歴史が証明、人は「バブルの欲望」に勝てない
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プレジデント 2015/11/11 12:15 ワカバヤシ エフエックス アソシエイツ代表取締役 若林栄四 構成=河合起季 撮影=大沢尚芳
■行きすぎると「神の摂理」が働く
株や不動産などが暴騰するバブルとその崩壊はなぜ繰り返されるのか。一般的には、貪欲に利益を追い求めて世界を駆け巡る国際マネーやヘッジファンドなどの強欲な面々のシワザと思っている人が多いかもしれない。
しかし、それは違う。人間の力で相場を動かしたり、バブルをつくるなんて不可能。すべては経済や相場の「波動」によって繰り返される。人間の欲望がなくならない限り、バブルはある一定の時間をおいて必ず発生する。
だから大事なのは崩壊後の対処法だ。その巧拙によって大恐慌を招くか小さな危機で収まるかといった違いが出てくるからだ。直近100年を振り返ると、最も大きな金融危機は1929年に米国で起きた株価大暴落。このときは米FRB(連邦準備制度理事会)がデフレに対して本来やってはいけない金融引き締め(金利引き上げ)を行い、世界大恐慌を引き起こした。その後、米国は大デフレに陥り、株価は3年後に約9分の1まで下落、暴落前の水準に戻るのに25年もかかっている。
とはいえ、中央銀行が自力で世界経済あるいは自国経済を危機から救うなんていうのは思い上がり。実は経済や相場の動きは星と同じように軌道が決まっている。波動の大きな流れはお金や人為では変えられない。波動によってある一定の時間が経過すると、何もしなくても危機から脱却できる。
金融危機は、人間の欲望が極限まで肥大化したときに起こる。日本のバブル崩壊直前には、ゴルフ会員権が数カ月で何倍にも値上がりするといったバカげたことが起きていた。それを「常識から見てオカシイ」と思わないところが問題。「早く買わなきゃ損! 」という欲望が理性を失わせ、多くの人が買いに走った結果、暴騰した。大多数の人間が最後には欲望に負けてしまう、というのが金融危機の本質だ。
資産価格が上昇すると、投資をしていた人はラクにお金が手に入る。だが、それは際限なく続くと思わないほうがいい。行きすぎると「神の摂理」が働き、必ずバブルは崩壊する。
日本はようやくデフレから抜け出そうとしているが、それはアベノミクスの効果でも何でもない。波動によって株価が上昇する時期に来ていた、ただそれだけのことだ。私の計算では、日本が本当にデフレを脱却するのは2016年前半。株価も本格的な上昇に向かうと見ている。
■繰り返される“バブル崩壊”
【1929〜33年】世界大恐慌。ニューヨーク株式市場の大暴落をきっかけに世界的な大恐慌に発展。
【1987年】ブラックマンデー。ニューヨーク株式市場で原因不明の大暴落が発生、史上最大規模の世界同時株安に。
【1990年】日本のバブル崩壊。89年12月29日に日経平均株価が史上最高値を記録し、その後バブルが崩壊、長い景気低迷期に突入。
【2008年】リーマン・ショック。米国の投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻、「100年に1度」といわれる世界的な金融危機が発生。
【2010年】欧州債務危機。ギリシャの債務問題を発端に、スペインやポルトガルなどの財政危機が発覚、欧州諸国の金融危機に。
※編集部作成
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ワカバヤシ エフエックス アソシエイツ代表取締役 若林栄四(わかばやし・えいし)
1966年、京都大学法学部卒業。東京銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。現在ニューヨークを拠点として、ファイナンシャル・コンサルタントとして活躍。日本では外国為替コンサルタント会社の代表を務める。
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