☆ MAGICO Q3でアニソンを聴いてきました!(前編) http://comiccune.jugem.jp/?eid=33 |■0.イントロダクション MAGICO Q3の超弩級システムでアニソンの究極再生を追求されている、 exorionさんのシステムを聴いてきました。 試聴曲数は約60曲(水樹奈々さんや鈴木このみさん、あやねる、水瀬いのりさん等、 9割がアニソン)で、6時間連続の試聴というなんとも幸せなひとときでした。 今回はその試聴記(前編)です。 |■1. 機器の構成 【exorion邸オーディオシステム】(2016年11月時点) ・CDプレイヤー : Metronome Technologie 「T2i Signature」 - 電源ケーブル:Jorma Design 「Prime Power」 - インターコネクト: MIT 「Oracle MA-X2 RCA」 ・プリアンプ : Spectral 「DMC-30SS Series2」 - 電源ケーブル:Crystal Cable 「Absolute Dream Power」 - インターコネクト: MIT 「Oracle MA-X2 RCA」 ・パワーアンプ : Spectral 「DMA-200S Series2」 - 電源ケーブル:Stage iii Concepts 「A.S.P. Reference Leviathan」 - SP ケーブル : Crystal Cable 「Absolute Dream Speaker」 ・スピーカー: MAGICO 「Q3」 ・電源タップ1:J1 project 「PT6PL」(Tuning by Brise Audio) - 電源ケーブル:Transparent Audio 「Opus Power」 ・電源タップ2:CSE 「TX-2000XN」 - 電源ケーブル:K racing audio design 「Device 1SE」 ※電源タップの接続構成は下図の通りです http://comiccune.jugem.jp/?eid=33 |■2. MAGICO Q3/Spectralの衝撃 最初の曲は、デレマスの高垣楓(CV.早見沙織)「こいかぜ」でした。 この曲は早見沙織さん(はやみん)の透明感溢れる歌声が魅力的です。 普段から良く聴く曲なので、私のシステムとどれくらい違うのかな?と 再生したところ・・・ 開始1秒で のけぞりました ・上下、左右、奥手前に果てしなく広がる音場 ・部屋の壁や天井を取っ払ったかのようにどこまでも広がる音場 それから5秒後。 ・引き締まった強烈な低音 ・克明でキレのある深い低音 ・一音毎に空間が揺れて、空間が歪むような感覚 「え?」 そして、24秒目から入るヴォーカル ・非常に明確な定位、ハッキリとした音像 ・シャープな口・舌の動き ・透明感があり、極めて生々しい歌声 ・演奏、歌声が衝撃波のように飛んでくる感覚・・・ MAGICO_Q3_早見沙織さん 私の知っている「こいかぜ」とはまるで別次元の再生音でした。 ある程度のレベルに達したオーディオシステムでは「スピーカーが消える」と評されますが、 MAGICO Q3/Spectralシステムでは「部屋が消えた」でした。再生と同時に果てしない 広さの音場に包まれて、一瞬で曲の世界観に包まれました。 オーディオを始めて約10年、様々なシステムでアニソンを聴いてきましたが、これほど強烈に アニソンの世界観に包まれたのは初めてでした。 そんなことを思いながら「こいかぜ」を聴いていると、4分24秒目からコーラスとピアノによる たおやかな世界が現れ、天使のような子どもの歌声、そして神々しいはやみんの歌声が現れ・・・ 「ここは天国か・・・」と幸福感でいっぱいになりました。 |■3. オーディオではなく世界観 MAGICO Q3/Spectralシステムを一言で表わすと - アニソンの世界に一瞬で入り込むような魔術 - です。 通常、オーディオシステムの印象を述べる場合、解像度が高いシステム、分離が良いシス テム等、きわだった要素を中心に書きます。しかし、MAGICO Q3/Spectralシステム(以降、 Q3システム)では全ての要素が極めて高い水準にあり、且つそれらを強調していませんで した。 (後述しますが、トータルバランスに優れたシステムで、それゆえ特定の点を強調して 「○○の部分が凄い」システムと表現するのは適切ではないと感じました。) ・動画では Q3システムを実際に聴くのは初めてでしたが、以前からQ3システムの音を録音した動画を 何度も見ていました。 圧倒的な量感でキレのあるバスドラ音、ムチのようにしなるスネア音。激しく緩急のついた スピード感。劇的な声色の変化。 その時は、オーディオ的な(特定の要素に関する)凄みを感じました。 (また、すでにQ3システムを聴いた人によると、低音が凄まじいということでした。) ・実際に聴いてみて 実際に聴いてみて、たしかに、MQGICO Q3とStage iii Concepts Leviathanによって、 低音の量感と引き締まりは凄まじいと感じました。しかし、「全体として低音は過剰か?」 と問うとそんなことはありません。その低音は音楽をより躍動させ、ヴォーカル表現をより 味わい深いものにして、曲の世界観を表現することに徹しています。その低音はあくまで 表現を高めるための1つの要素にすぎないと感じました。 (このように書くと低音の凄まじさが伝わりにくいと思います。その低音を例える なら・・・ライブ会場でベースを弾いた(はじいた)時に床が「ベンッ」と揺れ、轟く、 極めてリアルな音です。アニソンをかけたときに、そのような轟く低音が毎秒来るので、 たしかに凄まじさを感じます・・・) 低音の以外の要素も同様に、曲の世界観を表わすための1要素に感じました。 Q3システムではCrystal ADを2本用いていますが、HDR写真のような非現時的なカラフルさ はなく、ヴォーカルの声色や楽器の違いを描くために必要なだけの色彩感に思いました。 S/Nも十分に高いですが、S/Nの高さをことさら見せつけることはなく(Jeff Criterionのような 行きすぎたS/N感はなく)、音楽の情景を表わすに十分なS/Nを確保していました。 また、キレ・スピード感もやりすぎではなく、口&舌の動きやベース&ギターをよりよく表現 するために必要なだけ出している(つまり、電子音がゆったりと華やぐ余地を残している)等、 全ての要素は曲の世界観を現わす為に徹していると感じました。 ・全てはアニソンの世界観のために オーディオとしての各要素が極めて高く、なおかつそれら要素がアニソンの世界観を表わす ために調整されているので、全ての要素がシームレスに繋がります。Q3システムを聴いてい ると、特定のオーディオ的要素が目立たず、オーディオを聴いている感覚はありません。 オーディオの性能・特長を超えた先 -アニソンの世界観(*1)- が現れ、それに包まれます。 (*1:アニソンの世界観というと、馴染みの薄い方もいらっしゃると思います。アニソンはまず アニメがあってこそのものです。アニメは、アニメの舞台設定(場所、時代)、ストーリー、 キャラの外見や性格、時系列による心境の変化(&それを演じている声優さん)、キャラの セリフ、他のキャラとの関係性など多くの要素から成り立っています。そして、アニソンは それらをベースにして成り立っている音楽です。 オーディオシステムでアニソンを聴いて「一瞬で世界に入り込む」というのは、
「低音がもっと欲しい」や「空間が狭い」「サ行が突き刺さる」等オーディオ的不満が 一切なく、アニソン聴いてすぐに、キャラの喜びや怒り、悲しみ等の心情が胸に入って くる(自分もキャラと同じような気持ちになる)、また、演奏や電子音、効果音を聴いて、 アニメの世界に入り込んだような錯覚を感じるということです。) このように、一瞬でアニソンの世界観に包まれるような音を出すには、オーディオ機器やケーブル、 アクセサリーの長所・短所を熟知していて、アニソンの世界観を出す方法を知っていること、 そして、何よりアニメをしっかりと見て理解し、アニソンを徹底的に聴き込んでいることが 不可欠です。exorionさんはその全てにおいて極めて高い次元にあるからこそ、魔術的な音を出せる のだと思います。 ・「表現者」 今年の2月、Q3システムでのエブリデイワールド動画を何度も何度も見ました。 そして、その視聴で得られた結論・予想は、以下の通りでした。 -------------------------------------------------------------------------------- (Q3システムの)音を聴くと、オーディオとしての性能・特長を語るより、 もっと異なる何か -その音の先- について語りたくなる。 そして、 このオーディオシステムによって、表現者の真の表現に迫ることができるだろう。 -------------------------------------------------------------------------------- (2016/2/14:「雰囲気を先行公開。」(MAGICO Q3) を聴いて、より引用) http://hayate-to-hayate.cocolog-wbs.com/blog/2016-02-14-Q3.html (注:PC専用ページ) 実際に聴いてみて、この結論・予想は概ね合っていました。 しかし、最後の「表現者」は想定と異なっていました。 動画を見ていたときの「表現者」は、曲の作り手(作曲家、作詞家)やヴォーカルの ことを指していました。実際に聴いた後は、「表現者」はQ3システムを構築した exorionさんに変わりました。 ・なぜ変わったのか Q3システムの動画を見て、かつてのAvalonシステムで気づかなかった魅力をいくつも発掘 できました。それゆえ、これほど凄いオーディオシステムであれば、表現者 - 作り手・ ヴォーカル - の思いを全て出してくれるだろうと感じていました。 実際に聴くと、新しい発見がたくさんありましたが、それらを統合すると、時折、私が 思い描いていた世界とは別なものも感じました。 (水樹奈々さんやマクロスΔのワルキューレ、あやねるの曲が顕著でした。一言で 言うなら「非常に刺激的な世界」で、「こんな表現があったのか!」と興奮したほどです。 詳細は後編にて記載します。) Q3システムの音は、表現者「作り手・ヴォーカル」とともに、exorionさんが思い描いた 世界が積極的に含まれていると感じました。 ・音楽の多様性 曲の作り手やヴォーカルはある世界観を表現しようとします。アニソンにおいてはさらに 顕著です。しかし、クラシック音楽にも見られるように、音楽というものは多様性(*2)を含み、 それゆえ様々な捉え方が可能で、指揮者によってまるで別の曲に成り得ます。アニソンも その音楽の性質を有していて人によって色々な捉え方ができます。 (*2:音楽の多様性に対する私の考えは以下に掲載しております。 「きゅんきゅんhayate - 20代最後としてのオーディオ私観 5.1章 -」※PCで該当の箇所に飛びます) ・真の表現とは exorionさんはクラシックの指揮者のように曲(アニソン)への理解を徹底的に深めて、ア ニソンの様々な魅力を掴んでいます。そして、exorionさんが捉えた魅力をオーディオシ ステムを通して - 表現- していると感じました。 つまり、Q3システムは、表現者(=exorionさん)の「真の表現(=思い描いた世界観を 100%出せる)」システムであって、私はQ3システムを通して、exoironさんの世界観に 対峙するに至ったと感じました。 ・捉えている世界観や表現はひとつだけではない 今回試聴したQ3システムの音で、exorionさんの確かな世界観を感じました。と同時に、 exorionさんが捉えている世界観はこれだけでは無いとも感じました。 次回の後編で記載しますが、MITのインコネ「Oracle MA-X2」の調整ツマミをいじるだけで、 ヴォーカルの声質がまるで別物になり、システムの印象がガラリと変わりました。 (同じ曲でも、ツマミをいじるだけで、化物語の「戦場ヶ原さん」から ぱにぽにだっしゅの「ベッキー」に変わるほどの激変です!!!) exorionさんはこの調整ツマミを駆使して、世界観を表わすために最適な調整をしていたと 感じました。 また、システム構築時に電源ケーブルの接続箇所や組合わせを徹底的に試されていて、 様々な音に出会ってます。今回聴いたのはそのうちの1パターンです。
そして、試聴が終った後、exorionさんはご自身のシステムを「疲れる音」と言っていました。 その一言から、「疲れる音。(だけど、敢えてこの音を出している)」という自信(*3)を 感じました。 このように、exorionさんはアニソン一曲に対しても様々な音の出方があるのを知って いて(=別の世界観になりうることを知っていて)、そして多くの選択肢の中で、 exorionさんが「これだ!」と思った世界観を表現しているのだと思いました。 (*3:ご自身のシステムの特徴を公言し、且つそれに自信を持てるオーディオファイルは あまり多くないと思います。自信を持って聴き手に聴かせるには、少なくとも5つの条件が 必要です。 [1]ご自身の聴く曲(世界観)を熟知していること [2]顕現させたい世界観(=理想)をしっかり持っていること [3]様々なオーディオ機器の音を知っていること [4]理想の世界観を顕現させる術(最適なオーディオの組合わせ)を知っていること [5]それらのオーディオ機器を実際に所有できること
上記全てを満たすには、オーディオへの要求水準が極めて高く、それを実現するために 絶え間ない努力が必要です。(加えて、耳の良さや豊かな感受性など、天賦の才も必要 でしょう。)私はそこまで及んでいませんでした。しかし、音楽やオーディオにかける exorionさんのアツい情熱を目の当たりにして、私もっと頑張りたい!と思える素晴しい 経験になりました!) |■4. MAGICO Q3システム 分析! 以下では、Q3システムをオーディオ的観点でチェックします。 総評としては、MAGICO Q3の色彩感の弱さ、Stage iiiの暗さ等、 苦手なところを全部潰し、その上で各要素を極限まで高めていました。 あらゆる方向で極めてレベルの高いオーディオシステムです。 -------------------------------------------------------- ■チェック項目1 ・抜けの良さ:S+ ・スピード感:S ・低域の厚み:S+ ・低域の締り:S ・分解能:S ・情報量:S ・空間の広さ:S+ (上下左右奥手前全てにおいて広い!) ・コンプ音との相性:S ・耳あたりの良さ:A+ ・帯域バランス:S+ ・周波数レンジ感:S+ ・アタック感:S ・キレ:S+ ・定位感:S ・音の純度 (混じりっけのなさ):S ・S/N:A+ ■チェック項目2 (その他要素) ・温度感:ニュートラル〜ややクール ・背景の色:可変 (曲によって暗くなったり明るくなったります!) ・硬質感:ニュートラル〜時々少し硬め ・余韻、滞空時間:ほんの気持ち長め ・色彩感:声色の変化が良く出る ・粒子の細かさ:あまり感じない (粒子で構成されている音では無く、 ヴォーカル、ギター、ベース等、 実体感が全面に出る音) -------------------------------------------------------- ※なお、exorionさんによると、私が聴いたときのQ3システムは 空間表現が良かったそうです。逆に低域の締まりはいまいちで、 本来はもっと締まるそうです。 (私的には十分と感じましたが・・・それ以上の世界があるのですね!) http://comiccune.jugem.jp/?eid=33 ☆ MAGICO Q3でアニソンを聴いてきました!(中編) http://comiccune.jugem.jp/?eid=35 |■5.ヴォーカルとの相性 後編の最初は、アニソンを歌うヴォーカルとの相性です。 本章では声の質感や歌い方との相性を書きます。 演奏を含めての「アニソン曲との相性」は次章で書きます。 相性の評価は以下8段階です。 ------------------------------------------------------------------- S+ > S > A+ > A > B > C > D > E ------------------------------------------------------------------- S+ が一番良く、Cが普通、Dは相性不良、Eがダメダメです。 なお、約60曲のアニソンのうち、ほとんどがAクラス(相性良い!)で C、D、Eは1つもありませんでした。 (※評価に関しては、私の好みが多く含まれています。 そのため、相性ではなく、「好み」という方が適切かもデス) ------------------------------------------------ ・相性:S+ (相性良すぎて絶句のレベル) ------------------------------------------------ ・水樹奈々:S+ ------------------------------------------------ ・相性:S (相性最高!テンションMAX!) ------------------------------------------------ ・ワルキューレ:S ・佐倉綾音 :S ・鈴木このみ: S ・井口裕香 :S (A+) ・水瀬いのり:S (A+) ・早見沙織 : S+ (A) ・東山奈央 : S (A) ※括弧内は特定の曲・歌い方での相性 ------------------------------------------------ ・相性:A+ (凄い・・・極めてハイレベル) ------------------------------------------------ ・fripSide :A+ ・Buono! :A+ ・高垣彩陽 :A+ ・田村ゆかり:A+ ・堀江由衣 :A+ ・花澤香菜 :A+ ※Aクラス(相性良い!)は多数につき省略 ------------------------------------------------ ◆全体の感想 ・総じて、口の動き、舌の動きが生々しく出るシステムでした。 そのため、どのヴォーカルでも相性が良く、聴き応えのあるシステムでした ・キレの良さが特徴です。しかし、Transparentの電源ケーブル「OPUS」を 用いている故か、適度な滞空時間があり、 曲によってはヴォーカルがじっくり 歌い上げていました。 ◆個別の感想(上位を中心に記述) 水樹奈々:S+ について ・水樹奈々さんが発する声(周波数帯域)と、Q3システムが最も得意とする 周波数帯域(スイートスポット)が完全に一致したような相性の良さでした ・「水樹奈々さんを鳴らすために構築したシステム」と思えるほど魅力的です。 ・口の動き、舌の動きが見えるようにわかります。 ・水樹奈々さんの歌声が部屋中に響き渡ります。濁りや嫌な反射音は無く、 綺麗に減衰していきます。 ・響き渡ると言っても、TADのような直線的な放射ではなく、口の形やビブラートに よって、空間が歪み、空間が揺れるような未体験の響き方でした ・それゆえ、水樹奈々さんとの相性抜群で、音程の取り方、ビブラート等の凄みを 肌でひしひしと感じました。歌を聴かせるシステム、堪能させてくれるシステムでした ワルキューレ:S について ・声色の違いが良く出るシステムなので、ワルキューレ1人1人の声をきっちり 描き分けていました ・歌声に瑞々しさがあり、同時にキラキラと輝く歌声で、うっとりしながら聴き入りました。 ・なかでも、低域の厚みがたっぷりなので、レイナ(東山さん)の濃厚な低音ボイスが 凄まじかったです (以前から、「絶対零度θノヴァティック」において、東山さんの「大切に思う程〜」の 部分を実体化したい(召喚したい)と模索・追求していました。 Q3システムによって、「これ!この低音ボイス!!!」と初めて満足行きました!) 佐倉綾音(あやねる):S について ・Q3システムの厚い低域、どこまでも伸びる中高域の繋がりが良く、あやねるの 実体を感じました ・実体感に加えて、明瞭で激しい口の動き&舌の動きが繰り出されるので あやねるの技巧を思う存分堪能できました (口の動きがあまりにも生々しいので、 あやねるの口の中に入り込んだ気分でした! その時のことを思い出すと、悶えるほどたまらなくなります・・・) ・「SHaVaDaVa in AMAZING -あやねるソロver-」では、私が求めている 柔らかさや甘さが今一歩とも感じました。 もし、その要素も十分に出ていたら、水樹奈々さんと同じ、あるいはそれ以上の 相性の良さと感じたでしょう。 鈴木このみ:S について ・全帯域がシームレスに繋がるシステムのため、鈴木このみさんの「低音域から 高音域まで縦横無尽に駆け巡る歌い方」にぴったりでした ・Q3システムのコントロールの高さとキレの良さにより、鈴木このみさんの力強さが 増して、空間を切り裂くようなビブラートに驚きました。 ・DAYS of DASHの1分17秒「きらきら光る太陽が」の「き〜らきら」と 2分28秒「未来をさぐる覚悟」の「み〜らい」の2箇所については、もう少し長い 滞空時間が欲しいとも感じました。 理由:鈴木このみさんの力強い歌声によって空間を支配した状態(空間をがっちりと 掴んだような状態)で滞空時間を伸ばすと、音程の移り変わりと同調して 全宇宙が「ぐにゃ〜」と曲がる感覚を得られます。全宇宙を曲がる状態は実に 気持ち良く、一度聴いたらやみつきになります。 しかし、空間が曲がるほど滞空時間を出すと、サビ前の「DAYS of DASH!」の 「DASH!」の抜けが極めて悪くなり、曲全体としてのリズムが死んでしまいます。 さじ加減がとても難しいです。 もし上記部分の滞空時間を伸ばし、且つサビ前のキレの良さを両立できていたら、 水樹奈々さんを超える凄みを感じたと思います。 (なお、私のシステムでは両立できませんでした・・・。私の今後の課題です。) 井口裕香 :S (A+)について ・Q3システムで再生する井口さんは透明感、清涼感、キレが前面に出ました。 ・そのため激しくロックテイストの「リトルチャームファング」と相性抜群でした。 ・「Hey World」では、透明感、清涼感が出るとともに、厚い低域によって、 ハモり部分の井口さんの実体感が素晴しかったです。 ・「Hey World」のなかでも、特に2番Aメロ(1:50秒頃)の「たまにはひとりで」の 「たま〜には〜」のハモり部分では、 Q3から井口さんの低音ボイスが大波のように なだれ込んできて、「これはヤバイw」 と思わずにやけてしまいました。 通常パートと低音パートの2人の井口さんに全身を包まれる感覚は麻薬的快感が ありました。(また聴きたいデス・・) ・声の質感については、私が求めているシルクのような滑らかさと雲のような柔らかさ にはいま一歩でした。そのため「Hey World」の井口さんはA+に留まりました。 水瀬いのり:S (A+) について ・水瀬さんの抜群のキレとシャウトが部屋に轟き、シンフォギアのキャラソン (殲琴・ダウルダブラ)には 圧倒されました ・ただし、水樹奈々さんに比べるとQ3システムが得意とする帯域と 水瀬さんの帯域とにわずかなズレを感じて、S+ではなくSに留まりました。 ・その他に聴いた水瀬さんの曲は3枚目シングル「Starry Wish」です。(収録曲3曲全て) 試聴時、このCDが発売されたばかりだったため、私自身聴き込んでおらず、 真価(聞き所)をうまく把握できていませんでした。そのため、A+(極めてハイレベル)に 留まりました。 早見沙織(はやみん):S+(A)、東山奈央:S (A)について ・前編で述べた通り、はやみんは「こいかぜ」による凄まじい歌声でS+でした。 東山さんはワルキューレで 述べたとおりSでした。 ・共通してAが付いているのは「エブリデイワールド」の時です。 エブリデイワールドにおける声色の変化と明瞭さは素晴しいのですが、 こいかぜやワルキューレと比べると、何か物足りなさを 感じてしまい、 A(相性良い!)に留まりました。 エブリデイワールドは激しい曲で無く、穏やかな曲調・歌い方です。Q3システム 試聴時には割と激しい曲が多かったので、試聴会の最後に聴いたエブリデイワールドは 迫力不足を感じてしまったと推測します |■6.アニソンとの相性 ここからはヴォーカルと演奏を含めた「アニソン曲との相性」を記載します。 相性は前章と同様に評価します。なお、前章同様に相性C(普通)、D(相性不良)、 E(ダメダメ)は1つもありませんでした。 ------------------------------------------------ ・相性:S++ (神秘な世界観に突入) ------------------------------------------------ ・水樹奈々「深愛」 「Glorious Break」 「Justice to Believe (MUSEUM STYLE)」 ・高垣楓(CV.早見沙織) 「こいかぜ」 ※相性の「S++」は、相性S+のヴォーカルに演奏が加わって、 更なる高みへ達したため「S++」としています。 ------------------------------------------------ ・相性:S+ (凄すぎて絶句のレベル) ------------------------------------------------ ・ワルキューレ 「絶対零度θノヴァティック」 ・fripSide「only my railgun」 ・Lia 「My Soul, Your Beats!」 ・瀬戸麻沙美 「そしていま」 ------------------------------------------------ ・相性:S (相性最高!テンションMAX!) ------------------------------------------------ ・井口裕香 「リトルチャームファング」 ・チマメ隊「ときめきポポロン」 ------------------------------------------------ 本章では特に相性の良かった曲のピックアップして その曲を聴いてどのような「体験」をしたか述べます。 そのため、以下は「で・ある」の常体にて書き表します。 ------------------------------------------------ ・相性:S++ 詳細 ------------------------------------------------ ・水樹奈々「深愛」:S++ ・まさに目の前で歌っているリアリティ この曲はアニソン用に調整していないと籠もった録音に感じてしまう。一般的には 残念な録音という評価が多い ところがQ3システムでは曇った感じが全くしない。広大なサウンドステージが現れて、 各楽器や奏者を等身大のサイズに再現する。 ストリングス、ピアノの質感が恐ろしいほど生々しい。 ヴォーカルの生々しさと存在感は異次元と言えるほど。ベールを完全に剥がした ようなクリアーさで、ヴォーカルの生の声を聞いている感覚。CD再生にもかかわらず、 スピーカー等の機材をして聴いている感覚はなく、ヴォーカルが目の前で直接歌って いると感じる。 これほど驚異的な生々しさ出せるオーディオ機器があったかと自問すると、 MSB Technology の「Select DAC」を思い出した。 Select DACではヴォーカルの顔を触れられる程のリアリティがあった。 一方、いま聴いているQ3システムはSelect DACと同様に顔を触れられる・・・ いや、それを上回って、手のひらで実際に顔の表面を撫でられるほどの生々しさと リアリティがあった。 Q3システムでは、強弱の再現性にも優れているので、演奏の細かいニュアンスが 伝わってくる。深みのある演奏。 水樹奈々さんの歌声には深い抑揚があって、一語一語丁寧に語りかけてくるような 歌い方だった。 広大なスケール感、楽器の高い質感、深みのある演奏。究極のリアリティ、 そこから発する感情豊かな歌声。 目を閉じると、大ホールで水樹奈々さんが私の為だけに歌ってくれているような スペシャルコンサートに思えた。 そして「水樹奈々さんは本当に歌が上手いなぁ・・・」と少し涙してしまった。 (音楽を聴いて泣いたのは久しぶりでした) ---------------------------------------------- ・水樹奈々「Glorious Break」:S++
・異次元への旅 静かで暗く、深遠な空間からこの曲は始まる。 エフェクト音と演奏は次第に音量と激しさを増し、それがピークに達したとき、 水樹奈々さんの激しく抑揚の付いた歌が始まる。 歌声に呼応するかのように、エフェクト音・演奏の勢いが増し、曲の最後まで 歌声と演奏のボルテージが上がり続ける。 音数は非常に多い。 この曲はシステム全体としての応答性が極めて良くないともたついてリズム感が 出ない。また、分解能も極めて良くないと音と音が絡み合って曲が死んでしまう。 Q3システムはスピード感が極めて速く、抜群のキレで膨大な音数を全て捌ききる。 捌かれた音は空間のあちこちに放たれる。放たれた音を一歩引いて眺めると、 空間上には摩訶不思議な幾何学模様が展開されていた。 その中心から水樹奈々さんが一声一声、口の形と発音の速度を変えながら、 衝撃波を飛ばしてくる。 歌とともに、空中にある様々な音が矢のように飛んでくる。 そのスピードが通常では考えられないほど速く、「音が耳の横を通り過ぎている」のか、 あるいは「止まっている音」の中を自分自身が「高速で駆け抜けている」のかわからなく なる。目を瞑って発音の中心点に意識を向けると、超高速で水樹奈々さんへ吸い込まれる 感覚に陥った。 また、地を揺るがすような低音が一定の間隔でドッドッドッ鳴りと響く。 その揺れには確かな存在感があり、Q3システムでこの曲を聴いていると、 座っているソファーから振り落とされるような凄まじい緊張感があった。 超高速で吸い込まれる感覚。 部屋全体は揺れ響く。 空間を見渡すと純度の高い一音一音が星のごとくキラキラと輝いている。 そして景色は高速で後ろへ過ぎ去っていく。 それはまるで宇宙旅行・・・いや、異次元へのワープに感じた。
以前、MAGICOの「Q1」に関して、その空間表現を「宇宙旅行」のようだ と評したレビューを見た。 その時は意味がわからなかったが、今なら分かる。 そして、目の前にあるのはそれ以上の世界だった。 体にグッと力を入れて、吸い込まれまいと踏ん張った。 音楽を聴いていてこのような体験をしたのは初めてだった。 ---------------------------------------------- ・水樹奈々「Justice to Believe (MUSEUM STYLE)」:S++ ・鬼気迫る衝撃波 この曲は水樹奈々の中でも瑞々しさと艶に磨きがかかった歌い声が収録されている。 一方で風のエフェクトや固まりのような電子音が駆使されていて、乾いた荒野を 連想させる。 本曲をオーディオシステムで鳴らす場合、上記の対比を使ってヴォーカルを際立たせる 方法がある。それとは逆に、エフェクト音や電子音を空間に展開しきって、壮大な世界観 を描く方法もある。 (この曲(CD)に込められた情報量は極めて多く、演奏やエフェクト音をうまく再現 できた時は他のアニソン・他のジャンルの音楽では味わえないスケールを体験できる) 私がこのCDを買った時はまだオーディオ初心者で、この曲は「もわっ」と抜けきらない 印象が強かった。その後オーディオの経験を積み、機材をグレードアップしていくうちに 「もしかして、この曲は凄い録音では・・?」と思い始めた。 そして、AVALON -Jeff- TADのシステムが出来上がったとき、広大な音場と桁外れの エネルギー感に驚嘆した。 それは3分34秒から5分43秒の間奏部分。 地の底からエネルギーが噴出し、スリリングな演奏とバックコーラスの組み合わせにより、 スピーカーと後方の壁の間に「ウォール(エネルギーの壁)」が現れる。このウォールは 毎秒毎秒地の底から噴出して天井に向かって上へ上へと突き抜けていく。その圧倒的な スケール感、エネルギーの強さを目の前にしたとき、ただただ見上げて「凄い・・・」と 思うばかりだった。 畏敬するほどの曲。Q3システムでどう展開されるのか・・・。 開始から3分34秒後、顔が引きつった AVALONの時とは比べものにならないほどの厚いウォールが出現した。 2倍、3倍以上も厚く、強力なエネルギーの壁。 その噴出されたエネルギーの壁は天井に向かって上に上がっていくのではなく、 リスナーに向かって「ぶわーっ!」と迫ってきた。そして、リスナーに向けて エネルギーの壁から衝撃波をズバンズバンと飛ばしてきた。 「なんだこれは・・・」 想像を遥かに超えたことが起り、混乱した。 「何が起っているのか」 リスナーとしてしっかりと分析して記憶に残したい、とは考えていた。 だがしかし、あまりに凄い光景を目の前にして、その世界に没入したい誘惑にかられた。 そして没入してしまった。 言葉では言い表すことのできない、抜群で圧倒的な歌声、肌で感じる確かなエネルギー、 自然界では発生しないと思われる人工的な美しい空間描写がそこにはあった。 そして、「強烈だった」という感覚が脳裏に焼き付いた ------------------------------------------------ ・相性:S+ 詳細 ------------------------------------------------ ・ワルキューレ「絶対零度θノヴァティック」: S+ プリリリンっとみずみずしい効果音が特徴的な曲。 曲が始まると同時に背景は黒くなり、各々の声がそれぞれのカラーで光り始める。 歌声とそれ以外の光度差が極めて大きい。やがて背景は暗黒に変化した。 空間に放たれる歌声はとても鮮やかで、声の細部の細部まで追い求めて旅ができるほど だった。 ベース音と電子音は轟音と化し、床や空間をグワングワン揺らす。 私は全神経を尖らせて、低音が出てくるSPの奥へと意識を向けた。 激烈な低音に身を委ねることを覚え、私は空間と一体化した。 曲冒頭から38秒〜39秒地点。 「タタタタタ」と軽快な音が流れる。そのリズムに合わせて、私は更に深い闇へと誘われた。 そうして闇に飲み込まれた直後、何もない空間からヴォーカル(レイナ)が 現れた。 突如現れた。 現れるスピードが速く、極めていきなり的だった。 まるで、暗闇で車のハイビームをいきなり浴びたような「バァンッ」という感覚。 思わずおののいた。 その後も何も無い空間からヴォーカルが突如現れるので、その度に驚き、 恐怖感に包まれた。 音楽を聴いて、「怖い」と思ったのは初めてだった。 ---------------------------------------------- ・fripSide 「only my railgun」:S+ 音を加工しすぎて耳に刺さると言われるこの曲。 2009年の発売直後から楽曲の良さと録音の悪さで有名になり、アニソンオーディオ 実践者や一部のオーディオショップでいかに上手く鳴らすかが試されてきた。 B&W等のモニター系スピーカーで忠実に再現を求める人もいれば、ソナスやDALI等の いわゆる芸術スピーカーで音を丸めて聴く人もいた。 今回のQ3システムは前者のタイプ。 再生前に「キツイ音が来るのでは・・・?」と一瞬身構えた。 しかし、キツさがない。驚くほどない。耳当たりが大変よい。 そして、シンセ等の電子音の広がりが素晴らしい。並のシステムでは、サウンドステージ は左右のスピーカーの間に展開するが、Q3システムはスピーカーの外側に広がり、側面の 壁を突き抜けた。 これはQ3の横に設置してあるVicousticパネルの影響が大きいのだろか、私もぜひ真似 したいと思った。 色々なシステムで「only my railgun」を聴いてきたが、楽曲の良さとオーディオ的 快感を同時に味わえたのはこれが初めてだった。 ---------------------------------------------- ・Lia 「My Soul, Your Beats!」:S+ イントロの特徴的なピアノ音。 Q3システムでは輝かしい音と重厚感な音が両立していて、「タタン・タンタン・ターン」の 最後の低音の沈み込みは予想以上だった。 「ここまで下がるとは!」 まさに求めていたピアノ。 Avalon Diamondでは地面が沈み込むほどの重圧を求めていたが、それはついに できなかった。 しかし、Q3システムでは地面が割れるほどの重いピアノ音を感じる事ができた 。 次々に放たれるピアノ音が魅力的でドラマチックで、うっとりする。 ヴォーカルの歌声も美しかったが、まさに理想のピアノ音を目の当たりにした私は ピアノの旋律に身を委ねた。 この曲も「only my railgun」同様、楽曲の良さで評価が高かった。 CD発売前には多くのアニソンオーディオ実践者が期待をしていた・・・が、 録音が残念だったとの声で溢れた。 しかし、Q3で聴く「My Soul, Your Beats!」はとても素晴しいもので、 できることなら、当時失望してしまった人たちと一緒にQ3システムで聴いて、 この曲の魅力を語り合いたいと思った。 ---------------------------------------------- ・瀬戸麻沙美 「そしていま」:S+ 瀬戸ちゃんに触れられそうなほど超リアルな音像。 そしてQ3の超高解像感によって、電子顕微鏡で覗いたように歌声の細部を 見ることができた。 この曲において瀬戸ちゃんの質感を区分すると、瀬戸ちゃん特有の明るく滑らかな声と 低音の少しザラついた声の2種類の違いに分けられた。その違いは大変ハッキリした ものだった。 また、バックの演奏はたおやかな音で、声の質感とは明らかに違っていた。 Q3システムで聴く「そしていま」は声の出し方や楽器の違いを見事に 描き分けていた。 歌声と演奏と質感がハッキリ違うので、ヴォーカルの存在感が一層際立っていた。 私は第2期の「茜色」の艶のある声が好きだったが、 Q3システムで「そしていま」を聴いてからはすっかり虜になってしまった。 ------------------------------------------------ ・相性:S 詳細 ------------------------------------------------ ・井口裕香 「リトルチャームファング」 ムチのように速い低音、低域の量感に驚いた。 とても引き締まった音。 「こんな音がCDに入っていたとは・・・」と衝撃を受けた。 私のS1システムではこの曲の良さが分からなかった。 それは、S1では低域の量と レンジが足らず、また、音を捌けていないからだと思った。 S1システムではこの曲ではなく、「Hey World」が最適だった。収録されている バスドラ、スネアの帯域がS1とマッチしてハマっていた。 しかし、「Hey world」は録音されている低音のレンジ、情報量が少なく、 Q3で鳴らすと迫力不足で拍子抜けしてしまった。 ところがQ3システムで「リトルチャーム」を鳴らすとバスドラで地面が揺れ、 キレのあるカッコいい井口さんが歌い出した。音を捌いて上手く散らすので、 結果としてのサウンドステージはとても広い。 こんなカッコいい曲だったとは。。 Q3システムと「リトルチャームファング」の相性はバッチリ。 私もこの曲を魅力的に鳴らしたいと思った。 ---------------------------------------------- ・チマメ隊「ときめきポポロン 」:S 無からいきなり現れるチノちゃん。 この曲でも、歌声とそうでない部分の色合いがハッキリ異なるので、チノちゃんの 音像をよりリアルに浮かび上がらせた。 演奏ではベース音のキレが素晴しく、弦が振動すると、私の体内を突き抜けて心を揺らす。 やがて私の心はベース音に鷲掴みされ、気持ちも同調するようになった。 サビが近づくにつれてベースの音階が上がり、それにつられて気持ちも上がる。 この曲はヴォーカルの可愛さありきだと思っていたが、演奏含めて 愉しい世界であった。 嬉しくて楽しくて思わず跳ねてしまうような。 何度も何度も聴きたい、素晴しい音だった。 ---------------------------------------------- ・番外編 ---------------------------------------------- 本章の後編では、Q3システムで鳴らすと「意外だったアニソン」、 「面白かったアニソン」、その他持ち込み音源の試聴結果を紹介します。 -------------------------- 意外だったアニソン -------------------------- ・鈴木このみ 「Beat your Heart」 緩急の付いた激しい曲。 事前に空気録音でこの曲を聴いたときは、ジェットコースターのように低中高音を 激しく駆け巡るスピード感を感じた。度肝を抜かれた。 生のQ3で聴いたら、さぞかしスリル満点だろうと想像していた。 ところが、実際に聴くと緩急ついたスピードをさほど感じない。 むしろ、厚いベースと克明なバスドラの上でじっくりと歌い上げる姿があった。 空気録音では機器の性能によって低音がまるで入っていなく、鈴木このみさんの 歌声が「走る」ように感じていたのだ。 予想外な歌い方で肩すかしを食らったが、目の前で鈴木このみさんが優雅に 歌い上げている様子を見ていると、「この歌い方も良い・・・!」と思えた。 と同時に、新たな表現に出会えた嬉しさがこみ上げてきた。 ---------------------------- 面白かったアニソン ---------------------------- ・戦場ヶ原ひたぎ(CV.斎藤千和)、貝木泥舟(CV.三木眞一郎) 「木枯らしセンティメント」 「トリッキーな動きをする」 SNS上でA氏とC氏がそう語っていた曲。 会話を辿っていくと、戦場ヶ原さんと貝木の音像がゆらゆら揺れ動くとのこと。 「どこの部分だろう?」とCDをかけてみた。ところが、当時のシステムでは 音像の動きがわからなかった。落胆する気持ちと、どのように動くのかの 興味心が湧いてきた。 それから数週間後、Q3システムで聴く機会がやってきた。 本当に奇妙な動きをした。 「戦場ヶ原さんが30cm左にずれた!」 Aメロの最初のパートでの戦場ヶ原さんの立ち位置はセンターの少し左に位置して、 貝木はセンターの少し右に位置していた。 ところが、次の戦場ヶ原さんのパートでは、音像が左に30cmほど移動し、 その後センターに戻ったりした。 指し示すことができるほどわかった。 2番になると、戦場ヶ原さんは今度は右側に移動していて、2分6秒に 貝木が左端に移動して、立ち位置が入れ替わっていた。 その後も貝木がセンターに移動したり、また二人の立ち位置が入れ替わったり する等、フラフラ動いて、本当に妙な動きだと感じた。 その光景を凝視していると、戦場ヶ原さんが貝木から離れようと移動して、 貝木はそれを追うように近づいているように感じた。 「気持ち悪い」 貝木は歌声だけではなく、動きまで気持ち悪い(注:褒め言葉)と思った。 (確かに一種の気持ち悪さを感じましたが、揺れ動く音像の軌跡がハッキリ わかるのはとても面白いひとときでした) -------------------------------------------------------- 再生が難しい曲を鳴らしてみた -------------------------------------------------------- 私が良く聴いている曲のなかで、鳴らすのが難しい曲(鳴らせると面白い曲)を 数曲持ち込んでみました。 ・Buono!「ガチンコで行こう」(しゅごキャラ! ED4) この曲はイントロのスネアとバスドラの分離感が悪く、団子状態になりやすい。 ギターには荒さが目立ち、ドラム同様に分離感が悪く「もやっ」とする。 ヴォーカルはコンプレッサーをかけたのか、ダイナミックレンジが狭い。 その上、余韻を一定の時間でバッサリ切っているのか、ヴォーカルの伸びが 足りない。 このCDは7年前に購入して、いわゆる「TVでは良く聞えるのに、CDでは残念音質」 だと感じた。 その後、PCトランスポートのサウンドカードをASUS Xonar Essence STに 変更して、TEAC VRDS-25XS(同軸入力)とB&W 805Sで聴くと、「もやっ」感が 払拭され、ギターの一音一音が明瞭になった。 イントロ4秒〜5秒のギターのハモり部分では2つのメロディラインが認識できるように なった。と同時に、2つのラインが融和する様も感じられた。分離と融合という相反する 要素を両立した。そのときのハモりはとても美しく、酔いしれるほどだった。 それから数年後。 プリにGOLDMUND MIMESIS 330L、パワーにdarTZeel NHB108を導入したところ、 バスドラの個々の音が綺麗にほぐれて、一音一音のアタック音が分かるようになった。 加えて、スネアの甲高い音、明るく色彩感の良いスネアが聞えるようになった。 ますますこの曲の虜になった。 さて、この曲をQ3システムで聴くと・・・? 予想としては、ギターのハモり部分とドラムが私のシステム同様にうまく鳴ると 考えた。実際その通りに鳴った。 ところが、予想外のことが起きた。 ヴォーカルの声がどこまでも綺麗に伸びる! ダイナミックレンジの狭さも感じず、伸びやかなヴォーカルが美しい。 聴き終わった直後、思わず「Q3で聴くとヴォーカルが綺麗に伸びますね!」と 興奮気味でexorionさんに話しかけてしまった。 なぜヴォーカルが綺麗に伸びたのか・・ CDには声量のごくわずかな変化や伸びの部分が圧縮されて入っていたのだろう。 だが並のオーディオシステムでは微々たる違いは出せなかった。 Q3システムは階調表現が豊かで、声色の移り変わりをとても丁寧に描く。 また、極めて微細な強弱の違いを表わせる。そして適度な余韻。 苦手な部分を全て潰して、「ヴォーカルに全振り」したQ3システムだからこそ、 表現し得たと感じた。 この曲のヴォーカルの質は、残念な録音(加工)だから改善しようがないと思っていた。 しかし、そうでは無いと思い知らされた。 この曲の奥深さと可能性を感じた。 私もいつか、伸びやかな歌声を出したい。 ---------------------------------------------- ・三日月夜空(CV.井上麻里奈)「私のキ・モ・チ」 (僕は友達が少ないED) 2011年秋に発売されたCD。キャストが豪華なアニメのED。 大ファンの井上麻里奈さんが歌っているということで、発売日が楽しみだった。 ちょうど同じ時期にSACDプレイヤー TAD D600を購入していたので 「井上麻里奈さんの声を堪能しつくす!」と意気込んでいた。 だが、酷い結果になった。 ・イントロのギターのかき鳴らしが五月蠅くて不快 ・歌声やギターがキンキンして聞き疲れMAX! ・ヴォーカルや演奏にモヤモヤがかかって、細部がまるで見えない ・ドラムが団子団子団子! ・前後感の分離がとても悪く、ヴォーカルの背中とドラマーのお腹が くっついたような密着度。奥行きの無い、一枚絵だった。 2度と聴きたくないと思った。 所有しているCDの中で一番音が悪かった。 それから約5年後。様々なハイエンドケーブルを自宅試聴しているときに、 この曲を再生してみた。すると、ヴォーカルのキンキンさが消えていた。 その後正式にケーブルを導入して、システムの全体の調整が終ったときに CDをかけてみた。 なんと、前後の分離感が出て、奥行きが感じられた! このCDもひょっとしたら可能性のある一枚?と思い、Q3システム試聴時に 持ち込んだ。 Q3で鳴らす。 ヴォーカル、ドラム、ギター、ベースがいとも簡単に分離した! ステージ上の然るべき位置に音像が現れる。奏者と奏者の間には十分な エアボリュームがあり、「無の空間」ができている! モヤモヤした曇り感は皆無!演奏の一音一音が面白いほどわかる! ヴォーカルは声色の変化が良く出ていて、三日月夜空のうざったそうな声や りりしく浸透力のある声、驚いた時に出る突飛な高い声が部屋中に鳴り響く。 その瞬間、はがないの光景、夜空の動く姿がありありと浮かんで来て、 アニメの世界に入り込んだ。 極めつけが2分24秒から始まるギターソロ。 それ以前はヴォーカルが目立っていたが、ギターソロになると ヴォーカルは闇に消えて、スポットライトがギター奏者にあたった。 奏者の実体感が際立ち、ギターの超絶テクニックを披露してくれた。 熱いギターの音に魅了された。 このCDにこれほどの熱演が収録されているとは思わなかった。 「マジか・・・」 Q3システムの底知れぬ圧倒的なパフォーマンスに驚愕した。 ・総評 - アニソンとの相性 - 約60曲のアニソンを聴いてみて、Q3システムとアニソンの相性は抜群だと 分かりました。 アニソン特有の「もやっとしたベール感」は全く無く、また耳に刺さるような 加工音は一切ありませんでした。 ヴォーカルの質感と楽器・電子音の質感の違いを明快に描き分けて、奏者や音を ステージ上のしかるべき位置に配置します。奏者は伸び伸びと演奏を始めて、 その様がよく分かります。 そして、演奏の不自然さ(オーディオ的不満点)を消した上で、今度はエフェクト音や 電子音を歌や演奏と融合させて一体感(世界観)を創出します。 その結果、多くの曲で世界観に触れる事ができました。ここまでレベルが高いと 相性で語るより、どういう世界観に包まれたかを述べるのが相応しいと思い、 体験記形式にて書きました。 いま思い出してみても、水樹奈々さんの曲の世界観は凄まじいものです。 フラッシュバックが起るほどです。 強烈な体験でしたが、Q3システムでアニソンが聴けて良かった、 心の底からそう思える素晴しいシステムでした。 |■7.クラシックとの相性 アニソンの凄まじい世界を見せてくれたQ3システム。 アニソンに最適化したからこそ成し得たと思います。 では、アニソン用システムでクラシックは鳴らすとどうなるのでしょうか・・? ということで、私のリファレンスからクラシック3曲を鳴らしてみました ----------------------------------------------------- 1.ロッシーニ 弦楽のためのソナタ (弦楽協奏曲) 2.サン=サーンス 交響曲 第3番 - オルガン付き- 3.シベリウス 交響曲 第1番 ----------------------------------------------------- 1.ロッシーニ「弦楽のためのソナタ」第3番 第3楽章 品番:COCO-70512, Track9 ・明確な音像表現、ソロパートが素晴しい。相性:A+ ・明確な音像表現、緻密な空間描写によって、奏者の立ち位置がハッキリわかります ・奏者と奏者の間に何も無い「無の空間」が感じられました ・高いS/Nによってステージの静けさと奏者の気迫がビシバシ伝わってきます ・ソロパートでは弦一本一本の音色の違いはもちろんのこと、奏者の腕の動き、 体全体の動きがハッキリ見えて驚きました ・統合としての響き(ハーモニー)は控えめで、個々の響きが強く感じられました。 そのため協奏している時より、ソロパートの方が魅力を感じました ・幻想的なヴァイオリンというよりは、現実的なヴァイオリンです (ここで好みが別れると思いました。) 2.サン=サーンス「交響曲 第3番 -オルガン付き-」 第2楽章 品番:UCCD-2226, Track2 ・超緻密な弦の描写、オルガンの圧倒的迫力。相性:S ・空気の振動をビリビリと感じる確かな低音 ・オルガンの音(振動)に滲みがありません ・オルガンの音を一音一音重ねていってもそれぞれの固有の振動と 和音による振動の両方を感じられました ・オルガンの音の強烈な存在感。この強烈な低音は、他の超弩級システムの 追随を許さないほど ・超緻密な描写によりヴァイオリン奏者1人1人の弓の動きや擦れ具合までわかります ・この曲でも幻想的ではなく、極めて現実的(写実的)な鳴り方でした 3.シベリウス「交響曲 第1番」第1楽章 品番:ESSD-90020, Track1 (CD層) ・思わず息を飲む緻密な演奏、でも長い余韻が欲しい所。相性:B ・広大なサウンドステージと超精密な描写で、スピーカー後方にオーケストラ団が出現 ・ティンパニのリアリティが凄まじく、ティンパニの面揺れが面白いほどわかりました ・緻密な描写と背景の静かさにより、第1主題と第2主題の緊張感が素晴しいです ・しかし、その後の展開部では、キレの良すぎるシステム故か、 金管楽器の余韻が足らず、 シベリウスの幻想的な世界には到達できませんでした (この曲は余韻をとても長くすることで、個々の音が融合し、空間上にうねりが発生し、 魔術的な幻想空間が現れます。この魔術的空間はJeffのプリアンプ「Criterion」を 使用した時に現れました。キレの良いアニソン向けシステムではシベリウスを鳴らし 切るのは難しいと感じました。) ・総評 -クラシックとの相性 - 高いS/N、広大なサウンドステージ、緻密な描写により、極めて現実的・写実的な 演奏を見せてくれました。 特に弦楽器の擦れる音は素晴しく、そのリアリティさに圧倒されました。 弦の質感はCrystalCableの音が大きく寄与していると思います。 Crystal Cableはヴォーカルの口の動きや舌の動きを出すのに最も適している ケーブルですが、ヴァイオリンの弦の質にも絶大な効果がありました。 (私がCrystal Cableを導入した理由の1つは、ヴァイオリンの再現性が 高かったからです) また、強力な低域に支えられて、ティンパニやオルガンの再現性が極めて高かったです。 複数の場所でMAGICO 「M3」を用いてサン=サーンスのオルガンを聴きましたが、 オルガンを含めての演奏はこのQ3システムがNo1でした。 この2要素だけでも並のクラシック向けシステムを超越しています。 ただし、写実的な音ゆえに、ヴァイオリンの甘美な音に酔いしれる音では ありませんでした。この点が良いか悪いかは好みによって変わるでしょう。 悩ましい点は余韻(滞空時間)でした。 上述のシベリウスやその他シューベルトの交響曲では、長い長い余韻によって 見えてくる世界があります。Q3システムではヴォーカルがじっくり歌い上げるのに 適切な余韻がありました。私がフルオケを鳴らす場合は現状の2倍、3倍の余韻、 余韻の終りが見えないほどの長い余韻が欲しいと思いました。 (しかし、それほど長く伸ばすと、当然キレが悪くなるので、アニソンとは相性が悪く なってしまいます。) Q3システムはクラシックを高いレベルで鳴らしますが、現実を超えた先の世界観に 触れたい場合は、クラシック専用に最適化する必要があると感じました。 (私のS1システムも歯切れの良い方向に振っているので、シベリウスの魔術的空間は 現れません。Q3システムを聴いた限りではOpus一本で十分に長い余韻を出すのは 難しいと思いました。もしフルオケの魔術的空間を求めるなら、オーディオ機器を 含めて、トータルで調整する必要があるとわかりました) http://comiccune.jugem.jp/?eid=35 ☆ MAGICO Q3でアニソンを聴いてきました!(後編) http://comiccune.jugem.jp/?eid=36 |■8.超弩級システムとの比較 本章ではexorionさんの Q3 システムと他の超弩級システムを比較します。 アニソン再生においては、exorionさんの Q3 が最適だと予想していますが、 他のシステムと比較した際はどのような位置付けになるのでしょうか? ポイントを絞って比較していきます。 ・比較するシステム (1) MAGICO - Q3 と GOLDMUND (場所:都内某所) (2) YG Acoustic Hailey 1.2 と MSB - Select DAC (場所:都内某所) (3) MAGICO - M3 と PASS (場所:TIAS 2016) (4) MAGICO - M3 と CH Precision (2016年 第40回 マラソン試聴会) (5) MAGICO - M3 と AUDIA (場所:都内某所) 試聴曲はアニソン(エブリデイワールド)と中編でご紹介した、 クラシック(サン=サーンス 交響曲第3番オルガン付き)の2曲が中心です。 ・結論 結論を先に申しますと、exorionさんの Q3 システムが一番良かったです。 特にアニソンにおいては、exorion さんのシステムがハイレベル過ぎて、 上記5つのシステムと比較にならないほどでした。 以下、簡単なインプレと比較です。 - 評価方法 -
評価は実体感や色彩感、感情表現(抑揚)、曲の世界観が見えたか等の 10つの項目で行いました。 各要素において、良い(○):10点、並(△):5点、悪い(×):0点とします。 (ずば抜けて良い場合は ◎:20点を付けました) ・(1) MAGICO Q3 と GOLDMUND システム Q3 と GOLDMUND の組み合わせでは低音の量感と躍動感が素晴しかったです。 ヴォーカルに強烈な実体感があり、MAGICO Q3 の凄まじさを感じました。 音像とそうでない部分の境界部分は触ったらキレそうなほどの鋭さがあり、 ヴォーカルの実体感をより際立たせていました。しかし、ダークな音色感が 少し気になりました。 クラシックでは、低音の量感によって、壮大な オーケストラに仕上がっていました。 ただ、スピード感はもう少し欲しいと感じました。また、高音域にもう少し輝き が欲しいと思いました。 曲の全体としての世界観はある程度感じる事ができました。 (この時、MITのケーブルを用いていました。) - アニソン:50点、クラシック:50点 - ◆アニソンの評価詳細 ・ヴォーカルの実体感 :○ ・ヴォーカルの色彩感 :× ・滑らかさ:○ ・感情表現(抑揚):△ ・空間の広がり:× ・生々しさ:△ ・高域の伸び:× ・低音の量感:○ ・低音のキレ:△ ・曲の世界観:△ → ○*3 + △*4 = 30 + 20 → 50点 ◆クラシックの評価詳細 ・楽器の実体感 :○ ・楽器の色彩感:× ・滑らかさ:○ ・感情表現(抑揚):○ ・空間の広がり:× ・生々しさ:× ・高域の伸び:× ・低音の量感:○ ・低音のキレ:△ ・曲の世界観:△ →○*4 + △*2 = 40 + 10 → 50点 ・(2) YG Acoustic Hailey 1.2 と MSB - Select DAC システム YG Hailey 1.2 と超弩級 DAC MSB Select DAC では、広大なサウンドステージ感と 全てのベールを剥いだような生々しさが突出していました。 しかし、分解能不足で妙な塊感があり、周波数帯域の繋がりが悪かったです。 ヴォーカルの帯域にはピーク感があり、曲の世界観には全く触れられませんでした。 (本システムは都内のショップで聴きました。このような音になって しまったのは、期間限定での借用品で時間が限られていて、機材の相性を 調整できなかったとのことです。 なお、YG と Select DAC 自体は素晴しい機器です。真価を発揮した音は 凄いと耳にします。個々の製品がダメだと述べている訳ではありませんので、 本記事の表現をご了承ください。) - アニソン:10点、クラシック:未視聴 - ◆アニソンの評価詳細 ・ヴォーカルの実体感 :× ・ヴォーカルの色彩感 :× ・滑らかさ:× ・感情表現:× ・空間の広がり:○ ・生々しさ:◎ ・高域の伸び:× ・低音の量感:× ・低音のキレ:× ・曲の世界観:× ・特記事項:聞き続けられないほどの音 -20点 → ◎*1 + ○*1 + 特記事項 = 20 + 10 + (-20) = 10 (この試聴によって、例え超弩級のDACを用いても、機器との相性やシステムの トータルバランスを考えないと酷いことになると勉強になりました ) ・(3) MAGICO - M3 と PASS システム
TIAS 2016 でのM3システムでは、(1)の Q3 と GOLDMUND で感じたダーク感は 薄くなっていました。楽器の音色は明るく、好感触です。 また、(1)の Q 3& GOLDMUND には無かった「良い意味での空気感」がありました。 しかし、スピード感に不足があって少しもっさり。 クラシック音源では空気感が功を奏していましたが、アニソンにおいて ヴォーカル帯域に妙にまとわりつくものがあって気になりました。 クラシックでは彩り豊かに聞えましたが、ヴォーカル帯域の色彩感は少し スモーキーさを感じました。 - アニソン:20点、クラシック:55点 - ◆アニソンの評価詳細 ・ヴォーカルの実体感 :△ ・ヴォーカルの色彩感 :△ ・滑らかさ:△ ・感情表現:× ・空間の広がり:△ ・生々しさ:× ・高域の伸び:× ・低音の量感:× ・低音のキレ:× ・曲の世界観:× → △*4 = 20点 ◆クラシックの評価詳細 ・楽器の実体感 :△ ・楽器の色彩感:○ ・滑らかさ:○ ・感情表現:△ ・空間の広がり:△ ・生々しさ:× ・高域の伸び:○ ・低音の量感:△ ・低音のキレ:× ・曲の世界観:△ → ○*3 + △*5 = 30 + 25 → 55点 ・(4) MAGICO - M3 と CH Precision システム 2016年 第40回 マラソン試聴会でのMAGICO M3とCH Precisionシステムでは、 TIASで感じたもっさり感がありませんでした。低音は柔らかめで、余韻 たっぷりの滲みのない厚い低音(パイプオルガン)が広がりました。 また、スピードはゆったりしつつも、低音の締りと適度なキレを感じました。 ただし、高域に硬さがあったのが気になりました。 (M3が国内に入ってきて日が浅かったのでバーンイン不足でしょうか・・) ヴァイオリンには明るさやスリリング感が少なかったです。 それでも曲の雰囲気は良く出ていて、 纏まりのあるシステムだと感じました。 - アニソン:未視聴、クラシック:65点 - ◆クラシックの評価詳細 ・楽器の実体感 :△ ・楽器の色彩感:× ・滑らかさ:○ ・感情表現:△ ・空間の広がり:○ ・生々しさ:○ ・高域の伸び:× ・低音の量感:○ ・低音のキレ:△ ・曲の世界観:○ → ○*5 + △*3 = 50 + 15 → 65点 (5) MAGICO - M3 と AUDIA システム 都内某所でのM3+AUDIAシステムはみずみずしい中高音域、形作らない 伸びやかな低音が特徴でした。 全体にふわっとした音作りで、楽器や ヴォーカルの温度感が良く出ていて、響きが空間に溶け込むような音 でした。 これまでのMAGICOとは違う・・・と感じました。 しかし、低音の特定の帯域が薄く、逆に、膨らむ帯域もありました。 時にピアノの低い音が崩れて「本当に密閉型スピーカー?」と思うことも。 低域の薄さから少々ハイ上がりにも感じ、またヴォーカルの口が広がりすぎて 実体感がありませんでした。 弦楽四重奏は良かったですが、ヴォーカルやフルオケの世界観には 触れられませんでした。 -アニソン:35点、クラシック:70点 - ◆アニソンの評価詳細 ・ヴォーカルの実体感 :× ・ヴォーカルの色彩感 :○ ・滑らかさ:△ ・感情表現:△ ・空間の広がり:△ ・生々しさ:△ ・高域の伸び:△ ・低音の量感:× ・低音のキレ:× ・曲の世界観:× → ○*1 + △*5 = 35点 ◆クラシックの評価詳細 ・楽器の実体感 :△ ・楽器の色彩感:○ ・滑らかさ:○ ・感情表現:○ ・空間の広がり:○ ・生々しさ:○ ・高域の伸び:○ ・低音の量感:× ・低音のキレ:× ・曲の世界観:△ →○*6 + △*2 = 60 + 10 → 70点 そして、今回聴いたexorionさんのQ3システムは・・・ 上記システムで感じたMAGICOのダーク感やモノトーン、スピード感不足 (もっさり感)は無く、高域の硬さ、実体感の希薄さやピアノの崩れも ありませんでした。 MAGICOの弱点と呼べる部分は 全て克服していると感じました。 空間の表現と低音の量感はずば抜けて高く、アニソンにおいては ヴォーカルの豊かな感情表現(抑揚表現)により、すぐにその世界に 入り込めました。 クラシックでは、やはり低音の量がずば抜けて良く、オルガンの重厚な響きを 肌で感じました。楽器の色彩感はヴォーカルの色彩感より少し薄めでした。 感情表現では甘美なヴァイオリンとは異なったため、(私の好みにより) 点数が低めとなりました。 クラシック曲の世界観に関しては、もう少し余韻があれば・・・との感想でした。 - アニソン:150点、クラシック:85点 - ◆アニソンの評価詳細 ・ヴォーカルの実体感 :○ ・ヴォーカルの色彩感 :○ ・滑らかさ:○ ・感情表現:◎ ・空間の広がり:◎ ・生々しさ:◎ ・高域の伸び:○ ・低音の量感:◎ ・低音のキレ:○ ・曲の世界観:◎ →◎*5 + ○*5 = 100 + 50 → 150点 ◆クラシックの評価詳細 ・楽器の実体感 :○ ・楽器の色彩感:△ ・感情表現:△ ・空間の広がり:○ ・生々しさ○ ・高域の伸び:○ ・低音の量感:◎ ・低音のキレ:○ ・曲の世界観:△ →◎*1 + ○*5 + △*3 = 20 + 50 + 15 → 85点 ◆比較総評 アニソンを鳴らした場合、exorionさんの Q3 システムが150点で、他システムが 10〜35点(Q3 + GOLDMUND + MITでさえも50点)で著しい差がありました。 クラシックは、やはり exorion さんの Q3 システムが85点の優秀点で、 その次に都内某所の M3(70点)とマラソン試聴会の M3(65点)が追う形でした。 クラシックにおいては、演奏のどの部分を重視するかで、評価は変わるので、 人によって順位は逆点しうると思います。 なお、クラシックの再生に関しては、exorionさんの Q3 システムと同等、あるいは それ以上のシステムを聴いたことがあります。 それは Sonus faber の LILIUM と CHプレシジョンのフルセットです。 exorion さんの Q3 システムは現実に即したコンサートを描き、 Sonus + CHPはキラキラと 幻想的な演出で描きます。 どちらとも魅力溢れる音です。 様々な試聴を通して、MAGICO Q3 システムと Sonus faber LILIUN の2システムを 所有して、 アニソンとクラシックを楽しめたら最高だと思いました。 |■9.おまけ:声優ファンにとって夢のアイテム(?!) ・ツマミを回すだけで声が柔らかくなる! 5章の「ヴォーカルとの相性」において、あやねるの甘さと柔らかさが今一歩と 述べました。同様に井口さんの柔らかさも今一歩と感じました。 Q3システムはタイトでキレが前面に出るので、柔らかさが少し足りないのは 仕方無いと思っていました。 ところが! インターコネクトケーブルの「MIT MA-X2」に付いている箱のツマミを回すと、 音が劇的に柔らかくなるのです! (左:ケーブル全体図、右:箱の拡大図、赤丸部分がツマミ) -------------------------------------------------------------------------------------------- ※この機能は「Adjustable Articulation Response Module (A.A.R.M.)」という 技術で、ツマミを回すとケーブルに流れる周波数帯域や明瞭さが変化します。 技術の詳細は、以下ブログにて大変詳しく書かれています。 また、MITのラインナップや価格も紹介してある秀逸な記事です。 ご興味がありましたら、ぜひともご覧ください! ▼MIT Oracle Matrix 50 Interconnect 導入記 http://anisonhobby.blog.fc2.com/blog-entry-24.html ---------------------------------------------------------------------------------------------- この機能の凄さを知ったのは、恋愛サーキュレーション(釘宮理恵ver)を流した時でした。 曲を流す前に、キレのあるQ3システムではくぎゅの恋愛サーキュレーションは 良さが出ないのでは・・・?と予想していました。 結果は概ねその通りで、口のシャープな動きが目立っていて、くぎゅの甘いボイスは ほとんどありませんでした。「やっぱり難しいかなぁ」と思いました。 すると、exorionさんが立ち上がって、インコネの箱に向かいました。 そしてCDを再生すると、空間上にくぎゅの柔らかい甘い声が広がったのです。
劇的な声の変化に驚きました。 この変化はスピーカーを買い換えたり、プリアンプを買い換えるたりするよりも 遥かに大きな変化です。 例えるなら、 「化物語の戦場ヶ原さん」のようなクールで口の動きがよく分かるシャープな話し方が、 ↓ 「ぱにぽにだっしゅのベッキー(レベッカ宮本)」の甘めのほわほわ声に変化するのです! (どちらも斎藤千和さんが演じています。) ということは、これを使えば、竹達さんが歌っている曲を「俺妹のきりりん氏」や 「えむえむっ!の石動美緒」のようにキレ味の鋭い口調で歌ってもらうことが可能で、 逆に「たまゆらのぽって」のようにほわっと暖かく歌ってもらうことも可能なのです! また、中島愛さんの「神様のいたずら」はより柔らかく歌ってもらい、 「そんなこと裏のまた裏話でしょ?」はさらにシャープでキレよく歌ってもらうことも可能です! MIT MA-X2は声優ファンの私にとって夢のアイテムに感じました! しかし、欠点があります。 ものすごい高価です。 1mのペアで14,999ドル = 約172万円!(1ドル=115円換算)もします。 しかも日本には正規代理店が無いので、日本では売っていません! その欠点を知ってもなお、欲しいと思わせる魅力があります。 いつかは手に入れたい・・・MIT貯金を始めます! (※172万円も出すなら、声優さんを自宅に呼んで、実際に歌ってもらった方が 良いというツッコミが入るかもしれません。もしそれが可能なら 実際に歌ってもらった方が嬉しいです。 でも、お金があっても声優さんのスケジュール等で困難が予想されます。 本当に実現しようと計画を練れば練るほど、実現の難しさに直面します。 オーディオの1つの醍醐味は、好きな時に好きなだけ、好きな曲を 好きな格好で聴けることです。コンサートの熱気も良いですが、 家でリラックスして聴けるのも幸せです。) 「今夜はほっちゃんを聴こう。最初は辛口で、次は甘口で。 聴き終わったら、次はゆかりんだ!」 こんな日が来ることを夢見ています! |■10.後記 試聴記の中編と後編は、Q3システムの真髄であるヴォーカルとアニソンを中心に書きました。 そのため、この世界を知らない方には少々マニアックな展開に見えたと思います。 また今回のQ3試聴は人生で初めてのオーディオ・オフ会だったため、 ファーストインプレッションから詳細に書きました。 ここまで読んでいただきまして、誠にありがとうございました。 以下、後記です ・Q3を聴いて固まった思い
Q3システムで強烈なアニソン世界を見たことから、今後自宅のS1システムで アニソン聴くと空しくなって嫌になるのでは?と恐怖感が現れました。 帰宅して実際に聴いてみると、とても魅力的な音が流れてきました。 全体的に柔和で、たおやかな音。 Q3のように生々しさは無く、むしろベールを何枚もまとった音ですが、 私にとってはとても心地良い音でした。 Q3試聴記以後、複数のハイエンドオーディオを聴きました。 そして、家に帰って自宅のシステムを聴くと、毎回「うちのシステムが一番好き」 と思えました。試聴を重ねる毎に、私はSakraを中心としたシナヤワの世界が 好きだと胸を張れるようになりました。 その結果、ちょっとやそっとのオーディオシステムでは心動かされない(=散財の 危険性が少ない)という自信が出てきて、新しい音をどんどん知っていこうと 前向きになれました。 今後、新しい世界を知るうちに、オーディオシステムがガラリと変わるかも しれません。その時はその時です。 今は、私の「好き」を大切にして、音楽を楽しみたいと思いました。 ・課題と対策 Q3システムのアニソン再生能力は凄まじく、S1システムにも取り入れたい事項 (課題)ができました。それは以下の3つです。 1.音像の動きを見えるようにする (「木枯らしセンティメント」をより良く再生したい!) 2.分離感を向上させ、奏者にスポットライトを当てる (はがないの「私のキ・モ・チ」をより良く再生したい!) 3.余韻を長くする (鈴木このみさんやシベリウスの世界観をもう一度体感したい!) これらに対してどのように対応するか・・・ 実は、この1ヶ月で1と2はほぼ解決しました。 1の音像の動きは、PCトランスポートの再生ソフトをJRMCからHQPlayerに 変更して、Windows server2012 R2のチューニングを徹底したことで解決しました。 (HQPlayerはC氏のブログにて興味を持ち、導入となりました。 きっかけを与えて下さったC氏に感謝するばかりです!) 2.の分離感は、S1システムに WireWorld の電源ケーブル(SILVER ELECTRA)を 導入したことにより大きく改善しました。 最後の余韻は・・・これはとても時間がかかると思います。 exorionさんのシステムで聴いた限りでは、TransparentのOPUSを1本導入しただけでは解決できないので、長期的に目指したいです。 (でも、その前にMIT貯金に励みたいです!) Q3 システム試聴は私の音楽観を一新させる激烈な体験となりました。 http://comiccune.jugem.jp/?eid=36
|