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[経世済民130] くすぶる米景気懸念、ドル円に下方リスク 今年こそ1ドル100円 逆イールド本当に「恐怖の使者」か 忍耐、強調のFRB議長
外為フォーラムコラム2019年1月11日 / 13:05 / 3時間前更新

くすぶる米景気懸念、ドル円に下方リスク

亀岡裕次 大和証券 チーフ為替アナリスト
4 分で読む

[東京 11日] - 円の急騰で年明け104円台まで急落したドル/円は、一時109円まで反発した。他通貨に対するそれぞれの動きからすると、ドルの上昇というよりも、円の売り戻し、つまり円安が原因である。昨年のクリスマス前にかけて進んだ米株安に歯止めがかかり、リスクオフの円高からリスクオンの円安に転じたのだ。

これは4つの要因が複合的にもたらしたものと考えられる。1つは景気減速懸念で米国の利上げ期待が後退、長期金利の低下が大幅に進み、株価の割高感が薄らいだこと。2つ目は、米金融当局者の発言が経済や市場の動向次第で利上げ見送りを支持するハト派的なものへ変化したこと。一段の金利低下を促し、景気減速への懸念を和らげる働きをしたとみられる。

さらに、昨年12月の米非農業部門雇用者数が市場予想を大きく上回る増加幅だったこと、米中通商協議が合意に至って対中追加関税が回避されるとの期待が高まったことが、景気減速懸念を緩和した。

<リスクオンは一過性か>

なかでもリスクオンに大きく寄与した要因は、雇用統計の強さだろう。いくら株価下落や金利低下が進み、利上げが見送られるとの期待や通商合意への期待が高まっても、経済指標が市場の予想以上に悪化している状況では、景気減速懸念が強まりやすい。市場予想を下回る指標が増えつつある中で、雇用増や賃金上昇が逆に予想を大きく上回ったことは、景気への不安を鎮める働きをしてリスクオンを誘発したとみられる。

ただ、米国の景気減速懸念がこのまま後退していくとは考えにくい。昨年10月以降の米株安を受け、消費者マインドは先行き期待を中心に悪化し始めており、消費支出が抑制される可能性が高いからだ。減税効果が薄れることと合わせ、資産価格下落による逆資産効果が個人消費を減速させやすい。

海外経済の減速を受けて景況悪化が進む製造業に比べ、堅調に推移してきた非製造業の景況感も悪化し始めているのは、個人消費減速の兆しを示しているのかもしれない。これまでは個人消費が堅調だったことから雇用は大幅に増えてきたが、消費が減速すれば企業は採用に慎重になるだろうし、雇用が鈍化すれば消費減速を助長する。

12月の雇用統計は予想外に強かったが、求人件数は8月をピークに減少し始めている。米国の輸出、住宅投資、設備投資が鈍るなかでも堅調に推移してきた個人消費が減速すると、経済に負の連鎖が起きる恐れがある。

<ドル/円も米景気次第>

足元の米株価は戻しつつあるが、これでリスクオフの動きが収まり、リスクオン基調が続くか否かは、結局のところ経済の行方次第だろう。米10年国債利回りからS&P500株式益回りを差し引いたイールド・スプレッドは、株価下落と金利低下により、12月にマイナス4.55%と2016年6月以来の低水準まで低下した。

米供給管理協会(ISM)が発表する製造業新規受注指数は、2018年11月の62.1から12月には51.1へと急低下した。株式市場や債券市場の動きは、まるでこうした景気指標の悪化を事前に察知していたかのようだ。

今後、指標が下げ止まるのであれば、株価や長期金利は景気減速を十分に織り込んだことになり、上昇に向かうだろう。しかし、下げ止まらなければ株価や金利は十分に下がったとは言えず、頭を抑えつけられるだろう。

ドル/円の水準も、米国の景気指標次第で変わるはずだ。ドル/円は2017年までは米10年国債金利とS&P500株価指数変化率による推計値に連動していたが、2018年は米保護主義の影響によるドル安で、推計値を6―12円下回るケースが多かった。だが、12月以降は大幅な米金利低下と株価下落で推計値が急低下し、その幅は2―8円程度に縮まった。

例えば、米10年国債金利が2.4%に低下し、株価変化率(25日前比)がマイナス10%になると、推計値は109円程度となる。実際のドル/円がそれを2―8円下回るなら、101―107円となる。こうした為替水準はあくまでも目安に過ぎないが、米景気指標が市場予想を下回り減速懸念が強まると、リスクオフの円高と米金利低下のドル安でドル/円は下落しやすくなるだろう。

<米中が通商合意すればリスクオンか>

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は4日、市場が織り込む経済の下振れリスクに敏感であり、必要に応じて政策スタンスを大幅に変更する用意があるとし、柔軟に対応する考えを示した。FRBが利上げの見送りや、保有債券の再投資縮小(バランスシート縮小)の打ち切りに前向きな姿勢を見せれば、米景気に対する市場の不安とリスクオフを抑える要因にはなる。

しかし、FRBがハト派的な金融政策へシフトすることが、必ずしもリスクオンを誘発して米株価と長期金利、ドル/円の上昇につながるとは限らない。FRBが政策を変更するとの期待があっても、米指標の悪化が続けば市場の景気見通しは改善しにくく、リスクオフに傾きやすくなる。利下げ見通しが米金利低下とドル安を促すことにもなるだろう。

米中の通商協議が貿易分野で合意すれば、ドル高/円安に振れる可能性はある。ただ、知的財産権侵害や技術移転強要といった構造問題の解決には時間がかかる。米国がそれまで対中追加関税の発動を猶予しても撤回しないと、通商摩擦を巡る不透明感は払拭されにくい。

中国が米国から輸入する農産物やエネルギーを増やしても、米国景気を回復させるのは困難だろう。また、安全保障上の理由から、米国企業が中国製通信機器の利用を制限されることになれば、中国景気に悪影響を及ぼしリスクオフ要因となる。米中が貿易面で合意しても、世界経済が回復に向かう可能性が低いとなれば、リスクオンの円安は進みにくいだろう。

(本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

(編集:久保信博)

亀岡裕次氏(写真は筆者提供)
*亀岡裕次氏は、大和証券の金融市場調査部部長・チーフ為替アナリスト。東京工業大学大学院修士課程修了後、大和証券に入社し、大和総研や大和証券キャピタル・マーケッツを経て、2012年4月より現職。
https://jp.reuters.com/article/column-useconomy-forexforum-yuji-kameoka-idJPKCN1P508C
 


 

2019年1月11日 The Wall Street Journal
逆イールドは本当に「恐怖の使者」なのか

FRBはいずれにせよ債券投資家の声に耳を傾けるべき
マーケット
Photo:Reuters
――筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター

***

 「イールドカーブの逆転」と題する新たなホラー映画がやって来た。ウォール街を席巻するこの映画の目玉は、身も凍るような正体不明の力だ。それは人々の心の中に忍び込み、ケーブルTVのニュースに一喜一憂させ、金融市場にパニックを起こす。

 長期債の利回りが低下して短期債の利回りに近づくにつれ、われわれが幾度となく思い起こすのは、過去5回の景気後退(リセッション)に先立って逆イールドが発生していたことだ。調査会社プラトルの分析によると、企業の電話会議(特に金融機関)では、イールドカーブ(利回り曲線)に言及する回数が着実に増えている。だがどの程度心配すべきかについては、逆イールドが本当に景気後退の予兆となるのか、または景気後退を引き起こすのか、あるいはその両方なのかということが決定的な要因となる。

 短期金利は米連邦準備制度理事会(FRB)が決定し、長期金利は債券市場の投資家が決める。FRBが雇用とインフレを安定させながら景気の「ソフトランディング」を目指し、金利を緩やかなペースで引き上げる中、イールドカーブは過去2年にわたりフラット化の傾向にあった。だがこの数カ月のフラット化を主導したのは債券利回りの低下だった。一般的な解釈は次のようなものだ。投資家はFRBが利上げを急ぎすぎており、経済を景気後退に陥らせる恐れがあると考えている。

 これは、イールドカーブがリセッションを予兆しているという意味だ。しかし利回りが反映するのは将来の見通しだけではない。利回りは債券の需給に応じて変動する。2000年代初め、中国などの貿易黒字国は手にした資金を米国債につぎ込んだ。このいわゆる「過剰貯蓄」により債券価格は高止まりし、利回りは低下した。2008年以降は、FRBや各国・地域の中央銀行が景気刺激策として数兆ドル規模の国債買い入れ(いわゆる量的緩和=QE)を実施した。FRBのアナリストの推定では、QEにより2017年末時点で利回りは約0.85ポイント低下した。

 その効果はFRBが保有資産の縮小を進めたことで若干弱まった。だが一方で、欧州中央銀行(ECB)は先月まで債券の購入を続けていたし、日銀は今も資産を積み上げている。要するに、QE以前の時代ほど、逆イールドは不吉な前兆ではなくなっている。

 ただ、こうした「今回は違う」的なロジックには注意が必要だ。FRBは2006年に逆イールドを先の「過剰貯蓄」を理由に軽視していた。とはいえ、イールドカーブを読み取る際は需給状況を排除するよう心掛けるべきだろう。昨年、FRBのエコノミストはこれを実行すべく、現在の短期金利と、市場が予想する18カ月後の金利水準(投資家が考える経済の短期的な見通しをより純粋に示すもの)を比較した。このスプレッド(金利差)は、従来のイールドカーブよりも景気後退のシグナルとしての信頼度がはるかに高い。そしてこの時点で景気後退の兆しはなかった。

 残念ながらその後、この金利差もフラット化している。投資家は実際、リセッションのリスクが相当高いと考えていることがうかがえる。だがここでもう1つの疑問が持ち上がる。投資家はFRBと同じニュースやデータを入手している。それなのに投資家の方がFRBより景気動向をよく理解していることがあり得るのか? JPモルガンのエコノミスト、ジェシー・エドガートン氏は、経済指標はリセッションの予兆としてイールドカーブより優れた実績を残していることを示した。現在、経済指標はイールドカーブよりも景気後退の可能性が低いとみている。

 そこでもう1つの可能性が浮上する。債券投資家とイールドカーブは、単にリセッションの予兆なのではなく、自らそれを引き起こすのではないかということだ。例えば貸出金利(債券利回りに連動)と預金金利(短期金利に連動)のスプレッドが縮まれば融資の利ざやは縮小するからだ。

 あるいはイールドカーブが心理的に作用し、景気後退の一因となるのかもしれない。景気循環においては常に「心理」が重要かつ予測不能な役割を果たす。特に市場にパニックが発生してる時期はそうだ。投資家は安全な逃避先として債券に殺到し(そして利回りを押し下げ)、リスクの高い株式や社債を売り払う。その結果、信用供給がひっ迫し、家計資産が縮小して経済への直接的な打撃となり、さらに不安が助長されて間接的な打撃にもなる。もし投資家や企業、消費者がリセッションの足音を間近に感じれば、投資も支出も雇用も減らすだろう。こうなると、リセッションが一段と現実味を帯びる。

 FRBが最近行った調査では、金融機関の融資担当者の多くが、逆イールドが発生すれば貸し出し基準を厳しくすると答えた。単に融資による利益が減るだけではなく、景気悪化やローンの質低下のシグナルとなるからだ。

 もし本当に重要なのがファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)だけならば、FRBはいまウォール街で上映中の「イールドカーブの逆転」を無視してよいはずだ。だが、リセッションは自己実現的予言となる可能性がある。だから最後まで席を立たずに注視しなければならない。

(The Wall Street Journal/Greg Ip)
https://diamond.jp/articles/-/190643


 


 
今年こそ1ドル=100円か、無理な水準ではないとの見方も
Charlotte Ryan
2019年1月11日 12:52 JST
• ドイツ銀は今年、クレディ・アグリコルは来年100円と予想
• 円はファンダメンタル的には割安ージャナス・ヘンダーソン
円は2019年、衝撃のスタートを切った。年末年始の連休中のフラッシュクラッシュ的な動きでドルに対して短時間に4%近く上昇した。ファンドマネジャーらは1ドル=100円まで円高が進む可能性を受け入れつつある。
  ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズのマネーマネジャー、ライアン・マイアーバーグ氏は「世界の成長が減速し、米金融当局が利下げをし、ボラティリティーが高まる。そんな環境になれば、円はファンダメンタル的には割安なので、1ドル=100円の水準も無理なものには思われない」と述べた。
  ドイツ銀行は円が年内に1ドル=100円に達するとの見通しを示した。ジョージ・サラベロス氏らストラテジストはリポートで、「フラッシュクラッシュ的な動きは薄れたが、円高の原動力はそれだけではないと考える」とし、「日本人投資家の行動の構造的シフト」が今年の円を支えると予想した。
  このほか、ラッセル・インベストメンツとクレディ・アグリコルは20年に1ドル=100円に達するとみている。

原題:This Might Be the Year the Yen Finally Reclaims 100 Level: Chart、This May Be the Year Japan’s Yen Finally Reclaims 100 Per Dollar(抜粋)
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https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-11/PL5DI76JIJVI01

日本株反発、米利上げ慎重姿勢や円高一服を好感−輸出や不動産高い
長谷川敏郎
2019年1月11日 7:51 JST 更新日時 2019年1月11日 15:23 JST
• パウエルFRB議長やセントルイス連銀総裁が改めてハト派的発言
• VIXは1カ月ぶり低水準、為替は1ドル=108円40銭台

Photographer: Shoko Takayasu/Bloomberg
11日の東京株式相場は反発。米国金融当局の利上げ慎重姿勢や為替市場での円高の勢い一服から過度の業績懸念が和らぎ、電機や輸送用機器など輸出関連、化学など素材株が買われた。不動産や電気・ガスなど内需関連の一角も高い。
• TOPIXの終値は前日比7.72ポイント(0.5%)高の1529.73
• 日経平均株価は195円90銭(1%)高の2万0359円70銭
  米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長やセントルイス連銀のブラード総裁は10日、改めて早期の利上げに慎重な姿勢を示した。10日の米S&P500種株価指数は昨年9月以来4カ月ぶりの5連騰、米国株のボラティリティー(変動性)の指標であるVIXは19.50と、昨年12月3日以来約1カ月ぶりの水準まで低下。為替市場では円高が一服している。
  三菱UFJ国際投信・株式運用部の小西一陽チーフファンドマネジャーは「景況感が悪化する中で米利上げが継続するようなら今年の企業業績に対する不透明感は強かったが、だいぶ修正がなされた」とし、「リセッションが無ければ企業業績が大きく崩れることはないだろう」と指摘した。
  この日は業種別では輸出関連に加え、海外情勢に影響を受けにくい不動産など内需の一角にも見直し買いが進展。個別では第1四半期営業利益が減益だったファーストリテイリングが大幅高で、通期営業利益予想を減額した安川電機は最終的にプラス圏を維持するなど、決算銘柄に対する悪影響は総じて限定的だった。「足元の決算は決して良くはないが、覚悟していた範囲内」と、三菱U国際の小西氏はみる。
  もっとも、米ダウ工業株30種平均が12月3日高値から同26日安値までの下げ幅の半値戻りを達成したのに対し、日経平均は同期間下げ幅の38.2%戻りに匹敵する約2万0380円からの上値が重かった。岡三オンライン証券の伊藤嘉洋チーフストラテジストは「フィボナッチの水準から上値は長く維持できず、自律反発の域を出ていない。国内単独の材料に乏しく、3月まで下値固めが続く可能性がある」と話していた。
• 東証33業種では精密機器、不動産、電機、電気・ガス、輸送用機器、機械、海運、非鉄などが上昇
• 下落は小売り、倉庫・運輸、食料品、陸運など
• 11日の為替市場でドル・円相場は一時1ドル=108円40銭台、前日の日本株終値時点は107円91銭
• きょうの取引開始に算出された日経225オプション1月限の特別清算値(SQ)は、10日の日経平均株価の終値(2万0163円80銭)を126円87銭上回った

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-10/PL502U6S972801 

 

コラム2019年1月11日 / 11:35 / 5時間前更新
「忍耐」強調のFRB議長、ガイダンスは有効か
Gina Chon
2 分で読む

[ワシントン 10日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 金融政策の方向性を前もって示すフォワードガイダンスは結局のところ、米連邦準備理事会(FRB)と市場の双方の意思が通じ合わなければ全く機能しないことが明白になっている。

パウエル議長は10日、FRBが利上げについて忍耐強くなれると述べたが、以前のタカ派的なコメントは投資家を動揺させ、昨年12月の株価急落をもたらした。FRBと市場はなお、お互いを理解するための学習を続けている。

FRBの忍耐強さや政策の柔軟性を前面に打ち出すパウエル氏のメッセージは、利上げの妥当性を説明するために米経済の強さを強調した12月の内容とは対照的だった。12月の発言は株価急落や米長期金利の急低下を招いた。懸念材料はほかにも多い。今週は世界銀行が今年と2020年の世界経済見通しを引き下げ、貿易摩擦はくすぶり、米政府機関の一部閉鎖は20日目に突入した。

もっとも10日のパウエル氏のハト派的な発言にも、多少の「とげ」はある。2017年10月以降着実に縮小してきたFRBのバランスシートに関して「今後相当規模が小さくなるだろう」と述べたからだ。バランスシートを巡っては12月に「自動運転」で縮小すると語った後、先週には縮小ペースの面でFRBは柔軟になれると説明していた。

市場はこれまでのパウエル氏の発言に過剰反応してきたのかもしれない。とはいえ、同氏の言葉選びにも多少のずさんさがあった。

昨年10月には政策金利が中立金利から「程遠い」と口にして株価を大きく押し下げると、11月には政策金利は中立金利を「わずかに下回る」水準だと軌道修正し、一時的に株が持ち直した。

今後FRBがフォワードガイダンスを撤廃し、指標動向によって政策を決めることに軸足を置いたメッセージを発する方式に移行すれば、情報発信がより厄介になる恐れが出てくる。12月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、実際にそうした移行が検討されている。フォワードガイダンスは政策金利がゼロ付近にあった局面で長期金利を低く抑える上で有効だった。政策金利が2.25─2.5%になった今は、枠組みを変えるには理想的だ。

ただし特に経済が転換期にある場合、指標の動きは一貫しない。さらにパウエル氏が今年から毎回のFOMC後に会見することで、市場との対話に失敗する可能性をもたらす機会も増える。FRBと市場の相互理解が難しくならないことを願うばかりだ。

●背景となるニュース

*パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は10日、今年の景気動向把握に際してFRBは忍耐強くなれると述べた。物価が安定している点を踏まえ、世界経済の減速と米経済の基調の力強さのどちらの影響が勝るかを見極めてから、政策金利に関する新たな判断ができるとしている。

*リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は10日、米経済の力強い成長がいつまで続くかと懸念する声が周辺で聞かれると述べ、「トレンド」成長率は1.9%程度まで鈍化すると予想した。ボストン地区連銀のローゼンスタイン総裁らほかにも何人かの地区連銀総裁が9日から10日に経済に対して慎重な見方を示した。

*9日公表された連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、フォワードガイダンスを撤廃し、指標次第の政策に軸足を置いたコメントにする方式などいくつかの新たな選択肢が検討されていることが分かった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/frb-guidance-market-idJPKCN1P505A

 

FRB議長、利上げ一時停止強調「資産かなり小さく」
経済 北米
2019/1/11 3:55 (2019/1/11 14:07更新)
【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は10日の講演で「懸念は海外経済だ。市場も不安視しており、政策は様子見する時期だ」と述べた。FRBは2019年に2回の利上げを想定してきたが、株安を受けて一時停止する考えを改めて示唆した。市場はFRBの資産圧縮も注視するが「保有資産はかなり小さくなる」と述べ、当面継続する姿勢を示した。

パウエル氏はワシントン市内で質疑応答形式の講演に臨んだ。米経済については「失業率は約50年ぶりの水準に改善し、19年に入っても底堅さを保っている」と強調した。ただ、金融資本市場は世界景気の先行きを不安視しており、パウエル氏も「最も懸念するのは海外経済だ」と指摘。中国景気など経済指標を丹念に分析すると強調した。

FRBは18年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、19年も年2回の利上げを継続する方針を示したが、パウエル氏は「政策見通しはFOMC参加者の中央値にすぎず、金融政策にあらかじめ決められた経路はない」と強調した。FOMC後に強まった市場の混乱を懸念して「経済動向を見極めるため、政策も柔軟に見直して様子見する時期だ」と述べた。

金融市場はFRBが利上げと同時に進める保有資産の圧縮にも注視している。パウエル氏は「資産規模は現時点よりもかなり小さくなるだろう」と述べ、当面は「量的引き締め」を続ける考えを示した。今月4日の講演では「現時点で市場の混乱の要因になっているとは思わないが、問題が発生すれば、バランスシートの正常化も修正をためらうことはない」と述べていた。

FRB議長「金融政策を根気よく見直す」 利上げ一時停止強調
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は10日の講演で、「金融政策を柔軟に見直して様子見する時期だ」と述べ、利上げを一時停止する考えを改めて強調した。
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10日にはニューヨーク市内でクラリダ副議長も講演した。パウエル議長と同じく海外経済の鈍化と金融市場の混乱を懸念して「経済指標がどう推移するか、FRBは様子見する余地がある」と主張した。クラリダ氏はさらに「持続的に2%の物価上昇率を保てるか不透明だ」とも述べ、今後の追加利上げには極めて慎重な姿勢ものぞかせた。

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2018/10/26 3:01
トランプ氏、FRB副議長にコロンビア大教授を指名
2018/4/17 7:25更新
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39895340R10C19A1000000


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/541.html

[経世済民130] 景気後退突入の予測は可能か、コンセンサスの前例なし 街角景気大幅悪化、企業部門2年半ぶり低水準 海外投資家777億円株売
コラム2019年1月11日 / 15:05 / 1時間前更新
景気後退突入の予測は可能か、コンセンサスの前例なし
Jamie McGeever
3 分で読む

[ロンドン 9日 ロイター] - 米国が景気後退(リセッション)に今にも突入するのではないかとの懸念は、足元で大きく後退した。昨年12月の雇用統計が堅調だった上に、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が、FRBは市場を支える姿勢にあると示唆したおかげだ。この2つの材料は、悲観ムードを和らげ、株価と債券利回りを再び上昇させるだけの力があった。

金融環境は最近の引き締まり傾向に歯止めが掛かり、短期市場ではFRBが今年ないし来年に利下げに追い込まれるとの観測は低下、世界中でリスク資産と市場心理が持ち直した。

少なくとも当面は、株式市場が実体経済について「疑わしきは罰せず」の判定を下そうとしている。

とはいえ米国や先進各国がリセッションに陥るというコンセンサスが、いまだかつてエコノミストの間で形成された例はなく、常に予想外と受け止められてきた。

モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントのRuchir Sharma氏の指摘通り、記録が残る50年前からずっと専門家は米国の全てのリセッションの的確な予想ができなかった。

2000年8月のフィラデルフィア地区連銀のエコノミスト調査では、01年の第1・四半期と第2・四半期の国内総生産(GDP)成長率見通しは3.0%と2.7%に引き上げられた。そしてリセッションが到来したのは01年3月だった。

エコノミストは07年12月に始まった「グレート・リセッション(大不況)」でも、事前に2四半期連続のマイナス成長を察知できなかったし、08年5月のフィラデルフィア地区連銀調査では「今後5四半期の間はマイナス成長が起きないと予想されている」と報告されていた。

問題の1つは「直近効果」にある。つまり最近の出来事を過剰に重視しがちな経済予測モデルを使うことだ。集団思考や群集心理も影響している。

リセッションの予想をためらう理由も簡単に分かる。景気減速のサインは見えても、リセッションの確たる証拠などないことが多いし、リセッション前の数四半期は経済成長が力強くなるケースがしばしば見受けられるからだ。トレーディング・エコノミクスのチャートでもそれが確認できる。

1952年後半から53年前半にかけては、4四半期連続でGDP成長率の年率が5%を超え、その半年後にリセッションに見舞われた。同じく1972─73年にも、リセッション前の四半期ベースの成長率はほとんど4─8%で推移していた。

2004─07年の場合は、成長率はほぼ2─4%。グレート・リセッション直前ですら、少なくとも表面的には相当なペースの成長だった。

2017年第1・四半期以降も、四半期ごとに成長率は着実に上向き、18年第3・四半期の年率は3.4%に達した。過去2年の平均は2.9%で、マイナス成長を告げる明確なサインは見当たらない。

現在の米国の景気拡大は10年にわたり、過去2番目に長い。だから最近の出来事に重きを置くモデルに基づけば、経済は順風満帆で行く手に何の障害も待ち受けていないことになる。

<慢心>

ノーベル経済学者でニューヨーク大学教授のポール・クルーグマン氏の指摘にあるように、ショックが不在の期間が長引けば、事態を甘く見る流れが生まれる。消費者は支出を、投資家は買いを拡大し始めて積極的にリスクを背負い、新たなリスクをもたらす借り入れに走る。

慢心は政策担当者や規制当局にも波及し、政策と規制は限度以上に緩くなってしまうので、経済に行き過ぎが蓄積され、バブル破裂の種がまかれる。例えば国際通貨基金(IMF)によると、世界の債務総額は17年末に過去最高の184兆ドルを記録し、10年前に比べて50%も増加した。

米国では第2次世界大戦後、計11回のリセッションがあった。景気の山から谷までのGDPの落ち込み具合は各リセッションごとに非常に大きな違いがあり、1968─69年や2001年は1%弱だった半面、07─09年は5%を上回った。

リセッションの期間も1980年のように半年程度の例がある一方、1973─75年や1981─82年、07─09年などは数年単位になった。

また全てのリセッションに先駆けて、米国債の2─10年利回り差がマイナス(逆イールド)となっている。足元は07年以降で最も利回り差が小さく、昨年12月には一時8ベーシスポイント(bp)まで縮小した。

これは米経済がその悪影響を吸収できる範囲を超えてFRBの利上げが進む、と投資家が見込んでいることの表れだ。バーナンキ元FRB議長は先週、「景気拡大は『老衰』によって自然に終わるのではなく、FRBによって『殺される』と言いたい」と話した。

ロイターが直近で実施したエコノミスト調査では、向こう2年間に米国がリセッションに陥る確率の予想中央値は40%と、リーマン・ブラザーズ破綻の8カ月前である08年1月の調査以来の高さになった。ただしコンセンサスではない。

リーマンの破綻と世界的な信用収縮により、世界は大恐慌以来の深刻な金融危機と経済危機に見舞われた。ところがリセッション自体が始まったのは07年12月で、この調査の1カ月前、リーマン破綻の9カ月前だった点は肝に銘じておいた方が良い。

要するに米経済が実際に収縮していたのに、リセッションが間近ではない、あるいは2年先までの視野に入っていないというのがコンセンサスだったのだ。

今も同様の事態が生じている可能性はないだろうか。12月のサービス業の活動が縮小に転じるというショックからは、既に経済が落ち込んでいる可能性もうかがえる。

ベントレー大学のスコット・サマー教授は最近のブログに「需要サイド発のリセッションを予想できるマクロ経済モデルは今後も決して開発できないだろう。開発しようとさえするべきではない」と記している。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/recession-column-idJPKCN1P50CZ


 

ビジネス2019年1月11日 / 15:45 / 36分前更新
街角景気が大幅悪化、企業部門は2年半ぶり低水準=12月景気ウォッチャー調査
Reuters Staff
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[東京 11日 ロイター] - 内閣府が11日に発表した12月の景気ウオッチャー調査では、家計・企業・雇用の3部門がそろって悪化し、全体の景況感が17年3月以来の低水準に落ち込んだ。特に企業部門は2年半ぶりの低水準に落ち込んだ。先行きも5カ月ぶりに50を割り込んだ。不安定な株式市場や今年10月の消費増税、人手不足、米中摩擦への懸念など、消費者・企業心理にはマイナス材料が目白押しとなっている。

景気の現状判断DIは48.0で、前月比マイナス3.0ポイントと、3カ月ぶりの低下となった。横ばいを示す50の水準を2カ月ぶりに下回った。企業動向関連、雇用関連、家計動向関連の全てで低下した。

家計部門では「モデルルームへの来客で購入を躊躇して判断を先送りする客が以前と比べて若干増えてきている」(北海道・住宅販売会社)、「美術品、宝飾品の高額受注が前年比少なくなっている」(近畿・百貨店)といったコメントがある。

企業関連では「製造業受注は高水準にあるものの、一部で米中貿易摩擦の影響などによる受注減がみられる」(甲信越・金融業)、「株価下落のため、心理的に重たい状況。需要も中国景気の落ち込みから低迷している」(九州・金融業)といった声が上がっている。

雇用関連では「求人数が減っており、製造業の依頼が少なくなっている」(四国・人材派遣業)といった状況もある。

2─3カ月先を見る先行き判断DIは48.5で、前月比3.7ポイント低下。2カ月ぶりの低下となった。こちらも3部門そろって悪化。全体で17年3月以来の低水準となった。

内閣府は、景気ウオッチャー調査の現状判断の表現を「緩やかな回復基調が続いているものの一服感が見られる」に変更した。
https://jp.reuters.com/article/japan-economy-watchers-idJPKCN1P50G8?il=0

 

東京外為市場ニュース2019年1月11日 / 16:05 / 16分前更新
〔需給情報〕1月第1週、海外投資家が日本株を777億円売り越し=現物先物合計
Reuters Staff
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[東京 11日 ロイター] - 1月第1週(1月4日)の海外投資家による日本の現物株と先物合計
の売買は、777億円の売り越し(前週は1302億円の売り越し)となった。売り越しは5週連続。個人
は391億円の買い越し(同2885億円の売り越し)、信託銀行は274億円の売り越し(同2074億
円の買い越し)だった。

東京証券取引所がまとめた同期間の2市場投資部門別売買状況によると、現物株は海外投資家が208
6億円の売り越し(前週は578億円の売り越し)となった。売り越しは8週連続。個人は3週ぶりに買い
越し。信託銀行は7週連続で買い越した。

大阪取引所がまとめた同期間の先物・オプションの投資部門別取引状況では、指数先物(日経平均先物
・TOPIX先物のラージ・ミニ、JPX日経400先物、マザーズ指数先物の合計)で海外投資家が13
08億円の買い越しだった。

<海外投資家の売買推移(億円)>
現物 先物 合計
2018年10月第5週 262 -4,900 -4,638
2018年11月第1週 2,440 1,394 3,835
2018年11月第2週 -1,369 -1,264 -2,634
2018年11月第3週 -1,967 -3,143 -5,111
2018年11月第4週 -2,101 4,062 1,960
2018年12月第1週 -6,001 -1,560 -7,562
2018年12月第2週 -1,613 -4,484 -6,097
2018年12月第3週 -3,263 -2,218 -5,482
2018年12月第4週 -578 -724 -1,302
2019年1月第1週 -2,086 1,308 -777

*東京証券取引所と大阪取引所の発表データは以下のURLでご覧ください。
https://jp.reuters.com/article/-idJPL3N1ZA5GS?il=0


ビジネス2019年1月11日 / 15:35 / 1時間前更新
ドル108円前半で伸び悩み、米CPI待ち
Reuters Staff
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[東京 11日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、若干ドル安/円高の108円前半。株価が堅調に推移する中、ドルは108円半ばまで強含んだものの、3連休を控えた利益確定売りや調整売りに押され、伸び悩んだ。

ドルは仲値公示付近に108.47円とこの日の高値をつけたが、午前11時過ぎに、米ホワイトハウスがトランプ大統領が主張するメキシコ国境の壁建設を可能にするため、国家非常事態宣言に向けた調整を行っているとのニュースが伝わると、上値が重くなり、108.22円まで軟化した。

米紙ワシントン・ポストが関係筋の話として10日報じたところでは、米ホワイトハウスはメキシコ国境の壁建設を可能にするため、国家非常事態宣言に向けた調整を行っており、陸軍工兵隊の災害対策業務に割り当てられている未執行予算を転用する可能性も検討している。

市場ではきょう発表予定の11月米消費者物価指数(CPI)が注目される。

前日は百貨店大手メーシーズが通期の既存店売上高見通しを下方修正し、同社の株が20%近く下落するなど、これまで景気のけん引役だった米個人消費の先行きを懸念する声が多い。

朝方1.15ドルを割り込んでいたユーロは、買い戻し優勢となり一時1.1531ドルまで上昇。ユーロ圏を巡る好材料があるわけではなく「米国の政治、経済をめぐる不透明感から、他律的なユーロ高」(ストラテジスト)となった。

中国人民元は続伸。6.7481元と昨年7月以来の高値をつけた。

「市場は米中の対話姿勢が好感された、と解釈している節がある。中国政府が元高誘導で米国に譲歩したとの説が広がる可能性もありそうだ」(野村証券チーフ為替ストラテジストの池田雄之輔氏)との声も出ていた。

米10年国債利回りは2.7257/7239%の気配。

市場では、今週実施された米国債入札の結果がかんばしくなかったことが話題となっていた。前日の160億ドルの30年債入札は、最高落札利回りが3.035%と、2018年7月以来の低水準となった。応札倍率は2.19倍と12月の前回入札の2.31倍から低下した。

ドル/円JPY=  ユーロ/ドルEUR=  ユーロ/円EURJPY=

午後3時現在 108.29/31 1.1522/26 124.81/85

午前9時現在 108.27/29 1.1506/10 124.62/66

NY午後5時 108.42/43 1.1498/02 124.68/72

為替マーケットチーム
https://jp.reuters.com/article/tokyo-frx-lateaft-idJPKCN1P50FS?il=0


ビジネス2019年1月11日 / 15:30 / 1時間前更新
日経平均は反発、米株高が支え ファーストリテの上げも寄与
Reuters Staff
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[東京 11日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は反発。前日の米国株市場で主要3指数がそろって上昇したことを受け、朝方から買いが先行。上げ幅を一時200円超に拡大した。投資家心理が落ち着く中、寄与度の高いファーストリテイリング(9983.T)が大幅に上昇したことも押し上げ要因となった。

日経平均ボラティリティー指数.JNIVは23ポイント台でやや高止まりの水準だが、昨年12月25日の32ポイント台からは低下している。「3連休を前に大きなポジションは取りにくい」(国内証券)との声があった一方、「(戻りを試す場面での)利益確定売りは終了し、個人も改めて買いを入れやすい地合いになってきた」(SBI証券のシニア・マーケットアドバイザー、雨宮京子氏)との見方が出ていた。

その中でファーストリテは堅調に推移し一時7%を超す上昇。日経平均の200円近い上げのうち、1銘柄だけで約120円の押し上げ要因となった。10日発表の2018年9─11月期連結決算が低調な内容になることは想定内だった一方、「好調な海外事業や12月の国内ユニクロ既存店売上高の増加などが評価された」(中堅証券)という。

TOPIXは0.51%高。業種別では精密機器、不動産、電気機器などが値上がり率上位にランクイン。10日に業績予想を下方修正した安川電機(6506.T)が底堅さを示し、景気敏感セクター全般に買い戻しの動きが広がった。半面、小売、水産・農林、倉庫・運輸関連などが売られた。

そのほか個別銘柄では、武田薬品工業(4502.T)が堅調。4─6月を決算期末とする企業を対象としたTOPIX浮動株比率の定期見直しを受け、ウエートが高まる同社株にパッシブ系資金が流入するとの期待が続いている。

一方、吉野家ホールディングス(9861.T)は大幅続落。10日発表した18年3─11月期の連結営業損益が5億6200万円の赤字だったことが嫌気された。

東証1部の騰落数は、値上がり1033銘柄に対し、値下がりが1003銘柄、変わらずが92銘柄だった。

日経平均.N225

終値      20359.70 +195.90

寄り付き    20296.45

安値/高値   20294.74─20389.89

TOPIX.TOPX

終値       1529.73 +7.72

寄り付き     1531.72

安値/高値    1525.84─1535.03

東証出来高(万株) 129595

東証売買代金(億円) 25029.80
https://jp.reuters.com/article/tokyo-stx-close-idJPKCN1P50FM?il=0


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/542.html

[経世済民130] 深謀遠慮というより大混乱の「一帯一路」 中国経済「崩壊」の始まり 韓国経済「板挟み」窮地 金融業界、苦戦鮮明、人員削減


深謀遠慮というより大混乱の「一帯一路」

フィックリング
コラムニスト:David Fickling
2019年1月11日 6:33 JST
• 心配なのは習政権が始まってからの無計画かつ非経済的な政策決定
• トランプ米大統領がしばしば招くワシントンの秩序破壊に似ている
壮大なインフラ整備のビジョンか、それとも不正資金の温床か。中国が進める広域経済圏構想「一帯一路」の実像は何なのだろうか。
  マレーシア政界を巻き込む汚職事件の舞台となった政府系投資会社1マレーシア・デベロップメント(1MDB)を巡り、中国高官が救済に手を貸すとマレーシア側に2016年に申し出ていたと米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。
  マレーシア側は見返りとして一帯一路に絡んで中国に鉄道・パイプライン事業の権益をオファーしたという。しかも1MDBに関する取材を行っていたWSJ記者に誰が情報をリークしているか突き止めるため、香港で複数の記者の自宅とオフィスを盗聴することを中国側が提案したとも同紙は伝えた。
  これが本当なら、一帯一路と1MDBスキャンダルとのつながりをこれまでで最も明確に示すことになる。習近平国家主席肝いりの外交政策である一帯一路は、欧米の投資家が二の足を踏む新興アジアおよびアフリカでのインフラ事業に巨額の資金を投じるという野心的な計画だというのが一般的な認識だ。
Corridors of Power
Planned spending on Belt and Road projects is overwhelmingly concentrated along a handful of its six "economic corridors"

Source: Nomura; AIIB; China-Pakistan Economic Corridor; Bloomberg Opinion calculations
Note: The "Maritime Silkroad" isn't technically one of the six corridors outlined by the Chinese government. We've grouped port projects in this category.

  アングルを変えれば、マキャベリズム的な世界戦略とも考えられる。スリランカのハンバントタ港湾事業のケースに見られるように新興国の政府を「債務のわな」に陥れ、対中債務を抱えた国を網羅し、海外で軍事的野心を推し進めるとの見方も可能だ。
  だが世界での中国の影響力を高めるための首尾一貫したマスタープラン(基本計画)というより、幾分混乱したブランド戦略あるいはフランチャイズづくりだとの見立てがより正確なようだ。数限りない地方当局者や国有企業がどんなプロジェクトであろうと国家主席からのお墨付きがあると名乗る上で格好の手段になるというわけだ。
  米戦略国際問題研究所(CSIS)のジョナサン・ヒルマン上級研究員は昨年の分析報告で「中国政府のグランドデザインに沿ったものとは程遠く、一帯一路のこれまでの活動はばらばらで場当たり的だ」と指摘している。
Boring Is Good
Unlike most Belt and Road projects, the Asian Infrastructure Investment Bank's biggest investments are the sort of dull but worthwhile things that attract other multilateral lenders

Source: AIIB
  マレーシアについて言えば、18年の総選挙で政権交代が実現し、首相に返り咲いたマハティール氏が前政権が決めた中国とのプロジェクトを撤回もしくは再交渉しようとしており、中国の投融資を「新たな植民地主義」だと批判している。
  中国雲南省とミャンマーの港湾を結ぶ石油・ガスパイプラインは稼働後5年してもほとんど使われず、インドネシアではジャカルタとバンドンを結ぶ高速鉄道建設のスケジュールが少なくとも2年遅れており、やっと着工したばかりだ。本来は想定されていなかったナイジェリアやアルゼンチンなどが一帯一路の対象とされる一方で、マレーシアやスリランカに加え、モルディブでも中国に疑念を抱く政権が誕生した。
  中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)が支援するプロジェクト同様、一帯一路というブランドの下での事業は、やる価値はあるが総じて小粒な投資案件にはまり込むケースがときどき見られる。バングラデシュでのダッカとチッタゴンを結ぶ高速鉄道計画のように大風呂敷を広げても、全く掛け声倒れになりそうなプロジェクトの代名詞が一帯一路だということにもなりかねない。
  非論理的かつ汚職まみれのプロジェクトという汚名で終わるかもしれない一帯一路の地政学的野心に、外国のオブザーバーはそうした理由からそれほど懸念していない。むしろ心配しているのは習政権が始まってからの無計画かつ非経済的な政策決定だ。実際、トランプ米大統領がしばしば招くワシントンの秩序破壊に似ている。一帯一路における懸念は中国の深謀遠慮ではなく、壮大な混乱だ。
  (デービッド・フィックリング氏は商品および工業・消費者向け製品企業を担当するブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。同氏はブルームバーグ・ニュースやダウ・ジョーンズ、ウォールストリート・ジャーナル、フィナンシャル・タイムズ、ガーディアンで記者をしてきました。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)
原題:Belt and Road Is More Chaos Than Conspiracy: David Fickling(抜粋)
This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-10/PL1XKY6JTSEA01?srnd=cojp-v2 

 

ビジネス2019年1月11日 / 15:50 / 30分前更新
中国、2019年のGDP伸び率目標を6─6.5%に引き下げる見込み=関係筋
Reuters Staff
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[北京 11日 ロイター] - 複数の関係筋によると、中国政府は、2019年の国内総生産(GDP)伸び率目標を6─6.5%に引き下げる見込み。2018年の目標は「6.5%前後」だった。

GDP伸び率の目標は、昨年12月中旬の中央経済工作会議で承認された。3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で発表される見通しという。

ある関係筋は匿名を条件に「今年6.5%を上回る成長は非常に難しい。成長率が6%を下回れば問題になる可能性がある」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/china-gdp-idJPKCN1P50GI

 
2019年1月11日 姫田小夏 :ジャーナリスト
中国経済「崩壊」の始まりを感じさせるこれだけの理由
変調が始まる上海経済。見出しこそ控えめだが、新聞を開けばその「変調」が伝わってくる Photo by Konatsu Himeda

実態と乖離した不動産価格の裏側
 中国経済がおかしくなっている。「IT、製造業、不動産業で雇用削減」「消費が曲がり角」――年明け早々、日本経済新聞は中国経済の変調をこう報じた。中国の主要な経済紙を開いても、「債務危機」「連鎖破綻」「不良資産処理」など、先行きの不穏さを暗示する経済用語が目を引く。2019年の中国経済は見通しが悪い。
 昨冬、筆者が訪れた上海の街は「真っ暗」だった。その元凶は不動産市況だろう。もとより上海では、マンションの乱開発と投機が生んだ「空室」が社会問題になっていたが、その数が激増し、夜間マンションにともる灯りが減ったのだ。
 上海在住で複数の事業用マンションを持つ富裕層のひとりは「売りに出した住宅を見に来る客はいても契約には至りません」と語る。上海では2017年以降、住宅の中古市場が動かなくなった。
上海のビジネス街にある好立地のマンション。かつてここは非常に活気あるエリアだった。所有者が売り抜けを狙い賃借人を立ち退かせた可能性がある(2018年撮影) Photo by K. H.

 上海市黄浦区の不動産屋に張り出された住宅情報を見ると、1000万元台、2000万元台のマンションが目に付く。特別な仕様でも立地でもないごく普通の住宅だが、1億円はざら、2億円、3億円の高値がつくのだ。
 その不動産屋の前に、近隣居住者とおぼしき老人が立っていたので話かけた。この老人は最近、所有していた物件を680万元(約1億1000万円)でやっとの思いで売却したという。このエリアでの成約額といえば680万元がせいぜいなのだ。2000万元越えの “バブル物件”など簡単には売れはしない。
市内の不動産屋。上海市内の住宅価格は1000万元、2000万元と身の丈を超えて高額化する(2018年撮影) Photo by K. H.

 その売却で手にしたお金は何に投資したのかと聞いたら、「借金返済ですべて消えてなくなった」と上海なまりの中国語で明かした。金融機関のみならず、親戚や友人から借りまくって買ったまではよかったが、老人の手元には何も残らなかったのだ。
 インターネットでは「房奴」「車奴」など、「〜奴」という言葉を見るようになった。住宅ローン、自動車ローン、カードローンを返せない個人が増えているのだ。中国人民銀行は2018年第3四半期末、クレジットカード支払いの不良債権(半年の遅延)額は880億元になったと発表した。2011年同期の106億元と比べると8倍以上の増加だ。
 高額な負債を負った生活者は急増する中、中国では今、「個人破産制度を設けよ」という声が高まっている。

改革開放のシンボル民営企業も八方ふさがり
 中央政府は今、民営企業の救済と金融破綻の回避に必死だ。中国では企業の倒産が増えている。
 中国の改革開放のシンボルとしての役割を背負った民営企業。その数は2017年末までに2726万社に増えた。これに「個体戸」と呼ばれる自営業を加えると、実に中国企業の95%が私企業で成り立っている計算になる。しかしこれら民営企業の多くは、経営コスト増、資金調達難、構造転換の困難という三重苦で経営難に直面している。
 筆者は中国で、ある民営企業経営者と面会した。中国の民営企業トップ500の上位にランキングする、中国では有名なアパレル企業の経営陣である。
 仮に彼を陳氏と呼ぶことにしよう。陳氏一族は浙江省温州市で、それぞれ工程ごとに独立したグループ会社を経営する同族企業だ。1970年代生まれの陳氏は、製造販売に従事し、全国チェーンを発展させた。そのブランド名は中国人なら誰もが知るところだが、中国の経営環境に対する陳氏の見通しは悲観的だ。
「生存競争があまりに激しい。中国では今、年商1億元規模の企業がバタバタと倒産しています。その原因の1つは、一瞬で価格の比較ができるネット販売。消費者は同じものなら少しでも安いものを選ぶため、競争力のない多くのアパレル工場がつぶれてしまったのです」
 同社製品は「タオバオ」でも販売し、大きな商機につながったという。しかし、同時にこれがデフレを招き、2005年前後に高額衣料品の値段はどんどん落ちていった。
 一方で、陳氏は経営環境を悲観するもう1つの要因を「信用破綻」だと指摘する。
地下鉄に掲げられる企業信用調査サービスの広告。「パートナーは夜逃げした、プロジェクトはつぶれた、生活を失った。その前に『天眼査(サービス名)』を!」とある(2018年撮影) Photo by K. H.

「温州ではもともと『民間借貸』(個人や企業間での融資)が発達しており、銀行からの借り入れなしに独自に資金調達ができましたが、これが2011年に破綻してしまったのです」
 この信用破綻は連鎖を呼び、陳氏のビジネスも一気に暗転した。自社ブランドを持ち、店舗展開を一気に加速させようとした矢先、店舗開発は行き詰まり、数億円の資金を投じて大量生産した商品は瞬く間に在庫の山と化した。その痛手は8年を経た現在も癒えてはいないという。その理由を陳氏は次のように語っている。
「2011年までは中央政府も『民間借貸』を認めていました。商業銀行が中小の民営企業に貸したがらない環境の中で、『民間借貸』は唯一の血流だったのです。けれども2011年に不動産バブルが崩壊すると、住宅を担保に高利で借り入れていた経営者はもはや夜逃げするしかありませんでした」
「この破綻の元凶を『民間借貸』にあるとした中央政府は、その後の金融改革の中で、『民間貸借』を規制し、銀行融資を奨励するようになりました。しかし表向きの政策とは違い、銀行は貸したがらない。結局、資金が行き渡らず、多くの企業が今なお厳しい状況に置かれているのです」

信用破綻の元凶は不動産バブル崩壊
 温州といえば、陳氏のように商才ある経営者を数多く輩出し、民間経済が発達した土地柄だ。改革開放の初期、軽工業が盛んだった温州は“脱国有”のモデル都市として注目を集めた。先に富んだ温州人たちは2000年代に入ると一早く沿海部の不動産に手を出した。地元温州のみならず、上海を含む中国各地の住宅価格は、彼らの大胆なマネーゲームで“身の丈”をはるかに超えるバブルと化した。
 身から出た錆とはこのことである。バブル化した不動産市場に浙江省政府が購入を制限する「限購」を発令すると、市場は一気に冷えた。2011年、温州市では事実上、不動産バブルが崩壊した。買い手を市場に参入させないことでバブル抑制を試みたまではよかったが、その「劇薬」が、不動産価格の予想外のハードランディングを招いてしまい、不動産を担保に資金繰りをつけていた温州経済を破綻させてしまったのである。
 2014年、筆者は不動産価格が激しく暴落した温州市を訪れた。その温州で目の当たりにしたのは、3年を経てもなお高止まりしたまま売れ残るマンションと、膨大な借金を抱えたまま経営者が戻らない工場だった。不動産価格が高騰したといわれる中心部の宿から見えるのは、数えるほどしか灯りがつかない真っ暗な高級住宅街だった。
2014年の温州市の中心街。1、2階は商業施設が入っているためかろうじて明るい。今の上海は当時の温州を想起させる(2014年撮影) Photo by K. H.
 さらにそれから4年経った2018年、温州は2019年明けの税率引き上げを前に“駆け込み特需”で製造業が活気づいていた。だが、温州を頻繁に訪れる日本人ビジネスマンによれば「温州経済は今なお暗中模索だ」という。
「温州経済は立ち直たっとは言い難い。抵当に押さえられたままの不動産も少なくありません。主力のアパレルや日用品などの産業も縮小し、次の産業は育っていないのが現状です」

突き抜けた民営企業は一握り
 日本でもその名をよく聞くアリババやテンセント、OPPOやシャオミなども民営企業だが、こうした“突き抜けた企業”は、実はほんの一握りだ。他方、シェアサイクルでも民営企業が大きなリードを見せたが、3年を経ずして参入企業の多くが消えた。「多産多死」で強者を生み出すのが中国流ともいえるが、上海在住の一部の消費者は「決断は大胆だが経営は問題が多い」と不安を隠さない。ちなみにシェアサイクルのofoは昨年日本から撤退したが、「その後日本支社と連絡がつかなくなった」と協力した自治体を困惑させている。
返済不能となり経営者が逃げ出した浙江省の工場(2014年撮影) Photo by K. H.

 そんな民営企業に特効薬はないと踏んだのか、昨年、「私営経済退場論」「新公私合営論」といった論文が相次いで発表された。共産党の支配が強まる近年、これらは「中国を再び公有経済に戻すのか」という不安すら煽った。
 民営企業は結局のところシャドーバンクから資金調達するしかなく、またしても借りた金の不良債権化が問題になっている。中国の有力経済紙「21世紀経済報道」は、「ここ数年の借り入れが返済期を迎えるが、返済できない企業は多い」、「違約に陥る民営企業が信用破綻を生んでいる」と報じる。
 振り返れば2011年、中国のメディアはこぞって温州企業のこげつきと経営者の夜逃げを取り上げた。あれから8年を経た今、上海で感じるのは当時の“温州クラッシュ”の再現だ。
「政府がコントロールできる限りにおいてバブル崩壊はない」とする強気の中国だが、果たして市場は有効に制御されているといえるのだろうか。あるいは温州のバブル崩壊の検証を十分に行ったといえるのだろうか。もしかすると中国経済は今まさに、暗くて長いトンネルの入り口に立たされているのかもしれない。
(ジャーナリスト、アジア・ビズ・フォーラム主宰 姫田小夏)
https://diamond.jp/articles/-/190528

 

2019年1月11日 西M 徹 :第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト
韓国経済「板挟み」の窮地、7つの指標で読み解く減速

 2017年の韓国は、保守政権を率いた朴槿恵(パク・クネ)前大統領に対する弾劾が行われ、その後の大統領選において左派系の文在寅(ムン・ジェイン)氏が当選して政権交代が行われるなど政治的に大きな転換点を迎えた。
 一方、経済面では、先進国を中心とする景気拡大と中国経済の持ち直しを背景に、世界経済の自律回復が続いた結果、アジア新興国のなかでも経済の輸出依存度が相対的に高い韓国経済にとっては追い風となった。
 さらに、近年の韓国経済は財閥系を中心とする少数の大企業グループが経済活動の太宗を牛耳るなか、外需の拡大を追い風に企業が設備投資を活発化させる好循環もみられた。事実、2017年の実質経済成長率は前年比プラス3.1%と3年ぶりに3%を上回る伸びとなるなど、韓国経済は久々の好況に浴してきた。
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 年明け以降は、米トランプ政権による保護主義的な通商政策が韓国経済に打撃を与えることが懸念されたが、米韓FTA(自由貿易協定)の再交渉では韓国の譲歩を理由に、通商法232条に基づく鉄鋼製品及びアルミ製品への制裁関税措置は免れた。
 ただし、再交渉を通じて米国向けの鉄鋼輸出にクオータ(割当量)が設けられたほか、自動車や製薬関連のほか、為替市場への介入を制限する為替条項も盛り込まれるなど、相当の譲歩を迫られた模様である。

企業の設備投資に急速に下押し圧力
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 よって、足下の米国経済は依然底堅いにも拘らず、米国向け輸出にタガが嵌められる事態に直面している。さらに、中国を中心とするサプライチェーンに完全に組み込まれている韓国では、米中貿易摩擦の激化により中国向け輸出に玉突き的に減少圧力が掛かる懸念も高まっている。
 こうした懸念を反映するように、足下では企業部門による設備投資の動きに急速に下押し圧力が掛かるなど、17年から一転して悪循環に繋がる動きがみられる。
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 また、朴前政権が政財界を巡る一大スキャンダルを理由に退陣に追い込まれたため、文政権の経済政策は財閥系を中心とする大企業と距離を置く一方、政権の誕生を後押しした若年層を中心とする雇用創出を柱に据える姿勢を示した。
 韓国では少数の大企業が経済を牛耳るなかで、近年は財閥企業と中小・零細企業との格差が拡大しており、若年層は『大企業志向』を強めることで雇用環境の膠着化を招いてきた。
働き方改革が雇用環境を悪化させた
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 こうしたことから、文政権は労働者の待遇改善と労働の質向上を目指す『所得主導成長論』を掲げ、補助金などを通じて公的部門を中心に雇用拡大を図る取り組みを進めたほか、最低賃金の大幅引き上げや『韓国版働き方改革』による労働時間制限を通じ、労働時間の削減やワークシェアリングによる雇用機会の創出を図るなど、『社会実験』とも呼べる政策運営を行っている。
 なお、文政権は一連の政策実行に当たり経済界との対話に消極的であり、結果的に政府と経済界との間の溝が広がる事態が続いている。
 外需に対する不透明感が高まるなか、最低賃金の大幅引き上げなどに伴う労働コストの上昇を受けて、企業は雇用拡大に及び腰となるなど、雇用を取り巻く環境は厳しさを増している。なお、直近の失業率は3.8%と低水準であるが、文政権の誕生を後押しした10代及び20代といった若年層に限れば、失業率は依然9%を上回る高水準で推移しており、充分な成果を挙げられていない。
 こうしたなか、経済界は政府に対して『韓国版働き方改革』の弾力的運用を求める動きを強める一方、労働組合は政府の取り組みが中途半端であるとして反発を強めるなど、文政権は『板ばさみ』状態となっている。
 文政権は11月、『所得主導成長論』の強化に向けて関係閣僚の交代を実施したものの、足下の景気は外部環境の悪化に加えて経済政策面での『失策』も影響して減速傾向を強めている。
中央銀行も板挟みに
 直近の世論調査では、「経済及び民生問題を巡る指導力不足」を理由に政権支持率は一段と低下するなど、文政権を取り巻く環境は厳しさを増している。政府が12月に発表した最新の『経済見通し』では、2018年通年の経済成長率を前年比+2.6〜2.7%に下方修正したほか(従来は同+2.9%)、2019年も同程度に留まるとの見方を示すなど、景気見通しは急速に弱含んでいる。
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 このように足下の景気は力強さを欠く展開が続いているにも拘らず、中銀は11月末の定例会合において1年ぶりの利上げに踏み切るなど、金融政策は難しい舵取りが迫られている。
 米FRB(連邦準備制度理事会)による金融政策の正常化の動きに加え、夏場以降のいわゆる『トルコ・ショック』に伴う国際金融市場の動揺を受けて通貨ウォン相場は下落し、足下の金融市場は落ち着きを取り戻しているにも拘らずウォン安水準で推移していることが影響している。
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長期の金融緩和で家計債務が拡大
 一方、長期にわたる金融緩和政策の影響で家計部門の債務は拡大している。この動きに呼応するように首都ソウルを中心に不動産投資ブームが起こった結果、足下のソウルの不動産価格が前年比で二桁%の高い伸びとなるなど、金融市場を巡る新たなリスクとなることが懸念されている。
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 足下のインフレ率は低水準で推移しており、中銀は今後も緩和的な政策スタンスを維持する方針を掲げる一方で、先行きの政策決定の判断材料に、同国の景気と物価に加えて家計債務の動向、主要国の貿易政策及び金融政策、新興国の金融・経済動向などを挙げるなど、家計債務の動きに敏感になっている。
 足下の景気が力強さを欠く展開となっているにも拘らず、利上げに踏み切らざるを得ない状況は、中銀も別の意味で『板ばさみ』状態に見舞われていると言えるだろう。
(第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 西濱 徹)
※CEICのデータやサービスに関する問い合わせは以下にお願いします
●担当者 田代 E-mail:ntashiro@ceicdata.com
●概要紹介 http://speakerscorner.jp/ceic_top/

https://diamond.jp/articles/-/190478


 

 

 
金融業界の苦戦鮮明−年明け後の人員削減、既にこれだけ
Shelly Hagan
2019年1月11日 11:49 JST
ブラックロック:世界で従業員の3%(約500人)を削減
野村は欧州で一段の人員削減へとHRMアジアが報道

Pedestrians walk past BlackRock Inc. headquarters in New York, U.S, on Wednesday, June 11, 2018. Photographer: Bess Adler/Bloomberg
ボラティリティーが市場を揺るがし投資家がパッシブ投資に走る中で、資産運用会社と銀行は圧力にさらされている。ヘッジファンド業界は成績不振で打撃を受け昨年はファンド閉鎖が相次いだ。

  金融業界はコスト削減のためあらゆる業務でテクノロジーを活用。多くの国・地域で景気減速や場合によってはリセッション(景気後退)が予想され、英国は欧州連合(EU)離脱を控えて採用を控えるだろう。

  こうした環境の中で2019年に入って分かった資産運用会社や銀行、ヘッジファンドによる人員削減のニュースを以下に並べた。

ブラックロック:世界で従業員の3%(約500人)を削減
ステート・ストリート:上級管理職の15%を削減
AQRキャピタル・マネジメント:18年の成績不振を受けて人員削減
サンタンデール銀行:ポーランド部門の人員11%(最大1400人)を削減
モルガン・スタンレー:債券や株式、調査などの業務で成績不振の従業員を解雇
野村:欧州で一段の人員削減へ(HRMアジア報道)
原題:Here Are the Finance Firms Cutting Jobs Amid 2019 Market Turmoil(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-11/PL5AQX6JIJUU01?srnd=cojp-v2


ドイツ銀、悪材料止まらず−第4四半期は赤字か
Jan-Patrick Barnert、Nicholas Comfort、Karin Matussek
2019年1月11日 4:09 JST
脱税事件の関与で訴えられ、顧客審査見直しで当局が異例の期限設定
悪いニュースが続出、ゼービングCEOの再建手腕も脅かす
ドイツ銀行はまず本店の捜索、次に世界的な株安に見舞われた。クリスティアン・ゼービング最高経営責任者(CEO)を襲う悪いニュースは、まだまだ終わりが見えない。


クリスティアン・ゼービングCEOPhotographer: Alex Kraus/Bloomberg
  10日は銀行業界全体に及ぶ脱税スキームの関連で訴えられたほか、監督当局が顧客審査を見直すよう異例の期限を設定したとの報道が流れた。今週初めには、ドイツ銀は他の銀行とともに高リスク融資合計12億ドル(約1300億円)余りについて昨年終盤に投資家への売却に失敗し、処分に行き詰まっているとの情報も浮上した。

  ドイツ銀が過去数年間に経験した苦難に比べれば、最近の個々の悪材料は小粒ではある。だが、悪いニュースが次から次へと出てくるため、ゼービングCEOの再建手腕への信頼を脅かしつつある。

  マインファーストはドイツ銀と協議した後でまとめた今週のリポートで、同行の10−12月(第4四半期)は債券資本市場と債券販売・トレーディングを中心に厳しかったと指摘。UBSグループはドイツ銀の10−12月期決算が赤字になると予想する。

  マインファーストはドイツ銀の10−12月について「貸倒引当金が過去数四半期に比べて増加した公算が大きいと理解している」との見方も示した。

原題:For Deutsche Bank, the Trickle of Bad News Just Doesn’t Stop(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-10/PL4P506S972901?srnd=cojp-v2

ブラックロックが世界で500人削減、全体の3%−不透明感強まる中で
Annie Massa
2019年1月11日 1:58 JST

Photographer: Bess Adler/Bloomberg
資産運用会社の米ブラックロックが世界で従業員の3%を削減する。2016年以来で最大規模の人員削減となる。

  ブルームバーグ・ニュースが閲覧した社内メモによると、同社は数週間内に約500人を解雇する。どの部門が人員削減の影響を最も受けるかは明記されていない。

  社内メモの中でロブ・ カピート社長は「市場の不透明感は強まっており、投資家の選好も変化している。当社が事業を手掛けている環境は一段と複雑化している」と説明している。

  ボラティリティーの高まりで相場が荒れ、投資家が手数料の低いファンドに資金を移す中で資産運用会社は圧力にさらされている。ブラックロックの昨年9月時点の従業員数は約1万4900人。

原題:BlackRock to Cut 500 Jobs, 3% of Workforce, Amid Market Turmoil(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-10/PL4IQ26JTSE801?srnd=cojp-v2

 
コラム2019年1月11日 / 13:30 / 3時間前更新

米証券大手、取引所の市場支配に再挑戦
Antony Currie
2 分で読む

[ニューヨーク 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - シタデル・セキュリティーズやモルガン・スタンレーなど米金融大手9社は7日、証券取引所「メンバーズ・エクスチェンジ(MEMX)」の新設計画を公表した。低コストを武器にニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダックと張り合うのが目標だ。

証券会社などブローカーと取引所は長い間つばぜり合いを続けているが、ブローカー側は過去に何度も挑戦が頓挫しており、今回はMEMX創設でこうした過去の歴史にも挑むことになる。

技術の進歩で取引コストが下がったため、証券会社は顧客からの注文を社内で突き合わせることで収入を増やし、取引所は取引を成立させるためだけに使っている。こうした動きに対してNYSEなど既存の取引所は、あらゆる取引関連データに課金することで対抗した。

その結果、米国の株式取引高では現在、取引所外取引が、どの取引所よりも大きな勢力となっている。CBOEグローバル・マーケッツによると2018年の取引高に占める比率は取引所外が3分の1強で、NYSEは20%、CBOEは18%だった。

一方で取引所は取引関連データの事業化を進めている。CBOEはデータ課金による収入が全体に占める比率が12%程度で、ナスダックは9%、NYSEを傘下に持つインターコンチネンタル取引所でも4%となっている。米証券取引委員会は昨年秋、データ料金の値上げ申請を初めて拒否した。

大手ブローカーがこうした取引データ関連のコストを引き下げたいのは理解できる。MEMX創設計画に参加したシタデルやバーチュ・フィナンシャルは超高速の取引モデルを駆使し、米株取引市場で極めて大きなシェアを握っている。頭が痛いのは、MEMXに関わる企業の大半が過去にも大手の取引所に切り込もうと試み、ほとんど実を結ばなかったことだ。

一部の努力は暗礁に乗り上げ、あるいは注文の流れの社内化にとどまった。取引所創設がある程度の成功を収める例もあったが、その場合も結局は既存の大手取引所から買収の標的となった。NYSEは2006年にアーキペラゴを買収。ダイレクト・エッジを買収したBATSグローバル・マーケッツもその2年後にCBOEに飲み込まれた。

約6年前に創設されたIEXは無料もしくは安価でのデータ提供という路線を堅持している。ただ、シェアが2.5%しかなく、影響力は限られる。MEMXは後ろ盾となっている金融機関の規模を考えると、IEXよりもはるかにうまくいきそうだが、まずは経営トップを決め、事業免許を手に入れる必要がある。しかし、また買収の標的しか生み出せないなら、関係する金融機関は取引所の創設に見切りをつけるべきだ。

●背景となるニュース

*米金融大手9社は7日、手数料の低い証券取引所の新設計画を発表した。米大手証券取引所のニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダックに対抗する。新取引所の名称は「メンバーズ・エクスチェンジ(MEMX)」で、運営上の透明性向上、コストの低減、米国の株取引の簡素化を目指す。

*計画に参加するのはTDアメリトレード、バンク・オブ・アメリカ、チャールズ・シュワブ、シタデル・セキュリティーズ、Eトレード・フィナンシャル、フィデリティ・インベストメンツ、モルガン・スタンレー、UBS、バーチュ・フィナンシャルの各社。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/us-stock-idJPKCN1P209F
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/543.html

[経世済民130] 「不思議の国」のカルロス・ゴーン トヨタ・ホンダ・日産に戦略見直しを迫る米中異変 仏黄色いベストが企業圧迫、小売観光打撃
2019年1月11日 The Wall Street Journal
「不思議の国」のカルロス・ゴーン
カルロス・ゴーン前会長
Photo:Reuters
 日産自動車カルロス・ゴーン前会長は8日、ようやく日本の法廷で10分間の時間を与えられた。検察側の勾留の理由は昨年11月19日の逮捕時と大差ないようだ。「不思議の国のアリス」の言葉を借りれば、国際ビジネス史上で最もおかしな案件は「ますます奇妙」になりつつある。

 ゴーン氏をめぐる手続きは間違いなく「判決が先。評決は後」という性質のものだ。日産を救ったとして国民的英雄になった人物が正式に起訴されているのは、今のところ有価証券報告書の虚偽記載についてだけだ。だが同氏が7週間にわたって勾留されているなか、検察側は捜査のための別の容疑を積み上げている。そうすれば日本の法律の下では勾留期間を延ばすことができる。

 世界が知りつつあるように、日本の検察のやり方は誰かを起訴して裁判に持ち込み、被告に証拠を突き付けるものではない。有罪を認めるまで被疑者を拘束し、弁護士の立ち会いなしに尋問する。裁判は基本的に形式的なもので、あらかじめ有罪は決まっている。

 検察にとって問題なのは、ゴーン氏が一貫して不正行為を否定し、容疑を否認していることだ。弁護人が勾留理由開示手続きを請求したことから、ゴーン氏は出廷し、初めて公に無実を訴えることができた。ゴーン氏の意見陳述は、検察が明らかにしている証拠より説得力があるものだ。

 ゴーン氏は法廷で、「検察による訴追は全く誤っている。開示されていない報酬を日産から受け取ったことはない」と述べた。

 「報酬」はゴーン氏が記録していた概念上のものであり、日産からの報酬額が国際的な自動車メーカーの標準に沿っていれば得ていたかもしれない額のことだ。同氏の報酬がそうした水準より少ないことは誰もが知っていたし、フォードやゼネラル・モーターズ(GM)はゴーン氏を日産から引き抜こうとしていた。

 だがゴーン氏によると、開示されていない確定額の報酬について「法的な効力のある契約」を日産と締結したことはない。ゴーン氏は、退任後の報酬に関する提案書のドラフトは「社内外の」弁護士のチェックを受けており、やはり契約を交わしていないとしている。報酬ではなく契約もしていない金額について開示しなかったのがなぜ犯罪なのか、検察の説明を聞くのが楽しみだ。

 ゴーン氏は別の2つの容疑についても説得力のある陳述をした。まず日産の最高経営責任者(CEO)時代に、ドル円相場の変動対策として結んでいた為替スワップ契約の担保を日産がカバーした件。ゴーン氏は報酬を円で受け取っていたが、日本国外でドル建ての費用があった。契約の主体は後にゴーン氏に戻り、日産に損失はなかった。

 検察はまた、ゴーン氏が長年の日産のパートナーであるハリド・ジュファリ氏に対して日産から支払わせたのは、ゴーン氏個人への仕事の対価だったとしている。だがジュファリ氏もゴーン氏も、支払いは「日産に対して極めて重要な業務を推進」したことに対する適切なものだと話している。

 勾留取り消し請求に対する判断は週内に下される見通しだが、勾留を延長するために検察が新たな容疑を持ち出すことも考えられる。検察は逃亡や証拠隠滅の恐れがあると言うが、これまでに十分な証拠が見つかっていないのなら何を隠滅するというのか。

 長期の勾留を受け、ルノーに対してゴーン氏の会長職を解くよう求める圧力が強まっている。同氏がまとめたルノーと日産および三菱自動車のアライアンスに対しては日本側の不満が高まっており、ゴーン氏の取り調べはアライアンス解消を目指す日本側の動きの一環だとの憶測も無理はない。フランス側はゴーン氏の日本での処遇についてことさら騒ぎ立ててはいない。ゴーン氏がフランス自動車業界を救うためにしたことよりも、アライアンスの方が気にかかるようだ。

 いずれも私たちにとっては、法廷ではなく役員室で扱うべき問題のように思える。この間もゴーン氏は拘置所で、「赤の女王」による裁きにどう対応するか考えることができる。

(The Wall Street Journal)
https://diamond.jp/articles/-/190641


ビジネス2019年1月11日 / 15:25 / 1時間前更新
東京地検、ゴーン前日産会長を特別背任・虚偽記載の罪で追起訴
Reuters Staff
1 分で読む

[東京 11日 ロイター] - 東京地検特捜部は11日、会社法違反(特別背任)の罪で、日産自動車(7201.T)の前会長、カルロス・ゴーン容疑者を追起訴した。また、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪で、ゴーン容疑者と同社の前代表取締役ケリー被告、法人としての日産も追起訴した。

ゴーン前会長の弁護団は即日、保釈を請求する方針。弁護団によると、ゴーン元会長は2018年11月19日の逮捕以降、特別背任と報酬過少記載の両事件ともに否認を続けているという。

日経などによると、ゴーン元会長は2008年10月、私的な通貨取引のスワップ契約を日産に移転し、約18億5000万円の負担義務を日産に負わせた罪で起訴された。

また、09年から12年にかけて、サウジアラビアの知人に日産子会社から約16億円を支出させた。

有価証券報告書に受領を先送りした報酬を記載しなかった金融商品取引法違反の罪に関しては、18年3月期までの3年分について、ゴーン前会長とケーリー前代表取締役、法人としての日産について起訴した。

すでに起訴されている15年3月期までの5年分と合わせ、立件された総額は8年間で計約91億円となっている。
https://jp.reuters.com/article/ghosn-indictment-idJPKCN1P50EX?il=0


 


【第95回】 2019年1月11日 佃 義夫 :佃モビリティ総研代表
トヨタ・ホンダ・日産に戦略見直しを迫る米中2大市場の「異変」米中2大市場に異変あり?

自動車の2大市場である
中国と米国に「異変」
 今や、世界トップの自動車市場となったのが中国であり、一方でトップを中国に譲ったといえども自動車大国である米国の存在感も健在だ。

 近年、日本車メーカー大手のグローバル戦略といえば、中国と米国という2大市場でのシェアアップと収益性拡大が何よりも重要であり、この両面作戦は、連結業績における最大の“決め手”となっていた。

 実際、これまでの日本の大手自動車各社の首脳らは「中国と米国の自動車市場は、世界でも圧倒的なボリュームを誇り、グローバル戦略において最も重視している」と口をそろえていた。

 しかし、最近、世界最大の自動車市場国である中国では「異変」が生じている。昨年2018年の年間市場が1990年以来28年ぶりの前年割れとなったのだ。一方、中国に続く世界第2位の米国市場では、需要構造が大きく変容してセダンから多目的スポーツ車(SUV)やピックアップトラックに需要主体が移行している。

 中国における異変の背景はいうまでもない。米中貿易戦争だ。

 中国は、米中貿易戦争の影響を受けて景気の不透明感が強まり、昨年7月から新車販売の前年割れが続き通年では3%程度のマイナスになったもようだ。2009年から米国市場を抜いて世界最大の自動車市場となった中国だが、3000万台を目前にして足踏み状態となり、中国内の自動車生産供給過剰を指摘する声もある。

 一方、1700万台市場の米国は、ピークアウトかと見られていた中で大型SUVやピックアップトラックの需要が旺盛だが、セダンが不振で販売奨励金(インセンティブ)が高騰したり、中古車市場等にも影響が出始めている。

 このように自動車両大国が“異変”を示す中で、中・米が稼ぎ頭であった日本車大手メーカーでも、中・米戦略の練り直しを迫られている。

米中貿易戦争の
影響を受ける中国
 前述した通り、トヨタ、ホンダ、日産といった日本車大手メーカーにとって中国と米国は、グローバル戦略の要であり収益源でもある。

 特に、日産とホンダはこのところ中国を“稼ぎ頭”として注力してきた。

 ところが、日産は中国現地の主力工場の減産で在庫の適正化に踏み切り、ホンダは中国でのリコール問題がこじれ、「足踏み」状態となった。

 一方のトヨタは、かつて中国で出遅れていたが、中国政府の関税引き下げによる「レクサス」の値下げ効果で押し上げ、中国で現在6%程度のシェアを引き上げる方策を探る。

 中国市場の動向は、トランプ政権と習政権による米中貿易戦争の行方次第で大きく左右されるだろう。とはいえ、今後も世界の自動車大国としての基盤は揺るがないものがある。それだけに、CASE(つながるクルマ、自動運転、シェアリング、電動化)への普及対応を含めて中国と米国といった両自動車大国では、国策対応と収益力の底上げといった戦略の練り直しが迫られている。

 中国は、2000年代前半から右肩上がりの市場拡大を続け、2009年に米国を抜いて世界最大の自動車市場となった。その後も順調に市場が広がり2017年に2888万台となった。これにより、昨年は3000万台ラインに乗るかと見られていたが、前述したように通年で3%程度の減少で28年ぶりの前年割れとなった。

 これは、米中貿易戦争の影響もあり景気の不透明感が強まったことに加え、17年に小型車減税が打ち切られる前の駆け込み需要の反動があったことも大きな要因である。一方で、中国政府による輸入車関税引き下げで、レクサスやドイツの高級車にとっては「追い風」となったが、中国自動車市場全体で見ればマイナスとなった。

 加えて、近年では中国現地メーカーも台頭、日米欧韓自動車メーカーとの間で販売競争も激化しており、生産供給過剰を指摘する声も出ている。

 現に米フォードや韓国・現代自による現地工場の減産に続き、日本車も日産、マツダが減産に踏み切った。スズキは中国現地合弁先との問題もあって中国から撤退している。

新エネルギー車の規制が
スタートする中国
 中国は、習政権による「中国製造2025」で電気自動車(EV)などの新エネルギー車を重点領域に指定し、2025年に新車販売の2割を新エネ車にする目標を掲げている。その背景には、中国を新世代技術の自動車リーダー国へとする国策を強く意識したものがある。

 今年2019年からは中国政府による「新エネルギー車(NEV)規制」がスタートする。これは、乗用車メーカーに対し生産・輸入台数の10%相当分を「NEVクレジット」として義務付けるもの。NEVクレジットの対象にはEVやプラグインハイブリッド車(PHV)は含まれるが、ハイブリッド車(HV)は対象外となる。目標未達成の企業はクレジット不足分を他社から購入する必要がある。20年には12%に増える見通しだ。

 ただ、米国のトランプ政権との軋轢(あつれき)による米中貿易戦争もあって「新エネ政策」も揺れている。先に中国政府は今年2019年から施行する「自動車産業投資管理規定」で、プラグインハイブリッド車(PHV)の生産能力増強を厳しく制限する規制案を見送ると発表した。

 また、中国政府がEVに対する販売補助金を2019年は前年比の総額で約3割減らすことも報じられている。中国政府は2020年を最後にEVへの補助金を撤廃する方針であり、これが中国自動車市場全体にどう影響するか、ということになる。

 いずれにしても、世界最大の自動車市場となった中国が28年ぶりの減少に転じた中で、NEV規制がスタートする。

 昨年の中国市場の減少については、米中貿易戦争や中国政府の経済政策の影響などによるもので「“踊り場”現象であり、中長期的にはまだ進展する」(中国エコノミスト)との見方が大勢を占める。

 中国政府がこの2019年からスタートさせる「NEV規制」や「外資規制緩和」などに対応して、日本車大手各社の中国戦略の動きが注目されることになろう。

米国は大型車の需要増え
日本車得意のセダンが落ち込む
 一方の米国市場だが、昨年2018年の新車市場は、1727万台、前年比0.3%増と全体としては堅調なものとなった。

 しかし、米国内の雇用増や所得の回復により大型車需要へのトレンドが顕著となり、大型SUVやピックアップトラックが含まれる「小型トラック」需要が増加した。この小型トラックは、1178万台で、8%増となり、全体需要における小型トラックの割合が69%と7割近くを占めている。

 これに対し、乗用車(セダン)は、548万台で13.1%減と対照的にセダン不振が深刻となっている。米国でのセダン不振は、ゼネラル・モーターズ(GM)が昨年11月にセダン系車種の製造拠点である北米5工場の生産停止を発表した。一方、フォード・モーターは北米のセダン販売から撤退する方針を打ち出している。

 GMやフォードは車種構成を見直し、採算の高い大型車中心にシフトしようとしている。

 米国での昨年の日本車大手の販売は、トヨタ242万台、0.3%減、ホンダ160万台、2.2%減、日産149万台、6.2%減となっている。トランプ政権の鉄鋼・アルミニウムの輸入高関税が採算を圧迫し、販売奨励金(インセンティブ)の積み増しとなると、セダン系はより利幅が薄くなる。

 日本車が得意としてきたセダンの需要が厳しくなる中で、米国戦略も見直しを迫られている。

 また、日米物品貿易協定(TAG)の交渉動向も自動車業界にとって今後の米国戦略にどう影響するか注目されるところである。

 ホームマーケットである日本国内新車市場は、世界第3位の500万台ラインをキープしているが軽自動車の底支えによるもので将来的には縮小トレンドが避けられない。

 国内市場ではトヨタが圧倒的な販売シェアを持つが、そのトヨタでさえ国内販売ネットワークの改革に踏み切る。トヨタは、日本市場で国内300万台生産を維持していくための体制固めを図り、中・米での強化によりバランスをとっていく方針だ。

 ホンダは、かつての「米国一本足打法」から近年は「中国重視」を進めてきた中で、5年目を迎える八郷体制で世界6極戦略をどう固めて仕上げていくかということになる。

 また、「ゴーン元会長問題」で揺れる日産は、米国で収益低下の改善を進める一方で、中国での現地生産減産と“本業の課題”が表面化しておりポストゴーンも含めて本業の立て直しが求められている。

(佃モビリティ総研代表 佃 義夫)
https://diamond.jp/articles/-/190575


 


ビジネス2019年1月11日 / 13:35 / 3時間前更新
仏「黄色いベスト」運動が企業業績圧迫、小売りや観光に打撃
Reuters Staff
2 分で読む

[パリ 10日 ロイター] - フランスで政権に抗議する「黄色いベスト」運動のデモなどの影響で、企業の業績が圧迫されている。今週発表された企業2社の業績見通しだけでも、抗議運動は合計で約6000万ユーロ(6900万ドル)の減収要因となっている。

家電販売のフナック・ダルティ(FNAC.PA)は10日、デモで店舗を閉鎖し来客数が落ち込んだため、売上高が4500万ユーロ程度減少するとの見通しを示し、株価は下落した。

航空大手エールフランスKLM(AIRF.PA)も、抗議運動により売上高が1500万ユーロ減少するとの予想を公表した。

今後は、カジノ(CASP.PA)やカルフール(CARR.PA)といった小売り大手の業績への影響が懸念される。

ロシュ・ブルン・アセット・マネジメントのファンドマネジャー、マリエム・モクダッド氏は「フナックのように目抜き通りに店舗を構える企業に影響が真っ先に出ている。だが、観光業に与える打撃も大きいため、ホテルグループのアコー(ACCP.PA)のような他企業にも影響は広がるだろう」と話した。

食品ケータリングサービスのソデクソ(EXHO.PA)は、今年これからの業績を懸念している、と警告した。ソデクソはエッフェル塔内のレストランとケータリング契約を結んでいるほか、有名キャバレーのリドやセーヌ川の高級クルーズなどを展開している。

同社のデニス・マシュエル最高経営責任者(CEO)は「抗議運動の影響が春夏の旅行シーズンに及ぶ事態を強く懸念している」と述べた。

フランスの小売業界団体FCDは、昨年11─12月の2カ月間で失った売上高は約20億ユーロに上るとの推計を示した。

投資会社クレアインベストのイオンマール・バラウ氏は「改めて言うまでもないが、他の大手企業でも同様の懸念が出るだろう。過去2カ月間は毎週末、シャンゼリゼ通りが閉鎖されていたため、LVMHやデパートのボン・マルシェのような高級店も打撃を受けるだろう」と指摘。「黄色いベスト運動はフランス経済を一時停止に追い込んだため、パリ株式市場のCAC指数を構成する企業には一定程度の影響が出るだろう」と述べた。

スイスの投資会社プライム・パートナーズのファンドマネジャー、ジェローム・シュップ氏は、抗議運動に伴うリスクを考えれば、カジノやカルフールなどフランス国内中心に事業を展開する企業より、国際的に展開する企業に投資する方が好ましいとの見方を示した。

フランスでは昨年11月半ばから、燃料税引き上げ計画への抗議に端を発した抗議運動が拡大。デモでは暴力行為も多発し、繁華街や観光名所が一時閉鎖される事態となった。
https://jp.reuters.com/article/france-economy-idJPKCN1P509T
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/544.html

[経世済民130] 次の外為「フラッシュクラッシュ」発生、ヒントは日本のカレンダーに それでも勝組もいたヘッジファンドが期待裏切った18年 
次の外為「フラッシュクラッシュ」発生、ヒントは日本のカレンダーに
masaki kondo、Ruth Carson
2019年1月11日 5:00 JST
• 日本の連休中のアジア時間早朝が「魔の時間」
• 3日以上の連休、日本では今年あと9回やってくる
1回目は事故、2回目は偶然と言えるかもしれない。しかし外国為替市場で3回目の「フラッシュクラッシュ」に身構えるトレーダーらは今、日本のカレンダーを研究しているに違いない。
  円に対する先週のトルコ・リラのフラッシュクラッシュ(急落)と2016年1月の南アフリカ・ランドの急落には、3つの共通点がある。いずれもアジア時間早朝、日本の連休中に起こったほか、個人投資家のこれら高利回り通貨のロング(買い持ち)ポジションは高水準にあった。
  日本では今年、週末を含めて3日以上となる連休があと9回やってくる。過去2回と同じような機会が生じれば、日本の個人投資家のポジションに投機筋が攻撃を仕掛ける準備を整えるかもしれないと市場参加者らはみている。次回の連休は今月12−14日だ。
  ウエストパック銀行のシニア通貨ストラテジスト、ショーン・キャロー氏(シドニー在勤)は「われわれは外為のフラッシュクラッシュ再来を覚悟すべきだ。われわれというのは、朝食を食べているオーストラリア人のことだ。それが最も流動性が低い時間帯だからだ」と述べた。「例えばロンドン時間午後2時に同様のことが起こるとは非常に考えづらい」と付け加えた。

  問題あるいはヘッジファンドにとっての好機は、日本が休場の日は日中取引規模が320億ドル(約3兆4500億円)のオーストラリア市場が、シンガポールと香港市場が開くまで主戦場になることだ。日本の金融先物取引業協会の最新データによれば、豪州市場の規模は昨年11月末の日本の個人投資家のロングポジション残高にほぼ一致する。
  信用取引に応じるブローカーは日本が休場でも毎日、資産を時価評価し、損失が一定水準に達すればポジションを清算しなければならない。会社ごとに若干の違いはあるが、外為どっとコム総研の神田卓也調査部長によると、これは総じて日本時間午前7時ごろに行われる。
  流動性の低さは、個人投資家のポジションを投機筋の攻撃に対して脆弱(ぜいじゃく)にする。ストップロスを引き起こし極端な値動きから利益を得ようとするトレーダーが現れる恐れがある。
  楽天証券のオーストラリア部門で最高執行責任者(COO)を務めるニック・トウィデール氏は「日本が祝日で大きなリテールポジションがあれば、マーケットはストップを付けにいこうとする」と話す。
  また、ナショナル・オーストラリア銀行の外為戦略責任者、レイ・アトリル氏は、円ショート(売り持ち)を強制的に急解消させる動きが引き金になり得るが、アルゴリズム取引をする金融機関やファンドの行動が、変動を大きく増幅させかねないと指摘した。
  日本の年末年始休暇の最終日だった1月3日の朝、円は数分の間に米ドルに対して4%近く上昇。きっかけは対円での豪ドルとトルコ・リラ売り注文殺到だった。

  日本の個人投資家が持つポジションのリスクには、過去1年にあらためて注目が集まった。日本銀行の政策で貯蓄を持つ個人は金利収入の道を断たれ、高利回り通貨へと向かった。トルコ・リラのほかに日本の投資家がロングにする通貨は南ア・ランドやメキシコ・ペソなど。金融先物取引業協会のデータによれば、豪ドルやニュージーランド・ドルも買われている。
  祝日を月曜に移す政策のおかげで日本には3日以上の連休が多い。フラッシュクラッシュの高いリスクに神経質になるトレーダーらに、準備の時間はあまりない。今週末も3連休だ。
日本の残る2019年連休(最終日)

1月14日 (3日間) 2月11日(3日間) 5月6日 (10日間) 7月15日 (3日間) 8月12日(3日間)
9月16日 (3日間) 9月23日 (3日間) 10月14日 (3日間) 11月4日 (3日間)
原題:Trigger for Next Flash Crash May Lie in Japan Currency Calendar(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-10/PL28Z56S972K01?srnd=cojp-v2

 

それでも勝ち組もいた−アジアのヘッジファンドが期待裏切った18年
Bei Hu
2019年1月11日 12:07 JST
• APSアセットは日本ファンドで1億2000万ドル集めた
• オプティマスの株式ファンド、昨年のリターンはプラス16.5%
アジアのヘッジファンドは昨年、近年にない成績不振に見舞われ、ヘッジファンドの技量が落ちたと考える投資家がいても不思議はない。
  だがアジア重視のヘッジファンド運用会社の中には資金を集めたところもあった。ユーリカヘッジによれば、アジアのファンドの約3分の1が2018年に純流入を記録した。
  カリスマティック・キャピタルが運用するファンドへのコミットメントは昨年9月から3倍に増え、3億ドル(約325億円)に達したとチンチン・ラム最高投資責任者(CIO)は言う。同CIOは米シティグループとスイスのUBSグループでプライベートバンカーとして働いた経歴を持つ。
Brave Souls
Global hedge fund starts are headed for their slowest year since 2000

Source: Hedge Fund Research Inc.
Note: 2018 data is for first nine months
  他にも幾つかのヘッジファンド運用会社が昨年、資金を集めた。各社の業務実態を直接知る関係者が明らかにした。
• 香港のWTアセット・マネジメントは18年初めの6800万ドルから約5億ドルに運用資産を増やした。同社は泰仁資本に在籍していた王通書氏が率いる
• 香港のオバタ・キャピタル・マネジメントは1年間で資産が7億ドル以上に増えた。ブルークレスト・キャピタル・マネジメントでアジア株式チームの責任者だったジェームズ・チェン氏が率いている
• APSアセット・マネジメントは欧州の1投資家から2億5000万ドルの中国人民元建てA株戦略を託されたほか、同社の日本ファンドで1億2000万ドルを集めた
• クレディ・スイス・グループのバンカーだったトーマス・ウォン氏が率いる香港のヘッジファンド運用会社オプティマス・キャピタルは18年、資産が4億5000万ドルに膨らんだ。投資家からの新規資金は1億ドルを超えた。同社の株式ヘッジファンドのリターンは昨年、プラス16.5%となった
原題:Asia Hedge Funds Lost Big in ’18, But Some Still Pulled in Money(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-11/PL5AES6JTSE901?srnd=cojp-v2

 

トップニュース2019年1月11日 / 15:20 / 1時間前更新
来週の日本株は一進一退、海外情勢の不透明感残る
Reuters Staff
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[東京 11日 ロイター] - 来週の東京株式市場は、一進一退となりそうだ。年末年始の需給調整が一巡し、ボラティリティは落ち着きつつある。企業業績に対する過度な悲観も和らいだが、米中貿易交渉の行方や長引く米政府機関の閉鎖、英国の欧州連合(EU)離脱問題など不透明要因が多く楽観的な上値追いとはなりにくい。本格化する米金融決算を受けた米国株の反応も注目される。

日経平均の予想レンジは1万9800円―2万0800円。

10日に業績予想を下方修正した安川電機(6506.T)の株価がショック安とならず市場は安堵した。減益決算発表後のファーストリテイリング(9983.T)も11日の株式市場では大幅高だった。「12月以降の調整局面である程度の業績下振れは織り込み済み。企業業績に対する過度な悲観は後退した」(国内証券)とみられている。1月下旬から本格化する国内決算発表前にポジションを落とす動きは一服しそうだ。

米金融政策を巡る不安も収束に向かっている。「景況感以上の株安が進んだ背景にはFRBと市場のコミュニケーションミスがあった」(三井住友アセットマネジメント・チーフマクロストラテジストの吉川雅幸氏)とみられているが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は今月4日に続き10日の講演でも改めてハト派姿勢を示した。来週は15日にカシュカリ米ミネアポリス地区連銀総裁、カプラン米ダラス地区連銀総裁、ジョージ米カンザスシティー地区連銀総裁が講演などで発言する。ハト派的な受け止めが広がれば、金融市場のリスク選好が日本株の支えになる可能性がある。

一方、海外情勢は引き続き圧迫要因になる。15日には英議会がEU離脱協定案を採決する。採決前後に英政局が混乱すれば市場は動揺しそうだ。また、米政府機関の閉鎖が長引く懸念もあり、16日に予定されている12月米小売売上高の発表は延期となる可能性がある。米国ではシティグループ、バンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックスなどの金融決算が集中する。内容次第では日本株にも影響を与えそうだ。

株式マーケットチーム


トップニュース2019年1月11日 / 15:20 / 1時間前更新
来週はドルの上値重い、米利上げ停止観測や政府機関閉鎖で
Reuters Staff
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[東京 11日 ロイター] - 来週の外為市場では、米国で利上げが早々に停止されるとの観測や長引く米政府機関の閉鎖を受け、ドルの上値が重い展開が予想されている。年末年始にドル/円が急落した記憶も新しく、投機筋もドルの上値を追いにくいとみられる。

予想レンジはドル/円が107.00━109.50円、ユーロ/ドルが1.1400―1.1650ドル。

米連邦準備理事会(FRB)のクラリダ副議長は10日、世界経済の成長鈍化の影響を緩和するための政策調整に乗り出すまでに、FRBはあまり時間をかけたくないとの見解を明らかにした。

9日に公表された昨年12月18―19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、「インフレ圧力も落ち着いており、次の利上げまで我慢強くいられる」と多くのメンバーが表明し、当面利上げを見送る考えを共有していたことがわかった。

「FRB高官のハト派的な発言やFOMC議事要旨で利上げの停止が示唆されたこと、過去最長となる見込みの米政府機関の閉鎖など、ドルの上値追いには慎重にならざるを得ない状況が続く」とトウキョウフォレックス上田ハーローの営業推進室長、阪井勇蔵氏はみている。

また、109円から109円半ばには戻り売りや利益確定のドル売りニーズが非常に強く、ドルの上値を抑えると同氏は予想する。

一方、米国の政治や経済を巡る不安材料の台頭という他律的な要素で1.15ドルの大台を上抜けたユーロは、来週も他力本願の堅調さを維持するとみられている。

15日にはニューヨーク連銀製造業景況指数、17日にはフィラデルフィア連銀製造業景況指数が予定されるが、米国では製造業の減速が目立ち始めている。

3日に発表された米国ISM製造業指数は54.1と、前月の59.3から大きく低下し、2年ぶりの低水準となった。低下幅は10年ぶりとなる大幅なものだった。特に、新規受注指数が大幅に低下し、前月の62.1から51.1に急落した。

15日には英議会で欧州連合(EU)離脱協定案の採決が行われる。メイ首相がEUと合意した離脱案が否決されることは織り込み済みだが、首相が不信任に追い込まれるような事態に発展すれば、英ポンドの一時的な乱高下も予想される。

為替マーケットチーム
https://jp.reuters.com/article/tokyo-frx-wklyoutlook-idJPKCN1P50EM


 

ビジネス2019年1月11日 / 15:35 / 1時間前更新
ドル108円前半で伸び悩み、米CPI待ち
Reuters Staff
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[東京 11日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、若干ドル安/円高の108円前半。株価が堅調に推移する中、ドルは108円半ばまで強含んだものの、3連休を控えた利益確定売りや調整売りに押され、伸び悩んだ。

ドルは仲値公示付近に108.47円とこの日の高値をつけたが、午前11時過ぎに、米ホワイトハウスがトランプ大統領が主張するメキシコ国境の壁建設を可能にするため、国家非常事態宣言に向けた調整を行っているとのニュースが伝わると、上値が重くなり、108.22円まで軟化した。

米紙ワシントン・ポストが関係筋の話として10日報じたところでは、米ホワイトハウスはメキシコ国境の壁建設を可能にするため、国家非常事態宣言に向けた調整を行っており、陸軍工兵隊の災害対策業務に割り当てられている未執行予算を転用する可能性も検討している。

市場ではきょう発表予定の11月米消費者物価指数(CPI)が注目される。

前日は百貨店大手メーシーズが通期の既存店売上高見通しを下方修正し、同社の株が20%近く下落するなど、これまで景気のけん引役だった米個人消費の先行きを懸念する声が多い。

朝方1.15ドルを割り込んでいたユーロは、買い戻し優勢となり一時1.1531ドルまで上昇。ユーロ圏を巡る好材料があるわけではなく「米国の政治、経済をめぐる不透明感から、他律的なユーロ高」(ストラテジスト)となった。

中国人民元は続伸。6.7481元と昨年7月以来の高値をつけた。

「市場は米中の対話姿勢が好感された、と解釈している節がある。中国政府が元高誘導で米国に譲歩したとの説が広がる可能性もありそうだ」(野村証券チーフ為替ストラテジストの池田雄之輔氏)との声も出ていた。

米10年国債利回りは2.7257/7239%の気配。

市場では、今週実施された米国債入札の結果がかんばしくなかったことが話題となっていた。前日の160億ドルの30年債入札は、最高落札利回りが3.035%と、2018年7月以来の低水準となった。応札倍率は2.19倍と12月の前回入札の2.31倍から低下した。

ドル/円JPY=  ユーロ/ドルEUR=  ユーロ/円EURJPY=

午後3時現在 108.29/31 1.1522/26 124.81/85

午前9時現在 108.27/29 1.1506/10 124.62/66

NY午後5時 108.42/43 1.1498/02 124.68/72

為替マーケットチーム
https://jp.reuters.com/article/tokyo-frx-lateaft-idJPKCN1P50FS?il=0


ビジネス2019年1月11日 / 15:30 / 1時間前更新
日経平均は反発、米株高が支え ファーストリテの上げも寄与
Reuters Staff
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[東京 11日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は反発。前日の米国株市場で主要3指数がそろって上昇したことを受け、朝方から買いが先行。上げ幅を一時200円超に拡大した。投資家心理が落ち着く中、寄与度の高いファーストリテイリング(9983.T)が大幅に上昇したことも押し上げ要因となった。

日経平均ボラティリティー指数.JNIVは23ポイント台でやや高止まりの水準だが、昨年12月25日の32ポイント台からは低下している。「3連休を前に大きなポジションは取りにくい」(国内証券)との声があった一方、「(戻りを試す場面での)利益確定売りは終了し、個人も改めて買いを入れやすい地合いになってきた」(SBI証券のシニア・マーケットアドバイザー、雨宮京子氏)との見方が出ていた。

その中でファーストリテは堅調に推移し一時7%を超す上昇。日経平均の200円近い上げのうち、1銘柄だけで約120円の押し上げ要因となった。10日発表の2018年9─11月期連結決算が低調な内容になることは想定内だった一方、「好調な海外事業や12月の国内ユニクロ既存店売上高の増加などが評価された」(中堅証券)という。

TOPIXは0.51%高。業種別では精密機器、不動産、電気機器などが値上がり率上位にランクイン。10日に業績予想を下方修正した安川電機(6506.T)が底堅さを示し、景気敏感セクター全般に買い戻しの動きが広がった。半面、小売、水産・農林、倉庫・運輸関連などが売られた。

そのほか個別銘柄では、武田薬品工業(4502.T)が堅調。4─6月を決算期末とする企業を対象としたTOPIX浮動株比率の定期見直しを受け、ウエートが高まる同社株にパッシブ系資金が流入するとの期待が続いている。

一方、吉野家ホールディングス(9861.T)は大幅続落。10日発表した18年3─11月期の連結営業損益が5億6200万円の赤字だったことが嫌気された。

東証1部の騰落数は、値上がり1033銘柄に対し、値下がりが1003銘柄、変わらずが92銘柄だった。

日経平均.N225

終値      20359.70 +195.90

寄り付き    20296.45

安値/高値   20294.74─20389.89

TOPIX.TOPX

終値       1529.73 +7.72

寄り付き     1531.72

安値/高値    1525.84─1535.03

東証出来高(万株) 129595

東証売買代金(億円) 25029.80
https://jp.reuters.com/article/tokyo-stx-close-idJPKCN1P50FM?il=0


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/545.html

[国際25] 焦点:中国ウイグル「教育施設」の実態、テロ対策か同化政策か
トップニュース2019年1月12日 / 09:41 / 15時間前更新
焦点:中国ウイグル「教育施設」の実態、テロ対策か同化政策か
Ben Blanchard
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[ウルムチ/カシュガル/ホータン(中国) 6日 ロイター] - 中国が西部の新疆ウイグル自治区で進める「過激派の再教育プログラム」に対し、世界は人権侵害だと懸念を強めている。中国政府は大きな成果を上げているとして閉鎖する姿勢を見せていないが、異例の現地取材が認められた1月初旬、複数の当局者は施設に送られる人数は今後減少すると語った。

人権活動家や研究者、各国政府、国連の人権専門家は、少数民族ウイグル族を始め、この地を故郷とするイスラム系住民を中国政府が大量に拘束し、厳しい監視下に置いていると非難している。

国連人権理事会は2018年8月、ウイグル族など少数民族100万人以上が、中国最西端にある「大規模強制収容所」に似た施設に拘束されているとした、信頼性の高い複数の報告を受けていることを明らかにした。

<100万人を収容か>

中国政府は1月初め、ロイターを含む外国人記者団を対象に、「職業教育研修センター」と称する施設3カ所を巡るツアーを行った。同様のツアーには、ロシアやインドネシア、インド、タイ、カザフスタンなど12カ国の外交官もさきごろ招待されたという。西側の外交官は対象から外された。

ウイグル族としてこの地域で最高位のショホラト・ザキル主席を始め、自治区の高官たちは、こうした非難を「中傷まがいの嘘」と呼んで一笑に付している。

ザキル主席は自治区の首府ウルムチ市で、施設は過激主義を抑えるうえで「きわめて効果的」に機能してきたと語った。法律を教えたり、標準中国語の習得を支援してきたという。「時間が経つにつれ、教育研修制度の対象者数はどんどん減っていくだろう」と同氏は述べた。

施設にはどのくらいの入所者がいるのか、正確には言えないという。「100万人という数字にはむしろ驚いている。この教育制度に100万人、それは現実的ではない。単なる噂にすぎない」と主席は述べ、一時的な教育施設だと強調した。

ドイツのミュンヘンに本部を置き、亡命したウイグル族の組織を束ねる世界ウイグル会議の広報担当者、ディルクサット・ラクシット氏はロイターに対し、中国政府は過激主義対策を口実に住民を拘束していると語った。「彼らがやろうとしているのは、ウイグル族のアイデンティティの破壊だ」

<施設の内部へ>

人権団体や元入所者は、施設内部の条件は劣悪であり、収容者が虐待を受けていると主張する。職業訓練は行われていないという。

中国政府はこうした批判に反論するため、カシュガル市、ホータン市、カラカシュ県にある3カ所の施設に記者団を案内した。いずれもウイグル族が多く、暴力的な衝突が起きた新疆ウイグル自治区南部の街だ。

記者団が短時間の入室を許された教室では、教師が標準語で、婚礼の場で歌ったり踊りするのを禁じたり、葬儀の場で泣くことを許さないのは過激主義思想の兆候だ、などと説明していた。

生徒たちはノートを取っていたが、記者団と当局者が教室に入ると手を止めて顔を上げた。ぎこちなく微笑を浮かべる者、教科書に目を落とす者、すべてウイグル族だった。誰も不当な扱いを受けているようには見えなかった。

別の教室では、「広大なわが祖国」という中国語の教材を読んでいた。歌や踊りを盛んに行う教室もあった。「幸せなら手を叩こう」を英語で元気よく歌う様子も見られたが、どうやら記者団の訪問に合わせて準備されたもののようだった。

数人が短時間の取材に応じたが、すべて政府当局者立ち会いのもとだった。記者団は常に監視されていた。彼らは皆、地元の当局者からセンターの存在を教えてもらい、自らの意志でここに来たと語った。そしてひどく似通った言い回しで、自身が「過激主義思想」に染まっていたことを話した。

ホータン市の施設で取材に応じたパザライブツイさん(26歳)は、5年前に近所で行われた違法な宗教会合に出席し、女性は顔を覆わなければならないと教えられたと語った。入所して1年の彼女は、「当時の私は過激主義思想に染まっていたので、ベールで顔を隠していた」と、きれいな標準語で話した。

カシュガル市の施設で取材に応じたオスマンジャンさん(年齢非公表)は、民族間の憎悪を煽ったとして、村の警察から再教育を受けることを提案されたという。「過激主義思想の影響を受けていたころは、イスラム教徒以外の客の相手をするのが嫌だった」と、たどたどしい標準語で語った。

ロイターは、彼らが話した内容の真偽を確認できていない。インタビューに応じた人は皆、記者団の訪問は事前に知らされていなかったと述べている。

入所者によると、標準語と法律知識の習得、過激主義思想からの脱却が一定のレベルに達したと判断されれば「卒業」できるという。家族との電話は許されているが、携帯電話は持ち込み不可。食事はイスラム教の戒律にのっとったハラール料理が提供されている。

3つの施設の警備体制は、いずれも最小限に見えた。ロイターは昨年、複数の施設の内部状況を報じ、見張り塔のほか、一部が有刺鉄線で囲まれている写真を撮影している。

<外国メディアの報道は「フェイク」>

新疆ウイグル自治区の状況をめぐっては、西側政府の懸念を招いてる。

少なくとも15カ国の西側大使が昨年、同地区の共産党トップである陳全国氏に協議を求めて書簡を送った。外交筋によると、書簡への返答はなかったという。陳氏は今回の取材中、記者団と面会しなかった。

米政府は陳氏を始めとした高官、新疆ウイグル自治区における人権侵害の疑いに関係した中国企業に対する制裁を検討中であることを明らかにしている。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのマヤ・ワン氏は、世界が圧力をかける必要があると話す。「中国側が視察ツアーを企画する必要を感じているという事実は、圧力が効いている兆候だ」と、ワン氏はロイターに語った。

ワン氏も、世界ウイグル会議のディルクサット・ラクシット氏も、施設訪問や居住者へのインタビューに厳しい規制がかけられているのは、中国側がこの問題の本質を懸念している証拠だと指摘する。

ウルムチ市の共産党トップ、スイ・ハイロン氏はロイターに対し、昼食のケバブと馬肉、ナンを食べながら、新疆ウイグル自治区に関する外国の報道は「すべてフェイク(虚偽)だ」と述べた。米国の制裁については何も心配していないという。

「陳党書記を含めて私たちは皆、新疆ウイグル自治区の人々が良い生活を送れるよう、力を尽くしている」と、スイ氏は語った。「米国が私の入国を拒否するというのであれば、行くつもりはない。それが真実だ」

<「安定が何より大切な人権」>

中国政府は、ウイグル族が中国社会の本流の一部になることが目標だとしている。自治区のショホラト・ザキル主席は、南部の一部地域では、住民が標準語で挨拶すらできないと話す。

過去2年間にわたって暴力的な衝突がないことは、過激思想からの脱却プログラムが成功している証拠だと当局者は指摘する。ウルムチ市は「主なテロ攻撃」というテーマの展示会を開き、政府がテロと称する事件の写真や映像を公開する異例の対応に踏み切った。

「過去について理解を深めなければ、現在私たちが行っている措置を理解できない」と、自治区の共産党委員会で広報副主任を務めるシ・レイ氏は記者団に語った。

カシュガル市の人民解放軍関係者は、治安状況は劇的に改善されたと語る。「2014年や15年のこの辺りの状況は想像もできないだろう。絶えず攻撃があり、爆発や刺殺事件があった。混沌としていた」と、同関係者は言う。

カシュガル、ホータン、カラカシュでは、依然としてガソリンスタンドが有刺鉄線に囲まれ、頑丈な防御壁で守られている。住宅街には小さな駐在所が点在している。その1つを率いるツァン・イー氏は記者団に対し、駐在所は幅広いサービスを提供していると語った。ある駐在所で手渡されたパンフレットには、合法的な性別の変え方など、さまざまなテーマが書かれていた。

カシュガル市共産党のツァーク・ツルダン副書記は、「安定が何よりも大切な人権だ」と語った。ウイグル族の同氏は、カザフ族が多く暮らす新疆ウイグル自治区北部のグルジャ市出身。「西側諸国は(過激主義対策について)私たちから学ぶべきだ」と語り、ウイグル族の文化が攻撃されているとの懸念を否定した。

「旧ソ連のカザフ族はロシア語を学ばなければならなかったが、彼らは消滅しただろうか」とツルダン氏。「答えはノーだ。だからここでもウイグル族が消滅することはない」

(Ben Blanchard記者、翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/xinjiang-china-idJPKCN1P506J
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/203.html

[国際25] 米政府閉鎖、過去最長の22日目に−トランプ氏は2月末までを想定か 米政府閉鎖が最長更新 22日目、「壁」対立続く 
米政府閉鎖、過去最長の22日目に−トランプ氏は2月末までを想定か
Jennifer Epstein
2019年1月12日 14:02 JST
• 95−96年のクリントン政権時代の記録(21日)を塗り替え
• 2月末まで続くと想定し大統領のチームが緊急対策を策定中と当局者
メキシコ国境の壁建設費を巡る対立で連邦予算が一部失効したことに伴う米政府機関の一部閉鎖が、12日で22日目に入った。閉鎖期間の長さは1995−96年のクリントン政権時代の記録(21日)を塗り替え、過去最長となった。
  壁の建設費用の計上を求めるトランプ米大統領と野党民主党との協議は暗礁に乗り上げたまままで、この週末も週明けもこれ以上の話し合いは予定されていない。ホワイトハウスは10日の段階で議会での合意を断念。政権当局者によれば、大統領の予算チームは閉鎖が2月末まで続くことを想定し、緊急対応策の策定に動いている。
原題:U.S. Government Shutdown Hits Record Length With No End in Sight(抜粋)

 
【米国株・国債・商品】株が小反落、原油安でエネルギーに売り
Sarah Ponczek、Reade Pickert
2019年1月12日 6:51 JST 更新日時 2019年1月12日 7:14 JST
• 自動車株は上昇、GMが楽観的な19年見通し示す
• 原油は10営業日ぶりに下落、景気見通し見極めの動き広がる
11日の米株式相場は小反落。ゼネラル・モーターズ(GM)の楽観的見通しを受けて自動車株が上昇したものの、エネルギー銘柄の下落や米政府閉鎖が重しとなった。米国債は大幅反発。
• 米国株は小反落、公益やエネルギーが下げ−GMなど自動車は高い
• 米国債は大幅反発、10年債利回り2.70%
• NY原油は反落、景気見通しの見極めで上げ一服
• NY金は反発、週間では0.3%高で4週連続の上昇
  主要3株式指数は全て小幅に下落。S&P500種株価指数は終盤に下げ幅を大きく縮小したものの、ここ1週間余りで初めてのマイナスとなった。原油安を受けた公益、エネルギー銘柄の下げが響いた。S&P500種は週間ベースでは2.5%上昇し、3週連騰。
  S&P500種は前日比ほぼ変わらずの2596.26。ダウ工業株30種平均は5.97ドル(0.1%未満)低下し23995.95ドル。ナスダック総合指数は0.2%安。ニューヨーク時間午後4時55分現在、米10年債利回りは4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し2.70%。
  ニューヨーク原油先物は反落。9営業日続伸を経て、上げが一服した。景気の見通しや、石油輸出国機構(OPEC)が米国のシェールブームに対抗できるかを見極める動きが広まった。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物2月限は1ドル(1.9%)安の1バレル=51.59ドルで終了。週間ベースでは7.6%の上昇となった。ロンドンICEの北海ブレント3月限は1.20ドル安の60.48ドルで終えた。
  ニューヨーク金先物は反発。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は0.2%高の1オンス=1289.50ドルで終えた。週間ベースでは0.3%高と4週連続のプラスで、上昇局面としては10月以来最長。ドルの下落と株式相場変動を背景に、金の逃避需要が増した。

  S&P500種は2600の手前で失速。この水準は12月半ば以来超えていない。ジョン・ハンコック・インベストメンツの市場ストラテジスト、マシュー・ミスキン氏は、「このテクニカル分析の節目水準で強気派と弱気派が攻防を繰り広げ、上げが一服したといったところだろう」と話した。
  米国債は朝方の上昇が目立った。トルコが対シリア国境で軍を展開しているとの報道がその背景にある。
原題:Stocks End Barely Lower With Late Session Rally: Markets Wrap(抜粋)
Treasuries Rally, Holding Early Gains; Curve Steepens Off 50-DMA
Crude Rally Hits Pause as Markets Reassess Economic Outlook
PRECIOUS: Gold Set for Fourth Weekly Advance as Dollar Wavers
(第6段落以降を追加し、更新します.)

 
【NY外為】ドル指数ほぼ変わらず、週間は低下も200日線上回る
Katherine Greifeld
2019年1月12日 5:52 JST 更新日時 2019年1月12日 7:18 JST
11日のニューヨーク外国為替市場では、ブルームバーグ・ドル・スポット指数がほぼ変わらず。米政府閉鎖長期化の影響を巡る不透明感や、シリア国境でのトルコ軍展開で地政学的緊張が高まりつつあることを背景に、ドルは週間での下げ幅を縮小した。
  トランプ大統領はメキシコ国境の壁建設費用を確保するために直ちに国家非常事態を宣言することはないと述べた。米連邦政府職員約80万人にこの日、給与が支払われなかった。
  ニューヨーク時間午後4時45分現在、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数はほぼ変わらず。一時は0.4%下げる場面もあった。ドルは対円で0.1%高の1ドル=108円56銭。対ユーロでは0.3%上昇の1ユーロ=1.1461ドル。円は対ユーロで0.2%上げて1ユーロ=124円43銭。
  ドル・スポット指数は週間ベースでは0.6%下げ、これで4週続落。ただ、200日移動平均線は上回って引けた。
  昨年12月の米消費者物価指数(CPI)は、総合指数が前月比0.1%低下と、市場予想と一致。前年比は1.9%上昇で、こちらも予想と一致した。
欧州時間の取引
  ドル・スポット指数が低下。米金融当局が辛抱強い姿勢を示したことや、米政府閉鎖を背景に、ドルのロングを解消する動きが進んだ。英国の欧州連合(EU)離脱は予定されている3月29日より後に延期される可能性が高まっているとの報道を受けて、ポンドは上昇。
原題:USD Index Finishes a Poor Week Above Its 200-DMA: Inside G-10 (抜粋)
Dollar Set for Worst Week in 11 Months, Pound Gains: Inside G-10(抜粋)
(相場を最新にし、情報を加えて更新します.)


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https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-12/PL7BVT6TTDS101

 

 
米政府閉鎖が最長更新 22日目、「壁」対立続く
トランプ政権 北米
2019/1/12 6:02 (2019/1/12 14:00更新)
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【ワシントン=鳳山太成】米連邦予算の一部失効による政府機関の一部閉鎖は12日、過去最長の22日目に入った。クリントン政権下で1995年から96年に起きたこれまでの過去最長の政府閉鎖(21日間)を超えた。トランプ大統領が求める「国境の壁」建設費の予算計上を巡る与野党の対立は膠着状態に陥っており、収束する兆しはいまだ見えない。

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上下院は11日、失効中の予算を手当てすることなく審議を終えた。14日に再開する。2018年12月22日から始まった政府機関の一部閉鎖は、少なくとも1月14日まで続く見通しになった。国境警備を担う国土安全保障省のほか、財務省や商務省など連邦政府全体の25%の予算が失効した状態が続いている。

過去最長の記録を更新するのは23年ぶり。前回は7年間の財政均衡計画を策定するにあたり、楽観的な予測を使う当時の民主党、クリントン大統領と、保守的な見積もりを求めた共和党が対立して政府閉鎖が21日間続いた。

トランプ大統領は11日、記者団に「国境の壁がないため人身売買などの犯罪が起きている」などと強調し、壁建設の必要性を改めてアピールした。しかしペロシ下院議長ら民主党の議会指導部はトランプ氏批判を続けており、歩み寄りの機運が乏しい。

トランプ氏は57億ドル(約6200億円)の壁建設費を求めているが、民主党は反対している。同氏は議会承認を得ずに壁建設を強行する「非常事態宣言」を検討してきたが、11日には「権利はあるが、いますぐは考えていない。民主党は戻ってきて(壁建設費を含む予算案に)投票すべきだ」と述べるにとどめた。

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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39959330S9A110C1000000/
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/204.html

[経世済民130] 米企業自社株買い、今年は株価下支えの威力減退か アジア株、昨年は外国人売り越し額が2012年以降で最大 336億ドル  
トップニュース2019年1月12日 / 12:06 / 12時間前更新
アングル:
米企業自社株買い、今年は株価下支えの威力減退か
Reuters Staff
2 分で読む

[ニューヨーク 10日 ロイター] - 昨年は米企業による自社株買いが株価を下支えしたが、今年は昨年ほどあてにできないようだ。

米国株が最近不安定に推移しているため、企業は一段と自社株買いに力を入れ、株価を支えるとの期待が市場にはある。しかし多くのストラテジストは、企業利益の伸び鈍化と減税効果の減退により、自社株買いの勢いが衰えるとみている。

クレセト・ウェルス・アドバイザーズのジャック・アブリン首席投資責任者は「2018年に米企業は発行済み株式の2.8%前後を買った。相場の大きな下支えとなり、その効果は配当より大きかった」と説明。今年については「自社株買いの軍資金が減るだろう。キャッシュフローの伸びが鈍るだろう」と述べた。

昨年の自社株買いは過去最高となった見通しだ。S&P・ダウ・ジョーンズ・インダイシズのデータによると、1─9月の自社株買いは5834億ドルで、2007年につけた年間最高記録の5891億ドルに迫った。

それでも米国株は9月末の高値から20%近くも下落し、S&P総合500種株価指数.SPXは年間で6.2%安と、過去10年で最悪の成績だった。もっとも、自社株買いがなければもっと下げていた可能性はある。

<海外利益の還流鈍る>

ストラテジストによると、米企業は豊富なキャッシュを抱えている上、政治・経済環境が不透明な中で、配当や設備投資よりも自社株買いを優先する傾向があるため、今年も自社株買いの規模は大きそうだ。

ゴールドマン・サックスの推計では、2018年通年の自社株買いは前年比44%増の7700億ドルで、19年は伸び率が22%に減速して9400億ドルとなる見通し。

ただ、昨年は海外利益の本国還流に対する税制優遇と、法人税率引き下げにより企業のキャッシュが増えていた。今年はこうした効果が消えるため、自社株買いの威力も衰えそうだ。

商務省のデータによると、米多国籍企業は昨年第1・四半期に約2950億ドルの海外利益を米国に還流させたが、その後はペースが失速し、第3・四半期は約930億ドルにとどまった。

JPモルガンのストラテジスト、Nikolaos Panigirtzoglou氏によると、昨年1─9月には本国に還流した利益の約3分の1にあたる1900億ドルほどが自社株買いに充てられた。

減税が実施された昨年に比べ、今年は企業利益の伸びが鈍りそうなことも自社株買いの減速が見込まれる原因だ。リフィニティブのIBESによると、S&P500社の増益率は今年6.7%と、昨年実績見込みの23.5%から鈍化するとアナリストは予想している。

また、米中貿易摩擦が解決に至った場合にも、自社株買いを抑える要因となる可能性がある。

現在は貿易摩擦を巡る不透明感が強いため、企業は設備投資に慎重となり、余剰資金を自社株買いに充てている。しかしいったん不透明感が晴れれば、設備投資に軸足を移すのではないかとの指摘がある。

<強気相場に貢献>

2009年3月に始まった米株の強気相場では、自社株買いが大きな支柱だった。ウェルズ・ファーゴのグローバル株式ストラテジー責任者、オードリー・カプラン氏によると、S&P500種指数の時価総額はこの間15兆ドル増えたが、500社の自社株買いは約4兆5000億ドルで、3分の1程度を担った計算だ。

カプラン氏は、今年の自社株買い規模は昨年程度にとどまると予想する。ただ、ここ数カ月の株価急落で株価に値ごろ感が出て、企業は買い戻しやすくなったとも指摘した。

データトレック・リサーチによると、米企業はこれまで営業利益の40─60%を自社株買いに充てており、「最悪の時期」にしかこの下限を割り込んでいない。

このため同社の共同創設者ニコラス・コラス氏は、企業利益が減少するとしても、自社株買いは無くなるのではなく、利益と同じペースで減少するにとどまるとの見方を示した。

(Sinead Carew記者)
https://jp.reuters.com/article/us-stocks-buyback-idJPKCN1P50I5


 


トップニュース2019年1月12日 / 09:41 / 15時間前更新
アングル:
アジア株、昨年は外国人売り越し額が2012年以降で最大
Reuters Staff
2 分で読む

[4日 ロイター] - 韓国、台湾、インド、タイ、フィリピン、インドネシア、ベトナムのアジア7カ国・地域の証券取引所の外国人投資動向に関するデータを集計したところ、2018年の売り越し総額は336億ドルと、少なくとも12年以降で最大規模になった。米中貿易摩擦と域内企業の収益鈍化が響いた。

IGのシンガポール駐在市場ストラテジスト、Jingyi Pan氏は「2018年は波乱の1年だったことはほぼ間違いなく、米中貿易摩擦や両国以外の国の成長に対する懸念によってそれが浮き彫りになった」と指摘した。

個別に見ると台湾の売り越し額が117億ドルと最大で、89億ドルのタイと56億ドルの韓国が続いた。

7カ国・地域全体で売り越しに転じたのは3年ぶりだった。

米中両国による関税の応酬がアジアの経済成長を巡る不安を呼び起こし、主要株価指数が押し下げられた。

MSCIアジア太平洋株指数(除く日本)は年間下落率が16%と、11年以来の大幅安を記録。上海総合指数の下げはドル建てで約29%と地域で最も大きくなった。

アジアでは内需と外需がともに冷え込み続けているため、今年の成長ペースは一段と減速する見通し。ただ今後どうなるかは、中国が景気悪化に歯止めを掛けられるか、また米中が通商分野における対立に終止符を打てるかに左右される面が非常に大きい。

もっともアジア株は大きく値下がりしたことで割安感が生じ、資金が戻ってくる可能性がある、と一部のアナリストは話す。

IGのPan氏は、アジア株はバリュエーションの観点から今年は投資需要が上向くと予想し、特に米連邦準備理事会(FRB)の利上げがペースダウンしたり、ドルの上値が重くなれば見通しが明るくなると付け加えた。

MSCIアジア太平洋株指数(除く日本)構成銘柄の予想利益に基づく株価収益率(PER)は18年末時点で11.5倍と、過去10年平均の12.4倍を下回っている。

UBSエクイティーズのストラテジスト、ナイル・マクロード氏はノートで、アジア株は自身が見込む成長減速の大部分を既に織り込んだと強調。「短期的には貿易絡みの不透明感が上値を抑えそうだ。(しかし)時間が経過するとともに、中国の政策が株価にとって逆風から追い風に変わり、関税の悪影響がはく落して、アジアの成長は底を打って第2・四半期から持ち直すとわれわれは考えている。こうした背景から、われわれはアジア株を再評価する」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/asia-stocks-idJPKCN1P10F4
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/558.html

[経世済民130] 米消費者物価指数12月はコア指数が前月と同率の伸び 景気後退リスク6年ぶり高水準、貿易戦争 ソフトバンクG2350億円減

米消費者物価指数:12月はコア指数が前月と同率の伸び
Katia Dmitrieva
2019年1月11日 22:36 JST 更新日時 2019年1月12日 1:40 JST
• 総合指数は前年比で伸びが鈍化、前月比ではマイナスに
• エネルギーは前月比3.5%低下−約3年で最大の落ち込み
昨年12月の米消費者物価指数(CPI)は、変動の大きい食品・エネルギーを除くコア指数が前月と同率の伸びだった。総合指数はエネルギー価格の下落が影響して前年比の伸びが鈍化、前月比ではマイナスとなった。米金融当局は今年の利上げに関して慎重姿勢を強めているが、今回のCPI統計でも性急な利上げは必要ないことが示唆された。
  米労働省の11日発表によると、12月のコアCPIは前年同月比2.2%上昇、前月比で0.2%上昇。共に11月と同率の伸びで、エコノミスト予想の中央値とも一致した。総合CPIは前年比1.9%上昇(前月2.2%上昇)、前月比では0.1%低下(前月横ばい)だった。エネルギー価格は約3年で最大の下落となった。
Inflation in Focus
Headline U.S. consumer prices dipped in December, while core measure held steady
Source: Bureau of Labor Statistics
  今回のCPI統計は、インフレが金融当局の目標付近で抑制されていることを示唆している。昨年12月の連邦公開市場委員会(FOMC)では2019年に利上げを2回実施する見通しが示されたが、最近では貿易戦争や一部政府機関の閉鎖、世界の成長を巡るリスクが影響し、当局者らは3月以降まで追加利上げを見送る可能性を示唆している。
  12月はエネルギーが前月比3.5%低下と、2016年2月以降で最大のマイナス。ガソリンは7.5%低下した。食品は0.4%上昇と、14年5月以降で最大の伸び。
  中古車は0.2%低下と、3カ月ぶりのマイナス。新車は前月に続き横ばいだった。衣料品は変わらず。医療費は0.3%上昇した。
  労働省が同時に発表した12月のインフレ調整後の実質平均時給は前年比1.1%上昇。前月は0.8%上昇だった。
  労働省は一部政府機関閉鎖の影響を受けていないため、同省による経済指標の発表は予定通り行われる。
  統計の詳細は表をご覧ください。
原題:U.S. Core Inflation Holds Steady as Energy Drags Down Main Index(抜粋)
(統計の詳細を追加し、更新します.)



米国:景気後退リスクは6年ぶり高水準、貿易戦争など影響−調査
Katia Dmitrieva、Chibuike Oguh、Catarina Saraiva
2019年1月12日 0:08 JST
米国がリセッション(景気後退)に突入するリスクは、エコノミストらによればこの6年余りで最も高い。金融市場の不安定な動きや米中貿易戦争、一部の政府機関閉鎖がその背景にある。
  ブルームバーグが過去1週間に実施した調査によれば、今後12カ月間に米国がリセッションに陥る確率(中央値)は25%と、12月に調査した際の20%から上昇した。エコノミストは、米金融当局が1−3月(第1四半期)中は政策金利を据え置くとみている。昨年は計4度の利上げがあった。
  2019年の米経済成長率予想は2.5%。昨年は2.9%になったとの見方が示された。財政刺激による押し上げ効果は薄れるものの、力強い労働市場や賃金上昇などに支えられるとみる。7月まで成長が続いた場合、今回の拡大局面は10年間と、米国史上で最長記録となる。
  ドイツ銀行の米国担当エコノミスト、ブレット・ライアン氏は「リセッションが迫っているとは考えていないが、金融環境はこの2カ月間で著しくタイトになっている。世界の成長を抑制する通商問題も続いており、企業の景況感が若干弱まっている」と述べた。「政府閉鎖が企業の景況感にとって重しとなっているだけでなく、消費者信頼感も引き下げる恐れがある」と指摘した。

原題:U.S. Recession Risk Hits Six-Year High Amid Trade War, Shutdown(抜粋)

米GM、19年に利益増・売り上げ安定見込む−業界の暗い流れに逆行
David Welch
2019年1月12日 2:19 JST
米ゼネラル・モーターズ(GM)は2019年に利益拡大を見込むとし、業界アナリストの予想に反する見方を示した。これを受けて同社株価は11日の米市場で一時、前日比8.9%高となった。

  同社は19年利益が過去最高近辺となる可能性があるとした。中国や米国で業界全体の販売台数が低迷するというのが大方の予想だが、両市場の需要はよく持ちこたえており、コスト削減や新モデルの投入により利益が改善する見通しだと、GMは発表文で述べた。
  メアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「景気変動のはざまであってもGMが力強く、行動で示して確かな業績を残し続けられるようにするため、現在の変革に集中している」と述べた。この見解は、フォルクスワーゲン(VW)、BMWやダイムラーなどの競合が示したトーンよりも楽観的だ。
  GMは19年の調整後1株利益が6.50−7ドルに拡大すると予想。これはアナリスト予想平均の5.92ドルを優に上回る。さらに、18年の調整後1株利益も会社予想上限の6.20ドルを上回ったもようだと述べた。
  同社は、北米5工場を年内に閉鎖する可能性も含んだコスト削減により、19年の利益は最大25億ドル(約2710億円)増える可能性があるとしている。
原題:GM Defies Doom With Forecasts for Bigger Profit and Stable Sales(抜粋)


ドイツ銀:米地方都市の業務をインドで、コスト削減に圧力−関係者
Lily Katz、Anto Antony
2019年1月12日 2:09 JST
• フロリダ州ジャクソンビルでの会計職をインドのムンバイに移す
• 経営陣は今年、米国からインドへ移管する業務を増やしたい意向
ウォール街の大手金融機関に先駆け、ドイツ銀行は米国内の低コスト都市で行ってきた「ニアショアリング」業務の一部をさらにコストが安いインドに移管する。
  事情に詳しい複数の関係者によると、ドイツ銀はフロリダ州ジャクソンビルで約60人が担当していた会計業務をインドのムンバイに移す。同銀の経営陣は今年、米国からインドへ移管する業務を増やしたい意向だという。情報が非公開だとして匿名を条件に関係者の1人が述べた。
  ドイツ銀の広報担当者ケリー・マクヒュー氏は電子メールで、「当行は定期的に拠点を見直し、クライアントへのサービスや株主利益の還元を強化するため業務効率を向上させる方法を模索している」と述べた。
  大手銀は従業員をニューヨークからジャクソンビルやソルトレークシティーといった地方都市に移転させている。こうした都市はオフィス賃料が安く、賃金も低いが、生活コストも安い。ドイツ銀ではクリスティアン・ゼービング最高経営責任者(CEO)が米国事業を縮小しているほか、ここ数年間の不祥事や業績低迷を受けて同行のスリム化を図っていることから、米国の地方都市からコストが安い地域へ業務を移管する必要性が高まっている。
原題:Deutsche Bank Said to Outsource Jacksonville Jobs to Mumbai(抜粋)


 
米ネットフリックス株が上昇、強気派が10−12月業績の好調見込む
Ryan Vlastelica
2019年1月12日 6:23 JST
米ネットフリックスの株価が一時、前日比5%高となった。複数のアナリストが同社に対する強気な見解を示したことで買いが入り、ここ3週間大きく上げている同社株はさらに上値を伸ばした。昨年10−12月(第4四半期)業績の発表を翌週に控え、期待が強まっている。
  ネットフリックス株はここ12営業日のうち10営業日で上昇。12月24日の安値からは約44%戻した。S&P500種株価指数の同期間の上昇率は10%余り。

  10日の取引終了以降、少なくとも2人のアナリストがネットフリックスの投資判断を引き上げた。7月に同社の判断を引き下げていたUBSのアナリスト、エリック・シェリダン氏は「買い」に引き上げ、17日の10−12月決算発表で明らかになる契約者数の伸びが予想を上回ると予想した。
  一方、レイモンド・ジェームズは投資判断を「強い買い」とし、それまでの「アウトパフォーム」から引き上げた。「利益が変曲点に近づいている」とし、オリジナル映画「バード・ボックス」の成功を理由に挙げた。
原題:Netflix Extends Post-Christmas Rally as Bulls See Strong 4Q(抜粋)


 

ソフトバンクG、通信子会社上場の手取りが最大見込み比2350億円減少
天野高志
2019年1月11日 16:19 JST
• グリーンシューオプションが行使されず、最終手取り額は2兆3500億円
• 株価は公開価格の1500円を下回って推移、11日時点で1433円

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
ソフトバンクグループは11日、通信子会社の株式上場に伴う手取り額が最大見込み額と比較して2350億円分、少なかったと発表した。最終的な手取り額は2兆3500億円。
  オーバーアロットメントによる売り出しに関連し、野村証券に与えられていた所有するソフトバンク株式を追加的に取得する権利(グリーンシューオプション)が行使されなかった。
  ソフトバンク株は昨年12月19日に東京証券取引所1部に新規上場(IPO)し、初値は1463円と公開価格の1500円を下回った。携帯電話料金の値下げ圧力などに対する懸念もあり、上場初日は結局15%安と急落して終了。その後1176円まで下げたが、株価指数への組み入れによる機関投資家の買い需要もあり、11日時点で1433円まで戻している。



 
ルノー、ゴーン氏側近のセペリ氏の報酬も調査−直近は「不正ない」
Ania Nussbaum、馬杰、Geraldine Amiel
2019年1月12日 16:14 JST
• 3社連合の統括会社である「ルノー日産BV」にも調査対象を拡大
• ルノーによれば、17年と18年については幹部らの不正は見つからず
仏ルノーの会長兼最高経営責任者(CEO)にとどまっている日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告が、日本の司法制度の下で会社法違反(特別背任)および金融商品取引法違反で追起訴される中で、ルノーも経営幹部らの報酬を巡る内部調査を拡大し、それに伴いゴーン被告に最も近いの助言役の1人に関心が集まっている。

ムナ・セペリ氏
写真家:Christophe Morin / Bloomberg
  ルノーは11日、ムナ・セペリ執行副社長(CEOオフィス担当)の報酬について取締役会が調査したことを明らかにした。また、オランダにある日産自動車、三菱自動車との3社連合の統括会社である「ルノー日産BV(RNBV)」にも調査対象を拡大したことを認めた。
  ルノーによれば、2017年と18年については不正は見つかっていないが、それに先立つ数年間に経営幹部らが受け取った報酬も今後調査対象となる。社内調査はゴーン被告が所得隠しで昨年11月19日に最初に逮捕された後に開始され、RNBVの財務にも調査のメスを入れるようルノーの株主であるフランス政府と組合から圧力が働いたもようだ。
  ロイター通信は、セペリ副社長がRNBVから50万ユーロ(約6200万円)を受け取っていたと先に伝えた。ルノー取締役会はこの報酬について知らなかったという。

カルロス・ゴーン被告
写真家:今井昭夫/ブルームバーグ
  セペリ氏のコメントを得ようと取材を試みたが、連絡が取れていない。同氏のオフィスはルノー日産BVでの報酬に関する質問はルノーに行うよう回答した。ルノーの広報担当者は、過去2年の「報酬は適切であり、不正とは無縁だ」との発表資料の説明を繰り返した。
原題:Renault Says Widening Probe Examined Pay to Ghosn Aide Sepehri(抜粋)

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https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-11/PL6LPLSYF01S01

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/559.html

[経世済民130] アメリカで先行する社会の分断が「1周遅れ」でいずれ日本にやってくる 2019年はそれが明らかになる「平成最後」の1年予想
2019年1月11日 橘玲
アメリカで先行する社会の分断が「1周遅れ」でいずれ日本にやってくる
2019年はそれが明らかになる年

[橘玲の日々刻々]

「平成最後」の1年の予想

橘玲のメルマガ 世の中の仕組みと人生のデザイン 配信中
 毎年、備忘録を兼ねて「今年はどんな年になるのだろうか?」を書いている。当たるも八卦、当たらぬも八卦だが、昨年の予想を読み返してみると、株価が若干下落したものの、幸いなことに大きく外れたものはないようだ。

[参考記事]

●2018年はどんな年になるのだろうか? 欧米、中国、日本の政治、経済からひも解く

 しかしこれは、私に予知能力があるとか、世界の動向を読み解く特別な才能があるということではない。種明かしをすると、もっとも当たる確率の高い予想を書いたにすぎない。

 経済予測を統計的に評価すると、専門家の予想はサルがダーツ投げをしたのと同じ程度の精度しかない。専門家の役割は未来を正しく予測することではなく、自信たっぷりにもっともらしいことをいうことだ。

 不確実な世界のなかで、多くのひとが漠然とした不安を感じている。そんなひとびとは、正しいかどうかにかかわらず、すっきりとした因果論で不愉快な世界を説明してほしいと望んでいる。「日銀がお金を刷ればインフレになって日本経済は復活する」とか、「イギリスがEUから離脱すればすべての問題は解決する」とか、「メキシコとの国境に壁をつくれば不法移民は来なくなる」とか、すべてこの類の話で、重要なのは「なるほど、そうなのか!」という納得感であり、予想が当たったか外れたかは(たいてい)どうでもいいのだ。

 そんな専門家の予測のなかでも、きわだって精度が高いものがある。それは「去年と同じ」だ。経済には粘性があり、極端なことはめったに起こらない。

 年明け早々、為替と株価が乱高下したのは米中の「経済戦争」が懸念されたからだろうが、トランプも習近平も景気の失速は避けたいだろうから、両国関係が止めどもなく悪化するようなことはなく、いずれどこかに落としどころを見つけるのではないだろうか。イギリスのEUからの離脱交渉がいよいよ正念場を迎えたが、仮に最悪の「合意なき離脱」になったとしても、すでに金融市場はそれを織り込んでいるから大混乱に陥ることはないだろう。AI(人工知能)をはじめとするテクノロジーの爆発的(指数関数的)な性能の向上が私たちの生活を大きく変えていくことは間違いないが、その変化が誰に目にも明らかになるのはもうしばらくかかるだろう。

 ということで、「平成最後」の1年の予想も、「よくもなければ悪くもなく、去年とたいして変わらない」ということにしたい。

個人的ブラックスワン体験は「2011年1月のエジプトの民主化運動」

 今年が去年と同じで、来年が今年と同じだとしたら、永遠に歴史は変わらなくなる。しかし、実際にはそんなことにはならない。ある日突然、思ってもいないようなことが起きるからで、これが「ブラックスワン」だ。

 白鳥(スワン)は「白い鳥」のことだったが、1697年にオーストラリアでブラックスワン(コクチョウ)が発見されると、これまでの常識は一夜にして覆されてしまった。これが複雑系の特徴で、「終わりなき日常」がずっと続いているように見えても、世界が一変するような「とんでもないこと」が起きて歴史の歯車を回すことになる。

 近代史のブラックスワンとしては、第一次世界大戦の引き金を引いたサラエボ事件(オーストリア=ハンガリー帝国皇帝の継承者フランツ・フェルディナントとその妻がサラエボで暗殺された)がしばしば引き合いに出される。この事件が起きるまで、ヨーロッパのひとびとは「世界大戦」が起きるなど想像もしていなかった。

 私にとってのブラックスワン体験は、2011年1月のエジプトの民主化運動だ。じつはその1カ月前にエジプトを訪れて、デモの舞台となったカイロのタハリール広場もよく歩いた。観光ガイドやタクシーの運転手などとも片言の英語で話し、エジプトの長期政権がいかに腐敗しているかとか、新聞やテレビは政府の発表を垂れ流すだけだとか、物価が上がってパンも満足に買えなくなったというようなことはさんざん聞かされたが、最後はかならず「だからもっとたくさんチップをくれ」という落ちになったので、それが「革命」につながるなどとはまったく思わなかった(チュニジアではすでに大規模なデモが始まっていたが、話題になることもなかった)。それがわずか1カ月で、「(エジプトのひとたちにとっての)世界」が変わってしまったのだ。

 しかしいま思い返しても、街に「革命」を前にした緊張感がみなぎっていたわけではない。デモの参加者にしても、まさか自分たちが社会を動かし政権を倒すとは思っていなかったのではないだろうか。

 複雑系の科学ではこれを臨界状態と相転移で説明する。水に熱を加えるとやがてはげしく沸騰し水蒸気に変わる。このときの沸騰が臨界状態で、それを経ることでまったく別の位相(パラダイム)に転換する。

 私がエジプトを訪れたときがまさにこの臨界状態だったわけだが、それは外部からはまったくわからなかった。これは私が門外漢の旅行者だからではなく、知人の中東研究者によれば、エジプトのムバーラク政権崩壊を予想した専門家は一人もいなかったという。歴史は大きく変わることがあるが、それがいつやってくるかは(ほぼ)誰も知らないのだ。
http://diamond.jp/articles/-/190703
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/560.html

[経世済民130] ビル・グロース氏の債券ファンド、10億ドル割れ−資金引き揚げ続く
ビル・グロース氏の債券ファンド、10億ドル割れ−資金引き揚げ続く
Matthew Burgess
2019年1月14日 8:24 JST
投資家は昨年12月に10カ月連続で資金引き揚げ
昨年の運用成績はマイナス4%程度と、同種のファンドに見劣り
ビル・グロース氏の債券ファンドから投資家の資金引き揚げが続いている。

  ブルームバーグの推計によれば、「ジャナス・ヘンダーソン・グローバル・アンコンストレインド・ボンド・ファンド」は、昨年12月に約6000万ドル(約65億円)の資金引き揚げに見舞われた。これにより、同ファンドの運用資産は過去最高を記録した2月の22億4000万ドルから9億5040万ドルに落ち込んだ。

  2月のピーク以来、投資家による資金引き揚げは10カ月連続。米国債とドイツ国債の利回り収束を見込む賭けが外れ、その後ポジションを縮小したことなどが背景。ブルームバーグの集計データによると、グロース氏の昨年の運用成績はマイナス4%程度で、同種のファンドの80%余りよりも不振だった。


  ジャナス・ヘンダーソン・グループの広報担当者に営業時間外に電子メールで取材を試みたが現時点でコメントは得られていない。

  グロース氏(74)はかつて世界最大の投資信託「PIMCO・トータル・リターン」を運用していたパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)を追放された後、2014年10月にジャナス・ヘンダーソンのアンコンストレインド・ボンド・ファンドの運用を引き継いだ。昨年の運用成績は、1971年以降の同氏の名高いキャリアの中では最も厳しいものの1つだった。


ビル・グロース氏写真家:Patrick T. Fallon / Bloomberg
  米10年債利回りと独10年債利回りのスプレッド縮小を見込む賭けは2018年にほとんどうまくいかった。スプレッドは今月11日時点で約2.46ポイント。


原題:Bill Gross’s Bond-Fund Assets Decline Below $1 Billion (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-13/PLAK5O6S972901?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/566.html

[経世済民130] 山口組のハロウィーンに夢中な子供たち、見守る神戸市民の複雑な心境
2019年1月14日 秋山謙一郎 :フリージャーナリスト
山口組のハロウィーンに夢中な子供たち、見守る神戸市民の複雑な心境
(上)
2018年も山口組総本部はハロウィーンの菓子配りを実施した。今年は金額にして100円アップ、付き添うであろう母親向けにトイレットペーパーも付けたという気の配りようである。警察や近隣小学校は指をくわえて見ているだけなのか?彼らへの取材で分かったのは、神戸市民の「山口組さん」への複雑な心境だった。(取材・文・写真/フリージャーナリスト 秋山謙一郎)

市民にファンを増やす
山口組のハロウィーン戦略
山口組のハロウィーンの菓子配りを徹底検証しました。
「山口組さんのお菓子は豪華」――大喜びの子どもたちが次々に山口組総本部の門をくぐった
 地域住民か、それとも反社会的勢力か。彼らをどう扱うか、市民たちはその答えを決めあぐねている――。

 昨年10月31日、ハロウィーンの日。港町・神戸の閑静な住宅街では、今年も指定暴力団・山口組総本部(神戸市灘区)のハロウィーンが実施された。捜査関係者によると、その参加者は子ども約700人、大人約300人、合計1000人(いずれも延べ人数)に上った。捜査関係者のひとりによると、「年々、緩やかながらも増え続けている」のだそうだ。

 今や毎年の恒例行事として全国的にも知られるようになった、この山口組による「ハロウィーンの菓子配り」。だが今回はいくつか例年とは異なる“変化”も見受けられた。


はしゃぐ子どもたちを、苦りきった顔で見つめる捜査関係者の姿もあった
 まずは市民の側だ。この反社会的勢力による恒例行事をけん制しようとパレードが行われた。もちろん、万が一にもパレード参加市民と山口組が衝突するようなことがあってはならない。そのため兵庫県警では例年にも増して警戒にあたる警察官の数を増やし対応にあたった。

 しかし、そうした動きもむなしく、今年も例年通り、16時頃、総本部のシャッターが開いて菓子配りが実施された。

山口組さんは「紳士」!?
捜査関係者は苦りきった顔
 そこにハロウィーン仮装をした子どもと母親たちがやって来る。敷地内に入った子どもたちや母親を組員たちが会場内を案内したり、ハロウィーンのために設置されたオブジェの前で記念写真のシャッターを押したりする。自転車やベビーカーを押す母親には、組員が、これを取って代わりエスコートする。


「山口組さんは紳士」!?――あまりに無邪気な市民たちの姿も多く見られた
 夫の転勤に伴って、今年、神戸にやってきたという30代の母親は言う。

「正直、最初はちょっと怖かったのですが、入ってみると、本当に皆さんお優しくて。あのエスコートぶりは、今時なかなかないです。思わずファンになりました」

 実際、ハロウィーンにやってきた人たちの声を拾ってみると、小学生の子ども、母親、近隣に住む大学生、専門学生など、その年齢を問わず、皆一様に、「(組員たちは)優しい」「紳士」「カッコいい」と口をそろえる。

 こうした「ハロウィーン参加市民」たちによる「山口組賛美」の声に捜査関係者のひとりは苦り切った表情を隠さず、こう吐き捨てた。

「(ハロウィーンで配られる菓子の)原資はどこから出ているのか、わかってるのやろうか…」

トイレットペーパー配布で
母親の気持ちもわしづかみ

拡大画像表示
 その配られた菓子をみると、“変化”は山口組にも見られた。

 パッと見、例年に比べ、配られた菓子の総額がやや高いという印象を受ける。左の表をみてもらいたい。

 昨年に比べ、配られた菓子の総額が約100円割高となっていることがわかる。小学生にとって「100円分の割高」は絶大なインパクトをもって迎えられたことは、誰しも容易に察しのつくところだ。

 総本部から歩いて数分の距離に位置する「神戸護国神社前公園」に行くと、子どもや母親たちが、総本部で受け取った菓子を広げ、昨年との違いや、山口組以外のこの地域で配られた菓子との比較で盛り上がっている光景を、例年、目にすることができる。

 その公園前に行くと、さらなる“変化”に気づいた。

 小学4年生の子どもに付き添ってきたという30代の母親は、高級住宅地に住む神戸マダムらしく、茶目っ気たっぷりにハロウィーンの包装紙に包まれたトイレットペーパーを手に持ちながら語った。

「こういうのんがいちばん有り難いんですぅ。来年は洗剤とかもつけてほしいですね」

 今年は、子ども向けの菓子のみならず、トイレットペーパーと、母親が同伴した場合に限り、大人向けの菓子も配られていた。例年には見られなかった山口組による「大人への配慮」だ。

「100円アップ」に
興奮冷めやらぬ子どもたち
 記者がこの30代母親から話を聞いていると、そこに総本部から菓子を受け取ってすぐ公園にやってきたという小学5年生男子3人組が興奮冷めやらぬ面持ちで次々にこう語った。


配られたお菓子の総額は昨年比100円アップ!子どもにとって、100円は“そこそこの金額”である
「ほかにも菓子配りしてるところはあるけれど、やっぱり山口組のほうが(配る菓子の)グレードがええねん」
「山口組だけやで、毎年、グレード上がってるんわ」
「めっちゃ豪勢や。だから毎年来てるねん」

 これに彼らの母親たちも、神戸マダムらしいにこやかな笑顔でこう呼応する。

「山口組さんはね、いっつも(配られる菓子が)豪華なんですよ。今年はこんなんも(トイレットペーパー)もありますしね。来年は何がもらえるか…、毎年楽しみにしてます」

 手放しで喜ぶ市民の行状を、捜査関係者のひとりは、ややあきれた面持ちで、天を仰ぐかのように視線を上げつつ、静かに、誰に話すとでもないふうに語った。

「親も学校も、モラルを教えなあかんやろう。『行くな』と…」

>>(下)に続く

2019年1月11日 秋山謙一郎 :フリージャーナリスト
山口組のハロウィーンに夢中な子供たち、見守る神戸市民の複雑な心境(下)
>>(上)から続く

山口組のハロウィーンを
警察が静観せざるを得ない理由
 そもそも山口組がハロウィーンで菓子を配るようになったのは1970年代からといわれている。当時、ハロウィーンの風習は日本ではなかったが、西日本の玄関口・神戸では、外国人居住者も数多い。その子どもたちが、「トリック オア トリート」と総本部にやってくるようになってからのことだという。


トイレットペーパーが母親たちに大好評だった
 真偽不明の話ではあるものの、地域住民によると、最初の頃、山口組側は子どもたちに「お小遣い」を渡していたという。毎年10月末日に、決まって子どもたちがやってくることから、時の山口組組長が、「あれはなんだ?」と組員たちに調べさせた。すると、「どうも海外の地蔵盆のようなもんらしいでっせ」という。

 これが山口組によるハロウィーンの菓子配りの由来である。これが徐々に地域に浸透し、また日本でもハロウィーンの風習が広まるにつれて、「山口組がハロウィーンを行っている」といつしかメディアやネットで取り上げられるようになり、広く大勢の知るところとなり、今日へと至っている。

 それにしても年々、反社会的勢力排除の機運が高まるなか、なぜ、地域の子どもや母親たちが総本部内に出入りすることを誰もとがめないのか。

 捜査関係者によると、これは「(山口組総本部内という)敷地内で行っていること」だからだそうだ。敷地外ならいざしらず、敷地内で行っていることをとがめるわけにはいかない。そこにみずからの意思で入っていく者をとがめることもできないのだそうだ。

地域の小学校教頭が明かす
苦渋の対応の舞台裏
 だから兵庫県警側としては、淡々と、その動向を重大なる関心を持って注視、警戒するしかないのだという。


お菓子の豪華化やトイレットペーパー・大人向け菓子追加で、来年はさらに参加者が増えそうだが…
 こうした警察側の苦悩を知ってか知らずか、大人と子ども合わせて、毎年1000人程度の者が「山口組のハロウィーン」にやって来る。今年、山口組がトイレットペーパーや大人向け菓子を配ったことから、来年、山口組が菓子配りを実施したならば、さらに参加人数は増えそうな勢いだ。

 警察が法の壁に阻まれて、子どもたちに「山口組のハロウィーンに行くな」と指導したり、実力行使できないのなら、学校側が、「行くな」と指導すべきだと思う向きもあるだろう。校区内に山口組総本部のある神戸市立六甲小学校に現状を聞いた。

「学校としては、『そこ(総本部)に行って他人に迷惑をかけてはいけない』『見ず知らずの人にモノをもらってはいけない』という指導は行っております」(神戸市立六甲小学校教頭)

 神戸市立六甲小学校では、ハロウィーン当日、教頭や生活指導担当教諭らが、総本部内敷地には入ることはなかったものの周辺で警戒に当たり、不測の事態に備えた。その際、「児童、保護者の誰が参加したか」というデータ化はとくに行っていないという。驚くべきことに、明確に学校側が、児童や保護者に「行くな」という指導は行っていないのだ。

 この内幕について、神戸市教育委員会関係者は次のように語った。

「地域性の問題がある。(総本部が)校区内にあるので、その(山口組)関係者につながる人が保護者や児童にもいる。彼らへの配慮が大きい。またそれ(山口組)とつながる人を通してそこ(山口組総本部)へ行くことは、『知らない人』と明確に言い切ることはできない。だから、『行くなら他人に迷惑をかけるな』としか指導できない」

山口組の分裂組織が
ハロウィーンに参加する可能性は?
 なんとも歯切れの悪い回答だが、それはこの関係者も自覚しているのか、次のように続けた。


日が暮れるまで参加者は途絶えることがなかった
「本音としては、児童には、『行くな』と指導したい。しかしその人たち(山口組)がその(反社会的勢力である)団体として行っている行為ではなく、一地域住民として長く行っていることでもある。それを学校の立場で否定することで、いろいろ課題も出てくる」

 さらに歯切れの悪い回答だが、本音はこれに尽きる。

「教職員が、児童に『行くな』と指導して、何かコトが起きるかもしれない。児童や保護者を守るのはもちろんだが、教職員も守らなければならない」

 つまりは「行くな」と指導した教職員が“反社”から攻撃のターゲットとされるのを避けたいということだ。

 この「ハロウィーンの菓子配り」を、山口組と袂を分かった「神戸山口組」や「任侠山口組」も行うのではとの声が毎年、どこからともなく出てくる。双方に近い筋によると、「現状では考えていない」としたうえで、こうつけ加えた。

「ああいうもの(ハロウィーン)を今、行うことが、一般の方にご迷惑をお掛けすることになる。それは本意ではない」

 世間ではヤクザと呼ばれ、極道とも任侠ともいわれる世界に身を置く者たちは、世間に強いインパクトを与え、リアクションを得たいというメンタリティーを持つ。たとえ賛同の声ではなく、拒絶であってもいい――とにかく、何か強烈な印象を与えたいと望むのだ。

 同時に、対立する組織には、圧倒的な力量の差を見せつけて勝たなければならないと考え、行動するところがある。

山口組の「善行」と「恐怖」に
複雑な神戸市民たち
 つまり、このまま山口組が菓子配りを通して一般市民の間に受け入れられることは、対立組織に属する者たちにとって、決して愉快なことではないのだ。

「そろそろ私らの業界も忙しくなるはずですから。それ(ハロウィーン)どころやなくなると思いますよ」


お菓子で子どもの心をつかむのは難しいことではないだけに、警察関係者には踏み込んだ具体策を求めたい
 山口組と袂を分かった組織の関係者のひとりが語るこの言葉が不気味に響く。

 さて、地域住民によると、かつて山口組では、このハロウィーンだけではなく、新年の餅つき大会に地域住民を招待、参加した子どもには現金1万円から3万円程度のお年玉が配られたこともあったという。

 こうした山口組と地域住民との関わりを、「絶対にいけない」と声高に叫ぶ市民が増える一方で、「阪神大震災での活躍」「インフルエンザ流行時、幼稚園にマスクを差し入れ」など、“山口組さん”の「善行」に思いをはせる市民がいるのもまた事実だ。

 かつて総本部近くに住んでいたという神戸生まれ・神戸育ちの70代女性は言う。

「一住民としてやっていることに、あんたら(マスコミ)が面白おかしく取り上げるからおかしなことになるんや。こんな取り上げ方をされると、地域の人と山口組さんの距離の取り方がおかしくなる。どちらにも余計な苦労を強いる。結局、誰も得してへん」

 地域住民、公教育――、どちらも一見、“山口組さん”に物分かりがいい。だが、そこには戦後から今日まで、市民を震え上がらせてきた「山口組」へのおびえも透けて見える。今こそ兵庫県警は、もっと踏み込んだ具体策を講じなければ、ますます“山口組さんのファン”が増えるばかりなのではないだろうか。
https://diamond.jp/articles/-/190727



http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/567.html

[経世済民130] 悪趣味な地下鉄駅改修案に府民仰天、大阪メトロ迷走に批判殺到
2019年1月14日 枝久保達也 :鉄道ジャーナリスト
悪趣味な地下鉄駅改修案に府民仰天、大阪メトロ迷走に批判殺到
昨年末、大阪メトロが発表した、駅のリニューアルデザイン案に、浪速っ子から大ブーイングが起きている。奇抜なデザインにも驚かされるが、すでに市営地下鉄時代に改装工事に着手している梅田駅、中津駅などのデザインを再変更するなど、経営判断の観点からも摩訶不思議である。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

「安っぽくて派手で悪趣味」
浪速っ子がNOを突きつけた
大阪メトロ心斎橋駅の改装案は大きく変更されました。
元はシックなイメージ(右下)だった大阪メトロ心斎橋駅の改装案だが、昨年末に発表された計画では一転。2万人もの反対署名が集まる騒動となった 拡大画像表示
 年の瀬も押し迫った12月20日、大阪メトロが突如発表した計画は、府民だけでなく日本全体に大きな衝撃を与えた。

 昨年4月に誕生した大阪メトロは、同年7月に発表した中期経営計画の中で「鉄道を核にした生活まちづくり企業」への変革を目標に掲げ、地下空間の価値最大化をうたっていた。今回の発表は「活力インフラプロジェクト」と題して、その具体ビジョンを示したもので、御堂筋線はビジネス、中央線はエンターテインメントの強化をテーマに地下空間の活用を進め、駅のデザインもそれぞれの特徴を出した「多様性」あるものに改装していくという内容だ。

 しかし、人々に衝撃を与えたのは、交通局時代とは様変わりした積極的な経営姿勢ではなく、公表された各駅のデザインコンセプトとリニューアル後のイメージ図であった。

 提示されたデザインコンセプトは、中津駅の「プレゼンテーション」や本町駅の「クロスオーバー・ポイント」などイメージを共有しにくいものや、淀屋橋駅の「歴史」や天王寺駅の「空」など漠然としたものが多く、完成イメージ図についても、心斎橋駅の「テキスタイル」や堺筋本町駅「船場町人文化」のように、ステレオタイプにまみれた意匠を壁や天井にベタベタと張り付けたような、むしろ「多様性」に反する空間になっていたのだから大騒ぎである。

 立命館大学教授の岸政彦さんと作家の柴崎友香さんは、リニューアル案は「私たちが慣れ親しんだ、あのレトロな、かわいらしい、落ち着きのある大阪の地下鉄の駅とは懸け離れた、安っぽい、派手な、悪趣味な、そして駅のある場所とはむしろつながりの薄いデザイン」であるとして、インターネット上で反対署名を開始。12月22日から25日まで、わずか3日間で2万人近い署名が集まった。

 批判の広がりに慌てた大阪メトロは、1週間後の12月27日に急きょコメントを発表。あくまで現段階のイメージであり、デザイン案を具体化していく過程で、利用者・地域の意見をふまえてブラッシュアップしていくとして、火消しに努めた。

5ヵ月前のイメージ図が一転
不可思議な軌道修正
 とはいえ、これを額面通りに受け取ることは難しい。これまでの経緯を丹念に検証してみると、ブラッシュアップのための十分な時間があるようには見えないからだ。

 まず、今回ブーイングの嵐だったデザイン案について、経緯を見てみよう。御堂筋線9駅、中央線6駅、計15駅のリニューアル計画は、そもそも昨年7月に発表された中期経営計画で公表されたものだ。ところが経営計画の説明資料に具体例として記載された新大阪、中津、心斎橋のコンセプトとイメージ図は、5ヵ月後の12月に「活力インフラプロジェクト」で示されたものとは異なっていた。

 3駅の新旧計画を比較すると、新大阪は「近未来の大阪へ」から一文字消えて「近未来の大阪」になっただけだが、中津は「梅田の北の玄関口」が「プレゼンテーション」に、心斎橋は「おしゃれの発信地」が「テキスタイル」に変更されており、イメージ図も壁や天井の意匠が大きく描き換えられている。なぜ先行して発表された3駅の計画が、わずか5ヵ月で軌道修正されてしまったのだろうか。

 大阪メトロの駅改装は、市営地下鉄時代に「グランドリニューアル」として着手された工事を引き継いで始まった。例えば梅田駅のリニューアルは、公募型プロポーザルにより事業者を広く募集し、『「日本の美、ほのぼの」LIGHT&SHADOW』をデザインコンセプトに着手したものだ。

 ホーム部分の工事は2015年に完成、改札口周辺の工事も完了間近となっており、実際に7月の中期経営計画には梅田駅の改装は2018年度に完了すると記載されていた。

 新大阪、中津、心斎橋についても市営地下鉄時代に着工済みで、おそらく先行して発表されていた3駅の完成イメージ図は、発注時に作られたものだろう。このうち、2019年度にリニューアルが完了する予定だった新大阪と中津の工事はかなり進んでおり、中津のホーム側壁に設置された化粧パネルは、旧イメージ図と同じ形状をしていることも確認できる。

経営判断は妥当なのか?
大阪メトロは情報開示すべき
 ところが今回の計画で、3駅と完成済みの梅田に新たなコンセプトが付与され、デザインが変更されることになった。新計画の完成予定時期は、梅田が2020年度、新大阪が2021年度に延長されているが、いたずらに工期を延長すれば無駄な費用がかさむだけだから、少なくとも工事中の4駅については、利用者・地域の意見をふまえてブラッシュアップしていく時間的余裕が織り込まれているとは考えにくい。

 ちなみに、東京メトロも銀座線の全面リニューアルを進めているが、この構想が初めて登場したのは2010年のこと。2012年12月からデザインコンペを実施し、2015年に着工し、2017年末に浅草から神田までの7駅が完成したが、全駅のリニューアル完成にはまだまだ時間を要する見込みだ。

 銀座線の駅リニューアル計画は、浅草から表参道まで全18駅で総額400億円だから1駅あたり22億円、大阪メトロのリニューアル計画は計15駅で総額300億円だから1駅あたり20億円で、規模感は同等ということになる。これだけの大きな計画を6年間で完成させるのは、設計や発注、工事調整だけでも相当な苦労だ。その上、さらに利用者の理解や納得感を得るためにリソースを割く余裕はあるのだろうか。

 実は、この課題を一挙に解決しうる「特効薬」が大阪メトロの中期経営計画には記されている。それが、車両・駅・地下街のリニューアルを統括するCDO(チーフ・デザイン・オフィサー)の存在である。上品なやり方とは言えないが、利用者の多数から支持を集めるCDOを任命することで、個々のデザインに批判があっても総論賛成とみなす方法はあり得るだろう。

 ところが、今回の発表からはCDOの存在感が全く伝わってこない。そもそも統一的な意志も感じられない。それもそのはず、今回改めて大阪メトロに取材したところ、現在も大阪メトロのCDOは空席のままというからだ。大阪メトロは今回の発表を、中期経営計画の実現に向けた第一弾としているが、自ら掲げた方針から逸脱した形で計画を進めていることになる。

 そもそも公募型プロポーザルを経てデザインコンセプトを策定した梅田駅を、「日本の美、ほのぼの」から「インフォメーション・ターミナル」という全く異なるコンセプトに変更の上、リニューアルから3年しか経過していないホームを再改修するという経営判断は妥当なものなのだろうか。

 大阪メトロは中期経営計画で「上場企業と同水準の監査・内部統制の機能を確立」するとうたっているものの、いまだに中間決算の発表はされておらず、民営化以降公式webサイトから市営地下鉄時代の事業計画やプレスリリースは消えてしまった。市営事業でもなく上場企業でもない、宙ぶらりんの「民営化」によって説明責任が覆い隠されてしまっては本末転倒である。

 こうした疑念を払拭するために、大阪メトロには、民営企業としてふさわしい積極的な情報公開を期待したい。
https://diamond.jp/articles/-/190728

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/568.html

[国際25] 北朝鮮の核計画、ひそかに進行か−トランプ米大統領に圧力 
北朝鮮の核計画、ひそかに進行か−トランプ米大統領に圧力
Jon Herskovitz、Youkyung Lee
2019年1月15日 13:22 JST
ロケットや弾頭の製造を進めている様子を示唆−衛星画像分析など
制裁解除に必要な外交環境を醸成する間にひそかに軍備強化との見方
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は新年の辞で、非核化に向けた措置を昨年講じたと世界に向けて表明した。だが実際は核兵器製造が続いており、核爆弾が増えた可能性もある。

  衛星画像分析や漏れてくる米当局の情報は、北朝鮮が速いペースでロケットや弾頭の製造を進めている様子を示唆している。核実験の停止が金委員長とトランプ米大統領の昨年6月の首脳会談につながったが、北朝鮮は大陸間弾道ミサイルを幾つか追加した可能性が高いと一部のアナリストはみている。また金委員長がさらに6個程度の核爆弾を製造できるだけの核分裂性物質を入手し、北朝鮮はこれで計30−60個の核爆弾に十分な核物質を持つと推測する武器管理団体もある。


寧辺のウラン濃縮施設で活動が行われている可能性を示す画像(2018年12月19日)ソース:DigitalGlobe / 38 North via Getty Images
  金委員長は昨年、「核兵器の製造や実験を今後実施せず、利用や拡散もしない」ことに同意したが、こうした非核化表明を巡る疑念は新年の辞での発言を踏まえても消えていない。制裁が解除され核保有国として容認されるために必要な外交環境の醸成を待つ間、ひそかに軍備を強化する戦略のようだと分析する核不拡散担当のアナリストもいる。


平壌で2019年の新年の辞を述べる金正恩委員長写真家:KCNA / EPA-EFE
原題:North Korea’s Nuclear Program Quietly Advances, Pressuring Trump(抜粋)

http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/218.html

[国際25] 中国貿易低迷、トランプ政権との合意必要性高まる−対立の影響色濃く 米クレジット市場リスクオン 米地裁、避妊規定の例外差止

 
中国貿易低迷、トランプ政権との合意必要性高まる−対立の影響色濃く
Bloomberg News
2019年1月15日 10:01 JST
12月の輸出入はいずれも予想外のマイナス−反動減や内需低迷示す
18年の対米貿易黒字は過去最高−期限内の合意、政治的に必要か
米国による追加関税の拡大を見込んだ出荷前倒しの反動減や景気見通しの悪化に伴う内需低迷で、中国の輸出入は昨年12月にドルベースで減少した。

  12月の輸出はドル建てで前年同月比4.4%減と2016年以来の大きな減少。トランプ米政権との通商対立に終止符を打つため中国の交渉担当者が合意を探る中、国内の状況は難しくなっている。輸入も同7.6%減と16年以来の大きなマイナスとなり、内需の減速を示唆している。12月の輸出入減少はいずれも予想外だった。

Trade Slumps
End of front-loaded export demand and slowing economy hit trade


Source: Customs General Administration

  一方、18年の中国の対米貿易黒字は過去最高を記録。トランプ大統領は3月1日の期限までに合意がなければ中国製品への追加関税率を引き上げる考えを示しており、期限前に妥結する政治的な必要性が浮き彫りとなった。

  今回の貿易統計は世界最大の貿易立国である中国が世界経済の減速や貿易戦争に絡む先行き不透明感による影響をいかに受けているかを示している。こうした要因は少なくとも短期的にはとどまり続ける見通しだ。

Losing Some Steam
The World Bank expects GDP growth to ease globally and in major economies


Source: World Bank's January 2019 report

Note: Data for 2018 are estimates. Data for 2019-2021 are forecasts.

  オックスフォード・エコノミクスのアジア担当チーフエコノミスト、ルイス・クイジス氏(香港在勤)は「この低調な貿易データによって、中国には合意の達成、あるいは少なくとも米関税引き上げ停止を実現するよう圧力が強まる可能性が非常に高い」と指摘。「また米国側も景気や金融市場を巡るニュースを受け、数カ月前に比べて対立緩和への圧力が強まっているように見える」とコメントした。

  中国による知的財産の扱いや国有企業への支援など、意見の隔たりがより大きい分野では現時点で進展がほぼ見られない中、劉鶴副首相は今月末ごろに通商協議のため訪米する予定だ。

原題:China’s Slumping Trade Adds Pressure for Settlement With Trump(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-15/PLCJI86S972801?srnd=cojp-v2


 

「間違いなくリスクオン」、米クレジット市場が息吹き返す−潮目変化か
Molly Smith、Janine Wolf
2019年1月14日 23:12 JST
米ハイイールド市場で10日に6週ぶり新規発行、旺盛な需要集める
最近の米金融当局者の発言でクレジット市場の信頼感が回復
凍結状態にあった米国のクレジット市場が、ようやく息を吹き返しつつある。

  ハイイールド市場では10日に6週間ぶりに新規発行があり、同日に実施した世界最大のビールメーカー、アンハイザー・ブッシュ(AB)インベブの社債公募には約400億ドル(約4兆3240億円)の注文が集まった。景気拡大が継続する余地がまだあることへの投資家の信頼が回復する中で、レバレッジド・ローンからの資金流出は弱まり、価格が全般的に回復した。


  エンジェル・オーク・キャピタル・アドバイザーズのハイイールドポートフォリオ・マネジャーのマット・ケネディ氏は「地合いに間違いなく変化があった。間違いなくリスクオンだ」と発言。「この反転で、昨年10月より前の市場には存在した景気拡大が続くとの信頼感の一部が戻ってきた」と述べた。

  センチメントの回復は、とりわけ新規発行に追い風となった。ハイイールド債市場で久しぶりの新規発行を果たしたターガ・リソーシズは旺盛な需要を集め、募集額を2倍に増やした。ABインベブには当初発行予定額の4倍の注文が舞い込んだ。

  この前週に社債を発行したフォード・モーター、デューク・エナジーの傘下部門などは高いリスクプレミアムを支払わなければならず、需要もほとんどなかった。わずか1週間で状況は様変わりした様子だ。米金融当局者が利上げサイクルは自動操縦ではないとの姿勢を示したほか、市場に割安感が台頭して買いを誘ったことなどが背景にある。

原題:‘It’s Definitely Risk On’: Rush to U.S. Bond Market Begins (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-14/PLBHVR6JTSF601?srnd=cojp-v2


米連邦地裁判事、オバマケア避妊規定の例外措置を差し止め
Erik Larson
2019年1月15日 13:18 JST
トランプ氏は宗教上の理由から避妊反対の企業への適用除外目指した
カリフォルニア州の判事も13日、差し止め命令出していた
トランプ米大統領は、従業員向け医療プランで無料の避妊薬提供を義務付けているオバマケア(米医療保険制度改革)規定の適用免除を、産児制限に宗教ないし道徳上の理由から反対している企業に認めることを目指しているが、米ペンシルベニア州の連邦地裁判事が暫定的にこの取り組みを阻止した。

  フィラデルフィアの連邦地裁のウェンディ・ビートルストーン判事は、先月発表された例外規定の最終規則が発効する予定の14日、全米規模の差し止め命令を出した。カリフォルニア州の判事も13日遅く、13州とコロンビア特別区におけるトランプ政権の計画を差し止めていた。

  ホワイトハウスにコメントを求めたが、これまでに返答はない。

原題:Trump Rules Allowing Contraception Opt-Out Blocked by Judge (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-15/PLCRGU6S972C01?srnd=cojp-v2


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http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/219.html

[国際25] EU離脱案150票以上大差で否決も−メイ英首相「世紀の敗北」か 政府案否決なら議会がEU離脱阻止 大敗なら延期も想定

EU離脱案150票以上大差で否決も−メイ英首相「世紀の敗北」か
Thomas Penny、Robert Hutton
2019年1月15日 12:23 JST 更新日時 2019年1月15日 16:02 JST
首相が敗れるかどうかでなく、どれほどひどい敗北になるかが焦点
60前後を上回る票差で否決なら離脱案は死んだも同然とEU当局者
メイ英首相が欧州連合(EU)と取り決めた離脱合意案を承認するかどうか決める議会採決が、15日に下院で行われる。土壇場まで支持を訴える首相の嘆願にも議員らは耳を傾けず、離脱案は少なくとも95年ぶりの大差で否決される見通しだ。首相が敗れるかどうかでなく、どれほどひどい敗北になるかが攻防の焦点となりつつある。

  首相率いる与党保守党議員の少なくとも70人、メイ政権を閣外協力で支えてきた北アイルランドのプロテスタント強硬派、民主統一党(DUP)の議員らは、15日の採決で離脱案反対に回ると公言しており、150票以上という1世紀余り見られなかった大差で離脱案が否決されることになりそうだ。一部が棄権に回り、100票余りで否決されたとしても1924年以降で最悪の結果となる。

  英国時間15日午後7時(日本時間16日午前4時)から予定される採決のプロセスをEU当局と市場が注視することになり、みずほ銀行のヘッジファンド為替セールス(金融機関)責任者ニール・ジョーンズ氏は、220票を上回る大差で否決された場合、ポンドの対ドル相場が1ポンド=1.225ドルまで下落する恐れがあると予測する。

  複数のEU当局者は、60前後を上回る票差で否決されれば、離脱案が死んだも同然であることを恐らく意味し、離脱交渉は未知の海域に入るが、票差がそれより少なければ、より受け入れやすくするための新たな方策を検討する可能性があると先週語った。


メイ英首相写真家:Leon Neal / Getty Images
  メイ首相のEU離脱プランに抗議して外相を辞任したボリス・ジョンソン氏は、離脱案の破綻が目前に迫っている状況を歓迎し、その場合には「熱烈」に合意なき離脱を支持する姿勢を示した。

  事情に詳しい複数の関係者によると、英首相官邸は、アイルランド国境へのハードボーダー(物理的壁)設置回避を保証する「バックストップ」に終了日の設定を求める保守党のアンドルー・マリソン議員の修正案を支持するかどうか検討しているもようだ。

  マリソン議員は「バックストップの取り決めが2021年12月31日に失効すると明記する」方向で離脱合意案を修正すべきだと提案している。

原題:May Faces Worst Government Defeat in 95 Years in Key Brexit Vote
May Said to Mull End-Date Plan for Backstop to Win Brexit Vote(抜粋)

(首相官邸がバックストップ巡る修正案の支持を検討しているとの情報を追加して更新します.)


 

メイ英首相、政府案否決なら議会がEU離脱阻止することになる可能性
Andrew Atkinson
2019年1月14日 9:33 JST
EU離脱を阻止すれば英国の民主主義に壊滅的打撃与える−メイ首相
14日のストークオントレントでの演説原稿の抜粋を首相府が公表
メイ英首相は英議会による欧州連合(EU)離脱案採決を控え、首相在職期間で最大級の激動の1週間に突入する。議会採決はEU離脱を巡る政府案と首相の命運を左右する。

  政府の離脱案が15日の下院採決で否決されることがほぼ確実な中、メイ首相は英国が合意なきEU離脱となるよりも議会による離脱阻止となる公算が大きいと警告し、土壇場での説得を行う構えだ。

  メイ首相は14日にストークオントレントで演説する。首相府が公表した演説原稿の抜粋によると、首相は「われわれ全員に国民投票の結果を実行する義務がある」と述べ、「仮に残留の投票結果に反して議会がEU離脱を目指すような状況になっていたとすればどうなるか。民主的プロセスや政治家に対する国民の信頼は壊滅的な打撃を受けるだろう」と警告する。


メイ英首相写真家:Stephane de Sakutin / AFP経由でGetty Images
原題:May Warns Parliament Will Kill Brexit if Her Deal is Voted Down(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-15/PLCPA36JTSEE01?srnd=cojp-v2

 


英・EU、離脱延期も想定か−議会で大敗なら他に選択肢ないと当局者
Ian Wishart
2019年1月15日 13:52 JST
英・EU間で話し合いはないが、双方が可能性に備えていると関係者
首相は14日にも「われわれは3月29日に離脱する」と言明
英国と欧州連合 (EU)の外交当局者は、メイ英首相がEUと取り決めた離脱合意案が15日の下院採決で否決された場合、英国のEU離脱が3月29日の予定日よりも遅れる可能性を想定しているもようだ。

  事情に詳しい関係者4人によれば、英・EU間でこの問題は話し合われておらず、メイ首相も自身の計画として示唆してはいないが、英国とEUの離脱担当者らは離脱延期の可能性に備えて別々に準備を進めている。

  今後の展開は、メイ首相の離脱合意案がどの程度の大差で否決されるかに左右される部分が大きい。大敗した場合、首相が議会を説得する時間を確保するには、離脱手続きを定めるリスボン条約50条の下で交渉期間を延長する以外に選択肢がなくなるだろうと複数のEU当局者は語った。

  メイ首相は14日に英ストークオントレントで行った演説後の質疑応答で、「われわれは3月29日に離脱する」と繰り返し、「リスボン条約50条の適用を延長すべきだと私は考えていないとこれまで明確にしてきた」と述べた。しかし離脱延期の可能性を否定することはしなかった。

  条件に関する合意や移行期間がないまま無秩序にEUを離脱する事態の回避につながる離脱延期の見通しを市場は織り込みつつあるが、与党保守党内の離脱推進派がこれを背信と受け止めることが予想され、メイ首相にとって政治的に非常に危険な動きといえそうだ。

Brexit’s Path in Parliament

原題:U.K., EU Diplomats Are Said to Now Assume Brexit Will Be Delayed(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-15/PLCURJ6JTSEQ01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/222.html

[国際25] 中国:景気対策の減税頼みがより鮮明に−債務増でインフラとは距離 12月のファイナンス規模、2カ月連続で拡大ー刺激策奏功 
中国:景気対策の減税頼みがより鮮明に−債務増でインフラとは距離
Bloomberg News
2019年1月15日 15:06 JST
当局者は15日、「より大規模な」減税を行う方針表明
全体のインパクトは約2兆元、GDPの1.2%相当−JPモルガン
中国政府は景気減速への対応策で減税頼みをますます強めている。無駄も多かった過去のインフラ刺激策から距離を置き始めている。

  経済指標が悪化する中で中国当局者は15日の記者会見で、「より大規模な」減税を今後行う方針を示した。JPモルガン・チェースのエコノミストらは全体のインパクトが約2兆元(約32兆円)、国内総生産(GDP)の1.2%相当に達すると推計している。

  政府は昨年5月、製造業と輸送、建設、通信、農産品を対象に増値税(付加価値税)の引き下げに踏み切った。その後、個人所得減税や税控除の拡大も実施。国務院は今月、小規模企業向けに年2000億元規模の減税計画を発表した。

  こうしたアプローチの変更は主に中国が抱える高水準の債務が原因だ。2008年の金融危機直後のように橋や鉄道の整備で調達する資金が膨らめば、金融の安定が脅かされる。ただ、世界経済の減速や対米貿易摩擦を背景に、新たな手法が景気安定化に十分なのかは分からない。

  朱海斌氏などJPモルガンのエコノミストチームはリポートで、数年にわたる過剰投資が低効率と債務急増につながり、中国政府が「その問題を把握した」と指摘。徴税を強化すれば効果は下がるかもしれず、減税の景気への波及も不透明で、景気押し上げ効果は小幅にとどまる公算があるとも分析。全体として減税でGDPの伸びが0.46ポイント押し上げられる可能性があると記述している。

原題:China Is Making Tax Cuts the Key Weapon Against the Slowdown (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-15/PLCY4Q6K50XZ01?srnd=cojp-v2


 

中国:12月のファイナンス規模、2カ月連続で拡大ー刺激策奏功を示唆
Bloomberg News
2019年1月15日 18:15 JST
新規人民元融資は1兆1000億元−市場予想8250億元
M2は前年同月比8.1%増と11月の8%増から伸び加速
中国人民銀行(中央銀行)が15日発表した昨年12月の経済全体のファイナンス規模は1兆5900億元(約25兆5600億円)と2カ月連続で拡大した。政府の融資促進策が奏功していることが示唆された。

ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想は1兆3000億元だった
新規人民元融資は1兆1000億元−市場予想8250億元
12月のマネーサプライ(通貨供給量)統計では、M2が前年同月比8.1%増と11月の8%増から伸びが加速
原題:China’s Credit Growth Accelerates, Signaling Stimulus at Work(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-15/PLD7LD6JTSEA01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/224.html

[経世済民130] 日本の大病「報われてない感」への特効薬 安倍首相の「官製春闘」への密かなエール 雲行怪しい春闘、経営側が意識する「あの数
日本の大病「報われてない感」への特効薬
安倍首相の「官製春闘」への密かなエール

河合 薫
健康社会学者(Ph.D.)
2019年1月14日
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 日経ビジネスオンラインが「日経ビジネス電子版」に生まれ変わるのに伴い、コラム名を「河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学」にちょっとだけ改め、再スタートを切らせていただくことになりました。職場から家庭、社会まで、生きづらい今の時代における人と人の関わりのありようについて綴っていきたいと思っています。今後とも、これまで同様、ご愛読のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
 で、栄えある(?)第1回となる今回は、「お金と幸せ」についてあれこれ考えてみようと思う。


(写真=PIXTA)
 1月7日に行われた経済3団体の祝賀会で、安倍首相は、「(消費増税で)引き上げた分は全部お返しし、さらにお釣りが来るという、こういう対策を打ちながら、デフレ脱却を確かなものにしていきたい」とコメント。さらに「去年まで、5年連続で最高水準の賃上げが続いた。今年も(引き続き高い水準の賃上げに)期待している」と経営者たちに訴えた。
 一方の経済3団体のトップは、「今年の景気は堅調に推移していく」との見通しを述べたと報じられている。
 賃上げが続き、好景気か……。「増税でお釣りが来る」という意味不明のコメントも、「景気は堅調に推移していく」という見通しも、ちっとも腑に落ちない。
 ふむ、なるほど、この楽観さが“現場”の悲鳴につながっているのだな、きっと。
 そもそも首相や経済界トップの人たちの言葉の根拠はどこにあるのだろうか。
 経済のことは門外漢なので偉そうなことは言えないけど、素人目にみても世界経済は不安定さを増しているように思う。米国市場を襲ったクリスマス大暴落、中国経済の減速……。地震や洪水などの大規模な自然災害も世界的に頻発している。さらに、ちょっと先まで目を向ければ、五輪不況だって懸念されているし、何よりも2020年以降は社会の超高齢化が一層加速する。
 賃上げは「5年連続で最高水準」らしいが、あまり素直にうなずく気にはなれない。「数字」は分析次第で見え方が大きく変わる。数字は嘘をつかないけど、使い方次第で真実を隠す道具にもなってしまうのだ。
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増えない賃金、増えるミリオネア
 昨年話題になったが、主要7カ国(G7)で日本だけが2000年の賃金水準を下回っていることがOECDの分析で明らかになった。また、日銀によれば、この5年で日本の労働生産性は9%伸びた一方、物価変動の影響を除いた実質賃金の上昇率は2%にとどまることもわかった(日本経済新聞「賃金再考(1) 日本の賃金、世界に見劣り」)。
 また、「平成29年賃金構造基本統計調査」のデータを見ても、この20年間、賃金はほとんど上がっていないことがわかる(短時間労働者以外の一般労働者の月額賃金)。
賃金の対前年増減率の推移(短時間労働者以外の一般労働者)

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00003/graph1.JPG

 その一方で、18年度における東証一部上場企業の社長の報酬総額は中央値で5552万円で、前年比2.2%増だ(デロイトトーマツ調べ)。また、東京商工リサーチの調査によると、役員報酬が1億円以上だった上場企業の役員数は538人(18年3月期決算)。17年の466人から大きく増え、過去最高を更新している。
 約1カ月前の18年12月18日、野村総合研究所(NRI)が「日本の富裕層・超富裕層の世帯数は2013年から増え続け、2000年以降の最多だった」との調査結果を公表した(金融資産保有額5億円以上は「超富裕層」、1億円以上5億円未満を「富裕層」と定義)。
 具体的には、
・富裕層・超富裕層は126.7万世帯で、最も多かった2015年の121.7万世帯から約5万世帯も増加
・富裕層および超富裕層の純金融資産総額は、15年比で、それぞれ9.1%(197兆円から215兆円)、12.0%(75兆円から84兆円)増加
となった。
 お金のデータばかりで恐縮だが、世帯数のデータだといまひとつピンと来ないので、ついでにクレディ・スイス「2016 年度グローバル・ウェルス・レポート」も紹介しておく。
・16年度の日本の富裕層(資産総額100万ドル以上)の数は前年度から74万人ほど増加し、283万人。74万人は世界最大の増加数で、富裕層の数は世界2位
・日本の超富裕層(純資産5000 万米ドル超)の個人は世界最大の伸び率で 3600人。その数は、現在、世界第 6 位
・今後も日本の富裕層の数は増加し、 2021年には27%増になる見込み
……だそうだ。
次ページ「リツイートするだけで100人に100万円!」って……

「リツイートするだけで100人に100万円!」って……
 ただ、読者の皆さんもよくご存じの通り、多くの“ミリオネア”は会社員でない。経営者・役員・自営業者・家族従業者などの「資本家階級」などに属し、資産運用している人たちである。
 「リツイートするだけで100人に100万円!」などと1億円をプレゼントした経営者が年明け早々話題になったが、あるところにはあるってこと。とにもかくにも「持てる者」と「持たざる者」の格差は確実に広がっていて、言葉は悪いが、現場が汗水流して稼いだカネが、都合よく“ピンハネ”されているのではないかと疑ってしまう。
 もちろん世の中には儲かった分をきちんと働く人たちに還元し、現場に足を運び、従業員の声に耳を傾けているトップもいるけれど、先に紹介したデータを見るにつけ、自分たちの報酬水準だけはグローバル並みにし、「持たざる者」など目に入っていないトップが増えているような気がしてならないのだ。
 「普通の人々」が眼中にないと思われるのは、政治家やお役人も同じ。先週明らかになった厚生労働省による「毎月勤労統計調査」の“捏造”問題、昨年発覚した裁量労働制の不適切データ問題……。本当に暗澹たる気分になるし、国への不信感も尽きない。
 だいたい、「僕たちがんばってます!成果出してます!」とアピールするために、都合よく数字を使う人たちが多すぎる。前述した「平成29年賃金構造基本統計調査」を公表した際の報道発表資料では、「女性の賃金は過去最高で、男女間賃金格差は過去最小」と、“いつもどおり”プラス面だけを強調していたし、当時の野田聖子総務大臣(女性活躍担当大臣・内閣府特命担当大臣)が昨年の3月8日の「国際女性の日」に寄せたメッセージでも、「女性の就業者数はこの5年間で約200万人増加し、子育て期の女性の就業率も上昇するなど成果は着実に上がっています」と胸を張ったものの、増加数の半数超が非正規であることには全く触れなかった。
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おカネはやっぱり、大切なご褒美
 物流大手の日本通運は4月から非正規社員の賃金を引き上げ、正社員との待遇格差を解消する方針だ。これと並行して賃金体系についても、入社年次やキャリアから、能力や担っている役割を重視した形に改める方向で検討しているという。
 同一労働同一賃金が盛り込まれた働き方改革関連法の施行も控えており、正社員と非正規の賃金格差は当然、是正されるべきだ。ただ、広がりつつある是正の動きを、諸手を挙げて評価できない自分がいるのもまた事実。待遇格差の解消に伴い賃金体系を変更し、成果主義にシフトする中で、正社員の賃金水準が下がった例も見られるからだ。
 非正規と正社員の賃金格差は依然として大きい。30代前半の平均月額賃金は、正社員28.1万円、非正規社員21.1万円で、その差は約7万円だが、年齢が上がるにつれさら広がり、30代後半で約10万円、50代前半では20万円近くにまでなる(平成29年賃金構造基本統計調査)。この差を、非正規の引き上げではなく、正社員の処遇“改悪”によって縮める方向に進む気がしてならないのである。
 フォードの創業者のヘンリー・フォードは「1日5ドル」という、当時としては破格の賃金を払うことで、同社を世界的な企業に育てた。彼はのちに取材を受けるたびに、生産性向上と離職対策に大きな効果を上げたこの賃金政策について、「我々が考案した中で最高の費用削減の手段の1つが、1日5ドルの賃金を決めたことだ」と繰り返した。
 また、米スタンフォード大学経営大学院教授で組織行動学者のジェフリー・フェファー博士は、経営学を労働史から分析し「人件費を削ることが長期的には企業の競争力を低下させ、経営者の決断の中でもっともまずいものの元凶であることは歴史を振り返ればわかる」と説く。
 昨年、Amazonが最低賃金を時給11ドルから15ドルに上げると発表し、大きな話題となった。賃金を上げる企業は優秀な人材を魅了するし、そこで働く人たちのモチベーションだって高まる。高い賃金の仕事を失いたくなければ「肩叩きをされない」ように、働く人たちだって頑張るに違いない。
 おカネがすべてではないけれど、おカネは私たちにとって大切なご褒美だし、自分の成果を測る目安にもなる。人間の生きる力であるSOC(sense of coherence)の理論においても、おカネは人の生きる力を引き出す極めて大切なリソースとされる。と同時に、お金は個人の幸福感をも左右する。
 人間はやっかいな性癖を持つ生き物で、「他者と比較する」特性がある。平たく言えば「上」か「下」。勝ち組・負け組という言葉が好んで使われるのも、私たち人間は他者のまなざしから逃れるのが極めて難しく、絶対的価値より相対的価値により幸福感や満足感が左右されがちなのだ。だから、比較が容易な「おカネ」は、その意味で重要なのである。
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「報われている感」の喪失
 たかがカネ。されどカネ。
 今の日本の大きな問題は、あらゆる場面で「報われている」という感覚が持てないこと。20年以上賃金が上がっていない状況は、当然、「報われている感」の喪失につながる。
 この感覚の背景にあるのが「賃金公平感」だ。これは「自分が要求できると考えている金額が支払われているかどうか」に相当する感覚で、世間の相場など他者との相対的な比較によって決まる。私たちは「もっとお金があれば幸せになれる」としばしば考えるが、「お金があるからといって幸せとは限らない」。賃金公平感こそが、職務満足感や幸福感をも大きく左右するのである。
 これまでの「賃金公平感」に関する研究は、同じ職場、同じ産業、同じ年齢など自分が所属する(あるいはした)集団間での相対的賃金比較が、個人の幸福感や満足感へどう影響するかを検討するものが中心だった。しかし、近年は、自分が所属しない集団との比較や、他者ではなく「過去の自分」や「未来の自分」との比較が大きく影響しているという論説が増えた。
 その中の1つ、京都大学名誉教授の橘木俊詔氏らの調査結果がとても興味深いので紹介する(橘木俊詔科研調査2012)。
 この調査では、比較対象を「過去の自分」「未来に予想される自分」「本来あるべき自分」「職場の同僚や知人」「学生時代の同級生」「親戚・親族」「近所の人」「テレビ、新聞、インターネット、書籍などで知った人」「平均的な日本人」に分類し、対象者に「あなたが今の所得が高いか低いかを評価するときに、もっとも比較しやすい対象」を選んでもらった。
 その結果、トップは「過去の自分(27.2%)」、次いで「平均的な日本人(25%)」「職場の同僚や知人(18%)」「本来あるべき自分(11.9%)」「学生時代の同級生(10.2%)となった。
 つまり、役職定年になった人がよく、「これからはさ、どんなにがんばっても給料はビタ一文上がらないんだぜ」と、口を尖らせ、やる気を失っていくのは、「過去の自分」との比較に加えて、「本来あるべき自分」とのギャップによると考察できるのである。
 橘木氏らの研究では、こうした比較対象が個人の幸福感に及ぼす影響を分析するとともに、本人の所得そのものと幸福感との関連性も調べた。その結果、個人の幸福感に強く影響を及ぼすのは本人の所得だった。一方、比較対象の所得が高いと幸福感は下がり、その効果は「本人所得と幸福感の関連性ほど大きくないものの、統計的に十分に確認できるものだった」のである。
 賃金は上がらない、これから上がる見込みもない。その一方で、人生100年時代を迎え寿命は伸びるばかりだ。
 もし、もし、本当に「だってあげるカネがないんだもん!」というならわかる。だが、日本企業の内部留保はこの15年で倍以上に増えて446兆円超になり、そのうち221兆円を現預金が占める(2017年度「法人企業統計」)。また、経常利益は11.4%増となったが、設備投資は5.8%増、人件費は2.3%増にとどまった。
 なので経営者のみなさま、賃金をきちんと上げてください。もっともっと上げてください。安倍首相どもども、強く、強く、お願い申し上げる次第である。
 なんだか「勝手に1人春闘!」になってしまったが……要求を受諾していただけないと、会社の繁栄はありませぬぞ。

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K.Gotou

情報処理従事者

「人間は、存在していることに価値がある」となればよいですね。
その人の過去が何かの形で誰かを助け、助けられた人から ”感謝” という通貨が贈られ、送られた人はいつか助けて欲しい時に ”感謝” を使う。
需要と供給が成り立つのではないかと思うのです。 ”誠実” に人へ接すれば ”信用” という通貨が行きかうのでもよいでしょう。 ”安心” でもいい。
他に代用ができない世界共通の ”こころの通貨”。もう、人間界に現れてもいい時代だと思うのです。人工知能にあらゆることを委ねる前に・・・。
2019/01/14 17:44:003返信いいね!.

hifukaya

人生100年時代を迎えると言われるようになったが、果たしてそうだろうか?団塊の世代まではそこそこ年金ももらえて豊かな生活が出来るが、現在の30代40代になると現在勤めている会社が存続することすら危ぶまれるような荒んだ世の中が待っているように思えます。
バブル崩壊、リーマンショック等を経て国民を搾取する経営者が増えてきている。携帯電話大手3社は典型的で、安い賃金で働かせサービス料金は法外に高値でトラストして経営している。多くの日本人は静かに衰退するのを待っているようだ。
2019/01/15 09:06:172返信いいね!
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黒田権兵衛

お金は稼いだり貯めたりすることよりも、使うことの方が難しい。それによって満足度が違うと思います。いくら収入が増えてもムダなことに費消してしまったのでは何のために苦労して働いたのか分からない、働く意味も喪失してしまいます。貯めたお金で何に投資をするかで人生の地平が変わります。
もちろん会社で働くこと自体やりがいのあることですが、肩書きも成果も所詮は会社のモノ、そこで自己完結してしまっては面白くありません。会社勤めは一面で資金を得るための手段であり、そのお金で自分のフィールドを作ることが大事だと思います。
2019/01/15 09:45:081返信いいね!
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青い海

Amazonの昇給は社内から異論が出ていますよね。昇給する代わりにストックオプションやら各種手当て、フリンジベネフィットがゴッソリ削られましたからね。なので、トータルで減収になる人もいます。そういう事は書かないんですかね。
また、会社に成長に伴って働く場は増えていますが、それ以上に無人化を進めていて、主要な製品のピッキングはロボットでやっています(ロボット開発もやっています)。つまり、「人要らず」のオペレーションを指向してて、人は「今のところ機械が出来ない」から雇用しています。つまり、雇用を積極的に提供しているわけ、ではありません。
あと、Amazonは労務管理が厳しいことで有名です。数回の遅刻でクビです。アメリカですから日本よりも解雇規制が緩く、基準に合わない社員はクビ切れます。日本みたいに「法律を盾にとって会社にしがみつく」事ができない国情です。日本でも解雇規制を緩和して解雇や賃金カットを柔軟に行えるようになれば、「デキる社員」の給料は上がると思いますよ。
2019/01/15 10:54:43


 


雲行き怪しい19年春闘、経営側が意識する「あの数字」

山田 宏逸
日経ビジネス記者
2019年1月15日
 
 2019年の春季労使交渉(春闘)がまもなく始まる。「秋に消費税率10%への引き上げを予定しているのだから、2%分の賃上げは期待できるだろう」。そんな見立ては早計だ。昨年末からの株価乱高下や怪し気な世界経済を背景に、例年以上に渋い回答を予想する声が多い。今年の交渉で経営側がより意識し、予防線になりそうな数値は何だろう。


18年の大企業の賃上げ率は2.53%と高水準だったが……(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
 経団連は1月下旬、春季交渉の指針をまとめる。中西宏明会長は15日の記者会見で「業績と各社の事情に応じて賃上げしていこうじゃないかと、(準備を進めている指針には)書いている」と賃上げの機運を維持していく考えを強調した。

 もっとも、雲行きは怪しい。まず消費税との関連について触れておくと、経営側の基本スタンスは「増税に備えて(賃上げを)先食いするつもりはない」(大手製造業)。増税時期が10月だということもあって、4〜9月までの半年分まで給与を上乗せする訳にはいかないという意見が現状では多い。むしろ、足元での景気・経済と企業業績の先行き懸念が春の交渉で前面に出る可能性が高い。

ベアのインパクトは「1.7倍」
 企業にとってベースアップ(ベア)のインパクトは月額賃金負担の「1.7倍」。経営側が賃上げに慎重になる根拠の数字の一つだ。従業員の給与を一律に底上げするベアは当然、夏冬のボーナスや退職金にも影響し、医療・年金など社会保障の企業負担にもつながる。ベアによる月額賃金の負担増以上の人件費が必要で、その倍率は中小企業を含めると1.7倍、大企業に限れば1.9倍となる。ベアはベアだけにあらず。先行きが見えにくいご時世だけに「従業員の頑張りは分かるが、将来に渡って企業の負担が増す」という議論が勢いを増すだろう。

1.8%分のゲタにも注意
 今後の交渉過程で、政権側からも企業側からも様々な「数字」が飛び出すだろう。集中回答日である3月中旬以降の「仕上がりの数字」にも注意が必要だ。経団連がまとめた18年の大企業の賃上げ率は2.53%と20年ぶりの高水準だが、これも解きほぐす作業が欠かせない。2.53%のうち、年齢に応じてほぼ自動的に給与が上がる定期昇給の部分が実に1.8〜1.9%ほどある。つまり、ベア相当部分は1%に満たない。交渉で勝ち取った数字、仕上がりの数字、本当に消費に効く数字、誰かを守るための数字……。それぞれにギャップがある点を見逃してはいけない。

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/011500003/
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/581.html

[経世済民130] [前編]安倍首相、単独インタビュー「日本が自由なデータ流通圏を主導する」[後編]「憲法改正、幅広い合意に期待」
[前編]安倍首相、単独インタビュー「日本が自由なデータ流通圏を主導する」

東 昌樹 他 1名
日経ビジネス編集長
2019年1月15日
1 59%

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全1456文字

(写真:的野弘路、以下同)
安倍晋三首相が本誌の独占インタビューに応じ、国内外の懸案に臨む胸の内を語った。今年は皇位継承、大阪でのG20首脳会議、参院選など国内で重要イベントが続く。米中「新冷戦」などで国際協調体制が揺らぐ中、日本の外交力が問われる1年でもある。(聞き手は本誌編集長 東昌樹)

政府はあらゆる課題をデジタル化で解決する「ソサエティ5.0」の実現を掲げています。日本の競争力を再構築する狙いでしょうか。

安倍晋三・内閣総理大臣(以下、安倍):その通りです。世界は第4次産業革命の真っただ中にあります。AI(人工知能)、ビッグデータ、ロボットなどのイノベーション(技術革新)には少子高齢化など社会課題を解決する大きな可能性があります。ソサエティ5.0を世界に先駆けて実現することが我が国の未来を開く成長戦略です。経済界と力を合わせて取り組んでいきます。

AI時代、データは新たな資源
 そのために交通、医療、教育などあらゆる分野で既存の規制を見直していきます。国際データ流通圏の構築など新しい時代のルール作りも世界に先駆けて進めていきます。最先端技術の活用で生産性を飛躍的に高め、世界の需要を取り込んでいくことで、日本はまだまだ成長できるはずです。

企業などが保有するデータをどう有効活用していくのかが企業や国の競争力を左右する時代になりましたね。

安倍:世界を駆け巡るデータはこの10年で15倍に拡大しました。データはAI・ビッグデータ時代の新たな資源です。ソサエティ5.0時代のイノベーションの源泉でもあります。そのため熾烈な争奪戦が世界で繰り広げられています。データを活用したイノベーションを起こすためには自由にデータが流通する環境を整備しなければなりません。

 しかし、それには信頼に裏打ちされたシステムが必要です。プライバシーやセキュリティーを確保しつつ、公正かつ互恵的なルールの下で、自由で開かれた国際データ流通圏を日本が先頭に立って世界に広げていく考えです。

 サイバーセキュリティーを確保するうえでは、情報の窃取、破壊、情報システムの停止など悪意のある機能が組み込まれた機器を調達しないようにすることが極めて重要となります。


米中貿易摩擦など自由貿易体制が揺らぐ中、日本の果たすべき役割は。

安倍:日経ビジネスは創刊50周年を迎えるそうですね。WTO(世界貿易機関)は誕生から四半世紀が経過しましたが、世界経済は国境がなくなり相互依存を深めています。新興国は目覚ましい経済発展を遂げ経済のデジタル化が一気に進展しました。自分は取り残されるのではないか、不公正な社会となっていくのではないかとの不安や不満が時に保護主義への誘惑を生み出し、国と国の間に鋭い対立も生み出しています。

 だからこそ自由貿易の旗を高く掲げなければなりません。公正なルールを打ち立てることで自由貿易を深化させていくべきだと考えています。こうした不安や不満に対応していかなければグローバル経済をさらに進めていくことはできないのです。TPP11やEUとのEPA、さらに中国、インドなどが参加するRCEP(東アジア地域包括的経済連携)などを通じて自由で公正な経済圏を世界へと広げていくことが我が国の使命だと考えています。

【インタビュー全文の詳細版】

【後編に続く】

消費税率引き上げ、景気減速懸念への対処、人材不足解消への施策についてなどを含めたインタビュー全文は「[全文掲載]安倍首相、単独取材「日本が自由なデータ流通圏を主導する」」でお読みいただけます(要会員登録)。

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LIonKingdom

Scientist

近代国家のルールを守る国々とそのような流通圏を確保するのは許容できるが,中国や半島のようなルール無視の侵略国家をはじめとして前近代的な国々から労働者という名で大量の移民を受け入れることには断固反対する.もはや自民党を含む既成政党の時代は終わらせたい.
2019/01/15 10:31:231返信いいね
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00005/011400002/


[後編]安倍首相、単独インタビュー「憲法改正、幅広い合意に期待」

東 昌樹 他 1名
日経ビジネス編集長
2019年1月15日
1 67%

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全1096文字
【前編から続く】

外交ではロシアとの平和条約締結交渉が注目されています。前進させるためのポイントは何でしょうか。

安倍晋三・内閣総理大臣(以下、安倍):まず戦後70年間解決されなかった課題であるという重みを両国がかみしめる必要があります。同時に日ロが平和条約を締結することが地域の平和と安定に資するものであり、経済的発展にもつながっていくとの認識も重要です。日ロ両国が受け入れ可能な解決策でなければ、領土問題を解決して平和条約を締結するには至りません。プーチン大統領と私の手で両国が受け入れ可能な解決策に到達したいと思っています。1956年の日ソ共同宣言を基礎にできるだけ交渉を進展させたいです。

 また、対北朝鮮では日本人拉致問題の解決は私の使命です。あらゆるチャンスを逃さない決意で臨みたい。中国とは昨年10月の私の公式訪問で日中関係は完全に正常な軌道に戻りました。今年習近平主席を日本にお招きし、日中新時代を切り開いていきたいですね。

憲法改正論議が停滞していますね。

安倍:憲法改正は最終的には主権者である国民の皆さまが国民投票で決めるものです。だからこそまずは国会で各党が具体的な考え方を持ち寄り、議論することで国民的な議論や理解を深める努力を重ねていくことが求められており、選挙によって付託を受けた私たち国会議員の果たすべき重要な役割だと思っています。与党・野党といった政治的な立場を超え、できるだけ幅広い合意が得られることを期待しています。

長期政権で求心力の維持が大きな課題になりそうですね。

安倍:求心力とはやるべき政策課題をしっかり掲げ、それを実行していく強い意志を示していくことによって生まれてくるのではないでしょうか。今後もこの間の経験や国際社会で培ったネットワークも生かし、内政、外交で結果を出して国民の負託に応えていくつもりです。


(写真:的野弘路)
衆参同日選の臆測も出ていますが、参院選では何を有権者に訴えていくのでしょうか。

安倍:参院選は政権への中間評価の意味合いを持ちます。選挙で勝利を収めることができるかどうかは政策を進めるうえで極めて重要です。参院選は新たな国造りを進めていく基本的な考え方を問う選挙にしていきたい。外交では戦後外交の総決算を目指すという外交方針を問うことになると思うし、アベノミクスを今後も力強く進めていくための選挙にもなると思います。

【インタビュー全文の詳細版】

消費税率引き上げ、景気減速懸念への対処、人材不足解消への施策についてなどを含めたインタビュー全文は「[全文掲載]安倍首相、単独取材「日本が自由なデータ流通圏を主導する」」でお読みいただけます(要会員登録)。

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#インタビュー
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hiro

日ソ共同宣言基礎とは、歯舞、色丹だけと言うこと。東京宣言は忘却か。
一種の牽制球であろうが、ロシア外相は、北方領土呼称は怪しからん、戦争の結果ロシア領となったと言っている。2島に法外の価格を付ける伏線であろう。
日本は喉から手が出るほど北方...続きを読む

2019/01/15 14:28:142
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00005/011400003/
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/582.html

[経世済民130] アップルの凋落が始まった?12年前の「悲劇」と類似 トランプ大統領がパウエルFRB議長と会談?利上げ休止を「大統領の功績
アップルの凋落が始まった? 12年前の「悲劇」と類似

菅原 透
日経ビジネス副編集長
2019年1月15日
4 18%

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全997文字
 年明けに世界の株式市場を襲った「アップル・ショック」は米アップルが2018年10〜12月期の業績見通しを下方修正したのがきっかけだった。昨年秋に投入したスマートフォン(スマホ)「iPhone」の新型3機種の販売が想定よりも下回り、19年1〜3月期の生産台数を当初計画から10%程度減らすとも報じられている。


iPhoneの販売不振が伝わる(写真:ロイター/アフロ)
 2007年にiPhoneを発売し、スマホ市場を切り開いてきたアップル。ライフスタイルを一変させ、昨年8月には時価総額が1兆ドル(約110兆円)を超えた。それでも販売不振に見舞われるのは、韓国サムスン電子や中国・華為技術(ファーウェイ)などとの競争激化に加え、米中貿易戦争のあおりで、収益源の中国の経済が減速していることがある。

 そんな今のアップルを、米ゴールドマン・サックスのアナリスト、ロッド・ホール氏は12年前のフィンランドのノキアの姿に重ねる。

 ノキアは1990年代に携帯電話事業を始め、独自のOS(基本ソフト)「シンビアン」を搭載して機能を進化させてきた。2007年には世界市場での占有率が5割を超えて絶頂期に。だが、市場での普及率が高まれば、新規顧客の開拓が難しくなるもの。販売規模を維持、拡大するには買い替え需要を掘り起こすしか手立てがなくなる。

 ノキアにとっての誤算はリーマン・ショックによる世界経済の減速だった。買い替えが進まなくなり、長期低迷期に入った。

 iPhoneも定期的に新機能を搭載した新商品を出すことで、新規顧客の開拓と、既存顧客の買い替え需要を掘り起こしてきた。そして、「iPhoneの普及率が高まった今、マクロ環境の影響を以前より受けやすくなっている」との見方をホール氏は投資家向けに示している。 

 もちろん、今と12年前では違いもある。ノキアにとってのiPhoneのように、iPhoneに代わる革新的な携帯端末はまだ登場していない。ノキアの凋落は、スマホへの切り替えが遅れた面も大きい。

 アップルには音楽配信などサービス事業という収益基盤もある。アップルは18年10〜12月期もiPhone以外の製品やサービスの売上高が前年同期比で19%伸びたとしている。

 それでも、売上高の6割以上を占めるiPhoneの販売動向がアップルの今後を左右するのは間違いない。中国だけでなく、世界経済の先行きが見通しにくくなるなか、アップルは踏みとどまれるか。正念場だ。

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ダサイタマジジィ

平長

何でもかんでも悲観的な記事で煽るのはどうかと思います。
ソニーショックの様に赤字になったわけでも無く、リーマンショックの様に破産した訳ではありません。
米中新冷戦下では中国での売り上げが下がるのは当たり前です。
その代わりライバルの中国企業も先進国内ではもう売れません。
韓国勢もアメリカから敵国認定されていますので近いうちに何かあるでしょう。
それよりiOS勢とアンドロイド勢の趨勢に注目すべきです。
iOS勢の勢力が有ったのはコンピューター〜パブレット〜スマホと情報がシームレスに繋がり便利だったからです。
それが今ではアンドロイド勢がWinOS〜タブレット〜アンドロイドスマホ間のデータ互換に支障が無い所まで来ています。
アプリの数もアンドロイド版の方が多くあり便利になっています。
何故こういう所に目を付けないのですか?
売り上げ云々という目に見える数値だけでものを語るのは誰でも出来ます。
2019/01/15 13:28:502返信いいね!


naoto

ある会社の経営企画

だんだんとApple不振の記事が増えてきましたね。キャリアの端末との完全分離が進めば、更に顕著になってくると思います。第2四半期後半に噂されているiPadminiの新型、SE2などで巻き返しを図ってくるのではないでしょうか?

2019/01/15 16:00:281返信いいね!


昼 行燈

無印老人

Appleと言えば,この会社の製品さえ持っていれば,時代と流行の最先端を行くスマートな人種だと思われていました。ホンの少し前までは。
でも,この会社のやっていることと言えば,同じような製品を,毎年毎年デザインやカラーや操作方法やコネクターを少しずつ変えて,スマートフォンとしての機能はちっとも変わらないのに,だんだんと価格だけは進化していることだけです。
カメラ機能がどれだけ優れようと,高級なコンパクトカメラにさえ敵わない(レンズの大きさを考えなさい)のに,また,外部メモリーさえ自由に使えない状態で,ユーザーの皆さんは我慢してまで,うれしそうにiPhoneを褒め称えておられます。
そんな製品を販売する企業が,いつまでも優位に立っていられるとは思えません。製品の基本的な部分が進化せずに陳腐化が進めば,他社の追い上げによってランクが下がるのは,自然の成り行きでしょう。
2019/01/15 17:16:002返信いいね!


神田雄大

フリーランスコンサルタント・小説家

Androidが使いやすくなったからね。デュアルカメラの後からボケやピント変更もiPhoneの専売特許でなくなった。
Apple Watchも睡眠サポートはいまだ標準でない。
Googleがまだ発展途上だけどFitでヘルスケアに進出してきた。
mac osは年々、重くなる。
機能過多で使い切れない。
でも、毎年、バージョンアップする。
MSはWindows10でいったんWindowsのバージョンアップは止まった。
使ってみたけどHello認証は便利。
Appleは生体認証がMBPの指紋のみ。
指紋認証に対応した外部キーボードはいっこうに出さない。
Githubを買収したことでもわかるようにAzureとの連携で新しいアプリ開発環境を提供していく。
2019/01/15 17:58:23
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/011400002/

 

トランプ大統領がパウエルFRB議長と会談?利上げ休止を「大統領の功績」にする算段も

上野 泰也
みずほ証券チーフMエコノミスト
2019年1月14日 全4016文字

2019年1月4日、米経済学会で議論するパウエルFRB(連邦準備理事会)議長(写真=ロイター/アフロ)
 トランプ大統領からの昨年の「クリスマスプレゼント」は、一部連邦政府機関の閉鎖と、パウエルFRB(連邦準備理事会)議長解任論だった。
 1月3日に招集された、中間選挙で決まった新勢力分野の米議会は、野党民主党が下院で過半数を占める「ねじれ」状態である。このため、メキシコとの国境に「壁」を建設するというトランプ大統領の選挙公約に沿った予算が認められるためのハードルは、非常に高くなっている。そうなる前になんとかしようとするクリスマス前のトランプ大統領の焦りが、内務省や国土安全保障省など一部連邦政府機関の閉鎖(シャットダウン)につながった。
 上院が昨年12月19日に「壁」の建設費を含まない予算案を可決したものの、大統領はこれを拒否。下院が20日に57億ドルの「壁」建設費を盛り込んだ予算案を可決したが、上院を通る見込みが立たないまま、連邦政府全体の25%程度の予算が22日に失効して、シャットダウンに突入した。商務省が経済統計(11月の新築住宅販売)の発表を延期するなど、筆者を含むエコノミストの業務にも影響が及んでいる。
トランプ大統領によるパウエルFRB議長解任?
 シューマー民主党上院院内総務は「政府機関閉鎖の解除を望むなら壁(の予算計上)をあきらめるべきだ」と述べて、トランプ大統領を批判。そのトランプ大統領は「メキシコ国境での(不法移民流入という)危機は、立派な鉄柵か壁が建設されるまで終わらない」とツイートして反論した。事態の打開がないまま、シャットダウンは越年している。
 昨年12月のFOMC(連邦公開市場委員会)で追加利上げが決まった後の米国株の大幅下落や米景気悪化の可能性増大について、それらが再選をもくろむ2020年の大統領選に向けた強い逆風になることを、トランプ大統領は強く警戒しているようである。ナスダック総合指数は12月21日に高値から20%超下落して「弱気相場」入りし、景気先行指数に採用されているS&P500種株価指数も24日には「弱気相場」入り寸前まで急落した。
 そうした中、12月21日に米通信社ブルームバーグが報じて大きな話題になったのが、パウエルFRB議長の解任をトランプ大統領がホワイトハウス内で議論しているという話である。大統領の周辺はそうした動きを止めようとしているようだが、独断専行型の大統領だけに、今後の展開には見えにくい面がある。
 上記を含む関連報道によると、大統領によるFRB議長の解任について明確な法律上の規定や慣行・前例はない。法的にはFRB理事を「正当な理由があれば(for cause)」大統領が解任できると規定されているのみである。パウエルFRB議長はFRB理事でもあるので、理事の地位を「正当な理由」ゆえに失えば、FRB議長として続投するのは現実問題として困難だと考えられる。もっとも、政策方針の違いは「正当な理由」にはならないようであり、1930年代にルーズベルト大統領(当時)が連邦取引委員会(FTC)委員長を政策方針の違いを理由に解任した事例では、最高裁で無効の決定が下されたという。
 もう1つ、トランプ大統領がパウエル理事のFRB議長への指名を撤回して、(現実にはあっさりそうなるとは思えないが)共和党が過半数を占める上院がそれを承認するケースも想定することができる。この場合、パウエル氏はFRB理事の地位は引き続き保持しているので、FOMCで議長に選出されて政策運営をリードし続けることが可能である。別のFRB議長が大統領に指名されて上院がこれを承認する場合には、米国の中央銀行が「2トップ」になってしまい、ガバナンスの問題が生じかねない。

 FRB理事(定員7人)に関する人事権を行使して、大統領がFRBをハト派に染めてしまうという手もある。だが、空席はあと2つしかなく、候補者は指名済みである(ただし、うち1人は年明けに辞退を表明した)。
 結局、FOMCがこれ以上利上げをしないよう金融政策に影響を及ぼそうとするという点で、トランプ大統領にこれからできることは、非常に限られるという結論になる。
 それでも大統領がゴリ押し的に、他人ではなく自分が指名したはずのパウエル議長の解任を画策して中央銀行の独立性を揺らがせる行動をとる場合には、「トランプラリー」の影響もおそらくあって大統領に好意的な面があったウォール街の支持を大きく減らすことにもなりかねない。
 あるいは、1月から民主党支配になった下院の司法委員会や情報特別委員会など複数の委員会を舞台にした、自らにまつわる諸問題へ厳しい追及を控える中で、トランプ大統領は焦りと混乱をさらに強く露呈した形になり、米国民の支持を減らすことにつながるかもしれない。
 自らの「勘」も引き合いに出しながら、12月のFOMC開催期間中になっても、利上げはすべきでないと執ように「口先介入」を続けたトランプ大統領だったが、12月21日の上記のブルームバーグ報道の後には、周囲がFRB議長解任論の「火消し」に動いたほか、今度は大統領とパウエルFRB議長の直接会談という新たなアイデアが浮上してきた。時系列でそのあたりの経緯を示すと、以下のようになる。
◇ムニューシン財務長官は12月22日、「パウエル議長の解任を示唆したことは一切なく、解任する権利があるとも思わない」とトランプ大統領が発言したとツイートした。大統領は同時に、FRBの利上げ方針には「全く同意できない」「利上げや保有資産圧縮は大間違い」だとも述べたという。
◇トランプ大統領は24日、「米国経済が抱える唯一の問題はFRBだ。相場感覚がなく、必要不可欠な貿易戦争のほか、ドル高、国境問題により民主党が政府機関を閉鎖したことすら理解していない」「FRBは、力は強いがタッチ(アプローチやパターの感覚)がないためスコアが上がらないゴルファーのようだ。こういう人間はパットなどできない!」とツイートした。
◇トランプ米大統領は25日、ホワイトハウスで記者団に、「当局の利上げペースは速すぎる。それが私の意見だ。信頼しているのは確かだ。状況は是正されると思う。彼らが速すぎるペースで金利を上げているのは、経済がとても良好だと考えているからだ。しかしもうすぐ理解するだろう。つまり実際、経済があまりにも良好なので彼らは金利を引き上げた。それは安全のひとつの形だ」と発言した。なお、解任が検討されている模様とブルームバーグが報じたムニューシン財務長官について大統領はこの日、「とても才能のある男、とても賢い人物だ」とコメントした。
◇ハセットCEA(大統領経済諮問委員会)委員長は26日、パウエルFRB議長の職が安定しているかとの記者の質問に対し、「もちろん、100%だ」と返答。パウエル議長が解任される恐れはないとした。ムニューシン財務長官解任観測についても否定的にコメントした。
次ページ会談実現で良好な関係を「演出」?
• ◇CNNテレビは26日、トランプ大統領が1月にパウエルFRB議長と会談する可能性があると報じた。年明けに会談する可能性を大統領周辺が模索しており、会談を通じて対立を緩和させる狙いがあるという。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、トランプ氏側近が大統領とFRB議長の数週間以内の会談設定を協議しており、実現すれば経済情勢などについて意見を交わすとみられる。
•  WSJは27日、パウエル議長は大統領と会うことを望んでいるとは言っていないが、そうした会談が提案されればおそらく断らないだろうと述べたという、政府当局者の話を伝えた。ハセットCEA委員長は同日、大統領とFRB議長の会談について直接の情報はないとしながらも、そうした会談が行われれば非常に生産的だろうと述べた。
• ◇トランプ大統領は1月2日、記者団に対し、昨年12月の株価下落は「グリッチ(瞬間的な不調)」にすぎないとした上で、「FRBの助けも少々必要だ。しかし何とかなるだろう。通商を巡る合意が動き始めている」と述べた。
• ◇パウエルFRB議長は1月4日の講演で、「トランプ氏に辞任を求められれば応じるか」と問われると「ノー」と即答。大統領と会談する可能性を否定しなかったが「現時点で予定はない」とも述べた。
• 会談実現で良好な関係を「演出」?
•  以上のように見てくると、近い将来、おそらく1月中にトランプ大統領とパウエルFRB議長の会談がセットされる可能性がある。それには、経済・金融情勢を巡る意見交換をした上で、両者の良好な関係を「演出」し、金融市場に漂う不安感をいくらかでも鎮めるトランプ大統領側の狙いがあると考えられる。大統領は意見を述べるにとどめ、パウエル議長に対するあからさまで強い利上げ停止の要請は、その場では自重するだろう。
•  しかし、大統領サイドの狙いはそれだけではあるまい。
•  筆者を含む金融市場でそう予想する向きが増えている通り、FOMCは3月のFOMCでは四半期ごとの利上げ実施というパターンを崩して、利上げを休止して様子見姿勢に転じるだろう。そうなった後で、トランプ大統領はパウエルFRB議長との直接会談が開催されていたことを引き合いに出し、「でかしたパウエル!」とばかりに、利上げが止まったことをあたかも自らの「功績」であるかのようにツイートするのではないか。
•  また、万が一、大統領の制止を振り切って、それ以上に市場の大方の予想に反して、FRBが利上げを3月も続けた場合でも、先行き景気が大幅に悪くなった時の責任をFRBに押し付けることが十分できるという計算が、トランプ大統領やその周辺にはあるのだろうと、筆者はにらんでいる。実際には、好況時に大型減税や歳出上積みを行うというイレギュラーな財政運営をしてしまった結果、「カンフル剤」が切れた後の米国の経済や株価はどうしても勢いを弱めがちになっているのだが・・・・・・。
• ■図1:米フェデラルファンド(FF)レート誘導目標(レンジの場合は中間点を表示)

• (出所)米FRB
https://cdn-business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00122/00001/p2.jpg?__scale=w:500,h:316&_sh=0b30460100

• LIonKingdom
Scientist
FRBがウオール街の意向で動いていることがあからさまですね.
国家は国民の選挙で運営するものではなかったのでしょうか?
米国民はウオール街の奴隷ですね.
2019/01/15 10:36:531返信いいね!


Trade Junkie
トレーダー
アメリカは、中産階級以上の家計の株保有が日本とは比べ物にならないくらい多い事から、株価と景気、株価と政治の結びつきが強くなっています。
したがって株価にマイナスの性急な利上げに大統領がネガティブなのは当然の事。、
2019/01/15 19:04:44
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00122/00001


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/583.html

[経世済民130] 米連邦政府の閉鎖で政府職員がホームレスに? 意志を曲げないトランプ、グリッドロックは史上最長に 
米連邦政府の閉鎖で政府職員がホームレスに?
意志を曲げないトランプ、グリッドロックは史上最長に
2019.1.15(火) 堀田 佳男
トランプ氏、メキシコとの国境を訪問 壁の必要性訴え
メキシコと国境を接する米テキサス州マッカレンを視察するドナルド・トランプ米大統領(中央、2019年1月10日撮影)。(c)Jim WATSON / AFP〔AFPBB News〕

 年が明けて、米社会ではこれまで経験したことのないような事態が起きている。誇張しているわけではない。

 昨年末に書いた筆者の記事(「経済好調も増えるホームレス、病魔に冒された米社会」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55116)で指摘したことが、現実に起きているのだ。どういうことなのか御説明したい。

 ドナルド・トランプ大統領(以下トランプ)と連邦議会はメキシコ国境に建設予定の壁の予算案で対立したことで、昨年12月に暫定予算が失効。

政府機関の閉鎖が史上最長に
 1月14日現在、政府機関の閉鎖日数は米史上で最長を更新している。

 役所の閉鎖だけでなく国立公園や動物園なども閉まり、減収に見舞われている。それ以上に深刻なのが約80万の連邦職員の給与が支払われていないことだ。

 前回の記事で指摘したのは「1000ドル(約11万円)の出費が発生した時に支払えない米市民が39%もいる」という事実である。

 この数字はバンクレートという消費者金融サービス企業が昨年発表したもので、米国人の預貯金がいかに少ないかを示す数字だ。

 実はこの数字にはカラクリがある。

 本当に国民の約4割が11万円のキャッシュも用意できないのかといえば、そうではない。

 米市民の多くは株や債券などの金融資産や不動産で自己資産を持つため、現金を最小限にする傾向があるのだ。

 金融資産を売却することで急場しのげる人たちも少なくない。

給料の1カ月未払いが起こす問題の数々
 だが同時に、約4300万人が貧困ラインから下の経済状況で生活している現状がある。

 米人口が3億2000万超なので約13%にあたる。こうした人たちは、給与の未払いが1カ月以上続けば苦しい状況に追い込まれる。

 しかも80万人のうち42万人は給与を受け取らないまま働かざるを得ない。

 たとえば連邦捜査局(FBI)や航空機の管制業務を行う連邦運輸保安庁(TSA)の職員などで、彼らは休むわけにはいかない。

 ユタ州で国税庁(IRS)に勤務するクリストル・カークパトリックさんは悲観的な気持ちでいる。

 「給料日が来ても給料が支払われないというのは不安な気持ちでいっぱいになります。給与が入って来ない不安をトランプ政権と連邦議員たちは分かっていない」

 給与を受け取っていない職員たちは、政府機関が再開した後に閉鎖期間中の給与を受け取ることができるが、1カ月間収入がなくなる現実は厳しい。

 すでにキャッシュが底をついて借金をしたり、失業保険の申請を出したり、アルバイトを開始するなどの対応をしている人たちもいる。

2月末まで長引く可能性も
 前出のバンクレートの調査では、約4割の職員は自分の預貯金を引き出すと回答している。

 19%はクレジットカードで支払いを済ますとし、13%は可能な限り出費を控えると答えている。

 12%は家族や友人から借金をし、5%の回答者だけが金融機関から借金をするという。

 さすがに「ホームレスになります」と回答した職員はいなかったようだが、2月末まで閉鎖との見方も出ているので、冗談が現実にならないとも限らない。

 さらにトランプと議会民主党の対立が先鋭化している点も問題だ。

 今回は予算案だが、今後トランプが成立させたい重要法案に民主党が過半数を占める連邦下院が反対することで法案通過がより困難になる。

 今回のように両者が妥協しない状態を米政治は「グリッドロック(停滞)」と呼ぶが、トランプはほとんど気にしない様子である。

 先日、米国営放送「ボイス・オブ・アメリカ」のホワイトハウス支局長スティーブ・ハーマン氏が東京を訪れ、こう述べた。

自信過剰でミスを認めないトランプ
 「トランプは対外的な問題をかなりシンプルな思考で処理しています。それは友達か敵かということです」

 日本の報道機関のワシントン特派員とは違い、朝から晩までホワイトハウスの地下にある支局にいる人物である。

 過去2年間、トランプを間近で見てきたハーマン氏はさらに言った。

 「トランプは自信過剰気味で、自分のミスを認めようとしません。いまでもニューヨークで不動産業をしていた時のメンタリティーで交渉をしています」

 「さらにリスクを取る好戦的なスタイルを好みます」

 壁を建設するか否かの案件は、不動産業界で勝ち上がってきたトランプの得意分野であり、妥協という言葉は見受けられない。

 9日の民主党ナンシー・ペロシ下院議長とチャック・チューマー上院院内総務との会合でも全く意見が合わず、トランプは席を立っている。

 トランプは相変わらず57億ドル(約6150億円)の壁建設費を主張して譲らず、一方の民主党両議員もトランプの意見に反対している。

歩み寄る兆候は全く見られず
 代わりに連邦下院は11日、国税庁(IRS)、環境保護庁(EPA)、財務省、内務省、運輸省、住宅都市開発省を再開させる内容の法案を可決させた。

 しかし共和党が過半数を握る上院は同案を否決する意向だ。

 というのも、民主党案に反対するトランプが署名しない公算が強いからだ。

 最終的にはトランプか議会民主党のどちらかが歩み寄りを見せるか、両者が納得する中間点を探り出すかしかないが、いまのところトランプも議会民主党も譲る気配はない。

 「奥の手」としてはトランプが国家非常事態宣言を発令して壁予算を国防費から回すこともある。

 同宣言は議会の承認を必要としないので可能ではあるが、壁建設を国家非常事態と捉えるか否かは、後になって法廷で争われることになる可能性もあり議論を呼びそうだ。

 いずれにしても、しばらくは閉鎖期間の最長新記録を更新し続けそうで、政府閉鎖は2月に突入することもあり得る。

 いまはまだ小さな綻びだが、給与を手にできない職員たちがデモを蜂起してホワイトハウスと議会周辺で抗議行動をとるかもしれない。

 ただ大局的に米政治を眺めると、これまでもグリッドロックは何度も起きており、それほど悲観的になることはない。

 共和党が政権与党の方が、株価が上昇するとの見方さえある。

 今後1カ月でトランプが意志を曲げることはあるのだろうか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55207
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/584.html

[経世済民130] あなたがAIデバイド「下層」に入る日  すぐそこまで来ている「新デジタル格差社会」日本人が取り戻すべき「人の力を引き出す
あなたがAIデバイド「下層」に入る日 
すぐそこまで来ている「新デジタル格差社会」
2019.1.15(火) 伊東 乾
2018年に地中海で死亡・不明の移民、前年比25%以上減少 UNHCR
スペインのタリファの港に到着した移民ら(2018年7月14日撮影、資料写真)。(c)JORGE GUERRERO / AFP〔AFPBB News〕

 2010年代に入ってAIが盛んに取り沙汰されるようになったのは、ネコの顔の自動認識などディープラーニングが高度な検索能力を発揮したことがきっかけでした。

 でも、どうしてそれが社会にインパクトを与えたのか、必ずしも多くの人が認識しているわけではないようです。

 先端的な科学や技術の成果はまだいくらでもある。でもどうして「ネコ」なのか。自動認識なのか?

 その答えの一つは、莫大な資金を投入してこれらを推進したのが誰かを考えると、よく分かります。

 ネコの認識はグーグルがスポンサーでした。つまり検索エンジン、データの爆発がその背景にあります。

 このメカニズムを適切に理解する階層と、理解できない人たちの間で、深刻な社会格差が生まれる可能性が、ヨーロッパでも日本でも議論されています。

 今回はこの新しい格差「AIデバイド」について、もう少し踏み込んで考えてみます。

データ駆動科学と機械学習
 画像などの自動認識がもてはやされるのは、自動認識しなくては追いつかない程度に私たち人類が(この人類全体という部分が重要なのですが)日々、莫大なデータを蓄え続けていることに原因があります。

 しばらく日本を離れているので、最近の例が分からないのですが、何か刑事事件が発生すると監視カメラの画像から犯人の足取りが分かったりしますよね?

 ちょうど都合よく、その犯人が写っている画像だけが残っているわけではありません。

 全国津々浦々の監視カメラ、あるいは自動車ナンバープレートの番号をチェックするNシステム、公共交通機関の昇降情報など夥しいデータが、今現在、この瞬間も採取され続け、蓄えられ続けている現実の変化を認識するのが第一歩になります。

 こんな情報を人手で追っていくこと、人力で解析するのは不可能です。第3次AIブームの陰にビッグデータ爆発あり、なのです。

 IoTとしてイノベーションが期待されるあらゆる分野が、近未来的に蓄積データの爆発と直面することも、物事を考える大前提となっています。そこで、具体的な「データ」例に即して、以下考えてみます。

 日本でも「移民」にまつわる問題が現実的に議論されるようになりましたので、欧州で英国がEUから離脱する程度には社会問題となっている中東移民の例で考えてみます。

スマホなくして中東移民なし
生死を分けるデジタルデバイド
 シリアなどの中東紛争地域から欧州を目指した移民は、例外なくスマートホンを持っていました。

 なぜそんなことが言えるかというと、脱出ルートの検索から闇ブローカーへの各種支払いまで、スマホの確保した高いモビリティを持った人たちだけが、EUへの国境を超えることができたからです。

 親しい友人であるミュンヘン工科大学のクリストフ・リュトゲ教授は、2015年前後までスマートホンの通信履歴から中東移民の大域的な動きを解析するという大きな仕事を手がけました。

 もちろん、幼児や高齢者など、本人がスマートホンでアクセスできないケースはあり得ますが、脱出グループの中に1人もこの種の通信ややり取りができる人がいなかったら、数千キロにも及ぶ道のりを移動して欧州まで避難してくることなど、できるわけがありません。

 この例を挙げたのは、21世紀、特に2020年代に必ず押し寄せると思われる「AIデバイド」の2重構造を、極めてクリアに見せているからです。

2重構造とは何か?
 シリアなどの紛争地域にあって、空爆や襲撃の恐怖におののきながら避難したいと思う人は莫大な数に上ります。

 でも、その中で実際に欧州などに脱出できた人は限られた人数しかいません。

 難民化の原因は様々で、およそ簡単には論じられませんが、少なくとも脱出するには、一定の情報ネットワークにアクセスできる(人が、親族など身近に最低1人以上いる)ことが必要条件であるのは間違いありません。

 つまり、以前から言われている意味での「デジタルデバイド」の下層に入ってしまうと、戦地から逃げ出すことがそもそも困難であるという、極めて重く深刻な現実があります。

 どちらの方面には地雷が敷設されている、どちらの方面にはISILの検問が設置されている・・・といった、時々刻々の情報戦を戦い抜き、生き抜いて国境までたどり着いたのに、その先でゴムボートが転覆して失われた小さな命の報道もありました。

 情報にアクセスできるかできないかは、文字通り生死を分ける問題で、これは紛争後地域の限界貧困層の直面する状況として、やはり非常に深刻な問題になっています。

 欧州でこれが日本よりはるかに論じられるのは、陸続きで実際に各種の影響が感じられやすいからです。日本も今後、間違いなくその方向に進むことになります。

 戦地から平和な先進国に脱出して延命できた人は、デジタルのデバイドをクリアしたと考えることができるでしょう。

 でもかれらの大半は、命綱として活用してきたスマホを通じて、逆に言えばその挙動を把握、監視される側にも位置しています。

 データの一点として情報を取られ、かつ、自らはそうした情報すなわちビッグデータを活用することができないことになります。

 つまり、情報ネットワークの中に位置しながら、自らは情報を抜かれるだけで、それらを集めたビッグデータを解析したり、その利便を生かすことができない、新しい階層が生まれていることになる。

 これがAIデバイドの現実です。

知らぬ間に押し寄せるAIデバイド
 例えば、「ポイントカードが貯まって割引を受けた!」などと喜ぶ方がいますが、タダより高いものはありません。

 その程度のポイント還元であれば十分お釣りがくる程度には、知らぬまに情報を抜かれている。気づかぬうちに合意のクリックを押してしまっている可能性が日常的にあります。

 ここらあたりが、AIデバイドの分かりやすい入り口かもしれません。

 1995年のインターネット民生公開以降、2000年までの、もっぱらインフラ景気による「IT革命」、並行して進んだゲノム解析のデータベース技術を活用した検索エンジンやSNSによる2000年代並行デジタル社会の構成が進みました。

 途上国ではこの間、携帯電話が普及して2010年12月のチュニジア暴動に始まる「アラブの春」が訪れます。

 当初「ジャスミン革命」など前向きの動きとは真反対にISILの展開、地域紛争の泥沼化などが進みます。

 この間、ガラ携を持ち続けた人と、スマートホンに乗り換えた人との間で、欧州に脱出できた人とできなかった人とのデバイドが発生しました。

 ほとんど「民族の大移動」と言っても大げさではない数百万、数千万規模での人口の移動があり、その最終到着点となっていたドイツと英国の大都市では、地域住民のアレルギーないしは排除要請の動きを誘発しました。

 ついには2016年のブレグジット国民投票という破滅的な状況を引き起こし、2019年が明けてからの英国〜欧州は連日「合意なし離脱」リスクを巡る大揺れが報道されています。

 ブレグジットの事態を招いた「デバイド」を繰り返すべきではない、というのがドイツ保守層の基本的な姿勢と言っていいと思います。

 急速に台頭するポピュリストのプロパガンダは、むしろデバイドを助長しかねない内容が多く、大学人など良識層は一様に苦慮している様子がうかがえます。

 日本やドイツなど先進国では、「限界貧困」の状況は紛争後地域などとは比較にならないほど恵まれています。しかし、セイフティネットなどの拡充もしばしば指摘されるところです。

 先進国でより重要なのは「相対貧困」といかに向き合っていくかで、これに対して様々な施策が検討されています。

 この相対貧困、日本社会で流通する用語を用いるなら「格差」の発生や深刻化をいかにして回避するかがポイントと考えられていますが、必ずしも明るい見通しばかりではありません。

「パレートの法則」による暗い予言
 未来の見通し難い状況の中で、古典的にしばしば使われるのが「パレートの法則」です。

 これは簡単に言えば、あるグループのトップ2割が仕事して全体が回るという経験則で、残りの8割の中でもまたトップ2割がサブグループを回し・・・といったべき乗則を前提に、様々な分布を考えていこうというものです。

 AI普及が進行する中で、それを駆使する「ハードAIユーザ」は、たかだか2割程度にとどまるだろう、残り8割はそれにおぶさる状況になると考えておくのが無難、という見通しが立ちます。

 すると今度は、その8割の中の2割が「ソフトAIユーザ」として、そこそこ回すことになるだろう・・・という見通しが次に立ちます。16%程度ということになるでしょう。

 そうするとさらに、その20+16=36%を除いた64%の2割つまり12.8%程度が「AI境界層」を形成する可能性があります。

 ここまで足すと36+12.8=48.8%となります。全体の約半分、メディアンがここまでで成立し、残り50%は「AI社会の下層」を形成することになる・・・。

 ここまでの議論は、現象論的な経験則だけで導かれたもので、揺らぎようがありません。問題は、その「下層」をどの程度上澄みまで引き上げられるかという、ある意味セイフティネット的な観点からのケアになります。

 G20大阪サミットを念頭に、日本が世界に打ちだそうとしている「人間中心のAI7原則」は、現時点では最も進んだ、優れたグローバル原則になっていると思います。

 欧州では英オックスフォード大学などが主唱して動きが出始めたところですが、日本のように産官学の協力体制が整っているわけではなく、米国現政権はこうした動きと正反対を向いています。

 AI7原則の第五、第六条を引用してみます。

(5)公正競争確保の原則 :新たなビジネス、サービスを創出し、持続的な経済成長の維持と社会課題の解決策が提示されるよう、公正な競争環境が維持されなければならない。

(6)公平性、説明責任及び透明性の原則:AIの利用によって、人々が、その人の持つ背景によって不当な差別を受けたり、人間の尊厳に照らして不当な扱いを受けたりすることがないように、公平性及び透明性のある意思決定とその結果に対する説明責任(アカウンタビリティ)が適切に確保されると共に、技術に対する信頼性(Trust)が担保される必要がある。

 今まで上に具体例を示してきたことが、端的に原則としてまとめられているのが分かると思います。

 トップ20% 第2層16% 境界層12.8%・・・。

 あなたが「AIデバイド下層」に潜り込む可能性は、ランダムを前提にすれば50%以上の確からしさで訪れることになります。

 どうすればいいのか?

 その答えは「AI7原則第七条」とともに、次回に考えたいと思います。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55200


 

日本人が取り戻すべき「人の力を引き出す“力”」
必要なのは「能吏」ではなく「皆が活躍できるシステム」だ
2019.1.15篠原 信

優秀なひとりだけが活躍することが最適とは限らない。
(篠原 信:農業研究者)

 40万人以上が受験する全国模試で10本の指に入るような成績を誇った旧帝大生が、ある避難所でボランティアを始めた。毎日大量に届く救援物資を仕分けし、種類と数量を完全に把握し、被災者に配る量を即座に計算し、不足が予想される物資を他のボランティアに告げ、補給を指示した。その正確無比な活躍を見て、いつしか「歩くコンピューター」とあだ名されるようになった。しかし激務がたたって、10日ほどでぶっ倒れてしまった。

 次に物資担当を引き受けたのは、同じ年齢だけれども、若くして建設業を継いだという、高卒の若者。「とても前任者のマネはできません。僕なりのやり方に変えさせてもらっていいですか?」。もちろん、「歩くコンピューター」のマネができる人間なんかいないので、誰も異を唱えなかった。

 その若者は物資を種類ごとの「島」に分けた。インスタントラーメンの島、ミネラルウォーターの島、使い捨てカイロの島。その島が低ければ「あ、調達しなきゃ」というのが一目瞭然。物資の仕分けも簡単で、それぞれの「島」に積めばよいだけ。物資の種類も量も、ザックリとだが誰の目にも分かりやすくなった。

「歩くコンピューター」が健康を回復し、再び救援物資の管理をしようとしたら、その必要もなくなっていた。皆が誰の指示も仰ぐことなく、自主的に仕分けし、不足する物資を調達してくるようになっていたからだ。

ひとりが輝くか、全体を活性化させるか
 思えば、このときの経験が「『指示待ち人間』はなぜ生まれてしまうのか?」を考えるきっかけだったのかもしれない。

「歩くコンピューター」は、間違いなく優秀だった。膨大な救援物資の種類と数量を完全に把握するなんていう並外れた能力は、他の人にマネのできるものではなかった。特に震災初期には常駐ボランティアが3名しかおらず、一人ひとりが大量の仕事を抱え込まざるを得なかったので、彼の活躍は大変ありがたかった。被災者の誰もが、問答無用に信頼するボランティアのひとりだったのも頷ける。

NEXT 日本人化する中国人と、中国人化する日本人

 ただ、彼ひとりが辣腕を振るう中で、周囲が皆「指示待ち人間」になったのも確かだった。仕分け作業するにも、彼に種類と数量を報告しなければならなかった。物資の所在も、彼しか知らなかった。すべての情報は彼が把握し、彼からの指示を仰ぐしかなかった。だから、みんな「指示待ち人間」にならざるを得なかった。

 後任の若者は、やり方をガラリと変えた。少し場所をとるが、救援物資を種類ごとに「島」に分けたことで、誰でも一目で物資の種類と量を把握することができた。

 だから物資調達役のボランティアは、低い島の物資を調達してくればよかった。物資を仕分けする担当者も、「島」を眺めて、似ている物資の島に置けばよいだけ。自立的、自主的にボランティアたちが活動できるようになった。指示を待つ必要もなく、皆、自分の頭で考えて動くようになったのだ

 この経験は、私にとって衝撃だった。

 学力という意味では「歩くコンピューター」の方がはるかに上だったろう。記憶力、論理能力、計算能力、そうした「お勉強」の力は、誰よりも卓抜していた。しかし、特別な能力がなくても皆が自立的に判断することができ、自主的に活動し、集団がトータルとして活性化したのは、建設業の若者の提案したシステムの方だった。

 個人の能力が優れているよりも、システムとして優れていることの方が大事なのかも。ひとりの能力が輝く一方で他の人たちが指示待ちになってしまう仕組みより、誰もが自主的自立的に能力を発揮する仕組みの方が優れているのかも。そう痛感させられた経験だった。

日本人化する中国人と、中国人化する日本人
 2001年、私は中国に渡った。中国が現在のように発達し巨大な経済力を示すようになるとは、大半の日本人はまだ信じていなかった。中国の人も、当時、日本人に敬意を抱いていた。その旅先で、興味深いことを聞いた。

「中国人は会社に勤めると、自分の功績を大きく見せるため、『自分がいないと仕事が回らなくなる』ようにしてしまう。そのせいで、その人がいなくなると、どうしたらよいのかさっぱり分からず、大混乱する。その点、日本人は、自分が異動しても問題なく仕事が回るように引き継ぐ。自分にしかできない仕事にするのではなく、誰が取り組んでもそれなりの結果が出る仕組みに変えていく。これを中国人も見習うべきだ」

NEXT 日本人が捨ててしまった「力」

 私はへええ、と驚いた。そして、記憶に刻み込まれた。というのも、それからしばらくして小泉政権がスタートし、「トップダウン」という言葉が流行すると、優秀な人間が「既得権益」を守ろうとする暗愚な凡人たちを怒鳴り散らし、「俺がいなけりゃ回らない」というリーダーシップ(?)を振るう人が日本に増えていったからだ。もしかしたら、今世紀に入って以降は、中国人が日本人化(自分でなくてもシステムが回るようにする)し、日本人が中国人化(自分がいないとシステムが回らないようにする)していった歴史だったのかもしれない。

 その証拠に、「『指示待ち人間』はなぜ生まれるのか?」という文章をTogetterにアップする直前、指示待ち人間の多さを嘆く上司やリーダーが世にあふれていたからだ。「指示されるまでボーっと突っ立ってるんだよ? 信じられる?」「ちょっとは自分の頭で考えて動いてほしいよ」「なんでこんなことくらい、分からないのかねえ」「所詮、自分の頭で考えられる人間なんて、ほんの一握りなんだよ」と、部下が指示待ち人間ばかりなのを嘆くリーダーや上司たちの飲み会が花盛りだった。

日本人が捨ててしまった「力」
 阪神大震災が起きて、もうじき24年が経つ。週末ボランティアでしかしなかった私だが、それでも私は激しく衝撃を受け、間違いなく人生の転機になった。いろんなことを学ばせてもらった。

 リーダーとは? 「優秀」とは何か? 人は本当に利己的なのか? 誰かを喜ばせたいって、本能的なものじゃないか? 誰か笑顔になるなら、寝食を忘れて働いてしまうことがあるんじゃないか?

 当時の私は、バブル経済の価値観に犯され、所詮人間なんて利己的で、貪欲で、金以外の理由で働こうとはせず、できるだけサボろうとし、手を抜こうとする、怠け者で働きたくない生き物なのだ、と考えていた。誰かを出し抜こうとズルいことを考え、自分の利益だけを考える生き物なのだ、という思いに毒されかけていた。それがガラリと変わったのが、阪神大震災だった。

 あるボランティアがこんなことを言った。「俺、今この瞬間に死ねたら無茶苦茶カッコイイ」。真意はこうだ。被災地にたどり着くまでの車内で、「俺なんかが被災地に行っても役に立ちやしない、邪魔になるだけ、俺は善人アピールをしたくて行くだけなんじゃないか、なんて俺は薄汚い人間なんだ」と、自問自答しながら来たのだという。

 到着して惨状を目にした途端。すべてが吹き飛び、「何か自分にできることはないか?!」と必死に駆けずり回り、1週間ほどたってようやく、我を忘れて誰かのために必死になって活動していた自分に気がついたのだという。誰かによく思われたい、よく見られたいという感情も吹き飛んで、誰かのために必死になっていた自分を発見して、自分のことをようやく許し、認めることができたのだという。

NEXT 「人の力」を生かす「力」

「自分を許せる今このときに、俺は死にたい。日常に戻ったら、俺はまた薄汚い人間に戻ってしまう。恐ろしい。だから、今死ぬのが一番カッコイイと思ったんだ」。私も同感だった。

 自分が他の人より優秀であることって、そんなに大事なことだろうか。人と比較して勝ったからといって、それがどうしたというのだろうか。自分のしたことで誰かが助かり、誰かが喜ぶ。そう思える働き方って、幸せじゃなかろうか。

 皆を自主的・自立的に動けるようにし、それぞれが自分の頭で考えて適切に活動できるようにした、建設業の若者は、学校の成績上では「歩くコンピューター」に及ばないかもしれないが、皆が活躍できるシステムを提案したという意味では、ずっと知恵がある。

 私は感心して、その若者に賞賛の言葉を向けたら「いや、仕事でやっていることをそのままやっただけです。僕にはとても、あの人のマネはできませんから」と腰が低かった。私はさらに考え込んだ。

 ちなみに、実はその若者もタダモノではなかった。いくつかの暴走族の頭をさらに束ねるドンで、皆がバイクをうならせる中、自分はチャリンコ(自転車)で集団を先導するというツワモノ。彼がボランティアに連れてきた若者2人は、真っ黄色のトウモロコシ頭だった。高速モチつきを披露して、なかなかの活躍だった。

 人の力を引き出す。それこそが「力」なのかもしれない。それこそが「知恵」なのかもしれない。それはあいにく、学校で全くといってよいほど教えてもらっていないものなのかもしれない。そしてそれは、中国人の人たちがかつてうらやんだ能力であり、日本人が自らかなぐり捨ててしまった「力」なのかもしれない。

 世界に冠たるエコカーを作り、ウォークマンを開発し、デジカメやパソコンなど世界最先端を走っていたとき、中国の人たちがうらやんだ力を日本人は確かに持っていた。そしてその力をバカにし、「優秀」な人間による「リーダーシップ」とやらを尊び始めた頃から、日本は新しいものを作る力を失い、迷走を続けている。私は、時期のこの一致が、決して偶然ではないように思う。

 日本人はもう一度、この力を取り戻した方がよいのではないだろうか。「人の力」を生かす「力」を。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55142?page=4
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/585.html

[経世済民130] 官営ファンド意味なし!世界ではもう結論が出ている 産業革新投資機構の失敗は起こるべくして起こった 
官営ファンド意味なし!世界ではもう結論が出ている
産業革新投資機構の失敗は起こるべくして起こった
2019.1.14(月) 加谷 珪一

(加谷 珪一:経済評論家)

 官民ファンドの「産業革新投資機構」が空中分解した。所管する経産省と民間出身の経営陣との間に埋めがたい溝ができたことが主な原因である。市場原理に照らして官営ファンドに意味があるのかという話は、以前から議論されてきたテーマであり、世界的にはほぼ結論が出た状況にある。今回の失敗は起こるべくして起こったとみてよいだろう。

報酬をめぐる対立は問題の本質ではない
 産業革新投資機構は、前身の産業革新機構を改組して出来上がった組織である。経済産業省は同機構が高い成果を上げられるよう、高額報酬で民間から優秀な経営陣を招聘するという方針を打ち出し、こうした呼びかけに対して集まったのが、今回、辞表を提出した経営陣である。

 ところが経産省は、当初、提案していた高額の役員報酬を撤回。対応に不審感を抱いた経営陣との間に溝ができてしまい、民間出身の全役員が辞表を提出するという事態に発展した。

 経営陣の怒りは激しく、辞任会見に臨んだ田中正明社長は「日本国政府の高官が書面にて約束した契約を、後日一方的に破棄し、さらには、取締役会の議決を恣意的に無視するという行為は、日本が法治国家でないことを示しています」と激しい口調で政府を批判した。

 経営者がいない状況で業務の遂行は不可能であり、経産省はこうした事態を受けて、2019年度に予定していた1600億円の関連予算を取り下げる考えを明らかにした。同機構は発足とほぼ同時に空中分解してしまった。

 表面的に見れば報酬でモメたということになるが、田中氏は元三菱UFJフィナンシャル・グループ副社長で金融庁の参与も務めた人物であり、取締役会議長にはコマツ相談役の坂根正弘氏が就任している。どちらも財界の大物であり、役員報酬の金額そのものは大した問題ではないだろう。

 経産省の対応に激怒したということであり、この問題はガバナンスの本質的な部分と密接に関係している。

 発足と同時に空中分解するとは誰も考えてなかったかもしれないが、経産省と経営陣に大きな溝ができることは当初から、ある程度、予想されていた。というのも、産業革新投資機構の経営陣の選定プロセスそのものが、経営に対する政府介入の排除を目的としたものだったからである。

 なぜそのような状況になったのか理解するためには、同機構が出来上がった経緯について知る必要がある。

ニワトリが先かタマゴが先か
 同機構の前身組織である産業革新機構が設立されたのは2009年のことである。官民ファンドという呼び名もその時に政府が用いたものだが、「官民」と銘打っているものの、実質的には政府が出資する国営ファンドということになる。

 ファンド設立の目的は「先端技術を使った新産業の創出」とされており、ベンチャーキャピタル的な要素が多分にあった。つまりグーグルやアップルのような企業を発掘し、そこに思い切って投資を実行することで、日本の新しい産業基盤を確立しようという野心的なプロジェクトである。

 筆者自身、かつてベンチャーキャピタル・ファンドの運用に従事したことがあるので、実感としてよく分かるのだが、こうしたファンドについては常にニワトリとタマゴの議論となる。

 日本に有望なベンチャー企業が少ないというのは昔から指摘されてきたことだが、その理由としてよく指摘されるのが、リスクを取って投資するベンチャーキャピタルが少ないという問題である。一方、そうしたファンドを運用する側からすると、投資したくても、それにふさわしい会社がなく、投資そのものが実行できないという話になる。

 米国のように新産業の創出がうまくいく国の場合、ニワトリとタマゴ(つまりファンドと起業家)のどちらも揃っているのだが、案の定、産業革新機構も設立早々、この問題にブチ当たった。政府が巨額のカネを用意したにもかかわらず、優良な投資先が見つからなかったのである。

 こうした状況に陥った場合、ファンド運用者が誠意を持って対応するならば、投資を見合わせるという判断にならざるを得ない。見込みのない企業に投資することはできないからである。

 民間のファンドであれば、有望な投資先を見つけられない場合、投資家からの評価は下がるので、期限が来た段階でファンドは解散することになるだろう。だが、税金という無尽蔵の原資を持つ役所にはそうしたメカニズムは働かない。一旦付けた予算を撤回することは、省益の喪失を意味するので、よほどのことがない限り、撤退という決断は下されない。

 結果として産業革新機構が行ったのは、ジャパンディスプレイやルネサスエレクトロニクスなど、経営が傾いた旧来型産業に対する湯水のような資金提供であった。

市場に関する話は市場に任せる以外に方法はない
 新組織の産業革新投資機構の設立に際して、田中社長は「(前身の産業革新機構では)1件1件の投資にも経済産業大臣の意見が必要という仕組みが投資をやりづらくしてきた」と述べており、ジャパンディスプレイやルネサスエレクトロニクスの反省を踏まえ、政府介入を排除する仕組みの構築が念頭にあった。それにもかかわらず、いきなり報酬という重要案件で政府のスタンスが二転三転した状況を考えれば、経営陣が不審感を抱いたとしても不思議はない。

 では、同機構の経営陣が主張する通り、政府が直接、経営に介入しない形であれば、機構の運用はうまくいくのだろうか。筆者はそうは思わないし、市場メカニズムをよく知る人間であれば同じ結論になる可能性が高い。

 投資案件が経営陣に一任されるということは、仮に投資に失敗して、ファンドに大きな損失が発生したとしても、出資者である政府はこれを受けれることを意味している。だが、ファンドに投じる資金は国民から徴収した税金であり「投資で失敗しました」といって許される類いのものではない。

 税金という公金を投入している以上、政府がファンドの運用に関与しようと試みるのは当然だが、ここで生じてくるのが、果たして、政府にファンドを運用したり評価する能力があるのかという問題である。

 もし、公務員が、市場で鍛えられたプロのファンドマネージャーよりも投資に対して高い能力を発揮できるというなら、そもそも民間が投資をする意味がない。実際、そうした考え方に基づいて、経済を運営してきたのが、旧ソ連に代表される共産圏や太平洋戦争中の日本である。

 試験で選抜された学歴エリートが最適な資源配分を計画的に考え、政府の権限に基づいて統制経済を運営した結果がどうなったのかについては、今さら説明するまでもないだろう。こうした多くの試行錯誤を経て、市場メカニズムに関する話は市場に任せるしかない、という深遠な結論が得られている。

政府だけでなく世論もそれを求めていた
 つまり、政府が口を出すファンドである以上、そもそも同機構はうまくいかない可能性が高いのだ。もし同機構を適切に運用しようと思うなら、原資が税金であってもリスクマネーの原則を適用し、巨額損失が生じても、国民はそれを甘んじて受け入れるしかない。

 投資というのはそういうものであり、その覚悟を持った人にしか参加資格はないので、その覚悟が国民に存在しないなら(言い換えれば政府が国民に対して事情をしっかり説明し、国民を納得させる自信がないのなら)、官営ファンドは設立すべきではない。

 官が民に口出しすべきではないという話は、何十年も前から繰り返し議論されてきたものだが、日本の状況はいつまで経っても変わらない。これは、民の市場にむやみに介入しようとする政府の側だけでなく、国民の側にも問題があると考えた方よいだろう。

 産業革新機構が設立された当初、世の中には「官民をあげて日本の技術を世界へ!」など、目がくらむような官営ファンドに対する賛美の声が溢れかえっていた。当時も、官営ファンドの運用について疑問視する声は一部から上がっていたが、情緒的、扇動的な世論に押されて顧みられることはなかった。

 一国の経済というのは、国民一人ひとりの経済活動の集大成として形成されるものであり、景気を良くするのも悪くするのも、最終的には国民自身の行動にかかっている。官民が総力をあげて取り組めばよい成果が得られるというのは単なる精神論であり、自己に対する甘えでしかない。

 本当に強い経済を作るためには、適切な市場環境を維持し、各経済主体が競争を通じて能力を高めていくしか方法はない。それが実現できれば、ホンモノの起業家も出てくるだろうし、そこに投資をするリスクマネーにも不自由しないはずだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55189
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/586.html

[国際25] ブレグジットは英国を確実に分断に導く いよいよ議会の採決、デマの犠牲になった民主主義の行方 
ブレグジットは英国を確実に分断に導く
いよいよ議会の採決、デマの犠牲になった民主主義の行方
2019.1.15(火) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2019年1月11日付)

英、EU離脱協定案を15日に採決へ 否決なら離脱延期要求との見方も
英ロンドンの国会議事堂前でEUの旗を掲げて離脱に反対を表明する活動家(2018年1月2日撮影)。(c)ADRIAN DENNIS / AFP〔AFPBB News〕

 英国の欧州連合(EU)加盟について再度国民投票を行ってはどうかというアイデアに対して最もよく耳にする反論は、最も理にかなっていない反論でもある。

 曰く、この問題を蒸し返すことは「不和」をもたらす。古傷は決してふさがらない。EUとのディール(合意)があろうとなかろうと、英仏海峡にバリケードを造る時期が早ければ早いほど、国家の一体感もそれだけ早く修復できる――。

 この主張は、2016年の国民投票でEU残留に1票を投じた48%の英国人が今ではイングランドのナショナリストの主張を受け入れているという、実に奇怪な前提を頼りにしている。

 英国の盛衰が欧州に縛りつけられて切り離せなくなっていると考えた人々が、これまでよりも貧しく、安全保障上の不安も大きくなってしまう閉じられた英国になるという見通しに対して、仕方がないとあきらめる覚悟でいるというのだ。

 現実の世界では、2016年の決断を再考することがたとえ不和をもたらすとしても、それはブレグジットの是非を問う国民投票自体が不和をもたらすものだったということでしかない。

 住民投票や国民投票は民主主義において行われることではなく、粗野な多数決主義で行われることだ。

 自由な民主主義の制度と規範は、少数派の権利を守るためにある。国民投票では、敗者にそうした敬意が払われない。

 英国という連合王国を構成する4カ国のうち、イングランドとウェールズでは過半数の人がEU離脱を支持した。

 スコットランドと北アイルランドでは、残留を求める人の方が多かった。

 また、これら4つの国のすべてで言えるのは、どのような人口学的な分け方においても意見の対立が見られたことだ。

 イングランドの大都市部――とりわけロンドン――では、親欧州派が大多数を占めた。地方の市町村ではその逆で、大都市は票数で負けることになった。

 また、若年層は英国全土でEU残留を圧倒的多数で支持したが、将来というものがほとんど過去のものになった人々によって、それとは異なるコースが用意されてしまった。

 大卒の裕福な人々が完全に残留を支持する一方、そのような優位性を持たない人々は離脱派に加わった。

 この国民投票から2年半を経て、離脱派と残留派との溝はむしろ深くなったように見える。従来型の左派と右派の分断は、ブレグジットの断絶によって吹き飛んだ。

 世論調査によると、国民投票を再度実施すればEU残留が僅差で選択されそうな変化が生じているという。

 離脱派はすかさず、国民投票を再度行えば英国は危険なほど分断されると警告しながら、興味深いことにその警告の次には、もう一度やれば離脱派が地滑り的な勝利を収めるだろうとの主張が飛び出す。

 私情を交えずに判断する人なら恐らく、あまりにわずかな差なのでどちらに転ぶか分からないと言うだろう。

 テリーザ・メイ首相のEU離脱協定案は1月第3週に議会で採決にかけられるが、その結果がどうなろうと、離脱のコストと影響は今後何年にもわたって感じられ、争われることになると言って間違いないだろう。

 ブレグジットは、一つの出来事ではなく継続的なプロセスだ。密に織られた糸を解きほぐす作業は、容易ではない。

 論争が10年にわたって燃えさかる可能性もある。その間、欧州における自分の将来を否定した年長の世代を、若い世代が称賛することはないだろう。

 分断は拡大する可能性の方が高い。その際には恐らく、連合王国という国の構成が犠牲になるだろう。

 スコットランドの人々は2014年の住民投票で分離に反対した際、閉じられた未来ではなく開かれた未来の方を選択した。英国を構成する他の3カ国との独特なつながりは、EUにおける英国の存在とともにあった。

 ブレグジットはこの計算を根底からひっくり返す。

 一部のEU離脱派は「グローバル・ブリテン」についてナンセンスな主張をまくし立てているが、欧州から出ていく道の行く先は「リトル・イングランド」にほかならない。

 国境の「支配権を取り戻す」とは、外部の人々にはドアを閉ざすということだ。それ以外にどんな意味があるのだろうか。

 単一市場や関税同盟からの離脱は、保護貿易主義の実践だ。英国と近隣諸国との交流は――経済的、政治的な交流はもとより、人的な交流も――制限されることになるだろう。

 根本的なところでは、ブレグジットとはイングランドのナショナリズムの発露だ。

 「ブリティッシュネス(英国人らしさ)」という、連合王国や大英帝国を抱え込めるように巧妙に間口を広げてあるアイデンティティーの拒絶である。

 再度機会が与えられれば、スコットランドの人々は確実に、イングランドよりも欧州を選ぶだろう。

 連合王国における北アイルランドの立場については、もはや疑いの余地がない。

 今のところ、メイ首相が議会で過半数を得られるか否かは、北アイルランドの地域政党である民主統一党(DUP)の票にかかっている。

 しかし、同党がアイルランドとの国境について厳しい姿勢を取り、ブレグジットの交渉で首相に譲歩を迫ってきたことは、北アイルランドにおける多様な見解と英国との連合維持を断固求める主張との間に存在する溝も際立たせている。

 人口動態は、アイルランドの統一を求める側に有利になっている。ブレグジットも同じ方向に向かって作用する。

 メイ首相が提出している、重大な欠陥を含んだブレグジットの青写真は議会投票で大差をつけられて否決されると予想されているが、もしその通りになった場合に議会が何を持ち出してくるかを論じるのは時期尚早だ。

 集団性ノイローゼとしか描写できない状況に苦しむ国においては、いかなる可能性も排除できない。

 EU離脱派の強硬派は、議会主権の守護者を自称している。しかし彼らは、その主権を行使する機会を議員らに与えたジョン・バーコウ下院議長をののしっている。

 彼らはまた、その議員たちが2016年の国民投票の結果に異議を唱えるという暴挙に出るのであれば、「人々(親欧州派の議員を怖じ気づかせようとしている、怒れるナショナリストらのことを指している)」が市街を占拠するだろうなどと小声で語っている。

 下院が前回、暴徒の脅しに屈したのは果たしていつのことだったろうか。

 有権者が「正しい」決断を下した以上、心変わりはもう許されないと断じるデマに議会制民主主義が襲われてやられてしまうと、こういう事態になる。

 国民投票をもう一度行えば、ブレグジットによって生じた亀裂がすべてふさがるなどという考えは甘いだろう。

 しかし、英国を連合王国の分裂から救うことにはなるかもしれない。

By Philip Stephens

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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55204
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/225.html

[経世済民130] 米労働市場がひっ迫、各地で求人数が失業者数超える 非常事態宣言で壁建設できるか 早わかりQ&A
2019年1月15日 ロイター
米労働市場がひっ迫、各地で求人数が失業者数超える

米カリフォルニア州ソラナビーチの店舗に掲げられた求人のサイン

1月8日、米労働市場は求人件数が失業者数を上回る地域が増えている。米カリフォルニア州ソラナビーチの店舗に掲げられた求人のサイン。2017年7月撮影(2019年 ロイター/Mike Blake)
[ワシントン/サンフランシスコ 8日 ロイター] - 米労働市場は求人件数が失業者数を上回る地域が増えている。労働市場のひっ迫で企業は採用方法の見直しを迫られており、米連邦準備理事会(FRB)には世界的に景気が減速する中で利上げ圧力がかかり続ける可能性がある。

 最初に求人件数が失業者数を上回ったのは2017年初めの中西部州だが、ここ数ヵ月はこの流れが他の地域にも波及し、特に南部で顕著となっている。

 求人件数が失業者数を上回る背景には、求人広告がオンラインで簡単に打てるようになったことに加えて、熱心に活動していない求職者を失業者とみなさない集計上の扱いによって労働市場のひっ迫ぶりが誇張されている面もありそうだ。

 ただ、全米各地で求人件数が増加する一方で失業者数は減っており、米労働市場のタイト化は信ぴょう性が増している。

 ムーディーズ・アナリティクスのエコノミスト、ライアン・スウィート氏は「この傾向があと数年続けば、間違いなく労働力不足になる」と述べた。

 労働力の不足は既に一部地域で現実のものとなっている。

 ジョージア州ダルトンの床材メーカー、ショー・インダストリーズの採用責任者、ブライアン・クックセイ氏によると、有能な人材の確保は急速に難しくなっており、同社の技術に関心を持つ学生を早めに確保するため、地元の高校や中学で人材発掘のためのプログラムを展開しているという。

 昨年10月の求人件数は米国全体で710万件に上り、失業者数を約100万人上回った。求人件数と失業者数の差が最も大きいのは中西部の46万3000人。南部は31万7000人、西部は7万7000人、北東部は5万1000人だった。ただ、4地域全体で求人件数が失業者数を上回ったのは昨年7月になってからだ。

 地域ごとの職種別求人件数に関するデータはないが、南部地域での最近の求人件数の急増は、小売り業や建設業など業績の好調なセクターが担っている。

 昨年は米国の製造業製品への需要が強く、これが中西部の雇用創出に寄与したとみられる。ただ今年は世界的な景気鈍化や米中通商紛争が中西部の産業に打撃となりそうだ。
https://diamond.jp/articles/-/190944


 

2019年1月15日 The Wall Street Journal
非常事態宣言で壁建設できるか 早わかりQ&A

 ドナルド・トランプ米大統領は、「国境の壁」建設費の拠出を民主党が拒否すれば非常事態を宣言する決意を固めている。その法的根拠についてQ&A方式でまとめた。

非常事態宣言とは何か

 米連邦法に非常事態の定義はない。米国で過去に出された非常事態宣言の大半は臨時措置だった。リンカーン大統領は1861年3月の就任直後、南軍との衝突の危機に直面する中で複数の緊急法令を発布し、敵軍の港湾封鎖、軍隊の規模拡大、人身保護令状の停止に踏み切った。リンカーン大統領の記述によれば、恐らく「厳密に合法」とは言えないものの、議会が閉会中のため独断で行動せざるをえなかった。その後に招集された議会はリンカーン大統領の措置を承認した。

 議会調査部(CRS)の報告書によると、初めて正式な非常事態を宣言したのはウィルソン大統領で、1917年のことだった。第一次世界大戦中の外国人に対する米国籍船の所有権移転を制限した。その次に非常事態宣言を出したのはフランクリン・ルーズベルト大統領だ。大恐慌のさなかの1933年3月に大統領に就任し、金融取引を一時停止するため「バンク・ホリデー(銀行休業)」を発令した。

 第二次世界大戦に突入後の1939年9月、ルーズベルト大統領は2つの非常事態宣言を出し、米国の国益を守る大統領の権限を確立。だが真珠湾攻撃を受け、これらの宣言は議会の宣戦布告承認で取って代わられた。


トランプ大統領はメキシコ国境の壁建設で国家非常事態宣言の発令を示唆している。Jason Bellini 記者が解説(英語音声、英語字幕あり)

議会による非常事態宣言の制限措置とは

 1970年代までには、発令されたまま解除されてない非常事態宣言を巡り、議員らは懸念を募らせるようになっていた。ある委員会は「宣言により連邦法の470条項が行使可能になる」ため、通常は議会に属する権限を大統領が行使できるようになると指摘。「こうした広範な権限は、集約されれば、憲法上の通常手続きによらず米国を統治できる十分な権限をもたらす」と警鐘を鳴らした。

 これを受け、議会は大統領令を抑制する超党派的措置の「国家非常事態法」を制定。非常事態宣言を議会が解除できる条項などを盛り込んだほか、大統領が宣言を延長しない限り、180日後に自動的に失効するとした。

大統領の具体的な非常事態権限とは

 国家非常事態法は具体的な権限を定めていない。代わりに、宣言された非常事態において、大統領に一段の自由裁量を与える特定の法令を何百と列挙している。例えば、国際緊急経済権限法は、外国からの脅威に対し、金融取引を停止したり資産を凍結したりする権限を大統領に付与している。

 非常事態とされるのはたいてい限られた状況で、2001年の非常事態宣言では、シエラレオネで内戦の資金源としてダイヤモンド原石が使われていたことから、その輸入を禁止した。04年に内戦が終結すると非常事態宣言も解除された。

 例外となったのは01年9月11日の米同時多発テロだ。ジョージ・W・ブッシュ大統領による非常事態宣言は繰り返し延長され、直近ではトランプ大統領が延長した。政策によっては反対の声が上がることもあるが、9・11は緊急措置を要する国家非常事態との判断に対し、異論が出ることはまずなかった。

非常事態権限で壁を建設できるのか

 連邦法の一つで以下のように定められている。宣戦布告もしくは軍の対応を要する非常事態宣言が発令された場合、国防長官は「軍隊の派遣を支えるために必要」な「軍の建設プロジェクトに着手」することができる。その際、議会の事前承認なしに国防総省の建設予算を用いることが可能だ。

 議会スタッフによると、現時点で国防予算のうち133億ドルを振り向けられる可能性がある。トランプ氏が壁の建設費として要請している50億ドルを十分賄える。ただ、議会が既に承認した米軍住宅などのプロジェクト予算から拠出しなければならない。

 それでも、トランプ氏が予算割り当てを変更できる権限は長くは続かないかもしれない。民主党の下院スタッフの1人は、「そうした権限乱用を防ぐため、法廷闘争から将来の歳出法案変更に至るまで、使える全て(の選択肢)を検討」し、いかなる壁の建設も阻止すると述べている。

何が「非常事態」か決めるのは誰か

 議会民主党は国境問題が非常事態に相当するとの見方に反論を唱えている。宣言を覆すために法廷に持ち込む可能性が高い。下院軍事委員会のアダム・スミス委員長(民主、ワシントン州)は6日、米テレビ局ABCに対し、過去に緊急権限が発動されたのは「アフガニスタンやイラクで施設を建設することが主目的だった」と指摘。「今回は『どこが非常事態なのか』と大統領を提訴する余地がいくらでもあると考えている」と語った。

 テキサス大学オースティン校のスティーブ・ブラデック法学教授によると、「非常事態」を巡る憲法上の定義が存在しないことから、裁判所が大統領の判断に疑義を挟む可能性は低い。また、国家非常事態法では、訴訟より政治的抑制が行政権限の乱用を防ぐと想定されている。

 これまでのところ、非常事態の定義を巡る論争はほとんどなく、そうしたシステムは「おおむね機能してきた」とブラデック教授は語る。だが現在の米国を率いるのは、政治規範や伝統に「良かれ悪かれ関心を持っていない大統領だと思う」

(The Wall Street Journal/Jess Bravin)
https://diamond.jp/articles/-/190793


 



http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/587.html

[国際25] ポンド取引、15日は回避を−大変動のリスクとシティの富裕層部門 
ポンド取引、15日は回避を−大変動のリスクとシティの富裕層部門
Ruth Carson
2019年1月15日 16:00 JST
EU離脱協定の議会採決、メイ首相が敗北の見込み
予想以上の大敗や予想外の勝利なら上下いずれかに10%の動きも
米銀シティグループのプライベートバンク部門は同社の富裕層顧客に、少なくとも15日はポンド取引を避けるようアドバイスしている。メイ英首相の命運を尽きさきせかねない欧州連合(EU)離脱協定の議会採決を前に、大変動が見込まれるためだ。

  シティ・プライベート・バンクのグローバル投資責任者、デービッド・ベイリン氏はシンガポール時間15日午前のブリーフィングで「今後24時間にわれわれは、メイ首相の敗北の度合いを知ることになる。これは取引するような材料ではない」と話した。

  メイ首相がEUと合意した案については、与党保守党から少なくとも70人が、また民主統一党(DUP)の議員も反対票を投じる見込みで首相の敗北が予想されているが、予想以上の大敗ならポンドがドルに対し10%下落、予想外の勝利なら10%上昇する可能性があるとシティは見込んでいる。

  いずれにせよ、目先のポンドの方向を予測するのはあまりにも難しいと言うチーフ投資ストラテジストのスティーブン・ウィーティング氏は、「この通貨でのリスクテークについては比較的慎重に」とアドバイスした。

原題:Citi Says Don’t Trade the Pound Today as Huge Swings Possible(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-15/PLD0AM6TTDUI01?srnd=cojp-v2


 

http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/226.html

[経世済民130] 「全てお見通し」の態度、指導者にはマイナス 
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00005/011400003/
hiro

日ソ共同宣言基礎とは、歯舞、色丹だけと言うこと。東京宣言は忘却か。
一種の牽制球であろうが、ロシア外相は、北方領土呼称は怪しからん、戦争の結果ロシア領となったと言っている。2島に法外の価格を付ける伏線であろう。
日本は喉から手が出るほど北方領土を欲しがっているわけではない。プーチンの手玉に取られ、安倍レガシーのための負担など御免蒙りたい。
対北朝鮮最大問題は非核化。全国民の生命にかかわる。これと比べれば拉致問題など取るに足りない。政治家としての見識がなっていない。
情緒的な理由で自衛隊を憲法に明記するなど意味がない。多分本心は別にあるのであろう。
国民投票に持ち込めば勝てると踏んでいるのかもしれないが、国民を甘く見ているとしか言いようがない。
アベノミクスの実態は、円安誘導と低賃金労働拡大を通じた企業利益増強策。おこぼれとして雇用・賃金も増加しているものの高付加価値産業への転換が進まないため、必然的に低成長に陥る。これを捨てない限り、日本経済の地盤沈下は続く。
2019/01/15 14:28:142

 

2019年1月15日 The Wall Street Journal
「全てお見通し」の態度、指導者にはマイナス

 野心的な経営幹部の中には、何でも知っているかのように振る舞う人がよくいるものだ。しかし、「全てお見通しだ」という態度をとるリーダーの中にも、後から振り返って、キャリアを積む方法についてどれだけ知識が不足していたか、その時は気付いていなかったと告白する者がいる。

 ほとんど全ての人が、こうした類いの上司や同僚を見たことがあるだろう。彼らの典型的な行動は、他者を決定にかかわらせず、協力の機会を排除し、会議を支配し、批判に耳を貸さないというものだ。リーダーシップのコーチング担当者や職場環境の研究者によれば、「何でも知っている」人々がこのように振る舞うのは、自信を持つためであり、弱みを見せないためでもある。

 カリフォルニア州サンノゼのクラウドベースのコミュニケーションプロバイダーである8x8社の最高経営責任者(CEO)を務めるビック・バーマ氏は、以前は弱さを見せないために全ての答えを知っているふりをしていたと振り返る。20代後半で上級管理職に昇進した彼は、当時は自分を「決して間違えない早熟の天才」だと感じていたと語る。「全ての決断がいい結果を生んだので、自分は何でも知っていると本当に信じていた」という。

成功しない人の最大の欠点
 過去の世代の「何でも知っている」ビジネスリーダーたちは、しばしば成果を上げた。しかし、リーダーシップ養成会社RHRインターナショナルの役員でCEO訓練の共同責任者を務めるポール・ウィナム氏は、「効率的な経営を主導するための知識が複雑化した現在、こうした『何でも知っている』型の手法は通用しなくなった」と語る。

 ジレット社の元CEOでファイザーの役員を務めるジェームズ・キルツ氏は、「何でも知っている」という態度は「成功しない人に見られる最大の欠点だ」と指摘。アドバイスを求めることは「決して弱さのサインではない」と語る。

 しかし、過去に「何でも知っている」態度を示していても、最終的には学びを経て、協調的な判断を下せるようになったと語る人も多い。プライベートエクイティー(未公開株)投資会社ACONインベストメンツのマネージングパートナーを務めるアーロン・シュワルツ氏は、1999年から投資対象企業で多くの経営幹部候補の面接を行ってきた。彼は「幹部たちの多くが『何でも知っている』的な態度を改めた」と指摘。「彼らは、自らの仕事が同僚たちの出す最良のアイデアの中から優先順位を決めることであり、こうしたアイデアを一人で考え出すことではないと気付いた」と語る。

 バーマ氏は、自分がこのことに気付いたのは2000年だったと振り返る。当時、バーマ氏はデザインエンジニアとした入社したロジスティック分野の新興企業、サビ・テクノロジー(Savi Technology)の経営者になっていた。彼はサンフランシスコ郊外のおしゃれな地域にあった380万ドル(約4億1000万円)の家を現金で購入したが、購入前の調査は何もしなかった。友人たちは、カリフォルニアで不動産の価値が下がったことはないと保証した。

 バーマ氏は、「『何でも知っている』と思っている人は、自分の意見に同調する人々で周囲を固める傾向がある」と語る。

 家を購入して2週間後に株式市場が急落した。彼の家の評価額は何カ月かの間に200万ドルほど下がり、2005年の売却時までに完全に回復することはなかった。「個人の資金管理という意味で、自分にとって初めての大きな決断だった。わたしは完全に失敗した」とバーマ氏は話す。

 この高くついた失敗により、バーマ氏は違った見方やバックグラウンドを持つ幹部を採用すべきだと思うようになった。管理職候補者の面接では、候補者にバーマ氏が会社で行っている間違ったことを指摘するよう指示した。彼は2013年に8x8の経営を引き継いで以降、この対象を全ての新規採用者に広げて最良のアイデアを実行し、アイデアを出した従業員には記念の盾を進呈した。

 バーマ氏はまた、スタッフに対し、自分が全ての答えを知っているわけではないと告げ、「自分が何か愚かなことをしているのを目撃したら」いつでも異議を唱えるよう促している。彼のアプローチは功を奏しているのかもしれない。8x8の売上高は彼の在任期間中に2倍以上に増加した。

現場の声を聞く
 なり立ての幹部はとりわけ、何でも知っているような態度を抑えるのを難しいと感じている。ガウラフ・チャブラ(Gaurav Chhabra)氏もそうだった。ゼネラル・エレクトリック(GE)は2005年、当時35歳だった彼を幹部レベルに引き上げた。

 チャブラ氏はGEキャピタルの一部門の責任者になった。複雑な法人向け融資を行う部門で、あまり知識のない分野だった。彼は急速に拡大していた100人の同僚から成るチームを監督した。人数は彼が以前にいたチームの10倍だった。

 チャブラ氏は当時を思い出し、「それは怖かった」と話した。信頼できるリーダーとして受け入れてもらいたかったため、自分が全ての答えを知っているように振る舞ったという。チームには時々しか意見を聞かなかった。

 こうしたアプローチの結果、ある専門職レベルの人物を採用した。一部のチームメンバーはこの人物に実力がなく、仕事とうまく合わないと主張した。にもかかわらず、チャブラ氏は話がうまいことなどを理由にこの人物を採用した。

 この人物は結局1年しか続かなかった。彼が去ったことは、リーダーとしての「自分に極めて重要な瞬間になった」という。「現場の声を聞くと、彼らの方が経験豊かでよく分かっていた」

 チャブラ氏と他の8人のリーダーシップ・チームは採用プロセスを変更し、集団決定において同氏に拒否権ではなく、1票の投票権を認めることにした。また、チャブラ氏は会合の最後で話すようにすることを明確にした。同氏によれば、この変更後のプロセスは「時計のように規則正しく動いた」という。チャブラ氏は2009年にGEを退社し、現在は国際的なコンサルタント会社、アリックスパートナーズの業務執行取締役を務めている。

 もう1人の元GE取締役、ベス・コムストック氏はチーム内のメンバーから率直な感想をもらったことで、「何でも知っている」という態度を改めることができたと語った。コムストック氏がGEの広報担当部長だった2002年に受けた自身の業績評価の際、聴取対象となった部下の多くは、会議で同氏が彼らの考えを聞こうとしないことに不満を表明していた。

 同氏によれば、否定的な回答内容を受けても、当初は支援を求めたり、批判を受け入れたりすることは困難だった。しかし、「そうしていなければ、自分のキャリアをさらに進めることができたかどうか分からない」と語った。

 GEは2003年、コムストック氏を最高マーケティング責任者(CMO)に昇格させ、2015年には初の女性副会長に任命した。同氏はGEで長期間にわたり最高経営責任者(CEO)を務めたジェフリー・イメルト氏が退社して間もない2017年に退任した。

 リーダーシップ・コーチの1人は数年前、投資ファンドKKRのパートナー、ピート・スタブロス氏の「何でも知っている」という傾向を修正するのを手助けした。

 スタブロス氏によれば、上司から意見を聞かれた場合、「非常に身構えてしまい、直ちに自分がそのテーマを一番把握していると上司を説得しようとした」。同氏は「自分は単に、上司に対し自分が全てを把握していると考えてもらえるよう努めていたのだ」

 これに対し、彼の上司たちは、スタブロス氏が批判をはねつけるのが早過ぎると指摘した。担当したRHRのウィナム氏は同氏に対し、意見を言う前に一呼吸入れるよう勧めた。

 スタブロス氏は、自身の考えを防衛するのではなく、意見に耳を傾けることで、「多くの見解が重要であること」を認識できるという。同氏は「(自分の態度が)改善してはいるが、まだやるべきことがたくさんある」と語った。

(The Wall Street Journal/Joann S. Lublin)
https://diamond.jp/articles/-/190794

 

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/588.html

[経世済民130] 「積立投資なら下がっても安心」は本当? 債券先物は下落、株価の上昇転換や円安で売り優勢ー現物債は底堅さも  日本株は続伸

【第80回】 2019年1月15日 後藤順一郎 :アライアンス・バーンスタイン株式会社?AB未来総研 所長

「積立投資なら下がっても安心」は本当?

 
 長期で積立投資を行う制度である個人型確定拠出年金がiDeCoにリニューアルされ、2017年からほぼすべての働く世代が加入できるようになりました。また2018年からは「つみたてNISA」も始まり、積立投資の重要性に訴求するコラムや記事が数多く見られるようになってきました。その中でよくメリットとして主張されるのが、「積立投資ならば投資対象の価格が下がってもそのときにたくさん購入できるから、むしろ下落時をチャンスと思え」というメッセージです。

 これは投資に対して警戒心を持っている初心者にとっては、非常に魅力的なメッセージで、「だったら、始めようかな」と考える人もいると思います。でもこのメッセージは本当に正しいのでしょうか?

 確かにこのメッセージは、まだ投資をしていない人、または投資を始めたばかりの人には当てはまると思います。つまり、これから資産形成を始める若者にとっては正しく、ぜひ積立で投資を始めていただきたいと私も思っています。では、積立投資をすでに始めていて相応の資産が積み上がっている人にとってはどうなのでしょうか?

 積立投資が広まりつつある今、そのような人も増えていると思いますので、今回はこの点を掘り下げます。

すでに積立投資を始めている人は市場下落の影響を受ける

 この影響を確認するために、簡単なシミュレーションを行ってみました。ここでは、ある投資信託に投資し、その基準価額が当初1万円だったものが、その後10年間で5000円まで下がり、その後の10年間で8000円まで戻ったとします。このような前提条件で、Aさんという若者がこれから20年にわたって毎月1万円ずつ積立投資をしたとすると、20年後には基準価額が8000円まで20%も下がっていても、残高は281万円となり、逆に20%程度増えていることになります(投資元本は1万円×20年=240万円)。これは、下がった際に安くたくさん購入できたからであり、平均購入単価が下がった結果、価格が少し回復しただけでプラスになったのです。まさに積立投資の効果を端的に表すケースといえるでしょう。

 次に、ミドル世代のBさんを考えてみます。Bさんはすでに毎月1万円の積立投資を過去10年間続けており、その積立資産が今は120万円となっています。BさんもAさんと同じ投資信託に今後20年間投資しますが、10年後には定年退職するので、積み立てられるのは10年間のみになります(つまり、積立期間はともに20年であり、AさんとBさんの積立総額は同額)。この場合、これから積み立てる分については、Aさんと同様、下がったところで安く買えるので、1万円が8000円になったとしても最終的には利益が出ます。しかしながら、Bさんがこれまでに積み立てた資産は、一括投資と同じ状況なので投資信託の価格が1万円から8000円に下がると単純にマイナスとなります。つまり、これから積み立てる分はプラス、これまで積み立てた分はマイナスとなり、トータルでは、なんとマイナスとなってしまうのです。

 このように「積立投資は価格が下がっても安心」というのは、あくまでこれから始める人へのメッセージであって、過去に積立を始めて続けた結果、すでに相応の資産が積み上がっている人には当てはまらない場合があることを、理解しておくべきでしょう。

長期で積立投資を続けていくために必要なこと

 こんなことを書いてしまうと、「積立投資も怖いんだったら投資なんてできない」と思ってしまう方もいるかもしれません。安心してください。解決方法はあります。先ほどの簡単なシミュレーションからわかったことは資産が積み上がると下落に弱くなるということです。ならば、資産が積み上がるのに合わせて資産を下落に強くなるようにする、つまり、投資資産を徐々に保守的に変えていくことで、その弱点に対処することができます。積立投資を実施している人の場合には、市場の影響で多少の変動はあったとしても一般的には歳をとればとるほど、積立資産が増えていくことになりますから、年齢に合わせて低リスク化していくことが、この問題に対するソリューションになるのです。

 このような変更を自分自身で実施できれば、コストがかからなくて済むのですが、個人にとっては定期的なリバランスだけでも面倒くさいですから、この年齢に合わせた変更を実施するのは大変でしょう。「だったら、そんな面倒くさいことやらないよ」という人もいるでしょう。ただ、リスクは市場が好調なときには見えませんが、市場が悪くなるとそれが顕在化します。そのときに「年齢に合わせて、しっかりと低リスク化しておけばよかった」と思っても後の祭りです。したがって、自分自身でその変更ができないのであれば、多少のコストをかけて専門家の力を借りてでも実施すべきだと考えます。例えば、IFAと呼ばれる独立系のフィナンシャル・アドバイザーに管理をお願いすれば、このような管理はしやすくなるでしょう。

 資産残高も多くないし、有料でIFAに相談するのがはばかられる方には、ターゲット・イヤー型ファンド(ターゲット・デート型ファンドとも言われる)と呼ばれる投資信託がおススメです。なぜならば、この投資信託は加齢に合わせてリスクが減るように自動的に資産配分を変更してくれるからで、アメリカやイギリスの確定拠出年金ではコアな商品としてかなり普及しています。最近では、日本でもこのような投資信託が徐々に増えてきました。老後に向けて、若い時期から積立投資する必要性が生じている今、そして多くの方が積立投資を始めた今だからこそ、このような投資信託を活用することで、積立投資をより効果的に実施してみてはいかがでしょうか。

今回の川柳
そのリスク 積立しながら 減らそうよ
(アライアンス・バーンスタイン株式会社 AB未来総研 所長 後藤順一郎)

※本記事中の発言は筆者の個人的な見解であり、筆者が所属するアライアンス・バーンスタイン株式会社の見解ではありません。
https://diamond.jp/articles/-/188452


 


債券先物は下落、株価の上昇転換や円安で売り優勢ー現物債は底堅さも
船曳三郎
2019年1月15日 7:57 JST 更新日時 2019年1月15日 16:07 JST
先物は6銭安の152円51銭で取引終了、長期金利は横ばいの0.01%
先物は割高化していた、現物は持続的売り見られずーSMBC日興
債券市場では先物相場が下落。世界経済の減速懸念を背景に買いが先行した後、中国の景気対策期待を受けて日経平均株価が上昇に転じ、為替市場で円安が進んだことで、売りが優勢になった。一方、現物債は底堅い推移となり、長期金利はゼロ%に接近する場面があった。

長期国債先物3月物の終値は前週末比6銭安の152円51銭。一時152円48銭まで下落
新発10年物353回債利回りは日本相互証券の前週末午後3時の参照値と横ばいの0.01%。0.005%と1週間ぶり低水準で始め、0.5ベーシスポイント(bp)高い0.015%に上昇も
市場関係者の見方
SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジスト

中国の貿易統計を受けた世界経済の減速懸念が広がっていたため、逆に中国当局が政策を積極化するとの期待が生じた
先物は割高化していたので、それが割安化しても不思議はない。現物は高値警戒感もあるが持続的な売りは見られず、20年債など底堅い
英国議会による欧州連合(EU)離脱合意案の採決は否決がコンセンサスのようだが、離脱延期の見方もあり、今後の展開を織り込むのは難しい
国債買い入れオペ
残存期間1年超3年以下、3年超5年以下、10年超25年以下と25年超の買い入れ額は、それぞれ3500億円、4000億円、2000億円、500億円で据え置き
3−5年の応札倍率が3.01倍と約1カ月半ぶりの高水準、その他のゾーンの応札倍率は低下
SMBC日興の竹山氏
3−5年オペでは明日の5年債入札に向けた持ち高調整が出たのではないか。5年債は絶対水準や利回り曲線上でも妙味は乏しく、入札も弱くなる可能性
過去の国債買い入れオペの結果一覧
背景
日本株相場は続伸、日経平均株価は前週末比1%高の2万555円29銭
東京市場のドル・円相場は一時1ドル=108円75銭と、9日以来の円安・ドル高水準
中国:より大規模な減税方針打ち出す−景気下支え狙う
中国貿易低迷、トランプ政権との合意必要性高まる−対立の影響色濃く
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.155% -0.150% 0.010% 0.465% 0.695% 0.790%
前週末比 横ばい 横ばい 横ばい -0.5bp 横ばい 横ばい



 
日本株は続伸、中国の景気支援策と円高一巡ー機械や電機高い
河元伸吾
2019年1月15日 7:47 JST 更新日時 2019年1月15日 15:29 JST
中国は景気支援のため「より大規模に」減税を実施すると表明
ドル・円相場は1ドル=108円75銭まで円が弱含み
15日の東京株式相場は続伸。中国の景気支援策と為替市場での円高一巡で企業業績期待が高まり、電機や機械など輸出関連株が買われた。

TOPIXの終値は前営業日比12.99ポイント(0.8%)高の1542.72
日経平均株価は同195円59銭(1.0%)高の2万0555円29銭
  中国の経済当局者は15日、景気支援のため「より大規模に」減税を実施すると表明した。今後も小規模企業や製造業を中心に減税を続ける。きょうの中国・上海総合指数は1%超値上がり。ドル・円相場は一時1ドル=108円75銭と、前週末の日本株終値時点の108円30銭から円が弱含んだ。

  しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は「中国はインフラなどへの投資から消費拡大に政策転換を進めており、減税策表明は景気に減速感がある中で効果的」と話した。機動的な経済対策を打ち出すことで「景気減速を大きく心配する必要はない」と同氏は付け加えた。

  きょうの日本株は中国が14日に発表した貿易統計の悪化を受けて下落で開始、日経平均株価は前営業日比155円(0.8%)安まで下落した。その後は為替相場で円安が進むに連れて買いが優勢となり、午前半ばにプラス圏に浮上。減税策期待で中国株が大幅高となると上げ幅を拡大した。


東証33業種では精密機器、機械、電機、その他製品、石油・石炭製品、ゴム製品が上昇率上位
電気・ガス、陸運、食料品、医薬品は下落

円全面安、アジア株高でリスク選好ードル108円後半
池田 祐美
2019年1月15日 11:48 JST 更新日時 2019年1月15日 15:39 JST
108円14銭から午後に一時108円75銭まで上昇−約1週間ぶりドル高
ドル・円、アジア株堅調でリスクオンの円売り優勢−あおぞら銀
3連休明けの東京外国為替市場で円は主要通貨に対して全面安。中国の景気対策を背景に、中国株や日本株などアジア株が上昇、リスク選好の円売りが優勢となった。

15日午後3時38分現在のドル・円は前日比0.5%高の1ドル=108円70銭。午後に一時108円75銭と9日以来のドル高・円安水準
ポンド・ドル相場は0.3%高の1ポンド=1.2901ドル。前日に一時1.2930ドルと2018年11月15日以来のポンド高・ドル安水準
市場関係者の見方
あおぞら銀行の諸我晃総合資金部部長

中国上海総合指数を含めてアジア株が堅調。人民元も強い。リスクオンで円売りが優勢となっている
英議会が欧州連合(EU)離脱案を否決するとの見方が優勢だが、大差でなければ次のステップで第2回採決の可能性。また大差で否決されれば3月29日の英EU離脱期限を延長する可能性も
ハードブレグジット(合意なき英EU離脱)にならない手段が残されているので安心感があり、ポンド・ドルはしっかり
外為どっとコム総研の神田卓也調査部長

個人投資家のポジションはポンド・円でみると、まだロングが多いが、ポンド・ドルではショートの方が多い。個人投資家はかなりの確率で英議会否決を織り込んでおり、採決結果によりポンドが急落する可能性はそれほど大きくない
英議会採決では、すぐに合意なき離脱に直結することはなさそうで、焦点は3日以内に提出されるプランBの内容。そこで離脱延期などが出てくればポンドがいったん反発する可能性も
背景
日本株は続伸。日経平均株価は前週末比195円59銭(1%)高の2万555円29銭で取引を終了。中国上海総合指数は一時1%超上昇
中国:より大規模な減税方針打ち出す−景気下支え狙う
中国の金融政策、景気に「十分」な支援提供へ−人民銀の朱副総裁
英首相が離脱案で2回目の採決検討、最初の否決後にEU譲歩も−サン
英・EU、離脱延期も想定か−議会で大敗なら他に選択肢ないと当局者

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-15/PLCM2L6TTDS101?srnd=cojp-v2


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/589.html

[経世済民130] 株式市場の主役、ヒトから機械に 運用資金1800兆円 無人市場 40年は5人に1人が高齢者 就業者2割減の5245万人
株式市場の主役、ヒトから機械に 運用資金1800兆円
無人市場(1)
2019/1/15 5:30
日本経済新聞 電子版
 米未来学者レイ・カーツワイル氏は2045年にAI(人工知能)がヒトの知能を超えるシンギュラリティー(技術的特異点)が到来すると予測した。その波がいち早く押し寄せたのが金融・証券市場だ。機械やAIが株価の方向性を決め、値動きを増幅し、売買する。デジタル技術の発達でヒトの存在感が急速に薄れる「無人市場」の実像を探る。

エンジニアは自由に席を変えながら作業する(フロー・トレーダーズのアムステルダム本社)
 世界中で株式市場が乱高下した年末年始。シンガポールの高層ビルで山田岳樹氏は投資家から殺到する上場投資信託(ETF)のオーダーをコンピューター上で淡々とさばいていた。山田氏はオランダに本社がある高速取引業者(HFT)、フロー・トレーダーズのトレーダーを務める。
 同社は金融庁にも登録する世界の主要HFTの1社だ。400人弱の社員の4割ほどがテクノロジー関連。数学やコンピューターを専攻した20代の若者が多い。「金融機関というよりIT(情報技術)企業に近いかもしれない」(山田氏)という。
 世界の6500銘柄超の上場投資信託(ETF)を中心に、投資家を相手にした「マーケットメーク」と呼ばれる売買で収益を上げる。いくらで売り買いするかの計算から、その価格の投資家への提示、取引の実行まですべてをシステムで完結。「機械でなければとてもできない」(山田氏)ビジネスだ。
 フロー社は18年、1〜9月だけで6300億ユーロ(約78兆円)の売買を手掛けた。世界のETF市場に占める売買代金シェアは4%近くに達する。
 投資家とのETFの売買で得られるわずかな値ざやを積み重ね、18年1〜9月期に1億6600万ユーロ(約210億円)のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)を稼いだ。年間では最高益を更新する勢いだ。

 同社が手掛けるマーケットメーク業務はかつて証券会社の役割だった。同社のようなシステムを駆使した高速取引業者が人手に頼った取引から急速に主役の座を奪い取った。
 マーケットに流動性をもたらしているのが、HFTのような機械なら、新たに株価の方向性を決める存在に浮上しているのもAIファンドなど機械だ。
 米国では求人者数やホテルの予約件数などこれまで投資情報にならなかった「オルタナティブ・データ」をAI(人工知能)が分析し、投資に活用する動きが広がる。米データ調査会社、シンクナムは18年11月、米ゼネラル・モーターズ(GM)が工場閉鎖などの構造改革案を公表する前に同社の求人者数が8割減っていたとの調査を公表した。GM株は構造改革案を発表後に急騰した。AIファンドは求人者数など新しいデータを事前に入手、分析し、株価の方向性変化を狙う。
 こうした株価の変化を増幅させているのが、モメンタム型ファンドや商品投資顧問(CTA)などトレンドフォロワーと呼ばれる「順張り」勢だ。

 米国で急成長している上場投資信託(ETF)がある。「iシェアーズ エッジMSCI米国モメンタム・ファンド」。2018年末時点の純資産は約79億ドル(約8500億円)と5年前と比べて40倍に膨らんだ。モメンタム(勢い)の名前の通り、株価の勢いに自動で追随し、銘柄を入れ替えるETFだ。10日時点の組み入れ銘柄トップは時価総額世界トップとなったアマゾン・ドット・コム。QUICK・ファクトセットによると、同ETFには18年に約32億ドルの資金が流入した。
 こうした投資手法は「モメンタム運用」と呼ばれ、かつては数理分析を駆使するヘッジファンドなどの得意分野だった。ETFとなったことで、誰でも投資可能になり規模が拡大。急落と急上昇を繰り返した年末年始の株式相場のように株価の振幅を大きくする要因と指摘される。
 ボストン・コンサルティングやヘッジファンド・リサーチによると、ヒトが指図せずに機械的に運用されている資金は、17年に約17兆ドル(約1800兆円)となった。世界の運用総額に占めるシェアは約21%となる。現在は2000兆円規模に達した可能性がある。
 テクノロジーの発展で市場の無人化は急速に進む。一方、AIはヒトによる分析や検証が不可能なブラックボックス化の問題をはらむ。18年12月26日の米株式相場は1000ドルを超える史上最大の上昇幅を記録し、年明け3日には再び急落した。無人市場ではこうした乱高下が「ニューノーマル」なのかもしれない。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39869870Q9A110C1DTA000

 
働き手、40年は5人に1人が高齢者 AI活用など急務
2019/1/15 18:23日本経済新聞 電子版
 働く人の5人に1人が高齢者という時代が訪れようとしている。厚生労働省が15日に公表した就業者の長期推計によると、経済が成長して働く女性や高齢者が増える場合、2040年には就業者に占める65歳以上の割合が2割近くになる。一方で医療や福祉を除くと多くの業種で働き手が減る。経済の活力を保つには、技術革新と働き方の見直しが避けられない。

 厚労省の雇用政策研究会(座長=樋口美雄労働政策研究・研修機構理事長)が就業者推計を盛り込んだ報告書案を公表した。日本経済がゼロ%成長に近い状態が続き、女性や高齢者の労働参加が進まない場合は、40年の就業者は17年に比べ1285万人少ない5245万人と20%減る。

 40年は高齢者人口がピークを迎える。経済成長と労働参加が進むケースでも就業者は17年比で1割近く減り、高齢者の存在感が増す。17年の実績値では就業者に占める65歳以上の比率は12%と、8人に1人だった。

 経済が成長し働く人が増えるケースで就業者数を産業別にみると「医療・福祉」は40年に974万人となる。就業者の16%と、17年の12%から拡大する。「農林水産業」や「鉱業・建設業」「卸売・小売業」は就業者が減る。

 働き手に占める高齢者が増えると、非正規で働く人が増えると予想される。現役世代と比べると、短時間で働く仕事を選ぶ傾向が強まるためだ。足元でも高齢者や女性に多いパートタイムの比率は17年に14%と、93年の7%から2倍になった。

 総務省の労働力調査によると、18年7〜9月に非正規雇用だった人のうち「家事・育児・介護等と両立しやすい」を理由に挙げた人は261万人と、調査が始まった13年1〜3月から45%増えた。「正規の仕事がない」との理由で非正規を選ぶ人を初めて上回った。

 高齢者が働きやすくするには、在宅勤務などをしやすくするデジタル技術の開発や社内制度の整備が必要だ。介護などをする現役世代を支え、生産性を高めるためにも欠かせない。

 報告書によると、AIなど新技術の進展で17〜40年の間に年率0.8%程度の生産性向上が見込める。報告書は「ライフステージや希望に応じて就業できる環境の整備が急務」とも指摘した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40022930V10C19A1EE8000/


 


就業者2割減の5245万人 厚労省40年推計、低成長なら
経済 2019/1/15 10:25
厚生労働省は15日、2040年の就業者推計を公表した。日本経済がゼロ%成長に近い状態が続き、女性や高齢者らの労働参加が進まない場合は、17年に比べ1285万人(20%)減の5245万人になると試算した。40年の推計を出すのは初めて。経済が高成長でも就業者は1割近く減る見通し。生産性の向上が急務だ。

https://www.nikkei.com/content/pic/20190115/96958A9F889DE1EBEBEBEBE1EBE2E3E7E2E3E0E2E3EB9F9FE2E2E2E2-DSXMZO4000063015012019MM0001-PB1-3.jpg
厚労省の雇用政策研究会(座長=樋口美雄慶大教授)が15日、就業者の長期推計結果を含めた報告書の素案を公表した。推計は独立行政法人の労働政策研究・研修機構が実施した。4月から始まる外国人労働者の受け入れ拡大の影響は「制度が始まっていない」として織り込んでいない。
40年は高齢者人口がピークを迎える時期にあたる。40年の就業者が17年に比べて20%減るという推計では、60歳以上の就業者は1319万人で17年に比べ10万人減。15〜59歳は3926万人と25%減り、就業者の4人に1人が60歳以上になる。
産業別でみると、医療・福祉のみ就業者が増える。40年に910万人と17年に比べ13%増えて最大になる。製造業は803万人で2割減る。
25年は低成長で労働参加が進まない場合の就業者が6082万人で、17年に比べ7%減る。
楽観シナリオは高成長と労働参加が進む場合で、就業者数は推計6024万人となる。17年に比べ8%減にとどまる。15〜59歳の就業者は19%減るが、高齢者は1795万人で35%増える。
楽観シナリオでは年率2.5%の生産性向上を見込む。推計では人工知能(AI)などの進歩が労働生産性を0.8%程度押し上げるが、残りの1.7%は労働者の技能向上などで達成しなければならないとした。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39999390V10C19A1MM0000/


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/592.html

[経世済民130] グーグル日本法人、申告漏れ35億円 所得を海外移転 世界をむしばむデジタル監視国家に「対抗軸」はあるか
グーグル日本法人、申告漏れ35億円 所得を海外移転
2019/1/15 11:50 (2019/1/15 17:32更新)日本経済新聞 電子版
 米グーグルの日本法人が東京国税局の税務調査を受けて2015年12月期に約35億円の申告漏れを指摘されていたことが15日、関係者の話で分かった。日本法人は事実上、広告事業を担いながら広告料は税率の低いシンガポール法人に支払われており、国税局は日本法人の税負担が軽減されていたと認定した。

 申告漏れを指摘されたのは「グーグル合同会社」(東京・港)。追徴税額は過少申告加算税などを含めて約10億円とみられる。指摘は16年ごろで、同社は修正申告に応じ16年12月期についても法人所得を上乗せして申告したという。

 GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)に代表される巨大IT企業を巡っては、世界中で利益を生み出し、その利益を低税率国に集める租税回避への批判が根強い。欧州を中心に課税強化の動きが活発になっている。

 関係者によると、グーグル合同会社はシンガポール法人の業務を支援する形で、日本国内の広告主への営業活動を行っている。広告主からの広告料はシンガポール法人に支払われて、グーグル合同会社は経費に8%が上乗せされた金額を報酬としてシンガポール法人から受け取っていた。

 東京国税局は、グーグル合同会社への報酬が広告料に連動していないと指摘。経費に上乗せする方法で報酬が低く抑えられ、所得がシンガポールに移転していたと判断したとみられる。

 グーグル側は15日、「税務上のやり取りの一環で修正申告を行った。不正行為、租税回避を行ったものではなく、日本の国内の法律に沿って納税していく」などとコメントした。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40000730V10C19A1MM0000/


 
コラム2019年1月14日 / 08:26 / 7時間前更新

世界をむしばむデジタル監視国家に「対抗軸」はあるか
John Lloyd
4 分で読む

[4日 ロイター] - 新たな年を特徴づけるテーマは、大幅に性能を向上させた電子的監視体制と、民主的コントロールの弱体化との、有害な対決が起きる可能性である。

このリスクに対する解毒剤は民主主義の精神と市民的自由だが、いずれも世界中で逆風にさらされている。まだ死んではいないが調子は優れず、放置されている場合もある。

世界で人口が最も多い2カ国、すなわち中国とインド(両国合わせて世界人口の約37%を占める)は、全国規模のデジタル監視・分類システムを導入している。こうしたシステムは、市民権を充実させるために必要な個人情報の収集と、国家による監視・介入能力の強化を組み合わせたものだ。

中国のシステムは、14億人もの国民の行動を監視し、国家と共産党が定義する「良い」活動を表彰し、「悪い」活動に懲罰を与えることをあからさまに追求している。これは、宗教主導の社会の世俗バージョンである。聖職者たちが仲介する神の戒律に代わるのが、国家が定める基準だ。国を支配する共産党が、カール・マルクスの哲学の解釈に、いまや憲法にまで書き込まれた「中国の特色ある新時代の社会主義に関する習近平思想」という装飾をあしらい、事実上の無謬性を主張している。

中国の「社会信用システム」は、顔・声・指紋の認識テクノロジーを、インターネット利用や教育に関する選択、ソーシャルネットワークなど公私にわたる行動の監視、さらに膨大な有給の情報提供者ネットワークが提供する不穏な活動に関する報告と結びつけている。

中国政府は、これらの要素を使って国民ひとりひとりの社会的・政治的・職業的、そして私的な活動についての全体像を描き出し、キャリアその他の選択において有利に働くポイントを付与し、あるいは権利や昇進の機会、移動の自由を奪うことによって反社会的・反共産党的な行動に懲罰を与える。

システムに関する党公式の説明は、「信用度の高い人は大空の下で自由に散策することができるが、信用度の低い人は1歩歩くのも難しくなる」とうたっている。すでに表彰・懲罰の付与は開始されている。2019年中に対象範囲を全国に拡大し、2020年までにすべての国民の監視を実現することが目標だ。

インドの「アドハー」(ヒンディー語で「基礎」の意)と呼ばれる国民識別カード技術は、中国と同じくらい包括的なものをめざしているが、プライバシーへの介入はさほど意図されていない。

ソフトウェア起業家のナンダン・ニレカニ氏が発案した「アドハー」は、任意参加の試みとして始まった。ニレカニ氏が願ったのは「どれほど貧しく不遇であろうと、すべてのインド人を国家から『見える』存在にすること」である。昨年以降、一部の州では「アドハー」が任意加入ではなくなっている。強制加入制にし、生活必需品や高等教育、政府補助金や医療へのアクセスと結びつける構想がある。

「アドハー」がプライバシーの権利を侵害しているという異議申立ては複数の裁判所に提出されており、市民的自由を擁護する活動家と国家のあいだの争いとなっている。

西側の民主主義国家には、中国どころかインド程度のデジタル監視の野望もない。とはいえ、米国家安全保障局の文書が2013年にリークされた影響で、西側諸国の情報機関の多くは、法的な予防措置を強化したうえではあるが、すべての市民の通信を監視する合法的な権限を与えられるようになった。

最も強力な民主主義国家である米国は、最も優れたデジタル企業が誕生し、本拠を置く国となっている。だが、フェイスブックを筆頭とするこうした企業に対しては、プライバシーを保護できるのか、また違法なヘイトスピーチやニュースの仮面を被った秘密のプロパガンダを排除する、あるいは少なくともその存在を摘発できるのかという問いが、一般社会や各国政府から突きつけられている。

フェイスブックの創業者、ザッカーバーグ・最高経営責任者(CEO)氏はかつて、情報を非公開にしておくことはもはや「社会規範」ではないという見解を述べた。その後、彼は明らかに意見を変えた、あるいは変えたふりをせざるをえなかった。それでもフェイスブックやその他のテクノロジー企業のビジネスモデルは、広告出稿企業と個人情報を共有するという点に依存し続けている。

独裁的な世界が広がり、抑圧を強めるのと時を同じくして、こうした展開の重要性や範囲が大きくなっている。

研究者のヤシャ・モンク氏とロベルト・ステファン・フォア氏は、昨年発表されて波紋を呼んだ論文において、「四半世紀というスパンのなかで、リベラル民主主義は、前例のないほど強い経済という立場から、前例のないほど弱い経済という立場へと移行していった」と指摘した。両氏は、20世紀を通じてリベラル民主主義が世界で優位に立っていた理由は、リベラリズムの魅力でも民主主義の魅力でもなく、富の創出という模範を示したことにあると考えている。

紛れもない独裁体制のほかにも、米国やイタリア、ポーランド、ハンガリーなどでは、民主的な選挙を経てポピュリスト政権が成立している。こうした政権は、移民や性的マイノリティ、民族的マイノリティや非政府組織(NGO)といったテーマに関しては、部分的に独裁主義的なやり方を採用するのが普通である。最も新しくこの顔ぶれに加わったブラジルのボルソナロ大統領は、先住民に与えられた土地を脅かし、性的少数者(LGBT)を人権保全省による保護対象から外すといった動きを見せている。

独裁的指導者や国家主義的なポピュリスト政治家が、新たな監視能力とその国民統制能力を、人権に深く配慮しながら活用するとは考えにくい。少なくとも、彼らが冷遇したいと考えている人々の人権は顧みないだろう。特に中国のシステムの場合は顕著だが、こうした監視能力は、過去から引き継いだリベラルな政策や慣習を根本的に変えてしまいたいと考える指導者によって利用される可能性が高い。

危険なのはテクノロジーではない。

一般市民や裁判所、報道機関、市民社会の仕組みが自由と活気を保っているような成熟した民主主義社会であれば、たまの例外や事故はあっても、脅威への対抗や公的領域の効率化といったニーズに沿った形でテクノロジーを利用することができるだろう。また、テクノロジーの利用についてしっかりとした議論を行い、世論の重みを感じさせ、政策を変更していくことができる。

民主主義が独裁的な権力の前に崩壊するという予測が実現するのは、一般市民がそれを許してしまう場合に限られる。2019年は、統制がさらに強まる年であってはならない。リベラルな精神が復活する年にしなければならないのだ。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/lloyd-surveillance-idJPKCN1P50GE
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/593.html

[自然災害22] 干ばつ拡大の豪州、最低気温が過去最高 農産物への影響懸念
ワールド2019年1月15日 / 16:54 / 7時間前更新
干ばつ拡大の豪州、最低気温が過去最高 農産物への影響懸念
Reuters Staff
1 分で読む

[シドニー 15日 ロイター] - オーストラリア当局は、南東部ニューサウスウェールズ州などの一部で気温が過去最高の水準に上昇していることを受け、今後数日間、屋外での活動を控えるとともに積極的に水分を摂取するよう呼び掛けた。

最も人口の多い同州の一部や西部ウエスタンオーストラリア州では、夜間の最低気温が過去最高の摂氏33度まで上昇した。豪気象局によるとニューサウスウェールズ、サウスオーストラリア、ビクトリア州の一部では16日、最高気温が45度以上に達する可能性があるという。

ニューサウスウェールズ州政府の環境衛生責任者は「身体活動を避け、十分に水分を取ることが現在不可欠だ」との声明を発表した。

豪州では、人口2500万人のうち5分の4が沿岸部に集中しており、夏季はビーチでのんびり過ごす人が多い。だが、異例の気温上昇により、現在見舞われている深刻な干ばつが悪化するとの懸念が広がっている。

ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)のアグリビジネス担当エコノミスト、フィン・ジーベル氏は「ソルガム(サトウモロコシ)などの農産物にとって、この気候は吉報とは言えない」と述べた。

豪州は世界第4位の小麦輸出国だが、今年の生産量は干ばつにより10年ぶりの水準に落ち込むと予想されている。
https://jp.reuters.com/article/australia-weather-idJPKCN1P90M4
http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/644.html

[国際25] 韓国、駆逐艦レーダー情報開示を拒否「非常に無礼な要求」と日本を非難 半数近く「強い対応」要求=対日姿勢で韓国世論調査
韓国、駆逐艦レーダー情報開示を拒否 「非常に無礼な要求」と日本を非難
2019.1.15 12:10国際朝鮮半島
韓国海軍レーダー照射問題

 【ソウル=名村隆寛】韓国国防省報道官は15日の定例記者会見で、14日にシンガポールで行われた日韓防衛当局間の実務者協議では、韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊のP1哨戒機に火器管制レーダー照射をしたことを裏付ける決定的な証拠が、日本側からは示されなかったと主張した。

 また、協議で日本側は、韓国駆逐艦の全体的なレーダー情報(周波数)を明らかにすれば、日本側の収集した情報の一部を示すことを提案したが、韓国側はこれに応じなかったという。

 同省報道官は「韓国としては受け入れ困難で、非常に無礼な要求であり、問題解決の意志がない強引な主張だ」と日本側の対応を批判した。また、「日本の継続的な非紳士的な行動に対し、大いに遺憾を表明する」と訴えた。

 報道官は「日本に対し韓国は、レーダー照射を受けたと主張する周波数など、正確で客観的なデータを提示するよう継続し要求している」と指摘。「日本側が開示するという一部の情報は、韓国側が求めているデータではない」との認識を示した。

 韓国側は「日本側の低空威嚇飛行に対し、細かく日本側に要求し質問した」(報道官)という。また、報道官は、「日本側が威嚇飛行ではないと主張しているが、韓国艦の乗組員が脅威を感じるほどの雰囲気であったと伝えたことに対し、(日本側が)一部でうなずくことがあったと承知している」とも語った。

 レーダー照射の問題を受けての日韓防衛当局の実務者協議は、昨年12月27日のテレビ会議に続くもので、シンガポールにある日韓双方の大使館で14日夜まで交互に開かれた。しかし、今回も双方の間の溝は埋まらず、平行線をたどるどころか、意見の隔たりが一層広がったかたちだ。
https://www.sankei.com/world/news/190115/wor1901150012-n2.html



韓国、回答期限を拒否=「30日以内」日本の協議要請に
1/15(火) 16:50配信 時事通信
 【ソウル時事】韓国最高裁が日本企業に賠償を命じた元徴用工訴訟をめぐり、日本政府が韓国政府に日韓請求権協定に基づく協議を求めたことについて、韓国政府高官は15日、「30日以内」とする日本側の回答期限設定を拒否する立場を明らかにした。

 
 この高官は「(日本の協議申し入れは)綿密に検討した上で回答する」と説明、「(回答の時期は)決まっていないが、必ず30日以内に答えなければならないとは考えていない」と断言した。

 韓国メディアは14日、日本政府が9日に韓国政府に送った文書で協議を要請した際、「30日以内に」回答するよう求めたと報道している。 

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韓国「日本は無礼で非紳士的」 レーダー巡る協議で対立
牧野愛博=ソウル、藤原慎一 2019年1月15日12時21分

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海上自衛隊のP1哨戒機が韓国海軍艦艇から火器管制レーダーの照射を受けたとされる問題で、防衛省が公表した映像の一部(防衛省提供)

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 海上自衛隊の哨戒機が韓国海軍艦艇から火器管制レーダーを照射されたとする問題をめぐる日韓防衛当局間の協議について、韓国国防省は15日の記者会見で、「日本はわが軍艦のレーダー情報全体について(開示を)要求した。受け入れが難しく、大変無礼な要求だ。事態を解決する意思がない強引な主張だ」と非難した。

 同省によれば、日本側は14日の協議で、入手したレーダーの周波数情報を公開しなかった。日本は双方がデータを提供して突き合わせるよう求めている。

 これに対し、韓国は日本に対し、レーダー周波数や哨戒機の警報装置が作動したデータなどを最初に公開するよう主張し、対立している。

 一方、韓国は14日の協議で、海自哨戒機が危険な低空飛行を行ったと改めて主張した。韓国国防省報道官は15日、「日本は脅威を与える飛行ではないと主張したが、我々の乗務員が脅威を感じるほどの雰囲気だったという点については一部うなずく場面もあった」と説明した。

 報道官は哨戒機と韓国軍艦艇との無線交信について「お互いに誤解があったとみられるが、日本側も我々が交信に非常に苦労した部分もあった点について一部理解した」と語った。

 報道官は「日本がこのように非紳士的な行動を続けていることに対し、深い遺憾の意を表明する」とも語った。

 一方、岩屋毅防衛相は15日午前、記者団に対し、14日の協議について「進展がなかったことはとても残念に思っている」と述べた。哨戒機が収集した音声と電波のデータについて日本側から韓国側に提示を申し出たが「同意をいただけなかった」と主張した。また、韓国側が日本側に謝罪を求めていることについて「我が方が謝罪する筋合いはない」と語った。(牧野愛博=ソウル、藤原慎一)

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日本に「より強く対応すべき」46%、韓国の世論調査


2019年01月16日 00時15分 TBS

韓の半数"日本に強く対応を"
2019年01月14日 22時33分 TBS

日本に「より強く対応すべき」46%、韓国の世論調査
日本に「より強く対応すべき」46%、韓国の世論調査

 日韓関係が悪化するなか、韓国で、日本政府に対して「より強く対応すべきだ」と考える人が半数近くに上ることが、韓国の世論調査でわかりました。

 この調査は、韓国の世論調査会社「リアルメーター」が今月11日、韓国の19歳以上の男女505人を対象に行ったもので、日本政府に対する文在寅(ムン・ジェイン)政権の姿勢について、「より強く対応すべきだ」と答えた人が46%に上りました。また、「現状通り対応すべき」と回答した人は38%で、「自制すべき」と答えた人は13%に留まりました。

 徴用工問題やレーダー照射問題などをめぐる文在寅政権の強硬な態度を韓国市民の多くが肯定的にとらえ、より強く対応すべきだと考えていることが明らかになった形です。(14日22:09)
https://news.nifty.com/article/world/worldall/12198-165670/

 


半数近く「強い対応」要求=対日姿勢で韓国世論調査
2019年01月14日18時14分

 【ソウル時事】韓国の調査機関リアルメーターは14日、徴用工訴訟やレーダー照射問題をめぐる韓国政府の対日姿勢に関する世論調査で、「もっと強く対応すべきだ」と回答した割合が45.6%に達したと発表した。また、「適切に対応している」と回答したのは37.6%で、「自制すべきだ」と答えたのは12.5%にとどまった。

対日関係「危険水位に」=「文氏が刺激」と批判−韓国野党幹部

 リアルメーター関係者は韓国メディアに対し、過去に対日関係で問題が起こった際は強硬対応を求める声が6〜7割に上ったと指摘した上で、「予想より冷静な結果が出た」と解説した。
 年齢層別では「強く対応すべきだ」と回答した割合は、60代が52.4%でトップ。20代が46.7%、40代が43.5%、50代が42.3%だった。(2019/01/14-18:14)

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「救助妨害の威嚇」と非難=韓国が反論動画公表−レーダー照射問題
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019011400530&g=int&utm_source=yahoo&utm_medium=referral&utm_campaign=link_back_edit


http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/231.html

[国際25] 文政権初の国防白書…「北朝鮮は敵」の文言を削除 韓国の反日攻勢の背後に北朝鮮?疑われる北の「第五列」の活動 
文政権初の国防白書…「北朝鮮は敵」の文言を削除 


2019年01月15日 14時32分  

韓国国防部は15日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領政権発足後初めての国防白書を刊行したと発表した。今回の18年版国防白書では南北間の軍事的緊張の緩和など変化した朝鮮半島の安保環境を反映し、「北朝鮮は敵」という文言が削除された。

国防部は2年に1度、国防白書を修正しているが、ここには今後2年間の国防政策方向が盛り込まれる。16年版には「北朝鮮政権と北朝鮮軍はわれわれの敵」と記されていた。

15日に公開された18年版を見ると、北朝鮮を敵と規定していた文言が「韓国の主権、国土、国民、財産を脅かし、侵害する勢力をわれわれの敵とみなす」との表記に変更された。

これは昨年から続く南北・米朝首脳会談などで、朝鮮半島平和の雰囲気が造成され、北朝鮮を敵ではなく対話の相手として認めるべきとの現実的判断によるものだ。

国防部はまた、“目標”に南北が軍事的対立と和解・協力関係を繰り返してきたが、軍事的緊張緩和と信頼構築に向けた基盤が準備できたとの内容を入れた。

WoW!Korea
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「文在寅」の記事
韓の半数"日本に強く対応を"
韓野党"韓日関係は危険水位"
文在寅大統領「日本政府はもっと謙虚な姿勢を」と発言 韓国メディアからも疑問の声
https://news.nifty.com/article/world/korea/12211-166108/


 


木村 太郎のNon Fake News
韓国の反日攻勢の背後に北朝鮮? 疑われる北の「第五列」の活動
木村太郎
カテゴリ:ワールド2019年1月15日 火曜 午前11:40
• 国交に支障が出る事件が相次ぐのは偶然の一致か
• 日韓関係が悪化することで得をするのは誰か
• 疑われる北朝鮮の「第五列」の組織的謀略
偶然の一致なのか
韓国海軍「クァンゲト・デワン」級駆逐艦が自衛隊機に対してレーダー照射(2018年12月)
韓国から反日的な言動が次々と繰り出されてくるのは偶然の一致なのだろうか。

このところの日韓関係の問題を列挙すると
●旭日旗掲揚問題で海自艦派遣見送り(18/10/07)
●いわゆる元徴用工問題で韓国最高裁が新日鉄住金に賠償命令(18/10/30)
●慰安婦合意で設立された「和解と癒し財団」の解散を韓国政府が発表(18/11/21)
●韓国軍が竹島防衛の訓練実施(18/12.13)
●韓国軍艦が自衛隊機に対して照準レーダーを照射(18/12/20)
●元徴用工問題で新日鉄住金の資産差し押さえ命令(19/01/08)

わずか3ヶ月間に他の国なら国交に支障が出るような事件が相次いでいる。
日韓離反の意図があるとすれば
年頭会見を行う韓国の文在寅大統領
いわゆる歴史問題で対日強硬派とも言われる文在寅大統領の時代になって、反日を抑制していたタガが外れたのかもしれないが、それにしてもたたみかけるような仕打ちに日本と韓国の離反をはかる意図的なものさえ感じるのだ。

仮に、その背後に日韓離反の意図があるとすれば、誰が何のために策動しているのだろうか?
日韓関係の悪化で得をするのは北朝鮮

その疑問を解くにはそれで得をするのは誰かを探れば良いわけだが、まず韓国は経済的にも安全保障上も日本との関係が悪化して得することはない。周辺国を見ても中国やロシアが今日韓関係が悪化することで得をすることは考えられない。となれば残るは北朝鮮しかない。

北朝鮮は今、対米交渉を通じて国際的な孤立状態を脱し経済の立て直しを目指しているが、その先に見据えているのは「統一朝鮮」だろう。

そうした朝鮮半島をめぐるかけひきの中で、日本の安倍首相は北朝鮮への圧力を維持し拉致、核、ミサイル問題の包括的な解決を主張して、北朝鮮に「前のめり」で急接近する韓国の文在寅大統領にブレーキをかけてきている。またトランプ米大統領に近い安倍首相は米、日、韓三國による北朝鮮の包囲網維持を米側に働きかける立場にあり、北朝鮮にとっては邪魔な存在であるはずだ。
北朝鮮の組織的な謀略か
その日本を排除するためには反日キャンペーンを煽り立て、日本側が嫌韓ムードの高まりで朝鮮半島問題から手を引くよう謀ることを私なら考える。

韓国内の反日言動がエスカレートしたのが6月の米朝首脳会談直後からであることを見ても、それが南北が急接近していった朝鮮半島の情勢と同期しているように思える。

今日本に対して厳しい措置や態度をとっている韓国の司法や行政の担当者らは、北朝鮮から直接指示を受けて行動したわけではないのかもしれない。しかし、韓国内の北朝鮮の第五列(敵方に内通する分子)が本国の指令で一斉に行動を起こし対日関係に影響力のある人物や組織に働きかけたことはあり得るだろう。

これはあくまで推測に過ぎないのだが、韓国の反日の暴走は偶発的なものではなく、北朝鮮の組織的な謀略であることを疑ってかかるべきだろう。
日本は戦略的分析を
日本は戦略的に分析して対応すべき
日本としては個別の反日的言動に振り回されずに、その意図を戦略的に分析して対応してゆかなければならない。

「首をかしげざるをえない」

日本の外務省幹部は文在寅大統領の発言にこう言ったというが(読売新聞)、首をかしげているだけでは北朝鮮の思う壺にはまるだけだ。
(執筆:ジャーナリスト 木村太郎)
(イラスト:さいとうひさし)
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http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/232.html

[国際25] 韓国で在日米軍の映像が波紋「日本の主張を一方的に反映 米韓同盟に悪影響」フランス日本に海軍艦艇を派遣…北の違法瀬取り監視
• 韓国で在日米軍の映像が波紋「日本の主張を一方的に反映」「米韓同盟に悪影響」
1月15日(火)22時20分 Record China

15日、複数の韓国メディアが「在日米軍司令部が最近、日本の一方的な主張を反映させた映像を公開した」と報じ、韓国のネット上で波紋が広がっている。写真は竹島。
写真を拡大
2019年1月15日、複数の韓国メディアが「在日米軍(USFJ)司令部が最近、日本の一方的な主張を反映させた映像を公開した」と報じ、韓国のネット上で波紋が広がっている。

在日米軍は先月、5分50秒ほどの映像(The Mission of US Forces Japan)をホームページとYouTubeで公開した。映像で在日米軍は、東アジア地域の状況について「この地域の特徴は数十年、数百年に及ぶ領土紛争」と説明し、地図に竹島や尖閣諸島などを表示した。これについて韓国メディア・世界日報は「独島(竹島の韓国名)を領土紛争地域と紹介するのは、日本政府の主張を一方的に反映させることであり、米韓同盟にも悪影響を及ぼしかねない」と指摘している。韓国政府は竹島問題について「歴史的にも国際法上も韓国固有の領土であるため、日韓間に領土・領有権問題は存在しない」との立場を示している。中央日報も「レーダー照射問題や過去の歴史問題などで日韓の対立が深まっている状況で、米国が日本寄りの立場を示したのではないか」と伝えた。ただ、これについて韓国政府当局者は「米韓間の同盟には影響ない」と強調したという。

この報道に、韓国のネットユーザーからも「在日米軍は韓国政府に謝罪し、『紛争地域』との言葉を撤回しなければならない」「米国に抗議して、独島が韓国の領土であることを教えるべきだ」「やっぱり米国はいつも日本の味方。米朝対話がなかなか進展しないのも、トランプ大統領と日本の2つの利益を実現しようとしているから。米国優先主義により損害を被っている韓国がかわいそう」「米国はもう韓国の同盟国じゃない。常に日本の味方をする同盟国なんて必要ない」「在韓米軍は何をしている?」など、映像に対する不満や批判の声が相次いでいる。

一方、一部からは「韓国が尖閣諸島を紛争地域と考えているのと同じ。第3者の立場では独島もそう見えて当然だから敏感に反応する必要はない」との意見も上がっている。(翻訳・編集/堂本)
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• 「安倍首相はふざけないで」2年ぶりに竹島を訪問した韓国議員らが訴え
https://news.biglobe.ne.jp/international/0115/rec_190115_6277275625.html

 


文大統領と北朝鮮 「制裁緩和」軽率に語るな
2019.1.14 05:00国際朝鮮半島

 韓国の文在寅大統領の年頭会見で危惧の念を抱いたのは、北朝鮮の非核化をめぐり、文氏があたかも、金正恩朝鮮労働党委員長の代弁者のごとく語っていたことだ。

 金氏が言葉通り、核を廃棄するかどうか懐疑的な見方が強いが、文氏は「(金氏の考えは)国際社会が求める完全な非核化と違いがない」と弁護した。

 さらに、金氏が新年の辞で、南北経済協力事業の再開に意欲を示したことを歓迎し、「課題である制裁の問題」の早期解決に向け、国際社会と協力すると述べた。

 文氏が直視すべきは、北朝鮮の「非核化」が言葉だけで、まるで具体化していないという現実である。対北制裁は国連などが核・弾道ミサイルの廃棄を求めて科したものだ。現段階では緩和を議論すること自体、時期尚早である。

 北朝鮮は過去、非核化を唱えて、石油や食糧などの見返りだけを手にし、約束を破り核開発を続けた。文氏の見立てがどうであっても、慎重を期すのが当然だ。

 トランプ米大統領との米朝首脳による再会談が取り沙汰され、北朝鮮の非核化が進展するかどうか重大な局面を迎えている。

 金氏は新年の辞で、米国が「制裁・圧迫に出るなら新しい道を模索する」とも言った。制裁が効いているとみるべきだ。ぎりぎりまで圧力をかけねばならない。

 日米両国は、英国などに呼びかけ、制裁破りの洋上密輸取引「瀬取り」の監視を強化している。厳格履行の努力を続けるべきだ。

 南北首脳は昨年、いくつもの融和事業で合意し、軍事部門では境界線付近の緊張緩和措置が実現するなどした。だが、経済部門は制裁緩和なしでは進まない。南北の道路・鉄道連結事業は着工式開催までいった。だが、工事に着手すれば、国連決議違反になる。

 南北融和実現のため、制裁を緩和しようというのは筋違いだ。文氏は、国際社会の対北圧力を揺るがす言動を慎んでもらいたい。

 金氏は4度目の訪中を果たし、習近平国家主席と会談して、中朝の結束をアピールした。国連安全保障理事会の常任理事国である中国は、ロシアとともにかねて、対北制裁緩和を主張している。

 北朝鮮を含む6カ国協議の枠組みでかつて非核化に取り組んだ日米韓中露のうち、日米以外が金氏に寄り添う。そんな厳しい現状認識も日本には必要だ。
https://www.sankei.com/world/news/190114/wor1901140002-n1.html


 

フランス、日本に海軍艦艇を派遣…北の違法瀬取りを監視
1/14(月) 9:03配信 中央日報日本語版
フランスが東海(トンへ、日本名・日本海)上で北朝鮮を監視するために海軍艦艇を日本に派遣する方針を固めた。フランスは今年4月から海上哨戒機と護衛艦「ヴァンデミエール」を長崎県佐世保海軍基地に派遣し、北朝鮮を監視するための海上巡回査察に参加することにしたと、ル・フィガロなど仏メディアが伝えた。

日本とフランスは今月11日(現地時間)、仏ブレスト海軍基地で開かれた第5回外務・防衛閣僚会合「2+2」でこのような内容に合意した。会合には日本からは河野太郎外相と岩屋毅防衛相が、フランスからはジャン=イヴ・ル・ドリアン外相とフロランス・パルリ軍事相がそれぞれ出席した。今回の合意によって、日本海上自衛隊は在日米海軍やヴァンデミエールと共に東海近海で海上巡回査察活動を行うことになった。監視の対象は北朝鮮船舶だ。北朝鮮船舶が東海上で石炭や武器などを輸出したり国際社会が搬入を禁止している物品を積み替えたりするいわゆる瀬取り行為を監視し、防ぐのが目的だ。

両国はこの日発表した共同声明で「瀬取りを含む北朝鮮の制裁回避について、引き続き協力して対処していく」としながら「フランスは、2019年の上半期に海上哨戒機及び艦艇といったアセットの派遣を通じて、違法な海上活動に対する監視活動への貢献を強化する意図を表明した」と明らかにした。また、この日発表された声明書には「インド太平洋地域における両国の共同訓練及び演習を全ての軍種で実践的かつ定期的に進めていくとの方針を確認した」という内容も盛り込まれた。

日本が仏軍と協力するのは、米国への依存度を弱め、中国を牽制(けんせい)するためのものだとの分析もある。AFPは「ドナルド・トランプ米国大統領のアジア同盟国に対する防御意志が疑われる状況で、日本がフランスと軍事協力に熱意を示している」と評価した。

日本はまた、英国とも軍事協力を強化している。10日にロンドンで開かれた日英首脳会談で、安倍晋三首相とテリーザ・メイ首相は今年上半期に英国護衛艦を日本に配備することを確認した。

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最終更新:1/14(月) 9:03
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190114-00000009-cnippou-kr

http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/233.html

[国際25] 「米中衝突時、中国支持1.1%のみ」…中国も驚いた韓国の嫌中 韓国レーダー照射)北朝鮮の瀬取り支援疑惑浮上…韓国、日本が
「米中衝突時、中国支持1.1%のみ」…中国も驚いた韓国の嫌中(1)
1/14(月) 10:36配信 中央日報日本語版
「米中衝突時、中国支持1.1%のみ」…中国も驚いた韓国の嫌中(1)
韓国の林聖男(イム・ソンナム)外交部第1次官が2017年8月24日午後、ソウル中区小公洞のウェスティン朝鮮ホテルで開かれた「韓中修交25周年レセプション」で祝辞を述べている。当時、THAADの韓国内配備が主な原因で後退した韓中関係は、5年前の韓中修交20周年に比べて記念行事が大幅に縮小された。(写真=中央フォト)
「韓国国民の中国好感度は2009年51点から2017年42点へと急減した。米国好感度は同じ期間に65.1点から66.5点に高まった。心理的距離がますます大きくなっている」

韓国の国民感情が米国に傾いて中国から遠ざかる「親米疏中現象」を説明した中国社会科学院アジア太平洋・グローバル戦略研究院の王暁玲副研究員(42)の言葉だ。王氏は高高度ミサイル防衛(THAAD)体系をめぐる韓中葛藤がピークを迎えていた2017年10月に韓国を訪れた。社会学者である王氏は韓国の成人1047人を対象に韓中関係を調査した。

2009年に続き2回目だ。結果は中国国家安全部傘下のシンクタンクである中国現代国際関係研究院(CICIR)が刊行する『現代国際関係』2018年10号に「韓国民衆の『親米疏中』現象、原因と対策」という題名で載せられた。THAAD特集号を出して韓国を批判していた1年前と180度変わった。CICIR朝鮮半島研究室の陳向陽副主任は、2017年『現代国際関係』で「中露の報復で韓国は将来国家利益に巨大な損害を受けて(米国選択を)持続できないだろう」と主張していた。

王氏は戦略・信頼・経済・感情の4つの側面から悪化の一途にある韓国人の反中感情を調査した。まず、国家安保戦略だ。米国と中国が軍事的に衝突した時、中国を支持する韓国人は1.1%に過ぎなかった。米国39.2%、中立52.7%と絶対的な差がある。韓国人30〜40%が韓米同盟に忠実になるべきだと答えた。安保上、米国と連帯して中国は捨てる「聯米棄中」基調がはっきりしている。

中国への信頼も最低だ。北核問題解決に役立つ国として、米国は41.2%であるのに対して中国は11.3%に過ぎなかった。4分の1水準だ。韓半島(朝鮮半島)統一を支持する国として、米国の27.1%に比べて中国は7.1%に過ぎなかった。中国を、米国よりもさら上の分断固着勢力として見ているといえる。中国の軍事力が韓国に威嚇になると考えている韓国人も80.5%に達した。論文は「国家信頼度で韓国人は米国を信頼し、中国を疑う『信米疑中現象』が目立つ」と解説した。

政治的に冷たくても経済交流は熱い「政冷経熱」現象も外側だけだ。経済協力の重要度を100点標準として調査した結果、韓中経済協力は62.5点で日本の50点より高いが67.9点の米国よりは低かった。50点以上の肯定的と答えた比率は米国76.1%、中国67.7%で「米国は重視して中国は軽視する重米軽中」傾向が目立った。

国民感情は米国を愛して中国は嫌悪する愛米嫌中傾向を示した。自由で開放された国を問う項目では、米国64.3%、中国5.1%との回答だった。公平で正しい国も中国は4.9%で、米国25.7%の5分の1にすぎなかった。言語普及率も英語92.7%で、中国語56.9%を圧倒した。

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最終更新:1/14(月) 10:36
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190114-00000017-cnippou-kr


 

2019.01.10
連載
渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

韓国レーダー照射】北朝鮮の瀬取り支援疑惑浮上…韓国、日本が金融制裁なら通貨危機に発展も
文=渡邉哲也/経済評論家
【この記事のキーワード】北朝鮮, 文在寅, 日本, 瀬取り, 自衛隊, 韓国


韓国の文在寅大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
 海上自衛隊のP1哨戒機が韓国海軍の駆逐艦から火器管制レーダーを照射された問題が尾を引いている。

 事態が表沙汰になってから、韓国側の言い訳じみた説明は二転三転しており、国際社会の信用を失いつつあるのが実情だ。日本側は証拠として防衛省が当時の映像を公開したが、韓国は根拠のない反論を繰り返し、年明けになってようやく当時の映像を公開した。しかし、レーダーを照射していなかったという明確な証拠はいまだ確認されておらず、防衛省は追加の証拠として記録したレーダーの波形を示すことも検討しているという。

 この問題のポイントは、なぜ韓国が日本の自衛隊に対してレーダーを照射したのかということだ。まず、海上自衛隊の哨戒機は何をしていたかということになるが、これは国際連合安全保障理事会決議による北朝鮮の瀬取りの監視であると見られている。当時、北朝鮮籍の漁船を韓国のボートや警備救難艦が取り囲むように位置していたことが確認されており、韓国側は「人命救助の活動中だった」と説明している。

 しかし、佐藤正久外務副大臣のオフィシャルブログによると、1月7日に行われた国防部会・安全保障調査会合同会議では、ある国会議員から「海上保安庁は、北朝鮮の漁船から救助の信号を受けていない。都合が悪い現場を押さえられて、レーダーを照射して海自機を追い払おうとしたのであれば、辻褄が合う」といった意見が出たという。

 瀬取りとは、洋上での船舶間の物資の積み替えのことであり、国連制裁の対象である北朝鮮が瀬取りを行うこと、あるいは国連加盟国が北朝鮮の瀬取りに関与することは禁止されている。一方で、実際には北朝鮮が瀬取りを行っていることは何度となく指摘されており、裏では韓国や中国の協力も取り沙汰されていた。そして、北朝鮮の瀬取りに対しては日米英などの多国籍軍が連携するかたちで対応しており、その情報は常に共有されている。

 韓国は、その自衛隊の活動を妨害しようとしたわけだ。あくまでもひとつの仮説であるが、韓国軍が北朝鮮の瀬取りに協力または容認している可能性があるといわざるを得ない。かねて文在寅大統領は北朝鮮との経済協力に前向きな姿勢を示しており、国連や日米から制裁を受けている北朝鮮に対してなんらかの支援をしているという見方も浮上している。文大統領の思惑に韓国軍が利用されている可能性もあるというわけだ。

 しかし、北朝鮮の瀬取りを支援するという違法行為が公になってしまえば、今度は韓国が経済制裁の対象になりかねない。すでに韓国は経済減速が伝えられており、金融機関の信用も著しく低下しているため、そうなれば通貨危機にも発展しかねないだろう。

 そのように考えると、韓国の説明が二転三転したり日本が強硬な姿勢を見せていたりする理由も納得できる。当然ながら、この問題に関してもアメリカとの間で情報共有がなされており、強気な対応も日本側だけの判断とは思えない。アメリカとしては反米政権といわれる文大統領はやっかいな存在であり、引きずり降ろしを考えていてもおかしくないため、これを機に一気に攻勢をかける戦略に合意した可能性もある。
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韓国のレーダー照射は国際社会への宣戦布告

 ちなみに、韓国に対しては日本単独でも金融制裁を科すことは可能である。たとえば、韓国産業銀行、中小企業銀行、韓国輸出入銀行などの国策銀行は輸出に伴う信用状の発行などが日本の銀行の信用枠で成立している状態だ。その信用枠を撤廃すれば、韓国は外貨調達や輸出に大きな制限が課せられ、経済の急落を招くことになる。また、金融庁が韓国関連の債券や保証に対するリスク評価を引き上げるだけで、韓国の債券やウォンが暴落する可能性もあるのだ。

 すでに米連邦準備理事会(FRB)は、北朝鮮関連の取引について韓国系銀行のニューヨーク支店に警告を発している。それにより、韓国系銀行のコルレス(国際決済口座)によるドル取引は凍結状態で、アメリカや日本の銀行を仲介するかたちで国際送金を行っている。いわば、韓国は日米に生殺与奪を握られている状態なのだ。

 また、たとえば文大統領が「SDNリスト」(アメリカの経済制裁の対象となる人や国、法人のリスト)入りすれば、韓国内の文大統領の銀行口座などは凍結され、それに応じなければ韓国の銀行はドル決済ができなくなって経営危機に陥ることになる。これは大統領令で行使できるため議会の承認は不要で、ドナルド・トランプ大統領のさじ加減ひとつだ。

 いずれにせよ、瀬取りの監視は日本だけで行っているのではなく、国連安保理決議に基づく共同作戦であるため、韓国のレーダー照射は国際社会への宣戦布告といっても過言ではない。仮に日本が同じことをすれば、防衛大臣と統合幕僚長の更迭は確実で、首相の責任問題にまで発展するだろう。果たして、韓国はどのように落とし前をつけるつもりなのだろうか。
(文=渡邉哲也/経済評論家)

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『2019年 アメリカはどこまで中国を崩壊させるか:そして日本が歩む繁栄の道』
中間選挙でアメリカ議会は上院と下院で「ねじれ」状態になった。トランプ政権は民主党と共闘しやすい中国攻撃を加速させていく! 一方の中国は2019年に建国70年記念を迎えるため、メンツとして決して譲歩できない状態だ。2019年は欧州で英国のEU離脱、欧州議会選挙、日本では天皇陛下のご譲位、消費税増税など、国際的に大きなイベントが目白押し。加えて徴用工問題で韓国は墓穴を掘り、朝鮮半島情勢も混沌としていく! 米中は、世界は、アジアはどう変わっていくのか。日本の行方は? 気鋭のエコノミストが分析する!

ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2019/01/post_26230_2.html
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https://biz-journal.jp/2019/01/post_26230_2.html


 

韓国の火器レーダー照射理由は、瀬取り支援ではなくもっと秘密にしたい別の理由があるとの情報が…
2018-12-31 00:34:48
テーマ:韓国
防衛省が「韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について」という動画を公開したことにより、、韓国側の主張がことごとく嘘だったことがバレたが、そんなことにはめげることがない強い韓国が発揮されて、世界が唖然としている。

動画をみると、韓国の言い分は全部嘘だとわかるが、小さな漁船が見て取れるが、瀬取りをしているのかどうかよくわからない。

どうも瀬取りではないらしいのだが、余りに強く韓国がレーダー照射を否定すると尚更韓国艦艇は怪しいことをしていて、どうしても日本に知られたくないために謝罪できないようだ。

つまり外交的に問題になってもそれでもレーダー照射を否定する、強引に「日本海軍」が悪いという方向に持ち込もうとしている。朝日新聞の必死の応援が笑える。

浮気がばれた夫が、妻から浮気の証拠を突きつけられても、絶対に認めないという哀れな夫のような韓国政府だ。

瀬取りではないとすると、隠れてこそこそやっていたことは何か、どうしても隠したいことは何なのか。

「戦後体制の超克」の昨日の記事の中で、一つの可能性が示唆されていた。読むとなるほどそういうことかもしれないと思わされた。脱北者の見解だ。

以下引用します。

「脱北者キムテサン氏の記事

盧武鉉は金正恩に媚を売ろうとして2008年に漁船に乗って降りてきた子供を含む22人を強制送させて死なせるという許されない罪を犯した。今度はムン政府が再び同じ罪を犯したものと思われる。

ニュースは、北の船舶が周辺の船舶に救助要請信号を送ったので、駆逐艦を送って救助したという。

しかし、発見するのが難しいので火器管制レーダーまで動作させたという。

疑わしいと思われる部分がたくさんある。

まず、1トンにも満たない小さな北朝鮮の木船には、明らかに無線機はない。なら、彼らはどんな方でどのようにして周囲の船舶に救助要請を送ったのか。

第二に、ニュースの通りなら、北朝鮮の木船に近い船が先に救助要請を受けたのなら、その船がすぐに救助するが、あえて遠くにいた駆逐艦まで呼んで火器管制レーダーまで動員して救助した理由は何なのか?

第三に、北朝鮮の漁船が東海上で漂流しているということを韓国はいかにして知ったのかという問題だ。

私の考えでは、平壌から漁船を見つけて返すようにという命令を受けたのではないか?

金正恩の命令を受けた大統領府はびっくり驚いて、東海上を調査して漁船を見つけるために、小さな警備艇ではなく高性能レーダーが搭載された駆逐艦を派遣したのだ。そして、かれらを救助するとすぐ、金正恩の命令通り強制送還させてしまった。いや、むしろ、その船に乗っていた北朝鮮の住民が韓国に亡命しようとしたという告白書まで受け渡すという忠誠心を金正恩に見せたのではないか?

第四の疑問は金正恩とムンジェインがここまで大々的に捜索して北送したのを見れば、その木船に乗っていた人たちは、普通の漁民または住民ではなく、公開されてはならない大きな秘密を持った愛国者たちではないか?

だからこそ、日本の海上自衛隊側の動向を知るため、火器管制レーダーまで使ったのではないか?

これらの4つの疑問について、政府と軍部は国民と世界の前で釈明しなければならない。

結論としてムン政府は、自由を求めて逃げてきた北朝鮮の住民を死に追い込むという恐ろしい殺人を犯した。

今は証拠がないが、いつか何らかの形で証拠は必ず出てくるものであり、その罪の代価を千倍にして支払わなければならない時が必ず来る。」

(引用終り)

(注)引用中の「東海」表記は、脱北者の書いたものであるのでそのままとしました。

上記の脱北者の推測は大いに説得的なものと思われる。恐らく、短期間に真実が明らかにされることはありえないだろうが、徐々に情報は漏れてくるはずだから、この推測は覚えておいてよい。

韓国は北の要請に従い、北の人民の弾圧に手を貸しているということだ。

その他核物質のやり取りなどとも推測されているようだが、これもあり得るだろう。

ここでもわかることは、韓国政府、文在寅大統領はもう韓国として独立した国ではないということを証明している。つまり、北朝鮮の支配下にあるということ。これまでは韓国の軍部が北への砦のように思われていたが、これまでの動きからすれば、韓国軍自体も完全に北の支配下にあるということができよう。

 もしそうなら、逆に韓国軍によるクーデタの可能性も否定できないかもしれない。文在寅とその配下の左派官僚たちのやり過ぎ、つまり国軍や国家情報院(旧KCIA)内部の元トップ逮捕や骨抜き等をやり過ぎてそれに反発する勢力が必ず残っているからだ。

また来年は韓国の動乱が再び始まる。それは日本に取って良いことと言えるが。

(注)文在寅による韓国軍の弱体化

国家情報院粛清

・韓国の朴槿恵前大統領時代の情報機関・国家情報院(国情院)による大統領府への秘密資金上納事件で、ソウル中央地裁は6月15日、歴代の院長3人に実刑判決を言い渡した。

・文在寅政権が誕生後、詳しい日時は不明なものの、国家情報院において徐薫国情院長から「北朝鮮に対する一切の工作活動を禁止する」と命令されたという。

韓国軍

・今後の国防態勢に関する「国防改革2.0」には韓国軍の大規模な兵力削減計画が盛り込まれている。韓国軍の総兵力を現在の61万8000人から、11万8000人を削減して2022年までに50万人へ縮小するという。

この11万8000人の削減は全て陸軍の削減(約24%削減)であり、陸軍は約50万人から約38万人に削減される。この削減は、文在寅政権の陸軍に対する厳しい姿勢の表れである。なお、将官定員も76人を削減(陸軍66人、海軍及び空軍はそれぞれ5人の削減)し、436人から360人に約17%削減されることになる。
・陸軍の削減に連動して、5年後には最前線を守る師団数も11個師団から9個師団に減少し、各師団が担当する正面幅は現在のおよそ2倍である約40キロにまで拡大する。5年後の劇的な変化に対応ができるか否かが問われている。

・国境付近の非武装地帯における警戒監視体制を縮小する計画。非武装地帯に設けている監視所から兵士や兵器の撤収を行う計画があるという。
https://ameblo.jp/docomo1923/entry-12429540517.html

http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/234.html

[政治・選挙・NHK256] 5Gの地政学 「ファーウェイ外し」加速か、欧州で議論白熱 HUAWEI排除は日本にとって大きな損失とも
 
5Gの地政学
2019.1.16(水) 渡部 悦和
ファーウェイの2018年売り上げ予測1085億ドル超 前年比21%増
展示会でのファーウェイの出展ブース(2018年8月29日撮影、資料写真)。(c)CNS/張斌〔AFPBB News〕

 証券業界を中心として「地政学的リスク」という用語が頻繁に用いられている。

 地政学的リスクとは、ある特定の地域が抱える政治的・軍事的な緊張の高まりが、世界経済全体の先行きを不透明にするリスクのことだ。

 2018年に勃発した米中貿易戦争は、「米中覇権争い」の一環であるが、まさに世界経済全体にとってのリスクであり、多くの識者や研究機関が「米中覇権争い」を2019年における最大の地政学的リスクだと指摘している。

 そして、この米中覇権争いは、「米中のハイテク覇権争い」の様相が濃くなってきている。現在焦点になっているのは「中国製造2025」であり、中国が2049年の中華人民共和国建国100周年までに「世界の製造大国」としての地位を築くことを目標に掲げている。

 「中国製造2025」を批判する米国トランプ政権からは、そこに列挙されている第5世代移動通信システム(5G)などのハイテク10分野で、中国が米国に追いつき追い越す事態を何が何でも阻止するという強い決意が伝わってくる。

 本稿で焦点を当てる5Gは、中国が「中国製造2025」で重視している10の技術分野の中でトップに記述されている最重要な技術だ。

 5Gが普及した暁には、情報通信、自動運転、ロボットなどの無人システム、医療、セキュリティなど多くの分野で革命的な変化が起こると期待されている。

 最近、5Gに関連して、「5Gの地政学(The Geopolitics of 5G)」という表現を使う論考が増えてきた。

 例えば、国際政治学者イアン・ブレマーが社長を務めるコンサルティング会社「ユーラシア・グループ」が、昨年11月15日、“The Geopolitics of 5G”という報告書を公表した。

 また、中国人民解放軍の研究者で有名なエルサ・カニアが中国における5Gの軍事活用に関する論考*1を1月8日に発表している。

*1=Elsa Kania、“Why China’s Military Wants to Beat the US to a Next-Gen Cell Network”

 これらの論考では、「5Gの技術とその応用において中国の企業(ファーウェイやZTEなど)が他の諸国をリードしている。

 中国5Gの優勢を阻止しようとする米国などの動きにより、世界が5Gをめぐり2分され、世界の経済や安全保障に大きな影響を及ぼす。米中覇権争いの象徴である5Gが引き起こす地政学的リスクが今後焦点になる」と指摘している。

ユーラシア・グループの「5Gの地政学」
 「ユーラシア・グループ」は、毎年世界の10大リスクを発表しているが、2019年の10大リスクの中で、「米中の覇権争い」がリスクの2番目に挙げられている。

 米中の対立は、5Gを巡る主導権争いから安全保障全般まで多岐にわたり、「5Gなどの技術革新が停滞する」冬の時代になるという危機感が表明されている。

 以下、「ユーラシア・グループ」が発表した報告書「5Gの地政学」の結論部分のみを紹介する。

●中国が5Gの先行者利得を獲得する

 中国が2020年、他国に先駆けて商業ベースの国内5Gスタンドアローン・ネットワーク(4G以前の技術とインフラではなく、5Gの技術とインフラのみを使ったネットワーク)を構築するため、先行者利得を獲得する可能性が高い。

 ちなみに、日本や米国などの商業5Gスタンドアローン・ネットワークの構築は2025年になると予想している。

 中国の他国に先駆けた5Gネットワークの実現は、政府一丸となった努力( 例えば、「インターネット+計画(2015)」と「第13次5カ年計画」)の賜物だ。

●中国製5Gは米国等の国家安全保障上のリスク

 米中貿易紛争や技術紛争が収まる兆候が見えないなか、中国製5G機器がもたらす国家安全保障上のリスクが中心テーマになっている。

 このような状況下で、米国及び米国の同盟諸国(日本や欧州諸国など)は、自らの5Gネットワークから中国製の技術や機器を排除する動きを継続するであろう。

 ある国が中国製の5G機器を使わないと決心すると、その国における5Gの導入は遅れることになる。

 なぜなら、中国企業にとって代わる企業(バックアップ・サプライヤー)は、品質の高い大規模な次世代ネットワークを開発・導入するために、新たな製造能力と人材を必要とするからだ。

●5Gを巡る2つのエコシステム(経済的な依存関係や協調関係)が世界を分断する

 下図を見てもらいたい。色がついた諸国は、何らかの形で外国製の5G機器を制限する国々だ。

 5Gのエコシステムは2つになる。一つは米国主導のエコシステムで、シリコンバレーの技術でサポートされる。

 もう一つは中国が主導するエコシステムで、ファーウェイなどの非常に能力の高い中国企業によりサポートされる。

図「重要な通信インフラの提供者に対する制限を検討している国々」

出典:ユーラシアグループの「The Geopolitics of 5G」
 中国と中国以外の2つの陣営に分断されることは、相互運用性に問題が生じるとともに、スケール・メリットが低下し、コストが増大する可能性がある。

 米国と中国は、5Gネットワークを巡る政治闘争を行うのみならず、5Gネットワークの上で実行される革新的なアプリケーションの開発でも競争している。

 米国はイノベーション能力の点で有利だが、中国は国内に5Gエコシステムを構築し、海外市場シェアを獲得するための競争を行っていて、先行者利益を得るだろう。

 5Gの導入が成功すれば、最終的には商業規模の次世代技術の展開が可能になる。

 これは勝者総取りのゲームではないが、5Gとその関連アプリケーションが才能ある人材と資本を引き付ける一方で、5Gネットワーク上で実行されるアプリケーションによって生み出される膨大なデータが更なる革新をもたらす好循環が実現するであろう。

 この好循環を利用したい第三国は、「どちらの5Gネットワーク技術と関連アプリケーションを採用するか」という難しい選択に直面する。

 各国政府は、米国と同盟諸国から5Gに対する中国への依存を避けるように圧力を受ける可能性が高い。

 同時に、コストに敏感な途上国は、中国の技術とその他の魅力―例えば、一帯一路構想を通じて利用可能なインフラやプロジェクトに対する資金提供を受けること―を諦めることは難しいだろう。

 特に中国が、最先端の技術アプリケーションを安価に提供できるので、これを排除することは難しいであろう。

デジタル・シルクロード(DSR: Digital Silk Road)*2
 一帯一路構想は、習近平主席が2013年に発表した壮大な経済圏構想であり、中国から欧州に至る海の「21世紀海上シルクロード」と陸の「シルクロード経済ベルト」からなる。

 この一帯一路構想の評判は良くない。発展途上国のインフラ(道路、空港、港など)の整備を行うのはいいが、その結果として発展途上国には支払い困難な膨大な借金が残り、その負債を払えなくなると、中国がその空港や港を管理下においている。

 そのため、中国には「債務帝国主義」という悪いレッテルが張られている。

 一方で、中国が重視するデジタル・シルクロードは、将来的に有望なダイナミックな構想である。

 このデジタル・シルクロードの狙いは、一帯一路加盟国(特に発展途上国)に中国の企業が建設する通信ネットワーク(光ファイバーやWIFI網など、将来的には5Gネットワーク)を整備し、結果として中国が統制可能なサイバー空間をそれらの国々に構築することだ。

 デジタル・シルクロードでは、一帯一路の沿線国に中国企業(ファーウェイやZTEなど)主導の通信ネットワーク構築によりブロードバンド接続を実現し、電子商取引をはじめとするデジタル化経済を推進する。

 また、AI、ロボット、スマート・シティーの建設分野での協力も推進している。その結果、中国は、これらの国々からビッグデータを獲得するとともに、これらの国々に対するデジタル支配を確立することが可能となる。

 デジタル・シルクロードは、中国による「ディジタル覇権」を可能にする非常に優れた構想ではあるが、発展途上国にとっても中国と覇権を争う米国にとっても非常に危険な構想だ。

 このデジタルシルクロード構想は、「5Gの地政学」に基づく中国独自の雄大な構想である。

 米国とその同盟国には、中国のデジタル・シルクロードのような、世界的に技術的影響力を拡大するための構想がなく、米国の危機感がここにある。

*2=Nyshka Chandran、“Surveillance fears cloud China’s ‘Digital Silk Road”

中国の5Gと「軍民融合」*3
 習近平国家主席は、「軍民融合」を国家戦略として推進している。

 習近平主席の軍民融合は、米国の軍産複合体をお手本として、人民解放軍と企業の人材や技術の密接な交流により、軍民のデュアルユース技術(軍と民がともに使用できる技術)の発展を促進し、経済建設と国防建設の促進を目指している。

 中国にとって、5G分野での米国などとの競争は、常に軍民融合と密接な連携の下で行われている。

 主要な中国企業(ZTE、チャイナユニコム、中国航天科工集団公司(CASIC))は2018年11月、「5G技術軍民融合応用産業連盟」を設立した。

 この連盟は、軍民の統合的発展を促進し、5Gの軍と民への応用を強化するもので、軍と民のシナジー効果を発揮するであろう。

 例えば、「CASIC第一研究アカデミー」は、5Gの航空宇宙における活用に焦点を当てて活発に活動している。

 また、国営の軍事企業である中国電子科技集団(CETC)は、5Gに必要な特殊なアンテナ、マイクロ波装置などの通信装置を開発している。

●5Gは「軍事智能化」を可能にする

 5Gは、戦場における通信を改善し、より速く・より安定した情報の伝達を可能にし、情報の時系列管理と統合を強化する。

 5Gは、戦場におけるIOT(モノのインターネット)や人工知能を実現するために必要な「伝送スピードと帯域幅」を提供することができる。

 その意味で、5Gと軍事分野におけるAI技術の連携により、人民解放軍が目指している「軍事智能化」が実現可能だ。

 中国の5G開発は、国防の情報化と軍事智能化に深い関係がある。

 5Gは、民のスマート・シティーにおける機器の間でやり取りされる膨大な通信量の処理を可能にする。

 一方で5Gはまた、軍事における各種センサーや各種装置で構成されるネットワーク間の膨大な通信量を処理し、軍における「情報化から智能化への戦い方の転換」を可能にする。

 そして、データ分析を促進することにより、状況認識の改善を可能にし、リアルタイムの調整や指揮・統制を可能にする。

 そのため、膨大で統合された5Gインフラは、民のスマート・シティーと人民解放軍に将来的な可能性を提供することになる。

 5Gはまた、より安全なネットワークを提供することになる。なぜなら、5Gによる広帯域化により、より複雑な暗号の使用が可能となり、複雑な電磁環境における秘密保全の強化がなされるからだ。

*3=この部分は、Elsa Kania、“Why China’s Military Wants to Beat the US to a Next-Gen Cell Network”を参考にしている。

●5Gは国家の国防動員に寄与する

 中国が享受する5G時代の到来により、有事におけるより大規模な国家動員が可能となり、軍に対する国家全体の支援能力が増大することになる。

 将来の紛争シナリオにおいて、地方自治体レベルまでカバーする国家システムの構築により、膨大な物資が迅速に動員され、人民解放軍の戦争遂行が支援される。

 民の経済およびインフラから軍隊が支援を受け取るという形態の軍民融合は、米国をはじめとする中国の敵対国に対する中国の優位性を示している。

 中国政府による中央集権が、地方の発展を国家動員に連結させている。

 報道されるところでは、2012年以来、スマート・シティーの建設が国防動員と連結されている。

 まさにスマート動員は、5GやAIの導入による相互融通性、リアルタイムの情報交換などを可能とする知能化ネットワークによって可能となる。

●地方レベルでの5G軍民融合

 中国における軍民融合の進展により、5Gの発展を国防情報化融合する試みが各地で進行中だ。

 例えば、重慶市は5Gネットワークの開発と適用のデモンストレーションを、チャイナ・テレコム、チャイナ・モバイル、中国航天科技集団(CASC)の参加を得て行っている。

 同じように、四川省では、5Gにおける軍民融合のパートナーシップの促進を行っている。

 民間企業の一部は、5G関連の軍民技術とその応用におけるビジネスチャンスを認識している。

 例えば、5Gを活用した高周波フェーズド・アレイ・レーダー(位相配列レーダー)で使われるチップを市場に提供しようとしている。

 つまり、中国では5G軍民融合を国を挙げて行っている。

おわりに
 5Gの軍事利用に関しては、中国だけではなく米国などでも計画されている。

 5Gは既に記述した軍事利用の分野のみならず、兵站(補給や整備など)やサプライ・チェインの可視化を可能にする。

 また、5Gにより次世代のC4ISR(指揮・統制・通信・コンピューター・情報・監視・偵察)は飛躍的に発展するであろう。

 そして、5Gおよびその関連技術とAIの相乗効果は、将来の軍事戦略・作戦・戦術を大きく変えるであろう。

 5Gは、その重要性ゆえに米中の覇権争いの象徴的存在になっている。

 米国は、5Gのトップ企業であるファーウェイやZTEを米国市場から締め出し、同盟国や友好国にも同様の行動をとるように促している。

 結果として、5Gが2つのエコシステムが存在する分断された世界を作ることになる。

 米国の中国製5G排除の試みは今後とも長く継続するであろう状況において、我が国が5Gに関していかなる選択を行うかである。

 米国政府は、ファーウェイ製の通信機器の使用中止を我が国にも要請していると報道されている。

 我が国は、米国政府の要請を受け入れて、中国製の5Gネットワークを拒否し、米国の陣営に入るべきだと私は思う。

 また、我が国の通信機器メーカーは、4Gまではそれなりの存在感を示してきたが、5Gになると中国企業の技術と安さに対抗するのが難しい状況になっている。

 しかし、米国とその同盟諸国がファーウェイなどの中国企業を排除する状況に鑑み、5Gの分野における政府および日本企業の特段の努力により、我が国の5Gネットワークは日本の技術と機器で構築してもらいたいと思う。

 そして、中国のデジタル・シルクロードに対抗して、世界市場においても影響力を及ぼす企業になってもらいたいものだ。

 我が国にとっての「5G地政学」の教訓は、5Gは我が国の安全保障の骨幹に関わる重要な技術であり、AIと共に将来の日本の安全保障に直結する技術だということだ。

 今後とも最先端の技術に焦点を当てた技術安全保障が重要になるであろう。

 以上の理由により、重要な技術分野に関しては、政府や一部官庁・民間企業のみの取り組みではなく、日本国家挙げての取り組みが切に求められている。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55211


 

 

トップニュース2019年1月15日 / 16:14 / 2時間前更新
アングル:
「ファーウェイ外し」加速か、欧州で議論白熱
Reuters Staff
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[14日 ロイター] - 中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)は、同社の販売担当幹部がポーランド当局によりスパイ容疑で逮捕されたのを受け、欧州市場へのアクセスを巡る問題に直面している。

同社ポーランド法人の王偉晶氏とポーランドの元安全保障当局者の拘束により、ポーランド政府が国家安全保障上の観点から公的機関でのファーウェイ製品の使用を禁止する可能性が出ていると、ある高官は13日語った。

米国ではすでに公的機関での同社製品の使用は禁止されており、オーストラリアとニュージーランドでも次世代高速通信「5G」ネットワーク構築に際し中国企業を制限する措置を講じている。

欧州では、「ファーウェイ外し」で米国やその同盟諸国に足並みをそろえるべきかどうか、議論がヒートアップしている。懸念の中心にあるのは、中国の国家情報法だ。同法は中国の「機関や市民が、同法に従って、国家の情報活動を支援し、協力する」ことを義務付けている。

ファーウェイ側は自社のネットワークは安全だと主張している。同社は12日、「疑いのもたれている王氏の行動は自社とは関係ない」として同氏を解雇した。

欧州や同地域の主要な一部市場において、ファーウェイを巡る現状を以下にまとめた。

●欧州連合

域内の産業や安全にもたらすリスクのため、欧州連合(EU)はファーウェイや他の中国テクノロジー企業を懸念すべきだと、テクノロジーを担当するEU欧州委員会のアンシプ副委員長は12月に語った。

アンシプ氏の発言は、ファーウェイの孟晩舟・最高財務責任者(CFO)が、対イラン制裁を回避するために国際金融システムが利用された疑惑を捜査している米国の要請により、カナダで逮捕されたのを受けてのもの。

●ドイツ

ドイツは国家安全保障上の観点から、中国通信機器企業禁止の是非を議論しているが、禁止する法的根拠はないとしている。同国の情報セキュリティー庁(BSI)は、ファーウェイによる欧州研究所の新設を歓迎した。同研究所は、規制当局がファーウェイ製機器を検査することを可能にするという。

欧州最大の通信大手ドイツ・テレコム(DTEGn.DE)は12月、取引する主要ネットワーク機器業者4社についてグループ全体で見直しを行っていると明らかにした。その中にはファーウェイも含まれている。これは、米事業のTモバイル(TMUS.O)が260億ドル(約2.8兆円)規模の米スプリント(S.N)との合併について米金融当局から承認を得るためには不可欠である。

ドイツの他の通信企業は今のところ、中国企業との関係を維持している。

●英国

英国政府の報告書を受け、ファーウェイは安全への懸念に取り組む対策の一環として20億ドルを投じると約束した。技術的な問題やサプライチェーンに関する問題により、通信ネットワークが新たなセキュリティー上のリスクにさらされていると同報告書は指摘している。

20億ドルを投じるというこの約束が発表される前、ファーウェイが自社製品のセキュリティー上の重大な欠陥を修正しなかったことに関する同社とのミーティングに出席した英当局の高官が、途中で退席するという出来事があったと、事情に詳しい関係筋は12月にロイターに明らかにした。

●フランス

フランス最大の通信会社オランジュ(ORAN.PA)は、自社の5Gネットワーク構築にあたり、ファーウェイには頼らないとしている。その理由として、フランス当局がセキュリティー上の懸念を持っていることを挙げた。

フランス市場においてオランジュはファーウェイの顧客ではないが、ファーウェイはオランジュの海外ネットワークには機器を供給しており、5Gネットワーク構築にも関与することが予想されるとしている。

●ノルウェー

ノルウェーはファーウェイを自国の5Gネットワーク構築から排除するかどうか検討していると、法務相は9日語った。

欧州・アジアの8カ国で契約数1億7300万人の国営通信会社テレノール(TEL.OL)は、2009年に初めてファーウェイと大口契約を結んだ。ファーウェイにとってこの契約は、世界進出する足がかりとなった。

テレノールと競合のテリア(TELIA.ST)は現在、ノルウェーでファーウェイの4G機器を使用しており、試験段階の5Gネットワークで同社製機器をテストしている。

●チェコ

チェコのサイバーセキュリティー当局は12月、セキュリティー上のリスクがあるとして、自国の通信会社にファーウェイや中興通訊(ZTE)(000063.SZ)などの中国通信機器サプライヤーが製造したソフトウエアやハードウエアを使用しないよう警告した。

一部の通信会社はチェコで5Gを試験しているが、通信会社「CETIN」を所有する投資会社PPFグループは、ファーウェイと5Gで協力する覚書を交わした。5G周波数帯の競売は2019年に予定されている。

(翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)
https://jp.reuters.com/article/eu-huawei-idJPKCN1P90IF


 


 


政府調達からHUAWEIと中国・ZTEを排除方針 HUAWEI排除は日本にとって大きな損失とも


2019年01月13日 01時20分 週刊実話

記事まとめ
日本政府は、事実上、政府調達からHUAWEIと中国・ZTEを排除する方針を固めている
HUAWEIは日本経済団体連合会(経団連)加盟企業で、日本との結び付きは深い
製品の評判もよく、ソフトバンクやNTTドコモと5G中核技術の実証実験を行っていた
アメリカの言いなり「ファーウェイ排除」は日本にとって“危険な賭け”
2019年01月12日 01時10分 週刊実話

アメリカの言いなり「ファーウェイ排除」は日本にとって“危険な賭け”
(提供:週刊実話)

日本政府は名指しこそ避けたものの、「サイバーセキュリティーを確保するため、情報システムに悪意のある機能が組み込まれた機器を調達しない」と明言し、事実上中央官庁システムなどの政府調達からファーウェイと中国・ZTEを排除する方針を固めている。

 ファーウェイの実態は、世界トップクラスのICT企業だ。通信事業者向けネットワーク事業、法人向けICTソリューション事業、スマホなどコンシューマー向け端末事業の三本柱で売上高は10兆円を突破しているが、その半分を中国以外の海外で稼いでおり、孟晩舟同社CFOが日本からの励ましレターに謝意を表明したほど日本や日本企業との結び付きは深い。

 「実はファーウェイは日本経済団体連合会(経団連)加盟企業なのです。2005年に日本法人を設立していますが、それから6年後の11年に加盟しています。中国企業としては初めてのことでした。ですから経団連としても、加盟企業を日本市場から締め出そうというのですから内心穏やかであるはずがありません」(経済ライター)

 日本及び日本企業との結び付き方は3つだ。

〇コスト・パフォーマンスの高いファーウェイ製品の評価は高く、次世代通信規格(5G)ネットワークでも無線機市場のシェアを拡大させようとしており、実際にソフトバンクやNTTドコモと5G中核技術の実証実験を行っていた。また日本の通信事業者(キャリア)向けサプライヤーとしては、最も関係が深いのはソフトバンクだ。ソフトバンクの携帯基地局の中核装置の大部分にファーウェイ製の無線機が採用されている。
〇ジャパンディスプレイ(JDI)の液晶パネル、ソニーのCMOSイメージセンサー、村田製作所や京セラの多様な電子部品がファーウェイ製スマホに搭載されており、これら日本からの調達額は、17年で約4916億円に達している。
〇日本メーカーから部品を調達するだけではなく、その調達先企業とR&D(研究開発)のパートナーとして共同開発することで、互いに技術革新のスピードアップを図ろうとしていた。

 米国の圧力下、日本企業が一斉にファーウェイ排除に動くとなれば、その損失は大きいと言わざるを得ない。

週刊実話
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「Huawei(ファーウェイ)」の記事
ポーランド政府も華為禁止か
スパイ容疑の華為社員解雇
HUAWEI勤務中国人逮捕/欧
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12151-163925/


 

ファーウェイ、欧州の野望危うし 社員スパイ容疑
レヴァンドフスキ選手を起用したファーウェイのスマホ広告(昨年12月、ワルシャワで撮影)
ARRIENS/ZUMA PRESS
By Matthew Dalton
2019 年 1 月 15 日 09:31 JST 更新

 【ワルシャワ】中国の華為技術(ファーウェイ)はポーランド進出以降10年間に同国の通信網の中核に君臨し、有力な外資系企業としての地位を築いた。

 だがポーランド当局はここ数カ月、ファーウェイへの 依存度の高さが中国によるスパイの脅威にさらされかねないとの危機感をひそかに募らせていた。

 その懸念は11日、ファーウェイ現地社員の逮捕という形で露呈する。

 当局はファーウェイ社員と仏通信大手オレンジのポーランド社員の2人をスパイ容疑で逮捕した。両容疑者は収監されており、担当弁護士のコメントは得られていない。ファーウェイは先週末、ポーランド当局に逮捕された社員を解雇したと明らかにし、疑いが持たれている行動と「当社は何の関係もない」と説明した。

 ポーランドの安全保障当局者は逮捕を受けて、通信網を損ねる、または中国当局の怒りを招くことなく、いかにファーウェイ絡みの脅威を低減するか、目下議論を重ねている。ファーウェイについては、進出先の国でスパイを行うよう中国当局に利用されるとの懸念が根強い。このため今回の逮捕でファーウェイへの国際的な圧力がさらに高まっている。

 ポーランドの当局者は先週末、ファーウェイ製品利用による安全保障上の問題を調べており、ポーランドでの販売を制限するよう勧告すべきか検討していると明らかにした。米国はとりわけ、次世代通信規格「5G(第5世代)」通信網の整備において、ファーウェイ製品を排除するよう同盟国に求めている。

 ポーランドが北大西洋条約機構(NATO)加盟国であることも、ファーウェイとの関係を巡る問題の切迫性を高めている。ポーランドのサイバー防衛当局者トップ、カロル・オコンスキー氏は先週末、国内メディアに対し「NATOからの情報や意向を受け、近く勧告を出すことを目指している」と述べた。

 ファーウェイを制限することは、ポーランドと同社の両方に著しい影響をもたらす。ルーターから携帯の中継塔、通信大手4社に対するセキュリティーサービスまで、一部データでは、ファーウェイは同国の通信インフラ市場の50%近くを占めると推定されている。


Poland’s Pressure on Huawei Puts European Market at Risk
Poland’s Pressure on Huawei Puts European Market at Risk
 ポーランドがNATO加盟国であることも、ファーウェイとの関係を巡る問題の切迫性を高めている。Dan Strumpf記者が解説(英語音声、英語字幕あり)
 オコンスキー氏は「とりわけ重要インフラに絡み、政府機関や国有企業などがファーウェイ製品をどの程度広く利用しているのか調査している」と述べた。

 ファーウェイにとっても、ポーランドは最大の海外市場の一つで、中・東欧地域の事業拠点でもある。ポーランド政府は現在、複数の大規模な通信プロジェクトに着手しており、ファーウェイにとっても大きな商機だ。ポーランド通信市場で大手2社を形成する仏オレンジ、TモバイルUSはすでに、5Gの実証プロジェクトでファーウェイ製品の採用を決めている。

 ファーウェイはスマートフォンメーカーとしても、ポーランドで人気だ。インターナショナル・データ・コーポレーション(IDC)によると、2018年7-9月期(第3四半期)に、ファーウェイはスマホの市場シェアが33.5%と、サムスン電子に次ぐ第2位を占める。ポーランド人の有名サッカー選手、ロベルト・レヴァンドフスキをブランド大使に任命し、消費者の間で一気に知名度を上げた。

 一方、スパイ容疑での逮捕により、ポーランド当局者がかねてから抱いていていたファーウェイに対する疑念は一層深まりそうだ。

 ポーランドのデジタル担当省元高官、クシシュトフ・シュベルト氏は「今後、さまざまな疑問が出てくるだろう」と述べる。

 スパイ容疑の詳細は不透明なままだ。前出のオコンスキー氏によると、容疑は経済スパイに関するもので、ファーウェイ製品にセキュリティーの「バックドア(裏口)」を搭載した可能性に関するものではないとしている。

 逮捕されたファーウェイ元社員の王偉晶氏容疑者は、広報責任者を5年間務めた人物で、ポーランドにおけるファーウェイの認知度アップを任されていた。ポーランド各地で開催される会議やイベントに会社の顔として登場。直近では、ファーウェイ製品の政府系組織への販売を担当していた。

 シュベルト氏は「ファーウェイは多くの時間をかけてポーランドでの評判を築き上げてきた」と話す。

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ファーウェイ、中国政府のスパイでない CEOが反論

ファーウェイの任正非CEOは、自社が中国政府のためにスパイ活動をしたことはないと主張した PHOTO: THEODORE KAYE FOR WALL STREET JOURNAL
By Dan Strumpf and Josh Chin
2019 年 1 月 16 日 00:59 JST

 【深セン(中国)】中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の創業者で最高経営責任者(CEO)の任正非氏(74)は15日、自社が中国政府の手先としてスパイ活動をしたことは一切ないと主張した。娘で最高財務責任者(CFO)の孟晩舟氏がカナダで逮捕されたことを受けて、珍しく公の場に姿を現した。

 任氏は「企業に不正を強いる法律は中国にはない」とした上で「私個人も、顧客の利益を害するようなことは決してしない。私と私の会社は、そのような要請には決して応じない」と強調した。

 ファーウェイの包囲網が狭まる中での発言だった。孟氏を巡っては、ファーウェイとイランとの取引についてうその証言をしたとして米当局が身柄の引き渡しを求めている。ファーウェイは主要市場数カ国から締め出されている。先週にはポーランドの従業員がスパイ容疑で逮捕された。

 任氏は中国政府の要求をいかに退けるかという点については具体的に説明しなかった。中国で事業展開する全ての企業は、国家安全保障に関わる事案の場合、政府に顧客情報を提出するよう義務付けられている。中国では国家安保上の脅威の定義は幅広く、共産党への批判も含まれる。

 任氏は娘について、正義が勝つと期待していると話した。孟氏は米当局の要請によって昨年12月1日にバンクーバーで逮捕されたが、容疑を否定している。

 人民解放軍出身の任氏は、ドナルド・トランプ氏は「素晴らしい大統領」だと称賛し、ファーウェイは従業員が所有する会社だと主張した。米国はファーウェイの中国政府とのつながりを警戒し、同社製通信機器が中国政府のスパイに利用されている可能性について懸念を示している。

 ポーランドで逮捕された従業員の場合、中国のために情報を収集した嫌疑がかけられている。ファーウェイはこの従業員を解雇し、その行為は自社とは一切関係ないと釈明した。

 こうした出来事が中国を揺るがし、米中貿易摩擦緩和に向けた交渉に影を落とした。中国の裁判所は14日、麻薬密輸で有罪となったカナダ人に死刑判決を言い渡した。孟氏の逮捕を巡る米中の衝突にカナダが巻き込まれた格好だ。

 ファーウェイは従業員数が18万人に上る通信機器の世界最大手。ルーター、スイッチ、基地局などの製造でスウェーデンのエリクソンやフィンランドのノキアと競争している。スマートフォン分野では、昨年7-9月期に米アップルを抜いて韓国サムスン電子に次ぐ世界2位に躍り出た。

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 任氏はファーウェイが国家安保上の脅威だとする主張に反論したほか、ファーウェイは純粋に従業員が所有する企業だとあらためて強調した。株主は9万7000人近くに上るが、外部の主体は同社株を一切保有していないと説明した。

 任氏は「社外で当社の株式を保有する投資家はいない。1セントたりともだ」と強調した。

 任氏はファーウェイ深セン本社内の、緑と金のシャンデリアが輝く会議室で記者団に語った。トランプ大統領の減税政策も称賛した一方、米中貿易摩擦は世界にとって有害だとの見方を示した。「情報社会では相互依存が非常に重要だ」とし、「この相互依存こそが人類の進歩を加速させている」と話した。

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https://jp.wsj.com/articles/SB12250560541630003535904585063661017895340
http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/324.html

[戦争b22] 米国防情報局:中国が核兵器搭載可能な長距離爆撃機を開発中の公算  
米国防情報局:中国が核兵器搭載可能な長距離爆撃機を開発中の公算
Tony Capaccio
2019年1月16日 11:03 JST
中国は米ロに比肩する核兵器輸送システムの「3本柱」を得る−報告
中国は空や海上、宇宙、情報分野に及ぶ頑強で破壊的な力を構築中

米国防情報局の最新報告書によると、中国は核兵器を輸送できる長距離爆撃機と、攻撃へのより迅速な対応に利用可能な宇宙ベースの早期警戒システムを開発している可能性が高い。

  15日に公表された同報告書は、この爆撃機の開発により中国政府が地上核兵器計画と大陸間弾道ミサイル(ICBM)技術搭載潜水艦を合わせて、米国やロシアに比肩する核兵器輸送システムの「3本柱」を得ると指摘した。

  同報告書を執筆したロバート・アシュリー中将は、「中国は空や海上、宇宙、情報の各分野に及ぶ能力を備えた頑強で破壊的な力を構築しており、これにより同国が自らの意志を域内に押しつけることが可能になる」と述べた。

原題:Pentagon Sees China Seeking Nuclear Bomber to Compete With U.S.(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-16/PLEHHE6KLVR601?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/507.html

[経世済民130] 習国家主席の「夢」、最大の敵は自分自身 中国人民銀が過去最大の資金供給 新築住宅価格、12月も底堅く推移 大都市で上昇 
習国家主席の「夢」、最大の敵は自分自身

フィックリング 
コラムニスト:David Fickling 

2019年1月16日 11:22 JST
• 自給自足を目指した時代の「自力更生」という言葉を習氏は多用
• 「中所得国のわな」、回避できるのは政府が国民を信じてこそ
中国の経済的台頭を止めることで米国の優位性維持を狙うのが、トランプ政権内の対中強硬派だ。中国の習近平国家主席が米国と同じゴールを目指しているように見えるのは奇妙なことだ。
  中国が今直面する問題は、イノベーション(技術革新)に欠け賃金上昇が競争力を損ねるなどして高所得国の仲間入りができないという「中所得国のわな」だ。中南米諸国や旧ソ連、中東の大国は日米欧との経済格差を埋められなかった。アジアでは比較的小さな経済規模のシンガポールと香港、台湾、韓国がこのわなを回避している。
Stuck in the Middle With You
Singapore, Hong Kong, and South Korea are rare exceptions to the rule that emerging economies struggle to graduate to high-income status

Source: World Bank
Note: Shows gross national income per capita. The World Bank currently defines middle income countries as those with GNI between about $1,000 and $12,500.
  中国の経済政策当局がこうしたリスクを認識しているのは確実だ。アジア開発銀行向けの2017年の報告書によれば、欧米の怒りを買っている「中国製造2025」は中所得国のわなを避けるために付加価値の高い輸出産業群を築き上げようという試みにほかならないようだ。アジア開銀関係者による12年の論文は、多くの輸出だけでは十分ではないとしている。テクノロジー開発の好循環を促すような最先端を行く多様な製品が必要だという。
Long March
China has grown into an upper middle income economy, but it's a still far from joining the higher income club

Source: World Bank
  これこそが習主席が中国を間違った方向に導きつつある政策だ。その種の輸出セクター構築は予測不可能で、多様な民間企業による無数の異なるアプローチがある場合にのみ最も良く機能する。だが習主席は民間セクターの利点を軽視し、硬直化した大手国有企業を常に重視している。
  中国が自給自足を図った「大躍進政策」で毛沢東初代国家主席が使っていた「自力更生」という言葉を習主席は好む。正反対の政策であるケ小平氏が推進した開放改革を称賛する演説でさえこの言葉を用いる。
  単なるレトリックではないようだ。政府の統計によれば、18年1−11月の民間企業による固定資産投資は3年前と比べ18%増。国および国有企業のペースは倍の36%増だ。17年末時点の公的固定資産支出は5年前から88%増えたが、国有企業の増益率は17%にすぎなかった。このギャップは特に懸念すべきで、生産性の伸び悩みは中所得国のわなに陥る重要な因子だ。
Profit Motive
Profits by China's state-owned enterprises have risen, but not dramatically

Source: China Ministry of Finance, Bloomberg Opinion calculations
Note: February figures have been averaged over January and February, as January figures aren't available.
  中国台頭の原動力となってきた都市部における膨大な労働力はほぼ尽きたようで、労働者は減少している。1人当たりの資本ストックは14年時点でまだ韓国の1990年代後半の水準程度だった。中国農業銀行のチーフエコノミストを務めていた向松祚氏は北京での先月の講演で、2018年の中国経済は辛うじて成長したもようだが、「長期の非常に難しい時期」に直面していると述べた。
  中国は今、成長エンジンをふかし続けるため、あらゆる側面を強力に後押しする必要がある。だが習主席の自力更生政策は中南米諸国が戦後に選好した輸入代替工業化政策に一段と似つつある。
  これまで多くの経済が直面した中所得国のわなを逃れる力を秘めた中国だが、その実現は生産的な国民の才能を政府が信じてこそだ。今世紀半ばまでに「豊かで強力な国」になるという習主席が掲げる「中国の夢」の最大の敵はトランプ米大統領ではない。習主席自身だ。
  (デービッド・フィックリング氏は商品および工業・消費者向け製品企業を担当するブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。同氏はブルームバーグ・ニュースやダウ・ジョーンズ、ウォールストリート・ジャーナル、フィナンシャル・タイムズ、ガーディアンで記者をしてきました。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)
原題:Xi’s Leading China Toward Economic Stagnation: David Fickling(抜粋)
This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-16/PLD63G6JIJUO01?srnd=cojp-v2


 

ビジネス2019年1月16日 / 12:00 / 41分前更新
中国人民銀が過去最大の資金供給、流動性維持で5600億元
Reuters Staff
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[上海 16日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は16日、リバースレポで短期金融市場に過去最大の資金を供給した。

市場筋によると、人民銀は、7日物を通じて3500億元(516億8000万ドル)、28日物を通じて2200億元を供給。

この日は100億元のリバースレポが満期を迎えるため、差し引きで5600億元の供給となる。ロイターの算出によると、1日の供給額としては過去最大。

人民銀の動きを受け、市場のセンチメントが改善。中国10年債先物CFTH9は0.3%超上昇した。

人民銀行は、この日の供給について、銀行システムの「適度に潤沢な」流動性を維持することが狙いだと表明。納税のピーク期を迎えているため、大量の資金を供給したとし「銀行システム全体の流動性が急速に低下している」と説明した。

ウェブサイトに声明を掲載した。

景気減速への対応として、当局の政策緩和へのシフトがより明確になった。

ナティクシスのアジア新興国担当シニアエコノミストは「12月の貿易と製造業の統計が非常に悪かったため、当局の間ではより決定的な支援が必要とのコンセンサスが広がった。きょうの大規模供給はその表れ。中国経済には支援が必要ということを明確に示している」と述べた。

CITIC証券のフィクストインカム・リサーチ部門のトップは、資金供給は納税や旧正月休みを控えた現金需要の高まりなど、季節要因に対応するものと指摘した。今年の旧正月の休みは2月初旬。

*内容を追加しました。
https://jp.reuters.com/article/china-openmarket-idJPKCN1PA07S


 


ビジネス2019年1月16日 / 11:40 / 30分前更新
中国の新築住宅価格、12月も底堅く推移 大都市で上昇
Reuters Staff
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[北京 16日 ロイター] - 中国の新築住宅価格は、昨年12月も底堅く推移した。政府が不動産価格の抑制策を導入しているものの、大都市で住宅価格が値上がりした。

中国当局は、預金準備率の引き下げなど、相次いで景気下支え策を打ち出しているが、これが不動産価格を下支えしている可能性がある。

中国国家統計局が発表したデータに基づくロイターの算出によると、12月の中国主要70都市の新築住宅価格は平均で前月比0.8%上昇し、11月(0.9%上昇)から鈍化した。

前月比ベースでは44カ月連続の上昇。70都市の大半では前月比で新築住宅価格が上昇した。ただ、価格が上昇した都市は11月の63都市から59都市に減少しており、伸びが鈍化する兆しも出ている。

前年比では9.7%上昇し、伸び率は11月の9.3%を上回った。2017年12月の5.4%上昇を大幅に上回っている。

統計発表を受け、中国株式市場の不動産株指数.CSI000948は値上がりしている。

アナリストは、不動産購入規制の一部緩和が、急激な景気減速を回避する手段の1つとなるが、不動産バブルや家計債務拡大のリスクを踏まえると、全国的な規制緩和の可能性は低いと指摘している。

<大都市で上昇>

12月は、中小都市との比較で、北京、上海、深セン、広州といった大都市の価格上昇が目立った。大都市の住宅価格は前月比1.3%上昇。11月は0.3%上昇だった。

最も値上がりしたのは広州で、前月比で3%上昇した。

2級都市と3級都市は、ともに前月比0.7%上昇。

12月には山東省ホーツォー市が不動産販売規制を解除。これを受け、景気減速を背景に他の都市でも不動産規制が緩和されるのではないかとの観測が浮上した。

国営メディアによると、地方政府は約2年前から高騰する住宅価格の抑制策を打ち出しているが、政策を転換したのは、ホーツォー市が初めてだった。[nL3N1YO2B2]

不動産開発大手の碧桂園(2007.HK)、万科企業(2202.HK)、 中国恒大集団(3333.HK)の販売は、ここ数カ月伸び悩んでいる。

中国人民銀行(中央銀行)の報道官によると、2018年の新規不動産融資は6兆4500億元で、新規融資全体の39.9%を占めた。2017年の41.1%からやや低下した。

主要都市の住宅価格はここ数カ月、規制強化の影響で横ばいもしくは下落していたが、一部の小規模都市では依然、かなり値上がりしていた。

今回の統計では、長期にわたる不動産市場のブームが落ち着き始めている兆しが見られた。市場関係者は急激な値下がりは予想していないものの、不動産・建設業界の軟調は、経済全般の足かせになりつつある。

国家統計局は21日に不動産投資・販売統計を発表する。

*内容を追加しました。
https://jp.reuters.com/article/china-house-price-idJPKCN1PA078
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/600.html

[国際25] EU幹部や加盟国首脳、英議会の離脱案否決に遺憾表明 否決後のシナリオ 離脱延期の可能性 英金融業界、早急な移行計画求める

ワールド2019年1月16日 / 09:25 / 4時間前更新
EU幹部や加盟国首脳、英議会の離脱案否決に遺憾表明
Reuters Staff
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[ブリュッセル 15日 ロイター] - 英議会がメイ首相と欧州連合(EU)が合意した離脱協定案を大差で否決したことを受けて、EU幹部や加盟国首脳は相次いで遺憾の意を表明し、合意なき離脱など想定外の事態に対する備えを強化する考えを示した。

EUトップや欧州議会の英EU離脱交渉責任者、複数の加盟国首脳はツイッターで、合意がまとまらないままで3月29日の離脱日を迎える事態を回避するための選択肢を提示するよう英政府に求めた。

トゥスクEU大統領は、EU残留が英国にとって唯一の解決策との認識を示唆。「合意が不可能で、合意なき離脱を誰も望んでいない状況であるなら、唯一の前向きな解決策が何であるかを言う勇気があるのは誰だろうか」とツイッターに投稿した。

EUのユンケル欧州委員長は英国は「もうすぐ時間切れになる」と強調。声明で、無秩序な英離脱のリスクが高まったと指摘し、合意なき英EU離脱(ブレグジット)に対する備えを強化する考えを示した。

EU首脳らは、激変緩和措置である移行期間が含まれている現行の離脱協定案が最善策だと繰り返し述べてきた。オーストリアのクルツ首相は「英下院の採決結果は遺憾。いかなる場合でも、離脱協定案の再交渉は一切行わない」とツイッターに投稿した。

フランスのマクロン大統領は、合意なき離脱となった場合は英国が最大の敗者になると強調。アイルランド政府は今後の道筋を示すよう英国に呼び掛け、スペインのサンチェス首相は無秩序な英離脱は「壊滅的」な結果を招くと警告した。

EU幹部などはこれまで、再交渉の可能性はないと主張してきたが、英議会の離脱案否決を受けて、一部の加盟国首脳は代替案を提示するよう英国に求めた。

ベルギー、デンマーク、ルクセンブルクの首脳はソーシャルメディアで、合意なき離脱のシナリオへの備えを積極化していると表明。これを受けて英離脱交渉で欧州議会の責任者を務めるフェルホフスタット議員は「英議会は何を望まないかを明確にした。これから必要となるのは、英議員らが何を求めているかを明らかにすることだ。この間、市民の権利を保護する必要がある」とツイートした。
https://jp.reuters.com/article/eu-brexit-idJPKCN1PA01A

 

ワールド2019年1月15日 / 14:59 / 5時間前更新
アングル:英EU離脱案、「議会で否決」後の想定シナリオ
Reuters Staff
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[ロンドン 14日 ロイター] - メイ英首相は15日、自身が欧州連合(EU)と合意したEU離脱案を議会下院で採決にかけ、否決される可能性が高い。

否決されれば英国のEU離脱(ブレグジット)を巡る不透明感が強まるだろう。次に起こり得るシナリオを以下にまとめた。

●再び議会採決

首相は21日までに、英国の次の計画を示さなければならない。計画の内容は定かでないが、英メディアによると、首相はEUから何らかの言質を新たに得た上で、再び離脱案について議会採決を求めるとみられる。

一部議員からは、政府が一時的に主導権を返上し、超党派の上席議員でつくる委員会に移すという非伝統的な案が浮上している。

これが技術的に可能かどうか、また、十分な支持を得られるかは不明。政府は、秩序ある形でEUを離脱するという政府の法的責務を阻むような措置は、極めて憂慮すべきだとしている。

●首相辞任

首相は保守党党首を辞任し、同党は総選挙を経ずに新党首を選ぶ手続きに入る。

●党首の地位は当面安泰

首相は昨年12月の信任投票で、保守党党首としての信任を勝ち取った。このため、今後1年間は党首の座から降ろすことは不可能。

●内閣不信任決議

野党労働党は、EU離脱案が否決されれば内閣に対する不信任決議を求めると表明しているが、その時期は明確にしていない。

議会の過半数が不信任に投票した場合、労働党は14日以内に過半数の支持を得て政権を樹立できることを示す必要がある。その場合、総選挙を経ずに労働党が政権を奪うことができる。

●総選挙

メイ政権の不信任決議が可決され、かつ労働党が新政権を樹立できない場合には、総選挙が公布される。議会の3分の2が賛成すれば、メイ首相自身が解散総選挙に打って出ることも可能。ただ首相は、総選挙は国益に反すると述べている。

<長期的な選択肢>

●国民投票の再実施

ブレグジットを巡る国民投票のやり直しに至る道筋は、明確ではない。

ただ、議会に主導権を移すことに成功しない限り、時の政権が支持しなければ国民投票は行えない。再実施には議会での可決が必要。

首相が国民投票の再実施に断固反対しており、野党労働党も実施を約束していない(排除はしていないが)以上、再実施には首相交代か政権交代、あるいは突然の政策転換が必要となる。

事態打開のために国民投票を再実施すべきだと口にする議員は、与野党を問わず増えている。しかし今のところ、議会過半数が再実施を支持していることは確認できていない。

議会が原則として再実施を承認した場合、英国はEUに離脱延期を求める必要が出てくる。

●離脱の延期、あるいは撤回

政府は、より良い離脱案の交渉、総選挙、国民投票の再実施などに時間が必要だとして、EUに交渉期間の延長を求める可能性がある。

政府はまた、EUに対する離脱通告を撤回する可能性もある。EU司法裁判所は、英国が一方的に撤回できるとの判断を下した。

メイ首相は離脱を延期したくない意向で、離脱通告の撤回もしないと述べている。
https://jp.reuters.com/article/eu-brexit-scenarios-idJPKCN1P90CY


 

 


 
ワールド2019年1月16日 / 09:50 / 4時間前更新
英金融業界、移行期間の早急な計画求める EU離脱案否決受け
Reuters Staff
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[ロンドン 15日 ロイター] - 英議会下院が15日に欧州連合(EU)と英政府が合意した離脱案を否決したことを受け、英金融業界関係者は、市場の混乱を招く「合意なき離脱」を回避するために、移行期間の計画を早急にまとめる必要があると指摘した。

EU離脱案は反対432、賛成202と予想以上に大差で否決された。

銀行業界団体UKファイナンスのトップ、スティーブン・ジョーンズ氏は「合意なき離脱を回避するための時間は少なくなっている。合意なき離脱となれば、英経済にとって大参事だ」と指摘した。

離脱案には、2020年12月までの移行期間が盛り込まれていたが、欧州の銀行業界団体AFMEは15日、この移行期間が秩序ある離脱には不可欠だとの見方を示した。

代替案が提示されない場合、英国は3月29日にEUから合意なき離脱をする。また、離脱日が延期される可能性もある。

ロンドン金融街シティーの自治体であるシティー・オブ・ロンドンのキャサリン・マクギネス氏は「議会の大多数が無秩序な離脱に反対していることは好ましい。(離脱の)先延ばしなど、何らかの形での移行期間が焦点になる」との考えを示した。

英国とEUの当局はともに、合意なき離脱の緊急対応策を策定しているが、マクギネス氏は、小規模企業は準備する時間が十分にないと説明した。

英金融街では移行期間を求める声が大半だが、その後の策については見方が分かれている。非EU加盟国でありながらEU単一市場に参加する代わりに、EU予算に貢献し、EU規定が適用される「ノルウェー型」を求める声もある。
https://jp.reuters.com/article/britain-eu-city-idJPKCN1PA02E

 

ワールド2019年1月16日 / 13:15 / 2分前更新
米シティ、英EU離脱は延期の可能性「非常に高い」と分析
Reuters Staff
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[ロンドン 15日 ロイター] - 米金融大手シティ(C.N)は15日、英国議会が欧州連合(EU)離脱協定案を大差で否決したことを受けて、離脱が3月29日の期日から延期される可能性が「非常に高い」との見方を示した。

シティのエコノミストらは「今回の明確な拒否を踏まえると、小幅な修正では承認に持ち込むことはできないだろう」と指摘。

EU基本条約(リスボン条約)第50条が定める離脱手続きを延長する可能性は「非常に高く」、撤回の確率も高まっているとした。
https://jp.reuters.com/article/city-brexit-idJPKCN1PA0A1


 


 
英議会、EU離脱案を大差で否決−メイ首相が超党派の協議開始へ
Flavia Krause-Jackson
2019年1月16日 4:59 JST 更新日時 2019年1月16日 7:26 JST
16日夜に行われる内閣不信任案採決は現時点では否決の公算大
超党派での協議の計画が伝えられるとポンドは反発した

Anti-Brexit protesters demonstrate outside the Houses of Parliament on January 15, 2019 in London, England. Photographer: Jack Taylor/Getty Images Europe
英議会は15日、メイ首相が欧州連合(EU)と取り決めた離脱合意案を否決した。首相にとって屈辱的な敗北により、離脱案が承認される可能性はほぼなくなった。野党・労働党のコービン党首は採決結果を受け、メイ政権の不信任案を提出した。

  下院の採決結果は反対432、賛成202。票差が60未満であれば、EUが内容修正に協力することで合意を救う可能性が残っていたが、230票差と過去100年余りで最大の敗北となった。

  労働党はメイ政権を総選挙に追い込むことを目指し、不信任案を提出した。採決はロンドン時間16日午後7時(日本時間17日午前4時)に行われる。

  メイ首相は採決後に議員らに対し、「下院がこの合意案を支持していないのは明らかだ。しかし、今晩の採決では下院が何を支持しているか分からない」と述べ、メイ政権を閣外協力で支えてきた北アイルランドのプロテスタント強硬派、民主統一党(DUP)や超党派の有力議員らとの協議を通じて、コンセンサスの形成を目指すと言明。「政府は建設的な精神でこれらの協議に臨む」と語った。

  政府報道官は記者団に対し、メイ首相は自身が取りまとめた離脱案の望みがなくなったとは考えておらず、超党派協議は将来の合意のベースになり得ると説明。協議が17日にも開始され、そこで出た案をEUに伝える必要があるだろうと述べた。

  外国為替市場では、超党派での協議の計画が伝えられるとポンドが反発した。

  メイ首相は不信任投票の「重さと重要性」を認めながらも、最初の一歩として議会が政権をなお信任していると確認する必要があると語った。

  内閣不信任案は、現時点では否決される公算が大きい。DUPのほか、与党保守党で昨年行われたメイ党首の不信任投票を主導した離脱強硬派グループも首相を支持する姿勢を示しているためだ。

  英国は3月29日にEUを離脱する予定。メイ首相が離脱時期の先延ばしをEUに要請することも十分あり得るが、首相報道官は政府にその計画はないとしている。

  英議会での離脱案否決に対するEU側の最初の反応は否定的なものだ。EUのトゥスク大統領(常任議長)はテキストメッセージで、「今回の採決結果により無秩序な離脱のリスクが高まった。起きてほしくないことだが、われわれはそれに備える」とコメントした。

原題:May Loses Brexit Vote in Landslide, Faces Confidence Vote (1)(抜粋)

(不信任案採決の見通しなどを追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-15/PLE1WE6TTDS001
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/238.html

[国際25] 米政府機関閉鎖、経済に予想以上の影響 大統領と議会の協議進まず ベネズエラ国会と米政府、2期目のマドゥロ政権に圧力強める
ワールド2019年1月16日 / 07:35 / 6時間前更新
米政府機関閉鎖、経済に予想以上の影響 大統領と議会の協議進まず

Reuters Staff
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[ワシントン 15日 ロイター] - 政府機関の一部閉鎖で米経済に予想以上の影響が生じていることが、ホワイトハウスの試算で15日に明らかになった。閉鎖はこの日で25日目となったが、メキシコ国境の壁建設費を巡りトランプ大統領と民主党はいずれも譲歩の姿勢を見せていない。

トランプ政権は当初、政府機関閉鎖による経済へのマイナス影響について、職員に給与が支払われない期間が2週間続くごとに成長が0.1%ポイント下押しされると試算していた。

ホワイトハウス当局者は15日、この試算を週0.13%ポイントに修正した。一時帰休している38万人の職員に加え、請負業者も職務を行えないためとした。

トランプ大統領はこの日、議会超党派グループのメンバーを昼食会に招いたが、ホワイトハウスは民主党メンバーが出席を辞退したと明らかにした。共和党議員9人は出席したが、この中には党指導部は含まれなかった。

民主党下院指導部は、招待された議員に昼食会をボイコットするよう指示はしていないとした上で、会合がトランプ大統領のカメラチャンスになるだけかどうか考慮するよう促したことを明らかにした。

これとは別に、上院で超党派議員グループが解決策を模索する動きも出ている。共和党メンバーのマカウスキ上院議員は記者団に対し、同グループには「機運」があると述べたが、詳細には触れなかった。

民主党メンバーのマンチン上院議員は「全てが協議の対象となる」とし、「グループの誰もが意見を交わしている。皆が打開策を見いだすことを望んでいる」と話した。

米議会は来週、休会に入る予定だったが、上院と下院はいずれも、政府機関閉鎖が続いた場合、休会を取り止めると明らかにした。
https://jp.reuters.com/article/usa-shutdown-15-idJPKCN1P92YK


 

ワールド2019年1月16日 / 12:35 / 1時間前更新
ベネズエラ国会と米政府、2期目のマドゥロ政権に圧力強める
Reuters Staff
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[カラカス 15日 ロイター] - 政治の混乱が続くベネズエラで15日、野党が多数派を占める国会は、2期目が始まったばかりのマドゥロ大統領を「強奪者」とする宣言を出した。米政府は国会のフアン・グアイド議長を支持する立場を示し、マドゥロ氏への圧力を強めている。

事情に詳しい関係者2人によると、トランプ米政権はグアイド氏を正当な大統領として承認することを検討している。ただ、関係者の1人によると、ベネズエラの最近の動向を踏まえて取り得る選択肢の1つとして検討されており、最終決定は下されていない。

マドゥロ氏は今月10日に2期目を開始したが、昨年の大統領選は不公正だったとして国際社会が幅広く反発している。

ホワイトハウスの当局者によると、ペンス米副大統領は15日にグアイド議長と電話で会談し、「ベネズエラで唯一正当な民主主義機関」として同国の国会を支持する考えを表明した。

国会はこの日、米国や欧州連合(EU)、複数の南米諸国に対し、マドゥロ政権の管理下にある当該国の銀行口座を凍結するよう要請する内容の法案を可決した。

米国とEUは既に、ベネズエラ国債の販売を制限し、マドゥロ氏を含む政府幹部らの資産を凍結する制裁を導入している。

今月5日に国会議長に選出されたグアイド氏は、軍部の支持があるならばマドゥロ氏に代わり暫定大統領に就任し、その後に自由選挙を実施する用意があると前週表明している。

グアイド氏は15日付の米紙ワシントン・ポストへの寄稿で「国の結束と内外の圧力によって強奪を終える」という明確な目標があると記した。

ただ、米国のある関係者は、グアイド氏は自身が大統領だと宣言しているわけではなく、そうする意向を示してもいないため、米政府が同氏を大統領として認めるのは難しいと指摘する。マドゥロ大統領がグアイド氏の就任を阻止する、あるいは同氏を拘束する恐れもあるという。
https://jp.reuters.com/article/usa-venezuela-idJPKCN1PA096
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/239.html

[経世済民130] 日銀が来年度物価見通しを下方修正へ、原油の大幅下落で 米FRBタカ派当局者も利上げに忍耐 日本株反落 金相場は上昇か 
日銀が来年度物価見通しを下方修正へ、原油の大幅下落で

日高正裕、藤岡徹
2019年1月16日 13:03 JST
23日の決定会合後に展望リポート公表、金融政策は据え置きの公算
幼児教育無償化や携帯通話料の引き下げは一時的な要因との認識

日本銀行は23日の金融政策決定会合後に公表する経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)の2019年度見通しを下方修正する公算が大きい。複数の関係者への取材で明らかになった。

  昨年10月の展望リポートでのコアCPIに関する政策委員の大勢見通しは、18年度が前年度比0.9%上昇、10月予定の消費増税の影響を除き19年度が1.4%上昇、20年度が1.5%上昇。複数の関係者によると、物価の基調の弱さに加え、WTI原油先物が昨年10月初めの1バレル=75ドル超から足元で52ドル前後と大幅に下落していることが下方修正の主因となる見通しだ。


日本銀行Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  複数の関係者によれば、日銀は成長率見通しについては18年度を引き下げる可能性がある一方、19年度は消費増税に伴う一連の経済対策を踏まえて上方修正が必要かどうか検討する見通し。今回の会合では金融政策は据え置く見込みだ。

  複数の関係者によると、原油安は企業活動や個人消費に好影響を及ぼすほか、消費増税対策の幼児教育無償化や、携帯通話料の引き下げは一時的な要因と日銀はみており、特に問題視しない構え。企業や家計の物価観は消費者物価の実績値に強い影響を受けるため、その低迷が予想物価上昇率に与える影響を注視する。

  昨年11月のコアCPIは前年比0.9%上昇、エネルギーを除き0.3%上昇だった。政府は19年度の経済見通しで、消費税率引き上げに伴い実施される幼児教育無償化の影響について、消費者物価(総合)を0.3ポイント程度引き下げるとの試算を示している。

  日銀がむしろ警戒感を強めているのは、世界経済の先行きと先月半ばから急速に円高が進んだ為替相場の動向。黒田東彦総裁は昨年12月26日の講演で、「ここにきて海外経済を中心とする下振れリスクにも一層注意が必要になってきた」と語った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-16/PLEJZ36TTDS101


 


ビジネス2019年1月16日 / 10:55 / 3時間前更新
企業物価指数、12月は前年比+1.5% 原油下落で上昇幅縮小
Reuters Staff
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[東京 16日 ロイター] - 日銀が16日に発表した12月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数(2015年=100.0)は前年比でプラス1.5%となった。プラスは24カ月連続だが、原油価格下落の影響を受けて上昇幅は2カ月連続で縮小した。ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値は前年比プラス1.8%だった。12月の指数は101.5。

プラス1.5%は、2017年3月のプラス1.4%以来の低い伸び率。

前月比はマイナス0.6%で、2カ月連続でマイナスとなった。マイナス0.6%は、2016年1月のマイナス1.1%以来の下落幅。

前年比で指数を押し上げてきた「石油・石炭製品」は11月の14.2%上昇から4.7%上昇へと、一段と上昇幅が縮小した。米中貿易摩擦の懸念から下落している銅やアルミニウムなどの「非鉄金属」は前年比4.1%下落と、前月の3.6%下落から下落幅を拡大させた。

今後について日銀は「原油価格動向に左右される展開が続く」(幹部)とコメントしている。また、米中貿易摩擦やそれが世界経済の下押し要因になるとの懸念から「いろいろな市況に影響が出ている」という。

公表744品目のうち、前年比で上昇したのは410品目、下落は262品目だった。上昇と下落の差は148品目で、前月から35品目減少した。

同日発表された2018年の指数は101.3で、前年比2.6%上昇となった。前年比での上昇は2年連続。足元で企業物価は伸び率が縮小しているものの、年前半は、好調な世界経済を背景に、しっかりとした伸びが続いていた。

清水律子
https://jp.reuters.com/article/boj-cgpi-dec-idJPKCN1PA04S

 


 
ビジネス2019年1月16日 / 08:30 / 4時間前更新
米FRB、タカ派当局者も利上げに「忍耐強さ」訴え リスク増大で
Reuters Staff
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[プレイノ(米テキサス州)/サンフランシスコ 15日 ロイター] - 政府機関の一部閉鎖など米経済へのリスクが増大していることを受け、米連邦準備理事会(FRB)ではタカ派とされる当局者の間でも追加利上げに忍耐強さを求める声が広がっている。

15日に各地で講演を行ったFRB当局者らはいずれも、中国の景気減速や米財政支出を巡る対立などで米経済成長がどの程度阻害されるかが明確になるまで追加利上げを見送るべきとの見解を示した。

ダラス地区連銀のカプラン総裁は政府機関閉鎖について、具体的な影響が何であれ「すでに複数の不透明要因があるなかで起きており、マイナスの要因であることは分かっている」と指摘。さまざまな問題がどう解消していくのかを見極めるため、少なくとも「1四半期か2四半期」追加利上げを待つことが望ましいとの考えを示した。

ここ数年、インフレ抑制や金融市場の安定維持に向け追加利上げへの支持を表明してきたカンザスシティー地区連銀のジョージ総裁も、講演原稿で「現在のところ、われわれは慎重な行動と忍耐強さが必要なようだ」と指摘。「正常化プロセスの休止は、経済が予想通り、より長期的に見て持続可能なペースに減速しているかどうかを見極める時間を与える」との見解を示した。

また、ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は「実際に過熱するまで、景気を抑制する必要はない」とし、インフレが低水準にとどまっている限り、追加利上げの必要はないとの見解を繰り返した。

FRBは2017年に3回、18年に4回の利上げを実施し、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25─2.50%に引き上げた。19年は2回の追加利上げを示唆しているが、ここ数週間には、より柔軟なアプローチを模索する姿勢を示している。

*4段落目の脱字を補って再送しました。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-kaplan-rates-15-idJPKCN1P9310


 

ガンドラック氏は「ふうむ」の一言−ネットフリックスや朝食値上げに
Nathan Crooks
2019年1月16日 11:40 JST
自身の利用する朝食スポットが10%値上げとツイートで指摘
ガンドラック氏が挙げた引き上げ例、現行のインフレ率上回る
米ネットフリックスが2017年以来の値上げを発表し、ロサンゼルスの教職員らが賃上げを求めてストライキに入る中、米ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック最高経営責任者(CEO)は朝食代も上がっているとツイッターで指摘した。

  ガンドラック氏は自身が利用する地元の朝食スポットで、価格が数年ぶりに約10%引き上げられたと指摘。それについて「Hmmm(ふうむ)」と一言だけコメントした。

  ガンドラック氏がツイートで挙げた例では、いずれも引き上げ率が現行のインフレ率である1.9%を大幅に上回っており、最近の当局者発言の内容とは対照的だ。

  ダラス連銀のカプラン総裁は15日、「注目すべきことはインフレが高まっていないことだ」と指摘。連邦準備制度にとっての課題は2%のインフレ率目標の達成だと述べた。

原題:Jeffrey Gundlach Goes ‘Hmmm’ as Netflix, Breakfast Get Pricier(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-16/PLEKCE6KLVR901


日本株反落、英EU離脱の混乱継続と米経済指標悪化ー素材や金融安い
河元伸吾
2019年1月16日 8:04 JST 更新日時 2019年1月16日 11:26 JST
英議会はEU離脱案を否決、野党はメイ政権の不信任案を提出
1月のNY連銀製造業景況指数は3.9、17年5月以来の低水準
16日の東京株式相場は3日ぶりに反落。英議会が欧州連合(EU)離脱案を否決し混乱継続が警戒されるほか、米国の経済指標悪化で景気減速懸念も高まった。鉄鋼や非鉄金属など素材関連、石油・石炭製品など石油関連、銀行など金融株が安い。

TOPIXは前日比9.72ポイント(0.6%)安の1533.00−午前11時20分時点
日経平均株価は同174円14銭(0.8%)安の2万0381円15銭
  英議会は15日、メイ首相のEU離脱案を否決した。採決結果を受け、野党はメイ政権の不信任案を提出した。一方、ニューヨーク連銀が発表した1月の製造業景況指数は3.9と、2017年5月以来の低水準。きょうの為替市場でドル・円相場は一時1ドル=108円37銭と、前日の日本株終値時点の108円72銭から円が強含んでいる。

  岡三証券の山本信一シニアストラテジストは英のEU離脱について、「経済の混乱を招く合意なき離脱の可能性は低いとみられてはいるが、ハードブレグジットによる景気悪化のシナリオを織り込む形で警戒は継続する」と述べた。円高推移の中で「日経平均が前日までの2日間で400円近く上げたため、早くも利益確定の動きが出ている」とみる。

  また、いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、NY連銀製造業指数の低下など米国経済は「中国との貿易摩擦や政府機関閉鎖の長期化がマイナスに働いている」と話していた。 

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仏BNPが87億円の損失、S&P500連動デリバティブ取引で−関係者
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-15/PLE9C26JIJUP01

コラム2019年1月16日 / 12:05 / 1時間前更新
金相場は上昇か、再び出そろった「3つの条件」
Clyde Russell
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[ローンセストン(オーストラリア) 14日] - 2008年の金融危機直後から2011年に史上最高値をつけるまでの金の長期上昇相場を支えた3つの条件が、今年再現されるかもしれない。

このため、この5年間の比較的狭い範囲内での値動きを越えて、金相場が一段と上昇するのではないかとの期待が一部で高まっている。ただ、このような相場上昇トレンドの長期化を支える構造が安定的なものかどうかは分からない。

2008─11年にかけて、金スポット価格XAU= は3倍近くに高騰し、1オンス=1920.30ドルの最高値をつけた。この上昇を支えたのが、中国やインドのバイヤーからの旺盛な物理的需要、各国中央銀行による強力な買い入れ、そして世界的な不況を受けて「安全な投資先」を求める投資家のニーズの3本柱だった。

これら3つの条件の相乗作用で、金相場は着実に上昇し、その後トレンドを追う短期資金であるホットマネーがお決まりの非現実的な永久上昇予測にあおられて流入し、バブル相場に突入した様子だった。

だが2011年9月に史上最高値を更新すると、中銀からの買い入れは安定して続いたものの、主に西側の投資家による買い付けと、インドや中国による買い付けは落ち着いていった。

世界経済の回復に伴い、「恐怖」に後押しされた金の需要は限定的になった。また相場高騰により、インドや中国からの物理的需要も減退した。

これにより、金相場は2014年初め以降、1オンス=1050─1380ドルの間をさまようことになった。

昨年8月16日の1159.96ドルの安値から、今月11日の1287.50ドルまで11%上昇しても、まだ金相場は上記の範囲内にとどまっている。

だが今、今後数カ月の間に、金が再びこのレンジの上値を試す可能性を示す兆候がいくつか表れている。

一般的にドル安は金相場を押し上げる。ドル下落の原因が追加利上げ期待の後退や、経済減速懸念の高まりにある場合は、特にそうだ。

そして、これは現在の状況にあてはまる。米連邦準備理事会(FRB)は、金融引き締めについてより忍耐強く対応する可能性を示している。

世界経済への懸念も、米国との貿易摩擦が続く中で中国の経済成長が鈍化する兆候や、欧州や米国での製造業関連指数の悪化などから、やはり拡大している。

こうした懸念が続いたり、さらに拡大したりすれば、ヘッジとしての金買いが西側で膨らむかもしれない。

すでに実際にそれが起きていることを示す証拠もある。金に裏付けされた上場投資信託(ETF)の中でも最大の「SPDRゴールド・トラスト」(GLD)は先週、6カ月ぶりの高値を更新した。

<上昇要因が相互作用>

米政府機関の一部閉鎖や不安定な株式市場の値動きなどの短期的な要因が、世界経済の減速や、トランプ米政権が長年の米外交政策を覆す動きを取っていることを受けての地政学的な緊張の高まりという長期的な要因と組み合わさっている。

また、世界最大の買い手である中国の物理的需要が上向く兆しも出ている。中心的な輸入窓口である香港の純輸入量は昨年11月、前月比28%もはね上がり、昨年7月以降で最大となった。

香港特別行政区の政府統計処が昨年12月27日に公表したデータによると、11月の純輸入量は37.871トンで、10月の29.633トンから大きく増加した。

香港のデータは、中国の金需要の全体像ではないものの、全体の傾向を示す信頼できる指標になっている。

インドの需要も回復の入り口まで来ている可能性がある。世界2位の消費国は、需要の大きい結婚式シーズンに入るほか、ヒンズー暦で縁起が悪い期間とされ、結婚式や、金や不動産の購入を慎む人が多い12月16日─1月14日の期間が終わる。

産金業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)はまだ2018年第4・四半期の数字を出していないが、第3・四半期の数字を見ると、中国需要は前年同期比10%増、インドの需要も同10%増となっている。

中銀による買い入れも増加している。WGCによると、昨年第3・四半期の純買い入れは、前年同期比22%増の148.4トンだった。

実際のところ、2018年の1─3・四半期における中銀の買い入れは、2017年通年の374.8トンを、わずか23.2トン下回るだけだった。

金需要を支える3本柱が相互に効果を発揮し続け、供給が安定している限り、金相場の上昇が続く可能性が高い。

リスクといえば、トランプ政権を取り巻くさまざまな対立が解消に向かい始め、世界の景況感が改善することだろう。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-russell-gold-asia-idJPKCN1P90KK
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/601.html

[経世済民130] 英EU離脱案が大差で否決 ワーストケースなら戦後最悪の不況も 危険な岐路に立つ英国 EU再交渉なし−離脱案否決に不快感 
英EU離脱案が大差で否決 ワーストケースなら戦後最悪の不況も

熊谷 徹
在独ジャーナリスト
2019年1月16日 
全3614文字

英議会前で「合意なき離脱? 問題ない」とのボードを抱げる離脱賛成派(写真:ロイター/アフロ)
 1月15日夜(日本時間16日未明)、英国議会下院は、テリーザ・メイ首相が推すEU離脱(BREXIT)案を圧倒的多数で否決した。432人の議員が反対したのに対し、賛成した議員は202人にすぎなかった。政府の大敗により、英国が3月29日、EU(欧州連合)との新たな通商条件などについて合意のないままBREXITに突入する可能性が一段と高まった。

230票の大差で歴史的敗北
 メイ首相は採決前に「この案が英国にとって最善だ。これが否決されたらEUを離脱できないかもしれない」と議員たちに訴えたが、彼らは聞く耳を持たなかった。

 今回のEU離脱案が否決されることは予想されていたが、230票もの大差がついたことは想定外であり、メイ首相にとって痛打である。政府の提案がこれほどの大差で否決されたことは、英国の歴史において一度もない。この敗北はメイ首相の指導力を大幅に低下させ、英国政界の混乱に拍車をかける。野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、採決後直ちに内閣不信任案を提出した。

 メイ首相は1月21日までに代替案を議会に提出することを求められる。だが、その案が下院の承認を得られるかどうかは疑問だ。仮にメイ氏が首相の座を去っても、後継者が3月29日までに新しい案をまとめ上げてEUと合意できる保証はない。

否決の最大の原因は北アイルランド問題
 野党だけではなく与党・保守党内でもメイ首相の提案に反対する意見が強かった。その最大の理由は、メイ首相の合意案に含まれている北アイルランドに関する「バックストップ(暫定解決措置)」である。

 EU加盟国アイルランドの北東に位置する北アイルランド地区は英国の領土だ。英国とアイルランドは現在ともにEU加盟国なので、アイルランドと北アイルランド地区の間で税関検査は行われていない。

 だがBREXIT後は、英国にとって北アイルランドとの国境がEUとの「国境」になる。本来、国境では、税関検査が行われるのが筋だ。

 だがEUとアイルランドは、BREXIT後にアイルランドと北アイルランド地区の間で税関検査が行われることに強く反対してきた。今のところEUと英国は北アイルランド問題について解決策を見出していない。

 そこでEUとメイ首相は、一種の安全ネットとしてバックストップを考え出した。つまり英国とEUが2019年3月29日から2020年12月末までの移行期間中に、アイルランドと北アイルランド地区の間の国境をどう扱うかについて合意できなかった場合には、2021年以降も英国(北アイルランドを含む)はEUの関税同盟に残留する(北アイルランドはEUの共通市場に残る)。つまり、アイルランドとの国境問題に決着がつかない限り、英国はEUとの関税同盟から抜け出すことができない。

次ページEUは再交渉を拒否

EUは再交渉を拒否
 英国の保守派・強硬派は「メイ首相の案によると、EUが同意しない限り英国はEU離脱を実現できない。これは主権の制限だ」としてバックストップに強く反対してきた。彼らは「EUは北アイルランド問題の解決を引き延ばすことで、BREXITを妨害しようとするだろう」と考えた。

 離脱派が譲れるぎりぎりの線は、バックストップに期限を設けることだ。

 メイ首相はこの点についてEU側と何度も交渉したが、EUはバックストップに期限を設けることを頑として拒んだ。

 英国政府・議会に残された時間は約10週間しかない。この間にメイ首相のEU離脱案に代わる案を下院の議員たちが承認し、EUを説得できるかどうかは未知数である。EUは「離脱案についての交渉を再開するつもりは全くない」という態度を崩していない。仮にメイ首相以外の政治家がEUと再び協議しても、EU側が譲歩する可能性は極めて低い。時間切れとなり、合意なしのBREXITに英国が突入する危険は、刻一刻と高まっている。

EUのGDPが一挙に18%減少へ
 BREXITはEUと英国の双方にとって打撃だ。BREXITによってEUの人口は約6624万人減り、GDP(域内総生産)も約2兆3320億ユーロ(約290兆円)減少する。英国のGDPは、28の加盟国の中で、ドイツに次いで2番目に大きい。EUのGDPは一挙に約18%、人口は約13%減る。

 ドイツの経済学者ハンス・ヴェルナー・ズィン教授は、「英国のGDPは、EUでGDPが最も小さい20カ国の合計に相当する。つまりBREXITはEUの小国20カ国が一度に離脱したのと同じインパクト(衝撃)を持つ」と述べている。

ハードBREXITはGDPの8%をはぎ取る
 一方BREXITが英国に与える経済的な影響も甚大だ。英国の中央銀行であるイングランド銀行(BOE)は2018年11月に公表した報告書の中で、BREXITの最悪のシナリオについてシミュレーションした。

 BOEが想定した最悪のシナリオとは、英国がBREXIT後、それまでEUとの間で締結していた全ての通商協定を失い、2023年までにEUと新たな通商協定を結ぶことに失敗し、英国の国境で関税検査が導入され物流が停滞し混乱する「無秩序(disorderly)な」ケースである。

 BOEは「最悪のシナリオによると、BREXITは英国のGDPを2019年第1四半期に比べて8%減らし、個人世帯向け不動産価格を30%、商業向け不動産価格を40%下落させる」と予測する。

 その理由は、EUとの間に関税障壁が導入されるので英国の輸出額が激減することだ。関税障壁が生じるのはEUとの間だけではない。メキシコや韓国とEUが結んでいる通商協定も英国に適用されなくなるので、こうした第三国との貿易も阻害される。

 関税は、EUから輸入する産品の価格を引き上げるほか、ポンドの為替レートの悪化も輸入品を割高にする。2018年12月中旬における英国の物価上昇率は2.3%。無秩序なBREXITとなれば、この値が6.5%まで上がる可能性があるとBOEは見ている。国民の実質購買力も低下する。まさに負の効果がさらに負の効果を生む、悪循環である。

 失業率についてもBOEは「無秩序なBREXITは失業率を7.5%に引き上げる」と予測する。2018年第3四半期の値は4.1%だった。

 BOEが予想するGDPの減少率(8%)は、リーマンショックが引き金となって起きた世界同時不況の際の減少率(6.25%)(2008〜10年)を上回る。つまり同行は、無秩序なBREXITが第二次世界大戦以降で最悪の不況を英国にもたらすと警告しているのだ。

次ページ税関検査の再開で混乱か

税関検査の再開で混乱か
 英国にとってEUは世界で最も重要な貿易相手である。英国議会調査局によると、2017年には、英国の輸出額の47%がEU向け、英国の輸入額の53%がEUからだった。英国は、EUとの貿易に関税が全くかからないことで、大きな恩恵を受けている。

 たとえば英国にある自動車組み立て工場は、部品の在庫を最小限に留めておき、受注状況に応じて欧州大陸の部品メーカーから小まめに部品の供給を受ける。これが可能なのは、欧州大陸から英国に部品を輸入しても、税関検査が不要であるためだ。

 だがBREXITによって税関検査が導入されれば、このような「国境を超えたカンバン方式」は事実上不可能になる。特にドーバー海峡を超えて物資を大陸から英国へ運ぶルートは、英国、フランスとも税関職員の数が不足しており、検査待ちのトラックで大渋滞が発生する可能性がある。

メイ大敗で最悪のシナリオが現実化?
 日本などEU域外の企業は、英国をEUへの入り口と見なしてきた。言語が英語であることと並んで、英国がEU加盟国であることは、多くの企業にとって、この国を選ぶ大きな理由だった。英国に進出すれば、EUの全ての国と、あたかも同じ国の中にいるかのように関税なしで産品の取引ができたからである。

 ゆえに、英国がEUから離脱し、EUとの間に関税が導入されれば、日本企業にとっての英国の魅力が著しく縮小する。英国で製造して他のEU加盟国で売る製品の価格競争力を低下させるからだ。

 多くの欧州企業は「合意なしBREXIT(ハードBREXIT)」が起こるという前提で去年から準備を進めてきた。今回、メイ首相が大敗したことで、この最悪のシナリオが現実化する可能性が一段と高まった。

 ハードBREXITは英国民の生活水準に悪影響を与え、グローバル化の勝ち組と負け組を分かつ亀裂をさらに深める。BREXITをめぐる2016年の国民投票は、ポピュリストたちが欧州で収めた最初の勝利だった。英国が抱える全ての問題をEUのせいにし、不正確な情報を国民に伝えて国民投票に勝利したポピュリスト、ナイジェル・ファラージ氏(イギリス独立党=UKIP=の前党首)やボリス・ジョンソン氏(前外相)らの高笑いが聞こえるかのようだ。欧州の混迷は深まる一方だ。 

 

イギリス在住です。まだどうなるかわかりませんが、さすがに個人でもBrexit対策しないと、と思うようになってきました。ドイツ系ディスカンウントスーパーのLidlでよく買い物しますが、今のところ安いままなものの、欧州からの輸入品ばかりなのでこれが高くなると思うと家計への打撃は計り知れません。お米、パスタ等、日持ちするものは少しずつ買い溜めしていこうと昨晩の結果を見て決めました。
欧州への輸出が多い企業に勤めていますし、子どもはまだ小さいですし、これからどうなるのかと不安で仕方ありません。
2019/01/16 18:19:51返信いいね!


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W杯で団結、EU離脱で分裂する英国の未来


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EU離脱の国民投票から2年半、危険な岐路に立つ英国−合意案否決で
Robert Hutton、Kitty Donaldson、Tim Ross
2019年1月16日 16:22 JST
労働党提出の不信任案乗り切っても政権がどれだけ生き延びられるか
どのような選択肢模索にも離脱時期の先送りが必要になりそう
英議会は15日、欧州連合(EU)離脱についてメイ首相がEU側と合意した案を大差で否決した。2016年の国民投票での離脱選択から2年半、英国は過去数十年で最も危険な岐路に立った。

  首相が取りまとめた離脱合意が承認される望みはほぼついえ、野党・労働党のコービン党首は総選挙に持ち込むことを狙っている。同党が提出した不信任案の16日の採決は乗り切ることができるとメイ首相は考えているものの、首相とそのEU離脱戦略があとどれだけ生き延びられるかは不透明だ。


メイ首相(1月15日)写真家:Frank Augstein / AP Photo
  英国がEUを離脱する期限は3月29日。英国と他のEU加盟各国の政治家の間では、経済の大混乱を招きかねない合意なき離脱を回避する上で、メイ首相は状況打開に間に合わないのではないかとの懸念が強まっている。2回目の国民投票を含めどのような選択肢を模索するにも、離脱時期の先送りが必要になりそうだ。

  ハモンド財務相は15日遅くに行った財界首脳との電話会議で、離脱時期先送りの考えを示唆したとされる。

  15日の採決後の議会のムードは意外にも明るかった。昨年12月の離脱案の採決延期を経て、今回ようやく投票することができた多くの議員らは、メイ首相が自身の案に可決の可能性があるかのように装うのをやめ、より現実的な選択肢を議論することになるのではないかと話す。

  メイ首相は少なくとも今のところ、既定の原則を変えない姿勢を堅持している。同時に、離脱時期の先送りの計画検討を公には表明していないが、合意なき離脱は許さない意向を強く示唆している。ラッド雇用・年金相も15日午前の閣議で、合意なき離脱のアイデアを首相が公に否定するよう主張した。一方で、保守党議員の一部は合意なき離脱を支持し、その方向に進むよう首相に働き掛けている。

  保守党内にはEUとの関税同盟を支持するグループもあり、これは労働党と同じ立場のため議会で過半数は得やすいかもしれないが、与党内で首相への反感がさらに強まりかねない。

  現時点で労働党の優先事項は総選挙に持ち込むことだ。しかしこれは成功しない見通しで、その場合、党内では2回目の国民投票を目指すようコービン党首に迫る議員は数多いとみられる。


ハモンド財務相写真家:Luke MacGregor / Bloomberg
原題:Brexit Pushes Britain to Brink as Government Fights for Survival(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-16/PLERX46TTDS501

 


 
EU:英と再交渉の選択肢なし−大差での離脱案否決に不快感
Ian Wishart
2019年1月16日 9:20 JST
メイ英首相に「ほぼ時間切れ」とユンケル欧州委員長は告げる
英内政問題解決のために譲歩することはない−マクロン仏大統領
欧州連合(EU)は15日、メイ英首相と合意した離脱案を英議会が非常な大差で否決したことに不快感を表明しつつ、再交渉の選択肢はないことを明らかにした。

  EUの外交官らは、大差による否決に驚きを示した。外交官らはEUとしての対応を練る中、メイ首相を助けるためにできることはこれ以上ほとんどないとし、3月の合意なき離脱の現実味が増したことに恐れを抱いていると語った。

  3月29日とされている離脱まで10週間となる中、EU当局者らは臨時の首脳会議開催を近く開催する可能性を否定。英議員らが自分たちが何を欲しているかを決められないなら、話し合う材料がほとんどないと説明した。

  EUの行政執行機関である欧州委員会のユンケル委員長はメイ首相に対し、「ほぼ時間切れだ」と指摘。「われわれは最初からずっと創造性と柔軟性を示してきた」と述べ、離脱合意案は「英国の秩序ある離脱を確実にする唯一の道筋」だとあらためて述べた。

  マクロン仏大統領も、「英国の内政問題」を解決するために譲歩することはないと話した。

  英議会採決前の時点では、EU当局者は票差が60程度であれば話し合う余地が生じ、譲歩の用意もあると示唆していた。しかし、結果はほとんどの予想を上回る230票差となり、次に何をするのが最善かを巡り動揺が生じている。当局者らはメイ首相との協議を再開する見通しだが、合意済み事項の再検討には抵抗する見込み。

  EU側には、メイ首相が1年半余りの交渉の末、合意案を議員らに受け入れさせられなかったことにほとんど怒りを隠せない者もいた。ベルギーのミシェル首相は、「英国は自身の選択の責任を負わなければならない」と言明した。

  一方、オランダのルッテ首相は、「これは痛手だが、それでもわれわれは合意なき離脱に至る状況にあるわけではない」と、やや楽観的なトーンをにじませた。ただ首脳らは、次の動きを決めるのは英国だという点では一致した。ドイツのショルツ財務相は、「欧州にとって悲しい日になった」と話した。

原題:EU Expresses Horror at Brexit Vote, Refuses to Reopen Deal (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-16/PLEBSC6JIJUV01?srnd=cojp-v2


 

 

ワールド2019年1月16日 / 18:11 / 27分前更新
英EU離脱案、交渉の余地ない 離脱延期認めるべき=独経済相
Reuters Staff
1 分で読む

[フランクフルト/ロンドン 16日 ロイター] - ドイツのアルトマイヤー経済相は16日、欧州連合(EU)が英国と合意した離脱協定案について、交渉の余地はないとの認識を示した。

同相は公共放送ZDFに「協定の中身に交渉の余地はない」と発言。英国から新たな提案があれば、EUは潜在的な影響を議論する必要があるとの認識を示した。

同相は、無秩序な離脱を回避することが重要だとし「EUでも英国でも誰も混乱は望んでいない」と指摘した。

また同相はBBCに対し、英国に時間的な余裕を与えるため、離脱延期を認めるべきだとも発言。「英国の議会と国民が明確な立場を示せるよう、EUは追加の時間を与えるべきだ」とし「個人的には、これは妥当な要請だと思える」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/britian-eu-germany-idJPKCN1PA0VR
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/610.html

[経世済民130] 通貨ストラテジスト、メイ首相敗北の明るい側面に注目ーポンドに強気 ヘッジファンドEU離脱の楽観論にくみせず−ロングは尚早
通貨ストラテジスト、メイ首相敗北の明るい側面に注目ーポンドに強気
John Ainger、Charlotte Ryan、Patricia Lui
2019年1月16日 18:20 JST
交渉期間延長の可能性などポンド支える−スタンダードチャータード
ポンドは「あまりにも過小評価されている」−ジェン氏
メイ英首相の欧州連合(EU)離脱案は議会で歴史的大差で否決されたが、ポンドが今後上昇するとの通貨ストラテジストのコンセンサスは揺るがなかった。

   メイ首相の大差での敗北にもかかわらず、ポンドは16日に上昇。同日夜には不信任案の採決が行われるが、首相はこれを乗り切るとみられている。

  ブルームバーグが見解をまとめた8人のアナリストのうち5人は、ポンドの見通し改善を予想。ポンドのオプションのボラティリティーも低下し、信頼感の高まりを示している。

  スタンダードチャータードは、メイ首相が不信任投票を乗り切るとの見通しや離脱交渉の期間が延長される高い可能性、合意なき離脱の可能性の低さなどがポンドを支えると指摘した。

  ユーリゾンSLJキャピタルのスティーブン・ジェン最高経営責任者(CEO)は、投票結果があまりにも厳しかったため、ソフトな離脱や場合によっては2回目の国民投票の可能性すら浮上したかもしれないと述べた。ポンドは「あまりにも安く、あまりにも過小評価されている」として、適正価格は1.50ー1.55ドルとの見方を示した。

原題:So Bad It’s Good: Analysts See Silver Lining in Brexit Rejection(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-16/PLF2HO6KLVR401?srnd=cojp-v2

 


ヘッジファンド、EU離脱の楽観論にくみせず−ポンド・ロングは尚早
Ruth Carson
2019年1月16日 16:17 JST
ナエイミ氏はポンドを買ったが、すぐに売って既に利益を確定した
買い急ぐつもりない、逆境シナリオの可能性まだある−グリフィン氏
メイ英首相が欧州連合(EU)と取り決めた離脱合意案が議会で大差で否決されたことは、ポンドに強気のシナリオにつながるとストラテジストらは主張するが、ヘッジファンドはこれをうのみにする気はない。

  AMPキャピタル・インベスターズのポートフォリオマネジャー、ネーダー・ナエイミ氏は15日、売り込まれているポンドが一時的に値上がりすると見込んでポンドを買ったが、すぐに売って既に利益を確定した。

  「市場があまりにも大敗を織り込んでいたので、短期的に良い取引だった。」と同氏は電話取材で語った。

  ポンドは15日、離脱案の否決を受けて一時1.5%安となったがその後下げを縮小し、アジア時間16日には一時0.3%安となったが再び戻した。

  EU離脱手続きを定めるリスボン条約50条の適用延長や2回目の国民投票などポンドにプラスのシナリオの可能性は高まったものの、不透明感は根強い。

  アンサンブル・キャピタルのダミアン・ロー最高投資責任者(CIO)は「私は、メイ首相の合意案が何らかの形で通過すると思う」と述べ、ポンドの割安感を指摘。しかし多くのヘッジファンドは、英資産に賭ける気はまだなさそうだ。

  ムンロ・パートナーズのニック・グリフィンCIOは「割安だからといって買いを急ぐつもりはない。展開を見定めるために最初の10%の利益を失ってもかまわない。逆境シナリオの可能性もまだあるからだ」と語った。


原題:Hedge Funds Reluctant to Back Brexit Optimism as Fog Swirls(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-16/PLEVCS6K50XS01?srnd=cojp-v2

 

ポンドが下落−投資家にはEU離脱の最悪シナリオ巡る思惑も
John Ainger、Patricia Lui
2019年1月16日 11:59 JST
2回目の国民投票と合意なき離脱の可能性が共に高まったようだ
合意なき離脱の場合は1.15ドルまで下落するとアナリストは予想
アジア時間16日午前の取引でポンドは下落。メイ英首相の欧州連合(EU)離脱合意案が議会で大差で否決されたことを受け、英国のEU離脱を巡る最悪のシナリオについて投資家が考え始めていることも背景にありそうだ。

  メイ首相は16日の内閣不信任案の議会採決を乗り切る見込みだが、新たな合意をまとめる道筋は見通せず、リスク回避の動きが強まった。

  ロイヤル・バンク・オブ・カナダのアジア外為戦略責任者、スー・トリン氏は「15日夜の採決の結果、2回目の国民投票の可能性も合意なき離脱の可能性も高まったようだ。いずれのテールリスクもやや大きくなり、それに伴いポンドのボラティリティーが高まった」と述べた。

  英最大野党・労働党は、総選挙にならない場合は2回目の国民投票を目指すことも含めて、あらゆる選択肢を模索するとしている。アナリスト調査によれば、最良のシナリオの下ではポンドは1.35ドルまで上昇するが、合意なき離脱の場合は1.15ドルまで下落すると予想されている。


原題:Pound Falls as Investors Weigh Worst-Case Brexit as Vote Fails(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-16/PLEKE56K50XT01?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/611.html

[経世済民130] 中国の超富裕層、家族トラストに資産移転の動き−課税強化を警戒 ファーウェイが突き当たった中国的「透明性」の限界
中国の超富裕層、家族トラストに資産移転の動き−課税強化を警戒
Venus Feng、Blake Schmidt
2019年1月16日 17:03 JST
融創中国の孫宏斌会長は昨年末に資産を移したと届け出
中国が個人減税を進める一方で、課税対象として富裕層を狙う可能性
中国の富豪4人が昨年遅く、合わせて170億ドル(約1兆8500億円)以上の資産をファミリートラストに移した。超富裕層が中国による課税強化の可能性にいかに警戒を強めているかがうかがえる。


呉亜軍氏写真家:Jerome Favre / Bloomberg
  融創中国の孫宏斌会長は香港での12日の届け出で、保有する自社株の大半を昨年12月31日にサウス・ダコタ・トラストに移転したことを明らかにした。龍湖集団の呉亜軍会長も最近、同様の移管を行った。達利食品集団と周黒鴨国際でも同じような動きが見られた。

  香港に上場しているこれら4社のうち3社は、資産を移した目的を後継者育成計画の一環だと説明。4社ともに所有構造に英領バージン諸島にある事業体が関与している。

  各社の担当者にコメントを求めたが、いずれも返答はなかった。中国政府は今年、個人減税を進める一方で、課税対象として富裕層を狙う可能性がある。

China's Big Money Moves
Four tycoons transferred $17.2B combined stakes to trusts within last two months


Source: Company filings complied by Bloomberg

*Stake value calculated based on company closing price on Jan. 14, 2019


孫宏斌氏写真家:Jerome Favre / Bloomberg
原題:Four Chinese Tycoons Just Transferred $17 Billion to Trusts(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-16/PLEXEQ6TTDS701?srnd=cojp-v2


 


コラム2019年1月16日 / 15:35 / 1時間前更新

ファーウェイが突き当たった中国的「透明性」の限界

Christopher Beddor
2 分で読む

[香港 16日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国的な手法で透明性を訴えようとする通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)のやり方は限界に達した。

次々と難問に直面する創業者の任正非(レン・ツェンフェイ)最高経営責任者(CEO)は15日、異例のメディア取材に応じ、中国政府と距離を置こうと試みた。しかし、中国の複合企業・海航集団(HNAグループ)が思い知らされたように、無実をアピールする伝統的なやり方は、中国の注目度が高い企業にはもはや効果がない。

通信各社が次世代高速通信「5G」ネットワークの構築に取り組む中、先進諸国はファーウェイの機器に対して安全保障上の懸念を強めている。取材の中で任CEOは、中国政府から一切出資を受けておらず、不適切な情報を提供するよう要請されたこともないと語った。「1セントたりとも(資金を)受けていない」と、任氏は強調した。

また、米アップル(AAPL.O)の創業者、故スティーブ・ジョブス氏を引き合いに出し、個人所有のファーウェイ株1.14%の比率を引き下げる可能性も示唆した。

外国企業がここまでタイムリーに「保証」を差し出せば、政府の警戒というものは一般的に和らぐものだ。だが、ファーウェイの対応はそもそも遅きに失している。

海外企業を次々と買収し、西側諸国の銀行や規制当局から調べられたHNAが、資本構造を明らかにした2017年の異例の決定を想起させる。HNAもまた、中国政府との関係について疑惑の目を向けられていた。

いったん恐怖が根を張ってしまえば、どの企業もそれを鎮めるのは難しい。ファーウェイにとってより深い問題は、同社に向けられた疑惑が今では根が深くなり過ぎ、通常の戦術でできることがほとんどなくなっていることだ。

同社に対する米政府の反感は、10年近くかけて着実に高まっていった。米国側の「不安」は、戦略的な信頼や法の支配、中国政府と中国テクノロジー大手の関係といった、根本的な問題に起因している。

会社側が革新的な透明性の確保に全力を挙げたとしても、いずれ中国の情報機関が機微な情報の収集や提供を要請してくるかもしれない、という西側政府の懸念を完全に払しょくすることはできないだろう。

中国製テクノロジーの拡散を、いかに西側諸国が安全に受け入れていくのか。その基準を作る新たな解決策が必要になっている。それは企業の幹部ではなく、政治家の仕事になるだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/china-huawei-breakingviews-idJPKCN1PA0H4
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/612.html

[経世済民130] ゲームチェンジの兆候、FRBは年内の利下げ視野 ECB総裁ユーロ圏景気後退向かってない 売止まぬトルコリラ危機の傷癒えず
外為フォーラムコラム2019年1月16日 / 17:11 / 1時間前更新

ゲームチェンジの兆候、FRBは年内の利下げ視野


宇野大介 三井住友銀行 チーフストラテジスト
4 分で読む

[東京 16日] - 米国は年末までに利下げに追い込まれるとみている。昨年11月の中間選挙で予算の決定権を握る下院を民主党が奪取したことにより、トランプ政権は財政面からの景気テコ入れが困難になったことに加え、景気循環面からも、米国の「1人勝ち」はこれ以上持続不可能と考えるためだ。

これまで通りに物事が進まない「ゲームチェンジ」の兆候は、さまざまな場面で観察されている。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、中間選挙前に行われた昨年9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、トランプ陣営にエールを送るかのように、米国経済が「とりわけ輝かしい局面(Bright Moment)」にあると表現した。

中国の通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)幹部が逮捕されたことによる「ファーウェイショック」を経た昨年12月19日のFOMC声明文でも、「労働市場が引き締まり続け、経済活動が力強い速度で拡大し、家計支出は力強い伸びを続けた」と述べ、相変わらず強気の経済・金融見通しを披露していた。

しかし、昨年12月以降の株価急落を受け、FRBはこれまでの強気姿勢を放棄し、急に白旗を振り始めた。

パウエル議長は10日、FRBは追加利上げの判断を忍耐強く行うことができるとの認識を示し、段階的な利上げを当面棚上げする可能性を示唆。端的に言えば、金融緩和までの「時間稼ぎ」に入ったと言えるだろう。

市場参加者の中には、ボラティリティーが低かった昨年秋までのように、米経済に対しても、市場に対しても、楽観的な見方を続ける向きがあるようだ。

だが、株価急落を受けたFRBの翻意や、メキシコ国境の壁建設を巡る米国政治の混迷をみても、現在は大きな構図が変化するタイミングに差し掛かっているとの認識を持つことが必要だ。

金融市場の反応も変わってきた。米株式市場は、これまで1日や2日大きく下げることがあっても、その後切り返して反発後、一段高となり、史上最高値を更新する地合いにあったが、今の市場にはそうした弾力性や反発力はみられない。

<景気循環>

長期トレンドもゲームチェンジの様相を呈している。経済活動が全体として活発な時期と不活発な時期が、交互に入れ替わって現れる景気循環の中でも、設備投資を軸とする10年周期(中期循環)においては、直近の谷はリーマンショック翌年の2009年であり、次の景気の谷は19年となる。

振り返れば、14年に成長率がピークに達した米国景気は、15年のオバマ政権2期目もそこそこ輝かしかったが、同年8月と16年1―2月の2度にわたる上海株の急落(チャイナショック)を受けて、ピークアウト後の陰りを見せようとしていた。

利上げに尻込みするパウエル議長が現在、引き合いに出しているのは、ほぼ1年にわたって金利を据え置いた16年当時の米国だ。

このような状況下で登場したのが16年11年の大統領選で勝利したトランプ氏だ。トランプ大統領がインフラ投資や大型減税等の財政支出による成長維持に奔走する中で、米企業は利益を伸ばし、低金利環境下での社債発行で得た資金で自社株買いを活発化させ、株価を下支えした。トランプ氏により経済も株式市場も延命策が取られたことになる。

しかし、ここへきて企業利益の伸びは鈍化し、減税効果は減退している。また、中間選挙で予算編成の決定権を失ったトランプ政権は、追加財政政策の発動が難しくなった。

さらに、自らまいた種である米中通商戦争は、その反動がブーメランのように旋回して米国自身に跳ね返り、一部の経済指標を悪化させている。中国が売り上げの2割を占める米アップルは年末商戦を含む第1・四半期(12月29日まで)の売上高見通しを下方修正した。

<慣性の法則>

当初4回の利上げを想定していた2016年には、利上げが1度にとどまった結果、長期金利が押し下げられ、金融情勢の引き締まりが多少緩和された経緯があったが、今回は事情が異なる。

タカ派一辺倒できた市場参加者には、いわゆる「慣性の法則」が働いている。

FRBの段階的な利上げに加え、FOMCメンバーによる先々の利上げ予想まで刷り込まれているため、市場が見方を軌道修正するには時間を要しそうだ。

米先物取引所大手CMEグループのフェドウオッチによると、1月15日時点でフェデラルファンド(FF)先物2019年12月限は、1月15日時点でFRBが今年、FF金利を現行の2.25―2.5%に維持する確率が70.4%、1回の利上げ確率が16.5%、2回の利上げは1.3%となっている。

これに対して、1回の「利下げ」を見込むのは11.2%、2回の「利下げ」は0.6%と、現状維持や利上げ派に対して、金融緩和を予想する参加者は依然少数派だ。

これは、パウエル議長が4日に「適切なら経済を支える政策手段を総動員する用意がある」と明言しているにもかかわらず、だ。

今後も市場が本格的に利下げを織り込み始まるまでには時間を要するだろう。その過程で、経済指標の悪化の積み重ねや、米国債市場における逆イールドの形成、10年金利がFF金利上限である2.5%を割る動きが早晩、観察されることになろう。

19年は、内政・外交・経済・市場などで、従来とは逆サイドに物事が振れることが見込まれる。ガードを高くして、それに備えておきたいところである。

*本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

宇野大介氏 三井住友銀行 チーフストラテジスト(写真は筆者提供)
*宇野大介氏は、三井住友銀行のチーフストラテジスト。1990年3月慶應義塾大学経済学部卒業後、同年4月住友銀行(現三井住友銀行)入行。1991年から市場分析・相場予想に携わる。
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-daisuke-uno-idJPKCN1PA0PD


 


ドラギECB総裁:ユーロ圏経済、リセッションに向かってはいない
Carolynn Look、Jonathan Stearns
2019年1月16日 15:01 JST
リセッションではないが、落ち込みが予想より長引く可能性はある
ドイツ経済は2018年に5年ぶりの低成長となった

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は15日、ユーロ圏経済はリセッション(景気後退)に向かってはいないとした上で、勢いは軟化しており、ECBによる景気刺激がなお必要だと論じた。

  総裁はストラスブールの欧州議会で、「われわれが尋ねるべき問いは、一時的な落ち込みなのか、リセッションに向かっているのかだ。われわれの答えは、これは減速であり、リセッションに向かってはいないというものだ。ただ、落ち込みが予想より長引く可能性はある」と語った。

  総裁の議会証言前に発表されたデータによると、ドイツ経済は2018年に5年ぶりの低成長となった。10−12月(第4四半期)に小幅なプラス成長を確保しリセッション入りを免れた。

  ドラギ総裁は「域内物価圧力の高まりと総合インフレの中期的展開を支えるために、金融政策による十分な景気刺激がなお必要だ」と強調した。

  ECBは今月、債券購入終了後初の政策委員会を開き、24日に決定を発表する。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/igWr4xSymKM0/v2/576x-1.png

原題:Draghi Says No Recession Ahead for Euro Area Despite Weakness(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-16/PLETBN6K50XS01?srnd=cojp-v2

 

トップニュース2019年1月16日 / 18:01 / 37分前更新
焦点:売り止まぬトルコリラ、「危機の傷」癒えず
Reuters Staff
2 分で読む

[ロンドン 15日 ロイター] - 昨年約20年ぶりの大幅な下落を記録したトルコリラだが、金融政策当局の信認がかろうじて崩壊を免れ、為替市場が世界的に落ち着きを取り戻したことから、今年は持ち直しを予想する声が多かった。しかし年初からの動きは期待を大きく裏切っている。

トルコは政治的な緊張やガバナンスへの不安、金融・財政政策の不透明さなどの悪材料が今もリラの重しとなっている。昨年のリラ急落の悪影響がまったく薄らいでおらず、中銀が現行の金利水準を維持し、リラ安による物価上昇を食い止めることができるかが問われている。

北大西洋条約機構(NATO)の同盟国である米国との関係が悪化しているほか、中銀が早すぎる利下げに動くのではないかとの懸念が広がり、政府は3月の地方選を控えて財政支出を増やそうとしている。こうした要因が重なってリラは他の通貨をアンダーパフォームしている。

ノムラのイナン・デミル氏は「今後数日以内に市場の懸念が薄れれば、リラも安定するだろう。しかしより重要なのはこうした要因が消えていないことで、明らかに当面残りそうなものもある」と述べた。

トルコの経済状況を5つの相場の動きから探ろう。

●リラは下げ止まらず

リラTRY=は昨年まで通年ベースで6年連続で下落。2019年も年初から3%安と新興市場国通貨で最も下げがきつい。

最近のリラ安は、日本の個人投資家による3日の売りをきっかけに始まった。昨年末に買った分を一気に手放したことから、リラは対円で10%近く急落。東京金融取引所のデータによると、日本の個人投資家によるこの日のリラの長期ポジションの売り越しは4万2743枚と、昨年8月以来の高水準だった。

●株式は大幅下落

トルコ株式市場は昨年、リラ建てで20%下落した。国際金融協会(IIF)のデータによると、外国人投資家は昨年、トルコの株式と債券を売り越した。株式と債券の両方で売り越しとなったのは2015年の危機以来で、株式市場からは10億ドルが流出した。

中銀のデータによると、株式と債券からの資金流出は年明け後も続いている。非居住者は1月4日に終わった週に株式と国内債券を売り越した。

●債券は割高

JPモルガンは長期平均からの乖離を調べ、トルコの10年物国債は世界で最も割高だと結論付けた。ドイツ銀行は先に、投資を避けるべき金融商品のリストにトルコ国債を掲載した。

トルコ国債は10年物の利回りが15.7%なのに対して、インフレは20%を超えており、既に実質利回りが大幅なマイナスとなっている。

●相次ぐ格下げ

トルコは混乱の深刻化に伴い、昨年主要な格付け会社から相次いで格付けを引き下げられた。S&Pグローバルは3カ月間に2度の格下げを発表し、ムーディーズも格付けを2度下げた。

ムーディーズとフィッチの格付けはS&Pの「Bプラス」に相当し、まだ引き下げ余地がある。

●ボラティリティは高止まり

デリバティブ市場は今年のリラ相場について、混乱は小さくなるが完全な沈静化は見込めないと示唆している。リラのインプライドボラティリティ(予想変動率)は1週間物から1年物までがすべて、リラ危機が最も深刻だった昨年8月の半分以下の水準に低下した。

しかし新興国市場が世界的に上昇基調を保っていた昨年同時期に比べると、まだ2倍以上だ。

●くすぶる早期利下げの不安

トルコ中銀は16日の会合で政策金利を24%に据え置く見通しだ。しかしインフレが急低下しており、予想を裏切る中銀の過去の政策判断や大統領の利下げ要求などから、中銀は今回は現状維持を決めても早い段階で利下げに踏み切るのではないかと関係者は危惧している。

 1月15日、昨年約20年ぶりの大幅な下落を記録したトルコリラだが、金融政策当局の信認がかろうじて崩壊を免れ、為替市場が世界的に落ち着きを取り戻したことから、今年は持ち直しを予想する声が多かった。しかし年初からの動きは期待を大きく裏切っている。写真はトルコリラと米ドル。シリアのアザーズで昨年8月撮影(2019年 ロイター/Khalil Ashawi)
利下げの次期と幅はリラと債券の両市場を大きく左右する。

(Karin Strohecker記者、Marc Jones記者)
https://jp.reuters.com/article/turkish-lira-idJPKCN1PA0LI

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/613.html

[原発・フッ素50] ビル・ゲイツ支援の次世代原発、米中貿易戦争でピンチに
ビル・ゲイツ支援の次世代原発、米中貿易戦争でピンチに

篠原 匡
ニューヨーク支局長
2019年1月16日
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 米マイクロソフトの共同創業者、ビル・ゲイツ氏は昨年末、自身のブログにある投稿をした。“What I learned at work this year”というタイトルにある通り、難病の治療や気候変動など、ゲイツ氏が深い関心を寄せるテーマについて論じたものだ。

 この中に、興味深い内容が書かれていた。ゲイツ氏が実質的なオーナーを務める米テラパワーの中国プロジェクトが頓挫するかもしれないという内容である。

気候変動問題を人類の危機と捉えるゲイツ氏だが……
 テラパワーは次世代型原子炉、TWRの開発を進める原子力ベンチャーとして知られている。現在、商用原発で主流の軽水炉に対して、劣化ウランを燃料に使うTWRは低コストで安全性が高く、核廃棄物も減らせるという触れ込みだ。気候変動問題を人類の危機と捉えるゲイツ氏はTWRを高く評価、資金調達に手を貸すなどテラパワーを積極的に支援している。


気候変動に関する会議で話すビル・ゲイツ氏(写真:AFP/アフロ)
 「原発はカーボンフリー(二酸化炭素などの温室効果ガスを排出しない)で24時間稼働する拡張性の高いエネルギー。気候変動に対処する上で理想的な技術だ」

 ゲイツ氏はブログにこう記している。 

 このTWRを実用化するにあたり、重要な役回りを演じていたのが中国だった。

 テラパワーは実用化を加速させるため、2015年に中国の国有企業、中国核工業集団と合弁会社を設立、北京から200キロほど南に下った河北省滄州市でテスト用原子炉を作ることで合意した。ここで実績を作り、世界の原発市場に打って出ようとしたのだ。

 ところが、トランプ政権の米中貿易戦争によって状況は一変してしまう。

中国を警戒する米政府が規制を強化
 テクノロジーにおける中国の台頭に警戒感を強める米政府は昨年10月に新たな規制を導入した。中国との取引を完全に禁じるものではないが、次世代型原子炉に関する技術移転や軍事への転用などがないよう厳しくチェックされる。“unlikely”という言葉を使っているところを見ると、この規制下で実証実験を進めることはかなり難しいようだ。

 東京電力・福島第一原子力発電所の事故以降、先進国の多くは原発建設を凍結するか、中止した。その中で、例外的に原発を推進していたのが中国だ。2017年に運転を始めた原子炉は世界に4基あるが、そのうち3基は中国で、もう一つも中国核工業集団がパキスタンに建設したもの。テラパワーは別のパートナーを探し始めたが、米国を含め先進国の多くは原発建設に後ろ向きだ。プロジェクト資金を出せる国も新興国も限られている。

 地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」から離脱を決めたように、トランプ政権は地球温暖化問題を軽視している。エネルギー政策も再生可能エネルギーではなく石炭を含めた化石燃料重視だ。地球の将来を憂うゲイツ氏にとってみれば、トランプ氏の近視眼的な思考こそが人類の脅威に違いない。

 だが、ルールを決めるのはあくまでも国であり、世界的な富豪であっても決まったルールには従わざるを得ない。ゲイツ氏は原発に対する米国の風向きが変わることを期待しているようだが、風力や太陽光の価格競争力が向上している中で原発に対する揺り戻しが起きるかどうかは分からない。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00019/011500003/
http://www.asyura2.com/18/genpatu50/msg/781.html

[原発・フッ素50] 「原子力を人類のために」経団連会長、原発再稼働を訴え 日立 英の原発建設 中断視野に検討へ 2000億円規模の損失も 
「原子力を人類のために」経団連会長、原発再稼働を訴え
加藤裕則 2019年1月16日13時32分

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原発の再稼働を求めた経団連の中西宏明会長=東京・大手町

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 経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)は15日、原発の再稼働が進まない状況について、「私はどんどん進めるべきだと思っている。原子力というエネルギーを人類のために使うべきだ」との見解を示した。そのうえで「原子力に関する議論が不足している」と述べ、政界や学界などを巻き込んだ討論会の開催を訴えた。

 同日の定例会見で記者の質問に答えた。中西会長は「安全性の議論を尽くした原発も多いが、自治体が同意しないので動かせない。次のステップにどうやって進めるのか。電力会社だけの責任では済まされない」と語った。

 エネルギーのあり方について中西会長は「長期的にみた場合、再生可能エネルギーでまかなえるとは思っていない。現在、電力源の8割を化石燃料に頼っていることも問題だ」と訴えた。新増設についても「私の世代はいいが、次の世代では原発がなくなってしまう。そのとき日本の電力事情がどうなるのか。大変危ない橋を渡っている」と述べた。

 また、日立が手がける英国の原発新設計画も中断する方向になっていることに対し「民間の出資が出てこないので、難しい状況になっている」と説明した。(加藤裕則)

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経団連会長 原発再稼働へ公開討論の場を
2019年1月15日 21時00分

経団連の中西会長は15日の記者会見で、安全性が確認された原子力発電所の再稼働を積極的に進めるべきだという認識を示すとともに、日本のエネルギーの課題をめぐって公開で討論する場が必要だという考えを示しました。

この中で、中西会長は原子力発電所について「私は再稼働をどんどんやるべきだと思っている」と述べ、安全性が確認された原発は再稼働を積極的に進めるべきだという認識を示しました。

その理由について、中西会長は「再生可能エネルギーだけで必要なエネルギーを賄えるとは技術的に思えない。地球温暖化につながる二酸化炭素の削減が大きな課題になる中、日本が80%以上の電力を化石燃料で賄っているという事実は世界が受け付けない」と指摘し、日本のエネルギーの課題について、政官財学が参加して公開で討論する場を設ける必要があるという考えを示しました。

さらに中西会長は「次の次の世代には原子力発電所はないという状態になる。そのときに日本の電力事情がどうなるか」と述べ、原発の新設や増設も必要だという認識を示しました。

中西氏は原発を手がける「日立製作所」の会長でもあり、これまで再稼働を支持してきた経団連の立場を改めて強調しました。

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日立 英の原発建設 中断視野に検討へ 2000億円規模の損失も1月11日 16時56分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190115/k10011778921000.html


 

日立 英の原発建設 中断視野に検討へ 2000億円規模の損失も
2019年1月11日 16時56分

日立製作所はイギリスで進められている原子力発電所の建設計画について、事業費の負担をめぐるイギリス政府側などとの調整が難航していることから、計画への参加を中断することも視野に、来週、取締役会を開いて検討することにしています。

日立はイギリス政府と共同でイギリス中部アングルシー島で原発を建設する計画を進めています。

しかし安全対策などでコストが膨らむ見通しになる中、事業費の負担や採算を確保するための電力の買い取り価格をめぐってイギリス政府側などとの調整が難航していました。

このため、関係者によりますと、日立は来週、取締役会を開き、計画への参加について「中断」することも視野に検討することにしています。

日立は計画への参加のため、平成24年にイギリスの電力関連会社「ホライズン・ニュークリア・パワー」を買収して用地の買収なども済ませ、中断を決めた場合、2000億円規模の損失を計上する見通しです。

日本国内で新たな原発の建設が事実上ストップする中、この計画は日本企業の原発事業の新たな収益確保や技術の継承の面からも注目されてきました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190111/k10011775041000.html
http://www.asyura2.com/18/genpatu50/msg/782.html

[政治・選挙・NHK256] 安保激変 新防衛大綱、いずも「空母化」議論は本質ではない 新たな防衛大綱の評価と課題(前編)wedge
安保激変

新防衛大綱、いずも「空母化」議論は本質ではない

新たな防衛大綱の評価と課題(前編)
2019/01/17

村野 将 (岡崎研究所研究員)

 2018年12月18日、政府は新たな「防衛計画の大綱(防衛大綱)」と「中期防衛力整備計画(中期防)」を閣議決定した。

 発表に際して特にメディアの注目を集めたのが、いずも型護衛艦の改修およびF-35Bの導入に絡む、いわゆる「空母化」問題であった。防衛大綱は、中長期的な自衛隊の体制を示す文書であるから、特定の装備品の取得・改修に注目が集まるのも無理はない。しかし、護衛艦や戦闘機といった単一の装備品だけを見ていても、防衛大綱が描こうとする日本の防衛戦略の全体像を評価することはできない。まして、「攻撃型空母」や「多用途運用護衛艦」といった空母の定義をめぐる議論や、それが専守防衛の原則に反するかどうかといったような議論は、(政府説明の正当性を問うべき論点ではあっても)防衛戦略の有効性を検証する上では直接関係のない、本質から外れた議論である。


護衛艦「いずも」の「空母化」問題が話題だが……(写真:新華社/アフロ)
 そこで本稿では、(1)防衛大綱とはどのような性格の文書なのか、(2)防衛戦略とはどのように組み立てられるものなのか、という基本的なポイントを押さえながら、新たな大綱を筆者の視点から評価してみたい。

*防衛大綱は策定された元号をとって、「2013年(平成25年)版の防衛大綱=25大綱」「2018年(平成30年)版防衛大綱=30大綱」と略称されることが多い。以下の記述はこれに準じる。

日本の戦略文書体系と防衛大綱の位置付け
 今日、日本の安全保障・防衛に関する戦略・政策文書は、外交政策及び防衛政策を中心とした国家安全保障の基本方針を示す「国家安全保障戦略」、10年程度先の将来を想定した防衛力整備及び防衛戦略の指針である「防衛大綱」、今後5年間の具体的な装備調達計画である「中期防」からなり、これらに基づいて毎年の予算が要求・策定されることになっている。国家安全保障戦略→防衛戦略→調達計画→年度予算という階層的な文書体系は、米国などの諸外国と比べてもスタンダードなものだが、日本政府が現在の文書体系を整えたのは、前回の改定=2013年12月からと比較的最近である。

 そもそも、各国の戦略文書が階層的に構成されているのは、その国が目指したい国家観・世界観=ビジョンを上位の文書で示し、それが下位の防衛戦略や調達計画にどのように繋がっていくかを国内外に透明性のある形で説明するためである。中でも防衛大綱は、(1)情勢認識や防衛の基本方針といった概念、(2)自衛隊の体制整備の方向性、そして(3)戦闘機や艦艇の数など具体的な戦力構成を示す「別表」という、概ね3つの要素から構成されているが、2013年に初めて国家安全保障戦略が策定されるまで、ビジョンに相当する記述は防衛大綱の(1)の部分に書き込まれていた。

 だが、防衛大綱は本来防衛力整備の方針を示すための文書であるから、あまり広範な内容を大綱に詰め込むことは文書の性格上、適切ではない。そうした観点から、2013年に改めて日本の外交・安全保障・防衛戦略を司る文書体系が整理されることとなった(*結果、2013年12月には国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防が同時に閣議決定・公表された)。

 ところが今回、国家安全保障戦略の見直しは行われていない。これは本来の戦略策定プロセスからすると、些か不自然である。防衛大綱は、名目上10年程度の将来を見越したものではあるが、実際のところ近年の大綱は、6年(16大綱→22大綱)、3年(22大綱→25大綱)、5年(25大綱→30大綱)とかなり短期間で改定されている。この不定期な見直しの背景には、政権交代といった内政上の要因も含まれるものの、より本質的な要因としては、日本の安全保障環境が極めて速いスピードで変化していることが大きい。今回の大綱でも、「T 策定の趣旨」や「U 我が国を取り巻く安全保障環境」の項目で、国際社会のパワーバランスの変化が加速化・複雑化し、既存の秩序をめぐる不確実性が増大していることを見直しの理由として挙げている。

 当然、防衛戦略の前提となる情勢認識と、より包括的な安全保障戦略の情勢認識は一致しているべきものであるから(*事実、国家安全保障戦略と25大綱の前半部分の内容は、かなり重複している)、防衛大綱の記載する情勢認識だけを大幅に変更して、国家安全保障戦略を改定しないとなれば、階層的に作られているはずの文書体系の繋がりに歪みが出てきてしまう。

既に現れている2つの問題点
 既にその弊害は、次の2点に現れている。

 第一の問題点は、国家安全保障戦略と30大綱で描かれているビジョンの乖離である。2016年8月、安倍首相はケニアで開かれたアフリカ開発会議(TICAD)において「自由で開かれたインド太平洋」という戦略/構想を打ち出し、以後米国や豪州、インドなどの地域民主主義諸国をこの流れに引き込もうと積極的なアプローチを展開している。この「自由で開かれたインド太平洋(戦略/構想)」は、現在日本が目指す外交・安全保障政策上のビジョンと銘打つに相応しいものだろう。

 ところが、現行の国家安全保障戦略には「インド太平洋」という文言が一つも見当たらない。もっとも30大綱では、「自由で開かれたインド太平洋(戦略/構想)」との連関を意識して書かれている箇所が複数存在するため、大綱を単独の文書として読む分には、一定の整合性は取れている。しかし元をたどれば、2013年に国家安全保障戦略が策定されたのは、従来防衛大綱が安全保障政策のビジョンを描く役割を担ってきた形式を改める狙いがあったことを踏まえると、今回の戦略策定プロセスは2013年に整理した階層的な文書体系を、以前のスタイルに逆戻りさせてしまったように見える。

 第二の問題点は、日本を取り巻く安全保障環境の潮流と、ビジョンである「自由で開かれたインド太平洋(戦略/構想)」、それらを支える防衛力整備の方向性をどのような形で融合させるかという視点が、曖昧にされたままになってしまったということだ。より端的に言えば、30大綱は中国の軍拡に厳しい評価をしているにもかかわらず、中国との「競争」を日本自身がどのように捉え、その「競争」にいかにして打ち勝つかという視点が必ずしも一貫していない。

 対照的な例として米国の戦略文書を見てみると、2017年12月の「国家安全保障戦略(NSS2017)」では「大国間競争」、2018年1月の「国家防衛戦略(NDS2018)」では「長期の戦略的競争」という表現を用いて、米中関係が「競争」関係にあることを明確にしており、特にNSS2017では「中国はインド太平洋において米国に取って代わろうとしている」「インド太平洋では世界秩序をめぐって自由と抑圧の地政学的競争が生じている」との記述も見受けられる。

 また、米国の戦略文書で言及されている「競争」には、いずれも「競争戦略(competitive strategy)」の要素が含まれているという点も指摘しておかなければならない。競争戦略とは、軍事・技術・経済といった様々な分野・領域の中から自陣営が優位に立てる分野・領域を特定してそれを維持しつつ、相手には不利な分野での競争を強いてコストを賦課すること(cost-imposing)により徐々にリソースを浪費させ、中長期的な競争に打ち勝つことを目的とする概念である。

 この「競争戦略」や「コスト賦課」という概念が、実際の防衛戦略の中にどのように反映されているかを意識しておかないと、たとえ中国の軍拡に対して厳しい評価を下し、各分野で防衛力の強化を行うにしても、そのポートフォリオの方向性が適切かどうかを判断する軸がブレてしまう。そのため、筆者は「U 我が国を取り巻く安全保障環境」の項目において、中国との関係がどのように記述されるかに注目していた。

中国の存在感、国家間競争、米国の役割に変化
 実際の記述は以下の通りである。ここでは2013年からの情勢認識の変化を明確にするため、25大綱と30大綱の当該箇所を並べて抜粋してみた。

旧(25大綱)
グローバルな安全保障環境においては、国家間の相互依存関係が一層拡大・深化し、一国・一地域で生じた混乱や安全保障上の問題が、直ちに国際社会全体が直面する安全保障上の課題や不安定要因に拡大するリスクが増大している。また、中国、インド等の更なる発展及び米国の影響力の相対的な変化に伴うパワーバランスの変化により、国際社会の多極化が進行しているものの、米国は、依然として世界最大の国力を有しており、世界の平和と安定のための役割を引き続き果たしていくと考えられる。(下線部筆者)
新(30大綱)
国際社会においては、国家間の相互依存関係が一層拡大・深化する一方、中国等の更なる国力の伸長等によるパワーバランスの変化が加速化・複雑化し、既存の秩序をめぐる不確実性が増している。こうした中、自らに有利な国際秩序・地域秩序の形成や影響力の拡大を目指した、政治・経済・軍事にわたる国家間の競争が顕在化している。(下線部筆者)
 2つの大綱を比較してみると、どちらも似たような単語が使われているものの、パラグラフ全体が意味するところはかなり変化している。この変化は、続く「U-2各国の動向」にある米国に関する記述と合わせて読むと興味深い。

米国は、依然として世界最大の総合的な国力を有しているが、あらゆる分野における国家間の競争が顕在化する中で、世界的・地域的な秩序の修正を試みる中国やロシアとの戦略的競争が特に重要な課題であるとの認識を示している。
 以上の記述からは、情勢認識の変更点として、(1)パワーバランスの変化要因として中国の存在がより大きくなったこと、(2)秩序形成をめぐり様々な領域で国家間競争が存在していること、(3)米国が「世界の平和と安定のための役割を引き続き果たしていく」ことを自明視しなくなっていることが読み取れる。

中国に対する政治的配慮か
 実は「各国の動向」に相当する項目の記述順序も、25大綱の「北朝鮮→中国→ロシア→米国」から、30大綱では「米国→中国→北朝鮮→ロシア」と変化している。こうした変更の背景には、おそらく2つの意味があるのだろう。

 一つは、トランプ政権の誕生に伴い、米国の国際秩序に対するコミットメントのあり方が変化しているということだ。これは米国が世界最大の総合的国力を有することは認めながらも、25大綱にあった「世界の平和と安定のための役割を引き続き果たしていくと考えられる」という記述を削除していることとも一致する。

 もう一つは、中国との戦略的競争をあくまで米国の認識として客観的に記述することで、日本自身が中国との関係を戦略的競争と規定するか否かについては、明言を避けたということである。30大綱では、「中国の軍事動向等は…我が国を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念となっている」との指摘はあり、体制整備の中長期的な方向性も、北朝鮮はもとより中国対処に重点が置かれている。それにもかかわらず、大綱全体で「中国は日本/日米同盟にとっての戦略的競争相手である」と言及していないことには違和感を覚える。

 これは中国側に対し、「日本は中国を具体的脅威とみなして、防衛力整備を行なっているわけではない」と説明するための政治的配慮なのであろう。そこには日中関係改善の兆しがある中で、余計な摩擦を避けようとする狙いもあるのかもしれない。同様の配慮は、「自由で開かれたインド太平洋」という概念を「戦略」とするか、「構想」とするかといった議論の中にも見え隠れする。

 しかしながら、日本の戦略文書における記述をいかに配慮したとしても、中国がそれに応じて、国際秩序に対する態度や長期的な軍備増強の趨勢を変化させるとは考えられない。それに「自由で開かれたインド太平洋」という概念が、リベラルな政治経済体制や国際的なルール・秩序を重んじるものであるものならば尚更、いずれかの段階で中国との間に戦略的競争の側面が生じてくることは避けられないだろう。

 だとすれば、日本の安全保障環境、戦略ビジョン、防衛力整備の方向性を一貫性のあるものとして国民に説明するにあたっては、日中間に戦略的競争の側面があることを明確にした上で、その妥当性を訴える方がより適切だったのではないだろうか。

中国・北朝鮮に対する脅威認識は的確
 ビジョンと具体的戦略の連関性についてはやや厳しい評価をしたものの、中国・北朝鮮の脅威認識に関する個別の記述は、非常に的確である。

 30大綱では25大綱と順序が逆になり、中国についての記述が北朝鮮よりも先にきている。そこでは「透明性を欠いたまま、高い水準で国防費を増加させ、核・ミサイル戦力や海上・航空戦力を中心に、軍事力の質・量を広範かつ急速に強化」すると同時に、「指揮系統の混乱等を可能とするサイバー領域や電磁波領域における能力を急速に発展させ」「対衛星兵器の開発・実験を始めとする宇宙領域における能力強化も継続」し、更には「ミサイル防衛を突破するための能力や揚陸能力の向上を図っている」と、その軍拡の特徴が網羅的に指摘されている。ここで示されている認識が、後半に記述されている自衛隊の体制整備にあたり、宇宙・サイバー・電磁波領域への投資や、総合ミサイル防空能力を優先的に強化する主たる理由づけとなっていることは言うまでもないだろう。

 北朝鮮に関する項目では、2018年に行われた南北首脳会談や米朝首脳会談の影響については一切言及せず、「近年、前例のない頻度で弾道ミサイルの発射を行い、同時発射能力や奇襲的攻撃能力等を急速に強化してきた」として、能力向上の側面を的確に指摘している。更に注目されるのは「核実験を通じた技術的成熟等を踏まえれば、弾道ミサイルに搭載するための核兵器の小型化・弾頭化を既に実現しているとみられる」という記述である。2018年8月末に公表された「防衛白書」では「核兵器の小型化・弾頭化の実現に至っている可能性が考えられる」という表現であったことを踏まえると、この間に北朝鮮の核弾頭搭載能力に対する日本政府の情報評価に、より確信を強める変化があったものと思われる。この他、非対称的な軍事的能力として大規模なサイバー部隊を保持し、他国の軍事機密窃取や重要インフラへの攻撃能力開発を行なっている、と指摘されている点も重要である。

 他方、ロシアに関する項目は、3行(25大綱)から5行(30大綱)に増えているが、中国や北朝鮮に割かれている分量からすると僅かに過ぎない。加筆部分についても「北極圏、欧州、米国周辺、中東に加え、北方領土を含む極東においても軍事活動を活発化させる傾向」にあるとの評価があるものの、日本に対する直接的な軍事的懸念・脅威であるとは認識されていない。これは上位文書である国家安全保障戦略がロシアに関する脅威認識に全く言及しておらず、空自のスクランブル体制などの一部を除けば、それが自衛隊全体の体制整備の方向性に殆ど影響を与えていないという点では、論理は一貫している。

「主体的・自主的」な努力の強調
 「V 我が国の防衛の基本方針」では、安全保障環境認識が自衛隊の体制整備の方向性とどのように結びつくのかという論理が示されている。そのうち、「V-1(2)防衛力の意義・必要性」という項目は特に重要なので、以下に当該箇所を抜粋した。

防衛力は、我が国の安全保障を確保するための最終的な担保であり、我が国に脅威が及ぶことを抑止するとともに、脅威が及ぶ場合にはこれを排除し、独立国家として国民の生命・身体・財産と我が国の領土・領海・領空を主体的・自主的な努力により守り抜くという、我が国の意思と能力を表すものである。

同時に、防衛力は、平時から有事までのあらゆる段階で、日米同盟における我が国自身の役割を主体的に果たすために不可欠のものであり、我が国の安全保障を確保するために防衛力を強化することは、日米同盟を強化することにほかならない。また、防衛力は、諸外国との安全保障協力における我が国の取組を推進するためにも不可欠のものである。

このように、防衛力は、これまでに直面したことのない安全保障環境の現実の下で、我が国が独立国家として存立を全うするための最も重要な力であり、主体的・自主的に強化していかなければならない。(下線部筆者)
 ここでは、日本の「主体的・自主的」な努力・強化という記述が目を引く。25大綱では「主体的」という表現が、防衛力整備と多国間協力促進の文脈でそれぞれ1回用いられていたが、30大綱では「主体的・自主的」という表現がセットで計5回(*「主体的」は計8回)繰り返されている。この背景に、「公平な負担」を求めるトランプ政権の同盟観が意識されているのは間違いない。実際、米国のNSS2017では、米国が強さを通じて敵対者の抑止・打倒を追求するのと同じように「同盟国にも、近代化、必要な能力の取得、即応性の改善、戦力規模の拡大、勝利への政治的意思の確認を必要とする」と述べられている。

 だが誤解してはならないのは、ここで示されている「主体的・自主的」な努力の方向性は、米国との「決別」を意味するわけではないということだ。それは上記抜粋にある、日米同盟に関する記述との前後関係を見ても明らかである。すなわち、日本が「主体的・自主的」な努力をすることは、米国の防衛コミットメントが信用できないから、日米同盟を解消していわゆる「自主防衛」路線に舵を切るということを意味するのではなく、自らの防衛力を強化して役割を拡大することが、日米同盟の抑止力及び対処力を相乗的に強化するという論理なのである。

 このような論理に対しては、「日本はトランプ政権によって、不要な負担・役割を押し付けられた」という批判があるかもしれない。しかし、冒頭の「U 我が国を取り巻く安全保障環境」で示された情勢認識を合わせて考えれば、そうした批判は説得力を持たない。上記の記述がトランプ政権の同盟観を反映している側面はあるにせよ、直面している安全保障環境の厳しさに応じて、日本が「主体的・自主的」に役割・任務・能力を強化していくことは当然と言えるからだ。

 寧ろ議論すべきポイントは、「主体的・自主的」な努力を行うにあたって、限りある予算を「競争戦略」や「コスト賦課」の観点から効率的に配分することができているかという点だろう。

*後編へ続く(1月18日公開予定)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15092
http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/366.html

[国際25] 中国の再エネ覇権が世界の地政学を変える 中国太陽光バブルついに終焉へ、世界の太陽光発電市場は曲がり角に
World Energy Watch
中国の再エネ覇権が世界の地政学を変える
2019/01/17
山本隆三 (常葉大学経営学部教授)
 中国政府は、昨年5月太陽光発電からの電力に関する固定価格買取制度(FIT)の対象設備量に突然上限を設定し、実質的なFITの打ち切りを行った(『中国太陽光バブルついに終焉へ、世界の太陽光発電市場は曲がり角に』)。このため、太陽光発電設備の導入量は年初の予想量を下回ることとなったが、それでも累積導入量はむろんのこと、新規導入量でも依然世界一の地位を維持している。中国の太陽光と風力発電設備量は世界の約3分の1を占める。
 設備生産面でも中国は世界の太陽光モジュールの6割の生産を担っているが、中国が世界一なのは、再エネの発電設備・発電量とモジュール生産だけではない。再生可能エネルギーに関する特許件数でも、中国は米国、日本を抜き世界一になっている。
 中国はあらゆる面から再エネ大国になったが、中国が再エネの覇権を握ることにより世界のエネルギー安全保障にも影響が生じる。例えば、大量の天然ガス、原油、石炭の欧州向け輸出を行い、欧州への強い影響力を維持しているロシアは、需要国での再エネの導入により輸出量が減り徐々に力を失う。化石燃料輸出国に代わり台頭するのは、再エネ関連の特許を持ち、EV用電池生産なども行う中国だ。
 中国は電力需要増に直面し、大気汚染問題から競争力のある石炭火力の新設ではなく、再エネ導入の道を選択したが、電力需要が大きく伸びない先進国の事情は異なる。温暖化対策として再エネ導入を進める日本は、FITなどの負担増による電力価格上昇に悩まされている。事業用設備のFIT制度を打ち切ったドイツでも、20年間継続するFITの負担金は大きくその額は日本の3倍近くになっている。大市場を持つ中国に覇権を握られるなかで先進国は再エネにどう取り組むべきか考えるべきことは多い。

(123ArtistImages/Gettyimages)
再エネ発電設備量世界一の中国
 2018年第1から第3四半期までの中国の太陽光発電設備導入量は、昨年5月末の実質的なFIT打ち切りにより、3450万kW、前年同期の4300万kW比マイナス20%となったが、それでも多くのコンサルタントの予想を上回った。世界2位の米国での2018年の導入量は1100万kWと予想されており、中国は依然として他国を圧倒する規模で世界最大量の導入を行っている。
 2017年末での累積設備量では、中国のみが1億kWを超える設置を行っており、世界市場の約3分の1のシェアを保有している(図-1)。中国は風力発電設備量でも世界シェアの3分の1以上を持っている(図‐2)。

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 太陽光、風力発電設備共に日照、風量に恵まれ土地に余裕があった西部諸省を中心に導入されたため、地元における電力需要量は大きくなく電力供給量が需要量を上回る事態がしばしば発生した。その結果、風力発電設備を中心に大規模な出力制御が行われている(『世界中で捨てられる再エネからの電気』)。
 2018年には風力発電設備からの発電量の約12%が制御された。国家発展改革委員会は、2019年に制御量を10%以下、2020年に5%以下にする目標を発表し余剰電力を沿岸部を中心とした需要地に送る送電網の拡張を急いでいる。その一方、出力制御を避けつつ、中央政府の補助なしで太陽光、風力発電設備を更に建設すべく新しい方針を出している。
中国政府の新再エネ推進政策
 中国政府が出力制御を行いながら、一方で再エネ導入を積極的に進めている理由の一つは、大気汚染対策として都市近郊を中心に石炭火力発電所の閉鎖を進めているため、電力需要量が伸びる中で減少する石炭火力の発電分を再エネからの発電量で補うことにある。
 国家発展改革委員会は、今年1月9日、中央政府から補助金などの支援を受けなくても石炭火力並みの発電コストになる風力、太陽光発電設備を設置するプロジェクトを推進することを発表した。対象プロジェクトからの発電量については、送電管理者が長期契約の固定価格で買い取ることも可能とされている。将来の収益見通しを確実にし投資を促す意図だ。
 1月10日には、国家能源局が発表を行い、発電された全電力を地域内で消費可能、即ち出力制御の対象とならない地域がプロジェクトの対象となること、さらに地方政府が限定された期間補助を行うことは可能であること、金融機関は建設を積極的に支援することが望ましいと追加の説明を行った。その他の再エネ事業については補助金額を削減するため入札制度が望ましいとされているが、詳細については明らかではない。
再エネ技術でも覇権を握る中国
 中国が世界一のシェアを持つのは、再エネによる発電だけではない。バッテリー稼働とプラグイン・ハイブリッドの電気自動車(EV)のシェアでも他国を圧倒している。大気汚染対策もありEV導入を推進している結果だ。2018年EVの世界販売台数は210万台に達し、そのうち中国が50%以上、110万台を占め、2位米国の35万台を大きく引き離しているとみられている。
 EV製造でも世界一の中国は、EVに使用されている部品製造でもスケールメリットを活かし優位に立っている。バッテリーでは、パナソニック製を使用しているテスラを除けば、中国製が大半を占め、EV製造国に関係なくバッテリーは中国製と言われるほどだ。市場を育てた国は優位に立つことができる。
 大きな再エネ市場を持つ中国は、再エネ技術でも世界の覇権を握り始めた。既に全特許出願件数で世界一になっている中国だが、再エネ関連特許出願数でも世界一だ。2007年日本は再エネ関連特許出願数世界一だったが、2009年中国に、翌年米国に抜かれ世界3位に転落した。今、中国は日本の2倍以上の出願件数を持つようになった(図-3)。

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 大きな市場と再エネ関連製造業、技術を持つ中国は他国の再エネビジネスにも進出している。中国国家電網がブラジルの送配電会社を傘下にするなど、中国企業は南米で影響力を拡大し中南米諸国で多くの再エネビジネスに取り組んでいると報道されている。ポルトガルなどの送電網も国家電網の影響下にあり、欧州市場でも中国による再エネビジネスが展開される可能性も高い。
 中国が大きな再エネ市場を作り技術的優位に立つなか、世界のエネルギー関連地政学にも影響を与えるとの見方も出てきた。
中国が変える地政学
 1月11日国際再生可能エネルギー機関(IRENA)のエネルギー転換の地政学に関する委員会の報告書「新しい世界 エネルギー転換の地政学」(“A New World – The Geopolitics of the Energy Transformation”)が発表された。
 報告書は、再エネによるエネルギー転換が地政学上重要な影響をもたらし、その結果、国家間の関係が再構築され経済と社会に構造的な変化が生じるとしている。化石燃料輸出国、中東諸国、ロシアなどは、再エネへの転換により難しい局面に向き合うことになる一方、再エネと非内燃機関輸送技術に大きな投資をし、市場を作り出した中国の企業が欧米企業に打ち勝ち、中国は勝者になるとされている。

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 現在欧州は化石燃料輸入量の多くをロシアに依存している(図‐4)。再エネ導入により化石燃料輸入依存度を下げるドイツ、中東依存度を下げることが可能な日本はエネルギー転換の結果勝者になるとされているが、化石燃料関連業界、自動車産業などでは混乱が生じ、失業が発生する可能性にも触れている。さらに、送電網が拡張されるなかでサイバー・セキュリティーなどの新しいリスクが登場する可能性もあると報告書は指摘している。
 報告書は、困難はあるにせよ、気候変動、大気汚染問題に取り組み、持続可能な発展を目指すことにより世界は正しい方向に向かっていると結論付けているが、日本、ドイツなど化石燃料依存の先進国はエネルギー転換の結果、勝ち組になるのだろうか。
持続可能な発展と世代間負担の問題
 ドイツ、日本はエネルギー転換により勝者になるとされているが、それはかなり先の話だ。エネルギー転換、再エネ導入は、化石燃料を温存し、温暖化対策を進めるため行われているが、その恩恵を受けるのは将来世代だ。
 例えば、先進国では内燃機関自動車からEVなどへの転換が行われるとしても、途上国の自動車市場では2030年、40年頃でも内燃機関自動車が主体であり、依然として大量の石油が消費されると予想されている。先進国が再エネへの転換を行うことにより、石油などの化石燃料が途上国のため温存されることになる。
 温暖化対策も将来の影響を軽減するため行われているが、私たちは温暖化による影響を正確に知ることはできない。国連機関ではシミュレーションにより温暖化の影響を測る試みが行われているが、結果には大きな幅がある。私たちの世代は、再エネ導入のため金銭面で負担を行っているが、その恩恵を将来世代がどの程度受けることになるのか、知ることはない。
 私たちの負担額は、日本ではFITにより2018年度1kW時当たり2.9円、家庭用電気料金の10%を超えている。ドイツでは6.79ユーロセント(8.5円)にもなる。再エネ導入比率の高いデンマーク、ドイツの家庭用電気料金は日本の1.5倍に達している(図-5)。日本でもドイツでも再エネ導入支援制度の見直しが続いているが、一度導入された発電設備に対する負担は最長20年間継続する。

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 再エネ導入がエネルギー安全保障、温暖化対策に貢献するとしても、私たちの世代が負担する額が将来世代の恩恵と見合うものか、中国が覇権を握るなかで先進国ができることは何なのか、技術の発展を見ながらだが、継続的に考え政策の見直しを図ることが必要だ。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/13080


 
中国太陽光バブルついに終焉へ、世界の太陽光発電市場は曲がり角に 

2018/06/14

山本隆三 (常葉大学経営学部教授)

 中国の発電量は、2011年に米国を抜き世界一になり、その後も経済成長に合わせ増加を続けている。2016年の発電量は米国の1.4倍、日本の6倍の6兆kW時を超えている。都市部の大気汚染対策として石炭火力発電を削減する必要もあり、増加する発電量を支えるため中国政府は原子力、水力、風力、太陽光発電設備の増設に力を入れた。


(Jeff_Hu/iStock)
 現在約20基が同時に建設されている原子力発電所は、2020年には日本の設備量を抜き去り、2020年台半ばには米国も抜き世界一の設備量になるとみられている。水力発電所では2250万kWの世界最大の三峡ダムが建設された。風力、太陽光発電設備導入を促すため固定価格買い取り制度(FIT)などの支援策が導入された。この政策支援により風力発電設備は1億8800万kWまで拡大し世界の3分の1以上を占めるようになった。太陽光発電設備も1億3000万kWを超え、世界の太陽光発電設備の3分の1を占め世界最大になった。風力、太陽光発電設備量の合計だけで、日本の全発電設備量を超えるほどの規模だ。

 しかし、増加する風力、太陽光発電設備は問題を引き起こすようになってきた。一つはFITの買い取り負担額の問題であり、もうひとつは、風力、太陽光などの天候次第の不安定な再エネの発電量が増えた国が、必ず直面する送電能力の問題だ。この問題に対処するため、中国政府は太陽光発電設備に関する支援策の見直しを5月31日発表した。結果、中国版太陽光バブルが崩壊することになりそうだ。今年の太陽光発電設備導入量はコンサルタントなどの当初予想から40%程度減少し、3000万kW前後に留まり、来年以降の導入予想量も大きく下方修正されている。

日本での太陽光バブルの発生
 菅直人政権が2012年7月に導入したFITにより、太陽光発電設備の導入量が急増し、太陽光バブルと呼ばれるようになった。バブルが発生した原因は高い収益性にあった。1年の日照時間は地域により異なるものの年による差はない。日照時間が分かれば、太陽光の発電量もその収入も予想できる。導入当初FITによる太陽光発電からの買い取り価格は1kW時当たり事業用40円に定められた。しかも、設備を経済産業省に認定してもらえば、その後いつ建設しても一度認められた買い取り価格が適用される制度だった。

 この制度の下では、土地代が安く、日照時間が長い地域に太陽光発電設備を建設すれば確実に儲けることができる。建設を先送りすれば、太陽光パネルの価格が下落するため収益額はもっと膨らむ。そのため、日照と土地の条件に該当する北海道東部、東北地方太平洋岸、九州南部などで太陽光発電設備建設ラッシュが起こり、認可された案件を小分けにして売り出す業者まで登場した。投資用ワンルーム・マンション販売と同じようなものだが、入居者が不要なのでワンルーム・マンション投資よりも収益は確実な投資だ。

 予想以上の導入量により、FITによる買い取り額は国の予想を超えて膨らみ、電力消費者が負担する賦課金額も電気料金に大きな影響を与えるようになった。家庭用電気料金の10%以上、産業用電気料金の15%以上はFITの負担額になり、2018年度の標準家庭の負担額は年額1万円を超えている(図−1)。


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 経済産業省は制度の運用を厳格化する一方、大規模太陽光発電については入札制度を導入し、さらに買い取り額を引き下げ、導入量と電気料金への影響抑制に努めているが、2000kW未満の太陽光発電事業からの2018年度の買い取り額は18円であり、依然として有利な投資案件の一つになっている。

世界の太陽光発電バブル
 FITの導入により日本での太陽光発電設備の導入量は、それまでの年間100万kWから年間1000万kWまで一挙に膨らんだ。太陽光バブルと呼ばれる事象だが、他の国でも有利な投資を生むFITを中心とする制度により太陽光バブルは発生していた。

 FITを導入したスペインでは2008年に一挙に約300万kWが導入されたが、2013年の制度変更によりそれ以降導入量はほぼゼロになった。イタリアでは2011年導入量が約1000万kWになったが、買い取り価格の減額と新制度、税導入により12年に導入量は3分の1に落ち込み、それ以降は年数十万kWになっている。ドイツでは2010年から導入量が年間700万から800万kWに達したため政府は買い取り額の減額とFITの廃止を行い、導入量は一挙に数分の一に落ち込んだ。

 電気料金上昇に悩み相次いで制度変更を行った欧州諸国を横目に眺めながらFITを2011年に導入したのが中国だった。当初の買い取り価格は太陽光発電1kW時当たり1元から1.15元(17円から20円)に設定されたが、全国同一の買い取り価格が適用されたため日照時間が長く、土地に余裕がある青海省、甘粛省などの西部に設備が集中した。

 北海道東部、九州南部などに設備が集中した日本と同じことが起こったが、土地に余裕があり、土地価格が安いということは、人があまり住んでおらずエネルギー需要は小さく送電線能力も十分にはない地域だ。中国政府は、2013年に全国を3地区に分け、0.9元から1.0元の異なる買い取り価格の適用に制度を変更した。その後も、毎年買い取り価格の減額が続いているが、過当競争による太陽光パネル価格の下落が投資を促したこともあり、中国がドイツ、日本を抜き世界一の太陽光パネル導入国になった。


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 図−2が示す通り、FIT制度と地方政府の支援を受けた中国の太陽光発電設備導入量は急増する。2017年の導入量は5300万kWに達するが、需要量に合わせて発電できない太陽光発電量の増加は、送電に問題を引き起こすことになった。更に、FITによる買い取り額の負担も問題になってきた。

送ることができない電気と増える負担
 中国の発電設備合計16憶2500万kW(2016年)の内訳は図−3の通りであり、石炭が約60%、水力が20%を占めている。2016年時点での太陽光、風力発電設備量は、それぞれ5%、9%だが、発電量では、665憶kW時、2410憶kW時と1%、4%を占めるに過ぎない。


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 しかし、太陽光、風力発電設備が多い新疆ウイグル自治区、内モンゴル自治区などにおいて送電能力が不足し、発電した電気を送れない事態が発生するようになった。2017年には再エネ発電量の内562憶kW時の送電ができなかった。太陽光、風力からの発電量に対し20%近い電気が送電できなかったことになる。送電能力の不足は、今後湖南省など南部に拡大すると見込まれており、送電を行う国家電網は2020年までに89000キロメートルの超高圧送電線の整備を行う予定だ。

 太陽光発電の導入量増は負担増も引き起こしている。2016年FITの買い取り額は、大規模太陽光発電については、1kW時当たり0.8元、0.88元、0.92元、2000kW以下の分散型電源には0.42元だった。2017年には、それぞれ0.65元、0.75元、0.85元、0.42元となり、2018年1月には、さらに減額され、0.55元、0.65元、0.75元、0.37元と引き下げられた。

 それでも、2017年の導入量が5300万kWと業界の予想を上回ったため、同年の中国政府ファンドの買い取り総額は1000億元(1兆7000億円)を超え、中国政府も無視できない金額になってきた。5月31日、国家発展改革委員会、財政部、国家エネルギー局は、連名で太陽光発電に関する通知を行い、太陽光発電設備導入抑制に舵を切った。

太陽光バブル終焉へ
 通知は、2018年大規模太陽光発電設備導入目標量を放棄し、買い取り対象となる大規模設備導入を直ちに禁止するとした。さらに、分散型電源に2018年導入量1000万kWの上限量を設定し、5月31日現在送電網に接続されている設備については上限量に含まれるとした。

 分散型電源の導入量は急増しており、今年の第1四半期の設備導入量965万kWの内768 万kWは分散型だった。既に、5月末の時点では上限値の1000万kWに達しているとみられることから、今後の導入は不可能になる。FITの買い取り額も 1kW時当たり更に0.05元減額され直ちに適用された。

 中央政府は、今後の太陽光発電設備導入については、省、地方政府が支援を行うようにとの意向だが、具体的には何も明らかになっておらず、太陽光発電設備導入量が大きく落ち込むのは間違いない。今年の導入量は昨年の5300万kWから大きく落ち込み3000万kW前後、2020年までの第13次5か年計画の残りの期間については年間2000万から2500万kWとの予測が出されている。

 トリナ、ジンコソーラー、CSIなど中国の太陽光発電設備関連企業53社は、連名で「制度変更が突然で対処が困難であり猶予期間を設けて欲しい」との要望書を政府に提出したが、政府の譲歩はほとんどなく、6月末までに送電網に接続される2017年認可済み案件については、固定価格が認められることになっただけだった。

 世界の太陽光モジュールの70%以上を製造している中国企業には大きなダメージをもたらす政策の変更であり、3000万kW以上の供給過剰と言われる太陽光モジュール価格が一段と値下がりすることになりそうだ。また、「自給率90%でも米国が電源の多様化を図る理由」で触れた通り、太陽光発電関連の雇用の大半は、パネル販売と設置に関する仕事であることから、設備導入量の急減速は多くの失業を生むことになる。

 太陽光パネル価格の下落がさらに進むと予想されることから、太陽光発電設備の導入コストも下がり、発電コストも下がることになる。日本もFITの買い取り価格を適宜見直さなければ、消費者の負担により事業者が過剰な収益を得ることになりかねない。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/13080

http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/248.html

[国際25] 顧客がライバルに、中国の「台頭」に対策急ぐドイツ 米当局:中国華為を捜査、米企業の秘密窃取 中国太陽光、前年18%下回
トップニュース2019年1月17日 / 11:52 / 1時間前更新
焦点:
顧客がライバルに、中国の「台頭」に対策急ぐドイツ
Michael Nienaber
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[ベルリン 15日 ロイター] - 輸出企業の黄金期が過ぎ去りつつある欧州最大の経済大国ドイツでは、中国における自国の権益を確保すべく急いで対策を講じている。だが、顧客からライバルへと「転身」した中国によって自国における変革を余儀なくされている。

近年のドイツ経済成長にとって、中国はなくてはならない存在だった。ドイツ車や、インフラを構築するための工業製品を大量に購入した中国は、世界2位の経済大国へと成長した。

しかし、強いドイツマルクにとって代わったユーロの強力な後押しに支えられたドイツの輸出ブームは、いまや風前のともしびだ。中国はバリューチェーンの上位に上がっており、トランプ大統領が掲げる「米国第一主義」の通商政策の影響を受ける多くのドイツ企業よりも素早く、革新的な施策を導入している。

ドイツでは昨年、輸入が輸出を上回る伸び率となっており、貿易が同国経済の足を引っ張っている。ドイツ連邦統計庁が15日発表した2018年の国内総生産(GDP)速報値は前年比1.5%増で、5年ぶりの低い伸びとなった。

対中輸出は18年1─11月に前年同期比で10%近く増加しているものの、「メイド・イン・ジャーマニー」製品に対する中国の需要は減退しつつある。

「中国におけるドイツ企業の事業展望は陰り始めている」とドイツ商工会議所のボルカー・トレイアー氏は話す。同氏によると、昨年11月の対中輸出はわずか1.4%増にとどまった。

中国経済の減速や、米国の関税問題による不確実性が、ドイツの対中貿易を減退させている。

ドイツ産業界がより強固な対中政策を求める中、特に銀行や保険会社などの自国企業がこれまで以上に中国市場にアクセスできるよう、ショルツ独財務相は今週17─18日に北京を訪れる。

ドイツの政策立案者や経営者は、中国当局が主導する経済モデルによって不利な立場に立たされていると、口をそろえる。

製造業振興策「メイド・イン・チャイナ2025」を掲げる中国は、電気自動車(EV)のようなテクノロジーの自国開発に注力している。同時に、ドイツの産業用ロボット大手クーカ(KU2G.DE)など海外企業の買収により、ノウハウを取得している。

中国の台頭により、世界3位から4位の経済国へと後退したドイツは、中国との「緊密かつ有益な貿易関係」を強調する。

「同時に、われわれは国益に関わるドイツや欧州の企業に対して、これまで以上に外国の国有企業による戦略的買収から保護し、強化していく」と、独経済省の報道官は語った。

異例なことに、有力な経済団体であるドイツ産業連盟(BDI)は先週、欧州連合(EU)に対中政策の厳格化を求めるとともに、企業に対しては中国依存の是正を促した。

<協議は難航か>

メルケル独首相は、関税で脅すトランプ大統領流のやり方ではなく、対話を通して問題を解決することを好む。

こうした姿勢から、ショルツ財務相は劉鶴副首相に対して、外国企業に中国市場をさらに開放するよう説得を試みるだろう。

ドイツの保険大手アリアンツ・グループ(ALVG.DE)は昨年11月、中国で初めて承認された外国の保険持ち株会社となった。

ショルツ財務相は今回の会談で、中国市場をさらに開放し、公正な貿易環境を整え、米国との緊張を緩和することは、中国自身の利益となると訴えると予想されているが、問題は、中国がこうした見方を共有するかどうかだ。

国内企業への国家的支援と外国企業に対する制限という中国政府の「合わせ技」は、中国メーカーによる国内EV市場支配と、大規模輸出の足がかりを築いた。

課題は独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の計画に見て取れる。同社は向こう数年間でEVに巨額投資を行う。これは、世界の自動車メーカーによる約3000億ドル(約32.5兆円)規模に上る投資増強の一部だが、その半分近くは中国向けだ。

中国の大手メーカー2社と合弁事業を長年行ってきたVWのハーバート・ディエス最高経営責任者(CEO)は、「フォルクスワーゲンの未来は中国市場で決まる」と述べている。

ショルツ財務相は北京滞在中、ドイツが中国や人民元建ての金融商品の欧州拠点となるよう求めるだろう。

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銀行が一部の業務をロンドンからフランクフルトに移管する中で、ドイツは英国の欧州連合(EU)離脱からの恩恵を期待している。

<ドイツの宿題>

一方、ドイツ国内では、「ライバル」としての中国の台頭を受け、自国の知識経済を保護し、先細る輸出を補うために必要な国内需要を刺激するなどの対策が講じられている。

内需主導の成長に向けた転換はドイツにとって大きな変化だ。第2次世界大戦後に起きた「経済の奇跡」は主に輸出によって成し遂げられてきた。

ドイツ政府は先月、欧州域外からの投資家による自国企業への出資を審査し、場合によっては阻止する規制強化を決定した。戦略的分野において、中国人投資家による好ましくない買収を回避する狙いがあるとみられる。

ドイツはまた、輸出で得られた余剰金の一部を国内刺激策や経済のリバランスに充てたいと考えている。

子ども手当は今年増額される予定であり、メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)の議員たちは新たな減税を検討している。

メルケル氏から昨年、CDU党首を引き継いだクランプカレンバウアー氏とアルトマイヤー経済相は、景気低迷を阻止する刺激策として、減税を行うべきだと主張している。

「政府が現在、実行もしくは検討している財政措置は、確実に経済を今年後押しするだろう」と、バイエルン州立銀行のステファン・キパー氏は言う。

「国内需要がさらなる輸入増をもたらすなど、一部でリバランスが進行しつつある。ただし、これまで政府が決定した財政措置では、ユーロ圏経済全体を大きく後押しするには不十分だろう」

VPバンクのトーマス・ギツェル氏も同じ意見だ。「今こそ政府が大規模なインフラ支出を行う時だ」と同氏は述べた。

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
https://jp.reuters.com/article/china-germany-idJPKCN1PB067


 

米当局:中国の華為を捜査、米企業の秘密窃取の疑いで−関係者
Patricia Hurtado
2019年1月17日 8:37 JST
Tモバイルのロボット技術巡る民事訴訟などに関連と関係者語る
シアトルの連邦検察当局の捜査は進展していると関係者
米ワシントン州シアトルの連邦検察当局は、中国のテクノロジー企業、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)がTモバイルUSなどの米企業から企業秘密を盗んだ疑惑の捜査を進めている。事情に詳しい関係者が明らかにした。

  この関係者によると、当局の捜査は華為を相手取って起こされた民事訴訟に関連したもの。同関係者は捜査が非公開であることを理由に匿名で語った。こうした民事訴訟の1つは、Tモバイルのロボット技術の不正取得で華為に責任があると2017年に陪審が評決を下したシアトルでの裁判だという。

  同関係者によれば、捜査は進展しており、近く同社を起訴する可能性がある。捜査については米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が16日、先に報じていた。

原題:Huawei Said to Be Target of U.S. Probe of Trade-Secret Theft (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-16/PLG58X6K50Y601?srnd=cojp-v2

トップニュース2019年1月17日 / 16:43 / 8分前更新
18年の中国太陽光発電の伸び、前年を18%下回る=業界団体
Reuters Staff
1 分で読む

[上海 17日 ロイター] - 中国太陽光発電産業協会(CPIA)は17日、2018年に新たに稼動した太陽光発電設備の生産能力はわずか43ギガワット(GW)超で、前年の増加幅を18%下回ったと明らかにした。政府の新設備導入抑制策と、補助金の未払い分消化策が原因という。

新設分を加えた18年末までの設置済み設備による全太陽光発電能力は170GW超となった。

中国は2017年の太陽光発電能力が53GW増と過去最大の伸びとなり、送電網の容量が不足したほか、1000億元(147億8000万ドル)超の補助金の残金支払いが困難になったとして、昨年、新事業の中止を発表している。
https://jp.reuters.com/article/china-solarpower-idJPKCN1PB0KN
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/249.html

[国際25] パックス・アメリカーナの終焉と、それでも続く無秩序な世界の進歩 
パックス・アメリカーナの終焉と、それでも続く無秩序な世界の進歩
2019年01月16日(水)17時10分
 
ドイツのハノーバーで極右勢力を支持する人々 DAVID SPEIER-NURPHOTO/GETTY IMAGES

<従来のシステムは疲弊しようと、19年も(無秩序な)進歩は続く>

覚えているだろうか。ほんの10年ほど前まで「民主主義と自由市場資本主義は勝利した」とみられていた。1940年、後に米上院議員になる人物が中国に対するアメリカの政策について述べたように、グローバル化は世界の人々の生活水準を「上げて上げて上げまくり、世界中の町がカンザスシティーのようになる」と信じられていた。

当人はこの何げない一言が、その後の世界の成功と挫折を的確に言い当てていたとは想像さえしなかっただろう。ところが2019年の世界を形づくるのも、この成功と挫折であることは間違いない。

第二次大戦後に「パックス・アメリカーナ(アメリカによる平和)」は勝利を収めた。統制ある市場資本主義の世界的な広がり、民主主義、教育、個人の権利、経済発展、技術革新......。だがその勝利は、19年以降に世界が直面する課題と危機の数々の前兆でもあった。あらゆるシステムに相当な傷みが生じており、機能不全に陥る恐れもある。

この特集(本誌年末年始合併号:特集「ISSUES 2019」)では名だたる論者たちが、世界の政治、経済、社会秩序に予想される変化について論じてきた。これらを踏まえると、19年に私たちの前に立ち現れる世界の展開は以下のようなものになるだろう。

技術革新や経済・社会の変化が加速する。その動きの背景として挙げられるのは、中国の習近(シー・チンピン)平国家主席が共産党による人々の日常生活への関与を再強化しようとしていることだ。

リベラルな論者は、経済的な成功や革新的な社会は多様な意見を出し合い、権力を分散することで実現すると考えてきたが、そうではないケースがもたらされるかもしれない。どちらが有効かという結論は1年やそこらでは出ないだろうが、習は今後も国家主義的な方法で国民の支持を集め、リベラルな思想や動きへの統制を強め、国外への影響力を増していく。

「他者」への高まる敵意
労働者階級や中流層の賃金は伸び悩み、雇用は国外に流出している。世界の市場が統合され、資本やモノだけでなく労働者も自由に移動するようになった。

低賃金の外国人労働者や移民、技術革新によって、多くの雇用が奪われている。不満を募らせた人々は、既成政党や指導者への批判を強める。労働市場や社会の不安定な状態は、新しい年にも続くだろう。

アメリカの国際的地位はさらに低下し、中国はますます強気になる。EUは労使関係や失業問題、財政、そして組織としての課題に苦闘するだろう。

次のページ臆病で、無秩序な進歩

古い国際秩序は崩れ、不安定な多国間システム化が進む。先進国では、既成政党の弱体化が続く。途上国では従来の制度の消失と権威ある指導者の不在に経済不安が重なり、社会秩序が脅かされ、国家の権威と社会的不満への対処能力が低下するだろう。

人々は不満をため込むと、本能的に自らを何らかの集団と重ね合わせ、移民など異質な人々を執拗なまでに「他者」と見なす。自分こそが集団の代表にふさわしいと主張する「指導者」に感化されやすくなる。

民族や国家、あるいは過去の想像上の純粋な時代に逃げ込み、「他者」を悪魔と見なして「指導者」に救いを求めるのは、問題を抱えた社会や個人が陥るおなじみのパターンだ。グローバル化と社会不安が、ドナルド・トランプとウサマ・ビンラディンの両方を生んだのは、歴史のいたずらと言うべきだろう。

それでも教育水準は上昇し続け、歴史上初めてこれだけ多くの国に活力ある中流層が生まれ、多くの人々が安全で健康的な生活を送れるようになった。過去200年以上にわたり、理論的な思考と、個人を重んじる国家の努力によって生活水準は徐々に上がり、紛争は減ってきた。

19年も経済をはじめ緊張は絶えないだろう。だが、過ぎ去る18年と同じくらいには進歩が見られるはずだ。輝かしく、しかし臆病で、無秩序な進歩が。

<本誌2018年01月01&08日号掲載>

※2019年1月1/8日号(12月26日発売)は「ISSUES2019」特集。分断の時代に迫る経済危機の足音/2020年にトランプは再選されるのか/危うさを増す習近平と中国経済の綱渡り/金正恩は「第2のケ小平」を目指す/新元号、消費税......日本は生まれ変わるか/フィンテックとAIの金融革命、ほか。米中対立で不安定化する世界、各国はこう動く。

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この筆者のコラム
パックス・アメリカーナの終焉と、それでも続く無秩序な世界の進歩 2019.01.16

中国が仕掛ける台湾人「転向」作戦 2018.12.06

北方領土「2島返還」が動き始めた理由 2018.11.22

それでも日本は外国人労働者を大量に受け入れざるを得ない 2018.11.10

今や保守主流派と一体化したオルト・ライト 2018.11.01

日韓を引き裂く旭日旗の呪縛 2018.10.11

レイプ未遂告発で米最高裁の判事任命が大もめする理由 2018.09.27

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プロフィール

グレン・カール
GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた
https://www.newsweekjapan.jp/glenn/2019/01/post-18_2.php
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/252.html

[経世済民130] 日銀総裁:人口減少下で低金利続くと金融システムの不安定化も 80円台の円高十分ある、日銀マイナス金利も 中期債相場が上昇

日銀総裁:人口減少下で低金利続くと金融システムの不安定化も−講演
日高正裕
2019年1月17日 12:58 JST
金融システムや金融機関のビジネスモデルにも変革迫る可能性
金融機関の合併や統合などにより、供給面の調整を促す公算も
日本銀行の黒田東彦総裁は17日、人口減少により資金需要が伸び悩む中で低金利環境が続くと、金融システムの不安定化につながる可能性もあるとの見方を示した。20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁代理会議に先立ち、都内で開かれた日銀・財務省共催シンポジウムで講演した。

  黒田総裁は、人口減少や高齢化が進展する下での低金利環境は「金融システムや金融機関のビジネスモデルにも変革を迫る可能性がある」と指摘。人口減少で資金需要が伸び悩む中で低金利環境が続くと、銀行が海外での貸し出しを拡大したり、より信用リスクが高い企業に投融資したりするなど利回り追求の動きを加速させ、結果として「金融システムの不安定化につながる可能性も考えられる」と述べた。

  さらに、やや長い目で見れば、金融機関の「合併や統合などによって、供給面の調整を促す可能性もある」との見方も示した。

  金融庁の報告書によると、低金利環境の継続に加えて人口減少や高齢化の進展などもあり、地域金融機関の経営環境は年々厳しさを増している。2017年度決算では地域銀行106中54行は貸し出しや手数料ビジネスによる本業利益が赤字で、このうち23行は5期以上の連続赤字だった。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-17/PLGIBV6TTDS201?srnd=cojp-v2


 

80円台の円高十分ある、日銀はマイナス金利で貸し出しも−早川元理事
日高正裕、藤岡徹
2019年1月17日 5:00 JST
安倍政権は株価が命、円高・株安で「何もできません」では持たない
金融機関の苦境が浸透してきているので意外にすんなり通る可能性も

10,000 yen banknotes. Photographer: Akio Kon/Bloomberg
日本銀行元理事の早川英男氏は、2019年度後半から20年にかけて日本の景気は転換点を迎え、6年ぶりの水準となる1ドル=80円台まで円高が進む可能性が大きいとの見方を示した。その際に想定される日銀の追加緩和策として、金融機関に対するマイナス金利での貸し出しを挙げた。

  早川氏は15日のインタビューで、景気後退に陥れば、日銀は政策金利の下げ余地が限られるため、米国が利下げを始めれば円相場の「80円台は十分ある」とし、株安になるのは必至だとみる。「安倍政権は株価が命なので、円高がどんどん進む中で『日銀は何もできません』では持たない」と指摘。何らかの形で金融政策が一枚かまないといけないとすると、「マイナス金利での貸し出ししかない」と言う。


早川英男元日銀理事Photographer: Akio Kon/Bloomberg
  日銀は金融機関の貸し出し増加を促すため、貸出支援基金を通じて現在0%で金融機関に資金供給を行っている。マイナス金利での貸し出しは、日銀が利子を付けて金融機関に資金を供給することを意味し、補助金に当たるとして社会的批判が高まる可能性もあるが、早川氏は「金融機関が苦しいことが世間に浸透してきているので、意外にすんなり通ってしまう可能性がある」と述べた。

  人口や企業の減少で資金需要が低迷する中、競争激化や日銀の超低金利政策で貸し出し利ざやが縮小し、金融機関は逆風にさらされている。早川氏は「景気後退で倒産が発生し、信用コストが上がれば簡単に最終赤字に陥る」と指摘。貸し出しなど本業が赤字の地域金融機関が多い中、いったん最終赤字になれば一時的とは言えないため、預金流出など「ある種の信用不安は起こり得る」とみている。

  今年は米国経済が減税効果のはく落や米中貿易戦争の影響で減速するため、「輸出は伸びない」と予想。先行き不透明感から賃上げ率は鈍化し、個人消費が力強さに欠ける中、「設備投資も循環的に成熟局面に来ている」とみる。消費増税前の駆け込みや五輪絡みの建設投資の継続で19年度前半は何とか持ち応えるが、「年度後半から来年にかけて景気の転換点が来ると考えるのがごく自然」との見通しを示した。

  景気が多少悪くなっても「人手不足が和らぐ程度で雇用は心配ない」し、企業は内部留保を大量に積み上げており、「そう簡単に大型倒産は起きないので、深刻な不況になるとは思えない」と言う。ただ、円安で水膨れした企業収益に基づき株価が形成されているため、円高になれば収益は縮小し株価は下がると指摘。80円台になれば日経平均株価は1万5000円まで下落し「大騒ぎになる」と予想する。

  昨年11月に前年比0.9%上昇だった消費者物価(生鮮食品を除く)に関しては、原油の大幅な値下がりで「ここからみるみる上昇率は落ちていく」と見込む。10月からは幼児教育無償化が全体を0.6ポイント押し下げるのに加え、携帯通話料の下落も続くため、消費増税と教育無償化の影響を除くベースでも「マイナスになる可能性がある」と指摘。今年は「日銀は相当苦しいピッチングになる」とみている。

  早川氏は東大経済学部を卒業後、1977年に日銀に入行し、調査統計局長や理事を歴任した。2013年4月に富士通総研経済研究所に入社、エグゼクティブ・フェローを務める。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-16/PLEEFA6TTDSC01?srnd=cojp-v2

 


中期債相場が上昇、日銀オペで好需給を確認−長期金利はゼロ%に低下
野沢茂樹
2019年1月17日 8:02 JST 更新日時 2019年1月17日 15:38 JST
新発2年債利回りは1bp、新発5年債利回りは0.5bpの低下
中短期ゾーン中心の強さが長期ゾーンにも波及−野村証
債券市場では中期債相場を中心に上昇。長期金利は前日に続いてゼロ%まで低下した。前日の米国市場の株高・長期金利上昇の流れを引き継いで売りが先行した後、日本株の軟化に加えて、好需給観測を背景にした中期ゾーンの買いが長期債に波及した。

長期国債先物3月物の終値は前日比1銭安の152円58銭。7銭安の152円52銭まで下げた後、午後には3銭高の152円62銭まで上昇場面
新発10年物353回債利回りは日本相互証券の前日午後3時の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)低い0.000%に低下
市場関係者の見方
野村証券の中島武信シニア金利ストラテジスト
昨日の短国買いオペが5000億円と、市場予想の上限2000億円を大幅に上回ったことが全体的な好需給観測を強めた
中短期ゾーン中心の強さが長期ゾーンにも波及
新発10年債は利回りが再びマイナス圏入りもあり得るとの見方が根強く、ゼロ%に近づいても売りが広がらない
国債買い入れオペ
残存期間5年超10年以下が対象、オファー額は前回と同じ4300億円
応札倍率は2.21倍に低下、前回は3.28倍
野村証の中島氏
市場の売り圧力を映す応札倍率が低下するなどやや強めの結果
過去の国債買い切りオペの結果一覧
背景
日経平均株価の終値は前日比0.2%安の2万402円27銭
16日の米国市場では10年物国債利回りが1bp高い2.72%程度。17日の時間外取引では2.71%前後
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.175% -0.160% 0.000% 0.460% 0.695% 0.790%
前日比 -1.0bp -0.5bp -0.5bp 横ばい +0.5bp 横ばい
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-16/PLEVCQ6JIJUO01?srnd=cojp-v2

 
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/622.html

[原発・フッ素50] 日立:英原発建設計画を凍結、今期に3000億円の減損損失を計上へ 
日立:英原発建設計画を凍結、今期に3000億円の減損損失を計上へ
松田潔社
2019年1月17日 18:09 JST
今期の黒字は維持−純利益予想1000億円に下方修正
事業費の資金調達などの条件合意に時間がかかると判断
日立製作所は17日、英国での原子力発電所建設計画を凍結すると発表した。事業費の資金調達の条件合意には時間がかかると判断し決定したとしている。

  計画凍結で事業に関連する資産の価値を切り下げたことで今期(2019年3月期)に3000億円の減損損失を計上する見通しも明らかにした。その結果、同期の純利益予想を従来の4000億円から1000億円に減額したが、黒字は維持した。

  日立は12年10月に英ホライズン・ニュークリア・パワーを買収。英中西部アングルシー島に改良型沸騰水型原子炉2基を建設し、20年代前半に初号機の運転開始を計画していた。日立は19年中の最終投資判断を目指し、昨年から英政府との調整に入っていた。

  英メイ首相とも直接会談した同社の中西宏明会長は昨年12月末、1月までとの期限を設けて英政府と追加支援を交渉し判断する方針を表明していた。東日本大震災後の原発事故を受けて安全基準が世界的に引き上げられたことから、原発の建設費用は増大。日本経済新聞などの報道によると、当初約2兆円と試算していた事業費は約3兆円まで膨らんでいるという。

  同社の東原敏明社長が午後7時から会見し、計画の凍結と業績への影響について説明する。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-17/PLCYZF6JIJUO01
http://www.asyura2.com/18/genpatu50/msg/788.html

[経世済民130] ウォール街上位6行の利益総額、1000億ドル超え−不安和らげる数字 株式市場に強気、反発確実 FRBの忍耐信じ大きな賭け
ウォール街上位6行の利益総額、1000億ドル超え−不安和らげる数字
Hannah Levitt、Max Abelson
2019年1月17日 10:31 JST
• ゴールドマンなど5行の18年の利益は全体で1110億ドルに達した
• モルガンSが決算を17日に公表すれば、さらに増えると予想される
米銀上位6行の利益が、年間1000億ドル(約10兆9000億円)を上回ったことはこれまでなかった。
  ゴールドマン・サックス・グループやJPモルガン・チェースなど5行がこれまで発表した2018年の利益は全体で1110億ドル余りに達しており、モルガン・スタンレーが10−12月(第4四半期)決算を17日に公表すれば、さらに増えると予想される。
  トランプ米政権による減税に加えて、金利上昇やディールメーキングの増加、リテール銀行ブームが追い風として挙げられる。
  JPモルガンとバンク・オブ・アメリカ(BofA)にとって昨年は記録的な年となり、ゴールドマンとシティグループも金融危機以降で最も多くの金額を稼ぎ出した。これらの目覚ましい数字と各行首脳からの楽観的なコメントは、利上げや貿易摩擦が大手行の良い時代を終わらせる危険があるとの不安を和らげそうだ。
  JPモルガンのマリアン・レーク最高財務責任者(CFO)は15日のアナリストとの電話会見で、「サイクルの終わりに差し掛かっているというのは本当だろうか。経済成長の見通しはなお力強いとわれわれは考えている。消費は引き続き強く健全であり、世界経済の成長は減速するかもしれないが、拡大が続くとわれわれは予想している」と述べた。
Wall Street’s Best Year Ever
The biggest U.S. banks pulled in record profit in 2018
Source: Company filings
Note: Morgan Stanley will report earnings on Thursday
原題:It’s Official: Wall Street Topped $100 Billion in Profit (2)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-17/PLG9PF6JTSE801?srnd=cojp-v2


 

 

株式市場に強気が戻ってくる、反発確実−ベテランエコノミストが言明
Christopher Anstey
2019年1月17日 6:37 JST
米リセッションへの恐怖は過ぎ、景気に依然拡大余地−サイナイ氏
2019年下半期までに「全員が中国株を買っている」
ベテランのエコノミストのアレン・サイナイ氏は、世界的に中央銀行が引き締め姿勢を後退させ、中国当局が景気対策に動いているため、米国から中国まで株式市場の反発が保証されているとの見方を示した。

  ブルームバーグテレビジョンとのインタビューに東京で応じたサイナイ氏は「インフレ率が低くとどまる限り、かなりの低金利が続く。これは大きなサプライズで、どこも低インフレだ。株式には強気になる必要がある」と発言。「株式市場に強気は戻る。どこかに行ってしまったということは決してない」と説明した。


アレン・サイナイ氏写真家:Daniel Acker / Bloomberg
  40年以上にわたってエコノミストとして活動し、歴代の米連邦準備制度理事会(FRB)議長を個人的に知るサイナイ氏は、投資家は現在の景気拡大が異例に長いという事実に神経質になっており、昨年10−12月(第4四半期)の株価急落は本質的にリセッション(景気後退)への恐怖だったと分析。だが、現状は景気拡大期の3年目か4年目あたりの状況に近く、拡大が続く余地がまだあることを示唆していると語った。

  テクノロジーの進歩が価格圧力を抑え、インフレにつながる誘因を阻止している様子だと指摘。米金融当局と追加利上げ見通しについて「当局は長い間待つ余裕があるだろう」と述べた。

  中国が輸出を拡大させるのではなく、国内成長や消費を後押しするため減税に踏み切る計画はかなりの成果を生むはずだとの見方も示し、「今年下半期までに全員が中国株を買っていると思う」と語った。

原題:Bull Market in Equities Is Coming Back, Allen Sinai Says (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-16/PLFSP46K50XS01


FRBの「忍耐」信じた債券トレーダー、オプション取引で大きな賭け
Edward Bolingbroke
2019年1月17日 13:08 JST
• ユーロドル先物のストラドルとストラングルが売られる
• オプション市場で年内に期限となる同様の取引が大量に行われている
米連邦準備制度の当局者は最近、追加利上げについては忍耐強く慎重になると言明し始めた。これに基づき期間短めの米金利のボラティリティーが低水準にとどまると見込んだ債券トレーダーらは、大量のオプション取引を仕掛けた。
  トレーダーらは過去1週間でユーロドル先物のストラドルとストラングルを売って5000万ドル(約54億5000万円)余りのプレミアムを手にした。ストラドルは同じ行使価格のプットとコール、行使価格の低いプットと高いコールを組み合わせる。

  ストラドルとストラングルを売るのは、原資産のユーロドル先物が行使価格から大きく離れることはなく、従ってオプションが行使されることはないという想定に基づいている。例えば、2019年12月限のユーロドル先物に基づいたあるストラングルは先物の動きが12月半ばまで12.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の範囲内に収まれば無価値になる。CMEが16日公表したデータによると、このストラングル売りがトレーダーらの新たなポジションの一つのもようだ。
  オプション市場では年内に期限となる同様の取引が大量に行われており、期間内にユーロドル先物が現行水準から大きく動かなければ売り手のもうけとなる。連邦準備制度理事会(FRB)に利上げまたは利下げを迫るような経済見通しの変化があれば、買い手の勝ちになる。

原題:Bond Traders Risk Millions in Option Bets Trusting Fed Patience(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-17/PLGI7Y6KLVR401?srnd=cojp-v2


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/623.html

[経世済民130] 英国「合意なき離脱」ショック、金融危機を超えるか メイ英首相、厳しい交渉に直面 首相に残された「3つの選択肢」
トップニュース2019年1月17日 / 14:12 / 7分前更新
アングル:
英国「合意なき離脱」ショック、金融危機を超えるか
William Schomberg
3 分で読む

[ロンドン 16日 ロイター] - 英国が欧州連合(EU)を離脱する期限まで残り10週間となったが、いまだに事態を打開する道筋は見えておらず、英国経済へのショックを和らげるための移行期間が確保できない可能性が高まっている。

メイ英首相がEUと合意したEU離脱(ブレグジット)協定案について、与党・保守党議員の多くが反対に回る中で、英下院は15日、賛成202票、反対432票の歴史的大差で同案を否決した。

これによりさらに現実味を増す英国の「合意なき離脱」は、経済に一体どのような影響を与えるのだろうか。項目別にまとめた。

●英国経済

イングランド銀行(英中銀)はブレグジットの経済影響について、最悪の場合、英国経済が1年以内に8%縮小する可能性があり、その影響は2008─09年の世界金融危機を上回ると試算している。

そこまでひどくない、通関や規制障壁が残る「合意なきブレグジット」の場合、英国内総生産(GDP)が3%縮小すると見込んでいる。

英中銀はまた、英国の大規模な経常赤字が抱えるリスクも指摘。大半が投機的資産に向けられた海外マネーによるもので、英経済に「ブレグジットショック」が発生した場合、これらが枯渇する可能性がある。

●貿易

少なくとも短期的には、貿易障壁が高くなることで、英国、EU双方の企業が打撃を受ける。

英国の輸出企業はEUの輸入関税に直面する。関税率は平均5%だが、同国の主力輸出品については、自動車に10%が課せられるなど、さらに高くなる。英国の自動車産業は約80万人を雇用している。

製造企業は、通関手続の遅れによって自らの「ジャストインタイム」製造方式に支障が出ることを危惧している。

だが離脱賛成派は、テクノロジーの活用により通関手続の遅れは緩和されると予想。将来的に英国がEUとの自由貿易協定を実現すれば、輸出も自由に行えるようになると主張している。

また同賛成派は、EUとの緊密な関係を続けるよりも、米国やインド、中国といった、より成長率の高い国々と貿易する方が英国にとって利益になるとも主張している。ただし、英国財政を予測する担当者は、こうした諸国との2国間貿易による恩恵は小さなものに留まる可能性が高いとされている。

●港湾と備蓄

イギリス海峡の港湾や空港で渋滞が発生した場合の対策として、政府は、高速道路沿いに大型トラック駐車場を建設中であるほか、イングランド南部の空港を使う計画だ。

英ドーバーとフォークストーンの車両1台当たりのチェックに要する時間が2分余分にかかる場合、M20高速道路とA20幹線道路に46キロの交通渋滞が発生すると英インペリアル・カレッジの研究者は試算している。

多くの製造企業は、通関手続が遅れた場合でも製造ラインを稼働させ続けるため、部品の備蓄を進めている。英国政府は製薬企業に対し、薬剤の備蓄を通常より6週間分積み増しするよう要請している。

離脱賛成派は、こうした懸念は行き過ぎだと主張。「合意なき離脱」の場合もトラック運行に支障は生じないと述べた仏カレー港湾当局者のコメントを指摘している。

フランス当局は、追加的に数百の通関担当者を雇い、通関施設を増設する計画を明らかにしている。

●財政とイングランド銀行

ハモンド英財務相は、ブレグジットが経済的なショックを与える場合に備えて財政支出を拡大すべく、財政上の予備費を積み上げてきた。

しかし同時に、長期的には、合意なきブレグジットという事態に陥るとすれば、緊縮財政を終らせるという自身の公約を考え直すことになる、と同財務相は警告している。

 1月16日、英国が欧州連合(EU)を離脱する期限まで残り10週間となったが、いまだに事態を打開する道筋は見えておらず、英国経済へのショックを和らげるための移行期間が確保できない可能性が高まっている。ロンドンで15日撮影(2019年 ロイター/Clodagh Kilcoyne)
離脱賛成派は、合意なき離脱は、EU予算に対する英国政府からの資金拠出がただちに終了することを意味しており、公共財政にとってプラスになるはずだと主張している。

英中銀は投資家に対し、合意なき離脱ショックが生じた場合でも、中銀が直ちに救済に動き、金利を下げるとは期待しないよう警告している。英ポンド下落によって、同国のインフレ率が押し上げられ、利下げの障害となる可能性がある。

●英ポンド

経済に打撃を与える可能性が高いことを考慮すれば、合意なき離脱は、恐らくポンド売りの引き金となるだろう。ポンドの対ドル相場は2016年にEU離脱を決めた英国民投票以来、約13%下げているが、この幅がさらに拡大することになる。

英中銀による「最悪の離脱シナリオ」では、ポンドは25%下落して米ドルと等価になると試算されている。

●英国株価

ポンド安になれば、世界で事業展開する英最大手企業の多くにとって、株価が上昇する可能性がある。FTSE100種株価指数の構成銘柄であるブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BATS.L)やグラクソ・スミスクライン(GSK)(GSK.L)など、収益の7割を海外で稼いでいる企業がそれに含まれる。

だが、より国内市場に注力して、収益の半分を自国に依存するFTSE250種株価指数に含まれる企業は打撃を受ける可能性がある。

●債券

合意なき離脱による経済ショックが生じた場合、通常であれば、投資家は英国債という安全資産に流れるはずだ。

だが、合意なき離脱はメイ首相にも大きな打撃を与え、新たに総選挙が行われる可能性がある。党勢を回復している左派・労働党は、公共投資の大幅増を公約しており、一部の投資家を動揺させることだろう。

(翻訳:下郡美紀、編集:山口香子)
https://jp.reuters.com/article/britain-eu-deal-idJPKCN1PB09Q

 


メイ英首相、厳しい交渉に直面−野党が離脱先延ばしなど要求
Tim Ross、Alex Morales、Kitty Donaldson
2019年1月17日 4:27 JST 更新日時 2019年1月17日 12:11 JST
不信任案否決受け超党派協議始まる、労働党コービン党首は不参加
メイ首相は21日までに合意修正案「プランB」を議会に示す必要

U.K. Prime Minister Theresa May. Photographer: Press Association via AP Images
英下院は16日、メイ内閣に対する不信任案を僅差で否決した。メイ首相は当面の危機を脱したものの、欧州連合(EU)離脱案を巡ってこれから野党などとの妥結を目指し、最も難しく危うい交渉に当たることになる。

  事情に詳しい関係者によると、EU離脱予定日が10週間後に迫る中、メイ首相は議会を通過させることができる案の策定に向け、これまで譲れないとしてきた条件についても交渉に応じる用意がある。これは、EUとより密接な関係を維持するという野党が求めている結果につながる可能性がある。

  メイ首相は不信任案否決後間もなく、難局打開に向け超党派協議を開始した。首相は21日までに議会に自身の合意修正案「プランB」を説明しなければならない。


首相官邸前で話すメイ英首相(1月16日)
  メイ首相は議員らに対し、「政府は建設的な姿勢でこれらの協議に臨む。他の参加者も同じ姿勢で臨んでいただきたい」とした上で、「われわれは交渉可能かつ下院で十分な支持を得ることができる解決策を見つける必要がある」と語った。

  不信任案否決を受け、ポンドは上昇した。超党派協議により、EUとの貿易関係を維持する離脱案がまとまるとの期待が高まった。

  しかし、メイ首相は超党派協議で野党から協力を得るにしても、その代価はあまりにも高くつくことがすぐに明白となった。各党の党首らが協議参加の条件として、離脱時期の先延ばしなどに加え、離脱の是非を問う再国民投票の選択肢まで残すよう要求したからだ。

  さらに最大野党労働党のコービン党首が協議参加を拒否したため、メイ首相の窮状は深まった。

  メイ首相は16日夜遅くのテレビ演説で、自由民主党やスコットランド国民党(SNP)、ウェールズの地域政党、ウェールズ民族党と「建設的」な話し合いを持ったと発言。ただ、コービン氏が協議参加を断ったことは「残念」だとし、同氏の考えが変わればいつでも参加を歓迎すると述べた。

離脱先延ばし
  メイ首相は内閣不信任は逃れたものの離脱を巡る政治の危機的状況は続いており、先行きは依然不透明だ。英国とEUの当局者は、英国が離脱を先延ばしさせる必要があるという見方を一段と強めている。しかしメイ首相はこれまでのところ、この選択肢を検討するつもりはないと公言している。

  メイ首相は今後、労働党やSNP、自由民主党の議員らの支持を得られる可能性がある代替案を見つける以外に選択肢はほとんどなさそうだ。これらの党はメイ首相の案よりもEUとの貿易関係を密接にすることを望んでおり、例えば労働党は関税同盟への完全かつ恒久的な加盟を主張している。

  だが、与党保守党の離脱強硬派の多くはこれに反対する立場を取っている。離脱強硬派は不信任投票ではメイ首相を支持したものの、首相が当初案よりも強くEUのルールに縛られる譲歩案を探った場合は直ちに反発する見通しだ。

  北アイルランドの民主統一党(DUP)からの支持取り付けは、メイ首相が離脱案を大幅に修正することが条件とされる。メイ首相が保守党やDUPの支持を失えば、この先、新たな内閣不信任案が提出された場合、可決される恐れがある。そうなればコービン氏が目指す総選挙につながる可能性がある。

  英議会がEUとの離脱合意案を承認しなければ、英国は3月29日に合意なしで離脱することになる。英当局はその場合、リセッション(景気後退)を招く恐れがあり、ポンドは最大25%下落、住宅価格も30%程度の急落に見舞われると警告している。既に製造業者のサプライヤーは万一の場合に備えて在庫を増やしている。


ロンドンの自宅を出るコービン労働党党首(1月16日)Photographer: Luke MacGregor/Bloomberg
  コービン氏は協議の前提条件として、メイ首相が合意なきEU離脱の可能性を否定しなければならないと主張。メイ首相の報道官は記者団に対し、首相はそれに応じるつもりはないと説明したが、コービン党首側は合意なき離脱が「脅し」に使われていると反発した。

  事情に詳しい関係者によると、メイ首相は次の方策を議論するためEU首脳らと電話会談を行っている。

  ただ、EUがどの程度助けになるかははっきりしない。EU外交官によると、EUは必要ならリスボン条約50条が定める離脱交渉期間を夏以降まで延長する用意がある。しかしEUの首席交渉官を務めるミシェル・バルニエ氏は16日、合意した離脱案で最も問題となっているアイルランドとの国境を巡る「安全策」は絶対に必要だと発言した。

A Vote of Some Confidence
More Conservatives have confidence in May’s leadership than in her Brexit deal


Source: Parliamentary Digital Service

原題:May Faces Tough Talks With Opponents to Get a New Brexit Deal(抜粋)

(超党派協議の情報などを追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-16/PLFVDL6JTSEC01?srnd=cojp-v2


 


トップニュース2019年1月17日 / 15:32 / 1時間前更新
アングル:英国のEU離脱劇、首相に残された「3つの選択肢」
Reuters Staff
2 分で読む

[ロンドン 16日 ロイター] - 英国の欧州連合(EU)離脱期日まであと10週間となったが、離脱の形がどうなるか、あるいは本当に離脱するのか不透明だ。

英議会が15日にEU離脱提案を否決したことで、野党の協力を仰いで新たな方針を打ち出さない限り、メイ首相は合意なき離脱かブレグジット(英のEU離脱)撤回を選ばざるを得なくなる。

残された選択肢は次の通り。

●政治的妥協

メイ首相は、15日の否決を受けて、妥協点を探るため議会指導部と対話すると表明。金融市場は、議会が結局はぎりぎりの段階で事態収拾に向けて結束するだろうとみている。

野党・労働党で影の財務相を務めるジョン・マクドネル氏は、もしメイ氏がEUの関税同盟に恒久的にとどまることを受け入れるなら、労働党はこれを支持すると発言した。これは英国が単一市場と緊密な関係を保ち、労働者や消費者がより手厚く守られる道だからだ。

メイ氏が属する保守党は内部の意見対立が非常に深いため、労働党が離脱の最終的な行方に及ぼす影響は大きい。実際、下院で労働党議員256人の一部が賛成に回らない限り、離脱に関するどんな提案も可決にこぎ着けるのは難しい。

ただメイ氏が労働党の立場に距離を縮めれば、保守党内の離脱推進派や閣外協力する北アイルランドの民主統一党(DUP)の支持を失いかねない。

メイ氏が妥協を導き出せない場合は、総選挙に打って出るか、離脱の延期または合意なき離脱のどれかを選ぶことになる。

多くの保守党議員はこのような重大局面で選挙戦を展開することに反対している。2017年の総選挙ではメイ氏が過半数割れに追い込まれている。メイ氏自身も16日、総選挙は「われわれができる中で最悪の行動」だと語った。

EUのバルニエ首席交渉官は、英国が前に進める1つの方法は、EUの規制に対しより足並みをそろえることだと指摘。複数のEU高官は、例えば英国はEUの関税同盟と単一市場の離脱方針を放棄することができるとの見解を示す。もっともそうした姿勢は、多くの保守党議員の支持を得られそうにない。

●合意なき離脱

合意なき離脱に関しては、英議会の大多数と多くの企業が猛反対しているが、議会が新たな提案に合意しない限りは実現することになる。

ある有力議員は「メイ氏の提案が嫌だというだけでは不十分で、何らかの合意を代わりにまとめなければならない。さもないと合意なしで離脱することになる」と警告した。

合意なき離脱に移行期間はなく、突然迎えることになる。国際展開する企業には悪夢である半面、EUと完全に縁を切りたい強硬離脱派にとっては夢がかなう。

英国は世界貿易機関(WTO)に加盟しており、合意なき離脱後のEUとの関税やその他貿易条件はWTOのルールに基づく。

企業側は既に、合意なき離脱による通関手続きなどを見据えた緊急対策を発動しつつある。

離脱推進派は、短期的に混乱が起きるとしても、ドイツが支配し、中国や米国の後塵を拝するような政治システムから離脱できれば、長期的には英国に繁栄をもたらすと強調している。

●離脱撤回

2016年の国民投票以降、離脱反対派は逆の結果を期待して投票の再実施を求めている。ただメイ氏は繰り返し、16年に離脱に賛成した人たちの意思を踏みにじるとして再実施を否定してきた。

再実施は議会が認めた場合のみ可能だが、現段階で過半数が再実施を支持しているわけではない。

労働党は総選挙を求めており、それが拒否された場合は初めて国民投票の再実施を検討するだろう。コービン党首は古くからの欧州懐疑派で、過去には再実施には反対の考えを表明している。

一方、親EU派の保守党議員ドミニク・グリーブ氏は16日、新たな国民投票の実施ができるようにするための法案を提出した。

議会が再実施に同意すれば、英政府はEUに離脱の延期を要請しなければならなくなる。選挙管理委員会は、国民に対する質問内容について意見をすり合わせる必要も出てくる。

政府高官の間では、国民投票を再実施すれば16年の投票が引き起こした分断がさらに深刻化しかねないと懸念している。今後、EU残留派が多数となれば、離脱推進派は再々実施を迫るかもしれない。
https://jp.reuters.com/article/brexit-uk-scenarios-idJPKCN1PB0CT
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/624.html

[経世済民130] 米政府機関の閉鎖、各方面で悪影響が一気に深刻化する恐れ TOPIXが反発、堅調な米景気と為替の円安ー金融や素材高い  
米政府機関の閉鎖、各方面で悪影響が一気に深刻化する恐れ

Christopher Flavelle、Jennifer A. Dlouhy、Ryan Beene

2019年1月17日 16:22 JST

食料配給券の受給、IPO、民事訴訟や医薬品審査にも影響か
閉鎖の影響は「加速度的に悪化するだろう」−シンクタンク

米国の空港で保安検査官が相次いで職場放棄し、飛行機が離着陸できなくなる。連邦裁判所で民事訴訟の審理が中断。公営バスの運行がストップ。3800万人の米国人がフードスタンプ(食料配給券)を受給できなくなる。

  連邦政府関係者やウォール街のアナリストは、すでに最長記録を更新した一部政府機関の閉鎖が春、もしくはそれ以降まで続いた場合を想定した、いわば悪夢のシナリオを思い描いている。


アトランタ国際空港の保安検査官(1月14日)Elijah Nouvelage / Bloomberg
  ワシントンのシンクタンク、アメリカ進歩センター(CAP)のシニアアドバイザー、サム・バーガー氏は、「政府機関閉鎖は線形ではなく加速度的に悪化する」と語った。同氏はオバマ政権時代に行政管理予算局(OMB)で勤務した経験を持つ。

  トランプ政権は税還付の処理に関してこれまでの法解釈を見直すなど、政府機関閉鎖の影響を軽減する工夫を凝らしてきた。だが、利用者手数料や残余金その他の財源で運営費を捻出できていた政府機関でも、資金は枯渇に向かっている。

  先週の時点で、数十万人の連邦職員が給与支給を受けられなかった。

  国土安全保障省、環境保護局(EPA)など10余りの連邦政府機関が閉鎖したことの影響は全米で実感されるようになり、経済、公共安全、企業活動や個人所得を脅かしている。悪化の一途をたどる見通しだ。

  政府閉鎖が長引く中で想定される影響を次に列挙してみた。

セーフティーネット

フードスタンプの支給は2月以降、資金不足で続けられなくなる可能性がある−農務省
住宅都市開発省は家賃補助契約について、昨年12月に失効したか今年1月に失効する1150件の更新ができないと表明。約4万の低所得世帯に影響する見通し

無報酬の勤務を巡る状況
運輸保安局(TSA)の保安検査官は欠勤率が平常時の2倍となっており、マイアミやヒューストン、バージニアなどの空港では保安検査場が縮小されている
国境監視員や航空管制官、消防隊員、連邦刑務所の刑務官など、他に必須と見なされる職員についても欠勤率が高まる恐れもある

政府機関が入居するビルの賃料支払い
一般調達局(GSA)は通常、月末に賃料支払いを行っているが、今月末には閉鎖の影響で支払いが滞る可能性がある−不動産仲介のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドのダリアン・ルブラン氏
政府機関の賃料支払いが滞っても、地主には対応するよい手だてがない。法律により、政府機関を立ち退かせることはできず、訴訟提起が唯一の手段

連邦裁判制度
連邦裁判所事務局によると、連邦裁判所は「1月25日まで報酬支給を伴った業務を継続できる」が、その後の業務は「不可欠な業務」のみとなる。個々の裁判所が判断する。地裁と高裁、また破産法裁判所は業務を縮小する。刑事訴訟に中断はないが、連邦政府が関与する民事訴訟の一部はすでに中断となった

米食品医薬品局(FDA)
食品安全検査の一部はすでに中断。医薬品の審査は、審査料の徴収ができないため新たな申請を受け付けておらず、審査に充てる資金も数週間で底を突く見通し

IPOの滞り
公設の証券取引所での新規株式公開(IPO)が実施されなくなる恐れがある。米証券取引委員会(SEC)が業務を再開するまで、IPO計画の届け出を希望する企業はSECのフィードバックが受けられない
上期のIPOを目指してきたウーバー・テクノロジーズとリフトは、政府閉鎖でIPOが遅れる可能性があると関係者は述べている

その他企業活動への影響
当局の承認が必要なため、新製品の導入や合併・買収(M&A)の完了が先送りになる企業もありそうだ。例えばフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は、EPAの排ガス基準認証を受けるまで、ピックアップトラック「ラム」の新モデルを販売できない
TモバイルUSによるスプリントの買収は、連邦通信委員会(FCC)の承認を得ないと先に進めない。FCCは大半が閉鎖状態にある

原題:The Shutdown’s Bad. Buckle Up Because It Could Get Much Worse(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-17/PLEGJP6VDKHX01?srnd=cojp-v2


 


TOPIXが反発、堅調な米景気と為替の円安ー金融や素材高い
河元伸吾
2019年1月17日 8:01 JST 更新日時 2019年1月17日 15:14 JST
米ベージュブックは大半の地区が景気拡大、円は1ドル=109円近辺
米当局が中国ファーウェイを捜査と関係者、日経平均は続落
17日の東京株式市場ではTOPIXが反発。米国の景気堅調や大手銀行の好決算、為替相場の円安で業績に楽観的な見方が広がった。鉄鋼や非鉄金属など素材関連、銀行や証券など金融株が上昇。米中関係の悪化が意識されて上値は重く、日経平均株価は続落。

TOPIXの終値は前日比5.43ポイント(0.4%)高の1543.20
日経平均株価は同40円48銭(0.2%)安の2万0402円27銭
  米連邦準備制度理事会(FRB)が16日公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)では、大半の地区が緩慢ないし緩やかな景気拡大、一部で景気鈍化の兆候が表れたと報告した。米国株式市場では好決算のゴールドマン・サックス・グループとバンク・オブ・アメリカが大幅高。きょうのドル・円相場は1ドル=109円近辺で推移し、前日の日本株終値時点の108円47銭から円が下落した。

  東海東京調査センターの平川昇二チーフグローバルストラテジストは「ベージュブックで景気拡大ながらも一部に弱い動きがあることは、株式相場にマイナスとなる利上げの回避につながる」と分析した。

  ただ、午前半ば以降は中国株の弱含みを受けて失速、日経平均はマイナス圏に沈んだ。米が中国の華為技術を秘密窃取の疑いで捜査していることが明らかになり、「米国と中国のハイテク分野での覇権争いで、関係悪化が懸念されることが相場重し」と東海東京調査の平川氏はみていた。

  SMBC信託銀行の山口真弘シニアマーケットアナリストは、日経平均は2018年12月13日の直近高値から同25日安値までの下げの半値戻し水準である2万0500円付近では売りが出やすいとした上で、「海外のヘッジファンドなどに短期利益を確定する動きが見られる」と話した。


東証33業種は証券・商品先物取引、保険、銀行、非鉄金属、鉄鋼、不動産などが上昇
ゴム製品、小売、海運、石油・石炭製品は下落
東証1部の売買代金は1兆9778億円−18年9月10日以来の2兆円割れ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-16/PLG44Q6K50XS01?srnd=cojp-v2

 


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/625.html

[国際25] 共和党「トランプ対抗馬」出るか、20年大統領選の行方

コラム2019年1月17日 / 13:22 / 4時間前更新
共和党「トランプ対抗馬」出るか、20年大統領選の行方
Lincoln Mitchell
3 分で読む

[14日 ロイター] - 米上院議員としての就任宣誓に臨む2日前の1月1日、ミット・ロムニー氏はワシントンポスト紙に、トランプ大統領が「大統領という重責にふさわしくない」との懸念を示す論説を寄稿した。

とはいえ、2012年に共和党の大統領候補指名を受けたロムニー氏は、特に大胆なことをやってのけた訳米上院議員としての就任宣誓に臨む2日前の1月1日、ミット・ロムニー氏はワシントンポスト紙に、トランプ大統領が「大統領という重責にふさわしくない」との懸念を示す論説を寄稿した。ではない。彼のコラムはおおむね、トランプ氏の直情型の性格や国際関係について、多くの共和党関係者が以前から感じつつも、積極的な取り組みを約束するには至っていない懸念の「焼き直し」に過ぎなかった。

ロムニー氏のコラムには、「トランプ以前」の大統領候補にとっては定番だった発言が見られた。

「わが国の将来について、私は依然として楽観的だ。イノベーションの時代において、米国民は卓越している。さらに重要なのは、米国民の心に高貴な本能が宿っていることだ」 

ロムニー氏はその後、トランプ氏に対抗して出馬する予定はないが、必ずしも同氏を支持するわけではないと述べている。ロムニー氏のコラムを読むと、大統領候補指名に向けた予備選で共和党内の誰がトランプ氏への挑戦者になり得るかという話題のなかで、少なくとも同氏の名前は浮上しないと考えざるを得ない。

共和党内から誰かがトランプ氏に対抗して出馬するだろうという発想は目新しいものではない。

予備選でトランプ氏に挑戦するという考えは、多くの中道派だけでなく、いかに少数であるとはいえ、トランプ氏に対する批判を続ける保守派にとっても、非常に魅力的である。予備選で成功を収めれば、トランプ政権という実験に終止符を打つことにつながるだけでなく、米国の政治システムに対する永続的なダメージを抑え込み、トランプ政権の進んできた方向から共和党を遠ざけることさえ可能かもしれない。

トランプ氏への挑戦者が共和党予備選に出馬することを求める多くの評論家や政治アナリストを含め、政界関係者の多くはこうした展開を期待するだろう。

だがこのシナリオには問題がある。共和党がどれほど「トランプ流」に合わせて作り変えられてしまったかを見過ごしているからだ。予備選でトランプ氏に挑戦する候補者は、激しく叩かれ、結果的にトランプ氏による党内支配を強めるだけになってしまうだろう。

トランプ氏本人の党内での人気は非常に高い。世論調査会社ギャラップによれば、自らを共和党支持者であると考える人のあいだでのトランプ氏の支持率は、大統領に就任して以来、77%を下回っていない。2018年には最低でも81%であり、ほとんどの週はこの数値を大幅に上回っていた(対照的に、全米支持率は就任以来平均39%である)。

現職の大統領を予備選で葬り去ることは至難の業だ。ここ数十年でそれを達成したのはただ1人、1968年の民主党ニューハンプシャー州予備選でジョンソン大統領(当時)に肉薄し、ジョンソン大統領に撤退を決意させたマッカーシー上院議員だけである。

自党の支持基盤から愛されている大統領に予備選で挑戦して打ち負かすのは、ほぼ不可能だ。共和党内におけるトランプ氏の人気は、共和党の有権者と一部の共和党エリートとのあいだの大統領に関する考え方の違いを浮き彫りにしている。テレビや人気政治サイトでトランプ氏を批判する共和党関係者は多いが、彼らの姿が見られるのは、そうした舞台だけなのだ。

世論調査だけでなく、2016年以降、共和党の予備選ではトランプ派の候補者が勝つケースがほとんどで、共和党の連邦議員は、議席を維持するためにトランプ支持の有権者の歓心を買わざるをえない場合が多い。共和党上院議員のなかで最も率直なトランプ批判を展開していたジェフ・フレーク氏でさえ、もし自分が再選を目指していたならば、いくつかの問題についてトランプ氏を怒らせるような立場をとらなかっただろうと認めている。

貿易や外交などトランプ氏と共和党主流派の意見が異なる政策については、依然として共和党指導者のあいだで分裂が見られるが、これらは共和党内の予備選において多くの有権者の動向を左右するようなテーマではない。

先月、大きな注目を集めないようなやり方で、再選をめざすトランプ陣営と共和党全国委員会(RNC)は、2020年大統領選に向けて、この2つの組織の実質的に1つに統合するための構造を作り始めた。政治サイト「ポリティコ」の報道によれば、トランプ陣営とRNCが、双方の実働部門と資金調達部門を単一の組織に一体化させる計画だという。

これは、トランプのRNC支配を確実にするも同然であり、予備選でトランプ氏に挑んで成功するどころか、インパクトを与える可能性さえ、いっそう低下してしまう。こうした背景を考えれば、RNCのマクダニエル委員長がロムニー氏のコラムについてツイッターで「残念で非生産的」と論評したのも意外ではない。

トランプ氏が共和党の候補指名獲得に向けて予備選を戦う可能性は恐らく残っているが、同氏に挑戦する候補が誰であれ、大敗を喫するだけでなく、党をトランプ路線から引き離そうとどれほど試みても失敗に終る可能性が高い。

こうした理由があるからこそ、トランプ氏に挑戦する可能性がある人物として最も頻繁に名前が挙がるのは、アリゾナ州のフレイク氏や、前オハイオ州知事のケーシック氏など、キャリアの後半にさしかかった人物なのだ。

党内での将来があるクルーズ上院議員(テキサス州)やルビオ上院議員(フロリダ州)など、多くの主要テーマについてトランプ氏と意見を異にし、以前はトランプ氏の言動や倫理観について懸念を表明していた人々は、トランプ氏に挑戦し、それによって党内での立場を損なうことは考えていない。

この2年間で、共和党は「トランプ党」になってしまった。主要メディアに仰々しい論説コラムが発表されようと、この現実は変わりそうにない。

*筆者はニューヨークとサンフランシスコを拠点とする政治アナリスト兼研究者です。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/ecb-policy-rates-lautenschlaeger-idJPKCN1PB0U5
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/253.html

[原発・フッ素50] 英原発建設中断の日立、推進派・中西会長の警鐘 
英原発建設中断の日立、推進派・中西会長の警鐘

佐伯 真也
日経ビジネス記者
2019年1月17日
 
全1100文字
 日立製作所は1月17日、英国での原子力発電所の建設事業を凍結すると発表した。3兆円規模となる事業費を巡り、日英政府や関連企業との交渉が難航。民間企業の経済合理性の観点から事業継続が厳しいと判断した。凍結に伴い2019年3月期に約3000億円の損失を計上する見通しで、業績予想を下方修正した。


日立製作所は英国での原発建設計画を凍結した(写真:ロイター/アフロ)
 日立は12年11月、英原発事業会社ホライズン・ニュークリア・パワーを約899億円で買収。英国内に原発2基を新規建設することを目指し、協議を重ねてきた。18年5月には約3兆円とされる総事業費のうち、英国政府が2兆円超を融資し、日立、日本政府と日本企業、英政府と英企業が3000億円ずつ出資する枠組みを固めるなど事業化へ並々ならぬ意気込みを示してきた。

 だが、原発に対する批判を受け、日本企業からの出資が難航。英国政府に追加出資を要請したものの色よい返事は得られていない。もはや日立だけでは経済合理性の観点から計画推進が困難だと判断した。

 11年の東日本大震災の原発事故を受け、日本企業が推進してきた海外での原発建設は中断を余儀なくされている。こうした状況に、警鐘を鳴らすのが日立会長の中西宏明氏(現経団連会長)だ。


日立製作所会長の中西宏明氏(写真:竹井 俊晴)
もうからない商売はダメ
 「大変危機的な状況だ」。中西氏は18年末、経団連会長として受けた日経ビジネスのインタビューで日本の原発の現状をこう表現した。

 中西氏が最大の問題とするのが、原発がもうからない事業になった点。「もうからない商売ほどダメな商売はない。お客さんがもうけられない仕事で、機器ベンダーがもうけられるわけがない」と語る。

 日立は今後も、英国政府との協議は継続する方針。プロジェクト再開も視野に入れるが、実現のハードルは極めて高いだろう。さらに国内では原発の新設はおろか、再稼働すら難しい状況だ。

 中西氏は「国民が支持しないものは動かせない」と断言。「安全審査を通り、さあ動かそうとしても自治体がノーと言えば動かせない。再稼働の必要性を仮に自治体の長が説いても、原発を動かすと次の選挙で落ちる。こういう仕組みに入ってしまった」と続ける。

 日立に加え、東芝、三菱重工業の「原発御三家」も事業環境は同じ。既存原発のメンテナンスと廃炉作業だけのビジネスでは、縮小均衡に陥る可能性がある。原発の海外輸出という国策がとん挫するだけでなく、「このままだと中国とロシアだけが原発をつくる国になってしまう」と中西氏は危機感を口にする。

 「好き嫌いではなく真正面からエネルギーをどうすればいいか議論すべきだ」と中西氏は説く。日立の英原発凍結で、岐路に立った日本の原発。残された時間は少ない。

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/011700012/
http://www.asyura2.com/18/genpatu50/msg/789.html

[経世済民130] 対中投資:積極攻勢に出る日本企業  まだ昭和の常識でアジアを見ている人 平成の次の時代に日本が受け入れるべき厳しい現実
対中投資:積極攻勢に出る日本企業

2019.1.17(木) 瀬口 清之

日本なら16%以上の成長に匹敵する市場で売れる日本車

中国自動車大手、米市場進出を先送り 広州汽車、貿易戦争で誤算

北米国際自動車ショーに出展された中国自動車大手、広州汽車集団(GAC)のコンセプトカー「Entranze」(2019年1月14日撮影)。(c)TIMOTHY A. CLARY / AFP〔AFPBB News〕

1.中国市場での日本車販売の好調

 中国での日本車販売の好調が続いている。

 2018年は昨年末まで実施されていた排気量1.6リットル以下の乗用車を対象とする自動車税の減税措置が停止されたため、その反動で乗用車販売が伸び悩んだ。

 2018年1〜11月累計データを見ると、乗用車販売台数全体では−2.8%、商用車を含む自動車全体でも−1.7%と減少した。

 しかし、日本車全体では、2018年1〜11月累計前年比は+5.3%と前年を上回った。

 前年を上回ったのは日本、ドイツ(同+4.3%)と韓国(同+5.3%)だが、韓国は前年の大幅減の反動である。実質的に好調が続いているのは日本とドイツの2か国の乗用車のみである。

 その他は、中国地場系企業同−6.0%、米国同−15.9%、フランス同−27.2%など、軒並み前年を下回った。

 主要国別ブランド乗用車販売シェア(工場出荷台数)を見ると、日本とドイツの好調がよく分かる(図表1参照)。

図表1 国別ブランド乗用車販売シェア (工場出荷台数)<単位・%>

(注)2018年のデータは1〜11月累計ベース。(資料:マークラインズ、CEIC)
 日本車の足許の販売好調が続いている背景は、日本車は前述の昨年末までの自動車税減税対象車種が少なかったため、駆け込み購入の反動が生じにくかったことが大きい。

 加えて、ここ数年、中国人のニーズに合わせたデザイン、品質、価格等を総合的に追求してきた成果が現れたものと考えられる。

 2016年頃以降、尖閣問題に端を発する日本車敬遠のムードがほぼなくなったのも影響している。

 先行きについては、トヨタ自動車が昨年央以降、中国での販売戦略を一段と積極姿勢に転じた。

 ホンダは昨年リコール対応の関係で販売台数が伸び悩んだが、本年はそうしたマイナス要因がなくなるため、堅調持続が予想される。日中関係の改善も好材料の一つだ。

 また、急速に拡大しつつある中古車市場でも日本車とドイツ車の人気が高く、下取り価格が他国メーカー比高い。

 このため、買い替えを意識すれば、下取り価格が高い分だけ割安感が生じる点も今後の新たな追い風要因の一つになると考えられる。

 ある大手日本車メーカーの関係者は、数年後には、日本車のシェアが現在の19%弱から25%程度にまで増大する可能性は十分あると語った。

2.日本企業の対中投資姿勢が積極化
 日本企業の対中投資の約半分は自動車関連であると言われている。

 自動車産業は裾野が広く、鉄、アルミ、樹脂、ガラスといった素材分野、エンジン、電子部品、タイヤ、内装関連といった部品関連分野など極めて多岐にわたる産業が内包されている。

 しかも、それらの幅広い分野の日本企業は日本車メーカーのみならず、中国地場自動車メーカー、欧米・韓国メーカー向けにも供給している。

 これらの自動車関連企業が上述の日系自動車メーカーの販売好調などの影響を受け、対中投資額を増加させる傾向にある。

 この間、中国における人件費の急速な高騰を背景に、中国企業を中心に合理化投資が増加し、日本企業の得意分野であるロボット・工作機械の需要も好調が続いている。

 昨年7月以降は、米中貿易摩擦の激化を背景にロボット・工作機械の受注が突然停滞し、多くの日本企業が衝撃を受けた。

 しかし、足許の中国国内の雇用の安定状況を考慮すれば、人手不足を背景とする賃金上昇は今後も続く可能性が高い。

 となれば、生産コスト引き下げのための合理化投資需要は今後も伸び続けると予想されることから、足許の合理化投資関連受注の停滞は一時的なものであると考えられる。

 以上を考慮すれば、今後も自動車関連、およびロボット・工作機械関連需要は中長期的に堅調が持続すると考えられる。

 そうした先行きの需要予測もあって、上記関連の日本企業は引き続き積極的な投資姿勢を持続していくものと予想される。

 この間、それ以外の分野の対中投資姿勢については、2017年までは総じて積極性が強くなかったと言われていた。

 しかし、そうした他分野の日本企業の対中投資姿勢についても、最近は積極化に転じる変化が見られているという話を耳にすることが増えている。

 日本企業が対中投資姿勢の修正を考慮する場合、まずは日系金融機関に相談して情報を入手する。

 そのうえで中国現地視察を行い、投資環境を判断し、経営戦略を練り直す。現地視察の際にも日系金融機関のお世話になるケースが多い。このため、日系金融機関の責任者は日本企業の投資動向に敏感である。

 そうした日系金融機関の責任者によれば、日本企業の現地視察が昨年以降、顕著に増加している。特に、以前に比べて頻度が増えたのみならず、視察に来る人々のランクが上がったと聞く。

 さらには、以前は足を延ばす人が少なかった成都、武漢など内陸部の主要都市にも視察に来る人々が増えているのが最近の特徴である。

 日本企業は横並び意識が強いのが従来からの特徴である。

 対中投資に関しても、日本国内が反中ムードに支配され、メディアなどがポジティブな情報を意図的にシャットアウトしていた時期には、大多数の日本企業が中国経済はリスクばかりが大きいと誤解していたため、中国ビジネスについてまじめに検討しようとしなかった。

 中国国内の中間所得層が急増し、日本企業の製品・サービスに対する潜在的需要が急拡大していたことにも気づかず、視察にすら行こうとしなかった。

 そうした状態が2012年9月の尖閣問題発生後、2016年まで続いていた。2017年から徐々にその雰囲気が変わり、2018年は久しぶりに対中投資額が明確に増加に転じた(図表2参照)。

図表2 国別対中直接投資額(単位・億ドル)

(注)18年のデータは1〜11月累計前年比を基に年率換算により算出。(資料 CEIC)
 上述のような自動車、ロボット・工作機械およびその他の産業分野の企業の対中投資姿勢の変化が広がりつつある状況、そして足許の日中関係の改善が当面は続く見通しにあることなどを考慮すれば、今後しばらくは対中投資の増大が続く可能性が高いと予想される。

3.データを見る限り欧米企業も投資姿勢が弱まっていない
 図表2のグラフを見ると、日本企業の対中直接投資額の回復が顕著だが、同時にドイツ、英国の投資が2018年に急増しているほか、米国、フランスも決して目立って減少はしていないことが分かる。

 これは、最近多くの欧米企業が中国ビジネスに対して慎重になっている状況と矛盾しているように思われる。ではどうしてこのようなことが起きているのだろうか。

 第1に、対中直接投資の統計データの計上時期は、実際の投資動向に対して通常1年近く遅れるという性質がある。

 2015年、2016年の2年間は中国地場系民間企業の設備投資の鈍化を中心に中国の内需が停滞したため、外国企業の業績も伸び悩んだ。

 しかし、2017年以降、再び内需が回復し、外国企業の業績が回復したため、投資姿勢が積極化したと考えられる。

 第2に、欧米企業が中国ビジネスに対して急速に慎重化したのは2018年以降である。

 このため、その影響が統計データ上に明確に表れるまでには1年程度のタイムラグがあり、2019年のデータからその変化が反映されると考えられる。

 加えて、中国経済は2018年夏場以降、1年半ぶりに再び緩やかな減速局面に入った。

 今後米中摩擦がさらに激化すれば、減速はより顕著となる。そうした中国経済の変化が影響するのも2019年以降になる。

 第3に、一部の欧米企業は引き続き対中投資に積極的である。ドイツの石油化学企業や英国の石油精製企業などが巨額の投資を行っている。

 中国市場の規模が以前の数倍に拡大し、外資企業の中国ビジネスの売上や利益も大幅に増加している。

 そのため、特に競争力の高い企業の投資額は以前に比べてはるかに巨額になり、そうした一部の企業の投資規模増大が国別の投資額を押し上げるケースが増えている。

 こうした事情を背景に、国全体としては対中投資に慎重な企業が大部分を占めていても、一部の積極的な企業だけで投資額を押し上げる状況も見られている。

 以上のような要因から、欧米企業の投資額が2018年に増加していると考えられる。

4.先行きの日本企業の対中投資
 先行きを展望すれば、本年6月には大阪で開催されるG20サミットに合わせて、習近平主席の訪日が実現する可能性が高い。

 それに合わせて、日中双方が民間経済交流を一段と強力に促進するための様々な協力案件や規制緩和政策を準備すると考えられる。

 加えて、中国の中央地方政府は、投資姿勢が慎重化している欧米企業より、積極化しつつある日本企業を重視して誘致活動に注力している。

 それにより、従来では日本企業が参入できなかった事業分野への参入が可能となるほか、規制緩和や許認可の面でも従来では得られなかった優遇措置を享受できる可能性が高まっている。

 加えて、米中摩擦の副産物として、知的財産権の保護強化や技術移転強要の緩和といった、日本企業にとっても好ましい投資環境の整備が進むことが期待される。

 こうした日中関係の改善や米中摩擦といった政治的要因を背景とする投資環境の改善に加え、前述のような日本企業自身の投資姿勢の積極化が相まって、今年はこれまで以上に対中投資が積極化する可能性が高いと考えられる。

 多くの日本企業は2012年以降、数年間にわたって中国国内市場の大きなビジネスチャンスを見落としてきたため、当面は次々と新たなチャンスに気づかされるケースが続くことが予想される。

 2018年の中国のGDP(国内総生産)規模は日本の2.7倍に達した(IMF世界経済見通し2018年10月推計)。

 今年の中国のGDPは確実に6%成長を達成すると見られているが、そこから新たに生まれる市場規模は日本のGDPの16%以上の成長率から生まれる市場規模に匹敵する。

 そのうえ、以前は中国市場のニーズは安価で付加価値が低い製品・サービスが中心だったのに対して、最近は日本企業が得意とする高付加価値で値段も日本並みあるいはそれ以上のものが中心である。

 このため、日本企業にとっての中国市場の規模は表面的な経済成長率よりさらに急速に拡大しており、中国市場で得られる利益額も以前とは比較にならない規模になっている。

 このように中国ビジネスの成功が日本企業、ひいては日本経済に与えるインパクトは以前に比べてはるかに大きい。

 中国経済の減速や米中摩擦の激化など懸念材料はあるが、中国の巨大市場で的確なマーケティングにより販路拡大に成功すれば、巨額の利益を得ることは十分可能である。

 今年こそこうした恵まれた市場環境を生かす日本企業が顕著に増加し、日中両国のウィン・ウィン関係が一段と明確になっていくことを期待したい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55210

 

まだ昭和の常識でアジアを見ている人はいませんか
平成の次の時代に日本が受け入れるべき厳しい現実
2019.1.17(木) 川島 博之
アジアで桁外れにリッチな人が増えている。ベトナム・ホーチミンの夜景
 平成の次はどんな時代になるのだろう。ここではアジアをキーワードに、この問題を考えてみたい。まず、アジアにとって平成とはどんな時代だったのか考えてみよう。

 現在、日本にとって身近なアジア(西アジア、中央アジアを除く)には40億人が住んでいる。それは世界人口の53%、世界の半分以上の人々が私たちの周辺に住んでいる。

 アジアの国々を1人当たりGDPによって、「高位」(1万ドル以上)、「中上」(5000ドルから1万ドル)、「中下」(1000ドルから5000ドル)、「下位」(1000ドル以下)の4種に分類した。1989年(平成元年)と、直近のデータが得られる2017年の分布を見てみよう(下の図)。1989年の時点では下位に属する人々が圧倒的に多かった。その割合は当時のアジア人口の91%に達していた。

http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/9/5/500/img_95b2c0e091c2d4b363eccbdb8b1a588521886.jpg
アジアの所得別人口分布(単位:億人、データ:世界銀行)

人間が生きていくためにはいくら必要か

 ここで「1人当たりGDP=1000ドル」が意味することについて少し説明したい。それを語るには穀物価格が重要になる。過去30年間、2008年に起きたリーマンショックに伴う価格高騰の一時期を除いて、穀物の価格は1トン200ドルから400ドル程度で推移してきた。

 人間が生きていくためには1日3000kcal程度が必要になる。少し大胆な仮定になるが、穀物だけで必要熱量を摂取すると、1日1キログラムほど食べなければならない。1年間に365キログラムの穀物を摂取するには、70ドルから150ドルほどのお金が必要になる。

 平均所得は1人当たりGDPの約半分である。そう考えると、1人当たりGDPが200ドルの国では、食糧を十分に手に入れることは難しい。1989年の段階ではアジアでもベトナム、ラオス、ネパール、バングラデッシュなどがそのような状況にあった。

 このことから分かるように、1人当たりのGDPが1000ドル程度になれば、食糧の入手に困らなくなる。もちろん、それぞれの国に格差があるから、貧しい人はそれでも食糧の入手に困ることだろう。ただ、それは各国の国内問題と言ってよい。

 このことを理解した上で、図をもう一度見ていただきたい。2017年になると、1人当たりGDPが1000ドルを下回る国はネパールだけになった。そのネパールも835ドルだから、絶対的な貧困は脱したといってよい。飢えに苦しむ人が劇的に減った。これが、アジアにおいて平成の30年間に達成されたことである。それは、長いアジアの歴史において画期的な出来事と言えよう。

日本がダントツ1位だったのは一瞬だけ
 現在、中国とタイは「中上」に分類されている。インド、インドネシア、ベトナム、バングラデッシュは「中下」にいる。中国の成長速度は明らかに減速しており、今後、順調な成長が続くとは思えないが、それでも2017年のGDPが8827ドルである。おそらく近い将来、先進国の入り口とされる1万ドルを越えることになろう。

 また、インドやベトナムなど現在「中下」に所属する国々は、近年、年率7%程度で順調に発展しているから、そう遠くない将来に5000ドルのラインを突破することになる。中進国入りである。

 平成になったとき、「上位」に入っていたのは日本、ブルネイ、香港、シンガポールだけだった。2017年にはそれに韓国とマカオが加わった。1989年の段階では、日本はダントツの1位であったが、2017年になるとマカオ、シンガポール、香港の後塵を拝するようになった。

 1989年の時点では日本人と香港、シンガポールなどに住む人だけが豊かであり、アジアの大半の人々は貧しかった。しかし、平成の30年間の間にアジアの国々は急速に発展し、その状況は一変してしまった。

消えつつあるアジアの「貧しい開発途上国」
 そして、もう1つ重要な点がある。アジアに日本とは比べものにならない格差社会が出現したことだ。これは、過去30年間、アジアを歩いてきた人間の実感である。

 多くの国で急速に富裕層が増え始めた。彼らの多くは企業経営者やその周辺に住む人々(中国では政治家も含まれる)であり、日本のサラリーマンのように給与をもらっているわけではない。それゆえに所得を把握することが難しい。そんなわけで信頼できるデータが公表されることがないから、日本であまり議論されることはないが、彼らは平均的な日本人よりもずっと豊かである。ベンツなどの高級車を当たり前のように乗り回している。

 アジアの人口は40億人だから、そんな富裕層が全人口の1%であったとしても、その総数は4000万人にもなる。

 このような状況は、多くの日本人が引きずる「1989年の常識」に変革を要求している。極論になるが、もはやJICA(国際協力機構)はその使命の大半を終えたと言ってもよい。日本ではいまだに「開発途上国の人々は貧しく、助ける必要がある」という昭和の観念から抜け出せない人も多いが、ことアジアを見る限り、援助すべき国はなくなりつつある。もし、貧しい人がいたとしても、彼らを助けるべきなのは、その国に住むベンツを乗り回す人々だろう。

日本の高級住宅街はアジアの富裕層だらけに?
 平成の次の時代、日本は確実にアジアの普通の国の1つになる。特に優越した豊かな国ではなくなる。そんな日本は、急増するアジアの富裕層とどう付き合えばよいのであろうか。これは、平等を尊ぶ日本にとって、極めて難しい課題になる。

 現在、アジアの富裕層は銀座のデパートで高級品を爆買いしている。中国人が多いとされるが、これからは東南アジアや南アジアから来る人も確実に増えるだろう。すでに客単価はベトナムからの観光客が最も高いというデータもある。

 今後、日本の高級住宅街はアジアの富裕層が住む場所に変わるかもしれない。それを多くの日本人はどのような目で見るのであろうか。「日本が買われる」と批判的にみるのか、「爆買い」をビジネスのチャンスと見るかによって、対応も変わろう。いずれにせよ、これまで以上に、日本は格差拡大とともに発展するアジアとの距離感に悩む時代になる。

 昭和の感覚で次の時代を生きることはできない。今年は、新たな年号の下で将来について語る機会も増えると思うが、その際には、大きく変わったアジアの状況を頭のどこかに入れて議論してほしい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55158
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/626.html

[国際25] 米国の新法「ARIA」に猛反発、中国の反撃の一手とは 内陸奥深くに対艦弾道ミサイルを設置、接近する米軍艦を標的に 
米国の新法「ARIA」に猛反発、中国の反撃の一手とは
内陸奥深くに対艦弾道ミサイルを設置、接近する米軍艦を標的に
2019.1.17(木) 北村 淳
南シナ海でのFONOPを実施した米海軍駆逐艦マッキャンベル
 アメリカ海軍が、2019年に入って初めての南シナ海でのFONOP(公海における航行自由維持のための作戦)を実施した。それに対応して、中国は対艦弾道ミサイルでの反撃態勢が整っている状況を誇示することでアメリカ側を牽制した。

米国が制定した「アジア再保証推進法」
 1月7日、アメリカ海軍第7艦隊に所属し横須賀を母港とするイージス駆逐艦マッキャンベルは、中国とベトナム、それに台湾が領有権を主張し中国が実効支配を続けている西沙諸島(現時点では島嶼名は公表されていない)沿岸の12海里内海域を通航した。

 マッキャンベルは昨年12月5日には、ロシアによる「過剰な領海線の主張」を牽制するため、ウラジオストック沖のピョートル大帝湾でFONOPを実施した。それに引き続き、今回は中国による西沙諸島での「過剰な海洋主権の主張」を牽制し「国際法に基づいた自由航行が確保される」ためにFONOPを実施したのである。

 今回のマッキャンベルによる西沙諸島でのFONOPは、2019年初のFONOPであるというだけでなく、米国が昨年12月末に「Asia Reassurance Initiative Act(アジア再保証推進法:ARIA)」を制定して初めてのFONOPとなる。

 ARIAには、東シナ海と南シナ海を中心としたインド洋・太平洋地域において、同盟国や友好国との合同海洋訓練やFONOPを実施することにより、この海域での国際法に基づいた秩序維持を促進することを含む外交的戦略を構築し、実施しなければならないことが明示されている。

 このため、トランプ政権は今後も南シナ海でのFONOPや海上自衛隊、オーストラリア海軍、イギリス海軍などを巻き込んでの合同訓練などを積極的に実施していくであろう。

中国の反撃、砂漠地帯で弾道ミサイルを実践配置
 中国海軍はマッキャンベルを監視し“追い払う”ために軍艦と航空機を派遣した。同時に、中国外交部は「アメリカ軍艦は中国の法律と関連する国際法を踏みにじって中国の主権を侵害し、西沙諸島周辺海域の平和と安全と秩序を危殆にさらした。中国政府はこのような行為には強く反対するとともに、アメリカ政府に対してこのような挑発を直ちにやめるよう要求する。中国は、中国の主権と安全を守るために必要な手段をとり続けるであろう」という趣旨の非難声明を発した。

 このような中国側の反応は、アメリカ海軍による南シナ海でのFONOPに対しては恒例行事となっており、なんら目新しい動きではない。しかしながら今回は、新しい動きが見られた。すなわち、マッキャンベルのFONOPが実施された翌日、中央電視台が、中国人民解放軍ロケット軍が新鋭「東風26型」中距離弾道ミサイル(DF-26)を中国北西部砂漠地帯の高地に実戦配置につけた模様を伝えたのである。

発射装置に搭載された中国ロケット軍のDF-26
 DF-26をはじめとする中国ロケット軍の近代的弾道ミサイルは、地上移動式発射装置(TEL)から発射される方式を採用している。そのため、中国内を移動して様々な地点から発射することが可能である。今回は、それが砂漠地帯の高地に姿を現したのだ。

 DF-26は最大射程距離が3000km以上(あるいは4000km以上)と言われている。そのためアメリカ軍ではグアムの米軍攻撃用と考え「グアムキラー」あるいは「グアムエクスプレス」などと呼んでいる。そしてDF-26は、地上建造物などのような静止目標だけでなく、移動する艦艇をも攻撃する能力がある対艦弾道ミサイルとされている。

 現在のところ、中国だけが開発に成功し保有している対艦弾道ミサイルの第1号は東風21D型弾道ミサイル(DF-21D)であり、DF-26はさらに性能が強化されたものと考えられている。DF-21Dは主としてアメリカ海軍の巨大原子力空母を主たる攻撃目標として開発されたが、DF-26はさらに命中精度を向上させて空母だけでなく米海軍の大型艦から中型艦、たとえばイージス駆逐艦、までをも攻撃することができるといわれている。

 要するに中国側は、「アメリカがFONOPと称して中国の領海に駆逐艦を派遣しているが、中国はいつでもアメリカ軍艦を葬り去る用意ができている」という警告を発したのである。

探知されにくい内陸奥地からの発射
 中国当局は、中国北西部の砂漠地帯という東シナ海や南シナ海の沿岸域から遠く離れた内陸部でDF-26を配置につけた状況を公表したわけだが、このことは、対艦弾道ミサイルによって、中国近海あるいは中国の“主権的海域内”に侵入したアメリカ艦艇を攻撃するという極めて実戦的な戦術を公にしたことを意味している。

 超高速で攻撃目標を目指して落下する弾道ミサイルは、打ち上げ直後から弾道軌道の頂点にまで押し上げられる上昇段階が、頂点から目標に向かう落下段階に比べると、探知されやすい。そのため、中国ロケット軍が弾道ミサイルを沿岸域で発射するのと、中国内陸奥深くから発射するのを比べると、後者の方が発射を探知されにくくなる。なぜならば、沿岸地域の方がアメリカ側が航空機や艦艇に搭載したセンサー類が充実しているからだ。

 DF-26対艦弾道ミサイルは「グアムキラー」などと呼ばれて西太平洋などの外洋を航行するアメリカ軍艦を攻撃するイメージを持たれていた(下の図)。

DF-26によるグアム攻撃のイメージ
 だが、実は、中国沿岸域からはるか内陸の地域から発射して、南沙諸島周辺海域や西沙諸島周辺海域の“中国領海”をはじめとする南シナ海や東シナ海の中国近海に侵攻してきたアメリカ軍艦(それに自衛隊艦艇をはじめとするアメリカ同盟軍艦艇)を撃破するための“自衛”兵器ということになるわけである(下の図)。

南沙諸島に侵攻した米艦攻撃をDF-26で攻撃するイメージ
拡大画像表示
 アメリカの侵攻に対する自衛兵器という意味合いを持たされたDF-26をはじめとする対艦弾道ミサイルは、アメリカ海軍にとっては(そして海上自衛隊にとっても)ますます厄介な代物となってしまったのだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55214
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/254.html

[政治・選挙・NHK256] 「徴用工判決」「レーダー照射事件」は韓国・文政権が仕組んだ策略だ
【第2回】 2019年1月17日 茂木 誠 :駿台予備学校・N予備校 世界史科講師

「徴用工判決」「レーダー照射事件」は韓国・文政権が仕組んだ策略だ

徴用工判決やレーダー照射事件は韓国・文政権が計画的に仕組んだ策略だ
写真:代表撮影/ロイター/アフロ

国際情勢の目まぐるしい変化が国政や金融市場を振り回しています。特に近年、海洋進出問題が著しい中国をはじめ、混迷する東アジア情勢の動向に、私たちは目が離せません。駿台予備学校・N予備校で受験生に世界史を教える茂木誠氏がわかりやすく解説する東アジア情勢の2回目は、韓国を取り上げます。

 文在寅(ムン・ジェイン)政権下の韓国が、「制御不能」になってきました。日・韓両国が対立している論点は、以下の2点です。

(1)韓国大法院(最高裁判所)が「徴用工」問題で日韓請求権協定に違反する判決を下し、日本企業に対する資産の差し押さえを命じた。

(2)能登半島沖の日本のEEZ(排他的経済水域)内で、韓国海軍が海上自衛隊の哨戒機に対し、攻撃用の火器管制レーダーを照射した。

なぜ「漢江の奇跡」と呼ばれた経済復興を
成し遂げることができたのか?
(1)について歴史的経緯を説明します。

 大日本帝国の一部だった朝鮮半島は、米ソ冷戦下で南北に分断され、朝鮮戦争で荒廃しました。南の大韓民国は「朝鮮半島唯一の国家」として韓国を日本に承認させ、「戦時賠償」として日本から復興資金を得ることを求めて日韓交渉を続けました。

 当時の日本政府(佐藤栄作内閣)は国家承認には応じましたが、「戦時賠償」を拒否します。なぜなら戦時中の韓国は大日本帝国の一部であり、日本とは戦っていなかったからです。しかし北朝鮮の脅威にさらされる韓国を放置するわけにもいかないため、「『戦時賠償』ではなく純然たる『経済支援』なら応じよう」と韓国側に答えました。

 経済復興を急ぐ朴正煕(パク・チョンヒ)政権はこれに応じ、1965年の日韓基本条約で日本は韓国を承認して5億ドル(無償3億ドル、有償2億ドル)の経済支援を供与しました。同時に交わされた日韓請求権協定により韓国は対日賠償請求権を放棄し、対日請求問題は「完全かつ最終的に解決」しました。

 日韓併合時代に何らかの被害にあった韓国人は、日本政府ではなく韓国政府に賠償請求してください、そのための資金として韓国政府に5億ドルを支払いました、ということです。

 ところが韓国政府はこの5億ドルをインフラ整備などの公共投資に使い、「漢江(ハンガン)の奇跡」と呼ばれた経済復興を成し遂げました。その一方で日韓請求権協定については国民に説明せず、個人請求権については責任の所在をうやむやにしてきたのです。

 1980年代には日本軍の「慰安婦」だったというおばあさんたちが名乗り出て、日本政府に謝罪と賠償を求めました。しかし歴代韓国政府も日韓請求権協定を無視するわけにはいかず、日本政府には法的にではなく「道義的責任」を追求し続けました。

米国の仲介で「慰安婦合意」を結んだが、
今度は「徴用工」問題に火がつく
 2015年、米国オバマ政権の仲介により、安倍政権が朴槿恵(パク・クネ)政権との間で「慰安婦合意」を結びました。韓国政府が設立する元慰安婦支援財団に日本政府が10億円を拠出し、安倍首相が「慰安婦としてあまたの苦痛を経験され心身にわたり癒やしがたい傷を負われた全ての方々に心からおわびと反省の気持ちを表明する」と声明、日韓両国政府は慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に解決した」と確認しました。

 ところが今度は「徴用工」問題に火がつきます。戦時中、徴兵による労働者不足を補うため、日本政府は国民徴用令を定め、学生や主婦などを労働者として動員しました。これは強制労働ではなく、賃金が支払われています。日本領朝鮮に対しては、徴兵制も国民徴用令の適用も敗戦の前年まで遅れました。

 しかしそれ以前から朝鮮の若者たちが自由意思で日本本土に渡航し、工場や鉱山で働いていました。これら戦時労働者だったおじいさんたちが、「徴用工」と称して未払い賃金の支払いを求めて日本企業を次々に提訴し、日本企業が控訴した結果、2018年10月30日に韓国大法院(最高裁)が「日本企業は賠償金を支払え。応じなければ資産を差し押さえる」という判決を下したのです。

 国家間の約束である条約は、国内法より上位にあります。例えば日米安全保保障条約で、日本政府は米軍基地の存在を認めています。仮に日本の裁判所が「米軍基地は憲法違反だから撤収せよ」という判決を下したとしても、米軍基地は撤収しません。そもそも法治国家である日本の裁判所が条約に反する判決を下すことはありませんが、韓国大法院はこれをやったのです。

レーダー照射事件で
嘘を重ねる韓国
(2)については韓国海軍の主張が二転、三転しています。「荒天の中、韓国海軍の駆逐艦は北朝鮮の遭難漁船を捜索するためレーダーを照射した」→「海自の哨戒機が、レーダーの中に勝手に入ってきた」→「そもそもレーダーは照射していない」…。

 ここで海自は哨戒機が撮影した画像を公開しました。その結果、当日は晴天で波もなく、北朝鮮漁船が目視できたこと、海自の「レーダー照射の意図」を無線で問いかけても韓国駆逐艦が黙殺していたことが明らかになりました。すると韓国海軍は、「海自の無線は英語の発音が悪く、聞き取れなかった」「海自の哨戒機が低空飛行で威圧してきたのが悪い」「日本は謝罪しろ」…と主張。

 現場の指揮官を処分して日本側に謝罪すれば、1日で済む問題です。韓国側は一度ついた嘘を糊塗するために二重三重の嘘を重ねて、収拾がつかなくなっているように見えます。

地政学的に不利な「半島国家」は
どうやって生き残ってきたのか?
 半島国家は島国に比べて地政学的に極めて不利な立場にあります。なぜなら大陸に成立した帝国(ランドパワー)からの侵略に常にさらされているからです。

 モンゴル帝国は、鎌倉時代の日本に2度攻め込んでいずれも失敗しましたが、朝鮮半島(高麗王朝)は30年の間、毎年のようにモンゴル軍に蹂躙され、国土を荒廃させました。独力ではこれをどうしようもないため、大陸で王朝が交代するのを待ち、新たな帝国に忠誠を誓うことによって旧帝国のくびきを脱する、「寝返り外交」を繰り返してきたのです。

 ですから、元から明へ、明から清への中国王朝交代の際には、必ず朝鮮内部でもすさまじい権力闘争(党争)が起こり、「旧帝国派」の人々は一族もろとも粛清されたのです。大国への忠誠によって生き延びるという彼らの処世術を、事大(じだい)主義といいます。「事」は「仕える」という意味です。

 明朝に事大して科挙などの中華文明を受容した朝鮮王朝は、モンゴルと同じ北方民族である清朝の支配を嫌悪しました。清軍が首都ソウルまで攻め込んで、朝鮮に屈辱的な講和を強いたどころか、北京をも攻略して中国全土を支配下に置いたことは、朝鮮人にとって衝撃でした。事大すべき相手を失った彼らは、「たとえ明が滅んでも、中華文明はわが朝鮮に残った」と考え、自ら「小中華」と称するようになったのです。

中国から見た朝鮮半島

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「事大主義」が生んだ南北分断と
「小中華思想」で生き延びた北朝鮮

 近代に入ると中華帝国(清朝)が衰退し、代わって北方からロシア(ソ連)という新たなランドパワーが朝鮮半島に手を伸ばします。これを阻止するため日本というシーパワー(海上国家)が登場し、日清戦争・日露戦争で朝鮮半島を奪い合いました。

 朝鮮国内では親中派と親日派、親ロシア派と親日派が抗争を続け、日本の勝利により親日派(開化派)政権が生まれます。この開化派政権が日本に合邦を要請し、ランドパワーの脅威から解放されることを望んだのです。この結果が1910年の日韓併合条約です。今度は大日本帝国に「事大」したわけです。しかしこの帝国は、35年しか続きませんでした。

 1945年、米軍による広島・長崎への原子爆弾投下と、ソ連(ロシア)の対日参戦により大日本帝国は瓦解します。「帝国」が崩壊すると、彼らは新たな「事大」の相手を見つけなければなりません。それがソ連とアメリカでした。

 金日成(キム・イルソン)が率いる親ソ派はピョンヤンに朝鮮民主主義人民共和国を、李承晩(イ・スンマン)が率いる親米派はソウルに大韓民国を樹立し、激しい「党争」の結果、朝鮮戦争を引き起こします。米軍と中国人民義勇軍がこれに介入し、南北の分断は固定されました。冷戦期を通じて、韓国では親米政権が続きました。

 一方の北朝鮮は中ソ対立のあおりを受け、中国・ソ連のいずれとも等距離を保ち、朝鮮独自の社会主義を目指します。金一族を礼賛する「チュチェ(主体)思想」です。

 冷戦に敗北したソ連が崩壊しても、中国がアメリカ式の市場経済を導入しても、北朝鮮は微動だにしません。事大すべき相手を失った北朝鮮人は、「たとえソ連が滅び、中国が裏切っても、中華文明はわが朝鮮に残った」と考えたのです。

北朝鮮が世界から孤立しても
「わが道を行く」ことができる理由
 北朝鮮が全世界から孤立しても「わが道を行く」ことができるのは、小中華思想と社会主義が融合したチュチェ思想のおかげでした。中国が方針転換を迫っても金正恩(キム・ジョンウン)は頑としてはねつけ、中国型の経済開放政策の導入を目指した兄の金正男(キム・ジョンナム)や叔父の張成沢(チャン・ソンテク)を粛清しました。金正恩が核開発を急ぐ理由の1つは、習近平からの軍事的圧力に対抗するためです。

 一方の韓国は迷走をはじめました。ソ連の崩壊と米中和解で韓国の戦略的価値が失われ、リーマンショック以降の米国は「孤立主義」に回帰をはじめました。在韓米軍の撤収を公言するトランプが大統領となり、米国の韓国離れは止まりません。

 米国に代わって朝鮮半島に影響力を拡大させたのが中国でした。朴槿恵政権は「事大」すべき相手を習近平中国に見出しました。2015年に習近平が北京で開催した「対日戦勝記念パレード」に朴槿恵が出席し、習近平・プーチンとひな壇に並んで笑顔を見せました。

 金正恩は、親中政権が南に生まれたことを危惧し、野党の文在寅(ムン・ジェイン)を後押ししました。

親米派&親中派を
韓国から一掃する文政権
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国際ニュースの数々を世界史と絡めて解説
なぜ朝鮮半島は2つに割れたのか、なぜ北朝鮮はミサイル開発をやめないのか――等々。本書を読めば先行きの見えないニュースがわかります!
 2016年、朴槿恵大統領は側近のスキャンダル事件で弾劾され、2017年の大統領選挙で北朝鮮が推す文在寅が当選します。「チュチェ思想派」の文在寅が目指すのは北との国家連合であり、これを妨げる親米派、親中派を韓国から一掃することです。

 中国はこれに露骨な不快感を示し、文在寅の訪中時には晩餐会も開かず、冷遇しました。

 米韓同盟のもと、韓国軍は韓国における親米派の拠点であり、日米同盟にも一定の配慮をしてきました。文在寅政権は親米派の将軍たちを次々に罷免し、親北派にすげ替えていきました。

 韓国と日本との緊張が高まれば米韓同盟にも傷がつき、米軍の撤収も早まります。大法院の「徴用工」判決も、韓国海軍のレーダー照射事件も、このような文在寅政権の大戦略に照らし合わせれば、計画的に仕組まれた事案だと考えるべきでしょう。

 米国からも中国からも距離を置き、核武装した「統一朝鮮」の出現を、私たちはまもなく目にすることになるのです。日本はどうすべきか、今から心構えが必要です。

https://diamond.jp/articles/-/190628

http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/374.html

[戦争b22] 元米軍の技術将校が警告する“未来の戦争”での重大な懸念『フューチャー・ウォー 米軍は戦争に勝てるのか?』
2019年1月20日 平野雅章 :早稲田大学ビジネススクール教授
元米軍の技術将校が警告する“未来の戦争”での重大な懸念
『フューチャー・ウォー 米軍は戦争に勝てるのか?』
フューチャー・ウォー 米軍は戦争に勝てるのか?
『フューチャー・ウォー 米軍は戦争に勝てるのか?』
ロバート・H・ラティフ著
(新潮社/2000円)
「戦争というものは、軍人たちに任せておくには重要すぎる」とは、第1次世界大戦でフランスを勝利に導いた首相であるクレマンソーの言葉だ。本書は、今日の戦争が社会や政治から放置されている傾向によって、社会が重大な倫理問題に直面していると警告を鳴らす。

 著者は、米国軍人の家系に生まれた。予備役将校訓練部隊の奨学金を得て、大学で物理を学ぶ。さらに工学博士号を取得後、陸軍、空軍、国防総省への出向を経て、技術開発(兵器開発)に携わる。

 最後は、偵察衛星の運用を指揮し、空軍少将で退役した。その後も、コンサルタントや大学教員として新しい軍事技術がもたらす問題の研究・教育に従事するという、“未来の戦争”を語るには打って付けといえる経歴である。

 著者によると、米国社会で戦争についての現実感を持った議論がなされなくなってきたのには主として二つの原因がある。まず、技術がとてつもなく高度化し、その発展も速まっており、技術の軍事的・社会的・心理的な効果などを適切に判断できる人が少数となっている。次に、技術の発展で起こる多くの倫理問題は、いまだわれわれは検討をするだけの時間がない。例えば、核兵器や地雷などの伝統的な純軍用技術については、国際協約などの交渉もある。

 ところが、AI(人工知能)や生化学など軍民両用技術は、条約や協約の対象とはなっていないのである。ロボット兵士と人間兵士との協働作戦が進化すると、ロボットは自律的に動く場面が増えるであろう。そのとき、人間の判断力の意味は、どうなるのか?

 一方で、1975年3月に終結したベトナム戦争以降に徴兵制が停止された結果、軍隊は志願制になり、社会的に偏った層から構成されるようになった。加えて、実戦経験者も減っているため、社会の中に戦争の実態についての知識と意識がなくなっている。

 これらの要因により、軍隊と政治家を含む一般社会との間に溝ができ、共通理解が失われてきている。これは、現実離れした短絡的な強硬策や軍事介入への危険を高めている。ここでも、戦争行為への倫理的な考察が不十分となる。

 その他、現在と将来の戦争について広範な問題が軍隊側の経験から議論されており、社会からの関心と監視の必要性を主張する。

 日本においても、政治的な立場の左右を問わず、国民は軍事技術や防衛予算について興味を持ち、政治と自衛隊を監視する義務があるだろう。また、本書はビジネスで先端技術を使用する際の倫理についても考えさせられる。

(選・評/早稲田大学ビジネススクール教授 平野雅章)
https://diamond.jp/articles/-/191355
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/515.html

[政治・選挙・NHK256] 安保激変 自衛隊には何が足りない?「競争」時代の防衛戦略とは 新たな防衛大綱の評価と課題(後編)
安保激変

自衛隊には何が足りない?「競争」時代の防衛戦略とは

新たな防衛大綱の評価と課題(後編)
2019/01/18

村野 将 (岡崎研究所研究員)

12月18日に閣議決定された防衛大綱。メディアの注目を集めたのはいわゆるいずも型護衛艦の「空母化」問題だったが、その議論は防衛戦略の有効性を検証する上では、本質的ではない。防衛大綱とはどのような性格の文書なのか、防衛戦略とはどのように組み立てられるものなのか、評価をしてみたい。(前編はこちら)


写真:AP/アフロ
30大綱のキャッチフレーズ
「多次元統合防衛力」とは
 30大綱のキャッチフレーズである「多次元統合防衛力」とは、陸・海・空の従来領域のみならず、宇宙・サイバー・電磁波といった新領域とが組み合わさった戦闘様相に対応するため、「個別の領域における能力の質及び量を強化しつつ、全ての領域における能力を有機的に融合し、その相乗効果により全体としての能力を増幅させる領域横断(クロス・ドメイン)作戦により、個別の領域における能力が劣勢である場合にもこれを克服し」「平時から有事までのあらゆる段階における柔軟かつ戦略的な活動の常時継続的な実施を可能とする、真に実効的な防衛力」と説明されている。

 このような概念は、今後自衛隊が目指していく方向性として妥当であり評価できるものだが、皮肉な言い方をすれば、現在の防衛省・自衛隊の体制は、向き合うべき潜在的脅威に対して既に遅れをとっていることの裏返しとも言えるだろう。これまで十分な投資が行われてこなかった宇宙・サイバー・電磁波領域の重要性を認識し、資源配分をしっかりと行なっていくという以外においては、多次元統合防衛力は、基本的に25大綱で掲げられた「統合機動防衛力」の延長線上にある。統合機動防衛力は、「各種活動を下支えする防衛力の「質」及び「量」を必要かつ十分に確保し、抑止力及び対処力を高めていく」ことを目指したもので、その方向性自体は既に適切であった。

 しかしそれでも、30大綱では「近年では、平素からのプレゼンス維持、情報収集・警戒監視等の活動をより広範かつ高頻度に実施しなければならず、このため、人員、装備等に慢性的な負荷がかかり、部隊の練度や活動量を維持できなくなるおそれが生じている」との危機感が述べられており、25大綱で目指した戦力構成から、(宇宙・サイバー・電磁波を含めた)更なるアップデートを行う必要性が訴えられている。

防衛力整備の基本的な考え方
 では、今後達成すべき必要かつ十分な防衛力の質と量とは、どのような方法論で導かれているのだろうか。それは「V-1(3)防衛力が果たすべき役割」という小項目と、それに続く「W 防衛力強化にあたっての優先事項」「X 自衛隊の体制等」という各章の連関に注目することで徐々に読み解くことができる。

 そもそも、防衛力整備を行うにあたっては、(1)どのような完成像を描くのか、(2)完成像に到達するまでにどのぐらいの時間とコストがかかるか/かけられるか(時間軸と予算の整合性)、(3)その完成像を独自の水準で決めるのか、それとも他国との相対的な所要で決めるのか(脅威分析や彼我の能力見積もり)といった要素が重要となる。

 (1)の完成像は、時の内閣や政治が責任を持ち、より上位の戦略文書で示されるビジョンに沿って決められることが望ましい。この点において、今回国家安全保障戦略を同時に見直すべきであったことは先に指摘した通りである。

 (2)予算上の整合性や(3)彼我の能力見積もりについては、中長期的な防衛力整備の持続可能性と関係するので、それらはまとめて考える必要がある。

 元々冷戦期の日本は、防衛力整備の基本理念として、脅威対抗論に立たずに独自の水準を設定し、その目標を達成するための防衛力の積み上げていく、いわゆる「基盤的防衛力構想」を採用していた。基盤的防衛力構想は、自衛隊の運用よりも存在を重視し、自衛隊を機能的・地理的に欠落のないよう全国に渡って均等に張り付けることで、日本自らが「力の空白」にならないことを目的としていた。しかし、冷戦終結によってそれまで想定されていたような本格的侵攻の蓋然性が薄れ、テロや国際平和協力活動といった新たな脅威・事態への対処(16大綱)や、南西方面での機動的な運用の重要性(22大綱・25大綱)が高まると、徐々に基盤的防衛力構想からの脱却が図られるようになった。

 その結果、現在の防衛力整備は、独自の水準に基づく積み上げではなく、将来対処すべきと思われる事態及び事態の様相(シナリオ)を複数見積もった上で、現在の自衛隊に不足している統合能力・機能領域を科学的に導き出し、現在と将来とのギャップを埋めていくという発想の上に成り立っている。これは「基盤的防衛力」の対抗概念である「所要防衛力」に近い性格を持つものとされる。

 したがってこの作業フローでは、(1)対処すべきシナリオの設定、(2)能力ギャップの特定(能力評価)、(3)ギャップを埋めていくポートフォリオの優先順位付けが重要になる。評価に用いられているシナリオや具体的な能力パラメータは非公開であるが、この評価手法の原型とされる米国の「能力ベースプランニング」と呼ばれるアプローチを参照すると、どのような作業が行われているかの大枠はイメージすることができる。

 米国では、評価に用いるシナリオを必要に応じて数十通り作成すると言われているが、グローバルな兵力展開を前提とする米軍と、ある程度対処局面が限定される自衛隊とでは、当然評価シナリオの内容やパターンに違いがあると考えるのが自然だ。想像の域を出ないものの、常識の範囲内で考えれば、朝鮮半島有事や南西正面での島嶼防衛といった大まかな地域別事態を想定した上で、各種事態の様相に応じてシナリオを細分化しているものと推測される。

現在の自衛隊が抱える能力ギャップをどう埋めるか
 これらのシナリオと所定の評価基準に基づいて、統合運用の観点から、現在の自衛隊が抱える能力ギャップを特定する能力評価が行われる。ここでも米軍で用いられている評価項目を参考にすると、まず統合能力は、戦力運用、指揮統制、戦闘空間認識、ネットワーク、防御、兵站といった機能に分類され、更に各機能の構成要素が細かく階層別に整理される。例えば、戦力運用に関する機能は、対水上作戦、対潜水艦作戦、防勢対航空作戦、防空網制圧作戦、宇宙コントロール作戦といった統合作戦を行う際のドメイン別の能力に分類され、更にそれらの作戦を実施するのに必要な機能分野が細分化される。これらを具体的な評価シナリオに当てはめてシミュレーションを実施すると、現時点での能力ギャップが科学的に導き出されるという仕組みである。

 ただし、能力評価の結果は防衛力整備に直結するわけではない。ここで科学的に導き出されるのは、機能・能力ギャップだけであり、それらを埋めるために必要となるポートフォリオの優先順位は、防衛技術基盤の維持といった要素や、財務省・陸海空各幕内での予算折衝といった様々な政治判断を含む形で選択的に決定されていくからだ。

 例えば、10の機能・能力領域にわたって計1000ポイント分の能力ギャップが明らかになったとする。そのうち次期予算サイクルの執行予算規模で埋めることのできるギャップが500ポイント分だったとき、これらをどのように埋めていくかは防衛計画に関わる当局者とそれに指示を与える政治的意思に委ねられている。またギャップを埋める追加投資を行うにあたっては、目標水準に到達するまでにあと少しなのか、圧倒的不足があり5〜10年の投資では焼け石に水なのか、あるいは純軍事的には必要であっても、政治的・法的制約から実運用が困難な場合……というように、各機能・能力ギャップには質的・量的な違いがあるため、使える500ポイントを均等に割り振ればよいわけではない。

 例えば、評価の結果、戦闘機への対処能力に不足が見つかったと仮定してみよう。これを是正する方策には、(1)空対空戦闘能力の向上(a戦闘機の能力向上[機動性、ステルス性、兵装搭載量、レーダー性能等]、b戦闘機の量的強化、c空対空ミサイルの能力向上(誘導性能、長射程[スタンドオフ]化等)、d搭乗員の訓練改善、(2)地対空・艦対空戦闘能力の向上(長射程対空ミサイルの前方・分散配備)、(3)戦力増幅機能の向上(a早期警戒管制能力、b空中給油能力、c電子戦能力、d飛行場等の兵站基盤の増強)、(4)統合作戦構想の見直し……などのように様々な選択肢がある。

 あるいは戦闘機の能力や数で劣勢にある場合でも、相手の出撃拠点となる航空基地や兵站支援拠点を攻撃したり、指揮通信機能をサイバー攻撃によって弱体化させることができれば、戦闘機と直接交戦する機会を減らして、航空優勢を維持できるかもしれない。また、これらの能力を重複させて運用に柔軟性を持たせるという考え方もあれば、ある能力の欠落を他領域の量的強化で補うという考え方もあろう。他にも、対北朝鮮有事で優先されるのは、一義的には弾道ミサイル防衛能力だが、対中国有事を想定する場合には、弾道ミサイル以外にも、巡航ミサイルや戦闘機などの経空脅威対処、対艦攻撃能力の強化といった必要が生じるように、潜在的脅威が表面化するシナリオのパターンによって重視すべき能力は変わってくる。

宇宙・サイバー・電磁波領域における能力獲得とその強化
 前述のように、これらの評価結果は、現在の自衛隊の弱点を露呈することと同じであるため、当然非公開である。しかし、防衛大綱に記載されている「V-1(3)防衛力が果たすべき役割」という小項目と、それに続く「W 防衛力強化にあたっての優先事項」「X 自衛隊の体制等」にある記述を合わせて読むことで、どのような評価が導かれたのかをある程度推測することはできるだろう。

 最もわかりやすい例は、30大綱全体で何度も強調されている、宇宙・サイバー・電磁波領域における能力獲得とその強化である。これらはいかなるシナリオを想定するにしても、現代の戦闘様相を支える指揮統制・情報通信ネットワークや、各種ミサイルを含む多様な経空脅威に対する早期警戒能力の要となるものであり、強化の方向性は理にかなっている。また、宇宙・サイバー・電磁波いずれの領域においても、相手から妨害・攻撃を受けた場合に被害を局限し、機能を保証する手段の一つとして、各領域での相手の活動を妨げる能力を自衛隊が獲得・強化していくことが盛り込まれている点も評価できる。

 ただし、宇宙・サイバー・電磁波領域で「優位」を確保すると言う場合、どのような質的・量的評価基準を設けて、その判断を行うのかはよくわからない。また、有事の際に「攻撃に用いられる相手方のサイバー空間の利用を妨げる能力」を追求するには、「自衛隊の指揮通信システムやネットワークに係る常時継続的な監視」を行うだけでは不十分であり、平素から相手のネットワークに侵入して有事に移行する段階で即座に妨害を仕掛けるための脆弱性をあらかじめ特定しておく必要がある。果たして、自衛隊がそのような平素からの攻勢的対サイバー作戦を行うつもりなのか、あるいは法的・能力的にそのような作戦を行いうるのかについては、30大綱の記述からは読み取れない。

平時からグレーゾーン事態に対応するために
 第二は、いわゆる「プレゼンス・オペレーション」のための能力である。「V-1(3)防衛力が果たすべき役割」のうち、「ア 平時からグレーゾーンの事態への対応」という項目では、「積極的な共同訓練・演習や海外における寄港等を通じて平素からプレゼンスを高め、我が国の意思と能力を示すとともに、こうした自衛隊の部隊による活動を含む戦略的なコミュニケーションを外交と一体となって推進する」という一文に加えて、「全ての領域における能力を活用して、我が国周辺において広域にわたり常時継続的な情報収集・警戒監視・偵察(ISR)活動を行うとともに、柔軟に選択される抑止措置等により事態の発生・深刻化を未然に防止する」という記述が続いている。

 ここでいう「柔軟に選択される抑止措置」とは、米国防省では”flexible deterrent options:FDO”と呼ばれている概念で、「敵国の活動に適切なシグナルと影響を与えるため、事前に計画され、外交・情報・軍事・経済の各要素を慎重に組み合わせて行われる活動」とされる。FDOに相当する記述は、2015年4月に策定された「日米ガイドライン」に既に含まれていたが、それを大綱において、日本自身が重視する防衛力の役割として再度強調しているのは、プレゼンス・オペレーションを支える能力が自衛隊の体制整備にあたっての優先事項と強く結び付いていることを示唆している。

 より具体的に言えば、今後建造される多機能・コンパクト化された新型護衛艦(FFM)や、いずも型護衛艦とF-35Bの組み合わせは、東シナ海から南シナ海、インド洋に繋がるシーレーンにおいて、米国や英仏などの西側諸国や東南アジア諸国と一体となったプレゼンス・オペレーションおよびFDOに活用することを念頭に置いていると考えられる。

 自衛隊のリージョナル・プレゼンスを増加させたいという狙いからは、「自由で開かれたアジア太平洋」という戦略ビジョンと運用構想との繋がりを見出すことができる。また弾道ミサイル脅威のようなハイエンド環境に備えるイージス艦に代わって、より小型のFFMや新型哨戒艦を建造し、プレゼンス・パトロールに従事させることも平時からグレーゾーン事態への対処には有効だろう。

費用対効果はよく吟味すべき
 他方で、いずも型護衛艦とF-35Bがこのような任務を持続的に行うことの費用対効果はよく吟味されるべきであろう。たしかに、中国が空母「遼寧」の運用を常態化させ、国産空母の運用を開始しようとしている中で、日本の護衛艦が「艦載機」を伴って南シナ海や西太平洋に遊弋することは、東南アジア諸国に一定の安心を与えるはずだ。しかしそれは裏を返せば、このようなパッケージが有効に機能するのは、平時のローエンド環境下で「存在感を示す」任務に限定されるということでもある。

 十分な自己防衛能力を持たないいずもは、現時点でも他の汎用護衛艦やイージス艦に守られながら活動することを前提としているが、中国の対艦弾道ミサイル(ASBM)や爆撃機からの対艦巡航ミサイル(ASCM)に晒されながら、ハイエンド環境下で活動を継続することは実際には困難であろう。特にF-35Bが搭載されることによって、いずもの軍事的価値がより高くなるとすれば、相手にとって攻撃目標としての優先度合いが高まり、それを警戒して我が方はより防御を厚くする必要が生じ、かえって艦隊全体の運用コストが高まる懸念もある。とりわけ、発進後の探知が難しいステルス機の場合、相手にとっては発進前に出撃拠点を先制攻撃で撃破しようとする誘因が高まることも考慮されるべきであろう。

 いずも型護衛艦による「訓練」という名目でのプレゼンス・オペレーションは、既に2017年から南シナ海やインド洋などで行われており、それ自体は有益と言える。しかし、現状に加えてF-35B運用のための多額の改修費用と長期の改修期間を費やすことが、優先すべき事項であるかは疑問である。

 第四のポイントは、長射程ミサイル=スタンドオフ防衛能力の獲得・強化である。「V-1(3)防衛力が果たすべき役割」のうち、「イ 島嶼部を含む我が国に対する攻撃への対応」という項目では、「海上優勢・航空優勢の確保が困難な状況になった場合でも、侵攻部隊の脅威圏の外から、その接近・上陸を阻止する」との記述がある。25大綱までの記述では、海上優勢・航空優勢の確保は所与のものとされていた。その点30大綱では、海上優勢・航空優勢が確保できない可能性も踏まえて、島嶼防衛用高速滑空弾による島嶼間射撃や、JASSM・JSM・LRASMといった巡航ミサイルによるスタンドオフ能力を保持する必要性を正面から議論しているのは適切である。

 なお、同じ項目には「ミサイル、航空機等の経空攻撃に対しては、最適の手段により、機動的かつ持続的に対応するとともに、被害を局限し、自衛隊の各種能力及び能力発揮の基盤を維持する」との記述も見られる。こちらの記述はややわかりにくいものの、「最適の手段により」との表現からは、発射されるミサイルへの迎撃に専念するのではなく、ミサイルの発射母体となる爆撃機等に対する阻止攻撃を視野に入れているようにも読める。

「統合ミサイル防空」能力、
対処すべき脅威対象に事実上中国を含める
 第五のポイントは、「総合ミサイル防空」能力である。これは、従来の弾道ミサイル防衛(Ballistic Missile Defense:BMD)を発展させた、いわゆる「IAMD(Integrated Air and Missile Defense)」という概念に相当するもので、弾道ミサイル、巡航ミサイル、航空機等の多様化・複雑化する経空脅威に対し、効果的・効率的な対処を行い、被害を局限する必要から極めて重要である。IAMD能力を使って対処すべき脅威対象は明記されていないものの、従来のBMDが北朝鮮の弾道ミサイル脅威だけを想定していたのに対し、巡航ミサイルや航空機等の多様な経空脅威を視野に入れていることは、事実上中国をその対象に含むということを意味する。

 加えて、陸自のイージス・アショア部隊新編に象徴されるように、各自衛隊で個別に運用してきた防空装備を一体的に運用する体制を確立し、平素から常時継続的な防護能力を確保して、多数の複合的な経空脅威対処を強化するといった視点も評価できるだろう。イージス・アショア1基あたりの単価は1202億円と決して安い装備品ではない。それでも従来日本周辺でのミサイル防衛任務にかかりきりとなっていたイージス艦を解放し、より安価な運用コストで24時間の警戒監視体制を敷くことができるとすれば、その役割は他の装備には代え難い。また新型の迎撃ミサイル=SM-3BlockUAの能力とも相まって、日本からグアムを含む西太平洋の広域防空が可能となれば、当該地域に米軍が安定的に前方展開を継続し、米国の政治指導者が意思決定するリスクを緩和することにも繋がる。これは日本の「主体的・自主的」な努力により、日米同盟を強化する好例と言えるだろう。

 もっとも、平成31年度防衛予算には、イージス・アショアに巡航ミサイル防衛能力を付与する費用は含まれていない。しかし、上記のように防衛大綱に実質的なIAMD能力の重視が書き込まれたこと、特に中国の巡航ミサイル脅威から岩国や三沢などの地域重要拠点を守る必要性を考慮すれば、山口と秋田に配備を想定しているイージス・アショアにも巡航ミサイル防衛能力機能が付与されることが望まれる。

 他方で、「日米間の基本的な役割分担を踏まえ、日米同盟全体の抑止力の強化のため、ミサイル発射手段等に対する我が国の対応能力の在り方についても引き続き検討の上、必要な措置を講ずる」との記述が、25大綱から全く変更のないまま維持されたことは残念である。ここで言う「ミサイル発射手段等に対する我が国の対応能力」とは、いわゆる「策源地攻撃能力」ないし「敵基地攻撃能力」を言い換えた表現であるが、中国・北朝鮮のミサイル脅威が急速に高まっていることを踏まえるならば、スタンドオフ「防衛」能力といった政治的な言い回しに囚われることなく、日本が保有すべき攻撃能力やその運用構想、必要となる法整備等について、より踏み込んだ記述をすべきであった。

 ところで、策源地攻撃能力に関する記述が、なぜミサイル防衛の項目に書かれているかについては、前述の能力評価の説明と合わせて考えればより理解が深まるのでないだろうか。つまりここで想定されている攻撃能力とは、相手の攻撃能力をこちらの攻撃によって低減させることで飛来するミサイルの数を減らし、その相乗効果によって我が方ミサイル防衛による迎撃効率を向上させるというシナリオの下で迎撃能力のギャップを埋めるために検討されているものであり、相手国に壊滅的な打撃を与えるような能力でもなければ、侵略を意図したものでもないということだ。

機動・展開能力、持続性・強靭性の強化
 第六のポイントは、機動・展開能力の強化である。有事に必要となる部隊を平素から当該地域に展開しておくことは、プレゼンス・オペレーションと同じく一定の抑止効果を持つ反面、いざ有事となった場合に相手の先制攻撃に対する脆弱性を併せ持つことになる。このバランスを考慮したとき、島嶼部を含めて迅速かつ一定規模の機動・展開を行いうる能力の強化は不可欠である。とりわけ30大綱では、陸海空自衛隊が共同の海上輸送部隊を保持することが明記された。これは統合運用を促進する観点からも評価できるだろう。

 第七のポイントは、持続性・強靱性の強化である。前述のとおり、冷戦期の防衛力整備は自衛隊の運用よりも存在を優先し、機能的・地理的に欠落のない防衛力を配備することに重点が置かれていた。この背景には、戦闘機などの正面装備の取得・配備・運用に至るまでには数年単位の時間がかかる一方、弾薬や燃料を緊急調達する際にかかる時間は相対的に短期間で可能との判断があったと思われるが、実際に有事となれば、弾薬や燃料の不足は防衛力の崩壊に直結する。したがって、BMD用の迎撃ミサイルやスタンドオフミサイルなどを十分に確保することに重点が置かれていることは適切である。強靭性については、戦闘機の分散パッドやミサイル攻撃を受けた滑走路の復旧支援機材の拡充、緊急時に民間空港・港湾を利用できるようにするための調整なども重要であろう。

いずも型護衛艦の改修とF-35Bの運用構想、
想定される「4つのシナリオ」
 最後のポイントとして挙げる、海上優勢・航空優勢確保のための取り組みには、おそらく30大綱の中で最も多くの論点が含まれている。まず、日本の周辺海空域の広域常続監視を行うための航空警戒管制部隊の再編およびグローバルホーク部隊を新編するといった努力に疑問はないだろう。同じく、無人水中航走体(UUV)の活用を明記していることは、人的資源が限られる将来でも、日本がカバーすべき広大な海域でのISRを効率的かつ持続的に実施し、水中ドメインでの優位を維持するためにも率先して取り組むことが望まれていた。

 論点となるのは、いずも型護衛艦の「空母化/多用途化」を進める理由づけとしての以下の説明である。

柔軟な運用が可能な短距離離陸・垂直着陸(STOVL)機を含む戦闘機体系の構築等により、特に、広大な空域を有する一方で飛行場が少ない我が国太平洋側を始め、空における対処能力を強化する。その際、戦闘機の離発着が可能な飛行場が限られる中、自衛隊員の安全を確保しつつ、戦闘機の運用の柔軟性を更に向上させるため、必要な場合には現有の艦艇からのSTOVL機の運用を可能とするよう、必要な措置を講ずる。
 この記述も踏まえて、いずも型護衛艦の改修とF-35Bの運用構想を改めて整理してみると、(1)平時からグレーゾーンでのプレゼンス・オペレーション、(2)南西正面での島嶼防衛、(3)太平洋正面での防空(空母艦載機・爆撃機部隊に対する洋上阻止攻撃)、(4)(2)+(3)の複合事態対処という、概ね4つのシナリオが想定されていると考えられる。

 (1)の有効性については前述の通りだ。これらの組み合わせが平時に日本の存在感をアピールする効果は大きい。将来的に、米海兵隊や英海軍のF-35Bが海自の護衛艦に離発着する共同訓練が行われるであろうことは想像に難くない。ただしそうした活動のために、多額の費用をかける合理性はあるのか。既に通常のいずもや護衛艦が行っているパトロールと比べて、抑止効果に大きな差があると言えるかという疑問は残る。

 (2)の点については、南西正面での軍事衝突を想定したシナリオ分析において、戦闘機の離発着拠点の不足から、航空優勢の確保が難しくなるという評価結果が出ていたとしても不思議ではない。事実、空自の戦闘機部隊は、那覇基地が緒戦のミサイル攻撃などによって使用不能になれば、復旧までの間は(米軍基地を除けば)沖縄以西まで800km以上離れた築城(福岡)や新田原(宮崎)からの作戦を余儀なくされ、独力での航空優勢確保は絶望的となるだろう。そのため、短い滑走路からでも離発着が可能なF-35Bを一定数導入して、航空戦力に冗長性を確保しようという発想は理にかなっている。

 他方、南西正面で想定される航空優勢をめぐる戦いは、数百機の戦闘機や各種ミサイルが入り乱れるハイエンドな戦闘になると考えられるため、十数機のF-35Bでは、那覇のF−15ないしF-35Aの喪失を埋めるだけの戦力はどのみち確保できない懸念も残る。また、そこに緊急離発着用のいずも型護衛艦がいたとしても、それ自体が相手の優先攻撃目標となる可能性が高い。加えて、地上航空基地と異なり、空母は一度大きな損害を受けると復旧が困難であるため、ハイエンド環境が予想される場合には、中国のミサイル射程圏外に後退せざるをえない。そうなれば、F-35Aよりも戦闘行動半径の短いF-35Bは、余計に運用機会がなくなるということもありうるだろう。

 (3)にある太平洋側の防空体制強化の必要性は、25大綱でも僅かに言及されていたが、今回いずも型の改修を行う理由づけとして全面に出された論理である。確かに小笠原周辺の対領空侵犯措置には、硫黄島を使わない限り、百里(茨城)などから対応する必要があり対処に時間がかかってしまう。また近年では、中国艦艇とH-6K爆撃機が連携して第一列島線を越え、西太平洋地域での活動を活発化させていることが米国防省の報告書でも言及されている。このような傾向を踏まえ、有事の際には米軍が来援する前に、太平洋側にいずも型護衛艦とF-35Bを展開して、中国の爆撃機部隊を阻止したいとの問題意識を持つことは適切であろう。

 議論すべきはその対抗策の実効性である。改修後のいずも型に搭載できるF-35Bは8機前後と言われているが、たった8機の艦載機で、南西の防衛線を突破した中国の爆撃機部隊に対して有効な阻止攻撃を行うことは可能なのであろうか。実際これらの爆撃機部隊は、J-16のような航続距離の長い戦闘爆撃機や、J-20やJ-31といった第5世代機に援護されていると考えるのが自然であり、F-35Aと比べて兵器搭載量や運動性能に劣るF-35Bでは一筋縄ではいかないかもしれない。また米軍の正規空母と異なりカタパルトのないいずも型護衛艦では、防勢的対航空作戦の要となる艦載型の早期警戒管制機や電子戦機を離発着させることができない。

 更に(2)と(3)の事態が同時に生起する台湾防衛のようなシナリオでは、まず南西正面で戦闘機の離発着拠点が必要となる可能性が大であり、太平洋側に貴重ないずもとF-35B(+随伴のイージス艦)を配備しておく余裕はないのではないだろうか。

 以上のように、いくつか想定したシナリオの中でも、いずも型護衛艦とF-35Bが有効に運用できる状況は、平時からグレーゾーンでのプレゼンス・オペレーションに限定されるだろう。だがそれは、現在中国が行っている空母運用の狙いと同床のように映る。中国の空母プレゼンスに同じ空母で対抗するという発想は、自陣営で有利なドメインを選択して競争を優位に進めようという「競争戦略」ないし「コスト賦課」とは真逆の発想で相入れない。こうした正面競争をしてよいのは、同じドメインで力比べをして勝つ見込みがある場合だけだ。将来の安全保障環境を鑑みたとき、予算や人的資源の面を考えても、日本が中国に対して劣勢に立たされることは明らかである。

 それならば、正面から競争するのではなく、日米共同を明確化させた上での対潜水艦戦や、南西の列島線上に分散配置した長射程の地対艦・地対空ミサイルによる拒否戦略のように、日本が優位に戦えるドメインで相手にコストを強いること重視すべきであろう。元々いずも型護衛艦には、対潜哨戒ヘリの指揮プラットフォームとしての重要な役割があったはずだ。F-35Bの離発着能力を追加して多用途運用するというのは一見便利そうではあるが、戦闘機や対潜哨戒ヘリといった搭載モジュール交換式の多用途装備は、一定期間の猶予があれば対応する任務を選択できるものの、対艦モードと対空モードを発射直前に瞬時に切り替えられるSM-6のように、個別の戦闘局面でマルチに使えるものではない。アセットの多用途化は、そのぶん運用構想の複雑化や要員の訓練時間が分散され、非効率化にも繋がる。

「競争」時代の日本の防衛戦略とは
 30大綱には、宇宙・サイバー・電磁波領域の重視や、IAMD概念の導入、弾薬・燃料取得の強調など評価すべき事項が多く含まれている。他方で、中国に対する「競争戦略」や「コスト賦課」の観点が突き詰められているとは言い切れず、課題も残されている。向こう5年間の31中期防に見込まれる防衛費の平均伸び率は、毎年1.1%に過ぎない。これは26中期防の伸び率0.8%と比較すれば前進ではあるものの、8月末の概算要求時に防衛省が年率7.2%と野心的な要求していたのと比べると、実際に獲得できた予算には雲泥の差がある。(中国の軍事費は公表値だけでも毎年8%以上の伸び率を示している)

 こうした観点からも、スタンドオフ能力が海上優勢・航空優勢が確保できない状況を視野に入れて要求されているように、今日の日本に求められているのは、中国に対して劣勢に立つことを踏まえた「競争」時代の防衛戦略に他ならない。その際、既存の護衛艦の「空母化」や類似の大型艦艇の要求は、持続的な防衛戦略と他分野へのポートフォリオを困難にする恐れがある。本来、日本が中国に対する「コスト賦課戦略(cost-imposing strategy)」を仕掛けるべきところ、「自らにコストを課す戦略(cost-imposed strategy)」にはまり込んでしまえば、そのツケを2030年以降に修正するのは難しくなるだろう。そのときに防衛上のリスクを負うのは、将来の自衛隊と国民である。

 海上優勢・航空優勢の確保のためには、より広範なソリューションが議論されるべきだろう。達成すべき目標には、優勢の確保が難しくても、相手にも優勢をとらせないという接近阻止・領域拒否(A2/AD)の発想も必要となる。その具体的方策として、硫黄島への航空機のローテーションを頻繁に行ったり、長射程の地対艦・地対空ミサイル部隊を配備することなどを検討すべきである。米国がINF条約から離脱した場合には、地上発射型のLRASMやトマホークを日米で共同運用するといったことも視野に入ってくる。

 航空アセットの整備については、旧式の戦闘機とF-35をほぼ1対1の割合で更新する方針を見直し、一部に(グローバルホークとは異なる)中型高高度無人機の導入を開始することで、有人機と無人機を連携させて作戦を行うための足がかりとすべきである。このような無人機には、作戦機の数的不足を補うだけでなく、策源地攻撃能力が必要となる際の動的なターゲティング・センサとしての役割を与え、ネットワーク能力やISR能力を底上げすることも期待できる。

 海洋アセットの整備については、大型艦艇をイージス艦や汎用護衛艦で護衛するというコストの高い艦隊運用を見直し、米海軍で進められている「分散型戦闘構想(Distributed Lethality)」の導入を推進すべきであろう。この構想では、小規模・高火力の艦艇を洋上に分散させた態勢を基本とし、攻撃に際しては各艦や無人機に搭載されたセンサから得られる情報を基に、長射程のスタンドオフミサイルや対潜兵器等を用いて多方面から同時攻撃を行うことが検討されている。この背景には、敵の飽和攻撃に対する脆弱性を下げるとともに、数で優る敵艦隊にも分散を強いることで、米国が優位性を持つセンサとネットワーク能力を最大限に活かせる状況を作り出し、彼我の優劣を逆転させる「競争戦略」の発想がある。今後海自が導入することとなる新型FFMを通じて、こうした運用構想を共有・深化させていくことが期待される。また大型艦艇を導入するのであれば、多機能空母の建造よりも、トマホークのような長距離対地・対艦攻撃用巡航ミサイルを装備し、VLS(垂直発射管)からの発射が可能な潜水艦を導入するほうが日本の安全保障環境に資するだろう。

 陸上アセットについては、「機動運用を基本とする部隊以外の作戦基本部隊(師団・旅団)について、戦車及び火砲を中心として部隊の編成・装備を見直すほか、各方面隊直轄部隊についても航空火力に係る部隊の編成・装備を見直し、効率化・合理化を徹底」とあるものの、別表で示されている戦車・火砲の数量は、25大綱時と変わらず300両・門ずつ維持されている。こうした体制がいかなる有事シナリオに基づいた評価から合理化されているのかは想像がつかない。戦車や火砲の価格は、航空機や艦艇に比べて安価ではあるが、取得費用とは別に運用や整備にかかる人員を拘束することに繋がる。統合運用やクロスドメインの観点からすれば、中期防にある「宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域を中心に人員を充当するなどの組織や業務を最適化する取組」が一層推進されることが望まれる。

 最後に、30大綱では、知的基盤強化の取り組みとして、防衛研究所を中心とする研究体制の強化や国内外の大学、シンクタンク等との組織的な連携を推進することが挙げられている。防衛大綱の策定にあたっては有識者懇談会が開催されたが、事前の意見交換・聞き取りだけでは不十分である。防衛大綱で決定されたポートフォリオの合理性・透明性を確保するためには、米国の国防戦略委員会のように、政府外の専門家や自衛官OBに秘密取り扱い資格(セキュリティ・クリアランス)を与えた上で、政府が策定した政策を事後客観的にレビューし、課題を指摘する機会を公的に設けることも検討されるべきであろう。

<参考資料>
・日本の防衛力整備の変遷過程については、高橋杉雄「基盤的防衛力構想からの脱却 −ミッション志向型防衛力の追求−」『国際安全保障』第44巻第3号(2016年12月)が詳しい。
・外部専門家による国家安全保障戦略・防衛大綱に向けての政策提言としては、以下のようなものが公表されている。「揺れる国際秩序に立ち向かう新たな安全保障戦略−日本を守るための11の提言」日本国際問題研究所(2018年10月)。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15093


元米軍の技術将校が警告する“未来の戦争”での重大な懸念『フューチャー・ウォー 米軍は戦争に勝てるのか?』
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/515.html
投稿者 うまき 日時 2019 年 1 月 20 日 18:22:45: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/471.html

[不安と不健康18] 冬に突然死を招く4つの「危険な生活習慣」
2019年1月20日 渡辺尚彦 :医師
冬に突然死を招く4つの「危険な生活習慣」
冬の突然死を招く習慣
冬の突然死は、普段の何気ない行動が原因になりかねません(写真はイメージです) Photo:PIXTA
いよいよ冬本番。1日の寒暖差が大きくなる季節は、何気ない普段の生活の中に、血圧の乱高下から突然死を招く危険因子が潜んでいるため、要注意だ。では、具体的には冬場のどのような行動に気をつければいいのだろうか。30年以上前から携帯型血圧計を装着し、24時間血圧自己測定の世界記録保持者でもある、聖光ヶ丘病院顧問の渡辺尚彦医師が解説する。

「死のスイッチ」を入れる行動は
普段の生活に潜んでいる
渡辺尚彦医師
渡辺尚彦(わたなべ・よしひこ)
聖光ヶ丘病院顧問、医学博士。
1952年千葉県生まれ。1987年8月から連続携帯型血圧計を装着し、365日24時間血圧を測定している。高血圧改善のためのポイントを「渡辺式血圧を低下10カ条」にまとめ、「渡辺式血圧を低下音頭」を作詞作曲。「ミスター血圧」とも呼ばれ、雑誌、テレビなどで活躍。『血圧を下げる最強の方法』など、著書多数。
 冬になり寒くなると、血管が収縮して血圧が上がりやすくなります。何気ない生活の中でも、例えば朝ぽかぽかの布団から出て寒いトイレに入る時や、帰宅直後の寒い部屋でコートを脱いだり、寒い部屋のまま着替えたりする時など、寒暖差を急に感じる行為には注意が必要です。

 高血圧は突然死を招く危険な因子です。減塩など食生活の改善も大切ですが、「死のスイッチ」を入れるのは、実は、普段の行動の中にあります。

 私は、30年以上24時間365日血圧計を装着し、自分の血圧を計測し続け、自身と患者のデータから、血圧の変動と日常生活の行動との関連について分析してきました。24時間の血圧推移と、起床から睡眠時まで全ての行動、つまり、仕事、電車や車での移動、睡眠、散歩、運動、トイレ、食事、入浴等との関連が特定しています。

 これらの調査の中で、死を招く、特に危険な血圧の乱高下を招いた生活習慣は、4つあります。

危険な生活習慣(1)
熱い風呂に入る
 実は、年間約1万5000人以上が風呂で亡くなっています。風呂は癒やしの場であると同時にリスクの高い場所です。その要因が「高温」「長湯」「温度差」という3つのリスクです。

 熱い風呂は、血圧を急激に上げ、脳や心臓の障害を起こしやすくします。熱い風呂の長湯は、血流を増加させて、のぼせやすくなります。のぼせると、めまいや失神に至り、溺れれたり、転んだりする事故につながり大変危険です。

 温度差は「ヒートショック」ともいわれますが、寒い脱衣所から熱い浴槽につかる時、または、その逆の時の大きな温度差が身体を襲います。急激な温度の変化は交感神経を強く刺激するので、血圧が一気に上がり、脳や心臓の障害を招きやすくなります。

 おすすめは39〜40℃くらいのぬるめの入浴。長湯をするなら、あまり体に水圧のかからない「半身浴」がいいでしょう。

 寒い時期には特に室内と浴室と脱衣所の温度差がヒートショックを招き危険です。脱衣所にヒーターを置いて部屋を暖めたり、浴室は少し前からシャワーを出して室内を暖めておいたりするのがいいでしょう。

 また、浴槽に入る前にはかけ湯を欠かさないでください。ポイントは、いきなり肩からかけるのではなく、足元から少しずつ、だんだん体の上の方にかけていくこと。浴槽に入る際も、いきなりザブンとではなく、ゆっくり足元から入ることが大切です。こうすることで、血圧の急激な上昇を和らげることができます。

 浴槽から出る時も、急に立ち上がらず、ゆっくりと体を起こしましょう。そして、風呂から上がったら、体を冷やさないようすぐに服を身に着けるように。そうすることにとって血圧の急激な変動を回避できます。

 また、入浴に伴う脳梗塞を防ぐためには、「入浴の前後に必ずコップ1杯の水を飲む」ことがおすすめ。これで、血管のつまりによる心臓や脳疾患の発症を防ぐことができます。

危険な生活習慣(2)
サウナに入る
 サウナは入り方を間違えると自殺行為になります。

 サウナはたいてい水風呂と一緒になっていますが、サウナから出て水風呂に直行、ザブンと水風呂に入り、またサウナに入る――を繰り返していませんか?これはヒートショック状態を自ら作り出しているのと同じで、非常に危険です。

 以前、私が真冬のアメリカのリゾートホテルに行った時、別棟にあるサウナに徒歩で行き、20〜30分と長めに入ったところ、血圧が150mmHgを優に超えていたことがありました。心拍数も150をオーバーしており、汗をかいて激しい運動をしている時と同じ数値になり、非常に驚きました。つまり、サウナは激しいスポーツと同程度の負担を体に強いるものなので要注意です。

 サウナと血圧の変動との関係を調査し続けた結論として、私がおすすめするサウナの入り方は、60℃のサウナに最大15分を限度とし、水風呂は厳禁。入る前後にコップ1杯以上の水を飲むことです。

 血管がもろくなっている中高年や、糖尿病、高血圧など持病を持つ方にとっては、サウナと水風呂は死に直結する行為なので、特に注意が必要です。

危険な生活習慣(3)
尿意、便意を我慢する
 排便と血圧の変化も密接に関わっていることが、私自身の血圧データと患者さんのデータから明らかになっています。

 排便の際は、いきむので血圧が上昇します。つまり、便秘気味の人は血圧が上がりがちになるのです。下痢の場合も、おなかに痛みが生じることにより、体に負担がかかり、血圧が上がるので、こちらも好ましくはありません。便通はスムーズであることが一番です。

 また、排尿を我慢しても血圧が上がります。

 これも私自身の経験ですが、ビールを飲んで帰宅する際、電車の中で尿意を我慢していました。駅のトイレで、排尿前後の血圧を調べたところ、排尿前175mmHg、排尿後12mmHg5となり、尿意を我慢しただけで、血圧が50mmHgも上がっていました。

 実は、排尿により急激に血圧が下がると、時に意識がなくなることがあり、これを医学用語で「排尿失神」と呼びます。倒れてケガをすることもあるので要注意です。排便を我慢しても排尿同様血圧が上がるので、こちらも気をつけましょう。

 ちなみに、「立ち小便」も血圧を上げる要因になります。立位が交感神経を緊張させ、さらに排尿の際に腹圧がかかるので、血圧が急上昇します。洋式トイレで座って排尿すると、立ってする時に比べて、血圧の上昇が幾分和らぐので、自宅では座ってすることがおすすめです。その際は、便座は暖かくしておくこと。冬場は冷えた便座におしりが触れるだけでも血圧が上がります。自宅のトイレが暖房便座であれば、常にスイッチを入れておきましょう。暖房タイプでなければ、便座カバーをつけるだけでも、血圧の上昇をかなり軽減できます。

危険な生活習慣(4)
イライラする
血圧を下げる最強の方法
渡辺医師の著書『血圧を下げる最強の方法』
 年末はいろいろと忙しい季節。また年始では、スポーツ観戦で熱くなることもあるでしょう。ストレスも高血圧の要因のひとつです。

 これも私自身の体験ですが、以前、患者さんのカルテに張り付けてあったデータが別人のものだった、という大きなミスが見つかり、生まれて初めて、「どうしてこんないい加減なことをするんだ!」と周囲に怒りをぶちまけてしまいました。すると、その時の血圧は、200mmHg以上に跳ね上がっていたのです。

 もちろん、時々起きる程度であれば問題はないのですが、それが頻繁に起きたり、血圧が高いまま下がらなくなったりすると、さまざまなリスクも高くなります。

 スポーツ観戦も同様です。たまに楽しむ程度なら問題はありませんが、熱中すると血圧が上がってしまいます。ひいきのチームがある人は、応援が過度にならないようにセルフコントロールをしてください。あまりに熱中すると、血圧が上がって脳卒中を起こしかねないので注意が必要です。

 高血圧が気になるが、食事の減塩は難しいというのであれば、まずこういった生活習慣に気をつけることから始めてみてはいかがでしょうか。

(医師 渡辺尚彦)
https://diamond.jp/articles/-/191332
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/685.html

[経世済民130] 「1日4時間労働」で現代人より豊かな生活、縄文人の意外な真実 〜『縄文探検隊の記録』(夢枕 獏/岡村 道雄 著)を読む

【第86回】 2019年1月19日 情報工場
「1日4時間労働」で現代人より豊かな生活、縄文人の意外な真実
〜『縄文探検隊の記録』(夢枕 獏/岡村 道雄 著)を読む
縄文人の暮らし
兵庫県赤穂市にある東有年・沖田遺跡公園。縄文時代の人々の実際の暮らしは、私たちが想像しているものとは随分違っていたようです Photo:PIXTA
視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のシニア・エディターである浅羽登志也氏がベンチャー起業やその後の経営者としての経験などからレビューします。

縄文人はどうやって寒い冬を乗り切ったのか
 軽井沢に引っ越して今年でもう8年になる。

 住み始めて知ったのだが、軽井沢のある長野県には縄文遺跡が多い。

 例えば、家から車で20分ほどの隣町の御代田(みよた)町には「浅間縄文ミュージアム」があり、同町周辺から出土した縄文土器などが多数展示されている。

 つまり、5000年前には、どうやら私が今いるこの近辺に、縄文人が住んでいたらしいのだ。

 しかし軽井沢の冬は寒い。最低気温がマイナス10度を下回る日もある。今と気候が変わらないとするならば、縄文人たちは、どうやってこの寒さを乗り切っていたのだろうか。

 現代ならば、寒さ対策として、家の断熱と暖房が欠かせない。

 実際、わが家の壁や天井には、分厚い断熱材が埋め込まれている。したがって、しっかり暖房すれば、熱が外に逃げない。

 暖房については、床暖房や灯油のファンヒーターも使用しているのだが、私のお気に入りはまきストーブだ。

 まきストーブは、ガラス製の扉のついた鋳鉄の箱の中でまきを燃し、その熱で部屋を暖める。家の中で火を燃やしても安全だし、煙突で屋外に排出されるので煙を吸い込まずにすむ。

 冬にわが家を訪れる人たちにもまきストーブは大人気だ。気がつくと、まきストーブの周りにみんな集まってきて、まきが燃えるゆらゆらとした炎を眺めながら談笑を始める。

 現代のこんな冬の楽しみ方を知ったら、縄文人たちはどう思うだろうか。

縄文探検隊の記録
『縄文探検隊の記録』
夢枕 獏/岡村 道雄 著 かくまつとむ 構成
集英社インターナショナル(インターナショナル新書)
860円(税別)
 本書『縄文探検隊の記録』は、縄文人たちが日々どんな暮らしを営み、また、いかに信仰や精神文化を育んできたのかを、遺跡や遺物に関する最新の情報や、研究成果をもとに対談形式で解説している。

 対談するのは、夢枕獏氏と岡村道雄氏。夢枕氏は、伝奇小説『魔獣狩り』に始まるサイコダイバーシリーズや、『闇狩り師』『陰陽師』などの人気シリーズ作品で知られるベストセラー作家。岡村氏は考古学者であり、奥松島縄文村歴史資料館名誉館長を務める。

 2人は「縄文探検隊」と称し、いくつかのテーマを持って国内各地の縄文時代の遺跡や文化財の調査に向かう。本書の対談はその結果をもとにしたものだ。夢枕氏による小説家としての想像力からの疑問や仮説を、岡村氏、あるいはゲストに迎えた専門家が事実をベースに検証し、議論を深めるやりとりが面白い。

 さて、一般的な縄文人のイメージといえば、小集団で竪穴式住居に定住した、原始的な狩猟採集民だろう。

 しかし岡村氏によると、縄文人の文化や生活は私たちの想像以上に進化していたことが、最近の研究でわかってきているという。食料となる実をつける樹木の栽培や、分業による道具の生産、集団や地域を超えた流通や交易まで行われていたというから驚きだ。

 さらに夢枕氏は、縄文人による自然の力への信仰心が、日本仏教の底流にある「草木国土悉皆成仏(草木や国土のような非情なものも、仏性を具有して成仏する)」や、古事記や日本書紀のような建国神話にもつながった可能性があると指摘する。

 これだけでも、大いに縄文時代へのロマンがかき立てられる。縄文人とは、いったいどのような人たちだったのか。

クリの木を育て、品種改良までしていた縄文人
 縄文人の竪穴式住居といえば、かやぶき屋根を思い浮かべる人が多いに違いない。

 私も、本書を読むまではずっとそう思っていた。だが、実際は「土屋根」が主流だったらしい。

 では、各地の遺跡で復元された住居の多くがかやぶき屋根なのはなぜか。それは、最初の竪穴式住居復元の際に、当時残っていた最古の民家である江戸時代に作られた農家の草屋根を参考にしたからだという。

 最近の研究によると、竪穴式住居の屋根は、床に立てられた何本かの木柱の上に枠組みを乗せ、その上に土を盛って作られたそうだ。

 かやぶき屋根よりも、ずいぶんと作るのが面倒そうだ。あえて土屋根にしたのは、土の「保温」効果のためだと、岡村氏は考える。

 竪穴式住居の中心には、石造りの炉がある。そこで火をたけば、土屋根の保温効果で室温を摂氏25度ぐらいに保てるという。

 そう、これは原理的に、現代の断熱を施した家でまきストーブをたくのと同じだ。縄文人は、現代の私とほぼ同じやり方で寒さをしのいでいたことになる。

 5000年前に生きた彼らも、暖かい家の炉の周りで談笑していたに違いない。

 縄文人の、自然を活用した、より良く生きるための知恵や工夫はこれだけではない。 

 例えば彼らは、住居の柱材にクリの木を使っていた。

 その時に、ただ単にその辺に生えている木を切ってきたわけではないようだ。柱にするのにちょうどいい真っすぐな木を得るために、余分な枝を落としたり、成長を妨げないよう他の木を伐採したり、日照を調整するなどの工夫をしていた形跡があるそうだ。つまり「林業」のルーツが縄文時代にあったということだ。

 縄文時代の「柱」といえば、青森県の三内(さんない)丸山遺跡で発掘された大型掘立柱建物跡が有名だ。直径約2メートルの柱穴が6個あり、それぞれに直径約1メートルのクリの柱が立っていたと推測される。

 復元された3層構造の建物の高さは14.7メートル。圧巻の大きさだ。

 これほどの巨大な柱にする木を育てるには、相当の技術が必要だったはずだ。

 また、クリの実を縄文人が主食にしていた証拠が、たくさん見つかっている。 

 驚いたことに、各地の縄文遺跡から出土したクリの実が、時代が進むにつれて大きくなっていくそうだ。これは、縄文時代に食用のクリが「品種改良」されていたことを示唆する。

 さらに彼らは、自分たちの移動に合わせて、各地にクリを移植している。縄文人の活動範囲とクリの分布の広がりが一致するのがその証拠だ。

縄文時代に交易や協働のネットワークが存在した
 縄文遺跡は、かの時代に、現代に通じる独自のイノベーションがあったことも教えてくれる。

 特筆すべきは「アスファルト」だ。原油を精製する過程で残る黒い粘着性の物質で、現在は道路の舗装などに使われるアスファルトが、なんと縄文時代に使われていたのだ。

 今でも原油の産地に天然アスファルトは存在するそうだが、縄文人はそれを、7000年も前に鏃(やじり)と矢柄の接着剤として活用していた。

 鏃と矢柄の接着が不十分で途中ではがれてしまうようでは、獲物を射留めるのは難しい。しっかりと固定するには、熱を加えると溶け、常温では硬く固まるアスファルトが最適だったのだろう。

 漆塗りの技術も、その始まりは縄文時代だ。

 最近になって、北海道函館市の遺跡から、9000年前と推定される漆製品が出土した。これは、中国大陸で見つかっていた8000年前とされるものより前に存在した、世界最古の漆製品だ。

 国内の縄文遺跡から発掘される漆製品には、繊維を漆で固める、見えないところにも漆を塗る、重ね塗りをするなど、現在の日本の工芸につながる技法が確認されたそうだ。

 クリの移植と同様、これらの技術や工夫、便利な道具は、縄文人の活動範囲の拡大に応じて広がっていった。

 例えば、アスファルト関連の遺物が出た遺跡を地図上に記していくと、原油の産地から実に100キロを超える範囲にまで広がっている。

 彼らは単に移動していただけでなく、交易を行っていたこともわかってきている。交易に携わる縄文人たちはネットワークを形成し、各地の生産物や発明品、それらを使いこなすための情報も含めて他の地域に伝搬し、シェアしていたと考えられる。

 ところで、先に触れた三内丸山遺跡の大型掘立柱建物だが、住居にしては大きすぎる。なぜ、あれほどの巨大な建造物が必要だったのだろうか。

 岡村氏は、住人たちの統合のシンボルだったのではないかと考えている。

 そのシンボル的な巨大建物を造るのにも、住人たちが結束しなければならない。その建築プロセスも、統治者が人々を団結させ、一つにまとめるための「祭り」だったのではないか、とのことだ。

 こうした祭りは時代を経るにつれ宗教性を帯びていき、諏訪大社などで有名な御柱祭のように、現代にも受け継がれているのだそうだ。

高度な知識と文明で、豊かな生活を送っていた縄文人
 私はこれまで、縄文人の狩猟採集生活に、食料の確保が不安定なために貧しく、限られた食料を奪い合っていたイメージがあった。

 しかし本書を読むと、縄文人が高度な知識だけではなく、文明といえるものさえ持っていたことがわかる。

 彼らは、自然の中で効率よく生活するために知恵を絞り、イノベーションを重ね、そして協力しながら豊かな社会を築いていたようだ。

 ちなみに本書によると、縄文人の1日の労働時間はたったの4時間。これも、縄文人が私が考えていたよりもずっと豊かな生活を送っていた一つの証拠といえる。

 本書で、創意工夫と協力のネットワークを活用して効率的に暮らしていた縄文人の生き方に思いをはせてみてはいかがだろうか。

(文/情報工場シニアエディター 浅羽登志也)

情報工場 2005年創業。厳選した書籍のハイライトを3000字にまとめて配信する書籍ダイジェストサービス「SERENDIP(セレンディップ)」を提供。国内の書籍だけではなく、まだ日本で出版されていない、欧米・アジアなどの海外で話題の書籍もいち早く日本語のダイジェストにして配信。上場企業の経営層・管理職を中心に約8万人のビジネスパーソンが利用中。 http://www.serendip.site
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https://diamond.jp/articles/-/191337
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/651.html

[経世済民130] 「相対貧困」が社会を危うくする ブレグジット後のEU「移民格差」、日本はどうする? 
「相対貧困」が社会を危うくする
ブレグジット後のEU「移民格差」、日本はどうする?
2019.1.18(金) 伊東 乾
自由貿易と保護主義の対立を理論的に解説する。頭ごなしに「アメリカが・・・」などと言うより、条理を尽くして教える方が、どれだけ本物に育つことか。
 前回、欧州でのAIデバイド対策の議論をご紹介したところ、「あおりっぽい」というような読者コメントがあるのを目にしました。

 なかなか典型的に島国のリアクションだと思いました。

 しかし、そんな島国の日本でも、深刻な働き手不足によって海外から労働力を得ようとしている現実があります。

 「賃金が低廉である」という観点、また「社会保障など正社員相当の扱いをしなくてもよい」といった考え方で、安易な<受け入れ>が考えられている可能性がありますが、これは極めて由々しいことだと言わねばなりません。

 かつて日本は、南米などから導入した労働力を、使うだけ使い倒したうえ、追い返すといった仕打ちをしています。

 足を踏んだ方は簡単に忘れるかもしれませんが、踏まれた方は決して忘れることはありません。

 その国の良質な労働力が、かつてはせっかく日本を目指してくれていたのに、もはや見向きもしない、と言ったことに簡単になってしまう。

 ご都合で人材の導入を考えると、必ず因果は巡って自分のもとに帰ってきます。

 こういった「ビジネス倫理」の問題を提起すると、「採算性を考えない大学人の抹香臭いお説教」「ハイハイ・・・」といったリアクションで返されることが、日本では少なくありません。

 日本ではというのは、島国ではと言い直してもいいかと思います。

 というのも、少なくともドイツを見る限り、ビジネス倫理は、企業経営の足を引っ張るお説教ではなく、各企業が国際的に展開するうえでの「武器」として教えられている現実があるからにほかなりません。

 ではどうして「倫理」が「武器」なのか?

ノーを言えない国際ルールをツールに
 例えば、CO2排出量のような、全地球規模に影響の出る「環境倫理」を例に考えて見ましょう。

 2018年の日本は、1年を通して異常な気象ばかりでした。

 単に異常気象というだけでなく、それに伴う天災、また本来の日本の気候から外れたことによる農作物の異常成長や異常収穫、それらに伴う需給バランスの失調、すべては経済的打撃となって、生産農家も流通業者も被害を受けています。

 こんなことがあっていいはずがないと、数年前ならまだ力こぶを入れて語れたように思います。

 しかし、夏の高温が記録を更新、晩秋ないし真冬のシーズンにもシベリアの寒気を圧倒するほどの太平洋からの暖かい空気の流入など、すでに日本は、懐かしい伝統的な四季とは異なる季節環境に変容してしまったのかもしれません。

 何ということでしょう。

 「誰がこんなことにしたんだ!」という怒りがあって当然ですが、残念ながらグローバル・ウオ―ミングは極めて複雑なシステムで(多分不可逆に)変化してしまっています。

 「どこの国のどういう乱開発がいけないんだ!」といった名指しは、なかなかしづらい面があります。

 しかし、そういう中で排出権その他のグローバルルールを作り、全人類の持続的成長のための倫理である、としてルール化することで、モラルやエシックスは新産業を創出する新しいゴールやマイルストーンへと変貌することになります。

 全く同様のことが、移民労働力や紛争地域からの難民などについても言えます。

 移動者の種類によって、あるいはそのいかんにかかわらず、グローバルルールを策定し、その「正義」の元で新規ビジネスの開拓も可能であるというのがポイントになります。

工学部必修で習う「倫理科目」の違い
 長年の親友であり、仕事のパートナーでもあるミュンヘン工科大学のクリストフ・リュトゲ教授は「ビジネス倫理」の専門家です。

 初対面の際にはコンピュータ―に強い経済学者と思ったのですが、彼は紛れもないドイツ観念論の正統なる後継者の哲学者、倫理学者で、ネットワークに関わる問題を考えるうえで、必要なシステムを自分で組むなど、自在に手が動く思想家です。

必修倫理を教えるクリストフ・リュトゲ ミュンヘン工科大学教授。
 先日、彼がミュンヘン工科大学で担当している「必修・倫理」の講義を聴かせてもらいました。

 午前中からの打ち合わせがなかなか終わらないなか、午後は講義があるというので、「じゃ聴かせてよ」ということで大教室に同道しました。

 隅の方で静かにと思っていたのですが。講義の最初に学生たちに紹介されてしまったので、匿名の聴衆となることはできませんでした。

 率直に言って、日本の現状との落差を強く感じました。

 国内で「倫理」として教えられるもの、私自身も教えた経験のあるものは、大半が実は「研究倫理」や「ネットワークエチケット」で、もっとはっきり言うと「べからず集」が大半なのです。

 「あれをしてはいけない」「これはやってはだめ」・・・。

 研究倫理に至っては、およそ効果が疑われる「e-learning」やら「ビデオ教材」やらを、職員も教員も修了することが義務づけられており、テスト代わりのアンケートなどもついているのですが、共通一次テストの方がはるかにまともと痛感させられるシロモノであるのが珍しくありません。

 というのも、論理的に整合した筋道が追えず、合理的に納得のいく導出法がない羅列が少なくなく、たかだか丸暗記程度のことしかできないものであるからです。

 そんな日本国内の現状も念頭に、ミュンヘンで工学部生向けに必修で倫理を教える、というとき、いったいどういうことをやるのかと思っていたのですが・・・。

 しょっぱなからショックを受けました。

 「ええと、先週はどこまでやったんだっけ・・・」。などと言いながら、クリストフが開いたのは、「自由貿易対保護主義」の項目で、分かりやすく米中摩擦の例などを引きながら講義が始まったのです。

 なんという月とスッポンであることか。

 彼の講義は「ドナルド・トランプはダメである」とも「米国の保護主義は困りものである」とも一切言いません。

 そうではなく、経済学のモデルを引きながら、自由な体制での貿易がいかに有効かという、純然とポジティヴなことだけを理路整然と語りました。

 1400人ほど入る大教室ですが、ときおり学生が手を挙げます。すると目ざとくそれを見つけて、あらゆる質問に、その場で理路整然と、すべてをきちんと説明する。

 倫理の教育・・・いや、それに限局せず、大学教育とはかくあるべき、というお手本のようなスタイルでした。

 ウエブや新聞で学生が目にするだろう喫緊の話題を、必要ならヒックスでもハイエクでも引きながら透明に説明していく。

 友人の教育の仕事を見るのは初めてでしたが、こういうところで信用できる人間がよく分かると思った次第です。

移民格差とAIデバイド
格差と貧困について講義するリュトゲ教授
 クリストフの必修・倫理の講義は、続いて「貧困」を扱う章に進みました。

 直前の「自由貿易対保護主義」の議論の必然から、国境を接した隣国に「限界貧困」の状況(生存すら危ぶまれるいくつかの状況を定義して論じていました)があるとき、保護主義がいかにグローバルな長期的視野に立って有害か、を理路整然と語っていきます。

 限界的な貧困とは、餓死直前状況や、紛争などの理由によって地域経済が完全に麻痺し、出生率も下がって地域が滅亡する危機にある状況を指します。

 基本的人権など持ち出さずとも、このような状況にある国があれば、国際協調で手を差し伸べるのが人間として当然のことであるし、それは結果的に復興経済のニュービジネスをもたらすことにもなる。

 ドイツ・プロテスタントの倫理と資本主義の精神が21世紀の現況を直視しながら一点の曇りもなく語られていきます。

 先進国では、紛争地域のような「限界貧困」はそこまで著しくない場合が多いですが、「相対貧困」が問題になります。

 自分たちは、他のだれかよりも貧しい・・・という意識。あるいは、どんどん追い詰められているという危機感、焦燥感。

 大陸欧州が、こうした不安感を最も恐怖する背景には、2016年英国国民投票で、まさかと思われていたブレグジットという悪夢が現実になってしまったことによります。

 「移民がやって来る。彼らに仕事を奪われて、現在の生活が危うくなるかもしれない」

 こんな「相対貧困」の不安感だけで、欧州は大変な負の重荷を引きずることになってしまいました。

 さらに、先進国で社会保障からあぶれた難民たちは路上で物乞いの生活を送る中で凍死するなど、限界状況にある人もコンスタントに見られますし、先進地域での「相対貧困」はテロを含む様々な犯罪の温床となってしまいます。

 クリストフはここで、名前だけは世界中に知られたフランスの経済学者、トマ・ピケティのよく知られた式

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 を示しました。

 資本の利回りは経済成長率よりも大きいのです。ために、ごく少数の富める者に財貨が集中し、人口の大半の所得が伸び悩む現実を示します。

 しかもピケティの実証分析は、移民以前、AI以前のデータから得られたものです。

 社会の階層化と能力やリテラシーの断絶があれば、その開きは明らかに、さらに深刻になると懸念しておくべきです。

 こうした状況を、ただ単に手を拱いて眺めるのではなく、万人が合理的に考えて、決してノーが言えない命題をいち早く模索し、それに基づくグローバルルールを策定、もっと言えばそこで格付けのようなキャスティングボ―トを握ることができる可能性もあるでしょう。

 実はAIに関しては、非常に珍しいことですが、日本の「人間中心のAI7原則」が現在時点、世界で最も進み、また充実した内容を誇っています。

 格差の増大、AI化といった状況に加え、日本の場合はさらに「少子高齢化」による防止爆弾群が順次爆発するリスクがありますから、未然にそれらをしなければなりません。

 しかし、新たな状況(例えばAI化)が進むとき、規制がない時点では、必ず一度は市場が草刈り場になるタイミングがあると覚悟しておくべきでしょう。

 ツイッターやフェイスブックなどのSNSが普及した当初、どれだけダダ漏れの個人情報などがあちこちに転用されたことか。

 破局的な失敗があって、初めて規制ができるというケースが大半です。もっと言えば、まだ法の目が掻い潜れると分かった段階で「未来の犯罪」でせっせと利ザヤを抜く商法だって、決して珍しいわけではないでしょう。

 AIデバイドの影響をミニマムにするべく、少なくとも欧州が懸命に努力するのには、このような背景があります。

 では日本は、どのように考え、行動していくべきなのでしょうか?

(つづく)


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55228
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/652.html

[政治・選挙・NHK256] 北方領土「二島先行」に世論が反対しなくなった理由 領土はナショナリズムの象徴だが、固執しすぎれば高くつくことも 
北方領土「二島先行」に世論が反対しなくなった理由
領土はナショナリズムの象徴だが、固執しすぎれば高くつくことも
2019.1.19(土) 舛添 要一
安倍首相、プーチン大統領と会談 平和条約交渉の加速で合意
〔AFPBB News〕シンガポールでロシアのウラジーミル・プーチン大統領(右)と握手をする安倍晋三首相(2018年11月14日撮影)。(c)Alexey DRUZHININ / SPUTNIK / AFP

(舛添要一・国際政治学者)

 1月14日、北方領土・平和条約問題をめぐって、モスクワで日露外相会談が行われた。これは、22日に行われる安倍首相とプーチン大統領の首脳会談の準備と位置づけられる。

 昨年(2018年)の11月14日、シンガポールで日露首脳会談が行われ、安倍首相とプーチン大統領は、1956年の日ソ共同宣言に基づいて、問題解決のための交渉を加速化させることで合意した。日ソ共同宣言を基礎にするということは、平和条約締結後に歯舞・色丹二島が日本に引き渡されるということである。

 しかし、国後・択捉については、これからの協議次第である。これは、「四島一括返還、その後に平和条約」という我が国の従来からの主張とは大きくかけ離れている。歯舞・色丹二島のみを切り離し、先行して返還することを是とする理由は何か。

圧倒的だった「四島一括」より「二島先行」が多数派に
 12月8、9日に産経新聞社とFNNが実施した世論調査で、北方領土帰属問題についてどの案を目指すべきかを問うたところ、「歯舞・色丹二島返還先行、国後・択捉引き続き協議」が50.0%、「四島一括返還」が30.8%、「歯舞・色丹の二島だけでよい」が7.7%であった。

 かつては「四島一括返還」が圧倒的に多かったが、今回「二島先行論」が過半数になったとことに驚いている。しかもこの調査は、保守色の強い新聞社・テレビ局が行ったものだけに尚更である。他のマスコミの調査でも、6割前後が二島先行返還論に賛成しているのである。

 この変化はなぜ起こったのか。私は、日本人が北方領土問題への関心を失いつつあるからではないかと思っている。北方領土担当大臣が、四島の名称を正しく発音できない時代である。

「戦後外交の総決算」という安倍首相の決意を評価する雰囲気が支配的になり、「四島一括返還、その後に平和条約」という日本のこれまでの主張が一気に反古にされそうである。それでも構わないということを、安倍首相は内外に説明することができるのであろうか。

「日本は第二次世界大戦の結果を認めない唯一の国」
 タテマエ上は、「まず平和条約締結、そして二島返還、その後に四島を取り戻す」ということであろうが、平和条約を締結することがそんなにも重要なのであろうか。1956年の日ソ共同宣言以降は、平和条約が存在しているのと同じ状況にあり、日露両国民とも何の不便も感じていない。形式的には、平和条約締結が「戦後外交の総決算」となるのかもしれないが、実質的にはほとんど意味の無いことである。

 ロシアには国後・択捉を返還する意思はないので、二島先行返還論は、結局は二島のみ返還になってしまうということである。

 ロシア側は、北方領土は、第二次大戦の結果、ロシア(当時のソ連)が獲得したものであり、不法な占拠ではないと主張している。ラブロフ外相は、「北方領土」という呼称も批判しているし、16日の記者会見では、国連憲章107条(旧敵国条項)に言及し、「日本は第二次世界大戦の結果を認めない唯一の国」と批判した。そして、日露関係は「国際関係でパートナーと呼ぶにはほど遠い」と厳しい見方をした。

日ロは「パートナーには程遠い」、ラブロフ外相が発言
ロシア首都モスクワで記者会見に臨むセルゲイ・ラブロフ外相(2019年1月16日撮影)。(c)Kirill KUDRYAVTSEV / AFP〔AFPBB News〕

 このようなロシアが二島を日本側に引き渡すのは、一つの恩恵を与えることを意味し、経済支援など何らかの見返りが必要だとロシア側が考えて当然である。この論理を突き詰めれば、かつてアラスカをアメリカに売ったように、自らの領土を売却するということになる。

 二島の引き渡しにしても、歯舞島には軍関係者しかいないが、色丹島には約3000人のロシア人が住んでおり、土地の所有権をはじめ、彼らの処遇をどうするのか、旧日本人住民の権利や賠償をどうするのかといった様々な問題が出てくる。

 北方領土解決策としては、従来の四島一括返還論と「二島+α」論がある。後者は、「平和条約締結後に歯舞・色丹二島が返還される、その後、国後・択捉については協議を進め、共同で開発を進めたり、日本人の自由往来を可能にする措置をとったりする」という考え方である。

 この考え方の人たちは、サンフランシスコ平和条約で千島列島の放棄を定めたときには、国後・択捉は千島列島に含まれていると解釈されていたと主張する。吉田茂首相は、両島を「千島南部」と呼び、歯舞・色丹の二島については「北海道の一部」という異なった表現をしたことを根拠とする。

 安倍首相がこの主張を取り入れて国境線の画定を行えば、ロシアとの間で協議がまとまるかもしれないが、従来の主張との整合性がとれなくなる。この点を考えると、解決が容易ではないことが分かる。安倍首相の支持基盤である保守層は、四島一括返還論に固執するであろう。

 四島一括論を弊履のように捨て去ると、それは他の領土問題にも影響する。竹島や尖閣諸島は、それぞれ韓国と中国が領有権を主張している。日本は容易に主張を撤回する国と見られれば、韓国や中国はますます態度を硬化させるであろう。

 一方、四島一括返還に固執すれば、一島たりとも永遠に戻ってこないという観測もまた成り立つ。つまり、時間が経てば経つほど、北方領土のロシア化が進み、返還はますます困難になる。従って、二島だけでも帰ってくるときにチャンスを逃すなというわけである。

 つまり、「時間の経過がどちらの側に有利に働くか」という観点からは、四島一括論者は日本、「二島+α」論者はロシアと考えるのである。そこで、前者は「焦る必要はない」、後者は「急げ」となる。

ロシアにとって認めがたい「北方領土への米軍駐留」
 交渉が順調に進む前提は、安倍首相、プーチン大統領の権力基盤が強固であることであるが、日本では春に統一地方選挙、夏に参議院選挙が行われる。その結果次第では、安倍首相のレームダック化の可能性もある。

 ロシアにとっては、アメリカ政府の意向も問題となる。ロシアが絶対に避けたいのは、返還した北方領土に米軍が展開することである。トランプ政権が、米軍を駐留させないことを日本側に約束できるのか、これも大きな論点である。

 先に北方領土に対する国民の関心が薄まっていることに言及したが、その背景には領土の経済的効用についての冷徹な視点が広まっているのではあるまいか。石油や金が大量に埋蔵されているような領土なら別だが、寒冷地の領土の資源的価値は大きくない。北方領土の場合、水産資源が最大の経済的利益をもたらすが、島を管理するためにかかるコストと経済的利益を天秤にかける発想が出てくるのも仕方ない。

 1970年代に中国が尖閣列島に対する領有権を声高に主張し始めたのは、周辺海域に石油資源が眠っているという観測が1960年代に出たからである。竹島に関しては、漁業資源以外にはめぼしいものはない。

 しかしながら、領土は、単に経済的利益のみならず、ナショナリズムのシンボルとして大きな意味を持っている。韓国が竹島を実効支配しているのは、反日ナショナリズムの砦にしたいからであるが、ナショナリズムは高くつくこともある。20世紀が生んだナショナリズムや民族自決主義のイデオロギーは21世紀には克服する対象と考えてもよいのかもしれない。

 いずれにしても、平和条約締結・北方領土問題の解決はロシアという相手との交渉次第である。両国の国民世論をはじめ、乗り越えなければならないハードルが山積している。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55248
http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/476.html

[政治・選挙・NHK256] 捕鯨論争を巡る「賛成の正義」と「反対の正義」 『おクジラさま』から「理解」のための学びを得る 
捕鯨論争を巡る「賛成の正義」と「反対の正義」
『おクジラさま』から「理解」のための学びを得る
2019.1.18(金) 漆原 次郎
ミンククジラのブロック。商業捕鯨が再開されれば、鯨肉と接する機会が増えるかもしれない。
 2018年12月、日本政府が国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退を表明した。このまま行けば、今年(2019年)7月から33年ぶりに商業捕鯨が再開されることになる。今後も国際論争を含む大きな動きが起きるのは必至だ。私たちにとっては、お店で鯨肉を目にする機会が増えるだろう。

 捕鯨反対派の「捕鯨は残酷」主張と、日本の賛成派の「捕鯨は伝統」という主張は噛み合わないままだ。ずれた論争の背景には何があるのか。理解のための糸口はあるのか。『おクジラさま』から学びを得たい。

主張のズレに伝統・変化への根本的な違い
2017年8月に刊行された佐々木芽生著『おクジラさま ふたつの正義の物語』。
『おクジラさま』は、ドキュメンタリー映画監督・著述家の佐々木芽生氏が手がけた映画と本だ。イルカ追い込み漁が営まれる和歌山県太地町で、地元住民、環境活動家、外国人ジャーナリストなどを取材し、それぞれの立場や主張を描く。「両方の意見をバランスよく伝えたい」と、捕鯨賛成側と反対側の双方の主張に耳を傾けている。2017年に映画が公開され、また本も出版された。映画はいまも各地で上映会が行われており、本はもちろん書店などで入手できる。

 捕鯨を巡る衝突には主張のズレがある。賛成派は捕鯨には「伝統」があると主張する。一方、反対派は、捕鯨は「残酷」であると主張する。

 このズレの背景にあるものを、著者は本の中で、取材中「気づいた」こととして示す。日本人は、伝統はできるだけ原型をとどめて後世に伝えることが重要と考えるのに対し、欧米人は古くて時代に合わなくなったものは壊すべきと考える。常に「文明化」や「進化」を求めてきた欧米人は、差別撤廃の視線を人間以外の生きものにも向け、苦痛を感じる生きものは人間と同じ配慮をすべきというところまで達したというわけだ。

 それぞれの主張の根拠が基本的な考え方の違いからくるものとすると、ズレの根深さはとてつもない。「伝統だから」はとうてい理解されそうにないし、「残酷だから」もなぜクジラやイルカだけがと疑問を抱かせる。

最初で最後の対話も歩み寄りなく
 賛成派と反対派が、一度だけ太地町で相まみえたことがある。2010年、政治団体が企画した「対話集会」に、太地町の町長や副町長らと、自称環境保護団体シーシェパードのメンバーらがともに参加したのだ。

 集会では、町側が「苦しみを与えず一瞬で捕殺することができております」と捕殺の改善を述べるが、そもそもシーシェパード側は「クジラの捕獲や虐殺は、野蛮で非文明的です」と言っており、やはり主張がズレる。

 象徴的なシーンが最後のやりとりだ。シーシェパードのメンバーが町長に尋ねる。「太地町が前進するために、私たちシーシェパードに何か手伝えることはないでしょうか」。

 町長は答える。「太地町の町のことは太地の町民が決めることであり、他の人が決めることではありません。あなたたちが住民として登録されてから考えることです」。

 町側がシーシェパードの提案をはねのけているように感じられる。だが、平穏だった町にこの自称環境保護団体が突然やってきて、漁の妨害や嫌がらせを続けてきた経緯からすると、こうした反応も無理からぬことだ。威圧は隔たりを作り出す。

「古式捕鯨発祥の地」を謳う、和歌山県太地町。
「クジラを食べたくて仕方ない」と思われている日本人
 理解しあえなかったことを、理解しあうのは難しい。それでも「理解のための行動」を取り続けるしか、論争の先にある道を見出せないのではないか。

 理解のための行動の1つは「日本の実態を伝え続ける」ことかもしれない。人は、他国の文化や伝統を「みんながそうしている」と捉えてしまいがちなもの。だが、実態はかけ離れていることもある。

 日本人が鯨肉をさほど消費していないという実態を世界に発信したことのあるフリージャーナリストの佐久間淳子氏は、著書の中でこう述べている。「日本人はクジラを食べたくて仕方ないと思われていたようです。もし捕鯨を再開したら牛も豚も鶏も食べずにクジラだけ食べるのではないか、と」。

 日本国内でも鯨食に対してさまざまな考えがある。それに、捕鯨の伝統は日本の象徴的なものではあるが、全国的な伝統を示しているものではない。これらのことを海外に地道に伝えていくことは、日本に対する心象の変化の始まりにつながるのではないか。一人ひとりが異文化の人と接するときにできることだ。

正義はただ1つではない
 佐々木氏も、まさに理解のための行動を取り続けてきたことが『おクジラさま』から分かる。そして、本の最後に「太地の衝突から学んだ」ことを伝えている。

 それは「正義の反対は悪でなく、別の正義」ということだ。

 捕鯨賛成派と反対派、どちらの主張にも理由や事情がある。そこに至った運命や偶然もある。自分と異なる主張を「悪」として除こうとするのでなく、「別の正義」として捉え、その中身を知ろうとする。従えなくても、異なる考えがあることを認めはする。それもまた、理解のための行動の1つとなる。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55219
http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/477.html

[経世済民130] パソコン市場は、7年連続の前年割れ 出荷台数2.6億台、2007年以来最も低い水準 
パソコン市場は、7年連続の前年割れ
出荷台数2.6億台、2007年以来最も低い水準
2019.1.18(金) 小久保 重信
米マイクロソフト、新型タブレット「サーフェス・プロ3」を発表
米ニューヨーク(New York)で公開された米マイクロソフト(Microsoft)のタブレット端末「サーフェス・プロ3(Surface Pro 3)」(2014年5月20日撮影)。(c)AFP/Stan HONDA 〔AFPBB News〕

 米国の市場調査会社ガートナーが公表した速報値によると、2018年におけるパソコンの世界出荷台数は、2億5940万台となり、前年比で1.3%減少した。

ピークの2011年から30%減
 パソコンの世界出荷台数は、2011年まで右肩上がりで伸び続けた。しかし、同年の3億6500万台をピークに減少に転じ、昨年で7年連続の前年割れとなった。昨年の出荷台数は、このピークの年から約30%減少し、2007年以来最も低い数値となった(ドイツ・スタティスタのインフォグラフィックス)。

 これに対し、スマートフォンの年間出荷台数は、2017年が14億7000万台、2018年の推計値は14億2000万台で、パソコンの5倍以上となっている(スタティスタのインフォグラフィックス)。

消費者需要が低迷
 ガートナーによると、昨年のパソコン市場が振るわなかった主な要因は、消費者需要の落ち込みという。全出荷台数に占める消費者向け出荷台数の比率は約40%。この比率は2014年時点で49%だった。

 ガートナーの北川美佳子主席アナリストによると、頼みの綱である年末商戦も消費者需要が低迷した。もはや年末商戦は、消費者需要を大きく押し上げる役割を果たさなくなっているという。

トップ3の合計シェアが63%に
 昨年1年間におけるパソコンメーカー別出荷台数シェアを見ると、1位は中国レノボ・グループ(聯想集団)の22.5%。これに米HPの21.7%が次いだ。そして、そのあと、米デルの16.2%、米アップルの6.9%、台湾エイサー(宏碁)の6.1%、台湾エイスース(華碩電脳)の6.0%と続いた。

  このうち上位3社は、いずれも前年からシェアを伸ばしたが、4位〜6位の3社と、7位以降の「その他」は低下した。昨年10〜12月におけるトップ3の合計シェアは63%。この数値は1年前の59%から上昇しており、市場は上位メーカーへの集約が進んでいるという。

 また、首位のレノボは、米国市場で好調だった。同社の米国における10〜12月期の出荷台数は215万台。同国市場でHP、デルに次ぎ3位となった。その前年同期比伸び率は23.4%。同社は米国市場で、3四半期連続の2桁成長を達成した。

世界各地で軒並み前年割れ
 ガートナーは、昨年10〜12月期における地域別出荷台数もまとめている。これによると、米国の同四半期における出荷台数は、1420万台で、前年同期比4.5%減。

 EMEA地域(欧州、中東、アフリカ)は2090万台で、同3.8%減。そして、アジア太平洋地域は、2420万台で、同4.6%減となった。

 ただ、昨年4〜6月期と7〜9月期の出荷台数が1年前から増加しており、市場はいくらか回復の兆しがあった。10〜12月期も前年実績を上回ると思われたが、ちょうどそのころ、パソコンの主要部品であるCPU(中央演算処理装置)の供給不足が生じ、メーカーは法人需要に応えることができなかった。今後CPUの供給状況が改善されれば、2019年初頭はプラス成長に転じる可能性があると、ガートナーは分析している。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55246
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/653.html

[戦争b22] AI軍拡競争、勝利するのは中国・ロシア勢か
コラム2019年1月19日 / 09:27 / 1時間前更新

AI軍拡競争、勝利するのは中国・ロシア勢か

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[15日 ロイター] - 中国有数の軍事研究機関である北京理工大学は昨年10月、5000人以上の応募者から31人の高校生を選出した。

中国当局は、彼らが微視的なロボットからコンピューターウィルス、潜水艦、ドローン、戦車に至る新世代の人工知能(AI)兵器システムの設計を担うことを期待している。

コンピューターの性能向上と自己学習プログラムが、戦争と政治に新たな道筋を生み出す中で、こうした取り組みは、何が21世紀の軍拡競争を決定付けるのかを、鮮烈に思い起こさせる。

今や軍事領域において、戦略や倫理、政治的思考よりもテクノロジーが優先されつつあるのかもしれない。それだけでなく、コンピューターのハードウェアやソフトウェアを入手し、正しくプログラミングするのと同程度に、才能ある人材の争奪戦が重要性を増している、とも言えそうだ。

コンサルタント会社プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は、AI関連製品や同システムの世界経済に対する寄与は2030年までに最大15兆7000億ドル(約1700兆円)に達すると試算。中国と米国がその先頭に立つ可能性が高いという。

とはいえ、各国政府がこの分野での出遅れを憂慮し、警戒する最大の理由は、それによって生じ得る軍事的な影響であり、未知のテクノロジーが新たな危険をもたらす可能性に各国は神経を尖らせている。

米国では、IT業界幹部が集まり米軍に技術的なアドバイスを提供する国防イノベーション諮問委員会に対し、防総省上層部は、戦争におけるAI活用を巡る倫理原則をまとめるよう求めている。

先月はフランスとカナダがそれぞれ、同様の問題について幅広く議論する国際委員会を創設すると発表した。

これまで西側諸国では、紛争における生死にかかわる判断は人間によって下されるべきであり、コンピューターやアルゴリズムは単にそうした判断を支援するだけにとどめる、との信念を守ってきた。

だが他の国々、特にロシアや中国は、違う道へ踏み出そうとしている。

昨年AI関連投資の倍増を発表したロシアは今月に入り、2019年半ばまでに新たなAI国家戦略の「ロードマップ」を策定すると発表した。

ロシア当局者は、サイバースペースでの優位と情報戦に欠かせない要素としてAIを捉えていると言明しており、同国のオンライン版「トロールファーム(ネットで故意に偽情報を拡散したり、荒し行為を行う集団)」は、すでにデマを流布するためにソーシャルメディアへの自動投稿を駆使しているとみられる。

中国政府はAI開発で、さらに先行していると見られており、すでに米国を凌駕している可能性もある、と一部の専門家は考えている。

優れたAIを実現するために肝要なのは、十分なコンピューター性能と学習素材となる大量のデータ、そしてシステムを機能させるための人材だと専門家は指摘する。世界で最も強力な専制国家であるロシアと中国は、国内では政府支配を維持するため、そして海外では敵を打倒するために、AIを駆使する能力と意志の双方を備えている。

すでに中国は、顔認証ソフトを含む大規模な自動監視システムを使って、特に北西部におけるイスラム系少数民族ウイグル族の反体制派を弾圧している。中国もロシアと同様、市民のコミュニケーションを監視することに対する疑念や自制は、西側諸国に比べて格段に弱い。技術改良が進むにつれ、こうした監視システムはさらに強力なものになっていくと思われる。

新たな技術とイノベーションを活用することにかけては、伝統的に独裁国家よりも、西側の民主主義諸国、特に米国の方が巧みだった。

だがAIに関しては、IT産業と米軍を連携させようとする連邦政府の取り組みは、順調とは程遠い状況にある。

米アルファベット(GOOGL.O)傘下のグーグルは6月、従業員からの要求に押され、国防総省との契約更新を見送った。多くの技術開発者は、自分たちがいずれ制御不能の殺人ロボットを作ることになりかねないという懸念から、国防プロジェクトへの関与に二の足を踏んでいる。

それでも米国とその同盟国は、独自の自動化兵器の研究や製造を進めている。

米マイクロソフト(MSFT.O)は10月、「強力な国防を実現するため」に、できる限り先進的なAIシステムを国防総省に納入する意志がある、とひっそりと表明した。

米空軍上層部は、「B2」ステルス爆撃機の後継機種として重要機密扱いとなっている次期長距離攻撃機について、有人でも無人でも運用可能になると述べている。西側各国の軍隊も、兵士をリスクにさらすことなく、よりたくさんの「汚く退屈、かつ危険な」戦場任務がこなせるよう、無人トラックなどの支援車両に対してさらに多くのリソースを投入している。

複数の無人機が自律的な制御を行うドローン編隊の利用が拡大していく中で、こうした力関係は、はるかに複雑なものになっていく。

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ドローン対ドローンの戦闘に関しては、西側の政策担当者も無人システムに自力で判断させることについて、おおむね肯定的だ。

ただ、人命を奪う場合には、国防総省の方針として人間が意志決定のループに残ることが求められている。それがそれがますます困難になる可能性がある。敵国の自動化システムがそうした判断を人間よりもはるかに速いスピードで下すとなれば、なおさらだ。

2020年代前半には、中国科学者の手によって武装可能な無人の大型潜水艦が世界の海洋に展開され、南シナ海など領有権紛争の絶えない海域で敵対する部隊を標的にすることが予想されている。

こうした無人艦艇は、長期にわたって存在を秘匿したまま、非常に長い距離を航行できる可能性がある。中国は12月、無人水中グライダーの試作機が、過去最長となる141日間をかけて3619キロに及ぶ航海を達成したと公表した。

中国の研究者によれば、今のところ、こうした無人艦艇による攻撃を行うかどうかの決定はすべて人間の指揮官によって行われるが、今後もその方針が続くとは限らないという。

米国防総省は昨年1月、ロシアが核兵器搭載可能とみられる無人の大型原子力潜水艦を建設中だと報告した。ロシア、中国両政府はまた、無人ロボット戦車にも力を入れており、ロシアは最新型をシリアの戦場で試験運用している。

こうしたシステムが投入されれば、西側諸国の指揮官にとって、どのような紛争においても、戦場での標的決定が大変面倒になる。個々の車両や艦艇に人間が搭乗しているか不明瞭になるからだ。判断ミスによって戦争の開始や急激なエスカレートを招く可能性がある。

北京理工大学では31人の若者を選抜する際に、選考担当者は「戦う意欲」を重視したと言われている。

これほど未検証で、なおかつ破壊的な性質を秘めたテクノロジーに取り組む上で、選考基準として優先するには、非常に危険の大きな資質だった、という羽目に陥るかもしれない。

*筆者はロイターのコラムニスト。元ロイターの防衛担当記者で、現在はシンクタンク「Project for Study of the 21st Century(PS21)」を立ち上げ、理事を務める。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/apps-ai-column-idJPKCN1PC06P
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/516.html

[経世済民130] 中国経済失速は本当か、コモディティ輸入量が示す真実  春節前の中国で相次ぐ工場閉鎖、貿易摩擦が雇用に影  
コラム2019年1月19日 / 09:22 / 1時間前更新
 
中国経済失速は本当か、コモディティ輸入量が示す真実
Clyde Russell
3 分で読む

[ローンセストン(オーストラリア) 15日 ロイター] - 中国の昨年12月の輸出入統計に関するコメントを読んだ人ならだれでも、米国との貿易摩擦が続く中で経済失速の流れが強まっているという印象を受けるだろう。

12月の輸出が前年比4.4%減と、市場予想の3%増を大きく下回った点にアナリストの目が集まるのも無理はなかった。輸入も予想外に下振れ、前年比7.6%減と2016年7月以来の落ち込みを記録した。

これらの数字は、まさに中国経済の弱まりを示しており、その原因の大半は米国との貿易摩擦が占める。

さえない輸出は、米政府の中国製品向け関税導入前に生産者や買い手が駆け込みで在庫を積み上げた反動が出たのだろう。

低調な輸出入統計は、中国経済が不振に苦しみ、米国が貿易戦争で「勝利」して中国側がトランプ政権に譲歩を強いられると予想する向きには格好の材料になった。

今後それが正しいと証明される可能性は十分あるが、実は輸出入統計には中国経済に関してまったく異なる見方につながる部分もある。具体的に言えば、数量ベースのコモディティ輸入だ。

12月の原油輸入量は前年比で30%近く増加し、日量1031万バレルと月次では過去2番目の高水準に達した。

これは中小の製油業者が18年の購入枠を期限前に使い切ろうとしたからだと説明されそうだが、それにしても低調とは程遠い。

18年全体の原油輸入量も10.1%増えて過去最高となり、オランダなどの消費量に匹敵するほどに膨らんだ以上、やはり弱い数字だとは言えない。

過去の例からすると、前年の原油輸入量で今年の動向を明確に予想することはできないものの、今のところ輸入が衰えると考える理由は乏しい。中国はなお石油の戦略備蓄を続けており、足元の原油価格急落で購入が促進される公算が大きいからだ。

話は原油だけに限らない。天然ガス輸入量も12月は923万トンと、前年を17%上回って11月につけた過去最高を更新。つまり中国の天然ガス輸入量は2カ月連続で最高となったわけで、経済が不調に陥っているとの見方とは非常にそぐわない統計だ。

エネルギー輸入量は堅調を維持している半面、製造業の活動の弱まりの影響をより大きく受ける金属の輸入量はもっと打撃を受けていると言うのが適切なのかもしれない。

12月の未加工銅輸入量は42万9000トンと、前年比と前月比でともに4.7%減少した。11月の輸入量も前年を下回ったことから、18年終盤の軟調な流れがうかがえる。

鉄鉱石輸入量もふるわず、12月は8665万トンで前年比3%増えたとはいえ、18年全体で1%減と10年以降で初めてマイナスになった。

ただし中国の鉄鋼生産は18年に過去最高に達すると見込まれている。これはつまり、中国が高品位鉄鉱石への切り替えを進めているため、少ない輸入量でも鉄鋼生産を拡大できることを意味する。

そうだとすれば鉄鋼石輸入量の減少も、中国経済の弱さを表しているとは言い難い。

12月に石炭輸入量が前年比55%減ったのも、中国政府が輸入を制限しているという政策要因でしかない。当局は石炭業者保護のために国産石炭の使用を推奨しており、今年に入っても輸入制限は続くかもしれない。

このようにコモディティ輸入数量に基づいて中国経済を判断すれば、金額ベースの輸出入統計のみに頼って出したのとは全く違う結論に達する。

コモディティ価格下落は18年後半の輸入額を減らしたが、輸入数量についてはむしろ増やす働きをした。

中国経済は成長の勢いをある程度失っているように見える。それでも金額ベースの輸出入統計だけに目を向け、数量を無視するのは合理性に欠けるように思われる。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-labor-aging-idJPKCN1PC0I6


 


トップニュース2019年1月20日 / 08:50 / 1時間前更新
焦点:
春節前の中国で相次ぐ工場閉鎖、貿易摩擦が雇用に影
Reuters Staff
2 分で読む

[東莞/香港 18日 ロイター] - 米中貿易摩擦の影響で受注が減った中国の製造業企業は、2月の春節(旧正月)休暇のずっと前から工場を閉鎖する例が目立っている。休暇明けも再開されず、廃業となる工場もありそうだ。

昨年末。広東州東莞市にあるデンマークの海運複合企業APモラー・マースク(MAERSKb.CO)の工場で、塗装工として働くWang Zhishenさん(35)は小躍りした。会社から予期せず2カ月の有給休暇が与えられ、帰省して妻子と過ごせる時間ができたからだ。

しかし、それから1カ月も経たない年明け3日、Wangさんは解雇され、喜びは失望に変わった。

Wangさんによると、工場は12月初めから休業しており、自身を含め2000人がレイオフとなった。

マースクはロイターへの電子メールで、2000人をレイオフとしたことを確認した。同社は11月、米中貿易摩擦がコンテナ船の需要を直撃するとの見通しを示している。

中国遠洋運輸集団(COSCO)の子会社2社は、米中貿易摩擦に対応して広東省の船籍数を減らした。省統計局のデータによると、この結果、同省の貨物船の取扱高は急減している。

春節前後には例年、出稼ぎ労働者を含む中国人数百万人が帰省する。多くの工場は春節前に休業するのが通例だが、ロイターの取材によると、今年は例年より早く休業に入っている。

東莞市の景気は目に見えて減速。多くの小売店や飲食店がシャッターを閉じ、一部の工場は閉鎖され、多くは賃貸に出されている。

最近の週末の夕方、あるタクシー運転手は人のいないオープンエアの食堂を指し、「以前ならこの建物は労働者でいっぱいで、仕事帰りに食べてしゃべっていたのに、今はこの有様だ」と語った。

人口1億人以上の広東省は、総生産(GDP)が1兆3000億ドルと中国最大で、オーストラリアやスペインに匹敵する規模。広東省の景気減速は、中国沿岸部に位置する輸出依存型の省すべてにとって悪い前触れだ。貿易紛争が長引けば、国全体の成長率を引っ張ることにもなりそうだ。

<輸出が減少>

14日に発表された12月の中国の輸出は、過去2年間で最も大幅な減少となり、輸出も縮小した。

UBS(中国)が最近、輸出事業に大きく関わる、あるいは輸出企業に納入している製造業企業200社を対象に実施した調査では、63%が米中貿易摩擦の悪影響を受けていると答えた。

このうち4分の1は過去1年間に人員を削減し、37%は生産拠点を国外に移した。向こう半年から1年以内に拠点を移すと答えた企業も33%に上る。

中国の製造業セクターは以前から、労働コストの上昇、規制強化、高技術生産や内需型経済への移行といった重圧に苦しんでいた。そこに米国が中国製品への関税を引き上げるリスクが出てきたことで、サプライチェーンの国外移転に拍車がかかった。

今後数週間、恒久的に閉鎖する工場は増える見通しだ。専門家によると、倒産コストを背負いきれず、単純に姿を消す工場オーナーも出てきそうだ。

 1月18日、米中貿易摩擦の影響で受注が減った中国の製造業企業は、2月の春節(旧正月)休暇のずっと前から工場を閉鎖する例が目立っている。写真は、来る旧正月を祝うための光の祭典。海南省で昨年12月撮影。提供写真(2019年 ロイター/China Stringer Network)
サンドラー・トラビス&ローゼンバーグの貿易弁護士サリー・ペン氏は「このごろ中国で工場を閉鎖するのは難しい。逃げ出す方が簡単だ。労働者がいなくなる春節が過ぎても、帰ってこないかもしれない」と話した。

(Stella Qiu記者 Anne Marie Roantree記者)
https://jp.reuters.com/article/china-factory-trade-idJPKCN1PC0DF
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/654.html

[経世済民130] 高齢化する米労働者、本当に「重荷」か 米ネットフリックス、市場優位がもたらす「恩恵」 
コラム2019年1月20日 / 08:20 / 1時間前更新

高齢化する米労働者、本当に「重荷」か
Mark Miller
3 分で読む

[シカゴ 17日 ロイター] - エコノミストが言う「高齢依存比率」とは、労働者と定年退職者の割合をおおまかに示すものだ。

「高齢」と分類される65歳以上と15─64歳の人数の比率を表すが、健全な方向に向かっているとは言えない。2040年までに、米国では定年退職者1人対し、労働者2.7人となる見通しで、2010年の4.8人から減少することが予想される。

米アトランタ地区連銀によるこの数字は、高齢化する人口を支える労働者が不足することを示しており、経済成長や連邦政府支出、社会保障制度の健全性に関する悲観的な警告を正当化するためにしばしば引用される。

しかしそうした主張は、アメリカ公共メディア(APM)のラジオ番組「マーケットプレース」で経済エディターを務めるクリス・ファレル氏には通用しない。同氏は高齢化に「強気」だ。新著「Purpose and a Paycheck: Finding Meaning, Money, and Happiness in the Second Half of Life」の中で、高齢と依存にまつわるさまざまな神話を覆し、社会貢献や目的意識のある生活を送るという新しいビジョンを提唱している。

ファレル氏は、説得力のある経済分析や聞き取り調査に基づいて持論を展開している。労働市場で居場所を見いだした数十人の高齢労働者を取材したり、変革に取り組む最先端の企業を取り上げている。

まずファレル氏は、高齢依存率それ自体に大きな欠陥があると指摘。その理由として、64歳超の全員が退職していることを前提としているが、それが加速度的に現実からかけ離れつつあることを挙げている。高齢労働者は近年、着実に増加している。同氏は、1995年から2016年にかけて、労働力に占める65─69歳男性の割合は28%から38%に、女性は18%から30%に増加したことを示す米労働統計局データを根拠としている。

「60歳で退職したら一足飛びに90歳になってしまうかのような老後観を持っている人が相当数いる印象だ。ウォール街や多くのエコノミストによるリサーチを見ても、彼らの見通しはどれもそれほど変わらない」とファレル氏は語った。

<経済再構築>

米人口の高齢化は「問題」ではなく、共生社会と活気ある経済を生む大きな好機であるとファレル氏は捉えている。高齢者がより積極的に働けば、住宅市場から公共交通機関や都市計画、医療に至るまで、日常生活が生まれ変わると同氏は主張する。

「学校に行き、就職して子どもを育て、その後どこかに隠居するといった人生のイメージがある。社会の仕組みの多くもそれを反映している。だが人々が以前より長く働き、都市部で暮らし続けるようになるにつれ、その影響は広範囲に及ぶようになるだろう。1つ例を挙げると、高齢者は公共交通機関を必要とする傾向にある。これは若い世代も同じだ」

とりわけ、高齢者の労働市場に関するファレル氏の分析は刺激的だ。金融危機により10年にわたり高失業率が続き、多くの人が年齢差別で労働市場から締め出された。そして年齢差別は今でも健在だ。

例えば、米独立系報道機関プロパブリカとシンクタンクのアーバン・インスティテュートが健康と定年に関するミシガン大学の調査を分析したところ、高齢労働者の56%が少なくとも1度は解雇を経験、あるいは「自発的にではなく会社から排除されたことをうかがわせる、金銭的に損失を被るような形で」仕事を失っていたことが分かった。また、こうした高齢労働者のわずか10人に1人しか、職を失う以前と同じ水準の給与を得ていなかった。

ファレル氏はこうした差別が今でも根強く残る問題だと認めた上で、労働市場が全体的に逼迫(ひっぱく)しているため、雇用主は高齢労働者を受け入れざるを得ない転換期を迎えていると指摘する。

「雇用主が突然目覚めたというわけではないが、今までとは違った目で高齢労働者を捉え、雇用について異なる考え方をしなくてはならないだろう。目標を達成し、ビジネスを成長させたいのであれば」

ファレル氏は、数十人の経験豊富な労働者や60代や70代、あるいはそれ以上の年齢で新たな道を切り拓いた起業家の話を紹介している。また、高齢労働者を雇用するための方法を検討している数多くの企業にも焦点を当てている。

熟練工不足に直面しているミネソタ州の小さな精密機械メーカーは、高齢労働者の身体的負担を軽減し長く働けるよう新たな設備投資を行っている。また、バージニア州の医療会社は定年までパートタイムに切り替えた労働者が不利益を被らないよう年金給付の計算方法を変更した。

「われわれはもう後には引けないと考えている。高齢労働者への見方は変わっていくだろう。もう後戻りはできない」とファレル氏は語った。

*筆者はロイターのコラムニストで、個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-labor-aging-idJPKCN1PC0I6


 

米ネットフリックス、市場優位がもたらす「恩恵」
Jennifer Saba
2 分で読む

[ニューヨーク 15日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米タイム・ワーナーの最高経営責任者(CEO)だったジェフ・ビューケス氏は10年ほど前、ネットフリックス(NFLX.O)は世界を征服することはありえないと嘲った。

しかしその後ネットフリックスは遥かに規模の大きいライバルに打ち勝ち、動画配信サービス業界を征服した。そして今、リード・ヘイスティングスCEOは「戦利品」を誇っている。15日に国内契約者向け料金の最大18%引き上げを発表したのだ。値上げは過去5年間で3度目で、最も一般的なスタンダードプランの料金は月額12.99ドルとなる。

値上げ幅は月額でわずか1、2ドルだが、ネットフリックスは過去に値上げでつまずいている。3年ほど前には長期契約顧客の料金を引き上げようとして顧客数の伸びが予想を下回ってしまった。

動画配信業界で競争が激化しているのにヘイスティングスCEOが安心して値上げするのには理由がある。

NBCユニバーサルは14日、2020年初めにストリーミングサービスを立ち上げると発表。フールーも昨年末時点の国内契約者数が2500万人余りと、ネットフリックスの半分に迫ったと明らかにした。しかし出資企業の取引所への提出書類に基づくBreakingviewsの試算によると、フールーの収支は依然として17億ドル程度の赤字だ。

ネットフリックスが値上げを望むのは昨年フリーキャッシュフローが推定で30億─40億ドルのマイナスとなったのが理由の1つ。ムーディーズは2023年にはキャッシュフローが均衡すると見込んでいる。ネットフリックスは「バード・ボックス」のようなオリジナルコンテンツに大量の資金を投入しているが、まだ黒字を維持しており、全世界の顧客数も1億3500万人以上と圧倒的に優位だ。

顧客が複数の動画サービスを利用する可能性は大いにあるが、今までのところはネットフリックスが最初に思い浮かぶブランドだ。ただ、年内にはNBC、AT&T、ディズニーがストリーミングサービス市場に参入して2位争い、3位争いを繰り広げるだろう。アルバニア軍とはこのことだ。

●背景となるニュース

・米動画配信サービス大手ネットフリックスは15日、国内契約者向けの料金を引き上げると発表した。2つの機器で同時に視聴できる最も一般的なスタンダードプランの料金は月額10.99ドルが12.99ドルとなる。ネットフリックスは17日に第4・四半期決算を発表する。

・米ケーブルテレビ(CATV)最大手コムキャスト(CMCSA.O)傘下のNBCユニバーサルは14日、2020年初めにストリーミングサービスを立ち上げると発表した。

・フールーは8日、昨年末時点の米国内の契約者数が前年比48%増の2500万人余りに達したと発表した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-netflix-idJPKCN1PA0K2

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/655.html

[経世済民130] 英ポンド、ブレグジット混乱でも上昇する理由 トレーディング不振の米銀大手FRBに見る光明 日銀は今年動かず全員が現状維持
外為フォーラムコラム2019年1月18日 / 10:40 / 1時間前更新

英ポンド、ブレグジット混乱でも上昇する理由
Jamie McGeever
3 分で読む

[ロンドン 16日 ロイター] - 英国政府と政治が今ほど混乱に陥ったことはないだろう。だが、欧州連合(EU)からの離脱を巡る混乱は、思ったほど通貨ポンドの大惨事を招かないかもしれない。

主要国の中央銀行は今年は大幅な利上げを避け、ユーロとドルはポンドのぜい弱性から利益を得ることに四苦八苦するだろう。

イングランド銀行(英中銀、BOE)も今年は利上げを行わず、来年8月までに0.25%ポイント引き上げるだけにとどまると金融市場は見込んでいる。向こう1年半でわずか1度の利上げであっても、楽観的な見方かもしれない。

15日に英下院で繰り広げられたドラマは見ものだった。メイ首相のEU離脱(ブレグジット)協定案は歴史的大差で否決され、その後まもなくして野党・労働党のコービン党首は内閣不信任案を提出した。

EU離脱の賛否を問う国民投票から2年半が経過し、離脱期限まで3カ月を切った今なお、英議会は合意から程遠く、国内の分断は深まるばかりだ。

16日発表されたスカイニュースの世論調査によると、国民の61%が英国は危機状態にあると答えている。当然、投資は控えられ、企業や消費者の信頼感も悪化。成長見通しも暗い。

約360億ポンド(約5兆円)の資産を運用するエルメス・インベストメント・マネジメントのセイカー・ヌセイベ最高経営責任者(CEO)は、「不確実な状況が今後も続き、明確な代替シナリオがないように思われるというのが悲しい現実だ」と、投資家の失望感を代弁した。

英国の政治的、経済的、そして金利見通しが、ポンドにとって明らかに良くないという見方は根強く存在する。

しかし、メイ首相の離脱案が否決された15日、ポンドは上昇した。英国貿易の4割超を担う相手国がユーロ圏であることを考えれば、より正確な指標とも言えるユーロに対して、ポンドは昨年11月以来の高値を更新し、翌16日も続伸した。

その背景にあるのは、政治的混乱と崖っぷちのブレグジットにより、3月29日の離脱期限が延期される、あるいは最終的により柔軟なブレグジットで英議会が合意する、という市場の憶測だ。議員の大半は「合意なき離脱」というハードブレグジットに反対している。

また、為替は単独で動いているわけではない。各国の経済成長や金融政策の引き締め観測も後退しており、本来なら他の主要通貨が享受できたであろう支援材料の一部が弱められている。

<ポンドのからくり>

では、ユーロはどうか。ドイツではリセッション(景気後退)がちらつき始めた。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は15日、最近の経済指標が予想よりも弱く、世界の不確実性も依然として高い中、「相当な」量の刺激が今なお必要だと述べた。

HSBCのエコノミストは今週、ECBの金融政策に関する見通しを修正。少なくとも2020年末までECBが利上げをしないと予想する。ユーロ圏無担保翌日物平均金利(EONIA)のフォワードレートも、ECBが2020年半ばまでに利上げする可能性は低いことを示している。

これは英短期市場が想定するシナリオよりもさらに弱い。ドイツ銀行と野村は現在、ユーロを売ってポンドを買うことを推奨している。

金利差という厳密な観点から言えば、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しが今年に入って修正される中、ドルに対するポンドの見通しはさらに明るいかもしれない。

昨年末に発表されたフォワードガイダンスによると、FRBは今年3回の利上げを予定していた。一方、利上げは1度きりだと市場は見込んでいた。だが、中国との貿易摩擦や金融情勢の悪化が成長見通しに影を落とし、FRB当局者が使う言葉もハト派寄りになっている。

米フェデラルファンド(FF)金利先物は、今年の利上げをもはや織り込んでいない。それどころか、利下げの可能性を考慮し始めている。わずか数カ月前には今年4回の利上げを予想していたゴールドマン・サックスのエコノミストは今、その回数を2回に減らしている。

つまり、金融市場はBOEの政策予想を改めて織り込みつつ、FRBとECBの見通しも再検討している、ということだ。この3行のどれもが利上げを回避する公算が一段と大きくなっているように見える。そうなれば、ブレグジットがいかに混乱しようとも、ポンドにとっては「救いの神」となる。

また、市場のポジションも、少なくとも短期的にはポンドの支援材料となる可能性がある。直近の米先物市場データ(米政府機関閉鎖のおかげで数週間前のものであることは確かだが)によると、ファンドや投機筋は大きなショートポジションを積み上げていた。これは、ポンド安の可能性に賭けていたことを意味する。

したがって、これ以上ポンドの売り持ちを増やす可能性は限定的と言える。過去数週間、ポンドは実際に上昇しており、こうしたファンドは選択を迫られている。市場の風向きが自らに有利な方向に変わると期待して損失を膨らますか、あるいは損切りするかだ。それはつまり、ポンドを買い戻すということだ。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
 

 

トップニュース2019年1月19日 / 09:22 / 7時間前更新
焦点:
トレーディング不振の米銀大手、FRBに見る「光明」
Reuters Staff
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[17日 ロイター] - シティグループ(C.N)、JPモルガン・チェース(JPM.N)、ゴールドマン・サックス(GS.N)、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)(BAC.N)の米金融大手4社が今週発表した2018年第4・四半期決算は、世界的な成長鈍化への警戒感からクレジット市場が停滞した影響でトレーディング部門が不振に陥り、収益を圧迫した。

ただ、年明け後に米連邦準備理事会(FRB)がハト派的な姿勢に転じたことから、こうした悪い流れがいったん変わりそうだ。

4社はいずれも債券、コモディティ、為替のトレーディング収入が減少したが、融資の伸びや純金利マージンの改善が業績を下支えした。

昨年第4・四半期は世界的な成長鈍化や米中通商紛争を巡る不安が市場を席巻。FRBによる行き過ぎた金融引き締めへの懸念も重なって株式や債券、コモディティなどの市場が乱高下し、多くの投資家が様子見に徹した。このため債券の取引高が落ち込み、金融機関が保有するクレジット資産の価値が目減りした。

サンドラー・オニール・アンド・パートナーズの銀行アナリスト、ジェフリー・ハーテ氏は「相場が下げた上に、銀行顧客は先行き不透明感から決断できずに模様眺めとなり、悪材料が重なった」と述べた。

ICE・バンカメメリルのデータによると、投資適格級債とジャンク債(投資不適格級債)の米国債との利回り差は第4・四半期に過去7年余りで最高の水準に広がった。

さらに社債の発行もほぼ枯渇し、引受手数料が落ち込んだ。

第4・四半期決算からは、こうした要因が重なって大手4社の業績が大きな打撃を受けたことが分かる。

バンカメは債券の引き受け業務や投資助言業務の手数料収入が減少し、債券業務の手数料収入は5%落ち込んだ。一方、調整後トレーディング収入は6%減少し、債券トレーディング収入は15%減った。

ゴールドマンは債券トレーディング収入が18%減少。最盛期の60億ドルから8億2200万ドルに急減した。

ただ、両社は株式の取引高が大幅に増えて債券の不調を補った。

一方、JPモルガンは債券トレーディング部門の不振が消費者ローン部門の好調を上回り、純利益が市場予想に届かなかった。

シティグループはマーケット・債券事業の収入が21%減少。ジョン・ガースパッチ最高財務責任者(CFO)は企業と投資家は様子見姿勢を崩さなかったと指摘した。

金融市場の動揺を受けてFRB当局者からは利上げペースを鈍化するとの発言が相次ぎ、今年に入って市場のムードは上向いている。

S&P総合500種指数は昨年12月24日の安値から11%余り上昇。ICE・バンカメメリルの指数によると、ジャンク債も過去10年で最高のスタートとなった。

RBCウェルス・マネジメントの首席米債券ストラテジスト、クレイグ・ビショップ氏は、通商や政治の面で市場を揺るがす材料が出かねないのは厄介なことだが、FRBがハト派的な姿勢となったことは市場の沈静化に役立つと指摘。「(FRBの姿勢の変化が)債券市場のボラティリティを落ち着かせるので、ひどい期間はあと1カ月か1四半期にとどまるだろう」とした。

もっとも、誰もが事態はすぐに悪い状態に逆戻りしかねないと慎重だ。サンドラー・オニールのハーテ氏は「明日にも状況が変わるかもしれない。トレーディング収入は非常に不安定で、問題を抱えている。ただ、少なくとも第1・四半期は前期よりもかなり上向いているようだ」とした。

(Sinéad Carew記者、Kate Duguid記者)
https://jp.reuters.com/article/column-british-pound-brexit-idJPKCN1PC03O?il=0


 

日銀は今年動かず、1月会合はほぼ全員が現状維持を予想−サーベイ
日高正裕、藤岡徹
2019年1月18日 5:00 JST
今年中の政策変更予想は28%と昨年12月調査の34%から低下
景気後退に陥っても有効な追加緩和策は「ない」が8割占める
世界経済の先行き不透明感が強まる中、日本銀行は今年は様子見を続けると大半のエコノミストはみている。

  10−15日に実施した調査で、日銀が22、23両日開く金融政策決定会合はエコノミスト50人中49人が現状維持を予想。2019年中に政策変更(金融引き締め、金融緩和のいずれか)があるとの回答は28%と昨年12月の前回調査(34%)を下回った。操作対象である10年国債金利の許容変動幅を19年中に拡大するとの予想は前回の32%から16%に低下した。

調査の結果はここをクリックしてください

長期金利変動幅の拡大予想は後退

Source: Bloomberg survey

  日銀は経済・物価情勢の展望(展望リポート)で消費者物価指数(生鮮食品を除く)見通し(政策委員の中央値)を示す。昨年10月は18年度が0.9%上昇、19年度は消費増税の影響を除き1.4%上昇、20年度は1.5%上昇だったが、複数の関係者によると、原油安などで19年度を下方修正する公算が大きい。調査でも9割以上が下方修正を予想し、中央値は18年度が0.8%上昇、19年度が1.2%上昇、20年度が1.4%上昇。

日銀物価見通しの下方修正に関する記事はこちらをご覧ください
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-16/PLEJZ36TTDS101


  消費増税が10月に予定通り実施された場合、20年3月までに景気後退(2期連続マイナス成長)に陥る可能性は「非常に高い」「高い」との回答は12人(24%)にとどまった。一方で、次の政策変更は金融引き締めとの回答は41人(82%)と引き続き多数を占めたが、追加緩和との回答は9人(18%)とやや増加した。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の嶋中雄二所長は、円高圧力がくすぶる中、日銀は4月に「預金準備率引き下げと同時にマネタリーベース拡大ペースを引き上げる」追加緩和に踏み切る可能性があると指摘。さらに、消費増税後の景気後退入りに対応し、10月に金融緩和の重点を金利から量に戻し、「長短金利操作を解除してマネーストックに中間目標を設定する可能性もある」とみている。

  仮に景気後退に陥った場合、有効な追加緩和策があるかどうかに関しては、38人(79%)が「ない」と回答した。岡三証券の愛宕伸康チーフエコノミストは追加緩和策について「有効な手段がないのが実情」で、景気後退懸念が強まるほど日米の政策対応余力の格差が焦点となり、「円高に振れるリスクが高まる」とみている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-17/PLGGA46KLVR501?srnd=cojp-v2


日銀が来年度物価見通しを下方修正へ、原油の大幅下落で−関係者
日高正裕、藤岡徹
2019年1月16日 13:03 JST
23日の決定会合後に展望リポート公表、金融政策は据え置きの公算
幼児教育無償化や携帯通話料の引き下げは一時的な要因との認識
日本銀行は23日の金融政策決定会合後に公表する経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)の2019年度見通しを下方修正する公算が大きい。複数の関係者への取材で明らかになった。

  昨年10月の展望リポートでのコアCPIに関する政策委員の大勢見通しは、18年度が前年度比0.9%上昇、10月予定の消費増税の影響を除き19年度が1.4%上昇、20年度が1.5%上昇。複数の関係者によると、物価の基調の弱さに加え、WTI原油先物が昨年10月初めの1バレル=75ドル超から足元で52ドル前後と大幅に下落していることが下方修正の主因となる見通しだ。


日本銀行Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  複数の関係者によれば、日銀は成長率見通しについては18年度を引き下げる可能性がある一方、19年度は消費増税に伴う一連の経済対策を踏まえて上方修正が必要かどうか検討する見通し。今回の会合では金融政策は据え置く見込みだ。

  複数の関係者によると、原油安は企業活動や個人消費に好影響を及ぼすほか、消費増税対策の幼児教育無償化や、携帯通話料の引き下げは一時的な要因と日銀はみており、特に問題視しない構え。企業や家計の物価観は消費者物価の実績値に強い影響を受けるため、その低迷が予想物価上昇率に与える影響を注視する。

  昨年11月のコアCPIは前年比0.9%上昇、エネルギーを除き0.3%上昇だった。政府は19年度の経済見通しで、消費税率引き上げに伴い実施される幼児教育無償化の影響について、消費者物価(総合)を0.3ポイント程度引き下げるとの試算を示している。

  日銀がむしろ警戒感を強めているのは、世界経済の先行きと先月半ばから急速に円高が進んだ為替相場の動向。黒田東彦総裁は昨年12月26日の講演で、「ここにきて海外経済を中心とする下振れリスクにも一層注意が必要になってきた」と語った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-16/PLEJZ36TTDS101
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/656.html

[政治・選挙・NHK256] 安倍首相は消費増税撤回を、経済・物価が頑健とは言えず−サイナイ氏 
安倍首相は消費増税撤回を、経済・物価が頑健とは言えず−サイナイ氏
藤岡徹
2019年1月21日 8:08 JST
消費増税対策不十分で消費冷やすリスク、必要なのはむしろ減税
社会保障費の財源を確保するには消費増税以外の方法あるはず
米ディシジョン・エコノミクスのアレン・サイナイ社長は、日本の経済・物価動向はいまだ頑健とはいえず、安倍晋三首相は10月に予定している消費増税を撤回すべきだとの見解を示した。

  政府関係者との意見交換のため来日したサイナイ氏は16日のインタビューで、消費税の8%から10%への増税について「大きな過ちだ」と指摘。「消費増税をする理論的根拠は歳入を増やして対国内総生産(GDP)比で債務残高を減らすことにあるが、もしそれが経済成長を妨げることになったらどうするのか」と語った。

  安倍政権は2014年の消費増税後に景気が落ち込んだことを踏まえてさまざまな対策を打ち出しているが、それでも十分ではなく消費を冷やすリスクがあるとサイナイ氏は説明。足元の日本の経済成長率と物価上昇率が1%程度と考えると、むしろ必要なのは減税だとの見方を示した。


  30年以上にわたり日本経済をみてきたベテランエコノミストのサイナイ氏は、「この程度の成長率、この程度の物価上昇率であれば、もし私が首相なら財務省に恒久的な減税を指示する」とし、社会保障費の財源を確保するには消費増税以外の方法があるはずだと指摘した。


アレン・サイナイ氏Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg *** Local Caption *** Allen Sinai
  安倍首相はこれまで10%への増税を2度延期しており、今回はリーマンショック級の出来事がない限り予定通り引き上げることを表明して
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-20/PLK3LM6K50XS01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/506.html

[政治・選挙・NHK256] 「政府より会社を信頼」 ダボス開幕前の調査、日本の悲観論目立つ 市場にETF買入比率見直し観測、日銀のスタンスとは距離 
ワールド2019年1月21日 / 19:10 / 1時間前更新
「政府より会社を信頼」 ダボス開幕前の調査、日本の悲観論目立つ
Reuters Staff
1 分で読む

[ダボス(スイス) 21日 ロイター] - PR会社のエデルマンが世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)の開幕に先立ち発表した信頼度調査「エデルマン・トラストバロメーター」によると、自分の会社を信頼しているとの回答が、自国の政府を信頼しているとの回答を大幅に上回った。

調査は27カ国の3万3000人以上を対象に昨年10月19日から11月16日にかけて実施した。

経済・政治・社会制度が自分にとって望ましい状況にあるとの回答は約20%。貿易摩擦が自分の会社に悪影響を及ぼしており、自分の職が脅威にさらされていると回答は、全体の60%近くに達した。

先進国では、先行きに悲観的な見方が目立った。「5年後に自分の生活が豊かになっているとは思わない」との回答が最も多かったのは日本で、「知識層」を除く一般人の84%が、豊かになっているとは思わないと答えた(知識層は所得が平均を上回り、定期的にニュースを視聴している大卒者)。フランス(79%)、ドイツ(74%)、英国(72%)が後に続いた。27カ国の平均は49%だった。

「自分の会社を信頼している」との回答は75%、「自国の政府を信頼している」との回答は48%、「メディアを信頼している」との回答は47%だった。

エデルマンのリチャード・エデルマン最高経営責任者(CEO)はロイターに「世界にはリーダーシップが欠けており、企業のCEOが存在感を発揮して、個人的な責務を果たし、絶対にこの穴を埋めるべきだ」と述べた。

先行きに楽観的な見方が多かったのは米国で、一般人の半数近くが「5年後に自分の生活が豊かになっている」と回答。知識層では62%が豊かになっていると答えた。

エデルマン氏は、米国の調査結果について「株式市場は非常に好調で、富裕層向けの減税や規制緩和が行われている。エリートにとっては非常に良い環境だ」と指摘した。

悲観的な見方が多かった日本については「福島原発事故から完全には立ち直っていないのだと思う。信頼が大きく裏切られた」と指摘した。

ニュースや情報を視聴・共有しているとの回答は、前年から22%ポイント上昇し72%。

ただ、回答者の70%は誤った情報やフェイクニュースが武器として利用されることに懸念を示した。
https://jp.reuters.com/article/davos-meeting-trust-idJPKCN1PF0VZ


 


ビジネス2019年1月21日 / 17:00 / 3時間前更新
アングル:市場にETF買入比率見直し観測、日銀のスタンスとは距離
Reuters Staff
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[東京 21日 ロイター] - 日銀が22、23日に開く金融政策決定会合で、上場投資信託(ETF)の買い入れ比率を変更するのではないかとの思惑が、株式市場の一部で浮上している。だが、日銀が昨年7月の会合で東証株価指数(TOPIX)連動型の購入比率拡大を決定してから半年程度しか経過しておらず、実際に修正する動きにつながる可能性は低そうだ。

直近の株式市場では、TOPIXが日経平均に比べて強めで推移している。一部の市場関係者によると、背景には日銀が次回会合でETFの買い入れ比率変更を決定するのではないか、との思惑があるという。

具体的には、日銀のETF買いで実質的な浮動株比率が低くなっているとみられている銘柄が多い日経225連動型ETFの買い入れ比率を一段と下げ、TOPIX連動型ETFの比率を引き上げるのではないか、との見方だ。

しかし、日銀は比率の見直しに慎重とみられている。ETFの買い入れ比率は、浮動株の動向にも配慮し、昨年7月の決定会合で、TOPIX連動型の買い入れ額をそれまでの年間2.7兆円から同4.2兆円に大幅に拡大。

同時にTOPIX・日経225・JPX日経400の3指数に連動したETFの買い入れ額を同3兆円から同1.5兆円に圧縮した。

その時の会合では、物価2%目標の実現が遠のく中で、金融緩和の持続性を強化する観点から、ETF買い入れの柔軟化と合わせて比率の見直しも行った。年間約6兆円の買い入れを継続しても、数年は現行比率を維持できるとの試算が前提になっていたとみられる。

また、ETF買い入れによる個別銘柄への影響についても、黒田東彦総裁は「株式市場の機能や価格形成にゆがみをもたらしていることはない」、「具体的に個別銘柄に大きな影響を与えることにはなっていない」(いずれも昨年12月6日の衆院財務金融委員会)と発言。

日銀が前回の見直しから約半年となる今回の金融政策決定会合で、ETFの買い入れ比率変更に着手するとの市場観測は、日銀の政策スタンスと距離がありそうだ。

伊藤純夫 編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/etf-boj-idJPKCN1PF0LO
http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/507.html

[経世済民130] トランプ政権「株価ファースト」転換でドル安に 米・日株価の戻り鮮明で基本ドル高基調が続く ECB利上げできる期間はわずか
外為フォーラムコラム2019年1月21日 / 16:55 / 2時間前更新

トランプ政権「株価ファースト」転換でドル安に

池田雄之輔 野村証券 チーフ為替ストラテジスト
4 分で読む

[東京 21日] - 米国株の力強い持ち直しが続き、ドル/円も109円台後半まで上昇してきた。もとより米企業の決算発表シーズンは、マクロ情勢に対する市場の行き過ぎた悲観が修正される好機であり、今回はそれが顕著に表れている。

さらにそれを強く後押ししているのが、米国のトランプ大統領とパウエル連邦準備理事会(FRB)議長の変節である。大統領の通商政策は「アメリカファースト(第一主義)」から「株価ファースト」へ、パウエル議長の政策姿勢も雇用最大化と物価安定という「デュアル・マンデート(2つの使命)」から、目先は「株価マンデート」へそれぞれ移行したように見える。

先陣を切ったのはパウエル議長だった。4日のスピーチで、「常に政策スタンスを大幅に変更する用意がある」と述べ、3カ月に1回という利上げペースに決別する考えを示唆した。景気とインフレのシナリオに大きな狂いが生じていない中でのハト派転換である。株価急落を重要視した可能性は否定できない。

このパターンは、3年前(訂正)の状況に似ている。2015年12月、当時のイエレンFRB議長は利上げ開始に踏み出したものの、きわめて弱い状況にあった中国景気との波長が合わずに失敗。年明けに強烈なリスクオフを招き、原油価格は一時1バレル30ドルを割り込んだ。その後、2月末に上海で20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれ、「ドル安合意」があったのでは、と一部でささやかれる中、イエレン議長の政策姿勢は急速にハト派化した。

中国景気が脆弱な中でFRBの利上げが株価急落を招いた点は、現在の局面と通じるものがある。結局、当時のFRBは利上げの歩みを止め、市場の鎮静化を図ることを優先した。

<ドル安主導のリスクオン>

金融市場はどう反応するだろうか。2016年の場合、2月から4月にかけて「ドル安を起点としたリスクオン」が進んだ。市場が景気に対する強気な見方を回復したわけではなく、FRBのハト派姿勢を好感してドル安が起きているこの局面では、「原油高と金価格上昇」、「新興国通貨高とドル安/円高」という、一見珍しい組み合わせが成立する。ドル安が支配的なリスクオン、と描写すると分かりやすいかもしれない。

4日のパウエル議長のハト派的スピーチ以降の金融市場も、基本的にこの線に沿って動いている。株価急反発にもかかわらずドル/円の上値が重いのは、16年と同じ症状がすでに表れていると診断すべきだろう。

2016年2月に「ドル安合意」が噂(うわさ)されたケースでは、4月にかけてリスクオン相場となったものの、長続きはしなかった。EU(欧州連合)離脱(ブレグジット)を決めた6月の英国民投票から11月の米大統領選まで、地政学リスクに強い警戒が強まり、リスクオフに傾いたためである。今回も、ブレグジットの行方が注目されているという共通点がある。

とはいえ、英国、EUともに、3月29日に「合意なき離脱」を迎える最悪のシナリオを回避したいという姿勢は一致している。英国が2回目の国民投票を実施できるような、離脱スケジュールの大幅延期が認められ、市場にとっては一安心となる可能性が高いのではないだろうか。

トランプ政権の通商政策はどう影響するだろうか。ムニューシン米財務長官が対中関税の一部または全部を撤廃することを提案したと報じられたかと思えば、今度は中国が米国からの輸入を増やして対米貿易黒字を2024年までに解消すると報じられた。市場の一部で依然として警戒されている、交渉期限の3月1日で決裂して税率が10%から25%に引き上げられるリスクは大幅に低下していると言えそうだ。

背景には、トランプ政権が「株価ファースト」の色彩を強めていることがある。1月末に開かれる米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表、ムニューシン財務長官、中国の劉鶴副首相の閣僚級交渉でも、知的財産など難しい分野は継続協議として棚上げし、貿易分野での合意を成果として強調する公算が大きい。

<米国があきらめた一人勝ち>

では、米中協議の進展はドル/円にどう作用するだろうか。昨年半ばの為替市場には、「米国の保護主義的政策は他国へのダメージが大きく、ドル一強をもたらす」という大きなテーマがあった。今後はこれが逆転していくイメージを描く必要がある。「米国が一人勝ち政策をあきらめて対話路線に転じる」ということは、結果的に中国と新興国景気の浮揚、米景気の優位性の後退、すなわちドル安を想起させやすい。

パウエル議長とトランプ大統領がくしくも共同歩調を取る「株価ファースト」シナリオでは、豪ドルや新興国通貨の高パフォーマンスが見込まれる一方、ドル/円は上値が重くなるというのが基本路線である。

こうしたドル安主導のリスクオンの賞味期限はいつまでか。1月9日に公表された連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が示唆するように、3月20日のFOMC会合では追加利上げがいったん見送られる公算が大きい。ドル安材料が出尽くすまでは、ドルが売られやすい地合いが続くと見るべきだろう。世界的な株価回復に遅れる格好で、ドル/円が110─115円レンジを取り戻すのは4月以降と見ている。

(本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

(編集:久保信博)

池田雄之輔氏 野村証券 チーフ為替ストラテジスト(写真は筆者提供)
*池田雄之輔氏は、野村証券チーフ為替ストラテジスト。1995年東京大学卒、同年野村総合研究所入社。一貫して日本経済・通貨分析を担当し、2011年より現職。「野村円需給インデックス」を用いた、円相場の新しい予測手法を切り拓いている。5年間のロンドン駐在で築いた海外ヘッジファンドとの豊富なネットワークも武器。著書に「円安シナリオの落とし穴」(日本経済新聞出版社)。
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-trump-yunosuke-ikeda-idJPKCN1PF0LK


 


 
米・日株価の戻り鮮明で基本ドル高基調が続く
田嶋智太郎の外国為替攻略法
田嶋 智太郎 田嶋 智太郎 2019/01/21 印刷 米・日株価の戻り鮮明で基本ドル高基調が続く印刷
FX
当座の上値目安は110.60-70円あたりか
1月7日公開のコラム「米ドル/円は行き過ぎた下落の修正局面」において、筆者は「(1月)3日の米ドル/円の下ヒゲは過去にあまり例がないぐらい長大なもので、普通に考えれば、米ドル/円相場は『一旦切り返す動きを見せる』ということになる」「(当面の焦点は)3日のクラッシュ前に位置していた108.80-109.00円処の水準を米ドル/円が取り戻せるかどうか」などと述べました。

そして案の定、足下の米ドル/円は着実に戻り歩調を辿るに至っており、先週17日のNY時間以降は108.80-109.00円処を力強く上抜ける展開となったうえ、さらに週末にかけて109.80-90円処まで上値を試す場面もありました。

米ドル/円(日足)

出所:マネックス証券作成
結果、先週末18日の米ドル/円の日足は21日移動平均線(21日線)の重要な節目を上抜け、さらに先週の週足があらためて一目均衡表の週足「雲」上限を試す展開となった点も大いに注目されるところです。

もちろん、米ドル/円が週足「雲」上限を試す展開となったことで、当面は同水準がレジスタンスとなって、ひとまず戻り一巡という展開になる可能性もないではないと思われます。

そもそも109円台後半の水準というのは、12月初旬に米ドル/円が位置していたところから1月3日に生じたクラッシュ後の安値までの下げ幅に対して「半値戻し」の水準でもあります。やはり戻り一巡感が漂ってもおかしくはないところです。

ただ、それだけに今後一段の上値を試す展開となった場合には、なおも強気で向き合って行くことが求められることとなります。さしあたっては61.8%戻しの水準にあたる110.60-70円あたりが当座の上値の目安になってくるものと見ます。

ちなみに、この水準は月足「雲」上限が位置しているところでもあり、そこをあらためてクリア・ブレイクできるかどうかは1つの重要なポイントになるものと思われます。

今のユーロ安が米ドルの下支えになり続ける可能性も
言うまでもなく、足下で生じているドル高・円安の流れは米・日株価の順調な戻りが演出しています。その背景には米利上げペースが今後しだいに鈍化して行く可能性や、米中通商協議が進展する期待などがあります。なかでも、FRBがこれまでの政策方針をやや修正する可能性については、実のところ「いつか来た道」との印象もないではありません。

古今東西、不況から脱して景気が拡大し始めた当初というのは往々にして中銀の政策が景気の「先回り」になる傾向が強まりやすく、結果、一旦は景気の先行きが怪しくなるというケースは過去に幾度も見られています。

そこで、やむなく中銀が当面の政策方針をハト派寄りに戻そうとすると、そこから再び景気が走り始め、その後はしばらく中銀の政策が景気の「後追い」を続けることとなるのです。その結果が「バブル」であり、最終的には様々なところで辻褄が合わなくなって「バブル崩壊」と相成るわけですが、その前にバブルの炎は一旦メラメラと燃え盛ることになります。

そうしたことから、米・日の景気や株価などは今後もうひと盛り上がりあってもおかしくないものと個人的には見ており、そうした局面で醸し出されるリスクオンのムードは基本的に米ドル/円を強含みで推移させることになると見ます。もちろん、足下でユーロが再び弱含みの展開となっていることも基本ドル高の流れに一役買うものと思われます。

既知のとおり、最近は欧州経済全体の減速傾向が一層鮮明になってきており、先行きの不透明感にも色濃いものがあります。よって、当面はユーロ安が米ドルの下支えとして機能し続ける可能性があり、そうした点も念頭に置いたうえで相場と向き合って行くことが肝要であると思われます。

https://media.monex.co.jp/mwimgs/f/c/1456m/img_fcaa40370bb6a4b63a238cf95c1430ca29258.png

田嶋 智太郎
経済アナリスト 株式会社アルフィナンツ 代表取締役
1964年東京都生まれ。1988年慶応義塾大学卒業後、(現)三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て独立転身。名古屋文化短期大学にて「経営学概論」「生活情報論」の講座を受け持った後、経済ジャーナリストとして主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、引いては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究してきた。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を数多く務め、これまでの累計講演回数は3000回前後に上る。新聞・雑誌・WEB等の連載も数あり、現在は、日経BizGate(https://bizgate.nikkei.co.jp/)にて「先読み&深読み 経済トレンドウォッチ」などの執筆を担当。ほかに、自由国民社『現代用語の基礎知識』の「貯蓄・投資」欄の執筆も手掛ける一方、定期的に日経CNBCコメンテーターも務める。
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ECB、利上げできる期間はわずかか−24日に今年初の政策決定
Piotr Skolimowski、Catarina Saraiva
2019年1月21日 13:39 JST
ドラギ総裁任期中に1回利上げ、追加利上げできるのは20年春まで
新たな市中銀行向け長期ローンを20年6月より前に提供する見込み
ユーロ圏経済が弱くなり過ぎる前に欧州中央銀行(ECB)が利上げをすることが可能な期間は短い−。ブルームバーグの調査に答えたエコノミストらが指摘した。

  ドラギ総裁は任期中最後となる10月の政策委員会で中銀預金金利を引き上げると見込まれている。ただ、その後については、後任の総裁が追加利上げをできるのは2020年春まで、それから長期にわたる据え置きが必要になると予想される。

Rate Path
Economists push back expectations for first increase in ECB borrowing costs


Source: Bloomberg survey of economists conducted Jan. 14-16

  ラボバンクのシニア市場エコノミスト、エルビン・デフロート氏は、「良い機会だと思えば利上げをするだろうが、それは成長が回復すると予測した場合に限られるだろう」とした上で、「20年末までには実際に、状況はより困難になっているかもしれない」と分析した。

  調査に参加したエコノミストらはユーロ圏の勢い鈍化と貿易摩擦、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る混乱を最大のリスクに挙げた。ドラギ総裁は15日の欧州議会で、ユーロ圏経済がリセッション(景気後退)に向かっているとの見方を否定した。

Risks to Euro-Area Economy
Euro-area slowdown is single biggest threat to outlook with Brexit in second place


Source: Bloomberg survey of economists conducted Jan. 14-16

Note: Risks were rated from 1 (none) to 5 (significant). Chart shows weighted averages

  ECBは24日に今年最初の政策決定を発表する。調査回答者のほぼ3分の2はECBが「リスクはおおむね均衡」との経済見通しを維持するとみている。

Risk Balance
Economists predict ECB President Draghi will reiterate his previous assessment


Source: Bloomberg survey of economists conducted Jan. 14-16

  また、ECBは早期の金融引き締めに関する懸念を和らげるために、新たな市中銀行向け長期ローンを既存分が満期となる20年6月より前に提供すると広く予想されている。

Long-Term Loans
Majority of economists predicts ECB will offer fresh funds by March for June allotment


Source: Bloomberg survey of economists conducted Jan. 14-16

原題:ECB Has Narrow Window for Rate Hikes Before Economy Too Soft (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-21/PLNQH96JIJUO01
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/667.html

[経世済民130] 米中通商交渉は知的財産権問題でほとんど進展なし 中国経済減速、大胆な刺激策当面見送 中国GDP、28年ぶり低い伸び:識者
米中通商交渉は知的財産権問題でほとんど進展なし−関係者
Shawn Donnan、Jenny Leonard
2019年1月21日 10:22 JST 更新日時 2019年1月21日 12:58 JST
北京での3日間の協議、建設的交渉というよりも不満の表明に終始
中国は1月30、31日の通商協議で劉鶴副首相をワシントンに派遣
昨年12月の世界市場の混乱後、米国と中国の通商担当者が今月上旬に北京で交渉に臨んで以来、トランプ米大統領は協議が大きく進展していると主張し、投資家を落ち着かせようとしている。だが、それはより厳しい現実を隠すものだ。

  協議に詳しい関係者によれば、米中両国は知的財産権問題でこれまでほとんど前進していない。

  今月9日までの3日間の通商交渉では、中国の知的財産権侵害や外国企業に技術移転を強制しているとされる問題が議題の大きな割合を占めた。しかし、参加者や協議について説明を受けた関係者によると、建設的な交渉というよりも不満の表明に終始した。


ゲリッシュUSTR次席代表Photographer: Giulia Marchi/Bloomberg
  また交渉の参加者1人によると、ゲリッシュ米通商代表部(USTR)次席代表は中国製品約2500億ドル(約27兆4000億円)を対象とした関税を正当化するために用いた報告書の引用に多くの時間を費やした。中国当局者は不正行為を重ねて否定し、米国側に証拠を求めたという。

  知的財産権など構造的問題に関する協議で進展がなかったことは、ライトハイザーUSTR代表も先週の議員との会合で確認したと議会関係者は話している。USTRはコメントを控えた。

  中国の商務省と国家知識産権局に取材するため業務時間外にファクスを送付したが、現時点で返答はない。

  中国の習近平国家主席が対米通商交渉を統括する劉鶴副首相を1月30、31日にワシントンに派遣する準備を整える中、知的財産権を巡る行き詰まりは米中通商対立の焦点になっており、トランプ大統領が対中関税で得た交渉力を中国の意味ある政策変更につなげられるか疑念を生じさせることになる。

原題:U.S.-China Trade Talks Falling Short on Make-Or-Break IP Issues(抜粋)

(米中双方の反応などを追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-20/PLIOS86KLVR501


 

コラム2019年1月21日 / 16:15 / 4時間前更新

中国の経済減速、大胆な刺激策は当面見送りか
Christopher Beddor
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[香港 21日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国の第4・四半期国内総生産(GDP)は前年比6.4%増と、第3・四半期の6.5%から伸びが鈍化した。

成長率は中国政府の想定以上に鈍化しているが、市場や一部の中国官僚が求めている大胆な金融・財政措置を打ち出すほど急激な減速とはなっていないがめ、大胆な刺激策はまだ先の話になりそうだ。

2018年の成長率は6.6%と、政府目標の6.5%前後に概ね沿った結果となった。ただ、成長率では表せない深刻な懸念もある。例えば、米国との全面的な貿易戦争や国内消費の部分的な弱さが原因で中国株式市場の価値は昨年、約4分の1が失われた。また、貿易戦争を受けて成長率の下振れ懸念も台頭した。

これまでの政策対応は驚くほど生ぬるかった。

エコノミストの多くは景気減速が、かつての融資に支えられた投資熱の再燃に道を開くと期待していた。国務院(内閣に相当)が7月に一段と積極的な財政政策を推し進める方針を表明した際は、そのような方向性が示されたかのように見えた。政府はそれ以降、減税策を拡大し、インフラ事業の承認を加速し、銀行の預金準備率を引き下げてきた。

ただ、順調に成果が出ているとの明確な兆しは乏しい。キャピタル・エコノミクスが公表している広範な融資の指標では、12月の伸び率は9.8%と、10年余りぶりの低い伸びとなった。GDPと同時に発表された公式統計によると、2018年の固定資産投資は前年比5.9%増と、少なくとも1996年以来の低い伸びとなった。

当局の対応には矛盾もみられる。17年から進めてきた債務削減の取り組みは確実に続いており、成長支援を求める声とは相容れない。例えば、中央政府は地方政府に対し、公共事業の費用を調達するのに資本市場を一段と活用するよう要請してきた。また、財政省は昨年打ち出した2000億ドル規模の減税に続く追加策を約束したが、同時に財政赤字目標は予想よりも厳格なGDP比2.8%に設定する可能性がある。

総括すれば、刺激策は過去の対応策よりも成果が出にくく、複雑になっている。

当局者らは上層部からより明確な指示があるまで、成長率と市場の押し上げに向けた一段と積極的な財政出動策は見送る公算が大きい。大胆な措置に踏み切るにはかなりの成長鈍化が必要になるだろう。当面は行動よりも口先での対応が大きな比重を占めると見込むべきだ。

●背景となるニュース

・中国国家統計局が21日発表した第4・四半期GDPは前年比6.4%増と、第3・四半期の6.5%から伸びが鈍化し、2009年第1・四半期以来の低さとなった。[nL3N1ZL1GA]

・中国人民銀行(中央銀行)が15日公表した12月の新規人民元建て融資は1兆0800億元(1600億ドル)とロイターがまとめたアナリスト予想の8000億元を大幅に上回った。[nL3N1ZF30S]

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/china-economy-breakingviews-idJPKCN1PF0H5


 
トップニュース2019年1月21日 / 13:09 / 1時間前更新
中国GDP、28年ぶり低い伸び:識者はこうみる
Reuters Staff
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[21日 ロイター] - 中国国家統計局が21日発表した2018年の成長率は6.6%と、17年(改定値)の6.8%から低下し、28年ぶりの低水準を記録した。米中貿易戦争を背景に投資や消費者心理が低迷した。

市場関係者のコメントは以下の通り。

<フィデリティ投信 インベストメントディレクター 福田理弘氏>

米中貿易摩擦やその他理由を背景にする景気後退懸念は、すでに昨年12月の大幅下落で株価に織り込まれている。それは安川電機(6506.T)や日本電産(6594.T)が業績予想の下方修正を発表した後に株価の下押しが深まらなかったことから確認されており、ロングオンリーの投資家にも徐々に買い意欲が出てきたようだ。

中国経済は成長鈍化が数値として顕在化しつつあるが、後退局面入りしたわけではない。半導体関連やFA(工場自動化)関連は在庫調整を余儀なくされているものの、本当に景気が腰折れしていないのであれば、6月までのどこかでそれも落ち着くだろう。

そうは言っても、日経平均が2万3000、2万4000円を目指していくほどの力強さは出ないだろう。通商協議で落としどころを見つけたとしても、米中両国の覇権争いに決着がつくわけではないとみる向きが多いからだ。

3月末までの日経平均のレンジは2万0000円─2万2000円程度を想定している。日本企業の第3・四半期決算発表で過度に悲観が強まらず、米中、日米の通商協議、英国の欧州連合(EU)離脱問題などが穏当に行けば現行水準からもう少し戻りを試すことができるだろう。

<マッコーリー・キャピタル(香港)のエコノミスト、LARRY HU氏>

中国経済には3本の柱がある。インフラ、不動産、輸出だ。インフラは回復しつつあるが、不動産と輸出は鈍化している。

下半期にインフラ、不動産分野で刺激策が拡大されると予想する。

<キャピタル・エコノミクスのシニア中国エコノミスト、ジュリアン・エバンズプリチャード氏>

2018年終盤の経済成長が引き続き軟調だったことが示されたが、政策主導のインフラ支出回復などが寄与し、大方の予想よりよく持ちこたえた。

とはいえ、世界経済の成長鈍化や信用の伸び鈍化の影響による逆風が今後数カ月間で強まる見込みであることを踏まえると、中国経済は刺激策の拡大を受けて今年下期に安定する前に一段と弱まる可能性が高い。

<ムーディーズ・アナリティックスのアジア太平洋地域チーフエコノミスト、スティーブ・コクラン氏>

中国政府が景気を良好な軌道にとどめるために、可能な限り選択的刺激策を打ち出すことになるのは確実だ。預金準備率の再引き下げも容易に行う可能性がある。預金準備率はまだ、金融危機時の水準まで下がっていない。これに加え、多少の減税も見込まれる。

消費者は高水準の債務を抱えているため、消費支出の押し上げは困難を伴う見通し。企業の債務水準も高い。地方政府も債務に縛られている。このため、問題となるのは、政府が刺激策を提供できるかどうかではなく、刺激策の実際の効果だ。

<AMPキャピタルのチーフエコノミスト、シェーン・オリバー氏>

特に大きな驚きはない。国内総生産(GDP)成長率は小幅低下したが、予想はされていた。中国の経済成長鈍化を巡る解釈と一致している。

昨年末にかけての鉱工業生産と小売売上高の伸びは、ある程度の安定化傾向を示している。概して悪い数字ではないが、これらの数字にどの程度の信頼性があるかには議論の余地もあろう。

当社では第1・四半期は、輸出鈍化により成長も鈍化すると予想している。ただ、通年では6.2%の成長を見込んでいる。

当局の反応に関する限り、2015/16年にみられたような刺激策が実施されるとは考えていない。

<コンティニュアム・エコノミクスのアジア担当首席エコノミスト、ジェフ・ウン氏>

指標は国内外の弱さに起因する中国の景気減速を引き続き反映している。12月の鉱工業生産と小売売上高が予想を上回ったことは好材料だ。これは経済に底堅さがある程度存在することを浮き彫りにしており、的を絞った刺激策の一部が景気支援で多少奏功していることを示している。

貿易戦争は経済成長率に直接の影響を与えなかった。成長の大半が国内要因で支えられているからだ。貿易戦争は消費者や投資家の信頼感に対してより大きな影響を及ぼした。
https://jp.reuters.com/article/instantview-china-gdp-idJPKCN1PF0AN
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/668.html

[経世済民130] 危機下のアルゼンチン、なぜペソ売り介入に転換したか 債券先物、長期金利は一時ゼロ% 中国09年以来の低成長−安定化の兆し
トップニュース2019年1月21日 / 16:40 / 3時間前更新
焦点:
危機下のアルゼンチン、なぜペソ売り介入に転換したか
Reuters Staff
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[ブエノスアイレス 18日 ロイター] - アルゼンチンは昨年急落した通貨ペソが年明け後に大幅反発し、中銀の対応が180度変わった。中銀はペソ高に歯止めを掛けるために過去1週間で1億9000万ドルのドル買い・ペソ売りの市場介入を実施したが、ペソ急伸には国内外の要因が絡んでおり、さらなる介入を迫られそうだ。

昨年ペソの価値が半分に下がったことから、中銀はペソ安を食い止めるために厳しい金融引き締め策を導入した。しかしペソはこの1週間では上昇し、アルゼンチンが国際通貨基金(IMF)と合意した取引バンドの上限を超えた。

ペソの上昇は米連邦準備理事会(FRB)による利上げ観測の後退が一因。昨年は米国債利回りの上昇で新興国市場から資金が流出し、ペソも売られていた。

アルゼンチン政府がペソ相場安定のために昨年導入した金融引き締め策もペソの押し上げ要因となった。マクリ政権は昨年、スタンドバイ融資枠を563億ドルに引き上げるIMFとの合意の一環として、通貨供給量の伸びを凍結。ペソの入手が難しくなった国内の中小企業は、納入業者への支払いや従業員への給与支払い、納税に充てるペソを確保するために手持ちのドルを売らざるを得なくなった。

こうした国内外の要因を背景にペソは上昇し、10日に初めてIMFと合意した取引バンドの上限を突破。中銀は5日連続の市場介入に踏み切った。

ペソは17日には前日比0.56%安の1ドル=37.7ペソと取引バンド内に収まり、中銀は市場介入を見送った。

ただ、中銀は数日以内に再び介入を余儀なくされるのではないかとの声がエコノミストの間から上がっている。

コンサルタント会社エコゴーのディレクター、Martin Vauthier氏は「企業や家計はペソを手に入れるためにドルを売らざるを得ないためペソに上昇圧力が掛かっており、(中銀は)ドル買い(の介入)を続けるだろう」と述べた。

昨年のペソ安は経済混乱の種を蒔いたが、エコノミストによると、ペソ高も必ずしも良いことではない。ペソの下落はアルゼンチン製品の国外での価格競争力を高め、輸出の回復が期待されていた。

キャピタル・エコノミクス(ロンドン)で新興国市場を担当するエドワード・グロッソプ氏は「アルゼンチンはペソ安を必要としている。ペソ高が進めば、経常収支の赤字縮小に必要な対外的な調整が止まってしまう」と述べた。

オックスフォード・エコノミクスのシニアエコノミストのカルロス・デソーサ氏は、アルゼンチンは中銀が為替相場安定のためのドル買い介入の規模を1日当たり5000万ドル以下に制限しているため、ペソ相場を中期的に取引バンド内に抑制するには金利を引き下げる必要があると指摘した。

デソーソ氏は「中銀はマネタリーベースの伸びを認めず、市場介入は1日当たり5000万ドル以下に抑えると約束している。縛りが多すぎる」と述べた。

ただ、アルゼンチンは10月に大統領選を控えている。エコノミストによると、二期目を目指す企業寄りのマクリ大統領は厳しい戦いに直面しており、政治的な先行き不透明感が強まればペソは売り圧力にさらされる可能性もあるという。

(Cassandra Garrison記者、Gabriel Burin記者)
https://jp.reuters.com/article/argentina-cenbank-explainer-idJPKCN1PF0H3

 

 
債券先物は小幅高、現物需給は良好との見方でー長期金利は一時ゼロ%
船曳三郎
2019年1月21日 8:03 JST 更新日時 2019年1月21日 16:06 JST
先物は1銭高の152円52銭、取引開始の152円39銭から持ち直す
10年債がゼロ%になると20年債に買いの手伸びやすいーSMBC日興
債券市場では先物相場が小幅上昇。株高・債券安となった前週末の米国市場の流れを引き継いで売りが先行した後、日本株相場が急速に伸び悩んだことに加えて、日本銀行が実施した国債買い入れオペで現物債の需給の底堅さが示されたことを受けて、先物中心に買いが優勢となった。

長期国債先物3月物の終値は前週末比1銭高の152円52銭。一時152円53銭まで上昇
新発10年物353回債利回りは、日本相互証券の前週末午後3時の参照値から横ばいの0.005%。一時ゼロ%に低下
市場関係者の見方
 SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジスト

米中貿易交渉の話は期待先行で決め手に欠き、株価が重い中、リスク回避の巻き戻しは入っても、リスク選好にはなり切れない
20年債がしっかり。10年債がゼロ%になると金利低下余地が乏しいとの見方から買いの手が伸びやすい
日銀の中期・超長期ゾーンの国債買い入れオペは、総じて無難からしっかりした結果
国債買い入れオペ
残存1年超3年以下と3年超5年以下、10年超25年以下と25年超が対象。購入額はそれぞれ3500億円、4000億円、2000億円、500億円と、前回から据え置き
25年超の応札倍率は3.68倍と昨年11月以来の高水準
SMBC日興の竹山氏
25年超が弱めだったが、10−25年はしっかりした内容
3−5年オペは5年債入札後の初回にもかかわらず応札倍率が低下し、需給改善の兆し
過去の国債買い入れオペの結果一覧
背景
18日の米国市場は株高・債券安、中国が米国に貿易不均衡の是正計画を提示との報道で米中貿易交渉の進展期待
一方、この日の東京市場では米中通商交渉の知的財産権問題でほとんど進展なしとの報道で期待後退。東京株式相場は上げ幅縮小。日経平均株価の終値は前週末比0.3%高の2万719円33銭。ドル・円相場は1ドル=109円台半ばに小幅下落
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.170% -0.155% 0.005% 0.465% 0.695% 不成立
前週末比 +0.5bp +0.5bp 横ばい 横ばい +0.5bp ー
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中国経済:10−12月は09年以来の低成長−安定化の兆しも
Bloomberg News
2019年1月21日 11:14 JST 更新日時 2019年1月21日 14:03 JST
12月の小売売上高と工業生産、いずれも予想上回る−投資も底堅く
景気への下押し圧力強まれば、政策対応も強化される−邢自強氏
中国経済の昨年10−12月(第4四半期)の成長率は、債務削減の取り組みや米国との貿易対立が響いて2009年以来の低水準にとどまった。ただ、昨年12月に景気の安定化を示唆する兆しが出ており、政府による景気対策の効果も表れつつあるようだ。

  21日発表された10−12月の国内総生産(GDP)は前年同期比6.4%増。7−9月(第3四半期)は6.5%増だった。

  昨年12月の小売売上高は前年同月比8.2%増加。市場予想は同8.1%増。工業生産は前年同月比5.7%増。市場予想は同5.3%増加だった。2018年通年の固定資産投資は前年比5.9%増えた。予想は6%増だった。


  中国は高水準の債務を抱えながら投資主導の成長モデルからの脱却を図っており、長期的に成長率が鈍る軌道上にある。中国政府は対象を絞った刺激策を講じているが、世界経済の拡大が既に不安定化しつつあるように見えるこのタイミングで、トランプ米政権との通商対立が中国当局の対応を試す展開となっている。

  モルガン・スタンレーの中国担当チーフエコノミスト、邢自強氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「成長率は今年4−6月(第2四半期)以降に改善する」と指摘。「景気への下押し圧力が強まれば、政策対応も強まることになる」とコメントした。

  シドニー工科大学のジェームズ・ローレンスソン豪中関係研究所副所長は「私にとってGDP統計よりも重要だったのは、小売売上高の伸びが鈍化しなかったことだ」と説明。「サービスと小売売上高が底堅く推移する限り、大まかに言えば中国は何とかやっていける。だが、こうして残った成長のけん引役も衰え始めれば、問題は非常に大きくなる」と述べた。

  18年の年間成長率は前年比6.6%増と市場予想と一致。1990年以来の低成長にとどまった。かつての2桁成長からは大きく鈍化しているが、中国は依然として高い成長率を誇る経済大国であり、経済規模の拡大に伴い引き続き世界経済の成長エンジンであることに変わりはないことを示している。

  景気減速が深刻化すれば、中国当局は大都市での不動産購入抑制策の緩和など、より積極的な緩和策に訴える可能性があるとエコノミストらはみている。

  INGバンクのアナリスト、アイリス・パン氏(香港在勤)は「追加の刺激策や金融緩和、インフラ投資が講じられ、ビジネス活動が低水準でもこれが製造業の雇用を下支えすることになるだろう」と分析した。

原題:China Revisits 2009 Growth Low as Signs of Stabilization Emerge(抜粋)

(市場関係者のコメントなどを追加し更新します.)


メイ英首相、超党派協議で離脱案の代案得ることを断念−関係者
Robert Hutton
2019年1月21日 5:54 JST 更新日時 2019年1月21日 15:12 JST
首相が20日夜の電話会議で見込みはほとんどないと閣僚らに説明
労働党の要求に応じれば与党が分裂するという点で意見が一致
メイ英首相は20日夜に閣僚らに対し、議会が圧倒的多数で先週否決した欧州連合(EU)離脱合意案の有効な代案が、超党派協議を通じて得られる見込みはほとんどないと説明した。

  メイ首相と主要閣僚との電話会議に参加した2人によると、EUと首相が取り決めた離脱案について、アイルランド国境へのハードボーダー(物理的壁)設置回避を保証する「バックストップ 」部分の修正を求めると首相は語った。与党保守党の離脱推進派およびメイ英政権を閣外協力で支えてきた北アイルランドのプロテスタント強硬派、民主統一党(DUP)の支持を得るために十分な修正の確保を目指すことになりそうだ。

  1年半かけてようやく妥結した離脱合意案の再交渉の余地をEU側が繰り返し否定していることはリスクであり、超党派協議の結果、EUとより緊密な結び付きを維持する離脱政策が得られると期待していた投資家にとって、メイ首相が示したスタンスは悪いニュースだ。

  電話会議では、最大野党・労働党が公に要求している関税同盟への残留を含む諸事項にメイ首相が同意すれば、与党保守党の分裂につながるという点で意見が一致したという。

  さらに労働党のコービン党首は、「合意なき離脱」の可能性を首相が排除しない限り協議への参加を拒否し、内閣不信任案を引き続き振りかざしており、労働党を信頼できるか政権側は懐疑的だ。

  関係者の1人によれば、EU離脱手続きを定めるリスボン条約50条のプロセス延長は、電話会議では議題とならなかった。


メイ英首相写真家:Jasper Juinen / Bloomberg
  フォックス国際貿易相は20日のBBCの番組で、「合意なき離脱」が現実の可能性であるとの認識を示し、それを回避するために英国と協力するよう各国に強く訴えた。アイルランド国境問題の解決手段として、現在のバックストップ条項を含まない方法についてEUと協議を再開することが、フォックス氏にとって好ましい選択肢だが、アイルランドのコーブニー外相は19日、現行の離脱案への同国のコミットメントは「揺るぎない」と述べた。

原題:May Is Said to Give Up on Cross-Party Talks to Fix Brexit(抜粋)

(フォックス国際貿易相の発言などを追加して更新します.)

TOPIX上昇率トップはAI活用のデータ分析会社、まだ過小評価か
Min Jeong Lee
2019年1月21日 13:51 JST
ブレインパッドの石川CFOが同社本社でインタビューに応じた
顧客にグーグル日本部門やヤフー・ジャパン、日本航空など
TOPIX構成銘柄中で昨年の上昇率がトップだったブレインパッドは、同年中に株価が4倍強になった。しかし同社の石川耕最高財務責任者(CFO)はまだ過小評価されていると言う。

Top Five
Topix's best performers last year


Source: Tokyo Stock Exchange, Bloomberg

  人口知能(AI)を活用しデータ分析を手掛ける同社の株価は2018年に305%値上がりした。石氏によると、これは1年限りの現象ではない。顧客にグーグルの日本部門やヤフー・ジャパン、日本航空などを抱える同社の利益は堅調な成長軌道に乗っているからだという。

  同社は昨年1月、17年7−12月の営業利益が自社見通しの約3倍になったと発表して投資家を驚かせた。それまでの10年の大半を通じて利益は縮小していたが、これを機に株価急騰が始まった。


石川耕CFOソース:BrainPad
  現在の株価は予想1株利益に対し87倍。TOPIX構成銘柄の平均である12倍に比べれば割高だが、AI活用で競合するクラウドソーシングのクラウドワークスの653倍に比べれば低い。

  石川CFOは、他のAI企業の株価バリュエーションはブレインパッドよりはるかに高いと指摘。同社はまだ過小評価されていると述べた。


原題:Tokyo’s Top Stock Surges 305% in Year But CFO Sees It as Cheap(抜粋)

 
武田薬、新興国市場資産30億ドル相当の売却を検討−関係者
Manuel Baigorri
2019年1月21日 18:06 JST
買い手候補の関心を探るためBofAと協力と関係者
シャイア−買収で膨らんだ債務の圧縮を目指す
武田薬品工業は620億ドル(約6兆8000億円)規模のシャイア−買収で膨らんだ債務を圧縮するため、新興国市場の資産の一部売却を検討している。事情に詳しい関係者が明らかにした。

  武田薬は2011年のスイスの製薬会社ナイコメッド買収を通じて得た新興国市場の資産に対して、買い手候補企業の関心を探るためバンク・オブ・アメリカ(BofA)と協力している。非公開情報だとして関係者が匿名を条件に述べた。店頭薬と処方箋薬を含めた医薬品資産は約30億ドルの値を付ける可能性があるという。

  武田薬の広報担当者は「現時点で売却の可能性のある特定の資産に関する決定はない」と電子メールで説明した。BofAの担当者はコメントを控えた。

原題:Takeda Said to Mull Sale of $3 Billion in Emerging-Market Assets(抜粋)

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https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-20/PLIOS86KLVR501
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/669.html

[経世済民130] ZOZOTOWNが象徴する日本の低賃金労働 派遣や非正社員に過度に依存する企業体質からの脱却を ZOZO非正規率は67%

ZOZOTOWNの非正社員比率は67%

派遣や非正社員に過度に依存する企業体質からの脱却を

藤田孝典 | NPOほっとプラス代表理事 聖学院大学人間福祉学部客員准教授
1/20(日) 17:11
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月旅行への予定を表明する(株)ZOZO前澤友作社長(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

ZOZOTOWNの非正社員比率は約67%と高い
昨日はZOZOTOWNにおける派遣労働者や非正規労働者の問題に焦点を当てた。

多くの方から反響があり、足元の労働者を大切にするべきではないか、利益を労働者に還元するのは当たり前ではないか、月に行ったりお年玉企画するより賃金上げろ、など多数の賛同もいただいた。

実態を見れば、なぜZOZOTOWNが利益を上げられて、前澤社長などが豪遊できるのか見えてくる。

その内容については僕がZOZOTOWNの非正規労働者の賃上げにこだわる理由ー日比谷公園年越し派遣村の教訓と派遣労働者ーを参照いただきたい。

2018年の有価証券報告書によれば、(株)ZOZOは2,764名の従業員のうち、1,860名が派遣等の非正社員である。

平均なので実態としてもう少し多いと思うが、単純に計算してみると、非正社員比率は約67%と極めて高い。

派遣労働、非正規雇用に依存している経営といえる。((株)ZOZO有価証券報告書2018)

ZOZOは労働者3人のうち2人は派遣を含む非正社員で成り立っている。

非正社員と比べて賃金も高く、安定雇用である正社員の少なさは特徴的だ。

日本の労働者のうち、非正規労働者は37,3%(厚生労働省2018)である。

ZOZOTOWNの非正社員比率67%という数字は異様に高いことがわかる。平均の1,8倍だ。

前澤社長を含む役員、株主などへ利益を配当するために働く現場は、非正規雇用に支えられていることは明らかだ。

時給1,000円程度の大量の非正社員の奮闘があり、低賃金労働者を使いながら利益を上げるビジネスモデルと言える。

何度もいうが、儲かっていないから賃上げできないのではない。

一部上場企業で衣料品のネット販売最大手のリーディングカンパニーでこの有り様である。

なかには、正社員や無期雇用への転換を希望する者もいるはずだし、後述するように生活苦のなかで働いている労働者もいるだろう。

今後、読者の方には前澤社長の豪遊ぶりがメディアで映し出された際に、彼の足元にいる非正規雇用で働く労働者の姿、そこへの想いを寄せてほしいと思う。

生存すら難しいワーキングプアの増加と非正規労働問題
いまでは非正規労働者の数は2,036万人にもおよぶ。

30年前と比較しても、正社員の人数は一貫して横ばいであるが、非正規労働者の数だけ増え続けている。

ざっくりいえば、平成にあたる30年間の経済対策や雇用政策で増えたのは正社員ではなく、非正社員だけだった。

平成期を象徴する非正社員の急増を受けて、同時に増え続けるのはワーキングプア(働いている貧困層)、相対的貧困率である。

日本の相対的貧困率は15,7%であり、子どもの貧困は13,9%とOECD先進諸国ではともに高い水準にある。

なかでもひとり親世帯(主は母子世帯)の相対的貧困率は、50,8%と世界最悪の水準を記録している。

特に、シングルマザーは8割以上が働いているのにも関わらず貧困なのである。

その就労形態で多いものは派遣、パートなどの非正社員だ。

要するに、企業による非正社員、派遣労働の拡大は確実にワーキングプアや子どもの貧困を生み出し、社会に深刻なダメージを与え続けている。

シングルマザーの母が低賃金ゆえに仕事を掛け持ち(ダブルワーク)し、子どもと向き合う時間がなくて、虐待に発展する事例も散見されている。

全国で拡大する子ども食堂や無料の学習支援塾ができたとしても、根本的な親の所得が上がらなければ貧困は改善しない。

社会問題の背景にワーキングプアを含む労働問題が横たわっている。それを生み出してきたのは企業の低賃金労働者に依存する甘えだろう。

生活困窮の相談に至る方の多くも非正社員を経験し、貯蓄や資産形成のゆとりすらない中で働かされている人々だ。

企業は一貫してゆとりがあるにも関わらず、安定雇用を増やさないできた。そのツケが全国各地で噴出している。

このように、まさに平成期は非正社員と貧困の急拡大の時代だった。

新興産業におけるZOZOTOWNが、いくら新しさを打ち出しながらパフォーマンスを展開しても、結局はこの30年間の雇用構造を打破するには至っていない。

むしろ、率先して雇用構造に甘え、非正社員に依存する形態で利潤を上げて、労働者に還元しないのは残念というほかない。

このように非正社員とワーキングプアを生み出しているのは日本の企業なのである。

ここに向き合わない限り、次の時代に人々が安心して働き、暮らせる社会にはなり得ないだろう。

例えば、ZOZOTOWNに限らず、「非正社員の多い会社」トップ500ランキング(東洋経済)でも指摘される企業やその労働組合には、日本社会のワーキングプアや子どもの貧困を生み出す構造をどうしていくのか、大きな責任があることを自覚してほしい。

普通に働いたら普通に暮らせるように、そろそろ日本の雇用構造を転換していきたいものである。

ZOZOTOWNから非正社員に甘えて、誰かが豪遊するのではなく、共に豊かになる働き方を提示し、日本社会をリードしていく存在になってほしいものだ。

https://d31ex0fa3i203z.cloudfront.net/wp/wp-content/uploads/2018/06/1803_yuho.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/000179034.pdf
https://toyokeizai.net/articles/-/214094


藤田孝典
NPOほっとプラス代表理事 聖学院大学人間福祉学部客員准教授
1982年生まれ。埼玉県越谷市在住。社会福祉士。首都圏で生活困窮者支援を行うソーシャルワーカー。生活保護や生活困窮者支援の在り方に関する活動と提言を行う。NPO法人ほっとプラス代表理事。聖学院大学客員准教授(公的扶助論など)。反貧困ネットワーク埼玉代表。ブラック企業対策プロジェクト共同代表。元・厚生労働省社会保障審議会特別部会委員(生活困窮者自立支援法)。著書に『貧困クライシス』(毎日新聞出版 2017)『貧困世代』(講談社 2016)『下流老人』(朝日新聞出版 2015)『ひとりも殺させない』(堀之内出版 2013)共著に『知りたい!ソーシャルワーカーの仕事』(岩波書店 2015)など多数。

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藤田孝典 | NPOほっとプラス代表理事 聖学院大学人間福祉学部客員准教授
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新習志野駅でZOZO派遣労働者に語りかける

ZOZOTOWNとのこれまでのやり取り
僕は(株)ZOZOの前澤友作社長が1,000億円近くかけて月に行く予定という記事を昨年見てしまった。

その後、Twitterで「月に行く金があるなら非正規雇用などの労働者へ還元すべき」「資本家が利潤をあげられるのは労働者がいるため」など、資本家や企業の言動に対する反対姿勢を貫いてきた。

様々な論点はあるが、一番追求してきたのは、得られた利潤を労働者に還元し、足元の労働者の処遇改善を先にしろ、ということである。

そういうと決まって「ZOZOは待遇がよい」「社員の満足度も高い」「外野が勝手に騒ぐな」「前澤社長の資産と会社資産を一緒にするな」などの意見が飛んでくる。

まずZOZO「給料一律同額」に驚き。平均年収と社員のホンネは?など多くの記事でも指摘されているが、(株)ZOZOは基本給が一律でボーナス支給も一律だそうだ。悪口や競争原理をなくすためだというが、そもそも意味が分からない。

正社員でも一律の賃金に不満があれば賃上げ要求をすべきである。

さらに、彼らのいう社員のなかには、派遣労働者や非正規労働者は含まれていない。派遣労働者の時給は1,000円程度であり、社員と一律ではない。

ZOZOをめぐる報道や記事は、前澤社長を含む「光」の部分が多く、「影」として存在し、裏方で支えている派遣労働者には一切焦点が当てられていない。この間、ZOZOの派遣労働者に焦点化された記事は一本もない。

社長らの自己愛や承認欲求を満たすために派遣労働者が利用され、その存在を軽視するならば企業の社会的責任をどれだけ行っているといっても形式的と言わざるを得ないだろう。

僕はここを一番問題視してきている。

ZOZOの幹部社員含めて、聞いていないことは自ら情報公開するにも関わらず、派遣労働者数やその人々の処遇は全く公開していない。

隠したい意図があるにしてもあまりにも露骨すぎる。

実情を語る20歳代男性の派遣労働者と労働組合メンバー
僕は直接、ZOZO派遣労働者と話したり、交流させてもらってきている。

例えば、新習志野の倉庫作業をしている20歳代男性の時給も1,000円であり、時給を上げてほしいという声が現場からも聞こえてくる。

現代日本の雇用構造を象徴する正社員と非正規社員の待遇差別、処遇差別が足元にある。

もちろん、日本に広がっているワーキングプアや子どもの貧困、若者の貧困がここから派生することは言うまでもない。

ZOZOBASEと描かれた輸送バス
正社員は一律で給与保障されているが、現場の配送を担う倉庫で働く労働者は派遣労働、外国人労働だ。

ZOZOBASEと描かれたバスにそのような労働者が乗せられ、毎日毎日倉庫に行き来させられていた。

僕は大みそかの12月31日に労働組合メンバーと派遣労働者に語りかける街宣活動をおこなったが、労働者は年末年始も昼夜を問わず働いていた。

ZOZO派遣労働者に配布した街宣チラシ
社長や社員がどれだけパフォーマンスをおこなおうが、企業活動を支えているのは間違いなく低処遇の派遣労働者や外国人労働者である。

これが日本のリーディングカンパニーを支える構造上の欠陥である。誰かを犠牲にして利潤をあげるシステムが出来上がっている。

他にも僕の主張は拝啓、ZOZO前澤友作様「1億円バラマキ、本当に下品です」の記事にもまとめているので参照いただきたい。

ZOZOに関連して「光」の部分にマスメディアも偏りすぎであり、ZOZOの工場や倉庫への潜入取材など含め、もう少しまともなジャーナリズムを発揮すべきだろう。

なぜ僕はここまでZOZOTOWNにこだわって是正を求めているのか、と言えば、日比谷公園年越し派遣村の教訓があるからだ。

 

日比谷公園年越し派遣村とは何だったのか
日比谷公園年越し派遣村の年末年始から10年が経過した。

日比谷公園年越し派遣村は、リーマンショックに起因する製造業派遣などの派遣労働者、非正規労働者が大量に職を失い、住まいや食事を求めて、厚生労働省前の日比谷公園に集まった現象だった。当時26歳だった僕の目には衝撃的な光景だった。

当時の派遣労働者たちも企業利益のために毎日懸命に働いていたが、少し業績に陰りが見えるとゴミのように捨てられた。

さらに、それらの派遣労働者を支援するはずの福祉事務所すら、働ける年齢の人には生活保護支給を拒絶していた。

よりどころを失った労働者が「我々は人間だ。ゴミではない。」と語る言葉は、当時の派遣村の現場で何度か聞いた当事者の発言だった。

日比谷公園年越し派遣村では、製造業を中心として、一部上場企業であるリーディングカンパニーの多くが派遣労働者を大量に使って利益を上げている構図が「見える化」された。

景気が良いとされて目立つ企業も多かったにも関わらず、一瞬の変化で派遣労働者は路頭に追い出された。

そのときも、派遣労働者や非正規労働者は企業において「雇用の調整弁」といわれてきた。

いつでも簡単に捨てられる存在として語られ、必要悪な存在だと説得させられてきた。

正社員は人件費、派遣労働者は物品費、委託費として計上する企業もあるくらい、人間として尊重された存在には未だになっていない。

日本は極めて正社員と派遣社員との分断が著しい社会になっている。

日比谷公園年越し派遣村での「見える化」から10年経っても、日本の派遣労働は大きく減ることがなかった。

不安定な働き方である非正規雇用はむしろ増え続けている。

わたしたちの社会は、日比谷公園年越し派遣村の教訓から何を学んできたのだろう。

派遣労働者の差別的待遇に慣らされてきていないだろうか。

派遣労働者はこれほどの数で必要だろうか。

派遣労働者を自社で直接雇用することはできないだろうか。

そもそも労働者派遣法は廃止すべきではないだろうか。

差別的処遇を拡大する人材派遣会社が多い国として恥ずかしくないか。

ぜひ多くの人に(株)ZOZOを下から支える労働者がどんな状況にあるか注目し、派遣労働を含む労働者の実態に関心を持っていただきたい。

幸いにもヤマトHD、営業益2倍に 18年4〜12月期 ネット通販拡大、人手不足対応も進む(日本経済新聞2019年1月16日)という記事が配信された。

派遣労働者や非正規労働者を直接雇用し、賃上げをおこなった場合に営業益が拡大し、人手不足への解消策にもなっているというものだ。

もちろん、汎用性が効くものかは検証が必要だが、(株)ZOZOのように派遣労働者や非正規労働者を大量に使用している場合、その処遇改善は企業の業績などにも長期的に作用してくるだろう。

僕は(株)ZOZOが憎いのではない。企業活動を懸命に下支えしている労働者に報いるべきだと述べている。

(株)ZOZOによるリーダーシップに引き続き期待しているし、労働問題を共に改善していきたいものである。

昨年から問題提起を繰り返してきた。そろそろリーディングカンパニーとして、明確に答えを出す時期は来ているはずである。
https://news.yahoo.co.jp/byline/fujitatakanori/20190119-00111650/


 

藤田孝典2019年01月21日 17:02

ZOZOTOWNが象徴する日本の低賃金労働


個別の労働問題から産業全体の働きやすい仕組みづくり

ZOZOTOWNが象徴する低賃金労働市場
昨日はZOZOTOWNがいかに低賃金労働者、派遣労働者に依存して事業が成立しているか、を指摘させていただいた。

この指摘に関しては、ZOZOTOWNの非正社員比率は67%ー派遣や非正社員に過度に依存する企業体質からの脱却をーを参照いただきたい。

これを受けて「アパレル業界は非正規が多いのは当たり前」「必要以上に賃金を支払ったら事業は成り立たない」「低賃金労働者を利用して利潤を上げて何が悪い」などという反応もある。

これらのどれもが企業や資本側の論理を代弁していることに気づくだろう。

一切、そこで働く労働者の暮らしや生活が考えられていないことは明らかだ。

当たり前であるが、労働者の生産活動がなければ、何も私たちに必要な生産やサービス供給がされない事実を抑えるべきだろう。

そのうえで、その賃金構造や雇用構造が正しいと言えるのだろうか。

いまの構造が正しいと是認するのであれば、今後も低賃金労働者や非正規労働者は増え続けることを容認することにもなる。

少なくとも非正社員比率の引き下げや労働分配率の引き上げが必要だという前提がなければ、現在の労働問題は改善しない。

ZOZOTOWNの問題が非正規雇用に依存する産業全体を象徴しているのであれば、なおさら、改善の旗手として奮闘してもらわねばならない。

企業は労働者に限らず、公共施設、道路や水道、大気などを大量に利用しながら、生産活動を行う。

日本社会が疲弊している場合には、応分の負担をするのは当然であり、その構造の改革に着手しなければ社会問題は解決に向かわない。

非正社員やワーキングプアが増えると日本社会、日本経済は衰退する
まず日本社会がどうなっているのか、実態からみてほしい。

昨日は相対的貧困率の高さ、子どもの貧困率の高さ、ひとり親世帯の貧困率が先進諸国最悪の水準であることなどをお伝えした。

その背景にあるのは、働いても貧困であるというワーキングプアである。

なかでもワーキングプアは、非正規雇用で働く2,036万人のところに集中的に表れている。

時給もZOZOTOWN同様に1,000円前後という働き方は珍しくない。

さらに、2,036万人が非正規雇用で働いている社会なので、その労働環境に慣らされているのかもしれないが、本当に企業は非正規雇用でしか労働者を雇用できないのだろうか。

景気回復していることに実感がないという労働者が多いことも非正規雇用が多すぎることと無関係ではないだろう。

賞与や福利厚生の支給が十分ではない非正規雇用がいくら増えても、労働者は幸せになれないことは明らかだ。

そもそも、それほど人件費を削って、その利潤はどこに消えているのだろうか。

(株)ZOZO前澤社長の利益構造を見てみるだけで興味深いはずである。

もちろん資本家の投資による資本金、生産拠点がなければ、労働者は働いて賃金を得る手段がない。

一方で、資本家も労働者がいなければ配当益や資本を回収して儲けることもできない。

いうまでもない資本主義の事実である。この構造を修正しながら、双方が豊かで幸せになることは今よりも可能であろう。

だからこそ、歴史的に見ても現在に至るまで、資本と労働者は交渉し、時には敵対しながら激しく富の分配をめぐる闘争を繰り返してきた。

現在は労働組合が弱く、労働者が結束して交渉する機会も乏しい。ましてや派遣等の非正規雇用であればなおさらだ。

大半が交渉し賃上げすることを忘れた労働者と言ってもいいかもしれない。職場に労働組合がないことも珍しくないだろう。

要するに、経済成長をしようがしまいが、企業の利益が上がろうが下がろうが、団体交渉をして賃上げ要請をしなければ、労働者の生活は良くならないのである。

(株)ZOZOは増益を続けてきたわけだが、どれだけ働いてきても時給1,000円の労働者の給与は据え置きか微増である。

賃上げ要請をしない労働者の富は、資本に回され、単に資本層の生活を潤すだけである。

前澤社長の生活を見ていて分かりやすいまでに理解が進むだろう。

(株)ZOZOを繰り返し取り上げるのは、その現代の雇用構造の欠陥を端的に表してくれているからだ。

労働者のもとに今よりも賃金が回らなければ、日本経済の消費は回らない。日本経済を回しているのは相変わらず6割の個人消費である。

貧困や格差も広がり続けてしまうことになる。社会保障費も不足が続いてしまうだろう。

本記事を読んでいただいた方は是非、労働組合やユニオンに関心を持ってほしいし、労働組合を通じて自分の賃上げや暮らしを良くする取り組みに参画してほしい。自分が豊かになることは社会が豊かになることである。

労働者が豊かになれば、社会は間違いなく豊かになるのだから。

※Yahoo!ニュースからの転載

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[経世済民130] 近づく不況の波 フリーランサーができる7つの備え 外国人が驚くサブウェイ大量閉店、デフレ不況「少し高め」飲食店売上不振へ
キャリア・教育 2019/01/21 08:30
近づく不況の波 フリーランサーができる7つの備え
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1980年代、米飲料大手ペプシコの爆発的な成長を率いたウェイン・キャロウェイ元最高経営責任者(CEO)は「屋根を修理するのに最も良いタイミングは太陽が出ているときだ」と語った。

世界経済では、これからも太陽が輝き続けるだろうか? 株式市場は長い間かんしゃくを起こしているし、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)や中国の関税への懸念がニュースをにぎわせて、大手の銀行や証券会社の多くは悲観的な見方を強めている。

米CNBCテレビは「米ウォール街の経済専門家のほとんどは、不況は2020年以降まで起きないといまだに信じているが、株式市場が急落するにつれ、経済状況や高値について不安を募らせている」と報じている。

では、賢いフリーランサーたちは今、不況に対してどのような備えをしているのだろうか? フリーランスの仕事の多くは、顧客企業にとって不可欠なものだ。しかし、フリーランサーが経済停滞に備え、リスのごとく木の実を集めるべき理由は3つある。

・不況になると企業はコストを削減し、必要不可欠ではない投資を排除・中断する。優秀なフリーランサーでさえ、仕事の機会が減るかもしれない。

・情報技術(IT)への支出増加は、フリーランスの急速な成長や、「アップワーク(Upwork)」のような人材仲介サイトの出現と密接に結びついているが、この相関関係は悪い方向に働くこともある。過去の不況時のように、経済が減速するにつれてテクノロジーへの支出は減る傾向にあり、テック系フリーランスへの支出も減る。

・フェイスブックのショーン・パーカー元社長が出資するシンクタンク、経済イノベーショングループ(EIG)の調査では、経済状況が悪化するにつれ、ミレニアル世代のフリーランスに対する熱意が衰える可能性が示唆されている。EIGによると、ミレニアル世代は起業にあこがれる一方で、リスクの少ない生活を好む傾向にある。調査対象のミレニアル世代の中で、人生で成功を収めるにはリスクを取り、進んで失敗を受け入れることが重要だと答えたのは71%、起業を考えたことがあると答えたのは62%だったが、一方でキャリア向上には企業で出世階段を上ることが最善だと考える人も44%いた。また、起業がキャリアアップに最善だとしたのはわずか2%だった。

経済専門家の予想よりも早く来るかもしれない不況に備え、フリーランサーができることは次の7つだ。
次ページ > フリーランサーができる7つの備え

1. 家計面での備えをする

金融情報サイト「ナードウォレット(NerdWallet)」のライター、アリス・ホルブルックは、3つのアドバイスを紹介している。1つ目は支出を減らし、仕事の激減に備えた十分な貯蓄をしておくこと。2つ目は、投資先を整理し、可能な部分でリスクを減らすこと。3つ目はローンや借金を減らすことだ。

2. ビジネスの棚卸しをする

ビジネスを厳しく見直し、変化が必要な部分を特定する。全ての専門分野には最盛期があり、今が変化を起こすべき時かどうかを見極める必要がある。ビジネスは財務面からみて正しく整理されているか? 備品やマーケティングなどに金を使い過ぎていないだろうか?

人材仲介サイトを活用している場合、そのサイトを使うことで自分が設定した目標を達成できたかどうかを考える。ビジネス構築のために登録するサイトを変更したり、新たに追加したりする必要はあるだろうか? 最後に、顧客に提示する料金も見直そう。料金値上げのタイミングは決して逃すべきではないが、高額にし過ぎて仕事をもらえないようになってはいけない。

3. 顧客からフィードバックを得る

得意先の顧客にフィードバックを求めよう。「私を雇っている理由は何ですか?」「私を雇わないのはどういう時ですか?」と聞くのは居心地が悪いかもしれないが、得意先があなたのことをどう考えているのか、市場でどう認識をされているのかに関して重要な情報が得られる。そして次に、「御社のフリーランスチームの重要メンバーであり続けるため、身につけたり改善したりする必要があるスキルは何ですか?」と聞こう。

4. 人脈を見直し、拡大する

これを機に、自分が持つネットワーク、そしてビジネスを生み出す人間関係の質を見直し、評価し、向上させよう。米ビジネス誌アントレプレナー(Entrepreneur)によると、ネットワーキング(人脈作り)はビジネス成長に欠かせない能力だ。あなたには、得意先との円滑な関係を強化・活用しつつ、ビジネス拡大のため新たな顧客層にアクセスできるような質の高い人脈があるだろうか?

5. 需要増の分野で新たな専門性を身につける

テック系フリーランスの需要が特に高い分野としては、(1)ロボット工学とIoT(モノのインターネット)、(2)人工知能(AI)と機械学習、(3)ブロックチェーン、(4)データサイエンスの4つがよく挙げられる。しかし、需要が伸びているのはITだけではない。自分の専門が何であれ、良い仕事を集め続けられるようなスキルを身につけておこう。

6. 自己開発に投資する

フォーブス寄稿者のウィリアム・アルダは「教育には金がかかるが、フリーランサーにはその費用を支払ってくれる企業は存在しない。しかし、職業能力の開発は必要不可欠であることは、ミレニアル世代の87%も証言している」と述べている。自己育成を怠れば、市場での競争力は必ず下がってしまう。

7. (現時点で)本当にフリーランスが合っているのか自問する

あなたがフリーランスをしていた感情的・経済的な理由は、ここ数年の好景気にあるかもしれない。多くのフリーランサーは経済状況悪化の見通しにより、正規雇用や、より長期的な契約を考えるようになる。

私は以前、とても実入りの良いコンサルティング業を捨て、大手銀行の人事担当上級副社長および最高学習・人材責任者のパートタイム職に就いた。2人の息子が大学に通い、グレートリセッション(2000年代後半に始まった大不況)が迫る中、これはその時点で家族のために正しい決断だった。それから6年後、私はフリーランスを再開した。
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編集=遠藤宗生

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記事
MONEY VOICE2019年01月20日 15:48
外国人が驚く日本のサブウェイ大量閉店、デフレ不況で「少し高め」の飲食店が売上不振へ 1/2


サンドイッチ店「サブウェイ」をFC展開する企業が破産しました。外国人はこのニュースに驚くでしょう。日本では「ほんの少し高め」の価格でもう売れないのです。(『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』児島康孝)

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日本と海外のサブウェイに大差はない。違うのは国民の景況感か…
アルペン、昭文社など「希望退職」募集が続々
最近、希望退職の募集や閉店が目立ってきました。

日本では、依然として、デフレ不況が続いているわけです。いくら失業率が低いとか、株価が高いと言っても、不況の深刻化は隠しようがありません。

アルペンの300人希望退職、地図・ガイド本の昭文社の希望退職などが話題になっているように、
業績悪化にともなうリストラが本格化しています。

また先日は、苦戦が伝えられていたサンドイッチチェーン「サブウェイ」の首都圏のフランチャイズ、エージー・コーポレーションが破産。

また、これまで経営は盤石とみられてきたサンマルクカフェなどを展開するサンマルクも、業績の変調で株価が大幅安となっています。

「ほんの少し高め」の価格で、もう売れない
大塚家具は言うに及ばずで、つまり、超デフレ価格よりも、少し「高め」の価格で展開する企業が軒並みダメージを受け、売上低迷の影響が出てきているのです。

吉野家も、そうですね。

「高め」といってもほんの少しで、日本の消費者が、そのほんの少しについていけなくなってきているわけです。

不振にはそれぞれ理由があり、超デフレ価格でうまくやっている企業もあります。

実際のところ日本は、本当は人手不足ではなくて、雇用がだぶついており、可処分所得が上がらずに、むしろ厳しさを増しているわけです。

たぶん、外国人は「サブウェイ」不振に驚く
サブウェイの日本での不振には、おそらく外国人は驚くでしょう。

「日本人には、サブウェイでも高いのか?」と、こんな感じでしょう。

NYに長期滞在しますと、サブウェイは、たいへん重宝します。

だいたい、駅周辺の目立つところにあったりしますし、どの商品がいくらか、価格が明瞭です。接客も、きっちりしています。

確かに立地は、外国のサブウェイの方が、いい場所にあります。これは日本では、スタバ、タリーズ、ドトール、マックなどとの立地争いが厳しいためでしょう。

外国では、日本みたいに全部そろっているというのは少ないですから、おのずとサブウェイがいい場所を押さえることができるのでしょう。

日本と海外のサブウェイに大差はない ≫

日本と海外のサブウェイに大差はない
NYの食事では、デリのようなセルフタイプでも、10ドル以内というのはなかなかないのです。

デリでもすぐに10ドルは超えてきますし、レストランとなれば、それほど良い所ではなくてももっとしますから、サブウェイは安さで目立つわけです。それで、だいたい、どこのサブウェイも人気を集めているわけです。

日本での不振については、内装の問題を指摘されたりしています。

確かに日本国内での比較ではそうなのですが、外国の人気店のサブウェイが特に良いかというと、店舗は日本のサブウェイと同じような感じなのです。

おそらく唯一、違う点は、外国の場合、作る側の店員さんがアバウトで、客側もアバウトで満足し、それでいて、店員さんが楽しそうに美味しそうなサンドを作ってくれるということですね。

日本では、双方が律儀すぎるということがあるのでしょう。

話が長くなりましたが、外国の場合、日本のようにデフレが激しくないので、NYなどのサブウェイは、レストラン価格との比較で十分に競争力があるということです。

スターバックスは「場所貸し」要素が大きい
こう書くと、日本でも「スタバはお客さんが多いではないか」という話になるのですが、スタバは、仕事や勉強をする客が多い滞在型となっていますから、飲食店と言うよりも、「場所貸し」要素が大きいですね。

また、日本のスタバが、世界的に見ても大きく進化しているのも確かです。

日銀の株価かさ上げで、デフレをごまかし
結局、日本のデフレ不況は、戦後最悪レベルで激しいものとなっています。

しかし、日銀が株式(ETF)を大量に買ったりして、株高などでごまかしているということです。

先日、ダイヤモンド・オンラインの記事で、日銀が「大株主」になる企業100社ランキング!(2017年9月21日配信)をみかけたのですが、驚くべきデータが紹介されていました。

2017年8月末時点で、ファーストリテイリングの浮動株では、63.2%を日銀が保有しているとのこと。また、日銀が浮動株の2割・3割保有しているという企業がずいぶん出ていました。

それで、この記事は2017年のデータなのですが、その後も日銀は1日に約700億円とか株式ETFを買う日もありますから、どんどん、さらにもっと保有が増えているわけですね。

「日本はデフレ不況」という国民感覚が正しい…
日銀の株式ETFの購入がなければ、自然な日経平均の株価は、かなり低いはずです。

「株価が高いから、景気は良い」という話にしているわけで、これは、株価をゆがめて景気認識をゆがめているわけです。

こういうわけですから、実際のところは、日本のデフレ不況が激しいというのは、国民感覚や、街中の様子の方が正しいと言えるでしょう。

いくら、日銀が株価だけを持ち上げてみたところで、デフレ不況は隠しようがないということでしょう。

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(写真=shutterstock)
 中国の景気悪化が鮮明になってきた。中国国家統計局が1月21日に発表した2018年の国内総生産(GDP)は実質で前年比6.6%増えた。成長率は17年から0.2ポイント縮小し、天安門事件の影響があった1990年以来28年ぶりの低い成長率となった。

 景気減速の兆候は以前からあった。14日に中国汽車工業協会が発表した2018年の新車販売台数は前年比2.8%減の約2808万台と、こちらも28年ぶりに前の年を割り込んだ。「トヨタを中心に日系自動車メーカーの販売はいいが、全体的には厳しくなっていると感じる」。中国で勤務する日系自動車メーカーの関係者はこう語る。

 スマートフォンの販売も低迷。日本電産の永守重信会長は業績下方修正の会見で「尋常ではない変化が起きた」と中国減速の影響を強調した。

 中国では昨年秋ごろから、IT企業を中心にリストラや採用の絞り込みが始まっているとの情報が出ていた。そんな中、米ブルームバーグは18日、中国ネット通販最大手のアリババ集団が採用した人材の就業を一部凍結し、出張費を削減していると報じた。アリババ側は中国のSNSで「人材を採用しないわけでない」などと反論しているが、中国の減速を印象づけた。

 問題は減速がどこまで続くかだ。GDPの発表を受けて中国や日本の株式市場に大きな影響はなかった。中国政府の2018年の成長率の目標は6.5%。市場にとって28年ぶりの低成長は織り込み済みだった。政府は景気刺激策を打ち出しており、2019年後半には景気が上向いてくるとの見方もある。

 だが先行きを楽観できない不安要因もある。1つは当然ながら米中貿易戦争の行方だ。中国の景気は米中貿易戦争の影響が出始めた昨年秋以降に落ち込みがはっきりし始めた。米国の目的が単に米国の対中赤字を減らすことにとどまらず、長期的な中国の台頭を抑えることにあるならば、両国の対立は容易に解決できないことになる。

 2つ目は不動産に頼った経済成長が取りづらくなっている点だ。中国の都市部の成長は不動産投資による面も大きい。だが、大都市では不動産の高騰による負の影響も大きくなってきた。中小の都市では需要があるか分からないマンションやビルが立ち並んでいることも少なくない。「バブルの破裂」とまではいかなくても、不動産開発によるGDPの底上げと資産効果による消費の伸びを期待することは難しい。

 3つ目はインフラ投資だ。政府はインフラ投資を増やすことで景気を刺激しようとしている。しかし、地方政府の債務問題は深刻で、野放図に増やすことはできない。以前のように、地方政府が投資会社を作り、資金を調達する手法も制限されている。

 米国との貿易戦争はともかく、不動産やインフラ投資については以前から指摘されてきた問題ではある。中国政府は経済成長や国民生活を損なわないように改革を進めようとしているが、問題は残ったままだ。昨年末、中国は改革開放から40年の節目を迎えた。戦後の日本を上回る急成長を遂げた中国はこれから本格的にそのひずみと対峙しなければならない。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/012100019/

 

2019年01月21日 10:38
中国の苦境ヒロ

日本電産の永守重信会長が「尋常ではない変化が起きた。46年経営を行ってきたが、月単位で受注がこんなに落ち込んだのは初めて」(日経)と語っています。日本を代表するカリスマ経営者の一人、そして発言にあまりぶれがない永守会長からこのような言葉が出てくることは驚愕であります。いったい、何が起きたのでしょうか?

日本電産はモーターの会社で、あらゆるモーター分野を手掛けますが、その中でも自動車向けモーターが落ち込み、特に中国向けは11月に前年同期比3割減になったというのです。また、中国向け省エネ家電のモーターも11-12月にやはり3割落ち込んだと記者会見で述べています。

その頃は確かに米中の通商、貿易戦争がはじまり、心理的な圧迫感がありましたが、中国経済の転機はもっとはるか前から起きていた中でアメリカがさらに背中を押したと考える方がすんなりとしています。

中国のGDPを見ると発表ベースでは2007年の14%成長がピークで2018年成長率は6.5-6.6%程度と見られています。ただし、これらの数字は昔からの指摘されている通り相当「盛られている」とされ、1か月ぐらい前に中国の専門家から実態の成長率は1%台と報じられ、その後すぐにその報道が削除されています。

なぜ、中国は停滞期に入ったのでしょうか?5つや6つぐらいすぐに理由は上がるでしょう。その一つに共産党主導型経済運営の破綻が見えてきた点を今日は指摘したいと思います。中国の人口14億人のうち共産党員は9000万人程度いるとされます。共産党員は国家に背くことなく、臣僕である点において中国国家における保守派と言えます。そこで政府、ないしその影響下にある会社が何かを購買する場合を考えてみましょう。A社とB社という選択肢があり、A社は共産党員の会社でB社は非共産党員であればA社で買おう、ということを国家主導で行うのであります。

例えばアリババの創業者、ジャック マー氏が実は共産党員だったということが12月頃に驚きをもって報じられていましたが、国家の成り立ちと同社の成長ぶりからすれば当然であったと言えます。これがもたらす弊害とは自由競争が阻害され、14億の人口に基づく潜在能力を実質1億足らずの公平感を欠いた経済に頼ることに他なりません。つまり、残り13億人を格差し、その持てる能力は埋もれ、将来も確約されたものではない、ともいえるのです。

これは習近平国家主席が主導する権力型国家運営が機能しないことがいよいよ表面化してきたことを物語っているかもしれません。2007年頃までは北京五輪、上海万博で中国が絶頂期にあり、都市部で人が不足し、地方労働者が出稼ぎに来るスタイルはごく当たり前でした。私も当時それを実際に目にしました。

今は作りすぎた製品や住宅にもかかわらず、沿岸部では欧米の価格を凌駕するような物価水準をつけるのはどう考えてもつじつまが合わないものでした。その上、見せかけの雇用確保を通じて安定政権運営をするため、従業員の首は切れない(正確には切りにくい)制度を強化し、否が応でも製造を進め、在庫の山を築くのです。

その在庫に日本電産のモーターも採用されていた、ということであります。その在庫の山をトランプ大統領が揺すり、崩れたことが永守会長の「尋常ではない変化」という発言につながるのでしょう。

中国が陥っている罠とはかつてソ連が破たんした原因の一つである計画経済において世の需要と供給を無視した政府主導のコントロールと同様としても過言ではありません。ここでは説明は省きますが、計画経済は経済がインキュベーション(孵化)状態のときには機能します。また極度な不況の時にも機能します。(それ故、ソ連は1930年代の大不況を計画経済で上手く乗り切った唯一の主要国です。)

勿論、ソ連の計画経済と今の中国経済とは根本が違いますが、結果として同様の道のりを歩んでいるように見えます。その共通点とは経済を国家運営の手段としていることであり、市場の需給を放置している点でしょう。

中国の苦境はそう簡単に脱せないように見えます。

では今日はこのぐらいで。

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中国経済
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https://blogos.com/article/352396/
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/674.html

[経世済民130] 米金融政策に大きな問い「ピットストップ」か「ピーク」か 日銀は現行政策堅持へ−下振れリスク増大 日本株は反落、世界景気や
米金融政策に大きな問い「ピットストップ」か「ピーク」か
Craig Torres、Alex Tanzi
2019年1月22日 17:26 JST
景気の勢いが続き一段の利上げが妥当となる可能性
マネーマーケットは今年の利上げをほとんど想定していない
米連邦準備制度の当局者らの意図を読むのが、これほど容易なことはめったにない。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長をはじめとする多くの当局者が、追加利上げについて「辛抱」という言葉を用い始めたからだ。問題はこの利上げ停止が「ピットストップ(小休止)」なのか、それとも金利の「ピーク」を指すのかどうかだ。

  市場は今、高い確率で今年の利上げ回数をゼロと見込む。昨年12月に公表された連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの見通しは2回。この差は厄介なもので、当局がやはり利上げが必要だと考えれば波乱をもたらす可能性がある。

  バークレイズの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・ゲーペン氏は「当局はデータが明瞭であることを望んでいるだろう」として、追加利上げの場合は「やはりもう少し引き締めると市場に告げなければならないのだから」と話した。

  利上げが継続されると考える理由として、JPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は労働市場の強さを挙げ、「労働市場がさらに引き締まりつつある。賃金上昇圧力は強まってきていると思う」と述べた。

  財政政策も2019年の成長を支える要因だ。ムーディーズ・アナリティクスは政府支出拡大が今年の米国内総生産(GDP)成長率を最大0.4ポイント押し上げ得るとみる。同社の金融政策調査責任者ライアン・スイート氏は「これが引き締めサイクルのピークだとしたら驚きだ」と語った。

  一方、元FRB理事でマネタリー・ポリシー・アナリティクス(ワシントン)を率いるローレンス・マイヤー氏はこれ以上の利上げに懐疑的。「今は危険な時期だ。衝撃があればリセッション(景気後退)に陥りかねない脆弱(ぜいじゃく)性がある」とし、政策金利はまだあまりにもゼロ%に近いと指摘した。同社の労働市場に関する見方に基づけば6月にもう1回利上げはあり得るが、見送る可能性と拮抗(きっこう)しているという。

原題:Pit Stop or Peak Is the Big Question Hanging Over Fed This Year(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-22/PLQ1VD6KLVR401?srnd=cojp-v2


 

【日本プレビュー】
日銀は現行政策堅持へ−下振れリスク増大
エコノミスト:増島雄樹
2019年1月22日 10:12 JST
日本銀行は23日の金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を決定する見通しだ。もっとも、日銀は物価と成長の伸び鈍化、海外リスクの高まりに直面しており、会合では突っ込んだ意見交換が行われる公算が大きい。

前回の決定会合以降、外需の鈍化や円高に伴い輸出に圧力がかかっており、成長の下振れリスクが高まっている
昨年12月の全国コアCPIは前年同月比0.7%上昇へと伸びが鈍化(日銀の物価目標は2%)、原油相場下落や需給ギャップ縮小が影響した
われわれは日銀が2018年度の成長率見通しを引き下げるとともに、19年度と20年度の物価見通しを下方修正すると予想。原油相場下落や輸出の減速、円高を織り込む
ただ、日銀は引き続き景気は緩やかな拡大基調にあるとの見方を維持し、外部環境におけるリスク動向の見極めに辛抱強さを示すだろう。米中通商交渉の行方は不透明感が強い
2%の物価目標達成に向けたモメンタムが続く限り、日銀は政策を堅持する公算が大きい(もっとも、金融不均衡の高まりに対処するため微調整する可能性をわれわれは排除しない)

Bloomberg Japan GDP Tracker Versus Actual Real GDP

             
英語の原文をご覧になるにはこちら:JAPAN PREVIEW: BOJ Set to Stand Pat as Downside Risks Mount (2)

 

日本株は反落、世界景気や米中通商摩擦を懸念−輸出や素材安い
長谷川敏郎
2019年1月22日 7:52 JST 更新日時 2019年1月22日 15:23 JST
IMFは世界成長予想下げ、米は華為技術CFO引き渡し要求と報道
決算見極めムードも広がる、東証1部売買代金は5カ月ぶり低水準
22日の東京株式相場は反落。国際通貨基金(IMF)の世界経済成長率見通しの下方修正や米国と中国との根強い通商問題から、企業業績に対する懸念が強まった。電機や機械など輸出関連、鉄鋼や化学など素材、商社株が安い。

TOPIXの終値は前日比9.94ポイント(0.6%)安の1556.43−4日ぶり反落
日経平均株価は同96円42銭(0.5%)安の2万0622円91銭−3日ぶり下落
  IMFは21日、2019年の世界経済成長率予想を3.5%と、昨年10月時点に比べ0.2ポイント下方修正し、3年ぶりの低水準を見込んだ。また、米政府はカナダで逮捕された中国の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)の身柄引き渡しを正式に求める計画だとカナダ政府に通知した、と加紙グローブ・アンド・メールが報道。同報道を受けて午後には米S&P500種Eミニ先物、中国株ともに下げを拡大、日本株にも売り圧力が強まった。

  大和住銀投信投資顧問株式運用第一部バリューグループの岩間星二シニア・ファンドマネジャーは「米中通商問題に関して楽観に傾き、株価は少し戻ったところにあった」とした上で、「ここからさらにリスクを取るか投資家が迷って売買が少なくなる中、交渉の行方はまだ慎重にみた方が良いと感じさせるニュースが出た」と言う。

  国内企業の決算発表シーズンを前に、東証1部売買代金は1兆7311億円と、18年8月20日以来の低水準だった。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「日本株は株価の戻りと1株利益の低下で割安感が薄れている」と分析。これから決算発表が本格化すると、日本電産に続く形で業績予想を減額する企業が出る公算があり、「決算内容を見極めないと株価がさらに戻るのは難しい」との見方を示す。21日の米国市場休場で海外からの売買注文も少なかった。


東証33業種では石油・石炭製品や鉄鋼、電機、機械、保険、鉱業、化学、卸売が下落
空運や陸運、小売は上昇
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-21/PLPD2O6KLVR501
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/681.html

[経世済民130] 新興市場ETFに資金流入、2週で2200億円超ー株価は年初来5%上昇 スイスのUBS、預かり資産1兆4000億円流出 
新興市場ETFに資金流入、2週で2200億円超ー株価は年初来5%上昇
Yakob Peterseil、Aline Oyamada
2019年1月22日 12:36 JST
iシェアーズ・コア・MSCI新興市場ETFは年初来約6%上昇
BofAメリルやUBSウェルスが新興市場株に強気
新興市場株に投資する上場投資信託(ETF)で規模2位のiシェアーズ・コア・MSCI新興市場ETFに、18日までの2週間で20億ドル(約2200億円)余りが流入した。同ETFは年初来6%超の値上がりで、運用資産は過去最大の543億ドルに達した。

  新興市場株は今年に入り5%余りの値上がり。米利上げ停止の観測と貿易を巡る米中合意の期待でリスク資産への投資意欲が回復した。割安感も寄与し、バンク・オブ・アメリカ(BofA)メリルリンチやUBSウェルス・マネジメントなどが強気の見方を示している。


原題:Emerging-Market ETF Gets Record $2 Billion Amid Stocks Bonanza(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-22/PLPQ6X6S972D01?srnd=cojp-v2


 


スイスのUBS、預かり資産1兆4000億円流出−18年10〜12月
Patrick Winters、Jan-Henrik Förster
2019年1月22日 15:59 JST 更新日時 2019年1月22日 17:48 JST
ウェルスマネジメント事業で80億ドルの純流出
ボラティリティーや保護主義が19年入り後も顧客の活動の重しに
スイスの銀行UBSグループからの預かり資産流出が2018年10−12月(第4四半期)に約130億ドル(約1兆4000億円)に達した。株式市場のボラティリティーと貿易摩擦の悪化で、富裕層顧客が資金を逃避させた。

  グローバル・ウェルス・マネジメント部門からの流出額は約80億ドル、残りはアセットマネジメント部門から流出した。UBSによると、ボラティリティー拡大と保護主義の台頭、地政学的緊張の高まりが19年入り後も顧客の活動と同行の収入の重しになっている。


セルジオ・エルモッティCEO写真家:Giulia Marchi / Bloomberg
  UBS株はチューリヒ市場の朝方の取引で一時5%安となった。現地時間午前9時8分現在は4.2%安。

  UBSは昨年、2つのウェルスマネジメント部門を統合しグローバル・ウェルス・マネジメント部門としたが、その効果が十分には表れていない。年終盤には市場の乱高下で多くの顧客は様子見に徹した。

  UBSは金融危機後、セルジオ・エルモッティ最高経営責任者(CEO)とアクセル・ウェーバー会長の下で投資銀行事業に背を向け富裕層資産運用を中核事業に据えてきた。これによって相場変動からの影響は受けにくくなったものの、富裕層顧客からの預かり資産減少やこうした顧客の取引手控えを通じた影響は免れなかった。

  ウェルスマネジメント事業の調整後税引き前利益は9億1200万ドルと、予想の9億4300万ドルを下回った。投資銀行の同ベースの利益は3000万ドル、同行がまとめた予想は2億2900万ドルだった。ただ、今年中に最大10億ドルの自社株を買い戻す計画と2億7500万ドル相当の税制上の恩典という朗報も明らかにした。

  普通株等ティア1自己資本比率は13.1%。通期配当は1株当たり0.7スイス・フランとした。


アクセル・ウェーバー会長写真家:Jason Alden / Bloomberg
原題:UBS Sees Outflows of $13 Billion After Rise in Market Volatility(抜粋)
UBS Full Year Dividend Per Share CHF0.70
UBS Warns on Client Activity After $13 Billion of Outflows (2)

(第3段落に株価の動きを追加します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-22/PLPZC66KLVR501?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/682.html

[経世済民130] 製造業5割が19年度減益へ、投資・賃上げに慎重 日産いずれルノーに屈する 債券上昇、需給引き締まり円高・株安 米金利低下
ビジネス
2019年1月22日 / 10:01 / 10時間前更新
ロイター企業調査:
製造業5割が19年度減益へ、投資・賃上げに慎重
Reuters Staff
3 分で読む


[東京 22日 ロイター] - 1月ロイター企業調査によると、米国を中心とする貿易摩擦や保護主義などの影響で、2019年度は減収減益を見込む企業が製造業の半数に達していることが分かった。サプライチェーンの見直しを行う企業も3割を超す。
特に自動車産業は半数が見直すと回答。慎重な事業計画が設備投資や春闘への抑制的な姿勢をもたらしつつあることも浮き彫りとなった。
調査は1月7日から16日にかけて実施。資本金10億円以上の中堅・大企業480社に調査票を送付し、250社程度が回答した。
<輸送用機器、7割超が減収減益見込み 供給網見直しも半数超>
米中貿易摩擦の先行き不透明感や米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA=新NAFTA)による生産拠点への影響、日米通商交渉など、日本企業を取り巻く貿易環境は今年、変化を余儀なくされそうだ。
事業見通しでは、調査対象の製造業の47%が19年度は減収の可能性があると回答、50%が減益を見込んでいる。
非製造業でも影響が出ており、28%が減収を、30%が減益を見込んでいる。
企業からは「アジア圏の鋼材需給の変化、市況悪化が国内の生産・販売に影響するリスクがある」(鉄鋼)、「中国企業の設備投資計画延期により受注面で影響を受ける見込み」(機械)といったコメントが寄せられている。
トランプ米大統領による輸入品への高関税賦課やUSMCAによるメキシコでの生産体制への影響などで、サプライチェーンの見直しを行う可能性があるとの回答は、製造業で34%、非製造業でも15%となった。供給網の変更はコストがかさみ、収益への影響も大きいと考えられる。
中でも自動車など輸送用機器では、売上高・収益減少見通しの企業が7割を超えており、サプライチェーンについては小幅なものも含めて57%が見直す可能性があるとしている。
「中国生産から国内生産へ回帰の動き」(紙・パルプ)、「サプライチェーンは柔軟に対処する必要」(輸送用機器)、「生産拠点の見直しが必要」(精密機器)といった声があり、様々な業種に影響が出そうだ。

<設備投資やベースアップに影響も>
こうした慎重な見通しの下、企業は19年度の設備投資を例年に比べて抑制気味にしている。
前年比横ばいが52%、減少が12%と、合計で6割以上が伸び率ゼロかマイナスを見込む。「米中貿易戦争の影響を受けており、見通しが立たない中で抑制方向」(機械)、「消費増税後の市場悪化を想定し、慎重にならざるを得ない」(建設)などの理由が挙げられている。
ただ、国内をみれば、人手不足対応の投資は急務となっており、「人手不足対応のために設備投資を強化」(紙・パルプ)、「クラウド投資などIT投資が目白押し」(卸売)など、前向きな投資も見られる。前年比プラス幅拡大とした企業が22%、プラスだが伸びは抑制方向とした企業は14%あり、「老朽化設備対応は先延ばしできない」(輸送用機器)といった声も多数聞かれた。
春闘における賃上げについても、昨年同時期と比べてやや厳しい姿勢が表れている。
ベースアップを「実施する方向」との回答は全体の42%。昨年同時期の48%よりやや少なめとなった。実施の理由としては「人材確保のため」(小売)との声が多い。「昨年以上」の引き上げ率を見込む企業は10%にとどまり、「昨年以下」との回答が14%と、前年同期を上回った。
「実施しない方向」は58%で昨年の52%よりやや増加。中でも、「鉄鋼・非鉄」や「電機」、「紙・パルプ」は実施せずとの回答比率が6─8割台と高い。「業績低迷が見込まれるため」(非鉄金属)などの理由が挙げられており、賃上げの余裕がない企業も増えている。

中川泉 編集:石田仁志
https://jp.reuters.com/article/reuters-poll-companies-idJPKCN1PF28R

 
 

コラム2019年1月22日 / 09:11 / 1時間前更新

日産、いずれルノーに屈する運命か
Liam Proud
2 分で読む

[ロンドン 21日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 仏ルノー(RENA.PA)と日産自動車(7201.T)の「鬼ごっこ」。日産の西川廣人社長は、鬼のルノーをしばらくかわすことはできるが、最終的にはつかまってしまう恐れがある。

今のところ西川氏は、フランス政府が強く後押しし、日産株43%を持つルノーと、それなりの「間合い」を取ることが可能だ。日産の前会長カルロス・ゴーン被告は昨年11月、会社の資金を不正に使用したとして逮捕され、共謀が疑われているグレッグ・ケリー被告とともに取締役会を追われた。その結果、日産取締役会において親ルノー派は劣勢となった。残る7人の取締役のうち3人は、日産がルノーとの関係を築いた1999年よりもずっと前からその椅子に座り続け、あと1人は経済産業省OBだ。

ゴーン被告の下で集中が進んだ権限の分散化を図っている西川氏は、ルノーの影響力を削る上で、今から夏の株主総会までの期間を使える。例えばガバナンス改善特別委員会は3月、次期会長選任方法などの重要事項について取締役会に提言を行う。ルノーに好意を持たない会長が新たに選ばれれば、ルノー側としても提携強化もしくは統合という最終目標を追求するのは難しくなるだろう。

ルノーにとっては厄介なことに、日産には2015年のルノーとの合意に基づき、ルノーが過剰な経営介入をした場合、ルノーへの出資比率を現在の15%からもっと高くする権利がある。持ち分を25%にすれば、日本の法律が適用されてルノーの議決権が無効になり、株主決議を拒否して取締役指名を阻止する力は弱まる。

ただフランス政府がそうした日産の動きを容認したとしても、日産が抵抗を続けるのは困難だ。日産の少数株主(その3分の1は日本国外が拠点)は、議決権なしの株式を大量に買うことを支持しそうにない。さらにルノーに敵対的な性格を持つ取締役会が長期にわたって株主の人気を保つ公算も乏しい。実際、ロイターが昨年、当時会長だったゴーン被告が両社の統合に向けて動き出したと伝えると、双方の株価は高騰した。

西川氏は日産をしばらくルノーの自由にさせないでいられるとしても、避けがたい結末を先送りするだけのことでしかない。

●背景となるニュース

*日産自動車の西川廣人社長は21日、フランス政府が仏ルノーと日産の経営統合を提案しているとされていることについて、直接聞いていないと述べた。

*日経新聞は20日、フランス政府が日本政府に対して、共同持ち株会社方式を軸に両社の統合を進める意向を示したと伝えた。

*西川氏はルノーとの資本関係見直しに関しては「まだそういう議論をする段階にない」と答えた。

*ゴーン被告は会長在職時、フランス政府の強い圧力を受け完全な統合の可能性も含め、両社の関係強化を進めていた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/renault-nissan-breakingviews-idJPKCN1PG003

 


債券上昇、需給引き締まりに円高・株安も追い風-米金利が時間外に低下
野沢茂樹
2019年1月22日 15:57 JST
日銀が5000億円の短国買い入れ、大幅増額した前回と同規模
国内投資家は金利が残っている超長期ゾーンを買うしかない−岡三証
債券相場は上昇。日本銀行が予想を上回る規模の短期国債買い入れを実施したことや流動性供給入札が無難に消化されたことで買いが優勢になった。午後には円高・株安も相場上昇につながった。

長期国債先物3月物の終値は前日比6銭高の152円58銭。一時152円64銭まで上昇
新発10年物353回債利回りは、日本相互証券の前日午後3時の参照値から0.5ベーシスポイント(bp)低いマイナス0.005%と8日以来の低水準
市場関係者の見方
 岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト

国内勢は金利が残っている超長期ゾーンに行くしかない−イールドカーブにはフラット化の余地も
需給環境の良さに加え、米国債利回りが時間外取引で下がって円高・株安が進んだことも債券の買い材料になった
日銀の短国買い入れがきょうも5000億円だったのは、米金利低下による円高圧力を避けるために中短期金利を抑える狙いか
流動性供給入札
残存1年超5年以下が対象、発行予定額は額面金額で4000億円程度
応札倍率は5.54倍に低下、同ゾーンの前回は5.69倍
岡三証の鈴木氏
流動性供給入札で応札倍率が若干下がったが、需給環境が良好で流通利回りが低下しているので特に不安もない
過去の流動性供給入札の結果一覧
背景
米10年債利回りは22日の時間外取引で一時2.75%台前半に低下
円相場は一時1ドル=109円台前半まで上昇
日経平均株価は0.5%安の2万622円91銭、上海株は一時1%超下落
日銀TB買いオペ5000億円実施、在庫売り意欲強いとの見方
IMF:世界経済成長予想を下方修正、3年ぶり低水準−欧州が減速
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.170% -0.160% -0.005% 0.455% 0.680% 0.780%
前週末比 横ばい 横ばい -0.5bp -0.5bp -1.0bp -1.0bp
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-22/PLPNXS6S972E01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/683.html

[国際25] 習主席が警鐘、中国共産党は「深刻な危機」に直面−景気減速を懸念か  中国ファーウェイ、打ち砕かれる「5G世界制覇」の夢 
習主席が警鐘、中国共産党は「深刻な危機」に直面−景気減速を懸念か
Bloomberg News
2019年1月22日 1:52 JST
政治安定の確保に向け取り組み強化の必要性訴え
習主席は地方政府幹部や閣僚らと異例の会合開催
中国の習近平国家主席は同国指導部との異例の会談で、政治的安定を維持する必要性を強調した。景気減速の社会的な影響について共産党が懸念を強めている兆候が再び表れた。

  習主席は21日に北京で開いた地方政府幹部や閣僚との「セミナー」で、共産党は「主要なリスクを防ぎ、解決する」取り組みを強化する必要があると主張した。国営新華社通信が報じた。習氏は指導部が抱える懸念分野について、政治やイデオロギーから、経済、環境、外部状況まで幅広いとの認識を示した。


習近平国家主席写真家:Andrey Rudakov / Bloomberg
  新華社によると、習主席は「長期的統治の維持や、改革・開放、市場主導の経済、外部環境という点で、共産党は長期的かつ複雑な試練に直面している」と発言。「共産党は精神の緩みや能力の欠如、国民との距離、受動的で腐敗しているといった急激かつ深刻な危機に直面している。これは実際の状況に基づいた総合的な判断だ」と話した。

  同主席は2018年2月を含め、これまでも同様の警告を発してきたが、この日の発言には緊急性が高まったことを示す文言が盛り込まれた。党の「長期的統治」に対する「深刻な」脅威という言い回しは、これまで登場したことがなかった。今回の会合は部外者の入場が禁じられ、主席の発言全文は今のところ公開されていない。

原題:China’s Xi Warns Party of ‘Serious Dangers’ as Risks Mount(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-21/PLOUBF6VDKHS01?srnd=cojp-v2


 

コラム2019年1月22日 / 11:21 / 1時間前更新

中国ファーウェイ、打ち砕かれる「5G世界制覇」の夢
Robyn Mak and Liam Proud
4 分で読む

[香港/ロンドン 18日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)が危機に陥っている。世界各国で「法の壁」と高まるセキュリティー上の反発に包囲されている。だが次世代ワイヤレス通信競争が加速するにつれ、「ファーウェイ封じ込め」の代償は高くつきそうだ。

●各国政府はなぜそんなにファーウェイを警戒するのか

非上場のファーウェイは中国のテクノロジー大手企業だが、その世界的影響力と浸透力はあなどれない。中国人民解放軍出身の任正非(レン・ツェンフェイ)氏(74)が創業した同社は世界最大の通信機器メーカーに成長し、2018年の売上高は1090億ドル(約12兆円)超だとしている。同社はまた、韓国サムスン電子(005930.KS)に次いで世界2位のスマートフォンメーカーでもある。

だが最も重要なのは、ファーウェイが次世代高速通信「5G」技術において最先端にあることだ。同社の台頭により監視の目が強化された。任氏が中国共産党や軍と築いたとされる緊密な関係が、同社の海外進出を悩ませている。同社が自社製モバイルネットワークに「裏口」を組み込んで、中国政府がアクセスできる可能性について各国当局者が懸念を表明しているためだ。

ファーウェイは中国政府の干渉を受けてはいないと主張する。めったにメディアに登場しない任氏は16日、報道陣に対して、そうした懸念を自ら否定した。

米国は、モバイルインフラの更新に向けて準備を進める同盟各国に対して、圧力を強めている。ファーウェイは30件を超える5G契約を結んだとしているが、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が昨年11月報じたところによると、米国政府はサイバーセキュリティー上のリスクを理由に同盟諸国に対し、中国製機器の使用をやめるよう求めている。

米中貿易摩擦が高まる中、昨年12月に事態はさらにエスカレート。任氏の娘でもあるファーウェイの孟晩舟(メン・ワンツォウ)最高財務責任者(CFO)が米国の対イラン制裁違反の疑いでカナダ当局に逮捕された。同CFOは米国に引き渡される可能性がある。

●懸念は妥当か

それはなんとも言えない。2012年の米下院調査は、ファーウェイと中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)(000063.SZ) (0763.HK)について、国家安全保障に脅威をもたらすため禁止すべきと結論付けた。ただし、機密扱いとされていない同報告書は詳細な証拠を一切示していない。

WSJは16日、米検察当局が、米携帯大手TモバイルUS(TMUS.O)などから企業秘密を窃取した疑いでもファーウェイを捜査していると報じた。ただしここで問題となっているのは、スマートフォンの品質試験で使われていた技術である。

中国の国家情報法が疑念をあおっているのは明らかだ。中国の企業や市民が「国家の情報活動」に協力するよう同法は義務付けている。これにより、ファーウェイやZTEの公式声明が何であれ、もし中国政府から要請されればデータの引き渡しを義務付けられる可能性が高まった。

今のところ、オーストラリアとニュージーランドが米国に倣い、自国の5Gネットワーク構築において中国機器の使用を禁じている。日本や英国、ドイツなど主要市場も制限することを検討している。

一方、東欧や中欧でも問題が起きる可能性がある。ポーランド当局が8日、ファーウェイの中国人社員と自国の元安全保障当局者をスパイ容疑で逮捕したのを受け、同国はファーウェイ製品の使用制限を検討している。

●携帯会社は他の5Gサプライヤーを使えばいいのでは

それは可能だが、問題は、ファーウェイ、ZTE、スウェーデンのエリクソン(ERICb.ST)、フィンランドのノキア(NOKIA.HE)のわずか4社がモバイルインフラ市場を独占しているということだ。IHSマークイットによると、2017年の世界売り上げ約370億ドルの9割以上を同4社が占めていた。

とりわけファーウェイが低価格戦略で市場シェアを伸ばして以来、こうした状況は携帯電話会社にとって大きな悩みの種となっている。ファーウェイ製品を禁じるオーストラリアの決断に対する批判的な意見として、例えば、ノキアやエリクソンに乗り換えるとコストが最大3割増しになるとの主張もある。

もう1つは互換性の問題だ。ジェフェリーズの推定によると、現在欧州で使用されている4G機器市場において、ファーウェイ製品は4割のシェアを占めている。従来のネットワークを、異なる機器を使って新たなネットワークにつなげることは、リスクを伴うだけでなく、コストもかかる。

中国企業が排除されたことで、ノキアやエリクソン、さらには意欲的にシェア獲得を狙う韓国サムスン電子は、もし供給不足を補うことが可能だと仮定すれば、世界の通信会社に対する価格決定力を高めることになるだろう。

近年、ファーウェイとZTEにより利ざやの縮小を余儀なくされていた北欧勢は、長期的に見れば得をする可能性がある。一方、消費者は5G使用においてより多くの通信料を支払うことになるだろう。

●中国勢が欧州から完全排除される可能性は

欧州連合(EU)の全加盟国が同意する事項を見つけることは困難であり、中国勢の排除も同様だ。EUは「懸念」すべきだとテクノロジーを担当するEU欧州委員会のアンシプ副委員長は語った。

一方、フランスのルメール財務相は、自国最大の通信会社オランジュ(ORAN.PA)が5Gネットワーク構築にあたり、ファーウェイには頼らないとしているにもかかわらず、同社による投資を歓迎すべきだと述べた。

措置は国ごとで分かれるようだ。例えば、英通信大手BT(BT.L)は5Gネットワークの主要部品からファーウェイを締め出している。

それでもファーウェイ排除で被る損失という点において、欧州の通信会社の方が、米国の同業他社よりも失うものが大きい。

欧州大陸の通信市場はより細分化されている。つまりそれは低価格を意味し、新しいネットワーク投資からそこそこのリターンを生むことさえ困難だ。バーンスタインのアナリストは、同セクターが2021年に投資から得るリターンはわずか8%だと予想する。それは資本コストをかろうじて上回る程度にすぎない。「ファーウェイ外し」は次世代5Gネットワークの通信料を割高にする可能性すらある。

●次に何が起きるか

最終的に、ファーウェイの運命は米国次第だろう。中国通信機器の使用を禁止するよう他国に圧力をかけることと同様に、米議員が提案したように米テクノロジー企業に対しファーウェイ向けの販売を制限することは、同社の事業を損なうことになるだろう。

孟CFOの米国引き渡しが現実となれば、同社に決定的打撃を与えるかもしれない。また、中国政府の反応は、良くも悪くも米中関係を一変しかねない「ワイルドカード」となるだろう。

政府も企業も、そして消費者も、5Gがもたらす副産物に備えるべきだ。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-huawei-5g-idJPKCN1PG03I
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/277.html

[国際25] 米制裁に対抗、ロシア「脱ドル化」の現実味
外為フォーラムコラム2019年1月22日 / 16:21 / 1時間前更新

米制裁に対抗、ロシア「脱ドル化」の現実味
Stephen E. Halliwell
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[16日 ロイター] - 2016年の米大統領選挙でドナルド・トランプ候補の選対本部長を務めたポール・マナフォート被告が、ロシア情報機関との関係を指摘されているロシア側ビジネスパートナーに対し、非公開の選挙データを渡していた疑いがある。

この新情報は、公開された裁判資料によって明らかになったもので、連邦議会が対ロシア制裁を強化する根拠がさらに強化されることになりそうだ。

同じく重要なのは、ロシア政界にもその反響が及びそうだという点だ。ロシア政界では米国による制裁の影響に対する怒りといら立ちが増しているが、これは暗にプーチン大統領の指導力の否定にもつながる。

制裁に直面するプーチン大統領は、もっぱらナショナリズム的な論調を強め、米国の力を侮る態度をとっている。対抗策の1つは、ドルの利用を最小限に、あるいはゼロに抑えることだ。

プーチン大統領は、ドルの利用が米国系金融機関への依存につながるとみている。

だが、石油・天然ガスの輸出から主要な貿易契約に至るまで、あらゆる決済に広くドルが使われていることを考えれば、これは国際的に事業を展開するロシア企業にとっては危うい政策である。

プーチン氏の政策はロシア企業を支援するどころか、ビジネス上、非常に不都合であり、ロシア金融界の重鎮数人が、プーチン氏の手法に伴うリスクを公然と検証するという意表を突く措置に訴えている。

ロシア金融界の最重要人物の1人であるオレグ・ビューギン氏は昨秋、プーチン大統領に「脱ドル化」について警告し、この政策はドル建ての貿易に関係しているロシア企業にとって取引コストの増大をもたらすと指摘した。

ロシア連邦証券市場局長官や大手民間銀行の会長を務めたビューギン氏の主張は現実的だ。

世界の企業の大半が貿易契約を締結する際にドル決済を選んでいるときに、ロシア政府がドルの使用を禁止すれば、ロシア企業が何を売るにせよ、よけいな外為取引を追加で行う必要が出てくる。これにはコストも時間もかかり、ロシア企業のビジネスに負担をかけることになる、というものだ。

欧州復興開発銀行(EBRD)のチーフエコノミストを務めるセルゲイ・グリエフ氏は、さらに批判をヒートアップさせる。グリエフ氏はロシアの主要経済紙ベドモスチに対し「ロシアは、その開発段階や教育水準の高さを考えると、予想よりもはるかにひどく腐敗している」と語った。

ロシアで政府の政策に異議を唱えることは容易ではない。国家はすべてのテレビネットワークを統制しており、ソーシャルメディアへの統制も強めつつある。外国資本が印刷メディアの株式を20%以上保有することを禁じる2015年の法律のおかげで、ロシアの新聞は自己検閲を学ばざるを得なくなった。

たとえばロシアのメディアグループであるRBCは、マナフォート被告が提供したとされるデータを「社会学的な調査結果」と表現し、トランプ大統領の就任式に出席したウクライナ人に関する記事では、マナフォート被告の供述についていっさい触れなかった。

ロシア政府寄りの新聞は「マナフォート被告はロシア情報機関の関係者と協力したのか」という見出しの記事で、このデータを「共和党が実施した社会意識調査」と表現した。だが、米大統領選の期間中、ロシアがソーシャルメディアによる意図的なデマキャンペーンをどのように活用していたかという文脈抜きでは、「意識調査」という言葉は穏やかで些細なものに思える。

ロシア政府の支配下にある西側向けのメディア(「ロシア・トゥデイ」や「スプートニク」)による報道は、さらに恥知らずなものだ。

米紙ニューヨーク・タイムズは当初、マナフォート被告から情報を提供されたとされる人物を誤って報じ、すぐに訂正したものの、(これらロシア系メディア記事の)やり玉に挙がってしまった。

マナフォート被告のビジネスパートナーであるコンスタンティン・キリムニク氏を通じてデータを受け取ったのは、プーチン大統領の信望厚いオレグ・デリパスカ氏ではなく、ウクライナ系の新興財閥経営者2人だった。上記のロシア系メディア2社は、このウクライナ系経営者がロシアと密接に連携している(したがってロシアにとっては優れた連絡役である)点には触れず、ニューヨーク・タイムズの記事を「ロシア嫌い」の新たな1例として紹介したのである。

ベドモスチ(「記録」の意)紙はビューギン、グリエフ氏らにロシア政府に対する警告を発する場を与えている。米紙ウォールストリート・ジャーナルと英紙フィナンシャル・タイムズの合弁事業として誕生したベドモスチは、2015年に外資による過半数所有が禁じられたことにより、ロシア資本となった。

オーナーのデミヤン・クドリャフツェフ氏は、ソ連崩壊の頃に成人を迎えた。新興財閥経営者ボリス・ベレゾフスキー氏の盟友、ウクライナ「オレンジ革命」の活動家、インターネット起業家、また別の大手ロシア紙の総支配人など、カメレオンのようにさまざまな役割を演じ分ける人物である。

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ロシア中銀総裁を務めたセルゲイ・ドゥビニン氏はベドモスチの記事の中で、最近行われた米国人弁護士らとのやり取りを紹介しているが、そこではプーチン氏がもたらす政治的リスクの大きさが浮き彫りにされている。

ドゥビニン氏は、米国の銀行がロシアの銀行との取引を禁じられた場合、一般のロシア国民が保有するドル建て預金はどうなるのか尋ねた。中央銀行総裁の経験を持つ同氏は、そのような制裁によってロシア国内のドル建て銀行口座はすべて凍結されるものと理解している。

米国人弁護士らによれば、米国内での考え方には2つの陣営があるという。一方は、最大限に厳しい制裁の方がロシア政府に対する圧力が増すという考え方。もう一方は、一般国民は除外したいという考え方である。そのどちらが主流になるかという判断は「政治的」なものになるとドゥビニン氏は考えている。

プーチン政権の側からは、政治的な思惑は今のところ聞こえてこない。マナフォート被告とそれ以外のトランプ氏側近との共謀が明らかにされていく中で、制裁は強化される可能性が高く、ロシア企業はさらに苦境に陥ることになる。

結局のところ、トランプ大統領はプーチン大統領が期待していたほど役には立ちそうにない。米連邦議会は、ロシアによるクリミア併合を承認するどころか、米大統領に制裁強化を余儀なくさせている。ロシア国会はシャンパンで乾杯してトランプ氏の当選を祝ったが、ロシアの評論家の1人は最近、トランプ氏について「ロシアの首にぶら下がっている岩」と評した。

ロシア情報機関とトランプ陣営の共謀がさらに暴露される可能性があるため、米国政府による制裁が解除される見通しは暗い。問題はプーチン氏がどう対応するかだ。彼は引き続き、新興財閥の友人たちに、金融的な孤立への引きこもりを支持するよう求めるのか。それとも、ロシアはグローバル金融市場の一部であるという現実を受け入れなければ、自身の政治生命も危ういことを認めるのだろうか。

ドゥビニン氏自身は、自分のドル建て口座をすでに閉鎖したと話している。彼はさらに、ソ連式の「閉鎖経済」は、「テクノロジーと食糧供給の停滞」をもたらすだろうと警告する。このような展望を示されれば、いかにプーチン氏が強力な指導者であろうと、平均的なロシア国民の支持を得られる可能性は低い。

*筆者はシティバンクNAで中東欧の法人ファイナンス責任者を務めた。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/halliwell-putin-column-idJPKCN1PG0HZ
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/278.html

[国際25] ダボス会議、ポピュリスト政治家にはマイナスか
コラム2019年1月22日 / 15:26 / 5時間前更新

ダボス会議、ポピュリスト政治家にはマイナスか
Rob Cox
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[ダボス 21日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ米大統領、カナダのトルドー首相、マクロン仏大統領、インドのモディ首相、そしてメイ英首相──。これら5人の首脳に共通するものは何か。

それは、スイスのダボスで今週開催される世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)を欠席することだ。昨年は5人全員が同会議に出席し、グローバル化についてそれぞれの見方を表明したり、自国が投資に最適の環境だと訴えたりしていた。

だがその後、ダボスは政治的にマイナスだとみなされてしまったようだ。

日本の安倍晋三首相やドイツのメルケル首相など、長期政権を担う首脳は今回出席するが、欧州連合(EU)離脱を決めた2016年の英国民投票や同年の米大統領選後に政権を握った政治家は特に、国内で難局に直面している人が多い。

不公平にも思えるが、大局の問題解決を図るとの触れ込みで、このアルプスのリゾート地で他国のエリートと交流の場を持つことは、自国の問題を悪化させるだけだ、という懸念がある。

欠席予定の首脳が、突然サプライズ出席する可能性は常にある。とはいえ、有力な指導者の多くが欠席しても、同会議の価値は必ずしも損なわれない。出席する首脳は、トランプ氏やマクロン氏の発言にばかり注目していたかもしれないビジネスエリートや資本家、金融関係者に対して、自国をアピールするより多くの機会を得るだろう。

これは、良いことですらあるかもしれない。

メイン会場の檀上を独占する先進国指導者の不在によって、新しく就任したエチオピアのアビー首相は、人口8100万人の同国の良さをより強く訴えることができるだろう。エチオピアの1人当たり国内総生産(GDP)は、隣国ケニアの半分程度にとどまっている。

インタラクティブ:ダボス会議の「勢力図」を読む

ダボス会議の主催者によると、合計で世界GDPの約4分の1を占める国々の首脳、そして同8割近くを担う国々の政府代表が出席する。

実業界のリーダーや、非政府や非営利組織(NPO)の代表も、例年通り大挙して押し寄せる。会場で供されるオードブルのカナッペを適当な方角に投げれば、半々の確立で独保険大手アリアンツ(ALVG.DE)のオリバー・ベーテ最高経営責任者(CEO)のような経済界の重鎮か、日本の特定非営利活動法人「ゼロ・ウェイストアカデミー」の坂野晶理事長のようなNPOの代表に当たるだろう。

著名政治家やその取り巻きで占拠されないことで、ダボス会議は、自らの行動指針の一部により忠実になれるかもしれない。クラウス・シュワブ会長が創設した同フォーラムは、「最高のガバナンス水準を維持しつつ、世界的な公共の利益に資する起業家精神を示すことに注力する」ことを、趣旨の1つに掲げている。

昨年出席した首脳の中には、他人に講義する資格があるのか疑わしい人もいた。

昨年会議のフィナーレで自身の「米国第一主義」政策を明確に主張したトランプ大統領だが、自らのメキシコ国境の壁建設予算要求を巡る議会対立で、米政府機関の一部閉鎖に追い込まれ、その期間は史上最長の5週目に入ろうとしている。

ダボス会議の目的が「壁」ではなく「橋」を築くことであることを別にしても、現在の米国が抱えるガバナンス機能不全は、同会議の趣旨にふさわしいものではない。

いずれにしても、連邦航空局の職員2万4000人を含む約80万人の政府職員が給料を受け取れない事態を尻目に、(スイスに向かう)大統領専用機(エアフォース・ワン)に給油する図は、国内で反発を呼んだことだろう。

トランプ大統領は17日、民主党のペロシ下院議長のアフガニスタン訪問を阻止したことに続き、ムニューシン財務長官を含む閣僚代表団の派遣を取りやめた。米財務長官は、数十年にわたり同会議に出席するのが恒例になっていた。

トランプ大統領とトルドー首相は政治面で似た所はないが、似たような「見え方」の問題に直面している。

トルドー首相が昨年のダボス会議で、2015年の当選以来2度目のスピーチを行った際には、67万8000カナダドル(約5700万円)を超える高額な出張費用が国内で批判された。

「ダボスは、超有力者同士が集まる象徴的存在であり、一般人にはこれといった恩恵がない」と、野党の政治家は4月、カナダ紙グローブ・アンド・メールに語っている。こうした批判は、今年後半に選挙を控えたトルドー首相率いる自由党には歓迎すべきものではないだろう。

ダボス会議の他の常連も、似たような状況にある。

メイ首相は、英下院がEU離脱協定案を否決したことを受けて実施された不信任投票をかろうじて乗り切った。モディ首相は今年の選挙で、党勢を回復した野党インド国民会議派と対峙する。そしてマクロン大統領は、10週末連続でパリを揺るがした「黄色いベスト」抗議運動による政情不安を抑えるため、税制や歳出、他の優先事項についての国家的対話を始めたばかりだ。

それでも会議出席者は、2005年に首相に就任したメルケル首相や、2012年から職にある安倍首相など、先進国の「長老」の話を聞く機会がある。

また、新タイプの破壊的指導者のうち、少なくとも1人が出席する。ブラジルのボルソナロ新大統領は22日、演説する予定だ。また、イタリアのコンテ首相も、就任後初めて出席し、非エスタブリッシュメントな政治連合を代表する。

相次ぐ欠席者によって、ダボスから発信されるニュースの本数は減るかもしれない。結果として、マクロン大統領がトランプ氏にグローバリズムについて説教するかどうかや、トランプ氏がダボス参加者の「エリート臭」を酷評するかといった関心事を巡るスリルは、別のものに取って代わられる。相対的な静寂だ。

これにより、コンゴ民主共和国で性的暴力の被害者救済に取り組み、昨年ノーベル平和賞を受賞したデニ・ムクウェゲ医師の話に耳を傾ける時間が増えるなら、なおさら大歓迎だ。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/economy-davos-breakingviews-idJPKCN1PG0DF
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/279.html

[政治・選挙・NHK256] 毎勤問題、特別監察委「組織的隠蔽は認定できず」 厚労相は自主返納
ビジネス2019年1月22日 / 17:37 / 1時間前更新
毎勤問題、特別監察委「組織的隠蔽は認定できず」 厚労相は自主返納
Reuters Staff
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[東京 22日 ロイター] - 厚生労働省の毎月勤労統計の不正調査問題で、特別監察委員会は22日、厚生労働省が猛省し、関係職員の厳正なる処分が行われることを望む、とする報告書を発表した。

会見した樋口美雄委員長(独立行政法人労働政策研究・研修機構理事長)は「組織的関与ではなく、組織的不関与が問題」としたほか、荒井史男委員(元名古屋高等裁判所長官)も「組織的隠蔽とは認定できない」と述べた。

<統計法違反を認定>

報告書では「統計法違反を含む不適切な取り扱いが長年にわたり継続しており、公表数値にまで影響を与えていたことは、信じがたい事実であり、言語道断」と指摘した。

こうしたことが続いた背景には「担当者はもちろんのこと、厚生労働省として統計の正確性というものに対するあまりにも軽い認識」があったとした。また、不正調査の統計を元に給付されていた雇用保険などで追加給付が必要な事態となったことを挙げ「統計がどのような形で利用されているかについて、想像力が著しく欠如していた」との見解も示した。さらには、長年、漫然と業務が続けられるなど、組織としてのガバナンスの欠如も指摘した。

毎勤統計を巡っては、少なくとも1996年以降、調査対象事業所数が公表資料よりも1割少なかった。また、2004年1月以降、全数調査が必要となっている東京都の規模500人以上の事業所について抽出調査に変更。調査報告書では「事業所からの苦情の状況や都道府県担当者からの要望などを踏まえ、規模500人以上の事業所が集中し、全数調査にしなくても精度が確保できると考えた」と、変更の背景を記している。

04年から17年までは、集計上必要な復元処理が行われておらず、18年のサンプルの入替方法の変更にあわせ、抽出調査に復元処理を行うシステム改修を実施した。ただ、報告書では「隠蔽(いんぺい)しようとする意図までは認められない」としている。

2011年に変更承認を受けた調査計画に記載された内容どおりに調査が行われなかったことは、統計法違反にあたるとした。

外部の弁護士や統計の専門家などによる特別監察委は、事実関係や責任の所在の解明を行うとともに、国民の信頼を回復するための方策などを策定するために、厚生労働相の下に設置された。延べ69名の職員・元職員に対してヒアリングを実施。今回は責任の所在について評価しており、引き続き議論を行い、信頼を回復する方策などは、今後意見を取りまとめる。

<厚労次官など幹部を処分>

特別委による報告書が出たことを受けて、厚生労働省は、関係者の処分を発表した。鈴木俊彦次官と宮川晃審議官の訓告を含め、処分は22人にのぼる。

また、根本匠厚労相、大口善徳副大臣、高階恵美子副大臣は就任時から1月分までの給与(4カ月分)と賞与全額を自主返納するほか、政務官の2人も4カ月分の給与を自主返納する。

根本厚労相は「トップとしてのけじめとして判断した」と述べた。また、自身の責任については「雇用保険などの追加給付と再発防止に全力尽くすことで果たす」とした。

*内容を追加します。

清水律子
https://jp.reuters.com/article/labor-stats-japan-idJPKCN1PG0NP
http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/553.html

[政治・選挙・NHK256] 年2000時間残業が現実解?“お医者さま”信仰の恐ろしさ  医師の残業 年2000時間上限 厚労省案 過労死ラインの2倍
年2000時間残業が現実解?“お医者さま”信仰の恐ろしさ

河合 薫
健康社会学者(Ph.D.)
2019年1月22日
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厚労省は、医師の残業時間上限を、最大で「年間1900〜2000時間とする」という制度案を提示した(写真=shutterstock)
 「“お医者さま”が“お医者さま”である以上、長時間労働も減らなきゃ、女性医師も増えない。ましてや孫の顔を見るなんて夢のまた夢」

 こう話すのは、医師のお嬢さんを持つ60代の男性である。

 先日、女性活躍をテーマにした懇談会があり、「女性医師の4割超が出産と同時に退職を余儀なくされている」と大手新聞が報じたことが話題となった(関連記事)。その理由として、育児休暇を取得しようにも「制度がなかったから」という声が少なからず聞かれたことには、なんとも驚かされた。

 「女性の更衣室がなかったので、今作っているんです!」とか、「役員フロアに女性用トイレがなかったので、今作ってるんです!」という話は聞いたことがあるが、法的に取得が認められている育休がないって?いったい何??

 「医師が労働者なのかと言われると違和感がある。そもそも医師の雇用を労働基準法で規定するのが妥当なのか」と日本医師会の横倉義武会長が発言し、問題になったことがあったが、“医師=聖職者”は育児をしないということか。

 なんてことを私がブツブツ言っていた時に、前述の男性が「うちの娘も……」と切り出し、所詮“お医者さま”と、医師の世界を嘆いたのである。

 むろんこの男性は皮肉を込めて“お医者さま ”という言葉を使っていたわけだが、今の時代、この言葉に対して違和感を持つ人が少なくないかもしれない。

 なんせ何年も前から患者が“患者さま”になり、一方で、人の命を預かる責任の重さ、過労死ラインを超える長時間労働、深夜勤務、患者や家族とのデリケートな人間関係などなど、過剰なストレスの雨に追い詰められている医師は極めて多い。「人の命は重いというけど、医師の命は別か?」と嘆く人たちもいる。

 中でも研修医の労働環境は過酷で、研修開始後に抑うつ症状を訴える割合が20%近くになるとの報告もある(「初期研修における研修医のストレスに関する多施設研究2010-12」)。

 その一方で、私の両親の世代にとってはまぎれもなく“お医者さま”。父が入院したときには、普段は結構傲慢な父が(苦笑)、担当医に対してだけは私たち家族が驚くほど敬意を持って接し、その言葉を絶対的に信頼し、驚いた。

 いずれにせよ、過去30年間で社会のルールも規範も大きく変わり、“お医者さま”を取り巻く環境も様変わりした。にもかかわらず、「過去の威光や幻影」から逃れられない人がいて、それが「現場の涙」につながっていると男性は憤っていたのである。

 とはいえ、これは医師の世界に限ったことではない。一般企業でも現実と乖離した感覚をお持ちの“社長さまや会長さま”はいまだにご健在である。

 というわけで、今回は「現場と上を隔てるモノ」についてあれこれ考えてみようと思う。

 まずは冒頭の男性のお話からお聞きください。

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医師の残業時間上限は「過労死ライン」の倍
「下の娘が医師なんです。産婦人科です。本人は産婦人科が激務だってことは承知していたみたいですけど、親からすれば異常な働き方です。私は一般企業に勤めているので、産科の方が女性医師が多いので育児と仕事も両立しやすいのかと勘違いしてました。

 とてもじゃないけど、あれじゃあ、育児なんて無理ですよ。

 だって、女なのに、あ、こういう言い方したらいけないのかな? でもね、やっぱり女なのに夜勤はしょっちゅうで夜中に呼び出されるのは日常茶飯事だし、そのまま翌日は勤務しているし、すべてが時間外勤務を前提にしている。不満があっても上司に物申すのはキャリアに傷がつくとかで、我慢するしかない。

 患者さんからは何かにつけ怒られ、感謝されることは滅多にない。時間外勤務のペイもないですからね。患者さんのこと考える前に、娘には自分の体を考えてくれって言ってます。

 そもそも勤務時間を管理するという発想が医師にはないんです。

 医師の働き方改革に関わっているのって、偉いお医者さまばかりでしょ? 自分たちは特別な存在だという意識が強いんですよ。だから周りの声が届かない。会社でもそうでしょ? うちの会社も今でこそ残業をタブー視するようになりましたけど、ちょっと前までは『残業するほど仕事があるなんてうれしいじゃないか』とか平気で言ってたし、何かというと『最近の日本人はヤワになった』とか言ってましたからね。

 長時間労働やパワハラやセクハラが問題になると、時代が許さなくなったっていうけど、時代が変わったからタブーになったんじゃないですよね?

 今も昔も人間は人間でしょ? 昔だって過労死していた人はいたし、過労自殺した人だっていたはずです。そうですよね? 

 “お医者さま”幻想を捨ててもらわないと、若い命が潰されます。うちの娘も他人事じゃないです」

 ……“お医者さま”。なんと罪深い言葉なのだろう。

 真剣に医療に取り組んでいる“お医者さま”には申し訳ないけれど、職業意識が高ければ高いほど、社会的地位が高ければ高いほど、「僕たちのルール」は強固になる。「人の命を預かる特別な仕事なのだから、身を削って働いて当たり前」「いい医者になるなら、寝食を忘れて働くことも大事」「自分たちの仕事を、一般の人たちと同じルールで考えてもらっては困る」――。

 先日、医師の残業時間上限を「年間1900〜2000時間とする」という驚愕の制度案を厚生労働省が提示したが、これも、“僕たち”のルールを重んじた結果だ。

 一応「地域医療に欠かせない病院に勤務する医師に限って」という条件付きだし、2035年度までという期限付きだし、終業から次の始業まで最低9時間休息させ、連続勤務を28時間までに制限する健康確保措置を義務づけるとされているけど、年2000時間がどういう数字なのかよく考えてほしい。

 月に換算すると167時間、週に38時間の残業が許されるってこと。いわゆる過労死ラインの倍。実際の世界で、過重労働により若い医師の命が奪われているという現実が軽んじられているようで、釈然としないのだ。

次ページ「極めて現実的な数字」と理解を示す“お医者さま”たち

「極めて現実的な数字」と理解を示す“お医者さま”たち
 ところが、“お医者さま”たちは「極めて現実的な数字」と、厚労省案に一定の理解を示した。

 医療従事者向けサイトm3の報道によれば、今から 1年前の厚労省検討会でも、同省が示した残業の削減や規制に対する基本的な考え方に対して、以下のような意見が相次いだとされている。

「一貫して“医師は被害者”という論調になっている。長時間労働でも、生きがいを持って仕事をしている医師たちは山ほどおり、そうした医師のことが考えられていない」(日本医師会副会長の中川俊男氏)

「労働時間とストレスの関係を調べた調査では、医師については、両者が相関していない。医師の仕事の特殊性を認識してもらいたい」(日本医療法人協会会長の加納繁照氏)

「自分自身の仕事に誇りを持ち、それに満足している医師がいる一方、過労死する人もいる。リスクがある人をいかに見出すかを考えていかないと、労働時間の規制という外形的な仕組みだけを作ってもうまくいかない」(国立病院機構理事長の楠岡英雄氏)

 おそらく私のような「医師の世界の外」の人間が意見を言おうものなら、「アンタは何もわかっていない。目の前で助けてくれと言う患者を見捨てろと言うのか!」「今、働き方改革を強引に進めれば地域医療は崩壊する」と怒鳴られるに違いない。確かに、マンパワー不足が極めて深刻な医療機関も少なからずあるのだろう。だが、「生きがいを持って」仕事をしようとも、どれだけ「誇りを持って」いようとも、長時間労働をすれば心臓や脳はダメージを受ける。前向きな気持ちとは裏腹に、心身は確実に蝕まれる。

 先々週の同省検討会では「(月160時間以上残業をしている)勤務医2万人をなくすことに意味がある。段階を踏んで一般の労働者と同じような働き方ができるよう目指していくことが大事だ」という見解だったそうだが、その過程での悲劇は仕方がないということなのだろうか。

 これまでの議論では「医師の場合、労働量とストレスの間には相関がない」と主張もあったようだが、これってどこぞの大学病院の「女子の方がコミュ力が高い」を彷彿とさせるトンデモ見解である(関連記事:男らしい!順大不正入試「女子コミュ力高い」論)。

 そして、何よりも医師の健康状態は、そのまま患者に跳ね返るとする以下の調査結果をどう説明するのか、是非とも教えてほしい。“お医者さま信仰”が医療ミスを誘発するという意見にはなんと答える?

● 長時間勤務になると、針刺し事故が統計的に有意に増加
(Ayas NT, Bager LK, et.al .Extended work duration and the risk of self-reported percutaneous injuries in interns. JAMA ,2006)

● 3日に1回 24 時間以上の長時間連続勤務をした場合と長時間連続勤務の上限を16時間、週当たりの勤務時間を60時間に制限した場合を比較すると、24時間以上の連続勤務の「処方ミスと診断ミス」が明らかに多い
(Landriga CP, Rotheschild JM, et al. Effect of reducing interns’ work hours on serious medical errors in intensive care units. N Engl J Med,2004 )

● 前日に当直であった医師が執刀した手術後 の患者においては、合併症が45%多かった
(Haynes DF, Schewedler M, et al. Are postoperative complications related of resident sleep deprivation? South Med J, 1995) ……etc.,etc.

次ページ「ムリ!」な制限から生まれる解決策もある


「ムリ!」な制限から生まれる解決策もある
 そもそも、ルールを現実に合わせることが必ずしも正しいとは限らない。

 むしろ「ムリ!」というような制限を設けるからこそ、現実の問題が解決されることの方が多い。それだけの知能を人は身につけている。同じ医療現場でも、子育てもしながら生き生きと働く女性医師の多い病院だってある。

 とどのつまり「患者さんのため」という美しい言葉で医師の世界を美化し、「あとは現場でよろしく!」と高みの見物をしているとしか思えないのである。

 東京都内の公的医療機関の産婦人科に勤務していた男性医師(30代半ば)が2015年7月に自死したのは、時間外労働が月170時間を超えるなど長時間労働が原因だった。これは、残業の実態を以下のように記した方が、その異常さがはっきりと「見える」かもしれない。

1カ月前(6月12日−7月11日) 173時間20分
2カ月前(5月13日−6月11日) 165時間56分
3カ月前(4月13日−5月12日) 143時間24分
4カ月前(3月14日−4月12日) 148時間19分
5カ月前(2月12日−3月13日) 208時間52分
6カ月前(1月13日−2月11日) 179時間40分

 死亡前の6カ月間の休日は5日のみ。それでも男性医師は気丈に振る舞った。ボロボロになりながらも周りから気づかれないように、患者さんのために命を削ったのだ。

 もし、上司に「時間を管理する」という当たり前の認識があれば、彼を救うことができたんじゃないのか?

 2016年1月には、新潟市民病院で後期研修医として働いていた女性医師(死亡時37歳)が命を絶ったときも、時間外労働は異常さを極めていた。

 電子カルテの操作時間やセキュリティカードの入退室時間、車での通勤に使っていたETC記録、手術記録などから残業時間を算出したところ、最長で月251時間にも達していたのだ。

 が、自己申告の残業記録では月20-30時間程度。この誤差は何に起因しているのか。組織の上階を陣取る“お医者さま”は、ほんの一瞬でも想いを巡らせたことがあるのだろうか。医師の仕事の中には看護師さんに任せられるのにそれを任せないケースや、「36協定」すら理解していない医師も多いと聞くけど、そのことももっと問題にすべきではないのか。


どれだけ「生きがいを持って」仕事をしようとも、「誇りを持って」いようとも、長時間労働をすれば心身はダメージを受ける
次ページ「医師が足りない」は本当なのか?


「医師が足りない」は本当なのか?
 過労自殺に関わってきた弁護士は「医師が足りない」と口をそろえる。

 一方、医師たちに意見を聞くと「足りない」との声の一方で、「いやいや、問題は労働時間が少ない開業医の多さだ」「長期的に見れば余るくらいだ」「最大の原因は医師の遍在化だ」といった意見も少なからず聞かれる。

 医師は足りているのか? 足りていないのか?

 厚労省は2016年、「2040年時点では医師の供給が需要を1.8万〜4.1万人上回る」との推計を示しているけど、元になっている医師数のデータか未来予測のどちらかに大きな問題があるんじゃないのか。予測が難しいのは理解できるが、次々と明るみになる同省の「データ偽造問題」を鑑みると、何が現実的で何が現実的じゃないのかすらわからなくなる。

 いずれにせよ、「現実を鑑み、患者さまの不利益にならぬよう進めていくことが肝心」という意見はごもっともだが、一番の問題は、現実の「異常さを知覚できていない」こと。“お医者さま”の当たり前は本当に当たり前なのか?と考え、ズレを知覚する努力から始めない限り、若い命がないがしろにされる事態は続いていく。

 実に残念なことだけど、人間の「知覚」とは実にやっかいな代物なのだ。心理学における「知覚」とは、「外界からの刺激に意味づけをするまでの過程」のこと。このメカニズムを理解するのによく使われるのが、ジェローム・セイモア・ブルナー博士の「カードの心理実験」である。

 博士はカードの中に、「赤のスペード」と「黒のハート」を交ぜ、ほんの数秒だけ見せて「なんのカードだったか?」を答えてもらう実験をした。その結果、ほとんどの人が「黒のハート」を「スペード」、「赤のスペード」を「ハート」と認識した。黒のハートの4を「スペードの4」と、赤のスペードの7を「ハートの7」と答えたのだ。

 なぜ、「黒のハートがスペード」に見え、「赤のスペードがハート」に見えるのか?

 答えはシンプル。“当たり前”に囚われているから。つまり、「知覚とは習慣(=文化)による解釈」であり、職場にはびこる数々の「意味不明」は、心が習慣で動かされていることが深く関係している。「医者の世界の常識が世間の非常識」なのは“お医者さま文化”に適応した結果なのだ。

 残念なのは、最初は異常さに気づいていた若手でさえ、仕方なく周りに合わせていくうちに、「おかしいことをおかしい」と知覚できなくなり、「アレはアレで意味あること」という信仰に変化するってこと。

 で、このやっかいな「知覚」を変化させるもっとも有効な策が、「声」を聞くことだ。ひたすら聴覚を駆使し、相手の言葉を聞き続ける。知覚を変えるには「他者の力」が必要不可欠だ。目・耳・鼻・舌・皮膚の感覚器官からインプットされる情報のうち、耳だけは他者の力なくして機能しない。

 私が知る限り、働く人が生き生きとしている職場のトップは、例外なく現場を歩きまわり、現場の声に耳を傾けている。“お医者さまの耳に念仏”では、救える命も救えません。

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Bleacher

なし

河合氏お得意のいつものきれい事。
そう言うからには、自分や自分の家族が急病で病院を訪れても、医師不足を理由に診察を断られても文句を言わない覚悟があるのでしょうね。

絶対ないよこの人。そういう目に遭ったら遭ったで、絶対叩くから。

2019/01/22 16:12:065返信いいね!


河合 薫

健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士

いつもご批判ありがとうございます! 

2019/01/22 16:24:173いいね!


kaijin


河合さんご本人が返信している!?

2019/01/22 17:17:48返信いいね!


R

Ph.D.

海外に行くといつも思いますが、大抵の大都市には、「超巨大病院」があります。病床数の規模だけでなく、スタッフの数や併設する研究機関の保有する高額な研究設備も含めての話です。
地域の病院は、自分たちの手に負えない患者を、そういった大病院に紹介し、自分のところではすぐに対処できるような患者のみを診ることにより、効果的に医療リソースを振り分けています。
また、大病院の方も、本当に重要な治療を終えたら、積極的に患者を退院させ、必要以上にベッドを埋めないようにしています。
ところが日本では、「中病院」ぐらいの中途半端な規模の病院が林立していて、中途半端な数の医師やコメディカルが、中途半端な重症度の患者を診ることになります。
これでは効率の良い医療など、期待できるはずもありません。
思い切って、大都市に1つ、東京でさえ3つ程度の「超巨大病院」を作って、医療リソースを潤沢に集積させ、そのかわりその他の病院の機能を可能な限りシンプルにすれば、医師の働き方を含めて、日本の医療の抱える問題がかなりの割合で解決できると思うのですが、いかがでしょうか。
2019/01/22 19:24:33返信いいね!


nametogi

娘が医師でした。病院勤めをやめて今は自分の道を切り開こうと努力しています。医師だった頃、たまに顔を合わせると疲れているのか顔つきが暗くて病気かと心配になるほどでした。上司から可愛がられ、看護師さんからも「女医さんでも先生とはうまくやって行けそう」と言われてたそうで、職場の人間関係に問題はなし。仕事にもやりがいを感じていました。なのにちっとも幸せそうに見えません。
病院をやめて飛びこんだ世界も甘くなくて大変なことが多そうですが、明るい表情がもどってきて安心しています。
2019/01/22 19:32:56返信いいね!


EDV9000

ITストラテジスト

 20年ほど前、総合病院の電子カルテ導入作業の院内側のプロジェクトマネージャーをしたことがあります。
 電子カルテ導入の目的として、医療情報を標準化すること、共有を簡単にすることで、医師個人毎に属人化している医療行為をグループ医療に切り替えて、医師個人の負担を減らしたり医療行為を一定水準するというのもありました。
 現在では電子カルテは当たり前の装備になっています。それでも状況が大きく改善されていないのは、医療関係者の意識が古いままのためという感じがします。
 確かに仕事を覚えるために熱心に働く必要があるのはわかりますが、医師も人間らしい生活が必要だと思います。それに慎重な判断が必要な仕事なのに、いつもヘトヘト、寝不足状態だったら、受診する側の安全も確保できないでしょう。
 自分の利便性のためには、他人の人生がどうなろうと構わないというのは、回り回って自分のクビを絞めることになると思いますよ。
 僻地とかで医師が足りていない病院は、労働条件と研究条件を大幅に改善してみたらどうでしょうね。治療と同時に、自分の研究も進めたいという医師は多かったです。それと必ず複数の医師を同時に雇い、孤立化させないといった工夫も必要だと思います。
2019/01/22 19:55:21返信いいね!


河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学
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2019.01.22(閲覧中)
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医者はなぜ忙しい?残業年2000時間の衝撃 医師の視点
中山祐次郎 | 一介の外科医
1/12(土) 14:29
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医師の労働時間は過労死レベルをはるかに超え、過労死する医師のニュースは続いている(写真:アフロ)

厚生労働省は先日、医師の残業時間の上限を「年1900〜2000時間」とする制度案を示した。

年2000時間とは、月に167時間、週に38時間だ。

一週間に38時間の残業時間は、想像がつくだろうか。月曜〜金曜までの週5日勤務とすると、1日7時間36分の残業となる。勤務時間ではなく、残業だ。

9時〜17時の勤務の場合、朝7時〜夜22時36分まで働くということだ(上限いっぱいの場合)。

ここまで考えて、外科医である筆者は「ああ、とてもリアルな数字だ」と感じた。

病院勤務医で、内科や外科など忙しい科では7時〜22時36分はとても自然だからだ。

なぜ医者はこれほど忙しいのだろうか。

そもそもなぜ医者は忙しいのか?
医者が忙しい理由はなんだろうか。なぜ超長時間労働なのだろうか。

一般的なイメージでは、白衣を着て椅子に座り、「今日はどうしましたか」と話しているのが医師だろう。

しかしそれは開業医で、多くの医師は病院の勤務医として働いている。

開業医の場合、個人でやっていることが多いので労働時間はある程度コントロール可能だ。

しかし病院勤務医は一般に超長時間労働をしている。

その理由は、主にこの3点に集約される。

1, 人間相手であり予測がつかないが、交代制ではない

2, 当直という業務

3, 医師でなければならない仕事以外が多い

少し長くなるが、順に説明したい。

1, 人間相手であり予測がつかないが、交代制ではない

医師の仕事は、病気で困っている人を相手としている。どんな病気なのか、どれほど重いのかを明らかにする「診断」と、痛みや苦痛を取り日常生活を送れるようにする「治療」の2つのパートがある。

「診断」はある程度の検査手順(アルゴリズム)が決まっている病気が増えてきた。だから、医師としては仕事量はそれほど予測不可能ではない。例えば胃が痛い人には、問診で詳しくどんな時に痛いかを聞き、胃がんや胃潰瘍を疑ったら採血と胃カメラとCT検査をする、という具合だ。

しかし、「治療」は実に人それぞれだ。

筆者は大腸癌などの手術を専門とする外科医で、これまで2000件以上の手術に携わってきた。これだけの数になると、似た背景で、しかも似た病気の進行具合の患者さんの手術を多く行っている。

例えば60代前半で仕事引退間近の、中肉中背の男性が、ステージ2の直腸癌で手術を受ける。同じ検査をし、手術の方針とする。

腹腔鏡手術で、5mmの小さい傷を4ヶ所とへそに4cmの傷を一つで2時間で終わる。出血はほぼゼロだ。

多くの患者さんは翌日歩くことができる。尿の管を外す。そして手術後数日して、食事を始める。

この辺りから、少しずつ人によって違ってくる。

ある人はなんとなく食欲がない。ある人はお腹がパンパンに張ってしまう。ある人は高熱を出し腹痛がある。ある人は食事を全量ぺろりと食べる。

稀には、痛み止めが合わず全身にブツブツができる。手術後ずっと声がかすれる。

これらは合併症(がっぺいしょう)と呼ばれる。そっくりな患者さんにほぼ同じ手術をしても、患者さんによって合併症が起きたり起きなかったりするのだ。

もちろん外科医は合併症が起きないよう日々研究をしているが、それでも一定の割合で起きる。

手術ならまだ予測はつきやすい方で、抗がん剤治療や他の病気の治療だともっと予測はつきにくい。

このように、治療の結果を正確に予測することはとても難しい。しかし患者さんにとっては、一生に一度の治療で、大切な自分の体だ。「あなたの前の人まで100人上手く行っていましたが、あなたで途絶えましたね」と言われてハイそうですかと言える人はいない。筆者だって怒るだろう。

しかし、医師の実感として感じること、それは「医療とはとんでもなく不確実である」ということだ。時々、筆者は「絶対に外してはいけない天気予報」をしている気になる。不謹慎を承知で言えば、天気予報が外れても人は死なないし訴訟にならないが、医者が外すと極めて重大なことになるし訴えられることもある。

だから、医師の勤務時間は極めて難しい。普通の医師は、責任感から土日や休日であっても病院に顔を出し、患者さんに予測外のトラブルが起きていないかをチェックする。入院したことがある人なら、休日に医師がちらっと来た経験がある人も多いだろう。筆者も原則、出張などがなければ、休日と定められていても100%患者さんを見に1日1回は病院へ行く。

そして、医師は交代制のところが非常に少ない。「主治医制」といって、一人の患者さんには一人の主治医がいる。主治医は担当患者さんに全責任を持つ。24時間365日だ。ところで人間の体は休日も稼働しており、もちろん患者さんは土日でも大晦日でも元旦でも熱が出る。すると主治医はすっ飛んでいって治療をするのだ。

そのような体制だと、医師は「今日はあの患者さんが心配だから遅くまでいる・病院に泊まる」ということがある。

だから医師の勤務時間は必然的に超長時間になるのである。

2, 当直という業務

医師には「当直(とうちょく)」という業務がある。これは、法律で決まっている。ある大きさ以上の病院は、必ず夜間も休日も医師が病院内にいなければならない。これを当直という。

当直中の仕事は、病院によって様々だが、「救急外来で急患を診察する」場合と「病院内に入院している患者さんの不測の事態に対応する」場合がある。前者は徹夜で働くこともある。後者でも、前述のように人間の体は時を選ばず悪くなるから、結構色々な仕事が発生する。

これが、医師の仕事の特殊性だ。

そして信じてもらえないとは思うが、当直で一晩働いた後でも医師はそのまま翌日の勤務に入る。殆どの場合休憩時間はない。

ちなみに、多くの病院は労働基準法に違反した状態で働かせているが、これは昔からなのであまり誰も声を上げない。

労働基準法は、

・常態としてほとんど労働する必要のない勤務

・原則として、通常の労働の継続は許可しない

を規定している(医師の宿日直勤務と労働基準法より引用)。

だいたい40時間くらい連続で勤務するのだが、「眠くないの?」という声が聞こえてきそうだ。

ハッキリ言うが、眠い。当たり前だ。そしてこの当たり前を証明した研究もある。

激務の人の場合、アルコールを飲んでいないのに、同じくらい反応が遅れていました。ほろ酔い状態と同じくらい、脳のパフォーマンスが落ちていたのです。

出典:市川衛 「酒酔いの医師が、手術室に入ってきたらどう思う?医師の働き方問題は、私たちの安全問題でもある」
当直を含む1回の勤務で、看護師が5, 6人交代することは普通だ。看護師ももちろん激務だが、それでも「ゼロ交代」の職としては時々羨ましくなる。

3, 医師でなければならない仕事以外が多い

最後は、医師が超長時間勤務でやっている仕事は、実は 医師でなければならない仕事以外が多い点を述べておく。

医師には、実は書類仕事や単純作業が多い。筆者が研修医のころは、勤務病院では点滴の針を刺すのは医師でなければならないとされていた。しかし法的にもそんな根拠はなく、途中から看護師の業務となり、医師の仕事に集中できると喜んだのを覚えている。

しかし、おそらく今でも医師の業務とされている病院はあるだろう。不思議なことに、病院ごとに全くルールが異なるのが医療界だ。

書類仕事は、わずかな医療知識と電子カルテの操作法がわかれば医師でなくても出来るものが多い。これはかなり事務員などに置き換わってきたが、これを更に進めること(タスク・シフティングという)を厚生労働省は推進している。

この点は改善の見込みがあると言えるだろう。

本気で解決するには?
では、医師の超長時間労働を解決するにはどうすればよいだろうか。筆者は医師だが、現場の医師の立場のみならず、日本の医療全体の視点で考える。

その答えは、「医師数を増やすこと」「病院を統合して数を減らし、医師を一ヶ所に多く集めて交代制にすること」である。

医療費は増え続けている中で、医師数を増やすことは容易でない。

こちらは医師の給与単価を下げ、医師数を増やすことで解決できる。給与単価を下げると質が下がるという意見があるが、医師過労死が続く状態を放置できない。また、医師たちが「ほろ酔い」レベルで行っている医療と、どちらの質が高いだろうか。

また、病院統合はステークホルダーが多すぎて調整不可能だ、と厚労省の意見が聞こえてきそうだ。ならば、診療報酬点数に傾斜をつけるなどして、お得意の政策誘導で行えば良いのではないか。

手を打たないとどうなる?
手を打たないとどうなるか。

現状では、医師は医師免許取得後、まず病院で研修を行う。数年してから開業するもの、そのまま病院勤務医を続けるものと分かれる。

近年では第三の道として、医師でない仕事をするものが増えてきた。

医療知識を生かして起業したり、製薬企業など医療関連企業に勤めるという方法だ。

私の予測では、第四の道として、海外へ活路を見出す医師が出始めると考えている。その国在住の日本人向けの診療をする、あるいは高度な技術によりその国の医師免許を得て、現地の医師として働くという道だ。日本よりはるかに短時間勤務で、はるかに高い質の生活が可能になる。

海外に医師を紹介するエージェントもあると聞く。

以上、医師の残業時間のニュースから、医師が忙しい理由と、これからの医師についてまとめた。

(追記 2019.1.12 21時)

なお、今回の厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」では、医師の超長時間労働を和らげる案が出ていることも注目に値する。

ポイントは、「36時間連続勤務」のような命の危険がある過酷な勤務はやめさせ、必ず当直明けには休めるようにしている点だ。例えば9時から24時間勤務した場合は、翌日の13時には帰り、必ずその日は休ませるとしている。

さらに、その当直が本当に「泊まるだけ」(宿日直許可)の時かどうかを病院にチェックさせるという点も重要である。

詳細は以下をご参照下さい。

「当直及び当直明けの日を除き、24 時間の中で、通常の日勤(9時間程度の 連続勤務)後の次の勤務までに9時間のインターバル(休息)を確保。当直明けの連続勤務は、宿日直許可を受けている「労働密度がまばら」の 場合を除き、前日の勤務開始から 28 時間までとすること。この後の勤務 間インターバルは 18 時間とすること。長時間の手術や急患の対応などやむをえない事情で必要な休息時間が確保できない場合は、その分を積み立て、別途休暇を取得させる「代償休暇」 とすること。」

(第16回医師の働き方改革に関する検討会 資料より抜粋)

(追記ここまで)

※本文中の「医師」は、おおむね病院勤務医を指しています。

※厚生労働省の議論の詳細は、この厚生労働省のページから見ることができます。

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中山祐次郎
一介の外科医
1980年生。聖光学院中・高卒後2浪を経て、鹿児島大学医学部卒。都立駒込病院で研修後、同院大腸外科医師(非常勤)として10年勤務。2017年2月から福島県高野病院院長、現在福島県郡山市の総合南東北病院外科医長として、手術の日々を送る。資格は消化器外科専門医、内視鏡外科技術認定医(大腸)、外科専門医など。モットーは「いつ死んでも後悔するように生きる」。著書は「幸せな死のために一刻も早くあなたにお伝えしたいこと」(2014年幻冬舎)、「医者の本音」(SBクリエイティブ 2018年)。Yahoo!ニュース個人では2015年12月、2016年8月、2017年6月、2018年6月のMVA賞を受賞。

NakayamaYujiro
yujiro.nakayama
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https://news.yahoo.co.jp/byline/nakayamayujiro/20190112-00110967/

 
2019年1月12日(土)
医師の残業 年2000時間上限
厚労省案 過労死ラインの2倍
 厚生労働省は11日、医師の働き方改革に関する検討会に、地域医療に従事する医師らの残業時間の上限について「年1900〜2000時間」などとする案を示しました。

 月平均で160時間となり、過労死ラインに匹敵するとして問題になっている一般労働者の残業上限・年960時間(来年4月から順次実施)の2倍にもなる異常なものです。

 同省が示した残業時間の上限案は、一般的な医療機関の医師▽地域医療に従事する医師▽技能の向上が必要な医師―の三つに区分して設定します。

 一般的な医師は、一般労働者並みの「年960時間」とする一方、地域医療を担う医師の場合は、医療提供に支障が出る恐れがあるとして特例時間を設ける考えを示しました。

 ただし、次の勤務まで一定の休息時間を保障する「勤務間インターバル」を9時間以上、連続勤務時間を28時間までとするよう義務付けるとしています。

 医師の残業上限規制は2024年度から適用し、特例については、医師の「偏在」解消の目標時期に合わせて35年度末までとする考えを示しました。

 同省は、現状でも年間1920時間を超える勤務医は全体の約1割にものぼると説明。医師の抜本的な増員を置き去りにしたまま、すでに広がっている長時間労働を容認する考えを示しました。

 委員からは「2000時間まで働かせていいという誤ったメッセージになってはいけない」「上限より引き下げていくものでなければならない」などの意見が出されました。
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-01-12/2019011204_04_1.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/554.html

[国際25] 「日本からサイバー攻撃」、ロシア外務省が名指し  
「日本からサイバー攻撃」、ロシア外務省が名指し

吉野 次郎
2019年1月21日
7 84%
 
全680文字
 ロシア外務省のザハロワ報道官は1月中旬、厳しい表情で記者会見に臨んだ。「ロシア外務省のウェブサイトは2018年1〜9月に7700万回のサイバー攻撃を受けた」と訴え、発信元として日本を筆頭に米国、英国、ドイツなど計14カ国を名指しした。


ロシアはサイバー攻撃の被害者だと訴えるロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官(写真:ロイター/アフロ)
 18年10月にはロシア軍の諜報部員7人が米司法省からサイバー攻撃の疑いで起訴されている。ザハロワ氏は「西側諸国はいつもサイバー攻撃の実行者として根拠なくロシアを批判する」と不満をにじませ、自分たちこそ被害者であると示唆した。

 その主張通りであれば、ロシアに対するサイバー攻撃を手掛けるハッカーが日本に存在する。加えて日本国内にある端末が第三者に乗っ取られ、サイバー攻撃の「踏み台」として悪用されている可能性が高い。知らず知らずのうちに、攻撃に加担していることになる。

 踏み台として急増しているのが、ネット接続機能を持つ防犯カメラや録画機、テレビなどの「IoT機器」だ。情報セキュリティー会社、米マカフィーが18年に発見したIoT機器を標的とする新種のウイルスの数は前年比3倍となった。

 情報セキュリティー会社、米シマンテックのグレッグ・クラークCEO(最高経営責任者)は「企業や家庭にあるIoT機器の多くでソフトウエアの欠陥が修正されないまま放置されている。19年も踏み台となるIoT機器が増えるだろう」と予想する。


「IoT機器がサイバー攻撃に悪用されている」という米シマンテックのグレッグ・クラークCEO
 IoT機器の所有者がソフトウエアの更新や、パスワードの設定などの基本的な情報セキュリティー対策を怠れば、「自分たちは日本からのサイバー攻撃の被害者だ」というロシア外務省の主張を補強することになりかねない。
 


齊藤潤

失礼ながら、掲載されているタイトルが不適切と感じました。
指摘されたのは日本だけではないことも明示して頂きたいです。
「等」を付けるとかで良いと思います。

2019/01/21 21:34:518返信いいね!


桜井太郎

印象操作に繋がる可能性を否定はできませんが、間違いではないですし、記事内でロシア政府の発表を正しく伝えているので、全体を通して特に違和感は感じませんでした。

2019/01/22 07:06:091いいね!


吉野 次郎

日経ビジネス記者

ご指摘ありがとうございます。私は特にタイトルでは「など」はなるべく書かないようにしております。言いたいことをよりはっきりさせるためです。

2019/01/22 15:58:01いいね!


janky

サイバー攻撃を受けた機関とどのような攻撃だったのか記載がない。
北方領土問題に絡めて日本に圧力をかけるという、常套手段に過ぎないと思うけど。

2019/01/22 09:58:075返信いいね!


吉野 次郎

日経ビジネス記者

日本に圧力をかける意図があるという指摘は正しいと思います。この記者会見(1月11日)のメーンテーマは日露外相会談で、多くの日本メディアが注目していました。14カ国を列挙する時に、日本を筆頭に持ってきたのは偶然ではないでしょう。

2019/01/22 15:53:13いいね!


吉野 次郎

日経ビジネス記者

ちなみにDDoSが攻撃の中心だったようです。

2019/01/22 16:00:07いいね!


吉野 次郎

日経ビジネス記者

標的はロシア外務省です。

2019/01/22 16:00:51いいね!


麒麟蹄跡

路傍の雑草

踏み台にされてるか、日本在住の中共工作員もとい、意を受けた学生辺りがハッキングしてるんじゃないの?中露間はモニターが厳しいから第三国経由でハックした方が都合が良いんでしょうね。

2019/01/22 11:03:232返信いいね!


hiro

日本が攻撃しているなんて、少し驚き
いつも海外から一方的にたたかれて専守防衛のイメージだったから。
でもロシアからの攻撃100万に対し日本10なんて場合でも「日本からの攻撃」に嘘はないし、ざっくりでも定量表現がほしいな

2019/01/22 12:42:121返信いいね!


karate

日本を名指しではなく、日本を含む欧米国家からサイバー攻撃されているという記事ですよね。
攻撃しているのが個人なのか国家なのかで意味合いが大きく変わってきますが、ロシアは国ぐるみのサイバー攻撃が非難され、ロシアは攻撃を受けている先の国名だけで...続きを読む

2019/01/22 16:58:03返信いいね!

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/012100017/
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/280.html

[政治・選挙・NHK256] 平和条約交渉、打開探る 日ロ首脳が会談 平和条約交渉「じっくり議論」首相、プーチン氏と 「日本からサイバー攻撃」ロシア 
平和条約交渉、打開探る 日ロ首脳が会談
政治 ヨーロッパ
2019/1/22 18:00 (2019/1/22 21:27更新) 
【モスクワ=羽田野主】モスクワを訪問中の安倍晋三首相は22日午後(日本時間同日夜)、クレムリン(大統領府)でロシアのプーチン大統領と会談した。北方領土問題の解決に向け、平和条約の締結交渉の加速をめざす。14日に開いた日ロ外相会談は原則論の応酬に終わった。両首脳で打開策を探る会談になりそうだ。

首相とプーチン氏の首脳会談は昨年12月にアルゼンチンで開いたのに続く25回目。河野太郎外相も同席した。会談後は両首脳が内容を説明する。

プーチン氏は会談の冒頭で「2国間の問題、地域問題について率直に意見交換することができていることをうれしく思っている」と語った。首相は「平和条約締結問題についてじっくりとしっかりと議論したい。日ロ両国のさらなる飛躍の年になるよう互いに努力したい」と応じた。

両首脳は昨年11月のシンガポールでの会談で、平和条約の締結後に北方四島のうち歯舞群島と色丹島を日本に引き渡すことを明記した1956年の「日ソ共同宣言」を基礎にして交渉を加速する方針で合意した。

首相は自民党総裁としての任期の2021年9月までに平和条約交渉に「終止符を打つ」としている。政権内には今年6月に大阪で開くG20(20カ国・地域)首脳会議に出席するためプーチン氏が来日する際に大枠合意したいとの声もある。

ただラブロフ外相は14日の日ロ外相会談後の記者会見で「南クリール諸島(北方領土)の主権はロシアに移ったというのが基本的な立場だ」と主張。「日本の国内法で『北方領土』と規定されているのは受け入れられない」とも述べた。

プーチン氏は返還後の北方領土に在日米軍が展開する可能性にも懸念を示す。日本側の主張と隔たりは大きく、交渉が前進するかは不透明だ。


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2018/11/14 20:51更新
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40312440S9A120C1MM8000/


 

平和条約交渉「じっくり議論」 首相、プーチン氏と会談
政治 ヨーロッパ
2019/1/22 21:22
保存 共有 印刷 その他
【モスクワ=羽田野主】モスクワ訪問中の安倍晋三首相は22日、ロシアのプーチン大統領とクレムリン(大統領府)で会談した。会談の冒頭、プーチン氏は「2国間の問題、地域問題について率直に意見交換することができていることをうれしく思っている」と語った。首相は「平和条約締結問題についてじっくりとしっかりと議論したい。日ロ両国のさらなる飛躍の年になるよう互いに努力したい」と応じた。
 
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「日本からサイバー攻撃」、ロシア外務省が名指し

http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/280.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/556.html

[政治・選挙・NHK256] 見えてきた「領土返還なき日露平和条約」の可能性 2島すら引き渡すつもりはないプーチン、日本に残された解決策は 
見えてきた「領土返還なき日露平和条約」の可能性
2島すら引き渡すつもりはないプーチン、日本に残された解決策は
2019.1.21(月) 黒井 文太郎
日ロは「パートナーには程遠い」、ラブロフ外相が発言
ロシア首都モスクワで記者会見に臨むセルゲイ・ラブロフ外相(2019年1月16日撮影)。(c)Kirill KUDRYAVTSEV / AFP〔AFPBB News〕

 1月22日に安倍晋三首相がロシアのプーチン大統領との首脳会談に臨む。だが首脳会談に先駆けて開催された外相会談では、ロシア側から北方領土に関して厳しい要求が突き付けられた。北方領土交渉は今後どのような展開があり得るのか。軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏が現実的な視点から交渉の行方を占う。

ロシア側には2島すら引き渡す意思はない
 2019年1月14日の日露外相会談が物議を醸している。相手方のラブロフ外相が「まず日本は4島がロシア領と認めよ」「北方領土という用語を使用するな」などと強い要求をしたからだ。

 ロシア政府はかねてから4島はロシア領だと主張しており、日露間に「領土問題は存在しない」との立場だが、これからまさに交渉を進めようという矢先に、日本側も譲れない主権放棄を迫るというのは、いきなり先制パンチを放ったようなかたちになった。

 これに対し、日本政府は会談の内容について説明することを拒否。ただ「日本側の考えを先方に伝えた」と公表するに留めた。これはロシア側の強い態度に、日本側が打つ手を失っていることを示している。最近、日本政府は対露交渉について具体的な話を一切しなくなっているが、それはロシア側から色よい反応が引き出せていないことの証明だ。今回の外相会談でも、通常は会談後に行われる共同記者会見を日本側の要望で取りやめるなど、日本政府は逃げの一手に終始している。今年の年初には「安倍政権の狙いは、日露交渉で得点を挙げて選挙で勝つこと」などといった超楽観的な観測記事も出ていたが、もはや一気に吹き飛んだような雰囲気である。

 もっとも、ロシアがこれまで1ミリすら領土返還の約束をしていなかった事実から、筆者などは「プーチン政権には2島引き渡しの意思すらない」とかねて指摘してきた。今回のラブロフ外相の強硬姿勢も、十分に予想範囲内である。安倍政権としては、期待どおりにいかずに戸惑っているかもしれないが、そもそも「首脳同士の信頼関係があれば、2島は確実。あとはプラスアルファだ」というような楽観的な見方自体が、ロシア側の言動をきちんと分析できていない誤認識である。

北方領土の地図(出所:外務省)
安倍首相が打てる手は?
 本来なら、いくらなんでもここまで双方に根本的な立場の相違があれば、領土引き渡し交渉など不可能である。だが、驚いたことに安倍首相自身は、1月16日に官邸で交渉推進派の旗振り役である鈴木宗男元議員と会談し、外相会談について「順調な滑り出しだった」と発言したという。安倍首相は1月22日にプーチン大統領との首脳会談が予定されているが、とにかく平和条約締結に並々ならぬ強い希望を持っており、何があっても交渉を前に進めるつもりなのだろう。

 では、今後、どういった流れがあり得るだろうか?

 まず、ロシア側が突きつけている「4島をロシア領と認めよ」との要求が大きな障壁になる。ロシア側としては、この主張を取り下げることはあり得ない。かといって、そこは日本側も公式には譲れない。そこで安倍首相とすれば、とりあえずこの問題を突き詰めることは避け、交渉打ち切りを回避して、今後も前向きに進めていくことを確認することになるだろう。ロシア側も「日ソ共同宣言(以下、56年共同宣言)を基礎として平和条約締結を目指す」こと自体は合意しているので、決裂したいわけではあるまい。

 しかし、安倍政権がどうしても平和条約締結を目指すなら、日本側にできることは、いずれは主権問題を曖昧にしたまま条約締結を進めるという選択しかない。4島がロシア領だと明言はできないが、日本領だともあえて主張はしないという選択だ。

 主権問題に触れない平和条約であれば、ロシア側も受け入れる可能性がある。というのも、これは日本側からすれば主権問題の一時棚上げだが、ロシア側からすれば、すでに4島を実効支配している以上、「領土問題は存在しない」ことを追認することにほかならないからだ。

 安倍政権としては、北方領土の主権放棄は政治的に論外だろうが、ロシアと「56年共同宣言を基礎とする平和条約締結」が合意されていることを前面に出し、「条約締結後の2島引き渡しが可能だ」とどこまでも主張し続けて国内で押し切る以外に、平和条約締結の道はない。そのような内容の平和条約に価値があるか否かという問題はともかく、安倍政権があくまで平和条約締結を目指すなら、そう選択するしかない。

ロシアにとっての「56年共同宣言」
 さて、では仮に主権問題を曖昧にしたまま平和条約締結が合意されたとしよう。曖昧にするということは、現状容認と同義であり、未解決の領土問題は存在しないことに事実上はなる。日本側は主権の要求を実質的に放棄したことになるのだ。

 しかし、日本側はその代わりに、56年共同宣言に明記されていた「2島引き渡し」を要求することになる。だが、ロシア側はそれを受け入れることはないだろう。その布石をプーチン政権はすでに打っている。

 ロシア側は共同宣言を基礎とする平和条約締結に合意しているが、共同宣言はあくまで基礎とするだけのことであり、そのとおりに実行するとはプーチン政権は一度も約束していない。すでにプーチン大統領自身が「主権については書かれていない」「引き渡し期限が書かれていない」「どういった条件で引き渡すか書かれていない」などという屁理屈を連発し、2島引き渡し条項の死文化を図っている。また、もともと最初に共同宣言の有効性が言及された2001年のイルクーツク声明から一貫して「双方受け入れ可能な解決を」との合意がなされており、いくらでも引き渡しの履行を先延ばしできることが担保されている。

 さらに、今回の外相会談後の記者会見でラブロフ外相は、56年共同宣言当時と60年の日米安全保障条約改定後の軍事同盟の状況の根本的変化に言及している。つまり、現在は56年当時と状況が違うので、共同宣言のとおりにはいかないことを指摘したのである。これは、現行の日米安全保障条約による日米同盟の現状を、2島引き渡し条項の履行を回避する口実にされることを示している。

領土問題は形骸化していく?
 こうしてみると、もしも本当に安倍首相が日露平和条約締結に邁進するなら、今後の道筋が自ずと浮かび上がる。

 前述したように、主権問題を曖昧にしたまま、平和条約締結が合意されるとしよう。日本側は主権放棄を認めることはできないため、苦し紛れに「一時棚上げ」というスタンスを示すしかないが、実質的にはまぎれもなく主権放棄だ。

 そして、次に日本が期待する2島引き渡しについては、現行の日米安全保障条約による状況の変化などを口実に、ロシア側が履行をしぶることになる。56年共同宣言を基礎とする合意がある以上、明確に引き渡しの無効をあえて宣言することはないだろうが、その条件について合意ができていないということで、履行は延々と先延ばしにされるだろう。ただし、安倍政権サイドはそれを外交上の失敗とは認めなくないだろうから、日本政府側も延々と「2島引き渡し交渉は継続中」と言い続けることになる。安倍政権がいつまで「両国首脳の信頼関係があれば、平和条約締結後に少なくとも2島は確実に引き渡してもらえるし、うまくすればさらにプラスアルファを得られるはずだ」との根拠のない楽観論を信じ続けるのかはわからないが、いずれその見通しの甘さに気づくときは来るだろう。

 そうして領土問題が形骸化していく一方、平和条約締結により、両国の経済協力は大幅に拡大される。それはロシア側に大きな利益をもたらすと同時に、日本側にもある程度は利益をもたらす。このまま平和条約を結ばずに現状維持を続ける選択と、主権問題に触れない平和条約を締結する選択は、2島すら返還されないということでは同じ結果になるが、それぞれ別種のプラスとマイナスの面がある。日本政府側とすれば、最大の問題である主権問題については、実質的な主権放棄を「2島引き渡し交渉が継続中」とごまかしながら、その他の日本側の幾ばくかのプラス面を国内的には大々的にアピールしていくしかない。

 ただ、国際的な安全保障環境からみると、現在、旧西側陣営との対立が急速に高まっているプーチン政権に、旧西側陣営の日本が政治的にますます擦り寄っていくことは、日本の国際的な信用度を落とすことになるということには留意する必要があるだろう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55253
http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/557.html

[政治・選挙・NHK256] 音を立てて崩れ始めた「南京大虐殺」の嘘 虚構が生き残る道は中国の政治的主張のみに 
音を立てて崩れ始めた「南京大虐殺」の嘘
虚構が生き残る道は中国の政治的主張のみに

2019.1.22(火) 森 清勇

「南京大虐殺」 追悼式典で習主席が演説、日中友好を望む姿勢も

中国・江蘇(Jiangsu)省南京(Nanjing)市の「侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館(Memorial Hall of the Victims in Nanjing Massacre by Japanese Invaders)」で行われた追悼式典(2014年12月13日撮影)。(c)AFP/JOHANNES EISELE〔AFPBB News〕

 習近平国家主席は就任後に日本糾弾のための国家記念日を3つ設定した。

 中でも南京事件を一段と強調し、12月13日を「『南京事件』国家哀悼日」としたのをはじめ、南京大虐殺記念館は約1年かけて、10年ぶりの大幅な見直しを行い、2017年12月にオープンした。

強弁で「写真撤去」も隠蔽
 最初のリニューアル(2006〜07年)では、1985年のオープン時から日本の研究者らが南京事件と無関係であると指摘していた「連行される慰安婦たち」「置き去りにされ泣く赤ん坊」など3枚の写真が撤去された。

 リニューアル・オープン直後の2008年1月、犠牲者30万人の表記は旧日本軍の「非人道性」を強調しているとして、上海の日本総領事館総領事が日本政府の「問題意識」を南京市幹部らに伝え、見直しを求める申し入れを行う。

 それから11か月後、「産経新聞」(2008年12月17日・18日付)が『中国の日本軍』(本多勝一著)や『ザ・レイプ・オブ・南京』(アイリス・チャン著)などで日本の残虐行為として紹介され、国内外で誤用されてきた3枚の写真の撤去を確認したことに触れている。

 また、「日本の外務省は史実に反すると日本の学問状況を非公式に中国へ伝えていた。問題写真の撤去は、こうした外交努力の成果といえる」と主張する。

 朱成山館長は翌19日、次のように反論したという。

 「3枚は戦争の背景を紹介する写真として使用したことはあるが、南京大虐殺そのものの展示で使ったことはない。置き去りにされて泣く赤ん坊の写真は上海南駅で撮影されたもので、展示会『上海で殺戮行為の日本軍、南京に向かう』で使ったことはある」

 「3枚の写真そのものは、いずれも歴史の事実に符合するものだ。また、新館にこれら3枚の写真を陳列したことはそもそもなく、オープンから1年経っても1枚の写真も入れ替えておらず、日本外務省からの通知を理由に写真を撤去したような事実は全くない」

 2007年のリニューアルでは、当初の2.2ヘクタールから4.7ヘクタールに拡張し、従来の資料館(中央に残置)の東部に新資料館を建築し、西部に和平公園を展開した。

 旧資料館からは3枚の写真が撤去されたわけだが新資料館に変化があったわけでないことは確かであろう。

 こうした絡繰りを行なっていながら館長があえて反論の形で「日本の指摘」を否定したのは、「共産党がやることに間違いはない」と中国人民に言わなければ、「アリの一穴」で事後の収拾がつかなくなるからに違いない。

 中国一流の強弁であることを、賢明な日本人は容易に理解できよう。

南京大虐殺の目撃者に仕立てたつもりが・・・
 2015年10月20日、エリザベス女王は習近平国家主席を主賓として迎えた晩餐会を主催した。席上に添えられたのは1本30万円もする仏ボルドー産の高級ワインの「シャトー・オー・ブリオン1989年」だったという。

 1989年は民主化を求める学生を中国当局が武力で鎮圧し、多数の死傷者を出した天安門事件があった年で、中国が最も触れたくない年のはず。

 1989年ワインは暗喩の皮肉か、かけ値なしのおもてなしか?

 ワインはともかくとして、習主席が女王の前で話したのは中国が独豪などと合作した映画で描かれたジョージ・ホッグ記者の話しである。

 記者は赤十字職員と偽って南京に入城し、南京虐殺の現場を撮影したところ、日本兵に見つかり処刑される寸前に中国共産党の軍人に助けられるというストーリだという。

 習主席にとっては、「南京大虐殺」を現実に目撃した英国人記者で、日本の悪を暴く動かぬ証拠の現場写真を撮った人物である。

 暴露されることを怖れる日本軍が彼を処刑しようとしたこと、それを中国共産党籍の軍人が救助したこと、これは素晴らしい英中の友情物語であるし、女王を前にした晩餐会で話すにふさわしいこれ以上の題材は見つからなかったのであろう。

 ところが、この台本となったホッグの評伝『オーシャン・デビル』では、ホッグは1938年2月に上海に入国し、漢口を経て、黄石市(湖北省)に移り、ここで戦災孤児施設の教師を務めている。

 国民党が孤児を徴兵しようとすると、孤児60人を連れて1100キロ離れたモンゴル国境に近い山丹(甘粛省)に逃れる。孤児たちを戦争から守ったということで、「中国版シンドラーのリスト」として評価されているという。

 ホッグは上海、漢口に滞在しているが、南京に入っておらず、しかも上海入国自体が、日本の南京占領(37年12月13日〜38年1月13日)が終わった後であることが評伝から明確である。

 念のために評伝作家のジェームス・マクマナス氏に岡部伸・産経新聞ロンドン支局長がインタビューして確認したところによると、孤児を連れてシルクロードを横断した長征は真実だが、「南京事件を目撃したことは映画の脚色」であることをすんなり認めたという(「エリザベス女王の面前で― 詐話師・習近平がまた大ボラ」、『WiLL』2016年11月号所収)。

 なんと、中国の国家主席で、女王主催の公式晩餐会の主賓である習近平が、南京事件の「創られた目撃記者」の話をしたのだ。

 黒を白と言うどころか、ありもしなかったことを実在した友情物語に仕立てて語ったというから驚きである。

 ほかでもないが、「南京大虐殺」を存在させるあの手この手の苦労が生み出した、トンデモナイ顛末と言ったらいいのだろうか。

いよいよ本多氏の時代も終わりか
 今回のリ・リニューアルでは、驚くなかれ「南京大虐殺の史実を世界に周知させた」貢献で顕彰され、当人の顔写真や著書『南京への道』『裁かれた南京大虐殺』、中国取材に使用したペンやノート類が展示されていた本多勝一記者の写真と資料が撤去されたという。

 他方で、同記念館で「国家哀悼日」に指定する演説をした2014年12月13日の習近平国家主席の大きな写真パネルが展示された。

 以前の主席には確認されていなかったことで、いよいよ「大虐殺記念館」の政治性を強く押し出さざるを得なくなってきたのではないだろうか。

 中国国営の新華社通信は今回のリニューアルについて、展示内容のみで建物に変更はないと伝え、また展示入れ替えで、写真は約3分の2(約2000枚)、物品類は約3分の1(約900点)に絞り、「史実の新たな証拠を集めた」と評しているそうである。

 ここにも中国一流の言い回しが見られる。

 「史実の充実を図った」ではなく、「史実の新たな証拠を集めた」というならば、写真を約1000枚、物品類を約2000点減らしたことをどう解釈すればいいのだろうか。

 筆者には本多氏らが南京大虐殺に関わるものとして掲載してきた「多くの写真や物品類」が、他の場所のものであったり、捏造され、あるいはキャプションのつけ替えであったりしたことが判明し、収拾できなくなったので削除したとしか思えない。

 南京大虐殺の周知貢献で顕彰された本多氏らの写真と資料が展示から外されたということは、「南京大虐殺」を支えてきた「動かぬ証拠」としての写真(や資料)という土台の一角が「揺らぎ始めた」ということではないだろうか。

 さらに以下の様な検証を進めていくと、いよいよ「南京大虐殺」は「あり得なかった」架空の物語、虚構ではないのだろうか。

 間違いがないように付言すると、特に蒋介石とその軍は市民を盾にする戦術をとり、上海戦から南京に至る途上の1か月にわたる戦闘、そして南京攻略戦、さらには安全区に収容された市民20万人に紛れ込んだ約2万といわれた便衣兵(軍服を脱ぎ捨てて市民に成りすまし、兵器を隠し持つ兵士)の掃討・処分、あるいは反乱捕虜の鎮圧などで、多くの中国兵士と市民が巻き込まれた。

 しかし、それは虐殺ではなく通常の戦闘行為で、戦時国際法に悖るものではない。

写真検証の驚くべき結果
 東中野修道・小林進・福永慎次郎共著『南京事件「証拠写真」を検証する』(草思社、2005年刊)は、南京大虐殺の証拠として使われている写真143枚を総括的に検証したものである。

 3人がこの枚数に絞り込むまでに各種資料で見た写真は重複を含めると3万点以上になるということである。

 影の長さや服装から大虐殺が起きたとされる冬ではないことや日本軍の物でないこと、また検討当時公開された中国国民党中央宣伝部の極秘文書などを援用して国民党の戦争プロパガンダ写真との比較、初出(源流)から転載されていく写真の流れなど、緻密かつ多角的な検証に3年の歳月をかけている。

 その結果は、「(南京大虐殺の)証拠写真として通用する写真は1枚もなかった」というものであった。

 そもそも、記者らしい記者がいなかった通州事件でも、1日もすれば事件は知れわたり、記者やカメラマン、作家らが駆けつけ、調査し事実である状況を生々しく報道している。

 ところが、6週間続いたとされる南京事件については虐殺の現場を誰一人確認しておらず、城内にいた米国人宣教師たちが窃盗や強姦、放火などを散発的に発信し、「WHAT WAR MEANS(戦争とは何か)」に纏められる。

 その本やそこに収められた写真などを宣教師が米国に持って行き、国内を隈なく普及して歩き、拡大させていったのが実態である。

 それは「日本を敵に仕立てる」というルーズベルト政権の意図にも添うもので、宣教師は国内普及が許されたし、こうして流布した「日本軍による虐殺」の情報が在南京の日本軍に逆流し、現地の日本軍は「そんなことがあったのか」と驚かざるを得なかったわけである。

 蒋介石政権が、武力では勝てない日本軍に対してとった、「無から有を生じた」典型的な戦争プロパガンダと言う以外にない。

 幾つもの写真のキャプションをつけ替えて、「日本軍の悪行」に仕立ててきた。展示写真はそうした代物であったのであろう。

 偽の文書や写真などが世に出て、いかにも真実であるかのように装い広がっていく。

 そうするとさらに拍車がかかり、もっと隠された事実があるに違いない。そして偽物がまた見つかると、「ほら、あった!」となり、何時しか「本物面に変容していく」という仕かけであったのであろう。

 こうした絡繰りを心ある米国人記者や外交官らは見抜いていた。

 しかし、日本に戦争を仕かけたいルーズベルト政権は、蒋介石の戦争プロパガンダに宣教師を介して進んで協力し、運よく開戦にこぎつけた後は心ある記者や外交官らを邪魔ものとして拘束し刑に服させていったのである。

 先日、中国外務省の華春瑩報道官がファーウェイの幹部社員逮捕に関してカナダを非難するにあたって、「ウソは百回も言えば本当になると思っているようであるが、1万回言っても嘘はウソである」と言っていた。

 この言は筆者には南京事件について語っているように聞こえてならなかった。

南京大虐殺はどのように広まったか
 本多氏の1971年のルポルタージュ「中国の旅」は、4部40回(第1部「平頂山」、第2部「万人坑」、第3部「南京」、第4部「三光政策」)からなる。

 8月から12月まで朝日新聞に連載され、「朝日ジャーナル」や「週刊朝日」でも連載され、写真の一部は「アサヒグラフ」でも発表されるという状況であった。

 朝日新聞社はこれらのルポを纏め、さらに加筆した単行本『中国の旅』を翌1972年に発刊している。並行して「目で見る中国の旅」に類するものとして写真に重点を置いた『中国の日本軍』もこの年に創樹社から出版する。

 『中国の旅』は1977年には「すずさわ書店」が、95年には「本多勝一集14」として朝日新聞社がまたまた出版した。

 その間の1981年に朝日は文庫版『中国の旅』も出版する。手元の21刷版は1995年10月発行となっており、かなり版を重ねていることが分かる。

 本多氏は1987年には朝日新聞社から『南京への道』を発刊し、翌88年には本多氏ほか2名の共著で『南京大虐殺の現場へ』を同じく朝日新聞社から発刊している。

 こう見てくると、1970年代から90年代のほぼ30年間に「南京大虐殺」は根を張り枝を伸ばして大木に育っていった時代の様である。

 本多氏や朝日新聞の南京関係本の出版に刺激を受けたように、中国人民政治協商会議江蘇省南京市委員会文史資料研究委員会編『史料選輯(侵華日軍南京大屠殺史料専輯)第四輯』(1983年)、南京市文史資料研究会『証言・南京大虐殺』(84年、青木書店)、『侵華日軍南京大屠殺暴行照片集』(85年)などが出版される。

 こうした流れをケ小平が汲み取るかのように南京大虐殺記念館を1985年に竣工させたのである。

 そして全米というか全世界に衝撃を与えたのが若き中国系アメリカ人女性アイリス・チャンの『ザ・レイプ・オブ・南京』(1997年)であった。

 日本の斎藤邦彦駐米大使がアイリス・チャンとのテレビ対談に臨んだのは翌1998年12月。

 ところが大使は外務省の反論例にもれず、日本の教科書は南京虐殺をしっかり記述していると強調するばかりで、日本の研究者の中には諸説あり、全くのウソだと主張する説もあることなどに触れなかったし、当時20万人の南京で30万人の虐殺への疑問すら呈しなかった。

 こうした結果、対談の行方を見守っていた米国人の多くは、日本政府はこの事件を認めており「南京市民が虐殺されたのは事実」との印象を受けたようで、事態は悪化して大使の完敗とされた。

現場にいた前田記者が大虐殺を否定
 この流れに逆らうかのごとく、上海戦から第一線で取材し続け、南京戦の一部始終を同盟通信社の同僚特派員50人はおろか、朝日新聞(約80人)や毎日新聞(約70人)の特派員たちとも現地では意見交換などをしていた前田雄二記者が、1982年に『戦争の流れの中に』を善本社から上梓する。

 従軍当時も多くの記事を打電したが「戦争中の厳しい検閲で、日本軍に不利な事実は差し止められていた」から「決して物事の全てを伝えてはいなかった」、すなわち「真実が欠落していた」として、残したメモからすべてを網羅することにしたメモワールである。

 上記前田本は南京に続く漢口攻略戦、仏印進駐、更にはシンガポール攻略戦まで全5部として実見したままに綴られ、第2部が「南京攻略戦」となっていた。

 旧陸軍将校の集まりである偕行社が指揮官や将兵の日記・手記など可能な範囲で集めた数千ページの資料で事実関係を究明し、虐殺の明確な証拠をつかむことはできなかった。

 しかし、上述のように、「大虐殺」が燎原の火のように広がり続け、「大虐殺」がいかにも真実であるかのようになってきたことから、前田氏は第2部だけを取り出して『南京大虐殺はなかった』として平成11(1999)年に再上梓した。

河村たかし名古屋市長の真摯な問いかけ
 平成24(2012)年には河村たかし名古屋市長が「通常の戦闘行為はあったが、いわゆる南京事件というのはなかったんじゃないか」と発言し問題となり、多くの日中友好行事が中止になる騒ぎに発展した。

 南京事件があったとされた8年後の1945年8月16日、市長の父君は歩兵伍長として同隊の250人と共に南京に入り、翌年1月まで郊外の寺に滞在したが、南京市民はとても親切に温かいもてなしをしてくれたという。

 父君は戦後50年の年に、感謝の気持ちで戦友と共に1000本の桜を南京市に寄贈する。植樹10年目の2006年、たかし氏は父君の戦友たちと共に南京市を訪問し、南京大虐殺記念館にも行き、「全日本人が南京に行って、土下座しても許されない行為だ」との強烈な印象を受ける。

 同時に、「南京事件からたった8年しか経っていないのに、中国人がそんなに親切な対応をしてくれるものだろうか」と強い疑念を抱いたという。

 「そうでない(筆者注:大虐殺が嘘)としたら、これは一言二言、言わせてほしいと思い、さらに勉強を深めていった」と言い、同年6月13日には「いわゆる南京大虐殺の再検証に関する質問主意書」を政府に提出している。

 河村市長は、南京市との姉妹都市として友好関係を一層深めるためにも本当の話ができなければならない、棘を抜いてこそ本当の日中友好も始まるとの強い思いがあったという。

 当初中国は、南京市民30万人が日本軍によって虐殺されたと主張していたが、2018年6月24日に福田康夫元首相が訪問した際、館長は30万人という数字は南京に至るまで日本軍が戦争しながら殺害した人を含めた数字であり、南京市内にいなかった人を含む数字であると説明したとされる。

 他方で、昨年のリ・リニューアルでは世界に流布する原動力ともなってきた本多氏やアイリス・チャンの関係資料が削除されたという。

 これらは、「南京大虐殺」に大きな地殻変動が起き始めたことを意味するのではないだろうか。

 いよいよ、「南京大虐殺」の虚構が崩壊し始めたことを物語るものかもしれない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55242
http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/559.html

[国際25] ロシアの航空産業を潰しにかかった米国 経済制裁でロシアの新型旅客機が開発やり直しの危機
ロシアの航空産業を潰しにかかった米国
経済制裁でロシアの新型旅客機が開発やり直しの危機
2019.1.22(火) 渡邊 光太郎
MC-21(写真出所:UAC/イルクート社)
 ロシアが開発していた新型旅客機「MC-21」が制裁の影響で製造不能に陥っている。

 MC-21の製造に参加していた企業が制裁リストに載り、米国製の素材が入手できなくなったからだ。

 ロシアはこれまで、MC-21が軍事と関係ない旅客機であるとして制裁対象から外してもらうよう求めていた。ロシアの航空業界でも、対外的には制裁の影響は小さいというのが基本スタンスだった。

 しかし、2019年に入り、いよいよどうにもならなくなり、ロシアの航空産業は慌ただしくなってきた。

 MC-21はロシア航空産業で主力を担う予定の機種である。制裁によって製造不能になれば、米国によってロシアの航空産業が潰されたと表現しても決して大げさではない。

新型旅客機が受けた制裁
 「MC-21」は日本の三菱飛行機が製造する「MRJ」よりも一回り大きく、ボーイング「737」やエアバス「A320」と同規模の旅客機である。

 このサイズの旅客機は年間1000機以上生産され、旅客機の中では最も売れ筋である。

 ロシアの旅客機と聞くと、遅れていると想像されるかもしれないが、MC-21は新製法の複合材主翼を持ち、ライバル機よりも先進的である。

 また、胴体が広く快適であることや価格の安さを売り物にしている。

 新製法の複合材主翼は、業界では国際的に評価された。ロシアの航空産業が可能な限りの新技術を盛り込み、最も売れる市場で勝負をする機体である。

 ロシアの航空産業復活を懸けた旅客機として、期待されていた。

 MC-21は2017年に初飛行を行い、型式証明取得に向けた試験飛行を行っているところであった。

 ところが、2018年9月26日に米商務省の制裁リストに追加された12社に、MC-21の製造に参加する企業が3社含まれていた。

 3社とは、アエロコンポジット社、テフノロギヤ社、アヴィアドヴィガーチェリ社である。

 アエロコンポジット社は主翼、テフノロギヤ社は尾翼、アヴィアドヴィガーチェリ社はエンジンを製造する。

アエロコンポジット社製主翼の外板 炭素繊維複合材で作られているため黒い。米国旧サイテック社の材料を使用(出所:イルクート社)
テフノロギヤ社製尾翼の外板 米国ヘクセル社の材料を使用(出所:テフノロギヤ社)
 この3社に対しては、米国からの輸出許可が出なくなった。突然、米国製品を調達できなくなったのだ。

 このうち、アヴィアドヴィガーチェリ社は影響が少ないと推察される。しかし、米国製の材料を使って炭素繊維複合材の主翼や尾翼を製造するアエロコンポジット社とテフノロギヤ社にとっては致命的である。

 ちなみにアエロコンポジット社は、米国の旧サイテック製のTX1100という炭素繊維のテープとEP2400というエポキシ樹脂を使用する。

(サイテックはベルギーのソルベイ社に買収されているが、これらの材料は米国の旧サイテック社の工場で生産)

 テフノロギヤ社は米国ヘクセル社のプリプレグを使用する。

 なお、炭素繊維を供給するメーカーとして、一部の報道で日本の東レの名が挙がった。航空機の主力となる材料以外で、米国メーカーが東レ製品を原材料にしていることはあり得えるかもしれない。

旧サイテック社製TX1100 炭素繊維をテープ状に加工したもの。制裁によるこの材料の入手不能がMC-21を製造停止に追い込んだ(出所:アエロコンポジット社)
 しかし、東レが主要材料を直接納入していることはない。ロシアのメディアの誤解であろう。

 これまで使っていた米国製素材が全く入手できなくなり、MC-21の主翼や尾翼は生産できない状況になった。

 すでに試験機が完成しているので、試験飛行は継続できなくはない。しかし、このまま開発をやり遂げ型式証明を取得しても、同じ設計で量産ができないため試験飛行や開発を進めても意味のない状況である。

結局開発やり直しか
 2019年1月に入り、入手できなくなった米国製の材料をロシア製の材料で置き換え、開発・生産を継続するというロシアの航空産業幹部の発言が報道されている。

 しかし、これは極めて困難である。

 炭素繊維複合材は、炭素繊維をエポキシ樹脂で固めて作る。炭素繊維とエポキシ樹脂の相性が合わないと製品にならない。

 炭素繊維、エポキシ樹脂、製造条件、設備のすり合わせが必要で、どこかを代えるとその炭素繊維複合材製部品の開発はほぼやり直しになる。この時点で、年単位の開発が追加で要求されることになる。

 日本であれば開発のやり直しで、元々の主翼や尾翼と同等なものを作れるかもしれない。しかし、ロシアではそれではすまない。

 ロシアの報道では可能とされているようだが、現実的にはロシア製では、同等の材料を揃えることは不可能だ。

 主翼や尾翼の1次構造部材を作るのに必要な炭素繊維の引っ張り強度は5.5GPa(1ギガは10億、パスカルは圧力の単位)程度。ロシアではこの強度の炭素繊維を安定して量産した実績がない。

 また、主翼は「VaRTM法」という最新の方法を使用している。VaRTM法に用いる炭素繊維のテープは日本企業でも手を焼くものだと言う。

 ロシアの技術力は、平均点は低いが稀に局所的に世界の業界関係者を驚かせる高度な開発をすることがある。世界最先端のVaRTM法を使用して、MC-21の炭素繊維複合材製主翼を製造したことがまさにそうであった。

 しかし、ロシアで米国製材料と同じものを作ることは、東レが何十年もかかったようなことを数年でやり遂げることが必要となる。

 VaRTM法で主翼を作ることよりも、VaRTM法で使用する材料を作ることの方がはるかに難しい。さすがのロシアでもできないだろう。

 材料をロシア製のもので置き換えなければならないのであれば、現在のMC-21と同等の旅客機を作り上げることはすでに絶望的と言ってよい。

 そうなると、主翼も尾翼もロシア製の強度の低い炭素繊維で従来のプリプレグ積層・オートクレーブ硬化法で生産することになる。

 ロシアの炭素繊維は、パフォーマンスが低いだけでなくコストも高いので、性能低下・コストアップが生じる。

 または、炭素繊維複合材をあきらめてアルミ合金で作る手もある。こちらの方が現実的ではないかと思われる。

 しかし、いずれにしても、MC-21は大幅な開発のやり直しを強いられることになる。1年や2年でやり直せるものではない。

 改造後のMC-21がどのような名前を名乗ったにせよ、すでにそれはMC-21ではなく新しい機種である。そして、残念ながらパフォーマンスの低下が予想される。

 さらに、これまでの設備投資のうち、特にVaRTM法を前提とした部分は完全にムダになる。追加の設備投資と開発費がかさみ、時間だけでなく、コスト的な優位性も失われる。

 制裁は、MC-21の開発を潰し、多くの技術的・コスト的不利の下で、新機種の開発を一から始めるのに近い状況に追い込んだのである。

ロシアからの反撃はあるか
 2014年の制裁発動以降、世界の航空業界ではロシアの反撃に一抹の不安を感じている。ボーイングもエアバスもロシアのチタンに依存しているからだ。

 特にボーイング787は主翼と胴体の繋ぎ目にロシアのチタンを多用している。このような重要な部分で、材料のメーカーを簡単に変えられないのはボーイングも同じである。

 もっとも、ロシアが製造するようなチタン材の製造は、米国とフランスで可能である。また、日本でも日本アエロフォージ社が育ちつつある。技術的には代替は可能である。

 しかし、ロシア製チタンの代替作業を強いられれば、短くても何か月間のレベルで、ボーイング787やロシアのチタンを使用している機種の生産に大きな影響が出るだろう。

 MC-21を潰されたことにロシアが本気で怒り、チタンの供給を止めれば米国の航空産業に打撃を与えることができる。

 これまで、民間機の分野では、ロシアは米国から複合材の素材や機械類を調達し、米国はロシアのチタンを使うという良い協力関係があった。

 しかし、旅客機であるMC-21が潰されるような制裁が発動されたことで、こうした協力関係は困難になった。民間のビジネスでもいつどこでどのような制裁が始まるか分からないからだ。

 米国商務省が発表した制裁の理由は、上記の3社が軍事的なロシアの航空宇宙プロジェクトに関わっているからだとしている。

 しかし、MC-21は旅客機である。テフノロギヤ社とアヴィアドヴィガーチェリ社は軍用機の仕事もするが、民間機関連の部分だけ独立させることは可能であろう。

 アエロコンポジット社は100%民需の会社であり、そもそもVaRTM法の技術は軍用機に適さない。

 にもかかわらず、ロシアの航空関係者が苦労して開発してきたMC-21が、政治に巻き込まれて潰されてしまうのは、あまりに気の毒である。ものづくりに関わったことがある人であれば、皆そう感じるのではないか。

 こうした制裁では米国の産業界も売り上げが減るし、仮にロシアが反撃してくれば、ボーイングも無傷ではすまない。

 ロシア製材料を代替できても時間がかかり、コストもアップする。さらに、そんなことになれば、そのとばっちりはボーイング向けの仕事をしている日本メーカーにも及ぶ。

 刻々とソフトランディングが難しい雰囲気になりつつあるが、できれば元の場所に収まってほしいと願っている。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55221
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/282.html

[国際25] やりたい放題の時代が終わった中国でのビジネス 経済成長一辺倒を脱し、「法治」国家を目指す中国
やりたい放題の時代が終わった中国でのビジネス
経済成長一辺倒を脱し、「法治」国家を目指す中国
2019.1.22(火) 姫田 小夏
川の清掃の様子。中国では環境保護や景観の美化の徹底した取り組みが進んでいる(筆者撮影、以下同)
 中国のビジネスには、日本にはない自由滑脱さがある――。中国に出張したり駐在している人から入ってくる現地情報には「中国ではビジネスがやりやすい」という評価が多かった。

 なぜ“自由”だと感じるのか。その大きな理由は、法律や規制の運用にグレーゾーンが存在することだ。内外の企業が法律や規制の文言を「これならやっても問題ないだろう」と解釈して、スピーディーにビジネスの規模を拡大していった。

 トラブルに直面しても、影響力ある人物が後ろ盾になってもみ消してくれた。規制に縛られているが実は抜け道もあるという“不思議なバランス”が、社会主義体制下の中国経済に弾みをつけていた。ある意味、“アジア的な混沌さ”の賜物(たまもの)と言ってもいいかもしれない。

 だが近年、上海ではこのカオスがすっかり薄れた。中国で働くある日本人は「地方都市でも同様の傾向にある」と指摘する。中国では、かつては当たり前だった“やりたい放題”ができなくなりつつあるということだ。

「大物」を後ろ盾にした抜け道も
 例えば、営業許可証。中国では企業活動に欠かせないライセンスである。外資進出が始まったばかりの頃は外資の投資が規制される業種が多かった。とくに教育や出版、報道などの業種は、規定通りに申請しても認可してもらうことが難しかった。そのため日系企業は、「中国企業からライセンスを借用したり、あるいは大物人物を後ろ盾にするなど抜け道を利用して経営に乗り出した」(中国の大手法律事務所)という。

 また、かつては法律違反を指摘されて当局が踏み込んできても、「上層部で話をつける」とか「金品を持たせる」といったやり方で、その場を“なあなあ”で納めることができた。「中国でのビジネスには人脈が不可欠」と言われたのは、そのためだ。

 だが、その状況が変わってきた。外資の参入を規制する業種が減少し、“正攻法”で参入できる領域が増えてきた。人脈が必ずしも必要ではなくなってきたというのだ。

 教育や出版の分野でも徐々に変化が現れていると聞く。抜け道を利用した過去の違法行為を摘発する動きもある。華北地区のある駐在員は、「中国で実績のある教育施設が、今になって当局からの取締りを受けている」と話す。従来の“抜け道を利用するビジネス”は通用しなくなりつつあるということだ。

「経済成長一辺倒」がもたらした“やりたい放題”
 企業の環境対策も変化を迫られている。

 かつて中国は、先進国と比べて環境規制の法律が整っていなかった。だからこそ日本を含む外資製造業の対中進出が進んだといえる。だが、近年は環境面での法整備が進み、取り締まりが厳しくなった。

 環境負荷を低減する設備製造に携わる、江蘇省の日系企業管理職は次のように話す。

「環境基準に達しない企業は、ブラックリストに企業名と違反事項を記載され、政府のウェブサイトで公示されます。指導を行っても改善されない場合は罰金です。無錫市の中国企業は、9日間の排出基準違反で1日当たり30万元(約480万円、1元=約16円)、合計270万元(約4,320万円)の罰金という厳しい処分を受けました」

 これまでは経済成長率を高めることが、地方役人の人事考課の対象だった。中国政府の“経済成長一辺倒”がという姿勢、地方の役人と結託した“やりたい放題”をもたらし、環境汚染を生んだともいえる。

 だが、丸紅(中国)有限公司経済調査チームの鈴木貴元氏は、「中国政府にとって、経済成長率を追い求めることはもはや大きな目標ではなくなりました」と語る。中国政府は共産党支持の持続という面からも「経済成長率ではなく、技術世界一、環境対応で先進国にキャッチアップといった総合的な経済力の強化を求め始めています」(同)という。

タクシー内での喫煙も、もはやNGに
袖の下が通用しない
 中国のいたるところで大改革が進行している。最近は「徴税」も厳格になってきた。

 従来、中国では個人や零細法人の脱税行為は野放しにされてきたところがあった。所得税を払わずに済ませたり、所得申告をごまかして課税額を低くすることも日常茶飯事だった。

 しかし、最近はそうはいかなくなった。上海で日本人を雇用する自営業者はこう話す。「現地採用した日本人社員の就労ビザの更新を行ったところ、当局から『次回以降は、本人の納税証明書を添付しないとビザを発給しない』と通告されてしまいました。以前とはまったく対応が違います」。

 かつては法律のグレーゾーンは、“当局の役人の裁量”に任せられていた。企業側は、主管当局の役人が「目をつぶってやる」と言ってくれることを期待して接待し、金品をつけ届けた。あるいは、役人に理不尽な言いがかりをつけられないようにするためにも、贈賄を習慣化させた。その結果、中国は世界に名だたる腐敗国家になってしまった。

 中国でこれだけ腐敗が蔓延したのは、役人の裁量に委ねるというグレーゾーンが存在したことが大きな要因だった。グレーゾーンがある限り役人の権力は肥大化する。これを放置すれば、政権基盤を揺るがすリスクにもつながりかねない。そこで習近平政権はそこにメスを入れた。グレーゾーンを極力なくすことで役人から裁量を取り上げ、あらゆる経済活動を党の監視下に入れることを試みたというわけだ。

 習近平政権が掲げる社会主義の核心的価値観に「法治」というキーワードがある。中国は「人治」から脱して、本当に法治国家に生まれ変わることができるだろうか。

上海郊外の街並み。開発一辺倒からも卒業できるだろうか
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55237
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/283.html

[国際25] ブレグジットの「漁夫の利」を取るのは誰か? リーマンショックより危険な「バックストップ合意」大差否決
ブレグジットの「漁夫の利」を取るのは誰か?
リーマンショックより危険な「バックストップ合意」大差否決
2019.1.22(火) 伊東 乾
英首相 「合意なき離脱」の可能性あると強調、代替案策定に奔走
英首都ロンドンにある下院で演説するテリーザ・メイ英首相、英議会提供(2019年1月16日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / Jessica Taylor / UK Parliament〔AFPBB News〕

 2019年1月15日、英国下院で「ブレグジット合意」が否決されるニュースを私はドイツのベルリンで耳にしました。

 最初に思い出したのは、ほかでもありません、2008年9月29日の、リーマン破綻にあたって米国下院で否決された緊急経済安定化法案です。

 21世紀に入ってからの2大衆愚議決と言っても決して大げさではない、大バカ者ぶりを目にする思いです。

 2008年のケースでは、否決直後にダウ平均株価の歴史的下落が始まり、こうなるともう後の祭り、結局10月3日に法案は可決されますが、何かとても大事なものを、米国も世界もこれで失ってしまいました。

 背景にあるのは、安っぽい勘違いの正義です。「民間銀行の破綻をどうして公の税金で救わねばならないのか?!」的な薄っぺらい無思慮・・・。

 子供のような強がり程度のものです。後先をキチンと見る力がなかったから、こんなことになってしました。

 後ほど記しますが、今回の「合意なし決議」の背景に北部アイルランドの問題があることは日本でも報道されているかと思います。

 あるドイツ人はこれを「分断」と言いました。「分断」の反対は「統一」です。

 つまり、今年30年目を迎える「東西ドイツの統一・ベルリンの壁の崩壊」の逆を、米国や英国は演じている、と。

 「本当に苦労した経験のない、おつむの寂しいおばかさんが、気分だけ右翼のつもりになって国を滅ぼしている。影響さえなければ、これはちょっとした喜劇見物だ」

 こう言って友人はニヤニヤしたのですが・・・。これは一体どういうことなのでしょうか。

逆の手筋で考える分断国家の統一
 現在50代以上の世代であれば、1980年代末の冷戦末期から90年代頭にかけての急激な体制の変化を覚えておられると思います。

 日本では毎日、天気予報ならぬ「下血速報」がニュースに出ていた頃のことです。意味が分からない若い読者は、周りの大人に聞いてみてください。ここでは端折ります。

 壁が壊れた後、開発の遅れた旧東ベルリンには、怒涛のように西側資本が流れ込んできました。

 旧東側は物価が安い。物件も安く、投資効率良くお金が回りました。

 ここ7年ほど、私はベルリン東北部、プレンツラウアー・ベルクというエリアに部屋を借りていますが、古くからの街並みを残した文京区域で、落ち着いた風情が残っています。

 近くには、ここ30年で開発されたアリーナなどもありますが、第2次大戦直後に建てられた映画館など、現在でも十分贅沢な施設で、街の雰囲気をかもし出しています。

 旧東側は「成長の余地」だらけで、投下された西側資本は十二分に回収することができました。

 例えば、そんなベルリンで、突然「ベルリンの壁を復活する」と宣言したら、何が起きるでしょう?

 つまり、域内の交通を遮断し、税関を設け、人・モノ・カネの流動を制限して関税などをかけたら?

 経済は活性化するでしょうか。産業額は上昇するか。総生産や国民所得、有効需要は増えるでしょうか?

 明らかに逆ですね?

 つまり、かなり破壊的なダメージが発生しても何の不思議もありません。そういう、自分で自分の首を絞めるような方向に、結果的に大英帝国の「民主主義」的な議会は暴走している。

 それが432対202、230票差(合計634票、議員定数650)という「歴史的否決」で全否定されてしまった。

 どうも日本のマスコミの風潮は、テリーザ・メイ首相以下の現政権の調停案を「悪いもの」であるかのように書く丸写しが多いように感じるのですが、とんでもありません。

 「合意案」は欧州サイドも心を砕いて、大変に思慮深く準備されたもので、はっきり言って優れたものです。

 本質的に優れたものを、ネット右翼よろしいネガティブキャンペーンで葬り去るという、およそ頭脳がついていないというべき現象が起きている。大陸欧州からすれば、大英帝国の脳死、と見ることにならざるを得ないのです。

アイルランド国境問題
 いま、例えば日本の本州ど真ん中、例えば三重県の鈴鹿とか津あたりに1本、人為的な線を引いたとしましょう。

 山奥から河川、湖まで鉄条網かコンクリートの壁などを敷設して「国境」を作り、そこを通過するたびに人定を行い、物資の移動には関税をかけ・・・というようなことを始めたとしたら、日本経済はいったいどうなってしまうでしょう?

 明治維新という現象は、草莽の志士が奔走して成立した美談であるかのように語られやすく、悲惨な最期を遂げた西郷隆盛など、フィクションのドラマが人気を取るような美談仕立てで思考停止されています。

 しかし、その実は、西欧列強にとって相手になりにくい、既得権益で凝り固まった地元民部族政府、つまり江戸幕府が排除され、扱いやすい若者の政権にすげ替えられた、海外圧力と資金の産物という側面も小さくないと思います。

 実際は列強思惑のバランスの中で東アジアで重工業化と発展を許された「島」として150年余の歴史を刻んでいるのにほかなりません。

 無謀な第2次世界大戦の最低な敗戦の後も、東西緊張のバランスの中で、西ドイツと並んで再び重工業的発展を許され、連合国すなわち戦勝国の思惑を超えて人類史上かつてない高度経済成長を遂げることができた。

 日本人が頑張らなかった、などとは決して言いません。優れた仕事がたくさんありました。

 でも、それは、日本だけが特権的に優れた民族で、例えば中東のクルド族よりも優秀というようなことでは、全くありません。あり得ないことです。

 日本はラッキーな環境にあった。そこで、持ち前の丁寧な仕事のメンタリティを生かすことができ、秒刻みで正確に運行する超高速鉄道網など、素晴らしいイノベーションを遂げられた。

 欧州で考えれば、ドイツ、あるいはEUの真ん中ポカンと空いた穴、スイスなども強い力を持っています。

 それは土壌がすぐれているから種がすくすくと芽を延ばし、高い成果を上げることができるようになっていた。

 人類史全体で考えるなら、こうした産業革命は明らかに「大英帝国」が牽引して、17世紀以来のグローバル社会が動いてきたはずでした。

 グローバルに物事が動くとは、ロンドンを中心に世界が動くことでした。グリニッジ天文台の標準時はダテではありません。

 ニュートン力学は言うに及ばず、蒸気機関、自動織機から、銀の価値を決定的に下げたファラデー、デービーの電気化学、そこで工夫された「金本位制」という大がかりなフィクションまで、1600年代から1900年代にかけての英国は、確かに輝いていました。

 日本がいまの日本になったのも、ガタイだけ大きくて随所がどうにもならなかった清朝末期、これを軍事的に下して賠償金を取り、金本位制に移行して「日英同盟」を締結、誇りある大英帝国が800年来の光栄ある孤立を放棄してくれたおかげです。

 これはドイツも同様で、ガタイだけ大きくて随所がどうにもならなかったハプスブルク朝、神聖ローマ帝国末期、これを軍事的に下して7年戦争から普墺戦争に至る100年の経緯があります。

 これを側面から支えていたのは、実はハノーバー朝王室を要する大英帝国にほかなりませんでした。

 あまり強調されていないかもしれませんが、英国の王室はドイツ系です。

 日本の皇室が大陸半島に「ゆかり」を感じるのとは比較にならないほど、エリザベス女王を筆頭にウインザー家の陽気な方々は血統的には大陸貴族、ドイツ人でした。

 そして、近親憎悪も含めた様々な因果が、ここ300年ほどの英国と大陸ドイツ語圏の間にはありました。

 何でこんなことになるかと言うと、英国が不可思議な形でローマ・カトリックから独立した「宗教改革」が背景にあります。

 カトリックの支配と徴税を逃れ、自由な科学の推進を可能にした英国の転換を「プロテスタント外人王朝」が支えてきました。

 ちなみに長年の読者にはお馴染と思いますが、私自身日本で「英国国教会」信徒4代目という観点から、アングロサクソンの良い面もまずいところも、半世紀余にわたって我がこととして見てきたことから、こうした原稿も記している次第です。

 英国の正式名称は「北部アイルランドならびにグレートブリテン連合王国」というものであるのは周知と思います。

 「イギリス」すなわち「イングランド」というのがグレートブリテン島と勘違いしている人を見かけますが、あの島の北側はスコットランドという別の風土の土地にほかなりません。

 アイルランドは「大英帝国」の極めて早い時期からの「近くて遠い隣人」でした。

 もっとはっきり言ってしまえば、12世紀以来のイングランド入植地という歴史があり、日本で言うなら平安、鎌倉時代あたりからヤマト民族が入った近接する島、という微妙な背景があります。

 アイヌとか琉球にも似た響きが、英国におけるアイルランドという言葉には含まれています。

 私たち音楽の畑の例で挙げるなら「トリスタンとイゾルデ」の伝説は、新興したブリテン島南部の英雄トリスタン15歳が、没落しつつあった大国アイルランドのイゾルデ姫13歳を人質花嫁として船で運ぶ最中、「盗んだバイクで走り出してしまった」というローティーンの愚かな恋愛物語にほかなりません。

 そして恋愛は愚直であればあるほど純粋で美しく、その末路は悲しいものにならざるを得ません。

 様々な歴史的背景はおくとして、ベルファストを中心とする「北部アイルランド」は、ダブリンを中心とするアイルランド共和国の「北方領土」として、一貫して英国最大の社会問題であり続けました。

 英国国教会とは一線を画するという意味でアイルランドのアイデンティティはカトリックであり続けましたし、私が子供の頃は爆弾テロなど血なまぐさい報道が続くエリアでもありました。

 北アイルランド問題が何とか「合意」をもって「解決」したとされるのは1998年の『ベルファスト合意』によるものです。

 EUの存在ありきで解決していたのが、武装組織「アイルランド共和軍」(IRA)やシン・フェイン党などイングランドとの調停の現実でありました。

 それを崩してしまったのだから、たまったものではありません。

 現在、アイルランド島内には「国境」は設けられておらず、ベルファスト・エリアの「北部アイルランド」は「南部共和国アイルランド」と自由にあらゆる交通が可能です。

 産業も発達し、関税も税関もない社会経済がアイルランド全島を平和裏に発展させていた。

 EUとの調停案は、この北部アイルランドを緩衝地帯として、大英帝国の欧州離脱をできるだけソフトに解決するために案出されたのが「バックストップ」合意案と呼ばれるものの本質です。

 やれ折衷案だ、表面だけ取り繕うの何のといった情けない日本語の文字をメディアで目にします。しかしそれはとんでもないことです。

 大陸中央で様々な悲哀を経験したベネルクスすなわちベルギー・オランダ・ルクセンブルクなどの知恵と、アイルランド問題の平和解決温存を念頭におく「高度な調停案」というのが、バックストップ合意の配慮に満ちた元来の内容でした。

 それを、まったく考えなしに「やめた〜! またベルリンの壁だ〜、ドナルド・ダックもメキシコの壁だ〜」とひっくり返してしまったのが、歴史的否決と呼ばれる無残な投票結果の本質にほかなりません。

 もしバックストップが進んでいたら、ロンドンよりもベルファストが、世界の中心としての機能を帯び始めていたことでしょう。

 それを許せなかった既得権益のつまらないプロパガンダと言えるかもしれません。

 世界と欧州の窓口は、今回のバカ合意で完全に閉ざされ、今後はさらにベルリンやミュンヘンの重要性が上ることになってしまった。やれやれ・・・。

 あまり世界に報道されないドイツのホンネが聞こえてくる場所でこの報道に接したため、本稿もたぶんグローバルに類例の少ない切り口で記すことになっている次第です。

 要するに、前回の国民投票はまだ愚かな決定のレベルだったものが、今回はある種の右派やらつまらない既得権益、集票のためのシナリオその他が自走して、取り返しのつかない決定を下してしまった。

 これが、バックストップ合意否決という「脳死」判定の背景で、自家中毒で英国は終わったな、と冷静な欧州知識層は観察しているように思います。

 ドイツの思慮ある視線から見ると、「ゆりかごから墓場まで」の英国のシステムが「ゆりかごからして墓場になった」程度には、「終わった」ように映っている。

 この「歴史的敗北」は、英国の英国自身に対する敗北で、要するにに自滅、自壊であると。

 そこで、「そのあおりをEUはできるだけ受けないようにしなくては。またドイツは決して、こんなことの二の舞は踏むまい」と思いながら、末期症状を見るような目で「合意なきブレグジット」の波及効果を最小とし、自国利益の最大化を図るべく、フル稼働中というのが今現在の本当のところと思います。

 つまり「漁夫の利」を取るのは誰か、ということです。

 ある友人は「これで本当に、本当〜に、大英帝国は終わった。800年の歴史が終わった」と言って、ニマ〜ッと笑いました。

 欧州史の複雑な一面を見たような気がしました。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55255
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/284.html

[政治・選挙・NHK256] 誰も指摘しない北方領土の軍事的価値 軍事カードが大きくものを言う領土交渉の現実 
誰も指摘しない北方領土の軍事的価値
軍事カードが大きくものを言う領土交渉の現実
2019.1.23(水) 数多 久遠
日ロ首脳が会談、北方領土交渉の打開に至らず
ロシアの首都モスクワで行われた日ロ首脳会談の後、共同記者会見を行うロシアのウラジーミル・プーチン大統領(右)と安倍晋三首相(左、2019年1月22日撮影)。(c)Alexander NEMENOV / POOL / AFP〔AFPBB News〕

(数多 久遠:小説家、軍事評論家)

 事前報道で北方領土返還交渉の進展が囁かれていた2019年1月22日の日ロ首脳会談では、プーチン大統領から「解決は可能だ」と前向きな発言があったものの、結局のところ目あたらしい情報はでてきませんでした。

 ただし、こうした重要な交渉では、合意ができるまで、交渉状況を外部に出さないことが多いため、実際には交渉が進展している可能性もあります。過去には、観測気球と思しきリーク情報をマスコミに流した日本サイドに対して、ロシアから釘を刺されたこともあるため、新たな情報がないことをもって、政府を非難するのは不適切です。

 むしろ、2018年末に、プーチン大統領が米軍の展開を意図したと見られる言及をしたことを考えれば、交渉が新たなステージに入った可能性も考えられます。一方で、この発言を受け、日本国内の報道では、急に軍事・安全保障に関する言及がなされるようになってきました。

 本稿では、理解されているとは言い難い北方領土の軍事的価値を概観し、交渉の今後を占う一助としたいと思います。

北方領土の軍事面の価値
 軍事的観点から、ロシアが北方領土を返還したくない理由を整理してみましょう。

(1)ロシアの核抑止戦略への影響

 ロシアの核戦力は、主に地上発射の弾道ミサイルと潜水艦発射の弾道ミサイルに依っています。この内、北方領土問題が大きく影響するのは、潜水艦発射弾道ミサイルに対してです。

 地上発射の弾道ミサイルは、移動式のものであっても衛星などによって発見され、発射前に破壊される可能性があります。そのため、いわゆる報復核戦力(攻撃を受けたあとの反撃用)としては潜水艦発射の弾道ミサイルが重視される傾向は、米ロとも共通です。

 しかし、ロシアの海軍力は、アメリカに遠く及びません。アメリカは、戦略ミサイル原潜(弾道ミサイルを運用する原子力潜水艦)を世界中の海で使用していますが、ロシアの戦略ミサイル原潜は、バレンツ海など北極周辺海域とカムチャツカ半島と千島列島で囲まれたオホーツク海ぐらいでしかまともな運用ができていません(ただし、クリミアを占領しているので、今後は、黒海でも戦略原潜を運用する可能性はあります)。

 ロシアは、オホーツク海を戦略原潜の聖域とするため、多数の水上艦艇を運用しているだけではなく、北方領土にも対艦ミサイル部隊を配備するなどしています。しかし、もしも返還した北方領土に日米の部隊が展開することになれば、戦略原潜を守る防御網に穴が開くことになってしまいます。

北方領土の地図(出所:外務省)
(2)ロシア太平洋艦隊への影響

 世界史で勉強した方も多いと思いますが、帝政ロシアは、冬期に凍らない不凍港を求めて、南下施策をとっていました。それは、ヨーロッパ方面だけに限りません。ウラジオストクを確保したのも、その一部です。

 現在のロシア太平洋艦隊は、北方艦隊に次ぐ戦力を保有していますが、前述のように米海軍には遠く及ばないため、外洋での活動は、それほど活発とは言えません。本来、海軍力は必要な時に遠方まで戦力を投射できることに価値があります。ところが、不凍港があっても太平洋の出口となる海峡が結氷してしまえば、砕氷船しか外洋に出て行くことができなくなります。狭い海峡が結氷してしまえば、潜水艦が安全のために浮上航行することも当然困難となります。そのため、不凍港だけでなく、結氷せず、安全が確保できる幅や水深がある海峡が必要になります。

 しかし、ロシア太平洋艦隊の基地は、日本列島とカムチャツカ半島、そして千島列島で囲まれたエリアにあるため、津軽海峡や対馬海峡などの日本周辺の海峡以外では、結氷せず、かつ安全に通峡できる海峡は、国後島と択捉島の間にある国後水道くらいしかないのです。

 ロシアとしては、もし北方4島、あるいは択捉島を除く3島を返還しただけでも、国後水道は、日米によって封鎖される可能性が高い海峡となってしまいます。

(3)米軍がイージスアショアを設置する可能性

 上記の2つは、以前から専門家が時折指摘してきたものです。

 しかし、近年の国際情勢において、北方領土の重要性と価値を考えるうえで新たに考慮しなければならない軍事的要因が出てきています。それは、北朝鮮の弾道ミサイルです。

 北朝鮮は、アメリカとの交渉に応じるポーズを見せただけで、いまだに核・弾道ミサイル開発を続けています。このままでは、早晩アメリカに届く実戦級核搭載弾道ミサイルを完成させてしまうでしょう。

 詳細には述べませんが、ICBM(大陸間弾道ミサイル)を高確率に迎撃するためには、弾道ミサイルの発射後の早い段階で(実際には、エンジンが燃焼中のブースト段階での迎撃は困難なため、エンジンが停止し、慣性で上昇を続けているターミナル段階の初期に)迎撃を試みることが重要です(この段階で一部でも迎撃できれば、その後の迎撃チャンスに再度試行することできる上、弾頭が分離される前なので、迎撃すべき目標数を大きく減らすことができます)。

 しかし、北朝鮮からアメリカに向かうICBMは、図に示すようにロシア沿海州方面を北北東に飛翔します。このため、ターミナル段階の初期に迎撃を行うためには、北海道からさらに北東の地点から迎撃ミサイルを発射する必要性があります。

北朝鮮からアメリカに向かうICBM(『北方領土秘録 外交という名の戦場』より)
 日本が配備をすすめる陸上型のイージス、イージスアショアは、山口県と秋田県に設置される予定であり、この2カ所からではアメリカに向かうICBMの迎撃は困難です。

 では、どこが適切かと言うと、理想的な候補地が北方領土、択捉島なのです。択捉島が配備適地であることは、アメリカがイランの弾道ミサイルからヨーロッパを防衛するために設置しているイージスアショア(EPAA:European Phased Adaptive Approach)の配備地を見れば分かります。

 EPAAは、何度か計画内容が変遷し、現在はヨーロッパ防衛を目的としたシステムとされています。しかし、もともとはアメリカを防衛するものとして計画されたものですし、使用する迎撃ミサイルのアップグレードで、現在もアメリカ本土の防衛に寄与するものと考えられています。

イランからアメリカに向かう弾道ミサイル(『北方領土秘録 外交という名の戦場』より)
 そのEPAAの2カ所の配備地の内、最初にイージスアショアが設置されたルーマニアのデベゼルは、イランに対する位置関係を北朝鮮にとってのそれと置き換えると、択捉島にあたる位置なのです。

 他方、択捉島から発射する迎撃ミサイルは、ロシアがオホーツク海に潜航する潜水艦から発射する弾道ミサイルに対しては、距離が近すぎて迎撃が困難でしょう。しかし、イージスアショアのレーダーで捕捉できるため、アメリカがアラスカなどに配備している迎撃ミサイルで撃墜できる可能性が大きくなります。

 アメリカの意図が、対北朝鮮の弾道ミサイル対処であっても、ロシアのミサイルに対しても影響がでます。

 ともあれ、北方4島を日本に返還し、自衛隊やアメリカ軍の展開が可能となれば、ロシアはアメリカに対北朝鮮の弾道ミサイル防衛用最適地を提供することになってしまいます。これは、ロシアにとって損害とは言えませんが、みすみすアメリカを助けることはしたくないでしょう。

北方領土の軍事的価値を考慮してきたか?
 こうしたロシアにとっての北方領土の軍事面での価値を考えると、返還交渉が非常に困難なであることは理解できると思います。

 しかし、このことを理解しないと交渉が進むはずもありません。

 今般の交渉担当が河野外相と決められたように、北方領土交渉を担うのが外務大臣、そして外務省であることは当然といえます。しかし、既に述べたように、軍事は非常に大きな影響を与えています。そのため、北方領土交渉では、外務大臣同士の交渉だけではなく、防衛大臣同士の交渉も行う「2プラス2」と呼ばれるスキームが使われています。ところが、2プラス2が北方領土交渉において使用されるようになったのは、第2次安倍政権が発足した以降の2013年からなのです。

 つまり、それまでは、こうした軍事的要素が軽視されたまま交渉が行われていたことになります。交渉が進展しなかったのも、さもありなんでしょう。相手の思惑が読めなければ、着地点を探ることもできません。

 その理由としては、マスコミを中心とした日本社会全体の軍事アレルギーが大きな要素でした。加えて、外交を外務省だけのものにしようとする外務省の姿勢も大きかったと思います。鈴木宗男事件の際、その背後にあって、鈴木宗男氏や田中真紀子当時外相を外交の舞台から追い出したのは象徴的事例でした。

 同時に、無関心を貫き通してきた防衛省の姿勢にも問題があったと言えるでしょう。アメリカに限らず海外の軍隊が領土紛争地に空母機動部隊を派遣したり、デモンストレーションとしての演習を行うことはニュースで頻繁に目にすることができます。

 しかし、自衛隊が北方領土関連に限らずそうした行動を行ったことは、私が知る限り皆無です。筆者が現役自衛官だった当時にも、そうした計画は聞いたことがありませんでした(逆に、演習を抑える方向の要求があったことはありますが)。

外交において不可欠な軍事情報の活用
 北方領土問題に限らず、領土問題や世界各地で起る事件には、軍事が大きな影響を与えています。それらの情報収集には、大使館などの在外公館が大きな比重を占めていますが、そこで軍事面の情報収集にあたるのは、防衛省・自衛隊から外務省に出向した「防衛駐在官」と呼ばれる自衛官です。現在では、47の大使館などに、67名の自衛官が派遣されています。ただし、世界全体を見回せば、防衛駐在官の赴任地はまだ一部に留まっています。

 2003年までは、彼らの報告は外務省から防衛省に渡っていませんでした。重要な情報が、軍事知識の足りない外務官僚から注目されることなくムダになっていたわけです。

 現在では、こうした状況はかなり改善され、軍事が絡む外交課題は、各大臣が参加する国家安全保障会議(通称「NSC」)で議論されるようにもなっています。北方領土問題に解決の兆しが見られるのも、こうした外務省と防衛省の連携の賜物と言えるでしょう。

 北方領土交渉は今後も難航が予想されますが、外交における軍事情報、防衛省の役割は今後ますます大きくなっていくはずです。

妥結の一歩手前まで進んだ2016年の交渉
 筆者は北方領土交渉の行方を決して悲観しておらず、妥結の可能性があると考えています。過去には、今以上に妥結の一歩手前まで行っていたこともあるのです。2016年の12月に行われた日ロ首脳会談は、安倍首相の地元、山口県で実施されました。安倍外交の集大成として、アピールするつもりだったことは間違いありません。ですが、この時も直前になって、交渉は暗礁に乗り上げました。

『北方領土秘録 外交という名の戦場』(祥伝社)
 当時、どのような交渉があったのかは、当然明らかにはされていません。2016年は、北朝鮮の弾道ミサイル発射が相次ぎ、アメリカではトランプ大統領が誕生する国際情勢の大変動年でした。こうしたことが、何らかの影響を与えたのかもしれません。

 拙著『北方領土秘録 外交という名の戦場』(祥伝社)では、そうした可能性の1つを歴史小説として描きました。本稿で述べたような、外交における軍事の重要性を理解していただけるものともなっています。ご一読いただければ幸いです。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55232


http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/575.html

[国際25] 一帯一路で中国が狙う「物流覇権」再奪取の総仕上げ 習近平国家主席は「ダボスマン」に非ず、国際主義の庇護者を称するのは無理
一帯一路で中国が狙う「物流覇権」再奪取の総仕上げ

【連載】ビジネスに効く! 世界史最前線(第14回)
2019.1.23(水) 玉木 俊明
フロリダ州セント・オーガスティンに係留されたガレオン船
 前回、中国が海禁政策を取り朝貢貿易中心へと政策転換したことが、世界最高水準にあった海運力を衰退させ、これが中国経済にとって致命的な問題を招いてしまったということを述べました(「世界最高水準の海運力を朝貢で失った明代中国の悲劇」 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55162)。今回は、その続編をお届けしようと思います。

中国に銀を運んだポルトガルとスペイン
 世界の歴史を俯瞰すると、19世紀初頭ごろまで、世界で最も豊かな国は、中国であり、それに次ぐのがインドでした。この二大経済大国に比べて相対的に貧しかったヨーロッパは、中国からは絹織物や陶磁器、茶など、インドからは綿などを輸入していました。それに代わる対価を、ヨーロッパ諸国は銀で支払っていたのです。本来ならばヨーロッパの特産品である毛織物を売ることで対価としたかったはずですが、アジアでは毛織物の需要はあまりなかったのです。

 特に中国では、銀の需要が高かったのです。それは15世紀に採用された一条鞭法にしても、康熙帝の時代に導入された地丁銀制にしても、銀による納税システムが採用されていたからでした。ところが銀は中国国内ではほぼ産出されません。そこで外国から銀を得る必要があったのです。

 中国に対する銀の主要な供給元となったのは、まず日本でした。その頃、日本の銀生産高は、世界の3分の1を占めていました。日本銀の産出量は、ボリビアのポトシ銀山に匹敵していたといわれています。日本は中国から綿、絹、生糸、茶などを輸入していたので、その代価として銀を充てていたのです。

 主要な銀山は、島根の石見銀山でした。この日本銀を中国まで運ぶのに活躍したのは、日本人ではありません。というのも、16世紀の安土桃山時代から、日本が外国と正規の貿易ができるのは長崎で、しかも特定の国との間とだけ可能になっていました。つまりポルトガルやオランダ、中国です。主に活躍したのは、ポルトガル人やオランダ人です。彼らが中国で買い付けた生糸などの長崎に持ち込み、対価として受け取った銀を、今度は中国に運び込んだのです。

 中国に運び込まれる銀は、日本産だけではありませんでした。新世界で産出された銀も持ち込まれたのです。この輸送を担ったのはスペインでした。メキシコのアカプルコでガレオン船に銀を積み、そこからフィリピンのマニラに運びます。マニラに到着した銀は、今度は中国のジャンク船によってマカオへと輸送されたのです。

マニラとアカプルコを結んだガレオン船のルート ©アクアスピリット
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 ガレオン船は多いものでは4〜5本のマストを備え、喫水が浅く、スピードが出ました。そして、砲撃戦にも適していた。そのため従来、遠洋航海に用いられてきたカラック船やカラヴェル船に取って代わり、広く使われるようになったのです。

マニラが果たした役割
 マニラに運び込まれた銀は、主に絹と交換されました。マニラは、スペイン王フェリペ2世によって1571年に建設された都市で、17世紀初頭には人口2万8000人の規模になり、さらに1620年には4万1400人へと急増しています。1650年のマニラには、約1万5000人の中国人、7350人のスペイン人、2万124人のフィリピン人がいたという記録も残っています。中には、宗教的迫害を逃れてマニラに住み着いた日本人キリシタンもいました。また、アルメニア人がいたことも確認されています。マニラは、まさに異文化間交易の中心になったのです。

 アジアとの交易は、当時のヨーロッパ諸国にとって莫大な富を生み出す手段でしたが、スペインは、例えば中国に直接アクセスするのではなく、マニラを中継地としてアジア市場に参入するという手段を選びました。とうのも、当時のアジア諸国との貿易を支配していたのは、まずはポルトガル人、ついでオランダ人でした。そこに後発のスペインが割って入ることは難しかったのです。

 中国に直接アクセスできないスペインは、マニラを中継地とし、ガレオン船を駆使して、太平洋沿岸貿易に力を注ぎました。18世紀末には、多数のマニラ産の葉巻が、アカプルコ経由でスペイン領アメリカに輸送されるようになります。

 ポルトガルは、スペインがフィリピン諸島で独占的な活動をしていたことに反感を持っていましたが、なぜか自ら太平洋に乗り出そうとはしませんでした。ポルトガルは、本国から見て西はブラジル、東はマカオ―マラッカ―モルッカ諸島までを帝国の範囲とするにとどまったのです。

 それに対しスペインは、太平洋をスペインの海にしようとしていました。そのために必要だったのが、ガレオン船とアカプルコから輸送される銀だったのです。

中国に銀が流入した理由
 中国に銀が流入した理由については、一条鞭法や地丁銀制という銀による納税システムをとっていたため、と説明しましたが、もう一つ大きな理由があります。それは、中国とスペインの金銀比価の相違です。つまり金1と交換するのに必要な銀の比率です。

 1592年から17世紀初頭にかけ、広東での金銀比価は、1対5.5から1対7であったのに対し、スペインでのそれは1対12から1対14ほどでした。中国では銀が高く評価されており、そのため、銀が中国へと流入したのです。逆に言えば、明や清は、アカプルコからマニラに銀を運び込んでくるスペイン人の船がなければ、経済を維持することができなかったのです。

 鄭和の大航海以降、明は海禁政策に舵を切り、外国地の貿易は基本的には朝貢貿易が原則になっていきます。そのせいもあり、中国はメキシコからの銀の輸入も、スペイン人の手を借りなければなりませんでした。スペインにとってみれば、このガレオン貿易は莫大な利益を生み出すドル箱で、太平洋貿易にますます力を注いでいきます。

 それがひいては太平洋をまたにかけた巨大な海上帝国を築き上げる力になって行きます。

 当時、経済的にはまだ中国はヨーロッパを凌駕する豊かさを誇っていましたが、スペイン人やポルトガル人は大型船を操り、徐々に世界を一つにしていきました。

 中国は、豊かであったがゆえに、物流の重要性を軽視しました。すべての商品は中国を目指していたので、あえて冒険して、海上に乗り出し、物流システムを開拓する必要はなかったのです。それが、その後の中国の経済的没落とヨーロッパの勃興へとながっていったのです。

「一帯一路」の世界史的意義
 1990年代以降、中国は大きく経済成長しました。現在のGDP総額は、世界第2位になっています。経済大国の地位に見事返り咲いたわけです。現在の習近平国家主席は、その地位を盤石のものとし、アメリカと並ぶスーパーパワーとして世界に君臨しようとしています。彼がぶち上げた「一帯一路」構想は、それを実現するための政策といえるでしょう。

 一帯一路構想とは、2013年に習近平国家主席が「シルクロード経済ベルト」と「21世紀海のシルクロード」を含む「一帯一路」構想を正式に検討したことから始まります。注目すべきポイントは、これがユーラシア大陸全体におよぶ物流システムの再構築だということです。すなわち、ユーラシア世界の陸上物流と海上物流が、中国を中心として結合されるということです。そのためには中国は、中国が主導して設立したアジアインフラ投資銀行(AIIB)を通じて、関係各国への莫大なインフラ投資も厭わない姿勢を示しています。現代の中国が、いかに物流を重視しているのかが現れていると言えるでしょう。

「一帯一路」構想 ©アクアスピリット
 その具体的ルートは、中国西部―中央アジア―欧州を結ぶ「シルクロード経済帯」(一帯)と、中国沿岸部―東南アジア―インド―アフリカ―中東―欧州と連なる「21世紀海上シルクロード」(一路)からなります。

 歴史的に見れば、海上ルートは、明の時代に7度の大航海を指揮したムスリムである鄭和が遠征したルートであり、それはおおむねムスリム商人が利用した商業ルートです。陸上ルートは、いくつかの部分が、シルクロードで活躍したアルメニア商人の商業ルートと重なっています。

 中国政府は、あるいは多くの人々がこれらに対して「新しいシルクロード」という表現を使っていますが、「シルクロード」という表現は、私には適切には思えません。シルクロードとは、商人たちが自発的に形成したルートであり、その形成に国家はあまり関与してこなかったからです。

 しかも陸上のルートに関しては、旧来のシルクロードの流通量は、決して多くはありませんでした。現代の中国政府は、その陸上ルートに膨大な量の商品を輸送する計画なのです。国家が関与する巨大な流通ルートは、本来の「シルクロード」とは意味合いがまったく違います。

 ともあれ、かつて世界で最も豊かだった中国は、物流をあまり重視しない朝貢に貿易の軸足を置いたことで、経済力の衰退を招きました。経済力を回復した現代の中国は、その地位をさらに強固なものとするため、一帯一路という超・物流重視政策に力を入れています。膨大な資金や関係諸国との良好な関係も不可欠な事業なので、成功するか否かはまだ不透明ですが、中国経済史、あるいは中国物流史を踏まえれば、中国が一帯一路構想にのめり込むのはある意味当然のことと理解できるでしょう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55276

 
習近平国家主席は「ダボスマン」に非ず
称賛された講演から2年、国際主義の庇護者を称するのは無理
2019.1.23(水) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2019年1月21日付)

習主席、保護主義に警鐘 トランプ新政権にらみ、ダボス会議で講演
スイス・ダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で講演する中国の習近平国家主席(2017年1月17日撮影)。(c)AFP/FABRICE COFFRINI 〔AFPBB News〕

 今から2年前、今週また始まる「世界経済フォーラム年次総会(通称ダボス会議)」で、中国の習近平国家主席は自らをグローバル化の庇護者として位置づける講演を行った。

 「好むと好まざるとにかかわらず、グローバル経済は逃れられない大きな海だ」

 米大統領に選出されたばかりのドナルド・トランプ氏が敵、味方を問わず貿易戦争を仕かけるのにいそしむ傍ら、習近平氏はこう言った。

 「経済国の間を行き交う資本、技術、製品、産業、人の流れを絶ち、大海の水を孤立した湖や川へ戻そうとする試みは、とにかく不可能だ」と断言し、中国の経済開放があらゆる形で中国と世界の双方を豊かにした例を挙げてみせた。

 それも、もう終わりだ。

 あのダボス会議の1年後、習氏は国家主席の任期制限を廃止し、毛沢東時代へと逆戻りする策を講じた。

 中国は改革について逆行し始め、非生産的な国有企業のさらなる成長を促し、競争を減退させ、すでに進んでいた景気減速を悪化させた。

 この減速に対処するうえで、中国政府は昔のやり方に頼った。債務で問題を覆い隠すやり方がそれだ。

 大企業が国有銀行から多額の融資を受ける一方、より生産性の高い民間部門は締め出された。

 モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントのルチア・シャーマ氏によれば、今では中国で1ドルの経済成長を生み出すために3ドルの債務が必要になっている。

 トランプ氏は国際体制をひっくり返したことで多くの批判を浴びた。それも受けるべくして受けた批判だった。

 しかし、中国は十分に批判されていない。

 トランプ氏の関税は確かに、何年も前からくすぶっていた米中対立を浮き彫りにした。だが、最大のイベントはトランプ氏ではない。

 「トランプは極端な対策を取るが、我々は自然とこの段階に至ったはずだ」

 中国のプライベートエクイティ(PE)業界の大物投資家、単偉建氏はこう話す。

 同氏の新著『Out of the Gobi』は毛沢東時代の中国で育った回顧録だが、中国にとって、なぜ市場の方が国家管理よりうまく機能したかを調べた研究でもある。

 「中国に変わってほしくないと考える既得権益が存在する。実際には、もし貿易戦争が国を本格的な改革の実行や知的財産権の保護に追い込むのであれば、それは良いことかもしれない」(同氏)。

 今のところ、そうはなっていない。

 米国はトランプ氏の指揮下で、昔ながらの金融化のシュガーハイ(興奮状態)に頼った。

 減税と企業の自社株買いが、10年間に及ぶ低金利と記録的な債務の後、調整の機が熟し、ぐらつく市場を支えてきたのだ。

 中国も同じことの中国版を行い、いつもの不要な建設プロジェクトの数々を支え、金融政策を緩和し、資産バブルが膨らむのを容認している。

 グローバル化と多国間主義を軸とした新たな課題を促進するどころか、習氏は市場の国家管理を強め、クアルコムからアップル、ビザ、マスターカードまで、多くの企業が事業を営むのを難しくした。

 また、中国政府は急成長を遂げるハイテク産業に対する統制も強め、国内外の企業に検閲への関与を深め、国家の治安対策に協力することを義務づけている。

 これは、中国流の中央集権こそハイテク産業に必要なものだとする危険な物語の一環だ。

 この説によれば、人工知能(AI)とビッグデータの時代にあって、監視国家を邪魔する市民の自由が存在しないために、中国は米国企業に対する優位性を持つ。

 世界最大の人口から生み出されるすべての情報に自由にアクセスできることから、中国のハイテク業界は急速に前進していく。

 これは最近、米国や欧州連合(EU)での規制強化の動きを押し返すために米国ハイテク企業のトップが駆使している訴えだ。

 筆者はこの説を信じない。中国の監視国家はイノベーションよりも抑圧をもたらすだろう。

 国際NGO(非政府組織)「フリーダムハウス」が最近公表した報告書によれば、中国は監視技術を少なくとも世界18カ国に輸出しており、ザンビアやベトナムといった国の政府が自国市民を弾圧するのを容易にしている。

 中国の指導者は、中国の減速は自然で歓迎すべきことであり、新しい消費主導経済への移行だと話している。

 一方で、景気減速は統制政策への回帰がもたらした結果だと言う人も大勢いる。

 ワシントンのシンクタンク、ピーターソン国際経済研究所のニコラス・ラーディ氏は、中国で次第に大きくなる国有企業の重荷は、世界金融危機以降、大幅な生産性の伸び減速を招いたと考えている。

 これを反転させるために必要なのは、国家管理を強めることではなく、逆に緩めることだ。

 習氏が2017年のダボス会議の講演で指摘したように、中国は1980年代に経済を開放した後、1.7兆ドル以上の外国投資を呼び込み、世界経済の成長に多大な貢献をした。

 現在、資本フローと成長双方が減退している。減速の一部は米中貿易戦争のせいだ。だが、米国の経済問題が国内で始まるように、中国のそれも国内で始まる。

 トランプ氏は完全にでっち上げられた移民危機の一環として何の必要もない政府閉鎖を指揮するのに忙しいため、米国代表団のダボス訪問をキャンセルした。

 中国の代表団は今年もダボスへ行く。だが今年は、中国政府が自国をグローバル化の庇護者として位置づけるのは、以前よりずっと難しいだろう。

By Rana Foroohar

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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55269

http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/286.html

[国際25] フェイクニュースを一気に拡散する米国メディアの病 バズフィードの報道、当事者からフェイクと指摘される 
フェイクニュースを一気に拡散する米国メディアの病
バズフィードの報道、当事者からフェイクと指摘される
2019.1.23(水) 古森 義久
トランプ氏、「今後も100%NATOと共に」 加盟国に負担増要求も
ドナルド・トランプ米大統領。トランプ関連報道には用心が必要だ。(c)Timothy A. CLARY / AFP〔AFPBB News〕

(古森 義久:ジャーナリスト、産経新聞ワシントン駐在客員特派員)

「トランプ大統領が元顧問弁護士に議会での偽証を指示した」という衝撃的なニュースがワシントンの国政を揺るがせた。米国の各メディアがロシア疑惑の新展開として大々的に報じ、日本の主要メディアも「大統領の偽証命令」として報道した。ところが、すぐにこのニュースはフェイクニュース(偽ニュース)であることが判明した。

 一体どういうことだったのか。

後を追った朝日、報道の根拠は?
 1月19日付「朝日新聞」夕刊に以下の記事が載った。「トランプ氏、元顧問弁護士に偽証指示か」という見出しだった。袖(そで)見出し(主見出しの横の小さな見出し)は「ロシア疑惑 元顧問弁護士に」と書かれていた。

 ワシントンの杉山正記者が発信したこの記事の冒頭には、以下の記述があった。

「モスクワでの『トランプタワー』建設事業計画を巡り、トランプ米大統領が元顧問弁護士マイケル・コーエン氏に議会で偽証をするように指示したと、米ニュースサイトのバズフィードが17日、複数の捜査関係者の話として伝えた。事実ならば、弾劾(だんがい)訴追の根拠になる偽証教唆や司法妨害の罪にあたる可能性があり、野党民主党は18日、調査に乗り出す方針を示した」

 記事にもあるように、事実ならば重大事態である。大統領が腹心だった弁護士に議会での公式の証言でウソをつけと命じた、というのだ。まさに偽証教唆、司法妨害の罪となる。トランプ大統領がいよいよ弾劾の手続きにさらされ、窮地に追い込まれることは必至である。

 朝日新聞のその記事は、この重大な新情報の根拠について次のように書いていた。

「同サイトによると、ロシア疑惑を捜査するモラー特別検察官がこのトランプ氏の指示に関して、コーエン氏ら複数の関係者の証言のほか、メールなどの物証を得ているという」

 この報道を大スクープとして最初に流したニュースサイト「バズフィード・ニュース(BuzFeed News)」は、ロシア疑惑を捜査しているモラー特別検察官の事務所から情報を得たと言明していた。ロシア疑惑に関する情報では、モラー特別検察官は最も信頼のできるソースの1つである。

 ところが、である。このニュースがアメリカや日本、さらには世界各国に伝わった翌日、当のモラー特別検察官がこの情報を否定した。バズフィードの報道はフェイクニュースだったのだ。

フェイクニュースが生まれた背景
 このフェイクニュースが生まれた背景を理解するには、コーエン氏の置かれていた立場を知っておく必要がある。

 年来のトランプ氏の弁護士だったコーエン氏は、2017年からトランプ氏とロシア政府機関との「共謀」を捜査するモラー特別検察官の捜査対象となった。その過程でコーエン氏は同年8月に議会の上下両院の情報特別調査委員会に書簡を送り、トランプ氏の会社が進めていたモスクワに「トランプタワー」を建設する計画は、大統領選挙戦の本格化した2016年1月には終了していた、と証言した。

 ところが、この計画は実は2016年6月まで続いていたことが判明した。そのため、コーエン氏は偽証罪に問われた。同氏は2018年11月に罪を認め、司法取引でモラー氏の捜査に協力することになった。偽証したのはトランプ氏とロシアとの関係を少なくみせるためだった、と認めたという。

 一方、トランプ大統領はこの間、不正行為は一切なかったと主張している。コーエン氏の偽証も自分には無関係であるという立場を保ってきた。

 そんな状況の中で、バズフィードが「コーエン氏の偽証はトランプ大統領の指示だった」というショッキングなニュースを伝えたのである。

 その根拠は、モラー特別検察官事務所の複数の当事者たちからの情報だという。「トランプ氏からウソをつくように指示された」というコーエン氏の生々しい“証言”も引用されていた。

トランプ氏元弁護士に禁錮3年 大統領の「汚い行い」隠蔽認める
米ニューヨークの連邦裁判所に到着したマイケル・コーエン被告(2018年12月12日撮影)。(c)TIMOTHY A. CLARY / AFP〔AFPBB News〕

事実無根だったバズフィードの報道
 ところがバズフィードのニュースが流れた翌日の1月18日、モラー検察官はこの報道の内容を完全に否定する声明を出した。その文面は以下の通りだった。

「マイケル・コーエンの議会証言に関して、特別検察官事務所への特定の発言、入手した証言や資料について伝えたバズフィードの記述は正しくない」

 モラー検察官の声明に対して、バズフィードはまだ報道の訂正や撤回を公式にしていない。だが、ワシントン・ポストなど他の報道機関がモラー検察官事務所に直接取材して、同事務所がバズフィードの報道を事実無根として完全に否定し、フェイクニュース扱いしていることを詳しく伝えた。

 トランプ批判で知られるCNNテレビでさえも、メディア関連の法律専門のジェフリー・トービン記者が「この種の間違った報道が続くと、米国民一般がメディア全体を『トランプ憎しに駆られた左翼のウソつきたち』とみて、信用を失うことになる」と評論し、バズフィードに非を認めることを促した。

米国メディアで飛び交った「弾劾」という言葉
 バズフィードは政治的スタンスとして民主党リベラル支持を鮮明にしており、トランプ大統領非難の評論や報道を一貫して続けてきた。

 ロシア疑惑の発端となる「スティール文書」を最初に伝えたのもバズフィードだった。そのニュースはトランプ大統領の就任時の2017年1月に伝えられた。トランプ氏がロシアの各方面の人物たちとスキャンダラスなつながりを保ってきたという内容だった。文書を作成したのは、民主党陣営から依頼を受けたイギリス政府の元スパイのクリストファー・スティール氏である。だが、英米両国の情報機関当事者たちは、その文書の内容は信頼性がなくバズフィードの報道はフェイクニュースだったとみている。

 そうしたバズフィードの政治的立場からすれば、今回のフェイクニュースにも一貫性はあるということになる。

 事実、このニュースは、わずか1日とはいえ、反トランプ陣営を勢いづけた。「反トランプ」で知られるMSNBCテレビのキャスターのケイティー・ター氏は、「トランプは大統領になって最も打撃的な報道にいま直面した。このニュースは彼の弾劾につながる可能性がある」と熱を込めて解説していた。

 他のメディアでも、この日は「弾劾」という言葉が頻繁に語られた。保守派のニュースサイト「デイリー・コーラー」の調査によると、このフェイクニュースの流れた1月17日だけで、MSNBCでは97回、CNNでは82回もキャスターや記者が弾劾という言葉を口にしたという。

『偽ニュースとプロパガンダ全内幕』(産経新聞出版)
 現在の米国のメディア界にはこうした政治的な偏向が存在する。特にトランプ関連報道にはくれぐれも用心が必要だということだ。

 なお、私は長年のワシントン駐在の経験を基に、産経新聞の同僚だった黒田勝弘記者との共著『偽ニュースとプロパガンダ全内幕』(産経新聞出版)のなかで、この種の政治偏向報道の実態を詳しく報告した。ぜひお読みいただきたい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55282
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/287.html

[国際25] 息子が働かない中国人夫婦のささやかな優越感 中国起業家が見つめる「等身大の中国人」(1) 
息子が働かない中国人夫婦のささやかな優越感
中国起業家が見つめる「等身大の中国人」(1)
2019.1.23(水) 宮田 将士
中国に住まう人々は、どのような日常を送り、どのようなコミュニケーションをとっているのだろうか。
 政治面でも経済面でも存在感を増している中国。だが、その発展を支える個人の生活に目が向けられることは少ない。本連載では、2001年に中国で起業し、長年にわたって現地のコミュニティに溶け込んできた宮田将士氏が、「等身大の中国人」の心の内を描いていく。(JBpress)

息子が働かない!
 今年48歳になる張さんは、とあるオフィスビルで清掃のアルバイトをしている。以前は故郷の近くの工場の組立ラインで仕事をしていたが、その工場が倒産してしまったので、工場で知り合い結婚したご主人と上海にやってきた。ご主人はマンションの守衛の仕事で、張さん自身はオフィスビルの清掃のアルバイトで一生懸命働いている。

 張さんは18歳のときに結婚したので、息子さんはすでに27歳。張さんは、なんともう、おばあちゃんである。中国では、50歳にもなれば定年退職をして、年金や子供からの援助で、孫の面倒をみながらのんびり暮らすという人も多い。だが、張さん夫婦には、当分そのようなのんびりした暮らしはやってきそうもない。

 息子さんは、張さんにとってたった1人の子供。だから可愛いくて仕方がない。そのせいか、とても甘やかされて育った。

 そんなたっぷりの愛情が裏目に出たのか、この息子さん、定職についたことがない。お父さんのツテをたどってタクシーの運転手、いま流行りの出前サービスの配達員、ネットショップの店長など、いろいろやってみたが結局長続きはせず、家にいる。孫はまだ小さいので、息子さんの奥さんは子育てにかかりっきりで、仕事に出るのは今は難しい。

 なので、張さんと張さんのご主人が、息子さん夫婦と孫を養うことになる。

 仕事熱心で上司や老板(社長)からの評価も高い張さん。毎日身を粉にして働くご主人の奮闘もあり、収入は決して低くはない。だが、物価がぐんぐん上がる上海で、夫婦、息子夫婦、孫を養っていくのも、決して楽ではない。夫婦2人とも50近くにもなれば、なかなか転職というわけにもいかず、仮に新しい仕事が見つかったとしても、給料が今より高くなる保証はない。

 当然ながら、張さんのご主人の息子さんへの見る目は厳しく、親子喧嘩は絶えない。息子さんの奥さんからも、旦那が働いてくれないという愚痴を毎日聞かされる。そんな家族のプレッシャーを一心に浴びる張さんの心を知ってか知らずか、今日も息子さんは働く気配はないようだ。

悩みが渦巻く広場
 そんなストレスたっぷりの張さんの唯一の楽しみは、仲の良い友人たちと広場でダンスをすること。毎日夕方の4時になれば、近くの公園にはたくさんのダンスを楽しむ男性、女性が集まる。下は40代から上は70代まで、音楽にのせて皆が好きにパートナーを見つけて踊る。47歳の張さんはこの広場では若い方なので、皆の人気者。この広場で踊っているときだけ、張さんはちょっと幸せな気持ちになれる。

 広場の楽しみには、ダンスだけでなくおしゃべりも欠かせない。働かない息子に悩むのは張さんだけではなく、大きな甘えん坊に困っている親がことのほか多いことは、広場のおしゃべりで知った。そんな話をたくさん聞けば、張さんの心もちょっとは軽くなる。

 さらに、広場に集まる人達の悩みは、働かない子供だけとは限らない。いわく、

・息子の嫁と折り合いが悪い
・旦那の給料が低い
・子供の家の購入費用が足りない
・孫の学校の成績が悪くて良い学校に進学できない
・持病の腰が良くならない

と、人の悩みはさまざまだ。

 そんな沢山の悩みを聞くたびに、張さんは「自分はまだマシなほうかな」とちょっと思ってしまう。

・働かない息子のせいで、結果、息子の嫁とは意外に仲がよい(共通の敵)
・旦那はマンションの守衛の仕事をしていて、最近主任に昇進して給料が上がった
・家はすでに購入している
・孫はまだ学校には行っていないが、息子は学校の勉強はできたから、親に似ればなんとかなりそう
・自分も旦那も今のところ健康で、これといった持病もない

 冷静に考えてみれば、他の人に比べれば自分は幸せかもしれない。息子は相変わらず働かないけど、自分と旦那が働けて、しかもそこそこの収入があり、そして家族が皆食べていけるなら、それはそれで良いかもと考えてしまう。

 旦那や息子の嫁は、そんな張さんの「自分たちはまだ幸せ」という話を聞いて納得するわけではないけれど、この数年なんとなく生活することができているので、決定的な決裂にはいたっていない。

ささやかな優越感
 張さんは考える。

 もちろん、大人になって、しかも結婚もして子供もいるなら、働いて家族を食わせるのは男の務めかもしれない。息子が仕事を見つけて真面目に働いてくれればこんな嬉しいことはない。

 でも一方で、息子がやりたくない仕事を無理に続けてストレスいっぱいの毎日を送るのは、見るのも辛い。それならいっそのこと自分が働いたほうが良い。我ながら子離れがまったくできていないとは思うけど、広場仲間でもそんな風に思っている母親は意外に多いことを、張さんは知っている。

 今日も仕事が終わって家に戻ってみたら、旦那と息子が大声で喧嘩していた。何でも、息子がネットで商売をしようとその仕入れのための資金を旦那から借りようとしたのを、「そんな胡散臭い商売なんかしないで、真面目に外に出て働け!」と怒鳴ったところから始まったらしい。これもいつものことだが、2人の大声に驚いた孫が泣き出してお開きになる。

 息子はいつ働くのだろう、確かにそれは心配の種かもしれない。でも、最近はあまり気にならなくなってきた。自分たちが動けなくなってしまったら、息子はそのうち働くだろう。

 おしゃべりするたびに、自分よりもっと大変な人たちがいることを知る。自分は他の人よりマシと考えて満足するのは、健全ではないと分かってはいるけれど、広場ではそんなちょっとした優越感を得ることができる。

 あの広場がある限り、張さんは息子に厳しく「働け!」と迫ることはないだろう。

(つづく)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55260
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/288.html

[不安と不健康18] 問題だらけの肺がん検診、見落としが相次ぐわけ 利権絡みで検査方法が改善されず、医師の人格が問題の場合も 
問題だらけの肺がん検診、見落としが相次ぐわけ
利権絡みで検査方法が改善されず、医師の人格が問題の場合も
2019.1.23(水) 上 昌広
がん生存率、世界で上昇するも国別で格差 国際共同研究
腎臓がん患者の治療を行う放射線科医ら(2017年11月7日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / ANNE-CHRISTINE POUJOULAT 〔AFPBB News〕

 高齢化が進むわが国でがん対策は重大な課題だ。

 政府も、この問題に真剣に取り組んでいる。2006年にはがん対策基本法を成立させた。この法律の肝の一つはがん検診の推進だ。

 がん対策基本法成立以降、がん検診の受診率は鰻登りだ。肺がん検診の場合、2007年に男性27%、女性23%だったのが、2016年には51%、42%となった。

 ところで、がん検診の診断精度に問題があることは、みなさん、ご存じだろうか。

 最近、この問題を痛感する経験をした。それは、肺がん検診での見落とし事件を受けて、社会医療法人河北医療財団が設置した第三者委員会(委員長佐野忠克弁護士)の委員を引き受けたからだ。

 昨年12月13日、厚労省記者クラブで開かれた記者会見を、多くのメディアが報じたため、ご存じの方も多いだろう。

 まずは、事件の概要をご説明しよう。きっかけは、昨年6月に肺がんで亡くなった40代の女性患者の遺族が、河北医療財団を訴えたことに始まる。

 この女性は同財団が経営する河北健診クリニックで、2005年から15年の間に10回健診を受けていた。うち1回は杉並区が杉並区医師会を介して、河北健診クリニックに委託した肺がん検診だった。

 訴訟が提起されると、河北医療財団は、過去の診療記録を見直した。そして、自らが見落としていたことを認めた。

 同財団が第三者委員会に提出した資料によれば、2014年7月、2015年7月の健診、2018年1月の肺がん検診で異常陰影を見落としていたことを認めた。

 我々の第三者委員会に参加した放射線専門医は、「2014年7月、2015年7月の健診の画像では、異常陰影は乳房と区別がつきにくく、必ずしも見落としとは言えない」という見解を示したが、2018年1月については、「見落としと言われても仕方ない」とコメントした。

 河北医療財団は、過去に健診を受けた約3万人のX線検査を見直した。

 この結果、新たに2人の肺がんが判明した。この事実は、訴訟となったケースが氷山の一角であることを示している。

 実は、わが国の肺がん検診が時代遅れで、現行の方法を続ける限り、見落としは避けられない。

 いまどき、X線写真で早期の肺がんをみつけることができると、本気で信じている医師は少ない。

 「UpToDate」という世界的に有名な臨床医向けのマニュアルがある。このマニュアルの肺がんスクリーニングの項目には「胸部X線検査と喀痰細胞診検査を用いた肺がんスクリーニングは推奨しない」と明記されている。

 「UpToDate」がエビデンスとして挙げるのは、過去の7つの大規模臨床試験の結果だ。

 このうち6つは、被験者を無作為にX線検診群と何もしない群に割りつけるランダム化臨床試験だ。臨床研究としては、最高のエビデンスレベルだ。

 すべての臨床試験で、X線検診の効果は確認できなかった。X線検診を受けても、受けなくても生存期間は変わらなかった。

 このことは、X線検査の感度が悪く、多くの早期癌を見落としていることを意味する。見つかるのは進行がんで、根治や延命は期待できない。これなら、肺がん検診は受けない方がいい。

 現在、肺がん検診の世界的な標準は、高齢の喫煙者などハイリスクな集団に限定して、低線量CT検査を行うことだ。通常のCTの4分の1程度に被曝量を減らした検査である。

 国立がん研究センター東病院のホームページでは、その特徴として次のように記している。

 「胸部X線(レントゲン)写真では、肺の約3分の1は近接する臓器(心臓や血管、横隔膜など)と重なりますので、小さな肺がんを見つけることが困難な場合があります。しかし、CTは断面像ですから重なりがありません」

 今回のケースでは早期の異常陰影は乳房と解釈されて見落とされているが、CTなら、このようなことはない。

 ついで、「CTは分解能に優れるため、胸線X線写真に比べ、より小さな病変やコントラストの低い病変も検出することが可能です」とある。

 さらに、「低線量肺がんCT検診の成績」として次のように続く。

 「従来の胸部X線写真による検診と比較して、より小さく、より早い時期の肺がんを発見できることが国内外の研究で報告されています」

 「CT検診による肺がん発見率は、胸部X線検診に比べて10倍程度高く、発見された肺がんは早期の比率が高く、その治療成績も良好であることが知られています」

 彼らが例示する臨床試験は、「UpToDate」でも詳細に解説されている。それは、2011年に世界で最も権威がある『ニューイングランド医学誌』に発表されたものだ。

 この臨床試験には、米国の33の医療機関が参加し、5万3454人の被験者を胸部X線検査と低線量CT検査に無作為に割りつけた。対照は55〜74歳のヘビースモーカーだった。

 この臨床研究では、胸部X線群と比較して、低線量CT群で肺がんによる死亡および総死亡は、それぞれ20%、7%低下していた。

 低線量CT検診を行うことで、早期の肺がんを見つけ、適切に治療できたことを証明している。

 ところが、このような臨床研究の成果は、わが国では国民に伝わっていないし、医療行政にも反映されていない。

 わが国のがん行政の司令塔は、国立がん研究センターだ。同センターのホームページの「肺がん検診」の項目には、次のように記されている。

 「肺がん死亡率減少効果を示す相応な証拠があることから、(中略)非高危険群に対する胸部X線検査、および高危険群に対する胸部X線検査と喀痰細胞診併用法を推奨します」

 また、低線量CTについては「死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分であるため、集団を対象とした対策型検診としては勧められません」と記している。

 「UpToDate」はもちろん、前出の国立がん研究センター東病院の見解とも違う。

 彼らは、その根拠として「最近のわが国からの4件の症例対照研究(肺がんで死亡した人と死亡しなかった人の検診受診歴を比較する方法)」では、肺がん死亡率減少効果が認められています」と挙げている。

 しかし、症例対照研究は比較群を何にするかで、結論は何とでもなる。ランダム化比較試験とはエビデンスレベルは比べものにならない。

 「UpToDate」は、症例対照研究をエビデンスとして採用していない。

 さらに、このホームページの最終更新は2010年4月で、低線量CT検査に関する米国の臨床研究の結果が発表される前だ。なぜ、8年間も放置するのだろう。

 メディアも行政もこのような人物たちを「有識者」として利用してきた。

 今回の事件を受けて、杉並区が設置した「杉並区肺がん検診外部検証等委員会」には、中山富雄・国立がん研究センター社会と健康研究センター検診研究部長が参加した。

 この委員会は河北健診クリニックの体制の不備を糾弾したが、胸部X線を用いた肺がん検診の限界については言及しなかった。彼が、胸部X線検査の限界を知らなかったはずはない。

 その証左に、中山医師は、前任の大阪府立成人病センター時代の2010〜13年に、総額840万円の厚生労働科学研究費を受け取り、「低線量らせんCTを用いた肺がん検診手法の確立に関する研究」を実施している。

 その総括報告書の「結論」で「低線量CT健診結果は、喫煙者では年1回で60歳代に小さな死亡率減少効果、非喫煙者では60歳以上に大きな死亡率減少効果が確認された」と述べている。

 中山富雄医師のような専門家が、このような詭弁を弄するのは「大人の都合」が絡んでいるからだ。

 本稿では詳述しないが、知人の厚労省関係者は、「がん検診の地方自治体の支出は約1000億円、肺がん検診だけで320億円」という。

 今回の問題で記者会見した田中良・杉並区長は「区の検診には20億円かかっている。医師会、実施機関に丸投げ状態でやられてきたんじゃないかと私自身は思っていて非常に残念」と述べた。

 与党とも密接で、強大な政治力を有する業界団体を相手に、関係者は口をつぐんでいることになる。

 これでは、今回肺がんを見落とされて亡くなった患者と遺族も浮かばれない。

 がん検診の問題は、これだけではない。CTやMRIなどを用いても、誤診は相次いでいる。最近、大学時代の同級生の医師から興味深いケースを聞いた。

 この医師は健康診断を目的として、大手の画像診断専門のMクリニック(仮名)を受診した。Mクリニックは、筆者が勤務するクリニックも利用しており、迅速な対応に好印象を抱いていた。

 Mクリニックが、友人の医師に送付したリポートには「右内頚動静脈の外側に1.6 x 0.9センチ大の内部に小嚢胞を含むような軟部影が疑われ、リンパ節腫大や神経原性腫瘍などを疑いますが念のため、経過観察をお勧めします」とあった。

 この記載を読めば、普通の医師は悪性腫瘍は考えにくい」と判断するが、友人は念のために、読影者の「真意」を確認した。

 Mクリニックからの回答は、「非特異的なリンパ節腫大の一部と思われる所見で、悪性所見である可能性は考えにくく、やはりリンパ組織や神経原性腫瘍(筆者注 良性腫瘍)などを疑います。いずれにしても経過観察で良いものと考えます」だった。

 友人の医師の専門は消化器内科だ。悪性腫瘍を扱っている。この回答を読んでも、1.6 センチ大のリンパ節に不安を抱き続けていた。

 知人の耳鼻科専門医と話したとき、このことに触れた。友人は精査を勧められた。

 生検の結果は中咽頭癌。

 手術を受けることとなった。幸い遠隔転移はなく、根治切除となり、現在、元気に働いている。

 その後、友人は経過をMクリニックに報告した。

 回答は「本件は読影ミスではなく、むしろ画像診断医のコメントがその後の治療の契機にもなって、結果的に、早期に治療が行われることにつながったと考えられる」と呆れる文言だった。

 友人は激怒し、訴訟を起こした。

 東京地裁は和解を勧めた。友人は謝罪の文言を和解条項に入れることを求めたが、Mクリニックは拒絶した。

 過失を認めたくなかったのだろう。速やかに過失を認め、過去の検診まで見直した河北医療財団とは対照的だ。

 では、判決はどうなっただろう。昨年7月、東京地裁は、友人が求めたとおりの約50万円の賠償金を認め、友人の勝訴となった。

 この事実は放射線診断の見落としが、日常的に起こっている可能性を示唆する。

 CTやMRIなどの高感度の診断器機を用いても、がん検診では見落としが避けられないようだ。

 そして、医療機関の中には不誠実な対応をとる連中もいる。これでは高いお金を払って、がん検診を受けている患者は浮かばれない。

 見落とされないようにするには、優秀な医師や病院にかかるしかない。

 ただ、多くの方々にとって、医師や病院の実力を判断することは難しい。医師と患者では圧倒的な情報の非対称があるからだ。

 患者はどうすればいいだろうか。私は、自分の立場になって、共に考えてくれる主治医を作るのがいいとお勧めしている。

 胸部X線に限界があることは、医者では常識だ。親が肺がん患者で喫煙をしているようなハイリスクの人から相談を受ければ、普通の医師なら「CT検査を受けた方がいい」と勧めるだろう。自治体が実施しているX線検査では満足しない。

 2例目の場合なら、患者への対応が不誠実で、こういう病院は利用しない方がいい。ただ、この手の医療機関は中長期的には消滅せざるを得ない。

 早晩、悪評が医師仲間で広がるからだ。もし、そのような医療機関でがん検診を受けることを主治医に言ったら、「別のところに代えた方がいい」と助言してくれるはずだ。

 患者に求められるのは、「まともな主治医」を見抜くことだ。これは意外に簡単だ。

 医師は自らの専門領域以外のことにコメントする際には、自らの実力を高く見せる必要もなく、率直に対応するはずだ。

 その際、医師の人間性が現れる。

 患者は礼儀正しいか、面倒見がいいかなどを見ればいい。

 皆さんの普段の人間関係での評価と同じだ。人柄がいい医師には情報が集まる。

 逆もまたしかりだ。主治医に選ぶべきは、まさに前者である。主治医選びは、患者の人間力が問われている。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55259
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/686.html

[不安と不健康18] 驚きの結論!普通の人は安心して白い炭水化物を食べていい 普通の人は無理に白米よりも玄米を選ぶ必要はなかった  
驚きの結論!普通の人は安心して白い炭水化物を食べていい 普通の人は無理に白米よりも玄米を選ぶ必要はなかった

近藤 慎太郎
医師兼マンガ家 
2019年1月23日
91% 全2932文字
 前回(「『白より茶色の食べ物を選べ』は本当か?」)に続いて、炭水化物の「色」について解説していきます。
 果たして、本当に白い炭水化物よりも、茶色い炭水化物を食べた方が健康にいいのでしょうか。いくつか臨床研究の結果をご紹介します。
 まず、最もストレートなメッセージを持った報告として、「茶色い炭水化物(全粒穀物)を摂っているグループの方が、それを摂っていないグループよりも全死亡率が17%低かった」というものがあります。
 そして死因の中でも、心血管疾患の死亡率は25%も低く、がんの死亡率も6%低かったと報告されています(1)。
 この報告は過去に発表された20編の臨床研究を「メタアナリシス」という特殊な統計学的手法を用いて統合した研究です。
 20編を合わせたものになるので、この研究の観察対象となった人は約228万人と膨大なものでした。
 一般的にメタアナリシスは対象人数が多く、エビデンスとしてレベルは高くなります。ともすれば、「メタアナリシスでこれだけはっきりした死亡率減少効果が出ていれば間違いないな」と思ってしまいますよね。
 けれど、ここにはいくつかの大事な注意点があります。
 まず「全粒穀物」の定義が各研究によってまちまちなのです。どんな穀物を摂っているのか、三食すべて茶色なのか、たまには白色の炭水化物も食べているのか……。そもそも対象の人が申告した内容を額面通り受け取っていいのかも微妙です。
 定義があいまいで、それぞれの研究で統一されていないものごとを、メタアナリシスを使って力づくでまとめ上げた、という印象なのです。
 例えば、ある抗がん剤の効果が知りたくて、薬を〇r使用したら、生存期間が△日伸びて、副作用で白血球が□%減った、などといった客観的な指標がきちんとある研究であれば、メタアナリシスで複数を統合することで、エビデンスレベルは上がるでしょう。
 しかし食事のような「自由度と日々のバラツキ」が多い事柄をメタアナリシスで正確に扱うことができるのかは、はなはだ疑問です。
 さらに一番問題なのは、そもそも「茶色い炭水化物を摂っている人」は、「普通の人に比べて健康に対する意識が高い人に違いない」ということです。
 つまり「茶色い炭水化物」だけでなく、野菜も魚も普通の人より多く食べていて、ジャンクフードは極力避け、適度な運動も欠かさない。そんな人である可能性が高いのです。
 であれば、平均に比べて死亡率が低かったとしても、それを「茶色い炭水化物だけの手柄」にすることはできないはずです。
 では、「炭水化物の色」「その他の食事」「運動」などといった様々な要素が健康に貢献している「度合い」にも目を配った臨床研究はないでしょうか。
 実は一つ、興味深いものがありました。ご紹介しましょう。
次ページえ?茶色でも白でも、あまり違いはないの?
え?茶色でも白でも、あまり違いはないの?
 それは、約12万人のアメリカ人を12〜20年といった長期にわたって経過観察し、それぞれの生活習慣が体重の変化にどう影響を与えかを検討しています(2)。

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 その結果、体重が増えた人の生活習慣で多いのが、フライドポテト(1.52s)、ポテトチップス(0.77s)、ジャガイモ(0.58s)、果糖入り飲料水(0.45s)でした。
 一方、体重が減った人の生活習慣で多いのが、運動(マイナス0.80s)、ヨーグルト(マイナス0.37s)、ナッツ(マイナス0.26s)でした。
 なかなか興味深い結果です。
 ジャガイモのインパクトの大きさは薄々分かってはいましたが、1位から3位を独占してています。果糖入り飲料水もなかなかのものですね。
 一方、ヨーグルトがしっかりマイナスに働くことや、野菜がほとんどマイナスに影響していないこと(マイナス0.10kg)は多少意外に感じられます。
 では炭水化物の「色」に関してはどうでしょうか。
 精製されていない穀物は0.17kgのマイナス、精製された穀物は0.18kgのプラスをもたらしただけです。合わせて0.35kgの差です。
 一応、はっきりした結果は出ているものの、この差がそんなに許されないものだとは、私には思えません。なぜなら、これよりもっと大きな差をもたらす因子が、ほかにたくさんあるからです。
 この論文が報告しているのは、「白い炭水化物が体に悪い」ということではなく、むしろ「炭水化物の色よりも、もっと影響力の強い因子がありますよ」ということ、もっと言えば「ジャガイモを控えてしっかり運動しなさい」ということでしょう。
 炭水化物の「色」についてもし本気で結論を出したかったら、やはりランダム化比較試験をするしかありません。つまり数千人、数万人単位で、「白い炭水化物だけを食べるグループ」と「茶色い炭水化物を多く食べるグループ」にランダムに分けて、10年以上かけて経過観察する必要があるでしょう。
 もちろん、この臨床研究を高い精度で実行できるとは全く思えませんが……。
 過去の記事「『健診には意味がない』のは果たして本当か」でも解説しましたが、確かにエビデンスは重要だけれど、それを確立するのに「向いている事柄」と「向いていない事柄」があります。
 そして食事というのは、自由度の高さと日々のバラツキから、残念ながら「あまり向いていない事柄」なのです。
 食事に関するエビデンスについては、最低限の目配りはしていきながらも、同時にその限界についても認識する必要があるのです。
 では臨床研究は一旦置いておいて、現実の疫学的なデータはどうなっているのでしょうか。
 コメの消費量が多い地域や、うどんで有名な香川県は、実際に糖尿病患者が多いのでしょうか?こちらも、一応調べてみました。
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無理に玄米を選ばなくても大丈夫

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 理屈から考えれば、確かに白い炭水化物よりも茶色の炭水化物の方が健康にはいいのでしょうが、その差はわずか。そのほかの食材から食物繊維を摂れば、十分カバーできるでしょう。
 そして炭水化物の摂取量と糖尿病の死亡率に、そこまで明瞭な因果関係はなさそうです。
 以上から、血糖値のコントロールに難渋している人は別として、一般の人に対して「白い炭水化物をとってはいけない」とは言えないでしょう。
 白い炭水化物が大好きなみなさんは、ほっと安心したのではないでしょうか。
■参考文献
• (1)Benisi-Kohansal S et al. Whole-Grain Intake and Mortality from All Causes, Cardiovascular Disease, and Cancer: A Systematic Review and Dose-Response Meta-Analysis of Prospective Cohort Studies. Adv Nutr. 2016 15;7:1052-1065.
• (2)Mozaffarian D et al. Changes in diet and lifestyle and long-term weight gain in women and men. N Engl J Med. 2011;364:2392.
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00126/00002 


http://www.asyura2.com/16/health18/msg/687.html

[経世済民130] 日本経済の成長を妨げるのはデフレではなく「隠れた物価上昇」だ 「デフレ脱却宣言」は「4つの指標」から絶望的 「毎月勤労統

2019年1月23日 鈴木明彦 :三菱UFJリサーチ&コンサルティング 調査部研究主幹
日本経済の成長を妨げるのはデフレではなく「隠れた物価上昇」だ
企業の隠れた値上げが始まっている

「デフレで苦しむ日本経済」と決まり文句のように言われてきた。
 しかし、消費者が嫌うのはデフレではなくインフレだ。だから、企業は価格の引き上げを避けようとする。
 しかし、こうした価格戦略が、販売価格は変わらなくても量を減らす「単価のアップ」やサービスなどを落とす「質の劣化」という「ステルス・インフレ(隠れた物価上昇)」を引き起こす。
 このことに消費者は肌感覚で気が付いている。「体感物価」を見ると、日本は立派なインフレだ。
消費者物価は
今年も上がりそうにない
 日本の物価はなかなか上がらない。
 昨年12月の消費者物価は、生鮮食品を除いたベースで前年比+0.7%と小幅な上昇であり、さらにエネルギーも除けば+0.3%とほとんど横ばいだ。
 加えて、昨年終わりごろから原油価格が大幅に下落した。足元ではやや反発してきているが、原油価格下落は消費者物価を下げる要因として今後、効いてくる。
 さらに、4月には携帯通話料金の引き下げ、10月には幼児教育の無償化が予定されおり、物価指標を大きく押し下げる要因になりそうだ。消費者物価の伸びが前年比で再びマイナスになってくるかもしれない。
 政府や日本銀行は「これは一時的な動きであり、持続的な物価下落、すなわちデフレではない」と、主張するだろうが、日本の物価は上がりにくいことを改めて印象付けることになろう。
「デフレ脱却」をスローガンにする安倍政権がそんな時に消費税率を10%に上げられるのか心配になってくる。
 もっとも、物価が上がらなくなることによって、消費増税による実質所得の目減りが緩和される。デフレ脱却が遠のくことが、日本経済にとってプラスに作用するというのも皮肉な話だ。
「デフレ」をもたらした
企業の低価格戦略
 なぜ日本の物価は上がらないのか。
 日銀が大胆な金融緩和をしないから物価が上がらないのだ、と、いわゆるリフレ派を中心にさんざん言われてきたが、黒田日銀総裁による異次元の金融緩和をもってしても一向に物価が上がってこない。
 この状況を見れば、金融緩和の問題ではないことははっきりしてきた。
 日銀当座預金残高が激増したからといって実体経済や物価には影響がないことは最初から分かっていたことだ。
 デフレの原因を人口の減少あるいは高齢化といった人口動態に求める説もある。
 確かに、需要の拡大が抑えられることは、物価の上昇圧力を弱めるだろう。また、賃金が上がらないから物価も上がらない、という見方も有力だ。
 懐具合がさみしければ多くの人は価格の上昇を受け入れる余裕がなくなり、人件費比率の高いサービスの価格が上がりにくくなる。
 おそらく、こうした要因が日本の物価を上がりにくくしていることは事実だろう。
 しかし、一番、重要なことは、日本企業が価格引き上げに慎重であり、価格引き下げを販売促進のツールとしていることだ。
 需要や所得が伸び悩んでいるのに価格を引き上げれば、販売が減少することは目に見えている。日本企業は、売り上げシェアへのこだわりが強い。
 シェア低下を恐れて低価格を維持する低価格戦略がデフレをもたらした大きな要因と言えよう。
消費者の「体感温度」は
プラス5%の「インフレ」
 だが、消費者が感じているインフレ率はもっと高い。
 日本銀行が3ヵ月ごとに行っている「生活意識に関するアンケート調査」では、「1年前に比べ現在の物価は何%程度変わったか」という実感を尋ねている。
 最新の12月調査では平均5.0%物価が上がっているという結果になっている。もし、この「体感物価」が正しいなら、2%の物価目標をすでに達成しているだけではなく、高インフレの心配をしないといけない。
 なぜ、物価統計の数字と体感物価はこんなに差があるのか。
 まず、日銀のアンケート調査に回答する人が、調査時点の物価動向をピンポイントで体感しているとは考えにくい。おそらく、過去1年ぐらいの物価の動向を無意識のうちに合成しているのではないか。
 また、たまにしか購入しない品目よりも、頻繁に購入する品目の価格動向の方が体感物価に大きく影響するだろう。
 そこで、「生鮮食品を除く総合」と「頻繁に(1ヵ月に1回程度以上)購入する」という二つの系列の四半期データを後ろに4四半期ずつずらしながら平均を計算して(4四半期後方移動平均)、日銀のアンケート調査で示された体感物価の平均と比べてみた(図表1)。
 これを見ると、同じように変動していることが分かる。特に、「頻繁に購入する」の系列は体感物価との連動が強そうだ。

拡大画像表示
 しかし、それでもまだかなり乖離がある。ほとんどすべての期間で、体感物価の方が物価統計より高い数値を示しており、高めの数字を回答する傾向があることは否定できない。
 物価変動の感じ方には個人差があるだろうが、体感物価には大きく3つの要素が影響すると考えられる。
 まず、頻繁に購入する品目を中心にした表示価格の変動だ。それが体感物価の核になる。そこに2つの「ステルス・インフレ(隠れた物価上昇)」の要素が加わる。
 1つは、内容量の減少による単位当たりの価格の上昇であり、もう1つは品質の低下による実質的な値上げだ。
いつの間にか減っている中身
サービスなどの質が劣化
 先ほども書いたように、消費者の所得があまり増えていない日本では、店頭価格を上げることはちゅうちょされる。
 そのため、原材料価格や人件費が上がってきた時に、そのコストアップを内容量の減少で吸収したり、材料の品質を落としたりすることによって、販売価格の上昇を抑える傾向があるようだ。
 消費者物価統計では、こうした量や質の変化があった場合にはそれらを調整することになっているのだが、実際には難しい。
 しかし、感覚の鋭い消費者はごまかせない。まず、少し細かな人は、単価の推移を考えるだろう。
 外観は同じでも、1000cc入っていたはずの牛乳やジュースが900ccになっていたり、一箱に10皿分入っていたはずのカレーのルーがいつの間にか8皿分になっていたり、というのはよくあることだ。
 石鹸や洗剤など頻繁に購入される日用品では、こうした数量の減少は珍しくなく、体感物価を高める要因となる。
 もっとも、このぐらいは消費者物価の調査では把握できているはずだ。しかし、例えば、回転ずしの一つひとつが小さくなっていても、それを量の減少として把握するのは難しいだろう。
 表示価格が下がっていても単価が上がっているのであればインフレだが、物価統計に100%反映できていない。
 さらに、こだわりのある人は、モノやサービスの価格が質に見合ったものかどうかを考えるだろう。同じ価格で売られていても、質が落ちたと思えば、値段が上がったと感じることになる。
 こちらは、物価統計で捉えるのがかなり難しい「ステルス・インフレ」だ。
 しかし、良いものを選ぶ鋭い感覚を持った消費者をごまかすことはできない。「安かろう、悪かろう」という戒めは昔から言われていることだ。
 ウール100%のセーターであっても材料の違いで肌触りは違ってくる。大豆の質を落とせば豆腐もおいしくなくなる。さまざまな原材料価格が上がってきた時に、販売価格を上げられない中で質の劣化が起きているのではないか。
 サービスの分野でも、宅配などで配達頻度が落ちるのであれば、サービスの質の低下である。人手不足のレストランでは以前に比べて給仕のサービスが悪くなっている。価格が同じであれば実質的な値上げが起きたということだ。
 最近、よく耳にする検査偽装やデータ改ざんも、品質の劣る製品を高く買わされていたということになる。
 図表2は、体感物価と消費者物価の乖離が品質の低下を示唆していると仮定し、投入物価の推移と比較したものだ。

拡大画像表示
 これを見ると、投入物価の上昇がある程度の時間差をもって品質の低下をもたらしているように読める。
「隠れた値上げ」広がれば
成長の妨げになる
 日本経済のデフレを長引かせてきたのは、消費者の所得が伸びない中で、企業が、コストの上昇を量の減少による単価アップや質を落とすことによって吸収し、価格の上昇をできるだけ抑えてシェア拡大を目指す、こうした行動をとってきたことが一因と言えよう。
 だが日本経済は、量の拡大によって成長することが難しくなっている。それだけに、質を高めることによって成長していくことが重要だ。
 そのことを考えると、「ステルス・インフレ」によって利益を確保しても、長い目で見れば、成長戦略にはならない。
 日本経済の問題はデフレではなく、質の劣化を伴う「ステルス・インフレ」の広がりだ。
(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部研究主幹 鈴木明彦)
https://diamond.jp/articles/-/191630

 

「デフレ脱却宣言」は「4つの指標」から絶望的
「毎月勤労統計」の不正発覚で全滅の可能性も
末廣 徹 : みずほ証券 シニアマーケットエコノミスト 2019年01月18日

選挙に向けて「アベノミクスでデフレ脱却」との宣言をする、というわけにはいかなそうだ(写真:ロイター)

この連載の過去記事はこちら
2018年12月10日に公表された7〜9月期の実質GDP(国内総生産)成長率は前期比マイナス0.6%、同年率マイナス2.5%と、2四半期ぶりのマイナス成長となった。もっとも、今回のGDP統計で重要なインプリケーションはマイナス成長になったことだけではなく、GDPデフレーターの前年同期比が5四半期ぶりのマイナス(マイナス0.3%)になったことである。

GDPデフレーターは、政府が「デフレ脱却宣言」を行う4つの前提条件となる指標のうちの1つ。ほかの指標は、消費者物価指数、単位労働コスト、GDPギャップ(需給ギャップ)である。


「デフレ脱却」の定義と判断基準は、2006年3月9日に日本銀行が量的緩和政策の解除を行った後の同年3月28日に政府(内閣府)が公表したもの。判断基準については「物価の基調や背景を総合的に考慮し慎重に判断する必要がある」とされ、明確な基準はない。とはいえ、今回の結果によって「デフレ脱却宣言」が遠のいたことは事実である。

2指標マイナスに「毎勤統計」の不正が追い打ち
また、消費者物価指数については前年同月比でプラス圏を維持しているが、日銀版コア指数と呼ばれ、政府(内閣府)も重視しているとみられる「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」の11月分は前年同月比プラス0.3%の低水準にとどまっており、余裕はそれほどない。


従来は『月例経済報告』で示されていた「消費者物価(生鮮食品、石油製品及びその他特殊要因を除く総合)」が重視されていたとみられるが、これは日銀版コアの公表開始(2017年3月)に合わせて公表が終了された。そのため、現在は日銀版コアが代替指標として参照されているとみられる。

GDPデフレーターとともにGDPギャップもマイナス化した。内閣府の試算によるとマイナス0.2%と、7四半期ぶりのマイナスに転落した。自然災害が相次いだ7〜9月期の反動により、10〜12月期はプラス成長が見込まれるものの、潜在成長率(年率プラス1.0%)を上回り、マイナスのギャップを解消できるかどうかは不透明である。また、2019年度は世界経済の成長鈍化による外需の低迷、消費税率引き上げによる消費下押しなどが想定され、潜在成長率を下回る可能性が高い。安定的にGDPギャップがプラスとなることは困難だろう。


最後に、単位労働コスト(名目雇用者報酬÷実質GDP)については、昨年来の雇用者報酬の上振れが影響し、前年同期比はまとまった幅のプラスを維持してきた(7〜9月期は同プラス2.7%)。GDP統計が発表された段階では、デフレ脱却宣言に対する不安がない唯一の項目だった。

しかし、雇用者報酬の基礎統計である厚生労働省の毎月勤労統計の算出に不正が発覚し、2017年と2018年のデータに連続性がないことがわかった。2017年は大企業が少なく、水準が過小評価されていた可能性が高い。データの修正によって2018年の雇用者報酬の伸び率は鈍化するだろう。つまり、単位労働コストの伸び率についても、下方修正されるとみられ、修正幅によってはマイナス化することもあり得る。

https://tk.ismcdn.jp/mwimgs/f/0/1040/img_f0cda86007b5eb32eb43d04d8f0b2ceb262658.jpg

今回の景気サイクルでは「脱却」できず
菅義偉官房長官は7月24日、都内で行われた講演で「デフレ脱却宣言ができるよう、アベノミクスをさらに自信を持って推し進めたい」と述べた。2019年4月の統一地方選(都道府県と政令指定都市の首長・議員選挙が4月7日、それ以外の市区町村の首長・議員選挙が同21日となる予定)、7月の参院選に向けて「アベノミクスの成果」をアピールするために「デフレ脱却宣言」を行うとの見方もあるようだが、前述のように毎勤統計の不正発覚によって「デフレ脱却4指標」すべてがマイナスになる可能性が生じるなど、脱却宣言は非常に困難な状況になった。

また、直接的な影響はないとしても、政府が「デフレ脱却宣言」を封印することは、日銀の金融政策が出口に向かうという見方をトーンダウンさせることにもつながるだろう。出口の見えないデフレとの戦いを、政府・日銀は一段と長期間続けることになりそうだ。
https://toyokeizai.net/articles/-/260177

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/688.html

[経世済民130] 値段はそのままだけどサイズが縮小、シュリンクフレーションが朝食を直撃 日銀は物価の見通しを下方修正する模様 
値段はそのままだけどサイズが縮小、シュリンクフレーションが朝食を直撃
2019/01/22
BBC News

パンやシリアルといった朝食の食べ物が、商品を値下げせずにサイズを小さくして実質的な値上げを図る「シュリンクフレーション」の影響を最も受けていることが、イギリスの国家統計局(ONS)の統計で明らかになった。
ONSは2015年9月〜2017年6月に、イギリスで販売されている1万7000品目の商品を調査した。
その結果、調査対象のうち206品目が商品サイズを縮小していた。一方、サイズが大きくなったのは79品目だった。
ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)をめぐる議会での採決を受けてポンドは上昇傾向にあり、輸入品の値段が上がっている。しかし、ONSは、ブレグジットがシュリンクフレーションをけん引しているわけではないと指摘する。
「調査機関にはEU離脱をめぐる国民投票を含んでいるが、その間に商品サイズの変更が増えたという傾向はない」
ONSの調査によると、シュリンクフレーションが最も多かった商品項目はパン・シリアルで、36品目でサイズが小さくなっていた。これに食肉と菓子類が続いた。
一方で、ほとんどの項目でサイズが大きくなっている商品があることがわかった。パン・シリアルでは18品目が、食肉では13品目でサイズが大きくなった。
また、商品サイズの拡大が行われていたのはたばこで、この項目ではシュリンクフレーションが見られなかった。
「消費者に気づかれないよう密かに利益を拡大」
ONSによると、2016年に値段を変えずに商品サイズを小さくしたのは全体の1〜2.1%だった。
一方、商品サイズが大きくなった食品はわずか0.3〜0.7%。サイズを縮小する傾向が強いものの、シュリンクフレーションは大きな問題とはなっていない。
ONSのインフレ担当マイク・ハーディー氏は、「消費者はここ数年で、いくつかの企業が値段を据え置いたままで商品のサイズを小さくしたのに気付いているでしょう。これは大抵、運営・製造コストの増加が原因です」と説明した。
証券会社ハーグレーヴス・ランスダウンの金融アナリスト、サラ・コールズ氏は、最近は商品の値上げはほとんど行われていないと指摘した。
「企業はこれまで、原材料の値上げがシュリンクフレーションの原因だとしてきた。ここ数年で原材料価格は下がったものの、商品サイズの縮小は続いている」
「ONSは、シュリンクフレーションがポンド下落によるものかを調査したが、ブレグジットとの関連性は見出せなかったとしている。シュリンクフレーションは単に、メーカーが消費者に気づかれないよう密かに利益を拡大する方法を見つけたということなのかもしれない」
(英語記事 Breakfast hit by shrinkflation)
提供元:https://www.bbc.com/japanese/46955562

http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15151



日銀は物価の見通しを下方修正する模様
久保田博幸 | 金融アナリスト
1/23(水) 9:48
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(写真:つのだよしお/アフロ)

 16日にロイターは、「複数の関係筋によると、日銀は22、23日に開く金融政策決定会合で、原油価格の下落などを踏まえて2019、20年度の消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)見通しの下方修正を議論する」と伝えた。ブルームバーグや産経新聞も同様の記事を報じていた。

 1月23日の決定会合後に日銀は、経済・物価情勢の展望、いわゆる「展望リポート」を公表する。昨年10月の前回の同リポートでは、コアCPIの前年比上昇率(政策委員の大勢見通し)の消費税率引き上げの影響を除くケースで2019年度が1.4%、2020年度が1.5%となっていた。

 念のため、直近のコアCPIについて確認してみると、2018年度は4月が前年比0.7%、5月が同0.7%、6月が同0.8%、7月が同0.8%、8月が同0.9%、9月が同1.0%、10月が同1.0%、11月が同0.9%、12月が同0.7%となっていた。

 ここにきてのトレンドも前年比の上昇幅が減少傾向となっている。その要因としては、日銀の買い入れる資産の量が減っているから、ではなく原油価格の下落がある。前回リポート時にWTI先物は1バレル70ドル程度だったが、足元で50ドル台となっている。消費者物価指数は日銀の資産買入の量とかではなく、マイナス金利でもなく、原油価格の動向や為替の動向に影響を受けやすい。

 日銀内では、2019年度の物価見通しについて1.4%を下回る、1%前半への下振れの可能性を指摘する見方が出ている(ロイター)。

 現実を見据えるのであれば、せいぜい1%あたりではないかとも思われる。2%という物価目標に固執するあまり、どうしても上振れの数字が出やすいような気がする。

 2020年度についても、原油を含めて2019年度の一時的な下押し要因が剥落するものの、米中貿易摩擦などを背景に世界経済は、緩やかな減速が見込まれることで、若干の下方修正の必要性が議論されるもようだ(ロイター)。

 2019年度に実施される予定の幼児教育の無償化に伴って、内閣府によると同年度の消費者物価を0.3ポイント押し下げるという試算結果が出ているそうだが、政府が物価上昇の足を引っ張る格好となっているようである。

 そもそも論として物価目標2%に無理があったことを日銀としては認めることも必要ではなかろうか。物価を2%まで金融政策だけによって引き上げるという考え方に間違いがあったことを素直に認め、現実に即した目標に修正し、景気や物価動向、さらには金融市場動向に応じた柔軟な政策となるよう修正すべきだと思われる。

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久保田博幸
金融アナリスト
フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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https://news.yahoo.co.jp/byline/kubotahiroyuki/20190123-00112092/

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/691.html

[国際25] 最悪主演候補にトランプ氏 米ラズベリー賞 トランプ大統領が「やりたい放題」できる理由 米朝会談、在韓米軍撤退をぶち上げ?
最悪主演候補にトランプ氏 米ラズベリー賞
2019年1月23日 12:24

【ロサンゼルス=共同】米アカデミー賞に合わせ最もひどい映画などを決める米ゴールデン・ラズベリー賞(ラジー賞)の候補が22日までに発表され、トランプ政権発足の経緯などを追ったドキュメンタリー映画「華氏119」などに"主演"したトランプ大統領が、最悪主演男優賞候補に選ばれた。

メラニア大統領夫人とコンウェー大統領顧問の2人も最悪助演女優賞にノミネートされており、トランプ政権に対する皮肉が込められているのは明らか。政権寄りのFOXテレビは「トランプ氏らを標的にした」と批判的に伝えた。

ゴールデン・ラズベリー賞の発表・授賞式はアカデミー賞前日の2月23日に行われる。

「華氏119」はトランプ氏批判の急先鋒(せんぽう)で知られるマイケル・ムーア監督による作品だが、作品自体は最悪作品賞候補などに選ばれていない。

トランプ氏を巡っては、出演者の組み合わせのひどさなどを選ぶ賞部門でも「トランプ氏と彼自身の尽きない狭量さ」が候補になった。米映画誌ハリウッド・リポーターによると、トランプ氏は以前、カメオ出演(端役)で最悪助演男優賞を受賞している。
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO4035410023012019000000?s=3


 

西山隆行が読み解くアメリカ社会

トランプ大統領が「やりたい放題」できる理由

2019/01/23

西山隆行 (成蹊大学法学部教授)

 昨年末に始まった連邦政府の一時閉鎖は1か月以上続いており、問題解決の目途は未だたっていない。各種世論調査では、一時閉鎖の責任は民主党ではなくトランプ大統領と共和党にあるとする人々が多数を占めている。もちろん、一時閉鎖状態を好ましくないと考える連邦議会議員も多く、様々な妥協提案がなされているものの、国境の壁建設にこだわるトランプ大統領がそれを拒否する事態が続いている。


(写真:UPI/アフロ)
 連邦政府が一時閉鎖している結果、連邦政府職員の中には賃金が支払われるかどうかの見通しがないまま労働している人もいる。給与が支払われなかったために家の契約を打ち切られた職員がいるとか、正月用の特別な夕食として囚人にステーキをサーブした刑務官は給与が得られるかどうかの見通しが立っていないというようなニュースがアメリカのみならず世界で報道された。

共和党内にトランプに批判的な立場をとる人はほとんどいない
 興味深いのは、一時閉鎖の原因はトランプにあると多くの人によって考えられているにもかかわらず、トランプを諌めようとする動きが共和党内で活発になっていないことである。もちろん、先月の論考(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14898)でも記したとおり、共和党支持者の間では政府閉鎖の原因が民主党にあると考える人が一定程度存在することを考えれば理解できないわけではないが、無党派層の動向を考えるならば、トランプに再考を迫る動きを党主流派が示してもおかしくない。政府閉鎖以外にも、トランプ大統領は連邦政界の有力者の反対を押し切って行動することが多くなっているが、それを十分に抑制しようとする試みが著しく弱いのである。

 トランプ政権成立前、共和党内にも、トランプに対して批判的な立場をとる人は一定程度存在した。だが、政権成立後は鳴りを潜め、トランプに批判的な態度をとるのはアリゾナ州選出のジョン・マケイン上院議員ら一部に限られた(マケインは昨年死亡した)。昨年の中間選挙でユタ州選出の上院議員となった、2012年大統領選挙の共和党候補であるミット・ロムニーもトランプに批判的な発言をするようになっている。だが、昨年11月の論考(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14458)でも指摘したとおり、共和党は中間選挙でトランプ人気に頼らねばならなかったこともあって、トランプに批判的な立場をとる人はほとんどいない。共和党はトランプに乗っ取られたような状態となっている。

「大統領の権限を抑制することが必要」という認識
 このように、大統領が独断的に行動し続けるという事態は、これまでのアメリカ史上、必ずしも想定されてこなかった。それは一つには、アメリカでは、大統領の権限を抑制することが必要だという認識が一般的であり、合衆国憲法も連邦議会や裁判所などによって大統領権限を制約するという前提で制定されているからである。それに加えて重要なのは、大統領自身が独断的な行動をとるべきではないという規範を一定程度持ってきたからでもある。

 合衆国憲法制定時、建国者たちは立法機構(連邦議会)、行政機構(大統領)、司法機構(裁判所)を分立させ、それぞれに権限を分有させるという三権分立の考え方を制度化した。その際には、一方では、立法部門に権限を与えすぎると多数の専制状態になるという危惧があった(例えば、当時のアメリカ国民の大半は貧しかったので、借金を帳消しにする法律が作られたりするのではないかと危惧された)。そのため、いわば民主主義の過剰を抑制するために設立されたのが大統領職だが、その大統領が巨大な権力を持ち、ヨーロッパにおける君主のような存在となることも避けたいと考えられた。

 その結果導入されたのが、連邦議会を抑制することのできるほどには権限が大きいものの、君主とならないほどにはその権力が制約された大統領制である。議会との関係では、連邦議会が作成した法案に対して拒否権を行使する権限を持つことで連邦議会の暴走を防ぐことが想定される一方で、大統領は立法権を持たず、予算を決定する権限も基本的には議会に委ねられたため(予算は法律として作成されるために議会が決定したのち大統領の承認を経て成立する)、大統領は君主のようにふるまうことは制度的にできなくなった。他方、合衆国憲法で「行政権は大統領に属する」と定められたため、行政部門の中では大統領は圧倒的な権力を持つことになった。閣僚などは大統領の秘書(secretary)と位置づけられたため、例えば国務長官などが行った決定をも大統領は覆す権限を持っている。

 このような形で、大統領は立法機構との関係では権限に一定程度制約がかけられたものの、その気になれば実は大きな権力を行使することが可能になる形でアメリカ政治のルールは作成された。例えば、大統領は連邦議会が作成した法案に対して拒否権を行使することで議会の試みを妨げることが可能である。また、行政部門で完結するような事柄、例えば大統領令や行政協定などの形で議会の制約を受けることなく行動する余地が残された。合衆国憲法は短い文章であることもあり、このような形での大統領の権力行使をおさえるためのルールは明文化されておらず、その運用は歴史的な慣行に委ねられることになった。

大統領権限を広げようとしたローズヴェルト
 このような大統領による積極的な行動を妨げる制度的な術は多くない。だが、アメリカ政治史上、そのような形で大きな権限を払おうとするような人物が大統領候補になる可能性がそもそも低かった。かつては大統領候補は党の有力者によって実質的に決定されていた。今日では、二大政党の候補となることを志す人物は長い時期をかけて州ごとに行われる予備選挙・党員集会を勝ち抜かねばならない。そのためには、多くの州の有力者の協力を得るとともに、膨大な資金を確保する必要があるため、独断的な行動をとったり他部門に対し敬意に欠ける行動をとったりする可能性の高い人物は、その過程で排除されてきた。

 また、歴史上、大統領は自らの権限をできるだけ抑制的に行使しようと努めてきた。初代大統領のワシントン以来、長らく大統領は、拒否権を行使するのは議会の立法内容に憲法上の疑義がある場合に限定するよう努めてきた。また、大統領令の発動も基本的には議会が定めた内容を実施する上で優先順位を定めるなどの目的に即した範囲で行われるのが原則とされていた。例外となる可能性があると危惧されたのはシオドア・ローズヴェルトである。20世紀初頭にローズヴェルトは、憲法上はっきりと禁止されていない限り大統領はいかなる行動をとることも可能であるという「大統領職のスチュワードシップ理論」と呼ばれる考え方を提示していた。大統領権限を広げようとするこの考え方は大きな懸念を抱かせ、共和党主流派はその野心を押し込めるために、ウィリアム・マッキンリー政権の副大統領職(当時閑職とみなされていた)にローズヴェルトを押し込めた。マッキンリーの暗殺に伴いローズヴェルトは大統領になったが、大統領となったローズヴェルトも伝統的なアメリカ政治の前提を覆すことなく自制した行動をとった。

大統領に歯止めをかけられる存在は極めて限られている
 このような大統領による自己抑制は、制度的なものというよりは、アメリカの歴史上築かれてきた一種の規範のようなものであり、大統領がそのような不文律を乗り越えようとした場合でも連邦議会やメディアなどワシントン政界の有力者が自制を呼び掛けてきた。だが、トランプはそのような不文律を積極的に破ろうとしているし、近年のアメリカでは、従来見られたような非公式の制約が利かなくなりつつある。

 まず、トランプが不文律を破り続けていることは論を俟たないだろう。伝統的にアメリカの政治家は、政策やイデオロギー、所属政党を異にする政治家に対しても、基本的には愛国心を持っているという認識の下で行動してきたが、トランプは自らの意向に反する人や団体を非アメリカ的と評することにためらいも示さない。トランプは、歴代の大統領が持ってきた、前任者や他の機構、政党に対する敬意のようなものを持ち合わせていない。前任者のバラク・オバマの出自(国籍)を疑うバーサー運動にかかわっていたし、時にオバマを非アメリカ的と評した。移民問題について、自らと見解を共有しない民主党に対し、アメリカの国益よりも他国の国益を重視する非アメリカ的行動をとっていると評してもいる。トランプは、連邦最高裁判所の判断についても繰り返し疑義を呈している。そもそも、トランプは大統領選挙中に、仮に自らが敗北した場合にはその選挙手続きがゆがめられているためだと、民主政治の根幹にある選挙の正統性に対して疑念を呈したりもした。これほどアメリカ政治の不文律を破り続けている大統領は、当然ながらこれまで存在しない。

 トランプに対し歯止めをかけることのできる人や組織もほとんど存在しない。例えば、連邦議会の有力者による抑制という規範は、そもそも、連邦議会内でも守られなくなっている。例えば上院に認められている議事妨害(フィリバスター)は、以前と比べて頻繁かつ党派的に用いられるようになっている。また、とりわけクリントン政権期以降、対立政党の政治家のスキャンダルの暴露などが激増している。歴史上、例えばジョン・F・ケネディ大統領などは不倫問題も抱えていたが、それはあくまでも私的な問題であるとの判断から、大きく政治問題とされることはなかった。だが、徐々に政治家の私的問題も政治争点化されるようになっていった。このように連邦議会自身が自制しなくなっている状況では、議会が大統領に自制を呼びかけるのは容易でない。

 党による歯止めもほとんどきかない。そもそも、歴代の大統領は政党の有力者の支援があったがゆえに当選することができたのだが、トランプは幕大な資金力を持っているために献金を求めて有力者におもねる必要もなかったし、暴言を吐くなどしてメディアの注目を集めることで自らを売り出すことにも成功した。長きにわたる大統領選挙は一般的には候補と党との協力のもとになされる団体戦となるのが一般的だが、トランプはかなりの程度個人戦として大統領選挙を戦い抜いたため、党に対する忠誠心を持たない。そのため、党の主流派の発言に耳を傾ける意思もない。

 さらに、現在の議会では、トランプのおかげで連邦議会議員に当選したといっても過言でない人々が一定程度存在しているため、2020年の大統領選挙と連邦議会選挙を前にして、トランプに行動を制止するよう発言することのできる人物は限定されてしまう。多くの共和党の政治家はトランプによる非難とトランプ支持者の反発を恐れて発言を控えざるを得ない状況に追いやられている。民主党議員による自制要求は、今日のようにアメリカ社会が分極化するとともに二大政党の対立が激化する中では、大統領の耳に届かないだろう。

 メディアによる大統領に対する自制要求も意味をなさなくなっている。ケーブルテレビなどが発達してメディアが多様化する中で、有権者は自己の選好に合致するようなメディアのみを視聴する傾向が顕著になっている。そして、2016年大統領選挙の頃には、トランプは自らを肯定的に評価しないメディアによる報道をフェイク・ニュースと断じるようになっており、共和党支持者もその主張を支持している。ワシントンポストやCNNなどの伝統的なメディアが大統領に自制要求をしても、今日ではあまり影響力を持たないのである。

 このような状況では、大統領に対して歯止めをかけることのできる存在は極めて限られてしまう。2018年の中間選挙で勝利した上院議員は2024年まで改選を迎えることがないので、彼らはそのような活動をできる可能性はあるだろう。とりわけ、莫大な資金力と知名度を持つロムニーなどは、そのような活動ができるわずかな政治家の一人だといえるかもしれない。そしてロムニーは、マケインなき現在、そのような役割を担うことを自らの使命と考えるようになっているのかもしれない。

 これまで存在してきた不文律を破り続け、自制する意思を見せない大統領の行動にどのように歯止めをかけるか。アメリカ政治はこのような新たな問題への対応を迫られているといえよう。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15153

 


幻冬舎plus2019年01月23日 07:202回目の米朝会談、トランプ氏は在韓米軍撤退をぶち上げる?! - 杉本宏 1/2


2月下旬、2回目の米朝首脳会談が開催されることになった。膠着している北の非核化は進むのか? YouTubeで公開された2019年初の閣議は、まさに「トランプ劇場」そのもの。その衝撃の光景から、気になる米朝会談の行方を読み解く。

*   *   *

独断的、威圧的……閣議から分かった「トランプ流」
新年早々、「トランプ劇場」が開幕した。1期目の折り返しを迎えたトランプ大統領が2日、ホワイトハウスで開いた2019年初の閣議。その光景をYouTubeで見て、独断的、威圧的なトランプ流の統治手法に圧倒された。


閣議のテーブルでトランプ大統領の前におかれていたポスター。
「制裁が近づいている」と書かれている。

メディアに公開された閣議の模様は、日本にとっても他人事ではない。米朝首脳会談や米中貿易戦争などの行方を占うヒントがびっしり詰まっている。

1時間半に及んだ初閣議の主要議題は、トランプ大統領の目玉政策であるメキシコ国境の「壁」建設だったが、シリアとアフガニスタンからの米軍撤退問題や通商政策なども取り上げられた。ここでの大統領の発言は、米国内外への新年のメッセージだと言っても過言ではないだろう。

それを一瞥すると、型破りなトランプ大統領の少なくとも以下の3つの特性が浮かび上がる。

(1)「誰がボスか」と迫る威圧的なボスキャラ
(2) 気に入らない閣僚と側近の「ポイ捨て」癖
(3) 公約・持論は決して曲げない肝っ玉

閣僚による「トランプ礼賛」のオンパレード
大統領は冒頭、「壁」問題で持論を延々とぶったあと、この問題にかかわる関係閣僚に発言を促した。

「大統領閣下の力強いリーダーシップに感謝しています……」(ニールセン国土安全保障長官)
「大統領はクリスマスと新年の休暇を返上して、この問題に取り組んでおられる……」(ウィタカー司法長官代行)
「オバマ前大統領と異なり、立ち上がって、(不法移民は)入ってくるなと声を上げてくれる……」(ペリー・エネルギー長官)
「国境の安全問題での大統領の強固な姿勢に謝意を示します……」(ペンス副大統領)

Who’s your boss ? ――名指しされた閣僚が真顔で競うようにトランプ大統領の「業績」を称賛し、自分のパフォーマンスをアピールする姿を見て、こんな英語の言い回しが頭に浮かんだ。

「誰がボスか知っているね」と上司に念を押されれば、部下は震え上がり、Yes, Sir.と即答するしかない。トランプ大統領の言動は、そんな威圧的な上司のイメージを連想させる。

閣僚は、2人だけの場で大統領の怒りの矛先が自分に向けられたときの恐ろしさを知っているからこそ、記者とテレビカメラの前で、おべっかを使ってまで大領統に忠誠を示すのだと思う。

イエスマンだらけになったトランプ政権 »

イエスマンだらけになったトランプ政権
トランプ大統領の第2の特徴である「ポイ捨て」の性癖は、閣僚と側近の顔ぶれから透けて見える。何と、トップの代行(acting)が5人もいることに驚嘆せざるを得ない。

前任の司法長官と国防長官、大統領首席補佐官は事実上の更迭だ。内務長官と環境保護庁長官はスキャンダルで辞任を余儀なくされたが、トランプ大統領が2人を積極的に守ろうとした形跡はみられない。

閣僚や側近が辞任する際、たとえ嘘でも公僕の業績を称えるのが大統領の常だ。しかし、うわべだけの敬意すら示さずに、用済みとばかりに「ゴミ箱に捨てる」(trash)のがトランプ流だ。

その最たる例が、米軍のレジェンド、マティス国防長官の辞任だ。昨年12月、トランプ大統領の米軍シリア撤退論に反対し、2月末に辞任する意向を表明した。

その際、国防総省を通じて抗議声明とも受け取れる書簡を公表したことが大統領の逆鱗に触れた。憤慨した大統領は、退任時期を元旦に前倒しし、政府部門の経験が浅いシャナハン国防副長官を長官代行に格上げした。

「私はハッピーではなかった。結果を出さなかった」。トランプ大統領は閣議で、マティス氏の仕事ぶりを酷評し、マティス氏が自ら辞任したではなく、自分が彼を更迭したとの認識の周知徹底を図った。

いずれにしても、重責の代行は、面倒な上院の承認を得るまでの一時的な窮余の策ではなさそうだ。トランプ氏は、「代行が好きだ。その方が柔軟に政権運営できる」と記者団に語り、承認手続きを急がない考えを示した。昇格というアメをぶら下げ、代行の仕事ぶりや忠誠心をしっかり観察して正式の閣僚にするかどうか決める腹のようだ。

マティス氏の辞任で、トランプ大統領の衝動をなだめる「大人」のアドバイザーは政権内に一人もいなくなったといわれる。その影響は、とりわけ外交・安保の分野で深刻だ。

すでにティラーソン国務長官、マクマスター大統領補佐官も大統領と対立してポイ捨てされてしまった。残るはイエスマンばかり。強烈なエゴの持ち主であるナルシストの大統領に耳の痛い正論を直言する歯止め役は見当たらない。結局、トランプ政権では、すべてはトップダウンで決まる。

ただし、トランプ大統領の外交・安保政策に微妙な影響を与えていのるがゴルフ仲間の助言だといわれる。共和党のグラハム上院議員とポール上院議員とはプレーしながら対中政策などについて話し合う仲だと報道されている。

空軍出身で国防政策に詳しいグラハム議員は先日、大統領とホワイトハウスで昼食を共にし、シリアから米軍を直ちに全面撤退させるという決定を見直すよう促し、段階的撤兵論を呑ませた「実績」がある。ポール議員も大統領のシリアとアフガ二スタンからの撤退決定に影響を与えたふしがあるとワシントンの政界通は指摘する。

米朝首脳会談で在韓米軍の撤退をぶち上げるか?
さて、第3の特徴である。何が何でも公約や持論は押し通すというトランプ大統領の不屈の精神、俗な言葉を使えば「根性」で気になるのは、安保コストで同盟国の「タダ乗り」は絶対に許さないという主張だ。不動産王だった80年代から変わらない、この持論は新年の閣議でも「炸裂」した。

「我々は、富裕国に軍事的保護を与えているが、彼らは米国のために何もしてくれない。こういう国を同盟国と呼ぶなら、米国と納税者は同盟国にいいように利用されている。こんなことを続けるわけにはいかない……」

そして、トランプ大統領は、こう続けた。

「この考えにシャナハン(国防長官代行)は同意してくれた。長年、そういう考えだった。この点は、私にとって非常に重要だ。他の人に理解させることはできなかった。彼らは私の主張を理解できなかった」と。

ここがすごいところだが、シャナハン氏に同盟の費用負担問題で踏み絵を踏ませたことを世界中に公言したのだ。

看過すべきでないのは、大統領が同盟国のなかでも「富裕国」に限定したことだ。おそらく韓国を指していると思われる。文在寅政権は、在韓米軍の分担金(思いやり予算)を巡る交渉で米側の大幅増額要求を拒み続けている。

大統領の持論を受け、在韓米軍2万8000人の縮小・撤退のオプションがトランプ政権内で非公式に検討されてきたことは公然の秘密だ。大統領は、すでに昨年6月の米朝首脳会談で誰にも相談せずに米韓合同軍事演習の中止をぶち上げた。その後の記者会見で「将来は、在韓米軍を撤退させたい。あんなものは金の無駄だ」と言い張った。

一方、大統領は閣議で、北朝鮮の金正恩委員長から届いた書簡について「素晴らしい手紙だ」と称賛し、2回目の米朝首脳会談が「そう遠くない将来」に行われるとの見通しを示した。その場で大統領が北朝鮮による非核化の進展を条件に、在韓米軍撤退の方向に沿った何らかの見返りを与えたとしても不思議ではない。

こうした大統領の一連の発言を北朝鮮の金正恩委員長と中国の習近平主席が聞き逃すことはないだろう。8日に北京で行われた4度目の中朝首脳会談では、習主席が金委員長に対し、将来的な在韓米軍の縮小・撤退をめざして中朝間で連携すべきだとだと指南したのではないか。

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[経世済民130] 日銀の再度の物価見通し引き下げ、見通しの信頼度むしばむ 日銀総裁:米中貿易摩擦が長引けば世界経済に深刻 
日銀の再度の物価見通し引き下げ、見通しの信頼度むしばむ
Paul Jackson
2019年1月23日 17:28 JST
日本銀行は23日発表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年比の見通しをすべて下方修正した。特に2019年度の引き下げ幅は0.5ポイントと、黒田東彦総裁体制下では2016年1月以来3年ぶりの大きな修正幅で、日銀のインフレ見通しの成績は芳しくない状況が続いている。

  最近の消費者物価全体の上昇に占めるエネルギーコストの比率は最大75%に上っていることから、昨年秋以降の原油相場の急落によって物価見通しの引き下げは避けられなかった。

失望感
日銀の19年度物価見通しはおなじみの下方修正パターンをたどる


出所:日本銀行

日銀:物価すべて下方修正、海外リスク「強まっている」−現状維持

  黒田総裁の下で日銀は、向こう数年の物価見通しを過度に楽観的にみる予測パターンを確立したが、現実が期待に届かず予想を繰り返し下方修正する結果を招いている。

  今回の19年度見通しの引き下げ幅は、教育無償化政策の影響を除かなければさらに大きく、黒田体制下で最大になっていたはずだ。無償化の影響を含めるとさらに0.3ポイント押し下げとなり、19年度のコアCPIは前年比わずか0.6%上昇にとどまると試算されている。


黒田春彦写真家:太田清/ブルームバーグ
 
  日銀の16年度のインフレ見通しは当初2.1%だったが、最終的にマイナス0.3%に大幅下方修正された。当時もその主な理由は原油価格だった。

原題:Another BOJ Price Downgrade Chips Away at Forecast Credibility(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-23/PLRT8R6K50XW01?srnd=cojp-v2


 

日銀総裁:米中貿易摩擦が長引けば世界経済に深刻な影響−会見
日高正裕
2019年1月23日 17:06 JST 更新日時 2019年1月23日 18:04 JST
現時点で米中経済の見通し変えるほどのリスクは顕在化していない
米中摩擦で中国からの受注が減少、輸出も影響受けてくる可能性
日本銀行の黒田東彦総裁は23日の定例記者会見で、米中貿易摩擦の影響について、現時点で両国経済の標準的な見通しを変えるほどのリスクは顕在化していないとしながらも、「長引けば世界経済に深刻な影響が出てくる」との認識を示した。

  黒田総裁は「資本財中心に中国からの受注が減っている」と指摘。「輸出も全般的に影響受けてくる可能性はある」とした上で、「米中摩擦や欧州のさまざまな要因が海外の下方リスクをやや高めているのは事実」と述べた。ただ、米中間の貿易交渉が進んでいるとした上で、「個人的意見として収束に向かうのではないかと期待を込めて思っている」と述べた。

  下振れリスクが顕現化した場合の対応については「経済・物価・金融情勢を見て必要があれば、もちろん追加的な措置も取る」と言明。手段についても、量的緩和や質的緩和など「非伝統的金融政策の余地は狭まっていない」との見方を示した。

  日銀は同日の金融政策決定会合で、長短金利操作付き量的・質的緩和の枠組みによる政策運営方針の維持を7対2の賛成多数で決定。一方、経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年比の見通しを2018〜20年度まですべて下方修正した。

日銀決定会合に関する記事はこちらをご覧ください

  黒田総裁は「基本的に19年度の下方修正は昨年秋以降の石油価格の下落の影響が出てくるというものなので、われわれの物価の見通しが20年度に向けて大きく変わったわけではない」と説明。物価安定に向けたモメンタムは「しっかり維持」されているとした上で、金融政策運営は「現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくのが最も適当である」と語った。

  年末年始の株式、為替市場の大きな変動については「先行きの不確実性に対してやや過敏であったと見受けられる」と指摘。「株価は年初の水準から幾分回復しているほか、為替相場も一頃に比べて落ち着き取り戻している」と語った。今年の注目点を問われると、春闘での賃上げと10月の消費増税を挙げ、後者については「正直言って、大きな影響はないと思っている」と述べた。

(第2段落以降に発言を追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-23/PLRY0G6TTDS201?srnd=cojp-v2


 

日銀:物価すべて下方修正、海外リスク「強まっている」−現状維持
日高正裕、藤岡徹
2019年1月23日 12:08 JST 更新日時 2019年1月23日 12:58 JST
物価は増税と教育無償化の影響除き19年度0.9%、20年度1.4%上昇
「貸出増加を支援するための資金供給」などを1年延長−全員一致
日本銀行は23日の金融政策決定会合で、長短金利操作付き量的・質的緩和の枠組みによる政策運営方針の維持を7対2の賛成多数で決定した。片岡剛士、原田泰両審議委員が反対した。経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年比の見通しをすべて下方修正した。

  同リポートでは、経済、物価の見通しは引き続き「下振れリスクの方が大きい」とした上で、海外経済を巡る下振れリスクが「このところ強まっている」と指摘。企業や家計のマインドに与える影響を「注視していく必要がある」として警戒感を示した。物価についても上昇を遅らせてきた諸要因の解消には時間を要しているとの説明が追加された。


日本銀行本店Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  長期金利の誘導目標は「0%程度」としてある程度の変動を認める方針で、国債買い入れ(保有残高の年間増加額)のめど「約80兆円」も維持。短期金利は「マイナス0.1%」に据え置いた。指数連動型上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(J−REIT)の買い入れ方針も従来通り。「当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」とのフォワードガイダンス(政策金利の指針)にも変更はなかった。

  「貸出増加を支援するための資金供給」、「成長基盤強化を支援するための資金供給」、「被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーション」などの措置について、受付期間を1年延長することを全員一致で決定した。

当面の金融政策運営のポイント
長短金利操作(賛成7反対2)
短期金利:日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%適用
長期金利:10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう国債買い入れ
金利は経済・物価情勢などに応じて上下にある程度変動し得る
保有残高の増加額年間約80兆円をめどにしつつ弾力的に買い入れ
資産買い入れ方針(全員一致)
ETFとJ−REIT:保有残高がそれぞれ年間約6兆円、約900億円相当で増加するよう購入。市場の状況に応じて上下に変動し得る
フォワードガイダンス
2019年10月予定の消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在の極めて低い長短金利水準の維持を想定
展望リポート
コアCPI前年比の見通し(政策委員の中央値)は18年度0.8%上昇(昨年10月の見通しは0.9%上昇)、消費増税と教育無償化の影響を除き19年度0.9%上昇(同1.4%上昇)、20年度1.4%上昇(同1.5%上昇)
実質国内総生産(GDP)成長率の見通しは18年度0.9%増(1.4%増)、19年度0.9%増(0.8%増)、20年度1.0%増(0.8%増)
 
  ブルームバーグがエコノミスト50人に行った事前調査では1人を除き全員が現状維持を予想していた。午後3時半に黒田東彦総裁が定例記者会見を行う。決定会合の「主な意見」は1月31日、「議事要旨」は3月20日に公表。

ブルームバーグの事前調査の結果はこちら

(第2段落に発表内容を追加し、見出しも差し替えて更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-23/PLIDSH6JTSE801?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/696.html

[経世済民130] 国債運用アミュレット:日銀動いて変動率上昇へ−昨年収益は23% マクロヘッジファンド閉鎖−業界不振アトレウス最新の犠牲者
国債運用アミュレット:日銀動いて変動率上昇へ−昨年収益は23%
伊藤小巻、Chikako Mogi
2019年1月23日 6:00 JST 更新日時 2019年1月23日 15:06 JST
「いまの政策についての副作用対応を考えているはず」−松田社長
順張りや逆張り、長期や日計りに分散して変動率上昇時に収益
日本国債運用で高収益を上げたアミュレットキャピタルマネジメントは、投資機会となるボラティリティー(変動率)上昇を今後も予想している。

  ブルームバーグのインタビューで松田利晴社長は16日、日本銀行の政策変更の可能性について「副作用対応を考えているはずで、どこかでやるだろうという観測はなかなか消えない」と述べた。国債の市場機能低下や銀行の収益圧迫に対応して日銀が動いて国債ボラティリティーが上昇、収益機会が訪れるとの見方だ。現在の運用資金は10億円以下だが、2018年のリターンは22.6%(手数料等控除前)だった。


  アミュレットは日本国債に特化、先物で運用するマネージドフューチャーズ手法を採用する。ユーリカヘッジが運用成績を集計したCTA/マネージドフューチャーズ指数は18年の円換算でマイナス8.2%。これに対してアミュレットは、昨年7月末の日銀会合での金利変動許容で高まったボラティリティーを捉えて収益に結びつけた。日本国債先物のボラティリティーは30日間で1.6%と米国債の4.4%を下回る。日銀は23日の会合で金融政策を維持、物価見通しを下げた。物価目標達成はさらに遠のき、副作用の素地となる緩和の期間が長期化した。

  松田社長は「金利水準が高い状態でボラティリティーが発生するのが望ましい」と話した。アミュレットは順張りや逆張り、長期や日計りを含めて国債先物だけで運用、ボラティリティーが上昇した際に利益を上げる。日銀がイールドカーブコントロールを導入した16年の収益は43.8%、17年はボラティリティー低下でマイナス1.1%だったが、16−18年の過去3年は平均で約22%になる。

(第3段落に日銀会合の結果を追加して更新します.)


https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-22/PLO5D06TTDS201?srnd=cojp-v2


 
マクロヘッジファンドが閉鎖−業界不振でアトレウスが最新の犠牲者に
Suzy Waite、Hema Parmar、Nishant Kumar
2019年1月23日 14:36 JST
18年の成績は11月まででマイナス4.5%、3年連続マイナス
閉鎖ファンド数は18年まで3年続けて新規設定数を上回った
マクロ戦略のヘッジファンド、アトレウス・キャピタルが閉鎖を決めた。複数年にわたる業界の成績不振でまた1つのファンドが撤退する。

  アトレウスはニューヨークとロンドンのオフィスを閉鎖し、主要ファンドのアトレウス・マスター・ファンドの運用を停止する。ブルームバーグが投資家向け書簡を入手した。マクロ経済イベントと商品関連の投資を行う同ファンドの運用資産はピーク時には20億ドル(約2200億円)に達していた。別の資料によると、2018年の成績は11月まででマイナス4.5%と、3年連続のマイナスに向かっていた。

  創業者で最高投資責任者(CIO)のトッド・エドガー氏は書簡で「ここしばらくで最良の環境になったと実際に感じている今、閉鎖を決めるというの少なからず皮肉なことだ」とコメントした。

  相場乱高下と地政学的リスクが運用者を惑わす中で、昨年は多くのヘッジファンドが閉鎖。ユーリカヘッジによれば、閉鎖ファンド数が新規設定数を3年続けて上回った。

  アトレウスの広報担当者はコメントを控えた。

原題:Macro Hedge Fund Atreaus to Shut After Raising $2 Billion (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-23/PLRQ2R6TTDS301?srnd=cojp-v2


 


UBSで花形だった投資銀行部門が失速−市場波乱でアジア顧客は静観
Jan-Henrik Förster、Patrick Winters
2019年1月23日 15:42 JST
昨年10ー12月の株式トレーディング収入は13%減少
アジアのデリバティブ事業の低調が業績に打撃−ガードナーCFO
スイスのUBSグループの投資銀行部門はここ数四半期にわたり卓越した業績を記録した花形部門だったが、昨年末にかけて失速した。株式相場の激しい変動を受けて顧客が静観したことが響いた。

  22日の同行の発表によると、昨年10−12月(第4四半期)の株式トレーディング収入は13%減の7億9200万ドル(約868億円)となり、外国為替業務の増益を相殺した。アジアを中心とした機関投資家やトレーダー、ヘッジファンドは12月後半の株式相場の波乱に対し、様子見姿勢に終始した。こうした中、投資銀行部門は4700万ドルの損失を計上した。

  これとは対照的に昨年は、トップを務めていたアンドレア・オーセル氏の指揮の下、同部門は一貫してアナリスト予想を上回る輝かしい業績を記録していた。米国の大手銀5行は昨年10−12月期の株式トレーディング収入が平均で10%増加した。

  セルジオ・エルモッティ最高経営責任者(CEO)はアナリストとの電話会議で、アジア太平洋地域で並外れた存在感があるだけに「市場要因と顧客の動きが明らかに集中した」とコメントした。

  UBSは同部門のパフォーマンスについて「世界の株式相場の急落が顧客の活動レベルの低下につながった」と指摘。カート・ガードナー最高財務責任者(CFO)は、アジアのデリバティブ(金融派生商品)事業の低調が同部門の業績に打撃を与えたと説明した。

UBSのセルジオ・エルモッティCEO

ソース:ブルームバーグ
原題:UBS’s Star Investment Bank Fades as Asia Markets Spook Investors(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-23/PLRSE86JIJUQ01?srnd=cojp-v2


 

18年の負け組、一転して人気者−米社債市場でリスクに照らし有望
Luke Kawa
2019年1月23日 16:01 JST
発行需要の堅調もトリプルBクラス債への地合い変化鮮明に示す
「クロスクレジット投資家はトリプルBを圧倒的に支持」
2018年の米社債市場ではトリプルB級格付けの銘柄が投資適格の中でパフォーマンス最悪だった。ところが今年は一転して、他の格付けを上回る好スタートを切った。

  投資適格の中で最も低い格付けであるトリプルB級社債の今月これまでの成績はプラス0.8%と、社債全体平均の0.5%を上回った。

  1月は発行市場での需要堅調も、米投資適格社債、特にトリプルBクラス債へのセンチメントの変化を鮮明にした。昨年終盤にクレジット市場を揺るがせたテールリスク懸念は行き過ぎていたという見方が強まりつつあるようだ。


  バンク・オブ・アメリカ(BofA)による1月の債券ファンドマネジャー調査で、今後1年のリスク調整後リターンについてトリプルBクラス社債が最も高くなると38%が予想した。昨年11月時点では20%だった。

  ハンス・ミケルソン氏らクレジットストラテジストはリポートで「クロスクレジット投資家はトリプルBを圧倒的に支持した」と書いている。グローバル・クロスアセット戦略責任者のジェームズ・バーティー氏もトリプルBクラスのロングポジションを同行の推奨取引に加えた。


原題:Dogs of the U.S. Corporate Debt Market Are Its Newest Darlings(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-23/PLRTJP6TTDS501?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/697.html

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