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[国際16] レイプ事件がアメリカ社会で多発する3つの理由 「レイピスト」の 無自覚さ 「誤った固定観念」が 社会に蔓延
週末はこれを読め! from HONZ
【第27回】 2016年12月9日 アーヤ藍 [HONZ]
レイプ事件がアメリカ社会で多発する3つの理由
『ミズーラ 名門大学を揺るがしたレイプ事件と司法制度』

(写真はイメージです)
 19.3%、実に5人に1人。


『ミズーラ 名門大学を揺るがしたレイプ事件と司法制度』
ジョン・クラカワー/菅野 楽章 (訳)
亜紀書房
516ページ
2700円(税別)
 これだけの割合のアメリカ人女性が、年齢を問わず、これまでにレイプ被害を受けたことがあると、米国連邦機関・疾病予防管理センターによる2014年9月の報告書で明らかになった。これほどにも「ありふれた犯罪」である一方、被害者の64%〜96%は警察に被害を届け出ず、アメリカ国内でもっとも報告率の低い重大犯罪でもある。また、訴追されるのはわずか0.4〜5.4%、うち有罪判決がくだされるのは0.2〜2.8%。レイプ事件が起きた時、90%以上の確率で加害者が刑罰を免れていることになる。

 本書『ミズーラ 名門大学を揺るがしたレイプ事件と司法制度』は米国モンタナ州第2の都市ミズーラで、マンモス校モンタナ大学のアメフト選手たちが2010年〜2012年にかけて引き起こした複数のレイプ事件について、丹念なインタビューと取材を重ね、その真相に迫ったノンフィクション作品だ。ミズーラという一つの都市に注目しながらも、なぜアメリカ全土でこれだけレイプ事件が多発し、訴追・報告率が低いのか、その要因を大きく3つの観点から浮かび上がらせる。

「誤った固定観念」が
社会に蔓延している

 一つ目は、社会に蔓延している「誤った固定観念」だ。

 例えば、レイプ被害に遭った時、女性は全力で抵抗をしたり助けを求めるはずだと思われがちだが、実際には、恐怖心と無力感でいっぱいになり、抵抗をしない場合がほとんどだ。

 恐怖心だけではない。

 シアトルの熟練法律家で、11年にわたりキング郡検察局で暴行特別捜査班を指揮していたレベッカ・ローは語る。

“「わたしたちは社会生活に適応するなかで、人に好ましく思われること、摩擦を生まないことを教えられます。……騒ぎを起こさず静かに問題を解決する――何かよくないことが起きても、そんなことはなかったように消し去ってしまうんです」”

 また、レイプ被害者は、そのトラウマから一見不可解に思える行動を取ることも多い。だがそうしたトラウマ反応についても社会であまり認識されていない。

 レイプ被害を受けたことから性的関係を拒むようになる人もいる一方、自己破壊的な感情から、暴飲したり見境のないセックスに走る被害者も多くいる。だがそうしたトラウマの症状が理解されていないために、「ああいう行動をとっていたらレイプをされても当然だ」と逆に非難をしたり、「レイプをされるのは女性側に責任がある」という言説が生まれたりする。

 こうした誤った固定観念に囲まれ、被害にあった女性たちは、報告することを意識的あるいは無意識的(反射的)に避けてしまう。

レイプ被害を断つ
勇気をくじく司法制度

 深刻なのはこうした固定観念が警察・検察にも存在していることだ。

 レイプの被害届を出した女性に対して警官がよく「付き合っている人はいるか」と質問をする。これは、彼氏を裏切り別の相手と性行為をしたことを隠すため「レイプをされた」と嘘をついていることを疑うためだ。

 米国司法省が2014年2月14日に発表した報告書は、レイプ被害を受けた女性たちが、郡検事補に投げやりな対応や無礼な対応をされたこと、たびたび性暴力の深刻さを矮小化し、加害者の責任を軽視する発言をしていたことを明らかにした。こうした郡検事補とのやりとりが「トラウマになった」と語る女性や、別の女性に訴追することを「絶対勧めなかった」という女性たちもいる。

 ほとんどの犯罪で、警官は証人全員の事情聴取がすみ、入手可能な証拠が集まるまで、被害者を常に信じ寄り添うのに、性的暴行事件となるとそうしたアプローチをしない警官が多いことや、ひったくりや強盗の事件の際には被害者の証言に対して懐疑的にならないのに、性的暴行事件においては被害者に対して疑いの目が向けられがちであることも、本書は批判している。

 司法制度のなかの「個人」の意識に限らず、制度そのものが抱えている問題もある。

 例えば、被害者側の代弁者ともいえる検事は、州の利害を代表する法的責任は負っているが、被害者個人の利害を代表する必要はない。被害者と話し合うことは義務付けられてはいるが、被害者の嘆願を聞き入れることは義務付けられていないのだ。

「当事者対抗主義」が生み出す矛盾もある。「法律家は代弁者として依頼人の立場を熱心に保護し追求する義務」があるとする、この主義のもとでは、正義や真実よりも、適正な法的手続きに従うことのほうが重要になる。本書に登場する被疑者の弁護人もまた、被害者女性に対して誤解を生むような発言を法廷で繰り返すことで被害者側の形勢を不利にしようとするが、これは弁護側にとっての“依頼人”すなわち被疑者を保護する立場としては正当化される。

 さらに、裁判のしくみもまた、トラウマを抱えるレイプ被害者を苦しめる。

“「被害者に必要なのは、社会的に認められ、支援を受けることだが、裁判所から求められるのは、信用性を世間に疑われるという状況に耐えることである。被害者に必要なのは、自分は無力ではないという感覚を確固たるものとし、人生をコントロールすることだが、裁判所から求められるのは、理解できないかもしれず、コントロールすることもできない、複雑な規則と手続きの体系にしたがうことである。被害者に必要なのは、自らの力で、自ら選んだ場で話をする機会だが、裁判所から求められるのは、論理的で意味のある話を組み立てようとする個人の試みを打ち砕く、イエスかノーの質問に答えることである。被害者にしばしば必要なのは、トラウマを思い出させる特定のものにさらされないように、コントロールしたり制限したりすることだが、裁判所から求められるのは、犯人と直接対峙し、記憶をよみがえらせることである。」
(ハーバード大学精神医学教授 ジュディス・ルイス・ハーマンの論文)”

 こうした司法制度の構造や実情が、繰り返されるレイプ被害を断つために勇気をもって立ち上がろうとする女性たちの心をくじき、傷つけている。

「レイピスト」の
無自覚さが問題である

 3つ目は「レイピスト」像の誤解とレイプ加害者の無自覚さの問題だ。

「レイピスト」は恐ろしい凶悪犯や異常犯のように考えられがちだが、実際には、好感のもてる人物や社交的な人、親切で穏やかそうな人である場合もある。内気に見える人もいる。顔見知りによるレイプの米国内随一の専門家と目される臨床心理士、デイヴィッド・リザック博士によれば、レイピストを人格や心理学的プロファイルで特定することは現実的に不可能だという。

 リザック博士とポール・M・ミラーが1991〜98年にマサチューセッツ大学ボストン校の男子学生1820人に対して行った研究では、サンプルの6.4%(120人)がレイピストと特定され、そのうちの63%(76人)が一人当たり平均6件近くレイプ事件を引き起こしていたことが判明した。しかも被験者全員が自発的に調査に参加しており、誰も自分をレイピストだとは考えていなかったのだ。仲間内でもレイプなどしない善良な人間だと考えられていた。

“「レイピストというのはスキーマスクをかぶり、ナイフを振りかざし、女性を茂みに引きずり込むやつだという共通の認識がある……。だから、自分がレイピストだという感覚がまったくなくて、とにかく喜んで自分の性行為について話すんです」
「自分自身の世界観にとらわれているんです。自分の取った行動を被害者の視点から考える能力が欠けています」”

 とリザックは語る。

 無自覚なレイピストが、訴追されることなく、罰を免れつづけることで、レイプ被害は繰り返される。そして被害者が続々出るにも関わらず、その真相が語られ、明るみに出ることを阻む社会構造が存在している。

 果たしてこの“悪循環”はアメリカに限られるものなのか。そして、私たち一人一人の個人と無関係なことなのか……。目をつぶりたくなるくらいの被害者たちの“叫び”が詰まった本書を読めば、考えずにはいられなくなるはずだ。
http://diamond.jp/articles/-/110647

http://www.asyura2.com/16/kokusai16/msg/634.html

[経世済民116] ゴールドマンCEOトランプ次期米大統領は危険ではない独紙に語る  ムニューチンの超長期国債行、リスク大か 長期金利高水準

ゴールドマンCEO:トランプ次期米大統領は危険ではない-独紙に語る
Hugh Son
2016年12月9日 16:06 JST 
米ゴールドマン・サックス・グループのロイド・ブランクファイン最高経営責任者(CEO)は、ドイツ紙ハンデルスブラットとのインタビューで、トランプ次期米大統領は危険なリーダーには恐らくならないだろうと語った。
  トランプ次期米大統領が脅威をもたらすかとの問いに同CEOは「そうは思わない」と答え、トランプ氏は「頭のいい人だ」と評した。選挙戦中の公約にはメキシコとの国境に壁を作る、イスラム教徒の入国を止めるなどが含まれた。
   ブランクファイン氏は、トランプ氏が米経済の成長促進に成功すれば、ゴールドマンに恩恵になると述べた。「トランプ氏は実は、誰よりもはるかに良い大統領になるかもしれない」と語った。
原題:Blankfein Says Trump Won’t Be Dangerous, Handelsblatt Reports(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-09/OHWOPS6TTDS301


 


 


ムニューチン氏が示唆した超長期国債発行、金利負担減少の保証なし
Liz Capo McCormick
2016年12月9日 08:05 JST

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• 年限の長期化は利払い負担を増やす可能性
• 50年債の発行は考え直すべきだ−オーカムのローチ氏
米国債利払いの現在の内訳をより詳しく見てみると、トランプ次期米政権で財務長官に就任するスティーブン・ムニューチン氏は、金利上昇に備えて超長期国債の発行を承認する前に立ち止まって考えるべきだろう。
  少なくともオーカム・ファイナンシャル・グループのカレン・ローチ氏はこう話す。この10年で米国の債務総額が急増したにもかかわらず、政府の年間利払いコストは比較的横ばいが続いているからだという。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i393hc6wc3Ic/v2/-1x-1.png
  米国が支払い不能になるリスクはないことを踏まえれば、金利がじりじりと上昇しても、それが米国の利払いコストを急増させるリスクは最小限だとローチ氏は最近の調査リポートで指摘した。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iNxpcMoi9jZM/v2/-1x-1.png
  利回り曲線が右肩上がりの状況からみて、米財務省は30年債よりも50年債を発行する方が直ちにより多くの利払いを迫られる公算が大きい。そうなれば、年限の範囲がさらに拡大し、金利費用は減少するどころか増加するとローチ氏は分析する。
  財務省は金利負担を歴史的低水準で固定するため既に国債の平均償還年限を急激に長期化している。同省のデータによると、10年以下で償還期限を迎えるのは約87%。長めの債券発行でさらに平均償還年限が長期化すれば、納税者は平均金利コストの上昇に直面することになる。このためローチ氏は、自らの視点では短期債発行の増額が最善のアイデアだという。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ijWWrvtn1fIE/v2/-1x-1.png
原題:Mnuchin’s Longer Bonds No Guarantee for Lower Interest Burden(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-08/OHVXOD6JIJUT01

 

 

 
長期金利が一時10カ月ぶり高水準、ECB政策変更やリスクオン継続で
三浦和美、山中英典
2016年12月9日 07:57 JST更新日時 2016年12月9日 15:28 JST

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• 新発20年債利回り0.565%まで上昇、新発30年債利回り一時0.71%
• ECB政策変更は世界的な債券の過度なフラット化修正−野村証

債券相場は下落。長期金利は一時10カ月ぶり高水準を付け、30年物など超長期債利回りが軒並み大幅に上昇した。欧州中央銀行(ECB)の政策変更を受けて欧米債市場で金利が上昇したことや、国内株式相場の堅調推移が売り材料となった。
  9日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の345回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より1.5ベーシスポイント(bp)高い0.055%で取引を開始。直後に0.06%と新発として2月17日以来の高水準を付けた。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iKeDnb8XQLzk/v2/-1x-1.png
  新発20年物の158回債りは一時4.5bp高い0.565%、新発30年物の53回債利回りは6bp高の0.71%、新発40年物の9回債利回りは5.5bp高い0.82%まで売られた。
  損害保険ジャパン日本興亜の西田拓郎運用企画部特命課長は、「ECBに関する市場予想は月800億ユーロのままで6カ月延長だったが、実際は600億ユーロに減額して9カ月延長した。資金供給量の総額は予想より増えているので、それほどテーパリング的ではなくハト派気味。テーパリングを急ぐ話ではない」と指摘。ただ、「市場の見方は分かれており、欧州金利のボラティリティは上がるだろう。米金利ももう少し上がりそう。米欧金利の上昇は日本国債にも利回り水準とボラティリティの上昇要因となる」と述べた。
  長期国債先物市場で中心限月12月物は、前日比12銭安の150円42銭で取引を開始し、一時150円37銭まで下落。その後は横ばい圏でのもみ合いとなり、結局は4銭安の150円50銭で引けた。
  みずほ証券の山内聡史マーケットアナリストは、ECB理事会後に欧米金利が上昇したことを受けて、円債相場も軟調な展開と指摘。「金利水準的には今までと比べてかなり上昇しているが、海外金利がさらに水準を切り上げている。今週の流動性供給入札や30年債入札が弱めの結果に終わったため、来週の20年債入札に対する警戒感も強まっている」と述べた。
欧米債下落

ECBドラギ総裁

Bloomberg
  8日の米国債相場は下落。米10年物国債利回りは前日比7bp高い2.41%程度で引けた。ECBが量的緩和プログラムの下での債券購入を2017年12月末まで延長する一方、月々の購入額について来年4月以降、600億ユーロに減らすと発表。これを受けて、欧州債市場でポルトガルやイタリアを中心に国債相場が下落し、米債売りにつながった。この日のアジア時間では2.44%まで水準を切り上げた。
ECB理事会の政策決定に関する記事はこちらをご覧下さい。
  野村証券の松沢中チーフストラテジストは、ECBの政策変更がグローバルな債券の過度なフラット化の修正に寄与すると指摘。「リスクオン(選好)の流れが途切れていないこともその流れを支える。日本では一足早く短中期債が利下げ期待をほぼはき出しているので、調整は全体というよりも超長期ゾーンが中心」と指摘。「政策全体として、購入ペースを落とすことで政策持続性を高めようとする点や、預金ファシリティー金利の制約を取り払うことで短中期の金利低下を促した点は、日銀の9月政策変更と通じるものがある」と言う。
  この日の東京株式相場は上昇。日経平均株価は前日比1.2%高の1万8996円37銭で引けた。一時は昨年12月以来の1万9000円台を回復した。
日銀国債買い入れオペ
  日銀がこの日実施した今月4回目の長期国債買い入れオペは、残存期間「1年超3以下」が4000億円、「3年超5年以下」が4200億円、「10年超25年以下」が1900億円、「25年超」が1100億円と、いずれも前回と同額だった。
日銀の長期国債買い入れオペ結果はこちらをご覧下さい。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-08/OHUKPP6S972J01

 

 

【債券週間展望】金利上昇か、FOMCや20年入札にらみスティープ化
三浦和美
2016年12月9日 17:08 JST
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日本株は4連騰、ECB後の金利上昇好感−一時大納会来の1万9000円
Police officers stand guard as demonstrators hold banners and flags during a protest outside the National Assembly building in Seoul, South Korea, on Friday, Dec. 9, 2016. South Korean President Park Geun-hye faces an impeachment vote this afternoon after lawmakers brought a 40-page measure accusing her of bribery, abuse of power and violating her constitutional duties before the National Assembly. Photographer: SeongJoon Cho/Bloomberg
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FOMC、来年利上げのヒントが出るか注目−損保ジャパン日本興亜
利回り上昇続けば日銀指し値オペの可能性高まる−岡三証
 
来週の債券市場では超長期ゾーン中心に売り圧力が掛かり、利回り曲線はスティープ(傾斜)化しやすい展開になると予想されている。米連邦公開市場委員会(FOMC)会合では利上げが見込まれているほか、20年利付国債入札に対する警戒感が背景にある。
  今週の長期金利は0.025%を下限に、週末には一時0.06%と2月以来の水準まで上昇した。6日の流動性供給入札に続き、8日の30年利付国債入札の結果が低調だったことから、超長期ゾーン中心に売り圧力が強まった。新発20年債利回りは0.565%と2月以来、新発30年債利回りは0.71%、新発40年債利回り0.82%と、ともに3月以来の高水準を付けた。

  FOMCは13日から2日間の日程で金融政策決定会合を開く。ブルームバーグがまとめた市場の予想によると、政策金利のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジが0.5−0.75%と、0.25−0.5%から引き上げられる見通し。終了後に声明と経済予測が発表され、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が会見する。
イエレンFRB議長
イエレンFRB議長 Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
  損害保険ジャパン日本興亜の西田拓郎運用企画部特命課長は、「来週の注目材料はFOMCだ。利上げは織り込まれているが、2017年の利上げに関するヒントが出てくるかも知れない」と指摘。「それが強めなら市場の利上げ織り込みが一段と進み、米10年債利回りは2.5%程度を試す可能性がある」と見込む。
  
  欧州中央銀行(ECB)は8日の金融政策決定会合で、量的緩和プログラムの下での債券購入を17年12月末まで延長する一方、毎月の購入額は来年4月から600億ユーロと、従来の800億ユーロから縮小することを決定した。これを受けてドイツの10年債利回りは1月以来の水準に上昇。米国債市場にも売りが波及し、米10年債利回りは再び2.4%台に乗せた。
  国内では、日本銀行が14日に企業短期経済観測調査(短観、12月調査)を発表する。市場予想では大企業・製造業の業況判断指数(DI)は10と、前回調査の6から改善が見込まれている。
  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、FOMCを控えて、「米長期国債利回りの大幅な低下は見込みづらい環境であり、円安・株高への警戒感が引き続き債券相場の上値を抑える」と予想する。日銀短観では「大企業製造業と非製造業ともに緩やかな景況感の改善が見込まれている」とし、世界経済の回復期待も相まって、「国内でも景気回復が意識されることで、しばらく国債利回りの低下余地は限られる」とみる。
  来週の国債入札は、13日に5年利付国債、15日に20年利付国債が予定されている。パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「20年入札を控えて超長期債は極めて重い展開が続きそうだ。30年入札でショートも埋まってしまっている。30年入札時のように直前に買われると買い手も引きやすい」と話した。
  岡三証の鈴木氏は、「国債の大量償還を控えて投資家の押し目買い需要が見込まれる」と指摘。「利回りの上昇が続けば、日銀が指し値オペに踏み切る可能性が高まろう」とし、「通常の買い入れオペに加え、指し値オペへの期待が大幅な利回りの上昇を抑える」と見込む。
市場関係者の見方
*T
◎損害保険ジャパン日本興亜の西田拓郎運用企画部特命課長:
*FOMC通過後はクリスマス休暇で相場薄く思わぬ金利上昇あり得る、円金利にも上昇圧力に
*日銀がどの水準で、どの年限で対処してくるかが大きな焦点
*長期金利の予想レンジは0.05%〜0.10%
◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト:
*世界経済の回復期待で主要国の株式は上昇基調を強めており、長期国債利回りは上昇圧力続く
*米長期国債利回りの大幅低下は見込みづらい、円安・株高警戒感が引き続き債券相場の上値を抑えよう
*長期金利の予想レンジは0.02%〜0.08%
◎SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジスト:
*10年債は0.1%に接近すれば日銀の指し値オペが警戒され、上昇余地は乏しい
*20年債は10年債との見合いで妙味が増しており、0.6%程度が上限ではないか
*長期金利の予想レンジは0.00%〜0.08%
◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長:
*ECBがテーパリングを決め、日銀も買い入れ縮小を進めたいのではないかとの思惑が市場で高まりやすい
*10年債は指し値オペ注目で金利上昇が抑えられやすい分だけ超長期はスティープ化
*長期金利の予想レンジは0.03%〜0.08%
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-09/OHWOOV6JTSEN01
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/537.html

[経世済民116] 米国の所得伸び悩み、半数が親世代超えられず 中間層に閉塞感、「アメリカンドリーム」は衰退 米共和党、金融規制緩和へ「近道
• 北米
米国の所得伸び悩み、半数が親世代超えられず
中間層に閉塞感、「アメリカンドリーム」は衰退
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30歳時点で自分の親の同じ年頃の所得を上回る人は51%にとどまる PHOTO: H. RICK BAMMAN/ASSOCIATED PRESS
By
BOB DAVIS
2016 年 12 月 9 日 14:56 JST
 米国で8日発表された調査結果によると、30歳時点で自分の親の同じ年頃の所得を上回る人は半数程度にとどまることが分かった。子ども世代が必ずと言っていいほど親世代の収入を超えていた1970年代初期に比べ、大きく様変わりした。仮に経済が急速な成長を遂げても、この流れを反転させるのは容易ではない。
 スタンフォード大学、ハーバード大学、カリフォルニア大学の経済学者と社会学者からなるチームは経済的機会の格差について調査。「アメリカンドリーム」は健在なのかを独自の尺度で調べたところ、衰退しつつあることが分かった。具体的には、納税や国勢調査のデータをもとに1970年以降の30歳の米国人の所得を親世代の同年齢での所得と比較した。
 1970年には30歳のときに親の同年齢での所得を上回る人は92%いたが、2014年には51%に落ち込んだ。
 調査を行った1人、スタンフォード大の新進気鋭の経済学者ラジ・チェティ氏(37)は9歳の時にインドから移住した。「私の両親は米国では子どもたちが自分たち以上に良い暮らしができると考えていた」と話す。「米国にやって来る決断をするうえで重要なポイントだった」
 アメリカンドリームの定義はさまざまだが、今回の調査では正確に測定できる尺度を選んだとしている。親よりも稼ぎが多い若者は1970年から1992年(58%)頃にかけて急激に落ち込み、その後10年ほど横ばいだったが2002年に再び低下し始めた。
伸び悩む所得
米国で30歳のときに親の同年齢での所得を上回る人の割合(インフレ調整後)

https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RD331_CHETTY_16U_20161208111711.jpg

 調査結果では明確な理由が示されなかったが、一般的に経済成長の鈍化や、特に富裕層とそれ以外との所得格差の拡大が影響しているとみられる。
 チェティ氏はインタビューで「中間層の賃金が停滞している」とし、「そういう状況では子どもが親を超えるのは非常に難しい」と指摘した。
 チェティ氏は貧困と所得のモビリティ(階層間の移動)に関する一連の論文を発表し、政治関係者から幅広く注目を集めている。同氏の研究によると、所得層の上方への移動は、政府の政策に大きく依存しているほか、近隣の教会や両親のそろった家庭かどうかにも左右されるという(前者は民主党の一般的な見解であり、後者は共和党がよく主張する論点だ)。
 また今の低下傾向を変えるのは非常に難しいという。研究チームの試算によると、所得配分が富裕層に偏っている現状が続くならば、ほぼすべての子どもが親の収入を超えていた時代に戻るためには、年率6%以上(インフレ調整後)の経済成長を維持する必要がある。
所得のモビリティの低下
30歳で親世代の収入を超えた割合の1970年〜2010年の州別低下率 (数字が大きいほど低下率が顕著)

https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RD618_CHETTY_16U_20161208180918.jpg

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiW35XuwObQAhVLNbwKHRhoAxkQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10133893654180563918204582485840879002650&usg=AFQjCNEpzg-imLZl9sIW2X5aG_6DS2NQSQ


 

米共和党、金融規制緩和へ「近道」利用か
米共和党議員らはドッド・フランク法により設立された消費者金融保護局の弱体化を狙う。写真は同局設立を主導した民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員
By KRISTINA PETERSON AND RACHEL WITKOWSKI
2016 年 12 月 9 日 08:35 JST

 【ワシントン】米共和党の上院議員は来年、金融規制改革法(ドッド・フランク法)の一部撤回を迅速に進めるため特別な立法手段の活用を検討している。

 予算に関して使われる「調整(reconciliation)」という手続きを通じ、上院の単純過半数でドッド・フランク法の変更を可決することが可能になる。共和党議員は議席数100の上院で52議席を占める見通しのため、民主党議員の協力を仰がずに採択できそうだ。

 この特別手段を使わない場合の上院通過には賛成が60票必要になり、ドッド・フランク法の改正に後ろ向きな民主党の一部議員を説得する必要が生じる。

  調整という手段での金融規制緩和を目指すパット・トゥーミー上院議員(共和、ペンシルベニア州)は7日のインタビューで「ドッド・フランク法はいくつもの大幅な改革が必要だ」と述べた。民主党の支持を得た上での法改正がより好ましいとしつつ、党派の違いを明確にする方法にも前向きだと説明。「実行するための方法を全て備えていることを確実にしたい」と話した。

 ドナルド・トランプ次期大統領は、ドッド・フランク法の縮小あるいは全面撤回に動く考えをこれまで繰り返し表明してきた。

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ボルカールールを骨抜きにする法
「トランプ相場」の可能性と危険性
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjBiZHwwebQAhWEVrwKHYflAfcQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10133893654180563918204582485402222073774&usg=AFQjCNEOuBU8hGUE9dhb5gxblxxMoam0Ng
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/538.html

[経世済民116] あなたもバフェット氏やソロス氏になれる、コンピューターが可能に ヘッジファンドに思わぬ救世主  ECBテーパリングでない
あなたもバフェット氏やソロス氏になれる、コンピューターが可能に
Dani Burger
2016年12月9日 07:03 JST


Warren Buffett.

Photographer: Daniel Acker/Bloomberg
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• 「ファクター」を考慮すると花形運用者と類似のリターンに
• 同じ銘柄でなくても同じタイプを選べばバフェット氏になれる

ジョージ・ソロス氏とウォーレン・バフェット氏。この著名投資家たちを、コンピューターはまねることができる。少なくとも、AQRキャピタル・マネジメントによればそうだ。
  プログラム取引に特化した運用会社AQRの創業者らは数学を投資の成功に結び付けたことで有名になった。AQRの最新の研究は公開されていないが、伝説的な名運用者が長い間に成し遂げた投資成績は、幾つかの売りと買いのシグナルに基づく定量分析の手法を使えば理論的には誰にでも達成可能だということを示した。
   バフェット氏を見てみよう。同氏のバークシャー・ハサウェイは1977年以降、平均で年17.6%の投資リターンを上げている。これはS&P500種株価指数の約2倍だ。AQRのアナリストらによれば、バフェット氏が公表した投資内容に沿ってコンピューターにクオンツポートフォリオを作らせれば、普通の人でもバフェット氏の3分の2程度のアルファ(ベンチマークを上回るリターン)が得られる。
  AQRはバフェット氏およびソロス氏の哲学に一致すると考えられる投資スタイルに沿うよう自動調整したポートフォリオのリターンを、本物たちのリターンと比較した。その結果、コンピューターはかなりうまく人間を模倣できることが分かった。これは、低ボラティリティや上昇モメンタムといった特定のファクターを重視して設計した株価指数が、花形投資家と同じようなパフォーマンスを実現できる理由の謎を解く鍵にもなる。
  「バフェット氏のようになりたい投資家は、バフェット氏と全く同じ銘柄を選ぶ必要はなく、同じタイプの銘柄を選べばいい」とAQRの米ポートフォリオソリューション・グループ共同責任者のダン・ビラロン氏は説明する。「ファクターやスタイルが重視される理由はそこにある」という。
  AQRによると、バフェット氏のパフォーマンスと同じように動くのは、バリュー、クオリティ(バランスシートの健全さ)、低ボラティリティのファクターで選んだコンピューター生成ポートフォリオだ。こうした銘柄のポートフォリオを過去40年間保有した場合、バフェット氏の成績にあと4ポイント以内まで迫ることができるという。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iQOmrRr8smsM/v1/-1x-1.png
  ソロス氏のブームバスト理論に沿った投資のために重要なファクターは、トレンドとモメンタムだとAQRは結論づけた。通貨については、1992年ポンド危機時の空売りで成功を収めた手法に見られるように、バリューファクターも加味される。これらのファクターに基づいて投資すれば、1985−2004年の間にクオンタム・ファンドが達成した年20%のリターンをほとんどなぞることができるという。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i3NJfeK7Zkl8/v1/-1x-1.png
原題:Soros, Buffett and Role of Robotic Logic of Investing Riches (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-08/OHV6KN6KLVRG01

 

【インサイト】ヘッジファンドに思わぬ救世主出現−宿敵だったはずが
Christopher Langner
2016年12月9日 07:30 JST

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過去2年間はヘッジファンド、そしてアクティブ運用するファンドマネジャーにとってつらい時期だった。おとなしくインデックス投資していた方が、ほぼ全ての資産クラスで運用成績が良かった時期だ。
  ところが、ドナルド・トランプ氏が次期米大統領に選ばれたことで、こうしたファンドマネジャーは息を吹き返した。同氏の当選以降、近年の金融市場を特徴付けていた資産の相関関係が崩れた。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i31JpxciET54/v1/-1x-1.png 

  1兆ドル(約114兆円)のインフラ投資を公約するなど、トランプ次期政権は積極的な財政政策を追求する方針。このため、投資家はインフレ率が上昇し中央銀行がこれまでの前例のない金融緩和を縮小あるいは転換すると確信し始めた。この変化は、さまざまな形で投資の価値に影響する。
  相関関係の崩壊はヘッジファンドにとってこれ以上望めないほどの朗報だ。アクティブ運用戦略では、価格が割安あるいは割高な資産を探し、いずれこれが修正されるとの見方で利益を挙げようとする場合が多い。これはしばしば、ある銘柄ないし相場の上昇を見込んだ買いと、別の銘柄の下落を見込んだ売りの組み合わせになる。
  このロング・ショート戦略は、全て一斉に値上がりしたり値下がりする状況ではうまくいかない。例えば、新興市場の相場下落と米S&P500種株価指数の上昇に賭けるファンドマネジャーがいたとして、どちらの相場も値上がりしてしまえば、米国株にインデックス投資だけしていた方がリターンが大きかったことになる。
  ヘッジファンド・リサーチ・グローバル指数のパフォーマンスが今年これまででプラス1.9%にすぎず、2015年4月に記録した高水準を5%下回ったままであるのは、市場の相関関係が異例に高かったためだ。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ibpA3FBnhC9k/v1/-1x-1.png

  もちろん、アクティブ運用のファンドマネジャーの能力は人それぞれで、過去2年にうまくいった人もいる。市場で相関関係が崩れて、さまざまな資産がもっと独立した動きをするというのは、腕が立つ運用者にはますます高いリターンを生み出すチャンスとも言える。
  しかも相関関係の崩れは資産間のみでなく、同じ資産の中でも起きている。米国株市場の中のさまざまなセクターから投資家が得るリターンを測る指数は09年以来のばらつきを示した。新興市場での取引所や商品の銘柄間でも同様の傾向だ。これは高い手数料を正当化するのに苦労してきたヘッジファンド業界には喜ばしいニュースだろう。
  トランプ氏は大統領候補として選挙を戦うに当たり、ヘッジファンドを殺人者呼ばわりして業界を攻撃した。宿敵だったはずが、救世主になってしまったのだから、皮肉というほかはない。
(このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピーの意見を反映するものではありません。)
原題:Hedge Funds Find an Unlikely Savior. He Won’t Be Happy: Gadfly(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-08/OHUNAF6JIJUW01 

 

ECBの減額、「テーパリング」と呼ぶなかれ
記者会見に向かうECBのドラギ総裁(中央) ENLARGE
記者会見に向かうECBのドラギ総裁(中央) PHOTO: ASSOCIATED PRESS
By GEORGI KANTCHEV
2016 年 12 月 9 日 12:38 JST

 言葉にはどのような意味が込められているのだろうか。その言葉が「テーパリング(量的緩和=QEの段階的縮小)」なら、市場にとって意味するところは甚大だ。

 欧州中央銀行(ECB)は8日の政策理事会で、量的緩和策を延長しつつも、延長期間の2017年4月以降について毎月の買い入れを800億ユーロ(約9兆8400億円)から600億ユーロに減額することを決めた。アナリストや投資家はこの減額を一種のテーパリングとみなした。だがECBのマリオ・ドラギ総裁は、同理事会でテーパリングは議論されなかったと述べた。

 テーパリングかそうでないかで、市場が大きな犠牲を強いられるかどうかが変わってくる。ECBの政策判断を受け、ユーロは当初ドルに対し急騰し、一時的に株安が進んだ。投資家は最初、ECBの発表文をテーパリングの兆候の一つと受け止めたからだ。

 ところが15分もしないうちにユーロと株価はそろって反発し、ドラギ総裁が記者会見でテーパリングを否定すると、さらに上値を伸ばした。

 総裁は「(理事会では)ただの一人もテーパリングを支持しなかった」と述べ、テーパリングとは買い入れをゼロまで減らすことを意味すると主張した。

 アナリストらは違う意見だ。ING銀行のエコノミスト、カルステン・ブルゼスキ氏は「ECBはテーパリングを導入した。テーパリングという言い方はしなくても、まさにテーパリングを発表したのだ」と指摘した。

 ニュートン・インベストメント・マネジメントのグローバル・ストラテジスト、ブレンダン・マルハーン氏はECBの決定を「ミニに重点を置いたミニ・テーパリング」と呼んだ。

 テーパリングは米連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和との関連で最もよく知られている。FRBは金融危機後、経済を支えるために毎月大量の債券を買い入れ、2013年になると、買い入れを段階的に縮小するための戦略を策定し始めた。買い入れ縮小の動きを受け、パニックになった投資家が債券市場から資金を引き上げる中、世界中の市場が混乱に陥った。この出来事は「テーパリングかんしゃく」として知られるようになった。

 ハーミーズ・インベストメント・マネジメントのチーフエコノミスト、ニール・ウィリアムズ氏は、テーパリングかどうかにかかわらず、ECBが8日に下した決定は追加的な量的緩和であって、緩和縮小ではないと指摘した。ECBは毎月の規模を減額しつつも買い入れを9カ月延長することにより、追加で5400億ユーロの資金を市場に投入することになるからだ。5400億ユーロがギリシャとポルトガルの国内総生産(GDP)を合わせた額を優に上回る規模であることを考えれば、ECBの緩和策の大きさが実感できると同氏は言う。

 市場の反応を見る限り、参加者らはドラギ総裁の発言を聞いて安心したようだ。債券市場への継続的な資金注入は株高材料、ユーロ安材料というのが一般的な見方だが、ドラギ総裁の会見後、市場ではその通りに株高、ユーロ安が進んだ。

 ドラギ総裁は「ECBは市場に長い間存在し続ける」と語った。

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ECB、量的緩和を調整もテーパリングは示唆せず
 「テ」で始まるあの言葉は当面心配しなくて良さそうだ ENLARGE
 「テ」で始まるあの言葉は当面心配しなくて良さそうだ PHOTO: AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
By RICHARD BARLEY
2016 年 12 月 9 日 08:55 JST

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 「テ」で始まるあの言葉は当面心配しなくて良さそうだ。欧州中央銀行(ECB)は8日の定例理事会で曖昧なメッセージを発した。市場は解釈に苦しんだが、結果としてイールドカーブのスティープ化(長短金利差の拡大)につながった。

 ECBは8日、債券買い入れ規模を2017年4月から月額600億ユーロ(約7兆3000億円、従来は800億ユーロ)に減額すると発表。これを受け、当初はドラギ総裁が米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ前議長に倣ってテーパリング(債券買い入れの段階的縮小)をほのめかしたとみられ、量的緩和が解消に向かうとの懸念が広がった。ユーロは急騰し、ドイツ国債利回りが上昇した一方、南欧の国債は打撃を受けた。

 だが大きなニュースはそれだけでなく、ECBは利回りが預金金利を下回っている債券も買い入れ対象に含める方針を明らかにした。この制約があったためにECBはこれまで比較的長期の債券しか購入できず、イールドカーブのフラット化をもたらしていた。ECBが今回、短期債の購入を増やせるようになったことで、この変更は買い入れ規模の縮小と相まってイールドカーブのスティープ化につながった。欧州の銀行は依然として脆弱(ぜいじゃく)で、経済がこうした銀行に強く依存する中、ECBの措置は金融セクターにすぐ好影響を及ぼした。

 ドラギ総裁の他の行動はハト派的で、市場は急速に反転した。ECBは債券買い入れ措置を少なくとも2017年12月まで延長する計画を示したが、これは市場で優勢な見方となっていた9月までの6カ月延長を上回る措置だった。ECBのバランスシートは来年も拡大を続ける。さらに、異例とも言えるが、ECBは必要であれば債券買い入れを再び増やす可能性もあると示唆した。投資家はこれを懐疑的に捉えるかもしれないが、当面は規模をさらに縮小する予定ではないことが示されたのは大きな意味があった。

 投資家はECBが3月に債券買い入れ措置に踏み切った主な理由を思い出すべきだろう。市場は年初の厳しい状況を乗り越えたばかりで、ユーロ圏のインフレ率はマイナス0.2%に陥っていた。足元ではインフレ率が上昇し、市場はパニック状態から抜け出しているが、ECBはユーロ圏の基調的な物価圧力が依然として弱いことを認識している。実際、ECBが予想する2019年の総合インフレ率は1.7%で、目標とする「2%弱」にまだ達しない。したがって、ECBにとっては量的緩和の継続が正当化されるが、3月に設定した大規模な買い入れを続ける必要はないことになる。

 突き詰めていくと、大きな問題は量的緩和の開始当時から変わっていない。それは、債券買い入れ措置で重要なのは残高(ストック)なのか、それとも買い入れ額(フロー)なのか、ということだ。市場の観点からすれば、フローをめぐる懸念の重要性が明らかに上回る。フローが途切れれば、市場が不安定になるためだ。だが見通しが予想外に急激かつ持続的に改善しない限り、テーパリングに関する疑問が再浮上するのは2017年下期になるはずだ。

 市場は結局、ECBから手掛かりを得たようだった。その結果、イールドカーブのスティープ化とユーロの下落に加えて株価が銀行株主導で上昇し、欧州主要企業600社で構成するStoxx600指数は1月以来の高値で引けた。これはまずまずの組み合わせのように思われる。市場が向こう数日にECBの行動を受けてかんしゃく(タントラム)を起こすようであれば、その責任は自分自身にしかない。

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http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/539.html

[経世済民116] 中国の「ラストベルト」、幸せな日々は長続きせず 中国銀の隠れ融資、230兆円に増加 ECB、米家計資産、米失業保険トラン

HEARD ON THE STREET
中国の「ラストベルト」、幸せな日々は長続きせず
遼寧省政府傘下の特殊鋼メーカー、東北特殊鋼集団 ENLARGE
遼寧省政府傘下の特殊鋼メーカー、東北特殊鋼集団 PHOTO: CHUIN-WEI YAP /THE WALL STREET JOURNAL
By NATHANIEL TAPLIN
2016 年 12 月 9 日 13:32 JST

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 中国の「ラストベルト(さびついた工業地帯)」に再び幸せな日々が訪れている。だがそれは長続きしそうにない。中国はこれから多大な代償を払うことになるだろう。

 ここ数年、中国経済は二極化が進んでいる。サービス産業に依存する南部の沿海地域では景気が底堅く推移しているのに対し、昔からある工業地帯は製品価格の低下と債務の増大に苦しんでいる。だが、このところ後者が活気づいている。中国で今年1?9月に経済成長が加速した省・自治区は5つしかなかったが、それは東北部の工業地帯である吉林省、黒竜江省、河北省と、石炭産業が盛んな山西省と寧夏回族自治区だった。

 だが残念ながら、不動産市場と鉄鋼市場の回復がもたらした良い時代は長くは続かない。

 つまり、各省のバランスシートへの圧力は来年、再び強まることが予想される。中央政府は、脆弱なインフラ、年金、赤字の国有企業といった数々の問題を抱える「ラストベルト(さびついた工業地帯)」に対する財政援助を大幅に増やさなければならなくなる。そうしなければ、工業地帯で再びデフォルト(債務不履行)が発生し、地方政府の簿外債務もデフォルトに陥るだろう。

 ムーディーズのシニアアナリスト、ニコラス・チュー氏によると、特に衰退が目立つのは黒竜江省だ。同省では国有企業による年金の支給が遅れ、省が所有する企業の資産リターンは過去5年間の大半でマイナスとなっている。隣の遼寧省も、さらに問題が起きる可能性が高い。同省は人口が急減しており、傘下の特殊鋼メーカー、東北特殊鋼集団は今年、9本の社債がデフォルトとなった。

 工業地帯の景気が再び悪化すると予想する主な理由は2つある。1つは内的なもの、もう1つは外的なものだ。

 ドナルド・トランプ次期米大統領の反自由貿易的な発言は、米国向けよりもアジア向け輸出の方がはるかに多い中国の鉄鋼大手にとって、直接的なダメージはほとんどないかもしれない。だが、トランプ氏の勝利を受け、中国国内の資金調達コストが上昇している。中国人民銀行(中央銀行)がここ数日、人民元相場を下支えする措置を講じていることで、短期資金の借り入れコストは急上昇している。債券相場も圧迫され、2016年4月に数週間で社債利回りが0.6%上昇した時のようなパニックが再現する恐れがある。

 次に、中国の労働市場、民間投資、消費者物価がいずれもわずかながら回復の兆しを見せている。個人消費は持ち直しているもようで、インフレ率も回復。さらに債券から不動産、ニンニクに至るまで資産バブルが発生しており、国有部門の投資と不動産市場をてこ入れする根拠は、ますます説得力を失っているようだ。人民銀行が信用の拡大を抑制するにつれて、「オールドエコノミー」の成長は減速する可能性が高い。

 こうしたことを踏まえれば、多額の債務を抱える工業地帯に与えられた「猶予期間」は長くはない。

 中央政府はこの問題を認識しており、より強力な財政支援に踏み切るかもしれない。来年秋に中国共産党の党大会が予定されていることを考えればなおさらだ。だが中国のラストベルトには深刻な構造的問題があるため、中央政府の債務増大、あるいは社債市場の混乱拡大のいずれかの代償が伴いそうだ。どちらにせよ、今年夏まで海外資金が流入していた中国の債券に手を出すのは危険な賭けのように見える。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwj70sqiwebQAhVKE7wKHfaUA3AQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10133893654180563918204582485833647089206&usg=AFQjCNE_RmIdCxjefSPpVqQ3FYCYl9X8XA

 

 

中国銀の隠れ融資、230兆円に増加 WSJ試算
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南京銀行は実質的な融資を、規制が緩い投資未収金として資金供給することで急速に成長した PHOTO: LIGHTROCKET VIA GETTY IMAGES
By
LINGLING WEI
2016 年 12 月 9 日 13:11 JST 更新
 中国・長江の河口にある海門市は2014年、大型団地の開発に乗りだし、南京銀行から約2900万ドル(約33億円)を調達しようとした。
 複数の関係者によると南京銀行は喜んで引き受けたが、この資金を融資とは呼ばなかった。同行のバランスシートには、「投資未収金(investment receivable)」として計上された。この資産科目に対する規制は緩く、銀行は貸倒引当金をほとんどまたは全く積まなくて済む。
 銀行幹部は中国にまん延するこの会計手法をためらうことなく使う。南京銀行の投資未収金は、7-9月期(第3四半期)には約390億ドルと、同行の融資ポートフォリオに近い金額に達した。同行の利益は1年前よりも20%超増加している。
 データ会社ウィンド・インフォメーションの最新情報を基にウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が試算したところ、中国の上場銀行32行の投資未収金は計6月の時点で計2兆ドルと、2011年末の3340億ドルから増加している。

投資未収金(単位:1兆元)と融資総額に対する割合
https://si.wsj.net/public/resources/images/P1-BZ484_CBANKS_16U_20161207100018.jpg

 32行の投資未収金は総融資額の20%に相当する(ドルベース)。この割合は11年には6%だった。同32行は中国の銀行資産全体の約70%を占めている。
 この比率拡大は、減速する国内経済を支えるために中国の銀行がいかに信用供給の持続に努めているかを示す。銀行は融資の代わりに投資の形で資金供給契約を結んだほうが、資本を縛られず、返済期日の延期や新たな信用供与が容易になる。この戦略は特に中小規模の銀行でもてはやされていると銀行幹部やアナリストらは述べた。
 投資未収金という伝染病は、増加する中国の公式の債務水準(対国内総生産《GDP》比で2.5倍)に並ぶ債務の増加を生んでいる。中国銀行業監督管理委員会(CBRC)の尚福林主席は9月の講演で、「銀行による簿外投資活動の急増は、基本的に隠れた信用リスクを意味し、金融の安全を脅かしかねない」と、いつになく率直に述べた。
 UBSのエコノミストらによると、中国人民銀行(中央銀行)が昨年開示した最も広義の信用指標で「行方不明」だった資金は推定2兆4000億ドル(16兆5000億人民元)にも上り、14年の7120億ドル(4兆9000億元)から増加した。このかい離は主に、同国の商業銀行がいわゆる「影の銀行」を使って融資を投資に見せかけたためだと同エコノミストらは述べた。
 中国の銀行当局が11月に発表した規則案は、実質的には融資である投資に、これまでよりも厳しい会計基準を適用することを、南京銀行のような金融機関に強いるものだ。
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中国経済が鈍化するなか、同国の銀行は融資を簿外の投資未収金に加工するなど「創造的な」会計手法を駆使して資金供給を行っている。潜在的に危険なその手法を解説する(英語音声、英語字幕あり)Video/Image: Menglin Huang/The Wall Street Journal
 ただし今のところ、中国の金融システムを揺るがしかねないとの懸念から、当局は厳しすぎる締め付けには消極的だ。13年には、人民銀行が銀行間取引市場で流動性を抑制したため、資金が逼迫(ひっぱく)する事態があった。
 UBSのアナリスト、ジェーソン・ベッドフォード氏の試算によると、中国の銀行は投資未収金を融資として計上するよう義務付けられれば、2120億ドルもの資本調達が必要になる。これは、同国の全銀行による15年の調達額2620億ドルを大幅に下回るとは言えない金額だ。
 一部の銀行には自制の新たな兆しがある。WSJの試算によると、7-9月期の決算を発表済みの24行では、投資未収金の合計が約1兆6000億ドルと、6月末時点からほとんど変わっていない。
 それでも、融資を投資として計上する戦略には銀行があらがい難いメリットがある。この戦略を一助に、銀行は問題のある顧客への資金供給を続けてきた。そうした顧客とは例えば、あまりに多くの在庫を抱えた不動産デベロッパーや、地方政府によって設立され多額の債務を抱えた金融機関だ。
 中国トップクラスの格付け会社である中誠信国際信用評級(CCXI)の6月のリポートによると、洛陽銀行と影の銀行が昨年実行した融資のような投資の90%近くが、不動産開発に使われた。
 そうしたプロジェクトの大半は、中国不動産市場の供給過剰を象徴する鄭州市に集中していた。
 2014年にはトラブルの兆しがあった。山東省の小規模銀行、恒豊銀行がある投資会社に資金を流すために創出した5380億ドルの資産がデフォルト(債務不履行)に見舞われたのだ。
 アナリストや恒豊銀行によると、同行はその資産を投資未収金に含め、リスクウエートを25%として対応する自己資本を計算していた。融資として計上していれば、この比率はその4倍が必要となるはずだった。
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南京銀行が投資した海門市の団地プロジェクトは半分が空き部屋で寂れている PHOTO:LINGLING WEI/THE WALL STREET JOURNAL
 当初はこの手法で同行の資本と利益が増加した。だがデフォルトの結果、同行が13年に稼いだ純利益の60%近くが吹き飛んだ。
 投資を装った融資が広がったのは、銀行が金利で競争しやすい環境を整えようとした政府の試みが原因だ。そのため、銀行が融資に課す金利と預金に付与する金利の差から得ていた利益が圧迫されたのだ。
 南京銀行は1996年に開業し、中国の国債市場の取引で主要プレーヤーになった。複数の関係者によると、当初はトレーディングと投資に軸足を置いていたことが拡大を妨げた。規制のため、ポートフォリオの成長が限界にぶつかったのだ。
 南京銀行に近い筋によれば、そうした規制を避けることが投資未収金を増やそうとする一因になった。南京銀行が13年に創設した資産運用会社「シンユアン(Xin Yuan)資産管理」は、融資を投資として束ねる際の主なパートナーになった。

南京銀行の投資未収金(緑)は融資(オレンジ)と比較して急成長している(単位:十億元)
https://si.wsj.net/public/resources/images/P1-BZ485_CBANKS_16U_20161207100026.jpg 

 資金の多くは、海門市でのようなプロジェクトに流れた。14年には、同市が保有する主要な金融会社、海門市城市発展投資有限公司に南京銀行が2900万ドルを供給した。
 南京銀行はその際、年利約8.8%の投資商品を設定するようシンユアン資産管理に要請。その後、それを自行リテール部門の顧客に売り込んだ。
 この仕組みは、南京銀行がいくつかの融資規制を回避するのに役立った。海門市城市発展投資は多くの債務を抱えていたにもかかわらず、多額の資金注入を受けた。
 海門市城市発展投資が開示した財務情報によると、同社には保有資産100元当たり60元を超える債務があった。昨年、事業の赤字は1億ドルを上回った。これは、同社が政府の支援により存続していることを意味する。
 最近訪ねたところ、団地の半分は空き部屋で、遊び場のある共有スペースは寂れていた。
 海門市城市発展投資の職員は、2900万ドルを「完全に返済する」と述べ、それ以上のコメントを控えた。
 南京銀行は文書で、全ての事業が「法律および規制面の要件を満たしている」と述べた。
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中国の銀行規制当局トップ尚福林主席は9月、銀行による簿外投資活動の急増が金融の安全を脅かしかねないと警告した PHOTO: ZUMAPRESS.COM
 長江をはさんで南京の向かいにある工業団地なども、同行から同じ形で資金供給を受けた。関係者や、WSJが確認した書類によると、このプロジェクトには2300万ドルが投資未収金の形で投入されている。
 南京銀行の資産は、投資未収金の増加もあって13年から15年に2倍近くに増えた。今年1-9月の利益は前年同期比23%増加した。不良債権は資産の1%未満にとどまっている。
 融資ポートフォリオから判断すると、同行には十分な資本緩衝材がある。しかし、影の融資が実際の融資として扱われた場合、UBSのベッドフォード氏が用いている計算方法によると、同行のティア1(基本的項目)資本比率は規制当局が求めている6.7%を下回りかねない。
 6月にスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は南京銀行の債務格付け見通しを「ステーブル(安定的)」から「ネガティブ(弱含み)」に変更した。急拡大により、資本のバッファーが毀損(きそん)されたことを理由に挙げた。S&Pはその後、同行の要請により格付けを撤回。S&Pは南京銀行についてのコメントを避けた。
 関係筋によると、南京銀行は海門の団地や南京の工業団地への資金供給について懸念していない。両プロジェクトが経済的に成り立とうとなかろうと、政府との結びつきがあるため返済はなされると同行幹部は想定している。
 南京銀行のある幹部は「銀行はみな(融資を)簿外に移そうとしている」と述べ、国内共通の認識に言及。中国政府はいつでも同国銀行の後ろ盾になるとの見方を示し、「私たちが抱える唯一のリスクはソブリンリスクだ」と述べた。
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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwj09bi4webQAhWHTLwKHZsUAxwQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10133893654180563918204582485531183540806&usg=AFQjCNFMzHQNXyN9zJJ3OonqQdvwQq8TiA

 

海外主要ニュース:トランプ氏、ECB、米家計資産、米失業保険
2016年12月9日 07:10 JST

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海外の金融経済・企業関連ニュースの主な 項目は次の通り(日時は現地時間)。記事は◎をクリックしてくださ い。◎ムニューチン氏は財政の課題を「深く理解」−上院財政委員長
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◎米でカジノ株急落−マカオで銀聯カードの引き出し制限強化と SCMP
◎ブラックロック、ハドソン・ヤーズの新高層ビルに本社移転へ−2022 年
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https://www.msn.com/ja-jp/money/other/%E6%B5%B7%E5%A4%96%E4%B8%BB%E8%A6%81%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97%E6%B0%8F%E3%80%81%EF%BD%85%EF%BD%83%EF%BD%82%E3%80%81%E7%B1%B3%E5%AE%B6%E8%A8%88%E8%B3%87%E7%94%A3%E3%80%81%E7%B1%B3%E5%A4%B1%E6%A5%AD%E4%BF%9D%E9%99%BA/ar-AAljYQm

http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/540.html

[経世済民116] 新興市場9日株、通貨下落−米利上げ懸念に加えECBも重し 米消費者マインド指数2年ぶり高水準 $115突破 株最高値更新

新興市場9日 株、通貨下落−米利上げ懸念に加えECBも重し
Alex Nicholson、Paul Wallace
2016年12月10日 09:33 JST

株式、通貨共に週間ベースでは上昇
トルコ・リラと南ア通貨が安い−チリ・ペソ、ロシア・ルーブル高い
 
9日の新興市場では株価と通貨が今週初めて下落した。欧州中央銀行(ECB)が月ごとの債券購入額を減らすと発表したことに加え、米国の利上げが近いとの観測から、投資家心理が悪化した。
  MSCI新興市場指数は0.2%安。この日の下げで週間騰落率はプラス2.9%に縮まったものの、9月以来の大幅上昇。
  新興市場通貨指数は週間ベースで0.7%高。この日はトルコ・リラと南ア・ランドが下げた。一方、チリ・ペソは1カ月ぶり高値。トランプ次期米大統領が対ロシア制裁を縮小するとの投資家の観測は見当違いとクレディ・スイス・グループが指摘したものの、ロシア・ルーブルも上昇した。
  新興市場資産は今週、8日のECBの政策委員会を前に上昇していた。ECBは同会合で債券購入の期間を来年末まで延長する一方で、月額は引き下げることを決めた。この発表を受け、東欧諸国の通貨が特に売られた。市場関係者らは現在、米利上げの確率は100%とみて、来週の連邦公開市場委員会(FOMC)を注視している。
市場関係者の反応
  ソシエテ・ジェネラルのアナリスト、ガイ・スティア、ジェーソン・ドー氏らは「新興市場は2017年、難しいかじ取りが求められる。国内のファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)は改善方向にあるものの、先進国は保護主義色が濃くなり、米利上げとECBのテーパリング、欧州での政治的リスクの高まりといった環境の中で世界の成長性に重しとなりつつある」と語った。
原題:Emerging Markets Trim Weekly Gain as ECB Adds to Fed Anxiety(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-09/OHXFEU6KLVRV01

 

 


米消費者マインド指数:ほぼ2年ぶり高水準、トランプ氏勝利の影響続く
Patricia Laya
2016年12月10日 01:29 JST

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iUY0srqK3sXc/v2/-1x-1.png

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NY外為(9日):ドルが上昇、115円突破−FOMC決定に注目
米国株(9日):S&P500が6日続伸、最高値更新−薬品株が高い
米国債(9日):下落、消費者マインド指数良好で利上げ観測
NY原油(9日):続伸、サウジが減産実行の姿勢−週末協議に期待
現在の景況感を示す指数は2005年以来の高水準
トランプ氏は期待に応える必要−調査ディレクター
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12月の米消費者マインド指数は市場予想を上回る伸びを示した。家計状況の見通しが過去11年で最も明るくなり、米大統領選でのトランプ氏勝利以降の改善が続いた。
  12月のミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は98と、前月の93.8から上昇し、2015年1月以来の高水準となった。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は94.5だった。
  現在の景況感を示す指数は前月から4.8ポイント上昇して112.1と、2005年以来の高水準。6カ月後の先行き景況感を示す期待指数は88.9と、15年1月以来の高い水準。前月は85.2だった。

  ミシガン大の消費者調査ディレクター、リチャード・カーティン氏は発表文で、「トランプ次期大統領は前向きな経済成長の前兆を導き出さなくてはならないほか、消費者の明るい期待を消費動向を伴って維持させる必要がある」と指摘。「消費者信頼感を高い水準で維持させるには、緩慢すぎる成長、あるいは高すぎる期待のどちらかが障害となる」と述べた。
  1年先のインフレ期待値は2.3%で、2010年以来の低水準。前月は2.4%だった。5−10年先のインフレ期待値は2.5%と、前月の2.6%を下回った。
  統計の詳細は表をご覧ください。
原題:Consumer Sentiment in U.S. Increases to Almost Two-Year High (1)(抜粋)

欧州債(9日):イタリア短期債が上昇、ECBが資産購入の基準緩和
Lukanyo Mnyanda
2016年12月10日 02:03 JST

9日の欧州債市場ではイタリアやスペインの短期債が上昇。欧州中央銀行(ECB)が8日に資産購入プログラムの対象となる基準を広げると表明したことが背景にある。
  イタリア2年債利回りは前日比3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下のマイナス0.087%、同年限のスペイン国債利回りは4bp下げマイナス0.26%となった。
  これに対し両国の長期債利回りは上昇。関係者によれば、ECBはモンテ・パスキが要請した資本増強計画の期限延長を拒否した。これで株主と債券保有者に損失負担を強いる政府救済の可能性が高まった。
  一方、ドイツやノルウェー、スウェーデンの長期債は買われ、ドイツ10年債利回りは4bp低下、ノルウェーの10年債利回りは7bp下げた。
原題:U.S. Stocks Extend Gains as Crude Oil Advances; Dollar Climbs(抜粋)
原題:Treasuries Erase Drop on Safety Bid as Italian Bank Shares Fall(抜粋)


 

日本株は4連騰、ECB後の金利上昇好感−一時大納会来の1万9000円
長谷川敏郎
2016年12月9日 07:58 JST 更新日時 2016年12月9日 15:36 JST

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新興市場(9日):株、通貨下落−米利上げ懸念に加えECBも重し

ECB決定はグローバルのファンダメンタルズ改善を示唆
TOPIXの規模別指数はコア30、ラージ70の強さ顕著

9日の東京株式相場は4連騰。欧州中央銀行(ECB)が毎月の債券購入の減額を決め、世界的な長期金利の上昇や為替の円安推移が好感された。銀行など金融株、電機など輸出株が買われ、海外原油高を受けた鉱業、石油株も高い。年初からの下げが大きかった医薬品や陸運株も上げた。

  TOPIXの終値は前日比12.67ポイント(0.8%)高の1525.36、日経平均株価は230円90銭(1.2%)高の1万8996円37銭。日経平均は一時、昨年12月30日の大納会以来となる1万9000円台に乗せた。
  三菱UFJ国際投信の宮崎高志戦略運用部長は、「ECBの決定はグローバルな金融政策が方向として緩和より緩和状況を少しずつ縮小するステージに入ってきたことを示す。日銀も同様で、今の状態は緩和だが、長期的な目ではその方向にかじを切り始めている」と指摘。中央銀行がそうした立場をとるのは、「ファンダメンタルズが良好なことを示し、株式市場にはプラス」との見方を示した。
証券会社の株価ボード前
証券会社の株価ボード前 Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  ECBは8日、量的緩和(QE)策を2017年末まで延長し、現行の800億ユーロの月資産購入額を来年4月から600億ユーロ(約7兆2800億円)へ縮小することを決めた。中銀預金金利を下回る利回りの資産も購入するとドラギ総裁は発言、欧州債市場では利回り曲線のスティープ化が進んだ。米10年債利回りも2.4%に上昇、日本時間9日の時間外取引でも一段と上昇した。為替市場ではドル・円が一時1ドル=114円50銭台と、5日以来のドル高・円安水準に振れた。
  野村証券投資情報部の若生寿一エクイティ・マーケット・ストラテジストは、海外債券市場の反応はECBの月間購入金額の減少による「緩和姿勢の弱まりに加え、買い入れ対象を増やしたことで無理やり金利を引き下げるわけではないと解釈した」とみる。さらに、米金利上昇の背景には9月以降のグローバル景気の回復があるとし、「米10年債利回りが2.5%手前までの上昇であれば、株式市場にとっても良い金利上昇と受け取られやすい」との認識を示した。
  この日の取引で目立ったのはTOPIXの時価総額・流動性別指数の動きだ。上位銘柄で構成されるコア30指数やラージ70指数は1%上げたのに対し、下位のスモール指数は0.5%高。日米金利差の拡大による円安・株高への期待を背景に、日本の代表銘柄を組み入れようとする需要が強まり、大型・高流動性銘柄が選好された格好だ。岡三オンライン証券の伊藤嘉洋チーフストラテジストは、「機関投資家の年末に向けたポートフォリオのリバランスが積極化している」と指摘。モメンタム追随型を狙って「海外需要の恩恵を受けやすい業種や日経225採用の時価総額上位業種などを組み入れる一方、動きの鈍い内需を外す動き」と話している。
コア30、ラージ70、スモールの月初来推移
コア30、ラージ70、スモールの月初来推移 Bloomberg
  ブルームバーグ・データによると、日経平均先物12月限の特別清算指数(SQ)は前日の現物指数終値を101円98銭上回る1万8867円45銭だった。需給の節目を波乱なく通過した後、午前半ば以降は円安傾向に伴い株価指数の上げ幅が拡大した。日経平均は一時1万9042円と、昨年末の1万9033円を上回った。東証1部の売買高は31億3196万株、売買代金は3兆9250億円。値上がり銘柄数は1250、値下がりは606。
  東証1部33業種は鉱業や石油・石炭製品、証券・商品先物取引、海運、陸運、医薬品、銀行など31業種が上昇。機械と電気・ガスの2業種は下落。電力株についてゴールドマン・サックス証券は、期待で買われたが、現実は厳しいと指摘した。売買代金上位では、米国任天堂のフィサメィ社長がiPhoneスーパーマリオランのダウンロード2000万強を予想し、任天堂が上昇。新作ゲームアプリが好調のコナミホールディングスも高い。半面、前日にストップ高した東京電力ホールディングスは反落。

 

【日本株週間展望】6週続伸、内外景気の改善期待強い−為替変動注視
佐野七緒
2016年12月9日 16:19 JST

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米FOMCは利上げ確実視、市場への影響は限定的か
日銀短観は業況改善示唆へ、景気の踊り場脱却期待

12月2週(12−16日)の日本株は6週続伸する見通し。米国の金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)が13ー14日に開かれ、イベント通過後の週後半に国内外景気の先行き改善を見込む買いが入りそうだ。
  前回11月のFOMC議事録によると、出席者の大半が比較的早期の利上げを予想した。その後発表された経済統計も米景気の堅調さを示し、金利先物が織り込む今回会合での利上げ確率は100%。来年について市場では、2ー3回程度の利上げが想定され、連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長から来年の政策について極端にタカ派的な発言がなければ、株式市場に大きな波乱はないとの見方が多い。米国では14日に11月の小売売上高、16日に住宅着工件数の公表がある。
東証見学者
東証見学者 Photographer: Junko Kimura/Bloomberg
  国内では、14日に日本銀行が企業短期経済観測調査(短観、12月調査)を発表する。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想によれば、大企業・製造業の業況判断DIはプラス10と前回から4ポイント改善する見込み。大和総研の長内智シニアエコノミストは、日本経済は「踊り場」から持ち直す動きが出ていると説明。先行きに慎重さが残るが、実質賃金の増加や原油安と交易条件の改善、経済対策の実施などが下支えとなり、緩やかに回復すると予測する。
  一方、為替市場ではドル高・円安の勢いがここにきて鈍っており、FOMCを控えた週前半を中心に日本株の上値を抑える可能性がある。SMBC日興証券の吉野豊チーフテクニカルアナリストは、6月の英国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めた際のドルの下落幅から「2倍上げの114円70銭付近に到達し、頭打ち感が出始めている」と言う。第1週の日経平均は前週末に比べ3.1%高の1万8996円37銭と5週続伸。堅調な米統計や欧州中央銀行(ECB)の政策を評価した欧州金利の上昇を好材料視し、一時昨年12月30日以来となる1万9000円台を回復した。
【市場関係者の見方】
三井住友アセットマネジメントの吉川雅幸チーフマクロストラテジスト
  「FOMCが金利を0.25ポイント上げるのは織り込み済みで、注目は将来に関するどのようなガイドラインが出てくるかだ。トランプ次期政権がどのような政策を取るのか分からず、あまり大きな変化はないとみる。イベント通過で一度利益確定売りが出る可能性もあるが、一時的だろう。米国主導で世界的に長期金利を押し上げる力が働く中、ドル安のリスクが小さくなり、日本株に対してポジティブな状況が続く」
損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントの狩野泰宏シニア・インベストメントマネジャー
  「投資家はグローバルに景気が回復すると自信を持ち始めている。経済に自信のない状態でタカ派的な引き締め方向だった昨年の状況と現在は異なる。イエレン議長からタカ派的な発言が多少出ても、大きな市場の反応はないだろう。世界的に景気の循環期に既に入っていたが、トランプ氏の政策期待が補強し、株式の上昇につながっている。1ドル=115円近辺のドル高・円安が続けば、来期は2桁増益も見込める。高値警戒から買えていない投資家は多く、『押し目待ちに押し目なし』の状態、上をみておいた方が得をする」
ちばぎんアセットマネジメントの加藤幸裕運用部長
  「日経平均1万9000円を固める展開を予想する。トランプ米次期大統領の経済政策と為替の円安から今期と来期見通しの企業業績がどこまで上方修正されるかという状況だ。円安が止まらない限り、市場センチメントは悪くない。テクニカル面の過熱感以外に目立った売り材料がなく、まだマーケット全体がロングに傾いていないとみられる中、大きな下げも続かないだろう。米景気指標は悪くない。FOMCでマーケットコンセンサス並みの来年2回の利上げに相当する明るい景気見通しを示す可能性があり、程よい金利上昇やドル高なら米国株に悪影響を与えない」
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-09/OHWERZ6JTSE901

 


12月9日の海外株式・債券・為替・商品市場
Bloomberg News
2016年12月10日 06:40 JST 更新日時 2016年12月10日 07:35 JST

関連ニュース
NY外為(9日):ドルが上昇、115円突破−FOMC決定に注目
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米国債(9日):下落、消費者マインド指数良好で利上げ観測
新興市場(9日):株、通貨下落−米利上げ懸念に加えECBも重し
 
欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は 次の通り。
◎NY外為:ドルが上昇、115円突破−FOMC決定に注目
  9日のニューヨーク外国為替市場ではドルが対円で上昇し、10カ月ぶりの高値となった。米国債利回りの上昇や株式市場の堅調に支えられた。ドル指数は今週の高値付近。
  ドルは週間でも上昇。この日発表された12月のミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は98と、前月の93.8から上昇し、2015年1月以来の高水準となった。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は94.5だった。
 
  米10年債利回りは一時2.4766%に上昇し、ドルの押し上げ要因になった。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時5日に付けた1254.70に接近した。週間では0.5%上昇。
ニューヨーク時間午後5時現在、ドルは対円で前日比1.1%高の1ドル=115円32銭。対ユーロでは0.5%高の1ユーロ=1.0561ドル。
  
  対円でのドルは115円85銭で一段の売り注文が控えていると、ロンドンのトレーダーが指摘した。この水準は2月9日の高値で、テクニカル上の抵抗線になるという。
  ユーロはこの日の取引開始から軟調だった。一時は2015年3月以来の安値水準に近づいた。欧州中央銀行(ECB)は伊モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行が要請した資本増強の期限延長を拒否することを決めたと、事情に詳しい関係者が明らかにした。
  市場の注目は13、14両日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)に移っている。会合後にイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が記者会見する。FOMCは25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げを実施すると予想されているが、これは現在の為替水準におおむね織り込まれているとみられている。
  2017年の金利軌道に関する手掛かりを得ようと、市場ではイエレン議長の発言と金利予測分布図(ドット・プロット)に注目が集まっている。
原題:Dollar Stalls Near Weekly High, Looking Toward FOMC Decision(抜粋)

◎米国株:S&P500種が6日続伸、最高値更新−薬品株が高い
  9日の米国株式市場ではS&P500種株価指数が6日続伸し、過去最高値を更新した。ダウ工業株30種平均とラッセル2000指数も連日で最高値となった。生活必需品銘柄やヘルスケア株、ハイテク株が上昇した。
  S&P500種株価指数は前日比13.34(0.6%)高い2259.53で終了。ダウ工業株30種平均は142.04ドル(0.7%)高い19756.85ドルで終えた。
  10日にウィーンで開催される石油輸出国機構(OPEC)加盟国・非加盟国の会議を前に原油相場が続伸したことから、世界的に株高となった。
  シカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティ指数(VIX)は7.4%低下。週間では米大統領選の結果が判明して以降で最大の下げとなった。
  米連邦公開市場委員会(FOMC)は14日に政策金利に関する決定を発表する。金利先物市場が示す今月の利上げ確率は100%。11月初めは68%だった。
  欧州中央銀行(ECB)は8日、量的緩和(QE)プログラムの延長および月々の購入減額を発表。世界的に株価を押し上げた。ECBはQEプログラムの下での債券購入を2017年12月末まで延長し、債券購入の総額を少なくとも2兆3000億ユーロにまで膨らませる方針を表明。必要に応じてプログラムの期間延長や規模拡大を実施する考えも示した。
原題:S&P 500 Rises for Sixth Day, Hits Another Record; Drug Stocks Up(抜粋)

◎米国債:下落、消費者マインド指数良好で利上げ観測強まる
  9日の米国債は下落。10年債利回りは今年の最高水準に近づいた。朝方発表された米消費者マインド指数は市場予想を上回り、来週開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが決定するとの見方が強まった。
◎NY金:続落、2月以来の安値−金ファンドから資金流出
  9日のニューヨーク金先物相場は続落し、2月以来の安値で終了した。米金融当局が利上げに向かっていることが重しになったほか、米国株が最高値を更新していることも逃避資産からの資金流出を促し、金連動型上場投資信託(ETF)を通じた保有量が減少した。
  HSBCセキュリティーズ(USA)のチーフ商品アナリスト、ジェームズ・スチール氏は「ドルの上昇や債券利回りの上昇、株式相場の堅調はリスク選好の兆候であり、これは金にとってマイナスだ」と指摘。利上げは「かなり可能性が高いようにみえる」と述べた。
  ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は前日比0.9%安の1オンス=1161.90ドルで終了。終値では2月以来の安値となった。週間ベースでは1.3%下げて、2015年11月以降で最長の5週連続下落。
  銀先物3月限は0.8%安の16.967ドル。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のプラチナ先物1月限は3.1%下げて915ドル。パラジウム先物3月限は0.5%下落の735.05ドル。
原題:Gold ‘Getting Hit From All Directions’ as Investors Flee Funds(抜粋)

◎NY原油:続伸、サウジが減産実行の姿勢−週末協議に期待
  9日のニューヨーク原油先物市場ではウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物が続伸。サウジアラムコが顧客に1月の出荷量削減を通知したことが明らかになり、週末の石油輸出国機構(OPEC)非加盟国の協議を控え、減産実行への期待が広がった。
  エネルギー関連の商品に重点を置くヘッジファンド、アゲイン・キャピタル(ニューヨーク)のパートナー、ジョン・キルダフ氏は「あすの加盟国・非加盟国協議で合意がまとまるとの一致した見方が強まっている」と指摘。「サウジが製油業者に減産合意の実行過程にある旨を伝えたことで、合意はこれまでよりずっと現実的になった」と述べた。
  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物1月限は前日比66セント(1.30%)高い1バレル=51.50ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント2月限は44セント(0.8%)上げて54.33ドル。
原題:Oil Climbs as Saudis Show Commitment to Cut Output Before Talks(抜粋)

◎欧州株:5日続伸、ECB政策を好感−週間は約2年ぶり大幅高
  9日の欧州株式相場は5営業日続伸。欧州中央銀行(ECB)の景気支援政策を好感し、指標のストックス欧州600指数は週間ベースで約2年ぶりの大幅高を記録した。
  ストックス600指数は前日比1%高の355.38で終了。ユーロ・ストックス50指数は約1年ぶりの高水準で引けた。2月安値からの上昇率は19.3%で、強気相場入りまで0.7%に接近した。
  一方、イタリアのFTSE・MBI指数はこの日0.7%下落。8日はECBが資産購入プログラムの調整で銀行の収益性が高まるとの期待から買いが入り、前日まで3日の上げ幅は7月以降最大となっていた。ストックス600指数を構成する銀行株も上げが止まったものの、週間ベースでは2011年以来の大きな上昇を記録した。
  製薬株と不動産株、メディア株の上げが目立った。一方、銀行株と鉱業株は値下がり。個別銘柄では英メディアのスカイが27%上昇し、上場来最大の上げを演じた。米21世紀フォックスに112億ポンドで身売りすることで暫定合意した。
  イタリア国民投票以降に欧州株相場は上昇したものの、新たな資金は流れ込んでいない。バンク・オブ・アメリカ(BofA)メリルリンチのリポートによれば、7日までの1週間は10億ドルの流出だった。
原題:European Stocks Rise for 5th Day in Biggest Rally Since2015(抜粋)

◎欧州債:イタリア短期債が上昇、ECBが資産購入の基準緩和
  9日の欧州債市場ではイタリアやスペインの短期債が上昇。欧州中
央銀行(ECB)が8日に資産購入プログラムの対象となる基準を広げ
ると表明したことが背景にある。
  イタリア2年債利回りは前日比3ベーシスポイント(bp、1bp
=0.01%)低下のマイナス0.087%、同年限のスペイン国債利回りは4
bp下げマイナス0.26%となった。
  これに対し両国の長期債利回りは上昇。関係者によれば、ECBは
モンテ・パスキが要請した資本増強計画の期限延長を拒否した。これで
株主と債券保有者に損失負担を強いる政府救済の可能性が高まった。
  一方、ドイツやノルウェー、スウェーデンの長期債は買われ、ドイ
ツ10年債利回りは4bp低下、ノルウェーの10年債利回りは7bp下げ
た。
原題:U.S. Stocks Extend Gains as Crude Oil Advances; DollarClimbs(抜粋)
原題:Treasuries Erase Drop on Safety Bid as Italian Bank SharesFall(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-09/OHXTG5SYF01Y01
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/577.html

[経世済民116] 中国などが通貨切り下げ、トランプ氏「為替操縦やめさせる」 中国、PPIが5年ぶり高い伸びCPIも加速、格付事業の外資開放
中国などが通貨切り下げ、トランプ氏「為替操縦やめさせる」


[バトンルージュ(米ルイジアナ州) 9日 ロイター] - トランプ次期米大統領は9日、米経済が改善するなか、中国などの国々がしばしば通貨切り下げを行っているとした上で、為替操縦や製品のダンピング(不当廉売)に対抗する姿勢を強調した。

同氏は「われわれは貿易協定の再交渉を行い、製品ダンピングや為替操縦などわが国に害をもたらす行為をやめさせる」とした上で「われわれが前進するたびに、中国などが自国通貨の価値をたたき落とすため、われわれはさらに後戻りしないといけない。こんな調子ではだめだ」と述べた。

人民元はこの日、1ドル=約6.9元と8年半ぶり安値近辺で推移した。

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http://jp.reuters.com/article/usa-trump-currency-idJPKBN13Z00Q


 


中国11月PPIは前年比+3.3%、5年ぶり高い伸び CPIも加速

[北京 9日 ロイター] - 中国国家統計局が9日発表した11月の生産者物価指数(PPI)は前年比3.3%上昇し、2011年10月以来約5年ぶりの高い伸びを記録した。消費者物価指数(CPI)も2.3%上昇し、4月以来の高い上昇率となった。

11月のPPIはアナリスト予想の2.2%上昇を上回った。石炭や鉄鋼など原材料価格の上昇が押し上げ要因だった。10月の1.2%から伸びが加速した。

CPIもアナリスト予想の2.2%上昇を上回り、前月の2.1%から伸びが加速。食品価格の上昇が全体を押し上げた。

中国では政府のインフラ支出や住宅市場の活況を背景とする建設ブームで建設資材の価格が上昇している。鉱業部門などでの過剰生産能力削減に向けた政府の取り組みも価格押し上げ要因となっている。

資源や建材の価格上昇で鉱工業部門の企業利益が増え、債務の返済が進むと期待されている。

オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)はリサーチノートで「(PPIの急上昇は)中国が何年も続いたデフレから抜け出したとの当行の見方を確認するものだ」と指摘した。

ANZは鉄鋼をはじめとする金属や石炭の価格上昇がPPI上昇分の半分近くを占めたと推定し、価格上昇は2017年まで続く可能性があると予想。

それでもなお、食品価格の影響が大きいCPIよりもPPIのほうが、経済活動や金利との相関が強いとの見方を示した。

国内製造業では製品価格の値上げによって生産コストの上昇を転嫁する動きが広がっているが、アナリストらはCPIに波及するには時間を要するため、中銀の政策にすぐに影響するものではないとみている。

11月の物価上昇率は控えめな数字だったものの、データを受けて、中国人民銀行(中央銀行)が追加の金融緩和を急がないとの見方が強まり、金融引き締めの開始時期をめぐる憶測も飛び交い始めている。

人民銀行は昨年10月以来、利下げを行っていない。

エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)の中国アナリスト、ダン・ワン氏は「人民銀に緊急の利上げを求める圧力は依然存在しないが、11月のインフレ圧力の高まりは人民元レートの下落圧力とあいまって、金融引き締めがEIUの予想よりも早期に始まるリスクを強調している」と指摘。同氏は現在、人民銀が来年第4・四半期に利上げを開始すると予想している。

キャピタル・エコノミクスの中国エコノミスト、ジュリアン・エバンス・プリチャード氏は「きょうのデータは人民銀による金融緩和の可能性が一段と低下したことを示している。人民銀が銀行の預金準備率を引き下げる必要性は考えられない」と語った。

*内容を追加します。

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http://jp.reuters.com/article/china-ppi-cpi-idJPKBN13Y08J?sp=true


 


 
アングル:格付け事業の外資開放、中国社債市場の魅力向上か

[北京/香港 8日 ロイター] - 中国当局が格付けサービスを外資に完全開放する措置を発表した。7兆ドル規模に達する中国の社債市場において、信用リスク評価と価格設定の精度が高まりそうだ。

中国商務省と中国国家発展改革委員会(NDRC)は7日、外資投資規制の草案を発表し、信用調査と格付けサービスに対する外資の投資規制を解除した。

グローバルな格付け会社は現在、中国の合弁会社に50%未満しか出資できない。外資参入の道が開かれたことで、外国人投資家にとって中国社債市場の魅力が高まる可能性がある。

中国は今年、債券市場の開放に踏み切ったが、国内の格付け機関が牛耳っている格付けの質に懸念があるため、外国人投資家は積極的な投資に二の足を踏んでいる。

しかも中国では2014年に初めて社債がデフォルト(債務不履行)を起こして以来、デフォルト件数がじわじわと増えている。ノムラによると、今年のデフォルト総額は200億元(29億1000万ドル)と、昨年の154億元、14年の18億元から増加した。

国際的な格付け会社は当局の発表を歓迎している。ただ、規制緩和の詳細は明らかにされていない。

フィッチ・レーティングスのグレーターチャイナ(大中華圏)責任者、クウォン・リー氏はロイターに対し、今回の措置に「勇気付けられた」とした上で、「中国で格付け機関を管轄している他の規制当局の対応も見極める必要がある」と述べた。

ムーディーズ・インベスターズ・サービス(MCO.N)は、一般論として歓迎できるとし、規則変更の影響について調査中だとした。

S&Pグローバル・レーティングス(SPGI.N)は「中国国内市場で提供される格付けサービスの拡大および質の強化に向けた努力を支持する」と表明した。

(Matthew Miller記者 Umesh Desai記者)

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http://jp.reuters.com/article/china-rating-agencies-idJPKBN13Y0AV
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/578.html

[経世済民116] 高値突破の日本株に様相変化、中長期マネー流入で円安離れも 来年はドル安と新興国株高 ビットコイン3年ぶり高値∵印現金不足

焦点:
高値突破の日本株に様相変化、中長期マネー流入で円安離れも

[東京 9日 ロイター] - 日経平均株価.N225は9日の取引で年初来高値を突破し、昨年末以来の1万9000円台回復を達成した。円安進行が一服する中での株高は、海外年金やオイルマネーなど中長期資金が「主役」との見方が浮上している。ただ、バリュエーションの上昇に警戒感も広がりやすく、日本株を押し上げてきたトランプノミクスへの期待が剥落すれば、思わぬ急落もあると楽観論を戒める声もある。

<現物株が先物売買上回る>

11月8日の米大統領選以降、円安による業績改善期待が、日本株における「トランプ相場」の原動力だった。

だが、12月に入ってドル/円JPY=は113─114円台でのもみあい。一方、日経平均は約3.8%上昇するなど、日本株と為替が乖離し始めている。

その要因と考えられているのが、買い主体の変化だ。海外投資家は10月以降、買い越しに転じたが、現物と先物を分けてみると、買い越し額は現物株が約2兆円に対し、先物は約2.2兆円。ヘッジファンドなど短期筋が上昇相場を主導したとみられる「状況証拠」になっている。

しかし、最新データの11月第5週分は、先物が2023億円の買い越しに対し、現物株は4148億円の買い越しと逆転。「オイルマネーや海外年金勢など中長期の資金が入り始めているとの観測が出ている」(国内投信ファンドマネジャー)という。

日本株投資を行う一部の海外投資家は、円安による目減りを防ぐために、日本株買いと同時に円売り注文を出す。円安に動けば、円売りポジションからの利益が出るためだ。

だが、中長期資金を運用する海外投資家の場合は「為替でのヘッジ手段をとらずに日本株を売買するケースも多い」(国内証券)ようだ。

ドル建て日経平均は円安のためトランプ相場でもほとんど上昇してこなかったが、足元で円安進行に頼らずに日経平均が上昇しており、米大統領選後の高値を抜けてきている。中長期投資家にとっては、日本株の魅力が増す要因となる。

<日銀ETF買いの影響も>

長期的な視点では、日銀によるETF(上場投資信託)の大量買いが、日本株と円の相関を崩したとの指摘もある。

トムソン・ロイターのデータによると、日経平均とドル/円JPY=EBSの過去250日の相関係数は今年7月下旬までは0.90弱で推移していた。1に近ければ近いほどドル高/円安時に日経平均が上昇する関係性が強いことが示されるが、8月以降は低下を続け、足元では0.61となっている。

日銀がETFの年間買い入れ額を3.3兆円から6兆円に増額することを決めたのが7月29日。相関係数が低下したタイミングと重なる。調整局面で円安/株高の巻き戻しが起きても、日銀の買いが日本株を下支えする「需給的にゆがんだ状況」(国内証券)が、連動性の低下に結び付いた可能性が高い。

さらに直近では、好需給の中で到来した「トランプラリー」に乗り遅れた投資家が、日本株の押し目を狙う構図となっている。「長期政権が期待できる日本株は選好されやすい。割安に放置された銘柄は売りが出にくく、いったん資金が入れば上昇基調をたどりやすい」(藍沢証券・投資顧問室ファンドマネジャーの三井郁男氏)という。

<期待と現実>

もっとも、8日時点の日経平均の予想PER(株価収益率)は16.23倍。「チャイナショック」前後の2015年8月18日(16.43倍)以来の高水準だ。「企業業績が上方修正含みの局面では決して割高ではないが、バリュエーション面ではアベノミクス相場の上限に接近しつつあり、調整入りの可能性もある」(三木証券・投資情報部課長の北澤淳氏)との見方が出ている。

円安とバリュー株シフトをもたらした米長期金利の上昇も、ここに来てピッチが鈍っている。10年米国債利回りUS10YT=RRは一時2.5%に接近したが、足元では2.4%台と伸び悩んでいる。

株高の起点となった米金利が低下に転じれば、為替のみならず、バリュー株として物色された景気敏感・金融セクターの巻き戻しの契機となり、日本株を押し下げる可能性もある。

三井住友アセットマネジメント・シニアストラテジストの市川雅浩氏は「米次期政権の政策期待で、米長期金利は水準を切り上げた。一段の押し上げには具体的な中身が必要。しっかりした中身でない限り、米金利上昇は徐々に厳しくなる」とみる。

投資家の不安心理の度合いを示すとされる日経平均ボラティリティー指数.JNIVは9日、一時16ポイント台まで低下し、年初来の低水準を記録した。下値不安が後退したとの見方が広がる一方、トランプ次期米大統領への政策期待に依存した足元の相場は、陶酔から覚めた際に反転しかねないもろさも内包する。

(長田善行 編集:田巻一彦)

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今日の株式見通し=方向感に乏しい、イベント控え様子見ムード
寄り付きの日経平均は小反落、米株安が重し
前場の日経平均は反発、一時150円高 自動車関連が堅調
日経平均は反発、円高一服で自動車株など堅調
今日の株式見通し=一進一退、手掛かり材料難で動きにくい
http://jp.reuters.com/article/tokyo-stock-boj-etf-idJPKBN13Y0JR?sp=true


 


 
 
Business | 2016年 12月 10日 09:59 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
米国株式市場が連日の最高値、S&P500は週間で3%上昇

[ニューヨーク 9日 ロイター] - 米国株式市場は続伸して取引を終えた。

主要株式指数は連日の最高値更新となり、トランプ氏が11月の米大統領選で勝利して以降、出遅れていた分野の銘柄が物色されSP500種株価指数は週間で3%上昇した。

指数は3日連続で最高値を記録し、ダウ工業株30種平均、ナスダックも最高値を更新。ダウは5週連騰だった。

トランプ次期大統領が掲げる景気刺激策や減税、規制緩和はこれまで特に金融株や鉱業株の株価を押し上げてきた。9日は出遅れていた医療、生活必需品、電気やガスなどの公益事業、ハイテクといった分野がけん引した。

S&P500は6営業日連騰で、年間では10.5%の上昇だ。

株価は午後に上げ幅を広げ、終値はほぼ取引時間中の高値に近かった。

ニューヨークの資産運用会社ソラリス・アセット・マネジメントのティム・グリスキー最高投資責任者(CIO)は「価格下落の場面を待ったが訪れずに、資金がどんどん債券から株へ流れていった」と指摘する。

トップ人事が発表されたコカ・コーラ(KO.N)が2.5%上げ、S&P生活必需品株指数.SPLRCSも1.4%上昇した。

医薬品のブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMY.N)が配当金を積み増したことで3.3%も上げ、S&Pヘルスケア株指数.SPXHCは1.2%上昇した。

テキサス州オースチンの証券会社チャールズ・シュワブのトレーディングとデリバティブ部門担当のランディ・フレデリック副社長は「出遅れ株にも資金が流れ、株価上昇の裾野が広がった。とてもいい兆候だ」と分析した。

来週には連邦公開市場委員会(FOMC)が控える。市場の大半は追加利上げを見込んでいるが、投資家は今後の利上げペースについて手掛かりを得ようとしており、株価の行方も影響を受ける。

騰落銘柄数は、ニューヨーク証券取引所では上げ銘柄が下げ銘柄を上回り、比率は1.01対1だった。ナスダックも1.38対1で上げが下げを上回った。

米取引所の合算出来高は約74億株で、直近20営業日の平均である75億株を下回った。

終値 前日比 % 始値 高値 安値 コード

ダウ工業株30種 19756.85 +142.04 +0.72 19631.35 19757.74 19623.19 .DJI

前営業日終値 19614.81

ナスダック総合 5444.50 +27.14 +0.50 5436.11 5450.16 5427.12 .IXIC

前営業日終値 5417.36

S&P総合500種 2259.53 +13.34 +0.59 2249.73 2259.80 2249.23 .SPX

前営業日終値 2246.19

ダウ輸送株20種 9407.19 -13.89 -0.15 .DJT

ダウ公共株15種 645.86 +5.11 +0.80 .DJU

フィラデルフィア半導体 892.51 -3.19 -0.36 .SOX

VIX指数 11.75 -0.89 -7.04 .VIX

S&P一般消費財 667.72 +1.37 +0.20 .SPLRCD

S&P素材 322.05 -0.18 -0.06 .SPLRCM

S&P工業 550.37 +2.63 +0.48 .SPLRCI

S&P主要消費財 531.43 +7.12 +1.36 .SPLRCS

S&P金融 393.24 +0.50 +0.13 .SPSY

S&P不動産 189.25 -0.15 -0.08 <.SPLRCREC

>

S&Pエネルギー 558.71 +2.29 +0.41 .SPNY

S&Pヘルスケア 793.70 +9.67 +1.23 .SPXHC

S&P電気通信サービス 169.57 +0.43 +0.25 .SPLRCL

S&P情報技術 814.17 +5.66 +0.70 .SPLRCT

S&P公益事業 241.75 +2.48 +1.04 .SPLRCU

NYSE出来高 9.02億株 .AD.N

シカゴ日経先物3月限 ドル建て 19255 + 265 大阪比 <0#NK:>

シカゴ日経先物3月限 円建て 19185 + 195 大阪比 <0#NIY:>

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米国株式市場=下落、医薬品マイランの下げきつく
米国株式市場は下落、医薬品マイランの下げきつい
東京マーケット・サマリー(25日)
寄り付きの日経平均は小反落、米株安が重し
米国株式市場は小幅高、好調な米新築住宅販売を好感
http://jp.reuters.com/article/stock-us-close-idJPKBN13Z00U


 

 


FX Forum | 2016年 12月 10日 08:21 JST 関連トピックス: トップニュース
オピニオン:
2017年はドル安と新興国株高へ

居林通UBS証券ウェルス・マネジメント本部 ジャパン・エクイティ・リサーチ・ヘッド
[東京 9日] - トランプ米次期政権下でのドル高期待は根強いが、ドルはすでに過大評価されており、足元の上昇基調は長く続かないと、UBS証券ウェルス・マネジメント本部ジャパン・エクイティ・リサーチ・ヘッドの居林通氏は指摘する。

ドル円レートについては、6カ月後102円、12カ月後98円への下落を予想する。

主な根拠としては、一段の金利高に耐えられるほど米国経済のファンダメンタルズが頑強ではないことに加えて、保護貿易主義を掲げるトランプ次期政権が景気や企業収益にマイナスとなるドル高の是正に動く可能性が高いためだという。

同氏の見解は以下の通り。

<一段の米金利高は期待薄>

為替市場では、1)米国でインフレが進み、2)米金利が上昇、3)それゆえにドル高になる、との三段論法から、2017年はドル円上昇に拍車がかかると予想する向きが多いようだ。

我々も一番目の大前提であるインフレについては、トランプ政権が減税・インフラ投資・規制緩和で米経済の失速を防ぐため、今後年率2―3%程度で上昇し、米株も堅調な推移を見せると考えているが、二番目の前提が巷間の見通しと大きく異なる。

失速を免れるとはいえ、米経済も高齢化・貯蓄超過・低生産性など、他の先進国と同じ長期停滞要因を抱えており(それでも2017年と2018年の成長率見通しは先進7カ国中で最も高い2%台半ば近辺だが)、金利上昇余地はさほど大きくないと予想している。

米政策金利に関する市場のコンセンサスは、12月に1回、2017年中に2回、25ベーシスポイント(bp)ずつの引き上げがあるというものだろう。我々も同様に見ているが、この見通しはすでに現在の価格形成に織り込まれている。現状よりドル高が進むためには、2017年の利上げ見通しが3回、4回へと強まる必要がある。これは、米経済のファンダメンタルズに鑑みれば、ほぼ実現不可能なシナリオであるように思われる

実際、11月の雇用統計もさほど強くなかった。リーマン・ショック後の2009年以来続く労働市場の拡大局面も、そろそろ終焉が近づいている。米10年国債利回りは現在、2.4%台で推移しており、今後も一時的にはさらに上に跳ね上がる可能性もあるだろうが、基調として2.5%を大きく超えていくことにはならないと予想している。利回り曲線も多少フラット化が進むと思われる。

むしろ、指標などで米景気拡大サイクルの終焉の兆候が少しでも確認されれば、金利は下落に転じる可能性もある。2017年中とは言わずとも、政策金利についても、次は利下げが話題になることも十分あり得るのではないか。

<保護貿易なら通貨安志向>

2017年1月に始動するトランプ次期政権が一段の金利高・ドル高を許容するとも思えない。選挙期間中に強調していた「米国第一主義」を貫くならば、世界経済が需要不足に直面している現局面下では、通貨安政策こそが当然の帰結であるはずだ。

こう話すと、トランプ政権下で拡張的な財政政策が志向されれば、結局はインフレも景気も押し上げられ、金利高・ドル高になるではないかとの反論が聞こえてきそうだ。だが、そもそもトランプノミクスが本当に財政赤字の大幅な拡大を伴うようなアグレッシブな景気刺激路線になるのかどうかは現時点では不透明だ。

確かに減税・インフラ投資は、公約通りの規模になるかは別として、実施されるのだろうが、トランプ氏は選挙期間中、財政中立(歳出増加分に相当する財源確保)の必要性を訴えていた。2017年1月就任後の所信表明演説や春以降の財政協議の中身を見ないとはっきりとは分からないが、恐らくは共和党らしいバランスバジェット(均衡予算)重視の姿勢が堅持されるのではないか。

また、日本側の材料に目を移しても、日銀が2017年中に量的緩和縮小(テーパリング)に向かい始める可能性は高い。周知の通り、米連邦準備理事会(FRB)は2年前の2014年10月に量的緩和を終了し、欧州中央銀行(ECB)も今年12月8日の理事会で資産購入の減額を決めた。

日銀の国債保有高はすでに国債発行残高の約4割に達している。年80兆円増の買い入れペースでは、年7―8%の保有残高増につながり、持続可能とは思えない。我々は、日銀が2017年半ばに70兆円、2018年4月に60兆円まで買い入れペースを減少させると見ている。これもドル安円高要因となろう。こうしたことから、ドル円レートは6カ月後には102円、12カ月後には98円まで下落する可能性が高いと見ている。

<日本株は選別投資の局面>

では、ドル安シフトを前提に考えると、2017年はどのような資産クラスが有望なのか。結論を言えば、新興国関連だろう。

一部には、保護主義を掲げるトランプ米次期政権の誕生で、新興国の「冬の時代」が長期化するとの悲観論もあることは承知しているが、我々はそうは思わない。確かに米国への輸出比率が高い国はより高い関税で苦しめられる可能性はある。だが、新興国市場の全てが米国と対等に貿易しているわけではない。

また、2014年以降の米テーパリングに伴うドル高進行によってドル建て債務負担が急増するなどして、新興国景気が下向きの圧力をずっと受け続けてきたことは事実だが、2017年以降、ドル安基調に転じれば、この流れが一変する可能性がある。ファンダメンタルズの改善、企業収益の拡大、そして高水準にある世界の流動性を考えれば、新興国の資産は依然として魅力的だ。

一方、先進国に目を移せば、ドル安シフトに伴う企業収益回復期待を背景に、米国株は例外的に堅調な推移が引き続き見込めそうだが、通貨高に見舞われる欧州大陸株や日本株は厳しい展開が予想される。特に日本株は、ドル円が98円になれば、来期の企業業績が純利益ベースで減益となりかねないため、下押し圧力がかなり強まりそうだ。

足元で日経平均株価は1万9000円近辺と、6―7月の底値から25%以上戻っているが、この水準はすでにフェアバリュー(適正値)を超えている。選別投資を一層進めるべき局面だろう。

ちなみに、我々が現在、買い推奨としている主な投資アイデアは、株式では米国株と新興国株(中国・インド・ブラジル)、為替では先進国通貨バスケット(豪ドル・カナダドル・スウェーデンクローナ)に対する新興国通貨バスケット(ブラジルレアル・インドルピー・ロシアルーブル・南アフリカランド)、債券では米国物価連動国債や米国シニアローン、その他では工業用貴金属などである。安全資産としての金についても、現在の相場水準は魅力的だと考えている。

*居林通氏は、UBS証券ウェルス・マネジメント本部のジャパン・エクイティ・リサーチ・ヘッドでエグゼクティブ・ディレクター。大手投資信託やヘッドファンドなどで運用に携わった後、2006年UBS証券入社。

*本稿は、居林通氏へのインタビューをもとに、同氏の個人的見解に基づいて書かれています。

(聞き手:麻生祐司)

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
 

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来週のドル/円は調整含み、FOMCで来年の米利上げペース確認

[東京 9日 ロイター] - 来週の外為市場で、ドル/円は調整含みの展開が予想される。最大の注目イベントである米連邦公開市場委員会(FOMC)は利上げがほぼ織り込まれており、関心は来年の利上げペースに集まっている。ドルは週前半まで堅調地合いとなりそうだが、利上げペースの予想が想定通りとなれば、いったん材料出尽くしで調整が強まる可能性もあるという。

予想レンジはドル/円が112.50─115.50円、ユーロ/ドルが1.0450─1.0750ドル。

イタリアの憲法改正をめぐる国民投票は大方の予想通りに否決され、金融市場も大きく混乱しなかった。今週は日米株価が予想以上に上昇、リスク選好のドル買い/円売りが優勢となり、114円半ばまで値を上げてきた。

来週もこの流れが続けば、12月1日につけた直近の戻り高値114.83円を突破する可能性がある。ただ、心理的節目の115円ちょうど付近では短期筋の利益確定やオプションの防戦売りなどが予想され、一気に攻略は難しいとの見方もある。

13─14日のFOMCは、特にFOMCメンバーの金利予測の分布を示す「ドットチャート」が注目されている。「トランプ政権が発動しておらず、メンバーもそこまでタカ派に寄せないだろう」(外為アナリスト)として、来年2回の利上げが示唆された9月の会合から大きな変更はないとみられている。

3回以上に利上げのペースアップが示唆されればドル買い継続となり、115円乗せが視野に入ってくるものの、想定通り2回だった場合は材料出尽くしでいったんドル売り/円買いが優勢になりそうだという。

<ユーロは上値重い展開か>

ユーロ/ドルは上値が重そうだ。8日の欧州中央銀行(ECB)理事会では来年4月から購入規模を月額600億ユーロに減らす一方、買い入れを来年末まで延長すると表明した。

ユーロ/ドルはECB理事会終了直後に1.0875ドルまで急伸して約1カ月ぶりの高値をつけたが、その後、ニュースが消化されるとともにドラギ総裁のハト派的な姿勢も確認され、1.05ドル台まで下げている。

市場では「最初の受け止めはテーパリングということで急騰したが、基本的には緩和継続なのでユーロを買う話にはならない。むしろ先々の欧州政治リスクを考えると手放す理由の方が多そうだ」(大手邦銀)との指摘があった。

(為替マーケットチーム)

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ECBハト派決定でユーロ続落、ドル115円半ばに迫る=NY市場

[ニューヨーク 9日 ロイター] - 終盤のニューヨーク外為市場では、ユーロが前日に続き売られた。欧州中央銀行(ECB)が資産買い入れのペースを月額800億ユーロから600億ユーロに減額する一方、大方の予想よりも長期間の延長を決定した余波が続いた。

一方、ドルは円に対し、115円半ば近くまで上昇した。

ユーロ/ドルEUR=は一時1.0528ドルに下落。その後は0.69%安の1.0541ドルで取引された。

ウェルズ・ファーゴの為替アナリスト、エリック・ネルソン氏は「資産買い入れの延長期間は大半の予想よりも長く、多くのコメントは極めてハト派的だった」と指摘。「インフレは2019年まで低水準にとどまると見込まれているほか、成長率予想も弱く、リスクは下向き」と話す。

ドル/円JPY=は2月9日以来の高値となる115.36円に上昇。直近では1.16%高の115.30円で取引された。

主要6通貨に対するドル指数.DXYは0.57%高の101.68。

米連邦準備理事会(FRB)は来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で今年初めて利上げすることがほぼ確実視されている。市場の注目は、トランプ氏の大統領選勝利を受けてFRBが公表する金利見通し「ドット・プロット」に変化が見られるかどうかだ。

ウェルズ・ファーゴのネルソン氏は「過去3─4回の会合では、ドット・プロットの下方修正が続いた」とし、「そのため当局者が現在の見通しを維持しても、ややタカ派的と受け止められる可能性がある」と述べた。

ドル/円 NY終値 115.36/115.44

始値 114.95

高値 115.36

安値 114.63

ユーロ/ドル NY終値 1.0559/1.0565

始値 1.0575

高値 1.0579

安値 1.0531

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ビットコイン一時3年ぶり高値、インドの現金不足背景に

[ロンドン 9日 ロイター] - ニューヨークに本拠を構える取引所「イットビット」で9日、仮想通貨のビットコイン価格BTC=ITBTが一時、2014年2月以来約3年ぶりの高値水準(774ドル)をつけた。

インドの高額紙幣廃止に伴う現金不足を背景に、ビットコインは過去1カ月間で9%近く上昇、この日は上げ幅を拡大した。
http://jp.reuters.com/article/bitcoin-idJPKBN13Y2PT

http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/579.html

[国際16] 規制緩和に向かうトランプ次期政権―企業は歓声 ゴールドマン社長は国家経済会議トップ、エクソンCEOは国務長官、最有力候補
規制緩和に向かうトランプ次期政権―企業は歓声
ドナルド・トランプ次期米大統領(左)と、労働長官に指名されたアンドリュー・パズダー氏(右)  

By NICK TIMIRAOS AND ANDREW TANGEL
2016 年 12 月 9 日 18:43 JST

 米国の産業界リーダーらは、残業手当から発電所の排ガス関連規則に至るまで、大規模な規制緩和が実施されると予想している。ドナルド・トランプ次期米大統領が、政府高官を筋金入りの規制反対派で固めようとしているからだ。

 トランプ氏は8日、ファストフードチェーンを展開するアンドリュー・パズダー氏を労働長官に指名した。これには、オバマ政権の賃金政策に対する露骨な批判が込められている。また、環境保護局(EPA)長官にオクラホマ州のスコット・プリュット司法長官を指名したのは、オバマ大統領の環境規制に対する法的な異議申し立てに向けた最初の布石だ。

 現行規制に批判的な閣僚就任予定者には他に、厚生長官に指名されたトム・プライス下院議員や、商務長官に指名された著名投資家のウィルバー・ロス氏、住宅都市開発長官に指名された元神経外科医のベン・カーソン氏などがいる。いずれも上院の承認が必要だ。

 これらの人事は、共和党が支配する議会を後ろ盾に、トランプ政権が多くの米国企業に有利な労働・環境・金融規制政策を推し進めようとしていることを物語っているが、全員がトランプ氏の提案を支持するとは限らない。産業界のリーダーらは、規制緩和によって中小企業を中心に利益や成長、雇用が押し上げられ、全ての米国民が恩恵を受けると期待している。

 シカゴを拠点とする消費者向け製品のガラス瓶・プラスチックボトルメーカー、バーリン・パッケージングのアンドリュー・バーリン最高経営責任者(CEO)は「政府が企業を非難するのではなく、企業に増員を促すことができれば、事業環境は改善するだろう」と語った。

 プリュット氏がEPA長官に指名されたことで、エネルギー企業と自動車メーカーは歓声を上げている。オバマ政権は、車の燃費効率を2025年までにガソリン1ガロン当たり54.5マイル(約88キロメートル)に引き上げることを義務付ける規制を自動車メーカーに課しており、メーカー側は規制緩和を望んでいる。

 EPAは11月、車の燃費と排ガス目標を据え置くことを提案した。目標の見直しプロセスが終わるのは18年以降と予想されていたが、前倒しにしてトランプ氏の大統領就任前に最終判断が下される可能性がある。

 フォード・モーターのマーク・フィールズCEOは先のインタビューで「政権交代が迫っているからといって(規制を見直すプロセスが)短縮されることにとても失望している」とし、「今後は新政権と協力していくつもりだ」と述べた。

 一方、ガソリンに一定量のバイオエタノールの混合を義務付けるEPAのエタノール規制が変更されれば、一部のエネルギー企業が恩恵を受ける。

 ヘッジファンドを運営するカール・アイカーン氏と同様に、プリュット氏もこの規制を批判している。アイカーン氏は、カンザス州とオクラホマ州で製油所を運営する石油精製・窒素肥料生産会社CVRエナジーの支配権を握っており、トランプ氏の顧問を務めている。

 アイカーン氏は8日、CNBCで現行のエタノール規制が石油精製会社に及ぼす影響についてプリュット氏と話し合ったことを明らかにし、「彼は間違いなくこの問題を十分理解している」と話した。

 企業は新しい規則の適用中止を歓迎するとみられるが、銀行などの一部大企業は新規則を完全に廃止するのではなく、簡略化して、コストを下げるよう米政府に働き掛けている。

 大手銀行はこの6年、2010年の金融規制改革法(ドッド・フランク法)の成立によって変化した金融危機後の状況に適応するのに数十億ドルを費やした。これまでに自己勘定取引などから撤退したほか、企業構造を改革してコンプライアンス(法令順守)に力を入れている。

 JPモルガン・チェースのジェームズ・ダイモンCEOは今週の会議で「ドッド・フランク法の全面的な廃止は求めていない」と述べた。トランプ氏の政権移行チームは同法の廃止について議論しているが、その方法は詳しく説明していない。

 シティグループのジョン・ガースパック最高財務責任者(CFO)は「私がまず要求するのは目新しいことではない。新しい規則を設けないことだ」としたうえで、「現行規則がどのように機能しているか理解していないのなら、新しいものを追加すべきではない」と語った。

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ゴールドマン社長、米国家経済会議トップの最有力候補 
ゴールドマンのコーン社長が米国家経済会議(NEC)委員長の最有力候補に挙がっている

By NICK TIMIRAOS, PETER NICHOLAS AND LIZ HOFFMAN
2016 年 12 月 10 日 04:35 JST

 米金融大手ゴールドマン・サックス・グループのゲーリー・コーン社長が、米国家経済会議(NEC)委員長の最有力候補に挙がっている。ドナルド・トランプ次期米大統領の政権移行チームの顧問二人が9日明らかにした。

 NEC委員長の指名に上院の承認は不要。コーン氏はゴールドマンの最高執行責任者(COO)を兼務する。

 これに先立ちトランプ次期大統領は11月、同じくゴールドマン元幹部のスティーブン・ムニューチン氏を財務長官に起用すると発表していた。新政権で経済政策の鍵を握る2つの要職にゴールドマン出身者が就く可能性がある。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiPsN_SjunQAhWCe7wKHaeZDaoQqOcBCBwwAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12576561340667814139804582487092236105560&usg=AFQjCNE_m54vGqlyxRd_2aXRCn1BSYmMpA


 


ジュリアーニ氏政権入り辞退、エクソンCEOが国務長官最有力
元ニューヨーク市長のルディ・ジュリアーニ氏
By TIM HANRAHAN
2016 年 12 月 10 日 08:43 JST

 トランプ次期米大統領は9日、元ニューヨーク市長のルディ・ジュリアーニ氏が次期政権入りを辞退したと明らかにした。

 ジュリアーニ氏はトランプ政権の国務長官候補だった。政権移行チームの2人の関係者によると、石油大手エクソンモービルのレックス・ティラーソン最高経営責任者(CEO)が国務長官の最有力候補に浮上した。

 トランプ氏によると、ジュリアーニ氏は11月29日の会合の際に辞退を決めた。ただ政権移行チームの副委員長は続投する。

 国務長官候補者の中で、ティラーソン氏はロシアのプーチン大統領に最も近そうだ。ティラーソン氏は2012年のロシアとのエネルギー協力協定を交渉した。ロシア政府はこの年、ティラーソン氏に「友好勲章」を授与した。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiruu2-junQAhVGTrwKHRCBB6kQqOcBCBwwAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12576561340667814139804582487433787335856&usg=AFQjCNH47OKmMg75GRhbpyh2LZOINg8y0Q



http://www.asyura2.com/16/kokusai16/msg/651.html

[経世済民116] 中国人民銀が学ぶべき「ゆでガエル」の教訓 中国企業、株式による資金調達を加速 ユーロ圏の最大試練、イタリアでなくギリシャ
中国人民銀が学ぶべき「ゆでガエル」の教訓
インフレとの闘いで、中国政府は引き続き人民元安を食い止める必要がありそうだ

By NATHANIEL TAPLIN
2016 年 12 月 9 日 23:04 JST

 ――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 ゆでガエルならよく分かっている通り、気持ちの良い湯あみとゆで上がって食べられてしまうことは紙一重だ。中国での物価上昇は鉱工業各社にとって朗報となった。しかし消費者物価指数(CPI)が2年半ぶりの高い伸びを記録しており上昇ペースが加速すれば、中国人民銀行(中央銀行)の頭痛の種になるはずだ。

 中国国家統計局が9日発表した11月のCPIは前年同月比2.3%上昇した。しかも幅広い品目が値上がりした。食品を除く上昇率は1.8%と、現在の金融緩和サイクル開始よりかなり前の2014年1月以降見られなかった高水準に達した。

 生産者物価指数(PPI)はかつて何年間もデフレ状態にあったが、3.3%の上昇と急激に伸びた。これで鉱工業会社の負担は一気に軽くなる。インフレ調整後の借り入れコストは、今年10%を超えていたこともあったが一気に2%へ低下した。

 だが物価が急速に上昇すれば、中国は積極的な信用供給からまた一歩身を引く必要に迫られる。人民元の下押し圧力への対応も一段と複雑化する。波に乗っている不動産業界がインフレ加速の主な要因だが、元安も資源など輸入品の価格を押し上げることで既にインフレを後押ししている。11月は石炭業のPPIが29%上昇し、石炭の輸入量は67%増の2700万トンに上った。

 インフレと闘うためには中国政府が元相場の下落を引き続き食い止める必要がありそうだ。資本流出の動きが突如反転でもしない限り、つまりは外貨準備をさらに削らなければならないだろう。そうする間、国内経済に出回る資金は吸収され、短期金利の上昇を招く。直近1年間に中国の短期金融市場で巨額の信用が供給された点を踏まえると、短期金利の上昇は市場に予想外の衝撃をもたらしかねない。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjwwZ2LkenQAhWJVLwKHTTCB64QFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10133893654180563918204582486630011984356&usg=AFQjCNH_3fVz9liYALz3LkFc8KCo_VviSw


中国企業、株式による資金調達に回帰
By SHEN HONG
2016 年 12 月 9 日 18:19 JST

中国証券当局は今夏以降、株式による資金調達の承認ペースを加速している
 【上海】中国株の急落から1年近くたち、株式による中国企業の資金調達が再び増えている。政府はこれをひそかに後押ししている。

 中国証券監督管理委員会(CSRC)は今夏以降、新規株式公開(IPO)と新株発行の承認ペースを加速している。今年これまでに同国の株式市場で調達した資金は総額1兆5400億元(約25兆5000億円)で、前年同期に比べ29%増加した。

 2015年夏からの市場の混乱で16年初めには当局が動揺し株式市場が活気を失っていたのとは対照的に、ここ数カ月は活況を呈している。

 1月の中国株急落の後、2月にはCSRCの肖鋼委員長が辞任し、かなり前から計画していた上場規則の見直しを断念した。IPOの承認ペースは極めて遅くなった。

 中国で新株発行の動きが復活したことには2つの要因がある。まず、市場環境が安定してきたことだ。指標の株価指数である上海総合指数は今年、まだ年初を9%余り下回っているが、1月後半につけた安値からは21%上昇し、強気相場入りしている。

 次に、中国の政策当局者は企業が過度に借り入れに依存しないようにしたいと考えていることだ。中国企業の債務総額は国内総生産(GDP)比で148.7%と、08年の90.2%から大幅に増え、中国の銀行や債券市場では緊張が高まった。

 政府は企業に、株式市場での資金調達拡大を求めたことがある。14年終わりから15年初めにかけて、国有企業に新株発行による資金調達を増やすよう再三にわたり指示した。このため上海総合指数は15年前半に60%近く上昇し、その後急落した。

 だが政府は今回、資金調達手段として新株発行をあまり声高に勧めていない。国営新華社通信は今週、政府の長い間の沈黙を破り、このところ加速したIPO承認ペースに株式市場は「冷静に」反応していると伝えた。この記事は上海証券取引所の上場責任者の発言を引用し、最近の展開は以前打ちのめされた市場が資金調達の機能を回復しつつあることを示していると説明した。

 今年1-6月にIPOを承認された企業は61社、それ以降は172社となっている。11月には月間として最多の52社が承認された。

 こうした新株発行による資金調達の勢いは、政府が中国の債務水準引き下げを最優先課題にしていることが背景にある。

 また、IPOの承認を待っている企業があまりにも増えたためCSRCがこれを解消したいと考えていることも、IPO承認ペースの加速につながっている。年初には900社近くだった承認待ちの企業は739社まで減ったが、それでもまだ悩みの種だ。

 ある投資銀行幹部は、「CSRCはこのペースを少なくとももう1年維持して、承認待ちの期間を現在の2〜3年から平均15カ月に短縮するという目標を達成したい意向だ」と述べた。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiw3O2RkenQAhUFO7wKHbiXBKkQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12576561340667814139804582486232475521926&usg=AFQjCNGHDpR18Ul2Ar5h06p8afdcLsk_Sw

 


ユーロ圏の最大試練、イタリアでなくギリシャ
7日夜、ローマの大統領府に到着したレンツィ首相(中央)。大統領に辞表を提出し、正式に辞任した

By SIMON NIXON
2016 年 12 月 9 日 15:48 JST

――筆者のサイモン・ニクソンはWSJ欧州担当チーフコメンテーター

***

 今年になって破滅論者が戸惑ったのはこれが初めてではない。イタリアが4日に実施した憲法改正の是非を問う国民投票で、マッテオ・レンツィ首相は大きな敗北を期し、すぐに辞任の意向を表明した。だが、天地が崩れ落ちることはなかった。ユーロ相場は急落したが、やがて反発し上値を伸ばした。イタリアの国債と銀行株はほぼ横ばいだった。他の欧州資産の価格もほとんど動かなかった。

 市場が一部で懸念されていたような反応を見せず、欧州プロジェクトの失敗を夢見る人たちの期待を裏切ったのはなぜなのか。レンツィ首相の敗北はすでに織り込まれていた、すなわち市場は憲法改正が否決されることを予想していた、というのが一つの答えだ。また、英国の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票や米大統領選でのドナルド・トランプ氏の勝利と同様、イタリアの国民投票はそれ自体何かを変えるものではないという説明もできる。国民が下した決断は政治に影響を及ぼす可能性があり、影響が及ぶことになるだろうが、それがどのようなものになるかを論じるのは時期尚早だ。市場は時間をかけて評価していくだろう。

 とはいえ、欧州がいま混乱に陥っていない最大の理由は、イタリアの問題が少なくとも現時点ではイタリア国内にとどまる可能性が高いことだ。同国の問題は今に始まったことではなく、長年続く国内統治の危機を反映している。

 イタリアが通貨ユーロを採用してからの数年間でこれらの問題が表面化した。ドイツに対する競争力を維持するために頻繁に通貨切り下げを行うことができなくなったことが打撃となった。通貨の切り下げが経済モデルに内在する深刻な問題を覆い隠していた。財、サービス、資本、人がEU内を自由に移動できる新たな世界において、高い税率、過剰な官僚主義、非効率な司法制度、柔軟性のない雇用・製品市場を抱えるイタリアの競争力は低下し、投資低迷や生産性の悪化を背景に経済成長率はゼロ近くまで落ち込んだ。

 世界金融危機で経済モデルの不備が露呈したのはイタリアだけではない。だが、イタリアの改革の進捗(しんちょく)は欧州諸国の中でもとりわけ遅い。スペイン、アイルランド、キプロスなど、社会保障制度から銀行システム、雇用・製品市場に至るまで広範囲に及ぶ改革を実施した国々は、域内でも特に力強い景気回復を果たした。レンツィ氏の敗北で恐らくイタリアの今後の経済見通しは後退するだろう。同氏の提案した憲法改正は改革の妨げとなる制度上、政治上の障害を一部取り除くことが狙いだったため、見通し悪化の可能性はなおさら濃厚だ。ただ、実際にそうなるかはまだ分からない。

 一方、過去7年間で明らかになったのは、危機が起きているのがユーロ圏のどこか1カ国だけであっても、域内諸国が共同でこれへの対応に当たらなければならない場合、結局はそれがユーロ圏全体にとっての危機になってしまうということだ。これは、ユーロ圏の統治構造では効果のある政治的意思決定ができないことに原因がある。一連のギリシャ危機では、ユーロ圏が対応策を模索する中で単一通貨ユーロは何度も存続が危うくなり、域内救済基金の創設後にようやくいくらか安定を取り戻した。だがここ数年、ユーロ圏が抱える統治構造上の大きな欠陥は、欧州中央銀行(ECB)の量的緩和策のおかげではっきりとは見えなくなっている。ECBが買い入れ策で国債市場を下支え、厳しい決断を下すべきだという各国政府へのプレッシャーは取り除かれているからだ。

 実際、政策担当者の間では、ユーロ圏諸国の政府はもはや断固たる行動を取れなくなっており、その力不足はかつてないほど深刻な状況だと懸念する向きもある。すでに今年、EUとカナダの包括的経済貿易協定(CETA)の締結が10月にベルギー南部ワロン地域の議会の反対を受けて一時暗礁に乗り上げたほか、4月にはオランダでEUとウクライナの連合協定の是非を問う国民投票が実施され、反対派が勝利した。

 一方、各国の議会でポピュリスト(大衆迎合主義者)政党が勢力を強める中、各国政府やEU当局にとってユーロ圏の安定性を高める政策を行う余地は減りつつある。EUは何年も、危機が起きれば前進あるのみだと考えて自らを慰めてきた。だがこうしたやり方は、欧州に限らず行政をつかさどる上で問題があるだけでなく、もはや間違っているとさえ言えるかもしれない。

 そう考えると、ユーロ圏が決断を下せるかどうかが試される最も緊急の問題は、イタリアではなくギリシャだ。イタリアはユーロ圏への支援要請を余儀なくされない限り、ユーロ圏全体の問題にはならない。そして、ECBがイタリア国債を買い続けている間はそうなる可能性は低いとみられる。ところがギリシャの場合、支援策の次の段階を巡る同国とドイツ、国際通貨基金(IMF)の交渉は長らく行き詰まっており、ユーロ圏が打開策を見つけない限り、ギリシャ危機の再燃リスクは現実のものになりかねない。

 ドイツはギリシャに対する追加融資の条件として、IMFの支援策への参加を求めている。一方、IMFは、ユーロ圏がギリシャの債務を持続可能なものにする措置で合意しない限り支援策には加わらない考えだ。だが、ギリシャ政府とその債権団が同国の長期的な財政目標や目標達成のための政策で合意するまで、ユーロ圏諸国にはギリシャに必要な債務減免の規模が分からないだろう。欧州ではこれからしばらく国政選挙が相次ぐが、その前に早急に合意が成立しなければ、次は夏場近くまでチャンスが無いかもしれない。そうなれば、交渉がまとまるまでにギリシャは再び資金逼迫(ひっぱく)に直面し、現行支援策の効果は薄れてしまう公算が大きい。

 誰もギリシャへの金融支援が再び失敗することなど望んではいない。ギリシャの地政学的重要性が増しつつあるいま、支援策の成功を願う声はなおさら強い。だが当局者の間では、現状打破は厳しく、恐らく9月に行われるドイツの連邦議会選挙が終わるまでは無理だとの声も上がっている。ギリシャを巡る意見対立をなかなか解消できずにいるユーロ圏だが、イタリアへの支援が必要になった場合、果たして対応できるのだろうか。

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http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/580.html

[経世済民116] 残業ゼロがすべてを解決する (第6回)  残業を減らさないと ヤバイ「4つ」の理由  
残業ゼロがすべてを解決する
【第6回】 2016年12月10日 小山 昇
残業を減らさないと
ヤバイ「4つ」の理由
電通過労自殺事件で強制捜査が入ったいま、中小企業も大企業もお役所も「残業ゼロ」に無関心ではいられない。
小池都知事が「夜8時には完全退庁を目指す」、日本電産の永守社長が「2020年までに社員の残業をゼロにする」など、行政も企業も「残業ゼロ」への動きが急加速中!
株式会社武蔵野は、数十年前、「超ブラック企業」だった。それが日本で初めて日本経営品質賞を2度受賞後、残業改革で「超ホワイト企業」に変身した。
たった2年強で平均残業時間「56.9%減」、1.5億円もの人件費を削減しながら「過去最高益」を更新。しかも、2015年度新卒採用の25人は、いまだ誰も辞めていない。
人を大切にしながら、社員の生産性を劇的に上げ、残業を一気に減らし、過去最高益を更新。なぜ、そんな魔法のようなことが可能なのか?
「日経新聞」に掲載後、2日連続Amazon総合1位となった『残業ゼロがすべてを解決する』の小山昇社長にその秘密を語ってもらった。

経営者を襲う4大ショック


小山昇(Noboru Koyama)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。2004年からスタートした、3日で108万円の現場研修(=1日36万円の「かばん持ち」)が年々話題となり、現在、70人・1年待ちの人気プログラムとなっている。『1日36万円のかばん持ち』 『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』 『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』 『強い会社の教科書』 (以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。
【ホームページ】http://www.m-keiei.jp/
 リーマンショック、東日本大震災、熊本地震、消費税増税、円高・円安、少子高齢化、市場の成熟化など、ここ数年、先が見えない状況が続いています。

 それでも社長は、「時代がどのように変わっていくのか」を見極め、時代の変化に合わせて会社をつくり変えていかなければなりません。

 中小企業が残業を減らす理由も、時代の変化に対応するためです。

 私は、時代認識として、「今、中小企業を取り巻く経営環境は、『4つの理由』から大きな変化にさらされている」と捉えています。

1. 消費税増税による雇用・採用の変化
2. 新卒社員のトレンドの変化
3.「月45時間以上」の残業は法令違反
4. 社員の「健康」を重視する機運

消費税増税による雇用・採用の変化

 政府は消費税増税(2014年4月)を機に、国債を買い戻し、そのお金が市場に流れ出たことで株価が上向きました。

 また、増税したことで公共投資が増え、それに応じて、公共事業を中心に雇用も増えています。

 ところが、仕事は増えているのに人手が足りません。
人手不足を招いた原因は、2つあります。
 ひとつは、新生児の数より亡くなる人の数が増え、人口が減少していること。
 もうひとつは、最低賃金が上昇したことで就職先の選択肢が増え、売り手が有利になったことです。

 これまでは、「人が辞めても、新しい人を採用すればいい」と考えることができました。

 でも、これからは違います。

 その人が辞めたら、次はいない。
 増税を境に、「辞めても次の人がいる時代」から「辞めたら次がいない時代」へと変わったのです。

 社員が辞める。募集をかけても人が集まらない。すると、残った人たちの負担が増えて、組織が疲弊します。

 そして、疲れ果てた社員がまた辞めていきます。この負のスパイラルの行き着く先は“倒産”です。

 消費税が上がるまでは、「営業戦略が巧みな会社」や、「販売力のある会社」の業績がよかった。

 ところが、これからの時代は、「人を大切にする会社」が生き残ると私は考えています。

 時代が変わっているのに、自社の舵取りを変えないで過去にとらわれていたら、うまくいかないのは当たり前です。

 2014年までのわが社は、「5年以上勤めた社員が『辞める』と言ったら、引きとめない」ルールでした。

 ところが現在は、真逆です。

 人材の獲得が難しいので、「5年以上勤めた社員が『辞める』と言ったら、全力で引きとめる」ルールです。

 ルールを180度変えた理由は、時代が180度変わったからです。
 人手不足を解消するには、2つの方法があります。

「人が辞めないような対策を取る」ことがひとつ。
 そしてもうひとつは、「業務改善をして、今いる社員の生産性を上げる」ことです。

 生産性が上がれば、ひとりあたりの労働時間を減らすことが可能です。
 武蔵野が「残業時間を減らしながら、過去最高益を達成している」のは、世の中の変化(働く人たちの意識の変化)に合わせて、自社の仕組みを変えてきたからです。

小山昇(Noboru Koyama)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。2004年からスタートした、3日で108万円の現場研修(=1日36万円の「かばん持ち」)が年々話題となり、現在、70人・1年待ちの人気プログラムとなっている。『1日36万円のかばん持ち』『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』『強い会社の教科書』 (以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。
【ホームページ】http://www.m-keiei.jp/ http://diamond.jp/articles/print/109558
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/588.html

[不安と不健康18] 朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」 (第4回) 今日から超熟睡!睡眠薬に匹敵する4つの香りとは?
朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」
【第4回】 2016年12月10日 坪田 聡
今日から超熟睡!睡眠薬に匹敵する4つの香りとは?
「睡眠の『質』を上げれば睡眠『時間』は必要最低限に収められ、さらにこれまで以上に日中を快適に過ごせるようになる」と語る『朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」』の著者・坪田聡氏。
では、どう睡眠の質を上げていくのか。その具体的な策をお教えいただく。今回は、かんたんなのに、劇的に睡眠の質を上げられる「香り」について紹介してもらった。


科学的にも効果が証明されている、眠りの質を上げる香りとは?
Photo:Ryu K-Fotolia.com
睡眠薬に匹敵する「4つの香り」とは?

 拙著『朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」』では、気軽に取り入れられるのに、睡眠の質を劇的に上げられる“あるもの”を紹介した。
 それは「香り」だ。香りには、人間の心理状態を変える効果がある。眠りやすくなる香りの研究も進んでいて、科学的な効果が証明されているものもいくつかある。代表的なものは、次の4つだ。

・ラベンダー
・セドロール(シダーウッド) ※ヒノキやスギの香り
・コーヒー
・タマネギ

 それぞれの効果について説明していこう。
 まず、人間を睡眠に誘う香りとして最も有名なのがラベンダーだ。最近では、医療機関や介護施設でも使われている。

 英・ロンドンの老人病院での研究では、睡眠薬を常用している患者にラベンダーの香りを嗅いでもらったところ、睡眠薬なしでも眠りが深くなり、深夜の徘徊がなくなったという報告がある。さらに、日中の眠気は減り、メリハリのある一日を送れるようになったという。

 日本でも研究が進んでいる。大学生を被験者とした睡眠中の脳波実験で、大学生にラベンダーの香りをつけたふとんで眠ってもらったところ、ふつうのふとんで寝たときと比べて、深い睡眠をとれている時間が明らかに増えたのだ。ラベンダーの香りは、眠りを確実に促す。

 次に紹介したいのがセドロールだ。セドロールとは、ヒノキ科やスギ科の樹木の香りに含まれる物質。
 ヒノキでできた浴槽に浸かると、ふつうのバスタブよりもリラックスできているように感じるのは、セドロールによるところが大きい。針葉樹林での森林浴がストレス解消に効果的なのも同じ理由だ。

 大学生の被験者に、就寝2時間前から就寝2時間後までの計4時間、セドロールの香りを嗅いでもらった実験がある。この実験で特筆すべきは、セドロールの香りを嗅ぐと、嗅がないときに比べて、ふとんに入ってから寝つくまでの時間が45%も短くなったという結果が出たこと。これは睡眠薬の効果にも匹敵する数字だ。さらに、夜中に目覚める回数が減ったという結果も出ている。

 セドロールとラベンダーは、アロマオイルとして売られている。市販のアロマディフューザーを使って、寝室の香り環境を整えるとよい。

実は睡眠を促す「コーヒー」の香り


坪田聡(つぼた・さとる)
日本睡眠学会所属医師、医学博士。雨晴クリニック(富山県)副院長。睡眠専門医として、20年以上現場に立ち続ける。日本睡眠学会の他、日本スポーツ精神医学会、日本医師会、日本コーチ協会にも所属。ヘルスケア・コーチング研究会代表世話人も務める。1963年生まれ。石川県在住。日本を睡眠先進国にし、睡眠の質を向上させるための指導・普及に努める。2006年に生涯学習開発財団認定コーチの資格を取得し、「睡眠コーチング」を創始。2007年から生活総合情報サイト「All About」の睡眠ガイドとして、インターネット上で睡眠に関する情報を発信中。『脳も体も冴えわたる 1分仮眠法』(すばる舎)、『快眠★目覚めスッキリの習慣』(KADOKAWA)、『能力が5倍アップする 睡眠法』(宝島社)、『専門医が教える毎日ぐっすり眠れる5つの習慣』(三笠書房)など著書多数。
 そして、コーヒーの香りも睡眠にはもってこいだ。鎮静効果より覚醒効果のほうが高そうなコーヒーだが、香りを嗅ぐだけならば睡眠を促す効果がある。コーヒーの香りを嗅いだときの脳波を調べると、リラクゼーションの指標であるアルファ波が多く出ていることがわかっているのだ。

 ただ、豆の種類によってその効果は異なる。睡眠作用を高めるのは、グアテマラとブルーマウンテン。アルファ波を増やし、気持ちが落ち着いて眠りやすくなる。

 また、意外かもしれないが、タマネギの香りにも睡眠を促す効果がある。
 過去に私が企画協力したテレビ番組で、いつも昼寝をしないで先生の手を焼かせている幼稚園児に、タマネギの香りを嗅がせ、眠るかどうかを調べたことがあった。

 タマネギの香りがない部屋の園児たちはいつも通り眠らずに元気そのものだったが、刻んだタマネギを置いた部屋の園児たちは、ほとんどが自然に昼寝に入っていた。

 実は、タマネギの香りに含まれる硫化アリルという物質には、気持ちを落ち着かせ、眠りを誘う効果がある。硫化アリルはタマネギだけでなく、ネギ、ニラ、ニンニク、ラッキョウなど、独特の刺激的な香りを放つ食材に多く含まれる。

 ただ、香りが強すぎるのは逆効果。タマネギを刻んで部屋に置く場合は、香りがするかしないかくらいの少量でよい。

 今回は、すぐに取り入れられる「香り」について紹介した。拙著『朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」』では、その他にも睡眠の質を上げる方法を多数紹介している。ぜひ、参考にしてほしい。
http://diamond.jp/articles/-/109569

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/226.html

[国際16] 「トランプ氏当選のためロシアがサイバー攻撃」CIAが報告 オバマ大統領、退任までに調査を指示
「トランプ氏当選のためロシアがサイバー攻撃」CIAが報告 オバマ大統領、退任までに調査を指示
The Huffington Post | 執筆者: Mary Papenfuss
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投稿日: 2016年12月11日 10時02分 JST 更新: 3時間前 PHOTO
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http://i.huffpost.com/gen/4925274/thumbs/o-PHOTO-570.jpg
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アメリカ中央情報局(CIA)は、アメリカ大統領選で共和党候補ドナルド・トランプ氏が勝利するように、ロシアがサイバー攻撃を仕掛けたという分析結果をまとめた。ワシントンポストが12月9日に報じた。

大統領選期間中に民主党全国委員会(DNC)や民主党候補ヒラリー・クリントン氏の選挙陣営が不利になるような情報がハッキングされ、再三にわたって内部告発サイト「ウィキリークス」を通じてメールが暴露された。情報筋は、この暴露は、アメリカ人の政府に対する信頼を失わせる意図でロシア側が仕掛けたものだと指摘してきた。

ワシントンポストに語った情報筋によると、CIAは、ロシアが明らかにトランプ氏勝利を狙って情報操作していたと結論づけているという。

「ロシアの目的は、2人の候補者のうち1人の候補者が有利になること、つまりトランプ氏当選を助けることだったとCIAが分析している」と、政府関係者がワシントンポストに語った。「これが一致した見解だ」

トランプ陣営は9日、アメリカの情報機関はその信頼性に疑問があるため、報告は信用できないと述べた。「今回の報告は、サダム・フセインが大量破壊兵器を保有している、と発表したのと同じ情報源からきたものだ」と、トランプ氏の政権移行チームは声明を発表した。「選挙は史上最多ともいえる選挙人を獲得し勝利した。はるか昔に終わったことだ。今は前進し、『アメリカを再び偉大にする』時だ」

ロシアのウラジミール・プーチン大統領が、トランプ氏の大統領就任を望んでいるのは驚く話ではない。トランプ氏は選挙期間中、KGB(旧ソビエト連邦国家保安委員会)の後身でロシア連邦保安局(FSB)長官だったプーチン大統領を賞賛していた。トランプ氏はプーチン大統領を、「バラク・オバマよりも優れた指導者だ」と発言していた。

公表された漏えい情報の中で、トランプ氏と共和党に関するものはほとんど含まれていなかった。しかし一方で、クリントン氏と民主党による内部機密や個人のメール通信は多数暴露されていた。


【参考記事】「民主党はサンダースを勝たせたくなかった」ウィキリークスが暴露 → 党の全国委員長が辞任に追い込まれる


ニューヨークタイムズによると、ロシアは共和党全国委員会を(RNC)をハッキングしたが、情報を公開しない選択肢をとったと、CIAが結論づけているという。

さらに、CIA職員は、少なくとも2州の有権者登録データベースに、ロシア政府関連のハッカー集団が、不法侵入したことを発見していた。

ハッカー集団とロシア政府との関連性は、2016年前半にCIAが把握していた。しかしトランプ氏は、ロシアの関与に関してまともにとりあっていない。今回の分析が明らかになる前から、トランプ氏はCIAの調査結果を、政治的に動機付けられたものであり、確実な証拠に基づいたものではないとして非難した。

「私はそんな話は信じません。(ロシアが)干渉しているとは思いません」と、トランプ氏は、タイム誌の『パーソン・オブ・ザ・イヤー』に選出された時のインタビューで語った。

「そんなことは笑い話にはなっても、真面目に話すことではない。私が何かをするといつでも、彼らは『おお、ロシアが干渉した』って言うんですよ」

ハッキングは、「ロシアの可能性がある。中国の可能性がある。そしてこれは、ニュージャージー州出身の人間(クリントン氏)の可能性がある」と、トランプ氏は語った。

トランプ氏は選挙運動中に行った7月27日の会見で、ロシアにハッキングを求めるような発言をしている。「ハッキングが事実なら、ロシアはおそらくクリントンの3万3000通のメールを持っている。私は彼らが持っていることを願っている」


【参考記事】ドナルド・トランプ氏、ロシアにハッキングを促す「クリントン氏のメールを見つけてくれ」


アメリカのサーバーが別の国家にハッキングされたことを積極的に支持する発言をし、アメリカの行政機関の極めて重要な不文律を破ったこの発言は、激しい論争を呼んだ。トランプ氏は後になって、「皮肉を言っただけだ」と主張していた。

共和党首脳のミッチ・マコーネル上院院内総務は、9月の機密情報に関する説明会で、ハッキングとロシアの関係についての疑念があると表明していた。マコーネル氏は今回のCIAの分析に関して、ワシントンポストにコメントしなかった。

ワシントンポストによると、ロシアの目的がトランプ氏当選にあったことが「明白だ」とした分析は、先週アメリカ議会の説明会で、主要な上院議員に共有されている。CIA職員はいくつかの情報筋から、ロシア政府と関連のある具体的な個人名を特定している。彼らはウィキリークスに、ハッキングされた数千件のメールを提供したとみられる。

オバマ大統領は議会からの要請を受け、ロシアのハッキングに関して全面的に調査し、2017年1月の退任までに調査報告書をまとめるよう指示したと9日に発表した。議会にも報告書に関して概要説明を行う。

「2008年、そしてこの今回の選挙で、悪意あるサイバー攻撃があったことを確認している」と、オバマ政権のテロ対策と国土安全保障省顧問を務めるリサ・モナコ次席補佐官は会見で述べた。「私たちは新たな分岐点に差し掛かっているようだ。詳細に調査し、事後検証を行い、起きたことを理解し、そして学んだ教訓を開示することが、私たちの責務だ」

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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トランプ・タワーに集まる人々
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Darren Ornitz / Reuters
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USA-TRUMP
Republican president-elect Donald Trump's Trump Tower is seen in the Manhattan borough of New York, U.S., November 27, 2016. REUTERS/Darren Ornitz
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トランプは「プーチンとは親友だ」と言っていた。でも今は「会ったこともない」と言っている。
http://www.huffingtonpost.jp/2016/12/10/trump-russia-cia_n_13555526.html
http://www.asyura2.com/16/kokusai16/msg/658.html

[経世済民116] 思いのほか弱くなかった日本の個人消費−GDP年次推計で上方修正 日本株は内需セクター堅調 ドル・円2月来高値圏、OPEC
思いのほか弱くなかった日本の個人消費−GDP年次推計で上方修正
氏兼敬子
2016年12月12日 06:00 JST 

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• 関連指標が経済実態を反映していないとする日銀の指摘を後押し
• 予算を割いて関連指標の精度向上を−第一生命経済研究所の新家氏

1990年代のバブル崩壊前に消費の限りを尽くした日本の消費者は長らく続く経済の停滞に打撃を受け、今や倹約家ぞろいだ。安倍晋三政権が推し進めるアベノミクスの行方は国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費に左右される。

商店街を歩く買い物客(都内)

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
  内閣府が先週発表したGDPの年次推計で、2015年度の個人消費が、速報値の0.1%減から0.5%増へと大幅に上方修正された。速報値段階ではなかった供給サイドの最新データが反映されたためだ。個人消費は13年度、14年度ともに上方修正されている。14年4月の消費増税後の消費低迷からの回復は鈍いと言われてきたが、懸念したほど悪くはなかったようだ。
 

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iyPHI1xCxPIA/v2/-1x-1.png
  8日発表の7−9月期のGDP2次速報から基準改定を適用した。最新の国際基準に対応して1994年にさかのぼって再推計し、これまでGDPに含まれなかった研究・開発(R&D)費を設備投資や公共投資として加算したことなどにより、15年度の名目GDPは計532.2兆円と、旧基準から31.6兆円押し上げられた。
  これに伴い、安倍政権発足後の成長率は軒並み上方修正された。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iFeI5I07Rj7Q/v2/-1x-1.png
  今回の改定は、政府のGDP関連指標が経済実態を反映していないとする日本銀行の指摘を後押しする結果ともなった。日銀はこれまで、消費について自ら算出した「消費活動指数」の公表を始めるなど、独自の経済指標の作成に取り組んできた。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/idRhg96fqlY0/v2/-1x-1.png
  第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは金融・財政政策に影響を及ぼすGDP関連指標について「もう少し予算を割いて精度を上げた方がよい」と指摘。
  「消費増税が景気に悪影響を与えたことは確かだが、その悪影響の度合いは、これまで認識されていたよりも小さいものにとどまっていた」とした上で、「もし、最初からこの数字だったらどうなっていたのか。政策自体が変わっていた可能性がある」と述べた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-11/OHWSCN6S972P01

 

日本株は内需セクター堅調、金融や海運安い−TOPIX下げ場面
佐野七緒
2016年12月12日 08:03 JST 更新日時 2016年12月12日 13:48 JST

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原油先物急伸−サウジが一段の減産示唆、非OPECが合意参加
 
12日午後の東京株式相場は、一部アナリストの目標株価引き上げを受けた森永乳業など食料品株のほか、サービスや情報・通信、陸運、小売株など内需セクターが高い。半面、銀行や証券など金融株、鉄鋼など素材株、海運株は安く、TOPIXは一時マイナス圏に沈む場面もみられた。
  良好な米国経済統計や一時10カ月ぶりとなる1ドル=115円60銭台まで進んだドル高・円安の動きが好感され、リスク選好の買いが午前の取引では優勢だった。ただし、主要株価指数がほぼ1年ぶりの高値圏にある中、円安の勢い鈍化もあって午前終盤以降は次第に伸び悩み。13ー14日に米国の金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれるため、目先の損益確定売りが出やすい状況にもある。
  TOPIXは午後の取引で一時0.3%安の1520.23まで下げる場面があった。日経平均株価も、午前に一時284円56銭(1.5%)高の1万9280円93銭まで買われた後、伸び悩んでいる。
東証内
東証内 Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
  松井証券の田村晋一ストラテジストは、トランプ次期米政権の政策期待は続いているものの、日経平均が「節目の1万9000円を超え、これまで上昇を引っ張ってきた金融や資源株を中心に利益確定売りが出ている」とみる。トランプラリーのスタートから約1カ月が経過し、「追加材料がほとんどないまま上昇してきた。為替も115円台を付け、さらに円安方向に進んでおらず、リスクを追っていくこともしにくい」と言う。 
  トランプラリーが始まった11月10日から12月9日までの東証1部33業種の上昇率上位をみると、証券・商品先物(47%)がトップ。銀行(38%)、海運(37%)なども並び、きょうはこうしたセクター群の弱さが目立つ。
  きょう午後のドル・円相場は1ドル=115円50銭付近で推移。朝方は一時115円62銭と2月9日以来、10カ月ぶりのドル高・円安水準を付けた。日本株の前週末終値時点は114円44銭。
  ただし、良好な米国経済統計や原油市況の上昇などは投資家心理にプラスに作用しており、積極的に下値を売り込む向きも少ない。13ー14日のFOMCについて、金利先物が織り込む今回の米利上げ確率は100%。市場参加者の間では来年の利上げ回数について、米連邦準備制度理事会(FRB)首脳が示唆する内容を見極めたいとムードが広がっている。
  米国で9日に発表された12月のミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は、98と2015年1月以来の高水準となった。利上げ実施観測から同日の米10年債利回りは6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し2.47%。良好な景気動向を好感した米国株は、S&P500種株価指数が過去最高値を更新した。ニューヨーク原油先物は12日の時間外取引で、1バレル=54.51ドルと昨年7月以来の高値を付けた。ロシアなど石油輸出国機構(OPEC)の非加盟国は、日量55万8000バレルの削減で合意したことを受けた。
  東証1部33業種は食料品、水産・農林、サービス、情報・通信、小売、陸運、医薬品が上昇。海運や銀行、鉄鋼、証券・商品先物取引、非鉄金属、金属製品は下落。食料品では、東海東京調査センターが強気の投資判断を維持、目標株価を上げた森永乳業の上げが顕著だ。このほか売買代金上位では、産経新聞の報道をきっかけにソフトバンクとの回線接続交渉の再開観測が広がった日本通信が急騰。半面、三菱UFJフィナンシャル・グループや野村ホールディングス、東芝、三菱商事、SMC、コマツは安い。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-11/OI1LVH6TTDS101


 


ドル・円が2月来高値圏、OPEC非加盟国減産合意で−一時115円後半
池田祐美
2016年12月12日 11:22 JST 更新日時 2016年12月12日 13:22 JST
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一時115円62銭と10カ月ぶり水準まで上昇した後は伸び悩む
原油価格が上昇しているので米金利見通しを押し上げる要素−大和証
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12日の東京外国為替市場ではドル・円相場が一時1ドル=115円台後半まで上昇し、10カ月ぶりの高値を更新した。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟国が先週末に15年ぶりに協調減産で合意したことを背景に、リスク選好の円売りが先行。その後は伸び悩んでいる。
  午後1時20分現在のドル・円は前週末比ほぼ横ばいの115円30銭。一時は115円62銭と2月9日以来の水準まで上昇した。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は朝方に1254.71と1日以来の高水準を付けた。
  大和証券の亀岡裕次チーフ為替アナリストは、朝方のドル・円相場について、「OPEC非加盟国の減産合意の影響が大きい。リスクオンの円安に効いている」と説明。「今週は影響が残るだろう。原油価格動向がFOMCに影響するかについては、9月FOMCと比べて原油価格が上昇しているので、金利の見通しを押し上げる要素。FOMCでフェデラルファンド(FF)レートの見通しがどう変わってくるかが焦点」と述べた。
  OPECとロシアなど非加盟国は10日のウィーンでの閣僚会合で、非加盟国全体で日量55万8000バレルの減産で合意した。サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相とロシアのノバク・エネルギー相が中心となって、15年ぶりの減産合意が成立した。
  ニューヨーク原油先物相場はアジア時間12日の時間外取引で、一時1バレル=54.51ドルまで上昇し、昨年7月6日以来の高値を付けた。
  ソシエテ・ジェネラル銀行東京支店の鈴木恭輔為替資金営業部長は、「OPECからのネタで商品市況の上昇や金利高止まりはあるかもしれない」と指摘。一方で、「FOMCの市場コンセンサスは来年2回利上げと今のところなっているが、それをメルクマールにしながら出た結果を見ると思う」とも述べた。

  米金利先物動向に基づきブルームバーグが算出した予想確率によると、13、14日に開催されるFOMCでは利上げ実施が確実視されている。フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25%ポイント引き上げ、0.5−0.75%とする見通し。FOMCは来年の経済・政策金利見通しを公表し、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が記者会見を行う。
  大和証の亀岡氏は、「原油価格だけでなく財政政策の見通しも含めて金利見通しは出てくるので、12月の段階では目立った見通しの引き上げにはならないだろう。前回の9月見通しに近い内容になりそう」と分析。「FF金利見通しに大きな変化がなければ、ドル・金利には中立的要因か。若干引き上げ期待の方が強いとすれば、変わらずの結果となる場合、ドル・円の下押し要因となる可能性がある」と語った。
  12日の東京株式相場は5日続伸。TOPIXは一時前週末比1.2%高の1542.99と1月以来の高値を付けた後は伸び悩み、午後の取引ではマイナス圏に沈む場面も見られている。
  前週末9日の米国市場で、長期金利は6ベーシスポイント(bp)上昇の2.47%で終了した。12日の時間外取引では2.49%台まで上昇している。一方、米ミシガン大学消費者マインド指数が市場予想を上回る良好な数字となり、S&P500種株価指数は6日続伸し、過去最高値を更新した。ドル・円相場は10カ月ぶりに115円台を回復した。
  三菱東京UFJ銀行金融市場部為替グループの野本尚宏調査役は、「本日もシドニー入りからドル・円は底堅い形。今週はFOMCがあるため、金利も上がりやすく、ドル買いになりやすい」と述べた。ただ、「このドル高、金利上昇の流れにどれくらい株高が続くのかが不透明で、ドルの高値を追いかけてよいものかどうかは難しいところ」と語った。
  ソシエテ・ジェネラル銀の鈴木氏は、日米の金利差は拡大しやすい地合いとしながらも、「米国債のネットショートが膨らんでいるので、結構過熱感がある。どちらかというと調整しても良い感触を個人的に持っている」と言う。
カナダ・ドル紙幣
カナダ・ドル紙幣 Photographer: Brent Lewin/Bloomberg
  カナダ・ドルが全面高。対ドルで一時1ドル=1.3115加ドルと10月20日以来の高値を付けた。三菱東京UFJ銀の野本氏は、「OPECと非加盟国の協調減産合意を受けて、シドニー時間からカナダ・ドルが対ドルで買いが優勢になった。ドルの高値警戒ということで考えれば、対円なり対ユーロなりでドルを買って、そのヘッジとして対カナダ・ドルでドルを売るのも手かもしれない」と言う。
  ユーロ・ドル相場は同時刻現在、ほぼ横ばいの1ユーロ=1.0563ドル。朝方に一時1ユーロ=1.0520ドルと5日以来のユーロ安・ドル高水準を付けた。
  大和証の亀岡氏は、「ECBの金融政策は来年末まで緩和延長を決め、ユーロ売りとなったが、それも収まりつつある。一方で、イタリア暫定政権発足で総選挙回避の流れで、徐々にユーロ買い要素も出ている。一方的なユーロ安・ドル高にはならないのではないか」と説明した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-12/OI1UGE6JTSEB01

 

原油先物急伸−サウジが一段の減産示唆、非OPECが合意参加
Ben Sharples、Perry Williams
2016年12月12日 08:16 JST 更新日時 2016年12月12日 09:21 JST
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NY原油先物は一時3.01ドル高の1バレル=54.51ドル
日中取引としては昨年7月6日以来の高値
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原油先物相場は12日の時間外取引で大幅上昇。サウジアラビアが一段の減産の用意があることを示唆したほか、ロシアなど石油輸出国機構(OPEC)非加盟国が来年の減産に参加することを約束した。
  ニューヨーク原油先物市場のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物1月限は、一時3.01ドル高の1バレル=54.51ドルと、日中取引としては昨年7月6日以来の高値を付けた。香港時間午前7時35分(日本時間同午前8時35分)現在、54.05ドル。
   ロンドンICEの北海ブレント2月限は一時、3.56ドル上昇し1バレル=57.89ドルとなった。
  サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は10日、11月30日にOPECが合意した水準よりも大幅な減産の用意があると示唆。これに先立ち、OPECとロシアなど非加盟国はウィーンでの閣僚会合を開き、非加盟国全体で来年、日量55万8000バレルを減産することで合意した。OPECと非加盟国の減産合意成立は15年ぶり。

  原油先物相場はOPECが8年ぶりに減産で合意した11月30日以来、約20%上昇。2014年にOPECが生産調整を実質放棄する方針を採用した際に中心的役割を果たしたサウジは、今回は原油市場を再び掌握する取り組みを主導した。OPECと非加盟国の合意に参加する国の原油生産は世界全体の60%を占める。他の主要生産国の米国、中国、カナダ、ノルウェー、ブラジルは不参加。
  IGのチーフマーケットストラテジスト、クリス・ウェストン氏(メルボルン在勤)は、合意は「産油国がより高い原油相場での均衡を望んでいるという非常に力強いメッセージと言える」と指摘した。

  CMCマーケッツのチーフ・マーケット・ストラテジスト、マイケ ル・マッカーシー氏(シドニー在勤)は、「サウジとロシアは最大の輸出品である原油の価格上昇を切望しているというのが実情だ」と説明。「米国の目ざといシェール業者はWTI先物が60ドルに達するかなり前に市場に戻るだろう」と指摘した。
  
ロシアなど非加盟国も減産に合意(ロシアの油田)
ロシアなど非加盟国も減産に合意(ロシアの油田) Photographer: Andrey Rudakov/Bloomberg
原題:Oil Surges as Saudis Eye Deeper Cuts While Non-OPEC Joins Deal(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-11/OI1NBR6K50XT01

http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/617.html

[経世済民116] 野村が挙げる2017年の「グレースワン」リスク10項目−来年も眠れない 日銀はテーパリング、債券購入は年70兆円に向かう
野村が挙げる2017年の「グレースワン」リスク10項目−来年も眠れない
Isobel Finkel、Natasha Doff
2016年12月12日 07:30 JST 

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• 米国の生産性急上昇、人民元の変動相場制移行
• 英EU離脱からの離脱、トランプ次期大統領とFRBの対立
 
市場の「ブラックスワン」が急速に「グレー」スワン化しつつある。まずはあり得ないとされた事象が次々と現実になったからだ。
  英国民の欧州連合(EU)離脱選択や米大統領選でのドナルド・トランプ氏勝利、債券の強気相場の行き詰まりといった今年の事象は、アナリストによる2017年のテールリスク予想を華やかな年末シーズンの読み物というよりも眠れぬ夜が続く原因にしている。
  野村のアナリストも最近、リスクを警告した。新興市場の資本規制や長年見えなかった日本のインフレの加速、米連邦準備制度と米政府の対立といった可能性を含め、「確率は低くてもいったん起きればインパクトの大きいイベント」に投資家は備えるべきだとしている。
  「言うまでもなく、どれもわれわれの基本シナリオではない」とアナリストらは注意書きしているが、今年の混乱で痛手を負った投資家はもちろん、これが必ずしも起こらないことを意味するわけではないと認識している。

グレースワンリスト筆頭はロシアの軍事行動(クレムリン)

Photographer: Andrey Rudakov/Bloomberg
  あなたの17年を混乱させかねないイベントとして野村が挙げた10項目は以下の通り。
1.ロシアの軍事行動リスク
  プーチン大統領がクリミア半島を2年前に併合してからグレースワン・リストに常に掲載されているのがロシアによる東欧への軍事侵攻リスクで、来年も最大のリスクの一つ。野村によると、現実的に軍事侵攻がある可能性は低いものの、米国の外交政策が変化したり、欧州でポピュリスト(大衆迎合主義者)が指導者として選出される場合、そのための地ならしになる公算がある。
2.米国の生産性の急上昇
  トランプ次期米大統領の財政刺激策は生産性向上を目標とすべきだと米金融当局者が主張する中、研究開発投資の増加が既にその下地を作っている可能性があると野村は指摘する。1990年代のテクノロジーブームのように、予測されないまま現実化するだろうが、その場合にはより急ピッチな利上げや持続的な株価押し上げなどの影響を及ぼし得る。

3.中国人民元の変動相場制導入
  最近の資金流出が示唆するように、中国が通貨体制の自由化を急ぎ、国際収支の衝撃が発生する可能性がある。中国が向こう1年でその目標を達成する確率は「極めて低い」が、そうした事態になれば元安に備えるべきだと野村のアナリストは主張する。
4.英EU離脱からの離脱
  メイ英首相は来年3月末までに離脱プロセスに着手すると表明し、「離脱は離脱だ」というキャッチフレーズで本気度を強調しているようだが、2つの大きな番狂わせの可能性がある。1つは英国の最高裁での離脱問題審理が総選挙の引き金となり、議会の親EU派が勢いづく可能性で、もう1つはEUがさらなる分裂を抑えようと英国のメンツを保つ譲歩を行うという展開だ。
5.新興市場の資本規制
  トランプ次期米大統領が計画する財政刺激策で米国の利回りが上昇しドル高が一段と進めば、新興国は「顕著な資金流出」に直面し、政策当局者がこぞって行動を起こす可能性がある。
6.日本のインフレ率急上昇
  日本のインフレ率は来年緩やかに上向くと市場が織り込むのが誤りだったらどうだろうか。原油値上がりと円安が重なってインフレ率が急上昇し、日本銀行が10年債利回りを0%に誘導する目標を解除して行動する可能性はある。インフレ率と世界の主要債券利回りは極めて相関性が高いため、こうした政策転換は世界的に影響を及ぼすだろう。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/icGPnlSCbvTQ/v0/-1x-1.png

7.清算機関の危機
  野村が描く最悪のシナリオでは「セントラル・カウンターパーティー(CCP)を中心に銀行の経営難や担保価値の低下、過大評価された市場の急変が相互作用すれば」危機につながる可能性があるという。
8.トランプ氏とFRBの対立
  米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は任期を全うする考えを示しているが、トランプ氏は選挙戦でイエレン議長を厳しく批判した。野村はFRBの責務見直しを可能性は低いものの17年のリスクの1つとしているが、もっと公算が大きいのはトランプ氏が自身の考えに賛同する人物を理事に指名することだという。
9.アベノミクスの頓挫
  日本の総選挙で最も可能性が高いのは、安倍晋三首相への支持が一段と強固になるシナリオであり、これはつまり、今の安定を崩すものが出れば何でも、市場に大衝撃が走ることを意味する。安倍首相の求心力が弱まれば、アベノミクス相場の巻き戻しを招きかねず、日本株はその矢面に立される。
10.現金の時代の終わり
  電子決済がいずれ紙幣や硬貨に取って代わるのは不可避なようだが、そうした時代が比較的早期に来るかもしれない1つの理由として、野村はマイナスの利回りを指摘。電子マネーはマイナス金利を避けるためのタンス預金の動きを防止する。このシナリオへのリスクはもちろん、預金者が痛手を受けることであり、消費者が新たな交換可能通貨を考案し始めることだ。
  
  
原題:Nomura Has 10 ’Gray Swan’ Risks That Could Roil Markets in 2017(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-11/OHWII36JIJVV01

 

日銀はテーパリング、債券購入は年70兆円に向かう−枠組みシフト
Christopher Anstey、ジェームズ・メーガ
2016年12月12日 07:03 JST

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• 市場環境が許せば80兆円の目標は撤廃されるだろう
• 来年度前半の撤廃見込むストラテジストも

日本銀行は金融による景気刺激策としての量的緩和(QE)の一つの枠組みから離れる方針を示唆した。そして実践している。
   日銀は国債保有を年80兆円増やす目標を形の上では維持しているが、実際には70兆円の方に近くなりそうだ。ブルームバーグのデータによれば、今年これまでの合計は71兆7000億円、前年同期は75兆3000億円だった。
  日銀は9月以降、短期と長期の債券利回りの差、つまりイールドカーブをコントロールする政策枠組みを採用している。ただ、市場が有害な反応をすることへの懸念を一因に、従来の量的目標も維持している。量的目標を撤廃しても円が急騰しないと黒田東彦総裁ら当局者が確信すれば、撤廃される公算だ。

日銀本店

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  野村証券投資情報部チーフ・ マーケット・エコノミストの木下智夫氏は、イールドカーブをコントロールするのに80兆円買う必要はないと指摘。日銀がある時点で80兆円を声明などから落とすだろうと語った。

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  一つの問題は政策委員会メンバーの中に国債購入継続の賛成派がいることで、採決で票が割れれば日銀の姿勢について市場に矛盾したシグナルを送りかねない。
  黒田総裁は9月21日に採用した新政策について、より持続可能だと繰り返し強調している。債券投資家はかねて、日銀が購入する債券の不足に直面することを警告してきた。

    三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、ひたすらマネーサプライ拡大を追求すれば利回りが下がり過ぎると指摘。必要なのは10年債に集中することなので、買い過ぎないように調整する必要があると解説した。
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  幸いなことに、9月の政策修正後に市場は悪い反応を示さず、最近はトランプ次期米大統領の政策への期待などを背景にリフレ派が望んだ円下落と株式相場上昇が実現した。このままいけば日銀は安心して声明の文言を微調整することができるかもしれない。
  一つのシナリオとしては、日銀が来年度の前半に債券購入の目標を金額から、現水準前後という文言に変えることが考えられると稲留氏は話した。
原題:BOJ Tapering Sees Bond Buying Slow Toward 70 Trillion Yen(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-11/OHX0BK6K50ZH01

http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/618.html

[不安と不健康18] 不眠症の「早朝覚醒」を直すには就寝前に立ったままテレビを見るのも一案 毎年、米国の成人の約30%が不眠症に悩まされている
不眠症の「早朝覚醒」を直すには就寝前に立ったままテレビを見るのも一案
毎年、米国の成人の約30%が不眠症に悩まされているという
2016 年 12 月 12 日 13:55 JST

 早朝4時に目が覚め、その後眠れなくなるのも不眠症の一種だ。そのつらさを避けるための対策にはシンプルかつ意外な方法がある。就寝前のテレビの見方を変えることも解決策になり得る。

 心理学者たちは、早く目覚めてしまうことを早朝覚醒と呼ぶ。誰もが経験することだが、頻度が多いと不眠症になる。60歳以上の人に起きやすいが、若い人が悩まされる場合もある。また、症状が出やすい家族もいる。特定の遺伝子変異が「概日リズム(いわゆる体内時計)」障害をもたらす場合があるからだ。

 各種の研究によると、毎年、米国の成人の約30%が不眠症に悩まされている。全体の約10%は、少なくとも週3回眠れない状態が3カ月以上続く慢性不眠症だ。不眠症は症状で3種類に分類される。就寝時間になってもなかなか寝付けない入眠障害、夜中に目が覚める中途覚醒、それに早朝に目が覚めてしまう早朝覚醒の3つだ。慢性不眠症の人の多くは、2つ以上の症状に悩まされている。

 慢性不眠症は通常、薬物療法や行動療法で対処する。各種の研究によれば、この両方とも効果を発揮する傾向がある。しかし、米ピッツバーグ大学医学部のダニエル・J・バイシー教授(精神医学)によると、アンビエン(日本名マイスリー)やルネスタなどの薬品は、早朝覚醒の人にとってはあまり有益でない。薬がすぐに血流から抜け、効果が失われるためだという。

加齢で体内時計が早まる傾向

 そのためテマゼパム、ロラゼパムやドキセピン(商品名Silenor)など、血流により長くとどまる薬品を選んだ方がよいと、バイシー教授は話す。一方、不眠症の認知行動療法には、睡眠制限(眠れないときに布団の中で過ごす時間を制限する)や、刺激統制(寝室では睡眠および性行為しか行わない)といった手法がある。

 早朝覚醒は、うつの一症状である場合もある。また、体の睡眠と覚醒のサイクルを決める概日リズムが狂うことで生じる場合もある。人は年齢を重ねるにつれて概日リズムが早い時間にシフトする傾向がある。このため正常とされる睡眠時間とのミスマッチが生じ得る。夕食を取った直後に眠くなって、そのまま眠り込み、早朝に目覚めてしまうわけだ。

 「『定年になって引退したら、とにかく眠りたいと思っていたのに、今は眠れない』という患者を多く見かける」。カリフォルニア大学ロサンゼルス校の臨床心理学者で、睡眠に詳しいジェニファー・L・マーティン博士はそう話す。

 概日リズムのシフトと早すぎる就寝時間が早朝覚醒の原因である場合、解決のカギは体内時計をより遅い時間にリセットすることだ。これは夜になったら患者を明るい光にさらす方法をとる。患者の目に光を当てるゴーグルやライトセラピーボックス(光療法用の機器)などを使う。ダートマス大学医学部のマイケル・セティア名誉教授によると、午後10時に就寝して午前6時に目覚めることを患者が目指しているのなら、午後7時前後に30分間明るい光を浴びるとよいかもしれない。夕方の運動も役立つ場合があるという。

目が覚めても時計は見るな

 こうした患者はテレビを見ながら寝てしまいやすい。そこで前出のバイシー博士は、立ったままテレビを見るか、座り心地の悪い椅子に腰掛けて見ることを勧める。またマーティン博士によると、きょうだいに毎晩電話する時間を設けて就寝時間まで寝ないようにしている患者もいるという。

 早朝に目が覚めてその後は眠れないときはどうすべきか。マーティン博士はまず、時計を見ないようにすべきだと述べる。目覚まし時計が鳴るまであとどのくらい眠れるかなどと計算すると、ストレスを感じて眠れなくなるからだ。イライラし始めたら起きて何かをするのがよい。また眠くなったら布団に戻る。

 早朝に目を覚ますと、やるべきことがあれこれ気になる人がいる。そんな人には、やるべきことを夜寝る前に片付けてしまう計画を立てるよう、マーティン博士は勧める。「目を覚まして、税金の申告書類の作成を心配し出すような人なら、夜テレビの前に座るのではなく、書類の作成に取り組むべきだ。頭の中から税金を排除できる」

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http://jp.wsj.com/articles/SB12340534005287504876604582491893892523210


http://www.asyura2.com/16/health18/msg/230.html

[政治・選挙・NHK217] 「外国人歓迎」と言いつつ鎖国続ける嘘つき日本 精神を病む社員が急増、長時間労働を無くすには 「揺らぎ」が組織に与える刺激
「外国人歓迎」と言いつつ鎖国続ける嘘つき日本

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いまだ変わらない「仕方ないから外国人で」的差別意識
2016年12月13日(火)
河合 薫

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/120900082/1-g1.jpg

「強制退去処分取り消し請求」を東京高裁で棄却されたウォン・ウティナン君(写真:ロイター/アフロ)
「今後については、いまこの状況で考えられません。甲府に帰って少し気持ちを落ち着かせて考えたい。日本にいたいです」

 言葉少ない少年の会見は、なんだか無性にせつなかった。ウォン・ウティナン君、16歳。先日、東京高裁から「強制退去処分取り消し請求」を棄却された、甲府で生まれ育ったタイ国籍の高校2年生だ。

 ウティナン君の母親は、1995年9月に来日。タイ人ブローカーに「日本で飲食店の仕事を紹介する」と言われて来たものの、実際には全く違う仕事を強要され、やがて不法滞在に。ウティナン君は、母親の来日後に日本で生まれた。

 2013年夏、母親とともに東京入国管理局に出頭。「日本で暮らし続けたい」と在留特別許可を申請する。しかしながら、2014年に強制退去処分を受け、母親とともに提訴するも今年6月の一審で東京地裁は訴えを退けた。母親は控訴せずに帰国し、ウティナン君だけが控訴していたのだ。

 ウティナン君は幼い時、家の中で隠れるように過ごす日々を送り、小学校に通えなかったそうだ。それでもどうしても「学校に通いたい」と、甲府市の在日外国人人権団体オアシスに相談。で、オアシスが教育委員会と交渉し、2013年4月に甲府市の中学2年に編入した。

 ウティナン君は日本から出たことがなく、タイ語の読み書きはできないという。オアシスの山崎俊二事務局長は「親が不法滞在でも、子は生まれた場所で暮らす権利がある。行ったこともない国にいきなり住めと言うのは乱暴で、人道的措置が必要だ」と訴える。

 一方、東京高裁は、ウティナン君は中学に編入するまではタイ人のコミュニティーで暮らし、タイ語での意思疎通ができることなどから「退去強制で著しい不利益を受けるおそれがあるとは認めがたい」と判断した。

 この判決には賛否両論ある。が、個人的にはもっと柔軟に対応して欲しかった。もっと子どもの人権に配慮してもいいのではないか、と。

 母親が不法就労だったとしても、「日本で生まれたこと自体が悪いみたいで、悔しい」なんて悲しいことを言わせてしまうこの国って、何なんだ?(ウティナン君は関係者にこう漏らしていたという)

 これまでにも親の不法滞在が理由で、強制帰国させられた子どもたちはいた。数年前にTBSの報道番組で特集されたことがあったが、そのとき画面に映し出された子どもたちもみな、ウティナン君と同じ悲しみに暮れたまなざしをしていたのを覚えている。

 そもそもこれは「子ども」の問題ではない。不法滞在した「母親」だけの問題でもない。日本の「外国人労働者の受け入れ方」と同根の問題である。

 外国人労働者が技能実習生という名の下、低賃金、重労働の仕事につき、非人間的扱いを受けていることは周知の事実だ。厚生労働省も2014年だけで、実習実施機関に3918件の監督指導を実施。そのうちの76%で労働基準法関係法令違反があり、最低賃金のおよそ半分である時給約310円での業務従事や、月120時間の残業、さらには安全措置が講じられていない就労があったこともわかっている。

試験「ふりがな」問題で感じたこと

 奇しくもこの11月、介護現場での外国人就業の拡大につながる改正入管難民法が参院で可決、成立した。来年には、入管難民法の在留資格に「介護」が追加され、外国人技能実習制度に基づく介護分野での実習生受け入れが可能になる。

 コレって、本当に大丈夫なのだろうか?

 外国人技能実習制度は世界の人身売買の実態をまとめた米国の報告書や、国連の人権に関する報告書、さらには国際労働機関(ILO)の報告書でも、
「外国人がパスポートを取り上げられたり高額な保証金を徴収されたりするなど、強制労働に悪用されるケースが後を絶たない」
「人身売買される奴隷の状態になっている」
「人権の保護の構造的な問題は改善されていない」
などと批判されている。

 日本の介護職員不足解消の特効薬になると関係者は胸を張るけど、母国を離れて遠い日本にやってくる“外国人労働者”の人権を、日本はきちんと守ることができるのだろうか。

 前置きが長くなった。今回は「外国人労働者の人権」について、アレコレ考えてみる。

 まずはこちらの表をご覧ください。これは経済連携協定(EPA)に基づく、外国人看護師候補者の看護師国家試験の合否結果である。第1回の合格者数は、なんとゼロ。82名ものインドネシア人の看護師たちが挑戦して、誰1人受からなかったのである。その翌年もわずか3人で、2012年に、合格率はやっと1割を超え11.3%(合格者47名)となった。


(出所:厚生労働省)
 EPAに基づく外国人の看護師・介護福祉士候補者の受け入れが始まったのは2008年。これは外国人の就労が認められていない分野において、二国間の協定に基づき公的な枠組みで特例的に行うもので、日本での受け入れ施設で就労しながら国家試験の合格を目指した研修に従事する。協定で認められる滞在の間(原則として看護3年間、介護4年間)に国家資格を取得できれば、看護師・介護福祉士として滞在・就労が可能だ(在留期間の更新回数に制限無し)。まずはインドネシアからスタートし、その後、フィリピン・ベトナムを含めた3カ国に広がった。

 ただ、先に紹介した表でもわかるように、受け入れはなかなか進まず、合格率の低さはメディアでも大きく取り上げられた。小宮山厚労大臣(当時)が2012年、翌年の国家試験からは候補者向けの特例措置として、試験におけるすべての漢字に振り仮名をつけ、試験時間も延長する方針を示したほどだった(その後、ともに実施)。

 看護師の仕事は人の命に関わる仕事だし、日本人でも看護師の国家資格が必要なので、外国の候補者においても国家資格が必須であることはわかる。が、母国語が日本語ではない人たちが受ける国家試験に、漢字に振り仮名も付けていなかったとは、どういうことなのだろう?

 外国人を日本社会で受け入れるのであれば、振り仮名は当たり前だし、試験時間延長なんてもんも当たり前の話ではないか。

 そもそも、日本には、外国人看護師を受け入れようという気持ちはさらさらない。申し訳ないけど、私にはそうとしか思えなかった。

「日本語」の次には「外国籍」という越え難い壁

 同様に、介護福祉士に関しても大きな問題がある。

 最初の試験が行われた2012年、私が受け持っていた社会人向けの講座に外国人介護士研修生と同じ施設で働く女性がいた。

「EPAで日本にくる人たちは、母国では相当のエリートです。日本語も日常会話は困らない人がほとんどで、彼らは介護の研修を受けながら、日本語の勉強と国家試験の勉強をしなければならないんです。国家試験には、日本人の自分でさえ読めない漢字も使われているし、介護施設で長年働いていてもわからない問題も多い」

 彼女がこう嘆いていたのだ。

 EPA1期生の介護福祉士国家試験合格率は、36.3%。日本人を含めたこの年の全体の合格率が64.6%なので、およそ半分の合格率だった。しかも、当時、彼らは一発で合格しなければ母国に強制帰国させられてしまうルールだった(現在は2回まで受験が可能。また、2015年データによれば、インドネシア人の初回受験合格率は64.6%で、フィリピン人は同50.0%)。

 彼らの母国では、大家族制度が残っていることもあり、介護施設はほとんどなく、日本に比べれば介護職のニーズはゼロに等しい。

 つまり、日本で必死に学んだ介護の知識を生かす場が、母国にはなかなかない。エリートとされる彼女たちが夫や子どもと離れ、異国の地で血のにじむような苦労をして3・4年間もかけてせっかく学んだ知識が、受験失敗により無駄になってしまう可能性もある。

 どうしてこれほど、「壁」が高くなってしまうのか。そう考えながら、今から数年前にテレビで流れた、外国人留学生を対象にした企業合同説明会の様子を思い出した。

 そのときに抱いた私の違和感はこのコラムでも書いたが(「楽天・三木谷会長の英語にツッコむ日本人の本末転倒」)、日本人は「日本人が話す英語」にも厳しければ、日本で働く「外国人の日本語」にもかなり厳しい。その厳しさといったら、不可解極まりないほどである。

 異国の地から言葉も文化も違うこの日本という国に来て、いろいろと苦労するであろう「外国人」に、日本人でも一部読めないような「日本語」まで短期間での習得を求め、「日本語のアクセントが気になる」と採用をためらう日本人って、いったいナニ?

 日本と同じように少子高齢化で、介護や看護の人材が不足しているドイツでは、同じ国家試験でも外国人には口頭で試験で行っている。ただでさえ日本語は、ひらがな、カタカナ、漢字を使う世界でも有数の難しい言語だ。

 生っ粋の日本人よりよほど丁寧で、しっかりした日本語を話す外国人に対しては「日本人じゃない」というだけで評価のハードルを上げる。まずは言葉でふるいにかけ、さらには、本人にはどうしようもない国籍という条件で仲間入りを拒む。これが、一面から見た「日本人」のリアルなのだ。

依然として続く「見えない鎖国」

「現場の介護労働では、高度な日本語能力は必ずしも必要ないと思います。風呂、食事などの単語がわかるだけでそこそこいけるし、介護される人が何かで困っている様子を感じるハートさえあれば、日本人スタッフにつないでくれればいいだけの話です。外国人が、わざわざ不慣れな日本語で、高齢者から詳細なヒアリングをする必要は全くないと思います」

 こう話すのは介護現場で働いている、大学院時代の私の後輩である。

 彼が所属する法人では、創始者の「ダイバーシティ雇用を大切にしたい」との考えから積極的に外国籍の方を受け入れていて、40名ほどの外国人の人たちが働いている。しかし、EPAや実習生の受け入れといった制度は使っていない。介護福祉士の資格取得支援のシステムは取り入れてはいるが、その目的は資格取得そのものにはない。

 資格以上に大切なのが、「この職場で大切にすべきことは何か?」といった法人の理念だ。そこで理念を記したスタッフブックなどは4カ国語で対応し、外国籍の方をサポートする選任のスタッフもいるそうだ。

「外国人の方と一緒に働いていて痛感するのは、彼らの普段の生活面でのサポ—トの重要性です。政府は日本人と同一賃金を保証すべしと言いますが、問題はお金だけでありません。

 外国人の夫を持つ私の知人が、日本人の夫を持つ場合と比べて保育園の費用が高く提示され、区役所と交渉してようやく同一の条件になった事例がありました。その知人が『見えない鎖国が日本にはある』と言っていました。

 日本人であれば容易にクリアできる問題が、外国人というだけで大きな壁になることが日本には多い。ただ単に『なんか困ったことがあったら、相談にきてね』というだけではダメ。どんなに母国で優秀な職員でも、日本にはネットワークがない。なので『きっとここは困るだろう』とか、『ここには支援が必要になるだろう』と、先回りしてサポートする必要があるんです。

 それは彼らとひとりの人間として向き合い、彼らに共感することです。それができなければどんなに賃金を同一のものとしても『見えない鎖国』はなくなりません」

 見えない鎖国――。なんという重たい言葉なのだろう。

 彼は日本と同じ世界有数の長寿国であるオーストラリアの介護の現場も視察し、“マルチ・カルチャリズム”が人々の間に浸透していることを肌で感じたとも教えてくれた。

 マルチ・カルチャリズム(=多文化主義)とは、人種・民族それぞれの多様な文化、歴史を尊重して、マイノリティーがそれぞれのアイデンティティーを保持しつつ、共存していくことの意義を主張する考え方または政策である。オーストラリアの介護現場のことは、先日、朝日新聞でも報じられていた(「豪州、介護も多文化主義 食事は洋・アジア系の2種/診察時に各言語で無料通訳」)。

 海外からの移民を受け入れ、全人口の約3割が外国生まれのオーストラリアでは、200以上の言語が使われている。介護制度に関する政府のWebサイトは18の言語で翻訳されていて、診察などでも各言語の通訳サービスが無料で受けられるそうだ。

「日本人が嫌がるから外国人で」という発想の安直さ

 豪州における60歳以上の日本人は、現在、約2700人。これまで日本人向けの介護サービスはなかった。が、今年6月に民間企業が政府の認可を受け、新たなサービスをスタート。若いときには英語が堪能だった人でも、認知症になって日本語しか話せなくなった人もいるため、日本の介護資格を持つスタッフや介護職員が利用者の自宅を訪問し、日本語を使って、日本食を提供するサービスを行っているそうだ。

 なんというやさしい制度なんだろう。もちろんこれらの制度は、多文化主義の歴史を持つオーストラリアだからこそできることかもしれない。

 でも、働く人も、そこで暮らす人も、サービスする人も、サービスされる人も、その国のメンバーとして共存できる社会を目指そうとする取り組みは素晴らしいし、そこで暮らす“人”に、「共存したい」という気持ちなくして機能するものではない。

 それに日本人であれ、外国人であれ、「労働」するためだけに人は存在するわけじゃない。どんな人にも生活があり、大切な家族がいる。母親であり、父親であり、子どもでもある。

 そんな当たり前が、「外国人」という接頭語が付けられた途端、忘れさられる現実が日本にはある。外国人労働者となった途端、「モノ」のように扱われてしまうのだ。

 EPAを利用して日本に来る外国人は、どんなに優秀であっても、国家試験に受からなければ、母国に帰らなくてはならない。また、仮に合格しても、家族と離ればなれの生活を強いられる。それは家族愛の強い東南アジアの方たちにとって、とてつもなくしんどいこと。家族が大切なのは世界共通でも、東南アジアの方たちのそれは、私たちの想像をはるかに超える。

 家族を日本に呼ぶことは、制度的には可能だ。だが、日本に来た家族が日本で働くことは原則として許されていない。「家族滞在」の在留資格を有する場合、就労の内容、就労場所等について個別に審査を受けた上で資格外活動の許可を得れば週28時間以内の労働は可能だが、現実にはバイトレベルの仕事しかできない。

 おそらくこういったことも原因のひとつなのだろう。血の滲むような努力をして介護福祉士の国家試験に合格しても、4人に1人が、その後は母国に帰国しているのだ。

 日本は世界で活躍するグローバル人材を育てることには積極的だ。なのに、日本にくる外国人、とりわけアジア諸国の人にはかなり冷たい。外国人を受け入れる体制を作り、外国人に寄り添うマインドを持つこともグローバル化だと思うが、違うのだろうか?

 日本人は、外国人が「お客様」のときには、日本人独特の気づかいでもてなし親切にする。ところが、その外国人が「労働者」となった途端、とんでもなく冷たくなる。

 人材が足りない現場は、大抵の場合、日本人が嫌がるほど過酷な現場である。

 「だったら外国人を!」――。その考え方自体が極めて傲慢。“鎖国”の背景に見え隠れする差別意識そのもの。私にはそうとしか思えないのである。

 コンビニに行くとスーさんがチョウさんにレジを教え、ヌネさんが必死で商品を並べ、餃子居酒屋ではカルメン君がオーダーをとり、マニエルさんがお皿をひたすら回収……とあっちこっちでアジア系の外国人が働いているわけだが、そんな彼らに、

「違うよ! セ・ブ・ン・ス・タ・ー!」
と横柄な物言いをするビジネスマンや、

「チッ。まともに計算もできないのかよ?」
と、釣り銭をむしり取るようにつかんで去っていく人がいる。

 目に見えない鎖国。この言葉を今一度、繰り返しておこう。

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このコラムについて

河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは、上司の立場、部下の立場をふまえて、真のリーダーとは何かについて考えてみたい。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/120900082


精神を病む社員が急増、長時間労働を無くすには

働き方の未来

「男中心社会」の働き方はもうもたない
2016年12月12日(月)
磯山 友幸

過労自殺事件の背景には、伝統的な日本企業の「働き方」の問題がある。
長時間労働から「逃げ場」を失う

 入社1年目の電通の女性社員が過労自殺した事件は社会に大きなショックを与えた。過去にも同様の例があったとして電通という会社の「体質」を問題視する声も上がった一方で、伝統的な日本企業の「働き方」が問題の根底にあるという指摘も根強い。恒常的な長時間労働から「逃げ場」を失う社員の姿は、決して電通だけの問題ではない。

 「人手不足」が深刻化している。求職者1人に対して何件の求人があるかを示す「有効求人倍率」は10月に1.4倍を記録、バブル期の1991年8月以来、25年2カ月ぶりの高水準となった。全都道府県で1.0倍を超え、東京都では2倍を突破した。人が欲しくても採れない状況になっているのだ。

残業をしないと仕事は終わらない

 仕事が増える中で、今働いている既存の社員への荷重は確実に高まっている。毎日残業をしないと仕事が終わらないという人の数が確実に増えているのだ。

 もともと日本の「正社員」は「残業が当たり前」という慣行の中で成立してきた。会社に命じられれば、残業も出張も転勤も拒絶するのはなかなか難しい。忙しさの中で追いつめられていく社員は少なくない。自ら命を絶たないまでも、過労によって倒れたり、病死する例が後を絶たないのだ。

 厚生労働省が6月に公表した「過労死等の労災補償状況」によると、2015年度の「脳・心臓疾患」による労災申請件数は795件。前年度に比べて32件増えた。業種では運輸業、建設業といった人手不足が深刻な分野が上位に来ている。

過労の末、精神を病む人が急増

 請求のうち死亡した例は283件におよぶ。いわゆる「過労死」だ。労災認定された過労死の数は2012年度272件、2013年度290件、2014年度245件と高水準が続いている。目立って増えているわけではないのではないか、という疑問を持つ向きがあるかもしれない。だが、もう1つの気になる統計がある。

 同じ厚労省の統計で、「精神障害の労災補償」をみると、請求件数が大きく増えているのだ。2012年度に1257件だったものが、2013年度には1409件、2014年度には1456件となり、2015年度にはついに1500件を突破、1515件となった。うち1306件が労災認定されているが、そのうち205件が自殺である。過労の末、精神を病んでしまう人が劇的に増えており、手を打たなければ過労自殺が急増する可能性が出てきているのだ。

目の前の仕事は投げ出せない

 労災申請件数をみると、精神を病んだケースが多いのは、福祉や介護の業界。これに医療、運輸、情報通信業と続く。人手不足から長時間労働が避けられなくなっている業種が目立つ。介護などは人手が足りないからといってサービスを打ち切ることは難しい。結局、現場で働いている社員にしわ寄せが来るわけだ。

 過労死したり精神を病む前に会社を辞めればよいではないか、という人がいるかもしれないが、責任感が強い人ほど目の前の仕事を投げ出すことができず、長時間労働から逃げられずにいるのだ。

「働かされている」と、ストレスが強くなる

 1カ月平均の残業時間と申請件数には明らかな相関関係がある。100時間を超えると精神を病んでしまう人が急増し、自殺者も増えるのだ。2015年度に過労自殺で労災申請した93人のうち、55人が平均残業時間100時間以上となっている。

 一方で、平均残業時間40時間未満でも精神を病む人は少なくない。とくに女性の申請が目立つ。もともと、女性の方が残業を嫌う人たちが多く、いわば不本意な残業を強いられるとストレスが大きくなるのだろう。

 長時間労働の場合、社員が自らの意思で働いている場合と、不本意に「働かされている」場合のストレスの大きさはまったく違う。男性の方が日本の伝統的な「働き方」に染まっており、受け入れている傾向が強い一方で、女性はそうした日本型の「働き方」の中で大きなストレスを受けていると見てよさそうだ。

「男中心社会」からの脱却が必要だ

 安倍晋三内閣は「働き方改革」を政策の柱に掲げている。「働き方改革実現会議」を設置して、長時間労働の是正に取り組もうとしている。もともと安倍首相は「女性活躍促進」に熱心に取り組んできた。しかも、それまでの男女共同参画などが社会政策として打ち出される傾向が強かったものを、経済政策として打ち出し、アベノミクスの一環として位置付けた。

 第2次安倍内閣の成立以降、雇用者数は増加を続けているが、人口が減少する中で増えた働き手の多くは「女性」だった。当初はパートなどの非正規雇用での増加が目立ったが、このところの人手不足で正規雇用の増加も続いている。つまり、女性が正社員として働くケースが増えているのだ。そうした中で、今までのような「男中心社会」の働き方はもたなくなるのは確実だ。

企業は正社員の雇用へシフトする

 「働き方改革実現会議」は12月20日に年内最後の会合を開く予定だが、そこでは「同一労働同一賃金」の指針が示されることになっている。非正規雇用と正規雇用の間の不合理な賃金格差を禁止することで、非正規雇用で働く人たちの待遇を改善していくというのが政府の狙いだ。

 だが、結果として正規と非正規の賃金格差が小さくなった場合、企業は残業や人事異動がやりやすい正社員の雇用へとシフトしていくに違いない。安倍内閣が進めてきた最低賃金の引き上げや人手不足によって、パートやアルバイトの時給が大幅に上がっており、むしろ正社員として人材を確保したいという経営者が増えている。つまり、今後は「正社員」の働き方が大きな問題になっていくと考えられる。

総労働時間に上限を設ける

 「働き方改革実現会議」では、総労働時間に上限を設けることが議論されている。現在でも週40時間以内、1日8時間以内という「法定労働時間」が存在するが、現実には「36(さぶろく)協定」によって骨抜きになっている。労働基準法36条に「労使協定」を結んで所管官庁に届けた場合は、労働時間を延長したり休日出勤させることができる、としているのだ。

 長時間労働が「当たり前」になっているのは、この「36協定」が原因だとして、これを廃止すべきだという声もある。また、別途、総労働時間としての「枠」を設置する方が好ましいという指摘もある。

現場と経営層の労働ルールは異なる

 一方で、ICT(情報通信技術)の発達などで、「働き方」自体が多様になっているため、何をもって「勤務時間」とするかが難しくなっているのも事実。とくにソフトウェア開発などでは、時間で労働を管理すること自体に無理があるという指摘もある。労働基準法自体、旧来型の工場での作業を「労働」の基本形として捉えており、今の働き方と法律が乖離しているという指摘もある。

 運輸や小売りなど「現場」がある職種の労働時間に上限を設けるのは必要だとする一方、経営幹部などマネジメント層を労働時間で縛るのはおかしいという声も。「欧米の経営層はむしろ日本人よりもモーレツに働いている」というのもあながち嘘ではない。

 本来ならば、現場の労働時間を厳しく管理する一方で、経営層には別の労働ルールを設ける「ホワイトカラー・エグゼンプション」を同時に議論すべきなのだが、現在の安倍内閣では棚上げしたままだ。野党から「残業代ゼロ法案」とレッテルを貼られて攻撃されたことがトラウマになっているのだ。

日本型「正社員」という、特殊な働き方を見直せ

 日本では正社員として採用されると、誰でも役員や社長になれるという一種の幻想の中で働くことになる。現場の現業職と経営層が明確に分離している欧米とは根本的に異なる。そこを分離しないまま議論していると、長時間労働の是正という「建前」と、それでは会社が回らないという「現実」に大きな乖離を残したままになってしまう。「働き方改革」では、日本型の「正社員」という欧米からみると特殊な働き方を根本的に見直す必要が出てくる。


このコラムについて

働き方の未来
人口減少社会の中で、新しい働き方の模索が続いている。政官民の識者やジャーナリストが、2035年を見据えた「働き方改革」を提言する。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/021900010/120900029/?


 


「揺らぎ」が組織に与える刺激−雲と積み木の話

中鉢良治の「人在りて、想い有り」

2016年12月13日(火)
中鉢 良治

筆者のオフィスから見える筑波山
 雲が季節ごとに特徴があることはご存じだろう。春霞、入道雲、鰯雲や筋雲はもちろんのこと、一年を経て見る空に再び同じ特徴を持つ雲が現れ、そこに巡る季節を感じることがある。つくばにある私のオフィスからは、筑波山がよく見え、その頂にかかる雲を眺めるのも楽しみである。雲を注意深く眺めていると、それぞれの特徴がより具体的に見えてくる。例えばモクモクとした入道雲の一モクのサイズ、あるいは筋雲の隣り合う二筋の間隔など、そこには安定したパターンが存在する。

 雲の正体が莫大な数の水の分子の集まりであることを考えると、それらが安定したパターンを形成して、季節ごとに特徴を持った様々な雲として現れるのは、随分と不思議な現象である。一つひとつの水分子は、ただ周りの分子と激しく衝突を繰り返しながら動き回るのみである。水分子を取り巻く環境の気温や湿度、風向きなどは、それぞれの分子からすれば非常に大まかな外部条件で、しかもその条件はどう変化するのかわからないランダムなものである。それにも関わらず、膨大な数の水分子はあたかも誰かにデザインされたかのように、安定したパターンと特異的な形状を作りだすのである。

「散逸構造の理論」を雲に当てはめる

 これも自然現象の一つと割り切ってしまえば簡単ではあるが、その不思議さの背景を科学的に理解しようとする人がいた。特異な構造形成が行われるための一般的な条件をロシア人化学者のイリヤ・プリゴジンが「散逸構造の理論」としてまとめている。

 この「散逸構造の理論」を雲に当てはめるとどうなるだろう。自分は専門家ではないので、個人的な理解に過ぎないのだが、大体は次のような解釈ができるだろうと思っている。

 雲は地表から蒸発した莫大な数の水分子により形成される。水分子が空で凝縮、凝固し、雲が形成されると同時に、外縁部から多くの水分子が蒸発し、離脱していく。雲となる水分子と離脱する水分子の数が釣り合うとき、一定時間、そこに雲が形を成す。このとき、地表から蒸発したばかりの水分子は、大きなエネルギーを持ち、それぞれが自由な方向に運動している。この水分子が雲を形成する過程で、周囲の分子と激しく衝突を繰り返しながら、その場に留まることが許される状態に落ち着く。そしてその前から雲を形成していた水分子と一緒になって一定の構造と形状を維持することとなる。地表から蒸発した水分子のエネルギーが大きいほど、自由な動きをして複雑な雲を形成する。そしてその複雑な構造を維持するためには、「自由さ」を持つ水分子が次々と供給されなければならない。この供給が細る時、離脱する水分子の量が勝り、やがて雲は消滅する。

 「散逸構造の理論」をもう少し、別なもので考えてみたい。いま、いろいろな形をした積み木が散らばっていて、それらを大きな木箱の中にしまうとする。木箱の中に積み木がなるべく安定するようにしまいたいのだが、このとき皆さんはどうするだろう。一つひとつ丁寧に片づける人もいるだろうが、面倒くさい時は、とりあえず積み木を木箱の中に放り込んだ後、木箱を揺すってみるのではないだろうか。

 この揺することは木箱の中の積み木に動くエネルギーを与え、さまざまな配置をとる「自由さ」、すなわち可能性を作りだす。揺すり続けることで、積み木同士の衝突や木箱との摩擦が生じ、多くの可能性が生まれ、その中から安定となる一つの配置が選ばれる。従ってより安定的な配置を探すためには、なるべく多くの可能性を試すように木箱を揺する必要がある。最初は木箱を大きく揺すり、多くの可能性を試しつつ、だんだんと揺すり方を穏やかにしていくと、より安定した積み木の配置に到達できる。

 雲の例も積み木の例も、より複雑な構造やより安定した配置を作りだすためには、個別要素がその時の状態として、豊富な可能性を持っていることが重要になる。可能性は「自由さ」によってもたらされる。積み木の例では、木箱をいつも同じように揺すっていても、積み木は同じような配置にしか落ち着かず、より安定した配置を探すことはできない。規則性なくランダムに揺することがコツである。

 「自由さ」は秩序や構造と対極にある概念のようにも思えるが、「散逸構造」のメカニズムでは、むしろ自由な動きによる可能性の獲得とそれを散逸させ穏やかに消失させる二つの力の均衡点に現れる状態を「構造」として捉えるのである。雲が安定した形状を作り、積み木がうまい具合に片づけられた状態である。

コンピューターで揺らぎを作る

 最近、コンピューターの世界でも、この揺すること、即ち「揺らぎ」を応用する考え方が登場してきた。本来、コンピューターは、小さな部分の論理を矛盾無く積み重ねることによって全体へ到達する計算を得意とする。実際、私たちの身の回りにあるコンピューターはこのような機械であって、計算の過程で論理的に整合する状態のみが現れる。

 ところが、いま試みられている新しい方法では、意図的に「揺らぎ」を作りだすことで正解を探ろうとするのである。言ってみれば、積み木の整理と同じように、揺することをコンピューターの計算過程の中で行うのである。木箱の形がどのようなものかを探る時に、積み木を安定にするプロセスを考えることで正解を導こうという考え方である。このとき、論理的整合性の積み上げによる従来型の計算では解くことが困難な問題の幾つかを、この積み木型コンピューターを使って効果的に解くことができると言う。

 積み木型コンピューターの開発は産業技術総合研究所でも進められている。その道の専門家によれば、ここで使う「揺らぎ」は量子論的な不確定さにより作りだされ、積み木整理の場合などより、はるかに緻密で、かつ効率よく問題を解くことが期待できるのだそうだ。量子論的な不確定さとは、まさに「雲」をつかむような話だが、今後の発展に乞うご期待だ。

 自然界の現象や科学的な法則は、そのまま人や組織の問題に当てはまるものではないが、人間も自然界の構成要素だと考えると、同様の類推も可能だろう。雲の場合、エネルギーが大きく、自由な動きをする水分子が複雑な構造を作り出すと考えられる。人間の組織では、単一な性格を持つ集団は安定した組織を形成し、過去を忠実に踏襲できるが、オリジナリティー溢れる新しい発想や動きは生み出しにくい。過去の延長線上にあるような緩やかな外部の環境変化には対応できても、急激な変化に対してはむしろ脆弱である。強烈な個性を持ち、自由な発想をする人たちがいて、新しい技術やイノベーションが生まれる。こうした組織が結果的に強靭な性格を身に付けてくることを、人々は経験的に学んでいる。

ソニー盛田さんの「社員募集広告」

 ソニーの盛田昭夫さんは、早いうちからこのことに気付かれていた経営者の一人ではなかったか。1969年、盛田さんは社員募集の広告で“「出るクイ」を求む!”というキャッチコピーを使った。盛田さんは、エネルギーに満ちた人間が生み出す創造性と周囲への刺激に期待したのであろう。実際、社内には個性豊かな人(社内では「とがった人」と呼んでいた)がとても多かった。あちこちで激論が戦わされ、摩擦が生まれていたが、その一方で強烈なエネルギーを生み出しイノベーションの創出につながってきた。

 ただ、組織としては、このような「とがった人」ばかりでは、混乱しかねない。雲に安定した水分子があるように、企業にも集団としての動きを整える人間がいる。強い組織を作るということは、自由な発想をする人たちとそれをまとめていく力のある人たちの最適バランスを取っていくことである。それがマネジメントの役割で、盛田さんもこのことを熟知されていたように思う。

 組織をさらに発展させ、強固なものにしていくためには、雲のように新しい分子を取り込み、全体として安定した集合体をつくる一方、積み木のように外部から「揺らぎ」を与えられることで、集団としてのまとまりを高め、強靭さを獲得していく必要がある。

 産総研には、自由な発想をする研究者たちが多く、組織としてのエネルギーは十分にあると思っている。私の役割は、この才能とエネルギー溢れる研究者の異なる個性を生かし、集団の方向性を示し、組織として成果を発揮させることである。そのためには、内部で刺激を与える一方で、外から与えられる「揺らぎ」、すなわち刺激や働きかけを積極的に取り込むことも重要となる。企業や大学の方には、連携活動や共同研究、人材交流という形で私たちを大いに揺さぶってほしいと願っている。

 先日、このコラムでアメリカについて思うことを書いた。アメリカという国は、大きなエネルギーを持つ水分子のような人材を外から次々と取り込み、巨大な雲のように成長してきたように思う。そのアメリカはトランプ氏により、積み木箱のように揺すられようとしているのかも知れない。この「揺らぎ」が、アメリカにとって果たして吉とでるか。私を含め多くの人々が、この「揺らぎ」の後にアメリカがより強靭で他国と協調する国家になってほしいと願っている。

 私は最近、雲の流れや樹木が風に揺らいでいる様子をただぼんやり見ていても飽きることがなくなった。一見規則的な現象の中に、ひょっとしたら面白いことが起きるのではないかという期待があるからである。筑波山にかかる雲を見ていると、時には遠くの方から足早に近づいてくる雲を見つけることがある。そうすると、たちまち天気が変わる。こんなことを眺めているのもつくば勤務の楽しみである。


このコラムについて

中鉢良治の「人在りて、想い有り」
ソニーに技術者として入社し、その後、経営者として同社を率いた中鉢良治氏。大学院では博士号も取得し、研究者を志した時もあった。現在は、産業技術総合研究所理事長として、研究者と日々を共にし、国立研究機関の指揮を執る。その中鉢氏が、多様な経験を通して培ってきた日本の産業や社会に対する見方、一人の職業人としての人生への想いなどを様々な切り口で描き、日経ビジネスオンラインの読者にお届けする。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/041300009/120800017
http://www.asyura2.com/16/senkyo217/msg/465.html

[政治・選挙・NHK217] 税制改正、財務省は「それなりに満足」 ニュースを斬る 「政治の論理」に軌道修正も「脇役」メニューには達成感
税制改正、財務省は「それなりに満足」

ニュースを斬る

「政治の論理」に軌道修正も「脇役」メニューには達成感
2016年12月13日(火)
安藤 毅
 2017年度の与党税制改正大綱がまとまった。「大玉」と目された所得税改革は踏み込み不足が否めないが、ビール系飲料の税額統一など「脇役」メニューは体裁を整えた格好だ。「政治の論理」が壁となる中、実務を担った財務省内には一定の満足感も漂っている。
 自民、公明両党が2017年度税制改正大綱を決めた。政府が掲げる「働き方改革」の一環として焦点となっていた所得税の配偶者控除の見直しについては、配偶者(妻)の年収上限を103万円から150万円に事実上引き上げることで決着した。


配偶者控除については、2018年1月から妻の年収要件を103万円から150万円に事実上、引き上げる。パート主婦が働きに出やすい環境を整える。(写真:Haruyoshi Yamaguchi/アフロ)
実態は「パート主婦減税の拡大」

 103万円は企業の配偶者手当の基準になっている場合も多い。パート主婦が就業調整して働く時間を抑える傾向がかねてより問題視されていた。対象を拡大することで新たに約300万世帯が減税になるとみられ、自民、公明の税制調査会幹部や財務省はパート主婦がより長く働きやすくなる効果が期待できるとしている。

 一方で、財源を確保するため世帯主(夫)の年収が1120万円を超える世帯への適用は制限する。その結果、これまで減税を受けてきた100万世帯は増税となる。

 要は、主に専業主婦世帯を優遇する配偶者控除を事実上維持し、パート主婦への減税を拡大する。それに伴う減収分を高所得の専業主婦世帯への増税で穴埋めするというのが今回の改正の姿だ。

 財務省や自民税調幹部が当初思い描いていたのは、配偶者控除を廃止し、一定の年収以下であれば専業主婦だけでなく共働きの世帯も優遇する「夫婦控除」を創設する構想だった。

 安倍晋三首相も9月上旬の政府税制調査会で「女性が就業調整をすることを意識せずに働くことができるように多様な働き方に中立的な仕組みを作っていく必要がある」と発言。見直し論議に意欲的な姿勢だった。

 そこへ立ちふさがったのが「選挙の壁」だ。来年夏には公明が重視する東京都議選が控える。さらに、永田町では早期の衆院解散・総選挙の観測がにわかに広がり、支持層に専業主婦世帯などが多い公明内では「増税世帯からの反発が大きくなると選挙に響く」との懸念が一気に拡大した。

 公明とのパイプが太い菅義偉官房長官もこうした空気を踏まえ、財務省幹部に「違和感がある」と表明。慎重姿勢を鮮明にしたことで、10月上旬には早々と先送りの流れが固まった。

 昨年の税制改正論議では、軽減税率の対象品目を巡り自民、公明の対立が先鋭化。首相官邸が公明に配慮し、自民・財務省の主張を退けた経緯がある。

 もっとも、結論を出す期限が迫っていたこの時の論議とは異なり、今回の所得税改革は「何が何でも今年決着しなければならないものではない」(財務省幹部)。複雑な「政治の論理」に配慮せざるを得ない中、自民税調幹部・財務省は無理をせず、今後数年かけて改革を進める戦術に切り替えたというのが真相だ。

「三歩進んで二歩下がっても前進だ」

 こうした事情を踏まえ、配偶者控除の見直しは所得税改革の第1弾と位置づけ、税制大綱には所得税改革について「今後数年かけて取り組む」と明記した。高所得者ほど税軽減の効果が大きい「所得控除方式」から「税額控除方式」などへの変更、誰でも受けられる基礎控除の拡充、公的年金等控除の縮小などが課題となる。

 「三歩進んで二歩下がっても、一歩進んだということになる。今回の改正は目指す改革の方向からは外れていない。やり足りないと言われるくらいの方が、後々につながっていく」。当初のシナリオからはかなり軌道修正を迫られた格好だが、財務省幹部はサバサバした表情でこう話す。

 選挙を意識した「官邸主導」での税制改正論議という流れが確立された以上、譲るところは譲り、取れるところを取りに行った方がいい──。そうした早めの方針転換の結果、「大玉」の所得税改革は小粒感が否めないものの、財務省では「脇が締まり、全体的にはそれほど悪くない改正内容になった」との見方が出ている。

 財務省内で達成感がにじみ出ている改正内容の1つが、長年の懸案だったビール系飲料にかかる酒税の一本化だ。

 現在のビール系飲料の税額はビールが77円(350ミリリットルあたり)、発泡酒は46.99円(同)、第三のビールは28円(同)。税額が3種類に分かれている税体系が原因で日本のビール各社は小売価格を安くする新商品の開発に注力してきた。値下げやシェア競争が過熱し、海外展開の遅れにもつながっていた。

 このため、消費者やメーカーに配慮して2020年10月から3段階でそれぞれの税額差を縮め、2026年10月に54.25円にそろえることにする。この結果、ビールは税額が下がり、逆に発泡酒と第三のビールは税額が上がることになる。

 税額統一にあわせてビールの定義も拡大する。国内メーカーが世界に通用するビール開発に取り組む環境を整え、地域の特産品を用いた地ビール開発を後押しする狙いだ。  

 また、日本酒の税額は42円(350ミリリットルあたり)でワインは28円(同)。これを2023年10月までに2段階で35円に統一する。日本酒の税額を下げ、ワインは税額が上がることになる。

 ただ、消費者から「庶民いじめの増税」との反発が強まることも予想される。そこで大綱には「必要があると認めるときは所用の措置を講ずる」など、制度改正を実際に行うかどうかを柔軟に判断する規定も盛り込んだ。

 アベノミクスの再加速を税制面から後押しする措置についても、政府・与党内からは「悪くない」との見方が出ている。

 毎年のように税制改正を巡って対立しがちだった財務省と経済産業省の調整が例年よりスムーズに運び、「両省とも満足のいく内容に着地した」と経産省幹部は漏らす。

アベノミクス促進策を拡充

 例えば研究開発減税制度の見直しだ。現在は企業が製品や技術の開発にかけた費用を法人税から差し引く仕組みだが、今後は「サービスの開発」も対象に加える。サービス産業の技術革新を促し、経済成長につなげる算段だ。

 地方の経済を支える中核的な企業向けの設備投資促進税制も新設する。すべてのモノがインターネットにつながる「IoT」や人工知能(AI)などのテクノロジー分野、医療・健康などでの先進的な事業を対象に、設備投資にかかった費用の税額控除か特別償却を認める。

 また、安倍政権が重視する賃上げを企業に促すため、「所得拡大促進税制」を見直す。現在は企業の規模を問わず、2012年度の給与総額に比べ一定水準を上回るなどの用件を満たすと、増加分の10%を法人税から差し引いている。

 2017年度からは、前年度に比べ社員の給与を2%以上増やした中小企業に対し、給与総額の増加分の22%を控除できる仕組みを導入する。大企業については賃上げが2%未満であれば減税を受けられないようにして支援措置を重点化する。

 組織再編税制に関しては、大企業が一部の事業部門の分社化などをする際に税金がかからないようにし、機動的な事業再編を後押しする。

 「本命」の項目で曲折を余儀なくされる状況下、全体として体裁を整えた格好の今回の税制改正。「税こそ政治」と言われて久しいが、社会経済構造の変化を踏まえた望ましい税制のあり方と、世論や選挙を意識した現実的な「落としどころ」のバランスについてどう折り合いを付けていくのか。改めてこうした難しさが鮮明になったのは間違いない。

 2014年の消費増税延期、昨年の軽減税率導入論議、そして今年の消費増税再延期。今回の税制改正論議を含め、永田町では「財務省の4連敗」との受け止めが広がっている。

 現在の安倍政権は衆参両院で安定的な政権基盤を維持している。それでも税制だけでなく、高齢者の反発を懸念して医療・介護など社会保障制度の大幅な見直しには二の足を踏んでいるのが実情だ。経済界や有識者からは「こんな恵まれた時期に税制や社会保障の改革ができないなら、いつやれるというのか」といった声も出ている。

 今回の大綱に明記した所得税の抜本改革などに本当に踏み込めるのか。財務省幹部は意欲を示しつつ、「詰まるところ、政治レベルでの覚悟のほど如何ということになるのでしょう」と漏らしている。


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ニュースを斬る
日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/121200514
http://www.asyura2.com/16/senkyo217/msg/466.html

[経世済民116] 株高と円安が「加速ゾーン」に、過熱感の強まりに警戒も ドル高継続、米日株を 金融庁・日銀ローン監視強化 トルコ最安値更新
アングル:株高と円安が「加速ゾーン」に、過熱感の強まりに警戒も
 

[東京 12日 ロイター] - 日経平均株価.N225が累積売買代金の薄いゾーンに入ってきた。戻り売りが少なくなると予想され、上昇局面では弾みがつきそうだ。ドル/円JPY=EBSも115円半ばを超え、テクニカル的な節目の少ない価格帯を目前にしている。日本株高と円安が連鎖する可能性もあるが、過熱感も強まりやすいだけに警戒感も出ている。

<急減する価格帯別累積出来高>

日経平均の1万9000円から2万円は、価格帯別累積出来高が少ないゾーンだ。トムソン・ロイターのデータによると、アベノミクス相場での高値2万0952円を付けた2015年6月24日以降では、1万8000円─1万9000円の価格帯は約910億株だが、1万9000円─2万円は約509億株と44%減少する。

12日の日経平均終値は1万9000円台を終値で回復し、取引時間中としては昨年12月18日以来、約1年ぶりの高値を付けた。商いもここにきて急増しており、東証1部売買代金は、3営業日連続の3兆円超え(9日はメジャーSQ)。戻り売りを吸収して、株価上昇が加速しやすい需給状況となっている。

ただ、足元では短期的な過熱感も強い。日経平均は米大統領選の開票状況を受け急落した今年11月9日終値と比べ、1カ月間で約2900円の上昇。東証1部の騰落レシオ(25日平均)は152%近くまで上昇しており、2014年6月25日以来、約2年半ぶりの高水準を付けた。

証券ジャパン・調査情報部長の大谷正之氏は「当面、過熱感を計りながらの相場となりそうだ。昨年6月頃は日経平均が2万円を超えたところで商いを伴ってもみ合った。昨年12月と同様、2万円に接近するに従い、戻り待ちの売りも見込まれる」と指摘する。 みずほ証券・シニアテクニカルアナリストの三浦豊氏は、クリスマス休暇を考慮すれば、今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)前が買える最終局面だとしたうえで「年内の2万円突破は至難の業。米大統領就任演説がある来年1月は、いったんポジションを手仕舞う動きも見込まれ、今年12月の高値から5─10%程度の調整もあり得る」と話す。

<ドル/円もテクニカル的な「空白地帯」に>

ドル/円もテクニカル的に節目の少ない価格帯に入ってきた。12日夕方には2月8日以来の116円を突破したが、この先のチャート上のめどは15年8月24日の安値116.15円や今年2月8日の高値117.53円がある程度。120円ちょうどまではテクニカル的な「空白地帯」となる。

今年1月29日に日銀がマイナス金利導入を決めた翌週以降の6営業日で、ドル/円は120円台から115円台に一気に下落した。「滞在時間が短く、そこで売り買いした人が少ない。そこまで来たので戻り売りという意識にはなりづらい」(国内証券)という。

米10年国債金利US10YT=RRは2.5%を上回り、2014年10月以来の高水準を付けた。日本の金利も上昇しているが、ファンダメンタルズ材料的にも日米金利差拡大期待を使いやすい。

投機筋には、円売りポジションの積み増し余地があるとの指摘もある。米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したIMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組(12月6日までの1週間)によると、円売り越しは3万3937枚。約1年前に6─7万枚に積み上がっていたことを考えれば、まだ開きがある。

ただ、投機筋がポジションを保持したまま来年を迎えるかは不透明。「積み増しペースという点では速かった。クリスマス休暇もあるので年内には調整もある得る」(邦銀)と、ドル/円の反落リスクを警戒する声も多い。

需給的には、株高・円安が強まりやすい価格帯に入ってきている。ただ、日経平均、ドル/円ともに過熱感も出ており、調整局面入りには両市場とも警戒感が強くなっているようだ。

(杉山健太郎 長田善行 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/nikkei12dec-idJPKBN1410XI?sp=true


 
インタビュー:ドル高は継続、米国株と日本株を選好=プリンシパル・グローバルCEO

[東京 12日 ロイター] - 米資産運用大手プリンシパル・グローバル・インベスターズ(PGI)のジム・マコーガン最高経営責任者(CEO)は、ロイターとのインタビューで、足元の米ドル高基調は2017年も継続すると見込んでおり、特に米国と日本の株式を選好すると語った。今後1年─1年半の為替水準については、ドル/円が125円、ユーロ/ドルはパリティ(等価)に達するとの予想を示した。

プリンシパル・グローバル・インベスターズはアイオワ州デモインに本拠を置く資産運用会社で、9月末時点の運用資産残高は4200億ドル(約48兆円)。マコーガン氏は、親会社のプリンシパル・ファイナンシャル・グループ(PFG.N)の運用部門プレジデントも兼務しており、ニューヨーク在勤。

インタビューは同氏が来日した9日に東京で行った。概要は以下の通り。

──米大統領選後の金融市場、および2017年の展望は。

「ドル高進行のペースは、過去2─3年の動きと比較すればやや減速するとはいえ、(米国の)短期的な経済見通しの改善と金利上昇を背景に、ドルが一段と上昇する蓋然性が高いとみている。向こう12─15カ月の間に、ドル/円は割と簡単に125円に達する可能性が高いとみている。またユーロ/ドルについてはパリティ(1ユーロ=1ドル)をつけると予想する」

「FRB(米連邦準備理事会)は今月、ほぼ確実に25ベーシスポイント(bp)の利上げを実施するだろう。それよりも、来年の利上げについてどのようなシグナルが出されるかだ。われわれは、少なくとも2回か3回、場合によっては4回の利上げがあり得ると考えている。もともとは(2017年の利上げ回数を)2回と予想していたが、大統領選の結果を受けて見通しを引き上げた」

「2─4回の利上げが実施されれば、いよいよ(金利、金融政策の)正常化が実感され始めるだろう。米10年債利回りは(大統領選前の1.7%台から)2.4%台まで上昇し、既に(正常化を)織り込み始めている」

──米経済について。

「設備稼働率や雇用の状況を見ると、米国は、あと1─2年は高成長が続くだろう。気になるのは、米国経済の生産能力に一段の拡大余地があるかどうかだ。既に7年超と景気拡大期が続いた後でもあり、2018年には、景気後退(リセッション)局面入りが懸念される状況になっておかしくない」

「ただ、2008年のような深刻なリセッションになるとは考えておらず、かなりマイルドなものを想定している」

「米国がリセッション入りするきっかけだが、現時点では国内に何かトリガーがあるとはみていない。むしろ、何かしらの外部環境、国際的な出来事が発端となる可能性があると考えている。例えば、欧州の銀行問題や新興国の債務問題といったことだ。欧州は選挙イヤーを迎えており、政治的なリスクもあれば、世界各地には地政学的なリスクの火種もある」

──最新の投資判断について。

「現在、投資先として最も魅力的なのは米国だ。向こう12カ月間についても、米国が最も魅力的だと考えている」

「米国株式の中でも、特に中小型株を選好する。米経済成長の果実を享受するため、米国のエクスポージャーをとる場合、中小型株が最適だからだ。半面、米国の大型株はグローバル企業であるため、米景気ではなく世界景気に左右される傾向がある」

「トランプラリーでは、『FANG(フェイスブック、アマゾン、ネットフリックス、グーグル)』をはじめとするハイテク株は厳しい状況が続いている。一方、インフラ関連などは好調だ。米国株が有望といっても、選別投資が有効と言えよう」

「このほか、米国のハイイールド債(高利回り債、ジャンク債)にも強気だ。過去2年にわたって健闘してきた資産ではあるが、今なおデフォルト(債務不履行)リスクに比べて、スプレッド(上乗せ金利)は魅力的だ」

──日本株もトランプラリーの勝者と言えるが。

「まさに、向こう12カ月の投資判断として、今われわれが米国株の次に選好しているのが日本株だ。われわれは米大統領選前についても決して日本株から離れはしなかったが、ファンダメンタルズをみれば、円安が日本企業(の業績)に大きなメリットがあることは言うまでもない。先ほどの米国株の話とは対照的に、セクターとしては、輸出企業とグローバル企業を有望視している」

「欧州株式についてはリスクが高いとみている」

「新興市場については、向こう12カ月間では、株式より債券を選好する。米国が金融引き締めに向かえば、新興国は厳しい状況にさらされるためだ。ただし、時間軸を今後5年にのばせば、中間層の拡大などを背景に、新興国株式についても楽観視している」

(インタビュアー:植竹知子、佐野日出之 編集:石田仁志)

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金融庁・日銀、アパートローンの監視強化 過剰供給リスクで

[東京 12日 ロイター] - 金融機関による個人の貸し家業向け貸出(アパートローン)の急増に対し、金融庁・日銀が監視を強めている。複数の関係筋が明らかにした。相続税対策や超低金利を背景に富裕層などによる貸家の建設・取得需要が増大。一方で人口・世帯数の減少が確実視され、空室率の上昇など供給過剰感が出始めたためだ。

担保や保証に依存した安易な貸し出しも増え、金融庁・日銀は適切なリスク管理を促し、金融機関の対応に目を光らせている。

<過去最高続くアパートローン、当局は実態把握に乗り出す>

地域金融機関を中心としたアパートローンの急拡大を受け、金融庁と日銀は実態把握に乗り出した。

増加の背景には、2015年の相続税増税に伴う富裕層や土地所有者の節税需要がある。加えて金融機関間の貸出競争も激化し、「債務者に富裕層が多く、担保と保証さえあれば、賃料という物件の収益性を度外視して、融資を行っているケースが少なくない」(金融筋)とされる。

同ローンを増加させている金融機関に対する金融庁検査や日銀考査では、融資の審査や実行後の管理が適正に行われているかが、チェック項目に挙がっている。

関東地区の複数の地域金融機関は、先行きの金利や空室率の動向について、強いストレスをかけてシミュレーションする必要があると指摘された。人口減少が明確な基調になっており、空室率の上昇がローンの不良債権化をもたらすとの強い危機感が当局にあるとみられる。

別の地域金融機関は、貸し出し増を図るためにアパートローンを含めた不動産融資への傾斜が問題視され、需要がピークアウトした場合の経営陣の認識も問われた、という。

ある金融庁幹部は、11月中旬に開かれた地銀トップとの会合でアパートローンについて「貸出案件の掘り起こしは、不動産業者による持ち込みが多いとの話を聞く。地域銀行自身が顧客ニーズ、貸出実行後の事業動向を十分に把握できていない状況もあり得る」と言及。顧客本位の融資判断の重要性も指摘した。

日銀によると、国内銀行によるアパートローンの2016年9月末残高は前年比4.5%増の22兆0224億円。貸し出し全体の増加率が同2%台で推移する中、ほぼ2倍の伸び。2015年1月の相続税増税以降は、7四半期連続で過去最高を更新し続けている。

新規貸出も今年度上期で1兆8915億円に達し、年度ベースで過去最高だった15年度の3兆2709億円を上回るペースだ。

<金融システムへの影響には距離、不良債権予備軍の指摘も>

現段階では都市部を中心に貸家への一定の入居需要があることから、金融庁、日銀ともにアパートローンの増加が、直ちに金融機関経営に重大な問題を生じさせるとはみていない。

だが、都市部でも人口・世帯数が減少に転じるリスクがあり、いったん需給バランスが崩れれば、返済原資となる賃料も下落する可能性が大きい。「中長期的視点に立ったリスク管理が重要」(日銀幹部)となっている。

実際に15年以降のハイペースの貸家の増加は、需給関係を悪化させている。

不動産調査会社のタス(東京都・中央区)によると、首都圏のアパート(木造・軽量鉄骨)の空室率は、2015年春ごろまで30%前後で安定的に推移してきた。しかし、その後に急上昇し、今年9月に神奈川県で36.87%、東京23区で34.74%など2004年に調査を開始して以降、最高の空室率となっている。

同社の藤井和之主任研究員は、背後に相続税対策に伴う貸家建設の急増があると指摘。「需要と供給のバランスが崩れ始めている。長い目で見れば、経営が厳しくなるアパートがそれなりに出てくるだろう」と分析する。

アパートローンは金融機関にとって、住宅ローンに比べて貸出金利が高く「設備投資ニーズがない中で、何億円という単位でロットが大きく、貸出残高を伸ばせる」(関東地区の地銀幹部)との狙いがある。

しかし、他県の金融機関も参戦した低金利競争によって貸出金利回りも低下を続けており、先の地銀幹部は「不良債権の予備軍のような案件に積極的に貸しているところもあるようだ」と警戒感を示している。

<金融庁、経済・市場変化の影響を警戒>

金融庁が今年10月に公表した「金融行政方針」の中では「長短金利の低下が継続する中で、金融機関には海外向け貸出や外貨建て資産運用、長期債への投資、不動産向け与信(アパートローンを含む)を増加させる等の動きが見られる。こうした動きが、経済・市場環境が変化した際に、金融機関の健全性に悪影響を及ぼさないか検証する」との記述が盛り込まれた。

また、全国地方銀行協会の中西勝則会長(静岡銀行頭取)は、11月の定例会見でアパートローンを含めた不動産融資について「あまりに集中すればリスクがあるし、それによって不動産の価格が上がりすぎれば、リスクがあると思う」と述べた。

同時に「そういう兆候までいっていないという数字が出ているので、注意しながらやらないといけないが、危険水域には入っていないという見方をしている」と語った。

アパートローンの増加について、金融庁の広報担当者は「当庁が行う検査・監督については、金融行政方針に従って対応している。ただ、個別案件については答えられない」としている。

日銀・金融機構局は「金融機関の信用リスク面の課題の一つと考えており、日銀として考査・モニタリングにおいてリスク管理を点検し、その充実を促している」とコメントした。

(伊藤純夫 布施太郎 浦中大我 和田崇彦 編集:田巻一彦)

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トルコ・リラが最安値更新−爆弾テロにGDP統計が追い打ち
Dana El Baltaji
2016年12月12日 17:47 JST

トルコ・リラは12日、対ドルで最安値を更新した。イスタンブールで10日発生したテロ事件で既に売り込まれていたところへ、7年ぶりのマイナス成長との統計発表が追い打ちをかけた。
  トルコが12日発表した7−9月(第3四半期)国内総生産(GDP)は前年同期比1.8%減少。爆弾テロでの死者数は40人近くに上っている。
  今週の米利上げが確実視されていることもドル高要因となり、リラは1.8%安の1ドル=3.5415リラに下落した。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i7EZQYdCQv4g/v2/-1x-1.png

原題:Lira Leads Drop in Emerging Currencies as Russian Markets Rally(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-12/OI2D4O6JIJUP01

http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/637.html

[政治・選挙・NHK217] G7の制裁措置、日ロ経済協力の足かせにならず=世耕経産相ロシア、トランプ関係改善 次期国防長官には悪いが、水責めは有効 
G7の制裁措置、日ロ経済協力の足かせにならず=世耕経産相

[東京 12日 ロイター] - 世耕弘成経産相兼ロシア経済分野協力担当相は12日、日本記者クラブで会見し、日ロ経済協力プランは主要7カ国(G7)の対ロシア制裁措置に抵触することはなく、経済制裁は足かせにならないと述べた。

同相は「経済協力プランが制裁にふれないかは、入念に確認している。抵触しない形で今後も進めていく」と述べた。

安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領は15日、山口県で北方領土問題などについて議論した後、16日に東京で民間企業の関係者も含めて日ロの経済協力プランについて会談する予定。

日本側は今年、8項目の経済協力プランを提示し、それに基づいて医療、都市開発など30項目の優先事業を選定して具体化を進めてきた。

同相はまた、ロシアからのエネルギー調達に関連し、電力調達の可能性について「検討しなければならないことがたくさんある。まず第一には経済的に成り立つかどうかだ。日本の中での発電より経済的にメリットがあるかよく検討していかなければならない」と述べた。

そのうえで、これについて現段階でロシア側と合意しているのは、研究を進めていくという点においてのみだと答えた。

(宮崎亜巳)
http://jp.reuters.com/article/seko12dec-idJPKBN1410Y6

 
トランプ氏、ロシアによる大統領選介入説を一蹴 議会では調査要求も
ルイジアナ州バトンルージュの集会で話すトランプ次期米大統領(9日)
By JOHN D. MCKINNON, ERIC MORATH AND KRISTINA PETERSON
2016 年 12 月 12 日 11:09 JST 更新

 ドナルド・トランプ次期米大統領は11日、フォックス・テレビとのインタビューで、今回の大統領選でロシアが彼を勝たせようとしてサイバー攻撃を仕掛けたとの各種報道について、自分をおとしめようとするものだと一蹴し、民主党が流している噂だと非難した。

 トランプ氏は、「報道はばかげている」とし、「(大統領選に敗れた民主党の)単なる言い訳にすぎない。私は信じていない」と述べた。さらに、情報機関の間では民主党全国委員会の電子メールをハッキングした犯人については見解が分かれていると指摘し、「誰も犯人は分かっていないし、ハッキングした者がいたとは思いたくない」と語った。

 トランプ氏は、ロシアによる大統領選介入説について重大視しない姿勢を示しているが、有力議員4人は同日、議会は今後のサイバー攻撃を阻止するため徹底調査する必要があると訴える、異例の超党派による共同声明を出した。

 共同声明を出したのは、ジョン・マケイン上院軍事委員長(共和、アリゾナ州)、ジャック・リード同委員会民主党理事(ロードアイランド州)のほか、チャールズ・シューマー次期民主党上院院内総務(ニューヨーク州)、さらに共和党の外交政策に大きな影響力を持っているリンゼー・グラム上院議員(共和、サウスカロライナ州)。ロシアが大統領選に介入したとのさまざまな報道が伝えられるなか、議会で懸念が高まっていることを反映した動きで、不安は民主党だけでなく、共和党にも広がっている。

 声明は「こうした報道はすべての米国民に警鐘を鳴らすものだ」と懸念を示し、4人はロシアのサイバー攻撃に関する調査が、党派のダイナミクスによって頓挫させられないよう努めると強調した。民主党は何カ月も前からロシアの行動について公に問題視し、民主党大統領候補だったヒラリー・クリントン氏の足を引っ張るのがロシアの狙いだと批判してきた。

 声明は、「これは党派対立をもたらす問題ではない」と断った上で、「外国政府のサイバー攻撃が、わが国の安全保障に重大な脅威を与えていることを調査し、阻止するため、同僚議員らを結集するつもりだ」と述べた。

 米情報当局は数カ月間にわたりサイバー攻撃問題を調査し、10月にロシア政府が大統領選を混乱させようとして行ったとの異例の声明を発表した。

 ハッキングに関する分析はその後も続けられ、CIAは新たな情報を基に、ロシア政府の狙いはトランプ氏を勝たせ、クリントン氏を落とすことだったと断定した。米当局者2人によれば、CIAはこの結論を今月に入って上院議員らに説明した。

 一方、トランプ氏の政権移行チームは「イラクのフセイン政権が大量破壊兵器を保有していると結論付けた機関である」とCIAの信頼性に疑問を呈した。また大統領選はすでに終わったものであり、前に進むべき時だと強調した。イラクが大量破壊兵器を保有しているとのCIAの分析は、2003年の米軍によるイラク侵攻の根拠として使われた。

 情報機関の当局者らは、トランプ氏がCIAの分析に不信感を持っているだけでなく、CIAを敵対勢力と見なしているとも受け取れる発言をしていることに衝撃を受けている。ある高官は匿名を条件に、トランプ氏がロシアのハッキングに関する証拠を認めず、また安全保障に関する機密情報の説明を受けるのを渋っていることから、情報機関は次期政権に守りの姿勢をとるだろうと語った。

 CIAはコメントを差し控えた。

 トランプ氏の発言に対しては、下院情報委員会の民主党トップであるアダム・シフ議員(カリフォルニア州)も非難。同議員は、トランプ氏は大統領選をめぐるハッキングにロシアが関与している証拠を意図的に無視しているのではないかと疑義を呈している。ハッキングに関する機密情報をチェックしたシフ議員は声明で、「ハッキングは意図的なものではないとは思えない」とし、トランプ氏が証拠を無視するのはCIAに対する侮辱だと批判した。その上で、上下両院の情報委員会、ないし合同情報委員会でロシアの行動について徹底調査するよう求めた。

 しかし共和党側は、シフ氏の働き掛けを後押しするつもりはなさそうだ。下院共和党の指導部や政権移行チームの顧問らは、ロシアを敵対的と見なすものの、ハッキングでは名指しで批判しないようにしている。デビン・ヌネス下院情報委員長(共和、カリフォルニア州)は、「ロシアが世界各国の選挙を操作したがっているのは明らかだ」としながらも、「ロシアが大統領選でトランプ氏を支援しようとしたとの証拠は見たことがない」と語った。

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ロシア、トランプ次期政権はドリームチーム−関係改善に楽観広がる
Henry Meyer、Ilya Arkhipov
2016年12月13日 00:03 JST

これ以上望めないくらいの人選−ロシア政府コンサルタント
国務長官有力候補のティラーソン氏はプーチン氏と99年来の付き合い


ロシア石油産業と20年にわたり取引してきた米エクソンモービルのレックス・ティラーソン最高経営責任者(CEO)は、プーチン大統領好みの人物だ。
  そのティラーソン氏が次期米国務長官の有力候補になったことで、ロシア政府内では待望の関係改善が近いとの楽観が広がっている。
  ティラーソン氏が正式に指名されれば、トランプ次期政権の要職にロシアとの関係改善を支持する勢力がまた1人増えることになる。国家安全保障問題担当補佐官に起用されたマイケル・フリン元国防情報局長、国防長官の指名を受けた退役海兵隊大将のジェームズ・マティス氏はそれぞれ前任者に比べ実利的なアプローチをとるとみられており、ロシア政府としてはこれ以上はあまり望めないくらいの人選だと、政府のコンサルタントを務めるセルゲイ・マルコフ氏が述べた。
  11日にモスクワで電話インタビューに応じたマルコフ氏は、トランプ次期米政権の顔ぶれについて「素晴らしいチーム。ロシアと真剣な取引ができる人々だ」と称賛した。
  ティラーソン氏は1990年代にエクソンがロシアで事業基盤を確立するのに尽力。99年にはエクソンが大型プロジェクトを進めるサハリンで、当時首相だったプーチン氏と初めて会談した。
  11年にはエクソンに北極海油田開発を許可する同社とロシア国営石油会社ロスネフチとの調印式をプーチン氏が個人的に取り持ち、12年の会談ではプーチン氏がティラーソン氏に「あなたに会えてとてもうれしい」と異例の歓迎を表明。13年にプーチン氏はティラーソン氏にロシアで外国人が受ける最高級の栄誉とされる「友好勲章」を授与した。
原題:Russia Applauds Trump Dream Team as Exxon CEO Eyed for State (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-12/OI2RFN6K50YT01


【寄稿】次期国防長官には悪いが「水責め」は有効
強化尋問の経験、マティス氏はないが私にはある
2003年に拘束されたハリド・シェイク・モハメド容疑者

By JAMES E. MITCHELL
2016 年 12 月 12 日 15:48 JST

――筆者のジェームズ・ミッチェル氏は空軍の退役軍人で中央情報局(CIA)の元契約職員。「Enhanced Interrogation: Inside the Minds and Motives of the Islamic Terrorists Trying to Destroy America」(仮訳:強化尋問:米国の破壊を試みるイスラム教徒テロリストの心情と動機)の著者でもある

***

 ドナルド・トランプ次期大統領は米紙ニューヨーク・タイムズとのインタビューで先月、自白強要のための「水責め」について聞かれた。その際トランプ氏は、後に国防長官への起用を決める退役海兵隊大将のジェームズ・マティス氏が「有効だと思ったことは一度もない」と言っていたと話した。報道によると、マティス氏は「たばこ1箱とビールで、自分ならうまくやれる」と言っていたそうだ。「狂犬」の異名を持つ人物を怒らせるリスクは覚悟の上だが、私は謹んでこれに異議を唱えなければならない。

 マティス氏は誰に聞いても紳士であり、学者であり、そして筋金入りの戦士だ。私は彼を最大限に尊敬しており、彼が言わんとしていた全体的なニュアンスは口から口へ伝えられるうちに失われてしまったのかもしれない。テロリストの尋問に関して、私にはいくらか実際の経験がある。2002年に私はCIAの契約職員となり、後に強化尋問プログラムとなるものをまとめあげる手助けをした。私はその後の6年間の大部分を、世界中の「秘密軍事施設」で過ごし、極悪人たちから一般市民の生命が危険にさらされるような情報を引き出す試みに関わった。

 マティス氏が水責めは有効ではなかったと言ったとしても、それは理解できる。拘束者を水責めにする権限を与えられた者は軍隊の中でこれまで一人もいなかったからだ。多くの軍人は訓練の一環として水責めを受けている。ただし、どれほど鍛え上げられた兵士でも音を上げるほどあまりに効果的であることが分かり、軍は結局、水責め訓練を中止した。

 テロとの戦いで、このテクニックを使う権限を与えられているのはCIAだけだった。私がCIAの戦術に従って水責めを行ったテロリストは3人だけだった。米国政府の弁護士2人を水責めにしたこともあったが、それはこの方法が「拷問」に相当するかどうかを判断するために彼らの要望に従ったものだ。結果、彼らは拷問には相当しないと判断した。

 私自身、自ら望んで水責めを受けたことがある。楽しい経験ではないことは間違いない。だが、自ら進んで拷問を受けようとする人はいない。

 水責めは大半の拘束者にとって、決して最初の、あるいは最良の選択肢ではない。われわれは「お茶と同情」のアプローチから始めた。そして一般市民の生命が脅かされるような重要な情報を拘束者が握っており、かつそれを提供しないと決心していることが明白である場合にのみ、より厳しい手段を取った。われわれは拘束者がほんのわずかでも協力的な姿勢を見せれば、すぐに強化尋問をやめた。

 私が相手にしてきたのは、ありふれた戦地で拘束された兵士ではなく、鍛え上げられたテロリストたちだ。9・11同時多発テロの首謀者の一人とされるハリド・シェイク・モハメド容疑者のような男のことであり、さらなる破壊をもたらすことを固く決意しているような人物たちのことだ。

 私はマティス氏にこう聞きたい。自分が米国の敵に捕まっていると想像してほしい。あなたはミケロブ1本とマルボロ1箱で、同胞の米国人が拘束されたり、殺害されたりしかねない秘密の情報を渡しますか、と。

 われわれの場合、次のテロ行為の可能性を見極めるためにテロリストと仲良くなれるかどうかを探る時間が無制限にあったわけではない。当時は複数の攻撃が計画されていた。例えば、9・11からそれほど時間をおかずして、CIAは国際テロ組織アルカイダが核分裂物質の入手を図っているとの情報を得た。モハメド容疑者が2003年に拘束された際、ほかにも大規模な攻撃が予定されているかどうかを尋問した。モハメド容疑者は「すぐに分かるさ」と答えた。われわれには一刻の猶予もなかった。

 上院情報特別委員会が2014年に強化尋問は効果がなかったとの報告書をまとめたが、これを根拠に批判する向きもあるだろう。同委員会の調査には4000万ドル(約46億円)が投じられ、5年の期間を要したものの、調査員は強化尋問プログラムに関与した誰とも話すらしていない。とにかく、極端に党派主義的な議会の委員会が作成したこの調査報告書はまず疑ってかかるべきだろう。

 私はトランプ氏が選挙期間中に示唆したように、「水責めよりもはるかに悪いものを数多く呼び戻す」と主張しているわけではない。だが次期大統領は、核や化学、生物兵器による差し迫った攻撃に関する情報を持っている可能性の高い重要なテロリストを米国が拘束した際にどうすべきなのか、よくよく考える必要がある。オバマ大統領が指示したように、情報機関は米陸軍のフィールドマニュアル(野戦教範)に記されている戦術しか使えないと、トランプ氏も言うつもりなのだろうか。そして国民はその結果を単純に受け入れるしかないとでも言うのか。

 米国は高度な道徳規範を維持し、あらゆる残忍な尋問技術は違法なままにしておくべきだと主張する声も政権内にはある。つまり、2016 年度に国家防衛権限法が施行されて以降の現況通りにだ。

 だが一刻の猶予もない状況下では、CIA関係者は何であれ必要な手段はすべて使い、その後の裁判で恩赦に望みをかけるべきなのか。オバマ政権下の司法省によって、つまみ出された者として私は、CIA関係者が政府を守るために命を危険にさらすことを期待するのは理屈に合わないと確信する。その政府は見返りとしてCIA関係者を守るために最善を尽くすわけではないのだから。ポリティカル・コレクトネスを強調するあまり、われわれは高い道徳規範の上に立ったまま、攻撃で街の一角にあいた大きな穴を見下ろすことになるのだ。

トランプ次期政権特集

トランプ氏とオバマ大統領、意外な信頼関係
【社説】トランプ「軍事政権」、心配は無用
トランプ氏、水責め容認発言を修正「法の枠超えない」
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjQn8Xbi-_QAhWFQpQKHUHzBLUQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12340534005287504876604582491862589254438&usg=AFQjCNHedosCoZPngnqic5jLWgdrLgGfZQ

 

 
米国務長官候補、エクソンCEOに議会反発
プーチン氏との親交に懸念高まる

By KRISTINA PETERSON, PETER NICHOLAS AND REBECCA BALLHAUS
2016 年 12 月 12 日 15:04 JST

 【ワシントン】トランプ次期米政権の国務長官最有力候補に、石油大手エクソンモービルのレックス・ティラーソン最高経営責任者(CEO)が浮上。しかし、同氏がロシアのウラジーミル・プーチン大統領と親交があることから、米議会共和・民主両党の抵抗に直面している。

 共和党から異論が出ていることは、次期閣僚人事をめぐって議会共和党とトランプ氏の政権移行チームに意見の相違があることを示す初めての兆候だ。

 石油メジャーのエクソンはロシアと長年に及ぶ取引があり、両党の上院議員がティラーソン氏への懸念を表明している。年明けの新議会で閣僚の承認を行う際、上院の勢力図を踏まえると、共和党は反対票を2票以内に収める必要がありそうな状況だ。

 ジョン・マケイン上院議員(共和、アリゾナ州選出)は11日、「ウラジーミル・プーチン氏と親密な個人的関係にあることはゆゆしき問題だ」とCBSの番組で述べた。ティラーソン氏とプーチン氏が協力して「巨額の取引」をまとめたことが複数回あると指摘。「そのことがプーチン氏やロシアの脅威に対する姿勢に影響するだろう」と話した。

 上院外交委員会の民主党トップ、ベン・カーディン議員(メリーランド州選出)は同日、CNNで「(ティラーソン氏の)ロシアとのつながりを懸念している。国務長官は確実に米国を代表する人物であってほしい」と述べた。

 ドナルド・トランプ次期米大統領はFOXニュースで11日放送されたインタビューで、ティラーソン氏を「ワールドクラスのプレーヤー」だと擁護。同氏が「主要プレーヤーの多く」と旧知の仲であることは「大きな利点」だとし、「彼は企業経営者を超える人物だ」と述べた。

 政権移行チームの関係者は、トランプ氏が今週半ばに国務長官を指名する可能性があると述べた。トランプ氏はじっくり判断する構えだ。自身の見方が変われば、あるいはティラーソン氏が上院の承認を得られないと結論づければ、方針の変更もあり得る。

トランプ次期政権

ジュリアーニ氏政権入り辞退、エクソンCEOが国務長官最有力
次期米国務長官候補はロシアの勲章受章者
トランプ次期米政権の主要ポスト顔ぶれ
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwj80qGyjO_QAhWBKJQKHcfpCaIQqOcBCBwwAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12340534005287504876604582491900260448334&usg=AFQjCNF_ptR_WjWekIoQMtJ8V8COxkYxyw


 


 
トランプ氏、国土安全保障長官にケリー退役海兵隊大将を正式指名
Arit John
2016年12月12日 23:58 JST 
トランプ次期米大統領は国土安全保障長官にジョン・ケリー退役海兵隊大将を正式に指名した。トランプ氏の政権移行チームが12日朝に発表した。
  トランプ氏が自身の政権の閣僚に退役将校を指名するのはケリー氏で3人目。国防長官にジェームズ・マティス退役海兵隊大将、大統領補佐官(国家安全保障担当)にはマイケル・フリン元陸軍将校がそれぞれ指名されている。
  承認されれば、国土安全保障長官としてケリー氏は沿岸警備隊や大統領警護隊(シークレットサービス)、運輸保安局(TSA)、税関・国境警備局(CBP)など幅広い機関を監督する。ケリー氏はトランプ氏が公約に掲げていたメキシコ国境沿いの壁建設の責任も担う。
原題:Trump Formally Nominates General Kelly to Lead Homeland Security(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-12/OI2U466KLVRE01


http://www.asyura2.com/16/senkyo217/msg/467.html

[政治・選挙・NHK217] 米中対立、日本は「漁夫の利」得られるか 中国が強い懸念表明、「一つの中国」めぐるトランプ氏発言で
コラム:
米中対立、日本は「漁夫の利」得られるか

嶋津洋樹MCP シニアストラテジスト

FX Forum | 2016年 12月 12日 17:38 JST 関連トピックス: トップニュース

[東京 12日] - 今月2日に明らかとなったトランプ次期米大統領と蔡英文・台湾総統の電話会談はあまりに唐突だった。特に「一つの中国」という原則を掲げ、国際社会における台湾の地位低下を進めていた中国にとっては、大きな誤算だったに違いない。これまでの中国の立場を踏まえれば、米国に対する抗議は当然だ。

米国の対応も迅速で、4日にはペンス次期米副大統領が電話会談は「儀礼的なもの」と説明。5日にはアーネスト米大統領報道官が「一つの中国」の原則を守る方針を中国側に伝えたと報じられた。

トランプ氏は4日、中国の経済・軍事政策を批判し、同国の抗議に屈しない姿勢を示したが、中国の国営メディアが5日、電話会談はトランプ氏の外交経験の無さの表れと報じたこと、米国で7日、親中派とされるブランスタド・アイオワ州知事が駐中国大使に指名されると報じられたことで、事態は収拾へ向かったかに見えた。少なくともこの時点では、中国の面子(めんつ)は保たれ、トランプ氏の一連の発言も本音というよりも、同氏特有の交渉術の一つと解釈できた。

もっとも、トランプ氏が8日に「中国はルールに従っていない。彼らがルールに従うときが来ている」と発言したことで、そうした解釈は楽観的なものである可能性が高まった。実際、11日にはさらに踏み込み、「『一つの中国』政策については十分に理解しているが、米国と貿易などについて合意でもしない限り、なぜ堅持する必要があるのか分からない」と、経済問題を政治問題である「一つの中国」と絡めて発言。今のところ、中国側の反応は伝えられていないが、反発は必至だろう。

報道によると、トランプ氏は中国による「知的財産権の侵害や米企業への不当な課税、北朝鮮問題での非協力的な対応、恣意的かつ大規模な自国通貨切り下げ、ダンピング」など、経済から安全保障に至るまでの幅広い分野に不満があることを明言。これらの発言は、トランプ氏が大統領選中に繰り返した「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」を経済のみならず、通商や外交、安全保障なども含めた様々な分野で基本方針とする可能性を示している。

例えば、環太平洋連携協定(TPP)からの離脱や北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しなどは、「アメリカ・ファースト」を経済・通商政策で実現することを狙ったものだろう。それを安全保障政策に適用したものが、同盟国に対する負担や軍事費の引き上げ要求。イランとの核合意を破棄する考えを示しているのも「アメリカ・ファースト」に基づく行動だと考えられる。トランプ氏とこれまでの米大統領との違いは、政策決定の際に「国際的な協調」や「過去の経緯」が役に立たないということだろう。

<「中国の夢」と「アメリカ・ファースト」の相性>

筆者はトランプ氏に「一つの中国」の認識を覆すほどの強い意識があるとは見ていないが、こだわりがないだけに、中国の反応の仕方次第では、米中関係の悪化に拍車がかかるリスクは少なくない。トランプ氏にとっては、「一つの中国」問題ですら、「アメリカ・ファースト」を実現するための「手段」にすぎない。

トランプ氏の「アメリカ・ファースト」に基づく考え方は、国際社会に大きな変化をもたらしかねない。しかし、それが米国の保護主義への傾斜や、米国以外からの米国軍の撤退や縮小などに結び付くというのは、行き過ぎだろう。

さすがのトランプ氏も、保護主義や世界における米国軍のプレゼンスの低下が最終的に米国のためにならないことは理解できるだろう。オバマ大統領の「トランプ氏の立場や性質のうち、現実にそぐわない部分はかなり早い段階で揺さぶられるだろう」との指摘は的を射ている。

こうした問題よりも深刻なのは、米中関係だろう。筆者は、習近平・中国国家主席の掲げる「中国の夢」と、トランプ氏の掲げる「アメリカ・ファースト」とが共存するのは難しいと考えている。というのも、「中国の夢」は、中国が米国に経済力や軍事力、それらを背景にした政治力で挑戦し、勝利することでしか実現しないからだ。トランプ氏にとっての中国は、同盟関係にある日本や欧州各国とはもちろん、NAFTAや移民の問題で関係悪化が懸念されるメキシコとは大きく異なっている。

トランプ氏の「国際的な協調」や「過去の経緯」にとらわれない姿勢も、中国の面子を重んじる文化と相性が悪く、対立を激化させるリスクをはらむ。上述した通り、それがトランプ氏特有の交渉術であり、今後も続く可能性が高いとすればなおさらだろう。

トランプ氏は11日、台湾総統との電話会談に応じるかとの質問に対し、「中国に指図されたくはない」と返答。こうしたトランプ氏の言い方は、「中国の夢」の第一歩として、米国と対等の関係を目指す中国のプライドを大きく傷つけたはずである。

また、米国が日欧とともに中国を世界貿易機関(WTO)協定上の「市場経済国」として認めない方針を示していることも、対立の火種になるだろう。実際、トランプ氏は「中国は市場経済ではない」と発言。トランプ氏の言う「市場経済」と、WTO協定上の「市場経済国」とは必ずしも同義ではないとみられるが、トランプ氏が中国を「市場経済国」として認めるハードルは、現在のオバマ米政権よりも高くなりそうだ。

<日本にとって最悪のシナリオは>

日本では、トランプ氏が大統領就任初日の1月20日にTPPからの離脱を通告すると発言したことなどを受けて、安倍政権の成長戦略や通商戦略が見直しを迫られると報じられている。筆者もそうした見方を否定するつもりはない。しかし、上述した通り、同盟関係にある日本にとって、トランプ氏の「アメリカ・ファースト」は必ずしも対立につながるとは限らないだろう。それどころか、ウィン・ウィンの関係を築くチャンスすらある。

その際、日本にとってのリスクはやはり中国だろう。例えば、中国が米国との関係悪化でつぶれた面子を、日本への経済的、政治的な圧力を強めることで取り戻そうとすることが考えられる。資本流出に悩む中国が、日本企業を対象に規制を強化したり、日本への旅行に制限を設けたりすれば、日本経済に打撃となるだろう。軍事的な挑発で地政学リスクが高まれば、せっかく日本に向かい始めた世界の投資資金が逆流することもあり得る。

反対に、中国が日本との関係改善に動くことで、日米の間に楔(くさび)を打とうとする可能性もある。トランプ氏が日中間の接近に焦って日本との一段の関係強化を目指せば良いが、「アメリカ・ファースト」への挑戦と受け取ることで、日米関係が悪化することもあり得る。

他方、米中間の関係改善は日本の孤立を招くだろう。それは日本の経済のみならず、安全保障上も最悪のシナリオである。日本は、トランプ氏の「アメリカ・ファースト」のメリットを享受できる国だと考えられるが、そのことで生まれる中国リスクには注意が必要だろう。

*嶋津洋樹氏は、1998年に三和銀行へ入行後、シンクタンク、証券会社へ出向。その後、みずほ証券、BNPパリバアセットマネジメント、SMBC日興証券などを経て2016年より現職。エコノミスト、ストラテジスト、ポートフォリオマネジャーとしての経験を活かし、経済、金融市場、政治の分析に携わる。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)

(編集:麻生祐司)
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-hiroki-shimazu-idJPKBN1410OA?sp=true


 

中国が強い懸念表明、「一つの中国」めぐるトランプ氏発言で

[北京 12日 ロイター] - 中国外務省の耿爽報道官は12日、米国政府がこれまで維持してきた「一つの中国」政策を必ずしも堅持する必要はないとしたトランプ次期米大統領の発言について、極めて強い懸念を表明した。

外務省は、台湾における中国の核心的利益を米国が認識できない場合、米国との協力は「論外」であると主張。両国間に存在する多くの商業や安全保障問題について、この論点を交渉材料にしようとするトランプ氏のあらゆる試みを拒否すると示唆した。

耿報道官は「中国は報道について認識しており、深刻な懸念を持っていると表明する。台湾問題は中国の主権と領土の保全にかかわるものであり、中国の核心的利益を内包するものであることをここに強調する」と述べた。

さらに「『一つの中国』政策の支持は、中国と米国の関係発展のための政治的基礎となる指針だ。この基礎が妨げられるか損害を受けた場合、中米関係や重要分野における両国の協力を健全に発展させることは不可能となる」と言明した。

報道官は、外務相より上位に位置する楊潔チ・国務委員(外交担当)が最近ニューヨークを訪問し、フリン元米国防情報局長を含めトランプ氏の顧問と会見したと述べ、「中米関係や重要課題に関する意見交換を行った」と話した。会見の時期など詳細については触れず、今回の台湾をめぐる発言より前のことなのかどうかについても説明しなかった。
http://jp.reuters.com/article/usa-trump-china-idJPKBN1410OU

http://www.asyura2.com/16/senkyo217/msg/468.html

[経世済民116] FOMC後の株価、ツイッター分析で予測せよ 2017年の米株価、市場予想にはご用心 米国経済の真の問題イノベーション停滞
FOMC後の株価、ツイッター分析で予測せよ
FOMC発表前のツイートを分析してトレーディング戦略を立てることは有益だと調査結果は示している

By STEVEN RUSSOLILLO
2016 年 12 月 12 日 14:55 JST

 ドナルド・トランプ次期米大統領は大統領選の前から、ツイッターへの投稿を通じて株式相場が動くのを楽しんでいる。つまり、少なくとも特定の日については、ツイッターが市場で次に何が起きるか投資家に伝える可能性があるということだ。

 ある調査では、米連邦準備制度理事会(FRB)が今週13・14日に開く今年最後の連邦公開市場委員会(FOMC)について、会合前にソーシャルメディアへの投稿をくまなくチェックして株式相場の反応を予測しておくことが有意義である可能性があることが明らかとなった。

 マサチューセッツ工科大学(MIT)の経営大学院スローンスクールのアンドリュー・ロー教授(金融論)が今年発表した論文によると、FOMC後の政策判断発表の約24時間前にFRBについてツイートされた内容を基にトレーディング戦略を立てることは有益だった。

 これは、いわゆるクオンツ投資家が取引のヒントを得ようとアルゴリズムを駆使してソーシャルメディアの情報をかき集める時代になってから明らかになった最新の調査結果の一つだ。

 ロー教授と博士課程の学生の共著「the wisdom of Twitter crowds(ツイッターに集まる人々の知恵)」と題した論文では、ツイッター投稿者の心理が投資リターンに与える影響は、FOMCの結果発表日には確認できたが、それ以外の期間はそうした現象が見られなかったと結論づけている。FOMCの発表は予定に沿って繰り返し行われる予測可能なものであるうえ、投資家にとって新たな情報を含んでいるため相場が動く傾向があるからだと説明している。

 両氏は2007年から14年までのFRB関連のツイート390万件に「極性(方向性)」スコアを割り当て、投稿者の心理を数値化した。ツイッターの心理がより極端な水準に達した場合に、トレーディング戦略が効果的になる傾向が見られた。言うまでもないが、この研究が行われた期間は金融政策が極めて重要だった時期と一致している。

 同様の結果は、FOMC発表前の株価変動を分析したこれ以外の多くの調査でも確かめられている。ニューヨーク連銀のエコノミストは「FOMC前の不可解な傾向」、つまりFOMCの結果発表直前に株式相場が急騰する傾向について調査した。その結果、1994年から2011年までの間、FOMCの結果発表前24時間でのS&P500種の投資リターンは年3.9%となる一方、それ以外の期間は0.9%にとどまっていたことが分かった。

 想定外の事態でもない限り、今回のFOMCは金融危機以来2回目の利上げで合意することがほぼ確実とみられる。17年以降の利上げペースは未知数だが、これについて示唆する何らかの情報が出てくれば、市場の反応は大きくなる可能性がある。

 ただ、FOMC前の株高はすでに前倒しで起きている可能性がある。S&P500種株価指数は6営業日連続で上昇して年初来11%高をつけ、過去最高値を更新している。

 それでも、「FRBに逆らうな」という格言はおそらくこれまでにないほど的を射たものとなるだろう。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwi5r53nke_QAhXDEpQKHTIXAs8QFggiMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12340534005287504876604582491973948420012&usg=AFQjCNEZLf4UyCwZkqZZq0oo8YfDUuHsLA

 


米国経済の真の問題:イノベーション停滞
米国はリスクを避けすぎか?
By GREG IP
2016 年 12 月 12 日 12:25 JST

 一見すると、私たちはイノベーションの黄金時代にいる。人工知能(AI)や遺伝子治療、ロボット工学、そしてソフトウエアのアプリは毎月のように新たな進展を遂げている。研究・開発費の対国内総生産(GDP)比率は史上最高に近い。米国にはかつてないほど多くの科学者や技術者がいる。


 しかし、これらはいずれも、米国民の生活水準の実りある前進はもたらしてこなかった。

 経済は、拡大する労働力により大きな資本(装置やソフト、建物など)を投下し、そのうえで資本と労働をより創造的に結合させることで成長する。この最後の要素は「全要素生産性(TFP)」と呼ばれ、技術革新の貢献度を示す。TFPの成長率は1950年代、電気や航空、抗生物質といったかつての画期的発明の効果が最大に達するなか、年3.4%でピークをつけた。それ以降は一貫して鈍化し、2010年代は平均0.5%の低水準にとどまっている。

 パーソナルテクノロジーの分野を除くと、日々の生活の改善はこれまで、革新的にではなく漸進的に起きてきた。住宅、電化製品、自動車の外観は、一世代前とほとんど変わっていない。飛行機のスピードは60年代から伸びていない。米国で最も処方されている薬剤トップ20に、過去10年に発売された新製品は入っていない。

 米国の生活水準が2000年から停滞しているのは、イノベーションのスランプが主因だ。その流れが変わらない限り、今後も停滞は続くとみられ、中間層がこれほどの不満を抱く原因となった病を悪化させることになるだろう。

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 イノベーションがスランプに陥っている原因について、エコノミストは熱い議論を交わしているが、明らかな要因がいくつかある。まず、各種アイデアを売れる製品に変えるまでのハードルが高くなっている。科学、医療、技術の分野では簡単に得られる果実は収穫済みであり、新たな進歩は多くの費用がかかるうえに複雑で、失敗もしやすい。イノベーションは試行錯誤を通じて得られるものだが、社会のリスク許容度は低下している。

 規制当局は新たなアイデアを商業化する際の基準を引き上げる一方、大気浄化などGDPには寄与しづらい革新的取り組みへの誘導を強化している。また業界の一極集中傾向により、新興イノベーターが足がかりを得るのは以前より難しくなっているかもしれない。

 イノベーションの枯渇は解決不可能な問題ではない。資本は潤沢であり、伝統的企業も新興企業も自動車、宇宙旅行、ドローンにハイリスクな賭けをしており、一部当局はそれらの賭けを成功させるため、これまで以上のリスクを容認しようと努めている。

 楽観論に傾くエコノミストは、画期的なイノベーションが経済を変容させるには何年もかかると指摘している。1879年に電球が発明されてから、電気が国の成長に大きな影響を与えるまで約40年かかった。1970年代にパソコンが発売されてからITが生産性を引き上げるまでに約20年かかった。

 マサチューセッツ工科大学の経済学者エリック・ブリンジョルフソン氏は「最近、特にAIの分野で、向こう5年から15年に実を結びそうな技術革新が相次いでいる」と述べた。「それらが結実し、経済に行き渡る時、圧倒的な効果が得られることは想像に難くない」

医薬品

 それでも、ITは別として、イノベーションのハードルは低くなるどころか高くなっており、その傾向は医薬品で特に顕著だ。

 過去1世紀は、ワクチンや抗生物質、清潔な水が人類最大の敵の多くを消し去った。オックスフォード大学のジャック・スキャネル氏は「もはや商業的にも科学的にも、胃潰瘍の薬をこれ以上探す理由はない」とも述べた。

仏製薬大手サノフィは米ワープ・ドライブ・バイオと画期的な新薬開発を目指して提携する(写真はワープドライブの研究所) ENLARGE
仏製薬大手サノフィは米ワープ・ドライブ・バイオと画期的な新薬開発を目指して提携する(写真はワープドライブの研究所) PHOTO: TONY LUONG FOR THE WALL STREET JOURNAL
 残されたのは、科学者が有用な治療理論を得られていないアルツハイマーのような疾患だ。スキャンネル氏らの推計では、米国の新薬研究・開発費1ドル当たりの承認件数は、1950〜2010年には9年ごとに半減した。その後、承認件数は増加したが、その40%は、患者が20万人に満たない希少疾病用の医薬品、いわゆるオーファンドラッグだ。

 医療研究が報われる確率が低下していることは、スタンフォード大学のチャールズ・ジョーンズ教授と3人の共同執筆者による新たな研究論文で浮き彫りになっている。それによると、1985年以前には乳がん治療の生存年数は、研究の増加に伴い毎年着実に延びていた。しかし同年以降は、生存率の改善が鈍化している。ジョーンズ氏らは、農業や半導体についても、研究者1人当たりの生産性が一貫して低下するという同じパターンを発見した。

 豊かな社会では人命の価値が上昇していることがうかがえる。ジョーンズ教授の別の研究によると、1960年の米国では研究・開発費の7%が医療に充てられていたが、07年にはこれが25%になっていた。つまり、より一般的な消費財に向かっていたかもしれない研究・開発の代わりに、医療研究が行われているのだ。ジョーンズ氏は、人命の価値上昇が通常の消費財やサービスの成長を鈍化させると予想している。

自動車

 過去のイノベーション(化石燃料の燃焼など)が環境や健康に及ぼしてきたダメージを修復するための技術革新の取り組みも増えている。これは消費者の財布を直撃する。自動車研究センターのエコノミスト、ショーン・マカリンデン氏によれば、自動車価格のうち連邦政府の安全基準や燃費基準を満たすための割合は、67年にはゼロだったが現在は22%だ。2万5000ドルの車であれば5500ドルに相当する。

 それらは実際に恩恵をもたらした。ハイウエーでの死亡事故は60年代終盤から最近まで減少しており、大気の質は改善した。マカリンデン氏は、もし買わなくて済んだのであれば、消費者はそうした機能を購入していなかっただろうと指摘する。

 1990年に厳しい排ガス規制を導入したカリフォルニア州は現在、同州の自動車7台のうち1台を排ガスゼロ車にすることを目標にしている。これは、水素か電気をエネルギーにすることを意味する。大気汚染の緩和という規制の目標は広く共有されているが、一方で自動車メーカーは採算の取りやすい技術とは違う特定の技術に注力することを強いられる。

パリ自動車ショーで展示されたテスラ・モーターズの「モデルX」 ENLARGE
パリ自動車ショーで展示されたテスラ・モーターズの「モデルX」 PHOTO: REUTERS
 例えば電気自動車(EV)は、同等のガソリン車に比べてコストが高いが性能は劣る面がある。バッテリーは場所を取り、車重が増えるうえに、極端な温度下などでは航続距離が限られる。連邦政府の多額の補助金にもかかわらず、ガソリン安でEVの販売台数は伸び悩んでいる。エドムンズ・ドットコムによると、今年の米新車販売のうち、EVとハイブリッド車の割合は合わせて1.9%と、06年以来の低水準にとどまった。

 イノベーションは試行錯誤から生まれるが、過ちで人が死ぬこともある。飛行機の墜落、有毒廃棄物の流出、金融危機は決まって新たな規制をもたらし、それらによって世界の安全度は向上するが、将来のイノベーションに向けたハードルが高まる。

 ノースウエスタン大学の技術史家ジョエル・モキア氏はイノベーションについて、「何らかの反動がつきまとう面倒なプロセスだ。しかし、リスクを回避する傾向は強まっている気がする。失敗も起こり得るという事実が受け入れられにくくなっている」と述べた。

ドローン

 ドローンは何年も趣味や軍事に使われてきたが、商業面で従来の有人飛行機を超えるメリットはあまりなかった。だが過去10年に、機体を水平に保つ重要な部品ジャイロスコープの価格が、スマートフォン向けの開発のおかげで低下した。それでも商用ドローンの飛行が、いくつかの例を除けば違法であることに変わりはなかった。有人機用に策定され、免許を持ったパイロットの搭乗を義務付ける連邦航空局(FAA)の承認が必要だったためだ。

 FAAは議会の要請を受けて昨年新たな規則を導入したが、依然ドローンの操縦について制限を設けている。例えば操縦者の見える範囲や一定の高度を超えてドローンを飛ばしてはならない。

 商用ドローンへの規制が続くことで、アマゾン・ドット・コムなどによる配達目的だけでなく、人命に関わる活動への利用も制限されかねない。米国鉄道協会(AAR)によると、米国の鉄道は線路、トンネル、橋、信号を定期的に点検しなければならないが、遠隔地も多く、作業は通常は地上から行う。作業には人手がかかり、危険なこともある。ドローンはこの作業にうってつけだ。しかし、AARによれば、高度などの規制により利用は限定されているという。

それでも続くイノベーション

 こうしたハードルにもかかわらず、イノベーションは続いている。インターネットやスマホを筆頭に、驚くべきペースで革新が進む分野もある。

 アマゾンはほぼ単独で小売りの生産性を引き上げている。JPモルガンによると、業員1人当たりの売上高は、ネット販売業者が130万ドルであるのに対し、実店舗は27万9000ドルにとどまる。アマゾンの市場シェア拡大につれて、業界全体の生産性も高まっている。小売業界の1時間当たりの生産性は過去1年に3%上昇した。これに対し、産業全体の生産性は0.8%の上昇だった。

テキサスにあるアマゾンの倉庫で働く従業員 ENLARGE
テキサスにあるアマゾンの倉庫で働く従業員 PHOTO: ROBERT DAEMMRICH PHOTOGRAPHY INC/CORBIS VIA GETTY IMAGES
 この上昇にはそれほど有望でない面もある。経済協力開発機構(OECD)の研究論文によれば、生産性向上は最も効率的なプロセスと技術を使う「フロンティア」企業で加速する一方、それ以外の企業では鈍化している。つまり、アマゾン、フェイスブック、グーグルといった企業にライバルが追いつけないことが生産性を抑えているのだ。

 執筆者はその原因について、新たな技術が実際には、代替が難しく特許で保護されていることが多い技術や事業プロセスの集まりであるためだとみている。多くのデジタル企業は、顧客のニーズを効率的に満たすための独自アルゴリズムに多額を投じる「プラットフォーム」だ。グーグルの検索、ウーバーの配車、イーベイのオークションはいずれもそれに当てはまるだろう。プラットフォームにはネットワーク効果があるため、ユーザーが増えれば増えるほど、利用者にとって便利になる。

 フロンティア企業が技術革新を続ける限り、それが生産性を抑えることはない。リスクは、1社が市場を独占するようになると競合他社がそのネットワークに対抗できなくなるため、顧客を引き留めるために技術革新を続ける必要性が低下することだ。

 エール大学の経済学者で米独禁当局での勤務経験があるフィオナ・スコット・モートン氏は「市場での地位は早期の技術革新的な活動から来る」と述べた。「だがそれは、ネットワーク効果が非常に強ければ、続ける必要はない。皆がフェイスブック上にいる。私たちがフェイスブックをやめるとすれば何が原因か。劇的に悪化しなければやめない」と述べた。

 こうした障害に直面した際の解決策は何か。スタンフォード大のジョーンズ氏は、過去と同等の恩恵をもたらすイノベーションに、より多くの研究者が必要になっていると話す。つまり、同じ成長率を維持するだけでも、研究・開発に当たる人や資源の割合を増やす必要があるということだ。

 1つの方法として、他国の知識をより有効活用することがある。歴史的に、途上国はアイデアをまねることで先進国に追いついてきた。それを効率的に行っている例が中国だ。インドと中国の研究が爆発的に増えるなか、アイデアの流れは逆転する可能性がある。

 規制当局は、より多くのリスクを容認する必要があるかもしれない。自動運転車はそれを一部証明している。

 自動車メーカーは、自動運転技術の開発に躍起になっている。代替燃料技術と違い、自動運転技術は政府の命令でなく市場の需要にけん引されている。自動運転技術に関連する特許は2012年に突然増え、自動緊急ブレーキや車間距離制御装置といった機能は既に多くの車種で標準装備されている。本当の自動運転車はかなり遠い話だが、それでも多くの企業は開発への多額投資をやめない。

 今年5月、テスラ・モーターズの自動車が「オートパイロット」モードでの走行中にトレーラーと衝突し、乗車していた男性が亡くなった。これを受けて当局の規制強化が始まり、技術開発が停止していた可能性があった。だが運輸省道路交通安全局(NHTSA)は9月、メーカーが自社システムの安全をできるだけ確保する方法について、拘束力のない指針を示すにとどめた。

 アンソニー・フォックス運輸長官は「われわれの通常のモデルとはかなり違う」と述べた。自動車安全基準は通常、非常に規範的だという。それが今回は、「われわれが考えなかったかもしれない安全へのアプローチを業界が確立できる余地を残した」という。

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2017年の米株価、市場予想にはご用心
大手行は17年のS&P500種指数について、いずれも上昇を見込む(写真はニューヨーク証券取引所) ENLARGE
大手行は17年のS&P500種指数について、いずれも上昇を見込む(写真はニューヨーク証券取引所) PHOTO: BRYAN R. SMITH/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
By JAMES MACKINTOSH
2016 年 12 月 12 日 12:21 JST

 米金融業界のストラテジストにとって、部屋の奥から水晶玉を引っ張り出し、1年前に自分が何を語ったかは都合よく忘れた上で、来年の相場動向を占う時期がまたやってきた。

 金融業界には来年を楽観できる意外な理由がある。それは、このまま行けば今年の株価予想が過去最大級の的中度を記録することになるからだ。

 2016年末のS&P500種指数の水準は、年初時点では平均2216と予想されていた。同指数は12月7日に初めてこの水準に達し、さらに上値を伸ばした。足元の高値を維持すれば、同指数の予想値と実績値の差がわずか2ポイントにとどまった05年以来の的中度となる。

 大手銀行のストラテジストらは17年も株高を見込む。ドナルド・トランプ次期米大統領の減税や財政出動が景気を支えると想定し、いずれもS&P500が7日終値(2241.35)よりも上昇するとの予想を示している。

 とはいえ、投資家は冷静を保つべきだろう。今年の予想値が実績値に近いのは運が良かっただけの話で、ストラテジストの予測能力が急に高まったからではない。典型的なのがバンクオブアメリカ・メリルリンチだ。S&P500が2200を付けるという同行の予想は実際の水準にかなり近い。ただ同行は米連邦準備制度理事会(FRB)が16年中に3?4回利上げするとも予想していた。現在、今週の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げが広く予想されているが、今年はそれが最初で最後となりそうだ。重要なのは予想がただ当たることではなく、それがどのような経緯で実現したかである。

 米金融業界では来年の株価の推移について意見が割れている。ゴールドマン・サックスの米国株チーフストラテジスト、デービッド・コスティン氏は「トランプ氏への過剰な期待が高まるが、その後で現実を思い知らされる」と予想している。トランプ氏の就任当初100日間は減税や規制緩和、インフラ支出への期待が高まり、S&P500は3月末に2400まで上昇するが、これらの計画が議会を通過し始めた段階でS&P500は上昇勢いを失い、17年末までに2300へ反落する、というのがコスティン氏の見方だ。

 JPモルガンはこれよりも高い2400との予想を示しているが、同行のチーフ市場ストラテジストのジャン・ロイズ氏は、「トランプ効果」は主に法人税減税による企業収益の押し上げという形で株価を押し上げると予想している。ただ、経済全体への波及効果はほとんどないと言う。

 バンクオブアメリカ・メリルリンチは17年について、経済成長が加速しインフレも上昇する展開を予想しているが、相場が乱高下する可能性もあるとみる。クレディ・スイスは、10年物米国債利回りが3%を突破して株式相場に打撃を与える可能性を懸念し、S&P500が17年前半に上昇した後、2300まで反落すると予想している。

 予測にまつわる問題を浮き彫りにしたのはシティグループだ。同行の米国株チーフストラテジスト、トビアス・レブコビッチ氏は、1年後のS&P500の予想値を2325に設定した。だが、大手行ストラテジストの中で17年の予想を発表したのはレブコビッチ氏が一番早く(16年9月)、同氏はダウ工業株30種平均の17年末の水準について2万ドルという目標を掲げた数少ない1人だった。米大統領選後に急反発したダウ平均は今や2万ドルまであと数百ドルに迫っている。

 経験則から言えるのは、こうした「来年の予想」は無視した方がよいということだ。ブルームバーグのストラテジスト調査での予想平均では2000年以降、年初時点でその年の株価が下落するとされたことは1度もない。だが実際には、株価は3年に1回は下落した。大きな転機を迎えたときには、株価予想は上下どちらにも外れがちだ。リーマンショックに見舞われた08年は、もともと大幅な株高が予想されていたが、実際には歴史的な大暴落となった。これを受けてストラテジストらが警戒を強め、09年の予想株価は調査開始以降で最低となったが、最終的にその年の株価は23%もの急反発を演じた。

 ゴールドマンのコスティン氏は、予想がいかに正確かは自身のボーナスの査定基準の一つになっているが、顧客が重視しているのは、そうした予測値を導き出す根拠になった考え方だと述べた。

 JPモルガンのロイズ氏は、ストラテジストの多くが公の場では認めないこと、すなわち、相場水準の予想には「価値がない」との考えを示した。

 「われわれが株価水準を予想するのは、顧客から要請があるからであって、株価水準を予想することに何らかの大きなメリットがあるからではない」と述べた。

 投資家にとっては、ストラテジストらに同調していれば必ず安心していられるというわけではない。インベステック・アセット・マネジメントのマルチアセットチームの共同責任者を務めるフィリップ・ソーンダーズ氏は今年の夏以降、財政出動がインフレと経済成長を押し上げることを見込んだ「リフレトレード」を行ってきた。今ではどの銀行もこうした展開を予想するようになった。ほぼ全員が同じ意見というのは「あまりにも危険すぎる」と同氏は述べた。

 ヘッジファンドなど抜け目ない投資家は、経済成長が当初の見方よりも良好なことに気付いているが、ソーンダーズ氏は、もっと動きの遅い大手機関投資家は債券や債券代替株をまだ売却しておらず、より大きな動きが見込める持ち高への転換が遅れているとみている。

 ロイズ氏もこれに同調し、投資家の多くは「ようやく追い付こうとしているところだ」段階だと述べた。

 ストラテジストらの予想が正しければ、数年続いた債券買いが反転することで株式への大規模な資金流入が続き、この1カ月間の株高が裏付けられることになる。そうした動きが見られないようなら、少なくともストラテジストの予想は全て外れることになるだろう。

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[環境・自然・天文板6] 要約の達人 人間は「脳」の下僕?自由意思は存在するのか 『は脳に操られているのか』
要約の達人 from flier
【第24回】 2016年12月12日 flier
人間は「脳」の下僕?自由意思は存在するのか
『<わたし>は脳に操られているのか』
要約者レビュー


『<わたし>は脳に操られているのか』
エリエザー・スタンバーグ著、太田 直子訳
334ページ
インターシフト
2300円(税別)
 私たちは、<脳>に操られるマリオネットなのだろうか? 本書はその疑問に正面から立ち向かった意欲作だ。

 本書『<わたし>は脳に操られているのか』には、脳が私たちの心や行動を操っている研究や事例が次々と登場する。脳障害による人格の変貌、心を変えるクスリ、犯罪傾向のある脳の特色――こういった例を見聞きしていると、人間の思考や行動は脳によって支配されており、自由な意志など存在しないという「決定論」が正しく思えてくるかもしれない。事実、神経科学者の間では、そういった意見が多勢を占めているのだという。

 だが、著者は神経科医という立場にありながら、「自由意志」はあると声高に主張する。つまり、脳による無自覚な決定を超えて、人間には意識的に熟考する能力があると考えているのだ。

 神経科学・認知科学における自由意志の主な論点が、本書では次々と登場する。そのため、「神経哲学」と呼ばれる、日本ではあまり知られていないこの分野の概観を把握するうえでも、きわめて役に立つ一冊と言える。同時に、読みすすめていくうちに、この問題がいかに広範な領域をカバーしているのかに気づかされるはずだ。

「脳と心は別物である」というたんなる二元論に陥らず、脳自体がアルゴリズムを基盤としていることを認めたうえで、いかにしてそこから自由意志の存在を明らかにしていくのか。その議論の行方は、ぜひご自分の目で確かめていただきたい。 (石渡 翔)

本書の要点

・現代の神経科学者のほとんどは、私たちの選択や信念、行動が、すべて脳によって決められていると考えている。これがもし正しければ、道徳的責任は原理的に存在しないことになる。
・自由意志がないと考えるのは早計である。科学者のあいだで、決定論が優勢なのは、それがたんなる世界観だからにすぎない。
・私たちの意思決定は、特定のアルゴリズムを経て、思索的内省へと移ったあとで下されている。この内省こそが、人間の自由意志を構成している大きな要因である。

要約本文

◆私たちの決断はすでに脳が下しているのか
◇道徳的責任の所在

 一般的に、私たちは自分には自由意志があると思っている。だからこそ、それぞれの判断には責任が伴うと考えられているし、どう行動するべきなのかをよく吟味し、苦労しながら結論を導かなければならないと信じている。このように、道徳的責任についての考えは、人は自分の思考と行動をコントロールできるという前提の上に成り立っている。

 一方、現代の神経科学者のほとんどは、物事の決定をくだしているのは意志ではなく脳だと考えている。彼らによれば、私たちの選択や願望、信念、思案、行動といったものは、すべてニューロンの通信によって決まっており、そこには判断の自由は存在しない。こうした考えを「神経生物学的決定論」と呼ぶ。この場合、自由にならない行動に道徳的責任を負うことはできないため、道徳的責任は原理的に存在しないことになる。

◇そもそも自由意志とは何か

 現代の哲学において、自由意志に関する考えは大きく分けて2つある。

 1つは、「自由を有する自己が持つ思考と行動をコントロールする能力」を自由意志と見なす考えである。あらゆる行動は、それについて熟考する機会があるからこそ、自由な行動である。熟考する能力と行為を開始する心の働きが組み合わさって、自由意志を構成しているというわけだ。つまり、自由意志は心の力であり、人の知的能力が損なわれていない限り、確実に存在する。

 だが、あらゆる人間の行動の自由意志を無効にできるものがある。それは脳だ。もし神経生物学的決定論が正しければ、私たちの思考と決断を決めるのは脳であり、脳が心をコントロールしているという状態になる。その場合、自由意志があるとは見なされない。そのため、自由意志は神経生物学的決定論と真っ向から対立する。

 もう1つの自由意志の考え方は、自由意志と決定論は両立するというものである。これは「両立論」と呼ばれる。これが可能なのは、両立論者は自由意志を「意識の能力ではない」し、「そもそも能力ですらない」と主張しているからだ。両立論における自由意志とは、たんに「ほかに取りうる選択肢がある」という意味にすぎない。もし選択肢自体が存在しているのであれば、選ぶものが仮に脳の働きによって決定されていたとしても、自由はあるというのが彼らの言い分なのである。

 このような両立論を受け入れることは、自由意志の問題自体をすべて否定するのと同義だ。しかし、科学の完璧な因果律をすんなり信じられる立場でありながら、人間の自由という発想も含まれている理由から、両立論を受け入れる科学者は非常に多い。

◇決定論者の考える意識の生まれ方

 特別な意思決定力のある道徳的主体性が、どうやってコンピューターのように意識のない神経系の機構から生まれるのか、興味深い2つの仮説がある。 そのうち1つは神秘論的なものであり、もう1つは科学的なものだが、どちらも満足とは程遠い回答だ。

 神秘論的な答えとは、行為主体性をもつ人間の意識を、根本的に脳とは異なるものととらえる「二元論」のことである。これは17世紀の哲学者、ルネ・デカルトに端を発したもので、心を身体(=脳)から切り離して捉える見方だ。

 ただ、このような考え方は、今や科学界では嘲笑の対象となっている。たしかに、心と体が別だと考えれば、自由意志と道徳的主体性は存在するとあっさり断言できる。しかし、二元論を裏付ける科学的証拠は一切ないのが実情である。

 一方、科学的な答えのひとつは、「創発」あるいは「創発特性」と呼ばれるものだ。創発特性は自然界のあちこちに見られる。例えば、油はベトベトするが、それを構成する化学元素はそうでない。同様に、砂糖は甘いが、その成分には甘さのかけらもない。この発想をニューロンにも適用し、意識も行為主体性もないニューロンがたくさん集まって相互作用を起こすと、そこにパーツの合計以上のものが現れると考えるのが創発論だ。

 意識問題のさまざまな面にとりくむ科学者の多くが創発論を受け入れているし、実際に意識は脳の創発特性によるものなのかもしれない。だが、こういった創発論は自由意志と道徳的行為主体性の議論にはあまり役に立たない。なぜなら、創発特性はパーツの合計以上ではあるが、「それでもそのパーツによって決まる」からだ。成分によって決定している以上、結局のところは決定論の支配から逃れられていないのである。

◆決定論を否定する
◇決定論はただの世界観である

 現在の決断に関する研究は、ほとんど事前の考慮が必要ないものばかりだ。そのような研究だけをもとに、自由意志がないと考えることには早計である。

 科学者のあいだで、神経生物学的決定論が人間の行動に関する前提として優勢なのは、理論というより世界観だからに他ならない。科学者の多くは、自然界の多くのものが決定論的に動いているため、ほかもすべて決定していると信じることにしているだけである。

 実験室での物理的相互作用が決定しているのだから、人間の行動もすべて決定しているというのには明らかに飛躍がある。ある出来事が起こったあと、決定論的原因のせいだとするのは簡単だが、その説明が正しいとほんとうにわかるかといえば疑問だ。もっと言えば、ある出来事をもたらす要因または影響力であることと、原因であることは異なるのである。

 自由意志は人間行動に対する常識的な見解であるため、仮にこの見解を退けようとするのであれば、その立証責任は決定論者の側にある。そして、現在の決定論仮説では、人間の深い意思決定のケースを扱うことができていない。

◇アルゴリズムだけでは不十分である

 すべての意志や思案、行動といったものを、ある一連のアルゴリズムと方程式のアウトプットと見なすのが決定論だ。そしてそれはすなわち、充分なデータさえあれば、どれも数学的に推論できるということである。

 だが、厳密な一連のルールで定義できない「限りのない問題」は無数にある。創意あふれる原稿を書いたり、戦略的情報について道徳の観点から熟考したりするという課題は、特定のルールにもとづくシステムだけでは対処できない。そして私たちには、決定論的なシステムに解決できないはずの問題を、うまく解決してみせる能力が備わっている。したがって、私たち自身の考えや行動が、特定のアルゴリズムから導き出された結果だとは言えないはずだ。

(改ページ)

【必読ポイント!】

◆思索的内省
◇アルゴリズムから内省へ移行する

 私たちの意思決定は、アルゴリズムだけによって導かれるのではなく、経験の蓄えられた内面世界を意識的に旅することによって行われる。

 利用できる無限とも思える量の情報から、とくに重要だと判断した要素についてだけ思索し、重要でないものは放っておく。熟考のあらゆる段階で、自分の目的と方法について思索し、心のなかをどうさまようかについて思案する。これが「思索的内省」の真髄であり、この能力こそが人間の自由意志を構成している。

 もちろん、私たちの決断は、内省だけでもたらされるわけではない。脳、すなわちアルゴリズムは、たしかに私たちの自由意志に影響を与えている。それは事実だ。だが、たとえ決断をするうえでの最初の一歩がアルゴリズムによってもたらされているのだとしても、最後の一歩はやはり内省なのである。

◇ソマティック・マーカー仮説

 研究者のアントニオ・ダマシオが提唱したソマティック・マーカー仮説は、アルゴリズムから内省への移行を説明する有力な仮説だ。これによると、私たちが何かを経験するたび、それに関連するなんらかの感情または身体症状が生じる。その感情は神経系に刻みつけられ、その出来事と記憶を結びつけられて、ソマティック・マーク(身体的標識)として残る。

 ソマティック・マーカーは、本人が気づいていないときでも意思決定に影響する可能性がある。公平な心で決断を下していると思っても、実際には無意識のバイアスがたくさんかかっているし、プラス面とマイナス面を純粋に比較したと思っていても、そもそも比較のやり方がソマティック・マーカーの働きによって偏っている。

 だが、ソマティック・マーカー仮説は、私たちの将来がアルゴリズムで決定していることを意味しない。たしかにこれらのマーカーは私たちのすることをある程度コントロールするが、それだけではない。ソマティック・マーカーはあくまで影響をおよぼすだけで、最終的な決断を下すのは意識のある自己である。すなわち、意志の力には厳しい制限がかけられているが、それでも最終的な発言権はあるということだ。

 ソマティック・マーカーは、知覚的な刺激と、過去の情動や記憶・意識的な経験のあいだをつなげる。そして、その連携は、脳内の前頭葉が担っている。これに似て脳は、まず知覚や経験のデータ処理をアルゴリズムとして行いながら、内省的な思索へと移行していくのではないか。だからこそ、アルゴリズムで解釈できなかったものが、その重要性をじっくり検討できる脳のシステム、すなわち意識のある行為主体に移されるのである。

◇解明には新たなアプローチが必要

 意識は脳から生まれている。それはあらかじめ決定されたものではないし、逆にまったくのランダムでもない。脳そのものが厳密な生物学的システムであるにもかかわらず、それが可能なのは、特殊な「創発」が起きているからだと考えられる。

 つまり、意識はニューロンの相互作用から、新たな特性を持ちながらも、決定していない状態で出現している。それはまるで、アイザック・ニュートンの物理学が、決定論の法則にしたがっていながらも、その決定論自体は非決定論的でランダムな量子レベルの相互作用から生まれているのと同じである。

 科学者が意識についてほとんど何も理解していない理由のひとつは、意識がこうした非アルゴリズム的性質を持っているからだ。人間の意思決定はルールにもとづくものではない。自由意志と行為主体性は、脳の決定論的および非決定論的相互作用から生まれるものかもしれないが、依然として予測不可能なふるまいをする可能性を消すことは不可能なのである。

 意識が科学者の理解を超えているもうひとつの理由は、科学者のアプローチの仕方にある。思考、決断、そして意志による行動を、生物学的な働きの一部だととらえてしまえば、謎の解明は期待できない。意識の研究を行なうためには、これまでにない新しいアプローチが必要になるはずだ。

 そのためには、物理学の理解を拡張することが必要不可欠である。ボーアの時代、物理学という分野は、量子の相互作用を説明するために広げられた。これからの物理学も、思考の相互作用を含めるよう、再び拡張されるべきなのかもしれない。

一読のすすめ

 これは、自由意志という基盤を、「脳」から取り戻そうとするための冒険譚だ。神経科学、心理学、コンピューターサイエンス、哲学、文学、そして量子物理学……とにかく本書が扱う範囲は多岐にわたる。ぜひ、知を総動員してぶつかっていただきたい一冊である。

評点(5点満点)


※評点基準について
著者情報

エリエザー・スタンバーグ (Eliezer J. Sternberg)

 イェール大学附属のイェール・ニューヘイブンホスピタルの神経科医(レジデント)。脳神経科学と哲学をバックボーンに、意識と意思決定の謎について研究している。本書を含め、3冊の著作がある。
http://diamond.jp/articles/-/110492?
http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/437.html

[社会問題9] 橘玲の日々刻々 2016年12月12日 橘玲 若者が「優先席」を譲るのは、権利か義務か? 
橘玲の日々刻々
2016年12月12日 橘玲
若者が「優先席」を譲るのは、権利か義務か?
[橘玲の日々刻々]
電車内の優先席をめぐるお年寄りと若者の口論が動画サイトに投稿され、議論沸騰の騒ぎになりました。

動画では、お年寄りが「代わってくれって言ってるんだよ。席を」と優先席を譲るよう求めたのに対し、その言い方に気分を害したらしい若者が「悪いけどそういう人に譲りたくないわ…残念だったな」と拒否し、「なに。そこ優先席だってわかんないんだ」「わかんないですね」で会話が終わっています。

なんとも不快なやりとりですが、この動画の投稿主は「私は優先席を譲りません!!なぜなら先日、今にも死にそうな老人に席を譲ろうとしてどうぞと言ったら『私はまだ若い』などと言われ、親切な行為をした私がバカを見たからです」と動機を説明しています。

これについてネット上ではさまざまな意見が交わされましたが、優先席を「高齢者などに優先的に席に座る権利を付与したもの」と定義するなら、どちらが正しくどちらが間違っているかはクリアに説明できます。

まず、動画に登場したお年寄りは優先席に座る権利を持っており、その権利を行使したわけですから、若者はたとえ相手の口のききかたが不愉快でも席を譲る義務があります。なぜなら、権利と義務は一体のものだからです。

その一方で、権利を持つひとはそれを放棄することもできます。「今にも死にそうな老人」に席を譲ろうとしたのに断られたとしたら、その老人は自らの意思で権利を放棄したのですから、善意を裏切られたなどと傷つく必要はなく、そのまま座りつづければいいのです。

このように「権利」には、それを持つひとが行使するのも放棄するのも自由、という性格があります。いったん権利を行使すれば、相手にはそれに従う義務が生じます。しかし権利を放棄するのも自由なのですから、その場合はなんの義務もないのは当然です。

私の経験では、アメリカの電車で障がい者用の席に座っていて、車椅子のひとが乗ってきたので席を立つと、礼もいわず当然のように車椅子をそこに固定します(ちょっと偏屈な感じのひとでしたが)。若者が高齢者に席を譲ろうとして断られると、「オーケー」といってそのまま座りつづけます。日本のようにお互いに席を譲り合う光景も見られますが、これでなんの違和感もなく、お互いになんとも思いません。

それに対して日本では、権利を行使する際に義務を負うひとの了解をとらなければならない(すくなくとも感情を害してはならない)とか、こちらが義務を果たそうと申し出ているのに一方的に権利を放棄するのは失礼だとか、きわめて特殊な約束事があるようです。

それを日本人の美質だとか、おもてなしだとかいうのかもしれません。欧米のように、権利と義務の関係を明確に定めるのを「冷たい社会」だと感じるひともいるでしょう。しかし、これだけは知っておく必要があります。

「権利(義務)とは何か」をちゃんと理解せずに、いたずらに権利ばかりを付与すれば、電車のなかで起きたような不快な出来事があちこちで頻発することは間違いありません。あなたはそんな社会を望みますか?

『週刊プレイボーイ』2016年12月5日発売号に掲載

橘 玲(たちばな あきら)

作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ヒット。著書に『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』(ダイヤモンド社)など。中国人の考え方、反日、歴史問題、不動産バブルなど「中国という大問題」に切り込んだ『橘玲の中国私論』が絶賛発売中。近刊『「言ってはいけない残酷すぎる真実』(新潮新書)が30万部のベストセラーに。

●橘玲『世の中の仕組みと人生のデザイン』を毎週木曜日に配信中!(20日間無料体験中)
http://diamond.jp/articles/-/111128


http://www.asyura2.com/12/social9/msg/746.html

[経世済民116] ECB総裁、「何でもやる」宣言の限界知る イタリア、銀行救済で八方ふさがり トランプ相場 米国は来年後半以降4%成長も

ECB総裁、「何でもやる」宣言の限界知る
ユーロ圏の歴史を振り返るとき、先週のECB理事会は非常に重要な出来事と記憶されるかもしれない

By SIMON NIXON
2016 年 12 月 12 日 15:20 JST

 ユーロ圏の歴史を振り返るとき、先週の欧州中央銀行(ECB)理事会は非常に重要な出来事と記憶されるかもしれない。

 ECBのマリオ・ドラギ総裁は、自身が8日に発表した一連の措置は量的緩和のテーパリング(段階的縮小)を意味するものではないと断言している。債券買い入れ額をゼロまで減らしていく工程に着手するという厳密な意味でのテーパリングは少なくとも否定した。それどころかECBは一段の金融緩和に踏み切ったとも言える。なぜなら、月額800億ユーロの国債買い入れを6カ月間延長するのではなく、毎月の買い入れ額を600億ユーロに減らし延長期間を9カ月にしたことで、ECBがユーロ圏経済に追加供給すると約束した資金の総額は、市場の予想を600億ユーロ上回ったからだ。さらに、残存期間がわずか1年の国債や利回りがECBの預金金利を下回る国債も買い入れ対象に加えたことで利回り曲線(イールドカーブ)はスティープ化した。これは銀行の利ざやにとって追い風で、信用供給全体に好影響が及ぶことになろう。

 とはいえ、こうした理事会の決定は、激しい駆け引きの末の妥協の産物であり、ユーロ圏の政策決定過程の底流に未解決の課題や緊張が残ることを浮き彫りにした。毎月の債券購入規模を削減する代わりに、ドラギ総裁が量的緩和を17年末まで延長し、政治リスクに満ちた17年を通して国債市場に対する「火消し手段」を保持するのを容認するという譲歩を欧州北部の中銀総裁らから引き出した。17年にはオランダ、フランス、ドイツで選挙が行われ、イタリアでも実施される可能性がある。

 同様に、ECBは自らに課している量的緩和の制限について若干修正することで合意したが、その内容は市場の大方の予想を大きく裏切った。個別銘柄の33%超の買い入れや国別の国債購入比率の見直しをECBに認めることなどが数カ月にわたり議論されてきたが、そうした思い切った改革は実現しなかった。

 ドラギ総裁は2012年、単一通貨ユーロを守るために「何でもやる」と宣言した。その宣言が今回初めて政治的な制約に直面したことに総裁は気付きつつある。「何でもやる」宣言は当初、非常に高い効果を発揮した。ドラギ総裁は、金融と財政を安定させるためにECBの任務の限界に挑戦する構えであり、しかも前任者と違って新たな政策が政治的に黙認されるよう事前に根回しするのではなく、政策を打ち出してからそうなるのを待つ覚悟ができていると市場が認識したためだ。その結果、ECBは積極果敢な行動に出るようになり、毎回ではないものの市場の期待に直ちに応えてきた。

 それでも、ユーロ圏のインフレ率は0.6%にとどまり、ECBが目標とする「2%弱」を大きく下回る。19年の段階でも1.7%と目標に到達しない見通しだ。しかも、ポルトガル国債とイタリア国債の利回りは、ECBの政策金利やドイツ国債利回りとの差が特に大きい。このような状況下で、ECBがこの先断固とした措置を取ることができるかには疑問符が付く。

 実際には、ECBの措置に対する政治的な反発は非常に大きく無視できなくなっている。しかもこれは、超低金利が貯蓄者に及ぼす影響への不満が政治的な課題となっているドイツに限った話ではない。例えばオランダでは、年金基金の運用難を受けて退職年金の削減を余儀なくされている。一方、アムステルダムでは住宅価格が今年に入って25%近く上昇し、金融緩和政策が金融バブルをあおっているとの懸念が高まっている。

 ECBの分析によれば、超低金利は実際には資産価格の上昇を通じて退職者に恩恵をもたらしており、ユーロ圏の全加盟国が金融の安定や経済の健全性向上というメリットを享受している。ただこうした分析結果に政策立案者や政治家の多くは納得していない。こうした向きはむしろ、量的緩和が各国政府を市場の圧力から守り、政府財政やユーロ圏全体を安定させる上で避けて通れない厳しい決定の先送りを容認していると懸念している。

 結果として、ユーロ圏はドラギ総裁が就任する前の状態に戻り、深刻な構造問題を解決する責任は再び政治家が負うことになった。これは必ずしも、ユーロ圏に新たな危機が差し迫っている、あるいは危機は避けられない、という意味ではない。ドラギ総裁は、国債買い入れを少なくとも17年末まで続けるという公約(そして、現時点のインフレ見通しを踏まえて18年以降も買い入れを続けるという暗黙の公約)によって、少なくとも9月のドイツ総選挙が終わるまで市場が平静を保つことに期待するだろう。

 これによって政治家は、長期の生産性や潜在成長力を高める措置、あるいはユーロ圏の金融システムの弾力性を高める措置を講じることにより、各国が抱える債務負担の長期的な持続可能性に関する市場の懸念に対処する時間を稼ぐことができるはずだ。例えば、銀行システムに共通の預金保険を導入すれば、国境を越えたリスク共有の促進に道を開くことになり、そうした懸念を払拭(ふっしょく)できるだろう。

 だが、ユーロ圏がこうした改革に取り組めるようドラギ総裁が稼いだ時間はすでに4年に達するが、その成果はほとんど出ていない。時間稼ぎはもうあまりできないとECBは示唆しているため、市場が知りたいのは欧州の政治指導者に「何でもやる」用意があるのかどうかだろう。市場はその答えを1年も待ってくれないかもしれない。

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イタリア、銀行救済で八方ふさがり
モンテ・パスキは50億ユーロの増資について、国内の政情が落ち着くまで完了期限を延長するよう要請した

By PAUL J. DAVIES
2016 年 12 月 12 日 13:24 JST

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 欧州の銀行規制当局は、経営危機に直面しているイタリア3位の銀行バンカ・モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)に警鐘を鳴らしている。

 モンテ・パスキは50億ユーロ(約6100億円)の増資について、国内の政情が落ち着くまで完了期限を延長するよう要請した。この増資は、国民投票で憲法改正が否決され、マッテオ・レンツィ首相が辞任する以前からすでに難しいとみられていた。

 だが要請は拒否された。これは、欧州規制当局が年末の完了期限の延長を一度認めてもさらなる延長要請がないという保証はなく、その一方でモンテ・パスキ以外のイタリア銀の問題を悪化させてしまうと懸念したためと思われる。

 目下の疑問は、モンテ・パスキに増資を完了させるだけの時間があるのか、できない場合に同行の劣後債投資家や他のイタリア銀にはどのような影響が及ぶかだ。イタリアの銀行最大手ウニクレディトは、最大130億ユーロの資本調達計画を13日に発表するとみられている。

 カタールや米国のファンドをはじめとする大型投資家にモンテ・パスキの株式売却支援を促せるほど安定した印象の新政権が週末にかけて発足する可能性は、限りなくゼロに近いがある。そうなれば同行は公募増資を行い、目標を達成できるか見極めることが可能になる。

 イタリアではこの週末、暫定政権の樹立に向けて一定の進展が見られた。モンテ・パスキもこれに対し、増資の手段としてデット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)を再び提示する方針を明らかにした。より多くの債券保有者が応じることに期待している。これにより、株式売却の支援が期待される大型投資家の信頼感は高まる可能性がある。

 ただ、最終的に何らかの公的資金注入が行われる可能性はまだ十分にある。銀行の破綻処理方法に関する欧州の新規則により、既存株主や劣後債保有者に多額の損失を負わせることなく公的資金を利用することはほぼ不可能となっている。

 問題は、モンテ・パスキの劣後債の約半分を個人投資家、言い換えるなら有権者が保有していることにある。レンツィ氏を含む政治家がこの事実への対処を渋ったこともあり、同行はこうした窮状に追い込まれている。

 イタリアには、不良債権に圧迫されているモンテ・パスキなど銀行の一角に資金を注入する余裕がある。100億?150億ユーロで十分かもしれない。だが、目下の問題は法律であって、コストではない。

 他のイタリア銀にとっては昨年のように他行の損失を穴埋めする資金を負担する必要がない限り、いかなる解決策でも構わない可能性が高い。

 こうした不確実性のさなか、奇妙なことが起きている。イタリア銀行株のパフォーマンスが9日午後までの間に2009年以来最高の水準に達したのだ。モンテ・パスキが救済を余儀なくされる可能性は高まったとの見方が背景と思われる。

 投資家らは、イタリアがテクノクラート(技術官僚)的で安定した政権を樹立する一方、モンテ・パスキの問題は最終的にシステミックな影響を形成することなく何らかの形で解決するとの見方を支持している。ただ、いずれの見方も楽観的だと判明する可能性はまだある。

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2016年12月12日 田中泰輔(ドイツ証券グローバルマクロリサーチオフィサー)

為替市場透視眼鏡

トランプ相場で1ドル115円超
米国は来年後半以降4%成長も

 米大統領選挙でのトランプ氏勝利を受け、来年のドル円予想を90円台から115円超へ切り替えた。予想の一大転換は節操なく思われるかもしれないが、相場における節操とは有効な予測の根拠に軸足を据えることと考えている。


拡大する
 100円の節目を超えるか否かで中短期相場の潮目が一変し得ること、現局面のドル円の方向を決定づけるのは米経済の堅調さであることを、一貫して主張してきた。今年のドル円下落を日本の経常黒字や購買力平価対比での割高修正で説明する向きも巷間多かったが、それでは今回の相場の潮目を捉えられないことは明らかだ。

 トランプ政権によって米経済は高速ギアにシフトすると判断し、ドル円予想を上方へ切り返したが、反省もある。選挙前には、大統領選も上下両院選も共和党が勝利する可能性、トランプ氏が打ち出した極端な政策案の実現性を、それぞれ低く見積もっていた。

 115円予想の公表時には大きな反響があったが、現実の相場はその後2週間で114円台に達した。今や125円、130円の予想まで現れている(トランプ政権の政策にまだ多くの不確実性があるため、現段階でこのような予想にはくみし難いが)。

 選挙前、数年の拡大期を経た米景気サイクルは2017年に鈍化すると想定していた。昨年12月にただ1回引き上げられた政策金利の観点からは、現在の米経済は上のグラフのA点に位置するとみられるが、内実はすでにB点に至っていた。

 完全雇用状態の一方、ドル高と外需低迷で米企業は収益悪化と輸出減に見舞われ、原油安によるシェール部門の痛手から設備投資もマイナスになった。しかしトランプ氏の公約の減税やインフラ投資が満額で実現されるなら、米GDP(国内総生産)成長率は17年後半〜18年前半に3.5〜4.0%に加速し得る。FRB(米連邦準備制度理事会)は今年12月と来年に2回以上の利上げを行い、長期金利は2.5%以上に上昇しよう。

 この金利前提から来年115円予想を算出した(下のグラフ)が、ひとたび明快な方向感を得た相場はこの中期予想水準近くまで一気に進んでいる(これも相場の常)。政策の実現度次第で一段の上振れもあり得る。

 米新政権の政策が部分的にしか実現されない事態や、政治的摩擦、来年の欧州主要国選挙にまつわるユーロの動揺、ドル高による新興国・資源国の再脆弱化、中国からの資本流出懸念再燃など、リスクオフの円反発要因はそこかしこにある。しかし今後数カ月は、米新政権の布陣と、どの程度の公約が早期実現され得るかをにらみ、ドル円の上値を試す余地と持続性を探る場面と認識している。

(ドイツ証券グローバルマクロリサーチオフィサー 田中泰輔)
http://dol.ismcdn.jp/mwimgs/2/9/-/img_295a41e8318cebbefccd01e3a65530d2176351.jpg


http://diamond.jp/articles/-/110882 

http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/639.html

[政治・選挙・NHK217] 日本も加わるアジアのカジノ熱、宴が涙で終わる理由−社説 David Shipley bloomberg
日本も加わるアジアのカジノ熱、宴が涙で終わる理由−社説
David Shipley
2016年12月13日 07:03 JST
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あれこれ批判がある中で、自民党は今週にもカジノ解禁法案を成立させようとしている。カジノが天の恵みをもたらすなどと言うアナリストもいるが、神頼みをするギャンブラーの手札は弱いと相場が決まっている。日本が加わろうとしているアジアのカジノブームは、ハッピーエンドにならない公算が大きい。
  カジノ事業の現在のトレンドは「統合型リゾート」。賭け事だけでなくショーや買い物、豪華な食事などを提供する巨大施設で海外からも広く客を呼び込み、多額の金を落とさせようというコンセプトだ。このモデルでは総じてカジノの収入が増え、高額の賭けをするギャンブラーへの依存が低くなり景気浮沈の影響も受けにくくなる。
  理論的には、外国人が金を落として国内経済を浮揚させてくれ、問題は自国へ持って帰ってくれるので政府にとっても魅力が大きいように見える。開発業者に周辺のインフラ改善や会議場と見本市会場の建設などを促すこともできる。これが日本政府のビジョンだ。

マカオのカジノリゾート

  しかしまず第一に、アジア太平洋地域には既にそのようなリゾートが多数ある。シンガポールやサイパン、ベトナム、ロシア極東のウラジオストクにあるほか、フィリピンと韓国にも新しいリゾートが開業しようとしている。マカオだけでも30数カ所あり、まだ増え続けている。地域の中で競争が激しくなればそれぞれのカジノ収入が減るのは想像に難くないし、近場のカジノの方が客を引き付けるのには有利だ。競争力の弱い地域はひどい結果になりがちだ。
  さらに、こうしたリゾートが狙っているのは同じ顧客、つまり中国からの旅行者だ。しかし中国の成長が鈍化、人民元が下落している中ではかつてほど当てにならない。中国政府は資本逃避を防ぐのに一生懸命なので、海外での支出について規制を強化する可能性は高い。
 
  これらの悪条件がなかったとしても、カジノが期待通りの繁栄をもたらすことは少ない。短期的に成長を押し上げることはできるが、効果は短命だ。ギャンブル収入に課税すれば税収が増えるように見えるが、社会的コストを考えると差し引きはマイナスかもしれない。ギャンブル依存や破産、犯罪の増加など別の弊害を生みかねない。
   日本に固有のリスクもある。政府統計によると、日本ではギャンブル依存の人が成人人口の5%近くもいて、先進国の中で突出して高い。円高が外国人旅行者を呼び込む妨げになる可能性もある。また、カジノ解禁は日本の慢性的な需要不足の解決にもならない。国民の多くがカジノ解禁に反対なのは偶然ではないだろう。
  カジノを擁護する最善の論拠は「楽しい」というものだろう。アジアの多くの国で、ギャンブルは日常的に行われている。国民が賛成していて社会的コストについても十分に理解しているなら、合法とするべきだ。ただし、うのみにしてはならない。カジノのもたらす利益は決まって誇張されている。カジノでは常に、胴元の勝つ確率が高いのと同じだ。
原題:Asia’s Gambling Binge Looks Fun, May End in Tears: Editorial(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-12/OI2JVI6JIJV401

Editorial Board
Asia's Gambling Binge


NOT FOR EVERYONE.
PHOTOGRAPHER: CHRIS MCGRATH/GETTY IMAGES
30DEC 11, 2016 2:00 AM EST
Amid much protest, Japan’s lawmakers are considering a bill this week that would open their doors to opulent gambling houses. Analysts have dubbed it “manna from heaven” and the “holy grail.” Yet as any gambler will tell you, appeals to the divine are a sure sign of a weak hand. Japan’s casino project, like Asia’s gambling binge in general, is unlikely to end well.

The current vogue in the casino business is for “integrated resorts,” or multibillion-dollar goliaths designed to lure out-of-towners and offer them a variety of ways to spend -- shows, shopping, baroque dining -- beyond gambling. This model generally makes casinos more profitable, less dependent on high rollers, and better able to withstand economic ebbs and flows.

For governments, too, it’s an appealing prospect. In theory, foreigners will drop their cash, boost the local economy and take their problems home with them. Developers can be prodded to improve local infrastructure and to include space for conferences and exhibitions. This is what Japan has in mind.

It’s a hard dynamic to sustain.

For one thing, the Asia-Pacific region is already brimming with such resorts, from Singapore to Saipan, Vietnam to Vladivostok. New ones are on the way in the Philippines and South Korea. Macau has some three dozen and counting. Studies show that increased regional competition can drive down revenue for established casinos, as you might expect, and drawing out-of-towners becomes much harder when they have options closer to home. As the U.S. has lately learned, this leads to some very unhappy endings for areas that can’t compete.

Full House?
Asia has no shortage of gambling options.

Source: Bloomberg Intelligence
Note: Major casinos; 2015 data
Another problem is that many of these new resorts are pursuing the same customer: the Chinese tourist. With China’s economic growth sluggish and the yuan weakening, that’s not the sure bet it once was. The Chinese government is cracking down on foreign casino companies trying to recruit local gamblers. And it is keen to discourage capital flight, which means it may further tighten rules on spending overseas.

Even under the best conditions, moreover, casinos rarely live up to the hype. Although they can produce a short-term economic boost, on average the effect dies out quickly. Taxing gambling might seem like a painless way to bolster budgets, but casinos can actually be a net drag on public revenue when social costs are factored in. What public income they do collect tends to be regressive. Without precautions, they can lead to a host of other ills, including lower property values, increased problem gambling, higher bankruptcy rates and more crime.

Japan faces some distinctive risks of its own. Nearly 5 percent of its adult population is addicted to gambling, according to government figures, a much higher rate than in other rich countries. A strong yen may discourage foreign tourists, and slots and craps are unlikely to alleviate the country’s chronic lack of demand, especially if they simply draw revenue from ubiquitous pachinko parlors. Not incidentally, most of the Japanese public opposes the measure.

The best argument in favor of any casino is that gambling is fun. In many parts of Asia, it’s a way of life. If the public approves, and is fully informed about the social costs, it should be legal. But don’t be a sucker: The benefits of casinos are always oversold, just as the odds are always on the house.

To contact the senior editor responsible for Bloomberg View’s editorials: David Shipley at davidshipley@bloomberg.net.
30 Comments
IMMIGRATION
Adam Minter
Why China Can't Lure Tech Talent
6
2 HOURS AGO
RUSSIA

https://www.bloomberg.com/view/articles/2016-12-11/asia-s-gambling-binge
http://www.asyura2.com/16/senkyo217/msg/492.html

[戦争b19] IS、世界遺産都市シリア・パルミラを再制圧 シリア・アレッポで「民間人に残虐行為」 国連事務総長が警告
IS、世界遺産都市シリア・パルミラを再制圧
2016/12/12
BBC News
http://ichef.bbci.co.uk/news/800/cpsprodpb/4ABE/production/_92943191_6ad9a1f8-d82f-4b3f-b8c2-473dc2297c68.jpg
過激派組織「イスラム国」(IS)は11日、シリア中部の世界遺産都市パルミラを約10カ月ぶりに制圧した。ロシアによる空爆で退却させたとみられた数時間後のことだった。

パルミラのあるホムス県のタラル・バラジ知事は、政府軍が市外で再び態勢を整え、新たな攻撃を仕掛ける準備をしていると述べた。

ISはパルミラを昨年5月から今年3月まで支配していた。

ISはシリア政府が北部のアレッポでの戦闘に注力する間隙をついて、パルミラを攻めてきたと、特派員らは指摘する。

バラジ知事は政府軍のパルミラからの撤退を認めたが、「テロリストが居座らないように軍はあらゆる手を尽くしている」と語った。

パルミラ市内の活動家たちによると、アサド大統領に忠誠を誓う勢力が残っていないか、IS戦闘員が街をしらみつぶしに調べているという。

先週攻撃を始めたISは10日に、パルミラ市街と近くの国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録された遺跡に入った。

英国を本拠とする「シリア人権監視団」は11日朝、ロシア軍機による「激しい」空爆によってISがパルミラ郊外の果樹園に撤退を余儀なくされたと述べた。

ロシア国防省は、今回の作戦で64回空爆を実施し、300人以上の戦闘員を殺害したとした。

シリア軍はアレッポから一部の戦力をパルミラに、援軍として再配置したとされる。

シリア人権監視団はその後、IS戦闘員らが再び市内に攻め入り、政府軍は市の南に撤退しなくてはならなかったと伝えた。

IS戦闘員は爆発物を積んだ自動車で突っ込んだり、迫撃砲で攻撃してきたという。

パルミラの近くには油田があることから、ISにとって戦略的な価値を持つとみられる。

ISはパルミラと近くのタドムルを掌握していた10カ月間、遺跡で多くの建造物を破壊したほか、パルミラ博物館長だったハレド・アサド氏を斬首して殺害した。

2000年前に建造された2つの神殿と凱旋(がいせん)門、塔墓などが破壊された。

シリア文化省で遺跡保存を担当するマムーン・アブドルカリム氏は、パルミラ博物館の所蔵品は首都ダマスカスに移したと述べたが、遺跡が再び破壊されることへの懸念を示した。

アブドルカリム氏はAP通信に対し、「もっと復讐心に燃えているかもしれない」と語った。

ISは隣国イラクでも、イスラム教以前の遺跡をいくつか破壊している。ISはこのような遺跡を偶像崇拝にあたると考えている。

ISがパルミラに攻勢をかけるなかで、シリア軍はアレッポで反政府勢力が依然として掌握する地域の奪還に注力している。

<関連記事>

・古代遺跡パルミラ奪還 ISによる破壊は(2016年3月)

・パルミラを救え 文化財を運び出したが父を殺され(動画、2015年10月)

・パルミラの凱旋門、「イスラム国」が爆破(2015年10月)

・パルミラの神殿、「ISが爆破」(2015年8月)

反政府勢力は10日、アレッポ市内でまだ抑えているいくつかの小さな地域について、政府軍の進攻を食い止めたと語った。

ある司令官は、政府軍の攻撃が弱まったのは、パルミラへの一部再配置が影響している可能性があると語った。

しかし、ロシアの支援を受けるシリア政府は、反政府勢力地域への進攻を続けており、アレッポ市内の93%を掌握済みと伝えられる。

反政府勢力の幹部はロイター通信に対し、掌握地域が縮小し続けるなか、「死ぬか降伏するか」の選択を迫られていると語った。

ジョン・ケリー米国務長官は10日に、シリア政府とロシア軍に対し、「少しは寛大な態度を示すべきだ」と訴えた。

ジュネーブで協議を続ける米ロ両国は、アレッポからの民間人と反政府勢力の撤退をめぐって交渉しているが、専門家らは合意は難しいとみている。

(英語記事 Palmyra: IS retakes ancient Syrian city)

提供元:http://www.bbc.com/japanese/38285554
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シリア・アレッポで「民間人に残虐行為」 国連事務総長が警告
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反政府勢力が支配する地域では医療施設が非常に限られている(12日、アレッポで)Image copyrightREUTERS
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反政府勢力が支配する地域では医療施設が非常に限られている(12日、アレッポで)
シリア北部の主要都市アレッポで政府軍と反政府勢力との戦闘が続くなか、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は12日、民間人に対する残虐行為が起きていると警告した。
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潘事務総長は、対立する双方に対し、民間人を保護するよう訴えた。、特にシリア政府と同盟国に向けた要請だとしている。アレッポでは、反政府勢力が政府軍に敗北する瀬戸際にある。
これに先立ち、国連のシリア向け人道支援を指揮するヤン・エグランド氏はツイッターで、「(政府を支持する)勝ち誇る民兵たちによるすべての残虐行為」はシリア政府と支援国のロシアに「責任がある」と述べていた。
国連のステファン・デュジャリック報道官は文書で、「アレッポでここ何時間かの間に、女性や子どもを含む多くの民間人に対する残虐行為があったとする報道に、事務総長は危機感を募らせている」と述べた。
デュジャリック報道官は、「国連が独自に確認できた情報ではないものの、関係者には深い懸念を伝達している」とした上で、「事実関係を確認するため早急に関係者に連絡するよう、シリア担当特使に指示した」と明らかにした。
シリア政府や支援国のロシアからの公なコメントは、現時点で出ていない。
アレッポの政府掌握地域で政府軍の進攻を祝う人々(12日)Image copyrightAFP/GETTY IMAGES
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アレッポの政府掌握地域で政府軍の進攻を祝う人々(12日)
反政府勢力の支配地域で戦うシリア自由軍の戦闘員(12日)Image copyrightREUTERS
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反政府勢力の支配地域で戦うシリア自由軍の戦闘員(12日)
12日時点での各勢力の支配地域(緑:政府軍、紫:反政府勢力、肌色:クルド人勢力/深緑は先月21日以降に政府が掌握した地域)
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12日時点での各勢力の支配地域(緑:政府軍、紫:反政府勢力、肌色:クルド人勢力/深緑は先月21日以降に政府が掌握した地域)
<解説>リーズ・ドゥセット国際報道チーフ特派員(ベイルート)
反政府勢力の支配地域のさらに奥に逃げようとする人々(12日)Image copyrightREUTERS
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反政府勢力の支配地域のさらに奥に逃げようとする人々(12日)
最後に残った反政府勢力の支配地域で戦闘が激しくなるなか、重病者や重傷者、子どもたちなど最も弱い人々を避難させようとする必死の努力が続けられたが、全く前進していない。
12日に記者が話した支援団体の幹部は、いら立ちを隠せない様子で、要請後も長らく実現していない国連主導の500人の患者と家族に対する医療支援について、「遠い夢だ」と語った。
合意間近と思えた2つの計画があったが、数万人がすでに避難しつつある現状では停戦は必要ないとロシアが主張し、計画は先週、とん挫した。関係筋はロシアがその後、態度を変えたと話す。しかし、反政府勢力は停戦と人道支援がまず実現されるべきだと要求している。
切羽詰まった支援団体は、要求する停戦の期間を72時間からわずか3時間まで短縮した。
「戦火をくぐる医師団」と呼ばれる団体は数百人の子どもたちを避難させるよう強く訴えている。英国人の外科医、デイビッド・ノットさんは「全員を救うためには、一時的な戦闘停止がたったの60分あればいいんだ」と語った。それでさえ求め過ぎだったようだ。
(英語記事 Aleppo battle: UN chief warns of 'atrocities against civilians')
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http://www.bbc.com/japanese/38298523
http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/302.html

[経世済民116] ベネズエラ、最高額紙幣を72時間以内に撤廃 密輸対策などで  英インフレ率1.2%に上昇、予想上回る約2年ぶり高水準 

ベネズエラ、最高額紙幣を72時間以内に撤廃 密輸対策などで
2016/12/12
BBC News

南米ベネズエラの政府は11日、72時間以内に最高額紙幣の100ボリバルを撤廃し、コインに転換すると発表した。密輸を防止し、食料品など生活必需品の不足に対応するためだという。

ニコラス・マドゥロ大統領は、国境近くで活動する犯罪組織が紙幣を国内に持ち込む前に、紙幣を無効にできると述べた。

経済危機からの脱却を図る政府が、また一つ絶望的な試みをしていると批判する声も出ている。

野党指導者のエンリケ・カプリレス氏はツイッターで、「圧倒的に愚劣だ! 我々がさまざまな問題を抱えているなかで、12月にこんなことをしようなど、いったい誰の発想だ」とコメントした。

市中で流通するすべての100ボリバル紙幣を72時間でコインに替えるのは不可能だ、との指摘もある。

100ボリバルはここ数年で通貨としての価値をほぼ失いつつある。米ドルに換算すると現在の価値は約2セント(2.3円)。

深刻な政治・経済危機に陥っているベネズエラは、世界で最も高いインフレ率に悩む国の一つになっている。

マドゥロ大統領はテレビのインタビューで、密輸に関与する犯罪組織について、「持ち出した紙幣を戻せなくするため、陸海空すべてのルートを断つよう命令した。自分たちの国外での不正行為をどうすることもできなくなる」と語った。

ベネズエラの中央銀行は今月、500ボリバルから2万ボリバルまで6種類の新紙幣を今月15日から流通させると発表している。

政府が最後にインフレ率を発表したのは昨年12月で、年率180%に達していたが、国際通貨基金(IMF)は、2017年の物価上昇率が2000%以上になると予想している。

インドでは先月、高額紙幣の廃止で大きな混乱が起きた。

(英語記事 Venezuela to swap highest denomination banknotes for coins)

提供元:http://www.bbc.com/japanese/38285560

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2016年05月18日
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8443


 

英国:11月のインフレ率1.2%に上昇、予想上回る−約2年ぶり高水準
Jill Ward
2016年12月13日 20:18 JST
 
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https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/irRyRBDs_e0c/v2/-1x-1.png

英国では11月にインフレ率が上昇し、約2年ぶりの高い伸びとなった。衣料品とガソリンの値上がりが物価を押し上げた。
  英政府統計局(ONS)が13日発表した11月の消費者物価指数 (CPI)は前年同月比1.2%上昇した。伸び率は10月の0.9%を上回り、2014年10月以来の高水準に達した。ブルームバーグがまとめたエコノミストの予想中央値は1.1%だった。
  国民投票で欧州連合(EU)離脱選択して以来のポンド安と石油値上がりで、物価上昇圧力が高まっている兆候が強まった。11月の輸入価格は前年同月比で約15%上昇と、ここ5年余りで最も大きな上げを記録。石油輸出国機構(OPEC)の減産合意でエネルギー価格の上昇圧力はさらに高まる可能性がある。
  IHSマークイット(ロンドン)のエコノミスト、ハワード・アーチャー氏は「消費者物価のインフレ率は数カ月にわたり著しい上昇トレンドを描くと当社は予想している。ポンド安の影響が広がるためだ」と語った。
  食料品やエネルギーなど変動の大きい項目を除いたコアインフレ率は1.4%で、10月の1.2%から上昇し、予想中央値の1.3%も上回った。

原題:U.K. Inflation Accelerates to Highest in More Than Two Years (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-13/OI4DJN6K50Y801
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/653.html

[政治・選挙・NHK217] カジノ法案、14日成立の見通し−参院内閣委で可決、民進などは反対 「雇用数万人 ヤミ金横行」 同友会代表幹事「審議拙速」
カジノ法案、14日成立の見通し−参院内閣委で可決、民進などは反対
延広絵美、広川高史
2016年12月13日 11:13 JST 更新日時 2016年12月13日 19:54 JST
 
参院内閣委員会は13日、カジノを含めた統合型リゾートの整備を政府に促す法案 (IR推進法案)を、ギャンブル依存症の防止の明示などの修正を加えた上で、自民党などの賛成多数で可決した。民進党や共産党などは反対した。これにより同法案は14日に成立する見通しとなった。
  
  法案は超党派の有志議員でつくる「国際観光産業振興議員連盟」(IR議連、通称・ カジノ議連)がまとめた。カジノ、会議場、ホテルなどが一体となった施設を国が認定した「特定複合観光施設区域」に限って設置できるよう、政府は法律の施行後1年以内をめどに必要な法制上の措置を「講じなければならない」と規定している。
  衆院内閣委では与野党対立の中、11月30日と12月2日の2日間審議した後、自民党の秋元司委員長が採決に踏み切った。参院では内閣委員長を民進党の難波奨二氏が務めているため、審議の見通しが不透明になっていた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-13/OI2KLO6TTDS101


同友会代表幹事「審議拙速」
http://mainichi.jp/articles/20161214/k00/00m/020/045000c

 
「雇用数万人」「ヤミ金横行」カジノ法案、参考人が賛否
三輪さち子2016年12月13日05時03分
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参院内閣委で、参考人として意見陳述した美原融・大阪商業大教授=12日午後、岩下毅撮影
 
 カジノを含む統合型リゾート(IR)の整備を政府に促す議員立法「カジノ解禁法案」を審議する参院内閣委員会で12日、参考人質疑があった。研究者や弁護士ら4人が出席。賛成派は経済効果を強調し、反対派はギャンブル依存症の増加の危険性を指摘した。自民党は会期末の14日の参院本会議で法案を可決・成立させる方針だ。

 民進党など、法案に反対する野党4党は同日に内閣不信任決議案を出す構えで、与野党の攻防は激しさを増している。

 参考人質疑は衆参両院の審議を通じ、今回が初めて。参考人は自民推薦が大阪商業大学総合経営学部教授の美原融、弁護士の渡辺雅之の両氏、民進推薦が日本弁護士連合会の多重債務問題検討ワーキンググループ座長で、弁護士の新里宏二氏、共産党推薦が静岡大学人文社会科学部教授の鳥畑与一氏。

 経済効果について、美原氏は法案に賛成する立場から、「大都市ならば、数千億円以上の民間投資を呼び込む。展示場や会議場があれば、直接雇用は数万人をくだらないだろう」と意義を強調。これに対して、新里氏は「日本にはカジノ産業の蓄積はなく、海外のノウハウに頼らざるを得ない」と述べ、外資系企業の参入によって、日本人の金融資産が海外へ流れることに懸念を示した。

 米ニュージャージー州アトランティックシティーのカジノのように収益が大幅に減った「失敗例」も示された。法案に賛成する渡辺氏は、「収益が減った理由は競争激化だ。日本は過当競争を避けるため、最初は数を限定し、段階的に増やすことを検討すべきだ」と指摘した。

 法案に反対する新里氏は、すでに日本ではギャンブル依存症の疑いがある人が推計で536万人いることを指摘。視察した韓国のリゾート型カジノ「江原ランド」の近くの電話ボックスにはヤミ金の広告があったことを紹介し、「明らかにヤミ金が跋扈(ばっこ)している」と語った。

 自民、民進両党の参院国対委員長は12日、国会内で会談し、自民側が13日の委員会採決を提案。民進側は拒否した。内閣委員長に就く民進議員が委員会採決を行わない可能性があるため、自民は委員会採決を省き、14日の本会議で直接採決する「中間報告」の手続きも検討している。(三輪さち子)

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http://www.asahi.com/articles/ASJDD5T59JDDUTFK00S.html


カジノ・年金法案で自民と民進が攻防 今国会成立巡り
2016/12/12 19:18
保存 印刷その他
 自民、民進両党は12日、カジノを中心とした統合型リゾート(IR)を推進する法案(カジノ法案)と国民年金法改正案の参院本会議での採決をめぐり攻防を続けた。自民党は今国会会期末の14日に両法案とも成立させる方針。カジノ法案では委員会採決の省略を検討する。民進党は内閣不信任決議案の提出などで抵抗する構えだ。

 カジノ法案を審議する参院内閣委員会は13日も審議する。同委の委員長は民進党議員。委員長が採決に応じない場合、自民党は審議を打ち切り本会議採決に持ち込む「中間報告」を視野に入れる。数日間、会期を再延長する案も出ている。

 民進党は12日の執行役員会で、自民党が中間報告などの手段を取った場合は衆院に内閣不信任決議案を提出する方針を確認。野田佳彦幹事長は記者会見で「中間報告というやり方は極めて乱暴で、あってはならないことだ」とけん制した。

 年金法改正案は13日の参院厚生労働委員会で安倍晋三首相が出席する集中審議と一般質疑を実施する。自民党は質疑後に委員会で採決する構えだ。

 12日の参院内閣委員会ではカジノ法案の参考人質疑を実施。自民党推薦の美原融大阪商業大教授は「地域に大きな経済効果と雇用効果をもたらす」と述べた。共産党推薦の鳥畑与一静岡大教授は「地域経済の破壊やギャンブル依存症の誘発を発生させる」と指摘した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS12H5H_S6A211C1PP8000/
http://www.asyura2.com/16/senkyo217/msg/503.html

[経世済民116] トランプノミクスはアベノミクスの再来 ドル円こう着招く欧州リスクと米国期待 日米国債を両天秤、利回上昇も悩める国内投資家
コラム:
トランプノミクスはアベノミクスの再来

村上尚己アライアンス・バーンスタイン(AB) マーケット・ストラテジスト

FX Forum | 2016年 12月 13日 19:25 JST 関連トピックス: トップニュース


[東京 13日] - トランプ次期米大統領誕生が決まった11月9日から、金融市場では世界的な株高、金利上昇、ドル高が続いている。「トランプ相場は短命」などとの日本人コメンテーターの見込みは外れ、前回のコラムで筆者が指摘した通りの状況となっている。

今後の相場の行方を考える上で、例えばシカゴ先物取引所の投機ポジションの動きなど短期の需給要因にこだわるのは、投資リターンを損ねることにつながると筆者は考えている。というのも、ドル円など為替レートのすう勢は、各国のインフレ率・経済成長率の動向、それとともに動く金融政策の方向性で決まるからである。

トランプ氏の勝利以降、米債券市場では10年国債金利が1.8%から2.5%近くまで大きく上昇した。トランプ次期政権による経済政策の大転換で、想定する成長率が高まり、インフレ期待が引き上げられたのである。

2017年は米連邦準備理事会(FRB)もトランプ次期政権の景気刺激策を前提に、金融政策を行うと筆者は予想している。これまで米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーは2017年に2回程度の利上げを想定していたが、この見通しは2017年にかけて上方修正されるだろう。

2015年央から続いた円高トレンドに終止符が打たれ、経済政策の大転換が為替相場のすう勢を変えることは、標準的な経済理論に沿った動きでもある。2012年末のアベノミクス発動による、「2%インフレ目標設定」「日銀執行部の体制変換」「量的質的金融緩和(QQE)導入」、そして2014年末の「QQE2」に連なる金融緩和は、大幅なドル高円安をもたらした。それと似たことが、今回は米国の政権交代による政策転換とともに起きていると筆者は考えている。

<レーガノミクス再来説は幻想>

したがって、ドル高が続くかどうかは、トランプ次期政権が打ち出す経済政策に依存する。財務長官に就く見通しのスティーブン・ムニューチン氏が達成可能と公言するように、本当に3―4%の経済成長への上振れをもたらす、大規模な刺激策となるかどうかである。

具体策な政策メニューは、所得・法人税などの減税、設備投資を促進する制度改革、1兆ドルのインフラ投資を促す基金、規制緩和、環太平洋連携協定(TPP)に代わる貿易協定などが挙げられている。

現状、これらの政策がどういったスケジュールで実行されるかによるが、少なくとも所得・法人税の引き下げは実現する可能性が高いと筆者は考えている(むろん税率引き下げ幅などについては議会との妥協がある程度必要になるだろうが)。オバマ政権がこれまで成長率を押し上げる財政政策を発動せず、「財政の崖」問題で増税など緊縮的な政策を続けてきたのだから、減税額の規模はともかく大きな政策転換である。

また、医療保険改革法(オバマケア)の見直しについても、家計に対する負担を減らす方向で修正が進めば、家計所得を押し上げることになるだろう。これらの政策が、2017年の米経済の成長率を押し上げると筆者は見ている。

トランプ次期政権が打ち出す経済政策をトランプノミクスと仮に呼べば、それはレーガノミクスの再来だとメディアは囃(はや)し立てている。トランプ氏自身が、レーガノミクスについて言及しているし、減税や規制緩和などの政策メニューが似ていることは確かだ。

ただ、レーガノミクスの再来であるとの評価は全てが正しいわけではなく、異なる点も多い。まず、レーガン政権ではキャピタルゲイン課税の引き下げなど富裕層の所得を高める政策が実現した。サプライサイドを強化するための減税の一環だが、結果的に所得格差を拡大させた。豊かな家計はもっと豊かになり、それが成長をけん引するという前提があったと考えられる。

トランプ氏も大幅な税率引き下げを打ち出している。ただ、ムニューチン氏は「中間所得層への大型減税を実施するが、富裕層に対しては減税しない」と述べている。トランプ氏自身は大富豪だが、近年、格差拡大が政治的に問題になっており、政権を保つために格差縮小政策を重視するとみられる。

もう1つの相違点を挙げれば、政府歳出規模に対するスタンスだ。レーガノミクスでは、共和党の伝統的な経済政策方針である「小さな政府」という方針が徹底された。減税を重視したのは、肥大化した公的部門の関与を小さくするためでもあるし、民間の規制緩和を進めたのも同様の方針からである。財政収支均衡が極力重視された。

一方、トランプ氏は、インフラ投資拡大を打ち出すなど、政府支出を縮小させる「小さな政府」方針を重視していない。もともと、トランプ氏は、共和党のエスタブリッシュメントと全く異なる考えを持っている。

自身が不動産業などで成功してきた過程で、インフラ投資などの財政政策が経済成長にとって必要という認識を持っている可能性がある。その意味で、トランプ次期政権は、レーガノミクスのような共和党の伝統である抑制的な財政政策とは、全く異なる可能性がある。

<トランプノミクスの主役は金融財政政策>

さらに、当時と現在ではインフレ率を含めた経済状況が全く異なる。1980年代初頭は金融政策が緩和的過ぎたためインフレ率が10%超に加速し、それが経済活動を不安定にさせていた。

そうした状況で、成長率を押し上げるために必要だったのは金融財政政策ではなく、経済の供給側を強化するための規制緩和だった。つまり、レーガノミクスにとって、成長率を高める主役は規制緩和であり、財政赤字削減によるインフレ抑制が必要だった。

だが、トランプ次期政権を取り巻く経済環境は1980年代とは全く異なる。インフレ率は2%にようやく近づいたばかりだ。FRBは利上げを目指すが、労働市場には依然スラック(余剰)が残っているため、金融財政政策によるサポートが必要な状況である。したがって、経済政策の主役は、総需要を高めるための金融財政政策になる。

このため、歳出拡大と減税という財政政策のメニューになるのは妥当だし、トランプノミクスとレーガノミクスが異なる点が多いのも、また必然なのである。

つまり、トランプ次期政権の政策は、2012年に発動されたアベノミクス(金融緩和、財政拡大、成長戦略)との類似点が多い。筆者は、トランプノミクスは、レーガノミクスの再来ではなく、アベノミクスの再来と位置付けるべきだと考えている。

*村上尚己氏は、米大手運用会社アライアンス・バーンスタイン(AB)のマーケット・ストラテジスト。1994年第一生命保険入社、BNPパリバ、ゴールドマン・サックス、マネックス証券などを経て、2014年5月より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-naoki-murakami-idJPKBN1420QJ


 

 
FX Forum | 2016年 12月 13日 19:24 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:ドル円こう着招く欧州リスクと米国期待

鈴木健吾みずほ証券 チーフFXストラテジスト
[東京 13日] - 米大統領選挙でドナルド・トランプ氏の優勢が伝えられた11月9日、ドル円は101.19円の安値をつけ、1カ月後の12月9日には115.37円まで上昇。22営業日(日米祝日含む)で実に14円を超える値動きを示現した。

筆者は約10年間にわたり為替のプロップディーラーをしていたため、つい値幅を意識してしまうのだが、正直、1カ月でここまでの動きはほとんど記憶にない。実際に2000年以降のドル円相場を調べてみたところ、今回と同程度の期間で同等以上の値幅が発生したのは2008年9月後半から10月にかけて、つまりリーマン・ショック直後だけだった。

短期間にこれだけ急激な値動きを示すには、ドルと円、両方の動きが組み合わさらないと難しい。例えば、今年前半のドル円相場は1月の121円台から6月の99円台まで半年で約22円も動いたが、この間のドルと円の動きを確認すると、ドルインデックスは横ばい、円インデックスは約2割の円高となっており、値動きの主語は「円高」だったことが分かる。

貿易収支の黒字転換や日銀緩和に対する限界論などもあろうが、大きく動く場面では「原油価格下落」「中国経済への懸念」「米景気腰折れ懸念」「英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)」といったリスク要因がリスク回避の円高をもたらす構図が見られてきた。

今回、トランプ次期米大統領の政策に対する期待が素直な「ドル高」につながった上、その期待が世界的な株高をもたらし、楽観ムードがリスクオンの「円売り」にもつながっている。石油輸出国機構(OPEC)が8年ぶりの原油減産合意に踏み切ったことや中国経済に対する懸念の後退も楽観ムードの背景としてあるだろう。

これらによる全般的なドルの上昇と円の下落が組み合わさった結果、ドル円はリーマンショック級の値幅を伴った値動きを示現している状況にある。

<ドルの下値を支える「トランプ期待」>

このドル円の上昇傾向が来年序盤も続くかに関しては、やはりドル高をもたらした「トランプ期待」の継続有無と、円高の鍵を握るリスク要因の見極めが重要になると見られる。

トランプ米次期大統領については、その言動と具体的な政策に注目が集まるだろう。大統領選での勝利以降、トランプ氏は過激な言動を封印し、真摯な姿勢で大統領職に臨む姿勢を示すとともに現実路線に舵を切っていることが市場に好感されている。

過激な言動はあくまで選挙対策用の仮の姿との見方もあるが、一方であの過激な言動こそが本来の姿ではないかとの懸念も脳裏をよぎる。直近では南シナ海問題などにおいて中国に対する厳しい表現も見られるなか、過激な言動が再び強まれば、政策に対する信用も低下しかねない。

トランプ新大統領の政策は1月20日に予定される就任演説に加え、1月末から2月中にかけての三大教書(一般教書、予算教書、経済教書)などを通じて徐々に具体性を増すだろう。ハネムーン期間と呼ばれる就任後の最初の100日間に、選挙中に公約した政策などについて立法化を目指すと予想される。

目玉となる大型減税やインフラ投資、財政出動の規模感、加えて為替市場で注目度の高いリパトリエーション減税(本国投資法)などが徐々に具体化する。全般的に、大胆な政策に対する期待はドルの下値を支え続けると考える。

ただ、すでに期待で上昇していることに加え、政策の実効性や有効性を見極めたいとの思惑が上値を押さえる要因になると予想されることから、大統領選後に見られたペースでのドル高は難しいだろう。

<リスク要因は中国より欧州>

リスク要因についてはどうだろうか。中国では2017年3月に全国人民代表大会(全人代)が予定されるが、2017年後半に共産党大会を控える中、すでに2016年11月29日の国務院常務会議や12月9日の中央政治局会議で、2016年からスタートした経済5カ年計画に沿った政策総動員での景気対策継続が示されており、リスクは限定的だろう。

足元では人民元の下落とともに外貨準備が急減しており、これが資本逃避を引き起こす可能性には一定の注意が必要だが、急減したといっても外貨準備の規模は世界ダントツ1位で2位日本の3倍前後となる300兆円規模だ。市場の動揺も限定的と見ている。商品市況に関しても鉄鉱石や銅相場の上昇基調に加え、12月の減産合意を受けた原油価格の堅調さもあり、2017年前半に市場のリスク要因とはならないだろう。

警戒が必要なリスクとして、欧州の2つのリスク、すなわち「ブレグジット」と「ポピュリズム伝播」に注目している。英国のテリーザ・メイ首相はEUに対する離脱の申告を2017年3月末までに行うとしている一方で、その方針はあいまいなままだ。

経済よりも難民問題を優先する「ハードブレグジット(強硬な離脱)」となるか、単一市場へのアクセスを優先する「ソフトブレグジット(穏健な離脱)」となるか、その道筋にはなお不透明感が残る。ハードブレグジットに加えてスコットランドが英国からの独立を目指すといった最悪のシナリオもくすぶる中、2017年3月にかけてのリスクとなろう。

世界的に反グローバリズムやポピュリズムの広がりが指摘されているが、2017年の欧州では選挙が多い。思えば2015年、ギリシャがEUの金融支援受け入れをめぐる国民投票で「ノー」を突きつけた時点ですでにこの流れが始まっていたのかもしれない。

今年のブレグジットやトランプ氏勝利もこの流れの中にあり、12月4日にはイタリアの国民投票で憲法改正案が否決された。イタリアでは次期首相が決まることで目先の総選挙は避けられる見通しだが、2017年の終盤以降、総選挙の可能性が残る。その場合、反EUを掲げる「五つ星運動」が第1党となる可能性が高い。

3月15日までに予定されるオランダの総選挙でも反EUの極右政党、自由党が躍進する可能性が指摘されている。4月から5月に行われるフランス大統領選挙でも反EUの極右政党、国民戦線のマリーヌ・ルペン党首が有力候補となっており、秋にはドイツの連邦議会選挙もある。ドイツ、フランス、イタリア、オランダといったユーロ圏の中核4カ国で反EUの流れが強まればユーロ崩壊といった話が再燃しかねない。

<ドル円は110―120円のレンジ相場へ>

このように欧州の政治に対して一定の警戒が必要であると考えているものの、金融市場全般的には今のところ、今年前半のような悲壮感はない。欧州にしても経済指標の改善を背景に量的緩和縮小の可能性が指摘されるなど、最悪期は脱した可能性もある。原油価格や中国経済など後退したリスクを含め、リスク回避の円買いが進む状況とはなりにくいというのがメインシナリオだ。

結果、2017年半ばにかけてはトランプ次期米大統領の政策や欧州の選挙などをにらみつつ、ドル円は現状の1ドル=115円近辺を中心としたもみあいとなる展開を予想(トランプ氏の勝利と政策を反映して上方修正済み)している。レンジとしては110円から120円程度の値動きとなるのではないか。

メインシナリオではないが1ドル=110円を割り込むとすれば欧州のリスクが先鋭化する場合、一方で120円を超えるとすれば欧州のリスクが限定的に終わる中、世界的な景気回復傾向の強まりやトランプ次期米大統領の政策に対する期待が予想以上に盛り上がった場合などとなろう。

*鈴木健吾氏は、みずほ証券・投資情報部のチーフFXストラテジスト。証券会社や銀行で為替関連業務を経験後、約10年におよぶプロップディーラー業務を経て、2012年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-kengo-suzuki-idJPKBN1420KL?sp=true

 

 

アングル:日米国債を両天秤、利回り上昇でも悩める国内投資家

[東京 13日 ロイター] - 世界的な金利上昇が続いている。急激な金利上昇・債券価格の下落によって、国内勢を含む世界の投資家は含み損の発生に苦しんでいるが、利回りという観点からは魅力も増している。日本の超長期債利回りが上昇するなか、生損保など日本のバイサイドは為替ヘッジ付き米国債などと天秤にかけて、投資判断を行うことになりそうだ。

<超長期債VSヘッジ付米国債>

「一時的な資金の置き場所として、選択肢の1つになってきた」(国内生保の運用担当者)──。日本国債はその利回りの低さから、しばらく投資の対象外となっていたが、ここにきての金利上昇で無視もできなくなってきたという。

特に金利上昇が激しいのが超長期債だ。13日の市場で10年債利回りは0.08%とプラス幅はわずかだが、20年債は0.645%、30年債は0.805%とそれぞれ今春の水準まで一時上昇している。

米国債の10年利回りは一時2.5%に乗ったとはいえ、ドルのヘッジコスト(3カ月物)が足元で1.8%程度に上がっているため、「仕上がり」は0.7%程度。日本の超長期国債の利回りとほぼ変わりない。12月米利上げがあれば、ヘッジコストはさらに上昇する可能性もある。

ただ、依然として日本国債に積極的に投資できる利回りではないとの声も多い。住友生命の古河久人執行役常務は11月24日の決算会見で、日本国債に投資するめどとして、30年債で1%の利回りを挙げていた。

現在、積極的に日本国債を買っているのは、為替スワップで有利に円を調達できる海外勢や、日銀オペを前提にした「日銀トレード」を行う一部の証券会社などだ。中長期資金の買い手が国内回帰にためらいを見せていることで、金利がじりじりと上昇する構図になっているとも言える。

<米国債の「敗戦処理」で手一杯>

国内勢が、本格的な日本国投資に踏み切れないのは、米国債の価格急落も一因だ。「米国債投資はヘッジコストでやられ、含み損でもやられた。円債利回りは魅力的になってきているが、米国債の『敗戦処理』で精一杯」(国内中堅生保の運用担当者)という。

米大統領選後、10年米国債の利回りは、1.7%付近から2.5%まで約0.8%ポイント上昇した。単純計算では、米国債に1兆円投資していたとすれば、700億円程度の含み損が発生する。

11月27日―12月3日における国内勢の対外中長期債投資は、8876億円の売り越しだった。市場では「米国債の処分売りが出たのではないか」(りそな銀行・総合資金部チーフストラテジストの高梨彰氏)との見方がもっぱらだ。

為替ヘッジを付けないオープン外債投資を選択すれば、10年米国債で2.5%近い利回りを得られる。しかし、米大統領選後、ドル/円が116円台まで15円近く上昇。今度は円高リスクを考慮しなければならない水準に来ており、悩ましいことに変わりはない。

「金利上昇は世界共通の現象だ。ここからさらに金利上昇、つまり債券価格の下落が起きる可能性もある。利回りの魅力がそれなりに高くなってきたとはいえ、日米ともに債券への投資は難しい状況にある」と、フコクしんらい生命・財務部長の林宏明氏は話す。

<「切り札」の日銀指し値オペ>

世界的な金利上昇圧力が継続し、国内勢が日本国債投資をためらうなかで、国内金利はじりじりと上昇する可能性がある。だが、国内金利が上昇し過ぎては、景気への悪影響が出るほか、円安材料としても弱くなってしまう。

市場の関心は、金利上昇抑制のため、いつ日銀の「指し値オペ」が入るかだ。前回、日銀が初めて通告した11月17日は、中短期ゾーンへのオファーが入り、応札がゼロだったにもかかわらず、2年債や5年債は4ベーシスポイント下落し、その威力を見せ付けた。

ただ、市場では「指し値オペ」は当面入らないとの見方も多い。円安と株高も進んでおり、金利上昇がリスク資産市場の圧迫要因となっていない以上、ここであえて金利を抑える必要はないとみられているためだ。

特に超長期ゾーンについて日銀の黒田東彦総裁は、金利変動は市場に委ねられる部分が小さくないとの趣旨の発言をしている。

世界的に金利上昇が進む中で、日銀が無理矢理、指し値オペで金利を押えようとしても失敗するおそれがある。そうなれば、イールドカーブ・コントロールの枠組みは瓦解しかねない。

三井住友アセットマネジメント・理事兼債券運用グループ副ヘッド、深代潤氏は「指し値オペはやればやるほど、市場に慣れが生じ効果が薄れる」と指摘。日銀が想定する10年債金利の「のりしろ」は0.1%よりも大きいのではないかとの見方を示す。

金利上昇下で「切り札」をいつ使うか、日銀と市場の神経戦となりそうだ。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/crossmarketeye-idJPKBN1420UQ?sp=true


 

きょうの国内市況(12月13日):株式、債券、為替市場
Bloomberg News
2016年12月13日 15:52 JST

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(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
  東京株式相場は6営業日続伸。朝方は反落して始まったが、工業生産など中国経済統計の堅調や為替市場での根強い円安期待を背景に切り返した。情報・通信や医薬品、小売、建設株など内需セクター中心に買われ、通信では自社株買いが好感されたNTTの上げが目立った。
  TOPIXの終値は前日比8.82ポイント(0.6%)高の1540.25、日経平均株価は95円49銭(0.5%)高の1万9250円52銭。連日の年初来高値更新で、TOPIXは昨年12月30日以来、日経平均は同17日以来の水準を回復。
  しんきんアセットマネジメントの鈴木和仁シニアストラテジストは、「中国経済指標が堅調で買い安心感が広がったほか、トランプ米次期政権の人事も金融市場からみて安心感のあるメンバーで、期待が剥げる要素が見当たらない」と言う。相場格言の「押し目待ちに押し目なし」の状況で、下げそうで下げない相場が続く可能性があると予想した。
  東証1部の売買高は23億1300万株、売買代金は2兆8390億円。それぞれ前日に比べ22%、14%減少した。上昇銘柄数は1395、下落は493。東証1部33業種は医薬品、通信、石油・石炭製品、電気・ガス、小売、建設など22業種が上昇。その他製品や機械、保険、証券・商品先物取引、鉄鋼、銀行など11業種は下落。相対的に内需セクターの強さが顕著で、前日までの出遅れ感や米市場での電気通信、ヘルスケア株の堅調もプラス材料となった。
  売買代金上位では1500億円を上限に自社株買いを行うNTT、中期経営計画が好感された花王が高い。有機EL企業の子会社化で、液晶と有機ELを一体運営すると13日付の日本経済新聞朝刊が報じたジャパンディスプレイは大幅高。半面、空売り調査会社が売り推奨したSMC、アンハイザー・ブッシュ・インベブから東欧5カ国のビール事業を9000億円で買収すると日経新聞電子版で伝えられたアサヒグループホールディングスは安い。
  
●債券下落、日銀指し値オペ通知なしで−超長期ゾーンへの売り圧力続く
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
  債券相場は下落。日本銀行が金利上昇を抑制する指し値オペの通知を見送ったことを受けて、売りが優勢となった。超長期債ゾーンへの売り圧力が継続し、新発20年債利回りは10カ月ぶり高水準を更新した。
  長期国債先物市場で中心限月2017年3月物は、前日比1銭安の150円03銭で開始。直後に150円19銭まで上昇したが、日銀金融調節でオペが通知されないと水準を切り下げ、149円81銭まで下落。結局149円82銭と、この日の安値圏で引けた。
  三菱UFJ信託銀行資金為替部の鈴木秀雄課長は、「取引の序盤は日銀の指し値オペ期待もあって、昨日のイブニングで売り過ぎた分の買い戻しや12月限が最終日ということでの買い戻しを誘発した形。その後は指し値オペがなかったこともあり、行って来いとなった」と説明した。
  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の345回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)低い0.065%で開始し、いったん0.055%まで低下。その後は水準を切り上げ、0.08%と前日に付けた2月16日以来の高水準に並んだ。
  20年物の158回債利回りは一時1.5bp高い0.65%と、新発として2月以来の高水準を更新した。30年物の53回債利回りは0.5bp高い0.805%と、新発として3月以来の水準まで売られた。
●ドル・円は115円台前半、米金利上昇で小反発−FOMC見極めへ
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
  東京外国為替市場では、ドル・円相場は1ドル=115円台前半へ小反発。米連邦公開市場委員会(FOMC)を前にドル売りが先行したが、トランプ次期政権の財政拡張策への期待や米金利先高観が支えとなった。
  午後3時35分現在のドル・円は前日比0.2%高の115円27銭。前日は原油高を受けたリスク選好の動きや米金利の上昇を背景に一時116円12銭と約10カ月ぶりの水準までドル高・円安が進んだが、原油価格が急速に伸び悩み、米金利が低下に転じるとドル・円も反落。この日は朝方に114円74銭まで下げた後は下げ渋り、午後は米金利の反発を背景に115円40銭まで上昇する場面があった。
  野村証券外国為替部の高松弘一エグゼクティブ・ディレクターは、「目先的にはFOMC前ということで短期勢中心とした利益確定の売りが上値を抑えている感じがするが、センチメントそのものは変わっていない」と指摘。FOMCについては、大きな材料にはなりにくいとみているが、「足元のセンチメントの障害にならないということが確認できれば、ドル・円はまた上がりやすくなるかも知れない」と語った。
  ユーロ・ドル相場はほぼ変わらずの1ユーロ=1.0633ドル。前日に1週間ぶり安値の1.0520ドルから1.06ドル台半ばまで値を戻し、その後もみ合いとなっている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-13/OI3ZKY6KLVRE01
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/654.html

[経世済民116] ガリ勉型の国立大卒男子はダサくても結婚後に伸びる、現代ニッポン婚活の病理 シニア社員切り捨てを防ぐ、ある単純な仕掛けとは
カリスマ婚活アドバイザーは見た 現代ニッポン婚活の病理
【第12回】 2016年12月13日 植草美幸 [結婚相談所マリーミー代表]
ガリ勉型の国立大卒男子はダサくても結婚後に伸びる

思春期に異性と付き合ったことがない男性は、オシャレの仕方や社会人としてどこにお金をかけるべきかがわかっていないだけで、学べば伸びる
 男性に関して、どういう職種についたのか、どういった恋愛をしてきたのかで、結婚しづらいかどうかわかることが大いにある。

 また、思春期以降、具体的には15歳から18歳のころに、どういう付き合い方をしたのかが、今後の異性との距離の取り方、接し方にも大きく影響が出てくる。つまりこの時期の異性との付き合い方が婚活にも影響するというわけである。

 高校大学時代に女性と付き合う経験があまりなかった、という人は婚活でもあまり積極的になれず女性の扱い方がわからないのである。

 具体的にいうと、結婚相談所にやってくる男性の中で国立大学卒の人は恋愛には奥手な印象を受ける。おしゃべりというよりは寡黙、派手なわけではなくむしろ控え目なわけである。学費が安いのが関係しているせいか、お金を浪費する傾向はあまり見られず、逆に倹約家が多いようだ。

 国立大卒なので、やはり年収は高いとしても、洋服は質素にまとまっており、身なりもそこまでこだわらない。ブランド品などは当然のごとく一つも持っていない、なんてこともザラだ。女性とのデートにもお金をかけないので、女性からするとお金を持っているくせにとにかくケチ、という印象を持たれてしまう人も多い。

 一方で、彼らはすごく純粋な一面を見せる。カウンセリングでは一生懸命ノートを取り、素直にアドバイスを聞き、忠実に実行していく。頭も良いので、吸収力が早い。何かあればすぐに相談をしてくるので、こちらとしても万が一の不測の事態にすぐに対応することが出来る。

ファッションセンスは
学べば伸びる

 これが医師となるとなおさらである。医師の場合、医学部に入るためには相当の勉強をしたと思われるが、それが婚活であっても、例に漏れず学問のようにこなしていってくれるのだ。

 こういう人は、婚活においても自信をもって取り組んでもらいたい。

 彼らはオシャレの仕方や社会人としてどこにお金をかけるべきかがわかっていないだけで、学べば伸びる。婚活中もファッションも学ぶことで大きく変わっていくのである。

 こんなエピソードをご紹介しよう。

 30代の国立大卒の研究員の男性会員と、女性は20代の受付嬢の例である。

 男性会員はとても誠実な性格であり、私も自信をもって女性会員に紹介していた。

 女性会員も頭のいい男性がタイプであったので、ぴったりのマッチングなのだが、ある日女性から悩み相談をうけた。

「彼は頭もよいし、性格も優しい人です。ただ、服装がダサいんです。正直一緒に歩くのさえ恥ずかしいので、そのままずっと座ったままでいて欲しいです。とにかく彼の全身を人から見られたくないんです。」とのことだった。その点は私も入会当初から気にしており、ついにこの日が来てしまったかと思ったのだが、彼にも変わってもらうチャンスだったので私は伝えることにしたのである。

「彼女はあなたのことを素敵な人だと言ってくれているわ。でもね、どうもファッションがお気に召さないみたい。あなたはお洒落には興味ないかもしれないけど、彼女はどうしてもそこが気になってるから、少しずつでいいからファッションのコーディネートを勉強してみて」と伝え、男性のファッション誌を数冊渡した。

 彼はそこからファッション誌を読み漁り、自分の身長や体型にあう服やスタイルが良く見える着こなしを研究していった。アパレル業界にいた私も彼にアドバイスを送っていったところ、わずか2か月間でお洒落になった。さすが、「研究員」である。

 その甲斐もあって2人は無事成婚したのだが、後に結婚を決めた理由を彼女に聞くと、「外見がどんどんお洒落になっていく彼を見て、本当に私のために変わってくれているんだな、と思いました。そんな純粋な気持ちに惹かれていきました。」と言っていた。普段着は量販店で一通り揃えてしまうようなお洒落に興味も持たない研究員が文字通り「研究」をして大変身した成功事例である。

女性は父親との関係
男性は兄弟構成に注意

 上記の例は30代の男性の例であるが、女性の場合は職に就く前や恋愛をする前に実は既に影響を受けている。15歳以前の家庭環境である。まずは母親からの影響だ。

 日本の悪い文化だが、妻は夫の悪口を言いがちなものだ。娘は母親から父親の悪口を聞いて育っていくことも多い。一般的には女性は「お父さんみたいな人と結婚したい」と、父親と同じタイプを探すことが多いが、父親の悪口を聞いて育った場合、お付き合いした男性に父親と重なる部分を見ると、「なんだ、うちのお父さんと変わらない」と冷めてしまう。

 このように、女性の母親が父親とどのような関係性なのかは、早めに見抜くのが大事だろう。

 また、思春期に年上の人と付き合った人もそれに影響されがちだ。やはり付き合ううえで楽をさせてもらっており、それに染まってしまい、その後の恋愛にもその「楽さ」を求めてしまうケースが多い。

 男性の場合は、兄弟構成だ。

 たとえば、女性が「どうしよう」と何かに困っている時、助けてくれる男性は姉妹がいることが多い。男兄弟だけの男性は、たいてい見ているだけだ。これは、幼い時から女性というものはこういう時にどうしてほしいのかを、間近で見ているかどうかの差ではないかと思われる。

 だからこそ、異性とお付き合いをするときは、単純に学歴や家族構成を聞くだけではなく、「両親の仲は」「姉妹の有無は」をチェックすることを忘れないでいただきたい。スペックよりも、結婚人生を左右するポイントなのだから。
http://diamond.jp/articles/-/111010


 

トンデモ人事部が会社を壊す
【第59回】 2016年12月13日 山口 博
シニア社員切り捨てを防ぐ、ある単純な仕掛けとは?
企業のシニア層対策が効を奏していない。結局、シニア層を閑職に追いやるなどの切り捨て施策しかとられていないのだ。しかしあきらめるのはまだ早い。75%のシニア層が再生した、とても簡単な方法がある。

シニア層の切り捨ては
もうたくさんだ

 人事部長同士で話をしていると、「シニア層対策」が必ずと言っていいほど話題にのぼる。経営者向け演習でも挙げられる課題だ。「ラインから外れたシニア層をどう処遇すればよいか」「シニア層を戦略化する方策がないか」「シニア層と、中堅・若手層の断絶を解消できないか」…。


活用方法が分からず、シニア層を閑職に追いやるなどの切り捨てが横行しているが、それでは企業の活性化にはほど遠い。彼らを再生させるには、どのような知恵が必要なのだろうか?
 シニア層対策が必要なことは、総務省統計局が毎月発表する年齢階級別就業者数を見れば一目瞭然だ。

 55歳以上の就業者数は1900万人を超え、全就業者数(6495万人)の30%に迫っている。この10年間で、45歳未満と45歳以上の就業者数のウエイトは逆転し、既に45歳以上が過半数をしめるという、まさに、シニア就業時代のまっただ中にいるのだ。そして、ほとんどの企業で有効な手立てを実行できていない。


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 シニア層の戦力化が難しいのは、考えてみれば当然といえる。ビジネスのラインから外れて目標を明確に設定できないほか、曖昧な処遇で自律裁量が損なわれるし、意思決定プロセスから除外され、従来発揮していただろう目標達成、自律裁量、地位権限といった牽引志向のモチベーションを発揮できない状況に陥っているからだ。

 その結果、さまざまな問題が発生する。演習で挙げられる事例には、たとえば「シニア層のフラストレーションが昂じて、ビジネスラインの目標と別方向で動いてしまう」、「ラインのメンバーとの軋轢が生じてしまう」、「決定プロセスがスムーズに進まないなど」などの事態がある。

 こうした事態に対して、多くのマネジメントはコントロール不能となってしまい、打たれている手立てといえば、シニア層を閑職に追いやったり、チームから外して個人で営業などの専門分野を極める人材として処遇するなど、枠組みを整えることに終始している。いわば、切り捨て処遇しかしかないというトンデモな事態で、しかもそれが恒常化しているのだ。挙げ句の果てに、「セカンドライフ研修会」なる、いかにも怪しげな名称の研修を実施して、姨捨山への道しるべを会社が示すという、言語道断な行いも散見される。

 私は声を大にして言いたい。「シニア層対策を形ばかりの処遇で終わらせてはならない」「シニア層を切り捨てるな」「今こそ、シニア層の再活性化のための手を打つべきだ」と。

シニア層再生の方策は
5つの質問を繰り出すことだけ

 多くの企業から依頼を受けて、シニア層のビジネススキル再開発、さらなる活性化、再生のための能力開発プログラムを実施し、その効果を実感いただいてきた立場からすると、シニア層は、とても単純な、あるスキルを反復演習して、そのビジネススキルをブラッシュアップすることで、劇的に戦力化される。日本を代表する、あるグローバル企業では、75%が再戦力化されたというデータがある。

 その方法とは、シニア層が中堅や若手のメンバー、あるいはラインの自分より若い上司に対して、次の5つの質問を投げかけるというものだ。そして、その表現やタイミング、相手の返答へのリアクションのスキルをある程度以上、磨いていくと、劇的にシニア層が戦力化する。

行動を変えなければ
結果は出せない

 5つの質問とは、以下のようなものだ。

1.やってみてどうですか
2.うまくいったことは何ですか
3.うまくいかなかったことは何ですか
4.どのようにしたいですか
5.そのために、私などでサポートできそうなことはありますか

 これは、シニアから中堅や若手、上司に話しかけて状況をまず聞いて、サポートできそうなことがあればするというコミュニケーションだ。最初は、中堅や若手、上司から返答がないかもしれない。しかし、これを続けていくと、これらの質問の繰り出し方が工夫されてきて、相手の返答を引き出しやすくなる。

 相手がサポートを得たいことは、とりもなおさず、ビジネスラインの目標に沿った内容だ。相手から頼まれて任されたことに、シニア層は取り組むことになる。最終的な決定権限者からは外れているが、実行プロセスには組み込まれる可能性を増大させる、強いパワーをもった質問群なのだ。こうした仕事の仕方を身につけることで、シニア層であっても目標達成、自律裁量、地位権限といったモチベーションを高めることが可能となる。

「そのような簡単なことだけで変わるはずがない」という声が聞こえてきそうだが、それだけで良いのだ。いや、むしろ、それだけの方が良い。難しい書籍を無理矢理読ませる必要もない。長い研修を受講させる必要もない。その質問を効果的に繰り出せるようになるための反復演習さえすれば良いのだ。

 人は「貢献しろ」と言われて、すぐに貢献できるものではない。「マインドを変えろ」と言われて、すぐに変わるものではない。しかし、パーツ分解した行動を反復演習して身につければ、行動が変わり、そして、マインドが変わり、習慣が変わり、成果が生み出される。マインドセットが成果を生み出すのではない。アクションセットが成果を生み出すのだ。

 わが国のビジネスパーソンの所属企業や団体への忠誠心は、他国に類を見ないほど高い。特にシニア層は、忠誠心が高い一方、パフォーマンスにはバラツキがある。就業人口の過半数を占めるシニア層の、パフォーマンスを向上させたいと思わないか。わが国のシニア層が、分解スキルを反復演習してビジネススキルを再生させた時、他国にない、わが国ならでは、ビジネスの飛躍的発展が実現するに違いない。
http://diamond.jp/articles/-/111063


  
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[不安と不健康18] 時間に追われたくない?他人のために時間を使おう 忙しすぎて仕事ができない 何もしないことはなぜ恐ろしく、また大切なのか
時間に追われたくない? 他人のために時間を使おう
研究によれば他者のために時間を使うことで逆に時間に追われていると感じなくなる ENLARGE
研究によれば他者のために時間を使うことで逆に時間に追われていると感じなくなる ILLUSTRATION: DAN PAGE FOR THE WALL STREET JOURNAL
By CASSIE MOGILNER HOLMES AND MICHAEL NORTON
2016 年 12 月 13 日 16:25 JST

――筆者のキャシー・ホームズ氏は米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)アンダーソン経営大学院の准教授。マイケル・ノートン氏はハーバード大学経営大学院の教授

***

 いつも時間に追われていると感じる人々に斬新な助言がある。時間の一部を他者のために振り向けることだ。

 時間という十分にないと考えられているものの一部を犠牲にしろというのは、直感に反するように思えるかもしれない。だが、われわれの研究では、時間を少し他人のために使うだけで、実際にはそれほど時間に追われていると感じなくなり、リストアップした数多くの項目を以前より早く片付けられるようになることが分かった。

 米国人は時間が欲しいと切実に感じており、学者たちから「時間の飢餓(time famine)」状態にあると宣言されるほどだ。われわれはその治療法を探し始めるにあたって、こう自問した。人々が時間に追われていると感じている時、どんな活動をあきらめる公算が最も大きいのか。ひょっとすると最も早くあきらめる活動そのものが、その人の時間の飢餓状態を治癒する可能性が極めて高い活動なのではないか−と問うたのだ。

 われわれは研究の結果、人が時間に制約されていると感じる時、彼らは自分自身に懸命に集中し、他者を犠牲にして目もくれない傾向があることを知った。実際、時間に追われているという感覚は、他者を助ける良い機会ないし要請を見過ごすことを意味している。他者を助けると、自らの仕事のスピードを落とすことが必要になるからだ。

 例えば、一つの古典的な研究(訳注=米社会心理学者による1973年の論文で、聖書にある「善きサマリア人の寓話」をもとに、神学生を対象に実験し、時間的圧力が善意の行動の障害になり得ることを示した)によれば、最も思いやりがあると期待されている人々(この場合、神学生)でさえ、自分の課題で遅れていて急ぐ必要があるとせかされると、咳き込んでいて助けを必要としている人(病人)の傍らを文字通り「通り過ぎて」見過ごしてしまうという。自分自身にとって十分な時間がない時、人は他者のための時間を割愛し、時間という乏しい資源を最も必要とするところに振り向ける。それはそれで理にかなっている。

最良の治療法

 しかし、時間的な制約を感じる場合、人は自分の時間を溜め込んでおこうとする傾向があるにもかかわらず、われわれは(エール大学経営大学院のゾーイ・チャンス准教授と一緒に行った)幾つかの研究で、時間を少しだけ他者のために使うことが実は最良の治療法であることを突き止めた。

 ある土曜日、われわれは被験者に対し、その日一定の時間を自らのために何かしたり、他者のために何かしたりするよう指示した。その日が終わって、われわれは追跡調査した。彼らがどう時間を費やし、その時間の消費が時間の飢餓感にどのように影響したかを知るためだ。

 すると、自分自身に時間を費やすよう指示された人々のうち、何人かは泡風呂ないしペディキュアで無為に過ごし、別の人々はジョッギングないし読書に熱中した。するべき仕事のリストから若干の項目を削除した人もいた(それによって人は時間を余分に得たように感じるはずだ。なぜならリストに残っている項目が少なくなるから)。

 他者のために時間を費やすよう指示された人々の活動は多岐にわたった。例えば妻のために好きな食事をつくってあげたり、隣人が玄関のポーチを除雪するのを手伝ったり、近所の公園でごみ拾いをしたりなどだ。ある人は祖母に手紙を書いた。祖父が死んでから寂しく過ごしていたからだ。

 その結果ははっきりしていた。人々が自分のための時間を具体的にどう過ごしたか、あるいは他者のための時間をどう過ごしたかとは無関係に(あるいは、どの程度の時間を費やしたかとさえ無関係に)、他者のために時間を費やした人々は、自分自身に時間を費やした人々よりも、もっと時間が得られたように感じたと報告したのだ。

われわれはまた、もっと厳密な基準に照らして、他者のために時間を使うことの効用をテストした。つまり、自由時間という予期していなかった「棚ぼた」を与えてみた。実験セッションの終わりに、一部の人々には15分間の時間を与え、大学志願学生の志願エッセー編集の手伝いをさせた。他の人々には実験セッションから早めに立ち去らせて、「15分間のボーナス時間」を与えた。すると、他者(大学志願学生)を手伝った人々は、15分間の棚ぼた時間を得た人々よりも、その後「余分な時間」を多く得たと答えた。

実質的な影響

 直感的には(泡風呂などの)マッサージないし棚ぼた時間を与えられたほうがもっと効用が大きいと思われるのに、なぜ他者に時間を費やすと、かえって時間のストレスから解放されるのだろうか?

 われわれの研究によれば、他者に対して時間を費やすと時間の豊かさの感覚が増すのは、自己効力感(self-efficacy)が増すからだ。つまり、われわれが手掛けるあらゆるものが達成できるという(希有の)感覚だ。結局、自己に対する集中は、自己効力感に目立った変化をもたらさない。もちろんマッサージは素晴らしいが、物事を成し遂げられるというわれわれの感覚を助長してくれるわけではない。そして成すべき仕事のリストから項目を1つか2つ削除するのは、一見達成感を得られそうに思えるが、それは残りの項目がリストに31もあることを思い出させる場合もある。

 これとは対照的に、他者を助ければ人々に具体的・実質的な影響を及ぼしたと感じることができる。隣人の家のポーチはきれいになったし、あなたのおばあさんを元気付けることもできた。そして、この感覚は、十分な時間がないというストレスそのものを減じてくれるのだ。そして時間を与えることには、他の効用もある。恒常的に時間を他者に与える活動、例えばボランティア活動がそれで、より大きな満足が得られることになる。

 時間に追われる感覚はストレスを増やし、満足感を減らす。われわれの研究は、他者を助けるためにスローダウンすることで実質的に時計を「スローダウン」できることを示している。他者に時間を与えることで時間を稼ぐことができるのだ。

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By RACHEL FEINTZEIG
2016 年 6 月 29 日 13:51 JST

 現代のマネジャーが抱える仕事の量は多すぎる。ヒュー・ウェルシュ氏はその典型だ。

 ウェルシュ氏はオランダの複合企業DSMで北米部門の幹部を務めている。同氏は、直属を含め100人を超える部下を抱え、いくつかの肩書(法務顧問など)を持つ。彼のスケジュールはぎっしり詰まっている。このため、土曜のミーティングも珍しくなく、彼と顔を合わせたい部下は、オフィスの外で列をなして並ばなくてはならない。同氏の秘書でさえ彼のスケジュール調整にうんざりしてしまい、最近、社内のより小さなグループに移ってしまった。

 ウェルシュ氏は50歳で既婚者だ。同氏は疲れて果てていると話す。「同時にあっちにもこっちにも行くことはできない」というのだ。

 昨今、ウェルシュ氏のように感じているマネジャーは多い。企業各社は上下の階層をよりフラット(平坦)にし、社員間のコラボレーション(協働作業)を推奨している。これに伴い、マネジャー、つまり上司たちにとって、勤務時間の中で調整、交通整理に費やされる時間が増えている。直属ないし必ずしも直属ではない部下の監督にも時間を割かれる。マネジャーや幹部らは、チームワーク、イノベーションとスピードが求められる。このため、自分の本当の仕事ができる時間がほとんど残らない、とぼやく。

 バージニア大学のロブ・クロス教授は、この現象を「コラボレーティブ・オーバーロード(協働作業に伴う仕事過多)」と呼ぶ。仕事を抱えすぎている人は、成績が優秀であるケースが多いため、重要なプロジェクトに配置されることも、同僚から求められることも多い。だが、扱うプロジェクトが多すぎると、その人自体がボトルネックになりかねない。自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)や保険大手のシグナは、燃え尽きるリスクが高い人を特定する調査を行い、一部で仕事のやり方を変えている。

 クロス教授は約300の組織でネットワークコネクションに関する調査を行った。同教授によると、マネジャーやコンサルタントなどの知識労働者は今や、勤務時間の90-95%をミーティングや、電話およびメールの返信に費やしている。10年前は、こういったことに費やす時間の比率は60-65%だった。同教授は、わずかに残された時間は、集中した仕事をこなすのに十分でないと指摘、マネジャーの仕事の多さについて考え直さない企業には「大惨事」が待ち構えると付け加えた。

 調査・助言会社CEBのブライアン・クロップ氏によると、35-40%のマネジャーは仕事が多すぎて、効率的に仕事をこなすことが不可能になっていることが同社の調査で判明した。

 クロップ氏は、以前は「目の前にある任務をやれば良く、仕事というのは何かを成し遂げるために自分自身がやることだった」が、「今は『何かを一緒に成し遂げるために誰と働くか』が重要になっている」と指摘する。

 GMとシグナは、社員間のつながりに関するデータの収集を始めた。誰が仕事を抱えすぎているかを特定するためだ。GMによると、あるネットワークに属す社員の25%がマネジャーとのより多い接触を望むと回答した場合、そのマネジャーは過剰なつながりを持っていると判断できるという。シグナは、あるネットワーク内の40%超が1人を経由している状態だと問題が生じることを突き止めた。

 ハイテク企業のジュニパー・ネットワークスが、社内のコミュニケーション不足という顧客からの苦情に対応するため、従業員のネットワークを分析したところ、その顧客を担当するグループのやりとりの大半が、ごく一部の従業員を介して行われていたことが分かった。ジュニパーを支援したネットワーク分析専門家のクリス・アーンスト氏が明らかにした。同氏によると、このごく一部の従業員が仕事を抱えすぎると、顧客へのサービスの質が低下したという。このいわゆる「スーパーコネクター」は自分の仕事より、同僚間の情報共有の方に時間を費やしていたのだ。

 問題は、顧客以外のところにも影響をもたらした。ジュニパーによると、過剰なつながりを持つ従業員は、新たなスキルを身に付ける時間があると答える確率が16%低く、職場でどのくらい元気に集中して仕事できるかを示すバイタリティーの評価も21%低かった。

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何もしないことはなぜ恐ろしく、また大切なのか
「休暇でかえってストレス」はもったいない
自分に向き合う習慣は怖いが重要なことだ ENLARGE
自分に向き合う習慣は怖いが重要なことだ PHOTO: ISTOCK PHOTO
By SAMANTHA BOARDMAN
2016 年 6 月 28 日 13:35 JST

筆者のサマンサ・ボードマン博士は、ニューヨーク市にあるワイルコーネル大学医学部に勤務する精神医療の専門家。ブログは positiveprescription.com

 バケーションに出掛けて、ストレスでかえって参ってしまうのはあなただけではない。精神医療を専門とする私にはリラックスするのが苦手な患者が幾人かいる。ある患者が説明したように「仕事について考えないようにすればするほど、仕事を考えるようになってしまう」のだ。別の患者は仕事の休止期間を嫌悪している。「オフィスにいる時の活動的な状態が恋しくなる」という。さらに別の患者は、何をすべきか誰かに命じられること自体を拒絶する。彼は「リラックスすべきだと命じられるつもりはない、と妻に告げた」という。

 仕事をしていない時間の過ごし方が難しいのは、彼らが仕事中毒だからではなく、心がいつも何かに占有されている状態に慣れてしまっているからだ。彼らは休み、反省し、考えるためだけの時間を決してとらない。人生はノンストップだ。忙しくないときでさえ、彼らの心は何かに占められている。職場に向かう途中でポッドキャストを聴く。シャワーを浴びている時もニュースを聴く。公園でジョギングしながら音楽を聴く。就寝前にはテレビ。どの自由時間も埋まっている。彼らにとって、モバイル機器は時間つなぎに最適なツールだ。オフィスのカフェテリアで列に並んでいる時間さえ、いまやスマートフォンに没頭する機会になっている。カクテルパーティーでの会話の途切れ目しかり、会合が始まる前しかり、空港に行くためのタクシーの中しかり。そのほか、あらゆる「合間」がそうだ。

 仕事をもっている精力的な人々だけがそうなっているわけではない。自由時間がある時、何をしたらいいのか分からない子供たちがいる。するべきことがない状態は彼らを不安にする。

 ただ座って考える時間があるということが、不快とまでは言わないまでも居心地が悪い。実際、考えること以外に何もできず1人でいる時は、本当に恐ろしい。私には分かる。数年前、私は飛行時間8時間の旅客機に乗ったが、空港ターミナルに本を忘れたのに気付き、ほとんどパニックに陥った。時間を埋めるのは簡単ではない。私は中央に座席に座っており、両隣の2人は読んでいる本が面白くてやめられないようだった。言い忘れたが、映画システムは故障していた。私にはそれが陰謀のように感じられた。航空会社が発行する機内誌を6回読んだ後、ついにあきらめた。その後の6時間、私と私の思考だけが存在した。

 私はこの8時間に多くのことを学んだ。自分1人でいることは、結局のところそれほど悪くなかった。私は自分の生活と仕事について多くを考えた。うまくいっていることについて熟考し、もっと良くするには何ができるか知恵を絞った。「大きな問題」にも思いを巡らせた。それはつまり、「私は誰なのか? 私は何をしているのか? それはそもそも何のためなのか?」といったことだ。私が大学に戻って「ポジティブ心理学(個人や社会を繁栄させるような強みや長所を研究する心理学の一分野)」を勉強しようと決心したのが、このフライトの間だった。

 1人で自分自身について思いを巡らせることには、利点が1つある。研究によれば、孤立は自我の発達のために極めて重要だ。「孤立:1人でいることの恩恵の探求(Solitude: An Exploration of Benefits of Being Alone)」と題する研究論文で浮き彫りにされたように、孤立は自由、創造性、精神性などと関連している。

 論文によると「1人で時を過ごすことは、精神的に成長することを意味する。外部からの雑音なしに自らのアイデンティティーを発見し、他人の欲求に応じる必要もなしに自ら望むことをする自由をもち、創造性を育むのだ」

 瞑想その他のリラックスのための技術は、休止期間をもっと耐えられるものにし、生産的にもする有効な方法だ。自分の思考を制御する術(すべ)を獲得することで、交通渋滞や待合室での時間といった小さないら立ちの原因はそれほどストレスにならなくなり、大きな問題もそれほど手ごわいものでなくなる。

 最近、私は多くの時間を費やして患者に話しかけるようにしている。日々をどう過ごしているか話し合うのだ。そして患者には、毎日少なくとも15分間は「何もしない」よう処方する。その結果、自由時間に関する彼らの見方は変化する。休止期間を不安の源泉とするのではなく、一つの特権として考えられるようになるのだ。

 そして最良のことは、彼らがいまやバケーションを心待ちにしていることだ。

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[政治・選挙・NHK217] おもてなし大国・日本の「思いやり指数」は世界最低レベル ゆとり世代が 「給料」より「休み」の理由 残業ゼロがすべてを解決
社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭
【第171回】 2016年12月13日 竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]

おもてなし大国・日本の「思いやり指数」は世界最低レベル

 早いもので、もう師走。毎年この季節になると「歳末助けあい運動」が始まり、街のあちこちで募金活動を見かけたりする。欧米でも、クリスマスシーズンはチャリティが非常に盛り上がる。世界中の多くの人が、いい人になりたいという気分になる時期だといえる。それもあってか、日本でも昨年から「寄付月間」というものも設けられて、多くのNPOや企業などが賛同して、寄付啓発や促進活動を行なっている。

日本人は
思いやりのある国民ではない?

 その一方で、「日本の“思いやり指数”は世界最低レベル」というショッキングな調査結果も発表されている。われわれ日本人は、自分たちの国を「おもてなし大国」だと信じているし、他人に対して「親切な国民」だとイメージしている人も多いだろう。実際、日本を訪れたことのある外国人の多くは、「日本人は親切」というイメージを持っているようだ。反日イメージの強い韓国人や中国人からも、そのような感想はよく聞く。しかし実態は、けっして思いやりのある国民ではないようだ。

 イギリスの慈善団体「Charities Aid Foundation」(CAF)が発表している「世界寄付指数ランキング」では、世界140ヵ国中、日本はなんと114位である。ちなみにこの指数、2015年のランキングでは日本は102位。昨年よりさらに12ポイントも順位を下げたことになる。

 ちなみに1位は3年連続でミャンマー。以下、アメリカ、ニュージーランド、カナダ、オーストラリア、イギリス、オランダ、スリランカ、アイルランド、マレーシアと続き、アフリカ勢ではケニアが11位。「幸福の国」ブータンは17位だ。また、日本より上位には、ウクライナ(106位)、ジンバブエ(108位)、チャド(111位)など。韓国は75位。中国は140位で最下位だ。

 この寄付指数は、「直近1ヶ月の間で、以下のことを行なったかどうか」という質問に対する回答の割合からはじき出されている。それは次の3つだ。

1)助けを必要としている外国人や見知らぬ他人などに対してなにか助けたことがあるか?
2)寄付をしたか?
3)ボランティア活動を行なったか?

 つまり日本人は、見知らぬ人を助けないし、寄付もしないし、ボランティアもしない、という結果になってしまったというわけだ。

 ところで、この「寄付指数」という言葉であるが、これはあきらかな誤訳だ。そもそもこの指数は、イギリスの慈善団体のレポートなので原文は英語。その英語のタイトルは「World Giving Index」だが、「Giving」=「寄付」ではない。たとえば『ロングマン現代英英辞典』では、「giving」の語義として「kind, caring, and generous」としているし、『ウィズダム英和辞典』『ロングマン英和辞典』の両英和辞典でも、「優しい、思いやりのある、寛大な」といった訳語が並んでいる。そもそもの言葉の意味からしても、調査項目の内容からしても、「giving」を「寄付」と訳すのは明らかに間違いだ。なので「世界寄付指数ランキング」は、「世界思いやり指数ランキング」と訳すべきだと僕は思う。

「おもてなし」と「思いやり」の違い

 いずれにせよ、この調査結果からいえることは、多くの日本人の自己イメージに反して、「日本人は思いやりに欠ける国民」だということだ。おもてなしの国・日本の民が、なぜに思いやりに欠けるのか――。それは日本文化における「他人」の捉え方、いわば「コミュニティ意識」の問題である。

 そもそも「おもてなし」とは、お客様に対する気づかいのことである。日本人はたぶん、お客様に対しては世界トップクラスの「気づかい国民」なのだろう。外国人観光客はその名のとおり「お客様」なので親切にする。だから、日本に旅行に来た外国人の多くは「日本人は親切だ」と言う。

 しかし、「思いやり」とはお客様に向けた言葉ではない。「おもてなし」と「思いやり」は、やはりまったく別モノである。たとえば、「外国からのお客様をおもてなしする」とはよく言うが、「お客様を思いやる」とはあまり言わない。逆に、「ホームレスの人たちのことを思いやる」とは言うが、「ホームレスの人たちをおもてなしする」とは言わない。ホームレスも、障害者も難民も「思いやる」ものであって、「おもてなしする」ものではないのだ。そこには、「お客様」は自分たちのコミュニティの(一時的な)成員であるが、「思いやりの対象となる人たち」は自分たちのコミュニティの人間ではない、という意識が透けて見える。

 ただし、そんな「思いやりの対象となる人たち」にも、日本では「優先順位づけ」がされることがある。たとえば途上国支援への批判。「海外の人たちを助けているヒマがあったら、日本のホームレスや障害者を支援しろ」のようなものだ。これはつまり、「自分たちのコミュニティの人間優先」という志向性の表れでもある。僕は少なくとも、欧米の人たちからこうした優先順位づけ的な意見や批判を聞いたことはない。社会的弱者の支援において、国内・国外を分けて考えるのは日本人だけではないだろうか。むしろこの「身内優先文化」が、「世界寄付指数」の順位を大きく下げている原因ではないかとさえ思う。

「納税」は社会貢献なのか?

「寄付」や「社会貢献」、そしてそれを支える「思いやり」というものは、文化だ。ミャンマーのような経済的に豊かとはいえない国が3年連続で1位になっていることに驚く読者も多いかもしれないが、そもそも寄付というものは金を持っているからするものではない。アメリカでも所得に対する寄付額の割合、いわば寄付エンゲル係数といったものは、富裕層より貧困層のほうが高いという調査レポートもある。また、日本では「多額の税金を納めているから(社会的な義務を果たしている)」という理由で1円の寄付もしない、1分たりともボランティアをしないという中小企業のオーナー経営者がけっこういるが、このことからもやはり、寄付や社会貢献は「文化」だとわかる。

 念のために言っておくが、納税は憲法で定められた国民の義務である。義務を果たすことは社会貢献でも思いやりでも何でもない。にもかかわらず、「納税しているから、社会貢献している」と主張する小金持ちが多いのは、納税や社会貢献の意味が社会的にきちんと理解されていないことの証左であり、その意味でもやはり日本の寄付文化、社会貢献文化は未成熟であるといわざるを得ない。

 なぜ未成熟なのかというと、寄付や社会貢献の「意義」を誰も教わっていないからだ。まあ、社会貢献文化が未成熟だから、教えたくても教えられる人材が少ないという問題もあるが、文化のベースには国民的教育も必要。その意味でもやはり、日本にも寄付教育、社会貢献教育といったものが必要だと思う。

 僕らの世代には、寄付といえば「赤い羽根共同募金」のイメージが強い。学校で半ば強制的に赤い羽根を買わされていたし、学校によっては生徒たちが街頭で売っている。もちろん、そのこと自体は悪いことではないが、問題はそのことの「意義」を教わらなかったことだ。学校や教師によって事情は違うだろうが、寄付することや募金活動の意義をきちんと教わった人がどれだけいるだろうか。おそらくミッション系の学校でさえ、きちんと教えていないと思う。僕もカトリック系の幼稚園に通っていたし、小学校低学年の頃までは日曜学校にも通っていたが、いまにして思えば、「貧しい人たちのために寄付をすべきだ」という宗教的な教義のようなものは教わっても、それ以上の(もっと現実的な意味の)教育を受けた記憶がない。

 教育には学校教育だけでなく、音楽や映画、文学などの文化的な社会教育というものもあるが、その点でも日本は未成熟だ。近年、社会貢献系の書籍や映画がリリースされるようになってきているが、欧米に比べればまだまだ質、量ともに負けている。では、寄付教育、社会貢献教育の意義とは何かというと、それはやはり、「啓発」ということに尽きる。

 たとえば、どこかの団体に寄付をしたり、ボランティアとして協力したいと思ったとき、どの団体にするかを決めるためには、「リテラシー」というものが必要となる。自分はいったい社会のなかの「何に」関心があるのか。環境なのか、地域コミュニティなのか、育児問題なのか、貧困家庭の子どもたちの教育問題なのか、途上国のさまざまな問題なのか――。仮に、育児問題に関心があるとすれば、その問題解決のために有効な(インパクトの大きい)活動をしている団体はどこなのか――。それらをきちんと理解する必要がある。

社会貢献は
「自分を知る」行為そのもの

 さらには、理屈だけではなく、感覚的な理解も必要だ。たとえば、同じ途上国の子どもたちの教育問題に取り組んでいても、団体ごとにテイストも空気感も違う。世の中に女性支援団体も数多いが、僕がプロデュースしている「Girl Power」は、既存の女性団体とはまったく違う空気感を醸し出すようにプロデュースしている。団体ごとに色が違い、色が違えばそこに集まる人たちのテイストも違う。そのような多種多様なNPO、NGOのなかで、自分の感覚、生理にぴったり合う団体を選ぶことが重要だが、そのためにもさまざまな団体を見比べ、団体ごとのミッションや空気感を見極めることが大事だ。

 つまり、寄付先を選ぶ、ボランティアする団体を選ぶという行為は、論理的にも感覚的にも「自分を知る」という行為でもある。それはつまり、「自分の人生のミッションを知る」ということであり、「何のために学び、何のために働くのか」ということを突き詰める行為なのである。当たり前の話だが、自分のミッションに気づき、それを果たそうとする人間のほうが、勉強でも仕事でもモチベーションも生産性も高い。まさに、「情けは人のためならず」である。

 このようなミッションオリエンテッドな教育を、学校でも社会でも行なっていくべきだ。日本が「失われた20年」といわれ、経済的にもどんどん衰退してしまった最大の理由は、「国民的なミッション」というものが失われてしまったからだ。戦後日本が奇跡的な経済成長を成し遂げたのも、戦後復興という国民的ミッションがあったからだし、僕が子どもの頃でも、教師からは「日本は資源のない貧しい国だから、懸命に勉強して働かなければ食っていけない」と毎日のように教育されていた。つまり、「貿易立国で食っていく」という国民的ミッションがあった。しかしいまは、そのようなミッションはない。

「もう、そういう時代ではない」と思う人もいるだろう。また、国民的ミッションというと、なにやら右翼的なイメージを持つ人もいるだろう。もちろん、国民的ミッションも方向性を間違えると、欧米各国で吹き荒れているような、排他的・ナショナリズム的な動きになる。しかし、だからこそ、「社会貢献」なのである。社会貢献というパースペクティブのなかで、国民的ミッションを見いだし、自分自身のミッションを見いだす。それが、経済も含めた「社会の成長」につながる。寄付やボランティアは、そのミッションを見つけるための最初の一歩であり、そこにいたる道程なのである。冒頭に紹介した「寄付月間」のいまだからこそ、考えるべき本質はそこにある。

【筆者からのお知らせ】
世界中で大流行している「マネキンチャレンジ」に、僕がプロデュースする女性支援団体「Girl Power」も挑戦しました(以下、動画参照)。「女子たちのパーティー舞台裏」をコンセプトに、控え室で女性たちがドレスを着込んだり、お化粧をしたり、ビデオインタビューを受けたり、ボーイフレンドとケンカしたりと、パーティー前の慌ただしい緊張感と高揚感を表現しています。

世界の一流サッカーチームから、ポール・マッカートニーなどのポップスター、ヒラリー・クリントンまで、さまざまなセレブも挑戦している「マネキンチャレンジ」ですが、「Girl Power」の動画も、他に類を見ない楽しい作品に仕上がったかと思います。ちなみにこの動画は、インドの少女に対する衛生教育と生理用パッドの提供を行なう「Happy Pad Project」への募金活動の一環として制作しました。ぜひご覧ください。

*動画はこちら>> Girl Powerウェブサイト「マネキンチャレンジ」
http://girlpower.jp/?p=2190
インドの少女支援「マネキンチャレンジ」実施
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事務局 — 2016年12月12日
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インドの少女たちに「女の子の大切」を伝える授業。

途上国の少女たちは、生理の意味も妊娠のメカニズムも教えられないまま結婚させられ、子どもを産む。そんな少女たちが多数います。

少女たちが、女性としての自分の身体のことを何も知らない。そのことが偏見や差別を生み、生理期間中は家畜小屋に放り込まれる。また、満足な生理用品もないため、村に学校ができても通えない、通っていても初潮が始まると来なくなる。そんな少女がたくさんいます。

また、衛生教育を受けていないせいで、まるでボロ雑巾のような汚い布で生理期間中の手当をする。そんな少女も数多くいます。

少女たちが、女性としての尊厳を持ち、心身共に大人の女性への成長sh智恵行くためには、女性としての身体のメガにズムを学ぶ衛生教育と、安全で清潔な生理用パッドが必要です。

このようなプログラムが必要な女性は、インドだけで2億人のいると言われています。

Girl Powerでは、生理に関することは女性の尊厳にとって非常に重要だと考え、衛生教育と生理用パッドの提供がセットになった「Happy Pad Project」を実施中です。

昨年は1000人の少女に対して、このプログラムを提供しました。今年も1000人の少女に提供したいと考えています。

これまでのチャリティ・パーティーでの寄付などにより、520名の少女に対して提供しています。残り480名分を今年中になんとかしたい。

そこで、世界中で大流行している「マネキンチャレンジ」に、Girl Powerも挑戦してみました。コンセプトは「女子たちのパーティー舞台裏」。パーティー直前の控え室で、女子たちがドレスを着込んだり、お化粧をしたり、インタビューを受けたり、ボーイ・フレンドとケンカしていたり。パーティー前の慌ただしくも高揚感のあるシーンを再現しました。まさにGirl Powerらしい作品になったかと思います。

ご覧になって共感してくださいました方は、ぜひインドの少女たちのためにご寄付をお願いします。1,000円でひとりの少女にプログラムを提供できます。目標は480人の少女への提供ですので、48万円の寄付集めを目指しています。よろしくご支援、ご協力、お願いします。

寄付はこちらからお願いいたします。

ジャパンギビング Girl Power寄付ページ

http://diamond.jp/articles/-/111062


 

 

残業ゼロがすべてを解決する
【第7回】 2016年12月13日 小山 昇

ゆとり世代が
「給料」より「休み」を
重視する理由

電通過労自殺事件で強制捜査が入ったいま、中小企業も大企業もお役所も「残業ゼロ」に無関心ではいられない。
小池都知事が「夜8時には完全退庁を目指す」、日本電産の永守社長が「2020年までに社員の残業をゼロにする」など、行政も企業も「残業ゼロ」への動きが急加速中!
株式会社武蔵野は、数十年前、「超ブラック企業」だった。それが日本で初めて日本経営品質賞を2度受賞後、残業改革で「超ホワイト企業」に変身した。
たった2年強で平均残業時間「56.9%減」、1.5億円もの人件費を削減しながら「過去最高益」を更新。しかも、2015年度新卒採用の25人は、いまだ誰も辞めていない。
人を大切にしながら、社員の生産性を劇的に上げ、残業を一気に減らし、過去最高益を更新。なぜ、そんな魔法のようなことが可能なのか?
発売たちまち2日連続Amazon総合1位となり、本日「日経新聞」に掲載された『残業ゼロがすべてを解決する』の小山昇社長に、「驚くべき新卒トレンド最前線」を語ってもらおう。

新卒社員のトレンドの変化


小山昇(Noboru Koyama)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。2004年からスタートした、3日で108万円の現場研修(=1日36万円の「かばん持ち」)が年々話題となり、現在、70人・1年待ちの人気プログラムとなっている。『1日36万円のかばん持ち』 『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』 『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』 『強い会社の教科書』 (以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。
【ホームページ】http://www.m-keiei.jp/
 わが社は、人材採用にあたって、公益財団法人日本生産性本部が提供している「エナジャイザー(energizer)」というツールを使って適性テストを行っています。

「エナジャイザー」の結果、ここ数年、もう少し具体的に言えば、いわゆる「ゆとり世代」以降、学生のストレス耐性は年々弱くなっています。

 ストレス耐性がプラス(=ストレスに強い)と判定された学生は、ほとんどいません。

 また、「ゆとり世代」以前は、「ラクをして『給料』が高い会社がいい」と考える学生が多かった。

 しかし、「ゆとり世代」以降は、「ラクをして『休み』が多い会社がいい」と考える学生が増えています。

 これは、私の印象評価ではなく、「エナジャイザー」の分析からも明らかです。

 つまり、給料よりも「休み」を優先するのが、今の学生のトレンドです。

 そして、今は「辞めたら次がいない時代」ですから、社長は新卒社員が辞めないためのマネジメントをしなければなりません。

 残業や休日出勤が多ければ、新卒社員はすぐに辞めてしまうでしょう。

 わが社は、夏休み、年末年始休暇、ゴールデンウィークの他に、1年に一度、「3日間の連続休暇」を取れる仕組みがあります。

 3連休のヒントは、新卒社員が飲み会の席で「実は土・日・月と3連休ほしいんですよね」と心情を吐露したこと。

 それを聞いた私はすぐ実施することに決めました。

 株式会社中村土木建設(愛知県/建設、住宅、リフォーム、不動産)の中村陽公(よしゆき)社長も、残業問題に取り組むことが、新卒社員の定着につながると感じています。

「建設業というだけで、ブラック企業に思われてしまいます。キツイ、汚い、給料が安いの3K。
 以前は給料がよかったのですが、今は給料が安いですからね。現場監督の仕事は、時間があってないようなもので、遅くまで仕事をするのが当たり前の風潮も根づいています。
『土曜日は休み』と思っていたのに、金曜日の夜に上司から『土曜日も仕事があるから出ろよ』と言われると、新人は『嫌です』とは言えません。
 しぶしぶ休日出勤をしますが、内心では耐えられない。だから、入社して1、2年で辞めてしまう子もいます。
 3、4年いれば、仕事の面白味がわかるのに、それまで我慢できないんです」(中村社長)

 中村社長は、「若い人材から見て、魅力のある会社にするには、残業や休日出勤を減らす必要がある」と考え、残業の事前申告、残業の見える化(ホワイトボードに社員の残業時間を書いて掲示する)などの取り組みを始めています。

「まだまだ成果は出ていませんが、『建設業は残業があるもの』と決めつけないで、早帰りの努力を続けていくつもりです。
 建設業界は残業に対する意識が低い。だからこそ、早く手を打ったほうが生き残れる。
 市場は小さくなっても、人が定着する会社になれば、まだまだチャンスはある。ライバル会社よりも先に、残業のない『魅力ある会社』にしていきたいですね」(中村社長)

小山昇(Noboru Koyama)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。2004年からスタートした、3日で108万円の現場研修(=1日36万円の「かばん持ち」)が年々話題となり、現在、70人・1年待ちの人気プログラムとなっている。『1日36万円のかばん持ち』 『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』 『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』 『強い会社の教科書』 (以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。
【ホームページ】http://www.m-keiei.jp/
http://diamond.jp/articles/-/109561

http://www.asyura2.com/16/senkyo217/msg/507.html

[戦争b19] シリアを覆うプーチン氏の二枚舌 ISのパルミラ制圧を許す一方で、アサド政権のアレッポ奪還を支援 次の「戦争相手」は宗教
【社説】シリアを覆うプーチン氏の二枚舌
ISのパルミラ制圧を許す一方で、アサド政権のアレッポ奪還を支援
アレッポ近郊の町に立つシリア人の兵士たち(12月12日) ENLARGE
アレッポ近郊の町に立つシリア人の兵士たち(12月12日) PHOTO: EUROPEAN PRESSPHOTO AGENCY
2016 年 12 月 13 日 14:33 JST

 ワシントンでは、ロシアが米大統領選に干渉したとする問題を再燃させようとする動きが見られる。しかしウラジーミル・プーチン大統領がシリアで見せている二枚舌に目を向けることの方が、よっぽど重要だろう。

 ロシアが支援するシリア政府軍は12日、北部アレッポで反政府勢力が支配してきた地域の大半を制圧した。しかしその前日には過激派組織「イスラム国」(IS)が政府軍を追い出し、古都パルミラを奪還することに成功している。

 アレッポとパルミラで起きている二つの出来事には、悪い意味で関連性がある。プーチン氏は以前から、ロシア軍はシリアでジハード(聖戦)主義者、なかでもISと戦っていると主張している。しかし現実はそうではない。バシャール・アサド大統領が率いるシリア政府とロシアは長期にわたり、その軍事力のほぼ全てを穏健な反政府勢力に向けている。こうした勢力の一部はサウジアラビアや米国から支援を受けている。アサド氏は、政権にとって長期的に最も深刻な脅威となり得る反政府勢力をまず破滅させたい考えだ。

 ISはシリア政府にとって喫緊の問題ではない。ISの拠点は東部ラッカにあり、どのみち米軍による空爆やクルド人戦闘員などが対処してくれている。プーチン氏とアサド氏はアレッポに住む市民に爆弾を投下する一方で、より困難なIS対策を他国に任せることに何の抵抗もないだろう。

 パルミラの制圧は許すが、アレッポに関してはアサド政権が最後の難民まで包囲する。この対比はロシアの冷笑主義をあらわにしている。

 バラク・オバマ大統領は注意を払っていないように見えるが、少なくとも欧州にはこのことに気付いている国がある。フランスのジャン=マルク・エロー外相は12日、「ロシア人はテロリズムと戦っていると主張しているが、実際はアレッポに集中している」と指摘。その上で「ダーイッシュ」によるパルミラの制圧を許したことは、ロシアの考え方を象徴していると述べた(ダーイッシュはISのアラビア語略称)。

 エロー氏はロシアのシリア政策を「絶え間ないうそ」だとしたが、その表現では物足りない。ドナルド・トランプ次期米大統領は、交渉しようとしている人物がどのような独裁者なのかを頭に入れておくべきだ。

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ロシア北部にあるバラーム修道院の「主の変容大聖堂」を訪れたプーチン大統領 
2016 年 7 月 15 日 07:22 JST

 ロシアのプーチン大統領は敬虔(けいけん)なキリスト教徒であることを大いにひけらかしている。しかし、宗教的な自由に関することとなると、プーチン政権はたちまち旧ソ連時代のようになる。布教活動や私的な参拝を禁ずる新たな対テロ法を見てほしい。来週から施行されるこの法の下では、すべての伝道師や布教者は「登録済み」の組織に所属していなければならない。公式に認知された場所以外で伝道を行うことも禁止されており、違反した場合は最高780ドル(約8万円)の罰金と、所属教会には1万5500ドルの罰金が科されることになる。

 ロシア正教会をはじめ、すべての宗教がこの法律の影響を受ける可能性がある。だが、良心(信仰)の自由にもたらされる背筋も凍るようなこの措置による影響をとりわけ受けやすいのは比較的小さな教派だ。布教活動に熱心な信者やカリスマ的な信者は個人宅に人を集めて布教活動を行うことが多いが、この法律を広義に解釈すると、こうした集会は禁じられることになる。小さな教派の中には、良心の問題だとして登録を拒否したところもある。

 プロテスタントのリーダーらはプーチン大統領に送付した書簡にしたためたように、「ソビエトの歴史はさまざまな宗派のいかに多くの人々が、神の言葉を広めたかどで迫害を受けてきたかを物語っている。この法律は我々を恥ずべき過去に連れ戻すことになる」と批判している。

 別の明らかな標的はモルモン教徒だ。正式に末日聖徒イエス・キリスト教会(LDS)と呼ばれるこの宗派の信徒はロシア国内で2万3000人を数え、多くの都市で伝道師が活発に、かつ街中で目につく布教活動をしている。モルモン教徒は長い間、ロシアの強硬なナショナリストの間で厄介者とみなされてきた。彼らはLDSを「全体主義的なカルト」であり、米中央情報局(CIA)の手先だと呼んだ。LDSの指導部は声明の中で、「当教会は法律に敬意を表し、これを維持し、これに従う」と述べ、新たな法律の枠組みを確認するとしながらも、伝道師たちはロシア国内にとどまると誓った。

 この法律はロシアで進められている独立系の市民団体を対象にした幅広い取り締まりの一環だ。これには外国のシンクタンクを対象にした厳格な新規制も含まれる。共産主義が崩壊した後でも自由な社会が発展しなかった、ロシアの悲劇的な失敗があらためて思い起こされる。

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http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/304.html

[経世済民116] インド高額紙幣廃止、モバイル決裁に爆発的需要 広がる混乱 中国やスウェーデン独自デジタル通貨 中国市場開放を遠慮する外人
インド高額紙幣廃止、モバイル決裁に爆発的需要
1日当たり50万人の新規顧客を獲得する業者も

ムンバイの銀行で預金を引き出そうとする人たち(11月19日) PHOTO: DHIRAJ SINGH/BLOOMBERG NEWS
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NEWLEY PURNELL
2016 年 12 月 13 日 16:40 JST
 インド政府が高額紙幣の廃止の踏み切ったことを受け、同国内でモバイル決裁サービスを提供する企業が棚ぼた的に利用者を増やしている。
 大手のモビクイックでは、現在のペースが続けば2009年のサービス開始からの実績をわずか1〜2カ月で超えるという。同社の設立者ビピン・プリート・シン氏は「政府が幅広く認知度を高めてくれて、われわれのために広告を打ってくれているようなものだ」と語った。

各国の2015年の通貨流通額(対GDP比%)
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 ナレンドラ・モディ首相が先月上旬に高額紙幣を廃止すると突然発表して以降、同国では現金不足による混乱が続いている。廃止方針が打ち出されて以降、モビクイックでは通常の18倍のモバイル取引が行われているという。
 ボストンコンサルティンググループ(BCG)とグーグルの親会社アルファベットが7月に発表したリポートによれば、インドでは8000万人から8500万人がモバイル決裁サービスを利用している。この数字は人口全体のわずか7%だ。高額紙幣廃止を受けて、数年は必要とみられていたモバイル決裁サービスの普及が一気に進むと期待する声もある。
 国内最大のモバイル決算サービスを提供するペイティーエムでは、政府の発表以降に約1400万人が新規に利用登録を完了。10月には1日当たり10万人程度だった新規加入者が、高額紙幣廃止の発表以降は1日当たり約50万人で推移しているという。
 ムンバイ郊外で小さな売店を営むバグワット・シンさんも、新たにペイティーエムのサービスを利用するひとりだ。これまでは携帯電話でメールやテキストを送ったことすらなかったが、モディ首相の発表を受けて一変。店側も客側も現金が足りなくなる事態が生じ、モバイル決済の契約を済ませたと話す。
 今では店の売り上げの3割程度がモバイル決裁だとシンさんは話している。
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インドの高額紙幣廃止、現金社会に広がる混乱
中国やスウェーデンは独自のデジタル通貨研究に着手
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高額紙幣の廃止は世界的な潮流だが、その規模やペースでインドのモディ首相ほど大胆な措置に出た人物はいない。現金取引が主流のインドでは混乱が広がっている(英語音声、英語字幕あり) Photo: Reuters
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GABRIELE PARUSSINI, RAYMOND ZHONG AND NEWLEY PURNELL
2016 年 12 月 13 日 15:47 JST
 【ニューデリー】インドのナレンドラ・モディ首相は先月上旬、首都ニューデリーで閣僚会議を招集したが、部屋に入る前に携帯電話を置くよう命じたうえで、衝撃的な発言をした。自分はこれから生放送で国民向けにテレビ演説を行い、国内で流通している高額紙幣(金額ベースで全紙幣の約90%に相当)はもはや法定通貨ではないと宣言する、と言い放ったのだ。
 高額紙幣の廃止は世界的な潮流でもあり、インドはその最前線に立つことになった。欧州中央銀行(ECB)は2018年に500ユーロ(約6万円)札の印刷を停止すると発表。カナダやシンガポールも段階的に高額紙幣の流通を減らしている。フィリピンやデンマークなど、規制を変更して電子決済への切り替えを促進している国もある。
 だが、モディ首相ほど大胆な措置に出た人物はいない。脱税やテロリズム、政府の腐敗防止を狙ったこの措置により、首相はインドの最も高額かつ最も一般的に流通している紙幣(米国の100ドル札や20ドル札と同程度に機能している)を一夜にして使えないものにした。インド国民は年内であれば使用不可となった紙幣を銀行に預け入れることができる。高額紙幣に代わりに新額面の紙幣が登場しつつあるが、今のところその総額は使用不可になった高額紙幣の総額2300億ドル(約26兆5000億円)の4分の1程度に過ぎない。

主要国の通貨流通量の対GDP比

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地下で流通する資金を銀行システムに取り込もうと試みている国はインドだけではない。だが、その規模やペース、モディ首相の断固たる決断は驚くべきものであり、これまでは主に机上の理論だった政策が痛みを伴う試練となった格好だ。
 モディ首相は最近、ラジオを通じて「いまのインドが成し遂げたいと考えている大いなる課題はキャッシュレス社会という夢の実現だ」と述べた。
 所得税を納めている世帯がほとんどなく、高額の取引が現金で行われることが多いインドにとって、今回の措置による混乱は相当に大きく、急成長を遂げている同国経済やモディ首相の支持率を脅かしかねない状況になっている。
 モディ首相が高額紙幣の廃止を発表した11月8日以降、住宅販売は滞り、野党によるほぼ毎日の抗議で議会審議は止まっている。観光客は旅程の途中で足止めされ、チップの支払いや、土産物の購入ができなくなっている。銀行の現金自動預け払い機(ATM)前には(ときに緊迫した)長蛇の列ができている。
 高額紙幣廃止は、貧困層が特に影響を受けている。賃金が現金で支払われる不定期かつ非正規の仕事に頼る人が多いためだ。現金の代わりにコメや小麦、食用油など食品で工場作業員に賃金を支払うところも出てきた。
 ロヒト・タルワール氏は、インド北部のモラダバードでロウソク飾りや、家具・インテリア用品のピア・ワン・インポーツなど米企業向けに雑貨を作っている会社を経営している。当初、モディ首相の決断を歓迎したが、従業員や仕入れ先への支払いで問題が発生した。彼らは生活必需品の購入に現金を必要とするのだ。
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インドのモディ首相(中央) PHOTO: MANISH SWARUP/ASSOCIATED PRESS
 タルワール氏は「残念ながらインドでは、あらゆるものがどこかの段階で現金を必要とする」とし、「国全体がキャッシュレスになればいいが、一晩では無理だ」と話す。
 モディ首相は最終的に大きな恩恵があると主張する。徴税、犯罪ネットワークの監視向上、また商業活動それ自体のより正確な把握などのことだ。
 だが、現金の使用を支持する人々はまさにそうした領域にリスクを見ている。プライバシー問題や政府権力の大幅な拡大もそこに含まれる。
 紙幣は脆弱(ぜいじゃく)性があるとみられ始めている。中国やスウェーデンは独自にデジタル通貨の発行について研究し始めている。ECBは、犯罪者やテロリストの間で人気があるために「ビン・ラディン」と呼ばれるようになった500ユーロ紙幣に照準を合わせている。
 ローレンス・サマーズ元米財務長官はワシントン・ポストへの寄稿で「100ドル紙幣をなくす時はいまだ」と記している。
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銀行から預金を引き出そうと並ぶ人々(2日、ニューデリー) PHOTO: ALTAF QADRI/ASSOCIATED PRESS
 またテクノロジーもキャッシュレス社会への後押しに一役買っている。クレジットカードやデビットカードは世界経済の奥深くまで浸透できなかったが、スマートフォンを利用した決済手段は現金を介さない少額取引を容易に手の届くものにしている。
 調査会社IDCによると、インドのスマホ普及率は約30%に過ぎず、電波の接続状況にむらがあるため、デジタル決済が面倒なものになりかねない。
 それでもインドでは数百万人がモバイル決済サービスに登録している。個人経営店や、お茶の屋台、三輪タクシーの運転手など、これまでクレジットカードを使ったことさえなかったような事業主が自身の安価なスマホを通して支払いを受け取る方法に慣れつつある。
 ハーバード大学のエコノミスト、ケネス・ロゴフ氏は「こうしたことが起こっている背景にあるのは主にテクノロジーの開発だ」とし、「それが政府の大きな協力者だ」と話した。
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中国の市場開放を遠慮する外国人投資家
外資を引き込みたい中国政府の狙いは期待外れに

深セン・香港相互取引の開始日にドラをたたく香港交易所の周松崗会長(左)と香港政府の梁振英行政長官(5日) PHOTO: AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RD772_sinoch_IM_20161209041201.jpg 
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GREGOR STUART HUNTER, ANJIE ZHENG AND RACHEL ROSENTHAL
2016 年 12 月 13 日 13:17 JST
 外国資本の流入が人民元の問題を解決すると中国政府が期待しているのなら、それはまだ待たなくてはならない。
 今月5日に全ての外国人投資家に門戸が開かれてからも、深セン証券取引所には外国資本が少しずつしか流入していない。また、中国政府は世界のファンドマネジャーによる債券購入についての主な規制を撤廃したものの、中国債券市場における外国人の保有比率は市場全体のほんの一部にとどまっている。
 絶え間ない資金流出に対抗するため外国からの投資を急増させるという期待はくじかれた格好だ。
 中国では市民が資金を海外移転させる一方で、中国人民銀行(中央銀行)は通貨の防衛に回ってきた。2014年半ば以降、人民銀行は外貨準備を9400億ドル(約108兆円)減少させてきた。
上海と深セン市場における外国人の純投資額の推移
上海と深セン市場では外国人の投資上限が1日当たり130億元に定められている(単位は10億元)

Sources: Hong Kong Exchanges and Clearing, Thomson Reuters
 北京大学HSBCビジネススクールのクリス・ボールディング准教授(経済学)は、「彼ら(中国政府)は外資を国内に呼び込もうと躍起になっているが、残念ながら、その需要があるとは思えない」と述べた。
 また、中国政府は海外機関投資家からの投資が増えれば人民元への圧力が緩和されるだけでなく、2015年夏に乱高下した株式市場の安定にもつながると期待している。
 中国市場を開放させれば、MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)やJPモルガンなどの指数算出大手が同国を世界の株式・債券指数に組み入れる可能性が高まり、潜在的に数十億ドル規模の資本を呼び込むことにつながる。
深セン市場開放も外国人の反応は鈍い

12月5日を起点とした株価騰落率の推移;青は深セン総合指数、赤は上海総合指数を示す
 ただ、BNPパリバ・インベストメント・パートナーズの新興国債券部門副責任者、J・C・サンボル氏は、2017年後半か、それ以降になるまで、そうしたことは中国の債券市場では起こらないだろうと指摘する。
 中国当局は1週間前、外国人投資家に深セン市場の門戸を開き、それまでは一部のファンドマネジャーにしか与えられていなかった市場へのアクセスを拡大した。
 しかし外国人投資家は期待通りに流れ込まなかった。先週の深セン市場への純流入額を見ると、一日当たりの株式購入上限である130億元(約2200億円)の21%を上回った日はなかった。また、外国人投資家の資金フローが一日当たりの売買高の1%に届いた日も一度もなかった。
中国債券市場における外国人の保有残高の推移
中国の債券市場における外国人の保有比率はわずかでしかない(単位は10億元)

Source: Wind Information
 外国人投資家は深セン市場の株価が割高と見ているほか、同市場の調査リポートが不足していることに閉口している。
 現在、外国(主に香港と米国)に上場する中国株のみが、MSCIエマージング・マーケット・インデックスを含むMSCIの主要指数に組み入れられている。
 MSCIは2014年以降、中国A株の組み入れを3回見送ったが、いずれの場合においても外国人投資家による市場アクセスが過度に制限されている点が指摘された。中国で市場が開放されるたびに、MSCIが主要指数に中国株を組み入れるのではないかとの期待が高まっていたが、深セン・香港相互取引の開始時も例外ではなかった。
中国の10年物国債利回りの推移 
10年債利回りは今月、約1年ぶりの高水準まで上昇(債券価格は下落)した

 中国政府は債券取引の大半が行われる銀行間市場も開放し、海外勢が投じることのできる資金の上限を撤廃することで外国人投資家を引きつけようと試みてきた。しかし、現時点では、こうした試みもうまく行っていない。
 調査会社の上海万得信息技術(Wind資訊)によると、11月末時点における外国人投資家の債券保有残高は7471億3000万元となり、年初の5542億元から増加。ただし、債券市場全体の発行残高63兆6000億元に占める割合はほんのわずかでしかない。
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[戦争b19] (社説)インド海軍の憂鬱、近代化は急務 軍艦転覆事故、急がれる装備近代化と米国との関係強化 

【社説】インド海軍の憂鬱、近代化は急務
軍艦転覆事故、急がれる装備近代化と米国との関係強化
ムンバイの港でコルカタ級ステルス駆逐艦「チェンナイ」を見守るインド海軍兵士
2016 年 12 月 13 日 18:42 JST

 インド西部ムンバイ港で先週、誘導ミサイルフリゲート艦「ベトワ」が転覆するという前代未聞の事故が発生し、兵士2人が死亡した。造船所での事故は起こるものだ。このため、今回の事故を大げさに取り上げるのは間違っているかもしれない。しかし、インド海軍が経験している同様の事故の多さを考えてみよう。

 もしインドがインド洋・西太平洋上の信頼される大国を目指すのであれば、今回の事故はこの先の道のりがまだ長いことを思い起こさせる。

 過去を振り返ると、2013年にはムンバイ港に停泊していた潜水艦が爆発事故を起こして海の底に沈み、兵士18人が命を落とした。その数カ月後には別の潜水艦で火災が発生し、将校2人が死亡。これを受けてインド海軍の最高司令官が辞任した。ベトワは2014年に座礁していた。

 また、インドは国産空母の建造でも苦しんでいる。建造が実現すればロシア製空母への依存が軽減し、米国と共同開発した技術の採用につながる。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は先月、米国のエンジニアが2月にインド南部コチの港で建造されていた空母「ビクラント」を訪問したときの様子を報じた。エンジニアたちは工期が数年も遅れており、「自衛のための小規模なミサイルシステムが一切なく、襲撃能力に限界があり、戦闘時に空母をどう使うかについての明確な戦略がなかった」ことを知った。

 インド政府の監査機関は7月、コチの造船所には「軍艦建造の実績が一切ない」と非難。また、ビクラントの航空機発進システムとギアボックスに欠陥があることを発見し、軍が約束した2018年までに就航できないだろうとの評価を下した。

 アシュトン・カーター米国防長官はインド政府との間で、合同軍事演習の規模拡大、武器売却、技術共有などを進めるため複数の特別オフィスを設置。また、米連邦議会は今月、バラク・オバマ政権がインドに与えた「主要な防衛パートナー」という地位を認めた。インドは2014年にナレンドラ・モディ首相が就任して以降、特に米国との関係強化に前向きになっている。

 しかし、インドには依然として米国を信頼していない当局者も多くいる。冷戦時代にさかのぼるロシア寄りの見方に加え、米国とパキスタンとの関係に疑念を抱いているからだ。10年以上にわたる協議を経てもなお、インド政府が3つの「基礎的な」協定のうち2つに署名しない意向を示している理由は、これによって説明できるだろう。これら3つの協定は、米国が約80カ国と防衛データの共有やコミュニケーションを促進するために利用されている。

 インド海軍近代化の道のりは遠い。しかし、ドナルド・トランプ次期政権が前任者の仕事を引き継ぎ、米印間の経済・軍事関係強化を継続するという希望はある。残された2つの基礎協定の締結は、積極的なパートナーにとどまる意向を示すインド政府からの強力な合図となるだろう。

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[戦争b19] トランプ氏のF35計画見直し、有言実行は困難 トランプ氏はF35戦闘機のコストが「制御不能」だと発言
トランプ氏のF35計画見直し、有言実行は困難
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トランプ氏はF35戦闘機のコストが「制御不能」だと発言。F35戦闘機の価格やトランプ氏がコスト削減のためにどんな手が打てるのかを解説する(英語音声、英語字幕あり)
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DOUG CAMERON AND ANDREW TANGEL
2016 年 12 月 13 日 17:42 JST
 ドナルド・トランプ次期米大統領が最新鋭主力戦闘機「F35」購入計画に批判の矛先を向けたことは、膨らむ防衛費や計画の遅れに焦点を当てたものの、専門家は新大統領が果たす役割には限界があると指摘する。
 トランプ氏は12日、ステルス機F35の調達コストが「制御不能に陥っている」とし、「防衛関連の購入費用は数十億ドルの削減が可能であり、削減していく」と述べた。
 米国防総省は老朽化した戦闘機の後継として2400機以上の購入を計画するが、巨額の費用について専門家や議員らはかねて、目に余るコスト超過の最たる例と見なしてきた。
 ロッキード・マーチンからのF35購入費用は約4000億ドル(約46兆円)と、当初見積額のほぼ2倍に達し、計画は数年遅れとなっている。
国防総省や発注先企業は最先端の武器の費用を正確に見積もり、予定通りに予算内で実行するのは困難だと感じている

国防総省の調達コストが高額な計画のリスト(1位がF35計画で、白丸は当初見積額)
https://si.wsj.net/public/resources/images/BF-AM632_PROCUR_16U_20161212180624.jpg

 F35以外にも、議員や予算監視団体が問題視する開発計画のリストは、陸・海・空軍および宇宙のさまざまな分野に及ぶ。ロッキードなどが建造する沿海域戦闘艦の場合、故障を繰り返し、攻撃への脆弱(ぜいじゃく)性が判明。それにもかかわらず計画を進めた20年間にコストは210億ドルまで膨らんだ。
 コストや予算問題に切り込むと意欲を示したトランプ氏だが、すでに運用が始まっている計画で実際に打てる手は限られている。クリス・マーフィー上院議員(民主、コネチカット州選出)は「F35開発の途中でさまざまな曲折があったのは間違いないが、船はすでに出航した」と語った。
 もっと精査すれば、トランプ氏が狙い撃ちできそうな初期段階の計画もある。例えば、上院軍事委員会のジョン・マケイン委員長(共和、アリゾナ州選出)は、ノースロップ・グラマンが開発中の最新ステルス爆撃機「B21(レイダー)」に関して、空軍の発注総額を公表するよう強く求めている。
 トランプ氏は米軍に必要不可欠な装備を見極め、議会の予算手続きが難航しても対処する必要がある。国防総省の計画資料によると、同省の調達・研究費用の年間予算は過去3年間は平均1600億ドルを上回り、2020年までに予算要求が2000億ドル超となる可能性がある。
 後継機などの防衛計画は多様な理由で必ずと言っていいほど費用が膨らむ。計画を承認し、政府(および数百社の発注先)に予算を提示する国防総省幹部は、先進技術を使った最新の武器の費用を正確に見積もり、スケジュール通りに予算内で実行するのは至難の業だという。最終的には年間防衛予算を承認する議会が、どういう武器を作るかを命じる形となるが、オバマ大統領の在任中に議会がスケジュール通りにやり遂げたことはなかった。
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トランプ氏はF35戦闘機のコストが「制御不能」だと発言。ロッキード・マーチンからの購入費用は約4000億ドルと当初見積額のほぼ2倍に PHOTO: RICK BOWMER/ASSOCIATED PRESS
 ロッキードのF35計画は依然として、失敗を招く多くの要因をはらんでいるとの見方がもっぱらだ。マケイン議員は「迷走する防衛調達システム」の「典型例」だと断じた。
 国防総省は陸・海・空軍及び海兵隊のどの機種にも代用できる1種類の戦闘機を作るのが望みだった。しかし、滑走路や空母から、またはヘリコプター並みに垂直に離着陸する3パターンを用意する計画はすぐに多くの問題に突き当たった。各国の企業と協力し、内蔵カメラで全方位に視界が開けるパイロット用ヘルメットのような高価な新機能も搭載した。
 ロッキードは12日、F35計画などで次期政権と協力する用意があると表明。同社でF35計画を率いるジェフ・バビオン氏は「これは驚くべき技術だ」と述べた。
 トランプ氏の発言を受け、12日の株式市場でロッキードは2.5%下落。大半の防衛関連株も下げた。軍事支出が増えるとの期待感からトランプ氏当選後に上昇した分の一部または全部が消えた格好だ。
トランプ次期政権特集
• 【寄稿】トランプ氏が肝に銘じるべき戦争の心得
• トランプ氏が示唆する中東戦略の大転換
• トランプ氏が大統領専用機に立腹:早わかりQ&A
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[経世済民116] ゴールドマン、再び市場に君臨か−その理由とは 変わった世界のシナリオ、FRBは? 自分は投機家か 米企業が中国報復を懸念
ゴールドマン、再び市場に君臨か−その理由とは

金利上昇観測を背景にヘッジファンドが取引を活発化させる見通しだ。ヘッジファンドとの取引がトレーディング事業の約25%を占めるゴールドマン・サックスは恩恵を受ける可能性がある PHOTO: REUTERS
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LIZ HOFFMAN AND CHRISTINA REXRODE
2016 年 12 月 13 日 18:03 JST
 米ウォール街の「フロー・モンスター」の圧倒的な存在感が突如として弱まり始めている。
 米大統領選後のトレーディングの世界では、これまでのところ全ての米金融機関が恩恵を受けているように見える。JPモルガン・チェースやシティグループなどの幹部は先週、業界の会合で、10-12月期のトレーディング収入の伸びが2桁に達するとの見通しを示した。
 だが、近いうちに相場は大きく動く可能性があり、そうなればゴールドマン・サックスなどが恩恵を受けそうだ。実際、大統領選挙後の株価上昇率はゴールドマンがJPモルガンやシティを10ポイント余り上回る。ゴールドマンの株価は選挙以降30%ほど上昇しており、2007年10月31日につけた終値ベースの最高値に迫っている。
 ジャニー・モンゴメリー・スコットの株式調査部門マネジングディレクター、ミッチェル・ペン氏はその一因として、グローバル企業を相手とする安定したフロービジネス(市場で一般的に流通している株式や債券などの取引)に基づいた、利ざやが薄く売買量の多い「フロー・モンスター」モデルが、より不安定な新しいトレーディングの世界において圧迫されている可能性があることを指摘した。こうした世界は新たな勝者と敗者を生むかもしれないという。

米大手投資銀行5行の債券トレーディングの市場シェア(収入ベース)
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 勝者となりそうなのは、ヘッジファンドなど取引量の多いトレーダーに焦点を合わせた企業だ。米選挙までは、株式市場の動きが鈍く金利がゼロ近辺にとどまる中、ゴールドマンの中心顧客であるヘッジファンドはそれほど取引に積極的ではなかった。
 だが11月8日の大統領選以来、市場のボラティリティー(変動率)は急騰し、ヘッジファンドは息を吹き返した。一方、ドナルド・トランプ次期大統領が掲げる保護主義的政策によって貿易が鈍化すれば、企業の為替ヘッジなどの需要は減るだろう。
 UBSグループのアナリスト、ブレナン・ホーケン氏によると、トレーディングで利益を得られる場は、小さな魚を簡単に捕まえることのできる「豊富な種類の魚が泳ぐ池」から「何としても大きな魚を釣り上げるしかない」新しい環境に移りつつある。同氏は「これはゴールドマンが得意とするところだ」と言う。
 こうした変化はウォール街が一昔前に戻ることを意味する。ヘッジファンドはかつて大手銀行のトレーディング部門を潤していた。ヘッジファンドは日本国債や原油などで大きなポジションを取れるよう、銀行に高い手数料を払ってオーダーメードの商品を組成してもらっていた。
 だが、金融危機後の落ち着いた市場では、収益チャンスを見つけることが一段と難しくなった。投資利益率は下がり、一部のファンドはトレーディングを縮小した。これによってとりわけ大きな打撃を受けたのはゴールドマンだった。
 UBSのまとめたデータによると、米大手投資銀行5行の債券トレーディングの市場シェアは収入ベースで、ゴールドマンが今年これまでのところ14%と、2010年の21%から落ち込んでいる。同じくヘッジファンドに重点を置くモルガン・スタンレーは2ポイント減った。一方、JPモルガンは8ポイント、シティは2ポイントそれぞれシェアを増やした。
 JPモルガンやシティのシェアが増えたのは、企業の財務部相手の取引が活発だったからだ。世界の貿易や国境をまたぐM&A(企業の買収と合併)が急増する中、企業はリスク管理の手助けとなる金融商品を探し求めた。
 こうした取引の手数料は低いのが一般的で、1件当たりわずか数千ドル(数十万円)の場合もある。だが、規模の大きいグローバル企業は1年に数千件の取引を行うこともある。取引の相手は往々にしてシティやJPモルガンといった国際的な銀行だ。シティなどはすでに企業のバックオフィス(事務管理)部門や財務部の人たちに深く食い込んでいる。
 JPモルガンの投資銀行部門トップのダニエル・ピント氏は今年、顧客企業は海外事業を拡大し、リアルタイム決済の扱いを増やしているため、為替ヘッジなどのトレーディング商品への需要が高まっていると述べた。
 一方、シティグループの海外ネットワークは100カ国近くにまたがる。同行の幹部によると、特定の商品については法人部門がトレーディング収入全体に占める割合は40%を超える。
 シティの機関投資家部門トップのジェイムズ・フォレス氏は「業界全体の(債券トレーディング)収入が減少しつつあるとの声をしばしば耳にするが、実際もう少し努力する必要があるというのが当行の意見だ」と語った。
 だが、こうした環境は変わるかもしれない。トランプ氏の勝利で不確実性が広がったいま、ヘッジファンドにとって市場には収益チャンスがあちこちに転がっている。金利上昇見通しも、ヘッジファンドなどが取引を活発化させる新たな機会を生む公算が大きい。
 ヘッジファンドとの取引がトレーディング事業の約25%を占めるゴールドマンは恩恵を受ける可能性がある。事情を知る複数の関係者によると、ゴールドマンは投資銀行部門の営業マンに対し企業の最高経営責任者(CEO)との関係を利用してトレーディングを持ちかけるよう促したり、資産運用部門の営業を強化したりしていた。
 ところが、最近のヘッジファンド取引の復活を受け、一部の幹部はこうした営業方針の変更を急いで進める必要があるのかと考え直し始めていると関係者らは言う。
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変わった世界のシナリオ、FRBの対応は?
FOMC後の記者会見では来年の金融政策がどの程度積極的になるかの手掛かりに注目が集まる

By STEVEN RUSSOLILLO
2016 年 12 月 13 日 16:05 JST

 米連邦準備制度理事会(FRB)が今週13・14日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを決めるのはほぼ確実であり、利上げを妨げる要因を心配する必要などもはやない。その代わり市場にとって現在重要なのは、FRBが来年はどの程度まで積極的政策をとるのかということだ。

 このような疑問はつい11月まで、ほとんどあり得ないようなものだった。だが、ドナルド・トランプ氏の大統領選勝利を受けて株価、債券利回りそして商品価格が急伸したため、シナリオは狂ってしまった。FRBが来年に緩やかなペースで利上げを進めるというシナリオは、資産価格の上昇や経済成長の急加速の背後に隠れる可能性が出てきたのだ。

 FRBは14日にFOMC政策声明とともに経済見通しを発表し、会合後にジャネット・イエレン議長が記者会見を開く。来年のFRBの行動を示唆する一つの手掛かりは、同日発表されるいわゆるドットチャートだ。これはFOMC委員が短期および長期について金利見通しを示すもの。

 過去数年間のシナリオは、FRB関係者は利上げについて市場より楽観的に構えているため、弱い経済指標が出ればこの金利見通しを引き下げる、というものだった。

 投資家やトレーダーがFRBの政策予想に利用するフェデラルファンド(FF)金利先物市場では、来年末までにFF金利が1.05%へ上昇することを織り込んでいる。これはFRB関係者の予想中央値1.125%に近い。12日時点の同金利は0.41%だった。

 米経済の状況は、金利が上昇するはずだということを示唆している。失業率は4.6%と9年ぶりの低さであり、消費者心理は数年ぶり高水準に上向いた。企業は経済成長を後押しする設備投資を拡大しようとしているようだ。7-9月期の国内総生産(GDP)成長率は前期比年率3.2%と、2年以上ぶりの大幅な成長だった。

 最も強い根拠は、物価上昇が定着してきたことだろう。石油輸出国機構(OPEC)の非加盟国が減産で合意したことも支援材料となり、原油価格は2月の安値からほぼ倍増している。長い間物価の重しになっていた原油価格低迷はようやく過去のものになったのだ。

 市場は物価上昇を織り込もうとしている。10年物米国債の利回りは今夏の記録的低水準から100ベーシスポイント(bp)余り上昇している。12日には2.5%を超え、2014年9月以来の高水準となった。

 投資家が減税、財政出動の拡大、規制緩和を予想する中で、リスク資産の価格が上昇している。ダウ工業株30種平均はイエレン議長の会見中に2万ドルを突破する可能性がある。現時点では年初から13%余り高い水準だ。

 FRBが慎重姿勢を崩していないのには理由がある。コアインフレ率がほとんど変わらず、エネルギー価格がまだ低水準にあることだ。ただ、これは昨年の今ごろがこれよりずっと安かったに過ぎない。このところ、年初には経済成長が鈍化するというパターンが見られるが、FRBは来年初めもこれを踏襲するかどうか見極めたいと考えるだろう。

 過去8年間に3回の量的緩和策と1回きりの利上げにより、FRBは成長加速に苦しむ米経済をなんとかやりくりしてきた。こうした時期はもう終わったとFRBが宣言する可能性は低いが、世界の状況が変化したことへの同意を表明するシグナルなら1つか2つは見られるかもしれない。

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自分が投資家それとも投機家かを知ろう

By JASON ZWEIG
2016 年 12 月 13 日 17:09 JST

 米国債の価格は打ちのめされているが、米株式市場は毎日のように過去最高値を更新しているので、このタイミングで投資と投機の違いを明確にしておくことが重要だろう。

 残念なことに、その区別――偉大な投資アナリスト、ベンジャミン・グレアム氏の功績とされることが多い――が完全に明確になったことはない。すべての資産はある人々にとっては投資となり、別な人々にとっては投機となる。つまり、投資か投機かは、その人が何を買うかよりも、なぜ買うのかで決まってくるのだ。

 1934年に出版された名著「証券分析」と1949年に出版された「賢明なる投資家」でグレアム氏は次のように述べている。「徹底的な分析の上で、元本の安全と満足のいく(あるいは十分な)リターンを約束するものが投資活動である。こうした必要条件を満たしていない活動は投機的だ」

 筆者はかつてこの説明を確定的なものと考えていたが、数年前にいくつかの難点に気付き始めた。安全やプラスのリターンを「約束する」ほど徹底的な分析などあり得るだろうか。

 投資家は予測可能で長期的なキャッシュフローを獲得するために資産を購入するが、投機家は短期的な価格の変動で利益を得るために資産を購入するというのが少なくとも19世紀にまで遡る従来の考え方である。

 だとすると、その地域が郊外になると予想して100エーカーの更地を購入し、開発もせずに50年間保有する場合、その人は投資家ということになるのだろうか。その土地が賃料やその他の収入を生むことはない。利益が上がるのは、数十年後に誰かがその土地を購入価格(インフレ調整済み)よりも高い価格で買い取った場合のみである。これは投資のように思えるが、概ね投機である。

 米インターネット通販大手アマゾン・ドット・コムが株式を公開した1997年に1.50ドル(分割調整後)で同社株を購入し、保有し続けていたとしたら、その人は投機家になるのだろうか。驚くほど激しい変動を経て同社株は765ドルにまで上昇したが、同社は配当を支払わず、赤字を報告することの方が多かった。

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 とはいえ、その人がアマゾン株を買ったのは、同社が小売業界を変革するだろうと判断してのことだった。1株当たり利益の175倍以上で取引されているにもかかわらず、同社株を保有し続けているのは、まだ変革は終わっていないと考えているからだ。この場合、元々は投機だったものが投資に似てきている。

 短期的な価格変動――20年前の1.50ドルから2ドルへの上昇、今年の750ドルから766ドルへの上昇――を狙ってアマゾン株を購入する人は投機家である。同じ資産、同じ購入のタイミングでも、投資の動機や期間が異なっているのだ。

 同じ資産が保有する人や理由によって同時に投資にも投機にもなり得るというだけの話ではない。同じ人が同時に投資家と投機家になることも可能なのだ。

 米資産運用大手フィデリティ・インベストメンツが少なくとも年間120回の取引を行った顧客210人を対象に行った調査では、彼らが短期取引をする額を総資産の平均37%に制限していたということが分かった。

 フィデリティのドリュー・ブラウンスウォード上級副社長は「顧客たちに直接話を聞くと、自分たちはアクティブトレーダーではなく、トレードをする投資家だと主張する」と述べた。

 米ディスカウント証券大手チャールズ・シュワブのバリー・メッツガー上級副社長によると、アクティブトレーダーであることを名誉の印とし、株取引を楽しいもの、自分たちの生き方の一部だと考えている人々もいるという。その一方で、ポートフォリオのごく一部しか取引していないその他の投資家は、そうした行動を「目的を達成するための手段」としか見なしていない。

 ベンジャミン・グレアム氏は投機と投資を厳密に分離するようにと忠告した。最善策は必要に応じて危険を冒すこともできる「マッドマネー(へそくり)」口座を開設することだ。その上限を例えば自分の総資産の5%に定め、それ以上は決して増やさないようにする。

 その戦略が約1650億ドルもの資産の運用に生かされているカリフォルニア州ニューポートビーチの資産運用会社リサーチ・アフィリエイツのロブ・アーノット会長は「誰にでも投機家の要素がある」と指摘する。

 したがって自分の資金を何らかの資産に注ぎ込む前には、なぜそうしたいのかと自問することが重要となる。アーノット会長は「左端が投機家、右端が投資家になっている連続スペクトルを思い浮かべてみてほしい」と話す。「そして、その資産を買う自分が連続スペクトルでどの位置にくるかを考えるのだ」

 どうしてこれが重要なのだろうか。実際には投機を行っているのに自分では投資だと思っていると、現実との衝突でコースがそれてしまう可能性があるからだ。

 マサチューセッツ州ケンブリッジにある投資アドバイザー、センター・ストリート・ケンブリッジ・コーポレーションを経営するデニス・バトラー氏は次のような例を挙げた。米国株が過去最高値水準にあるなか、最低10%の年率リターンを上げる安全な方法だと考えてインデックスファンドを買ったとしたら、それは投機である。その一方で、「株価が高水準にあり、その結果として将来のリターンは低下するだろう」と分かっていてインデックスファンドを買うのであれば、投資になる。

 さらに付け加えるならば、万一株価の上昇が続いたときに置いてきぼりになるのが怖くて株を買うのであれば、それは投機である。反対に、株式市場の急上昇に懸念を覚え、これまでに上昇してきたものの一部を売り、下落してきたものの一部を買うことでポートフォリオをリバランスしようとするのであれば、それは投資である。

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjU-5mImfHQAhUBv7wKHRUeCqYQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12340534005287504876604582494180365874506&usg=AFQjCNFtSTxAPvdwz0UYcAY2neJtaQqxTw

 

 
アングル:米企業が中国の報復を懸念、トランプ氏の強硬姿勢めぐり

[シカゴ/ワシントン 12日 ロイター] - トランプ次期米大統領による対中貿易や「一つの中国」政策に関する挑発的発言をめぐり、これまでの安定した米中関係の恩恵を受けてきた米国企業の間に動揺が広がっており、トランプ氏が実際の行動に出た場合は中国政府が報復に踏み切るとの懸念を強めている。

トランプ氏は11日に米国政府がこれまで維持してきた「一つの中国」政策を必ずしも堅持する必要はないと発言。これに対し中国政府は「深刻な懸念」を表明した。

対中政策に精通している4人の米業界筋は、同政策は過去数十年にわたって米経済界に恩恵をもたらしてきたと指摘。同政策の放棄を示唆するいかなる言動にも不安を感じると述べた。

同筋は、トランプ氏が中国に対して行き過ぎた強硬姿勢を取った場合は中国政府が中国で事業を展開する米企業に対して報復する可能性があると語った。

米経済界との関係が深い対中通商政策の専門家は「北京の信頼できる情報筋から中国政府・共産党が報復の対象となり得る米企業のリストを作成中との話を聞いている。対中輸出の上位を見れば報復を受ける可能性がある企業についてヒントが見つかるだろう」と語った。

この専門家は、米国の30以上の州から中国向けに10億ドル超の輸出があり、米企業による中国国内の事業は5000億ドル以上に上っている。

別の業界筋によると、企業は非公式にトランプ氏の顧問らと接触している。ただ、トランプ氏から非難を受ける恐れがあるために公式に同氏の対中政策について懸念を表明することはためらっているという。

中国は過去に米中間の貿易摩擦が激化した際に米国製品に対して報復関税を導入してきた。2011年には米国製の大型車などに報復関税を導入した。

同様の措置が再び取られた場合、影響がこれまでより大きくなることは必至だ。

米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)が2015年に世界で販売した996万台の3分の1以上が中国向けで、この年の全世界での純利益(97億ドル)の約20%を合弁を含む中国事業が占めた。フォード・モーター(F.N)の中国合弁会社は、15年の全世界の税引き前利益(94億ドル)の約16%を占めた。

小売業界では、ウォルマート・ストアーズ(WMT.N)は中国に432店舗を展開。コーヒーチェーン大手スターバックス(SBUX.O)は中国国内に2500店舗ある。

米航空機大手ボーイング(BA.N)は737型旅客機の「完成」工場を中国に建設する予定。

米国勢調査局によると、米中間の貿易は15年に5990億ドルに上り、そのうち1160億ドルは米企業からの輸出だった。米企業による輸入は4830億ドルだった。

トランプ氏と同氏の顧問らはこれまで、米国の対中貿易赤字は好ましくない貿易協定や中国による為替操作を反映していると主張してきた。

ジョージワシントン大学のスーザン・アーロンソン教授は台湾をめぐる問題は対応が難しいが、それよりも中国製品に対して高い関税をかけた場合のほうが中国政府が米企業に報復措置を講じる可能性がかなり高まるとの見解を示した。

「中国指導部は安定を必要としているが、トランプ氏は混乱を引き起こしている」と指摘。「それに対して指導部は強い態度で応じる必要性を感じるだろう」と語った。

(Nick Carey, Ginger Gibson記者)
http://jp.reuters.com/article/china-us-trump-idJPKBN142053?sp=true



米国、「一つの中国」政策維持にコミット=大統領報道官

[ワシントン 12日 ロイター] - アーネスト米大統領報道官は12日、米国は「一つの中国」政策を維持することにコミットしているとの立場を示した。

トランプ次期米大統領は、米国の利益になるものがない場合「一つの中国」政策に米国が縛られなくてはならない理由は理解できないとし、同政策を必ずしも堅持する必要はないとの考えを表明。

同報道官は記者会見でこの発言について意見を聞かれ、「米国は台湾、および米国と台湾との関係を交渉の切り札と見なしていない」とし、台湾は米国の緊密なパートナーであるとの見方を示した。

*本文中の表現を修正しました。
http://jp.reuters.com/article/one-china-us-president-spokesman-idJPKBN1412K0


 

FOMC、17年の金利見通し修正や次期政権の財政政策の影響が焦点か
Matthew Boesler、Steve Matthews
2016年12月13日 10:39 JST
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米大統領選後で初のFOMC、0.25ポイントの利上げはほぼ確実か
金利予測分布図は引き締めペースの若干の加速を示唆も

米連邦公開市場委員会(FOMC)は今週、米大統領選後で初となる会合で利上げを議論する。長期債利回りと株式相場は選挙後、次期政権が経済成長を刺激するとの観測で急上昇している。
  FOMCが14日に0.25ポイントの利上げを決めフェデラルファンド(FF)金利誘導目標レンジを0.5ー0.75%とすることはほぼ確実と受け止められているものの、当局が2017年の見通しをどう修正するかや、イエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見内容に投資家は注目する見通し。FOMC声明と新たな経済予測が午後2時(日本時間15日午前4時)発表される予定で、その30分後にイエレン議長は記者会見を開く。
  FOMC参加者17人の金利予測を点で表示した「ドット・プロット(金利予測分布図)」からは、当局の次のステップに関する考えを垣間見ることができそうだ。9月に更新されたドット・プロットの中央値では、来年は2回の利上げが見込まれていた。
  これは2015年12月時点の当局の予測とは大きく異なる。当時の中央値は今年が4回、来年も4回の利上げを反映していたが、その後当局は金融市場の波乱や世界経済成長への懸念、低インフレ見通しを背景に利上げ回数の予想を引き下げていた。
  元FRBエコノミストで現在はコーナーストーン・マクロのパートナーのロバート・ペルリ氏は当局の金利見通しが方向転換し、再び上昇し始める可能性があるとみる。ただ、トランプ次期米大統領の政策の形や影響が不確かな現状であるため金利見通しの変化が生じるには早過ぎるかもしれない。ペルリ氏は「可能性が高いとみられるのは、しばらく続いていたドットの低下傾向が終わることだ」と指摘した。
  米労働省が今月発表した11月の失業率は4.6%と9年ぶりの低水準だったため、FOMC声明に示される当局の景気認識は前回よりも若干楽観的になる公算が大きい。消費者センチメントや企業景況感など今月公表された他の指標も景気の上向きを示している。当局は国内総生産(GDP)予想をまだ変更する用意はないかもしれないが、インフレを誘発しない自然失業率の推計を下方修正する可能性がある。当局は昨年、自然失業率を4.9%としていたが、今年3月に4.8%に引き下げた。

  イエレン議長が記者会見で直面する大きな質問は、トランプ氏が掲げる最大1兆ドル(約115兆円)規模のインフラ投資や減税、規制緩和といった経済政策の影響をFOMCがどう評価するかだろう。ニューヨーク連銀のダドリー総裁が先週、拡張的な財政政策が金融引き締めペースの加速を促す可能性に言及しただけに、記者団はイエレン議長に見解を求める公算が大きい。
原題:Yellen Outlook Blurred by Trump Fiscal Plans: Decision-Day Guide(抜粋)



石油市場は17年上期に供給不足に、OPECの減産合意で−IEA
Grant Smith
2016年12月13日 19:35 JST

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国際エネルギー機関(IEA)は、世界の石油市場が2017年上期に供給不足に転じるとの見通しを示した。石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国による減産合意により供給過剰が解消すると見込まれる。
  IEAは13日公表の月報で、石油在庫は減産が実施される今後6カ月に1日当たり約60万バレル減少すると予想した。これまでは、来年末まで在庫減少はないとみていた。IEAによれば、減産合意に加わった非加盟国で最大の産油国であるロシアは合意した減産を段階的に実施する見込み。
  OPECが8年ぶりに減産で合意した11月30日以降、原油価格は16%余り上昇した。今月10日にはロシアやカザフスタンなどOPEC非加盟11カ国も減産に参加することで合意した。
  在庫減少はOPECが原油供給を合意した日量3270万バレル前後に減らし同水準を維持するのに十分な減産を実施した場合にのみ実現するとIEAは説明している。IEAによれば、11月のOPEC生産量は過去最高の日量3420万バレルだった。
  10日の協調減産合意を受けて、IEAは17年のOPEC非加盟国の生産の伸び見通しを日量22万バレルと、従来予想から半減させた。供給量は平均で日量5700万バレルとなる見込み。
  来年の世界石油需要見通しは日量10万バレル引き上げ、前年比130万バレル(1.4%)増の9760万バレルに達すると予想した。

原題:OPEC Deal Will Create Oil-Supply Deficit in First Half, IEA Says(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-13/OI4BYW6K50XS01


日本株6日続伸、中国統計と根強い円安期待−NTTなど内需中心買い
鷺池秀樹
2016年12月13日 07:59 JST 更新日時 2016年12月13日 15:43 JST

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11月の中国工業生産は前年同月比6.2%増、市場予想上回る
米FOMCの利上げは織り込み済み、ドット・プロットに注目


13日の東京株式相場は6営業日続伸。朝方は反落して始まったが、工業生産など中国経済統計の堅調や為替市場での根強い円安期待を背景に切り返した。情報・通信や医薬品、小売、建設株など内需セクター中心に買われ、通信では自社株買いが好感されたNTTの上げが目立った。

  TOPIXの終値は前日比8.82ポイント(0.6%)高の1540.25、日経平均株価は95円49銭(0.5%)高の1万9250円52銭。連日の年初来高値更新で、TOPIXは昨年12月30日以来、日経平均は同17日以来の水準を回復。
  しんきんアセットマネジメントの鈴木和仁シニアストラテジストは、「中国経済指標が堅調で買い安心感が広がったほか、トランプ米次期政権の人事も金融市場からみて安心感のあるメンバーで、期待が剥げる要素が見当たらない」と言う。相場格言の「押し目待ちに押し目なし」の状況で、下げそうで下げない相場が続く可能性があると予想した。
東証内
東証内 Photographer: Junko Kimura/Bloomberg
  日本時間きょう午前11時に発表された11月の中国工業生産は、前年同月比6.2%増と市場予想の6.1%増を上回った。11月の小売売上高も10.8%増と、ともに伸びが加速。このほか、トランプ米次期大統領は国務長官に、大手石油会社エクソンモービルのティラーソン最高経営責任者(CEO)を指名する方針であることが分かった。ビジネス界出身者が要職を占める見込みだ。
  また、きょうのドル・円相場は朝方に一時1ドル=114円70銭台と、前日に付けた116円台からドル安・円高方向に振れる場面があったが、午後は115円台前半で推移。しんきんAMの鈴木氏は。「米長期金利が高止まりしており、1ドル=115円以上の円高・ドル安にはなりにくい」とみている。米10年債利回りは12日、一時2014年以来の2.5%台に上昇した後、前日比ほぼ変わらずの2.47%で引けた。
  米国では13ー14日の日程で金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。金利先物市場が織り込む利上げ確率は、25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げが94%、50bpの利上げが6%。投資家らの関心は来年の金利軌道に関する手掛かりを得ようと、連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長の発言や金利予測分布図(ドット・プロット)に移っている。SMBCレンド証券投資情報部の松野利彦チーフストラテジストは、「来年2ー3回の利上げは市場コンセンサス。そこから外れないようなら、大きな影響はない」と話している。
  一方、連騰による反動、テクニカル指標からみた過熱警戒感は出ており、主要株価指数は午後の取引前半までマイナスで推移する場面もあった。東証1部の上昇・下落銘柄数の百分比を示す騰落レシオは、12日に152%と14年6月以来の高水準に達していた。
  東証1部の売買高は23億1300万株、売買代金は2兆8390億円。それぞれ前日に比べ22%、14%減少した。上昇銘柄数は1395、下落は493。東証1部33業種は医薬品、通信、石油・石炭製品、電気・ガス、小売、建設など22業種が上昇。その他製品や機械、保険、証券・商品先物取引、鉄鋼、銀行など11業種は下落。相対的に内需セクターの強さが顕著で、前日までの出遅れ感や米市場での電気通信、ヘルスケア株の堅調もプラス材料となった。
  売買代金上位では1500億円を上限に自社株買いを行うNTT、中期経営計画が好感された花王が高い。有機EL企業の子会社化で、液晶と有機ELを一体運営すると13日付の日本経済新聞朝刊が報じたジャパンディスプレイは大幅高。半面、空売り調査会社が売り推奨したSMC、アンハイザー・ブッシュ・インベブから東欧5カ国のビール事業を9000億円で買収すると日経新聞電子版で伝えられたアサヒグループホールディングスは安い。


  
債券下落、日銀指し値オペ通知なしで−超長期ゾーンへの売り圧力続く
三浦和美、山中英典
2016年12月13日 07:55 JST 更新日時 2016年12月13日 15:31 JST


新発20年債利回り一時0.65%、新発30年債利回り0.805%に上昇
長期金利0.1%に近づいたので指し値オペ意識されている−みずほ証
 
債券相場は下落。日本銀行が金利上昇を抑制する指し値オペの通知を見送ったことを受けて、売りが優勢となった。超長期債ゾーンへの売り圧力が継続し、新発20年債利回りは10カ月ぶり高水準を更新した。
  13日の長期国債先物市場で中心限月2017年3月物は、前日比1銭安の150円03銭で開始。直後に150円19銭まで上昇したが、日銀金融調節でオペが通知されないと水準を切り下げ、149円81銭まで下落。結局149円82銭と、この日の安値圏で引けた。

  三菱UFJ信託銀行資金為替部の鈴木秀雄課長は、「取引の序盤は日銀の指し値オペ期待もあって、昨日のイブニングで売り過ぎた分の買い戻しや12月限が最終日ということでの買い戻しを誘発した形。その後は指し値オペがなかったこともあり、行って来いとなった」と説明した。
  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の345回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)低い0.065%で開始し、いったん0.055%まで低下。その後は水準を切り上げ、0.08%と前日に付けた2月16日以来の高水準に並んだ。
  みずほ証券の辻宏樹マーケットアナリストは、「新発10年債利回りが0.1%に近づいてきているので、市場では日銀による指し値オペが意識されている。もっとも、長期債は水準的にはいいところにきているが、じりじり水準を上げている。先月の中期ゾーンのような急激な上昇ではない」と話した。
  20年物の158回債利回りは一時1.5bp高い0.65%と、新発として2月以来の高水準を更新した。30年物の53回債利回りは0.5bp高い0.805%と、新発として3月以来の水準まで売られた。
オペの介入ポイントに接近
黒田日本銀行総裁
黒田日本銀行総裁 Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  野村証券の松沢中チーフストラテジストは、日銀オペの「介入ポイントは近付いていようが、まだ条件が満たされたとは言えないとみている」と指摘。「金利水準だけでなく、スピード、他市場への影響なども加味。水準は十分とは言えず、過去2日のようなスピードで相場下落が続き、かつ株やドル・円が下落した場合」とみる。
  具体的な金利水準について、松沢氏は「10年債自体0.10%が一つのめどになるとは思うが、現在の相場下落の中心である超長期債にも何らかのめどは必要だろう。20年債利回りで0.8%台ではないかとみている」と言う。
  週明け12日の米国債市場で、10年物国債利回りは前週末比ほぼ横ばいの2.47%程度。原油相場の上昇を受け、世界的な国債売りの流れを背景に一時、2.53%程度と14年以来の水準まで売られたが、その後は買いが入って戻した。同日の欧州債市場ではドイツ国債の利回り曲線がスティープ化した。
5年債入札
  財務省がこの日実施した表面利率0.1%の5年利付国債(130回債)の価格競争入札の結果は、 最低落札価格が100円79銭と、市場予想を1銭下回った。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は4.48倍と前回の3.56倍から上昇。小さければ好調とされるテール(最低と平均落札価格の差)は3銭と前回の5銭から縮小した。
5年利付国債入札結果はこちらをご覧下さい。
  大和証券の小野木啓子シニアJGBストラテジストは、5年入札について「最低落札価格は水準的にやや低かったとみているが、応札倍率が上昇、テールが縮小するなど前回から改善。まずまずの結果だったのではないか」と分析。5年入札が低調となり、午後に相場が一段と調整して日銀の指し値オペが入るのではないかという一部参加者のシナリオの可能性は低くなったと指摘した。


https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-13/OI3ZKY6KLVRE01


 


2016年12月13日
第238回 12月FOMC、利上げ後もドル高は続くか?!【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

ドル/円相場は「トランプラリー」で115円台にまで上昇してきました。11月9日の大統領選挙当日は、101.18円まで円高ドル安となる局面がありましたので、ちょうど1か月で14円もの上昇を演じたことになります。

今週はFOMC。米国は2015年12月に利上げを実施しましたが、以降1年に渡って2回目の利上げが実施されていません。市場は今週のFOMCでの利上げをほぼ100%織り込んでいますので、利上げ実施は確実とみられます。市場の注目は来年2017年の利上げ回数へとシフトしており、ドットチャートと呼ばれるFOMCボードメンバー17人の今後3年間のFF金利水準の予想に注目が集まっています。

市場関係者の中には、「実際に利上げをすれば材料出尽くしでドル高は終焉する」と予想する向きもあります。実際、2015年のFOMCで利上げが実施される前までは、利上げ観測からドル高が継続していましたが、実際に利上げした後にはドル高の勢いは衰え、2016年年明けからドル/円相場は下落の一途を辿りました。今回もまた、ドル/円相場は米国利上げを起点に折り返して円高へ向かうでしょうか。

注意が必要なのは、米国金利です。確かに2015年12月の利上げ以降、米国10年債利回りは2.3%台から2月の1.6%台へと下落しました。この時、WTI原油価格は26ドル台へと下落、また、人民元の切り下げによる株式市場の動揺なども同時に起こっていたことで、マネーが米国債へと逃避した可能性も大きく、決して利上げによる影響だったとは言えないものの、タイミング的に合致していたことも事実。米国利上げの影響で人民元切り下げをせざるを得なかった、あるいは原油安を招くきっかけとなったと指摘されれば、影響が全くなかったと言い切ることはできません。今回も米国利上げによる影響が他市場へ波及することで、再び米国債に資金が還流することがあれば、米国長期債利回りの低下による日米金利差縮小で、ドル/円相場が大きく下落するリスクはゼロではないでしょう。

しかし、この影響でもし米国債利回りが下落、ドル/円相場が大きく下げる局面があれば、そこは買い場となって、再上昇するのではないかと思っています。というのはドル/円相場の「需給構造」において、圧倒的にドルを買いたい向きが多いとみられるからです。ドルの売り手である輸出勢は今年度の予約をほぼ済ませてしまっているという情報がある一方、ドルを買わなくてはならない輸入勢は、このドル高のスピードについていくことができずに、ドル調達が遅れているというのです。つまりドルが下がったら「ドル買いをしなくてはならない」輸入勢が多く、ドル/円相場が急落すれば、こうした実需の買いがどっと出てくる可能性が大きい地合いとなっているのです。また100円近くまで円高となった今夏、日本企業によるM&Aのニュースが相次ぎましたが、こうしたM&A企業の買収用のドル調達も遅れているとの情報が。こうした個別の企業の懐事情は具体的金額がニュースにはならないものの、市場関係者らと話していると噂として出てくるものです。真偽のほどは確認できないものの、これまでのドル/円相場で「押し目待ちに押し目なし」という上昇が続いたのも、下がれば買いたい向きが出てくるからなのでしょう。現在までのところ、まだまだそうした買いは出てくる地合いに変化はないと指摘されていますので、FOMC後、ドル/円相場が下落することがあれば、すかさず安値は拾われて反発していくものと見ています。結局のところ、相場で価格を形成するのは「需給」なのです。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

TwitterAccount@hirokoFR
前の記事:第6回 長期固定金利の定番商品、「フラット35」 【あなたはどうする?住宅ローン】 −2016年12月08日
http://lounge.monex.co.jp/pro/special2/2016/12/13.html



長期金利想定、過去最低に 17年度予算1.1%で調整=政府筋

[東京 13日 ロイター] - 政府は、2017年度予算案で、国債利払い費の前提となる積算金利を1.1%とする方向で調整に入った。日銀が長期金利をゼロ%に誘導する新たな政策を導入したことを踏まえ、16年度の1.6%から0.5%ポイント引き下げ、過去最低の水準にとどめる方針だ。

複数の政府筋が明らかにした。長期金利の想定を引き下げるのは2年連続で、予算の4分の1を占める国債費の抑制要因となりそうだ。

政府は、積算金利を設定する際、過去数年間の平均利回りに金利急騰時の備えとして1%程度を上乗せするケースが多い。17年度予算では、日銀が長期金利の操作目標を導入したことも参考に、大幅な金利引き下げに踏み切る。

今年8月時点では、想定金利を16年度当初予算と同じ1.6%に据え置き、17年度予算の国債費として24兆6174億円を要求していた。
http://jp.reuters.com/article/mof-budget-idJPKBN1420ZG



http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/662.html

[経世済民116] トランプ氏が批判すべきアジア通貨は元でなく台湾ドル 「一つの中国」支持は貿易対応次第  トランプ相場後に日本経済の正念場
トランプ氏が批判すべきアジア通貨は元でなく台湾ドル−エコノミスト
Rich Miller
2016年12月13日 12:37 JST

貿易黒字の対GDP比率では台湾が中国の6倍強
「為替操作国」の根拠は台湾の方が強い−外交問題評議会の研究員

トランプ次期米大統領は中国が米中貿易で不当な利益を得ていると批判、就任後直ちに為替操作国に認定すると脅しをかけた。しかしエコノミストは、トランプ氏が今月に入って急接近した台湾の方が「為替操作国」としてのレッテルを貼られるのにふさわしいと指摘する。
  もちろん、対米でも、他の国・地域に対してでも、貿易黒字は中国の方が台湾をはるかに上回っている。しかし、貿易相手を有利な立場で利用しているかを判断するのにより良い指標とされる対GDP(国内総生産)比の黒字をみると、台湾が中国の6倍強だ。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iBYUYNauZEEE/v2/-1x-1.png

  ニューヨークの外交問題評議会(CFR)の上級研究員、ブラッド・セッツァー氏は「為替操作国・地域に認定する根拠は中国よりも台湾の方がはるかに強い」と指摘した。
原題:Trump May Have Wrong Asian Currency in His Crosshairs(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-13/OI3PC96KLVRF01



トランプ氏、「一つの中国」支持は貿易での対応次第−指図受けず
Tom Schoenberg、Nick Wadhams
2016年12月12日 12:13 JST

貿易で中国とより良い取引が可能かどうかで支持の可否決めると表明
台湾総統との電話会談をあらためて正当化し、批判はねつける


トランプ次期米大統領は、中国政府が主張する「一つの中国」政策への自身の支持は貿易でより良い対応ができるかにかかっていると述べた。また同氏が誰と話をするかについて、他国、特に中国が決めるべきではないとあらためて表明した。
  トランプ氏は「FOXニュース・サンデー」のインタビューで、「私は一つの中国政策を完全に理解しているが、貿易など他の分野に関する問題で中国と合意しない限りは、その政策にわれわれが縛られねばならない理由が分からない」と語った。インタビューは10日に録画された。
  同氏はまた「中国が私に指図することを望まない」と述べ、外交的な慣例に反して台湾の蔡英文総統と電話会談を行った後に中国政府の反発を受けてツイッターに1週間前に投稿したコメント内容を繰り返した。
  台湾は中国の一部だとする「一つの中国」政策を、中国本土側は根本的原則と位置付けている。トランプ氏はインタビューで、「中国による通貨価値引き下げ、われわれが中国製品に課税していないのに中国が米国製品に高率の関税をかけていること、すべきでないのに南シナ海の真ん中に巨大な要塞(ようさい)を築いていること、また率直に言って北朝鮮問題でわれわれを全く助けてくれないこと」に、米国が「非常にひどく打撃を受けている」と述べた。
原題:Trump Ties One-China Policy to Cutting a Better Trade Deal (2)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-12/OI1UM16S972B01


 


FX Forum | 2016年 12月 12日 14:26 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:トランプ相場後に訪れる日本経済の正念場=熊野英生氏
熊野英生
熊野英生第一生命経済研究所 首席エコノミスト
[東京 12日] - 日銀は9月に総括的検証を実施し、政策の枠組みを、長期金利ゼロ%ターゲットを含む「イールドカーブ・コントロール」へ切り替えた。当初、この枠組みの有効性に疑問も大きかったが、幸運なことに「トランプ相場」という追い風が吹いて、うまく円安・株高が起こった。

この相場変動の背景にあるのは、大半は米国経済の好転や米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測といった要因だろうが、11月上旬の米大統領選挙のタイミングが流れを印象付けたという意味でトランプ相場のおかげという説明が正当化されているように思える。

日銀が能動的に果たした役割は、上昇に転じた米長期金利が、日本の長期金利との間で、日米金利差を広げるのに一役買ったという点だろう。これまでも、米金利上昇に連動して日米の長期金利差は拡大しやすかった。今回もそうなっており、円安のスピードは速くなっている。

米大統領選直後は1ドル=101円となったが、すぐに1ドル=113円台の円安へと変わった。日銀にとって、この恩恵は絶大である。もしも、ドル円レートが2017年1月以降も110円で推移すれば、レート変化は対前年比で6月以降4―8%のプラスに転じるだろう。これは、輸入物価への上昇圧力である。

さらに、原油価格(WTI)が1バレル45ドルだったと仮定して、円ベースの原油価格の伸びを計算すると、2017年1―4月の前年比は、10―40%へと高まる。つまり、2017年の少なくとも前半にかけては消費者物価の上昇圧力が高まって、黒田東彦日銀総裁の思惑が成功することになりそうだ。

<17年春闘が握るデフレ脱却の鍵>

もちろん、原油や輸入品だけの物価上昇では、デフレ脱却とは言えない。賃金が上昇しなければ、コストプッシュ・インフレによって実質賃金は切り下がってしまう。言い換えれば、円安効果によって、2016年度後半の企業収益が盛り返し、2017年の春闘交渉が成果を上げるかどうかがデフレ脱却のポイントとなる。

企業の収益環境は、2016年度前半までの円高傾向によって減益になる可能性が小さくない。だから、少し前まで春闘は厳しいと見られてきた。もっとも、11月からの追い風は、その逆境を変えつつある。

2017年春闘が0.5%から1.0%のベースアップ率を獲得できれば、個人消費増加への大きなインパクトを与えることになる。消費者物価の上昇率も、コストプッシュ要因だけでなく、需要面での押し上げが期待できる。まさしく、2017年がデフレ脱却の正念場となる。

一方、2017年のリスクは、米国発の変化だ。ドナルド・トランプ次期米大統領がドル高に不満を感じて、ドル安を歓迎するとどうなるだろうか。イエレンFRB議長と対立して、利上げの前途が見えなくなる。トランプ氏の発想は、財政健全化をあまり重視していないようにも思える。だから、米長期金利は上昇していると見ることもできる。

また、FRBの利上げが2017年にかけて、2回あるいはそれ以上に行われると、どこかで米経済のスローダウンか、利上げの打ち止め観測が生じるだろう。これらは、ドル高がどこまでも進まないことを暗示する要因だ。

ドル円レートも、トランプ相場によっていったん円安に振れたが、その流れがずっと続くとは限らない。日銀の金融緩和が成功を収める局面も、2017年のどこかで変わっていく可能性がある。そうしたリスクが顕在化したとき、「やはり追い風頼みはまずかった」と皆が思うことになるだろう。

*熊野英生氏は、第一生命経済研究所の首席エコノミスト。1990年日本銀行入行。調査統計局、情報サービス局を経て、2000年7月退職。同年8月に第一生命経済研究所に入社。2011年4月より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-hideo-kumano-idJPKBN1410C2
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/665.html

[経世済民116] 中国危機の公算、向こう10年は過去10年と比べ大きくない−ロスマン氏 Bloomberg News 

中国危機の公算、向こう10年は過去10年と比べ大きくない−ロスマン氏
Bloomberg News
2016年12月13日 11:55 JST

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中国で向こう10年に金融危機が発生する公算は過去10年と比べて大きくなく、そのような危機が起きると予想する悲観論者はこれまでも、ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)を無視してそう言い続けてきた。マシューズ・インターナショナル・キャピタル・マネジメントの投資ストラテジストで中国に精通するアンディ・ロスマン氏(サンフランシスコ在勤)はそう指摘する。
  同氏は2014年の同社入社前に中国に20年滞在し、北京の米国大使館でマクロ経済と国内政策に関する責任者を務めるなど、米国務省スタッフとして働いた経験がある。そのロスマン氏によると、中国は住宅バブルの状況にはなく、銀行危機にも向かっていない。
  楽観論の根拠は、住宅市場の土台がしっかりしているとの見方にある。いかなる資産もバブルの最重要の前提条件はレバレッジ(借り入れ)だが、中国では頭金支払いが大きいため、米国とは異なり住宅購入者の債務水準が非常に低いという。
  ロスマン氏は「ラスベガスで頭金ゼロの話をしているのとは違う」とし、「中国は問題をたくさん抱えてはいるが、終末論的で世界を破滅させるような問題にはなりにくい。賃貸市場をどう発展させるかといったような、もっと日常的かつ長期的な問題だ」と話した。
  また、中国全般の債務状況は深刻だが、それが金融危機や経済のハードランディングにつながる公算は小さいとも指摘。不良債権化する可能性のある債券は国有企業が保有しているため、政府による管理が可能だと、ロスマン氏は話した。新築住宅販売は今年は約30%増えるが、来年は政府の価格抑制も続き10%減少かもしれないと予想。それでも中国の新築住宅販売は基盤が広がり、来年は過去2番目に好調な年になるとの見方も示した。
原題:China Crisis No More Likely This Decade Than Last, Rothman Says(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-13/OI3QF66TTDSL01
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/666.html

[経世済民116] 日銀短観:大企業・製造業DIはプラス10、6期ぶり改善 指値オペは事実上の為替介入「もっとやれ」 日銀国債オペ異例尽くし
日銀短観:大企業・製造業DIはプラス10、6期ぶり改善
日高正裕
2016年12月14日 09:00 JST 更新日時 2016年12月14日 11:23 JST


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非製造業はプラス18と横ばい−先行きは製造業、非製造業とも悪化
16年度想定為替相場は1ドル104円90銭と円高方向に修正

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iinIyhGSLui0/v2/-1x-1.png

日本銀行が発表した企業短期経済観測調査(短観、12月調査)の大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は昨年6月調査以来6期ぶりに改善した。11月の米大統領選後に進行した円安や株高が好感された可能性がある。
  景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いたDIは大企業・製造業がプラス10と9月の前回調査から4ポイント改善した。非製造業はプラス18と変わらず。ブルームバーグ調査の予想は製造業がプラス10、非製造業がプラス19だった。先行きは製造業がプラス8、非製造業はプラス16への悪化を見込んでいる。

  みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは発表後のリポートで、大企業・製造業の業況判断の改善は「トランプラリー」で急進行した円安・株高が主因だろうと分析する。もっとも、期待先行の円安・株高の持続性には「どうしても疑問符がつきまとう」と指摘。企業も先行き確信が持てない中で回答した可能性が高く、今回の結果は「暫定的な状況評価」という性格を帯びざるを得ないとしている。
人手不足は顕著に
  2016年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比5.5%増と9月調査(6.3%増)から引き下げられた。市場の事前予測(6.1%増)も下回った。
  中小企業の業況判断DIは、製造業がプラス1と4ポイント改善。2期連続の改善で、15年3月(プラス1)以来の高水準となった。非製造業はプラス2と1ポイント改善。先行きはそれぞれマイナス4、マイナス2と悪化を見込んでいる。
  雇用が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いた雇用人員判断DIは、全規模・全産業でマイナス21と不足超幅が2ポイント拡大するなど、人手不足が顕著になっている。特に中小企業は製造業がマイナス14と1992年5月以来(マイナス17)、非製造業がマイナス31と同年2月以来(マイナス35)の不足超幅となった。
為替の想定は円高へ修正
  為替相場の前提は16年度で1ドル=104円90銭と、前回調査(107円92銭)から円高水準に修正された。回答基準日の11月28日までに約7割が回答した。記者説明を行った一上響・調査統計局経済統計課長は「円安が進み始めたのが11月で、その前は円高方向だったのが、かなりの速さで反転したことが背景にあるのではないか。過去の円高を踏まえて円高方向に修正したのではないか」と説明している。

  短観発表後の為替相場は同115円25銭前後で推移している。
  ゴールドマン・サックス証券の馬場直彦チーフエコノミストは発表後のリポートで、製造業で景況感の改善がみられたものの、円安・株高の持続性や外需を中心とした先行き不透明感などから、「先行きは総じて景況感の悪化が予想されているほか、設備投資計画もかなり慎重だ」と指摘。「米新大統領の下での経済政策等が明らかになるまで、慎重さは維持される可能性が高いだろう」としている。
  日銀は19、20両日、金融政策決定会合を開く。SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは発表後のリポートで、短観は「『影響なし』の一言に尽きる」とみる。製造業の業況判断の改善と3月調査での事業計画の上方修正期待は「日銀にとって順風である」と指摘。追加行動のインセンティブ(動機)を失っている日銀にとって、短観は「行動をさらに手控える理由にしかならない」としている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-14/OHUREQ6S972V01

 


指し値オペは事実上の為替介入、「もっとおやりになればいい」−GCI
小宮弘子、Chikako Mogi
2016年12月14日 13:35 JST

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トランプ大統領就任までにドル・円の主戦場を120円挟みに−岩重氏
「せっかく発明した無制限指し値オペをもっとおやりになればいい」


日銀が物価目標の達成に真剣なら、もっと指し値オペをやった方がいい−。GCIアセット・マネジメントの岩重竜宏チーフFXストラテジストは、指し値オペは事実上の為替介入であり、トランプ次期政権発足前にドル・円相場を1ドル=120円台へ押し上げるために活用すべきだと主張する。
  日銀は9月に長短金利操作を柱とする金融緩和強化の新たな枠組みを決定。その一環として導入した指し値オペでは、イールドカーブがおおむね現状程度の水準から大きく変動することを防ぐため、金利が上昇した場合などに日銀が指定した利回りで国債買い入れを行う。
  11月8日の米大統領選以降、トランプ次期大統領のリフレ政策への期待を背景に米国を中心に世界的に金利上昇圧力が強まっている。指し値オペで円金利の上昇が抑えられれば、米金利の上昇がほぼそのまま日米金利差となり、為替のドル高・円安圧力となる。

1ドル=120円台が視野に入るか?
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ivz9glVhl7Ec/v2/-1x-1.png

  ドル・円は米大統領選前の105円前後から10円超もドル高・円安が進行。12日には一時116円12銭と約10カ月ぶり高値を付けた。14日午後は115円台前半で推移している。
  岩重氏は13日のインタビューで、日銀が真剣に2%の物価目標の達成を目指すのであれば、「ドル・円の主戦場を120円挟みに持って行った方がいい」と指摘。「表立って介入すると為替操作国に認定されるので10兆円しかできないが、指し値オペでやれば無制限にできる。オバマ政権がレームダック化している今、1月20日のトランプ氏の大統領就任まで、間隙(かんげき)を縫って120円台に乗せてしまった方がいい」と語った。

  米長期金利が2014年以来の2.5%台まで急騰した12日、日本の長期金利は一時0.08%と2月16日以来の水準に上昇した。市場では日銀が金利上昇の抑制に動くかどうかが注目されたが、日銀は13日午前の金融調節で指し値オペを行わなかった。14日には長期国債の買い入れオペで超長期ゾーンを増額し、金利の低下要因となった。
 
  岩重氏は、「 固い決意があるのであればせっかく発明した無制限指し値オペをもっとおやりになればいい。どんどんおやりになって125円に近いところまで持って行けば、15年6月に実質実効レートのちょんぼを取り返すことができる」と指摘。「次回はもう実効レートのことは言うべきではない」と述べた。
  ドル・円が13年ぶり高値の125円85銭を付けた昨年6月、黒田総裁は実質実効レートで「さらに円安はありそうにない」と発言。市場では当局はこれ以上の円安を望んでいないとの見方が広がり、ドル・円の上昇トレンドは行き詰まった。結局、その後の中国人民元の切り下げショックでドル・円は下落基調に反転。今年6月には英国民投票での欧州連合(EU)離脱の選択を受けて、一時99円02銭と13年11月以来の安値を付けた。
  3年以上にわたる日銀の大規模緩和にもかかわらず、為替の円高反転もあり、物価は低迷。日銀は物価目標の達成時期を「18年度ごろ」に先送りしている。
  岩重氏は理論上、ドル・円は125円を抜けると136円まで行けるとし、「135円、136円まで行ったときには正々堂々とテーパリングをすればいい。そうすれば黒田総裁の任期中に出口戦略もきちんと示して、EXITできる」と主張。テーパリングを始めればすぐに120円まで落ちてくるとし、バッファーを作るために「無制限指し値オペを136円に向けてがんがんおやりになればいい」と語った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-14/OI5KLD6KLVRK01

 


日銀が国債買いオペで異例尽くし、超長期の急激な金利上昇に対応
船曳三郎、崎浜秀磨
2016年12月14日 13:05 JST 更新日時 2016年12月14日 17:04 JST 

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入札日に指し値オペやりにくく事前に動いたのでは−メリル日本証
タイミングとしてはサプライズだった−三菱UFJ国際投信

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iIGCu8UJAL9w/v2/-1x-1.png

日本銀行は14日、9月に長短金利操作を導入して以降、初めて長期国債買い入れを増額した。国債入札の対象となる年限を前日のオペに行ったことや、次回のオペ予定を事前に発表するなど異例尽くしの措置となった。このところの超長期債を中心とした利回りの急激な上昇に対応した。
  午前10時10分。日銀は5本の長期国債買い入れオペの実施を通知した。買い入れ総額は1兆5500億円に上る。3つの残存年限区分を同時に通知した。また、残存期間「10年超25年以下」が2000億円、「25年超」が1200億円と、前回から100億円ずつ増額。15日に20年利付国債入札を控え、前日のオペで入札と同じ年限を対象に含めた。残存期間10年超の国債買い入れオペに関しては、この日が今月3回目で、4回目については16日に通知すると異例の予告も行った。
日銀の長期国債買い入れオペ結果はこちらをご覧下さい。
  日銀関係者は、超長期ゾーンの買い入れ増額の背景について、「最近の超長期ゾーンの急激な金利上昇と、さらなる金利変動に対する懸念を勘案して実施した」と述べた。
黒田日本銀行総裁
黒田日本銀行総裁 Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  今週の債券市場では世界的な金利上昇基調に加え、20年債入札に対する警戒感が強まり、超長期債相場が大幅安となり、利回り曲線にはスティープ(傾斜)化圧力が掛かった。新発20年債利回りは0.65%と2月以来、新発30年債利回りは0.805%と3月以来の水準まで売られた。
  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「20年入札の当日に指し値オペとかはやりにくいので、事前に動いたのだろう。オペ増額は超長期ゾーンへのメッセージにはなった。もともと12月は国債大量償還月なので需給が引き締まりやすく、20年債入札を通過すれば買われる方向とみている投資家が多かったが、イールドカーブにはフラット化要因となり、明日の入札では買いやすくなった」と言う。

  こうした異例の日銀オペを受けて、債券相場は超長期債を中心に上昇。新発20年物の158回債利回りは一時0.585%と、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値から6ベーシスポイント(bp)低下し、新発30年物の53回債利回りは8bp低下の0.725%を付けた。 
  三菱UFJ国際投信の加藤章夫トレーディング部長は、「タイミングとしてはサプライズだった。YCC(長短金利操作)でイールドカーブを立たせること自体は悪くないことを考えると、短中期はより強力に市場をコントロールし、超長期についてはそこまで強力にせず、スピード調整的な意味合いを入れたのだろう」と話した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-14/OI5N8G6JTSI101

 



http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/687.html

[経世済民116] エクソン株の7日間上昇率14カ月で最大、CEO政権入りで  ロンドン、EU離脱前でも既にデリバティブ取引の中心の座を失う
エクソン株の7日間上昇率14カ月で最大、CEO政権入りで−チャート
Phil Kuntz
2016年12月14日 09:27 JST
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iCBmz0ZNpSI8/v2/-1x-1.png

  トランプ次期米政権の国務長官候補として大手石油会社エクソンモービルのレックス・ティラーソン最高経営責任者(CEO)が浮上した今月2日以降、同社の株価は最大7.1%上昇している。エクソン株のこれほど好調な7営業日は昨年10月以来で、パフォーマンスはS&P石油・ガス探鉱生産指数を構成する25銘柄のうち3位。こうした株価上昇は、親ロシア派で同国事業との関わりが深いティラーソン氏について共和・民主両党が懸念を抱いているにもかかわらず、同氏の国務長官就任は承認されエクソンにとって有利な政策を提言すると市場が確信していることを示唆している。
原題:Exxon Has Its Best 7 Days in 14 Months on Tillerson News: Chart(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-14/OI5BQO6KLVRF01


 
米エクソンの次期CEO、ティラーソン氏の正負双方の遺産継承へ
Joe Carroll
2016年12月14日 14:03 JST

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ウッズ社長、エクソンの次期CEOに指名される可能性
トランプ次期米大統領、ティラーソンCEOを国務長官に指名
 
米国で最も影響力のあるエネルギー企業、エクソンモービルのレックス・ティラーソン最高経営責任者(CEO)の後任は、原油生産の従属的な事業にすぎなかった同社の精製事業を主要な収益源へと変えた実績を持つ人物だ。
  ティラーソン氏が13日トランプ次期米大統領から国務長官に指名されたことを受けて、エクソンの精製部門を2012年から率いているダレン・ウッズ氏が次期CEOに起用される可能性が出てきた。国務長官就任への議会承認が得られないとしても、ティラーソン氏はエクソンの定年に達する来年3月までに退任予定だ。同氏の指名をめぐっては、共和党上院議員3人が懸念を表明している。
ウッズ氏
ウッズ氏 .
  ウッズ氏が後任となれば、2年半にわたるエネルギー市場低迷や、北米シェール事業とロシアへのタイミングの悪い投資、気候変動に関連する情報を隠蔽(いんぺい)した疑いなどで身動きが取れなかった巨艦エクソンの舵取りをウッズ氏(51)は引き継ぐことになる。
  ただ、トランプ氏の大統領選挙での勝利や石油輸出国機構(OPEC)による減産計画、同社の製油所の価値を押し上げたウッズ氏の登場という、エクソンを取り巻くエネルギー業界の様相を変化させるプラス要素が出そろった。
  オッペンハイマーのアナリスト、ファデル・ガイト氏は電話インタビューで、トランプ氏の大統領就任がエクソンと石油業界にとって有利であることは「間違いないだろう」と指摘。「業界は米政権に助けを求めたことはないが、その変わり、『負担を減らしてほしい』と主張してきた。石油探査会社にとって規制緩和は負担が減ることを意味する」と述べた。
原題:Exxon CEO-in-Waiting to Inherit Rex Tillerson’s Mixed Legacy (2)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-14/OI5HTP6KLVRK01

 


 
ロンドン、EU離脱前でも既にデリバティブ取引の中心の座を失う
Will Hadfield
2016年12月14日 04:51 JST

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金利デリバティブ取引でのロンドンのシェア39%に低下−13年は50%
米欧の金利の乖離がトレンドに拍車かける見通し−BIS

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iTm88PReXE9o/v1/-1x-1.png

ロンドンの金融業界は欧州連合(EU)離脱に備えているが、重要な市場の一つで既にトップの座を失っていることが、国際決済銀行(BIS)の最新の報告で分かった。
  BISの分析によると、2兆7000億ドル(約311兆円)の金利デリバティブ市場で英国のシェアは39%と2013年の50%から低下している。一方、ニューヨークのシェアは41%と23%から拡大した。
  ニューヨークが市場シェアでロンドンを抜いたのは、米ドル建てデリバティブの取引が急増する一方でユーロ建てが減少したためだ。トレーダーらは欧州中央銀行(ECB)が予想可能な将来において金利を据え置くと見込む一方、米金融当局は来年に金利を引き上げていくと考え、ドル建てデリバティブの取引を増やしているとBISが説明した。

ロンドンの金融街 
  ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの金融学助教授のアンドレア・ベドリン氏は「ユーロ圏では金利に関して何も起こらないので、誰もデリバティブ取引をする理由がない。ユーロ建ての取引が大きく減るのは当然だ」と話した。

原題:Even Before Brexit, London Lost Its Status as Derivatives Center(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-13/OI511C6VDKHS01

 

きょうの国内市況(12月14日):株式、債券、為替市場
Bloomberg News
2016年12月14日 16:05 JST 
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●TOPIX7日ぶり反落、円安一服とFOMC待ち−不動産、資源安い
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
  東京株式相場は、TOPIXが7営業日ぶりに反落。為替市場で円安の勢いが一服した上、米国の金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を見極めようと買いが見送られた。連騰による過熱感もあり、不動産や医薬品など内需株のほか、石油や商社、非鉄金属など資源株も安い。
  TOPIXの終値は前日比1.56ポイント(0.1%)安の1538.69。日経平均株価は3円9銭(0.02%)高の1万9253円61銭と小幅ながら7日続伸。
  岡三アセットマネジメントの前野達志シニアストラテジストは、「これまで利上げを織り込みながら米国の長期金利は大きく上昇してきたため、FOMC後に短期的に利益確定の動きが出て、円安・日本株高も一度調整する可能性がある」と指摘。きょうは、FOMC後の市場反応の不透明感から動けないと話した。
  東証1部の売買高は20億4511万株、売買代金は2兆5449億円で、代金は前日から1割減。上昇銘柄数は695、下落は1165。東京1部33業種は不動産、石油・石炭製品、卸売、非鉄金属、医薬品、食料品など21業種が下落。ゴム製品や情報・通信、精密機器、電気・ガスなど12業種は上昇。
  売買代金上位では、UBS証券が投資判断を下げた第一三共が安く、SMCや伊藤忠商事、三井不動産、住友金属鉱山も安い。半面、ゴールドマン・サックス証券が業績予想を上げたブリヂストンが高く、ソフトバンクグループや日本電産、東芝、電通、HOYAは上げた。
●債券上昇、超長期中心に買い−異例のオペ対応による金利高抑制を好感
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
  債券相場は超長期債を中心に上昇。日本銀行が超長期ゾーンの国債買い入れ額を増額するとともに、次回のオペ実施日を事前に発表するなどの異例の措置で、金利上昇を抑制する姿勢を示したことを好感して買い圧力が強まった。
  長期国債先物市場で中心限月3月物は前日比6銭高の149円88銭で取引を開始。午前10時10分のオペ通知後には150円15銭まで水準を切り上げ、結局は15銭高の149円97銭で引けた。
  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「増額の上に念には念をということで、16日のオペを予告しており、超長期の急激な金利上昇を気にしている感がある」とし、市場が不意を突かれたこともあり、金利上昇が抑えられる格好になったと説明。ただ、米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、「予想以上にホーキッシュな結果になれば、一段の米金利上昇やドル高・円安が進む可能性が警戒される」とし、買い安心感は限定的としている。
  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の345回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値から0.5ベーシスポイント(bp)低い0.075%で開始。オペ後は0.05%まで下げた。新発20年物の158回債利回りは一時6bp低下の0.585%、新発30年物の53回債利回りは8bp低下の0.725%まで下げた。
  日銀は午前の金融調節で、長期国債買い入れオペを通知した。買い入れ額は「10年超25年以下」が2000億円、「25年超」が1200億円と、前回から100億円ずつ増額された。一方、「1年超3年以下」が4000億円、「3年超5年以下」が4200億円、「5年超10年以下」が4100億円にそれぞれ据え置かれた。
  日銀は残存期間10年超の買い入れに関し、今月4回目については16日にオファーすると予告。残存年限の区分については「1年ー5年」、「5年ー10年」、「10年超」と3つを同時に通知するなど異例尽くしとなった。
●ドルは115円台前半、FOMC決定控え小動き−ドット・声明文注目
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
  東京外国為替市場では、ドル・円相場が1ドル=115円台前半で推移。今晩に米連邦公開市場委員会(FOMC)の決定発表を控えて慎重姿勢が強い中、小幅な値動きにとどまった。
  午後3時33分現在のドル・円は前日比0.1%安の115円11銭。朝方に付けた115円ちょうどから115円33銭までドル高・円安に振れた後は、伸び悩んだ。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.1%安の1246.01。
  スタンダードチャータード銀行金融市場営業本部の好川弘一エグゼクティブディレクターは、「ドル・円はFOMC前にレンジで様子見になりそう。FOMCでの利上げそのものは織り込み済みでノーイベント。2017年中の利上げペースや幅をみる上で、ドットチャートや声明文が鍵になりそう」と説明した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-14/OI5YAY6JTSEA01
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/691.html

[政治・選挙・NHK217] (社説)日本のTPP承認が持つ意味  景気は緩やかな回復基調、しっかり注視=官房長官 17年追加予算、景気見て判断=韓国
 
【社説】日本のTPP承認が持つ意味
安倍首相のリーダーシップは称賛に値する
参議院のTPP特別委員会に出席した安倍首相(9日、東京)

2016 年 12 月 14 日 15:43 JST

 日本が先週の国会で環太平洋経済連携協定(TPP)を承認したことは、時間の無駄に思えるかもしれない。米国のドナルド・トランプ次期大統領は、就任初日にTPPから離脱する方針を示しているのだから。また、取り決めによれば、TPPは承認国の国内総生産(GDP)合計が域内GDP全体の85%以上を占めなければ発効しない。米国のGDPは全体の60%を占めるため、米国が参加しなければTPPはつぶれる。

 それでも国会の動きは2つの目的にかなっている。まず、他の貿易協定と国内経済の改革に向けた安倍晋三首相の決意を示す印になること。また、安倍氏からトランプ氏に向けて、アジアと世界が貿易面で米国のリーダーシップを必要としているというメッセージになる。

 TPPによる市場開放が行われないことで、日本経済の再生を目指す安倍氏の計画は暗礁に乗り上げている。アベノミクスがこれまで柱としてきた金融刺激と財政刺激は、ほとんど効果があがっていない。政府は「第3の矢」として日本企業に競争力強化を迫り、消費者を利する改革の断行を約束したが、それもこれまでのところ実現には至っていない。

 安倍氏と他のTPP承認国は、失敗した協定を新たな協定のひな型として使うことができる。これには特にサービス産業での非関税障壁の低減や、知的財産の保護強化などが含まれる。それが二国間の協定にとどまった場合でも、最終的にTPPと似た多国間協定を目指す機運を受け継ぐはずだ。

 TPPが何らかの形で救出される可能性すらある。トランプ氏が中国との関係緊張を受けて、2017年10月の承認期限前に反対の見直しを迫られる事態も考えられる。米国の同盟国の団結と繁栄を助ける戦略ツールとしてのTPPの価値は、失業への度が過ぎた懸念に勝るかもしれない。

 米国以外の署名11カ国が、TPPを改定して米国抜きで発効させることも不可能ではない。その場合、条項に関する交渉を蒸し返さないためには巧みな外交処理が必要だろう。だがうまくいけば、これまでの成果を保ちながら、扉を開けて米国の加盟を待つことができる。

 日本はかつて消極的な自由貿易主義者だった。それが安倍氏の下で進歩したとはいえ、リベラルな国際秩序の要として米国の代わりを務めるには無理がある。だが日本政府は、統治の責任に目覚めたトランプ政権が開かれた貿易制度を支持する戦後コンセンサスに回帰することに期待して、保護主義に滑り落ちていく傾向に反対することはできる。

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トランプ氏の政策、日本経済には追い風=本田前参与
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiv3-Krx_PQAhXGTrwKHbrFCqoQqQIIHTAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12639540122206773900404582495833739321576&usg=AFQjCNGKROnViQuIAdoKqjotW91C13fQeQ


 

 


景気は緩やかな回復基調、今後の動向しっかり注視=官房長官

[東京 14日 ロイター] - 菅義偉官房長官は14日午前の会見で、この日発表された12月の日銀短観で大企業製造業の景況感が1年半ぶりに改善したことに関連して、「景気は緩やかな回復基調にあると考えている」との見方を示した。

菅官房長官はまた「景況感の先行きには慎重な見方もあるので、今後の景気動向をしっかり注視していきたい」と述べた。

(石田仁志)
http://jp.reuters.com/article/suga-tankan-idJPKBN14308N


 


17年追加予算の必要性、第1四半期の景気見て判断=韓国企画財政相

[世宗(韓国) 14日 ロイター] - 韓国の柳一鎬経済副首相兼企画財政相は14日、国内外の不透明感に対応するため2017年に追加予算が必要になるかどうかは、第1・四半期の景気動向を見極めた上で判断する考えを示した。

記者団に対し「来年第1・四半期の景気動向が重要だ。それに応じて決めるしかない」と語った。

韓国当局者の間では、朴大統領の弾劾案可決による経済への影響や米大統領選でのトランプ氏勝利を受けた政策不透明感などが懸念されている。

柳財政相は韓国経済について「深刻な状況にあり、長期間続く可能性がある」とし、「通貨危機や金融危機には陥っていないが、非常に厳しい局面にある」との見方を示した。

また、消費者心理への影響を最小限に抑えるため、企画財政省が雇用や消費を促す案をまとめ、今月28日にも発表される可能性がある経済政策見通しに盛り込むことを明らかにした。

その上で、14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げが「ほぼ既定路線」となるなか、15日に企画財政省の会合を開き、必要に応じ新たな対策を検討する考えを示した。

日韓通貨スワップ協定の再開については、政局混乱の中でも協議が続いていると言明し、中断の可能性があるとした地元メディアの報道を否定した。

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http://www.asyura2.com/16/senkyo217/msg/550.html

[経世済民116] 2017年の資産運用は「リアル二刀流」 英雇用者数1年ぶり減少−実質賃金抑制 投資家パッシブ選好続く−アクティブ資金流出
コラム:
2017年の資産運用は「リアル二刀流」

重見吉徳JPモルガン・アセット・マネジメント グローバル・マーケット・ストラテジスト

FX Forum | 2016年 12月 14日 17:15 JST 関連トピックス: トップニュース


[東京 14日] - 今回は、日本の個人投資家が2017年にどのような資産運用戦略を取るべきかを検討したい。2017年は「リアル二刀流の年」である。北海道日本ハムファイターズの大谷翔平選手は「打ってよし、投げてよし」、言い換えれば「攻めてよし、守ってよし」だ。2017年の資産運用もこれと同じで、日本の個人投資家は「攻め」と「守り」の両方を持つべきと考える。

単純に言えば、債券と株式、インカムゲインとキャピタルゲインとなるだろう。あるいは、国債と社債・株式、言い換えれば、景気後退への備えと景気過熱・インフレへの備えを両方持っておきたい。

筆者は2015年後半から最近まで、景気後退の「下」ばかりに備えてきた。2017年はこれに加え、景気後退前のブーム(景気過熱)をアップサイド・リスクとして認識している。2017年は景気過熱という「上」にも備え、リスク要因台頭や景気後退という「下」にも備える必要がある、まさに分散投資という二刀流が、リアルな意味を持つ年だと考える。

<投機を支える巨大金融緩和、国債投資は事実上不可能に>

筆者が「2017年は上も下もある、分散投資が重要」と言うと、「今までもそうだろう」と思われるかもしれない。実は、必ずしもそうではなかった。

なぜなら、日本株や米国株、米国の投資適格社債やハイイールド債券、日米REIT(不動産投資信託)などの主要なリスク資産価格は2015年以降、「トランプラリー」を含む2016年11月まで約2年間、「大きく見れば横ばい推移」が続いている。つまり、上がってもいないし、下がってもいない。

加えて、「まさか」の景気後退に備えるべく分散投資しようにも、円ヘッジした先進国の長期国債利回りはマイナスになり(国債保有にランニングコストが発生し)、買うに買えないという状態に陥っていた。「上もなく下もなく、分散のしようもなかった」のである。

その理由は、先進国の巨大な金融緩和に見いだせる。世界金融危機以降、主要国の中央銀行が金融市場に発していたメッセージは、「ずっと低金利にしておくから、リスクを取れ」というものだった。要するに官製相場であり、「一億総投機筋の、ただ乗り相場」(独立系ヘッジファンド、ウィズ・パートナーズの石見直樹副社長兼債券運用CIO)である。

官製相場では、何かしらの急落が起きて、株価が大きく下がりそうになると、中央銀行が出てきて金融緩和を実行したり期待させたりして持ちこたえる。すると、下落局面は雲散霧消して長続きしない。つまり、中銀は大きな「下」を防ぎ、投機筋のモラルハザードを助長してきた。これは所得や富の格差拡大、そして欧米の政治動向に寄与しただろう。

反対に、リスク資産価格は主要国の金融緩和を追い風にどんどん突っ走ったが、実体経済は世界的な高齢化や労働力人口の減少で低成長だから、ゆっくりとしか追い付いてこない。先走った株価は今や、実体経済に対して割高になっているから、実体経済が追い付いてくるのを待っている。株価と実体経済は、いわば「ウサギとカメ」の状態である。すでに上がってしまっているから、「上」がない。都合、多くのリスク資産価格は、横ばい推移が続いてきた。

<「上」はリスクシナリオであり、メインではない>

対照的に、2017年は「上」にも「下」にも備えが必要だろう。「上」とは、米国の景気上振れに支えられる強気相場の出現である。金融市場は、ロナルド・レーガン元大統領の政策と、トランプ氏の経済政策を比較する向きが多い。しかし、注意点が2つある。

1つには、まだ何も始まっていないし、実際にはトランプ氏からどのような外交・経済政策が出てくるか分からない。トランプ氏はいわば不確実性の塊である。例えば、保護主義が先鋭化して、その矛先は中国のみならず、日欧にも向けられ、世界の景況感が悪化するリスクが挙げられる。また、日銀による長期国債の利回り目標導入や、欧州中央銀行(ECB)による債券買い入れプログラムの延長や買い入れ利回りの下限撤廃などは、為替操作国が中国だけではないことを印象付ける。

もう1つは、レーガン政権とは景気のサイクルも財政の余力も異なる点である。レーガン政権2年目の1982年は世界金融危機時よりも景気の後退が深刻だった。また、米議会予算局(CBO)によれば、2016年の米連邦債務は対国内総生産(GDP)比で、第2次大戦直後の1950年以来の高水準にある。

完全雇用であるからこそ、金利が上昇し、ドルが上昇している。これらは教科書が示す通りに、米国の設備投資や住宅投資、純輸出、さらには企業業績を圧迫すると考える方が自然だろう。にもかかわらず強い相場は、期待先行の「アベノミクス相場」を思わせるが、完全雇用・金利上昇・自国通貨高が当時の日本との違いである。また、前回のコラムで述べた通り、米国の株価サイクルも終盤に近い。

ここまでをまとめれば、確かに、2017年の後半にかけて、米国の減税やインフラ投資などの財政出動が意識されると、景気の拡大期待から株価は再度、上昇圧力を強める可能性が考えられる。その追い風を日本株が受ける可能性もあろう。

しかし、景気や株価のサイクルを考えると、「上」(=米国の景気上振れに支えられる強気相場の出現)をメインシナリオに据えることは自然ではなく、あくまでアップサイド・リスクにすぎない。メインシナリオは引き続き、リスク資産価格の横ばい推移である。

<リスク資産価格は2017年も横ばい推移の公算大>

米国の金利上昇やドル高が米国の景気や企業業績を抑制するほか、構造要因としての、潜在成長率の世界的な低下も変わらない。先進国全体や中国では、高齢化や労働力人口の減少、資本の蓄積や偏在、所得の不平等が進んでいる。これらは、貯蓄を増やし投資を減らすことで、低成長・低利回りを促す。

また、先に述べたように、先進国の巨大な金融緩和が、低成長の実体経済に比べ、株価などのリスク資産価格を大幅に押し上げた状況も変わらない。リスク資産価格は横ばい推移と考える方が自然だろう。

投資家向けセミナーなどで、「リスク資産価格は引き続き横ばい」と話すと「そんな話は聞きたくない」と言われる。その理由は「上がらないと買うものがない」と考えるためだろう。そんなことはない。「上がらない」ということは、キャピタルゲインが取れないということであり、「下がらない」限り、インカムゲインを目指すべき局面である。

日本の個人投資家のポートフォリオの大部分(いわゆるコア)では、できるかぎり「確実にインカムを取る」のが望ましいだろう。ただし、インフレや金利の上昇といった「トランプリスク」を含む不確実性を考慮すれば、企業の社債やREITのみならず、株式でもインカムを取ることで分散投資を心掛けたい。

加えて、「確実にインカムを取る」ためには、円ヘッジは必須である。まさに2016年がそうだったように、為替相場の変動性は多くのインカム資産の利回りよりもはるかに大きいため、円ベースで見たインカム収入が、為替リスクによって大きくぶれてしまいがちである。円ベースで利回りを確定するためには、円ヘッジを心掛けたい(むろん信用リスクや金利の変動リスクなどは残る)。

<景気サイクルを考えれば「下」への備えは必須>

最後に、「下」(米国の景気後退から来る弱気相場)への備えについてである。すでに終盤戦の米国の景気拡大がこれからブームになるならば、米連邦準備理事会(FRB)による引き締めもあり、将来の景気後退は確実だ。

世界的な金利の上昇は、円ヘッジの先進国国債への投資機会である。ポートフォリオに抱えるリスク資産価格の下落を相殺するためには、円ヘッジをかけて先進国国債を持つほかない。円ヘッジをしていないと、外貨ベースで見た国債価格の上昇(海外金利の低下)を、円高(ドル安)が吹き飛ばしてしまう恐れがある。世界金融危機が生じた2008年がそうだった。

確かに、円ヘッジをかけた先進国国債は、現預金と同様に期待リターンがゼロに限りなく近く、普段は何もしてくれない。しかし、現預金とは異なり、いざというときには助けになる存在である。

*重見吉徳氏は、J.P.モルガン・アセット・マネジメントの日本におけるグローバル・マーケット・ストラテジストで、エグゼクティブ・ディレクター。大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了後、農林中央金庫にて、外国証券・外国為替・デリバティブ等の会計・決済事務および外国債券・デリバティブ等の投資業務に従事。その後、野村アセットマネジメントの東京・シンガポール両拠点において、グローバル債券の運用およびプロダクトマネジメントに従事。アール・ビー・エス証券にて外国債券ストラテジストを務めた後、2013年3月より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。


コラム:中国の米企業へ、トランプ氏のメッセージは「くたばれ」 2016年 12月 07日
再送-為替こうみる:海外勢の日本株買い/円売りに支援され年内117円台も=FXプライム 上田氏 2016年 12月 12日
コラム:ドル円下抜け目前か、日米金利に前触れ=佐々木融氏 2016年 10月 25日

http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-yoshinori-shigemi-idJPKBN1430GG?sp=true

 


英雇用統計:8−10月期の雇用者数、約1年ぶりに減少
Jill Ward
2016年12月14日 19:32 JST

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失業率は4.8%で変わらず
賃金上昇率は2.6%、2015年8月以来の高い伸び

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i.BXOsUWcr6c/v2/-1x-1.png

英国の雇用者数は10月までの3カ月でここ1年余りで初めて減少した。労働市場が軟調となりつつ兆候が出ている。
  英政府統計局(ONS)が14日発表した雇用統計によると、8−10月の雇用者数は6000人減の3176万人となった。雇用者の減少は小幅で、失業率は4.8%で変わらず。ただ、雇用市場は「最近数カ月に活気がなくなったようだ」とONSは指摘した。
  10月単月の失業率は4.9%と、9月の4.6%から上昇。8−10月は失業者数も減り1万6000人減の162万人。労働市場を離脱する人の数が離職者数を上回った。
  消費者はインフレ加速見通しに直面しており、家計が圧迫される恐れがある。ただ、今回発表の統計では賃金上昇率は2.6%に加速し、2015年8月以来の伸びとなった。実質賃金上昇率は4カ月連続で1.7%。物価上昇圧力は来年初めに強まるとみられており、実質賃金の伸びが抑制される可能性がある。
  

原題:U.K. Employment Declines for First Time in More Than a Year(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-14/OI66PR6JTSEK01


 

投資家のパッシブ選好続く−11月もアクティブ運用投信から資金流出
Charles Stein
2016年12月14日 12:44 JST

アクティブ運用投信から670億ドル流出−モーニングスター集計
パッシブ運用型には706億ドルが流入
S

株や債券のアクティブ運用投資信託は先月再び、投資家資金の引き揚げに見舞われた。
  モーニングスターの集計データによると、アクティブ運用の投信から670億ドル(約7兆7200億円)が流出した一方で、パッシブ型には706億ドルが流入した。これはどちらも今年に入って最大規模。アクティブからパッシブへの流れは、2008年の金融危機以降見られる。 
  アクティブ運用ファンドからの11月の資金引き揚げ額は、株式が365億ドル、債券が218億ドル。債券はドナルド・トランプ氏の予想外の米大統領選勝利を受けた金利先高観で値下がりした銘柄が多かった。
  投資家のパッシブ運用選好は、アクティブ運用で長く定評があった資産運用会社に影響を与えている。フィデリティ・インベストメンツでは11月、フィデリティ500インデックス・ファンドが株式運用で同社最大のファンドとなった。それまではウィリアム・ダノフ氏が運用するフィデリティ・コントラファンドの運用資産が最大だった。
原題:Active Funds Routed in November as Investors Go for Indexes (1)(抜粋)

 


 


http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/695.html

[経世済民116] 雇用増やすか 自動化のパラドックス改めて検証 新興国市場、決めるのはFRBより政治 中国借金ブームけん引、ミレ二アル世代
雇用増やすか 自動化のパラドックス改めて検証
アマゾンはレジのない小型食料品店「アマゾン・ゴー」

By CHRISTOPHER MIMS
2016 年 12 月 14 日 13:12 JST

 現金自動預払機(ATM)が登場した1970 年代以降、米国では銀行の窓口係の人数が2倍以上に増えた。自動化(オートメーション)が人間の雇用を「奪っている」いるとの懸念が改めて浮上しているが、ボストン大学法科大学院の経済学者ジェームズ・ベッセン氏はこの自動化パラドックスに言及。雇用と自動化は手に手を取って成長することが多いと話す。

 マサチューセッツ工科大学(MIT)の経済学者デービッド・オーター氏は非営利団体TEDのカンファレンスで、農業や製造業で見られるように、機械が人間に取って代わることも当然あると話した。だが、経済全体がそうなることはなかったとしている。

 労働階級の有権者が不満を噴出させた選挙の後、機械が人間に与える脅威が再びニュースに登場している。アマゾン・ドット・コムは先週、レジのない小型食料品店を展開する計画を発表した。

 その3日後、ドナルド・トランプ次期大統領がCKEレストランホールディングスのアンディ・パズダー最高経営責任者(CEO)を労働長官に指名する意向を明らかにした。パズダー氏は、マクドナルドが最近発表したようなセルフオーダー(無人注文)方式の機械が、自社労働者の削減に貢献すると話している。

 こうした流れは気がかりだ。だが長期にわたる経験的証拠は、自動化と発明による生産性向上が最終的には富の増加や物価の低下、消費者購買力の上昇をもたらし、ひいては雇用増加につながることを示唆している。

 銀行の窓口係のケースでは、ATMの拡充によって銀行の店舗面積縮小、つまり費用抑制が可能になった。銀行は店舗の数を増やし、より多くの窓口係を採用したとベッセン氏は話す。

 一方、米国の農業部門労働者は1900年には全体の40%を占めたが、現在は2%を下回っている。先進国では、より少ない人数でより多くの物を生産するようになったため、ここ数十年に製造業界の雇用が減少している。だが社会全体にとってはプラスになっている。

 テクノロジーが仕事の量だけでなく質も変えたのは本当だ。デロイト(英国)のエコノミストであるイアン・スチュアート氏は産業革命発祥の地である英国での雇用の性質の変化を探るため、国勢データを1700年終盤までさかのぼって調べ、昨年に論文を共同執筆した。

 この調査では、報酬の低い仕事も高い仕事も大幅に増えたことがわかった。

 スチュアート氏によれば、逆説的だが医薬から経営コンサルティングまで、テクノロジーによる変化が最も顕著な分野の多くで雇用が最大の伸びを示している。「機械と人間は補完性が高いことがわかった」という。

 そのように分岐した労働市場には悪影響が伴う。消えつつある製造職の大半はサービス部門の職に取って代わられ、医師やコンピュータープログラマーなど高技能労働者の稼ぎが増える一方、その他多くの人が豊かな層の快適さや健康を支えている。そのなかでの賃金伸び悩みは、現在のようなポピュリズム(大衆迎合主義)時代の到来を後押してきた。

 オーター氏は「製造業が大量の雇用を抱えていた60、70年代はいい時代だった」と話す。「それはいい仕事を大量に創出し、多くの手や目を必要とした。いくらかの技能が求められたが、巨大な技能セットは要らなかった」と述べたうえで、そうした時代はほとんど過ぎ去ったと付け加えた。

 それは、評論家や科学技術者、実務経験のないエコノミストの主張を後押ししている。今回はこれまでと違っており、台頭するロボット工学と人工知能(AI)の結合(既にロボットの警備員や自動運転トラックを生んでいる)により、多くの人が雇用に適さなくなるとの主張だ。

 私はもっと楽観している。最近の進化にもかかわらず、AIが使われるのはたいてい画像認識や音声処理といった狭い分野だ。人間にはそれ以上のことができるため、私たちは新たな種類の仕事に移れる。

 楽観しながらも、取り残される人たちを心配する声もある。シンギュラリティ・ユニバーシティ(シリコンバレー)のロブ・ネイルCEOは「常に起きてきたのとまさに同じことが起きている。私たちは進化し、仕事は変わっている」と述べたうえで、「大きな違いは、テクノロジーが急激なペースで動いているため、今回の変化は急務であることだ」と述べた。

 前出のボストン大のベッセン氏によると、問題は「大量失業ではなく、人々をある仕事から別の仕事に移行させることだ」という。

関連記事

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjOn9rHy_PQAhUDzLwKHSLGCqwQFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12639540122206773900404582495551554777884&usg=AFQjCNElVTaPjUpicZ8K8w4GxEsX4YWsYw


 


新興国市場、先行き決めるのはFRBよりも政治

トルコ軍部の一部勢力によるクーデターが失敗し、市民がデモに繰り出す中、駐車している車に乗り上げながら前進する戦車(アンカラ、7月) PHOTO: AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RD350_TURKTA_IM_20161208114620.jpg
By
IAN TALLEY
2016 年 12 月 14 日 18:13 JST
 米連邦準備制度理事会(FRB)は14日まで2日間の日程で連邦公開市場委員会(FOMC)を開くが、新興国市場には前回FRBが借り入れコストを引き上げたときのような混乱は起きそうにない。
 FRBは12月のFOMCでの利上げ見通しをかなり早くから市場に伝えてきたため、今回は新興国が危機に直面するとすれば、自らが招いた危機しかないだろう。
 FRBが市場の意表を突いて債券買い入れ策の段階的縮小を示唆した2013年の「テーパリングかんしゃく」と15年のFRBによる利上げはどちらも、新興国の債券、為替、株式市場からの資本流出を加速させた。
 ファゾム・コンサルティングのエコノミスト、ケビン・ローン氏はFRBの12月利上げについて、「(実施されたとしても)大半の新興国にとって恐ろしいことではなく、ちょっとした問題となる程度だろう」と述べた。
 今回、FRBの利上げは相当前から予想されていたため、すでに投資家は14日に発表が見込まれる小幅利上げを見越して持ち高の調整を行ってきた。目下、新興国市場にとっては、FRBが12月にどう動くかよりも、米大統領選でのドナルド・トランプ氏の勝利を発端に広がりつつある苦悩の方がはるかに大きい。
 中国を震源とする今年初めの世界金融市場の混乱から立ち直った投資家だが、国際金融協会(IIF)によると、過去3週間で新興国から正味150億ドル(約1兆7200億円)の資金を引き上げた。
新興国通貨バスケットの対ドル貿易加重実効レートは下落の一途をたどっている
Weak MoneyAn index of a basket of emerging-market currencies has steadilyweakened amid a souring outlook for emerging-market economies.THE WALL STREET JOURNAL
Source: Federal Reserve Bank of St. Louis

 一部のエコノミストが「トランプかんしゃく」と呼ぶ、この新興国売りを引き起こした主な要因は以下の三つだ。
 一つ目は、トランプ氏の予想外の勝利が生み出した不確実性を背景に、相対的に安全な米市場へ資金が逃避し、ドルが上昇する一方で他の通貨が下落したこと。二つ目は、投資家はトランプ氏が提案する経済政策を根拠に、次期政権下でFRBはより積極的に利上げを進めるとも考えており、実際にそうなれば新興国の金利上昇ペースも速まると予想されること。そして三つ目は、トランプ氏が掲げる通商政策によって、世界は新たな孤立主義の時代に突入するとの懸念が高まったことだ。
 これから市場がさらに不安定さを増した場合に最も影響を受けやすいのは、金融危機がいずれ到来するとの警告を何年も前から受けていたにもかかわらず、経済の立て直しを怠ってきた国々だ。
 HSBCのグローバル調査チームは顧客向けリポートで、「今のところ、最も打撃を受けやすいのは、海外投資家の国債保有率が高く、対外収支の弱い国で、特に南アフリカ、トルコ、メキシコ、マレーシアが挙げられる」とし、「メキシコ、南ア、トルコが政策改革の面であまり成果を挙げられていないことは助けにならない」と指摘した。
 トルコ、南ア、ブラジル、ベネズエラはそれぞれ深刻な政治危機のさなかにあり、政府が政策を見直す余裕がないだけでなく、経済は損害を被り、投資資金の流出が加速している。中国の景気減速や2年間にわたるコモディティー(国際商品)価格の低迷でリセッション(景気後退)に陥った国もある中、こうした政局不安は世界にいっそう暗い影を落としている。 
 ブラジル、メキシコの両政府は経済効率改善に向けた政策をまとめ、一部の改革を実現させることで何とか市場を活気づけようとしてきたものの、投資家の信頼を得るにはまだ不十分だ。
 一方、インドは、成長見通しを押し上げるはずというエコノミストからのお墨付きの政策を幾つか議会で可決し、投資家の信頼回復に成功した。
 これこそが、ここ数週間でトルコとマレーシアの国債がインド国債よりもはるかに大きく売り込まれた理由の一つだ。
 そしてこれは、今後1年間の新興国市場において相場変動の最大要因がFRBではなく政治となる可能性が高いことを示唆している。

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiju6_WyvPQAhVFO7wKHXbLBasQFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12639540122206773900404582496283097071356&usg=AFQjCNF1oa9RinK5a7eknA7E-IBTTmCtWw

 

 

News | 2016年 12月 14日 17:35 JST 関連トピックス: トップニュース
焦点:中国借金ブームけん引、ミレ二アル世代が変える金銭感覚

 12月12日、中国の信用力の基盤を築いたのは、上の世代の倹約志向だが、借金に前向きなミレ二アル世代の若者たちが、この構図を塗り替えつつある。写真は4月、北京のカフェで、アリババが運営する人気支払いサービス「?蟻花唄(Ant check later)」の画面を見せる女性(2016年 ロイター/Shirley Feng)

Engen Tham and Adam Jourdan

[上海 12日 ロイター] - Ma Yiqingさん(24歳)は、典型的な中国の若者だ。頻繁にクレジットカードを使い、オンライン融資サイトでローンを組んで買い物をする。ピンチに陥ると、ありがたいことに身近な貸し手に頼ることができる。つまり、自分の両親だ。

1人っ子のMaさん、彼の母親、そして祖母にインタビューをすると、借金に対する姿勢がいかに急速に変化しているかが見えてきた。いわゆる「ミレニアル世代」(18歳から35歳に相当)は、かつてないほど、借金に肯定的なのだ。

中国の信用力の基盤を築いたのは、上の世代の倹約志向である。家計貯蓄はGDPの約50%に及び、世界でも最も高い水準に含まれる。

だが、Maさんや同世代の若者たちは、この構図を塗り替えつつある。彼らの前向きな借入意欲は家計向けの貸し出しを押し上げ、中国債務の中で急成長分野となっている。

マニュライフ生命のレポートによれば、彼らの借入比率はアジア諸国の同世代と比較しても高く、所得の18.5倍に相当する。これは親世代の数字を大幅に上回る。

──関連記事:アングル:倹約は美学、日本ミレニアル世代の消費スタイル

若者世代の積極的な消費・借入意欲は、金融機関やブランド、経済成長にとっては好機だが、急速に拡大する中国債務をさらに加速するという点ではリスクでもある。

今のところMaさんには、息子を溺愛する豊かな両親というセーフティネットがあり、借金の肩代わりが可能だ。彼は現在、チベット自治区のラサにあるベッドルーム1室のアパートに住んでいる。両親が暮らしているのは近隣のシャンナンだ。

「いつも父と母に頼っている。お金の点ではいつも助けてくれる」と彼は語る。5月にもレストランの開業資金を支援してくれるよう、両親に頼んだという。「頼みさえすれば(お金を)出してくれる」

<明らかな違い>

ミレニアル世代のクレジットカード債務を親が肩代わりすること自体、中国では珍しくない。だがミズーリ大学のルイ・ヤオ准教授(個人金融論)は、それが意外な結果をもたらす可能性があると指摘する。

「支払わないと何が起こるか、彼らは理解していない。『お母さんが払ってくれるさ』という発想だ」とヤオ准教授は言う。「明らかに、景気後退への心構えができていない」

次世代の子どもたちも、実はそれほど幸運ではないかもしれない。

高齢化する親を支えなければならず、中国の「一人っ子政策」が緩和されるなか、より多くの子どもを養う可能性もある。高齢化の進む中国人口はすでに減少局面にあり、これは就業者が非就業者を支える金銭的負担が重くなることを意味している。

Maさんは、友人たちに比べれば倹約している方だと自身を語る。彼は銀行系のカードを使い、テクノロジー大手企業のアリババ・グループ・ホールディング(BABA.N)の人気支払いサービス「?蟻花唄(Ant check later)」を利用している。

親世代とは大違いだ。彼の母親は49歳だが、クレジットカードを使い始めたのは、ほんの3年前だ。

「両親は当座借越ができなかったから、実際のところ、浪費とは無縁だった」と彼は言う。

その差は明らかだ。中国の個人向け融資残高は過去6年間だけで300%近く増加し、10月には約23兆5000億元(約392兆円)に達した。コンサルタント会社のミンテルによれば、この数値は今後5年間で2倍以上増加し53兆元に迫りそうな勢いだという。

BMIリサーチによれば、家計債務のなかで最大のシェアを占めるのは住宅ローンだが、クレジットカード債務と消費者金融の比率も、2015年のわずか4.6%から、現在16%まで増大している。

「最近の若い世代は、私の世代とは態度がまったく違う」とMaさんの祖母、Wei Chunyinさん(76歳)は語る。1960年代に育った彼女が借金をしたのはだだ1度きり、それもわずか100元(約1600円)だったという。

「私たちはとても倹約し、勤勉だった」と彼女は言う。「衣服は着られればいい、お菓子もろくになく、職場から支給される食べ物だけ食べていた」と彼女は言う。

<有望な消費世代>

中国の現代史において、比較的豊かで社会も安定している時代に育ったのは、Maさんの世代が最初となる。彼らは上の世代に比べ、教育水準が高く、経済的にも恵まれている。

ボストン・コンサルティング・グループとアリリサーチの予想によれば、この世代が2020年までの消費成長の65%を担い、総消費支出に占める割合も現在の45%から、53%へ高まるという。

「この世代の考え方を知ることは非常に重要であり、彼らを無視するのはリスク覚悟となる」とヤム・チャイナ・ホールディングス(YUMC.N)を率いるミッキー・パント氏はロイターに語った。

銀行もこの世代のポテンシャルを見過ごしておらず、ローンの対象として特に狙いをつけている。

「行内の評価が、若い消費者グループを重視するよう工夫されている。たとえば現場の営業担当が若い顧客と成約すると、1.3倍のボーナスを得る」と招商銀行のクレジットカード部門で働く職員は言う。「だから、誰もが若い世代との契約に躍起になっている」 

この戦略について、招商銀行は若い世代向けのクレジットカード商品をたくさん用意していると説明している。

ミレニアル世代には、いざとなれば頼れる子煩悩な親がいることを貸し手側が承知している場合が多い、と銀行関係者は語る。

「深読みすれば、ポスト90年代の親、つまり1960年代や70年代に生まれた世代は、まだ引退しておらず、金銭的にはかなり安全だと考えられる」。大手都市銀行のクレジットカード部門に勤める債務カウンセラーはそう指摘する。

Maさんの母親と地方気象台に勤める国家公務員の父親は、中国の他の親たちと同様、息子が仮に債務不履行に陥ったとしても、当面は金銭的に支援せざるを得ない。

母親のZhen Yinchunさんによれば、彼女の若い頃は、収入の3分の1程度は貯蓄に回していたという。息子とは対照的に、お金を使う先がなかったからだ。家族のなかで、息子が借りた金を返すかどうかという話は定番の冗談になっている、と彼女は語る。

「私は『これは貸すのだ』と言い、息子も同意する。しかし、これまでのところ、彼が返済したことは一度もない」

(翻訳:エァクレーレン)

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http://jp.reuters.com/article/china-debt-millennials-idJPKBN1430PW?sp=true

http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/696.html

[原発・フッ素47] 仏企業の欠陥原発部品と隠ぺい、世界に波紋 フェッセンアイム原発(2013年)  
仏企業の欠陥原発部品と隠ぺい、世界に波紋
フェッセンアイム原発(2013年) 

MATTHEW DALTON and INTI LANDAURO, REBECCA SMITH
2016 年 12 月 14 日 17:59 JST

 原子力発電業界の重要なサプライヤーで起きた製造上の問題の数十年に及ぶ隠ぺい事件を米国や他国から来た検査官たちが調査している。フランスのある工場で製造された欠陥部品が世界中の原子炉の安全を脅かす懸念があるためだ。

 米国、中国など6カ国の検査官たちは今月初め、フランス中部にある仏原子力大手アレバ傘下のメーカー、クルゾ・フォルジュを訪れた。その工場の品質管理体制を調べ、内部記録をくまなくチェックするためだ。

 過去の調査における一連の発見が、規模を拡大して調査が再開されるきっかけとなった。まずフランスの調査員たちが、クルゾで製造され、フランス中の原子力発電所で使用されている鋼鉄製のコンポーネントの炭素含有量が基準よりも高く、亀裂が生じやすくなっていることが分かったと発表した。次にその調査員たちは世界中の顧客に販売されてきた数百の部品に関する問題をクルゾの従業員が数十年にわたって隠してきたことを示唆するファイルを発見した。

 クルゾによる欠陥隠ぺいの発覚はこの夏、フランスで2基の原子炉の稼働停止につながった。9月には、クルゾが1960年代から製造したすべての原発関連部品を扱った製造ファイル6000冊を手作業でチェックするよう当局がアレバに命じた。

 パリ検察当局の報道官によると、12月7日、当局はクルゾの行ってきたことが詐欺的で危険だったかどうかについての予備調査を開始したという。

欠陥コンポーネントの重さは数百トンもあり、非常に強い圧力下で原子炉の熱を蒸気に変える働きをする

https://si.wsj.net/public/resources/images/OJ-AS931_FRNUKE_16U_20161212123611.jpg


 フランス原子力安全規制当局の副局長、ジュリアン・コレット氏は「クルゾで発覚したことはまったく容認できない」と述べた。

 アレバの経営幹部たちは記録の改ざんを認め、クルゾでは数十年前から製造管理体制が崩壊していたと指摘した。同社はその発覚以来、管理を強化しており、規制当局の再調査にも協力しているという。

 アレバの経営幹部たちは、クルゾが書類の改ざんをやめたのは、品質管理に対する監視が工場内の部署からサンマルセルにあるアレバの別工場に移った2012年だったと明かした。

 フランス以外でも、各国の規制当局がクルゾのコンポーネントを使用している他の原子力施設が安全かどうかを見極めようとしている。先週、クルゾを訪問したフィンランドの検査官たちは、同国南西部にあるオルキルオト島の原子炉に使われる予定のコンポーネントに潜在的な欠陥があるということを知ったと話した。米国では原子力規制委員会(NRC)がクルゾ製の大型コンポーネントを使っている少なくとも9カ所の原子力発電所を特定した。

 とはいえNRCの広報担当者のスコット・バーネル氏は、米国の施設に関して「現在までの調査では安全上の懸念は提起されていない」と述べ、「最終結論はまだ出ていない」と付け加えた。

 規制当局によって暴かれたクルゾの製造と記録の問題は、業界に対する国民の信頼を低下させるリスクがある。原発業界は、2011年の地震と津波が引き起こした東京電力福島第1原発の事故後、信頼回復に苦戦している。その業界にとってさらに厄介なのは、そうした製造上の違反が原子力技術の主要輸出国であるフランスで見つかったという事実である。

 世界の原発業界のサプライチェーンにおいてフランスは重要な位置を占めている。産業革命の幕開けにまで遡る歴史を誇るクルゾは、原発の中心部で使われる巨大の鋼部品を鍛造できる世界でも数少ない製造所の1つである。

 当局の高官や専門家らは、クルゾで起きた製造問題のような例は原子力業界では珍しいと指摘する。というのも同業界では、製造・操業規則の厳守こそが原発事故に対する重要なバッファーとなっているからだ。

 原子力エネルギーを専門とする独立系コンサルタント、マイケル・シュナイダー氏は「フランスで30年以上働いているが、この国でこのようなことが起き得るとは思っていなかった」と話す。「われわれが目にしたものは氷山の一角である可能性が高い」

 フランスの調査員たちによると、彼らが発見した最も重大な安全上の脅威はフランス東部、ドイツとの国境付近にある街、フェッセンアイムの原発に関するものだという。アレバの検査官たちは今年の初め、フェッセンアイム原発の蒸気発生器の保護用ケーシングに欠陥鋼コンポーネントが使われたままになっていることを示す2008年の文書をクルゾで発見した。そのコンポーネントの重さは数百トンもあり、非常に強い圧力下で原子炉の熱を蒸気に変えるという働きをする。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認した文書の抜粋には「次の措置を決める過程で監督者に警告しろ」というある従業員の書き込みがあった。

 フランスの規制当局やアレバの検査官たちによると、その書類は部外者閲覧禁止ファイル内にあったという。そのファイルには顧客や規制当局に見せてはいけないということを意味する2つのダッシュが記されていた。クルゾが規制当局に提出したその問題にはまったく触れられていない文書を信頼したフェッセンアイム原発はその後、そのコンポーネントを設置してしまった。

 今年に入ってクルゾを含むアレバの原子炉事業のほとんどを買収することに合意したフランス電力(EDF)はこの夏、その機密文書の発見を受けてフェッセンアイム原発の稼働を停止した。これまで開示されることがなかったそうしたファイルは今年に入って200冊以上も見つかっており、古くは1960年代にさかのぼるものまであった。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwif_vHcz_PQAhUBWbwKHZjNAqYQFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12639540122206773900404582496252929656934&usg=AFQjCNFbg9VSkeYU9jSt-H4bZQAwm3T_3w
http://www.asyura2.com/16/genpatu47/msg/132.html

[経世済民116] (寄稿)FRBの「ドット・チャート」7つの改善案 中国経済の単純な真実 時間差に注意 生産や価格の変動が遅れてやってくる
【寄稿】FRBの「ドット・チャート」、7つの改善案
FRBの「ドット・チャート」改善に向けて、識者が7つの提案を行った

2016 年 12 月 14 日 16:46 JST

――筆者のピーター・オルセン氏は、ブルッキングス研究所ハッチンス財政金融政策センターのリサーチアナリスト。筆者のデービッド・ウェッセル氏は同センターの所長で、元ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)経済担当編集者。

***

 米連邦準備制度理事会(FRB)は14日、理事5人と地区連銀総裁12人の経済・金利見通し「経済予想サマリー(SEP)」の最新版を発表する。国内総生産(GDP)成長率、インフレ率、失業率の予想値のほか、各メンバーの翌日物フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の予想水準を点で示す「ドット・チャート」を公表する。このチャートについては批判も多い。ハッチンス財政金融政策センターが先日実施したFRBウォッチャー調査では、ドット・チャートが役に立っているとの回答は33%にとどまった。同チャートを巡っては、透明性を高めるどころか混乱を招いており、公約ではないのに市場から公約と受け止められることがよくある、との批判がある。これに対して支持派は、ドット・チャートを正しく読み取れば、連邦公開市場委員会(FOMC)の「反応関数(経済の変動に応じてどのように政策対応するか)」を大まかに理解することができると主張する。

 FRBの経済予想サマリーについて学界や民間のFRBウォッチャー、元FRB幹部から寄せられた提案の一部を以下に挙げてみたい。

1.ドット・チャートをコンセンサス予想に置き換え 

欧州中央銀行(ECB)や英中銀イングランド銀行など他の主要中銀の多くは、失業率・インフレ率・GDPに関してスタッフ予想かコンセンサス予想を発表している。FRBはなぜそうしていないのだろうか。

 その答えの一端はFRB特有の構造にある。FRB理事5人と連銀総裁12人はそれぞれ独自の調査スタッフを抱える。これらスタッフが採用する予測モデルも、そこから導き出される予想もさまざまだ。ベン・バーナンキ前FRB議長によると、FOMCは2012年にコンセンサス予想を発表しようとしたが、「FOMCの規模の大きさや各意見の本質的な違いによって、そうした予想を適切なタイミングで立てるための手続きで合意できなかった」と述べた。

2.ドット・チャートの中央値を強調しない 

FRBは2015年9月の経済予想サマリーから、金利予想の中央値の発表を始めた。この中央値を統計的な概要として利用するよう奨励するのは賢明ではないとの意見がある。見通しを巡る不確実性を軽視することになりかねず、中央値が文脈を離れて解釈される恐れがあるとの理由からだ。

 現在はブルッキングス研究所に勤めるドナルド・コーン元FRB副議長は、中央値の発表をやめるべきとの考えだ。コーン氏は「FOMCは規模が小さいため、その重心がどこにあるかを(中央値が)うまく表しているとは必ずしも言えない。また、金利の狭い軌道に極端に注目が集まってしまう」と述べている。

3.各ドットの予想者を特定 

経済予想サマリーではFOMCメンバーが匿名で予想を示すが、これを匿名から実名にすべきとの意見もある。そうすれば説明責任の向上につながる上、時間とともに各メンバーの意見がどう変わったかも明らかになる。ただ同時に、FOMC内の議論に問題が生じるかもしれない。実名の場合はFRB議長の見通しばかりが注目され、他のメンバーの予想は無視されるようになり、実際に決まった政策は議長案の可否を示す「信任投票」の様相を呈する恐れがある。

4.各メンバーのドットと経済見通しを結び付ける

 経済予想サマリーでは、各ドットに該当するメンバーがどのような経済見通しを示したかは分からない。コーン氏によると、これらを匿名のまま結び付ければ、FRBウォッチャーは各メンバーの反応関数を推測しやすくなる。なぜなら、数ある予想値の中央値だけを見るよりも、経済主体がFOMCの反応関数をより正確に予想できるはずだからだ。この提案を支持する声は非常に多いようだ。

 これにより、ジョン・ホプキンス大学のジョン・ファウスト教授(元FRB顧問)が経済予想サマリーの重大な問題と指摘する「混乱の源」を解決できるかもしれない。金利予想は経済予想と分離しているため、1年以内に利上げすべきと考えているメンバーがなぜそう思うかは分からない。両者を結び付ければ、各メンバーが実体経済に何が起きると予想し、それにFRBはどう対応すべきと考えているかが明らかになるだろう。

5.不確実範囲を示す

 ECBやイングランド銀行など多くの中銀は、GDPやインフレの予想に関して「不確実範囲」を明示している。FOMCの金利予想もこれに倣うべきとの意見がある。そうすれば、ドット・チャートの中央値を政策公約と受け止める動きは減るとの見立てだ。


https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RE667_Yellen_GR_20161212181103.jpg

(青線)16年6月時点のFOMCメンバーのFF金利誘導目標の予想中央値、(黄色部分)70%の確率で実現すると予想される金利水準の範囲 PHOTO: JUNE 2016 SUMMARY OF ECONOMIC PROJECTIONS AND FEDERAL RESERVE BOARD STAFF

 FRBのジャネット・イエレン議長は今夏のジャクソンホール会合で、その具体例を示して見せた。FOMCメンバーのFF金利誘導目標の予想中央値に加え、70%の確率で実現するとみられる金利水準の範囲を記したチャートを発表したのだ。

 ファウスト教授は、中央値に注目が集まりすぎた場合、(それ以外の数値との)境界線をさらに曖昧にするという方法も悪くはないが、予想の中心は中央値であって平均値ではないため、そのうまいやり方は分からないと述べた。

6.別の経済シナリオの下での結果を示す

 四半期ごとに異なるさまざまな経済シナリオ(原油安を引き起こす供給ショックなど)に基づいてドットを示すという案なら、FOMCメンバーは賛成できるだろう。これが実現すれば一般の人々は、そうしたショックにFOMCがどう対応するかについて理解が深まり、それらのリスクをFOMCがどう受け止めているかヒントを得られるだろう。2012年のFOMC議事録には「一部の参加者は、別のシナリオを用いる試みは(中略)有効である可能性があり(中略)さらに検討していくべきだと言及した」とあり、当時も同様のことが検討されていたことがうかがえる。

7.ドット・チャートの発表自体をやめる

 ハッチンス財政金融政策センターが最近開催したFRBの意思疎通に関する会合では、グレアム・キャピタル・マネジメントのチーフエコノミストを務めるジュリア・コロナド氏がドット・チャートの廃止を求めた。同チャートは「明確なフォワードガイダンス(金融政策の先行きの手掛かり)ではなく、一種の方向性や移動速度を推測したり、確実性の程度を示したりする」ためのものだからだと説明した。実際の状況がドットの想定していたものと異なれば、FRBは信頼性を失う。

 ただ、こうした意見は少数派だ。ドイツ銀行のチーフエコノミスト、ピーター・フーパー氏は、ドット・チャート廃止に断固反対だと言う。「一定の目的を果たしていると思う」とし、すでに公表しているものをいまさら取りやめるのは極めて難しいと語った。コーン氏は「ドット・チャートは浸透している。廃止すれば透明性が後退したと受け止められよう。発表の仕方が適切なら理解の支えになり得る」と述べた。

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中国経済の単純な真実 時間差に注意

中国経済は生産や価格の変動が遅れてやってくることに注意が必要だ(写真は北京の建設現場) PHOTO: ASSOCIATED PRESS
By
NATHANIEL TAPLIN
2016 年 12 月 14 日 15:00 JST
――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
* * *
 中国は最高の賛辞と単純化がよく似合う。次の世界の超大国、世界最大の経済成長の歴史、はじけそうなバブル−−。エコノミストは景気循環の局面が変わるたびに、新たな成長の概念だと解釈しようとする。
 だが現実ははるかに単純なこともある。景気の風は通常、構造的ではなく周期的に、しかも遅れて吹く。上海市場での12日の鉄鋼価格は2年ぶりの高水準となった。こうした急騰に胸を躍らせている投資家は一歩下がってみるべきだ。中国の建設投資と材料生産のピークは、信用の伸びがピークを示した4月から6〜8カ月後と、予定通りの時期に現れた。鉄鋼とセメントの生産の伸びは約2年ぶりの高水準だが、大幅な生産能力削減が価格を押し上げている。
 だが、信用の伸びがさらに加速するか、インフラ業界を後押しするための多額の財政支出がなければ、足元で前年比6.2%増と3カ月ぶりの高い伸びとなった工業生産と材料価格への押し上げ圧力は2017年半ばに息切れしそうだ。
 住宅価格はすでに下落し始めている。住宅投資の伸びは、10月には13.4%と2年ぶりの高水準だったが、11月は5.7%に減速した。
 変動しやすい不動産投資は、3カ月移動平均をみると引き続き高水準にある。11月は今年最高となる前年同月比9.1%の伸びを示した。つまり鉄鋼需要の力強い伸びは向こう数カ月にわたって続くかもしれず、今年実施した生産能力の大幅な削減を踏まえると価格はさらに上昇する可能性がある。
黒:インフラ投資 緑:不動産投資 (いずれも3カ月移動平均、前年比)
Ramp Up Chinese investment, change from a year earlier. THE WALL STREET JOURNAL. 

Source: CEIC*
3 month moving average. Infrastructure calculated as sum of utilities, transport and environment protection.

 今、注目すべき重要な数字は信用の伸びとインフラ投資だ。今年これまでのところ、信用の伸びは4-6月期のピークから減速しているものの、その変化はわずかだ。中国国内の金利上昇は、融資の供給が細ってきていることを示している。インフラ投資は堅調で、前年に比べ20%近く増加している。
 ただ、インフレと資産バブルを懸念している中国政府がリスクを完全に管理する姿勢をとれば、住宅建設以外の需要が必要になる。中国のインフラ向け財政支出が需要の不足分をいくらか補う可能性があるが、限りがある。
 中国に関しては、投資家は時間差に注意する必要がある。

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http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/698.html

[経世済民116] 次期国務長官、出世の裏にプーチン氏との交渉手腕 石油大物ら米政権入 ウォール街「過度の熱狂 中国ファイナンス活動拡大−当
次期国務長官、出世の裏にプーチン氏との交渉手腕

エクソンのティラーソンCEO、独裁者たちと取引した過去

右からロシアのプーチン大統領、クラスノダール地方のトカチョフ知事、エクソンモービルのティラーソンCEO(2012年6月15日に開かれたロスネフチとエクソンモービルの西シベリアの鉱床共同開発事業の調印式で)

By JUSTIN SCHECK, JAMES MARSON AND RUSSELL GOLD
2016 年 12 月 14 日 14:23 JST

 米石油大手エクソンモービルのレックス・ティラーソン氏は1999年、ロシアのウラジーミル・プーチン氏と交渉し、同国極東で石油開発プロジェクトを始動させることに成功した。このことはティラーソン氏がエクソンの会長兼最高経営責任者(CEO)に上り詰める上で大きな後押しとなった。以来、両者はいくつも合意を交わしている。

 こうした両者の関係は、ティラーソン氏がドナルド・トランプ次期米大統領に国務長官に指名された最大の理由となっているが、一方で米議会にとって最大の懸念になる可能性もある。共和・民主両党の議員が、ロシアが米大統領選に影響を与えるためにハッキングしたとの疑惑について議会で調査するよう求めているためだ。

 「私は(プーチン氏と)非常に親しい関係を持っている」。ティラーソン氏は今年2月、母校のテキサス大学で学生たちにこう語った。「彼がやること全てには同意していない。他の多くの指導者についてもそうだ。しかし、彼は私がビジネスマンであることを理解している。私自身もわが社も多くの資金をロシアに投資し、非常にうまくいっている」

 エクソンを率いる上でティラーソン氏は難しい役割をこなしてきた。往々にして遠方の諸国において、世界の化石燃料資産の多くを掌握する指導者たちと関係を築き、石油やガス鉱床へのアクセスを獲得してきた。中には米政府と敵対する指導者もいた。チャドやアンゴラの独裁者とビジネスを行い、リビアの元最高指導者ムアンマル・カダフィ大佐とも石油開発について交渉した。

 ティラーソン氏の過去の職務について、12日の時点ではエクソンからコメントは得られなかった。

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トランプ次期米大統領は、エクソンモービルのティラーソンCEOを次期国務長官に指名したが、同氏と外国指導者との関係が議会での承認を難航させる可能性がある(英語音声のみ) Associated Press
「これがわれわれの要求だ」

 他の石油大手同様、エクソンもサウジアラビアの国有企業とパートナーを組んできた。サウジは米国の長年の同盟国だが、最近は議員にやり玉に挙げられている。

 そのような取り組みには一種の外交手腕を要する。しかし、ティラーソン氏はしばしば外国の商売相手に自分は会社と株主を代表しているのだと強調しており、テキサス大学の講演でも次のように語った。「私は米国政府の利益を代表するためにここにいるわけではない。それを守るためでも批判するためでもない。それは私の仕事ではない。私はビジネスマンだ」

 これは、必ずしも国益に沿う形で事業を運営してはいないということだ。エクソンが事業を展開する国々で働いていた元米外交官2人によると、ティラーソン氏は現地の米国大使館に表敬訪問さえしないこともある。

 エクソンと合弁事業で手を組んだライバル企業の元幹部によると、エクソンは世界最大手の非国有石油会社の1つとして、また困難なプロジェクトに対処できる技術力を持った数少ない企業の1つとして、その絶大な力を盾に、外国の指導者に対して他社より率直で要求が厳しく、交渉の余地のない申し出を突きつけてきた。

 元ライバル企業幹部によると、ティラーソン氏はよく交渉相手の政権に対し「これがわれわれの要求だ」「これがあなた方が得られるものだ」などと言っていた。

キャリアを決定づけたロシアでの実績

 ティラーソン氏のキャリアをおおむね決定づけたのが、ロシアでの働きだ。同氏は時に大型取引をプーチン氏と直接交渉してきた。1990年代終わり、エクソンで急速に頭角を現していたティラーソン氏は、政治的にも技術的にも複雑なロシアの石油開発プロジェクトの対応を任された。

 ロシア極東のサハリン(樺太)島で石油開発から掘削まで行う170億ドルの事業は、官僚的な手続きで長年身動きが取れない状態が続いていた。

 ティラーソン氏が交渉に成功した一因はプーチン氏を相手にしたことにある。プーチン氏は1999年に首相に就任し、以来、大統領または首相として国を治めている。プーチン氏とのコネは、ティラーソン氏が2006年に他の幹部を差し置いてエクソンのトップに昇格する上で弾みをつけることにもなった。

 2000年代に入ってプロジェクトが進行するにつれ、プーチン氏は欧米の石油会社との取引で主張を強めるようになっていった。一部の人たちは、1990年代に行った取引が欧米企業に過剰に有利だったと感じていた。

 そうした状況をかじ取りするにあたり、ティラーソン氏はロシア国営石油会社ロスネフチをプロジェクトのパートナーに据えた。以来ロスネフチは世界有数の上場石油会社に成長した。

 2011年、世界の石油メジャーがロシア北極圏の膨大な潜在資源の獲得にこぞって乗り出すなか、ティラーソン氏はロスネフチと再び手を組んだ。

 英石油大手BPのロバート・ダドリーCEOも、前途有望な北極油田を確保しようと試みた。しかし、BPのロシアの合弁会社TNK-BPの関係者がそれを阻止し、そこにティラーソン氏が巧みに割って入った。

 ティラーソン氏は2012年6月のプーチン氏との会談で、エクソンの北極圏の事業は米ロ関係を促進させたと指摘。「おっしゃる通り、企業ほど両国関係を強化させるものはない」。ロシア政府の議事録によると、同氏はこう語った。

 翌年、プーチン氏はティラーソン氏の功績をたたえ、友好勲章を授与した。

*この記事は後編に続きます

次期国務長官、出世の裏にプーチン氏との交渉手腕(後編)
外国指導者との幅広い経験、国務長官に生かせるか

2016 年 12 月 14 日 17:55 JST

 しかし、ロシアがクリミア自治共和国を併合したことで、エクソンのロシアでの利益拡大に向けた取り組みは後退を余儀なくされ、米ロの公式な関係も悪化した。さらにロシアがウクライナ東部に軍事介入したことを受け、オバマ政権が対ロ追加制裁を発動。ロスネフチをはじめとするロシアのエネルギー会社もその対象となり、北極圏での掘削は停止に追い込まれた。

次期国務長官、出世の裏に対ロ交渉手腕(前編)
 昨年までエクソンの取締役を務めていたウィリアム・ジョージ氏は、ティラーソン氏が米国の制裁に反対していたと明らかにした。しかし、「レックスは対抗手段は取らなかった。裁判には持ち込まなかった」とも述べた。

 ジョージ氏は医療機器大手メドロニックのCEOを務めていたが、現在はハーバード大学経営大学院で上級研究員としてリーダーシップについて教えている。同氏はティラーソン氏がプーチン氏をはじめとする外国の指導者と幅広く交渉してきた経験が、国務長官としても役立つはずだと指摘する。「私がエクソンにいたとき、彼が会社の利益よりもプーチン氏の利益を優先したことは一度もなかった」とジョージ氏は話す。

エクソンがロスネフチと共同で手掛けるサハリン(樺太)島北東沖合の石油・天然ガス・プロジェクト「サハリン1」の掘削リグ「ベルクト」
https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RE810_tiller_M_20161213060118.jpg
PHOTO: EXXONMOBIL

 ティラーソン氏の指揮の下、エクソンはチャドやパプアニューギニア、ベネズエラ、リビア、イラク、アンゴラ、赤道ギニアなど、非政府組織(NGO)「トランスペアレンシー・インターナショナル」がまとめる「腐敗認識指数」で上位にランクされる国々と広く取引を行った。

 また、イラク政府や米国務省の意向に反し、イラクのクルド人半自治区にもエクソンを進出させた。

腐敗国との取引で批判も

 事業を率いる中でティラーソン氏は時に批判も浴びている。例えば、チャドでは国際的な石油事業で得た利益が独裁政府の軍事作戦に利用されていたにもかかわらず、同国での掘削を続けた。

https://si.wsj.net/public/resources/images/WO-BC367_TILLDE_16U_20161213131506.jpg
エクソンの2015年の地域別の液化燃料純生産量(単位:千バレル/日)

 ティラーソン氏がエクソンのトップに就任した直後の2006年1月、エクソン主導のコンソーシアムが得た石油収入を巡ってチャドのイドリス・デビ大統領と世界銀行が対立した。外部団体が石油収入の一部を医療施設や学校に使用できるようにする合意にデビ氏を従わせようと、世銀は資産を凍結して圧力をかけた。

 それでもエクソンは、チャドの契約を維持した。それは、数百万ドルをデビ氏に支払うことを意味し、その資金は同氏が政権に居続けるための軍事費に充てられた。事情を直接知る関係者は次のように話す。「彼らにはやるべき仕事があり、その仕事は石油を掘り出すことだった。彼らには契約があり、それを守ろうとしていた」

 ロシアとの広範な取引と比較して、ティラーソン氏の中国との契約は福建省に大規模な精油・石油化学工場を1カ所建設するだけに限られている。

 中国国有の中国海洋石油(CNOOC)で上級幹部を務めていた高志凱氏は「彼は中国政府指導部にはあまり知られていないと思う」と述べた。

 ロシアの石油事業で磨かれたティラーソン氏の外交手腕は、6月のモスクワ訪問時にも発揮された。ティラーソン氏はその際、対ロ経済制裁によって同氏が2011年に仲介した北極圏での掘削契約や提携関係からエクソンが利益を得るのを阻止されたことについて聞かれた。

 するとロスネフチのCEOでプーチン氏の腹心であるイーゴリ・セチン氏に言及し、次のように答えた。「制裁の質問については、友人であるセチン氏と同じアプローチを取ろうと思う。それは政府の問題であり、その質問に答えたい政府関係者がここにいるのなら、彼らにお任せする」

 セチン氏は大笑いし、ティラーソン氏に対して親指を突き上げた。

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石油業界の大物らが米政権入りか−エネルギー新時代の夜明け示唆
Catherine Traywick、David Wethe
2016年12月14日 16:19 JST
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エクソンのティラーソンCEO、国務長官に起用
ペリー氏は過去に廃止主張したエネルギー省の長官に就任の可能性
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米連邦最高裁判所が1911年にジョン・ロックフェラー氏率いるスタンダード・オイルの解体命令を出して以降、米エネルギー業界は連邦政府と対立してきた。石油大手エクソンモービルのレックス・ティラーソン最高経営責任者(CEO)が国務長官として承認されれば、そのエネルギー業界の大物がトランプ次期政権入りすることになる。
  ティラーソン氏らエネルギー業界首脳や関係者の政府高官への起用が発表される中、業界全体はシャンパンのコルクを抜くほどの喜びようだろう。議会に承認されれば、石油資源が豊富なテキサス州の前知事であるリック・ペリー氏がエネルギー長官に就任する。ペリー氏は過去にエネルギー省廃止を主張しながら討論会で同省の名前を思い出せなかったことがあった。シェール業界のお膝元、オクラホマ州司法長官で気候変動について懐疑的な見方をしているスコット・プルーイット氏は環境保護局(EPA)長官に起用される可能性がある。
ティラーソン氏
ティラーソン氏 Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg *** Local Caption *** Rex Tillerson
  米エネルギー会社、ヘスのジョン・ ヘスCEOは、「石油とガスは将来の経済の原動力だ」と指摘。トランプ次期大統領の人選を称賛するとともに、トランプ氏は「エネルギーが極めて重要であることを非常に明確にした」と述べた。
  税金問題や反トラスト法(独占禁止法)に関連する課題、環境規制、連邦海外腐敗行為防止法(FCPA)の下での倫理的監督をめぐって数十年にわたって連邦政府と対立してきたエネルギー業界にとって、これは驚異的な変化だ。特に、オバマ政権とは8年間にわたって敵対し、石油大手は政策中枢の蚊帳の外に置かれてきた。
  ヒューストン大学グティエレス・エネルギー経営研究所のディレクター、クレイグ・ピロング氏は「現政権からは明らかに180度の転換だ。世界最大のエネルギー会社の代表が国務長官に就任すれば、石油大手が権力と影響力を持ち、情報に基づいた提言を行うようになることは避けられない」との見方を示した。
  
原題:Oil Men Take Washington and Signal Dawn of New U.S. Energy Era(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-14/OI5SK96JTSED01


 

ウォール街に「過度の熱狂」か−モルガンS社長発言で株価が日中安値
Hugh Son
2016年12月14日 09:25 JST

債券・株式関連の手数料はわずかに上がっているにすぎない−社長
ケレハー社長はブルームバーグテレビジョンのインタビューで発言
 
モルガン・スタンレーのコルム・ケレハー社長は13日、ウォール街でトレーディング収入の回復が持続すると宣言するには時期尚早との認識を示した。
  ケレハー社長はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「今現在の好調さについて過度の熱狂が少々あるようだ」と発言。「基調的な流れを見れば、特に大統領選以降はもちろん上向いた。だが、債券や株式関連の手数料収入は今年これまでにわずかに上がっているにすぎない」と説明した。
  大統領選での予想外のドナルド・トランプ氏当選を受け、法人税減税や利上げのほか、銀行規制緩和の可能性への期待が高まったこともあり、大手投資銀行は今年、債券トレーディング収入が4年ぶりに伸びるペースとなっている。年初好調だったことも寄与しそうだ。
  ケレハー社長は「2017年や18年について前向きかと問われれば、答えはイエス。債券・為替・商品の収入は昨年第3四半期の低水準で底を付けただろうか。それは間違いない。規制の面でも何らかの追い風があり得ると私は考えているだろうか。それもイエスだ」と語った上で、「だが、これらは今年第4四半期のイベントではない」と締めくくった。
  こうした発言を受け、モルガン・スタンレーの株価はこの日の安値をつけて1.9%安となった。13日の終値は1%安の42.56ドル。
原題:Morgan Stanley’s Kelleher Sees ‘Over Exuberance’ on Trading (2)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-14/OI5CZS6KLVSM01


 


中国:11月のファイナンス活動、拡大−当局が年末に向け景気支援
Bloomberg News
2016年12月14日 16:55 JST

経済全体のファイナンス規模は1兆7400億元−市場予想1兆1000億元
新規融資は7946億元に増加−M2は前年同月比11.4%増 

中国経済全体のファイナンス規模が11月に増加した。年末に向けた景気支援策として当局が金融システムへの資金供給を増やしたほか、不動産価格の抑制措置を通じリスク軽減も図られた。
  中国人民銀行(中央銀行)が14日発表した11月の統計によれば、経済全体のファイナンス規模は1兆7400億元(約29兆円)に増加。ブルームバーグ調査の予想中央値は1兆1000億元、10月の実績は8963億元だった。
  新規融資も7946億元と、前月の6513億元から増えた。マネーサプライ(通貨供給量)M2は前年同月比11.4%増。10月は11.6%増だった。
  UBSグループの中国経済調査責任者、汪涛氏(香港在勤)は最近のリポートで、「6.5%成長達成に向けた政府のコミットメントは、継続的で急速な与信拡大を必要とするだろう」と指摘。「経済成長率が低過ぎる恐れがある場合は、いつでも与信条件が緩和される公算が大きい」との認識を示した。
原題:China Credit Expands Most Since March as New Loans Rebound (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-14/OI5ZUY6K50XT01
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/701.html

[経世済民116] 農産物価格高騰や栄養価低下、世界の農業に異変  欧州資源大手がロスネフチに巨額投資  アマゾンの知られざる実店舗戦略  
農産物価格高騰や栄養価低下…世界の農業に異変

マッキンゼー・エクセレンス 

あなたが知らない日本と世界の「食と農業」の姿(上)
2016年12月15日(木)
ルッツ・ゲッデ、ヤコブ・フィッシャー、ニコラス・デニス、田中正朗、山田唯人
※上記筆者のうち、田中氏・山田氏は日本語版の監修


コメ1トンを生産するのに必要な農業原材料コスト(肥料、農薬、種子のコスト)を、国際的に比較すると、日本のコストは、米国・中国の概ね4倍にもなっている。
 「食と農業」という言葉から──身近なところではグルメ情報、少しお堅い分野なら農協改革や食料自給問題、のような話を想像なさったのなら──少し驚かれることだろう。この記事では、経営コンサルティング会社大手、マッキンゼー・アンド・カンパニーの農業グループが、グローバルな視点で仔細に食と農業の分野を点検した結果についてレポートする。そして、「食糧需要は2030年までに40〜50%も増加する」とか「野菜の栄養価が50年で20〜50%も低下した」などというように、農業の本質的なところで、とても大きな変化が起きていることをお伝えすることになる。
 マッキンゼーが最近公表したレポート「日本における農業の発展、生産性の改善に向けて」は、こうした“あなたが知らない日本と世界の「食と農業」の姿”を描くとともに、日本の農業が未来型産業として生まれ変わる方法を提案している。2回に分けて、そのレポートのエッセンスをご紹介する。第1回(上)の今回は、「日本の農業のユニークさと、グローバルに見た食と農のトレンド」について分析する。

“ユニークな産業”へと発展を遂げた日本の農業

 日本の農業は、近年、産業としてはかなりの規模に発展している。

 1970年に120億ドルであった農業GDP(名目。2005年ドル水準での実質では720億ドル)は、1985年には410億ドル(同。実質は770億ドル)に成長した。統計で確認できる直近のデータとしては、2013年には580億ドル(同。実質でも580億ドル)と、世界で第9位の規模だ(名目GDP、2013年)。

 規模もさることながら、実はその中身が、グローバルに見ると、良し悪し両面にわたってかなりユニークだ。では、日本の農業について、生産〜流通〜消費のバリューチェーン(事業価値の連鎖)をたどりながら、その特徴を明らかにしてみよう。

コメを生産する時の原材料コストは、米国・中国の約4倍

 コメ1トンを生産するのに必要な農業原材料コスト(肥料、農薬、種子のコスト)を、日本・米国・中国で比較すると、日本のコストは、米国・中国に比較して概ね4倍にもなっている。コメだけかと思いきや、大豆と小麦についても、米国・中国に比較して、大豆は概ね5倍、小麦も3倍になっている。

 この大きな価格差には、構造的要因がある。今回コストを比較した中国、米国とは別の国になるが、韓国のこれら農業原材料の購買プロセスと比較すると、差を生む要因が分かりやすい。

 韓国の肥料業界などは、既に業界内の統廃合が完了していることもあって、原材料の調達は、少数のメーカーが大ロットで海外の調達先と直接取引をしている。これによって、商社などの輸入代理業者へのマージンがまず発生しない。加えて、日本の港は他国と比較すると水深が浅いため、1隻当たりの積載量を減らさざるを得ない。韓国との比較では10%程度は少ない積載量になる。さらに日本では、商社が輸入をしているために、商社の複数の取引先に対応して複数の寄港が必要だが、韓国ではそれがないのだ。

非常に小さく断片的だが、肥沃な農地

 日本は、農業経営体全体の8割を、所有耕地面積2ヘクタール以下の生産者が占めている。国土の広さなど、米国や中国よりも日本の条件に近いEU諸国の中で、ポルトガルやイタリアも似たような状況(経営体数や中山間地比率が日本と同水準)だが、2ヘクタール以下は5割にとどまっている。

 日本では3%に過ぎない10ヘクタール以上の農地を持つ生産者が、ドイツ、デンマーク、フランス、オランダでは全体の6割弱〜8割弱を占める。これらの国と比較すると、日本は農業生産効率上、不利な状況となっていることがわかる(■図表1)。

■図表1 ヨーロッパの主要国と日本の耕地面積別経営体数の内訳
日本は中山間地比率が高いなどの理由で、経営体当たりの農地面積が小さい

国名=の後の数字の単位は、千経営体。円グラフの中の数字の単位は%。円グラフの下のグレー地の楕円の中の数字は、中山間地比率(%)

資料: ユーロスタット、欧州委員会、農林水産省、マッキンゼー分析
 だが、悪いことばかりではない。農地の用途別割合を米国、オーストラリア、中国と日本を比較すると、日本の農地の80%は水田もしくは畑であり、米国、オーストラリア、中国のように、農地の60〜80%が牧草地である国とは内容が異なる。水田が農地の50%以上を占めているということは、総体として農地の水資源が豊富であることを示している。

輸出は伸び悩んで来たが、和食ブームが追い風

 日本からの農産物の輸出は、1960年代以降、年間30億ドル内外でほぼ一定だ。諸外国の中で、例えば米国、オランダ、ドイツが1970年代以降、急速に農産物の輸出を増やし、数倍から十数倍になったのと対照的だ。

 その反面、食料品の輸入を考慮した場合、日本の輸入量は1990年の360億ドルから2013年の610億ドルに増加した。年率にすると4.2%増となる。一方で、日本の農業GDPの成長率は、同じ期間で年率マイナス2%である。

 だが、「和食」(日本人の伝統的な食文化)が、ユネスコの世界無形文化遺産に登録されたことが転機になる可能性がある。日本政府は、食品および農産物の輸出額を2020年までに100億ドルに増やすという高い目標を掲げた。実際、2014年には輸出額が60億ドルを超え、2015年は10月までに60億ドルを達成しており、追い風が吹いていると言える。

 では、ここで目を世界に転じて、グローバルに見たマクロトレンドを確認しておきたい。

世界の食料需要は増加の一途

 世界の人口は増加し続け、2030年には80億人を超える見込みだ。2009年と比較すれば10億人以上の増加だ。この量的なインパクトだけでも、食糧需給に与える影響は多大だが、質的な変化も加わる。生活水準の向上に伴い、1人当たりの摂取カロリーが増加するのだ。マッキンゼーは、2030年の肉の消費が2009年比で7割増になると予想する。肉と生産量トップ4品目の農産物(トウモロコシ、小麦、米、大豆)については、量的、質的変化の影響で、2010年の需要に比較して2030年は4割から5割増になると見込む(■図表2)。

■図表2 世界の人口の増加および食生活の変化により、2030年には農作物の需要が40〜50%増加

資料: 米国農務省、国際連合食糧農業機関(FAO)、エキスパートインタビュー、マッキンゼー分析
 このトレンドの一部は、中間消費者層(年収2万ドル〜7万ドル)の拡大による個人消費の増加の結果だ。全世界の中間消費者層は、経済発展と人口増の双発エンジンにより急拡大している。こうした消費者が使う食費は、拡大しこそすれ、減少することなどないはずだ(■図表3)。

■図表3 全世界的に中間消費者層は拡大している

資料: グローバルインサイト、Cityscope database、マッキンゼー分析
土地の荒廃や水資源不足で
生産性伸び率は低下し、食料価格は高騰する

 一方、主要作物の生産性の伸びは、1960年代以降、低下する一方だ。国連食糧農業機関(FAO)のデータをマッキンゼーが分析したところ、世界の主要作物の収穫量の伸び率は、1960年代は2.2%あったが、2010年代は1.2%と半分近くの水準となった。土地の荒廃や水資源の不足などにより、伸び率が改善するには厳しい状況だ。2009年のSAGEのレポートによると、世界の耕作地の20%は既に荒廃して、農業に適さなくなっていると報告されている。水資源についても2025年には27%が不足する見込みだ。

 世界的な食料需要の増大と生産の停滞から起こるのは、食料価格の高騰だ。1990年からだけを見ても、2007〜08年と2011年に食料価格がピークを迎え、食料危機とも言える状況に陥った。2002〜04年を100とした食糧価格指数で見ても、2度のピーク時は200を超えた。現在(2016年時点)では、食料価格は直近のピーク時に比べれば低下しているが、長期的には今後再び上がっていくと想定される(■図表4)。

■図表4 2007〜2008年と2011年の食料危機は、食糧価格の大きな変動期の到来を告げる警告かもしれない

資料: FAO食品価格指数、Ronald Trostle(米国農務省)、Peter Timmerワーキングペーパー163(世界開発センター)、世界銀行、マッキンゼー分析
農産物の栄養価が低下したため、質への要求が高まる

 ■図表5は、農産物43品目の栄養価を分析した結果だ。1950年以降1999年までに、ほとんどの栄養素の含有量が低下している。キュウリの鉄分は75%も減り、トマトのカルシウム、レタスのビタミンB2も半分以下になった

■図表5 より栄養価の高い食料へのニーズ: 食品の栄養価が低下
1950〜1999年における農産物43品目の栄養素含有量; mg/100g

(1)平均栄養素含有量 43品目の栄養素をDavis, Epp and Riordan 2004の手法で測定した

資料: Davis, Epp and Riordan 2004、米国農務省、マッキンゼー分析
 この結果、昨今の健康志向ブームを指摘するまでもなく、改めて農産物の質を要求するトレンドが起こるものと予想される。

 ここまで見てきたところで、グローバルに分析すると、需要の爆発的増加や、土地の荒廃や水資源不足による生産性の伸び率低下、農作物の栄養価の低下といったマクロトレンドがみられることが分かって頂けただろうか。

 翻って日本の農業を眺めると、和食などの「ユニーク」な強みはあるものの、生産コスト高といった多くの課題もありそうだ。

 次回(下)は、こういった課題解決の方向性に加え、「アグテック(農業とテクノロジーの融合)」、「デジタル農業」などと言われる新たなウェーブを紹介し、読者の皆さんの農業に対する見方を一新したいと思う。


このコラムについて

マッキンゼー・エクセレンス 
 この連載では、大手戦略コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーの現役パートナーら幹部が、グローバルに蓄積した最新の知見に基づいたビジネスアドバイスを、じっくりとお伝えしていきます。

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欧州資源大手がロスネフチに巨額投資

The Economist

ロシアへの経済制裁もさほどの抑止力にならず
2016年12月15日(木)


間近で会話を交わすプーチン大統領(左)と、ロスネフチのセチン社長(写真:ロイター/アフロ)
 スイスの大手資源商社グレンコアと同社の筆頭株主であるカタール投資庁は、ロシア最大の国営石油会社ロスネフチの株式の19.5%を102億ユーロ(約1兆2400億円)で取得する。ロシアが2014年にウクライナ東部で軍事紛争に手を染めて以来、ロスネフチは西側による経済制裁の対象となっている。

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とロスネフチのイーゴリ・セチン社長は思いがけない形で勝利をつかむこととなった。これはロシアが進める野心的な民営化計画における最大規模の案件だ。ロシア政府は手にする資金を2016年度予算の赤字補てんに充てつつ、引き続きロスネフチの経営を担う。

 この件は、業界に古くから存在する羨望心を煽ることにもつながる。ある関係者が言うように石油業界は、世界第2の原油生産量を誇るロスネフチと張り合う競争状態にある。

 グレンコアは昨年、コモディティ価格の低迷を受けて、配当の停止と資産の売却を余儀なくされた。さらに25億ドル(約2900億円)の新株を発行せざるを得なかった。同社のアイバン・グラゼンバーグCEO(最高経営責任者)がその後、これほどの包括的戦略を間髪入れずに進めるとは誰も予想しなかった。

 グレンコアの発表によると、今回の株式購入で同社が負担するのは3億ユーロ(約365億円)分のみ。残りはカタール投資庁からの資金とノンリコース型の銀行融資で賄う(セチン社長によると「欧州で最大級の銀行」を通じて取り付けた融資とのこと)。

制裁下でもロシアを再評価?

 グレンコアは、ロシアに科されている経済制裁については言及しなかった。同社を創設したのはトレーダーとして成功し巨万の富を手に入れた故マーク・リッチ氏。1980年代に米国がイランに科していた経済制裁に違反したことで悪名高い人物だ。だがグレンコアの弁護団は今回の投資について、制裁破りとしてペナルティを受けるリスクがないことを確認済みだとみられる。英国の石油会社BPは2013年からロスネフチ株の19.75%を保有している。

 ロシア向けの制裁には曖昧な部分があるため、西側の投資家たちは、対象となっている企業や個人との取引に慎重な姿勢を取ってきた。このためロスネフチは中国やインドで出資者を募るだろうと見られていた。今年、ロシアが国債を発行したとき、米国とEU(欧州連合)は米国および欧州の銀行に対して関わらないよう勧告した。

 グレンコアがロスネフチへの出資を進めた事実は、米国のトランプ次期大統領がロシアとの和解を主導するという見通しの中、投資家がロシアに対する評価を見直している可能性を示している。米当局の中にはこの知らせに不意打ちをくらった者もいた。当局関係者の一人は「我々はこの事態についての判断を急ピッチで進めているところだ」と語った。

得点続けるセチン社長

 今回の契約でグレンコアは、追加で日量22万バレルの原油を5年にわたって取得できる。これにより同社の事業は躍進するだろう。だがグレンコアは同時に、ロシアとOPEC(石油輸出国機構)が交わした「ロシアは日量30万バレルを一時的に減産する」という合意についても考慮する必要がある。

 グレンコアがロスネフチに投資したことで、トラフィギュラは憤るだろう。トラフィギュラはロスネフチにとって最大のライバルだ。ロスネフチの創業者であるリッチ氏が運営していた企業グループの元従業員が創業し、スイスのジュネーブに本社を構える。トラフィギュラは近年、どこよりも親密な関係をロスネフチと築いてきた。今年はロスネフチと共同でインドの製油大手エッサール・オイルを買収している。

 ロスネフチのセチン社長は中堅石油会社バシネフチをロシア政府から買収するなど、このところ立て続けに成功を収めている。今回の株式売却もその一つに加えることができる。

 当局は、ロスネフチが親会社のロスネフチェガスから自社株を買い戻す措置を取る可能性を示唆していた。今回の出資案件を期限内に成立させ、それによって調達する資金を年度末までに政府の予算に組み入れられるようにするためだ。

 「ロスネフチがこれを実現したことに、皆が一様に驚いている」。モスクワで勤務する、オーストリア・ライフアイゼン銀行のアンドレイ・ポリシャック氏はこう語った。

© 2016 The Economist Newspaper Limited.
Dec 10th 2016 | MOSCOW
英エコノミスト誌の記事は、日経ビジネスがライセンス契約に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。


このコラムについて

The Economist
Economistは約400万人の読者が購読する週刊誌です。
世界中で起こる出来事に対する洞察力ある分析と論説に定評があります。
記事は、「地域」ごとのニュースのほか、「科学・技術」「本・芸術」などで構成されています。
このコラムではEconomistから厳選した記事を選び日本語でお届けします。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/224217/121400113/


 


アマゾンの知られざる実店舗戦略
シリコンバレーNext
食品スーパー「Amazon Go」だけじゃない
2016年12月15日(木)
中田 敦
 米Amazon.comが米国で「実店舗」に関する戦略を加速している。2016年12月5日(米国時間)に発表した食品スーパー「Amazon Go」だけではない。同社は書店「Amazon Books」の多店舗化を進めているほか、2016年5月からは提携食品スーパーの商品を2時間以内に配達するサービスをカリフォルニア州などで開始済み。日本では知られていないAmazonの実店舗戦略を解説する。
 Amazonが2017年初めに米シアトルに開店する予定の食品スーパーAmazon Go(写真1)は、同社のAI(人工知能)技術のショールームになりそうだ。この店舗には商品の精算レジが無く、店舗や商品棚に据え付けたカメラやセンサーが買い物客の行動を捉え、買い物客がどんな商品を購入したかをAIが判断して、精算を済ましてしまうからだ。

写真1●米Amazon.com本社ビルにできた食品スーパー「Amazon Go」
出典:米Amazon.com
 買い物客はスマートフォン用のAmazon Goアプリケーションを改札にかざして入店する。後は棚にある商品を自分の買い物袋に入れるだけ。画像認識AIがどの買い物客がどの商品を買い物袋に入れたかを判断し、その買い物客の仮想的な「ショッピングカート」に商品を入れていく(写真2)。

写真2●Amazon Goで商品を選択するイメージ
出典:米Amazon.com
 一度手に取った商品でも後から商品を棚に戻せば、仮想ショッピングカートからは削除される。画像認識エンジンは買い物客が商品を棚から取り出した動作だけでなく、棚に戻した動作も識別するためだ。買い物客は商品の入った買い物袋を持ってそのまま店を出れば買い物が完了し、買い物客の「Amazonアカウント」に課金される。
商品は食品が中心、荷物の詰め替えは不要
 Amazon Goの面積は1800平方フィート(約170平方メートル)で、日本のコンビニエンスストアよりやや大きい程度。店内で調理したサンドイッチや総菜のほか、パンや牛乳、卵、チーズといった食料品、チョコレートやスナック類、30分で夕食を用意できる2人分の食材セット「Amazon Meal Kits」などを販売する。
 Amazon Goの利点はレジでの行列や精算の時間を短縮できること。スーパーのレジでは店員に代金を支払う時間だけでなく、ショッピングカートから商品を取り出してバーコードをスキャンし、商品をショッピングバッグに詰め替える作業時間も発生している。むしろかかる時間としては、後者の詰め替え作業の方が長いぐらいだろう。商品棚にある商品をそのまま買い物袋に詰め込めるAmazon Goは、詰め替え作業の時間を完全に取り除ける。
 食品スーパーであるAmazon Goは、書店の「Amazon Books」に続く同社の実店舗となる。Amazon Booksの1号店は2015年11月にシアトルに開店(写真3)。これまでにカリフォルニア州サンディエゴ、オレゴン州ポートランドに出店したほか、ニューヨークやイリノイ州シカゴへの出店計画も公表している。

写真2●シアトルの「Amazon books」
撮影:平尾 敦
 米国のメディアは、Amazonが実店舗を大量に出店する計画だと報じている。米Business Insiderは2016年10月に、Amazonが今後10年間に最大2000店の食品スーパーを出店する予定であり、今後2年間でまずは20店を出すと報じた。米Wall Street Journalは2016年2月に、同社がAmazon Booksを最大400店出展する計画だと報じている。
実店舗からの即時配達はこれからどうなる?
 Amazonの実店舗展開で気になるのは、同社がこれらの実店舗をeコマースの拠点として活用するか否かである。実はAmazonは米カリフォルニア州の一部地域で2015年11月から、商品を注文から1〜2時間で配達する「即時配達」のサービス「Amazon Prime Now」の一環として、提携する食品スーパーの「Sprouts Farmers Market」や「Bristol Farms」などの実店舗にある商品を配達し始めているのだ。
 顧客は「Amazon Prime Now」スマホアプリやWebサイトを使って、近所にある食品スーパーの商品を注文する。そうするとAmazonの配達員が2時間以内にそのスーパーの商品を配達してくれる。配達料金は1回当たり7.99ドルで、営業時間は午前8時から午後10時までである。
 もしAmazonの実店舗からも即時配達するようになれば、即時配達の商品の種類や拠点を増やせる。現在のAmazon Prime Nowは、Amazonの倉庫や提携スーパーの店頭にある商品、提携するレストランの料理を即時配達しているが、実はこの分野でAmazonは既存の小売りチェーンに遅れをとっているのだ。
 米国では既に、Amazonの大手小売りチェーンがシリコンバレーの「配達スタートアップ」と提携し、「店舗にある商品を即時や即日で配達する」というサービスを提供している。
 例えば、ドラッグストア大手の「Walgreens」や米Appleの直営店「Apple Store」、衣料チェーンの「American Apparel」は、サンフランシスコを拠点する米Postmatesと提携して、店舗の商品を1〜2時間以内に配達するサービスを提供している。
 ディスカウントストアの「Costco」や「Target」、高級食品スーパーの「Whole Foods Market」は、サンフランシスコの配達スタートアップ米Instacartと提携して即時配達をしている。家電量販店の「Best Buy」やペット用品店の「PetSmart」は、メンローパークに本社を置く米Delivと提携して、その日のうちに商品を届ける「即日配達」を提供する。
 いずれも顧客がスマホのアプリを使って店舗にある商品を注文すると、スタートアップの配達員が商品を顧客へ届けるという仕組みだ。PostmatesのHolger Luedorf上級副社長は「注文から配達までの平均時間は34分だ」と語る(写真4)。Luedorf氏によればPostmatesは既に、月間150万個の荷物を運んでいるという。

写真3●米PostmatesのHolger Luedorf上級副社長
撮影:中田 敦
 こうした即時配達は一見、日本でイトーヨーカ堂などが展開する「ネットスーパー」に似ているが、仕組みは大きく異なる。
「Uber X」と同じ一般人活用モデルで商品配達
 まず、こうした即時配達の担い手はシリコンバレーのスタートアップであり、小売チェーンはスタートアップが提供する即時配達の「プラットフォーム」を利用しているだけだ。消費者からの注文を受け付けるシステムや商品をピックアップするシステム、商品を配達する配達員などはスタートアップが用意しており、小売りチェーンは自前でシステムを構築する必要は無い。
 配達の仕組みも日本と異なる。スタートアップの配達員は、配達1件ごとに手数料を受け取る「独立契約者(事業者)」、つまりは一般人だ。一般人が自家用車や自転車を使って商品を配達する(写真5)。スタートアップと配達人の間に雇用関係はなく、事業の契約の関係だ。米Uber Technologiesの白タクサービス「Uber X」と同じ「オンデマンドエコノミー」や「ギグエコノミー」と呼ばれるスキームで商品を配達しているのだ。

写真4●Instacartの配達員
撮影:中田 敦
 Amazonも2015年10月に、一般人が商品を配達する「Amazon Flex」という仕組みを開始済み。Amazonと既存の大手小売りチェーンがシリコンバレーのスタートアップを巻き込みながら、「実店舗」と「オンデマンドエコノミーによる即時配達」を巡って競うことになるのか。Amazonの次の一手は、ここが焦点になりそうだ。


このコラムについて
シリコンバレーNext
「シリコンバレーがやってくる(Silicon Valley is coming.)」――。シリコンバレー企業の活動領域が、ITやメディア、eコマースといった従来の領域から、金融業、製造業、サービス業などへと急速に広がり始めている。冒頭の「シリコンバレーがやってくる」という言葉は、米国の大手金融機関、JPモルガン・チェースのジェームズ・ダイモンCEO(最高経営責任者)が述べたもの。ウォール街もシリコンバレー企業の“領域侵犯”に警戒感を隠さない。全ての産業をテクノロジーによって変革しようと企むシリコンバレーの今を、その中心地であるパロアルトからレポートする。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/061700004/120800169/

http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/709.html

[経世済民116] 時代遅れの一括採用、入社式、同期研修 会社には理念」よりメタファ 残業削減は経営の万能薬 Apple Payで得する方法
時代遅れの一括採用、入社式、同期研修

オリックス宮内義彦氏が語る「私の経営論」

ベテラン、専門家・・・多様な人材を揃える仕組みを
2016年12月15日(木)
宮内 義彦
 世の中には数多くの会社・企業があります。では、会社という組織がなぜ、何のために存在できるのかといえば、「経済活動をうまく行っている」からではないでしょうか。企業や会社が手掛ける経済活動が社会に役立つと評価されているからこそ、長年、形態を保って存在しているのです。従って、企業の真のオーナーは国家や社会なのです。そこでは人、モノ、カネといった有限資源を効率的に生かして、価値を生み出し続けなくてはなりません。


宮内義彦(みやうち・よしひこ)氏。オリックス シニア・チェアマン。1960年8月日綿實業株式会社(現 双日株式会社)入社。64年4月オリエント・リース株式会社(現 オリックス株式会社)入社。70年3月取締役、80年12月代表取締役社長・グループCEO 、2000年4月代表取締役会長・グループCEO 、03年6月取締役兼代表執行役会長・グループCEO、14年6月シニア・チェアマン(現任)。
日本型採用の常識は、世界の非常識

 その観点で、日本企業の在り方を考えてみましょう。多くの株式会社があり、特に大手企業は毎年、大勢の社員を採用しています。これが当たり前の光景ですが、実は世界の常識から見ると、かけ離れているのです。まずこの点を知る必要があります。

 毎年4月1日に入社式をして、直ちに新入社員の研修に入る。こうした労働慣習はおそらく日本を除いて、世界でもほとんど例を見ないのではないでしょうか。米国企業にもこのような仕組みはないでしょう。日本企業では当然といっても、明治時代に生まれた伝統的なシステムではなく、戦後に生まれて、根付いたものです。日本の高度成長、つまり工業化社会の進展に伴ってできたシステムでした。しかし、すでに日本経済は、工業化社会から高度なサービスを中心とする知識集約型社会に移行しています。それにもかかわらず、過去のシステムだけが残っているのです。

 振り返ると、日本は1980年代、工業化社会の世界チャンピオンになりました。米国も欧州も、「勘弁してくれ」というくらい、日本の製造業、あるいは日本の輸出産業メーカーは大成功したわけです。安価で、良質で、大量にできた日本製品を世界中に届けて、「世界の工場」としての地位を築いたのです。

 確かに「良質」で「大量」、「低価格」の製品を作るためには、日本独自の採用・研修システムが適していたのです。世界に勝てる工場を経営するには、大学卒の優秀な、そして“同質な人材”を大量に採用する必要がありました。さらに、その人材を“同じ社員”に育てるわけです。なぜなら、東京工場と大阪工場で、品質が異なるのは困るからです。どこに行っても、ぴったり同じものができたほうがいい。そのための「入社式」なのです。その会社の「色」に新入社員を染め上げていく。その会社以外では通用しないけれど、社内では絶対に必要で有用な人材を育てる。

 その象徴が厳粛なる入社式であり、独身寮であり、同期入社での飲み会などだったのです。そうした経験を積み重ねて、極端に言うと自分が勤める会社が世界より大事だという、社内にだけ通用する経営哲学を根付かせる。世間一般が求めるMBA(経営学修士)ではなく、“社内MBA”を増やすことに強さの源泉がありました。

 問題は、その時代はすでに終わろうとしているのに、まだ同じ採用・教育システムを採り続けていることにあります。

多様な人材が成功のカギ

 では知識集約社会においては、企業活動や採用で何が優先されるのか。「大量、同質、優秀」を優先した工業化社会と比べると、知識集約型社会で必要なのは、「優秀」で、さまざまなバックグラウンド(背景)を持つ人材を集めることです。文化背景や個人経験が異なる人たちを多様に集めて、そして、そのような人たちに「新しい好きなことをやっていい」という環境を与えれば、面白いアイデアが出てくるはずです。それこそがこれからの理想の会社経営といえます。

 オリックスの例でいえば、さすがに入社式は続けていますが、私自身は、入社式で挨拶するのを早くにやめました。なぜなら、4月1日に新卒で入社する社員より、中途採用の社員がずっと多くなっているからです。 

 中途採用の社員は、入社式に出ないし、研修もない。すぐにそれぞれの職場で仕事に励んでもらっています。このような現実があるわけですから、時代とともに会社の経営は変わらなければいけないはずです。

 「知識集約型社会」に見合った経営は、工業化社会のそれとはまったく異なるのです。

 経営者が気を付ける点もあります。それはバックグラウンドが多様になればなるほど、「何をもって優秀か」という基準を持つのが難しくなることです。そこで判断基準となるのは、専門性です。

 例えば、オリックスにおいても、最近、太陽光発電のビジネスに参入しました。数年前まではこのような展開は予想していなかった。そのため太陽光のチームも当初は、必ずしも電気事業に詳しい人が揃っているとはいえませんでした。むしろ、「感電したら困る」というくらいの認識しかない社員も加わっていた。事業化が進むにつれ、当然、電力・電気の専門家の力が必要になります。

 企業の事情で、太陽光発電事業に消極的になり、専門家がその組織で生かされていない場合もあります。そのような企業には優秀な人材が多い。あるいは年齢にこだわれなければ、定年退職した方の中にも大ベテランがいらっしゃる。そういう専門知識を持つ人材を積極的に採用する。そして、もともといる社員と一緒になり、プロの知見を得て議論すると、面白いプランが出てきます。

雇用形態も複線型に

 加えて経験から実感しているのは、雇用形態も多様にしたほうがいいということです。新規事業を手掛けていると、時に「自分は業界で一番、知識も経験も豊富。値打ちのある人材だけにきちんと認めてほしい」。こんな自負を持つ人材を採用する局面がでてきます。仮に終身雇用制だとしたら、こうした人材にあった報酬を示すことは可能でしょうか。他の社員との比較において、難しいと思います。では、プロ野球選手のように1年契約という仕組みがあれば、どうでしょうか。成果の判定も含めて、「あなたが希望する報酬給料を出しますよ」と対応できるのではないでしょうか。

 このように複線型の雇用形態は企業を活性化するためになくてはならないものといえるでしょう。当然、成果重視の短期雇用では、評価も短期間で行います。雇用形態を変えることは、評価の仕組みの多様化も伴うのです。

 工業化社会と比べると、知的集約型社会の雇用形態は“テイラーメイド”。つまり一人ひとりのキャリア形成に即して、仕様を変えなくてはなりません。工業化社会は“レディメイド(既製品)”でしたから、55歳で役職定年、60歳で定年などという生涯のコースも決まっていました。 

 私自身もかつては無意識に「あのひとは歳だから」というふうに話していたこともありましたが、自分が年齢で判断されると、気持ちが変わって、腹が立ちます。勝手なものです。ただ実際にオリックスには70歳以上で働いている人も、80歳のおじいさんも在籍しております。

混在期にある評価制度

 雇用・採用制度が多様化する中で、人事評価については、今は混在期にあると思います。かつての画一的で均質的な日本企業であれば、「おい、頑張れよ」と社員の肩をたたいて励ませば、経営者と幹部の意図するところは十分に本人に伝わったと思います。まさに経営学者の野中郁次郎先生の言う「暗黙知」の世界で理解ができたわけです。

 言葉は少なく、放っておいても、本人のやる気も保てたわけですが、例えば最近の若い世代の社員はどうでしょうか。上司が定期的にきちんと面談して、丁寧に説明していかないと、なかなか本人も納得しない。すべて言葉や数字から説明する制度が求められているのです。

 新しい時代の評価制度を定着させるには、当然、社内において情報の透明性や説明責任がより必要となります。面談や評価に当たっては全社統一のマニュアルも欠かせないでしょう。これがないと「評価がしにくい」という声も出てきます。

 要するに現在は、かつての暗黙知の価値観で働いてきた社員と、新しい価値観を重んじる社員が、1つの企業に混在している状態なのです。この中で、バランスよく、かつ社員が納得するマネジメントを実践するのは難しくなっていることを自覚しなくてはなりません。

 経営幹部や上司は常に複線で人材を見ていかなくてはなりません。何か新しいことに取り組んでいる社員、また難しい課題に挑戦している社員。そうした大胆な試みを評価する一方で、コツコツと丁寧に同じことをやり続ける社員の努力も見守らなくてはならない。変革期にあるからこそ、新規と伝統にどちらにも偏らず、冷静に評価していくことが求められています。

社員、株主、社会に支持されるリーダーになるには。
その全ての条件をまとめた必読書。

『私の経営論』
 本書は、オリックス シニア・チェアマンである宮内 義彦氏がオリックスグループでの長年の経験から、企業運営の在り方を様々な角度から考え、企業経営論としてまとめた書籍です。

 激動する世界情勢や経済状況、次々と生み出される新技術など、現在の社会環境を踏まえた上で、特に新規事業や人材育成、株主対話といった項目に重点を置き、長期成長のために企業があるべき姿を探ってみました。

 安定的な組織の成長は、社員の仕事の幅を広げたり、働きがいを高めたりすることはもちろん、取引先との良好な関係を通じた新しい価値の提供、さらに地域社会への貢献と幅広い成果をもたらします。

 そのためには日々、どんな事を考えて、実践していけばよいのか。人材や組織、技術など多様な観点からその条件をまとめています。

このコラムについて

オリックス宮内義彦氏が語る「私の経営論」
 「地域に根付いて、社員とともに事業を拡げて、会社を長く成長させたい」。こんな思いを持つ経営者や企業幹部は多いでしょう。かねて日本企業には社員やその家族、さらには地域社会を大切にして、短期的な利益よりも長期的な発展を望む姿勢が強くあります。その考えは、「業績が良ければ社長が高額の報酬をもらい、利益が減ったら社員をリストラすればいい」という、いわゆる米国型の経営とは一線を画するものでしょう。
 一方で日本的経営を支持していても、「終身雇用や年功序列を徹底すれば会社はうまく行く」と考える経営者は少ないのではないでしょうか。経済のグローバル化が進み、世界の企業と戦うためには、新たなイノベーションが欠かせません。長期成長には旧来の慣習にこだわらない変革が欠かせないのです。オリックスでの長年の経営から、新たな持続的成長の条件をまとめてみました。そのエッセンスを3回に渡って公開します。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/120100030/120800003

 
会社には「理念」より「メタファー」が必要だ

ビジネス・フォー・パンクス

2016年12月15日(木)
日経BP出版局
「パンク」を経営の基礎に置くイギリスのビール会社が世界中で急成長している。ただ若者のファンを獲得するための「味付け」としてパンクを標榜しているわけではない。それは、「メタファー」として機能しているという。一体どういうことだろうか。
(前回から読む)

 世界中で熱狂的なファンを獲得するBrewDog(ブリュードッグ)。その快進撃はとどまるところを知らない。2015年の売上高は前年比51%増の4473万ポンド(約65億円)、直近5年間の売上高の伸び率は平均69%、営業利益の伸び率は平均12%である。

 資料によると、従業員は580人(2015年12月)。オフィシャルバーは世界中に45カ所。世界50カ国にビールを出荷。もはや、いわゆる「地ビール会社」の枠を超えて、世界的な飲料企業として成長を遂げている。2017年にはアメリカのオハイオ州に2カ所目となるブルワリーがオープンする予定で、また蒸留酒(スピリッツ)に参入し、「ローンウルフ」というブランドを立ち上げる。


BrewDogの創業者たち。猫の剥製をヘリコプターから落とすキャンペーンを行った。
 BrewDogの共同創業者であるジェームズ・ワットは、自分たちの会社の事業は「パンクの精神」を基礎に成り立っている、とその著書『ビジネス・フォー・パンクス』に書いている。BrewDogの主力銘柄は「パンクIPA」であり、ファンがクラウドファンディングを通じて取得する株は「パンク株」と呼ばれている。(パンクIPAは、イギリスで最も買われているクラフトビールであり、「パンク株主」は現在4万人にのぼっている)

ビール会社がなぜ「パンク」を標榜するのか

 ビール会社が「パンク」を掲げ、それに共感したファンがビールを飲む。それだけなら、ちょっと味付けの変わったマーケティングだとも言える。ではなぜ「パンク」なのか。「パンク」にはどういう意味があるのか。もっと言えば、「パンク」でなくても良かったのではないか(例えば、同じ音楽のジャンルである「レゲエ」や「ヘヴィメタル」でも良かったのか?)。ファンの中には、パンクロックを聴いておらず、ただビールがうまいという理由でBrewDogを飲み続けている人もいる。

 「経営理念」(ビジョン)を掲げる企業は多い。経営理念が指針となり、従業員は日々の業務に勤しむ。だが、BrewDogにとっての「パンク」は経営理念とも微妙に違う。だからこそ、本当にBrewDogの成長を牽引しているのが「パンクの精神」なのであれば、それが一体どのように作用しているのかを明らかにすることには意味があるはずだ。

 そのカギは、『ビジネス・フォー・パンクス』の巻末に収録されている「解説」に記されている。本書の「解説」で、一橋大学の楠木建教授はこう記している。

著者はパンクというメタファーを軸にして思考し、一つひとつの意思決定をし、それを実行している。著者の経営にとって、パンクという価値観は、言葉の本来の意味での基準になっている。それはいたってシンプルな基準である。「それはパンクかどうか」を自問自答すればおのずと答えは出てくる。パンクなことをやり、パンクでないことはやらない。パンクな人材は採用するが、パンクでない奴は「ブリュードッグ号」には乗船させない。
 パンクは「メタファー」であるというのだ。行動の基準や判断の基準になるという意味では経営理念に近いが、それを「メタファー」としてとらえているのである。ここが新しいのではないだろうか。

 BrewDogは、数々のキャンペーンで物議をかもしてきた。ロンドンの街をソ連製の戦車で駆け抜け、ヘリコプターから猫の剥製をばら撒き、大手企業のビールを粉砕する動画を公開した。そのいずれもが「パンクだねぇ」と唸らせるものだ。

 それだけではない。パンクには、自分たちに必要なものは自分たちでやるという「DIY(Do It Yourself)」の考え方がある。アンダーグラウンドシーンで活躍したイギリスのパンクバンド「クラス(Crass)」は、レコード会社が自分たちの思うようにプロモーションしてくれないことに腹を立て、当時誰もやっていなかったインディペンデント・レーベルとして「クラス・レコード」を立ち上げた。印刷機も自前で用意してレコードジャケットを制作することもあったという。

「キャッシュは酸素であり、血液だ」

 ジェームズ・ワットは、パンクバンドのDIY精神にならい、独立独歩で会社を運営するために、財務・会計を徹底的に学んだ。『ビジネス・フォー・パンクス』では、かなりのページを割いて、ベンチャーが生き残るための財務・会計の知識について、独特の言葉で語っている。

一番大事なのは利益じゃない。利益はナンバー2ですらない。(中略)キャッシュこそ絶対王者だ。利益はただの手段であって、目的ではない。しかし、キャッシュはわけが違う。キャッシュは酸素であり、血液だ。
 一橋大学の楠木建教授によると、パンクがメタファーとして優れているのは、それが単に音楽のジャンルを表すのではなく、「さまざまな要素を包括して凝縮したコンセプト」だからだ。ジャンルを超えた価値基準となり、文化として定着しているからこそ、企業活動から個人の生き方にいたるまで普遍的に活用できる。


『ビジネス・フォー・パンクス』日本版
 会社という組織の中に文化として「パンク」を定着させるために、ジェームズ・ワットらは企業憲章を作った(前回の記事参照)。「我々の血管にはクラフトビールが流れている」「我々はひとりでは何者でもない――我々はBrewDogとして存在する」と、これまた独特の言い回しで構成されている企業憲章は、多くの社内のメンバーとディスカッションをしながら練られていったという。

 抽象的ではあるが、具体的な価値基準として機能するメタファーを獲得すれば、企業は強くなる。「解説」から引用しよう。

具体的なレベルでパンクなことを選択し、次々に実行していく。そうした実験の試行錯誤の中でさまざまな成功や失敗が生まれ、学習が蓄積される。こうした一連の過程を重ねることによって、起点にあるパンクの精神についての理解もまた深まり、豊かになっていく。(中略)ようするに、それがメタファーであるがために、パンクという価値基準の定義は具体と抽象の往復運動を起こしやすいのである。ここにメタファーの強みがある。
 これを読むと、経営理念とは違うメタファーの機能がわかってもらえるだろうか。

 キャリアを積んでも、組織に所属していても「パンクな姿勢で仕事をしていきたい」と思っている人は多い。だが、現実にはさまざまなしがらみがそれを阻む。だからこそ、『ビジネス・フォー・パンクス』は多くの人に受け入れられ、「かつてのハングリー精神を取り戻さないと」という感想がSNSなどに書かれた。

この本に書いてあることを信じるな!?

 本を読んでも、「参考にはなるが、著者のやっていることを真似はできない」ということはよくある。実際、ジェームズ・ワットのやっていることはほとんど真似できない。だが、それでも多くの共感を得たのは、「人の話は聞くな。アドバイスは無視しろ」という過激なメッセージを連発したあとに、本の最後でこんなふうに読者を突き放したからではないだろうか。

ぼくは、人のアドバイスは聞くなと言った。それはこの本に書いたことすべてにも、無条件で当てはまる。
 ネタバレするようで申し訳ないが、ここに著者のいう「パンク精神」のすべてが凝縮されているような気がするのである。

 一橋大学の楠木建教授は、「解説」をこんなふうに締めくくっている。

自分の仕事と生活を貫くコンセプトをメタファーで獲得する。経営者であろうとなかろうと、これこそが仕事の一丁目一番地に他ならない。著者にとっては、それがパンクであり、パンクの精神でつくったクラフトビールだった。
 この本を手にとっている、あなたにとっての「パンク」とは何か。これから読もうという人は、この問いを念頭において読み進めてもらいたい。すでに読み終わった人は、改めて自問自答してもらいたい。本書を読むことによって、その答えが見つかったとしたら、著者も本望だろう。本書から得られる最大の価値はそこにある。

渋谷のBOOK LAB TOKYOで開かれた出版イベント。起業家の鶴田浩之氏、著述家の石黒謙吾氏によるトークセッション。
 2016年9月16日に渋谷のBOOK LAB TOKYOで開かれた本の出版イベントには、場所柄か若い起業家、投資家が集まった。学生のころに起業し、BrewDogを愛飲しているという20代前半の若者も多かった。彼ら彼女らの中から、独自のメタファーを備えた元気な企業が日本を変えていくことにも期待したい。


このコラムについて

ビジネス・フォー・パンクス
創業から8年で80億円を超える売上を達成したクラフトビール会社がある。英国の「BrewDog」だ。世界中で熱狂的なファンを獲得し、クラウドファンディングで20億円もの調達を実現した。BrewDogはなぜ、人を惹きつけるか。その秘密に迫る。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/book/16/092100001/121300005/

 

 

「残業削減」は経営の万能薬

ストライプインターナショナル社長 石川康晴の「止まったら負け」

第6回:社員の働き方を変えた、社長の強行作戦
2016年12月15日(木)
石川 康晴
人気の婦人服ブランド「アース ミュージック&エコロジー」をはじめとする15ブランドを国内外で展開するストライプインターナショナル。5年前までは、長時間残業は当たり前という意識が社内に蔓延していたという。現在は生産性向上により18時15分の消灯までに全員退社を実現した。石川社長は社員の働き方をどう変えたのか。
 18時15分――。東京・銀座にある、ストライプインターナショナルの本部オフィスでは全フロアを消灯し、基本的には全社員が退社します。繁忙期などで残業の必要があるときは、上司の承認を得ることになっています。自画自賛になりますが、売上高や店舗数を毎年10%前後伸ばし続けている企業で、基本的に全社員が定時に帰ることができる会社は、まだ少ないのではないでしょうか。

 「残業削減」は、今から5年前の2011年から、僕が覚悟を決めてトップダウンで労働環境を改革した結果です。ここに至るには、僕自身の大反省がありました。

 実は、09〜11年ごろの社内では、「ブラック企業」と呼ばれそうな長時間労働が蔓延していました。当時は、売上高が100億円を超え、それからわずか数年で500億円を上回ったという急成長期で、社員たちは毎月かなりの時間の残業をしていたのです。

 当時、多くの社員たちは、毎日22時近くまで働いていました。22時を過ぎると深夜手当が出ることも影響していたのかもしれません。とはいえ、社員たちの仕事に対する満足度は今よりはるかに低かったのです。

 このままではいけないと思い切り、僕は社員たちの残業を減らし、有給休暇を取らせるための声掛けを始めました。マニュアルに定めたところで大した効果は見込めませんから、直接行動あるのみと考えたのです。


石川社長は、トップダウンで社員の残業削減に乗り出した
 僕はまず幹部全員を集め、「明日から全員定時に帰ってください」と伝えました。幹部が残業していると若い社員が先に帰ることができません。これが残業の多い原因の一つだとみて、まず幹部から早く帰らせようと考えたのです。

 当然、仕事量は急には減らせません。幹部たちは「たまった仕事はどこですればいいんですか?」と質問してきました。僕の出した答えは「仕事を残してでも定時に帰れ」でした。

 「え、定時退社ですか?」
 「仕事の量を考えると定時退社は無理ですよ!」
と、社員たちから非難の嵐でした。

 しかし、ひるまずに僕は伝えました。「君たち幹部が残っているから、新人が早く帰ることができない。上司の顔色をうかがいながら残っている若手社員が多いんです。だから、ひとまず、18時には会社から出てください」

 こんな方法は無茶だと思われるかもしれませんが、突然思い立って強引なことを言い出したのではありません。僕には、作戦があったのです。

マトリックスで業務を断捨離

 幹部には、とにかく定時で退社するように伝えました。でも、幹部の仕事は残っています。仕事を放り出して帰るなんて、誰もしたくないはずです。

 はじめは仕事を残したままで退社させていましたが、幹部たちはそのままでは不安ですから、定時までに仕事が済むよう効率化してくれるに違いない、と考えたのです。これが、僕の作戦です。見事に的中し、2カ月後には幹部が定時退社の際に仕事を残すことはほぼなくなりました。突発的な仕事が発生したときを除き、定時退社できるまでに業務の効率化が進んだのです。

 幹部たちの残業がなくなれば、次は一般社員の番です。幹部たちは自分で仕事に優先順位をつけ、不要な仕事を断捨離(不要なものを断ったり、捨てたりすることでモノへの執着を捨てること)することができましたが、一般社員たちはなかなか難しいのではないかと考え、仕事を整理するためのツールを用意しました。

 それが「ストライプ生産性マトリックス」です。縦軸は仕事にかかる労働時間、横軸はその仕事が生み出す売上高や利益の大きさを取ります。縦軸と横軸のそれぞれを大中小の3つに分けて3×3のマスをつくり、各自の仕事を分類してもらいました。


ストライプ生産性マトリックス。縦軸に時間(コスト)、横軸に売上・利益額を取り、3×3のマスに仕事を分類して優先順位を考える
 労働時間は短いが、売り上げや利益につながっている仕事は何か。労働時間が長いのに売り上げや利益は少ないものは何か。この表を使って、社員一人ひとりが自分の仕事を棚卸しして非効率な仕事を止める癖をつけさせようという狙いがありました。

 マトリックスに各自の仕事を書き出させてみると、長い時間をかけていながら売り上げや利益が低い仕事をしているスタッフが多いことが分かりました。「生産性の低い仕事は全部やめよう」と今も伝え続けています。

 例えば、フェイスブックに社内のことを1日2回投稿する仕事。これは売り上げに直結しません。そこで投稿回数を減らすことにしました。

 こうした細かい見直しを積み上げ、一般社員の仕事についても断捨離を進めた結果、3〜4カ月後には18時には全員が仕事を終えて、18時15分の消灯時には退社できるようになりました。やはり、トップが残業を減らすという目標を強く訴え、定時になったら帰宅するように繰り返し伝え続けることがポイントだと思います。

残業削減で得た大きな効果

 残業を減らした効果は、計り知れないものがありました。特に大きかったのは、女性が働きやすい環境に変わったことです。僕らのブランドは、女性向けばかりですから、意思決定に女性が関わることは会社の成長に欠かせません。

 しかし、上司が夜遅くまで働いている姿を見たら、若い女性スタッフはこの会社でキャリアアップしたいとは思わないでしょう。毎日18時に帰ることができると分かれば、仕事後の予定を立てやすくなります。毎日19時に子供を保育園に迎えに行くこともできます。

 どの企業も今、女性管理職を増やそうとしていますが、女性管理職を2〜3割にするという数値目標を掲げただけでは状況は変わらないでしょう。僕の経験からは、残業を減らすと社長が公言したほうが効果は大きいと思います。

 もちろん、当社には子どもを生んだら管理職になれないという雰囲気は一切ありません。女性管理職の比率は53%。時短勤務を利用して働いている女性社員も大勢います。


18時15分には社内を消灯するので、勤務時間内にその日の仕事を済ませようと社員は集中して働いている
 以前の日本には、残業する人ほど仕事ができる人と見なす印象がありました。でも、僕たちは、早く帰る人こそ仕事の効率がよく、管理職になるべきと考える文化に変えたのです。

 女性の活躍以外にも、残業削減の効果はありました。退社後に自分の時間を確保できるので、自己啓発につながります。新たな人と出会い、視野を広げることで、新しい商品やサービスにつながるアイデアが今まで以上に生まれるようになりました。

 さらに、体調を崩す人や、離職する人が減りました。残業が当たり前だった時代が嘘のように、今はスタッフの皆が生き生きと働いています。僕は残業削減こそ、会社経営の万能薬だと確信しています。

(構成:尾越まり恵、編集:日経トップリーダー)

起業家と一緒に磨いたノウハウを1冊に集約

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このコラムについて

ストライプインターナショナル社長 石川康晴の「止まったら負け」
女優・宮アあおいのCMが話題となった人気婦人服ブランド「アース ミュージック&エコロジー」をはじめ、化粧品や飲食店など16ブランドを国内外で展開するストライプインターナショナル(旧クロスカンパニー)。その創業者である、石川康晴社長は自らを“止まったら死んでしまう黒潮のマグロ”と称する。創業から20年が過ぎ、売上高が1100億円を突破した今も、同社の勢いは衰えを知らない。その成長を支えるのは、自身と会社を日々変化させ続ける石川社長のリーダーシップによるところが大きい。片時も止まることのない経営者の目には何が映っているのか。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16nv/052400007/121300006/

 

電子マネー決済「Apple Pay」で得する方法

トレンド・ウォッチ from日経トレンディ

PASMO定期券は使えない
2016年12月15日(木)
日経トレンディ
 Suicaなどが使えるiPhoneの電子マネー決済「Apple Pay」は、どうすれば得に使えるのだろうか? クレジットカードやポイントに詳しい、ポイント情報サイト「ポイ探」社長の菊地崇仁氏が解説する。

※ この記事の内容は、2016年11月時点のものです。

「Apple Pay」を使えば、iPhoneで電子マネーを決済できる
 2016年10月下旬、日本でも、iPhoneやApple WatchでSuicaなどが使用できる非接触電子マネー決済「Apple Pay」がスタートした。3週間ほど実際にApple Payを使ってみて感じた注意点とApple Payで得する方法を紹介する。

 まず、「Apple Pay」というアプリは存在しないことに注意が必要だ。Apple Payを利用するには、iPhone標準の「Walletアプリ」を使う。

 このWalletアプリに、電子マネーの決済手段として登録できるカードはSuicaとクレジットカード、プリペイドカードとなる。

 Apple Payが2016年11月時点で対応している電子マネーは、Suica、iD、QUICPayに限られている。nanacoやWAON、楽天Edyなどの電子マネーは登録できない。また、交通系の電子マネーはSuicaのみで、定期券としてPASMOを使っている場合はApple Payに登録できないので、注意してほしい。なおSuicaでも、Suica一体型のクレジットカード付属のSuicaも登録できない。

 Apple Payに登録可能なクレジットカードは、イオンカード、au WALLETクレジットカード、オリコカード、クレディセゾン、JCB、トヨタファイナンス、dカード、ビューカード、三井住友カード、楽天カードとなる。また、今後は三菱UFJニコス(MUFGカード)も対応予定だ。

 一方、現時点では上記の発行会社以外のカードは登録できない。また、JCB発行であっても、リクルートカードプラスやJAL・JCBカードや法人カードなど対象外のカードもある。登録できない場合はそれぞれのカード会社に問い合わせてほしい。

 なお、Walletアプリに登録可能カード枚数は合計8枚となっている。また、Walletアプリに現時点で登録できるプリペイドカードはソフトバンクカードのみだ。


リアル店舗では、iPhone 7 / 7 PlusやApple Watch Series 2でApple Payを使える
次ページからの内容
●Suicaの使い勝手が「最強」なワケ
●Suicaチャージで得するカードは?
●ポイントを合計3%獲得できることも
●ネット決済での注意点は……
●どのクレジットカードがお得なのか?
●iD、QUICPayを併用すればより得に
Suicaの使い勝手が「最強」なワケ

 それではコンビニでApple Payを使用し、支払う方法を説明しよう。ここではローソンを例にとる(編集部注:2016年11月時点の方法)。

 iDやQUICPayで支払いたい場合は、「iD(QUICPay)で支払います」と伝え、iPhone 7のホームボタンに親指をタッチしながら決済端末にタッチし、レジ前にある液晶端末の「iD(QUICPay)」ボタンをタップする。

 なお、決済前にPontaカードもしくはアプリを提示すれば、Pontaポイントも獲得できるため、決済時のポイントと提示のポイントをダブルで獲得できる。操作方法については、ローソンが公開している動画を参考にしてほしい。


ローソンでApple Payを使う方法

 このように、Apple Pay決済の際にはホームボタンでのTouch ID認証を行うため、親指タッチが必要だということが分かる。さらにレジ画面のタッチも必要なため、これを片手で操作するのは大変だ。

 だが、同じApple PayでもSuicaを利用する場合は少し異なる。SuicaはTouch ID やパスコード不要で使える「エクスプレスカード」の設定ができる(1台の端末で1枚のカードのみ)、エクスプレスカードに指定しているSuicaで支払う場合は、親指タッチが免除される。

 上記のローソンの場合でも、「Suicaで支払います」と言って、iPhone 7を決済端末に置き、レジ画面の「Suica」ボタンをタッチすれば決済可能になり、操作の手間が省ける。

 このエクスプレスカードの仕組みを使えば、他のリアル店舗でも、決済の前のiPhone 7のTouch ID認証や、Apple Watch Series 2の場合はサイドボタンをダブルクリックすることが免除される。そのため、Apple Payをリアル店舗で使う場合は、端末操作が少ないSuicaのほうが便利だ。


「設定」→「WalletとApple Pay」から「エクスプレスカード」の設定ができる
Suicaチャージで得するカードは?

 Apple Payで使用できるSuicaはクレジットカードでチャージができる。チャージ方法は標準のWalletアプリからとJR東日本が提供する「Suica」アプリからの2種類存在する。おすすめは後者の、Suicaアプリを使ったチャージだ。

 まず、Suicaアプリからチャージする場合は、どんなクレジットカードからでもチャージが可能だ。ただし、Suicaへのチャージはできても、クレジットカードのポイントがたまらないものも多い。

 例えば、「au WALLETクレジットカード」や「dカード」「Amazon Mastercard」などはポイント還元率1%とそこそこ高いが、Suicaチャージではポイントはたまらない。一方、JR東日本のクレジットカード「ビューカード」は、モバイルSuicaへのチャージは通常よりもポイントが3倍となり、還元率は1.5%となる。

 ビューカードのなかでも、ビックカメラで手に入れられる「ビックカメラSuicaカード」はモバイルSuicaチャージ用として還元率も高く、年会費も実質無料にできる。Suicaチャージにおすすめのカードといえる。

 次におすすめなのは「LINE Payカード」だ。これはクレジットカードではなく、プリペイドカードだが、JCB加盟店で利用した場合は還元率がなんと2%。100円につき2 LINEポイントがたまり、たまったLINEポイントは、再度LINE Payにチャージすることで、LINE Payカードとして利用ができるお得なカードだ。LINE PayカードでもモバイルSuicaにチャージが可能で、LINEポイントもたまる。

 Androidのおサイフケータイの場合は、ビューカード以外でのチャージはモバイルSuicaの年会費が必要。しかし、iPhone版のモバイルSuicaに関しては年会費が発生しない。そのためiPhone版のモバイルSuicaチャージでは、LINE Payカードを使うとポイント還元率が良い。


LINE PayカードでSuicaにチャージすると、LINEポイントがたまる
ポイントを合計3%獲得できることも

 このLINE Payカードへのチャージは、銀行口座、コンビニ、チャージ専用口座、Pay-easy、オートチャージが利用できる。チャージ方法としては銀行口座の登録がおすすめだ。都市銀行だけでなく、地方銀行も対応しており、瞬時に口座からLINE Payにチャージできるようになる。

 もし駅の改札でSuicaが残高不足になっても、LINE Payカードで銀行口座を登録しておけば、その場でSuicaアプリ経由でチャージし、改札を通ることが可能となる。

 また、コンビニ、それもファミリーマートでチャージするとお得になる。ファミリーマートでLINE Payにチャージする場合、ファミマTカード(クレジット機能つき)であれば、チャージしたときに200円につき1Tポイントが獲得できるからだ(提示でたまるショッピングポイントはたまらない)。

 さらに、ファミマTカード(クレジット機能つき)の場合、火曜日・土曜日はクレジットポイントが2倍のため、200円につき2Tポイントためることができる。

 従って、ファミマTカード(クレジット機能つき)でLINE Payにチャージするときに1%、LINE PayカードでモバイルSuicaにチャージするときに2%の、合計3%のポイントを獲得できるということだ。


LINE PayカードとファミマTカード
ネット決済での注意点は……

 Apple Payをネット上の通販サイトやスマホアプリで利用する方法を紹介しよう。2016年11月時点でサイトやアプリでApple Pay決済が可能なサービスは、「出前館」や「じゃらん」「minne」などがある。

 例えば、出前館で注文するお店とメニューを選んで、「Apple Payで支払う」ボタンをタップする。後は、iPhone 7のホームボタンに親指をかざすと、あっという間に注文を完了できる。カード番号を入力する必要もなくスピーディーに購入できる。帰宅前に電車の中で注文して、家で受け取る、というような使い方も可能だ。


出前館でApple Pay決済すれば、カード番号を入力する手間もない
 Apple Payをネットで使う場合は、iPhone 7でなくても利用できる。iPhone 6やiPhone 6s、iPhone SE、2012年以降のMacなど、旧端末でも利用できるため、Apple Payはネットショッピングで威力を発揮する決済手段といえる。

 Apple Payをリアル店舗で使う場合は、Walletアプリに登録できるカードであればどのカードでも使えた。ただし、ネット決済では、利用できるカードに制限がある。

 通販サイトやスマホアプリで利用可能なカードは、登録したクレジットカードやプリペイドカードのなかでも、国際ブランドが「JCB」「American Express」「Mastercard」のカードのみとなり、「Visa」ブランドは利用できない。

 例えば、じゃらんや出前館などをApple Pay決済で利用するとき、Visaブランドのカードを登録していると、決済画面では「App内の支払いはできません」と表示される。

 Suicaチャージも上記の制限に当てはまる場合があり、Walletアプリ経由でSuicaをチャージする場合はVisaブランドのカードが使えないなどの制限がある。ただしSuicaアプリ経由でSuicaをチャージする場合には、Visaブランドでもチャージは可能だ。

どのクレジットカードがお得なのか?

 つまり、Apple Payをネットで利用するときにお得を考えた場合は、Walletアプリに登録でき、かつJCB、American Express、Mastercardブランドのカードであることが条件となる。さらに、ショップ側で契約している国際ブランド以外は支払えないため(minneとBASEはVisa、Mastercardのみ利用可能)、Apple Payで一番使い勝手のよい国際ブランドは現時点ではMastercardとなる。

 この条件で、Apple Payに登録するとお得なクレジットカードを厳選してみよう。ドコモの「dカード(Mastercard)」やauの「au WALLETクレジットカード(Mastercard)」、「楽天カード(Mastercard、JCB)」、「Amazon Mastercard」、「Orico Card THE POINT(Mastercard、JCB)」、ビックカメラSuicaカード(JCB)」あたりが、年会費無料(実質無料含む)で還元率が1%、かつリアルでもネットでも利用できるApple Payに適したクレジットカードだろう。

 特にdカード(Mastercard)は、ローソンやマクドナルド(都内の一部)で請求時3%OFFになる特典なども利用可能だ。また、ビックカメラSuicaカード(JCB)も、ポイント還元率1%でWalletアプリからのSuicaチャージでも1.5%の還元率となっており、お得なカードといえる。

 ただし、ビックカメラではWalletアプリに登録したビックカメラSuicaカードで支払うと、通常ポイントが10%たまらない。この場合、通常のプラスチックカードを利用するか、Apple PayのSuicaでの支払いがおすすめだ。

 その他、マイル系のクレジットカードであれば、ANAマスターカードやANA To Me CARD PASMO JCB(minneやBASEなどでは利用不可)、JALカードSuica(同様にminneやBASEなどでは利用不可)などのカードもある。

iD、QUICPayを併用すればより得に

 これまで述べてきたようにApple Payは、リアル店舗ではSuicaを、ネットではクレジットカード決済を使うのがおすすめだ。ただリアル店舗でSuicaが使えない場合には、Walletアプリに登録したクレジットカードで支払うことになる。

 その際、Apple Payを使うには、iDもしくはQUICPayでの支払いをする必要があるため、支払い時に「iDで」や「QUICPayで」と伝える必要がある。もし、Apple Payで登録するカードがどちらにひも付いているかどうか分からない場合は、Walletアプリ上でクレジットカードの右横にiDやQUICPayのロゴが出てくる。ここを確認してほしい。

 Apple Payに登録するカードがどちらにひも付いているかで、リアル店舗での使い勝手は異なる。例えば、楽天カードをWalletアプリに登録していた場合、QUICPayでの支払いとなる。iDやEdyで支払いが可能なマクドナルドではQUICPayに対応していないため、Apple Payは使用できない。一方、ツルハドラッグでは、QUICPayの利用で毎月1・10・20日は3%キャッシュバックのキャンペーンもある(2017年3月20日まで)。

 そのため、Apple Payには、iDに対応したカード1枚、QUICPayに対応したカード1枚、Suica 1枚をWalletアプリに入れるのがおすすめだ。かつ、Suicaチャージ用としてSuicaアプリにクレジットカードを登録すると、さらにお得にApple Payを利用できるだろう。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/030800018/120200231/thum_hyou1.jpg

Walletアプリ経由でSuicaにチャージした時にもポイントがたまるクレジットカード例
執筆者/菊地崇仁
ポイント情報サイト「ポイ探」社長
1998年に法政大学工学部を卒業後、日本電信電話株式会社(現NTT東日本)に入社。2002年に退社し、友人と起業し、システムの設計・開発・運用を行う。2006年、ポイント交換案内サービス・ポイ探の開発に携わり、2011年3月代表取締役に就任。ポイント探検倶楽部に掲載されているポイントは約230種類。ポイントやマイルを中立の立場で語れる数少ない専門家として知られる。三児の父であり、家計のやりくりをすべて担当。ポイントのみならず、クレジットカードや保険なども守備範囲で、近年は投資にも挑戦している。著書は「新かんたんポイント&カード生活」(自由国民社)、「得するポイント(カード)の貯め方・使い方」(日本監督協会)
[日経トレンディネット 2016年11月24日付の記事を転載]


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[経世済民116] 積立NISAは「フツー」の投資家を掘り起こせるか 医療事故調制度の「目的外使用」が続々明らかに 
医療事故調制度の「目的外使用」が続々明らかに

医論・異論 from 日経メディカル

制度開始から1年、現場の理解はいまだ不十分
2016年12月14日(水)
満武 里奈=日経メディカル
 医療事故調査制度の開始から1年が経過した。初年度の実績からは、制度の対象事案であるのに第三者機関へ報告しなかったり、逆に必要がない事案を報告した例が見られるなど、制度への理解が不十分な実態が明らかになった。

 医療事故調査制度は、「医療に起因する予期せぬ死亡」が発生した場合、第三者機関である医療事故調査・支援センターに報告した上で院内調査を行うことを全国の病医院に義務付けるもの。2015年10月にスタートした。院内調査の結果は病医院が報告書にまとめてセンターに提出し、センターはその情報を分析して再発防止策を検討・公表、医療安全の向上に結び付ける。

 制度開始からの1年間に報告された医療事故の件数は388件で、うち362件は病院の、26件は診療所の事案だった。診療科別では外科が69件と最も多く、それに内科の56件、整形外科と消化器科の34件が続く。事案の発生からセンター報告までに掛かった期間は平均31.9日で、報告から院内調査報告書を提出するまでの期間は平均118.5日だった。

報告書を渡すように強く求める遺族も

 制度開始1年で見えてきたのは、医療事故調査制度が医療現場に正しく理解されていない現実だ。制度が対象にする事案は「医療に起因する予期せぬ死亡」で、医療者の過失の有無は関係ない。だが、関係者によれば「過失がないから」という理由で、センターへの報告も院内調査も行わなかった医療機関が複数あったという。

 一方、その逆のケースも見られた。院内調査をサポートする支援団体の話によると、「死亡した患者の遺族がクレームを付けてきたから」という理由で、予期せぬ死亡ではなかったにもかかわらず、センターへの報告と院内調査を行った病院があったという。

 医療事故調査制度のスキームで院内調査を行う場合、その費用を補償する保険を日本医師会が用意している。また、クレームを付けてきた遺族が報告書の内容に納得すれば、病院がその後の交渉のために弁護士を立てる必要もなくなる。こうした点に経済的なメリットを感じた医療機関が、本来は必要ないセンターへの報告を行ったのだという。

 だが、医療事故調査制度の目的は、事故原因を分析し再発防止策を検討することで、医療安全を向上させることにある。上のケースは明らかに、医療機関による制度の目的外使用といえるだろう。

 これに対し、医療事故で死亡した患者の遺族が、制度を目的外使用する例も出てきている。制度開始前から医療機関には、「院内調査の結果報告書が訴訟に利用されるのではないか」という懸念が強かったが、それが現実のものとなりつつある。

 ある病院では、不幸にも起きてしまった医療事故について、医療安全に資する報告書を作成しようと丁寧に院内調査を実施して結果を遺族に説明した。しかし、遺族は「どう補償してくれるのか」の一点張りで、報告書を渡すよう強く求めたという。結局、この病院は遺族の求めに応じて報告書を渡したが、それが訴訟の材料として使われるのではないかと院長は心配な日々を過ごしている。

 こうした動きに歯止めを掛けるべく、全国医学部長病院長会議の「大学病院の医療事故対策委員会」は9月、センターに以下の申し入れを行った。「現に事故調査報告書が係争の具として利用されることが明らかな場合には、医療安全の確保という制度の目的に鑑みて、貴機構(センター)において今回の法に規定される作業は行わない。係争の手段として行われる事象は全て、この法の埒外(らちがい)にて処理されるべきである」。

改めて制度の趣旨の周知を

 「起きてしまった医療事故を二度と繰り返さないために再発防止策を検討するという医療安全を向上させる制度が始まったことは、間違いなく良かった」と多くの関係者は口をそろえる。しかし現状では、こうした制度の趣旨が医療現場に浸透しているとは言い難い。

 センターでは年明けにも、報告件数が多かった中心静脈穿刺と肺血栓塞栓症に関連する事故について再発防止策を公表する予定だ。そうした機会を活用して、医療機関と国民の双方に対し、改めて制度の趣旨を周知していく必要がありそうだ。


この記事は日経メディカルに2016年12月9日に掲載された記事を一部改編して転載したものです。内容は掲載時点での情報です。

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積立NISAは「フツー」の投資家を掘り起こせるか

記者の眼

非課税期間20年の「第3のNISA」が2018年1月に誕生
2016年12月15日(木)
上木 貴博
 12月12日、日経平均株価が終値でおよそ1年ぶりに1万9000円台を回復した。相場が上り調子であるせいか、知人から立て続けにNISA(少額投資非課税制度)に関する質問を受けた。NISAでは毎年1月1日に新しい非課税投資枠120万円が生まれ、投資枠は翌年に持ち越せない。だから「来年こそは口座を開設して投資を始めたい」と勉強していたり、逆に開設したのに何も買わないまま師走になって「何か買わねば」と焦ったりという人がこの時期にいるようだ。

 9月に当欄の「『第3のNISAが始まる』って言われても…」という原稿で、金融庁が提案していた「積立NISA」を取り上げた。書きながら早期実現の可能性は低いと見ていた。だが、先週あっさりと2017年度税制改正大綱に同制度の創設が盛り込まれた。積立NISA案は今年8月に初めて要望されたばかりなので、「一発通過」の快挙だ。

投資上限は40万円ながら非課税期間は20年

 8月に金融庁で担当者に取材した際は、要望1年目に通るとは考えていないような印象を受けた。金融庁の森信親長官が自民党幹部の説得に自ら当たったと伝えられている。改革派長官の執念が実を結んだ。3カ月前の原稿で伝えた制度概要と異なるのは、投資枠が60万円から40万円へと小さくなった点だが、「非課税期間20年間」という最大の特徴は残った。

 現行のNISAでも積み立て投資は可能だし、非課税制度を5年から10〜20年に延ばせば、金融庁がリーチしようとしていた若年層を十分取り込めるのではないか――。記者は積立NISA案を知った時にそんな感想を持った。新制度の創設という高いハードルを越えるより、既存制度を改良すべきという考えだった。

 新制度「積立NISA」(正式名称は決まっておらず、積立型NISAと書かれることもある)は2018年1月に始まる。投資上限120万円の現行NISAとの併用は認められない。投資対象は未定だが、長期投資に向いた低コスト投信が中心になるだろう。毎月分配型のような長期保有に向かない商品は買えないルールになるはずだ。「るいとう」(株式累積投資)も分散投資を促す制度の趣旨から考えると、投資対象に含まれるとは考えにくい。

 新制度の開始は再来年なので気が早いが、積立NISAは普及するだろうか。投資信託協会がヒントになりそうなデータを開示している。「金融機関全体」と「直販投信」それぞれのNISA口座開設者の年代別内訳だ。前者では50歳未満は3割に過ぎないのに、後者では65%に上る。

金融機関全体

直販投信

 直販投信とは、運用会社が個人に直接販売する投資信託を指す。証券会社や銀行を介さないので、販売手数料はかからない。複利効果を重視しており、分配金は出さないか、決算頻度が低いものが多い。さわかみ投信やセゾン投信、レオス・キャピタルワークスなどの運用会社が有名だ。投資方針は会社や商品によって異なるが、長期投資というスタンスは共通項だ。

 積立NISAの非課税期間は20年だ。口座開設者の大半が50歳未満になるのは間違いない。その意味で「直販投信のNISA利用者の6割強が50歳未満」というデータは面白い。直販投信の運用会社は長期投資の意義を根気よく説いて、投資家層を広げてきた。積立NISAも同様に「次世代の個人投資家」をマーケットに呼び込む契機になるかもしれない。そんな期待が高まる一方、6月末時点で直販投信のNISA開設数は3万6607口座であり、NISA全体の1029万6622口座のうち3%に過ぎないという現実もある。次世代の掘り起こしは簡単ではない。

20年間で300万円以上の差が付く

 最後に積立NISAによる長期投資のインパクトを考えてみる。上限の40万円まで20年間投資し続けると投入資金の総額は800万円。これを仮に銀行で貯蓄していたらどうなるか。現在、5年定期で最高金利の0.200%(オリックス銀行)で預けられたという仮定では816万円だ。一方で年平均4%リターンの投信を同じ金額、期間積み立て投資に回すと1156万円に届く(信託報酬は年0.5%で計算)。年平均4%は投信の想定リターンとしては大それた目標ではないが、銀行預金には投信購入と異なり元本割れの心配は不要だ。

 どちらを選ぶかはその人次第だ。いざ積み立てた投信を売却しようした矢先にリーマン・ショックのような急落が絶対に起きないとはいえない。だが、世界経済は長期的に見ると右肩上がりだ。20年単位でみれば「○○ショック」も安く仕込める投資の好機ではある。

 ……といった話を、NISAについて質問する知人に聞かせるのだが、実際の口座開設には結びつかない。記者の口下手だけでなく、投資の敷居の高さに原因がありそうだ。金融庁は最近になって「貯蓄から投資へ」というスローガンを取り下げ、「貯蓄から資産形成へ」を使い始めた。貯蓄も資産形成の一手段だから言葉の使い方はおかしい気がするが、国民的な「投資アレルギー」への配慮がうかがい知れる。

 本来、投資はフツーの人がやるべきだと記者は考えている。富裕層がリスクを取って資産を殖やす必要性はあまりないし、生活に困っている人は無理にお金を投資に振り向けるべきではない。淡々と一定のペースで続ける積み立て投資こそフツーの人の投資法だ。昨年から長期保有向きの低コスト投信は充実してきた(こちら)。商品という「中身」と制度という「器」が揃う2018年は、長期投資元年になる。積立NISAを見据えて各社が来年投入するだろう新商品が今から楽しみだ。


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記者の眼
日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。

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[経世済民116] 金融政策は当面無風、来週会合は約1年ぶりに全員一致 米鉱工業↓製造マイナス 米小売売上↓ 米生産者物価大幅↑ 原油再均衡
金融政策は当面無風、来週会合は約1年ぶりに全員一致−日銀サーベイ
日高正裕、ジェームズ・メーガ
2016年12月15日 00:00 JST

黒田総裁任期中の追加緩和なしの予想は6割超に
長期金利の操作目標は26%が引き上げを予想−黒田総裁任期中

日本銀行が来週開く金融政策決定会合は、ブルームバーグの事前調査で全員が現状維持を予想した。追加緩和予想が1人もいなかったのは昨年11月会合前の調査以来ほぼ1年ぶり。11月の米大統領選挙後の円安・株高の追い風を受けて、日銀は当面、様子見を続けるとエコノミストはみている。
  19、20両日の決定会合についてエコノミスト39人を対象に6−12日に調査した。追加緩和期待は大きく後退しており、黒田東彦総裁の任期の2018年4月まで追加緩和はないとの見方が25人(64%)と多数を占めた。任期中はマイナス0.1%の短期政策金利の引き上げはないとの予想は9割と圧倒的多数だった一方で、長期金利目標については26%が引き上げを予想した。
  マネックス証券の大槻奈那チーフアナリストは、米大統領選でのトランプ氏の勝利により為替が円安に振れ、株価も上昇したことから、「金融機関への弊害が大きかったマイナス金利を深掘りする必然性が大きく後退した」と指摘する。SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストも「1ドル=110円台では、付利引き下げの可能性はゼロになった」とみる。
サーベイの結果はここをクリックしてください
  日銀は9月の決定会合で、操作目標をマネーの量から長短の金利に変更。短期金利のマイナス0.1%を維持する一方で、10年物国債利回りは0%程度とすることを決定した。長期国債の年間買い入れ増加ペースは80兆円をめどとし、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の物価目標を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続することも表明した。
総裁任期中は現状維持
  三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の嶋中雄二所長は、内閣府の国内総生産(GDP)基準改定で2015年度の名目GDPが31.6兆円かさ上げされたため、20年度下期に名目GDP600兆円を達成するのに必要なマネタリーベース拡大ペースは年率80兆円増と、現在のめどと変わらなくなったと指摘。「市場の動きが一方的になる場合には金融政策を発動すべきだが、性急である必要はない」という。
  三井住友信託銀行の花田普調査部経済調査チーム長は長短金利操作について「米大統領選後の円安によって期待を含む物価情勢が改善すれば誘導水準を引き上げていくことになるが、その決断ができるほどの改善にはかなり遠いため、黒田総裁の任期内に長短金利の誘導水準は変化しない」と予想している。
  長期金利については一部で引き上げ観測が出始めている。SMBCフレンド証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは「トランプ相場が意外と長期化する場合、米長期金利の上昇基調が止まらない場合は、日本の10年超の金利にも影響を与える」と指摘。市場が先に進んでしまい、物価が1%に向かう道筋が見えていれば、「市場の後追い的な形で誘導水準を引き上げることを検討する」とみる。
トランプ大統領の誕生はもろ刃の剣
  みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストも、安倍晋三首相が以前、中小企業の業績や個人消費動向に悪影響を理由に懸念を表明したことがある1ドル=125円台まで円安が進むようなら、長期金利の操作目標引き上げの可能性が出てくるとみる。
 
  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストは、トランプ政権の誕生は日銀にとって「もろ刃の剣」という印象があるという。「大型減税・公共投資拡大・規制緩和」を期待したリフレ予想の盛り上がりは「予想インフレ率の引き上げに苦慮してきた日銀にとっては追い風」の一方で、米新政権が保護貿易的な政策を強めれば、「日本の輸出産業にとってはマイナス」とみる。
  RBS証券の剱崎仁シニアエコノミストは「来年の日銀の金融政策は為替次第、言い換えると、トランプ氏の保護主義と財政拡大政策次第と言っても過言ではない」という。同氏が保護主義姿勢を弱め、思惑通り財政拡大ができれば、来年を通じて追加緩和の可能性は低い一方、保護主義を維持すると同時に財政拡大が小規模にとどまれば、「来年後半に追加緩和に踏み込む可能性は否定できないだろう」としている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-14/OI3NYR6TTDSY01


米鉱工業生産指数:0.4%低下、製造業は3カ月ぶりマイナス
Michelle Jamrisko
2016年12月15日 00:36 JST

11月の米鉱工業生産統計では、製造業生産を 示す指数が3カ月ぶりに低下した。
米連邦準備制度理事会(FRB)の14日発表によると、11月の製造 業生産指数は前月比0.1%低下。ブルームバーグがまとめたエコノミス ト予想の中央値は0.2%低下だった。前月は0.3%上昇(速報値0.2%上 昇)に上方修正された。
全体の鉱工業生産指数(製造業、鉱業、公益事業の生産を対象、季 節調整値)は11月に前月比0.4%低下と、3月以来の大幅なマイナスと なった。平年より温暖な気候を背景に公益事業が減速した。10月 は0.1%上昇(速報値は前月比変わらず)。
4CAST−RGEのシニアエコノミスト、デービッド・スローン 氏(ニューヨーク在勤)は統計発表前に、「製造業セクターのトレンド はフラットからポジティブだ」と指摘。「輸出の見通しはあまり強くな いが、輸出はこれまでまずまず底堅い状況だ」と述べた。
公益事業の生産は4.4%低下、前月は2.8%低下していた。米海洋大 気局(NOAA)によれば、今年の11月は1895年までさかのぼる記録の 中で2番目に暖かい11月だった。
鉱業の生産は1.1%上昇(前月は1.9%上昇)。石油・ガス掘削 は5.3%上昇した。
鉱工業設備稼働率は75%と、3月以来の低水準。前月は75.4%だっ た。
統計の詳細は表をご覧下さい。
原題:U.S. Factory Production Drops for First Time in Three Months(抜粋)
--取材協力:Jordan Yadoo.
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-14/OI6KWB6TTDSO01



米小売売上高:11月は0.1%増に減速、市場予想を下回る伸び
Patricia Laya
2016年12月15日 00:28 JST

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iyADSeuCBicQ/v2/-1x-1.png


11月の米小売売上高は前月比で市場予想を下回る伸びとなった。前月まで2カ月間の堅調な伸びからペースを落とした。
  米商務省が14日発表したところによると、11月の小売売上高は前月比0.1%増。前月は0.6%増と、速報値の0.8%増から下方修正された。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想中央値では11月は0.3%増だった。
  レイモンド・ジェームズ・ファイナンシャルのチーフエコノミスト、スコット・ブラウン氏は「家計のファンダメンタルズはなお堅調だ」と述べ、「消費者は値下げ品を狙っているが、それでも消費は活発とみられる」と続けた。

  11月の小売売上高は季節調整前ベースで前年同月比5.3%増加した。これは2月以降で最大の伸びだった。
  項目別では13項目のうち9項目で増加した。特に飲食店や家具店が良好だった。
  自動車とガソリンを除く小売売上高は前月比で0.2%増、市場予想は0.4%増だった。前月は0.5%増と速報値の0.6%増から下方修正された。自動車・同部品の売上高は0.5%減、前月の0.5%増からマイナスに転じた。
  国内総生産(GDP)の算出に使用される自動車ディーラーやガソリンスタンド、建築資材などを除くコア売上高は0.1%増と、過去3カ月で最低の伸びだった。前月は0.6%増だった。
  統計の詳細は表をご覧ください。
原題:Retail Sales in U.S. Increased Less Than Forecast in November(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-14/OI6JDE6VDKHV01


米生産者物価指数:11月は前年比1.3%上昇−14年以来の大幅な伸び
Patricia Laya
2016年12月15日 00:11 JST

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ijzFjp8tEmcQ/v2/-1x-1.png

11月の米生産者物価指数は、前年比での上昇率が2014年以降で最大となった。
  米労働省が14日発表した11月の生産者物価指数(PPI)は前年比1.3%上昇と、14年11月以降で最大の伸び。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は0.9%上昇だった。
  11月のPPIは前月比では0.4%上昇と、6月以降で最大の伸び。エコノミスト予想の中央値(0.1%上昇)を上回った。

  エネルギー価格は前月比0.3%低下。ガソリンは2.9%低下した。食品は0.6%上昇。果物などが大きく値上がりした。
  食品とエネルギーを除くPPIコア指数は前月比0.4%上昇。前月は0.2%低下だった。前年比では1.6%上昇。
  食品とエネルギー、商業サービスを除いたベースのPPIは前月比0.2%上昇。前月は0.1%低下だった。前年比では1.8%上昇と、14年8月以来で最大の伸び。前月は1.6%上昇だった。
  統計の詳細は表をご覧ください。
原題:Wholesale Prices in U.S. Rose 1.3% in November From Year Ago(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-14/OI6J786VDKI001


 

OPEC:減産通じた原油市場の再均衡は2017年後半に−月報
Grant Smith
2016年12月14日 22:37 JST 
非加盟国の供給見通しは上方修正、協調減産の合意含めたか明示せず
減産合意の対象期間内のロシア生産は変わらずの見通し

石油輸出国機構(OPEC)は、減産合意で世界の原油市場の再均衡が加速するものの、来年下期まで需要が供給を上回る状態にならないとの見方を示した。
  OPECは14日公表の月報で、ロシアやカザフスタンなどの非加盟国との10日の合意で「世界全体の在庫減少が加速し、原油市場の再均衡は2017年下期に早まる」との見解を示した。世界の石油市場が17年上期に供給不足に転じるとの見通しを13日に示した国際エネルギー機関(IEA)とは対照的な見方だ。
  原油価格はOPECが8年ぶりの減産合意をまとめた11月30日以降、約16%値上がりしている。今月10日にはロシアなど非加盟の11カ国も協調減産することで合意した。
  非加盟国は合計で日量60万バレルの協調減産を約束したものの、OPECは非加盟国による17年の供給増加を従来見通しから約10万バレル上積みし、30万バレルとした。非加盟国全体の半分の減産を担うロシアと、やはり減産に加わるカザフスタンでは合意対象期間となった6カ月の供給量は変わらずが続くと予想したが、今回の月報に非加盟国との最近の合意が反映されているかは明示していない。
原題:OPEC Says Supply Cuts Won’t Re-Balance Market Until Second Half(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-14/OI6DSL6S972Z01
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/712.html

[経世済民116] ベネズエラの超社会主義的クリスマス 紙幣廃止の次はおもちゃ没収 エクソンCEO退職金約205億円払っても払わなくても問題
【社説】
ベネズエラの超社会主義的クリスマス
紙幣廃止の次はおもちゃ没収

https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RF188_2toys_IM_20161213182525.jpg
100ボリバル紙幣の廃止が決定したため、紙幣を交換しようと銀行前に列を作るベネズエラの人々(13日、カラカス) PHOTO: EUROPEAN PRESSPHOTO AGENCY

2016 年 12 月 15 日 12:39 JST

 クリスマスシーズンもたけなわのこの時期になると、毎年、自分たちの恵まれている点を数えて神に感謝する米国人も少なくない。そうした恵まれた点の中には、例えば米海兵隊が毎年行う「トイズ・フォー・トッツ(子供のためのおもちゃ)」プログラムがある。海兵隊は篤志の寄付を受け取り、何百万人もの貧しい子供たちにおもちゃを配る。一方、ベネズエラでは異なる伝統が打ち立てられようとしている。同国政府が最近、兵士を出動して何百万個ものおもちゃを没収し、ベネズエラの買い物客に届けられないようにしたからだ。

 ベネズエラのマドゥロ政権は470%にも達しているインフレの責任を受け入れないばかりか、同国最大のおもちゃ流通販売会社クライゼル・ベネズエラがおもちゃの価格を高くつり上げていると非難している。CNNテレビは、政府がおもちゃを差し押さえたほか、同社の幹部少なくとも2人を拘束したと報道、クライゼル関係者らはベネズエラを離れるのを阻止されるかもしれないとも伝えた。

 ベネズエラ政権は、差し押さえたおもちゃを市場価格以下で貧困地域に提供すると約束している。しかしクリスマスまで2週間足らずで、世の親たちは贈り物が見つかるだろうかといぶかっている。なにしろ食肉、野菜、医薬品、その他の生活必需品の不足が一般的な国だ。親たちはまた、おもちゃを買うショッピングの時間もない。政府がヤミ市場対策として100ボリバル紙幣の廃止を決定したため、彼らは長蛇の列をなして銀行に手持ちの100ボリバル(1ボルバルは約0.054円)紙幣を預け入れようとしている。

 ベネズエラはまた、急増する犯罪と貧困にあえいでいる。広がる窮状に着想を得て、米国のミュージシャンたちはクリスマス休暇前後にコラボを行い、抗議の歌を録音すべきだ。しかし米国のポップスターたちの間では、コレクティビズム(集団主義)の恐怖に対する自覚の高まりというのは、めったに流行(はや)らない。

 ベネズエラの人々は今や、法の支配が国から消えると何か起こるのかに気づいている。英国の政治家マーガレット・サッチャーはかつて、「社会主義が問題なのは、最終的には他の人々のカネを使い果たすことだ」と言った。それに補足するならば、社会主義が問題なのは他人のカネのほか、おもちゃも使い果たしてしまうことだ。

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国務長官に転身するCEO、退職金はいかに?
エクソンモービルのジレンマ:払っても払わなくても問題化
次期国務長官に指名されたレックス・ティラーソン氏 
By BRADLEY OLSON AND LIZ HOFFMAN
2016 年 12 月 15 日 14:01 JST

 次期米国務長官に指名されているレックス・ティラーソン氏への退職金支払いに関し、石油大手エクソンモービルの取締役会が難しい判断を迫られている。

 エクソンの最高経営責任者(CEO)を務めるティラーソン氏は、今月末をもって退職をすることが14日に発表された。同氏は来年の3月に定年の65歳を迎えるが、その際には株式報酬1億7500万ドル(約205億円)以上を受け取る権利が発生することになっていた。

 その報酬は支払われるべきなのか否か。そして支払うとしたら即時付与されるべきなのかどうかが問題だ。

 社則上では、そのような権利は退職して10年が経過しなければ行使されないことになっている。65歳になる前に退職するティラーソン氏に報酬も直ちに支払うとなれば例外のケースとなる。またエクソンの社運に大きな影響を与え得る次期国務長官に報酬を支払うことで、同社に対して批判の声が上がる可能性もある。

 その一方、現時点でティラーソン氏がエクソン株を完全に売却できるようにすれば、利益相反の懸念を解消した状態で国政に専念できるようになる。またエクソンがティラーソン氏に定年報酬を支払わないという手もあるが、それは41年間にわたって同社に勤めた人物に対する不義となる。

 事情に詳しい関係者によれば、取締役会はこのジレンマの解決策をまだ見いだせていない。米議会内にはティラーソン氏の指名に反発する声がすでに出ているが、エクソンがどの選択をしてもさらに非難の的となりそうだ。

 エクソンの取締役会はティラーソン氏の退社の予定を早め、1月1日付けでダレン・ウッズ氏(51)が後任CEOに就任すると発表した。しかし発表文の中にはティラーソン氏の退職金に関する説明は含まれていない。

 トランプ氏は数多くの現役企業幹部を自らの政権に登用している。国家経済会議(NEC)の委員長にはゴールドマンサックスのナンバー2であるゲーリー・コーン社長兼最高執行責任者(COO)を指名。またファストフードチェーンを展開するCKEレストランホールディングスのアンディ・パズダーCEOは労働長官に指名された。

ハリバートンCEOから副大統領になったチェイニー氏

 ジョージ・W・ブッシュ政権で副大統領を務めたディック・チェイニー氏も、油田サービス大手ハリバートンのCEOからの転身とあって当時は利益相反が問題になった。ハリバートンの取締役会はチェイニー氏の早期定年退職を認め、結果的に同氏には約2000万ドル相当の退職パッケージが支払われた。

 チェイニー氏は3000万ドルに相当するハリバートンの株式を選挙期間中に売却したが、多数のストックオプション(自社株購入権)は維持。副大統領を務める期間を通してそれらを売り、利益はチャリティーに寄付するなどした。

 コロンビア大学でコーポレートガバナンスを研究するロバート・ジャクソン氏は、エクソンが難しい立場に立たされていると指摘。取締役会は「公職に就く人物が一企業から1億7500万ドルのプレゼントを受け取るべきかをよく考えた方がいい」と話す。

 デラウェア大学で同じくガバナンスを専門とするチャールズ・エルソン教授も、ティラーソン氏の件は簡単に答えが出ないと話す。今回の報酬制度は、早期退職後に競合他社に移籍するケースや取締役会が反対する中での退職を防ぐために作られたものだ。しかしティラーソン氏は公職に就くので、話が違うと同氏は言う。

 ティラーソン氏は今月の時点で権利未確定株式を200万株(1億8400万ドル相当)を保有。またすでに付与されている5500万ドル分の株式や、2015年末時点で6900万ドル分の企業年金を手にしている。

 一般企業から公務に就く幹部に対し、株式の付与を早めたケースはこれまでにもある。

 2001年には貨物鉄道会社CSXのジョン・スノーCEOがジョージ・W・ブッシュ政権で財務長官に就任。その際は社内の規則を修正し、給料やボーナスなどを事前に受け取れるようにした。

 スノー長官の後任となったヘンリー・ポールソン氏も約2600万ドル分の権利未確定株式を保有していたが、2006年の長官就任に当たってその付与が早められた。またゴールドマン・サックスの会長兼CEOとしての半期分の報酬として、1870万ドルの支払いも行われた。

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http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/733.html

[政治・選挙・NHK217] 3次補正は追加歳出6000億円、防衛費や災害復旧で=政府筋 カジノ関連株に新産業誕生の期待、外資との競争激化に不安も  
3次補正は追加歳出6000億円、防衛費や災害復旧で=政府筋
 
[東京 15日 ロイター] - 政府が22日に閣議決定する2016年度第3次補正予算案の骨格が判明した。北朝鮮の弾道ミサイル発射が相次ぐ現状を踏まえ、迎撃態勢を強化するための防衛費や災害復旧費を柱に、政策経費を6000億円規模で追加する。

複数の政府筋が明らかにした。16年度3次補正予算案の追加歳出は、1)防衛費、2)国際分担金、3)災害復旧費――などが柱。現時点で防衛費1700億円程度、国際分担金1700億円程度、災害復旧費2000億円程度などの追加を想定し、最終的な調整に入った。

補正予算案では、地方交付税や地方法人税の補てんなども盛り込まれる見通しで、追加分はさらに増える可能性がある。

一方、国債費の不用経費などを4200億円程度減額する。このため、補正総額としては2000億円台にとどまりそうだ。

補正編成に伴う財源には税外収入や建設国債の追加発行でそれぞれ1000億円程度を充てる。

円高による法人税収の不振で、16年度税収は当初見込んだ57兆6040億円から1兆7000億円程度下振れする。財源不足を補う赤字国債の追加発行額は、最終的に1兆7000億円超となる公算が大きい。

*見出しを修正しました。

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カジノ関連株に新産業誕生の期待、外資との競争激化に不安も
 
[東京 15日 ロイター] - 統合型リゾート施設(IR)整備推進法案、いわゆるカジノ法案が成立し、関連株への注目度が高まっている。カジノ施設の建設がいよいよ現実味を帯び、一大産業が誕生するとの期待感は大きい。ただ、日本企業にとって初めての分野も多く、海外企業との競争などに不安感もある。関連銘柄の株価は15日、いったんの材料出尽くしで総じて下落した。

<総じて利益確定売りに反落、続伸の「裏銘柄」も>

IR推進法案の成立で、政府は、規制や依存症対策などの具体的な制度設計を盛り込んだ「IR実施法案」を1年以内に国会に提出する作業に入る。名目国内総生産(GDP)を0.2%押し上げるとの試算もあり、関連株に対する投資家の関心は強い。

15日の市場では、同法案の成立でいったんの材料出尽くし感が広がり、遊戯機器を手掛けるセガサミーHD(6460.T)や、貨幣処理機大手の日本金銭機械(6418.T)などカジノ関連銘柄は下落した。

ただ、両銘柄は12月に入って年初来高値を更新しており、利益確定売りが主体とみられている。

遊技場向け機器の製造・販売を行うオーイズミ (6428.T)や商業施設建設を行うイチケン(1847.T)の株価も軟調だった。

一方、「裏のカジノ関連株」と一部で呼ばれているコメ兵(2780.T)は大幅続伸。市場では、カジノができれば賭けに負けた客がブランド品を換金するため需要が増えるとの見方などを材料に、8月26日に付けた年初来安値から約80%急騰しているが、騰勢は衰えない。

<外資との競争に懸念>

いわゆるカジノ都市が出現するのは、2020年以降と想定されている。今後も株価の上昇トレンドは続くのだろうか──。

高木証券・企業調査部長の藤井知明氏は「スロットマシンなど遊戯機を扱う会社は、一度設置してしまえば需要は伸び悩むことから、急騰は一過性となる可能性が高い。カジノ自体の数は膨大にはならないだろうし、個々の企業業績へのインパクトは限られる」と話す。

半面で、ALSOK(2331.T)などの警備会社やゲームセンターの運営手法を熟知しているコナミHD(9766.T)、カプコン(9697.T)などは継続的な上昇が見込めるという。

ただ、日本ではカジノ運営のノウハウが乏しい。「トランプ次期米大統領の経済政策により、経営ノウハウを持っている外資系企業が参入してくるかもしれない」(日本アジア証券・エクイティストラテジストの清水三津雄氏)との指摘もある。

また、日本経済全体への影響では、カジノ誘致に成功した都市と周辺都市の間に格差が生じる恐れがあるほか、ギャンブル依存症による勤労意欲の減退など、問題点も少なくない。

<期待される東京五輪後の集客効果>

もっともこれらの問題点に対し、対策は可能であるとの見解もある。ギャンブル依存症の増加懸念を払拭するため、公明党の井上義久幹事長は9日、依存症対策チームを年内にも発足させる方針を明らかにした。自民党も13日、依存症防止策の強化を明記した同法案の修正案を掲示している。

双日総合研究所・チーフエコノミストの吉崎達彦氏は「成長分野を探すと必然的に遊びの分野になる。ばくちの空間というより、東京ディズニーランドのような、家族で訪れることができるテーマパークを目指すべき」と、カジノ誘致を前向きに受け止める。

2020年の東京オリンピック終了で「宴の終わり」が訪れるとの懸念もあるが、「カジノ都市への訪問を周辺地域への観光とパッケージ化して売り出せば、外国人観光客の誘致にもつながるだろう」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券・景気循環研究所副所長の鹿野達史氏)と、インバウンド需要の継続効果を期待する声も出ている。

(辻茉莉花 編集:伊賀大記)

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[経世済民116] 投資家は電気自動車革命に備えよ  東京が再び世界で一番生活費の高い街に−ロンドンは100位内に入らず
投資家は電気自動車革命に備えよ
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カリフォルニア州サンノゼのテスラのショールーム PHOTO: BLOOMBERG NEWS
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STEPHEN WILMOT
2016 年 12 月 15 日 15:55 JST
 将来の車は電気自動車(EV)になり、インターネットに接続され、そして最終的には自動運転になる見込みだ。しかし、自動車業界の将来はどうなるのだろうか。WSJのコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」は数回にわたり、自動車業界のここ数十年で最大の技術革新に投資家がどう向き合うべきかについて考える。
 自動車時代の幕開けには電気自動車がガソリン車の販売を上回っていた。そして、今後10年くらいで再びそうなる可能性が十分ある。投資家は歴史の流れに逆行しないよう注意が必要だ。
 これまでに何度も期待が盛り上がることはあったが、電気自動車が現在の高級車や環境保全技術といったニッチ市場を離れることはなかった。電気自動車が主流となる正確な時期は相対的な費用次第だ。その点で今、電気自動車には勢いがある。
 EV用バッテリー費用の大きな低下こそが鍵となる。モバイルコンピューティングの成長が同分野の巨額投資をけん引し、EVが一回の充電で走れる距離が長くなるとともに、コスト低下につながった。独ダイムラーの高級車ブランド「メルセデス・ベンツ」は、内燃エンジンとバッテリー技術の生産コストが2025年にはバランスするとみている。しかし、補助金や維持費も考慮に入れる消費者にとって転機はそれより早いだろう。
米国(黄)および世界(緑)でのEV販売台数
(単位:千台)
AcceleratingElectric vehicle sales in the U.S. and worldwideTHE WALL STREET JOURNALSource: Inside EVs

 環境基準の厳格化を受けて、欧州を中心にエンジンの値段が一段と上昇している。販売台数で世界最大の自動車市場である中国ではEVに対する積極的な補助金提供により需要が生まれている。ガソリン価格の下落は、EVにとっての「クリプトナイト」(致命的な弱点)ではなくなるかもしれないが、ドナルド・トランプ次期政権による規制緩和が従来型自動車の延命につながる可能性もある。
 さらに、EV業界には現在、追随すべき模範もある。シリコンバレーの異端児的存在であるEVメーカーのテスラモーターズは、優れた設計のEVには需要が存在することを示しており、米国やドイツ、日本などの既存の自動車メーカーはほぼ全て巨額投資を促されている。
 ゼネラル・モーターズ(GM)は現在、EV「シボレー・ボルト」の販売を開始しており、税引き後単価は約3万ドル(約350万円)。小型車としては値が張るものの、米国の新車販売単価平均を下回っている。テスラの話題の「モデル3」は来年後半に、これをやや下回る値段で販売される見通し。
 EVの時代に妥当性と利益を維持することは従来型自動車メーカーにとっての課題だ。この数十年間、エンジン技術の蓄積によって市場は安定していた。EVは生産が単純で安価だ。エンジンの専門知識がほとんど関係なくなるなかで、東アジアを中心とする新たな競合他社を圧倒し続けるのは一段と難しくなる見込みだ。東アジアでは現在、家電の大半が製造されているほか、バッテリーメーカーの多くも本社を構えている。
China Driving AheadEstimated electric vehicle sales by major marketTHE WALL STREET JOURNALSource: UBS
 それでも、従来型自動車メーカーの果敢な挑戦はやまない。ドイツの自動車ビッグスリー、フォルクスワーゲン(VW)とダイムラー、BMWは全て今年、EV新戦略を公表した。また、販売台数で世界最大のトヨタ自動車も先月、バッテリーよりも水素燃料電池技術を重視する長年の戦略を一転する方針を示唆した。今後数年のうちにGMのシボレー・ボルトやテスラのモデル3に対抗する車種が幾つも発売されることだろう。
 生産と同様、ブランド戦略もこうした変化に適応する必要がある。例えば、BMWが常に製造してきた独特の腎臓のような形をしたフロントマスクはEVの登場で時代遅れになっている。自動車業界の古くからのリーダーたちはブランドやデザイン、技術を調和させる新たな方法を見つけ出す必要がある。
 投資家にとってリスクと機会は膨大に見える。テスラを除く自動車メーカーほぼ全ての株価が過去の株価動向やより広範な市場と比較して現在、非常に割安だ。自動車販売をめぐる短期的な懸念に加え、EV技術向け組み立てラインの設備刷新のための費用や生産中断のリスクを巡る長期の懸念もある。それでもやがて、急速な産業革命を生き抜いた企業のバリュエーションは、むしろテクノロジー企業のように高くなるかもしれない。
 自動車の将来はEVだ。勝者を支援する投資家への報酬は極めて大きなものとなろう。

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwif2M7X4vXQAhWEULwKHcgxCtgQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12340534005287504876604582498101654505864&usg=AFQjCNGofdhNUHw59i3zjiug4mG6ELVvLA

 

東京が再び世界で一番生活費の高い街に−ロンドンは100位内に入らず
David Roman
2016年12月15日 08:03 JST

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• 円高で東京は2012年以来のトップ返り咲き
• EU離脱決定後のポンド安でロンドンは圏外に

外国人が住むのに最も生活費がかかる街の番付で、東京が2012年以来の最上位に返り咲いた。円高が影響した。一方、欧州連合(EU)離脱決定を受けてポンドが下落したことでロンドンは100位内から姿を消した。
  東京は昨年の12位から順位が上がった。横浜と大阪もトップ10都市に仲間入りした。ECAインターナショナルが14日、海外居住者の生活費を比較したリポートを公表した。香港は9位から11位に後退し、チューリヒは1位から3位、ジュネーブも2位から4位に下がった。

東京のビル群(新宿)

Photographer: Yuya Shino/Bloomberg
  ECAのアジア地域ディレクター、リー・クウェイン氏は「調査対象期間中に円が相対的に強くなったことで日本の都市が皆、香港を抜いた」と説明。「人材を日本に駐在させようとする企業のコストは上昇するだろう。従業員の購買力を維持するために報酬を引き上げる必要があるからだ」と述べた。
  ECAは2004年に番付を開始。食料や家賃、公共料金などモノとサービスの値段について3月と9月に調査している。円は9月末までの1年に19%上昇し、G10通貨中で最大の値上がりだった。一方、ポンドは同期間にドルに対して15%下落とG10通貨中で最悪のパフォーマンスとなり、ロンドン中心部の生活費は低下した。
  シンガポールは比較的安定して16番目となった。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iweBYZ7Lhlm8/v2/-1x-1.png
原題:Tokyo Regains Costliest City for Expats Title as London Drops(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-14/OI6F6T6K50XT01


http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/736.html

[経世済民116] FRB、トランプ氏の先を行く 労働市場復活受け 利上げペース加速圧力 CPI見通し、ドル株上昇 債券金下落 韓国金利据置
FRB、トランプ氏の先を行く
利上げペース加速示唆、次期政権の経済政策を待たない構え
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ドナルド・トランプ次期米大統領(9日、ミシガン州) PHOTO: ASSOCIATED PRESS
By
JUSTIN LAHART
2016 年 12 月 15 日 10:13 JST
―WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
***
 米連邦準備制度理事会(FRB)は漫然とドナルド・トランプ次期大統領を待つつもりはない。
 FRBは14日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を25ベーシスポイント(bp)引き上げ、0.50〜0.75%にすることを決定するとともに、向こう数カ月に一段の利上げを見込んでいることを示唆した。FOMC参加者は2017年に25bpの利上げが3回あるとみている。9月時点の見通しでは2回だった。
 タカ派寄りの動きは投資家の注意を引いた。14日のダウ工業株30種平均は2万ドルが視野に入っていたが、FRBの発表を受けて下げに転じた。米経済がいかに利上げに敏感かを考えれば、妥当な反応かもしれない。
 FRBの来年の動きは米経済の動向によって決まる。米経済の動向はトランプ氏と議会が来年どの程度の減税と財政出動に踏み切るかに大きく左右される可能性がある。これらを取り巻く状況には不確定要素が多く、それがもう少し明確になるまでFRBは慎重に事を運ぶべきだとの意見もある。
 だが政府の助けなしでも、経済は改善しつつあるようだ。失業率は4.6%と9年ぶりの低水準にあり、成長の足取りは着実にみえる。物価上昇圧力も回復しつつあるようだ。そのため、FRBがトランプ氏の計画を無視するとしても、ややタカ派色を強めることは理にかなっているだろう。
FOMC参加者によるFF金利の長期水準見通しの中央値
Stepping Down Federal Reserve policymakers' median projection for the midpoint of the longer-run federal funds target rate
THE WALL STREET JOURNAL
Source: Federal Reserve
 しかし、FRBがトランプ氏を完全に無視することは難しい。ジャネット・イエレンFRB議長は14日の会見で、財政政策が経済を後押しする可能性が一部FOMC参加者の予想に織り込まれたことを確かに認めた。大型減税や財政出動がもたらすインフレ圧力を受けてFRBが突然の利上げを迫られるシナリオを、FRBは避けたいのだろう。少なくとも、より多くの人を労働力に取り込むために利上げを遅らせるアイデアは、大統領選投票日より前のFOMCの時と比べて魅力が落ちている。
 同時に、FRBに残された利上げ余地も減っている。FOMC参加者によるFF金利の長期水準見通しの中央値は3%だった。14年初めの4%より低いことから、25bpの利上げそれぞれの威力が以前より大きくなることが示唆される。
 投資家があらためて学ぶべき格言は「FRBには逆らうな」かもしれない。
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http://jp.wsj.com/articles/SB12639540122206773900404582497510357740338


 


FRBの金利見通し、十分にタカ派と言えるのか
利上げペースはさらに速まる可能性も
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FRBは14日、予想通り短期金利を引き上げた PHOTO: BLOOMBERG NEWS
By
STEVEN RUSSOLILLO
2016 年 12 月 15 日 11:03 JST
 長く待ち望まれた米国のインフレが、完璧なタイミングで上向き始めている。
 米連邦準備制度理事会(FRB)は14日、短期金利を引き上げるとともに、来年さらに3度利上げを行う可能性を示唆した。
 この判断の裏には、堅調な労働市場に加え、経済にインフレ圧力の兆しがようやく見え始め、FRBの「デュアル・マンデート(2つの使命=雇用最大化と物価安定)」が満たされていることがある。
 FRBの金利見通しは妥当に見えるだけでなく、インフレ基調が現状のまま続けば、さらにタカ派的な対応を迫られる可能性さえある。15日に公表される米消費者物価指数(CPI)はその基調を裏付ける公算が大きい。
 ウォール・ストリート・ジャーナルが行ったエコノミスト調査では、11月のCPIは前月比0.2%上昇する見通しだ。CPIは10月、主にエネルギー価格の上昇により3カ月連続の伸びを示していた。
 物価上昇を示す兆しは他にもある。14日発表された11月の生産者物価指数(PPI)は前月比0.4%上昇と、過去5カ月で最大の伸びを示した。年率ベースでは1.3%上昇と、2年ぶりの大きな伸びだ。

ブレークイーブン・インフレ率推移 THE WALL STREET JOURNAL
https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RF538_TAPE12_M_20161214151621.jpg

 さらに重要なのが、「ブレークイーブン・インフレ率(BEI)」に表れているように、将来の物価上昇に対する期待も高まっていることだ。BEIは名目国債と物価連動国債(TIPS)の利回り格差を示す指標で、今後10年の年平均物価上昇率に対する投資家の期待値を表している。BEIは過去6カ月おおむね上昇が続いており、今週は2014年9月以来初めて2%に達した。2009年以来の低水準となった2月の1.2%という数字からは大幅な上昇だ。
 ドイツ銀行のチーフ国際エコノミスト、トルステン・スロック氏は、これは約10年続いた異例な金融政策をFRBがようやく正常化できるとの市場の信認を表していると指摘する。
 FRBは1年前、2016年中に4回の利上げを実施するとの見通しを示した。だが、実際には1回しか行われなかった。そして今、2017年に3回の利上げを行うと示唆している。FRBは今回、昨年よりも一段とタカ派的になる可能性もある。金融市場が上向きであるのに加え、減税や財政刺激策の実施が見込まれているため、利上げに踏み切りやすい状況だからだ。バークレイズのチーフ米国エコノミスト、マイケル・ゲイペン氏は、大規模減税と財政出動が行われれば「政策金利引き上げペースはもっと速まる」可能性もあるとの見方を示した。
 当然ながら、物価に関し完全にFRBにとっての障害が取り除かれたと判断するのは時期尚早だ。FRBがインフレ指標として好む、食品とエネルギーを除いたコアベースの個人消費支出(PCE)物価指数は前年比1.7%の伸びにとどまり、FRBの2%という目標値を下回っている。
 しかし、各種インフレ指標はここ数年で初めて上昇継続の傾向を見せている。FRBが朗報と考えるのももっともだ。
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イエレンFRB議長の記者会見、5つのポイント
FOMC後の記者会見で話すイエレンFRB議長(14日) ENLARGE
FOMC後の記者会見で話すイエレンFRB議長(14日) PHOTO: CHIP SOMODEVILLA/GETTY IMAGES
By DAVID HARRISON
2016 年 12 月 15 日 12:15 JST

 米連邦準備制度理事会(FRB)のジャネット・イエレン議長は14日、連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、ドナルド・トランプ次期政権が掲げる経済政策の影響、経済の健全性、自身の去就などについて語った。以下に五つのポイントを挙げる。

1.FRBはトランプ氏にどう対応するか

 FRB当局者らはトランプ次期大統領が提案する減税や財政出動が金融政策にどう影響するかについて、公に評価するのを渋ってきた。イエレン議長はこれらの政策がFRBの金利政策に影響を及ぼす可能性があることを認め、予想される政策変更をいくらか経済見通しに織り込んだ当局者もいたと指摘した。その上で、見通しの不確実性を強調した。

 議長は14日、「財政政策やその他の経済政策の変更は景気見通しに影響を与える可能性がある」とした上で、「もちろん、これらの政策がどのようなものになるかはまだあまりに時期が早すぎて分からない。しかも、財政政策の変更は見通しや金融政策の適切な道筋に影響し得る多くの要因のうちの一つでしかない」と述べた。

2.最善の財政政策とは

 米大統領選以来、イエレン議長は政府の租税政策や歳出政策について話すときには慎重を期してきた。その一方で、すぐさま経済成長を加速させ、インフレ急騰を引き起こすような政策は行うべきでないとくぎを刺し、経済の長期的な生産能力を拡大させる政策を提唱している。また、議員らに対し、財政政策の変化がもたらす影響について注意深く評価するよう求めている。

 議長はさらに、失業率が4.6%に下がったいま、新たな財政出動は「明らかに必要ない」が、「生産性の伸びを加速させることは(引き続き)重要だ」と語った。

3.FRBは動きが遅すぎるのか

 大統領選が終わって以降、株価の上昇はとどまるところを知らず、債券利回りは上昇し、ドル高が進んでいる。FRBは今回のFOMCで政策金利の引き上げを決め、2017年は3回の利上げを見込んでいるが、金利は依然として比較的低い水準にとどまっているため、その経済成長押し上げ効果はまだ消えていない。アナリストの間では、FRBは動きがあまりに遅く、経済を刺激しすぎてインフレ台頭や危険な資産バブルの発生を招きかねないとの見方もある。だがイエレン議長は違う意見で、「われわれが後手に回っているとは思わない」と述べた。金利を低く維持すれば、労働市場に戻る人が増えてインフレ率がFRB目標の2%へ押し上げられる可能性があるとし、「われわれは目標達成に向けて順調に進んでいる」と話した。

4.イエレン議長の去就

 議長は18年2月までの議長としての任期が終了した後も理事としてFRBにとどまる可能性を否定しなかった。議長の任期は4年だが、理事の任期は14年間だ。イエレン氏は10年に理事に就任し、14年に議長に指名された。つまり、2期目の議長に再任されなくても24年まで理事としてFRBに在籍できるということだ。FRB議長は議長としての任期が終わった時点でFRBを離れるのがこれまでの慣例だ。だが、イエレン議長はこの慣例に従う意向なのかどうかについて、「それをまた別の機会に判断する」と明らかにしようとしなかった。

5.インフレ率の上昇をどこまで容認するか

 インフレ率が4年余り目標の2%を下回っているため、その埋め合わせとしてFRBは目標を超える水準まで上昇を容認するとの見方が広がっていたが、イエレン議長はこうした観測に冷や水を浴びせたようだ。議長は10月の講演で、「高圧経済」をしばらく維持することで生じる影響について調査を推奨したが、14日には、高圧経済を提唱しているわけではないと強調した。経済を急成長させれば、インフレ率が押し上げられ、FRBは急ピッチな利上げを強いられる恐れがあり、ひいては景気を悪化させることになりかねない。議長は会見で、「高圧経済を発生させることに賛成だとは一度も言わなかった」と述べた。この発言は、インフレが加速すれば議長がためらうことなく徐々に金利を上昇させる可能性があることを示唆している。

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【寄稿】FRBの「ドット・チャート」、7つの改善案
新興国市場、先行き決めるのはFRBよりも政治
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コラム:FRB、トランプ政権で利上げペース加速圧力に直面

Gina Chon

[ワシントン 14日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長や他の幹部はこれまで、利上げの見通しについては慎重な姿勢を示してきた。しかし、米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利して以降、金利や株価の上昇は加速しており、今後、利上げペースを速めるといった、よりタカ派的な対応を迫られるかもしれない。

FRBは2016年最後の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げを決定。FRB幹部はこれまで2017年の利上げに関しては慎重姿勢を維持し、世界経済の先行き不透明感を受け、見込まれる利上げ回数を3回から2回に減らしていたが、14日には逆に3回へと上方修正した。

背景には安定的な経済成長が続いていることが挙げられ、たとえば7─9月期の実質経済成長率は年率3.2%増へと加速し、ここ2年で最高を記録。11月の失業率は4.6%と2007年8月以来の低水準だ。

もっと楽観的な経済指標もある。米10年債の利回りは大統領選の翌日に3年強ぶりの高水準である2%超へと跳ね上がり、12月13日は約2.5%で取引を終えた。変動の大きい食料とエネルギーを除いたコアベースでの個人消費支出(PCE)物価指数は10月に前年同月比1.7%上昇し、総合指数も1.4%上昇。いずれもFRBが目指す2%を下回ってはいるものの高水準にあり、賃金上昇に合わせて一段の上昇が見込まれる。

株価も最高値を更新している。S&P総合500種は大統領選後5%近く値上がりしている。トランプ氏が表明している大規模なインフラ投資や減税への期待が背景だ。

イエレン議長はトランプ氏が勝利後の米議会証言で、財政政策がどこまで経済成長を後押しするのか、見通しははっきりしないと指摘。FRB幹部も今後の見通しは、トランプ氏がどのような政策を打ち出して、議会が実際に承認するのか次第だと述べている。

ただ、今後も物価や経済指標の改善が続けば、FRBに対する利上げ圧力が高まることが予想される。イエレン議長は金利の引き上げペースを加速させる判断を迫られるかもしれない。

●背景となるニュース

*FRBは14日、フェデラル・ファンド(FF)金利をこれまでの0.25─0.50%から0.50─0.75%に引き上げることを決めた。利上げは、ゼロ金利政策の解除を決めた昨年12月以来となる。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
http://jp.reuters.com/article/frb-trump-idJPKBN14332W


FOMC:財政政策織り込めば金利予測上昇へ−市場関係者の見方
守護清恵
2016年12月15日 07:03 JST 更新日時 2016年12月15日 08:45 JST

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米連邦公開市場委員会(FOMC)は13、14両日に定例会合を開き、政策金利を0.25ポイント引き上げて0.5−0.75%のレンジとした。今回の景気拡大局面での利上げは、昨年12月に続いて2度目。声明でインフレ期待が「かなり」上昇したと指摘したほか、労働市場がタイト化しているとの見方を示唆した。FOMC参加者の2017年の利上げ予測中央値によると、来年は0.25ポイントの利上げが3回実施される。9月会合後に示された予測中央値では、来年の利上げは2回とみられていた。
  これについて市場関係者は以下のようにコメントした。
◎米経済は財政出動による刺激をもはや必要とせず−元FRB副議長
  ブラインダー元米連邦準備制度理事会(FRB)副議長は「ほとんど懇願に近い形で」財政サイドからの支援を金融政策担当者は何年も求め、共和党がその実現を拒んできたが、トランプ氏が次期米大統領に選出されたことで、もはや必要でない財政刺激策を後押しする動きが突然現れたと語った。ブルームバーグテレビジョンで発言した。
  FRBの独立性に「大きな懸念」を抱いているとブラインダー氏。
  われわれは完全雇用に近い状態にある。
  財政支出拡大で景気が一時的に高揚すれば、失業率が安定的な水準を下回る一方、インフレが加速し、FRBは自らの予測を上回る利上げに動く可能性がある。
◎FOMC金利予測、財政政策織り込む当局者増えれば上昇へ−ドイツ銀
  FOMCメンバーで金利予測時に財政出動見通しを加味する用意があったのは全員ではないため、「トランプノミクス」の詳細が織り込まれた時点でドットはさらに上昇すると、ドイツ銀行のストラテジスト、アラン・ラスキン氏が電話インタビューで述べた。
  財政政策について「先回りし過ぎることを当局は望まないとしても、これはどう考えても一段とタカ派方向へのシフトだった」。
  「市場はようやくドットに向かいつつある」。
  市場はこれまでFOMC予測に対し「明確に独立した」見方を示していただけに「これは間違いなく基調の変化だ」。
  ドル高をFOMCの道筋を阻む大きな懸念材料とは見なさない。2017 年に3回の利上げは「全くとっぴではない」。
◎イエレン議長の17年予測修正に関する発言は「やや驚き」−ソシエテG
  イエレンFRB議長が2017年の予測修正に関し、失業率の低下やインフレ期待の上昇だけでなく、一部当局者が財政政策の多少の変化を織り込んだことも一部関係すると説明したことについて、ソシエテ・ジェネラルのエコノミスト、オメイア・シャリフ氏はこのコメントに驚いたと述べた。
  打ち出される財政政策の具体的内容が分かるまでは先行きの見通しを変え ないと複数の当局者がこれまで述べていたため、一部当局者が財政 政策を考慮していたのは予想外だった。
  FOMCはインフレがもう少し加速するとの確信を明らかに示した。
  ソシエテは2017年の利上げを引き続き6月と12月の2回と予想。
  最大の不確定要素は減税など可能性のある財政政策からの影響だ。
◎金利市場にかなりの楽観論、オーバーシュートか−プルデンシャル
   2.5%付近の米10年国債利回り水準は幾分戻すこともあり得るが、短期レンジの上限に達しつつあるようだと、プルデンシャル・ファイナンシャルの債券部門チーフ投資ストラテジスト、ロバート・ティップ氏が指摘した。
  米経済がさほど力強くはなく、ドルが上昇しているほか、新たな刺激策が実行されるにしてもそれまでにタイムラグがあることから、「米金融当局へのタカ派的な見通しは当面、最高水準付近にある可能性」。
  「多くの楽観論が織り込まれているようで、金利と通貨の調整期間に入る公算が大きい。われわれはオーバーシュートしている可能性」。
◎グロース氏:利上げで金融株や銀行株の上昇に終止符−CNBC
  ビル・グロース氏はCNBCとのインタビューで、米金融当局による利上げで少なくとも短期的には銀行株と金融株の上昇に終止符が打たれたと述べたほか、以下のようにコメント。
  金利上昇は銀行の利益率を縮小。
  利回り曲線は一段とフラット化へ。
  ボラティリティの売りは向こう1年に4−5%のリターンを得る鍵であり、グロース氏の会社の目標。
◎FOMCの金利予測、トランプノミクス歓迎とは言えず−三菱東京
  来年のFF金利誘導目標の予想中央値が若干上昇したのは、3−4%のGDP伸び率を目指すトランプ氏のプランへの「際立った信任投票とは必ずしも言えない」と三菱東京UFJ銀行のエコノミスト、クリス・ラプキー氏が電子メールでコメント。
  FOMCの17年実質国内総生産(GDP)伸び率予測の中央値は2.1%と9月時点の2.0%から上方修正、18年は2%で変わらず。
◎FOMCの金利予測分布図の変化は妥当−BofA
  米金融当局は経済成長が継続し大きな下向きの衝撃はないとの想定で行動していると、バンク・オブ・アメリカ(BofA)のエコノミスト、ミシェル・マイヤー氏が指摘した。
  金利予測のドットが上方修正されたのは最近の指標だけでなく、下振れリスクが和らいだとの一部の見方を反映。
  イエレンFRB議長は変化を「控えめ」と呼び重要視せず。
  BofAは来年の利上げは1回と予想し、9月の実施見込む。リスクは明らかに見通しの上振れ。
◎FOMCは6月に財政出動の影響取り上げる公算大−バークレイズ
  バークレイズのエコノミスト、マイケル・ゲーペン氏はインタビューで、「今日の段階で財政出動の可能性に伴う金融政策動向への影響を取り込むのは時期尚早」と指摘し、3月もしくは6月の方がトランプ次期米大統領のプランが明確化され財政政策の影響を評価する上でより適切なタイミングになるとの見方を示した。
  17年3Qより前に大型の財政刺激策をまとめるのは「極めて困難だろう」。 
  今回のFOMCは金利予測分布図の上方修正からみて「タカ派への傾斜」。 
  FOMCが予測通りに来年3回利上げするなら、6月と9月と12月の会合で行うとゲーペン氏は予想。 
  ドルが大幅上昇する場合は利上げサイクルが鈍り、利上げの軌道が平たんに。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-14/OI5Y8W6JTSEE01



イエレン議長:米利上げ決定を高らかにうたう−労働市場の復活受け
Craig Torres、Jeanna Smialek
2016年12月15日 12:13 JST

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金融政策はほぼ目標に向かっているとFOMC後の記者会見で発言
過去最高に近い株価でも、株式投資の利益率は通常の範囲内にある


イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の目にも、労働市場は復活を遂げたと映ったようだ。
  イエレン議長は14日、0.25ポイントの利上げを決めた連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、経済は堅調で一段の改善が見込まれるとして、来年も追加利上げが可能になるとの見方を示唆した。今回の利上げ決定を高らかにうたい上げた形で、数少ないケースだ。
  議長はまた、労働市場での完全雇用の達成には恐らく財政刺激策は不要と述べるとともに、インフレ率が当局目標の2%に近づき、金融政策はほぼ目標に向かっていると指摘。過去最高値近くにある米株価に心配はないかとの質問にも、株式投資の利益率は通常の範囲内にあると答えた。
  イエレン議長は「米経済は力強い軌道にあると、われわれ当局者が判断した点を家計と企業が理解することが重要だ」と語り、「労働市場は堅調で、経済には回復力がある」との見方を示した。
  就任から3年近くとなるイエレン議長にとって、これでようやく2回目の利上げだ。漸進主義の戦略を裏付けるものであり、それはFOMC声明でも鮮明だ。実際、金融当局者はトランプ次期政権の成長加速に向けた施策を見守りながら、その評価を急ぐことはない姿勢といえる。
  JPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェロリ氏(ニューヨーク在勤)は「労働市場で続いてきた回復と、経済成長が極めて回復力に富むと見受けられる点を明確に認めたものだ」と論評。「財政政策をめぐっては、静観のアプローチを取るという、ほぼ予想されたものだった」と解説した。
原題:Yellen Takes Post-Hike Victory Lap With Labor Market Great Again(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-15/OI7HAV6TTDS901


FOMC:政策金利0.5〜0.75%のレンジに上げ、来年は3回と予測
Jeanna Smialek
2016年12月15日 04:20 JST 更新日時 2016年12月15日 07:46 JST

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「なお緩和的政策」は労働市場の強さをやや増し、物価目標達成を支援
利上げ決定は7月以来初の全会一致


米連邦公開市場委員会(FOMC)は13、14両日に定例会合を開き、政策金利を0.25ポイント引き上げて0.5?0.75%のレンジとした。今回の景気拡大局面での利上げは、昨年12月に続いて2度目。声明でインフレ期待が「かなり」上昇したと指摘したほか、労働市場がタイト化しているとの見方を示唆した。FOMC参加者の2017年の利上げ予測中央値によると、来年は0.25ポイントの利上げが3回実施される。9月会合後に示された予測中央値では、来年の利上げは2回とみられていた。
  FOMCは声明で「なお緩和的な金融政策は労働市場がやや一層力強さを増すこととインフレ率の2%への回帰を支えていく」と指摘した。声明文に「やや(Some)」を加えたことは労働市場の改善余地が小さくなっていると当局が考えていることを示唆している。さらに、前回声明で使った「改善」という文言を「力強さ」に置き換えた。
会見するイエレン議長(14日)
会見するイエレン議長(14日) Photographer: Pete Marovich/Bloomberg
  インフレ率が金融当局の目標である2%に向けて上昇し、失業率は低下を続ける中で、トランプ次期大統領は成長促進に向けた減税とインフラ投資を表明しており、利上げペースの加速を正当化する可能性がある。
  利上げは財政拡大の影響を弱める力があるが、声明は財政政策の変更について言及していない。
  イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は記者会見で、財政拡大は完全雇用を達成する上で必要ないかもしれないと発言した。ダウ工業株30種平均が節目の2万ドルに近づく中、議長は株式市場の収益率は過去のレンジ内にあるとの認識を示した。
  トランプ次期大統領が1月の就任を控えて準備を進める中、イエレン議長は自身の将来についても示唆した。2018年2月に4年間の任期が満了する議長職を務めあげる意向をあらためて表明した。ただ、議長を再任されなかった場合、FRBに理事として残るかどうかについては「判断は後日に譲る」と述べるにとどめた。
  ブルームバーグニュースがエコノミストを対象に実施した聴き取り調査では回答者103人全員が今回の利上げを予想していた。8ー12日に実施した別の調査では回答者41人の平均で2017年の利上げ回数は2回と予想された。
  今回の利上げ決定は全会一致。FOMCの政策決定で反対票がゼロになったのは7月会合以来初めて。
  声明は最近の情報では、「労働市場が引き続き力強さを増し、経済活動は年央以降に緩やかなペースで拡大していることが 示唆された」と記述。「雇用の伸びはここ数カ月堅調」で、「家計支出は緩やかに伸びているが、企業の設備投資は軟調な状態が続いた」との判断を示した。
  経済見通しへの短期的なリスクについては「おおよそ均衡」しているように見受けられると指摘した。
  FOMC参加者が適切だと考える政策金利の予測中央値は2017年が1.375%、18年は2.125%。17、18両年とも0.25ポイントの追加利上げが3回あると想定されている。
  経済成長や失業率、今後3年のインフレ率の見通しについては9月の予測からほとんど変わらなかった。17年の国内総生産(GDP)予想は2.1%増と、前回の2.0%増からやや上向いた。
  17年の失業率予測は4.5%。今年11月の失業率は4.6%と、9年ぶりの低水準だった。
  長期のFF金利見通しは中央値で3%と、9月の2.9%から小幅に引き上げられた。この予想は下降トレンドにあった。
原題:Fed Raises Rates, Boosts Outlook for Borrowing Costs in 2017 (2)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-14/OI6W5Q6VDKHS01

 


企業のCPI見通し、1年後+0.7%に上昇 2%目標には距離

[東京 15日 ロイター] - 日銀が15日に発表した12月調査の日銀短観における「企業の物価見通し」によると、企業が想定する消費者物価(CPI)の前年比上昇率は、全規模・全産業の平均で1年後が前年比0.7%上昇となり、前回9月調査から0.1%ポイント上昇した。最近の国際商品市況高や円安などを反映したとみられる。

企業のCPI見通しはこれまで下落を続けてきたが、2014年3月に調査を開始してから初めて上昇に転じた。3年後は同1.0%上昇で横ばい、5年後は同1.1%上昇と前回から0.1%ポイント上昇した。

原油価格など国際商品市況の上昇や、11月の米大統領選でのトランプ氏勝利を受けた円安進行などを背景に企業の物価観にも変化の兆しがうかがえる。日銀が14日に公表した12月短観では、仕入れ価格判断DI(上昇━下落)、販売価格判断DI(同)ともに上昇方向に修正されている。

日銀は9月の金融政策決定会合で、インフレ期待を強めることを狙いに「物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続する」との新たなコミットメントを導入。

11月に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、目標とする物価2%の達成時期を「2018年度頃」としたが、企業の見通しは3、5年後でも1%程度で、隔たりが大きい状況に変わりはない。

同時に公表した各企業の主要な製品・サービスの販売価格見通しは、現在と比べて平均で1年後に0.3%上昇、3年後に0.9%上昇となり、それぞれ前回から0.1%ポイント上昇した。5年後は1.1%上昇と横ばいだった。

(伊藤純夫)
http://jp.reuters.com/article/cpi-boj-di-idJPKBN14404R


ドル・円が10カ月ぶり高値、FOMCが利上げ見通し引き上げ−117円台
池田祐美
2016年12月15日 10:12 JST 更新日時 2016年12月15日 15:52 JST

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一時は117円86銭と2月4日以来の高値、韓国ウォンが下落
ドル買い一巡、問題は金利高に株が耐えられるか−三菱東京UFJ銀

15日の東京外国為替市場で、ドル・円相場は10カ月ぶりの水準となる1ドル=117円台後半まで上昇した。米連邦公開市場委員会(FOMC)で来年の利上げ見通しが引き上げられ、事前予想と比べて利上げペースが速くなると受け止められたことが背景。
  午後3時48分現在のドル・円は、前日比0.5%高の117円64銭。午前に一時117円86銭と2月4日以来のドル高・円安水準を付けた。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時1265.86とデータの提供を開始した2004年12月以降で最高水準に達した。
  三菱東京UFJ銀行金融市場部為替グループの野本尚宏調査役は、ドル・円相場について、「朝方の強烈な買いは一巡して、いったんは落ち着いてきたように見える」と指摘。「日経平均は一度マイナスになったが、円安効果が上回ったのかプラスに転じている。今後は欧州株や米株、新興国株の状況が気になるところ」と述べた。
  15日の東京株式相場は上昇。日経平均株価は前日比20円18銭(0.1%)高の1万9273円79銭と、終値ベースで昨年12月以来の高値で取引を終えた。
  FOMCは13、14日に開いた定例会合で、政策金利を0.5?0.75%に25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き上げた。利上げ幅は市場の予想通りだったものの、FOMC参加者の政策金利予測(中央値)に基づく来年の想定利上げ回数が3回と前回予測の2回から増えたことを受けて、ドル買いが強まった。
  みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、「全般的に景気の見通し、GDP(国内総生産)、ドットを含めてタカ派というか前向きというところが影響している」と説明した。

  前日の米国市場で2年債利回りは一時1.27%と09年8月以来の水準まで上昇。10年債利回りは10bp上昇の2.57%で終了した。一方、米国株は下落し、S&P500種株価指数は前日比0.8%安の2253.28ドルで引けた。
  ドイツ証券外国為替営業部の小川和宏ディレクターは、「今回のFOMCのメッセージは、ビハインド・ザ・カーブにならないという話。声明文や見通しをみると、経済成長、インフレ率、政策金利見通しドットがいずれも引き上げとなっている」と説明。「成長とインフレ率は非常に緩やかな引き上げ。これに対してドットは来年の利上げが2回から3回に引き上げられている。米利上げペースを速めると言っている」と語り、来年は第1、2、3四半期に1回の利上げの可能性があると見込む。
  一方、三菱東京UFJ銀の野本氏は、「今後は実際の財政政策を見ながら対応していくことになると、結局はビハインド・ザ・カーブ的にドットを引き上げていかざるを得ないかもしれない。米金利は上昇しやすい。また年末のドル調達需要も見込まれるため、フォワード経由で長いところの金利も上がりやすくなる。問題はこうした急激な金利の上昇に株が耐えられるかだ」と分析。「昨日下落した米株や今晩の欧州株が上昇するようなら、ドル・円は早い段階で120円まで上昇してしまうリスクがある」としながらも、「株が崩れるようだと118円がいったんのピークということもあり得る」と述べた。
  
FOMCのドット・プロット(金利予測分布図)に関する記事はこちらをクリックしてください
イエレンFRB議長
イエレンFRB議長 Photographer: Pete Marovich/Bloomberg
  ユーロ・ドル相場は同時刻現在、0.4%安の1ユーロ=1.0492ドル。一時1.0468ドルと15年3月以来の水準までユーロ安・ドル高が進んだ。ポンド・ドル相場は一時1.2514ドルと1日以来のポンド安・ドル高水準を付けた。イングランド銀行(英中央銀行)は15日、金融政策を発表する。
  ドイツ証の小川氏は、米独の金利差が拡大してきていることを挙げ、「今回FOMCを受けて、ユーロはもっと下げると思う」と指摘。「英中銀は中立姿勢。ポンドに対してもドルが買われる流れ。ソフトBREXIT(英国の欧州連合離脱)かどうか次第だが、ドルが買われる流れは変わらない」と語った。
  韓国ウォンが対ドルで下落。一時は1183ウォンまで下落し、11月以来の安値を付けた。韓国銀行(中央銀行)は15日、金融通貨委員会で政策金利である7日物レポ金利を1.25%に据え置くことを決めた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-15/OI7C0D6KLVR401


日本株上昇、米FOMC後の円安を好感−自動車や精密、海運買われる
佐野七緒
2016年12月15日 08:01 JST 更新日時 2016年12月15日 15:39 JST

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FOMCは来年に3回の利上げ予想、為替は1ドル=117円台
高値警戒感やイベント通過後の売りが上値を抑制


15日の東京株式相場は上昇。米国の連邦公開市場委員会(FOMC)が来年も複数回の利上げを見込み、為替がドル高・円安に振れたため、企業業績の改善を見込む買いが入った。自動車や精密機器など輸出株の一角、海運株が買われ、小売株も高い。
  TOPIXの終値は前日比4.03ポイント(0.3%)高の1542.72と反発。日経平均株価は20円18銭(0.1%)高の1万9273円79銭と8営業日続伸した。
  アムンディ・ジャパンの浜崎優市場経済調査部長は、「一時1万9500円に近づき高値警戒から利益確定売りが出たが、それでもドル高・円安が進行しており、買い戻された。円高リスクがなくなっていることが業績に対する安心感につながっている」とみる。米国の利上げ見通しの回数が増えることは、「短期的には新興国への影響も懸念されるが、米国経済の堅調は新興国経済を押し上げる」と言う。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ivalx7Ahgnzc/v2/-1x-1.png

東証アローズ Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  FOMCは14日に政策金利を0.25ポイント引き上げ、0.5−0.75%のレンジとした。声明では、インフレ期待が著しく上昇したと指摘。労働市場がタイト化しているとの見方も示し、2017年の利上げ回数の見通しを9月時点の2回から3回に増やした。
  FOMC後の米金利上昇とドルが買われた流れから、きょうのドル・円相場は一時1ドル=117円86銭と2月4日以来のドル高・円安水準に振れた。前日の日本株終値時点は115円17銭。午後はおおむね117円20ー50銭台で取引された。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の調べによると、同証が調査対象とする銘柄(金融除く全産業)の為替影響度は1円の円安につき、営業利益は0.73%増加する。
  いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、トランプ次期米大統領の政策実行で「来年末には125円まで円安が進む可能性がある。来期10%の増益も見込まれる」と話している。

  一方、14日の米国株は、S&P500種株価指数がエネルギー株や公益株中心に0.8%安と下落。15日のアジア株は、中国上海総合指数は一時0.9%安となるなど軟調。岩井コスモ証券投資情報部の堀内敏一課長は、FOMCの利上げ見通しが3回に増え、景気見通しも引き上げたため、「良い金利上昇と捉えられているのか、マイナスなのか、今晩の米国株で確認したいとの見方もある」と指摘。今後のマネーフローの動向を見極めたいとの姿勢や高値警戒感、重要イベント通過後の売りに押され、午前終盤から午後前半の主要株価指数は一時マイナス圏で推移する場面もあった。
  東証1部33業種は海運、輸送用機器、精密機器、小売、倉庫・運輸、銀行など21業種が上昇。鉱業や石油・石炭製品、建設、その他製品、鉄鋼、情報・通信など12業種は下落。鉱業や石油は、14日のニューヨーク原油先物が3.7%安と急反落した影響を受けた。東証1部の売買高は23億2463万株、売買代金は2兆8103億円。上昇銘柄数は1115、下落は745。
 
  売買代金上位では、臨時株主総会を経て新経営体制が発足した三菱自動車、ジェフリーズ証券が投資判断を上げた日東電工が高く、トヨタ自動車やマツダ、HOYA、日本郵船も上げた。半面、クレディ・スイス証券が投資判断を2段階下げたIHIが売られ、任天堂や東京電力ホールディングス、コマツ、国際開発帝石、JXホールディングス、国際石油開発帝石も安い。
関連ニュース:JPX日経中小型株指数の採用銘柄が買われる

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-14/OI75O86KLVRK01


 


NY金、10カ月ぶり安値圏 市場関係者に聞く
2016/12/15 11:56 
 米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ実施を受け、ニューヨーク市場の金先物相場は急落した。日本時間15日午前の時間外取引では1トロイオンス1140ドル台で推移し、約10カ月ぶりの安値圏にある。今後の金相場の行方を市場関係者に聞いた。

■「今が底値、来年はインフレ懸念などで反発」

 豊島逸夫・豊島&アソシエイツ代表

 米国の利上げに伴う金の下落を市場は織り込んでおり、想定内の下げ幅だ。逆に今回の利上げで弱材料が出尽くし、年内は1トロイオンス1130〜1140ドルで推移するだろう。

 市場の関心は金相場が反転をうかがう来年の世界経済の行方に移る。トランプ次期大統領が打ち出している米国の財政出動は財政赤字となりドル売り・金買いの転機になるかもしれない。

 米国でのインフレ懸念も金相場の反発材料だ。賃金の上昇や財政出動に加え、原油価格も上昇してきた。インフレヘッジ(回避)の金買いが活発になると予想する。新興国経済の減速や欧州混乱のリスクも有事の金買いを意識させるだろう。

■「米連邦準備理事会(FRB)の積極姿勢で金急落、今後はトランプ政策次第」

上野剛志・ニッセイ基礎研究所シニアエコノミスト

 FRBが利上げに踏み切ったのは市場の予想通りで、驚きではなかった。一方、政策金利見通しで2017年に3回の利上げを見込み、FRBが利上げに積極的な姿勢を示した。金利が上昇すると、金利のつかない金の魅力は低下する。

 今後はトランプ米次期大統領の政策次第だ。市場はトランプ氏のインフラ投資などの財政拡大路線が米国の景気や株価を押し上げるとの見方を織り込んでいる。大統領に就任し、政策のかじ取りをうまくこなせば、米景気は底堅さを増す。利上げペースが速まれば、金相場の押し下げ材料になる。

 ただ、トランプ氏の政策への過度な期待は、いずれ剥落するだろう。FRBは17年に3回の利上げを見込んだが、米景気が急ピッチで良くなることは考えにくく、個人的には3回の利上げは難しいとみている。金が1トロイオンス1100ドルを割ることは考えにくい。

 17年にはオランダ議会選、仏大統領選、ドイツ議会選がある。反欧州連合(EU)勢力が政権を樹立し、ヨーロッパに混乱がおこるという政治リスクが意識され、比較的安全な資産とされる金価格の上昇要因になるだろう。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDJ15H0O_V11C16A2000000/
http://gold.mmc.co.jp/market/gold-price/


 


韓国中銀、政策金利を据え置き 政治混乱や米利上げで
[ソウル 15日 ロイター] - 韓国銀行(中央銀行)は15日、政策金利を過去最低の1.25%に据え置いた。据え置きは6カ月連続。市場も据え置きを予想していた。

李柱烈(イ・ジュヨル)総裁が0220GMT(日本時間午前11時20分)から会見する。

ロイター調査では、アナリスト20人中全員が今回の据え置きを予想していた。また、大半が国内の政治スキャンダルや海外の不透明要因を理由に当面の据え置きを予想している。

韓国国会は9日、朴槿恵大統領の親友による国政介入疑惑をめぐり朴氏の弾劾訴追案を賛成多数で可決した。憲法裁判所が180日以内に、同措置の是非を判断する。

未来アセット大宇証券の債券アナリスト、Yoon Yeo-sam氏は、来年末までの政策金利据え置きを予想。「米利上げペースの見通しが従来より速まり、韓国経済が直面する下方リスクもある。しかし、中銀が利下げするのは容易ではない」とし、国外への資金流出に懸念を示した。

15日午前の韓国ウォンとソウル株式市場は、米利上げのペースが加速するとの見方から下落。

企画財政省の崔相穆(チェ・サンモク)次官は、米利上げ決定を受けて金融市場のボラティリティーが高まる可能性があるとし、韓国政府は引き続き最大限の警戒を続けると述べた。

*内容を追加しました。
http://jp.reuters.com/article/korea-interest-rate-idJPKBN14404F
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/737.html

[政治・選挙・NHK217] 年金給付抑制へ一歩 支給額は賃金連動、デフレ下では制約 17年度税収、今年度超えへ 賃金・雇用格差、新しい現象ではない 
年金給付抑制へ一歩 支給額は賃金連動、デフレ下では制約
2016/12/15 1:17

 年金の給付をいまより抑える新しいルールを盛り込んだ改正国民年金法が14日、成立した。現役世代の賃金が下がったときに、高齢者が受け取る年金の額も減るのが特徴だ。将来世代の年金を確保するための改革だが、課題はなお多い。
 改正法の柱は2つある。1つは賃金や物価の変動に合わせて年金の支給額を増やしたり減らしたりする「賃金・物価スライド」の見直しだ。

http://www.nikkei.com/content/pic/20161215/96958A9E889DE3E2E4E5E7E5E3E2E3E7E3E0E0E2E3E49793E0E2E2E2-DSXKZO1067573015122016EA2001-PB1-6.jpg

 日本の年金は高齢者がもらう分を、その時代の現役で働く世代が賃金から支払う保険料や積立金などで賄う「仕送り方式」を採っている。賃金が下がればその分、現役世代の負担は重くなる。
 しかし、いまは賃金が下がっても物価が上がったときには、年金の額を据え置いている。賃金の下がり方が物価より大きい場合も、物価に合わせて年金額を変えている。
 これを2021年4月から、賃金の下落に合わせて支給額を減らす新しい仕組みに切り替える。現役世代が賃金の下落で保険料を負担する能力が落ちた場合、それに応じて高齢者の年金も減らして痛みを分かち合うようにする考え方だ。
 改正法のもう一つの柱は、年金支給額の伸びを賃金や物価の上昇分より抑える「マクロ経済スライド」の見直しだ。
 04年に導入したマクロ経済スライドは少子高齢化で保険料を納める現役世代が減るのに合わせ、物価や賃金が伸びている間は毎年およそ1%ずつ年金額を抑えて制度の持続性を高める仕組みだ。

http://www.nikkei.com/content/pic/20161215/96958A9E889DE3E2E4E5E7E5E3E2E3E7E3E0E0E2E3E49793E0E2E2E2-DSXKZO1067572015122016EA2001-PB1-6.jpg

 物価が下落しているデフレ下では適用しないため、過去に発動した例は15年度の1回しかない。
 政府は年金制度を長持ちさせるためには、年金額が現役世代の給料に占める割合である所得代替率を50%程度まで落とす必要があるとみている。だが、年金の抑制が進まなかったため、足元の所得代替率は6割を超す。
 今回の改正では、物価が下落している局面では年金支給額の抑制を凍結する代わりに、物価が上昇に転じたときには18年度から複数年分まとめて抑制できるようにする。
 もっとも、物価が下がり続けている局面では発動できないことに変わりはない。物価の下落に歯止めがかからなければ、発動できなかった抑制分がたまる一方となる事態も考えられる。大和総研の鈴木準主席研究員は「経済情勢に関係なく、毎年給付額を少しずつ抑えられる仕組みが望ましい」と指摘する。
 改正法には、来年4月から中小企業のパートタイム労働者などが労使で合意すれば厚生年金に加入できるようになる項目も盛り込まれた。公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のガバナンスも強化する。理事長と外部有識者で構成し、重要事項を決定する経営委員会を設ける。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO10675710V11C16A2EA2000/ 

 

17年度税収、今年度超えへ 企業業績の回復見込む
2016/12/15 13:38日本経済新聞 電子版
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 財務省は2017年度の国の税収について、57.6兆円だった今年度の当初見積額を上回る水準とする。今年度は年前半の円高で法人税収が振るわず、1.7兆円減の55.9兆円前後に下方修正する。足元の為替相場は円安基調となっており、来年度は企業業績が回復すると見込んだ。

 来年度税収は今年度当初予算の見積もりと比べ0.1兆円増となる57.7兆円とする案で調整している。足元の為替相場の動向によってはさらに上振…
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS15H19_V11C16A2EB1000/

賃金・雇用格差、新しい現象ではない FRB議長会見要旨(3)
2016/12/15 7:30
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 ▼製造業の雇用と貿易政策

 議論に立ち入るつもりはない。しかし、技術革新とグローバリゼーションによって害を被る労働者がいる点を認識することが重要であり、政策決定者がそうした人々の懸念に対処する必要があると考える。

 ▼量的緩和で膨らんだFRBのバランスシート縮小のための条件

 (金融政策の)正常化の指針の中で、証券の売却ではなく主に元本の再投資をやめることで長期的に資産規模を減らすだろうと表明している。FF金利が通常の水準に戻り(正常化が)軌道に乗れば、ポートフォリオの縮小を始めると示している。これに関しては詳細な決定はまだ行っていない。その過程でどの水準のFF金利を適切と見なすかに関しては機械的な規則はない。

 ▼大統領選挙の結果を受け、経済の評価法に関して見方を変えたか

 賃金格差、所得格差の広がりという憂慮すべぎ傾向があることを長らく承知してきたし、以前から話していた。これは長年にわたる問題であり、新しい現象ではない。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN15H0U_V11C16A2000000/



「トランプ政権後の変化見守る」 イエレン議長会見
2016/12/15 7:47
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 ▼次期大統領によるFRBの金融政策への関与について

 次の大統領に助言をもらおうとは思っていない。私はFRBの独立性を信じている。FRBは議会から独立し、雇用の最大化と物価安定の実現という使命達成のため、金融政策を決めることができる。私も委員会もその点に集中している。

 ▼次期大統領は金融規制の緩和を主張しているが、FRBは何か助言しているのか

 我々のスタッフはトランプ氏の政権移行チームと連絡をとりあっており、当然円滑な移行が進むよう協力している。それ以上の関与は我々の仕事ではない。米国は経済に大きなダメージを与えるひどい金融危機を経験した。議会のほとんどのメンバーがその経験をしたことで、より安全でより強固な金融システムの構築が大切だと感じていた。金融危機から6〜7年経つが、それがドッド・フランク法(金融規制改革法)だ。

 不確実性を減らすことが大切だ。金融システム上重要な企業に対し、高い自己資本や流動性を持つことを求め、ストレステストを受けることで、たとえ将来大きな危機が起きたとしても家計や企業が影響を受けないということを証明する必要がある。巨大な金融機関は危機前に比べ、かなり多くの自己資本を持つようになった。これは大きな変化だろう。

 特に金融システムに影響の大きな金融機関に対しては、厳しい規制をかけてきた。私はこれまで地域銀行や小さな金融機関に対しては、規制緩和する道を探すことが大切だと言ってきた。

 同時に「(金融機関が)大きすぎてつぶせない」という状態を終わらせることにも、広い合意があると思っている。システム上重要な金融機関が破綻する可能性を減らすだけではなく、万が一破綻する場合にも秩序だった手順でやるということだ。そのためにリビング・ウィル(破綻処理計画)がある。

 巨大かつシステム上重要な金融機関が日々のビジネスをやる上で、彼らのビジネスが大きな負の衝撃を受けた時にどうなるかを考えておくことについて、大きな進展があったといえる。これを後戻りさせないことがとても大切だ。

 ▼トランプ氏の当選で株高・ドル高が進むなど市場が大きく反応した。トランプ氏の経済政策について委員会で議論したか

 今後の経済政策が変わるであろうことと、その影響について議論した。金融政策に影響を与える場合には、世界経済の状況や原油価格など他の問題と同様に対応していかなければならない。もっとも現時点では不確かな部分が多い。今後どのような変化が起きるのか見守り、内容がわかってくればそれを政策決定に反映していくことになる。

 市場は新政権の経済政策が持つ影響を前向きにとらえて動いているように見ている。特に株価や金利の上昇、ドル高については、多くの市場関係者が財政が拡大すると見て進んでいる。しかし、市場関係者だって何が起きるかわかっていない。そして、変化の中身を理解した時にも市場は動くとみている。

 ▼労働市場のスラック(たるみ)はいつ消えるか

 正確に推測できるものではない。私の同僚は長期の失業率の予測を出したが、その中央値は4.8%だった。現在の労働市場はその予想をわずかに下回っているが、近くにいる。パートタイムで就業している人や職探しを諦めた人などを含む広義の失業率のように、スラックをより広くとらえれば依然高い水準にあるが、かなり改善はしてきた。

 労働市場を幅広い指標でとらえる必要がある。求人数や雇用率などを見れば、労働市場はすでに完全雇用に近かった危機前の2007年の水準にあるといえる。

 ▼トランプ氏は選挙戦中からイエレン議長の低金利政策を批判してきたが、打診されれば議長職を2期目も続ける考えはあるか

 まず私は上院から4年間の任期を与えられている。FRB議長の仕事は大統領の任期と一致しているものではない。これはFRBの独立性を担保する仕組みでもある。したがって、私は4年間の任期を全うするつもりだ。将来については何も決めていないし、再任されるかどうかはわからない。私が決めることではないし、今考えることでもない。委員会にとどまるかどうかも、今考えることではない。

 ▼トランプ氏の当選後明らかに投資家の間に広がった楽観ムードを共有しているか

 株価の水準についてはコメントを控えたい。株価は法人減税などの税制改革や景気後退リスクが減ったという期待により、上がっているようだ。しかし、これらのことは市場関係者が金利上昇の進路とあわせて考えるもので、株価の評価額に全てが帰結すると思う。しかし、それが適切なレベルであるかについてはコメントをしたくない。

 ▼ダウ工業株30種平均が2万ドル突破間近というのは、歴史的な水準ともいえるが、問題ないと感じているか

 金利が低い状態にあることを覚えておくべきだ。株価は標準的な範囲にとどまっているとは言ってもいいだろう。

 ▼金融危機後の規制強化で、金融機関の企業文化は変わったか

 巨大な金融機関において、法令順守(コンプライアンス)上の失敗がいくつかあったのは事実で、コンプライアンスや企業文化の立て直しを求める様々な規制強化が進められてきた。これまで我々が数々の失敗を目にしてきたことを考えれば、まだまだ改善の余地はあるだろう。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN15H0W_V11C16A2000000/
http://www.asyura2.com/16/senkyo217/msg/590.html

[経世済民116] ギリシャ危機再燃か、債権団の譲歩期待薄 ユーロ大幅反落 新興市場株大幅安 金融庁、銀行緊急調査 中国影銀、再び急増、懸念

ギリシャ危機再燃か、債権団の譲歩期待薄
ギリシャのチプラス首相。同国の債務危機は再燃寸前のところへ達している

By NEKTARIA STAMOULI AND MARCUS WALKER
2016 年 12 月 15 日 16:11 JST

 【アテネ】ギリシャの危機はこの1年ほど比較的落ち着いていたが、ここにきて再燃が懸念されている。政治力の落ちた政府が債権者の厳しい要求に直面しているからだ。

 支持率低下に見舞われている与党・急進左派連合(SYRIZA)は、2017年の解散総選挙を検討している。債務減免や緊縮策に関してユーロ圏と国際通貨基金(IMF)から譲歩を引き出そうという希望はすでに持っていない。

 ギリシャの政府当局者は、選挙について決定は下されていないとした上で、債権者に再度、柔軟な対応を求め、その後、交渉状況について1月に見直す方針だと語った。

 選挙が行われれば、SYRIZAは不人気の金融支援プログラムの圧力から逃れられる(ギリシャが逃れられるわけではないが)。危機が始まった2009年以降は結局、全ての政権が同プログラムの計算の行き詰まりのため崩壊に追い込まれた。SYRIZA党首であるアレクシス・チプラス首相は前任者らと同様、リセッション(景気後退)で傷を負い緊縮策に疲弊した国において、厳しい財政目標の達成に苦戦している。

 ギリシャの債務危機が17年に再燃すれば、欧州連合(EU)の結束はさらに試されることとなる。EUの政治的既成勢力は、来年予定される一連の主な選挙においてEU懐疑派のポピュリスト政党から挑戦を受ける。ギリシャ危機の再燃に対する欧州政府の関心は低く、それを回避するためギリシャ政府に譲歩する意欲もまた低い。

 苦境に立つチプラス首相は先週、選挙対策と思われる財政措置を打ち出してギリシャ国民と債権者を驚かせた。160万人の年金受給者へクリスマス手当として300ユーロ?800ユーロ(約3万7000?9万8000円)を支給すると約束したのだ。また、付加価値税(VAT)の増税計画についても、中東から難民が押し寄せているエーゲ海諸島では実施を見送っている。EU当局は、チプラス氏の約束がギリシャ支援策の条件と両立するのかどうか見極める方針を示した。

 SYRIZA側は、解散総選挙を来年行えば同党が敗れ、最大野党の新民主主義党(ND)主導で新政権が発足するとみており、予想される選挙での目標は完敗を回避することだとしている。債権者から譲歩を引き出せないまま政権にとどまり続ければ、その危険性もあり得るという。

 SYRIZAは11月まで、債権者団との交渉によってさらなる緊縮を強いられることなく新たな融資が受けられると期待していた。一方、ギリシャの閣僚は、欧州から債務減免の確約を取り付けることで、ギリシャ国債が欧州中央銀行(ECB)の買い入れ対象となり、低迷するギリシャ経済の追い風になると期待した。

 だが、ギリシャ指導部は最も有力な債権者であるドイツとIMFの要求の板挟みとなっていることが、今月の交渉で露呈している。

 ドイツ政府は、ギリシャ債務の小幅な減免以上のことを確約するつもりはない。IMFは、特にドイツがギリシャは大幅な財政黒字を計上すべきだと主張する場合、年金削減を含む政治的に厳しい改革を求めている。

 IMFは欧州に対し、ギリシャのプライマリーバランスの黒字目標を国内総生産(GDP)比3.5%から1.5%へ引き下げるよう要請している。だが欧州諸国の政府は、そうすればギリシャにはさらなる債務減免が必要になることもあって同意に尻込みしている。

 IMF当局は、黒字目標が3.5%にとどまった場合、ギリシャ財政は目標を達成するためにさらなる節減を強いられるとしている。SYRIZA当局は、IMFがいかなる政権であっても決して実現できない節減を求めていると不満を漏らしている。

 緊縮について非難されるのは避けたいIMFは、欧州が財政目標を引き下げればギリシャに対する姿勢を和らげる方針を示している。

 ドイツはIMFのギリシャ支援への参加を確実にしたい考えだ。IMFは2010年以降、ギリシャ救済に関わってきたが、15年に合意された第3次金融支援には署名しなかった。

 ドイツ政府は、ギリシャには一段の経済改革が必要という点でIMFと同意見だが、ギリシャの債務に関しては意見が異なる。ドイツは2018年の支援プログラム終了まで、ギリシャ債務再編の是非や方法について決める必要はないと主張している。IMFは、ギリシャの債務は明らかに持続不可能であり、最終決定は2018年まで先送りされるにしても、どのような債務減免なら受け入れられるのかをここでドイツに明確にして欲しいと考えている。

 IMFとドイツの間で歩み寄りがなければ、ギリシャ政府は報いなく痛みを伴う緊縮の要求に直面し続ける公算が大きい。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjggpbd4vXQAhULzbwKHVPqAKAQFggaMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12340534005287504876604582498123351516722&usg=AFQjCNFxTnDVeEqIdV2VpxfFWeXgLDLd9A&bvm=bv.141536425,d.dGc



スイス中銀、金利据え置き−「多くの」政治的リスクを指摘
Catherine Bosley
2016年12月15日 18:12 JST

スイス国立銀行(中央銀行)は15日、政策金利を据え置くとともに、必要に応じて外国為替市場に介入すると重ねて表明した。世界経済が「多くの」政治的リスクに直面していると指摘した。
  中銀は預金金利をマイナス0.75%に維持した。ブルームバーグの調査に答えたエコノミスト全員が予想した通りだった。
  米国が14日に利上げに踏み切ったことでスイス・フランの上昇圧力が弱まる可能性がある一方、来年はフランスとオランダ、ドイツで国政選挙が予定されており不透明感から安全資産の需要が増すことも考えられる。
  中銀は声明で「多数の先進国・地域での構造的問題が見通しに悪影響を与え得る。それに加え複数の政治的不安定要因がある」とし、次期米政権の政策とユーロ圏の幾つかの国での選挙、英国の欧州連合(EU)離脱プロセスを挙げた。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/is6.V827jlyo/v2/-1x-1.png
原題:SNB Sees ‘Multitude’ of Political Risks as Rate Kept Unchanged(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-15/OI7XY76K50XV01


欧州外為早朝 ユーロ、対ドルで4日ぶり大幅反落 1.04ドル台後半、 円急落
2016/12/15 17:36日本経済新聞 電子版
保存その他
【NQNロンドン=菊池亜矢】15日早朝の欧州外国為替市場で、ユーロは対ドルで4営業日ぶりに大幅に反落して始まった。英国時間8時時点では1ユーロ=1.0480〜90ドルと前日の同16時時点と比べて0.0170ドルのユーロ安・ドル高だった。前日の安値を下回り、2015年3月中旬以来1年9カ月ぶりのユーロ安・ドル高水準で推移している。米連邦準備理事会(FRB)は前日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOM…
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL15HRL_V11C16A2000000/


 

金融庁:米金利急上昇で大手行や地銀に緊急調査−関係者
谷口崇子、Chikako Mogi
2016年12月15日 16:38 JST 更新日時 2016年12月15日 18:14 JST 
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今月に入りアンケートやヒアリングを開始、実態や影響把握へ
経営への影響に対する対応策検討などを注視−金融庁は懸念表明

金融庁が国内の主要な銀行や地方銀行に対し、米国金利急上昇(価格は急落)の影響について緊急調査を始めたことが分かった。日本国債と並び日本の銀行が資金運用先として多額を保有する米国債の価値が急激に大きく目減りすれば、経営に悪影響を与えかねないとして実態把握に乗り出す。
  複数の関係者によると、金融庁は12月に入りアンケート調査やヒアリングを開始。米金利見通しのほか、評価損を抱える米国債を手放すか保有し続けるかなど今後の運用方針についても調べている。また金融庁は森信親長官も出席して今週開いた地銀との定期会合で米金利上昇への懸念を表明。ポートフォリオの適切な管理を促したという。
  邦銀など国内金融機関は、日銀の超低金利政策の下で米国債の保有を増やしていたが、米国では積極財政論者のトランプ次期大統領の選出や、連銀による利上げを受け金利が急上昇、保有資産の目減りに直面している。大統領選前日(11月7日)に1.83%だった米10年債利回りは一時2.58%まで上昇した。  
  日銀統計によると、邦銀全体の10月時点の外債保有残高は53.2兆円と黒田東彦総裁が異次元緩和に踏み切る直前の2013年3月から21%増加。三菱UFJフィナンシャル・グループでは米国債を主とする9月末の外国債券残高が24兆7096億円と国債残高(24兆4148億円)を上回り、残高の逆転現象が起きている。
  邦銀では米国債を中心とした外債保有の増加に伴い、財務への影響も拡大している。今の円安・ドル高基調が反転すれば、損失がさらに拡大する可能性もある。
  SMBCフレンド証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは、10年国債など長期金利までもが一時マイナスとなった日本の金利環境を受け「リスク許容度に見合わない人たちも外債に走っていた」とし、金融庁はそこに懸念を抱いたのではいかとみている。「円安と株高のフォローがある間に金融政策の正常化を進めたほうがいい」と指摘する。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-15/OI7O0M6K50Y201


 

 

FOMCの次に注目すべきは中国−新興市場通貨の命運握る人民元相場
Emma O'Brien
2016年12月15日 17:43 JST

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https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ijOlTy9jY4lE/v2/-1x-1.png

投資家がそっぽを向く、香港不動産株の人気が急低下−相次ぐ逆風で
15日の人民元は対ドルで0.4%安−2008年6月以来の安値
中国10年国債利回りは22bp上昇、過去最大の上げ幅


米連邦公開市場委員会(FOMC)がもっとタカ派的になることを警戒している新興市場の投資家は、中国に信頼を寄せる必要があるかもしれない。
  米大統領選挙での予想外のドナルド・トランプ氏勝利を受けたドル高で、新興市場通貨が大きく売られる中で、アナリストらは人民元の下落に対するコントロールを続けようとする中国の意思と能力が極めて重要になると指摘している。

  FOMCによる14日の利上げを受け、韓国のウォンからインド・ルピーに至るまで新興市場通貨が15日に値下がり。中国人民銀行(中央銀行)は同日、人民元の中心レートを前日の中心レートに比べて引き下げたものの、多くが予想するよりは引き下げ幅は小さかった。
  オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の地域調査責任者クーン・ゴー氏(シンガポール在勤)は「われわれが想定するより速いペースでの元安を中国が容認すれば、他のアジア通貨が圧迫されることは必至だ。人民元管理が今、再び大きく変更されれば、市場を当惑させ、ボラティリティ(変動性)拡大を招くだろう。大きな混乱の要因となる」と述べた。
  15日の中国金融市場では、人民元がドルに対し0.4%下げ、2008年6月以来の安値となった。中国国債も大きく売られ、10年物利回りは過去最大の22ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇となり、3.45%に達した。

原題:After Fed, Eyes Turn to China for Emerging-Market Currency Fate(抜粋)
China’s Markets Come Under Strain as Bond Yield Jumps by Record (抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-15/OI7VUH6KLVR501

 


中国シャドーバンキング、再び急増−サプライズ統計に懸念の声
Sid Verma
2016年12月15日 13:48 JST 
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https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ieZcvbd6WECo/v0/-1x-1.png

「影の銀行」与信は11月に4790億元−10月は550億元だった
中国当局が規制に乗り出すと債券市場に影響及ぶ可能性−ANZ
 
中国のシャドーバンキング(影の銀行)活動が11月に急拡大した。当局は金融セクターの安定を脅かす与信の伸び急増を抑制する方針を表明しているが、実現に向けた取り組みは難航している状況が浮き彫りになった。
  信託融資や委託融資、銀行引受手形などを含むシャドーバンキングの与信は11月に4790億元(約8兆1000億円)と大幅に増加。10月は550億元に落ち込んでいた。こうした与信は中国経済に潜在的な脅威をもたらすことから、しばしば世界の金融システムで最も弱い部分の一つに位置付けられる。
  オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の中国担当エコノミスト、曲天石氏は信託会社や証券会社、不動産会社などによるこうした簿外の与信の規模や不透明さを指摘。「サプライズを与えたこのデータを受けて、規制に関する一定の懸念が引き起こされる公算は大きい」と、14日の顧客向けリポートに記した。
  当局がシャドーバンキング抑制に取り組むと、このところの流動性逼迫(ひっぱく)を深刻化させる恐れがある。中国10年物国債利回りは10月末の2.74%から3.24%に上昇し、この1年余りの最高水準となった。
  曲氏は「中国規制当局がシャドーバンキングの規制に乗り出したら、流動性引き締めにより債券市場に影響が及ぶ可能性がある」と述べた。

原題:Shadow Banking in China Appears to Have Made a Roaring Comeback(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-15/OI7KBU6KLVRC01


 

新興市場株:MSCI指数、1カ月ぶり大幅安−米FOMCの決定受け
Dana El Baltaji
2016年12月15日 17:28 JST

15日の新興市場株は下落。このままいけばMSCI新興市場指数が1カ月ぶりの大幅安で引ける。米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げは予想通りだったものの、来年の利上げ回数の見通しが予想外に引き上げられたことが影響した。
  MSCI新興市場指数は前日比1.2%安。
  MSCIエマージング・アジア指数は1.1%安。10業種中9業種が値下がりしている。
原題:Emerging Assets Fall as Fed Ushers in Era of Tighter Financing(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-15/OI7W2V6K50Y701
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/742.html

[経世済民116] ドル円、株式が下落? 昨年末の相場展開と重なるか?(近藤雅世) 今年末は昨年末の相場展開と同様になるのか?  
ドル円、株式が下落? 昨年末の相場展開と重なるか?(近藤雅世)
今年末は昨年末の相場展開と同様になるのか?

 トランプ新大統領の減税・インフラ投資・規制緩和の政策を囃して、米国株価は史上最高値を更新し、ドルインデックスは101を超えている。しかし、14日に予定される米国連邦準備制度理事会(FRB)による公開市場委員会(FOMC)では、政策金利が利上げされることが確実視されている。
 昨年のこの時期も12月16日に2008年以来8年振りの利上げが行われた。昨年も利上げ直前までドル高となり、ダウ平均株価も値上がっていた。下のチャートは昨年の動きと今年の動きを重ねて書いたものである。必ずしも昨年通りとなるという保証はないが、利上げが行われる前後には似たような動きになるのではないかという仮定も成り立つ。

http://www.ohmae.ac.jp/ex/asset/wp-content/uploads/2016/12/161214_1.jpg

http://www.ohmae.ac.jp/ex/asset/wp-content/uploads/2016/12/161214_2.jpg
 それが成立すれば、今後ドルは反転下落して、ドル安円高となり、株価は米国も日本も下落するというシナリオになる。金価格は昨年の場合、利上げ時期が最安値であった。今年も同じなら今後金価格は反転上昇することになる。

http://www.ohmae.ac.jp/ex/asset/wp-content/uploads/2016/12/161214_3.jpg

 世界の金の需要はそれほど芳しいものではない。インドは廃貨の影響を受けて経済が混乱している。引き出し額は制限され、結婚費用を引き出す場合も結婚を証明した上で25万ルピー、約40万円に限る制限があるため、結婚シーズンは4月までずれ込んでいる。そのため新婚用の贈り物金需要が減退。
 中国でも宝飾品の売れ行きが伸び悩む一方で、政府により金の輸入許可証の発給が制限されている。中国からの資金流出が相次ぎ、為替が8年振りの人民元安となっているためだ。また、サウジアラビアでは労働者の3分の2を占める政府職員の給与がカットされ、2018年には湾岸諸国に一律5%のVAT(消費税)が導入される。こうしたことは中近東の消費意欲を減退させている。
今後のマーケットは幻滅リスクにも注視すべき
 原油に関しては、11月30日のOPEC諸国の減産決議に続いて、12月12日、ロシア、メキシコ、カザフスタン、オマーン等が減産を決議し、合計で日量約160万バレルの減産となる見込みである。そのニュースは原油価格を引き上げ一時1バレル54ドルまで上昇させた。
 しかし、米国EIA(エネルギー情報局)はこうした減産を踏まえて2017年の原油価格予測を上半期49ドル、来年末を54ドルとかなり控え目なものとして公表している。その背景には米国のタイトオイルは原油価格が50ドルを超えてくると増産するためである。米国石油業者は漁夫の利を得ることになる。また、市場はOPEC諸国や非OPEC諸国の減産決議を懐疑的に見ている。「言うは易し、行うは難し」である。
 同様なことは、トランプ次期大統領の言動についても言える。減税、インフラ投資、規制緩和という願ったり叶ったりのトランプ政策も資金が潤沢にあってのこと。その財源はどうするのかという疑問にトランプ氏はどう応えるのであろうか。口先介入に過ぎず、実行は今後のことである。それなのに、株式市場や為替相場はトランプ氏の言動を夢見て有頂天になって価格は上昇している。
 しかし、1月20日に大統領が就任し、大統領になる前に述べた施策をいざ現実的に実行に移すとなると多くの困難が待ち構えている。言うだけは簡単であるが、それが実行できなかったときのトランプ新大統領の態度や言動に、世界は幻滅するのではなかろうか。今からその時のために投資家は身構えておく必要があると思う。
 中国に対しても、また移民政策も、TPPやFTPA離脱も、キューバ問題などオバマ政権が堅実に積み重ねてきた政策をことごとく否定してきた新大統領は、さて何をもって米国をNO.1の国に育て上げるのであろうか。お手並み拝見であるが、もし期待外れに終わればその失望は大きいどころかこれまでの秩序が破壊される恐れがある。皆はしっかりつかまってその波動に耐えるべきであると思われる。
講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師
株式会社コモディティーインテリジェンス 代表取締役社長
近藤 雅世
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トランプ次期大統領はアメリカをどのように変えるのか?(大前研一)

http://www.ohmae.ac.jp/ex/asset/column/backnumber/20161214-2/


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[医療崩壊5] 規制緩和しても「混合介護」が広がらないワケ   知らないと損する!医療費の裏ワザと落とし穴 (第129回) 
知らないと損する!医療費の裏ワザと落とし穴
【第129回】 2016年12月15日 早川幸子 [フリーライター]
規制緩和しても「混合介護」が広がらないワケ

?公正取引委員会が、9月5日に発表した「介護分野に関する調査報告書」によって、にわかに話題となっている「混合介護」。

?この報告書が出されたことで、公的な介護保険が保険外のサービスを利用することを禁止しているかのような誤解をしている人もいるようだ。だが、前回の本コラム『禁じられていない「混合介護」の推進がなぜ今叫ばれるのか』で解説したとおり、介護保険は2000年の制度創設当初から混合介護が認められている。公正取引委員会の指摘は、重箱の隅をつつくようなもので、「規制」などないも等しいのが実情だ。

?介護は、高齢者の生活をサポートするものだが、十人いれば十通りの暮らし方がある。暮らしの現場で起こるさまざまな介護ニーズを、公的な介護保険だけで賄うのは到底不可能だ。介護が必要な人の暮らしの質を上げて、多種多様な介護ニーズを満たすために、介護保険以外の社会資源を利用することは必要なことで、悪いことではない。どんどん利用すればいいと思う。

?とはいえ、現状では実費を支払って保険外のサービスを利用する人は少なく、混合介護はさほど広がっていない。それは果たして、公正取引委員会の報告書が指摘するように、「規制」が最大の問題なのだろうか。

競争政策を取り入れれば
介護市場は活性化する?

?公取委は、前出の報告書の冒頭で、今回の提言の理由を次のように述べている。

《事業者の公正かつ自由な競争を促進し、もって消費者の利益を確保することを目的とする競争政策の観点から、介護分野の現状について調査・検討を行い、競争政策上の考え方を整理することとした。

?競争政策は、事業者の新規参入や創意工夫の発揮のための環境を整備することにより、事業者間の競争を促進し、これによって、消費者に良質な商品・サービスが提供されることを確保するとともに、消費者がそれを比較・選択することを通して、事業者に商品・サービスの質の更なる改善を促すことを目指すものである。

?このような競争政策の観点から介護分野の考え方を整理することは、介護サービスの供給量の増加や質の向上が図られることにつながると考えられる》

?つまり、事業者間の競争を促せば、よりよいサービスが提供されるようになり、保険外サービスを利用する人が増加。その結果、介護市場を活性化して、介護従事者の処遇改善につながるとバラ色の展望を描いているのだ。

?公取委の言い分では、介護市場活性化のネックになっているのが「規制」で、具体例としてあげているのがヘルパーによる訪問介護だ。

?現状でも混合介護は認められている。ただし、介護保険を使ったサービスと保険外のサービスは明確に区分することが求められており、同一時間内に一体型のサービスを受けることはできない。

?たとえば、介護保険を利用できるのは、利用者本人の食事や洗濯、掃除、買い物などの家事支援のみで、同一時間内に同居の家族のものを一緒に行うことはできない。

?また、草むしりや庭の水やり、ペットの世話、大掃除、家具の移動などは、日常生活の援助には該当せず、介護保険では利用できない。

?同居家族の食事作りや洗濯などの家事支援、介護保険で決められた範囲外の援助をヘルパーにお願いする場合は、実施する時間をずらして、全額自費の別料金を支払うことが求められている。

?こうした「規制」を緩和して、同一時間内に利用者と同居家族の食事作りや洗濯などをできるようにしたり、草むしりやペットの世話ができれば、効率がよく保険外サービスの料金を得られて、事業者の収益アップにつながるというのが公取委の言い分だ。

?たしかに、食事作りも洗濯も、ひとり分でも家族の分をまとめて行うのも、大して手間は変わらない。洗濯機を回している間に、庭の水やりやペットの世話、家具の移動などができれば、利用者は助かるだろうし、ヘルパーは効率よく仕事ができる。公取委の指摘はもっともな部分もある。

?だが、果たして、そうした規制を緩和したところで、全額自己負担をしてまで保険外のサービスを利用する人は飛躍的に増えるのだろうか。

保険外サービスの利用者は
全体のわずか1.3%

?厚生労働省老健局の「公的介護保険制度の現状と今後の役割」(平成27年度)によると、介護保険の支給限度額を超えて、全額自己負担で保険外サービスを利用している人の割合は全体の1.3%しかいない。

?介護度が上がると保険外サービスの利用割合も高くなるが、要介護4で2.4%、要介護5で2.9%だ。現状では、わずかな人しか保険外サービスを利用していないのだ。

?さらにいえば、1割負担(高所得者は2割)で利用できる介護保険ですら、決められた支給限度額まで利用しているわけではない。

?介護保険は、7段階ある要介護度に応じて、利用できる介護サービスの限度額が決まっており、たとえば介護度がいちばん低い要支援1は5万30円が限度額だ。だが、実際に使っている費用の平均額は、要支援1が1万9695万円で、限度額の4割程度にとどまる。

?こちらも介護度があがるにつれて、使用する介護サービス費も増えるが、要介護5でも平均費用額は22万3054円。限度額36万650円の6割程度しか介護保険を使っていないのだ。

?これは、介護保険で利用できるサービス内容が決まっていて、自分が利用したいサービスがないという可能性もあるが、1〜2割負担といえども、サービスを使えばそれだけ利用者負担も増える。

?介護は、医療とは異なり、生活の延長線上にあるものだ。専門家でなければできないものばかりではないし、家族や親戚、友人、近所の顔なじみさんなどが、その役割を担えるものもある。

?とくに厳しい家計運営を強いられている人は、介護費用はできるだけ安く抑えたいと思うだろうし、実際に身近な人の手を借りながら、なんとか乗り切っているのではないだろうか。

?規制をなくして、今以上に混合介護を始める事業者が増えても、利用できるのはお金に余裕のある人だけだ。混合介護の弾力化が介護市場を爆発的に拡大させ、介護従事者の処遇を改善するというストーリーは、はなはだ疑わしいものがある。

?反対に、サービス費用の値崩れを引き起こし、介護現場にさらなる疲弊を生む可能性すらある。

自由競争の先にあるのは
介護料金の大幅下落

?ヘルパーやケアマネージャーなどの介護従事者は、専門的な知識と訓練を積んだ専門職だ。高齢者介護の中心を担う彼らの処遇は、本来ならもっと高められるべきだが、現状、介護職員の月収は全産業の平均よりも10万円程度低い。

?介護は日常生活の延長にあり、以前はそれぞれの家庭で担ってきたものだ。そのため、人々の意識のなかに介護に対して高い費用を支払うことに抵抗があるのではないだろうか。その認識が改められない限りは、混合介護が弾力化されても、保険外サービスで高額な費用をとるのは難しいという見方もある。

?実際、保険外の介護サービスを行っている事業者のなかには、介護保険と同じサービスを行っても、保険外の費用は6割程度など介護保険よりも安い価格設定にしているところもある。また、混合介護の弾力化を見込んで、介護保険と保険外サービスを廉価なセット販売にするといった動きも始まっている。

「混合介護の弾力化」に敏感に反応し、競争を始めようとしている事業者が出てきている点は、事業者間の競争を促したい公取委の思惑通りかもしれないが、皮肉にもその動きはダンピングに向かう可能性がある。

?公取委は、混合介護が進まない理由として「規制」を強調するが、多くの事業者があげているのは人手不足だ。

?前出の報告書では、「保険外サービスの提供に当たっての課題」として、運営主体が株式会社の事業所の37.4%、社会福祉法人の34.7%が、「人員確保が困難」だと答えている。

?もしも利用者獲得のために保険外の介護サービスが安く買い叩かれる構造が定着すると、介護従事者の処遇改善どころではなく、介護の現場をさらに疲弊させ、人手不足に拍車をかけることになりかねないのだ。

「互助」を生かした
介護サービスを利用

?経済的に余裕のある人たちが、自らの介護ニーズを満たすために、全額自費で保険外サービスを利用するのは問題ない。買い物や旅行の付き添い、各種手続きの代行、認知症高齢者の見守りなど、さまざまな保険外サービスを提供している事業者がいるので、それらを利用すれば、介護保険では利用できないサービスを受けられて、暮らしの満足度は高められる。

?だが、介護保険外のサービスの担い手は、なにも介護事業者だけではない。

?すでに、規制にとらわれないボランティアによる買い物や移動サービス、地域住民が行う高齢者の見守りや安否確認、当事者家族などが運営する認知症カフェなど、無料もしくは低料金で利用できる社会資源が存在している。

?同時に、高齢者が住み慣れた地域で、生活を続けていくための支援・サービスの構築を目指す「地域包括ケアシステム」の中には、ボランティアや住民組織が「互助」として位置づけられており、今後ますます事業者以外の人々が担う介護サービスが期待されている。

?一般利用者は、お金をかけずに自分の介護ニーズを満たせるなら、それに越したことはない。一部の富裕層を除けば、あえて高い料金を支払って、保険外のサービスを買う人はそれほど増えないのではないだろうか。

?公取委の提言は、こうした現実を全体的に捉えておらず、どこかピントがずれているように思う。だが、国は「介護サービス改革」を重要事項にあげており、今後、なんらかの指針が出されることになる。そして、その流れにのって、保険外サービスを煽る報道が行われることになるだろう。

?その時、私たち国民は自らの暮らしを守るために、どのような道をとるべきなのか。たんに事業者が提供する保険外サービスだけではなく、地域にある社会資源にも目を向けて、自分や家族の介護ニーズを満たせるような賢い利用者になりたいものだ。
http://diamond.jp/articles/-/111384
http://www.asyura2.com/16/iryo5/msg/427.html

[不安と不健康18] 思春期初期の息子を持つ親が知っておくべきこと 春期以降、男子は女子に比べてどの能力の発達が遅いのか、どの分野で男子が女子
思春期初期の息子を持つ親が知っておくべきこと
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春期以降、男子は女子に比べてどの能力の発達が遅いのか、どの分野で男子が女子に優っているのか。筆者のSUE SHELLENBARGER記者が解説(英語音声のみ)
By
SUE SHELLENBARGER
2016 年 12 月 15 日 14:11 JST
 授業中の中学校の教室をのぞくと、このような光景が広がる。歯列矯正をして、リュックから紙があふれそうになっている男子生徒たちが、ただ黙って座っている。そんななかで、15センチほど身長の高い女子生徒たちは、宿題をきちんとやってきていて、先生からの質問に答えようと元気よく挙手をしている。男女の成熟度の差は、13−15歳の時期が最も大きい。
 青年期の発達に関する新たな研究により、思春期以降、男子は女子に比べてどの能力の発達が遅いのか、どの分野で男子が女子に優っているのかが明らかになってきている。
 その後、男子は女子に追いつく。研究によると、男女に課されたタスクのパフォーマンスの多くは、15歳前後で収れんする傾向がある。だが、思春期初期、つまり13−15歳の時期は、子どもたちが個人的アイデンティティーや社会的地位に対する感覚を養う極めて重要な時期だ。そこで、数々の研究から、この年齢の男子が必要としている可能性のある一種のサポートについて、ヒントが得られるだろう。
言語能力の差
 13−15歳の女子は言語能力の点で、男子に大きく優っていることが多い。米ペンシルベニア大学医学部のフランシス・ジェンセン教授によると、13歳の女子に1つのアルファベットから始まる言葉を1分間でできるだけ多く挙げるよう指示すると、何十もの言葉を簡単に挙げられる公算が大きいという。
 一方、男子は同じタスクに苦戦し、黙ってそわそわしていて、結局は課題の半分程度しかできない場合が多い。同教授によると、男子の脳の発達は、この段階で女子のそれより2年ほど遅れている。このため、13−15歳は多くの男子にとって「非常につらい時期」になるという。
 親たちは、女子に後れを取っている男子の自信を取り戻す手助けをする必要があるかもしれない。ミネアポリスを拠点とする心理学者のデービッド・ウォルシュ氏は、息子が質問に答えるのに苦慮しているときは、「親は黙っていて、息子に答えるチャンスを与えるようにすべきだ」と話す。
 子どもたちに発達のスピードがみな違うことを説明し、自分を他人と比較するのではなく、自分自身の成長に目を向けるよう促すべきだ、とジェンセン博士は述べる。男子に対しては、「今の自分が先週の自分より良いこと、今年の自分が去年の自分より良いこと、そして、来年の自分が今年の自分より良くなること」を目指すように仕向けると良いという。
 バージニア州アレクサンドリア在住のコーチトレーナーのジョディ・スリーパー=トリプレット氏は、生徒が学力や生活力をつけるのを支援している。同氏は、男子生徒が自らの強みを見つけ、それに集中するのを手助けすべきだと話す。音楽を演奏する、サッカーでうまくドリブルするなど、何でも良いという。
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女子生徒たちは、宿題をきちんとやってきていて、先生からの質問に答えようと元気よく挙手 ILLUSTRATION: ROBERT NEUBECKER
注意力の差
 親の中には、目の前のタスクに注意を払う能力の発達が、男子は女子より遅いことを痛感している人もいるだろう。13−15歳の男子は大量の宿題を前にすると、やるのを先送りにしたり、あきらめたりするかもしれないが、女子は平均的に言って、段階を踏み、一つ一つに目を配ることができる。
 前出のフィラデルフィアの研究チームによると、ティーンの女子は注意力を測るテストで、男子より正確だったことが分かった。それは、コンピューターに映し出される一連の線を見て、線が数字か文字の形に見えたらスペースバーを押すというテストだった。
 前出のスリーパー=トリプレット氏によると、親は毎日のルーティーンを見守ることで、息子を助けられる。軽いタッチで質問をすると良い。その際は、批判的でなく、一方的に決めつけない言い方で聞こう。「10分後にちゃんとやっているか確認に行く」と言うより、「宿題で何か手伝えることはある?」と言う方が良い。
 デジタルの整理ツールを使うのが好きな男子は多い。親とデジタルカレンダーを共有すれば、歯医者の予約などを思い出すのに役立つ。ティーンの中には、スマートフォンのアラームを使って宿題の時間を管理したり、エバーノートやワンノートなどのアプリを使ってやるべきことなどを把握したりしている子もいる。
共感力の差
 心優しいと思っていた息子が、他の子の心の痛みに注意を払っていないことを知り、落胆する親は少なくない。息子が他の子をいじめたり、からかったりしているなどだ。
 前出のフィラデルフィアの研究チームによると、表情を見て他人が感じていることを理解する能力の発達は、男子のほうが遅いことが分かっている。男子は、「メンタライジング」というより複雑なプロセスにおいても、女子に後れを取っている。メンタライジングは、状況、会話の内容、ボディーランゲージやその他の手がかりを基に他者が考えていることを理解するプロセスだ。これは12年にエール大学医学部の研究員が中心となって49人のティーンを対象に行った研究で明らかになった。この能力は女子の場合、13歳前後から徐々に発達し始める。
 共感力やメンタライジングの能力の獲得は、家庭生活に深く関連している。研究によると、自分や他者の気持ちおよび考えについて話す親は、同じように振る舞うことを学ぶチャンスを子どもたちに平均より多く与えている。
 子どもに本や映画の登場人物が何を考え、何を感じていると思うかを話させると良い。ウォルシュ博士は、他の子が意地悪をしているのを見たとき、何というべきかを息子に教えることも検討すべきだと話している。
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http://jp.wsj.com/articles/SB12340534005287504876604582497780488246936 


http://www.asyura2.com/16/health18/msg/233.html

[IT12] ゲーム業界の秘密主義に苦悩する声優たち 演じている役柄を知らされないまま数年間プロジェクトに参加することも ENLAR
ゲーム業界の秘密主義に苦悩する声優たち
演じている役柄を知らされないまま数年間プロジェクトに参加することも
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ヘッドセットを着用してゲーム「フォールアウト4」を楽しむプレーヤー PHOTO: FREDERIC J. BROWN/AFP/GETTY IMAGES
By
SARAH E. NEEDLEMAN
2016 年 12 月 14 日 13:56 JST
 声優のコリーン・オショーネシーさん(45)は今年、あるコンベンションに参加した際、人気ゲーム「フォールアウト4」のパッケージにサインをするようファンに頼まれた。オショーネシーさんはゲーム内で自身の声が使われていることを知らなかったため仰天。「自分がどの作品に出ているのか分からないのは妙な気分だ」とその時のことを振り返る。
 俳優がテレビ番組や映画に出演する際は、演じる役を入念に研究して役作りを行う場合が多いが、ビデオゲームのしきたりは全く異なる。ゲーム業界の市場規模は1000億ドル(約11兆5000億円)にまで拡大し、多くの声優を雇用している。しかし、作品に参加する役者はどのキャラクターを演じているのかを知らされず、作品名も伏せられたまま制作が続けられることが多い。
 声優のグレイ・グリフィンさん(43)は第2子を出産した直後にあるゲームのオーディションを受けたが、当日までどんな役柄を演じるかを知らされていなかった。しかし現場で渡されたのは、赤子を食べる悪魔の役。「ダークな役柄は過去にも演じてきたけれど、さすがにこれは無理」と感じたグリフィンさんは、オーディションを辞退した。その時の音声がどのゲームに使われたものかは今も分からないという。

グレイ・グリフィンさん
 ゲーム企業の関係者は、開発中の作品は内容が漏れないように徹底した秘密保持の原則が貫かれていると説明する。情報が漏れれば即座にソーシャル・メディア上で拡散し、ライバル会社に伝わることにもなるからだ。だがこのことが声優たちの役作りを難しくしている。
 声優はキャスティングを行うエージェントに雇われ、そのエージェントが複数のゲーム会社と提携をしているケースが多い。そのため自身の出演作を把握するには、映画情報サイトのIMDBなどで確認しなければならない場合もあるという。
 歌手でもあるグリフィンさんは、2014年に大ヒットしたアクティビジョン・ブリザードのゲーム「デスティニー」にも出演。しかし9歳の息子がゲームをしていてグリフィンさんの声に気付くまで、自分の声が使われていることは知らなかった。
 ロサンゼルスでエージェントとして働くサンディ・シュナール氏は業界の徹底した秘密主義に言及し、「2年半にわたって声優が携わったプロジェクトがあったが、なんのゲームに参加しているかは最後まで誰も知らされなかった」と話す。
相場は4時間で825ドル
 有名俳優が出演するゲームの場合、事情は少し異なる。アクティビジョン・ブリザードの「コール・オブ・デューティ」シリーズに登場したキット・ハリントンやケビン・スペイシーなどには、通常、事前にゲームの内容が明かされている。また人気ゲームの続編に前作から続けて起用されるケースでは、事前に情報を知らされることが多い。
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レコーディングをするコリーン・オショーネシーさん PHOTO: COLLEEN O
 しかしその他大勢の声優は、必要最小限の情報を元に演技を行わなければならない。またそのような背景があるため、報酬についても交渉することが難しい。ゲームの規模に見合った報酬を要求しようとしても、参加している作品が大作であるかどうかは事前に把握できないからだ。
 ゲームの声優業界では、4時間の作業に対する報酬の相場が約825ドルだ。加えて他のメディアでは作品の再放送時やDVD発売の際に収入が入るが、ゲーム業界の場合はそのようなケースはほとんどない。
 複数の有名ゲームシリーズに出演したことがあるエリン・フィッツジェラルドさんは、雑用係の給料で雇われながら、「実際の仕事は社長だったというのに等しい場合が頻繁にある」と話す。
 ゲームの声優などで構成される組合は10月、報酬制度に関してストライキを実施した。エレクトロニック・アーツやテイクツー・インタラクティブなど大手メーカー11社に対して改善を求めたが、両者はまだ合意には至っていない。複数の企業側の弁護を務めるスコット・J・ウィトリン氏は、組合が「ストライキを実施するのは間違えだ」と話し、企業側が声優たちの雇用を確保し彼らを支援し続けていると指摘する。
さらなる秘密厳守に向けて動くゲーム企業
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サリー・サフィオティさん PHOTO: SALLI SAFFIOTI
 ゲーム制作会社は、作品の内容を明かさずに開発を進めることが重要だと話す。「ゲームがなるべく特別なものになるように、発表まではありとあらゆる手段を使って情報漏れを防ぐ」とゲーム「フォールアウト4」を製作したベセスダ・ソフトワークスの広報担当者は言う。中には声優のオーディションを対面式で行うのではなく、音声ファイルをメールでやりとりして選考を進める企業もある。これによってゲームの内容や役について声優側が質問する機会はさらに減ることになる。
 声優のジェイ・ブリトンさん(31)は去年の夏にあるオーディションを受けたが、「子供のゲームなのか大人向けなのかも知らされなかった」と話す。事前に知らされたのは、演じるキャラクターがイギリス英語を話す老人であるということのみ。そのためオーディションは明るいサンタをイメージして挑んだが、実際は気むずかしい役が求められた。それを最初から知っていたら「まったく違う方法で演じていた」とブリトンさんは振り返る。
 サリー・サフィオティさん(48)は、去年受けたオーディションが理由で数週間にわたって話すこともできなくなったという。オーディションでは普通の会話を録音すると指示を受けていたが、実際はヘリコプターや銃撃戦の中で叫びながら会話をしなければいけなかった。収録は4時間に及び、「声は完全につぶれてしまった。気を失うかと思った」とサフィオティさん。オーディションには落選したため、努力は水の泡となった。
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http://jp.wsj.com/articles/SB12340534005287504876604582493450848104534?mod=trending_now_1



http://www.asyura2.com/14/it12/msg/221.html

[経世済民116] ドル/円、一過性なのか継続なのか? 金と原油 ドル円10カ月ぶり高値圏 長期金利一時0.10%、日銀対応焦点−指し値も
相場一点喜怒哀楽
2016年12月15日
第437回
ドル/円、一過性なのか継続なのか?

ドル/円は1ドル=116円処のフシ突破です。意外にあっさりと上回って円安が進みました。116円台というと、アベノミクス相場の大幅な円安局面で、積もり積もった円売り超(円買いよりも円売りの方が多い状態)のポジションが、円買い超(円買いの方が円売りよりも多い状態)のポジションに変わり、円高が加速し始めた水準です。チャート上では、円安トレンドが円高トレンドに変わったと、多くのテクニカルアナリストが判断した水準と一致します。いわゆる、ネックラインという需給の節目ともいえる水準で、今年の1月20日に付けた安値115.98円、2015年8月24日に付けた安値116.18円を1本の線で結び、それを延長すると12日に付けた116.12円にピッタリとあうことがわかります。ある意味、チャート上では戻りの1つの限界水準ともいえるわけですが、FOMC後の円安進行が一過性に終わるのかどうか。ダウ平均は極端に下げたわけではないのですが、2万ドルコース、1ドル=120円まで静観すべき局面なのかもしれません。筆者は円安・株高のピークは先週と予想していましたので、当然大ハズレ!相変わらず上げ相場(為替相場でいうと円安)に弱いと痛感しました。結構、116円の水準は自信があったのですが、トレンドに逆らってはいけませんね。人にそうアドバイスしながら、自分の予測では逆張り志向になっていますから、反省しなければいけません。一方、中国の上海総合指数の下げ幅が大きく、動きがあやしくなってきました。情報が伝わりにくい市場ですが、足元の急速な下げは何を意味しているのでしょうか。この記事を執筆している現在も気づきがありません。ただ、上海総合指数を月足でみると、6月以降は安値を切り上げ続けてきましたが、12月相場の下げで近づきつつある11月の安値(3,094P)を下回ってしまうと、これまで半年続いた強気相場のバランスが崩れることになります。そうなると、年初に起きた中国株ショックの二の舞になりかねない、少し不安です。

ダウ平均は20,180ドル程度を目先の上値メドとみています。2015年から約2年間のNN倍率(ダウ平均を日経平均で割って求める)の平均をとると0.99倍。なので、20,180ドルに対して日経平均は20,380円程度、といったところでしょうか?日経平均がアベノミクス相場の高値から下がり始めた昨年8月以降、先物と現物株を合わせた海外投資家による日本株の売り越し額は、2015年8月第2週−9月第4週までの累計で12兆9,800億円程度です。一方、2015年8月第2週−11月第5週(最新情報)までの累計でみると8兆7,600億円の売り越しとなります。ということは、海外投資家は10月以降、先物と現物株を合わせて、すでに4兆2,000億円程度買い戻し(売り越しの減少分)たことになります。しかし、価格帯でみると、海外投資家による18,500円以下の売り越し額は、概ね7兆円程度と推測できます。足元、18,500円を上回っているにもかかわらず、売り越し額の3分の1程度はまだ買い戻せていません。日経平均の水準だけで判断するのも無理はありますけれど、依然として買い余力があるということがいえます。

今年一年間の日経平均の動きを1本の「年足」のローソク足で示すと、今のところは長い下ひげのある「タクリ足」となります。たとえを述べますと、2012年後半から始まった上昇相場(山登り)の途中で足を滑らせ(調整)たものの、スノースパイクが体の支えとなり、さらに一歩上段に踏み上がろうとしているのが、今の上げ相場です。上昇相場の途中にでる「タクリ足」は続伸の可能性が高く、2017年前半ぐらいまではその力は残っているはず。まずは、クリスマス休暇明けの海外投資家の行動が、年末に向けた株価の「掉尾の一振」につながるかに期待したいところです。いつまで上昇するかのタイミングとしては、海外年金による日本株への資金配分が予想される年明けの1月中旬ごろがポイント。上値メドとして考えられるのは、2月12日安値(14,865円)から4月25日高値(17,613円)までの上昇幅2,748円を、4月25日高値に加えた20,361円処が考えられます。ピンとくるのは、トランプ氏が米大統領に就任するタイミングに近いことです。その手前で高値を付けて調整に入る見立てですが、おそらくトランプ氏への不透明な要因が2月あたりまでの調整の要因になるような気もします。もし、2月までの調整が深ければ、2017年はモミ合い相場になるイメージを持っていますが、2月の調整が浅ければ、3月〜5月は再び上昇相場となり、22,000円〜23,000円は実現不可能な高値ではないと思います。ただし、2万円を大きく上回っていく局面では円安はあまり関係ないような気がします。

東野幸利 株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

「トレーダーズ・プレミアム」は、個人投資家の心強い味方です!!(DZHフィナンシャルリサーチのウェブサイトに遷移します。)


第436回 金と原油

NY原油先物とNY金先物の相関関係をみると、現在は逆相関が強い状態にあるといえます。逆相関とは両者が逆の動きをすることです。原油は年初から上昇基調を保っている一方、金の方は夏場から大きく下げていますので、なんとなく肌感覚でおわかりいただけると思います。図表は、月の変動率の相関を6カ月間の平均でならしたものです。そうしないと、複雑で見づらくなるためです。過去の動きをみる限りでは、足元の強い逆相関も陰の極。いったん反転すると、「1.0」に近い順相関まで上昇する傾向があることから、ここから逆相関が弱まっていき、来年に向けては順相関の局面に入り、両者が同じ方向に動いていくように変わっていくことが予想できます。ただ、上げで同調するか、下げで同調するかはわかりません。

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2011年以降のNY原油先物の月足の一目均衡表をみると、長い高値もみ合いで概ね4つの高値をつけたあと急落し、現在は下値固め進行中です。最近ではOPECの8年ぶりとなる減産合意があり上昇期待が高まりましたが、今月は相場の中心として重要といわれる基準線が53.5ドルまで下がってきており、上値の抵抗になりやすいといえます。一方、雲のネジレ(相場の基調が変化することがしばしばある)のタイミングでもあり、状況次第ではスピードをともなう動きがあるかもしれませんが、いずれにしても短期的な上値余地は57ドル程度が限界ではないかと思っています。NY金先物を同じ期間でみると、原油とは違い、短い期間で高値を形成したあと、緩やかな長い調整が続いています。ただ、今年に入ってからの大きな変化を指摘するとすれば、長い調整局面でみられなかった大きな戻りがあったということで、やや底打ち感が強くなっています。現在は夏場に付けた高値からの調整局面ですが、下値のフシに到達してきていますので、そろそろ金価格はいったん自律反発が予想されます。

両者とも依然として月足では雲を下回る水準にあるために、大局でみるとまだまだ調整中です。金は自律反発のあと再び二番底を探る下げが予想できますし、原油も年初から上昇した分に対する反動が来年生じる可能性は十分ありえる。つまり、来年後半あたりは下落歩調に相関が強くなる展開なのかもしれません。ただ、最後にいえることは、原油相場よりも、金相場の方が高値から今までの調整が浅いため、先に調整を終え、上昇志向を強めると思います。2018年に差し掛かるかどうかといった、まだ先の話ではありますが。

東野幸利 
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
http://lounge.monex.co.jp/pro/tandcfr/2016/12/08.html


 

日本株は上昇、円安進み業績上乗せ期待−銀行や素材、輸出関連が高い
佐野七緒
2016年12月16日 07:56 JST 更新日時 2016年12月16日 10:54 JST 
為替は2月以来の1ドル=118円台
日経平均は9連騰、15年6月以来の連騰記録

16日午前の東京株式相場は上昇している。三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンク、鉄鋼など素材、精密機器やゴム製品など輸出関連が高い。米国の堅調な経済指標や為替の円安進行が好感されている。
  日経平均株価は9日続伸し、2015年6月の12連騰以来の連続上昇。ただ、開始直後の166円高からは上昇の勢いが鈍っている。JPモルガン証券が投資判断を下げたMS&ADインシュアランスグループホールディングスなど保険株や任天堂が相場の足を引っ張っている。

東証内の株価ボード

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  午前のドル・円相場は117円90銭−118円40銭台で推移。前日の日本株市場の終値時点の117円53銭から円安ドル高が進んでいる。米国では15日、12月のニューヨーク連銀製造業景況指数が9と市場予想の4を上回るなど良好な経済指標の発表が相次いだ。10年債利回りは前日比7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高の2.64%まで上昇した。米国株市場は金融や素材株中心に反発。
  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の折見世記シニア投資ストラテジストは「米経済の先行き改善期待は強い。円安進行で国内企業の業績改善が見込める」と話す。
  一段の円安が進んだ割に、日本株の上げ幅は限定的だ。東証1部の上昇・下落銘柄数の百分比を示す騰落レシオは15日に166%と、少なくともブルームバーグ・データがある1992年3月以降で最高値を付けた。テクニカル指標では過熱感のサインが出ており上値を追いにくい状況。
  円安についても、三菱モルガンの折見氏は「ドルの実効レート上昇で米国の製造業が厳しくなればドル高是正策が取られる可能性があり、1ドル=120円を超えた円安は想定しにくい」と指摘する。また「海外勢の買い戻しは一服した印象。 国内年金などはポートフォリオでの株の比率が上昇したため、株を売って債券を買う動きが出ていても不思議ではない」と同氏はいう。
  午前10時25分時点のTOPIXは前日比5.74ポイント(0.4%)高の1548.46、日経平均株価は103円6銭(0.5%)高の1万9376円85銭。東証1部の値上がり銘柄数は1101、値下がり705。

  売買代金上位では、MUFGなどメガバンク3社のほか、SMC、日立製作所、アサヒグループホールディングス、東京エレクトロン、SUMCOが高い。半面、任天堂、ディー・エヌ・エー、東京海上ホールディングスは安い。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-15/OI90CR6JIJUR01

 


トランプ効果で金属価格とドル相場再び連動−鉱山会社の利益も増加
Mark Burton
2016年12月16日 11:08 JST

米成長とインフレ加速見通しでLMEX指数とドルの相関性高まる
商品取引大手グレンコアなどの鉱山会社の業績も回復

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トランプ次期米大統領のおかげもあって、商品市場の基本的な力学の一つが逆転している。
  トランプ政権下で米国の経済が成長しインフレが加速するとの期待を背景に、工業用金属価格とドル相場は共に上昇している。ドル相場が上昇すれば、大半がドル建ての商品価格は米国外の買い手にとって割高となるため、ドル相場と商品価格は通常、逆の動きを示す。
  連動するトレンドは非常に珍しいため、過去10年間に数回しか起こっていない。それが、商品取引大手グレンコアなどの鉱山会社の業績が回復している多くの理由のうちの一つだ。同社は亜鉛部門でコスト低下と金属価格上昇の恩恵を受けており、広範囲にわたる業績改善計画の一環として来年、配当の支払いを再開する予定だ。

  モルガン・スタンレーの金属アナリスト、トム・プライス氏(ロンドン在勤)は電話インタビューで、「米大統領選挙後、市場は防衛的投資から転換し成長を求めている」と指摘。「ドル相場の上昇に伴って商品などドル建て資産の需要も拡大している」と述べた。
  もう一つの理由は中国投資家が人民元安のヘッジ手段として、銅や亜鉛などのドル建て工業用金属に投資しているためだと、JPモルガン・チェースのアナリストが2日付リポートで指摘した。
原題:Trump Makes Metals Correlate Again in Boost for Miners’ Earnings(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-16/OI979Q6KLVSI01


 


ドル・円は118円台前半、米利上げ加速観測で10カ月ぶり高値圏
小宮弘子
2016年12月16日 10:22 JST

前日の海外市場で一時118円66銭と2月3日以来の高値
ドルを売る理由が見当たらないのも上値追い続く原因−上田ハーロー

16 日の東京外国為替市場では、ドル・円相場は1ドル=118円台前半と約10カ月ぶりの高値圏で推移。米利上げ加速観測が強まる中、米長期金利が約2年ぶりの高水準に達しており、日米金利差拡大を見据えたドル買い・円売り圧力が掛かっている。
  午前10時15分現在のドル・円相場は前日比ほぼ横ばいの118円15銭。前日の海外市場では米長期金利が2014年9月以来となる2.6%台まで上昇し、ドル高が加速する中、一時118円66銭と2月3日以来の高値を付けた。この日の東京市場でも118円40銭まで値を切り上げる場面が見られている。
  上田ハーロー外貨保証金事業部の中村勉氏は、11月からのドル強気相場は米金利の上昇やトランプ次期政権による米国経済の成長期待によるもので、米株高、米長期金利上昇による日米金利差拡大を受けてのドル買い・円売りが続く一方、「ドルを売る理由が見当たらないのも上値追いが続く原因」になっていると説明。目先は週末、クリスマス休暇前のポジション調整も警戒されるが、ドル買い意欲も強く、120円到達は「時間の問題」とみている。

  主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグのドル・スポット指数は、算出を開始した2004年末以降の最高値圏で推移している。米連邦公開市場委員会(FOMC)は14日に1年ぶりの追加緩和を決定。FOMCの最新経済予測では、当局者らが予想する2017年の利上げの回数が2回から3回に上方修正された。
  15日の米国債相場は続落し、10年債利回りは一時2.64%まで上昇した。米国株は反発。一方、ニューヨーク金先物相場はドル上昇で代替投資としての妙味が低下し、10カ月ぶり水準へ大幅下落となった。
  みずほ銀行のトレーダー、日野景介氏(ニューヨーク在勤)は、トランプ政策への期待でインフレ期待が実際に高まったので、それに応じて金利が上がってくるのは当たり前だと指摘。「金利はまだまだ止まらなくて、そうするとドルもまだまだ止まらないという気がしている」と言い、ドル・円は日本銀行のマイナス金利導入後に付けた年初来高値の121円70銭辺りが「年末にかけてのめどになる」とみている。
  ユーロ・ドル相場は前日の海外市場で一時1ユーロ=1.0367ドルと、03年1月以来の水準までユーロ安・ドル高が進行。その後も1.04ドル台前半で上値の重い展開となっており、同時刻現在は0.1%高の1.0419ドル前後で推移している。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-16/OI95YC6KLVR801

 


長期金利一時0.10%付ける、日銀対応焦点−水準次第で指し値との声も
三浦和美、山中英典
2016年12月16日 07:58 JST 更新日時 2016年12月16日 09:47 JST

節目の0.1%を付け、日銀がどういう対応するか注目−岡三証
どうやって日銀が止められるか真価問われる展開−バークレイズ証

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債券相場は下落。長期金利は一時0.10%と10カ月半ぶりの高水準を付けた。米国10年債利回りが2年3カ月ぶりの水準まで上昇したことや、円安進行を背景に売りが優勢となっている。日本銀行がこの日の国債買い入れオペでどのような対応をするのかが注目されている。
  16日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の345回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より2.5ベーシスポイント(bp)高い0.10%で開始。新発債として1月29日以来の高水準を付けた。その後は0.08%に戻している。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「長期金利が節目となる0.1%を付け、日銀がどういう対応をしてくるか注目される」と指摘。「米金利上昇や世界的な景気回復期待が続く中、円安・株高の進行で日本でも金利上昇圧力が掛かるのは仕方がない。外部環境としては金利が下がる状況ではないが、どんどん上がるかというとそれに対しては日銀が何らかの対応を出してくるだろう」と述べた。
  長期国債先物市場で中心限月3月物は、前日比13銭安の149円59銭で取引を開始。いったん149円53銭を付けた後、下げ幅を縮めている。 
日銀国債買い入れ
日本銀行本店
日本銀行本店 Bloomberg
  日銀はこの日の金融調節で、残存期間10年超などの長期国債買い入れオペを通知する。日銀は14日、超長期債の買い入れ増額や、次回オペを16日に行うと予告するなど異例の措置を取った。
  バークレイズ証券の押久保直也債券ストラテジストは、「ある程度14日に増額したことで、日銀としては姿勢を示していることもあるので、金利上昇に対し、どうやって日銀が止められるか真価が問われる展開になる」と指摘。「長期金利で10bpなので、水準次第で指し値という話も否定はできない。金利水準とスピードの両方が重要」と述べた。
  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、「焦点は長期金利への抑制姿勢だろう」と指摘。「日銀はこれまで中期と超長期には金利上昇へのけん制姿勢を一回ずつ示した。一方、長期債にはまだ一度もけん制を発していない。今日のオペで長期金利に対しても抑制姿勢が示されれば、アゲインストの外部環境にもかかわらず、下値の堅さが意識されやすいムードに変わるだろう」とみる。
14日の異例の日銀国債買い入れの記事はこちらをご覧下さい。
  15日の米国債相場は下落。米10年国債利回りは前日比3bp上昇の2.60%程度。一時は2.64%程度と2014年9月以来の高水準を付けた。前日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げに加え、今後数年の金利予測を上方修正したことが売り材料となった。ニューヨーク外国為替市場ではドルが続伸。対円で1ドル=118円台後半と2月以来のドル高・円安水準となった。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-15/OI7U876K50YF01
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/762.html

[経世済民116] 日本が最大の米国債保有国に−中国は元相場下支えで大幅減 米国債続落 米大手行700億ドルの損失吸収能力不足 NAHB好調
日本が最大の米国債保有国に−中国は元相場下支えで大幅減
Sarah McGregor
2016年12月16日 06:16 JST更新日時 2016年12月16日 08:11 JST

• 中国の10月の保有残高は約6年ぶり低水準、2位に転落
• 日本も3カ月連続で減らしたものの1位に浮上

中国の米国債保有残高は10月に約6年ぶりの低水準に減少し、同国を抜いて日本が最大の米国債保有国となった。中国は人民元相場を下支えするため外貨準備高を減らしている。
  米財務省が15日発表した10月の対米証券投資動向によれば、中国の米国債残高は1兆1200億ドル(約132兆円)と、前月から413億ドル減少した。これは2010年7月以来の低水準。日本も45億ドル減少し、1兆1300億ドルとなった。日本の保有残高の減少は3カ月連続。米国債の海外保有全体に占める日中合計の割合は約37%。

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  中国の外貨準備高は11月まで5カ月連続で減少し、3兆500億ドルと11年3月以来の低水準となった。昨年6月に過去最高の4兆ドルを記録して以来、減少傾向が続いている。

中国を抜いて日本が最大の米国債保有国に

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
  米財務省の統計には国際資本フローのデータも含まれており、10月の外国勢による米長期証券投資は94億ドルの買い越しだった。米国債は635億ドルの売り越しとなった一方、米社債は45億ドル、米株式は205億ドル、米政府機関債は324億ドルのそれぞれ買い越しとなった。
原題:Japan Overtakes China as Largest Holder of U.S. Treasuries (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-15/OI8WEY6KLVRG01


 


米国債:続落、利回り曲線のフラット化続く−金利予測上方修正で
Edward Bolingbroke、Andrea Wong
2016年12月16日 05:55 JST更新日時 2016年12月16日 07:29 JST

15日の米国債相場は続落。米連邦公開市場委員会(FOMC)が前日、利上げに加えて、今後数年の金利予測を上方修正したことが引き続き売りを誘った。
  5年債と30年債の利回り差は過去3日間で20ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)縮小した。これは3日間としては約7年ぶりの大幅な縮小。FOMCの動きを見て市場では、経済成長のけん引役が金融政策から財政拡大に移ったとの見方が一段と強まった。

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  ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在の10年債利回りは前日比3bp上昇の2.60%。
  5年債と30年債の利回り差は105bpを下回り、9月2日以降で最小となった。
  ユナイテッドヘルス・グループが10年債と30年債を総額15億ドル発行したにもかかわらず、30年国債は上昇した。
  10日終了週の米週間新規失業保険申請件数は25万4000件と、3週間ぶり低水準。失業保険の継続受給者数は増加した。
  
原題:Treasury Curve Collapses as Fed-Induced Bond Selloff Escalates(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-15/OI8UZ66VDKHX01

米大手行、700億ドルの損失吸収能力不足に−FRBが新たに推計
Jesse Hamilton
2016年12月16日 02:10 JST
大手米銀が破綻した場合でも広範な金融システムを損ねる事態を確実に防ぐことを目的とした米連邦準備制度理事会(FRB)の規制案に基づくと、ウォール街の大手行は破綻時に損失を吸収するための資金が約700億ドル(約8兆3000億円)不足している。FRBが新たな推計を発表した。不足分は従来の推計額の約半分となる。
  FRB理事が15日に承認する予定の規制案によれば、米国の大手8行は破綻した場合に新会社で株式に転換可能な長期債務を十分保有することが義務付けられる。この資本は、国際金融システムにとって重要な金融機関に義務付ける総損失吸収能力(TLAC)の基準を満たす上でも利用される。FRBは2015年10月時点で、不足分を計1200億ドルと推計していた。
原題:Biggest Banks $70 Billion Short in Fed Push to Prevent Bailouts(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-15/OI8JS36VDKHY01



NY連銀製造業景況指数:12月は9.0、市場予想4.0
Alex Tanzi
2016年12月15日 22:37 JST
  エコノミスト44人の予想レンジは0.0 〜8.0だった。
*統計表
原題:Dec. New York Fed Empire Index at 9.0, Est. 4(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-15/OI8B1T6VDKHZ01

 

米NAHB住宅市場指数:70に上昇、予想上回る−11年ぶり高水準
Patricia Laya
2016年12月16日 01:40 JST

12月の米住宅建設業者の景況感は11年ぶりの高水準に上昇した。トランプ次期大統領の政策により、住宅業界の規制が緩和されるとの見方が広がっている。
  全米ホームビルダー協会(NAHB)とウェルズ・ファーゴが15日発表した住宅市場指数は70と、前月の63から上昇し、2005年7月以来の高水準。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は63だった。同指数で50を上回ると住宅建設業者の多くが現況を「良い」とみていることを示す。
  購入見込み客足指数は53に上昇し、これも11年ぶり高水準。前月は47。
  向こう6カ月の販売見通しは78に上昇し、2005年6月以来の高水準。前月は69。
  現況指数は76に上げた(前月69)。

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  NAHBのチーフエコノミスト、ロバート・ディエツ氏は発表資料で、「今回の住宅市場指数の顕著な上昇は異常値と見なされる可能性もあるが、経済のファンダメンタルズが住宅市場にとって引き続き良好な状態だという事実は変わらない」と指摘。「住宅市場指数の上昇は、このところの株式相場や消費者信頼感の上昇と整合する。一方で、建設業者は住宅ローン金利の上昇に引き続き敏感なほか、土地・労働力不足への対応も続いている」と加えた。
  全米4地域では北東部が59と、前月の47から上昇。西部は86に上昇した(前月76)。
  統計の詳細は表をご覧ください。  
原題:Confidence Among Homebuilders in U.S. Surges to an 11-Year High(抜粋)


https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-15/OI8HGD6VDKHW01



OPEC減産合意、石油メジャーの「リスクと報酬」への意欲を試す
Francois de Beaupuy
2016年12月16日 11:25 JST

• トタルCEO:投資削減は供給不足につながる可能性あると予想
• 約2年に及ぶ原油下落で投資家らは石油会社による投資に慎重姿勢

石油輸出国機構(OPEC)の原油価格押し上げに向けた減産合意は、石油会社にとって2年間に及ぶレイオフと利益減少の時期を終え投資を再開するチャンスとなりそうだ。ただ、それは各社が依然としてリスクを選好していればの話だ。
  フランスの石油大手トタルのパトリック・プヤンヌ最高経営責任者(CEO)は原油価格低迷期に一貫して、世界各地での総額数百億ドルに上る投資削減により原油供給は数年以内に不足すると警鐘を鳴らしていた。こうした状況は、来年、大規模な新規プロジェクト開発を開始するかどうかについて検討する予定の同社にとって好機となる。
  問題は、プヤンヌCEOが実際にプロジェクトに投資をすることを慎重な投資家らが望んでいるかどうかだ。

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  オッド・セキュリティーズのアナリスト、アーメド・ベン・サレム氏はパリから電話インタビューに応じ、「トタルは引き続き投資資金を慎重に配分し、原油安を警戒する必要がある」と指摘。トタルは2020年以降の生産の伸びを促す方法を探すべきだが、「OPECの減産決定は半年間しか継続されない可能性があるため、原油価格が1バレル=45ドルもしくは50ドル未満で収支とんとんとなるプロジェクト」のみについて検討すべきだと述べた。
原題:OPEC Deal Tests Oil Majors’ Appetite for Risk and Reward(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-16/OI961J6S972H01

 

リビア、アル・フィール油田の生産再開−最大輸出港からの出荷を準備
Salma El Wardany、Saleh Sarrar
2016年12月16日 07:34 JST

• 生産量は1週間以内に日量7万5000万バレルに−エンジニア
• 2年ぶり輸出再開に向け、タンカーがシドラ港に16日到着予定

リビアは同国最大級油田の一つであるアル・フィール油田での生産を再開した。内戦による打撃を受けたリビアは、2017年に生産量を2倍近くに拡大する計画で、同国最大の輸出ターミナルから2年ぶりに原油を出荷する準備を進めている。
  アル・フィール油田からメリタのエネルギー施設への供給が15日に始まり、生産量は1週間以内に日量7万5000バレルに達する見通し。メリタ・オイル・アンド・ガスのエンジニア、ハリド・ハドロウル氏が電話取材に対し明らかにした。同油田の権益はイタリア炭化水素公社(ENI)などが保有する。
  レプソルが運営するリビア最大のシャララ油田も14日にパイプラインが再開し、ザーウィヤ精製施設への原油供給を近く始める。同施設のマネジャー、マンスール・アブドラ氏が明らかにした。これら油田は1年半余り閉鎖されていた。生産能力は合計で日量45万バレルを超える。
  2014年以来となる原油輸出再開に向け、タンカー「シーミュージック」が16日にシドラ港に到着する予定。
原題:Libya’s ‘Elephant’ Oil Field Reopens as Biggest Port Set to Ship(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-15/OI8ZAR6TTDSC01



http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/763.html

[政治・選挙・NHK217] 全農悪玉論で改革は進むのか イスラエル企業は黒子に止まるのか
全農悪玉論で改革は進むのか

ニッポン農業生き残りのヒント

カギ握る「下からの変革」、ヒントはJA邑楽館林に
2016年12月16日(金)
吉田 忠則
 自民党の農林部会長に小泉進次郎氏が就いたのが昨年10月。以来1年余り、農業改革をめぐる論議は、国際的にみて高いとされる農薬や肥料など農業資材の値段の引き下げ問題を中心に進められてきた。とくに焦点になったのが、資材の購買を手がける全国農業協同組合連合会(JA全農)の組織や事業の見直しだ。

 目的はできるだけ資材を農家に安く提供し、農産物をできるだけ高く売ることにある。一連の論議の背景には、全農が期待されている役割を十分に果たしていないとの問題意識がある。

全農と非全農系から見積もりを


JA邑楽館林は資材価格の引き下げに長年取り組んできた(群馬県館林市)
 そのことを考えるヒントにするために、今回は邑楽館林農業協同組合(JA邑楽館林、群馬県館林市)の取り組みを紹介したい。「農家の所得を少しでも増やすため、農産物を1円でも高く売り、資材を1円でも安く提供するよう努力してきた」。江森富夫組合長はそう話す。

 もし聞かれれば、農協の組合長はみんな同じように答えるかもしれない。「農家のために努力していない」と話す農協の幹部などいないだろう。だが、JA邑楽館林の取り組みには、胸を張ってそう言えるだけの裏づけがある。

 全農改革に関する報道では、あたかも全農が農業資材や農産物の流通を独占し、それを傘下の農協に押しつけているかのような記事が散見された。ところが、JA邑楽館林は「全農から強制されてなどいない」と反論する。

 実際、この農協は400種類を超す農薬の値段について、全農と非全農系の卸会社から毎年見積もりをとり、安いほうから買うという取り組みを長年続けている。少なくとも、JA邑楽館林に関する限り、全農が資材の購入を押しつけているという事実はない。

 見積もりの結果、約6割は全農から仕入れ、残りの4割は非全農系から購入している。6割は全農のほうが安いからだ。これも、一連の報道で伝えられてきたイメージとは違うのではないだろうか。JA邑楽館林からは「4割のほうばかりが誇張されて、全農の資材は高いと批判するのはおかしい」との声がもれる。

 あえて仮定すれば、双方から見積もりをとるJA邑楽館林のやり方に対応するため、全農が資材をできるだけ安く提供するよう努力している可能性はある。もしそうなら、ほかの農協も同じ方法をとればいいだけの話だ。


日々大量の野菜が出荷されるJA邑楽館林の施設(群馬県館林市)
 一方、資材価格をめぐっては「全農が割高なため、全農から仕入れる農協はホームセンターより割高」との指摘もある。実際はどうか。JA邑楽館林はそうしたことがないよう、周辺のホームセンターなどの値段を定期的に調べ、おおむね自分のほうが安いことを確認している。

 読者のなかには「できすぎた話だ」と感じる人もいるかもしれないが、こういう試みが生まれ、続いてきた背景にはそれなりの事情がある。きっかけは40年余り前、青果物の大型の集出荷センターを新設したことにある。問題はなぜセンターをつくったかだ。

各地の市況を比べて「有利販売」

 背景は2つある。じつは当時、近くに産地市場が3つあり、キュウリやナスを農協ではなく、市場に直接出荷する農家が少なからずいた。農協外の流通に回っていた農産物を、農協に集めるための切り札としてつくったのが集出荷センターだった。

 もう1つは、農協の既存の施設を利用するが、農産物の販売はみずから手がける農家のグループが複数あったことだ。農協からすれば、施設の利用料は徴収できるが、販売手数料は入らない。一方で農家の側も、夜中まで出荷作業に追われるなど、過重労働に悩まされるという問題を抱えていた。

 この2つの勢力を取り込み、集荷量を増やすにはどうしたらいいか。もちろん、新しい青果物センターが大きくて使い勝手がいいだけでは農産物は集まらない。そこで掲げたのが、「有利販売」だ。農家がみずから売るといっても、販売先はせいぜい東京市場。そこでJA邑楽館林は、各地の市況を見比べて、より高い先に売る仕組みをつくったのだ。

 これが「農産物を1円でも高く売る」という意味だ。JA邑楽館林には、かつて「全国が市場」という標語が額に入れて飾ってあったという。「農薬や肥料などの資材を1円でも安く提供する」という取り組みも、これとセットで始まった。どちらも、農家の所得を増やし、求心力を高めるための措置だ。

 こうした努力は、いまも止まることはない。昨年も家畜のエサにする配合飼料の仕入れ先を増やし、価格の比較で仕入れ値を下げることに成功した。

 ほかの分野と同様、畜産農家も高齢化で軒数が減る一方、農協以外から飼料を買っている農家も少なくない。そこで、シェアを高めるため、飼料の仕入れ先ごと農家との関係を強化したのだ。飼料の販売会社には、農協が間に入ることで代金回収にかかる人件費が減るといったメリットを提示した。

 JA邑楽館林はこれまでも、農家が飼料を配合する際の原料になる単味飼料は、全農系以外からも見積もりをとって仕入れてきた。小麦を製粉する際に発生する「ふすま」やトウモロコシ、大豆、大麦などだ。これに対し、すでにできあがった配合飼料は「成分が違うので単純比較できない」として比較を見合わせてきた。シェアを増やすため、今回この分野でも一歩踏み込んだわけだ。

「村の論理」より経済合理性で

 農業資材の価格の引き下げというテーマに関し、小泉氏は政府の規制改革推進会議とも連携しながら、全農に事業や組織の見直しで数値目標を含む年次計画を立てさせ、政府・与党が定期的にチェックするという成果を勝ち取った。それと比べ、JA邑楽館林の取り組みはどう位置づけ、評価すべきだろう。

 まず大きいのは、JA邑楽館林には農産物の販売でライバルがいたことだ。農家が野菜を直接出荷する産地市場だ。さらにかつては農協の力が弱かったため、農協の施設は使いながらも、販売はみずから手がける農家のグループがあったこともプラスに働いた。

 ひと言でいえば、「下からの変革」だ。農家は農協を利用すべきかどうかを他の選択肢とてんびんにかけ、農協は期待に応えようと努力する。その同じ文脈で、農協は全農と他の卸会社を比べ、できるだけ有利に資材を調達しようと努める。競争を背景にした緊張関係が、「1円でも安く仕入れ、1円でも高く売る」という努力を促す。

 こういう取り組みを各地に浸透させることができれば、農協の意識改革が大きく進む。そのために必要なのはライバルの存在であり、「村の論理」よりも経済合理性で動くプロ農家の集団だ。そういう環境で農協は鍛えられる。

 では小泉氏が1年余りかけて実現した改革の意義はどう考えればいいのだろう。そのことは次回のテーマにしたい。

新たな農の生きる道とは
『コメをやめる勇気』

兼業農家の急減、止まらない高齢化――。再生のために減反廃止、農協改革などの農政転換が図られているが、コメを前提としていては問題解決は不可能だ。新たな農業の生きる道を、日経ビジネスオンライン『ニッポン農業生き残りのヒント』著者が正面から問う。

日本経済新聞出版社刊 2015年1月16日発売
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/252376/121400075/


 

 

 

イスラエル企業は黒子に止まるのか

記者の眼

日本がはまる「めんどくさい」
2016年12月16日(金)
寺岡 篤志
 中東の技術大国として知られるイスラエル。しかし、日本との経済関係の歩みは速いとは言えない。その背景にあるのが、イスラエルの国民性や抱える火種への忌避感だ。
 セガゲームス、任天堂、スクウェア・エニックス、バンダイナムコスタジオ、コナミデジタルエンタテイメント、カプコン———。11月下旬、日本の名だたるゲーム会社のシステムエンジニアが東京・港のホテルに一堂に会していた。

 イスラエルの中堅IT企業、インクレディビルドの日本法人立ち上げを祝うパーティーだ。インクレディビルドのエヤル・マオールCEOは「日本は画像処理などのゲーム技術が発達している重要な市場。現地法人の設立で既存国客へのサポートの迅速化、市場の拡大がさらに進む。開発・販売の両面で提携できる日本企業も探したい」と意義を語った。日本法人の立ち上げはイスラエル政府が昨年始めた日本への進出補助金プログラムを利用した第一弾。ルツ・カハノフ駐日イスラエル大使は「両国の経済関係者の進展を嬉しく思う」と歓迎した。


インクレディビルドのマオールCEO(右から2人目)やカハノフ駐日大使(右)ら
 インクレディビルドが主にゲーム会社に提供している分散コンピューティングシステムは、ヒトが書いたプログラムをコンピュータの言語に変換する「コンパイル」という作業を高速化する。「軽トラとスポーツカーぐらい速さが違う」「導入で作業時間は6分の1に減った。もう手放せない」。参加した日本企業のエンジニアからはこんな声が上がっていた。同社が日本市場に進出したのは約10年も前。日本の大手商社などと連携し、冒頭に挙げたような日本の大顧客を獲得してきた。

 イスラエルにはインクレディビルドのような黒子企業が多い。人口、国土、資源、輸送手段などの制約により、イスラエルはハードウェアよりもソフトウェア産業が優先的に育成され、自国の市場の小ささから最終製品まで手掛ける企業も少ないためだ。

 こうした黒子企業は、アラブ国家によるイスラエルへのボイコット包囲網への対抗策となった。パソコン、ウェブサービス、自動車など生活に欠かせない商品に要素技術を提供することで、ボイコットは形骸化していった。

イスラエルは「めんどくさい」?

 一方で、日本におけるイスラエルの存在感の希薄さにも繋がっている。インクレディビルドは日本での長年の実績と大きな顧客基盤を持ちながら、まったくと言っていいほど国内では無名だ。日産自動車のミニバン「セレナ」の自動運転支援システムの要素技術がイスラエル発であることを知る日本人も多くはないのではないか。

 黒子企業が大々的に消費者に名前を売らないのは当然のことかもしれないが、イスラエルに拠点を置くサムライインキュベートの榊原健太郎CEOは「日本とイスラエルの技術が融合したヒット商品が世に広まらないと、2カ国間の経済関係は進展しない」と指摘する。日本企業がイスラエルとのビジネスに踏み切るために背中を押してくれる事例が必要というわけだ。黒子企業も最後には頭巾を脱いで表舞台に出てこなければ、これは果たせない。榊原氏の発言の背景を、イスラエル企業との技術開発を手掛けているある日本メーカーの社長の言葉が端的に言い表している。「あの国はほんとめんどくさいんだよ」。

国民性とアラブ国家の摩擦がハードルに

 イスラエル、天才を生み出す「3つの秘密」でも伝えたとおり、ユダヤ人の個性を端的に表す「フツパー」という言葉がある。確立された日本語訳はないが、概ね「地位に関係なく直言する人」といった意味合いだ。現地の日本人駐在者に言わせれば「『KY』が最も適した訳」だそうだ。日本メーカー社長も「まるで俺を社長だと知らないような物言いなんだ」と嘆息する。例えイスラエルの技術に惚れ込んで日本企業が提携を結んでも、両者の国民性の違いが壁になる。

 そして、パレスチナ問題に代表されるアラブ国家との摩擦。提携に踏み切る以前にイスラエル自体に対して「めんどくさい」と思わせてしまうアレルギーの要因になっている。日本とイスラエルの2カ国間ビジネスを手掛けるユダヤ人は「イスラエルの技術を紹介する際に、戦争で培われた技術だろうという評価がついて回る」と話す。

隠れイスラエル駐在企業も?

 政治的にも民族的にも極めて深刻な問題に対して敢えて「めんどくさい」と不謹慎な表現をするのは、必ずしも軍事技術への深刻な嫌悪感を持つ会社ばかりではないのではないか、という疑念が記者にあるからだ。イスラエルに駐在する日本人ビジネスマンが「看板を掲げずにイスラエルに駐在員を置いている日本企業もある」と指摘するように、レピュテーションリスクが忌避感の大きな要因と思われる。

 昨年の安倍晋三首相のイスラエル訪問後、インクレディビルドが利用したような補助金制度や人材交流事業が次々に立ち上がっている。しかし、外堀は埋まっていても踏み切る日本企業はまだ多くない。

 2つのリスクを御する方法を日本企業は見出せていない。というより、そもそもリスクを消し去る妙手なんてないのかもしれない。上述の日本メーカー社長は「イスラエル企業とうまくやるコツは我慢することに尽きる。我慢さえすれば、ものすごいモノが出てくるんだから」と話す。

 2カ国間のビジネスに携わる多くの関係者の解答も皆一様にシンプルだ。ある大手企業のベンチャー投資担当者は「当面の目標はトップをイスラエルに連れて行くこと。行けばすぐにでも提携を決めたい企業がたくさんみつかる」と話す。実際に行かなければ分からない。当たり前すぎる解答なのだが、いまだその当たり前から始めなければならないのが、2カ国関係の現在位置なのかもしれない。


このコラムについて

記者の眼
日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/121500376/
http://www.asyura2.com/16/senkyo217/msg/630.html

[不安と不健康18] カラダご医見番 (第322回) 生活習慣調査から見えた「健康な高齢者」と「不健康な若者」

カラダご医見番
【第322回】 2016年12月16日 井手ゆきえ [医学ライター],-週刊ダイヤモンド編集部-
生活習慣調査から見えた「健康な高齢者」と「不健康な若者」
 先日、厚生労働省から「平成27年国民健康・栄養調査」が公表された。約3500世帯を対象に調査したもの。

 これによると、過去10年間で糖尿病と脂質異常症が疑われる人の割合は、ほぼ変化がなかった。加齢が発症リスクであることを考えると「健康を気遣う高齢者」が増えたと推測される。

 事実、脳・心疾患の発症リスクである血圧値は10年前より有意に低下。成人男女の平均血圧値は、男性が133.8mmHg、女性127.2mmHgだった。2006年の平均血圧値と比較すると、男性は2.0mmHg、女性は3.3mmHg改善したのだ。

「たったそれだけ」と拍子抜けしそうだが、血圧値を1mmHg下げるには1〜2kgの減量か、1日1gの減塩が必須。メタボ対策で生活改善を試みたことがある方なら、努力を想像できるだろう。

 一方、食・運動習慣からは「健康な高齢者」と「不健康な若者」の構図が見えてくる。

「健康日本21(第2次)」では、主食(ご飯やパン)と主菜(肉・魚類)、副菜(野菜・きのこ・海藻類)のバランス良い食事を心がけ、1日に350gの野菜を食べるよう推奨している。

 しかし、1日2回以上「主食・主菜・副菜」を食べている20代は4割未満。野菜の摂取量も目安量の6〜7割にとどまった。また、4人に1人が、朝食を「食べない」「錠剤や栄養ドリンクのみ」「お菓子や果物」としているのも気になるところだ。

 一方70歳以上では、男女とも6割が毎日「主食・主菜・副菜」のバランス食を実践。野菜も目安量の9割を食べている。

 運動習慣でも20代男性の8割、女性の9割が「運動しない」のに対し、70代以上の男性2人に1人、女性3人に1人は1日30分以上、週2回以上の運動を実践していた。

 ちなみに、食・運動習慣が目に見えて改善されてくるのは、男女ともに50代からである。

 確かに若い頃は、食習慣や運動習慣に気を配る余裕はない。ただ「You are what you eat.」は真実だ。せめて食習慣だけでも、早め早めに見直していこう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)
http://diamond.jp/articles/-/110902
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/235.html

[国際16] 電力自由化がもたらす天国と地獄 破綻する電力と儲かる電力 プーチンに脅され、市場に裏切られ 凍える英国 エネルギー貧困層
電力自由化がもたらす天国と地獄 破綻する電力と儲かる電力の違いは何か?
2016/12/16
山本隆三 (常葉大学経営学部教授)
 英国の独立系と呼ばれる電力・ガス小売専業のGBエナジーが、11月26日に供給を停止した。いま供給を受けている16万の顧客への供給を継続するため事業者が電力ガス市場規制局により選定されたので供給は確保されているが、顧客は新事業者からの供給の切り替え時点に合わせ自宅のメータを読む作業を強いられるなど、結構面倒なことがあるようだ。
 1990年に電力業界の自由化を開始した英国では、1999年に小売の完全自由化が行われたが、その結果起こったことは供給の寡占化だった。大手6社と呼ばれる発電から小売まで行う事業者のシェアが上昇し、2000年代半ば以降家庭向け小売市場のほぼ100%を占めるようになる。
 自由化により寡占化が進んだ皮肉な結果を受け、エネルギー市場の管理当局は独立系と呼ばれる新ガス・電力会社に小売市場への参入を促し、競争環境を作り出すことに努めた。その結果2012年以降13社が新規にエネルギー市場に参入した。破綻したGBエナジーもこのうちの一社だった。
 市場に参入した新規参入者は、市場シェアを獲得するために既存のガス・電力会社よりも安い料金を提供したが、これが首を締める原因になった。日本でも360社を超える新電力が登録されているが、やがて英国と同様のことが起こる可能性がある。なぜ、新規参入者は供給停止に追い込まれたのか、その理由を見ると、日本の自由化市場の将来像が見えてくる。
エネルギー価格上昇により活性化した電力小売市場
 1990年の市場自由化により、英国では天然ガス火力設備の導入が活発になった。北海から産出される自国産の天然ガスが競争力のある価格で提供されたことも大きかった。しかし、一時は輸出を行うほどの生産量であった北海からの天然ガス生産は21世紀の初頭にピークを打ち、急速に生産量を減らした。いまは需要量の半分程度を賄うだけだ。
 北海からの天然ガス供給の減少に合わせ、英国内の天然ガス価格と電気料金は2000年代後半から上昇を始める。図-1に電気料金の推移を示した。2013年冬にはエネルギー価格の上昇が社会問題にもなり、野党労働党党首がエネルギー価格の凍結を総選挙の公約として持ち出すほどになった。(プーチンに脅され、市場に裏切られ凍える英国 )
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 エネルギー価格の上昇を懸念した英国政府は、天然ガスと電力市場に新規参入者を増やし、消費者に大手6社から価格競争力のある新規参入者の料金への切り替えを促すことにより、エネルギー価格の引き下げを図った。2014年後半からのエネルギーコストの下落もあり、新規参入者は競争力のある料金の提供に成功する。
 破綻したGBエナジーは、その中でも最も価格競争力のある一社だった。2015年10月には「ガーディアン紙」が、「2012年以降初めて年間800ポンド(約116000円)を切る料金が登場した」としてGBエナジーの新プランを紹介している。同社の料金プランと大手6社の標準的な料金との比較も紙面で行なっているが、最も高いNpower(独RWE系)の料金との比較では年間310ポンド(45000円)も安くなるとしている。新規参入者は順調にシェアを獲得し、2016年第2四半期には、大手6社の家庭向けシェアは86%まで低下した。
発電設備の減少が続く自由化市場
 自由化された電力市場では、総括原価主義と異なり収入、電気料金の保証はなくなる。大規模に貯めることが難しい電気は必要な時に必要な量を発電する設備を保有する必要があるが、夏場あるいは冬場の最需要期にしか稼働しない設備は、価格保証がない自由化市場では収益を生むことはないので、誰も設備を作らなくなる。
 自由化後20年以上が経過した英国では、石炭火力、石油火力発電所の設備の老朽化が進み閉鎖される発電所も増えてきたが、新設されるのは差額保証契約などの支援制度の下、買い取り価格が保証されている風力、太陽光などの再生可能エネルギーの発電設備が大半になってきた。図-2に示されている風力、太陽光発電設備の新設を含めても、英国の総発電設備は減少が続いている。図-3の通りだ。

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 将来の供給力不足を懸念する英国政府は、設備の稼働率に関係なく一定額を支払う容量市場を2014年に創設するなど設備の新設支援策を導入したが、まだ功を奏していない。英国の発電設備の減少を補ってきたのは、英国とフランス、オランダの間に敷設されている送電線を通しての電力輸入だった。電力純輸入量(輸入量から輸出量を引いたもの)は図-4の通り推移している。このうち約3分の2がフランスからの輸入量だ。総供給量に占める純輸入の比率は約6%になっている。

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 英国の電力卸市場は、2014年後半からの原油をはじめとするエネルギー価格の下落、フランスからの電力輸入量もあり、比較的落ち着いて推移していた。しかし、フランスの原子力発電所が臨時点検を実施したことから価格の上昇に直面することになった。発電設備を保有せず、市場からの調達を行っていた小売専業のGBエナジーは卸価格の上昇に持ちこたえることができなかった。
フランスの電力供給が与える影響の大きさ
 フランスでは、原子力発電所の蒸気発生器などの一部機器に炭素濃度が高い材料が使用されているため強度不足の懸念があるとして、原子力規制委員会が点検を命じた。2016年の第3四半期より臨時の点検作業が開始されている。いま、定期点検を含め合計58基(総出力6313万kW)中17基の原発が停止中だ。
 2015年のフランスの発電量は5460億kWh。ドイツの5804億kWhに次ぐ欧州第2位の発電大国だ。原発の発電量が76%を占める原発依存度が高い国でもある。電力の純輸出量は欧州一の年間630億kWhだ。周辺国は英国を含め、ドイツ、イタリア、ベルギー、スペイン全てフランスからの電力を輸入している。表-1の通りだ。

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 原発の停止により、フランスの発電量は大きく減少した。9月の発電量は1998年以来最低の266億kWhまで落ち込み、輸出大国フランスが、電力輸出を行う状況から輸入を行わなければならない状況に追い込まれた。冬の気候次第ではフランスの電力供給は非常に厳しい局面になると予想されている。
 フランスの発電量減少は、フランスのみならずドイツ、英国の卸市場にも影響を与えることになったが、さらに英国市場には泣き面に蜂の事件が発生する。ストーム・アンガスと名付けられた嵐が11月下旬英国を襲い、英国とフランスを結ぶ英仏海峡の海底ケーブル8本の内4本が破損したのだ。200万kWの送電能力は100万kWに半減し、復旧は2017年2月になるとされている。破損の原因は嵐を避けた船舶が下ろした碇によるものと推測されている。
高騰する英国の卸電力価格と逼迫する供給
 フランスからの電力輸入に依存していた英国の電力市場もフランスからの電力供給量減少の影響を受け、卸電力価格は大きく上昇することになった。英国の卸電力価格は、ここ数年1MWh当たり概ね30から40ポンドで推移していた。1kWh当たり4.4円から5.8円だ。今年9月には卸市場価格は最高170ポンドまで高騰した。1kWh当たり24.7円になる。
 その後も卸市場価格は40ポンド以上で高止まりしており、10月下旬にはまた100ポンド(1kWh当たり14.5円)を超えることもあった。独立系のガス・電力小売事業者は、発電設備を保有していないため高騰する卸価格の影響を大きく受けることになる。小規模事業者ゆえに先物による電力の手当も限度があったGBエナジーは供給停止に追い込まれたが、他にも供給停止に追い込まれる小規模事業者が出てくると報道されている。
 英国では老朽化した発電所の閉鎖により2014年から2015年の冬にかけ、供給予備率が4%に落ち込むと予想された。一般的には最大電力需要に対し8%程度の設備能力の予備率が必要とされているので、かなり危機的な水準だった。
 このため、電力ガス市場規制局は、既に供給を停止している発電所を緊急用予備電源として確保し、万が一の時には供給できる体制を整えた。今年の冬の予備率は1.1%まで落ちると予想されているが、この予備電源を含めると6.6%になり停電の事態は避けられる見込みと報道されている。
自由化市場が生み出すのは大規模電力会社なのか
 日本でも電力小売事業者の登録数は増えているが、発電設備を保有している事業者はガス会社などを除けば殆どいない。多くは余剰電力をかき集めることで供給力を確保している。英国のように卸市場価格あるいは仕入れ価格が高騰すれば、小売専業の事業者は供給を続けることが困難になる。
 結局、発電部門と小売部門の両方を持っていなければ、市場の変化に対応が難しいということだ。小売部門の仕入れ価格が上昇する事態になれば、発電部門が利益を挙げ、小売の収益減を補うことができる。発電部門も複数の発電源を保有していなければ対処が難しいこともある。例えば、一つの燃料だけの発電設備しかなければ、その燃料価格だけが上昇した時にはコストアップ分の吸収ができなくなる。
 多くの新電力が登場しているが、複数の発電部門と小売部門を持っている大規模事業者が生き残っていくことになるだろう。多様な発電部門を持つ会社が有利なので、英国で起こっているように、寡占化が進み電力会社は大規模化していくことになる可能性もある。大規模化すれば海外での電力事業に取り組む体力もつくことになり成長の機会も広がる。大規模電力はますます大きくなっていく。競争環境を作り出すことが目的の市場自由化がもたらすものは、大規模電力会社なのだろうか。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8456


プーチンに脅され、市場に裏切られ
凍える英国
この冬、暖房できないエネルギー貧困層が増える?
2013/12/05
山本隆三 (常葉大学経営学部教授)
 ウクライナが親ロシア路線に舵を切り、デモ隊が政府機関を占拠するなど国内が混乱している。リトアニア・ビリニュスで開催されたEUサミットの会場で11月29日に調印される予定だった欧州連合(EU)との連合協定調印を先送りする決断を行ったためだ。EUが条件とした服役中のティモシェンコ前首相のドイツの病院への移送をウクライナ国会が拒否したこと、隣国ウクライナのEUへの接近を嫌うロシア・プーチン大統領からの圧力が、先送りの大きな理由として挙げられている。
 プーチン大統領からの圧力には当然だが、ウクライナ向け天然ガス供給の中断も含まれていた。天然ガスの供給中断が実行されれば、ウクライナだけではなく、EU全域に影響を及ぼす。その中にはロシアから最も離れている国の一つ、英国も含まれている。
 その英国では、天然ガスと電気料金の上昇により、この冬、560万世帯のエネルギー価格の支払いが世帯収入の10%以上になり、エネルギー貧困層に陥ると報道されている。10月には、EU27カ国のなかで、英国のエネルギー貧困率がエストニアに次ぐ第2位になり、かなりの数の英国民が食料を取るか暖房を取るかの選択を迫られると報道された。
プーチンに脅されるウクライナ
 プーチン大統領が天然ガス供給を材料に交渉するのは、今回が初めてではない。2006年と09年1月の厳冬期にウクライナとの天然ガスの価格交渉が難航したこととガス抜き取り疑惑を理由に、ロシアはウクライナ向け天然ガス供給数量を大きく削減した。当時欧州向け供給の80%から90%はウクライナ経由のパイプラインで供給されていたので、欧州諸国にも大きな影響を与え、09年の中断の際には、ブルガリアなど6カ国向けのロシアからの供給が全て途絶するなど18カ国が影響を受けた。
 06年のガス紛争の影響を受けた欧州諸国のうちドイツ、フランス、イタリアなどの西側諸国は、09年には天然ガスの備蓄をある程度行っていたが、ポーランド、ブルガリアなど東側諸国の多くは備蓄を持っていなかった。その状態は今も変わりない。厳冬期に天然ガスの供給が途絶するのは大きな恐怖だ。
 09年の供給途絶の後、ウクライナ政府はロシア・ガスプロムからの購入価格を大きく上げることに合意した。いま、その価格は、ガスプロムのドイツ向け価格1000立方メートル当たり400ドルを上回る430ドルだ。ウクライナは「適正価格は250ドル」と主張しているが、プーチン大統領が提示した価格引き下げの条件は、ウクライナ国内のパイプラインをガスプロムに譲渡するか、あるいはロシアが主導する関税同盟にウクライナが参加するかだ。どちらもウクライナが受け入れられる条件ではなかった。
 11月29日のEU・ウクライナの連合協定調印予定が決まってからは、プーチン大統領は、サンクトペテルブルク市に勤務していた際の部下であったガスプロムのミレル社長経由で、さらに圧力を強めた。ミレル社長は、「ウクライナのガス料金支払いは遅れており、10月1日現在で5億5000ポンドが未払いになっている」と主張し、直ちに支払うことを要求した。ロシアの意図がウクライナのEUへの接近阻止にあるのは明らかだった。一方、ウクライナは、料金値上げ以降の過去3年間で200億ドル以上の過払いがあると反論し、契約の見直しがなければ、ロシアからのガス購入を中断すると10月10日に発表した。
 これに対し、10月末にはガスプロムは、未払い問題が解決しない限り前払いが必要とウクライナに要求する。ウクライナは11月11日にロシアからのガス購入を中止し、ハンガリー、ポーランドなどが輸入しているガスを迂回購入する契約を結ぶが、結局4日後にロシアからのガス購入が再開された。その6日後には、ウクライナ政府がEUとの連合協定調印の準備作業を中断し、ロシアの関税同盟に関する対話を再開すると発表することになり、国内は大きな混乱に陥った。
ロシアへの依存度を下げたい欧州
 天然ガスは、欧州の一次エネルギー消費の約25%を占めている。天然ガスの60%以上は輸入だが、最大の輸出国はロシアであり、輸出シェアは30%以上だ。ロシアのシェアは2000年には約50%あったので、徐々に落ちてきているが、それでもEUは天然ガス消費量の約20%をロシアに依存していることになる。石油も石炭もロシアへの輸入依存度は約30%とかなり高い。欧州が再エネ導入に熱心な一つの理由はロシア依存度の引き下げにある。
 ロシアからの天然ガス購入が多い国は、ドイツ、イタリア、ポーランド、英国、フランスだ。英国の輸入統計では、ロシアからの購入数量はゼロだが、ガスプロムの発表では英国輸入量の17%がロシアからだ。北海からの生産が減少している英国では、輸入数量が生産数量を上回るようになっており、ロシア産天然ガスは全消費量の9%を占めている。英、ロシアの統計の違いは、大陸経由の天然ガスにはスワップ契約があるために、英国の統計ではロシア産として認識されず、大陸の国からの輸入と表示されるためだろう。
 仮に、ガスプロムがウクライナとの紛争を理由に欧州向けの供給を中断すれば、英国も物理的な影響を受けることになるが、もっと大きな問題は天然ガスの価格が上昇することだ。英国ではガス料金・電気料金の値上がりが大きな社会問題になっている。
この冬、英国民の3分の2は十分な暖房ができない
 1990年からエネルギー市場の自由化を行った英国では、ガス・電力供給を行っている大手6社がこの冬のエネルギー価格の値上げを発表しており、ガス・電力料金が4%から10%値上がりすることになる。04年に552ポンドだった家庭の年間の平均エネルギー価格は13年12月には1312ポンド(約22万円)に達すると見込まれている。約2.4倍だが、この間の平均所得の伸びは20%しかなかった。所得に占めるエネルギー価格の比率は大きく上昇した。
 最近行われた世論調査では、節約するために32%の人が間違いなく電気を消すか暖房を停めると回答し、35%の人が多分そうすると回答した。実に国民の3分の2が節約のために、節電、節エネを行うことになる。英国第2位のスーパーマーケット、アスダが5500人の母親を対象に実施した調査では、もう少し厳しい結果が出ている。若年層の母親の4分の3、全体の3分の2が、必要な暖房を行うことができないと回答している。
 英国のスーパーマーケットによると、エネルギー価格の上昇に備え食料品への支出も減少している。暖房を取るか食料を取るかの選択を多くの人が迫られていると報道されている。
 こんななかで、BBC放送のニュース番組に出演したデービー・エネルギー気候変動大臣が「私は家でもジャンパーを着ている。皆着ているのでは」とコメントしために物議を醸すことになった。コメントについて聞かれたキャメロン首相の報道官が「個人の行動に関し口を挟むつもりはないが、考慮してもよいかもしれないアドバイス」と述べたために、野党労働党のミルバンド党首から「エネルギー価格上昇に対する政権の回答は、『家でもフード付きのセーターを着ろ』だが、この回答はキャメロン政権が懸命に働く労働者の側に立っていないことを示すものだ」と非難されることになった。
公共性を優先するなら、自由化すべきではなかった
 エネルギー価格の値上げ発表を受け、ミルバンド党首は15年の総選挙で労働党が勝利すれば20カ月間エネルギー価格を凍結するとの公約を早々と発表した。世論調査では50%以上が凍結案を支持した。議会の答弁に立ったキャメロン首相は「国際市場をコントロールできないのに価格を凍結するというのはペテン師の政策だ」と述べ、適切な表現ではないとたしなめられることになったが、キャメロン首相は、ミルバンド党首が労働党政権のエネルギー大臣時代に導入した環境関連の費用を削減することにより、エネルギー価格を引き下げると発表した。
 この引き下げの対象の環境関連費用はエネルギー価格のうち112ポンドを占めているが、ミルバンド党首は、このうち60%は現連立政権が導入したものだと首相を非難した。また、連立相手の自由民主党からも、「保守党が環境政策に冷淡なことは分かっているが、政策のパニック的な逆戻りは許されない」との声が上がった。政権は112ポンドのうち約50ポンドを削減する意向であり、詳細は12月4日に発表予定のオズボーン財務大臣の秋の定例演説で触れられる予定だ。
 さらにキャメロン首相は、エネルギー企業が顧客に提示する価格は最大でも4種類に限り、さらに各家庭に最安値になる料金を提示するように要請する意向だ。これに対し、競争の制限であり、自由化に反するとの批判があり、さらに、スマートメーター、電気自動車などと組み合わせた料金プランの提示が困難になり、新技術導入を阻害するとの声も出ている。
 エネルギー企業に対し、デービー大臣は「顧客は、株主に高収益をもたらす金のなる木ではない。公共サービスを提供する企業では、業界は公に奉仕しなければならない」と述べているが、自由化した市場では企業は株主へのリターンも追及する必要がある。もし公共性が優先されるというならば、エネルギー市場を自由化すべきではなかったということだろう。英国電力自由化市場の問題については「電力自由化で『新たな総括原価主義』が必要に?温暖化対策進める英国のジレンマ」もお読み戴ければ幸甚です。
もともとエネルギー価格は安かった英国
真の問題は…
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 エネルギー価格上昇に悩む英国だが、欧州主要国のガス料金、電力料金と比較すると英国の料金は相対的に安い。また、最近の値上がり率も他欧州主要国と変わりはない。図‐1と図‐2が示す通りだ。議会が11月に発行したエネルギー価格に関するレポートでも、自由化以降、ガス・電力料金共に下落したが、2000年から04年頃を底に値上がりしていると指摘し、エネルギー貧困層も96年の650万世帯が03年には200万世帯に減少していると述べている。
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 しかし、自由化以降、エネルギー価格が値下がりしていた最大の理由は、北海からの天然ガス生産量が増えたことだ。この天然ガスにより、価格が高かった国内炭使用の発電所の燃料切り替えも可能になり、電気料金も下がった。しかし、天然ガス生産量は、図‐3の通り、2000年にピークを打ち減少を続けている。英国のエネルギー価格が上昇に転じた最大の理由は自国産エネルギー生産量の減少だ。
 安価なエネルギー価格に慣れていた国民には急激な値上がりは堪えたに違いない。さらに、英国には問題がある。家屋の断熱効果が極めて悪いことだ。英国では家屋の新築は年間18万戸しかなく、断熱効果の悪い家屋が多く使用されている。このために、エネルギー価格の総額の支払いが多くなり、1人当たりGDPが同レベルの欧州諸国よりエネルギー貧困率が数倍高くなる。政府が削減を計画している環境対策コストのなかには断熱工事への補助が含まれており、エネルギー価格引き下げ策が、中長期的にはエネルギー価格負担額の上昇を招く可能性がある。
 さらに、英国の問題は所得の格差拡大だ。米国CIAのデータによると、英国のジニ係数(所得の格差を表す係数で0から1の間で表され、数字が多いほど所得に偏りがある)は05年の0.34が08/09年では0.4になり、貧富の差が拡大している。ドイツの0.27(06年)、フランスの0.33(08年)、イタリアの0.32(11年)、日本の0.38(07年)より高い数字だ。
英国の現状は自由化の行き着いた姿
日本への示唆
 エネルギー市場を自由化すれば、企業には供給義務はなくなり、自由に価格設定が可能になる。様々な要因があるにせよ、英国の現状は自由化の行き着いた姿だ。これは消費者にとっては望ましいことではない。特に政府の価格引き下げの策の対象になっていない中小企業にとっては、エネルギー価格上昇は大きな問題だろう。先行している各国の事情をよく調査し、分析したうえで、日本も自由化、エネルギー市場改革を行う必要があることは言うまでもない。

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[政治・選挙・NHK217] 高齢社会日本の縮図:交通誘導員 フルタイム雇用なき豪州の若者に「迫り来る危機」 資源ブーム去り、仕事はアルバイトばかり
高齢社会日本の縮図:交通誘導員
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都内の建設工事現場で車両を誘導する交通誘導員 PHOTO: PETER LANDERS/THE WALL STREET JOURNAL
By ELEANOR WARNOCK
2016 年 12 月 16 日 11:34 JST
 暗闇の工事現場や駐車場でオレンジ色の光の棒を操る男たち。その姿を見て米国人の友人は、まるでスターウォーズのジェダイのようだとつぶやいた。

 日本ではよくある光景で、通りがかりの人は気に留める様子さえ見せない。しかし彼ら交通誘導員の存在は、高齢化に直面する社会の現実と、規制が根強く残る経済を象徴していると言っても過言ではない。

 人口減少が進む日本では、労働力人口も縮小している。日銀の統計を見ても、人手不足で人材が集まらないと回答する企業の割合は1990年代初頭、つまりバブル期以降で最大だ。

 労働力需給がひっ迫する中で、若者はきつい仕事をやりたがらない。他方で高齢者は仕事の選択肢が限られている。世の中は人手不足なのに賃金もなかなか上がらない。

 「我々の業界の最大の問題は人材不足。あまり魅力的な仕事になっていない」。主に建設工事現場に誘導員を派遣しているジャパンパトロール警備保障の中田文彦社長はこう語る。「若い人にとっては、この仕事は未来のない夢の持てない仕事に見える」

日本国内の警備会社約9300社のうち、7割近くが交通誘導のサービスを提供している

厳しい労働条件

 交通誘導員の労働条件は厳しい。多くは日払いで、8時間以上働いて日給1万円程度。つい最近まで多くの会社が社会保険に加入していなかった。雨が降れば仕事は休みとなり、給与も支払われない。

 「最初は大変だった、一日中立ってるのは。でも1週間もしたら慣れた」。スーパーマーケットの駐車場で交通誘導をしている秋山弘さんは言う。

 秋山さんは50代まで建設関連の会社で管理職をしていたが、病気で仕事を辞めた。健康を取り戻した後に仕事を探したが、年齢的にこの仕事以外に働き口はなかったという。

 多くの場合、交通誘導員には特別の資格は要らず、退職者や高齢者がこの業界に集まってくる。秋山さんの同僚の1人は77歳で以前はマッサージ師をしていた。経済学者は交通誘導員のような職業があることで、日本の失業率は先進国の中でも低い水準に抑えられていると指摘する。

気配り文化の表れ?

 実際、日本に来る欧米人は数多くの交通誘導員を目にして驚く。道路工事、デパート、スーパー、展示場、イベント会場――。人や車の集まるところには必ず誘導員がいる。米国や欧州だったら車の運転手は基本的に自分で判断して行動する。非効率で無駄で、働く人にとってはもっといい仕事があるだろうにと彼らの目には映る。

 日本の警備業界のルーツは1960年代前半にさかのぼる。経済が急成長するのに伴い、建設工事や道路工事などの現場では警備の仕事が必要となり、車社会になって交通事故も増えていく中で、交通誘導員の仕事が生まれた。日本国内の警備会社約9300社のうち、7割近くが交通誘導のサービスを提供している。

 規制は都道府県によって異なるが、一番厳しい東京では、道路工事や道路を占拠して交通を妨げるような現場には警備員の配置が警察によって義務づけられている。

 ショッピングセンターやスーパーの駐車場などには交通誘導員を配置する義務はないが、ほとんどの店が配置している。これは広い意味でのおもてなしの文化、気配りの文化の表れなのかもしれない。

 一方で、人口減と高齢化が進む中で、警備会社は人材確保に努めている。政府も交通誘導員やガードマンの処遇改善を進めており、最近では社保完備や月払い給与で雇用する会社も増えてきた。

人材不足に規制の壁

 とはいえ、退職高齢者や中高年の失業者の数は無限というわけではない。

 日本が移民を厳しく制限しているため、警備員の人手不足を外国人で埋めるわけにもいかない。かといって女性が警備員に採用されることも少ない。

 ではロボットはどうだろう。警視庁は、機械を使う場合でも必ず人間が近くにいることを求めている。交通量の少ない地方の警察ではこの規制は少し緩いが、労働力不足にもかかわらず警視庁がこの規制を緩める気配はない。

チャンスがもらえただけでもありがたいと話す阿部喬さん
チャンスがもらえただけでもありがたいと話す阿部喬さん PHOTO: ELEANOR WARNOCK/THE WALL STREET JOURNAL
 より多くの高齢者が労働市場に参加し、そして失業率が低下している事実は、これまで重視されてこなかった人たちを労働市場に参加させることで経済成長を実現しようとしてきた安倍晋三首相にとっては好材料だ。

 しかし、安倍政権は交通誘導員のような人たち、つまり一度仕事を辞めて高齢になってから新たな職を探している層に特段の関心を寄せているわけではなさそうだ。こうした高齢労働者と大企業で働く人たちとの間の賃金および処遇の格差を縮小させることについて、政府はほとんど前進できていない。

 以前マッサージ師をしていた77歳の阿部喬さんは、チャンスがもらえただけでもありがたいと話す。

 「体を使って歩き回る仕事は健康にいい。なので私はこの仕事を選んだ」。こう語る阿部さんは至って前向きだ。「店にはたくさんの高齢者が客として来る。私たちはいつも『お元気ですか』と挨拶を交わす。同じ年代の人と話が出来るのはとても嬉しい」

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http://jp.wsj.com/articles/SB12639540122206773900404582497771412340642


 
フルタイム雇用なき豪州の若者に「迫り来る危機」
資源ブーム去り、仕事はアルバイトばかり


資源ブームが去った豪州で若者たちは鉱山からサービス産業への経済シフトの影響を受けている。写真は西オーストラリア州コリーの炭鉱 PHOTO: REUTERS/AARON BUNCH
By RACHEL PANNETT
2016 年 12 月 16 日 11:29 JST

 【シドニー】鉄鉱石などの国際商品ブームは、これまでオーストラリアに膨大な富をもたらした。同時に、実に25年間という先進諸国世界では最長の景気拡大(年間ベース)を記録し、それは今もなお続いている。しかし、実現しなかったものもある。それは十分持続可能なフルタイム雇用の創出だ。

 オーストラリアで「不完全就業(アンダーエンプロイメント)」の状態で働く人の割合は、世界で最高レベルとなっている。不完全就業とはおおむね経済的な理由でフルタイムほど長く労働していない人々、またはパートタイムで労働し、それ以上労働時間を増やせない人々と定義される。

 経済協力開発機構(OECD)加盟国中で昨年、オーストラリア以上に不完全就業率が高かったのは欧州で問題が顕在化しているイタリアだけだった。15日発表された政府統計によると、11月までの3カ月間で不完全就業率はオーストラリアが8.5%だったのに対し、イタリアは11.8%となっている。米国は3.9%、カナダは4.6%だった。

 オーストラリア統計局のブルース・ホックマン氏は「過去1年間、パートタイム雇用が増える傾向がみられた」と述べた。

 5年前は長時間で時に危険なシフトで働く人々への需要がおう盛で、例えば高校中退者が地下鉱山で鉱物を掘削して年間20万ドル稼ぐこともできた。

 しかし、そのような資源ブームが去ると、若者たちは鉱山からサービス産業への経済シフトの影響をもろに受けている。サービス部門の多くがレジ係やホテルのクラークといった不定期あるいはパートタイムの仕事だ。

 ビクトリア州に住む18歳のアシュレー・マッキノンさんは、ソフトウエアの開発者になろうと情報技術を学んで卒業したばかりだ。しかし、マッキノンさんが見つけられたのは、食料品店で2週間に一度4時間働く仕事だけ。1週間に10〜15の職に応募する毎日を送るが「面接に着ていく服も買えない」とぼやく。

 多くの若者たちは、自分の両親や祖父母の時代よりも暗い将来に直面している。一部には大学の卒業資格を断念した者もいるし、フルタイムの仕事を探すのをあきらめた者もいる。多くの若者は依然として親元で暮らしている。家を購入できないのはもちろん、賃貸住宅の家賃も十分に支払えないからだ。

 福祉団体「セントローレンス同胞団」のトニー・ニコルソン事務局長は「危機が迫っている」と述べ、「まともなライフスタイルを実現したいと願う大勢の若者たちの控えめの希望すらくじかれるのであれば、そこからあらゆる種類の社会悪が発生する」と述べた。

 不完全就業は、5.7%という失業率に上乗せされるもので、それが記録をとり始めて以来で最悪の賃金上昇率と、執拗に低いインフレ率の一因になっている。9月までの3カ月間、オーストラリア経済は2011年初め以降初めてのマイナス成長となり、リセッション(景気後退)への懸念が広がった。

 それはまた、ポピュリスト(大衆迎合主義)的な雰囲気を醸し出すきっかけになっている。米国や欧州でみられるのと同様の現象だ。例えば7月の連邦議会選挙(上下両院の同時選挙)では、反移民政党の「ワンネーション党」が上院で4議席を獲得し、人々を驚かせた。

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[戦争b19] アサド政権、勝利と敗北を分けた選択 アレッポの反体制派には徹底攻撃、パルミラはISに譲る
アサド政権、勝利と敗北を分けた選択
アレッポの反体制派には徹底攻撃、パルミラはISに譲る
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シリア政府軍が奪取した反体制派の拠点アレッポ。内戦でこの町はどんな役割を果たしてきたのか。WSJのジェイソン・ベリーニ記者が解説(英語音声、英語字幕あり)Photo: AFP/Getty
By YAROSLAV TROFIMOV
2016 年 12 月 16 日 11:23 JST

――筆者のヤロスラフ・トロフィモフはWSJ中東担当コラムニスト

***

 シリアのアサド政権とその同盟諸国はここ幾日かの間に大きな勝利を挙げる一方で、屈辱的な敗北も喫した。

 シリアの北部アレッポと中部パルミラでの極めて重要な戦闘がもたらしたこの両極端な結末は、アサド政権とその後ろ盾になっているロシアやイランが何を優先しているのかを如実に表している。過激なスンニ派で構成される「イスラム国」(IS)ではなく、反体制を掲げる穏健なスンニ派との戦いを優先しているということだ。

 そもそもアレッポにISはいなかった。シリア政府軍は今週、反体制派が掌握する町の大部分を制圧し、半年におよんだ残忍な包囲攻撃に終止符を打った。一方、歴史的都市パルミラでは政府軍はほとんど戦闘を行わずにISの攻撃に屈した。

 政権側が瞬く間にパルミラを失ったことに、この内戦のもう一つ重要な特徴が表れている。それは、アサド大統領とその支持勢力が引き続き脆弱(ぜいじゃく)であるということだ。5年余り続く内戦で政権側に余裕がなくなっている。パルミラがたどった運命は、政権側の勝利がなかなか持続できないことと、実際に一夜にして崩壊する可能性があることを再び示した。

 これら全てが意味するのは、アレッポでの勝利に政権側が沸いているにもかかわらず、アサド大統領はいまだにシリア全土の統治の回復に少しも近づいていないということだ。アラブ諸国の政府関係者は、政権側が内戦で圧勝するのは以前と変わらず不可能なままだとみている。この内戦ではすでにシリアの人口の過半数が家に戻れない状況になっているほか、約40万人が死亡している。

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アレッポをパトロールするシリア政府軍の部隊(14日) PHOTO: GEORGE OURFALIAN/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES

 アラブ連盟の事務局長を務めるエジプトのアハメド・アブルゲイト元外相はアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで、「これは最終段階では全くない。彼(アサド大統領)は勝利しない。彼の政権は譲歩しなければならない」と述べた。

 「戦車対戦車や、大砲対大砲といった軍事行為の章は終わるかもしれない。だが政権側が対立勢力と適切な和解を見いだすために交渉の門戸を開かない限り、ゲリラ戦が全域に広がることになるだろう。これは終わらない。正気な人なら誰でも、アサド大統領は退陣しなければならないという結論に至るだろう」

 シリアのあらゆる反体制派はこれに同意する。

 最も穏健な反体制派の一つで、シリア東部を拠点にクルド人部隊とともにISと戦っているタヤール・アルガドの幹部、モンゼル・アクビク氏は「アサドは今は勝っている」としたうえで、「だが彼はどうやって再び国を統治するのか。抵抗は続くだろう」と述べた。

筆者の過去のコラム

トランプ氏に希望見いだすシリア反体制派
「イスラム国」は国家か 西側の対応がカギ
 ドナルド・トランプ次期米大統領はシリア内戦に関して、対IS抗戦という共通の目的のもと、米国はロシアだけでなくアサド政権とさえ手を組むべきだと示唆したことがある。だが、アサド政権もロシアもISに対して特に積極的に抗戦してきたわけではない。ISに対する彼らの抗戦で唯一耳目を集めた作戦は、今年3月に古都パルミラの奪還を図った際のものだ。その10カ月前にISはパルミラを占拠し、破壊行為に出ていた。

 政権側によるパルミラの奪還と解放はロシアで盛大に祝福された。サンクトペテルブルクのマリインスキー管弦楽団はパルミラに飛び、ローマ時代の円形劇場でコンサートを開いた。その様子はテレビでも放送された。

 しかし先週末、ISはパルミラを容易に奪還した。防空システムを含む大量の重火器や弾薬を奪い取ると、T4空軍基地の封鎖を狙ってさらに西へ進んだ。米国は14日、ロシアとアサド政権にパルミラからISを追放するよう求め、さもなければパルミラに空爆を始める可能性があると表明した。

 パルミラの陥落は、何よりもリソース配分の問題だった。内戦が始まるまでシリア最大の都市だったアレッポは、アサド政権にとってはるかに価値のある戦利品だ。同政権は中部と西部にある人口密集地の奪還に集中している。とはいえ、パルミラはこれまで、政権側とロシア軍の軍事能力を示す最も重要な象徴の一つだった。

 シリア軍は戦闘で兵士を失っているほか、徴兵の対象になる国民も減少している。また、ロシアとイランの双方にとってシリアでの軍事作戦にかかる費用は上昇している。そうした中でのパルミラ陥落に、シリア政権と同盟諸国の根本的な弱さが表れていると、アラブの複数の政府関係者は語る。この弱さは、反体制派に対する戦争の激化を防ぎ得るという淡い望みにつながるという。

パルミラの円形劇場で演奏したサンクトペテルブルクのマリインスキー管弦楽団(5月5日) ENLARGE
パルミラの円形劇場で演奏したサンクトペテルブルクのマリインスキー管弦楽団(5月5日) PHOTO: SERGEI CHIRIKOV/EUROPEAN PRESSPHOTO AGENCY
 「ロシアとイランの――そしてアサド政権自体の――戦争を継続させる能力には経済的理由で限りがある。内戦に終止符を打つ助けとなる要因はそれしかない」。レバノンの元首相で、現在は国民議会でスンニ派による「未来運動」を率いるフアド・シニオラ氏はこう述べた。

 だがアサド政権に批判的な向きは、パルミラの一件ではより腹黒い動機があった可能性があるとみている。

 アレッポでの政府軍の残忍な行為に世界中が注目している時に、ひげ面のIS戦闘員が有名なパルミラに突然現れたことは、大局的に見るとアサド氏が「まだましな悪」であることを思い出させる都合のいい出来事だったというわけだ。

 「ダーイシュは常にシリア政府の利益になってきた」。ISのアラビア語の略称を使ってそう話すのは、サウジアラビアなどペルシャ湾の6カ国で構成する湾岸協力会議(GCC)のアブドルアジーズ・アル・ウェイシグ事務局長補だ。「彼らはダーイシュを利用して内戦の姿を変えようとしている。つまり、独裁政権に対する国民の戦いを、テロに対する戦いに変えようとしているのだ」

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[経世済民116] 来年の米市場、まだある金融株の上げ余地 危うい「トランプ相場」  若年不法移民に「夢」を FRBを悩ませる財政政策の質問
来年の米市場、まだある金融株の上げ余地
By AARON BACK
2016 年 12 月 16 日 14:33 JST

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 米大統領選の後、金融株は大幅に上昇しているため、人々はもう上昇に興味を失い始めている(ドナルド・トランプ次期米大統領もそう言うだろう)。だが、トランプラリーは今後も続く可能性が高い。

 実際のところ、金融株の上昇は米経済とインフレの見通しや金利動向を背景に、選挙結果が出る前の今年半ばから始まっていた。

 銀行や保険会社にとって金利動向は特に重要だ。S&P500種指数の金融株指数は6月末以降28%上昇し、11月8日からは17%上昇している。

 現在、長期市場金利の上昇と米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げは、いずれも金融セクターへの恩恵となっている。FRBは14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で25ベーシスポイント(bp)の利上げを発表したことから、銀行は、特定のローン金利についてはすぐにでも引き上げることが可能となった。だが、銀行は多くの預金を抱えているため、預金金利の引き上げは(実施されるとしても)まだ先のこととなるだろう。

 調査会社ファクトセットによると、金融株指数は現在、アナリストが示す予想株価収益率(PER)の14.2倍で推移しているが、これはS&P500種全体の水準に対して17.8%のディスカウントとなっている。このディスカウントは金融危機後の時期に平均20%前後で推移していたため、現在はこれをやや下回っている状態だ。

 金融セクターに対しては今年の夏、過剰な悲観的見通しが広がり、同ディスカウントは30%以上に拡大していた。現在、このディスカウントは縮小しており、総じて適正価格に近づいたと思われる。

 だが、ブラックロック・インベストメント・インスティチュートの株式チーフストラテジスト、ケイト・ムーア氏によると、アナリストの利益予想が依然として低すぎると考える十分な理由がある。同氏の見立て通りなら、金融株は実際の水準以上に割高に見えていることになる。

 ムーア氏はまた、最低金利が長年続いたため多くの銀行アナリストが今年については「あきらめて」しまい、FRBの追加利上げはないと考えていたと指摘する。

 実際、大統領選以降、市場の金融株に対する見通しの変化は小幅なものにとどまっている。ファクトセットによると、アナリストらは現在、2017年の金融セクターの収益見通しを10.8%増と予想しており、10月末予想の10.5%増からは小幅な伸びにとどまっている。一方、10月末以降、10年物米国債利回りは約70bp上昇し、2.50%を越えている。

 例えば、ブティック型投資銀行KBWが12月初旬に発表したリポートは、経済成長や金利の見通し、銀行の収益予想をそれぞれ引き上げたほか、2017年末までに10年債利回りは2.45%に達するとしていた。だが、実際の利回りはすでにこれを上回っている。アナリストのモデル更新が市場の動きに追いついていないのは明らかだ。

 つまり、2017年にかけてさらに長期ゾーン中心に金利が上昇を続ければ、銀行や保険会社の収益は市場予想を上回ることになる。17年に入ってからもまだ、金融株には上昇余地があるだろう。


https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwirgdPVgPjQAhVMwbwKHUf4BToQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12340534005287504876604582500001931902024&usg=AFQjCNHEBR5jzEv3dnQD32kdBOKJnKzKsw


 


株価上昇に浮かれるな! 危うい「トランプ相場」
2016/12/16
Wedge編集部
 トランプ氏が米国次期大統領に決まって以来、日米の株価が大幅に上昇、ニューヨークのダウ平均株価は年内にも2万j達成、日経平均は年明けにも2万円台乗せをはやす楽観論が市場に漂い始めている。しかし、これはトランプ政権が打ち出す予定の法人税減税、インフラ整備を中心とした公共事業などの景気対策への期待感から値上がりしているだけで、実体経済はまだ様子見の段階だ。経済的な裏付けのない「トランプ相場」に浮かれていると、期待が失望に変わり思わぬしっぺ返しを食うことになりかねない。 

長期金利が急上昇


iStock
 トランプ氏の大統領選挙での勝利決定により株高、長期金利高、ドル高の「トリプル高」となり、トランプ次期政権への期待が高まり、その経済政策は早くも「トランポノミックス」と呼ばれて、ウォール街では好感を持たれている。選挙期間中はトランプ氏がウォール街に対して批判的言動をしたため、金融・証券界から警戒感があったが、その後、主要な閣僚人事にウォール街の実力者を起用するなどしたため安心感が広がり、ニューヨーク株価は選挙後の2週間で4%以上値上がりして1万9000ドル台を記録、史上最高値を更新している。

 日本の株価もニューヨーク株価につられて値上がりしているが、けん引しているのは12月15日には約10カ月ぶりで一時1ドル=117円台まで円安に振れた為替相場だ。しかし、ここで見逃してはならないのは、米国金利に連動する形で日本の長期金利が上がっていることだ。日本の長期金利(10年)は日銀のマイナス金利政策により、9月末にはマイナス0.09%付近だったが、大統領選挙でトランプ氏の勝利が決まってから上昇に転じ、直近の13日には一時0.080%にまで急騰している。

 この流れを受けて、みずほ銀行は12月初めに10年〜35年の固定金利を12月から0.08〜0・09%幅引き上げた。三井住友銀行は同じ期間のを0.12%幅、三菱東京UFJ銀行は15年以上のを0.05〜0.12%幅それぞれ引き上げた。住宅ローン金利が上昇すれば住宅購入需要を冷やす可能性もあり景気にはマイナスに働く。

原油高が追い打ちに

 さらに急ピッチな円安ドル高は、食料や燃料などの輸入物価を押し上げる。中でも原油は石油輸出国機構(OPEC)が11月30日にウィーンで開催した総会で減産に合意したことから大幅に上昇し、1バレル=50j台に乗せてきている。OPECが減産で合意したのは08年以来だが、今回はロシアなど非OPEC諸国も足並みをそろえているので、需給を締める効果がある。これはガソリンに加えて、冬場の需要シーズンを迎えた灯油の国内販売価格の値上げにつながる。

 円高、原油安でこの数年間は燃料を安く調達できていた電力各社は、円安、原油高が今後加速すれば、燃料コストの上昇でいまの電気料金を維持できなくなる恐れもある。電気料金が上がれば、企業、家庭にとって痛手になる。特に企業が生産用に使う電気料金は高い水準にある。これ以上、電気料金が上がると電気を多く使う製品を生産している企業は国際的競争力を失う恐れがあり、海外に生産拠点を移設する動きを加速させることになりかねない。

財政赤字が増大

 一方、2%程度の物価上昇目標をなかなか達成できなかった日銀にとっては、「トランプ相場」は金利を押し上げることになり、結果的には好都合かもしれない。異次元の金融緩和策を堅持してきた黒田東彦総裁に対して、物価目標を任期中に達成できないのではないかといった批判が今年半ば以降高まっていただけに、日銀にとっては潮目が変わったことで安堵しているのではないだろうか。また、FRB(米連邦準備制度理事会)が14日に利上げを決めたことで、さらに金利が上昇する可能性がある。その際に、日銀が手をこまねいて超低金利政策を続けていると、日米の金利差が拡大して、結果的に一層のドル高円安を招くことになり、マーケットが混乱する恐れがある。日銀はトランプ政権の誕生により、長年続けてきた金融政策の方向転換を迫られるかもしれない。金利に変化の兆しが出てくる中で、年明け以降に黒田総裁が金融政策をどのように変更するのかどうかが注目される。

 一方、日本政府にとって長期金利の上昇は国債費の急増に直結する。超低金利で国債の利払い費は少なくて済んでいたが、長期金利が急騰すれば利払い費は雪だるま式に膨れ上がり、財政赤字の増加になる。2020年度までにプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化の達成を目指すとしている政府の財政健全化目標は、またしても遠のく。また、国債を大量に保有している金融機関にとって、長期金利の急上昇は国債価格の急落になり、大きな国債評価損を出すことになり、金融機関の収益にも打撃を与える。

不確定要素が多い「トランポノミックス」

 現時点では、トランプ次期政権の具体的な経済政策は明らかになっていない。分かっているのは法人税減税、公共インフラの整備、TPP(環太平洋経済協定)からの離脱、海外への工場進出を抑制し国内に回帰させるーくらいだ。減税の財源は明示されておらず、赤字国債で賄うのではないかとみられている。となると米国の財政赤字は増大し、長期金利がさらに上昇してインフレの兆しが出てくるかもしれない。これを帳消しにするだけの経済活動の活発化による雇用の拡大、消費の増加による米国経済の好循環が生まれればトランプ政権の経済政策「トランポノミックス」は評価されるだろうが、今の時点では不確定要素が多い。

 トランプ氏がツイッターでつぶやいてアドバルーンを上げておいて、その反応を見ながら政策を決めようとするなど、政策に一貫性がなく読み切れない部分が多々ある。記者会見を開いて政策をきちんと説明するのかと思っていると、その記者会見も急きょ延期になるなど政策決定に不安定さが付きまとう。

 一方、日本の経済の現状を見ると、GDP(国内総生産)の6割を占める個人消費の伸びが鈍く、節約志向から勢いが感じられない。そうした中で、投機的なマネーによってもたらされている株価上昇が長続きするのは難しいという見方もある。株価の変動に一喜一憂する必要はないが、株価上昇によって来年の日本経済がバラ色にみえるのは時期尚早だろう。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8458


 

【社説】トランプ氏、若年不法移民に「夢」を
移民規制模索の中でも政治的な善意の示し方
「ドリーマー」への合法的な在留資格プログラム付与を延長する法案が上院に提出された ENLARGE
「ドリーマー」への合法的な在留資格プログラム付与を延長する法案が上院に提出された PHOTO: AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
2016 年 12 月 16 日 06:48 JST

 ドナルド・トランプ次期大統領は不法移民を減らすと公約した。国境警備についても約束を果たすつもりであるのは疑いの余地がない。だが同時に、政治的な善意とコンセンサスを築こうとしているのであれば、いわゆる「ドリーマー」(不法移民の子供として米国で生まれ育った人々)を守る法律の制定へ向けて連邦議会との取り決めを検討してはどうだろうか。

 ディック・ダービン氏(民主党)、リンゼー・グラム氏(共和党)、ジェフ・フレーク氏(共和党)の3人の上院議員は先週、子供の頃に親に連れてこられて不法入国した約80万人に及ぶミレニアル世代の「ドリーマー」たちを強制送還から守る法案を提出した。この法案はトランプ氏に自身の寛大さを示す機会を与え、それ以外の政策課題でも役立つ政治資本を稼がせてくれることになるかもしれない。

 バラク・オバマ大統領は2012年に大統領令により、16歳未満に不法入国した若者の在留を合法化する「児童期入国移民送還延期措置」(DACA)を講じた。これは在学中もしくは卒業した若い不法移民を対象に一時的に在留資格を付与するものだ。米軍を名誉除隊した退役軍人も同様に在留資格が与えられる。「ドリーマー」は2年間の就労許可に申請でき、更新も可能だ。

 われわれはオバマ大統領の大統領令の法的根拠は薄弱だと批判してきたが、それでもドリーマーたちの在留合法化を支持してきた。トランプ氏は左派の一部が主張するように、2012年の大統領令を無効にすることもできる。白熱した予備選の最中にトランプ氏は、1100万人の不法移民を全員強制送還すると息巻いたが、その後、対象者をそのなかの犯罪者に絞り込んだほか、最近ではトーンを再び和らげている。

 米誌タイムとのインタビューでトランプ氏は今月、ドリーマーの扱いに関する交渉に扉を開いていることを示唆した。「彼らはとても小さい頃にここに連れてこられた。ここで働き、学校にも通った。優秀な生徒もいれば、すばらしい仕事に就いている人もいる」と指摘。「彼らは何が起こるか分からないネバーネバーランド(おとぎ話の世界)にいる」と話した。そして「人道的観点から、これはとても厳しい状況だ」と続けた。トランプ氏の言う通りだ。

 DACAプログラムには約74万1000人の不法移民が申請した。米国で育ち、米国で教育を受けた彼らが、例えばメキシコのグアダラハラに強制送還されれば、ほとんどが異国の地にきた異邦人のように感じるだろう。小さい頃に連れてこられた彼らは不法入国が犯罪であるという意識もなかった。ドリーマーたちの強制送還には多額の資金がかかる。一方で、合法性を否定すれば仕事に就けなかったり、大学に入学できなかったりするケースが出てくるかもしれない。

 トランプ氏は連邦議会が幅広い移民制度改革に取り組んでいる間に、DACAに憲法上の根拠を与える法律に署名することで、ネバーネバーランドからドリーマーたちを脱出させられる手立てを提供できる。

 ダービン、グラム両氏は先週、DACAを3年延長する法案を提出した。フレーク氏が提出したのも同じような法案だが、同氏の法案には有罪判決を受けた不法移民の強制送還を迅速に進める内容が盛り込まれている。

 共和党の中からは、法案の可決にはもう少し法的執行力を盛り込む必要があるとの声も出ているが、これは交渉可能なはずだ。違法だと知りつつ入国した不法移民と、そうではない不法移民と区別することで、トランプ氏は移民制度の強化を単純に図っているだけであって、メキシコ人を標的にしているわけではないことを示すことができる。

 民主党がこれを拒否すれば、単に党派政治の武器として移民問題を振りかざしたいだけという理由から、誠意のない行動に出ていることを自ら示すことになる。そうなればトランプ氏と共和党の双方にとって大きな勝利だ。

トランプ次期政権

トランプ氏が国務長官を決めるまでの一部始終
トランプ陣営、不法移民「強制送還」を緩和か
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjHi8C5gPjQAhVIvLwKHUxTDjIQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12340534005287504876604582498032932239066&usg=AFQjCNHg3dwhb-OXsezO90nILuLamyyMMw

http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/766.html

[不安と不健康18] スマホアプリで不眠治療に挑む トレンド・ボックス 入眠効果のある照明、振動を起こすベッドも 
スマホアプリで不眠治療に挑む
トレンド・ボックス
入眠効果のある照明、振動を起こすベッドも
2016年12月16日(金)
杉原 淳一
精神疾患だけでなく、高血圧症や糖尿病のリスクを高めることでも知られる睡眠障害。睡眠薬に頼ることの多かった治療が今、薬に頼らない方法に変わろうとしている。研究が進むのが、スマホアプリを使った治療や振動ベッド、眠りをいざなう照明などだ。

(写真=Indeed/Getty Images)
 9月下旬、東京都新宿区の晴和病院で不眠症治療を目的とした新しい“医療機器”の臨床試験(治験)が始まった。
 診察室をのぞくと、そこに脳波を測定するような大型の機器はない。医師と治験参加者、そして医師の手に、1台のiPadがあるだけだ。
 「これに専用のアプリケーション(アプリ)をダウンロードして、後はアプリの指示に従ってください」。参加者のこれまでの睡眠状況などを問診した後に医師がそう告げると、初回の治験は30分ほどであっけなく終了した。
 この治験を実施しているのは、不眠症治療アプリを開発するベンチャーのサスメド(東京都文京区)だ。睡眠を助けることを狙うアプリは山ほどあるが、本格的な医療ツールはまだない。同社の上野太郎社長は診療活動をする現職の医師だ。開発中のアプリで医療機器の認可を受け、患者が保険の適用を受けられるようにすることを目指す。
通院の手間やコストを削減
●サスメドのビジネスモデルの概要

アプリ経由で認知行動療法を受けられるため、患者の身体・金銭的な負担を抑えられる(写真=北山 宏一)
 不眠症は精神疾患だけでなく、高血圧症、糖尿病のリスク因子になることが知られている。日本では5人に1人が何らかの睡眠障害を抱えているとされる。日本大学の内山真教授の調査によると、睡眠障害による経済損失は年間3兆5000億円にも上るという。
 日本では、睡眠障害の患者に処方される睡眠薬の量も多い。国連の国際麻薬統制委員会は、日本で広く使われるベンゾジアゼピン系薬剤の人口当たりの処方量が、米国の約6倍にも上ると指摘してきた。厚生労働省も2014年度から、同系薬剤の処方を減らすよう働きかけている。
 上野社長が注目したのは、薬を使わない「認知行動療法」という治療法だ。認知、つまり現実の受け取り方や物事の見方などに働きかけ、患者のストレスを軽減する。欧米などでは広く普及しているほか、日本ではうつ病の治療法として保険適用となっている。
 ただ、この治療法は医師の元に頻繁に通う必要があるうえ、現時点では不眠症の治療法として保険を適用できない。1回の治療に1万円程度の治療費がかかり、患者の負担になっていた。
 「認知行動療法をアプリ上で再現できれば、少ない医師でも多くの患者をカバーできると考えた。患者にとっては通院の負担とコストを削減できる」。上野社長は2015年7月に起業した理由をこう語る。その後ディー・エヌ・エー(DeNA)と住友商事が共同出資したDeSCヘルスケア(東京都渋谷区)と組んでアプリを開発。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受け、実用化に向けて開発を進める。
アプリが医師の代わりに
 サスメドが想定するサービスの概要はこうだ。まず医師が医薬品と同じように患者にアプリを“処方”する。患者はアプリに、ベッドに入る前の行動や不安に感じている事柄、ベッドに入った時間などを記録する。アプリにはあらかじめ、医師が監修した対応策が登録されている。患者の記録内容を基にアプリは、その患者にふさわしい対応策を自動的に選び出して通知する。
 例えば、早く寝ようと夕方からベッドに横になっていた患者がいたとする。ベッドに入ってもなかなか寝付けないことがストレスとなり、逆に目がさえて眠れなくなっていた。こうした患者にはアプリが、「3時間程度、ベッドに入る時間を遅らせて」と助言する。
 携帯機器アプリを活用した事例は他にもある。帝人の傘下で睡眠関連サービスを手掛けるベンチャー、ねむログ(東京都千代田区)は、アプリと組み合わせて使うウエアラブル機器「ツーブリーズ」(税別2万円)を販売している。開発したのはイスラエルのベンチャー、ツーブリーズ・テクノロジーだ。
 機器はもともと、高血圧の治療機器として米食品医薬品局(FDA)の承認を得た商品だった。センサーのついた伸縮性のあるベルトを腹部に巻くと、呼吸による腹部の動きを感知。そのデータが有線で音響機器に伝わり、正しい呼吸を誘導するための音楽を流す。例えば、ユーザーが早くて浅い呼吸をしていたら、ゆっくりと息を吸ったり吐いたりできるようにテンポの遅い音楽を流してくれる。
 深呼吸を繰り返すと副交感神経が優位になってリラックスし、全身の毛細血管が開くという。そうすることで血圧を下げるのが本来の目的だったが、思わぬ「副作用」があった。深く長い呼吸を繰り返すうちに、利用者が次々と眠りに落ちていったのだ。
 ツーブリーズ社はここに目を付け、データを無線でiPhoneやiPadに送れるように改良した商品を作った。これをねむログが輸入して3月から販売している。なお、日本で医療機器の認可を得ていないため睡眠改善の効果を直接的に訴えることはできないが、「仕事の合間や昼休みなどのちょっとした時間にリラックスする効果を望める」(ねむログの濱崎洋一郎・代表取締役)。
深呼吸しやすいよう音でガイドする
●「ツーブリーズ」の使用イメージ

使用者が眠ってしまい、音のガイドに従わない呼吸を繰り返すと自動で電源が切れる
微弱振動や速い減光も効果的
 睡眠障害を「モノ」で改善する研究もある。東京工業大学の伊能教夫教授が取り組むのが振動ベッドの研究だ。
 「あれ? この路線のこの場所に差し掛かると、いつも子供が寝るなあ」。伊能教授は子供を連れて電車に乗っていた時にふと、こんなことに気付いた。
微弱な振動で眠気を誘う
●東工大・伊能教授による振動ベッドの実験

寝たかどうかを脳波で確認し、振動ベッドの効果を検証した(写真=伊能 教夫)

ベッドの下に設けた駆動装置が細かい振動を生み出す
 伊能教授は9路線の電車に繰り返し乗って振動を比較し、その電車内で実際に寝ている人の割合などを調査した。その結果、「人は1秒間に1回程度の振動を受け続けると眠気を催す」という推論に至った。
 この推論を生かして試作品の振動ベッドを開発。ベッド下部に設けた駆動装置が動くことで、数mmの幅でベッドを上下左右に振動させる。計測実験では被験者にベッドに横になってもらい、振動を発生させたままどれくらいの時間で眠りに落ちるのかを調べた。すると、普段よりも5分程度早く眠りに落ちることと、微弱な振動の方が効果的だということが分かった。
 伊能教授は装置の簡素化を目指して研究を続けており、実用化した際には、長距離ドライバーや看護師など交代制勤務で仮眠を取る必要のある職場での利用を見込んでいるという。
 睡眠には光も大きく影響している。太陽のような強い光を浴びると目を覚ます作用があるが、逆にどういう光の落とし方をしたら眠気を催しやすいのか──。そんな研究を進めるのが、早稲田大学の岡野俊行教授だ。
光の落とし方を工夫して眠気を誘う
●光量変化の実験装置

早稲田大学の岡野俊行教授は、照明機器への応用を目指して研究を進める
 岡野教授はオムロンヘルスケアなどと組み、基礎研究を進めてきた。人は暗闇の状態でいると脳内でメラトニンという物質が分泌され、眠くなることが分かっている。問題は、どうやって明かりを落としていけば、より眠りやすくなるか、ということだ。
 まず一般的な寝室の照明と同程度の明るさ(70ルクス)の部屋を用意。健康な人にこの部屋で過ごしてもらい、3パターンの光量変化を起こしてどれが一番眠りを誘うかを調べた。@光量を変化させないA光量を50ルクス程度に落として維持するB光量を10秒程度で35ルクスまで落としてから、1分程度かけて70ルクスに戻すのを繰り返す──の3つだ。今年の学会で3番目が最も眠気を誘うと発表。照明機器などの事業化に向けて研究を続ける。
 日本人の睡眠時間は短い。経済協力開発機構(OECD)の2014年の調査では、加盟国中で最下位の韓国に次ぐ短さ(平均7時間43分)だった。日々ストレスにさらされる現代人にとって、質の高い睡眠時間の確保は文字通り死活問題。企業も労働環境の改善と生産性向上を目指しており、睡眠の質向上はその実現のカギを握る。
(日経ビジネス2016年10月17日号より転載)


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[経世済民116] 失われた20年から脱する「歴史的瞬間」、来年にも 世界の主要中銀、17年はひっそり身を引く年に 日経平均1年半ぶり9連騰

失われた20年から脱する「歴史的瞬間」、来年にも−BofAハリス氏
Molly Smith
2016年12月16日 11:16 JST 
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世界の主要中銀、17年はひっそり身を引く年に−成長下支えで
日銀の利回り曲線誘導政策、世界的視点では今年のベストニュース
「日本をめぐる深い悲観論は行き過ぎだ」−ハリス氏

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ixwxjy8kazUs/v2/-1x-1.png


日本は来年、失われた20年から脱する「歴史的瞬間」を迎えそうだ。バンク・オブ・アメリカ(BofA)はこう予想する。
  世界3位の経済大国である日本の労働市場は引き締まっており、財政政策は緩和的で、借入金利を抑制し物価を刺激する新たな金融政策プログラムもある。
  BofAの世界経済責任者イーサン・ハリス氏はニューヨークでのインタビューで、これら全てがデフレや所得低迷、生産性低下に苦しんだ20年間から来年脱するチャンスを日本に与えていると述べた。イールドカーブ(利回り曲線)を望ましい水準に誘導する日本銀行の政策について、「世界的な視点では2016年のベストニュースだ」とも指摘した。
イーサン・ハリス氏
イーサン・ハリス氏 Photographer: Christopher Goodney/Bloomberg
  BofAは日本の実質国内総生産(GDP)伸び率が来年1.5%になると予想。同行のユーロ圏成長率見通しの1.4%を上回り、米国の見通し(2%)にそう遠くないとしている。
  人口高齢化が足かせになるなど日本経済に対する懐疑的な見方もあるものの、元ニューヨーク連銀調査担当者のハリス氏は、労働市場の逼迫(ひっぱく)を強調。金融危機後のピークから失業率の低下が続いており、有効求人倍率も着実に上昇している。1倍を突破した求人倍率は歴史的に賃金上昇と相関関係があると説明した。13年に1倍を超えた求人倍率はその後も上昇を続けている。
  ハリス氏は「日本をめぐる深い悲観論は行き過ぎだ」と語った。

原題:Japan Has ‘Historic Moment’ to Reverse Lost Decades, Says BofA(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-16/OI97776K50YB01

 


 
世界の主要中銀、17年はひっそり身を引く年に−成長下支えで
Enda Curran、Jeff Black、Craig Torres
2016年12月16日 14:16 JST

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Mount Fuji stands behind a highway under construction in Fujiyoshida, Yamanashi Prefecture, Japan, on Saturday, July 18, 2015. Mount Fuji, the highest mountain in Japan at 12,389 feet (3,776.24 meters), is open to climbers from July to September. Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg
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長年にわたる超緩和策でも世界経済の低迷続き、限界を認識
景気押し上げの主役は財政政策にバトンタッチへ

世界各国・地域の主要な中央銀行当局者にとって、今年は自らの限界を意識した年であったろう。
  中銀当局者は低調な世界経済の成長下支えの役割をたたえられるどころか、干渉し過ぎだとして非難を浴びた。マイナス金利政策は銀行収益を圧迫したと批判され、多額の債券購入プログラムは投資よりも市場の投機を煽(あお)ったと名指しされた。
ドラギECB総裁
ドラギECB総裁 Photographer: Krisztian Bocsi/Bloomberg
  そして今、ポピュリズム(大衆迎合主義)が高まり、景気対策として政府支出が再び脚光を浴びるつつある中、2017年はセントラルバンカーが舞台中央からひっそりと身を引く年となりそうだ。
  日本銀行は既に、自らの手段でできることには限界がある点を認識しつつある。欧州中央銀行(ECB)は債券購入プログラムが恒久的なものでないことを示唆した。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は、経済のサプライサイド(供給面)に対する超低金利の効果がいかに小さいかを思い知らされた。
  HSBCホールディングスのアジア経済調査担当共同責任者フレデリック・ニューマン氏(香港在勤)は、「各国・地域の中銀は今年、手詰まり状態に陥った」と指摘。「金融面の緩和策は今年がピークで、徐々に縮小されていく可能性がある」との見方を示した。
独立性への脅威も
  中銀の政策に批判的な人々は、過去何年にもわたる異例の金融刺激の後も世界経済の低迷が続いているとして、攻撃のトーンを強めている。米国では、トランプ次期大統領が当局の金融政策を新たに監査対象とすることに賛意を示唆。韓国では、過去最低水準の借入金利に絡んだリスクに、議員がこれまでになくはっきりとした口調で警告を発し、日銀の黒田東彦総裁は説明のため何度も国会に呼ばれ、一部の議員は日銀の政策は混乱をもたらしていると不満を漏らす。
ウィリアム・ヘイグ氏
ウィリアム・ヘイグ氏 Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg
  英保守党党首や外相を歴任したウィリアム・ヘイグ氏は10月、中銀が超緩和策からの方向転換を怠れば、自らの独立性を損ないかねないと発言。先進国の大半でこうした政策が何年も続けられた後、ポピュリストの政治の時代において金融当局の独立した政策運営への脅威は増大する可能性がある。
  ボストンに本拠を置くスタンディッシュ・メロン・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト、ビンセント・ラインハート氏は「中銀には総需要を増やすことはできても、総供給を増やすことはできないというのが、われわれが学んだことだ」と説明。「高齢化が進み、生産性が伸び悩む環境では、彼らは分相応にやりくりするしかない」と論じた。
原題:Central Banks Hand Off Growth Baton After a Year Learning Limits(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-16/OI9GDU6JTSE801


 

 


日経平均1年半ぶりの9連騰、米統計良好と金利高、円安進行を好感
佐野七緒
2016年12月16日 07:56 JST 更新日時 2016年12月16日 15:40 JST 
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Mount Fuji stands behind a highway under construction in Fujiyoshida, Yamanashi Prefecture, Japan, on Saturday, July 18, 2015. Mount Fuji, the highest mountain in Japan at 12,389 feet (3,776.24 meters), is open to climbers from July to September. Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg
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銀行株や精密機器など輸出株、窯業など素材株中心買われる
為替は2月来の1ドル=118円台、過熱感や週末要因が株価重し

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/itULuJsdE3Uo/v2/-1x-1.png

16日の東京株式相場は、日経平均株価が1年半ぶりの9連騰。良好な米国の経済統計や金利上昇、為替の円安進行が好感された。一部アナリストの目標株価引き上げも加わった銀行株が買われ、精密機器や機械など輸出株、ガラス・土石製品など素材株、建設株中心に高い。
  TOPIXの終値は前日比7.95ポイント(0.5%)高の1550.67と続伸。日経平均株価は127円36銭(0.7%)高の1万9401円15銭と9日続伸し、昨年6月に記録した12連騰以来の連続上昇となった。両指数とも連日で年初来高値を更新。
  三菱UFJ国際投信の石金淳チーフストラテジストは、「米国で強めな経済指標が増え、世界の景況感も良くなり、景気は拡大方向にある。グローバルに活躍する輸出企業を中心に収益の上昇が期待できる」と指摘。半面、「日本株には目先過熱感もあり、高値警戒感から利益確定売りが出ている」とも話した。
東証内
東証内 Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg News
  米国で15日、良好な経済統計の発表が相次いだ。12月のニューヨーク連銀製造業景況指数は9と前月の1.5から上昇、フィラデルフィア連銀景況指数も上昇し、12月の住宅市場指数は2005年7月以来の高水準となった。同日の米国株は金融、素材セクター主導で上昇、米10年債利回りは2.64%まで上昇した。米利上げピッチが速まるとの観測から、同日の海外為替市場では一時1ドル=118円60銭台と2月以来のドル高・円安水準に振れ、きょうの東京市場でもおおむね118円台前半で推移した。
  東海東京調査センターの長田清英シニアグローバルストラテジストは、「低金利・低インフレ・低成長という前提が変わり、マネーの動きに相当な変化が起きている」と言う。日本株はグローバルでみて、「政治は安定、為替の円安で企業業績の上振れが期待でき、一番資金を向けやすいマーケット」との見方を示した。東京証券取引所が15日に公表した12月1週の海外投資家の日本株買越額(現物)は5625億円と、昨年4月以来の高水準だった。
  一方、週末とあって日経平均は寄り付き直後に付けたきょうの高値166円高の1万9439円を抜け切れず、午後にかけては伸び悩み。東証1部の上昇・下落銘柄数の百分比を示す騰落レシオは15日に166%と、ブルームバーグ・データで捕捉可能な1992年3月以降で最高水準を付けるなどテクニカル指標、チャート分析上の過熱感が上値を抑えている。大和証券投資戦略部の木野内栄治チーフテクニカルアナリストは、「そろそろ利益確定売りが出てきている。マザーズ市場など出遅れ銘柄にシフトすべき時期に入っている」との見方を示した。
  東証1部の売買高は23億1008万株、売買代金は2兆9082億円。上昇銘柄数は1208、下落は656。東証1部33業種は金属製品、銀行、ガラス・土石製品、空運、精密機器、建設、陸運、機械など29業種が上昇。その他製品や保険、情報・通信、倉庫・運輸の4業種は下落。
  売買代金上位では、みずほ証券が目標株価を上げた三菱UFJフィナンシャル・グループのほか、みずほフィナンシャルグループや日立製作所、りそなホールディングス、東京エレクトロンが高い。半面、JPモルガン証券が投資判断を下げたMS&ADインシュアランスグループホールディングスのほか、任天堂やディー・エヌ・エー、東京海上ホールディングスは安い。
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-15/OI90CR6JIJUR01
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/771.html

[経世済民116] ユーロ圏12月も経済活動の勢い続く、通貨安が追い風 ドイツ銀、劇的な反転 中国成長率見通引上、金融政策慎重、財政は積極的

ユーロ圏 12月も経済活動の勢い続く、通貨安が追い風

Piotr Skolimowski
2016年12月15日 18:57 JST

ユーロ圏の製造業とサービス業を合わせた経済活動は12月も勢いを保った。物価上昇圧力が高まりつつある兆候も現れた。
  IHSマークイットが15日発表した12月のユーロ圏総合購買担当者指数(PMI)速報値は53.9と、11月と同じ年初来の最高を維持した。PMIは50を上回れば活動拡大を、下回れば縮小を示す。
  仕入れ価格の指数は5年半ぶりの高水準に達した。マークイットはユーロ安と世界的な商品価格の値上がりを理由に挙げた。
  PMIの内訳では、2011年以来の高水準となった製造業PMIが総合の数値を押し上げた。マークイットはPMI好調の一因にユーロ安を挙げた。
  マークイットのチーフエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は、インフレ圧力の高まりが今月の「最も顕著な動き」だとし、欧州中央銀行(ECB)当局者を喜ばせる材料だと語った。ただ、「オランダやフランス、ドイツで選挙が実施されるほか、英国の欧州連合(EU)離脱交渉が始まり、政治的な不透明性が成長を頓挫させる可能性も明らかにある」とも述べた。
  域内最大の経済国であるドイツの総合PMIは54.8と、3カ月連続で高い水準を維持。フランスの総合PMIは52.8と、11月の51.4から上昇し、1年半ぶりの高水準となった。
原題:Euro-Area Maintains Momentum as Weaker Currency Helps Factories(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-15/OI7ZLK6KLVRK01


 

ドイツ銀行株の命運、2016年の最後に劇的な反転
Namitha Jagadeesh
2016年12月16日 17:39 JST


https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i1Txio0BgZBA/v2/-1x-1.png

  2016年が終わりに近づく中、ドイツ銀行株の命運が劇的に反転した。6四半期連続と金融危機以降で最長の四半期ベース続落を演じていたが、10−12月(第4四半期)は57%と記録的な上昇に向かっている。法的問題での支払いで資本バッファーが損なわれるとの懸念が薄れたことや、欧州のインフレ率と米金利の上昇で収益が高まるとの期待を背景に回復している。9月には年初来の下落率が53%を超えていたが、下げ幅はその後に半分以下に縮小した。
原題:Deutsche Bank Set to End With a Bang After Long Whimper: Chart(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-16/OI9RAL6KLVRL01

 

 
WTO経由での欧州市場アクセス、最善策ではない=英財務相

[ソウル 16日 ロイター] - 韓国を訪問中のハモンド英財務相は16日、欧州市場へアクセスする際に世界貿易機関(WTO)に依存することは、欧州連合(EU)離脱決定に伴う最善の結果とは言えないとの見方を示した。

ソウルで開催されたイベントで財務相は「私の考えでは、WTOという選択肢は最も望ましい結果ではない」と発言。「欧州諸国との間で、非関税取引に関し相互ベースで合意に達することができるよう望んでいる」と述べた。
http://jp.reuters.com/article/southkorea-britain-idJPKBN1450FE


 


中国成長率見通し引き上げ、16年は6.7%に−ブルームバーグ調査
Bloomberg News
2016年12月16日 14:00 JST

中国共産党・政府が2017年の経済政策を話し合う中で、同国経済の見通しに対する楽観論が強まっている。刺激策や世界的な需要拡大見通しがセンチメントを支えている。
  ブルームバーグのエコノミスト調査によれば、17年1−3月(第1四半期)の経済成長率見通しは6.6%と、前月予想の6.5%から引き上げられた。16年の年間成長率見通しは6.7%。9月時点では6.6%と見込まれていた。
  17年の年間成長率は6.4%との見通しが示され、こちらも以前の6.3%から上方修正された。北京で開催されている中央経済工作会議は16日に閉幕する。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iyhTe8yxrBVo/v1/-1x-1.png
原題:China Growth Estimates Rise as Leaders Mull 2017 Economic Plan(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-16/OI9F326TTDS701

 

中国:来年は慎重かつ中立的な金融政策を講じる−財政は積極的
Bloomberg News
2016年12月16日 18:52 JST

中国は来年、慎重かつ中立的な金融政策と積極的な財政政策を講じる。共産党・政府が2017年の経済政策を話し合う中央経済工作会議の閉幕後に国営の新華社通信が報じた。
  新華社が伝えた声明とは別に、中国通信社も16日、習近平国家主席が今年の経済状況を検証し、年に1度開催される工作会議で17年の計画を策定したと報じていた。習主席は国内外の経済情勢について話したという。
原題:China Says Monetary Policy Will Be Prudent and Neutral Next Year(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-16/OI9TSI6TTDSB01


 

 


News | 2016年 12月 16日 19:07 JST 関連トピックス: トップニュース

焦点:中国の米車メーカー制裁方針、トランプ氏へのけん制球か

[ワシントン/北京 14日 ロイター] - 中国英字紙チャイナ・デーリーは国家発展改革委員会筋の話として、近く政府が米自動車メーカー1社(名前は公表せず)に独占禁止法違反を理由として制裁措置を科す方針だと伝えた。これはトランプ次期米大統領が中国との関係を台無しにするようなら、中国側も黙っていないという姿勢の表れだ。

とりわけトランプ氏が台湾問題で、中国が堅持する「1つの中国」政策に米国が縛られる必要がないと主張している点は、これまで築き上げてきた米中関係の根幹を突き崩す恐れがある。

両国の全面的な軍事衝突に事態が発展するとの予想はほとんど聞かれず、トランプ氏が中国製品に45%の関税をかけると選挙中に表明したことをきっかけにした経済戦争でさえ現実には起きそうにない。

それでもトランプ氏が1つの中国への疑問を出し続ければ、中国側には報復に動くための数多くの手段がある。

自動車業界筋がロイターに語ったところでは、独占禁止法違反を巡る調査はトランプ氏の台湾を巡る発言以前から実施されていた。ただ正式な調査結果発表前に米メーカー1社だけ制裁に言及したのは、トランプ次期政権へのけん制球を投じる機会として中国政府が利用した可能性がある。

トランプ氏の広報担当者ジェーソン・ミラー氏は14日、陣営はチャイナ・デーリーの報道を承知しているが、コメントするのは時期尚早だと述べた。

米議会民主党の関係者は、中国が米自動車メーカーへの制裁をちらつかせたことは、トランプ氏にとって中国側もたくさんのカードを持っているという事実をしっかり認識させたと指摘。トランプ氏が台湾や貿易、北朝鮮問題などであたかも米国が唯一の超大国であるかのように交渉に入れると思っているなら、考え直す必要があると釘を刺した。

中国が今後何らかの報復に動く場合、自動車メーカーだけでなくボーイング(BA.N)やゼネラル・エレクトリック(GE)(GE.N)といった中国に大きな権益を持つ米企業への圧迫を強めたり、米企業の中国市場へのアクセスを制限する可能性がある。

経済成長鈍化に伴って緩めてきた軍事力拡大ペースを再び加速させ、台湾近辺で海軍の演習を実施したり、北朝鮮やイランの核問題で米国への外交的な協力を手控える事態もあり得る。

コンサルティング会社オルブライト・ストーンブリッジ・グループのシニア・バイス・レジデントで元米通商代表部(USTR)の中国問題担当幹部のエリック・アルトバッハ氏は「中国は台湾政策を核心的利益をみなしており、この利益を守るためならどんなことでもする構えだ」と解説する。

オバマ政権内では次のような見方が主流だ。つまり「トランプ氏が台湾の蔡英文総統と電話で対話して中国を怒らせたのは、1つの中国政策に疑問を投げ掛けた場合に中国がどれほど反発するかをきちんと分かっていなかったからだ。中国の経済的、外交的、軍事的な存在が非常に大きくなっているので、正式に大統領に就任するまでには、台湾問題のような根本的な政策で中国と争うのは賢明ではないと理解してくれるだろう」というものだ。

しかしある元米政府高官はもっと悲観的で「トランプ氏の就任1年目は対中関係が対決的になることが基本的には確実で、問題はどれだけ悪化するかにある」と指摘した。

トランプ氏が今後どう動くかについて米国の中国専門家は3つのシナリオを提示。1つ目はジョージ・W・ブッシュ政権のように次第に強硬路線を和らげる方向、2つ目はトランプ氏が具体的な行動は伴わず1つの中国を疑問視し続ける展開。最後はありそうにないが軍事対決へと進むことだという。

台湾が独立を宣言して中国の侵攻を招く可能性は低い。それでも米国が単に1つの中国へのコミットメントを弱めるだけで、中国の国防姿勢が大きく変化しそうだ。

元米中央情報局(CIA)中国アナリスト、デニス・ワイルダー氏は「中国の国防上の優先項目は修正される。これはもはや避けがたいと思う」と語り、習近平国家主席は来年の国防支出を拡大し、実際に台湾侵攻に必要な軍事能力の確保に重点を置くだろうとの見方を示した。

(Arshad Mohammed、Matt Spetalnick、Benjamin Kang Lim記者)
http://jp.reuters.com/article/usa-trump-china-ramifications-idJPKBN1450CR

 


中国の大気汚染、北部23都市で最高レベルの「赤色警報」発令へ
http://s3.reutersmedia.net/resources/r/?m=02&d=20161216&t=2&i=1165729734&w=644&fh=&fw=&ll=&pl=&sq=&r=LYNXMPECBF0FL
[北京 16日 ロイター] - 中国の環境保護省は16日、秋以降で「最悪の」大気汚染が北部で予想されるとして、最高レベルの「赤色警報」を出すよう北部の23都市に要請した。国営英字紙チャイナ・デイリーが同日、伝えた。

北京当局は15日に赤色警報を発令し、21日まで続く見通しだと述べた。

同紙によると、山東省済南市を含む9都市が、1レベル下の「オレンジ警報」を出すよう指示されたという。

赤色警報は、大気汚染指数(AQI)の1日の予想平均値が終日500を上回るとみられる場合、2日続けて300を超えるとみられる場合、および4日間200を上回るとみられる場合に発令される。

初の「赤色警報」は昨年12月に北京で発令され、学校の休校や建設作業の中止などの影響が出た。

*見出しの脱字を修正しました。
http://jp.reuters.com/article/china-pollution-idJPKBN1450TT

http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/773.html

[経世済民116] トランプ政策成功ならドル高継続リスクは欧州政治 トランプに挑むイエレン大統領 利上で安易な借金は幕引 円債金利は後半低下

Special | 2016年 12月 16日 18:06 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース

展望2017:

トランプ政策成功ならドル高継続 リスクは欧州政治

[東京 16日 ロイター] - 2017年の外為市場における焦点は、トランプ次期米大統領の具体的政策の実現度合いだ。景気拡大の期待が高まれば、インフレが高進し、金利は上昇、ドル/円JPY=は120円を大きく超えていく可能性が高まる。

しかし、失望となれば、足元のドル強気相場を支える期待の歯車が逆回転を起こしかねない。欧州の政治イベントで保護主義的な動きが強まることも警戒されており、円高リスクをはらんだ1年となりそうだ。

市場参加者の見方は以下の通り。

●トランプ期待はく落ならドル安/円高に回帰

<三菱東京UFJ銀行  チーフアナリスト 内田稔氏>

トランプ次期米大統領が打ち出す財政出動の行方が、ドル/円を左右する側面が強くなりそうだ。年前半は、市場の期待に沿う内容かどうか見極めが進むとみられる。

財政出動規模が、期待を下回るというのがメーンシナリオだ。その場合、すでに成熟状態にある米国経済の勢いが鈍化し、米連邦準備理事会(FRB)による利上げは3回どころか、今年同様に1回で打ち止めとの思惑が強まりかねない。

年央あたりから、次第にドル安/円高へと回帰するだろう。早ければ2月の予算教書や春先の予算編成の段階で、期待がはく落しかねないため、注意が必要だ。

ただ、トランプ政策への思惑が期待インフレを高めて米長期金利を押し上げ、ドル/円をけん引するというシナリオ継続の可能性も、従来に比べれば高まってきた。米10年国債利回りが2.6%に上昇しており、今後、2.5─3.0%レンジとなればドル/円は120円を超えてくるだろう。

次期政権が実際に期待通りの手腕を発揮する可能性もゼロではない。もっとも、米金利とドルが上昇すれば世界経済が圧迫されるリスクも高い。米金利とドルが上昇するにしても、ここからは緩やかではないか。

●「トランプ相場」は3月まで 年末にかけてドル反落リスク

<みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏>

トランプ次期米政権の財政政策への期待からドルや米長期金利が急騰し、米国の金融状況は強烈に引き締まっている。この影響は1─3月期の米経済に何らかのかたちで出てくるはずで、4月以降の経済指標でそうした傾向が確認されるようになるだろう。FRBも3月にぎりぎり利上げできるかもしれないが、それ以降は難しく、年3回など到底できないとみている。

米国の通貨政策に関しても、米財務省がこのままドル高を容認するとは思えない。象徴的には4月に出てくる為替報告書で問題視される可能性もあるし、3月のドイツG20における要人発言も注意が必要だ。政治・経済的にみて米金利高・ドル高・株高の「トランプ相場」は、続いても3月までとみている。

米大統領選以降のドル高/円安は米10年債利回りの上昇に強く反応したものである以上、米金利が低下した時に買われるのも恐らく円になるだろう。1カ月で15円上昇したものは、1カ月で15円下落してもおかしくはなく、来年末に100円近辺という展開も荒唐無稽ではない。上方向では120円を超えることもあると思うが、その水準では迷いなく戻り売りのチャンスと捉えたい。

●嵐の前の静けさ 基軸通貨の揺らぎを孕むトランプラリー

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

トランプラリーの推進力は、先進国で低成長が常態化し、リーマンショック後に世界経済をけん引してきた新興国に息切れが目立つ中、覇権国である米国がインフラ投資や減税を実施すれば、経済に相応の効果をもたらすとの期待だ。

日本が仕掛けた期待に働きかける相場は日本止まりだったが、今回米国が仕掛けたものはグローバルな広がりを持つ。アベノミクスラリーでさえ3年半続いたことに鑑みれば、トランプラリーも相応の時間、続くと予感させる。

しかし、期待がけん引する株高、ドル高は中長期的なリスクを抱えている。

現在、主要国はリーマン直後のような財政余力を持ち合わせておらず、米国の財政収支は年間で6000―7000億ドルの赤字になろうとしている。無い袖は振れないことに、市場はいずれ気付くだろう。

また、HIA(本国投資法)など、世界で流通するドルを米国に還流させる措置は、見方を変えれば、ドルが基軸通貨としての役割をもはや果たせないことの表れだ。

トランプ政権4年間を見渡せば、結果的に、米国に都合の良いドル安が次第に浸透していくと考えている。現在のドル高は、そのバッファーを作るべく、発射台を高くするための準備だったと後々歴史を振り返ることになりそうだ。

来年については、ドル/円の上限を122.50円―125.00円とみている。

●ドル高継続、欧州政治イベントで調整も

<クレディ・アグリコル銀行 外国為替部長 斎藤裕司氏>

中国経済が底堅いという前提のもと、基本的にはドル高基調が続くとみている。トランプ次期米大統領が掲げる経済政策は、減税や財政出動などで景気を刺激し、米国内に雇用を生み出すというもの。米連邦公開市場委員会(FOMC)も年3回の利上げを予想するなど、ドル高に触れやすい。

貿易的に通貨安がいいといっても、ドル買いを促すような政策が多い以上、容易にドル安にはできないだろう。故意にドル安にしようとすれば、中国の通貨安誘導を批判できなくなる。実際、為替介入も現実的ではない。

調整があるとすれば、欧州の政治イベントがらみだろう。4、5月にフランス大統領選、9月にドイツ連邦議会選挙がある。今年はイギリスの国民投票、米大統領選と事前予想が外れただけに予断は許さない。

ドル/円は120円以上に上昇するが、3月末までに115─120円のところまでいったん調整されそうだ。その後は、米国の利上げを織り込みながら再び125円方向を目指す展開を想定。年末にかけて120円付近まで戻すイメージをもっている。

(為替マーケットチーム 編集:伊賀大記)

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焦点:中国建設見本市で膨らむ2017年復活の夢、一帯一路構想で 2016年 11月 29日
http://jp.reuters.com/article/trump-risk-idJPKBN1450S5


 


Special | 2016年 12月 16日 18:06 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース

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[東京 16日 ロイター] - 2017年の外為市場における焦点は、トランプ次期米大統領の具体的政策の実現度合いだ。景気拡大の期待が高まれば、インフレが高進し、金利は上昇、ドル/円JPY=は120円を大きく超えていく可能性が高まる。

しかし、失望となれば、足元のドル強気相場を支える期待の歯車が逆回転を起こしかねない。欧州の政治イベントで保護主義的な動きが強まることも警戒されており、円高リスクをはらんだ1年となりそうだ。

市場参加者の見方は以下の通り。

●トランプ期待はく落ならドル安/円高に回帰

<三菱東京UFJ銀行  チーフアナリスト 内田稔氏>

トランプ次期米大統領が打ち出す財政出動の行方が、ドル/円を左右する側面が強くなりそうだ。年前半は、市場の期待に沿う内容かどうか見極めが進むとみられる。

財政出動規模が、期待を下回るというのがメーンシナリオだ。その場合、すでに成熟状態にある米国経済の勢いが鈍化し、米連邦準備理事会(FRB)による利上げは3回どころか、今年同様に1回で打ち止めとの思惑が強まりかねない。

年央あたりから、次第にドル安/円高へと回帰するだろう。早ければ2月の予算教書や春先の予算編成の段階で、期待がはく落しかねないため、注意が必要だ。

ただ、トランプ政策への思惑が期待インフレを高めて米長期金利を押し上げ、ドル/円をけん引するというシナリオ継続の可能性も、従来に比べれば高まってきた。米10年国債利回りが2.6%に上昇しており、今後、2.5─3.0%レンジとなればドル/円は120円を超えてくるだろう。

次期政権が実際に期待通りの手腕を発揮する可能性もゼロではない。もっとも、米金利とドルが上昇すれば世界経済が圧迫されるリスクも高い。米金利とドルが上昇するにしても、ここからは緩やかではないか。

●「トランプ相場」は3月まで 年末にかけてドル反落リスク

<みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏>

トランプ次期米政権の財政政策への期待からドルや米長期金利が急騰し、米国の金融状況は強烈に引き締まっている。この影響は1─3月期の米経済に何らかのかたちで出てくるはずで、4月以降の経済指標でそうした傾向が確認されるようになるだろう。FRBも3月にぎりぎり利上げできるかもしれないが、それ以降は難しく、年3回など到底できないとみている。

米国の通貨政策に関しても、米財務省がこのままドル高を容認するとは思えない。象徴的には4月に出てくる為替報告書で問題視される可能性もあるし、3月のドイツG20における要人発言も注意が必要だ。政治・経済的にみて米金利高・ドル高・株高の「トランプ相場」は、続いても3月までとみている。

米大統領選以降のドル高/円安は米10年債利回りの上昇に強く反応したものである以上、米金利が低下した時に買われるのも恐らく円になるだろう。1カ月で15円上昇したものは、1カ月で15円下落してもおかしくはなく、来年末に100円近辺という展開も荒唐無稽ではない。上方向では120円を超えることもあると思うが、その水準では迷いなく戻り売りのチャンスと捉えたい。

●嵐の前の静けさ 基軸通貨の揺らぎを孕むトランプラリー

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

トランプラリーの推進力は、先進国で低成長が常態化し、リーマンショック後に世界経済をけん引してきた新興国に息切れが目立つ中、覇権国である米国がインフラ投資や減税を実施すれば、経済に相応の効果をもたらすとの期待だ。

日本が仕掛けた期待に働きかける相場は日本止まりだったが、今回米国が仕掛けたものはグローバルな広がりを持つ。アベノミクスラリーでさえ3年半続いたことに鑑みれば、トランプラリーも相応の時間、続くと予感させる。

しかし、期待がけん引する株高、ドル高は中長期的なリスクを抱えている。

現在、主要国はリーマン直後のような財政余力を持ち合わせておらず、米国の財政収支は年間で6000―7000億ドルの赤字になろうとしている。無い袖は振れないことに、市場はいずれ気付くだろう。

また、HIA(本国投資法)など、世界で流通するドルを米国に還流させる措置は、見方を変えれば、ドルが基軸通貨としての役割をもはや果たせないことの表れだ。

トランプ政権4年間を見渡せば、結果的に、米国に都合の良いドル安が次第に浸透していくと考えている。現在のドル高は、そのバッファーを作るべく、発射台を高くするための準備だったと後々歴史を振り返ることになりそうだ。

来年については、ドル/円の上限を122.50円―125.00円とみている。

●ドル高継続、欧州政治イベントで調整も

<クレディ・アグリコル銀行 外国為替部長 斎藤裕司氏>

中国経済が底堅いという前提のもと、基本的にはドル高基調が続くとみている。トランプ次期米大統領が掲げる経済政策は、減税や財政出動などで景気を刺激し、米国内に雇用を生み出すというもの。米連邦公開市場委員会(FOMC)も年3回の利上げを予想するなど、ドル高に触れやすい。

貿易的に通貨安がいいといっても、ドル買いを促すような政策が多い以上、容易にドル安にはできないだろう。故意にドル安にしようとすれば、中国の通貨安誘導を批判できなくなる。実際、為替介入も現実的ではない。

調整があるとすれば、欧州の政治イベントがらみだろう。4、5月にフランス大統領選、9月にドイツ連邦議会選挙がある。今年はイギリスの国民投票、米大統領選と事前予想が外れただけに予断は許さない。

ドル/円は120円以上に上昇するが、3月末までに115─120円のところまでいったん調整されそうだ。その後は、米国の利上げを織り込みながら再び125円方向を目指す展開を想定。年末にかけて120円付近まで戻すイメージをもっている。

(為替マーケットチーム 編集:伊賀大記)

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http://jp.reuters.com/article/trump-risk-idJPKBN1450S5


Special | 2016年 12月 16日 18:07 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース

展望2017:円債金利は後半にかけ低下、日銀YCCで変動小幅か

[東京 16日 ロイター] - 2017年の円債金利は前半に上昇し、後半に低下するとの予想が多い。トランプ次期米大統領の政策に対する期待と失望が入れ替わるとみられているためだ。

ただ、為替や株式と異なり、日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)政策があるため、金利の変動幅は限られる見通し。金利上昇局面ではターゲット金利の引き上げ、金利低下局面では買い入れ額減額が市場の関心を集めそうだが、大きな政策変更はないとの見方も有力だ。

市場参加者の見方は以下のとおり。

●日銀のYCC政策は強力、国債買い入れ減額も

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニア債券ストラテジスト 稲留克俊氏>

日銀のYCC政策は強力だ。10年最長期国債利回り(長期金利)はマイナス0.10%─プラス0.10%を予想。国債投資は今年と同様に、カーブの傾きに着目した「キャリー・ロールダウン効果」を活用した手法が有効だろう。

基本的に物価上昇のモメンタムは維持されているとの見方から、金融政策変更は想定していない。しかし、日銀が年間80兆円をメドとした国債買い入れを進めた場合、一段と国債需給がひっ迫しかねない。長期金利操作目標を維持するために必要と判断すれば、「現状程度(年約70兆円増)」といった表記に改め、実質的に買い入れ額を減らすかもれない。

18年4月に任期満了となる黒田日銀総裁後任人事の議論が本格化するだろうが、アベノミクスが続く限り、大きな路線変更を伴う人事はないのではないか。

●円金利は低位安定、リスクは海外動向

<クレディ・アグリコル証券 チーフエコノミスト 尾形和彦氏>

日銀のYCC政策で、円金利は安定して推移するのではないか。10年最長期国債利回りはマイナス0.10%─プラス0.10%のレンジを想定。レンジを上下に抜けるような局面があれば、日銀は介入姿勢を強めるだろう。

リスクは海外動向。米国では、トランプ新政権の政策実現性や利上げ動向に加えて、18年初頭に任期が終了するイエレンFRB議長の後任人事も注目だ。新政権が実質成長率4%を目指すことになれば、金融政策への負荷が掛かりやすくなる。仮に利上げペースを遅らせた場合、イールドカーブはスティープ化しやすくなるだろう。

世界第2位の経済大国、中国の住宅バブルがハードランニングを余儀なくされた場合、世界経済の波乱要因になりかねない。また、欧州では仏・伊・独などで選挙が相次ぎ、政治不安が意識されやすい。リスクオン・オフの材料が混在する1年になるのではないか。

●円債金利は春先から低下方向

<東海東京証券 チーフ債券ストラテジスト 佐野一彦氏>

トランプ次期米政権について、所得減税に関しては、税率の引き下げ幅を圧縮することを議会・共和党と折り合ったうえで実施するので、実現の可能性がある。

ただ、法人税率については15%は非現実的ではないか。減税の経済効果は、ブッシュ減税があったが、成長率を大幅に押し上げたかというと、そうではない。インフラ投資の10年間で1兆ドルという額も非現実的と考えている。

トランプ次期大統領の政策は今期待しているほどでないことに加え、もっとも重要なことは、世界経済が長期的な低迷期にあることを認識する必要がある。

1月の大統領就任から100日間がハネムーン期間といわれるが、失望する期間になる可能性がある。あと半年ぐらい待てばドル高は止まっている可能性があり、米金利上昇も止まることになりそうだ。来年の米利上げ回数も個人的には1回だと思っている。

円債金利は春先から低下方向になるのではないか。来年春以降、円高の芽は残っていると考えており、日銀の追加緩和の可能性は消えていないとみている。来年の10年最長期国債利回りはマイナス0.2%─プラス0.15%のレンジを想定している。

●米金利は前半上昇、後半に低下へ

<ドイツ証券 チーフ金利ストラテジスト 山下周氏>

来年前半にかけて金利の上限を探る動きになるだろう。マーケットとしては、リスクオン方向にトランプ米次期政権の不透明感が強いので、先回り的に高めのドット(FRBの金利予想)を織り込む動きが出やすいとみている。

しかし、実際に蓋(ふた)を開けてみると、財政拡大規模が膨らまず、インフレも高まらない可能性がある。前半にかけて金利が上昇した分、後半に若干戻してくる経路を米金利については考えている。

円債市場に関しては、海外金利が上昇する中でも日銀のYCC政策がワークすることで円金利の上昇を抑制することになるだろう。日銀の物価目標2%へ向けて現行の金融政策を維持することになるとみている。基本的には国債の買い入れ額を減らせないということになりそうだ。10年最長期国債利回りは、年前半は上昇の可能性があり、年後半はマイナス圏に入ってくることを想定している。

(金利マーケットチーム 編集:伊賀大記)

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http://jp.reuters.com/article/ycc-boj-idJPKBN1450TC?sp=true

FX Forum | 2016年 12月 16日 16:43 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:
トランプ氏に挑む「イエレン経済大統領」

鈴木敏之三菱東京UFJ銀行 シニアマーケットエコノミスト
[東京 16日] - 米国では14日、1年ぶりに利上げが再開され、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は0.25―0.50%から0.50―0.75%に引き上げられた。

また、米連邦準備理事会(FRB)が発表した連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの経済見通しでは、0.25%ずつ利上げをした場合、2017年の利上げを3回とするのが標準的との見方が示された。9月の経済見通しでは、2回という見方だったが、その回数が増えたことになる。

ここで注意すべきは、この見方がトランプ次期政権の経済政策に対し影響を与えようとしていることだ。今回発表された経済見通しを見ると、成長見通しは16年と17年分については、前回よりも0.1%引き上げられているが、18年は据え置かれている。潜在成長率にあたる長期(longer-run)の成長率は1.8%で前回から変更がない。

17年の成長率引き上げは、今年第3四半期の成長率が前期比年率3.2%と高く、第4四半期の数字もしっかりしているので、年間成長率の上のせとなる「ゲタ」の分を勘案すれば、実質的にはほとんど上方改定をしていないことになる。トランプ次期政権が積極的な財政拡張に走るとすれば、その予算が執行される18年の成長率は高められるが、まだ政権も発足していないので、当然、その分の数字の上乗せはない。

一方で、失業率は「完全雇用の失業率」といえる長期の失業率を4.8%としながら、17年から19年まで4.5%に置いた。そして、インフレ率は18年に目標の2%に達し、それが続くという見方を示している。経済刺激策を取らずとも、米国経済は理想的な状態になるというのである。

<FRB議長が示した経済政策全般の方向性>

イエレンFRB議長は記者会見で、財政政策の決定は議会に委ねるべきとの姿勢を示したが、この経済見通しの提示で、しっかりと財政発動のあり方に注文を付けていると見ることができよう。今の米国経済は、完全雇用に見合う失業率より低い失業率であり、この状態で総需要の刺激は必要ないというのである。もし、その状態で次期政権が財政拡張に走れば、利上げペースをさらに引き上げると予告しているようなものだ。

一方で、潜在成長率は据え置いている。財政政策を投入するならば、この数字を引き上げることが求められるというメッセージだろう。つまり、潜在成長率を高めるインフラ投資などには肯定的だと考えられる。そうした財政発動であれば、FRBは利上げを、今回のFOMCで示した見通しよりも急がなくてよいということだろう。

記者会見では、金融規制のあり方についても答弁があった。11月17日の上下両院合同経済委員会での発言にも通じるが、リーマン・ショック後の金融規制の整備、ドッド・フランク法の規制体系を評価している。これによって、米国の金融システムは強靭(きょうじん)さを増して、人々を安心させているというのである。

トランプ次期大統領の経済政策は、減税とインフラ投資の財政政策、規制緩和、生活水準が上がらない労働者の不満に応える保護主義的政策が柱になると予想されている。規制緩和が経済成長を刺激することへの期待は大きい。イエレン議長は、そこに挑戦的な姿勢を示している。

振り返れば、グリーンスパン氏は18年間、FRB議長の任にあった。その間、末期はバブルを見過ごし、惨澹(さんたん)たるものだったが、18年間の過半は、経済の安定を確保し、「経済大統領」として尊敬を集めていた。

それを引き継いだバーナンキFRB前議長は、果敢な金融政策で、恐慌の淵(ふち)にあった米国経済を、極めて短い時間で、成長・失業率ともに安定した状態に戻すことをやってのけた。経済大統領の地位に相応しい仕事をした。

14日の経済見通しの提示と記者会見の発言は、イエレン議長が、前述の通り、経済政策全般の方向性を示しているところがある。経済大統領として振る舞おうとしていると言って過言ではないだろう。

<トランプ次期大統領の人事カード>

では、イエレン議長の示した方向性は現実になるだろうか。それを左右するのが、大統領が指名できるFRB理事の人事になる。

FRB理事の定数は7人だが、現在、空席が2つある。この空席分をトランプ次期大統領が指名できる。次期財務長官に指名されているスティーブン・ムニューチン氏は、この空席を迅速に埋めると発言している。実際、承認権限を持つ上院は政権政党である共和党が優位なので、迅速に行われるだろう。

FRB理事は、FOMCで常時投票権を持つ。空席とは別に、今の理事が離任する動きもあるかもしれない。イエレンFRB議長の任期も18年2月3日までであり、再任は可能だが、いずれにしても次期議長指名の権限は大統領にある。今回のイエレン議長の主張(総需要刺激の必要性は当面乏しく、現行の規制政策が有効)に不服であれば、トランプ次期政権はFRB理事の指名を通じて、影響力を行使できる。

トランプ次期大統領がそのカードをどう切るか。これが、当面の懸念事項だ。それによっては、今回のFOMCの経済見通し、利上げの進め方は書き換えられてしまう。FRB理事の指名、承認があるまで、不確実性の高さから、市場のボラティリティ―は大きくなりそうだ。

*鈴木敏之氏は、三菱東京UFJ銀行市場企画部グローバルマーケットリサーチのシニアマーケットエコノミスト。1979年、三和銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行。バブル崩壊前夜より市場・経済分析に従事。英米駐在通算13年を経て、2012年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

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http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-toshiyuki-suzuki-idJPKBN1450KW?sp=true

 


Column | 2016年 12月 16日 11:45 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:米利上げで企業の安易な借金は幕引きか

Tom Buerkle

[ニューヨーク 15日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米国では実質ゼロだった政策金利が上がり始めたことで、借金の魅力は低下している。米連邦準備理事会(FRB)による14日の利上げは、企業がむやみに借り入れを行う局面が幕切れを迎える前兆だ。銀行が融資の金利を引き上げるとともに、企業にとっては金融工学ではなく実体のある成長が勝負になるだろう。

低コストでの借り入れは、低成長時代に苦しむ企業にとって大きな助け舟になってきた。米証券業金融市場協会(SIFMA)によると、年初から11月末までの社債発行額は1兆4500億ドルと、5年連続で過去最高を更新するペースだ。調達された資金は合併・買収(M&A)に使われたり、自社株買いに回されて、企業の利益押し上げに役立つなどの効用があった。

FRBが今回、政策金利を0.5─0.75%に上げる前から既に、クレジットサイクルは成熟段階に入ったことを示していた。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)によると、投資適格級の非金融企業が抱える債務水準の中央値は利払い・税・償却前利益(EBITDA)の3倍と、金融危機が最も深刻だった時期に並んでいる。高利回り債の借り手になると、債務がEBITDAの5倍超というのも珍しくない。投機的級格付け企業の約5%は毎年デフォルト(債務不履行)を起こしており、これはふつう景気後退期の近辺しか見られない現象だ。ただ足元の原油価格上昇で、エネルギーセクターの厳しさは今後緩和されるだろう。

債務返済はまだ大きな問題にはなっていない。多くの企業は社債発行ブームを利用して償還期限を長期化した。米大統領選後に10年国債利回りが2.5%超に跳ね上がったといっても、金利水準自体は歴史的に見れば依然として低い。

とはいえ基本的な指標となるいくつかの金利と、借り手が信用力に応じて要求するリスクプレミアムはいずれも今後上昇していく態勢にある。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチによると、シングルA格の社債の対米国債利回りスプレッドは2月の164ベーシスポイント(bp)から足元で105bpまで縮小し、高利回り債の利回りスプレッドもこの間に半分強下がって420bpになった。だがFRBが自らの想定ペース通りに来年利上げし、債券投資家が信用リスクをより意識するようになれば、スプレッドは急拡大に転じるだろう。

金利上昇に力強い成長や企業利益の伸びが付随している限り、米経済と大半の企業は安泰とみられる。それでも成長や収益が欠けた場合、それを借金で穴埋めするのは間違いなく難しくなる。

●背景となるニュース

*FRBは14日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を25bp引き上げて0.5─0.75%とした。また来年末までに計75bpの利上げを想定していることを明らかにした。

*SIFMAのデータによると、年初から11月末までの米社債発行額は1兆4500億ドルとなり、前年同期を上回っている。昨年全体は1兆4900億ドルで、4年連続の過去最高記録だった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

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http://jp.reuters.com/article/usa-fed-breakingviews-idJPKBN145083?sp=true


債券週間展望】長期金利の上限探る展開か、日銀のオペ対応を見極め
三浦和美
2016年12月16日 17:08 JST

関連ニュース
日経平均1年半ぶりの9連騰、米統計良好と金利高、円安進行を好感
Mount Fuji stands behind a highway under construction in Fujiyoshida, Yamanashi Prefecture, Japan, on Saturday, July 18, 2015. Mount Fuji, the highest mountain in Japan at 12,389 feet (3,776.24 meters), is open to climbers from July to September. Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg
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円安・株高基調で投資家の積極的な買いは見込みづらい−岡三証
日銀会合、10年債利回りの目標引き上げも視野−マスミューチュアル


来週の債券市場で長期金利は上昇余地を探る展開と予想されている。米長期金利の先高警戒感やドル高・円安基調を背景に、引き続き売り圧力が掛かりやすい。一方、急速な金利上昇局面では日本銀行が抑制に動くとみられ、市場とのせめぎ合いになるとの見方も出ている。
  今週の長期金利は週初にいったん0.08%に上昇したが、日銀が14日の買い入れオペで10年超を増額し、次回のオペ実施日を予告する異例の措置を取ったことを受けて、いったん0.05%まで買い戻された。その後、米長期金利が2.6%台と2年3カ月ぶりの高水準を付けると、16日には一時0.10%と1月29日以来の高水準を付けた。
  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「世界経済の回復期待から主要国では長期債利回りの上昇が続いている。円安・株高基調が強まっており、投資家の積極的な買いは見込みづらい」とし、来週の債券相場は上値の重い展開を見込む。その上で、「超長期債中心に利回りの上昇圧力が続くため、日銀は市場動向を慎重に見極めながら、過度な利回り上昇を抑える姿勢を示すだろう」と言い、「新発利付国債の入札もないため、良好な需給環境が下値を支える」とみる。

  超長期ゾーンは20年入札への警戒感から売り優勢の展開。新発20年債利回りは一時0.65%と2月以来、新発30年債利回りは0.805%と3月以来の高水準を付けた。しかし、14日の日銀オペをきっかけに買い戻され、16日には新発20年債が0.565%、新発30年債が0.665%まで下げた。
黒田日本銀行総裁
黒田日本銀行総裁 Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  日銀は19、20日の日程で金融政策決定会合を開く。ブルームバーグがエコノミスト39人を対象に実施した調査では、全員が政策の現状維持を予想。黒田東彦総裁の任期の2018年4月まで追加緩和はないとの見方が25人と多数を占めた。任期中はマイナス0.1%の短期政策金利の引き上げはないとの予想は9割となった一方で、長期金利目標については26%が引き上げを予想した。
  マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長は、日銀会合について、「10年債利回りの目標水準の引き上げを行う可能性も視野に入れたい」と言い、「場合によっては0%〜0.10%をめどにするレンジ目標の導入も排除できない」と予想。また、国債買い入れ額については、「60兆円〜100兆円のレンジでの運営に切り替えることも想定される」と付け加えた。
  21日には流動性供給入札が予定されている。発行予定額は5000億円程度で、残存期間5年超15.5年以下の銘柄が対象になる。
  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「年内はほぼ入札が終わっているので、リバウンドする局面。いったんは金利上昇を見据えたショートポジションはクローズし始めた感がある」と分析。来週の日銀会合については、「14日に超長期のオペを増額したことで、80兆円の買い入れ目標が残る可能性がある。長期金利の目標水準も据え置かれた場合、指し値オペのタイミングを探る展開になる」とし、「そうすると金利が低下してもおかしくない」とみる。
市場関係者の見方
*T
◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
*日銀は当面現状の金融緩和政策を維持するだろう
*投資家の活発な動きは見込みづらいが、新発国債入札はなく、良好な需給環境が下値を支える
*長期金利の予想レンジは0.05%〜0.10%
◎三井住友アセットマネジメントの深代潤グローバル戦略運用グループヘッド
*フラットニングの持続性はあまりなく、スティープニングが速過ぎた反動の踊り場
*20年債利回り0.65%程度で止まる感じは全然しない
*長期金利の予想レンジは0.04%〜0.10%
◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長
*ECBが実質的なテーパリング、FOMCが来年の利上げペース加速を示唆する中、来週は日銀金融政策決定会合に注目
*海外金利が上昇する中、長期的に40年債利回りは1%が視野、超長期ゾーンには利回り上昇圧力が続きそう
*長期金利の予想レンジは0.05%〜0.15%
◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長
*長期金利についてはマーケットが日銀の意思を確かめにきている
*日銀政策据え置きなら、指し値オペのタイミングを探る展開へ
*長期金利の予想レンジは0.05%〜0.10%
◎アムンディ・ジャパンの浜崎優市場経済調査部長
*トランプ相場がいつまで続くかによるが、円安・インフレ圧力を背景に金利は上向き
*日銀は長期金利が0.1%を上回るとさすがに指し値オペを打つだろう。0.1%を抜けてどんどん上昇するとはみていない
*長期金利の予想レンジは0.04%〜0.10%
*T
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-16/OI9OAD6JIJV701

http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/775.html

[中国10] 5歳の娘の白血病を利用した“蓄財事件”の顛末 世界鑑測 娘の回復を祈る父親の姿に人々は涙したが 中国・キタムラリポート
5歳の娘の白血病を利用した“蓄財事件”の顛末

世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」

娘の回復を祈る父親の姿に人々は涙したが…
2016年12月16日(金)
北村 豊
 11月25日、中国版メッセンジャーアプリ“微信”の“公衆平台(公式アカウント)”に『“羅一笑, ?給我站住(羅一笑、君は私のために立ち止まって)”』と題する文章が掲載された。この文章は広東省“深?市”に住む“羅爾(らじ)”という名の父親が白血病を患って“深?市児童医院”に入院している娘の“羅一笑”(5歳)に対する思いをつづったものだった。その訳文は以下の通り。なお、文中にある“笑笑”は羅一笑の愛称。中国の家庭では子供に同じ漢字を重ねた愛称を付け、愛称で呼ぶのが一般的である。

白血病の娘に対する思いを

 『羅一笑、君は私のために立ち止まって』

 11月23日午後6時、“笑笑”は再び危篤になり、集中治療室(ICU)に入った。ベッドが集中治療室へ運ばれて行く時、私は笑笑の耳元で「きっと良くなるよ」とささやいた。私はこぼれ落ちる涙をこらえることができなかった。

 妻の“文芳”は私の肩に顔を埋めて泣いた。集中治療室の費用は毎日1万元(約16万5000円)を上回るだろう。彼女は私たちがその費用を支払えないことを悲しみ、たとえその費用を支払えたとしても、笑笑の命は助からないことを悲しんだ。私はもう泣かない。何としてでも文芳を悲しみの中から引っ張り出さねばならない。

 集中治療室の扉の外にある長椅子の上で1人の父親が眠っていた。笑笑が21日の早朝に集中治療室に入った時も、その父親は長椅子の上で眠っていた。私と彼は親しくなった。意外にも、彼は湖南省“泪羅(べきら)市”出身の私と同郷人だったのだ。彼は深?市“宝安区”でゴミ拾いをして暮らしているが、10歳で小学4年生の息子が数日前にタクシーにはねられて意識不明になり、集中治療室で治療を受けていた。彼はずっと集中治療室の外で息子の意識が回復するのを待ち続け、疲れると長椅子の上で眠り、空腹になるインスタントラーメンを食べていた。私は彼にどうして家に帰らずにここで待っているのかと尋ね、「あんたは息子に会うこともできないし、かといって何もしてやれることはないじゃないか」と言ったが、彼は息子のいない家に帰っても眠れないのだと答えた。

 笑笑の集中治療室への入院手続きを終えて、私と文芳は家に帰ったが、その時ようやく同郷人であるあの父親がどうして集中治療室の外で眠らなければならなかったのかを理解した。娘のいない家はひっそりして寒々しかった。友人が酒でも飲もうと声をかけてくれたが、私は応じなかった。家に文芳を1人残して外出することなどできなかったし、1人で読書することもはばかられた。文芳は昨夜も医院で過ごして一睡もしていなかったので、私は彼女に早く休んで欲しかったが、彼女は何度も寝返りを打って眠ることができず、私たちはため息をつくばかりであった。

私のために立ち止まってほしい

 木曜日(24日)は面会日ではなかったが、私と妻は早めに医院へ向かった。それは医師の口から笑笑の良い知らせを聞きたかったためだったが、医師は非常に忙しく、病状を二言三言話してくれただけで、私たちの心配を何ら解消するものではなかった。丁度良い具合に文芳の親友2人が医院へ見舞いに来てくれたので、私は彼らに文芳を任せて走り回った。私は各種各様の証明や印鑑を取って回り、笑笑の重病診察予約を取り、“小天使基金”<注1>に対して救援を申請した。

<注1>“中国紅十字基金会(中国赤十字基金会)が提唱して設立された白血病の児童を救援することを目的とする基金。

 以前、私は政府からこの種の援助をびた一文たりとも受けたいと思ったことはなかった。今でもそう思っているが、こういう方法でしか私は笑笑にパパも全力で頑張っているということを告げられないのだ。君は絶対にパパを待っていて欲しい。それらの手続きが完了するのには少なくとも2か月が必要だが、笑笑は2か月を待ってくれるだろうか。待ってくれさえすれば、どんな問題でも解決することができる。

 笑笑が歩くようになってから、私たちはずっと1つのゲームで遊んでいた。彼女が歩きたくないと駄々をこねると、私は前の方に走ってからしゃがんで両手を広げる。笑笑はこれを見ると、満面の笑顔で走って来て私の懐に飛び込んでくる。愛しの娘よ、今、パパは家の中で君に向かって両手を広げている。今すぐに家へ戻ってパパの胸に飛び込んで欲しい。昨日は“感恩節(感謝祭)”だったが、私はこの2か月間にわたって私たちを励まし、支援してくれた身内や友人に対する感謝の気持ちを文字で記そうとしたが、心乱れて一文字も書くことができず、結局、書かないことにした。

 羅一笑、お爺ちゃんとおばあちゃん、おじさんとおばさん、兄さんと姉さんが君に与えた恩情は非常に重く深いものであり、私はそれを君のために書き記しておくけど、君はしらばくれることなく、自分から彼らが与えてくれた恩に感謝しなければならないよ。

 羅一笑、幼稚園の先生や友達は君のために“献愛心的活動(愛の手を差し伸べる活動)”を展開してくれているよ。先生や友達は皆が君を心配し、早く幼稚園へ戻って来るのを待ち望んでいるよ。君は彼らを失望させてはだめだよ。

 羅一笑、むやみに走り回らず(=勝手に天国へ行こうとせず)、私のために立ち止まって欲しい。もしも君がおとなしく家へ帰らないというなら、たとえ君が天使になり、天国へ行ったとして、いつか私たちが天国で会っても、パパは君に知らない振りをするよ。

 上記の文章が11月25日に微信上で発表されると、多くのネットユーザーの共感と関心を呼び、次々と転載されて広範囲に知れ渡ることになった。この文章の作者である羅爾は2016年1月に発行を停止した女性誌「女報・故事」に勤めていた人物だが、9月8日に娘の羅一笑が検査で白血病にかかっていることが判明し、彼女はすぐさま深?市児童医院へ入院したのだった。その後、羅爾は微信の個人アカウントで白血病にかかった娘の闘病記録を有償で発表していたのだ。有償とは、文章を読んで「良かった」と感じた読者が文章の下部に置かれている「“賛賞(称賛)”」のボタンをクリックすると、自動的に課金されて作者にカネが支払われることを指す。要するに、羅爾は“売文救女(文を売って娘を救う)”<注2>を行っていたのだった。

<注2>“売文救女”の“女”は娘を意味する。

美談が内情暴露で一転

 12月1日付の北京紙「北京青年報」はこの“売文救女”について次のように報じた。
【1】11月30日の朝8時前に“宋先生(宋さん)”はいつもの習慣で微信の“朋友圏(モーメンツ)”をチェックしたが、そこにあった新着記事の『“羅一笑, ?給我站住”』という題名の文章に注意を引かれた。多数の友人たちが同じ記事を転載しており、ある人は記事を転載するのと同時に「この白血病の娘を持つ父親は“売文救女”である」と注釈を付けていた。興味を持った宋さんは当該記事が引用していたリンク先をクリックしてその文章を読んでみたが、文末の段落を読む頃には思わず涙ぐんでしまった。文章に感激した宋さんが「称賛」のボタンをクリックしようと文章の下部を見ると、そこにあった“閲読(読んだ)”欄の読者数と称賛欄の称賛者数は共に10万人を超えていた。そこで、宋さんも称賛のボタンをクリックしたところ、画面上に「当該作者が本日受領した称賛金額はすでに上限に達しました」との表示が出たのだった。

【2】宋さんは、“小銅人”という名の会社が持つ微信の公式アカウント「P2P観察」も同様に『“羅一笑, ?給我站住”』の記事を掲載していることに気付いた。羅爾の個人アカウントと違うのは、公式アカウント「P2P観察」の方には文章に注記があり、「あなたが本文章を転載すると、我が社は献金を行います。あなたが転載する毎に、我が社は1元(約16.7円)を献金します」と書かれていた。当該文章を自分の友人グループであるモーメンツ内に転載するだけで、小銅人という会社が文章の作者である羅爾に献金をするというのは奇妙な話だが、これも羅爾と羅一笑の親子を支援する方式なのかと理解した。ところが、それから4時間も経たないうちに、事態は思いもしない方向に逆転を始めたのだった。

 その逆転とは何か。各種各層の内部事情を知る人たちが次々と、微信上に作者の羅爾に関する内情を暴露したのだった。それは次のような内容だった。

(1)羅爾は以前、自分の微信アカウントに掲載した文章の中で、自分は住宅3戸、自動車2台、広告会社1社を保有していると述べていた。それが本当なら、白血病の娘を救うために自分が持つ住宅を売れば治療費は負担できるはずだが、何故に微信上で“売文救女”を標榜し、娘の治療費を捻出するための献金を求めるのか。

(2)小児白血病患者の治療を専門とする医師に確認したところでは、目下のところ、羅爾の娘の医療費は医療保険の公費負担比率が高く、患者の負担額はわずか数万元に過ぎないはずである。従い、羅爾の家庭が“入不敷出(収入が支出に追い付かない)”状況になっていることなど有り得ない

(3)問題の矛先を作者の羅爾と小銅人との関係に向け、彼らが採用した「転載したら献金」方式は、一般大衆の善意を利用して商業活動を行っているに等しいと批判すると同時に、本当に羅一笑は白血病にかかっているのかと疑問を呈した。

献金額を公表後、基金設立へ

 これら内情を知る人々によって提起された指摘や疑問点は、微信の中だけに止まらず、メディアによって大きく取り上げられたことから、深?市の“民政局”が介入して羅爾と小銅人および深?市児童医院に対する聞き取り調査が行われた。11月30日、深?市民生局は調査結果を発表したが、その要点は以下の通り。

【1】羅爾の月給は4000元(約6万7000円)で、他に収入源はないし、妻の文芳にも収入はない。住宅3戸(深?市内に1戸、広東省“東莞市”に2戸)および自動車1台を所有している。深?市にある80m2の住宅はローンを完済したが、東莞市にある住宅は昨年投資のために2戸合わせて100万元(約1670万円)で購入したもので、融資を受けたので借金がまだ40万元(約668万円)残っている。医院の費用を支払うために家を売ればよいという人がいるが、深?市内の家は今住んでいる家であるから売るわけには行かない。東莞市にある2戸の住宅は借金があるため不動産権利書がなく、売りたくても売れない。自動車は2007年に買った米国製のビュイック(Buick)で、すでに廃車同様である。

【2】娘の羅一笑の医療費は、9月分と10月分の総額から公費負担額を差し引いた自己負担額は確かに数万元であった。但し、娘が集中治療室に入院した後の医療費は、多くの器具や治療が公費負担の範囲外になるため、自己負担額がどの位になるかは分からない。また、小銅人の「転載1回毎に1元献金」については、羅爾は決して商業活動には該当しないとの意見を堅持した。

【3】深?市児童医院が出した声明によれば、羅一笑の医療費明細は次の通りだった。すなわち、羅一笑が3回入院した費用の合計は20万4244元(約341万円)であったが、このうち医療保険による公費負担分が16万8051元(約281万円)で、自己負担分は3万6193元(約60万円)であった。入院毎の医療費に占める自己負担比率の平均は17.7%だった。

 こうして羅爾の経済状況と羅一笑の医療費の詳細が白日の下に晒されたが、そこで人々が注目したのは、羅爾が微信に『“羅一笑, ?給我站住”』を掲載したことにより一体いくらの献金を受領したのかという点だった。

 12月1日、羅爾と彼の友人で小銅人の経営者である“劉侠風”は共同声明を発表して、次のように述べた。

(1)11月30日24時までに、小銅人の公式アカウント「P2P観察」で掲載した文章の転載回数は54万8432回であり、2016年11月27日の約束に基づき、小銅人は50万元(約835万円)を羅爾に献金した。また、読者が「称賛」ボタンをクリックしたことによる課金の合計は10万1111元(約169万円)であった。一方、羅爾個人の公式アカウントで掲載した文書に対し読者が「称賛」ボタンをクリックしたことによる課金の合計額は207万元(約3457万円)であった。この両者の合計額は267万1111元(約4461万円)であった。

(2)2人で協議した結果、上記の金額は読者の同意を得ているものと見なして、全額を拠出して小児白血病患者の救済を目的とする基金を設立する。羅一笑の医療費については、合法的なルートで当該基金に救援を申請することで対処する。今回の件を通じて、社会に悪い影響を与えたことに対して深く謝罪する。

表面上の決着は見たが…

 こうして通称「羅一笑事件」と呼ばれた事件は表面上の決着を見たが、内情を知る人々が問題を提起しなければ、羅爾は白血病の娘を利用して267万元余の大金を得ていた可能性が高い。彼が娘の医療費の支払いに困難を来す程に困窮しているならともかく、3戸の住宅を保有していたことを考えると、白血病を名目とした詐欺を画策したというのが実態であろう。

 中国では白血病の発病率が小児がんの首位にあり、10歳以下の小児白血病の発病率は10万分の7である。この数字だけを見るとそれほど高いようには思えないが、小児白血病の発病率は成人に比べて遥かに高い。中国赤十字基金会の研究報告によれば、中国で毎年新たに発病する白血病患者の数は4万人だが、その半数は児童で、2歳〜7歳が最多を占める。児童と青少年の白血病は90%が急性白血病であり、年間の発病率は10万分の3〜10万分の6だが、発病が急であることから、直ちに適切な治療を行わないと、寿命は平均して半年も持たない。なお、中国の白血病による死亡率は50%に上っている。

 こうした状況下において、娘の白血病を利用して金儲けを企んだ羅爾とその友人の劉侠風は許し難く、人の道理を踏み外した存在と言える。事件は小児白血病患者救済基金の設立で決着したが、真に救済を求める貧しい小児白血病患者に対して人々が猜疑の目を向ける悪しき前例を作ったのだった。羅爾が娘の回復を心から望んでいることに偽りはないはずだが。


このコラムについて

世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」
日中両国が本当の意味で交流するには、両国民が相互理解を深めることが先決である。ところが、日本のメディアの中国に関する報道は、「陰陽」の「陽」ばかりが強調され、「陰」がほとんど報道されない。真の中国を理解するために、「褒めるべきは褒め、批判すべきは批判す」という視点に立って、中国国内の実態をリポートする。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/101059/121400078
http://www.asyura2.com/16/china10/msg/503.html

[経世済民116] 配達人に危機? 実用化間近の「出前ロボット」 シリコンバレーNext 火星探査車でいつかは「80日間火星1周」! 
配達人に危機? 実用化間近の「出前ロボット」

シリコンバレーNext

2016年12月17日(土)
瀧口 範子
 シリコンバレーでは最近、レストランからの出前がぐっと簡単になった。一般人が「ギグエコノミー」の仕組みで配達を担うサービスが多数登場したためだ。しかしこうした配達人がロボットに置き換わる日も遠くなさそうだ。そう、出前配達ロボットの実現だ(写真1)。


写真1●英Starship Technologiesの出前配達ロボット
出典:英Starship Technologies
 ロボット業界は今、「ラストマイルデリバリー」に熱い視線を注いでいる。「ラストマイル」は通信分野でまず話題になった言葉だが、サービスを巨大なインフラから個人宅にまで届ける最後の「ラストマイル」は、高品質と低コストを両立するのがなかなか難しい。

 デリバリーも同様で、今のように大きな配達トラックが一軒一軒を回る方法は効率が悪いと分かっているのだが、それに代わる方法が無かった。

 そこで、ラストマイルの配達を小さなロボットにやらせれば問題が解決するはずだ、と考えるロボット開発会社がいくつか出てきた。そのうちの1社で、ロンドンに拠点を置く英Starship Technologiesは、既にシリコンバレーで配達ロボットのテスト走行を実施し、先頃はロンドンで初めての食事の出前を行った(写真2)。


写真2●ロンドンを走るStarship Technologiesのロボット
出典:英Starship Technologies
 Starship Technologiesのロボットは、小型スーツケースを横倒しにしたくらいのサイズで、下部に6つの車輪が付いている。上部は蓋付き容器になっていて、出前の食事や小型荷物などを入れられる(写真3)。カメラやセンサーを搭載しており、自律走行して目的地に向かうのだが、用途は物流や出前のラストマイルと特定しているのが特徴だ。


写真3●Starship Technologiesのロボットが商品を届けたところ
出典:英Starship Technologies
 ハンバーガーやピザ、中華料理などはもちろんのこと、オンラインショッピングで注文したスニーカーとか文房具、服なども、もうすぐこのロボットが配達してくれるかもしれない。

 Starship Technologiesを創業したのは、Skype創業者のAhti Heinla氏とJanus Friis氏の2人だ。本拠はロンドンだが、開発チームはエストニアのタリンにいる。創業は2014年で、既にこれまで何台ものプロトタイプを開発し、65台のロボットを16カ国58都市で走らせている。走行総距離は1万3930マイル(2万2400キロ)だ。シリコンバレーでは、パロアルトでテスト走行を行い、レッドウッド・シティーではパイロットプログラムが進行中のようだ。

 既に自動運転車が路上を走っているのだから、こんな小さなロボットが町中を自走することなど簡単なはずである。とは言うものの、小型ロボットにはそれなりの挑戦がある。難しいのは、人が歩くような道には交差点や横断歩道などがあり、その一方で自動運転車並みのテクノロジーを搭載しようとすると、かなり高価になってしまうことだ。

難しいところは人間が担当

 そこでStarship Technologiesは、道を渡るといった難しいところは人間が遠隔から操作し、それ以外のところはロボットの自走に任せるという分担をしている。ロボットと人間がそれぞれに得意部分を担うわけだ。考えようによっては、出前の仕事は取り上げてしまうが、別の仕事を生み出すロボットということになるだろうか。

 また、ナビゲーションにはGPSを利用するのではなく、あらかじめロボットに特定地域の地図を覚えさせ、ロボットのカメラが捉える周辺の様子と照合して位置を特定する。この方がGPSよりも安定性も信頼度も高いという。

 同じようなラストマイルデリバリーをするロボットを開発する会社は、サンフランシスコにもある。こちらの会社米Dispatchには、著名なベンチャーキャピタルである米Andreessen Horowitzも投資している。ドローンによる空路配達も期待されているが、恐らくこの地上走行ロボットの方が早く実用化されて広まりそうだ。


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シリコンバレーNext
「シリコンバレーがやってくる(Silicon Valley is coming.)」――。シリコンバレー企業の活動領域が、ITやメディア、eコマースといった従来の領域から、金融業、製造業、サービス業などへと急速に広がり始めている。冒頭の「シリコンバレーがやってくる」という言葉は、米国の大手金融機関、JPモルガン・チェースのジェームズ・ダイモンCEO(最高経営責任者)が述べたもの。ウォール街もシリコンバレー企業の“領域侵犯”に警戒感を隠さない。全ての産業をテクノロジーによって変革しようと企むシリコンバレーの今を、その中心地であるパロアルトからレポートする。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/061700004/120900170/

 


火星探査車でいつかは「80日間火星1周」!

研究室に行ってみた

NASAジェット推進研究所(JPL)火星探査 Mars2020 小野雅裕(5)
2016年12月17日(土)
川端 裕人
唯一、太陽系のすべての惑星に探査機を送り込んだNASAのJPLことジェット推進研究所。あのNASAの無人宇宙探査ミッションの核とも言えるこの研究所で大活躍する小野雅裕さんに、「マーズ2020」火星探査計画をはじめ、JPLでの研究開発について聞いてみた!

(文=川端裕人、写真=的野弘路)
 NASAのジェット推進研究所、JPLで、小野さんは最初の大きなミッションとしてマーズ2020の火星探査に挑んでいる。火星ローバーの自動運転アルゴリズムの改良が主たるタスクだ。着陸地点の選定の仕事にも加わっている。

 しかし、それは、費やす時間の75パーセントで、ほかの25パーセントは別のこと、それも、もっと先を見据えたことに費やしていると最初に伺った。「マーズ2020」の話がとてもおもしろすぎて、多くの字数を費やしてしまったけれど、「その先」にも、ワクワクする話が待っているはずだ。どんどん伺っていこう。

ローバーを自由に

 ぼくが、まず気になったのは、「ローバー」だ。惑星や衛星の地表におりて自走するローバーは、今後も多くの探査計画で使われるはずで、小野さんの宇宙キャリアのひとつの道筋として、ローバーの専門家になっていく方向性があるのではないか、と。


「たしかに、マーズ2020の次のローバーの人工知能の研究とかをやってます。まさに最近はやってるあれです。ディープラーニングです。ローバーが撮った写真から、ここは危ない砂地だ、ここは危ない岩地だ、ここは行ける地形だっていうのを判断する。今までのローバーっていうのは、幾何学的な情報からしかローバーの走行の安全性を判断しなかったんですよ。でも、同じ平らな場所でも、深い砂か、固い地面かは全然違うじゃないですか。その部分を、人間が見て、パターン認識して判断していたんですが、それをローバー自身にやらせるんです。あと、リスク・アウェアー・プランニング(Risk aware planning)──リスクを気にしたプランニング、と言えばいいですかね。不確定性を考慮して、大きなリスクを取りすぎずに行動するようなアルゴリズムです。それは、僕が博士学生の頃からやってる研究で、今も研究資金をとって続けてるんですけども」


マーズ2020のマストのトップに取り付けられる高解像度カメラの想像図。(Image: NASA/JPL-Caltech)
 いずれも、これまで人間が遠く離れた地球上で判断していたことをローバー自身にやってもらうということで、つまり、自動走行できる局面が増える。10年以上火星にいるオポチュニティが、その間に走った距離がせいぜい40キロから50キロだと教えてもらったけれど、その「遅さ」の主要因は、ほとんど「マニュアル」(人間が判断して指示する)で動いているからだ。小野さんのこの方面の研究が進展すると、ローバーはもっと自由になる。

「僕がよく半分冗談、でも本気で言ってるのは、80日間火星1周したいってことですね」

人類の火星への旅は、もはや夢物語ではない――。ナショジオがお届けする火星の最新情報を、こちらでどうぞ!
マーズ 火星移住計画 特設サイトへ


 小野さんの口調は、まったく冗談ではなく、正真正銘の本気だった。なお、80日間、というのは、もちろん、ジュール・ヴェルヌの古典的名作『80日間世界一周』から取っている。

「──今のローバーが走るのって、10年もかけてせいぜい数十キロじゃないですか。でもね、火星の全表面積って、地球の全陸地面積と同じだけあるんですよ。火星ローバーは、マーズ2020が成功して、5つ目です。それで、5カ所、数十キロ走っただけで何がわかると。やっぱりね、もっと広い地域をカバーする必要がありますよね。だから、80日とは言わないけども、何年かかけて火星をくるーっと回って、そこらじゅう行けるようなローバーが欲しいですよね」

「──前に言いましたけど、火星には着陸できない場所がいっぱいあるんです。標高が高いところは大気が薄くて、パラシュートでは減速しきれなかったり。今、ローバーが走る距離があんまりないから、着陸できる低い平地から抜けられないんですよ。でも、たくさん走れるローバーができれば、例えば、オリンポス山の頂上とか行きたいですよね」


中央やや下の高まりがオリンポス山。(Image:NASA/JPL-Caltech/University of Arizona)
新しい景色を

 オリンポス山は、標高2万メートルを超える「太陽系の最高峰」だ。その頂上に立った時、どんな景色が見えるのか。もちろん絶景であることは間違いないはずで、と同時に、そこまでできる技術は、ローバーの可能性を広げ、もっともっと新しい「景色」を見せてくれることだろう。

 ほかにも、「太陽系最大の渓谷」であるマリネリス渓谷(深さ最大11キロメートル)に降りてみたいとか、火星地図を前にしてああだこうだ語り合った。楽しいひと時だった。なお、マリネリス渓谷については、低い土地なので、パラシュートも問題なく使え、今の技術でも行ける場所ではある。しかし、深い渓谷の様子を楽しんだ後、渓谷沿いに進み、何百キロも旅をして、最後はクリュセ平原にまで抜けて、1976年のバイキング1号や、1997年のマーズ・パスファインダーのローバー、ソジャーナと再会したらどうだろう、とか考えるとますます楽しいのである。


中央を横に走る巨大な溝がマリネリス渓谷。長さは3000キロを超える太陽系最大の谷だ。
 さて、小野さんの研究にはさらに先がある。

 ここからは火星を離れて、もっと遠くへと行く。萌芽的な研究で、とにかくぶっ飛んだアイデアに研究資金がつくというNASAの制度を利用して、実にSFチックなアイデアを追究しているのである。


小野雅裕さんは仕事の4分の1をより先を見据えた研究開発に費やしている。
「NASAって、組織の中に4つディビジョンがあるんです。そのうちのひとつが『テクノロジー』で、さらにその下に9つファンディング、つまり研究費を出すプログラムがあります。それぞれが、どの程度の技術成熟度かっていうのに応じて、分かれてるんですね。あるものは、もうすぐ飛びそうなものに技術実証の機会を与える目的だったりとか、中ぐらいの技術成熟度のものをフライトにもっていくためのものとか。その中で、一番ハイリスク・ハイリターンな、今のところ何の役に立つかわかんないような、でも面白い研究に研究費を出すのが、NIAC、NASA Innovative Advanced Conceptsっていうプログラムです。予算は非常にちっちゃいです。今すぐ実現できるとは思えないけども、もしかしたら、10年後、100年後に宇宙開発を根底から変えるかもしんないアイデアにお金出すっていうものなんですね」

彗星ヒッチハイカー

 "NASA Innovative Advanced Concepts"、NIAC(NASA革新的先進的構想、みたいな意味)、というのは覚えておいてよい仕組みだ。このワードで検索してみると、本当にぶっとんだアイデアがたくさん出てくる。

 たとえば、小惑星をまるごと1個のロケットにしようとか、2枚の膜の間に燃料を封じ込めてそれ自体が宇宙船になる「平面宇宙船」とか、火星有人探査のための人工冬眠システムとか、3日で火星に行けるレーザー推進システムとか、もちろん、宇宙エレベーター構想もある。


「彗星ヒッチハイカー」の詳細は次回に!
 ここで得られる研究費は10万ドルで、宇宙探査の世界では少額だが、新規性の高いアイデアの実現可能性をきちんと検証し、将来のために種をまくには充分に役に立つだろう。そして、意欲ある若手に、PI(研究主宰者)として、プロジェクトを切り盛りする機会を与えることもできる。

 小野さんがこういったチャンスを逃すはずもなく、JPLに入った翌年、2014年にはじめて挑戦し、見事に二段階のセレクションを通過、毎年10名ほどしか選ばれないNIACフェローになった。

 そのテーマは、「彗星ヒッチハイカー」、である。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/227278/111500068/02.jpg
つづく

小野雅裕(おの まさひろ)

1982年、大阪生まれ。2005年、東京大学工学部航空宇宙工学科卒業。2012年マサチューセッツ工科大学(MIT)航空宇宙工学科博士課程および同技術政策プログラム修士課程終了。慶應義塾大学理工学部助教を経て、現在NASAジェット推進研究所に研究者(research technologist)として勤務。著書に『宇宙を目指して海を渡る MITで得た学び、NASA転職を決めた理由』がある。2016年11月現在、『小山宙哉公式サイト』で「一千億分の八」を連載中。

川端裕人(かわばた ひろと)

1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。文筆家。小説作品に、少年たちの川をめぐる物語『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、天気を「よむ」不思議な能力をもつ一族をめぐる壮大な“気象科学エンタメ”小説『雲の王』(集英社文庫)『天空の約束』、NHKでアニメ化された「銀河へキックオフ」の原作『銀河のワールドカップ』『風のダンデライオン 銀河のワールドカップ ガールズ』(ともに集英社文庫)など。近著は、知っているようで知らない声優たちの世界に光をあてたリアルな青春お仕事小説『声のお仕事』(文藝春秋)と、ロケット発射場のある島で一年を過ごす小学校6年生の少年が、島の豊かな自然を体験しつつ、夏休みのロケット競技会に参加する模様を描いた成長物語『青い海の宇宙港 春夏篇』『青い海の宇宙港 秋冬篇』(早川書房)。
本連載からは、「睡眠学」の回に書き下ろしと修正を加えてまとめたノンフィクション『8時間睡眠のウソ。 ――日本人の眠り、8つの新常識』(日経BP)、「昆虫学」「ロボット」「宇宙開発」などの研究室訪問を加筆修正した『「研究室」に行ってみた。』(ちくまプリマー新書)、宇宙論研究の最前線で活躍する天文学者小松英一郎氏との共著『宇宙の始まり、そして終わり』(日経プレミアシリーズ)がスピンアウトしている。
ブログ「カワバタヒロトのブログ」。ツイッターアカウント@Rsider。有料メルマガ「秘密基地からハッシン!」を配信中。


このコラムについて

研究室に行ってみた
世界の環境、文化、動植物を見守り、「地球のいま」を伝えるナショナル ジオグラフィック。そのウェブ版である「Webナショジオ」の名物連載をビジネスパーソンにもお届けします。ナショナル ジオグラフィック日本版公式サイトはこちらです。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/227278/111500068/
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/801.html

[戦争b19] (米無人潜水機奪取)米、探査機の返還方針確認 トランプ氏、中国を批 中国が支援してくれる米国さようならドゥテル比大統領
2016.12.18 07:37
【米無人潜水機奪取】米、探査機の返還方針確認 トランプ氏、中国を批判


中国軍艦が奪った無人水中探査機の同型機(米国防総省提供・共同)
 米国防総省のクック報道官は17日、中国が南シナ海で奪った米国の無人水中探査機について、中国当局が示している返還の方針を確認する声明を発表した。フロリダ州に滞在中のトランプ次期大統領はツイッターで「中国は米海軍の調査機を盗み、入手した。前例なき行為だ」と批判した。

 中国側の実力行使に米国側は態度を硬化させたが、中国が早期に返還に応じたことで事態は沈静化に向かう。台湾の蔡英文総統との電話会談などトランプ氏に対する中国の不信感は根強く、米中間に火種は残る。

 クック氏は「南シナ海の公海における中国の不法奪取に異議を申し立ててきた。中国当局との直接的なやりとりを通じ、中国が探査機を返還するという合意に至った」と説明した。(共同)
http://www.sankei.com/world/news/161218/wor1612180005-n1.html


 
2016.12.17 22:46
「中国が支援してくれる。米国よ、さようなら」 ドゥテルテ比大統領、米兵地位協定の破棄示唆


ロドリゴ・ドゥテルテ大統領
 フィリピンのドゥテルテ大統領は17日、米国と1998年に締結したフィリピン国内での米兵の法的地位を定めた訪問軍地位協定の破棄を示唆した。南部ダバオでの記者会見で明らかにした。

 AP通信によると、米政府系援助機関がフィリピンでの人権状況への懸念を理由に、援助更新の見送りを決定。ドゥテルテ氏はこれに反発し「わが国は米国のカネがなくてもやっていける。中国が支援してくれると言っている。米国よ、さようなら」と発言。さらに訪問軍地位協定について「何の意味があるのか。米軍は出て行け」と述べた。

 反米的な姿勢を強めるドゥテルテ氏だが、対米観を変えるような発言をトランプ次期米大統領がしたらどうするかとの記者の問いには「それが問題だ。オバマ(大統領)とは違い、トランプ氏は見習わなければならない」と述べ、今後の対米関係改善に含みを持たせた。(共同)
http://www.sankei.com/world/news/161217/wor1612170051-n1.html
http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/334.html

[政治・選挙・NHK217] 「カジノ法案」成立――ギャンブル依存の実態と対策 田中紀子×佐藤拓×荻上チキ
2016.12.18 Sun
「カジノ法案」成立――ギャンブル依存の実態と対策
田中紀子×佐藤拓×荻上チキ
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「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」、いわゆるカジノ法案が今月15日に成立した。自治体や経界から経済効果を期待する声が上がる一方、ギャンブル依存症への影響、金銭の流れの透明性、国際交流など、さまざまな問題が指摘されている。今回は注目されるギャンブル依存症について専門家にお話を伺った。2016年12月7日放送TBSラジオ荻上チキ・Session22「カジノ法案が今週にも成立か!? ギャンブル依存の実態と対策」より抄録。(構成/増田穂)

■ 荻上チキ・Session22とは
TBSラジオほか各局で平日22時〜生放送の番組。様々な形でのリスナーの皆さんとコラボレーションしながら、ポジティブな提案につなげる「ポジ出し」の精神を大事に、テーマやニュースに合わせて「探究モード」、「バトルモード」、「わいわいモード」などなど柔軟に形式を変化させながら、番組を作って行きます。あなたもぜひこのセッションに参加してください。番組ホームページはこちら →http://www.tbsradio.jp/ss954/


カジノに限定せず依存に対する総括的な支援を

荻上 本日のゲストをご紹介します。一般社団法人ギャンブル依存症問題を考える会代表の田中紀子さんと、ギャンブル依存の治療にお詳しい、成瀬メンタルクリニック院長の佐藤拓さんです。よろしくお願いいたします。

田中・佐藤 よろしくお願いします。

荻上 佐藤さんは、ギャンブル依存症からの回復についてどのような取り組みをなさっているのですか。

佐藤 GA(Gamblers Anonymous)というギャンブル依存の当事者による自助グループや、リハビリ施設で支援を受けている方と連携をとって、医療の立場でできることをしています。

荻上 GAの活動はどのようなものなのでしょうか。

佐藤 GAには依存症当事者やその家族などが参加しています。匿名参加が可能で、グループミーティングでの会話などを通じて、自分の抱える問題について理解を深める場を作っています。

荻上 カジノ法案成立の可能性についてはどのようにお考えですか。
(※編集者注:本放送は12月5日の衆議院通過を受けて。その後、15日参議院本会議にて成立。)

佐藤 もちろん、法案の成立は重要な問題です。しかし現状問題を抱えて苦しむ方々の支援を行っている立場としては、今回の件をきっかけにギャンブル依存の問題や支援体制のあり方についてより多くの方々に知っていただく機会になればと思っています。

荻上 すでにある問題について、もっと議論しなければならない。

佐藤 そうですね。賭け事には合法的なもの違法なもの、法律的にいろいろ区分があり、関連したさまざまなものへの依存で苦しんでいる方がいらっしゃいます。そうした事実や、それに対する支援がどのように行われているのか、皆さんに理解していただきたいです。

荻上 田中さんのお考えはいかがですか。

田中 カジノ自体には、賛成でも反対でもありません。しかしどの程度、依存症への対策が行われるのが気がかりです。

荻上 依存症対策に関しては野党や与党公明党からも議論の必要性を指摘する声があがっています。しかしなかなか法案には反映されません。
(※編集者注:放送後、12月14日参議院本会議の段階では法案が一部修正され、依存症対策の文章も盛り込まれた。)

田中 法案自体にはほとんど記載がありませんね。附帯決議には多少盛り込まれました。

荻上 附帯決議への記載はどのようなものなのですか。

田中 「依存症予防等の観点から、カジノには厳格な入場規制を導入すること。その際、諸外国におけるカジノ入場規制のあり方やその実効性等を十分考慮し、我が国にふさわしい清廉なカジノ運営に資する法制上の措置を講ずること」「ギャンブル等依存症患者への対策を抜本的に強化すること。我が国におけるギャンブル等依存症の実態把握のための体制を整備すると共に、ギャンブル等依存症患者の相談体制や臨床医療体制を強化すること。加えて、ギャンブル等依存症に関する教育上の取り組みを整備すること。また、カジノに留まらず他のギャンブル等に起因する依存症を含めて関係省庁が十分連携して包括的な取組みを構築し、強化すること」などが盛り込まれています(注)。

(注)第192回国会衆法第20号 附帯決議
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_rchome.nsf/html/rchome/Futai/naikaku1063EFFDA0F22F394925807D00266E7F.htm

多少なりとも依存症対策の必要性が理解されたという意味では良かったと思っています。しかしこれがカジノに限定した対策では、ギャンブル依存者への支援としてどれだけ有効に働くのかどうかは明確になっていません。


田中氏
田中氏

荻上 付帯決議には法的拘束力がありませんね。本文には、「カジノ施設の入場者がカジノ施設を利用したことに伴い悪影響を受けることを防止するために必要な措置」を政府がとる旨が書かれています。依存症対策も含まれると考えられますが、具体的ではない。付帯決議がどう機能するかは不透明ですね。そもそもギャンブル依存とはどういうものなのでしょうか。

佐藤 自らの意志でギャンブルをする事を上手くコントロールできなくなる障害といわれています。結果、使うべきではないお金に手を出してしまう。本来楽しいはずのギャンブルが楽しくなくなってしまう。それでもやめられない、といった状態です。生活上で蓄積するストレスなどを上手に解消できず、特定の依存対象物にのめり込んで行くといった背景があるといわれています。

荻上 これまで薬物やアルコールなどが身体的に快楽をもたらし、こうした作用のある物質に依存するというのが一般的な依存症のイメージでした。しかし最近では、ギャンブルや買い物、ネットなどの行為をするときに脳内分泌物質に変化が起こり、依存症になることも知られてきました。

佐藤 依存症の研究は、薬物の動物実験を中心に行われてきましたが、最近は脳画像などを使った研究も盛んに行われるようになりました。結果、行為にのめり込む場合でも、物質に対して依存する場合と同様のメカニズムが働いている可能性が指摘されるようになりました。

こうした捉え方は「依存」の枠組みを広げることになります。「勉強依存」や「ジョギング依存」など、何でもかんでも「依存」の括りにしてしまうことには問題があると思います。しかし、なんらかの行為にのめり込むことで、日常生活に深刻な問題が起こる可能性がある場合には、支援対象としていくべきだと考えています。

荻上 好きでのめり込んでいる人に比喩的に「依存症」という場合としっかり区別しないといけませんね。日本にはどれくらいギャンブル依存症の方がいらっしゃるのですか。

佐藤 厚生労働科学研究で行われた疫学調査では、国内で536万人の依存者がいると推定されています。ただしこれは海外の調査票をもとにした推定値で、実際の依存者数については今後の詳しい調査が必要です。


周囲の人を巻き込んでしまう

荻上 ギャンブルに定義はあるのでしょうか。

田中 「ギャンブル依存」で考えられるギャンブルだと、競輪・競馬・競艇・オートレースなどの公営競技、遊戯区分とされるパチンコ・パチスロ、他にも宝くじトトなどですね。最近ではFXにのめり込んで、大きな借金を抱えご相談に来られる方もいらっしゃいます。

荻上 田中さんはご自身もギャンブル依存になったご経験があるそうですが、どんな状況だったのですか。

田中 四六時中ギャンブルのことを考えて、借金も抱えてました。普通の人が考えればギャンブルをやめればいいだけの状況でありながらやめられない。この悪循環を断ち切るにはギャンブルで取り戻すしかない、という感覚に囚われてしまう。自分ではそれ以外考えられず、やめられなくなってしまうんです。しかもそのおかしさに気付けなくなっていました。

私は祖父・父・夫と家族の多くがギャンブル依存症でした。幼少期から親を見ていて「あんな風にはなりたくない」と思っていました。それでも同じような人と結婚し、同じように依存症になってしまいました。

荻上 ギャンブル依存の世代間での連鎖はあるのでしょうか。

佐藤 もちろん周囲にギャンブルをする人がいなくても、ギャンブル依存になる方はいらっしゃいます。しかし身近にギャンブルをする人がいれば、その分本人がギャンブルに接する頻度は高くなる。その中で生きづらさを解消するための手段としてギャンブルを活用し、依存する可能性は上がってくると考えられます。

荻上 環境的な接しやすさというのは人によってあるのですね。薬物中毒のような禁断症状はあるのですか。

田中 あります。大きなレースの時に例えば、お金がなくていけないとしても、いてもたってもいられず、イライラして落ち着くことができません。なんとしてもお金を作ってやる!という感じで、どうにかお金を用意してレースに行ったりもしました。

佐藤 薬物中毒時の禁断症状と、ギャンブル依存の禁断症状が同様のものかという点に関しては、医学的には異論があります。しかし臨床的には薬物中毒と同じように、それに接していないと落ち着かないとおっしゃる方は多いです。

荻上 現在ギャンブル依存症対策はどのように行われているのですか。

佐藤 国内では地域差が大きいです。GA以外ですと、宿泊可能なリハビリ施設があるところもある。こうしたものがない地域だと多くの場合、薬物やアルコールの依存症患者を支援する医療機関が対応をしています。ギャンブル依存に特化した支援を行っているところは、現状かなり少ないと思います。

荻上 リスナーからはこんな質問がきています。
「仮にギャンブル依存の人が増えたとして、社会どのような弊害が起こりうるのですか」

田中 ギャンブルはお金の問題が関わり、借金などで周囲の人が巻き込まれるケースがあります。最近だと、ギャンブル依存の彼氏にお金を貸した彼女が、うつ病になってしまったというご相談もありました。他にも横領や窃盗、失踪、自殺、家庭の問題だと児童虐待やネグレクトなどの問題に繋がりかねません。波及的な影響を考えると、やはり社会的にギャンブル依存へ対策を行う必要性を感じます。

荻上 ギャンブル依存になると、賭けるギャンブルの形態は問わない方が多いのでしょうか。

田中 内輪では「得意種目」なんて言ったりして、好みはあります。私は競艇とカジノにはまりましたが、パチンコは全く興味が湧きませんでした。

荻上 こんなメールも来ています。
「友人の中には恋人ができたり、将来のためといってピタッとギャンブルをやめた人もいます」

やめられる人とやめられない人の境目はどこにあるのでしょうか。

田中 やはり依存度だと思います。完全に依存している人と愛好家では、やめやすさも異なります。【次ページにつづく】


ギャンブルに対する複合的な欲求

荻上 実際にギャンブル依存に当てはまる方とはどのような方なのでしょうか。

佐藤 アメリカの精神医学学会出版のマニュアルには、ギャンブル関連の問題を抱える方の診断項目が、比較的わかりやすく記載されています。日本でも頻繁に使われている代表的な診断表です。こちらでは全9項目の内、4項目以上当てはまる場合をギャンブル依存の傾向があると考えます。以下の項目です。

1.興奮を得たいがために掛け金の額を増やしてギャンブルをする欲求。
2.ギャンブルをするのを中断したりまたは中止したりすると落ち着かなくなる。またはイラつく。
3.ギャンブルをするのを制限する、減らす、または中断するなどの努力を繰り返し、成功しなかったことがある
4.しばしばギャンブルに心を奪われている。
5.たとえば無気力、罪悪感、抑うつなどの気分の時にギャンブルをすることが多い。
6.ギャンブルで金をすった後、別の日にそれを取り戻しに帰ってくることが多い。
7.ギャンブルへののめり込みを隠すために嘘をつく。
8.ギャンブルのために重要な人間関係、仕事、教育または職業の機会を危険にさらし、または失ったことがある。
9.ギャンブルによって引き起こされた絶望的な経済状況を免れるために、他人に金を出してくれるよう頼む。

荻上 田中さんは依存症当時のことを振り返ると、いくつ当てはまりますか。

田中 9個全部あてはまります(笑)。

荻上 ギャンブル依存を隠すために嘘をついたりしたんですか。

田中 つきました。ギャンブルに行ってないように振舞ったり、「借金まではしないよねー」なんて言ってるけど、実際は借金だらけだったり。家族にも、同じくギャンブル依存だった夫を除けば一切話さなかったです。

荻上 逆に依存症になっていたご家族に嘘をつかれたことはありますか。

田中 しょっちゅうでした。例えば祖父などは、買い物に行くと言ってパチンコに行っている。病院に行くと言って帰ってこない。頻繁にありましたよ。

荻上 ギャンブルで仕事や人間関係に悪影響を出したことも?

田中 ええ。夜中までギャンブルをしてて、朝起きれず嘘をついて会社をさぼったり。大きなレースなど我慢できず、風邪だと嘘をついたりもしました。

荻上 レース前は楽しみにしているんですか。どちらかというと不安感なのでしょうか。

田中 自分の中でも、行ってはいけないと自制する気持ちと、それでもスリルや興奮感が我慢できない気持で引き裂かれるような思いでした。お金を儲けるよりも、スリル感や現実逃避のような感じで没頭していたと思います。


佐藤氏
佐藤氏

荻上 実際に逃避の感覚を持って相談に来られる方は多いのですか。

佐藤 そうした方もいらっしゃいます。しかしたずねてみると、患者さんごとに理由はかなり異なります。お金が欲しかったと言う方は多いのですが、当然これだけお金の問題を抱えている状態で、お金が欲しくてギャンブルをしていたというは理論的に矛盾しているわけです。よくよく聞いてみると、スリルや予想を当てる推理欲求、現実逃避、「勝つまで終われない」など、さまざまな本来の目的が浮かび上がってきます。

多くの方に共通するのが、上記のような目的を“同時に複数”求めている点です。しかしギャンブル依存の方の多くは、自分が何を求めてギャンブルをしているのか、ほとんど自覚していません。結果として、使うつもりのなかったお金を無自覚のままギャンブルにつぎ込んでしまうということが起こります。

荻上 不安感の有無に関わらずギャンブル依存になる可能性がある、それぞれ理由は異なるということでしょうか。

佐藤 そうですね。自身が求めているものが自覚できると、対応策も「ただガマンするだけ」ではないことが理解してもらえるようになります。余暇の過ごし方などは、とても重要です。日常生活でストレスを抱えやすい人、ギャンブル以外の趣味の少ない人などは、リスクが高いと思います。多趣味な方だと、自分の状況を客観的に「危ない」と思った時点で、他の趣味に切り替て依存を回避できる可能性が上がります。ギャンブルに複数求めている目的(欲求)の一部ずつを他の行動(趣味)に置き変えていくと、抵抗感なく問題が軽減していく方もいらっしゃいます。

荻上 リスナーからはカジノに限らず、パチンコなどの現在のギャンブルに関連した依存症についても議論すべきだという声が届いています。国会でも議論はまだカジノ依存に限定されている印象がありますが、カジノと他のギャンブルと、依存のしやすさに違いはあるのですか。

田中 私見ですが、競馬などでは他人の掛け金はわかりません。しかしカジノだと周囲の人の掛け金がわかる。そのせいで煽られてしまい、どんどん掛け金が上がったり、金銭感覚が狂ってしまう部分があるかと思います。また、カジノだとセレブでおしゃれなイメージがあり、ハードルが低い。これまで競艇場などには入りにくい印象を持っていた女性のギャンブラーが増えるのではと考えています。結果、依存症になる人も増加するのではと危惧しています。


ギャンブル依存への社会の理解が不可欠

荻上 これまで国はギャンブル依存の方への支援を行ってきたのですか。

田中 国からの支援はほとんどありません。これには複合的な要因があります。ひとつには、競馬は農林水産省、競艇は国土交通省と、管轄省庁がばらばらだったことがあげられます。これにより一貫した対策が取れなかった。また、公営競技は推進と規制を同じ省庁が担当しています。これでは規制自体、そもそも無理があります。

加えて日本は自己責任論が強く、何かあっても人に言えない雰囲気があります。カミングアウトする事で仕事をクビになる不安など、依存症の人やその家族は問題を抱え込んでしまうことが多い。結果としてギャンブル依存への社会の理解も進まず、対策も遅れていると思います。

荻上 当事者団体や医療支援に対する国の支援はあるのですか。

佐藤 精神科医療機関では、既存の医療制度を活用した形で、ギャンブルの問題への対応は可能ではあります。ギャンブルにより経済的破綻した方は、生活保護制度を利用することもあります。とはいえ、国からギャンブルの問題に特化した支援はありません。支援制度の見直しは必要だと考えます。

荻上 自治体レベルでの支援はいかがですか。

佐藤 そもそもギャンブル問題に理解のある地域資源に、かなり大きな格差があります。自治体によっては、関連機関でどんなサービスが受けられるのか、しっかり把握しており、ギャンブル依存の問題を抱えた人へ適切な支援への結びつけが行われているところもあります。10年前と比較しても、全国的に状況はずっとよくなっていると思います。しかし、支援体制が十分に整っていない自治体が多いことも否めません。

荻上 当事者団体としては国や自治体にどんな支援をして欲しいとお考えですか。

田中 1番はギャンブル依存が病気と認識され、相談しやすい環境をつくるための啓発活動に力を入れていただきたいです。たとえば依存症の話をする際、多くが「アルコール・薬物等」と言われます。物質依存への啓発には繋がる一方、ギャンブルなどの行為に対する依存については取りこぼされています。「等」の中にギャンブルが入ると思いつきません。私自身、以前はギャンブル依存者を支援するための医療機関や相談所があると知りませんでした。啓発活動には予防教育が必要です。小学校でギャンブル依存に関する問題を取り上げたり、関連する研究への助成、実態調査などをしっかり行っていただきたいです。

依存症の人がギャンブルをやめるのは大変なことです。私の場合、4年もの期間苦しみながらも、自助グループのサポートでどうにかやめることができました。依存症の改善には支援が重要です。こうした団体や医療機関への援助も進むといいと思います。

荻上 ギャンブル依存から脱するためには、一切ギャンブルをしなくなることが必要なのでしょうか。

佐藤 私自身はそうしたこだわりを持っていません。家族に連れられて来院した方が受診を通して次第に考えを変えてやめていく場合もあります。「やめるために病院へ」というよりは、お金を使い込んでしまったり、なんとなく自制が利かなくなっている違和感に対する気軽な相談所のつもりでやっています。

近年海外では、これまでの「やめる」か「依存」かの二極的なものではなく、ハーム・リダクション(Harm Reduction)という「害を減らす」ことを目的とした支援が行われています。日本でもこうした目線での議論ははじまっていて、より柔軟な支援へ繋がるのではと期待しています。

荻上 海外でのギャンブル依存への対策にはどのようなものがあるんですか。

佐藤 問題がある人に対応できる資源については、国内にある自助グループ、リハビリ施設など、諸外国においても大きくは変わらないと思います。ただ、ギャンブルは国ごとに種類や規制の度合いが異なり、各国での実情にあった対応が必要になります。したがって支援の状況も異なる。一概に言うのは難しいです。

荻上 各国の対策からヒントを得て、国内でも状況にあった支援体制を築くことが必要ということですね。田中さんは海外のギャンブル依存対策にどのような印象をお持ちですか。

田中 どこの国も子どもを守ることに力を入れている印象があります。シンガポールでは、トトのようなくじもギャンブルとされていて、購入のため子どもを連れて並ぶことすら禁止されています。広告も自国内の子どもの目に触れないように設置場所に規制がかけられている国が多い。

逆に日本は公営ギャンブルで家族イベントなど開催したり、敷地内に遊び場を作ったり、子連れを狙ったものが多い。子どものころからギャンブルなじむための環境づくりを推進しています。実際、仲間内では幼少期に親に連れられてギャンブルに行っていた話しを多く聞きますし、こうした環境下ではリスクが高まると懸念しています。

荻上 リスナーからは、本来違法であるはずのギャンブルが、政府が執り行うと合法になることへの疑問や、反対にギャンブル全てを悪とするような議論は単純すぎるという指摘もきています。

田中 違法だから全部なくす、というのは難しいと思います。現状で言えば、ギャンブルを認めてしまった以上、せめて依存症への対策は万全に行って欲しいと思っています。

荻上 買い物依存、ネット依存などがあるからといって、ネットや買い物を規制すべきかといえば、それは別問題ですからね。それと同様、ギャンブル自体の議論と、依存症の議論を切り分ける必要があるということでしょう。

田中 線引きは必要だと思っていますし、私自身はギャンブル産業の是非と依存症の問題は切り離して考えています。

荻上 佐藤さんはいかがですか。

佐藤 ギャンブルの是非もですが、何よりこれを機会に、こうした支援対策に関する議論が自由闊達に行える環境が広がっていけばいいと思っています。

荻上 カジノを認めるならば、懸念への対策をしっかり固めることが重要ということですね。さらにいえば、従来のギャンブルの論点整理、そして他の依存症も含めた総合対策が求められると思います。田中さん、佐藤さん、本日はどうもありがとうございました。



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荻上チキ(おぎうえ・ちき)
評論家 / シノドス編集長
1981年生まれ。シノドス編集長。評論家・編集者。著書に『ネットいじめ』(PHP新書)、『社会的な身体』(講談社現代新書)、『いじめの直し方』(共著、朝日新聞出版)、『ダメ情報の見分け方』(共著、生活人新書)、『セックスメディア30年史』(ちくま新書)、『検証 東日本大震災の流言・デマ』(光文社新書)、『彼女たちの売春』(扶桑社)、『夜の経済学』(扶桑社 飯田泰之との共著)、『未来をつくる権利』(NHK出版)、編著に『日本を変える「知」』『経済成長って何で必要なんだろう?』『日本思想という病』(以上、光文社SYNODOS READINGS)、『日本経済復活 一番かんたんな方法』(光文社新書)など。

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田中紀子(たなか・のりこ)
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1964年生まれ。祖父、父、夫がギャンブル依存症者という三代目ギャンブラーの妻。夫と共に、ギャンブル依存症の問題から立ち直っていった経験を伝えていきたいと、カウンセラーとなり、ギャンブル依存症の問題を持つご家族からの相談に対応している。8年間弁護士事務所のパラリーガルとして、債務整理に携わった経験から、借金問題に詳しいカウンセラーと頼りにされるようになり、ギャンブル依存症者とその家族の支援に関わる。2014年2月に、「ギャンブル依存症問題を考える会」を立ち上げ、代表就任。「ギャンブル依存症問題の社会への啓発運動」と、「学校教育、企業に向けた依存症予防教育の導入」を掲げ、活動している。2015年「ギャンブル依存症対策を推進する超党派勉強会」にオブザーバーとして参加。自民党政策審議会をはじめ、各政党の勉強会や経団連、地方自治体の研修会等でも講師を務めている。著書に『祖父・父・夫がギャンブル依存症!三代目ギャン妻の物語』(高文研)、『ギャンブル依存症』(角川新書)。

佐藤拓(さとう・たく)
精神保健指定医、精神科専門医
成瀬メンタルクリニック院長。福島県出身。北里大学大学院博士課程修了。
http://synodos.jp/society/18718/2
http://www.asyura2.com/16/senkyo217/msg/714.html

[不安と不健康18] 避けられない老眼、対策は3通り トレンド・ボックス 水晶体の硬化は10代から始まっている 
避けられない老眼、対策は3通り
トレンド・ボックス
水晶体の硬化は10代から始まっている
2016年12月19日(月)
伊藤 和弘
 暑かった夏が終われば、いよいよ読書の秋。ところが40代半ばともなると、小さい字が読みにくくなってくる。これが老眼。医学的には「完全矯正下で40cm視力が0.4未満」と定義されている。つまり、裸眼や近視用の眼鏡をかけた状態で、目から40cm先のものが見えにくくなることだ。
 「原因は水晶体の硬化。進行度合いに個人差はあるが、全ての人に起こる現象」と、南青山アイクリニック(東京都港区)の戸田郁子院長は説明する。
老眼の原因は水晶体の硬化
●水晶体が柔軟に変形してピントを調節する

●水晶体の硬化は10代から始まっている

出所:『医療従事者のための眼科学』(医学書院)
 眼球においてレンズの役割を担う水晶体はもともと柔軟な器官だ。周囲についている毛様体筋という筋肉の動きで、近くを見るときは水晶体が厚くなってピントが合う。ところが年を取ると水晶体が硬くなり、変形しにくくなる。実は、水晶体の硬化は10代のうちから始まっている。40代になると40cm先にピントが合いにくくなり、読書に支障を来すようになるわけだ。
 老眼は放っておいても進行が早まるわけではないが、ピントが合わないものを無理に見ようとする負担は大きく、「頭痛や肩こりの原因にもなる」と戸田院長。早めに手を打った方がいい。
 対策は眼鏡(老眼鏡)、コンタクトレンズ、手術に分けられる。
 一般に「遠近両用」と呼ばれる二重焦点レンズは眼鏡だけではなく、コンタクトにもある。レンズの上部が遠くに、下部が近くにピントが合うようになっていることが多い。戸田院長によると、「1日で使い捨てられる遠近両用コンタクトの利用者も増えている」という。
 老眼の手術は、主に2通りある。一つが、水晶体の代わりに遠近両用の眼内レンズを入れる「マルチフォーカルIOL」で、数年前からは遠、中、近の3カ所に焦点が合うトリフォーカルIOLも登場。もう一つが、片目だけレーシック手術を行う「モノビジョン・レーシック」だ。モノビジョンとは、左右のピントを人為的に変え、片目で遠くを、残りの片目で近くを見るようにする手法。両目を器用に使い分けることで、近くも遠くも見えるようになる。
 モノビジョンは、手術ではなく眼鏡によっても可能で、その場合、片目を近視用、片目を老眼用のレンズにする。ほとんど利き目だけでものを見ている人には向かないが、「治療を受けた人の評判はかなりいい」と戸田院長。なお、老眼の手術は原則的に健康保険の適用外で、数十万円の費用を要する。
 老眼は老化現象で予防は不可能だが、「見た目が若い人は進行が遅い傾向がある」(戸田院長)。水晶体の老化を進める紫外線、ストレスなどにより増える活性酸素を避けるといったアンチエイジングな生活で「進行を遅らせられるかもしれない」と戸田院長は話す。
(日経ビジネス2016年9月5日号より転載)


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http://www.asyura2.com/16/health18/msg/242.html

[経世済民116] わずか60秒で売り切れに、米ドル建て商品に殺到する中国消費者 中国はトランプへ反撃 金相場苦しい−資金流出拡大、買残減少
わずか60秒で売り切れに、米ドル建て商品に殺到する中国消費者
Bloomberg News
2016年12月19日 11:33 JST

中国の家計は人民元が一段と下落する前に外貨に替えようとしている
招商銀が先週発売した米ドル建て「理財商品」は1分ほどで完売

人民元相場が一段と下落する前に外貨に替えたいと思っている中国の貯蓄家らは、海外に送金しなくても国内で保持可能な米ドル建て投資商品に飛び付いている。
  招商銀行が先週売り出した米ドル建て年利2.37%の「理財商品」は60秒ほどで売り切れたという。
  同行支店長の1人は「1分もたたずに売り切れたことから、ネット経由では購入できないだろう」と述べ、次回は販売前日に予約することを勧めた。スーという姓以外明かさないという条件で語った。
上海の店先で数えられる人民元紙幣
上海の店先で数えられる人民元紙幣 Photographer: Qilai Shen/Bloomberg
  このように米ドル建て商品の提供が増え、あっという間に売り切れる現状は、外貨需要の急拡大を如実に示している。昨年初め以来、中国からの資金流出総額は1兆5000億ドル(約177兆円)を超えている。外貨の中でも特に人気なのは米ドル、豪ドル、香港ドルだ。
  ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ傘下ナットウエスト・マーケッツの大中華圏担当チーフエコノミスト、胡志鵬氏(シンガポール在勤)はリポートで、「人民元をすぐにでもドルに替えるのは魅力的な選択のようだ」と指摘。新たな規制導入がなければ、来年1−3月(第1四半期)の家計の外貨購入額は月当たり150億ドルに倍増し得るとの見通しを示した。
原題:Gone in 60 Seconds: Chinese Snap Up Dollar Funds (Correct)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-19/OIEP9M6KLVRR01


 


中国はトランプ氏への反撃の選択肢を用意か−就任までは沈黙守り
Ting Shi、Nick Wadhams、David Tweed
2016年12月19日 08:51 JST 
新華社通信は中国による米無人潜水機の奪取を一切報じず
就任後に中国の核心的利益損なうなら「断固反撃」と国務院顧問
 
中国による米無人潜水機の奪取をトランプ次期米大統領がツイッターで批判し、米中関係を揺るがす一方で、中国首脳はこの問題について沈黙を守っている。
  トランプ氏は週末、中国は米海軍の無人潜水機を盗むという「前代未聞の行動」を取ったとツイッターに投稿。中国政府の反応はなく、中国国営新華社通信は18日、この問題を一切報じなかった。ただ、中国共産党系の環球時報は、トランプ氏の行動は「ホワイトハウスのスポークスマンに大きく見劣りしている」と、嘲笑的に論評した。
  同紙は「トランプ氏はまだ大統領就任前であるため、同氏の挑発に対し中国はこれまで自制してきた。しかし、大統領に就任後も今日のツイートのような態度を中国に示せば、自制はそれほど長く続かないだろう」と表明した。
  中国人民大学・米国研究センターのディレクターで、国務院のアドバイザーも務める時殷弘氏は、トランプ氏が大統領就任後、台湾やチベット、南シナ海、東シナ海といった中国にとっての核心的利益を公然と損なおうとすれば、中国政府は「断固反撃する」だろうと指摘。具体的な選択肢としては、駐米大使の召還や国際協力の停止、貿易戦争の開始が考えられ、断交もあり得るとの見方を示した。
原題:As Trump Tweets, China Quietly Considers Options to Retaliate(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-18/OIEKK76S972A01


 


金相場は「苦しい状況」−ヘッジファンドの買越残高が減少
Luzi Ann Javier
2016年12月19日 10:21 JST 
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https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iBlFej7wrWE0/v2/-1x-1.png

金相場が低迷している。
  金相場は週間ベースで6週連続で下落し、ここ1年で最長の値下がりを記録。米利上げ見通しを背景に利息の付かない金の需要が後退した。投資家らは来年の見通しについて、あまり楽観的な見方はしていないようだ。ヘッジファンドの金相場上昇を見込む買越残高は2月以来の低水準に減少、金連動型上場投資信託(ETF)からの資金流出も増えている。

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  ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティチュートの現物資産戦略責任者ジョン・ラフォージュ氏(フロリダ州在勤)は「市場関係者は依然、金相場に対して楽観的過ぎる。金など多くの商品の価格は苦しい状況にある。私も含め多くの投資家とストラテジストが価格見通しを引き下げるだろう」と指摘した。
  米商品先物取引委員会(CFTC)が16日発表したデータによると、金相場上昇を見込む先物とオプションの買越残高は13日終了週に15%減り6万8905枚。過去5週間で61%減少している。
  
原題:With Gold Prices Stuck in ‘Purgatory,’ Hedge Funds Hit the Exits(抜粋)
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/830.html

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野沢茂樹、竹生悠子
2016年12月19日 09:27 JST 更新日時 2016年12月19日 11:50 JST 

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年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や共済年金など「公的年金」は、国内外の株価が底入れし、円高に歯止めがかかった7−9月期に日本株を122億円買い越した。日本銀行が19日公表した資金循環統計で分かった。
  同統計の資料によると、GPIFや国家公務員共済組合連合会(KKR)、地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団、年金特別会計などの公的年金は日本株を5四半期連続で買い越し、9月末の保有残高が38兆6411億円に増えた。外国証券は1351億円の買い越し。2四半期ぶりの買い越しで、残高は55兆724億円となった。
  7−9月期は英国の欧州連合(EU)離脱選択に伴う投資家のリスク回避の動きが後退する中、円高進行が一服し、国内外で株価が底入れした。日本株と外国証券の6月末の残高は2014年末以来の水準まで目減りしたが、9月末にかけて盛り返した格好だ。ドナルド・トランプ次期米大統領の景気刺激策を先取りした国内外の株高や円安・ドル高を受け、GPIFが保有するリスク資産の残高と構成比はさらに高まっている可能性が高い。
  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、GPIFは10月以降に約5.7兆円の収益を上げたと推計。3共済はともかく、GPIFは資産構成の目標値に近づきつつあるため、「依然としてリスク資産のサポートにはなるが、日本株への影響力という点では株価指数連動型上場投資信託(ETF)を買い進める日銀に主役が交代しつつある」とみている。
  国債・財融債は3664億円売り越しと13四半期連続の売り越し。9月末の保有残高は51兆262億円に減少した。保有残高は安倍晋三政権が公的年金改革に関する有識者の報告書をまとめた13年10−12月期から9四半期連続で減ったが、今年1−3月期は日本銀行によるマイナス金利政策の導入を受けた債券高で増えていた。
  9月末現在の運用資産額が132.1兆円のGPIFは14年10月に国内債の目標値を下げた一方、内外株式や外債を上げ、期待収益率は高いが価格変動も大きいリスク資産を増やした。公務員や大学関係者らが加入する3共済もGPIFに追随している。昨年10月からは、積立金のうち約27.3兆円の運用目標やリスク管理をGPIFと一元化。地共済と私学共済は独自の判断で運用する資金の大半に当たる約21.6兆円にも、同じ資産構成の目標値を採用した。3共済による資産構成の変更が済めば、合計約48.9兆円がGPIFと似通った運用成績になる見通しだ。
  9月末までの3カ月間の株価指数の騰落率は、TOPIXが6.18%、MSCIコクサイ指数が円換算で2.29%とそれぞれ上昇。新発10年物国債利回りは14.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高いマイナス0.085%、同年限の米国債は12bp高い1.59%程度だった。円相場は1ドル=101円35銭と1円85銭上昇し、四半期末としては14年6月末以来の円高・ドル安水準となった。
  日銀が発表した今回の統計によると、国債・財融債と国庫短期証券を合わせた「国債等」の残高は9月末に1091兆円だった。公的年金は全体の4.7%を保有。構成比は3カ月前からほぼ横ばいだった。
  日銀は4−6月期までの確報値も発表。公的年金の国債・財融債の売り越し規模は速報時点の1兆1252億円から8881億円に、日本株の買い越しは5577億円から6124億円に、対外証券投資の売り越しは1168億円から864億円に遡及修正した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-19/OIEP406TTDS901


 
 
株式相場の底で買った約6.5兆円の運用者、現金比率を上限に近づける
Tom Redmond
2016年12月19日 08:21 JST 
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アーティザンのサムラ氏:買える割安株を今見つけるのは難しい
バリュエーションは市場の投資機会を大まかに映し出すことが多い
 
ストックピッカー(銘柄選別の名手)として受賞歴もある運用者のデービッド・サムラ氏は、市場に買いの好機がほとんどないとの見方から、現金保有比率を上限に近い水準に高めている。
  アーティザン・パートナーズで約550億ドル(約6兆4900億円)相当を運用するサムラ氏は、米大統領選でのドナルド・トランプ氏勝利後に株価が世界的に上昇する中、国際ファンドでの現金比率を約13%と、上限の15%に近づけた。真の企業価値に達したと見なす銘柄を売却しているが、それらを置き換える株式を見つけるのは一段と困難になっているという。
  バリュー投資家のサムラ氏は相場の頃合いを見計らうことができるとは言わないものの、同氏のバリュエーションに関する見識は相場の方向性の手掛かりをしばしば与えてくれる。同氏は2月に買いを再開したと述べたが、このタイミングは世界の株式相場が急激な下げ局面を終了する数日前だった。最近は、サムスン電子やUBSグループといった既に株式を保有している企業の経営改善を支援する方策の追求により多くの時間を費やしている。
  サンフランシスコでインタビューに応じたサムラ氏は「株式相場が今のように幅広く上昇している局面では、著しく割安な証券を探すことは一段と難しくなる」と述べ、ポートフォリオのバリュエーションは「市場に存在する投資機会を大まかに映し出す」ケースが多いと指摘した。
  世界の株式市場の指標であるMSCIオールカントリー・ワールド指数は、2月11日に安値を付けてから20%上昇。予想株価収益率(PER)でみたバリュエーションは先週、約7年ぶりの割高水準に達した。米国株はトランプ氏勝利以降、過去最高値を更新し、ダウ工業株30種平均は一時、2万ドルの大台まであと40ドルに迫った。

  
原題:A $55 Billion Manager Who Bought at Market Low Returns to Cash(抜粋)
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iZkiWdmJsD9Q/v2/-1x-1.png
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-18/OIEJW26S972801


 


トランプ相場信用しないヘッジファンド運用者、資産の6割を現金保有
Anna Edney、Arie Shapira
2016年12月19日 10:11 JST

この先の株式市場に「多大なボラティリティ」発生を予想
ファニーメイとフレディマック、バークシャーには強気

ヘッジファンド、ケース・キャピタル・マネジメントの創業者ホイットニー・ティルソン氏は米大統領選後の相場上昇で米国株の時価総額が約1兆6000億ドル(約188兆円)膨らむ中でも、資産の約6割を現金にしている。
  ドナルド・トランプ氏が大統領に就任する1月に向けて、市場に「多大なボラティリティ」が蓄積されているとする同氏は、「このトランプ相場に私は非常に懐疑的だ」とも17 日の電子メールに記した。
  大統領選で民主党候補ヒラリー・クリントン氏を支持したティルソン氏はトランプ氏について、「行動が無謀」で「専門家」の見方を軽視する人物であることが示されたとみる。それでも11月8日の選挙後、ダウ工業株30種平均は8.2%上昇。1900年以降、大統領選後の同じ期間にこれだけの株価上昇を目にした次期大統領はトランプ氏以外に存在しない。
  ティルソン氏は「あと5週間弱で大統領に就任する男がどういった人物かについて、投資家は集団で健忘症にかかっているようだ」と述べた。
  同氏はボラティリティが高まる可能性は予想するものの、世界的金融危機への発端の一つとなった米サブプライム住宅ローン危機のような事態は想定していない。トランプ氏当選後に株価が急騰したファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)には引き続き「非常に強気」とし、ウォーレン・バフェット氏率いる投資・保険会社バークシャー・ハサウェイについても強気姿勢を示した。
原題:Whitney Tilson Doesn’t Trust ‘Trump Rally,’ Expects Volatility(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-19/OIENS76JTSEB01


 



http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/831.html

[戦争b19] トランプ氏がシリアの悪夢を終わらせる方法 ロシアとの協力を実現させる唯一の方法はシリアの連邦化 イスラム国兵器製造の現場

【寄稿】
トランプ氏がシリアの悪夢を終わらせる方法
ロシアとの協力を実現させる唯一の方法はシリアの連邦化

シリア北部のアレッポをパトロールする政権側の部隊(14日) PHOTO: AFP/GETTY IMAGES
By MICHAEL O’HANLON
2016 年 12 月 19 日 10:28 JST

――筆者のマイケル・オハンロン氏はブルッキングス研究所のシニアフェロー

***

 米大統領選挙中、ドナルド・トランプ氏の外交政策に関する見解の多くは二転三転した。次期大統領に選出されてからもトランプ氏は予測不可能なままだ。だがトランプ氏のシリアに対する直感的な発言は、バラク・オバマ大統領が失敗した戦略に取って代わる実行可能な代替案の予兆かもしれない。 

 オバマ大統領の姿勢――過激派組織「イスラム国」(IS)との戦いとシリアのバシャール・アサド大統領の追放に同時に集中しながら、米国のリソースをほとんど振り分けていなかった――はこの人道上の大災禍を止めるどころか封じ込めることさえできなかった。2011年に内戦が始まってから、シリアの人口の約半分は住む家を追われ、約50万人が死亡した。内戦は、かつてイラクの4分の1を掌握し、欧米諸国を標的に攻撃を仕掛けていたISにつけ入るすきを与えた。ISは弱体化しつつあるものの、ISおよび国際テロ組織「アルカイダ」と同調するシリア国内の勢力は敗北からはほど遠く、内戦に終わりは見えない。

 トランプ氏は対シリア政策について、ISの早急な打倒を目指し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と手を組むことを優先すると表明している。アサド大統領を権力の座から追放するいかなる試みも先送りされることになるだろう。ヨルダンへの最近の渡航で私は、IS打倒を図りながら同時にアサド大統領の追放を目指すより、このアプローチのほうが現実的というのが大方の見方であることを知った。ISとシリアで活動するアルカイダ系組織による差し迫った脅威を考えれば、こうした戦略は訴えるものがある。

 だが、このアプローチは別の危険もはらんでいる。アサド氏がシリア全土に安定をもたらす人物として正当な統治者になるためには、同氏の手はあまりにも血で汚れている。国内で多数派を占めるスンニ派の多くの分派から軽蔑されてもいる――それも正当な理由があってのことだ。5年もの間、彼らは自分たちの住む地域が「たる爆弾」や「炸裂弾」による攻撃を受け、同胞たちが食べ物や医療、学校、仕事を奪われていく姿を目の当たりにしてきた。米国がISを倒したとしても、そうした戦闘行為によって権利を奪われた人々の辛苦につけ込んで、今度は別の過激派組織が得をすることになるだけかもしれない。新たなジハーディスト(聖戦主義者)の波が次に生まれるのは確実であり、戦争も続くのだ。

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シリア北部の反体制派の拠点アレッポをロシアが後ろ盾となっている政権側の部隊が制圧。トランプ氏の対シリア戦略はどうあるべきか。米外交評議会のシニアフェロー、マックス・ブート氏が解説(英語音声、英語字幕あり)Photo: European Pressphoto Agency
 テロリスト組織一掃を目指したロシアとの協力がうまくいくのは、米国がその後の計画を持っている場合に限られる。その計画はシリアのスンニ派、クルド人組織、そしてトルコやヨルダン、レバノン、イスラエル、ペルシャ湾諸国が受け入れ可能なものでなければならない。また、何であれ米国とロシアの新たな軍事協力態勢が発表されると同時に、その計画も公の場で説明される必要がある。特に、スンニ派アラブ人とクルド人に対し、大量殺人を行ってきたアサド政権の統治下で暮らす必要のない代替案が約束されなければならない。家族や大勢の近隣住民たちを殺害してきたリーダーに敬意を払わなければならないような状況に二度と彼らを置いてはいけない。

全土を自治区に分ける連邦制

 和平を実現するために、シリアは自治地域を数多く設ける必要があるだろう。選択肢の一つは、全土を自治区に分ける連邦制だ。あまり望ましくはないが、少なくとも受け入れ可能な代替案は、全体として中央集権国家でありながら、一部に自治地域を設ける方法だ。イラクでクルド人居住地が四半世紀にわたって機能している仕組みと同じようなものだ。

 理想はアサド大統領の追放だ。しかし、最近の戦況とロシアの関与を考えれば、アサド氏の追放という見通しは今のところ現実的ではない。それよりも現実的なのは、アサド氏が新たな連邦制の下、ひとつの自治地区を治めるという体制だ。

 あまり望ましくはないが、スンニ派とクルド人の居住区が二度とアサド氏による直接的な統治を受けず、アサド氏の部隊が配備されることはないという条件のもとに、アサド氏が大統領に残るというのも可能だ。

 だが、反体制派が拠点としていたアレッポの陥落は状況を複雑にした。アサド氏はシリアの都市部を実質的に支配しており、それを自ら手放す可能性は低い。ここに考え得る2つの道がある。1つ目は、戦況が変わり国内の一部主要都市を再び争奪戦の場にするまで、穏健的反体制派を武装強化する方法が考えられる。だが、トランプ氏はそうしたアプローチに関心はないようだ。

 2つ目の選択肢は、主にスンニ派とクルド人のために新たな土地で文字通り街を再建する間、穏健派には限られた治安支援のみ与えるというものだ。これは中国が主要都市をゼロから作り上げた方法だ。内戦終結と再建支援の見通しがあれば、アサド氏とロシアはこの選択肢を支持したくなるだろう。追い詰められているアサド氏は今支配している地域を堅持するかもしれないが、それ以上は統治力を広げないよう説得することは可能だろう。

国際平和維持部隊と各国の役割

 この取り決めは交渉によって成文化され、国際平和維持部隊によって守られるべきである。この中に現在シリア西部に展開しているロシア部隊と、北部のトルコ部隊を含むことは可能だ。アラブ諸国と南アジア、欧州の各国も貢献できるだろう。米国は後方支援および進行中のテロリスト対策のほか、全体的な指揮統制で手助けできるだろう。

 スンニ派およびクルド人の自治地区の治安は地元の警察組織が担うことにし、さらに国際社会が直接支援して軍隊に準じる部隊を結成・訓練・武装させてもいいだろう。こうした部隊にはごく限られた重火器しか必要ないとしておけば、アサド氏と交渉しやすいだろう。諸外国の勢力は反体制派に首都ダマスカスや、他の自治政府が中枢を置く都市を攻撃する武力を与えるのを止めることで合意し、治安関連の支援を正規かつ十分な監視下にある地元警察や保安隊のみに提供する。

 この新生シリアのための外国の支援は主として自治地区に提供されるべきだ。そうすれば新たな各自治政府に対する国際的な影響力が増す。一方、欧州や米国、湾岸諸国からのそうした援助が、アサド氏や同氏の仲間たちが支配していた地域にも流れていくのをアサド氏が見たいのであれば、スンニ派とクルド人の自治を受け入れるだけでなく、アサド氏の中央政府での将来の役割を迅速に削減する計画にも本気で取り組まなくてはならない。

 多くのシリア人は連邦制という考えが気に入らないだろう。国の半分を中央政府が統治し、残り半分を3つか4つの自治区に分けるという考えさえも好きになれないだろう。だがそうした取り決めは恒久的なものである必要はない。より権限の強い中央政府を再建すべきかどうかの検討を10年以内に義務づける条項を盛り込んでもいい。

 自治地区の境界線をどこに引くかといった詳細の多くは、和平協議の中で話し合うことができる。だが大きな展望の作成はすぐにとりかかるべきだ。ロシアとの協力と新たなシリアの創生という2つの計画を組み合わせれば、トランプ氏はこの悲劇的な内戦についに終止符を打つ大統領になれるはずだ。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjArpHUtP_QAhWENpQKHXaUBtQQFggkMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11677208751388613819604582505571205580132&usg=AFQjCNGfcPEIE5atitSAXq2xM-9dnRiPjA


 

イスラム国 兵器製造の現場
 過激派組織「イスラム国」(IS)の武器製造拠点とされているモスルで、大量の迫撃砲やミサイルが発見された。ここ数年でISの武器製造能力は格段に向上し、モスルでの戦いに向けても数千発のロケット砲が製造された見られている。
2016 年 12 月 19 日 08:04 JST

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レクサス新型クーペ「LC500」
An Iraqi army convoy traveling near Mosul, the likely hub for Islamic State weapons production, according to the U.S.-led coalition in Iraq.
A mortar-production facility near Mosul.
A mortar round made by Islamic State.
Researchers estimate that Islamic State built thousands of rockets in the build-up to the battle for Mosul.
A launch rail made by Islamic State forces.
Scrap metal near an ordnance-production facility in Gogjali.
Combined ignition and propelling cartridges for mortar rounds.
Islamic State makes rockets in several ‘huge’ factories, an Iraqi Defense Ministry spokesman said.
Rocket bases found in Qaraqosh.
Detonating devices for mortar rounds.
Potassium nitrate, a raw material in the production of munitions, from a Turkish distributor.
A detonating fuse for a mortar round found in Gogjali.
Islamic State maintains a regionwide monitoring system to ensure that a mortar round manufactured in one plant will be able to be fired from a mortar tube made elsewhere, researchers said.
Damaged buildings in Qaraqosh, in northern Iraq.

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関連リンク:

「イスラム国」特集
http://jp.wsj.com/articles/SB11484601320931144569304582505423272440472
http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/347.html

[戦争b19] 南シナ海で火遊びを続ける中国 無人潜水機、米中に新たな火種 米国を恐れない中国5つの根拠 千年の眠りから覚める中国発明力
【社説】
南シナ海で火遊びを続ける中国
トランプ政権はオバマ大統領のようには扱えない

https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RG770_3china_M_20161218080643.jpg
南シナ海で中国に拿捕されたものと同型の無人潜水探査機 PHOTO: US NAVY / CMDR SANTIAGO CARRIZOSA/AFP/GETTY IMAGES
2016 年 12 月 19 日 11:27 JST

 中国が15日に米調査船「ボウディッチ」の目の前で米海軍の無人潜水機を奪ったことは、多くのことを物語っている。中国政府は週末になると潜水機を返還することに同意したが、その一方で米国が「過剰な」反応を示したなどとして批判を展開した。しかし中国海軍による今回の行為は明らかな挑発だ。中国は不法に公海を占拠しつつ、米国が公海自由の原則をどこまで維持する気があるのかを試している。

 今回の奪取は、ドナルド・トランプ次期米大統領が台湾の総統から祝電を受けたことに対する反応だとする意見もある。しかし人民解放軍(PLA)は過去にも同様の挑発を行ってきた。2001年の4月には、PLAのパイロットが米国の偵察機を妨害しようと国際空域で危険飛行を行い、距離の判断を間違えて衝突、自らの命を失った。米軍機のパイロットも中国に緊急着陸を強いられ、10日間拘束されたのちに機体と共に解放されている。

 PLAは2009年3月にも米音響測定艦「インペッカブル」に対し、公海上で嫌がらせ行為を繰り返した。この際も中国船や飛行機による挑発が数日にわたり継続。インペッカブルがえい航する探知装置を、中国の海上民兵が略奪しようと試みるなどした。

 今回の無人機の略奪も、中国政府によるこのような行動パターンの一環にすぎない。これがトランプ氏の行動に対する反応なのか、それともバラク・オバマ大統領に対する最後の挑発なのかは問題ではないだろう。

 中国の姿勢からは、中国が近隣国を脅すことで東アジアの覇権を狙っていることが見て取れる。PLAはここ数週間にわたって台湾や日本の沖縄周辺で爆撃練習を実施し、そこには戦闘機も参加した。日本の自衛隊は2015年に中国機へのスクランブル発進を571回行ったというが、2010年にはその数は96回に過ぎなかった。さらに中国は最近になり領土問題が続く南シナ海に軍を展開している。これは習近平中国国家主席がオバマ大統領と結んだ約束と矛盾している。

 中国はこのエリア近辺を米海軍や空軍が通過することに反対をしてきた。これに対してオバマ政権は定期的に現地を通過するとしていたが、実際は米国防総省に対して通過回数を減らすよう指示している。このことが中国からの圧力に屈して米国が自らの権利を放棄する前例を作ってしまった。

 潜水機の略奪は、トランプ政権が地域でのパトロールを強化すれば米海軍が嫌がらせを受けるという中国からの警告だと考えられるだろう。米軍が海面上では絶対的な軍事力を誇る中で、中国は潜水艦隊を急速に拡大させている。潜水型の探査機は海底を測量して地図を作製し、潜水艦の航海のための海流の調査や探知システムの試験に利用される。

 今回の潜水機の略奪は、フィリピンのスービック湾にある米軍基地から50カイリほどの場で発生した。フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は反米的な姿勢を取るが、海上で事件が発生すれば同国と米国の間に生じた亀裂がさらに広がることも考えられる。中国がそのことに後押しされて略奪を行った可能性もある。米海軍は今後も同様の事件が発生すると考えるべきだろう。

 トランプ氏は中国との経済関係や戦略的パートナーシップを再考するとし、少なくとも現時点では強硬姿勢を取ることを示唆している。そうした中で潜水機の略奪が発生した。最終的にトランプ氏が目指すものは不透明だが、太平洋における米軍のプレゼンスを強化するための海軍再編は実施されるはずだ。

 中国は、今回のような事件を起こせば、トランプ政権をオバマ政権同様に萎縮させることができると考えているのかもしれない。しかし、実際は真逆の反応が返ってくることになるだろう。トランプ氏は経済と安全保障を別物として捉えていない。中国はその状況で火遊びをしている。

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無人潜水機めぐる問題、米中に新たな火種
無人潜水機を使っていた米海軍の海洋調査船「ボウディッチ」
By KATE O’KEEFFE AND DAMIAN PALETTA
2016 年 12 月 19 日 08:35 JST 更新

 中国が南シナ海上で米海軍の無人潜水機を持ち去った問題は、米中両国が中国からの返還を確認したが、政治的な波紋が続いている。

 米上院軍事委員会のジョン・マケイン委員長(共和、アリゾナ州)は18日、CNNのインタビューで、中国の行動は「国際法の露骨な違反だ」と発言。同委員長はまた、米国の政策が中国やイランなどの国を大胆にしてきたと述べ、米政府の対応も批判した。同委員長は「米国の側について言うと、力というものを発揮していない。それに誰もが乗じている。(そんな状態が)近く変わるよう願っている」と語った。

マケイン米上院軍事委員長 ENLARGE
マケイン米上院軍事委員長 PHOTO: BLOOMBERG NEWS
 同委員長の発言は、米国防総省と中国国防省が17日、潜水機を中国側が返還すると述べた後に出された。中国は、同国海軍の救難艦が当時「正体不明の機器」とみられた潜水機を回収したのは、船舶や乗組員に安全上のリスクがあったからだと述べた。

 この一件は、米海軍の監視活動を阻止しようとする中国の取り組みがエスカレートしていることを示す。

 一方、トランプ次期米大統領は先に、中国が米国の主張に譲歩しないならば、台湾の地位問題に絡んで中国側と合意していた「一つの中国」政策を破棄するかもしれないと示唆。これに対し、中国政府は怒りをあらわにしていた。トランプ氏はその時、貿易、南シナ海における中国の軍事力増強、そして北朝鮮の核開発プログラムを問題として挙げていた。

 トランプ氏は17日、無人潜水機問題をめぐっても中国を批判。ツイッター上で「中国は米海軍の調査用無人潜水機を国際水域で盗んでいる」とし、「それは前代未聞の行為だ」と書いた。

 また、トランプ次期政権の次期首席補佐官に指名されているラインス・プリーバス氏は18日、FOXニュースのインタビューで、トランプ氏が最近の言動が中国を不適切に刺激しているとは考えないと述べた。プリーバス氏は「それほど挑発的だとは思わない」とし、「中国は海中から無人機を奪い取った。トランプ次期大統領は、これは前代未聞の行為で、全く不穏当だと述べた。水中からドローンを奪い取るのは不穏当だと米国人の80%が考えると思う」と語った。

 一方でプリーバス氏は「われわれは『一つの中国』政策を直ちに再考すると示唆しているのではない」とし、米国の長年の台湾政策を直ちにシフトする可能性は後退させた。

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オピニオン
【寄稿】米国を恐れない中国、5つの根拠
中国国内にはトランプ新政権に対して楽観的な意見もある

PHOTO: REUTERS
By STEPHEN SESTANOVICH
2016 年 12 月 15 日 18:01 JST 更新

――筆者のスティーブン・セスタノビッチ氏はコロンビア大学教授。米シンクタンク外交問題評議会(CFR)のシニアフェローも務める

***

 ドナルド・トランプ次期米大統領の台湾に関する発言に対し、中国外務省が「深刻な懸念」を表明した。中国共産党の機関誌もトランプ氏を「子供のように無知」との評価を下した。これらは中国が次期米政権を警戒をしている証しだ。

 一方、筆者は先週1週間にわたって中国に滞在し、政府関係者や元関係者、起業家、ジャーナリスト、非政府団体の代表、そしてシンクタンクの研究者などと話す機会を持った。そして彼らは意外にもトランプ氏に対し、全体としては好意的な意見だった。中国の人々がトランプ政権との関係をあまり悲観視していない理由には、以下の5つの根拠がある。

1.「中国は強国だ」

 確かにトランプ氏は中国とのこれまでの関係を再考するかもしれない。しかし、だからといってそれがすべての終わりを意味しない、という意見があった。今の中国は米国に対抗する手段を数多く持っている。そのうち米国の国民も目を覚ますだろう、というのが彼らの考えだ。

2.「米国には制約がある」

 中国に立ち向かうにはお金がかかるという声もあった。商務省の元当局者は「今後米国は南シナ海のパトロールを強化するかもしれないが、それにはお金がかかる」と指摘した。トランプ氏が米国防総省の予算を大幅に増額する方針を固めていると筆者は伝えたが、その予算がさまざまなことに使われ、多くは中国に影響を及ばさないことを誰もが知っていた。

3.「ビジネスマンは実務的だ」

 中国は過去30年にわたって経済拡大を続けているが、それはイデオロギーの放棄を持って成し遂げられた。トランプ氏もビジネスマンとして成功を手にしており、実際は現実主義者であると筆者は聞いている。トランプ氏がニクソン元大統領のような「狂人」像を作り上げればメリットがある、とあるジャーナリストは話していた。しかしほとんどの人は、そのイメージはすべて見せかけのものだと確信をしている。

4.「官僚と利益団体の存在」

 選挙期間中には中国を批判しながら、当選後はその姿勢を改める大統領が過去にもいた。中国の人々はその変貌ぶりを目の当たりにし、なぜそのようになるのかを分析をしている。米政府の省庁は新たなアイデアを封じ込めることにたけている、というのが彼らの答えだ。トランプ氏のように政治経験のない人物が、議会や連邦政府の官僚の影響を避け続けるのは難しいだろう。

5.「習慣と相互利益」

 ヘンリー・キッシンジャー元国務長官が北京を訪問してから45年が経過した。中国のあらゆる層の人は、この間に両国が相互利益を生み出せる関係を築き上げられたと考えている。「ウィンウィン」という考え方は、中国でも支持を集める。逆にそのような関係が崩されるとは、あまり考えられていない。

 どこの国の人であっても、変化を拒む思いは強い。しかしここまで大きな出来事が今年は起きたにもかかわらず、今後も現状維持の政策が続けられるだろうと考える中国の人々には、驚きを覚えた。

 トランプ氏は多くの有権者に対し、時代遅れの政策は廃止する決意であると訴えかけた。そのことも中国の人々には話したが、中には「ウィンウィンですら廃止されるのか?」と聞き返してくる米国通の人もいた。

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千年の眠りから覚める中国の発明力
中国は慢心で失敗、今度はトランプ氏の番か


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千年の眠りから覚める中国の発明力
(前編)
政府は研究開発に多額の予算を投入、「テレポーテーション」など壮大な計画も
中国科学技術大学の量子物理学者、潘建偉氏

By EVA DOU
2016 年 12 月 13 日 07:12 JST

 【北京】紙、印刷、火薬、そして羅針盤。中国の四大発明は、どれも登場してから1000年以上の時が経過している。

 世界第2位の経済力を誇る中国は、四半世紀にわたって他国を上回る経済成長を達成してきたものの、今でも技術革新の面では西欧諸国に後塵(こうじん)を拝している。自力で新たな発明をするよりも、他国が手掛けた技術を素早くまねる国として知られているのが現状だ。

 しかし各国において研究開発費が縮小される今、中国政府は数十億ドルもの予算を投じ、テレポーテーションの研究といった壮大なプロジェクトを展開し始めている。その経済力を最大限に利用し、世界有数の研究者たちを受け入れる体制を整備。これによって、再び1000年が過ぎる前に次の歴史的発明を実現させることを狙う。

 海外の技術力への依存度を減らし、国家をあげて自国の評価を向上させようとする中国政府の考え方は、第2次世界大戦後の数十年にわたって米国で見られた姿勢と重なる部分もある。

 こうした努力がどの程度の成果を挙げるかは、まだ不透明だ。中国では創造力を育むよりも記憶力を重視した教育制度が取られるなど、革新的な発明を行うためにはあらゆる面で克服すべき課題がある。同国のぜい弱な特許制度も、発明よりも模倣品の製造を優先する土壌を作り出している。

 だが人工知能(AI)やドローン製造、インターネット技術の分野では、中国の技術者たちは他国に追いつこうとしている。

スーパーコンピューターで世界トップに立った中国

 今年8月、中国は世界初となる量子通信衛星の打ち上げに成功した。このことで中国は盗聴不可能な通信技術で世界をリードする立場に立ったとみられている。6月にはスーパーコンピューターのランキングで、中国の「神威太湖之光」が世界トップの地位を獲得。米国製のスーパーコンピューターより約5倍早い処理能力が、人工学習能力など最先端の技術で活用されることになる。

 上海のリニアモーターカーは世界最速の旅客列車として知られる。また中国企業は無人自動車の開発で米国と競合し、米航空宇宙局(NASA)に対抗するかたちで2020年までに火星に探査機を送り込むことを狙う。中国政府は世界初となる月面の裏側への着陸に向けて準備を進めている。

 こうしたプロジェクトに利用されるのはおおむね西欧で作られた技術だ。しかし米国の宇宙開発で見られたように、技術を応用することで意外な発明が生み出される可能性もある。また中国がプレーヤーとして技術開発競争に加わることで他国も触発され、それぞれが切磋琢磨(せっさたくま)する形で世界経済が発展していくことも期待できる。

 「中国には革新的なものを生み出す文化がなく、いくら予算を投入しても自分たちには追いつけないと考えている西欧諸国の関係者もいる」と話すのは、英科学誌「ネイチャー」の中国編集主幹を務めるエド・ガーストナー氏。「しかし個人的には、そうした考え方はそれほど確かなことではないと感じる」と同氏は続ける。

 各国の学会などは中国が技術開発に力を入れることを歓迎する。しかし米国や米企業経営者の一部はこの動きを一種の「経済ナショナリズム」だと捉えており、技術面で中国に取って代わられることがないようにと警戒を強める。

 一方で中国による技術発展は新たな競争を生じさせ、結果的に技術革新が早まる可能性もある。バラク・オバマ米大統領は昨年、米国がスーパーコンピューターのランキングで再び1位を獲得するように指示する大統領令を発令。また欧州連合(EU)も4月には10億ユーロ(約1130億円)を投入し、量子技術の開発に挑む姿勢を見せている。

 中国政府は経済成長や軍事開発を重視し続けている。そのため現時点で革新的な技術が開発される可能性があるのは、量子科学やインターネット・ファイナンスなどの分野に限られている。

 量子科学では物質の法則に縛られないほどの小さな粒子を扱う。これらはテレポーテーションや、一つの物質が異なった状態を同時に維持できることの研究を含む。また西欧諸国では倫理的な理由から難しいとされるクローン技術なども、規制が緩い中国で前進する可能性もある。

2020年には米国の研究開発費を上回る

 中国の進歩を示す根拠とされているものの中には、明らかに誇張されている統計も含まれる。世界知的所有権機関の特許協力条約の下で行われた国別特許申請数は昨年、米国と日本が1位と2位を占めた。10年前に全申請数のわずか1.8%しか占めていなかった中国は、その割合を13.7%にまで高め、日米に次ぐ3位にまで浮上した。

 しかし中国が申請した特許の中には「パテントトロール(特許権を悪用して多額の賠償金を企業から得ようとする行為)」の対策も多く、ほぼ価値のないものが含まれる。例えば中国国内でスマートフォンを製造する企業は、どの社も長方形の端末を特許登録していることが明らかになっている。また何世代も前から作られている竹製のカーペットを特許申請し、無効化されたケースなどもある。

 特許の申請が増える背景には、中国政府による補助金制度がある。半導体製造装置のメーカーである華海清科の最高経営責任者、ルー・シンチュン氏は、「政府から受け取る100万元ごとに、企業は一つの特許を取得しなければならない決まりがある」と話す。

 経済協力開発機構(OECD)によれば、中国の研究開発費は2009年には日本を追い越し、2013年には欧州を上回り、2020年には米国を抜くと予測されている。特に基礎科学分野への投資は2005年の19億ドルから2015年には101億ドルに増加。一方、米国による基礎科学分野への投資は2015年に微減し、324億ドルとなっている。

 中国では2012年に工学や科学の分野を専攻して大学を卒業した学生が96万4583人いたという。米国立科学財団によれば、米国ではその数は58万9330人だった。スタンフォード大学の物理学者チャン・ショウチョン氏は、「研究の輪郭さえはっきりとしていれば、必要な人数や資金は中国政府が提供することができる」と話す。

 コンサルティング会社アライアンス・デベロップメント・グループ(ADG)の北京部門を指揮するクリス・デアンジェリス氏は、革新的な発想を持つ人はごく少数いればいいと語る。「全員がスティーブ・ジョブズである必要はない。中国には米国の5倍の人口がいる」


千年の眠りから覚める中国の発明力(後編)
政府は技術革新のため「無限の予算」を提供する
中国科学技術大学の藩建偉氏 ENLARGE
中国科学技術大学の藩建偉氏 PHOTO: ERIC MICHAEL JOHNSON FOR THE WALL STREET JOURNAL
By EVA DOU
2016 年 12 月 13 日 08:00 JST

 経済成長率が鈍化する中、中国は技術面での大きな躍進を渇望している。また安全保障の観点から研究者に寄せられる期待も大きい。

 習近平国家主席は3月、同国の「主要分野で核となる技術が、いまだに他国にコントロールされている」と指摘。「今ほど国家が科学技術界からの戦略的な支援を必要とした時代はない」と発言した。

千年の眠りから覚める中国の発明力(前編)
 中国の科学技術戦略は文化大革命の時代に底を打ち、当時の政府はまき小屋で半導体を作るよう農民に指示を出すなどしていた。しかしそれ以降、政府はさまざまなプロジェクトを始動して巻き返しを図っている。

 2008年には世界レベルの中国人研究者を母国に呼び戻すことを目的に、帰国者に対して100万元(約1660万円)の先払いを約束。さらに助成金や他に負けない社会保障も提供するとした。当初は中国人に限定されていたが後に外国の研究者も含まれるようになり、結果的に4000人もの研究者がこのプログラムに参加したと政府は話す。

 カルガリー大学で量子物理学を研究するバリー・サンダース氏は、中国政府の同プログラムがあったため中国科学技術大学に第2の研究室を設置。「研究内容はすべて出版するので、どこで研究するかはそこまで問題ではない」と言う。また中国政府が研究内容を元に積極的に事業を開始するよう推奨していることも、研究者たちを引きつけている。

 その政府の狙いに一致した形で研究を進めるのが、量子通信衛星の開発研究を指揮した藩建偉氏だ。

 量子通信はこれまでの自然界の常識からかけ離れた分野で、瞬間的に情報を「テレポーテーション」させる粒子などを扱う。アルバート・アインシュタインですら「不気味」と表現した研究分野だ。

 しかし藩氏の研究チームは2014年に極めて小さい量の情報を使い、それを操る形で一つの場所からもう一つの場所に瞬間的に移動させることに成功。映画「スタートレック」に登場するテレポーテーション技術と比較するとまだ原始的なものだが、現時点ではこの分野で最大の成果と評価される結果を生みだした。ネイチャー誌にも掲載された藩氏の研究結果は、解読不可能な暗号やこれまで以上に処理能力が早いコンピューターの製造につながるとされている。

Teleportation research equipment in Shanghai. PHOTOS: ERIC MICHAEL JOHNSON FOR THE WALL STREET JOURNAL
「中国は他のどの国よりも早く決断を下す」

 1990年代の藩氏は、このような成果からはほど遠い場所にいた。当時の中国の環境を考慮した結果、同氏はウィーン大学からフェローシップを獲得し、海外で研究をする道を選択。しかし当初は英語力もなく、大学の事務室と勘違いして家主の自宅に奨学金を受け取りに行くこともあったという。

 現地の「食べ物も全く食べることができなかったが、サラミをウーロン茶に漬けて食べるとなかなかおいしいことは判明した」と藩氏は当時を振り返る。

 当時の中国は物理学で世界から大きな後れを取っており、藩氏は量子テレポーテーションの分野が存在することすら知らなかったという。この分野の可能性に気付いた時には自信満々で同僚向けに発表を行ったが、周囲は静まりかえる事態に。藩氏にとっては新たな発見であっても、同僚たちはすでにその研究に取りかかっている段階だったからだ。

 藩氏はその後10年にわたって欧州で研究を続け、この分野の第一人者とされるアントン・ツァイリンガー氏の元で学んだ。当時は研究を行える場を優先させたが、「最終的に母国に戻って研究を続ける機会があれば、それが理想だ」とも感じていたという。

 その機会は、中国政府が研究者を母国に呼び戻すプログラムを開始したことで訪れた。母校の中国科学技術大学に採用されて藩氏が帰国すると、研究室には世界最先端の設備が導入されていたという。

 ネイチャー誌の中国編集主幹を務めるエド・ガーストナー氏は、藩氏を「これまでになかった発想が持てるし、ビジョンがある」と評価。「無限ともいえる資金がそのような人物に提供されるのは、かなりすごいことだ」と話す。

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 藩氏の師にあたるツァイリンガー氏は2004年には量子衛星の打ち上げを構想していたものの、十分な資金を得ることができずに断念した。盗聴不可能とされる中国の量子通信衛星がどの程度機能するかはまだ不明だが、中国が先にその目的を達成したことになる。

 「中国が有利な点が一つある。彼らは他のどの国よりも早く物事を決断する」とツァイリンガー氏は話す。同氏は現在、学生たちとともに量子衛星のテストに参加しているという。

 米国で量子通信の研究は、軍事機密のプロジェクトとして取り扱われている。公になっているものよりも高性能な技術が開発されているとする声もあるが、米国家情報長官室の広報担当者は、量子研究についてコメントはできないとしている。

スタートアップにも注目

 資金と人材が潤沢な中国のスタートアップ(立ち上げ後間もないベンチャー企業)も、新たな技術研究の場として注目されている。スタンフォード大学とカーネギーメロン大学で人工知能を研究し、その後ツイッターのアルゴリズム開発にも携わったモンチウ・ワン氏はその中の一人だ。

 ワン氏は既存のドローン(無人機)を改良した製品を開発し製造するが、コストがかからず「尋常ではないほど」の経済的支援も受けられる中国が最適の拠点だったという。同氏がゼロゼロ・ロボティクス社を設立すると、杭州市は100万ドルの補助金を提供。加えて約4000平方メートルのオフィスや従業員のためのアパートも支給された。

 現地で雇った技術者たちは時に米国の技術者と比較して発想力に欠けることもあったが、中国で募集する方が人材は容易に集まった。また従業員30人を抱えるにもかかわらず、ゼロゼロの運営にかかった費用は15カ月間でわずか70万ドル。この額は米シリコンバレーでは「不可能」な数字だとワン氏は話す。

 同社は先日、「ホバー・カメラ」とよばれるドローンを発表。これまでのドローンとは違い、プロペラ周りを軽量なカーボン製のフレームで覆っているため、飛行中であっても素手でつかむことができる仕様だ。

 テレポーテーションの研究を続ける藩氏は今、大胆な目標をいくつか掲げている。そのうちの一つは、量子の粒子が自然の法則を無視できる理由の根源を突きとめることだ。「もしかしたら、そこに何か新しい発見があるかもしれない」と同氏は話す。

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