の買い入れ総額は減少するとみられている。

残存期間5年超10年以下の買い入れ回数を月5回から4回に削減、1回あたりの買い入れ額のレンジ上限を引き上げ
その他の残存期間の実施回数・金額レンジは据え置き
20年、30年、40年債の入札翌日は残存10年超のオペなし、5年債の入札翌日は残存1年超5年以下のオペなし
10年債の入札翌日は引き続き5年超10年以下のオペ実施を予定

市場関係者の見方

みずほ証券の丹治倫敦チーフ債券ストラテジスト

前月までと比べて減額示唆が円高要因となるリスクが後退したと判断したからではないか
中長期ゾーンを中心とした日本国債の需給逼迫(ひっぱく)に対応した措置でもある
5年超10年以下は3月初回の購入額が直近の4300億円から4700億−4800億円に増えるのではないか
年度末にかけては季節的な需要に支えられるが、その後は新発10年債利回りはマイナス圏に定着しないのではないか
バンクオブアメリカ・メリルリンチの大崎秀一チーフ金利ストラテジスト

4月からの発行減額もあるので、いつかは来ると思われていた
初期反応としては少し売られるかもしれないが、限定的だろう
3月の初回オペ額が注目、4750億ー5000億円の間が見込まれる
市場の反応
  債券先物の中心限月3月物は夜間取引で日中取引終値より11銭安の152円63銭まで一時下落。


1年超3年以下:(単位:億円)
回数 金額(下限) 金額(上限)
3月 4 2500 4500
2月 4 2500 4500

3年超5年以下:(単位:億円)
回数 金額(下限) 金額(上限)
3月 4 3000 5500
2月 4 3000 5500

5年超10年以下:(単位:億円)
回数 金額(下限) 金額(上限)
3月 4 3000 6500
2月 5 3000 6000

10年超25年以下:(単位:億円)
回数 金額(下限) 金額(上限)
3月 4 1500 2500
2月 4 1500 2500

25年超:(単位:億円)
回数 金額(下限) 金額(上限)
3月 4 100 1000
2月 4 100 1000

 
超長期債が小幅高、利回り上昇で買い需要ー米朝首脳会談合意なしも
三浦和美
2019年2月28日 7:55 JST 更新日時 2019年2月28日 16:00 JST
債券市場では超長期債が上昇。最近の利回り上昇で投資家からの買いが入ったことに加え、米朝首脳会談を巡り、予定されていた合意文書の署名式が中止と伝わり、リスク回避の買いも入った。長期金利は朝方の1週間ぶりの高水準から横ばいまで戻した。

新発20年物167回債利回りは、日本相互証券の前日午後3時の参照値より一時0.5ベーシスポイント(bp)低い0.415%。新発30年物61回債利回りは0.60%、新発40年物11回債利回りは0.675%と、ともに小幅低下
新発10年物353回債利回りは横ばいのマイナス0.03%。朝方にマイナス0.02%と19日以来の水準まで上昇したが、午後に戻した
市場関係者の見方
岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
依然として海外情勢を巡る不透明要因がいろいろあるので、一方向にリスク選好の動きにはなりにくい
高値警戒感などで上値が抑えられても、利回りが大きく上がるという展開にはなりづらい
基本的に下値では押し目買いが待機しているという状況は変わらない
背景
米ホワイトハウスはベトナムのハノイで行われていた米朝首脳会談が予定より早く切り上げられたと発表
日経平均株価は引けにかけて下げ幅を拡大し、前日比0.8%安の2万1385円16銭で終了
東京外国為替市場ではドル・円相場が1ドル=110円台後半と、朝方に付けた111円00銭から円高方向に振れた
米10年物国債利回りは時間外取引で2.68%付近から2.66%に低下
2年債入札
最低落札価格は100円50銭5厘、市場の予想中央値と一致
応札倍率5.27倍に低下、テールは6厘に拡大
岡三証の鈴木氏
テールが拡大し、応札倍率も低下するなどやや弱めの入札結果
中短期ゾーンに関しては上値の重さが残っている
とはいえ、そこそこ無難に消化されており、需要がないという環境でもない
備考:過去の2年債入札の結果
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.155% -0.160% -0.030% 0.415% 0.600% 0.675%
前日比 +1.0bp +0.5bp 横ばい -0.5bp -0.5bp -0.5bp

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-27/PNLVTZ6TTDS901?

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/313.html

[経世済民131] 東証大引け 反落、輸出関連株に売り 引けにかけ下げ幅拡大 米朝首脳会談は決裂、合意なし ドル・円が下落 米金利低下 株安
東証大引け 反落、輸出関連株に売り 引けにかけ下げ幅拡大
2019/2/28 15:39

28日の東京株式市場で日経平均株価は反落し、前日比171円35銭(0.79%)安の2万1385円16銭で終えた。米中の貿易協議に対する楽観論の後退や、日本や中国の景気の先行き懸念を受け、電機や機械など主力輸出関連株を中心に売りが優勢だった。日経平均は前日に約2カ月半ぶりの高値まで上昇していたため、戻り待ちの売りも出やすかった。


画像の拡大
午後の相場は膠着感が目立っていたが、14時半ころから再び売りが強まり、大引け間際に200円近く下げる場面もあった。中国株や韓国株などアジア株式相場の下落に歩調を合わせ、海外勢が株価指数先物にまとまった売りを出して日経平均を押し下げた。米朝首脳会談で予定されていた日程が変更になったと伝わり、合意内容などに関する不透明感から株売りを促した側面もあるようだ。中国ではきょう発表された2月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が3年ぶりの低水準となり、景気減速への懸念もあらためて意識されていた。

JPX日経インデックス400は反落した。終値は前日比123.04ポイント(0.85%)安の1万4270.65だった。東証株価指数(TOPIX)も反落し、12.76ポイント(0.79%)安の1607.66で終えた。

東証1部の売買代金は概算で2兆4480億円。売買高は13億122万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は1337と、全体の約6割を占めた。値上がりは702、変わらずは91銘柄だった。

個別ではファナックやユニファミマ、東エレクなどの値がさ株に売りが目立った。エーザイ、トヨタも安い。一方、リクルートやセコム、ニチレイ、明治HDは上昇した。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕
https://www.nikkei.com/article/DGXLASS0ISS16_Y9A220C1000000/


米朝首脳会談は決裂、合意なし

米報道官
Margaret Talev、Youkyung Lee、Jihye Lee
2019年2月28日 15:06 JST 更新日時 2019年2月28日 18:08 JST
「北朝鮮は制裁の完全解除を望んだが、それはできなかった」
金委員長との次回会談は約束しなかった−トランプ大統領
トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の2回目の首脳会談は28日、物別れに終わった。北朝鮮の核開発プログラムを巡る将来の協議の行方は不明瞭になった。

  トランプ大統領は予定より早く唐突に終了した会談後に記者会見し、「交渉の席を立たなければならない時もある」と語った。「非常に建設的な対話ができたと思う」とも述べた。

  交渉がうまくいかなかったのは「制裁についてだった。基本的に、北朝鮮は制裁の完全解除を望んだが、米国としてそれはできなかった」と大統領は説明した。

  大統領はまた、金委員長との次回会談は約束しなかったとし、ハノイを出発した後に大統領専用機から韓国と日本の首脳に電話をすると述べた。

  トランプ大統領によると、金委員長は寧辺(ニョンビョン)核施設の解体を提案してきた。しかし、「それでは不十分だった」と大統領は話した。

  大統領は、米国が北朝鮮に他にも秘密の核施設が複数ある証拠を突き付けたところ、北朝鮮側は驚いたと発言。大統領と共に会見に臨んだポンペオ国務長官は、寧辺の施設がなくても北朝鮮は引き続きミサイルや弾頭など核プログラムの他の要素を保有することになり、それは米国として受け入れられないと付け加えた。

relates to 米朝首脳会談は決裂、合意なし−米報道官
記者会見するトランプ大統領写真家:SeongJoon Cho /ブルームバーグ
  ポンペオ長官は、米国は金委員長に「一段の取り組みを求めたが、委員長はその準備ができていなかった」と語った。

  トランプ大統領はさらに、「この日、合意に署名するのは適切ではないと感じた」と説明。「私は北朝鮮の発展を望んでいるので、制裁を解除したいと思った。しかしそれには北朝鮮がもっと譲歩しなければならない」と指摘した。

  将来の首脳会談の可能性は排除せず、会談は友好的に終了し両首脳は握手をかわして別れたと述べた。「暖かい関係があり、何か特別なことができる関係だ」と強調。ポンペオ長官も、両サイドが交渉を続けるとし、最終合意に「近づいた」と語った。

  ホワイトハウスのサンダース報道官は声明で、両首脳は「極めて良好かつ建設的な会談を行った」とした上で、「両首脳は非核化と経済推進の構想を促進するさまざまな方策を議論した。今回は何らの合意にも至らなかったが、双方のチームは将来の会談を楽しみにしている」と述べた。

  トランプ大統領と金委員長は昼食をともにした後、現地時間午後2時(日本時間同午後4時)に共同声明に署名する予定だった。

DPRK-USA Summit Takes Place in Hanoi
28日の会談を終えた金委員長の車列写真家:Justin Chin / Bloomberg
  米朝鮮首脳会談の唐突な終了を受けてアジア株と米株先物は下落を拡大した。韓国資産が下落し、円は上昇した。

  トランプ大統領は先に、非核化協議進展への期待を抑える発言をしていたが、この日午前の会談途中には、交渉は「非常に生産的」だとし、両国の「関係は今までにないほど良好だ」と述べていた。

  金委員長も米国の記者からの質問に答え、非核化の意志はあると言明していた。

Trump-Kim Summit Blog Tout
VIETNAM-US-NKOREA-DIPLOMACY-SUMMIT
トランプ大統領を乗せた車が会談会場のホテルを去る写真家:ゲッティイメージズによるNoel Celis / AFP
VIETNAM-US-NKOREA-DIPLOMACY-SUMMIT
トランプ大統領と金委員長(2月28日)写真家:Saul Loeb / AFP via Getty Images
原題:Trump Says He Walked Out on Kim After U.S. Demands Rejected(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-28/PNMGR16JTSE801


 

ドル・円が下落、米朝首脳会談で合意なしー米金利低下や株安重し
小宮弘子
2019年2月28日 11:56 JST 更新日時 2019年2月28日 15:48 JST
東京外国為替市場のドル・円相場は下落。海外時間にドル・円を押し上げた米長期金利が低下に転じたことや日本株の下落を背景に上値が重かった上、終盤には米朝首脳会談で合意がなかったことが伝わると下げ幅を拡大した。

ドル・円は午後3時46分現在、前日比0.2%安の110円80銭で、一時110円70銭まで軟化
ユーロ・ドルは1ユーロ=1.13ドル後半でもみ合い。同時刻現在は横ばいの1.1375ドル
111円から反落
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-28/PNM7CE6JIJUO01?srnd=cojp-v2

市場関係者の見方
しんきんアセットマネジメント投信の加藤純チーフマーケットアナリスト

米朝首脳会談が最後の最後でうまくいかず、特に核プログラム廃絶について疑問符がついたのか。結果が分からないだけに、疑心暗鬼になって少しリスクオフにしただけだろう−午後のドル・円下落
あおぞら銀行の諸我晃総合資金部部長

ドル・円の200日線の111円30銭手前では投機筋もレンジの上限とみているようで、111円に乗せると実需も含めて売りが入ってくる
インド・パキスタンを巡って地政学リスクが少し出てきていることや、株が弱いこともドル・円の上値を抑制
今晩発表される米GDP(国内総生産)は、第4四半期は小売りもあまり良くなかったので、予想を下振れるとみられ、ドル・円の重しになってくるだろう
背景
米朝首脳会談で合意なし
トランプ大統領の記者会見は当初予定の現地時間午後4時から午後2時(日本時間同4時)に変更された
日経平均株価は171円安で終了。米朝首脳会談の予定切り上げを嫌気し、引けにかけて下げ幅拡大
米10年債利回りはアジア時間の取引で2ベーシスポイント(bp)低下し2.66%
27日の米国市場では一時2.70%付近まで上昇、これに伴いドル・円は一時111円07銭までドル買いが進行
昨年10−12月の米GDPの市場予想は前期比年率2.2%増と同7−9月の3.4%増から鈍化する見込み 
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-28/PNM7CE6JIJUO01


 
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/314.html

[経世済民131] 米FRB、巨大バランスシートが「新常態」に ECBビルロワドガロー氏、長期にわたるマイナス金利の弊害警告 
コラム2019年2月28日 / 13:57 / 5時間前更新

米FRB、巨大バランスシートが「新常態」に
Richard Beales
2 分で読む

[ニューヨーク 27日 ロイター BREAKINGVIEWS] - パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は27日の下院議会証言で爆弾発言こそしなかったが、FRBはバランスシート縮小を年内に停止する態勢にあると認めた。今後のバランスシートは平時でも、世界金融危機前の少なくとも4倍の3兆5000億ドルに保たれることになる。

金融危機前のバランスシートが1兆ドルを下回っていた点からすれば、これでは到底「正常化」されたとは言えない。ただ、今ではより大きなバランスシートが欠かせなくなっている。

債券買い入れなど「量的緩和(QE)」を進めてきたFRBは2年前に、満期を迎えた証券の再投資を減らすことでバランスシートの縮小に着手した。最新のデータによると、現在のバランスシートの規模は4兆ドル弱で、ピークだった2015年初めの約4兆5000億ドルから縮小している。

一部のエコノミストはこうした動きを金融引き締めと受け止めている。FRBといえども、バランスシート拡大局面では金融緩和が行われたと考えていた。それでもパウエル議長は、FRBは利上げに「忍耐強く」なれると表明済み。今年末まで保有債券の自然償還を最大限促したとしても、バランスシートは過去を大幅に上回る水準が「新常態」となるように見える。

理由の1つは負債に見合う資産を持つ必要があるという点で、FRBの負債のうち現金通貨は1兆7000億ドルと2007年から2倍以上に増えている。

負債のうち預金準備も約1兆6000億ドルに膨らんだ。預金準備は変化し得る。しかしFRBは超過準備への付利で金利を調節しており、世界金融危機前とは調節手段が変化している。以前ははるかに小さい預金準備で金利を調整していた。

FRB理事の一部が、引き締めの行き過ぎによって昨年末のように市場のボラティリティーが高まるのを恐れてハト派になったという構図には、皮肉な側面もあるかもしれない。いずれにせよ、FRBが将来にわたり大きなバランスシートを抱えるのは間違いない。

●背景となるニュース

*パウエルFRB議長は27日の下院議会での証言でバランスシートの縮小を年内に停止する態勢にあると述べた。

*FRBが20日公表した1月29―30日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、参加者は「資産縮小を年内に停止する計画を近く発表することが望ましい」との考えを示した。

*FRBの昨年末のバランスシートの規模は4兆ドル強。2007年末の9000億ドル弱を大幅に上回っているが、2015年初めに記録したピークの4兆5000億ドル余りから縮小した。

*FRBの負債のうち現金通貨は昨年末時点で1兆7000億ドルで、07年から2倍以上に増えた。昨年末の預金準備は1兆6000億ドルと、08─09年の世界金融危機前の数百億ドルの水準を大きく上回った。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/frb-bs-breakingviews-idJPKCN1QH0GV


 

ECBビルロワドガロー氏、長期にわたるマイナス金利の弊害警告
Piotr Skolimowski
2019年2月28日 14:05 JST
欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのビルロワドガロー・フランス中銀総裁は、マイナス金利をあまりにも長く維持すれば、ECBの政策効果が経済に浸透する妨げになる恐れがあると警告した。

  ビルロワドガロー総裁は、家計や中小企業に銀行はマイナス金利の影響を転嫁することができないためマイナス金利は利益の重しになりかねず、「金融政策の円滑な伝達に悪影響を及ぼす可能性がある」と指摘した。

Bank of Japan Governor Haruhiko Kuroda and Bank of France Governor Francois Villeroy de Galhau Speak At The Paris Europlace Financial Forum
ビルロワドガロー氏写真家:太田清/ブルームバーグ
  同総裁は「想定以上に長期にわたりマイナス金利を維持しなければならない場合、銀行経由の金融政策の伝達に及ぼしかねない悪影響をどのように緩和すべきか実際的に検討する必要がある」と発言。金融政策の正常化がなお望ましいとしながらも、「景気減速が続くようであれば、対応する」と述べた。

原題:Villeroy Warns of Adverse Effects of Longer Negative-Rate Period(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-28/PNMACV6KLVRE01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/315.html

[政治・選挙・NHK257] 元号法廃止を主張 共産・志位氏 衆院で賀詞決議 天皇陛下在位30年 共産は欠席 天皇をどうする ◇「党綱領改定案」から
元号法廃止を主張 共産・志位氏
政治
2019/2/28 18:43 
共産党の志位和夫委員長は28日の記者会見で「元号は『君主が時をも支配する』との考えから来ている。国民主権の原則になじまない」と述べ、元号法廃止を改めて主張した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41878430Y9A220C1PP8000/


 

衆院で賀詞決議 天皇陛下在位30年 共産は欠席
政治
2019/2/26 13:15 
衆院は26日の本会議で、天皇陛下在位30年を祝う「賀詞」を全会一致で議決した。共産党は在位の節目に賀詞を議決する前例は無いとして本会議を欠席した。賀詞は「常に国民に寄り添い、その安寧を祈り続けておいでになった平成の御代30年にわたる天皇陛下のご事績は、国民ひとしく敬慕の念に堪えないところであります」と祝意を表した。与党は参院でも賀詞を決議する考えだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41749370W9A220C1PP8000/

 
天皇制と自衛隊の問題

どちらの問題でも、党の態度は明確であります。

 天皇制については、綱領改定案は「党は、一人の個人あるいは一つの家族が『国民統合』の象徴となるという現制度は、民主主義および人間の平等の原 則と両立するものではなく」と、その評価を明確にしております。また、今後についても、「国民主権の原則の首尾一貫した展開のためには、民主共和制の政治 体制の実現をはかるべきだ」という方針を明示しています。

 自衛隊については、改定案は「憲法第九条の完全実施(自衛隊の解消)」と明記しています。“第九条違反”という認識と、“自衛隊の解消によって第九条の完全実施にすすむ”という目標とが、ここには、はっきりと書かれているわけであります。

 しかし、党の認識と態度を表現するだけでは、政党の綱領にはなりません。この認識にもとづいて、現状をどのようにして変革するのかの方法を明示してこそ、綱領としての責任ある方針になります。

 天皇制の問題でも、自衛隊の問題でも、国民の現在の多数意見はその存在を肯定する方向にあります。その状態が変わって、国民多数が廃止あるいは解消の立場で合意しない限り、この問題での改革は実現できません。

 その際、自衛隊の問題は、自衛隊の存在自体が憲法に違反しているという性格の問題であります。ですから、現憲法のもとで民主連合政府が成立した ら、成立のその日から、政府は、自衛隊の存在と憲法との矛盾をどのように解決するかという問題に直面し、その態度が問われることになります。だから、そこ に至る方途と道筋を、綱領で明記したわけであります。

 天皇制の問題は、その点で事情が違います。これは、この問題でなんらかの改変をおこなうこと自体が、憲法の改定を必要とする問題であります。一 方、戦前のような、天皇制問題の解決を抜きにしては、平和の問題も、民主主義の問題もないという、絶対主義的天皇制の時代とは、問題の位置づけが根本から 違っていることも、重視すべき点であります。
https://www.jcp.or.jp/web_policy/2004/01/-2004113.html

 


 

天皇をどうする
◇「党綱領改定案」から
 天皇条項については、「国政に関する権能を有しない」などの制限規定の厳格な実施を重視し、天皇の政治利用をはじめ、憲法の条項と精神からの逸脱を是正する。

 党は、一人の個人あるいは一つの家族が「国民統合」の象徴となるという現制度は、民主主義および人間の平等の原則と両立するものではなく、国民主権の原則の首尾一貫した展開のためには、民主共和制の政治体制の実現をはかるべきだとの立場に立つ。しかし、これは憲法上の制度であり、その存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべきものである。

→関連部分

◇憲法にある制度として、天皇制と共存
天皇制の問題です。

 戦前の日本では、日本共産党は「天皇制打倒」という方針をかかげました。戦前は、天皇が国の全権力を体現していましたから、天皇が全権限を握るという政治の仕組みをなくさない限り、平和もない、民主主義もない、社会のいろんな改革もないのです。天皇制打倒の立場に立たないと、国民主権の民主主義の立場も、侵略戦争反対への反戦の立場も、成り立ち得ない。そういうときですから、わが党の先輩たちは、命がけで天皇制反対、天皇制打倒の旗をかかげたのです。このために「国体に反対する」ということで迫害され、随分多くの方たちが命を落としました。しかし平和と民主主義のために、この旗を貫きました。

 しかし、戦後は、みなさんご存じのように、天皇制の性格と役割が憲法で変わりました。戦争前は天皇というのは、日本の統治者で、国の全権限を握った存在でした。ところが今の天皇は「国政に関する権能を有しない」、つまり、国の政治を左右する力はまったく持たないものだということが、憲法第四条に明記されています。だから、天皇制をなくさないと、私たちがかかげる民主的な改革、安保条約の廃棄もできないとか、国民の暮らしを守るルールもつくれないとか、そういうことはないわけです。だから私たちは、四十二年前に綱領を決めたときも、実際にはもっと前からですが、「天皇制打倒」の旗をかかげたことは一度もないのです。

 もちろん私たちは、日本の国の制度、政治の制度の問題としては、一人の個人が「日本国民統合」の象徴になるとか、あるいは一つの家族がその役割をするとか、こういう仕組みは民主主義にもあわないし、人間の平等の原則にもあわないと考えています。ですから将来の日本の方向として、どういう制度をとるべきかということをいえば、天皇制のない民主共和制をめざすべきだというのが日本共産党の方針であって、この点に変わりはありません。

 しかし天皇制というのは、憲法で決められた制度であります。日本共産党の考えだけで、変えられるものではありません。日本の国の主人公である国民の間で、民主主義をそこまで徹底させるのが筋だという考えが熟したときに、はじめて解決できる問題であります。それまでは、私たちの好き嫌いいかんにかかわらず、憲法にある制度として、天皇制と共存するのが道理ある態度だと私たちは考えています。

 では、共存しているときに何が大事かといえば、私はこの点でも、憲法で決められたことをきちんと守ることが非常に大事だと思います。先ほどいいましたように、憲法第四条には、天皇は「国政に関する権能を有しない」と書いてあります。

 世界にはいろんな君主制があります。イギリスではいま女王が君主の地位についています。こういう君主制の国では、国政に関する権能をまったく有しない君主というものはいないのです。君主というからには、統治権の一部は必ずもっており、「国政に関する権能」を持っているのです。それを憲法で、勝手なことができないよう制限している、これが立憲君主制なんですね。みなさんご存じでしょうか。イギリスの議会で施政方針演説を誰がやるかというと、書くのは政府ですが、議会でこれを読み上げて演説するのは女王なんです。やはり君主として統治権を持っていることのあらわれが、そういうところに起きるわけですね。日本のように、「国政に関する権能を有しない」ということを定めた条項をイギリスは持っていません。

 国の政治の体制の性格をみるには、主権がどこにあるか、ということが一番大事です。日本は、憲法で国民主権を明確に宣言している国ですから、天皇主権の国ではなく、天皇と国民が主権を分かち持っている国でもありません。主権が国民に属する国ですから、日本の今の政治の体制を君主制だというと、これは大きな誤解を生むことになります。だから今度の綱領の改定案では、その種の言葉はやめました。

 そうすると、天皇制と共存している時期に何が一番大事か。憲法のこの条項を守ることです。国政に関する権能がないのに、昔のように、天皇にだんだん政治的な権能を持たせようとするような動きとか、君主扱いするような動きとか、そういうものが、いろんな形で顔をだし、むしろ強くなってゆく傾向にあります。これにたいして、日本共産党が、憲法に照らして、そういう間違いをきちんと正そうじゃないか、天皇制の問題でも、憲法どおりの政治の運営、国の運営もやろうじゃないか、こういうことをきちんとやることが大事です。そのことを私たちは今度の改定案で具体的にうたいました。

 まとめていいますと、私たちは、目標としては民主主義の精神、人間の平等の精神にたって、天皇制をなくす立場に立ちます。これをどうして実現するかといえば、主権者である国民の多数意見が、その方向で熟したときに、国民の総意で解決する、ということです。これが、天皇制の問題を解決してゆく、道理ある方法だと考えて、今度の綱領に明記したわけであります。

(「党綱領の改定について」不破議長の党創立81周年記念講演から)

→関連部分

◇国会での「賀詞決議」をめぐって
 次に天皇条項の問題に関連して、稲垣さんから、一昨年国会でおこなわれた皇太子の長女誕生にさいしての「賀詞決議」にかかわる質問が出ました。

 まず、問題の基本からのべますと、私たちは、一般的にいえば、憲法で定められた国家機関のあいだの儀礼的な関係として、慶弔のいろいろな事態にたいして、「賀詞」や「弔辞」が出されることそのものを、全般として否定する態度はとっておりません。もちろん、その場合でも、民主主義の立場にたって、どこまでが“許容範囲”か、という問題があります。私たちは、その点で、国権の最高機関である国会が、皇室との関係で、とくにへりくだったり、いたずらに相手がたをあがめ奉ったりする態度(用語をふくめて)はとるべきでない、ということを、その都度、国会のしかるべき場所で主張してきました。

 例の賀詞の問題では、経過的にみて、一つの問題が起きたのです。最初に参議院の案が提示され、その案をもとに検討し、党は賛成の態度を決めました。ところが、衆議院では、党の代表は、基本的な態度はのべたのですが、文案そのものの吟味はおこなわず、結果的にはいいっぱなしということになりました。当事者は、内容は参院の賀詞とほぼ同じと思っていてのことでしたが、衆院の賀詞には、参院のものにはなかった文言、「皇室の繁栄」を望むという趣旨の文言が入っていたのです。これは、日本の将来にもかかわる問題で、天皇制にたいする党の考え方からいって、賛成しえない問題でした。こういう経過から、衆議院では、党の立場にふさわしい原則的な態度がとれなかった、という結果になりました。

 これが、一昨年の国会での賀詞決議をめぐる問題の経過であります。

 こういう問題は、これからも、いろいろな形で起こりうるものですが、今回、天皇制の現在と将来にたいする党の基本態度を、綱領であらためて明確化するということもあり、ことの性質におうじた正確な対処をするように、努力したいと考えています。

(「党綱領改定案についての質問・意見に答える」から)

→関連部分
https://www.jcp.or.jp/jcp/22th-7chuso/word/key/01_50tenno.html

http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/982.html

[経世済民131] 対外直接投資の現状と展望「六重苦」の経緯  
対外直接投資の現状と展望

(唐鎌 大輔)

「六重苦」の経緯

 近年、日本企業による海外企業買収というニュースが頻繁に報じられるようになっています。例えば去年であれば、武田薬品が7兆円で海外企業を買収しました。
 今から18年ほど前には、日本の対外純資産と言えば半分以上が有価証券だったのですが、今はその割合が落ちてきて、その一方で上がってきているのが直接投資です。
 直接投資というのは定義上二つあり、一つは日本の企業が工場や生産設備を海外に土地を買って建てる、グリーンフィールド投資。もう一つが海外の株式を取得することによる海外企業買収ですが、基本的には後者を指すことが多くなっています。過去3年では証券投資よりも多くなり、今日本の対外純資産の40%以上が、この直接投資だと言われています。
 それでは、日本企業はなぜこれほど海外の企業を多く買ってきたのでしょうか、そしてこれはいつまで続くのでしょうか。相当の水準になってきているので、今年で終わりではないかと毎年言われています。しかし、結論から言うと、それほど簡単には終わらないものなのです。
 そもそもなぜ日本企業の海外企業買収が多く出てきて、今の円高を抑える元になっているのでしょうか。
 過去、2011年から12年にかけて、日経新聞などでよく使われていた「六重苦」という言葉をお聞きになったことがあるかもしれません。その「六重苦」とは、超円高、高い法人税、高い電力価格、進まない自由貿易協定、硬直的な雇用規制、そして厳格な環境規制、この6つです。この6つは、やはり日本企業にしかない足かせで、海外企業は経験していないアンフェアなものであると言われてきました。
https://asset.ohmae.ac.jp/wp-content/uploads/2019/02/e3ca1917299edcf4204c89013bd623a5.jpg

 当時から7、8年経ってみて、こうした事はもうなくなったので、それほど直接投資は出ないのではないかという見方も出始めています。確かに、一番問題とされていた超円高と、厳格な環境規制は無くなりました。少なくとも今は超円高ではありません。
 また、温暖化ガス削減目標を2020年までにどうするかということについても、民主党政権ではとても高い目標が定められていましたが、安倍政権になってから大きく下方修正されたという事実があります。このように二つの苦は解消されたと言えますが、それ以外についてはどうでしょうか。
 法人実効税率の国際比較を見ると、安倍政権になって法人税引き下げがあったので、諸外国との差は多少詰まったものの、決して日本は税率が低いわけではありません。どちらかと言えば高い部類に入り、法人税で日本を選ぶ理由には、以前としてならないわけです。
 そして、電力価格はどうかと言うと、エネルギー白書のデータを見ても、決して低くはありません。法人税や電力価格については、高い高いと言われていたところからは修正されているものの、以前として高水準という事実は消えておらず、直接投資を止めさせるほどの水準ではないと言えます。
 その他の、硬直的な雇用規制については、いまだに終身雇用と、大きく変化はしていません。
 進まない自由貿易協定については、当時はTPPがまとまらない、発行しないということで、企業にとって望まれる自由貿易圏の策定が遅れていると言われていました。そうした意味では、ここ数年はそれがものすごく進みました。TPPは合意し、発行し、今年の2月には日欧EPA経済連携協定も発行しました。日本はその2つの協定によって、10億人の自由貿易市場を手に入れたと言われていて、自由貿易戦略という意味では、安倍政権の下で非常に進んだわけです。
 この項目に関しては、「六重苦」ではなくなったわけですが、しかし今、自由貿易陣営自体がまずい状況になってきていることも確かです。自由貿易をずっと推進してきたアメリカという国もひどい状況になっています。自由貿易を推進する戦略自体はうまくいったものの、その戦略が正しいものだったかどうかについては、時代として試される環境になってしまったのです。この項目に関しても、自由貿易ができるからといって、日本企業が日本に残る理由になるのかと言うと疑問です。
 こうしてみると、「六重苦」は当時と比べると良くはなりましたが、企業にとって魅力的になったのは為替水準くらいではないでしょうか。まだ直接投資を止めるような理由にはなっていないのです。
 こうした「六重苦」と呼ばれるもの以外にも、日本企業が海外企業買収を進めてきたもっと本質的な理由があります。まず、お金がないと海外企業買収はできません。
待機資金と人口減少社会
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 2011年、12年には140兆円程度だった日本企業の現預金は、200兆円ほどまで膨らんでいます。日本企業が持つ待機資金、いわゆる使うための資金は非常に豊富にあるわけです。5年前の比ではありません。
 そしてさらに最大の理由として挙げられるのが、日本の人口減少です。日本のマーケットが縮小していくという未来がわかっているからこそ、時間を買う、技術を買う、企業を買うという選択肢になってくるわけですが、その点は全く変わっていないのです。お金があり、日本のマーケットが縮小するとわかっている以上、やはりこれから外に出る企業はまだまだ増える、ひいては円売りも増えるということになるのです。
 ただ、それが円安をドライブするほどの威力かと言えばそうでもありません。円高が過去に進んできた水準までは進まないという程度の話です。そうした材料として検討してみるべき視点だと思います。
 ただ、そうした中でもこのノルド・ストリーム2の建設については、ロシアから見ても非常に重要なもので、また、メルケル首相の置き土産としても非常に大切なものです。かつ、2038年には石炭火力発電を全く廃止する計画なので、ドイツとしてはこれをやらざるを得ないという状況だと思います。
増えて当然の外部環境

 直接投資と証券投資とでは直接投資の方が増えているわけですが、それは当然のことです。なぜならば直接投資の方が証券投資よりも儲かるからです。当たり前の事ですが、世界的にゼロ金利傾向が強まっていて、ヨーロッパと日本に関しては金利がマイナスになった以上、証券よりもビジネスに直接投資をした方が儲かる世の中になったということです。
 とりわけアジアに投資をした方が多く儲かるということが、直接投資の収益率の比較を見てもはっきりとわかります。このデータからも、アジア地域を中心とする直接投資の行為は減ることにはならないというのが、一つの結論になってくるのです。
 話をより為替に近づけてみます。直接投資というのは、円相場の需要と供給を考えるもので、日本企業がたくさん円を売ると、なかなか円高に行かないという話なのですが、為替の動きを決めるのはそれだけではありません。経常収支や対外証券投資、いわゆる機関投資家の外国債への投資、対内証券投資、つまり外国人が日本の証券をどれほど買ってくるかといったことをもろもろ合算したものが次のグラフです。

 このグラフで表されたものを基礎的需給と呼んでいます。このグラフ上の黒い丸が0より上にあると、円を買いたい人の方が多く、0より下にあると円を売りたい人の方が多いということを示しています。
 これを見ると、2018年はわずかに円売り、円を売りたい人の方が多くいました。一方、2017年は円を買いたい人の方が少し多かったことがわかります。2つの年を合計するとほぼゼロになります。2017年から18年は、あまり為替が動かなかったわけですが、結局動かない背景にはこうした需給の拮抗という事実があったのです。
 こうした過去を踏まえて今後はどうかと言うと、対外証券投資というものはアメリカの利上げがあるという前提で出て行っているものであり、アメリカの利上げがあって日米金利差が開くことで、円売りドル買いが多く出るという動きでした。
 しかし、もうアメリカは利上げをしないと言っています。むしろ利下げを見ている人もいるほどです。そうするとこの対外証券投資の部分はそれほど多く出ないと予想されます。この部分が出ないとなると、グラフの黒丸は、かなり上に行きやすくなります。2013年を見るとわかりますが、対外証券投資が多くない年は、やはり黒い丸が上に行ってしまっています。
 一方、直接投資はあまり増減せず、毎年コンスタントに同じ幅が出ていることがグラフからも見て取れます。今年も直接投資は順当に出ると思われます。ただ証券投資に関しては幅が出やすいので、証券投資が減る中で、需給として今年は円買いに傾きやすいのではないかという警戒感を持っています。
【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座/「金融リアルタイムライブ」講師
みずほ銀行 国際為替部 為替営業第一チーム
チーフマーケット・エコノミスト
唐鎌 大輔
2月18日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
▼詳しくはこちら


▼その他の記事を読む:
【前回の記事】エネルギー輸出入と国際情勢(大前研一)

https://asset.ohmae.ac.jp/mailmagazine/backnumber/20190228_1/ 



http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/318.html

[経世済民131] 総務省がふるさと納税で奥の手、渦中のあの街は 年30億円、もうひとつの「廃棄ロス」防げるか 
総務省がふるさと納税で奥の手、渦中のあの街は

奥平 力
日経ビジネス記者
2019年2月28日
 
全1116文字
 ふるさと納税で過熱する返礼品競争を受け、総務省が制度の見直しを急いでいる。その1つとして浮上する最も過激な案は、問題がある自治体に関しては「過去の取り組みまでさかのぼって除外対象にする」というものだ。6月からの規制強化を前に、駆け込み的に寄付を集めようと走る一部自治体が念頭にあることは言うまでもない。「100億円還元」を実施中の大阪府泉佐野市の担当者は2月28日、「あってはならないことだ」と強く反発した。
 


(写真:Keiko Hiromi/アフロ)
 政府は今の国会に、ふるさと納税の規制強化を盛り込んだ地方税法改正案を提出済み。返礼品については「調達価格が寄付額の3割以下の地場産品」と明記し、この基準を満たす自治体のみを総務相が制度の対象に指定し、指定されなかった自治体に寄付しても減税の特例が受けられない「認可制度」に6月から移行する。

 本来の趣旨から外れた過剰な返礼品競争を抑えようと、総務省はこれまでも自治体に度々自粛を求めてきた。今回、過去の取り組みもさかのぼって自治体を評価し、継続・除外の判断をする仕組みも水面下で検討。総務省にとっても、自治体にとってもまったく前例がない「奥の手」さえ準備する背景には、国の要請に沿って見直した自治体ばかりが割を食うような、「正直者が損をする」事態を避けたい。こんな思いがあるとされる。


関西国際空港の開港に伴う都市基盤整備の過剰投資で財政難に陥った泉佐野市は、ふるさと納税に力を入れてきた(写真:アフロ)
 かたや「独走」気味の泉佐野市は、特産品がある自治体と協定を結ぶなどして高級和牛やカニなど1000品目にも上る返礼品を用意し、2017年度は全国最多の約135億円の寄付金を集めた。18年度の寄付受け入れ額も360億円に達する見通しで、「100億円還元」の効果もあって、さらなる上振れも見込まれる。仮にふるさと納税の新制度で、過去の取り組み状況が判断基準となり指定を得られない状況になれば、こうした収入が失われる可能性がある。

 泉佐野市の担当者は「地方自治に対する危険な関与だ。現状で違法なことをしているわけではない。法律が成立する前の取り組みを勘案することはあってはならない」と強く反発する。もっとも、多くの自治体は泉佐野市とは距離を置く。ふるさと納税仲介サイト運営のトラストバンク(東京・目黒)が契約自治体を対象に2月実施した調査では、回答した460団体のうち9割以上が「100億円還元」のような金券で寄付を集める行為に、「反対」もしくは「どちらかと言えば反対」と答えた。泉佐野市の孤立感は一層高まっている。

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サラリーマン

サラリーマン

この市の出身者なので養護したい気持ちも無くは無いけど、この市はやりすぎでしたね。
ただそれと「法令不遡及の原則」に反するのは別の話です。国に喧嘩を売っているからってのを認めると、沖縄も国と交渉できなくなってしまいます。
ただ、裏技としては、次年度以降の地方交付金を減らしていくってのだと、やっても良いかもしれません。


ふるさと納税の加熱について思うこと
加熱のしすぎはダメですが、地場産業が無く、地場産業を育てる税収が欲しい自治体に対しては、ある程度融通させても良いのでは?と思います。(地場産品限定を外すか、金額制限を外すか)
2019/02/28 17:59:361返信いいね!


谷守

自営

国会は何をしているのだろうか?国会は、今までも、何をしていたのだ?泉佐野市を違法者にしては行けないだろう。

2019/02/28 18:10:201返信いいね!


事務員

総務省も本気でこれが通るとは思っていないのでは?、こんな過激な話が飛び出すほど激怒している、ということではないでしょうか。

2019/02/28 18:35:58返信いいね!


へたれFP

バレンタイン・ショックこと節税保険の規制強化もそうですが、遡及適用は末端の納税者まで巻き込み大混乱に陥りかねないだけに、さすがに難しいと思いますよ。

2019/02/28 19:36:081返信いいね!


47

『過去の取り組み状況が判断基準となり指定を得られない状況になれば、こうした収入が失われる可能性がある』と書かれているが、ふるさと納税の仕組みを理解していないのではないか?!
ふるさと納税の収入自体は有効な寄付行為であり、寄付した国民が単に税金の還付を受けられなくなるだけで、怒るのは、欲に任せて寄付した国民だけでは?!
国家ぐるみの寄付金詐欺と言われても仕方がないような方法を奥の手と呼ぶのは、いかがなものか。
2019/02/28 20:04:041
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/022800128/


 


 
年30億円、もうひとつの「廃棄ロス」防げるか

武田 安恵
日経ビジネス記者
2019年2月28日
1 92% 
 コンビニやスーパーなどで節分用の恵方巻きが大量に廃棄される問題は今年もなかなか解消できなかった。実は、株式市場の世界にも膨大なロスが存在する。余ってしまった株主優待を捨てるのか、生かすのか。「株主優待ロス」をできる限り少なくしようという動きが広がり始めている。


換金性の高い優待品ならば、金券ショップに持ち込むケースもあるが……(写真:共同通信 )
 3月は上場企業の6割の決算期が集中し、市場では「株主優待の権利取りを意識した買いが増え始める時期」と言われる。もちろん、各種優待品は投資先への愛着を深めるのにも役立つが、「優待品の多くが現物」という難点も併せ持つ。企業や機関投資家にとっては活用が難しく、換金性の高い一部のものを除いて破棄してしまうケースが多い。ある試算によれば、その額は年間30億円分に相当するという。

 こうした背景からロスを極力なくそうという動きがここに来て出始めた。日本証券業協会は今年、証券会社が受け取った不要な株主優待をNPO団体などに寄付する新たな仕組みをつくる予定。会員サイトを立ち上げ、証券会社自らが寄付先を探さずとも、支援を必要とするNPOに物品が行き渡るようにするという。国連が定める持続可能な開発目標(SDGs)に沿った活動の一環で、関係者は「フードロス、ならぬ株主優待ロスを防ぐ仕組みだ」と話す。

 19年1月に金融機関の関係者や弁護士らが有志で立ち上げた「優活プロジェクト」も同様の取り組みを始めており、企業などからもちこまれた優待品を、公益財団法人の協力を経て、社会貢献団体に幅広く配分。4月からは一般からの優待品持ち込みも募る。

 株主優待は、企業にとっても手間やコストがかかる取り組みで、優待品の調達のみならず、それを株主名簿に記載されている株主すべてに配送する手間やコストを考えると「もっと良い株主還元策があるのでは」との声は根強い。投資家からも「優待を実施する資金を配当に回してほしい」と、実利の要求も強い。

 一連の取り組みの狙いとして、株主優待を「社会貢献」につなげることで、「アンチ優待派」を納得させる効果を期待している面もある。最近ではアサヒグループホールディングスのように、優待品を受け取らない場合、それ相当の資金を寄付できるオプションを優待内容に加える企業も出てきており、優待ロス圧縮の意識と流れは今後加速しそうだ。

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joh

特定の物品や施設利用などによる優待の場合、受け取る側にマッチングしないケースもあるだろう。その対応として「寄付」のようなことが選択できるなら、企業、投資家、寄付先の三者Winになりうるので歓迎する。

2019/02/28 17:26:532返信いいね!
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/022800127/
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/319.html

[国際25] 桁違いの中国最大の民営投資会社がデフォルト 正念場の中国経済、狂暴な「犀」が暴れ出した 
桁違いの衝撃、中国最大の民営投資会社がデフォルト
正念場の中国経済、狂暴な「犀」が暴れ出した
2019.2.28(木) 福島 香織
中国の太陽光発電関連産業が暗黒期に突入。中国経済に深刻な影響をもたらしている(写真はイメージ)
(福島 香織:ジャーナリスト)

 よく「ブラックスワン」とか「グレーリノ」という言葉が、金融経済用語として聞かれる。

 ブラックスワンは、マーケットにおいてほとんど予測ができない極端な事象が起きて、それが広大な影響を与えることを言う。黒い白鳥は存在しない、あり得ないと思われていたのに、存在が見つかったとき大きな衝撃を与えたことからそう呼ばれる。リーマン・ショックなどはブラックスワンだ。

 一方、グレーリノ、つまり灰色の犀(サイ)は、高い確率で存在し大きな問題を引き起こすにもかかわらず、軽視されがちな事象のこと。犀は図体が大きく、そこに存在することがわかっているが、目立たずおとなしいので軽視されがち、だがいったん暴れ出すと手が付けられない、ということが由来という。不良債権や不動産バブル、少子高齢化問題などは、普段からそこに危険の予兆として存在していることは誰もが知っているのに、長い間そこにあるために慣れてしまうという“灰色の犀”だ。

 とすると中国のマーケットは灰色の犀が群れを成して生息しているわけだが、一番狂暴なのはどれか、というと最近“社債デフォルト(債務不履行)”ではないか、という指摘が出てきている。

衝撃度が違った中民投の社債デフォルト
 企業債デフォルトは実は、昨年あたりから頻発しているので、ある意味、中国人も慣れてきていた。しかし、今年(2019年)に入って、中国最大の民営投資企業集団の社債がデフォルトして、その灰色の犀が思っていた以上に狂暴であることを再認識させられた。

「中国民生投資集団」(中民投、CMIG)の「16民生投資PPN001」という社債は1月29日が償還日だったが、償還が延期された。当初、技術的問題、と説明されていたが、結局債務不履行となった。償還できなかったのは、太陽光パネル投資の失敗や企業買収による負債からくる資金の流動性の困難が原因だったとか。

 2018年、民営企業の社債デフォルトは2018年に42社118件で総額1200億元規模にのぼっていた。もはやデフォルトラッシュといっていいぐらいで、社債デフォルトにはちょっと慣れかけていたのだが、この中民投のデフォルトは衝撃度が違った。

 中民投は、中華工商業聯合会という中国最大の民間企業商会の後押しを受けて、中国の大民営企業59社がそれぞれ2%を超えない範囲で出資する形で、国務院の批准を得て2014年に設立された民営企業の希望の星である。資本金500億元。総裁の李懐珍は、中央銀行や銀行監督管理委員会、民生銀行の幹部を務めた人物で、民営とはいえ、政府の全面的バックアップを得ていた。中国版モルガン・スタンレーなどとも呼ばれ、当初は「民営企業の育成や業界再編、地域経済の構造改革などに役割を果たす」などと、大いに期待が寄せられていた。

中国民生投資集団(CMIG)のホームページ画面
 2016年までには資本総額は3100億元を越える規模に急成長、「秒速で稼ぐ企業」などともいわれた。そんな大企業が社債デフォルトとは、中国の民営経済がどれほどいびつで行き詰まっているのか、ということを世界中に知らせてしまったことになる。

政府に梯子を外された太陽光パネル投資
 中民投は当初は太陽エネルギーパネル、鉄鋼物流、船舶の3分野に投資してきた。これらは中国の“過剰産業”だが、中民投はこうした過剰産業の企業整理を促進する役割も担わされていた。

 中でも太陽光パネルへの投資は、中国ネットニュースサイト「澎湃新聞」によれば、この5年で1500億元、発電設備の出力に換算すると20GW(ギガワット)という。2015年には寧夏に世界最大の単体太陽光パネル発電所を建設するプロジェクト(2GW規模)に150億元を投じた。その年の寧夏全域の太陽光発電量指標は、わずか600MW(メガワット:1GW=1000MW)程度である。それに対して、2016年6月に1期工事が終わった段階での寧夏送電網における電力生産能力規模は、380TW(テラワット:1TW=100万MW)と寧夏日報は報じた。あの砂漠のど真ん中で、そんなに電力が必要だったのか。

 いや、そんなことよりも中民投にとって重要だったのは、その時点で中国政府が太陽光発電導入の上潮ムードを盛り立てており、買い取り価格への補助金制度もあったことだった。習近平政権は環境保護に特に力を入れている。中国の場合、民営企業でも市場の需要より政治の空気を重視する。

 だが2018年、国家発展改革委員会、財政部、国家エネルギー局は、突如、中国の太陽光発電関連産業の発展に急ブレーキをかけるような通達を次々と発表する。1200億元の補助金不足が発覚したのをきっかけに、政府としても太陽光バブルを弾けさせるほかなかったのだ。

 一番影響が大きかった通達は、2018年6月の「進行中の太陽光発電所建設の計画をすべて一時棚上げする」というものだ。補助金はほとんど削減され、太陽光発電の電力の全面的値下げ、全面整理を通達した。これにより中国の太陽発電市場は1000億元規模も縮小、ほとんどの太陽光発電関連工場が停止し、関連企業がばたばた倒産に追い込まれた。太陽光発電関連産業は暗黒期に突入したのである。中民投は国家の電力政策にあおられて、梯子(はしご)を外された格好だ。

 今回の社債デフォルトの原因も、寧夏の銀行が関わっているという噂があり、おそらくは太陽光発電プロジェクトの失敗が影響しているのではないかと言われている。

経営戦略を転換し、役員を大幅に入れ替え
 このデフォルト騒動で、中民投が発行している債権17中民G1、18中民G1、18中民G2が軒並み取り引き停止になった。中民投は、民営企業に投資し、株主になり、経営に参与し、民営企業を立て直すというこれまでの経営戦略方針を転換。手持ちの優良な企業株を売り、利益が出ない企業は整理して、投資中心の戦略に変えていくようだ。

 中民投が持っている最も良質の資産といわれる上海の董家渡地域の開発プロジェクトの債権は、上海国有資産委員会の後ろ盾をもつ緑地ホールディングスに121億元で譲渡。この土地は、デフォルト騒動が表沙汰になる前に上海金融裁判所に差し押さえられていた。

 また、中民投傘下の筆頭投資会社である「中民文化投資集団」の経営からも手を引き始めているようだ。中民文化投資集団の株主は14法人だったが、7法人に減った。減った株主法人はみな中民投の子会社だった。

 その他の航空融資関連や健康融資関連や不動産開発、環境保健関係、病院医療関係の上場企業株なども今後売却して資産整理していくという。2015年に買収した上置集団や2016年に買収した億達中国など有名不動産開発企業も売却リストに入っているとされ、外国の戦略投資家たちとも目下接触しているという。

 昨年8月の段階で、それまでの責任をとって李懐珍が総裁職を降り、10歳若い52歳の呂本献が総裁になって債務問題処理を担当している。目下のところ中民投の総資産は3100億元、負債総額は2200億元以上で、純資産は800億元あまり。マイナスではないので流動性が回復すれば立ち直れると、呂本献総裁はコメントしている。

 役員も昨年10月までに大幅に入れ替えられた。ボードメンバーには、農作物種子売買や農産食品物流などで急成長を遂げている正大集団の幹部も加わっている。折しも今年から中国の農地改革を伴う“興村興郷”政策が本格化すると見込まれているので、この分野が中民投復活の鍵、という人もいる。

不動産バブルという、もう1頭の犀
 ただ中民投が2019年に償還せねばならない社債は総額533億元規模にも上る。無事切り抜けられるかは不透明。民営企業業界そのものを立て直し、活性化する任務をおったメガ投資集団が挫折しかけているという事実は、今年いよいよ民営企業債デフォルトが灰色の犀となって暴れ出す、という予測を生んでいる。

 犀は1頭だけではない。不動産バブルは社債デフォルトと番(つが)いの犀だ。

 中国は実体経済の悪化を受けて、企業債の乱発がかねてから問題にはなっていた。その償還ラッシュは2019年から急増し、2021年にピークともいわれている。中国2大格付け機関の1つ、中誠信国際の推計では、年内に償還予定の社債総額は5.7兆〜6.2兆元規模(国有企業債、民営企業債、CRMWなど)。特に地方政府融資プラットフォームの債権、民営企業債権、中小不動産関連債権の償還が危ういとされている。

 中でも不動産関連債権の償還は4026億元規模、これは2018年の倍の規模だ。また中信建設投資の推計では、2019年は4804億元規模の不動産関連債権の売り戻しを投資家たちは選択するとみられている。それを合わせると、償還期限を迎える不動産関連の債権は、第1四半期だけでも2263億元以上だという。国内債権だけではなく、海外の中国資本発行人のドル建て債権も同じような状況らしい。

 ところが、2019年春節があけてまもなく、大手不動産企業が一斉に債権を発行している。マレーシアのフォレストシティ開発を手掛けていた碧桂園はじめ、中国恒大、中国奥園、融信中国、正栄地産、禹洲地産、緑地中国、世茂房地産などだ。2月18日までの集計で1546億元あまり(うち海外が729.9億元)の規模となった。2018年同期の規模を超える。不動産バブルがもう限界だといわれているのに、これはどういうことか。

「中国当局が不動産市場に対する規制を緩和する」という見込みが流れているからというのもあるが、ほとんどが償還のための債権発行だとみられている。新ローンで旧ローンを返済するのだ。このクラスの大手不動産企業ですら自転車操業に陥っている。

 今年早々、人民大学の向松祚教授が、中国に「ミンスキーモーメント」(バブルが崩壊に転じる局面)が来る可能性を強く訴えていたことが話題になった。その時、向教授が最大の“灰色の犀”として指摘していたのは不動産バブルだ。中国の不動産市場規模は売り出し中不動産の延床面積から推計すると60兆ドル。全世界の1年分のGDPを合わせても70兆ドルあまりなのに、そんな馬鹿な話があるか、ということだった。

 中国の株式市場A株の利潤の4分の3をわずか40社余りの不動産企業と銀行が占め、GDPの48%を占める家計債務の7割以上が不動産・住宅関連ローンで、地方政府収入の7割を占める政府性基金の9割が土地譲渡関連という状況で、不動産バブルが崩壊すれば、地方政府財政から企業から一般家庭まで阿鼻叫喚となるのは目に見えている。

 不動産バブルと社債デフォルトという番いの犀が走り出せば、金融システミックリスクという犀の群れ全体が大暴れして、中国の市場を踏み荒らし、そこから飛び出して世界を踏み荒らしまくるかもしれない。

 犀の角を不老長寿の薬と信じている富裕中国人は、密猟のやりすぎでアフリカの犀を絶滅の危機に追い込んできた。今、中国経済・金融マーケットに生息する犀は、中国を絶望的危機に追い込むかもしれない。これは犀の呪いというべきか?
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55622
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/542.html

[国際25] アマゾン、止まらぬ人気の理由とは? 今や米国全世帯の半数が「プライム家族」になったという事実 
アマゾン、止まらぬ人気の理由とは?
今や米国全世帯の半数が「プライム家族」になったという事実
2019.2.28(木) 小久保 重信
アマゾン、ヘルスケア企業設立へ バークシャー・JPモルガンと提携
アマゾン・ドットコムのロゴ(2016年12月28日撮影)。(c)AFP PHOTO / LOIC VENANCE〔AFPBB News〕

 米国では昨年(2018年)、アマゾン・ドットコムの有料会員プログラム「Prime(プライム)」の加入世帯数が、同国全世帯の47.4%に達した。この比率は今後も拡大を続け、今年は全世帯の51.3%(6390万世帯)と、初めて過半を占める見通しだ。

 そして、これが2020年には、同54.8%(6870万世帯)、2021年には同56.9%(7170万世帯)に拡大すると見られている。

 こうした調査結果を、米国の市場会社eマーケターがまとめた。

多様化する特典の数々
 Primeの加入世帯が増え続けている理由は、多様化する特典にあるとeマーケターは分析している。

 Primeには、「配送」「ショッピング」「デジタルコンテンツ」など、さまざまな分野の特典がある。このうち、配送特典には、最短1時間以内で商品が届く「Prime Now」や、即日・翌日・2日後に商品が届く急ぎ便サービスなどがあり、アマゾンは、その対象商品を増やし続けている。

 ショッピング特典には、生鮮食料品を購入できる「AmazonFresh」のほか、タイムセールやパントリー(少量購入)サービス、アパレル商品の自宅試着後購入サービス「Prime Wardrobe」といったものもある。

 デジタルコンテンツ特典には、映画・テレビ番組を無料で視聴できるストリーミングビデオサービス、音楽の無料聴き放題サービス、電子書籍の無料レンタルサービスなどがある。

 米国では、「Amazon Household」と呼ぶファミリー向け特典も用意している。会員以外のもう1人の大人(18才以上)と、13〜17才の子ども(4人まで)、12才以下の子ども(4人まで)が、これら特典の一部を共用でき、さらに、紙おむつなどの子ども用品を割引価格で購入できるというものだ。

 こうした仕組みが、Prime世帯増大のけん引役になっていると、eマーケターは指摘している。

米国の年会費は1.3万円と日本の3倍以上
 アマゾンが、Primeを米国で始めたのは2005年2月。当初は、79ドル(約8700円)の年会費で、商品を2日後に届ける配送サービスを追加料金なしで利用できるようにしたり、翌日配送便の料金を割り引いたりする特典で開始。

 その後の2014年4月、年会費を99ドル(約1万900円)に上げ、昨年5月には、これを119ドル(約1万3100円)に引き上げた。これは、今の日本のPrime年会費、3900円の3倍超。それでも米国では、加入世帯数が増え続けているとは驚きだ。

低所得者向け料金プランの対象を拡大
 一方で同社はもう1つの仕掛けを施している。低所得者層向け料金プランの対象を拡大したのだ。これは対象者に対し、Primeの会費を減額するというもの。

 アマゾンは従来から、連邦政府の「栄養補給支援制度(SNAP)」や、「貧困家族一時扶助制度(TANF)」、「女性・乳幼児向け特別栄養補給支援制度(WIC)」の受給者に対し、Primeの月額料金を5.99ドル(約660円)に減額していた。

 昨年はこれに、「メディケイド(Medicaid)」と呼ばれる「低所得者向け公的医療保険」も加えた。現在、米国人の2割が。メディケイドの受給者と言われている。

 eマーケターは、こうした施策も加入世帯数の増加につながっていると見ている。そして結局のところ、これらがアマゾンに利益をもたらしているようだ。

 別の市場調査会社CIRP(コンシューマー・インテリジェンス・リサーチ・パートナーズ)によると、非Prime会員は、1年間にアマゾンで平均600ドル(6万6000円)の買い物をしている。この金額は、Prime会員だと1400ドル(15万5000円)になる。Prime会員は、非会員の約2.3倍もの金額をアマゾンで費やしている。

 (参考・関連記事)「アマゾン、Prime拡大戦略を強化」

 (参考・関連記事)「アマゾン、ついにPrimeの米国会員が1億人を突破」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55629
 
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/543.html

[経世済民131] 再生も無理、「東芝」消滅へのカウントダウン 起死回生を狙うも営業損益の見通しが400億円も下振れ 
再生も無理、「東芝」消滅へのカウントダウン
起死回生を狙うも営業損益の見通しが400億円も下振れ
2019.2.28(木) 新潮社フォーサイト
新潮社の会員制国際情報サイト「新潮社フォーサイト」から選りすぐりの記事をお届けします。
東京・浜松町に建つ東芝本社ビル
(文:大西康之)

 東芝が溶解していく。

 フラッシュメモリー事業を「産業革新機構」(INCJ)、米「ベインキャピタル」、韓国の「SKハイニックス」という日米韓連合に売却したことで、2018年度の連結売上高は3兆6200億円にまで減る見通しだ。ピーク時の7兆6681億円(2007年度)の、実に半分以下である。

 筆者は2017年、『東芝解体 電機メーカーが消える日』(講談社現代新書)を書いたが、まさにタイトル通り「解体」が進んでいる。今のペースで溶け続けると、あと10年で東芝は間違いなく消滅する。

どんどんなくなる「東芝の指定席」
 JR山手線の浜松町駅。改札を抜けて右に曲がると羽田空港行きモノレールの改札があり、直進して左に曲がると東芝本社ビルにつながる長い屋根付きの通路がある。改札を出てすぐの広場には、コンビニエンスストアと数軒の飲食店がある。

「東芝のホーム」である広場の柱は、筆者が知る限り30年以上、東芝の指定席だった。昔はエアコンなどの白物家電、10年前は福山雅治を起用した液晶テレビ「レグザ」や、ノートパソコン「ダイナブック」の広告が躍っていた。白物家電やデジタル機器が振るわなくなってからは、有村架純を使ったフラッシュメモリーの広告になった。

 その指定席が、東京の土産菓子として人気の「東京ばな奈」の黄色い広告に変わった。衝撃的である。

 昨年5月には、ニューヨークのランドマーク・タイムズスクエアにあった、赤地に白文字の「TOSHIBA」のLED看板が撤去された。売上高が最高を記録した2007年に設置されたこの看板は、年末年始のカウントダウンで「世界10億人が観る」と言われた。

 さらに昨年3月には、1969年以来続けてきたテレビアニメ『サザエさん』のスポンサーも降板した。

◎新潮社フォーサイトの関連記事
・「日立」「三菱」「東芝」海外原発事業断念で懸念される「負の遺産」
・「ゴーン逮捕」と「JIC取締役9人辞任」に共通する「官」の企み
・景気動向を読めなくした勤労統計「2018年1月問題」

何もかも売ってしまった
 街角から「TOSHIBA」が消えていくのは、宣伝広告が販売に直結する消費財から東芝が撤退しているからだ。2015年に粉飾決算が発覚し、米原発子会社「ウエスチングハウス」で1兆4000億円の巨額損失を出して以来、東芝はボラティリティ(好不調の波)が高い消費財からどんどん手を引いていった。

 白物家電は中国の「美的集団(マイディア)」に売却、「レグザ」で知られたテレビ事業は中国の「海信集団(ハイセンス)」、「ダイナブック」で一世を風靡したパソコン事業は台湾の「鴻海(ホンハイ)精密工業」傘下の「シャープ」に、そして「ハイテク東芝」の代名詞でもあったフラッシュメモリーは、冒頭で触れたとおり、日米韓連合に約2兆円で売却した。

本コラムは新潮社の会員制国際情報サイト「新潮社フォーサイト」の提供記事です。フォーサイトの会員登録はこちら
 約6000億円でウエスチングハウスを買収した2006年に社長だった西田厚聰氏や、後任の佐々木則夫氏は、「選択と集中」を掲げ、原発と半導体事業に投資を集中した。しかし海外原発事業で大失敗した結果、半導体の主軸であるフラッシュメモリー事業まで手放すことになり、「両翼」を失った。消費財事業を売りまくることで債務超過は免れたが、今の東芝は何をする会社だか分からなくなってしまった。

業績予想は下方修正
「原発と半導体の会社」でなくなった東芝は、何の会社になるのか。

 中期経営計画「東芝ネクストプラン」を発表した昨年11月8日、車谷暢昭会長は「世界有数のCPSテクノロジー企業を目指す」と宣言したが、聞いていた記者は一様に下を向いてしまった。

 CPSとは「サイバー・フィジカル・システム」の頭文字で、AI(人工知能)などのサイバー技術とロボットなどのフィジカル技術を組み合わせたものらしいが、「AI・デジタルソリューション」だの「エッジリッチ・デバイス」だの「デジタルトランスフォーメーション」だの、車谷会長が意味不明の造語を並べるたびに会見場は白けていった(復活賭ける新生「東芝」豪華記者会見の「寒々しさ」 2018年11月9日)。

◎新潮社フォーサイトの関連記事
・「日立」「三菱」「東芝」海外原発事業断念で懸念される「負の遺産」
・「ゴーン逮捕」と「JIC取締役9人辞任」に共通する「官」の企み
・景気動向を読めなくした勤労統計「2018年1月問題」

 唯一理解できたのは、「2018年度600億円、19年度1400億円、21年度2400億円」の営業利益目標である。「これから3年かけて、10年以上前に出した営業損益の最高記録(2381億円)を上回ります」というのだから野心的でも何でもないが、最高益を更新すれば一応は「復活」と言えるだろう。

 しかし、2月13日に発表した2018年度の業績予想は、営業損益が、11月8日時点の目標600億円から400億円も少ない200億円に下方修正された。原因は、グループの半導体装置メーカー「ニューフレアテクノロジー」の「のれん減損」(178億円)と、送変電・配電部門の大型案件における追加コストの引き当て(170億円)である。

「一過性」「交通事故」「なかりせば」
 決算を説明した平田政善代表執行役専務は、2つの減益要因を「一過性のもの」と説明し、ニューフレアの減損については「交通事故のようなもの」と表現した。

 粉飾決算疑惑で決算発表が遅れに遅れた2015年9月の決算発表では、当時の財務部長が、「原子力事業は、米国での原発建設プロジェクトの減損なかりせば増益です」「電子デバイス部門も、減損処理がなかりせば、営業増益でありました」とやって、記者の度肝を抜いた。

 減損処理を先送りすることで利益を水増した会計操作が「粉飾」と糾弾されていたのに、逆に「なかりせば増益」と胸を張ったのである。

 私は、彼をルール無用の東芝の会計処理の象徴と見て、当時活動していたメディアで「アグレッシブ部長」と名付けた。アグレッシブも度を越し履き違えると、単なる「無為無策」でしかない。そのせいかどうかは分からないが、以来、決算発表の記者会見からアグレッシブ部長の姿が消え、ソツのない平田氏が決算説明を引き受けるようになった。

 粉飾決算、ウエスチングハウスの経営破綻、東芝の債務超過転落と修羅場をくぐってきた平田氏は、余分なコメントを一切挟まず、淡々と決算を説明する。だが原発・半導体の「両翼」を失った東芝にとって最重要の事業部門であるエネルギーシステムソリューション(電力事業部門)のコスト増を「一過性」、ニューフレアの減損を「交通事故」と表現するあたりは、「なかりせば」と考え方は同じである。

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・「ゴーン逮捕」と「JIC取締役9人辞任」に共通する「官」の企み
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V字回復の時期は逸した感
 債務超過で経営破綻寸前まで追い込まれた東芝は、うるさ型のファンドから6000億円をかき集めた増資と、2兆円のフラッシュメモリー事業売却でとりあえず九死に一生を得た。

 だが、起死回生を狙った再生計画は、発表からわずか3カ月後に営業損益の見通しが400億円も下振れた。もはや経営になっていないと見るべきだろう。

 うるさ型の海外ファンドは、車谷会長の取締役不信任をちらつかせて、東芝に自社株買いを促した。車谷会長に抗う術はなく、東芝は7000億円を上限とする自社株買いを決めた。虎の子のフラッシュメモリー事業を売却して得た資金の3分の1は、強引な増資に付き合ってくれたファンドの懐に転がり込むことになった。

 ファンドはこれからも「事業や資産を売って株価を上げろ」と要求してくるだろう。これからしばらく、東芝は玉ねぎの皮を剥くように1枚、また1枚と事業や資産を売却していき、最後は消滅してしまう。その前に「売るものがなくなった」と判断した時点で市場は一斉に売り浴びせ、東芝の株価はクラッシュする。

 消滅を避けるには、電光石火のリストラでV字回復を演出し、手にした資金を成長部門に振り向けるしかないが、すでにその時期は逸した感がある。新たな投資先が「CPSテクノロジー」では救えるものも救えない。車谷会長率いる現経営陣に東芝再生を望むのは、もはやどう考えても酷である。


大西康之
経済ジャーナリスト、1965年生まれ。1988年日本経済新聞に入社し、産業部で企業取材を担当。98年、欧州総局(ロンドン)。日本経済新聞編集委員、日経ビジネス編集委員を経て2016年に独立。著書に「稲盛和夫最後の闘い〜JAL再生に賭けた経営者人生」(日本経済新聞)、「会社が消えた日〜三洋電機10万人のそれから」(日経BP)、「ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説のエンジニア 佐々木正」(新潮社)、「東芝解体 電機メーカーが消える日」 (講談社現代新書)、「東芝 原子力敗戦」(文藝春秋)がある。

◎新潮社フォーサイトの関連記事
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・景気動向を読めなくした勤労統計「2018年1月問題」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55597
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/320.html

[戦争b22] ロシアの「世界最強」地対空ミサイルを中国が入手 アメリカの仮想敵勢力が築くミサイルのカーテン 

ロシアの「世界最強」地対空ミサイルを中国が入手
アメリカの仮想敵勢力が築くミサイルのカーテン
2019.2.28(木) 北村 淳
S-400ミサイル発射装置(写真:ロシア国防省)
http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/2/0/600/img_201eb8fdc72358fe5043a9ff1dee5243196026.jpg

 ロシアの貨物船「ニキフォル・ベジチェフ(NIKIFOR BEGICHEV)」がレニングラード近郊のUst-Luga港を2017年12月30日(現地時間)に出港し、中国に向かった。その後、2018年1月19日の報道によると、ニキフォル・ベジチェフは2018年1月3日(現地時間)にイングリッシュ海峡で大時化(おおしけ)に遭遇し、積載していたS-400地対空ミサイルシステムの一部がダメージを受けた模様である。
 しかし、ダメージを受けたとされるS-400システムの詳細に関しては明らかにされることはなかった。
ロシアの貨物船「ニキフォル・ベジチェフ(NIKIFOR BEGICHEV)」
 このほど、アブダビで開催されている「国際兵器展示会(IDEX-2019)」に出席したロシアの国策会社、ロステック(Ростех:英語表記ではRostec、正式名称は「先進技術工業製品の開発生産輸出促進のための国営企業ロステック」)のCEO、セルゲイ・チェメゾフ氏が西側報道関係者に2018年の事故の顛末を語った。これによって、1年ぶりに詳細情報が判明した。
 チェメゾフ氏が語ったところによると、事故によって積み荷の40N6対空ミサイル全てがダメージを受けてしまったため、ロシアに返送して全て廃棄したとのことである。
 それらのミサイルは再度ロシアで製造されて、2020年中には全て中国に届けられることになっている。また、すでに西側でも確認されているように、事故に遭遇した貨物船以外の貨物船で送られたS-400地対空ミサイルシステムは、無事中国に送り届けられている。
世界最強のS-400地対空ミサイルシステム
 S-400地対空ミサイルシステムは、地上から遠距離上空の航空機、巡航ミサイル、弾道ミサイル、そして無人機などを打ち落とすための様々な装置から構成される最先端兵器である。
 システムは長距離警戒探知用レーダー、指揮管制装置、射撃管制用レーダー、ミサイル発射装置が基本的構成で、このほかにミサイル運搬装填装置や電源装置なども付随する。いずれも大型車両に搭載されている。
 S-400が装備するレーダーシステムは超高性能であり、探知した目標を同時に80個攻撃することが可能とされている。現在のところ、世界最強の地対空ミサイルシステムである。
 対空ミサイルは、S-400の構成要素であるミサイル発射装置(地上移動起倒型ミサイル発射装置:TEL)に装填される。発射することが可能な対空ミサイルは下記の通り。これらの中から用途に応じて適合するミサイルを選択することになる。
・9M96E(最大射程距離:40km)
・9M96E2(最大射程距離:120km)
・48N6E(最大射程距離:150km)
・48N6E2(最大射程距離:195〜250km)
・40N6(最大射程距離:400km)
 9M96E型から48N6E2型までは、現在ロシアをはじめいくつかの国々で用いられているS-300地対空システム用に開発され改良されているミサイルだ。40N6型は、S-400システムのために開発された新鋭ミサイルで、中距離弾道ミサイルを撃破する能力を備えている。それらに加えて、40N6よりさらに強力な最大射程距離500kmのミサイルも開発中といわれている。
S-400の部隊編成
 S-400ミサイル射撃部隊の基本単位は「S-400中隊」(S-400 battery)と呼ばれる。最も基本的な編成の場合発射装置(TEL)は4両だが、射撃制御レーダー車両を追加することにより最大12両のTELを編成に加えることができる。1両のTELには4本の発射筒が装備されているため、1個S-400中隊が一度の攻撃で連射できるミサイル総数は16発から48発ということになる。
 S-400中隊が2個で「S-400大隊」を形成し、2個のS-400大隊が「S-400連隊」となる。ロシアが中国はじめ外国にS-400システムを輸出する際の基本単位は1個S-400連隊となっているため、少なくとも最小編成2連射分の128発の対空ミサイル本体(48N6E、48N6E2、40N6)も輸出されることになる。
S-400でアメリカの接近を阻止するロシアと中国
 中国とロシアは、トランプ政権によってアメリカ国防戦略における筆頭仮想敵勢力と指定された。そのため、ロシア軍はシリアや東ヨーロッパ国境地域にいくつものS-400システムを配備して、シリアから東ヨーロッパを経て北極海に至るS-400対空ミサイルバリアによる“ミサイルのカーテン”を構築し、アメリカが率いるNATO軍に対峙している。
 太平洋側でも、ロシア太平洋艦隊司令部が位置するウラジオストク周辺にS-400連隊を配備して、日本海方面から接近を企てるアメリカ航空戦力に対する警戒態勢を強化した。
 いまだS-400に匹敵する長距離防空システムを開発するに至っていない中国も、6個連隊分のS-400地対空ミサイルシステムを購入した模様である。
 そのS-400システムを南シナ海の西沙諸島永興島と南沙諸島の人工島のそれぞれ1セットずつ配備すると、南シナ海上空の広範囲がS-400射程圏内に入り、アメリカはますます手出しできなくなる。また、台湾対岸にS-400を1セットセットすることにより、台湾の上空全域がS-400の射程圏内に入るため、台湾への軍事的プレッシャーは一層強化されることになる。
中国が配備するS-400の射程圏
http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/6/9/400/img_697a5e95b47c089e2ded8fc6d61a1496233477.jpg

 S-400がロシアや中国の日本海沿岸域から東シナ海沿岸域にかけて配備されることが日本にとって対岸の火事でないことは論を待たない。
 とはいっても、「アメリカから超高額兵器を購入すれば国防は安泰」との姿勢に終始している光景は平和ボケ以外の何物でもない。日本の頼みの綱であるアメリカ軍が、ロシアや中国に接近できない状況に陥った時に日本の危機と気づいても、その時は最早手遅れである。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55608

http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/551.html

[経世済民131] 貧困に殺された九大オーバードクターはなぜ生活保護に頼らなかったか
2018年9月21日 みわよしこ :フリーランス・ライター
貧困に殺された九大オーバードクターはなぜ生活保護に頼らなかったか

九大・箱崎キャンパスで火災と爆発が発生し、法学部のオーバードクターの遺体が発見された事件からは、1人の人間に誰の助けの手も届かない社会のひずみが見えてくる(写真はイメージです) Photo:PIXTA
誰の助けの手も届かなかった
1人のオーバードクターの死
 9月6日、「福岡市東区の九州大学・箱崎キャンパスで火災と爆発が発生している」というニュースが流れた。焼け跡からは、1人の性別不明の遺体が発見された。

 私の周辺の最初の反応は「化学系の研究室の事故では?」というものだった。しかし、それはあり得ない。九大理学部・工学部は、かつて箱崎キャンパスに存在したが、数年前、福岡市西区の伊都キャンパスに移転していた。

 続く反応は「活動家?」だった。伝統ある大学では、かつて大学に在籍していた学生運動家が数十年後も大学に出入りしていることは、珍しいことではない。賛否両論あるところではあるし、私自身、大学に居座っている元学生運動家は最も苦手な人種の一類型だ。とはいえ、大学の自治や学問の自由を尊重するのなら、一定の「緩さ」とそこからもたらされるリスクはつきものだろう。

 数日後、遺体は法学部のオーバードクターだったという事実が判明した。男性で、46歳だった。以下、本記事では男性を「Aさん」とする。

 まずは報道と独自調査から、現在のところ判明しているAさんの経歴をたどってみたい。九大大学院進学までの足取りは、次のとおりだ。

・1972年生まれと推測される。「出身地は関西」という情報もある。

・1988年、中学を卒業し、横須賀市の陸上自衛隊少年工科学校(当時)に進学。同時に自衛隊に入隊。少年工科学校では高校卒業資格が得られないため、湘南高校通信制課程にも入学。

・1991年、少年工科学校・湘南高校通信制課程の高校相当課程を修了し、自衛隊を退官。

・九大法学部に入学し(年次不明)、憲法を専攻。

 少年工科学校に入学すると、自衛隊員(特別国家公務員)となる。全寮制で、生活費は必要ない。元同期生・Bさんは「月あたり10万7600円の俸給があったので、浪費していなければ、卒業時に300万円程度の貯金はあったはず」という。Bさんから見た少年工科学校時代のAさんは、「人1倍の努力家」「真面目に勉強していた」ということだ。

 中学を卒業して少年工科学校に入学する生徒の背景は、さまざまだ。「自衛官になりたい」という強い志望も、親との険悪な関係による「合法的家出」も、貧困からの選択もある。大学進学の夢を抱いて入学する生徒も少なからずいるのだが、初志貫徹する生徒は多くない。3年のコースを修了した後は、1年の訓練を経て、下士官として自衛隊内でのキャリアを開始することができるからだ。Bさん自身も、現在は幹部自衛官として責任ある立場にある。

 ともあれ1991年3月、AさんとBさんは少年工科学校を卒業した。卒業後、Aさんを含む17名は自衛隊を離れ、Bさんを含む270名は自衛隊内でのキャリアを歩み始めた。Aさんが九大法学部に進学した年次は、入学までの足取りとともに現在のところ不明だ。少年工科学校時代の貯金を元に、受験勉強に励んでいたのかもしれない。いずれにしても、1994年までには大学進学の夢を果たしていたものと思われる。

なぜ急激に困窮し
そして住宅を喪失したのか
 九大法学部に入学した後のAさんの歩みのうち、現在のところ判明している事実は以下の通りだ。

・1998年(26歳)、九大大学院修士課程に入学。憲法学を専攻。

 その後博士課程に進学するが、博士論文は提出せず、2010年に退学(38歳)。在籍可能期間満了に伴い在籍できなくなったものと推察される。

・2015年(43歳)以後、研究室を1人で使用していたが、夜間のみ。他の院生とは接触していなかった。

・2017年3月、専門学校などの非常勤講師職を失う。

・2017年(45歳) 3月・4月はほぼ無給。同年5月・6月の月給は14万5000円。同年6月、家賃が払えなくなり、10万円の借金でしのぐ。同月、昼間の宅配便の仕分けのバイト(週4回)を開始。

・同年12月、夜間も肉体労働のバイト(週4回)を開始。

・2017年6月から2018年5月までの間に住居を喪失したと見られる。

・2018年5月、Aさんが研究室に寝泊まりしていることを九大が把握。

 少年工科学校時代の同期・Bさん(前出)は、次のように語る。

「九州大学法学部卒の学歴だけを見ると素晴らしいのに、そんなに困窮していたとは……。我々は15歳のときから親元を離れ、『同じ釜の飯を食った仲間』です。何らかのメッセージがあれば、みんな、何らかの形で協力できたと思うのですが」

 しかし、Aさんは少年工科学校時代の同期との繋がりを、ほとんど維持していなかったようだ。その思いは、私には少しだけ理解できるような気がする。元同期のBさんたちは、キャリアを築き、家庭を持ち、若干の不足やトラブルがあっても「それなり」「普通」の人生を送っている。あまりにも輝かしく、近づけない存在に見える。それが「一院生」「一オーバードクター」という立場の切なさだ。

法学部卒の知識を生かさず
肉体労働を行った意外なメリット
 しかし、私には1つ疑問が残る。Aさんはなぜ、肉体労働を選んだのだろうか。報道によれば、肉体労働を開始した2017年以後、Aさんは激しく体重を減少させていたという。研究への思いを抱き続けていたAさんが、研究と生計の両立に苦労していたようだという報道もある。事務やスーパー・コンビニに比べれば、肉体労働の時給は高い。研究時間を確保するには、好ましい選択なのかもしれない。それにしても、「法学部卒の知識と人脈を使って法律事務所でアルバイトをする」という路線が、私には自然に思える。

 いずれにしても、筋力が低下している身体障害者の私にとって、「お金が足りないから肉体労働」という選択肢は、最初から考えられない。そこで、同様の選択をした50代の男性クリエイター・Cさんに、「なぜ肉体労働?」と尋ねてみた。Cさんは実績あるコンテンツ・クリエイターだが、業界の地盤沈下に伴い、土木・建築の現場での「ライスワーク」によって「ライフワーク」を支える選択を行い、現在に至っている。

「僕にとって1つ考えられるのは、Aさんが『肉体労働の方がストレスは少ない』と考えた可能性です。Aさんは、法学という専門分野で努力してきた方ですから、上下関係のあるアルバイトでの『感情労働』には強い抵抗感を抱いた可能性もあります。肉体労働の現場は、意外にハラスメントが少ないのです」(Cさん)

 納得できる説明だ。

「それに、給料は日割月給です。アルバイトなら100%日払い、または週払いです。窮迫しているときには、本当に助かるのは確かです」(Cさん)

 Aさんの窮迫状況から見て、「日銭」の必要性は切実だっただろう。さらに、時間の面からのメリットもある。

「現場によっては、『早上がり』ができることもあります」(Cさん)

 工事現場・建設現場の多くでは、作業時間が定められている。ICT業界のように、疲れ果てた心身で果てしない残業を続けることはない。この点も、余暇時間で制作や研究を行いたい人々にとっては、むしろ好都合なのかもしれない。

 Aさんが、どのような種類の肉体労働を行なっていたのかはいまだ判明していない。しかし、必死の就労にもかかわらず、Aさんは住居を喪失した。

「奨学金」という重石に
がんじがらめにされた可能性
 住居を喪失したAさんは、母校・九大の研究室に寝泊まりし始めた。法学部をはじめとする人文社会系学部は、伊都キャンパスへの本格移転段階となっており、ほぼ取り壊しを待つ状態となっていた。そして悲劇的な結末に至る。

・2018年7月、Aさんが寝泊まりしていた研究室のある棟の移転が開始される。

・2018年8月 Aさん、「事態が悪化」と親しい人々に記す。九大がAさんに退去要請を行う。

・2018年9月6日 Aさん、研究室に放火。遺体で発見される。享年46歳。

 Aさんは、九大時代の友人や教員たちと、良好な関係を保っていたようだ。人柄・能力などについて、ネガティブな証言は特に伝えられていない。窮迫状況をメールその他の手段で伝えるコミュニケーション能力も残っていた。

 もちろん、憲法学を専攻したAさんは、日本国憲法の「生存権」も生活保護制度も知っていたはずだ。住居を喪失する前に、生活困窮者自立支援制度の住宅支援給付金を利用すれば、最長9ヵ月という半端な期間ではあるが、「住」を支えられて生活を再建することもできたかもしれない。しかし、制度に助けを求めることなく、母校に放火して遺体で発見されることとなった。

 しかし、なぜAさんは必死で働いていながら、住宅を喪失することになったのだろうか。九大箱崎キャンパス近辺には、まだかつての貧乏学生向けの物件が数多く残っている。家賃相場は、ユニットバス付きワンルームで2〜3万円程度だ。オーバードクターは、学部時代・大学院時代に住んでいた学生向け物件に、そのまま住み続けていることが多い。より良い住居へ転居することができない経済状況にあるからだ。

 結局、家賃が払えなくなり、住居を喪失した背景として考えられるのは、学生支援機構奨学金の返済だ。学部4年間・大学院修士課程2年間・博士課程3年間、借り入れを続けていたとすると、総額は少なくとも1000万円前後となる。大学に学籍があれば返済は猶予されるが、学籍を失うと返済しなくてはならない。

 2010年以後、博士課程院生としての学籍を失ったAさんは、不安定な非常勤講師業をかけ持ちしながら、奨学金を必死で返済していたのではないだろうか。1ヵ月あたり15万円の収入があっても、返済額が月あたり4万円とすれば、手元に残る金額は月あたり11万円となる。税や社会保険料を支払えば、福岡市の生活保護基準を「余裕」で下回り、生活保護を利用する資格があったことになる。

「貧困は人を殺す」
この事実を直視すべき
 Aさんの46年の生涯は、ほとんどわかっていない。しかし、九大法学部時代の生活、さらに1998年から12年にわたった大学院生時代を支えたものは、主にアルバイトと学生支援機構奨学金の借り入れだったと考えられる。

 大学院に進学すると、アルバイトはさらに困難になる。研究に時間とエネルギーを集中させたかったら、アルバイトをする時間はなくなる。大学院在学中の生活を支えるための経済的支援は、2000年以後、少しずつ整備されており、「研究で給料を受け取りながら大学院生活を送る」ということが可能な大学も増えてきた。

 しかし、Aさんが九大大学院を中退したのは2010年である。その時期に存在した制度の貧弱さを考えると、やはり学生支援機構奨学金の借り入れは避けられなかったであろう。

 もちろん、Aさんの収入状況であれば、返済の減額や猶予を受ける可能性はあった。しかし、困窮の中での必死のやりくりは、それだけで手続きや申請の気力を失わせるものだ。貧困がメンタルヘルスを悪化させること、逆に貧困の軽減がメンタルヘルスの問題を軽減させることは、数多くの研究で実証されてきている。貧困による疲弊が、制度利用や手続きのハードルを高め、そのことが状況をさらに悪化させるメカニズムは、主に先進国のシングルマザーを中心に実証されている。

 Aさんを「研究にこだわったからだ」と非難するのはたやすい。しかし、Aさんが大学院生だった1998年から2010年は、国立大学法人化をはじめ、大学と博士号の位置づけが激変した時期だ。試合に参加している間にルールが変わっていくようなものだった。「自己責任」で片付けるのは、あまりにも酷だろう。

 この現状を熟知している榎木英介氏(病理医・近畿大学講師)は、記事「九大『オーバードクター』の死にみる『夢のソフトランディング』の重要性」を発表した。苛酷になっていくばかりの現状を踏まえても、なお個人にできる選択はある。「研究を諦めても人生は終わらない」という真理を認めれば、自ずと視野は広がり、道が見つかるだろう。

今や知ることはできない
生活保護に助けを求めなかった理由

本連載の著者・みわよしこさんの書籍『生活保護リアル』(日本評論社)好評発売中
 私から見れば、Aさんは単純に「生きる」という選択、日本国憲法に定められた生存権を行使する決意をすればよかった。生活保護が利用できる状況だった可能性は極めて高い。生活保護を利用して一息つき、心身の健康を回復し、少しずつ、無理なく、夢と現実の妥協を図りながら生きていく希望はあったはずだ。しかし、今から何を言ってもAさんは生き返らない。

 今の私は、ただ、Aさんに「お疲れさまでした」と声をかけたい。そして、困窮の中で必死にベストを尽くし、減るばかりの選択肢の中から最良の選択を試み、それでも力尽きたAさんの冥福を、心から祈る。

(フリーランスライター みわよしこ)
https://diamond.jp/articles/-/180232
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/326.html

[経世済民131] 平成最後の就活へ。トヨタですら推薦した「いつでもやめられる会社づくり」 「新卒一括採用」が今後も続くと考える理由   
【第43回】 2019年3月1日 北野唯我
平成最後の就活へ。トヨタですら推薦した「いつでもやめられる会社づくり」
「このまま、今の会社にいて大丈夫なのか?」

ビジネスパーソンなら一度は頭をよぎるその不安に、11万部を突破したベストセラー『転職の思考法』で、鮮やかに答えを示した北野唯我氏による人気連載。今回のテーマは、「平成最後の就活」について。


「昭和を引きずった時代」としての平成

北野唯我(きたの・ゆいが)
兵庫県出身。神戸大学経営学部卒。新卒で博報堂、ボストンコンサルティンググループを経験し、2016年ワンキャリアに参画、最高戦略責任者。1987年生。デビュー作『転職の思考法』(ダイヤモンド社)は11万部。2作目『天才を殺す凡人』(日本経済新聞出版社)は発売3週間で5万部を突破中。レントヘッド代表取締役も兼務。
就活生の7割が「将来転職もありだと思う」と回答した調査レポートが出た。「転職も考慮にいれた就活」はこの一年でプラス10%と、さらに加速したようだ。
小泉進次郎氏らとともに「人生100年時代モデル」の構想づくりなどを手掛ける、高木新平氏は言った。

「平成とは、最後の最後まで昭和を引きずった時代だった。」

と。たしかに、今年は平成最後の就活となる。
しこの言葉が真実なら、いったい、平成とはなんだったのだろうか?

そして、これからの「仕事選び」はどう変わっていくのだろうか?

平成以前の仕事選びと、新時代の仕事選びは、端的にいうと3つの変化があると私は捉えている。

就活市場に押し寄せる3つの変化
キーワードは「多様化」「民主化」「分散化」だ。

キーワードは「多様化」「民主化」「分散化」
拡大画像表示
これら3つのトレンドは、実は「仕事選び」に限らない。たとえば、1つ目の「多様化」は、LGBTや働き方など「多様性」という文脈で語られる。

あるいは、「民主化」ならテレビに対するYouTuberの台頭、「分散化」はブロックチェーン技術など、ビジネスフィールドでは「脱中央集権化」の文脈で語られることが多い。

(ここでいう「脱中央集権化」とは、一握りだけが情報や権力を持つのではなく、多くの人が自由に発信したり、取引をしたりできる世界を指す)

つまり、この3つは新時代のビジネストレンドに沿って行われていく、と言えるかもしれない。

1.(多様化)画一的な就活スタイルの限界

 — 終身雇用の崩壊・価値観の多様化にともない、就活スタイルも多様化を求められている。たとえば、「セカンドキャリアを前提として仕事を選ぶこと」、「長期インターン経由での勤務経験を通じた就職」などは一般的なものに。

2.(民主化)企業中心の情報戦

 — 食の領域で広告からクチコミサイトが主流になったように、「企業中心の情報戦」は終わり、「信頼性の高いクチコミ」「データ」による就活が主流に。

3.(分散化)一極集中による格差

 — 就活は「情報戦」「コネの勝負」とも呼ばれ、先輩後輩の繋がりは就活生にとって大きなアドバンテージだった。しかし、インターネットの発展により「いつでも、どこでも、誰でも」均等に情報を得られる流れが主流に。

トヨタですら推薦した「最強の会社づくり」
先日、トヨタが社内での講演内容を一般公開したことで話題になった。その中で豊田章男氏はこう語っている。

「トヨタの看板がなくても、外で勝負できるプロを目指してください」

「みなさんは、自分のために、自分を磨き続けてください」

「それでもトヨタで働きたいと、心から思ってもらえる環境を作り上げていく」

まさか豊田会長が『転職の思考法』を(転職前提で)読んだとは到底思えないが、本著でも実はまったく同じメッセージを伝えている。それは

「いつでも転職できるような人間が、それでも転職しない会社。それが最強だ」

と。

つまり、きちんと各人が独立独歩した上でそれでも「その会社にいたい」と思えるような魅力的な会社こそが強い。こういうことを指している。これが今の時代にあった組織なのだ。

もちろん、「これは理想論だ!」という人もいるだろう。特に私自身も経営する立場だからこそ、これを実現する大変さは痛感している。

だが、日本を代表するリーディングカンパニーですら、「転職を前提とした組織づくりを進める」のだから、我々は皆、一考の価値があるのではないだろうか。

仕事選びで、もう嘘はつけない
仕事選びはいま、明らかに「透明化」の流れにある。転職を前提とした学生たちは「その会社の実態」を見極めるツールももっている。

たとえば、学生の多くはVorkersなどの口コミサイトで「現役社員、元社員の声」を事前に調べて就職の際に参考にする。

あるいは、先輩が書いたエントリーシートや、昨年行われた面接内容、「その説明会に参加して本当に価値があったのかどうか?」などは事前に確認することができる。(参考URL→
https://www.onecareer.jp/lp/es_kokaichu/

筆者が務める会社の説明会に実際に参加した学生からの生のクチコミ
筆者が務める会社の説明会に実際に参加した学生からの生のクチコミ
これらクチコミが従来の2ちゃんねるやネット口コミ掲示板と違うのはその「半実名性」にある。半実名性とは、

・データベース側では、きちんとした個人情報を取得した上で

・UX上は匿名を担保した状態で公開される

状態を指す。これによってクチコミにガバナンスが効き、一方でユーザーは安心して本音を投稿できる。つまり「信頼性を担保した、生のクチコミ」を集めることができるのだ。

いま、平成が終わろうとしている。求められているのは「企業は、社員に何を約束するのか」という問いへの変化だ。その際最もダメなことは「約束したことと現実に嘘や偽り」があることだ。

「平成までの仕事選びとはなんだったのか?」

「何がこれから変わろうとしているのか?」

その答えとは、嘘や偽りが暴かれ、「仕事選びに透明性がもたらされる時代」なのだと思う。
https://diamond.jp/articles/-/195434


 
2019年3月1日 塚崎公義 :久留米大学商学部教授
「新卒一括採用」が今後も続くと考える理由
「新卒一括採用」が今後も続くと考える理由
写真はイメージです Photo:PIXTA
日本的雇用慣行と
欧米型は一長一短
 平成最後の、そして経団連が決めたスケジュールでの最後の就職活動がスタートした。就活生にとっては大変な時期となるが、頑張ってもらいたい。

 さて、経団連が学生の就職活動の時期を定めないことにしたため、就職活動のルールが変わるかもしれないといわれている。それを聞いて「それならば新卒一括採用も変わるかも」と考える人も多いようだが、筆者はそうは思わない。

 第1の理由は、「新卒一括採用を前提とした就職活動を、在学中のいつの時期に行うか」に関する変更であって、新卒一括採用自体を変えようという話ではないからだ。

 第2の理由としては、そもそも新卒一括採用自体が変化するとは思えないからだ。「新卒一括採用・日本的雇用慣行は合理的か」「日本人に合っているか」「変化するとしたら、契機は何か」といったところが論点となる。

 日本企業は、新卒を採用し、終身雇用と年功序列で囲い込む。採用に際しては「即戦力採用」ではなく「ポテンシャル採用」なので、「何ができるか」ではなく「鍛えれば使えそうか」が重視される。そして、勤務先企業が決まり、仕事内容は後から決まる(しかも変化する)。これは「メンバーシップ型」と呼ばれる。

 ある意味で合理的なシステムだ。一生勤めると思えば、愛社精神も忠誠心も持ちやすい。社内の人事異動でさまざまな仕事を体験させ、各人の適性を人事部が見定めた上での人員配置を行うことができる。しかも、ゼネラリストとして他の部署がどんなことをしているのか知っているので、部門間の連携も取りやすい。

 これに対し、欧米では学校を卒業してから就職活動をして、即戦力として自分の専門の仕事に就く。仕事が決まり、勤務先は変化する。これは「ジョブ型」と呼ばれる。これには、「この道一筋のスペシャリスト」が育てやすいというメリットがある。

 例えるなら、日本型は「私は巨人の選手です。投手も捕手も代打もやります」というもので、欧米型は「私は投手です。たまたま今は巨人にいます」というものだ。その意味では、欧米型は日本企業よりプロ野球に近いといえるだろう。

合理的にも見えるが
問題も多い欧米型
 欧米型は一見合理的なようだが、問題も多い。人生で最初に野球をやる場所が得られないと、才能を発揮するチャンスが与えられず、一生失業してしまうようなことにもなってしまう。

 プロ野球チームの採用は即戦力採用であって、問われるのは実績であるから、「私は体力も運動神経もあるので、鍛えれば立派な野球選手になります」では採用されない。プロ野球なら、甲子園や大学野球などの実績で採用されるからまだいいが、自動車の営業担当の場合はそうはいかない。

 自動車を売ったことがない優秀な(ポテンシャルのある)学生は、三流会社で自動車を少しだけ売った実績があるライバルに勝てないからだ。要するに、最初に三流企業の自動車販売会社に採用されるか否かが重要で、それが無理だと一生失業者かもしれないのだ。

 欧米では若年労働者の失業率が高い。要するに、実績を積み上げるチャンスを与えられないまま放置されている若者が多いのである。これは大変もったいない。

 また、最初の就職がたまたま自動車の営業だと、そのまま一生自動車の営業に従事する可能性が高い。もしかすると、経理や人事に配属されれば突出した才能が開花するかもしれないのに、そうしたチャンスは与えられないのだ。これもまたもったいないことだ。

新卒一括採用は
日本人向き
 医学の話であるが、日本人は不安を感じる遺伝子(SS型セロトニントランスポーター遺伝子)を持っている割合が高いそうだ。災害が多い日本列島では、不安を感じてリスクを避ける人の方が生き残る確率が高かった、ということなのかもしれない。

 まして、米国人との比較でいえば、「一獲千金を目指し、わざわざ大西洋を渡って先住民族と戦った人々の子孫」とは遺伝子が違うのは当然だろう。そうであれば、日本がグローバルスタンダードの旗印を立てて米国的なシステムを採用するのは合理的ではない。

 米国とは異なり、新卒で一括採用され、終身雇用でずっと同じ会社に勤めるというのは日本人に向いていると思われる。「終身雇用を保証するから、生涯所得の期待値は米国企業より低くても我慢してくれ」というのが、企業にとっても労働者にとっても合理的だからだ。

 日本人労働者が安心するというのは、財布のひもが緩むということでもある。心配性の日本人労働者が「終身雇用ではないので、いつ失業するかわからない」という状況に置かれたら、仮に高給を得ていても消費せずに貯蓄するので景気は常に悪いままになってしまう。

 もう1つ、終身雇用制が日本人に向いている理由がある。日本人は真面目だし、恥の文化があるので、終身雇用でも手抜きをしないということだ。外国で終身雇用制が採用されたら、「真面目に働かなくても解雇されない。うまくすれば働かずに給料がもらえる“窓際族”という最高のポストが手に入るかもしれない」と考えるサラリーマンが多数出てくる可能性がある。

変化する契機が
見つからない
 さまざまな制度には、一度できあがってしまうとなかなか変化しないメカニズムが働く場合がある。終身雇用制も、その1つだ。仮に全ての企業が新卒一括採用・終身雇用制を採用しているとして、ある会社が「新卒一括採用は好かないから、今後は中途採用で即戦力を採用しよう」と考えても、その会社を受けに来る人はなかなかいないだろう。

 最近では転職も増加しているので、誰も採用できないということはないだろうが、受けに来る人が優秀であるとは限らない。むしろ、優秀な人は最初に入社した会社で大切にされ、将来を約束されているだろうから、転職しない可能性の方が高い。

 そうなると、そもそも飽きやすい人、我慢強くない人、最初の会社で人間関係を損なった人などが転職しようと受けに来る可能性が高いと考えるべきだ。

 もちろん、転職希望者の中にも優秀な人は大勢いるはずだが、期待値としては新卒を採用した方が優秀な人が多いということはいえそうだ。

 そうであれば、わざわざ他社の社風に染まってしまっているかもしれない人を中途採用するよりも、色のついていない学生を新卒採用して自社の企業文化に染め上げていく方が、企業としては合理的だといえる。

 業種や職種によっては、優秀な人材のヘッドハンティングが行われる場合もあろう。例えば、すご腕為替ディーラーとして他社の為替ディーラーから恐れられている人であれば、他社からの引き抜きもあり得よう。しかし、会社の外からサラリーマンの優秀さを評価するのは、一般論としては容易ではない。

 したがって、仮に政府と経団連、そして労働界が「新卒一括採用は今後一斉にやめよう」という申し合わせでもすれば別だが、そうでない限りは基本的には新卒一括採用・終身雇用制は続いていくと思われる。もし、例外が少しずつ増えていったとしても、それが多数派になるとは考えにくいといえる。

(久留米大学商学部教授 塚崎公義)
https://diamond.jp/articles/-/195557
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/328.html

[社会問題10] なぜ戸建住宅火災は犠牲者が多いのか、最悪の事態をシミュレーション
019年2月27日 リスク対策.com
なぜ戸建住宅火災は犠牲者が多いのか、最悪の事態をシミュレーション

写真はイメージです Photo:PIXTA
火災の犠牲者のほとんどは戸建住宅での火災です。さらに消防士が犠牲になるのも戸建住宅火災です。逃げ遅れる人がいなければ消防士はリスクを負ってまで建物の中には進入しません。火災になってしまったらどうするか、脱出するためには何が必要か、救助に来てもらうまでの時間稼ぎをどうするかを徹底的に啓蒙・教育・装備・訓練しないとこのような悲劇を起こさないためにはどうすればいいのか。リスク対策.comの人気コラム熊谷仁氏の『防災オヤジーズくま隊長の「知らないとキケンな知識」』より紹介します。

 昨年暮れから今年に入り戸建住宅の火災が連日のように発生し多くの犠牲者が出ています。共同住宅での火災も見受けられ、けが人(煙による中毒)も出ています。

 1月22日には秋田県能代市で救助で建物に進入した消防士2人が殉職し、さらに30日には東京都八王子市でも消防士が1人が殉職しました。能代では逃げ遅れた2人は無事でしたが八王子では1人が犠牲となりました。

 殉職された3人の消防士はいずれも32歳、26歳、22歳と将来のある若者です。私の子どもと同じ年なので他人ごとではありません。心よりご冥福をお祈りいたします。

 何時も犠牲になるのは最前線で対応している人たちです。殉職した経緯や問題点などは早急に洗い出しをしてこのような悲劇が2度と起きないようにしてください。強くお願いします。

 あえてここで提言します。逃げ遅れの人がいなければ消防士はリスクを負ってまで建物の中には進入しません。だから「逃げ遅れるな!」と強く言わせてもらいます。

「火災発生→逃げ遅れ有り→消防士殉職」最悪の流れです。

 2017年2月の埼玉県三芳町の物流倉庫火災では幸いに逃げ遅れがいなかったので消防士が怪我や最悪の事態はなかったのですが、もし逃げ遅れがいたら殉職者が出ていたかもしれないと専門家の間でも話が出ています。

 火災を出さないよう予防注意はもちろん一番大事ですが、火災になってしまったらどうするか、脱出するためには何が必要か、救助に来てもらうまでの時間稼ぎをどうするかを徹底的に啓蒙・教育・装備・訓練しないとこのような悲劇は続きます。ビルや商業施設や一定の大きさを超えた集合住宅では消防設備の設置義務や保守点検及び報告義務さらに消防訓練などが消防法で課せられていますが、戸建の場合はほとんどありません。しかし火災の犠牲者のほとんどは戸建住宅での火災です。さらに消防士が犠牲になったのも戸建住宅火災です。

最悪のシミュレーション
 ここで戸建住宅の火災シミュレーションをしてみます。このシミュレーションは私と当社(レスキュープラス)社員の金川恭平および当社顧問で上級災害対策指導官サニー カミヤ氏が1月5日にNHK総合で放映されました「メガ実験バラエティ〜すごいよ出川さん!」で戸建住宅での実火災実験に参加させていただた経験をもとに、当社での実験や火災警報器メーカーの実験結果、神戸市消防本部が行った実験などを参考にしたシミュレーションです。

 2階建て木造住宅で夫婦二人住まい、1階がリビングで2階が寝室。何ら防災を意識していない何処にでもある一般的な家庭。1階リビングで、寝る前に吸い殻入れを片付けた時に、重ねておいた座布団の間に火のついた煙草を落してしまった。煙草の火は徐々に座布団カバーを焼け抜け中綿の化繊に広がるが化繊は溶けていくだけで炎も煙もしばらく上がらない。しかし不完全燃焼により無色無臭の一酸化炭素(CO)が発生しだす。約30分後にはかなりの濃度のCOがリビングに充満してきたがまだ煙・炎は確認できない。

 COはリビングのドアの隙間から階段を通じて2階へ上り、2階のドアの隙間から寝室に侵入し始める。無色無臭のCOは寝室の天井に溜まるが階段の壁や天井そして寝室の天井を通過する際に冷やされて少しずつ寝ている夫婦に近づいてくる。そして少しずつCOを吸い始めてしまう。

 40分が経過したあたりから座布団から煙が立ち始める、そして一気に座布団から炎が立ち上がる。カーテンに延焼したとたん天井近くまで炎が上がる。雑多なものに燃え移り不完全燃焼の黒煙が天井付近に溜まり始めて黒煙がうねるような状態が見えてくる。この時2階では二人ともぐっすり就寝中。

 不完全燃焼により大量の黒煙と大量のCO及び塩化水素、硫化水素、シアン化水素などの有毒性ガスも発生する。室内は燃焼が拡大して高温となり圧力が増加してCOを大量にドアの隙間から2階の寝室へ押し出す。しかし目に見える煙は2階寝室にまだ入ってこない。2階寝室ではまだまだぐっすり就寝中。

 その間に大量のCOが浸入して寝ている間に体内に吸引され体内酸欠状態へとすすむ。それでもぐっすり就寝中。耐火ボードで施工されているためか1階は炎・煙で高温なのに2階は何ら熱さを感じない。そしてとても静か。怖いくらいに静か。まさにサイレントキラー。

 1階は熱で圧力が増して窓ガラスが割れた。「ガシャン!」の音でようやく夫が目覚めた。この間、座布団から炎が上がってから約7分。窓ガラスが割れたため急激に空気(酸素)が火災室に吸入され天井に溜まった煙ガスに引火して炎が天井をなめるようにフラッシュオーバーとなる。

 トイレに起きた隣家の奥さんが異変に気付く。ガラスの割れた音がしたので外を見るとなんと隣家の窓から煙が出ていて1階の窓が真っ赤だ。

「わー大変だ、火事だー お父さん起きて!119番呼んで!!!」「隣の熊さん夫婦は2階で寝てるよな、2階の窓閉まってるぞ、逃げてないのか?!!」

 その頃2階のドア付近で寝ていた熊さんはガラスの割れる音で目が覚めた、が体がCO中毒でスムーズに動かない。それまではとても静かだったのだが、何やら外が騒がしいし遠くでサイレンの音が聞こえてきた。

 2階ドアの隙間から何やら煙が入ってきた。なんとか起きてドアを開けて階段をのぞくとかなり熱い真っ黒な煙がすごい勢いで部屋に侵入してきた。その煙を瞬間に吸い込んだ熊さん激しく咳き込む、咳き込めば咳き込むほど煙を吸ってしまう。3度ほど呼吸をしたかと思ったら、吐き出すことも吸うこともできない。ちょうどプールで溺れ水を吸い込んでいるように呼吸ができない。熊さんはそのまま倒れてしまった。

 倒れたのが奥さんの上だったため奥さんもびっくりして飛び起きた。すでに部屋の中は黒煙が充満して良く見えない。奥さんは室内灯を付けようとリモコンを操作したがどうしても照明がつかない。1階の火災が配電盤を焼いていて電気は遮断されてしまった。

 奥さんは、はうようにして窓を開け新鮮な空気を求めて窓から顔を出す。1階から外へ噴出している煙も2階の窓に上がり始めた。その煙の先に新鮮な空気がちらっと見える。奥さんは何とかその空気を吸おうと必死に顔を出す。

 しばらくして消防隊到着。119番通報から約7分。

「すぐに助けに行くから飛び降りるな!」と消防士がメガホンで叫んでいたが、奥さん呼吸ができなくてそれどころではない。2階だから飛び降りても大丈夫かな、と考えもせずに飛び降りた。

 新鮮な空気を求めて身を乗り出したのであって決して飛び降りるつもりではなかった。お尻から墜落して気が遠くなりかけた時に「2階に夫!」と叫んだ。

 すでに1階は火の海で割れた窓ガラスからは大量の煙と炎まで見える。しかし2階は煙は充満しているがそれ以外はほとんど変化はない。熊さんは倒れる直前にドアを閉めていたのだが、それでも隙間から煙が入ってくる。

 ドアの隙間だけではなくコンセントからも煙が噴き出し始めた。

 熊さんは倒れたまま動けないが意識はある。恐ろしいことに意識があるのに体が動かない。「かみさんは助かったか?」さっき窓を開けたようだが急に姿が見えなくなったなと考えているうちに意識が遠のく。

 消防隊はすぐさま2線のホースを延長して1階に向け放水を開始。2階に逃げ遅れ要救助者ありの報告からすみやかにチタン製3連はしごを2階窓に架けた。地元消防団も到着して中隊長の指示により団員がはしごの内側へ回り込み3点支持にてはしごを保持する。消防団の可搬ポンプからもホース1線を延長し噴霧放水にてレスキュー隊員を熱から防護するため援護放水を行う。レスキュー隊員の吉野が2階の窓から侵入し室内を検索すると奥のドア付近でうつぶせに倒れている要救助者を発見。無線で指揮本部に報告と同時に要救助者を窓まで引っ張る。

 続いてはしごを昇ったレスキュー隊員の神谷が要救助者を吉野から受け取り肩に担いではしごを降りる。その時2階でも充満した煙ガスに引火して再度のフラッシュオーバーが発生した。

 先に2階から飛び降りた奥さんは救急搬送の結果一命は取り留めたが、骨盤骨折と足首の複雑骨折さらに煙を大量に吸ったことによる気道熱傷で重体。ただし体のどの部分も火傷は負っていない。気道がただれている原因は有毒な酸性ガスによる熱傷と判断された。2階からの脱出で重傷を負うなど誰も想定していなかった。煙を吸引したことにより呼吸ができずにパニックに陥ったと考えられる。

 救助された熊さんは救急搬送の段階で救急隊と病院医師側の電話による相談の結果、高圧酸素療法の加療が必要で、都内の施設を探したが空きがない。都内から江戸川河川敷まで救急車で搬送して、野球グランドで待機手配した消防ヘリコプターに移し替え千葉県鴨川市の亀田総合病院へ移送し救急救命センターで高圧酸素カプセルに収容された。外傷は全く無く、火傷の跡すらもなかった。

 2階でのフラッシュオーバーの後猛烈な勢いで家屋全体が炎に包まれて全焼した。

 残念なことにレスキュー隊員の吉野が殉職してしまった。神谷は思った。要救助者が自力で動けたらはしごをかけた段階で自力避難できたはずだ、この数十秒足らずの時間差で吉野が死なずに済んだのに。悔しさ無念さを噛み締めた。

 その三週間後高圧酸素治療の加療の結果、一命は取り留めた熊さんは脳死状態となったとの報告を神谷は聞いた。吉野が犠牲を払って救助したのに。火災で少しの火傷も負っていないのに植物状態とは。無念。

 以上 最悪のシミュレーションでした。
(実火災実験や実際にありましたヘリでの移送、高圧酸素加療、実際の火災事例を参照したシミュレーションです)

戸建の災害対策 火災編
 高圧酸素カプセルの中で熊さんがはっと目覚めた。

「俺は助かったのか?」と考えていると周りのカプセルが掛布団に変わり寝汗をかいてびっしょりだ。「ううう、夢だったのか」と一人ごとを言って隣を見ると奥さんがいびきをかいて寝ていた。

 普段はなんてわずらわしいいびきだと常々感じていたが、この時ばかりは愛しいいびきだった。

 この夢を教訓に戸建て住宅の災害対策を再考してみましょう。

 1.火災の早期覚知

 人がいる場所(部屋)で何かが燻るだけで臭いや煙・音・炎は直ぐに覚知できます。人間は大変すばらしい火災感知能力があります。しかし火災が進行するところにはまず人がいません。または、熟睡・泥酔など完全に寝入っている場合も多いのです。火災は早期に覚知発見できれば簡単に消火可能ですし避難の時間も十分にあります。

 消防法で住宅用火災警報器(住警器)の新築住宅への設置が2006年6月1日から既存住宅は2008年6月1日から義務化されています。ちょうど今年6月で10年目にあたり取り替え需要が発生します。

 先のシミュレーションでもあるように火種が燻り火炎と煙が出るまでに状況によりますが、相当の時間がかかります。その間にCOが不完全燃焼により相当量発生します。この段階で火災の覚知ができればほとんど初期消火レベルで消火可能です。

 一般的に販売されている住警器は熱感知器、煙感知器です。布団などの厚みのある可燃物でくすぶり続けて炎・煙が立ち込め警報器が感知するレベルであると一気に拡大延焼します。したがってこれ以前にCOが感知できればかなり早期に初動対応(初期消火・避難)が可能です。

 http://www.city.kobe.lg.jp/information/press/2018/08/20180810910201.html(神戸市:煙と一酸化炭素の流動に関する火災実験)


煙・一酸化炭素流動実験(出典:YouTube)
 ほかにもCOを検知して警報が出てから約16分後に煙を検知して警報が鳴ったという実験結果があります(広さ約8畳の室内にて布団燻蒸火災を再現したデータ、新コスモス電機による実験)。16分間のタイムロスは致命傷・逃げ遅れの原因になります。

 住警器を新規に設置する、取り換えを検討中の方はCOセンサーの付いた住警器を設置しましょう。もちろん私の自宅には煙・CO住警器を設置してあります。

 2.視界(あかり)の確保

 ほとんどの皆さんは防災用品としてライトやランタンなどを準備されていることでしょう。

 ただし突然の大地震や火災などで瞬時に停電になるとその保管場所まで移動することや電池を入れることなど不可能なほど暗闇になります(特に広域ブラックアウト)。

 消防法で義務づけのある非常灯のような設備があれば急な停電でも内蔵のバッテリーで明かりを自動点灯しますが、戸建ではなかなか設備している家は無いでしょう。

 充電タイプのハンディライトで通常はコンセントにさしっぱなしにしておいて停電時は自動点灯するタイプの製品があります。私の自宅(3階戸建)にも各階に1個は挿してあります。

 充電池にはリチウムイオン電池を使用していますので信頼できる商品を選択しましょう。電池が発火して火事になったらしゃれになりませんので。

 https://www.twinbird.jp/products/ls8558.html(自宅にはこの商品を装備してます)

 3.呼吸の確保

 先のシミュレーションでもありましたが1階で火災が拡大延焼しても煙・有毒ガスから呼吸を守れればかなりの時間稼ぎが可能です。また自力脱出も可能です。消防隊が救助に来ても大量の有毒ガスを吸っていてなんとか助け出したのに病院で死亡が確認されたなどは連日のように報道されております。呼吸の確保がなされれば自力で動くこともできますしパニックにもなりにくいです。

 そもそも自力脱出できれば消防隊が救助のためにわざわざ危険な建物内に侵入しなくてすむのです。呼吸保護具(防毒・防煙マスク)は戸建こそ必要な保護具です。最近は集合住宅の火災もよくあります。

 下層階で出火しても防火区画(扉などをきちんと締める)が形成されていれば延焼は抑えられますが煙有毒ガスはどんどん侵入してきます。外傷(火傷)が何ら無くても死亡しているのです。呼吸の保護は大変重要です。最近ネットで販売されている防煙マスクや防災フードなどの商品で粗悪な製品が多く見受けられます。日本には消防庁が決めた規格基準がありますのでそれに合格した商品を選びましょう。「一般財団法人日本消防設備安全センター 評定合格品」がベストです。

 また、単なるポリ袋を防煙フードなどと称している製品も見られますが論外です、これをホテルの客室に常備している恐ろしいホテルも見受けられます。安全配慮義務違反ですね。即、生死に直結する道具ですのできちんと選びましょう。呼吸保護具については別の機会に詳しく解説いたします。

 http://smokeblock.rescueplus.jp/(当然ながら自宅3階寝室すぐ手が届くところに2個置いてます)

 4.戸建の2〜3階からの脱出

 ビルや共同住宅の場合は水平避難(同じ階の他の防火区画へ避難)や2方向避難(別々の階段)が可能ですがほとんどの戸建は水平避難も2方向避難もできないのが現実です。先のシミュレーションでも階段をのぞいたら猛煙が侵入し窓からの脱出しか逃げる道が無い状態でした。しかし2階といえどもかなりの高さがあります。

 若い時でしたらなんとかなるかなと思っていましたが、現実の火災で2階から飛び降りて重傷を負っているり災者が多くいます。まして3階からはとても無理です戸建の犠牲者の多くが2〜3階で亡くなっております。

 そこで第2の脱出ルートを確保できるのが避難ばしごです。煙が充満し始めても防毒・防煙マスクで呼吸が保たれれば落ち着いてはしごで脱出できます。

 http://www.hinan-hashigo.com/(自宅3階寝室からの脱出に3階用備えています)

 5.その他の保護具

 戸建の火災の発生時間は大部分が就寝時です。従って裸足でパジャマ、とても無防備です。履物もスリッパ程度。万が一の場合、防煙マスクを着装して窓に避難梯子をかけて窓から脱出。直ぐに履ける靴とすべり止めのための手袋を用意しましょう。当自宅には避難ばしごと一緒に寝室のクローゼットに収納してあります。

 最後に、防災用品、備蓄品などいろいろなものが市場に出回り何をどれくらい揃えればよいか多くの方が悩んでいます。会社での備蓄、学校での備え、病院での備え、それぞれ施設・用途・収容人員などの違いでさまざまなパターンがあると思います。しかし、共通している備えは生命の安全が最優先であるということ。ここを飛ばして、やれ備蓄食料だ、やれ簡易トイレだと言っている人の何と多くいることか。

 そして自分たちだけが被害者になるだけではなく、救助に来た消防士まで犠牲になるなんておかしくありませんか。もう一度見直しをして疑問があれば信頼できる専門家に相談してみましょう。

 もう一度言います。 消防士を殉職させるな!!

熊谷 仁氏熊谷 仁/災害対策コンサルタント。1989年から災害対策コンサル業務を開始。主に自衛消防隊の教育訓練を得意とし、発災後時系列による対応の優先順位付けや、BCPを円滑にスタートさせるための初動対応(ダメージコントロール)といった考え方を提唱。現在の災害対策のスタンダードとなっている。1995年から消防団員として災害現場へ多数出場。株式会社レスキュープラスCEO、株式会社グリーンケミー取締役(備蓄食料品製造)、東京消防庁本田消防団団員。
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https://diamond.jp/articles/-/195236
http://www.asyura2.com/18/social10/msg/132.html

[社会問題10] 出世によって職場の友人を失う時 人間関係の急激な変化を乗り切るコツ 日本の100万人が抱える吃音、死さえ選んでしまう悩み

2019年3月1日 The Wall Street Journal
出世によって職場の友人を失う時 人間関係の急激な変化を乗り切るコツ
窓から外を覗く男性
Photo:iStock/gettyimages
 昇進には歓迎すべきメリットがある。給料が上がり、立場に応じた特典が与えられるといったことだ。だが祝福の声が一段落すると、多くの人がもっと微妙な変化を意識し始める。なぜ職場に仲のよい友達がいなくなったのか?

 ティム・トーラン氏が初めてそれに気づいたのは、以前の勤め先でバイスプレジデントに抜てきされた直後のことだ。元同僚を監督する立場になったトーラン氏が金曜の夕方に新たな部屋から目にしたのは、「いつもの仲間が連れ立って行く」姿だった。「以前の友人たちが毎日ランチに繰り出す姿も目にした」という。

 同僚が集まるバーベキューパーティーに声がかからなくなり、「次々に来ていた誘いが突如途絶えてしまった」とトーラン氏は振り返る。自分が部屋に入ると皆が口をつぐみ、「まるで死人を見たかのように沈黙が流れる」ようになったという。トーラン氏は現在、経営人材紹介会社サンフォード・ローズのヘルスケア部門であるトーラン・グループの最高経営責任者(CEO)を務める。

 昇進すると職場での人間関係に劇的な変化が生じることがある。仲の良かった友人がよそよそしくなる。それまでの同僚との関わり方はもはや通用しない。大半の会社が行う新任マネジャー向け研修は、こうした変化を乗り切るのにほとんど役立たない。

 ミレニアル世代の出世が増えるにつれ、この問題がますます顕在化している。バランスを保つためには、従来の友人関係を見直し、新たな友人を増やすほか、仕事における別の満足の源を見いだすことが必要だ。

 ボーイングやジョンソン・エンド・ジョンソン、UPS、ベライゾン・コミュニケーションズなど14社の経営陣やマネジャーら2848人を対象にした調査によると、過去5年は1982年以降生まれの昇進件数が、より高い年齢層に比べて2倍多いことがわかった。この調査は全米産業審議会(コンファレンスボード)、幹部人材育成を手がけるDDI、RW2エンタープライジズが実施した。

リスクと解決策
 多くの若いマネジャーは、それまで同僚だった人との信頼感喪失をショックに感じる。昇進できなかった同僚は自分を無力に感じる傾向があり、新しい上司に軽視されているのではないかと過敏になる。スペインのナバラ大学IESEビジネススクールのセバスチャン・ブリオン准教授(経営学)はこう指摘する。

 新任マネジャーの一部は、自らの昇進に寄与したのと同じ特性(個としての自信や実務的スキルの高さなど)がマネジャーとしての成功に資すると思い込むことで、無意識のうちに緊張を高めている。こう話すのは組織心理学者で、自己認識に関する著書があるターシャ・ユーリック博士だ。そうなると「上司であるからには答えを全部知らなくてはならない。自分で何もかもやらなければいけない。決して弱さを見せられない」という心理状態が、部下に威圧感を与える結果となる。

 全米産業審議会の調査結果が示すように、尊大さと自信過剰はマネジャーが失敗する最もありがちな原因だ。「何もかも知ろうとすることで、あなたとあなたのチームの間に壁ができてしまう」。組織変革コンサルティング会社ピープルリザルツのパティ・ジョンソンCEOはこう話す。調査結果からは、上司に本当に必要な能力は他人のやる気を引き出し、部下のスキルを向上させ、変化を主導・管理することだとわかる。

 またジョンソン氏は、仲間に加わり続けようとするのも間違いだと話す。同氏が以前働いていた会社のある同僚は、昇進後も「今まで通り、皆と一緒に飲みに行こう」と決めた。ところが部下が全て参加したわけではなく、誘われなかった部下は無視されたと感じた。「周囲との友達づきあいはしてよいが、一定の制限を設ける必要がある」

 それには面と向かって伝えるのが最善策だ。リーダーシップ開発を手がけるリバーブのミカエラ・カイナーCEOは「方針転換をはっきり告げること」だと話す。突然部下になった友人に対し、新たな役職で必要になる行動の変化(例えば、ランチを共にする頻度が減ること)を説明する。そのうえで、それとは別に今後も続けてほしいことを伝えるのだ。「『私はあなたのフィードバックや助言に心から感謝している。どうかやめないでほしい』などと話してはどうか」

 こんなリスクもある。心理学者のユーリック氏によると、昇進したばかりの上司と社員の間に距離があると、部下は自分の考えを言いたがらない場合がある。それを避けるため、マネジャーは異なる意見を引き出すべく格別な努力を払う必要がある。

 会話を活発にするためには、新任の上司は自分が知らないことを正直に話す必要があるとジョンソンCEOは言う。「誰か1人が全部の答えを知る必要はない。周囲の人々を巻き込み、オープンな態度でこう語りかけよう。『さあ一緒に考えてくれないか。これまでどんな方法が有効だった?』」

 同僚が自分のことを敬遠し、溝が深まる場合もある。ケーブルTV業界で長く活躍したHGTVの元最高執行責任者(COO)、 スーザン・パッカード氏は努力しても良い関係を築けなかった過去の経験を思い出す。

パッカード氏が勧めるのは、そんなときに愚痴を聞いてくれる身近な支援者を見つけることだ。また、仕事に他の重要な意味づけを見いだすことも有効だという。同氏には職場での感情面の健康についての著書「Fully Human」がある。

(The Wall Street Journal/Sue Shellenbarger)
https://diamond.jp/articles/-/195600


2019年3月1日 首藤淳哉 :HONZ
日本の100万人が抱える吃音、死さえ選んでしまう悩みの深層
『吃音 伝えられないもどかしさ』

写真はイメージです Photo:PIXTA
吃音を抱えるたくさんの人々が
懸命に発した“言葉”に耳を傾ける
『吃音 伝えられないもどかしさ』書影
『吃音 伝えられないもどかしさ』 近藤雄生著 新潮社 1620円(税込)
 自分が体験したことがないことを想像するのは難しい。

 かつて我が身に降りかかってきたことや、常日頃から感じていることなどをもとに他者に共感することはできるが、体験したことがなく、ましてや関心すら持ったことがないことについては、なかなかイメージすることができない。

 だが本書『吃音 伝えられないもどかしさ』はあなたに驚くべき体験をもたらすだろう。

 この本を読み終えたあとは、世界の見え方が変わるはずだ。これまで見えなかったものが見えるようになり、気がつかなかった人々の存在に気づくことができるようになるはずだ。

 あなたがこれまで想像もできなかったこと。

 それは、世の中にはうまく言葉を発することができない人がいる、ということだ。耳は聞こえ、声を出すこともできるのに、言葉が詰まってしまい、なめらかにつなげていくことができない人々のことである。「吃音」と呼ばれる症状だ。

 吃音を発症するのは、幼少期の子どもの約5%、およそ20人に1人と言われる。このうち8割くらいは成長とともに自然に消えるが、それ以外は大人になっても残る。日本では100万人ほどが吃音の問題を抱えているとみられる。

 本書は、自らも吃音に悩んだ経験を持つ著者が、同じ問題を抱えるたくさんの人々が懸命に発した“言葉”に丹念に耳を傾けたノンフィクション。当事者のデリケートな内面が繊細な手つきで掬い上げられ、誠実にまとめられた一冊だ。

追い詰められて
死を選んでしまう人も
 多くの人は吃音の問題を軽く考えがちである。「緊張して上手く話せないことは自分にもある」とか「誰だって話していて噛むことがある」などというように、日常でよくある場面と結びつけてとらえがちだ。だが吃音はそういうものとはまったく違う。

 ある言葉を言おうとすると突然、喉や口元が硬直し、どうしても動かなくなってしまう。その結果、「ぼ、ぼ、ぼ、ぼくは」のように繰り返す「連発」や、「ぼーーーくは」などと伸ばす「伸発」、「……(ぼ)くは」のように出だしの音が欠けてしまう「難発」といった、さまざまな症状となって現れる。

 考えてもみてほしい。誰かと話をしている時に、あるいは会議で発言している時に、なんの前触れもなくその症状が現れるのだ。著者は吃音になった状態を「鍵がかかったドアを必死に開けようとする感覚に近い」と表現しているが、その恐怖心たるや相当なものだろう。

 本書に登場するのは、吃音のために大きな困難に直面している人々だ。就職面接を受けても落とされてしまったり、研修で話し方を改めるよう同僚の前で叱責されたり、あるいはそれらをなんとか乗り切ったとしても、職場では話すのが怖くて電話をとることができなかったり……。吃音を抱えていると社会生活のあらゆる場面で差し障りが生じてしまう。

 追い詰められたあげくに、死を選んでしまう人もいる。

 本書で紹介されているエピソードは、どれも安易に要約したくないものばかりだ。だからこそ、ひとりでも多くの人にこの本を読んでほしいのだが、一言だけ付け加えておくなら、ぼくはこの本を読みながらなんども目頭が熱くなった。そして「優しい人ばかりが死を選んでしまう社会なんて間違っている!」となんども叫びたくなった。

人はある日突然、
言葉を失ってしまうことがある
 ラジオの仕事をしているおかげで、これまでたくさんの人の話に耳を傾けてきた。この小さな文章でぼくに出来ることがあるとすれば、話を聞く側の心構えのようなものをみなさんにお伝えすることかもしれない。

 あれは新人記者だったときのことだ。初めてインタビューを録ってきて先輩に聴いてもらった時に言われたことが忘れられない。先輩は1分も聴かないうちに「ダメだこりゃ」と苦笑した。そしてこう言ったのだ。

「あのな、人の話を聞くときは、余計な言葉を挟むな。ただ待て。そしてその人がなにか言ったら、目をみながら無言で頷け。それだけでいい」

 今ならその先輩の言ったことがよくわかる。ぼくはインタビューをしながら、相手が言い淀んだことに「それはつまりこういうことですか?」などと言い、「それで?それで?」とたたみかけるように合いの手を入れていたのだ。人に話を聞かせてもらいながら、相手の言葉に耳を傾けることなく自分本位のインタビューをしていた。まったくもって最低な聞き手だった。

 事故や災害の現場では、言葉を失った人たちと出会うことが珍しくない。
 人はある日突然、言葉を失ってしまうことがある。
 そのことをぜひ覚えておいてほしい。

 昨年、『幻を見るひと 京都の吉増剛造』という映画を観た。

 吉増剛造といえば現代詩の巨人だが、彼は東日本大震災を目にして以来、まったく詩が書けなくなってしまう。詩人なのに言葉を失ってしまったのだ。この作品は、吉増が詩の言葉を取り戻すまでを追ったドキュメンタリーである。吉増はただひたすら先人の書いた詩を小さな文字で筆写することを繰り返す。そしてびっしりと文字の記された紙を絵の具で塗りつぶす。まるで箱庭をつくっては壊すかのような、何かの病が治癒するプロセスを観ているかのようだった。

 吉増はこうした行為を繰り返し、そして京都の自然が持つ力も借りながら、少しずつ言葉を取り戻していく。身体の奥底から言葉を発するというのは、かくも大変なことなのかと思い知らされる作品だった。

吃音を抱えた人も
自由に人生を選択できる社会に
 日常生活で何不自由なく話すことができているとなかなか実感できないかもしれないが、言葉を発するという行為は、私たちが思っている以上に、繊細で危ういバランスの上に成り立っているものなのだ。ぼくやあなたも、ある日突然に言葉を失うかもしれない。なめらかに話せなくなるかもしれない。

 だからもしも吃音を抱えた人が目の前にいたら、どうか思い出してほしい。
 余計な言葉を挟まないで。せかさず、さえぎらず、言い直したりしないで。
 その人の目を見て、あなたの話は伝わっているよ、と気持ちを込めて頷いてあげてほしい。

 幸い本書には希望も記されている。昔に比べると吃音に対する研究も進み、少しずつだが法律によるバックアップ体制も整いつつあるという。だがまだまだ十分とはいえない。吃音を持つ人をサポートする言語聴覚士や言友会などの存在はもっと広く知られるべきだし、なによりも吃音を抱えた人も自由に人生を選択できる社会にしていかなければならない。

 心優しき人が死を選んでしまう。そんな悲劇はもうこれで終わりにしよう。どんな人にも居場所があるような社会をつくるために。ひとりでも多くの人にこの本を手にとってほしいと心から願う。


(HONZ 首藤淳哉)
https://diamond.jp/articles/-/195550
http://www.asyura2.com/18/social10/msg/133.html

[社会問題10] 児童養護施設長を刺殺した青年は、なぜ「大人」になり切れなかったか
2019年3月1日 みわよしこ :フリーランス・ライター
児童養護施設長を刺殺した青年は、なぜ「大人」になり切れなかったか

渋谷区にある児童養護施設で、元入所者の青年が施設長を刺殺した。社会的養護のもとで育った青年の心は、なぜ満たされていなかったのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA
なぜ元入所者は施設を憎んだのか
「社会的養護」の特殊性とは
 2月25日午後、渋谷区にある児童養護施設で、46歳の施設長が刺殺された。逮捕された容疑者はその施設の元入所者で、「施設に恨みがあった」ということだ。容疑者は、15歳から18歳までの3年間を過ごした施設で、「手がかからない、おとなしい子」という印象を持たれていた(読売新聞記事)。いずれにしても、事件の詳細は、現在ほぼ何もわかっていない。

 私自身は、事件の発生には大きな衝撃を受けたが、事件の内容や容疑者に対してはあまり驚かなかった。報道されている容疑者の過去の経歴や言動はすべて、想像力を働かせずに理解できる範囲にあるからだ。

 少年期から青年期にかけての不安定さ、大人社会への期待と「わかってくれない」「期待に応えてくれない」という失望、そして「逆恨み」に見える抵抗や爆発――。すべて、大人全員が乗り越えてきた道だ。時に乗り越えられず不幸な結末となる実例は、1995年の「地下鉄サリン事件」をはじめ、過去に数多く存在する。今回の事件に特殊性があるとすれば、舞台が児童養護施設であったことだろう。

 では、児童養護施設を経て大人になることは、本人にとってどのような経験なのだろうか。最初に、実例を1つ紹介したい。

 児童養護施設を経て成人した30代男性が、幼児期から高校生までを過ごした施設について、目を輝かせて楽しそうに話してくれたことがある。まるで、毎日が楽しい修学旅行のようだった。親に捨てられての施設入所ではあったけれども、楽しい施設生活に支えられ、伸び伸びと学校生活を送っていたそうだ。

 スポーツの才能に恵まれ、学業成績も悪くなかった男性は、その種目では名門とされる公立高校に進学し、競技で成果を残し、好条件で就職した。しかし、就労を継続することはできず、不安定就労の繰り返しとなった。

ありふれた課題の1つ1つは
どのように「こじれる」のか
 約20年後にあたる2010年頃、私の目の前にいた彼は、明るく如才なく振る舞っていた。そのときの彼は、生活保護で暮らすギャンブル依存症者だった。彼の生存戦略は、障害を持つ女性と結婚して生活保護を申請し、強い就労指導の対象となることを避けるというものだった。

 保護費のうち生活費分の大半は、彼のギャンブルによって消費されていた。もちろん、それでは食材を買うこともできない。そこで彼は、ありとあらゆる「生活の悪知恵」を駆使していた。高校卒業から20年間で何が起こったのか、詳しくは知らない。けれども、同じような経歴を持つ人々との付き合いから推測することはできる。

 児童養護施設などの社会的養護を経てきた若者たち、虐待を経験してきた若者たちの中には、非常にしっかりしているように見える人々がいる。同年齢の若者よりも「きちんとした」日本語を話し、人当たりが良く、「気配り」を欠かさない頑張り屋だ。

 しかし1対1での付き合いが始まると、その言動や振る舞いや努力そのものが、自分を守るための盾であることがわかる。その盾はあまりにも薄く脆く、周囲の人のちょっとした一言や表情や口調が決定的な「穴」を開けてしまう場合がある。周囲の人は驚き、大いに反省するが、こうなると関係を修復することは難しい。

 彼ら彼女らにとっては、失望や反省を伴うとしても一瞬で、「ああ、やっぱり」だ。幼少の頃から、自分を守れるものは自分だけだった。施設を頼ることができるのは、就職する前までだ。その後は「自己責任」で、自分を支えて守る何かを築き続けなくてはならない。目の前に新しく現れた大人が「やはり、自分を傷つけそうだ」と気づいたら、盾に開けられた穴を塞ぎ、自分を守り続けるだけだ。しかし、悪気なく傷つけてくる人々は、次から次へと現れる。

 職場の雑談や声がけが、勤務を継続できなくなる引き金になることは少なくない。昼休みに悪気なく「ご家族は?」と尋ねられたとき、正直に事情を答えたら、場の雰囲気が悪くなり、話題を変えられ、その後はなんとなく距離を置かれたりする。お盆や正月に社員寮にいることを不審に思われ、「たまには親に顔を見せてあげなさいよ」と言われることもある。しかし、帰れる実家はない。

 そのように、小さな「地雷」を踏まれ続けることが重なれば、職場に耐えられなくなるのは自然な成り行きだ。それが繰り返されると、履歴書の経歴は「どの職場も長続きしなかった人」のものとなる。

 渋谷の殺人事件の容疑者は、高校を卒業した後、就職してアパート生活を始めたという。しかし、施設職員たちの継続的なバックアップがあったにもかかわらず、安定した就労を続けることは出来ず、昨年9月には住居を喪失した。以後はネットカフェ生活を続けたが、継続できなくなり、事件へと至った(産経新聞記事)。

職場で長続きしないことは
自己選択の結果なのか
 社会的養護や虐待を経験した人々の中には、自助努力によって職業キャリアを重ね、円満な家庭を営んでいる人々も多い。「仕事に就いても長続きしない」「不安定な生活を送っている」といったことは、本人の自己責任と自己選択の結果なのかもしれない。渋谷区の事件の容疑者も、前述のギャンブル依存男性も、「自己責任」で片付けてしまって良いのかもしれない。とはいえ、その人から見た外界を理解する努力は、必要なのではないだろうか。

 渋谷区の事件の容疑者は、15歳で施設に入所した。背景には、母親とのトラブルがあったという。トラブルの内容は不明だが、15歳までの生育環境が良好でなかった可能性は考えておく必要があるだろう。もちろん、母親ともども貧困状態にあった可能性もある。

 施設を出てアパート暮らしを始めた途端、母親が追いかけてきた可能性もある。高校を卒業した容疑者の社会人としての最初の数歩は、母親がアパートや職場に現れるだけで、場合によっては電話やメールだけで、台無しになる可能性もある。

 もちろん、そうしたケースばかりではないのだが、生活保護や貧困の周辺には、「暴言のはけ口が欲しいから同居したい」「お金をせびりたい」といった理由で、子どもが何とか獲得した自立を台無しにする親が、「多くはないけれど、珍しくない」という頻度で実在する。私もこれまでの取材経験から、そうしたケースを把握している。

 母親が生活保護の場合、就職した途端に福祉事務所が子どもに対して同居や仕送りを求める場合もある。むろん、本人が断れば済む話なのだが、本人が受けるプレッシャーや打撃の大きさは、「扶養義務があるから」の一言で片付けられる問題ではないだろう。

生育環境によって背負う欠落は
数年間の施設生活で払拭できない
 10代後半から20代前半の時期は、円満な家庭環境や親のバックアップがあったとしても、不安定になりやすい。渋谷区の事件の容疑者についても、昨年9月、アパートを退去して住居喪失した経緯に関して、精神面の不安定さを示す報道がある。

 15歳だった容疑者は、原家族と生育環境によって背負わせられた欠落を抱えて、施設にやってきた。そして、一息つける3年間を経て、欠落を抱えさせられたまま社会に出ると、学校にも児童福祉にも守られなくなった。自分を守るものがない状況で「自立」を模索した末に、不安定な状態になったとしても、不自然ではない。

 0歳から15歳までの15年間、必要なのに与えられなかったものを、15歳から18歳までの3年間で埋め合わせることは不可能だ。だからこそ、施設スタッフは退所後も継続してサポートしたのだろう。しかし、容疑者は恨みを抱き、施設長を殺害した。

 私自身、この重すぎる事件に対して、「受け止め切れない」という思いがある。しかし、「警備を厳重に」「危機的な状況にある退所者には注意を」といったことは、おそらく対策にならない。また、「施設ではなく里親なら起こらなかった事件」というわけでもないだろう。

「足りないこと」が問題
対策は「増やすこと」

本連載の著者・みわよしこさんの書籍『生活保護リアル』(日本評論社)好評発売中
 根本的な対策は、まず、子どもの育ちと暮らしを無条件に支えることだ。親が貧困状態にあるのなら、せめて生活保護で解消する必要がある。車なしには買い物も病院通いもできない地域で、「生活保護か車か」の二者択一を迫るようなことは止める必要もある。

 親の養育能力が欠けているのなら、責めるのではなくサポートする必要がある。親を責めると、子どもに「自分のせいで親が責められる」という罪悪感を与える場合があるからだ。「学籍がなくなったら児童養護施設の対象外」「18歳になったら児童福祉の対象外」といった取り扱いも、変える必要がある。

 結局のところ、最も根本的な対策は、誰もが生きやすい社会をつくることだろう。言い換えれば、誰でもいつでも、必要なら安心して使える分厚いセーフティネットがある社会だ。せめて生活保護制度を、恥や怖れを伴わずに安心して使えるものにすれば、そこに近づくことはできる。

 もちろん児童福祉は、最優先で充実させ柔軟にする必要がある。並行して、「住」が無条件に保障されれば、状況は一変するだろう。「児童」でなくなる18歳以後、住居喪失のリスクさえなければ、防げる悲劇は数多くあるはずだ。

 私たちの社会は、22年前に生まれた1人の男の子に、幸せな暮らしと育ちと学びを保障できなかった。高校を卒業した彼は、ほぼ丸裸で世間に放り出された。社会は今、殺人事件によって彼の存在に気づき、自己責任の余地や「ツッコミどころ」を懸命に探し、全力で叩こうとしている。最初にすべきことは、この不条理を認めることかもしれない。

(フリーランス・ライター みわよしこ)
https://diamond.jp/articles/-/195553
http://www.asyura2.com/18/social10/msg/134.html

[国際25] 一触即発のベネズエラ、「独裁vs民主化」の図式に翻弄される悲惨 強国の介入で残るのは 内戦の泥沼と悲惨な暮らし
2019年3月1日 山田厚史 :デモクラシータイムス同人・元朝日新聞編集委員
一触即発のベネズエラ、「独裁vs民主化」の図式に翻弄される悲惨
ベネズエラ国旗
Photo:PIXTA
 ベネズエラに緊張が走っている。

 コロンビア国境に集められた「緊急援助物資」の搬入を巡り、マドゥロ政権と反政府勢力が一触即発の状況だ。

「暫定大統領」を宣言したフアン・グアイド国会議長をいち早く支持したトランプ政権は、軍などに反政府勢力側につくように呼びかけ、米国メディアも「人道支援を独裁政権が阻んでいる」と伝える。

「独裁vs民主化」の分かりやすい対立の図式には既視感がある。イラクやリビア、シリア、アフガニスタンなどがそうだった。

 独裁、非人道的と決めつけられた政権に対して、「倒されて当然」という世論作りが行われ、他国の軍事介入が正当化されてきた。

 不都合な政権は武力で破壊する力を持つ国の代表は米国だ。だが介入の後に残るのは、終わりなき内戦と悲惨な暮らし。

 ベネズエラはその瀬戸際にある。

「暫定大統領」の承認で世界が二分
米国は「武力介入」示唆
 二期目に入ったマドゥロ大統領の退陣を求め、グアイド国会議長が「暫定大統領」就任を宣言したのが、今年1月。以来、政権と反政府勢力の対立が激化するばかりだ。

 1月23日、首都カラカスで大規模な反政府集会が開かれ、「大統領選挙は無効だ」と気勢をあげた。集会に彗星のごとく現れたのが35歳のグアイド氏だった。

「野党を排除した選挙で選ばれたマドゥロ大統領には正当性がない」と、自分が「暫定大統領」と名乗りを上げた。

 ベネズエラでは、大統領不在の時、国会議長が暫定大統領に就く、という規定が憲法にある。

 2015年の総選挙で勝利した野党は議員数で上位4党が輪番制で議長を出している。グアイド氏の党は4番目の小党だが昨年12月、国民議会議長になった。

 だがそれまでは、ベネズエラでも庶民になじみのない政治家だった。

 反政府集会の直前にペンス副大統領から電話で指名された、と現地では伝えられている。いわば米国が選んだ「持ち駒」である。 

 グアイド議長は「祖国を解放するため、あらゆる選択肢が用意されている」とツイッターで述べた。

「あらゆる選択肢」という言葉は、トランプ大統領が1月に、「グアイド大統領」を承認、し、「武力介入」の可能性を示唆した時、使った言葉だ。

「暫定大統領」を、その後、カナダやEUなどの先進国、近隣国が承認。日本も2月20日、支持を表明した。 

 米国はベネズエラの国営石油会社に対して米国内の資産を凍結するなどの経済制裁を実施し、マドゥロ大統領へ退陣の圧力をかけ続ける。

 一方で、中国、ロシアなどは内政干渉を禁じる国連憲章を守るとしてマドゥロ政権を擁護し、世界が二分された状況だ。

「喉に刺さったとげ」抜きたい米国
「反米政権」の転覆を狙う?
 米国でベネズエラ問題を担当するのは、共和党右派を代表するペンス副大統領と、安全保障担当のボルトン大統領補佐官だ。

 ボルトン氏は「ベネズエラに5000人派兵」と書かれた文書を、これ見よがしに抱えて記者団の前に現れ、「ベネズエラ軍最高司令部よ、今こそ国民の側につくべき時だ」と訴えた。

 ボルトン氏はハノイでの米朝協議に備え、2月23日から韓国を訪問する予定だった。急きょ取りやめベネズエラ情勢に集中すると外電は伝えた。

 ペンス副大統領も25日、コロンビアの首都ボコダで、グアイド氏と会った。

 中南米は、「米国の裏庭」とされ、多くの国は米国と政治的にも経済的にも深く結びついてきた。そうした地域で、「反米」を掲げるマドゥロ政権は、米国は「喉に刺さったとげ」である。

 トランプ政権は、ベネズエラを転覆する千載一遇のチャンスと見ているからだろう。

 だが政治が混迷するなか、ベネズエラは猛烈なインフレが人々の暮らしを破壊し、1日に約5000人が国境を越えコロンビアやエクアドルに流出しているといわれている。

 グアイド議長は国際社会に人道支援を要請。米軍の輸送機がコロンビアに大量の援助物資を輸送し、国境を開くことを求めている。

 これに対し、ベネズエラ政府は「人道上の問題はない」と主張、国境を開けば米国の軍事介入を招く、と警戒する。

「人道の危機」には、様々な見方がある。

 2017年11月、ベネズエラを調査した国連人権部門の独立専門家アルフレッド・デ・サヤス弁護士は「不満や物不足はあるがベネズエラの状況は人道危機に当らない」と結論づけた。

 その後、インフレは勢いを増しているが、食糧などは配給券が配られており、戦火にさらされたシリアやイラクなどの状況とは全く違う。

 見方が分かれるなかで、米軍が「人道支援」を名目に、ベネズエラ国内に“侵攻”する可能性はないのか。

過去にはCIAが
反チャベスクーデターを画策
 米国には“前科”がある。

 カリブ海を挟んでフロリダ半島の対岸にあるベネズエラは、サウジアラビアをも上回る世界最大の石油埋蔵量を誇る南米の産油国。長く親米政権が続き民主主義も定着していた。

 だが一方で、貧富の差は激しく、裕福な暮らしをする白人層とヒスパニックなどの下層に分断され、石油の恩恵は多くの人には届かなかった。

 1999年、貧しい人々を背に政権を取ったのが、チャベス前大統領である。

 スペイン系、先住民、黒人の血を引き、陸軍士官学校で頭角を現した「青年将校」。一度はクーデターに失敗し投獄されたが、合法的政治運動に転じ1999年の大統領選挙で勝利した。

 医療無料化、農地解放、価格統制など貧困層に手厚い政策を推進した。南米に左翼政権が広がることを恐れた米国の干渉が始まる。

 2002年、CIAの支援を受けた軍がチャベス大統領を監禁。財界人のペドロ・カルモナ氏を暫定大統領に立てた。

 怒った貧困層が大規模なデモを展開し、情勢不利と見た軍が寝返り、チャベスは解放された。カルモナ氏は亡命しクーデターは2日で終息した。

 CIAはチャベス政権発足直後からクーデター工作を始めていたことが分かった。その後も暗殺計画が発覚するなど、米国との緊張関係が続いてきた。

 米国の干渉を受けながら、チャベス政権が社会主義的政策を遂行できたのはオイルマネーがあったからだ。豊富な石油収入がが貧者に手厚い分配を可能にした。

 一方で、取り分が減る大企業や富裕層は反発、海外からの投資は鈍化。国内の供給体制は、脆弱になっていった。

 経済が暗転する引き金になったのが、原油価格の急落だった。

経済制裁は
罪なき人を襲う「焦土作戦」

 石油収入で得た外貨で工業品や生活物資を輸入する経済は、原油安をもろに受け国際収支が悪化した。

 通貨ボリバルは下落、輸入品の価格は上昇し人々の暮らしを直撃した。

 石油企業を国有化し、要職を軍関係者に与えた内政が災いした。市況がいい時は素人経営でもしのげるが、悪化すると経営判断が追いつかない。原油生産は落ち込み、経済を委縮させた。

 2013年にチャベス大統領が死去、副大統領から後継についたマドゥロ氏は、石油一本足経済の弱点をもろに受けた。

 米国との対立で外資導入は進まない。原油の値下がりで資金不足に陥った。

 救いの手を差し伸べたのが中国だった。南米への影響力拡大を目指す習近平国家主席はベネズエラを橋頭保に見立てた。マドゥロ政権は中国マネーに頼り対外債務が急拡大した。

 一方で、ロシアもこの間、「反米政権」にずっと経済支援を続けてきた。

 脆弱なベネズエラ経済がマヒする決定打となったのが、米国による経済制裁だ。

 2015年から米国は、ベネズエラ要人が米国に持つ資産の凍結を開始。マドゥロ大統領の全ての資産まで凍結された。

 17年8月にはベネズエラ政府や国営石油会社が発行する株や債券の購入を禁止。資本市場から締め出した。

 金融制裁が追い打ちをかける。貿易の資金決済が制限され、日用品や医薬品の代金が支払えず、輸入が止まるという事態が起きている。糖尿病薬のインスリンやマラリア治療薬などが入手できない。

 貿易はドル決済がほとんどだが、米国の銀行が決済しないためベネズエラは「兵糧攻め」にあっているに等しい。

「子どもに薬を」などと人道支援を訴える記事が日本の新聞に載るが、医薬品不足の根っこには米国による経済制裁があることを忘れてはいけない。

 資金不足を補うためベネズエラは、中央銀行の輪転機をフル回転させ景気を好転させようとした。その結果が、とんでもないハイパーインフレだ。

 アベノミクスと似た通貨の増発だが、モノがあふれる日本と違い、経済制裁で物資の供給が足らないところで通貨が大量発行されたから、たちまち物価急騰にに火がついた。

 国際通貨基金(IMF)は、昨年7月、「ベネズエラの物価上昇率は年率100万%になるだろう」と推計した。トイレットペーパーを買うのにレンガ3つ分ほどの札束が必要になる天文学的なインフレが起きている。

 石油に頼り切った脆弱な経済や経済運営に不手際があったにせよ、事態を深刻化させたのは、他でもない経済制裁という「兵糧攻め」である。

 そしてその影響をもろに受けたのはチャベス大統領を熱狂的に支持した下層の人々だ。

 命と直結する食料品や医薬品の不足がマドゥロ政権への不信となって現れた。

 今のベネズエラはの状況は、米国にとって首尾上々だろうが、これは「焦土作戦」ではないか。

 気に入らない為政者を引きずり下ろすため、罪のない人たちの生活を破壊し、難民が生ずるような状況を作り出している。

 むしろ米国のやっていることの方が、「人道に反する行為」だと思うが、一方で米国は支援物資を届けるからと、国境を開くよう要求している。

強国の介入で残るのは
内戦の泥沼と悲惨な暮らし

 大国が「大義」を掲げて他国に侵攻したり、影響力を強めようとしたりした例は、歴史上、枚挙にいとまがない。最近のイラクやアフガニスタン、シリアなどもそうだ。

 ブッシュ政権時代、「9・11同時多発テロ」事件(2001年)を首謀したアルカイダのビン・ラーディン氏の引き渡しなどを求めて、米軍がアフガニスタンを制圧した後、首都カブールでカルザイ大統領を取材したことがある。

 大統領邸を警護するのは海兵隊で、周囲は全て米軍で固められ、その中にポツンと大統領がいた。

 好感の持てる人物だったが、亡命アフガニスタン人の中から、米国が選んだのはこういう人か、と納得した。見栄えがよく、好感度の高い外向けの役者である。

 ベネズエラで、無名のグアイド氏に正当性を付与するには「独裁者と戦う民主化のヒーロー」に仕立てるのがいい、ということなのだろう。

 ウォール・ストリート・ジャーナルが「新しい民主的リーダー」とたたえるなど、米国の主要メディアも政権と足並みをそろえ、軍事介入の露払いをするかのような論調だ。

 中南米は、巨大な覇権国家の風圧にさらされ、多くの国は“隷属”を強いられてきた。歯向かえば、「非民主的」の烙印を押され、政権転覆や経済封鎖にさらされる。

 逆らって得はなく、かろうじてキューバ、ニカラグア、ベネズエラが抵抗を続けている。ベネズエラが倒れれば、ドミノ倒しも起きかねない。

 しかも強国が介入したの後に残るのは、終わりなき内戦と悲惨な暮らしだということも、歴史が教えている。

(デモクラシータイムス同人・元朝日新聞編集委員 山田厚史)
https://diamond.jp/articles/-/195555
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/551.html

[不安と不健康18] 41歳妻が認めたがらなかった「めまい」の意外な診断
【第72回】 2019年3月1日 木原洋美 :医療ジャーナリスト
41歳妻が認めたがらなかった「めまい」の意外な診断
目の痛み、肩こり、頭痛、食欲不振、不眠、イライラ等々。これらの原因はすべて「見る」ことに関連していたこに気が付き、眼科医を受診したら意外な診断でした。
写真はイメージです Photo:PIXTA
異常な疲れやすさからの
焦点が揺れる、不思議なめまい
(だめだ、なんか調子悪い)

 直美さん(仮名・41歳)はたまらず、PC画面から目をそらした。肩は凝ってパンパンに張っているし、目の奥が乾き、熱を持ってジンジンいっているような気がする。

(今日はもう、PC作業はやめておこう)

 終業時間まであと少し、デスク周りの整理などをして時間をつぶすことにした。窓の外に目を向けると、かすみがかかっているように見えて気持ちが悪い。

(この頃やけに疲れやすいのよね、どうしちゃったんだろう)

 その夜は積極的に体を休めることにして、電子レンジで熱くしたタオルで目を温めたり、炭酸ガスの出る入浴剤を使ったりしてリラックスし、早寝した。

 しかし疲れはとれなかった。まずPCの細かい文字を見るのがつらい。なんと表現したらいいのか、根気が続かず、いらいらしてくるのだ。目の奥が重たく押されるように感じ、我慢していると頭がずきずきと痛くなってきたので頭痛薬を飲んだ。

 不調はその後も治まらなかった。

 目の痛み、肩凝り、頭痛、食欲不振、不眠、イライラ等々、いわゆる不定愁訴的な症状が続き、仕事がぜんぜんはかどらない。朝起きるのもつらいし、帰宅後は疲れ果て、子どもの話を聞いてあげる気力もない。

(これって、もしかしてプレ更年期かも。もう40代だから、不思議はないよね)

 自己判断し、更年期や血の巡りによいとされる漢方薬を飲み始めると、なんとなく症状は軽くなったように感じたが、ある日、ショックなことに気が付いた。不思議なめまいだ。夕方近くになると目の焦点が合ったり合わなかったりして、周囲が揺れているように見える。立っているのが怖くなり、乗り物酔いに似た感じ。

(もうだめ。病院へ行こう。めまいは耳鼻科。でも、症状はめまいだけじゃないし、吐き気もあるから内科。とにかくどこか行かないと)

 あれこれ迷った末、受診したのは耳鼻科だった。

 だが、耳鼻科へ着く前にめまいは治まり、検査を受けても異常はみつからなかった。医師は脳が原因でもないという。

(これは絶対、プレ更年期だわ。今度めまいがしたら婦人科に行こう)

 決心した直美さんだったが、翌日、会社の20代男性社員に手渡された書類を確認している最中に、目からウロコ的な出来事が起きた。書類の細かい字が見えにくかったので、無意識に離してみると、彼が言った。

「あれ、老眼ですか。へえぇ、なんかショックだな。若く見えても、年なんですね」

ついに眼科を受診
若くても老眼はなりうる
「えっ、老眼。失礼ね。若く見えても年ですって、それってセクハラ…違うか。でも、なんかのハラスメントよ、きっと」

 慌てて抗議したが、内心はっとした。思い返せば不調のすべてが、「見る」ことに関係していることに気が付いたからだ。

(そういえば私、この頃あまり本を読まなくなった。活字を追うのがなぜか苦痛なのよね。老眼ってありかも)

 さっそく眼科を受診すると、簡単な検査の後、眼科医はさらっと言った。

「老眼ですね。目のピント調節機能が衰えちゃったんですよ。41歳ではちょっと早いと思われるかもしれませんが、30代後半から始まっている方は結構いらっしゃいますよ。やはりパソコンとかを多く使われる方が多いですね。

 老眼の原因は2つあって、昔ながらの老眼は、目のなかでレンズの役割を果たす水晶体の弾力が加齢のせいで低下してしまうことで起こるのですが、若い方の老眼は、その水晶体を支える「毛様体筋(もうようたいきん)」を酷使することによるコリが原因と言われています。毛様体筋が固まってしまい、スムーズにピント調節ができない状態です。目の酷使による老眼は週末に疲れがたまって見えにくくなる『週末老眼』、夕方になると見えにくくなる『夕方老眼』などがあります」

「若いのに発症する老眼もあるってことですね」

 念を押す直美さん。

「そうですね、スマホやタブレット、パソコンの使い過ぎで不調を起こしている方は多いですね。極端な話、最近は小中学生にも“スマホ老眼”が増えているという報告もあるくらいですからね。困ったものです」

「めまいも老眼のせいなんでしょうか。私はてっきり、脳とか耳鼻科系が悪いのかと思いました」

「ああ、左右の老眼の進行の仕方が違うと、平衡感覚がつかみにくくなって、めまい的な不調を訴える方はいますね」

「私はなんか、カメラのピント調節機能が小刻みに、しかも左右バラバラに作動しているような感覚でした。そういうことも起きるんでしょうか」

「それはあまり聞いたことがありませんが、そういうことも、起こりうるのかもしれませんね。疲れはいろいろな症状を引き起こしますし、感じ方は人それぞれですから」

「で、どうしたらいいんでしょう」

「一番いいのは、目に合うメガネを作ることです。100均とかでも老眼鏡は買えますが、あなたの場合、左右の見え方もだいぶ違うようですから、メガネできちんと調整することをお勧めします。バランスは大切ですからね。見え方が改善されれば、疲労も改善し、肩凝りも頭痛も楽になるし、めまいもなくなりますよ」

「薬とかは飲まなくて大丈夫ですか」

「大丈夫ですよ。でも、目を酷使する生活は改めた方がいいでしょうね。会社でも、1時間作業したら10分はパソコン画面から目を離して遠くを見るようにするとか、目を休めるといいですよ。それでも改善されないようでしたらまたいらしてください」

眼科医が言った通り
メガネにしたら…
 直美さんはさっそく、会社の近くのメガネ店へ行き、メガネを購入した。パソコンと読書さえ楽になれば問題ないので、レンズは近々用だ。幼いころから視力がいいのが自慢で、両目とも2.0は楽勝で見えていたため、メガネを買うのは初めてだった。

「やっぱりね、なまじ視力がよかったから、見えすぎて、普通の人以上に目を酷使していたのね。だから『若いのに!』“老眼”状態になっちゃったんですって。

 最近は、小中学生でも“スマホ老眼”ってのになるらしいわよ」

 ことさら「若いのに」を強調する直美さんに、夫の源太郎さん(仮名・45歳)は笑いそうになったが、特に異論は唱えなかった。

 一方会社では、突然メガネをかけはじめた直美さんに対し、例の20代男子が「あれ、それ老眼鏡ですか」と無遠慮に聞いてきたが、直美さんは「ううん、まさか!私、前から近視でコンタクトだったんだけど、この頃目が疲れるから、仕事の時だけメガネをかけることにしたのよ。似合うでしょ」と説明。

 眼科医が言った通り、疲労感や頭痛は解消し、以前と同じように元気に生活できるようになった。

(医療ジャーナリスト 木原洋美)
https://diamond.jp/articles/-/195551
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/719.html

[経世済民131] ゴールドマンのストラテジスト、次の危機で1ドル=60円の円高を予想 500兆円の時限爆弾、借金たらい回しの中国債市場 
ゴールドマンのストラテジスト、次の危機で1ドル=60円の円高を予想
Andreea Papuc、Christopher Anstey
2019年2月28日 22:43 JST
次の不況で主に圧力がかかる相場はドル・円−欧州金利戦略責任者
2008年危機後の展開から、次回は円が過去最高値を更新する
年初来の世界的な株価の回復と少なくとも数四半期でリセッション(景気後退)懸念が後退しそうな情勢のため、次の危機への備えは今のところ多くの市場関係者にとって最大の関心事ではない。しかしゴールドマン・サックス・グループのストラテジスト、ベルンハルト・ジメルカ氏は対策を立てている。

  欧州金利市場の戦略責任者を務める同氏は27日にシドニーでの会議で、次回の不況を考えると「マクロ的には、主に圧力がかかる相場はドル・円だと強く思う」と発言。「米金融当局が金利をゼロまで下げたらドル・円がどこまで行くと思うかと皆に尋ねている」と語った。米当局が異例の金融緩和を採用した前回に起きた展開を考慮すれば、次回は円が過去最高値を更新するとみているという。

Yen soared during Fed stimulus, sank during Abenomics
  2008年の「リーマン・ショック」後、米当局が短期金利を引き下げ量的緩和(QE)を導入して長期金利を押し下げる中で、円は大きく上昇。11年10月には戦後最高値となる1ドル=75円35銭を付けた。

  ジメルカ氏は、次の危機時には「1ドル=60円まで行く」と予想。「ドルに対して日本の金融システムに構築されている巨大なレバレッジがある」と述べた。

  国際決済銀行(BIS)も日本の銀行が蓄積した大規模なドル資産のリスクを強調していた。BISによれば、この資産は市場ベースの資金調達に依拠しており、邦銀は海外の融資に対して十分なドル建ての預金がない。このミスマッチは16年末までに数千億ドルに達していたと、BISは17年6月に公表した報告書で指摘した。

  また、一部の邦銀は国内の低リターンに強いられて、海外債券を大量に保有している。 モーニングスターのアナリスト、マイケル・マクダッド氏がまとめたデータによると、ゆうちょ銀行や農林中金が、そのような資産を数千億ドル相当抱えている。

  日本の当局は自国の金融機関の資本水準は堅固だとしているが、ジメルカ氏の計算は、危機時に円が急騰し海外資産の価値が下がればそうではなくなる可能性を示唆する。

  「米当局が利下げしQEをちらつかせるようになれば、日本の金融システムには人々が認識しているよりずっと多くのマイナス面と資金面でのストレスが生じるだろう」と同氏は述べた。

原題:Goldman Strategist Sees Yen Hitting 60 to Dollar Next Crisis (1)(抜粋)


金融庁が3メガ銀や農林中金など一斉調査、CLO投資で
谷口崇子、中道敬
2019年2月28日 18:29 JST 更新日時 2019年3月1日 9:37 JST
残高の大きかった農林中金、ゆうちょ銀、MUFGにはより重点的に
2、3カ月後に再度一斉調査を予定−保有拡大の動きあれば個別調査
Coincheck Inc. Files A Report To Regulators Over $500 Million Cryptocurrency Heist
Photographer: Akio Kon/Bloomberg
米ローン市場の過熱に警戒感が広がる中、金融庁が今年1月、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)など3メガバンクや農林中央金庫など大手7銀行グループに対し、ローン担保証券(CLO)投資に関する一斉調査を実施していたことが2月28日に明らかになった。複数の同庁関係者が匿名を条件に明らかにした。

relates to 金融庁が3メガ銀や農林中金など一斉調査、CLO投資で
農林中金本店Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg News
  今回の調査の対象金融機関はMUFG、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、りそなホールディングス、三井住友トラスト・ホールディングス、農林中金、ゆうちょ銀行。うち、事前調査でCLO投資残高の大きかった農林中金、ゆうちょ銀行、MUFGに対してはより重点的な調査を実施したという。

  具体的には、リスク分析や監視のシステムなど管理状況について調査したほか、10年前の金融危機時並みのストレスがかかった場合の損失規模について説明を受け、内容を精査した。関係者は、国際的にシステム上重要な銀行(G−SIB)に指定されている3メガ銀行などに加え、機関投資家として金融機関との契約を多数抱える農林中金、ゆうちょ銀で問題が発生した場合も金融システム全体に幅広く波及する恐れがあるとの認識を示した。

  米国では、CLOの裏付け資産となるレバレッジドローン(高リスクローン)の市場が過熱。利回りの高さが投資家の人気を集め、2018年の発行額は過去最大となった。18年末にかけて、イエレン前連邦準備制度理事会議長、エリザベス・ウォーレン上院議員らが次々と同市場のリスクを指摘。こうした事態を受け、金融庁はCLOに特化した調査に踏み切ったという。

  同庁関係者の1人は、最近、米国のレバレッジドローン貸付先企業で、自己資本に対する借入金などの割合を示す「レバレッジ比率」が上昇し、質が劣化してきていることに懸念を感じていると話す。こうした問題意識はすでに調査先に伝えており、金融庁は各グループのCLO保有について2、3カ月後に再度一斉に点検する方針だ。CLO保有に急拡大の動きなどがあれば個別の調査も検討する。

リスクは管理
  農林中金の開示資料によると、CLOを含む債務担保証券(CDO)の保有残高は昨年12月末時点で6兆8219億円と、3月末時点の3兆8134億円から1.8倍に急増した。MUFG広報担当によると、CLO残高は同12月末で2兆5000億円程度で16年3月末時点と同水準になっているという。ゆうちょ銀の資料によると、同12月末の米CLO保有は1兆63億円と3月末時点から2倍に増えていた。3グループとも格付けは最上位のAAAだとしている。

  特に、農林中金は欧米のCLO市場で重要な投資家として圧倒的な存在感を持っている。欧州で今年新たに発行されたCLO8案件のうち6案件で購入者に名を連ねた。金融庁関係者は、農林中金は今回、ストレステストで納得できる結果を提出しており、現時点で管理状況には問題ないと判断していると述べた。

  一方で、農協など下部組織からの預金受け入れ時に市中より金利を上乗せする「奨励金制度」の存在が農林中金をより高収益に駆り立てていると認識しており、投資行動を注視しているとした。農林中金広報担当によると、平均の預金金利は約0.6%。これに比べ、三菱UFJ銀行の10年定期預金は年利0.01%となっている。

  東洋大学の野崎浩成教授は、CLOの発行残高が「結構なピッチで増えてきている」との認識を示した上で「クレジット市場の変調に対し、非常に脆弱(ぜいじゃく)な部分がある。また、流動性も高いようで低い。その意味で市場のクラッシュというものに対し脆弱性を持っている」と指摘。農林中金については「CLOそのものが危険だと言うつもりはないが、保有量のコントロールが必要な段階にきたと思う」と述べた。

  MUFGの広報担当者はリスクは厳重に管理しているとコメント。現在の保有分については市場リスクの量を常に計測しているほか、新規分についてはストレステストを実施し個別に確認しているとした上で、低金利環境の下、CLOは相対的に魅力的な投資対象だとの考えを示した。

  ゆうちょ銀行の大野利治執行役・財務部長は2月14日の会見で、市場や投資家のリスクに対する目線が厳しくなる中で、格付けが「AAA」のCLOは良い投資の選択肢の一つだと述べた。農林中金の広報担当はコメントを控えた。

(第6、7段落にCLO保有残高やコメントなどを加えて更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-28/PNMWH66KLVR501? 

 


500兆円の時限爆弾、借金たらい回しの中国債市場
コラムニスト:Shuli Ren
2019年3月1日 13:16 JST
社債並みの利回りを提供しソブリン債に近いように見えるLGFV債
予算に組み入れられる地方債と簿外債務を区別しない地方政府も
中国で昨年8月、新疆ウイグル自治区の建設会社が地方政府の資金調達事業体「融資平台(LGFV)」として初のデフォルトに陥りかけた。「テクニカル」な不履行となったものの2日遅れて同社が債券の支払いを行うと、それ以降、市場では「AA」格付けの3年物LGFV債の利回りが低下した(中国格付け会社の評価はインフレ気味で、高利回り債でもAAとされることが多い)。
  
  利回りに貪欲な投資家の目には、地方政府の簿外債務であるLGFV債はとても魅力的に映るだろう。社債並みの利回りを提供し、ソブリン債に近いように見える。だが油断は禁物だ。HSBCホールディングスによると、中国で積み上がったLGFV債は30兆元(約500兆円)に迫る。

Fun Ride
In just half a year, yields for AA rated, three-year local government financing vehicles' issues compressed to 3.9 percent from 5 percent


Source: Bloomberg

  今年2月に発せられた警告は青海省投資集団(QPIG)からだった。22日予定のドル建て債の利払いを怠った。国務院は2015年、新発のLGFV債を社債と見なすと明確化。政府保証はないということだ。それでも中国の投資家は最終的には地方政府の簿外債務を国が救うと信じているようで、LGFV債に資金を投じ続けている。

  予算に組み入れられる地方債と簿外債務とを区別していない地方政府もあるようだ。財政省が導入したインフラ事業向けの「専項債」と呼ばれる特別債は地方政府のバランスシートには載らない。だが河南省が1月に発行した3年物専項債の表面利率は3.13%と、予算計上の一般目的債と同じだった。

  専項債は理論上、対象となるインフラ事業からのキャッシュフローで元利返済が可能だとされるが、資金がショートすれば損失を被るのは投資家だろう。地方政府による昨年の専項債発行総額は1兆9000億元に上る。

What Deleveraging?
Local government financing vehicles continue to issue bonds despite Beijing's talk of lowering debt


Source: Bloomberg

  HSBCの推計によると、民間企業は昨年、発行された社債の7%余りで支払いできなかった。地方政府系の発行体がデフォルトした例は依然、皆無。青海省投資も昨年、危うく難を免れていた。

  簿外債務の大きい省のために、中央政府は新たな解決策を探ってもいるようだ。国家開発銀行が江蘇省鎮江市向けに長期融資の提供を開始するとブルームバーグは関係者の話として先月報じた。域内総生産(GDP)で中国トップクラスの省である江蘇省は、ドル建てLGFV債発行全体の15%を占め、時限爆弾を抱えているようなものだ。

  そして忘れてならないのが、借金のたらい回しだ。15−18年に12兆元相当の地方債が発行され、地方政府は集めた資金をそれ以前に積み上がっていた簿外借り入れの返済に充てた。この種の仕組みを考えれば、本土の投資家が錯覚するのも無理はない。中国政府がいつまで支援を続けることができるかは、時が教えてくれるだろう。

  (シュリ・レン氏はブルームバーグ・オピニオンの香港在住コラムニストで、アジア市場を担当しています。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:This Frenzy in China’s Bond Market Could End Badly: Shuli Ren(抜粋)

This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-28/PNMHZS6K50XS01
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/329.html

[経世済民131] 米金融当局の「辛抱強い」アプローチ、リスクとインフレ動向次第 パウエル議長:「辛抱強くなる」メッセージ堅持−金利巡るアプ
米金融当局の「辛抱強い」アプローチ、リスクとインフレ動向次第
Craig Torres
2019年3月1日 14:11 JST
パウエル議長とクラリダ副議長が3月のFOMCに向け方向性提示
次の金利の動き、主にインフレ指標に左右されるとの姿勢が鮮明に
米連邦準備制度理事会(FRB)の正副議長が2月28日までの3日間に議会証言や講演などで相次ぎ発言した。米経済は良好な状態にあるとした上で、追加利上げを行うかどうかは今後発表されるデータによって、見通しへのリスクが緩和されるかどうかに左右されるとの方針を示した。

  FRBのパウエル議長とクラリダ副議長は3月開催予定の連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて、議論の方向性を提示した形。TDセキュリティーズの米国担当チーフマクロストラテジスト、マイケル・ハンソン氏は「金融当局の基本的な見通しは堅調だが、リスクは下方に傾いているというのが明確な論旨だ」と述べた。

  金融当局は今月のFOMC終了後、最新の経済予測を公表する。米国内総生産(GDP)伸び率見通しが下方修正され、2019年の利上げ回数の予想も引き下げられる可能性が濃厚となっている。昨年12月の前回予測では、19年の利上げ回数は2回と見込まれていた。

  FOMC参加者がこのところしきりに口にしている新たな文言は「辛抱強い」だ。この文言は1月のFOMC声明で使われ、パウエル議長は2月26、27両日の議会証言でその意味をさらに詳しく説明した。

  パウエル、クラリダ両氏の今週の発言で鮮明となったのは、主要政策金利が低過ぎるのか高過ぎるのかの判断はインフレ指標次第とし、金利を引き続き引き上げていくかどうかについては、強い確信はないという実態だ。

  UBSセキュリティーズのエグゼクティブディレクター、ロバート・マーティン氏は「景気抑制的な領域にどれだけ近づいているかに関する当局者の判断はインフレ動向次第であり、データに基づいて立ち位置を知りたい考えだ」と語った。

原題:Fed ‘Patient’ Approach Hinges on Risks and Slow-Moving Inflation(抜粋)

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https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-01/PNO6SN6KLVRG01?srnd=cojp-v2

 
パウエル議長:「辛抱強くなる」メッセージ堅持−金利巡るアプローチ
Christopher Condon
2019年3月1日 10:16 JST
米経済は「良好な状態」にあるも、相反するシグナルに引き続き直面
経済成長への長期的な課題にも言及−パウエル議長がNYで講演
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は2月28日、同国経済を巡る相反するシグナルとインフレ抑制の下で、金融当局として金利決定に辛抱強くなるとの方針をあらためて表明した。

  パウエル議長はニューヨークで行う講演のテキストで、最大限の雇用と物価安定の実現に関し、「連邦公開市場委員会(FOMC)は、われわれの2つの責務を支えるため、フェデラルファンド(FF)金利の目標レンジに先行きどのような調整が適切となりそうかを判断する上で辛抱強く臨む」と語った。

  「この常識的なリスク管理手法はこれまで、FOMCにとってうまく機能してきた」とパウエル議長は付け加えた。

  パウエル議長は、同日発表された昨年10−12月(第4四半期)の米実質国内総生産(GDP)速報値が予想を上回ったことには言及しなかったものの、同国経済は「良好な状態」にあると指摘。10年目に入った景気拡大によって全人種で失業率が低下し、労働参加率と賃金が上昇していると話した。

  その上で、「力強い労働市場にもかかわらず、インフレ上昇圧力の兆候は抑制されていると見受けられる」と、持続的なインフレ抑制に言及した。

  他方で「短期的な見通しについての逆流と相反するシグナル」として、中国や欧州の景気鈍化のほか、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る不確実性、現在進められている通商交渉、予想外の大幅減少となった昨年12月の米小売売上高などを列挙した。

  パウエル議長はさらに、米経済が直面する長期的な課題として労働力人口の伸び鈍化や生産性の伸び悩みをあらためて指摘した。

原題:Fed’s Powell Sticks With Message of ‘Patient’ Approach on Rates(抜粋)

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GPIFが外債投資を強化か、国内マイナス金利で円高時狙うとの見方
Photographer: Akio Kon/Bloomberg
GPIFが外債投資を強化か、国内マイナス金利で円高時狙うとの見方
野沢茂樹
2019年3月1日 7:00 JST
他に買える物がないという意味で外債が選ばれる可能性ーBofA
2018年度第3四半期の運用成績は14兆円を超える損失
世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、今年も外国債への投資を増やすとの見方が浮上している。国内債は超低金利で投資妙味が乏しいほか、内外の株式も割安感が薄れていることから、外国債が消去法的に選好されるとみられるためだ。

  足元の日本国債利回りは残存期間10年以下のすべてがマイナス圏。GPIFの日本株や外国株の指標は年明けからそれぞれ約8%、10%上昇しているため、まだ3%程度しか上昇していない外国債の方が触手を伸ばしやすい。

  バンクオブアメリカ・メリルリンチの大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、GPIFの運用について、円債が金利水準的に買いにくい上、国内外の株価が回復してきているので「他に買える物がないという意味で外国債が選ばれる可能性がある」と指摘。「慌てて買う必要はないため、円換算で割安感が出る円高局面を狙っていくのではないか」と言う。

  GPIFが外部委託している外国債投資の半分以上はFTSE世界国債インデックスなどを指標とするパッシブ運用。為替オープンの運用が中心で、指数を構成する米国やイタリア、フランスなどの国債に機械的に資金配分される。インデックスによっては、デュレーション(平均償還年限)の長さも自動的に決まる仕組みだ。

  GPIFの18年度第3四半期(10ー12月期)運用成績は14兆円を超える損失となった。内外の株価が2けた台のマイナス収益率となったことが大きな要因だ。外国債も円高の影響でマイナス2.7%と不振だったが、JPモルガン証やメリルリンチ日本証、SMBC日興証券の推計によると、GPIFは同期に外国債を約1兆9100億円買い越した。

GPIFの2018年12月末時点の運用資産額と構成割合
外国債 国内債 外国株 国内株 短期資産
26兆3484億円
(17.41%) 42兆6796億円
(28.20%) 36兆7706億円
(24.29%) 35兆9101億円
(23.72%) 9兆6520億円
(6.38%)
  債券運用の回収資金の待機先ともなっているGPIFの短期資産の利益率は16年度以降、日本銀行によるマイナス金利政策の影響などでゼロ%の状態が続いており、その資金がどの運用に向かうのかも市場関係者の関心事だ。

  JPモルガン証の山脇貴史債券調査部長は、国内外の株価が急落して割安感が大幅に強まったりしない限り、GPIFは「当面は短期資産を外債投資に割り当てる可能性がある」と指摘。「基本ポートフォリオの枠組み内で、従来通り為替オープンで買うから円安要因になる」とみている。

  ブルームバーグの調査では、市場関係者は円相場が今年末に1ドル=108円、来年は104円に上昇すると見込んでいる。

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第一生命:オルタナ運用で金利収益、外債はキャピタルゲイン狙い
伊藤小巻、Chikako Mogi
2019年3月1日 8:21 JST 更新日時 2019年3月1日 10:05 JST
オルタナティブ投資部を新設、運用企画部と株式部の機能を移管へ
オープン外債より金利低下でキャピタルゲイン狙えるヘッジ外債
第一生命保険は、金利低下で債券運用での金利収入獲得が難しくなるなか、オルタナティブ投資で収益向上を図っている。債券価格の上昇によるキャピタル収益も合わせたトータルリターン獲得を目指し、外国債券中心の資産配分は続ける方針だ。

  綱孝裕運用企画室長はインタビューで、超低金利下での債券運用では「インカムゲインはどうしてもギブアップせざるを得ない」と語った。景気減速が懸念される中、全般的に金利は低下しやすいとみている。流動性は低いが安定的に金利収入の得られる、不動産、プロジェクトファイナンス、実物資産などのオルタナティブ投資で金利収入を補っているという。

第一生命の資産構成
  オルタナティブ投資は現状の投入金額を維持し残高純増を目指す。現在の運用残高は全体の5%未満だが、金融緩和で投資家の資金が流入し過熱感は増しており「1件1件見極めないといけない」という。そのため、4月にはオルタナティブ投資部を新設しこれまで運用企画部と株式部が担っていた機能を移管し体制を強化する。
  
  債券運用では、日本国債に回帰せずに「ヘッジ付き外債の入れ替え等の対応でなんとかなっている」と話す。同社では円高方向を予想しており為替がピークを打つまではオープン外債よりも金利低下でキャピタルゲインの狙えるヘッジ外債の方が投資しやすいという。

  同社のヘッジ外債投資の最低条件は、全通貨の国債・社債のうちヘッジ後利回りが高く、金利が上がらないもの。米ドル、ユーロ、豪ドル以外でも自前で投資できる体制が整っており、「欧州周辺国などヘッジ後利回りがプラスの国はある」と、スペイン、イタリア、ポーランド、スウェーデン、デンマークなどを挙げた。

  米国の利上げは「あってもあと1回年央にあるかないか」というが、再開基準が不明瞭で金融政策の方向感に対する思惑で市場ボラティリティーが高まりやすいと見ている。為替は金融政策の発動余地の低い日本より利下げへの方向転換も懸念されている米国次第で、円高方向に値動きが激しくなると予想。2019年の水準は1ドル=100ー110円を想定している。

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ブリヂストン:社債発行は4月に、最大2000億円−続く大型案件
間一生
2019年3月1日 7:50 JST 更新日時 2019年3月1日 12:10 JST
国内主要証券などに具体的な起債案を要請済み−来週にも主幹事指名
5、7、10年中心の複数本立て−4月にも武田薬は最大5000億円
ブリヂストンは最大2000億円の社債を4月に起債する準備を進めている。武田薬品工業を含めて新年度の起債市場で大型案件が続くことになる。

  事情に詳しい複数の関係者によるとブリヂストンは、国内主要証券などに具体的な起債企画案を要請済みで、早ければ来週に主幹事を指名する。年限は5、7、10年を中心とする複数本立てで詳細は主幹事と詰める。来年度の新規投資マネーを取り込んで、設備資金や自社株買い資金を調達する。上限2000億円の起債自体は2月15日に発表しており、起債時期が今回明らかになった。

需給は改善傾向に
  昨秋以降の長期金利低下で拡大していた日本企業の社債スプレッドは一服している。金利低下局面の利益確定売りで保有債が減った投資家は買いに転じ始めており、需給は改善傾向にある。こうした中で新規マネーが流入する時期を捉えてブリヂストンは大型調達をして、資本効率と企業価値の向上を図る。4月以降には武田薬が最大5000億円の劣後(ハイブリッド)債を発行予定だ。

  ある投資家はブリヂストンの大型債について、優良企業でクレジットに問題はなく前向きに検討していると話した。発行額に見合った条件で早いタイミングで起債してもらえると武田薬と合わせてある程度残高が積み上がるため助かると述べた。ある関係者はマイナス金利政策導入以降、投資家は残高の積み遅れを嫌気して前倒しで投資する傾向を強めており、第1四半期の起債を狙う企業が増えていると指摘した。

高格付け
  ピクテ投信投資顧問の糸島孝俊ストラテジストは、社債発行で自己株取得資金を調達することは、一般的に有利子負債の節税効果分の企業価値向上効果があり米国などでは一般的な手法だと評価した。その上で「低金利環境によって高格付け企業が低利率で資金調達が可能になっており、有効な手段だと思う」と語った。

  ブリヂストン広報部広報第1課の谷口雅司・課長は起債時期や年限について「コメントを差し控える」と述べた。

  新発債の条件決定では流通実勢が参考にされる。過去6カ月でブリヂストン債は37件取引され、31件が2月19日以降に集中している。約定利率は残存5年程度で0.13%、残存8年程度で0.220ー0.235%だった。複数の市場関係者は、このレートを通じて新発債の引き受け可能水準や投資家目線を探っていると指摘する。ブリヂストンの格付けは格付投資情報センターがAA、日本格付研究所はAA+と高い。

  ブリヂストンは2月15日、今期(2019年12月期)営業利益が4100億円と前期比で1.8%増加する予想を示した。市場予想は下回る。同時に2000億円を上限とする自社株買いを発表、市場はこれを好感して翌営業日の株価終値は4.9%高の4402円だった。現在も4400円台を維持している。

(第7段落以降に流通実勢や株価動向について追加して更新します.)
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ゴールドマン:米インフレ連動債は買い−金融引き締め保留で
Liz Capo McCormick
2019年3月1日 12:33 JST
年内のバランスシート縮小完了もインフレ見通しを押し上げている
リスクセンチメントや世界成長見通しの改善もTIPS保有後押し
ゴールドマン・サックス・グループは投資家にインフレ連動債購入を勧めている。米金融当局の引き締めサイクルが中断されたことで、物価上昇圧力が高まると見込まれるためだ。

  金融当局が「辛抱強い」政策設定スタンスにシフトしたほか、当局者らが年内にバランスシート縮小を終了させる兆候がみられることから、米インフレ見通しは既に押し上げられ、それがインフレ連動債(TIPS)の価格に表れている。米5年債と同年限のTIPSの利回り格差(ブレークイーブンレート)は2月28日、1.88ポイントと、昨年11月以来の高水準となった。

  ゴールドマンのストラテジスト、ウィリアム・マーシャル氏は28日の顧客向けリポートで、TIPSの「ロングは依然として魅力的だと思われる」とした上で、「辛抱強い金融当局とリスクセンチメントの改善に加え、世界成長見通しについて年初ほど悲観的でなくなったこと、これら全てがTIPS保有の支援材料だ」と説明した。

  マーシャル氏の分析は、ブレークイーブンレートの変動を引き起こし得る年内の季節的影響は現在、TIPSの保有への逆風になっていないことを示した。

原題:Goldman Says U.S. Inflation-Linked Debt a Buy With Fed on Hold(抜粋)

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テスラ:1−3月は赤字の公算大−低価格「モデル3」投入、店舗閉鎖
Dana Hull、Tom Randall
2019年3月1日 7:36 JST 更新日時 2019年3月1日 10:20 JST
From
ネット販売への全面移行で平均6%の価格引き下げが可能に
テスラ株下落−1〜3月の黒字確保は困難とマスク氏
Tesla Model 3
Tesla Model 3 Photographer: Patrick T. Fallon/Bloomberg
米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は3万5000ドル(390万円)のセダン「モデル3」投入という大きな約束の一つを果たしつつある。その一方で、これまで予想していた1−3月(第1四半期)の黒字は実現できない公算が大きいことを明らかにした。

  マスクCEOは2月28日に記者団に対し、1−3月期の黒字確保が困難な理由として中国や欧州での電気自動車(EV)販売に伴う課題を挙げた。同社は待望の低価格バージョン投入を発表するとともに、世界にある多くの店舗を閉鎖することで価格引き下げを実現できるとした。

  テスラは28日のブログ投稿で、販売を全てオンライン経由に移行することで車両価格を平均で約6%引き下げることが可能になると説明。「モデル3」の3万5000ドルのバージョンはこの日から入手可能になった。予約の受け付けは約3年前に開始していた。

Inside The Tesla Inc. Newport Beach Showroom As Model 3 Hits Target
カリフォルニア州ニューポートビーチのショールームでテスラの「モデル3」を見る顧客ら写真家:Patrick T. Fallon / Bloomberg
  同社はブログで「交通量の多い場所にある少数の店舗は展示場やテスラの情報センターとして残すが、今後数カ月で当社の多くの店舗を閉鎖する」と明らかにした上で、「オンライン販売によって米国内のどの州の誰でも迅速かつ簡単にテスラ車を購入できる」とした。

  発表前の2日間に上昇していたテスラの株価はこの日の時間外取引で一時4.1%下落した。

Tesla investors reacted to the news after regular trading ended
原題:Musk Warns Loss Likely as Tesla Shuts Stores, Cuts Model 3 Cost(抜粋)

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【引受実績】BNP年度初登場、大韓航空債で−2月のサムライ債
伊藤小巻
2019年3月1日 5:45 JST
みずほ、大和、BNP、三菱モルが同額首位−唯一起債の大韓航空債
今年度累計ではSM日興が首位堅持、2位はみずほで17億円差
2月のサムライ債引き受けは、唯一の発行となった大韓航空債に関与した4社が同額で首位になった。BNPパリバ証券は年度初登場になる。

  ブルームバーグのデータによると前月のサムライ債は大韓航空3年債の300億円のみで、主幹事はみずほ証券、大和証券、BNPパリバ、三菱UFJモルガン・スタンレー証券だった。引受額の内訳は開示されておらず、データ上は均等に表示される。BNPパリバがサムライ債主幹事(自社発行を除く)になったのは2014年11月の新韓銀行債以来。これを含めて韓国企業の起債での主幹事が目立つ。

  年度末まで1カ月を残した今年度累計ではSMBC日興証券が2カ月連続で首位となった。大韓航空債には関与せず、2位のみずほ証との差は17億円に縮まった。前年度首位はみずほ証で、SMBC日興が続いた。今年度のサムライ債の発行額は2兆4271億円とすでに前年度の2倍超、リーマン後で最大の2010年度を上回る。

  BNPパリバの上杉達郎シンジケート部長は、大韓航空のサムライ債は珍しい保証型の案件だったとして「投資家との慎重な対話を通じて適切な保証プレミアムを見いだすことができた」とコメントした。大韓航空債は韓国輸出入銀行が保証していた。

2月 引受会社 金額(億円) シェア(%) 件数
1 みずほ証 75 25.0 1
1 大和証 75 25.0 1
1 BNP 75 25.0 1
1 三菱モル 75 25.0 1
4月ー19年2月
(1月まで) 引受会社 引受額
(億円) シェア
(%) 件数
1(1) SM日興 4991 22.2 44
2(2) みずほ証 4974 22.1 47
3(3) 大和証 4036 18.0 40
4(4) 三菱モル 3932 17.5 36
5(5) 野村 3164 14.1 33
6(6) シティ 498 2.2 7
7(7) メリル日本 467 2.1 3
8(8) JPモル 163 0.7 1
8(8) ガスプロム 163 0.7 1
10(ー) BNP 75 0.3 1

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-01/PNNXM86S972A01
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/330.html

[経世済民131] 迫る景気後退の足音、10月消費増税が残す禍根 景気減速より台湾問題、中国は国防予算の拡大加速へ
トップニュース2019年3月1日 / 15:18 / 13分前更新

迫る景気後退の足音、10月消費増税が残す禍根

嶋津洋樹 MCPチーフストラテジスト
4 分で読む

[東京 1日] - 28日発表された1月の鉱工業生産指数は、前月比3.7%という低下幅もさることながら、「一時的」や「特殊要因」とは言いづらい3カ月連続の前月割れとなり、国内景気の拡大がいよいよ終わりを迎え、後退局面入りが迫っていることを示した。

同時に発表された予測指数に基づくと、1─3月期の生産は前期比1.4%低下と2・四半期ぶりのマイナスになる見込みで、予測値が高めに出やすい過去のパターンを踏まえると、さらに下振れる可能性が高い。

仮に景気後退を回避できたとしても、多くの企業が来年度の事業計画を策定するこのタイミングでの足踏みは、設備投資や人員採用、春闘などを通じ、その後の景気に深いつめ跡を残すだろう。それは10月に予定されている消費増税10%への引き上げが景気に与えるリスクを高め、日銀の掲げる物価安定の目標達成を一段と困難にする。最悪の場合、デフレ脱却に向けたこれまでの努力を台無しする可能性すらある。

<外需に期待できず>

実際、国内景気を取り巻く環境は非常に厳しい。特に外需は、筆者が本コラムでたびたび指摘してきた通り、デレバレッジ(債務圧縮)政策に伴う中国景気失速の影響が顕在化しつつある。そこに通商などを巡る米中対立の影響が加わる上、米国が日本からの自動車輸入に関税を課したり、数量制限に踏み切ったりするリスクもある。そもそも、世界経済の回復ペースが加速するとは考えにくい中、外需は景気の足を引っ張らなければ「御の字」で、それ以上は期待できない。

もちろん、中国当局がマクロ経済政策で景気のテコ入れを図る可能性は否定しない。しかし、今の景気失速を引き起こしたデレバレッジの方針は依然掲げられたままだ。それが反腐敗運動と結びつき、政府は民間企業、とりわけ中小企業の支援に消極的で、景気テコ入れの効果は十分に行き渡っていないとされている。

これは度重なる金融緩和にもかかわらず、マネーサプライの伸びが鈍化していることや、調査対象に民間の中小企業が多い財新/マークイットの製造業購買担当者景気指数(PMI)が3カ月連続で50割れしていることと整合的だ。筆者は中国景気がマクロ経済政策によって底割れを回避できるとの見方に異論はないが、力強い反発は期待できず、緩やかに持ち直すのがせいぜいと考えている。

<インバウンドに急ブレーキ>

内需も油断できない。2018年10─12月期の実質国内総生産(GDP)は個人消費が2・四半期ぶりのプラスとなったほか、住宅は2・四半期連続で増加した上、伸び率も拡大した。設備投資は7─9月期から大幅に持ち直した。しかし、企業がこれから事業計画を下方修正することはあっても、上方修正することは期待しにくい。

実際、2月のロイター短観は製造業の景況感が前月比5ポイント低下、非製造業も同9ポイントの大幅低下となった。先行きは石油・窯業、電機、小売が大幅に反発するものの、それ以外の多くの業種で悪化が続く見込みである。

インバウンド消費も急速に不透明感が強まっている。1月の全国百貨店売上高は前年比マイナス2.9%。鉱工業生産と同様、トレンドの変化を示す3カ月連続の減少となった。このうち外国人観光客による売り上げは同7.7%減と、26カ月ぶりに前年を下回った。日本百貨店協会は「好調に推移してきたインバウンドも、主力中国の景気減速や免税品規制強化で苦戦した」と総括している。

<公共投資のタイムラグ>

頼みの綱は財政政策だが、実質ベースの公的固定資本形成(公共投資)は2018年10─12月期まで6・四半期連続の減少。国土交通省の建設総合統計の公共工事費は2018年12月まで8カ月連続で前年を下回った。相次ぐ自然災害で復旧・復興事業の増加が予想されたことを踏まえると、にわかに信じがたい数字だ。

もちろん、災害対応が盛り込まれた今年度の第1次補正予算が成立したのは11月7日で、その効果が出てくるのはこれからだ。しかし、政府の月例経済報告によると、公共投資は昨年11月まで「底堅く推移している」と判断された後、12月には「このところ弱含んでいる」、今年2月には「弱含んでいる」へと下方修正された。政府は「次第に補正予算の効果の発現が期待される」としているが、そのタイミングはいつになるのだろうか。

公共投資の効果がいつ顕在化するかは、10月の消費増税の影響を考える上でも重要だ。政府は前回2014年4月の増税時に合わせ、事業規模約18兆6000億円の経済対策を取りまとめ、景気の下振れリスクに対応しようとした。当時は専門家の多くが十分な規模と評価したにもかかわらず、景気失速を回避できなかった。

<複雑な増税対策>

今回の消費増税は引き上げ幅が2%で、変化率も前回を下回るため、影響は軽微との見方が少なくない。幼児教育の無償化や年金受給者への給付金支給、軽減税率、キャッシュレス決済へのポイント還元など、安倍晋三首相は「(消費増税分を)すべて国民に返すレベル」で対策を講じたと、万全の姿勢で臨む姿勢をみせている。そこに国土強靭化という防災対策も加わるため、「大盤振る舞い」などと批判が出るほどだ。

しかし、2014年4月に実施された消費増税や、昨年の災害復興の対応を見ると、公共投資の効果が顕在化するタイミングは不確実性が高い。政府予算の公共事業関係費とGDP上の公共投資の関係を見ると、2010年度までは連動していたが、2011年度以降は不安定化。とくに2014年度以降は、予算どころか、実際の予算執行が公共投資として顕在化し、景気を押し上げるタイミングも明確でない。

軽減税率の複雑さは言うまでもない。ポイント還元という制度を聞いたことはあっても、詳細を理解している人はどれだけいるだろうか。さらに年間契約など、増税の前と後をまたいで行う取引について、税率が据え置かれる「経過措置」という制度もある。大企業はすでに専門家に相談し、契約ごとにこの措置が適用されるかどうかを検討している可能性が高いが、中小企業がどこまで把握しているか不明だ。

<財政再建はデフレ脱却後に>

筆者はそもそも、財政再建はデフレ脱却後に取り組むべきだと考えている。デフレ下の増税は経済に大きな負荷をかけ、若年層から就業機会を奪い、企業に蓄積された従業員の知識やスキルの流出を招き、企業と企業の結びつきを壊す。短期的に個人の人生に暗い影を落とすだけでなく、長期的に国の生産性を圧迫する。

しかも、今回は景気後退の足音すら聞こえている。前回、前々回の経験から、財政政策が頼りにならないことは確認済みだ。日銀を含め、2014年増税時の影響を読み間違えた人たちから「万全だ」と言われても、とても安心はできない。

(本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

*嶋津洋樹氏は、1998年に三和銀行へ入行後、シンクタンク、証券会社へ出向。その後、みずほ証券、BNPパリバアセットマネジメントなどを経て2016年より現職。エコノミスト、ストラテジスト、ポートフォリオマネジャーとしての経験を活かし、経済、金融市場、政治の分析に携わる。共著に「アベノミクスは進化する」(中央経済社)

(編集:久保信博)
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-tax-hiroki-shimazu-idJPKCN1QI3MN

 


トップニュース2019年3月1日 / 11:33 / 1時間前更新
焦点:景気減速より台湾問題、中国は国防予算の拡大加速へ
Ben Blanchard
2 分で読む

[北京 26日 ロイター] - 中国では、経済減速が国防費の増大を阻む可能性は低い。同国政府は、軍の近代化やステルス戦闘機などの高額装備調達に向けてより多くの予算を計上する一方で、台湾問題にも注力しようとしている。

同国の国防予算に対しては、航空母艦や対人工衛星ミサイルなど、新たな軍事能力を開発する中国がどのような戦略的意図を持つのか、その手掛りを探りたいと、世界各地から強い関心が注がれている。

中国は2018年、過去3年間で最大となる国防費の増額に踏み切り、前年からの伸び率を8.1%増とした。思い切った装備更新プログラムを加速する一方で、この発表は近隣諸国の神経を逆なでした。

2019年の国防予算は、3月5日開幕する全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の冒頭で明らかにされる予定だ。だが2017年の全人代では、国防予算が当初発表されず、透明性を巡る懸念が再燃した。

同じく全人代の開幕当日に発表される予定の2019年経済成長目標については、昨年の目標だった約6.5%を下回る6.0─6.5%で設定されそうだ、と政策担当者はロイターに語った。

国防予算の伸び率は、経済成長率を超える計算だ。

「2018年に比べ8─9%の安定した増加というのが理にかなった予想だ」という軍事専門家のコメントを、中国共産党の機関紙で人民日報系の環球時報は今月掲載している。

中国が西側諸国の軍事力に追いつくにはまだ相当かかる、と環球時報は報じている。次世代ステルス戦闘機「殲(せん)20(J20)」などの先進的な装備は依然として少数にとどまっているからだ。

景気減速を考えれば、軍事支出の増加も減速すると予想するのが自然だろう、と上海の同済大学で政治学を教える安全保障専門家のXie Yue教授は語る。

「国防予算は経済成長とリンクしているため、本来その伸び率も低下するはずだ。だがもちろん、南シナ海問題や台湾問題などの要因を踏まえ、恐らく国防予算はさらに増大するだろう」と同教授は指摘する。

中国による支配を受け入れなければ、台湾を攻撃する可能性もある、と1月の年頭演説で習主席が警告したことで、台湾問題が再び中国軍事当局の政策課題として浮上している。来年には台湾の総統選挙が控えているだけに、なおさらこの問題が注目されている。

「台湾問題を次世代に先送りし続けることはできない」と中国人民開放軍の元幹部で論客として知られる羅援氏は先月、自らのブログで主張。「われわれの世代が、歴史的な使命を果たさねばならない」

<「戦うぞ」>

中国軍内部では、台湾問題を巡り、実力行使を望む声が高まっている、と軍の関係者は語る。台湾は中国の一部であるという「一つの中国」原則を掲げる中国は、特に主席の演説後、強硬姿勢を強めている。

日頃から軍の高官と会ういう同関係者は、「彼らは連日『戦うぞ』という雰囲気だ」と述べた。

台湾の蔡英文総裁は中国の脅威について繰り返し警告しており、この島と民主的な生活様式を防衛すると宣言している。米国は、台湾に関する中国の意図を注意深く見守るとしている。

台湾の蘇貞昌首相は先週、「手許に箒1本しかなくても、私は中国に対抗して戦う」と国会で語った。「台湾を併合しようとするなら、その代償を払うことになろう」

米国は25日、再び台湾海峡に戦艦2隻を派遣した。中国からの反発はあるものの、米軍はこの戦略的に重要な海峡経由で行動する頻度を高めている。

中国国防省は、今年度の国防費についてコメントを避けた。中国当局はこれまで常に、国防支出について、防衛のみを目的としており、額も相対的に小さく、それを批判する者は中国の地位低下を望んでいるだけだ、との説明を繰り返している。

中国軍備管理・軍縮協会(CACDA)の上級コンサルタントで、中国軍元幹部のXu Guangyu氏は、「人々が恐れているのは中国が強くなることだ」と語り、国防費を巡る懸念を一蹴した。

トランプ大統領は、2019年の米国防費として7500億ドル(約83兆円)を要求する議会予算案を支持している。これに対し、中国の2018年の軍事予算として設定されたのは、1兆1100億元(約18兆3000億円)だ。

中国は、国防予算の内訳を公表しておらず、透明性の欠如が地域の緊張を高めていると、近隣諸国や他の軍事大国は不満を隠さない。一方、透明性は十分であり、脅威ではない、というのが中国側の見解だ。

Slideshow (4 Images)
宇宙開発計画の運営まで担う、世界最大規模の軍隊である人民解放軍の軍事支出について、中国政府はおそらく実際よりも過小評価して見せている、と海外の外交官や専門家は主張している。

(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/china-parliament-defence-idJPKCN1QG13K
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/331.html

[経世済民131] 中国テクノロジーのリスク、世界は油断せず監視すべき トランプ、米中協議「物別れあり得る」 製造業PMI50割3カ月連続 
テクノロジー2019年3月1日 / 13:53 / 2時間前更新
中国テクノロジーのリスク、世界は油断せず監視すべき
米国務長官
Reuters Staff
1 分で読む

[マニラ 1日 ロイター] - ポンペオ米国務長官は1日、世界は中国のテクノロジーを使用するリスクに油断せずに監視すべきだとし、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]の機器が使用されている一部の地域で事業を展開する米企業は問題に直面する可能性があるとの見解を示した。

訪問先のマニラで、フィリピンが今後、ファーウェイの次世代通信規格「5G」の技術を使用する可能性について質問された際に述べた。

ポンペオ長官は会見で「われわれの課題は、そのテクノロジーに関連するリスクを世界で共有することだ。フィリピン国民へのリスク、フィリピンの安全保障へのリスク、ファーウェイのテクノロジーが隣接する場所で使用される場合、米国が特定の環境で業務を行えない可能性があるというリスクだ」と述べた。

その上で「インフラやネットワークの一部にそのテクノロジーを使用するリスクに、世界が大きく目を見開いていることを確実にしたい」と語った。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」

https://jp.reuters.com/article/pompeo-huawei-5g-idJPKCN1QI3IG


 

ワールド2019年3月1日 / 05:43 / 10時間前更新
トランプ氏、米中協議で「物別れあり得る」、北朝鮮協議と同様
Reuters Staff
1 分で読む

[ワシントン 28日 ロイター] - トランプ米大統領は28日、中国との通商協議について、交渉がうまく行かなければ歩み去ることもあり得るとの考えを示した。

トランプ大統領は27日から2日間の日程でベトナムの首都ハノイで北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との会談を行ったが、北朝鮮が求めた制裁の全面解除は受け入れられないとして、合意は見送った。

トランプ氏は滞在先のハノイで、「いつでも歩み去る用意はできている」とし、「ディール(取引)から歩み去ることをちゅうちょしたことはない。うまくいかなければ、中国とも同様のことをする」と述べた。

トランプ氏は24日、米中通商協議で「大きな進展」があったとし、3月1日に予定されていた中国製品に対する関税の引き上げを延期すると表明。

その後、トランプ政権当局者から協議の詳細についてはほとんど明らかにされていないが、米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長はこの日、CNBCに対し、中国との協議は前週の目覚しい進展を受け、順調に進捗しているとの見方を表明。米国は中国との歴史的な通商合意に向け前進していると語った。

米経済諮問委員会(CEA)のケビン・ハセット委員長も楽観的な見方を表明。フォックス・ビジネスネットワークに対し、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表と中国の劉鶴副首相は「知的財産保護と通商に関する合意の青写真」の作成にこぎ着けたとし、「作成された文書の詳細を見てみると、これ以上望めないほど良好な内容となっている」と指摘。ただ、最終的にはトランプ大統領が中国の習近平国家主席と米フロリダ州のリゾート施設「マールアラーゴ」で行う会談で承認する必要があると述べた。
https://jp.reuters.com/article/trump-china-walkaway-idJPKCN1QH2TM

 

ビジネス2019年3月1日 / 12:18 / 2時間前更新
財新の中国製造業PMI、2月は49.9に上昇 50割れは3カ月連続
Reuters Staff
1 分で読む

[北京 1日 ロイター] - 財新/マークイットが1日発表した2月の中国製造業購買担当者景気指数 (PMI)は49.9と前月の48.3から上昇したものの、景況改善・悪化の分岐点となる50を下回る水準にとどまった。輸出受注の低迷が背景。

PMIが50を下回るのは3カ月連続。

ロイターがまとめたエコノミスト予想は48.5だった。

財新/マークイットのPMIは、前日発表された国家統計局のPMIほど弱い内容ではなかった。統計局のPMIは3年ぶりの低水準に落ち込み、輸出受注が10年ぶり低水準となった。

CEBMグループのマクロ経済分析責任者、Zhengsheng Zhong氏は「国内の製造業需要は大きく改善し、外需は昨年ほど急速に悪化しなかった」と指摘した。

2月の新規受注指数は50.2と1月の47.3から上昇し、50を上回る水準を回復した。同指数は前月まで2カ月連続で50を下回っていた。

産出価格指数が4カ月ぶりに50を上回った。

生産指数も50をやや上回る水準に回復した。

Zhong氏は、こうした指数の回復について、地方政府の特別目的債発行や当局の追加景気支援策、工業製品価格の上昇を背景にした内需改善が要因としている。

一方、新規輸出受注指数は低下。購買活動を示す指数も2カ月連続で軟調となった。

雇用指数は前月から低下し、5年4カ月連続で50を下回った。

企業の楽観度は1月の8カ月ぶり高水準から低下。米中貿易摩擦、需要低迷、政府の政策などを巡る懸念が続いていることが示された。

キャピタル・エコノミクスのシニア中国エコノミスト、ジュリアン・エバンズプリチャード氏は顧客向けリポートで「おそらく現在の景気サイクルが底を打ったというのは尚早だ。経済成長は年央まで圧迫された状態が続くだろう」との見方を示した。
https://jp.reuters.com/article/china-pmi-caixin-idJPKCN1QI3EG
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/332.html

[国際25] インドとパキスタンの衝突に投資家が冷静な訳 パキスタン、拘束したインド軍パイロット解放へ 緊張緩和の姿勢示す  
コラム2019年3月1日 / 14:28 / 1時間前更新
コラム:インドとパキスタンの衝突に投資家が冷静な訳
Una Galani
2 分で読む

[ムンバイ 28日 ロイター BREAKINGVIEWS] - インドとパキスタンの衝突で地政学的な懸案が膨らんでいるが、投資家はそれほど動揺していないようだ。

ともに核保有国である両国間で27日発生した上空での異例の小競り合いにより、インド空軍機パイロット1人がパキスタン側に拘束され、両国が領有権を争うカシミール地方を巡る緊張が一気に高まった。

だが、それぞれの国の株価や債券利回りの動きは限定的で、両国内で事態の大幅な悪化は想定されていないことがうかがわれる。実際のところ、両国ともに失うものが多すぎるのだ。

両国は、お互いに「超えてはならない一線」を試している。

インド空軍の戦闘機は26日、1971年の第3次印パ戦争以来初めてパキスタンの領空を侵犯し、武装勢力の訓練拠点だとする施設を空爆した。双方ともに攻撃を行い、民間機が利用する空域が脅かされた。情勢緊迫のきっかけとなったのは、2月14日にカシミールのインド実効支配地域で、インド治安部隊を乗せたバスが攻撃され、隊員約40人が死亡した事件だ。インド国内で大きな反発が起き、攻撃後、パキスタンを拠点とするイスラム過激派ジェイシモハメドが犯行声明を出した。

だが、拘束されたインド人パイロットが速やかに解放されれば、事態が沈静化に向かう一助になるだろう。

インドのモディ首相は、5月までに再選をかけた総選挙を行わなければならないが、厳しい戦いが予想されている。同首相率いる右派ヒンズー民族主義政党の与党インド人民党(BJP)は、カシミール地方の襲撃に対して強い対応を取る圧力にさらされていた。一方、パキスタンのカーン首相はインドに対話を呼びかけたが、これにはパキスタンの強力な軍隊の協力が不可欠だろう。

両国関係は今よりも悪化したことがあり、その際も戦争は回避された。

インドのニューデリーで2001年に起きた国会議事堂襲撃事件や、2008年にムンバイで起きた同時多発攻撃がその例だと、調査会社キャピタル・エコノミクスのシニアエコノミスト、ガレス・レザー氏は指摘する。

今回パキスタンは、通貨危機に直面しており、国際通貨基金(IMF)の支援が再び必要になるとみられる。また、両国間の対立が長期化すれば、世界最速の成長を誇る経済の1つとなったインドへの投資を再考する海外投資家も出てくるだろう。

両国の市場は、冷静な反応を示している。27日の株式指標は両国で約0.3%下落した。インドの10年物国債利回りはわずかに上昇し、7.67%となった。またこの地域の恐怖指数は10%上昇したが、近年と比べれば穏やかな動きだった。

投資家にとって、これらは皆ハイリスクなゲーム理論ではあるが、少なくとも彼らは平和が戻る可能性を高く見積もっているようだ。
https://jp.reuters.com/article/india-pakistan-breakingviews-idJPKCN1QI3JO


 


パキスタン、拘束したインド軍パイロット解放へ 緊張緩和の姿勢示す
2019.03.01 Fri posted at 09:47 JST

パキスタンとインドの衝突が激化

ニューデリー(CNN) パキスタンのカーン首相は28日、カシミール地方上空で撃墜したインド軍戦闘機のパイロットを解放すると発表し、両国が領有権を争うカシミールを巡って高まった軍事的緊張の緩和を図る姿勢を示した。

パキスタンは2月27日にインドの戦闘機を撃墜し、パイロット1人を拘束していた。カーン首相は「平和の証」として、このパイロットを3月1日に解放すると表明した。

一方、インドは28日に首都ニューデリーで陸、海、空軍の共同記者会見を開き、パキスタンの約束にかかわらず、インドは厳戒態勢を続けると強調した。

パキスタンは、インドによる越境銃撃で民間人4人が死亡したとしている。これに対してインド軍は28日、銃撃戦を仕掛けたのはパキスタンだったと非難した。

カーン首相の発表に先立ちインドのモディ首相は、「全国民が我が軍の兵士を支持している」と述べていた。

核保有国のインドとパキスタンの間では、数日前から軍事衝突がエスカレートしている。28日には米朝首脳会談のためベトナムのハノイを訪れた米国のトランプ大統領もインドとパキスタンの衝突に触れ、「我々は両国を止めるために介入してきた」と説明、「それなりにいいニュースがある。これで終わりに向かうことを望む」と語った。


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https://www.cnn.co.jp/world/35133523.html
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/552.html

[国際25] アングル:インド空爆の犠牲者はどこに、パキスタン住民が困惑
トップニュース2019年3月1日 / 17:04 / 1時間前更新
アングル:インド空爆の犠牲者はどこに、パキスタン住民が困惑
Asif Shahzad and Abu Arqam
3 分で読む

[ジャバ(パキスタン) 28日 ロイター] - インド空軍がパキスタンの武装勢力に対して26日未明に実施した空爆で、唯一確認された被害者は、なぜ空爆されたのか、いまだに理解できないと語る。右目の上に傷を負った彼は、空爆の衝撃で泥レンガでできた自宅が揺れ、目を覚ましたという。

「テロリストを攻撃したかったというが、ここにどんなテロリストがいるというのか」と、62歳のヌーラン・シャーさんは話す。シャーさんは、パキスタンのカイバル・パクトゥンクワ州北東部の町、バラコットに近いジャバ村に暮らしている。

「私たちはここに暮らしている。私たちがテロリストだというのか」

インド側は、26日の空爆により、パキスタン国内のイスラム過激派ジェイシモハメドの主要訓練施設を破壊したと主張する。同組織は、両国が領有権を争うカシミール地方で14日発生した、インド治安部隊を乗せたバスを狙った自爆攻撃の犯行声明を出していた。自動車を使ったこの攻撃で、インド治安部隊の隊員44人が死亡した。

インドのビジェイ・ゴカレ外務次官は、今回の空爆により「非常に多くのジェイシモハメドのテロリストや教官、上級司令官、フェダイーンの訓練を受けていたジハード(聖戦)戦士を撲滅した」と明らかにした。フェダイーンとは、自爆任務を遂行するイスラム過激派の戦闘員を意味する。

別のインド政府高官も、約300人の武装勢力が殺害されたと記者団に語った。

しかし、インドの空軍少将は28日、そうした主張を撤回するようなコメントを行った。空爆による被害状況について聞かれると、犠牲者について詳細を語るのは「時期尚早」だと述べた。その上で、インド軍は空爆が武装勢力の拠点にダメージを与えた「かなり信頼できる証拠」があるとも語った。

パキスタン側は、空爆は主に森林地帯に落下し死傷者は出ておらず、失敗に終わったとして、インドが発表した推定死亡者数を一蹴した。

こうした両国の主張の違いが、5月までに実施されるインド総選挙で2期目を目指すモディ首相にとって、争点の1つになるかは不明だ。現時点では、野党が、政府や軍に対して空爆結果についてのさらなる証拠を求める兆しはほとんど見られない。

ジャバ村の森林地帯の斜面で、村民たちは爆撃でできた4つのくぼみや引き裂かれた松の木を指さした。だが、彼らを午前3時ごろに目覚めさせた一連の爆撃による影響は、他にはほとんど見られなかった。

「何もかも揺れた」と、同地域でピックアップトラックを運転する男性は語り、人的被害はなかったと述べた。「誰ひとり死んでいない。松の木が何本かだめになり伐採されただけ。カラスが1羽死んだ」

<宗教学校>

ジャバは、パキスタンで人気の観光地である風光明媚なカガン渓谷へと続く、丘や渓流に囲まれた森林地帯に位置する。2011年に国際武装組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者が、米特殊部隊によって殺害された潜伏先の北部アボタバードから60キロ余りの場所にある。

地元住民によれば、ジャバの丘陵地帯では約400─500人が泥レンガ造りの家に暮らしている。ロイターが取材した約15人の村民は皆、前出のヌーラン・シャーさん以外の被害者を知らないと答えた。

「窓ガラスの破片が当たったか何かでけがをした人は見たが、死んだ人は見なかった」とアブドゥル・ラシードさんは語った。他の住民多数も同じ答えだった。

ジャバの診療所で空爆の夜に勤務していた職員も、大規模な犠牲者が出たという主張を一蹴した。

「全くのうそだ。ばかげている。1人の負傷者も受け入れなかった。軽いけがをした1人が治療を受けたが、それもここではない」

ジャバ村に近く、2005年の地震後に再建された町バラコットの病院関係者も、26日の空爆で犠牲者は搬送されてこなかったと語った。

Slideshow (2 Images)
地域住民によれば、ジェイシモハメドは確かに存在するが、運営しているのは活動中の訓練施設ではなく、爆弾が落とされた場所から約1キロ離れた場所にあるマドラサ(イスラム教の高等教育施設)だという。

「それはコーランを学ぶマドラサだ。村の子どもたちが通っている。訓練などしていない」と、ヌーラン・シャーさんは言う。

今週初めに掲げられた、マドラサとジェイシモハメドとの関連を示した看板は28日に撤去された。軍は、記者がマドラサに接触することを阻止した。

しかし、後方からその施設を見ることができた。周囲にある木々と同じく、建物も損壊しているようには見えなかった。爆撃によるくぼみ近くで見られたようなダメージを示すものは何もなかった。

首都イスラマバードの西側外交官らも、インド空軍が武装勢力の拠点を攻撃したとは信じていないと口をそろえる。

「武装勢力の訓練施設などそこにはなかった。数年前に移動している。それがわれわれ情報コミュニティーの間では周知の事実だ」と、ある西側外交官は語った。

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
https://jp.reuters.com/article/pakistani-village-air-strikes-idJPKCN1QI3U3
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/558.html

[経世済民131] 独失業者数が予想以上の大幅減少、小売売上高は16年10月以来の伸び
ビジネス2019年3月1日 / 18:44 / 1時間前更新
独失業者数が予想以上の大幅減少、小売売上高は16年10月以来の伸び
Reuters Staff
1 分で読む

[ベルリン 1日 ロイター] - 2月のドイツの失業者数は予想を大幅に上回る減少となり、1月の小売売上高は大幅に増加した。民間消費が第1・四半期の経済成長を支えるとの見方を強める結果となった。

ドイツでは近年、良好な雇用情勢と低金利を背景に、個人消費が成長のけん引役となっている。ドイツの市場調査グループGfKが今週発表した3月の独消費者信頼感指数も、消費者の良好なムードが維持されていることを示していた。

ドイツ雇用庁が発表した2月の失業者数(季節調整後)は前月比2万1000人減の223万6000人。市場予想(5000人減)を大幅に上回る減少となった。

失業率は1990年の東西ドイツ統一以降で最低となる5.0%を維持した。

連邦統計庁が発表した1月の小売売上高指数は、実質ベースで前月比3.3%上昇し、2016年10月以降で最大の上昇を記録した。ただ、小売売上高統計は振れが大きく、改定値で修正されることも多い。

ドイツ復興金融公庫(KfW)のエコノミスト、ヨルグ・ゾイナー氏は「低失業率、所得の増加、低金利が消費と住宅建設を支えている」と述べたが、米国が引き起こしている貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱に関連した不確実性が悪影響を及ぼす可能性があると指摘した。

連邦統計庁によると、2018年に労使が妥結した賃金は平均前年比2.9%の上昇。上昇率は消費者物価の上昇率1.8%を上回り、インフレ加速にもかかわらず家計にゆとりがあることを示した。

一方、 マークイットが発表した2月のドイツ製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は47.6と前月の49.7から低下し、74カ月ぶりの低水準。輸出不振が影響し、好不況の分かれ目となる50を2カ月連続で下回った。

*内容とカテゴリーを追加しました。
https://jp.reuters.com/article/germany-employment-idJPKCN1QI46P
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/336.html

[経世済民131] アングル:労働分配率の高まり、利益減が主因 賃金への還元まだ進まず
ビジネス2019年3月1日 / 18:24 / 2時間前更新
アングル:労働分配率の高まり、利益減が主因 賃金への還元まだ進まず
Reuters Staff
1 分で読む

[東京 1日 ロイター] - 10─12月期の法人企業統計では、2010年代以降、低下傾向にあった労働分配率が上昇に転じつつある様子が浮き彫りになった。ただ、分配の元手となる付加価値が景気減速で減益となる一方、人手不足などに伴って人件費が増えたことが背景となっており、企業から個々の働き手への還元が進んでいるとまでは言えない状況だ。

大和総研チーフマーケットエコノミストの岩下真理氏が独自の計算式で試算した労働分配率は、原数値で45.05%。昨年同期の43.94%から上昇していることがわかった。

農林中金総合研究所・主席研究員の南武志氏の試算でも、61.3%(季節調整済み)と2四半期連続で上昇、16年4−6月期の水準まで一気に高まった。

長期にわたり、企業が賃金を抑制してきたとの批判が高まっていた中での労働分配率の上昇は、表面的には、ようやく企業の収益が賃金に還元され始めたようにも見える。

実際、17年度までの過去6年間、企業の利益は右肩上がりで拡大し、生産性にあたる「一人当たり付加価値額」も上昇の一途をたどってきた。本来であれば生産性向上に連動して賃金が上昇するはずだが、企業が人件費を抑制して利益水準を確保。結果として内部留保をため込んできた。(下図参照)。

今回の法人企業統計では、労働分配率が継続して上昇していることがようやく確認できた。しかし、その背景について、農林中金総研の南氏は「企業から先の雇用者への還元が強まったわけではない」と厳しい見方を示す。

同氏によると、フルタイム労働者の不足に伴う供給制約に対応するため、女性や高齢者などパートの雇用が増え、昨年7─9月以降の前年比増加率はそれまでの1─2%台から3─4%台に上昇している。パート従業員の賃金水準は低いとはいえ人数の増加により、人件費は3−5%台の伸びを続けている。

一方で、労働分配率の分母となる付加価値は、中国経済の減速に端を発した需要伸び悩みや原材料費の増加で減少に転じている。

労働分配率の増加は、雇用増に対して付加価値がさほど伸びなかったことが要因というかたちだ。付加価値が向上し、それが適正に賃金に配分される構図に至ったと判断できる状況では、まだなさそうだ。

中川泉 編集:石田仁志  
https://jp.reuters.com/article/japan-labor-share-idJPKCN1QI407
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/337.html

[政治・選挙・NHK257] 軽減税率、高所得層で2880億円の恩恵に 財務省試算  
軽減税率、高所得層で2880億円の恩恵に 財務省試算
経済
2019/3/1 23:30
保存 共有 印刷 その他
財務省は1日、今年10月の消費税率引き上げ時に導入する軽減税率制度について、所得階層別の軽減度合いに関する試算をまとめた。衆院の財務金融委員会に提出した。

2018年の家計調査をもとに階層別の消費支出額とシェアを計算。そのうえで、軽減税率制度による減収額1.1兆円を各所得階層のシェアで割り、それぞれの階層ごとの減収額を出した。

最も所得が低い層(年収238万円未満)では計1430億円が軽減されるのに対して、最も所得が高い層(年収738万円以上)では計2880億円だった。中位層(同355万円以上500万円未満)は計2190億円が軽減される計算となった。

試算を要求していた立憲民主党の川内博史衆院議員は「低所得層への恩恵が少ない」と批判。これに対し、麻生太郎財務相は高所得層の方が消費額が多く、世帯当たりの人数も低所得層の3倍弱いるとした。

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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41946850R00C19A3EA4000/

http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/1008.html

[経世済民131] OPEC産油量、2月は4年ぶり低水準 
東京外為市場ニュース2019年3月1日 / 22:04 / 2時間前更新
OPEC産油量、2月は4年ぶり低水準=ロイター調査
Reuters Staff
1 分で読む

[ロンドン 1日 ロイター] - ロイターの調査によると、2月の石油輸出国機構(OPEC)の産油量は4年ぶりの低水準だった。サウジアラビアなど加盟国の生産量が減産合意の水準を下回ったほか、合意対象外のベネズエラも減少した。

2月のOPECの産油量は日量3068万バレル。1月から30万バレル減少し2015年以来の低水準となった。

昨年、OPECはロシアなどの非加盟産油国と減産で合意。今年から加盟11カ国(イラン、リビア、ベネズエラは対象外)が日量80万バレルの減産が求められている。

11カ国の減産履行率は101%。需給悪化を恐れて減産合意の水準以上に生産を抑えている。
https://jp.reuters.com/article/oil-opec-survey-idJPL3N20O3Z0?il=0
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/340.html

[経世済民131] セブン、時短営業を実験 FC店の24時間見直し探る   「外国人を雇用中」3割 あしぎん総研調査 北関東・信越 
セブン、時短営業を実験 FC店の24時間見直し探る
【イブニングスクープ】
小売り・外食
2019/3/1 18:02日本経済新聞 電子版
保存 共有 その他
コンビニエンスストア最大手のセブン―イレブン・ジャパンは24時間営業の見直しに向けた実験を始める。売上高や収益、来客数などの変化を検証し、全2万店超の約98%を占めるフランチャイズチェーン(FC)加盟店で時短営業を導入するかを検討する。人手不足を背景に、外食や小売りで24時間営業の見直しが広がっている。

3月中旬から順次、東北から九州まで全国各地にある直営店10店で営業時間を午前7時〜午後11時…

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「外国人を雇用中」3割 あしぎん総研調査
北関東・信越
2019/3/1 22:00
保存 共有 印刷 その他
あしぎん総合研究所(宇都宮市)は外国人雇用に関する調査結果をまとめた。外国人を雇用している企業は3割(30.4%)にのぼり、現在雇用していない企業でもその約7割は今後雇用する可能性があると答えた。

調査は1月、北関東3県など足利銀の営業地域にある1694社を対象に実施し、825社が回答した。

規模別に見ると、大企業は製造業で84.3%、非製造業で65.6%が外国人を雇用しているのに対し、中小企業はそれぞれ22.7%、4.4%にとどまった。

雇用する理由(複数回答)は「日本人だけでは人手が足りないから」が53.6%で最多。次いで「日本人が採用できないから」(39.9%)など人手不足から外国人に頼る傾向が示された。

「雇用していない」企業の理由は「必要性を感じない」(51.5%)、「社内の受け入れ態勢が不十分」(39.2%)、「コミュニケーション」(22.8%)などが上位を占めた。

「現在雇用していないが雇用する可能性があるか」に対する回答は「よい人に出会えれば」(45.2%)、「雇用するつもりはない」(32.7%)の順だった。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41930010R00C19A3L60000/


 

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/341.html

[経世済民131] 中国のバブル崩壊・過剰債務危機型不況に身構える世界の株価  「不況リスクは低下」大物投資家レイ・ダリオも白旗?

竹中正治2019年03月01日 10:43中国のバブル崩壊・過剰債務危機型不況に身構える世界の株価


2008年のリーマンショック以降、長期的には持続不可能な信用・債務膨張に支えられた中国経済が、ようやくハードランディング的な債務調整局面に入りつつあるように見える。

私が「中国バブルの『ミンスキーモメント』」 (ロイターコラム、2016年1月)を書いてから3年である。

中国はその金融システムの国家統制色が強いため、金融システムが資本市場型の米国はもとより、銀行中心型の日本のケースよりも、時間を引き延ばしたスローモーションでバブルはピークに達した後、崩壊するのだともとより予想していたが、ようやくその時が到来するようだ。

そうした状況を描いた直近の記事として福島香織さんの記事を掲載しておこう。

「桁違いの衝撃、中国最大の民営投資会社がデフォルト」

既に世界の各国株式市場と投資家は、中国経済の危機と不況からその国の経済・ビジネスがどの程度影響を受けるかを株価に反映し始めているのではなかろうか。

2007−08年の米国の金融危機では、証券化された債券を海外の投資家が莫大に購入しており、その価格が暴落することで金融危機の第1波が海外に波及した。しかし中国の場合は、そうした連関は弱い。むしろ「中国経済の失速、不況への移行」→海外から中国への輸出の減退という実体経済を通じた波及の方がメインになるだろう。

そこで、各国の対中国輸出の対GDP比率(データは中国の輸入サイドのデータを使用、2015年のデータ)と過去1年間の各国主要株価指数の変化の関係性を検証してみた。中国の輸入に占めるシェアの大きい順に16か国を対象にした。

株価の変化は2019年2月末時点の前年同期比(%)である。私の考えが正しければ、対中国輸出のGDP比率が高い国ほど、その国の株価指数は相対的に下がっているという負の相関関係があるだずだ。

その結果を散布図と表にしたものを以下に掲載した。結果は私の予想以上に関係性が高く、相関係数(R)は−0.714、決定係数(R2)は0.510である。負の相関の場合、相関係数はゼロからマイナス1までの変域となる。−0.714はかなり高い。決定係数0.510とは、Rの平方根であり、説明度を示すものだ。

対中国輸出のGDP比率が最も高く、株価も相対的に大きく下がっているのが、マレーシア、ベトナム、韓国である。反対にインド、英国、米国は影響度が最も低く、インドと米国の株価指数は前年同月比プラスだ。英国の株価指数がマイナスであるのは、言うまでもなく中国の影響ではなく、合意なきEU離脱リスクを反映したものだろう。日本の受ける影響度はこの16か国の中では平均よりやや若干高い程度だ。

ふ〜む、こんなに鮮明に相関関係が出るとは思わなかった。株式市場というのは、非合理的な局面もあるが、大局的にはある意味では素直なんだろうね。


https://static.blogos.com/media/img/167628/raw.jpg

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2019/3/1 6:54日本経済新聞 電子版
【NQNニューヨーク=森田理恵】2月28日のダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比69ドル安で終えた。週初に3カ月半ぶり高値を付けたとあって利益確定売りが優勢だったが、米利上げ停止観測や良好な米経済指標を受けて米景気の悲観論は後退を続けている。

 「次の米大統領選までに景気後退に陥る確率は35%」。世界最大のヘッジファンド、米ブリッジウォーター・アソシエーツを率いるレイ・ダリオ氏が28日、交流サイトへの投稿でこれまで5割強としていた予想確率を引き下げた。米連邦準備理事会(FRB)が年初にかけての株安に対して見せた利上げへの慎重姿勢からはこの先、景気の減速感が強まる場合は2%を下回る水準まで利下げし、量的金融緩和(QE)を再開する可能性が高まったと指摘する。

 米政府機関の閉鎖の影響で延期され、28日にようやく発表になった2018年10〜12月期の国内総生産(GDP)は前期比年率2.6%増だった。減速はしたものの市場予想は上回り、景気拡大局面の10年目にして潜在成長率を上回る伸びを確保した。

 20年の大統領選までは残り約1年半。「不況の確率35%」が高いか低いかはさておき、早くから米景気や株式市場に弱気姿勢を示してきた大物投資家の「心変わり」は安心材料ではある。

 米景気は「まだ拡大期の中間点」との認識を崩さない参加者もいる。米調査会社ファンドストラットのトーマス・リー代表は、GDP全体に占める民間投資(設備投資と住宅投資、耐久財支出)の割合がまだ24%と、自身が景気循環の転換点とみる27%をなお下回っている点に着目する。株式も「押し目買い推奨」といい、前週には年末時点のS&P500種株価指数の目標水準を従来の2835から2925まで引き上げた。

 リー氏のシナリオもFRBがカギを握る。そうなると最大のリスクは「政策ミス」だろう。FRBは利上げについて「当面は様子見」に転じたが、昨年12月に示した19年に2回の利上げ見通しが実際に変化したのかどうか。直近でも3月20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)まであと3週間は待たなければ分からない。

 パウエル議長は27日の議会証言で、年内の資産縮小の停止を「近く公表する」と明言した。3月にも正式発表するとの見方は強まるが、27日の株価は下げ渋った程度だった。「資産縮小の停止がすでに相場水準に織り込まれたことを意味する」。米投資助言会社セブンス・リポートのトーマス・エッセイ氏は年内の利上げ見送りが実現し、低金利政策の長期化を意味する物価目標の引き上げが濃厚にならない限り、株高余地は限られると慎重だ。

 景気後退が差し迫ったリスクではないとの認識が広がり、株高が進むようだとむしろ、FRBは利上げ再開の判断に傾くかもしれない。強気派のシナリオが実現するとしても、株高の足取りは軽やかというわけには行かなさそうだ。

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/343.html

[経世済民131] 野菜相場を破壊!?オンライン卸売市場スタートへ
2019年2月28日 週刊ダイヤモンド編集部 ,浅島亮子 :副編集長,千本木啓文 :記者
野菜相場を破壊!?オンライン卸売市場スタートへ
野菜の流通が大きく変わる可能性を秘める Photo by Hirobumi Senbongi
物流コストの増大の直撃を受け疲弊する日本の農産物流通。農家が適正な利益を得られる変革が待ったなしな中、農業ベンチャーのマイファームが、オンライン卸売市場「ラクーザ」を今月初旬にもスタートさせることが、週刊ダイヤモンドの取材で分かった。同誌2019年3月9日号では「小規模農家こそ勝機あり 儲かる農業2019」と題して特集を掲載。変化に直面した日本の農業の最前線をレポートしている。
 早ければ3月初めに、農作物流通を一変させるサービスが立ち上がる。農業ベンチャーのマイファームが、オンライン卸売市場の「ラクーザ」を創設するのだ。
 ラクーザは、インターネット上で農家が出品した農作物を買い手(スーパーや飲食店)が入札で競り落とす仕組み。何といっても、農家が自由に値決めできる点が新しい。既存の規格や出荷ロットにとらわれず、農家自身が小売りや外食チェーンのバイヤーと直接、価格交渉ができる。
http://dw.diamond.ne.jp/mwimgs/8/9/-/img_893dab3df49c9a79c4aca11e081513ba83492.jpg

 西辻一真・マイファーム社長は、「農家がきちんと適正な利益を得られる価格で出品し、良質な農産物ならば競り方式で価格が上がっていく。取扱量が増えてラクーザの相場ができれば、“大田の相場”を壊せる」と言い切る。
 大田市場(東京都大田区)といえば、青果物で取扱高日本一を誇る巨大市場だ。ラクーザの初年度目標は、流通総額10億円と控えめではある(農家と買い手を合わせた会員獲得数の目安は4000ユーザー)。だが、「いずれ卸売市場へ流れる農産物流通の全てを獲得していきたい」(西辻社長)と、静かな野心を燃やしている。
ラクーザのスタッフから説明を聞く岩立昌之さん(右)。農家が値決めできるサービス開始に興味津々だ Photo by Fusako Asashima
 千葉県柏市の岩立ファーム(チンゲンサイがメーン)の岩立昌之さん(38歳)は、サービス立ち上げに興味津々だ。デジタルネーティブ世代なので、スマートフォン操作にも抵抗がない。
「この20年間、どんなに資材費や物流費が上がっても、その上昇分が出荷価格に転嫁されたことはなかった。値決めをできるラクーザは魅力的だ」(岩立さん)
 農家がラクーザの会員になるだけなら無料。取引の成立時点で、販売額の15%の手数料が掛かる。首都圏で直売所に置いてもらうとき(直販)の手数料が2割程度だというからリーズナブルだ。
 通常の市場出荷では、中間流通コストなど諸経費を引いた「農家取り分」は売価のわずか4割程度。いかに無駄なコストが、農家の経営を圧迫しているかが分かる。
 また、ロットを小さくし、テストマーケティングの場としてラクーザを活用するのも一計だ。
「チンゲンサイは加熱せずに生でも食べられるし、調理法も中華だけではないことを知ってほしい」(岩立さん)。例えば、調理法の提案などの訴求がバイヤーに利くかどうか、反応を試すことができる。
価格形成機能も
食の分配機能もマヒしている
「市場を壊すようなサービスを始めます」──。
 ラクーザをオープンするに当たって、事前に、西辻社長は市場の“重鎮”のところへ足を運んでいる。直販やインターネット通信販売の拡大により、ただでさえ市場流通は疲弊している。ラクーザの登場は、市場流通の息の根を止めかねないほどのインパクトがあるのだ。
 実際に、市場機能の弱体化は甚だしい。まず、農家に適正な利益が残る「価格形成機能」が果たされていない。仲卸業者など多くのプレーヤーが介在しており、無駄な中間コストが加算されるからだ。

http://dw.diamond.ne.jp/mwimgs/b/6/-/img_b6a14837c03675d6c11e9e9b24f11ddb127798.jpg

 しかも、相対取引が多く競りが少ない。有名産地というだけで質の伴わない農産物に高値が付くなど、価格硬直性が高く、市場競争が価格に反映されない。
 食の「公平な分配機能」も完全にマヒしている。九州地域から出荷された農産物が、JA経由で東京の大田市場へ送られ、それがまた九州エリアのスーパーへ「分配される」という無駄な配送もよくあることだ。
 これだけ物流危機が深刻化してもなお、こんなばかげたことが続けられている。そして、その膨大な物流コストを負担しているのは、末端農家であり消費者である。
 農家が適正な利益を得られ、消費者ニーズの多様化に応えられるような流通改革は待ったなしの情勢だ。そして今、既存の流通構造を壊し、農業を変革しようとする企業や企業連合が相次いで誕生している。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 浅島亮子、千本木啓文)
https://diamond.jp/articles/-/195757

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/345.html

[政治・選挙・NHK258] 医療費抑制、都道府県の権限強化を 財務省が提言 過剰ベッド減らぬ病院 5年で14%増、医療費は膨張 漂流する社会保障
医療費抑制、都道府県の権限強化を 財務省が提言
2018/10/31 2:00
 
財務省は30日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)で、各地域の実態に応じた病床数にするよう促すため、都道府県の権限強化を検討すべきだと提言した。人口あたりの病床数が多い地域は入院医療費が高額になっていると指摘。公的病院などの統廃合を進め、高齢化で膨らむ医療費抑制につなげる。

11月中にもまとめる19年度予算案の提言に盛り込む見通しだ。同省は都道府県1人あたりの入院医療費と病床数には相関関係があると分析。人口10万人あたりの病床数が最も多い高知県は医療費も最大だった。「医療費は医療提供体制に強い影響を受ける」と適正規模に見直すよう訴えた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37124200Q8A031C1EE8000/?n_cid=SPTMG002

過剰ベッド減らぬ病院 5年で14%増、医療費は膨張 漂流する社会保障 NIKKEI Investigation
漂流する社会保障 経済 ヘルスケア 地域総合2019/3/3 2:00日本経済新聞 電子版

病院ベッド(病床)の過剰感が強まっている。日本経済新聞が都道府県の医療計画を調べたところ、必要数を上回る病床は2018年度に計21万1千床と、13年度比で14%増えていた。超過割合は2割台に乗った。人口減で不要になった高額な重症者向けの削減や、高齢化に適したリハビリ用への転換が進まない。実際の需要に合った適正な病床数にしないと医療費は一段と膨らむ。
 
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41975040S9A300C1MM8000/?n_cid=NMAIL007

過剰ベッド、大病院も深刻に 入院数5年で4%減 漂流する社会保障 
漂流する社会保障 経済 ヘルスケア 地域総合2019/3/3 2:00日本経済新聞 電子版
病院の過剰ベッドは、患者が集まりやすい大病院にも広がってきた。重症者向け大病院の入院患者数はこの5年で4%減ったことが日本経済新聞の調べでわかった。今後も医療需要が想定以上に落ち込み、病床の需給バランスは一段と崩れる懸念がある。
【関連記事】過剰ベッド減らぬ病院 5年で14%増、医療費は膨張
■医療進歩、大病院の4割弱で減少
厚生労働省が公開している入院料が定額制の「DPC病院」のデータを分析した。その数は全国約7300ある一般病院の2割。大病院が多く、重症者向け病床数の7割を占める。入院件数に平均入院日数を掛けた「延べ入院患者数」をはじくと、2012〜17年度の継続データがある1743病院で4%減だった。
医療の高度化で平均入院日数が短くなっているほか、入院日数が長いと診療報酬が減額される仕組みに変わったことも影響した。大学病院など高度医療を担う219病院の4割弱で入院患者数が減った。

https://www.nikkei.com/content/pic/20190303/96958A9F889DE6E3EBE5E6E0E5E2E2E0E2E1E0E2E3EB9793E7E2E2E2-DSXMZO4197425002032019SHA001-PN1-2.jpg
 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41974270S9A300C1EA5000/?n_cid=SPTMG053


http://www.asyura2.com/19/senkyo258/msg/128.html

[国際25] 金正恩氏に国内で圧力も、米朝サミット決裂で対話路線に疑問符 米韓が最大級の合同軍事演習を中止−物別れとなった米朝首脳会談
金正恩氏に国内で圧力も、米朝サミット決裂で対話路線に疑問符
Youkyung Lee
2019年3月2日 4:11 JST
朝鮮中央通信の報道、首脳会談のダメージコントロールを示唆
金委員長は対米強硬派ら50−70人を昨年処分−韓国調査団体
平壌に戻る特別列車に揺られながら北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、トランプ米大統領との会談では、どこで何を誤ったのかと思い返すに違いない。どうすれば昨年稼いだ得点を失わずに済むのか、考えを巡らせるだろう。

  交渉の場から立ち去るというトランプ大統領の予想外の行動で、北朝鮮経済を苦しめる国際制裁を対話を通じて緩和に導く金委員長の戦略に、疑問符が突きつけられ、国内で圧力が強まる恐れがある。

  韓国・峨山政策研究院の安保統一センター長、申範K氏は「金委員長も今回のサミットに大きく賭けていた」と指摘。「同氏の国内政治リスクも高い」と述べた。

VIETNAM-US-NKOREA-DIPLOMACY-SUMMIT
金正恩朝鮮労働党委員長(28日、ハノイで)写真家:Saul Loeb / AFP via Getty Images
  米朝首脳会談の決裂は、北朝鮮が迫られている根本的な選択肢を浮き彫りにした。米国と交渉するか、交渉の立場を強めるため再び核の危機をつくり出すかだ。金委員長がどちらを選ぶか予想は難しいが、強硬路線を進めば過去1年の成果が水泡に帰し、外交的な孤立へと逆戻りする危険をはらむ。

  首脳会談で被った傷を最小限にとどめようとする金委員長の取り組みは、すでに国営メディアの報道に表れている。1日の朝鮮中央通信(KCNA)の報道では米国に敵意を示すこともなく、金委員長がトランプ大統領と再び会談すると約束したことを明らかにし、両者が「緊張緩和と平和維持」に向けた取り組みを維持する「共通の理解」を確認したと伝えた。

  ただ、米主導の国際制裁で北朝鮮経済は過去20年で最も深刻なリセッション(景気後退)に陥っており、金委員長には時間との闘いもある。厳しい経済状態が続けば、国内の対米強硬派が盛り返す可能性がある。脱北者が設立したソウルの調査団体「北朝鮮戦略センター」が先週公表したリポートによると、金委員長は昨年、米国との対話に反対する政治エリートら50−70人に対し、地位はく奪や投獄、処刑などの処分を下した。

原題:Kim Jong Un Faces New Pressure at Home After Trump Summit Shock(抜粋)


米韓が最大級の合同軍事演習を中止−物別れとなった米朝首脳会談後
Jihye Lee、Youkyung Lee、Nick Wadhams
2019年3月3日 14:57 JST
「キー・リゾルブ」と「フォール・イーグル」の一連の訓練中止
北朝鮮との緊張緩和が狙い−規模を抑えた訓練は4日から実施
米国と韓国は両国が毎年実施する合同軍事演習のうち、最大級の訓練を中止することで合意した。北朝鮮との緊張緩和が狙い。トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は2月27−28日にベトナム・ハノイで開いた首脳会談で、朝鮮半島非核化で合意できなかった。

  米国防総省の2日の発表によれば、韓国の鄭景斗国防相とシャナハン米国防長官代行が「キー・リゾルブ」および「フォール・イーグル」の一連の訓練中止を決めた。これに代わり、「通常軍事活動の戦略、オペレーション、戦術面」に焦点を絞り規模を抑えた訓練「アライアンス」を今月4日から12日まで実施する。米韓連合司令部が別の発表文で明らかにした。

  大規模演習の中止について、米国防総省は「朝鮮半島の完全非核化を最終的かつ全面的に検証される形で達成する外交努力を支援し、緊張を緩和したいわれわれの意向を反映するものだ」とし、韓国国防省も「朝鮮半島の恒久平和」を追求するために中止を決定したと確認した。

President Trump Attends Missile Defense Review Announcement At Pentagon
シャナハン米国防長官代行写真家:Martin H. Simon /プール経由でBloomberg
原題:South Korea, U.S. to End Biggest Joint Military Exercises (1)(抜粋)
 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-03/PNRZ9N6S972801?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/576.html

[国際25] ファーウェイCFOの米国への引き渡し、カナダが審理入り決定 米、貿易慣行是正で中国に引き続き圧力かけると表明−USTR報


ファーウェイCFOの米国への引き渡し、カナダが審理入り決定
Natalie Obiko Pearson、Josh Wingrove
2019年3月2日 13:27 JST
孟CFOは6日に出廷、初回審理の日程が決まる
中国大使館:カナダの決定に極めて不満、中国ハイテク企業への迫害
カナダ政府は中国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)について、米国への身柄引き渡しを巡る審理入りを正式に決定した。

  カナダ司法省の1日の声明によると、孟CFOを詐欺罪などで起訴し身柄の送還を求めた米国の要請を同省は検討し、身柄引き渡しの手続きを正式に進める許可を出した。米国は孟CEOが銀行に事実を偽って伝えてファーウェイの取引を決済させ、イランへの米制裁に違反したと主張している。

  オタワにある中国大使館は声明で、カナダの決定に「極めて不満」だと表明。「これは単なる司法案件ではなく、中国のハイテク企業への政治的迫害だ」と反発した。

  司法省声明によれば、孟CFOは6日に出廷し、そこで初回審理の日程が決まる。

原題:Huawei Extradition Case Begins, Widening China-Canada Rift (2)(抜粋)

米、貿易慣行是正で中国に引き続き圧力かけると表明−USTR報告書
Jenny Leonard、Andrew Mayeda
2019年3月2日 11:15 JST
国内労働者や輸出企業に機会もたらすため日英欧と貿易交渉始める
新生NAFTAの年内の批准を議会に求めた
トランプ米政権は1日、不公正な貿易慣行の是正に向け中国に引き続き圧力をかけると表明したほか、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新たな貿易協定を年内に批准するよう求めた。

  米通商代表部(USTR)はまた、議会に提出した通商政策の年次報告書で、「米政府は国内の労働者や輸出企業にさらなる機会をもたらすため、日本や欧州連合(EU)、英国との新たな貿易交渉に乗り出すつもりだ」と述べた。

U.S. Trade Representative Robert Lighthizer Testifies Amid Tariff Escalation
ライトハイザーUSTR代表Photographer: Zach Gibson/Bloomberg
原題:Trump Administration Vows to Stay Tough on China in Trade Report(抜粋)
USTR Says It Will Keep Pressing China on Trade Concerns
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-02/PNPUKU6TTDS001
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/577.html

[国際25] 中国P2Pの点融:最大2000人を削減へ、規制に対応 2月米自動車販売:日本勢などが予想下回る、SUVブーム終焉か
中国P2Pの点融:最大2000人を削減へ、規制に対応−関係者
Bloomberg News
2019年3月1日 17:36 JST
金融リスクを抑えるため当局はP2P業界の縮小を図っている
P2P業界においては最大級の企業であっても規模縮小を免れない
中国で広がった貸し手と借り手をインターネット上で結び付けるピア・ツー・ピア(P2P)融資事業を手掛ける点融は、従業員を最大2000人削減する。事情に詳しい関係者が明らかにした。同社にはタイガー・グローバル・マネジメントとスタンダードチャータードが出資しているが、コスト削減を図るとともに、P2P業界の縮小を進める当局の取り組みに従う。

  上海に本社を置く点融はまた、借り手の確認などをしている実店舗90のうち約60店を閉鎖する。公に話す権限がないとして関係者の1人が匿名を条件に語った。不満を抱いた従業員らがここ数日、ソーシャルメディア上で補償を要求していた。

  政府が金融リスクに対する取り締まりを強化する中で、P2P業界においては最大級の企業であっても規模縮小を免れないことが示された。

Nationwide Problem
P2P platforms have been struggling across the country


Source: Yingcan Group

Note: Failed platforms include those that have either closed or encountered serious difficulties

  点融は電子メールで、規制政策と業界の変化に対応し構造の「最適化を続ける」と表明。すでに元従業員らとの問題を決着させたとも説明した。

原題:Chinese Online Lender Dianrong Said to Plan 2,000 Job Cuts (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-01/PNOGFO6KLVS001?srnd=cojp-v2


 
2月米自動車販売:日本勢などが予想下回る、SUVブーム終焉か
Gabrielle Coppola、Keith Naughton
2019年3月2日 5:15 JST 更新日時 2019年3月2日 7:11 JST
米自動車市場では、フィアット・クライスラー・オートモービル(FCA)のジープなどスポーツタイプ多目的車(SUV)の全盛期が終わりに近づいているのかもしれない。

  2月の米自動車販売はフィアットが過去1年で初めての減少となり、中でもジープは珍しく2カ月連続で減った。トヨタ自動車やホンダ、日産自動車もブルームバーグがまとめたアナリスト予想を下回った。

Miss or Beat?
  ジープの苦戦は、米国のSUVブームが限界に達しつつあることを示す新たな兆候となった。金利上昇や信用状況のタイト化で、過去最高水準にある販売価格を維持するのが難しくなる可能性が高い。セダンではなく、コストの高いライトトラックの人気が価格を支えている。

  FCAの米国販売責任者、リード・ビッグランド氏は発表文で、「天候や米政府機関の閉鎖、税金還付を巡る懸念などの影響で、業界全体が鈍化し始めている」と指摘した。

  ゼネラル・モーターズ(GM)とフォード・モーターは、四半期ベースの販売台数しか発表しない。

  トヨタの販売台数は5.2%減少。コンパクトSUVの「RAV4」の需要が弱かった。

  日産自の人気クロスオーバー、「ローグ」の販売は16%減少、ホンダのSUV「パイロット」は8.8%減少した。

  調査会社オートデータによると、業界全体の販売台数は年換算1660万台と、1年半年ぶりの低い水準。事前予想も下回った。

原題:Auto Market Turns for Worse With Lowest Sales Rate in 18 Months(抜粋)

(最終段落に業界全体の数字を加えます.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-01/PNPBH06K50XS01
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/578.html

[経世済民131] 浅川財務官:日本の経常黒字は所得収支からー貿易問題とは別物 トランプ大統領:ドルは強過ぎる、パウエルFRB議長を批判
浅川財務官:日本の経常黒字は所得収支からー貿易問題とは別物
2019年3月3日 17:35 JST
財務省の浅川雅嗣財務官は3日、日本の現在の経常黒字は主に海外投資からの配当などを含む所得収支から来ており、貿易問題とは別物との見方を示した。都内で開かれたパネルディスカッションで述べた。

  浅川財務官は投資と貯蓄のバランスにも言及し、日本の貯蓄の増加は高齢化の過程において自然であるとして、問題とすることを疑問視。世界的な経常収支の不均衡は多国間の枠組みで取り組むべき課題であり、6月に大阪で開催する20カ国・地域(G20)首脳会議に向けて議論を促していきたいと語った。

  米通商代表部のライトハイザー代表は先月27日に、1カ月以内に日本を訪れるつもりであり、通商協議を始める「強い緊急性」を感じていると話した。これを受け、交渉を担当する茂木敏充経済再生担当相は今月1日、できるだけ早くライトハイザー代表と会談したいと述べていた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-03/PNS6CW6JIJUO01?srnd=cojp-v2

 

トランプ大統領:ドルは強過ぎると発言、パウエルFRB議長を批判
Alyza Sebenius
2019年3月3日 11:59 JST
名指しは避けつつもパウエル議長を「利上げを好む」人物と指摘
引き締めがなければ「若干のドル安につながる」とも演説で発言
トランプ米大統領は2日、ドル相場は強過ぎると述べるとともに、名指しはしなかったものの、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長を「利上げを好む」人物として批判した。

  メリーランド州ナショナルハーバーで開かれた保守派組織「保守政治活動協議会」の会議で広範な話題について演説したトランプ大統領は、米金融当局の動きにもかかわらず、米経済は好調に推移していると指摘した。

  大統領は「私は強いドルを好むが、米国に素晴らしく作用するドルが望ましいと考え、米国が他国とビジネスを行うことができなくなるほどの強過ぎるドルは望んでいない」と語った。

  トランプ大統領はパウエル議長の名前を直接挙げることはなかったものの、「FRBの利上げを好むジェントルマン」として言及。「FRBには量的引き締めを愛し、非常に強いドルを好むジェントルマンがいる」と話した。

  その上で大統領は「基本的にインフレはない」とし、金利がかつての水準に据え置かれ、量的引き締めが行われることがなければ、「若干のドル安につながることを想像できないか」と論じた。

President Trump Addresses Conservative Political Action Conference
保守政治活動協議会で演説するトランプ大統領(3月2日)写真家:Tasos Katopodis /ゲッティイメージズ
原題:Trump Says Dollar Too Strong, Swipes at Fed for Rate Hikes (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-03/PNRPFO6K50XS01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/351.html

[戦争b22] 焦点:北朝鮮弾道ミサイルをF35で撃墜、米防衛構想の勝算
トップニュース2019年3月2日 / 08:45 / 1日前
焦点:北朝鮮弾道ミサイルをF35で撃墜、米防衛構想の勝算
Mike Stone
3 分で読む

[ワシントン 27日 ロイター] - 米国防総省は、北朝鮮の弾道ミサイルを発射直後に食い止める方法として、ある短期的なオプションを検討している。北朝鮮周辺の空域に最新鋭のステルス戦闘機F35を待機させ、発射されたばかりのミサイルを撃墜するという構想だ。

だがミサイル防衛の専門家は、この構想について、現在の形では物理的に無理があると警鐘を鳴らしている。

ある専門家は、この作戦では迎撃ミサイルに要求されるスピードが速すぎて、迎撃ミサイル自体が溶けてしまうと警告。また、米軍の航空機が現在のテクノロジーでミサイルを確実に撃墜するには、相手国の領空内を飛行するしかないと、ロイターが取材した3人の専門家は指摘した。

この構想は、先月始まった期間半年の研究の一環だ。トランプ米大統領は北朝鮮の非核化を目指して金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長とベトナムで会談したが、そんな中でも国防総省が北朝鮮による脅威を無力化する方法を探り続けていることが露呈した格好だ。

北朝鮮の脅威が拡大する中で、米国のミサイル防衛に関する懸念が高まってきた。

2年前、北朝鮮は10回を超えるミサイル実験を実施し、その一部は、米国本土を攻撃可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)とみられるものを含め、多段式ロケットを用いたものだった。また、北朝鮮は水爆実験を行ったとも主張している。

次世代ステルス戦闘機F35を活用する現在研究段階にある構想では、判明している北朝鮮ミサイル基地の周囲を、F35が継続的に飛行することになりそうだ。

Reuters Graphic
ミサイルが北朝鮮から米国の領域に向けて打ち上げられると、F35に搭載された最先端のセンサーがこれを探知し、飛翔体が大気圏を出る前に特殊な空対空ミサイルを発射する仕組みだという。最新ミサイル防衛戦略や国防総省の上層部によって明らかになった。

まず最初に試してみたいのが、このF35を活用する構想だと軍当局者は話す。既存の軍用ハードウェアが利用でき、他の戦略よりも早期に、しかも比較的低コストで運用できる可能性があるからだ。

その一方で、新たな迎撃ミサイルの必要性が明らかになったり、F35は発射されたばかりのミサイルを探知する役割を担うだけで、必ずしも撃墜には関与しない可能性があることが、実験によって判明するかもしれない、と国防総省上層部は警告する。

グリフィン国防次官(研究・技術担当)は先月、国防戦略の見直し発表後、この構想について語るなかで、「コスト効率が高く、数学的、物理学的にも成立しているのではないかと考えている」と述べた。

「見直し」に含まれたその他のアイデアのなかには、ドローンに搭載したレーザーを使って、打ち上げ直後のいわゆる「ブースター段階」でミサイルを阻止する、といったものがある。

ミサイルが最も脆弱なのは、飛行中のこの段階だ。速度は最も遅く、ロケットエンジンからの熱で容易に探知でき、大気圏を脱出するために加速しているため、迎撃ミサイルを回避することもできない。

<溶けるミサイル>

F35を活用する構想にとって課題となるのは、地理的条件だ。

ワシントンの米有力シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)のミサイル防衛専門家トム・カラコ氏は、北朝鮮の発射するミサイルを待ち伏せする戦闘機は理論上、北朝鮮の領空を尊重する必要があると指摘する。

だがそれだけの距離を保っていては、ミサイル発射地点から遠すぎて迎撃の効果を上げられないということになりかねない。

弾道ミサイルを大気圏脱出前に撃墜するには、改良した空対空ミサイルでもスピードが遅すぎるだろう、とマサチューセッツ工科大(MIT)のミサイル防衛専門家セオドア・ポストル氏は言う。

米防衛大手レイセオン(RTN.N)などが製造する空対空ミサイルでは、誘導に必要な大気密度が得られない高度に到達する前に弾道ミサイルを撃墜するための時間的余裕は、推定200秒しかない。F35が打ち上げを探知し、空対空ミサイルの照準を定め発射するまでに、約50─60秒が必要だということを考えると、撃墜するには、F35が弾道ミサイルに非常に接近している必要がある、とポストル氏は言う。

「発射場所のごく近くにいれば、撃墜は可能だ」と元ロケット科学者のポストル氏は言う。「だが、そこまで接近できる可能性は非常に低いだろう」

はるかに高速で軽量の空対空ミサイルをF35に搭載したとしても、超高速で飛ばなければならない距離が長くなれば、空対空ミサイル自体が溶け始めてしまうだろう、とポストル氏は言葉を説明する。

障害はあるものの、国防総省がこのような選択肢を検討しているという事実そのものが重要だ、とカラコ氏は言う。「これはもっと広範囲なカルチャーの転換を示している」

国防総省が「巨大構想」ではなく、「同省で利用可能な戦術的プログラムで構成される幅広いネットワークに組み込めるような作戦」を検討しているということだと、カラコ氏は分析する。

とはいえ、この計画の実現には困難が伴うだろう。

「発射地点の非常に近く、北朝鮮の領空内に入り込む必要がある」。そう語るのは、科学者団体「憂慮する科学者同盟」でミサイル防衛を研究する物理学者ローラ・グレゴ氏だ。

グレゴ氏によれば、たとえ空対空ミサイルが音速の5倍のスピードで飛行するとしても、F35は標的の弾道ミサイルから約50マイル(約80キロ)以内にいる必要があるという。「現実的には、もっと近くないといけないだろう」

そうなると、ステルス性のない従来機よりもはるかに近くまで発射予想地域に接近できるF35のステルス性が大きな武器になる。

米空軍の元中将デビッド・デプチューラ氏は、「これがF35の優位点の1つだ」と言う。敵レーダーを回避できるF35ならば、「従来機に比べて、敵の発射地域にはるかに接近することができる」

これはつまり、米防衛大手ロッキード・マーチン(LMT.N)製のF35を使うことにより、米国が北朝鮮領空内に戦闘機を飛ばして弾道ミサイルの発射をひそかに監視できる可能性があるということを示している。

(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/northkorea-usa-f35-idJPKCN1QI3SR?il=0
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/554.html

[自然災害22] “黒い津波”の正体とその破壊力が明らかに! NHKスペシャル「“黒い津波”知られざる実像」
2019.02.26
“黒い津波”の正体とその破壊力が明らかに!
NHKスペシャル「“黒い津波”知られざる実像」

【総合】3月3日(日)  後9:00

政治、経済、世界情勢、社会問題、自然、科学、エンターテインメント、スポーツなどさまざまなトピックを、NHKならではの視点で追う。


NHKスペシャル「“黒い津波”知られざる実像」
放送日
3月3日(日) [総合] 後9:00

出演者ほか
【語り】礒野佑子

内容
東日本大震災の津波を、多くの人たちが“黒い津波”だったと語っている。巨大津波が湾に進入すると、海底をえぐりとって大量の土砂、ヘドロを巻き上げ、黒くなっていたことが最新の研究でわかってきた。当時のまま保管されている黒い海水を専門家が分析したところ、透明な海水だった場合に比べ、破壊力が強くなり、人々の命を奪っていった実態が明らかになった。黒い津波の脅威を初めて伝える。
http://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/trailer.html?i=17893

 


“黒い津波” 〜知られざる実像〜
(画像提供 左:小野寺誠さん 中:菅原英樹さん 右:気仙沼海上保安署)

NHKスペシャル

『“黒い津波” 知られざる実像』
3月3日(日)午後9時〜

「黒い波」。東日本大震災で津波を目撃した人たちが口にする言葉です。波が黒くなった要因のひとつは、海底の土砂。宮城県気仙沼市では、津波が湾の入り口付近の海底を掘り下げ、大量の土砂とともに一気に陸上に押し寄せ被害を拡大させました。また、「黒い波」に人が巻き込まれると、土砂などの異物が肺へと入り込み「津波肺」と呼ばれる重篤な肺炎を引き起こすことも分かりました。ほかにも健康被害を訴える声をよく耳にします。

震災からまもなく8年。津波や医療の専門家たちは今、「黒い波」に着目し、土砂が混じった津波がどのように威力を増し、どう人体に影響するか、次の巨大災害に備えるべく解析を始めています。NHKでは、「黒い波」の取材チームを結成。ただの海水ではない「黒い波」が押し寄せる津波の脅威について、皆さんからの情報提供をもとに掘り下げていきます。
記事や動画を見る
再生マーク
あの日 黒い波が襲った

黒い波 〜津波の新たな脅威とは〜
「黒い波」についての体験談、当時の映像、ご意見などをお寄せください。
▼「黒い波」に巻き込まれた人の体験談 ▼「黒い波」による健康被害 ▼震災当日に撮影した「黒い波」の動画や写真 ▼「黒い波」についてのご意見など何でも結構です。お寄せいただいた内容は、番組やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。放送やサイト掲載以外の目的で使用したり、外部に提供したりすることはありません。いただいたご質問にはお答えできないことがあります。また、取材のお願いなどでこちらからご連絡をさせていただくこともあります。あらかじめご了承ください。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/shinsai8portal/kuroinami/


https://tver.jp/episode/55692166

津波が黒いのはどうしてですか? 今、テレビで東日本大震災の津波の様子を見ま...
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知恵コレ

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kar********さん2011/12/2515:47:22
津波が黒いのはどうしてですか?

今、テレビで東日本大震災の津波の様子を見ました。前にもテレビで見て思ったのですが、津波の水ってなんだかどす黒い気がします。 街を飲み込みながらなら土や不純物が混じったのかな?と思いますが、その映像は水際のすぐそばだったのでまだ陸についてすぐでしたが、水は真っ黒でした。
津波になると黒くなるという理由が何かあるのでしょうか。ご存知の方いらっしゃいましたら教えて下さい。

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tib********さん 2011/12/2517:07:32
1時間ほど前に同じような質問に答えた自分のコピペです、ごめんね
津波は海底から海面まで塊となって移動します
その塊の中で何層かに分かれて上下に回転する激流が生じています
この巻き上げが海底の堆積物を巻き上げます
海底に川などから流れ込んだ物とか海の動植物の死骸とか有機質の物が堆積して黒ずんだ層が出来ているのでこういう海底の地形では津波は黒くなります
今回の津波の映像でも黒い津波が見られましたが黒くない津波もありました、これは津波が通過して海底に腐敗した堆積物が無かったか少ない砂層とか岩石だった為です
昔から津波は黒いと本で読んだ事はありましたが本当に黒い津波は今回の津波映像で初めて見ました
本当に不気味で恐怖を感じる黒い海水です

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質問した人からのコメント2011/12/26 10:56:31
成功 詳しい説明、とても分かりやすかったです!テレビで見た海水の映像がどす黒すぎてびっくりしましたが、土や堆積物なんですねー!
おっしゃられたように、黒い波が街を飲み込む様が本当に不気味です。海=青・透明と思い込んでいた私にはものすごい衝撃でした。
回答ありがとうございましたー!!
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1178073796
http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/656.html

[自然災害22] 黒い波 〜津波の新たな脅威とは 人々が証言する「黒い波」「黒い、恐ろしいものが押し寄せてきた」「想像できないほど黒い水だ
黒い波 〜津波の新たな脅威とは
人々が証言する「黒い波」「黒い、恐ろしいものが押し寄せてきた」「想像できないほど黒い水だった」

2011年3月11日。東日本大震災の経験者は、「黒い波」という言葉で、あの日の津波を表現する人が目立ちました。

なぜ、あれほど黒かったのか。

そして、黒くなることで、どのような影響があったのか。震災発生からまもなく8年。

私たちは取材チームを立ち上げ、検証を始めました。

最新シミュレーションで「黒い波」に迫る
津波の深刻な被害を受けた宮城県気仙沼市は、住宅の半数近くが被災し、1400人以上が犠牲になりました。

なぜここまで被害が拡大したのか。

東北大学災害科学国際研究所の今村文彦教授たちのグループは、スーパーコンピューターを使った最新のシミュレーション技術で検証しました。

すると、湾の狭くなった部分に津波の猛烈な流れが集中し、海底の土砂を掘り下げていたことが分かりました。


シミュレーションでは、その深さはおよそ6メートル。

湾の入り口が掘り下げられたことで、津波の巨大な通り道ができていたのです。

この結果、津波は海底の土砂を巻き込みながら陸地の奥まで押し寄せ、被害を拡大させていました。


「これまでは津波は海から来る水だと考えられていたが、実際は黒い水だった。その結果、被害は拡大していた」(今村文彦教授)

「黒い波」は燃料タンク流出にも影響か
勢いを増した気仙沼市の「黒い波」は、沿岸に設置されていた燃料タンクの流出にも影響を及ぼしたと見られています。気仙沼市では23基あるタンクのうち22基が流出。海底の土砂が掘り下げられたことで、湾の狭くなった部分に流れが一気に集中。

それに引っ張られるように津波は速度をあげ、タンクを引き倒していったと見られます。

タンクから漏れ出した油は1万キロリットルあまり。引火したことにより、気仙沼の街は火に包まれてしまいました。


人体への影響も深刻な「黒い波」
海底の土砂や、油などの化学物質が混ざった「黒い波」がひとたび人体に入り込むと、命を脅かす深刻な状況をもたらすことも分かってきました。

石巻赤十字病院には、津波に含まれた砂や泥などを吸い込んでしまった患者が相次ぎました。

これらの物質は肺の奥まで入り込み、「津波肺」と呼ばれる重い肺炎を引き起こしていたのです。せっかく津波から助かったにも関わらず、命を落とす人も出たのです。

これ以外にも空気中に舞った土ぼこりで健康に影響が出たり、漂流物にぶつかった後遺症が残ったりしたことへの影響を指摘する人もいます。


「黒い波」の情報を募集します
「黒い波」となることで威力はどれくらい増していたのか。

どのような健康被害をもたらしたのか。

NHKは皆さんからの情報をもとに、津波や医療の専門家と協力しながら、「黒い波」についてさらに掘り下げて取材していきます。

東日本大震災の時に撮影した「黒い波」の動画や写真。「黒い波」に巻き込まれた人の体験談。

「黒い波」により健康被害を受けた人の証言。

そのほか「黒い波」に関してお気づきの点など何でも結構です。

皆さんと一緒に、次の巨大災害に備える番組を作っていきたいと考えています。

情報をお待ちしています。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/shinsai8portal/kuroinami/

http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/657.html

[経世済民131] 中国IT業界に「採用氷河期」、中間層の若者を直撃 中国全人代で経済の懸念払しょく 中国アパレルのオロレー、米国で「バカ売
コラム2019年3月3日 / 07:32 / 2時間前更新

中国IT業界に「採用氷河期」、中間層の若者を直撃
Robyn Mak
2 分で読む

[香港 26日 ロイター BREAKINGVIEWS] - かつて隆盛を誇ったテクノロジー業界で解雇が相次いで報じられるなど、中国では雇用が頭の痛い問題になりつつある。

中国政府は、賃金の伸びや雇用創出が頭打ちとなっている国有大企業や伝統的な産業に代わる存在として、スタートアップ企業に期待を寄せてきた。だがもし800万人もの大卒生が、採用がストップしたイノベーション経済に放出されれば、政府としても対応を考えるべきだろう。

世界第2の経済大国、中国の雇用データはあてにはならないが、ストレスの兆候は明確に出ている。政府と民間の調査では、工場での生産や新規受注がほぼ3年ぶりの低水準に失速している。

チャイナ・ベージュブック(CBB)インターナショナルの12月調査によると、四半期と通年ベースで、採用が全業種で減少。中でも急減したのが、サービス業と小売業だった。

いわゆる「ニュー・エコノミー」を巡る、暗いニュースは、中国政府にとって特に大きな懸念材料だ。同国で拡大する中間所得者層の若年世代に対して偏った影響が出るためだ。

例えば、一度は自転車シェアリングのトップに立った「共享単車(ofo)」は資金が枯渇しており、ロイターは12月、同社が破産申告を検討していると報じた。

ここにきて、時価総額650億ドル(約7.1兆円)の配車サービス大手滴滴出行(DiDi)は、従業員の15%に上る2000人のリストラを発表。電子商取引大手、京東商城(JDドットコム)(JD.O)では、幹部の10人に1人を解雇したと地元メディアは報じている。 

創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が率いる時価総額4750億ドルの電子商取引大手アリババ・グループ(BABA.N)ですら、通年の利益予想を引き下げた。ただ同社は、今年も採用継続を約束している。

規模の小さい企業は、より大きな打撃を受けている。求人サイトの智联招聘(Zhaopin)に掲載されているインターネット関連の求人数は、昨年の第3・四半期に前年同期比51%も減った。また昨年末に向け、検索エンジン上で「解雇」関連の検索数が急増した、と調査会社ギャブカル・ドラゴノミクスのエルナン・クイ氏は指摘する。

政府の呼びかけに応えて起業した多くの若者が、経済的窮地に追い込まれている。ベンチャーキャピタル業界の調査会社清科集団によると、1月のベンチャーキャピタルやプライベート・エクィティによる投資額は29億元(約479億円)と、前年同期比68%減となった。

中国政府は、より洗練されたサービス業重視の経済では債務依存の投資に頼らず、より多くの雇用を創出できるとの考えから、伝統的セクターの減速は容認してきた。これにより、若い世代はよりよい地位と賃金を手にできると中国当局は約束してきた。

テクノロジー業界に訪れた「採用氷河期」は、この約束の実現可能性を問うことになる。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/alibaba-jobs-breakingviews-idJPKCN1QI3UD


 

トップニュース2019年3月2日 / 08:25 / 2時間前更新
焦点:中国全人代で経済の懸念払しょく、指導部は対応策提示へ
Reuters Staff
2 分で読む

[北京 1日 ロイター] - 中国では3月5日に全国人民代表大会(全人代)が始まる。同国経済が減速を続け、ここ数年で最大の正念場を迎える中で、指導部はいくつかの対策を打ち出して懸念の払しょくに努める見通しだ。

政府は国内外の要素が依然として先行きの経済を圧迫すると認め、今年の経済目標は以前より控え目に設定するだろう。ただ全人代の冒頭に李克強首相が発表する政府活動報告には、中小企業支援や需要喚起、雇用確保などのためにさらなる措置を講じる考えが盛り込まれると予想される。

包括的な減税も表明される可能性がある。一部のエコノミストは、減税規模が3000億ドル近くになってもおかしくないとみている。

足元の中国経済の成長ペースは1990年以降で最も鈍い。米国との貿易摩擦に加え、政府による金融リスク抑制で企業の借り入れコストが上がり、投資が冷え込んでいるためだ。

このため複数の関係者はロイターに、今年の成長率目標は昨年の6.5%前後から6.0─6.5%に修正される公算が大きいと明らかにした。投資家は、成長率などの経済目標を、当局が金融・財政政策を調整するかどうか判断する手掛かりとして注目している。

専門家の話では、中国政府は国内総生産(GDP)を2010年から20年までに2倍にする長期目標を定めており、達成には成長率を6%超に保つ必要がある。政府には、大幅な景気減速は失業を増大させ、社会不安につながりかねないとの心配もある。

興業銀行(上海)のチーフエコノミスト、Lu Zhengwei氏は「政府は今年、四半期ベースで6%未満の成長を受け入れないだろう。下振れを止められなくなるかもしれないと不安を持っているからだ」と指摘した。

政策担当者は過去に行ったような大規模な景気刺激策は念頭になく、金融システムのリスクを抑え込む取り組みは堅持していくと表明しているものの、融資促進や企業の調達コスト引き下げなどの政策を実施しており、軸足は経済成長に移っている。減税などの措置も昨年の1兆3000億元規模だけにとどまらないとみられる。

こうした中で関係者によると、税収減と歳出拡大を背景に、今年の財政赤字の対GDP比目標は、3%未満にはなるとしても、昨年の2.6%から上昇しそうだ。

<貿易問題>

もっとも全人代で大きな存在感を示すのは貿易問題だろう。米中貿易協議が摩擦を和らげたり、関税の応酬を止めるような合意に近づいているのかどうかはまだはっきりしていない。

中原銀行のチーフエコノミスト、Wang Jun氏は「貿易摩擦で中国が抱える国内問題があらわになっている。例えばどうやって国際ルールに適応していくか、または米国との外交にどう対処していくか、筋の悪い競争ではなく『正常な』競争をいかに進めていくかなどだ」と述べた。

ただ中国政府は、米国などの批判に対応する形で外資の技術移転の強要や外資事業に対する政府の違法な「介入」を禁止する法案を全人代に提出している。全人代は政府の方針をほとんど承認するのが通例だけに、この法案も可決される見込みだ。

(Ryan Woo、Kevin Yao記者)

https://jp.reuters.com/article/china-parliament-idJPKCN1QI3OM


 


トップニュース2019年3月3日 / 07:27 / 2時間前更新
アングル:中国アパレルのオロレー、米国で「バカ売れ」の理由
Pei Li and Melissa Fares
3 分で読む

[中国嘉興市/ニューヨーク 25日 ロイター] - 2012年に仕事を辞め、中国の地方都市で衣料品のインターネット販売を始めたケビン・チウ氏(32)が主な目標としていたのは、妻や生まれたばかりの子どもとの時間を増やすことだった。

自身で作ったブランド「オロレー」のダウンジャケットが大ヒットし、米国のソーシャルメディアや既存メディアで「アマゾンのコート」として取り上げられ、高級ブランドのカナダグース(GOOS.TO)のライバルとしてもてはやされるようになるとは、夢にも思っていなかった。

河北省や安徽省産のダウンを使ったオロレーのポリエステルのコートは、80─139ドル(約8850─1万5300円)。米国では最低でも575ドルするカナダグースとは対照的だ。

「今年は1月だけで2017年通年よりも売り上げがあった」。中国東部の浙江省嘉興市にある自社工場で、チウ氏はロイターにこう話した。

1月の売上高は推計500万ドル。今年は年間で3000万─4000万ドルを売り上げる見通しだ。米国での売上高が全体の7割を占めており、そのほとんどがアマゾン・ドット・コム(AMZN.O)を通じて販売されている。

オロレー成功の要因は、競争力のある価格に設定し、米国の消費者に好まれるデザインを取り入れた、というだけではない。チウ氏は、アマゾンが導入した仕組みの恩恵を受けた中国の事業者の1人だ。アマゾンは近年、海外の業者が同サイトで商品を売るのを容易にするシステムを取り入れた。

アマゾンで商品を売る米国の事業者は、この動きに警戒を強めている。特にアパレルのような業界で実店舗を構える事業者は、小さなブランドが大挙して押し寄せてくる脅威を無視する訳にいかない。こうしたブランドの多くが、中国を拠点にしている。

「たくさんのブランドが参入し、全体としては業界に大きな影響が出ている。全部まとめれて見れば、彼らが市場を奪いつつある」。こう語るのは、百貨店のメーシーズ(M.N)やアマゾンに商品を卸している米エクセル・ブランズ(XELB.O)のロバート・ドローレン最高経営責任者(CEO)だ。

アマゾンは、中国からの参入で米国の事業者が脅かされているとの見方について、コメントを差し控えると回答した。出品者の売り上げを国別に把握している訳ではないとしている。

アナリストは、今後も米国アマゾンへの出品者は増加し続けると分析する。中国国内では競争激化とコスト上昇で、アリババ・グループ(BABA.N)のサイト「天猫(Tモール)」などへの出品は魅力が減少している。

実際、チウ氏は中国ではもう販売していない。米国以外では欧州、日本、台湾、オーストラリアで展開している。

「最初はアリババでも売っていたが、中国での競争の方が厳しかった」とチウ氏。中国国内で通販サイトの利用料が引き上げられたことも影響したという。

中国では通販サイトの出品手数料に加え、顧客窓口の整備などにも投資しなくてはならない。出品者のコスト負担が増加しているかどうか、ロイターはアリババに問い合わせたが、回答は得られなかった。

アナリストは、アマゾンを利用する中国の小売業者は約5年前から急増したと指摘する。アマゾンが自社倉庫に世界中の小売業者の在庫を受け入れ、購入された商品の出荷を支援するシステムを導入したころだ。

アマゾンは昨年、中国の事業者に米国の金融業者を紹介するプログラムも始めた。一方で、アマゾンを使って商品を売る米国や英国、日本の事業者の一部には、同社自身が融資をしている。

チウ氏は、自社の成功がアマゾンによるところが大きいと認めつつ、販路の多角化も考えていると話す。米小売大手のウォルマート(WMT.N)などから引き合いが来ていると言う。

ウォルマートの広報担当者はロイターの問い合わせに対し、オロレーとの間で合意したものはないと話した。

多角化を目指すオロレーは、衣類のラインアップを綿製品に広げたり、紳士ものを展開することも検討している。だが、チウ氏は今のところ、ほとんど未知の市場だった米国で成功したことにただ驚いている。

「昨年は2度休暇でニューヨークに行った。自分たちのジャケットを着ている人を街中で見かけて、うれしかった」と、チウ氏は振り返る。

2019年1月、嘉興市のオロレー工場でジャケットを縫製する従業員(2019年 ロイター/Pei Li)
「感想を聞きたかったけど、英語はあまりしゃべれないからやめておいた」

(翻訳:山口香子、編集:久保信博)
https://jp.reuters.com/article/china-coat-orolay-idJPKCN1QI3TF
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/352.html

[不安と不健康18] アキレス腱を見れば分かる!あなたはコレステロールが高い?低い? 生活改善だけでは解決できない家族性高コレステロール血症と
アキレス腱を見れば分かる!あなたはコレステロールが高い?低い?
生活改善だけでは解決できない家族性高コレステロール血症とは

近藤 慎太郎
医師兼マンガ家 
2019年2月27日
7 91%全3985文字

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00126/00005/p1.jpg

 コレステロールが高い人に対して、米国心臓病学会などは生活習慣の改善を求めています。次の3つです。
1. 飽和脂肪酸と精製されている炭水化物を控えること
2. 運動―中程度の運動を30分間、週に3〜7日(!)
3. 禁煙
 なぜ「精製された炭水化物」を控えるのかというと、精製されていない炭水化物を取ることによって、食物繊維の摂取量が上昇し、LDLコレステロールが下がる可能性があるからです。炭水化物を取ってはいけない、というわけではありません。
 前回の記事(「コレステロール、実は取りたい放題!」…ってホント?)で解説したように、コレステロールはエネルギー源ではないので、運動をしてもコレステロール自体は消費されません。
 生活習慣が乱れている人は、血糖値や血圧、中性脂肪などにも影響が出ていることが多く、コレステロールだけが高いという人は、どちらかといえば少数派です。
 ですので、生活習慣全般を見直して肥満を解消したり、筋肉をつけたり、代謝を高めたりすることによって全身の健康状態を整えれば、めぐりめぐってコレステロールも落ちる可能性がある、と考えられています。
 ただし、それでもコレステロールが落ちない人がいます。むしろ、それだけふるいにかけても、コレステロールが残ってくるのであれば、要注意。
 なぜかと言うと、背後にほかの病気が隠れている可能性があるからです。
 コレステロールが高くなる病気で盲点になりやすいものの一つに、「甲状腺機能低下症」があります。
 甲状腺は首の前面にある臓器で、甲状腺ホルモンを産生しています。甲状腺機能低下症は、そのホルモン産生能力が落ちてしまう病気です。症状としては、体のむくみ、意欲の低下、皮膚の乾燥、寒がりになる、などがあります。
 もう一つ、生活習慣の改善で良くならないコレステロール高値で要注意のものがあります。それは「家族性高コレステロール血症(Familial hypercholesterolemia 以下、FH)」です。
 FHは、LDL受容体という、LDLを分解する場所の入り口に遺伝子の変異があり、LDLが分解されずにあふれ出る病気です。
 特徴としては、高LDLコレステロール血症、皮膚と腱にできる黄色腫(黄色い腫瘤=脂質が詰まった免疫細胞の集まり)、早発性冠動脈硬化症(若い年齢で狭心症、心筋梗塞を起こす)があります。
次ページ家族性高コレステロール血症だと、心筋梗塞の発症リスクは10〜20倍!?

家族性高コレステロール血症だと、心筋梗塞の発症リスクは10〜20倍!?
 FHは、遺伝的に受け継がれる可能性のある「常染色体優性遺伝疾患」。「優性」遺伝疾患とは、両親から受け継がれる一対の遺伝子のうち、片方だけにでも変異があれば、発症することを意味します(両方に変異がないと発症しないのは「劣性」遺伝疾患)。
 遺伝子変異のない一般的な高コレステロール血症に比べると、狭心症、心筋梗塞の発症リスクは、なんと10〜20倍と報告されています(1-2)。
 しかも、男性では30歳代から、女性では40歳代からと、非常に若い年代から増加しはじめると言われています(日本動脈硬化学会HPより)。
 そして最も問題なのは、その患者数です。
 片方だけ遺伝子変異があるFHの人は、日本人の200〜500人に1人おり、全国で30万人もいると推定されています。遺伝性疾患としては最多でしょう。決してまれな病気ではありません。
 では、FHの診断はどうすればいいのでしょうか。
1. 「高コレステロール血症や虚血性心疾患の家族」がいる、いるなら何歳で発症したか(若年発症ほどFHを疑う)
2. アキレス腱が厚いかどうか、皮膚の結節性黄色腫、腱の黄色腫がある
3. 高LDL未治療で180mg/dl以上
 このうち、2項目以上当てはまれば、FHである可能性が高くなります。

[画像のクリックで拡大表示]

次ページ生活習慣の改善だけで何とかしようとしても……
生活習慣の改善だけで何とかしようとしても……
 では、もしFHや治療の必要な高コレステロール血症と診断されたら、どうすればいいでしょうか。
 まず第一選択となる治療法は、スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)の内服です。スタチンはコレステロールを低下させる薬で、マイルドなものから強力なものまで各製薬メーカーから出ています。非常に効果の高い薬で、全世界で莫大な量が処方されています。
 実際に、スタチンによって虚血性心疾患や脳梗塞のリスクを減らせることは多数報告されています(3-4)。
 一方で、「LDLコレステロールを下げすぎると脳出血が増える」なんて話をどこかで聞いたことがある人もいるかもしれません。実は、「薬は飲んではいけない」と主張する人たちがしばしば取り上げる、有名な報告が実際にあるのです(5)。
 この報告は、臨床医学の世界で最高峰のジャーナルに載っているので、当時は医療者の間でもかなり話題になりました。
 ただしよく見ると、この報告では日本人では使わないような高用量のスタチンを使用しています。
 では本当のところはどうなんだということで、日本独自のデータで調べ直したところ、幸い、脳出血は増えなかったという結果になりました(6)。
 この結果を受けて、医療従事者は「やれやれ」と胸をなでおろしたのですが、残念ながら脳出血を起こすという風評を完全に払しょくするには至っていないようです。
 「薬を飲んで脳出血が増えた!」という話はあっという間に世の中に広まりますが、「実は日本人では増えていなかった」と言う話は取り上げられることがほとんどありません。情報を正確に伝えるということは、本当に難しいと痛感します。
 さて、脳出血まで行かなくとも、スタチンにも副作用はあり得ます。
 頻度の多いものとしては、筋肉にダメージが生じる「横紋筋融解症」があります。スタチンを飲み始めて筋肉のだるさや痛みが生じたら要注意です。
 定期的に採血をして、LDLコレステロールがきちんと下がっているかどうかを確認するのはもちろん、筋肉が壊れていないかをチェックする必要があるのです。そのほか、スタチンは妊婦、妊娠の可能性がある人、妊娠を希望する女性、授乳婦に対しては原則禁忌ということも注意が必要です。
 それらを差し引いても、スタチンは比較的安全で効果のエビデンス(科学的根拠)もそろっている、非常に優等生的な薬です。
 私自身、「薬を飲んだほうがいい」と薦めるのは多少の抵抗感があります。けれども、特にFHの場合は、努力だけでどうにかなるものではありません。むしろ生活習慣の改善だけで何とかしようとする風潮の方が、有害なケースもあるのです。
 生活習慣が乱れているのに、それに何の注意も払わずに薬だけを飲むのは間違っていると思います。ただ一定の努力をしてもLDLコレステロールが下がらないのであれば、そこが薬を飲み始めるタイミングなのかもしれません。
参考文献
• (1)Nordestgaard BG et al. Familial hypercholesterolaemia is underdiagnosed and undertreated in the general population: guidance for clinicians to prevent coronary heart disease: consensus statement of the European Atherosclerosis Society. Eur Heart J. 2013;34:3478-90a.
• (2) Harada-Shiba M et al. Guidelines for the management of familial hypercholesterolemia. J Atheroscler Thromb. 2012;19(12):1043-60.
• (3)Cholesterol Treatment Trialists' (CTT) Collaboration. Efficacy and safety of LDL-lowering therapy among men and women: meta-analysis of individual data from 174,000 participants in 27 randomised trials. Lancet. 2015 11;385:1397-405.
• (4)Itoh H et al. Intensive Treat-to-Target Statin Therapy in High-Risk Japanese Patients With Hypercholesterolemia and Diabetic Retinopathy: Report of a Randomized Study. Diabetes Care. 2018 Jun;41(6):1275-1284.
• (5)Amarenco P et al for the stroke prevention by aggressive reduction in cholesterol levels (SPARCL) investigators: High-dose atorvastatin after stroke or transient ischemic attack. N Engl J Med. 2006; 355: 549-59.
• (6) Hosomi N et al. The Japan Statin Treatment Against Recurrent Stroke (J-STARS): A Multicenter, Randomized, Open-label, Parallel-group Study. EBioMedicine. 2015 6;2:1071-8.
• 会員管理
正社員
アキレス腱が太いと何かにイケナイ、と聞いた覚えがありました。最近は日替わりで健康バラエティが放送されるので、混同してしまいます。エスカレーターで気になる「太い」人がいると、ああなってはいけないと自らの生活を反省してみます。自らの努力だけでは防ぎきれないということが恐ろしいと思います。で、わたしのは... 7mm程度でした。
2019/02/27 10:38:053返信いいね!
o

近藤 慎太郎
医師兼マンガ家 日赤医療センター、亀田総合病院、クリントエグゼクリニックなどで勤務
コメントありがとうございます。9mm以上が肥厚となりますので、大丈夫そうですね(笑)。
蛇足かと思いますが、高コレステロールを伴っている場合に意義がある所見になります。
2019/02/27 12:38:362いいね!


イデル総司令官
契約社員
漫画が分かりやすいですね。
極力、薬に頼らず、生活習慣病を改善するためにも、己の高コレステロールが遺伝由来なのか、生活習慣由来なのか判断しておくことは大切なのですね。
それにしても、全国で30万人ですか……。
シャレにならんほど多いですね。
2019/02/27 13:11:522返信いいね!

近藤 慎太郎
医師兼マンガ家 日赤医療センター、亀田総合病院、クリントエグゼクリニックなどで勤務
コメントありがとうございます。おっしゃる通りで、同じ病気に見えても原因が違うので、対処法も違ってきます。
FHはこれだけ多いのにあまり認識されておらず、専門家は警鐘を鳴らしています。
2019/02/27 15:29:181いいね!

あい〜だ
「9mm以上が肥厚となります」と書かれても、どのように測るのか
書いてないので不安をあおるだけになります。マンガが有るので測り方を漫画で説明してください。(ひょっとして次週に続く?)
2019/02/27 17:50:35返信いいね!

近藤 慎太郎
医師兼マンガ家 日赤医療センター、亀田総合病院、クリントエグゼクリニックなどで勤務
申し訳ありません。精密な測定は医療機関でレントゲンかエコーを使ってやります。まずはコレステロール値が正常な人と比べていただければ良いかと思います。
2019/02/27 20:12:571いいね!


シンちゃん
この先生のシリーズは、漫画がポイント捕まえていてわかりやすいので、楽しみですね。FHなんて初めて聞きました。自分のアキレス腱を定規で測ると1cmくらいで「自分はFHか!?」と思いました。振り返ると小学生くらいからたまに左胸が痛くなることがあ...続きを読む
2019/02/28 07:02:001返信いいね!

近藤 慎太郎
医師兼マンガ家 日赤医療センター、亀田総合病院、クリントエグゼクリニックなどで勤務
コメントありがとうございます。
HDLが高い高コレステロール血症であれば問題ないとは思いますが、LDLにもご留意ください。
アメリカと日本はやっぱり医療も似ているようで結構違います。アスピリンは心臓病のみならず大腸ポリープも予防すると考えら...続きを読む
2019/02/28 16:53:17いいね!

とし
投資家
ポスト、現代等の総合週刊誌が特集する記事では、スタチンは百害あって利益なしと評することが多いので、この記事は新鮮。ぜひ前述の週刊誌の記者または医師と討論していただきたい。
2019/03/03 12:30:57

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00126/00005/?P=3&mds



http://www.asyura2.com/16/health18/msg/721.html

[経世済民131] 日銀が気をもむインフレ動向、夏までに上昇率ゼロ%に向け下げ加速か ECB長期リファイナンスオペ再開は景気見通し吟味した後
日銀が気をもむインフレ動向、夏までに上昇率ゼロ%に向け下げ加速か
Paul Jackson
2019年3月4日 9:00 JST
• 原油価格の下落が日銀の物価上昇見通しを脅かす
• 携帯電話料金の値下げと教育無償化策が日銀に追い打ち
日本のインフレ見通しは日本銀行にとって散々なものになりそうだ。原油価格の下落や携帯電話料金の引き下げの影響を受け、インフレ率は夏ごろまでにゼロ%に向けて一段と下げ足を強めかねないからだ。
     
ゼロ地点
物価の先行指標は国内インフレ率の低下を暗示

出所:総務省、ブルームバーグ
  原油価格の下落が電力料金に反映されるのに伴い、物価動向をみる上で重要な8つの要素で構成されるブルームバーグ・インフレーション・バロメーターは向こう数カ月に低下の勢いが強まることを示している。過去8年で見ると、ある時点の同バロメーターと6カ月後の消費者物価の相関係数は0.84だ。
       
  政府から値下げ要請を受けている携帯電話事業者の動きが、インフレ醸成に向けた日銀の取り組みを複雑にする恐れがある。携帯電話料金について政府は4割程度の引き下げを求めており、結果として物価全体の伸びが0.9ポイント押し下げられる可能性がある。さらに面倒なことに、消費税率引き上げと同時に導入予定の教育無償化政策で、2019年度の消費者物価が0.3ポイント押し下げられると日銀は試算する。
  インフレ率がゼロ%へ向かえば日銀には何らかの行動を取るか、あるいは何もしないのならその判断を正当化するよう求める圧力がかかるだろう。円相場が弱含み、賃金がさらに上昇し、原油価格が高騰するようなら、金融政策運営は一時的要因の影響を受けないというスタンスを堅持する日銀の助けに依然なり得る。
ブルームバーグ・エコノミクスの増島雄樹シニアエコノミスト
このインフレーション・バロメーターは、10月に予定されている消費税率引き上げを前に、コアインフレの下振れリスクを表している。米中通商戦争に加え、英国の欧州連合(EU)離脱を含む、政治に起因する欧州での企業活動における潜在的なマイナス要因など、日本の企業セクターに対するリスクが国内の労働市場や物価にいかに影響を及ぼすかを追っていくことになるだろう。

物価のドライバー
ブルームバーグ・インフレーション・バロメーターを構成する8要素

出所:ブルームバーグ、経産省、厚労省、総務省、内閣府、日銀、経済社会総合研究所
                 
  日銀は2%の物価目標を掲げ、達成するまで金融緩和策を継続する方針を示している。日銀は既に19年度の生鮮食品を除く消費者物価指数の上昇率(政策委員見通しの中央値)を、消費増税と教育無償化の影響を除くケースで対前年度比1.4%から0.9%に下方修正したが、この予想ももはや過度に楽観的なようにみえる。
原題:Japan Inflation Barometer Points to Zero Price Growth by Summer(抜粋)


https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-04/PNMN6F6S972801?srnd=cojp-v2

東京外為市場ニュース2019年3月4日 / 10:19 / 26分前更新
日銀が国債買い入れを通告、対象は残存25年超=500億円
Reuters Staff
1 分で読む

[東京 4日 ロイター] - 日銀は4日、残存期間25年超を対象にした国債買い入れオペを通告した。買入予定額は500億円。買入予定日は3月5日。

対象銘柄は、30年債が42─61回債、40年債が1─11回債。
 
東京外為市場ニュース2019年3月4日 / 10:19 / 26分前更新
〔マーケットアイ〕金利:日銀が中期・超長期の国債買入を通告、金額は据え置き
Reuters Staff
2 分で読む

[東京 4日 ロイター] -
<10:11> 日銀が中期・超長期の国債買入を通告、金額は据え置き

日銀は午前10時10分、国債買い入れを通告した。対象は「残存1年超3年以下」
(買入予定額3500億円)、「残存3年超5年以下」(同4000億円)、「残存10
年超25年以下」(同1800億円)、「残存25年超」(同500億円)。買入予定額
はいずれも前回から据え置かれた。

国債先物は、安寄り後に下げ渋り。日銀通告への影響は限られている。また、米中通
商協議は合意に向け、最終局面に入っているとの一部報道にも目立った反応が出ていない
。市場では「米中協議への楽観論がリスクオンの流れを強めている。ただ、景気減速懸念
が完全に払拭されたわけではない。これまで先送りされてきたため、合意内容を確認する
まで積極的に動きにくい面がある」(証券)との声が出ている。

TRADEWEB
OFFER BID 前日 時
比 間
2 -0.15 -0.1 0.00 8:5
年 4 4 4
5 -0.15 -0.1 0.00 10:
年 4 44 4 10
10 -0.01 0 0.01 10:
年 1 11
20 0.439 0.44 0.01 10:
年 8 2 11
30 0.631 0.64 0.02 10:
年 2 1 11
40 0.705 0.71 0.01 10:
年 6 4 01


<08:55> 国債先物が続落で寄り付く、米債安で売りが先行

国債先物中心限月3月限は前営業日比10銭安の152円55銭と続落して寄り付い
た。前週末の海外市場で、米中通商協議への進展期待などから米債が下落した流れを引き
継いだ。また、5日に10年債入札を控えていることも上値を重くしている。
日銀はきょう、中期と超長期を対象に国債買い入れを予定している。

市場では「今週は日銀買い入れが3営業日、国債入札が2営業日で予定されており、
需給イベントが相次ぐ。朝方は静かな立ち上がりだが、参加者には、月間で減額が示唆さ
れた6日の5─10年の国債買い入れ通知額を確認してから、動きたいとの思惑があるの
だろう」(証券)との声が出ている。
TRADEWEB
OFFER BID 前日 時
比 間
2 -0.15 -0.1 0.00 8:5
年 4 4 4
5 -0.15 -0.1 0.00 8:5
年 4 44 4 4
10 -0.01 -0.0 0.01 8:5
年 1 01 5
20 0.433 0.44 0.00 8:5
年 3 7 4
30 0.621 0.63 0.01 8:5
年 2 1 4
40 0.701 0.71 0.01 8:5
年 2 4

国債引値 メニュー
10年物国債先物
国債引値一覧(10年債)・入札前取引含む 
国債引値一覧(20年債)・入札前取引含む 
国債引値一覧(30年債)・入札前取引含む 
国債引値一覧(2・4・5・6年債)・入札前取引含 
変動利付国債引値一覧・入札前取引含む 
物価連動国債引値一覧・入札前取引含む 
スワップ金利動向
ユーロ円金利先物(TFX)
ユーロ円金利先物(SGX)
無担保コールオーバーナイト金利先物(TFX)
TIBORレート
日本証券業協会 短期国債レート・入札前取引含む
短期国債引け値・入札前取引含む 
短期金利のインデックス 
https://jp.reuters.com/article/-idJPL3N20R011?il=0

 

 

ECB、長期リファイナンスオペ再開は景気見通し吟味してからか
Carolynn Look、Catarina Saraiva
2019年3月4日 8:10 JST
• 長期オペ再開の発表は4月の公算が大きい−エコノミスト予想
• フォワードガイダンス変更、より遅い利上げ示唆と3分の1が予想
欧州中央銀行(ECB)は何らかの形の長期リファイナンスオペ(LTRO)再開が必要かどうかを決める前に、ユーロ圏の景気減速がどの程度ひどいかを見極めようとするだろう。
  ブルームバーグの調査によると、エコノミストらはLTRO再開の発表は4月になる可能性が高いとみている。何人かの当局者が最近、今週の会合で決定が下されるとの観測に水を差した。決定を先送りすれば、ECBはこの政策ツールについての新たなアプローチの検討もできる。
ECB Timeline
Economists plot policy course amid weakening euro-area outlook

Source: Bloomberg survey of economists conducted Feb. 21-26
Note: Chart shows time by when majority predicts action on loans and guidance, median estimate for rates, majority view on reinvestment
  ユーロ圏の景気見通しは悪化し、ECBの成長・インフレ予測も全面的な下方修正が見込まれている。こうした中でエコノミストらは利上げ時期の予想も先送りした。ECBは現在、少なくとも夏の終わりまで、また必要な限り金利を据え置くとしているが、回答者の約3分の1が、ECBはフォワードガイダンスを変更してより遅い利上げを示唆すると予想した。
  キャンター・フィッツジェラルドのエコノミスト、アラン・マッケード氏は「ECBは政策正常化からは程遠い」と述べた。
関連ニュース:
ECB、長期リファイナンスオペについて熟考へ−恒久化も視野
Forecast Revisions
Economists see ECB lowering projections for 2019 and 2020

Source: Bloomberg survey of economists conducted Feb. 21-26


Risks to Euro-Area Economy
Euro-area slowdown is single biggest threat to outlook, Brexit in second place

Source: Bloomberg survey of economists conducted Feb. 21-26
Note: Risks were rated from 1 (none) to 5 (significant). Chart shows weighted averages
原題:ECB Seen Taking Time to Assess Outlook Before Issuing New Loans(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-03/PNOCA86TTDS001?srnd=cojp-v2



http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/353.html

[政治・選挙・NHK258] 日米交渉、物品だけとは言っていない=茂木再生相 日米通商交渉、日本側が4月開催を打診=関係筋 Reuters Staff
東京外為市場ニュース2019年3月4日 / 10:29 / 20分前更新
日米交渉、物品だけとは言っていない=茂木再生相
Reuters Staff
1 分で読む

[東京 4日 ロイター] - 茂木敏充経済再生相は4日の参院予算委員会で日米通商交渉の対象について「物品だけとは言っていない」と述べた。国民民主党の舟山康江委員への答弁。

茂木再生相は日米交渉のスタート時について「場所を含めてこれから調整する」、「しっかりとコミュニケーションを取り、互いにもっとも良いタイミングで開始したい」と述べた。

交渉範囲について「物品だけではない」と述べ、「物品同様、早期に結論が出るものは対象となり得る」と強調した。同時に「金融や保険など法改正を伴い時間がかかるものは交渉対象になるとは想定していない」と説明した。

安倍晋三首相も日米交渉は昨年9月の共同声明に沿い、国益をしっかり確保すると強調した。
https://jp.reuters.com/article/%E6%97%A5%E7%B1%B3%E4%BA%A4%E6%B8%89-%E7%89%A9%E5%93%81%E3%81%A0%E3%81%91%E3%81%A8%E3%81%AF%E8%A8%80%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%AA%E3%81%84%EF%BC%9D%E8%8C%82%E6%9C%A8%E5%86%8D%E7%94%9F%E7%9B%B8-idJPT9N1Z402L?il=0

ワールド2019年3月4日 / 10:24 / 21分前更新
日米通商交渉、日本側が4月開催を打診=関係筋
Reuters Staff
2 分で読む

[東京 4日 ロイター] - 米国が対日貿易赤字の大幅な削減を求めている日米通商交渉について、日本側が4月に米国で初会合を開く提案をしていたことが分かった。関係筋が明らかにした。米側は3月中の交渉開始を求めているが、日本側は交渉担当の茂木敏充経済再生相が、2019年度予算案の審議など国会日程の過密で対応が難しく、4月中の開催を申し入れた。

茂木経済再生相の交渉相手であるライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は、2月27日の米下院公聴会で、米国を除く11カ国の環太平洋連携協定(TPP11)と日欧EPA(経済連携協定)が発効し、牛肉など米農産品が日本向けの輸出競争で不利になっていると指摘。日米通商交渉を開始するため「できるだけ早く、3月にも訪日したい」と発言していた。

関係筋によると、日本側はこの発言を受け、正式に4月の交渉開始案を提案した。

日本側は5月26日のトランプ米大統領来日前に、茂木・ライトハイザー両氏による初会合を開催し、交渉の範囲を絞り込む段取りを想定している。

日米通商問題を巡っては、トランプ米大統領が28日にベトナム・ハノイで行われた米朝首脳会談後の会見で、日米貿易収支は「とても不公平な状態が続いており、それを安倍(晋三)首相も認めている」「日本は長年、何百万台もの自動車を送り込んできた」と発言。対日貿易に関する質問はなかったにもかかわらず、このような発言がなされたことで、日本政府関係者の一部に緊張が走ったと関係筋は明かす。

また、トランプ大統領は2月25日、全米の知事らとの会合でも米国内に「安倍首相は短期間で7つの工場ができると言ってくれた」と発言している。

米国は対日要求項目として、年間7兆円に上る対日貿易赤字の削減を明記しており、管理貿易に反対する日本側と基本姿勢に違いがみられる。

焦点は貿易赤字の大半を占める自動車。米国は安全保障を理由に自動車の追加関税を課すことを切り札に、メキシコとカナダとの間で締結された新通商協定に輸出数量規制の文言を盛り込んだ。このため日本政府関係者の間では、数量規制への警戒感も根強くある。

これに対し、安倍首相や茂木再生相は「共同声明に基づき、わが国の国益に沿って、今後の日米交渉をしっかりと進める」との答弁を国会で繰り返している。

昨年9月の日米首脳会談で枠組みが決まった日米通商交渉は、年明け早々の開催が予定されていた。USTRは昨年12月21日に対日要求事項を公表。米国内の法律上は1月末からいつでも初会合が開ける状態だったが、米政府閉鎖や米中通商交渉などの関係で、USTR側から具体的な交渉日程の提案がないまま、2月下旬まで経過した。
https://jp.reuters.com/article/japan-usa-trade-idJPKCN1QL02W
http://www.asyura2.com/19/senkyo258/msg/141.html

[経世済民131] トランプ米大統領、中国に農産品の関税撤廃求める 合意近い、公約履行なら対中関税撤回 中国経済成長率、20年まで6%上回る
ワールド2019年3月4日 / 10:29 / 16分前更新
トランプ米大統領、中国に農産品の関税撤廃求める
Reuters Staff
1 分で読む

[ワシントン 1日 ロイター] - トランプ米大統領は1日、中国との貿易交渉が進展しているとし、農産品に対する全ての関税をすぐに撤廃するよう中国に要請した。

トランプ氏はまた、2000億ドル相当の中国製品に対する制裁関税の引き上げを延期すると明らかにした。

トランプ氏はツイッターに「通商協議がうまく進んでいることから、中国に対して、全ての農産品(牛肉と豚肉を含む)への関税を撤廃するよう求めた」と投稿。予定されていた中国製品への関税の10%から25%への引き上げを延期したと説明した。

「これは、国内農家、そして私にとり、非常に重要なことだ」と述べた。

共和党にとり国内農家は重要な支持基盤。米中貿易戦争はこれまで、農家に大きな打撃をもたらしてきた。中国は昨年、米国産の大豆や穀実用モロコシ、豚肉などに関税を課し、米国からの輸入を削減した。

これより数時間前に、米通商代表部(USTR)は、2000億ドル相当の中国製品への関税引き上げ延期に関する通知を公表した。[nL3N20Q0M1]
https://jp.reuters.com/article/usa-trade-china-trump-idJPKCN1QL030


 

米中の通商合意近い、中国が公約履行なら対中関税撤回か−関係者
Matthew G. Miller、Edith Moy、Jenny Leonard
2019年3月4日 5:31 JST 更新日時 2019年3月4日 8:40 JST
中国は2000億ドル相当の対中関税の早期撤回が必要との立場を示す
直ちに関税撤回か、監視のため一定期間を設けるかが懸案とされる
米中両国は通商合意に近づいている。合意に至れば、中国が知的財産権の保護強化や米製品の大量購入など公約を履行した場合に限り、米国が昨年から課している対中関税の全てか大半が撤回される可能性が強い。協議に詳しい関係者2人が明らかにした。協議に関して公に話す権限がないとして匿名で語った。

  これら関係者によれば、中国側は米国との最近の協議で、中国製品2000億ドル(約22兆3700億円)相当を対象とした関税の早期撤回がいかなる通商合意の決着にも必要だとの立場を明確にした。米国は昨年、中国からの輸入品500億ドル相当に追加関税を賦課、8カ月に及ぶ米中貿易戦争の口火を切った。その後、中国が報復措置を講じ、米国はさらに2000億ドル相当の輸入品に関税を発動した。

  依然残る問題の1つは、関税を直ちに撤回するか、それとも中国の公約履行を米国が監視できるよう一定の期間を設けて撤回するかだと、関係者らは語った。米国は、中国に合意条件を確実に守らせるよう引き続き関税の脅しを維持したい意向で、関税の完全撤廃は中国が合意事項全てを履行してからにしたい考えだ。

  また関係者1人によると、米国は現在進行中の交渉の一環として、中国に合意を履行させるため米国が課すかもしれない関税に中国側が報復措置を講じたり、世界貿易機関(WTO)に提訴したりしないよう要求した。

  米中が通商合意に近づいていることは米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)がこれに先立って伝えた。

  同紙が匿名の情報源を引用して報じたところでは、中国は米国からの農産品、化学製品、自動車などの輸入品に対する関税を引き下げることを提案。中国は海外自動車メーカーに課している自動車合弁への出資制限の撤廃予定を早めるほか、自動車輸入関税を現行の15%から引き下げる意向も示しているとされる。

  ブルームバーグは1日、ホワイトハウスが早ければ3月半ばに米中首脳会談を開催することを検討していると報じた。中国では3月前半に全国人民代表大会(全人代)が開催されるほか、習近平国家主席が他に外国訪問を予定しているため、合意署名式典のための首脳会談の設定は容易ではないと事情に詳しい関係者は語った。

  WSJは米中首脳会談が3月27日前後に開催される可能性があると伝えた。

原題:U.S., China Said Near Deal That Could End Most U.S. Tariffs (1)(抜粋)

(米中交渉の新たな情報を追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-03/PNT5196S972901


 

 
中国の経済成長率、20年まで6%上回る−MNIが人民銀の劉委員引用
Bloomberg News
2019年3月4日 8:28 JST
景気は年央に安定化し、年後半に持ち直す−貨幣政策委の劉世錦委員
2020年より後のGDP成長率は5−6%に鈍化
中国人民銀行(中央銀行)貨幣政策委員会の劉世錦委員は中国の景気が年央に安定化し、年後半に持ち直すとの見方を示した。マーケット・ニュース・インターナショナル(MNI)が劉氏とのインタビューを基に報じた。

  2020年より後の国内総生産(GDP)成長率は5−6%に鈍化するだろうとMNIは報道。

  劉氏は金融政策について「常に穏健、中立であるべきだ」と指摘。緩めの通貨供給でも潜在成長率が変わることはないと述べた。

原題:China Growth to Be Over 6% Through 2020: MNI Cites PBOC Adviser(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-03/PNTBX06JIJUO01?srnd=cojp-v2


http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/354.html

[経世済民131] 日本株は続伸、米中通商期待と円安−輸出や素材など景気敏感高い ドル下落、トランプ発言で トルコ・リラ40%下落、最安値更
日本株は続伸、米中通商期待と円安−輸出や素材など景気敏感高い
長谷川敏郎
2019年3月4日 7:39 JST 更新日時 2019年3月4日 9:16 JST
米中通商交渉は最終段階で合意近い、対中関税撤回の公算大と関係者
ドル・円は1ドル=112円付近、米国株先物は上昇
4日の東京株式相場は続伸。米国と中国との通商交渉が進展するとの期待や米長期金利の上昇、為替相場の円安から業績懸念が後退している。電機など輸出関連、鉄鋼や非鉄金属といった海外景気敏感中心に幅広い業種が高い。

TOPIXは前営業日比13.61ポイント(0.8%)高の1629.33−午前9時3分現在
日経平均株価は206円10銭(1%)高の2万1808円79銭
  米中両国は通商合意に関して最終段階に入っており、米国が昨年から課している対中関税の全てか大半が撤回される可能性が高いと関係者が明らかにした。1日の米10年債利回りは2.75%と4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇、ドル・円相場は一時1ドル=112円台と円安に振れた。きょうの米S&P500種Eミニ先物は一時0.4%高。

  東海東京調査センターの平川昇二チーフグローバルストラテジストは「米中が合意して関税を引き下げるなら物が動き始め、設備投資や工場移転などサプライチェーンも動く。景気刺激策に近い」とし、「日本株にとっては円安も追い風となり、来期の企業業績は増益になる可能性がある」と述べた。

続伸で始まる
東証33業種では鉱業、電機、石油・石炭製品、精密機器、証券・商品先物取引、機械が上昇率上位
電気・ガスは安い
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-03/PNTAAF6TTDS601


 

ドル下落、トランプ大統領の発言で−相場「強過ぎ」とFRB議長批判
Benjamin Purvis、Anooja Debnath
2019年3月4日 7:31 JST
ドル高で米国は海外とビジネス行う能力損なわれつつある−大統領
米金融当局に関する発言は長期的にドルにマイナス−SEB
トランプ大統領
トランプ大統領 Photographer: Al Drago/Bloomberg
アジア時間4日早朝の外国為替市場ではドルが下落。トランプ米大統領がドル相場は強過ぎると指摘したほか、大統領による継続的な連邦準備制度への攻撃が長期的にドルを下押しするかもしれないとアナリストらが警告した。米中通商協議の合意が近い状況もドルの重しとなった。

  ドルはユーロと円の両方に対して下落。トランプ氏は2日、ドル高で米国は海外とビジネスを行う能力が損なわれつつあると言明。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長についても「利上げを好む」人物と批判し、米金融当局が進めているバランスシート縮小に関し「量的引き締め」と非難した。

  SEBのチーフエコノミスト、ロバート・ベリークビスト氏は、市場は「この種の発言には慣れており、ドルに影響があるとしても限定的で短期間にとどまるだろう」とする一方で、「米金融当局とその独立性を巡る疑問が懸念材料だ」と指摘。「現段階では、米金融当局がホワイトハウスにあまりにも耳を傾け過ぎているとの印象を与えかねない。これはドルに長期的にマイナスの影響をもたらすだろう」と分析した。

  ドルは一時、対円で0.2%安の1ドル=111円78銭、対ユーロでも一時0.3%安の1ユーロ=1.1382ドル。

  米中通商合意の一環として、米国が昨年から課している対中関税の全てか大半が撤回される可能性が高いと伝えられたことも、貿易に敏感な通貨がアジア時間早朝の取引で対ドルで上昇する要因となった。オーストラリア・ドルは一時0.5%高の1豪ドル=0.7117米ドル、ニュージーランド・ドルは一時0.4%高の1NZドル=0.6832米ドル。

原題:Dollar Slips After Trump Laments Currency Strength, Assails Fed(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-03/PNT5196S972901


 

トルコ・リラは9月末までに40%下落、対ドルで最安値更新へ−TD
Constantine Courcoulas
2019年3月4日 6:08 JST
トルコ中銀、利下げでなく利上げを強いられる可能性
現在のリラ相場は危機と危機の間の一時的な落ち着き−マッジョ氏
A 10 Turkish Lira banknote
A 10 Turkish Lira banknote Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg
TD証券は市場のコンセンサスに反し、トルコ・リラに再び危機が訪れると予想する。

  1日公表されたリポートによると、TD証券は9月末までにトルコ・リラがドルに対して40%下落し、1ドル=8.90リラの過去最安値に落ち込むとみている。同期間のリラの下落率が8%足らずにとどまるとし、やや楽観へと傾く市場コンセンサスとは対照的だ。

  同社の新興市場戦略責任者を務めるクリスチャン・マッジョ氏は当初、リラが1−3月に急落すると見込んでいた。今回のリポートでは、4−6月まで急落はないと予想を修正しつつ、なお急落が起こることを「状況的に確信」していると述べ、トルコ中央銀行は6月から7月の間に400ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げを強いられるとの見方を維持した。市場は逆に、年内に650bp前後の利下げを想定している。

  マッジョ氏は「1つの危機から次の危機へと向かうのがリラの典型的なパターンで、危機と危機の間は一時的に比較的落ち着く」と指摘し、「現在はその一時的な落ち着きにあるとわれわれは考えている」と語った。

原題:Turkey’s Lira Set to Sink 40 Percent by 3Q, TD Securities Says(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-03/PNP4FLSYF01U01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/355.html

[国際25] 英離脱日延期「多くの」EU加盟国は容認へ=スロベニア大統領 英首相、離脱派自治体に16億ポンド支援 離脱大幅延長あり得ず
ワールド2019年3月4日 / 10:04 / 41分前更新
英離脱日延期、「多くの」EU加盟国は容認へ=スロベニア大統領
Reuters Staff
1 分で読む

[ロンドン 2日 ロイター] - 英国を訪問中のスロベニアのパホル大統領は、同国を含め多くの欧州連合(EU)加盟国が英国による離脱期限の延期を受け入れるだろうと述べた。スカイニュースが2日報じた。

英国のメイ首相は2月26日、EUと合意した離脱案の修正が議会で否決された場合、「合意なき離脱」と「離脱延期」の双方について3月13─14日に議会で採決を行うことを提案。3月29日の離脱期限の延期を初めて選択肢に加えた。

この中でパホル大統領は、英国を除くEU加盟27カ国が合意する必要のある離脱日の数カ月延期について、受け入れるかと聞かれ「スロベニアと他の多くの国々は、イエスと言うと思う。無秩序の状態となるハードブレグジットを見たいと望む人はいない」と言明。「期限の延期は選択肢の1つだろう」と述べた。

EUのバルニエ首席交渉官は28日、英国の離脱日(3月29日)の延期は可能だが、納得できる理由が必要との認識を提示。記者団に「(延期について)尋ねられたら、欧州の指導者らは『何のためか』と答えるだろうし、想定し得る延長期間は『何のため』という問いに関係する」と述べた。[nL3N20N5R9]

パホル大統領は「現時点で、英国が何らかの妥協的な解決策に明確な見解を持っているのかどうかは不明だ」と話した。
https://jp.reuters.com/article/britain-eu-slovenia-idJPKCN1QL02A

 


ロイター2019年03月04日 09:47
メイ英首相、EU離脱派の地方自治体に16億ポンドの支援基金約束


[ロンドン 3日 ロイター] - メイ英首相は4日、イングランド北部などの欧州連合(EU)離脱を支持する地方自治体を対象に、地方経済の底上げを目的とする16億ポンド(21億1000万ドル)の基金を立ち上げる計画を発表する見通し。

英国のEU離脱期日は今月末に迫っており、英議会では12日までにEUとの修正合意案の採決が行われる見通し。「町を一層強くするファンド」と呼ばれる同基金は、国民投票でEU離脱賛成が多数だった地域が選出した野党・労働党の議員から修正合意案への支持を取り付ける狙いがあるとみられている。

英政府は、同基金は英国の繁栄を公平に分かち合うことができなかった地域を対象とし、雇用創出や人々の職業訓練、経済活性化に使われると説明。

メイ首相は声明で「全国のコミュニティーがブレグジット(EU離脱)に賛成票を投じ、変化を求める意思を示した。これは良い方向での変化であるべきで、機会が拡大し、管理が強化されるべきだ」と指摘。

「これらの町には輝かしい歴史と非常に大きな可能性があり、的確な支援があれば未来も輝かしいものとなる」とした。

労働党の「影の財務相」であるマクドネル議員は、新たな基金は「ブレグジットのための賄賂」だと批判した。

英政府によると、基金のうち10億ポンドは既に割り当てられており、イングランド北部の地方自治体が半分以上を受け取る。残る6億ポンドについては、全国の自治体から申請を受け付けるとした。

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緩和からの出口戦略、適切な時期に戦略や方針を示す=黒田日銀総裁
日米交渉、物品だけとは言っていない=茂木再生相
焦点:中国全人代で経済の懸念払しょく、指導部は対応策提示へ
トランプ米大統領、中国に農産品の関税撤廃求める
日米通商交渉、日本側が4月開催を打診=関係筋
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https://blogos.com/article/361672/


 


 

ワールド2019年3月4日 / 08:59 / 2時間前更新
議会選控えるEU、離脱大幅延長の提案あり得ない=英貿易相
Reuters Staff
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[ロンドン 3日 ロイター] - 英国のフォックス貿易相は3日、BBCテレビに対し、欧州連合(EU)が英国に、3月29日に設定されているEU離脱期日の大幅な延長を提案することはあり得ないとの見方を示した。欧州議会選を控えていることを理由に挙げた。

フォックス氏は、3月29日の離脱は依然として「完全に可能だ」と述べる一方、円滑な離脱のために交渉期限を延長する必要があるかもしれないとの認識を示した。

メイ英首相は、離脱を延長したとしても、6月末より先延ばしすべきではないと述べていた。

フォックス氏は、EUが21カ月、もしくは2年間の大幅な離脱延期を主張した場合、どう対応するかとの問いに対し、「あり得ない結果であり、衝撃を受けるだろう。EUは英国が欧州議会選に参加することを望んでいない」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/boj-kuroda-idJPKCN1QL03H
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/581.html

[経世済民131] 緩和からの出口戦略、適切な時期に戦略や方針を示す=黒田日銀総裁 強力な金融緩和の効果もあり日本経済はすでにデフレではない
ビジネス2019年3月4日 / 10:54 / 8分前更新
緩和からの出口戦略、適切な時期に戦略や方針を示す=黒田日銀総裁
Reuters Staff
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[東京 4日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は4日午前の参議院予算委員会で、金融緩和政策からの出口戦略について、適切な時期に戦略や方針を策定し、示す考えを明らかにした。ただ、現時点では物価安定目標達成まで距離があり、出口戦略を具体的に検討するには至っていない、とも述べた。桜井充委員(国民民主・新緑)の質問に答えた。

黒田総裁は、現行の金融緩和策からの出口の局面では、金利水準の調整や拡大したバランスシートの扱いが主な課題になると指摘。「超過準備に対する付利金利の引き上げや保有国債の償還で対応することが考えられるが、市場の安定確保のためにも、出口の進め方は、いずれかの時点で適切な戦略や方針を策定することが重要」と述べた。

現時点では、物価安定目標実現まで、相当時間を要する状況にあり「(出口の)具体的な検討には至っていない」としたうえで「適切な時期に出口に向けた戦略・方針について金融政策決定会合で議論し、適切に情報発信していきたい」と繰り返した。

日銀が1月に公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では、2020年度の消費者物価上昇率見通しが+1.5%となっていることを挙げ「見通し期間のなかで2%に達するのはやや難しいと思っている」と述べた。

ただ、「現時点で物価安定目標に向けたモメンタムは維持されている。現在の金融緩和政策を粘り強く続け、物価安定目標を達成したい」とした。

金融緩和策によっても物価が上昇しない理由を問われ、黒田総裁は「原油価格下落が一番効いた」としたほか、長期にわたる低成長やデフレの経験から賃金や物価が上がりにくい慣行が根強く残っている、企業の慎重な価格設定スタンスが明確に転換するに至っていないと指摘。さらには、企業の生産性向上余地が大きいことや技術進歩が物価が上がりにくい要因になっているとした。

ただ「これまでの強力な金融緩和の効果もあり、日本経済はすでにデフレではない状況になっている」とし「マクロ的な需給ギャッププラスの状況を続けることで、物価上昇を遅らせている要因は次第に解消していくし、予想物価上昇率も徐々に高まる。2%の物価安定目標に向けて消費者物価上昇率も徐々に高まっていくことが展望できる」との考えを示した。

清水律子

https://jp.reuters.com/article/alibaba-jobs-breakingviews-idJPKCN1QI3UD?il=0


黒田日銀総裁はなぜいま「世田谷の億ション」を買ったのか
自ら率先して「大人買い」?
週刊現代講談社
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〔PHOTO〕gettyimages
ローンなしで購入
マイナス金利の開始以来、金融機関による住宅ローンの金利引き下げ競争がヒートアップ。1%を下回る超低金利が続々と登場する中、あきらめていた夢のマイホームが視野に入り、モデルルームや住宅展示場に足を向ける人が急増している。

「当行では住宅ローン専用のコールセンターを設けていますが、ローン金利の引き下げを発表して以降、1月と比較して一日あたりで4倍ものお問い合わせを頂いております。現在は人員を増員して対応している状況です」(新生銀行広報担当)

現場からはそんな嬉しい悲鳴が続々と聞こえてくるほどである。

マイナス金利とは、ざっくり言えば、銀行にカネを預けていても金利はほとんどつかないから、預金を引き出してどんどんおカネを使えと庶民に発破をかける政策。その点、少なくとも不動産業界においては、日本銀行の黒田東彦総裁の「狙い通り」の効果が出ているというわけだ。

「実は、そんな黒田総裁自身も、最近マイホームを購入したんです」

日銀関係者が言う。

「それもなかなかの高級物件。知っている人の間では、黒田総裁が『男気』を見せたという話になっていますよ。というのも、マイナス金利にしたのだから庶民はカネを使えと日銀総裁が言うのは、すごく『上から目線』でしょう。

そこへきて、黒田総裁は自腹を切って、みずからマイホーム購入という大きな買い物をして見せた。自分が率先垂範することで、『みなさんもおカネを使いましょう』と言うのに説得力が出てくるというわけです」

世田谷区の人気住宅エリア。駅近なうえ、公園の緑豊かな環境が広がる好立地に建つ瀟洒な高級低層マンションが黒田総裁の新居である。

「2009年新築の比較的新しい物件で、販売当初は総戸数の半分以上が『億ション』として売られたブランドマンション。新築販売時はマンション市況が悪かったが、すぐに契約者が決まったほどの人気物件です。なにせ近くに元総理大臣宅がある超一流住宅街ですから」(大手デベロッパー幹部)

洗面台やキッチンカウンターは天然の御影石。住宅設備にハイグレードの機器が使用されるインテリアは、豪華そのものである。

「大通り沿いにありながらも奥まった作りになっていて、外の喧騒もまったく気にならない。内装も床暖房完備。戸数が少ない分、変な人が入居してマンション価値が下がるなんてことがないように、入居希望者には一定の信用が求められます」(マンション住民)

黒田総裁が購入した最上階の部屋は、中でも「別格」なのだとマンション関係者は言う。

「あの部屋は、奥にあって玄関の出入りが人目につかないようになっている。渡り廊下に面して玄関があるのではなく、渡り廊下から枝わかれするような形で専用ポーチがあり、さらに磨りガラスの扉で仕切られている。新築当初も一番高い価格帯で売られていた」

黒田総裁は今回、その部屋を中古で購入した。新築時には1億円を超えた部屋で、値段が落ちる物件ではないので、中古でも1億円近くの値がついてもおかしくはない。

当該の部屋の不動産登記簿謄本を見てみると、ローンの記載はない。つまり、黒田総裁は借金をせず、手持ちのカネだけでこの「億ション」を購入したことになる。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/48098
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/356.html

[経世済民131] 米中貿易戦争は中国経済低迷の主因ではない 人民元条項なしなら画竜点睛欠く 日経大幅続伸 ドル円高値 米国株は比較優位失う
世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

米中貿易戦争は中国経済低迷の主因ではない

2019/03/04

岡崎研究所

 トランプ大統領の貿易・通商政策が経済学のイロハでは推し量れないことが多いことは、エコノミストたちから指摘されてきたことである。


(S-S-S/iStock)
 1月28日付のニューヨーク・タイムズ紙には、アラン・ラップポート記者の記事で、『トランプ大統領は、最近の 中国経済の景気が悪いのは自分(トランプ)が仕掛けた対中貿易戦争によるも のであると認識している』、と書かれている。中国専門家の中にも、同様に、米中対立によって中国経済は減速している、と考える人がいる。このような見方に対して、米国経済政策研究センターのシニア・エコノミストであるディーン・ベーカー氏は、1月29日付の同センターのサイトで、反論している。彼が強調したのは、最近の中国の景気低迷の主因はトランプが仕掛けた貿易戦争にあるのではないという点である。その根拠として次の4 点を挙げている。

 第1は、中国の対米輸出が減っていない事実である。例えば、米国の対中国貿易収支赤字は 2018 年(10月まで)は前年同期比で 350 憶ドル増加している。 第2は、仮に減ったとしても中国の対米輸出は、対GDP 比率で高々4%弱であることである。第3に、付加価値連鎖を考えれば、対米輸出の増加は輸入となって漏れる割合が大きいから、GDPを低下させる効果は小さいことが挙げられている。例えば、中国の対米輸出の主な品目は「電話機(携帯電話等)」、「自動データ処理機械(PC 等)」、「TV、モニタ ー等」であり、これら製品はサプライチェーンによって外国から輸入した集積回路などの基幹部品を基に 中国で組み立てた完成品である。ちなみに、iPhone の部品サプライヤー200 社の中で中国企業はわずか36社であり、ほとんどは米国企業、台湾企業、日本企業となっているとの報道もある。 そして、第4に、米国からみると対中国輸入が減少した場合には、対第三国からの輸入が増えるという貿易転換効果が働く結果、中国から第三国への輸出は増加するという面もあること等である。常日頃のマスコミ報道をみても、中国経済低迷の主因は米中貿易戦争にあるというのが主流になっているようであるが、こうした報道に違和感を抱いていた者にとって、今回のベーカーの主張は納得の行くものである。

 それでは、中国経済低迷の主因は何か。ここでは3つだけ指摘しておこう。第1に、現在の中国経済は過大債務、過大資本ストックによって資本の収益率は極めて低くなっている。あるいはマイナスになっている。第2に、それ故に設備投資の大きな下方屈折は避けらない。既に、そのことは、日本との貿易にも表れている。第3に、こうした設備投資の下方屈折を最小限にするためには、消費の持続的な上昇、すなわち家計の貯蓄率の低下が必須条件であるが、それが実現していない。要するに、(a)投資から消費へのバトンタッチがスムーズに行われていないこと、(b)このバトンタッチには時間がかかること、(c)そしてその間は中国経済の走行速度は減速するということである。事実、乗用車、工作機械、スマホ、工業用ロボットなど主要工業品の昨年第4四半期の出荷は前年比で約2割前後低下している。さらに言うと、国有企業優先路線への回帰や資本集約産業の保護に繋がる「一帯一路」戦略も最近の中国経済の低迷の根底にあると見る向きもある。

 ところで、関税の影響に関してのトランプ大統領のもう一つの誤解は、米国の追加関税を負担しているのは中国などの外国であるという認識である。なるほど米国の最近の関税収入は急増している。例えば、2018年11月の関税収入は前年同月比で 2倍増の63億ドルである。ただ、これを負担しているのは中国人ではなく、米国人である。例えば、米国が輸入鉄鋼にかかる関税を引き上げた場合についてみておこう。教科書的にいえば次のとおりである。まず、(a)輸入鉄鋼の関税引き上げによって、この鉄鋼を生産する鉄鋼部門は得をする(生産者余剰の増大)。(b)次に鉄鋼を使用している自動車等の産業は必ず損をする(使用者余剰の減少)。(c)ここで重要なことは使用者余剰の減少分は生産者余剰の増加分より必ず大きくなることである。より厳密に言うと、政府の関税収入は増加するが、このプラス分を加えても、国の全体の余剰は必ず減少するのである。

 以上の点は経済学の教科書に登場する架空の話ではない。ここではトランプ政権によって昨年3月に発動された鉄鋼への25%の関税による影響を計算したピーターソン国際経済研究所(PIIE)の分析結果をみておこう。昨年12月20日付の同報告によると、(a)まず国内の鉄鋼価格は追加関税によってこの10月までに9%上昇した。(b)その結果、鉄鋼産業の2018年の利潤は 24億ドル増加し、雇用は8700人増加すると見込まれる。すなわち、新規雇用者一人当たりの企業利潤増加額は27万ドルとなる。(c)一方、自動車などの鉄鋼使用産業のコストは56億ドル増加する。すなわち、鉄鋼業の一人当たり新規雇用者のために鉄鋼使用産業は65万ドルの追加負担をしていることになる。しばしば言われていることではあるが、川上産業での輸入関税は川下産業のコストアップを通じて、国全体としては便益よりも大きなコストをもたらす。その典型例が今回の鉄鋼への関税である。また、昨年11月に発表されたGM社のリストラ計画や建設機械大手企業の決算が振わないのは、今回の鉄鋼の追加関税措置と無縁ではあるまい。

 いずれにしても、以上述べたような関税を巡る「誤解」に基づいて貿易相手目の輸入政策と産業政策の大きな転換を迫るトランプ政権のディールはどのような「勝利」を得られるのか、いましばらく注目したい。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15487


 
コラム2019年3月4日 / 14:50 / 2時間前更新

米中協議、人民元巡る条項なしなら「画竜点睛を欠く」
Christopher Beddor
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[香港 1日 ロイター BREAKINGVIEWS] - そろそろ人民元に関する取り決めを導入すべきときだ。米国は、中国政府による過去の為替操作で損害を被っており、今後結ぶ通商合意に通貨政策を盛り込むことは名案だろう。

世界第2位の中国経済は、押し下げられた人民元相場から受ける恩恵が以前より減ったとはいえ、再び元安誘導に乗り出す可能性も考えられなくはない。

ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は、米交渉団は、中国による通貨切り下げを防止しようと取り組んでいると述べた。

一部の人にとって、これは馬が逃げた後になって厩舎のドアを閉じるよう中国政府に要請するようなものに感じられた。中国人民銀行(中央銀行)は最近では、本格的な元安誘導は行っていない。米連邦準備理事会による利上げを受けて資本が国外に流出しないよう、時には元高誘導を行ったほどだ。

しかし2014年ごろまでは、中国政府は人民元相場を押し下げる操作を大規模に行っていた。相場を低く抑えて輸出を促進するため、営業日ごとに10─20億ドル分もの外貨を買い入れていた。

これにより、2007年の経常黒字は国内総生産(GDP)の10%という驚くべき数字に達し、外貨準備高も4兆ドル(約448兆円)に達した。

中国がけん引した世界規模の為替操作により、2007年に金融危機が起きて以降、100万を超える雇用が米国で失われたと、ピーターソン国際経済研究所のフレッド・バーグステン氏とジョセフ・ガニオン氏は推計している。

中国が近く過去の悪しきやり方を復活させる気配はない。だが、それでも輸出はGDPの約5分の1を占めており、為替を巡る合意がない状態では、中国側を自制させるものはあまりない。

確かに、通貨操作は対処が難しい問題だ。

スイスも、ユーロ圏諸国から流れ込む資金の急増に対処するため、世界でも大胆な部類に入る操作をしていた時期があった。また、為替介入が輸出促進を目論んだものであったとしても、貧しい国、または資源輸出から来る通貨上昇圧力をかわす必要があるノルウェーのような産油国は、見逃されることが多い。

外交的な配慮も足かせになる。米政権は、中国が通貨操作を行っていることが確実だった時でも、「為替操作国」の認定は見送った。

安い元は高い元と同じぐらい危険だという経済の文脈であれば、中国側交渉団は譲歩の意思を見せるかもしれない。通貨の問題を含まない米中合意は、欠陥品だろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

ビジネス2019年3月4日 / 15:30 / 1時間前更新
日経平均は大幅続伸、米中通商合意への期待 円安・上海株高も追い風
Reuters Staff
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[東京 4日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は大幅に続伸。終値で昨年12月13日以来となる2万1800円台を回復した。米紙の報道で、米中が3月中にも通商合意を結ぶ可能性があると伝わり、朝方から買いが先行。ドル/円が2カ月超ぶりの円安水準で推移したことや、上海株が一時3%超の上昇となったことも日本株の追い風となった。

市場からは、日本株のウエートを落とし過ぎた海外勢の買いや先物の買い戻しなどが入っているとの声が出ていた。

心理的節目の2万2000円に近づけば利益確定や戻り待ちの売りが出る可能性もある。「米中貿易摩擦の妥協成立への期待は維持されているが、このニュースは何度も出ている。知的財産の問題に踏み込んで工程表が見えてくるまで気が抜けない」(SBI証券の投資調査部長、鈴木英之氏)との指摘もあった。

TOPIXは続伸。業種別では、石油・石炭、精密機器、機械、電気機器などが値上がり率上位に入った。米ウォール・ストリート・ジャーナルが3日、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が3月27日ごろに首脳会談を開き、正式に通商合意を結ぶ可能性があると報じた。[nL3N20R032]中国関連や半導体関連などの景気敏感株に買いが入った。

半面、電気・ガス、輸送用機器、空運などが軟調。今後の日米交渉の本格化を控え、自動車株などが売られ相場の重しとなった。

個別銘柄では、内田洋行(8057.T)が大幅高。1日発表した2019年1月中間期決算(2018年8月―19年1月)で、連結純利益が前年同期比2.3倍の3億7800万円と順調だったことを好感した。ソフトウエアライセンス販売が好調のほか、働き方改革を背景に会議室運用管理システムなどの導入が進んだことも寄与した。

半面、スズキ(7269.T)は反落。同社のインド子会社マルチ・スズキ(MRTI.NS)が1日発表した2月の総販売台数が前年同月比0.8%減になったことが嫌気されている。加えてインドとパキスタンの緊張の高まりによるインド販売の減速懸念も出たもよう。

東証1部の騰落数は、値上がり1481銘柄に対し、値下がりが579銘柄、変わらずが72銘柄だった。

日経平均.N225

終値      21822.04 +219.35

寄り付き    21812.81

安値/高値   21740.92─21860.39

TOPIX.TOPX

終値       1627.59 +11.87

寄り付き     1629.43

安値/高値    1622.38─1629.88

東証出来高(万株) 112781

東証売買代金(億円) 21536.58


ビジネス2019年3月4日 / 15:30 / 1時間前更新
ドル111円後半、2カ月半ぶり高値圏で堅調
Reuters Staff
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[東京 4日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前週末ニューヨーク市場の午後5時時点から小幅高の111円後半。海外でつけた2カ月半ぶり高値には届かなかったが、アジア株高を背景に底堅い動きが続いた。

週明けのドルは、NY市場終盤の水準から10銭ほど円高に振れた111.80円付近でアジア市場の取引が始まった。トランプ米大統領が2日、遊説先で「私は強いドルを望むが、わが国にとって素晴らしい強いドルを望むのであって、非常に強いために他国との取引ができなくなるような強いドルは望んでいない」と述べたことが手がかり。

発言は市場でドル高けん制と受け止められ、ドルは対円以外の通貨に対しても気配値を切り下げて、週明けの取引が本格化した。ユーロも午前の取引で1.1390ドルと、前週末の水準から20ポイントほど上昇した。

一方、アジア株高を背景に円は全般に軟調。対ドルで買いが強まった豪ドルは、79円前半から半ばへじり高となった。

ドルと円がともに売られたことで、ドル/円は売買が交錯する形でもみあいとなった。112円付近では、あすにかけてまとまったオプションが権利行使期限を迎えるため「関連売買で値が振れづらい」(アナリスト)ことも、値動きを抑制した。

ドルは前週末海外市場で112.08円まで上昇。昨年12月20日以来2カ月半ぶり高値をつけた。

ドル/円JPY=  ユーロ/ドルEUR=  ユーロ/円EURJPY=

午後3時現在 111.95/97 1.1360/64 127.20/24

午前9時現在 111.93/95 1.1373/77 127.31/35

NY午後5時 111.90/93 1.1374/79 127.19/23

為替マーケットチーム


アングル:米国株は比較優位失うか、逆転促す「4つの要素」
Lewis Krauskopf
2 分で読む

[ニューヨーク 1日 ロイター] - 今年初め以降、世界の主要株式市場を比較すると米国株の値動きが他のほとんどの地域をアウトパフォームしている。ただその差は小さく、優劣の逆転をもたらす可能性がある要素も存在する。

具体的に挙げられてるのは、1)米企業の増益率鈍化、2)ドル安、3)中国と欧州の景気改善、4)世界的な貿易摩擦の解消、だ。

S&P総合500種は年初来で11%上昇し、10年前の米国株の強気相場開始以来の比較優位期間がさらに長くなっている。マニュライフ・アセット・マネジメントの資産配分責任者ネーサン・ズーフト氏は「ほとんどの場合、米国株がそれ以外の株をアウトパフォームしているというのはかなり一貫性のあるトレンドだ」と話す。それでも同氏は、このトレンドの永続は不可能だという現実があると釘を刺した。

例えば企業収益を見ると、FTSEラッセルのグローバル市場調査部門が計算した米企業の増益率は2018年が24.4%で、今年の予想は5.3%。これに対して英国を除く欧州の企業の増益率は今年9.1%、新興国企業は13.9%と予想されている。

またリフィニティブのデータでは、S&P総合500種構成銘柄の12カ月予想利益に基づく株価収益率(PER)が16.4倍、欧州のSTOXX指数銘柄の同PERは13.4倍、MSCI新興国市場指数銘柄は11.5倍で、米国の方が割高だ。その上、S&Pとこれら2指数のバリュエーション・ギャップは、過去最大となりつつある。

USAAアセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ランス・ハンフリー氏は「市場参加者は米国株の購入に際して非常に高いプレミアムを喜んで支払っているが、われわれの考えでは、米国のファンダメンタルズは必ずしもこれほどのプレミアムを正当化していない」と指摘した。

逆に言えば特に新興国株は割安さが魅力の1つとなっており、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAML)の2月機関投資家調査では新興国投資が「最も集中した取引」だった。

ドルの値動きも重要だ。今のところ米連邦準備理事会(FRB)がハト派化している割にドルは底堅く推移しているとはいえ、ドルが弱含めば、ドル建て借り入れが大半の新興国を含めた米国以外の株式が値上がりしてもおかしくない。

また投資家は、米中貿易摩擦はいずれ解決すると楽観視している。TIAAバンクの世界市場担当プレジデント、クリス・ガフニー氏は「米中両国が好ましい合意に達した場合、実際に新興国市場に追い風を吹かせ、好影響の度合いは米国よりも新興国の方が大きい。大半の新興国は中国が最大の貿易相手で、全ての新興国市場は何らかの形で中国に依拠している」と述べた。

貿易摩擦解消の期待は、上海総合指数が年初来で22%上昇し、米国株や他の主要株をアウトパフォームしていることにも見て取れる。

欧州のSTOXX指数の年初来上昇率は10%にとどまっている。ユーロ圏の今年の成長率は1.3%と米国の半分程度の見込みで、英国をはじめとする政治的な不透明感もあるため、株価が圧迫されている格好だ。それでもモルガン・スタンレー・ウェルス・マネジメントのリサ・シャレット最高投資責任者は最近のリポートで、ユーロ圏は「緩やかな成長見通しが達成可能に見える」ことから、欧州株の値動きは米国株を上回るはずだとみている。

米国株がアウトパフォームしている理由の1つには、指標におけるハイテク株の比重の大きさもある。MSCIの米国株指数でハイテク株のウエートは25%近くだが、金融株は15%しかない。対照的にMSCIの欧州連合(EU)株指数は金融株のウエートが19%で、ハイテクは6%だ。

足元までは確かにハイテク株や他の高成長株が人気を博してきた。しかし一部の投資家は、この先は金融やその他バリュー株に資金がシフトし、それが欧州株にとって相対的に有利に働く可能性があると予想している。
https://jp.reuters.com/article/china-yuan-breakingviews-idJPKCN1QL0EB
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/360.html

[国際25] ロシア外相、ベネズエラ情勢巡り米と協議の用意 政治腐敗で水も飲めなくなった 米ロが冷戦突入か 国会議長、逮捕リスク
ワールド2019年3月4日 / 15:09 / 1時間前更新
ロシア外相、ベネズエラ情勢巡り米と協議の用意
Reuters Staff
1 分で読む

[モスクワ 3日 ロイター] - ロシアのラブロフ外相は2日に実施したポンペオ米国務長官との電話会談で、ベネズエラ情勢を巡り米ロ間の協議を行う用意があると表明した。ロシアの外務省がウェブサイトに掲載した声明で明らかにした。

声明によると、ベネズエラ情勢は電話会談の主要議題となった。「米側がベネズエラ問題で2国間協議を行うことを提案したのに関し、ロシアは参加の用意があると表明した」という。

声明は「ベネズエラ国民のみが国の将来を決める権利を持っているため、国連憲章の原則に厳密に従うことが重要」としている。

米国はベネズエラの野党指導者であるグアイド国会議長を暫定大統領として承認する動きを主導しており、マドゥロ政権を支持するロシアと対立している。

ロシア外務省によると、ラブロフ外相は電話会談で、「ベネズエラの合法な指導部」に脅しをかける米国の行動を非難した。電話会談は米側の提案で行われた。
https://jp.reuters.com/article/lavrov-venezuela-idJPKCN1QL0FD


 


田中龍作2019年03月02日 21:05【ベネズエラ・カラカス発】
繁栄からの転落 政治腐敗で水も飲めなくなった



山から染み出てくる水をボトルに詰める市民。ゴミ漁りと同じく当たり前の光景となっている。=カラカス郊外 撮影:田中龍作=

 路肩にできた車列を見た時、故障か交通事故かと思ったが、そうではなかった。山肌から染み出てくる水を、人々が持参したボトルやタンクに詰めていたのだ。水はチョロチョロとしか流れて来ない。それでも皆、根気強くよく待っていた。

 財政破綻した政府が水道設備のメンテをできないため、多くの世帯は水が出ない。公立病院に至っては手術ができない。事態は深刻だ。

 街に出て必ず目にするのは、ゴミ漁りの光景だ。マドゥロ支持者が多く住むダウンタウンで最もよく見かける。老いも若きも、男も女もゴミ袋、ゴミ箱の中から食べ物を探す。

 1990年代、「サウジ・ベネズエラ」と異名をとり、南米一の豊かさを誇っていたこの国が、どうしてここまで貧しくなったのか―

 理由は汚職の蔓延と政治の私物化だ。

 汚職は社会の隅々にまで行き渡る。例えば、政府が輸入した自動車(例:中国製)を買うには、政治家と役人の両方にワイロを渡さなければならない。

 ワイロをもらった木っ端役人は上司に何割かを上納する。上司はさらにその上司に何割かを上納する。

 公立病院が予算を計上、要望したとする。国家財政からは全額に近い金が下りるのだが、保健相が2割を中抜きする。

 政治の私物化は、国家の最大基幹産業である石油を食い物にした。

 2004年にチャベス前大統領が国営石油企業の社長と石油相を兼務にし、政府が完全掌握することになった。

 国営石油会社は国民へのばらまきと政治目的のための大きな財布ともなったのである。


国営石油会社の生産能力が落ちたため、世界一の産油国でありながらガソリンを輸入する国に転落した。=カラカス市内 撮影:田中龍作=

 そのうえ先進的な技術のある欧米メジャーを追い出し、第三世界とのビジネスを活発化させた。イデオロギー上の対抗意識がそうさせたのだ。

 2014年、チャベス前大統領の時代から私物化のため弱っていた国営石油会社を世界的原油安が襲う。

 ベネズエラにとって唯一といってよい外貨獲得の手段だった石油収入は大きく落ち込んだ。

 石油に頼り切っていた国家財政には致命的な痛手となった。マドゥロ大統領は財政難を切り抜けるために紙幣を大増刷(高額紙幣を印刷)した。ハイパーインフレの始まりである。

 2017年、マドゥロ大統領は自らの力の源泉である軍の幹部を国営石油会社(PDVSA)の社長に据えた。社長はじめ要職を軍幹部で占めることになった。

 石油の知識もビジネスの経験もない軍の将校たちが石油会社を運営できるはずがない。当然のごとく石油の生産量はさらにガタ減りしていった。

 かくしてベネズエラは世界一の産油国でありながら、ガソリンを満足に生産できず、海外に依存する国に落ちぶれた。依存割合は40%とも50%とも云われる。

 汚職も政治の私物化も、アメリカの経済制裁とは一ミリも関係ない。あるのは政治家や役人のカネへの執着だけだ。

 実際、まっとうに汗を流すビジネスマンに聞くと皆が異口同音に「インフレはアメリカの経済制裁とは関係ない」と語る。

 失政を口実に米国がマドゥロ大統領を追い出し、グアイド国会議長を新大統領にインストールしたとしても、この国に根付いた腐敗政治が一掃されない限り、人々の暮らしは良くならない。


マドゥロ政権が増刷した高額紙幣はハイパーインフレで紙屑と化した。

  〜終わり〜

  ◇
政治の私物化が国家の破綻を招くことはベネズエラが証明しています。

政治の私物化と繁栄からの転落は日本と同じです。田中は警鐘を鳴らすため南米まで足を延ばしました。破産も覚悟の借金です。ご支援何とぞ宜しくお願い申し上げます…

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ジャーナリスト。鉢呂環境大臣の辞任会見での"一喝"が有名。
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野口雅昭2019年03月01日 11:31ベネズエラ問題に関する安保理でのやり取り


al arabiya net は、ロシアと中国が安保理で28日、米国の決議案に拒否権を行使し、これに反対のロシアの決議案は採択に必要な9票も獲得できなかったと報じています。

この話はベネズエラの問題で、ここでの主題の中東問題とは関連がありませんが、最近お国際情勢が米国のINF協定離脱とか冷戦の再来などと評されていて、冷戦時代は中東が米ソの主たる角逐の場の一つでしたので、悪夢の再来か?と言うことで、ベネズエラ問題の本質はともかく、28日の安保理の動きだけ次の通り。

中東でも勿論、米ソではなく、米ロの角逐があるようですが、現在のところトランプの戦略がシリア等からの撤退作戦と言う後ろ向きなもので、トランプ流の一国主義、大統領の一人芝居的外交で、米の中東に対する影響が低下しているように見えるのに対し、プーチンの政策は、冷戦時代の中東での米国の最大の同盟国のトルコやイスラエルまで取り込みつつある屋で、着実に点数を稼いで知る感じがします
従って、中東の問題に関心の集中している方は、以下は読み飛ばしてください。

・28日の安保理で、ロシア、中国が並んで米決議案に拒否権を行使したが、2国がそろっての拒否権行使は珍しい

・その他では南アフリカが反対票を投じ、赤道ギニア、象牙海岸、インドネシアが棄権し、9国(欧州、ラ米等)が賛成した

・他方、これに対抗するロシア決議案は9票も獲得できなかった(安保理の実質事項に関する決議案は、メンバー国15のうち、総ての常任理事国…米ロ英仏中国…を含む9国の賛成で成立する)

賛成したのはロシアと中国の他、南アフリカ、赤道ギニアだけの4国であった

https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/2019/03/01/فيتو-مزدوج-نادر-ضد-مشروع-قرار-أميركي-حول-فنزويلا.html

取り合えず以上ですが、米国は自らの決議案が成立に必要な9票をとったが、中ロの拒否権で成立しなかった反面、ロシアの決議案は中ロを除くと2票しか獲得しなかったということで、国際世論は我にあり!と言うことでいよいよ軍事介入に踏み切るのでしょうか?(などと書いていると、どことなく冷戦時代を思い出しますが、なんだか物騒な世の中になってきました。勿論昨日書いた核保有国インドとパキスタンのの対立、北朝鮮の核問題等、どうやら今年の国際情勢は剣呑な状況が続きそうです)

https://blogos.com/article/361207/


グアイド国会議長が4日にベネズエラ帰国、逮捕されるリスクも
Daniel Cancel
2019年3月4日 14:19 JST
出国禁止命令を無視して外遊−マドゥロ政権は逮捕の方針示してきた
安全な帰国を妨げる脅しや行動は重大な対応を招く−ボルトン氏
ベネズエラのグアイド国会議長は4日に帰国して首都カラカスでのデモ行進に参加すると表明した。出国禁止命令を無視して国外に出たため、帰国時に逮捕されるリスクもある。

  グアイド議長は3日、ソーシャルメディア上に掲載されたスピーチで、「われわれは明日、国に帰る。帰国はリスクを伴う。レオポルド・ロペス氏ら多くの政治家や労組指導者が監禁されているが、政府が私を拘束した場合、取るべき措置ははっきりしている」と語った。

  グアイド氏(35)はどのようにベネズエラに入国するか詳細は明らかにしなかった。マドゥロ政権は出国禁止命令に違反して2月に出国した同氏を逮捕する方針を示してきたが、実際に逮捕するかどうかは不透明だ。

ECUADOR-VENEZUELA-CRISIS-GUAIDO
エクアドル大統領と会談後に支持者にあいさつするベネズエラのグアイド国会議長写真家:Rodrigo Buendia / AFP via Getty Images
  ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は3日、「グアイド氏の安全な帰国を妨げる脅しや行動は、米国と国際社会による強力かつ重大な対応を招くことになる」とツイッターに投稿した。

原題:Guaido Says He’s Returning to Venezuela on Monday (2)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-04/PNTT1Z6TTDS001?srnd=cojp-v2



http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/585.html

[国際25] 北朝鮮の期待を打ち砕いたトランプ大統領を待つ地獄 「さらば金正恩、ようこそロシアゲート」、モラー特別検察官が最終報告書
北朝鮮の期待を打ち砕いたトランプ大統領を待つ地獄
「さらば金正恩、ようこそロシアゲート」、モラー特別検察官が最終報告書
2019.3.4(月) 高濱 賛
ロバート・モラー特別検察官
トランプ流の「取引(ディール)は崩壊した」
 会談の成功に自信満々だったドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長。

 しかし、結果は大山鳴動して鼠一匹どころか何も出てこなかった。

 金正恩委員長は、完全で無条件の非核化を実現する代わりに経済制裁の完全解除を要求したが、トランプ大統領はこれを拒否、「席を立った」(Walk away)。

 米メディアは「米朝首脳会談での取引は成立せず、交渉は崩壊した」と言い切った。

 日韓メディアが一様に「首脳会談は『物別れ』とか、『合意に至らず』」とマイルドな表現を使っているのとは対照的だ。

 今後どうなるのか。米メディアは厳しい見方をしている。

 ニューヨーク・タイムズは「北朝鮮は核開発をエスカレートさせることでトランプに圧力をかけることになるだろう」と予測している。

https://www.nytimes.com/2019/02/28/world/asia/trump-kim-vietnam-summit.html?emc=edit_NN_p_20190301&nl=morning-briefing&nlid=69368345tion%3DtopNews§ion=topNews&te=1)

 ロシアゲート疑惑を払いのけるために打ったトランプ大統領の「博打」も金正恩朝鮮労働党委員長に足元を見られたようだ。

 ところが見透かしたはずの金正恩委員長はちょっと図に乗りすぎた。トランプ大統領は値踏みすらしなかった。そして「席を立った」。

 もっとも米国内には米朝首脳会談の決裂を「評価」する声が少なくない。

 トランプ支持の保守派も民主党リベラル派も異口同音に「下手な譲歩をするよりも何も合意しない方が賢明だった」と言っている。

 保守派は、1986年10月のロナルド・レーガン第40代大統領がソ連のミハイル・ゴルバチョフ書記長とのレイキャビック会談で法外なソ連側の要求を蹴って、「席を立った」例を挙げて「よくやった」と評価している。

(レーガン大統領はその後、米国にとって有利な取引を引き出している)

拡大協議に米側16人、北朝鮮側5人が同席
 首脳会談から一夜明けた3月1日、米国務省高官は同行記者団に首脳会談の全容を明かした。

 それによると、金正恩委員長は、過去8か月にわたる米朝事務レベル、閣僚級レベルで協議してきた主要テーマに対する北朝鮮側の「最後通告」を突きつけてきた。

 米国務省高官によると、拡大首脳会談には米側からは国務省、国防総省、ホワイトハウスの国際法、核開発、ミサイル開発、経済制裁、エコノミストなど16人の専門家が参加。

 北朝鮮からは外務省、最高政策指導機関の国務委員会、朝鮮労働党の朝鮮アジア太平洋委員会から約5人が参加したという。

 金正恩委員長は、寧辺の核兵器施設廃棄を条件に北朝鮮に対する米制裁措置の全面解除をトランプ大統領に迫った。

北朝鮮保有の核兵器、21個に増加の可能性 米シンクタンク
米画像衛星運営会社ジオアイが提供した北朝鮮・寧辺(ニョンビョン)の核施設の衛星画像(2012年8月6日撮影、同22日提供、資料写真)。(c)AFP/HO/GeoEye Satellite Image〔AFPBB News〕

 これに対してトランプ大統領は、米情報機関が掴んでいる寧辺の核兵器施設とは別個に北朝鮮が密かにウラン濃縮を行っている施設の存在を暴露。

 「北朝鮮側は驚いたはずだ。我々は北朝鮮のことはすべて調べ上げている」(トランプ大統領)という脅しだったようだ。

 詳細を説明した米国務省高官*1はトランプ大統領が全く準備をせぬままに首脳会談に臨んでいたのではないことを強調したかったのだろう。

*1=この国務省高官とはスティーブン・ベーガン北朝鮮担当特別代表とみられる。同高官のブリーフィングのトランスクリプトは次の通りだ。

https://www.state.gov/r/pa/prs/ps/2019/02/289798.htm

 トランプ大統領が「席を立った」ことは金正恩委員長にとっては誤算に違いない。

 手ぶらで帰国するのはトランプ大統領だけではない。金委員長も同じことだ。何とか経済制裁の解除を期待していたのに米側からは何の約束も取りつけられなかった。

 北朝鮮の事情に詳しい米シンクタンクの研究員はこうコメントしている。

 「北朝鮮の国営テレビが会談直後に『米朝友好強化』とか『米朝交渉の継続』ばかりを強調したのも、手ぶらで帰ってくる金委員長に対する国内批判をかわそうとする金正恩政権のあがきのようにも見える」

米国民は「コーエン証言」に高い関心
 米朝首脳会談が開かれていた同日、ワシントンでは、「コーエン爆弾」が炸裂した。

 トランプ氏の私的顧問弁護士だったマイケル・コーエン氏は下院査察・政府改革委員会公聴会でトランプ氏の犯罪容疑を追及するうえで新たな人的・物的証拠を差し出した。

 コーエン氏はすでに有罪判決を受けて服役が決まっている。これまで集めた財産はすべて没収された。怖いものはない。

 コーエン証言について、米国民の37%が「信用できる」、25%が「信用できない」、25%が「分からない」と答えている。

 民主党支持者では58%、共和党支持者では15%、無党派層では35%が「信用できる」と答えている。

https://thehill.com/hilltv/what-americas-thinking/432187-americans-havent-decided-whether-to-believe-michael-cohen-poll

 コーエン氏は、ロバート・モラー特別検察官のロシアゲート疑惑調査最終報告の「露払い役」になったと言えるだろう。

 「コーエン・ショック」が冷めやらぬなか、最終報告がいよいよ今週中にも出る。

 同報告書は手続き的には上司であるロバート・バー司法長官に提出される。その内容をどこまで公開するかはバー司法長官が決定する。

 バー長官は、解任されたジェフ・セッションズ司法長官の後釜として2月14日に就任したばかり。

 人事承認公聴会ではモラー報告の透明性を最大限尊重すると誓約したが、議会内には懐疑的な見方が広がっている。

 このため、民主党が牛耳る下院の六つの委員会(監視・政府改革委員会、司法委員会、財政委員会、情報特別委員会など)委員長は「全面公開」を司法長官に求めている。

 トランプ大統領と議会民主党との最初の戦場はモラー報告公開を巡る攻防になることは間違いなさそうだ。そして内容が明かされる中で民主党は各委員会の場で大統領をじわじわと攻め立てることになる。

民主党は別件・選挙違反で攻める構え
 7時間にわたるコーエン氏と下院監視・政府改革委員会メンバーとの質疑応答は全米テレビ・ラジオで実況中継された。

 米国の一般大衆は、米朝首脳会談などそっちのけで、テレビ中継に釘づけになった。

 トランプ大統領もハノイ滞在中、コーエン氏の証言内容を逐一チェックしていたという。

 コーエン氏は、トランプ氏が大統領に就任する直前まで10年間顧問弁護士を務めていた。しかし、大統領としてのトランプ氏に仕えたことはない。

 同氏がトランプ氏が不倫関係にあったポルノ女優に口止め料を支払ったことはすでに報道されている。

 この口止め料が大統領の犯罪を立証するために重要なのは、大統領選の選挙資金から支払われた可能性があるからだ。

 この事案はロシアゲート疑惑とは直接関係はない。だがトランプ氏の外堀を埋めるには格好の案件になる。

 コーエン氏は下院の証言で、口止め料13万ドル(月3万5000ドル分割払い)は大統領の指示で行われたと証言。支払いを立て替えた同氏に大統領から送られてきた小切手の写しが公聴会に設置されたスクリーンに映し出された。

 さらにダメを押すように、トランプ氏が関与したという口止め料の一件を熟知している人物として同氏は当時選挙対策本部の最高財務責任者(CFO)でトランプ・グループの管財人だったアレン・ワイゼルバーグ氏*2(選挙法違反、銀行詐欺、税金詐欺などで訴追され、有罪判決を受けている)ら3人の名前を明かした。

*2=ワイゼルバーグ氏は不動産、ゴルフ場経営、カジノなどを経営するトランプ・グループの管財人2人のうちの1人。もう1人はトランプ氏の長男ドナルド・ジュニア。トランプ氏のカネを扱う総元締め。

 下院民主党は早くも同氏の召喚を準備、コーエン氏の次はワイゼルバーグ氏が証人として脚光を浴びることは必至の情勢になってきた。

「米史上に残る証言だった」
 コーエン氏を議会に引っ張り出したのは、下院監視・政府改革委員会のエリジャ・カミングス委員長(民主党・ニューヨーク州選出)。同委員長はテレビカメラを前にこう宣言した。

 「200年後、後世の史家はこの日を米史上に残る日として取り上げるだろう」

 のちに大統領になる人間の顧問弁護士を10年間務めた側近がカネに関する疑惑を米国民の前にすべてさらけ出した日。

 かつてウォーターゲイト疑惑で議会の追及を受けたリチャード・ニクソン第37代大統領ですら、これほどの「レイシスト」(人種主義者)だとか「いかさま師」などと個人攻撃を元側近から受けたことはなかった。

 カミングス委員長はニューヨークの貧しい黒人街に生まれ、人種差別と貧困を乗り越えて法律家になった下院の重鎮。

 証言に立ったコーエン氏はホロコーストの生き残りで「自由と正義の国・米国」にたどり着いたユダヤ移民の息子。こちらも苦学して法律家になった男だ。

 そうしたもろもろの状況そのものを「米史上に残る日」と表現したのだろう。

捜査費用はクリントン不倫捜査の3分の1
 注目のモラー特別検察官の最終報告には何が書いてあるのか。

 唯一最大のテーマは2016年米大統領に際に「トランプ氏とロシアとの間に共謀」があったかなかったかのか。

 2017年5月に始まった捜査で費やした費用は2500万ドル*3。捜査には司法省の精鋭12人が当たってきた。

https://www.nytimes.com/interactive/2018/11/30/us/mueller-investigation-team-prosecutors.html

*3=この額は2017年5月から18年8月までの16か月分。なお大統領選当時、選挙対策本部長だったマナフォート氏との罪状減刑の司法取引が成立、同氏から4600万ドルが司法省にすでに入ってきている。

 ちなみにクリントン大統領の不倫疑惑を6か月捜査したケン・スター特別検察官は7930万ドル使っている。

 モラー特別検察官はこれまでにマイケル・フリン元安全保障担当補佐官、ポール・マナフォート元選挙対策委員長、マナフォート氏の代理人のリック・ゲーツ氏、ジョージ・パパドプイロス元外交顧問らを偽証罪などで起訴・訴追してきた。

 捜査対象は33人の個人と3企業。起訴件数は25件に上っている。

 さらに捜査の矛先は、大統領の長男であるドナルド・ジュニア、娘婿のジャレド・クシュナー大統領上級顧問にも向けられていると報じられている。

 しかしこれは枝葉の話。

 これらの人物がトランプ氏にどう結びつき、どのような指示で動いたのかを探り出すための駒だ。本命はあくまでの「大統領の犯罪」の有無だ。

「弾劾よりもトランプ再選の芽を摘め」
 モラー特別検察官には捜査内容についての判断は下せない。その捜査報告を受けてどうするかはバー司法長官に託される。

 民主党サイドにはバー司法長官が報告書をどこまで公開するか警戒心が広がっている。

 司法長官はトランプ大統領が任命し、共和党が多数を占める上院で承認された人物だ。

 たとえモラー特別検察官最終報告を受けて、司法省が大統領の有罪を断定したとしてもトランプ大統領が起訴されることはない。

 大統領の座にあるものは起訴されない(むろん大統領が辞めた後には一般人と同じように訴追される)。

 弾劾はどうか――。

 大統領を弾劾するには下院の単純過半数が賛成し訴追、上院で出席議員の3分の2が賛成して初めて実現する。それには上院で共和党議員の一部の賛同を得ねばならない。

 モラー特別検察官最終報告発表を前に民主党のナンシー・ペローシ下院議長はこう述べている。

『日本人が知っているようで知らないアメリカ』(高濱賛著・海竜社)
 「大統領弾劾は国論を割る事案だ。民主党だけでは大統領を弾劾することはできない。大声で叫んでみても意味はない」

 「特別検察官最終報告を待つ前夜、コーエン氏の爆弾証言があった。民主党としては議会の各委員会を通じて多様かつ絡み合った疑惑追及を展開する。その方がトランプ再選の芽を摘むには手っ取り早い」

 遠回りだが、失敗する可能性のある弾劾よりもトランプ大統領の再選を阻む方が確かだという読みだ。

 勝つか負けるかは、すべて選挙が決めるのが民主主義だからだ。

 民主党の女性指揮官はあくまでも冷静だ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55649
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/586.html

[環境・自然・天文板6] 「生物多様性」が“文化の多様性”を守る理由 さまざまな文化の共存する日本が、SDGsで果たす役割 小農民の権利宣言が国連
「生物多様性」が“文化の多様性”を守る理由
さまざまな文化の共存する日本が、SDGsで果たす役割
2019.3.4(月) 有井 太郎
生物多様性を守ることは、我々の文化の多様性を守ることでもある。
 昔から、自然保護の文脈でよく語られる「生物多様性」。国連が定めたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)においても重要なテーマとなっているが、実は生物多様性を守る「本質」は、生き物の多様さを保持するだけにとどまらないという。

前回の記事:「世界が注目する『森林保全』という日本文化」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55244

「生物多様性を守ることは、文化の多様性、人間社会の多様性を守ることにもつながります。このつながりはSDGsの根本思想であり、その点で日本は、SDGsを達成するための重要な役割を担っていると言えます」

 このように話すのは、環境学や持続可能な社会を研究する國學院大學経済学部の古沢広祐(ふるさわ・こうゆう)教授。生物多様性と文化多様性のつながり、そして「日本の役割」とは何か。詳しい話を古沢氏に聞いた。

國學院大學経済学部教授の古沢広祐(ふるさわ・こうゆう)氏。大阪大学理学部(生物学科)卒業、農学博士。NPO「環境・持続社会」研究センター(JACSES)代表理事、NPO日本国際ボランティアセンター(JVS)理事、(一社)市民セクター政策機構理事、國學院大學では2011年より学際的研究プロジェクト「共存学」のプロジェクトリーダーを務める。著書に『みんな幸せってどんな世界』(ほんの木)、『食べるってどんなこと?』(平凡社)、『地球文明ビジョン』(NHKブックス)、共著に『共存学1〜4』(弘文堂)などがある。SB-Jコラム連載中。
「七草」から分かる、自然と文化のつながり
――前回、生物多様性を守ることは、文化の多様性を守ることにつながると伺いました。これについて詳しく教えてください。

古沢広祐氏(以下、敬称略) 端的に言えば、地域の文化は、その地域の動植物や自然環境に起因している点が多いということです。最たる例が「食文化」でしょう。たとえば和食は、今や世界的に注目される日本文化のシンボルですが、それは、もともと日本の自然が持っていた豊かさや恵みを活用する知恵から発生しています。

 一例として、日本には「七草」という文化があり、身近な春の七草は食用、秋の七草は観賞用などが知られていますよね。四季折々の自然の恵みを愛でる、これこそ生物多様性から生まれた日本文化です。しかし、秋の七草については、キキョウとフジバカマが絶滅危惧種に指定され、他も消滅が心配されており、もし絶滅してしまえば、その文化さえも途絶えるのです。

 今でこそ世界中で食材が流通していますが、もともとはその地域の農産物、自然の恵みとしての生物や植物によって地域の多様な食文化が形成されてきました。こう考えれば、生物多様性を守ることは、単に生物・植物そのものの保護だけでなく、文化の多様性を守ることにつながると分かるのではないでしょうか。その意味合いは風土という言葉でも感じとれますね。

――確かに、地域の自然や動植物が文化を形成していることは明白です。

古沢 その逆も同様で、文化の多様性を守らなければ、自然環境の多様性を失う可能性にもつながります。実は何年も前から、警鐘が鳴らされてきました。代表例が、20世紀を席巻したファストフードと、それに対立する意味でのスローフードの議論です。

 20世紀に入って、簡便で味も安定したファストフードが世界中で普及しました。その結果、水面下ではファストフードの低価格を支えるモノカルチャー型大規模農業が拡大し、遺伝子組換えが導入されるなどして、画一的な生産体制が進みました。また、中南米の熱帯林が破壊されて、放牧地や食糧基地が広がりました。

 しかし、このような開発は自然環境や農業の一律化を進め、結果的に地域に根付いてきた生物多様性、さらにはそこから生まれる食物や文化の多様性を失うリスクをもたらしています。こういった危惧から、ファストフードに対抗するスローフード運動が世界的に広がりました。

 食文化の多様性が失われれば、その背後で生物多様性も失われていくという構造的な問題が隠れているのです。

地理的に見ても、日本は多様な文化の宝庫
――SDGsには、経済・社会・環境にわたる17の目標がありますが、この連載では再三にわたり「それらを個別に見ず、相互に高めるべき」とおっしゃっていました。そのお話にもつながりそうですね。

SDGsで掲げられた17の大目標。
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古沢 はい。生物多様性を考える際、生物と人間を区切るのではなく、生物の多様性が人間の文化・社会における多様性につながることを認識すべきです。そしてその意味で、日本には生物や文化の多様性を保つ重要な手がかりがあるかもしれません。前回お話しした「鎮守の森」や「里山・里海」の文化はまさにそれです。

 さらに、日本各地の地域、街並みや文化を俯瞰すると、実は多様性が随所に見られるのではないでしょうか。お祭りや道祖神を筆頭に、古代から続く文化が残りながら、一方で近代的なビルもあります。東京も近代的なエリアだけでなく、浅草のような場所、あるいは神社や仏閣が各所に残っています。見方によっては人類文化の多面性が凝縮していますよね。

 ただし、問題はそれを日本自身が現代的文脈で自覚していないために、文化の多様性の根幹が揺らいでいることです。地方の過疎化と衰退が進み、一方で世界都市間の競争が激化する中で進行していることは、生物多様性、文化の多様性の危機的な状況です。

 日本には、多様な都市と農山漁村が共存し合う多文化共生的な下地があります。そのことを見直し、ここまで維持してきた複層的構造に着目すべきです。この国にはそういう土壌があるのです。

――日本には、多様な文化と共存してきた蓄積があるということでしょうか。

古沢 そうですね。これには、日本の地理的な背景も影響しているでしょう。日本はユーラシア大陸から見て「極東」に当たりますよね。人類の文化を見たとき、中心的文明から周辺に波状に広がる傾向があります。日本はもっとも端に位置しているため、実はさまざまな地域から広がってきた文化が折り重なるように伝わってきているのです。古い文化の上に新しい文化が重層的に蓄積されていると言ってもよいでしょう。

 つまり、日本には多様な文化の蓄積の宝庫になっているわけで、見方によっては未来の地球に生かすべき知恵がたくさん隠れているのです。たとえば多様な農耕文化の中で、稲作文化が古くから伝搬し継承されています。明治期に米国からF・H・キングという土壌学者が日本、韓国、中国東部を視察し、『東アジア四千年の永続農業』を書きました。西欧や米国での農業発展が土壌荒廃を起こしているのに対し、2000年から4000年のスケールで水田農耕が持続している点に着目し、驚きをもって著したのです。

 すでにワラの文化でも指摘しましたが、耕す意味でのカルチャーが文化としてのカルチャーへと成熟し進化している姿は、外部からの観察者の目で見ると分かるんですね。今は衰退の危機に瀕していますが、日本や中国の稲作文化は世界的に見て持続可能性に長けています。

――稲作文化や水田文化を見ても、持続可能性の知恵が詰まっているということですね。

古沢 はい。世界の歴史を見渡すと、多くの文明や文化が、森林や土壌を荒廃させて滅んできました。

 対して稲作文化や水田文化は、自然循環の一部に組み込まれているため、1000年を超えて継続的に続けられてきたのです。一見古いとされる農業にも、持続可能な知恵が隠れていると言えるでしょう。実際、小規模で遅れた営農と見なされがちな日本をはじめとしたアジアの稲作文化、各地の伝統的な農業文化は今、世界から注目を集めています。

 昨年(2018年)末、国連で「小農民の権利宣言」が可決されましたが、私は農業でも「スモール・イズ・ビューティフル」の動きが見直されてきたと考えています。

http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/f/a/-/img_fa996b3c11965fb2a2a6054b251de2d6128379.png

SDGsにおいて、日本から文化的イノベーションを!
――これらを踏まえると、SDGsにおける日本の役割は大きいと言えるのでしょうか。

古沢 その通りです。ただし、繰り返しますが、日本自体がこれまでに築いてきた文化や知恵に対する認識が薄れて、表層的に流されています。森林保全や生物多様性においても状況は深刻ですし、それが文化多様性の宝庫でもある日本の土台を揺らすことにもつながります。

 大切なのは、日本に蓄積された重層的な文化を見直し、理論的、戦略的にその多様さを開花させる叡智を提示できるかどうかでしょう。SDGsを契機として、日本にある多様な文化の蓄積を評価し直し、道筋を見出す出発点にしなければなりません。

 すでに第2回で話した3つの視点、「複眼知」と「批判(洞察)知」の上で、他と自分がつながり合う関係性を生み出す「共感(総合)知」をどう実践するかです。

 それを促すキーワードとして、「外からの目線」が挙げられます。中にいる私たちは、得てして豊かさや大切なものを見逃しがちですが、海外の目線なら見出せるかもしれません。であれば、インバウンドが急拡大する中、日本をさらに外に開くことで、異質さを取り込みながら内なるものの豊かさを検証する方法が考えられます。

 世界各地の文化が折り重なり、共存してきたのが日本です。ややもすると同質性や内向きに傾きがちな体質もあるのですが、その日本をなるべく開き、一種の社会実験のようにして、文化が共存されている本質をもう一度ひも解いて浮かび上がらせていくべきです。

――内と外とのコラボレーション、それが日本の課題であり、これからやらなければいけないことと言えるのでしょうか。

古沢 はい。世界は本当に憂慮すべき状況にあります。確かに、ある時期から「共生」という言葉が重視され、最近もダイバーシティ・多様性の概念が浸透してきました。しかし、一方でテロは頻発し、排外主義や政治的な不安定性が増すなど、人間社会が向かうべき方向から離れている実態があります。差別や軋轢も依然として多く、これまでの人類が積み上げてきた文化的蓄積は、むしろ揺らぎ始めています。

 であれば、この際に「共生」という理念的な考えから一歩引いて、「共存」という形で未来を見据えていくべきではないでしょうか。ぶつかり合うのではなく、違いは違いとして認め合い、お互いの可能性を見出していく大人の叡智です。そのような視点、立脚点が今求められています。

 小さな島国として多様な文化が共存してきた日本、あるいは多様な生物と共存してきた日本だからこそ、今薄れつつあるその文化的叡智を再度見直さなければなりません。その意味でも、SDGsは内と外をつなぐ重要な契機ですし道標です。

――この連載では、5回にわたりSDGsに着目してきましたが、今おっしゃったような意識を持って、17の目標を見ていくべきということですね。

古沢 そうですね。繰り返しになりますが、たとえば生物多様性を守ることは、文化多様性を守ることにつながります。それは当然、人間の多様性にもつながるでしょう。17の目標はさまざまな領域のものがありますが、それらは無理に括られたものではなく、すべて相互に関連しながら連動しているのです。

 だからこそ、そのつながりを意識しながら、すべての目標を連携させて相乗効果を生んでいくべきです。多様な文化が折り重なった日本だからこそ、自己の再生と世界の共存という挑戦的な連携プレー、文化的イノベーションの展開を、今こそチャレンジすべきときなのではないでしょうか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55443


 

サステナビリティ 新潮流に学ぶ
第24回:誰も取り残さない! 小農民の権利宣言が国連で採択〜SDGs時代の持続可能な農と食〜
2018.12.25 SB-J コラムニスト・古沢 広祐

気候変動と生物多様性の危機を前に、持続可能な食料や地域をどう守るか、シナジー効果をめざすSDGs(持続可能な開発目標)の流れが加速化しています。SDGsゴールの1(貧困)、2(飢餓)、3(健康・福祉)の問題に直結するのが、農業・農村の持続性を促進することです。しかし、そこにはサステナビリティをめぐる対立、せめぎ合いが隠れています。国連が今なぜ、小農民の権利を宣言するに至ったのでしょうか?

農業の大規模・近代化? 小農民の権利の確立?
世界の農村地域には全世界人口の約半分が暮らしていますが、その貧困率は都市地域より3倍以上も高く、全貧困層の8割が住んでいる状況となっています。その底上げについて、旧来の考え方では農業の近代化(規模拡大)と都市化の促進になるのですが、現実には農村の衰退・疲弊化が進み、都市に流入した貧者のスラム(貧民街)拡大という格差問題が深刻化しています。

前回コラム(第23回連載)の「3カ国民衆会議」の争点となった大規模農業開発、とりわけ企業的なモノカルチャーの拡大では、貧困化や環境破壊が促進されるばかりだとの批判が高まっています。

世界の農家の9割は家族農業の農家で、世界の食料の約8割が生産されています(世界食料農業白書2014年)。多くの農家が小規模で零細な経営であり、2割は土地なし農民という状況です。

こうした現実をふまえて、国連は2014年を「国際家族農業年」とし、2019年からの10年間を「家族農業の10年」と取り決め、2018年12月18日の国連総会で「小農と農村で働く人々の権利に関する宣言」(小農の権利宣言)を可決したのでした。

宣言は27条からなり、小農民、漁民、遊牧民、先住民、牧畜民、農業労働者の権利確立が示され、その権利には食料、土地、水などの自然資源が含まれ、文化的アイデンティティや伝統的知識の尊重、種子や生物多様性に関わる権利保護まで幅広い分野にわたっています。

その背景には、従来型の経済至上主義による大規模開発がもたらす小農民や弱者への脅威と危機意識があります。その具体例が、前回ふれた巨大開発事業です。経済のグローバル化の下、国際市場で競争力をもつ輸出型農産品に特化する農業開発モデルの代表例がブラジルのセラード開発事業であり、成功物語として語られてきました。

実際、世界の農業は貿易自由化が進む中で国際分業が進展し、価格低下の競争にさらされてきました。安い食料が入手できるメリットや、開発に伴う光と影といった見方も成り立ちますが、その弊害への批判がクローズアップされているのです。結果的に、少数の巨大資本による勝者と多数の弱小農民が敗者となってしまい、排除された人々に深刻な社会矛盾をもたらすという問題認識です。

とくに人権や民主主義の社会制度が十分に機能していない途上国では、土地収奪や貧困化が加速化して社会不安が激化しかねない事態が心配されています。国連が「小農民の権利宣言」を決議した理由もそこにあったのです。

開発をめぐるパラダイム対立
世界の食料システムを俯瞰した指摘として、「小農民の食料供給では、多種多様な品種を細やかに活用して土地・水・化石燃料の2~3割の利用で食料供給の7割を担っているのに対して、大規模企業型の食料供給では少数の品種栽培(モノカルチャー)で化石燃料資源を大量利用(7~8割)し環境に負荷をかけながら食料供給の3割を担うに過ぎない」(ETCグループ『誰が私たちを養うか?』2017年)があります。

経済効率だけの農業開発では、環境的適性や社会的公正を犠牲にしてしまう状況について明解に示した指摘にもなっています。こうした内容については、私の最近著『食べるってどんなこと?―あなたと考えたい命のつながりあい』(平凡社、2017年)や翻訳書『フード・ウォーズ―食と健康の危機を乗り越える道』(T・ラング、M・ヒースマン著、コモンズ、2009年)でも紹介してきました。

とくに食と農をめぐる対立(フード・ウォーズ)は、産業化と科学技術によって問題解決していく方向性(ライフサイエンス主義)と、自然と人間の密接なつながりを再認識して調和的あり方を重視する方向性(エコロジー主義)との間で、重大な岐路に立つという指摘なのですが、時代状況に関する興味深い見方だと思います。

「フード・ウォーズ」とは、食と農の未来について、消費者、市場(マーケット)、産業社会などめぐって繰り広げられる闘いであり、食と農の未来をどう展望するかによって世界の将来的あり方が決まっていく重要な鍵になるとの考え方です。

SDGs時代の持続可能な農と食
国連で小農民の権利宣言が可決された少し前になりますが、「みんなで考えよう!SDGs時代の持続可能な農と食」という集まりを國學院大学にて開催しました(12月2日、主催:日本版アグロエコロジー勉強会)。この集会の内容が、まさに食と農の現状と課題を端的に示した内容ですので簡単に紹介しましょう。


イベント当日の写真記録、映像がネットで公開されている
前半の3人の基調報告では、「顕在化する気候変動の脅威 〜 人新世(アントロポセン)の行方」(江守正多・国立環境研究所)、「工業型農業が招くグローバルな環境破壊」(関根彩子・グリーンピース・ジャパン)、「生物多様性は食の源〜高尾山の現場からローカルの可能性をさぐる」(坂田昌子・国連生物多様性の10年市民ネットワーク)というテーマで、深刻な事態への問題提起がなされました。

後半はパネルディスカッションとして、有機農業の農家の取り組み、支援団体、種子の多様性を守る活動など、実践的な活動が報告され、全体討論が繰り広げられました。詳細は、当日の映像記録がネット公開されていますので、ざっとでもお目通しいただけると、会場の熱い熱気を感じてもらえるかと思います。

グローバルな地球環境問題を前にして、ローカルな食と農の現場から問題解決を探る興味深い集会であり、小農民の果たす重要な役割について再認識する貴重な場となっています。

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古沢 広祐
古沢 広祐 (ふるさわ・こうゆう)
國學院大學経済学部(経済ネットワーキング学科)教授。
大阪大学理学部(生物学科)卒業。京都大学大学院農学研究科博士課程(農林経済)研究指導認定、農学博士。
<研究分野・活動>:持続可能社会論、環境社会経済学、総合人間学。
地球環境問題に関連して永続可能な発展と社会経済的な転換について、生活様式(ライフスタイル)、持続可能な生産消費、世界の農業食料問題とグローバリゼーション、環境保全型有機農業、エコロジー運動、社会的経済・協同組合論、NGO・NPO論などについて研究。
著書に、『みんな幸せってどんな世界』ほんの木、『食べるってどんなこと?』平凡社、『地球文明ビジョン』日本放送出版協会、『共生時代の食と農』家の光協会など。
共著に『共存学1, 2, 3, 4』弘文堂、『共生社会T、U』農林統計協会、『ギガトン・ギャップ:気候変動と国際交渉』オルタナ、『持続可能な生活をデザインする』明石書店など。
(特活)「環境・持続社会」研究センター(JACSES)代表理事。(特活)日本国際ボランティアセンター(JVC)理事、市民セクター政策機構理事など。
http://www.econorium.jp/fur/kaleido.html

https://www.facebook.com/koyu.furusawa

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http://www.sustainablebrands.jp/article/sbjeye/detail/1191399_1535.html
http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/696.html

[社会問題10] 「教学IR」は万能か? 困難を極める大学教育の評価 「IR」は大学改革の切り札になるか(3) 
「教学IR」は万能か? 困難を極める大学教育の評価
「IR」は大学改革の切り札になるか(3)
2019.3.4(月) 児美川 孝一郎
学習の効果はどのようにすれば測定できるのか。
(児美川 孝一郎:教育学者、法政大学キャリアデザイン学部教授)
 前回の記事(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55300)では、近年の大学において取り組まれつつある「教学IR (Institutional Research)」の最大の強みが、大学教育のプロセスと結果を「見える化」(数値化)することにより、従来はカンやコツといった経験則に頼ってきた感もある教育改善に関わる施策を、根拠(エビデンス)に基づいて進めることが可能となる点にあることを見た。
 ただし、そうした教学IRを積極的に推進するためには、さまざま条件整備や学内合意の形成が必須となることについても、併せて指摘しておいた。
IRは大学改革の切り札になるのか
 では、そうした条件整備や学内の合意形成さえ整えば、あとはIRに任せておけば、大学教育の改革は盤石に進むのだろうか。
 改革に弾みを付け、教育改善の施策が大いに進んでいくという側面も当然あるだろうが、残念ながら、そうした側面だけではあるまい。
 教学IRは、あくまで教育改善のためのツールである。ツールである以上、当たり前のことではあるが、それには強みもあれば弱点もある。強みだけに目をとらわれて、弱点には目を向けずに教育改善の施策を展開してしまうと、結果として、思ってもみなかったような「副作用」に襲われたり、「予期せぬ結果」の後始末に追われたりするといったことも十分に起こりうるのである。
 以前の記事で指摘したように、現在は、文科省の高等教育政策が、財政誘導を含めて「前のめり」になって、大学におけるIRの推進を図ろうとしている時期である。そうであればこそ余計に、大学側としては、IRの強みだけではなく、弱点(限界)についても十分に自覚したうえで、その活用を模索していくべきであろう。
 今回の記事では、こうした意味でのIRの留意点について論じてみたい。
学習成果をどう測るか
 大きく2つほどの(実際には、2つは地続きの問題でもあるのだが)論点を提示してみたい。
 1つめは、教学IRの場合、財政分析や経営戦略の策定のためのIRなどと比較して、そもそも目標をどう設定するのかが単純ではないということである。
 教学IRの目的は、大学教育の改善であり、質的向上である。では、それは、何によって測られるのか。学業成績(GPA)、就職率、資格や検定の合格率、学生の満足度などを指標とすることが可能かもしれないが、しかし、それらの数値が上昇すれば、それが「良い大学教育」であると、直ちに言えるだろうか。
 おそらく、最もオーソドックスな教学IRの手法としては、各大学のディプロマポリシー(学位授与の方針)にも照らして、4年間を通じた学生の学習成果を把握し、それを指標とすることが穏当ということになるのではないか。
 では、その際の学生の学習成果は、どのように測られるのか。
 下図は、これまでの研究を参考にしつつ、学生の学習成果を測る評価手法の代表的なものを、縦軸を数値化の可能性、横軸を直接評価/間接評価に分けて、整理してみたものである。

http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/d/7/540/img_d7f64f33ca327d71aedaacf569d1f05355880.png

 一目瞭然であるが、教学IRにとって最も適合的なのは、実は第1象限(右上)の評価方法だけなのである。しかも、個別の科目における学習成果を測るための客観テストならともかく、大学の教育課程の全体を通じた学習成果を測るような客観的なアセスメントテストは、現時点では実際には存在していない。複数の民間教育事業者が、それに類するものを提供しているが、それらは、学生が身につけた「汎用的能力」(generic skills)を測るものであって、大学教育の本体とも言うべき学問分野別の専門的能力を測ることはできない。
 第2象限(左上)の評価方法も、数値化した処理ができるため、教学IRに利用可能であり、実際に利用されている。しかし、これらのアンケート結果は、「〜の能力が身に付いた」といった設問についての、あくまで学生の主観に基づく回答であることに注意が必要である。筆者の経験でも、実際には高い能力を身に付けたと思われる学生ほど、この手の設問には控えめに回答し、逆に、そうでない学生ほど堂々と「〜の能力が身に付いた」と回答するという傾向は、十分にありうる。
 そして、第3象限(左下)、第4象限(右下)の評価方法は、教学IRには適したものではないが、しかし、それらは、大学教育における学生の学習成果を把握しないのかと問えば、そんなことはない。むしろ、そうした質的な方法でしか把握できない側面があることについても自覚的である必要があるだろう。
IR分析が示すもの
 2つめは、いま述べた目標設定に関わる問題は、何らかの「代理」指標を立てる、あるいは複数の指標を組み合わせるといった仕方でクリアできたとしよう。しかし、今度は、目標達成に至るプロセスについての「分析」も、そう簡単には行かないという点がある。
 これは、統計分析の手法が著しく高度になる、あるいは複雑になるといった意味ではない。原理的な問題として、そもそも何を分析対象とするのか、つまり目標の実現を促す要因を分析するにあたって、いったい何を「変数」として採用するのかという点が、実は大問題なのである。
 教学IRの分析対象は、多様性に満ちあふれた大学における教育活動であり、生身の人間である学生である。どのような教育が、どんな学生に対して、どのような効果を及ぼすのかを分析しようとする際、分析者が「変数」として意識できる要素に関しては、例えば、特定の変数が、それ以外の変数をコントロールしたとしても、特定の効果を及ぼすことにつながるといった関係性を割り出すことは可能である。
 しかし、分析者がそもそも「変数」として意識していなかったような要素が、実際には特定の効果に影響を及ぼしていたとしても、そのことは自然に見過ごされてしまう。しかも、IR分析の結果に基づいて実施された教育改善策が、実際には効果を及ぼしていたはずの要素を弱めるようなものであった場合には、せっかくの教育改善の施策にもかかわらず、期待される効果は生み出されないことになる。それどころか、以前と比べても、効果が減退してしまうといったことも起こりうるのである。
 教学IRの「分析」は、確かに数値を通して大学教育を「見える化」する。しかし、そこに見えているのは、大学教育の完璧にトータルな姿であったりはしない。どんなに精緻な分析をしても、そこに現れているのは、やはり特定の(精緻さは増したかもしれない)角度や視点を採用した結果としての「見え方」なのである。
 そのことを忘れて、IR分析の結果を「万能」であるかのように見てしまうと、痛いしっぺ返しを食らったり、思わぬ落とし穴に嵌ってしまうことにもなりかねない。
教学IRを等身大に使いこなす
 以上に述べたのは、だから教学IRなどには取り組んでも意味がないとか、取り組まないほうがよいといったことを言いたいがためではない。データ(数値)に基づく教学IRの結果は、大学教育の当事者たちにとっては、それ自体としてインパクトを持つものである。中には、「衝撃」を与えるものもある。
 しかし、だからこそ、教学IRの結果を鵜呑みにしたり、金科玉条のごとくに扱ったりすることには慎重であるべきであり、IR分析の強みと同時に弱点についても、十分に意識しておくべきなのである。
 大学教育やその効果は、さまざまな「要素」から成り立っている。そうした多様な要素に着目し、要素間の関係性をつかむことは、教学IRが最も得意とするものである。
 しかし、大学教育の全体像は、そうした要素主義的なアプローチだけでつかみきれるわけではない。よりホリスティックなアプローチを必要とする側面もある。各大学や学部が育成しようとする「人材像」などは、「幅広い教養」にしても「市民」にしても、その最たるものであろう。
 要は、教学IRに等身大に向きあい、IRという「道具」に使われてしまうのではなく、上手に使いこなす――。IRの専門部署の設置や専任スタッフの配置にばかり腐心する高等教育政策は、決して言わないことではあるが、大学教育にとって肝となるのはまさにこの点であろう。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55605

http://www.asyura2.com/18/social10/msg/135.html

[国際25] 米国でビール離れ進む、健康意識高い若年層中心に−代替品豊富で 世界ビール消費量26年連続増加 リアル版クレイジー・リッチ
米国でビール離れ進む、健康意識高い若年層中心に−代替品豊富で
Craig Giammona、Carmen Reinicke
2019年3月4日 11:52 JST
• アルコール消費が3年連続で減少ー主因はビールの消費減
• 蒸留酒やワインに加え、大麻の選択肢も加わるー業界に深刻な事態も
米国でのアルコール消費が2018年、3年連続で減少した。これには、ビールの消費が15年以降2.8%減った事実が大きく影響している。世界のアルコール関連トレンドを追うIWSRのデータによると、クラフトビールは同じ期間に15%近く伸びたが、ビール全体の消費は落ち込んでいる。
Hard Stuff
Americans are reaching for distilled spirits and sparkling wine over beer

Source: IWSR Drinks Market Analysis
*Includes alcoholic seltzer
  ビールはこれまでも女性を引き付けるのに苦戦してきたが、最近は炭水化物やカロリーを避けたい消費者の傾向がビールに逆風となっている。舌が肥えた消費者に選択肢が豊富にある現状も背景にある。
  統計からは、米ビール大手が厳しい立場に置かれていることが明白だ。ユーロモニター・インターナショナルによれば、米国で1番人気の「バド・ライト」の売上高は17年に145億ドル(約1億6200億円)と、12年から17%減少した。IRIのデータによると、「クアーズ・ライト」、「ミラー・ライト」、「バドワイザー」のシェア低下は18年も続いた。
  ビール離れは若年層で特に顕著だ。「ミレニアル世代」とそれより一つ後の「ジェネレーションZ(Z世代)」の消費者は他の世代と比べ、二日酔いなどを受け入れ難いようだ。平日は朝早くから仕事、週末にはインスタ映えする写真を狙ってハイキングやロッククライミングに行く、といった活動的なライフスタイルにお酒はうまくフィットしないといったところだろうか。
  ビールの代わりに消費者は、蒸留酒の入ったドリンク(ジントニック、テキーラのソーダ割りなど)やアルコール入り炭酸水、ワインなどに流れているようだ。さらに、ますます多くの州で大麻が合法化される中、特に若年層ではアルコールよりも大麻の方が体にいいと見る向きが増えている。
Battle for the Buzz
Beer sales have dropped in states following weed legalization

Source: Distilled Spirits Council
Note on index: Year before = 100
  今のところ、アルコール業界は大麻は脅威ではないと強調するが、ビールはワインやウイスキーほど平気ではいられないかもしれない。大麻関連のトレンドを調査するニュー・フロンティア・データのアナリスト、ジョン・ケーギア氏は、大麻が合法化された州ではビールが特に落ち込んでいるとして、将来の危険の前兆である「炭鉱のカナリア」だと指摘。ワインとアルコール飲料の販売は横ばい推移しているものの、消費者が大麻という選択肢を得た今、アルコール業界にとってより深刻な事態が待ち構えている可能性があるとの見方も示した。
原題:Fraternities Pivot to Soda Water, and Big Beer Has a Problem(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-04/PNPPWWSYF01U01?srnd=cojp-v2


#その一方で 新興国では

キリン/世界ビール消費量26年連続で増加、新興国がけん引=調査
海外/2012年12月27日

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キリンホールディングスは12月26日、2011年世界主要国のビール消費量についての調査結果を発表した。

世界の総消費量は、前年比3.8%増の約1億8878万klで、26年連続の増加となった。国別では、中国が10.7%増となり、9年連続で世界1位。13位のベトナムは14.8%増となり、大きく伸長した。日本は3.7%減で前年に引き続き7位に入った。

<2011年 国別ビール消費量(キリン食生活文化研究所)>2011年 国別ビール消費量(キリン食生活文化研究所)

地域別の消費量では、アジアが8.4%増と大きく伸びた。中南米はブラジルの伸びが牽引する形で3.7%増。アフリカは南アフリカなどの成長が貢献し、6.9%増となった。

欧州は0.4%増となり、4年ぶりに増加に転じた。ドイツやイギリスなどの上位国でマイナスとなったものの、ポーランドなどで消費量が伸びた。

全般的に、新興諸国で消費量が伸びている傾向がみられた。もっとも、ロシアは低迷する経済情勢や増税などの影響を受け、減少した。

<2011年地域別ビール消費量のグラフ(キリン食生活文化研究所)>2011年地域別ビール消費量のグラフ(キリン食生活文化研究所)
https://www.ryutsuu.biz/images/makernews/2012/12/20121227beer_in_the_world2.jpg

https://www.ryutsuu.biz/backnumber/abroad/mn254.html


 


リアル版「クレイジー・リッチ」はマレーシア南部スルタンの末裔
Yoojung Lee
2019年3月1日 8:06 JST
• シンガポール中心部の宮殿跡地保有者はジョホール州の皇太子
• デベロッパーに売った場合、売却額は3900億円との試算も
世界で最も住宅価格が高い都市の1つであるシンガポールの中心部に、米ホワイトハウスの30倍の広大な私有の空き地がある。
  米国大使館と隣接する1戸450万シンガポール・ドル(約3億7000万円)のコンドミニアムのすぐ先で、打ち捨てられた2宮殿の遺跡が手付かずのジャングルに覆い隠されている。デベロッパーに売った場合、売却額は35億米ドル(約3900億円)に上るとの試算もある。

シンガポールのボタニックガーデンの隣にある旧タイヤソールパーク
ソース:DigitalGlobe
  不動産仲介会社クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドのシニアディレクター兼シンガポール担当調査責任者、クリスティン・リー氏は「シンガポールで最も貴重な資源は土地であるため、その一角を所有するのは明らかに特権だ」と指摘。「過去50年にわたり、土地価格は著しく上昇してきた。それが古い世代の富創出に弾みをつけた。富裕層のステータスシンボルであることも、不動産を欲しがる人が多い理由だ」と分析した。
  昨年のヒット映画「クレイジー・リッチ!」の原作で、アジアの超富裕層を描いた小説「クレイジー・リッチ・アジアンズ」(ケビン・クワン著)でもそうした筋立てが使われた。作中の若い一家が先祖代々住んでいるのは、シンガポールのタイヤソールパーク内にある広大な屋敷だ。
  現実の世界で、ボタニックガーデンに隣接する旧タイヤソールパークの土地21万857平方メートルを所有するのはマレーシア・ジョホール州のトウンク・イスマイル・スルタン・イブラヒム皇太子(34)。ここには19世紀後半に皇太子の祖先が建設し、火災などで破壊されたイスタナ・ウッドヌーク宮殿などの遺跡がある。

イスタナ・ウッドヌーク
出典:イギリス軍
  かつてはもっと広大な土地だったが、シンガポール政府が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産となったボタニックガーデンを拡張するため一部を取得したため縮小した。
  マレーシアは立憲君主制で、9州のスルタン(イスラム王侯)が5年ごとに持ち回りで国家元首たる国王に即位する。南部ジョホール州は皇太子の父、スルタン・イブラヒム・スルタン・イスカンダルによって統治されている。

敷地に掲げられた「私有地」の看板
写真家:Ore Huiying /ブルームバーグ
  60歳のスルタンは昨年のシンガポールでのイベントで、自身のコレクションから世界で1台しかない1938年型「ラゴンダ・ライトウエートLG6」などの高級車12台を披露した。その他、中国企業がマレーシア南部で進める1000億ドル規模の都市開発プロジェクト「フォレストシティー」の権益22%も保有。一族の資産にはセブン−イレブン・マレーシア・ホールディングスやレッドトーン・インターナショナルなどの持ち分も含まれている。

フォレストシティーの開発モデル
写真家:Ore Huiying /ブルームバーグ
原題:The Real Crazy Rich Asian Palace Is Worth a Cool $3.5 Billion(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-03/PNT5196S972901


http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/587.html

[経世済民131] 5兆円超える本気の投資資金、今年絶好調の中国株市場に流入へ 中国の三大攻堅戦 脱走、仁義なき中国ゲーム業界 日中賃金比較
5兆円超える本気の投資資金、今年絶好調の中国株市場に流入へ
Rachel Evans、Rebecca Choong Wilkins
2019年3月4日 12:55 JST
MSCIの中国株ウエート引き上げ発表を受けブルームバーグが試算
中国本土株のウエートは5ー11月に3段階で引き上げられる
今年に入り世界で最も好調な株式市場に本気の投資資金がさらに向かおうとしている。

  MSCIが同社の新興国株指数に占める中国本土株のウエートを引き上げると2月28日に発表したことを受け、ブルームバーグの試算によれば、同指数に連動するファンドから本土株市場に流入する資金は460億ドル(約5兆1500億円)を上回ることになりそうだ。

  中国株は3月1日に昨年6月以来の高値を付け、年初来では20%上昇。政府が景気浮揚策を打ち出すとの観測から買いが促された。

  MSCIによると、中国本土株のウエートは5月から11月にかけて、現行の約0.7%から3.3%に3段階で引き上げられる。

原題:World’s Hottest Stock Market Is About to See $46 Billion Pour In(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-04/PNTM576K50XU01?srnd=cojp-v2

 


 

中国株:上海総合指数、昨年6月以来の高値−貿易協議に期待感
Kana Nishizawa
2019年3月4日 11:16 JST 更新日時 2019年3月4日 16:26 JST
上海株は1.1%高の3027.58−1月安値からの上昇率23%
一時3.2%上昇も、午後は利益確定の動きで上げ幅縮小
4日の中国株式市場で上海総合指数が上昇。昨年6月以来の高値を付けた。米中貿易協議の進展を示す兆しや節目の3000を上抜けたことで心理が改善したが、利益確定の動きで午後は上げ幅を縮小した。

  上海総合指数は前週末比1.1%高の3027.58で取引を終了。3000を突破した後、一時3.2%高となる場面もあった。1月3日の安値からの上昇率は23%に達した。

原題:China Stocks Climb to Eight-Month High as Trade Optimism Grows(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-04/PNTKP96JIJUQ01?srnd=cojp-v2


 
中国の「三大攻堅戦」、習主席に課せられた国内での3つの戦い
Bloomberg News
2019年3月4日 16:54 JST
• 克服すべき3大テーマは公害と金融リスク、貧困
• 20年までに「極端な貧困」を終わらせる目標−国務院
中国指導部は5日開幕する全国人民代表大会(全人代)で、今年の経済政策運営方針を巡り具体的な政策を打ち出す。
  米中貿易戦争と国内経済の減速への対応に注目が集まる中で、国内政策の組み合わせは2017年に導入されたいわゆる「三大攻堅戦」によって規定される。習近平政権は克服すべき3大テーマを公害と金融リスク、貧困だとしている。
  この3つの問題がどのように推移しているか、チャートで検証する。
  
公害対策
  2017年以降、北京や上海市民は青空を見ることが多くなった。冬場はかすんで空が見えない日がまだ多いものの、北京のデータは特に大気汚染が平均的に減少傾向にあることを示している。
Hazy Air
Air pollution indexes in China's biggest cities

Source: U.S. Department of State, Bloomberg calculation
Note: Shows monthly average of China Air Quality Index
レバレッジ解消(および再レバレッジ)
  中国で34兆ドル(約3800兆円)相当に膨らんだ公社債の伸びを抑制する取り組みはある意味で効果が大き過ぎた。全体的なレバレッジ比率は圧縮されたが、民間セクターへの与信の流れが滞ってしまった。当局は中国全体の金融安定を巡る懸念を再燃させずに、問題の解消を図ろうとしている。
Debt Control
China's leverage ratio stabilized

Source: Morgan Stanley, Bloomberg

Lending Surge

Source: People's Bank of China
Note: New measure includes loan write-offs, asset-backed securities, local government bonds
  消費と投資を促すため減税を昨年実施した当局は、低迷が続く民間セクターを支援するため2019年も追加減税を行うと表明している。モルガン・スタンレーの中国担当チーフエコノミスト、邢自強氏は企業向けに付加価値税を最大8000億元(約13兆3700億円)相当を減らすと見込んでいる。ただ先の減税で税収はすでに落ち込んでいる。
Tax Revenues Already Slumped

Source: National Bureau of Statistics, Bloomberg Calculations
Note: Revenue data shows year-on-year change in aggregate quarterly revenue
  景気刺激策のための財源の一つは債券発行だ。政府はすでに地方政府がインフラ事業を賄うため19年に発行できる特別債を大幅に増やすと表明している。
Infrastructure Spending Back

Source: National Bureau of Statistics, Bloomberg
Note: Data is cumulative year-to-date figures. 2019 data is median of Bloomberg survey of 29 economists.
貧困対策
  40年以上にわたる改革開放政策で中国の貧困層は大きく減ったが、いまだに地方を中心に貧困は残る。国務院によれば、20年までに「極端な貧困」を終わらせる目標の一環として、今年は1000万人余りを貧困から抜け出させる計画。
Poverty Reduction
Number of people at or below the national poverty rate

Source: World Bank, based on national data
原題:Xi’s Three ‘Battles’ in Six Charts as Political Summit Kicks Off(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-04/PNTW256JIJUO01?srnd=cojp-v2

プログラマーが脱走、仁義なき中国のゲーム業界 日中で比較、ゲーム業界の賃金はどれくらい?
2019.3.4(月) 花園 祐

(花園 祐:中国在住ジャーナリスト)
 中国のゲーム市場は世界最大の市場規模となり、今も成長を続けています。前回、前々回は、マクロデータを示しながら、その歴史と現状を紹介してきました。今回は締めくくりとして、日中間のゲーム業界の賃金状況について、データを比較しつつ紹介したいと思います。
(前々回)「市場は10年で10倍に、一斉にゲームを始めた中国人」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55499
(前回)「日本のゲームがいつの間にか中国でエロ認定されてた」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55539
求人数ではデザイナーが最多
 下の表は日本国内の複数の求人サイトから、筆者がゲーム関連求人の募集賃金データを調べ、集計し直したものです。実際には年次昇給などもあってこれより高くなるでしょうが、職種ごとの大まかな賃金傾向や市場需要が見てとれます。
日本ゲーム業界の職種別募集賃金
http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/2/e/500/img_2e5b3a22d85bd02a888c38816f81b9d090946.jpg

 まず目が行くのは、サンプル数(=求人数)です。見ての通りデザイナーが582件と全求人の41.7%を占め、最多となっています。実際にはこの中から、3Dデザイナー、2Dデザイナー、背景デザイナーなど業務内容によってさらに細かく分かれていくのですが、現在のゲーム業界において募集が多い職種はこの手のグラフィッカーとみて間違いないでしょう。
 ただ、募集は多いものの、デザイナーの最低募集賃金の平均は323.1万円にとどまり、全業種の中で最低となっています。頭数が必要で募集は多いのですが、ある程度は代替の効く業種であることが、こうした賃金水準を構成していると考えられます。
「シナリオ」「サウンド」は狭き門?
 逆に賃金水準が高い業種はプロデューサーです。経験が重視されることもあってか、最低募集賃金の平均が421.2万円、最大募集賃金の平均が798.3万円と、ともに全職種で最大となっています。
 ただ高待遇職種ということもあり、募集数は73件とやや限られています。またシナリオ、サウンド、デバッガーの3種は、どれも募集数が30件以下と極端に少なく、狭き門の様相を呈しています。
 多くの募集において、デバッガーの業務は全体品質管理とされています。他の職種が兼任することもあると考えられますので、この結果も理解できなくはありません。しかし、シナリオとサウンドについては少し意外でした。実は、筆者は一時期ゲーム業界のシナリオライターを目指そうかと考えたことがあります。この結果を見る限り、本気で目指さなくて良かったようです。
業種以上に会社規模に左右される
 このほか統計データには現れませんが、各求人票を筆者が調査していて感じたこととしては、業種以上に、募集先の会社規模の方が賃金水準に大きく影響していることが挙げられます。
 プロデューサーなど一部職種を除き、ほとんどの会社では、職種に関係なく、「年収300万〜500万円」などと同じ募集賃金枠で求人を出しています。その賃金枠も会社規模に比例して高くなる傾向がはっきり出ていました。
 一方、一部企業では、同じ職種であってもプロジェクトや業務内容ごとに異なる募集賃金枠を設定していました。傍目にはこうした会社の方が、募集する人材のビジョンをはっきり持っているように感じられます。
平均月収が2万元超えの予測も
 引き続き、中国ゲーム業界の賃金水準について紹介しましょう。
 業種や学歴によって変動するものの、中国ゲーム業界の平均月収は約11000元(約17.8万円)という調査結果が報告されています。この賃金水準ですが、中国での基準で見れば確実に高い部類に入ります。
 求人サイトの智联招聘が行った2018年第4四半期調査によると、中国主要37都市の平均募集月収は8096元(約13.2万円)です。都市別で最大となる北京市であっても10871元(17.7万円)にとどまっています。それに対してゲーム業界の賃金水準は、北京市の水準を上回っているだけでなく、市場成長とともに賃金高騰が続いている業種としてすでに認知されています。近い将来には平均月収が2万元(約32.6万円)に達するのではとの予測も出ています。

http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/a/6/400/img_a66630f783671d95f86db879ee769d9632052.jpg

ハイブリッド職種は高待遇
 ゲーム業界における職種ごとの賃金水準について、中国人業界関係者に尋ねてみました。
 その業界関係者によると、職種別賃金は開発職だと「プログラム > デザイナー > プランナー」という傾向があるそうです。また、「近年はプログラムとデザイナーの架け橋となるハイブリッド職種「テクニカルアーティスト(TA)」が大手企業の開発現場で浸透しつつある」らしく、高待遇のTA募集が相次いでいることを教えてくれました。
 実際、求人サイトでTA職の募集を覗いてみると、中国ゲーム業界大手の網易の月収2.5万〜3万元(約40.7万〜48.9万円)をはじめ、確かに多くの企業が高待遇でTAを募集していました。無論、こうした業種は高い経験と技術が要求されます。希望したところで誰もが簡単には採用されるわけではないことは心しておく必要があるでしょう。
独自に学習する人材が増加
 またその業界関係者は、中国ゲーム業界では近年、独自に技術を学んで就職する若者が増えていることも教えてくれました。
 その背景には、UnityやUE4といったゲームエンジン(ゲーム開発用ソフトウェア)が基本的に無料で利用できるようになったことがあります。専門学校や大学に通わずとも開発技術が学べる環境が整ってきたというわけです。
 こうした新人はまず中小ゲーム会社に就職し、数年間経験を積んでから、大手ゲーム会社へと就職するというキャリアパスが一般的です。いきなり大手ゲーム会社に就職するのは稀だそうです。
 中小ゲーム会社に就職する場合、新人給与は月収4000〜6000元(約6.5万〜9.8万円)程度で、業界平均と比べるとやはり低く抑えられています。ただ、中小であってもチームリーダーには経験者を配置しなければなりません。そのためチームリーダーは大手ゲーム会社と遜色ない高待遇で雇用するのが一般的です。
プログラマー脱走でプロジェクト崩壊
 最後に中国ゲーム業界の熾烈な人材獲得合戦の様子を紹介します。
 中国では優秀な人材の引き抜き合戦が激しく、引き抜きによってゲーム開発プロジェクトが頓挫するという事件も珍しくありません。
 先日も、完成間際のプロジェクトでメインプログラマーが脱走し、プロジェクトが全てパーになったという事件が起き、業界内で大きなニュースとなりました。報道によると、脱走したプログラマーの月収は4万元(約65.2万円)だったそうです。
 中国のゲーム市場拡大に伴い、今後、中国のゲーム会社と提携、競争する日系ゲーム会社は増えていくと予想されます。その際、(言語の壁はあるとしても)日中間の人材引き抜き合戦もますます激しくなっていくことでしょう。
 2017年、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が日本で初任給40万円で新卒従業員を募集したことが大きなニュースとなりました。ファーウェイに限らず、中国企業は日系企業に比べ、採用者のスキルに応じて給与を柔軟に設定し、必要とする人材を果敢に引き抜こうとします。こうしたグローバルでの人材競争に、日本のゲーム業界も巻き込まれるのか、また日系ゲーム会社はどのように対応していくのか、今後も注視していく必要がありそうです。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55630


http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/361.html

[社会問題10] ネットで他人を中傷することはセックスのように気持ちいい ジモティーヤンキーなど地方在住の若者たちの幸福度が極端に低い理由
ネットで他人を中傷することはセックスのように気持ちいい
[橘玲の日々刻刻]
 最初は、たわいもない話でした。ロックバンドの女性が、親友だった男性ミュージシャンと絶交したとフェイスブックに書き込んだのです。

 きっかけは、そのミュージシャンが知人の女性にひわいな写真を送りつけたとSNSで告発され、ライブ会場から出入り禁止になったことでした。バンドのメンバーは疑惑を否定しましたが、#MeToo(ミートゥー)運動で社会がセクハラにきびしくなっていることもあって、彼女は「ひとりの女性として、彼がしたすべてのことを拒絶する」と書きました。それはたちまち「炎上」へとつながり、ミュージシャンは仕事を失い、アパートを追い出され、別の街に引っ越さざるを得なくなって、人生は過酷なものになりました。

 その後彼女は、ロックバンドのボーカルとして(すこし)有名になりました。すると突然、高校時代の出来事を蒸し返されて大炎上することになります。誰かが女子生徒のヌード写真をSNSにアップし、その写真に対して彼女が辛辣なコメントをしたというのです。

 この「糾弾」はたちまちネットに広まり、彼女は音楽業界から出入り禁止になりました。友だちはみんな離れていき、なにもかも失った彼女は、この世界から消えてしまいたいと思ったといいます。

 10年以上前の「ネットいじめ」を告発したのは若い男で、「彼女がつらい思いをしていることが気にならないのか」と訊かれ、こうこたえています。

「セックスでイッたときみたいに楽しかったよ。あいつのこと? どうだっていいよ。ヒドいことをしたんだから自業自得だろ。生きようが死のうが俺には関係ないね」

 このようにいう男は、幼い頃から親に虐待されていました……。

 立派なことをいうひとは世の中にたくさんいますが、「正義」にとって不都合な真実は、他人をバッシングすると脳内に快楽物質(ドーパミン)が出るようにヒトの脳が「設計」されていることです。脳の画像を撮影すると、復讐を考えたときに活性化する部位は、快楽を感じる部位ときわめて近いことわかりました。道徳的な不正をはたらいた者を「糾弾」すると、セックスと同じような快楽が得られるのです。

 さらに不都合なのは、匿名で道徳的な「糾弾」を執拗につづけるひとには「実生活の幸福感が低い」という共通する特徴があることです。仕事が充実していたり、恋人や家族から愛されていれば、こんなことで「自己実現」する理由がありません。バッシングによって「オルガスム」を得るより、ふつうにセックスしたほうがいいに決まっているのですから。

 このようにして、「非モテ」や「インセル(非自発的な禁欲主義者)」などと呼ばれる集団内でお互いをディスったり、女性やLGBTのようなマイノリティを攻撃して気分よくなろうとする現象が起きました。「モテ(上層カースト)」に所属する男女は、こうした「炎上騒動」を困惑しつつも高見から見物しています。

 ネットの効用は、誰でも自由に自分の意見を主張できるようになったことです。これは素晴らしいことですが、その代償として、世界じゅうで「糾弾」というドラッグを手放せない「正義依存症」のひとたちを大量に生み出したのです。

 ちなみに、これはアメリカで実際に起きた話です。日本ではどうでしょうか?

参考:David Brooks“The Cruelty of Call-Out Culture How not to do social change.”The New York Times Jan,14,2019
『週刊プレイボーイ』2019年2月25日発売号に掲載

橘 玲(たちばな あきら)

橘玲のメルマガ 世の中の仕組みと人生のデザイン 配信中
作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ヒット。著書に『「言ってはいけない?残酷すぎる真実』(新潮新書)、『国家破産はこわくない』(講談社+α文庫)、『幸福の「資本」論 -あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』(ダイヤモンド社刊)、『橘玲の中国私論』の改訂文庫本『言ってはいけない中国の真実』(新潮文庫)など。最新刊は、『もっと言ってはいけない』(新潮新書) 。


https://diamond.jp/articles/-/195918


2019年2月28日 橘玲 :作家
“ジモティー”や“ヤンキー”など地方在住の若者たちの幸福度が極端に低い理由とは?
[橘玲の日々刻々]
橘玲のメルマガ 世の中の仕組みと人生のデザイン 配信中
『幸福の資本論』(ダイヤモンド社)では、金融資本(貯金)や人的資本(仕事)が小さくても、「友だち」の強いネットワークに支えられた生き方を「プア充」と定義した。“ジモティー”とか“ヤンキー”などと呼ばれる地方在住の若者がその典型で、ジャーナリストの鈴木大介氏が『最貧困女子』(幻冬舎新書)でこの言葉を使った。

 鈴木氏が紹介するプア充は北関東に住む28歳の女性で、故障寸前の軽自動車でロードサイドの大型店を回り、新品同様の中古ブランド服を買い、モールやホムセン(ホームセンター)のフードコートで友だちとお茶し、100円ショップの惣菜で「ワンコイン(100円)飯」をつくる。肉が食べたくなれば公園でバーベキューセットを借りて、肉屋で働いている高校の友人にカルビ2キロを用意してもらい、イツメン(いつものメンバー)で1人頭1000円のBBQパーティを開催する。

 家賃は月額3万円のワンルーム(トイレはウォシュレットでキッチンはIH)、食費は月1万5000円程度だから、月収10万円程度のアルバイト生活でもなんとか暮らしていける。負担が重いのはガソリン代だが、休みの日はみんなでショッピングモールの駐車場に集まり、1台に乗ってガソリン代割り勘で行きたいところを回るのだという。宮藤官九郎脚本のテレビドラマ「木更津キャッツアイ」で描かれた世界そのままで、彼ら彼女たちの生活は友だちの絆によって成立している――。

 しかし最近になって、「プア充の幸福」を疑問視する調査結果が次々と現われた。といっても、「プア」の女性のなかに幸福度が(高いとはいえないとしても)低くないひとがたくさんいるのはまちがいない。問題は男性で、「プア」だと幸福度が極端に低くなるのだ。

非大卒より大卒の方がポジティブ感情が高い
 日本では社会学者を中心にSSM(社会階層と社会移動全国調査Social Stratification and Social Mobility)、SSP(階層と社会意識全国調査Stratification and Social Psychology)という大規模な社会調査が行なわれており、直近では2015年に実施された。SSMでは仕事、経済状態、資産、親世代や子ども世代との関係などの情報を自宅訪問で訊ね、SSPでは社会的態度(意見や価値観)、社会的活動や頻度などをタブレットPCを用いた技法で集めている。SSP2015の研究代表者である吉川徹氏(大阪大学大学院人間科学研究科教授)によれば、SSMは「現代社会システムの「ハードウェア」」、SSPは「現代日本人の「社会の心」」の実像を知るための調査だ。

 その吉川氏は『日本の分断 切り離される非大卒若者(レッグス)たち』(光文社新書)で、SSPを使って現代日本人の「ポジティブ感情」を比較している。

 ポジティブ感情は、以下の4つの指標で構成されている。

(1) 階層帰属意識 自分が「上層階層」に属していると思うか
(2) 生活満足度 生活全般に満足しているか
(3) 幸福感 現在どの程度幸せか
(4) 主観的自由 「私の生き方は、おもに自分の考えで自由に決められる」と思うか

 そのうえで吉川氏は、男女、年齢、学校歴で現代日本人を8つのカテゴリーに分ける。壮年層は(2015年時点で)40代と50代だった約3305万人(昭和育ち)、若年層は20代と30代だった2720万人(平成育ち)。学校歴は「学歴」ではなく、「大卒」「非大卒(高卒、高校中退など)」で区別している。

 詳細は『日本の分断』を読んでいただきたいが、4つの「ポジティブ感情」の得点を合計し、クループ別に高い順に並べると以下のようになる。

@ 若年大卒女性 52.07
A 壮年大卒男性 51.81
B 壮年大卒女性 51.72
C 若年大卒男性 50.75
D 若年非大卒女性 49.85
E 若年非大卒男性 48.81
F 壮年非大卒女性 48.69
G 壮年非大卒男性 47.94

 ここからすぐに見てとれるのは、以下の3点だ。

(1) 同じグループでは男性より女性の方がポジティブ感情が高い(壮年大卒女性は例外)
(2) 非大卒より大卒の方がポジティブ感情が高い
(3) 壮年より若年層の方がポジティブ感情が高い(若年大卒男性は例外)

 より詳細に見ていくと、若年大卒女性(1位)は「上層意識」「生活満足度」「幸福感」「主観的自由」のすべての指標で得点が高いが、壮年(3位)になると「生活満足度」と「主観的自由」が下がる。

 それに対して若年非大卒女性(5位)は「上層意識」と「主観的自由」はかなり低いものの、「生活満足度」と「幸福度」が高いことで得点が上がっている。これはまさに「プア充」の定義そのものだ。ただし壮年(7位)になると、「生活満足度」と「幸福感」も低くなってしまう。

 若年大卒男性(4位)は、同じ年齢層の大卒女性と比較して「主観的自由」はそれほど変わらないものの、「上層意識」「生活満足度」「幸福感」が低いことで大きく差をつけられている。壮年(2位)になると「上層意識」と「主観的自由」の得点で壮年大卒女性(3位)を逆転する。

 若年非大卒男性(6位)は若者のなかでもっともポジティブ感情の得点が低い。これは、「主観的自由」は高いものの「上層意識」が極端に低く、「生活満足度」や「幸福感」も同年代の非大卒女性よりずっと低いからだ。壮年(8位)になると「主観的自由」の得点まで大きく下がり、ほとんど「ポジティブなもの」がなくなってしまう。

 ここで注意しなければならないのは、ポジティブ感情の変化を年齢によって説明できるわけではないが、だからといって「昭和か平成か」という時代で決まるわけでもないことだ。「若年大卒女性はすべての指標で得点が高いが、壮年になると「主観的自由」がなくなる」ということはできない。だからといって、「平成育ちの大卒女性は「主観的自由」が高く、昭和育ちの大卒女性は低い」ともいえない。どちらの可能性もあるものの、因果関係の分析は慎重に行なわなければならないのだ。

「女性の方が男性より幸福度が高い」
 この調査で意外なのは、「女性の方が男性より幸福度が高い」という結果だろう。周知のように男女の社会的格差を示すジェンダーギャップ指数で日本は世界最底辺の110位で、家庭でも会社でも性役割分業があらゆるところに埋め込まれた「男性優位社会」であると批判されている。それにもかかわらず女性の方が人生を幸福だと感じているのなら、これには説明が必要だ。

 保守派の典型的な主張は、「男は外で働き、女は家庭で育児・家事に専念する」という“伝統的”家族(性役割分業)が女を幸せにしてきた、というものだ。アメリカではトランプ支持の白人女性がリベラルな(民主党的)男女平等を批判して同じ主張をしており、保守的な女性のあいだに一定の支持があることはまちがいない。

 日本(SSP2015)でも、「夫が家事や育児をするのはあたりまえのこと?」の質問に、「そう思わない」と否定的な女性は9.1%、「どちらかといえばそう思わない」(35.9%)を加えた「保守的な価値観」の女性は45%と半分ちかくいる。

 興味深いことに、「日本の男性は家事・育児に非協力」というのが定説になっているにもかかわらず、「保守的な男性」は32.9%と3人に1人しかいない。それに対して、「夫が家事・育児をするのはあたりまえ?」に「そう思う」と答えた男性は19.1%、「どちらかといえばそう思う」は48.0%で、合わせて67.1%が「意識のうえでは」イクメンだ。このデータを素直に解釈すれば、「日本の男は家事・育児を積極的にやりたいと思っているが、女がそれを邪魔している」ということになる。

 ほんとうにそんなことがあるのだろうか。

 さらに興味深いのは、「男性は外で働き、女性は家庭を守るべき?」という質問だ。ここでは、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた「保守的」な男性は26.3%に対して、「保守的」な女性は19%しかいない。その一方で、「女は家を守るべき」という伝統的な価値観に反対な男性は73.6%で、女性は80.9%だ。

 あらためて指摘するまでもないが、これは同じ質問(性役割分業への評価)を肯定形と非定形で訊いただけだから、調査対象者が合理的ならどちらでも回答は同じはずだが、実際には質問の仕方で男女の回答は「逆転」する。

 これについて吉川氏は、性役割分業を肯定するかと訊かれると(男性は外で働き、女性は家庭を守るべき?)8割超の女性は否定的に答えるが、「夫が家事や育児をするのはあたりまえのこと?」では、「男性が(家事という)女性の領域に進出することを受け入れるか?」というように質問を解釈して、半数ちかくが肯定することを躊躇するのだろうと述べている。――それに対して男性は、実際に家事・育児をしているかどうかは別として、どちらの質問も約7割が「性役割分業に反対」という“リベラル”な回答をする。

 同じSSP2015で、「あなたはどの程度幸せですか?」の質問に「幸福」と答えたのは男性67.8%、女性74.0%、「生活全般にどの程度満足していますか?」の質問に「とても満足」「やや満足」と肯定的に答えたのは男性67%、女性74.1%で、現代日本では3人のうち2人超が自分は「幸福で生活に満足」と思っている。これは、「日本社会はどんどん劣化し、日本人はますます不幸になっている」という一部の「知識人」の悲観論(ルサンチマン)への有力な反証になるだろう。現代日本社会は、歴史的にも、世界のなかでも、「全般的には」とてもうまくいっているのだ。

 この質問からも、日本の女性は男性より6.2%多く自分を「幸福」だと思い、7.1%多くいまの生活に「満足」している。これはけっして小さくない差だ。

 ただしここから、保守派の「ジェンダーギャップが大きいほど(性役割分業がはっきりしているほど)女は幸福だ」との主張が正当化されるわけではない。男性より女性の幸福度が高いことは日本だけでなく世界共通で、共働きと共同育児が当たり前になった北欧諸国でも女性の幸福度が下がっているわけではない。

 だがそれでも、「女は社会的に抑圧されているのもかかわらず、男より幸福度・生活満足度が高い」という事実(ファクト)にはなんらかの説明が必要だろう。

男と女では「モテ」の仕組みがちがう
「女性は男性より幸福度が高い」というのは、フェミニストにとってよろこばしいことのはずだが、この事実はずっと無視されてきた。これには理由があって、「幸福なんだからいまのままで(女性が差別されたままで)いいだろう」という男尊女卑の肯定になりかねないからだ。そればかりか、「女性差別などささいな問題で、実際に差別されているのは男性なのだから、男の幸福度を上げるような政策を導入すべきだ」というより「反動的」な主張すら出てきかねない。――実際にこのような主張をする論者もいる(ワレン・ファレル『男性権力の神話――《男性差別》の可視化と撤廃のための学問』作品社)。

 社会的地位の低い女性の幸福度が高いという「パラドクス」はこれまでずっとタブーで、(私の知るかぎり)いまだに決定的な説明はない。そこでここでは、いくつか私見を述べてみたい(あくまでも暫定的な仮説だ)。

 ひとつは男女の性戦略のちがい。かんたんにいうと、男と女では「モテ」の仕組みがちがうのだ。

 進化心理学の標準的な理論では、男は繁殖のためのコストがきわめて低く、女はそのコストがきわめて高いと考える。当然のことながら、費用対効果が異なれば、それに最適化された戦略にも大きなちがいが生じるだろう。

 男は精子をつくるのにほとんどコストがかからないため、自分の遺伝子を後世により多く残すのに最適な性戦略は、「(妊娠可能な)女性がいたら片っ端からセックスする」になる。ユーラシア大陸の大半を征服して巨大なハーレムをつくったチンギス・ハンのように、とてつもない権力を持つ男はとてつもない数の子孫を残すことができる。モンゴル人のじつに4人に1人がチンギス・ハンの「直系の子孫」で、世界の男性(約37億人)の0.5%、すなわち1850万人が“蒼き狼”と男系でつながっているとの研究もある(太田博樹『遺伝人類学入門―チンギス・ハンのDNAは何を語るか』ちくま新書)。

 それに対して女は、いったん妊娠すれば出産まで9カ月かかり、生まれた赤ちゃんは1人では生きていけないから1〜2年の授乳期間が必要になる。この制約によって、生殖可能年齢のあいだに産める子どもの数には限界があるし、出産後も男(夫)からの支援がないと母子ともども生きていけなくなってしまう。この「支援」というのは、旧石器時代を含む人類史の大半では動物の肉などの食料で、農耕社会以降は穀物や金銭に変わった。ここから女性にとっての最適な性戦略は、男性とのあいだで長期的な関係を築くことになる。

 進化論的には、「愛の不条理」とは、男の「乱婚」と女の「純愛」の利害(性戦略)が対立することなのだ。――こうした説明を不愉快に感じるひとはたくさんいるだろうが、これについては進化心理学者が膨大なエビデンス(証拠)を積み上げている。

「現代の進化論」は、「男女の性戦略の対立から、人間社会は一夫多妻にちかい一夫一妻になった」と説明する。甲斐性(経済力)があれば1人の男が何人もの女性を妻(愛人)にできるが、甲斐性がなければせいぜい1人だ。そして男女の数が同数なら(実際には多くの地域で男の方が多い)、小学生でもわかる単純な計算によって、生涯を独身で終える男が大量に生まれることになる。

 こうして男は「モテ」と「非モテ」に分断されるが、女は(「モテ」のレベルは異なるとしても)結婚可能性がずっと高い。男女ともに「ソロ化」が進んだ日本でも、(50歳時点でいちども結婚したことのない)生涯独身率は男性23.4%、女性14.1%(2015年)と大きな差がある。

 恋人もおらず、結婚もできないのなら、幸福度は高くならないだろう。これが男女の幸福度のちがいに反映しているというのが第一の仮説だ。

現代日本社会でもっとも幸福度・生活満足感が低いのは非大卒の男性(ヤンキー/ヤンチャ)
 第二の仮説は最初の説と重複するが、男女で社会的な地位(格差)に対する感じ方が異なると考える。

 サルや類人猿を見ればわかるように、一夫多妻(ゴリラ)や乱婚(チンパンジー)の種ではオスの権力闘争がはげしくなり、明確なヒエラルキーが形成される。動物園のサル山に行けば、素人でもどれがボスザル(アルファオス)か見分けることができるだろう。

 それに対して、メスのヒエラルキーはきわめて判別しにくい。チンパンジーでは、オスのような階級はメスにはないとされていた。それが最近になって、飼育環境や野生でのチンパンジーの詳細な観察によって、グルーミング(毛づくろい)の順位などからメスにもアルファがおり、ゆるやかな階層がつくられていることが判明した。

 このことは、人間社会にも当てはまる。ファミレスなどに男子高校生の集団がいると、そのなかで誰がリーダーかはすぐにわかる。それに対して女子は、ファッションのちがいなどでいくつかのグループができているものの、そのなかで誰がリーダーかを見分けるのは困難だろう。

 これは、(進化論的には)女は男よりパートナー獲得競争がはげしくないことと、欺瞞的な戦略をとる男から身を守るために、女同士の情報ネットワークを発達させる必要があったことから説明される。

「乱婚」を求める男にとって女とより多くセックスするもっとも効果的な戦略は、「純愛」を提供することではなく(これだと1人の女としかつき合えない)、「純愛」の空約束を振りまくことだ。これが(誰もが思い当たる)男の「欺瞞戦略」で、サピエンスは何十万年もこんなことをやってきた。

 しかしこれでは女は踏んだり蹴ったりなので、男の空約束に対抗する武器を手に入れたはずだ。そのひとつが「噂話」で、女集団のなかで「どいつが外面だけのチャラ男か」「イカサマ男はどんな手口を使うのか」の情報交換をすることはものすごく役に立ったのだ。――これは現代日本では「恋バナ」と呼ばれている。

 ここから、男は「階層帰属意識」がモテに直結し、自分が上層か下層かをものすごく気にするのに対して、女は階層をあまり気にしないのではないかと予想できる。そして、SSPにおける若年非大卒男性と女性のちがいは、まさにこの予想に合致している。

 社会学者の橋本健二氏が『アンダークラス 新たな下層階級の出現』(ちくま新書)で指摘するように、現代日本社会においては、非大卒(高卒/高校中退)が下層(アンダークラス)を形成している。非大卒の若い男性は自分の階層を強く意識していて、その結果、幸福度も生活満足感も低い。それに対して若い非大卒女性は、自分がアンダークラスであることを意識してはいるものの、そのことが幸福度や生活満足感の低下には直結しない。だからこそ「プア充」として、それなりに充実した生活を送ることができるのだろう。

 第三の仮説は、これまでの説と両立可能だが、「女性は生得的に男性より幸福度が高い」というものだ。

 近年の脳科学では、「ひとはそれぞれ異なった幸福度の水準を持っている」と考える。幸福度の水準が高いひとは、不幸な目にあってもあまり気にせずすぐに回復するが、幸福度の水準がもともと低いひとは、よいことが起きてもあまり幸福度が上がらない。これは幸福の「個人差」だが、男女による「性差」があったとしても不思議はない――ただし男女の生得的な幸福度のちがいを調べた研究は(たぶん)ない。

「女の幸福度は生得的に男より高い」との仮説は、「日本は性差別的な社会」というフェミニズムの批判とも整合的だ。遺伝的な優位性があるにもかかわらず、壮年大卒女性のポジティブ感情は壮年大卒男性を下回っているのだから、これは前近代的な「おっさん支配」だと考えるほかはない。

 いずれにしても、社会学の大規模調査が明らかにしたのは、現代日本社会でもっとも幸福度・生活満足感が低いのは非大卒の男性だという「事実」だ。この集団は一般に「ヤンキー」と呼ばれていたが、最近では「ヤンチャ」が使われるようになったようだ。

 ということで、次回は「ヤンキー/ヤンチャ」たちがどのような困難を抱えているのかを考えてみたい。

https://diamond.jp/articles/-/195501


男性権力の神話――《男性差別》の可視化と撤廃のための学問 単行本 ? 2014/4/17
ワレン・ファレル (著), 久米 泰介 (翻訳)

内容紹介
男性への性差別の実態を明らかにした、全米30万部のベストセラー。

アメリカを代表する〈男性学〉研究者が、男性も社会の中で差別されているという事実を、様々な具体例やデータによって提示した〈男性研究〉の基本書。世界的なベストセラーとなり、『ワシントン・ポスト』紙において、「新鮮な観点から実世界を見ることを私たちに強いる」と評された。

「生きづらい男性が増え、『男は強い』という考え方が残り続けている日本社会でこそ、この本は必要」――山田昌弘氏(中央大学教授・家族社会学)推薦!

内容(「BOOK」データベースより)
アメリカを代表する“男性学”研究者が、男性も社会の中で差別されているという事実を、様々な具体例やデータによって提示した“男性研究”の基本書。世界的なベストセラーとなり、『ワシントン・ポスト』紙において、「新鮮な観点から実社会を見ることを私たちに強いる」と評された。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ファレル,ワレン
1942年、アメリカ、ニューヨーク生まれ。ニュージャージー州のモンテクレア州立大学卒業(社会科学)。カリフォルニア大学で修士号(政治学)、ニューヨーク大学で政治学博士号を取得。その後、カリフォルニア大学サンディエゴ校、ブルックリン大学、ジョージタウン大学、ラトガース大学で心理学、社会学、政治学、ジェンダー学についての教鞭をとる。1970年代から、National Organization for Women(NOW、全米女性機構)の役員に三度選出される

久米/泰介
1986年、愛知県生まれ。関西大学社会学部卒業後、ウィスコンシン大学スタウト校で家族学のMS(修士)を取得。専門は社会心理学とジェンダー(男性における)、父親の育児(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


5つ星のうち5.0男性差別を明らかにする良著
2016年4月11日
Amazonで購入
いかに男性が差別されているという事実が隠されているのかを統計や調査による数値にもとづき明らかにしていくものである。

男性が権力を持っているという嘘。
女性はいつも被害者であるという嘘。
男性の犠牲の上で、女性が得ている利益。
仕事上の死亡者の94%が男性であること。
(自分の住んでいる家や家具、食べ物が、どれだけの男性の死の危険や体の欠損や障害のリスクの上で当たり前のように提供されているのか)

また、恋愛における男性が置かれている過酷な状況も説明している。
男性は金銭的負担や心理的な拒絶されるリスクを負って積極的に女性にアプローチしなければならないのに対して、
女性が自分の意思で男性の部屋に行き、酒を飲み、セックスすることに対して「イエス」と口頭で答えていても、
翌日考え直して「レイプされた」として告訴することができる。

フェミニズムが女性の性を神格化し、女性の意思は絶対であるとしてきたことで、男性が過度の負担と人生を破壊されるリスクを負っていることを明らかにしている。

この本は1993年、すなわち今から20年以上前に書かれたものであることが衝撃的である。
アメリカの社会的な潮流は20年遅れて日本にやってくるという。
フェミニズム(女性学)に対抗するマスキュリズム(男性学)の第一人者として、この著作の翻訳者である久米 泰介氏がフェミニズムに汚染された日本社会に風穴を開けてくれると信じたい。
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西南大関
5つ星のうち5.0山田昌弘氏の序文が最悪
2015年5月21日
Amazonで購入
山田昌弘氏の序文が最悪である。この本は男性差別についてかかれた本である。それなのに、「男性が生きにくい社会」とオブラートでくるんでしまい、問題をぼやかそうとしてしまっている。こんなバカ丸出しの裏切り者に序文を書かせてしまったのは、編集者の落ち度であろう。彼の序文は男性差別と一言でも言おうものなら、「そんなことないよ」というデマゴーグが大量に発信されなかったことにされてしまう現代日本を象徴している。本自体はとてもいい本だ。
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θ
ベスト500レビュアー
5つ星のうち5.0反フェミニズムなのではなく、むしろフェミニズムと補完的な視座
2015年5月6日
女性差別についてはさまざまな撤廃運動が存在し、法制度的にも様々な措置が取られている。
本書はそれに対し、あまり表で取りざたされることのない「男性差別」の実態について取り上げる。

我々は「男性=強者」というイメージを持っているがゆえに、男性が差別され弱い立場に立つということは見逃されやすい。
しかし、例えば精神的に極限まで追い詰められている度合いを表す自殺率は男性の方が有意に高く、また路上生活者率も男性の方が圧倒的に多い。
また、工事現場や消防士などの身体に危険を伴う職業も9割以上が男性であり、しかしそれが男性によって担われているという事実は例えば「fireman」という表現が「fireperson」に直されるなど、むしろ隠される傾向にある。
最も顕著なのは軍隊で、戦闘に女性が参加することは皆無であり、死のリスクはすべて男性が負わされる。

また、刑務所収監率、死刑率(判決も執行も)も男性が有意に高い。
上記の戦争の場合も含め、これはしばしば「男性の凶暴性」の論拠として挙げられるが、筆者はむしろ男性が底辺に追いやられて困窮していると見るべきだという。
例えば、ある地域で黒人の犯罪率が高かったとして、それは「黒人が経済的に恵まれないことによる」と捉えられることが普通で「黒人の凶暴性」などと見るのはむしろ黒人差別の証とみなされる。これと同じである。
そして、同一の犯罪を犯しても、男性の方が明らかに刑期が重くなり、また正当防衛等も男性には認められにくく女性は認められやすいことが指摘されている。

男性への負荷のもう一つの要素に経済的支柱となることを要求されるということを挙げている。
これはデート代を誰が持つかというレベルから、家計が苦しいときにだれの責任でだれが無理をしなければならないとみなされるか、といった深刻なレベルまでさまざまに存在する。
そのため男性には「働かない」という選択肢が与えられず、すでに述べたような危険な仕事をせざるを得なくなったり、あるいは追いつめられて自殺してしまうこともある。
そして、このような背景があっても、子供と接する時間が仕事によって取れないと「育児をしない父親」と批判的に見られ、一方で経済的に支えているから「父親の方が権力者」と言われたりする。
これは権力者ではなく、むしろ「嫌々負わされた役割」と見るべきという。

他にも、DVやレイプ被害が男性も相当程度あっていること(しかし我々はそれをほとんど認識しない)、離婚時の親権要求がほとんど通らない一方で養育費負担は負わされること、等々、さまざまな具体例を挙げている。
ただし、これは「反フェミニズム」であるというよりも、男女の役割分担を「強者である男性による抑圧」とみなして攻撃していたフェミニストの姿勢を批判し「男女が共に不利益をこうむるシステム」と見て男女ともによい環境になるような改善を訴えているのであり、これはフェミニズムと補完的な位置にあるといった方がいいであろう。

あえてカウンターの位置にするためにいささか強引な議論もある(ギリシャ神話を引くのは正直論拠にもならないし、事例一つで話を進める部分もあったりする)が、見落としがちな視点を指摘する場所も多く、なかなか新鮮である。
ジェンダーに関心のある人は、むしろフェミニストであればこそ、本書を読むべきだと思う。
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男性・古代遺跡ファン
ベスト500レビュアー
5つ星のうち4.0書かれている内容は正しいが、価格が高い。
2015年10月12日
内容は正しいと思います。社会の中で見落とされがちな男性の弱者についてフォーカスを当てた本。
結局フェミニズム論は男尊女卑論を裏表にしただけで、平等主義とは程遠い物です。よく言われる事ですが、フェミニズム論と男女平等は目指す方向性が明らかに違う。この部分を混同している人が多い。日本は特にその傾向が強いのですが、この本だけでは日本の問題点を検証する事は出来ない。

しかし、参考にはなると思います。また、日本に特有の問題としては、女性の国会議員が少ないという部分はあるかと思われます。しかし、逆に言えば、男尊女卑が成立しているのは国会の中の話だけとも言えます。それは一般社会に特化出来ず、もっと言えば、男性間格差の問題も深刻です。女性に弱者が存在する様に男性にも弱者が存在していて、そういう男性など居ないという前提で議論を進めるのはフェアーじゃない。その点を喚起するだけでも充分意義深い事だと考えます。
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asp3/
5つ星のうち4.0日本語訳版を出すのが遅すぎたがそれでもありがたい一冊
2014年9月6日
本の帯を見る限り、原著は ”The Myth of Male Power” というタイトルで1993年に出版されたようだ。アマゾンでその本を検索したところ、アメリカの出版事情について詳しくは分からないが、何度か再版のような感じのことが行われていたらしいことが分かった。

既に20年以上前に出版された本なのになぜ今頃になって・・・と思った。遅すぎる。もっと早く日本語訳版が出てほしかった。でも、それでも日本語訳版を出版してくれたことはとてもありがたい。今後も外国の
【男性差別問題を扱い、その解消を求めるような書籍】
の日本語訳や、

日本国内・日本人等による
【男性差別問題を採り上げ、その解消を求めるような書籍】
を多く出版して売れてほしいものです。

このレビューを書いた2014年9月6日土曜日の時点では、まだざっとしか読んでおらず、私はこの時点ではこの本に対してのレビューをする資格はないかもしれません。ですがざっと読んだ限りだと、アメリカでの「男性差別」の事例とそれに関連するマスキュリズム的考察が続いていました。 それが本書の大雑把な内容だと捉えていただいてもよいと思います。

ページ数は400ページを超えるうえ、文字も小さめ、文章は英語を訳したもので日本語の感覚からするとまわりくどい(英語の文法・語彙の関係で、英語を訳した文章は独特のまわりくどさがある傾向を感じる)。読むのは大変そうだ。だが、この本は「男性差別」をなくそうという意図が感じられる内容だった。男性の弱者性・被害者性をきちんと認識し、それを男性の責任だけにせず、きちんと男性にかかっている性差別も女性にかかっている性差別もなくそうという意図を感じられた。
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Amazon カスタマー
5つ星のうち5.0Amazon カスタマー
2018年5月26日
本書の浸透、また、示されている現状の認知を期待しております。
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神代晶
5つ星のうち4.0ジェンダー論必須の一冊
2014年5月7日
訳されたのが遅すぎるとも言える、男性差別に関する本。ジェンダーを学ぶ者としては女性差別、セクシュアル・マイノリティに関する本と並ぶ必携の書。ジェンダー論、社会学が専門の者は全員本書を読むべきと言っても過言ではない。

ジェンダー論と言えば、女性やセクシュアル・マイノリティの問題しか語られないことが多いが、男性が犯罪者など悪者にされる偏見、徴兵や犯罪で暴力の対象になっても被害者として認知されにくい問題など、男性差別について論じられている。

日本においても女性専用車両やレディースデーなどといった男性差別が平然と行われ、それが人権侵害だということがほとんど語られずにいるが、多くの人が本書を読んで、本当の意味での性の平等が実現されればと思う。

星を一つ減らした理由は以下の通り。
1.訳されずに省略された個所があること
2.差別の事例ばかりで理論的な考察が乏しかったこと(評者は原著未読のため、原著の省略された部分にはあるかもしれない)
3.山田昌弘氏の推薦文で差別という社会問題を表す語を一切使わずに「生きづらさ」という個人の内面に関する語しか利用していないことが「男性は社会的に差別されているわけではない」という印象を持つようミスリーディングしているように見えること
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https://www.amazon.co.jp/gp/product/4861824737/ref=as_li_tf_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4861824737&linkCode=as2&tag=mailmagazin0e-22


アンダークラス (ちくま新書) 新書 ? 2018/12/6
橋本 健二 (著)
内容紹介
就業人口の15%が平均年収186万円。この階級の人々はどのように生きているのか? 若年・中年、女性、高齢者とケースにあわせ、その実態を明らかにする。

内容(「BOOK」データベースより)
非正規労働者のうち、パート主婦、専門・管理職以外の人々は、日本には約九三〇万人いる。その平均年収はわずか一八六万円で、その貧困率は高く、女性ではそれが五割に達している。いじめや不登校といった暗い子ども時代を送った人が多く、健康状態がよくないと自覚する人は四人に一人の割合である。これら「アンダークラス」に属する人びとを、若者・中年、女性、高齢者と、それぞれのケースにわけ、調査データをもとにその実態を明らかにする。今後の日本を見据えるうえで、避けては通れない現実がそこにある。

著者について
1959年生まれ。東京大学教育学部卒。東京大学大学院博士課程修了。静岡大学教員などを経て、現在、早稲田大学人間科学学術院教授。専門は社会学。著書に『階級都市』(ちくま新書)、『新・日本の階級社会』(講談社現代新書)、『「格差」の戦後史』『はじまりの戦後日本』(河出ブックス)、『階級社会』(講談社選書メチエ)などがある。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
橋本/健二
1959年生まれ。東京大学教育学部卒。東京大学大学院博士課程修了。静岡大学教員などを経て、早稲田大学人間科学学術院教授。専門は社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


くくくくままま
ベスト500レビュアー
5つ星のうち4.0原宿暴走事件を本書から読み解けるだろうか?
2019年1月4日
形式: 新書Amazonで購入
 日本に約930万人いるアンダークラス、すなわち「非正規労働者のうち、家計補助的に働いているパート主婦と、非常勤の役員や管理職、資格や技能をもった専門職を除いた残りの人々(p.8)」について、SSM調査など「主に計量的なデータを用いながら(p.13)」その窮状を明らかにし、解決策を探る書。
 冒頭に、アンダークラスの人々の素描がなされる。そこには
「平均年収はわずか一八六万円で、貧困率は三八・七%と高く……仕事の種類は、マニュアル職、販売職、サービス職が多く、その多くがフルタイム並みに働いて……結婚して家族を形成することが難し(く)……暗い子ども時代を送った人が多く……健康状態にも問題(があり)……支えになる人も、少ない(pp.9-10)」
 とあり、著者でなくとも「絶望のアンダークラス(p.128)」と言いたくなる。
 しかも、約283万人存在すると推定される、「アンダークラスと連続する(p.185)」失業者・無業者は「アンダークラス以上に厳しい状況にあることが推察できる(p.190)」という。
 基本的に統計データを分析する書であり、ケーススタディのように読みやすくはない。また、(研究者の書であり、恣意的だったり、「確証バイアス」にとらわれているとは思わないが)「果たして、こういうデータの読み方でいいのかな?」思う箇所がないわけではない。
 例えば、「図表1−2b 首都圏の年収200万円未満世帯比率推定値(p.24)」の地図から「貧困率の高い地域は、外周部、とくにJR線から遠い地域に多い(p.23)」と読み取ることは私にはできなかったし(カラーだったらもう少し見やすかったかもしれない)、「図表8−6 所得再分配と憲法九条改正」の「(4)専業主婦」のグラフ(p.233)から「所得再分配に反対する人ほど、九条改正に賛成する人の比率が高くなっている(p.234)」とも読めない。
 そういった細部はともかく、「……就業可能人口の二割近くにも達する人々が、不安と苦痛に満ちた人生を送るような社会は明らかに病んだ社会(p.214)」であり、「いまあるアンダークラスが、この社会のなかに安定した居場所を確保し、他の人々と同じくらいの満足と幸福を得ることができるようにするという、大きな社会的目標を共有すること(p.245)」がまずは重要であるという著者の主張には賛成。
 しかし、「問題は、そのアッパークラスの人たちが、自分たちが社会のどの位置に属しているのか、いまいちわかっていないこと(p.18)」という阿部彩の指摘(阿部彩/鈴木大介『貧困を救えない国 日本』PHP研究所)を考えると、道は遠いと思わざるを得ない。
 いかにアンダークラスや失業者・無業者の状況を社会的に可視化するかということが課題だろうか。
 その他、気づいたことなど。
1 日本における非正規雇用者の急増を1990年代半ば以降と私は思い込んでいたが、著者によると1980年代以降ということになるようだ。
2 同様に、日本の労働者は1990年代以降、おしなべて貧しくなってきていると私は思っていたが、2005年と2015年を比べたとき「正規労働者に限っては、収入が増加して」、その結果、正規と非正規の「格差はますます拡大している(p.45)」。
3 ガルブレイスが、アメリカのアンダークラスについて、「満ち足りた多数派」対「アンダークラス」という図式を提起しており、「ガルブレイスの描いた米国社会の構造は、日本にも多くの点で共通のものといっていい(p.64)」ということ。
 著者は、2008年の秋葉原通り魔殺傷事件について「……若く貧しい非正規労働者が増加していることが事件の背景にあると論じている現地の報道をみて、『とうとう起こったか』という感慨に襲われた(p.242)」と記す。ちょうど、本書を読んでいる間に、原宿暴走事件が起きた。速断は避けるべきだが、はたしてこの事件も新・階級社会化やアンダークラスの出現・定着を背景としたものなのなのか気になる。
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たつ
5つ星のうち1.0データ分析としては最悪。中身は理解可能
2019年1月12日
形式: 新書
あまりレビューは書いたことないが、
不幸な人を増やさないために書きます。
(なので、アマゾンの購入でもありません。)

一般的なデータ分析可能な人が読むと、この本の論はほとんど成立しないことがすぐにわかると思う。
書いてある結論は正しい可能性があるが、その根拠としているデータ分析に誤り、または思い込みによる勝手な仮定づけが多い。

このような書を恥ずかしげもなく出した筆者とともに、出版担当者も反省してほしい。

一番ひどいと感じたのは、
幸福か、というアンケートに対する論評。
アンケートによる幸福度アップ=実質の不幸度アップ
とした分析は、データ分析として最悪である。

なお根拠は、
この先幸福になれない、と感じている人こそ、
今は幸福だ、と回答して自己を満足させている
という前提だ。
感情論としては理解できるが、この仮説を実証もなしに 前提とすることは
社会科学として許すことはできない。

私見では、このような論が社会に出ること自体が、社会として益を損ねていると思う。
筆者には猛省していただきたい。
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hatayan
5つ星のうち4.0現れてきた「新しい貧困層」
2018年12月16日
形式: 新書
2018年の前著『新・日本の階級社会』で日本の階級像の新しい貧困層として示した「アンダークラス」を詳しく解説。
格差が拡大するなかで、日本にも正規労働者とは明らかに区別できる層が生まれてきたことを統計をもとに解説します。
特に深刻なのは、一家の大黒柱の役割を期待されながらも非正規で働く人々。「フリーター」として1990年代に社会に出た世代が10年後に年金を受け取る年代になると格差がより見える形で現れ、社会保障などの施策にも影響を与えるのではないかと予想します。
格差が生まれるのは自己責任と考える傾向は裕福になるほど強くなりますが、病気や事故などで職を失い窮地に陥る可能性は誰にでもあるものです。当事者であるアンダークラスが格差の縮小と貧困の解消を訴えていくことが、社会的な損失を防ぐ有効な手段であるとします。
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旋歩
5つ星のうち4.0実証とは何か?
2019年1月29日
形式: 新書
他の人のレビューに、古市憲寿の『絶望の国の幸福な若者たち』を前提としている箇所がこの本にあり、実証的な社会学としては問題だと書かれていたが、そもそも幸福や不幸ということを「実証」することは不可能なわけで、個々人の幸福の度合いは程度の問題として受け取るより他ないと思う。
この箇所はわずかな瑕瑾と言えるか言えないかというほどのものでしかない。
「アンダークラス」という階級が厳然と存在することを、データに基づいて明らかにし、提示したことにこそ意味がある。
「アンダークラス」の存在を、当人たちの幸福か不幸かという曖昧な自己認識によって否定することは、それこそ無根拠としか言いようがない。
この本の内容が全く正しいとは思わないが、日本の現状を認識する上では意味のある仕事だと思った。
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自販機で小銭を集める老女に
1万円を渡すことは効果的な慈善と言えるのか?
[橘玲の日々刻々]

 昨年の暮れ、いろいろ用事が立て込んで深夜3時過ぎに仕事場を出て、徒歩で15分ほどの自宅に向かって歩いているときのことだ。私の前を、分厚いオーバーの下に重ね着した小柄な老女がビニールバッグを抱えて歩いていた。自販機があるたびに立ち止まり、釣銭の返却口を一つひとつ調べている。 

 昼間だと人目が気になるから、誰もいないこの時間を選んで、わずかな小銭を手に入れようとしているのだろう。そう思って、見てはならないものと遭遇したときにように目を伏せて老女を追い越したあと、ふと考えた。財布から1万円札を取り出し、いまから引き返してあの老女に渡すべきではないだろうか。

 こうした行動は、経済学的にはじゅうぶん正当化できるように思える。老女が朝までかけて近隣の自販機をすべて回ったとしても、手に入るのはせいぜい100円か200円だろう。それに対して、財布から1万円札が1枚減ったとしても、私がそれを気にする理由はほとんどない。

 お金の効用を考えれば、1万円は老女にとってものすごく大きく、私にとってはそうでもない。だとすれば、お金の価値が小さな側から大きな側に移転することで全体の効用は大きくなるだろう。

 誤解のないようにいっておくと、これは政府による所得の再分配について述べているのではない。私のお金をどのように使おうと私の自由なのだから、1万円札を財布に入れたまま何カ月も持ち歩くより(キャッシュレス化が進んだ東京では現金を使うことはほとんどなくなった)、ずっと有効に活用する機会が目の前にあるのなら、経済合理的な個人はそちらを選択すべきではないのか、という話だ。

 もちろん、老女に現金を渡さなくてもいい理由はいくらでもあるだろう。

 困っているひとは世の中にたくさんいるのだから、誰にお金を渡して誰に渡さないかの基準をどうやって決めるのか。その老女が見知らぬ人間から(それも午前3時に)いきなり1万円札を渡されて、喜ぶかどうかなどわからない。そもそも、そんなことで人助けができると思うことが傲慢で、たんなる自己満足だ……。

 私もこうした理屈をあれこれ思いつき、「まあいいか」と思って家に向かった。

 こんなささいな出来事を思い出したのは、ウィリアム・マッカスキルの『〈効果的な利他主義〉宣言! 慈善活動への科学的アプローチ』(みすず書房)を読んだからだ。原題は“Doing Good Better(よりよく「よいこと」をする)”で、功利主義の立場から、まさにここで述べた問いに答えようとしている。――マッカスキルはオックスフォード大学准教授で、NPO団体のGiving What We Canや80000hoursを運営している。

それでも慈善は正当化できる
 慈善(フィランソロピー)をどう考えるかは、現代の倫理学にとってきわめて重要な課題だ。すこしでも現実を理解している者にとって、「かわいそうなひとがいるから寄付すべきだ」という安易な感情論が成立しないことは当然の前提になっている。

 これまで何度か慈善(よいこと)について書いたことがあるが、どれもよく読まれていることから、読者の関心が高いことがわかる。

「”悲惨な現場”を求めるNGOの活動がアフリカで招いた不都合な真実」では、欧米のひとびとの“善意”によって、アフリカで「両手切り落とし団(カット・ハンド・ギャングズ)」というおぞましい集団が誕生した経緯を述べた。

「”フェアトレード”の不公正な取引が貧しい国の農家をより貧しくしていく」では、「公正(フェア)」の名の下に市場原理を否定することで利権が生まれ、貧しいひとたちがより苦しむことを指摘した。

「2015年までに世界の「絶対的貧困」を半減させるという野心的なプロジェクトはその後どうなったのか?」では、経済学者ジェフリー・サックスがロックグループU2のボノや女優アンジェリーナ・ジョリーを巻き込んで、鳴り物入りではじめた「ミレニアム・ヴィレッジ・プロジェクト」が“貧困ポルノ(poverty porn)”と総括されたことを書いた。

 こうした実情を知れば知るほど、「寄付なんてしたってしょうがない」とか、さらに「寄付をしないほうが世界はよくなる」などと考えるのも理解できる。――じつは私もそう思っていた。

 それに対してマッカスキルは、こうした批判を受け入れたうえで、それでも慈善は正当化できるという。

 バングラデシュの経済学者ムハマド・ユヌスは、マイクロクレジット(グラミン銀行)によって途上国の貧困を大きく改善したとしてノーベル平和賞を受賞した。私も、マイクロクレジットにはさまざまな批判はあるものの、一定の成果を出していると考えていた。

 だがマッカスキルはこれを、「証拠の信憑性が低いもっとも痛烈な例のひとつ」だという。「質の高い調査を行なうと、マイクロクレジット・プログラムは所得、消費、健康、教育にほとんど(またはまったく)効果を及ぼしていないことが証明された」のだ。

「マイクロローンは起業ではなく食品や医療といった追加の消費活動にあてられることが多く、ローンの利息は非常に高いのがふつうだ。さらには、長期的な財務の安定を犠牲にして短期的な増収をはかろうという誘惑を生み出し、返済不能な債務に陥ってしまう場合があるのだ。最新の調査によると、マイクロクレジットは平均的には人々の生活をやや向上させるようだが、決してさまざまな成功談が描いているような万能薬とはいえない」

 こうした悲観論を前提として、それでもなお慈善に楽観的になれる理由があると主張するのが、マッカスキルが凡百の「いいひと」とちがうところだ。なぜなら慈善には、ときにものすごい「大当たり」があるから。

慈善プログラムは玉石混交だが、たまに「大当たり」がある
 マイケル・クレマーとレイチェル・グレナスターはともに20代の一時期をケニアで過ごし、アフリカの貧困を改善するのになにができるかを考えてきた。だがハーバード大学やオックスフォード大学で経済学を学んだ2人には、国連のミレニアム・プロジェクトのような「きれいごと」の羅列になんの効果もないことがわかっていた。

 そこで、アフリカの子どもたちを支援するのにどのようなやり方がもっとも効果的なのかを科学的な方法(ランダム化比較試験)で確かめてみることにした。

 クレマーとグレナスターはまず、学校に教科書を配布するプログラムの効果を調べてみた。教科書が充実すれば学習効果が高まると誰もが思うだろうが、実際には成績上位の生徒以外にはなんの効果も及ぼさないことがわかった(配布される教科書は、現地の子どもたちにとってあまりにもレベルが高すぎた)。

 教材を増やしてもダメなら、教員を増やしてはどうだろうか。大半の学校には教師が1人しかおらず、大人数のクラスを受け持っているのだから。だが、1クラスあたりの生徒人数を減らしても目に見える改善はなかった。

 それ以外の「一見よさそう」なアイデアも、ランダム化比較試験では(そのプログラムを実施しない)比較対照群とのあいだに有意なちがいを見出すことはできなかった。

 2人が最後にたどり着いたのは、教育支援とはなんの関係もなさそうなアイデアだった。それは、「腸内寄生虫の駆除」だ。

 このプログラムの特徴は、ものすごく安上がりなことだった。1950年代に開発され、すでに特許切れとなった薬を学校を通じて子どもたちに配布したり、教師が薬を投与したりするだけなのだから。

 もうひとつの特徴は、それにもかかわらず目覚ましい効果があることだ。

 長期欠席はケニアの学校を悩ます慢性的な問題のひとつだが、駆虫によってそれが25%も減少した。治療した子ども1人当たりで出席日数が2週間増え、駆虫プログラムに100ドル費やすたびに全生徒の合計で10年間分に相当する出席日数が増えた。これは、1人の子どもを1日よぶんに学校に行かせるのにたった5セントのコストしかかからないということだ。

 駆虫のメリットは教育だけではなく、子どもたちの健康や経済状態も改善させた。クレマーの同僚たちが10年後の子どもたちの追跡調査を行なったところ、駆虫を受けた子どもたちはそうでない子どもたちに比べて、週の労働時間が3.4時間、収入は2割も多かった。そればかりか、駆虫プログラムはあまりにも効果抜群なので、増加した税収によってコストをまかなうことができた。この慈善活動は、寄付すればするほど「儲かる」のだ。

 ここから、マッカスキルのいう「効果的な利他主義」の意味がわかるだろう。

 慈善プログラムは玉石混交で、なかには寄付なんかしないほうがいいようなヒドいものある。しかしその一方で、寄生虫の駆除のように、ふつうは思いつかないが、「科学的」に検証してみるととんでもなく有効な手法(大当たり)もあるのだ。

 だとしたら「効果的な利他主義者=経済合理的な個人」は、慈善を正しく評価し、自分のお金をもっとも有効に活用できるプログラムに寄付すればいいのだ。

「誰を救って、誰を救わないか」という重い問いに対する回答
 資源が無限にあるのなら、慈善について悩む必要はない。困っているひとすべてに必要な分だけ、お金や食料、薬などを分け与えればいいのだから。

 このように考えると、慈善とは「限られた資源をどのように最適配分すべきか」という経済学的な問題であることがわかる。それはすなわち、「誰を救って、誰を救わないか」という重い問いに答えることでもある。

 医療資源が限られていて、5歳の命と20歳の命のどちらか一方だけしか救えないとしたら、どちらを選ぶべきか? 10人をAIDSから救うのと100人を重い関節炎から救うのでは? 1人の女性をDVから救うのと、1人の子どもを学校に行かせるのではどちらを優先するのか?

 こうした問いにこたえるために、経済学では「質調整生存年(QALY / Quality-adjusted Life Year)が使われる。これは“命を救う(生存させる)”ことと“生活の質(QOL / Quality of Life)のふたつをまとめた指標だ。

 QOL(生活の質)を考慮する必要があるのは、ひとはただ生きながらえていれば、それだけで幸福なわけではないからだ。最期まで家族や友人たちと元気に楽しく過ごせるのなら、多少寿命が短くなってもかまわないと考えるひとはたくさんいるだろう。

 これを簡略化すると、次のようになる。

 あるひとがなんらかの健康上の理由で60歳で死亡するとして、医療技術の進歩で2つの選択肢が与えられた。ひとつは60歳までのQOLを20%向上させ、もうひとつの選択肢は寿命を10年延ばすがQOLは70%に下がる。このどちらが優れているだろうか?

 この問いには、QALYを計算することで回答できる。

 60年間にわたって20%QOLを向上させるのは12QALYだ(60年×20%=12QALY)。それに対して、QOLを70%にして寿命を10年延ばすのは7QALYになる(10年×70%=7QALY)。この両者を比較すれば、寿命を延ばす医療支援よりもQOLを高めることを考えた方がいい。すなわち、財源が限られている場合、ほかの条件がすべて等しいと仮定するなら、QALYが最大になるプログラムに予算を投じるべきなのだ。

 同様に、失業や離婚によって幸福度がどのように変化するかのデータが手に入れば、「幸福調整生存年(WALY / Well-being-adjusted Life Year)を計算できるだろう。慈善の目的は、限られた資源を使ってひとびとを「総体として」より幸福にすることだ。さまざまな慈善プログラムのWALYを比較すれば、費用対効果のもっとも高いプログラムを効率的に発見できるだろう(それと同時に、一見よそうさだけれど現実には災厄しかもたらさないプログラムを排除することができる)。

 この考え方は、個人としての生き方にも応用できる。

 あなたは、欧米や日本のような先進国に「偶然」生まれた幸運を活かして、困難な人生を余儀なくされているひとたちのためになんらかの貢献をしたいと考えている。このとき3つの選択肢があるとしよう。

(1) WALYの高いNPOのスタッフとなって慈善活動に従事する
(2) 高給の仕事についてWALYの高いプログラムに寄付する
(3) 政治家になってWALYに基づいた政策を実現する

 もちろん人生はものすごく複雑だから、どれが正しくてどれがまちがっていると決めることはできない。それでもマッカスキルは、このような「合理的」な思考によって、金融業界に職を得て給与の10%を寄付しようと決めた若者(ローリスク・ローリターン戦略)や、政治家を目指そうとする若者(ハイリスク・ハイリターン戦略)を紹介している。

 高い効果のあるプログラムへの寄付は、確実に「よいこと」につながる。その一方で、政治家として大成できる確率はきわめて低いけれど、もし夢がかなったとしたら、その貢献はとてつもなく大きなものになるだろう。研究者になって「人類を救う」発明をしたり、ベンチャー起業家として「世界を変える」ことを目指すのも同じだ。

マッカスキルが評価する「最高の慈善団体」
 アフリカの貧困、気候変動、動物の権利擁護、アメリカの司法制度改革など、解決しなければならない問題はたくさんある。『〈効果的な利他主義〉宣言!』ではWALYの観点で、どの分野のどの団体が優れているかを評価している。マカッスキルが専門とする貧困問題で効果的な活動をしている団体は以下の5つだ。

(1) ギブダイレクトリー(GiveDirectly) ケニアとウガンダの貧困世帯に条件なしで直接送金を行なっている。

(2) ディベロップメント・メディア・インターナショナル(Development Media International) ブルキナファソの住民に基本的な衛生問題について啓蒙するラジオ番組の制作と運営を行なっている。

(3) 住血吸虫症対策イニシアティブ(SCI / Schistosomiasis Control Initiative) サハラ以南のアフリカ諸国の政府に、学校や自治体を拠点とする駆虫プログラムを実施するための資金を提供。

(4) アゲンスト・マラリア基金(Against Malaria Foundation) サハラ以南のアフリカの貧困世帯に持続性の高い殺虫剤入りの蚊帳を購入し、配布するための資金を提供。

(5) リビング・グッズ(Living Goods) ウガンダで家々を回り、マラリア、下痢、肺炎の治療薬、石鹸、生理用ナプキン、避妊具、ソーラー・ランタン、高効率コンロなどの衛生関連商品を安価で販売したり、健康管理に関するアドバイスを提供したりする地域の衛生推進者たちのネットワークを運営している。

 ここで注意しなければならないのは、マッカスキルが「最高の慈善団体」を挙げていることで、地域は限定されていない。それがサブサハラのアフリカばかりなのは、世界の貧困が特定の地域に集中しているからだ。中国やインド、欧米や日本にも「貧困問題」はもちろんあるだろうが、その解決に1万円寄付するよりも、同じ金額をアフリカの貧困のために寄付した方がはるかに「費用対効果」が高いのだ。

「効果的な利他主義者」としては、自販機で小銭を集める老女に1万円を渡す理由はない
 こうした考え方そのものを拒絶するひともいるだろうが、これを受け入れたうえで、冒頭の私の疑問に戻ってみよう。

「効果的な利他主義者」としては、自販機で小銭を集める老女に1万円を渡す理由はない。彼女は「ゆたかな日本」に生きており、年金や生活保護を受給している可能性が高く、困窮しているとはいえ死に瀕しているわけではない。それに比べてアフリカには、1日100円や200円で暮らさざるを得ず、子どもたちが次々と感染症で死んでいく国がたくさんあるのだ。

 マッカスキルの「効果的な利他主義」への私の疑問は、このように、目の前の不幸に見て見ないふりをする便利な言い訳になるのではないか、というものだ。実際マッカスキルは、(東日本大震災のような)大災害の被災者のために募金することは費用対効果の面で正当化できないと述べている。日本の経済格差も、震災や豪雨や原発災害も、「アフリカに比べればずっとマシ」のひと言でやりすごすことができる。

 もうひとつの疑問は、(これは多くのひとが感じるだろうが)この徹底した功利主義(合理主義)に従うひとがいったいどれほどいるのか、というものだ。

 手に汗して稼いだお金を使う目的は、なんらかの満足感を得るためだ。それが慈善(いいこと)であることもあるだろうが、その場合でも、自分にとってもっとも満足感の高い使い方をするはずだし、そうする権利がある。

「あしながおじさん(おばさん)」になって、貧しい(とはいえアフリカに比べればずっと恵まれている)子どもの教育費用を援助する慈善活動を考えてみよう。このプログラムに寄付すると、子どもから直筆の礼状や写真が送られてきて、将来は援助した子どもを訪ねたり、結婚して子どもができたら訪ねてきてくれるかもしれない(すくなくともそういう場面を想像することはできる)。

 それに対して「最高の慈善団体」に寄付すると、団体からの礼状と追加の寄付を求めるメールが送られてくるだけだ。大半のひとがどちらを選ぶかは考えるまでもないだろう。

 素晴らしい効果が「科学的」に証明されているプロジェクトがあるのなら、ODAなどの資金を使って税金で「寄付」すればいいだけだ。ODAの無駄遣いは強く批判されており、費用対効果をエビデンスベースドで説明できれば有権者も納得するだろう。

 それでも、数少ない「効果的な利他主義者」がいるとしよう。しかしその場合でも、いますぐ寄付しない経済合理的な理由がある。

 あなたが30歳で、一生懸命貯めた貯金が100万円あるとしよう。このお金を「最高の慈善団体」に寄付することもできるが、あなたにはもうひとつ選択肢がある。

 100万円を年利5%で運用すると、10年で163万円、20年で265万円、80歳で死ぬまで50年間運用すれば1147万円だ。

 功利主義的に考えれば、いままさに死のうとしている子どものWALYと、50年後に死の危機にある子どものWALYは等価だ。そう考えれば、あなたはいますぐ寄付するのではなく、そのお金を運用することでWALYを10倍以上にすることができる。

 それにこの戦略には、もうひとつ大きな魅力がある。

 いま100万円寄付してしまえば、あとから後悔してもそのお金は戻ってこない。それに対して死亡時まで寄付を引き延ばせば、その間に思想信条が変わったり、あなた自身が経済的な苦境に陥った場合でも、寄付を取りやめることができる。このように考えれば、功利主義者ほど(いますぐ)寄付しなくなるのではないだろうか。

 とはいえ、これはたんに私がひねくれているだけかもしれない。きわめて刺激的な考え方であることはまちがいないので、あなたがどのように感じるかを知るうえでもぜひ一読を勧めたい。
 

橘 玲(たちばな あきら)

橘玲のメルマガ 世の中の仕組みと人生のデザイン 配信中
作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ヒット。著書に『「言ってはいけない?残酷すぎる真実』(新潮新書)、『国家破産はこわくない』(講談社+α文庫)、『幸福の「資本」論 -あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』(ダイヤモンド社刊)、『橘玲の中国私論』の改訂文庫本『言ってはいけない中国の真実』(新潮文庫)など。最新刊は、『もっと言ってはいけない』(新潮新書) 。
https://diamond.jp/articles/-/194023


〈効果的な利他主義〉宣言!――慈善活動への科学的アプローチ Kindle版
ウィリアム・マッカスキル (著), 千葉敏生 (翻訳)

Social Marketer
5つ星のうち5.0もしあなたが1万円を慈善活動に寄付するなら、そのお金をムダにせず、最も有効に使ってもらうには、どこを選べばよいのか?
2018年12月30日
形式: 単行本Amazonで購入
もしあなたが1万円を慈善活動に寄付するなら、そのお金をムダにせず、最も有効に使ってもらうには、どこを選べばよいのか?
(あるいは、社会に貢献するなら「NGOで働く」「フェアトレード商品を買う」「選挙に行く」といった行動も含め、何をするのがベストか?)

というマニアックな問いに、やたらと定量的な分析で答えている約200ページなのですが・・

・同じ100ドルを寄付するなら?教科書の配布 VS 腸内寄生虫の駆除、ケニアの子ども達の教育にどちらが効果があったのか?
・熱狂的な支持を得て、巨額の資金が投入されたものの、後で「むしろ悪影響だった」と分かった慈善/社会プログラムの事例 ?「プレイポンプ」と「スケアード・ストレート」?
・なぜNGOの財務諸表で、「間接費」(管理費)の比率をチェックするのが、(この本の趣旨からは)全く意味がないのか?
・フェアトレードやエシカル消費は、途上国の発展に本当に役立っているのか?経済学の視点からみると・・
・世界を良くしたいなら、「ソーシャルセクターで働く」のと「稼いで寄付する」のどちらが良い?

などなど、機会費用や期待値、限界効用あるいはランダム化比較試験(A/Bテスト)といった視点で解き明かしていきます。

私はNGO・NPOが寄付を集める「ファンドレイジング」の仕事をしているので、寄付を受け取る団体側への影響を動的or静的に捉えるか?や、寄付する側への幸福度の影響など、それだけじゃないよね!という突っ込みポイントは、個人的にはいくつか浮かびました。
ですが原則的には、寄付されたお金の「費用対効果」を最大化する、というこの考え方には賛同します!

寄付を集める側のマーケティングの視点に経つと、定量的なインパクトというのは、(この本の「功利的な利他主義」の考え方が行き渡らない限り)どこまで効果があるのか・・?というところだったりしますが、インパクトを定量的にご報告して「寄付した良かった」と納得していただくのは、ちゃんとトライしていきたい!と個人的にも思いました。
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Ko ya
5つ星のうち4.0トップギバーって本当はトップtakerなんじゃないか?
2019年2月5日
形式: 単行本Amazonで購入
利他的なことを算数を使って効率よく行なっていくという考えに感銘しました。
give&takeについて軽く知っている人は絶対読んだ方がいいと思います。
「トップギバーが直感的にしているのってこの本に載っていることなんじゃないかな」って感じたのが僕の一番の感想です。
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yasuji
ベスト500レビュアー
5つ星のうち5.0ケースに応じて善意と幸福の因果関係を見直すべし
2018年11月9日
形式: 単行本
 興味深い実例が、善意の行動であっても、その結末が満足できるものであるとは限らないことを教えてくれる。これらの教訓は、本書では取り上げられていないものの、デュエム=クワイン・テーゼの正しさの証明になっている。
 デュエム=クワイン・テーゼとは次のように説明される。従来の実証主義的科学観では、理論はそれに反する実験や観察が見い出されたら、変更しなければならないと考えられてきたが、それぞれの実験や観察結果はネットワーク的に関連し、「場全体」を形成しているので、一つの反証事例が提出されても、理論は変える必要がなくなる(岡本 2012, p.26)。なんだかめちゃくちゃな理論のように思えるが、本書の事例で確認してみよう。

 冒頭に紹介されているケニアの学校の教育改善(テストスコア)の試みで、教科書の配布、フリップチャートの支給、教員の増員を行ったが、目立った効果はなかった。ところが腸内寄生虫を駆除する対策を施したところ、効果抜群であった。このように教育改善の常套手段ではなく、思いもかけない手段が有効だったからといって、教育改善には腸内寄生虫駆除が有効と結論しなくてもよい。これはケニアの学校という教育の「場」のもとでの結論であって、この結論をもってアメリカのカリフォルニアの学校に腸内寄生虫駆除のための薬を持ち込んでも、教育改善の効果がないことは目に見えている。従って従来の方法を変更しなければならないということはないのだ。因果関係はそれぞれの「場」において考察しなければならない。

 注意すべきは、本書の事例の方法が効果的だからといって、それを模倣すれば上手く行くと読んではならない。目的にそってその方法が効果的かどうかを確認すべきだ。こうすれば上手く行くという魔法のような方法はない。こうすべきだという真理もないのだ。
 本書は、因果論でもなく、べき論でもなく、問題に抗して採用する行為の帰結を認識したうえで、その行為の可能性に賭けることを提唱している。これはプラグマティズムの精神そのものである。
 本書は一部の推薦文にあるような、効果的な慈善団体を選ぶための本ではない。自分の善意が本当に役立っていることを知るのは、プライドを獲得することにつながる。本書はそのための指南書である。
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KETAO
5つ星のうち4.0グローバルアジェンダに対する個々人の向き合い方
2018年11月11日
形式: 単行本
貧困や環境破壊などのグローバルアジェンダに対して、個々人としてどう向き合うべきなのか。例えば先進国の医師はアフリカに出向いて疫病と戦うべきなのか、自国で得られる収入を最大限に伸ばし寄付を増やすべきなのか、その場合の寄付先としてどの団体を選ぶべきなのか。

数値を主体とした、いわゆる経済学的アプローチで効用を基準に判断しなければならないというのが著者の主張だ。これを効果的利他主義と呼んでいる。

そこにはQALY(調整生存年)やマイクロモートといったあまり聞きなれないが興味深い指標が組み込まれている。一般的な経済指標と同様に、複雑系に対する限定的なモデリングが腹落ちしがたいが、デザインを中心とした人の欲求・感情を優先する昨今の潮流において、このような視点を得られたことは有難い。

何より多面的な検証が求められる領域だと思うので。
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5つ星のうち5.0ユニセフとかに懐疑的な方
2018年12月1日
形式: 単行本
あなたは正しい。より効果的な慈善活動にコストを集中させるべき。
一人でも多くの方に効果的利他主義を知ってもらい、一人でも多くの命を救いたい。
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2018年8月30日 橘玲 :作家
2015年までに世界の「絶対的貧困」を半減させるという
野心的なプロジェクトはその後どうなったのか?
[橘玲の世界投資見聞録]
橘玲のメルマガ 世の中の仕組みと人生のデザイン 配信中
 人類社会が新たな千年紀(ミレニアム)を迎えた2000年9月、ニューヨークの国連ミレニアム・サミットで、2015年までに世界の「絶対的貧困」を半減させるという野心的な「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs)」が採択された。

 しかし、いったいどうすればこんなことが可能になるのだろうか。「そんなの、ものすごく簡単だよ」といったのが、開発経済学者のジェフリー・サックスだ。2005年に発売された『貧困の終焉――2025年までに世界を変える』はたちまち世界的なベストセラーになった。そこでサックスが唱えたのが「ビッグプッシュ理論」だ。

 ロックグループU2のボノや女優アンジェリーナ・ジョリーが熱心な応援団(広告塔)になったことで大きな話題を集めたが、最近ではサックスの名前を目にすることはほとんどなくなった。あの話はいったいどうなったのだろう。

 そう思ってニナ・ムンク(Nina Munk)の“The Idealist: Jeffrey Sachs and the Quest to End Poverty (イデアリスト:ジェフリー・サックスと「貧困の終焉」の追求)”を読んでみた。

「グローバル経済の敗者」すなわち世界の最貧困層を取材のターゲットに
 著者のムンクは『ニューヨーク・タイムズ』などを経て米誌『バニティ・フェア』で活躍するジャーナリストで、タイムワーナーとAOLの「世紀の合併」の内幕を描いたビジネス・ノンフィクションで注目され、その後はグローバル経済の勝者にして現代の王侯貴族であるヘッジファンド・マネージャーなどを取材した。

 だが彼女は、そうした「金持ちの話」にすぐに飽きてしまったという。そんなときに出会ったのがサックスの『貧困の終焉』で、ムンクは次の取材ターゲットを「グローバル経済の敗者」すなわち世界の最貧困層にすることを思いついた。

 サックスにとっても、ムンクからの取材依頼は渡りに船だった。「ビッグプッシュ理論」を実現するには先進国、とりわけアメリカ社会・政財官界の支持を必要としており、『バニティ・フェア』は大きな影響力をもつ大衆誌だった。こうして両者の利害は一致し、ムンクにはサックスがアフリカで行なうプロジェクトを自由に取材することが認められた。

 ムンクはサックスと一対一で繰り返し長時間インタビューしたほか、「貧困の終焉」を目指すサックスのさまざまな活動にも随伴し、「ミレニアム・ヴィレッジ」と名づけられたアフリカの貧しい2つの村をほぼ5年間にわたって訪れた。

 こうして2013年に満を持して発表したのが“The Idealist”で、文字どおり「理想主義者」のことだ。その徹底した取材は驚嘆すべきもので、欧米で大きな反響を巻き起こし、数々の賞にノミネートされ、フォーブズやブルームバーグ、Amazonなどで「ブック・オブ・ザ・イヤー」の1冊に選ばれたのも当然だろう。

 日本では『貧困の終焉』をはじめサックスの著書の多くが翻訳されているが、残念なことに、その結末を描いた “The Idealist”は日本語になっていない。原書発売から5年を経ていることもあり、今後も翻訳される可能性は低そうなので、ここで概要を紹介してみたい。

「貧困の罠」の本質は初期資本が欠けていること
 絶対的貧困(Extreme Poverty)とは、「人間として最低限の生活(ベーシック・ヒューマン・ニーズ)」が達成されていない状態で、物価の変動を反映させるための何度かの改定を経て、現在は1日1.90ドル(約200円)以下での生活を余儀なくされているひとたちをいう。

 サブサハラ(サハラ砂漠以南)のアフリカは世界でもっとも絶対的貧困の割合が高い地域で、人口のおよそ半分、4億人以上が「最低限の生活」ができない状態に置かれている。なぜこのような理不尽な現状が放置されているのだろうか。そもそもなぜ、ブラックアフリカはこれほど貧しいのか。

 ここで多くのひとは、「奴隷貿易によって搾取されたから」と考えるだろう。もちろんこれは、現在でももっとも説得力のある説明のひとつだが、欧米ではあまり評判がよくない。イギリス、フランスなどアフリカの旧宗主国の白人にとっては過去の傷口に塩をすり込まれるようなものだし、“贖罪”のために莫大は援助(過去50年間に2.3兆ドルとされる)をしたにもかかわらず経済発展にテイクオフできないのは、政治家や官僚の腐敗などアフリカの「自己責任」ではないかとの(感情的な)反論を招き寄せるからだ。

「アフリカ自己責任論」は、誰も公には口にしないものの、「アフリカが発展できないのは人種的に劣っているからだ」という人種主義(レイシズム)を含意している。1970年代まではアフリカ諸国より絶対的貧困率が高かった中国が、わずか30年で「世界2位の経済大国」へと見事に変貌したことが、こうした主張を勢いづかせた。アフリカの経済援助にかかわる白人の専門家のなかでは、これが暗黙の常識になっていることは公然の秘密だ。

 しかしサックスは、「アフリカの貧困は植民地主義時代の“歴史問題”によるものでも、アフリカ人が人種的に劣っているからでもない」というエレガントな説明を提示した。「絶対的貧困に苦しむひとたちは、ゆたかさの階段の最初のステップに足をかけることができない」のだ。

 サックスによれば、アフリカの最貧困地域には満足な医療制度も、社会保障制度も、教育制度もなければ、農業の生産性を高めるための灌漑設備や化学肥料、高収量品種の種子もない。その結果、いくら働いても貧しいままという負の連鎖にはまってしまう。「貧困の罠」の本質は初期資本が欠けていることなのだ。

 最初のステップに足をかけることができなければ、誰も階段を昇ることはできない。これは逆にいえば、一段目に足をかけることができさえすれば、あとは自分で「ゆたかさへの階段」を昇っていけるということだ。これがサックスの「ビッグプッシュ理論」で、「いちどの大規模な援助によって貧しいひとたちを階段の一段目までもち上げれば、彼らは貧困の罠を抜け出せる」と説いた。

 サックスはこれを、「“M word”から“B Word”へ」という。必要なのはMillion(100万ドル)単位ではなくBillion(10億ドル)単位の資金なのだ。

「貧困をなくすための投資には莫大なリターンがある。年間660億ドル(7兆円)を投資すれば800万人の生命を救い、同時に年間3600億ドル(40兆円)の経済的な利益を生み出せる」と、サックスは開発援助関係者の腰が抜けるような数字をあげてみせた。

 この「福音」が欧米のリベラルなひとびとに熱狂的に受け入れられた理由は明白だ。サックスの「ビッグプッシュ理論」が正しいとするならば、最初にちょっと気前のいい援助をするだけで永遠に罪悪感から解放されるのだから。

『貧困の終焉』の成功によってかつてよりずっと大きな注目を手に入れた
 ジェフリー・サックスは1954年にミシガン州デトロイト郊外で高名な弁護士の息子として生まれ、幼少期から“神童”の名をほしいままにした。当然、法律家になるだろうとの両親の期待に反してハーバード大学では経済学を専攻し、弱冠28歳でハーバードのテニュア(終身教授)の資格を取得した。

 サックスの名声を確立したのは、経済学への理論的貢献ではなく華々しい実践によるものだった。

 1985年、南米のボリビアが自由主義経済の導入に舵を切ったとき、31歳のサックスは経済政策顧問として招かれ、大胆な財政改革・市場改革を進言した。財政健全化による失業率の増大などの副作用はともなったものの、これによって1万4000%のハイパーインフレを見事に抑え込んだことでサックスは一躍、開発経済学のスターとなった。新自由主義(ネオリベ)にもとづくサックスの劇薬ともいえる処方性はその後、「ショック・セラピー」と呼ばれるようになる。

 冷戦が崩壊した1989年、サックスは民主化を達成したばかりのポーランドに招かれ、「連帯」指導者の一人で民主ポーランドの初代首相となったマゾヴィエツキの求めに応じてわずか1日で処方箋を書き上げた。この「ショック・セラピー」も、さまざまな弊害をともないながらも、ポーランドが短期間に自由経済に移行するのに大きく貢献したとみなされ、若きサックスの名声は頂点に達した。

 翌1990年、サックスはボリス・エリツィンに招かれ、新自由主義的な経済改革をアドバイスすることになる。だが案に相違して、ロシアは経済発展へのテイクオフに失敗したばかりか、国営企業の無謀な民営化によって「オリガルヒ」と呼ばれる新興財閥が跋扈する異形の経済が誕生し、1998年にはロシア金融危機を起こして財政破綻してしまった。

 それまでの成功に対する嫉妬ややっかみもあるのだろうが、これによって「ショック・セラピー」の伝道師としてのサックスの評判は地に堕ちた。「ミルトン・フリードマンなどの古臭い経済理論を巧みに売り歩くだけのプレゼンテーション屋」と皮肉られるようになったのだ。――ちなみにサックスはロシアでの「失敗」について、急進的な市場改革をエリツィンに指南したディック・チェイニー(ブッシュ政権副大統領)、ロバート・ルービン(クリントン政権財務長官)、ローレンス・サマーズ(同)ではなく自分だけが非難されるのは不当だとムンクに語っている。

 いずれにせよ、新たなミレニアムを迎える頃には、サックスの名声は危機に瀕していた。だが『貧困の終焉』の成功によって、サックスはこの逆境を跳ね返したばかりか、ロックスターやハリウッドのセレブ、さらには国連事務総長(潘基文)まで巻き込んで、かつてよりずっと大きな注目を手に入れることになった。

サックスが始めた「ミレニアム・ヴィレッジ・プロジェクト」
 ジェフリー・サックスは、「絶対的な貧困を終わらせることは簡単(easy)」だという。だとすれば、これまで長年、貧困を改善しようとたたかってきた欧米の開発経済学者や貧困救済団体はいったいなにをしてきたのだろうか。

「彼らは最初からやり方を間違えていたのだ。なぜなら“経済学的に無知(economically ignorant)”で“バカ(idiots)だから」

 サックスの理屈ではそうなるほかはないし、実際、巨大なエゴの持ち主で「傲慢」と忌み嫌われたサックスは“良心的”な貧困問題の専門家を面と向かって罵倒した。当然のことながら、主流派の開発経済学者との非難(というか罵詈雑言)の応酬が勃発した(ウィリアム・イースタリー『エコノミスト 南の貧困と闘う』)。

 サックスは、こうした「無理解」と戦うために、なんとしても「ビッグプッシュ理論」の正しさを証明する必要があった。そこで、持ち前の「プレゼンテーション能力」を発揮して慈善団体などから1億2000万ドル(約130億円)もの巨額の資金を集め、アフリカのもっとも貧しい地域にある10の村で大規模な実験を行なうことにした(最大の理解者はジョージ・ソロスで、サックスのプロジェクトに5000万ドルを出資した)。1日の生活費が2ドル以下で暮らすひとたちの村に、1カ所あたり10億円を超える投資をするのだから、まさに「ビッグプッシュ」だ。サックスはこれを、国連のミレニアム・プロジェクトにちなんで「ミレニアム・ヴィレッジ・プロジェクト(Millennium Village Project:MVP)」と名づけた。

サックスに魅せられた高学歴で純真な「信者」たち
 エチオピア、ウガンダ、ケニア、タンザニア、マラウィ、ルワンダ、ナイジェリア、ガーナ、マリ、セネガルにつくられたサックスのミレニアム・ヴィレッジのなかから、ジャーナリストのニナ・ムンクは、ケニア北東部でソマリアとの国境近くにあるダートゥ(Dertu)と、ウガンダ南西部の高地にあるルヒーラ(Ruhiira)という村を定点観測に選んだ。

 ダートゥの現地責任者はアーメド・マリ−ム・ムハンマドという40代のソマリ人で、大半のソマリ人と同じくラクダの群れとともに移動する遊牧民の子どもとして生まれたが、幸運にも(もちろん本人の努力もあって)高等教育を受けることができ、国内の農業大学で学位を、留学したベルギーの大学で「乾燥地帯の自然資源の管理」の博士号を取得した。

 ケニアに帰国すれば高級官僚の道が約束されているアーメドが選んだのは、サックスのミレニアム・ヴィレッジだった。自分が幼い頃に経験し、いまも多くの同胞たちが苦しんでいる貧困を終わらせることができるという「偉大なる博士の理想(the Great Professor’s Ideas)」の魅力はそれほど強烈だったのだ。

 ルヒーラの現地責任者は30代半ばのデイヴィッド・シリリで、ウガンダ独立(1962年)後に数学教師の父親と病院の助産婦の母親という新興中流階級の家庭に生まれた。だが幸福な日々はイディ・アミンの独裁によって終わり、社会秩序の混乱と崩壊のなかデイヴィッドの両親は家を捨てて逃れるほかなかった。

 アミンの失脚(1979年)によってその蛮行が欧米で広く知られるようになると、社会福祉団体などからの支援金が送られてくるようになった。デイヴィッドは幸運にもその資金を得て学校に復帰し、10万人の応募者に合格者2000人という難関を突破してウガンダ国立大学に入学、イギリスの大学に留学して農業・森林学の博士号を取得した。その直後にミレニアム・ヴィレッジ・プロジェクトに参加したのはアーメドと同じだ。

 サックスは2002年にハーバードからコロンビアに移籍していた(コロンビア大学は有名教授であるサックスを招聘するために800万ドル(約9億円)でニューヨーク・マンハッタンに庭付きタウンハウスを用意した)。ミレニア・ビレッジ・プロジェクトの本拠はコロンビア大学内に置かれ、アーメドやデイヴィッドのようなアフリカ生まれの優秀な若者がそれぞれの村の責任者として派遣された。

 彼らは、サックスの「貧困救済教」というカルト宗教に魅せられた高学歴で純真な「信者」たちだった。


アフリカ・マダガスカル       (Photo:?Alt Invest Com)
ミレニアム・ヴィレッジの苦闘
 サックスは、2006〜11年の5年間の「ビッグプッシュ」でミレニアム・ヴィレッジは自立したゆたかな村に変貌すると豪語した。その成功にもとづいて、同じプロジェクトを世界じゅうに広げれば、2025年までに人類の貧困は終焉するのだ。現地責任者であるアーメドやデイヴィッドに与えられた使命は、巨額の資金を有効活用して医療・教育・農業・産業振興のためのインフラを整備することだった。

 彼らの苦闘がニナ・ムンクの『アイデアリスト』の読みどころなのだが、そのすべてを紹介することはできないので、ここでは経緯のみをかんたんにまとめておこう。

 アーメドが担当したダートゥは国家としてはケニアに属しているがもとはソマリ人の遊牧地だった。サックスが集めた資金で病院や学校などを整備したことで街の人口は急速に増え、藁ぶき屋根は真新しいトタン屋根になり、雑貨店やレストランもできて、近隣のなかでももっとも繁栄する村に生まれ変わった。だが問題は、ひとびとを養う産業が存在しないことだった。

 遊牧民にとってはより多くのラクダを保有することがステイタスで、労働は卑しむべきこととされ、農業はもちろん建築などの仕事に従事させることも論外だった。こうしてダートゥは、慈善団体の資金に依存する難民キャンプの様相を呈してきた。村に集まってきた元遊牧民たちは、日がな一日木陰で噂話に興じ、アーメドたちに苦情をいった(支援金で1人1軒の家を建て、国連事務総長が村を訪問し、灌漑のために川の流れを変えるように要求されてアーメドは困惑した)。住民が考えるのは多くの支援金を得ることだけで、世帯単位で食料を配給すると複数の家を登録する者が次々と現われた。

 アーメドは、遊牧民である村人が自立するにはラクダの取引市場をつくるしかないと考えた。2007年夏に行なわれた取引所の開設式にはサックスも参加し、欧米のメディアでも紹介された。これがアーメドにとってもっとも成功した瞬間だったが、それは長くは続かなった。ダートゥは地域の中心から大きく外れており、遊牧民にとってはそこでラクダを売買することになんの魅力もなかったのだ。

 一方、デイヴィッドの担当するウガンダのルヒーラは貧しい農民たちの村で、化学肥料や高収量の種子を無償配布することで収穫を大きく増やすことができた。これは大きな成果として喧伝されたが、デイヴィッドもやはり問題を抱えていた。

 ひとつは水の確保だった。高地にあるルヒーラでは、ひとびとは水を得るためにはるか下の谷まで降りていかなくてはならず、その重労働で1日が終わってしまった。谷から農業用水を安定して汲み上げるには長大なパイプと強力なポンプ、じゅうぶんな燃料がなくてはならない。それは大事業であり、それ以外にも学校や病院などを建設しなくてはならないのだから、村の事業予算を大幅に超えてしまうのだ。

 それでもサックスは、アメリカのパイプ・メーカーと交渉して無償で灌漑のための大量のパイプの提供と、設置に必要な技術者の派遣を同意させた。だが、このパイプをアメリカからウガンダまで船で輸送し、そこから僻地にあるルヒーラに運ぶ方法が問題になった。大型トラックもハイウェイもなく、どのような見積もりでも輸送コストがパイプそのものと同じくらいかかってしまうのだ。

 さらなる難題は、ウガンダの既成のパイプがイギリス仕様なのに対し、提供されるパイプはアメリカ仕様だったことだ。両者を接続するには、いちいちコンバーターをつけなくてはならない。

 このやっかいな事態に対してニューヨークの優秀なスタッフが編み出した解決策は、思いがけないものだった。そもそも、水を汲み上げるのにパイプやポンプが必要不可欠だと思うことが間違っているのだ。現地では伝統的に、悪路の物資の運搬にロバを使っている。だとしたら、なぜ水の運搬にロバを使ってはならないのか。

 こうしてデイヴィッドのところには、大規模な灌漑施設の代わりに8頭のロバが届けられた。

 もうひとつの問題は、このジョークのような話よりずっと深刻だった。トウモロコシの収穫が倍に増えたのはいいが、僻地でマーケットもないため、それを販売する方法がないのだ。その結果、近隣のトウモロコシ価格は暴落し、農民は売却をしぶって自宅や周辺の敷地に積み上げた。農産物を保管する倉庫がないので仕方がないのだが、ネズミが大発生して大半を処分するほかなくなった。

 これを解決するには大規模な保管倉庫をつくるだけでなく、収穫物を都市に運ぶ道路・トラックなどの交通インフラや農産物の取引市場が必要だった。いずれもデイヴィッドに与えられた予算と権限ではどうしようもないことだった。


アフリカ・マダガスカル        (Photo:?Alt Invest Com)
「ミレニアム・ヴィレッジは大失敗」が常識に
 ミレニアム・ヴィレッジ・プロジェクトに選ばれた村ではマラリアの感染率が下がり、出産で死亡する妊婦が減り、子どもたちの教育年数が増えるなど、かなりの成果を達成した。だが当初の5年間を経て、この成長が持続可能かどうかについては大いに疑問があった。プロジェクトの批判派からの辛らつな攻撃だけでなく、アーメドやデイヴィッドなど現地責任者から「資金の流入が止まれば村は崩壊する」との訴えが山のように届いていたからだ。

 こうしてサックスは、当初の計画の修正を余儀なくされた。2011年までの5年間はプロジェクトの「第1フェーズ」で、そこで経済発展に必要なインフラを構築し、2016年までの新たな5年間を「第2フェーズ」として、援助(贈与)ではなく融資(投資)によって野心的な起業家を養成しさまざまなビジネスを軌道に乗せるというのだ。

 だがサックスの奮闘にもかかわらず、第2フェーズの資金集めは順調とはいえなかった。ニナ・ムンクは経験のあるジャーナリストではあるが、開発経済学はまったくの門外漢だった。そんな彼女ですら、プロジェクトは大きな問題を抱えており、そもそもサックスが最初から間違っていたのではないかと疑うようになった。現地とニューヨークの本部との関係は険悪になり、村のなかでも足の引っ張り合いが起こり、サックスの忠実な「信者」だったアーメドは2010年春に解雇されてしまう。「ミレニアム・ヴィレッジは大失敗だ」というのは、援助関係者のあいだでは常識になりつつあった。

 だが私たちは、このプロジェクトの結末を知ることができない。

 2011年夏にアフリカは記録的な干ばつに襲われた。ソマリアの遊牧地は干からび、ラクダは死に絶え、難民たちが国境を越えてケニア側に押し寄せた。難民にはイスラーム原理主義の過激派も混じっており、彼らは白人の援助関係者を殺し、あるいは誘拐して身代金を要求した。ケニアのソマリ地区からは白人はすべて退去し、ムンクもダートゥを二度と訪れることができなくなった。

 同じく、干ばつのためウガンダの政情も混乱をきわめた。首都カンパラにあるミレニアム・ヴィレッジ・プロジェクトの支部は略奪にあい、デイヴィッドもルヒーラを放棄せざるを得なくなった。

 このようにして、アフリカの「ビッグプッシュ」に投じられた1億2000万ドルの大半(すくなくともダートゥに投資された400〜500万ドルの資金のすべて)は失われてしまった。サックスは、「村は次々と災難に見舞われた。ヨブ記のように」と他人事のように評論するだけで、プロジェクト自体は成功しつつあったと強弁しているが、ミレニアム・ヴィレッジと同程度の経済成長は、経済のグローバル化によってアフリカの他の地域でも達成されている。


アフリカ・マダガスカル         (Photo:?Alt Invest Com)
「“貧困ポルノ”は幕を下ろした」
 サックスが強烈なエゴによって援助関係者からの批判を粉砕し、強引にプロジェクトを進めたとしても、貧困を撲滅するという彼の奮闘がすべて無意味だったということはできない。

 マラリアを媒介する蚊を防ぐための虫よけネットは住友ケミカルが開発したもので、防虫剤を添付することで高い殺虫効果をもっていた。サックスは200万ドル分の虫よけネットを寄贈するよう住友ケミカルを説得したが、これに対して既存の援助関係者から「防虫ネットの市場をつくろうとしてきたこれまでの努力を台無しにする」との強い批判が起きた。

 サックスは、「市場より大切なのはひとびとの生命だ。先進国ではワクチンを無償で接種できるが、これを止めてワクチン市場をつくれというのか」と反論した。かつては市場原理主義的なショック・セラピーの伝道者だったサックスは、こんどは市場原理を否定するようになったのだ。

 中立的な経済学者のなかにも、この論争ではサックスに分があるとする者も多い。「防虫ネットの市場をつくる」という試みも、たいしてうまくいってないからだ。だったら、いますぐただで配ってどんな不利益があるというのか。

 だがこうした数々の論争のなかで、サックスが常に「生命」を盾にとって論敵を非難してきたことは否定できない。ミレニアム・ヴィレッジ・プロジェクトを批判する者は誰であれ、生命より市場(金儲け)を優先しようとしているのだ。

「死につつあるひとたちを放置するのか、そのためになにかしようとするのか、あなたの選択はふたつにひとつだ」とサックスは繰り返し力説した。だが2011年、干ばつでミレニアム・ヴィレッジが崩壊し、過激派組織や暴徒によって村人たちの生命が危機に瀕したとき、サックスはなにもしなかった。――この批判はきびしすぎるかもしれない。だがニナ・ムンクは、これまでのサックスの主張にのっとれば、このようにいうほかないと書く。天に吐いた唾は自分のところに落ちてくるのだ。

 サックスは、「貧困を終わらせるのは簡単だ」との主張で時代の寵児になった。だがすべてが終わったあと、ムンクとの最後のロング・インタビューで、かつては「世界をよりよいものに変えられる」という確信を抱いていたことについて問われ、こう述懐している。

「この不確かな世界ですら、ひとは強い確信をもつことができる。ほんとうのところ、それができうる最善のすべてで、私にとっての“確信”とはそういうものだ」

「それ(ミレニアム・ヴィレッジ・プロジェクト)が最善の最善(the best of the best)であったかどうかを問うことに意味があるとは思わない。それは、私がもっているもののなかで、私にできるベストだった」

 世界金融危機ののち、サックスの関心はアフリカからアメリカの経済格差に移り、「ウォール街を占拠せよ」の集会で強欲を批判し、税制改革、銃規制、ワシントンの空洞化、ユーロ圏の崩壊から地球温暖化問題まで手当たり次第に演説し、寄稿し、tweetしているという。それはまるで、新たに伝道できる「ネタ」を探しているかのようだ。2005年の絶頂期にはサックスを次期アメリカ大統領選の候補者にするという運動も盛り上がったが、その団体もとうに解散された。

 雑誌『エコノミスト』誌は2012年3月、「貧困の終焉」にかけた「ライブエイドの終焉(The End of Live Aid)」という記事を掲載して一連の騒動を総括し、「サックス氏がU2のボーカリスト、ボノなどのセレブととともに繰り広げたロックコンサート風の“貧困ポルノ(poverty porn)”は幕を下ろした」と書いた。

橘 玲(たちばな あきら)

橘玲のメルマガ 世の中の仕組みと人生のデザイン 配信中
作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ヒット。著書に『「言ってはいけない?残酷すぎる真実』(新潮新書)、『国家破産はこわくない』(講談社+α文庫)、『幸福の「資本」論 -あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』(ダイヤモンド社刊)、『橘玲の中国私論』の改訂文庫本『言ってはいけない中国の真実』(新潮文庫)など。最新刊は、『朝日ぎらい よりよい世界のためのリベラル進化論』(朝日新書) 。
https://diamond.jp/articles/-/178555



2014年1月23日 橘玲 :作家
”フェアトレード”の不公正な取引が
貧しい国の農家をより貧しくしていく
[橘玲の世界投資見聞録]
?前回は、人道主義者の善意がアフリカの紛争現場でどのような事態を招いているかを告発したリンダ・ポルマンの『クライシス・キャラバン』を紹介した。

参考記事:”悲惨な現場”を求めるNGOの活動がアフリカで招いた不都合な真実

?今回はそこまで深刻な話ではないものの、やはり「善意の裏側」を取材したコナー・ウッドマンの『フェアトレードのおかしな真実』(英治出版)を取り上げてみたい。

フェアトレードの主張は素晴らしいが…
?フェアトレードは、「市場経済は貧しい国や貧しいひとたちを搾取している」として、「公正な取引Fair trade」を企業に求めるアンチ・グローバリズムの運動のことだ。日本ではまだそれほど知られていないが、欧米(とくにイギリス)では「倫理的意識(ethical awareness)」の高まりで広く普及しているのだという。フェアトレード財団だけでなく、レインフォレスト・アライアンス(熱帯雨林保護)、フォレスト・スチュワードシップ・カウンシル(森林保護)、UTZサーティファイド(サスティナブルなコーヒー)など、同様の趣旨で運営されている認証機関はいくつもある。

?フェアトレードの主張は、「アフリカや中南米で、グローバル企業が農家のコーヒーやカカオ豆を不当に安く買い叩いている」というものだ。そのため農家は熱帯雨林を伐採し、それでも生活できず困窮に陥って破産してしまう。この問題を解決するもっとも有効な方法は、貧しい国の農家も労働に対する適正な利益が得られるよう、グローバル企業が「公正な価格」でコーヒーやカカオ豆を購入することだ。そうすれば農家の経営は安定し、無理な農地拡大も必要なくなり、自然もひとびともサスティナブル(持続可能)になるだろう。

?素晴らしい話だが、はたしてほんとうだろうか??そんな疑問を抱いたイギリスのジャーナリスト、コナー・ウッドマンは自分の目でフェアトレードの現場を確かめる旅に出る。

?“フェアトレード先進国”であるイギリスでは、スターバックスやネスレがいち早く倫理的認証を受け、「環境にやさしくない」企業の代名詞だったマクドナルドまでがレインフォレスト・アライアンスの認証マーク付きコーヒーを売っている。キャドバリー社の国民的なチョコレートも、2009年にフェアトレードの認証を受けることになった。


コーヒー農園(ハワイ島で撮影)
?その記者会見に出席したウッドマンは、なんともいえない違和感を持った。そこには「FAB(Fairtrade Association Birmingham)」と白抜きされた黒のTシャツを着た活動家たちが集まっていて、キャドバリー社の社長の発表を聞いて、「目には涙を浮かべ、誇らしげに胸を張り……『すばらしい!』とだれかがさけんだ」のだ。

?活動家の一人は、次のように声高に証言した。

「のんびりコーヒーを飲んだりチョコレートを食べたりしているだけで世界を変えられるなんてだれも思っていなかったけど、どうやらできるみたいだな」

?これって、カルト宗教の集会みたいじゃないか。

名だたる大企業が次々と認証を受ける理由
?フェアトレード財団の2010年時点のホームページには、次のような主張が掲載されていた。

〈コーヒーの価格は、2000年以来記録的な低迷に苦しんでいます。コーヒー豆の生産費よりはるかに低く、世界中のコーヒー農家を危機に陥れています。〉

?しかしこの主張はまったくのデタラメだ。ニューヨーク市場におけるコーヒーの国際価格は2002年以来着実に上昇し、タンザニアで生産されているマイルド・アラビカ豆は2002年の1.32ドル/キロから2011年に5.73ドル/キロまで高騰した。「世界のコーヒー価格に『記録的』なことがあったとすれば、それは記録的な高値だということだ」とウッドマンはいう。

?それに対してフェアトレードが「公正」とする最低価格は2.81ドル/キロで、市場価格の半値以下でしかない。リーマンショック直後の3カ月を除き、市場価格がこの最低価格を下回ったことはなかった。

?これは要するに、「倫理的認証を受ける企業は、フェアトレードの最低価格によって仕入れコストが上がる心配をする必要はまったくなかった」ということだ。市場価格が最低価格を上回っているかぎり、企業の負担は認証されたコーヒーやカカオ豆を購入する際の割増金だけだが、もともとコーヒーやチョコレートにおける原材料比率は高くないので(スターバックスなどはコストの大半が不動産賃料と人件費)、実質的な割増金負担はごくわずかだ。ウッドマンの試算では、キャドバリー社が支払う割増金はミルクチョコ1本につき0.25セントにすぎない。

?これで2005年以降、名だたる大企業が次々と倫理的認証を受けるようになった理由がわかる。

?企業からすれば、ほんのわずかな追加コストで「ひとにも自然にもやさしい企業」というブランドイメージを手にできる。レインフォレスト・アライアンスの認証を受けたことで、マクドナルドのコーヒーの売上げは25%増えたという。「フェアトレードは儲かる」のだ。

フェアトレードによる「不公正」な取引
?しかしそれでも、「フェアトレードによって、農家は価格の最低保障という“保険”に無料で加入できるのだからいいではないか」と思うひともいるだろう。この理屈は正しいのだろうか??そこでウッドマンは、タンザニアのコーヒー農園にフェアトレードの実態を見にいく。

?倫理的認証団体は小規模な農家まで個別に認証しているわけではない。そんなことは物理的に不可能だから、地域ごとに協同組合を設立して、組合が商品の品質を保証したうえで(スターバックスやマクドナルドなどの)大口顧客に販売する。「農家が個別に価格交渉するよりも集団で交渉した方が有利だから」だ。

?ところがウッドマンは、現地で不可解な現実を目にする。

?タンザニア産のコーヒー豆が国際市場で5ドル/キロを上回る史上最高値を記録しているにもかかわらず、フェアトレードに参加する農家が受け取っていたのは1.38ドル/キロだけだったのだ。これはフェアトレードが「公正な価格」とする2.81ドル/キロの半値以下だ。

?なぜこんな「不公正」なことが起こるのだろうか。

?それは協同組合が現地の有力者に支配され、彼らが人件費や管理費などの名目で農家を“搾取”しているからだ。しかしフェアトレードは協同組合がないと事業が継続できないため、こうした不都合な事実に気づいていても目をつぶって放置しているのだという。

?その結果、協同組合を通さず、農家や農場が直接コーヒー豆を販売する試みが始まった。たとえば同じタンザニアの村で、「エシカル・アディクションズ」という団体は3.14ドル/キロで農家からコーヒー豆を購入し、高品質の豆を求める企業に販売している。倫理的認証を受けないことで農家の利益は2倍以上増えたが、こうした動きが広がれば協同組合の利益が失われてしまうため、現地の緊張が高まっている。活動の趣旨とは逆に、フェアトレードが貧しい国の農家をより貧しくしているのだ。


最高級のコーヒー豆が栽培されるジャマイカのブルーマウンテン
世界でもっとも貧しい国の実態
?フェトレードのような倫理的認証団体は、冷酷無比な「グローバル企業」こそが経済格差を生み、貧しい国のひとびとを苦しめているのだと非難する。そこでウッドマンは、世界でもっとも貧しい国のひとつであるコンゴ民主共和国を訪れた。

?ルワンダ内戦の影響でコンゴ東部にフツ族の大規模な難民キャンプが生まれ、その後、ツチ族のルワンダ軍の攻撃で難民キャンプは壊滅した(その経緯は前回述べた)。その結果、フツ族の民兵はコンゴのジャングルに身を隠し、FDLR(ルワンダ解放民主軍)を結成する。FDLRはコンゴ東部を暴力的に支配し、コンゴ人女性や少女たちを誘拐してレイプし、村人たちの四肢を切り落とした。

?このような状況のなかで、農業のできなくなったひとびとは生きるために換金性の高い商品を求めて必死になった。ウッドマンが彼らとともに体験したのは、懐中電灯ひとつで坑道に入り、スズ石を掘り出すことだった。コンゴ東部には良質のスズ鉱山がいくつもあるのだ。

?ただしこの仕事には大きな危険がともなう。

?ウッドマンが潜った坑道はベルギーの企業が開発したものだった。鉱山開発会社は坑道までレールを引き、さまざまな機材を使って採鉱を行なっていた。ただしそれは、コンゴが独立する1960年までのことだ。

?それから50年間、鉱山は放置されてきた。いまではレールは使えなくなってバケツリレーでスズ石を運ぶしかなく、坑道に貯まった水を汲み出すための発電機もない。そのため村人たちは、懐中電灯だけを頼りにいつ崩れるかわからない坑道に入り、素手でスズ石を掘り出すしかないのだ。

?コンゴの村の苦難はグローバル企業が生み出したのではなく、グローバル企業(ベルギーの鉱山開発会社)が撤退したことで始まったのだ。

グローバル企業の合理的な判断が貧しい農家を救っている現実
?本書の最後で、ウッドマンはアフリカ東海岸のコートジボワールに綿農家を訪ねる。

?アフリカでは250万人の農家が1ヘクタール単位の畑を牛を使って耕し、1トンか2トンの綿を収穫している。アメリカの大規模生産者に比べれば微々たる量だが、それを合わせると世界の綿輸出量の20%にもなる。

?コートジボワールは綿の一大産地だが、2002年から04年までの内戦によって国内の綿繰り工場(収穫された綿から種や不純物を取り除く工場)がすべて倒産してしまう。内戦終結後にその工場を落札したのが、シンガポール市場に株式を上場する世界最大手の農業商社のひとつオラムだ。綿相場の上昇によって、オラムはコートジボワールの綿事業に投資する価値があると判断したのだ。

?コートジボワールにおけるオラムの綿事業の責任者は、ジュリー・グリーンという30歳のアメリカ女性だ。ジュリーはアフリカ暮らしが7年目で、最初はNGO職員として学校の建設や水汲みポンプの設営をしてきたが、「活動の進捗のなさにうんざり」して、ジュネーヴでMBAを取得してオラムに移った。

?ジュリーの監督の下で、倒産した工場の稼働率は1年目に70%、2年目以降は100%と劇的に蘇った。しかし変わったのはそれだけではない。

?以前の工場は、基本的な安全面での予算もなくきわめて危険だった。いまはケーブルのまわりにケージが置かれ、火災を起こしたときのための送水ポンプも設置された。もちろん手袋やマスク、ゴーグルなどの安全装備も従業員全員に配布されている。以前はいちど壊れてしまったら、ボスから「残念だったな」といわれてそれで終わりだったのだ。

?だからといって、オラム社がボランティア精神に溢れていたり、CSR(企業の社会的責任)にちからを入れているわけではない。世界じゅうのすべての工場で当たり前のようにやっていることを、コートジボワールでも行なったにすぎない。工場の安全管理は、事業を行なううえでの基本中の基本なのだ。

?オラムはまた、契約する綿農家に高品質の種を無料で配布し、農薬や肥料の費用を無利息で前倒し融資するばかりか、村人たちがトウモロコシを栽培する肥料も余分に渡している。だが管理責任者のジュリーは、これも人道主義とは無関係だという。

?高品質の種を無料で配布するのは、農家に品質の高い綿を栽培させ、サプライチェーンの中に他品種が混入するリスクを軽減するためだ。無利子の前倒し融資は、農家の経営を安定させることで綿の安定供給を図るためだ。農家の食料であるトウモロコシのために肥料を余分に渡すのは、そうしなければ綿用の肥料が転用されてしまうからだ。

?すべては高品質の綿をより多く生産するための合理的な経営判断だとジェリーはいう。「貧しくて飢えている農家を抱えていても、私たちにはいいことは何もありません」

貧困の原因は腐敗した政府にある
「フェアトレードのおかしな真実」をめぐる旅でウッドマンが思い知ったのは、貧困の原因は腐敗した政府であり、権力の崩壊がもたらす内戦や内乱だということだ。それによってグローバル企業が撤退し、仕事を失った現地のひとびとが経済的な苦境に追い込まれる。

?その一方でコートジボワールのオラム社のように、現代のグローバル企業は利益を追求しながらもコンプライアンスにしばられ、社会的な評判を気にしている。そのうえ彼らは投資のためのじゅうぶんな資金を持ち、優秀な人材(それもジュリーのように、ビジネスを通じて社会をよくしたいと考える若者)を抱えている。

?だとしたら「経済格差の元凶」としてグローバル企業を敵視するのではなく、彼らのちからを上手に利用した方がずっといいのではないか――それが、長い旅を終えてウッドマンのたどり着いた結論だ。

?フェアトレードのマークのついたコーヒーを飲んでいるだけでは、世界はなにひとつ変わらないのだ。

<執筆・?橘 玲(たちばな あきら)>

作家。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術?究極の資産運用編』『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術?至高の銀行・証券編』(以上ダイヤモンド社)などがある。ザイ・オンラインとの共同サイト『橘玲の海外投資の歩き方』にて、お金、投資についての考え方を連載中。

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2014年1月16日 橘玲 :作家
”悲惨な現場”を求めるNGOの活動が
アフリカで招いた不都合な真実
[橘玲の世界投資見聞録]
?ほんとうは昨年末にアップしたかったのだが、遅ればせながら2013年に読んだ本のなかでもっとも印象に残ったリンダ・ポルマンの『クライシス・キャラバン』(東洋経済新報社)を紹介したい。

?著者はオランダのフリージャーナリストで、世界各地の紛争地帯で国連やNGO(非政府組織)の活動を取材している。前著『だから、国連はなにもできない』(アーティストハウス)は、ソマリア、ハイチ、ルワンダ、ボスニアなどの現場から、自国の利害と保身のために国連の安全保障理事会が機能不全に陥っている現状と、PKO(国連の平和維持活動)がなんの役にも立っていないばかりか、現地の状況をさらに悪化させているという実態を描いて大きな反響を呼んだ(安倍政権が唱える「積極的平和主義」を考えるうえでも参考になる)。『クライシス・キャラバン』では、「紛争地における人道援助の真実」という副題が示すように、NGOなどの援助活動がアフリカでどのような事態を招いているかを告発している。

民間人の四肢を切断する反政府組織
?アフリカ西部の大西洋岸に位置するシオラレオネはかつてのイギリス領で、首都フリータウンは、18世紀後半の奴隷廃止運動を背景に、解放された奴隷たちの定住地(自由の町)として開発された。その後はイギリス統治下で大学などの教育制度が整えられ、西アフリカの中心地として発展したが、1961年に独立してからは内戦とクーデターを繰り返すことになる。

?紛争の原因はダイヤモンド鉱山の利権で、貧弱な軍事力しか持たない政府は南アフリカの鉱山開発会社からPMC(民間軍事会社)の派遣を受け、反政府組織RUF(革命統一戦線)と衝突した。RUFを率いたアハメド・フォディ・サンコーはイスラム教徒で、リビアのカダフィ大佐のもとで軍事訓練を受け、ゲリラの支配下にある鉱山から産出したダイヤモンド(ブラッドダイヤモンド)で武器を購入し、1991年から8年間に及ぶ内戦に全土を巻き込んだ。

?RUFは拉致した子どもたちに麻薬と銃を与え、少年兵として戦闘に参加させたが、それと並んで世界を震撼させたのは民間人を襲撃して鉈で手足を切断したことだ。その惨劇は新聞や雑誌に写真入りで報道され、テレビニュースでも何度も放映されたから記憶に残っているひとも多いだろう。

?ところでRUFはなぜ、民間人の四肢を切断したのだろうか。

?ルワンダやボスニア・ヘルツェゴビナのような民族紛争では、敵対する民族を絶滅させようとする「民族浄化(エスニック・クレンジング)」が起こる。これは悲惨な出来事だが、人類史をひも解けばけっして珍しいことではない。旧約聖書を読めばわかるように、ヒトは紀元前の昔から集団を「俺たち」と「奴ら」に分け、「奴ら」を皆殺しにする蛮行をえんえんと繰り返してきた。

?伝統的社会の戦争では、敵の身体の一部を切断するという風習が広く知られている。だがその「身体の一部」とは首のことで、台湾や南太平洋の狩猟採集社会は“首刈り族”と呼ばれていたし、戦国時代の日本でも敵将の首を獲ることが最高の武勲とされていた。それに対して、敵の手や足を切断する風習はどのような伝統的社会でも知られてはいない。

?それではなぜ、アフリカの一部でだけ、それも20世紀末になって、手足の切断が始まったのだろうか。これは一般には、「農作業をできなくしてゲリラ組織に依存させるため」などと説明されるが、これではゲリラ組織の負担は重くなるばかりだ。奴隷として働かせるか、殺害して土地を奪うのならわかるが、四肢のない人間を生かしておいても経済的な利益はなにもないように思われる。

?リンダ・ポルマンは本書でこの謎を解き明かすのだが、その衝撃的な結論を紹介する前に、国際人道援助を行なうNGOとはどういうものかを説明しておく必要がある。

ルワンダ難民は虐殺した当事者たちだった
?1994年に起きたルワンダの虐殺では、多数派のフツ族によって少数派のツチ族が殺害され、100日という短期間にルワンダ国民の約2割、80万人が犠牲になった。第2次世界大戦以降で最悪の惨事のひとつとなったこの事件は、映画『ホテル・ルワンダ』や『ルワンダの涙』によって日本でも広く知られている。

?ルワンダからの難民が集まったもっとも有名なキャンプが、コンゴ民主共和国(当時のザイール)の国境、キブ湖の畔にあるゴマだ。ポルマンは事件直後、この難民キャンプを取材してなんともいいようのない違和感を覚えた。

?ルワンダ虐殺を報じるテレビニュースを観た欧米のひとびとは、鉈で惨殺された死体が道路脇に積み上げられ、川や湖を埋める映像に大きな衝撃を受けた。やがてそれは家財道具を抱えて国境へと逃げ延びるひとびとに変わり、次いでゴマの難民キャンプが大々的に報道された。この一連の流れを見れば、誰もが虐殺の対象となったツチ族のひとたちが難民となって隣国に逃れたと思うだろう(実際、そうして難民化したひとも多かった)。

?だが現実はもっと奇怪で複雑だった。

?フツ族とツチ族は宗主国だったベルギーが統治のために人工的に生み出した民族で、少数派のツチ族を支配民族として優遇したため1962年の独立前から両者の紛争は始まっていた。このときツチ族の一部が隣国のウガンダに逃れ、そこで軍事組織「ルワンダ愛国戦線(RPF)」を組織した。ルワンダでフツ族による虐殺が始まると、その混乱に乗じてRPFは国内に侵攻し、全土を制圧した。その結果、報復を恐れたフツ族の民衆が大挙して国境を越えて難民化することになったのだ。


ヨルダンのアンマン近郊にあるシリアからの難民のキャンプ??(Photo:cAlt Invest Com)
?欧米のひとびとがテレビで見たゴマの難民たちは、ルワンダでツチ族を虐殺した当事者たちだ。彼らが人力車などで運んできた「家財道具」は、皆殺しにしたツチ族の家から強奪したものだった。だがこうした事実はほとんど報じられず、「虐殺→難民→人道の危機」という構図に短絡化されることになる。ニュースの限られた時間では、ここで述べたような複雑な背景を説明できないからだ。視聴者は単純でわかりやすい話を求めているのだ。

?ゴマの難民キャンプの近くには大型輸送機が発着できる仮設滑走路があった。ルワンダの虐殺と、200万人ともいわれる大量の難民の存在が知られるようになると、その現場を取材しようとジャーナリストたちが飛行機に乗ってやってきた(ポルマンのその一人だ)。

?それと同時に、ルワンダ難民を“援助”すべく多くのNGO団体がゴマに殺到した。彼らが人道援助の対象にゴマを選んだのはフツ族を支援したいと考えたからではなく、滑走路があって報道陣がいたからだ。

?NGOの寄付者(ドナー)は、自分が出したお金が有効に使われ、「人道の危機」にあるひとびとが救われる場面を(安全な場所から)確認して満足感を味わいたいと思っている。これは「消費者」として当然の要求だから、批判しても意味がない。

?ドナーから多額の寄付を募ったNGOにとって、難民キャンプの近くに滑走路があるというのはまたとない好条件だ。輸送機をチャーターし、スタッフと援助物資を詰め込めばたちまち「援助」を開始することができる。おまけにそこには欧米のジャーネリストやテレビ局のクルーが待っていて、彼らの活動を報道してくれるのだ。

?虐殺の被害者であるツチ族の難民がどこか別の場所にいたしても、NGOはそんなところには行こうとはしないだろう。援助を開始するまでに何カ月もかかり、おまけに報道もされないのではドナーが納得しないからだ。

?NGOにとっては、援助の対象が虐殺されたツチ族であろうが、虐殺したフツ族であろうがどうでもいいことだ。人道主義の原則は「中立性」(二者のどちらかを優先して協力することはない)「公平性」(純粋に必要に応じて援助を与える)「独立性」(地政学的、軍事的、あるいは他の利害とは無関係である)で、人道の危機にあるひとが目の前にいれば助けるのが当然だとされている。この原則は一見素晴らしいが、どこか偽善的でもある。「あなたのお金で救われたのは、ついこのあいだまでルワンダでツチ族を虐殺していたひとたちです」という事実はけっしてドナーには伝えられないからだ。

NGOの国際人道援助とは…
?ゴマの難民キャンプでポルマンは、NGOが行なう国際人道援助とは、紛争や虐殺などを「商材」にしてドナーから寄付を募り、“よいことをして満足したい”という願望をかなえるビジネスだと気づく。本書のタイトルである「クライシス・キャラバン」とは、 “悲惨な現場”を求めて世界じゅうを転転とするNGOのことをいう。

?ビジネスである以上、成功したNGOは大きな利益を上げることができる。紛争の現場にいる「人道援助コニュニティ」の白人たちは、破壊された町のレストランやバーで毎日のようにパーティを開き、10代の売春婦を膝の上に乗せている。彼らは自分たちが“特別”だと考え、その法外な特権を疑うことはない(国連職員の特権意識はさらに肥大している)。

?こうしたNGOの腐敗も欧米では広く知られていて、その結果、自分個人のNGOを立ち上げるひとたちが増えているという。こうしたNGOは「モンゴ(MONGO)」と呼ばれている。“My Own NGO”の略だ。

?典型的なのはアメリカ南部の教会の敬虔な信者で、彼(彼女)はアフリカの悲惨な現状と堕落したNGOの実態を知って、自ら教会で寄付金を集め現地に赴く。

?しかしここでも、同じ問題が起きる。信者のお金を預かってアフリカまで来たからには、なんらかの成果を出さなければ帰れない。そこで難民キャンプにある病院に行き、手足を失った“かわいそうな子ども”を紹介してもらう。その子どもたちに義手や義足を与えて、喜ぶ姿をビデオや写真に撮るためだ。そのため難民キャンプには、義足ばかり何十本も持っている子どもがいる。そののたびにいくばくかの現金をもらえるから、いい商売になるのだ。

?その後、MONGOたちは手足のない“かわいそうな子ども”をアメリカに連れ帰るようになった。教会のドナーたちの前で、最新型の人工装具をプレゼントするセレモニーを行なうのだ。だが成長期の子供の装具は数年で取り替えなければならず、子どもたちをアフリカに戻せばすぐに役に立たなくなってしまう。

?なかには障害のある子供を養子にしてあちこちの教会を連れ回したり、テレビに出演させたりするMONGOもいる。養子縁組は、字の読めない両親の代わりにシオラレオネの行政府が許可している。賄賂と引き換えに子供を両親から引き離し、NGOに売っているのだ。

?この“誘拐”がなくならないのは、人道援助の証拠を地元に持ち帰ることがきわめて宣伝効果が高いからだ。教会の信者たちは、“かわいそうな子ども”が自由の国アメリカで幸福を手にする姿を目の当たりにして随喜の涙を流すのだ。

?これはシオラレオネだけのことではなく、アフリカ各地で孤児院が大きなビジネスになっている。たとえばリベリアでは、孤児院に住んでいる子どもたちの大半は孤児ではなく両親がいる。国際援助を引き寄せるために、孤児院の所有者によって人買い同然の方法で集められてきたのだ。

?こうした子供たちはアメリカやヨーロッパの養親のもとに送られるが、扱いにくいことがわかると即座に「返品」されてしまう。そうすると別の人権団体が、この「返品」を反人道的だとして抗議活動を行なうのだという――。

NGOの利益の源泉は「悲惨な現場」
?国際人道援助の問題は、それが巨大ビジネスになっていることにある。ビジネスである以上、利益は大きければ大きいほどいい(それを原資により多くのひとを救うことができる)。

?NGOの利益の源泉は「悲惨な現場」だ。そこで彼らは、テレビニュースで“悲惨”に見えるひとたちを追い求め、同じように悲惨な生活をしていても“絵にならない”ひとびとを見捨てる。

?これはそうとうに歪な状況だが、個々のNGOの努力ではどうすることもできない。ドナーから得られるパイ(寄付金)は限られているが、NGOは乱立しており、彼らを批判するMONGOたちも控えている。ドナーが喜んでお金を出すような演出ができないNGOは、競争から脱落して消えていくしかないのだ。

?ところで人道援助が大金の動くビジネスだとしたら、それを受ける側はテントや衣服、食糧だけで満足するだろうか。

?難民というと“かわいそうな一般市民”を思い浮かべるが、ゴマにはフツ族の民兵が相当数紛れ込み、難民キャンプを支配していた。難民を援助するにはまずキャンプに入らなければならないが、支配者である民兵たちはその際、NGOに対して「入場料」を徴収する。それ以外にもさまざまな名目でNGOから金銭を巻き上げ、ルワンダに反攻するための武器弾薬を購入していた。

?もちろん援助のために現金を支払うことは原則として禁止されているが、ここでも負の競争原理が働いている。支配者に現金を払わない真っ当なNGOは肝心の援助活動ができず、ドナーから見捨てられてしまうのだ。

?民兵たちは援助物資を独占し、NGOが支払う給与から“税金”を徴収し、運転手、料理人、清掃人、施設の管理責任者などの仕事を独占した。病院の医師は、朝になるとフツ主義に批判的な患者が消えており、空いたベッドに民兵の家族が寝ていることに気がついた。フツ族の看護師に聞いても、夜中になにが起きたのかはぜったいに口にしなかった。

?1995年末時点で、ゴマにある4つの主要難民キャンプではバー2324軒、レストラン450軒、ショップ590軒、美容室60軒、薬局50店舗、仕立屋30軒、肉屋25軒、鍛冶屋5軒、写真スタジオ4軒、映画館3軒、2軒のホテルと食肉解体場が1カ所あった。これらはすべて、NGOの援助でつくられたものだ。難民たちはNGO関連以外のなんの仕事もしていなかったのだから。

?ゴマの難民キャンプの民兵たちは、「ゴキブリ(ツチ族)を叩きつぶすことは犯罪ではない。衛生手段なのだ!」というラジオ番組をキャンプ内で流し、夜になると国境を越えてルワンダ領内に入り、ツチ族を殺していた。その結果、ツチ族のルワンダ軍がゴマの難民キャンプを攻撃することになり、キャンプはルワンダ軍の支配下に移り、国連軍の監視の下、ルワンダへの“移送”が始まった。

?難民キャンプ解体の様子は、ポルマンの『だから、国連はなにもできない』に臨場感溢れる描写がある。

?国連軍の役割はただ「監視」するだけで、故国への帰還作業はルワンダ軍に任されていた。ルワンダ軍は1000人で、帰還する難民は15万人いた。

?ルワンダ政府は難民が途中で新しいキャンプをつくるのを恐れて、徒歩での移動を許可しなかった。それにもかかわらずルワンダ軍にはトラックがなく、国連軍は移送を手伝うことを許されていない。

?こうした状況にもかかわらず「帰還作戦」は始まった。難民たちは移送を拒否して暴れはじめ、それを見てパニックに陥った政府軍兵士は難民に向かって手榴弾を投げ、迫撃砲を打ち込んだ。こうして、国連軍の目の前で数千人の難民が殺害されることになった。そのときNGOはすべて引き上げており、キャンプには誰も残ってはいなかった(戦闘後、国境なき医師団が45分間だけやってきて、暗くなる前に帰っていった)。

?これが、人道援助の「成果」だ。

「絵」になる悲惨な現場とは…
?NGOの商材は「悲惨な現場」だ。そうすると、援助を受ける立場からすれば、悲惨であればあるほどNGO(クライシス・キャラバン)が集まってきて大きなカネが落ちるということになる。

?では、悲惨な現場とはどういう状況をいうのだろう。

?死体の山はボスニアやルワンダでさんざん報道されてしまった。いまでは欧米の「こころやさしき」ひとたちは、多少の“虐殺”くらいでは驚かなくなった。

?こうして、国際人道援助におけるイノベーションが起こった。敵を殺すのではなく、四肢を切断して生かしておけば、その方がずっとインパクトのある「絵」になるのだ。

?死体には見向きもしなくなったすれっからしの報道カメラマンも、手足のない子どもたちが泣き叫び、地面を這いずり回る場面には殺到する。欧米のメディアで大々的に報道されれば、NGO(クライシス・キャラバン)が大挙してやってくる。このようにして、ドナーの寄付金は子どもたちの四肢を切断した者たちの懐に落ちるのだ。

?本書の最後でリンダ・ポルマンは、シオラレオネの反政府軍RUFのリーダー、マイク・ラミンにインタビューする。

?ラミンは、「すべてが壊され、あんたたちは修復するのにここにいなかった。あんたたちが気にしていたのは、ユーゴスラビアにおける白人の戦争とゴマのキャンプだった。あんたたちはただ我々に戦い続けさせたんだ」と欧米社会を批判する。そして欧米の注目をふたたびシオラレオネに向けさせ、戦争を終わらせるために「両手切り落とし団(カット・ハンド・ギャングズ)」を組織したのだというのだ。

「かつてないほど多くの四肢切断者を見て、はじめてあんたたちは我々の運命に注意を向け始めたんだ」

?罪もないひとたちの手足を無残に切断するのは、NGOからカネをかすめ取ろうと考える者にとってはきわめて「経済合理的」な行動だった。国際人道援助に携わるひとたちは、誰もがこのきわめて不都合な真実に気づいている。

?しかし、ふだんは立派なことばかりいっている彼らは一様に口をつぐみ、ポルマンが『クライスシ・キャラバン』で告発するまで私たちが真実を知ることはなかった。

?一人でも多くのひとに読んでもらいたい、衝撃的なノンフィクションだ。


<執筆・?橘 玲(たちばな あきら)>

作家。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術?究極の資産運用編』『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術?至高の銀行・証券編』(以上ダイヤモンド社)などがある。ザイ・オンラインとの共同サイト『橘玲の海外投資の歩き方』にて、お金、投資についての考え方を連載中。

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http://www.asyura2.com/18/social10/msg/136.html

[経世済民131] 米中協議、3月決着でも覇権争い長期化必至 中国銀行株、命運は不動産 円強気派大合唱 アウトパフォーマンスの時代は終わった
為替フォーラム2019年3月4日 / 17:00 / 1時間前更新

米中協議、3月決着でも覇権争い長期化必至

湯元健治 日本総合研究所 副理事長兼シニアエグゼクティブエコノミスト
5 分で読む

[4日 東京] - 米中通商交渉が進展し、3月中にも何らかの妥結が成立するとの期待感から、日米株価は上昇傾向が続き、円ドル相場もリスクオンから111円台後半に下落するなど、マーケットは楽観ムードに包まれている。

トランプ米政権は先月28日、3月1日の米中協議の交渉期限を延長して、対中追加関税の発動を延期すると正式発表した。

トランプ大統領は25日朝、「重要な構造問題で大きな進展があった」と語り、3月下旬に米中首脳会談を開き、最終決着を図る意向を示した。

すでに、中国側が1兆ドルともいわれる巨額の輸入拡大策を10品目にわたって提示したとみられるほか、関税の相互引下げや主要な構造問題で6つの覚書締結が準備されているとの報道もあり、決着は近いとのムードが広がっている。

トランプ大統領は、メキシコ国境の壁建設問題による政府機関の閉鎖で国民から強く批判されたため、米中交渉合意で失点回復を狙う思惑があることは、想像に難くない。他方、中国サイドは、5日からの全国人民代表大会(全人代)開催を前に、米国に大幅な譲歩はできないとの政治的事情があった。

したがって、結論として、全人代が閉幕する15日以降も精力的に交渉を続け、その後に首脳会談で双方が歩み寄るとのシナリオが現実味を帯びてきたわけだ。

以下では、米中対立の主要点について吟味し、今後の展開を中長期的観点も含めて考えてみたい。

<貿易不均衡の解消策に実効性はあるか>

まず、トランプ大統領が最重要視している対中赤字削減の実効性についてどう見るべきだろうか。

具体策が出る前に評価することは難しいが、中国側が提示しているといわれる大豆や液化天然ガス(LNG)、半導体などの輸入拡大策は、米国側も一定の評価をしているとみられる。

ただ、2017年11月の米中首脳会談では両国間で2534億ドルの商談が成立したと大々的に報道されたが、多くは具体性がなく、法的拘束力もないなど、文字通り「画に描いた餅」に終わった。米中赤字は減るどころかむしろ増加したという事実を忘れるべきではない。米国が今回、拘束力のある監視と強制の仕組みを求めているのは、こうした苦い経験に基づく。

また、交渉成果を焦るトランプ大統領は、中国側の抵抗に理解を示し、検証・監視の仕組みを緩める可能性すらある。そうしなければ、交渉決裂のリスクが高まるからだ。トランプと対中強硬派のライトハイザー氏との確執の噂は、そうした可能性をにおわせる。

そうなると、2020年11月の大統領選挙前までに、中国の対米赤字が目に見えて減少するとは到底考えにくい。そもそも、相互補完性の強い米中間の経済・貿易構造からみて、人為的に不均衡を解消することは困難だからだ。

今回、交渉が一旦妥結する可能性は高く、マーケットは株高、ドル高の形で歓迎することになろうが、成果が伴わない限り、折に触れて米中対立が再び激化する可能性は否定できない。

<構造問題で交渉進展でも、実効性に疑問符>

構造問題についても同じことが言える。覚書締結の準備がなされている6分野とは、知的財産権、強制技術移転、金融などサービス分野、為替、農業、非関税障壁と言われる。

知的財産権については、中国側は侵害した企業に懲罰的な罰金制度を導入する特許法の改正を実施するもようだ。また、外商投資法の改正により、米国企業に対する技術移転の強要を禁止する提案をしている。さらに、金融サービス分野では、外資による出資規制を緩和、全額出資も認める意向を示している。

為替については、通貨安誘導の禁止、農業では農畜産物の市場開放と関税引き下げ、非関税障壁では、国内産業への補助金、規制、さらに輸入品の品質が基準に適合しているかを認証する手続きなどで中国側が一定の譲歩をする可能性がある。

このように双方の協議は進展しているとみられるが、双方の隔たりはなお大きく、特にこうした構造問題について検証・監視の仕組みを設けることに中国側は難色を示しており、物別れに終わるリスクもある。中国側の対応は一部に実効性を伴わない「言葉だけの約束」が含まれており、対立が完全に解消するとは考えにくい。

<ハイテク・軍事的覇権争いは長期化必至>

米中対立は、こうした6分野にとどまらない。これらは、双方が何とか歩み寄りできる可能性がある分野だ。

他にも、「中国製造2025」の見直しや、サイバーテロによる米国企業の技術情報窃取といった問題は、双方の事実認識が食い違う、互いに譲ることのできないテーマであり、対立の長期化は避けられない。それは、通信分野における次世代通信規格「5G」の主導権争いであるだけでなく、米国の国家安全保障にかかわる問題であるためだ。

しかも、この2つは軍事的な覇権争いの観点で密接な関係にある。「中国製造2025」は、5Gなど次世代情報技術、ロボット、航空・宇宙、省エネ・新エネ、新素材、バイオなど10分野で建国100年となる2049年までに世界の製造大国となることを目指す国を挙げての産業政策だ。米国の要求は中国にとって国家戦略への不当介入であり、米国にとっては不公正な手段を用いたハイテク技術の窃取につながりかねない大問題だ。

このため、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]を巡る問題は、解決の糸口が見えないどころか、今後、対立がエスカレートする懸念が強い。

ファーウェイ幹部逮捕を巡る問題にとどまらず、すでに、米国に同調する形で、オーストラリア、ニュージランド、日本、ポーランド、ドイツ、台湾などの国が、ファーウェイ、中興通訊(ZTE)(0763.HK)(000063.SZ)など中国通信企業5社をグローバル市場から締め出す動きを加速しつつある。

 3月4日、米中通商交渉は3月にも一旦妥結する可能性は高く、マーケットは株高、ドル高の形で歓迎することになろうが、成果が伴わない限り、折に触れて米中対立が再び激化する可能性は否定できないと日本総研の湯元氏は説く。写真は2017年、フロリダで中国の習近平国家主席(左)を歓迎するトランプ米大統領(2019年 ロイター /Carlos Barria)
通信機器を通じて窃取されたハイテク技術に関する情報は、中国の「国家情報法」により、中国政府への提供が義務づけられており、そうしたハイテク技術を中国当局が軍事技術に転用するリスクに対する危機感がある。

ファーウェイ問題は、トランプ大統領が仕掛けたものではなく、すでに2016年から米国司法省が調査を進めてきたものであり、米中協議の枠内では処理できない難問だ。この問題は米中の火種として延々とくすぶり続けることは間違いない。

<米中は新冷戦時代突入>

米国の対中政策は昨年10月のペンス副大統領演説から大転換したといわれるが、実は2017年12月の「国家安全保障戦略」の中で、中国を「米国の安全保障上の脅威」と明確に位置づけている。

中国を国際社会に仲間入りさせ、民主化を促す「エンゲージメント政策」は完全に失敗したことを米国は認めており、向こう20─30年にわたって中国を封じ込める米中冷戦時代が到来したことは間違いない。

米国にこのような認識を植えつけたのは、習近平政権による対外強硬路線、軍事的拡大路線に他ならない。膨張する軍事費とその使途に関する不透明性、尖閣問題、東シナ海、南シナ海などの海洋進出、台湾軍事侵攻の示唆など、その増長ぶりは米国にとって目に余る。

米国は、政権が変わろうとも大統領が誰になろうとも、中国が民主化から逆行し続ける限り、あらゆる対抗措置を取るだろう。すでに、中国企業の対米投資審査の厳格化、中国ハイテク企業の排除、人工知能(AI)、ロボットなど先端14分野での中国向け輸出・投資規制などの措置に踏み切っており、その影響は同盟国の日本にも及ぶことは必至だ。

米中協議という通商政策にのみ目を奪われることなく、軍事・安全保障など中長期的な視野から現在の問題を眺めると、米中対立が収束するかのように見えても、それは所詮一時的なものであり、むしろ長い目では、対立が激化するリスクに目を向けるべきだろう。

*本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。

湯元健治氏 日本総合研究所 副理事長兼シニアエグゼクティブエコノミスト(写真は筆者提供)
*湯元健治氏は日本総合研究所の副理事長兼シニアエグゼクティブエコノミスト。1980年に京都大学経済学部卒業、住友銀行(現三井住友銀行)に入行。94年に日本総研調査部次長兼主任研究員。98年には小渕内閣(当時)の経済戦略会議事務局主任調査員を務める。その後、同調査部金融・財政研究センター長兼主任研究員などを経て、2007年に同執行役員、調査部長兼チーフエコノミスト、内閣府大臣官房審議官などの後、12年より現職。著書に「スウェーデン・パラドックス」(共著)「税制改革のグランドデザイン」など。
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-kenji-yumoto-idJPKCN1QL0MK


 
2019年3月4日 The Wall Street Journal
中国の銀行株、命運握るのは不動産市場
中国の建設中のビル
Photo:Reuters
――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

 ***

 中国には景気刺激策があり、同国の銀行はそれに伴う相場上昇に乗じている。CSI300銀行株指数は今年に入って16.6%上昇している。

 中国の政策担当者が最近の景気低迷への対策に努めるなか、民間部門に対する商業融資が注目されている。規制当局は国内銀行に対し、小企業への融資を今年30%増やすよう要請した。

 だが同国主要銀行の財務の健全性は、不安定な不動産市場の動向に左右される面が大きい。そのため、銀行株に投資しようと思えば、中国の経済モデルで最も厄介な課題の1つにさらされる。

 中国銀行、中国農業銀行、中国工商銀行ではこの10年、融資全体に占める商業融資と不動産ローンの割合が約10ポイント上昇している。不動産取引向けの融資は、銀行の資産残高の伸びで最大の割合を担ってきた。

 その結果、銀行株の変動要因は住宅市場の動向となっている。

 米連邦準備制度理事会(FRB)のエコノミストらが18年に発表した調査結果によると、10〜17年にはある中国の銀行が特に大きなエクスポージャーを持つ(支店全体に対する割合で判断)都市で住宅価格が1%上昇すると、その銀行の株価は平均1.64%上昇していた。

 短期的には、中国の住宅価格は最近の刺激策が実施される前に上向いていたことが好材料だ。1月までの12カ月間、中国各都市での住宅価格上昇は17年半ば以来の急速なペースだった。

 より長期的に見れば、楽観すべき材料はほとんどない。確かに中国政府は不動産価格の下落回避に全力を尽くすとみられる。土地売却からの税収は重要であり、一般市民にとって不動産は貯蓄の主な手段だからだ。一方で、政策担当者は一段の大幅上昇は避けたいだろう。住宅を保有できない若年労働者が大量にいるからだ。

 中国経済は融資を巨大国有企業から民間の起業家に向かわせる方法を見つける必要があり、商業融資の構成は重要だ。だが同国の大手銀行にとって喫緊の重要課題は至る所に横たわっている。

 投資家は政治・金融・不動産からなる有毒なトライアングルにはまるのではなく、そもそも中国の銀行株を保有したいのかどうかを自問すべきだ。

(The Wall Street Journal/Mike Bird)
https://diamond.jp/articles/-/195720

円、強気派が大合唱−景気警告サインやデフレ顕在化なら上昇と予想
Masaki Kondo、Ruth Carson
2019年3月4日 16:14 JST
• 強気ポジションが2015年10月以来の高水準−上昇予想が優勢
• ストラテジストやエコノミストがほぼ全員、円上昇を見込む
円は下落しているにもかかわらず、誰もが今後の上昇を確信しているようだ。
  シティグループのFX・PAIN・JPY指数は先週、2015年10月以来で最も高くなり、投資家が円のロングポジションを積み上げていることが示された。しかし、円は1月3日の「フラッシュクラッシュ」以降、6%余り下落している。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iDsGlg_nEcuc/v2/pidjEfPlU1QWZop3vfGKsrX.ke8XuWirGYh1PKgEw44kE/576x-1.png

  投資家が円に強気になるのも無理はない。ストラテジストやエコノミスト、ファンドマネジャーらがほぼ全員、円上昇見通しを示しているからだ。クレディ・アグリコルCIBは円買いを勧め、第一生命保険は円高を見込んで既にポートフォリオを調整。ゴールドマン・サックス・グループは次の危機で1ドル=60円まで円高が進みかねないとの見方を明らかにした。4日の円相場は112円前後で推移している。  
  トランプ米大統領は2日、ドルが強過ぎると発言したが、4日には米国と中国の通商合意が近いとの報道で、むしろリスク資産が値上がりした。
  しかし、QICの上級ポートフォリオマネージャー、スチュアート・シモンズ氏は「経済環境やリスクセンチメントを巡る警告サインがもう少し出てくれば、この水準でロングポジションを喜んで増やすだろう」と話す。
  三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの内田稔チーフアナリストによると、円は、今年に入って低下傾向にある実質利回りに歩調を合わせている。だが、日本で予定通り10月に消費税率を引き上げられれば、インフレ期待が弱まり実質利回りが上昇、円相場を押し上げると同氏は予測。デフレが顕在化し始め、円は今年中にかなり強くなるだろうと述べた。


https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iwDYqwKRiYj0/v2/pidjEfPlU1QWZop3vfGKsrX.ke8XuWirGYh1PKgEw44kE/576x-1.png
原題:Chorus of Yen Bulls Not Loud Enough to Drown Out Its Slide (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-04/PNTWWI6K50XT01?srnd=cojp-v2

 

グロース氏の言葉−「アウトパフォーマンスの時代は終わった」
Erik Schatzker
2019年3月4日 13:45 JST
過去と同程度のアルファを生成できる確率ははるかに低くなっている
債券王グロース氏が48年のキャリアを振り返る
次の債券王になることを望む運用者へのビル・グロース氏からの捨てぜりふと言っていいかもしれない。ベンチマークを上回る成績が運用者としてのトレードマークだったグロース氏だが、アウトパフォーマンスの時代はほぼ終わったと言う。

  「市場にはまだアルファを生成する可能性として注目すべきものがあるが、過去と同程度のアルファを同様に生成できる確率ははるかに低くなっている」と48年のキャリアを経て3月1日に引退したグロース氏がカリフォルニア州ニューポートビーチでブルームバーグテレビのインタビューに応じて語った。

PIMCO Co-Founder Bill Gross Interview
ビル・グロース氏Photographer: Patrick T. Fallon/Bloomberg
  原因は多数ある。グロース氏(74歳)はパシフィック・インベストメント・マネジメントでの40年間の大半において、投資家は別に「聡明(そうめい)」でなくても年30?40ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)、すなわち0.3?0.4%の「構造的アルファ」を生み出すことができたと振り返った。残存期間が短くなるのに伴い価格が上昇するロールダウンがあるため、保有を続けるだけでリターンが出せた。

  しかし今は、全体的に利回りははるかに低く、残存期間の異なる米国債の間のスプレッドは非常に小さい。量的緩和(QE)とゼロまたはマイナス金利によって、中央銀行が「ゲームの性質を変えた」とグロース氏は指摘した。

  ミスプライシングを見つけるのも以前より難しい。グロース氏は、銀行が新しいクレジット商品を導入した際には飛び付いたという。新しい商品への理解が不十分なことは不可避で、本来的な価値に対して割引価格で取引されたためだと同氏は説明した。1970年代に住宅ローン証券が導入された後の最初の数年間はその一例だ。

  「投資家は基本的にそうした証券に手を出さなかった」と同氏は語る。「当社の会計部門も、元本と利子をどう分離していいか分からず、多くの不平があった。しかし私は、やろうと言った。これらの商品はとても割安だったからだ」とグロース氏は語った。そして、早い時期に同市場に参入したという。

「アウトパフォーマンスの時代はほぼ終わった」とグロース氏

(Source: Bloomberg)
  同様に、1980年代には米国債先物の大規模な買い手にもなった。顧客は「先物」と聞いて、「大豆のようなものか?トウモロコシの取引か?」と尋ねたと、グロース氏は当時について語った。投資家が尻込みした結果、現物市場と先物市場のスプレッドは異常に広くなり、「一種のリスクのない裁定取引」を生み出したという。

  現在は、こうした機会はほとんどなくなっている。その一因は、コンピューターを使ったシステマチック戦略の登場でミスプライシングが素早く解消されるようになったことだ。さらに、金融危機以降、より厳しい監視と規制を受けるようになった銀行が、あまり新商品を開発しなくなったこともある。

  グロース氏は「市場は現物および派生商品の品ぞろえという点で、高度に発展している」と指摘。「われわれは行き着けるところまで行き着いた」と述べた。


原題:Bill Gross Sees ‘Much Less’ Alpha in Era of QE and Quant Trading(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-04/PNTO3W6TTDS101?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/364.html

[経世済民131] 日銀のETF購入 幕引きは「奇策」がいい スイス中銀マイナス金利で20.5億フラン利益 原油相場の需給は逼迫せず
カリスマの直言

日銀のETF購入 幕引きは「奇策」がいい(渋沢健) 富裕層に相続税減税して買わせる
コモンズ投信会長
2019/3/4

写真はイメージ=123RF
「巨額のリスク資産が日銀のバランスシートで増え続けている現状は不健全といわざるを得ない」
国の金融政策はリーマン・ショックのような危機発生により市場メカニズムが機能しなくなった際のセーフティーネットとして重要な役割を果たす。その役割とは市場に大量の資金を供給することで、金融機関や企業の資金が枯渇する連鎖を防ぐことだ。

その意味で、緊急事態が終わり、経済活動が正常化する過程において資金は速やかに回収されるべきだが、実際はそうはいかない。いわゆる「じゃぶじゃぶの状態」がいつまでも続く。市場が依存症になってしまうからだ。

■マネー膨張、高まる反動のリスク

現在、実体経済と比べてマネーが膨張している。相場が上がれば余計な心配は要らないという人もいると思うが、警告を鳴らし始めている金融のプロもいる。

例えば、東京海上アセットマネジメント執行役員運用本部長の平山賢一氏はNIKKEI STYLE マネー研究所で連載中の「プロのポートフォリオ」で、貿易という実体経済をはるかに超えたマネーの膨張とその反動について懸念を示している(詳しくは「実体経済超え膨らむマネー 市場のリスク」を参照)。つまり、貿易というリアルなモノの動きが停滞すれば、マネー膨張(依存症)から生じるリスクが高まるということだ。

ユーフォリアに酔っている金融市場が悪いという意見もあるだろう。ただ、その根源は過去10年間、大量のマネーを市場に供給してきた中央銀行だ。特に我が国は日銀が先進国としては異例の手法でマネーを供給し続けている。

金融政策の大義の下、債券のように償還期限がある金融商品の買い入れだけではなく、株式上場投資信託(ETF)という償還がない無期限の金融商品の買い入れによってマネーを供給している。

債券のように償還があれば買い入れを停止するだけで金融緩和政策のいわゆる「出口戦略」の期限は読める。しかし、償還がない株式ETFの場合、出口戦略は売却しかない。出口が意識され始めた途端、株式市場で「BOJ(日銀)ショック」を招きかねないシナリオだ。

■日銀が実質的な「大株主」になる弊害

売却がダメだというなら無期限に株式ETFを保有する選択肢もあるが、これは弊害があるので好ましくない。日銀が実質的な「大株主」になることで本来、市場が担う経営監視の機能が失われてしまう。

しかも、国(日銀)が実質的な大株主ということは日本株の信認は国が支えていることになる。意図的ではないにしても、国家資本主義への道を歩むことになりはしないだろうか。

このままいくと、国(日銀)が実質的に日本株の最大の株主になる可能性がある。筆者はその原資が年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、つまり将来の年金受給者のための積立金ではなく、国(日銀)の信用で歯止めなく発行されている資金であることに強い危機感を抱いている。

冒頭で指摘したように、金融政策は市場メカニズムが壊れそうなときに発動するものだ。金融政策が市場メカニズムを狂わせるのは本末転倒といえる。

もちろん、日銀には有能な人材が多くいるので、このような問題は個人レベルでは十分に理解されていると思う。しかしながら、組織決定で一度決めてしまうと、それからの撤退は日本の組織が最も不得意なことだろう。組織内ではなかなか変えることができない。

■異次元緩和の出口は異次元で

いずれにせよ、日銀はリスクを直視して、回避する政策が求められる。異次元の金融緩和の出口戦略はやはり異次元でなければならない。

知日派エコノミストのイェスパー・コール氏はある奇策を提唱している。「BOJから株式ETFを日本の個人に相続税の優遇措置を付けて買ってもらう」(コール氏)という内容だ。


イェスパー・コール氏は日銀が保有する株式ETFを個人に買ってもらう案を提唱している(写真は私的研究会で熱弁を振るうコール氏)
日銀の2018年度上半期財務諸表によると、資産として「信託財産指数連動型上場投資信託」(株式ETF)が21.6兆円計上されている。年間6兆円を買い入れていることを考えると、現在の簿価は25兆円ほどだろう。とてつもない金額のリスク資産が通貨の信用を寄与する日銀のバランスシートで増え続けている現状は不健全といわざるを得ず、早期の幕引きが望ましい。

ただ、現在日本の家計は約970兆円の現預金を保有していて、60歳代以上の世帯が半数を占めているといわれる。単純計算で485兆円の現預金だ。コール氏の主張のように確かに株式ETFを買う余裕は十分にあるだろう。

■個人の金融資産を投資に促す

例えば、個人が日銀から買った株式ETFを相続する際に課税対象にならず、相続後に売却して利益が出た場合も税優遇が適応される。また、損失があった場合も相続財産から差し引くことができる新制度が施行されたら、大勢の国民から大歓迎されるのではないか。

これによって、個人の金融資産を「貯蓄から投資へ」と促すだけでなく、日銀は膨らんだバランスシートを健全化し、異次元の金融政策の出口へも進むことができる。将来の日本社会のリスクを抑制するイノベーティブな政策になると思う。日銀と財務省に協力して進めてもらうことを期待したい重要な政策案と考える。

渋沢健
コモンズ投信会長。1961年生まれ。83年米テキサス大工学部卒。87年カリフォルニア大学ロサンゼルス校MBA経営大学院修了。JPモルガンなどを経て、2001年に独立し、07年コモンズ株式会社(現コモンズ投信)を創業、08年会長就任。著書に「渋沢栄一 100の金言」(日経ビジネス人文庫、16年)など。
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https://style.nikkei.com/article/DGXMZO41708460V20C19A2000000


 
ワールド2019年3月4日 / 17:30 / 21分前更新
スイス中銀、2018年はマイナス金利で20.5億フランの利益
Reuters Staff
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[チューリヒ 4日 ロイター] - スイス国立銀行(SNB、中央銀行)(SNBN.S)は4日、2018年のマイナス金利による利益が20億5000万スイスフラン(20億5000万ドル)だったと発表した。前年の20億2000万フランから小幅に増加した。

一方、外貨ポジションに関しては市場介入の結果、163億フランの損失が発生。このため、SNBの年間の損失額は149億フランとなり、1月に示していた暫定値(150億フラン)をやや下回った。

ただ、17年に過去最高となる544億フランの利益を計上したことを受け、株主への配当が依然可能となり、法律上の上限となる1株あたり15フランの配当と、各州や中央政府への20億フランの支払いを提案した。
https://jp.reuters.com/article/snb-results-idJPKCN1QL0P6


 
2019年3月4日 芥田知至 :三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員
減産見通しに米中摩擦和らぐも原油相場の需給は逼迫せず
 原油相場は上昇傾向で推移している。昨年12月下旬の安値の後、35%前後持ち直して、欧州北海産のブレント原油は1バレル当たり67ドル台、米国産のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は同57ドル台となっている。
拡大画像表示
https://diamond.jp/mwimgs/d/7/-/img_d70afd8b13389e25a47e3cca8688d241164590.jpg

 1月前半は、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が利上げやバランスシート縮小に柔軟性を持って当たると述べたことや、米中貿易協議が進展していることへの期待を背景に、世界景気減速や株安に対する過度の懸念が和らぎ、相場は上昇した。
 その後は上値が重くなった。発表された経済指標や企業業績は、景気の減速傾向を示すものが多く、米中貿易摩擦のほか、英国のEU(欧州連合)離脱、米政府機関の閉鎖問題といった波乱要因の先行きに不透明感も強かった。
 OPEC(石油輸出国機構)とロシアなど非OPEC産油国が1月より原油の協調減産を実施したが、実効性への疑念も残り、需給引き締まり観測はさほど強まらなかった。
 しかし、1月28日には米国政府がPDVSA(ベネズエラ国営石油会社)に対する制裁を発表したことが、相場の押し上げ要因になった。2月半ばには、サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相が3月に日量約50万バレルの追加減産を行う方針を表明し、引き続き同国が協調減産を主導するとの見方が強まった。
 また、米国ではトランプ大統領が歳出法案に署名し、政府機関閉鎖を回避できる見通しとなったことも上昇材料となった。
 米中貿易協議についても進展するとの期待が高まった。2月22日にはトランプ大統領が3月に米中首脳会談を開催する方向で調整していることを明らかにした。中国が米国からの輸入を増やすことで合意がなされそうだとみられている。それでも知的財産権保護や構造問題では隔たりが大きいと懸念されていたが、後日、3月1日に設定されていた交渉期限は延長されることになった。
 昨年12月ごろに比べると、米中貿易摩擦などの懸念材料が和らいだことや、米金融政策のスタンスがハト派的に変化したことを背景に、株式など他のリスク資産と同様、原油相場も下支えされてきた。
 それでも、今後の原油相場の上値は重そうだ。産油国の協調減産や、米国のイラン、ベネズエラに対する制裁が供給抑制要因だが、一方で米国の増産や世界的な原油需要の伸び悩みが見込まれる。特にシェールオイルを中心とした米国の産油量の増加傾向は続いており、先行指標である石油掘削リグの稼働数も高止まりしている。需給はなかなか引き締まりにくいというのが原油市場の現状である。

https://diamond.jp/articles/-/195680


http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/365.html

[経世済民131] 米中、関税を後退させるための合意に近付いているもよう 米朝決裂の裏でトランプが狙う、より大きな「ディール」
ワールド2019年3月4日 / 09:44 / 3時間前更新
米中、関税を後退させるための合意に近付いているもよう
関係筋 Reuters Staff
1 分で読む

[ワシントン 3日 ロイター] - 米国と中国は、少なくとも2000億ドル相当の中国製品にかかる米国の関税を後退させる合意に近付いているもようだ。中国は構造的な経済変化を約束し、米国製品に対する報復関税を撤廃する。交渉内容の説明を受けた関係筋が3日、明らかにした。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は3日、米中両政府間の通商協議が進展したことを踏まえると、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が3月27日ごろに首脳会談を開き、正式に通商合意を結ぶ可能性があると報じた。

米国は8カ月に及ぶ貿易戦争で中国からの輸入品2500億ドル相当に懲罰関税を発動。一方、中国は大豆など1100億ドル相当の米国製品に報復関税を課している。

トランプ政権高官はこれまで、トランプ氏のフロリダ州の高級別荘「マールアラーゴ」で数週間以内に開かれる米中首脳会談で合意に「近付く」との見通しを示している。

交渉内容の説明を受けた同筋によると、首脳会談の日取りは未定だが、中国側は3月20日前後から10日の間に首脳会談を入れられるように日程を確保している。

交渉を巡っては、米知的財産の保護強化や技術移転強制の中止、産業補助金の抑制を巡って約束した政策変更を中国が順守するのを保証する実行メカニズムの条件を含め、依然として多くの項目を詰める必要がある。

WSJの報道によると、米国が制裁関税を撤廃する見返りとして、中国側は米国からの農産品や化学製品、自動車などへの関税を引き下げる見通し。

ただ、WSJの情報筋は、合意を阻む障壁はなお存在しており、双方ともに国内からは合意条件が相手国に有利との反発を受ける可能性があると指摘した。

合意の一環として、中国は米シェニエール・エナジー(LNG.A)から180億ドル相当の天然ガスを購入するという。

シェニエールは中国との新たな供給契約の可能性についてコメントを差し控えた。同社は昨年、中国石油天然ガス集団(CNPC)に2043年まで天然ガスを供給する契約を締結している。

ムニューシン米財務長官は2月28日、米中は特定の構造的問題に対するコミットメントを含む詳細な通商合意の策定に向け取り組みを進めていると述べている。

*内容を追加しました。
https://jp.reuters.com/article/china-yuan-breakingviews-idJPKCN1QL0EB


 
【第206回】 2019年3月4日 上久保誠人 :立命館大学政策科学部教授
“米朝決裂”の裏でトランプが狙う、より大きな「ディール」
「アメリカファースト」で考えれば、第2回米朝首脳会談の決裂に意外性はない 写真:ユニフォトプレス
ベトナムの首都ハノイで行われた2度目のドナルド・トランプ米国大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の「米朝首脳会談」は、北朝鮮の非核化を巡って両国間の溝が埋まらず、合意文書の署名を見送った。トランプ大統領は、会談後に記者会見を行い、「(北朝鮮が)寧辺(ヨンビョン)核施設の廃棄の見返りに、経済制裁の全面解除を求めてきたことは受け入れられない」「席を立たざるを得なかった」と発言した。
「アメリカファースト」で考えれば
首脳会談の結果に意外性はない
 米朝首脳会談は「大山鳴動して鼠一匹も出ず」に終わった。この意外な結果に衝撃が走っているが、私は当然だと思っている。この連載で何度も書いてきた通り、トランプ大統領は「米国第一主義(アメリカファースト)」で行動する(本連載第201回)。この連載では、昨年の米朝首脳会談の前に、既にトランプ大統領は北朝鮮との「取引(ディール)」を終えていたと主張したことがある(第184回)。
 アメリカファーストの考え方では、「朝鮮半島の完全な非核化」や「北東アジアの紛争回避」など、実はどうでもいいことだからだ。そもそも、トランプ政権が「北朝鮮の核・ミサイル開発問題」に介入し始めたのは、北朝鮮が米国を直接核攻撃できる大陸間弾道弾(ICBM)を持つ可能性が出たからだったことを思い出すべきだ(第155回)。
 トランプ大統領は、自国の安全保障のことしか考えていない。昨年の第1回米朝首脳会談前に、北朝鮮が核実験場を爆破して、核弾頭を搭載したICBMを開発できなくなり、米国を直接攻撃する可能性が消えた時点で、米国は満足だったのだ。換言すれば、第1回目の米朝首脳会談前に、「ディール」は既に終わっていた。首脳会談は、トランプ大統領にとって、「ディール」の成功を祝うための、単なる「政治ショー」に過ぎなかったということだ。
 その意味で、第2回米朝首脳会談で、トランプ大統領が北朝鮮になにか妥協をしなければならない理由はなかった。昨年以降、北朝鮮のミサイル危機が高まったわけではなく、アメリカファーストの観点からみれば、「ディール」は全く必要ないからだ。
 今回の首脳会談の結果は、意外でも何でもなく、むしろ当然だ。あらためて、トランプ大統領は「アメリカファースト」で行動するのだと、強く認識させられることになったと思う。
トランプ大統領はより大きな
「ディール」を考えているのではないか
 ただ、今回の首脳会談は、これまでのアメリカファーストの説明では、解釈しきれない部分も残っている。
 首脳会談前には、トランプ大統領には、来年に迫った米国大統領選挙に向けて、外交成果を挙げていかなければならないという事情があると指摘されていた。だからトランプ大統領は、「非核化を急いでいるわけではない」など、盛んに北朝鮮にリップサービスをしていたのだ。
 首脳会談で、金正恩委員長が「経済制裁を全面解除してくれ」と、いささか調子に乗りすぎた要求をしてしまったように、「トランプ大統領は非核化を曖昧にして、北朝鮮と何らかの合意をし、米国内向けに外交成果を誇ることになる」と考えていた人は多かったと思う。
 私は、トランプ大統領が、よりスケールの大きな外交成果を得る「ディール」を行うために、今回は北朝鮮の要求を突っぱねて、席を立った可能性があると考える。よりスケールの大きな成果とは、「朝鮮戦争の終結」「在韓米軍撤退」である(第203回)。
北朝鮮国内の核施設を調べ上げて
「完全な非核化」のハードルを上げる
 今回の首脳会談で、米国側は「寧辺の核施設の廃棄では不十分だ」とし、ウラン濃縮施設など、これまでその存在が明らかでなかった、北朝鮮全土に広がっている核開発のための施設を、詳細に調べ上げていることを明らかにした。それに北朝鮮側が驚いた様子だったというのだ。
 つまり、首脳会談に臨むにあたって、明らかに米国は、北朝鮮への経済制裁を緩和するためのハードルを上げていたということだ。その理由は、トランプ大統領のアメリカファーストの推進によって、「在韓米軍撤退」が米国の政権を超えた長期的な計画ではなく、トランプ政権が今、真剣に検討する政治課題となったということではないか。
 この連載で指摘してきたように、トランプ大統領は在韓米軍の撤退について「コスト削減になる」と発言した(第203回)。まさに、「アメリカファースト」に沿ったものだといえる。
 我々にとっては、それが実現することはイメージしづらいが、トランプ大統領は思いのほか真剣なのだろう。それは例えれば、「米国とメキシコの国境への壁建設」のように、一見バカバカしいことのように思えることへの、大統領の異常なまでの真剣なこだわりに通じるものかもしれない。
 さて、もし今回の首脳会談で、寧辺の核施設の廃棄だけで合意を受け入れたとして、その他の核施設を残したままで、制裁が緩和されて北朝鮮への経済支援が始まり、朝鮮戦争の終結、国連軍の撤退、そして在韓米軍の完全撤退へと、プロセスを進めたとする。その途中で、北朝鮮が隠れて核兵器を開発していたことが発覚し、その時に在韓米軍の撤退が始まったりしたら、どうなるのだろうか。
 米国は十分な対応ができず、北朝鮮の暴走を抑えられなくなるかもしれない。また、その隠れた核開発が、中国やロシアを後ろ盾にして行われていたとしたら、米国は北東アジアでの軍事的・政治的プレゼンスを完全に喪失してしまう懸念がある。韓国のみならず、日本も含めて、北東アジアで民主主義国は存在できなくなることさえ想定せざるを得ない。
 換言すれば、真剣に在韓米軍撤退を実行するならば、まさに北朝鮮を「完全な非核化」に近い状態にすること、少なくとも核開発を絶対にできない状態を確認することが必要になるということだ。
 これは、今回の首脳会談における、トランプ大統領の「アメリカファースト」と、北朝鮮の要求を突っぱねて完全な非核化をあらためて求めたことの矛盾についての合理的な説明になると考える。
日本は「在韓米軍撤退」の後の
安全保障体制を真剣に考え始めるべきだ
本連載の著者、上久保誠人氏の単著本が発売されます。『逆説の地政学:「常識」と「非常識」が逆転した国際政治を英国が真ん中の世界地図で読み解く』(晃洋書房)
 日本では、トランプ大統領が日本を「蚊帳の外」にする決定をしなかったことに安堵する評価が多いように思う(第166回)。保守派の論者などは、「やはり、トランプ大統領と安倍首相の関係は強固だ。大統領は首相の主張を聞いてくれた」と強調しているようだ。
 北朝鮮との融和を進め、日本を「蚊帳の外」にしようと挑発を繰り返していたようにみえる韓国の文在寅大統領が、トランプ大統領に「梯子を外された」と喜ぶ論調もみられる。
 だが、本当に安堵していいのだろうか。トランプ大統領が、小さなディールを諦めた裏に、より大きなディールが潜んでいる可能性はあるように思う。日本は、在韓米軍撤退後の安全保障をどうするのか、真剣に考え始める必要があるのではないだろうか(第180回)。
(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)

https://diamond.jp/articles/-/195778


http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/366.html

[国際25] トランプ氏、対中譲歩ならオバマ氏の二の舞いに 
2019年3月4日 The Wall Street Journal
トランプ氏、対中譲歩ならオバマ氏の二の舞いに
バラク・オバマ氏
写真:ユニフォトプレス
――筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター

***

 2003年、ホワイトハウスの大統領執務室。当時、安全保障当局者だったダン・サリバン氏は、中国の副首相がジョージ・W・ブッシュ大統領に対し、知的財産の窃盗問題に対処すると表明した際、その場に同席していた。だが、中国は実行に移さなかった。

 サリバン氏は2015年にも、中国の習近平国家主席がバラク・オバマ大統領に対し、中国はサイバー攻撃を通じて企業秘密を盗む、または南シナ海で軍事拠点化を進めることはないと誓う場面を目にしていた。「中国は約束を果たしただろうか? ノーだ」。共和党の新人上院議員(アラスカ州)となったサリバン氏は今月、上院議場でこう断言していた。

 サリバン氏はインタビューで、ドナルド・トランプ大統領は、中国の法律や経済、慣行に関する構造改革を達成することで、ブッシュ、オバマ両氏がなしえなかったことを実現できるかもしれないと指摘した。「ここまでこられたのは、トランプ大統領のおかげだ」
 問題は、トランプ氏が自身の立場を堅持するかだ。ブッシュ、オバマ両氏が失敗した要因は、中国が約束を守るかどうかよりも、北朝鮮とイランの核開発をはじめ、世界的な金融危機や気候変動など、他の問題をより重視したことにある。両氏は、世界貿易機関(WTO)が認めたルール以外の方法で中国を罰することには消極的だった。

 対照的に、トランプ氏は、米国の貿易赤字を膨らませる不公正な慣行だと批判する中国の行為を阻止する決意で大統領に就任した。同盟国やWTOのことは、ほとんど意に介さなかった。当初は北朝鮮問題に関して中国の協力を取り付けることを優先したが、その後関税を発動。中国が3月1日までに米国の要求に応じなければ、関税をさらに引き上げると脅した。米司法省は中国企業の不正行為に関する調査を強化。とりわけ華為技術(ファーウェイ)がその標的となった。

 だがトランプ氏はここにきて、ブッシュ、オバマ両氏と同様に、中国側から構造改革への断固たる決意表明が得られなくても、決着したいと考えているようだ。ただ、その理由は米農家を満足させ、株価を押し上げることであり、歴代大統領とは異なる。中国はまだ、技術移転の強要や他の差別的慣行の停止など、米国側の主要な要求に応じていないと伝えられる。だが、トランプ氏は3月1日の交渉期限の延期に応じ、習氏との首脳会談の準備に着手した。

 オバマ政権で中国の通商問題を担当したブラッド・セッツァー氏は、このような首脳会談は「失敗が許されない」と話す。また、コーナーストーン・マクロのアンディー・ラペリエ氏は今週、顧客ノートで「トランプ氏がディールを望んでいるのは明らかで、トランプ氏の考える『グッドディール』の基準は下がり続けている」と述べている。


中国経済の減速はスマホから留学生数にいたるまで幅広く打撃を与えている(英語音声、英語字幕あり)Photo Composite: Crystal Tai
 これは、ロバート・ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表のレバレッジ(交渉上の相対的優位性)を弱める。同氏のレバレッジは、交渉決裂や脅し通りの関税発動も辞さない姿勢に支えられている。 皮肉にも、ライトハイザー氏は、中国に改革を実現させることが出来なかった歴代大統領の失敗に関する権威だ。同氏は弁護士時代の2010年、議会証言で「米国は多岐にわたる地政学問題で、中国の協力を必要としていると言われてきた」と指摘。だがこれは単に、中国が不正行為を「永遠と継続する状況を許しただけで、米国が中国の支援を必要とするような危機的状況は常にある」とした。

 その上で、WTOは「その創設の基本前提にそぐわない法律・政治制度に対処するようには作られていない」として、米国はWTOを尊重して、一方的な通商法を放棄すべきではないと主張した。

 ところがライトハイザー氏は、WTOが定める手続きを踏まず、鉄鋼・アルミニウム関税を発動し、同盟諸国の怒りを招いた。今後、自動車関税の発動もあり得る。だが、批判的な向きでさえ、ライトハイザー氏は過去の政権にはなかったような方法で、中国の注意を引いた(そして市場の混乱を招いた)と認めている。中国経済はその結果、明らかに打撃を受けた。製造業の活動や輸出はここ数カ月で大幅に落ち込んでいる。

 中国は、米国から大豆や天然ガスの輸入を増やすとともに、知財保護を強化し、金融など一部業種で海外企業のアクセスを拡大することで合意したと報じられている。だが、中国は米国との交渉に関係なく、その多くを実施しただろう。

 真の合意には、何が盛り込まれるべきか。ビジネス・ラウンドテーブルや米商工会議所などの業界団体は、外資による投資制限の撤廃やデータの現地保管義務づけの解除など、長い要求事項を策定している。この他、現地提携相手なしでも海外企業にライセンスを認可する、戦略的セクターで中央・地方政府による国内サプライヤーの優遇を撤廃する、サイバー防衛当局はソースコードの開示を義務づけない、知財侵害訴訟には第三者の仲裁機関が関与するとともにWTOが上訴を受理する、中国はWTOのルールに従い国有企業への補助金をすべて公表するといった要求が挙がっている。

 習氏は、こうした措置が中国の国家主権を侵害し、経済的な野心を損なうと考えれば、決して同意しないだろう。米国は中国とビジネスを行いたくなくても、他国は行いたいだろうと考える可能性もある。実際、米国がファーウェイ排除を他国に働きかけているにもかかわらず、同社の世界市場シェアは拡大している(デローログループ調べ)。

 前出のサリバン氏は、米国はこうした不測の事態にも備えておくべきだと話す。「中国の構造改革や合意履行の検証制度を実現できない場合には、絶対にこの戦いを続ける方が良い。トランプ氏と大統領のチームが強硬姿勢を維持することについては、超党派で強い支持が集まるだろう」

 トランプ氏が仮に妥協すればどうだろうか? 戦略国際問題研究所(CSIS)の中国問題専門家、スコット・ケネディー氏は、何もしなかった方がましだっただろうと指摘。「過去2年に同盟諸国との関係を損なう、または市場の混乱を招くこともなかっただろう」

(The Wall Street Journal/Greg Ip)
https://diamond.jp/articles/-/195722
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/589.html

[自然災害22] 米南部竜巻、死者23人に 今後も増える恐れ 子どもを含む少なくとも23人 
米南部竜巻、死者23人に 今後も増える恐れ
2019.03.04 Mon posted at 18:17 JST

https://ichef.bbci.co.uk/news/660/cpsprodpb/B781/production/_105877964_052727162.jpg

米アラバマ州で起きた竜巻により、幹線道路をふさぐ形で倒壊した携帯電話の中継塔/Mike Haskey/Ledger-Enquirer/AP

(CNN) 米南部アラバマ州で3日、竜巻が連続して発生し、リー郡では子どもを含む少なくとも23人が死亡した。

地元保安官が当初発表した死者数は14人。同保安官はCNN系列局のWRBLに対し「また増える可能性がある」と述べている。被害状況については、幅800メートル、長さ数キロに及ぶ破壊の跡が竜巻の発生地点から東に伸びているという。

CNNの気象専門家によれば、リー郡は1時間の間に2回の竜巻に相次いで襲われたとみられる。この日はアラバマ州とジョージア州で少なくとも12回の竜巻が発生した。

アラバマ州で竜巻によってこれだけの死者が出るのは、2011年に200人以上が死亡した巨大竜巻以来。

保安官は、重傷を負って病院に運ばれた人たちもいると説明。当局は3日夜の時点で救急捜索活動を最優先に行っているが、日が落ちるなかで難しい作業を強いられているという。

アラバマ州のアイビー知事は、先月出していた非常事態宣言の期間を延長した。この時の宣言は竜巻と悪天候を理由に、全州に向けて出されていた。


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https://www.bbc.com/japanese/47437165


 


 

米南部で大型竜巻 20人以上死亡
4時間前
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Image copyrightAFP/JUSTIN MERRITT VIA INSTAGRAM
Image caption
米南部アラバマ州を大型竜巻が襲った
米南部アラバマ州で3日午後2時ごろ、大型の竜巻が発生し、幼い子供を含む20人以上が死亡した。

アラバマ州東部リー郡の保安官事務所によると、少なくとも23人が死亡し、「壊滅的」な被害が出た。負傷者の人数は不明で、犠牲者の数も増える恐れがあるという。

アラバマ東部医療センターは3日、悪天候による負傷者40人以上を治療中で、被害者はさらに増える見通しだと話した。

捜索作業は夜間にいったん中断された。

特に被害の大きかったボールガード地区では、被害域幅は狭いところでも800メートルに達した。ボールガード地区は州都モンゴメリから東約95キロ。現地の映像では、電柱が折れ、道路にはがれきが散乱し、屋根のなくなった家屋などの様子が見える。

遺族の話によると、ボールガード地区では、8歳の子供も犠牲になったもよう。

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米国立気象局(NWS)は、竜巻の規模は改良藤田スケール(EFスケール)で少なくとも「3」(最大風速約74メートル)にあたると発表した。

ほかにも、ジョージア、フロリダ、サウスカロライナの南部各州に竜巻警報が出された。

Image caption
米アラバマ州リー郡(Lee County)のボールガード(Bearugard)、スミスステーション(Smiths Station)と州都モンゴメリ(Montgomery)の位置
リー郡スミスステーションの住民は地元テレビ局に、店舗が破壊されるのを見たと話した。大きなバーは建物の屋根が風に飛ばされた。

同郡のジェイ・ジョーンズ保安官は、「民家のあった場所に大量のがれきが積みあがっている。これほどのがれきは見たことがない」と話した。

ジョージア州アトランタから南約130キロのタルボットンの映像でも、全壊した建物や折れた木々が見える。

Image copyrightSCOTT FILLMER
Image caption
特に被害の大きかったボールガード地区
Image copyright@KEITH_IRWIN VIA REUTERS
Image caption
米南部では3日、複数の竜巻が発生した。写真はジョージア州ワーナーロビンス
ジョージア電力によると、悪天候の影響で当初、2万1000世帯が停電した。

停電世帯をモニターするサイト「PowerOutage.US」によると、日本時間4日午後の時点でアラバマ州では2000世帯以上が停電していた。

竜巻後の南部各州では、零度近くまで気温が下がる予想。

アラバマ州のケイ・アイヴィー知事はツイッターで「さらに天気が厳しくなる可能性がある」と、注意を呼びかけた。

ドナルド・トランプ米大統領もツイッターで、住民に「注意して安全を確保してください」と書いた。

アラバマ州南東部モービルで生まれた米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は、リー郡は「自分にとって大事な場所」で、人命損失に「衝撃を受けている」とツイート。竜巻被害に遭った全員に「力を癒しを願っています」と見舞った。

(英語記事 Tornadoes kill at least 23 in Lee County, Alabama)
https://www.bbc.com/japanese/47437165


 
http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/658.html

[自然災害22] 日本近海の漁業資源、地球温暖化で激減 「地球温暖化の原因は人類」、根拠の確度は非常に高い

日本近海の漁業資源、地球温暖化で激減 米研究
2019.03.01 Fri posted at 13:15 JST

中国と日本の近海では漁業資源が最大で35%も減少しているという/STR/AFP/AFP/Getty  

(CNN) 地球温暖化の影響で世界中の魚類が絶滅の危機にさらされ、中国と日本の近海では漁業資源が最大で35%も減少している――。28日の科学誌サイエンスにそんな研究結果が発表された。

長期的な個体数の減少につながらない持続可能な漁業による漁獲量は、地球温暖化の影響で4%減ったとしている。

米ラトガース大学の研究チームは、世界の漁業と海面温度に関する統計をもとに、1930〜2010年の温度変化による持続可能な漁獲量の変動を分析した。

その結果、地球温暖化が世界の漁業資源に重大な影響を及ぼしていることが分かって「愕然とした」という。漁業資源が減れば、世界で何千万人もの生計や食料供給が脅かされないとしている。

特に減少が激しかったのはアジア近海地域で、東シナ海や日本近海の黒潮では、過去80年の間に漁業資源が15〜35%減っていた。

「東アジアの生態系は、生産力が激減している。この地域は特に急激な温暖化が進み、歴史的に乱獲が多かった」。カリフォルニア大学サンタバーバラ校のクリス・フリー氏はそう指摘する。

この地域は世界の人口増大を支え、魚介類に対する需要も極めて大きいことから、東アジアの漁業資源縮小は懸念されると同氏は言い添えた。

漁業資源が減り続ければ、東アジア諸国が魚類の輸入量を増やし、価格の高騰を招く恐れもある。

同氏はさらに、乱獲が地球温暖化の影響を加速させていると述べ、乱獲によって魚類の繁殖能力が減退し、温暖化の影響を一層受けやすくなると指摘している。


日本

中国

環境問題
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https://www.cnn.co.jp/world/35133541.html


 

ロイター2019年02月27日 10:27
「地球温暖化の原因は人類」、根拠の確度は非常に高い=研究


[オスロ 25日 ロイター] - 地球温暖化の原因が人類にあることを示す根拠が、「ゴールドスタンダード」と呼ばれる非常に精度の高いものであることが明らかになった。米国が率いるチームが衛星のデータを分析した結果、判明したといいう。

研究結果は英科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ」に掲載された。

チームは、衛星が観測した過去40年間の地球の気温上昇を解析。人類の活動と地球の表面温度上昇の関連性は、ほぼ確実とされる「ファイブシグマ」の水準に達していると指摘した。

研究を主導した、カリフォルニア州ローレンス・リバモア国立研究所のベンジャミン・サンター氏は「気候変動の原因が科学者には分かっていないという見解は、誤りだ」と述べた。

主流派の科学者は、化石燃料の燃焼により洪水や干ばつ、猛暑、海面上昇が引き起こされていると主張している。

トランプ米大統領はしばしば、地球温暖化を疑問視する発言をしている。だが、イエール大学などの気候変動コミュニケーションセンターによると、2018年の調査では米国人の62%が気候変動の原因は人類と回答。この割合は、13年の47%から上昇した。
https://blogos.com/article/360648/

http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/659.html

[国際25] エストニア総選挙、リベラル派の野党が第1党に 極右も躍進 極右台頭の陰にロシアの存在 ロシアの世論操作を暴く米シンクタン
エストニア総選挙、リベラル派の野党が第1党に 極右も躍進
3/4(月) 15:37配信 AFP=時事

エストニアの首都タリンの投票所で、投票する野党・改革党のカヤ・カラス党首(2019年3月3日撮影)。【翻訳編集】 AFPBB News
【AFP=時事】バルト3国のエストニアで3日、議会(一院制、定数101)の総選挙が行われた。リベラル派の野党・改革党がユリ・ラタス(Juri Ratas)首相率いる与党・中道党を上回って第1党となったほか、主に地方の有権者の不満を吸い上げた極右の保守人民党(EKRE)が躍進した。

【関連写真】首都タリンの投票所の様子。開票作業も

 エストニア総選挙の公式ウェブサイトに掲載された最終結果によると、各党の得票率はカヤ・カラス(Kaja Kallas)元欧州議会議員率いる改革党が28.8%で、23%だった中道党を大きく上回った。保守人民党は前回総選挙の2倍以上となる17.8%、現在の連立政権に参加している社会民主党と保守の祖国・共和国連合は、それぞれ9.8%と11.4%だった。

 選挙管理委員会によると、投票率は63.1%だった。

 議席の過半数を得た政党がないため、連立交渉が行われることになる。改革党が社会民主党、祖国・共和国連合と連立すれば定数101のうち56議席を、最大のライバルである中道党と連立した場合には60議席を確保することになる。改革党のカラス氏はエストニア公共放送(ERR)に対し、保守人民党以外のどの党とも連立する用意があると述べた。

 盛り上がりに欠けた今回の総選挙では、税制や公共支出といった生計に直接関わる問題、地方と都市の格差、同国に相当数居住するロシア系住民に対するロシア語教育をめぐる対立が争点となった。

 旧ソ連からの独立後、これまで30年近くライバル政党として与野党の立場を替えつつ政権を担い、時に連立政権も組んだ改革党と中道党はいずれも、欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)加盟国というエストニアの立場を守ろうとしている。また両党は緊縮財政を指向しており、エストニアの債務対GDP比はユーロ圏の中で最も低い。

 極右の保守人民党は、所得税と消費税の引き下げを掲げや移民反対を前面に押し出し、改革党と中道党の緊縮路線では置き去りにされるという地方の有権者の不安を背景に支持を伸ばした。

 中道党は、授業をエストニア語で行う学校とロシア語で行う学校がある旧ソ連時代に起源を持つ教育制度の維持を訴えた。一方、改革党と保守人民党はロシア語教育の廃止を主張している。【翻訳編集】 AFPBB News

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連立交渉、難航必至=極右政党が影響力行使も−スウェーデン総選挙
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190304-00000022-jij_afp-int


 


ロシアの世論操作を暴く米シンクタンク報告「THE KREMLIN’S TROJAN HORSES 3.0」を読み解く
2019.02.09
 
一田和樹
THE KREMLIN'S TROJAN HORSES 3.0
Atlantic Council(大西洋評議会)によるTHE KREMLIN’S TROJAN HORSES 3.0

ロシアのネット世論操作を暴いた3年間のプロジェクト


 昨年末に、アメリカのシンクタンク大西洋評議会が『The Kremlin’s Trojan Horses 3.0』を公表した。本レポートは3年間にわたる大西洋評議会のプロジェクトの最後の成果物であり、ヨーロッパに対するロシアの干渉を暴き出している。2016年、2017年に発表された過去の同シリーズのレポート(THE KREMLIN’S TROJAN HORSES、THE KREMLIN’S TROJAN HORSES 2.0)は、いずれもロシアのネット世論操作(disinformation campaign)を調べる者にとっては必読書となっている。しかし、なぜか日本ではほとんど紹介されることがない。

 本稿ではこのレポートを紹介しつつ、必要に応じて他の記事なども参照したい。

民主主義の不都合な真実


 2016年の最初のレポートではフランス、ドイツ、イギリスに焦点をあて、Brexit、フランス大統領選、AfDへのメディアの支援を中心に分析していた。

 2017年の次のレポートでは、ヨーロッパの南部、スペイン、イタリア、ギリシャを取り上げた。イタリアでは2つの極右で親ロシアの同盟と5つ星運動を取り上げていた。この2つの政党によりイタリアで連立政権が誕生し、反EUを掲げ、ロシアに対するEUによるロシア制裁にも反対している。ギリシャではマケドニア問題にフェイクニュースで干渉し、事態を膠着させた。スペインはロシアのネット世論操作に対して脆弱とされた。

 このレポートによって明らかになったのはロシアのネット世論操作の実態だけではない。民主主義そのものの弱点が暴かれたと言ってもよい。今回のレポートの中でもこの点について触れており、民主主義を標榜する国は、不都合な真実と向き合う必要があると述べている。考えなければならないことは大きく2つ。

1.民主主義の原則である公開性、透明性、多様性は重要な価値であると同時に脆弱性であることが明らかになった。
2.民主主義国の中にもロシアの戦略を支持し、支援する個人、組織、政党が存在した。多くはその地で産まれた極右か極左だ。ロシア支持者は中道派の中にも少数いることがあり、現役あるいは元政府関係者にもロシアの見解に親近感を持つ者や、ロシアとの関係でなんらかの便益を得ている者もいることがある。

2019年は5月のEU選挙を始めとして、エストニア、フィンランド、ベルギー、デンマーク、ギリシャ、ポーランドなどで総選挙が行われる。その結果次第では、EUの分裂など危険な事態も起こりかねない。

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ロシアの世論操作にもっとも脆弱な北欧の国は……

ヨーロッパ北部、スウェーデンがもっとも脆弱


 今回のレポート「3.0」では、ヨーロッパ北部、デンマーク、オランダ、ノルウェー、スウェーデンを取り上げている。この地域は概してロシアに対して否定的な態度を取っている。ロシアのプロパガンダ媒体であるスプートニクとRTが根付いている国はなかった。ちなみに日本のスプートニクはある程度浸透しているようで、ふつうのメディアだと思っている人も多そうだ。

 レポート全体を通して、既刊の2つに比べるとロシアのネット世論操作の浸透度は低いのは確かだ。しかし、これらの国は地理的にロシアに近く、国境を接している国もある。ロシアからの移民もいる。いまのところはロシアが本腰を入れて攻撃する対象になっていないが、そうなった時は安全ではいられないだろう。

 中でもスウェーデンでは極右勢力が台頭しつつあり、他の国に比べて危険が高まっている。

 ノルウェーとデンマークはロシアのネット世論操作の影響をあまり受けておらず、オランダでは旅客機MH17の墜落(ロシアが撃墜したと言われている)によって同国人が多数死亡したことにより、ネガティブな雰囲気になっている。

 ただし不安要因がないわけではない。ノルウェーは豊富なエネルギー資源を持っているため、ロシアから経済的な影響を受けにくいが、比較的ロシアに近い北部とそれ以外でロシアに対する意見は分裂している。ヨーロッパの他の地域でも見られるように、反移民、反権力の雰囲気が広がっている。もし、次の選挙でイタリアのような親ロシア連立政権が他の国でも成立したら、ヨーロッパは取り返しのつかない混乱に陥るだろう。それこそがロシアの狙いだ。

 同レポートを踏まえて、北ヨーロッパ各国の状況について解説しよう。

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オランダ極右台頭の陰にロシアの存在

オランダ極右台頭の陰にロシアの存在


・デンマーク

 デンマークは反ロシアの傾向が強い。ほとんどのデンマーク人は、さまざまな理由でロシアに否定的だ。人権侵害、公共物の私物化、私物の公共化、旧ソ連邦時代に領土であった国への国内干渉、反西側、反EU、反NATOといった具体的な理由もあるが、理由がなくてもロシアを嫌う風潮がある。レポートを読む限り、感情的な嫌悪感のようだ。

 そのためロシアからのネット世論操作攻撃への耐性はあるが、ジャーナリストや研究者たちはロシアに対して古い考えを持っており、新しいロシアの戦略を理解していない傾向がある。本格的にロシアが攻撃してきた時の態勢に不安が残る。

・オランダ

 オランダはロシアとの距離感が微妙だ。ある程度の関係を維持しながら、影響を受けないようにする難しいバランスを取らなければならないようにレポートには書かれている。その理由はいくつかある。

 オランダはロシアとの経済的な結びつきが強い。2013年の段階ではロシアはオランダの10番目の輸出先だった。しかし2014年にロシアで起きたオランダ食品のボイコットやEUの対ロシア制裁措置による花と果物の輸出減により輸出量は2013年から2017年で20%も減少した。

 ロシアからオランダへの輸出ではエネルギーが重要な役割を果たしている。現時点ではオランダは自前のガスが豊富に産出しているが、近い将来それが枯渇することがわかっており、その対策が立てられていない。ロシアに頼らざるを得ない状況だ。すでに現在でもロシアから供給を受けている。

 ロシアのネット世論操作部隊IRAがオランダをターゲットにした活動を行っていることがわかっている。ウクライナのEU参加の投票の際には反対を煽るようなフェイクの動画を流して世論を誘導していた。また頻繁にツイッターでMH17(*)に関するフェイクニュースを流し、ロシアの関与を否定している。(*参照:マレーシア航空17便撃墜事件–wikipedia)

 ロシアの手は政党にも伸びており、オランダの政党、保守系右派の民主主義フォーラム(FVD、Forum voor Democratie、Forum for Democracy)、民族主義的右派のPartij voor de Vrijheid(PVV、Freedum Party)、左派のSocialist Party(SP)などが影響を受けている。民主主義フォーラムの台頭は日本でも報じられており、反EUの動きが加速する危険をはらんでいる。(参照:オランダ、台頭するポピュリズム新世代–日経新聞)

・ノルウェー

 ノルウェーはロシアと国境を接している数少ないNATO加盟国のひとつである。産油国であり、エネルギーでのロシアへの依存がない。政治的な分裂もなく民族的、社会的な対立も少ない。教育水準も高く、メディアは多様である。全体としてロシアへの共感は低いとされている。

 レポートによれば2014年以降、少なくとも3回ロシアからの干渉があったことがわかっている。2015年にロシアのプロパガンダ媒体として有名なスプートニクがノーベル賞の信用を傷つける偽造文書を公開した。同じ年の後半、ノルウェーとフィンランドは前例のない多数の移住者が自転車でロシア国境を越えて来た。国境のロシア側は通常厳しくチェックされるが、この時はロシアの国境警備隊が国境を越える移住者を手伝っていた。政治的な混乱を増幅させる狙いだったようだ。その他にスバールバル諸島のノルウェーの保有権への疑惑の種をまいたり、ノルウェー政府や組織とメディアの信用を失墜させようとしたりしている。

 こうしたロシアの動きを支えるのは、ノルウェーのインフルエンサーと、ロシアのインフルエンサーの2つのグループだ。

 前者=ノルウェーのインフルエンサーは、ロシアの政策を指示する主要政党の一部の政治家、地域のグループ、マスメディアやブログの一部とされている。ロシアからの直接の関与はないようだが、ロシアを支持する動きをしている。

 ただしロシア支持の動きの圧倒的多数は傍流であり、組織だった動きは見られない。彼らはネットでSNSやブログ、サイトを作成して広げており、代表的なサイトは、The Herland ReportとSteiganである。ロシアに共感する者は極右、極左におり、存在感を増している。

 主要メディアのいくつか、特に左派の Klassekampen は親ロシア的発言を行ったことがある。NATOやウクライナに関してのニュースでは、いくつかがウソか不正確であることが暴露された。Klassekampen はそれにもかかわらず、政府補助金を受け、部数を伸ばした。およそ2万4千部でベスト10にランクインしている。

 ロシアのインフルエンサー=後者は、主にロシア大使であり、活発に活動し、ノルウェーの原住民とロシアからの移民に影響を与える発言をしている。親ロシアの草の根運動の支援を行ったり、繰り返しSNSで発言したりしている。

 レポートによると、ノルウェーは透明性の高い国だが、3つの脆弱性がある。

1.伝統的な抑止と保障のバランスをとろうとしているおり、ロシアの素早い行動への対応に苦慮している。
2.政府によるネット世論操作への組織的な検知、分析態勢がない。
3.ネット世論操作に関して国としての調査が行われておらず、国民の認識もまだ低いレベルである。

 なお、本レポートではあまり触れられていないが、ノルウェー政府はスキャンダルが続き、連立政権内部での亀裂も広がっているようだ。今後の動きが気になる。

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国民の政府やメディアへの不信につけこむ

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・スウェーデン

 レポートによればもっともロシアの脅威の影響を受けているのがスウェーデンである。スウェーデンは近年の移民の増加による混乱で政治の議論はより極論に走るようになり、多くの投票者が既存政党に背を向けるようになった。これがつけ込まれる隙になった。

 2018年の総選挙では極右のスウェーデン民主党(SD、Sweden Democrats)が国民が持っている移民政策への不満と移民をうまく処理できていない不満を利用し、第3党にまで躍進した。


 長い間、スウェーデンは平時には非同盟、戦時には中立という方針でロシアに接してきた。しかし、スウェーデンがEUに加入し、リスボン条約でEU加盟国が攻撃を受けた場合、他の加盟国はあらゆる手段でこれを支援しなければならないことになったため、NATOとの関係も深まった。1990年代初頭にスウェーデンは旧ソ連邦の国々に働きかけ、東方パートナーシップ締結にも関与した。スウェーデンが旧ソ連邦の国々に働きかけたことは以前の中立を捨て、EUよりの価値を追及することを意味し、ロシアとの対立を深め、軍事的緊張を増すことになった。ロシアとの間に起きるであろうことへの対応で政治的な分断が進んだ。

 1980年代のネオナチ運動から発生したポピュリズム政党のスウェーデン民主党は右派であり、反移民、反ムスリムを掲げ、伝統的な価値感を称揚し、イギリスに続いてEU脱退すべきと主張している。このアジェンダはロシアが期待するものに沿っている。公式には同党はロシアには厳しい見方をしており、NATOに関しては党内でも意見が割れている。しかし、プーチンのナショナリズムに共感を抱く党員もいる。この党がロシアのターゲットにされる可能性は高い。

 左ではThe Left Party、Green Partyの一部にロシアを支持する動きがある。Communist Partyは反アメリカ、EU懐疑主義に基づくかつての中立主義の復興。これはロシアの望むことでもある。

 スウェーデン民主党から脱退した者たちが作ったAlternative for Sweden (AfS)はスウェーデンのもっとも親ロシア政党となった。ロシアへの制裁措置の全て反対している。2018年6月モスクワで開催された議会主義のフォーラムに参加した同党はフェイスブックのページで世界のAlternativeをつなぐことを宣言した。参加するのは親ロシア政党ばかりなのだが。

 AfSはSNSでもさかんに活動していた。Sweden Defence Research Agency によれば選挙中ボットの増加が確認された。そのうち47%はスウェーデン民主党、29%はAfSだった。

 自身をAlternativeと形容するメディアがスウェーデンに増加しているのも危険な兆候だ。その多くはスウェーデン民主党の支持者とされている。極右で、スウェーデン民主党のナショナリズムからあからさまなナチズムまである。

 オンラインマガジンではJinge.seとNewsvoiceが、もっともロシアの話を紹介しており、極右と極左の架け橋にもなっている。

 ロシアのプロパガンダは、移民に関係した犯罪、統合の弱さ、シリアで戦っているスウェーデンのイスラム原理主義者に焦点を当てている。でっちあげではないが、かなり誇張されているため、これらの問題を政府が解決できなければ国民の信頼を取り戻すことができず、ロシアにつけ込む隙を与えてしまう。

 もしスウェーデン民主党の影響力が拡大すればスウェーデンがNATOやEUと距離を置くようになるのは間違いない。これはロシアの思う壺だ。

 国民のNATOへの支持は増加傾向にあるが、その一方でAlternativeメディアは継続的に反西側のプロパガンダを流している。幸い昨年9月の選挙でスウェーデン民主党は事前に危惧されたほどは躍進しなかったが、連立政権の調整は難航し、新内閣が発足するまで4か月もかかった。(参照:総選挙から4カ月を経て新政府樹立–JETRO)

◆シリーズ連載「ネット世論操作と民主主義」

<取材・文/一田和樹>
いちだかずき●IT企業経営者を経て、綿密な調査とITの知識をベースに、現実に起こりうるサイバー空間での情報戦を描く小説やノンフィクションの執筆活動を行う作家に。近著『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器 日本でも見られるネット世論操作はすでに「産業化」している――』(角川新書)では、いまや「ハイブリッド戦」という新しい戦争の主武器にもなり得るフェイクニュースの実態を綿密な調査を元に明らかにしている


前回の記事
政府がぶち上げた「フェイクニュース対策」の危険な兆候
2019.01.29
 

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https://hbol.jp/185416/2
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/590.html

[国際25] イタリア経済は危険水域に、欧州他地域への波及警戒−総選挙から1年 2桁台で高止まりする失業率と、山と積もった債務
イタリア経済は危険水域に、欧州他地域への波及警戒−総選挙から1年
Fergal O'Brien、Chiara Albanese
2019年3月4日 20:52 JST
イタリアではポピュリストが政権を握った総選挙から1年がたったが、景気見通しは不安定さを増し、欧州の残り地域への波及がますます警戒されている。

  ユーロ圏で3番目の規模を持つイタリア経済は2月も製造業の低迷が続いた。景況感指標は前年のリセッション(景気後退)が今年に入っても長引くとの見通しを裏付けている。欧州委員会はポピュリスト政権の政策を繰り返し批判し、域内他地域に影響を及ぼす恐れがあると警告している。

  2桁台で高止まりする失業率と、山と積もった債務の削減に進展が見られない中で、イタリア経済は今年ほぼゼロ付近の成長率にとどまる見通しだ。1−3月(第1四半期)成長率のエコノミスト予想平均はプラス0.1%だが、再びマイナス成長になる可能性も高いと多くが指摘する。

  一方、ポピュリスト政党の指名を受けて就任したコンテ首相はこうした見通しを否定し、年内に成長率が上向くとの見方を断固変えていない。

Highest Since Mussolini
Italy public debt level climbed again in 2018


Source: Bloomberg calculations based on Bank of Italy data and Ministry of Economy forecasts

原題:Italy in the Danger Zone Alarms Rest of Europe a Year After Vote(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-04/PNUA446VDKHS01?srnd=cojp-v2


 

長期金利はゼロ%に上昇、リスクオンや明日の10年入札警戒で売り優勢
三浦和美
2019年3月4日 7:58 JST 更新日時 2019年3月4日 16:08 JST
債券相場は下落。長期金利は約1カ月ぶりにゼロ%に上昇した。米国と中国の通商交渉に関する楽観論を背景とした株式相場の上昇や円安進行に加えて、日本銀行の国債買い入れオペを巡る不透明感、5日に行われる10年債入札への警戒感も売り材料となった。

新発10年物353回債利回りは、日本相互証券の前週末午後3時の参照値より1.5ベーシスポイント(bp)上昇のゼロ%と1月31日以来の高水準
長期国債先物3月物の終値は前週末比14銭安の152円51銭。一時は152円50銭と約1カ月ぶり水準まで下落
市場関係者の見方
SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジスト
週明けは米中貿易交渉の進展期待という新たな材料が加わり、前提が少し変わった
米欧長期金利の上昇も円債には逆風、今は強気になれる材料の方が乏しい
日銀が3月の国債買い入れオペ運営方針で残存期間5年超10年以下の減額を示唆したことで、明日の10年債入札が懸念されている
当分は様子見で10年金利がプラス圏に入ったところで押し目を探すという状態
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジスト
長期金利がゼロ%に上昇したのは、10年債入札への警戒意識と残存5ー10年オペの回数減少の二つの要因
6日の日銀オペの金額が不透明なままで10年入札を迎えるということで、ただでさえ不安がある中でマイナス利回りだと投資家需要も限られる可能性があるので大丈夫かというのは意識されていた
そういう動きが今日のここまでの金利上昇につながったのだろう。10年入札はゼロ%だとまだ厳しいかもしれない。少なくとも今週は金利上振れの方の時間帯か
日銀オペ
残存1年超5年以下と10年超が対象。買い入れ額は各ゾーンで前回から据え置き
応札倍率は1−5年が前回から低下した一方、10年超は上昇。超長期債の売り圧力の強さが示された
SMBC日興の竹山氏
超長期ゾーンのオペ結果は若干弱めで、売り需要が結構あったとみられる
備考:過去のオペ結果一覧
背景
東京株式相場は続伸。日経平均株価は前週末比1%高の2万1822円04銭で終了。ドル・円相場は前週末に一時1ドル=112円08銭と、昨年12月以来の水準までドル高・円安が進行。この日の東京市場では112円ちょうど付近で推移
備考:米中の通商合意近い、中国が公約履行なら対中関税撤回か−関係者
新発国債利回り(午後3時半時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.150% -0.150% 0.000% 0.445% 0.635% 0.715%
前週末比 横ばい +0.5bp +1.5bp +1.5bp +1.5bp +1.5bp

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-03/PNTAMY6TTDS101?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/591.html

[国際25] 米財務長官、債務上限の突破回避に向け異例の措置表明 米下院委、81の個人・団体に文書要請 大統領の司法妨害疑惑で
ビジネス2019年3月5日 / 08:30 / 1時間前更新
米財務長官、債務上限の突破回避に向け異例の措置表明
Reuters Staff
1 分で読む

[ワシントン 4日 ロイター] - ムニューシン米財務長官は4日、ペロシ下院議長に宛てた書簡で、連邦政府の債務上限突破を回避するため、異例の措置を講じていると明らかにした。

ムニューシン氏は、連邦職員の退職年金制度と障害者基金への投資を保留にしているとし、4日から「債券発行停止期間」に入り、6月5日まで続くと説明した。

「できるだけ早期に法定債務上限引き上げに向け行動することで、米国への十分な信頼と信用を守ることを議会に求める」とした。
https://jp.reuters.com/article/usa-debt-limit-idJPKCN1QL2CH

米下院委、81の個人・団体に文書要請 大統領の司法妨害疑惑で
Reuters Staff
1 分で読む

[ワシントン 4日 ロイター] - 米下院司法委員会は4日、トランプ大統領による司法妨害と職権乱用の疑いを巡る調査の一環として、81の政府機関や団体、個人に対し文書の提出を要請する書簡を送付したことを明らかにした。

対象となる個人にはトランプ大統領の息子ドナルド・トランプ・ジュニア氏やエリック・トランプ氏、娘婿のクシュナー大統領上級顧問、トランプ氏一族が経営するトランプ・オーガニゼーションのアレン・ワイセルバーグ最高財務責任者(CFO)、ジェフ・セッションズ前司法長官、ホワイトハウスのドン・マガーン元法律顧問らが含まれる。また、内部告発サイト「ウィキリークス」や司法省も対象となる。

下院司法委は、コミー米連邦捜査局(FBI)前長官の解任など、敵対的とみなす人材を排除するトランプ大統領の行動が司法妨害に当たるか、また大統領特権を乱用した恩赦や証人への関与といった行為があったかどうかを巡り調査を開始した。

ナドラー委員長(民主)は「議会が2年にわたり責任ある監視を拒んだことはわが国の民主主義機構に損害をもたらした。議会は権力の乱用を防止しなければならない」と語った。

トランプ大統領は、ナドラー氏の調査に協力するかとの質問に対し「いつでも誰にでも協力している」と応じた。

ホワイトハウスのサンダース報道官は、ホワイトハウスが下院司法委から書簡を受け取ったことを確認。詳細を見極め、適切な機会に対応すると語った。
https://jp.reuters.com/article/usa-trump-russia-congress-idJPKCN1QL1XE
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/593.html

[社会問題10] グリコ「こぺ」炎上で露呈するコミュ力“総低下社会” 河合 薫 健康社会学者 
グリコ「こぺ」炎上で露呈するコミュ力“総低下社会”

河合 薫
健康社会学者(Ph.D.)
2019年3月5日
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全6007文字
「うちの会社には“解釈会議”っていうのがあるんですよ(笑)」
「カイシャクカイギ? ですか?」
「そうです。社長が会議で言ったことを、終わったあとで“解釈”して部下に伝えるの」
「なるほど。社長が言ったことが部下には伝わらないんですね!(笑)」
「あ、それならうちにもありますよ。でも、後じゃなく前。会議の前日に『明日、こう言ってきたとこは、こうこうこういう意味だからな』って(笑)」
「みなさん、大変ですね」
「(一同笑)はい、大変です」

 いつのことだったか忘れてしまったけれど、社長の言葉を翻訳する“解釈会議”ネタで中間管理職の人たちと盛り上がったことがあった。

 まぁ、社長さんに限らず上の指示が部下に伝わらないのは日常茶飯事だし、何人もの社長さんたちから「どうやったら話が上手く伝わるのか?」と度々質問されていたので、「忖度上手の管理職が解釈して伝えてくれれば願ったり叶ったりだわ」などと、彼らの話にホッコリした気分にもなった。

 が、上司と部下なら許される“解釈”が、女性と男性の間だと、場合によっては「NG」らしい。


 先日、またもや企業のキャンペーンサイトが炎上し、取り下げるという事態が起こった。“燃えた”のは江崎グリコ。同社が2月6日に夫婦間の子育てコミュニケーションアプリ「こぺ」をスタートしたことを記念し、19日「パパのためのママ語翻訳コースター」というコンテンツを公式サイト上で発表したところ、“こぺ燃”してしまったのである。

 「パパとママのコミュニケーションがうまくいくコツを、おしえて!こぺ!」というタイトルがつけられたページには、「すれちがいのストレスを減らすには、まず、パパとママの脳のちがいを知ることから」とし、男性脳と女性脳の違いによりコミュニケーションのすれ違いが起こるという趣旨を説明。で、具体的に「妻の言葉を“翻訳”」した8つの事例を紹介したのだ。

 たとえば、
「一緒にいる意味ないよね?」→「私のこと、どう思ってるのかな?」
「もういい!(ピッ!電話を切る)」→「ほんとは甘えたいの」
「好きにすれば?」→「それをやったら、もう知らないから!」
「わかってない」→「正論はもとめてない」
「仕事と家庭どっちが大事なの?」→「私は何より家庭を優先してるのに、あなたは仕事ばかりなのが寂しいわ……」
などなど。

 これに対し、「女性をバカにしてる!」「全く翻訳が適切ではない」「『女性に対しては共感だけすればいい』と思っているのか」「同じ言語を話しているのに翻訳するって失礼にもほどがある!」などなど批判が殺到し、23日に公開を終了したのである。

次ページコミュニケーションは「受け手」次第という“不条理”


コミュニケーションは「受け手」次第という“不条理”
 一応サイトには、「掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません」という但し書きがあり、監修した専門家・黒川伊保子氏の名前も併記したが、怒るのが仕事になってるご時世、いや失礼、「批判の共有が容易な今のご時世」では、受け入れてもらえなかったということなのだろう。

 ……というか、おそらく私がこうやって書いただけで、「オマエは夫婦関係に真剣に悩んでる人たちの気持ちがわからんのか!」だの、「アンタはいつも差別するな〜だの、男も女も違いはないだの言ってるじゃないか! なのにグリコのことは責めないのか!」だの、批判スイッチがオンになった人もいるに違いない。

 なので、ここまで書きながらも「このネタやめといたほうがよかったかも」と若干怯んでいる。

 でも、もう書き始めてしまったので批判を恐れずに言わせてもらうと、「まぁ、そんなに怒らずにさ、笑い飛ばせばいいのに」というのが率直な見解である。

 ふむ。ひょっとして「翻訳」ではなく、「解釈」くらいにとどめておけば良かったのだろうか。あるいは「ママの言葉」ではなく、「パパの言葉」を翻訳したら、「ウケる〜〜」と好意的に受け入れてもらえたのかも、などと思ったりもする。

 黒川氏の過去の著書には「男性のトリセツ」なる章があり、
・「そのバッグいつ買ったの?」と聞かれたら、「前からあったじゃん」で事なきを得る
・目的と任務さえ押さえてあげれば、男性脳は応用が利く
・不満があったら、率直に言えばいい
・会話を「なんでわかってくれないの?」から始めないのがコツ
といった具合に、案外役立つかもしれないことも記されている。

 まぁ、これでも批判する人は批判するのだろうけど、数年前に「イケメンに職場活性効果アリ」というアンケート結果が公表されたときにはたいした問題にはならなかった。イケメンを美人に置き換えて男性を対象にアンケートしたら「セクハラ」と大バッシングされるだろうに、良い意味でも悪い意味でも、世の中が「女性オリエンティッド」であるのはまぎれもない事実なのである。

 いずれにせよ、男女間に限らず、「コミュニケーション」は永遠のテーマ。

 自分の言いたいこと、思っていることを、相手に100%伝えることなどそもそも不可能だ。コミュニケーションを「言葉のキャッチボール」と例えるように、その主導権は「伝え手」ではなく「受け手(キャッチ)」にある。発せられた言葉が持つ意味は、その言葉を受けとった人に、ある種「勝手に」決められてしまうからだ。

 同じ“言語”を使っていても気持ちや意図が伝わらない場合は往々にしてあるし、「コンテクスト(文脈)」=「前後の話の流れの中で、どういう位置づけでその言葉を発しているか」によっても、言葉に込めた意味は変わる。

 であるからして、言葉の「字面」や「断片」を追いながら「伝え手」を一方的に批判することは、「コミュニケーション」の視点から捉えれば、あまりよろしきことではない。相手の伝え方がちょっと稚拙なだけだったり、自分の受け方に誤解や偏りがあったりする可能性も、ゼロとは言えないからだ。

 コミュニケーションは、アクションを起こす「伝え手」ではなく「受け手」に主導権があり、うまくいくもいかないも、かなりの部分が「受け手」次第というのがいかにも“不条理”。グリコさんの肩を持つわけではないけれど、炎上したコンテンツの裏には、「その不条理さに苦しむパパやママたちを、ちょっとだけでも助けたい」という思いがあったのではないか。

 確かに、コンテンツの内容に女性蔑視的な視点が感じられるという批判については、うなずける部分はある。ただ、基本的な「コンテクスト」は、パパとママに仲良くやってほしい――という思いだ。それに、現実的には、サイトで紹介されたやり取りでうまくいく場合も少なからずありそうな気がする。であれば、そんなに怒らなくても……と感じるわけで。「世界平和でいこうぜ!」などと思ってしまうのだ。

次ページ「男脳」「女脳」の真偽


「男脳」「女脳」の真偽
 実際、私は今回のサイトの翻訳をみたとき「へ〜、そういう受け止め方もあるんだ」とえらく感心したし、女性部下とのコミュニケーションに悩む男性上司のヒントになったかもしれないと感じた。

 「個人差はあるにせよ、男の部下ならこれくらい言っても大丈夫だろうと思えるんですけど、女性の部下だと全くイメージがつかめなくて」と、長年男性部下だけと接してきた男性上司たちは、女性たちが想像する以上に女性部下に気遣っている。それを女性たちに話すと、「だったら直接聞いてほしい」(あれ? これ「男性トリセツ」と同じだ!笑)と答えるが、男性上司は直接聞くのもためらいがち。「セクハラになりやしないかと……」という懸念をぬぐいきれず、ビビってしまうのである。

 と、またここで「別に男性の肩を持っているわけではありませんけどね」と念を押しとかないと、「河合薫は女の敵だ!」だの、「男にすり寄っている」だの批判されかねない。嗚呼、なんと難しい世の中なのだろう。

 「掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません」ならぬ、「掲載するコラムには充分に注意を払っていますが、その内容については、あくまでも河合薫の個人的見解であり、万人に共通することを保証するものではありません」と注釈を入れた方がいいのかもしれない。

 話がちょっと横にそれた(笑)。今回の炎上騒動に話を戻すと、コンテンツの前提が「男性脳と女性脳の違いによりコミュニケーションのすれ違いが起こる」となっていた点が、ことをよりややこしくした気がしている。

 研究者の端くれとして念のため言っておくと、以前、「男らしい!順大不正入試「女子コミュ力高い」論」でも書いたように、近年、脳の男女差を否定する調査結果が相次いでいる。

https://business.nikkei.com/atcl/opinion/15/200475/121400197/

 脳科学研究が始まった頃は「脳梁が男性より太い女性は、男性に比べ、自分自身の感情を素早く言語化できる」とされていたが、その後、男女の脳にはいくつか異なる特徴は認められるものの統計的な分析をすると有意差はない――というのが定説になりつつある。「男脳・女脳」と、あたかも性差があるように印象づけるのは言い過ぎである。

 とはいえ、世間は「神経神話」が大好き。「右脳・左脳」「脳に重要なすべては3歳までに決定される」「我々は脳の10%しか利用していない」といった話も、実は、科学的根拠は極めて乏しい。なのに人はそれを信じ、納得し、拡大解釈する。特に「男性と女性の性差」にまつわる問題は、どんなに研究者が否定したところで、人は「わずかな異なる部分」に無意識に反応する。でもって「やっぱりそんなんだよなぁ?」とドラマチックに受け止められてしまうのだ。

 世界的な大ベストセラー『Why Men Don't Listen and Women Can't Read Maps 』(邦題『話を聞かない男、地図が読めない女−男脳・女脳が「謎」を解く』)には遺伝子で性差を語る記述がいくつもあるが、これも実際には非科学的。遺伝子と環境との相互作用のメカニズムに関する研究が蓄積されて分かったのは、その複雑さだ。「影響はあるけど遺伝子がすべてを決めるわけではない」のである。

次ページ「男と女の違い」というより「個人差」

「男と女の違い」というより「個人差」
 そもそも「男と女の違い」に関心が高まるようになったのは、100年以上前の19世紀後半に遡る。それまでは男女にみられる能力・役割・特性の違いは自明の理とされ、研究対象にもならなかった。

 ところがダーウィンが提唱した「性淘汰」説がきっかけで男女差への関心が高まる一方で、産業革命により産業界や経済界に女性が進出。「男性と同じレベルに女性はあるのか?」という、ある種「女性を差別あるいは区別」するための検証作業が進められたのである。

 とりわけ男女間の行動・心理特性をテーマにした研究は多く行われ、「女性は感情的」「女性は自尊心が低い」「男性は攻撃性が強い」「女性は協調性が高い」などの説が続々と発表された。

 が、世界中の研究者たちが「男女の違い」を説明するために行ってきた数多くの心理社会学的研究の神髄は、「男女差がいかに社会的状況に左右され、いかにさまざまな要因の科学反応によって出現しているか」を明らかにした点にある。

 つまり、男女差より個人差の方がはるかに顕著。様々な調整要因を加味して分析すると、男女差の統計的な有意差が認められなくなったり、男女差の傾向が逆転したり……。「男と女の違い」というより「個人差」の問題に行き着くのである。

 当たり前といえば当たり前なのだけど、人は視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚という五感から、莫大な情報を入手しても、そのうちのわずか一部しか処理できない。なので無意識にパターン化したり、自分が気になっている部分にのみ反応したり、経験と照らし合わせて判断する。これは人が人である以上、絶対に避けることのできないプロセスである。

 だからこそ、心理的な男女の違いを書いた『Men Are from Mars, Women Are from Venus(邦題:ベスト・パートナーになるために―男は火星から、女は金星からやってきた)』(1992年発刊)は世界的ベストセラーになったわけで。邦訳版は、男女の性愛を描いた『愛のコリーダ』の製作で知られる大島渚監督の翻訳で出版されたが、大島監督は「この本は私の長い経験で得てきた知見と根本的なところで一致している」と、長年数々のメディアで「男女の恋愛相談」を受けてきた経験を踏まえ大絶賛したのである。

次ページ冗長性と、ともに過ごす時間の欠落

冗長性と、ともに過ごす時間の欠落
 さて、話をコミュニケーションに戻そう。

 これまで触れてきたように、脳に有意な「男女差」はないが、コミュニケーションスタイルには、環境や経験の違いに起因するある程度の「男女差」がある。また、男女関係なく、コミュニケーションの主導権は「受け手」にあり、「伝え手」以上に「受け手」の“巧拙”にその質が左右される。だからこそ、コミュニケーション不全はいつでも、どこでも起こり、様々な問題の原因になる。

 つまり、思い通りにいかないのが当たり前。なのに昨今は、ちょっとお気に召さないと激しく批判し、同調者が一気に参集して“延焼”につながる。その過剰反応は、ちょっとばかり異常だ。

 一体、なぜこうなるのか?

 もちろん、原因を一つに求めるのは難しい。しかしながら、あくまで私見だが、「冗長性(redundancy)」を伴うコミュニケーションが減ったことが原因の1つではあるまいか。

 冗長性とは、会話における無駄。相づち、間、話の脱線、無駄話などのこと。

 人は、冗長性があることで、自分の解釈の誤りに気づいたり、相手の話に共感したりするチャンスを得る。ときには、抜け落ちた言葉や、語られなかった隙間が、相手の想像力を喚起させる効果もある。適度な冗長性は、コミュニケーションをする者の間に生じる様々な溝を埋める役割を果たすが、その前提として、“共に過ごす時間”が不可欠なのである。

 論理的に、効率的に、短時間で話そうとすればするほど、冗長性も共に過ごす時間も失われることになる。また、SNS上のコミュニケーションでは、冗長性は必然的に落ちる。コンテクストも感じにくいし、対面でないだけに、感じる努力の必要度も下がる。

 うまくいかないのが大前提である他者とのコミュニケーションにおいて、うまくいくための冗長性を強奪されているのが現代社会といっても過言ではないのである。

 ……なんてことを書くと、「ダラダラ話す人は何言ってるかわからないからコミュニケーションできないじゃないか!」だの、「結論が飛躍すぎだろう!」だの、またまたご批判をいただきそうだが。

 嗚呼、ホントにコミュニケーションは永遠のテーマであり、男と女の問題も永遠のテーマ。私の場合、原稿の執筆も永遠のテーマ???「冗長性だらけのコラム」が、皆さんにうまく“解釈”されることを信じつつ……。

2019.03.05(閲覧中)
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K.Gotou

情報処理従事者

指図なのか願いなのか、納得なのか相槌なのか。これ、男女双方ではっきりしたコミュニケーションとれば、だいぶイケると思うんです。これだけ、はっきりさせれば・・・。
します、しません。いけません、よろしいです(肯定の意味、日本語はここが難しい)。...続きを読む

2019/03/05 06:16:14返信いいね!


M78

中道保守

「こぺ」への批判は、男女の役割分担を否定し、男性的な考え、女性的な考えなどないという勢力からの批判ですから、河合女史が「まあまあ目くじら立てずに」と言っても、説得力を持たない。

2019/03/05 06:43:25


https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00012/?P=5&mds

男らしい!順大不正入試「女子コミュ力高い」論
男脳・女脳の差ではない!噛み合わない裏にある「男はdo」「女はbe」


河合 薫
健康社会学者(Ph.D.)
2018年12月18日
3 50%

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全6529文字

(写真:PIXTA)
 東京医科大学に端を発した医学部入試での「女性差別問題」が、予想外の展開になっている。

 順天堂大学が12月10日、医学部医学科の入試で女子や浪人生に一律不利な扱いをしていたと発表し、謝罪した。女子受験生の合格ラインは男子受験生より高く設定していたということだが、驚いたのがその理由だ(関連記事:順天堂、入試で一律不利な扱い「女子はコミュ力高い」)。

「長年の経験から女子の面接評価点が高いという結果を得ていた。一般的に大学入学時点の年齢では、女子の精神的な成熟は男子より早く、相対的にコミュニケーション能力が高い傾向にあるため、判定の公平性を確保するために男女間の差異を補正した」

 ……あらあら。いったいこの国のお偉い人たちは、どうなっているのだろう。

 報道でこの「理由」を知った時には、あまりに呆れた内容なので「記者会見で質問攻めにあって、学長がついポロリと口走ってしまったその場しのぎの言い訳なのだろう」と思っていたのだが、そうではなかった。同大学が設置した第三者委員会の調査で、彼らの“本気度”が明らかにされていたのである(調査報告書はこちら
)。

 報告書によれば、多くの教職員から「女子は成熟が早いからコミュ力が高いが、大学に入ると男子も成熟し、能力差が縮小され、解消する。男女間の発達傾向を是正するのに必要だった」という旨の説明がなされた、と。

 併せて、第三者委員会によるヒアリングに対し、「これって、僕たちの思い込みや、経験則だけではないですよ〜。医学的見解に基づいているんですよ〜。だって、僕たちお医者さんだもん!」とでも言いたいのか、「コミュ力是正」の根拠として学術論文(Sex differences in the course of personality development: a meta-analysis. Psychol Bull. 1991 Mar;109(2):252-66.)を提出したそうだ。

 過去の複数の論文に基づくメタアナリシスを提出しているところがなんとも姑息なのだが(*参照)、論文自体は自我発達の年齢ごとの性差を目的にしているもので、コミュニケーション能力の性差を分析したものではない。確かに、語彙スキルに関する性差への言及はあるが「語彙スキル=コミュニケーション能力」ではなく、「語彙スキル=言語能力」ですらない。

 言語能力は、語彙力、読解力、文章力から構成されるが、「言語能力における性差はほとんど存在しない」というのが長年蓄積された研究から導き出された一貫した見解であり、こちらのメタアナリシスでも同様の結論に至っている(J.S.Hyde and M.C.Linn “Gender Difference in Verbal Ability”. Psychol Bull. 1988 July ;104(1):53-69 .)。

* メタアナリシス(メタ分析)とは、同じテーマに関する仮説を検討した複数の研究を、共通の効果サイズに変換し、平均値を算出することによって、「仮説はホントかどうか?」を統計的に検討する手法。
 そもそも順天堂大学医学部のお偉いさんたちは、何をもって「コミュニケーション能力」と言っているのだろうか。コミュニケーションは「言葉のキャッチボール」と言われるように、言語を使い、投げるだけでなく、受け手としての能力が大切なことをわかっているのか。

 大学入試という「公正性」が求められる試験で不正操作を良しとする考え方は到底納得できないし、許されることではない。たが、その一方で「でもさ〜、女と男でコミュニケーションって違うよね〜」と思っている人は少なくない。

 というわけで今回は、「男と女とコミュニケーションと」というテーマで、あれこれ考えてみようと思う。

次ページ夫には理解不能「なぜか、ご機嫌ななめになる妻」

夫には理解不能「なぜか、ご機嫌ななめになる妻」
 まずは以下の英文をご覧いただきたい。これは男性と女性のコミュニケーションを考えるときによく使われる夫婦間の会話例である。

妻:“Are you thirsty? Would you like to stop for a drink?”
夫:“No.”

 夫は喉が渇いているのに「無理して運転し続けているのでは?」と、妻が気遣った。それに対し、夫は「大丈夫だよ」と答えた。

 文字通り捉えれば、そうなる。実にシンプルな会話である。

 夫はそのまま車を止めることなく帰宅したが、妻はなぜか、ご機嫌ななめだった。そこで夫は、「何を怒ってるのか?」を問い詰めた。すると妻はこう答えた。

「車を止めて、何か飲みものを買いたかったのに……」

 ふむ。なんともややこしい。

 夫からすれば「だったら、そうはっきり言えばいいじゃないか。なぜ、駆け引きするようなことを言うんだよ」と憤るに違いない。一方、妻は「相手の気持ちを確かめるまで自分の気持ちを伝えるのは悪い」と考えた。

 つまり、妻が期待していたのは、
「僕は大丈夫だけど、なんか飲む?」
と、妻の気持ちを問う一言だったのである。

 実はこれこそが、男女の大きな違い。

 女性にとって会話における言葉は「相手とつながる」のを目的としているのに対し、男性のそれは「情報の交換」である。前者はラポートトーク(rapport-talk)と呼ばれ、後者はリポートトーク(report-talk)。

 つまり、コミュニケーションにおける男女の違いは、コミュニケーション“能力”にあるわけではなく、「コミュニケーション“スタイル”に若干の違いがある」と考えられているのである。

 実際、女性の場合、他者との会話で疑問形を使ったり、曖昧な表現をしたりする傾向があるのに対し、男性は命令形で断定的な表現を用いるとする研究も存在する。

 では、なぜ、こういった「スタイルの性差」が生まれるのか?

「だって女と男は生物学的に違うし、心や脳の違いもあるからでしょ?」

 答えは「ノー」だ。

次ページ男脳?女脳? 根拠なし!

男脳?女脳? 根拠なし!
 実は、世界中の研究者たちが「男女の違い」を説明するために行ってきたこれまでの心理学研究は、男女差が生来のものではなく、「いかに社会的状況に左右され、いかにさまざまな要因の科学反応によって出現しているか」を明らかにしてきた歴史であるといっても過言ではない。

 たとえば、順天堂大学が第三者委員会に提出した論文が掲載されていた心理学領域の学術誌Psychological Bulletin (米国心理学会発行)には、「男と女の違い」のメタ分析を行った論文が複数掲載されている。

 リーダーシップ、自尊心、攻撃性、協力行動、衝動性動的志向、数学の成績、職業への興味――などについては、従来、一貫して男女差があるとされてきた。

 ところが、複数のメタ分析の結果、
・男女差に統計的な有意差は認められない
・様々な調整要因 を加味すると男女差の方向性が逆転するケースもある
などがわかった。

 「感情コントロール」に関するメタ分析の中には「性差アリ」としたものもあるが、男女間の違いは同性内の個人差より小さいとする論文も多い。言語能力については、先に書いた通りだ。

 さらに、脳科学の分野で言われている「男脳・女脳」も眉唾。経済協力開発機構(OECD)が2009年に公表して有名になった「神経神話」の類だ。

 確かに、「脳梁が男性より太い女性は、男性に比べ、自分自身の感情を素早く言語化できる」と考えられていた時代もあった。しかし、イスラエルのテルアビブ大学のダフナ・ジョエル博士らが1400人以上の脳のMRI画像を分析したところ、これまで男女の行動や考え方の違いの根拠とされてきた完璧な「男脳」「女脳」を持つ人はほとんどいなかった。男女の脳には、いくつか異なる特徴は認められたものの、統計的な分析をすると有意差はなし。男脳とされる構造を持つ女性もいれば、女脳といわれる構造を持つ男性も存在したのである。同様の結果は、6000人のMRI画像を分析した英ロザリンド・フランクリン医科学大学のリーセ・エリオット氏らの研究でも示されている。

 つまり、男性と女性では異なる部分より、重なる部分の方が圧倒的に多い。平均値の比較に基づき「男脳・女脳」と、あたかも性差があるように印象づけるのは言い過ぎなのだ。

 では、いったい何が「コミュニケーションスタイルの性差」を生んでいるのか?

 生物学的な性ではなく、社会的な性。世の中の男性と女性の役割の違いによって生まれるジェンダー(gender)に起因しているのである。

次ページ女として生まれるのではなく、女になる。男もまた然り。


女として生まれるのではなく、女になる。男もまた然り。
 社会的動物である人間は、社会的役割を演じつつ自己を確立していく。発達心理学用語ではこれを「社会化」と呼ぶ。

 生まれたときから「女の子」は、他者から「女の子」として接され、「男の子」は「男の子」としての扱いを受ける。女の子ならお人形遊び、男の子ならブロック遊び、女の子ならおままごと、男の子なら外でボール遊び、というように、遊び方(実際には遊ばされ方)も変わる。

 興味深い実験がある。3歳と5歳の複数の子どもに「生後12カ月の2人の赤ちゃんが遊んでいるビデオ」を見せ、赤ちゃんの印象を聞いた。その際、1つのグループには「右側の赤ちゃんは女の子、左側の赤ちゃんは男の子」と伝え、もう1つのグループには「右側は男の子、左側は女の子」と逆パターンを告げ、反応の違いを比較した(ビデオの2人の赤ちゃんは同一の性)。

 その結果、どちらのグループも、「女の子」と告げられた赤ちゃんには「弱い、遅い、無口、やさしい」との感想を、「男の子」とされた赤ちゃんには「強い、すばやい、騒々しい、元気」との印象を抱いたというのだ。3歳と5歳という年齢の子どもにして、ジェンダーステレオタイプの影響を大きく受けた回答結果が導かれたわけだ(参照:『ジェンダーで学ぶ社会学』第1章「生まれる―つくられる男と女」細辻恵子/世界思想社)。

 また、他の実験では3歳、5歳、7歳の子どもの比較で、もっとも柔軟性がないのが5歳で、7歳になると男でも女でいろいろな人がいると認識できるようになるとの指摘もある。

 つまり、社会化はジェンダー化の過程でもあり、その過程で他者との関係性を構築するうえでの「性差」が生まれていく。一般的に、男性は外的な何かを他者と一緒に「する(do)」ことで、女性は他者とともに「いる(be)」ことで、自分の存在を確かなものにする傾向を強めるのである(R.L.Josselson, The Space between Us. 1992)。

 「do」に価値を置く男性は「解決」をコ゛ールにするが、「be」に価値を置く女性は「共感」か゛コ゛ール。「女性部下が相談に来たから、解決の道筋を立ててあげたのに、なぜか不満げだった」という経験のある男性上司は少なくないだろう。

 ただ、女性からすればそれは当たり前。相談の目的は、「そっか。そうだよね」と共感してもらうことだからだ。「私の相談を“一緒”に聞いて欲しかった」、つまり、上司と「be」したかった。その求めが満たされたうえでの「解決への道筋」なら、きっとふくれることはない。

 また、「女性のおしゃべり好きには言語能力の性差が関係している」とする専門家がいるが、これは科学的にはエビデンスのない“都市伝説”。しかしながら、おしゃべりは、be で関係を構築する女性にとって恰好の手段となる。まさしくラポートトークで、相手との距離感を縮めているのである。

 もちろん同し゛女性て゛も個人差はあるし、男性も然りだ。

 ただ、do とbeが社会的・文化的影響でもたらされる性差である以上、日本のように「男女格差」が大きい社会では、男性の前では「自分に求められているであろう役割」を演じる女性は少なくない。

 かくいう私も例外ではない。あれこれおしゃべりせず、結論だけで終わらせたいときでも、
「生意気な女と思われたくない」
という気持ちがよぎると、言葉でつながろうと努力する。

 男性の中にもきっと、
「本当はおしゃべりしたいけど、男のくせにとか思われたらいやだし」
とためらっている人もいるのではないか。

 なんらエビデンスのない個人的感触でしかないけど、会社で出世競争からさっさと身をひいた男性ほど、あれこれ気軽に話しかけてくるように思う。

 で、そういった男性は決まって、「僕はおばちゃんなんだよね」などと自嘲気味に、でも、何かから解放されたような笑顔を浮かべる。

次ページ「それが、男性のコミュニケーションスタイルなのだ」

「それが、男性のコミュニケーションスタイルなのだ」
 以前、東京医大で不正入試問題が発覚したときに書いた記事の中で、「女性医師が患者の死亡率を下げる」(内科、外科)、「女性医師の方が患者の再入院率を下げる」(内科)という調査結果が相次いでいると紹介した(東京医大事件と「女医と患者の死亡率」のねじれ)。

 その理由として、
「先行研究で女性医師は男性医師に比べて、患者の立場でコミュニケーションを取ることが報告されていて、そういった患者との関わり方の違いが患者の予後に影響を及ぼしている可能性」
が指摘されている。

 「患者の立場でのコミュニケーション」という文言に、「ほら、やっぱり女性の方がコミュニケーション能力高いじゃん」と早合点する人もいるかもしれないけど、これもあくまでもコミュニケーションスタイルの性差でしかない。

 健康社会学でも「医師と患者のコミュニケーション」から病気の予後や生きる力などを検討する研究の蓄積があるのだが、医師が患者の方を向き、うなずきながら話を聞いたり、日常的なたわいもない会話を医師がしたりすると、医師への信頼感が増し、生きる力が強まることがわかっている。

 ラポートトークを好む女性のコミュニケーションスタイルが、患者が求める医師とのコミュニケーションに合致した結果なのだ。女性の方が男性よりうなずく傾向が高いという結果もあるので、より患者は「お医者さんは自分のことをちゃんと診てくれてる」という安心感につながっている可能性も考えられる。

 さて、冒頭の問題に戻る。
 ここからはあくまでも私の推測である。

 いったいなぜ、順天堂大は「女子の方がコミュ力が高い」などという馬鹿げた理由を挙げたのか……。

「採用面接するとさー、女子の方がしっかりとした意見を持ってるんだよね。
男子はガキなんだよな。でも、10年も経てば男も一人前になるし、女子は、結婚や出産・子育てで戦力としてカウントできなくなる可能性もあるし……」

 こんな、一般のビジネスパーソンの方たちと同じ感想を持っていたのではないか。

 でも、それを理由にするのはさすがにマズイと考えた。
 そこで「コミュニケーション能力」という言語明瞭意味不明の実に便利なタームを用いた。

 かなり無理筋だけど、それが、「do=解決」を優先する男性のコミュニケーションスタイルなのだ、きっと。解決のためなら、無理やりでもいいいから理由を探す。そう考えると、あの会見はある意味、極めて男らしい(笑)。世間の反応を見る限り、解決には程遠く、結果は大失敗に終わったのだが。

 ただ、男性的コミュニケーションによる“自爆”で、根拠のない「女子=コミュ力が高い」説が脚光を浴び、“隠れ信者”が増えたような気もしている。「あんな言い方したら身も蓋もないけど、やっぱり女子の方がコミュ力高いよね」って。

 結局は彼らの思う壺? なんか、ややこしい。

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順天堂、入試で一律不利な扱い「女子はコミュ力高い」
165人が不合格に
2018/12/10 16:49
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順天堂大は10日、医学部医学科の入試で女子や浪人生に一律不利な扱いをしていたと発表した。不利益な扱いで不合格となった受験生は2017、18両年度で計165人。うち2次試験で不合格の48人を追加合格の対象とし、入学意向を確認する。1次試験の不合格者には受験料を返還する。差別的な扱いは遅くとも08年度には始まっていたという。

医学部入試での不適切な合否判定について謝罪する順天堂大学の新井一学長(右)(10日午後、東京都文京区)
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医学部入試での不適切な合否判定について謝罪する順天堂大学の新井一学長(右)(10日午後、東京都文京区)

順大は文部科学省から不適切な入試の可能性があるとの指摘を受け、10月に第三者委員会を立ち上げ調査していた。新井一学長は記者会見で「受験生や保護者らに多大な心配や迷惑をかけ深くおわびする」と謝罪した。

第三者委の調査結果によると、不適切な扱いがあったのは一般入試の「A方式」「B方式」やセンター試験利用入試など4つの入試方式。2次試験では4方式で一律に女子を不利にしていた。例えばA方式では小論文、面接試験の点数(1.0〜5.4点)で合格者・補欠者を決める際の基準点について女子を男子より0.5点高くしていた。

1次試験では「A方式」で学力試験の成績が一定以下の場合、合否判定で女子や浪人生に厳しい基準を設けていた。

順大によると、女子の方が面接の得点が高い傾向にあり、同日の記者会見で「入学時点では女子の方がコミュニケーション能力が高い。男女間の差異を補正するものと考えていた」と説明。女子寮の収容能力が足りなくなるため合格者を抑えてきた経緯もあったとしている。

浪人生の扱いについては浪人年数と学力試験を組み合わせて評価していたため一律の差別とは考えていなかったという。

追加合格の入学意向の確認は12月28日までに行い、

希望者の人数を19年度の募集定員から差し引く。

文科省が医学部医学科がある全国81国公私立大の2013〜18年度の入試を調べたところ、順大の男子の合格率は女子の1.67倍で、最も差が大きかった。順大は16年度以前の入試についても第三者委で調べる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38739820Q8A211C1CR8000/

東京医大事件と「女医と患者の死亡率」のねじれ
ジェンダー・バイアスは組織の隅々まで


河合 薫
健康社会学者(Ph.D.)
2018年8月7日 
東京医大で女子の合格者数を抑えようとする得点操作が発覚した(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
 今から5、6年ほど前だろうか。
 ある医療系学会の基調講演の講師に呼ばれた時、「女性医師が増えて困っている」とこっそりと教えてもらったことがある。

 「うちの教室(医局)には女性医師はいらない。入れないでくれ」と訴える先生も多く、困っている、と。

 「育児中の女性医師は常勤勤務から非常勤になるケースが多い。世間からはセレブな女医に見られるからプライドだけは高い。そういった面からも女性医師は嫌われてしまうんですよね。
 あとこれは昔からあることですが……女性医師というだけで差別をする男性医師がいるのは事実です」

 こう「嫌がられる理由」を話していた。

 であるからして、例の東京医大での、女子の合格者数を抑えようとする得点操作問題は残念だし憤りを覚えたが、さほど驚かない自分もいた。

 ただ、一部の報道では「緊急の手術が多く勤務体系が不規則な外科では、女性医師は敬遠されがち」「医師のブラックな現場がそもそもの問題」との意見が散見されたが、女性医師を嫌うのは外科だけでも、ブラックな現場だけでもない。

 だって冒頭の医師は、

 「早くから女性医師が働きやすい職場にしようと取り組んできた結果、女性医師が増え、逆に女医医師が嫌われることになってしまった」
と、頭を抱えていたのである。

 つまり、「女性医師」という存在そのものが面倒くさい存在だ、と。

 「女性医師というだけで差別する男性医師がいる」。この一言こそが問題の根っこに深く深く広がっていて、
「結婚や出産でやめてしまうから」
「育児で緊急時対応できないから」
「だから女性ではなく男性」
というのは言い訳でしかない。

 とどのつまり「女性医師」の存在そのものへの嫌悪感が「入口から排除しよう」と点数削減という動きに繋がったのだ、と個人的には理解している。

次ページ自覚なき価値観が“刃”に

 「排除されていない者は包括されている」との名言を残したのは、社会学に大きな影響を与えたドイツ出身のゲオルク・ジンメル博士だが、博士は「構成人員の割合によってその集団の性質が変わる」と、数の重要性を指摘した。

 ジンメル博士自身が「ユダヤ人である」という理由で、ベルリン大学の教授になれなかったのは社会学史上有名な話だ。

 その「排除」と戦い続けたジンメル博士の理論のひとつに、「よそ者と放浪者」という定義がある。

自覚なき価値観が“刃”に
 放浪者は「今日訪れ明日去り行く者」であるのに対し、よそ者は「今日訪れて明日もとどまる者」。私たちは「旅行客(放浪者)」にはとても親切にするが、その人が同じ土地で暮らすようになると「よそ者」扱いし、態度を豹変させる。

 「よそ者は集団そのものの要素であり、貧者(社会的弱者)や多様な『内部の敵』――その集団における内在的な部分的な地位が、同時に集団の外部と集団の対立を含んでいる――と異なることではない」(『社会学―社会化の諸形式についての研究』ゲオルク・ジンメルより)

 つまり、よそ者とは「集団の内部に存在する外部」で、よそ者差別は普遍的に存在する。

 これまでにも「数」の重要性を指摘したコラムを書いてきた通り、男社会に紅一点の女性が加わった途端、男VS女が顕在化する。この構図は人種、性別、学歴などあらゆる属性の違いで起こる現象である。

 内集団である多数派(男性)のメンバーは、自分たちの地位の高さの見せしめに「よそ者(女性)」を差別し、排除する。「よそ者」はある意味、多数派が権力を振るう装置として機能してしまうのだ。

 しかも悲しいかな、よそ者が女性の場合、無能呼ばわりされることが多い。

 「女性医師というだけで差別する男性医師がいる」という言葉の奥底には、女は面倒くさいという感情と「女性医師は無能」という偏見が混在しているのではあるまいか。そして、それは医師の世界に限らず「男社会」のあちこちに存在しているのである。

 例えば、「女性社員が80%を占めているのに管理職は男性だらけ」という会社に私は何度も行ったことがある。なぜ、圧倒的な女性の職場なのに階層組織の上位は男性のみになってしまうのか?
 ジェンダー・バイアス。

 社会に長年存在した「当たり前」が自覚なき価値観となり、女性蔑視を生んだのだ。

 言わずもがな古来よりリーダーの多くが男性だった。

次ページ男社会だったツケは想像以上に根深い

 その結果、過去の男性リーダーたちの振る舞いが「求められるリーダー像」とみなされてきた。
 攻撃的で、野心的。人の上に立つのが得意で、自信家で、押しも強い。唯我独尊で個人主義なたくましさもある――。
 そういったステレオタイプが、「リーダー像(男性)」として刷り込まれているので、どうしたって女性リーダーの言動が無能に見える。

 そして、その「リーダー=男性」という自覚なき価値観が、時に“刃”となり、女性リーダーを傷つけてしまうのだ。

男社会だったツケは想像以上に根深い
 男性上司が「あーしろ、こーしろ、アレはだめ、コレはダメ」と権威的な言動をしても「正しい振る舞いを教えてくれる部下思いの上司」と受け入れられるが、女性上司が同じことをすると「感情的」「押し付けがましい」と非難される。
 女性上司が、部下に温かさや思いやりを示しても大して評価されないけど、男性上司が同じ言動をとると「優しい上司」と評価される。

 さらに「よそ者=女性=無能」という方程式の根深さを暴いたのが、通称「ゴールドバーグ・パラダイム」と呼ばれる社会心理学者フィリップ・ゴールドバーグ博士の心理実験だ。

 1968年、ゴールドバーグ博士は、学生たちに「女性問題に関する」テーマに書かれた論文を読ませ、内容を評価させた。ただし、学生には内緒で、論文の執筆者欄が「男性の名前」になっているものと、「女性の名前」のものの2種類を用意(論文内容は同一)。男女の差異が評価に与える影響を検証した。

 その結果、男性名が入った論文を読んだ学生は論文を高く評価。一方で、女性名が入った論文は低く評価された。女性問題がテーマの論文であるにもかかわらず、だ。しかも、結果は女子学生を被験者にした場合も同じだった。

 名前だけで評価が変わるとはにわかに信じ難いかもしれないけど、ゴールドバーグ・パラダイムに追従する調査結果は、半世紀経った現在に至るまで多数発表されている。

 例えば、1997年に実施されたスウェーデンの医学者、C・ウェンナラとA・ウォールドらは、スウェーデン医学研究評議会(Swedish Medical Research Council)による研究費補助金の審査過程を検証し、男性は「男」というだけで高く評価され、女性は「女」というだけで低く評価されていた現実を、統計的な分析から暴いた(C.Wenneras & A.Wold; "Nepotism and Sexism in Peer-Review", Nature, 1997.)。

 そして、女性が男性と同等に評価され研究補助金を得るには、「最高ランクの学術誌に男性の2.6倍もの論文を発表する必要がある」と結論付けた。これは不可能に近いことを意味している。

 この調査では、審査員のコネが審査の評価に影響していたことも突きつめたため、スウェーデン医学研究評議会はその翌年から、研究助成金の交付審査のやり方を改善し、助成金の獲得や研究キャリアの男女比較について の報告を毎年行っている。

 コネ審査……ね。そういえば東京医大は裏口入学でも問題になってましたっけ。

 いずれにせよ、男社会だったツケは想像以上に根深く、私たちの想像をはるかに超えているのだ。

 入試から助成金の確保、仕事への評価に至るまで、組織という組織の隅々まで、ジェンダー・バイアスは蜘蛛の巣のごとく張り巡らされている。たとえ運よくその蜘蛛の巣をくぐり抜けた女性が数人いたとしても、「男社会の壁」を打ち砕くのは至難の技。

 企業がそうであるように、医師の世界でも「トップ」がよほど覚悟を決めて「排除の壁撲滅」に挑まない限り、女性医師や女性医師の卵たちへの差別はなくならない。

次ページ「女性医師が患者の死亡率を下げる」調査結果が相次いでいる


 念のため断っておくが、「女性リーダーは男性リーダーより劣る」とか、「女性研究者は男性研究者より劣る」とか、「女性医師は男性医師より劣る」などの研究結果を私はこれまで見たことはない。

「女性医師が患者の死亡率を下げる」調査結果が相次いでいる
 むしろ逆。「性差はない」「女性リーダーの方が部下の能力が発揮される」ことに加え、医学会においては「女性医師が患者の死亡率を下げる」(内科、外科)、「女性医師の方が患者の再入院率を下げる」(内科)という調査結果が相次いでいるのである。

 米国ハーバード大学公衆衛生大学院が行った「Comparison of Hospital Mortality and Readmission Rates for Medicare Patients Treated by Male vs Female Physicians 」というタイトルの論文は米国で話題になり、ワシントンポスト、ウォールストリートジャーナル、CNN、ハーバードビジネスレビューなど、多くのメディアでも取り上げられた。

 この調査では2011〜2014年にアメリカの急性期病院に入院した65歳以上の高齢者およそ130万人のデータを分析。医師の性別により患者の「30日以内の死亡率や再入院率」を比較したところ、女性医師が担当すると両方とも低くなる傾向が認められたのだ。

 具体的には女性医師だと「30日以内の死亡率が0.4%、再入院率は0.5%下がる」(死亡率0.4%は過去10年間の死亡率改善とほぼ同レベル)ことがわかった。

 こういった結果が出ると「でも〜、それって〜女の医師が単に症状の軽い患者を診てるケースが多かったからじゃないの〜?」という意見が出る。

 そこでこの調査では、

男性医師と女性医師の診療している患者の重症度を同レベルにする
同じ病院で働いている男性医師と女性医師を比較する
 などの補正を行い(統計的な手法)、環境要因の影響を排除。
 加えて、

入院患者の診療しかしない内科医である“ホスピタリスト”のデータを用いた分析
 も行い、調査の信頼性を高めた。

*ホスピタリストとは、1990年代に生まれた「入院患者の診療」しかしない診療医。「外来患者」を担当するのはプライマリケア医。ホスピタリストは一般的にシフト勤務をしているため、患者が具合が悪くなり病院に運ばれたときのシフト勤務医師がその患者の担当医となる。
 ここまで丁寧に分析をした結果が、「女性医師の患者の死亡率を下げる」という結果だったのである。

 この調査が行われた背景には、「この患者は重症だから、Aさん(女性)では難しいだろう。Bくん(男性)に担当してもらおう」とか、「女性の医者では不安です。男性の医者を主治医にしてください!」といった“ジェンダー・バイアス”が米国で起こりがちだったため、それ払拭する目的があった。

 当初の仮説は「性差なし」。ところがいい意味で結果は研究者たちを裏切った。

 「性差がない」どころか、「女性医師で死亡率が下がる」というエビデンスが得られてしまったのだ。

 では、なぜ「女性医師が患者の死亡率を下げるのか?」

次ページ医師は「残された命」に光を与えてくれる存在

先行研究で「女性医師は男性医師に比べて、患者の立場に立ってコミュニケーションを取る」ことが報告されていて、そういった患者との関わり方の違いが患者の予後に影響を及ぼしている可能性が指摘されている。

 健康社会学の分野でも、近い人との質のいいコミュニケーションが余命を伸ばす研究結果は多数報告されているし、個人的な経験からも、これはかなり納得できる考察である。

 個人的な話で申し訳ないが、3年前に旅立った私の父親は「お医者さま」の言葉を何よりも頼りにしていたのである。

医師は「残された命」に光を与えてくれる存在
 「○○先生から運動していいって言われた!」「○○先生が“血液検査の結果も良好!”って言ってた」「○○先生から“順調ですね!”って言われた」などなど、入院中も通院しているときも、父は医師の言葉に勇気をもらっていた。そして、そういう父を見るのが、私たち家族の希望でもあった。

 そのつまり、なんというか、医師というのは医療現場が考えている以上に、患者や家族にとって「残された命」に、光を与えてくれる存在なのだ。その「光」が生存率や予後にも影響することを「医学会の偉い人たち」にはもっとわかって欲しいと思う。

 そして、今回の「一律減点事件」を必要悪などとするのではなく、「患者の立場に立ってコミュニケーションを取ること」が患者の死亡率に影響する可能性を示唆した極めて重要な研究が、女性医師への偏見をなくし、女性医師たちの活躍の場が広がる意義あるものとしてもっと世間に広まって欲しいと心から願っている。

■訂正履歴
記事中の死亡率、再入院率に誤りがありました。お詫びして訂正します。記事は修正済みです。 [2018/8/7 10:30]
面倒くさい女たち

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女性の扱いに悩む男性社員の必読の一冊! を出版することになりました。

ババアの私が、職場・社会にはびこる「ババアの壁」の実態と発生原因を探り、その解決法を考えます。

なぜ、女性上司は女性部下に厳しいのか?
なぜ、女性政治家は失敗するのか?
なぜ、女の会議は長いのか?
なぜ、女はセクハラにノー!と言えないのか?
などなど。
職場や社会に氾濫し増殖する「面倒くさい女たち」を紐解きます。
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/15/200475/080600175/
http://www.asyura2.com/18/social10/msg/137.html

[国際25] 「ポピュリズムの波は退潮しているのか?」支払った対価に気づく時  「非常識」を常識化させたトランピズムの現実
世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

「ポピュリズムの波は退潮しているのか?」支払った対価に気づく時

2019/03/05

岡崎研究所

 2月4日付のProject Syndicateは、ハーバード大学のジョセフ・ナイ教授の「ポピュリズムの波は退潮しているのか?」と題する論説を掲載している。


(cundra/Nosyrevy/iStock)
 大変興味深い論説である。ナイ教授の主張を敢えて要約すれば、(1)ポピュリズムという曖昧な用語でここ数年の英国のEU離脱やトランプ現象等を長期的趨勢として理解しようとするのはおかしい。ましてやリベラルな国際秩序反対として、余りに多くの要素が関係している、(2)米国の歴史上、文化を背景とする移民排斥等の感情、運動が起きた例は多数ある、グローバリゼーション等がなくても「ポピュリズム」の現象は続く可能性がある、(3)しかし種々の調査を見ると、米国民が今深く孤立主義に陥っている訳ではない、ということになる。

 ナイ教授は、提言もしている。第1に、政治エリートは経済格差や経済の悪影響をうける者にもっと注意を払うべきであり、第2に、国境を跨ぐ経済、文化上の問題を旨く「管理」していくべきだという。どちらも重要なことである。

 ナイ教授は、経済的背景よりも文化的背景を重視しているように見える。移民等を巡り政治運動が起きた米国の歴史を辿っているが、KKK等改めてその根深さに驚く。同時に1960〜1970 年代の公民権運動、女性解放運動に対する年配の白人男性層の反感もトランプ支持の背景にあったと言う。その時代を朧気乍ら覚えている者には良く分かる指摘である。更に、部外者から見れば、その後マイノリティー出身ながら米国最高の教育を受けたオバマ大統領の出現とその余りに礼儀正しい、リベラルな政治姿勢は彼らに大きな衝撃を与えたに違いない。オバマのリベラリズムは米国の力を示すものだが、オバマ登場が少し早すぎ、政策も速度が速すぎたのかもしれない。その証拠にトランプはオバマのやったことを悉くひっくり返そうとしている。しかし、人種のるつぼこそが米国の成功、力であることは今や圧倒的に多くの米国民が受け入れていると思う。

 中間選挙も終わり、米国はこれから大統領選挙に入る。2月6日に行われたトランプ大統領の一般教書演説は超党派融和の政治を打ち出したように見えるが、それは恐らく選挙戦術か、必要に迫られての姿勢であろう。壁建設については脅迫に近い決意を見せ、「社会主義」への批判は今後の選挙戦でのトランプの言説の伏線のように見えた。

 先日大統領選立候補表明をした民主党のウォーレンに対して、共和党は「社会主義的」な政策だと早速批判している。民主党が左傾化せず、翼を広げ中間層を大事にすることが望まれる。有権者の再考もあるだろう。米国が正統な政治に戻ることが期待される。

 英国でもポピュリズムについて考えている人がいる。フィナンシャル・タイムズ紙のギデオン・ラックマンが「トランプ時代は30年続くか」と題する2月4日付記事で、ポピュリズムの時代は英国のEU離脱を問う国民投票とトランプの米国大統領選挙の勝利という2つのことが起きた2016年に始まったと述べた上で、(1)歴史経験上1つの政治サイクルは平均30年続くといわれる、戦後政治の第1サイクルは西側の成長時代、第2はサッチャーやレーガン等のネオ・リベラルの時代、そして第3がポピュリズムの時代であり、それに従えばトランプの時代は30年続くかもしれない、(2)しかし、政治は選挙を超えて結果が問われる、今英国は深刻な問題を抱え、トランプはもがいている、ポピュリストが目に見える結果を達成できなければ新しい時代は早期に終わるだろうと述べている。

 ナイもラックマンも同じことを考えているように見える。今後一層多くの有権者がポピュリズムの問題と支払った代価に気づくのではないだろうか。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15488

Washington Files

「非常識」を常識化させたトランピズムの現実

2019/03/04

斎藤 彰 (ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長)


(iStock.com/flySnow/Purestock)
 憲法無視の「国家非常事態宣言」、独裁国家北朝鮮最高指導者との“相思相愛”関係、執拗な西側同盟諸国批判、後を絶たないセックス・スキャンダル、底深いロシア疑惑……就任以来2年以上が経過し、国内のみならず世界中を振り回し続けるトランプ大統領。だが、今やそうした「非常識」を当たり前のことのように受け止める空気が広がり始めている。「常識化したトランプ主義(Trumpism)」と言えよう。


3月1日、 Conservative Political Action Conferenceに出席したトランプ大統領(AP/AFLO)
 米下院本会議は先月26日、メキシコ国境の壁建設予算ねん出を目的としてトランプ大統領が先に宣言した「国家非常事態宣言」について「議会の意思を無視する憲法違反行為」だとして、これを否認する異例の決議案を賛成245、反対182の大差で採択した。しかし、大半の与党共和党議員は反対に回った。

 大統領の宣言した「国家非常事態」が否定されるのは、1976年「国家非常事態法」
(NEA)成立以来、初めてであり、上院も数週間中に、同様趣旨の決案審議を予定しているものの、ここでも共和党議員のほとんどが民主党と袂を分かつとみられている。

 翌27日には、マイケル・コーエン元大統領顧問弁護士が、同じ下院監視・改革委員会に喚問され、トランプ氏のセックス・スキャンダルもみ消し事件、ロシアとの疑惑のビジネス取引、税務処理などについて初めて衝撃的な証言を行ったほか、かつての上司だった大統領に対し公然と批判を浴びせた。

 同日、太平洋をまたいだベトナムの首都ハノイでは、トランプ大統領と金正恩北朝鮮労働党委員長との2回目の首脳会談が、当初は和気あいあいとした雰囲気の中で始まった。しかし翌日には、対北朝鮮経済制裁の全面解除をめぐり双方の折り合いがつかず、何の成果も挙げられないまま物別れに終わった。

 過去数日のうちに伝えられたこうした一連の出来事はいずれも、トランプ氏が主人公であり、アメリカの主要メディアも、めまぐるしい情勢展開に振り回され続けている。

 その一方で、就任前からの型破りの言動、常識外れの内外政策推進、気ままなツイーター偏重の政治スタイルなどに象徴される「トランピズム」について、すべてを自然のなりゆきのように受け止める冷めた空気が広がっている。

 その象徴が、共和党主流派の反応だ。直近の動きを改めて振り返ってみよう。

非常事態宣言
 トランプ大統領は先月15日、メキシコ国境に壁を建設する事を目的とした「国家非常事態」を宣言した。しかし現実には、「国家非常事態法」が宣言の前提として規定した「アメリカ合衆国全体あるいは国外の主要部分に起源する国家安全保障、外交政策または経済に対する尋常ならざる、とてつもない脅威」はどこにも存在せず、たんに壁建設費用を政府予算の中から転用させるのが目的であると説明された。

 しかしこれは、予算権限を持つ議会の意思を無視し、憲法が保証する「三権分立」の精神に抵触する行為であることに疑念の余地はあまりない。各種世論調査でも、65%近くが大統領宣言に「不支持」を表明、「支持」は30%前後と、是非は歴然だ。

 しかも、共和党主流はつい数年前のオバマ民主党政権当時、大統領に集中する行政権拡大に対し、ことあるごとに警告を発し、「連邦議会の権限と尊厳」の重視を強く求めてきた。

 ところが今回、民主党議員から下院本会議に提出された「非常事態宣言無効」決議案に対し、共和党は支持に回った13人以外の全員が反対票を投じた。多くの共和党議員は反対理由について言葉を濁し、明確な説明を避けたままだ。

 2020年大統領選とともに実施される議会選挙を意識し、トランピズムにあえてタテつくことを避けたとみられている。非常識の常識化を意味している。

異例の議会聴聞会
 「大うそつき」「ペテン師」「人種差別主義者」……同月27日、大勢の報道陣が詰めかけ異様な雰囲気の中で開催された注目の下院監視・改革委員会公聴会は、証人として出席したマイケル・コーエン元大統領顧問弁護士が、激しい口調でトランプ大統領を非難する冒頭の陳述書読み上げからスタートした。

 2007年以来、10年以上もトランプ氏の個人弁護士かつ腹心として仕えてきたコーエン氏は解任されて以来、ロシア疑惑、セックス・スキャンダル、大統領就任前までのトランプ氏のビジネス取引などを捜査中の検察当局との司法取引を受け入れ、度重なる事情聴取に応じてきた。

 その彼が今回、トランプ氏のこれまでの行状について、初めて歯に衣着せず証言した。側近中の側近とみられていた人物が公の場で、現職大統領に対し、容赦ない批判に回ること自体、きわめて異例の事態であり、詰めかけた全米のテレビ、ラジオ局はもちろん、新聞主要紙までオンラインで一部始終を実況するほどの異常な盛り上がりを見せた。

 コーエン氏はとくにこの中で、

トランプ氏は自らの不倫問題についてうその証言をするよう命じた
ロシアによる2016年米大統領選への介入について大統領は事前に知っていた
トランプ氏は大統領選期間中を通じ、自分が大統領になっても国を率いる望みも意思もなく、個人的な富と権力拡大のためだけに出馬した
長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏らトランプ陣営幹部とロシア人関係者との秘密会合を本人も熟知していた
 など、核心に触れる証言をした。さらに延々7時間に及んだ公聴会の終わりに、コーエン氏はトランプ氏について次のような過去の“罪状”を本人向けにテレビカメラを通じて喚起する異常ともいえる証言で締めくくった:

 「あなた(トランプ大統領)は自分の得にならない場合でも真実を語りなさい。メディアを批判するだけでなく、自分自身のの数知れない汚れた行いについて責任をとりなさい。アメリカでのより良き暮らしを求めてやってくる移民と家族を引き離し冒毒することはやめなさい。同盟諸国の犠牲の下に敵対国に媚を売ることは慎みなさい。最後に、自らの選挙支持基盤のご機嫌取りのためにクリスマスからお正月にかけて政府閉鎖の挙に出るようなことはやめてほしい。こうした振る舞いはがさつで野卑であり、大統領職を汚し、非アメリカ的というべきだ」

 しかし、公聴会に同席した共和党議員らは、開始前から声明やテレビインタビューなどを通じ、逆にコーエン証言の信用を貶める発言を繰り返しただけでなく、同氏の証言途中にも何度か議事進行を妨げる場面まであった。

 共和党側は証言終了後も、コーエン氏が問題提起した、新たな大統領疑惑の真相究明には何ら触れることなく、公聴会自体について「フェイク証言」だとして大統領援護に回った。

米朝首脳会談のめり込み
 アメリカの大統領で外交上、最近まで米国務省の「テロ支援国家」にリストアップされ、自らも「ならず者国家」呼ばわりしてきた独裁国家との関係強化にこれほどまでに熱心に取り組んできたのは、トランプ氏のほかに例を見ない。中でも、2度の首脳会談や十数回にわたる個人書簡のやりとりなどを通じ、金正恩氏に対して示した並みはずれた思い入れは外交常識を打ち破るものだった。
 大統領は昨年9月、ウェストバージニアでの政治集会で聴衆に向かって、過去に何度も個人書簡の交換があったことを引き合いに「われわれ2人は恋に落ちた」と公言してはばからず、訪米した安倍首相にその書簡のうちの1通原本を誇らしげに披露しながら「この中身は米朝関係に突破口を開くものだ」と絶賛した。今年にはいってからも1月初め、ホワイトハウス閣議の場で、金氏から寄せられた手紙を閣僚たちにかざしながら「諸君らの誰にもこれほど美しい手紙は書けないだろう」などとコメントしたことなども、新聞、テレビではごく普通のことのように報じられてきた。

 今回の第2回首脳会談についても、大統領は直前まで、記者会見や重要演説などの場で「事前協議はうまくいっている」「素晴らしい結果が得られるだろう」などと楽観的見通しを披露してきた。しかし結果は、何の成果も引き出せないままハノイから手ぶらで帰国の途に就かざるを得なかった。

 双方物別れに終わった理由として、大統領は、「北朝鮮側がただちに経済制裁の全面解除を求めたこと」を挙げたが、会談終了後、北朝鮮側代表団は「一部制裁緩和を求めたが全面解除は提起しなかった」と説明、米側との主張の食い違いを露呈させた。

 ただ、トランプ大統領が最初から成果を急ぎ、十分な事前の情報収集と局面打開の確証も得られないまま会談にのめり込みになっていたそしりはまぬかれない。

 それでも共和党幹部たちの受け止め方は、「悪い取引をするなら、むしろしない方がまし」(マルコ・ルビオ上院議員)として、大統領の今回の対応を評価する姿勢さえ見せている。これもトランピズムの一環というわけだ。

 こうしたトランプ大統領と共和党の奇妙な関係について、ニューヨーク・タイムズ・マガジンが最近共和党重鎮の一人、リンゼイ・グラハム上院議員との興味あるインタビュー記事を掲載している。同議員はかつて、トランプ氏を徹底して批判、2016年大統領選挙予備選の段階で「トランプだけはわが党の指名候補にしてはならない。彼は狂人(kook)であり、大統領になる資格はない」などと党員たちに呼びかけていた一人だった。

 その彼がつい最近、態度を180度豹変させ、大統領擁護姿勢を明確に打ち出した。なぜそうしたかについて、次にように答えている。

 「要は、政治家として意味があるかどうかということだ。政治はつまり、欲する結果をもたらす芸術にほかならず、私が上院議員としているかぎり、大統領と仕事をし国のために良い結果をもたらすことができる」

 同議員はさらに、インタビューを通じ、トランプ大統領に対する自分の従来の考えを変えたわけではなく、あえて2020年選挙を意識して大統領擁護に回っていることを認めたという。

 もしグラハム議員のこうした主張が共和党主流はじめトランプ支持派の代表的受け止め方であるとすれば、大統領が今後もいかに常道を逸脱した政策決定や言動を続けたとしても、「常識の範囲」として容認されていくことになる。

 ただ問題は、トランプ大統領が来年の選挙で再選を果たせず、1期だけで終わった場合、よりまともな政治に戻るかどうかだ。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15530
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/595.html

[経世済民131] 中国全人代、政府が出した「適正バランス」の景気刺激策 企業への大幅な減税と負担軽減 日経平均反落、利確売 全人代無難通過
トップニュース2019年3月5日 / 16:16 / 9分前更新

中国全人代、政府が出した「適正バランス」の景気刺激策
Christopher Beddor
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[北京 5日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国政府は景気刺激策で適正なバランスをとっている。5日開幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の冒頭で成長目標を引き下げ、大幅な減税を打ち出したほか、当局が債務に厳しい目を光らせ続けることも示唆。居心地が悪いとしても景気支援には効果的なやり方だ。

全人代で政府活動報告を行った李克強首相が成長目標引き下げと減税を表明することは予想されていた。今年の国内総生産(GDP)伸び率目標を6.0―6.5%に設定し、昨年の6.5%前後から引き下げた。これは驚くには当たらない。しかし、企業の税金や手数料の削減規模を昨年の1兆3000億元から約2兆元(3000億ドル)へと大幅に拡大したことを予想する向きは少なかった。

地方特別債を2兆元超発行する計画を含むその他措置も支援材料となるだろう。ただ、クレジットの蛇口は大きく開かれてはいない。GDPに対する財政赤字比率目標は2.8%に設定。昨年よりも0.2%ポイント拡大した。これは多くの政府借入金をつかみ切れていないため、非常に象徴的な数字だが、一部のアナリストはより高い数値を予想していた。財政規律を緩めることへの政府のためらいが垣間見える。財政政策の拡張サインを受けて上昇する傾向にある中国国内の株式市場は午前の取引でほぼ横ばいだった。

全体的に適正なメッセージが示された。中国政府は民間投資を復活させる必要があるものの、グローバル金融危機時のような景気刺激策の再演はないだろう。当時の刺激策により、債務総額の対GDP比は2009年の174%から昨年半ばまでに250%超となった。

減税は功を奏しそうだ。企業の負担は涙が出るほど大きい。UBSの推計によると、2016年の税・手数料総額は標準的な中規模企業で商業上の利益の約7割に達した。これは多くの裕福な国の水準を大きく上回っている。

成長と財政規律のバランスをとるプロセスは昨年始まり、時に政府のシグナルは読み難くなっている。全人代はデレバレッジ方針に執着しており、それはよりはっきりと読み取れる。

●背景となるニュース

*中国の李克強首相は5日開幕した全国人民代表大会(全人代=国会)で政府活動報告を行い、税金と手数料の大幅削減やインフラ投資の拡大、中小企業に対する一層積極的な融資を通じ、一段の減速が見込まれる中国経済を支援する方針を示した。

*首相は全人代の冒頭で、2019年の国内総生産(GDP)伸び率の目標を6.0―6.5%に設定したと明らかにした。昨年実績の6.6%を下回る成長率となる。

*李首相は、景気押し上げに向け、中国の財政政策は「一段と積極的」になると表明。2019年に企業の税金や手数料を約2兆元(2983億1000万ドル)削減する方針を示した。また、製造業、運輸、建設部門を支援するため、増値税(付加価値税)の税率を引き下げる計画も示した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/china-policy-idJPKCN1QM0NO


 

ビジネス2019年3月5日 / 15:51 / 38分前更新
日経平均は反落、利益確定売り 全人代も無難通過
Reuters Staff
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[東京 5日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は反落。前日の米国株安に加え、日本株は連日上昇した後の短期的な過熱感もあり、朝方から利益確定売りが先行した。中国で開幕した全国人民代表大会(全人代)での李克強首相の演説内容に特段のサプライズがなく、切り返しの手掛かりを欠いた。

中国の2019年の国内総生産(GDP)伸び率の目標は6.0―6.5%と、昨年実績の6.6%を下回る水準に設定された。一方、李克強首相は税金と手数料の大幅削減やインフラ投資の拡大、中小企業に対する一層積極的な融資を通じ、一段の減速が見込まれる中国経済を支援する方針を示した。

これらに対する市場の反応は限定的だった。市場からは「全人代を受けて上海株の動きがどうなるか注目されていたが、底堅く推移した。日本株の下落への警戒感も強まっていない」(あかつき証券の投資調査部長、藤井知明氏)との声が出ていた。

TOPIXは反落。業種別ではゴム製品、輸送用機器、鉄鋼、金属製品などが値下がり率上位にランクイン。半面、上昇したのは銀行、水産・農林の2業種のみだった。

個別銘柄では、アダストリア(2685.T)が大幅続伸。同社は4日、2019年2月期の既存店売上高が前年比14.8%増になったと発表し、好感されている。平年に比べて気温が高く推移したことに合わせ、店頭の季節対応を強化したことが客数の伸長につながった。

半面、レオパレス21(8848.T)は大幅反落。国土交通相が同社に対し、建築基準法に違反した物件の改修を前倒しするよう求めたと伝わり、嫌気された。東証1部で値下がり率トップとなった。

東証1部の騰落数は、値上がり663銘柄に対し、値下がりが1382銘柄、変わらずが87銘柄だった。

日経平均.N225

終値      21726.28 -95.76

寄り付き    21712.80

安値/高値   21659.04─21798.38

TOPIX.TOPX

終値       1619.23 -8.36

寄り付き     1618.35

安値/高値    1612.78─1621.79

東証出来高(万株) 110642

東証売買代金(億円) 20252.25
https://jp.reuters.com/article/tokyo-stx-close-idJPKCN1QM0MM
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/372.html

[政治・選挙・NHK258] トランプ氏の暴論には正論で、日米協議の矛先は 
為替フォーラム2019年3月5日 / 14:16 / 2時間前更新

トランプ氏の暴論には正論で、日米協議の矛先は

唐鎌大輔 みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト
4 分で読む

[東京 5日] - 米連邦準備理事会(FRB)に再び批判の矛先を向けたトランプ米大統領の発言には、やや意外感を覚えた。

トランプ氏は2日、保守団体の会合で演説し、「私は強いドルを望むが、わが国にとって素晴らしい強いドルを望むのであって、非常に強いために他国との取引ができなくなるような強いドルは望んでいない」と強調。名指しこそしなかったものの、「FRBには量的引き締めを愛する紳士が1人いる。われわれは強いドルを望むが、理性的になろう」と、パウエル議長を皮肉った。

同種の物言いが散々繰り返されてきたこともあり、為替市場の反応は落ち着いたものだった。しかし、1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で示された基本姿勢は「急変」と言って良いほどハト派的で、実質的な利上げ停止宣言だった。2月20日に発表された同会合の議事要旨も、バランスシート縮小の年内停止をほぼ明言していた。

それでもFRB批判を展開する大統領の挙動には、執拗さが感じられた。

とはいえ、結局のところ為替市場は「相手がある話」の世界だ。欧州中央銀行(ECB)や日銀が金融政策を正常化できていない現状、ドル相場は下がりにくい。トランプ大統領がどこまで正確に相場動向を注視しているかは知る由もないが、為替市場において「ドル一強」の構図が継続中なのは間違いない。

FRBの政策がどうあれ、事実としてドル高だから「不満」ということなのかもしれない(今まで利上げしてきた結果だと考えているのかもしれない)。また、米朝首脳会談で芳しい結果を出せなかったことで、別の「外敵」を必要としているという読みもあながち外れてはいないように思える。

いずれにしても、トランプ大統領が「為替に関心がある」ということには違いなさそうである。

<「相手国が悪い」という発想>

ここで心配なのは、「大統領がドル安を求め、FRBもハト派に転換しているが、ドル高継続」という状況が続くことだ。消去法的に「相手国が悪い」という発想に行きつきやすい。「ECBや日銀が緩和路線を堅持していることでドル高をもたらしている」という、いかにもトランプ氏好みの結論に行き着く可能性が想起される。

もちろん暴論ではあるが、実際に対米貿易黒字が大きいことも、そうした事実誤認を後押ししかねない。これから米国と1対1の通商交渉を控えるユーロ圏や日本は、こうした展開に神経質にならざるを得ない。

より具体的には、米国、メキシコ、カナダの新通商協定(USMCA)に導入された「為替条項」というフレーズが取りざたされやすくなるかもしれない。中国も同種の条項に合意したという観測報道があるだけに、気掛かりではある。

<日本企業の貢献度は大きい>

だが、そもそも通商政策と通貨政策は別々に取り扱われるべき問題である。財務省の浅川雅嗣財務官は3日、パネル討論会に登壇し、日本の経常黒字は所得収支によるもので、貿易問題とは別物と述べたと報じられた。

日本の経常黒字は、過去に行った海外投資のリターンである「あがり」の部分が大きい。今後の対米交渉で、その認識をしっかり強調していく必要がある。これを減らすには、例えば日本の自動車メーカーが米国工場の稼働率を抑えたり、閉鎖するという話に直結する。それこそトランプ大統領が激高する帰結であろう。

米国で事業を展開する多国籍企業の動向をまとめた米商務省の年次調査『Activities of U.S. Affiliates of Foreign Multinational Enterprises』の最新版によれば、2016年末時点での外資系企業の雇用者数は、日本企業が86万人と、全体の約700万人の12%を占める。これは英国企業の17.5%に次ぐ。

また、総資産額は全体の15.8%で、英国の14.77%を上回り、最も大きい。給与支払額も英国の16.6%に次ぐ13.3%を占める。他にも色々な尺度はあり得るが、少なくとも日本企業による米国経済への貢献度が他国に比べて劣後しているとは到底思えない。むしろ、相当大きいという印象だ。

さらに言えば、過去の海外投資の「あがり」は第1次所得収支の黒字に当たり、日本居住者の海外口座に外貨として振り込まれた時点で計上されることから、その多寡が必ずしも円高圧力に直結するとは限らない。

<為替を修正しても赤字は消えない>

同じ討論会で浅川財務官は、日本の貯蓄の増加は高齢化の過程において自然である、とも述べている。貯蓄・投資(IS)バランスに着目した議論であり、この延長線上には「米国の経常赤字は過剰な消費・投資体質の裏返しである」という事実も浮かび上がる。言い換えれば、トランプ政権は他国の批判ばかりではなく、自国の赤字体質にも目を向けたほうが建設的であるという指摘であり、これも全くの正論である。

米国のISバランスは、政府部門の巨大な貯蓄不足と、海外部門の巨大な貯蓄過剰(経常赤字にほぼ相当)が表裏の関係だ。拡張的な財政にまい進し、政府部門の貯蓄不足主導で経常赤字を膨らませてきたトランプ政権は、理論に基づいたこの基本的な事実を踏まえ、いくら時間と政治資源を費やしても、貿易赤字解消という求める結果を得る可能性が低いことを認識する必要がある。

今後、トランプ政権は攻撃的な2国間交渉を通じ、日本やEU(欧州連合)に対米輸入の強制的な拡大を強いる可能性があるが、自国の過剰な消費・投資体質を変えない限り、徒労に終わる可能性が高い。そろそろトランプ政権内に、「為替相場を修正したところで経常(貿易)赤字は消えない」という事実を確実に説明する側近が登場しても良いのではないか。

日米物品貿易協定(TAG)交渉は、今月から5月初旬にかけて動きがあると見る向きが多く、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は3月中に訪日する意向を表明している。米中通商協議や米朝首脳会談など、トランプ政権が外交上の得点機を逃す事態が続いているだけに、日本にとってはあまり交渉に適したタイミングではないかもしれない。

しかし、米国経済に対して日本企業が現実的に果たしている役割や、理論的に正しい事実を丁寧に伝えることが、遠回りに見えて最も近道なのではないだろうか。

(本コラムは、ロイターの外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

唐鎌大輔 みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト(写真は筆者提供)
*唐鎌大輔氏は、みずほ銀行国際為替部のチーフマーケット・エコノミスト。日本貿易振興機構(ジェトロ)入構後、日本経済研究センター、ベルギーの欧州委員会経済金融総局への出向を経て、2008年10月より、みずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)。欧州委員会出向時には、日本人唯一のエコノミストとしてEU経済見通しの作成などに携わった。著書に「欧州リスク:日本化・円化・日銀化」(東洋経済新報社、2014年7月) 、「ECB 欧州中央銀行:組織、戦略から銀行監督まで」(東洋経済新報社、2017年11月)。新聞・TVなどメディア出演多数。

(編集:久保信博)
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-tag-daisuke-karakama-idJPKCN1QM0G0
http://www.asyura2.com/19/senkyo258/msg/185.html

[政治・選挙・NHK258] 米国が仕掛ける「通商椅子取りゲーム」の五里霧中
コラム2019年3月5日 / 14:46 / 2時間前更新

米国が仕掛ける「通商椅子取りゲーム」の五里霧中
Gina Chon
2 分で読む

[サンフランシスコ 4日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米国が仕掛けた通商椅子取りゲームの空席がなくなりつつある。米中通商協議が近く何らかの合意に達する可能性はあるが、その結果ははっきりしていない。

一方で、インドやメキシコ、カナダ、欧州連合(EU)、さらには日本などと米国の通商関係も先行きがあやふやな状態だ。

トランプ米大統領は2017年の就任以来、特に中国との通商関係をひっくり返そうとしてきた。これまでのところ、米国は2500億ドル(約28兆円)相当の中国製品に輸入関税をかけ、中国も報復関税で対抗している。今月1日が追加的な対中追加関税の発動期限だったが、合意の可能性を意識したトランプ氏が、これを延期した。

いざというときの「予備」としてインドを考えていた企業も、再考を余儀なくされている。トランプ氏は4日、インドを一般特恵関税制度(GSP)の対象国から除外する意向を明らかにした。GSPにより、56億ドル相当のインドからの輸入製品が非関税となっていた。

インド当局が米アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)や小売り大手ウオルマート(WMT.N)による小売り事業を制限する、より厳しい電子商取引規則を設定したことで、米国とインドの関係は今年になって悪化した。トランプ大統領はまた、米国が対インドで抱える210億ドル相当の財の貿易赤字についても批判している。

インドはGSPによる世界最大の恩恵国の1つで、GSPからの除外判断は今月下される。こうした米国によるGSP適用を巡る見直しは、インドネシアやタイなどの国についても行われている。

その一方で、トランプ政権がメキシコやカナダとの間で北米自由貿易協定(NAFTA)を再交渉し、妥結した「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」についても、米議員からは疑問視する声が上がっている。民主党は、労働や環境、そして処方薬の薬価などの分野で変更を求めており、共和党は、アルミニウムや鉄鋼への関税撤廃を求めている。同協定が発効するには、3カ国それぞれの議会で承認されなければならない。

目を転じれば、EUや日本との交渉はゆっくりとしたペースで進んでおり、将来的な合意の範囲を巡って議論が続いている。双方に対して、米国は自動車関税の引き上げをちらつかせて脅している。

調達ルートを計画しなければならない民間企業は、ルールが二転三転していると話す。例えば、あるインドの旅行用品メーカーはBREAKINGVIEWSに対し、インドがGSPから外れるならば、中国製品への関税の方がまだ我慢できる状況になるため、中国に生産拠点を戻すことも検討していると話した。

だが、まだ協議の結論が宙に浮いた状態であるため、決断をするのは難しい。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/usa-trade-breakingviews-idJPKCN1QM0H4
http://www.asyura2.com/19/senkyo258/msg/186.html

[政治・選挙・NHK258] 人手不足解消へ外国人労働力拡大を、2%成長実現向け−竹森慶大教授 
人手不足解消へ外国人労働力拡大を、2%成長実現向け−竹森慶大教授
占部絵美、竹生悠子
2019年3月5日 7:49 JST
生産年齢人口は年70万人減、5年間で約35万人の拡大では足りない
ITやAIの徹底活用で生産性向上、政府系ファンド創設も選択肢
1月から経済財政諮問会議の民間議員を務める慶応義塾大学の竹森俊平教授は、政府が掲げる2%の経済成長目標の実現に向け、外国人労働力のさらなる受け入れ拡大による人手不足解消など、あらゆる手段を講じるべきだとの見解を示した。

Keio University Professor Toshihira Takemura
竹森教授Photographer: Takaaki Iwabu/Bloomberg
  竹森教授は1日のインタビューで、政府が検討している65歳以上への定年延長は生産年齢人口減少の先延ばしに過ぎず、少子化対策は効果発現に時間がかかるとし、「5ー10年のスパンで考えると、外国人労働者の制度化をもっと進める以外に考えつかない」と語った。

  政府は2020年代前半に実質2%、名目3%を上回る経済成長を目標に掲げている。12−17年の5年間に女性や高齢者などの就業者は251万人増加したのに対し、15−64歳の生産年齢人口は451万人減少しており、人手不足が経済成長の足かせとなっている。政府は人材確保が困難な分野を対象とした外国人労働者の新たな受け入れ制度を創設し、来年度から5年間で34.5万人を受け入れる方針を打ち出している。

  竹森教授は「年間70万人くらい生産年齢人口が減っていくことが常態化することを考えなければならず、5年間で約35万人では全然足りない」と指摘。特に介護医療分野での人手不足を解消するため、団塊世代が全て75歳以上になる25年までに準備する必要があるとし、今回の外国人受け入れ拡大は「どういう問題があるか、どういう受け入れ態勢が必要かのトライアルの段階だ」との見方を示した。

減少する生産年齢人口
政府系ファンド創設も
  竹森教授は情報技術(IT)や人工知能(AI)の徹底した活用による生産性向上が人手不足を解消するもう一つの手段になるとし、デジタルガバメントやAI開発を推進するための政府系ファンドの創設を選択肢の一つに挙げた。デジタル化には「かなりの初期投資が必要で、体制整備の2年くらいは景気にもプラス」とした上で、「将来的には省力化で、資本投入も労働投入もある程度節約になる」と述べた。

  アクセンチュアのリポートによると、日本経済にAIが浸透した場合のシナリオでは、日本の国内総生産(GDP)は2035年には2.7%に加速するとしている。ベースラインシナリオでの成長率予想は0.8%。

  竹森氏は、1986年慶大大学院修士課程修了、89年米ロチェスター大経済学博士号取得。97年から慶大経済学部教授。経済産業研究所ファカルティフェローや財務総合政策研究所特別研究官などを歴任、今年1月に経済財政諮問会議の民間議員に就任。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-04/PNTZ6E6TTDSY01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/senkyo258/msg/187.html

[経世済民131] 中国は19年成長目標引き下げ、経済減速対応に軸足 不動産規制の緩和 米中貿易戦争の終結見込めず 米経済が敗者との兆候広が
中国は19年成長目標引き下げ、経済減速対応に軸足
Bloomberg News
2019年3月5日 9:14 JST 更新日時 2019年3月5日 10:47 JST
19年の成長率目標を6−6.5%に設定−前年は6.5%前後
付加価値税の最高税率を3ポイント引き下げ
中国は5日、2019年の経済成長率目標を6−6.5%とし、前年の6.5%前後から引き下げた。また、付加価値税(VAT)の引き下げも発表した。中国当局はこれまでに膨らんだ債務や米国との貿易摩擦に対処しながら、景気減速への対応に取り組む。

  同日開幕の全国人民代表大会(全人代)に向けた李克強首相の政府活動報告で示された今年の国内総生産(GDP)成長率目標はレンジでの目標設定となり、混乱が生じた際に政策当局に調整の余裕を持たせる形となった。

  成長率目標レンジの下限である6%は約30年ぶりの低水準。中国経済は2000年代半ばの2桁成長から緩やかに減速を続けてきた。ブルームバーグが集計したエコノミスト調査によると、成長率は18年の6.6%から今年は6.2%に鈍化する見通し。20、21年には一段の減速が見込まれる。

  政府活動報告は今年の中国のレバレッジ比率を「基本的に安定的」に維持するとした。政策当局者らは、総債務がGDPの300%に近づく中で債務の一段の急増を回避しつつ、民間セクターへの融資を再び活発化させようしている。

VAT
  また、VATの最高税率の3ポイント引き下げも発表された。製造業支援が目的。モルガン・スタンレーの試算によると、VATの3ポイント引き下げは、GDPの0.6%に相当する最大6000億元(約10兆円)の支援効果をもたらし得る。
  
  中国の19年の財政赤字目標はGDP比率2.8%に設定された。昨年は同2.6%だった。

  今年の政府活動報告は、昨年の報告から変化した。昨年は依然として、金融リスクの抑制と予算支出の縮小に重点が置かれていた。今年は成長目標の引き下げに一段とターゲットを絞った追加刺激策を合わせ、18年に変調した経済の安定化を政府が目指す状況を如実に示している。

  政府活動報告は引き続き「慎重」な金融政策を維持すると表明。一方、財政政策は「積極的で一段と力強く、より効果的」なものになるとした。

  政府活動報告の他のポイント:

全人代で審議する19年予算案で国防費は前年比7.5%増とされた。昨年の伸び率を下回った
地方政府の特別債発行額は2兆1500億元と計画
米国との貿易協議を「推し進める」
原題:China Lowers Growth Target and Cuts Taxes as Economy Slows(抜粋)

(レバレッジ比率や国防費の情報などを追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-05/PNV6086S972801


 

中国が不動産規制の緩和を示唆−政府活動報告に習氏の発言入らず
Bloomberg News
2019年3月5日 13:37 JST
習主席は「住宅は住むもので投機の対象ではない」と表明
5日開幕した全人代の政府活動報告に盛り込まれず
中国の李克強首相が5日開幕の全国人民代表大会(全人代)で行った政府活動報告で、住宅は投機対象ではないと呼び掛けていた習近平国家主席の発言が盛り込まれなかった。中国が住宅市場規制の緩和にオープンな姿勢に転じた可能性を示唆した。

  習氏は2017年の演説で「住宅は住むもので投機の対象ではない」との考えを示した後、この方針が定着していた。その文言が削除されたことで中国政府が景気減速への対応に乗り出す中、不動産規制の緩和を容認するとの観測が今後広がりそうだ。

The Opening Session of The National People's Congress
中国の李克強首相(3月5日)写真家:Qilai Shen / Bloomberg
  センタライン・グループの張大偉アナリストは、「『投機の対象ではない』との表現が政府活動報告に入らなかったという事実は大きなシグナルだ」と指摘。「最も厳しい政策は既に過去のものになったことを示している」と述べた。

原題:China Signals Loosening of Property Curbs as Xi’s Mantra Omitted(抜粋)

 


米中貿易戦争の終結見込めず、両首脳が合意署名の場合でも−履行が鍵
Jenny Leonard
2019年3月5日 10:14 JST
中国が求める関税撤回に関しては、米国側が譲歩するかどうか不明
USTR代表は中国の米産品購入拡大より知財権慣行の是正を重視
U.S. President Donald Trump's Second Day In Beijing
Photographer: Qilai Shen/Bloomberg
米中両国の通商交渉は合意に近づいており、トランプ米大統領と習近平中国国家主席は月内にも合意文書に署名する可能性がある。しかし、両首脳が合意に署名したとしても貿易戦争が終結するわけではない。

  米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は先週の議会公聴会で、中国に公約を確実に履行させるためのさらなる作業が残っていると述べた。その数日後、トランプ大統領は、米朝首脳会談と同じく、中国との交渉でもなお席を立つことがあり得ると警告した。

  米中交渉のポイントの最新状況は以下の通り。

U.S. Trade Representative Robert Lighthizer Testifies Amid Tariff Escalation
ライトハイザーUSTR代表Photographer: Zach Gibson/Bloomberg
関税を撤回するか?
  中国はトランプ大統領が昨年、同国からの輸入品2000億ドル(約22兆3500億円)相当に課した追加関税の撤回を望んでいるが、大統領がその一部ないし全てを撤回するかどうかは依然はっきりしない。米国は2000億ドル相当の輸入品への追加関税の前に500億ドル相当の同関税を導入したが、中国はこれについても撤回を求める見通し。

  トランプ政権内では、追加関税の一部を温存しておけば米国は交渉力を維持できるという見方があり、合意初日に追加関税を撤回するのは賢明かどうか議論されている。

  米政権内には、中国が数カ月ないし数年後に全ての公約を履行した時点で関税を完全撤回すべきだとの主張もある。ライトハイザー代表は先週、たとえ最初に一部ないし大半の追加関税が撤回された場合でも、中国が通商合意を破ったなら履行メカニズムの一環として追加関税を復活させることができると話した。

公約履行メカニズム
  ライトハイザー代表は、米中両国がさまざまな政府レベルで定期的に協議を行い問題解決を図るよう義務付ける制度を設ける計画だと述べている。また、協議の進展に乏しい場合は米国は「相応」で「一方的」な措置で対応すると語った。関税賦課に言及したものと考えられる。

  トランプ政権のチームは、米国が一方的な措置を講じた場合でも、報復する権利を放棄するよう中国に要求。また、中国が世界貿易機関(WTO)に提訴しないことも求めている。中国がこの要求に応じたかどうかや、同国がどのような変更を求めているかは不明だ。

中国による米産品の大量購入
  ライトハイザー代表は、自身が「大豆の解決策」と呼ぶ米産品の大量購入だけにとどまらない合意を目指していると強調してきたが、まとまった規模の米産品購入の問題も交渉議題に上っている。

  中国は米産品輸入を6年間で1兆2000億ドル増やす案を提示しており、これが実現すれば米農業やエネルギー企業に恩恵をもたらすことになる。また、対中貿易赤字の縮小を公約してきたトランプ大統領にもアピールし、通商合意を促す見通しだ。

  トランプ大統領は1日、中国に対し、米農産品に対する全ての関税を直ちに撤廃するよう求めた。大統領はこの要求が報復関税に限ったものなのか、それともより広範囲のものなのか示唆しなかった。

  しかしライトハイザー代表とそのチームがより重視しているのは、中国の知的財産権慣行や、技術移転を米企業に強制する政策の構造的な是正だ。

原題:Trump and Xi Are Close to a Deal But the Trade War Isn’t Over(抜粋)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE
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米中貿易戦争の終結見込めず、両首脳が合意署名の場合でも−履行が鍵
Photographer: David Paul Morris/Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-05/PNVJW36KLVR401


トランプ氏が仕掛けた貿易戦争、米経済が敗者との兆候広がる
Shawn Donnan
2019年3月5日 14:33 JST
今までのところは米経済が差し引きすると敗者になっている兆候
トランプ関税のコストの大半を米消費者が負担している
トランプ米大統領は、貿易戦争に勝利していると日頃から主張している。だが今までのところは、米経済が差し引きすると敗者になっている兆候が広がっている。

  週末に発表された2つの論文では、貿易研究で第一人者のエコノミストらはトランプ氏の関税について、世界大恐慌を悪化させた原因とされる1930年の関税法「スムート・ホーリー法」以降で最も大きな影響を与えている貿易の実験だと指摘。また、トランプ氏の関税が米経済に及ぼす初期コストは何十億ドルにも上り、その大半を米消費者が負担しているとの見方を示した。

   ニューヨーク連銀とプリンストン大学、コロンビア大学のエコノミストが2日公表した調査では、トランプ氏が中国からの輸入品約2500億ドル(約28兆円)に昨年課した関税が、米企業と消費者に月間約30億ドルの追加税金費用、企業にはさらに14億ドルの死荷重損失(課税に伴う超過負担)をもたらしていることが分かった。

  また、3日に公表された別の論文では、世界銀行の元チーフエコノミスト、ピネロピ・ゴールドバーグ氏らエコノミスト4人は、輸入コスト増加に伴う米経済の年間損失が688億ドルと、国内総生産(GDP)の約0.4%に相当するとの見方を示した。

原題:Evidence Grows That Trump’s Trade Wars Are Hitting U.S. Economy(抜粋)
 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-05/PNVJW36KLVR401

http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/373.html

[経世済民131] ECB貸出支援策再開へ、TLTROの仕組みと課題 ECB、市場が抱える5つの疑問 ドル111円後半 長期金利ゼロ%に上昇
トップニュース2019年3月5日 / 16:06 / 22分前更新
アングル:
ECB貸出支援策再開へ、TLTROの仕組みと課題
Reuters Staff
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[フランクフルト 4日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)はユーロ圏域内企業への与信の流れを維持するため、貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)を再開する見通しだ。既に顕在化している景気の減速が突然の信用逼迫で一段と悪化するのを防ぐのが狙い。

導入が見込まれる新型TLTROの仕組みや問題点などをまとめた。

◎前回のTLTRO

ECBは前回、2016年と17年に期間4年のTLTRO(targeted longer-term refinancing operations)を実施し、金融機関に総額7390億ユーロの流動性を供給した。鍵は「貸し出し条件付き(targeted)」となっている点で、銀行は企業など実体経済に貸し出しを行う場合にはマイナス0.4%の中銀預金金利と同水準でECBから資金を借り入れ、金利を払う代わりにキャッシュを手に入れることができた。

◎再開論浮上の背景

前回のTLTROの返済までの期間が1年を切るとバーゼル規制の安定調達比率(NSFR)を計算する際の長期資金としての組み入れ比率が徐々に低下するため、6月から銀行がECBへの返済に積極的な姿勢に転じるとみられる。そうなればECBのバランスシートが縮小する一方、市中銀行はよりコストの高い調達に頼らざるを得なくなり、融資能力が制約を受ける。

既に統計は1月企業向け融資の大幅な鈍化を示した。銀行の業績不振も貸し渋りに拍車を掛ける恐れがある。

TLTROの大部分が返済期限を迎えると、実体経済に大きな影響が及ぶとECBは危惧している。

◎TLTROの効果

銀行融資は昨年、世界金融危機後で最も高い伸びを記録した。またECBの調査によると、資金調達は銀行にとって重大な懸念材料とはなっておらず、TLTROはユーロ圏の景気に対して効果を発揮したようだ。調査ではほとんどの銀行が、調達資金を企業に貸し出しており、TLTROによって調達コストを圧縮して与信条件を緩和することできたと回答した。

◎新型TLTROの狙い

新型については既に検討が行われており、早ければ7日の次回ECB理事会で導入の方針が打ち出される見通し。ただ、具体的な内容の詰めは、旧TLTROの第1回実施分返済期限まで1年を切る直前の6月までずれ込む可能性がある。

期間や貸し出し条件は、ECBの今後数年間の金融政策姿勢を縛るため重要だ。

◎新型の旧型との違い

ECBの首席エコノミストであるプラート専務理事は、旧型は「条件が非常に緩い」と述べ、新型では条件が厳しくなるとの見通しを示した。ただ、ユーロ圏の景気減速が深まれば、ECBは引き続き寛大な条件を維持するだろう。

期間は旧型の4年に対して、新型は2年から3年に短縮されそうだ。また、新型は変動金利となり、当初の金利はECBの主要政策金利であるリファイナンス金利(現在0%)に設定される可能性がある。

「条件付き」でなくなれば銀行にとって使い勝手が良くなる。その場合は調達資金の一部が、国債などに投資して利ざやを稼ぐ「キャリートレード」に使われ、実体経済に回らない恐れが出てくる。こうした投資は過去にも行われ、既に当局者の間から不安の声が上がっている。

旧型から新型への乗り換えが起こるだけではないかという問題もあるので、銀行の借り入れ可能額に制限が設けられてもおかしくない。

◎新型導入巡る論点

旧型TLTROによる借り入れ残高7240億ドルの56%をイタリアとスペインの銀行が保有しており、事実上ユーロ圏全体ではなく特定の国を対象にしているとの指摘が一部の当局者から出ている。

既に現行のTLTRO自体が以前の流動性供給制度の延長であり、銀行はECBからの調達に依存し過ぎで、TLTROの再開はECBへの依存体質を改める上で役立たないとの意見も聞かれる。

こうした細かい部分を巡って議論が長引いたとしても、政策担当者の間で新型の導入自体に反対する気配は見受けられない。
https://jp.reuters.com/article/ecb-tltro-idJPKCN1QM0MV


為替フォーラム2019年3月5日 / 15:56 / 42分前更新
アングル:
今週のECB理事会、市場が抱える5つの疑問
Reuters Staff
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[ロンドン 4日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は大規模な資産買い入れプログラムを打ち切ってからまだ2カ月ほどしか経過していないが、早くもユーロ圏の景気減速長期化を防ぐ対応を迫られている。

こうした中で、7日の理事会とドラギ総裁会見、最新の経済見通し発表を通じて政策変更の地ならしが行われる可能性がある。

ユニジェスチョンのマクロ経済調査・クロス資産ソリューション責任者フロリアン・イエルポ氏は「(ECBにとって)少なくとも現段階で、マクロ環境改善のためにできることを議論する余地はある」と説明した。

以下に記したのはECB理事会を前に市場が抱く5つの疑問だ。

(1)銀行向け長期資金供給の詳細を知ることができるか

ECBは銀行向けに低利の長期資金供給を実施する準備を進めており、投資家とすれば重要なのはその詳しい内容だ。バークレイズは、新型の資金供給は銀行にとってこれまでよりは条件が厳しくなり、規模も縮小すると予想する。

先週にはクーレ専務理事が、資金供給を話し合っていると明かして市場を驚かせた。最近公表された1月のユーロ圏の企業向け融資は伸びが急速に鈍化しており、政策担当者は銀行支援に動く新たな理由を得た形になった。

エコノミストの一部からは、7日にも新たな長期資金供給オペ(LTRO)ないし貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)が正式発表される可能性があるとの声も出ている。

以前に実施されたTLTROは来年半ばから返済期限を迎えるので、ECBは銀行が流動性不足に陥らないよう、今年6月ごろには新型の実施に踏み切りたいかもしれない。

ピクテ・ウエルス・マネジメントのストラテジスト、フレデリック・デュクロゼ氏は「ECBはLTROを議論するだけでなく、実施に関して何らかのヒントを出さないと、市場は失望するだろう」と述べた。同氏は新型の資金供給は4月に正式決定、6月に実施の運びとなると予想している。

(2)ECBの経済見通しをどの程度引き下げるか

欧州最大の経済規模を誇るドイツの勢いが止まり、イタリアは景気後退に突入しただけに、ECBが成長率と物価上昇率の見通しを引き下げるのはほぼ間違いない。

エコノミストは、市場が特に注視すべきは来年の見通しで、これはECBの経済成長に関する懸念の度合いを探る最適な手掛かりになると話す。

またABNアムロのアナリストチームによると、ECBのコア物価上昇率見通しは高過ぎる。投資家の長期的な期待インフレ(5年後からの5年間の予想物価上昇率)は足元が1.50%で、直近のボトムからは持ち直しているものの、ECBの物価目標である2%弱は下回ったままだ。

(3)ECBは夏いっぱいまで政策金利を据え置くというガイダンスを修正するか

最近の当局者発言を踏まえると、その公算は乏しい。ECB理事会メンバーで次期チーフエコノミストに就任見通しのレーン・アイルランド中銀総裁は先週、ユーロ圏の景気減速について深刻な見方は示さず、政策ガイダンスの変更にも否定的だった。同じ理事会メンバーのワイトマン独連銀総裁も、ECBは利上げ予定の先送りを正式に表明する必要はないと断言した。

一方投資家が見込む利上げ時期は既に来年半ばまで後退している。そのためジェフリーズのエコノミスト、マルヒェル・アレクサンドロビッチ氏は、ガイダンス修正の可能性を完全には排除できないと主張。「ECBとしては、市場が最初の利上げ時期を後ずれさせたのは間違っていないとシグナルを送るチャンスになるかもしれない」と話した。

(4)欧州と米国の貿易摩擦拡大をECBはどれほど心配しているか

欧州連合(EU)と米国の貿易摩擦はECBの政策担当者にとって主要な懸念材料の1つとなっている。摩擦が激化すれば、ユーロ圏全体で大きな規模を持つ輸出産業が打撃を受けかねないからだ。

トランプ米大統領は先月、貿易協議で合意に達しない場合、欧州からの輸入車に関税を課すと警告しており、欧州委員会は協議を始めたい考えだが、フランスが同意を留保している。

米国が関税を発動してしまうと、排ガス不正の問題で苦境に置かれたフォルクスワーゲンなどの独自動車業界が一段と痛手を被り、ECBの景気テコ入れの足かせとなってしまう。

ドラギ氏も、通商政策において各国が一方的な決定を下すのは危険で、経済の信頼を損ねる恐れがあるとくぎを刺している。

(5)ドラギ氏後任問題を巡る不透明感は政策決定に影響するか

10月に任期を終えるドラギ氏は今回の会見で、後継問題についての観測にはコメントしそうにない。それでも次がだれかが分からないことが政策決定に影響を及ぼす可能性がある以上、質問は出てくるだろう。

ECBが次期総裁を決めるのは5月の欧州議会選後になりそうだが、水面下では後継者選びの作業が進んでいるもようだ。

ワイトマン独連銀総裁はさらに8年続投することが決まり、仏中銀のビルロワドガロー総裁とともに引き続き後継候補に挙げられている。ワイトマン氏はECBの超緩和的な金融政策にしばしば異を唱え、他の理事会メンバーを苛立たせてきた。ただマイナス金利に長らく痛めつけられている銀行株を保有する投資家は、ECBのタカ派シフトを歓迎するだろう。実際、ワイトマン氏続投の報道を受け、ユーロ圏の銀行株は高騰した。
https://jp.reuters.com/article/ecb-board-idJPKCN1QM0MO


ビジネス2019年3月5日 / 15:36 / 1時間前更新
ドル111円後半、海外市場の下げ幅埋める
Reuters Staff
1 分で読む

[東京 5日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前日ニューヨーク市場の午後5時時点から小幅高の111円後半。この日も全般は見送りムードが強く、主要通貨は小動きに終始した。

株安などを背景に海外市場で111円半ばへ売られたドルは、東京市場に入りじりじりと上昇。111.94円まで切り返した。下値では年度末を控えて、国内勢が買いに動いたという。

しかし、東京市場の値幅は111.73─111.94円の上下21銭。前日海外では円が全面高となったものの、その要因はきょうから始まった「中国の全国人民代表大会(全人代)を前にした持ち高調整」(トレーダー)の色彩が強かったという。

中国の李克強首相は全人代で、今年の国内総生産(GDP)伸び率の目標を6.0―6.5%に設定したと表明。景気押し上げに向けて、財政政策が「一段と積極的」になるなどと発言したものの、中国株は前日終値付近で小動きに終始。通貨にも目立った反応はなかった。

市場では「首相発言は、成長をほど良いペースにとどめる一方、刺激策で下支えするとの趣旨。ほぼ期待通りの内容だった」(外銀)との声が出ていた。

ドル/円JPY=  ユーロ/ドルEUR=  ユーロ/円EURJPY=

午後3時現在 111.90/92 1.1327/31 126.76/80

午前9時現在 111.77/79 1.1334/38 126.70/74

NY午後5時 111.74/75 1.1337/42 126.70/74

為替マーケットチームhttps://jp.reuters.com/article/tokyo-frx-lateaft-idJPKCN1QM0L8


 


長期金利がゼロ%に上昇、10年入札結果弱めで−あすの日銀オペ警戒も
野沢茂樹
2019年3月5日 7:59 JST 更新日時 2019年3月5日 15:55 JST
債券市場では現物債が下落。長期金利はゼロ%に上昇した。この日に実施された10年利付国債入札が日本銀行による国債買い入れ減額の観測を背景に弱めの結果となったことを受けて、午後に入って売りが優勢の展開となった。

新発10年物353回債利回りは、日本相互証券の前日午後3時の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)高いゼロ%。マイナス0.005%で推移した後、入札結果発表後にゼロ%を付けた
新発20年債利回りは0.45%と1月31日以来、新発2年債と新発5年債利回りはともにマイナス0.145%と1月半ば以来の高水準
長期国債先物3月物の終値は前日比変わらずの152円51銭。一時152円46銭と約1カ月半ぶりの安値
市場関係者の見方
バンクオブアメリカ・メリルリンチの大崎秀一チーフ金利ストラテジスト
10年債入札の結果を受けて午後は売りが優勢に
日銀は今後もオペ減額を少しずつ進めていく路線を続けるだろう
6日の残存期間5年超10年以下の国債買い入れオペは4700億円か4800億円かー月間では2000億円超と長短金利操作導入後で最大の減額となる見込み
その割には相場の下げは限定的
10年債入札
最低落札価格は100円98銭、市場予想の101円00銭を下回る
応札倍率は4.25倍に低下、テールは2銭にやや拡大
BofAの大崎氏
国債買い入れオペを巡る不透明感もあり、やや弱い結果
ただ、利回りがプラス圏に入ると押し目買いが入るとの見方が根強い
備考:過去の10年債入札の結果一覧
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.145% -0.145% 0.000% 0.450% 0.635% 0.720%
前日比 +0.5bp +0.5bp +0.5bp +0.5bp 横ばい 横ばい

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-04/PNTRMD6TTDS001
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/374.html

[社会問題10] 育児中のお母さんたちが抱く、知られざる「不安」とは かつて「子どもの天国」だった日本は今いずこ 
育児中のお母さんたちが抱く、知られざる「不安」とは
かつて「子どもの天国」だった日本は今いずこ
2019.3.5(火) 篠原 信
子育てに寛容で温かだった日本をもう一度。
(篠原 信:農業研究者)

 赤ちゃんを抱える多くのお母さんが、感じたことのある「不安」を、皆さんはご存知だろうか。

「赤ちゃんがあんまり泣いていると、虐待だと思われて通報されるかも」

 私は、嫁さんがこの不安を感じていたと聞いてビックリした。嫁さんはかなり子どもあしらいがうまく、そんな不安とは無縁の人だと思っていたからだ。だが、たまに「あんまり泣くと、通報されちゃうよ」と語りかけていたのが気にはなっていた。

 ある日、「なんでそんなこと言うの?」と尋ねると、「いまのお母さんは、たいがい感じている不安だと思うよ」と答えて、さらに驚いた。育児支援室に嫁さんは通っていたのだが、「赤ちゃんが泣くと通報されるかも」という恐怖は、お母さんたちの話題としてポピュラーだという。

 ぜひ、厚生労働省、あるいはマスメディアの方たちは、次のようなアンケートをとっていただきたい。

「赤ん坊が泣いていると、虐待で通報されるかも、と感じたことはありますか」
身近な、赤ん坊を抱えているお母さんたちに聞いてみたが、みな「感じたことがある」という回答であった。どのくらいのお母さんたちがこの不安を抱えているのか、きちんと数字で把握したほうがよい問題だと思う。

お母さんが不安を抱く3つの理由
 では、お母さんたちは、なぜそんな不安を抱くのだろうか? 大きく3つ、原因を挙げることができるだろう。

 1つ。虐待の通報が激増していること。

 児童相談所に寄せられる、虐待に関する通報は、平成29年度には13万件を突破し、さらに増加する勢いを見せている*1。子どもの出生数は、いまや100万人を切っているのだから、その数の多さがよく分かる。

*1:https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/000348313.pdf

 これだけ通報数が増えているのをみて、お母さんたちは「通報する心理的ハードルが下がっている」と感じているようだ。「虐待と感じたらすぐ通報! それが市民のつとめ!」と、隣に住む人が考えているかも、と疑心暗鬼にならざるを得ない。実際、虐待のニュースが流れて、ネットでその反応を見ると、虐待する親を攻撃する傍ら、「虐待の疑いを感じたら、ためらわずに通報すべきだ」という意見をコメンテーターが口にしていたりする。これでは、お母さんたちが不安になるのも無理はない。

 2つめの原因。「子どもの声=騒音」という図式。

 最近、保育園を新設しようとすると、住民から反対運動を受けるというニュースがよく流れてくる。子どもの声は、いまや騒音なのだ。身近に子どもがいなくなり、たまに子どもの声が響くと、ほほえましく感じるというより、やかましく感じるようだ。電車に子供連れで乗ると、寝ている乗客が「チッ」と舌を鳴らしたり。新幹線に乗るときなどは、寝ている乗客の邪魔にならないよう、デッキに移動するお母さんたちをよく目にする。

「育児で大変だなあ」といたわる空気より、「赤ん坊連れで新幹線に乗るなよ」というトゲトゲしい空気。子どもの声、特に赤ん坊の泣き声に対して、世間がいかに厳しいかをお母さんたちは感じている。「赤ん坊が泣くこと=ダメ母親」という厳しい見方が社会に蔓延していることを、肌身に感じている。子どもの、赤ん坊の泣き声に、いまの日本社会は非常に不寛容なのだ。

 3つ目。「ひものれん社会」。

 特に都会のマンション暮らしでは、「隣は何をする人ぞ」状態。いったいどこに勤めていて、何人住んでいるのかも分からない、ということが多い。

 隣の家の人との結びつきを、ちょっと考えてみよう。たぶん、全然違う会社に勤めている人だ。自分はたまたま今のマンションに住んでいるだけで、隣とは一切利害関係がない。利害関係といえば、数キロメートル離れた自分の勤める会社の方が強い。隣の人は別の会社に勤めているのだろう。だとすれば、隣の人との利害関係はまったくなく、国に納める税金のところで、かろうじてつながっている程度。国という、抽象的な存在を媒介にしてしか、隣人とのつながりはないわけだ。

 私には、日本社会は「ひものれん」に見える。隣のヒモとは接するくらいに近いのに、つながりは、ずっと上の方でしかつながっていない。ぶつかり合うほど近いのに、横のつながりがない。そのくらい、隣人は遠い存在だ。

 それと比べたら、児童相談所の役人の方が、隣人より近い存在だ。だって、彼らは税金から給料をもらっているから。隣人よりも、児童相談所の方が、利害関係という意味では、私たちに近い存在なのだ。

 虐待を通報する人の「絵」を思い浮かべてみよう。ふだん付き合いがないとはいえ、数メートル離れた、壁一枚しか隔てていない隣の家のドアを叩くより、数キロメートル離れた場所にある、児童相談所に電話するその姿を。

 虐待を通報する人にとって、隣人よりも、会ったこともない児童相談所の方が近しい存在に感じる現実があるのは分かる。だが、数メートルしか離れていない人に直接声をかけるのではなく、数キロメートル離れた児童相談所に電話するのって、なんだか、不思議な気はしないだろうか。昭和40年代までの日本人にこの話をしたとしたら、たぶん信じてもらえないだろう。私たちは、何か大きな変化を遂げてしまったのだ。

「余裕」を失った親と社会
 このように、児童相談所よりも隣人が心理的に遠い人と感じられる社会では、お母さんたちは、「泣き声を聞けば『虐待だ』と通報するくらい、心理的ハードルは下がっているのではないか」と感じても不思議ではない。

 では、こうした不安を感じているお母さんたちは、どんな状態に置かれているのだろうか?

 私が個人的に事情をうかがったところでは、「家事がたまり、自己嫌悪に陥り、イライラしやすくなる」のだという。どういうことか。

 赤ん坊が泣くと、虐待と思われるかも。通報されるかも。その不安があるから、赤ん坊が泣き出すとほうっておけず、すぐにあやして泣き止ませようとするのだという。しかしそんなことを続けていると、いつまでたっても家事は進まない。

 オムツも替えなきゃ、ミルクもあげなきゃ。泣き止ませなきゃ。寝かしつけなきゃ。

 シンクにたまる食器。作りかけの料理。汚れだらけの床。たためていない洗濯物。赤ちゃんに授乳しながら、あやしながら、寝かしつけながら、家事がたまっていく家の中の様子を見て、ため息をつき、自己嫌悪に陥る。

「私って、なんて要領の悪い人間なのかしら」

 しかし、虐待と思われないようにするためには、赤ちゃんが泣くたびにすぐに家事を中断し、あやさなければならない。自己嫌悪と、家事がうまく進まないことへの不満、本当に母親としてやっていけるのか、という不安が、どんどん増幅してくる。

 夫が帰ってくると「うわ! 散らかしっぱなし! なんだよ、一日中家にいるのに、これかよ」と、無理解な言葉を吐く。それどころじゃなかったのよ、と言いたい反面、自分もきちんとしたいという思いがあるから、反論するのも自己弁護に感じ、口ごもらざるを得ず、よけいに深く傷つく。

「どうしてそんなに泣くの? あなたが泣くから、家事がちっとも進まない。ダメな母親だとなじってるの?」。涙がボロボロとあふれてくる。

 そんなストレスに満ちた毎日を送っていると、ある日、赤ちゃんが泣き出すと「また! どうして泣くの! どうしたらいいって言うの!」と、パニックに陥ってしまっても、無理はない。

・・・私は、赤ん坊の泣き声への厳しさが、「虐待(通報数)」を増やしている原因ではないか、と感じている。そして、その厳しさは、お母さんたちを確実に追い詰め、苦しめている。

「虐待をなくすため、積極的に通報しましょう。ひどい親から引き離し、子どもを守りましょう」

・・・うーん。ひどい親は、いるにはいる。だが、大多数の親は、「余裕」さえあれば、子どもを可愛がれる。「余裕」を奪っているのは何かを、真剣に考えたい。

 お母さんたちが育児を楽しめる「余裕」が、いまの日本社会には乏しすぎる。もし、社会に「余裕」があれば、お母さんたちはもっとゆとりをもって赤ちゃんに接し、優しくもなれるはずなのだ。

「子どもの天国」だった日本
 イノッチこと井ノ原快彦氏が、「あさイチ」という番組で、「ひよこボタン」という興味深い発言をしていた。

 飛行機や電車に赤ん坊連れで乗ると、泣き声に舌打ちをするサラリーマンがいたりする。それを気遣って、お母さんたちは立ったまま、デッキで赤ん坊をあやしていることが多い。

 その状況を憂えたイノッチは、

「飛行機とか電車とかに、“ひよこボタン”というものを設けておくんですよ。子供が泣いたら、みんな“ひよこボタン”を押すんすよ。ピヨピヨ、ピヨピヨって。それはもう、『ぜんぜん大丈夫よ』というしるし。『どんどん泣きなさい。子供は泣くのが仕事ですよ』というボタン」

と発言。

 この発言は大変話題となり、つい最近も、電車に乗って困っているお母さんたちに届け、と、スマホにインストールしておいた「ひよこボタン」を押した人の話が、ツイッターで話題になった*2。

*2:https://twitter.com/ralph_1101/status/1090184650226511872

 日本は本来、子育てに非常に寛容な社会だ。貝塚の発見でも有名なモースは、著書で次のように述べている。

「いろいろな事柄の中で外国人の筆者達が1人残らず一致することがある。それは日本が子供達の天国だということである。この国の子ども達は親切に取り扱われるばかりでなく、他のいずれの国の子ども達よりも多くの自由を持ち、その自由を乱用することはより少なく、気持ちの良い経験の、より多くの変化を持っている。」(E・S・モース『日本その日その日』)

 江戸末期や明治期の日本人を見て、外国人は、日本人がいかに子どもを可愛がり、大切に思っているかに驚きの目をみはっている。

 実は、西洋人は子どもに対して非常にシビアな接し方をしてきた歴史を持つ。子どもは「小さな大人」としか見ず、子どもっぽい振る舞いを可愛いと思うのではなく、「キリスト教徒にあるまじき振る舞い」として、ムチで教育してきた。

 変化が起きたのは、ルソーの『エミール』が出てきてからだ。ルソーは、子どもをムチで育てるべきではなく、自ら学び、自ら成長するのを手助けしてやるのが望ましい、という、それまでの西洋人の教育観を根底からひっくり返す提案をした。厳しくなんか育てなくても、子どもは自ら学び取るから、それを信じればよい、という、それまでにない発想を提案した。

 西洋人はこの最新の教育論を受け入れ始めてはいたが、まだまだムチで厳しく育てる必要を手放せなかった。ところが日本に来てみると、最先端の教育観を、すでに日本人は自然に実践しているではないか! 日本を訪れた西洋人が驚くのも、無理はなかったろう。

 そんな、子育てに寛容で温かだった日本が、いったいぜんたい、どうしてしまったのだろう? もう一度、「子どもの天国」を取り戻したいものだ。

子育てを楽しめる環境に
 筆者から、ひとつ提案がある。イノッチの「ひよこボタン」のような、ちょっとした手助けをしてみてはどうか、ということだ。

 子どもが生まれると、親子を支援する制度が自治体によっては存在する。しかしスタッフは、あくまで「親子」としか接触しないのが普通だ。

 そこで、赤ちゃんが生まれたら、保護者、できれば父親も一緒に、スタッフが同伴して、ご近所に挨拶に回るのはどうだろう。

「このたび、赤ちゃんが生まれまして。初めての子育てなのでうまくいかず、泣き声でやかましいかもしれません。ご迷惑をおかけするかもしれませんが、どうか温かい目で見守ってやってもらえませんか」

 そう、スタッフが語りかけ、後ろの親子が頭を下げたら、ずいぶん様子が変わってくるのではないか。中には、「いいよいいよ、子どもは泣くのが仕事!」と言ってくれる人もいるだろう。

 子どもが生まれれば、ご近所の理解が大切、ということを、親御さんたちにあらかじめ伝えておくのもよいだろう。「ひよこボタン」のような、温かなメッセージが隣人からかけやすいよう、アイスブレーク(氷を溶かす)するのだ。

 児童相談所の現在の機能は、虐待の「事後」対応のみだ。それも欠かせない機能ではあるのだが、私は何らかの形で、「事前」の強化をもっとしていただきたいと思う。そしてその「事前」の対応とは、親子に厳しい視線を送る(虐待しないか監視する)のではなく、子どもの泣き声に寛容になり、地域全体で子どもを温かく見守る空気を作る、アイスブレークの役割だ。

 これは一案に過ぎない。ただ、本稿でどうしても申し上げたいことは、お母さんたちをこれ以上追い詰めないでほしい、温かい目で見守り、子育てを楽しむことができる環境をできるかぎり広げてほしい、ということだ。

 そのため、イノッチの「ひよこボタン」に負けない知恵を、どんどん出していただきたい。本稿が、そのきっかけになれば幸いだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55644
http://www.asyura2.com/18/social10/msg/138.html

[社会問題10] 「テキヤ」は「ヤクザ」として扱うべき存在か 日本の祭りを支えるテキヤの裏側 
「テキヤ」は「ヤクザ」として扱うべき存在か 日本の祭りを支えるテキヤの裏側(前編)
2019.2.5(火) 廣末 登
参道脇の露店も初詣の楽しみのひとつ(写真はイメージです)
(廣末登・ノンフィクション作家)

 今年の正月三が日、神社の初詣に参拝された方も多いのではないだろうか。正月の除夜の鐘の音は、われわれ日本人の魂に響きわたり、IT化された現代社会にあっても、個々人の内にある日本文化の琴線に触れる何かを刺激するようである。

 初詣の参拝は、老いも若きも何がしかの願いを賽銭に込め、投擲後は一心に祈っている。横あいからヒョイと投げ込めばよいものを、寒い中、信心深い人たちは正直に何時間も参道に順番を待っている。願い事といえば、学生は志望校の合格かもしれない。若い男女は、恋路の行方が吉であるように祈っているのだろう。筆者の歳ともなると、賽銭箱の横あいから賽銭を投げ込み、今年も無病息災でモノ書きができるようにと祈るくらいが関の山である。

 もうひとつ、正月に参拝する駄賃というか、ささやかな楽しみは、参道の両脇に店を構える露天であろう。筆者なども例に漏れず、一本500円のジャンボ焼き鳥を買い込み、ヤチャ(茶屋)の丸テーブルに陣取って、熱いのを一献傾けることが恒例行事である。

ヤチャ(茶屋)での一休みは参拝の際のささやかな楽しみ(写真:筆者提供)
 読者の皆さんも、子ども時代は、願い事もソコソコに、その日に貰ったお年玉を握りしめ、アメリカン・ドッグや、たこ焼きの露店を襲撃し、腹八分になると、金魚すくいや射的に興じた思い出があると思う。ちなみに、射的は、コルクが命中しても、標的がフラフラしながら、惜しいところで倒れず悔しい思いをしたのではないだろうか。

 幼児を連れた夫婦ものも、綿あめを子どもに握らせ、「やれやれ疲れた」などと言いながら、細君と仲良く、焼き鳥や、お好み焼きをつつきながら昼間から一杯やっている。この日ばかりは、日本国中どこに行っても無礼講の塩梅である。そして、お日様が西に深く傾くと、露天の照明は夢幻的に神社の参道を照らし、独特の雰囲気が漂う。まこと、ここは、すべての日本人が、心の奥底に宿す原風景ではないかと、筆者は思うのである。

テキヤ稼業
 昭和の時代、正月のお茶の間映画といえば、松竹映画の『男はつらいよ』であった。渥美清が演じる主人公の寅さんは、テキヤで一本の稼業人(親分を持たない旅人)である。

『男はつらいよ・寅次郎かもめ歌』(DVD)
 彼は、全国を旅しながら「遅ればせの仁義、失礼さんでござんす。私、生まれも育ちも関東、葛飾柴又です。渡世上故あって、親、一家持ちません。駆け出しの身もちまして姓名の儀、一々高声に発します仁義失礼さんです。姓は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅と発します。西に行きましても東に行きましても、とかく土地、土地のおあ兄さんおあ姐さんにご厄介をかけがちたる若僧です・・・」などと、土地の同業者にアイツキ(つきあいの転倒語であり、あらめん=初対面の面通しのこと。博徒は「仁義を切る」ともいう)し、土地の祭りの一角でコロビの商売を許されている。

 このアイツキは、最近ではナカナカ見掛けなくなったが、テキヤの稼業人は、これが出来ないと一人前ではない。さらに、一歩作法を外れたら、ゴロ(喧嘩)になりかねない剣呑なサブカルチャーである。たとえば、口上を述べる時、一人前のテキヤであれば、左手の親指は他の四本の指の中に折り込んで隠さなくてはならないし、親分もちの場合は、外に置くというような厳格なルールが存在する。

 筆者が知る限りでも、アイツキに満足な返しができず、幹部が旅人さんの親分の在所まで詫びを入れに行ったと聞いたことがある。セリフを噛み噛みでもいいから、ひと通り返せないと恥をかく。ヘタをすれば、親分の顔、一家の看板に泥を塗ることになるから、真剣に臨まないといけない。少しばかり大層な解釈をすると、テキヤ一家の鼎(かなえ)の軽重を問われる、刹那の儀式なのである。

 話を戻すと、寅さんの業態であるコロビとは、テキヤの業界用語であり、ゴザを広げた上に商品をコロがし「さて、いいかねお客さん、角の一流デパート、赤木屋、黒木屋、白木屋さんで、紅オシロイつけたお姉ちゃんから、ください、ちょうだい、いただきますと、5000や6000、7000、一万円はする代物だ。今日はそれだけ下さいとは言わない・・・」などと、流ちょうな口上つきで売るタンカバイ(商売)という伝統的な商売スタイルである。昨今、このような流ちょうなタンカバイは見かけなくなった。

 一昔前の昭和中期は、ガマの油売りや、蛇の油で作った軟膏のような薬種を扱うジメ師=大ジメともいう(沢山の人を集める、人=ヒトを集める=シメることからジメという)などが、巧みなタンカの強弱で聴衆を集め、笑わせ、ナルホドと感心させてバイを行ったと、テキヤの頭(かしら)に聞いた。

 そのほか、縁日のテキヤの商売にはいくつかのスタイルがある。商品を並べるだけのナシオト(音がしない、大人しいなどの意味で、キャラクターのお面や風船を売る商売)、コロビ(ゴザの上に商品をコロがし、タンカにメリハリをつけて商売する)、サンズン(組み立てた売台で三尺三寸のサイズ、あるいは、軒先三寸はなれた露店からきた呼称であり、タコ焼きや焼き鳥の売台はこれにあたる)、ハボク(植木商)、タカモノ(曲芸、見世物、幽霊屋敷など)、ハジキ(射的屋)、ロクマ(占者)、ヤチャ(茶屋、休憩所)、ジク(籤)などがある。

縁日とテキヤ
 寺は、その祀る本尊の縁(ゆかり)の日に法会を催す。すなわち、縁日である。そこから一般の人は、夜店・昼店の出る法会を「縁日」とよびならわすようになった。神社もまた、祭神のゆかりで、時を定めて祭祀を行う。年に一回のものもあれば、春秋のものもある。夏は一般的に多い。これらは例祭(たかまち)で、ほかに大祭がある。

 こうした寺社における法会、例祭には人が集まるから、参詣に往復する人を当て込んで、露店が並ぶようになった。参詣に来た人がお参りし、お賽銭をあげ、神籤を引く。帰りには露店で喫食し、子どもの玩具を買う。これで、寺社の側と、テキヤの側とが共に儲かるという計算である。さらに、寺社側は、テキヤからショバ代(場所貸し代金)を、奉納という形で取るわけだから、いい商売である。電気代も三寸一台あたりでいくばくかの代金を集めていたが、これについては、テキヤ側と寺社側の取り分がどうなっているのか、筆者は知らない。

 この寺社の大小、祭の規模のいかんに応じて、露店の出方にも、大・中・小がある。出店できるスペースのいかんにもよるわけである(参考:添田知道『テキヤ(香具師)の生活』、雄山閣出版)。

 何れにしても、出店の配置を割り振るのは、その庭場(ニワバ=ヤクザでいう縄張りと似て非なるもの)を取り仕切る親分の采配により、実際は幹部が行う。これをテイタ割り(手板=場所割り)という。

 テイタを割る前段階として、まずはチャクトウ(到着簿)をつけ、ネタ(商売で扱う品)の種別、業態、他所の土地から商売に来る旅人の一家名と、本人の名を記していく。これらのネタと業態、そして旅人の持つ一家の看板の重さ、業種の様々などを検討し、上(カミ=神殿寄り)、中、下に店を割り当てる。この作業は、旅人の顔を立て、商売の相殺を防ぐためである。テイタを割るのは世話人である親分であるが、彼の存在が無ければ、祭は混沌とクレームのるつぼと化すから一筋縄でいかない。その理由は、後編でお話する。

 テイタ割りを世話するのは、テキヤ仲間の仁義である。今日の庭場の親分でも、よその土地に行って商売をしようと思えば、自分の身内の者が旅人として世話になる。したがって、テイタ割りは、同業者の互助的なルールであると同時に、旅人の顔を立てるという配慮が不可欠であるから、緻密さと熟練が求められる。ちなみに、この詳細は、彼らの秘中の秘らしく、筆者がどんなに頼んでも教えてくれなかった。

テキヤは間違いなくガテン系
 実際、タカマチ(祭礼)の稼ぎ込みは忙しい。「なんだ、楽勝そうや」などと、テキヤに憧れる若い人が居るが、テキヤ稼業ほど大変なものはない。まず、例祭の数日前から小屋組みをしないといけない。これは、ヤチャの小屋を組むことから始まり、次に三寸を組んで行く。組むというと簡単に聞こえるが、テキヤの商売は、祭りが終わると迅速に商売を畳まないといけないので、全てが紐で組んである(規模が小さな祭りは、一日で商売を畳んで、他所の祭りに移動することも普通である)。筆者などは、小屋組みの終盤には、指先の感覚が無くなり、歯で紐を結んでいた位である。

 つぎに、祭りが近づくと、大量の材料を仕入れる。キャベツやネギなどの青物は業者がトラックで持って来るが、これを若い衆が一列に並び、バケツリレーよろしく手渡しでテントの中に収納するのである。最初の10箱くらいはマアマアだが、30箱も手渡ししていると、腰にくる。実際にはキャベツだけでも100箱位はあったと思う。

テキヤ稼業ほど大変なものはない。(写真:筆者提供)
 祭りの当日には、それらを各三寸なり調理する場所に運び、延々とキャベツ切りをしないと間に合わない。主に、お好み焼きや焼そばといったコナモノに用いる。ちなみに、お好みソースなどは一斗缶で、山のように届くためテントの中に壁ができる。

 調理器具の燃料であるガスボンベは、重たい上にかさ張るから難儀である。資材小屋の裏手は、まるでお寺の裏手にある墓場のように大小のガスボンベで埋め尽くされる。さらに、調理に使用する飲料水も、ポリタンクで事務所から運び込む。これはトラックで輸送するのだが、際限がなく嫌になる。いつまで続くのかと尋ねるのは愚問である。誰にも分からないのだから。ひとつ言えるとしたら、事務所のポリタンクが無くなるまでである。最近では、これらに加えて、各所に消火器を設置しないといけないから、尚更大変そうである。

テキヤはヤクザか
 筆者がマスコミで話をすると、「暴力団博士」と呼ばれることしばしばであるが、筆者はヤクザの飯を食ったことはない。しかし、テキヤには一宿一飯の世話になったことがある。

 手前味噌で恐縮だが、小倉の商店街でタンカバイに慣れていたお陰で、ほかの三寸より多く売り上げたから、例祭の最終日に親分からわざわざ礼を言われたし、給料袋に5万円ほど多く入っていた。何と、旅人さんから、スカウトまでされる始末である。

 筆者の経験に照らして、テキヤとヤクザは別物であると自信を持って言えるのである。なぜなら、ヤクザなら「縄張り」と称すところを「庭場」と呼ぶ。商売でしかカネを儲けない。恐れるのは、暴対法ではなく食品衛生法であり、保健所に頭が上がらない。かなりシンドイ作業に幹部であっても従事する。

『ヤクザになる理由』(廣末登著・新潮新書)
 何より、神農であるテキヤは祀神が違う。テキヤの盃事の儀式には、農業と薬の神である「神農黄帝」の軸を掲げる(ヤクザの場合は「天照大神」を中央に掲げ、「八幡神」、「春日大社」を左右に掲げる)。さらに言うと、筆者は覚せい剤などの薬物使用には鼻が利く方だが、稼ぎ込みの日に15時間労働でへとへとになりながら、違法薬物を用いている若い者を見たことがない。

 ただ、そうはいっても、テキヤがヤクザと没交渉なわけではない。そのあたりは、次回紹介したいと思う。(後編に続く)

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55394


こんなに違う、「テキヤ」と「ヤクザ」
日本の祭りを支えるテキヤの裏側(後編)
2019.3.5(火) 廣末 登
日本の祭りの風景を演出してきたのはテキヤの面々ではなかったか(写真はイメージです)
(廣末登・ノンフィクション作家)

 前回、筆者の経験則から「テキヤとヤクザは別物であると自信を持って言えるのである・・・ただ、そうはいっても、テキヤがヤクザと没交渉なわけではない」と言及したところで筆を擱いた。記事をお読み頂いた読者の諸兄は、消化不良の感を持たれたのではないだろうか。

(前回)「テキヤ」は「ヤクザ」として扱うべき存在か http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55394

 本稿では、その消化不良を解消すべく、テキヤとヤクザの交わる部分について、テキヤ経験者としての私見を述べてみたい。

警察も黙認しているテキヤ稼業
 テキヤはヤクザか――結論から言って終わっては身もフタもないが、溝口敦氏の『暴力団』(新潮新書)によると、その点につき、以下のように書かれている。

「人気の映画『男はつらいよ』の寅さんこと、車寅次郎は暴力団の組員なのでしょうか。テキ屋が彼の稼業ですから、今の法律では確かに暴力団に分類されます・・・まじめに街商をやっている人たちを、一律に暴力団とみなして祭礼の境内などから追い払えば、お祭りだって楽しくなくなってしまう、という声はとても多く、地域によっては警察も見て見ぬ振りをしているのです」と。

 この意見は、筆者も体感的に納得するところである。実際、縁日の雑踏を、これでもかという威圧的な人数で、警察官がパトロールしていたが、こちらから挨拶をしても、返事を返されたためしがない。

 ただ、溝口氏は関東在住だから、テキヤ系指定暴力団の極東会に目が慣れているのでヤクザ色が強く感じられるのかもしれない。しかし、西日本のテキヤは、関東よりも商売熱心な気がするし、指定暴力団ではないから、当局の目も関東に比べると緩やかであるようだ。

 こうした傾向を象徴する出来事が、新年28日に朝日新聞の記事になった。代々木公園の平日(ヒラビ=常設屋台)摘発である。この出来事は、暴排における当局の本気度と、異例とはいえ、テキヤの肩身の狭さを象徴する出来事であった。

 朝日新聞のデジタル版によると「代々木公園(東京都渋谷区)の占用許可を都から得ている常設の屋台を警視庁が調べところ、全7店舗の出店者計7人について指定暴力団極東会系の関係者と分かったとして、同庁は28日、東京都に連絡した。都は出店者に聞き取りし、占用許可の取り消しを検討する。7店舗のうち3店舗は現在営業していない。都によると、都立公園で営業中の屋台に関し、暴力団の関与を理由とした占用許可の取り消しは極めて異例だ」とされる。

 同様の取り締まり強化が、他所の地域に飛び火しないことを祈るばかりである。テキヤへの締め付けは、誰にとっても益がない。たとえば、筆者の生活する福岡市では、九州の夜の街を代表する中洲のイベント「中洲まつり」がある。このイベントも、数年前からテキヤの屋台が姿を消し、素人の飲食ワゴンなるものが台頭した。結果、祭の殷賑が半減し、博多っ子も「今日は何がありよっと? あ、中洲まつりね」という具合である。

縁日のルールの根底には親分の顔がある
 日本の原風景を継承してきた縁日の仕掛け人「テキヤ稼業」の陰には、その祭りを支える親分と、若い衆の並々ならぬ苦労がある。露店で食中毒を出さないため、調理プロセスや衛生管理に目を光らせるのは、親分の務めである。縁日の後の掃除――参道に輪ゴムの一本落ちていないように境内を掃き清めるのも庭場を仕切る一家の責任である。

 テキヤの商売には、それなりのルールがある。そのルールの管理人は、庭場の親分である。親分の顔にかけて、庭場の若い衆も身体を張ってその秩序を保つし、旅人も在所の親分の顔に泥を塗るようなことはしないよう、自前の若い衆を戒めるのである。

 たとえば、フライドポテトとして割られた場所で商売を始めたとしよう。この稼業人は考えるかもしれない。「折角フライヤーがあるのだから、アメリカンドッグもできるし、唐揚げもできる。よっしゃ、一石三鳥やで」と。そうすると、近隣のアメリカンドッグ屋や、唐揚げ屋から苦情が出る。しかし、直接、文句を言うと喧嘩になる恐れもあるし、そうなったら、庭場の世話人に迷惑を掛けるから、とりあえず本部事務所にケツを持ち込む。

唐揚げとプライドポテト。親分の目が光っているので、商品を勝手に変えたりすることはできない(写真はイメージです)
 すると、親分は、若い衆にナシ(話)をつけて来いと命令する。早速、若い衆が一石三鳥の店主を諭して、フライドポテトに専念してもらうという寸法である。日本人でないとこうした道理が分からない。だから、外国人の経営する露店が、縁日では見掛けられないのである。

お巡りさんがテイタ割り?
 しかし、こうした庭場も、近年は減少の傾向がある。なぜなら、テキヤの規制が厳しくなり、跡を継ぐ若い者が減ったりして、親分不在の庭場が出てきたからである。そうなると、庭場の番人をするのは、われらが公務員であるお巡りさんにお鉢がまわってくる。

 お巡りさんもナカナカやるもので、ちゃんとテイタを割ってくれる。この警察によるテイタ割りのことを、業界では「ヒネ割り(ヒネとは警察を指す隠語)」と呼ぶ。しかし、テイタを割ったあとの保守点検までは手が回らない。だから、もし、先述した一石三鳥の店主のような業腹な人間が出てきたとしても、そのケツを所轄署に持ち込んだところでどうにもならない。食中毒が出たといって、警察署長が謝罪するなという図は想像できない。これでは、やった者勝ちである。

 ヤクザは一般人からクレームを付けられることはないが、テキヤにとって、お客さんからのクレームは、組の看板、ひいては親分の顔に泥を塗ることになる。筆者が居候していたテキヤでも、かつて食中毒が出た時は、幹部が土下座もので謝罪したと聞いた。もっとも、お客さんがテキヤの事務所に怒鳴り込むというのではなく、クレーム自体は、神社の社務所に上がるのであるが。

 そのほかにも、目に見えない、いわゆるテキヤのサブカルチャーともいうべき、掟の下に彼らの稼業は成り立っている。

テキヤの不文のならわし
 テキヤは業態が移動であり、様々な人間が入ってくる。筆者が居たテキヤにも、ガテン系元公務員や農村の力自慢の若い衆が居た。しかし、稀に在所を追われたヤクザも来る(筆者がテキヤの世話になった時は、一般の求人誌に掲載されていた)。応募者がヤクザの場合は「どこそこの何某が、当方の世話になりたいと来ているが、そちらのお身内だった方ではないか」などと、電話で身元確認を行う。黒字破門か除籍程度で、かつ先方の親分さんが、「何某は、いまは当家とは関係の無い者です。在所の誰それ親分さんにはご面倒掛けますが、よろしゅう・・・」などと言ってくれたら、身柄を引き受けるが、ヤクザとして重大なマチガイをやらかして、赤字破門や絶縁と判明した場合は、テキヤでも引き受けない。

 歴史的にみても、玉石混交の組織であればこそ、仲間の緊密性が不可欠となる。移動はしても本拠地を持たねばならない。それを持たない若い衆は、親分を持つことで、テキヤ=露天商の資格を得ることができる。こうして親分・子分の関係が成り立ち、一家なるものが形成される。これは、稼業上の疑似家族制度の構築である。この家名を名乗ることで、旅から旅のテキヤも、営業のための場を渡り歩くことができるし、行く先々で土地の親分に便宜をはかってもらえる。そして、かれらは緊密な仲間を指していう――おれの「ダチ」と。古来より、彼らの口伝による決まりごとはシンプルだ。バヒハルナ(売上金を横領するな)、タレコムナ(仲間内のことを警察に訴えて出るな)、バシタトルナ(仲間の妻女を犯すな)である。こうした禁忌を犯せば、一家から破門され、テキヤ渡世はできなくなる(参考:添田知道『テキヤ(香具師)の生活』)。

テキヤとヤクザとの関係
 花見の席のこと。その名所は、神社がちょっとした丘の上にあり、坂道がまっすぐに伸びている。もちろん、その両脇にはテキヤの三寸が、肩を寄せ合うように並んでおり、威勢のいいタンカが飛び交う。

 そのような中、スーツを着た男性が「ご商売中にすいません。私はどこそこ一家の者ですが、親分が花見にお邪魔させていただきます。よろしくお願いいたします。これは些少ですが、お飲み物でも」と言って、ピン札の諭吉が入った封筒を手渡していた。まあ、平坦な参道ではなく、坂道に並ぶ三寸全てに挨拶していたから、春とはいえ汗だくである。ちなみに、親分はというと、通行禁止の立て看板を、ガードマンが(恭しく)外してくれたから、上の花見の席まで車で登って行った。

 こうなるとテキヤは大忙しである。頭(かしら)から指示が飛ぶ「おい、○○一家の親分が来るらしいから、焼き鳥、イカ、タコ、キビを、どんどん焼け。シケネタ(古い素材)なんか使うなよ、マブネタ(新しい素材)使えよ」と。

 若い衆も緊張して、鉄板を磨きだす者、車のアイスボックスに仕舞っていたマブネタを取りに行く者、にわかに慌ただしくなる。花見のバイは、鉄板に桜の花びらが落ちてくるから厄介だ。それでも、着々と調理は進み、鉄板の両脇に、出来立ての献上品が積まれてゆく。

 沢山の料理が出来上がって、さて誰が花見の席にもって挨拶にゆくかという段になって、若い衆はお互いに顔を見合わせてモジモジしている。誰の顔にも「遠慮します」と書いてある。仕方がないので、客として頭の三寸で遊んでいた筆者が手を挙げた。すると、「でも、先生、二人じゃ持てんよ」と頭が言うので、「そこの、坊ちゃんのベビーカーを使わんね」と提案した。5分後、ベビーカーは、パーティープレートを満載したワゴンと変貌した。

 この一件でもわかるように、テキヤの若者は、ヤクザを「ホンマもの」として、敬遠する傾向がある。実際、花見の席で先方の若中頭に挨拶をしていたテキヤの頭も、かなり気を遣って真剣だった。頭もヤクザを指していう「ホンマもの」と。

盃の媒酌はお家芸
 縁組の盃をはじめとする盃事については、テキヤ自身のものと、テキヤが助っ人に呼ばれる場合の解説をする必要がある。前者はテキヤの代目披露や兄弟盃等の儀式である。後者は、テキヤがヤクザに依頼されて媒酌人を務める盃事である。テキヤ自体も、盃事は稼業上欠かすことができないが、ヤクザは尚更である。盛大にやるのが代目披露であり、当代の親分から次の親分候補に代を授受する跡目公式発表の式である。テキヤの場合は、正面にしつらえた祭壇の中央に神農黄帝、その左右に天照皇大神、今上天皇の軸が掲げられる。しかし、ヤクザの場合は、右側から八幡大菩薩、天照皇大神、春日大明神が掲げられる。

 こうした神事は、古式に則って行われるが、格式張っているから作法通りにできる人間が、そこらには居ない。そこで、テキヤの出番である。テキヤは寺社仏閣に馴染みがあり、そうした修行が行き届いているから、ヤクザの盃事があると、媒酌人として白羽の矢が立てられる。もちろん、寺社仏閣を庭場とし、テキヤ社会の社交性の上に立って、諸披露の式を行ってきたテキヤからしたらお家芸であるし、先に紹介したエピソードのように、大なり小なり関係する相手ということもあり、作法に長けた幹部が、若い助手を連れて媒酌人の任を果たす。東京では、浅草の雷門を本拠地とする丁字屋会が有名で、吉田五郎会長は「平成の名媒酌人」と呼ばれ、六代目山口組、五代目稲川会、六代目松葉会、四代目道仁会など大組織の媒酌を行っている。

 いずれにせよ、テキヤとヤクザの関係とは、筆者が知る限り、この記事に紹介した程度である。威勢のいい祭の担い手は古今東西テキヤであった。テキヤは商売をしてナンボの稼業人であるし、雰囲気作りの達人である。シャブの売買や闇金などで違法にシノいでいるわけではない。したがって、筆者はテキヤを暴力団のうちに数えることには納得ができない。日本人の心の深奥に残る縁日を風化させないためにも、当局には「見て見ぬ振り」の姿勢を踏襲して頂きたいものである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55394
http://www.asyura2.com/18/social10/msg/139.html

[経世済民131] 食品値上げ続々、それでも上がらないインフレ期待 将来不安も影響 日銀が景気判断の下方修正を議論へ、海外経済と輸出、生産
ビジネス2019年3月5日 / 17:41 / 1時間前更新
焦点:
食品値上げ続々、それでも上がらないインフレ期待 将来不安も影響

Reuters Staff
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[東京 5日 ロイター] - 食品業界を中心に値上げの動きが相次いでいる。大型ペットボトルや即席麺、サバ缶、冷凍食品、アイスクリーム、スナック菓子、コーヒーなど幅広い範囲で価格上昇が始まった。ただ、専門家からは今回の値上げが人々のインフレ期待に火をつける可能性は低いとの見方が出ている。

企業経営者からも、将来にわたって社会保障制度が安定しているという「安心感」がない現状では、消費を手控えて将来に備える動きが継続し、物価が上がりづらい状況が続くとの見通しが出ている。

<物流費の上昇に悲鳴>

「人件費・物流費の上昇を吸収したいが、吸収しきれない」(味の素(2802.T)の西井孝明社長)、「われわれは耐えて耐えてここまできたが、コスト削減ではまかなえない」(コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス(2579.T)の吉松民雄社長)──。昨年後半から今年にかけて、値上げを発表した企業経営者の口から飛び出したのは、物流費・人件費の上昇に対する悲鳴にも近い声だった。

今回の値上げはこれまでと違い、原材料価格の上昇よりも、人手不足による人件費や物流費の上昇を転嫁するケースが多いのが特徴だ。

実際、日銀の「企業向けサービス価格指数」によると、宅配便やトラック運送など道路貨物輸送の価格は、2010年から1割超上昇している。

サントリーホールディングス[SUNTH.UL]の新浪剛史社長は、2月15日の会見で「猛暑で(量が出るのに)収益が上げられないというのは考えづらい」と、現下の収益構造を嘆いた。同社は人工知能(AI)やロボットの活用などを通じ、サプライチェーンコストを下げていく方針だ。

<身近な商品の影響受ける物価観>

日銀が物価上昇2%を目標に掲げて「量的・質的金融緩和」を導入してから、4月で丸6年となる。この間、全国消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の前年比は一時1.5%(消費増税の影響除く)まで上昇したが、その後、原油価格の下落や消費増税による需要の弱さが足を引っ張り失速。現在も2%には届いていない。

日銀は、1)2%の物価目標に強くコミットすることで、予想物価上昇率(インフレ期待)を引き上げる、2)大量の国債を購入することで名目金利を引き下げる──の合わせ技で、実質金利を押し下げようとした。

その結果、前向きの循環メカニズムが働き出し、最終的に需給の引き締まりによる物価上昇を目指してきたが、物価の動きは鈍いままだ。

インフレ期待、すなわち物価観は人々の主観に基づくため、多様でばらつきが大きい。先行研究では、1)実際の物価上昇率よりも上振れて推移している、2)5の倍数などきりの良い数字が多い──などの性質があることがわかっている。

また、短期的には食料品やガソリンなど購入頻度の高い財・サービスの影響を受けやすく、内閣府の消費動向調査をみると、年齢や性別、年収、地域によっても異なる傾向がある。

日銀が「生活意識に関するアンケート調査」(13年9月調査)で5年後の物価予想の根拠を聞いたところ「ガソリン価格の動向をみて」との回答がもっとも多かった。

以下、「頻繁に購入する品目(食料品など)の価格の動向から」、「商品・サービスの価格や物価に関するマスコミ報道を通じて」と続いており、一部の先行研究と整合的な結果となっている。

<物価上昇実感も継続は「考えにくい」>

では、身近な商品である食品の相次ぐ値上げは、人々の物価観に影響を与えるのか。一橋大学経済研究所の阿部修人教授は「仮に今回、人々が物価の上昇を実感したとしても、今後も上がり続けるとは考えにくいのではないか」との見方を示した。

日銀は16年9月に公表した異次元緩和の「総括的な検証」で、日本のインフレ期待は、過去の物価上昇率に引きずられやすいとの見解を示した。

だが、阿部教授らが15年に全国2万人を対象に行った実験では、人々は信頼できる新しい情報が入ると、期待形成を変化させることがわかっている。

上がらないインフレ期待の背景に、何があるのか。阿部教授は「今の金融政策に物価を上げる力がないから、人々は物価上昇を予測しない可能性がある」と指摘する。人々が合理的に期待を形成しているのであれば「値上げまでかかった年数を考えると、次の値上げは当分ないと思っても不思議はない」という。

前回、インフレ期待が高まったのは資源価格が高騰した2008年のリーマンショック前だった。当時は中国経済の巨大化が資源価格をどこまで押し上げるかわからず、不透明感が強かった。

これに対して、現在の物価上昇は「程度も大したことではなく、経済見通しも高い物価上昇が続くような状況からは程遠い」(阿部教授)。

阿部教授は「食料品の支出全体に占める割合も考えると、昨今の食品値上げが一般物価上昇期待につながるというリンクは、弱くても不思議ではない」と指摘している。

<構造的問題で財布の紐固く>

今回の値上げは、人手不足による人件費・物流費の上昇が主因で、人手不足の背景には人口減による労働者不足がある。エコノミストの中には、経済の前向きな循環というより、構造的な問題が要因との分析が多い。

サントリーHDの新浪社長は、ロイターに対して「国民は人口減と高齢化で、経済成長が大変だということを良くわかっている。値上げが受けれられるためには社会保障改革が必要だ」と述べ、構造改革の必要性を訴えた。

味の素の西井社長も「社会保障費の問題が大きく底流にあって、可処分所得が増えていないのに、そんなに財布のヒモを緩められないというのが本音だと思う」と口をそろえた。

将来に対する確信が持てなければ、仮に賃金が上がっても、消費には回らない。結果として、経済・物価の体温が上がりにくい状況が続く。

阿部教授は「本当にインフレ期待が上がってないことが、今の日本経済の問題の根幹なのか。よく考えないといけない」と指摘している。

志田義寧 取材協力:清水律子 編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/japan-prices-idJPKCN1QM0U5


 

日銀が景気判断の下方修正を議論へ、海外経済と輸出、生産
日高正裕、藤岡徹
2019年3月5日 16:52 JST
2%物価目標へのモメンタム維持、追加緩和必要ないとの姿勢は堅持
下方修正なら輸出と生産は17年4月以来、海外経済は昨年3月以来
日本銀行は14、15両日開く金融政策決定会合で、海外経済の減速を背景に1月の輸出、生産が大きく減少したことを受けて、これら景気の個別項目に関する判断を下方修正するかどうか議論する見通しだ。複数の関係者への取材で明らかになった。

  海外の中央銀行がよりハト派(金融緩和)的な姿勢に転じる中で、国内の景気判断が下方修正されれば、現在の超低金利政策がさらに長期化する可能性がある。市場の一部には日銀の追加緩和観測があるが、複数の関係者によると、日銀は2%の物価目標に向けたモメンタムは維持されており、今のところ追加緩和は必要ないとの姿勢を堅持する見込みだ。

  日銀は1月の決定会合で、海外経済は「総じてみれば着実な成長」が続いており、輸出、鉱工業生産とも「増加基調」にあるとの判断を示した。その後公表された1月の輸出は前年比8.4%減と2カ月連続で減少。日銀が算出する実質輸出も前年比5.3%減と2年ぶりの水準に落ち込んだ。特に中国向けの落ち込み(7.7%減)が目立った。同月の鉱工業生産指数は前月比3.7%低下と3カ月連続で前月を下回った。

  下方修正されれば輸出、生産は2017年4月以来、海外経済は昨年3月以来となる。政府は1月の月例経済報告で輸出を「このところ弱含んでいる」に引き下げ、2月に海外経済を2カ月連続で下方修正した。経済産業省は鉱工業生産の判断を「足踏みをしている」に引き下げた。中国の春節の影響で季節調整が落ち込みを大きくした可能性もあり、日銀は2月以降の統計を注視する構えだ。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-05/PNVOY66TTDS201
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/378.html

[経世済民131] テスラ社員は寝耳に水、店舗閉鎖とオンライン販売一本化計画 ネット通販に要注意、問題があっても訴えられない!米国でいま話題
テスラ社員は寝耳に水、店舗閉鎖とオンライン販売一本化計画
Dana Hull
2019年3月5日 14:38 JST
多くの営業担当者はブログでこの決定を知った
アマゾンから移籍してきたエネルギー事業幹部が戦略実行を支援
米テスラが多くの店舗を閉鎖しオンライン販売に一本化するというイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の先週の

発表は、大半の従業員にとって意表を突くものだった。事情に詳しい関係者3人が明らかにした。

  匿名で語った関係者によると、多くの営業担当者はテスラが2月28日午後に投稿したブログでこの決定を知った。オ

ンライン販売戦略の実行には、昨夏にアマゾン・ドット・コムから移籍してきたサンジャイ・シャー氏らが関与。エネル

ギー事業担当シニアバイスプレジデントとしてテスラに入社した同氏は、同事業の監督に加えて新たな職務を担当してい

る。

  従業員にメールが届いたのはテスラのブログ投稿から約3時間後だった。マスク氏は昨年の「モデル3」注文の78%

が店舗ではなくネット上で行われたと説明。一部の仕事は事業の他の分野に移管されるとし、「交通量の多い場所にある

少数の店舗は展示場やテスラの情報センターとして残す」と記した。

  テスラは、先月28日のブログ投稿やマスク氏の従業員宛てメールの内容以外のコメントを控えた。

Tesla's U-Turn
The carmaker steadily added stores and service centers the last two years


Source: Tesla shareholder letters

原題:Musk Is Said to Blindside Tesla Staff With Store-Closing Plans(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-05/PNVL4X6KLVR401?srnd=cojp-v2

 

 

ネット通販に要注意、問題があっても訴えられない!米国でいま話題になっているアービトレーションの実態とは
2019.3.5(火) 堀田 佳男
米ブラックフライデー始まる、トランプ氏ブランドも30%引き
米ニューヨークで、ブラックフライデーのセールを宣伝する店舗(2017年11月24日撮影)。(c)AFP/TIMOTHY A. CLARY〔AFPBB News〕

 米国でいま、消費者が企業を訴えられない状況が生まれている。

 例えばオンラインで購入した商品が原因で、子供がケガをしたとする。訴訟大国と呼ばれている米国ではこれまで、親が弁護士を雇って訴訟を起こす流れがあった。

 だがいま、企業を訴えることが難しくなりつつあるというのだ。いったいどういうことなのか。

 2月下旬、カリフォルニア州立大学デービス校ロースクールが監修する法律専門誌に1本の論文が掲載された。タイトルは『米企業による消費者仲裁合意の蔓延』というものだ。

 端的に述べると、米企業が顧客に訴訟を起こさせないような法的防止策を講じ始めたという内容である。

 論文の執筆者はロヨラ大学ニューオリンズ校のイムレ・サライ法学部教授で、企業側はアービトレーション(仲裁)という法的手段を使って、消費者に訴訟を起こさせない方策に出ているという。

 訴訟を起こす市民の権利を奪っているとの指摘もある。

 同教授が調査したところ、米フォーチュン500の企業中、トップ100社のうち81社が、すでに企業戦略として顧客(消費者)にアービトレーション条項を合意させていることが分かった。

 特にオンライン・ショッピング時に注意が必要だ。

 商品を購入する段階で、消費者は企業を訴えることを放棄させられているというのだ。

 近年、通販にはいくつもの問題が浮上している。例えば、化粧品を1回購入しただけにもかかわらず、以後定期的に送られてくる場合がある。

 しかし今回は、訴訟を起こせないという深刻な問題である。

 教授が注意を呼びかけているのは通販などで見かける「下記の契約内容を読んでください」といった指示の最後に、「同意する」のボタンをクリックする時だという。

 スマートフォンやパソコンの画面に表示される契約内容は、文字フォントが意図的に小さくされているだけでなく、長い文章が続く場合がほとんどで、消費者は商品の購入に関心が向いているために契約内容を精読しないまま購入することが多い。

 商品が届いて使用中に何も問題が起きなければ結構だが、商品に欠陥があったり、企業側の過失によって事故等が発生したりした時など、消費者は企業側を訴えられない事態になっていると同教授は呼びかける。

 アービトレーションは日本語では「仲裁」と訳される。問題が発生した時、当事者同士だけではなく第3者に仲裁してもらうという意味だが、法的には裁判所は関与しない。

 あくまで私的なプロセスで決められていき、内容は公表されない。

 しかも仲裁者の決定がほとんどの場合、最終判断になるのでその時点から決定を覆すことは困難なのが現状だ。

 訴訟を起こせなくもないが、勝訴する場合は少ない。米タイム誌は次のように書いている。

 「(通販などで)契約条件の長い文章の中に『アービトレーション・アグリーメント(仲裁合意)』という文字が隠されています。これは消費者が契約条件に同意した時点で、企業を相手にした民事訴訟を起こす権利を放棄したことになります」

 100社中81社が仲裁合意の条項を契約条件に入れていると同時に、78社は集団訴訟を起こさせない条項も加えていることが分かっている。

 これはとりもなおさず、企業が消費者を縛っていることにほかならない。

 民主主義社会では問題が発生した時に、原因究明をして責任の所在を明らかにし、原因を生み出した相手を訴える権利が尊重されてきた。

 特に訴訟が一般化している米国では日常的とさえいえる。

 どうしてこうした状況になったのだろうか。背景を考えると、米国では企業側が不利になる判決が多数だされたことがある。

 訴訟で負けた企業は多額の賠償金支払いを命じられる。集団訴訟で敗訴したり、懲罰的な判決が下りたりすると、支払い額は億単位になることも少なくない。

 そのため企業側は訴訟に勝つための方策というより、訴訟そのものをなくそうと考えたわけだ。

 米国ではそもそも訴訟件数が多すぎて裁判所に負担がかかっているため、アービトレーションも否定的な側面だけではないとの指摘もある。

 けれども、アービトレーションでは合意内容が外部に漏れないため、企業側が問題を隠蔽することにもなりかねない。

 サライ教授は問題の公表こそが、米社会にとって重要であるとの見解を示す。

 問題の公表は「羞恥効果」とも言えるもので、企業が問題を継続させない抑止作用もあるという。

 多くの消費者は通販で商品を購入する時、強い警戒感を抱かずに「同意する」のボタンを押す。というより、ボタンを押さないとショピングが完了しないため、押さざるを得ない。

 実は消費者はその時点で多くのことを知らないまま企業側と契約を交わしているのだ。

 米国では年間8億2600万件の「仲裁合意」が成立している。これは米人口の約2.5倍の件数である。

 大手企業が契約内容の中にアービトレーション条項を入れるのは、何も消費者が相手の場合だけではない。

 社員との労働契約の中にもアービトレーションが入れられており、社員から訴えらえないようにしている企業も多い。

 最近になって問題視され始めたため、同条項を廃止した企業もあるが、消費者を対象にしたアービトレーションはいまでも多くの企業が使う企業戦略の一つであることを覚えておくべきだろう。

 企業によって契約内容に差があるので、同条項が適用される範囲も違う。

 それでもオンライン・ショッピングで契約内容に「署名」または「同意する」というボタンをクリックした時から、商品に問題が発生しても企業側を訴えることができない現実があることを知っておくべきだろう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55651
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/379.html

[経世済民131] 中国国防費、19年は7.5%増にGDP目標上回る伸び 投資大損した中国の若い母親が自殺 政府は見殺し 成長減速強まる中国
ワールド2019年3月5日 / 10:36 / 5時間前更新
中国国防費、19年は7.5%増に GDP目標上回る伸び
Reuters Staff
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[北京 5日 ロイター] - 中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は5日の開幕に合わせて予算報告を発表し、2019年の国防費は前年比7.5%増の1兆1900億元(1774億9000万米ドル)を計上することを明らかにした。

同国の李克強首相は、19年の国内総生産(GDP)伸び率の目標を6.0―6.5%とした。国防費の増加率はこれを上回る。

中国はステルス戦闘機や空母、対衛星ミサイルなど新型軍事力の開発を進めており、国防費は世界から注目を集めている。

国防費の増加率は、18年が8.1%、17年が7%、16年が7.6%だった。その前の5年間は2桁増となっていた。

李首相は全人代で「防衛関連の科学技術におけるイノベーション創出に向けた取り組みを加速する」とし、「軍に対する絶対的な(共産)党の指導」を維持すると表明した。

南シナ海での領有権主張や台湾問題を背景に、中国の軍事力拡大は近隣諸国にとって脅威となっている。

李首相は「台湾の独立を求めるいかなる分離主義者の計画・活動にも断固反対し、これを阻止し、中国の主権と領土保全を断固守る」と述べた。

中国政府の広報官は、安全保障や軍事改革を実現するため、国防費の「合理的で適切な」増額を継続すると述べた。

同国は国防費の内訳を明らかにしておらず、近隣諸国や軍事大国からは透明性を欠くと批判されている。

オーストラリア国立大学(ANU)戦略防衛研究センターの客員フェロー、サム・ロゲベーン氏は「中国は長らく、軍は国境防衛のためにあると主張していたが、その定義は数年で拡大している。西側はその予算の使途に非常に関心があり、特に遠方に軍事力を行使できる兵器に用いられているかどうかに関心を抱くだろう」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/china-paliament-defence-idJPKCN1QM061


 


投資で大損した中国の若い母親が自殺した本当の理由 政府は見殺し? P2P融資の規制強化で破綻者が続出
2019.3.5(火) 姫田 小夏

 昨年(2018年)9月、中国である若い母親が幼い子供と両親、そして愛猫を残してこの世を去った。

 31歳だった。名前は王さんという。王さんは「P2P(ピア・ツー・ピア)融資」に、日本円にして400万円を超える資金を投じていた。

中国人が夢中になったP2P融資とは
 中国の金融経済が危ない。企業は信用破綻を起こし、個人は財テクで失敗している。特にここ数年は、インターネット金融の発展で身近になったP2P融資が庶民に悲劇をもたらし、問題になっている。

 P2Pは「借りたい個人」と「貸したい個人」を結びつけるプラットフォームだ。貸し手にとっては、見知らぬ個人に資金を貸し付けることで高利回りのハイリターンを手にすることができる。中国では近年、多くの人々がこのP2P融資に“虎の子”を投じた。

 P2P融資のプラットフォーム運営業者は、あくまで借り手と貸し手を結びつける仲介業である。プラットフォームの運営母体が資金を集めることは違法とされている。だが、業界が許認可制ではなかったこともあり、一部詐欺まがいの悪質業者が百鬼夜行していた。

「償還の遅れ」や「資金の横領」「殴る蹴るの暴力的な督促」などの問題が顕在化、被害を受けた人たちの叫び声が大きくなる中、当局は昨年、業界に一定水準のハードルを設け、不合格企業の淘汰を試みた。これがきっかけとなり、破綻するプラットフォーム業者が続出。同時に、P2P融資に投資をしていた人たちが巻き添えになった。

中国でネット金融380社を捜査 資産1640億円差し押さえ
中国で開かれたP2Pネット金融問題に関する記者会見(2019年1月10日撮影、資料写真)。(c)CNS/陳文〔AFPBB News〕

「P2P融資の大損」に絶望したのではない
 王さんもその中の一人だった。

 中国のインターネットには、王さんの遺書が掲載されている。遺書は「ごめんなさい、もうやっていけなくなりました。諦めたからこの道を選びました・・・」という文章から始まる。続いて、P2P融資業者への捜査が始まり1カ月が経っても進展はなく、責任者が逮捕されない上、業者の資金凍結もされないといった嘆きが描写されていた。

 だが、彼女が絶望したのは、P2P融資で大損したことではなかった。

 彼女は自宅のある浙江省から上海市に向かい、自分と同じ被害者たちと一緒になってP2P業者の株主からお金を取り返そうとした。だが、被害者の数よりはるかに多い警察によって、強制的に追い払われてしまった。上海市政府に出向いて行う予定だった陳情も、阻止されてしまった。

「お前たちは国家の安定を妨げる悪い分子である。よって、陳情は制限する」――。王さんがショックを受けたのは、政府側から“犯罪者扱い”されたことだった。

 王さんはこう綴る。

「お金はそんなに重要じゃない。まだ若いから稼げるし、生きてもいける。だけど、あの言い方だけは本当に受け入れられない」

 子どもの頃から愛国教育を受けて育った王さんは、誰よりも国に期待を寄せていた。だが、陳情に行って目の当たりにしたのは民衆を蹴散らす国家権力だった。その衝撃と絶望が、決断の引き金を引いた。

「私は行きます。生活に、社会に自信がなくなったから。死ぬのは怖くない、でも生きているのが怖くなった。身勝手なのはわかっていますが、子どもをどうかよろしくお願いします、そして私の猫も。<中略> 息子へ。ママは行くね。ちゃんと勉強してね。大きくなったら留学し、移民するんだよ。ママはあなたを育てることができないけど、あなたの無事を祈っている」

中国人は暴落してもめげなかった
 P2P融資はハイリスクハイリターンの財テクであり、大損したとしてもそれは自己責任である。だが、政府はもっと早い段階で手を打つことはできなかったのか。

 2015年は、中国の「インターネット金融元年」だったと言われる。中国政府はP2P融資を含めたネット金融の発展を加速させようとしていた。一方、2015年の時点で、当局はP2P融資による被害者が増加し、大きなリスクが潜んでいることも認識していた。だが、「個人間の貸し借りは自己リスク」との考えから、P2P融資を許認可制に移行させることはなかった。

 しばらく業界の動向を眺めて、後から規制をかけるというのが中国政府の常套手段である。しかし、今回はそれが遅きに失した。業界参入のハードルが低く、明確なルールもない中、P2P融資に“望み”を託した多くの人が犠牲となり、“悲劇の結末”を迎えてしまったのである。

他の先進国とは異なる道を歩む中国
 先週、筆者はある日本人女性と再会した。筆者と同様、彼女もまた1990年代後半から上海で生活していた日本人である。

 90年代後半を振り返って、彼女がこう語った。

「97年のアジア経済危機で上海株が大暴落したの覚えてる? あのとき、上海人の友人が突っ込んだ32万元がたったの2万元になってしまった。でもあの人、全然平気だった。リーマン・ショックで暴落したときもそうだった。別の友人が財テクで大損したんだけど、やっぱり実にあっけらかんとしたものだったわ」

 あの頃はまだ社会の雰囲気も明るく「損しても、いつかまた取り返せる」ぐらいの自信を誰もがみな持っていたような気がする。

 当時、日本人の私たちは「中国はいずれ先進国と同じように国民が主役の社会になる」という期待を抱いていた。中国の人々も同じように、遠くない将来において民主化された社会が到来することを心のどこかで思い描いていた。

 それから20年あまりが過ぎた。中国は予想に反して、他の先進国がたどるのとはまったく異なる道を歩んでいる。常に前向きでいた中国人たちが、そうでなくなりつつあることに、中国社会の変質を感じずにはいられない。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55634


 

成長減速強まる中国、李克強首相は「激闘の準備を」

北京=福田直之、冨名腰隆 2019年3月5日11時50分


中国・北京で開幕した全人代=2019年3月5日、人民大会堂、竹花徹朗撮影
写真・図版
全人代で、李克強首相(手前)の政府活動報告を聞く習近平国家主席(中央)=2019年3月5日、中国・北京、竹花徹朗撮影


 中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が5日、北京の人民大会堂で開幕した。2019年の経済成長率の目標が発表され、「6〜6・5%」と前年の「6・5%前後」から引き下げられた。李克強(リーコーチアン)首相は政府活動報告で、減税やインフラ投資の拡大で成長の減速に対応する方針を表明。米国との対立など内外の情勢への厳しい認識を踏まえ、「激闘の準備をしておく必要がある」と呼びかけた。

 15日まで開かれる全人代は、米中通商紛争などを背景に景気の減速が強まるなかで開幕した。李氏は報告で「我が国の発展が直面する環境は複雑さと厳しさが増し、リスクと試練が増える」との見通しを示した。

 李氏は報告で、中国経済のエンジンとなっている消費を盛り上げるため、積極的な財政政策をとる方針を表明。大規模減税とインフラ投資の拡大が柱で、インフラ投資の財源となる地方特別債の枠を6割近く増やす。


また、民間企業の資金調達難に対応するため、預金準備率をさらに引き下げ、国有の大型商業銀行が小さな企業に向けた融資を3割以上増やす目標を掲げた。

 報告では「安定成長の第1の目的は雇用の保障」と強調し、悪化しつつある雇用への対策を重視した。失業保険基金の残高から1千億元を拠出し、のべ1500万人以上の労働者の技能向上や再就職支援に使う。

 ただ、財政赤字の対国内総生産(GDP)比を昨年比0・2ポイント引き上げ、2・8%とする積極財政をとる一方で「財政の持続可能性を考慮する」とも表明。中央・地方政府に倹約の徹底もよびかけ、中央政府の一般支出を5%以上減らすとした。そのため、政策の効果を一定程度弱めそうだ。

 一方、政権の大きな課題となっている米国との通商紛争については「約束したことは真摯(しんし)に履行し、自らの合法的な権益は断固として守り抜く」と主張。協議で焦点となっている市場の対外開放について、「外資の合法的な権利・利益の保護を強化する」とした。

 李氏は「製造強国の建設を加速させる」と述べたが、昨年の報告で取り上げた産業政策「中国製造2025」には触れなかった。これを敵視する米国への配慮とみられる。全人代では、米国との交渉カードにもなりうる外商投資法案の審議なども焦点となる。

 今年の予算案で示された国防費は前年実績比で7・5%増の1兆1898億7600万元(約19兆8千億円)となった。4年連続で1桁の伸びにとどまったが、経済成長率を上回るペースで軍備強化が進む。米国に次ぐ世界2位の予算規模で、日本の19年度防衛予算案(5兆2574億円)の4倍近くに達した。

 李氏は「改革による軍隊強化を推進し、国家の主権や安全を断固守る」と国防の重要性を強調した。全人代の張業遂報道官も4日の会見で「昨年の中国国防費がGDPに占める割合は1・3%。主要先進国は2%以上ある」と強調しており、今後も高い伸びが続きそうだ。一方、中国は国防費の内訳などを示しておらず、欧米を中心に「不透明だ」との指摘は多い。(北京=福田直之、冨名腰隆)

政府活動報告の主な内容
・農村の貧困人口を1千万人以上減らす

・「二人っ子」政策に対応するため、乳幼児の保育・託児を支援

・環境汚染対策を進める

・「一帯一路」の建設を促進する

・「台湾独立」をもくろむ分裂の画策・行動を食い止める

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https://www.asahi.com/articles/ASM353254M35HBI00S.html
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/380.html

[政治・選挙・NHK258] 北方領土とシベリアに見る日本「失敗の本質」基幹動力源戦略に見る100年の計 ロシア企業はいかに経済制裁から脱出したか 
北方領土とシベリアに見る日本「失敗の本質」基幹動力源戦略に見る100年の計
2019.3.5(火) 伊東 乾

ロシアのシベリア東部ヤクーツクのメルニコフ永久凍土研究所の前にあるマンモスの像(2018年11月26日撮影)。(c)Mladen ANTONOV / AFP〔AFPBB News〕
 2月26日、奇しくも2・26という日付でしたが、私の連載コラムとともに、佐藤けんいちさんのコラム「知られざる戦争『シベリア出兵』の凄惨な真実」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55568)が公開され拝見、心を打たれました。
 読者の皆さんに、私自身の原稿より、むしろこちらにご注目いただきたいとSNSで呼びかけたりもしましたので、それをご覧になった方がいるかもしれません。
 佐藤さんはお祖父様がシベリアに出征されたとのことです。
 私も、母方の曽祖父が外務省の立場でシベリア出兵にコミットし、父方は親父が第2次大戦後に満州で捕虜となり、強制収容所で3年間重労働に従事し、病院船で帰国できたおかげで私が生まれた経緯があります。
 この話題は完全に骨がらみで、多くの読者が関心を持ってくださるようであれば、何より有り難いことだと思っています。
 一方では朝鮮戦争の終戦が議論され、並行して北方領土についても机上のやり取りを報道で目にするわけですが、日頃から大変に不満に思うことが多く、整理していくつか記しておきたいと思います。
うちの家作を返せ!
 まず最初に、一番不満なのは、北方領土交渉の絵に描いた餅加減、個人の顔が見えないアサッテぶりで、率直に申せば「ふざけるな」と常々思っています。
 仮に一部の領土が日本に戻ってきたとしても、それは国対国の問題であって、個人の犠牲は永遠に償われません。
 私事にわたって恐縮ですが、私の家は南樺太にそれなりの規模の家作を持っていました。
 当主はベトナム沖で魚雷轟沈(昭和19年)、長男は学徒出陣したシベリアで強制収容所に抑留され、廃人同様で命からがら復員し、戦争で資産はすべて失われました。
 返してくれ、というか「返せ!」というのが、常々率直に思っているところにほかなりません。
 私のルーツは薩長土肥の肥前で、明治維新の中途半端な負け組です。
 肥前出身の維新の志士といえば、江藤新平が下野して「佐賀の乱」でさらし首で処刑されるなどロクなことがありません。
 大隈重信が政治的に失敗して早稲田大学を作ったように、パワーウォーズでは完全に負け、実業や学芸などでその分をリベンジしようとしますが、<S・A・G・Aサガ>は「日本のチベット」などとお笑い芸人が自虐ネタにしたりもしています。
 菩提寺のある佐賀県小城というところは、「小城羊羹」という、ザラメが浮き出したような羊羹が「名産」になっています。
 各地で販売もされており、ご存知の方がおられるかもしれませんが、この羊羹、原料はほとんど佐賀で生産されていません。
 砂糖、小豆、いずれも北海道や樺太の製品が福岡・小倉あたりまで運ばれ、佐賀で加工されて唐津あたりから大陸に運ばれました。
 嗜好品ではなく、軍事物資、乾燥した軽い羊羹を背嚢に括りつけて、兵隊が203高地攻略戦などに持参した、明治中期以降の兵站食品として開発され、普及したもので、背景には鍋島水軍300年の歴史と北前船400年、日本海海路1000年の歴史が存在しています。
 朝鮮半島から満州、シベリアへと権益線拡大を狙っていた明治日本政府は、日清日露戦争での兵員への栄養補給源として軽量で高カロリーの糖を乾燥した羊羹を利用することとし、佐賀がその加工地となりました。
 親族は大阪、函館、小樽、大泊(樺太)など流通路の各地に分散しましたが、戦争で北の家作はすべて奪われ、どうしようもなくなりました。
 ところどころに「島は奪われた」みたいな看板を目にすることがありますが、何を言ってるんだ、というのが率直なところで、いまさら何を、とも思います。
 樺太が日本の領土だったのは1905年から45年までの40年間、私の親族が現地に進出したのが正確にいつなのか知りませんが、30年以上は根を張っていたかと思います。
 私が生まれたのは戦後20年目でしたから、子供の頃、祖母などにすれば「樺太の財産が残っていればねぇ」は率直な溜息でした。
 すでにそれから50年、戦後に入植したソ連/ロシア人たちの歴史の方が70年を超して、いまさら何を、ということになります。
 日本の領土政策がどれくらい長期的な計画性を持って戦略的になされたのか、全くもって疑問としか言いようがありません。
なぜ田中大隊は「全員全滅」させられたか?
 先ほど引いた、佐藤けんいちさんのコラムの4ページ目(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55568?page=4)には「ユフタの田中支隊全滅」の記述が出てきます。引用してみますと
 「・・・1919年2月25日には、シベリア鉄道沿線のユフタで田中勝輔少佐が率いる田中支隊がパルチザン部隊に包囲され全滅するという惨事が発生した。負傷して戦線を離れていた4人を除いて、44人がことごとく戦死した」
 おいおい、日本軍の戦闘は「玉砕」が増えていくわけですが、1919年、つまりいまだ日露戦勝から15年というイケイケの思い上がりだった帝国陸軍にあっては、戦線離脱していた若干名を除いて全員が完全に死亡するという、かつてない「全滅」状態を呈し、官報には簡潔な報告が出ていますが(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2954092)その詳細は伏せられ、国民の大半が広く知るところとはなりませんでした。
 翌1920年、北樺太よりも北のアムール河口の貿易都市ニコラエスク・ナ・アムーレが焼き討ちされ、日本人居留民と日本人守備隊が虐殺される「尼港事件」が発生します。
 このときは、長崎や天草出身の女性が「からゆきさん」として多く渡航していたとされますが、どうして長崎か、我が家のファミリーヒストリーからもお察しいただけると思います。
 対馬暖流に乗って日本海の不凍港を結ぶ海の道は、樺太の大泊から遠くカムチャツカ半島まで伸びており、九州北部で生活に窮した人々が南方から満州、シベリアまで、様々な土地に新たな活路を見出して散り散りになっていたわけです。
 田中勝輔少佐率いる支隊が全滅した場所が「ユフタ」であったことには、実は知られざる理由があります。
 1919年の全滅から四半世紀を経た1945年秋、すでにポツダム宣言が出され第2次世界大戦終結直前の8月9日に戦線布告されたソ連の対日参戦。
 満州・北朝鮮と南樺太・千島エリアを主要な戦闘地とし、最新兵器である戦車、タンクで押し寄せるソ連軍に日本側の残兵はなすすべもなく、生き残った将兵は捕虜となって「戦犯」扱いされてシベリア奥地に輸送されました。
 そんな中に、私の父もおり、また私が親しくお教えをうかがう、元関東軍陸軍獣医中尉、石黒貞彦さんもおられました。
 現在は神奈川県にお住まいの石黒さんが、復員後70数年、毎朝1人で数キロ散歩されながら1人でお歌いになる歌(正確には軍歌の替え歌)を教えていただきました。
 今年発売予定の私の新しいCDには、この歌のドキュメントを含む「黒河の星空」という短い音楽作品が収録されています。
シベリアの風 肌を刺し
ユクタの村を 離れ来て
二条の煙   立つところ
これあり   石黒作業隊
 石黒少尉たち、シベリアに抑留された招聘は、どこまでもどこまでも直線で伸びる単線のシベリア鉄道を、北へ北へと連行されたそうです。
 それが、森のど真ん中の何もないところで突然止まった。
 「今日はここで野営する」と列車を下ろされ、その場で見上げた星空を、74年経った現在も石黒さんは決して忘れることがないとおっしゃいます。
 翌日から木こり作業が始まり、まず家を作りました。自分たちが住むところ、つまり強制収容所を日本兵自身がゼロから建設したのです。
 寒さを防がないと凍死してしまいますが、兵士の中には大工も左官職もあり、実に立派な強制収容所が完成します。
 寒さにも耐えて、石黒作業隊は、1人の事故死を除いて全員がダモイ=帰還することができた。
 奇跡的な抑留の真実に触れて、私は早くに死んだ父の無念の何かが昇華するのを感じました。
 さて、ソ連軍がそんなふうに、森の中の何にもないところに石黒さんたちを計画投入し、森を切り開いてシベリア開発させたのはなぜなのか?
 その「森のどまん中」こそが「ユクタ」であり、26年前に田中勝輔少佐以下が全滅させられた「ユフタ」の地にほかなりません。
 実際にはYukhta(https://en.wikipedia.org/wiki/Yukhta)。
 シベリア鉄道の路線図を細かに調べると、アム―ル州シマノフスク駅とズヴォボードヌイ駅との間に、
 シマノフスク・・・セレトカイ・・・ドシャトバ・・・レディナヤ・・・ドム・オトドイハ・・・ブズリ・・・ユフタ・・・ウスト=ピョーラ・・・ズヴォボードヌイ
 と「ユフタ(Yukhta)」の駅名は見えますが、グーグルアースで見る限り、そこに駅舎は現在も見当たらず、ユフタの村は現在も人口450人程度の寒村であることが分かります。
 では、どうして、そんなシベリアの森の真ん中に、日本の捕虜を計画投入して開墾事業を行ったのか?
 もっと言えば、パルチザン部隊が投入されて、見せしめ的な惨殺を含め(手元にある松尾勝造「シベリア出征日記」には詳細が記されています。折があれば記したいと思いますが)日本軍を徹底排除したかったのか?
 21世紀の利器、グーグルアースは、その答えを映像で示してくれます。

 ユクタ、あるいはユフタの地に現在存在するのは「Renaissance Heavy Industries」の石油精製所AGP3にほかなりません。
 シベリア抑留や、それに先立つシベリア出兵でのパルチザンとの戦闘については、冬の寒さや理不尽さ、残虐さといった面が強調されるように思われてなりません。
 しかし、これらを遂行したソ連当局、とりわけスターリン体制化指導部の決定は、徹底的に合理的で、ゲンキン過ぎるほど分かりやすい理由に徹しています。
 「化石資源権益の保守」あるいはもっと露骨に「石油開発」
 分かりやすい目的と、それを伏せられたまま戦われる戦闘、劣悪な環境下での強制労働と、そこで失われていった幾多の若い日本人青年たちの命・・・。
 それらを、いたずらに感傷的に捉えて、その背後にある合理性、いやもっと言えば「利害打算」を見ない姿勢を、私は疑問に思います。
 田中支隊が全滅したとき、日本が真剣に検討すべきだったのは、敗戦の隠蔽でもなければ、表面的な赤化防止のプロパガンダでもなくもっと冷静な国家100年の計であったと思います。
(当時ロシアは革命直後で、初期ソ連はいまだウラジーミル・イリイチ・レーニンが指導していました)
 それからちょうど100年、すでにソ連が崩壊して30年を経ようという2019年にも、北方領土問題で日本は外交音痴ぶりを露骨にさらけ出しています。
 70年前に青年たちの骨を凍土に埋めた合理的なシベリア開発の結果、アムール州にはレディナヤやブズリの石油コンビナートが稼働している。イデオロギーなど全く関係ありません。
 基幹動力源ひとつを見ても、日本に戦略的な先見の明がどれほどあったということができるか、程度が知れてしまいます。
 さらにそれは、過去のこととして片づけられるものなのか?
 およそ終わっていないと言わざるを得ません。
 未来の失政失策を避けるのは、今日を支える私たちの義務というべき、重要な課題にほかなりません。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55662


 
ロシア企業はいかに経済制裁から脱出したか
制裁解除の立役者となった英国貴族
2019.3.5(火) 榎本 裕洋

ドイツ・ハンブルクで開催されたG20首脳会議に合わせて会談を行うドナルド・トランプ米大統領(右)とロシアのウラジーミル・プーチン大統領(2017年7月7日撮影、資料写真)。(c)Mikhail KLIMENTIEV / SPUTNIK / AFP〔AFPBB News〕
制裁解除の理由は
「労働者」「経済」「中国」
 「米国財務省外国資産管理局(以下OFAC)はエンプラス、ルサール、ユーロシブエネルゴに対する制裁を解除する」
 これはOFACがロシアのアルミ王デリパスカ氏が所有する3社に2018年4月に課した経済制裁を解除するという決定で、今年1月27日に発表された。
 3社とはルサール社(アルミ生産)、エンプラス社(ルサール社の株式を保有)、ユーロシブエネルゴ社(電力)である。
 あまり知られていないが、今回の制裁解除劇の立役者は1人の英国人である。名前はグレゴリー・レオナード・ジョージ・バーカー(以下バーカー氏)。
 男爵の爵位を持つ英国保守党の議員であり、2010〜2015年までデイビッド・キャメロン政権でエネルギー・気候変動担当大臣を務めた。
 1966年生まれのバーカー氏は広告会社ブランズウィック・グループ(Brunswick Group)のアソシエイト・パートナーとして働いたのち、1990年代後半にロシアの富豪アブラモビッチ氏(英プレミアリーグ・チェルシーFCのオーナーとしても有名)と働くためロシアに渡っている。
 それから約20年後、アブラモビッチ氏の推薦もあり、2017年10月ロシアのアルミ王デリパスカ氏はバーカー氏をエンプラス社の取締役会議長に任命した。その数週間後、エンプラス社はロンドン株式市場に上場した。
 しかし2018年4月、冒頭で述べたようにエンプラス社がOFACの制裁を受けたことで、バーカー氏の業務内容は大きく変化した。
 エンプラス社を制裁から救うべく、バーカー氏は早速全体戦略を立てる。
 それは「悪い奴(デリパスカ氏)を懲らしめ、雇用(従業員)を守る」というシナリオだった。そして2018年5月にはこの分野で豊富なロビイング経験を有するマーキュリー(Mercury)社を起用した。
 バーカー氏たちはルサール社、エンプラス社に対する米制裁発動を受け、直接・間接的雇用喪失に直面した8カ国、具体的にはドイツ、スウェーデン、オーストラリア、イタリア、オランダ、アイルランド、フランス、ジャマイカにロビイングの的を絞った。
 この作業はマーキュリー社に所属するデビッド・ビター元米上院議員が主導したといわれる。
 8カ国の駐米大使たちはバーカー氏の考えに同意し、ワシントンに制裁解除の嘆願書を送るなどしてバーカー氏のロビイングを援護した。デリパスカ氏が自社のネットワークを国際化していたことが功を奏した。
 さらにバーカー氏たちは、ルサール社、エンプラス社に対する米制裁発動はいずれアルミの供給減少・価格上昇という形で米国の生産者・消費者にもダメージを与え、ひいてはトランプ政権のダメージになると訴えた。
 ホワイトハウスに対するロビー活動を主導したのはドナルド・トランプ大統領の選挙運動にも参加したブライアン・ランザ氏である。
 現在はマーキュリー社のロビイストであるランザ氏は、ホワイトハウスの有力者、具体的には公共連絡局のジャスティン・クラーク氏、広報部長のメルセデス・シュラップ氏と面談を重ねた。
 同時にランザ氏は経済制裁に強い影響力を有する国務次官補代理のデビッド・ミール氏、財務省顧問のセス・ブリッジ氏などともコンタクトを重ねた。
 またバーカー氏らは米中あるいは米ロの摩擦さえも利用した。
 「このままではデリパスカ氏のアルミ事業は中国にのみ込まれる」あるいは「ロシア政府に国有化される」として米政権を「脅迫」し、エンプラス社・ルサール社・ユーロシブエネルゴ社の制裁解除を迫った。
 実際、デリパスカ氏は当初、「西側でアルミが売れないなら販売先を中国に変更する」「カネがなければロシア政府に支援を求める」として、OFACが制裁解除条件として求める3社に対する自身の株式持分比率の引き下げには消極的だったようだ。
 これらの制裁解除に向けた活動は2018年9月にはほぼ終わり、11月の中間選挙結果を踏まえて米議員が動き始め、2019年1月27日の制裁解除につながった模様である。
 今回のロビイングから分かるトランプ政権を懐柔するための要諦は以下の3点ではないかと推察される。
(1)労働者の窮状を訴える。これはトランプ大統領を支持するブルーカラーに重なる。
(2)経済への悪影響を訴える。トランプ大統領が見ている経済指標は株価とガソリン価格だけといわれる。
(3)中国の脅威を訴える。現在の米国は民主・共和問わず対中強硬的である。
 ちなみにロビイング支援に対する報酬として、マーキュリー社には総額約100万ドル(約10万ドル×9カ月分)が支払われたという。また同社以外にも米国の広告会社や有力者が多く動いたとされる。
 一方、バーカー氏の一連のロビイングに対し、英国議会は「規則違反の疑いがある」として調査中である。
デリパスカ氏の企業支配力は低下
制裁解除条件の甘さを指摘する声も
 それではOFACが課した制裁解除条件とはどのようなものか。
 それはデリパスカ氏が、ルサール社・エンプラス社・ユーロシブエネルゴ社の3社の株式持分比率を減らし(50%を下回るまで)、経営から距離を置くというものだ。
 そしてこの条件をデリパスカ氏が承諾したため、今回の制裁解除が実現した。
 しかしニューヨークタイムズ紙が入手したOFACと3社代表がサインした秘密合意書(タイトルは“terms of removal”)によれば、その中身は米財務省の説明とは異なり、デリパスカ氏に対して甘い内容になっているという。
 その内容は、デリパスカ氏が3社の持分比率を減らし、経営から距離を置く見返りに、数億ドルといわれるデリパスカ氏のブネシュトルクバンク(ロシア政府系銀行、以下VTB)に対する債務を帳消しにするという内容である。
OFACが制裁解除条件としたエンプラス社の株式持分比率(単位:%)

http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/2/5/700/img_257f37c5539e3c6ee274f59231970e4748590.jpg

 秘密合意書によれば、3社の中で最も重要性の高いエンプラス社の制裁解除条件は上の表の通り。
 デリパスカ氏が保有する株式のうち9200万株(全体の約14%)をVTB(既にエンプラス社株式を約10%保有)に移転させる見返りに、VTBはデリパスカ氏の債務を帳消しするというもの。
 ただしVTBのソロビヨフ第1副頭取はデリパスカ氏の債務の帳消しを否定している。
 なお参考までに付言すると、ここに登場するユマシェフ親子とはデリパスカ氏の前妻ポリーナ・ユマシェワ氏とその父ワレンチン・ユマシェフ氏(エリツィン時代の大統領府長官)である。
 またグレンコア社はデリパスカ氏の最重要顧客である。そして慈善基金とはデリパスカ氏自身が出資・創設したものだ。
 表によれば制裁解除条件を達成しても、デリパスカ氏自身・ユマシェフ親子・慈善基金を合計すると株式持分比率は55%となる。
 しかし米財務省は上図の通りデリパスカ氏と関係者が保有する株式には議決権の制約がある点を強調し、デリパスカ氏のエンプラス社に対する支配力は低下したとしている。
米議会民主党や対ロ強硬派
対ロ強硬姿勢に一層傾くか
 今回のOFAC決定を受けて、民主党の議員からは、今回の制裁解除の判断が共和党の有力サポーター(献金者)であり、ムニューシン財務長官とも個人的なつながりを有するレン・ブラバトニク氏(旧ソ連時代のウクライナに生まれ、現在は米・英の二重国籍を保有)に配慮したものではないか、との疑いが持ち上がっている。
 ニューヨークタイムズ紙によれば、ブラバトニク氏は今回制裁解除されたルサール社の株式を保有している。
(株式はブラバトニク氏とロシアの富豪・ベクセルベルク氏が共同で設立したSUALパートナーズ社が保有。具体的にはルサール社株式の22.5%を保有するという)
 今回の制裁解除の判断によって、SUALパートナーズ社の企業価値は昨年4月と比較して8億ドルも増加するという。
 さらにデリパスカ氏はポール・マナフォート氏(2016年の大統領選挙でトランプ陣営の選挙対策本部長)とのつながりも指摘されており、今後議会民主党や対ロ強硬派が一層対ロ強硬姿勢に傾く可能性が指摘されている。
 加えてデリパスカ氏本人に対するOFACの制裁措置は今後も継続され、同氏は株式売却益や配当などを受け取ることはできない。
 一部企業の制裁が解除されても、米ロの確執は当面続きそうだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55617 


http://www.asyura2.com/19/senkyo258/msg/191.html

[国際25] 欧州玄関港を支配する中国、トロイの木馬と化すギリシャ 一帯一路の衝撃、赤く染まる「海のシルクロード」
WEDGE REPORT

欧州玄関港を支配する中国、トロイの木馬と化すギリシャ

一帯一路の衝撃、赤く染まる「海のシルクロード」
2019/03/06

木村正人 (ジャーナリスト)

 ギリシャ最大のピレウス港(水深18メートル)は古代ギリシャからアテネの軍船、三段櫂船(さんだんかいせん)が出入りする天然の要衝として栄えてきた。

 ピレウスと聞けば、1960年にギリシャで製作された米国の白黒映画「日曜はダメよ」(監督・主演ジュールズ・ダッシン)を思い出す人もいるかもしれない。底抜けに明るい港町の娼婦イリヤとギリシャをこよなく愛す米国の考古学者ホーマー。イリヤを取り巻く海の男たち、どこまでも青いエーゲ海と空。陽気で楽天的なギリシャ人気質と地中海が奏でるメロディーはアカデミー歌曲賞に輝いた。しかし、そんな憧憬はもはや遠い過去のものになってしまった。

 ギリシャでは、単一通貨ユーロ加盟がもたらしたバブルで、1人当たりの実質可処分所得がピークの2009年には1995年比で43%も膨れ上がった。しかし、債務危機でバブルは破裂し、現在は1995年当時よりさらに4%も貧しくなった。

 ワゴン車に洗濯機を積み込んで無料の洗濯サービスを提供する市民団体ITHACAのディミトラ・コトリオティさんは「アテネだけでホームレスは2万人を数える。これまで40トンの汚れ物を洗濯した」と話す。生活困窮者に無料で食料を配布する支援団体「フードバンク・ギリシャ」によると、年に取り扱う食料は4年間で24トンから41トンに増えた。そこに2015年の欧州難民危機で6万人以上の難民が加わったのだから、弱り目に祟り目とはこのことだ。

 2018年8月、EUや国際通貨基金(IMF)のギリシャに対する金融支援プログラムが8年ぶりに終了したことが大きなニュースになったが、夕暮れに歩いたアテネの裏通りはまるで貧民窟の様相を呈していた。混雑する地下鉄に飛び乗り、ピレウス港に向かった。長い黒髪の女が二度も筆者のポーチから財布を盗み取ろうとするので、「止めろ!」と大声を上げても他の乗客はそ知らぬふりだった。

「一帯一路」に先行したコスコの世界戦略
 ピレウス駅から中国海運最大手、中国遠洋運輸集団(コスコ・シッピング・グループ)の子会社ピレウス・コンテナ・ターミナル(PCT)が運営するコンテナ埠頭までタクシーで約15分。篠突(しのつ)く雨の中、作業員が車で埠頭を案内してくれた。エーゲ海は冬、低い雨雲が垂れ込める。埠頭に高波が当たっては砕け散る。「埠頭は海に浸かっているので、写真を撮る時は気をつけろ」と作業員が注意する。


中国海運最大手、中国遠洋運輸集団の子会社が運営する、ギリシャ・ピレウス港のコンテナ埠頭(筆者撮影、以下同)
 レール上を移動する橋脚型の巨大ガントリークレーンがうなりを上げる。コンテナトラックが水しぶきを上げて行き交う。一眼レフカメラのレンズはアッという間に水滴で覆われた。

 社屋にはコンテナ埠頭の模型と万里の長城の大きな写真が掲げられていた。中国の習近平国家主席が2013年に提唱した「一帯一路」は万里の長城に匹敵する歴史的な大事業であることを彷彿とさせる。しかしコスコの世界戦略はそれに先行して始まっている。

 コスコは2009年、49億ユーロを投資してコンテナ第二、第三埠頭の運営権を35〜40年にわたって獲得して子会社PCTを設立し、第三埠頭を拡張した。PCTのコンテナ取扱量は2010年の68万5000TEU(20フィートコンテナの単位)から2018年には440万3744TEUと6・4倍に膨れ上がった。また、ピレウス港全体のコンテナ取扱量は2007年から10年間で約3倍に増え、欧州の中で7位のコンテナ港に躍進した。地中海では一番の港湾都市だ。今後PCTは付加価値税(VAT)や関税、物品税のかからない保税地域を設け、最先端のテクノロジーを導入、ストライキのない不眠不休のコンテナ港を目指す。当面の目標は上限の620万TEUだ。

「(コンテナ船世界大手の)2Mやオーシャン3のほか、川崎汽船、商船三井、日本郵船が設立したオーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)などとビッグ・アライアンスを組んで、世界の貨物を扱っている」

 PCTのタソス・ヴァンヴァキディス上級商事取締役(61歳)は胸を張った。

 2015年のギリシャ総選挙の際にもPCTを訪れたことがあるが、当時は1100人だった作業員は1900人に増えたという。週3〜4本しか運行していなかったコンテナ列車は週16本、そして毎日運行するようになった。ピレウス港からスロバキアのブラチスラバまで5日間だ。コスコは実に中欧行き鉄道運輸の8割をコントロールする。

 中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)だけでなく、米国のHP(ヒューレット・パッカード)や日本のソニーも欧州の玄関港としてピレウス港を選んだという。PCTの張安銘社長(46歳)は「日本の自動車メーカーがチェコやハンガリーで作っている車にも関心がある」と意気込んだ。


ピレウス・コンテナ・ターミナル(PCT)の張安銘社長(右)
 コスコは2016年10月にコンテナ第一埠頭からばら積み貨物ターミナル、クルーズターミナル、自動車ターミナル、ロジスティックエリア、船の修理ドックまで岸壁延長40キロメートルを運営するピレウス港湾局(PPA)の株式51%を2億8050万ユーロで購入した。最大3億ユーロの投資を実行すれば5年後に株式16%を8800万ユーロで買い増すことが認められる。

 ギリシャは中国の「債務の罠」にハメられたのか。というより「コスコは独自のターミナル埠頭を探していた。そこにギリシャの国際入札があり、ビジネスになると決断した。コスコの条件が一番良かった」と張社長は説明する。

 ピレウス港はスエズ運河を抜けて初めて立ち寄る港で、地中海を通じて欧州と中東・アフリカとつながり、黒海に抜けることもできる。債務危機という絶好のチャンスを見逃さず、地政学と戦略性に長(た)けた安い買い物だった。

 ユーロバブルに酔い、自ら「債務の罠」に陥ったギリシャがEUとIMFに財政再建を強いられ、金の卵を産まなくなった鶏のピレウス港を叩き売らされたというのが真相だ。アテネ市民に尋ねると、大半が「窮地に陥ったギリシャに投資して仕事をくれたのは中国だけ」と感謝する。張社長は「我々はウィンウィンの精神を大切にしている。ギリシャの雇用機会を増やす。そしてEUの労働基準にも従う」と強調した。

港湾内部で起きる労働争議
 しかし「中国の言うウィンウィンは中国が二度勝つことを意味する」という皮肉も囁かれる。

 ピレウス港を見学した際に使ったタクシー運転手の友人がコスコで働いているというので携帯電話で実情を聞かせてもらった。その友人は「仕事に不満はない」と言いつつ「コスコについてジャーナリストに話すことはできない」と取材を断った。

 今回改めてPCTを取材したのはコスコが指定してきたからだ。PCTの成功に味を占め、PPAを買収したコスコだが、ピレウス港港湾労働者組合との間で労働争議が続いている。ギオロゴス・ゴゴス総書記がコスコによる組合の切り崩しについて解説する。

 「かつてピレウス港では港湾労働者や運転手、クレーン操縦士、技師、事務職ら数千人が働いていた。2009年に1600人になり、今は1000人だ。ばら積み貨物からコンテナに切り替えられ、港湾産業の技術が進歩したからだ」。PCTが説明する1900人には関連産業も含まれる。

 「PCTが設立された当初、PPAで働く港湾労働者やクレーン操縦士や技師はPCTに移らなかった。このためPCTは下請け業者や代理店を使って非熟練労働者を雇った。安定した正規雇用ではない彼らはきちんとした訓練も受けず、団体交渉権や適正な労働条件、夜勤や休日出勤の特別手当も認められなかった。港湾労働者は本来、月に10〜20日間働くことができるが、PCTの労働日数はさらに短縮された」

 そもそも、ギリシャでは日本で言う「旧国鉄」のような公務員の縁故採用がはびこり、労働組合が非常に強い力を持っていた。労働時間を削りながらも、手当を際限なく増やした。そのあげく政府債務残高を国内総生産(GDP)の180%まで膨張させ、財政破綻した。港湾労働者の給与は35%カットされた。

 「PPAの月収は1100〜1700ユーロだが、PCTは600〜1200ユーロと聞いている。ギリシャの憲法は組合を結成することを労働者の基本的な権利として認めている。PCTは明示こそしないものの、多くの手段を使ってそれを妨害しようとした。2014年の夏、PCT内部から動きがあり、30時間ストライキを打ち、初めて組合が結成された」と言う。

 EUから厳しい財政緊縮策を押し付けられたギリシャは、もはや中国の「トロイの木馬」と化している。

 2015年、ピレウス港に中国人民解放軍の大型揚陸艦「長白山」が寄港し、ギリシャのアレクシス・チプラス首相も馳(は)せ参じた。そして、中国人民解放軍がロシアとともに地中海で初めて海上合同軍事演習を実施した。その後もピレウス港への中国軍艦の寄港は続いている。


2015年、ピレウス港に寄港した中国人民解放軍の大型揚陸艦「長白山」 (NURPHOTO/GETTYIMAGES)
 2017年にギリシャは、EUが中国の人権問題を非難する声明を国連人権理事会に提出するのを妨害した。ギリシャ外務省は「特定の国を名指しで非難するのはその国の人権状況の改善を実現させるわけでもなく、EUとの関係を発展させるわけでもない」と表明した。

 ピレウス港への投資が純粋なビジネスではなく、政治目的が込められていることが簡単に見て取れる。

 欧州におけるコスコの港湾投資はギリシャのほか、ベルギー・ゼーブルッヘ港(持ち株比率85%)、アントワープ港(25%)、スペイン・バレンシア港(51%)、ビルバオ港(40%)、伊ヴァード・リーグレ港(40%)、オランダ・ロッテルダム港(35%)に広がる。港湾事業会社の招商局港口控股や青島港国際がこれに続く。

 貿易は外交・安全保障の重要な基盤をなす。米国のドナルド・トランプ大統領が貿易戦争を中国やEUに仕掛ける中、アジアと欧州を結ぶ一帯一路で中欧関係の一体化を進めようという中国の深謀遠慮が働いているのは言うまでもない。

現在発売中のWedge3月号では、以下の特集を組んでいます。全国の書店や駅売店、アマゾンなどでお買い求めいただけます。
■「一帯一路」の衝撃 ルポ 中国に飲み込まれるジブチ・エジプト・ギリシャ
PART 1   中国マネーの甘い蜜に麻痺するシーレーンの要衝アフリカ・ジブチ
 1⃣鉄道、港湾、軍事基地 経済と軍事の表裏一体でジブチを飲み込む中国
 2⃣シーレーンの安全をアフリカの空と海から守る 自衛隊「海賊対処」の舞台裏
 3⃣ジブチの礎を支える日本 中国式との差別化のカギは「持続的発展」と「現地化」
 インタビュー  自衛隊がジブチで活動する意義 佐藤正久・外務副大臣
Part 2 「新首都」の建設と経済貿易協力区 水上の要衝・スエズ運河を取り囲む中国
Part 3 欧州の玄関港を"支配"する中国 「トロイの木馬」と化すギリシャ
Part 4 経済回廊でパキスタンを取り込んだ中国が抱える"ジレンマ"
Part 5   肥大化する一帯一路投資 「軌道修正」を図る中国
Part 6 「一帯一路」を「インド太平洋」で無害化
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15434
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/600.html

[国際25] トランプ王国“本丸”に迫る米議会の疑惑解明 ハノイ会談の決裂 金正恩は焦り、トランプは余裕、なぜか WEDGE REPO
Washington Files

トランプ王国“本丸”に迫る米議会の疑惑解明

2019/03/06

斎藤 彰 (ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長)


(iStock.com/flySnow/Purestock)
 これまで厚いベールに包まれてきたトランプ王国の財務実態解明に向けて、米議会がついに本格的に動き始めた。

 民主党が主導権を握る下院各調査委員会はすでに、“本丸”ともいえるニューヨークの「トランプ・オーガニゼーション」本部最高財務責任者(CFO)ら関係者の証人喚問、事情聴取の準備に着手、聴聞会早期開催に意欲を見せている。


(Tiago_Fernandez/Gettyimages)
 その展開次第では、最終段階を迎えたモラー特別検察官による「ロシア疑惑」捜査以上に、大統領にとって深刻なダメージとなる恐れもある。大いなる成果を期待して臨んだベトナム・ハノイでの米朝首脳会談も物別れに終わり失意のまま帰国したトランプ氏。だが、ワシントンでは今後さらに厳しい現実と試練にさらされることになりそうだ。


 米議会がここにきて風雲急を告げる動きを見せ始めたのは、先月末、トランプ大統領の側近中の側近だったマイケル・コーエン元顧問弁護士の下院監視・改革委員会公聴会での重要証言がきっかけだ。

 この中でコーエン氏はとくに以下のような、核心に迫る証言を行った。

トランプ氏は2016年大統領選挙期間中、自らの過去の税申告内容の公表を拒否してきた理由について「税務当局が監査中だから」と説明してきたが、実際は、内容を公表したとたん、あらゆるシンクタンクや調査機関がそれをもとに洗いざらい細部にわたるまで調べ始め、その結果、改めて追徴処分や罰金を科されかねないことを恐れていたからに他ならない。私は、トランプ氏がいまだに税務当局の監査を受けているとは思っていない。
(証拠書類として同委員会に提出した2011年、2012年、2013年度「財務状況説明書」の意味について)これらの書類は、資金借り入れの必要性を借入先に納得させるためにトランプ氏自身が作成したものだ。とくに上記3年度分の書類は、バッファロー・ビルズ・プロフットボール・チーム買収資金調達のため、ドイツ銀行に提示されたものだ。そもそもこうした「財務状況説明書」は厳格な監査に基づいたものではなく、そのつど必要に応じて財務評価を彼が自分勝手に作成していた書類にすぎない。彼は自分の目的に沿うと判断した場合は自己資産の評価をふくらませ、税申告の際には、逆に過小評価していた。
トランプ氏はまた、取引のある保険会社に対しても、保険料を最低限に抑えるために、資産内容報告書に記載される評価額を過大に記入し提示していた。こうした書類はすべてトランプ氏の指示で作成された。
彼がこれまで毎年行ってきた税申告内容や財務実態を知るためには、(ニューヨークに本部のある)「トランプ・オーガニゼーション」に関連書類が保管されている。この関連の全容を把握するには、同組織に所属する3人のカギを握る人物がいる。アレン・ウィーゼルバーグ最高財務責任者(CFO)、ロン・リーバーマン上級副社長、マシュー・カラマリ個人秘書だ。彼らを議会聴聞会に喚問することによって同組織の実体、資金の流れなどの全容解明が可能になる。
 これらの証言の中で、最も注目を集めたのが、長年にわたりトランプ氏の“金庫番”をつとめてきたウイーゼルバーグ氏(71)の存在であり、この日の公聴会やりとりでも、35回も名前が飛び出した人物だ。

民主党が下院で大勝、状況が一変
 同氏については過去にも本欄で取り上げたが、これまでトランプ・ファミリーが不動産売買を中心として国内外で取り組んできたあらゆるビジネス取引の総本山と位置づけられる「トランプ・オーガニゼーション」(本部:ニューヨーク市トランプ・タワー)で公私にわたる財務すべてを一手に担ってきた人物。

 今回、コーエン氏が議会証言で明らかにした、トランプ氏にまつわるセックス・スキャンダルもみ消しのために元ポルノ女優に支払われた13万ドルについても、ウィーゼルバーグ氏が決済したとされており、ニューヨーク連邦地検もこれまで極秘で同氏から事情聴取してきた(2018年8月6日付け『トランプの私的醜聞とロシア疑惑の意外な接点』参照)。

 このようにトランプ氏が関係してきたビジネス取引には過去に、さまざまな疑惑が指摘されてきたが、これまで米議会での本格追及が実現しなかったのは、与党共和党が終始反対か、消極姿勢をみせてきたからにほからない。

 ところが、昨年11月中間選挙で民主党が下院で大勝、多数を制することになって以来、状況が一変した。

 今回のコーエン証言が(共和党の猛反対にもかかわらず)実現したのも、真相究明のための関連委員会委員長ポストを民主党が押さえたからに他ならない。

 コーエン公聴会に続いて今後、他の委員会でも弾みがついたのように、大統領にとってきわめて気がかりな財務調査を中心に、以下のような徹底究明の動きがにわかに出始めている:

(1)下院財務委員会(マクシン・ウォーターズ委員長)

 ウォーターズ委員長は先月28日「われわれははまず基本的に、トランプ氏が税逃れのためにどのようなかたちで収益を『トランプ・オーガニゼーション』にプールしていったかの実態にメスを入れる必要がある。たとえば彼が得た15万ドルの講演料も本来なら個人収入として課税の対象だが、同組織に入れたままにしていたケースもその一例だ」と語り、近くウィーゼルバーグら関係者から事情を聴く考えを明らかにした。

 委員会メンバーの一人、ブラッド・シャーマン議員も「自分も過去、税務当局で税徴収部門を担当したことがあるが、コーエン氏の証言を聞いたかぎりでは、トランプ氏は銀行に対しては、資金融資を受けるために(担保としての)自分の資産と収入実績を過大に説明し、税務署担当官には、節税目的で過小に評価した書類を提出してきたようだ。こうした点を彼の金庫番(ウィーゼルバーグ氏)から直接ただすべきだ」と語った。

(2)下院歳入委員会(リチャード・ニール委員長)

 議会各関連委員会の中で、独自の判断で、調査対象重要人物の税申告内容について財務省に閲覧請求できる唯一の委員会として強大な権限を持つ。

 このため、ニール委員長はじめ委員会幹部は、コーエン証言を受け、トランプ氏の過去の税申告関連書類提出をムニューチン財務長官に対して近く正式に要求する考えを示している。同長官がこれに応じるかどうかは今の時点では依然不明だが、提出を拒否した場合、ウィーゼルバーグ氏ら財務内容に精通した側近を委員会聴聞会に喚問、直接厳しく問いただす選択肢も残されている。

1000万ドルという巨額の税還付
 一方、先の監視・改革委員会での証言の中でコーエン氏は、トランプ氏が去る2008年当時、内国歳入庁(IRS、日本の国税庁に相当)から1000万ドルという巨額の税還付を受けたことを誇らしげに語ったことを明らかにした。ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道によると、米国税法では、これほどの多額の税還付の場合、IRSは議会上下両院合同課税委員会(Joint Committee on Taxation=JCT)による検閲を受けることが義務付けられている。従って、その後も同様に巨額の税還付が行われたケースについては、検閲のたびごとにIRSからJCT宛てに関連書類が提出されたとみられるという。

 もしそうだすれば、トランプ氏の納税内容に関してすでにある程度の資料が議会の手に渡っている可能性が高く、ニール委員長としても、かりに財務長官が納税申告内容の提出を拒否したとしても、JCTファイルを再点検することによって、トランプ氏のこれまでの納税申告実態の概要を把握することができる。あるいは現時点ですでに、これらの内容を把握している可能性も否定できない。

(3)下院情報活動委員会(アダム・シフ委員長)

 同委員会は監視・改革委員会公聴会に続き翌28日、コーエン氏を呼び、秘密聴聞会を開いた。そこでの同氏の新たな証言内容は明らかにされていないが、シフ委員長は前日の公聴会終了後、一部メディアのインタビューに応じた中で、

 「もしコーエン氏が述べたことが事実だとすれば、トランプ大統領は在任中に、スキャンダルもみ消しのために口封じ金を支払うという刑事犯罪行為をしたことになり、極めて重大な問題だ」

 「彼の今回の証言は、これまで伝えられた様々な話について事実は事実として認め、そうでない場合は正直に否定した。その意味で十分信頼に値する内容だった。とくに大統領から多額の口止め料が直接支払われた事実を証拠資料提出によって明らかにしたことは、選挙資金規制法に抵触する行為であり、驚くべきことだ」

 さらにシフ委員長は、同委員会としての今後のトランプ疑惑解明の焦点のひとつとして、大統領が就任後の2017年6月まで直接関与していたとされるモスクワ市内の「トランプ・タワー」建設計画を挙げた上で、

 「コーエン氏も公聴会で、同プロジェクのめ進捗状況についてトランプ氏と個人的に何度も話し合ったことを認めており、われわれとしても今後、この事業に関わって来た数多くの証人を喚問し、事業推進の支援を仰ぐ目的でクレムリン側のどの人物とコンタクトがあったかなどについても真相に迫りたい」と語り、重要証人の一人がウィーゼルバーグ氏であることを認めた。

 また委員会メンバーの一人、ジェラルド・コナリー議員は「コーエン氏は証言を通じ、真相解明のカギを握る重要人物としてウィーゼルバーグ氏ら『トランプ・オーガニゼーション』の具体的名前を挙げたほか、トランプ氏の納税申告書類閲覧の重要性を指摘するなど、われわれのために大変豪勢な“10品料理コース”をテーブルに用意してくれた。今後、委員会として1品ずつ吟味していくことになる」と意味深長なコメントをしている。

(4)外交問題委員会(エリオット・エンゲル委員長)

 エンゲル委員長は定例記者会見などを通じ、今後の重点項目として、昨年夏ヘルシンキでプーチン露大統領と二人だけで行ったさしの会談でトランプ大統領は具体的に何を話し合ったかの真相究明、アメリカ外交政策に影響をもたらした疑いが持たれるトランプ氏の諸外国相手のビジネス取引実態解明、トランプ大統領と金正恩北朝鮮労働党委員長との「個人的関係」の背景、サウジアラビア人ジャーナリスト殺害への関与が疑われるサウジ皇太子とトランプ・ファミリーとの密接なつながり全容把握、ジェームズ・マティス国防長官(当時)辞任のきっかけとなった昨年12月の「在シリア軍撤退」という唐突な大統領決定の背景についての徹底追跡調査、などを列挙した。

 また同委員長は、「今後、最優先課題として、トランプ大統領と外国との関わりを集中的に調査するための専門小委員会を早急に立ち上げたい」とその意気込みを語っている。

(5)司法委員会(ジェロルド・ナドラー委員長)

 ナドラー委員長はロシア疑惑については、「近く司法長官に提出されるモラー特別検察官報告書の結果を見た上で、具体的対応を検討したい」としている。

 しかし同時に、「大統領がセッションズ司法長官を解任したいきさつなどについてウィタカー長官代行を早急に喚問し説明を受けるほか、大統領が関与したセックス・スキャンダルもみ消し事件についても、選挙資金規制法違反の観点から調査したい」との考えを明らかにした。

 同委員長はまた今月3日、司法妨害、汚職、権力濫用などの観点から調査するため、ウィーゼルバーグ氏、大統領の長男トランプ・ジュニア氏、娘婿ジャレッド・クシュナー氏らのほかホワイトハウス、財務、国務、司法各省当局者ら80人以上に対し、関係書類、文書、資料などの「現状保存」と、それらの提出を求める公式要請書を発送したことを明らかにした。

とるべき次のステップ
 すでにこれらの委員会では、専属スタッフたちが事務方レベルで毎週3回程度の会合を開き、情報交換を行ってきており、とくにコーエン氏の今回の重要証言を踏まえ、「とるべき次のステップ」について緊密な協議を重ねているといわれる。

 こうしたことから今後、来年11月の大統領選挙に向けて、関連委員会で重要証人を喚問しての公聴会が間断なく続くことは確実であり、そのたびにマスコミで大々的に報道されることになるだけに、再選を目指すトランプ大統領にとっても、“憂鬱な日々”が延々と続くことを覚悟しなければならないだろう。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15551


 
WEDGE REPORT

ハノイ会談の決裂 金正恩は焦り、トランプは余裕、なぜか?

2019/03/05

朴承a (在韓ジャーナリスト)

 ベトナム・ハノイで2月27日から28日に行われた米ドナルド・トランプ大統領と北朝鮮・金正恩委員長との首脳会談が決裂した。北朝鮮の労働新聞や朝鮮中央通信などは、今回の会談が「お互いに対する尊重と信頼をさらに厚くし、両国関係を新たな段階へ跳躍させる重要な契機になった」と評価し、決裂したということは一切報道しない。


帰国の途についた金委員長(AP/AFLO)
 太永浩・元駐英公使は、「金正恩は、会談を決裂させた張本人がジョン・ボルトン(ホワイトハウス国家安保補佐官)とし、彼のことを非常に怒っているようだ」と述べた。また、今回の会談は、「李容浩(北朝鮮の外相)とジョン・ボルトンの会談」だったと分析した。

 北朝鮮の金正恩委員長は焦っているようだ。金委員長はハノイ会談が始まる直前、トランプ大統領との懇談のフォトタイムの席で記者の質問に「1分が惜しい」「早く会談しなければならない」と述べた。

 記者の質問を避けるための答弁だったかもしれないが、彼は今回の会談で、国連や米国の制裁を解除しなければならない、という切迫感がにじみ出ていた。ところが、トランプ大統領はのんびりしていた。現在の状況で、時間は金正恩の味方ではなく、トランプの味方であることは間違いないようだ。

第3の核施設に関する資料を突き付ける
 トランプ大統領は会談決裂後の記者会見で、(北朝鮮は期待に)及ばないことを示し、制裁の完全解除を求めた。今の状況で合意のサインは不適切だった」とし、(米国は)「寧辺核施設よりもプラスアルファを望んだ。我々が知っていたことについて、北朝鮮は驚いたようだ」と語った。トランプ大統領がこれまで外部に知られていなかった第3の核施設に関する資料を突き付けて圧迫すると、金委員長が瞬間的に中途半端な顔をして当惑したという。

 金委員長は米国が寧辺の核施設廃棄だけでもオーケーと受け入れると本当に思っていたのか。隠ぺいしている第3の核施設に対して追及される場合にはどう対応するべきか。会談に臨む準備が真剣にできてなかったように思える。

 トランプ大統領は金委員長に、米情報当局が把握した北朝鮮の秘密核施設の情報を、場所と規模だけでなく、稼動時期と運営実態など北朝鮮が否定できない"スモーキング・ガン"を示した可能性が高いということだ。

 ある情報当局者は、「トランプ大統領が平安南道降仙(カンソン)核施設など北朝鮮が民需用工場に偽装したウラン濃縮施設の核物質生産証拠と生産量推定値、核物質の移動経路、保管場所まで取り上げた可能性がある」と述べた。

 今後、3回目の首脳会談が行われるとすれば、金委員長がこの第3の核施設を果たして認めるのか、注目される。

 北朝鮮は会談が何の成果もなく終わったことに戸惑ったのか、外務省の崔善煕外務次官は会談当日の深夜時間に記者たちに、今回の会談で北朝鮮は「寧辺の核団地全体、その中に入っているすべてのプルトニウム施設、すべてのウラン濃縮施設を含むすべての核施設を丸ごと米国専門家の立ち会いの下で恒久的に戻すことができないように廃棄するという提案をした」、「まだ寧辺の核施設の全体を廃棄対象にした歴史がない」とし、大きな決断だったということを必死に説明し、強調した。

 崔次官は寧辺の廃棄が大きい決断だったという説明に止まらず、「(金委員長が)新年辞で(米国の)相応の措置がなければ、新しい道を探るという立場も示したので、これからは本当に何かでもならなければならないと考えている。今回の米国側の反応を見て多くのことを考えている」と述べた。

核技術などを(第三国に)移転する
 ここで「新しい道を探る」という言葉は、「核技術などを(第三国に)移転することもあり得るという意味」(太元公使の記者会見での推論)だろう。

 北朝鮮は外国での首脳会談の場でも脅迫の言葉を言わなければならないほど、制裁の圧迫を受けているということが今回の会談で金委員長の焦りからよくわかった。北朝鮮の完全な非核化への道は、制裁しかないということを再確認したのが会談の成果だったのかもしれない。

 韓国外交部(省)の北朝鮮核担当大使を務めたイ・ヨンジュン元大使は、1月末に発行した『大韓民国の危険な選択』という本で、「寧辺の施設は効率性も落ち、古鉄の水準なので、現在は大きな意味のない付随的な施設に過ぎない。1990年代に北朝鮮の核問題に関与した人々は、北朝鮮が寧辺核施設を廃棄するという言葉に感激したかもしれないが、今やこの施設は北朝鮮の核問題の中核争点とは大きくかけ離れた"核開発の歴史博物館"にすぎない」と指摘した。

また、「北朝鮮が現在、核兵器用の核物質を生産している中核施設は2000年代初めから秘密裏に建設してきたウラン濃縮施設だ。ウラン濃縮施設の高い秘匿性のため、どこにどのような規模の施設があり、その施設がどの程度稼働しているかは知る由もない。一つ確かなのは、そこから毎日生産される核物質の量が寧辺核施設とは比較にならないほど多いという事実だけだ」と明らかにした。

 李元大使は、「国連の対北朝鮮への制裁緩和、在韓米軍削減のような譲歩の見返りに寧辺核施設廃棄を得るとすれば、そうした交渉は韓国と米国の立場では『完全な失策』であり、『最悪の結果』だ」と主張した。

 ところが、今回の会談に臨んだトランプ氏の参謀らのうち、誰も会談決裂に対して憤る姿を見ることができなかった。ほとんど不満も表してなかった。「参謀たちは、モメンタムを活かして交渉を続けていくという意志が強かったし、早い時期に交渉再開を希望していた」(韓国の高官)。

 決裂後のトランプ大統領も平気な様子だった。彼が北朝鮮の核交渉で急がない姿は、北朝鮮との"核会談"をトランプ自身の大統領選挙の再選に用いた戦略かもしれないと一部で提起している。つまり、大統領再選の当選のために非核化の談判を急がない恐れもある。

 そのような意図で、トランプ大統領は以前から「急ぐことはない」と何回も話しているのかも知れない。もちろんその言葉は、交渉の成果がすぐ出ないから世論を抑えるためや金委員長を圧迫する意味もだろう。大統領選挙に近い時期に北朝鮮の非核化の成果を出すことができれば、大統領選挙の広報材料として、ずっと有利に使うことができるたからだ。そんな切り札を早く使う必要はないということだ。

 米議会でのマイケル・コーエン氏の聴聞会など米国内の政治状況を考えれば、トランプ氏の大統領の再当選は切実になるかもしれない。いまの大統領任期4年が終われば、裁判になる可能性についても言われているが、大統領に再選して任期がもう4年プラスになると、公訴時効が終わるからだ。そういう意味で北朝鮮との核交渉があまり早く進展してしまうのも喜ばしくないだろう。

韓国の大統領府(青瓦台)の後続の構想も、大幅に修正
 一方、焦る側は北朝鮮だけではないだろう。ハノイ会談が手ぶらで終わり、韓国の大統領府(青瓦台)の後続の構想も、大幅に修正せざるを得なくなった。3月末か4月初めに予想されていた金委員長のソウル答礼訪問も"視界ゼロ"になった。制裁緩和がまったく進展せず、金委員長がソウルに来ても成果を得ることが難しくなったためだ。

 ある対北朝鮮消息筋は、「ハノイで米国に少なくとも南北経済協力などに対する一部の制裁の解除を受け、ソウルに来て実質的な経済協力方案を協議するのが金委員長の構想だったはずだが、すべて台無しになった」と述べた。

 一部では、文大統領と金委員長の昨年5月と同じように板門店での日帰りの南北会談が再開されたり、南北首脳間の「ホットライン」が初めて稼動する可能性もあるという見方も出ている。当初、青瓦台は「ハノイ談判 → 金委員長のソウル答礼訪問 → 文大統領の訪朝」などを通じて本格的な南北経済協力に乗り出す計画だったが、相当原点から見直さなければならない状況になったのだ。

 最悪の就職率と経済不況で、文大統領に対する20代の国政支持度は下がり続けている。唯一支持を得ている部分が南北関係だ。ところが、南北経済協力も国連の制裁事項の範囲内であるため、構想どおりに実行できないのだ。ジレンマに陥るのは金正恩委員長だけでなく、青瓦台も同様だ。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15533
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/601.html

[国際25] トランプ政権、インドを攻撃−中国に対抗する同盟国に冷や水 トランプ背を向ける中国ディール トランプ1000億ドルの男に 
トランプ政権、インドを攻撃−中国に対抗する同盟国に冷や水
Iain Marlow、David Tweed
2019年3月6日 4:04 JST
インドを一般特恵関税制度の対象から除外へ、6400億円相当に影響
総選挙控えるインド、反政府勢力が勢いづく可能性も
トランプ米大統領はインドに貿易問題で圧力をかけようとしている。インド政府に対する威嚇の可能性もあるが、タイミングが悪く、広範囲にわたる政治的な悪影響を招く恐れがある。

  トランプ政権は4日、インドを途上国向けの一般特恵関税制度(GSP)の対象から外す意向を米議会に伝えた。インドはGSPで最も大きな恩恵を受けており、対象外となれば総額57億ドル(約6400億円)相当の品目に影響が及ぶ。

PHILIPPINES-ASEAN-SUMMIT
トランプ米大統領(右)とインドのモディ首相bloomberg
  影響を受けるのはインドからの輸入品の一部にすぎないが、インドは数週間後に総選挙を控える。パキスタンとの衝突を経て外交手腕と軍事力を選挙の売りにするモディ首相に冷や水を浴びせる形となり、米印関係が不安定化する可能性が高い。

  英キングス・カレッジ・ロンドンのハーシュ・パント教授(国際関係学)は、モディ首相が関係悪化を望まないとしても「インド国内の議論はこれまで、米国は中国への対抗上、インドを必要としているというものだった。それなのに米国はなぜ、インドにこのような仕打ちをするのかという疑問が浮上するだろう」と述べた。

  トランプ政権はインドに加え、トルコもGSPの対象から外す意向を表明した。こうした動きにより眠っていたインド国内の反米感情を呼び起こし、総選挙で反政府勢力を勢いづかせる公算が大きいと、パント教授は指摘した。

原題:Trump Attacks India on Trade as U.S. Seeks Its Help on China(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-05/PNWL15SYF01S01?srnd=cojp-v2

トランプ氏は背を向ける、中国とのディール完璧でなければ−国務長官
Chibuike Oguh
2019年3月6日 2:05 JST
トランプ米大統領は中国との通商協議で「完璧なディール」を確保できない限り、合意に背を向ける構えだと、ポンペオ国務長官がシンクレア・ブロードキャスト・グループとのインタビューで語った。米国務省が5日、インタビューの記録を公表した。

  ポンペオ長官は中国とのディールについて、「うまく行かないのであれば、われわれは声高に抗議を続ける」と発言。「われわれは正当な結果を得るつもりだ。私はそれを確信している。私は中国との通商交渉に携わっており、状況は良好にみえる」と述べた。

原題:Pompeo: Trump Will Walk Away From China Deal Unless It’s Perfect(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-05/PNWJKK6JTSED01?srnd=cojp-v2


トランプ氏、「関税の男」から「1000億ドルの男」に−6日貿易統計発表
Shawn Donnan
2019年3月6日 11:10 JST
2018年の米貿易赤字、6000億ドルを上回る見通し
大統領就任後の2年間で赤字が1000億ドル強拡大したことを意味
トランプ米大統領は昨年12月、自分は「タリフマン(関税の男)」だと述べたが、このまま行くと「1000億ドルの男」になりそうだ。

  昨年11月までの傾向が続き、エコノミスト予想が正しければ、6日に公表される米貿易統計が示すモノとサービスの昨年1年間の貿易赤字は6000億ドル(約67兆円)を上回る見通し。これはトランプ大統領就任後の2年間で米貿易赤字が1000億ドル強拡大したことを意味する。

  またトランプ大統領自身の指標を使えば、米国の暮らし向きは政権発足直前の2016年末から20%悪化したことになる。

  エコノミストは米貿易収支の問題に深く立ち入るのを好まない。貿易収支は概して会計上の目安であり、経済の健全性とは反対の方向に動くこともままある。

The $100 Billion Man
U.S. trade gap on track to rise by that amount in Trump's first two years


Note: 2018 est. is based on Bloomberg survey of economists for Dec. deficit

Source: U.S. Commerce Department

原題:Tariff-Man Trump to Preside Over $100 Billion Jump in Trade Gap(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-06/PNX8DG6TTDS301?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/602.html

[国際25] 欧州マネーロンダリング疑惑、オーストリア・オランダ大手銀に飛び火 ロシアの犯罪活動による資金洗浄への警告を無視 
欧州マネーロンダリング疑惑、オーストリア・オランダ大手銀に飛び火

Kati Pohjanpalo、Frances Schwartzkopff、Boris Groendahl
2019年3月6日 4:15 JST

ライファイゼンは一時15%安、資金洗浄の警告を無視と伝わる
オランダ大手3行、ロシア投資銀経由で疑わしい資金扱う−オランダ

不正なロシア資金などのマネーロンダリング(資金洗浄)に関与したとされる銀行がまた増えた。金融危機からの回復途上にある欧州金融業界で、疑惑が拡大している。

  デンマークのダンスケ銀行とスウェーデンのスウェドバンクが端緒となったマネロン疑惑は、今週に入りオーストリアのライファイゼン・バンク・インターナショナルとオランダの上位3銀行にも飛び火した。

  ロシアのプーチン政権と敵対する投資家ビル・ブラウダー氏率いるエルミタージュ・ファンドはライファイゼンに対し、ロシアの犯罪活動による資金の洗浄をやめるよう促す警告を複数回送ったものの無視されたと明らかにした。オランダ誌フローネ・アムステルダマーによると、同国のラボバンク、ABNアムロ、INGグループはいずれもロシアの投資銀行トロイカ・ディアローグが絡む取引を通じ、疑わしい可能性のあるロシアの資金を扱っていた。

  ライファイゼンはこの疑惑に対する調査を開始したと回答。ABNアムロ広報は、疑惑の取引をしていた部門は2008年2月に英銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)に買収されて法的責任はRBSに移ったとし、現在のABNは当時と全く別の法人だと説明した。ラボバンクとINGはコメントを控えた。

  これを受けて5日の株式市場では、ライファイゼンを筆頭に欧州の銀行株が下落。ライファイゼンは一時15%値下がりした。

Bank Stocks Suffer
European banks drop amid laundromat allegations, Nordea rebounds


Source: Bloomberg

Data shows biggest intraday drop or gain for the share

原題:Widening Russia Money Laundering Scandal Hits European Banks (3)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-05/PNWLED6K50XV01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/603.html

[不安と不健康18] 捏造事件に騒然! ネイチャー論文に画像加工疑惑  捏造を指摘した研究者コミュニティと素通りさせた当事者の構造 
捏造事件に騒然! ネイチャー論文に画像加工疑惑
捏造を指摘した研究者コミュニティと素通りさせた当事者の構造
2019.3.6(水) 小谷 太郎
なぜ論文の捏造は止まらないのか。
(小谷太郎:大学教員・サイエンスライター)

 先日2019年2月20日、科学誌『ネイチャー』が1篇の論文の撤回を発表しました。

 2018年9月5日に発表されたこの論文は、脳腫瘍(しゅよう)の免疫療法を開発したと主張するもので、これが本当なら何万もの患者を救う朗報です。開発の主役は、「エジプト小児がん病院57357」のヘバ・サマハ氏という女性研究者です。

http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/3/1/300/img_3156cc327c525118c8b338ed412af10512602.jpg
筆頭著者のヘバ・サマハ氏(左)と、共著者のひとりのナビル・アーメド博士(右)。 By courtesy of Baylor College of Medicine.

 しかし発表から6週間後、この論文への疑惑があるサイトに投稿されました。画像がコピペと加工で作られているというのです。加工の指摘はあちこちから相次ぎ、論文の画像のほとんどがフォトショップを駆使した「労作」であることが明らかになってしまいました。

 指摘を受けた共著者たちは論文の撤回に同意しましたが、ひとりヘバ・サマハ氏だけは同意しませんでした。

 この何だかどこかで見たような事件は終わったわけではなく、まだ調査が進行中です。

 小保方晴子元理研ユニットリーダーによるSTAP細胞事件から5年経った現在、科学という業界は捏造論文にどのように対処しているのでしょうか。STAP細胞騒動の教訓は果たして生かされているのでしょうか。

がんの免疫治療とは
「免疫治療」はがんの新しい治療法として期待されています。さまざまな手法が提案されていますが、その基本は、体内の免疫細胞(キラーT細胞など)にがん細胞を攻撃させる、というものです。

 異常をきたした細胞は、多くの場合、体内の免疫機構に感知され、攻撃を受けて殺されます。けれどもがん細胞は、免疫機構の攻撃を免れる何らかの術(すべ)を身につけています。そのため、体内でぬくぬくと増殖することができ、病変を引き起こします。体内で絶えず発生する無数の異常細胞のうち、そういう術を獲得した細胞だけががん細胞になれるのです。(がん細胞は、アポトーシス(細胞の自殺)機構を無効にするなど、他の条件もいくつか満たさなければなりません。)

 免疫機構を無効にするがん細胞の術を、さらに無効にするのが免疫治療です。

 その方法のひとつは、薬によって、がん細胞が免疫機構の抑制に利用する分子を阻害するというものです。この手法を開発した本庶佑・京都大学高等研究院特別教授とジェームズ・アリソン「アンダーソンがんセンター」教授は、2018年のノーベル医学・生理学賞を受賞しました。

ヘバ・サマハ氏の脳がん免疫治療法
 2018年9月5日、本庶特別教授とアリソン教授のノーベル賞受賞の少し前、また別の免疫治療法がヘバ・サマハ氏らによって発表されました。

 ネイチャー誌(9月20日号)に掲載された『治療用T細胞を標的の脳腫瘍に誘導する方法』という論文(現在は撤回)*1は、「グリア芽腫」などの脳腫瘍に有効だといいます。

*1:https://www.natureasia.com/ja-jp/nature/pr-highlights/12676

 脳腫瘍は免疫治療が困難な種類のがんです。

 脳は体内で特別厳重に守られている場所で、たとえ細菌やウイルスに体が冒されているときでも、たいていの細菌やウイルスは脳に侵入できません。血液に潜入した病原体が脳内に入ろうとしても、血管と脳細胞を隔てる「血液脳関門(blood-brain barrier)」というたいへん格好いい名前の壁に阻まれます。体内で細菌やウイルスが暴れまわり、体がせき込んだり腹を下したり発熱したりしていても、脳は(たいていの場合)無事です。

 このバリアーは細菌やウイルスを防ぐばかりでなく、キラーT細胞などの免疫細胞も普段は通しません。そのため、脳腫瘍に免疫細胞が到達できず、免疫治療が難しいのです。

 ところがサマハ氏の開発した「誘導攻撃システム(Homing System;HS)」は、脳腫瘍を攻略可能です。

 サマハ氏の手法では、キラーT細胞を取り出し、遺伝子操作を施して誘導攻撃用に改造し、体内に戻します。すると、改造キラーT細胞はHS-CD6という改造タンパク質分子を用いてバリアーにくっつき、自分の体をめりめりと変形してバリアーの隙間に押し入り、改造抗原レセプター分子を用いてがん細胞を捕まえ、攻撃します。なんだかどこかのキャメロン監督映画の戦闘シーンのようです。

 発表によれば、この誘導攻撃システムの改造キラーT細胞は、すでにマウスの脳腫瘍の治療に成功したといいます。これがヒトにも応用できれば、治療の難しい脳腫瘍に苦しむ何万もの患者が救われるでしょう。

画像加工発覚
 発表から6週間経った2018年10月18日、「PUBPEER」というインターネット掲示板に、この論文への告発*2が投稿されました。

*2:https://pubpeer.com/publications/D569C47E7BE09AD9D238BA526E06CA

 PUBPEERは科学論文を話題とする主に研究者向けの掲示板で、ここへは捏造の指摘が時おり投稿されます。(STAP細胞論文の際も、発表の1週間後にはこのサイトで図の加工が指摘されました。)

 しかし今回指摘された、サマハ氏の論文の画像加工は、実に驚くべき量です。百聞は一見にしかず、下のリンクをいくつかクリックして御覧ください。

https://images.pubpeer.com/qD7vz2qpJxgDhSDAZYDIUmGtxdXXJ1tC-bZyQJOcRh8/resize:fit:705:705:0/aHR0cHM6Ly9wdWJwZWVyLmNvbS9zdG9yYWdlL2ltYWdlLTE1Mzk2NjM0NjY1MTAuanBn.jpeg

https://images.pubpeer.com/XYc_HXDnnRV6KS2jrFP1hEmKJkrMTzloJBjxbkT7GKI/resize:fit:705:705:0/aHR0cHM6Ly9wdWJwZWVyLmNvbS9zdG9yYWdlL2ltYWdlLTE1Mzk2NjM0OTQyNDkuanBn.jpeg

https://images.pubpeer.com/VDRP2N6K-SP2idmzIYyVh-gRh4oRUvI7OHBij28Jn2k/resize:fit:705:705:0/aHR0cHM6Ly9wdWJwZWVyLmNvbS9zdG9yYWdlL2ltYWdlLTE1Mzk2NjM0OTY4NzYuanBn.jpeg

https://images.pubpeer.com/pY9wrjXFJ7TbT_LeZELtQ8hzI9NVhJlw79fOpiNTeXU/resize:fit:705:705:0/aHR0cHM6Ly9wdWJwZWVyLmNvbS9zdG9yYWdlL2ltYWdlLTE1Mzk2NjM0OTk1MjAuanBn.jpeg

https://images.pubpeer.com/awnu0xBTDXkqPAdOPcyWBJo8b8Pgr63EpSIVzq6Iiz0/resize:fit:705:705:0/aHR0cHM6Ly9wdWJwZWVyLmNvbS9zdG9yYWdlL2ltYWdlLTE1Mzk2NjM1MDI2NzAuanBn.jpeg

https://images.pubpeer.com/0glledLd6kKRu2isL9fNVslcF0DkeJX4THHR3rUSJ10/resize:fit:705:705:0/aHR0cHM6Ly9wdWJwZWVyLmNvbS9zdG9yYWdlL2ltYWdlLTE1Mzk2NjM1MDUyNTcuanBn.jpeg

https://images.pubpeer.com/8C-nAiLuASn9vSQw8sbHzOgEmIOfwYFkBm-DqyhkyHQ/resize:fit:705:705:0/aHR0cHM6Ly9wdWJwZWVyLmNvbS9zdG9yYWdlL2ltYWdlLTE1Mzk2NjM1MDc3MzEuanBn.jpeg

 御覧のとおり、誘導攻撃論文の図は、ほとんどがコピペと切り貼りでできています。それも、同じ論文中のすぐ隣の図からのコピペです。よく言えば大胆不敵、悪く言えば稚拙(ちせつ)で杜撰(ずさん)です。隠そうとする意志すら感じられません。(筆者は学生のレポートを採点して、写しやコピペを見つけたこともありますが、ここまでひどい例はちょっと思い出せません。)

 画像加工は上記で全部ではありません。この指摘を皮切りに、PUBPEERにはこの論文の画像加工の指摘がどんどん集まりました。もう無事な図はほとんど残ってないありさまです。

 騒動を受けて、ネイチャー編集部は2018年10月25日に、この論文のデータは批判を受けていて、現在調査中であると注意喚起しました。

 2019年2月20日、共著者の同意に基づいて、論文は撤回されました*3。共著者のうち、サマハ氏だけは撤回に反対しました。

*3:https://www.nature.com/articles/s41586-019-0967-z

まとめと提言
 この事件の全容はまだ解明されたわけではありませんが、この時点で推測できることを述べておきます。

1.これは高い確率で、ヘバ・サマハ氏による画像加工であり、科学論文における不正行為でしょう。画像の取り違えやデータ処理のミスは考えにくいです。

(発覚後、捏造者たちは口をそろえて、捏造ではなく単なる取り違えやミスであり実験結果は本物だと主張しますが、本物のデータや試料を提出することができません。)

2.科学論文の捏造のほとんど全てのケースは、「単独犯」によるものです。今回も、おそらく共著者や共同研究者や研究機関は「無罪」でしょう。

(もしも共著者が途中で不正行為に気づいたら、行為に荷担するよりも、共同研究をやめて別の論文の共著者になる方が、共著者にとっては合理的な選択です。)

3.このあからさまな画像加工について、共著者や論文査読者や編集部は「指摘されるまで気づかなかった」と答えるでしょう。そしておそらくそれは本音でしょう。

 多くの捏造事件で、共著者や共同研究者は、不正行為や画像加工に気づかなかったと述べます。それにはふたつの理由があります。

 ひとつは、当然のことながら、途中で気づかれたらその論文は発表されないからです。世の中には、共著者や共同研究者によって未然に防がれた捏造事件が多くあるものと推定されます。私たちの目に触れるのは、共著者や共同研究者が気づかなかった不正行為に限られます。

 あからさまな画像加工などに共著者や共同研究者が気づかないもうひとつの理由は、人間には幼稚で稚拙な嘘にころっと騙される性質があるからです。捏造者を天才研究者だと思い込んだ共同研究者や論文査読者は、ありえないような見事なグラフや画像を見せられても、それを疑うことができないのです。STAP細胞事件、ベル研事件、旧石器捏造事件などの数々の例がそれを示しています。

 ただし学術誌の編集部は、投稿論文の不正行為を見抜くことは可能であり、見抜く努力をすべきでしょう。画像加工の機械的なチェックを行なえば、不正行為の多くが検出できます。捏造論文の掲載は編集部の怠慢であり、掲載の責任を取らなければならない、と筆者は考えます。

 提言ですが、学術誌や学術出版社などの編集部は、投稿論文の学術的な査読とは別に、その論文の画像加工や文章の剽窃などの不正をチェックする仕組みを設けるべきでしょう。共著者や査読者は論文が学問的に確かかどうかを保証し、コピペの有無はコピペ発見の専門家が見る分業体制のほうが、捏造論文をリジェクトするのに有効です。学問の専門家に、同時に詐欺や不正についての専門家になるように期待するのは、無理というものです。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55654
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/722.html

[経世済民131] 崩壊に向かう日本の「終身雇用」 迷走する日本の「働き方改革」への処方箋 日米貿易協議、為替条項焦点ー輸出と相関薄れ財務官
 
崩壊に向かう日本の「終身雇用」

迷走する日本の「働き方改革」への処方箋(6)
2019/03/06

立花 聡 (エリス・コンサルティング代表・法学博士)

 日本は資源国ではない。胡坐をかいているだけでは食べていけない。日本人には勤勉要件を課されている。勤勉でさえあれば、将来という「約束手形」が保障されている。(参照:日本人に襲いかかる「経済的不安」の正体とは?)。しかしながら、バラ色の時代は終わった。


iStock / Getty Images Plus / tiero
ジャパン・アズ・オンリーワン
「約束手形」制度とは、将来の分配に供される資源が保障されていることを前提としている。この前提が崩れると、手形の現金化が難しくなり、「約束手形」の不渡りリスクが高まり、日本社会で善とされる「安全」や「安心」も毀損される。ところが、世界を見渡しても、「約束手形」制度がある特定の時期に成功を収めたのは日本くらいしかないことが分かる。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」ではなく、「ジャパン・アズ・オンリーワン」なのであった。

 私はアジアで長く経営コンサルタントの仕事をやってきたが、こんな制度を見たこともない。現地の人に聞いても、「約束手形」によって将来が保障されるなど想像すらできないし、たとえそれがあっても絶対に信用しないというのである。

 しかし一方では、非常に面白いことに、現地に進出した多くの日系企業は、日本本社の人事制度をそのまま持ち込んで使っているのである。つまり日本型の正社員終身雇用制度もどきの「約束手形」制度を現地で実施しているということだ。

 私はそうした日系企業の日本人経営トップにいつも少々意地悪な質問をする。「貴社は日本以外の海外拠点でも、終身雇用制度なのですか」。すると、十中八九は答えないか、言葉を濁すかで逃げるのである。そこでさらに掘り下げる。「海外で終身雇用をやってもいいのですか」……。さすがにこれ以上続けたら、敵視されかねないので、この辺で打ち止めにする。

 現地の雇用慣習はさておき、日本企業をはじめとする外国企業に限っていえば、途上国や新興国に工場をつくって操業したり、製品を販売したりするのは、安い人件費や市場のポテンシャル目当てであろう。状況が変われば、次の地域へ移動する。というのも、フロンティアを求めるのが資本主義の本質であるからだ。このような流動性を前提に終身雇用云々を語れるはずがない。そこで日本型の正社員終身雇用制度を導入したところで、高い確率で問題になる。ときには深刻な問題が起こる。

「終身雇用制度もどき」の災い
 日本型の終身雇用制度には3つの大きな特徴がある――。解雇しない(できない)こと、定期昇給(昇格)をすること、定年退職金が出ること。

 アジアなどの海外、特に新興国や途上国に進出した日系企業のほとんどは、現地で解雇しないことと定昇することの2項目だけは忠実にやっている(欧米企業よりはるかに温情的な雇用政策を取っている)ものの、退職金を出す企業は皆無に近い。なぜなら、現地拠点は一種の時限措置としての出先に過ぎず、いつその国から出るか、次はどこに移るかも分からないからだ。むしろこれは至極真っ当な経営判断ではあるが、問題は3分の2しかやっていない不完全終身雇用制度が引き起こす副作用にある。

 たとえばアジアの場合、ほとんどの国では慣習的な終身雇用制度がなく、その代りに法制度による厳格な解雇制限(シンガポールや香港などを除外)が課されている。これは日本の終身雇用と本質的な違いがある。生涯視野の「約束手形」ではなく、強制された「現金取引」に近い雇用関係なのである。

 さらにいえば、現地人従業員はこの点についてもよく理解している。彼たちはあえて日系企業に終身雇用の問題を提起しない。とりあえず目先の3分の2でも制度もどきでもいいから日本型終身雇用の「現物(現金)特典」を享受しながらも、「約束手形」にはかけらほどにも期待していないのである。

 一方で、日本人経営者だけは蚊帳の外に置かれ、「現物特典」を年々積み上げ、従業員の既得権益を肥大化させながらも、賃金支払額と生産性が乖離する年長従業員、特にそのうち一部モンスター化した従業員や管理職を目の当たりにしても、なす術がない。

 海外との対比事例から、日本型の終身雇用を中核とする「約束手形」制度の特異性が明らかになり、日本の常識が世界の非常識であることが示された。

日本の終身雇用の本質とは?
 法律上における「終身雇用」とは何を指しているのか。これを理解するために、海外の労働法令と比較してみよう。

 まず、日本の「労働基準法」第14条第1項「労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える期間について締結してはならない」

 次に、中国「労働契約法」第14条「無固定期間労働契約とは、雇用単位(訳注:使用者)と労働者が終了の時の確定がない旨を約定する労働契約をいう」

 最後にベトナム「労働法」第22条第1項a号「無期限労働契約とは、当事者双方が契約の期間および効力を終了する期限を確定しない契約である」

 この通り、日中越の労働法においていずれも、「終身雇用」という概念が使われていない。「終身雇用」は法的概念ではない。どうしてもというのなら、「終了の時(期限)の確定がない雇用」、あるいは「期間の定めのない雇用」である。つまり、「無期雇用」のことである。

 中国やベトナムの無固定期間や無期限労働契約は、雇用期間の長短という「量」の次元にのみ明示規定されている。これに対して、日本の場合は、雇用期間の長短という「量」に関係なく、企業と従業員の終身における「心理的契約」という「質」の要件が黙示されているのである。つまり雇用終了の出口(通常、定年退職を指す)について心理的な契約によって「約束手形」たるコミットメントがなされているのである。

終身雇用制度が崩壊したとき
 高度経済成長とバブル期を経て、今日の日本では、「約束手形」の現金化はすでに資源や財源が不足する状態になっている。その解決策というと、終身雇用制度に終止符を打つという選択肢がまず浮上する。

 実際に昨今の日本では、終身雇用制度ははたして機能しているかというと、結論的には「崩壊しつつある」よりも、一部の企業ですでに「崩壊している」様相を見せている。就業規則上では定年60歳となっているが、業績悪化を受けて早期退職や希望退職を募るケースは年々増加の一途をたどっている。いずれも「約束手形」の財源不足に起因する不本意な措置とみていいだろう。

 リストラ、あるいはリストラに近い非自発的な退職は日本社会でまだまだ、ネガティブに捉えられている向きが強い。社会全体に転職に有利なシステムも整備されていない。転職率は欧米に比べると低く、1つの企業に長期にわたって勤務し続けるという働き方を好む人が大多数である。このように、現時点では終身雇用制度の完全崩壊について、日本人は心の準備ができていないといってもいいだろう。

 そもそも、終身雇用制度の完全崩壊とはどんな状態なのか。単純化してしまえば、正社員制度の崩壊、つまり1億総非正規雇用化である。日本人は親しみのない完全競争社会に放り込まれ、日本社会の普遍的価値観に照らして善とされない「弱肉強食」現象と共存していかなければならなくなる。

 私自身も日系企業から欧米系企業への転職経験をもっている。欧米系企業に入った当初の1年は地獄のような世界だった。上司には即時成果の提示を迫られる一方、先輩はまったく仕事を教えてくれない。温情あふれる日系企業とサバイバル重視の外資、対照的な職場にストレスを感じずにはいられなかった。

 終身雇用制度の完全崩壊とともに、日本社会にこのような競争メカニズムが果たして定着するのだろうか。

<第7回へ続く>
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15541


 

日米貿易協議、「為替条項」の扱い焦点にー輸出と相関薄れたと財務官
占部絵美、竹生悠子
2019年3月6日 5:00 JST
生産拠点の海外移転や部品の現地調達率上昇で地産地消が進展
米側は為替条項にこだわる可能性高く金融政策に縛りも−ニッセイ研
米中貿易協議で通貨安誘導を封じる為替条項を含めた合意に向け大詰めの交渉が続く中で、日米貿易協議の議題を巡り為替条項の扱いが重要な焦点として浮上している。

  米国は対日貿易赤字削減のため為替問題を対象に含めるよう求める見通しだが、日本政府は為替については財務相間で議論することで首脳同士が合意済みとして取り上げない構え。安倍晋三政権が物品貿易協定(TAG)交渉と呼ぶ今回の貿易協議で為替問題を除外する論拠の一つとなり得るのは、日本企業の生産拠点の海外移転が進み、為替変動と輸出数量の相関関係が薄れている実態だ。

為替と輸出数量の相関薄れる
  財務省の浅川雅嗣財務官はインタビューで、「為替と輸出のパフォーマンスのリンケージは薄れており、ほとんど明確ではない」と説明。日米貿易協定内に為替条項を盛り込むといった「何らかの形で政策的にリンクさせるような話が持ち上がるとすれば、ちょっとしっくりこないところがある」と述べ、違和感を示した。

  ブルームバーグの試算によると、実質実効為替レートと輸出数量指数の過去10年(2009-2018年)の相関係数は0.01と、それ以前の10年間(1999−2008年)に比べて大幅に低下した。自動車を中心に生産拠点の海外移転や部品の現地調達率が高まり、地産地消が進んでいることが背景にある。経済産業省によると、16年度の製造業の現地生産比率は23.8%に達した。

  ブルームバーグの増島雄樹シニアエコノミストは、為替と輸出の相関関係がなくなっているとの主張は、「今の金融緩和は円安を通じて輸出を増やすためのものではないという論陣を張るため」の手段と解説。為替と輸出のリンクが切れているなら為替条項を入れても貿易収支は改善せず、「為替条項を入れる理論的根拠はなくなる」との見方を示す。

  昨年9月の日米首脳会談で交渉入りが決まった日米貿易協議は、米中協議の長期化で開始時期は未定だが、交渉責任者である茂木敏充経済再生担当相は今月1日、できるだけ早急に開始したいとの意向を表明。米国側トップのライトハイザー米通商代表部(USTR)代表はこれに先立つ議会証言で、3月中に訪日して協議を開始したいとした上で、為替は中国だけではなく日本との間でも深刻な問題になっていると述べ、為替問題を議題にする考えを示唆した。

企業利益は為替に連動する面も
  
  ムニューシン財務長官も昨年10月、今後の貿易協定では日本を含む全ての国に為替条項の適用を目指す考えを表明。米財務省は同月公表した半期ごとの為替報告書で、日本の監視対象国指定を維持した。USTRは昨年末に公表した日本との交渉に向けた基本方針に、為替操作の防止を求める方針を盛り込んでいる。

  日銀は昨年4月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、為替レートに対する輸出の感応度は2000年代半ばにかけて高まったものの、リーマンショック以降は急低下し、近年は影響を受けにくくなっていると指摘。黒田東彦総裁は先月の議会答弁で、「為替レートをターゲットにして金融政策は運営していない」とし、その点は米国を含めて各国からの理解が得られていると説明した。

  ニッセイ基礎研究所の上野剛志シニアエコノミストは、米自動車業界が米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)よりも強い為替条項を日本に求める中、他の中央銀行に比べて市場への関与度が高い日本との通商交渉では、「為替条項にこだわる可能性は高く、金融政策に縛りをかけるような要求をしてくる可能性もある」と指摘。日本から譲歩を勝ち取るため、「為替条項」が武器に使われることを危惧する。

2017年
1月 トランプ大統領、環太平洋連携協定(TPP)離脱の大統領令に署名
4月 麻生太郎副総理兼財務相とペンス副大統領、日米経済対話の初会合
2018年8月 茂木敏充経済再生担当相とライトハイザーUSTR代表による通商交渉開始
9月 日米首脳会談で「日米物品貿易協定(TAG)」交渉開始に合意
同交渉中は、日本車への追加関税適用は回避されることを確認
10月 USTRは対日通商交渉入りを議会に通知
12月 USTRが対日通商交渉の基本方針を発表
2019年2月 ライトハイザー代表は3月にも訪日し、初会合を開く意向表明
  慶応義塾大学の竹森俊平教授は、「金融政策の結果として為替が動くということは、金融政策の自由を認めてもらう限り、あって当然」とし、為替条項で金融政策の自由を縛ることになれば、リーマンショック後に未曽有の金融緩和をした「米国自身にも跳ね返る」と指摘。日本の場合は、「危機が起こると円高がいつ起こるか分からない」ため、事前協議付きの為替介入も含めて金融政策の「可能性を残しておくべきだ」と主張する。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-05/PNBLMW6K50XW01
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/393.html

[政治・選挙・NHK258] 混乱必至の愚策「キャッシュレス決済還元」の問題点 小手先のバラマキ政策で何が起きるのか? デフレ
混乱必至の愚策「キャッシュレス決済還元」の問題点
小手先のバラマキ政策で何が起きるのか?
2019.3.6(水) 森 一造

 このままいけば、今年(2019年)の10月から消費税が現在の8%から10%に引き上げられる“予定”だ。その際に5%または2%をポイントで還元する施策が打ち出される可能性が高まっている。このあたりはニュースでも報じられているから読者もよくご存知だろう。

 しかしこれが流通業をはじめ産業界に大きな混乱をもたらしている。軽減税率も愚策だが、ポイント還元はそれに輪をかけた愚策である。

「中小」かどうかをどこで線引きするのか
 政府が打ち出しているのは、中小の店舗で買い物をした際、クレジットカードや電子マネーなどキャッシュレスで支払った消費者に、買い物で使えるポイントを提供するというものだ。ポイント分は政府が補助する。期間は来年10月1日の消費税率引き上げ後から9カ月間。

 ここでまず問題になるのは、ポイントの還元率の決め方だ。「中小の小売店などでは5%、大手系列のチェーン店などでは2%」とされているが、そもそも「中小」という区分をどこで線引きするのか。

 現状、「中小」を規定する法律は中小企業基本法しかない。そこには小売業だと「資本の額又は出資の総額が5000万円以下の会社または常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人」と規定してある。しかし、スーパーマーケットでも、資本金5000万円以下で年商1000億円以上売っているチェーンが6社あるという。ヨドバシカメラも資本金5000万円以下で5000億円売っている。一部では年商100億円で線引きしようという意見もあるようだが、それでも混乱は免れないだろう。

 規模の大小にかかわらず、小売店は市町村区において個店同士で戦っている。どんな基準であれ、こういう杓子定規な線引きをすること自体、資本主義の原則である公平な競争ということからあまりにかけ離れていると言わざるを得ない。

ポイントのばらまきはデフレ政策
 なぜこんな話が突如出てきたのかといえば、経済産業省の割り込みだ。

 経産省としては、消費増税というタイミングを利用してキャッシュレス社会を推進しようという目論見がある。その目論見に、政権が乗った。政権は消費税増税に合わせて軽減税率を導入するが、それだけでは景気が沈滞する恐れがあるからだ。こちらは、増税で景気が低迷したという批判をかわそうという姑息な判断である。

 しかしこのバラマキ政策は確実に失敗するだろう。

 ポイントをばらまくのは一見インフレ政策に映る。しかし、明らかにデフレ政策なのだ。ポイントの還元率に差をつけるのは中小の小売を保護するための施策に映るが、3%の差となれば大企業は値下げで対抗するしかない。そんなことになれば、小売だけでなくメーカーから問屋にまで影響を及ぼすだろう。

キャッシュレス化は市場原理に任せよ
 このように、政府が行おうとしているのは、国民の税金を何千億もばらまいてデフレをもたらすという、愚策の中の愚策であるとしか言いようがない。

 公明党の支持母体である創価学会に配慮したとされる軽減税率にしても、軽減対象の線はどこで引いたところで不公平が残る愚策だが、その愚策が新たな愚策を呼んだ形になった。宅配の新聞が軽減税率の対象になったのも笑止千万だ。

 キャッシュレス化は社会の趨勢である。止めようとしても止められないし、無理に進めようとしても進められるものではない。適度に規制を緩めて放っておけば、市場原理が働いて最適化されていく。政府があれこれ手を出し口を出して進めるべきものではない。

 これ幸いと消費増税の機に便乗した経産省も、ポイント還元による何千億円の血税のバラマキでキャッシュレス化を進めようなどとは、二線級の発想もいいところである。そこには国家百年の計という観点がまったくない。霞が関はここまで軽薄になってしまったのかと嘆きたくもなる。

 個別に各論を言えばきりがないが、ここ最近の安倍政権の規制緩和については総論として評価してきた。しかし時折こんな愚策が混じる。それがこの政権を心底から信頼しきれない理由かもしれない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55614 
http://www.asyura2.com/19/senkyo258/msg/211.html

[国際25] 米朝首脳会談が決裂して米国で沸き起こる強硬論  反日煽る文在寅に関係修復は困難とみる米国 正論は自己検閲で日本語版のみ 
米朝首脳会談が決裂して米国で沸き起こる強硬論

2019.3.6(水) 古森 義久

「戦争への道」が開かれるシナリオを提示する専門家も


米朝首脳会談、合意なく唐突な幕切れ トランプ氏帰途に
第2回米朝首脳会談を終え、ベトナム・ハノイの空港で米大統領専用機エアフォースワンに搭乗するドナルド・トランプ大統領(2019年2月28日撮影)。(c)Saul LOEB / AFP〔AFPBB News〕

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩労働党委員長との会談は合意に至らず、交渉が中断した。この結果はワシントンで超党派の賛同を得ている。

 だが、今回の米朝首脳会談は事実上の“決裂”であり、北朝鮮の非核化に向けての今後の展望は生まれていない。その一方、米側の一部には、北朝鮮との外交交渉はもう無理だとして、制裁の再強化や軍事オプションを求める強硬論が出てきた。今後の米朝関係を左右するかもしれない新しい動きとして注視される。

「妥協しなかったことは正しかった」
 トランプ大統領はベトナム・ハノイにおける第2回米朝首脳会談で、金正恩委員長からの「寧辺の核施設の破壊あるいは査察と引き換えに経済制裁の解除を」という提案を断り、会議の席を立った。この結末は、ワシントンで日ごろトランプ政権に激しい非難を浴びせる民主党側からも同調や賞賛を得た。

 下院でトランプ糾弾の先頭に立ってきたナンシー・ペロシ議長(民主党)は、「金正恩氏が米国大統領と対等な国際的脚光を浴びたことは金氏の勝利といえそうだ」と金氏を持ち上げる一方で、「トランプ大統領が悪い取引に応じなかったことは正しい」と述べた。ペロシ議長がトランプ大統領の言動に前向きな評価を示すことはきわめて珍しい。

 また、上院の民主党院内総務のチャールズ・シューマー議員も、「トランプ大統領が単に大々的な写真撮影のために合意を成立させることを拒み、妥協しなかったことは正しかった」と語った。

 このようにトランプ大統領が北朝鮮の提案を退けたことは、最近のワシントンでは稀有なコンセンサスに近い賛同を得た。しかし、「北朝鮮の完全な非核化を実現する」というトランプ政権の公約が具体的に進展しなかったことへの批判は残っている。

金正恩氏、列車で帰国の途に ホー・チ・ミン廟を訪問後
ベトナム・ランソン省のドンダン駅で、列車に乗り込む前に手を振る、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(2019年3月2日撮影、資料写真)。(c)YE AUNG THU/AFP〔AFPBB News〕

「戦争への道」が開かれるシナリオ
 一方、今後の見通しに関連して注目されるのは、トランプ政権の周辺から軍事オプションを含む強硬論が出てきたことである。

 共和党保守派でトランプ政権に近いリンゼイ・グラハム上院議員は3月2日、「北朝鮮に対しては、もうこのまま元の外交交渉に戻るべきではない。とにかく北朝鮮の核兵器を全廃するために、外交交渉の失敗を前提として、軍事行動を含む新たな強制的措置を考える時がきた」と語った。

 米国では第2回米朝首脳会談の開催前から、今回の結果のような「決裂」や「中断」によってトランプ政権が非外交的な強硬路線に戻るという「最悪のシナリオ」を予測する向きもあった。トランプ大統領が「北朝鮮は、現在の外交交渉では結局完全な非核化には応じない」と判断した場合、「北朝鮮への制裁圧力を最大限まで強化する」もしくは「軍事手段を選択する」可能性が改めて現実味を帯びる、という見通しだった。

 たとえばマサチューセッツ工科大学核戦略専門のビピン・ナラン准教授は、事前に今回の米朝首脳会談の展望として、(1)北が完全非核化への明確な手段を宣言し、非核化が大きく前進する、(2)前回の会談のように曖昧な状態がさらに続く、(3)会談が事実上、決裂し、米朝両国が再び対決する──という3つのシナリオを公表していた。

 ナラン准教授は特に、米朝両国の相互不信の爆発の結果、交渉が「決裂」すると、「戦争への道」など恐ろしい可能性が高まる危険性を強調していた。

 2代目ブッシュ、オバマ両政権で北朝鮮担当高官を務めたジョセフ・デトラニ氏も、今回の米朝首脳会談の直前に、「米国側が北朝鮮を核兵器保有国としては絶対に受け入れず、『完全で検証可能な非核化』という最終目標を北朝鮮が認めない場合、深刻な事態が起きる」との見解を発表していた。「深刻な事態」とは、外交が破綻して対決が激化する、という意味である。

強硬論が出てきたという事実
 この種の予測や分析でとくに注目されたのは、歴代共和党政権でアジア安保関連の要職を務め、現在もトランプ政権に近いハドソン研究所上級研究員のパトリック・クローニン氏の見解だった。同氏は、今回の米朝会談が「行き詰まりか、唐突な失敗」に終わる可能性を指摘して、その場合のトランプ政権の新たな対応を述べていた。

 クローニン氏が説明していた、交渉失敗の場合のトランプ政権の新政策とは、以下のとおりである。

・北朝鮮が、米国の求めるCVID(完全で検証可能、不可逆的な非核化)には現状では応じないことが判明すれば、米国は外交、経済、軍事の各面で、強制力を伴う圧力的対策へと重点を移す。

・米国は北朝鮮との交渉を長引かせず、またCVIDの基本から後退せず、北朝鮮への軍事的な抑止力や防衛力を再強化する。

・米国は、北朝鮮の完全非核化の実現が確実となるまでは、北への経済制裁を続ける。北の出方次第では外交交渉を打ち切ることもためらうべきではない。

 そのうえでクローニン氏は、トランプ政権の再強硬政策として北朝鮮に対する「中期的な封じ込め」と「軍事的な抑止の継続」、さらに「最大限の経済制裁の保持」を提言していた。

 トランプ政権は公式にはまだ外交交渉の継続を求める姿勢を崩していない。しかし現実には北朝鮮側の外交協議を今後どのように進めるのかは不明のままである。この現状下でこうした強硬論が出てきた事実は重視せざるを得ないだろう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55660


 

反日煽る文在寅大統領に関係修復は困難とみる米国

2019.3.6(水) 高濱 賛

知韓派英ジャーナリストの正論は“自己検閲”で日本語版のみ

韓国「三・一独立運動」から100年、ソウルで記念日祝う市民
韓国ソウルで、日本統治時代の1919年に起きた「三・一独立運動」100周年の記念日を祝う人々(2019年3月1日撮影)。(c)Ed JONES / AFP〔AFPBB News〕

子供まで「イルボン」「パンデ」を連呼する異様さ
 日韓の「喧嘩」はとどまるところを知らない。日韓両政府もメディアも何とか米国を巻き込もうとしている。

 ともに「お前の言い分の方が正しい」と米国に言ってもらいたいのだが、米国にとって「日韓は東アジアにおける重要な同盟国」だけにどちらの肩を持つわけにもいかない。

 この点は前のバラク・オバマ政権だろうと、現在のドナルド・トランプ政権だろうと変わらない。米議会の議員たちも米メディアも同じだ。

 筆者は、日韓の現状について、東京とソウルに特派員として常駐したことのある2人の米国人ジャーナリストと話し合った。2人とも日韓問題には強い関心をもっている。

 1人をA(米主要紙記者)、もう1人をB(米主要テレビ記者)としておく。

 A氏はこう切り出した。

 「歴史認識を巡って日韓が国を挙げてやり合うことはこれまでにもあった。その都度何となく収まってきた。だが今回はちょっと様相が異なっている」

 「文在寅大統領が政権を取ったことで韓国では大文化革命が起こったような状況だ」

 これを受けてB氏はこうコメントした。

 「コリアンの反日機運は司法、行政、立法の三権にも伝染してしまって、ちょっと直しようがない」

 「メディアも濃淡はあるが、こうした民心を慮ってか、冷静な報道をしようとしない。大衆の間でも反日がまるでファショナブルなものになってしまった」

 「1960年代日本では小学生までが『アンポ(安保)』と叫べば、ほかの子供が『ハンタイ(反対)』と応じていた」

 「あの時の日本の一般大衆と同じで、今の韓国の子供も『イルボン(日本)』と言えば『パンデ(反対)』と答える。これを民心(Public Sentiment)とでも言うのかな」

 「文在寅大統領はそれを沈静化させるどころか、先頭に立って煽っている。日韓外交をこれからどうしようということは全く考えていないように見える」

 これが米国の「日韓オタク・ジャーナリスト」の率直な感想だ。

 2人とも濃淡はあるが、日本人も韓国人も好きだし、今なお筆者を含め日本人、韓国人とつき合っている。

韓国人にとって「四足獣の民心は法より上にあり」
The New Koreans: The Story of A Nation by Michael Breen Thomas Dunne Books, St Martin's Press, 2017
 在韓歴30数年の英国籍のジャーナリストが2月下旬になって脚光を浴びている。

 2年前に『The New Koreans: The Story of A Nation』(「新しい韓国人たち:一つの国家についてのストーリー)を著したマイケル・ブリーン氏だ。

 件の著書ではこう言い切っている。

 「コリアンは、民心とは四足獣だと思っている」

 「暴民政治を避けるにはこの四足獣を檻の中に封じ込めておかねばならない。『民心は法より上にあり』と本当に信じているからだ」

 同氏は現在ソウル在住。英アイレスベリー生まれで、エジンバラ大学大学院生の時に訪韓、その後1982年以降、「ガーディアン」や「ワシントン・タイムズ」など英米メディアのソウル特派員として健筆を振ってきた。

 ソウルの外国人記者会の会長を長年務めた。ロンドの英韓協会などに招かれて講演したこともある。

 同氏は2004年にも『The Koreans: Who They Are, What They Want, Where Their Future Lies』(韓国人たち:彼らは何者か、何を欲しているのか、彼らの将来はどうなるのか)という本を書いている。

 韓国に常駐する欧米ビジネス関係者に韓国人の風習、文化などを紹介する「バイブル」的存在だった。

 そのブリーン氏が2月25日付・保守系の「中央日報」日本語版で、2年前の本に書いていたことを繰り返したのだ。

 「韓国人は『民心は法よりも上にあり』と信じて疑わない」

 文在寅政権下の司法、行政、立法の長たちは「反日は民心」とばかりに反日を正当化している。ブリーン氏の指摘はまさにタイミングが良すぎるのだ。

「今の世代は金大中世代よりも日本に否定的」
 このインタビューでブリーン氏はさらにこう言い切っている。

 「(韓国人の歴史認識は)理解できるが、客観的なものではない」

 「(韓国は)韓国と日本が東アジアで自由市場経済民主主義の2か国という事実を受け入れることにも失敗している」

 「日本よりも中国が(韓国と)協力国とみるのは古代史的観点だ」

 「記者として取材してみると、金大中世代は(日帝強占期*1について)今と比べてそこまで否定的ではなかった」

 「ポスト金大中世代の方が(日帝強占期について)否定的になっている。(反日)教育のためだと考える。日帝強占期について(論ずること)は後回しにしなければならない」

*1=首都大学東京の鄭大均特任教授によると、「日帝強占期」(イルチェカンジョムギ)は日本が朝鮮を併合した1910年から1945年の35年間を指す。ワープロで「植民時代」とか「日帝時代」と打つと自動的に「日帝強占期」と転換されるという。

 「1998年に金大中大統領と小渕恵三首相とが『韓日パートナーシップ』を通じて韓日の全面的交流・協力の道を開いたことを高く評価する」

 「2006年に廬武鉉大統領が第2次大戦中の旧日本軍捕虜収容所で警備員として勤務していた韓国人戦犯を赦免したが、私はこの決定には否定的だ」

 「これは韓国政府による権限乱用だ。韓国人は善、日本人は悪という単純なものではない、より複雑なものだ」

 「『帝国の慰安婦』の著者、朴裕河・世宗大学教授を名誉棄損で起訴したのは反民主主義的な行動だ。この問題は(政治の場ではなく)『知識人同士の場』で扱うべきだ」

 「韓国人は自らのアイデンティティを抗日・反日の枠の中で模索することから抜け出すことだ」

 「現代の韓国人のアイデンティティは、いくつかの意味で、(韓国の民主主義が本格化した)1987年に確立し始めた」

 「民心をある種のリーダーとして考え、受け入れることこそが民主主義だと考えるのは民主主義に対する誤った認識だ」

 「民心は常に正しいとは限らない。もし正しくないのであれば、リーダーシップがこれに対抗すべきだが、(韓国社会は)そのようにはできてはいない」

英語版では見当たらないインタビュー記事
 最初にコメントしてくれた2人の米人ジャーナリストにこの記事を英訳して聞かせると、2人とも「模範的な対韓認識」と舌を巻いた。

 筆者も2人の米国人ジャーナリストもまず勘繰ったのは、このインタビュー記事は韓国語の本紙にも掲載されたかどうかということ。

 掲載されていたら文在寅大統領はじめ与党の政治家やジャーナリスト、一般大衆はどのような反応を示したのだろうか。

 同紙日本語サイトにその内容が転載された直後から日本語を読む人たちの間で大反響を呼んでいる。

 同記事には日本人(と思われる方たち)から多くのコメント*2が寄せられている。

https://japanese.joins.com/article/557/250557.html

*2=コメントの多くは「韓国では国民情緒が優先されるからなかなか冷静な判断ができない。そのことをブリーン氏もご承知のこと」「韓国紙の日本語版は日本人の感情に寄り添う記事を掲載していて気持ちが悪い」といったもの。

 この日本語版の内容と同じ記事を英語版で検索したが見つからない。

 中央日報にも問い合わせたが沙汰なし。アメリカ人ジャーナリストとも在韓米外交筋などを通じて調べてみたが、見つかっていないという。

 つまりこの記事は英語版には掲載されていないことが判明した。なぜか?

 ブリーン氏にこのインタビューでの生の発言を記録したトランスクリプトの提供をお願いしたが、本稿脱稿段階まで一切の連絡はない。

 同氏は現在「インサイト・コミュニケーションズ・コンサルタンツ」というPR会社を設立、経営しているのだから、メディアからの問い合わせには敏感なはずだと、思うのだが。

http://www.insightcomms.com/

韓国紙の日本語版は記事を政治的に取捨選択している?
 前述の米人ジャーナリストA氏がこの記事が英語版に掲載されていない理由についてこんな感想を述べた。

 「中央日報はサムスン系の保守中道の夕刊紙だ。左派の文在寅大統領の内政外交政策には批判的な論調を堅持している」

 「ブリーン氏はこれまで同紙に定期的に投稿してきている。したがって同氏が述べている主張は中央日報のそれと重なり合う部分があることは間違いない」

 「ここで同氏が述べたことは日本人にとっては聞こえのいいことばかり。だから編集者は英語版よりも日本語版に載せようと判断したのだろう」

 B氏はこうコメントした。

 「ブリーンという人物は不思議な人物で、かって統一教会支持者だった。確か統一教会の教祖、文鮮明師の伝記を書いたことがある。一時統一教会傘下の『ワシントン・タイムズ』にも記事を書いていた」

 「在韓欧米社会では一定の影響力を持ち続けているはずだ。これだけの露骨な文在寅批判を繰り広げている背景に何があるのか」

 ブリーン氏が2年前に書いた著書に以下のようなくだりがある。

 「韓国にとって、時として必要なのは多くの国民が望んでいること、正しいと信じていることに反して行動するだけの強いリーダーだ」

 文在寅氏が大統領に就任したのは2017年5月10日。ブリーン氏の著書が出た1か月後である。

 どうやら今の日韓関係は、単に政府間同士ではなく、メディアを巻き込んだ「心理戦争」に突入した感すらする。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55665
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/604.html

[政治・選挙・NHK258] 消費増税は景気後退させ物価を引き下げる可能性−原田日銀委員 長期金利が低下、日銀オペ金額が予想通りで安心感ー超長期も需要
消費増税は景気後退させ物価を引き下げる可能性−原田日銀委員
日高正裕
2019年3月6日 11:12 JST 更新日時 2019年3月6日 14:57 JST
前回増税より影響は「小さくなる」が「需要減少は物価を抑制する」
2%目標の長期的達成も困難になればちゅうちょなく緩和強める必要
日本銀行の原田泰審議委員は6日、甲府市内で講演し、10月に予定されている消費税率の10%への引き上げについて、景気を後退させ物価を引き下げる可能性があるとの見方を示した。

  原田委員は消費増税が「景気を後退させ、需要減が物価を引き下げる可能性がある」と述べた。引き上げ幅が2%と小さいことや軽減税率の適用、教育無償化などにより、2014年度の前回増税時より影響は「小さくなる」としながらも、「需要の減少は当然に物価上昇を抑制する」と指摘した。

  その後の会見では、前回の消費増税で景気は一時的に悪化したが景気後退には陥っていないため、今回の消費増税後も「景気後退になるとは考えてない」としつつも、「やはり大きな影響があるかもしれない」との見方を示した。その上で、消費増税の是非について「政府が必要な財政支出を得るためにやっていることなので、私の立場でどうこういうことはない」と語った。

  1月の輸出、鉱工業生産指数が大きく落ち込むなど、景気の先行き不透明感が強まっている。複数の関係者によると、日銀は14、15両日開く金融政策決定会合で、「総じてみれば着実な成長」が続いているとしている海外経済や、「増加基調」にあると判断している輸出、生産の現状判断を下方修正するかどうか議論する見通しだ。

  原田委員は「景気の下方リスクが高まっていることは事実」としながらも、「今、景気後退になるとは考えていない」と述べた。ただ、景気が悪化し物価が一時的ではなく下落するというリスクが顕現化すれば「必要な手段を取る」と言明。景気の悪化に対して金融政策で対応しなければならないということについて「政策委員の間に意見の不一致があるとは考えていない」と語った。

  講演では物価について、教育無償化や携帯電話料金の引き下げも「当然に2%の物価上昇率目標の達成を遅らすことになる」と指摘。足元の物価の停滞が予想物価上昇率の停滞をもたらし、「物価上昇をさらに遅らすというリスクはある」とした上で、景気が悪化し2%物価目標の長期的達成も困難になるようなことがあれば「ちゅうちょなく金融緩和を強めることが必要」と語った。

(3段落以降に会見での発言を追加して更新しました.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-06/PNX9EQ6KLVR401?srnd=cojp-v2


 
長期金利が低下、日銀オペ金額が予想通りで安心感ー超長期にも需要
船曳三郎
2019年3月6日 8:00 JST 更新日時 2019年3月6日 15:44 JST
債券相場は上昇。長期金利は再びマイナス圏に低下した。日本銀行が3月の運営方針を見直した残存5年超10年以下の国債買い入れオペの通知額が市場予想通りとなり、過度な減額への懸念が後退したため、買いが優勢になった。

新発10年物353回債利回りは、日本相互証券の前日午後3時の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)低いマイナス0.005%。朝方は0.005%に上昇して開始し、その後水準を下げた
新発20年物167回債利回りは0.44%、新発30年物61回債利回りは0.63%と、それぞれ1bp低下
長期国債先物3月物は前日比11銭高の152円62銭と、この日の高値付近で終了
市場関係者の見方
みずほ証券の上家秀裕債券ストラテジスト
5−10年オペは4700億〜4800億円の予想レンジを下回ると悪影響が大きいとの警戒もあったので安心感が出た様子。オペの結果から売り急ぐ姿勢も見られなかった
年度末に向けた需要が残っているのか30年や40年債がしっかりしており、明日の30年入札も相場の重しになっていない
ただ、日銀が調整しないと利回り曲線がブルフラット(平たん)化しやすい政策なので、今後も必要に応じてオペを減額するだろう
岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
20年債利回りは0.45%の節目が守られ、10年債は当面ゼロ%程度と予想。30年入札を巡っては利回り0.65%の節目が守られるか注目
3月は決算月で生命保険会社の買い入れが増える季節的な傾向もあり、債券相場に過度な懸念はいらないだろう
日銀買いオペ
残存5年超10年以下は前回4300億円から4800億円に引き上げ。月間では回数が1回減り、今回の金額が維持された場合は2300億円の減額
応札倍率は前回3.19倍から2.59倍に低下、平均利回り差マイナス0.004%
備考:日銀、5ー10年の買い入れ額4800億円提示ー月間で2300億円減額へ
備考:過去の日銀オペ結果一覧
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.145% -0.150% -0.005% 0.440% 0.630% 0.705%
前日比 横ばい -0.5bp -0.5bp -1.0bp -1.0bp -1.5bp
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-05/PNVVFL6JIJUQ01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/senkyo258/msg/230.html

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